衆議院

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第5号 令和2年3月24日(火曜日)

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令和二年三月二十四日(火曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 白須賀貴樹君

   理事 田畑 裕明君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    大串 正樹君

      上川 陽子君    神山 佐市君

      櫻田 義孝君    柴山 昌彦君

      高木  啓君    谷川 弥一君

      出畑  実君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福井  照君

      船田  元君    古川  康君

      古田 圭一君    宮路 拓馬君

      吉良 州司君    菊田真紀子君

      中川 正春君    牧  義夫君

      村上 史好君    山本和嘉子君

      吉川  元君    笠  浩史君

      高木 陽介君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    森  夏枝君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       橋本 聖子君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   国土交通大臣政務官    和田 政宗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   阪田  渉君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         白間竜一郎君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         堀田  治君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     古川  康君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 冒頭、先日の菊田真紀子委員の資料要求につきましては、文科省に対し速やかに提出するよう委員長としても求めておりますので、御了知いただきたいと思います。

     ――――◇―――――

橘委員長 内閣提出、文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河村直樹君、財務省主計局次長阪田渉君、文部科学省総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長丸山洋司君、高等教育局長伯井美徳君、高等教育局私学部長白間竜一郎君、文化庁次長今里讓君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君、国土交通省大臣官房技術参事官堀田治君及び観光庁観光地域振興部長村田茂樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 文化観光推進法案について、萩生田文部科学大臣、中野経済産業大臣政務官並びに和田国土交通大臣政務官にきょうは質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 文化観光を推進するに当たりまして、まず大前提として、国民の生命財産の安全確保をされるということは言うまでもないと思っております。

 まず、新型コロナウイルス対策について、幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 まず、総理要請に基づく学校一斉臨時休業要請の解除、すなわち学校再開についてお伺いしたいと思います。三月十九日の専門家会議の見解を踏まえ、文部科学大臣として、昨日の夕方にも記者会見があり、本日にも発表があるやに聞いておりますが、そこで示される学校再開に向けての方針とその理由について、文部科学大臣に伺いたいと思います。

 これまで大臣は、三月二十三日の参議院予算委員会での答弁で、爆発的な感染拡大には進んでいない、原則として全ての学校が再開されることとなると、基本的に一斉臨時休業の解除方針を述べました。一方で、無症状者によるオーバーシュートの可能性の指摘も専門家会議からありました。終息を見ていないタイミングであり、感染拡大リスクの伴う学校再開判断を自治体や設置者に丸投げするのか。大臣、この学校再開方針と理由について、まずお答えいただけますか。

萩生田国務大臣 おはようございます。

 今回の学校再開は、一斉休業の要請からこれまでの間、国民の皆様、御家庭や社会全体の多大な御努力、御尽力によって子供たちを守る意識が高まり、その体制ができ上がってきた中で、引き続き十分に警戒をしながら準備を進めていただくものです。

 専門家会議も分析しているとおり、感染状況については、一部の地域での感染拡大は見られ、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として爆発的な感染拡大を伴う大流行につながりかねない状況であり、一人一人の行動変容と強い行動自粛の呼びかけが必要な厳しい状況であることに変わりはありません。

 子供たちを守る教育関係者、各自治体におかれては、この認識を大前提に、春休みの期間を含めて、引き続き警戒を緩めることなく学校再開の準備を進めていただきたいと考えているところであり、本日発出をした学校再開のガイドラインにおいてもその旨を盛り込んでいるところでございます。

城井委員 ガイドラインを発出ということでございましたが、大臣、一つだけ、今の点で確認をさせてください。

 いまだに感染源が追えていない、そして、そのことで感染拡大がまだ見られている地域が多くございますが、そうした地域でも既に自治体において学校再開の動きがございます。国としてどう対応するのか、大臣、ポイントはここだと思っていまして、学校に起因する感染がないので学校を再開しますということを自治体が判断理由としておっしゃっておるわけですが、学校に起因する感染がなければ認めるということなのか、この点、昨日、本日と発表されている中身に照らしてどうなのかということをお答えいただけますか。

萩生田国務大臣 先生も御案内のとおり、学校の設置者である市町村の判断を優先したいと思います。その場合には、ただ単に学内での感染者がいるか否かではなくて、自治体内で感染されている市民の皆さんの存在があるかないか、こういったことも含めて、都道府県の衛生部局とよく相談をしていただきたいと思います。

 もちろん、全国一斉休業に踏み切ったときの判断に戻れば、少しでも感染のリスクがあれば学校を閉めるという決断も時にはしなくてはならないと思うんですけれども、あのときよりやはり国民の皆さんの意識は大きく変わってきたと思います。そして、学校関係者の皆さんも、どうすれば感染しないかというさまざまな手法を身につけてきていただいたと思っておりますので、こういったことを総力で発揮していただいて、できる限り授業の再開をしていきたいというのが私の思いでございますので、丸投げで、自分たちで考えてくださいなんということを言うつもりはございません。必要に応じて、国の知見も、御相談があればしっかり発揮をしながら、きめの細かい対応をしていきたいというふうに思っております。

城井委員 学校そのものということだけではなくて、自治体でという御発言が今ございました。そのとおりだと思います。

 そういたしますと、大臣、衛生部局などと相談してほしいということでしたが、その衛生部局との相談なども含めたところを国として指導助言するという考えはあるか。私は、すべきではないかというふうに思いますが、特に感染拡大が続いている地域ですので。その点、いかがでしょう。

萩生田国務大臣 一概には申し上げられませんけれども、もちろん、必要に応じて指導助言をしてまいりたいと思っております。

城井委員 日ごとに感染の地域は拡大しているという状況を、警戒を緩めることなくということでしたので、しっかりと引き締めて取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。

 続いて、参ります。

 仮に学校再開をするに当たっても、感染防止対策は国の責任で万全を期すべきだと思っています。感染防止の物資は相変わらず不足しておりますから、その準備、席の配置や換気など注意喚起すべき項目はありますが、例えばということで、どの学校でもできること、そして、今後の各種感染症予防を徹底する観点から、各学校等で、始業前、昼食時、下校時の手洗いあるいは消毒の指導を国から取組基準として示すべきではないか。ふだんからやっているという前提で、これまでの部分よりも踏み込んだ形になると思いますが、きちんと教員が見る、確認しながらということで、この手洗い、消毒の指導を国から取組基準として示すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先生の御指摘、ごもっともだと思います。

 今、前の質問の中で、緊張感を持ってということを改めて御指摘いただいたんですけれども、先週、たまたま十九日の会議の後に、言うならば、学校の休業要請は延長しないとか四月から学校再開というワードが新聞やテレビなどで非常にクローズアップされましたら、何となく、もうトンネルを抜けたかのような雰囲気が国民の皆さんにちょっと広がってしまったなというように私は心配していまして、したがって、きのう急遽、夕方改めて記者会見をしたのはそのことでございます。状況は変わっていないですし、もっと言えば、一斉休業をお願いしたときより国内の患者数はふえているわけですから、ここは徹底した感染予防をしないと学校再開というのはできないと思っております。

 したがって、新学期からの学校再開を迎えるに当たり、文科省では、その際の留意事項等を取りまとめた学校再開ガイドラインを作成し、先ほど全国の教育委員会に発出をしました。

 その中において、手洗い、せきエチケット、消毒による清掃などの基本的な感染症対策の徹底に加え、集団感染リスクを防ぐ観点から、毎朝の検温、授業ごとの換気の励行、また、近距離での会話や発声などの際のマスクの使用などの保健管理の徹底を盛り込んでいるところでございます。

 特に手洗い等の頻度や方法について、各学校の参考となるように、より具体的に示していきたいと思いますが、地域の感染拡大の状況はさまざまであり、それぞれの地域の実態や児童生徒等の状況を踏まえて、各学校において、学校医や学校薬剤師等と連携をしながら感染対策に適切に取り組んでいただきたいと考えております。

 再開に当たって、アルコール消毒液がないという陳情もあるんですが、これはちょっと学校現場も間違っていまして、アルコール消毒液での消毒は石けんや水がない場合の緊急避難的な作法でありまして、石けんで水道水で洗った方が、言うなら効果は抜群に高いというふうに専門家の皆さんがおっしゃっていますので、学校はそういう環境にありますので、まず、アルコールの消毒液がなくても、ちゃんと石けんと水でしっかり手洗いを進めていく、このことを徹底してまいりたいと思います。

城井委員 現場はコロナ疲れも耳にするところでありますし、特に、ここからが正念場となりますと、明確な指針がきちんと現場に届くということが大事だと思います。今ほどもわかりやすい御説明をいただいたと思いますので、しっかり届けていただきますように、改めてお願いしたいと思います。

 さて、もう一点お伺いします。

 学校休校を仮に再開した場合でも、休校が続く地域もありますし、もしかすると、もう一回休校するケースも出てくるかもしれないというふうに思っています。そこを想定して、学びの継続に向けた準備を今からすべきという点を質問したいと思います。

 地域限定を含め、今後も休校が生じる可能性を想定し、休校中のオンライン学習の環境整備についても本格的に行う必要があると考えます。

 そこで、三つ提案をします。必要な端末支援、通信環境の整備支援、そして学習内容の準備であります。

 まず一つ目は、一人一台端末の整備促進は、現在、GIGAスクール構想でも進めているところでありますが、端末の持ち帰りのルール整備がまだですので、これをやるべきです。次に、家庭での必要な通信環境整備支援とともに、オンライン学習向けの通信料金プランを、通信会社等と今のうちから連携して検討すべきだと考えます。あわせて、オンラインによる学習機会を十分活用するために、学習指導要領に基づいた学習内容の準備に公教育としてあらかじめ取り組むべきです。

 大切なのは、全ての児童生徒が学習機会へアクセスできることです。大臣、取り組んでいただけますか。

萩生田国務大臣 学校の臨時休業期間中に児童生徒が学習を進める際に、ICTを活用することは大変有意義であるというふうに考えております。しかしながら、そもそも我が国の教育におけるICT活用状況は世界から大きく後塵を拝しており、その基盤となる学校ICT環境について整備が進んでおらず、自治体間で差が生じています。

 このような課題を解決すべく、まずは、令和元年度補正予算において、GIGAスクール構想の実現として、学校における高速大容量の通信ネットワークと児童生徒一人一台端末の一体的な整備を始めたところです。今回の整備による端末は、校外や家庭での学習活動においても効果的に活用される可能性があるため、今後、これらの先行事例の収集、分析、普及、展開などに積極的に努めてまいりたいと考えております。

 また、臨時休業する必要が生じた学校においては、可能な限り、家庭学習を課すなどの必要な措置を講じるなど配慮することが求められておりますが、文部科学省としては、子供の学び応援サイトにおいて、各学校が家庭学習を課す際に活用できる教材等の充実に努めるとともに、ICTを活用しての休業中の学習成果を確認する取組事例などのホームページへの掲載、周知も行っているところです。

 文科省としては、これらの施策を通じて端末、通信環境、学習コンテンツについて整備を進め、休校時の学習活動を含む学校教育におけるさまざまな場面でのICT活用を促進してまいりたいと思います。

 先生御提案の持ち帰りができるようにせよというのは、せっかく、一人一台整備すれば、家庭に持ち帰って活用することも私も重要だと思います。一方で、児童生徒に端末の持ち帰りを認める場合には、情報セキュリティーですとか有害情報のアクセス制限ですとか家庭間の公平性などの配慮も必要だと思っております。

 このため、GIGAスクール構想の実現により整備した端末の持ち帰りについては、各自治体、学校においてこのような点を十分踏まえて適切に判断いただければよいと考えており、文科省としては、端末整備後の自治体における活用実態等をまずは収集し、優良事例を周知したいと考えておるところでございます。

城井委員 大臣、だからこそ、あらかじめ検討しませんかということを申しておるわけであります。自治体の事例が出てからだと何年後になりますか。今後も、災害も新型感染症もあり得ると思ってかかっておかねばならぬというように思うわけです。

 ポータルサイトで取組優良事例などを示していただいています。ただ、今回も、いきなり休校になりましたから、子供たちの学びの進度や習熟度は違ったわけです。そうすると、その違いに応じて教材を差し出していけるインフラを今のうちからつくっておくべきではないかというのが今回の提案なわけでして、その点を踏まえての検討をお願いできるかという点、もう一回お願いします。

萩生田国務大臣 貴重な提案だと思います。

 学校で使う端末は基本的にWiFi対応が標準的に言われているんですけれども、LTEなどを活用すれば自宅へも持ち帰りができますし、また、もっと言えば、こういう機会に日本じゅうやはりWiFiフリーの環境というのをつくっていかなきゃいけないと思います。

 過疎地も含めてそういう差をなくしていくことがICTを活用する大きな視点だと思いますので、先生から二度御指摘がありました、本当はひそかに心の中でずうずうしくいろいろなことを考えておりまして、このピンチをチャンスに変えて、学校教育環境を変えていきたい、こんなふうに思っております。

城井委員 ぜひ迅速な検討をお願いしたいと思います。

 もう一点伺います。経済産業大臣政務官にお伺いします。

 学習塾や音楽教室等の習い事などについて、これも自粛ということが言われてまいりましたが、徹底した感染防止対策など、再開に向けて業界で策定した感染防止ガイドラインが示されています。それに対する評価と国による支援について、経済産業省の見解をお伺いしたいと思います。

中野大臣政務官 城井先生の御質問にお答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今般の学校等への休業要請を踏まえまして、経済産業省といたしましては、複数の業界団体を通じまして、学習塾などに関しまして、対面での授業などの感染拡大のおそれがある取組の自粛やオンライン授業への切りかえ等の工夫をまずは要請させていただきました。

 これを受けまして、全国学習塾協会あるいは学習塾関連の三団体が所属する民間教育団体連絡協議会におきまして迅速に対応方針を公表するとともに、各企業においても取組に着手をいただいたところと承知をしております。

 先生御指摘の、三月十三日にまた全国学習塾協会より、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針、ガイドラインというようなものが示されてございます。国内外で新型コロナウイルス感染症が発生したときの対応についての方針、あるいはその予防策等々も含めて、業界でガイドラインを作成していただきました。

 経済産業省といたしましては、各企業において、今、この方針に基づきまして、適切に対応をしっかりしていただいているものということで認識をしております。

 また、支援ということでございました。

 学習塾は、自粛期間の授業料収入が一時的に減少をしまして、資金繰りに支障が生じる可能性もございます。セーフティーネット保証五号への業種の指定を決定いたしまして、資金繰り対策につきましても強化をしたところでございますし、また、マスクや消毒液が足りない、こうした御要望もよくいただきます。マスクにつきましては、厚労省等の関係省庁と連携をいたしまして、適正な流通の確保に向けた取組を行うとともに、消毒液につきましても、消毒液の生産設備の導入支援補助金等により増産を支援している、こういう状況でございます。

 多くの子供たちが通っている学習塾等におきまして健康対策、予防対策を徹底することは極めて重要でございまして、経済産業省におきましては、学習塾協会や民間教育産業と、コロナウイルス対策に関しまして今後も連絡を密にとる体制を整えておりまして、今後も必要な情報発信やニーズの把握にしっかりと努めてまいりたいと考えております。

城井委員 引き続き民間教育産業への支援の充実をお願いしたいと思います。

 中野政務官はここで御退席されて結構です。ありがとうございました。

 続きまして、日本人留学生への対応について、文部科学大臣にお伺いします。

 世界じゅうで入国制限措置がとられる中、海外にいる日本人留学生が厳しい状況に追い込まれています。三月十六日に、外務省が多くの地域を感染症危険レベル2に指定しました。昨日、三月二十三日には、EU主要国を含むヨーロッパ十八カ国についてレベル3に引き上げ、全土への渡航中止を勧告いたしました。結果、日本学生支援機構の規定により、その地域に留学していた学生への奨学金が停止をし、自費による現地滞在若しくは自費による帰国を強いられています。

 日本政府は、欧州において感染拡大が続いていることを受け、シェンゲン協定加盟国を始めとする三十八カ国を対象とした帰国後十四日間の自宅、ホテル待機、公共交通機関を利用しないことを要請しており、地方出身の学生からは、どうやって帰ればいいのか、ホテルで十四日間も自費で泊まるお金はないという声も上がっています。

 これに対し、文部科学省は、十九日にウエブサイトにて、留学の一時中断措置を認めることは発表しましたが、奨学金の継続は認めておらず、自費による現地滞在若しくは自費による帰国、十四日間の宿泊費負担を強いられる現状は変わっていません。

 海外でも同様に帰国者を二週間隔離していますが、滞在施設を国が用意し、移動方法も用意しています。

 日本人の留学奨励は、そもそも、トビタテ!JAPANなど国策でやってきました。日本人留学生の自己責任と放置せず、奨学金の継続若しくは二週間の滞在先を用意するなど、国として、大臣、これは一刻も早く対応すべきです。早急に対応いただけますか。

萩生田国務大臣 海外に留学する日本人学生に給付する日本学生支援機構の奨学金においては、これまで、派遣学生の身の安全や健康を守る観点から、速やかな帰国を促すため、留学中に感染症危険情報レベルが2以上となった場合、奨学金の支給を停止することとしております。

 一方で、学生から御指摘のような声が上がっていることも承知をしておりまして、このため、現在、文部科学省において、日本学生支援機構とともに本取扱いの変更も含めた柔軟な取扱いの検討を開始しており、昨日、その旨を文部科学省のホームページでお知らせしたところです。大至急詳細を詰めて、決定次第改めてホームページ等を通じて学生の皆さんに周知しますが、奨学金支給の取扱いについて不明な点があれば、所属大学や奨学金を支給している学生支援機構、文部科学省に御相談をいただきたいというふうに思っております。

 御指摘のように、帰国後十四日間自宅待機等が要請されている国、地域からの帰国者の支援について、必要だと思います。突然帰ってきて、自分でホテルを見つけて十四日出るななんということを収入のない学生さんができるわけないわけでありますから、現実問題としてサポートしていかなきゃいけないと思っていますので、こちらの対応も急いでまいりたいと思います。

城井委員 この問題は、人によっては、いわゆる自己負担の問題ではないかと矮小化する向きもあるんですが、一番は邦人保護、そして感染拡大を防ぐための防疫上の問題だと思っています。大臣、ぜひ早急にお願いしたいと思います。

 続きまして、スポーツ、文化関係イベントに係る自粛要請について、文部科学大臣に伺います。

 自粛要請の解除は文化観光の推進の大前提です。三月二十三日の参議院予算委員会での総理答弁でも、自粛要請継続と述べられました。イベント自粛要請の継続との認識でよいのか、文部科学大臣に伺います。

萩生田国務大臣 三月十九日の専門家会議の提言や二十日の総理のメッセージにもあるとおり、大規模イベント等については、全国的な感染拡大につながる懸念があるため、引き続き、主催者がリスクを判断して、慎重な対応が求められると考えております。

 文科省としては、専門家会議の提言を踏まえ、地域における感染者の実情やその必要性等に鑑みて、主催者がどうしても開催する必要があると判断する際は、人が集まる場の前後を含めた適切な感染予防対策の実施、クラスター感染発生リスクが高い状況の回避、感染が発生した場合の参加者への確実な連絡と行政機関による調査への協力等への対応を講ずることが求められていることや、その具体的な対策のあり方について、事務連絡を二十日に発出したところでございます。

城井委員 今大臣から御説明いただいた要請とその内容としての目安の部分では、現場では判断に困っているというのが実態だというふうに聞いています。

 大事なのは、国の要請に従って中止、延期、規模縮小したスポーツや文化関係イベントについて、どのように支援、補償をするかだと考えます。経済的な補償は必須であります。これは党派を超えた意見だと思っていただきたいと思います。

 例えば、我が国の文化活動の中核を担う方々、劇団員や音楽家の公演もそうです。数カ月の長きにわたってリハーサルなどを積み重ねて迎えるはずの公演日が、国の要請でいきなり打切りとなりました。生活の保障という点からも突き放されてしまったわけです。これは、企業の所属か、フリーランスか、個人事業主かは関係ありません。アルバイトやパートは雇用保険被保険者でなくても補償の対象に今回なっておりますが、補償対象外のフリーランスは、いつ仕事が戻るかわからないのに、返済義務のある融資で支えられるものではありません。

 また、自粛の影響は、相当数の文化イベントの中止や延期にも及んでいます。コンサートプロモーターズ協会関連で一千五百五十公演、四百五十億円の損失、日本オーケストラ連盟関連で二百五十公演、十億円の損失、日本演劇興行協会関連で二百三十六公演、三十三億円以上の損失と、影響は甚大であります。公演収入はなく、給料は払えず、多くの団体は自力で立つことができません。

 私も加わる超党派の文化芸術振興議員連盟にも、十五団体から、国による減収補償やイベント再開ガイドライン策定等を求める要望が出されています。スポーツや文化活動の自粛に係る逸失利益について国として補填し、活動再開へ踏み込んだ支援、例えば、少なくともイベント再開の、公演再開のガイドラインがもっと具体的に示されないと、今の基準では判断できないという切実な声が我々に届いています。

 大臣、こうした踏み込んだ支援をお願いしたいと思いますが、お願いできますでしょうか。

萩生田国務大臣 文部科学省としては、政府の要請によりイベントの開催を自粛している文化、スポーツ関係団体から現状や今後の必要な対策などをお聞かせいただき、状況把握に努めているところでございます。

 政府全体としては、事業者に向けた各関係機関における経営相談窓口の設置や、金融公庫等による緊急貸付・保証枠の拡充などの対応や、雇用調整助成金の特例措置の大幅な拡充がとられております。

 加えて、文部科学省としても、新型コロナウイルスの感染防止等のために今年度中に実施できない事業の来年度への予算の円滑な繰越し等について、関係事業が停滞することがないよう、財政当局と連携し、柔軟に対応してまいります。

 自粛等によって冷え込んだ文化芸術やスポーツへの関心と熱意を再び盛り上げるため、文科省として、関係団体の方々の力をおかりしながら、文化芸術創造活動、スポーツ活動への支援や鑑賞等の場の確保を始め、引き続き文化芸術、スポーツの振興に取り組んでまいりたいと思います。

 現段階でどういう補償ができるかということは、政府全体で考えていかなきゃならないと思いますので、先生、踏み込んだというふうに御指摘いただきましたけれども、ここはちょっと全体で対応を相談させていただきたいと思っています。

 今、具体的な損害額の御指摘がありました。おっしゃるとおりだと思いますので、その辺の現状を文科省としてはしっかり把握をしてまいりたいと思います。

城井委員 日々、損害は広がっております。これまで政府が準備した対応策では我々に手が届かないというお声が、昨日の十団体からの聞き取りでも、十団体ともがそのようにおっしゃいました。極めて重たい要望だと思っています。迅速な対応を横連携しながらでお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 さて、文化観光推進法案関連について順次お伺いしたいと思います。

 まず、文化財の保存について、文部科学大臣に伺います。

 本来、文化及び文化財の保存と活用は、文化財保護行政の中心であり、文化財の次世代への継承には欠かせないものです。従前は保存を優先する支援を国は行ってきましたが、近年は、観光振興等を通じた地方創生や地域経済の活性化の方策として活用を推進する動きが強まってきました。

 こうした経済的な動機のもと、活用が優先され、保存がおろそかになるのではないかとの懸念があります。活用方針のもとでの保存の徹底をいかにするか、文部科学大臣の見解をお願いします。

萩生田国務大臣 文化財を次世代に継承するためには、文化財の本来の価値や大切さを多くの人々に伝えるための文化財の活用が重要となりますが、その活用を行うに当たっては、文化財を良好な状態に保てるよう、先生御指摘のように、適切に保存していくことが極めて重要です。

 このように、文化財の保存と活用は、ともに文化財の保護には重要な柱であり、本法案に基づく文化観光の推進により更に保存と活用のサイクルをしっかり回していくことが大事だと思っています。

 文化財の保存に関しては、文部科学省において、文化財保護法に基づく文化財の指定や現状変更規制などの保護措置等を講じるほか、文化財の適切な周期での修理や防災対策に要する経費の支援を行い、文化財の保存が着実になされるように取り組んでいるところです。

 引き続き、文化財の活用に当たっても、その基盤となる保存が着実に行われ、次世代に確実に継承されていくようしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

城井委員 続きまして、文化観光推進の目標と本法律案の効果についてお伺いします。

 まず、新型コロナウイルスの感染拡大によって、外国人旅客等の来訪目標数などの基本的な目標が既に崩れております。政府として議論の上で再設定すべきではないかと考えます。大臣、見解をお願いします。

萩生田国務大臣 訪日外国人旅行者数は御指摘のとおり減少しており、本年二月には対前年同月比マイナス五八・三%の百八・五万人となったところです。これは、新型コロナウイルスの影響で、日本向けに限らず、世界じゅうでの旅行控えにより、全世界的に旅行が抑制されているところ等と承知しております。

 訪日外国人旅行者数の目標については、明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人等と掲げ、政府全体でこれまでさまざまな取組を行ってきたところです。

 現在のような状況の中においても、まずは感染防止対策をしっかりと行った上で、状況が落ちつき次第、一日でも早く国内外から観光客に日本各地を訪れていただくべく、政府として掲げているこの目標に向かって、本法案に基づき、しっかりと文化観光を推進していくことが重要と考えております。

城井委員 東日本大震災のときよりも広い範囲で損失、被害が広がっているという点は、ぜひ大臣とも共有したいと思います。

 続いて、拠点計画及び地域計画の認定を受けることにより、各計画に係る運送事業者が行う共通乗車船券、鉄道事業法、道路運送法、海上運送法等の認可、届出手続が緩和をされますが、観光旅客の移動の利便の増進にどの程度効果があると見込んでいますか。ウイルス感染拡大によって、もともとの想定は崩れています。新型コロナウイルスの終息前の現段階、終息後の段階、それぞれどうか、大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 文化観光の推進に当たっては、文化観光拠点施設の機能強化とともに、交通アクセス向上をすることにより、外国人観光客に限らず、日本人も含めた国内外からの観光旅客が来訪し、さらには地域内を回遊しやすくなることが重要であります。

 このため、御指摘の共通乗車船券などを含め、国内外からの観光旅客の移動の利便の増進など、拠点計画や地域計画に盛り込むことによって、この法律に規定することとし、盛り込んだ際には、事業者の手続が簡素化される特例について規定を設けることとしております。

 御指摘のように、今回のコロナウイルスの影響で、率直に申し上げて、現実の外国人観光客は減少傾向にあることは否めません。それはもう、認識は先生と共有したいと思います。しかしながら、コロナとの戦いが始まったばかりに早々に見込みを低目に見直すというのも、せっかくこの法案を御審議いただく上では、私はちょっと残念な気持ちがございますので、現実は捉えながらも、しっかり好循環を生んでいけるように努力をしたいと思います。

 ちなみに、二〇三〇年に六千万人とする目標を掲げており、二〇三〇年においても訪日外国人が文化施設を訪れる割合を三割に保つためには、文化施設においても現在の二倍程度まで国外からの来訪者を増加する必要があります。このため、認定を受けた計画において、国外からの来訪者を十年で二倍以上にふやすことができるように、本法案に基づき支援を行うとともに、これらを好事例として他の文化施設においてもインバウンド対応の取組を促進し、政府目標に貢献をしていきたいと思っております。

城井委員 大臣、大事なのは、今回の損失や被害を過小評価しないことだと思っています。過小評価をすると、その後の終息後の支援が小さくなってしまいます。やはり、厳しいものは厳しいということをきちんと受けとめた上で、そこからいかに皆で力を合わせて回復していくかということについては相応の支援が必要だと考えますので、この点は数字を真っすぐに見ていただきたいということをお願いしたいと思います。

 続きまして、国土交通大臣政務官にお伺いします。

 手続緩和措置のうち、共通乗車船券については、既に外国人観光旅客の来訪の促進等による国際観光の振興に関する法律第六条等において同様の仕組みが運用されている旨、三月十七日の私の本会議質問で指摘をしました。国土交通大臣の答弁では、この既存の法律の成果について言及がありませんでした。

 どの程度役に立ち、何が足りないので今回の措置の提案に至ったのか、国土交通省から具体的にお答えいただけますか。

和田大臣政務官 お答えをいたします。

 ただいまお尋ねのありました国際観光振興法は、外国語による情報提供等の公共交通機関の受入れ環境の改善を行うとともに、共通乗車船券に係る手続を緩和し、共通乗車船券の造成を促すなどにより、交通アクセスの利便性の改善等を通じて外国人観光旅客の来訪促進を総合的に行うものです。これらの措置によるものも含め、これまでの官民一体、政府一丸となった観光施策の推進により、我が国を来訪する外国人観光客の増加等に寄与したものと考えております。

 一方で、本法案では、内外の観光客を呼び込む文化観光の推進に地域の関係者が一体となって総合的に取り組む枠組みを整備することとしており、具体的には、文化観光拠点施設の機能強化とともに、文化観光拠点施設への交通アクセスの改善についても拠点計画や地域計画に盛り込むことができることにしております。

 これによりまして、文化観光拠点施設への交通アクセスを当該施設を中心とした地域の関係者が一体となって改善することにより、外国人観光旅客に限らず、日本人も含めた国内外からの観光旅客の来訪促進を行うことが可能になります。

 したがいまして、共通乗車船券については、国際観光振興法では外国人観光客を対象とする手続の緩和が措置されておりますが、本法案では、文化観光拠点施設への交通アクセスの改善を図る場合には、日本人も含めた内外の観光客を対象とする手続の緩和が措置されることになります。

城井委員 ありがとうございました。

 大臣政務官はこちらで御退席、大丈夫です。ありがとうございました。

 続きまして、地域計画の認定の効果について、文部科学大臣に伺います。

 認定の効果として、市町村又は都道府県による文化財の登録の提案が可能となりますが、当該文化財及び地域の知名度の向上や魅力の増進にどのような効果があると見込んでいるか、大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 文化財の登録の提案により、御指摘のような文化財の魅力の発信や当該文化財の知名度の向上に伴って来訪者の関心が高まり、さらには理解の向上につながることが考えられます。具体的には、国により登録文化財として登録されることや登録の提案のために行われる専門的な調査によって当該文化財がどのような価値を有するかが明確となり、来訪者の関心を高めるとともに、その価値をホームページ等で効果的に伝えることなど、文化資源の魅力を発信しやすくなると期待をしております。

城井委員 平成三十一年四月施行の改正文化財保護法第百八十三条の五におきまして同様の仕組みが運用されておりますが、この既存の仕組みの成果の検証をどのように行ったのでしょうか。どんなふうに役に立って、何が足りないので今回の政策提案に至ったのか、大臣、具体的にお願いします。

萩生田国務大臣 お答えします。

 御指摘のとおり、昨年四月から施行された文化財保護法第百八十三条の五において、文化財の調査等により把握された未指定の文化財について、速やかな保護措置を図り、当該市町村の主体的な取組を促すため、市町村の教育委員会が、文化財保存活用地域計画の認定を受けた場合に、区域内の文化財については登録文化財への登録の提案ができることとしています。

 平成三十一年四月に法改正が施行されて以降、これまでに九つの市町において文化財保存活用地域計画が国の認定を受けており、この仕組みを活用して登録の提案を検討している団体もあるところです。

 本法案においては、文化観光拠点施設を中核とした文化観光を推進する観点から、価値が把握された文化財について登録文化財への登録の提案を可能とするものであり、改正文化財保護法を補完し、さらなる文化財の活用を促すことで、文化財の魅力の発信や来訪者の当該文化財の価値に対する理解の向上につながると考えております。

城井委員 続きまして、本法案成立後のスケジュールと予算執行見込みについてお伺いをいたします。

 萩生田大臣は、三月十七日の衆議院本会議において、本法案成立後、速やかに基本方針を策定し、六月下旬ごろまでに拠点計画や地域計画の認定を行いと答弁をし、大会期間中にも間に合うように速やかに、また、今後の継続的な取組としても推進していただくことを考えている旨を答弁されました。

 各計画の認定後の予算執行時期のめどはいつでしょうか。認定された自治体はいつの段階で予算計上する想定なのか。地方議会などでの審議も必要かと思いますが、大臣、具体的な時期をお示しいただけますか。

萩生田国務大臣 本法案が成立した暁には、六月下旬ごろまでに拠点計画や地域計画の認定を行う予定としております。速やかに予算執行が可能となるように、迅速な手続に努めます。

 自治体においては、認定を受けた場合には、必要に応じて年度途中の補正予算の計上などにより予算の執行ができるように体制を整えていただくことを想定しております。

城井委員 ここで本当は、七月二十四日に間に合いますかと大臣に聞きたかったんですが、ここ数日のもろもろの報道で、どうやら東京オリンピックは延期で調整が始まったという認識でおります。延期後の東京オリンピック、早ければ、一番最短の延期で秋ということになると思いますが、この延期には間に合うという想定か、確認したいと思います。

萩生田国務大臣 まず、東京オリンピックは延期をするということを決めたわけではございませんが、御指摘のように、延期も視野に、この四週間、IOC、また組織委員会、東京都、関係省庁と連携をとりながら、あり方を模索していかなきゃいけないのは事実だと思います。

 その上で、今回のこの法律は、もともとオリンピックが延期をすることなどを想定しておりませんので、七月二十四日、大会期間中にも間に合うようにという答弁を今までもしてまいりました。開幕までの取組ももちろん大事なんですけれども、言うならば、パラリンピックが終わるまでの期間、秋ぐらいまでの期間にしっかりと、来訪者の皆さんが、仮に期間どおりにオリンピック、パラリンピックが開催されたとすれば、それに間に合うようにお披露目ができるようにしていこうというのが我々の思いでございました。

 本法案が成立した暁には、今申し上げましたように、速やかに基本方針を策定し、六月下旬ごろまでに拠点計画や地域計画の認定を行うことと考えておりますので、オリンピックが延期をするか否かは別として、オリンピック、パラリンピックの開会期間中にぜひスタートしたいと思っております。

城井委員 くぎを刺しておきたいと思いますが、オリンピック・パラリンピックイヤーを契機にと言ったのは政府でありますので、そこを大会期間中にもというふうに言いかえられると、じゃ何の契機なんだよということになりますので、言葉には気をつけていただきたいということを御指摘申し上げたいと思います。

 続きまして、国による援助についてお伺いします。

 本法案においては、認定を受けた拠点計画、地域計画に基づき実施される事業に対する財政支援も行うこととしています。その法的根拠は、本法案十八条の「必要な助言その他の援助を行う」にある「その他の援助」という認識でよろしいか、大臣、お答えください。

萩生田国務大臣 認定を受けた拠点計画、地域計画に基づき実施される事業に対する財政支援につきましては、御指摘のとおり、本法律案の第十八条第一項に規定した「その他の援助」を根拠として実施することとしております。

城井委員 だとすると、なぜ「その他の援助」という書きぶりで、財政的支援を法律に何で明記していないのか、明記しない程度に文化観光の振興は優先順位が低いのではないかと邪推をしてしまいますが、大臣、この点いかがですか。

萩生田国務大臣 本法案は、地域における文化観光を推進するため、文化施設を中核として地域の関係者が連携する仕組みづくりを行うものであり、文化資源の魅力の向上や交通アクセスの向上等に係る法律上の特例措置を講ずることに加えて、予算上の措置等も含めた総合的な支援を行うものです。このため、御指摘の十八条第一項に規定した「その他の援助」を根拠として、博物館等を中核とした文化クラスター推進事業を通じた支援をしっかりと行ってまいります。

 したがって、文化観光の推進の優先順位が低いということでは決してなく、本法案による総合的な支援のもとで地域における文化観光を推進してまいりたいと思います。

城井委員 続きまして、認定されない地域や施設などへの支援についてお伺いしたいと思います。

 三月十七日の衆議院本会議の質問で、私は、博物館及び博物館類似施設だけでも全国に五千七百四十四施設もあり、二十五件の計画への支援では支援が届かない施設が相当数に上ることが想定されることを指摘した上で、認定されない地域や施設などへの取組についてただしたところ、大臣からは、四月から文化庁に組織される文化観光担当の参事官において個別の相談対応や支援を行う旨答弁がありました。

 具体的な体制を確認したいと思います。担当参事官は何名で、幾らの予算を扱うのか、どのくらいの数の施設支援を行う想定なのか、大臣、具体的に教えてください。

萩生田国務大臣 博物館等の文化観光拠点施設を中核とした地域の文化観光を推進するため、令和二年四月に、文化庁に文化観光担当の参事官の機構を新設するとともに、参事官を含む十二名の定員配置を予定しております。また、文化観光担当の参事官において所掌する事業のうち、地域の博物館等に対する支援として、博物館クラスター推進事業約十五億円のほか、学芸員等の人材養成として約六千万円、博物館に関する調査研究費用として約三千万円等の事業を担当する予定です。

 こうした予算支援のほか、先進的な取組に関する事例集作成やシンポジウムの開催等による情報提供、個別の相談対応など、国内各地の多様な文化施設等に対して行ってまいりたいと思います。

城井委員 十二名の配置、思ったより数が多かったので、ちょっと安心をしました。

 十五億と六千万と三千万という数字を今メモいたしましたが、大臣、これでどのぐらいの数の施設にこの支援が届きますでしょうか。先ほど申した五千七百四十四施設が支援対象でございますが、どこまで届きますか。

萩生田国務大臣 公立の博物館は、さまざまな活動を通じて地域における教育、学術、文化の発展に寄与しており、その役割は極めて大きいと認識しております。

 文科省では、地域の博物館等に対し、今回の法案を通じた支援に加え、地域と共働した博物館創造活動支援事業などを通じた支援を既に行っているところです。また、昨年、文化審議会に博物館部会を新設して博物館の総合的な施策の検討に着手しており、公立博物館に関する振興方策に関する検討を進めてまいりたいと思います。

 一館当たり幾らになるかというのは、ちょっと計算すると小さな数字になってしまうので、もう少し全体的に必要な応援をしっかりしていくということを、これを機会にキックオフを更にしてまいりたいと思います。

城井委員 今の大臣のお答えは実は次の質問の答えでして、更問いのつもりで伺っておりました。

 今大臣からお答えいただきましたように、公立博物館の支援も確かに重要なんです。この五千七百四十四施設の中でも、特に公立の施設の部分では社会教育施設としての中核的な機能を担ってまいりましたし、今回の法律によって文化観光拠点施設の担い手ともなり得ます。

 一館当たりの公費は、一九九三年をピークに減少の一途であります。資料購入や調査に充てられる予算が十分でない博物館が過半数に上るとの調査結果も文化庁の委託事業で御丁寧にもお示しをいただいておりまして、その意味で、公立博物館の財政的支援は拡充されるべきだというふうに思っております。

 大臣、一館当たりのところはお答えしにくいと思いますが、今申したように、地域の公立の博物館は特に社会教育機能も担っているという部分で、ここが支えられないと実際に文化拠点だけではなくて社会教育も担えないという点が大変重要だというふうに思っておりますので、ここは支えるぞということを一言言っていただけますか。

萩生田国務大臣 必ずしも全ての施設が観光資源になるわけではないと思います。しかしながら、社会教育施設としての博物館機能も極めて重要だと思っています。

 つくるときには、どこの自治体も希望に胸を膨らませて、一生懸命展示物なんかを考えるんですけれども、でき上がってしまうと、なかなかその展示を変えていくきっかけもなかったり、予算もなかったりして陳腐化して、一度来れば後はいいやというふうに市民の皆さんも思ってしまうような、ある意味ではそういう施設が多く点在しているのも事実だと思います。

 今回の法律の趣旨とは若干違いますけれども、やはりこの機会に、そういうものをしっかりブラッシュアップして、人の回遊性が起こるようなことをしかけていくことが今回の法律を皆さんにお認めいただく大きなきっかけだと私は思っておりますので、しっかり支援をしていきたい、この気持ちは表明したいと思います。

城井委員 ぜひ、従前にも増してよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、無形の文化的所産の運営支援の必要についてお伺いしたいと思います。

 三月十七日の衆議院本会議質問で、私から、施設展示等になじみにくい無形の文化的所産に対する支援を聞いたところ、祭りや伝統芸能等も文化資源に含まれるとしましたが、祭りの伝承館や伝統芸能の保存館などにおいて、関連資料や映像記録等の保存、公開や、歴史的、文化的な意義等も含めた解説、紹介を行うような取組に対して支援を行う旨、大臣から答弁がありました。

 つまり、やはり施設整備が関係しなければ支援が届かないのではないか。祭りや伝統芸能の保存、継承で何に困っているかといえば、活動紹介の施設ではありません。祭りや伝統芸能そのものの運営経費や、そこで用いる山車や太鼓や衣装といった準備経費です。地域に根差した大きなお祭りも、今やアルバイトでその担い手を確保している現状であります。

 無形の文化的所産としての祭りや伝統芸能を支える意味でも、今回の計画による予算措置には祭りや伝統芸能の準備、運営経費もその使途として認めるべきです。大臣、お認めいただけますか。

萩生田国務大臣 博物館等を中核とした文化クラスター推進事業を通じて祭りや伝統芸能などの無形の文化的所産を支援していく際には、それに関する資料や映像記録の保存、公開、また解説、紹介の作成やワークショップなどの体験活動などへの支援を行うことを想定しています。

 特に、地域の伝承館等において、祭りの開催時期に合わせた企画展や地域の歴史と祭りと地場産品を結びつけたイベントの開催など、祭りや伝統芸能を生かした地域のにぎわいに係る取組を支援することが必要です。

 また、文化庁の地域文化遺産を活用した事業では、地域の民俗芸能を一堂に公開する大会の開催、伝統工芸技術などの公開や普及のためのシンポジウムなど、地域に古くから継承されている地域固有の文化遺産を活用した取組を支援しています。

 なお、文化財保護法に基づき、祭りや伝統芸能のうち重要無形民俗文化財に指定されたものは、その伝承、活用を図るため、祭り等に用いられる用具の修理、新調、伝承者養成等への補助を行っているほか、未指定の無形民俗文化財についても、伝統文化の継承基盤を整備する観点から、用具の修理、新調への補助等を実施しているところでございます。

城井委員 時間が参りましたので終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの菊田真紀子です。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 法案質疑に入ります前に、前回、質問通告をいたしましたが時間不足のために質問できなかったこと、聖マリアンナ医科大学医学部不正入試事案について質問をしたいと考えます。

 ことし一月、聖マリアンナ医科大学医学部不正入試について調査を続けていた第三者委員会は、医学部入試において女性や浪人生を一律に差別をしていたとする調査報告書を公表いたしました。しかし、大学は、差別は意図的ではないとし、一昨年の文科省の調査結果に対する回答と同様に、またしても第三者委員会の結論を受け入れず、不正入試があったことを認めていません。

 調査結果が公表されてから既に二カ月以上たちますが、文科省はこの事案に対してどのような対応をされたのでしょうか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 聖マリアンナ医科大学の医学部医学科の入学者選抜につきましては、平成三十年十二月に文部科学省が公表した緊急調査の最終まとめにおきまして、文部科学省としては不適切である可能性が高い事案というふうに指摘し、今御指摘いただきました、平成三十一年二月に、第三者委員会を設置、事実関係を調査するよう文書で指導していたところ、本年一月十七日に第三者委員会の調査報告書が公表されました。

 この報告書は、今まさに御指摘いただきましたように、性別、現浪区分という属性による一律の差別的取扱いが行われたものと認めざるを得ないと結論づけられております。これに対して、聖マリアンナ医科大学としては、意図的ではないにせよ、属性による評価の差異が生じ、一部受験者の入試結果に影響を及ぼした可能性があったとの認識に至っているということでございまして、意図的ではないにせよということで、みずから不適切な事案であったとは明言していないという状況が続いております。

 文部科学省といたしましては、大学としての第三者委員会の報告書に対する受けとめ、またそのような大学としての見解に至った理由等を、大学みずからが社会の納得を得られるように丁寧に説明することが必要である、また、これが社会の納得を得られる理由であるのかどうかということを、現在、大学に対して、大学としての第三者委員会の報告書に対する受けとめ、そのような見解に至った理由などについて、数度にわたり聴取を行っているという現状でございます。

菊田委員 聖マリアンナ医科大学同様、不正入試を指摘された私立大学八校は、みずから不正を認めています。その結果、昨年度の私学助成金が、東京医科大学は不交付となり、ほかの大学も二五%程度の減額措置の処分を受けています。

 聖マリアンナ医科大学への私学助成金は、昨年度幾ら交付されましたか。交付理由についてもお答えください。また、先週、今年度の私学助成金が交付されたようでありますが、今年度についても同様にお答えください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 聖マリアンナ医科大学への私立大学等経常費補助金でございますが、昨年度は約二十二億円、今年度は約二十一億円となっているところでございます。

 理由についてということのお尋ねでございますが、聖マリアンナ医科大学に対しましては、今御答弁申し上げましたように、現在、詳細な説明を求めているところであり、現時点では不適切な事案というふうに整理できる段階にはないことから、減額措置をすることなく交付をするということにしているところでございます。

菊田委員 これは、不利益をこうむった受験生だけでなく、多くの国民がなるほどと納得できないと思います。みずから不正を認めた大学は私学助成金の減額処分を受けて、一方で、認めない大学に対して私学助成金は満額支給され続けているんです。これでは、ごね得、逃げ得を許すような対応ではないかと指摘せざるを得ません。何のための第三者委員会の調査だったのか。立派な弁護士の先生方が、五カ月ですか、かけて調査をされております。このようなことがあしき前例にならないように、厳正に処分することが求められると考えますが、大臣の見解を伺います。

 あわせて、一月の記者会見で、大臣は、大学に対し、納得できるような説明をしていただく機会はつくっていきたいと述べておられましたが、私も同感です。責任を果たしていない大学に対して、不利益をこうむった受験生に対する謝罪も含め、国民にきちんと説明する記者会見を開くべきだと思いますが、改めて大臣の見解を伺います。

萩生田国務大臣 聖マリアンナ医科大学としては、意図的ではないにせよ、属性による評価の差異が生じ、一部受験者の入試結果に影響を及ぼした可能性があったとの認識であり、平成二十七年度から平成三十年度の第二次試験受験者の対象者において入学検定料相当額を返還することとしておりますが、みずから不適切な事案であったとは明言しておりません。

 先生御案内のとおり、私があらかじめ予断を持って何かを決めつけて大学側にお話をするということはできませんので、私としては、大学としての第三者委員会の報告書に対する受けとめやそのような見解に至った理由を、大学みずからが社会の納得を得られるように丁寧に説明することが必要であると考えており、現在、大学に対し、大学としての第三者委員会の報告書に対する受けとめやそのような見解に至った理由等について聞いているところであり、速やかに対応するように、再三再四、たびたび求めているところでございます。

 意図的ではないのに毎年同じような結果が出て、そして、意図的ではないのに入学検定料相当額を返すというのが世の中に対してどういう合理的な説明ができるのかを、もうそろそろ年度もかわるんですから、きちんと説明していただかないと、まさに人の命を扱う医師を養成する大学でありますから、私は、世間の皆さんから間違った判断をされてしまうんじゃないかということを逆に心配をしているところでありまして、ここは、大学側がみずから頼んだ第三者委員会の皆さん、しかるべき司法の専門の皆さんが一定の期間をかけて丁寧に調べたその結果というものを大学がどう評価するのか、どう受けとめるのかを一日も早くしっかり説明をしてもらいたいと思います。

 その合理性を確認した上で大学に対する今後の対応を検討してまいりますが、今後、仮に不適切な事案として整理された際には、日本私立学校振興・共済事業団の運営審議会において、令和二年度私立大学等経常経費補助金の減額について議論いただくことになると考えております。

 なお、具体的にどのような方法で説明を行うかは各大学において適切に判断されるものと考えますが、受験生の立場に立って丁寧に説明を尽くすのは当然のことだというふうに思いますので、何らかの形で学校側もきちんとした説明をしていただけるものと信じております。

菊田委員 ぜひ大臣から、改めて、国民に対する説明責任を果たすように、大学側に、記者会見を開け、開いて説明しろというふうに申し上げていただきたいと思いますし、この問題は、この後も、放置するのではなくて、一刻も早く厳正な対処をしていただきたいということを求めて、次に法案に関連して質問を始めたいと思います。

 まず、日本遺産について伺います。

 安倍政権は、二〇一六年三月三十日に取りまとめた明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、訪日外国人旅行者数の目標を二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人とすることを掲げました。その実現に向け、文化財を観光資源にするべく、従来の保存を優先とする支援から、地域の文化財を一体的に活用する取組への支援に転換をしました。つまり、文化財を活用してもっと稼ぐという方針を示したのであります。これを受けて、文化庁においても、文化財や文化観光拠点に対し従前に増して財政支援をし、観光資源として開花させる事業を推進してきました。その一つが日本遺産事業です。まず、これを検証してみたいと思います。

 二〇一五年、下村大臣のもとで始まった日本遺産ですが、事業概要やその目的、これまでの認定総数、そして支出された補助金総額を教えてください。

今里政府参考人 まず、日本遺産でございますけれども、地域の有形無形の文化財群を魅力あるストーリーでまとめ、国内外に戦略的に発信することによりまして、地域の活性化、観光振興を図ることを目的としておりまして、認定総数は全国でこれまでに八十三件が認定されているところでございます。

 文化庁では、認定地域に対して、認定後三年間を目途に、多言語ホームページやアプリの作成等の情報発信、解説ガイドの人材育成、説明板の設置等の環境整備等の取組に対する補助を通じて、認定地域の自立、自走化に向けた環境整備を促しております。

 これまでに、お尋ねの補助金の総額でございますけれども、約五十二億円を交付しているところでございます。

菊田委員 今年度までの五年間で、認定総数八十三件、そして補助金総額五十二億円ということでありました。地域の文化財群をパッケージ化し、日本遺産に認定することで、観光振興そして地域の活性化を図ろうという取組をしてきたわけであります。

 それぞれの日本遺産は、旅行客数等の目標を設定した六年間の地域活性化計画を作成し、最初の三年間は国からの補助金が出ますが、四年目以降はなくなるため、地域で自立して事業を持続的に継続することが求められています。そして、毎年度、達成状況を文化庁に報告しなければならないというふうに承知しておりますが、文化庁にはどのような報告が届いていますでしょうか。日本遺産の目的である観光振興や地域の活性化に資する内容となっているでしょうか。

今里政府参考人 日本遺産の計画や目標の達成、それから報告についてのお尋ねでございます。

 日本遺産は認定自体がゴールではないわけでございまして、認定後の各地域において継続的に地域の活性化や観光振興に努めていただくことが重要でございます。このため、今委員からもお話がございましたように、日本遺産の認定地域におきましては、六年間の計画を定め、各種事業に取り組んでいただいているところでございます。文化庁では、六年間の計画期間終了後、全期間を通じての総括評価を実施することとしております。

 また、これも委員から御指摘ございましたように、日本遺産の認定地域からの計画に基づく年度ごとの目標達成に向けた進捗状況、これにつきましては、文化庁において把握をし、必要に応じて助言等を行っているところでございます。

 この報告内容といたしましては、計画の進捗状況ということでございますけれども、例えば、地域活性化のための具体的な取組の実施の状況でありますとか、目標に対する計画の進捗状況及び効果、さらに地域活性化のための取組の効果等の検証、分析結果といったことについて報告をいただいているものでございます。

 文化庁といたしましては、その内容につきまして外部有識者などと共有いたしまして、個々の認定地域の取組状況を評価して、改善を促すなどのフォローアップに努めているところでございます。

菊田委員 財務省の調査で、予算執行調査というものがあります。平成三十年度の予算執行調査で日本遺産事業が対象となりました。この調査概要と調査結果について、財務省、説明をお願いします。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度予算執行調査において、文化庁の日本遺産魅力発信推進事業を活用し、日本遺産を通じて地域活性化を行う地方公共団体などの協議会の取組状況を調査し、本事業の効率性などを評価させていただいたところでございます。

 調査対象先となった五十四の協議会からは、例えば、日本遺産の認知度向上が進んでいないとした先が四分の三に当たる四十協議会、次に、訪日外国人旅行者数に関する目標値の設定がない先が四分の三、これは四十一協議会、そして、本事業による財政支援が終了した場合、事業の自立性、持続可能性を見込めないとした先が約半数の二十九協議会と回答する結果となりました。

 このため、財務省としては、本事業の情報発信の改善や、訪日外国人旅行者の増加に向けた目標値の設定などの必要性に加え、事業の自立性、持続可能性に向けた仕組みの検討の必要性を指摘させていただいたところでございます。

菊田委員 ただいま財務省の方から説明をしていただきましたが、協議会自身が非常に先々に不安を感じながら心もとない回答をしているということでありました。

 私の調査によれば、二〇一五年の、初年度に認定された十八件は、国の補助金が出る三年間、毎年、事業費の九割以上を補助金に頼り、補助金が減少するに伴って事業規模が縮小されています。自己収入が確保できないため、国の補助金が減れば事業が成り立ちにくく、文化財で稼ぐことの難しさを物語っています。

 ただいまの財務省の指摘を受け、文化庁はどのような検討、改善を行ったでしょうか。

今里政府参考人 今ほど財務省から御説明のございました平成三十年度予算執行調査、これを踏まえまして、私どもは、日本遺産の認定地域に対する支援等の手法につきまして、令和元年度から見直しを行っているところでございます。

 具体的には、文化庁として、日本遺産の認知度の向上を図るために、新たに日本遺産の日を定めるなど、日本遺産のPRの充実に努めているところでございます。

 また、令和元年度から、国際観光旅客税を活用した新たな補助事業におきましては、今ほどございました訪日外国人旅行者数の目標値の設定を補助要件に加えるとともに、日本版DMOと連携する場合には補助率の加算を行うなど、めり張りのある補助の仕組みに見直しているところでございます。

 文化庁といたしましては、引き続き、日本遺産の認定地域に対する効率的、効果的な補助に努めてまいります。

菊田委員 財務省の参考人の方は御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 日本遺産は、先ほど申し上げました明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、外国人旅行客を増加させるための事業として位置づけられました。しかし、先ほどの予算執行調査によれば、外国人旅行客数の目標値をきちんと設定しているのは、調査した五十四協議会のうちわずか十三協議会のみ。四分の三に当たる三十九の協議会は設定しておらず、インバウンド実現に向けた取組が曖昧で、残念ながら、地域まで十分に浸透しているとは言えません。

 さらに、日本遺産を紹介する日本遺産ポータルサイトというホームページがあります。なるほど、トップページは立派につくられています。しかし、個別の日本遺産に飛ぶと、基本情報の紹介はありますが、ほかの、お知らせ、宿泊、お土産、グルメなどの項目は全体的に情報が乏しくて、英語版に至っては、私の事務所が調べたところ、八十三の日本遺産のうち六十二件しか個別のページがなく、二十一件の日本遺産の情報は掲載されていません。

 そのほかにも、更新が滞っている様子も散見され、これでは文化庁の本気度を疑わざるを得ませんが、大臣の見解を伺います。

萩生田国務大臣 貴重な御指摘、ありがとうございます。

 日本遺産のポータルサイトは、日本遺産の魅力を国内外に発信するため、平成二十八年度より運用を開始し、各認定地域の見どころや最新イベントの情報等を発信しております。

 日本遺産ポータルサイトにおける情報の掲載と英訳については日本遺産の認定地域が主体となって取り組んでいるところですが、その取組状況については、今先生から御披露いただいたとおり、十分でないところも多分に見受けられるため、現在、各認定地域に対して、わかりやすく多様な情報の掲載について依頼をするとともに、文化庁において一定の情報の英訳について支援をしております。

 また、外国人に向けた日本遺産に関する情報の発信については、日本遺産を初めて知る訪日前の旅行者に向けた情報発信強化のため、日本政府観光局と連携し、今年度中に日本政府観光局グローバルウエブサイト内に日本遺産特設サイトを開設するなど、その充実に努めてまいります。

菊田委員 次に、今回の文化観光推進法案における財政支援、博物館等を中核とした文化クラスター推進事業について伺います。

 先週の本会議において、同僚の城井議員による、既存の博物館クラスター形成支援事業の支援件数、採択件数等に関する質問に対し、大臣は、平成三十年度は、申請件数、採択件数とも八件、予算執行額は約一億二千万円で、令和元年度は、申請件数が九件、採択件数が八件、うち七件が前年度からの継続、予算執行額は約二億円を見込んでいると答弁をされました。

 そもそも、平成三十年度、そして令和元年度と、博物館クラスター形成支援事業の予算はそれぞれ幾ら計上していて、補助件数は何件を想定していたでしょうか。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

今里政府参考人 お尋ねの博物館クラスター形成支援事業の予算額と想定した補助件数でございますけれども、平成三十年度につきましては美術館・歴史博物館クラスター形成支援事業という名称でございました。これの予算額と件数は、五億八千四百万円、そして予算上の件数は十八件でございました。

 令和元年度は博物館クラスター形成支援事業という名称でございますけれども、この予算額と件数は、五億二千五百万円、そして十五件でございます。

菊田委員 平成三十年度の名称は美術館・歴史博物館を中核とした文化クラスター形成事業でした。昨年度は博物館クラスター形成支援事業と事業名が変わっています。これはなぜですか。

今里政府参考人 平成三十年度と令和元年度で事業名が変わっている理由でございます。

 平成三十年の十月に博物館行政が文部科学省の本省の方から文化庁に移管をされてございます。これに伴いまして、これまで文化庁が直接に支援の対象としていなかった自然系博物館、水族館、動物園等も支援の対象とすることになったわけでございます。

 このように支援対象が拡大されたことがわかるように、平成三十年度の美術館・歴史博物館クラスター形成支援事業を、令和元年度に博物館クラスター形成支援事業に変更したものでございます。

菊田委員 過去二年間の博物館クラスター形成支援事業は、当初文化庁が想定していたよりも申請件数が下回りました。さらに、昨年度は、支援対象となる施設が拡大されたにもかかわらず、新規の申請は二件でした。

 文化庁は、申請件数がふえない理由を何だと考えますか。

今里政府参考人 従来の博物館クラスター形成支援事業は補助率が原則二分の一でございました。この博物館クラスター形成支援事業の含まれる、博物館を中核とした文化クラスターの形成事業というものがございまして、この博物館クラスター形成事業もその一つのメニューなのでございますが、更にもう一つメニューがございまして、これは地域と共働した創造活動支援というものでございます。こちらのメニューの方は定額補助であることもありまして、結果として後者での支援を希望する博物館が多くなったものと理解してございます。

菊田委員 今御紹介いただきました地域と共働した創造活動支援事業、これは大変多くの自治体が手を挙げています。

 例えば、私の地元でいえば、新潟県も、新潟開港百五十年を記念したイベントをこの事業に採択していただいて、しかし、これは期限を区切ってやるイベントでありますので、そもそも地域文化資源の一体的整備支援という目的とは違うということであります。さまざまな要件のハードルが高く、かつ、半分は持ち出しをしなければならないというのは、やはり地方の事業者にとって簡単に手を挙げられないという現状があるということを指摘したいと思います。

 これまでの博物館クラスター形成支援事業と、そして今回の博物館等を中核とした文化クラスター推進事業は、事業内容や補助対象等、どのような違いがあるのでしょうか。

今里政府参考人 既存の博物館クラスター形成支援事業につきましては、事業趣旨は、地域の歴史、芸術等の魅力の発信、観光振興、多言語化や開館時間の延長など、博物館を中核とした文化クラスター創出に向けた地域文化資源の面的、一体的整備の支援を行うものでございました。

 一方、新たな博物館等を中核とした文化クラスター推進事業、こちらの方は、事業趣旨が、今回の法案における認定を受けた拠点計画や地域計画に基づき実施される事業に対しまして、今申しました既存の博物館クラスター形成支援事業における対象経費に加えて、博物館コレクションの磨き上げ、WiFiやキャッシュレスの整備、学芸員等の確保、バリアフリー、展示改修等の整備について支援を行うものでございます。

 また、補助率についてもお話がございましたけれども、既存の事業につきましては補助率は二分の一としていたところ、新たな文化クラスター推進事業の方は補助率は三分の二としているところでございます。

菊田委員 博物館クラスター形成支援事業は、五年間の事業計画で、事業初年度の平成三十年度に採択された事業は来年度が三年目となります。今回の法案が成立をし、財政支援が新規の博物館を中核とした文化クラスター推進事業に移行されることになりますが、これまで採択された事業に対する支援は継続されることになるのでしょうか。

今里政府参考人 これまで採択された事業は、委員御指摘のとおり、既存事業の採択が五年度を前提としているものでございます。他方、既存の博物館クラスター形成支援事業で採択された事業が、仮に新しい博物館等を中核とした文化クラスター推進事業、こちらの方として支援を受けるためには、拠点計画又は地域計画を作成して認定を受ける必要があるところでございます。

 なお、採択は五年度を前提としているものですけれども、補助金の交付決定は毎年度となっているところでございますので、事業を継続するためには、例えば今ほど申しました文化クラスター推進事業ではない、ほかの予算事業に申請して事業を継続するということも考えられるところではございます。

菊田委員 ちょっと確認させてください、もう一回。

 採択されている団体も今回の新規のクラスター推進事業に移行できるということでいいんですね。

今里政府参考人 一部繰り返しになりますが、移行はできます。ただ、そのためには、拠点計画又は地域計画を作成して、その認定を受ける必要がございます。

菊田委員 今年度、博物館クラスター形成支援事業で採択をされた八件のうち、国立の美術館、博物館を中核とした事業は四件です。採択団体の半分が国立の施設を中核とし、うち二件は東京都内にある国立美術館、博物館が中核です。

 採択されている団体も新規のクラスター推進事業に移行できるとただいま説明をいただきましたが、税金で多額の運営費交付金が交付されている独立行政法人の国立博物館、美術館に対し、収蔵品の磨き上げや学芸員の職員確保、多言語化などの整備、観光拠点の機能強化に必要な経費が補助金として更に注入されることになります。

 加えて、本法案では、独立行政法人の国立博物館や美術館等は、認定を受けた設置者や自治体に対し、助言や援助を行うよう位置づけられています。アドバイスや支援をする側が財政支援を受けることについて大臣はどう考えるか、見解を伺います。

萩生田国務大臣 本法案は、第十九条において、国立博物館等に対し、その知見、ノウハウを地域の文化施設等に提供する努力義務を規定し、国立博物館等が文化資源の保存活用に関する相談窓口の開設や助言、わかりやすい多言語化や魅力的な展示方法に関する研修の実施などの援助を行うこととしております。

 一方、本法案における拠点計画又は地域計画が認定された施設や地域は、博物館等を中核とした文化クラスター推進事業等を通じた支援を受けることが可能となり、これは国立博物館も対象となり得ます。

 そのような場合にあっても、国立博物館自体の運営費等について支援するものではなく、その所有する文化資源を生かして、他の文化施設や観光事業者等と連携して観光や地域づくりに資する取組について支援を行うこととなります。

 先生の今御質疑の中での問題意識は、私も、表面を見ると、そういうことは誤解がないようにしなきゃいけないなというのはよくわかります。

 どっちかというと、肝は、さっき、城井先生の質問の中で、地方の博物館なんかはやはりなかなか新しい展示物が展示できなくて、新しいお客さんを呼び込めない一方、国立施設なんかは、展示していないで、しまって、保存している非常に貴重なものがたくさんあって、こうやって大事に大事に今まで抱えてきたんですけれども、この法律をきっかけに、もうそれを外へ出してもらおうと思っています。貸出しをしてもらおうと思っています。

 そして、これは国民共有の財産でありますから、ぜひ、なかなか東京の博物館に来なければ見れなかったものを、地方の博物館で特別展などをしていただいて、地方の皆さんにも楽しんでもらうきっかけにもなりますので、どっちかというと国立の施設はそういうリーダー的な役割がありますよということを認識していただく上での応援であります。館の運営とかを補助するとかいう、そういう安易なことに支援をすることは考えていませんので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

菊田委員 ありがとうございました。

 文化庁が設置した、文化施設を中心とした文化観光の在り方に関する検討会議が取りまとめた報告書が本法案のもとになっています。

 検討会議の座長は九州博物館の館長さんです。そして、九州博物館は博物館クラスター形成支援事業に採択されている事業の中核博物館です。館長はこれまで博物館振興や文化の発展に大変尽力されてこられた方で、検討会議の議事録を読みましても、その見識や経験はすばらしいと私も思います。しかし、九州博物館を中核とするクラスター事業は、恐らく新規事業に申請してくると思いますし、その場合、高い確率で採択されるのではないかなというふうに思います。

 法案のもととなる報告書を取りまとめた検討会議の座長が館長を務める博物館に潤沢な補助金が落ちる。仮にそうなったら、ほかの自治体や施設からはどう見えるんでしょうか。私は館長個人を批判するつもりは毛頭ありませんが、このような人選は適切だと考えるのでしょうか。どなたの判断で、どういう経緯で座長が決まったのでしょうか。文化庁が本腰を入れて取り組む事業であるなら、なおのこと、公平性や中立性がしっかりと担保されなければならないと考えますが、大臣の見解を伺います。

萩生田国務大臣 検討会議は、文化観光のあり方について検討するために、必要な専門性を有する方々の参画を得て開催し、それぞれの専門性に基づき活発な御議論をいただきました。

 座長を九州国立博物館の島谷弘幸さん、また副座長を日本観光振興協会総合研究所の丁野朗さんにお務めいただきましたが、その選出は、設置要綱に基づき、委員の互選により行われました。

 なお、島谷委員の委員就任については、書道の専門家であり、博物館の学芸員としての経験や館長等としての施設のマネジメントの経験を有することから、本検討会議に必要な専門性を有しており、適切な人選だったと考えております。

 また、本検討会議は、文化観光のあり方について論点をまとめていただいたものであり、特定の施設や地域のあり方について言及したものではなく、公平性の観点からも問題ないと考えております。

菊田委員 冒頭取り上げました日本遺産事業は、三年で補助金を終了し、その後は自立して事業を継続していくことを目指しましたが、実態は、補助金の減額に比例して事業を縮小し、補助金終了とともに、財源を確保できず、事業継続が困難になるところがありました。

 今回の文化クラスター推進事業は、五年間財政支援を行う計画ですが、その後しっかりと自立をして、文化の振興、観光の振興、そして地域の活性化につなげられるよう、日本遺産の例を踏まえ、文化庁として計画や地域に対しどのように関与をしていくのか、大臣に見解を伺います。

萩生田国務大臣 博物館等を中核とした文化クラスター推進事業については、定額補助ではなく定率補助としたこと、さらには、毎年度の事業実績の把握や三年目に中間評価を実施するなど、その進捗状況を把握し、事業の自立を促すことを考えています。

 また、この四月から新たに文化観光参事官を設置し、認定案件の進捗状況とその成果発信の状況をきめ細かくフォローするなど、本法案に係る文化庁の組織体制の充実を図ってまいります。

菊田委員 質問を一つ飛ばします。

 文化庁の説明によりますと、地方の各団体から、地域における文化観光の推進に関する要望が出されています。

 全国町村会は、昨年十一月の全国町村長大会における要望に加え、先月の二月二十一日、本法案の早期制定を求める要望を提出されました。

 町村立の博物館等の施設は、どこも厳しい地方財政のもと、非常に少ない予算と限られた人員で運営されておられます。文化観光拠点を機能強化するために地方が一番欲する財政支援が、対象が二十五件程度ということであれば、規模の小さな町や村は対象になり得ないのではないか、非常に厳しいのではないかというふうに考えますが、大臣の見解を伺います。

萩生田国務大臣 本法案は、既存の取組や実績を評価して文化施設や地域自体を認定するのではなく、文化施設や地域がこれから取り組む計画を認定して、計画に基づく事業に対して国等による支援を行うものです。

 また、本法案の準備に当たっては、これまでに複数の町村との意見交換を行っており、その際、規模の小さい自治体等であっても、地域で大切に守られてきた文化財や、地域にかかわりある漫画やアニメなど魅力的な文化資源を有している事例が数多くあり、これらを観光や町づくりに活用したいといった相談をいただいているところです。

 こうした文化資源を活用して文化観光を推進し、国内外から来訪者拡大につながる取組も積極的に生み出していきたく、引き続き、規模の小さな町村からの相談にも丁寧に対応してまいりたいと思います。

 少なくとも、町の規模が小さいとか、拠点になる施設が小さいということをもってはじかれるのではなくて、その後のストーリーづくりが大切だと思いますので、小さな町であっても、拠点をつくり、持っているものをうまく生かして、ぜひ夢のある提案をしていただきたいなと期待しています。

菊田委員 改めて、なぜ対象件数が二十五件なのか、そして、一件当たり五千万円程度の支援額とした根拠について説明をしていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、博物館及び博物館類似施設だけでも全国で五千七百四十四施設あるわけでありますので、支援を受けられない施設がほとんどになるのではないでしょうか。

 先週の本会議で城井議員が支援格差が広がってしまうのではないかということを指摘されましたが、私もそのように考えるわけであります。もう既に地域の観光拠点として一定程度の集客力を持ち、そして実績を上げている施設を更に強化していくことをこの法案は狙っているのか、この支援格差についてはどう対応していくのか、その点について質問したいと思います。

萩生田国務大臣 令和二年度に新設する博物館等を中核とした文化クラスター推進事業については、今後募集を行うため、具体的な要望はいただいておりませんが、これまで全国の百を超える自治体や文化施設との意見交換を通じ、文化観光拠点づくりに対する関心の高さを感じているところであります。

 このような地域の多様なニーズや動向も踏まえ、来年度の支援は二十五件程度を考えております。

 支援規模につきましては、従来からの支援メニューに加え、文化施設における収蔵資料の多言語化等の魅力向上、それに伴う学芸員等の人材配置、展示改修などの事業も想定して、一件当たり五千万円としたものでございます。

 また、本法案は、既存の取組や実績を評価して文化施設や地域自体を認定するのではなく、文化施設や地域がこれから取り組む計画を認定し、計画に基づく事業に対して国などによる支援を行うものです。

 したがって、既に誘客に成功している文化施設や地域がさらなる文化観光の推進のために計画を作成し認定を受けることも確かに可能ではありますけれども、これまでさまざまな課題を抱え、それらについて意欲的に取り組もうとする地方の文化施設や地域が、本法案に基づく支援によって一層の文化観光の推進を図ることができると考えております。

菊田委員 時間が参りましたので、最後に、やはり文化というのはなかなか、それぞれの首長さんの意識によっても、自治体の温度が相当あるというふうに思うんですね。そんな中で、地域の、地方の文化財を後世にしっかり残していくための取組が非常に重要になってくるわけでありますが、中規模そして小規模の博物館全般に対する支援をどう行っていくのか、この点を大臣に伺って質問を終わりたいと思います。

萩生田国務大臣 文化財の滅失や散逸の防止が喫緊の課題となっている一方、文化財を核とした地域振興や観光振興など文化財への期待はますます増大しており、地域の文化財の保存、継承とともに、文化の発信と理解増進に向けて、地域の中小規模の博物館が果たす役割は重要であると認識しています。

 このため、令和二年度予算案において、文化財の適切な修理、公開活用や、文化財を守るための防災対策などの取組に対する支援や、博物館の地域文化の発信や、学校や地域との連携を促進するための助成支援を計上するとともに、東京国立博物館による多言語化などの先進的取組の情報発信などを進めてまいりたいと思います。

 先生御指摘のように、これは誤解を恐れず申し上げれば、首長さんの考えで、やはり、伸びていく自治体もあれば埋もれてしまっている自治体もあるというのは現実だと思います。したがって、いい例を横展開することによって、よその市がやっているのに、何でうちの市はこれを多言語化できないのか、せっかくお客さんが来ているのに駐車場の整備はできないのかと、こういうようなことを促していくことで日本全体の地域の文化を底上げができるんじゃないかと思っていまして、幅広に支援を考えていきたいなと思っています。

菊田委員 終わります。ありがとうございました。

馳委員長代理 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの山本和嘉子でございます。きょうもよろしくお願いいたします。

 まず最初に、コロナウイルスの感染についてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 専門家会議が三月十九日に、感染経路を追えない感染者の増加を念頭に、オーバーシュートが起きるということ、地域ごとの対応が大事であるというふうに提言をされました。二月下旬に専門家会議が今後一、二週間としていた瀬戸際を過ぎても、なお収束が見えない状況でございます。今回提言された地域ごとの対応によって、イベントの開催や学校再開などの自粛判断は、ある意味、引き続き地域任せということになるのかなというふうに思います。

 そして、専門家会議で提言された地域三分類のイメージというのがありまして、一つが感染状況が拡大傾向にある地域、そして感染状況が収束に向かい始めている地域そして一定程度おさまってきている地域、そして三つ目が感染状況が確認されていない地域ということでございます。それぞれ具体的にどの地域をイメージされているのか。

 例えば、都道府県別に見た感染源の不明な感染者割合というのが、直近一週間、三月十二日から十八日の間、プラスとなっている六都道府県があります。東京都が二%、新潟が一%、京都が一%、大阪が三%、香川が一%で宮崎も一%という報告がなされています。感染状況が拡大傾向にある地域にこういった地域が当たるのかということです。東京なんかは交通封鎖をするということで、知事がロックダウンという言葉も使い始めています。

 また、週末、ニュースになっておりましたけれども、厚労省は感染拡大傾向の自治体に、吉村大阪知事がテレビで、感染者急増の試算が記載されたペーパーというのを非公式に示しているということで、テレビでそれを公開されたということでございます。

 京都でも感染源のわからない患者というのが発生しておりまして、これも府民にとっては心配事であるというふうに思いますけれども、そういった告知文書を非公式にしているのであれば、もっと公衆への注意喚起も含めて公開すべきだというふうにも思いますけれども、厚労省の見解をお聞きしたいというふうに思います。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十九日の専門家会議の新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言におきまして、地域ごとの対応に関する基本的な考え方というものをお示ししてございます。

 これは、日本のどこかでオーバーシュートが起きた場合についての地域の考え方というものを整理したものでございまして、オーバーシュートが地域ごとに断続的に発生していくことを想定した上で、社会経済機能への影響を最小限としながら、感染拡大、クラスター連鎖の防止を図っていくための対策のバランスという考え方を地域の感染状況別、先ほど先生御説明いただきました、感染状況が拡大傾向にある地域、また、感染状況が収束に向かい始めている地域や一定程度におさまっている地域、あるいは、感染が確認されていない地域という形でございますが、これごとに整理したものでございます。

 これ自体はオーバーシュートが発生したときの考え方ではございますけれども、この考え方そのものは、オーバーシュートの発生の有無によらず、各自治体が地域の感染動向等の情報に基づきまして地域の実情を踏まえた対応をしていただくという意味で有効ではないかと考えてございます。

 先生からはリンクの追えない患者の数を指標としてという形でございましたが、一つの指標としてはそういうものも考えながら、最終的には総合的に勘案して考えていくべきものだろうというふうに考えてございます。

 もう一点、感染者数の試算につきまして御質問いただきましたけれども、これは、厚生労働省に置かれましたクラスター対策班におきまして大都市圏の感染状況の分析を行う中で、感染経路がわからない患者の増加傾向にあった大都市圏、大阪府、東京、兵庫の三都府県につきましてクラスター班の専門家が御指摘の資料を作成したというものでございます。この三都府県ということですので、先生御地元の京都については作成はしてございません。

 これにつきましては、感染者数の予測の試算につきましては、日々変わるその地域の感染者数の状況や試算の前提となる条件の置き方により変わってくるものでございます。最終的には都道府県におきまして対策を検討する際の一つの判断材料として活用されることを想定して作成したものでございます。その公表の可否につきましては、各都道府県において適切に御判断いただけるものと考えているところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 プラスとなっている六都道府県というのがオーバーシュートの危険があるという解釈でよかったんですかね。

吉永政府参考人 リンクが追えないという患者がふえていらっしゃるというのが一つの重要な要素ではございますが、これのみをもって判断するということには必ずしもなりませんので、総合的に勘案して判断していくということになろうかと思います。

山本(和)委員 例えば京都なんですけれども、二条城の桜まつりというのが再開されまして、これは外でやる行事だからということで予定どおりやられたということで、京都市長は、自宅にこもってばかりよりは、自粛ムードを和らげて、市民への心理的負担や経済的影響を緩和したいというふうに言っているんですけれども、数字を見たらプラス一%ということでございますし、大丈夫なのかなというのもすごく心配なわけなんです。そういうふうな情報共有という意味でも、しっかり地域ごとの対応というのを、その文書も含めてしっかり対応していただきたいと思いますが、最後にお願いします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 地域ごとの状況を含めまして、私どもでさまざまに検証したものにつきましては、都道府県を始め自治体に提供して、活用いただければというふうに考えているところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 それで、地域三分類において、例えば京都府は二十四人、今、感染者が出ているわけですけれども、全国で十番目ということなんですが、この地域三分類において京都府全体を一つの地域と考えるのか。実感として、同じ京都でも地域によってすごく差があるというふうに思います。大都市の市街地と、それにちょっと距離のある、人口密度の低い地域というのはかなり、感染者もない地域もありますし、隔たりがあるというふうに思います。同様に、京都の北部の地域でも本当に過疎地もございますし、それも全部一くくりで京都府の、専門家会議の言う地域ごとの対応というふうに、それも全部一くくりで言うのかというのをちょっとお答えいただければというふうに思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 専門家会議の基本的な考え方の地域につきましては、必ずしも都道府県域という形で決めているものではございません。その区域におきましては、都道府県の実情に応じて都道府県ごとに御判断いただくべきものと考えてございます。

 ただ、離れているからといって安全かということは必ずしも言えません。例えば交通等、行き来が非常に、往来が一定程度あれば一定程度の感染のリスクもございますので、そういったことも含めて、各都道府県において御判断いただけるものと考えてございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 では、学校再開に向けたガイドラインの件についてお聞きしていきたいというふうに思います。

 十九日の記者会見で大臣は、できる限り新学期から学校が再開されることを考えているというふうに御発言もされています。今後は、全国一律の休校要請は継続しないで、専門家会議の報告を分析した上で、学校再開における留意事項などを盛り込んだ、地域ごとにさまざまな考えを示すガイドラインをお示しになるということで、けさ、概要が新聞に出ておりました。

 イベントなどの自粛は今もなお続いているということでございます。でも学校は再開をするということでございますけれども、その概要の中に、会話のときはマスクを着用するとか検温の義務づけというのも書かれていました。

 それもすごく大事なことだというふうに思いますけれども、イベントなどの自粛はずっとずっとまだ続いている中で、学校の再開が本当に大丈夫なのかどうか。東京も、今後二週間の間で五百人規模で感染者がふえるかもしれないということも言っています。大阪も兵庫もしかりだというふうに思いますけれども、そういった中でのガイドラインについて、内容等を詳しく教えていただければというふうに思います。

萩生田国務大臣 まず、大前提として、今回学校の再開をするのは、状況が改善したとか安心できる状況になったということではございません。いまだに新型コロナウイルス感染症は、一部地域での拡大も見られますし、どこかの地域を発端として爆発的な感染拡大を伴う大流行につながりかねないという状況は変わっておりません。一人一人の行動変容と強い行動自粛の呼びかけが必要な厳しい状況に変化はありません。

 子供たちを守る我々教育関係者は、この認識を大前提にして、春休み期間を含めて、引き続き警戒を緩めることなく開校の準備をしていきたいと思っているところでございます。

 具体的には、新学期からの学校再開に向けた留意事項等を取りまとめたガイドライン及び新学期以降に臨時休業を行う場合のガイドラインを策定し、これについて全国の教育関係者の皆様にお示しする通知を、本日、私から、指示によりまして、事務次官名で発出をさせていただきました。

 まず、学校の再開ガイドラインでは、毎朝の検温とともに、三つの条件が同時に重なる場を避けるため、換気の励行、また近距離での会話の際のマスクの着用など保健管理の徹底をしていただくこと、児童生徒の心のケアや、感染者等に対する偏見、差別の防止、しっかりと教育をしていただくこと、補充授業や補習、家庭学習等の実施による、一斉臨時休業に伴う学習のおくれへの対応、また、入学式、始業式などの学校行事における工夫をしっかりしていただくこと、部活動や給食における工夫などについて、学校が取り組むべき事項や留意事項を具体的に示しました。

 また、臨時休業に関するガイドラインでは、児童生徒、教職員の感染が判明した場合、臨時休業の必要性について、感染者の症状の有無、地域の感染拡大状況等について総合的に考慮し、都道府県等の衛生部局と十分相談の上検討していただくこと、家庭学習や登校日の設定など、学習に著しいおくれが生じないための取組、また、非常勤職員を含む教職員全体の働く場の確保等について示させていただきました。

 これらを参考にしていただいて、感染症対策を徹底した上で学校の再開の準備をしていただきたいと思っております。

山本(和)委員 ありがとうございました。

 引き続き、オリンピックの件についてお聞きしていきたいというふうに思います。

 総理は、東京オリンピック・パラリンピックについて、完全な形での開催を目指すという考えを示して賛同を得られたというふうに御説明をされています。萩生田大臣も、完全な形という意味について、参加国が減らない、無観客でないとの見解を示されたというふうに思います。

 しかしながら、その後も、アメリカの水泳連盟や陸上連盟、そして、ノルウェーやブラジルのオリパラ委員会その他の内外の関係者やアスリートからも東京オリンピック延期論というのが出始めたということでございます。

 IOCの会長も、現時点での開催の可否の判断は時期尚早というふうに言っておりましたけれども、きのうまでには、延期を含めた検討を始めて四週間以内に結論を出すという方向性に変わってきております。

 一般的に、東京オリンピック・パラリンピックを開催するに当たっての選択肢が四つあるというふうに今言われておりまして、一つ目が、予定どおり七月に開催するということと、二つ目が、短期間、例えば秋ぐらいまで延期する、三つ目が、長期間、例えば来年の二〇二一年まで延期する、そして中止というような四つの選択肢というふうに言われておりますけれども、年内の延期と一年の延期について、オリンピック憲章上どういう取決めになっているのか、そもそも、オリンピックの延期は過去に例があったのかというのを確認したいと思います。

河村政府参考人 お答えいたします。

 まず、過去において延期の事例があったかについてでありますが、過去に延期をした事例は承知してございません。

 その上で、今委員が御指摘いただきましたIOCが定めるオリンピック憲章や、IOC、東京都、JOC及び組織委員会が締結した開催都市契約においては、大会の延期について明示的に定めた規定はないものと承知しております。

 その上で、政府としては、各規定の個別の条項について解釈を申し上げる立場にはございませんが、オリンピックはそもそもの開催権限がIOCに帰属し、開催地に実施を委託する構成となっている中で、オリンピックの開催に関する最終的な決定権はIOCが有するものと理解しております。

山本(和)委員 最終的に、もちろんIOCが決めることだというふうには思うんですけれども、四週間以内に結論を出す、四週間というのはあっという間に来るような気もします。

 大臣にお聞きをしたいというふうに思いますけれども、この四週間、どうされるのかということですよね。

 前回の質疑でもIOCの結論を待つというふうにおっしゃいましたが、今はもう待つしかないというふうには思っています。最後まで選手の安心、安全のために尽くしていただきたいというふうにも思いますけれども、そういう感じでいいのかどうかということと、例えば、今後四週間、どの時点でどういったことを検討していくのか、今の日本に何ができるというのか、一生懸命練習してこられている選手、アスリートたちの気持ち、そういう人たちに対してどういうふうに御説明をされるのか、そのあたり、ちょっとお聞かせいただければというふうに思います。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、二十二日にIOCが発表されました関係者間での協議について、その内容ですとか、政府としてどのような形でこの協議に参加をするということも含めて、今後検討されるということであります。

 その中で、政府としてはこれまでも、IOCやWHOなどが関係者間で情報交換を行うための場として開催するタスクフォースに参加をさせていただいてきまして、政府の新型コロナウイルス対策の内容等について説明を行ってまいりました。

 そして、組織委員会ですとか東京都等の関係者から成る総合対応推進チーム、これを仕組みを構築いたしまして、競技団体からのさまざまな相談に迅速に対応するとともに、JOCやあるいはJPCなどを通じて、IFや各国のNOCに対して正確な情報を迅速に発信をしてまいりました。

 今回、東京大会の開催については、先ほども事務方から説明がありましたけれども、全ての最終的な判断の権限というのはIOCにあるわけでありますけれども、ただ、IOCがやはり適切な判断をすることができるようにしっかりとした情報を提供するということが今、日本の政府にとっては重要なことであるというふうに思っておりますので、その点を、関係者間での協議に参加をさせていただく中で、その役割をしっかりと果たしていきたいというふうに思っております。

 また、アスリートの不安の払拭というのは重要であるというふうに思っております。私も元アスリートということでもありましたので、その視点から申し上げさせていただきますと、各国の状況というのは、大変深刻な状況になってきている国があります。

 既にコロナウイルスに感染をしてしまったというアスリート、そして、今、隔離をされていて全く練習ができないというアスリートもたくさんふえてきました。そして、練習環境が、練習場所がなくなってしまっているというような状況に置かれているアスリートたちも各国出てきておりますので、いつの時点で開催をされることが一番適切なのかということも含めて、アスリートの視点から、アスリートファーストという視点から申し上げますと、半年や、あるいは一年や二年といったことが議論されるということは想定されますけれども、どの部分において、どの時点で、アスリートとして一番、東京大会を開催するに当たってよいかということは、それぞれの国の状況、それぞれのアスリートが置かれている今の現状、環境ということを考えていくと、やはり、アスリート委員会を通じて、JOCもそうですけれども、IOCがしっかりと選手の、一人一人の声を聞いて、寄り添う形の中で適切な開催時期を判断していただくということがなければ、完全な形での東京大会にはならないというふうに私は思っておりますので、そういった点からも、JOC、そしてJPCを通じてIOCに適切な情報を提供していただけるように政府としても全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

山本(和)委員 大臣、ありがとうございます。

 御自身がアスリートだったというお立場から、アスリートの立場に立った、今、寄り添う気持ち、すごく伝わってまいりましたし、大変、今、IOCの判断とは言われますけれども、日本の中で一番橋本大臣が、そういった中で矢面に立っていろいろと受けとめられているんだと思います。本当に日々大変だと思いますけれども、これからもまたしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。きょうはこれで大丈夫です。ありがとうございました。

 続きまして、文化観光推進法案について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 本日の議題に入りますけれども、本法案の趣旨というのが、文化について理解を深める機会の拡大及びこれによる国内外からの観光旅客の来訪の推進ということが挙げられております。

 しかしながら、今の日本の状態、新型コロナウイルスに蔓延されている状態の中で、外国人の観光客の方も少なくなっている状況の中でこの議論をするのが本当にふさわしい議題なのかということを、この法案の質疑を組み立てる上でいろいろ気づかさせていただいた次第でございますけれども、この法案の質問の前に、やはり営業縮小を余儀なくされている観光事業者がたくさんおられますので、そういった支援策についてまずお聞きをしたいというふうに思います。

 私の地域では、京都では、二つの市町で病院の職員が感染したということでございまして、病院が封鎖されて、別の医療機関にそれぞれ搬送されるということで、大変、医療崩壊寸前の状態でありました。

 そういう意味では、さまざま地域ではイベントの自粛というのが続きましたし、国的に言いますと、二月の訪日外国人の旅行者数は前年の同月比の五八%減ということでございます。東日本大震災のときが六二・五%減ということでございましたので、それに次ぐ大きな減少ということでございます。飲食店のキャンセルも全国的にふえているということでございますし、閑古鳥が鳴いている観光地も多いということでございます。

 政府は、緊急対応策ということで、観光業への対応について、当面の対応として、雇用調整助成金や資金繰り対策により強力に下支えしますということでございますけれども、各地域を見ますと、まだまだ不十分なところもあるというふうにも思います。現場の声は、予約ゼロということで先が見えず、無利子無担保でも、返済が可能か、不安で融資の申込みに踏み切れないというような声も聞いております。

 政府はより踏み込んで、例えば、コロナ対応の損失に、自然災害の特例同様の適用を認めて、赤字企業に税を還付したり納税を猶予したりというのはお聞きをしておりますけれども、そんな中、融資する場合でも、例えば、ちょっと分野は違いますけれども、オーストラリアの学資ローンで有名な、所得連動型の無利子ローンのHECSというのが今言われておりますけれども、こういうものを導入して救済の手を差し伸べるということが可能なのかどうか。HECSというのは、所得が一定以下の場合、返済が猶予されて、また、返済可能となっても、その額は所得額に応じた金額で、低収入者は返済額も軽減される制度ということでございます。

 こういう制度などを導入するというようなお考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 第二弾の緊急対応策に盛り込んだ特別貸付制度等、その中の実質無利子無担保の融資でございますけれども、元金返済のための据置期間というのがございまして、これをこれまでの最長三年以内から最長五年以内に長期化しております。このことによって返済計画が立てやすくなるよう工夫しているということでございます。

 また、年度末、これから金融繁忙期でございます。三月六日には、経済産業大臣から、政府系金融機関と信用保証協会に対して、既往債務について、返済期間の長期化を含めて条件変更に最大限の配慮を行うことなどについて要請を行っておりますし、それから、三月十六日でございますけれども、大臣自身が、これらの機関のトップと直接お会いして、今申し上げたことを繰り返し要請しております。

 返済の原資ということでございますけれども、融資の原資でございますので、売上げを回復させることで確保するということが基本というふうに考えております。そこで、ものづくり・サービス補助金それから持続化補助金、IT補助金といった、三千六百億円の生産性革命推進事業というのがございます。この事業で設備投資や販路開拓などに取り組んで売上げを回復していく、そういった中小企業、小規模事業者に対して、加点措置で優先的に採択するということで支援したいというふうに考えておりまして、当初の予定を前倒しして三月十日から公募を開始しております。

 それから、所得に応じて返済が免除、軽減されるローンについての御提案がございました。こちらにつきましては、厚生労働省でございますけれども、償還時になお所得の減少が続いているというような住民税非課税世帯の償還を免除できる返済免除要件つきの個人向け緊急小口資金の特例、最大八十万円の創設ということなどの支援を行っているというふうに聞いております。

山本(和)委員 ありがとうございました。

 そうしたら、ちょっと法案の中身についてもお聞きをしていきたいというふうに思いますけれども、私の地元地域をなぞらえながらちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。

 平成三十年度の京都府観光入込客調査報告書によりますと、京都北部は、同じ京都府でも、訪問客数も消費金額も訪日客のゴールデンルートである京都市内に圧倒されて、京都府内の、人数ベースで一一・四%、金額ベースで一・八%ということで、日本の観光政策の課題を体現するエリアとなっているのではないかなというふうに思います。

 この数字を申し上げますと、京都府全体で八千五百万人の観光客がある。これは内外合わせてあるということなんですけれども、京都北部には九百七十万人ということで、一一・四%ということでございます。収入に関しましても、京都府全体で一兆三千七百億円、そして京都北部に関しますと二百四十七億円ということで、この法案の目指すもの、こういうゴールデンルートというものに集中する中で、それを拡散する意味でこの法案があるのかということですね。

 政府が掲げる訪日外国人の旅行者数の目標が、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人というふうに考えても、重要なのは、既にオーバーツーリズム状態であるゴールデンルートにおける観光推進というより、むしろ法案名が示すように地域における観光の推進であって、いかにゴールデンルート以外にも行ってもらうか、それを進める上で、地域においてこれまで必ずしも十分光が当たらなかった文化施設でも、支援強化次第では大きな役割を果たすことができるのかというふうな意味合いの法案なのかどうかを確認したいと思います。

萩生田国務大臣 本法案は、既存の取組や実績を評価して文化施設や地域自体を認定するのではなく、文化施設や地域がこれから取り組む計画を認定し、計画に基づく事業に対して国などによる支援を行うものであります。

 したがって、既に誘客に成功している文化施設や地域がさらなる文化観光の推進のために計画を策定し認定を受けることは、否定をするものじゃないんですけれども、先生、たまたま今京都の例を出していただきました。オーバーツーリズムで、これ以上人が来たらもうすれ違いができないなんというエリアを、更に人を呼び込もうというのはちょっと逆に無理だと思いますので。

 そういうことじゃなくて、国内外からの観光旅客を引きつけるための解説、紹介、発信に関する課題。例えば、同じ京都でも、今、北地区のお話をされました。そこまで来ているんだったらここに来てこれを見てくれたらもっといいものがあるのになという。しかし、そこの交通機関が弱くてなかなか移動ができない。この際、ここと次の場所をつないだ新しい周遊バスをつくろう、そしてそれぞれの施設を中核として新たな観光ルートをつくろうなんということがこの法案の趣旨としては極めて重要だと私は思いますので、国内外からの観光旅客が来訪しやすくするための交通手段等の利便性向上に関する課題を抱え、それらについて意欲的に取り組もうとする地方の文化施設や地域が、本法案に基づく支援によって一層の文化観光の推進を図ることができると考えております。

 御指摘のとおり、これまでも必ずしも十分光の当たらなかった文化施設においてあるいは地域において意欲を持って取り組んでいただくことで、地域における文化観光の中核になっていただくことができると考えておりますので、いいアイデアを出していただきたいと思います。

山本(和)委員 大臣今おっしゃっていただいた、まさに京都がオーバーツーリズム状態で、いかにその京都の北部地域、天橋立やらそういう北の魅力ある地域に人を引っ張っていくかというのが、今、京都の中でも課題であるというふうに思って、そういう中で、海の京都DMOという文化観光推進事業者というのが今頑張っていただいているんですけれども、文化観光推進事業者というのがこういうDMOに当たるのかどうか、そのあたりをお聞かせいただければというふうに思います。

今里政府参考人 御指摘の文化観光推進事業者でございますけれども、本法案の第二条第二項におきまして、文化観光の推進に関する事業を行う者を文化観光推進事業者としておりまして、具体的には、今御指摘いただきましたDMO、観光地域づくり法人も含まれますし、そのほか、観光業界、旅行業者等の民間事業者など、地域において文化観光の推進を戦略的に行うための企画立案ができる者のほか、地域の交通事業者、商店街、宿泊施設等の事業者が含まれるところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 続いて、文化観光拠点施設の設置者についてお聞きしますけれども、それは一つなのかということです。メジャーなところがない地域においては、二つや三つの施設が統一的なテーマを考えて、中核を形成して、共同申請することが可能なのかどうかということでございます。

 法案の趣旨を今大臣に確認をさせていただきましたけれども、十分光の当たらなかった地方であればあるほど、日本を代表するメジャー博物館のように一カ所で中核というよりは、むしろ複数の施設がクラスターを形成した方が文化資源のテーマを輝かせる強いストーリー性を期待できるのではないかなというふうに考えます。

 今いろいろと思いめぐらせている中で、海の京都と先ほど申し上げましたけれども、この地域の中で、日本遺産に認定されている創業三百年の歴史の丹後ちりめん回廊というのがあります。これに、京都府の無形文化財指定の手すきで、日本一強い黒谷の和紙というのを加えるということで、機織りや紙すきの体験ができるというような中で、中世や近世において、我が国の文化的所産を、より強いストーリーのもと、観覧や体験することが可能となってそういうのが広がるという、これがこの法案の運用のイメージに当たるのかどうか、そういったこともちょっと確認したいと思います。

今里政府参考人 議員お尋ねの点は、複数の者が統一的なテーマのもと共同申請ができるかということかと思いますが、その内容につきましては、自治体と各施設が連携をいたしまして協議会を設置して作成いただく地域計画で実施可能なものと考えております。その際には、計画に記載されたそれぞれの取組を行う複数の施設が協議会の構成員として共同で申請することができます。

 以上でございます。

山本(和)委員 そうしたら、ちょっと質問を飛ばしまして、地域文化観光推進事業として、地域における文化資源の総合的な魅力の増進に関する事業が挙げられております。文化庁の博物館クラスター形成支援事業、例えばその中に、いろいろ見ますと、伊豆高原文化観光施設・ジオパーク融合型クラスター形成事業というのがありました。そういうので実証されるように、地域の文化観光の総合的な魅力を増進させる方策として、対象エリア内にジオパークなどの自然文化資源というものを含めることも、この法案の中で可能なのかどうか。

 今申し上げておりますその海の京都のエリアでは、今申し上げました天橋立とかユネスコ世界ジオパークに認定された京都丹後の海岸線等々があります。こういった山陰海岸ジオパークというのも含めて、より一層魅力的な、総合的な、こういう地域計画の中にこういうものも入れることも可能なのかどうか、そのあたりもお聞かせいただきたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 本法案における文化資源には、建造物や絵画等の有形の文化的所産、演劇や伝統芸能などの無形の文化的所産のほか、今先生御紹介いただいた天橋立のような名勝地やジオパークにおける記念物等も含まれます。

 法案をつくる中で、省内でもいろいろな議論をした中で、例えば、昨今、今まで全然観光地じゃなかったのに突然人が大勢寄せてきて、何かと思ったら、アニメの中にその中の場所が出てきて、いわゆる聖地巡礼のように人が来るようになったものを、自治体がちゃんとその聖地として説明をしながら、回遊性のあるような、もし観光地にしたらどうするんだと、こういう話を仮定でしましたところ、こういったものも、地方の、現に人を呼び込むことができるわけですから、そういうものも十分文化資源に値するということの確認をさせていただきました。

 本法案によって意欲的に取り組もうとする地方の文化施設や地域をしっかりと支援できるよう、四月から文化庁に文化観光担当の参事官を組織し、法案に関する説明会の実施など情報発信等に取り組むことで、各地域から積極的に申請を行っていただけるように努めてまいりたいと思います。

山本(和)委員 大臣、ありがとうございました。

 今、いろいろ質問、地元の地域のことでお話しさせていただきましたけれども、訪日客が多いゴールデンルートでない地域、日本各地にいろいろあると思いますけれども、そういったところに光が当たるような法案になればいいなというふうに思います。

 それを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

橘委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 きょうは、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 三月十九日に専門家会議が開かれました。そこで、きょう、文部科学省の学校再開に向けての通知も出されて、ガイドラインも示されたわけですけれども、その点について萩生田光一文部科学大臣に伺いたいと思います。これは具体的にどのように対応していくのか、お聞かせください。

萩生田国務大臣 まず大前提は、状況が改善したとか終息したとかでは決してございません。引き続き緊張感を持って対応していくことが重要でありまして、学校関係者、自治体の皆さんと、言うならばそのおそれはしっかり共有しながら、学校の再開に向けて準備を始めていきたいと思います。

 専門家会議では、春休み以降の学校において、日々の学校現場における三つの条件が同時に重なる場を避けるため、保健管理や環境衛生を良好に保つよう取組を進めることが重要だと指摘をしております。

 文科省においては、同専門家会議のこの提言を踏まえ、総理からの指示を受け、学校再開に向けての具体的な留意事項等を取りまとめた学校再開ガイドラインを作成し、本日、全国の教育委員会に発出をしたところでございます。

畑野委員 少し具体的にその点について伺いたいと思います。

 この十のチェックリストでいいますと、検温をしましょうねとか、あるいは、先ほど大臣の言われた三つの条件、換気の悪い密閉空間、人の密集、近距離での会話、発声が同時に重なる場を避けようということで、換気をしましょうね、近距離での会話や発声等の際のマスクの使用等を行いましょうねということを教職員の間で確認しましょうということが言われているわけですね。

 これは、先ほど消毒液の話もありましたけれども、例えば外から来られる方もいらっしゃる、あるいは、家で検温してきましょうねといってもなかなかできない御家庭もあるかもしれない。最近は、体につけなくても、離して、非接触の体温計もありますよね。あるいは、マスクもない。じゃ、縫うんですかという話もあるんですけれども、低学年やその御家庭でいうとなかなか難しいということもあるので、これはぜひ自治体とも協力しながら、国として、安全に保護者の皆さんが学校に送り出せるように、あるいは児童生徒が登校できるように、こういう具体的な細かいことも、ぜひ大臣、支援を検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先生御指摘のとおりだと思います。

 きょうの段階では、再開に向けての言うなら大きな指針を示しました。しかし、QアンドAを示していかないとわからないところがあると思います。例えば検温を忘れちゃった子はどうするんだとなったら、保健室へ連れていって保健室で必ず検温してくださいとか、今御指摘がありましたように、アルコール消毒液が必ずしも必要じゃなくて、石けんと水で手洗いでいいんですよ、しかし来訪者に対してはどうするんですか、それはアルコール洗浄液を置いてくださいとか、きめの細かいQアンドAを直ちに追加で出す予定でございますので、逆に、御指摘の点がありましたら、またお知らせいただきたいと思います。

畑野委員 ぜひ、きめ細やかな対応を進めていただきたいと思います。マスクも、本当に皆さん心配しておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それで、私、きょうの通知の中にも書かれているんですが、この間たくさんの要望が出されてまいりまして、そして、先日は萩生田大臣にも、直接党として申入れもさせていただきました。

 全国一斉休業の間に、子供たちの声でいいますと、家にいると親に怒られるので居場所がないとか、人としゃべる機会が減って気分が沈むとか、やはりちょうど三月というのは、卒業や進路など、不安定になりがちな時期だったと思います。そこにウイルスという目に見えないものへの不安もあったということで、大きなストレスを抱えた子供たちは、まず心身のケアが必要だと思うんです。

 ところが、あるところでは、七時間授業をやりますよとか、夏休みを短縮しますよとか、そういうところも出てきているというふうに聞いています。学習権の保障は当然必要なんですけれども、子供たちがこういう三月の状況を経て、そして学校に出てくるという点でいうと、私は、子供たちに過度な負担がかからないように、学習内容の精選などの配慮が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先生、この三月という子供たちにとってはかけがえのない、言うならば、友人との別れがあったり、あるいは、進級、進学、学校の環境が変わる、いろいろな意味で心理的にもさまざまな負担があったというふうに思います。

 いろいろな声を聞きましたけれども、御家庭などでも、お母様方が仕事を休んで大変な御苦労をされたと。一方、御主人もテレワークでうちにいてすごいストレスだったとかいうような話も聞きましたけれども、いずれにしましても、では、これを取り返すためにがつがつがつがつやりましょうということを望んでいません。学校現場の先生方にも子供たちにも負担のないように、上手にやっていきたいと思います。

 例えば、補充のための授業を行う場合は、児童生徒の学習状況等を十分に考慮することが求められますが、特に、補充のための授業を実施することのみを理由に、標準授業時数を超えて授業時数を確保する必要は必ずしもないということに留意をしてください、このことを伝えます。長期休業期間を短縮したり、土曜日に授業を行ったりする際に、児童生徒の負担が過重とならないように配慮することなどが重要であり、これらについても、本日発出した学校の再開ガイドラインにお示しをさせていただきました。

 さらに、各学校や設置者の補充のための授業等を行う際の検討に資するように、各教科書発行者に対して、指導上の工夫に関する資料の作成を依頼しているところです。例えば、五年生の三学期にやるはずだった円の勉強が五年生でできないけれども、六年生で、円球の体積を計算する、その授業のときに面と体積と一緒にやればその方がわかりやすいんじゃないかというようなことをアドバイスしていきたいなと思っています。

 文科省としては、こうした資料も活用していただきながら、今般の一斉臨時休業に伴う学習のおくれについて、各学校が適切に対応できるように、引き続き必要な支援に努めてまいりたいと思います。

畑野委員 前回の当委員会で、お母さんたちの声として、学力テストは来年度はやめてほしいという声があるということを御紹介させていただきました。

 今大臣がおっしゃったように、学習の内容をいろいろとこれから工夫しなくちゃいけない時期が続くと思います。四月十六日の学力テストの実施は取りやめるというふうに大臣おっしゃっていただいたんですが、来年度からは、小学校で新学習指導要領が実施になって英語の授業なども入ってくる、時間数がただでさえふえる上に、機械的におくれを取り戻そうとすると、パンクしてしまう状況があると思います。ですから、こうしたもとで、来年度の全国一斉学力テストは、延期ではなく、きっぱり中止をすると早く言わないと、学校の全体の状況にもかかわってくると私は思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 全国学力・学習状況調査は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育指導の充実や学習状況の改善に役立てることを目的とした重要な調査であると考えております。

 令和二年度の四月十六日木曜日に実施を予定しましたテストは、新型コロナウイルス感染症対策のため、一斉臨時休業による学校現場への影響を考慮して、四月十六日の実施は取りやめることとし、三月十七日にそのことを私から発表しました。

 今後の取扱いについては、令和二年度中に実施するかどうかも含め、新型コロナウイルス感染症の今後の状況及び学校教育への影響等も注視し、各学校の教育活動の状況、また、学校、教育委員会関係者の意見、新たな日程で実施できるかどうか、具体的な配送ですとか採点ですとか、こういった作業がございます、こういったものも含めて検討して、学校現場に対して、あらかじめ十分な時間的余裕を持って決定し、公表したいと考えております。

畑野委員 来年度は難しいと思いますので、ぜひ、やらないという対応を早く発表していただきたいと思います。

 あわせて、臨時休業の影響で公演のキャンセルが相次ぎ、学校や幼稚園、保育園などで子供向け演劇を上演する劇団が窮地に陥っています。先ほど議員の発言にもあったように、きのうもそういった方たちが国会に来られて訴えておられました。

 日本児童・青少年演劇劇団協同組合が加盟六十二団体に行ったアンケートでは、三月十一日までの間で、公演の中止、延期、縮小して開催というのが五百件に及び、ワークショップの中止、延期が七十九件、総被害額が一億四千五百四十六万一千円に上るという報告もいただきました。

 国の要請で、予定されていた鑑賞教室などが中止になって、キャンセル料が払われないというケースも伺っております。国の要請による臨時休業で発生したキャンセルについては、国がきちんと負担をし、対応していく必要があるというふうに思います。

 また、あわせて、修学旅行のキャンセルなども発生しているということで、観光業者が負担しているケースや親が負担するケースもあるというふうに伺っております。

 実態を把握して、国の責任できちんと支払うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症のため、三月二日からの学校の臨時休業をお願いしたことに伴い、三月に文化芸術の鑑賞、体験教室や修学旅行を計画されていた学校等において、中止や延期等の影響が生じているものと承知をしております。

 文化芸術の鑑賞、体験教室及び修学旅行については、各都道府県教育委員会等に対して調査を行っているところであり、各自治体等における対応状況等も踏まえ、必要に応じ関係省庁とも連携を図りつつ、今後どのような対応ができるか検討を進めてまいりたいと思います。

 これは、ちょっと難しいのは、学校の休業に伴うものについては政府としてしっかり補償しますよということは世の中に明言をしています。他方、同じ芸能関係でも、自主的に、一般のお客さんを対象にして一般にやめている人たちとの、その支援の仕方を、どうあるべきかというのを今政府全体で考えているところでございますので、文化の灯を消さないためにもしっかり応援していかなきゃならない、これが我々文科省の姿勢でございますので、何らかの応援ができるようにしっかりメニューをつくっていきたいなと思っています。

 少なくとも、学校で予定していた演劇は、来年度、どこかでやってほしいと思っています。そのために、そんなことを言っていると劇団が潰れちゃう、そんな余裕はないんだというお話も聞いておりますので、どうやってそこをつないでいくか、その支援策も含めて、しっかり各自治体とも連携していきたいと思いますし、修学旅行もぜひやってもらいたいと思います。

 その場合に、春にやるはずだった修学旅行を例えば秋に変えたりすると、旅行費用が変わるという問題が出て、間違っても御負担を御家庭の皆さんにさせるわけにはいかないと思っていますので、こういうことも含めて、観光庁や国土交通省とも連携をしながら、修学旅行再開の支援策というものも次の段階でしっかりメニューに加えていきたい、こんなふうに思っているところでございます。

畑野委員 文化芸術関係の皆さんは本当に待ったなしだということですので、ぜひ早い対策を立てていただきたいというふうに思います。

 子供たちの三月の状況をお話ししましたけれども、学校再開に当たっては、こういう子供たち一人一人に丁寧に寄り添った対応が必要だと思います。やはり、心の問題については、教員や養護教諭など、一人一人のかかわりの中で回復することが必要じゃないかと思います。再開後の学校が、これまで以上に子供たちをしっかり受けとめられる場になる必要があると思います。

 その点で、教員定数の抜本増による少人数学級の実現を本腰を入れて進めるべきときに来ているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今後、学校再開に当たっては、子供たちが安心して希望を持って通えるように、十分な環境整備を行う必要があると考えております。また、来年度からの新学習指導要領の円滑な実施と学校の働き方改革の実現のためには、教職員定数の改善等の条件整備が必要です。

 そのために、令和二年度予算案では、質の高い英語教育を行う小学校の専科指導教員の加配定数について千人の新規増を行い、令和元年度予算を二百七十人上回る、合計千七百二十六人の定数の改善を図りました。あわせて、平成三十一年一月の中教審答申を踏まえて、小学校の学級担任の授業負担軽減の観点から、小学校のチームティーチングのための加配定数の一部について、専科指導のための加配定数二千人に発展的に見直すことにしました。

 このように定数改善に努めておりますが、もとより子供たちの学びと生活を支えるため、基礎定数以外にも約三・三万人の指導方法工夫改善加配や約八千人の児童生徒支援加配等を配置し、今回の臨時休業の対応を含め、きめ細かな対応ができるように学校の体制整備を図っております。

 さらに、現在、学校における働き方改革の観点も踏まえつつ、中教審において、小学校高学年における本格的な教科担任制の導入など、新しい時代を見据えた学校教育の実現に向けて、教育課程、教員免許、教職員配置の一体的検討が行われており、これらの検討については来年度中には答申をいただく予定であり、必要な制度改正が実施できるように、文部科学省として検討を進めることとしております。

 引き続き、新しい時代を見据えた学校教育の実現に向けて、持続可能な学校の指導、事務体制の効果的な強化充実に取り組んでまいりたいと思います。

畑野委員 今回、コロナウイルス対策で、子供の席を離したことがありますよね。やはり、ゆったりとした空間をつくっていくという点でも、私は少人数学級に進むべきだというふうに思います。

 先日、神奈川県立の養護学校に伺ってまいりました。医療的ケアを必要とする肢体不自由の子供たちが多く通っておりまして、共働きの親も多く、自宅で過ごすことが大きな負担になるということで受け入れてくださっておりました。

 今、多くの特別支援学校で教室が足りない。特別教室を潰したり、一つの教室をカーテンで間仕切りしたり、廊下で体育の授業をせざるを得ないなどの実態があります。これは、特別支援学校だけに設置基準がないことが原因だとの指摘もされております。ふだんから小規模であれば、もっと臨機応変な対応ができるという声も伺っております。

 ぜひ設置基準を設けるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 近年、各都道府県でも特別支援学校の新設等が進められていますが、特別支援教育を必要とする子供の増加により、特別支援学校一校当たりの在籍数は増加しております。このことにより、近年は減少傾向にあるものの、特別支援学校の教室不足が生じておりまして、令和元年五月一日現在で三千百六十二教室の不足が生じています。

 文科省では、特別支援学校の教室不足の解消に向け、特別支援学校の新築等に関する申請については優先的な採択を行っているほか、令和二年度予算案において、廃校や余裕教室等を活用して特別支援学校の用に供する事業の算定割合を引き上げる予定でございます。

 特別支援学校の設置基準については、対象となる障害種に応じた多様な施設設備が必要とされていることなどから作成されておりませんが、依然として高い水準で教育不足が生じていることを踏まえ、現在開催している新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議において、その要否や策定の際の留意点などについて検討を行っているところです。

 今後とも、障害のある児童生徒が安心して学ぶことができる教育環境の整備に努めてまいりたいと思います。

畑野委員 大臣、検討は進められているというのはすごく大事なことで、これは初めてのことだと思いますので、ぜひ具体的に行っていただきたいというふうに思います。

 あわせて最後に、放課後等デイサービスへの支援について伺います。

 コロナウイルス対策ということで、どのように進められているかということをまず伺うのと同時に、この時期というのは、事業者の皆さんは年度末の対応で物すごく忙しいときに、更にお子さんを受け入れているので、大変な残業になっているというふうに伺っております。こうした実情にかみ合った、事業所への直接支援を検討すべきではないかということと、そもそも、子供十人に対して職員二人という人員の配置基準では、手厚いケアができない。基準の見直しを行うべきではないかと思いますが、いかがですか。

橋本政府参考人 今般の大変厳しい状況の中で、放課後等デイサービスの安定的な運営に資するように、私ども国といたしましては、都道府県等に対しまして、一つは、報酬請求に当たって、平日の単価よりも高い学校休業日の単価を適用するということ、それから二つ目といたしまして、定員を超過して児童を受け入れた場合でも減算を適用しないということ、三つ目といたしまして、人員基準を満たさない場合であっても減算を適用しないということ、四つ目といたしまして、児童が感染を恐れて欠席した場合等に、利用者の居宅への訪問ですとか、電話等を利用して健康管理や相談支援を行えば、通常の報酬の対象とするということ、こういったさまざまな柔軟な取扱いを行うようにお願いしているところでございます。

 放課後等デイサービス事業所におきましては、委員御指摘のように、勤務日数や勤務時間の増加が生じるというふうなケースもあろうかと思いますが、今、このような厳しい状況も勘案しまして、柔軟な取扱いを可能としておりますので、各事業所におきましてこの取扱いを十分活用していただきたいというふうに思っております。

 また、あわせて、今、事務負担の増加、それによって事務作業がおくれるというふうなことも想定されますので、本年三月と四月の障害報酬の請求に当たりましては、毎月十日までという請求期日に間に合わない場合であっても、各国保連合会が対応可能な範囲で弾力的に請求を受け付けるように依頼しておりまして、そういった事務的な負担にも配慮しているところでございます。

 それから、今委員の方から放課後等デイサービスの人員基準についての御指摘をいただきました。今の仕組みにおきましては、従来から、児童十人に対して児童指導員等二人ということを最低基準としつつ、一つは、児童指導員等を基準より多く配置している場合には算定可能となる、児童指導員等加配加算というのがございます。それから、二つ目といたしまして、医療的ケア児の支援を行う看護職員を加配しました場合には、看護職員加配加算というものがございます。こういったことによりまして、基準を超えて手厚い人員配置をした事業所を報酬上評価しておりますので、こういった加算の仕組みをそれぞれの事業所で最大限活用することによりまして、質の高いサービスを提供していただきたい、このように考えております。

畑野委員 大臣にまだ伺うことがあったのですが、時間が参りました。就学援助制度の緊急対応、あるいは学費、学生や高校生、そういった人たちの支援、家計急変に対する対応をしていただきたいということを質問しようと思いましたが、時間が参りましたので、ぜひ対応をお願いして、質問を終わります。

橘委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、文化観光拠点を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律案について質問をいたします。

 本法案により、今後、文化観光を更に推進していかれると思います。観光を通じて日本の歴史や文化、伝統を日本人にも外国の方にも知ってもらうというのは、外国との相互理解や国際協力の上で大変有意義なことでありますし、インバウンド需要の拡大も日本経済にとって大変重要な成長戦略の一つでありますので、ぜひ進めていただきたいと思っております。

 しかし、今、世界じゅうで新型コロナウイルスが感染拡大をしており、文化観光の推進も重要ですが、まずは新型コロナウイルスの終息にできる限りの力を注いでいただきたいと思っております。国民の命を守っていただきたいと思っております。

 まず、大臣に伺います。

 文化庁の京都移転に向け準備が進められておりますが、改めて、文化庁の京都移転の意義と期待される効果について、お願いいたします。

萩生田国務大臣 平成二十八年三月の政府決定において、文化庁については、現在と同等以上の機能が発揮できることを前提とした上で、地方創生や文化財の活用など新たな政策ニーズへの対応を含め、文化庁の機能強化を図りつつ、全面的に移転することとされております。

 文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都に移転することにより、地方創生の観点に立った文化行政の企画立案能力の向上、ひいては、全国各地の地方文化の掘り起こしや磨き上げにつながることが期待されます。

 今後とも、我が国の文化行政のさらなる強化に向けて取組を進めてまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣からありましたけれども、同等以上の、今までよりも機能強化をしっかり進めていくということであります。私の地元選挙区の京都でも、楽しみに待っておられる方がいらっしゃいますので、ぜひしっかりと進めていただきたいと思っております。

 来年度中に文化庁を京都移転するという計画で進められてきたと思いますが、予定がおくれ、二〇二二年度後半以降になると伺いました。

 先ほど大臣からもありましたが、文化庁を京都へ移転するというのは、大変意義のあるものであると思います。本当に二〇二二年度に移転ができるのか心配なところもありますが、京都移転に向けた準備、取組の進捗状況について教えてください。

今里政府参考人 文化庁の京都移転についての取組状況でございますけれども、平成二十八年三月の政府決定を受けまして、平成二十九年四月に先行移転として地域文化創生本部を京都に設置するなど、準備を進めてまいりました。

 本格移転後は京都と東京に組織が分かれることから、国会対応ですとか他省庁との連携、テレビ会議システムなどICT機器の活用等に関する課題につきまして、業務の試行や改善を図りながら、これらの課題の解決に向けて取り組んでいるところでございます。

 特に、昨年の臨時国会の時期には、国会対応を中心に検証をすべく、移転シミュレーションを実施したところでございます。現在、シミュレーションの状況を踏まえまして、移転に当たっての諸課題の整理や検討を行っているところでございます。今国会において、その結果を報告する予定でございます。

 今後も、京都府、京都市や関係省庁と連携協力しつつ、京都、東京の分離組織における業務の試行、改善等を図りながら、移転に向けた準備を着実に進めてまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 文化庁としての準備はしっかりと進められているというような御説明でありました。国会対応がおくれないように、テレビ会議などICTを使った会議などは、大変有効なものだと思います。今回のような新型コロナウイルスなど、こういう問題が起こったときにも、しっかりとそういったテレビ会議などが進められるような体制を整えておくことも必要だと思っております。

 移転先の京都府警本部庁舎の耐震改修と新行政棟の新築工事がおくれているとのことですけれども、これに関しては、以前から間に合わないのではないかという懸念もあったようですので、結果として、無理な計画であったと言われても仕方がないのかなという思いもします。ぜひ、これ以上のおくれが出ないように、二〇二二年度中には移転できるように、京都府としっかりと連携をして進めていただきたいと思っております。

 また、文化庁内にも京都移転に前向きではない職員がいるとの声も聞いております。移転計画がおくれている状況でありますので、この間に、京都と東京の情報共有や役割分担などの課題解決にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。京都に文化庁を移転してよかったと言ってもらえるような準備をしっかりと進めていただきたいと思っております。

 法案の中身に入っていきますが、本法案は、二〇二〇年、オリンピック・パラリンピックイヤーを契機に、文化観光拠点の施設を中核とした地域における文化観光を推進するために、基本計画の策定、拠点計画、地域計画の認定をし、これらの計画に基づく事業に対する特別の措置を講ずるものと聞いております。

 海外の方々をお迎えするのに、観光施設での多言語での表記やWiFiの整備、キャッシュレス化など、大変重要なことと思います。私も、海外の友人から、日本はWiFiの整備がおくれていて不便だと以前から言われておりました。キャッシュレスに関しては大分進んできたように思います。おもてなしをするという意味では、海外の方々がストレスなく観光できるように整備する必要があると思っております。

 既に他の委員からも同様の指摘もございましたし、大臣から御答弁もありましたが、オリンピック、パラリンピックに間に合うように、六月下旬に拠点計画や地域計画の認定をされるとのことですが、もしオリンピック、パラリンピックが延期となった場合でも、また万が一中止となった場合でも、これらの基本計画の策定や今後の措置について、日程感の変更はないのでしょうか。大臣、お願いします。

今里政府参考人 本法案につきましては、早期に取り組みたいという要望を文化施設や自治体からいただいているところでもございます。したがいまして、東京オリンピックやパラリンピック競技大会、これの延期の判断が万が一行われた場合においても、計画や措置には変更はございません。

森(夏)委員 ありがとうございます。早期に取り組みたいとの自治体の声もあるとのことで、今のところ変更は考えていないということであります。

 私自身も東京オリンピック・パラリンピックを大変楽しみにしている一人でありますので、予定どおりの開催を願っておりますけれども、この新型コロナウイルスの今の状況を見ておりますと、三月に入り、特に今、イタリアを始めヨーロッパや、イラン、アメリカなどでも日に日に感染が拡大し、深刻になっている状況で、延期の判断もやむを得ないのではないかと思うようになりました。

 総理もおっしゃられていましたが、完全な形でのオリンピック、パラリンピックの開催というのは、まず新型コロナウイルスの終息をして、選手たちが練習できる環境を整える、代表選考が行える形になってからだと思います。

 文化観光の推進は大変重要なことでありますが、繰り返しになりますが、現在の新型コロナウイルスが感染拡大している時期での、この感染症が終息しなければ、観光業に携わる方々は、文化観光の推進もいいけれども、まずは国を挙げて新型コロナウイルスを終息させてほしい、もとの生活に戻れるように何とかしてほしいというのが国民の思いです。まずは終息に向け、全力を注いでいただきたいと思います。

 オリンピック、パラリンピックの延期が決まった際には、拠点計画や地域計画の認定などについては時間的余裕を持って進められた方が、よい準備、整備ができるのではないかと思いますので、検討をよろしくお願いいたします。

 ことしは東京オリンピック・パラリンピックの年ということで、多くの海外の方が来られる予定であり、観光面においてもさまざまな準備を進めてこられたと思います。新型コロナウイルスの問題がなく、オリンピック、パラリンピックが七月二十四日からの開催であれば、ぜひ国際観光振興機構に海外宣伝を積極的に行っていただきたいと思っておりましたが、新型コロナウイルスが世界じゅうで感染拡大している中で、国際観光振興機構による海外宣伝の内容や時期については配慮が必要と考えますが、どのように考えられているのでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 観光庁といたしましては、新型コロナウイルスに対する日本の取組でありますとか、国内観光施設の開業状況等を海外に正確に発信することが現在は重要というふうに考えておりまして、関係機関と連携しつつ、日本政府観光局、JNTOのホームページやSNS等によりまして正確な情報発信でありますとか、あるいはJNTOのコールセンターにおける問合せ対応に取り組んでいるところでございます。

 その上で、御質問のありました日本政府観光局におきます海外宣伝に関しましては、現在、世界各地の感染拡大状況でありますとか、日本への渡航制限に関する情報を注視しておりまして、そういった各国の状況や事業の類型に応じまして、プロモーション事業の延期や中止を個別に判断させていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、まずは、今般の新型コロナウイルスに対する日本の取組、我が国の状況等を海外に対して正確に情報発信するとともに、今後、コロナウイルスの状況が落ちつき次第、反転攻勢に転じることができるよう、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。情報発信については配慮をしていただいているというお話でありました。

 オリンピック、パラリンピックが開催されるかどうかわからないということで、選手の皆さんのストレス、また、日本だけではなく海外でも、不要不急の外出禁止など、さまざま世界じゅうでストレスを抱えていらっしゃる方がいます。この中で観光に来てくださいとPRするのもなかなか難しい時期なのではないかと思っております。新型コロナウイルスが終息した際にはしっかりと発信できるように、準備も進めていただきたいと思います。

 次に、文化観光推進の重点地域について伺いたいと思います。

 文化観光推進に対する今回の予算は約十五億円ということでありますが、全国全ての観光施設に対して適用することはできないと思います。申請があった順に進めていくのか。東京オリンピック・パラリンピックが予定どおり開催される予定で準備を進めてこられたと思いますが、今回の法案では、東京オリンピック・パラリンピックを契機にということでありますので、共通乗車券などの特例措置なども実施されると思いますが、東京から比較的行きやすい周辺地域を対象とするのか、それとも逆に、地方に足を運んでもらうために、地方の観光拠点を支援するための法改正となるのでしょうか。若しくは、特に重点地域のようなものは定めないのか。

 この文化観光推進の重点地域についてどのように考えられているのか、教えてください。

今里政府参考人 本法案における認定は、基本方針に照らして適切か、それから文化観光拠点施設としての機能の強化や地域の文化観光の推進に寄与するか、そして円滑かつ確実に実施されると見込まれるかということが認定の要件、判断基準でございまして、申請された計画がこれら全てに適合すれば認定されることになります。

 そして、今お話のございました重点地域、こういったものは定めないとしております。これまで、国内外からの観光旅客を引きつけるための解説、紹介、発信に関する課題ですとか、国内外からの観光旅客が来訪しやすくするための交通手段等の利便性向上に関する課題、これらを抱えて、それらについて意欲的に取り組もうとする地方の文化施設や地域が、本法案に基づく支援によって一層の文化観光の推進を図ることができる、このように考えてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 重点地域のようなものは特に定めないということでありますが、ぜひ地方にも足を運んでいただけるような環境が整えばと思っております。

 次に、東日本大震災の復興支援について伺いたいと思います。

 東京オリンピック・パラリンピックは復興オリンピック・パラリンピックと位置づけられております。東日本大震災からの復興を世界に示す絶好の機会です。東北にも福島にもさまざまな国の方々に訪れていただき、歴史や伝統文化を知ってもらう、東北のおいしいものを食べていただくことができる機会にしていただきたいと思います。福島県は、九年たっても、いまだ風評被害に悩まされております。福島県産の安心、安全な農林水産物のPRもしっかりとできる機会になると思っております。

 延期になるかもしれませんけれども、東京オリンピック・パラリンピック開催期間中とその前後の文化観光における東日本大震災の復興支援について、何かあれば教えてください。

今里政府参考人 今委員から御指摘ございましたように、東京オリパラの大会は、スポーツだけではなくて、文化の祭典でもございます。魅力ある我が国の文化を世界に発信するとともに、地域の文化資源を掘り起こし、地方創生や観光振興の実現にもつなげる、まさに絶好の機会で、そのとおりでございます。

 文化庁では、この機会を捉えまして、全国各地での日本博を始めとする文化プログラムの展開、歴史を体感するプログラムの開発等に取り組んでまいりました。

 例えば、東北地方の文化財を活用した復興支援ということでございますけれども、日本博で一つ位置づけられている事業に、被災地復興を主要の分野の一つとまず日本博で位置づけているわけでございますけれども、例といたしまして、仮設住宅のアルミサッシ、これを材料としたモニュメントを被災地の子供たちと作成してオリパラ関連施設に設置する、これはまさに被災地復興ということと絡めた形での文化観光の事業というふうに言えるかと思います。

 こういった例がございますことを御紹介させていただきます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 先ほど御紹介いただいたような、特に子供たちと一緒につくるというモニュメントなどは大変すばらしいと思います。子供たちの記憶にも残る、形としても残るものなので、こういったものもどんどん進めていただきたいと思います。

 また、延期になることは望んでおりませんけれども、延期になれば準備期間もまたありますので、東北の復興支援、しっかりとしていただきたいと思っております。

 私の地元京都でも、新型コロナウイルスにより、観光業が大変大きな影響を受けております。大きなスーツケースや大きなリュックを背負った外国人観光客を本当に見なくなりました。観光業に関しては、日に日に経営が悪化している状況であります。貸し着物屋さんや民泊、飲食店など、既に倒産されたお店もありますし、長期化すればもたないと言っておられる事業者の方々もたくさんおられます。

 文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進が必要なことは十分理解をしておりますが、今、観光業に携わる方々は、それどころではないのが現状です。現在大きな影響を受けている観光業への支援策について教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスによります観光関連産業への影響につきましては、外国人旅行者が大きく減少していることに加えまして、日本人旅行者のキャンセルや今後の予約を見送る動きが広がっており、全国の観光関連事業者からは、資金繰りや雇用の維持、また事業の継続自体が困難な状況だとの深刻な声もいただいているところでございます。

 このような厳しい状況でございますが、まずは国内の感染拡大防止こそが最大の支援策との認識で、関係省庁と連携して、一刻も早い感染の封じ込めに努めてまいります。

 また、観光関連事業者の事業継続のため、関係省庁と連携いたしまして、資金繰りと雇用の維持の支援策に取り組んでおりまして、具体的には、例えば、セーフティーネット保証五号対象業種への宿泊業の追加や、実質的に無利子無担保の特別貸付けの創設、また、雇用調整助成金の要件緩和などが実施されてきているところでございます。

 このような支援策が、厳しい経営環境に置かれております地域の観光産業の隅々にまで届くよう、観光庁といたしましては、各地方運輸局に設置した特別相談窓口等を通じ、制度の周知徹底や活用の促進に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 また、状況が落ちつき次第、国内外から多くの観光客に日本の各地へ訪れていただくためには、今この時期に、個々の観光地の魅力を高め、広く観光客を受け入れるための環境の整備を着実に進めておくことも大変重要であると考えておりまして、こうした観点から、現在、感染防止取組期間を助走期間と位置づけまして、基盤を整備すべく、予備費を活用しながら、地域の多様な観光資源を生かした魅力ある滞在型旅行商品を造成することによりまして、観光地の高付加価値化、あるいは誘客先の多角化を促進するとともに、多言語表示の充実などによりまして、外国人旅行者の受入れ環境の整備を推進することにしております。

 引き続き、関係業界、関係省庁と緊密に連携しつつ、対策に万全を期してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。ぜひ積極的な支援をよろしくお願いいたします。

 次に、インバウンド需要に頼り過ぎる観光業の問題点について質問をさせていただきます。

 今回の新型コロナウイルスにより、インバウンド需要に頼り過ぎる観光業の問題点が浮き彫りとなりました。これは外国人向けの商売をしていた事業者の自己責任だと言われるかもしれませんが、インバウンド需要を伸ばしていくことが日本経済にとって大変重要なことであります。しかし、今回のことで、多くの事業者が影響を受けております。近年は大規模災害も多いです。いつ起こるかわからない中で、何かが起きたときに対応できるようにしておかなければならないと思います。今回のことも教訓にする必要があると思っております。問題が起きてから支援をするのではなく、問題を未然に防ぐべきであると思います。

 現在のインバウンド需要に頼り過ぎる観光業についてどのように認識され、改善点やサポートの必要性など、今後の支援策など何かあれば教えてください。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども答弁させていただきましたけれども、誘客先の多角化に取り組むということも一つの重要な課題と考えておりまして、観光庁といたしましては、そうした地域に、取り組む地域に対しまして、いろいろな補助等の支援等を今後とも行ってまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 なかなか未然に防ぐというような対策はないのだと思いますけれども、今後、新規で外国人を対象にインバウンドをしっかり取り込んでいこう、そういう事業を始められる方に関しては、こういった問題も起こり得るのだということもしっかりと伝えて、情報提供などはしていただきたいと思っております。

 昨年まで、誰もオリンピック、パラリンピックが延期になるとは考えもしなかったと思います。何が起こるかわかりませんので、できるだけ事前に対応できるようなことを、対策を打てるように支援もお願いしたいと思っております。

 世界じゅうでの新型コロナウイルスの終息を待っていては、ことしはオリンピック、パラリンピックはできません。各国の渡航制限が長期化すれば、日本経済も今後も更に大きな影響を受けることになります。

 国内においては、新型コロナウイルスのピークアウト後には、国民が観光に行きやすい環境づくりが必要と考えます。マスクやアルコールの消毒液の不足の解消もその一つだと思います。金銭的な支援も必要だと思います。国民が観光に行くために後押しが必要と考えますが、何か対策を考えられているのでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、宿泊業界や旅行業界等の現場の声も伺っているところでございますけれども、皆様からは大規模な旅行需要喚起策が求められております。こうした声にしっかりと耳を傾けながら、状況が落ちつき次第、反転攻勢に転じまして、一日でも早く国内外から多くの観光客に日本の各地を訪れていただくことができますよう、強力な観光需要喚起策の検討を進めているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。ぜひ後押しを、観光に行けるように後押しをお願いしたいと思います。

 本法案において、拠点計画、地域計画の認定をして文化観光の整備をしても、人が来なければ文化観光の振興にはなりません。やはり、今やるべきは新型コロナウイルスの終息と、まずは日本人が外に出る、外でお金を使う雰囲気づくり、環境づくりが先だと思います。

 もし、オリンピック、パラリンピックが延期になるようなことがあれば、大臣のおっしゃられていた六月下旬までに拠点計画、地域計画の認定をして、急いで進めていかなくてもよいのではと思っております。冒頭で質問もさせていただきましたけれども、文化庁の京都移転もそうですが、しっかりと時間に余裕を持って進めていただきたいと思っております。

 今、国民は、不要不急の外出を控え、外食や観光も控えております。新型コロナウイルス終息後に向けてマインドチェンジをしていかないといけないと思いますが、何か対策は考えているのでしょうか。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の新型コロナウイルスによりまして、世界規模で人の移動が減少しております。また、日本の中でも旅行控えが広まっているというふうに認識しております。このような中で、議員御指摘のとおり、状況が落ちついた後、国民の皆様に旅行していただくためには、日本各地を積極的に旅行しようと思えるような機運の醸成が非常に重要であるというふうに考えております。

 現在は感染拡大防止の徹底が最優先でございますけれども、状況が落ちつき次第、官民一体となったキャンペーンの実施でありますとか、観光についてのメッセージの発信等に強力に取り組んでいく必要があると考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。状況が落ちつき次第、ぜひよろしくお願いいたします。

 大臣に伺います。

 休校中の子供たちが家でテレビを見る機会が多く、連日暗いニュースを目にしています。ゲームをする、家で漫画を読むなど家にいることが長くなり、子供たちがストレスをためてきているという話を伺います。卒業式や卒業前のイベントができず、つらい思いをした子供たちが、今、不要不急の外出を控えるということでストレスを抱えています。今後、児童生徒の心身のサポートが大変重要と考えますが、何か対策を考えられているのでしょうか。

萩生田国務大臣 自宅で過ごす時間が長くなることに伴う生活リズムの乱れやストレス等の課題については、教育委員会や学校においても必要な対応を講じていくことが重要であると考えております。

 このため、文部科学省においては、各都道府県教育委員会等に対して、自宅で過ごす児童生徒やその保護者との連絡を密にし、二十四時間子供SOSダイヤル等の相談窓口を適宜周知するとともに、必要に応じて養護教諭やスクールカウンセラー等による支援を行うよう依頼をしているところです。

 また、先般、各地域における臨時休業中の取組事例を取りまとめ、公表したところであり、その中で、家庭訪問の際に健康状態を確認したり、子供の生活の様子や健康状態を知るため、期間を設定して子供と保護者に学校に来ていただくといった好事例を広く周知しているところです。

 文科省としては、引き続き、児童生徒の心のケア等について、自治体との丁寧な情報交換を行いながら、必要な支援に努めてまいりたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、子供たちへの支援をよろしくお願いいたします。

 最後に、これも大臣に伺います。

 一日も早い新型コロナウイルスの終息を願っておりますが、ゴールデンウイークには、ずっと自宅で過ごすというようなことではなく、観光に行けるような環境になっていればと思います。地方の余り人口密度の高くない穴場の観光地の紹介や公園などの開放的で子供も大人も楽しめるような場所の紹介なども積極的にして、ゴールデンウイークには外出をして過ごすことができるようにしなければならないと思っております。

 ゴールデンウイークに向け、日本国民が国内旅行や近所の屋外の施設や屋外でのイベントに行けるような環境づくりを国としてつくるべきだと思いますが、何か対策を考えられているのでしょうか。

萩生田国務大臣 私も、個人的には、ゴールデンウイークのころには、皆さんが心配なく外に出られる環境が日本国内でできたらいいなという期待はありますけれども、念のため申し上げておきますけれども、四月の学校再開も、決して状況は変わっているわけではまだございません。緊張感を持って、しっかりと子供たちを守る、この決意で再開に向けて努力をしてまいりたいと思います。

 その上で、今先生からさまざまな御提案があって、外遊びといいますか、外へ出ることは、密集を避ければ、あの三つの要素が重ならなければいわゆる感染リスクは低くなるということは専門家の皆さんもおっしゃっているわけですから、そういう意味で、安全な場所を探して外へ出ることは一つの方策として考えられると思いますけれども、人の集まらない観光場所をあらかじめサイトなどに載せて、穴場情報なんといって、そこにまた人が集まっては意味が同じだと思いますので、その辺は、我々文科省だけじゃなくて、観光庁ともしっかり連携をとっていきたいなと思っています。

 今が我慢どころだと思いますので、今まで我慢して取り組んできたこの言うならば警戒態勢を引き続き頑張って、何とかゴールデンウイークのころには皆さんが笑顔で外に出られるように、各省横断で力を合わせて、しっかり封じ込めに努力をすることを改めてお誓い申し上げたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣からは心強い御答弁をいただきましたので、ぜひよろしくお願いします。

 城井委員からもお話がありましたけれども、同じ内容なんですけれども、私のところにも昨晩留学中の友人から連絡があり、奨学金がストップして、帰ることもできない、帰る旅費も出せない、帰ってからのホテル代も心配だということで、どうにもできないという学生がたくさん周りにいるということで、何とかしてほしいという声がありましたので、対策をお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

橘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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