衆議院

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第20号 令和2年8月19日(水曜日)

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令和二年八月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 盛山 正仁君

   理事 後藤 茂之君 理事 新谷 正義君

   理事 冨岡  勉君 理事 長尾  敬君

   理事 平口  洋君 理事 小川 淳也君

   理事 岡本 充功君 理事 高木美智代君

      あべ 俊子君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    小倉 將信君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      神田  裕君    木村 哲也君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      白須賀貴樹君    杉田 水脈君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    出畑  実君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    山田 美樹君

      阿部 知子君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    岡本あき子君

      下条 みつ君    白石 洋一君

      武内 則男君    中島 克仁君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    青山 雅幸君

      藤田 文武君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       大塚  拓君

   内閣府副大臣       宮下 一郎君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   厚生労働大臣政務官    自見はなこ君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高杉 優弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         井内 雅明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十九日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     出畑  実君

  国光あやの君     神田  裕君

  塩崎 恭久君     小倉 將信君

  繁本  護君     杉田 水脈君

  西村智奈美君     武内 則男君

  藤田 文武君     青山 雅幸君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     塩崎 恭久君

  神田  裕君     国光あやの君

  杉田 水脈君     繁本  護君

  出畑  実君     大岡 敏孝君

  武内 則男君     西村智奈美君

  青山 雅幸君     藤田 文武君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件(新型コロナウイルス感染症対策等)


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     ――――◇―――――

盛山委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に新型コロナウイルス感染症対策等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官高杉優弘君、厚生労働省大臣官房総括審議官山田雅彦君、大臣官房総括審議官井内雅明君、大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐原康之君、医政局長迫井正深君、健康局長正林督章君、医薬・生活衛生局長鎌田光明君、職業安定局長田中誠二君、子ども家庭局長渡辺由美子君、社会・援護局長橋本泰宏君、社会・援護局障害保健福祉部長赤澤公省君、老健局長土生栄二君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。安藤高夫君。

安藤(高)委員 おはようございます。自由民主党の安藤高夫でございます。

 本日は、質問の機会をありがとうございます。私の方からは、コロナ関係で二つ、あともう一つ、専門医の関係で一つ、御質問をさせていただきたいと思っております。

 では、質問の第一番ですけれども、コロナ対策と保健所機能についてでございます。今、新型コロナ感染症が拡大していますけれども、保健所機能とかかりつけ医の連携についてお伺いをさせていただきたいと思っています。

 ホテル療養、また自宅で療養している軽症者や無症状者の方が、今、特に東京なんかでは大勢いらっしゃいます。かかりつけ医が情報を知ろうとしても、個人情報ということで、保健所がなかなか情報を出してくれない、あるいは非常に時間がかかったりする例があります。この障壁が診療の障害にもなっております。

 また、自宅療養されている陽性者の方がぐあいが悪くなって保健所に電話をしても電話が通じないために、自分で勝手に救急車を呼んだりしてしまって、後のトレースができなくなったりしてしまう例もございます。

 そういった面で、保健所の実態はどうなっているのか、厚生労働省にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

正林政府参考人 お答えします。

 自宅療養、宿泊療養の運用に当たっては、適切な感染拡大防止等の安心、安全な療養環境の実現に加え、患者に対するフォローアップ体制の整備が重要と考えております。

 このために、都道府県等に対し、自宅療養、宿泊療養中の患者が医療の提供が必要になった場合などにおいて、患者が適切に医療機関を受診できるよう、フォローアップ体制の整備を都道府県等に要請しております。

 このフォローアップ業務については医師会等に委託することも想定されており、地域の医師の先生方が患者に関する必要な情報を把握することも可能となると考えております。

 一方で、保健所の負担軽減が課題になっていることから、各自治体に対して、電話相談等に係る人員の雇用に係る経費の助成、外部委託、縮小、延期等が可能と考えられる保健所業務のリスト化、ICTを活用した保健所業務の効率化などの支援を行ってまいりました。

 また、都道府県等に対して、住民からの問合せに十分対応できる相談体制、特に土日夜間の体制などの整備に向け、六月十九日に、全庁的な協力体制のもと、必要な人員体制を確保するよう要請を行ってまいりました。

 今後とも、自宅療養者等が必要に応じてかかりつけ医にかかることができるようしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

安藤(高)委員 ありがとうございます。

 情報の連携がしっかりすることによって、逆に保健所業務も軽減されると思っております。また、個人情報に関しては、事前に患者さんとかかりつけ医が書面でちゃんと契約を交わす、あるいは保健所が陽性者の方と話し合ってそこら辺のところを解決しておくというようなことをする仕組みができれば、個人情報の壁というものもうまく薄くなってくるんではないかと思いますので、そのような仕組みづくりもお願いできれば、そう思っております。

 二つ目の質問ですけれども、コロナ対策としてのPCR検査等についてでございます。

 日本医師会や東京都医師会、あるいは病院団体、介護団体からも、ぜひともPCR検査やLAMP法、そして抗原検査の拡充という要望が非常に出ていると思います。そこで、医療機関、介護施設への入院時又は入所時のPCR検査等についてお伺いをさせていただきたいと思っています。

 院内感染やクラスターを発生させないためにも、現場からは、入院時あるいは介護施設の入所時に、全例に近く、PCR検査等や抗原検査をやってほしいという意見が数多くあります。このようなことを踏まえて、全例PCR検査等の実施について費用負担を含めてどのように考えているのか、教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナウイルス感染症に係る検査については、医師が必要と判断した方や、症状の有無にかかわらず濃厚接触者の方、さらには、クラスターの発生など、地域における感染状況を踏まえ感染拡大を防止する必要がある場合を含めて、必要な検査が迅速かつスムーズに受けられるようにすることが重要と考えております。また、入院患者や高齢者施設の入所者は重症化リスクが高いことから、院内、施設内感染対策の強化が重要となります。

 こうした観点から、これまでも、医療機関や高齢者施設において感染者が発生した場合には、適切な感染管理が可能となるよう、感染が疑われる者への速やかな検査を実施することが重要であることをお示ししております。

 また、新規入所者について、入所時に、地域における感染の発生状況等を勘案して医師が必要と認める場合には、症状の有無にかかわらず検査を実施することが可能であることを自治体にお示ししており、新規入院患者についても同様と考えております。

 さらに、今般、感染者が多数発生している地域に所在する医療施設、高齢者施設に勤務する方や入院、入所する方については幅広く検査を実施することが可能であること、そのような地域が生活圏にある方が勤務、入院又は入所する施設についても同様であることを自治体にお示しし、さらなる積極的な検査の実施を要請いたしました。

 これらの新型コロナ感染症の検査に係る費用については、検査試薬の費用も含め、行政検査として行うものについては公費で賄うこととしており、こうした検査に係る費用等について補正予算等に計上しているところでございます。

 他方で、御指摘のように、全例PCR検査を行うことについては、PCR検査が一〇〇%の感度、特異性を持たないことにより、医療資源を圧迫するおそれや、本来必要のない行動制限を多くの方に強いるおそれ、いわゆる偽陽性ですね、検査で陰性とされた感染者が自由に活動することによって感染を拡大させるおそれ、いわゆる偽陰性、そうしたことがあることに留意する必要があると考えております。

 その上で、厚生労働省においては、第二次補正予算に検査機器の整備支援など関連事業を盛り込み、自治体における検査体制の整備に向けた取組を強力に支援することとしており、引き続き検査体制のさらなる強化に取り組んでまいりたいと考えております。

安藤(高)委員 全例ということができればいいんですけれども、それが無理ならば、多少リスクを絞りながらも拡大をしていっていただきたいと思います。また、患者さんや入所者だけではなくて、慢性期の医療機関や精神科の医療機関、あるいは介護施設も閉鎖空間が結構多いので、ぜひとも、職員の人たちの定期的な検査ということも現場からは非常に上がっておりますので、そういうこともお考えになっていただければと思っています。

 今回はPCR検査の質問をさせていただきましたけれども、コロナ関連でいえば、先生方は御存じのように、医療機関が非常に疲弊している、経営的にも厳しい状況にございます。損失補填があれば一番いいと思っていますが。さらに、国からはさまざまな交付金をいただいておりますけれども、都道府県の解釈によって、申請が認められないものや、申請しても非常な額を減額されてしまうような状況もあります。また、精神科の救急に関しても、これは交付金の対象になっておりますけれども、ある都道府県では病院数を絞り込んでしまっているような、そのようなローカルルールというものも今あります。

 ぜひとも、医療提供体制を守るために、適正に執行されるように国からも都道府県の方にしっかりとお話をしていただければと思っています。

 最後に、コロナの状況下において、医療機関においてさまざまな企業から御寄附をいただいております。これは、非常に現場が明るく、モチベーションが上がって、本当にありがたいんですけれども、もしできれば、今後の施策の中で、特に医療法人への寄附金への税額控除も検討をしていただければ、ますますそのようなハッピーな流れができると思いますので、よろしくお願いしたいと思っています。

 では、最後の質問になりましたけれども、専門医の育成についてです。

 専門医の育成について、隠れているちょっと大きな問題がございました。専門医に関しては、日本専門医機構が定めるシーリング、枠組みに沿って、地域偏在という問題も解決しながら育成を進めているという認識ですけれども、しかし、地方の大学等において、例えばリハビリテーションにおいて、リハビリテーションの講座がないというような大学もあったりします。また、講座があったとしても整形外科の教授が主任教授であるために、脳血管障害の部分が非常に不足しているようなこともお聞きしています。

 そうであれば、地域で育成されない事情があるならば、その診療科が地方の中である程度充実した体制ができるまでの期間だけでも、大都市部でしっかりと教育をして地方に放出をしていくべきではないかという声がございます。

 今後、診療科ごとに丁寧に実情を見ながら数の設定を考えていく必要もあると思いますけれども、そこら辺のことに関して厚生労働省としてはどうお考えなのか、お願いしたいと思います。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、専門医制度における地域偏在及び診療科偏在の是正を進める措置といたしまして、地域や診療科ごとの実情を踏まえた対応が重要でございます。

 日本専門医機構は、厚生労働省がお示しをしております都道府県別、診療科ごとに将来必要な医師数の見通しを踏まえまして、専門医を養成する研修プログラムの採用上限、これはいわゆるシーリングでございますけれども、を設定するとともに、地域偏在と診療科偏在に配慮いたしました専門研修を行っております。

 こうした中、通常のプログラムのシーリングとは別に、都市部と地方の両方で研修を行うことができる連携プログラムで採用を行うことができるよう、日本専門医機構では、専門医制度の開始当初から診療科と地域医療への配慮を行った研修が行われておるというふうに承知をいたしております。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、このような取組を進めることで専門医制度がよりよきものとなるよう、地域や診療科の実情を丁寧に把握をいたしながら、日本専門医機構とともに取り組んでまいりたいと考えております。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。ぜひとも、特に特殊な科については丁寧に御対応をしていただければと思います。

 コロナが目下の課題になっておりますけれども、やはり地域医療構想、地域包括ケアということも進めていかなければならないと思っています。今後、高齢者が非常にふえていく中、医療と介護、福祉の連携を進めていくという中でも、特に、厚生労働省の中でリハビリテーションに関して専門的なことを扱う組織横断的な部署が設置できれば本当にすばらしい流れになる、そう思っております。そういうことも将来的に考えていただければな、そう思っております。

 以上、私の質問とさせていただきます。本日はありがとうございました。

盛山委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党、伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、ワクチン開発について伺いたいと思います。

 日本の国民のためにワクチンを確保する方法は三つあるというふうに言われておりますが、一つは、まず、海外の企業と交渉するというところです。それで買い付けていく。現在、ファイザーあるいはアストラゼネカと合わせて二億四千万本が日本に来る、これも更に交渉をいろいろな企業とも進めていくというふうに伺っております。二つ目の確保方法というのは、日本単独でやるんじゃなくて、マルチの枠組みを通じて購入する。いわゆるCOVAXと言われるものですが、これは後ほどまた質問したいと思います。三つ目が、日本の国内の企業で開発していく。

 私の問題意識をまず申し上げると、開発とか治験はAMED、いわゆる日本医療研究開発機構、ここが予算を持って執行している。今、五つ、ワクチンの候補が国の支援を受けて研究開発が進められている、開発、治験が進んでいるという状況です。さらに、五つの候補というのは一次補正での予算を使っているものですので、今、二次補正予算を使った分を選定をしているというふうに伺っております。一方で、開発、治験の後の段階の製造の基盤を整備する、ここは、厚労省が執行する予算で六つの企業が今月採択されました。問題意識は、この二つがきちんと連携されているかどうかというところです。

 基礎研究から開発、治験に行って製造ラインまで結びついて初めて国民の皆様にワクチンを届けることができる。だから、それぞれの担当部署がそれぞれの基準でそれぞれに選んでしまって連携ができていないと、ここがなかなかうまくいかないんじゃないか。だから、ここは司令塔機能をしっかりと持っていただいて統合的に、戦略的に進めていただきたいと思いますが、大臣、御見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今、伊佐委員からお話がありましたように、新型コロナウイルス感染症に対する国民の皆さんの不安の一つの背景には、ワクチンとか治療薬というものが今のところは存在をしていないということがあります。

 ワクチンについても、今お話がありましたように、国内外において積極的な開発がなされておりまして、それらの果実を早期に日本の皆さん方に供給あるいは接種という形で提供していくように努めていきたい、これが基本的な姿勢であります。

 その中において、海外の話はちょっとはしょらせていただきますけれども、国内については、御指摘のように、第一次、第二次補正予算などを通じて基礎研究、臨床研究を含めた研究開発を加速化していくという柱が一つ、それからもう一つは、それを踏まえた上で生産体制の整備を図る、この大きく二つのフェーズがあるわけであります。

 今お話がありましたように、総合的な戦略のもとでワクチン開発、生産を国内においても進めていかなきゃいけないというのはおっしゃるとおりだと思います。

 そういった意味で、役割分担としては、研究費予算はAMEDの方につけているわけでありますけれども、これは厚労省予算を交付した形でつけておりますが、このAMEDにおける研究公募に当たっては、企業でのワクチン生産につながる研究開発が行われていくんだ、そのために必要な研究開発を強力に支援するという事業の方向性を明確にさせていただいて、その点については我々厚労省とAMEDと共有をして、その上に立って、さらに、必要な生産設備に対する支援を行っていくということでございますので、今の時点においても、それぞれ連携をとりながら、より効率的に国内においても開発、生産、そして国民に対する供給ができるように、引き続き関係機関と連携を図りながら統一した戦略のもとで対応していきたいというふうに思います。

伊佐委員 ありがとうございます。

 例えば、具体的に申し上げますと、二次補正予算での今の選定作業は今月末までに決定されるというふうに伺っておりますが、ワクチンにもいろいろな種類があると伺っています。不活化ワクチンだったりDNAワクチン、あるいはメッセンジャーRNA、ウイルスベクターワクチン。五つの候補を見てみますと、大体満遍なく入っているなという気はしていますが、例えば入っていないのもありまして、レプリコンワクチンというのは入っていません。

 ワクチンにはそれぞれ特徴がある。例えば、さっき申し上げたウイルスベクターワクチンというのは複数回投与できない可能性があるとか。あるいは、必要な量も違う。例えば、ある試算では、DNAワクチンは接種量が大体一から四ミリグラム。これを国民一億二千万人分全体を用意しようと思うと、二百五十三キログラムつくらないといけない。AMEDで今回採択されたある会社いわく、年度内に二十万人分できますと。これは八百グラムですから、このまま計算すると何百年かかるわけです、これをつくるだけで。メッセンジャーRNAワクチンは十二・七キログラムで済む。さっきの二百五十三キロより大分少ない。レプリコンワクチンは、一人当たりの接種量は一マイクログラムでいいので、日本国民全体分でも百二十七グラムつくればいい。

 もちろん、ある試算ですので、この限りではありませんけれども、今回の二次補正予算の選定に当たっては、新たなワクチンを選んで国費を投入していくわけですから、最後の実用化の分までしっかりと、生産ラインのあり方まで含めて選定作業を進めていただきたいと思いますが、いかがですか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 厚生労働省といたしましては、第二次補正予算におきまして、ワクチン開発の支援のためにAMED研究として五百億円を計上し、研究開発を支援をしているところでございます。現在、AMEDにおいてワクチン開発のための研究課題の公募が行われておりまして、当該公募において、早期の実用化も審査の際に勘案すべき点、このようにされていることから、御指摘の実用化に向けた観点も考慮して課題が選択されるものと考えております。

 引き続き、有効性と安全性が確認されたワクチンをできるだけ早期に実用化し、国民に提供することを目指して取り組んでまいります。

伊佐委員 私がさっき二つ目の選択肢と申し上げたCOVAXファシリティーについても質問させていただきたいと思います。きのう稲津副大臣に公明党から申入れをさせていただいたので、もし可能であれば稲津副大臣の方から答弁いただければありがたいなというふうに思います。

 もともと日本はそれぞれの国とバイで買い付けもやっていますが、やはりマルチでの買い付け、マルチでしっかりと共同購入していくということも重要だ。というのは、今は二億四千万本ですが、もともと、ワクチンの開発の成功率というのは極めて小さいというふうに言われています。複数回接種する必要も出てきますし、あるいは、もしかすると同じ種類では打てないという場合も出てくるかもしれません。

 そういうようなリスクヘッジ、より選択肢を広げていくという観点からCOVAXファシリティーというのが考えられている、今議論されています。高中所得国で資金を拠出して複数のワクチン候補に資金提供する、成功すれば人口の二〇%のワクチンを得ることができる、途上国もワクチンが入手できるというようなものです。

 八月末までに参加するかどうか回答するようにとなっていたのが、まだ詳細は決まっていなくて、回答期限が延期される模様というふうに伺っています。

 昨日、公明党からも、積極的に検討すべきじゃないかというふうに申入れをさせていただきました。それを受けての今の検討状況を御答弁いただければと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 お尋ねのCOVAXファシリティーにつきましては、新型コロナウイルス感染症のワクチンを複数国で共同購入する国際的な仕組みでございまして、高中所得国はみずから資金を拠出してワクチンを自国用に購入をして、低所得国はドナー国からGAVIワクチンアライアンスの拠出金によりワクチンを入手する、今議員から御指摘のとおりでございます。

 現在、GAVIワクチンアライアンス、感染症流行対策イノベーション連合及びWHOが中心となってその枠組みが検討されているところでございまして、我が国も関心を表明してこの議論に加わっております。

 きのうも公明党からの申入れがございましたけれども、現在の検討の状況につきましては、交渉中の案件でございまして、詳細については差し控えますけれども、国内開発の進捗や海外企業との交渉状況もしっかりと見きわめつつ、どのように対応するか検討してまいりたいと考えております。

伊佐委員 リスクを少なくするというのも大事な観点だと思いますので、ぜひ積極的に検討いただければというふうに思います。

 もう一つ、このマルチの枠組みの中でパテントプールという考え方もありますが、これはまた時間があれば質問させていただきたいというふうに思っております。

 先に、時間の都合上、通告では一番最後の雇用の話をさせていただきたいと思います。

 この月曜日にGDPの速報値が出ました。年率で二七・八%減、戦後最大の落ち込みというふうに言われている。これは四―六の数字でありますが、リーマンと異なるのは、非常事態宣言で経済を意図的にとめていたということで、ある程度は想像できたのではないかというふうに思っております。

 ただ、大事なのはどこかというと、雇用だと私は思っています。雇用さえしっかり維持できていれば、回復、景気の立ち直りも早いというふうに思っています。ここが崩れると経済を一から立て直していかなきゃいけないということになるというふうに思っておりますが、今の雇用情勢を政府はどのように認識していますでしょうか。

田中政府参考人 令和二年六月の有効求人倍率ですが、一・一一倍と、前月より〇・〇九ポイント低下をしております。

 中身を見ますと、有効求人倍率の分子であります有効求人数の方は引き続き減少しておりますけれども、減少幅は大きく縮小して、足元では下げどまってきている感があります。一方で、新規求職者数の方は大幅に増加をしているということで、有効求人倍率の低下につながっているという状況でございます。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて離職されたけれども求職活動をしていなかった方々が求職活動を開始する動きも見られるというふうに考えております。

 それから、労働力調査による完全失業率ですが、二年六月は二・八%と、前月よりも〇・一ポイント低下、改善しております。完全失業者数は前月よりも三万人減少ということになっておりますけれども、そういう意味で、瞬間風速では改善しておりますけれども、中身を見ますと、完全失業者数の中で、勤め先や事業の都合による離職者は前月より六万人増加して、これは五カ月連続の増加ということで、これが懸念要素と言えると思います。

 今回の大きな特徴であります休業者につきましては、四月は前年同月差で四百二十万人の増加でありましたけれども、五月は二百四十七万人の増加、六月は九十万人の増加ということで、休業者の増加幅は縮小してきております。

 五月に休業者であった方が六月にどういう就業状態かということを見ますと、約四五%の方が休業を継続をしておりますが、約四七%の方が従業者となりまして仕事に戻っておられます。完全失業者となった方は約二%にとどまっているという状況でございます。

 こうした状況を総合しますと、現在の雇用情勢は、求人が求職を上回って推移しているものの、求人が引き続き減少しており、求職者の増加も相まって、厳しさが見られると認識しております。新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響により一層注意する必要があると考えております。

伊佐委員 厳しさが見られるという最後の結論でありました。

 完全失業率にさっき言及いただきましたが、二・三%の失業率が二・八%まで上がっていると。ただ、やはりリーマンと違うのは、リーマンの後の失業率というのは五・五%ですから、ここの今二・八の部分をいかにこれからふえていかないように抑えるかということが非常に大事だというふうに思っております。

 その上で、大事な切り札が雇用調整助成金だというふうに思っております。九月末で特例措置が切れます。各企業は、今、八月末になろうとしておりますので、決断が迫られています。

 一刻も早く決断をしていただきたいと思いますが、我が党からも十分な期間の延長ということを申入れをさせていただいておりますが、大臣、一刻も早く、この雇用調整助成金、十分な期間を確保する延長を御決断いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員お話しのように、雇用情勢はまさに経済情勢とも密接にかかわってくるわけでありますので、そういった意味においては、感染症の防止対策をしながら、一方で、経済の再生というんでしょうか、回復というんでしょうか、それをしっかり図っていくということが基本的においてまず大事なことだと思います。

 そうした条件の中において、さらに、いかに雇用を守っていくのかという意味において、雇用調整助成金という形で、事業主の皆さんが雇用を維持していく、休業という形をとっても雇用を維持していこうということについて、これまでにない特例的な対応を今させていただいているところでございます。また、手続の簡素化、迅速な支給にも取り組ませていただいております。

 直近時点でありますけれども、八月十七日時点で七十一万件の支給の決定を行い、また、支給決定額は、若干時点がずれますが、八月十四日締めで八千六百十五億円というかなりの規模の支給をさせていただいているところでございます。

 今お話のありますように、現時点で今後の雇用調整助成金の特例措置をどうしていくのかということについてでありますけれども、現状は九月末となっておりますから、これについては、新型コロナ感染症の状況、雇用、経済状況の動向を踏まえながらも、やはり、企業の皆さん方が雇用をどう考えるのかということについては、直前に決めるわけではなくて、一定の期間を見ながら先行きを判断されていくということでありますから、そういったこともしっかり念頭に置きながら、適切な時期において今後の対応についての判断を示す必要があるというふうに考えております。

 また、それに当たっては、雇用特会の中で、しかも二事業で全て賄える状況ではありません。しっかりとした財源確保もあわせて図っていかなければならないというふうに考えております。

伊佐委員 現場の声を聞いていると、もちろん長い目で雇用の状況を考える方もいらっしゃると思います。でも、せっぱ詰まって、本当に目先をどうするかというような企業もたくさんあります。そういう意味では、今月末というのも一つのタイムリミットではありますし、また、どれぐらいの企業が必要かという見きわめというのはもちろん政府全体としてはされるんでしょうが、少なくとも、困っている企業があればツールとしてはちゃんと残しておくべきだというふうに思いますので、ぜひ一刻も早い決断をいただければと思います。

 最後、簡単に質問させていただきますが、障害者のグループホームで大阪でもクラスターが発生をしまして、四十三名が陽性。大体、障害者の施設で出た場合というのは軽症とか無症状であってもケアが必要なので、宿泊施設などの療養施設に入れません。今回も病院で受け入れたのは一名のみというような状況です。こういうようなものをどうするか。あるいは、いざというときの連携体制。職員が足らなくなる、応援体制をどうするか。

 これはもう厚労省から実は通知を出していただいています、七月三日。各都道府県あるいは各自治体でしっかりと検討して体制を整えてくれと言っているんですが、実際、大阪でこうやって起こるとこういう状況になるわけです。やっているところもあるし、できていないところもあって、ここは通知を出しっ放しにするんじゃなくて、しっかりとフォローアップして、都道府県で対応が進むように国として必要な支援をしていただきたいというふうに思いますが、最後、質問します。

赤澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、障害者支援施設において感染者が発生した場合に、各都道府県に、事前に準備を整理して対応するという事務連絡を発出しているところでございます。

 それで、各都道府県における取組状況でございますが、今、各都道府県に報告をお願いしているという状況でございます。現在、七月末時点の取組状況の回答の集計を行っておりまして、引き続き、都道府県の状況を把握しながら、都道府県での取組が進むよう、私どもとしてもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

伊佐委員 しっかりと状況を把握して、必要な手を打っていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立国社の小川淳也です。

 きょうは、閉会中審査に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

 ただ、私どもとしては、速やかな臨時国会の開会を要求しております。ぜひ、委員長、そして大臣以下政府の関係者におかれても、速やかな国会開会に御協力をいただきたいと思います。

 冒頭、少し気になりますので、大臣、お答えになられる範囲でお願いしたいと思うんですが、総理大臣が先般病院に入られたということでございます。もちろん、単純な検査だという報道もありますが、片や健康不安を抱えておられるというお話もあるようです。これは国民にとっても大変な関心事でありますので、ふだん、閣議で、閣僚懇談会で、対策本部で、あるいはさまざまな調整の場面で大臣がどのように感じておられるか、お話しいただける範囲でお話しいただきたいと思います。

加藤国務大臣 実際の体調云々に関しては、それぞれ総理あるいは官邸からいろいろと発表があるんだろうと思いますので、私から何かそれについて申し上げるということはございません。

 それから、日ごろ感じている中においては、私は、これまでとお変わりはないというふうに認識をしております。

小川委員 きょうから御公務に復帰されるとお聞きしておりますし、万一体調の問題であれば、これは人道的に、本当にお見舞いを申し上げ、御回復を祈念いたしたいと思いますし、ただ、一方で、この状況下ですから、国民の健康や命の問題からすれば、決して、だからどうということにはならないわけでございまして、速やかな陣頭指揮への本格復帰をぜひお願いしたいと思っております。

 それで、大臣、きょう閉会中審査なんですが、これは私自身も不明の至りなんですが、この夏の期間は少し感染が抑えられるのではないかと勝手ながら期待していた部分がありました。それは、季節性のインフルエンザや、紫外線、湿度によって少し追い風、感染抑止という観点からいえばそれがあるのではないかと期待もあったわけです。しかし、残念ながら状況は御存じのとおりでございまして、大変大臣も御苦心を重ねておられると思います。

 そこで、今さらなんですが、今もってなおお認めいただきたいのは、明確にこれは第二波だと。三月、四月悶絶したあの第一波、一旦克服したかに見え、緊急事態宣言は解除され、そして今日に至っているわけですが、これは明確に第二波だという認識でいいですね。

加藤国務大臣 第一波、第二波という言い方なんですけれども、例えば、初期の中国経由のウイルス輸入症例が生じたときを第一波、あるいは、その後の欧米経由のウイルス輸入症例が国内に拡散したのを第二波と表現したこともございます。したがって、現在、どういうことをもって波と言うかどうかについて、必ずしも定義があるわけではありません。

 ただ、委員がだから何をもっておっしゃっておられるのか。例えば、新規感染者数がふっとふえてきていますよという、それを波だとおっしゃるのであれば、ここに来て新規感染者数がふえてきている、これは間違いない事実だというふうに思います。

 ただ、前回の状況と今回を比べると、その内容においては、例えば、軽症者の割合は若い人が多い、そして重症化の数が少ないという、そうした違う点もあるわけであります。

 別に、私どもは、現在、新規感染者数が増加をしていないなんということを言うつもりも全くありませんし、前回に比べてもかなり新規感染者数が多い状況になっているということ、このことはアドバイザリーボードからもそうした指摘を受けているところでもございますし、我々も、そういう認識のもとで、さまざまな対応を行っているということであります。

小川委員 第二波なのか三波なのか、それは言い方はいろいろあるでしょう。しかし、あのときは、三月、四月は、あれをもって緊急事態宣言を発出し、国民生活に大規模な自粛要請をかけ、そして限定的とはいえ補償に努め、そして、一旦感染終息かに見える状況までつくり出したわけです。

 これを第二波と言いたがらない気持ちもわからなくもないんですよ。当然、ではどうするんだということになりますからね。

 私に言わせれば、どうも、それを回避する、その中核的な責任回避から、まさにおっしゃった、何をもってどう言えばいいのかを政府がさまよっている限り、国民はさまよい続けるということだと私は思うんですよ。

 みんな、普通の日本語で理解していますから。状況を定義していますから。その定義の中核から政府が逃げておられるということが、この後、いろいろ議論したいと思いますが、問題の根本にある。あたかも無為無策のまま、ずるずると感染だけが拡大していると言わざるを得ない現在の状況の根本責任は政府のその姿勢にあるということを私は強く感じています。

 尾身先生、きょうはありがとうございます。

 社会保険病院の理事長としてお越しいただいています。片や、先生は今、分科会の責任者として、専門的見地から、大変な御見識もお持ちですし、ある種、説明責任が発生しておられる。

 その範囲で、お答えになれる範囲でお願いしたいんですが、ちょっとまずお聞きしたいのは、八月の七日に新たな警戒基準を四段階示されました。

 端的にお尋ねしたいんですが、あえてここで第一波と言いましょう。四月、五月の段階、三月、四月の段階で、人口十万人当たり二・五人の感染者が一週間で発生すれば、自粛要請なりさまざまな働きかけを公的に行う必要があるという基準を一旦置かれました。

 十万人中、一週間で二・五人です。これは、東京でいえば、十万人中二・五人ということは一週間で三百五十人ということなんですね。一日五十人ということです。今からいえば、それぐらい厳しい基準を置いていた。

 ところが、八月に改められた新たな基準では、ステージ4、一番重い基準は、いきなり十万人中二十五人になっている。一週間で三千五百人、一日当たり五百人だという基準にいきなり大幅に緩和されている。この理由は何ですか。

尾身参考人 お答えいたします。

 まず、感染の状況というのは日々変わっております。それで、先ほど大臣の方の御質問にありましたけれども、緊急事態宣言を出した四月の七日ですよね、それと今と、いろいろな共通のこともありますが、実は違うところも多くございます。

 したがって、私ども、今回、八月の七日に出させていただいたものは、今までの、初期のころと、それから緊急事態宣言を解除した後のいろいろなさまざまな経験もあるし、感染のいろいろな状況が異なっているのは先生も御承知のとおりであります。

 したがって、前に一度やった基準をそのまま、前に基準を出したからそのまま踏襲するということは、公衆衛生というのは感染の状況によってさまざまな対策を、対応を変化させていかなくてはいけないというのは、これは公衆衛生、感染症対策の基本でございます。

 したがって、今回、私どもが八月七日に出してもらった一つ一つの数については違いますが、あそこで、八月七日の基本的な考えは、緊急事態宣言を四月七日に出したときの状況は、感染の数だけでやったわけではなくて、むしろあのときの、先生も多分覚えておられると思いますけれども、最大の理由は二つあったと思います。

 そういうことで、今回の八月七日に出したのは、感染の状況ももちろん考えます。それと同時に、今、医療の体制ですね、ベッドの問題。それから、いわゆる監視体制というようなものも総合的に出す。しかも、各都道府県の知事がいろいろなリーダーシップを発揮しておって、私は、それは非常に重要で尊重したいと思いますが、こういう時期になって、国としての基本的な考え方、あるいは指標を、ステージごとに何をすべきか、出すというのが私は責任だと思ったので、分科会として提案させてもらって、そういう意味では、指標、一つ一つの数が違ったということはむしろ当然だと私は思っております。

小川委員 状況が変わるというのはそうだと思います。それから、あえて第二波と言いますが、第二波の初動段階で、重症者が少ない、あるいは高年齢層の方への感染が少ないということもそうだと思います。しかし、それもまた刻々と状況は変わっていますよね、既に。その前提で、今の定性的な御説明は、二・五人を二十五人、十倍に緩和したということの説明になっているのかどうか、私は甚だ疑問です。

 私どもから拝見していると、ゴールポストが動くんですよ。最初、基準を立てて、客観的に議論します、対処しますと言いながら、状況が動くとゴールポストが動く。では、その基準は現実を縛るものじゃなかったのか。基準に合わせて感染状況を絞り込む、抑え込むものじゃなかったのか。逆に、皆さんがつくられている基準は、現状を追認し、現状に追従しているものなんじゃないですか。そこで守ろうとしているのは、政権は対応している、対処しているという体面であり、メンツなんじゃないですか。私にはそう思えてならない。

 自治体も頑張っていると思いますよ。しかし、今となっては、東京アラートってどこに行ったんだ、大阪モデルってどうなったんだ。政府と同じような、ある種、ちょっとパフォーマンスという言い方までするときついのかもしれませんが、少し政治的な思惑とか政治的なパフォーマンスが先行し、その陰で、客観的な感染状態とか、あるいは国民の健康にかかわる問題が後回しにされているような印象を、この夏ずっと受けています。

 では、お聞きします。

 大臣、新たにつくられた基準で、今、全国でも、人口当たりで最悪の状況にあるのは沖縄県ですよね。沖縄県の病床使用率、七〇%を超えています。ステージ4の五〇を超えて七〇%。療養者数は、ステージ4の十万人当たり二十五名を超えて六十四名。そして、検査の陽性率は、ステージ4基準の一〇%を超えて一〇・一%。市中感染、経路不明者の割合、ステージ4の五〇%を超えて六八%。

 ここでは、尾身先生、明確におっしゃっていますよ、分科会の基準で。ステージ4に行けば、緊急事態宣言など強制性のある対応を検討せざるを得ない。政府がやらないから県が独自でやっているじゃないですか。

 大臣、これは、新たな基準に緩和したことも私は疑問だと思いますが、大幅に緩和した新たな基準でも、既に沖縄県の現状はこうです。大臣、これは速やかに、緊急事態宣言、国としての、沖縄県特定、まあ東京も大阪も大変な状況ですが、一番ひどい沖縄県に焦点を当てたそういう対応を考えるべきじゃありませんか。

加藤国務大臣 まず、先ほど、ゴールポストを変えているわけではなくて、要するに状況が、サッカーでいえば相手の戦略が変わった、ウイルスがいろいろわかってきたから、それに応じて体制を変えているということだけであって、最終的な私たちのゴールポストというのは、新規感染者数をいかに抑えていくのか、その中で重症化、死亡者をどう抑えていくのか、そして一方で、経済的なダメージを最小限に抑えるか、これが私たちのまさに目標でありまして、その中で、感染症あるいはコロナウイルスの実態等がわかる中で、それに必要な対策を打ってきている。そして、それを踏まえて、先般、分科会においてこうした指標もお出しになられたということだというふうに思います。

 その上で、この指標はあくまでも目安ということでございますので、それぞれの状況を踏まえながら、各県あるいは国が総合的に判断をしていくということでありまして、今いろいろ御指摘いただきましたけれども、沖縄においてはいわゆるレベル4の状況に来たというものと、まだレベル3にとどまっている状況、これはいろいろあるんだというふうに思います。

 そういった中で、国としては、このステージの判断とあわせて緊急事態宣言をどうするかについては、これまでもそうでありますけれども、専門家の意見も聞きながら、必要な場合においては判断をしていく、こういう姿勢には変わりはないということでございます。

 加えて、沖縄の状況は我々も懸念をしているところでありますので、先般、橋本副大臣にも現地に入っていただいて、そして、沖縄県ともよく協議をし、看護師あるいは保健師等の対応について全国知事会にもお願いをし、あるいは自治体の自衛隊に対する要請も踏まえた対応等、必要な対応をさせていただいているところでもあります。

小川委員 これは既に、指標を見る限り、必要な対応をとるべき局面に来ているのではないですかという指摘です。必要な対応を今後検討するじゃなくて、もう必要になっているんじゃないですかという指摘なんです。

 保健師さんを送られるとか、異例の対応、特別な対応をされていることは受けとめたいと思っています。が、それで本当に十分ですかということであります。

 それで、実は、本当に議論したいのはここなんですよ。

 私は、基準が動くことも非常に眉唾で受けとめていますし、動かした基準に適合したにもかかわらず措置を発動しないことにも疑問を感じています。ただ、全く理解できなくもないんです。

 先般発表されたGDPの約三割減なんという話も大変な話でしょう。簡単には自粛要請をかけられない、それも理解しているつもりです。じゃ、どうするかなんですよ。そこがないんです、今の政府に。じゃ、どうするんだと。

 これは、結論から言うと、もうかねてから提案していますが、検査の徹底拡大しかないんじゃないですか。拡大に努力はされていると思います。確かに、一日数千件から始まって数万件のところまでは来ている。それはそのとおりなんです。だけれども、検査の基本哲学が変わっていないところを私は問題にしたいと思っているんです。

 基本的に、症状のある方を追いかけています。そして、接触歴のある方を追いかけています。その症状のある方を広げようとしている。もともと三十七・五度以上、四日間でしたからね。その症状のある方の範囲を広げようとしている努力は受けとめています。それから、接触歴のある方を広げようとしている努力も認めています。

 が、さっき申し上げたように、もはや沖縄に至っては、市中感染、経路不明が七割近くでしょう。東京も六割を超えている。ということは、そもそも、症状のある方と、接触のある方を追いかけるという基本戦略自体が、今の状況に照らして間違っているんじゃないですか、とても対処できないんじゃないですかということが根本的な問いかけなんですよ。

 大幅に、それこそ、いつでも、誰でも、どこでも、何度でもとよく最近言われていますが、検査を拡充するしかないじゃないですか。その上で、経済社会活動、出張も旅行も含めて、ある程度本格的に活動を再開していただく、その方向しかないじゃないですか。簡単に自粛要請をかけられないのなら、とにかく検査の網を広げる。手軽に、便利に、身近で、速やかに検査を受けられる、それしかないじゃないですか、大臣。その根本的な認識を、まずちょっと聞かせてください。

加藤国務大臣 PCR検査の関係でありますけれども、現時点で、一日当たり、PCR検査だけで見れば五万四千件、抗原定量検査を入れると八千件、簡易キットで二万六千件、簡易キットについては更に増産が期待されるわけでありますけれども、そうしたようにだんだん能力が高まってきております。

 それから、実際、検査実績も八月六日では一日当たり三万二千件を超える状況に来ている。それから、発症から診断までに要する日数も、四月中旬が七・六から七月中旬は五・二日に短縮している。

 こうした状況の中で、先ほど委員がおっしゃったように、もちろん必要な方にやるというのはこれは原則でありますけれども、診療上必要な方、それから、疫学調査上、感染を防止する上において必要な対象について、当初は濃厚接触者で症状がある方と特に限定していましたけれども、無症状の方にも拡大をしていく。さらには、そうでない、濃厚接触者でない方についても、それぞれの市町村の判断で広げていただいて結構であるということ。加えて、そこの施設に発症していなくても、地域全体において感染状況が非常に高い等々の状況があれば、それぞれの判断において検査していただいて結構である。

 例えば、沖縄においてもそうした繁華街を中心に積極的な疫学調査も行われているわけでありまして、それらに対しては国もしっかり助成もさせていただいている。そして、さらに、唾液のみならず、さまざまな検査手法も導入をさせていただく中で鋭意拡大を図っていく。

 そういった意味で、委員と私ども、そんなに趣旨は変わっていないんだろうと私は思うんでありますけれども、ただ、いずれにしても、限られた資源でありますから、それをいかに有効にしていくのか。

 それから、沖縄の件について申し上げれば、なかなか分析機関が県内には十分確保できないというお話もありました。県外に出すと一週間程度かかるというお話もありましたので、私ども、民間の検査機関ともお話をして、受けてから次の日には検査ができる、そんな体制も沖縄県と連携しながらやらせていただいているところでございます。

 ただ、もう一つ大事なことは、やはり、検査で陽性になった方をしっかりと受けとめる場所もつくらなきゃいけない。そういった意味で、医療機関はもとより、宿泊療養等々、場合によっては自宅ということになったとしてもしっかりとしたフォローアップができる体制、これも並行して実施をしていかなきゃいけないということで、総合的な取組をすることで、そこから先は委員と一緒でありますけれども、そういった形の中で、新規感染者数の増大あるいは重症化、死亡者数の抑制を図っていきたいというふうに考えています。

小川委員 もう二月からずっとその大臣のもっともらしい答弁は聞き続けてきたんですが、結果がこうですからね。その前提で申し上げているわけですよ。広げようとしている努力は認めているんです。ただ、大幅な概念転換が必要でしょうと申し上げているわけです。

 症状のある方と、地域限定、職種限定、それはいろいろあるでしょう。しかし、限定しようとしていることが、依然として広い意味でクラスターを追いかけているわけですから、それじゃ七割の市中感染に対してはどうも手だての打ちようがないですよねということを申し上げているわけです。

 それで、ちょっと、悲しいかな、期待しているのは、最近、世田谷とか長崎とか、もう自治体と医師会が連携して、国がやらないから一生懸命自助努力でやっているじゃないですか。こういうことを抜本的に応援してもらわなきゃいけないわけです、国としては。というか、ドライブしてもらわなきゃいけない、牽引してもらわなきゃいけない。

 今大臣、一日五万件だとおっしゃいましたが、ちなみに、参考までに、御存じだと思いますが、ニューヨーク、人口一千九百万人で一日七万件ですよ、ニューヨークだけで七百五十カ所。どんどん唾液にシフトしているんだそうですね、自分でとれるように。やはり医師が綿棒を突っ込むというのは無理ですよ、物理的に、数を広げるのは。

 それから、療養施設も、大臣、限られた資源とおっしゃった。資源を限っているのは政府の無策じゃないですか、大臣が旗を振らないからじゃないですかということを申し上げているんですよ。

 大方針の転換があれば、資源配分が大きく変わる力学が働き、そして、今必要となる市中感染を予防するための社会的検査を行う環境が整う、こういう順番で物事を考えるべきじゃないですかと申し上げているわけです。ということなんです。

 今、ニューヨークだと、陽性率〇・八六%らしいですね。〇・八、一%を切っている。十万人中十人以上の感染があると、簡単にはニューヨークに入れない、そのぐらいの移動制限もかけている。そういうことで抑え込もうとしているわけです。

 ちょっと早口になりますが、この間、世田谷、長崎も応援してほしい。これは、世田谷に至っては、寄附でやると言っているんですよ、こんな大事なことを。寄附金を集めてやると言っているんです。これは政府が全面的にバックアップしてくださいよ、十兆円の予備費で。切にお願いしたい。

 それから、小笠原の定期船も、初めてだと思うんですね、私、社会的検査という意味では。船に乗る人を全員検査してくれと。どうも二割ぐらいの方は受けなかったようですが、初めてだと思います、検査が社会化されるという意味では。ああいう小さな実例を速やかに全国区に広げなきゃいけない、そこに大変な熱意を大臣は振るわなきゃいけないということだと思うんです。

 これはもう、ごめんなさい、本当は五時間ぐらいちょっと質疑時間をいただきたいところなんですが、これはちょっと捨ておけないことなので聞きますよ。今、とにかくそういうことです。基準を勝手に緩め、しかも適用しない、一方で検査の拡大もしない。これじゃ、ずるずるずるずる無策のまま広がりますよ。

 そういう状況の中で、橋本副大臣、自見政務官、先般のような報道がなされたことは極めて不謹慎、不適切ではありませんか。お二人はどういう関係にあるんですか。職員の士気にもかかわる。お二人は交際されているんですか。

橋本副大臣 個別の週刊誌の報道につきましては、お答えを差し控えます。

 一方で、新型コロナウイルス関連対策につきまして政府を挙げて全力で取り組んでいる状況を踏まえ、十分に注意して行動し、引き続き全力で職務に当たるよう、大臣から御注意をいただいております。

 改めて、新型コロナウイルス対策を始め厚生労働副大臣の職務に全力で取り組んでまいります。

自見大臣政務官 お答え申し上げます。

 個別の週刊誌の報道については、お答えを差し控えさせていただきます。

 一方で、新型コロナウイルス感染対策につきましては政府を挙げて全力で取り組んでいる状況を踏まえ、十分に注意して行動し、引き続き全力で職務に当たるよう、大臣からもお言葉をいただいたところでございます。

 改めて、新型コロナウイルス感染対策を始め厚生労働大臣政務官の職務に誠心誠意、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

小川委員 尾身先生、もうこれは聞くにたえない答弁ですので、どうぞ、きょうはもうこれ以上お聞きすることはありませんので、御退室いただいて結構です。

 これは、お二人、個別の週刊誌報道についてだから答えないという答弁ですか。

 事実について教えてください。

 七月十七日、夜間九時から未明四時、参議院宿舎、自見政務官のお部屋だと思いますが、橋本副大臣、自見政務官のカードキーを使って部屋に訪ねた事実はありますか。

橋本副大臣 週刊誌の方の取材に対しまして、私は、ほかの参議院の先生のお部屋にお伺いをしたと申し上げております。

小川委員 自見政務官との結婚について聞かれて、神のみぞ知るというのはどういう意味ですか。

橋本副大臣 未来のことでございますから、私は何とも申し上げようがございません。そういう意味でございます。

小川委員 普通、交際していない方との結婚について聞かれて、神のみぞ知るとは答えませんからね。まあ、これ以上、当然言えるはずもないでしょうから。

 ただ、ごまかした、隠し立てしたと、お二人の答弁。仲よくそろった答弁でしたね。これは、今のこのような御時世で、大臣からも注意を受けているんでしょう、お二人は。当然、御本人、お二人とも反省されていると思いますが、それで済みませんよ、今の状況では。けじめをつけられたらいかがですか、副大臣。

橋本副大臣 新型コロナウイルス関連対策につきまして政府を挙げて全力で取り組んでいる状況を踏まえ、十分に注意して行動し、引き続き全力で職務に当たるよう、大臣から御注意いただいておりますので、そのことを真摯に受けとめ、新型コロナウイルス対策を始め厚生労働副大臣の職務に全力で当たってまいりたいと考えております。

小川委員 もうこれ以上お聞きしてもあれでしょうけれども、私どもとしてもこれは不問に付すわけにいきませんから、しっかりとした公の場で議論をさせていただく必要がコロナ対策のためにもあるという前提でした。

 それで、大臣、ちょっともう一つだけ頭に入れていただきたいんですが、私、最終的に、これは唾液の簡易キット、抗原検査で、三十分で結果が出る。今、単価が五千円だか六千円だかで、あるはずです。それが最終的にはコンビニやドラッグストアで極めて安価か又は無償で手に入る、そのぐらいの状況に持っていかざるを得ないし、今それが最善じゃないかという考えを持っています。事務的にお聞きしたら、今、この唾液の簡易検査キット、生産できる会社は二社。二社で合わせて一日十三万個生産できると。

 ただ、十三万個というと、今の検査体制のもう二倍、三倍になるんですが、それでも、計算すると、一億個つくるために三年かかるんですよ。だから、本当に大臣が旗振って、自粛要請を簡単にかけられないんだったら、とにかく検査を一般化するしかないという前提のもとに大方針を掲げてほしいんです。それ以外に、今、この日本社会の置かれている感染状況を反転攻勢に導く道はないと思いますよ。それは重ねてお願いを申し上げたい。

 最後に二分。

 これも、ちょっとあえて私の責任でお尋ねするんですが、大塚副大臣、長い間、ありがとうございました。二月から、これもちょっと幾らコロナの状況とはいえ、私どもとしては不問に付せない、見過ごすことができないんですが、桜の名簿。公文書館が公開しましたね。そこにやはり、六十番は総理大臣と書いてある。これで情況証拠は更に高まりました。

 副大臣、これ、今、いわくつきの一九年、一八年、資料はないないの一点張りなんですよ、内閣府は。それは、せめて今回の公開を踏まえて、半年もかかったのはおかしいと思いますが、半年たってようやく公開して、六十番は総理大臣と書いてあった、ちゃんと捜すように指示しますと、最後、そのことだけお尋ねして、質問を終えます。

大塚副大臣 済みません、今、何を聞かれたか、いまいちよくわからなかったのですが。

 平成十八年の……(小川委員「二千」と呼ぶ)桜を見る会決裁のつづりについては公開をされたということでありますけれども、二千……(小川委員「ないのを捜してくださいということです」と呼ぶ)ないのは捜せないと思うんです。ちょっと済みません、もう一度質問していただいてよろしいですか。

小川委員 捜すように指示してください。

大塚副大臣 二〇〇〇年のお話ですか。ちょっと今、新型コロナウイルスの関連の質問だという話が理事の方から出ているようでありますけれども、質疑を続けてよろしいでしょうか。

小川委員 二〇一八年、一九年、まさに問題になっている名簿を捜させて、そして誰がマルチ商法の主宰者を招待したのか、もう蓋然性は高いわけですから、捜すように指示してくださいということです。

 私も貴重な質問時間を割いているんですよ。明確に答弁してください。

大塚副大臣 これは、平成二十三年に公文書管理法が施行されまして、それ以降は文書管理のルールが明確化されております。それに基づいて、一年未満の文書として整理されているものは処分をされてございます。したがって、その文書、御指摘の文書は存在していないというふうに報告を受けております。

小川委員 変わらない答弁ですが、私たちも変わりませんので、手を緩めることなく、しっかり問いただしてまいります。

 ひとまず、きょうのところは終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立国社の白石洋一です。

 私も、検査についてお伺いしたいと思います。

 まず、この新型コロナウイルスの特徴の確認なんですけれども、この感染症は、特に潜伏期間が長い、最長二週間、十四日間、感染してから発症するまで非常に長いということですよね。その潜伏期間に感染力が非常に高い、その三日前とかに感染力が最大化する、むしろ発症してからの方が感染力は下がっていくという特徴があるということで、実際、研究者、中国の広州医科大学のチームによると、発症した人の四割は無症状のときに感染された、感染者の四割は無症状の感染者からうつっている可能性を推定したというふうに出ております。

 そこで、まず質問です。

 今の国の方針として、症状が出てから、あるいは濃厚接触という方に限らず積極的に検査をすべきじゃないかと、小川議員も主張されておりました、たくさんの方面からも言われておりますけれども、今の政府の方針というのはどうなっているんでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナウイルス感染症のPCR検査については、医師が必要と判断した方や、症状の有無にかかわらず濃厚接触者の方が確実に検査が受けられるようにすることが重要であると考えています。特に、速やかに陽性者を発見する観点から、濃厚接触者の方については無症状であっても行政検査の対象としています。

 加えて、濃厚接触者に当たらない方についても、特定の集団等において保健所長の判断で行政検査を行っていただくこととしており、こうした取組により早期に患者発生を把握し、感染拡大の防止に努めているところでございます。

 厚生労働省としては、引き続き、検査体制のさらなる強化に取り組んでまいりたいと考えております。

白石委員 私も、国会が閉会して地元に行っていて、保健所長のお話とか。実際、そこに住んでいる方が、調子が悪くて医師に相談した。でも、検査を受けさせてくれない。やはり保健所長も、厚労省のその規定にのっとってやっているということをおっしゃるんですね。

 ですから、今おっしゃっていることというのがちゃんと国の方針として伝わっていないか、何かあるからそこが現場のところでちゅうちょされているんじゃないかと思うんです。実際、先ほどお話がありましたように、地方地方で仕方なく検査を広げてやっているということが起きていると思うんですけれども、今おっしゃったことを国の方針としてどのように伝えているんでしょうか。

正林政府参考人 地方自治体に対して伝える方法としては、通常は事務連絡、それから、それをホームページで公表したり、そのような形で地方自治体にはお伝えしています。

 この件についても、最近ですと、八月七日、それから八月十八日にもお伝えしているところでございます。

白石委員 その事務連絡というのを、お手元の配付資料に私もつけましたので、ちょっと見ていただきたいんですけれども、七月の十五日時点、これが基本姿勢になっていると思うんですね。それに加えて、先ほどおっしゃった八月の七日とか、出てきている。

 この七月の十五日の事務連絡が非常に大事だと思うんですけれども、上から見ていって、感染症法による検査というのは1から4までありますと。1、2、3は、これは症状が出ている人で、当然すべきだなというふうに思いますけれども、その4のところで、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由がある者というふうにしているんですね。正当な理由というのは何かというと、それは下のところで左のところで矢印をつけていますけれども、濃厚接触者というふうになっているわけです。

 濃厚接触というのは何かというのはまたあるんですけれども、それは右側にありますが、濃厚接触というのは国立感染症研究所によって定義されていて、上から、同居しているとか、長時間の接触、車内にずっといたとかですね。あるいは、医師などが診察、看護とか介護していた者。あるいは、体液等の汚染物質に直接触れた。この一番、二番、三番というのは、非常に密接な、濃厚だということがわかります。

 加えて、その他というところで、一メートル以内で、必要な感染予防策、これはマスクということなんでしょうけれども、マスクをしていなくて、予防策なしで十五分以上の接触があった者というふうになっているわけですね。これは非常にまた限定的なんじゃないかなというふうに思うんですけれども、これについて、今、厚労省はどういうふうに見ていますでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 濃厚接触者の定義については、積極的疫学調査を行うための対象として、空間的な距離だけでなく接触の時間なども含めた基準として、国立感染症研究所が策定する実施要領において設定しております。

 この定義については、WHOの基準の変更を受けて、本年四月二十日に、国立感染症研究所において国内外におけるさまざまな状況などを総合的に検討してきた結果、これまでは、手で触れること又は対面で会話することが可能な距離、目安として二メートルで、必要な感染予防対策なしで患者と接触があった者であったところを、手で触れることのできる距離、目安として一メートルで、必要な感染予防策なしで患者と十五分以上の接触があった者というふうに変更されています。

 また、濃厚接触者に関連して、患者の感染可能期間についても、これまでは、感染症を疑う症状を呈した、いわゆる発病した日から隔離開始までの間であったところを、感染症を疑う症状を呈した、発病した日の二日前から隔離開始までの間へと変更しております。

 引き続き、濃厚接触者の定義については、WHOの基準や専門家の意見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

白石委員 濃厚接触者の定義は国際的に統一されているということは、あるということはわかりました。しかし、この定義で縛ろうとすると、相当限定されてしまうということも、私、感じるところなんですね。マスクなしで十五分以上人と話をするということというのは、非常に、それを、まず、限られているということと、知らず知らずのうちにそういうことになっているのか、思い出せないということもあるんじゃないかと思うんですね。これはまた後ほど触れますけれども。

 その後、加えていますよね。4で、正当な理由の対象を広げていますよね。それは、ここの配付資料のところにありますけれども、左側矢印で一番下のところ、特定の地域や集団、組織において、少なくとも患者が複数発生していて、かつ、クラスターが生じやすいと考えられると。これもまた非常に限定的だというふうに思うんですよ。これは、どういうところをイメージしているんでしょうか。

正林政府参考人 例えば、夜の繁華街、よくホストクラブが話題になりますけれども、ホストクラブで陽性者がよく出る。その場合に、例えば陽性者が出たお店、その同じ店で働く従業員をよく検査したりするわけですが、それ以外にも、例えば隣のお店とか、あるいはその地域全体でもしかしたら感染が広がっているかもしれない、そういったところをイメージしております。

白石委員 そういう夜の町で働いている方を想定して、そこには正当な理由があるということで広げたという理解をさせてもらいました。

 配付資料で次のページに載せているんですが、八月の七日にも、戦略的な検査体制の強化についてということで、それで、地域の関係者を幅広く検査というふうになっているわけですね、右側に矢印をつけていますけれども。これはどういったところを想定しているんでしょうか。

正林政府参考人 先ほど御答弁したような、その地域において、事前確率とかと、ちょっと専門用語で使うんですけれども、感染の蓋然性が高そうな地域、そういうところを指しております。

白石委員 そうやって医学的なところで定義をまず国際的につくって、それを少しずつ広げてきたというのは理解します。

 しかし、私が言いたいのは、地元の実情、現場の実情として、まず一つは、ソーシャルディスタンスをキープ、確保するというのは非常に曖昧で、それと同じぐらいに、例えばさっき言った濃厚接触、一メートル以内で十五分以上マスクなしで話したかどうかとか、先ほどおっしゃった、患者が少なくとも複数発生して、かつ、クラスター連鎖が生じやすい状況とかというのは、わかりにくいんですね。実際、それがわかりにくいから、ここの配付資料にありますように、ソーシャルディスタンスを確保していたはずなんだけれどもクラスターが発生してしまうとかいうことがあると。それは、逆に、濃厚接触ではないというふうに自分は確信していても、いつの間にか感染をしてしまっているということがあるんじゃないかと思うんですね。それが市中感染だと思うんです。

 一人感染者が出て、陽性判定者が出て、その周辺で、その人とどういう接触をしていましたかと聞いても、記憶とかは個人差がありますし、特に子供の場合は、あっちへ行ったりこっちへ行ったりでよくわからないということで、それで、医学的には濃厚接触の定義がそれで正しくても、それを当てはめるときに、覚えていないとか曖昧なので、結局感染を逃してしまうということがあるんじゃないかというふうに思うんです。

 先ほど、冒頭申しましたように、潜伏期間が長くて、その潜伏期間の方が感染力が高いということで、一人感染が出たら、やはり、濃厚接触と言わず、先ほど言った、非常に限定的な文章で、定義でしか網にかからないところしか検査をしないのではなくて、とにかく接触さえしていたら検査をしていくというふうに方針を変えて、もしそれが今の感染症法で難しいのであれば、この新型コロナウイルス、つまり、潜伏期間が長くて、その潜伏期間中の方が感染力が強いというところに着目して、新たに法律をつくるなりして対応していただけませんでしょうかね。

正林政府参考人 お答えします。

 感染症法に基づく積極的疫学調査及び感染症の蔓延防止の観点から行われている行政検査の対象者の拡大については、必ずしも感染症法の改正は要しませんが、医師が必要と判断した方や、症状の有無にかかわらず濃厚接触者の方が確実に検査が受けられるようにすることが重要と考えています。

 先ほど来御質問いただいていて、まず、濃厚接触者の定義は、これがしっかりないと保健所が積極的疫学調査を行うに当たって支障を来しますので、明確に定義をしています。

 一方、検査については、先ほど来御答弁申し上げていますが、かなり広く行えるように、必ずしもそういう濃厚接触者だけではなくて、その地域でもし感染の蓋然性が高そうであれば、そこをターゲットに検査を行うということも各自治体に対して通知等で促しているところです。

 一つ、その際に、保健所長とかあるいは医師が判断して検査を行うわけですが、その際に、PCR検査というのは、もちろん限界があります。検体採取の際の手技が適切でないとか、あるいは検体採取の時期が潜伏期間中である場合には、ウイルス量が検出限界以下となって陰性になったりする可能性がございます。そうした検査によるデメリットみたいなものも勘案しながら、特に、いわゆる事前確率、感染の蓋然性が高ければ高いほど、感度、特異度が上がりますので、そういったことを勘案しながら、現場で検査が行われているものと承知しています。

白石委員 疑似陰性のデメリットがあるのはわかります。でも、それは当然のことで、陰性と出ても気を抜かないでくださいということでお願いするということでいいわけです。

 陽性が出たら、疑似陽性の可能性はありますけれども、陽性が出たら、その人も、早期発見することができた、市中感染を防ぐことができたというメリットの方を大事にすべきじゃないかなと思うんです。

 加藤大臣、健康局長は、法律を改正しなくても積極的に検査をするということができるんだという先ほどの答弁でしたけれども、大臣の方からも、例えば、具体的に言いますと、学校で一人、生徒が、陽性判定者が出ても、今の定義だと濃厚接触というのは限られていて、クラスの何人かでしょう。しかし、やはり、いつ感染しているかわからない、潜伏期間が長いということを考えたら、その保護者としても、生徒としても、もう学校全体の生徒と教職員に検査をしてほしい。職場もしかりですし、施設もしかり。施設の職員だけじゃなくて、利用者も、濃厚接触とかそういうことを、一つ定義としてあるのは尊重しながらも、もう接触者全員に検査するようにという指針を、法律改正なしでできるのであれば、出していただきたいんですけれども、大臣の御所見はいかがでしょう。

加藤国務大臣 現在、実際は、例えば今、学校の事例がありましたけれども、学校の中においては、濃厚接触者だけではなくて、それぞれの判断で幅広く検査が行われているものというふうに承知をしておりますし、先ほど、濃厚接触者云々の議論というのは、濃厚接触者として認定されると、その後、十四日間の健康観察をしなきゃいけない、こういう問題があります。だからそこは、濃厚接触者かどうかというのはそういう意味では大事でありますけれども、その認定と、検査の対象かというのはまた別だと私たちは考えております。

 最初の段階では、委員御指摘のように、濃厚接触者で、かつ有症者に限定をし、さらに、無症、そしてさらには、今、濃厚接触者じゃなくても接触の疑いがある人たちについては広く対象にしていただきたい、ただ、接触の疑いのある人は濃厚接触者じゃないので、基本的に十四日間の健康観察は要りません、こういう形で進めさせていただいています。

 加えて、実際、感染が発症した事例だけではなくて、例えば、地域において感染が広がっているような地域にある、例えば高齢者施設とか、あるいは、もう少し地域全体とか、そういったものにおいても必要に応じて検査していただいて結構ですということは申し上げておりますが、ただ、今委員御指摘の、じゃ、この通知でそれが読み取れるのかという御指摘もございますから、その辺はよく我々、もう一回見直させていただきながら、基本的な姿勢は今申し上げたとおりでありますから、その姿勢にのっとって、それぞれの自治体、既にそれぞれやっていただいているところもあります。十分でないところもあるんだろうというふうに思いますから、そういったところに向けては、そういった私たちの考え方にのっとって、それぞれのもちろん現場の事情というのはあるんでしょうけれども、それを踏まえながら対応していただけるように、引き続き努力をしていきたいというふうに思います。

白石委員 ありがとうございます。

 やはり、今あるものにもうちょっと表現を加えて、事例を、随分もう事例も出てきていますから、こういう事例はここまで対象を広げていいんですよというようなところを示していただいたら、現場の保健所長は動きやすくなると思いますし、また、今は医師もその検査を指示することができますから、医師も動きやすくなると思います。

 次は、やはり、社会的な問題なんですね。

 新型コロナは、その感染のあり方から、怖がられています。その恐れから出てくるんでしょうけれども、疑心暗鬼に陥って、それが度を越して誹謗中傷にもなってくるという現象もあります。

 例えば、陽性判定者が出ましたと。その陽性判定者がネット等で特定されて、そして、その人がよく行っていた飲食店がまた、誹謗中傷の対象になったりするわけですね。こういったことに対してどうすればいいのか。

 私は、検査をするということを当たり前のこととして、少しでもそういった疑いを持たれたら、医学的に持たれなくても社会的に持たれたら、検査を希望すれば受けることができるようにすべきだというふうに思うんですけれども、ここのところは今、厚労省はどういう考え方でしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 厚生労働省としましては、クラスターの発生など地域における感染状況を踏まえ、感染拡大を防止する必要がある場合には、広く検査を行っていただくこととし、感染が発生した店舗等のみならず、地域の関係者に対して、申出に基づき、行政の判断で柔軟に幅広く検査ができるよう取扱いを明確化してお示ししているところであります。

 こうした取組を促進するために、例えば、PCR車両や臨時の検査場の設置など、出張して検査する取組を支援し、横展開も図りながら普及してまいりたいと考えております。

白石委員 今の答弁というのは、要するに、行政検査を念頭に置いて、医学的、疫学的にどうかということが前提にあると思うんですけれども、じゃ、外国ではどうなっているのかというのをちょっと調べてもらいました。

 お手元の配付資料なんですけれども、三ページ目の左側ですが、これは外務省に調べてもらったんですけれども、ちょっと、非常に簡単なので、もう少し、私自身、聞き出したところがありますので申し上げると、例えば、アメリカのニューヨーク州であれば、希望者は何回でも無料です、指定の七百五十カ所にて抗体検査も無料。カリフォルニア州については、優先的に検査を受けるグループというのがあって、それらは無料なんですね。優先的に検査を受けるグループの中に、もちろん、症状がある人、濃厚接触者、あるんですけれども、それ以外にも、医療従事者、エッセンシャルワーカーが入っています。

 イギリスでも、これは感染地域で生活する人が、症状がある人、濃厚接触者に加えて加わっている。加えて、医療従事者も受けることができる。無料です。

 フランスは、ニューヨーク州と同じ、希望者は誰でも何回でも無料。オンライン予約して検査を受ける。

 ドイツも、症状がある人が優先ですけれども、希望者も約五千円で受けることができる。バイエルン州は、ニューヨーク州とかフランスと同じ、全ての希望者が無料。

 中国も、症状がある人とか濃厚接触者、医療従事者は無料で、希望者は二千七百円で受けることができる。

 台湾もほぼ同様ですけれども、希望者は、払わないといけないのは一万八千円から三万六千円と、ちょっと高いです。

 韓国も、希望者は八千円から一万四千円ということで。

 総じて、外国で行政検査と言っているかどうかわかりませんけれども、希望者も受けることができて、相応の理由があれば、相応の値段でPCR検査を受けることができるようにしているわけですね。そのことによって、医学的、疫学的にも市中感染を防ごうということに加えて、私はやはり社会的なバッシングというのを抑えることができるんじゃないかというふうに思うんです。

 配付資料の三ページの右側ですけれども、全部黒いんですけれども、日本は一番下です。一番下で、はっているところですね。それ以外のところは、米国、カナダ、シンガポール、ドイツ。日本よりは感染が拡大していますけれども、随分落ちついたところもあります。カナダ、シンガポールとかドイツとかも随分落ちついているけれども、検査は非常に、日本よりももう格段にしているわけですね、人口当たりで言うと。

 こういうことを考えたら、やはり日本も、行政検査の枠組み、感染症法、つまり、今までの感染症というのは、感染したら恐らくすぐ症状が出て、感染というのは症状が出てから感染するという前提でつくられたものじゃなくて、こういった、外国であるように、もっと積極的に検査を受ける、枠組みはわかりませんけれども、つくっていくべきだと思うんですけれども、このあたり、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 私ども、検査の充実をする必要があるということは委員と全く一緒であります。

 ただ、その目的をどこに置くのかというのは、これははっきりしておかなきゃいけないので、検査数を上げることは手段であって、目的は、新規感染者数を抑え、死亡者数、重症者を抑えるということ、ここはしっかり抑える、ここは明確だと思いますので、そのための手段として、検査の拡充というのは有効な手段の一つだというふうに認識をしております。

 それから、国内でも今、希望すれば、金額はいろいろありますけれども、PCR検査は受けられるというような状況でありまして、実際、ビジネストラックを、ビジネスに行かれる方などにおいては、そうした施設等でPCR検査を受けて、陰性であるという証明書を持って海外に行かれているという事例もあるということであります。

 いずれにしても、幅広く検査を受け得る能力をアップしていくということに対しては、我々、唾液検査のみならず、さまざまな導入をして、拡大を図っていきたいと思っております。

 ただ一点、委員の議論の中で若干気になるところが、偏見、差別の問題は、疑いがあるだけではなくて、仮に陽性だった人に対する偏見や差別もあってはならないということだと思いますので、これはこれでしっかり我々としても、あるいは今、分科会の中においてもそうしたワーキンググループをつくっていただいておりますから、そうした、特に感染症というのは必ず偏見や差別とつながってくることが過去にもありました、やはりそれをしっかり踏まえながら対応していかなきゃいけないというふうに思います。

白石委員 検査はやみくもに受けることが目的じゃない、それは当然のことです。

 枠内、先ほどおっしゃった能力の問題がありますから、一日五万件ですかね、そういった能力の範囲内で、いわゆる症状がある人、濃厚接触者以外のところにどれだけ割り当てるかということだと思うんですね。

 それで、例えば先ほどおっしゃってくれたビジネスですね、出張だとか、あるいは講師、学校の先生とかを加えて、勉強を教えに行くとかスポーツを教えに行くとか、あるいはボランティア、災害地に対してボランティアへ行きたくても、やはり感染のおそれがあってなかなか行きにくい、あるいは受け入れにくいということもあります。そういう相応の理由があれば、その能力の枠内で優先者が検査できて、その残りの枠を使ってやるべきじゃないかなと。

 愛媛でいったら、当初は一日百件の検査能力だったのが今は四百八件ですけれども、実際に検査しているのは、見ていて、一日大体十件ぐらいです。ですから、その残りですね、三百八十件等はまだ使えるわけです。それをうまく使って社会を動かしていく。出張だとか、赴任だとか、ボランティアだとか、あるいは講師だとか、こういったところに相応の理由があれば使っていくということをお願いしたいというふうに思います。

 ちょっと大臣、そのあたり、どうでしょうか。

加藤国務大臣 そういった、幅広く検査需要がふえれば、ある意味では供給がふえていくということにもつながっていくんだろうと思います。

 ただ、その中でどこまで、例えば我々の保険の中でやるのか、公的な負担でやるのか、あるいは海外にも、先ほど御説明いただきましたように、全額自費負担というのもあると思います。その辺の区分けはしながらも、幅広くいろいろなニーズに応じて展開できる状況をつくっていくことは非常に大事だと思いますし、本来公的な検査やあるいは診療以外の部分がふえていけば、仮に公的保険がふえたときには代替して対応していただけるということも十分あり得るというふうに思いますので。

 トータルとしての検査能力を拡大していくという視点も十分必要だと思いますし、それに向けてどういう施策をすれば、特に民間の方においてより先行的な投資を行っていただいて、検査能力を拡大していただけるのか、そういった視点は大事だというふうに思います。

白石委員 大臣、やはり、自由診療でPCR検査というのは、一件四万円ぐらいの相場ですから、それは今は、やってくださいとはちょっと言えないと思います。海外の事例はずっとそれよりも安いですから。

 最後の質問ですけれども、どうして現場の方で検査を、絞っていないと言うんですけれども、数がふえないのかということを考えると、この新型コロナウイルスの対策に関する広報の専門家を置くことが一つ解決になるんじゃないかなと思うんです。

 今は首長が対応しています。厚労大臣とか首長が対応している。首長が対応して、積極的に検査をすると、どうしても陽性判定者数はふえます。長い目で見れば、市中感染を抑えて、減るんでしょうけれども、短期的に見れば、検査をすれば当然陽性判定者というのはふえてしまう。そのふえてしまったことに対してメディアを中心に質問されて、答えに窮するというふうなことを避けたいがためという、ちょっとうがった見方ですけれども、あるんじゃないかな。

 そこで、医学的な知識、バックグラウンドを持った広報官を設置して、その人が、質問が尽きるまで、陽性判定者の数の中身、意味するところを広報して、質問に答える、質問がなくなるまでずっと答え続ける、こういう人が必要なんじゃないかな。

 その専門の、専任の広報官というのは、医学の専門家ではなくて、医学の専門家だとどうしても、専門用語が出てきてわかりにくいということがありますから、まず広報官でわかりやすく伝えることができる、その人が医学的な知識、バックグラウンドを持っている。大臣も、申しわけない、首長も、医学的知識という意味ではこのコロナが出てから勉強されたんだと思います。そうじゃなくて、もう昔からバックグラウンドとして修練を積んでいて、それでわかりやすく伝えることができる、そういう広報官を設置していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに広報能力があり、専門知識があり、そういう方が発信するというのは非常に大事だと思いますけれども、なかなか、正直言ってそういう方がおられるわけではありません。厚労省の中にもいるかといえば、そんな数がいるわけではありません。

 ただ、厚労省においては、定期的にそれぞれの部署から、マスコミ等に対して、トピックがあればそれを細かく発信はさせていただいております。ただ、それがどうマスコミに載るかどうかというのはまた別問題だと思います。

 また、各都道府県や市町村、個々については承知しておりませんけれども、例えば、健康福祉部長とか担当の部長の方が適宜、首長と同時に、あるいは首長は首長として、その部署の方は部署の方がそれぞれ具体的な説明をされているというふうに承知はしているところでございます。

 ただ、委員御指摘のように、大事なことは、この感染症の状況について、単に新規感染者数の数字だけではなくて、全体像をしっかりと把握をしてもらえるように私どもが広報を通じて啓発あるいは周知を図っていくということは、先ほど申し上げた差別等々の解消にもつながっていくわけでありますので、しっかりと努力をしていきたいと思います。

白石委員 ありがとうございます。

 終わります。

盛山委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立国社会派の柚木道義でございます。

 きょうは貴重な質問の機会をいただき、ありがとうございます。また、加藤厚生労働大臣はもとより、関係の、内閣府からは宮下副大臣、それから国交省からは御法川国交副大臣、そしてまた分科会の尾身会長先生にもお越しいただき、内閣委員会の際も本当にありがとうございました。

 せっかく尾身先生にお越しいただいていますので、先ほどの小川委員からの質問とも連続をした形で、まず沖縄県の問題から、ちょっと質問を前後しましてお尋ねをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど来、あるいは報道等でも、本当に今の、全国で最も医療状況も含めて逼迫をしている沖縄県の状況にある中で、これはゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンとの兼ね合いもきょうは御法川副大臣にお尋ねしますけれども、やはり、これは本当に、きょうは知事会からの要望も幾つか御紹介をしますけれども、まさにゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンにおいても、全国のそういう状況を注視した上で、対象地域の範囲、時期、方法等について、機動的に見直すと。そういう中での今の沖縄の問題です。

 そこで、尾身先生にまずお尋ねを申し上げますが、尾身先生御自身も御発言をされていることでもありますが、分科会で今さまざま、この間、ステージ1、2、3、4とか、あるいは六指標の問題を含めて議論をされてきた中で、沖縄というのは、まさに十万人当たりの療養者数、それから週間の陽性者数の数値、緊急事態宣言の検討が必要なステージ4に当たる。しかもその中で、分科会としては、まさにこの四段階のうち感染状況の最も深刻なステージ4では緊急事態宣言などの強制性のある対応を検討せざるを得ないとし、尾身先生、会長御自身も、このステージ4においては間違いなく国の役割が非常に重要だと述べておられます。強調しておられます。そしてまた、沖縄はもう既にそういう対応をとっているわけですが、国としても早目に、総合的に判断して対策をとるべしと述べておられます。

 まず、この点について、尾身先生、見解として、現在も、沖縄において、この状況、国としての早急な対応、判断が必要だという認識はお変わりございませんか。

尾身参考人 お答えいたします。

 先生の、沖縄県の状況をどう考えるかということですが、私自身は、感染の数も多いし、さまざまな病院の、医療の方も逼迫をしているし、ここは、沖縄で感染が広がっていて、いろいろ負荷がかかっているというのは事実だと思います。

 そういう意味で、沖縄の知事のリーダーシップとして県独自の緊急事態宣言を出したということは、私は、分科会の会長としてと、それから個人として、これは英断だったと思います。それについては私どもも尊重をしたいと思います。

 それでよろしいでしょうか、そこまでで。

柚木委員 先生の見解は変わらない、危機感としては変わらない前提の中で、沖縄県知事、玉城知事の、まさに沖縄としての緊急事態宣言、あるいは、まさに全国知事会等を通じての医療従事者の派遣要請等々、さまざまな今の対応、そのリーダーシップ、英断を評価されるということですね。私も全く同感です。

 同時に、先生、今、英断が求められているのは、国のトップでもあり、また、尾身先生御自身ではないでしょうか。

 と申しますのは、沖縄県、玉城知事はもとより、保健医療部の統括監、責任者は、こう発言をしています。今、この沖縄県の全国で最も逼迫している医療状況、感染状況、これに対応するためには、人の移動を制限する、多分言いにくかったと思いますが、はっきりこうおっしゃっています。医療者の立場として考えれば、今、この瞬間、沖縄に観光客の皆さん来ないでくださいと。経済ももちろん回さなきゃいけない。しかし、その前に人の命がある。その中で、この沖縄県の感染状況を考えたときに、人の動きを抑える、今は観光客に来ないでほしい、こういう悲痛な、ある意味、叫びですね。

 同じ医療者として、そして分科会の会長というお立場で、しかも、この沖縄県の状況、ステージ4において間違いなく国の早急な判断が求められる。ぜひ、分科会の会長として、改めて政府に対して、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーン、やめろと言うんじゃないんですよ、今、この瞬間、沖縄県においては少なくとも中止、中断する、人の動き、移動を制限する、そういうことを分科会としても政府に強く求めていただきたいと思いますが、尾身会長、いかがでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 私の理解は、知事が大変リーダーシップをとっていただいて、さまざまな対策を打っていただいていると思います。

 そういう中で、今、私どもが専門家として得ている情報では、先ほど申しましたように、医療の方が逼迫していて厳しい状況になりつつあることは、先生おっしゃるとおりで、私も同感です。

 その上で、私どもに入っている情報では、沖縄は、県の皆さんの努力のおかげだと思いますけれども、実効再生産数が一を下回りつつあるんですね。そのことが一つあります。

 それから、県の知事のリーダーシップで、県の外に行く人は行かないでくれという、かなり強い自粛をしているというふうに私は理解しております。それから、県外から、沖縄県以外の関東あるいは関西、ここから来る人にも、なるべく慎重にしていただきたいという旨を知事の方が明確に述べているというふうに私は理解しています。

 そういう中で、最終的に沖縄を東京都と同じように例外として扱うかどうかというのは、まだこれは分科会の方でもそこまで議論はしておりませんけれども、私の個人的な見解としては、東京都の方を例外にしたときには主に三つの理由があったと思います。

 一つ目は、これは当時、例外とした当時の東京都の感染のレベルが、これは言葉は少し適切ではないかもしれませんが、私ども、いわば、いわばですね、別格であったという感染のレベル。それから、今回いろんなところに、全国に感染が広がっていますが、私どもの専門家としての分析は、多くの例が東京都から感染が伝播していたということが二つ目にございます。それから三つ目は、東京の入る方と出る方、いわば人流の量が圧倒的に多いというこの三つで、やはり東京は、少なくとも東京は例外にした方がいいということであります。

 沖縄の場合は、今そういうことで、医療体制に負荷がかかっていて心配な状況でありますけれども、今、私が申し上げましたように、実効再生産数が一を切ってきています。

 それと同時に、それから、人流についてでも、これは東京と比較してもかなり低いということで、あとはもう知事自身が、県内から外に行くことはやめてください、自粛してくださいということを明確に言っていることと、県外から来る人については慎重にしてくださいというふうなことを知事がかなりはっきりと言っていただいていると思うので、そういう中では、私の今の理解は、沖縄をゴー・トゥー・キャンペーンの例外にするかどうかというのは、まだ分科会としても議論していませんし、政府からもそのようなことを考えるように諮問を受けているわけではありませんが、現段階で、私の個人的な見解では、ある程度沖縄の感染が下火になっているというのが我々の理解ですので、今の知事の判断というのを尊重をしたらいいんじゃないのかというのが今の私の個人的な、また分科会が開かれますので、そのときに議論がされるかどうか、またしっかりと議論をしていきたいと思っております。

柚木委員 尾身先生としての、医療者としての、専門家としての視点も持たれながらの、今後の見通しを述べられたと思います。

 私もそういうことなのかなというふうに理解をする一方で、しかし、現状、今、沖縄の病床占有率九六・八%、そのうち重症者が四割。まさに全国で、東京との比較をされましたが、最も逼迫している医療状況。

 それから、御法川副大臣、ぜひ、今の尾身先生の見解をもちろん踏まえた上ではありますけれども、看護師さん、加藤大臣も表明されていますけれども、五十人ですか、派遣をされる。全国で逼迫している。何とかしなきゃいけない。他方で、ゴー・トゥー・トラベルを推進して、沖縄でまさに医療状況が逼迫するようなことを推進している状況にあるのも、これは残念ながら事実なんですよ、推進すればするほど。

 ですから、国交省としては、全体としての今の尾身先生の御見解はありましたけれども、全国知事会に要請して、全国から看護師さんを沖縄に派遣しなきゃいけない。全国だって大変なんですよ、今。しかし、そういう状況にあるわけですから、せめてこれは、国土交通省として、今、この瞬間、ずっとということではありませんよ。今、下火になりつつあるという御見解もあった。だからこそ、これはほかの国でも、経済をV字回復や維持している国というのは、短期間に、徹底的に人の移動も制限して、PCR検査も徹底して、経済を維持、回復しているんですよ。だから、これは急がば回れで、ゴー・トゥー・トラベル、沖縄の部分、今、この瞬間、一定の期間、地域限定で中断、これをぜひ求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

御法川副大臣 お答え申し上げます。

 今、尾身先生のお話等々ありました、柚木先生のお話もございますが、月曜日、十七日に、国土交通省、観光庁と沖縄県の間で、こちらの方から伺いまして、ゴー・トゥー・トラベルの実施に係る意見交換を行っております。

 その中で、沖縄県の方からは、感染拡大防止を図りながらも観光振興を進めたい、やはり観光振興、観光というのは沖縄にとって命綱であるというようなお話がございました。

 そういうことも踏まえながら、尾身先生を始めとした分科会の御意見も踏まえながら、政府全体の方針に基づいて適切に事業を実施してまいりたいというふうに思います。

柚木委員 尾身先生の御見解は御見解として、私も本当にうなずける部分もあったんですが、今の沖縄の、知事始め現場の皆さん、医療従事者の皆さん、あるいは住民の皆さん、感染されている皆さん、そういった皆様の声に、これはやはり政府、特に、医療状況が全国で最も逼迫している、全国から看護師さんを派遣する、それに対して協力をするというのが今の政府の立場だと思いますよ、この瞬間。ぜひ、この後も幾つかゴー・トゥーの質問をするんですが、やはり一旦立ちどまって、そして、本当に、尾身先生がおっしゃっているように、これが下火になっていく、医療現場の今の病床の占有率を含めて、患者の発生数、重症者数、占有率、改善していく見通しが立てば再開すればいいと思うんですよ。今後の状況を、本当に今危機的な状況、今、本来なら判断すべきですよ。ですから、これはもう本当に、一日一日、刻々と変わっていますから、状況。注視いただいて、そこにおいては迷うことなく中断、こういうまさに英断を私は国こそ求められていると思いますよ。

 関連して伺いますが、まさに、そういう沖縄における今の医療状況の逼迫状況、感染者数、何とかするための一つの対策として、玉城沖縄県知事は、沖縄に来る方はほとんど空路ですから、空港におけるPCR検査をぜひお願いしたいと。これは全国知事会の要望からも、そういった趣旨のことは、ここに、手元にありますが、緊急要望で含まれています。

 これはぜひ、やはりそういう水際対策、地域に応じて機動的に、臨機応変に対応する、これが政府の方針だと思うんですね。今の沖縄の状況を考えたときに、飛行機で来られる方におけるPCR検査、これを何とか、これは負担の部分もありますから、国として御対応いただけませんでしょうか。ちょっと通告していませんけれども、可能な範囲で。

御法川副大臣 直接の担当ではございませんけれども、政府全体として適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

柚木委員 厚生労働省としても同じように私はお答えをいただきたいんですね。ちょっと質問の順番が前後して本当に申しわけないんですが、ぜひ、沖縄における今の医療状況の逼迫している体制、これを考えたときに、やはり、PCR検査を、沖縄に来られる方においては、せめて、本当に省庁横断で連携をして今の緊急事態に対応するために、空港における検疫体制の強化の一環としてのPCR検査、これを受けていただける、これを連携してお取り組みいただけることは、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、さっきから柚木議員のお話を聞いていて、先ほど御法川国交省副大臣からは、県の意向としては観光をしっかり振興していきたいということをおっしゃっていたということですから、我々はそういったこともしっかり踏まえながら対応していく必要があると思います。

 それから、空港検疫とおっしゃいましたけれども、国内線については我々は検疫する力は持っておりませんので、これは先ほどの小笠原航路等について都がおやりになっている、こういったものの流れの中でこれをどう捉えていくのかということだと思います。その辺については、更によく沖縄県ともまた意見交換をさせていただきたいというふうに思います。

柚木委員 済みません、ちょっと時間がありませんので、ゴー・トゥーのこともこの後やるんですが、ちょっと今、PCR検査の関連を質問しましたので、加藤大臣に通告しているように、PCR検査の部分について、そっちの方にちょっと質問を行かせていただきたいと思います。

 実は、PCR検査については、まず一つ、質問の三のところで通告していますが、沖縄もそうなんですけれども、まさに医療、介護、福祉クラスターが全体のクラスターの半数を占めるとされる中で、非常に沖縄においてもこういう状況がある。これは、感染者が出たときの対応と、出ていないときの対応と、それぞれきょう通告していますので、まず、出た場合についての対応についてお尋ねをします。

 今回、私も、実は、アベノマスクが五千万枚追加で介護現場に来るよりも何が必要ですかと現場を聞いて回ったら、それは消毒液だったり、使い捨てビニール手袋だったり、防護服だったり、いろいろあった。

 でも、その中で、やはりPCR検査を、職員の皆さんが、自分が感染するのももちろん怖いけれども、自分が感染源になることをもっと恐れていらっしゃる。本当に切実な、責任感、プレッシャーの中で、それこそ仕事が終わったら直帰してくれと、いろいろな予定があっても、そういうのも全部取りやめて、そういう日々を送られている。

 そんな中で、今回、八月七日の通知で、私がお願いして御対応いただいてありがたかったんですが、高齢者施設で、介護施設などですね、コロナ感染者が一人でも出た場合は、これまでは濃厚接触者は公費無料検査、しかし、そうでなくて、濃厚接触者以外の介護従事者についてもPCR検査を公費無料検査ができるようになった。これは非常に私は評価できることだと思っています。

 しかし、実際にこれが、この間お尋ねをしたら、医療、介護、福祉現場のクラスター発生は三百三十三件集計されているとお聞きしていますが、じゃ、そういうところの皆さんが、全て濃厚接触者以外の従業員の方も検査を受けているかどうかといえば、そうではありません。

 したがって、この通知が本当に生かされるように、現場の皆さんの責任感やあるいはプレッシャー、こういったものにお応えいただく意味においても、この通知を発出した後に、今の施設クラスターの発生状況も踏まえて、ぜひ現場の従事者の皆さんへの公費検査の拡充を、実際の状況も把握しながら、制度は使われなきゃ意味がありませんから、そのことをぜひ厚生労働省としても強く対応いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 拡充とおっしゃいましたけれども、もうそれは既に対象になっているということなので、拡充する、結果的には拡充して、今対象にさせていただいているということははっきり申し上げたいと思います。

 ただ、問題は、今、委員もお話があったように、実際、各施設でどこまでやれるか、あるいは、やれる体制がそれぞれの地域でどうでき上がっていくのかということなんだと思います。

 それに対しては、先ほども答弁がありましたけれども、高齢者施設の方は、例えば帰国者・接触者外来に行って検査を受けてくださいといっても、これはなかなかできるものではありません。したがって、高齢者施設に出向いていってPCR検査をやる、そういった体制をつくっていただくとか、そういったことも我々は積極的に支援をしながら、また、特にこうしたいい事例、こんなやり方をとっていますよということがあれば、それは積極的にPRしていきたいと思っております。

 いずれにしても、医療施設のみならず高齢者施設においてクラスターが発生すると、先ほど申し上げたように、重症化し、ひいては亡くなる方も多かった。これは第一波、第二波のときにも、我々は経験をしていることであります。いかにこれを抑制していくのか、早期の段階でいかにクラスターを小さい形で抑え込んでいくのか、これは非常に大事なことだと思っておりますので、それに向けて最大限、関係者と連携をとりながら、努力したいと思います。

柚木委員 尾身先生、本当はまだお聞きしたいこともあるんですが、ちょっとほかの質問との絡みで、多分難しいと思うので、きょうの段階はこれで御退席いただいて結構ですので、お忙しいところ、本当にありがとうございました。

 加藤大臣、続けてお尋ねをいたしますが、今の御答弁は理解をいたします。その上で、先ほどは、施設内で一人でも感染者が出た場合、濃厚接触者以外の現場の職員の方にも公費無料検査を受けていただけるという話ですが、通告四でお願いしているのは、感染者が出なくとも、やはり現場の責任感、逼迫感、プレッシャーというのは同様にあるわけです。ですから、まさに病院内感染あるいは介護、福祉施設内感染を防止するという観点に立てば、感染者が出なくとも、より積極的な現場の従事者への公費無料の検査、この助成を進めるべきだと考えます。

 安藤先生とのやりとりも私は承知していますが、要望はあったと思うんです。党派を超えての本当にお願いですから、これをぜひ、積極的に取り組んでいただきたいのと同時に、一つ加えますと、沖縄のように本当に全国的にも逼迫しているような都道府県、地域においては、まさに地域限定、期間限定でもいいので、公費の無料の従事者への検査、これを積極的に進めていただきたい。

 ぜひ御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、その施設の中に陽性者が発生していなくても、例えば地域において、今お話がありました沖縄のように、感染が非常にリスクが高い等々があれば積極的に必要な検査を、例えば介護施設の場合には医師等がおられますから、医師等の判断で積極的にやっていただきたい。それは可能であるし、それは公費でやりますということは既に明らかにさせていただいているところでございますので、そういった中身について更に徹底を図らせていただきたいと思います。

柚木委員 なかなかそこがうまくワークしていないところも承知していますので、ぜひお願いします。

 それから、通告二でお願いしていますが、これはちょっと加えてのお願いになるので、よくお聞きいただきたいのは、いわゆるコロナ手当というか危険手当というか、慰労金の部分ですね。資料の中にもつけておりますので、委員の皆さんにはごらんをいただければと思いますが、三ページ目、四ページ目です。それぞれ、医療現場、介護、福祉現場へのスキームを書いております。

 最大二十万円、それから五万円から、直接接触あるいは濃厚接触のお仕事をされている方々、それぞれ基準がありますが、五万円、十万円、二十万円、医療、介護・障害分野、それぞれあるわけですが、これをまず、通告しているのは、これから申請が事業者からあって、現場にいろいろな形で届いていくものとは承知しておりますが、現場からは、これは別にお金の話じゃないんだけれども、やはり報いていただくという意味で、そういう対応はいつになるんだという問合せが殺到しています。

 ぜひ、少しでも早く、そして確実に、医療、介護、福祉従事者に支給されるように、今後の対応について私も事前通告で聞いていますが、現状、今後の事業者からの申請状況、そして現場への支給状況も踏まえて、厚生労働省として必要な対応をとってもらいたいというのが一点。これは通告しています。

 もう一点、ちょっと通告はしていないんですが、これは全国知事会からも極めて強い要望が上がっていますので。医療現場においては、六月までに感染者が発生した、それがスキームになっていると聞いていますが、まさに第二波、今、現在進行形で、七月、八月と延長して、この慰労金、対象になるように、ぜひ、あわせてお考えをいただき、前向きな御答弁をお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、既に決めさせていただいている慰労金の支給については、医療分については八月五日、介護、福祉分については八月七日に、緊急包括支援交付金の交付決定、これは各都道府県からの申請を受けて行い、都道府県には所要の経費の概算交付を行わせていただきました。

 準備ができた都道府県から、七月下旬以降、医療機関や施設からの申請受け付けを開始しており、八月下旬から順次、都道府県から医療機関や施設等に対して慰労金に係る交付金が支払われるというふうに承知をしております。

 医療機関においても、あるいは各都道府県に対しても、早期に職員の方々に対して給付が行われるようお願いをしたいと思っておりますし、また、そのため厚労省としても、リーフレットの作成、配布、あるいはさまざまな相談を受け付けるコールセンターによる相談対応、こういったことで医療機関、医療従事者等の皆さんへの周知を図っているところでございますので、引き続き、一日も早くそれぞれ皆さん方の手元にこのお金が行くようにしていきたいと思っております。

 それから、今、知事会のお話がありました。慰労金については、そうした状況の中でお配りをさせていただいたということでございますので、これをもう一回ということについて今政府の中で検討している状況にはございませんけれども、ただ、幅広く医療機関の経営支援ということについては、先ほどもお話し申し上げましたけれども、二次補正の分を早急にやると同時に、今の感染状況、また医療機関の経営状況をしっかり踏まえて、またそれぞれの声も今聞かせていただいております。必要な対応を検討していきたいと考えております。

柚木委員 ありがとうございます。

 複数ということもあれですけれども、延長という意味で、まだ申請が来ていないところも含めて期間延長という趣旨で、必要な対応とおっしゃっていただきましたので、含めて理解をいたしますので、よろしくお願いいたします。うなずいていただきました。ありがとうございます。

 それで、きょうは内閣府から宮下副大臣にもお越しいただいておりますが、二次補正、今お触れいただきました、加藤大臣にも。十兆円、積んでいるわけですね。しかしながら、使途として、雇用対策あるいは医療対策それから持続化給付金、約五兆円のスキームは決まっていますが、これも実施はまさに今これから。残りの五兆円、全く白地。こういう状態では、第二波あるいは秋冬以降のインフルエンザなどとの同時進行、対応できませんよ。

 ぜひ、この積んでいるお金も含めて、担当内閣府の中においても、あるいは政府全体においても、第二波への対応、秋冬以降の対応、今から前倒しで決めていかないと、ほかの国に比べても非常にさまざまな対応がおくれている。残念ながら、世界の各国の調査の比較で、日本の首相のリーダーシップが極めて低いという評価にもなってしまっています。これは決して好ましいことではないです。

 ですから、そういうことも踏まえて、この十兆円の予備費の活用状況と今後の見通しについて、ぜひ前倒しでさまざまなことを決めていくという観点から御答弁お願いします。

宮下副大臣 先生御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症対策予備費につきましては、令和二年度第一次補正予算で一・五兆円、また第二次補正予算で十兆円を計上して、これまで、五月には、医療用マスク、ガウンの医療機関等への配布、また学生支援緊急給付金に二千三百七十億円、また、八月には、持続化給付金、緊急小口資金等に一兆一千二百五十七億円の使用を決定してきたところであります。

 また、御指摘のとおり、第二次補正予算で計上した十兆円の内訳につきましては、六月に麻生財務大臣の財政演説において触れられておりますけれども、この五兆円部分については、ある程度幅を持って見る必要があるが、雇用維持や生活支援の観点から一兆円程度、また、事業継続の観点から二兆円程度、医療提供体制等の強化の観点から二兆円程度必要になるのではないかとされております。また、先生御指摘の残りの五兆円のことについては、さまざまなニーズを踏まえ、必要に応じて迅速かつ十分に対応できるよう万全を期すため、更に五兆円程度を確保することとしたというふうにされております。

 政府としては、こうしたことを踏まえて、今後とも、内外の感染症の状況や経済の動向、国民生活への影響を注意深く見きわめて、必要に応じて、本予算、本予備費の活用を含めて、臨機応変に、かつ、時期を逸することなく対応してまいりたいと考えております。

柚木委員 そのためにも、ちょっと最後に加藤大臣にお願いしたいのは、先ほど小川委員からも安倍首相の健康問題の話、少し触れられましたが、私もそれをきょう触れるつもりはないんです。ただ、首相の健康状態、よく御養生いただいて早く回復していただきたいのですが、もし調子が悪いのであれば。

 それは別にしても、私たち野党は今、国民の皆さんがコロナ禍で、それこそ総理と同様に疲れている、そんな中で、やはりその対応を国会として私たちは強く求めています、憲法上の五十三条の要請に応じて。

 今、二次補正の話もあったけれども、必要に応じては三次補正。それから、巨額の、五兆円も含めて、国会で何にも審議せずに、閣議決定だけで決まるということは、これはないと思いますよ。ぜひ、厚生労働省、それからコロナ対策本部でも副本部長として、あるいは安倍内閣の閣僚の一員として、安倍首相の健康問題とは別に、国会を一日も早く召集して、きょうのように週に一回厚労委員会だけじゃなくて、全ての関係委員会を毎日開く、これこそが今の国民の要請に応じることだと思うんです。

 ぜひ、首相の健康問題とは別に、国会を一日も早く召集して、そして内閣としての、八割、NHKでも七二%、早く国会を開いてくれという民意に応えていただく、その責任をとっていただくおつもりはありませんか。御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 野党の皆さんからそういう御要望が出ている、御要望と言っていいかな、ちょっと……(柚木委員「与党からも出ている、要望が」と呼ぶ)いやいや、国会に対して出されているということは承知をしているところであります。

 それらも踏まえて、適切に判断されるものと承知をしております。

柚木委員 時間が来たので終わりますが、きょうは、御法川副大臣、来ていただいてありがとうございました。

 これは、ゴー・トゥー・トラベルの、きょうできなかったんですけれども、ツーリズム産業共同提案体ですか、これの中身は全く不透明ですよ。どれだけの人数、職員で、どこから来て、どれだけの委託費でやっていくのか。あっちの、ゴー・トゥーの方の、経産省の方は、電通からデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーに変えたら、委託費は半分になっているじゃないですか。八百五十億円を想定したら、四百二十七億円。ぜひ、ツーリズム産業共同提案体についても本当に詳細をよくよく私たち確認をさせていただいて、これは必要な見直しをすれば、予算、国民の税金、軽減できると思いますよ。

 そのことも強くお願いをして、またこれは機会があればやらせていただきますので、きょうの質疑はこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、病院への支援です。

 私も、地元のコロナ患者の治療に当たっている病院に行きまして、院長先生と、その後、労働組合の方々にもお話を伺ってまいりました。その病院でも、二月から六月までの減収は三億数千万円だという話でした。労働組合の方に聞いたら、年末のボーナスは減収がどれだけ国から埋められるのかにかかっているというふうに病院から説明を受けているというお話も伺ってまいりました。

 この間、診療報酬の引上げだとか、あるいは病床確保料の引上げも行われましたけれども、それが減収を埋める水準になっているのかといったら、それは全くなっていないわけですよね。それから、現実には、国からの交付金というのは、二次補正のものは現場には届いていないわけですね。東京でいえば十月以降というふうに聞いております。運転資金として、今、借入をやっているわけですけれども、これも無利子の融資の枠は一億円では足りないというお話でありました。

 ですから、病院の支援は、やはり減収をしっかり補填する規模で行うことと、そして当面融資の無利子の枠も思い切って拡大する、こういうことをしないと、本当に秋冬に向かって病院が戦っていけなくなると思いますが、その点、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 既に一次、二次補正予算を合わせて一兆七千七百六十九億円の新型コロナウイルス感染症緊急支援交付金、この計上を図らせていただき、具体的には、新型コロナウイルス感染症患者専用の病院や病棟、疑い患者専用の個室病床を設定する医療機関における病床確保の補助単価の大幅な引上げ、休止病床も空床確保料の対象とした上で四月までさかのぼって病床確保補助の適用、さらに中等症者等のための空床確保の補助単価の四月にさかのぼった引上げ等、これは全額国費で行うことにさせていただいているところであります。また、診療報酬についても、重症の新型コロナウイルス感染症に対する一定の診療への評価は三倍に引き上げました。

 加えて、さまざまな、感染症の疑い患者受入れのための院内感染防止対策や、医療機関、薬局等における感染防止のための支援を行うとともに、当面の資金繰り支援として無利子無担保等の緊急対応融資等の拡充も図ったところでありまして、まずはこうした措置がしっかりと現場に届くように対応していくことが大事だというふうに思っております。

 その上で、予備費等もございますので、医療機関の現場等のニーズ等もしっかりお伺いをしながら、必要な対応を検討させていただいて、対策を講じていきたいというふうに考えております。

宮本委員 予備費、この間、一部は支出が決まったわけですけれども、私はそこに病院への支援が入るのかなと思っていたわけですよ。しかし、入っていないわけですよね。今言われた二次補正だって、届いていくのは十月以降になるわけですよ。ですから、予備費、早く支出を決めないと、届くのが来年になっちゃいますよ。ですから、本当に急いで具体化をしていただきたいということを求めておきたいと思います。

 次に、感染拡大防止と検査についてお伺いします。

 基本は手洗い、マスク、換気、三密対策が感染拡大防止では大事だと思いますが、その上で、検査の対象なんですけれども、一つは、やはり有症者について、これは医師が疑った人について、新型コロナじゃないかと疑った場合は受けられるとなっているわけですけれども、もっと幅広く有症者も考えなきゃいけないんじゃないか。疑うレベルというのはお医者さんによっていろいろなわけですよね。

 私の地元でこういう話があったんですね。介護現場で働いている方が、飲食の数日後に、熱はなかったけれどもだるさがあった。風邪だと思ってお医者さんにかかった。本人もお医者さんもコロナだと疑わなかった。症状を抑える薬をもらった。その後、その方と同居している要介護の家族が発熱した。状況がどんどん悪くなって、検査をしたら、新型コロナの、同居している方は陽性だった。この同居している方は外に出ることはほとんどない方ですから、家族からの、自分からの感染だろうということをおっしゃったわけですよね。入院になって、重症化はしなかったからよかったんですけれども。

 ですから、感染拡大防止ということを考えた場合に、有症者をもっと幅広くといいますか、疑うレベルというのを引き下げて、ちゃんと、どんどんどんどん検査するというのが必要じゃないかと思うんですよね。

 その点、大臣、いかがお考えでしょうか。

加藤国務大臣 今の御指摘の例は承知をしていないので、ちょっとそれについてはコメントできませんけれども。ただ、基本的に医療行為でございますから、医師が診断をして、それに基づいて対応していただくということが基本になるんだろうと思います。

 そういった意味においては、必要な情報を医療従事者、特に医師の皆さん方にしっかりと提供して、適切な診療が行われる環境をつくっていくということが必要なんだろうというふうに思っておりまして、これまでも診療の手引き等々も出させていただいているわけでありますけれども、引き続きそうした努力をすることによって、医療の面におけるPCR検査が適切に実施していただけるように更に努力をしたいと思います。

宮本委員 実際は、全国的に、発熱してもなかなか検査を受けられないという声がいまだにあちらこちらで出ているわけですよね。もちろん、その発熱した人はステイホームをやっていて、感染している疑いが全くない場合もあるかもわからないですけれども、そうじゃないケースもあるわけですから、やはり、有症者は本当にきっちり、新型コロナに見られる症状が小さいものでも、あったらどんどんやる、これを徹底してやっていただきたいというふうに思います。

 それから二つ目に、きょうも議論になっております、安藤委員からも柚木委員からもありましたけれども、医療、介護等で働いている皆さんへの定期的な検査、社会的検査についてお伺いしたいと思います。

 先ほど大臣からも、そういうところの、病院だとか介護で入られている方は重症化リスクが高い人だから、そこでのクラスターは避けなければいけないというお話がありました。そういう中で、千代田区は、独自の財源で職員の皆さんの定期検査をこの八月から始めました。

 そしてもう一つ、世田谷区、私も保坂区長に先日お話を伺ってまいりましたけれども、検査の拡充をいろいろ考えているんだというお話でした。

 第一段階は、通常の検査自体が逼迫していますので、これは新しい機器も入れて、医師会の協力も得て、検査体制を強化する。現在一日三百ぐらいから、六百にふやすと。

 第二段階としては、介護、医療、障害者福祉等で働く人への定期的な検査を社会的な検査として行う。その際、これも大事だなと思ったんですけれども、保健所、医師会にできるだけ負担をかけない形で、独自に検体を採取して検査機器を回す体制をつくりたいと考えていると。その際、大勢の人を効率よく検査するためにプール検査も導入したいと。数人程度の検体をミックスして、検査して陽性が出たら、残っている検体で、一人一人陽性か陰性か確認するために、もう一回PCRの機器を回すということです。この人は陽性だと出た段階で保健所につないでいくというお話でした。プール検査については、今、先端研の方で精度などについて実証試験をしていて、八月末以降にこの実証試験の結果が出る予定だという話でありました。

 ただ、保坂区長も、財政的な面での支援がなければ大変だとおっしゃっていました。世田谷区は、ふるさと納税で五十億円の税収を失っているわけですよね。交付税は、不交付団体ですから、ありません。地方臨時創生交付金も、一次、二次合わせて二十八億円ということですから、ふるさと納税で失った分も埋まらないというレベルなわけですよね。

 もちろん、その検査というのは、定期検査といった場合に、きょう感染していなくとも翌日感染するというのはあるわけですし、もちろん、発症前の人がPCR検査でどこまで確認できるのかという精度の問題というのはあるわけですけれども、そういうことを皆さん承知の上でも、しかし、高齢者施設などでクラスターが発生したら命の問題になる、それはどうしても避けたいということで、定期検査をやりたいという考えなんですよね。

 ですから、こうした施設で働く人への定期検査については、国の検査戦略にもしっかり位置づけて、行政検査としてできるようにすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほども答弁させていただきましたけれども、医療施設あるいは高齢者施設等においてクラスターが発生したときには、やはり、より一層重症化しやすい、中には亡くなる方も、死亡にもつながっていくというリスクも高いということでありますから、いかにそこにおける感染をまず未然に防止をしていくのか、あるいは、仮に陽性者が出ても、できるだけ少ない人数にどう抑え込んでいくのかというのは非常に重要であると思います。

 そういった意味においても、このPCR検査を含めた検査を活用して、そうした対応をとっていくことが必要だと思っておりますので、そうした施設内において陽性者が発生したのみならず、周辺の感染状況を踏まえて、必要とあれば、今言った医療従事者あるいは入所者の方始め、必要な検査をやっていただきたいということはこれまでも申し上げているところでございますので、そうした旨の徹底を図っていきたいと思います。

 ただ、実際に、なかなか、やれる体制ができているのかというまた問題もありますので、それに対しては、移動して、現地に、施設に行ってPCRができるような体制を構築していただくとか、さまざまな対応をそれぞれの自治体にお願いしていかなきゃなりませんけれども、そういった体制整備に対しても、国からしっかりと支援をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、プール検査のお話もありました。プール検査を始めとして、今、さまざまな検査についての開発が進んでおりますので、我々も、そのできたものについて検証させていただいて、これは使えるといったものは積極的に活用していきたいというふうに思います。

宮本委員 今のような例えば世田谷区の感染状況であれば、区と区の保健所が判断すれば、定期検査を、能力があればということですよ、定期検査を介護職員や医療施設の方々にやるということは、行政検査の中に位置づけてできるということでよろしいんでしょうか。

加藤国務大臣 医療施設の中については、多分、お医者さんがおられますから、お医者さんが判断されるということにつながるんだろうと思いますし、また、地域において、医療施設等々でなくて、一緒の地域において検査をするということがあれば、それは行政の方が判断するんだろうというふうに思います。

 具体的なことについては、当初、世田谷区長が、いつでも、どこでも、誰でもでしたか、打ち出されたときに、我々も具体的な中身も聞かせていただきました。まだ中身は検討中ということではありましたけれども、またよく相談をさせていただきたいということは申し上げているところでございます。

宮本委員 ちょっとよくわからないんですけれども、それは、医師が必要と判断したらというのが、ルールでやるということですか。例えば、飲食街、沖縄の松山なんかだとか新宿の歌舞伎町なんかは保健所の判断でやったと。保健所の判断でもいいし、あるいは医師が判断しても、そういう定期検査、定期検査なんですよね、やりたいと言っているのは。そこも行政検査に含み得るということでいいわけですね。

加藤国務大臣 基本的に高齢者施設の中における健康管理等は医師の方が担っておられるわけですから、当然、医師の方の判断ということになるんだろうと思いますけれども、そこはもちろん行政といろいろ御相談されるという場面もあるんだろうというふうに思います。

宮本委員 一つ一つの施設というよりも、悉皆的に全施設をやりたいという判断なわけですね。千代田区でいえば、もうそれを始めたと。千代田区は小さな区で人口も少ないですから、七つの施設なので、お医者さん一人、契約を結んでやっているというお話を伺いましたけれども、世田谷区の場合は、高齢者施設だけで一万というよりももっとの数になるわけですね、対象者は。それも、区長や保健所が判断したら、定期検査は行政検査の対象になり得るという理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 ですから、そこは、先ほど申し上げましたように、一方的にやれるものではありません。検査は協力しながらやるものですから、基本的にそれぞれの施設側の対応というのは求められるわけなので、それを判断するのは、もちろん、施設長とか、施設の責任者もいると思いますけれども、健康管理という面においては、そこにおられる医師の意見というのは尊重されるものなんだろうというふうに思います。

 ただ、地域においてこういうことでやりたいからということであれば、その施設等と御相談をされていくんだろうというふうに思いますので、その具体な進め方というのは、それぞれ地域地域ということになるんだと思いますので。

 ただ、最終的には、やはり、例えば高齢者施設でいえば、そこにおける医師の方がこれはやるべきだという判断をされて行われていくんだろうというふうに思います。

宮本委員 それは当然、それぞれの施設との相談というのは、区長や保健所の判断とあわせて、なければできないわけですね。施設の長なんかは、どんどんやってほしいという意見があるのを受けて、区の側も今、具体化をしているわけです。ですけれども、検査の体制があることが前提ですけれども、それはあり得る、行政検査でやり得るということで確認をさせていただきたいというふうに思います。

 行政検査としてできるということになれば、当然、それは、負担は国の方でということになるのではないですか。

加藤国務大臣 行政検査は、国と地方、半々の負担ということになりますので、そういった意味で、首を振らせていただいたというのはそういうことです。

 ただ、いずれにしても公費検査ということになりますので、国が半分負担、残りの半分については地方交付税等々で対応させていただくということでありますから、しっかりと財源の確保を図って、そして、実施をするとすれば、行政検査の一環として行われますので、施設やあるいはそこの入所者等々に対する負担はないということになるわけであります。

宮本委員 初めに申し上げましたが、世田谷区は地方交付税不交付団体なわけですよね。いろいろな支援も少なくて、一方で、ふるさと納税でどんどん消えているということですから、そういう点も、ちょっと財政的な面も、ぜひ支援を更に考えていただきたいということも申し上げておきたいと思います。

 次に、保健所のことについてお伺いをいたします。

 地元の保健所長さんのお話もお伺いしてきましたけれども、本当に、保健師の皆さん、毎晩十時、十一時まで残業が続いていると。何とか交代で休日はとれるようにしながら、みんなが継続的に頑張れるように努力されているというお話も聞きました。ですから、本当に、保健所の体制強化と負担軽減はもっと図らなきゃいけないなというふうに思っています。

 先ほど、きょうの安藤委員とのやりとりでも、自宅療養者のフォローアップについては医師会だとかに外部委託できるということになっているわけですけれども、実際はそこまでやられていない保健所もたくさんあるわけですよね。地元の医師会の方なんかにお話をお伺いすると、こういう自宅療養者のフォローアップというのは臨床の仕事だから、保健師さんがやるよりも、訪問診療医と訪問看護ステーションがやった方がよほどそのニーズに合っているんだというお話も聞いておりますので、これは事務連絡ではできるということになっているわけですけれども、もっと積極的に、地元の医師会と相談してやっていただくということを強く自治体の方にも言う必要があるんじゃないかと思いますし、あと、今、濃厚接触者の検査もたくさんふえているわけですけれども、検査結果の連絡をするのに、なかなか電話がつながらないという話も聞くわけですよね、留守電にしている人も多くて。何度も何度も電話して、その手間も大変だということで、ある区では、これからは陰性の場合はメールでやっちゃおうという話も聞いておりますが、そういうことも含めて、本当に保健所の負担軽減をぜひ図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 今般の新型コロナウイルス感染症への対応では、保健所が住民の相談対応や積極的疫学調査等において重要な役割を担っており、増大する保健所業務の負担軽減が課題となっております。

 厚生労働省としましても、増大する保健所業務の負担軽減を図るため、各自治体に対して、電話相談等に係る人員の雇用に係る経費の助成、外部委託、縮小、延期等が可能と考えられる保健所業務のリスト化、ICTを活用した保健所業務の効率化など、専門職が専門性の高い業務に専念できるよう支援を行ってまいりました。

 さらに、本年六月には、都道府県に対して、七月末までに、業務の外部委託等により保健所の業務負担を軽減し、技術系職員が専門性の高い業務に専念できる体制を構築、保持するように要請をいたしました。

 現在、体制整備の状況について都道府県からの報告を受け、その結果の取りまとめを行っているところでありますが、保健所の業務負担の軽減に関する好事例についてはその周知を図るなど、引き続き保健所の負担軽減に取り組んでまいりたいと考えております。

宮本委員 本当に大変な状況が続いていますので、どんどん旗を振っていただきたいと思います。

 次に、雇用についてお伺いをいたします。

 雇用調整助成金の延長については、伊佐さんとのやりとりで、適切な時期に判断されるというお話がありましたけれども、私は今が判断するときだというふうに思っております。

 つい先日、労働組合にこういう相談があったんですね、観光業で働くパートの方から。今は無期限休業中で休業手当が出ている。だけれども、こう言われたというんですね。会社の業績悪化から、社会保険から抜けてほしいと。新しい契約書を示されたのは、契約労働時間はゼロ時間から、社会保険なし、雇用保険なし、こういうのが示されたという相談なんですけれども、これにサインしなければ契約更新できない。もうとんでもない不利益変更で、こんなものは許されないというふうに私は思うんですけれども、これはこれで正していかなきゃいけないと思っておりますが、一方で、これまで休業手当を払うことができていた大企業の中でも、本当に体力が落ちてきているところもあるということのあらわれでもあるというふうに思います。

 そして、この間、私も何度か労働組合の皆さんと厚労省にも要請をしているんですけれども、大企業の非正規労働者の皆さんから、休業手当が支払われていないという相談が絶えないんですね。労組の皆さんが団交すると、いろいろなことを使用者が言うわけですけれども、雇用調整助成金の助成率が七五%なので、これではとても皆さんのところまで払えないんだというようなことが言いわけとして使われる状況もあります。

 ですから、大企業も含めて、正社員も非正規も雇用をどう守るのか、私は今以上の対策が本当に必要だということを、この間、いろいろな相談を聞きながら感じております。

 私たちの党は、一貫して当初から雇用調整助成金の助成率は十分の十というのを求めてまいりました。中小企業についてはそうなっているわけでありますが、例えば飲食業や観光業や運輸業やイベント業など、売上げが大きく落ち込み続けている場合は大企業も助成率を引き上げるだとか、あるいは、そうした業種については新しくできた休業支援金の対象にしていくだとか、こうした検討も必要じゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員がおっしゃった例で、まず、就業時間がゼロ時間というのはちょっとよく、それが就業契約なのかなという思いをしながら聞かせていただきましたけれども。

 いずれにしても、まさにそれは、ある意味では首切りみたいな話にもなるということなんだろうと思いますから、それはそれで、的確に、我々として、もしそこに労働法規等に違反等があれば、それは適切に対応させていただきたいというふうに思いますし、また、ぜひ労基署等に御相談をいただきたいというふうに思います。

 それから、休業給付については、これまでも申し上げておりますけれども、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労基法上、休業手当の支払いが必要になるわけでありまして、これについては正規、非正規かかわらずということでもありますし、また、休業手当の支払い義務がなくても、同一労働同一賃金の観点からは、正社員に休業手当を支払う一方で非正規の雇用者に対しては支払わないということになれば、これはパートタイム・有期雇用労働法等の規定に違反する可能性もありますし、まずは、そうした違反が認められる場合には、都道府県の労働局から助言指導等を的確に行わせていただきたいというふうに思っております。

 そういった中で、まず、九月末の対象期限ということでありますので、これに対しては適切に判断をしていきたいということは先ほどから申し上げているとおりでございます。

 対象の拡大等についてもいろいろと御要望があることは承知をしておりますけれども、一方で、限られた財源の中でどこに集中して支援をしていくのか、そういった観点から現行の支給ができているということ、それから他方で、こうした雇用調整助成金というのは、一時的に支援するという意味においては非常に価値があるわけでありますけれども、継続することに対してはさまざまな御議論もあるわけであります。そういったこともしっかりと踏まえながら対応させていただきたいと思います。

宮本委員 雇用状況がやはり悪化をしてきているというのは、厚労省の雇いどめや解雇の人数を見てもふえ続けているわけですよね、コロナで。これからも、秋冬、新型コロナの感染拡大がまた大きく広がって、いろいろな経済活動の縮小という局面もまた迎えるかもわからないわけですよね。影響を受ける業界というのは、同じ業界が影響を受け続けているわけですよね。ですから、本当に、そこで働いている人たちの雇用をしっかり守り抜くというのは継続的にやらなきゃいけない話だと思うんですよ。

 しかも、初めに言いましたけれども、体力があったところもどんどん体力が落ちてきている。私も、内部留保がたくさんあるところに支援しろと言っているわけじゃないわけですよね。ただ、内部留保が少しあったところも、なくなってきているところもあるわけですよね。

 ですから、そういう実態に合わせてしっかり支援をしなければ雇用は守れないと思いますので、そこは本当に、限られた財源ということをおっしゃいますけれども、今そのお金を使わなければ、日本の経済のその後の再生、V字回復はなくなっちゃうわけですから、よく考えて、早急に具体化をしていただきたい。私は、できれば本当に、九月末の延長を決める際には、縮小ではなく拡充させる、そういう構えで、ぜひ政府内でも検討していただきたいと思います。

 次の問題に移ります。

 前回の委員会で、厚労省の長時間労働についてお伺いをいたしました。その後、ワーク・ライフバランス社というところが国家公務員の働き方について調査されたんですね、二〇二〇年の三月から五月の働き方について。四百八十名の方が答えています、うち七十名が厚生労働省の方。この調査では、単月で実際の残業時間が二百時間以上と答えた方が十三人で、うち四人が三百時間以上でした。前回の厚労委員会の私への答弁と数が合わないんですね。おかしいなと思うんですよ。

 ちゃんと実態に即して残業時間を把握して残業代を支払うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 お答えします。

 御指摘の民間企業によるアンケート調査の残業時間の定義というのは明確ではありませんが、国家公務員の超過勤務は、公務のための臨時又は緊急の必要のある場合に、正規の勤務時間外に勤務することを命ぜられたとき、この命令に従って行われるものであります。

 厚生労働省職員の超過勤務手当の支給については、基本的に、超過勤務命令に従って行われた勤務に対し、適切に超過勤務手当を支給しているものと思っております。

宮本委員 今の答弁でいいんですか。橋本副大臣のところへ先日お話に行きましたけれども、ちゃんと支払っていなかったのがありましたよね。

橋本副大臣 せんだって、宮本先生に副大臣室にお運びをいただきまして、ツイッターの投稿等を示していただきながら、この件につきましてお話をいただきました。

 その際にもお答えをいたしましたけれども、私どもの方で、超過勤務手当の支給については、その個々のケースについてはお答えを差し控えますけれども、やはりしっかりと実情に応じて適切に支払うようにということで、改めて私の方からも指示をいたしましたので、そのようにされているものと承知をしております。

宮本委員 実際はちゃんと払われていないというのが証拠つきで告発されているわけですから、先ほどの答弁はないと思いますよ、ちゃんと副大臣に答弁していただきましたけれども。

 私は、前回も大臣にお願いしましたけれども、現実に支払われていなかったものがあるということで是正を今図っていただいているわけですけれども、やはり、予算を確保しないと、これからまた秋冬で大変な事態になったときに、厚労省の職員の長時間労働がまた更に発生する可能性があると思うんですよね。

 ですから、私は、橋本副大臣には、予備費も含めてちゃんと確保するようにということを申し上げましたけれども、サービス残業が厚労省で発生しないように、ちゃんとやる、予算も確保する、その決意を述べていただけますか。

橋本副大臣 お話をいただきましたように、厚生労働省において本当に残業がたくさん出ているということは、これはもう紛れもなく事実でございます。それだけの業務量を職員は一生懸命こなしていただいているのでありまして、適切に残業代をお支払いをするということで今後臨んでまいりたいと思いますし、当然ながら、当初の計画よりも超勤の手当が必要になるということになっておりますから、そのことにつきましては、まずは省内で確保できるものからということになろうと思いますけれども、適切に予算を確保してしっかりお払いする、こうしたことで臨んでまいりたいと考えております。

宮本委員 ちょっとあと何問か通告していたんですけれども、時間がかかってしまい、たどり着かずに、申しわけございませんでした。

 以上で終わります。

盛山委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸です。

 本日は大変貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 時間が十五分しかございませんので、早速ですけれども、質問させていただきます。

 きょうの議論、あるいは厚労省のホームページなどを見ていても、私は、事実の確認、あるいは事実の広報、事実の分析というものが今この問題について一番欠けているところではないかなと思っております。

 例えば、二月から四月の時点に比べれば、新型コロナウイルスの重症化の本質というものが、サイトカインストーム、免疫の暴走によるものであるということがわかって、それに対する対症療法、ステロイドであるとか、あるいは血栓症に対するヘパリンなどの投与であるとか、そういったものが整備されてきています。当然、重症化率や死亡率も格段に低下してきております。

 一方で、経済は、当初から予想されていることではありますけれども、きょうもお話で出てきましたけれども、マイナス二七・八%と年率換算で衝撃的な落ち込みです。株価が維持されているのでこれはマスクされてしまってマスコミは騒ぎませんけれども、これは、リーマン・ショック以来、統計開始以来の最大の落ち込みということで、アメリカも三二%落ち込んでいますので、世界的なことで、これは大変な話になっているわけです。

 この両方のファクトを見詰めた上で、新型コロナに対する対策と経済に対する対策の両方を考えていかなければならないことは明らかなんですけれども、最近の報道を見ていますと、どうしても新型コロナに対する報道ばかり目について、そこら辺の兼ね合いがうまくいっていないんではないかと思っているんですね。

 その一つには、私は、恐縮ですけれども、政府の広報の仕方、あるいは大臣、安倍首相を始めとする政府の首脳が、きちんと明確に現状を国民に説明したり、この先どうするのかということを、やはり少し工夫が足りないというか、説明が足りない部分もあろうかと思っています。

 そういうこともあるものですから、きょうは、ちょっとそういったことをお示ししながら、大臣の見解、あるいは、こういうふうな対策が有効なのではないかということについて、私なりの意見を申し述べさせていただきます。

 まず、新規感染者の数ばかりが、きょうの朝もそうです、報道されることが多いわけですけれども、RNAウイルスである以上、新型コロナウイルスは日々刻々と姿を変えていくわけですね。一方で、徐々には免疫が達成されていくこともあるでしょうし、きょうも皆さん全員つけておられるように、マスクなどの防疫対策も大分整備されている。先ほど申し上げたように、治療法、治療技術の進歩もある。疾患の見せる表情も刻々と変わっていくと思っているんですけれども、それに対して厚労省はどこまで把握されているのか、若干の疑問がありますので、二点お伺いします。

 まず、日本各地における新規感染者の遺伝子タイプ、そういったものを、各週ごとにどういうふうに変わっているのか、あるいは、例えば東京では、大阪では、沖縄ではどうなのかということについてどういうふうに把握されているのか。

 私が気になっているのは、ドイツのGISAIDという新型コロナの遺伝子タイプについて世界じゅうの分析、報告しているものが、日本の分だけ五月のころからどうも更新されていないようなんですね。この間、報道でもありましたけれども、国立感染症研究所が、埼玉・東京型が六月中旬より日本に拡大していると。じゃ、沖縄はどうなのかとか、いろいろな疑問があるわけですけれども、この辺をどのようにチェックされているのか、厚労省にお伺いしたい。政府にお伺いしたい。

正林政府参考人 お答えします。

 今委員御指摘のとおり、国立感染症研究所において、新型コロナウイルスのゲノム解析による疫学調査というものを行っております。これは、各地から検体を集めてゲノムの解析をしたり、あるいは、地方衛生研究所でそもそも解析したゲノムの情報を集めたり、そういったことを通じて疫学的に調査をしております。

 ただ、ゲノムの解析だけではなかなか病原性の評価というのはできませんで、そのためには、患者の臨床所見とか、そういったことも集めて総合的に考慮する必要がある。先般も、今委員御指摘のとおり、感染症研究所の先生から、今ゲノムの状況がどんな状況かということを御報告いただいたりもしております。

 ちなみに、現時点で、コロナウイルス感染症が変異して弱毒化しているんじゃないかというようなことが時々言われますが、その先生いわく、まだそういった科学的な知見は得られていないというふうに聞いております。

青山(雅)委員 確認だけ、イエスかノーかくらいで結構なんですけれども、厚労省として、例えば全国の都道府県の何カ所くらいのサンプルデータを集めているとか、そういうことを感染研究所と連絡をとりながら積極的にやっているということはしていないということでよろしいでしょうか。

正林政府参考人 感染症研究所とは連絡をとりながらやっていますが、具体的に厚労省から感染症研究所に対して、どこの場所でどのぐらいの検体をとか、そこまでの具体的な指示はしておりません。

青山(雅)委員 これは大変重要なところだと思うんです。感染症研究所任せにしないで、もっときちんとどこの地方でどういう状況なのかを定期的に把握するように、やはりそこはきちんと厚労省の責任としてやっていただきたいと思っています。

 それからもう一点。新規感染者を年代別に分けて、例えば重症化した者がどのくらいで亡くなっているとか、そういったものを週ごとに追う、あるいは、新規感染者のうちに肥満の人はどのくらいなのか、あるいは持病を持っている人はどうなったのか、そういったものを、例えば五月の第一週の人はどうだったのか、第二週の人はどうだったのかとか、そういう細かな分析はされておられますか。

正林政府参考人 お答えします。

 国立感染症研究所について先ほど申し上げましたが、その近くに国際医療センターというところがございます。そこでも、臨床の情報とか、それから検体とか、全国からいろいろな医療機関に御協力いただいて情報を集めたりしております。

 新規感染者を年代別に、重症化したケース、あるいは死亡がどうかということの分析ですけれども、大体一、二週ごとにアドバイザリーボード、それから分科会、そういったところを開催して、そこにデータを提示したりして、専門家の間でいろいろな御評価をいただいているところであります。(青山(雅)委員「ごめんなさい。時間がないので、しているかどうかだけを答えてください」と呼ぶ)

 年代別のそういった重症度についての評価を行っております。

青山(雅)委員 しているのかもしれないんですけれども、厚労省のホームページを見てもそれは出てこないんですね。私の事務所の方で厚労省にお伺いしても、週ごとの報道発表資料があるから、そこしか出していないから、それを自分で勝手に解析してくれという話だったんです。私はちょっとそれは無責任だと思うんですね。

 今からお見せするんですけれども、新型コロナウイルスは非常に特徴的な疾患で、かなり動いているんです。

 まず、お手元の資料の新規感染者数をごらんいただきたいんですけれども、これを見ると一目瞭然のように、四月の第一波と言われるときよりも格段にふえています。しかしながら、これはちょうど一枚にしてあるからおわかりだと思うんですけれども、死亡者数は明らかに減っているんですね。よくタイムラグがあると言われていますけれども、私はずっとこれが立ち上がるのを見ていましたけれども、最近ようやく立ち上がってきておりますけれども、明らかに四月よりは格段に少ない。この動きを見ると、今後もそうなる可能性が高いんだなと思っているんです。だけれども、こういうグラフは一切厚労省のホームページには載っていません。

 そして、これを両方を一緒にして見るともっとよくわかるんですね。これを見ていただけるとおわかりのとおり、タイムラグがあってから死亡者がふえるというのは四月もそうですけれども、八月の方はほとんど立ち上がってきていないんですね。やはりこういう情報はきちんと国民に伝えるべきだと思うんですよ。

 こういうのがないから、マスコミは新規感染者の数だけ取り上げて大騒ぎをする。これを見ると、普通の人はある程度安心するはずです。数がふえた、ふえたといっても、そんなに状況が悪くなっているはずではない。こういったことの努力が私は足りないんじゃないかなと思っているんです。

 これは相対表示です。右の目盛りが死者の数に合わせた。百が上ですけれども。左の目盛りは、これは千六百人ですね、このオレンジのやつが感染者数ですけれども、明らかに少しおくれて来るんだけれども、四月に比べれば山は小さくなりそう。まだ確定はしていませんけれども、そういう状況です。

 もっと大事なことは、実は、これはほとんどマスコミは報じていませんけれども、大体三週間タイムラグがあります。三週間後に亡くなる方が多いわけですけれども、八十代の方でさえも今二〇%を切っているんです、一三・六%。五十代、六十代の方でも六月下旬以降はゼロに近いんです。これが一番重要ですけれども、五十代未満、つまり四十代より下の方は六月下旬以降一人も亡くなっていないんですね。〇%なんですよ。

 この新型コロナという疾患は世代によって表情が全然違うわけです。こういった事実を大臣は把握されておられるでしょうか。

加藤国務大臣 いろいろ分析をしていただいてありがとうございます。

 そうした分析を我々自身もしますし、また、それぞれの皆さんが分析できるようにできるだけオープンデータで出させていただいて、また、使いやすいような形で提供させていただいて、まさにそれを活用していただいたんだろうというふうに思います。

 今お話がありましたように、六月二十四日以降、八月十二日、これは一週間ごとのデータですが、四十代以下の死亡者は報告はされていないということは承知をしております。また、年齢階級が高くなるにつれて死亡者や重症者の割合が高くなる傾向はこれまでも指摘をされているところでありますし、また、新型コロナウイルス感染症診療の手引きにおいても、基礎疾患のある方の、患者の死亡リスクが高いということも指摘がされているということでございます。

青山(雅)委員 大臣が今お答えいただいたとおり、高齢者、そして基礎疾患のある方に非常に特異的にリスクの高い、そういう疾患なんですね。

 時間がなくなってきたものですから少し省略しますけれども、結局のところ、この戦いというのは、三月にドイツのメルケル首相が全国民に呼びかけたとおり、そういうハイリスクの方を守るための戦いであり、そのために医療システムを守るための戦いなんですよね。

 四十代以下の軽症者、あるいはほとんどの無症候者、この方たちの話と、ハイリスク、特に七十代以上の方の話を明確に分けて考える必要があると私は考えています。なぜ分けて考えなきゃいけないかというと、対策はそこに絞るべきだからです。なぜなら、そうしないと経済が回らないという事実もある。

 ある沖縄の若手のお医者さんが言われたことで、私はそうだなと思ったんですけれども、低リスク群で社会を動かし、高リスク群をしっかりと守る、こういう考え方は当然必要だと思っています。

 よく言われるように、コロナはただの風邪と言う人もいますけれども、私はそう思っていません。ただの風邪でもないし、ただのインフルエンザでもない。でも、ペストでもないわけですね。そこを踏まえてやると、何をしていかなきゃいけないかというのはおのずと明らかになると思います。

 きょうはPCR検査の話が随分出ましたけれども、PCR検査、多分、全国で一斉に今この瞬間にやれば、コロナの撲滅は可能だと思います。ただし、PCR検査というのは、当たり前ですけれども、その時々に陰性であるということに限るわけで、それを五月雨式でやっているわけですから、幾ら数をふやしたってPCR検査で撲滅できるわけはないわけですね。

 例えば、ニューヨークなんかは、一日五万件という話がありましたけれども、きょうのデータで、一日当たり、新規感染者七百十八人、死亡者十二人です。東京なんかより全然多いわけです、五万件やっていても。だから、PCR検査ではコロナという戦いに勝つことはできない。大事なのは次の四点だと思っているものですから、最後にそれについての御所見を大臣にお伺いしたいと思います。

 一つは、重症者用医療施設を各都道府県に最低一カ所、大都市都道府県では二カ所以上設ける。

 それから、一番大事なのは、検査ではなくて、発熱などの軽症段階で医療アクセスが容易にできるようになること。これができないものですから、勝武士さんの悲劇なども生まれているわけですね。それが相変わらず改善されていない。ですから、発熱専門外来であるとか、あるいは市町村に一カ所以上設けるとか、あるいは、各医療機関で工夫してもらって受け入れてくれるように厚労省が積極的に動く。

 それから、死者を減らすのには高齢者に対する感染防止対策が一番肝要なわけですから、これについて、モデル施設を設けるなどして積極的に告知していく。

 それから、最後に、開業医の方からよく要望としてあるんですけれども、今の二類相当という扱いが大変過ぎるから五類に下げてくれという話があります。そこの検討とともに、開業医の方の負担を、例えば保健所への報告を簡易化するなどしてできるだけハードルを下げて、一般の開業医の人が診ていただけるようにする。

 こういったことが大事だと思うんですけれども、最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

盛山委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 まず、重症者医療施設のお話がありました。これは、私ども、六月十九日に、医療提供体制の整備について、重症者用の病床や発熱者等に対する外来、検査を含め、人口規模や地域の感染状況に応じて医療提供体制の整備を進めていただいているところでございます。地域によっては全く単独でつくれない地域もありますから、そこは地域地域に応じて、ただ、重症者用の病床という概念で取り組んでいただいているというふうに承知をしております。

 それから、今おっしゃった発熱外来の関係については、いわゆる帰国者・接触者外来でありますけれども、現在三千六百九十四施設ございまして、そのうち、地域外来・検査センター等も逐次設置をしていただいております。

 加えて、今、契約等を簡素化する等させていただくことによって、医療機関が積極的にこうした対応をとっていただく。さらに、これからインフルエンザの流行期がありますから、それをすれば、もっと手厚い対応が必要になってくるというふうに認識をしております。

 それから、高齢者施設等への対応でありますけれども、これはまさしくおっしゃるとおりでありまして、そうした介護施設あるいは療養型の病院等における感染防止がしっかり図っていけるよう、自主点検、シミュレーション、あるいは感染対策マニュアル作成等々の実施、さらには、医療機関、薬局、介護施設等における感染拡大防止策に対する費用助成、こういった施策も行わせていただき、一番大事な守るべきところ、まさに高齢者やあるいは基礎疾患のある方が多い医療施設においてクラスターが発生しないように対応していくことが大変重要だと思っております。

 それから、最後に感染症の指定の話がございましたけれども、これは、今、指定感染症という中においてとり得べき措置が決められているわけであります。入院措置等々であります。これはやはり現時点では私どもは必要だというふうに考えておりますが、これまでの事例でいえば、SARS、MERS等においては、状況を踏まえながら、累次、感染症の指定のランクを変えてきたという実態もあります。

 ただ、重要なことを今委員御指摘がありましたように、医療機関からの報告等をいかに簡素化するかということにおいては、HER―SYS等も利用していただいて、ICTを使うことによってできるだけそうした負担の軽減もあわせて図っていきたいというふうに思います。

青山(雅)委員 真摯な答弁、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 質問を終了いたします。

盛山委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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