衆議院

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第10号 平成24年7月25日(水曜日)

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平成二十四年七月二十五日(水曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 石関 貴史君 理事 川口  博君

   理事 近藤 洋介君 理事 田嶋  要君

   理事 梶山 弘志君 理事 菅原 一秀君

   理事 高松 和夫君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      石津 政雄君    磯谷香代子君

      大西 健介君    大畠 章宏君

      柿沼 正明君    金森  正君

      北神 圭朗君    櫛渕 万里君

      小室 寿明君    斉木 武志君

      坂口 岳洋君    柴橋 正直君

      杉本かずみ君    高野  守君

      中根 康浩君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    山崎  誠君

      秋葉 賢也君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      谷畑  孝君    西野あきら君

      額賀福志郎君   木村たけつか君

      中後  淳君    江田 康幸君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      平山 泰朗君    園田 博之君

      平  智之君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   文部科学副大臣      奥村 展三君

   環境副大臣        横光 克彦君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            戸谷 一夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     深野 弘行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官)         山本 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       山崎 篤男君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   参考人

   (日本銀行企画局長)   内田 眞一君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月六日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     大西 健介君

  加藤  学君     小林 興起君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  柴橋 正直君     金森  正君

  高野  守君     小室 寿明君

  花咲 宏基君     杉本かずみ君

  松岡 広隆君     磯谷香代子君

  山崎  誠君     柿沼 正明君

  山本 剛正君     石井登志郎君

  西村 康稔君     秋葉 賢也君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     石津 政雄君

  磯谷香代子君     松岡 広隆君

  柿沼 正明君     山崎  誠君

  金森  正君     柴橋 正直君

  小室 寿明君     高野  守君

  杉本かずみ君     花咲 宏基君

  秋葉 賢也君     西村 康稔君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     坂口 岳洋君

同日

 辞任         補欠選任

  坂口 岳洋君     山本 剛正君

同日

 高松和夫君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 去る六日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事の補欠選任を行います。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に高松和夫君を指名いたします。

     ――――◇―――――

中山委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君及び日本銀行企画局長内田眞一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として文部科学省研究開発局長戸谷一夫君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長深野弘行君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院首席統括安全審査官山本哲也君及び国土交通省水管理・国土保全局次長山崎篤男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井戸まさえ君。

井戸委員 おはようございます。民主党の井戸まさえでございます。

 本日、初めて経産委員会で質問をさせていただきます。男女共同参画に最も理解をいただいています枝野大臣に質問ができることを大変うれしく、そしてまた、積極的な御答弁を期待しながら質問をさせていただきたいと思います。

 一昨日の七月二十三日、厚生労働省の雇用政策研究会が、実質経済成長率がゼロ%程度で推移し、女性や高齢者などの就労が進まない場合、二〇三〇年の就業者数が、二〇一〇年の六千二百九十八万人から最大で八百四十五万人減って、五千四百五十三万人になるだろうということを発表いたしました。この数字は非常にショッキングな数字でもございまして、マスコミなどでも大きく取り上げられました。

 実質経済成長率が二%では、男性の高齢者層の労働力率が上昇した場合でも、二百十七万人減少すると見込まれています。一方で、結婚、出産、育児で仕事をやめ、子育て後に再就職をする、いわゆるM字カーブが解消した場合に関しては、逆に三万人増加すると試算をしています。これは、女性の就労環境の改善こそが将来の日本経済にとって最も重要であることを示すものだと思います。

 残念ながら、厚労省が今月六日に発表いたしました二〇一一年版の「働く女性の実情」を見ると、M字カーブの底は六七%で、第一子出産前後の継続就業割合は依然として低い状態です。育児が終了した後の再就職は、低賃金で社会保険なども保障されないパートタイムや非正規労働につくケースが圧倒的に多数を占め、女性労働者全体の労働条件の改善を阻んでいる大きな要因にもなっています。

 M字カーブの問題が早くから指摘されているにもかかわらず、その解消は遅々として進まないのが現状です。保育サービスが足りないことやワーク・ライフ・バランスが進んでいないことなど、いろいろと要因もありますけれども、枝野大臣は何が問題だと、これの阻害要因をどのように認識されているかということを、この八百四十五万人という数字のインパクトも含めてお聞きをしたいと思います。

枝野国務大臣 御質問、ありがとうございます。

 私自身、男女共同参画政策を、スタートとしては、社会政策あるいは人権政策の観点から、初当選以来取り組んでまいりました。もちろん、そうした観点も引き続き大変重要でありますが、特にこの立場で仕事をさせていただきますと、我が国の経済の活性化、活力を今後も維持していくという経済政策の観点からも、実は、女性を初めとする働き方の多様化ということが大変重要であるという認識を強くしているところでございます。

 現在、雇用は、足元は若年者の就職難など、就職先がないという方向ばかりが注目をされていますが、今後、日本が経済の活力を維持していけば、間違いなく少子高齢化の中で、まず、労働力そのものの数として、量として不足をいたします。

 そうしたことの中で、せっかく力がありながら就労についていないという人たちが、まさにこのM字カーブという現象の中でたくさん残念ながら埋もれている、こうした皆さんの活力というものをしっかりと維持すること、引き出すことということなしには、少子高齢化で人口減少という構造の中で日本の経済を維持していくことは不可能であります。

 また、ここは長く話しませんが、ここからの日本の期待される成長分野ということを考えたときにも、ダイバーシティーマネジメントといいますか、多様な人材が活躍をするということが必要で、そうした観点からも、これまで潜在力が封じ込められてきた女性の活力というのは大変重要だというふうに思っています。

 これを解決するために、個々に御指摘があれば個々に申し上げますが、さまざまな施策を進めているところでありますし、これを強化することを決めているところでございますが、やはり一番大事な問題は意識改革だというふうに思っています。

 女性の活力というものを経済活動において引き出さないと、日本の経済が成り立たない、あるいは個々の企業の成長がないということを社会的にみんなが共有すること、このことなしには、さまざまな施策をしても、なかなか壁が厚く、遅々として進まないということだと思っていまして、私の今の立場からは、できるだけそのことを幅広く周知、啓蒙することに努力をしているところでございます。

井戸委員 まさにそのとおりだと思うんですけれども、女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議が、六月二十二日、「「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画 働く「なでしこ」大作戦」を決定いたしました。働く「なでしこ」なんですけれども、この委員会で取り上げられるのはきょうが初めてだということなので、ここについてもちょっとお伺いをしていきたいと思います。

 国家戦略担当大臣と男女共同参画担当大臣が議長を務めて、外務、文科、厚労、農水、経産の各大臣で構成をされています。これは、野田総理の肝いりで五月二十二日に発足したと伺っていますけれども、行動計画の趣旨や意義などを簡単に御説明いただければと思います。

枝野国務大臣 まさに趣旨といいますか、意義は先ほど私が答弁をしたような問題意識でございまして、そうした観点から、積極的に女性の経済社会における潜在力を引き出すということを進めていこうということでございます。

 そして、具体的な三本の柱を掲げておりますが、その一番目が、先ほど私が申し上げた男性の意識改革ということであります。それから二番目に、思い切ったポジティブアクション、いわゆる積極的改善措置。つまり、不平等であるのはけしからぬというのではなくて、現在のアンバランスな状況を積極的な対応でフェアというか、働きやすい環境をつくっていくという積極的な行動をしていく。三つ目には、公務員から率先して取り組む。企業の皆さんの意識改革を進めていくこと、あるいは企業において女性が働きやすい環境をつくっていくことの前提として、まず役所が率先して進めていかなければいけない。

 これが三本柱でございまして、関係閣僚一丸となって、各省それぞれ協力をして進めているところでありますが、特に経済社会においての問題でありますので、経済産業省の役割が最も大きいという意識で進めているところでございます。

井戸委員 おっしゃった、男性の意識改革や大胆なポジティブアクションというのは、政権交代の結果、民主党政権ならではの政策とも言えると思います。ただし、やはり結果が出て初めて国民の皆さんには評価をいただけると思うので、全力で取り組んでいきたいというふうに大臣もおっしゃってくださいました。

 ただ、パラサイトシングルとか婚活という言葉を広めた山田昌弘教授は、この「なでしこ」大作戦はまだ小作戦にすぎない、優秀な女性たちは、例えば香港だとか海外に就職先を見つけて、そこで生きる道というものに行ってしまうので、人材の流出というものに対してもっと危機感を持つべきだということもおっしゃっています。私もまさにそのとおりだと思います。

 また、海外にちょっと目を向けてみますと、アメリカの大手IT企業で女性の経営トップが相次いで今誕生しているということが報道もされています。例えば、インターネット最大大手のヤフーでは、今月十七日、グーグルの副社長だった女性が最高責任者に就任しています。実は、この女性は十月に出産をするそうです。ヤフーは妊娠を問題にしなかったということです。

 妊娠したら今でもやはり会社をやめるように、そしてやめるような傾向にあります日本とは対照的だと思いますけれども、改革を進めるためには、前例とかしがらみにとらわれないこうした女性たちが社内を改革していくのにふさわしいと判断をしている企業というものも多くなってきています。

 世界では、女性役員比率の高い企業の方が経営指標がよい傾向にあって、日本でも、女性の活躍推進に取り組んでいる企業を均等推進企業表彰、こういうふうに経産省の方でも表彰しているそうですけれども、株式パフォーマンスというのがTOPIX平均を上回る水準で安定して、そして上昇する傾向にあるとされています。

 また、経済同友会も今年五月、「「意思決定ボード」のダイバーシティに向けた経営者の行動宣言」を行いました。二〇二〇年までに女性管理職三〇%以上を掲げて、経営者に対して、女性管理職、役員の人数、比率や目標値の情報公開、次世代の経営者育成プログラム、経営者自身の意識改革などを求めています。経済成長の実現に向けて人的資源の量と質を向上させることが重要であるとして、女性を単なる労働力として見るのではなくて、女性により重要な役割と責任を任せて意思決定ボードに参画をさせていくことで、企業競争力の向上を目指す段階であるというふうに述べています。

 そして、やはりこの女性の活躍状況が見えるということこそ重要であるとも思います。働く「なでしこ」大作戦では、女性の活動状況の見える化に向けて、有価証券報告書や取引所のガイドライン、IR資料、これは企業が投資家に向けた経営状況や財務状況、業績動向に関する資料、これなどでございますけれども、この公表のあり方を含めてことしじゅうに総合的な検討を行うこと、また、政府を挙げて企業や団体に直接働きかけを行って、ポジティブアクション取り組み企業数一万社以上、情報開示企業数五千社以上を目指すとしています。

 そこでお尋ねでございますけれども、有価証券報告書には、従業員の状況としては、人数、平均年齢、そして勤続年数の記載があります。一九九九年ころまでには、これが男女別に記載されていて、平均給与月額も記載されていました。ところが、二〇〇〇年に男女別の記載がなくなりました。政府も、報道にもありましたけれども、この公表のあり方を検討されているようですけれども、有価証券報告書を男女別に、そしてさらに管理職数の記載を行うこと、これは女性の活躍推進にも寄与するものと考えます。閣僚会議に金融庁が入っていません。枝野大臣にリーダーシップを発揮していただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、私も先ほどちらっと申し上げましたが、女性の労働力、数、量の問題ももちろん一つの大きな柱ですが、質といいますか、まさに経済、経営に女性の視点や声というもの、あるいはその能力というものが発揮されるということも、我が国の経済にとって大変重要であるというふうに思っています。

 御指摘のとおり、世界的に見ても女性の役員の比率が高いほど企業の収益が高いということは、これは客観的なデータとして出ています。こういったことを、まず周知を図るということが大事です。

 特に日本においては、やはり多様性ある視点が経営にないということが今の行き詰まりの一つの原因だと思っています。さまざまな技術ということでは日本は大変高いにもかかわらず、なかなか売れない。それは例えば、ユーザーの多様な視点というものをしっかりと踏まえて、どういうものをユーザーが欲しているのかということについての視点が足りない部分があって、せっかくの技術が宝の持ち腐れになっている部分がある。これは国内においても、あるいは国際市場においても同じようなことが言えるんだと思います。

 そうしたことの中では、やはり多様な視点ということで、特に経営判断などにおいて、男性のみで物を決めているという企業ではこれからの国際競争の中ではとても生き残っていけないというのが、もう客観的な状況だと思います。ただ、残念ながら、そのことに気づいていない企業経営者が多過ぎる。この構造が変わらないと、とても日本の経済は活性化できないと私は思っております。

 したがって、そもそも女性役員の比率が高いほど企業の経営状態はいいんだという国際的あるいは国内的なさまざまなデータなども、積極的に経済産業省として整理して広報していく。あるいは、「なでしこ」大作戦の一つの柱として、企業に対して働きかけをしていく、女性の活躍促進・企業活性化推進営業大作戦というのをやりますが、これは厚生労働省にお任せするのではなくて、まさに産業界との関係が日ごろから強い経済産業省がむしろ中心になるぐらいのつもりで一緒にやっていくということを進めています。

 御指摘のあった有価証券報告書等については、直接の所管ではないので、今即答することはなかなか難しいんですけれども、金融大臣もこのことについての重要性ということについては共有をしていただいている中で、これから一緒に検討していこうということになっております。

 有価証券報告書という形になるのかどうかは断言できないとしても、社会に幅広く女性の能力を生かしている企業であるのかないのか、それは投資をする側にとって大変重要な情報であるということを踏まえて、対応できるように努力したいと思います。

井戸委員 まさにおっしゃるとおり、やはり多様な人材をしっかりと生かしていく視点というのが大切だと思っています。

 そうした中で、七月十四日付の週刊東洋経済と週刊ダイヤモンドは、第二特集で同じ特集をしました。中身は、性的マイノリティー、LGBTと一般的に言われますけれども、この方たちの人材の活用や、また市場として考えていくこと。

 LGBT市場というのは、日本でも五・七兆円、アメリカでは七十七兆円市場と言われていて、ここは経済の側面からも非常に大きなところではあるんですけれども、しかしながら、日本ではなかなかそういった視点もないので、こうした方々の人材の活用というのは進まないような状況にあります。性的マイノリティーの差別の撤廃とか法整備が進んでいる諸外国に比べて、日本ではやはり女子差別の撤廃の民法改正も進まない、また、こうした性的マイノリティーの方々への差別や偏見も根強くあります。

 政府が進めていくダイバーシティーというものには、こうした性的マイノリティー、LGBTも含まれるという認識でよろしいでしょうか。

枝野国務大臣 性的マイノリティーの皆さんを含めて、まさにダイバーシティーといった場合には、自分とは違う意見、考え方、視点を持っている、そういう人たちの声というのを大事にする。

 社会にはさまざまな声、視点があるわけですから、そうしたことを踏まえて企業経営を行っていかないと、結局、限られた層だけを対象にしたビジネスにとどまってしまうわけで、それは企業としての発展性を阻害しますし、また、そういった内向きに閉ざされた狭い視点では、変化の激しい今の経済環境の中では企業が成り立っていくことはできない。したがって、この場合の多様性といった場合には、当然のことながら、LGBTの皆さんというのは含まれるというふうに思っています。

 既に、大手の通信会社では同性カップルについても家族割の適用を可能にしたりとか、それから大手リゾート企業では同性カップルの結婚式を挙げることが可能であるとか、うまくいっているというか、社会的に見ても、この企業は伸びているな、伸びそうだなと思われる企業はこういったことにも積極的に取り組んでいるというのが、やはり社会実態としてもあるだろうというふうに思います。

 したがって、LGBTの問題を含めて、意識改革を初めとして、多様な人材が経済社会の中で活力を発揮できるということを経済産業省としても推し進めてまいりたいと思っています。

井戸委員 枝野大臣、先ほど、女性の就労支援のことに関しても、今までだったら社会政策だとか人権という政策の中で捉えてきたものを、経済的側面を入れていこうということをおっしゃっていました。

 週刊東洋経済のLGBT特集の中でマツコ・デラックスさんがおっしゃっていて、私もそうだなと思ったんですけれども、しかしながら、実はこういうのは二十年ぐらい前からやらなければならなかった問題で、結局、日本は不景気が続いて背に腹はかえられなくなったからこうした政策を進めていこうとしているというのであったならば、例えば、では好景気だったらやらなくていいのかといったら、それはまた別な話だと思うんですね。

 また、「毎日かあさん」で皆さんおなじみだと思います西原理恵子さんも、最近の新刊の「生きる悪知恵」という中で、例えば、男女ともに家族で、結婚していたとしても一方だけが働くということの働き方に関して、こんなことをおっしゃっています。やはり夫婦というのはどちらも働いていないと絶対だめ、どちらかに頼り切るというのはすごく無謀で危険なことであると思う、柱が一本しかない家なんて危なくて住んでいられないでしょう、柱は何本あってもいいんですよ、このようにおっしゃっています。

 私は、これは日本経済にも言えると思うんですよね。景気の動向がどうであれ、やはり支える側、国民全員が、そして多様な人材をきっちりと生かし切って支えていく、そうしたことを政策としてもとっていかなければいけないと思いますので、ともに取り組んでいきたいということを言いまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 去る六月二十九日に、関係閣僚から成る第十一回のエネルギー・環境会議が開催されました。その中で、原子力発電について、〇、一五、二〇から二五シナリオの三つのエネルギー・環境に関する選択肢が示されました。

 早速、この三つの選択肢について日本商工会議所が意見書を出すなど、経団連を初め経済団体からは、三つのシナリオがいずれも実現可能性に乏しい案だという意見が出されました。

 三つのシナリオはどれも、二〇三〇年までに現在の発電量を一割もカット、これを前提にしています。そして、現在わずか一%の太陽光発電などの自然エネルギーを、水力発電を含めて三〇%にまで引き上げる案となっています。いずれの三案も実現可能性の乏しい案だと経済団体が主張するのももっともなことです。実現性のない案を今政府が策定してしまいますと、後の国民が電力不足、産業の空洞化といった副作用に悩まされることになります。

 そこで、六月二十九日のエネルギー・環境会議で経済産業省、環境省などから提出された資料を比較しながら、政府の姿勢をただしていきたいと思います。

 では、まず初めに、このパネルをごらんいただきます。

 エネルギー・環境に関する選択肢には三つのシナリオが挙げられています。具体的には、二〇三〇年時点での原発比率にして〇%、一五%、二〇から二五%の三案。民主党が二〇〇九年マニフェストで掲げた温室効果ガス二五%削減、そして政権交代して国際的に表明したCO2二五%削減と、そして今回政府が出した三つのシナリオとの関係を見ていきたいと思います。

 この表のように、政府の三つのシナリオのそれぞれの二〇二〇年時点での温室効果ガスの削減量を見ていただきます。原発比率〇%の場合が、九〇年に比べて、〇から七%の削減、原発一五%の場合が九%の削減、二〇から二五%シナリオの場合は一〇%から一一%の削減となっています。政府案です。いずれも目標の二五%の削減にはとても無理な数字となっています。

 次に、二〇二〇年の削減量に対する経済産業省と環境省の考え方を見てみます。こちらのパネルに併記しています。

 経済産業省の考え方、これは六月二十九日のエネルギー・環境会議で配付された参考資料に示されています。経済産業省の二〇二〇年のCO2の削減量は、ブルーの部分なんですが、〇%シナリオの場合は、一九九○年に比べて、五%増加するから二%削減するまでの幅となっています。一五%シナリオの場合は五%の削減、二〇から二五%シナリオの場合は六%から七%の削減になると予測しています。つまり経済産業省の考えは、政府の案よりもさらに二五%の削減が厳しいという数字です。

 経済産業省の検討でも、三つのシナリオいずれの場合も、ポスト京都議定書で問題となる二〇二〇年時点での二五%削減は困難であるということを示していると思うんですが、枝野大臣、よろしいでしょうか。

枝野国務大臣 経済産業省を含めて政府としては、その(1)で示されている、これが三つのシナリオをとった場合の想定される温室効果ガスの削減量ということでございます。その政府としての見解をまとめるプロセスにおいて、多分(2)のような数字も経済産業省の資料にはあったかというふうに思いますが、ここは政府としてしっかりエネルギー・環境会議で一本化して、この点についてはお示しをさせていただいているところでございます。

 この数字自体が、それぞれのシナリオをとった場合において実現することについて、省エネや再生可能エネルギーの拡大などについて大変意欲的な数字であることは間違いありませんが、しかしながら、決して実現不可能なものだとは思っていません。

 というのも、二〇三〇年ということを想定して議論をいたしましたが、経済産業省の総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会、ここで原案というかたたき台のまず基礎的な議論をいただきましたが、ここにおいてかなり幅広い皆さん、つまり、即時、原発は全部やめるべきだという方から、従来のエネルギー政策を構築する上で主導的な役割を果たしてこられた方まで、幅広い皆さん、産業界の皆さんを含めて御議論いただきましたが、そうした中で、二〇三〇年の省エネや、あるいは再生可能エネルギーの目標についてはおおむね一致した御見解を示されているということで、決して、原発を減らすために無理な想定をしているというふうには考えておりません。

近藤(三)委員 私が今聞きましたのは、三つのシナリオいずれの場合も、ポスト京都議定書で問題となる二〇二〇年時点での二五%削減は困難であることを示しているとこの数字は見えるのですが、そのような考え方でいいのですかというふうに伺っているのです。

枝野国務大臣 国内において、電力、発電などを通じて行うことのできる見込み、見通しの数字としては、そういった数字を今お示ししているものでございますが、国民的議論を経てエネルギー・環境戦略が策定をされましたら、つまりその方向性がはっきりしましたら、二〇一三年以降の温暖化対策について決定をしたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 二〇二〇年の温室効果ガス削減量は二五%にはならないと、経済産業省が六月二十九日のエネルギー・環境会議の資料で国民に示しているわけですから、この数字が我が国の温室効果ガスの本当の削減量であるというふうに国民は考えるはずです。特に、原子力の依存率を〇、一五、二〇から二五%としたときに、二〇二〇年の温室効果ガスの削減は一体どうなるんだろうというのは、国民にとって非常に関心の高い値です。

 その削減量をみずから示したのは経済産業省ですよ。六月二十九日のエネルギー・環境会議で資料として出されたわけですから、その値は、我が国の温室効果ガスの削減量として我々はしっかりと、この数字を二五%とはほど遠い数字だと考えるのは当然のことだと思います。これが、経産省が示した二五%にほど遠い数字とは違うというふうにおっしゃっているんでしょうか。もう一度聞きます。

枝野国務大臣 繰り返しますが、今パネル(2)で示されたのは、政府としての考え方を決定するまでのプロセスにおいて参考資料として出たものであって、経済産業省としても、政府の一員として、エネルギー・環境会議で一致をして国民の皆さんにお示しをしている、例えば一五%シナリオであればマイナス九%というのが二〇二〇年の温室効果ガスの国内における削減量の見通しである。

 これが従来掲げていた国内における削減量よりも下回っているということについては、これは客観的事実としてそのとおりでございますが、まずは、この原子力発電所についてどう対応するのかということについて、国民の皆さんの意見を踏まえた上で、従来の目標についてどうするのかということについては決めていきたいと思います。

近藤(三)委員 出てきた数字は、これはもうどう見ても二五%にはほど遠い数字だということは誰が見てもわかる数字だと思いますよ。

 それでは、環境省の方の数字を見てみたいと思います。同じく六月二十九日のエネルギー・環境会議で、このパネルのように、二〇二〇年の温室効果ガス削減量を示されました。黄色の部分です。原発比率〇%の場合は九〇年に比べて五%から一一%削減、一五%シナリオの場合は一一から一五%の削減、二五%の場合は一二%から一三%削減できるというふうな資料が出てきたわけです。

 このことから、環境省につきましても、この三つのシナリオいずれの場合も二五%は二〇二〇年には困難ということを示していると思いますが、環境省の見解をお聞かせください。

横光副大臣 お答えをいたします。

 地球温暖化対策は、我が国にとりまして本当に重要な政策課題でございまして、そのために、先般、エネルギー・環境に関する選択肢として、御案内のように三つのシナリオをお示ししたわけでございます。

 この中で、再生可能エネルギーを現行のエネルギー基本計画に比べて圧倒的に拡大するということが非常に特徴的となっております。しかしながら、それでもなお、二〇二〇年の温室効果ガスの国内排出量は、今おっしゃられましたように、九〇年比で〇%から一一%削減にとどまっております。

 今後、先ほど枝野経産大臣がお話しされていましたように、国民的議論を経て、八月には革新的なエネルギー戦略を定めまして、温室効果ガスの国内排出量をお示しすることとしております。

 しておりますが、森林吸収源対策あるいは海外における排出削減分を加味しても、今委員がおっしゃられましたように、二五%削減は非常に困難と言わざるを得ない状況にある、これは率直に認めなければならないと思っております。

近藤(三)委員 この三つのシナリオいずれの場合も、二〇二〇年の温室効果ガス二五%削減はできないということ、環境省からもしっかりと御答弁をいただきました。

 経済産業省も今の段階では二五%削減は無理だというお考えを示されたというふうに理解しているのですが、両省とも、二五%、この数字から見ると、今のところの数字では削減は無理だというふうに枝野経産大臣はお答えいただいたというふうに理解しているのですが、それでよろしいですね。

枝野国務大臣 今、横光副大臣からお話があったとおり、大変困難である、他の要素を加えたとしても大変困難であるというのはそのとおりだというふうに思っております。

近藤(三)委員 経産省、環境省両省からしっかりと二五%削減は無理であるという御答弁を得ました。この御答弁をもとに、次の質問に移らせていただきます。

 現在の民主党のエネルギー基本計画は、原子力発電所を二〇三〇年までに十四基新設する、しかも、原子力発電所の稼働率を今までの七〇%から九〇%に引き上げることを前提に策定されています。このエネルギー基本計画によりますと、CO2を排出しない原子力発電は電力構成比の五〇%となります。つまり、電力の五〇%を原子力に依存することによって二〇二〇年の温室効果ガスを一九九〇年比二五%削減しようとしていました。

 片や、政府が今回示した原子力発電比率三つのシナリオでは、どんなに逆立ちしてもCO2二五%削減は達成できないということです。

 地球温暖化対策基本法案は、八年後の二〇二〇年に一九九〇年比でCO2二五%削減を前提とした法案です。二五%削減が無理という数字を政府も、環境省も、そして経済産業省も、先ほどのパネルにありますように、国民に示したわけですから、国会に提出している地球温暖化対策基本法案を即刻取り下げるべきです。

 環境省は、非現実的なこの法案をいつ取り下げるのか、その時期を明確にお答えください。また、即刻取り下げないと横光副大臣が御答弁されるのであれば、その合理的な理由についてもお答えください。

横光副大臣 重ねて申し上げますが、この温暖化問題は、人類共通の非常に重要な課題であることには変わりございません。我が国としては、長期的な視点に立って対策の強化を図っていくことが重要である、このように考えております。

 今の御質問でございますが、基本法案を取り下げるべきではないかということでございます。

 これは、各国の対策の強化が求められている現状の中で、本年度いっぱいで地球温暖化対策推進法案に基づく京都議定書目標達成計画が計画期間を終えるわけでございます。来年以降、長期目標に向かって対策を計画的に進めていくための法的根拠がなくなってしまえば、国際社会において我が国の姿勢が後退したと受けとめられかねません。

 そういった意味で、今の御質問に対して、我が国がどう対応するかということでございますが、これは後退するというような姿勢が見えないように、どのような法制度が必要なのかということも含めて、各党会派で御議論いただきつつ、政府としても国会での御議論を踏まえながらしっかりと対応してまいりたい、このように考えております。

近藤(三)委員 環境委員会で、細野環境大臣が、二五%削減の見直し時期について、政府の示した三つのシナリオはいずれも、二〇二〇年を考えると、たとえ森林吸収源、海外からの排出権の購入によっても、先ほど副大臣もおっしゃいました、二五%削減は非常に難しい、この八月にエネルギー政策とあわせて現実的な案を出していくと表明しています。

 政府が八月にエネルギー政策とあわせて二五%削減についての見直しを示すならば、もはや、二五%削減を前提とした政府の地球温暖化対策基本法案は意味をなしません。国会に提出し続けることは自己矛盾を起こしているということです。

 八月のエネルギー政策が決定するまでに地球温暖化対策基本法案を取り下げると理解してよろしいでしょうか。横光環境副大臣、よろしくお願いします。お答えください。

横光副大臣 これは、先ほど御説明申し上げましたように、今国民的議論に付しているところでございまして、その結果を踏まえて、八月末に革新的なエネルギー計画を政府が発表した後に、各党会派で御議論した上で政府の対応を進めてまいりたい、このように考えております。

近藤(三)委員 八月末には撤回に向けての準備を進めるということですか。

横光副大臣 八月末を目途に国が新たなエネルギー基本計画を発表するわけでございますので、それを受けましてから、国会の中では各党会派それぞれ御意見がございますわけですから、その御議論の中で、新たな対策を政府としては進めていきたいということでございます。

近藤(三)委員 東日本大震災が発生して一年四カ月以上がたちました。民主党政権が二〇一〇年六月に定めた現在のエネルギー基本計画には、二〇三〇年までに十四基の原発を新設すると記されたままです。つまり、このような内容で、事実上我が国のエネルギー政策の指針であるエネルギー基本計画がない、エネルギー政策に羅針盤のない状態が東日本大震災から一年半近く続いているということです。

 CO2二五%削減目標について白旗を掲げているにもかかわらず、明確なメッセージを出せないことは、先ほど副大臣もおっしゃったように、国際的な信用問題にもかかわることです。特に、地球温暖化対策については、COP18、ことし十一月二十六日からカタールで開催されます。COP18に向けて予備交渉も進んでいます。今のままでは、日本の地球温暖化対策の考え方についてメッセージも出せないということです。

 即刻、政府提案の地球温暖化対策基本法案の取り下げを強く求め、次の質問に移らせていただきます。

横光副大臣 国際間でそういった批判があるということでございますが、昨年の大震災のことを踏まえて、私もプレCOPに参加しておりますが、国際間では日本の姿勢を批判する言葉は一切ありません。

 というのは、この八月末に、私たちの新たな基本計画を発表してから対応するということを説明しておりまして、状況を非常によく理解してくれておりますので、今の状況に対して、世界各国が日本の対応を批判しているということはありません。

近藤(三)委員 後手後手に回るというのが日本の姿勢として、世界各国、国際的なプレゼンスを下げるということがないように、しっかりと取り下げる、取り下げないという姿勢を示していただきたいと思います。

 次に、米軍が実測した放射線図が一年以上も隠蔽されてきた問題、そして、一昨日出された政府事故調査委員会の報告書についても政府の見解をただします。

 こちらが、一昨日出された政府事故調査委員会の報告書。非常に分厚いです。

 六月十八日以降、新聞報道などでも次の内容が大きく報じられています。三月十一日の福島第一原子力発電所事故の直後、三月十七日から、米軍機二機が原発から四十五キロメートルの範囲について、上空から地上高一メートルの空間の放射線量を測定していた。そのデータが米国エネルギー省から外務省に対し提供されていた。外務省はこのデータを、経済産業省の原子力安全・保安院には十八日、二十日、二十三日に提供、文部科学省には二十日、二十三日に提供していた。こういったことが明らかになりました。

 こちらが、そのデータです。事故発生からなぜ一年以上たった最近になってそのことが明らかになったのか、私は大変疑問を持っています。本件については既に何度か国会で取り上げられていますが、私は切り口を変えて、政府の姿勢をただしたいと思います。

 十七日以前に、外務省などに、米国は原子力発電所上空を飛行するためにその許可をとっていたそうです。そして、その測定結果を外務省は米国大使館を通じてメールで受け取ったそうです。外務省には、アメリカから提供を受けたデータの重要性を判断するための専門的な知見がなく、判断が難しかった。そのため、当時、原子力災害対策本部の事務局であった原子力安全・保安院に速やかにデータを伝達するとともに、モニタリングを担うこととなっていた文部科学省にも伝達したと外務省は表明しています。

 それでは、この米軍が観測したデータを用いて米国エネルギー省が作成した放射線拡散図を班目委員長はいつ見ましたか。お答えください。

班目参考人 調べたところでは、原子力安全委員会の方にそれが届けられたのは、三月二十三日に、測定範囲をどうするかという文部科学省からの問い合わせに付録としてついてきたということのようでございます。

 私自身は、三月十三日より後、十四日か十五日かまでははっきり記憶してございませんけれども、その時点になって、もう既に外務省を通じてアメリカが直接それを公開してございますので、それを見るようになったというのが事実関係でございます。

近藤(三)委員 班目委員長、今、三月十四日から十五日とおっしゃったんですか。

班目参考人 原子力安全委員会が最初にそれを見たのは、三月二十三日でございます。(近藤(三)委員「委員長は」と呼ぶ)私は、ですから、三月二十四か五か六か、その辺はちょっとわかりませんけれども、明らかに三月二十三日よりは後に初めてその図を見せていただきました。

近藤(三)委員 班目委員長の答弁は、米軍機が実測したデータを見たのは三月二十四日か二十五日ごろであるというふうにおっしゃいました。

 一方で、三月十一日の大震災から十二日後の三月二十三日に、政府がSPEEDIの解析結果を公表します。

 こちらがSPEEDIの解析結果です。

 私は、事故直後の四月十三日、昨年、二〇一一年の四月十三日の経済産業委員会などでたびたびこのパネルを使って班目委員長に質問してきました。このSPEEDIの解析結果は、先ほどお示ししました、この米軍から提供されたデータ、こちらのデータと同じように、福島第一原子力発電所から北西方向に向けて強い放射線量を見せています。これは、SPEEDIと米軍の実際の測定値と同じ方向です。

 私は経済産業委員会で、このデータから、北西方向に高い放射線量が示されているので、住民避難などに対処のしようがあったのではないかと班目委員長に再三質問しました。これに対する班目原子力安全委員長の昨年四月十三日の答弁の議事録をそのまま読み上げます。

 「モニタリングの結果を、わずか三点しかないんですが、それとそれまでの気象条件を入れて逆に放出源情報を求めたものでございますので、基本的にはこういうふうな特性があるのかもしれませんけれども、私どもとしては、このようになるに違いないので、このような形で避難をしてくださいと申し上げるのは、やはりちょっと危ないのではないかと思っております。そういう意味では、住民の方の安全を考えて、同心円状に避難を呼びかけたということ自体は間違っていないというふうに認識してございます。」と答弁しました。

 すなわち、SPEEDIは予測データでありとおっしゃった、実測値ではないので、SPEEDIが示しているように北西方向に避難してはだめだと言うのは危険なので同心円状に避難を呼びかけたとも班目委員長は答弁されたのです。

 さらに、昨年五月二十五日、経済産業委員会で私は再びSPEEDIについて質問をいたしました。それに対して、班目委員長は次のように発言されます。

 「SPEEDIというものが、これは単位放出源での、ですから単なる気象予測にすぎないんです」、このように答弁されました。議事録にもしっかりと載っています。

 私は、このSPEEDIを単なる気象予測にすぎないんですと原子力安全委員会の委員長である班目さんが言い放ったときに、驚きと、その驚きを通り越して憤りを覚えました。SPEEDIは北西方向が危険であるということを示していたにもかかわらず、そのSPEEDIを避難方向に全く役立てず、さらに、SPEEDIを気象予測のようなもので信頼できないと言い放った班目委員長です。この米軍が測定した実測データをきちんと迅速に公開してくれていれば北西方向に避難しなかったと思う被災者の気持ちを考えると、本当にいたたまれない思いです。

 原子力発電所事故が自分自身や家族にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、そのことを知りたいと必死に思っていた被災者たちからは、当時、SPEEDIを避難に役立ててほしかったという切実な声があるにもかかわらず、班目委員長はそのSPEEDIを気象予測にすぎない、つまり、確率予測的なもので正確性に乏しいと発言したわけです。緊急事態には、確定したデータでなくても積極的にデータを公表し、避難などに役立てる姿勢が大切なのに、班目委員長はその姿勢がなかった、その姿勢が大きな問題を生じさせてしまった、私はそのように実感しました。

 この点につきましては、この報告書、政府事故調査委員会の報告書は、班目委員長のこれまでの答弁とは正反対のことが記されています。緊急時対策支援システムから放出源情報が得られない場合でも、SPEEDIを避難指示に活用する余地はあった、このように明確に政府の事故調には示されています。

 そこで、班目委員長にお聞きします。

 こちらのパネルのデータ、米軍が実際に測定した方のデータです。米軍が実測したデータですから、逆算でもありません。解析結果でもありません。実測値です。SPEEDIは実測値ではなく気象予測のものだから、同心円状に避難を呼びかけたと明確に答弁されました。こちらはSPEEDIです。

 質問します。政府がこの図を米国から受け取ったのは三月十八日、三月二十三日のSPEEDIの公表の五日も前だったのです。もし班目委員長が三月十八日の時点で米軍が実測していたこのデータを見ていたら、同心円状に避難を呼びかけたでしょうか。また、福島第一原子力発電所から北西方向へは避難しないように呼びかけたでしょうか。明確にお答えください。

班目参考人 まず、事実関係として、三月十八日時点では私は全くそれを見ていない、このことに対しては大変遺憾だと思っております。

 それから、避難の呼びかけでございますけれども、三月十二日それから三月十五日の多分午前中の十一時だったと思いますけれども、このときに二十キロから三十キロ圏内は屋内退避してくださいというふうな避難の呼びかけをしてございます。それで、このデータが出されたのは三月十八日が多分一番最初だと私は今理解しましたけれども、その時点では、原子力安全委員会としては、もう二十キロ圏内の方は既に避難を終えている、それから二十キロから三十キロ圏内の方は屋内退避をしているというふうに思っていた、これが事実関係でございます。

 なお、政府事故調の問題提起として、実際にそのころも避難を続けている方がいらっしゃった、そういう方に対してこういうDOEのデータ等、あるいはSPEEDIの結果等が示されれば、今こちら方向に動くのは危ないということに対して判断の材料になったであろうということを指摘されていまして、それは確かにそのとおりかもしれないと思う次第でございます。

近藤(三)委員 私は、初めて班目委員長と最後の部分では質疑がかみ合ったと今感じています。このデータを早い段階で見ていれば政府への助言に役立てたかもしれないというふうに御答弁なさったと判断したわけなんですけれども、それはもう当然のことだと思います。

 原子力安全・保安院がこの米軍の実測データを外務省から三月十八日に受け取ったにもかかわらず、原子力安全委員会にすぐに提供しなかったことは、原子力安全委員会に対する報告義務を怠っていると私は考えます。これについて、班目委員長のお考えをお聞かせください。

班目参考人 ぜひ、原子力安全委員会としては、そのようなデータが得られたときには速やかにいただきたかったなというのが率直な感想でございます。

近藤(三)委員 おととい、政府の事故調査委員会の最終報告書には、今取り上げています米軍による放射線の実測については、二百十六ページのわずか一ページ、ここにだけ今のことが記載されています。事実関係だけなんです。検証が余りにも甘いと考えます。

 しかし、その中に興味深いところが一つだけ書かれています。三月二十一日になって、文部科学省は、十八日から外務省に送られてきたデータが外務省から原子力安全委員会に送付されていなかったことに気づいた。そこで、回りくどいことに、原子力安全・保安院は直接原子力安全委員会に資料を送付することなく、外務省に安全委員会に対して資料を送付するように依頼した。

 何ともお役所仕事だと思います。なぜこんな大切な資料を、一緒に原子力発電事故対応に当たっていた安全委員会に渡さずに、わざわざ外務省を通じて送付させたのか。このような非常事態でも総理官邸の中で縦割り行政が展開されていたということではないかと思います。

 そこで、先ほど班目委員長は、三月の二十四日か二十五日に米軍のデータを見たとお答えになったわけですが、実際には、三月の二十一日には原子力安全委員会に外務省からデータが送付されていたわけです。それでは、安全委員会の中でも情報の共有がなされていなかったということでしょうか。

班目参考人 私自身はその場にいないので、これは事務局に確認させたことでございますけれども、原子力安全委員会がそのDOEのデータを受け取ったのは、三月二十三日に外務省の方から、測定範囲はこれでいいかという問い合わせについて、添付資料としてついていた、これが最初だというふうに確認してございます。

近藤(三)委員 私の方は、三月の二十一日に外務省が送ったというふうに聞いておりますよ。

班目参考人 事務局に確認しましたけれども、二十一日には受け取っていないとのことです。

近藤(三)委員 それでは、原子力安全・保安院長に質問します。

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律という法律があります。この法律の第七十二条の三第二項には、次のような規定があります。文科大臣、経産大臣または国交大臣は、核燃料物質もしくは核燃料物質によって汚染されたもの、または原子炉による災害の防止に関するものについて、文科省令、経産省令、国交省令で定めるところにより、原子力安全委員会に報告するものとするとあります。

 つまり、経済産業省の外局である原子力安全・保安院は、原子力発電事故の重要な情報を原子力安全委員会に報告する義務があります。それなのに、三月十八日に米国から早い段階に提供された実測データを原子力安全委員会に報告する義務を怠ったということになりませんか。

 今、安全委員会は、二十三日に文部科学省の添付資料として受け取ったとお答えになっているわけですね。私は、外務省から、外務省経由で二十一日に受け取っているというふうに聞いておりますが、原子力安全・保安院長、明確にお答えください。

深野政府参考人 まず、このアメリカのデータにつきまして適切に共有がされていなかったということについては、まことに申しわけなく思っております。

 当時、原子力安全・保安院は原子力災害対策本部の事務局という役割でございまして、原子力災害対策特別措置法に基づく事務局の運営責任を負っていたということでございます。そういう非常事態において、今おっしゃられた条文が適用できるかどうかについては、ちょっと今、直ちにお答えできませんけれども、むしろ原子力災害対策本部の事務局として、そういったデータについては適切に共有しておくべきだったというふうに考えております。

近藤(三)委員 当時の官房長官であった枝野経済産業大臣にお聞きします。

 先日の国会質疑で、当時、内閣のかなめの官房長官であった枝野経済産業大臣は、次のように答弁されています。

 当時の時点では、そうしたものがあること自体、私のところには報告がございませんでした、今回、公表に当たって私のところにも報告がありました図を見ると、あれに類する図はその後報道か何かで見た、図のイメージとしてかなり近いものを一カ月かそれぐらい先のところで報道か何かで見たという記憶があると枝野大臣は答弁されています。

 枝野大臣がこの事実を知ったのは一カ月後のことで、当時は知らなかったということです。

 さらに、この問題について、七月十日の参議院予算委員会で枝野大臣は次のようにも答弁されています。

 引き続き、この問題については政府事故調においてもしっかりとできるだけ具体的な検証をしていただきたい、それについては全面的に保安院に協力をさせたいというふうに思っております、できるだけ具体的な検証をしていただきたい、政府事故調においてもと大臣は答弁されているわけです。

 しかし、一昨日発表されたこの政府の事故調査報告書には、先ほど申し上げたように、この問題が発生したのが六月の十八日ですから、政府事故調の調査が大詰めを迎えたときでしたから、事実関係の記載のみ、記述のみで検証がなされていません。枝野大臣は七月の国会答弁で、しっかりした検証をと言っているのに、政府事故調査委員会の最終報告書には事実関係しか載っていないということです。

 今後、政府として、さらに調査をし、検証をし、この問題を国民に公表する姿勢があるのか。政府の事故調査委員会が最終報告を出し、その報告書で十分に検証されていない今となっては、政府みずからが別途この問題を検証する、有識者を含めた検証の場を設けるべきと私は考えますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 政府事故調に対しては、その調査が十分だったのか、なかったのかということを、むしろ調査を受けてきた、受ける立場でございますから、二重、三重の意味で申し上げるべきではないというふうに思いますが、この検証をしっかりとやっていかなきゃならない。一般論としても、政府事故調も、今後もさらにさまざまなことの検証を続けなければいけないという趣旨のことをおっしゃっていると聞いております。

 検証の仕方は、まさに保安院がどういうビヘービアをとったのか、それが適切だったのかということですので、経済産業省なり保安院なりが直接行っても信頼性という点で必ずしも適切ではないというふうに思います。かといって、保安院、多分、客観的には、人間的にはかなりの部分が規制庁に行きますので、規制庁でいいのかどうかという問題もあろうかと思います。

 そういった問題意識も含めて、この点に限らず、これまでの検証で十分に検証し尽くされていないことについて今後どうしていくのかというのは、むしろ、原発事故の収束、再発防止担当の細野大臣のところで、できるだけ信頼性、透明性を得られる形で考えていくという趣旨のことをおっしゃっておりますので、今委員からの問題意識と指摘についても、細野大臣と御相談をして、できるだけ透明性、公開性、信頼性を持っていただける形で、どう検証するか、引き続きの検証を続けるか、考えていきたいと思います。

近藤(三)委員 今回の大震災で、そして福島第一原子力発電所事故の教訓を今後の災害、事故対応に生かさなければなりません。その際に、今回の、米軍が観測していた生の放射線データが米国政府から日本政府に提供されたにもかかわらず、活用できなかった、これは政府の内部の不作為で活用できなかったということです。この問題の所在はしっかりと明らかにしなければなりませんし、政府の内部統制の見直しをするべきことであるということを強く申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうはたった二十分の時間しかございませんので、ポイントをよく、簡潔な御答弁の方をお願い申し上げたいと存じます。

 きょうは、大綱二点お伺いさせていただきたいと思っております。

 一つは、原子力災害の賠償が宮城県ではほとんど進んでおりません。福島県でも十分ではない状況がございますし、ようやく先般新しい賠償の基準も示されたところでございますけれども、本県の場合には、どうしても、指針の中に盛り込まれなかったということで非常におくれているわけでございまして、政府にこのことをただすと、個別の案件にはしっかり対応しているんだからという答弁がいつも返ってくるわけですけれども、やはり、指針に盛り込まれなかったことによって賠償の手続がいわば自動化しない、このことが本県における賠償の手続なり状況というのをおくらせてきているんじゃないかなと思うんですね。

 もう震災から一年四カ月がたちます。皆さんそれをなりわいにして生活を立てているわけですから、特に農業者の方、漁業者の方、もう貯金も底をついてきたというような声がしばしば地元では聞かれるわけでございます。宮城県においては唯一肉用牛だけについて対象にしていただいたので、これはスムーズに出していただきましたけれども、そのほかは全て漏れているわけです。

 ですから、紛争審査会でも今後見直しをしていくのかどうか、私はぜひこれは見直しをして、やはり現地での手続を進めていっていただきたいと思うわけですが、まず最初に、枝野大臣、これだけおくれている要因というのをどのように受けとめて、指針の見直しも含めて、これは文科省の担当かもしれませんけれども、しっかりとした対応をしていく必要があると思うんですけれども、どう受けとめていますか、今の現状について。

枝野国務大臣 私のところに上がってきている報告ですと、宮城県の農水産物への賠償については、風評被害も含めてですが、農畜産業については約百四億円の請求に対して六十九億円、漁業に関しては三・三億円の請求に対して二・七億円しか支払われていないと言うべきなのか、ここまで支払われたと言うべきなのかという状況でございまして、これは、特に、まさに日々の暮らし、生活再建に大変大きな御迷惑をおかけしている状況だというふうに思っています。

 特に、ブランド牛の付加価値分をどう評価するのかとか、漁業における風評被害などが課題になっているというふうに報告を受けているところでございますが、まず、東京電力において、請求者の事情によく留意をしながら対応してもらわなきゃいけないということでございます。

 これは、今回、会長、社長に交代をいただきました。そのことによって、少なくとも経営陣の問題意識ということについては飛躍的に改善されているというふうに、ここは新しい会長と社長を信頼しております。

 ただ、それが実際に賠償等についての御相談をされる担当者のレベルまでしっかりと徹底をされて、現場の被害者の皆さんの状況をしっかりと踏まえて、企業の担当者としては、平時ならば、いかに賠償を値切るのかというのがもしかすると仕事なのかもしれませんが、今回の場合は、しっかりと実態に応じた迅速な賠償をすることこそが会社のためでもあるんだということを徹底させるということを、まず経済産業大臣の立場としては今全力を挙げているところでございます。

秋葉委員 ただいまの大臣の後段の御答弁は非常に評価できますので、しっかり経営陣もかわり、事実上、国の管理下に行われているような状態にあるわけですから、もう少し政府としても東電に対して督励をしていただきたいと思います。

 ただし、今の答弁で前半の部分、ここまでよく支払われたと言うべきかどっちかわからないみたいな答弁がありましたが、これは誰が見てもこの程度しか支払われていないということですよ、大臣。ここまでよくやっているという評価はあり得ないと思います。

 しかも、特に、何度も申し上げているように、指針に盛り込まれたのは宮城県では肉用牛だけですから、一定の支出はしていただいておりますけれども、そもそも、大臣の御答弁の中にもあった、百四億円を超える要望額に対して六割ちょっとしか支払われていない。しかも、この賠償請求の額というのはいわば氷山の一角なわけですよ。ほかにも、旅行業界もあれば、いろいろな積み上げをしていけばもっともっとなるわけですけれども、基本的には個別の問題ということで、なかなか時間もかかっているわけですね。

 今、宮城県には四十人を超える東電の職員の皆さんが現場で対応していただいていますけれども、その方々は現場に行ってみるとよくやっていただいているなというふうに思うんですが、東京の本社にそういう要件が上がってきた段階で非常に滞っちゃってノーを突きつけられているという、現場と東京本部での意識の乖離というものは非常に大きいわけです。

 ですから、何が大事かというと、やはりもう一度賠償の指針を見直しをして、中間指針の中にしっかり、宮城県の肉用牛以外の農林水産物、畜産物あるいは水産物、もっと言えば、カキその他、観光業も含めて、あらゆる産業について、都道府県による線引きというのは意味がないわけですね、現実には。宮城県の一番最南端にある丸森町というのは、飯舘村から一キロちょっとしか離れていない。現実に、新地町なんかと比べても、いろいろな基準値が高いわけですね。その福島県内が指針で全てカバーされていて、宮城県だけが県境を越えているから認められないということ自体が本来おかしな話なわけなんです。

 きょうは、文科省からも副大臣においでいただいています。どうですか、宮城県を指針に追加していく考えはありませんか。

奥村副大臣 お答えいたします。

 秋葉委員におかれましては、賠償等いろいろと御指導いただいておりますことを厚く御礼申し上げます。

 確かに、今お話しのように、中間指針の中には宮城県は入っておりませんでした。各省庁といろいろな連携をとりながら進めてきたわけでございますけれども、そのような結果になっております。

 しかしながら、今お話がございましたように、具体的に個別の問題については、我々の担当とする流れの中では、しっかりと東電にその旨を伝えて進めてきたところでございますが、本件のこの事故との関連を考え、その因果関係等も考えますと、今おっしゃるようなことも十分考慮していかなければならないというように思っております。

 ぜひ、今の中間指針の賠償の中にも、対象になるということも一応はうたっておりますが、今御指摘いただいたようなことにつきましては、今月末か来月に審査会を開いていただくというように今考えておりますが、そうした御意向を十分踏まえてお伝えをし、審査をしていただけるように努力をしていきたいというように思っているところでございます。

秋葉委員 来月か今月末とおっしゃいましたが、いつ開くんですか、今度の審査会。もう一回、具体的に。

奥村副大臣 御案内のとおり、審査会の各委員の先生方の日程調整を今しているさなかでございますので、できるだけ早い時期、もう八月の上旬には進めていきたいというように思っているところでございます。

秋葉委員 では、八月上旬をめどに開催されるときに、宮城県もこの指針の中に加えるかどうかというのが議題になるということで受けとめていいんですか、ぜひ議題にしていただきたいですけれども。

奥村副大臣 宮城県、そしてまた、今日までも他の方からもいろいろなお話をお聞きいたしておりますので、今御指摘いただいたような問題等も踏まえて、御意向等も、我々の思いも伝えていきたいというように思っているところでございます。

秋葉委員 思いを伝えていただくのはいいんですが、これも議題になるんですか。イエスかノーでお答えいただきたいんですが。

奥村副大臣 今の段階では、努力するということで御了承いただきたいというように思います。

秋葉委員 ぜひ審査会の議題としてしっかり議論していただきたいんですよ。もう今まで宮城県は、これまで六回も政府に対して要望しているわけです、村井知事を先頭に。そのたびに政府からは、指針に示されなくても対象になるから個別にやるんだと。しかし、私に言わせれば、こういう状況の手続が賠償の対応というのをおくらせているんですね。

 これは何も農産物の賠償問題だけじゃないんですよ。例えば、自主的避難区域になったようなところが、去年の十二月決まりましたね。あれは宮城県ではどこも盛り込まれなかったわけです。ですから、自主的避難区域に指定されたところは、十八歳未満の子供や妊婦の方には四十万、六十万という金額が自動的に出されるということが非常に迅速化につながるわけですよ。宮城県の県南地方も線量の高いところが幾つかあるわけだけれども、自主的避難区域に指定されなかったばかりに、個別の手続だということでおくれているわけです。

 そもそも、いいですか、政府は今、自主的避難をしている数がどれぐらいいるのかというのを把握していないんですよ。いわゆる爆発が起こったときに、自治体を通して何人ぐらいいるということを掌握しただけで、事故直後以降どうなっているのかというデータがないんですよ。

 私は再三再四、これを各自治体を通してやるべきじゃないか、それぞれの自治体も人手不足で大変だから、その場合には政府で予算措置して、どこか適当なところに委託してこれを調べさせるべきじゃないかということも言っている。個別に積み上げていくというのは、口で言うのは簡単だけれども、実際は大変ですよ、時間も労力もとられるし。

 だから、どこまで補償すればいいのかというのは答えのないようなところがあるんだけれども、やはり少なくてもミニマムの線で、とりあえず一時金のような形で出してあげないと、これは農業者、漁業者、大変ですよ、本当の話。

 ちょうど、原子力損害賠償紛争審査会の専門委員がいろいろな調査をやっているんですね。この調査の報告書を見て私も驚いたのは、放射能の影響を懸念して、旅先として考えたくない地域の第一位、福島県。これは想定どおりかな、九六・七%ですね。第二位が茨城県で五七・一%。宮城県は四六・四%で第三位なんですね。つまり、これだけ足が遠のいているわけですよ、現実には。しかし、この中間指針の中に盛り込まれていないから自動化されないわけです、本県の旅行業協会とか、いわゆるそういった組合とかに対しての損害というのも。

 ですから、ぜひ、この中間指針の中に、これを八月上旬に開かれるであろう議論で明示していただくように、改めて強く申し上げておきたいと思います。

 やはり指針に明示されないと、これは本当に個別立証には相当の時間と労力がかかりますから、なかなかこれは大変になります。やはり指針に盛り込むことによって、自動化していくということでスピードを上げていくということが何よりも大事なことだと思っておりますし、先ほど申し上げましたように、現場の人はそれなりに聞いていただいているんですけれども、結局、本社に行くと、指針に明示がないということで却下されているという事例がほとんどなんですよ。

 だから、個別に対応しているからいいということじゃなくて、やはり指針にないことによって相当おくれているんだということの認識を政府には持ってもらって、一人一人の審査会の委員に働きかけるぐらいのことをしてもらわないと困りますよ、本当のこと。

 それから、紛争解決センターなんかの和解も大変混み合っています。先般も運用状況がいろいろ示されましたけれども、これはやはり当面、増員するなどしてスピードアップを図るべきだと思いますけれども、どうですか、センターの充実強化ということについては。

戸谷政府参考人 御説明申し上げます。

 今の先生御指摘のADRの状況でございますけれども、確かに申し立てが今多数来ておりまして、そういった中で、個人申し立ての件数も非常に多いということで、一件一件の処理に相当時間を要しているといったようなこと、それからあと、東京電力のこれまでの対応におきまして幾つか問題点もあったということでございまして、件数として、当初予定していたスピードでさばけないというのは事実でございます。

 そのため、現在、センターにおきましては、仲介委員あるいは調査官を初めとしまして大幅な定数増を目指して、今作業を進めているというところでございまして、この点につきましては、近々、具体化を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

秋葉委員 震災の復旧復興関連で地元ではただでさえ人手不足ですから、政府としての増員というのも一定の制約があろうかと思いますけれども、OBを活用したり、あるいはそうした有識者に何とか協力してもらう。地元でも弁護士会なども協力をさせていただいているわけですけれども、もう少し、当面の間は体制の強化というのを図っていかないと、さばき切れないと思いますよ。

 ですから、本来は指針の中でやってもらえれば、大勢の人が、オートマチックに進んでいくわけですから、改めて、副大臣、強く八月上旬の会議でしっかり取り上げていただいて、大きく読み込んでもらうということをお願いしたいと思うんですね。

 本県ではJAグループとJFみやぎが賠償請求しているだけですけれども、東電に賠償請求している請求内容、いろいろあります。本当は現場ではこれらにとどまっていないんですね。スズキやヒラメやタラだけじゃなくて、カレイ類なんかも風評被害で、基準値は超えていないんだけれども、やはりほとんど売れていない。こういうのをどう見るのかという問題もあって、大変奥深い問題でございますから、被災地の復旧復興を加速していく意味でも、やはりもっと踏み込んだ対応を政府としてしっかり東電に求めていっていただきたいと思います。

 残り時間がわずかになりましたけれども、最後に、国内の原子力発電所の今後の見通しについて、せっかくの機会ですから伺っておきたいと思うわけでございます。

 政府は、御案内のとおり、この八月の末までに新しいエネルギー政策を取りまとめるべく今いろいろと準備をされているわけでございますけれども、そもそも、まず確認したいことは、政府は四十年経過した原子力を廃炉にするという方針を決めていますけれども、これからの技術革新の中で、状況が許せば四十年を経過しても認める可能性もあるのかないのか、大臣、そこはどう考えていますか。

枝野国務大臣 四十年経過した発電所は原則廃炉にするというのが政府としての考え方でございますが、この法案を国会で御議論いただいている際に、御党を初め、それについてはもう一度専門家による検証をした上でやるべきだということで、見直し条項がついております。

 規制委員会が立ち上がりましたら、規制委員会において技術的な見地から検証をしていただくということになりますが、政府としては、四十年たったものはやめたいというふうに思っています。

秋葉委員 今の大臣の御答弁ですと、基本の姿勢は変わらないけれども、あくまで原則論だということですから、状況を見ながら対応していくということなんですね。

枝野国務大臣 政府は、国会でお決めいただいたことには従わなければなりません。国会で、御党を初めとして御意見があって、修正をされた条項には従わざるを得ないというふうに思っておりますが、できれば政府としては、そこで検証いただいても政府の方針を御支持いただいて、四十年でやめるという結論を出していただきたいと思っております。

秋葉委員 時間が参りましたので、最後の質問とさせていただきたいと思います。

 政府は、発送電分離について来年改正案を出して、できれば二〇一四年からをめどに取り組みたいということが示されておりますけれども、これはその方向で間違いないんでしょうか。

枝野国務大臣 法的分離か機能分離かということについては、さらに技術的に詰めて、弊害のないようにということをやっていただこうというふうに思っていますが、いずれかの方法で発送電分離を徹底させる。これについては、できるだけ早く国会に法案をお出しして審議をお願いし、できるだけ早く実行したいと思っています。

 一方で、いつスタートできるのかということについては、これは準備に一定の時間がかかる。これについては発送電分離に積極的な専門家の皆さんの専門的な知見も踏まえてやらなければいけない。

 政治的にえいやでやって混乱を起こしてはいけないと思っていますが、できるだけ早くやりたいと思っています。

秋葉委員 きょうはありがとうございました。またの機会に議論を引き続きさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、木村たけつか君。

木村(た)委員 国民の生活が第一・きづなの木村たけつかでございます。

 中山委員長を初め理事の先生方に、発言の機会をいただきましたことに心から感謝申し上げます。

 本日は、日本銀行に対しまして、マクロ経済政策、そして消費税増税に対する中小企業への影響についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 我が国経済は、過去十年以上にわたりデフレから脱却できない状況が続いておりますが、この間、実質GDPは八%増加したものの、平成二十三年度の名目GDPは約四百七十兆円、十年前の水準である約五百二兆円に比べ約六%減少いたしております。消費者物価指数も、短期間上昇する局面はあったものの、それ以外の期間は下落傾向であります。

 このような長期にわたるデフレの背景には、需要が供給能力を下回る需給ギャップの存在、そして企業や消費者の成長期待の低下、デフレ予想の固定化といった要因がございます。デフレからの脱却を早期に実現するためには、適切なマクロ経済政策運営に加え、機を捉えた果敢な金融政策を断行することが不可欠であると考えております。

 一方、政府、日銀の金融政策に目を転じますと、対策を後追いで小出しにするばかりで、抜本的な対策を講じようとしていないのが現状であります。政府は、このたび、デフレ脱却等経済状況検討会議において第一次報告をまとめ、先般、日本再生戦略の原案をまとめられました。その中身を検証いたしますと、日銀の金融政策については、日本銀行は、当面、消費者物価上昇率一%をめどとして、強力に金融緩和を推進することとしている、そして、政府は、日銀に対して、デフレ脱却が確実となるまで強力な金融緩和を継続するよう期待するとのみ記載をしております。

 政府は、デフレ脱却のために、日銀と一丸となって取り組まなければならないわけでありますが、期待するとは余りにも無責任なスタンスではないでしょうか。

 そもそも、一%という数字が余りに低い目標であると考えます。国際的に見て二%程度が一般的であり、それだけで円高への誘導になってしまうわけでありますが、国際協調と政府はよく使われますが、まさにこの点においては国際水準に合わせるべきではないかと私は考えております。我が国だけが低い水準でとどまっていることは、市場に足元を見透かされ、効果が余り上がらないというふうに私は思います。

 また、政府は、デフレ脱却が喫緊の課題と強調しながらも、日銀に対する金融政策の注文がいかにも迫力不足であります。

 この際、政府、日銀は、デフレ解消のために、マネタリーベースの増大、そして日銀の債券買いオペの実施、二%のインフレ目標の設定などを実行に移すべきであると私は考えますが、日銀の御見解をお伺いいたします。

内田参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとで持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であるというふうに認識しております。

 こうした認識のもとで、日本銀行は、今御指摘にございましたとおり、当面、CPI一%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と資産買い入れ等の基金の積み上げを着実に行うことを通じまして、強力な金融緩和を間断なく推進していく方針でございます。

 その上で、今御指摘ございました債券買いオペの実施について申し上げますと、日本銀行は、包括緩和の枠組みのもとにおきまして、長目の金利あるいは各種のリスクプレミアムに働きかける目的で、さまざまな資産を積極的に買い入れております。こうした資産買い入れ等の基金の残高は七月二十日現在で五十三・五兆円に達しておりまして、日本銀行といたしましては、来年六月末の七十兆円までこれを積み上げていくという予定でございます。このような資産の買い入れは、企業の方々にとりまして、資金調達コストの低下などを通じまして、金融面から経済を強力に後押していくというふうに考えております。

 二つ目に御指摘ございましたマネタリーベースの増大でございますけれども、金融緩和の効果につきましては、マネタリーベースといった量的緩和の指標というよりも、むしろ、実際に企業の方々が資金調達する際の環境によって判断するということが重要であるというふうに思います。ただ、その上で申し上げますと、現在、マネタリーベースの規模は百二十兆円に達しておりまして、GDP対比で二五%ということで、ほかの国、例えば米国あるいは欧州よりも高い水準になっております。

 最後に、二%の目標を設定すべきだという御指摘でございますけれども、物価が安定していると日本の家計あるいは企業が考える物価上昇率は、欧米に比べまして幾分低いというふうに判断されます。こうした国民の物価観から離れて、一気にこれまで余り経験のない物価上昇率を目指そうとした場合には、家計、企業がかえって大きな不確実性に直面する可能性があるというふうに考えております。日本銀行は、そのような日本経済の特徴を踏まえまして、当面、一%を目指すということにしているわけでございます。

 ただ、その上で申し上げますと、より長い目で見た場合には、中長期的な物価安定のめどというのは二%以下のプラスとある程度幅を持って見ておくことが適当と思っております。これは、先行き、日本経済の構造変化あるいは国際的な経済環境などの変化によりまして、中長期的に持続可能な物価安定と整合的な物価上昇率が変化していく可能性もあるということを意識しているためでございます。例えば、今後、成長力強化への取り組みの成果が上がっていった場合などには、持続可能な物価上昇率が次第に高まっていくという可能性もあるというふうに考えております。

 日本銀行は、こうした可能性も十分念頭に置いて、目指すべき物価上昇率について、原則としてほぼ一年ごとに点検していくというふうに考えております。

 以上でございます。

木村(た)委員 現在、このような状況において、これらの諸課題の根本治療として、さきに申し上げた物価目標の導入や雇用安定の目的化などを柱とする日銀法改正議論が高まっておりますけれども、各国中央銀行の政策目標の比較をしてみますと、例えばアメリカのFRBには、金融政策の目標として、物価の安定のほかに雇用の最大化が、各行政府など政府部門全体の政策目標として掲げられているところであります。

 我が国においても、現下の厳しい経済社会状況において特に力を注がなければならない政策の一つは、雇用政策であります。完全失業率は、本年五月において、前月比〇・二ポイント低下したものの四・四%と引き続き厳しい水準で推移をいたしております。また、新卒者、若年者の就職難も依然深刻であり、十五から二十四歳層の本年五月の完全失業率は八・五%と高水準が続いております。

 この際、私は、日銀法を改正してでも、日銀の政策目標として、物価の安定として数値目標を導入することに加えて、グローバルスタンダードに合わせて雇用の最大化も加えるべきだと考えておりますが、財務省当局の御見解をお伺いいたします。

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 実は、住専国会というのがございましたけれども、あのときに、財務当局の都合で金融政策をかなり決め過ぎてきたということで、日銀の独立性を高めようという議論を私どもはいたしまして、私はさきがけの政調会長代理でしたけれども、路線を敷いて、その後、枝野さんたちがきちんとその実現を図られたという経緯がございます。

 ですから、物事にはプラスとマイナスといろいろあって、今のところ日銀は、政府と協調しながら、独立性を保つことによって、私は、金融政策運営全般についてかなり国民の期待に応えられるものをおやりいただいている、こう評価をいたしております。

 その中で、数値目標のお話がありましたけれども、これは、イギリス政府は政府が数値目標を決めていますけれども、ほかは、話し合ったり、あるいは中央銀行がやはり政策の数値目標を決めているというのがスタンダードだとむしろ思います。

 それから、雇用は大切だというのはおっしゃるとおりだと思いますが、雇用の最大化というのは、これをはっきりと掲げているのはやはりFRBだけなんですね。だから、グローバルスタンダードとは言いがたいと思います。しかも、事情があります。それは、復員軍人の雇用が問題になったとき、そのときに、FRBとしてその問題を含めた表現で入れた。

 日銀も雇用は最大限に見ていると思っております。現在の日銀法の中には、日銀の金融政策による物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するということを理念としておりますので、この国民経済の健全な発展の中には、当然ながら雇用の安定というものが十二分に意識されていると考えております。

木村(た)委員 財金分離の原則、そして通貨の番人として物価の安定性を担保する、このことに対しては私も評価するところであります。しかし、世界各国がこれだけ中央銀行に対してコントロールをし、弾力的に金融政策を行っていることに対して、我が国が決してできないことはないと思っておりますので、どうかその点に関して御考慮いただければと思っています。

 また、人事の選任基準、任期の見直しも図るべきではないかと私は思っております。もちろん、日銀の独立性、金融政策の連続性は必要であると思いますが、しかし、現在の困難な状況に対応するためには、国民の声、市場の対応に機敏かつ適切に政策決定できるよう、民主的で弾力的な制度を確保することが重要であると思っております。

 選任基準の見直しや、場合によっては政府による日銀役員の解任権などの導入を検討するべきだと考えますが、財務省の御見解をお伺いいたします。

五十嵐副大臣 日銀の独立性の問題と深くかかわる問題でございますけれども、日銀の役員の選任に関しましては、現行の日銀法において、「総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」という規定がございまして、これに基づいて適正に行われていると思います。また、審議委員については、特に日銀法の第二十三条の二項において、「経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」となっております。

 そういう意味では、議会のチェックが入っている、そして、それによって選任基準は一定の水準の担保を得ている、こう思っておりまして、現時点でこれを変えなければいけないという理由は特にはないと思っておりますので、慎重に検討する必要がある、こう思っております。

木村(た)委員 また議論させていただきたいと思います。副大臣また内田企画局長さん、ありがとうございました。

 それでは、価格転嫁についてお伺いをさせていただきたいと思っています。

 中小企業は、企業数約四百万社以上、我が国の雇用の七割を占めておりますが、地域経済、日本経済の柱となる存在であります。今回の消費税増税でその大事な中小企業の活力が阻害されてしまうことが危惧をされているわけであります。

 私は選挙区内を歩かせていただきますと、中小企業経営者の皆さん方からは、もうこれ以上、消費税増税がされた際には、自腹を切ってお納めになっていらっしゃるわけでありますが、それが倍額になって、とてもとても払い切れない、したがって廃業せざるを得ない、むしろ景気をよくして仕事を回してほしい、こうした声を賜っているところであります。何よりも、このデフレの経済不況の中において増税を行えば、経済が悪化をし、さらに税収が下がる、このことは経済学上も明々白々でありますので、私はいかがなものかと思っております。

 現在の商慣行において税込み発注であり、残念ながら、中小零細企業は大企業と比べて弱い立場に置かれているため、下請、孫請である中小零細事業者は、発注者が支払うべき消費税分を実質的に支払い、さらに、実際支払う消費税と合わせて二重の負担をこうむっているわけでありますが、そのうち、ほとんどが自腹で負担しているのが実態であります。なぜなら、消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者とされており、一年間に企業が生み出した付加価値に対して課税される直接税であるからであります。

 したがって、赤字企業であっても納税義務が生じ、消費税の課税対象は粗利益でありますから、人件費を差し引くことができません。私の墨田区、荒川区内の中小企業経営者の皆さんも、社員の生活を保障するために苦労して毎月お給料を支払っておられますが、そのために赤字になる企業が多うございます。それでも消費税はかかるわけでありますから、なかなか納めたくても納め切れない、あるいは滞納もふえていく、これが現状であるわけであります。

 そして、表示方式についてでありますが、今日、総額表示制度となっておりますけれども、せめて外税方式にすることによって、中小企業が追加的な税負担をこうむることが軽減されるのではないかと私は考えます。なぜそれができないのか、枝野経産大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

中根大臣政務官 表示について、経産省の見解をお答え申し上げたいと思います。

 価格表示のあり方については、民主党のワーキングチームにおける各団体のヒアリングにおいて、外税表示の方が転嫁がしやすいとの声がある一方で、価格表示と価格転嫁には直接の関係はないので転嫁対策を徹底して行うことが重要、あるいは消費者の利便性等の観点から総額表示を維持すべきといったさまざまな意見があったと聞いております。

 これらの意見を踏まえ、ワーキングチームにおいて取りまとめられた報告書において、価格表示のあり方については、消費者の利便性の確保や制度の変更が事業者や小売現場に与える混乱を回避するという観点等を踏まえると、現行の総額表示制度を維持することが望ましいが、一方で、業界団体等が円滑な価格転嫁を行うため、総額の表示に加えて税額を明示するなどの統一基準を策定することが独禁法に違反しないことを明確化するため、必要に応じて法的措置を講ずる、事業者による値札張りかえなどの事務負担に配慮し、書籍における価格表示の例、これは書籍本体ではなく書籍に挟んである短冊に総額を表示する方法でございますけれども、こういったことなどを参考にした総額表示義務の弾力的な運用などの方策も示されております。

 政府としては、このような御提言を踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を実現するため、十分な転嫁対策の実施に向け、具体策の検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

木村(た)委員 私もその小委員会に参画をさせていただいて議論を拝聴させていただきましたが、中には端数処理をされていらっしゃる事業者のお話も賜りました。

 この消費税が有する税制の特性でありますけれども、逆進性を伴い、そして転嫁対策がなかなかできていない、この問題が最もしわ寄せが来るのが最終事業者である中小零細事業者であるわけでありますが、そこの負担が重くのしかかることに対する経産省としての御見解を改めてお伺いしたいと思います。

中根大臣政務官 今、木村委員御指摘のようなことも踏まえて、中小企業者に不当なしわ寄せが行かないように、これは最大限の配慮を行っていきたいと考えております。

木村(た)委員 それでは、赤字であっても納税をしなければならない中小企業者が真面目に消費税を納めているにもかかわらず、一方では、輸出大企業は消費税の還付を受けていらっしゃる、年間で約三兆円にも上る巨額の還付金を受ける仕組みになっているわけでありますが、私は余りにも極めて不公平な税制であると言わざるを得ないと思っておりますが、この点に対して、経産省としての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

中根大臣政務官 お答えを申し上げます。

 輸出取引については消費税を免税として、仕入れに係る消費税額を還付するという仕組みは、国際的に共通しているルールとなっております。輸出企業は消費税の還付を受けているが、これは、輸出は免税である一方、仕入れの際に支払った消費税分を控除した結果として還付が生じているものにすぎず、輸出企業が得をしているものではないと考えておるところでございます。

木村(た)委員 広くあまねく消費税が公平な税制だと喧伝をされているわけでありますが、小さいお子さんからお年寄りまでどなたにでも一定に課税をされて、徴収をする側にとっては大変都合のいい制度だと思います。

 しかし、最も所得の低い、あるいは最終事業者である中小零細企業の皆様方が御負担をし、そして、大企業が輸出をして、それによって、国際的なルールだからといって全て還付をされる。このことに対して、やはり中小企業の皆様方は大変な不公平感を抱いているわけであります。これを説得するには、それは一定の対応をしなければなかなか説得できるものじゃない。

 この点に関して、経産省の御見解をお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 輸出企業だからといって、大企業だけに優遇をしているということではありません。そもそも優遇ではないということは今政務官の方から御説明したとおりでございますし、まさに、輸出するときに消費税がかからないというか取れないのにもかかわらず仕入れのときの消費税を負担するということになれば、今や輸出は、中小零細企業もさまざまな形で輸出展開をしています。これからもっともっとふえていかなければならない、それは後押しをしています。

 大企業ならもしかすると、担税力があって、そういった形で、本来負担しなくていい消費税を負担させるということもあるかもしれませんが、中小零細企業が本来負担すべきでない消費税を負担しなければならないということでは、むしろ中小零細企業の海外展開ということを阻害する要因にもなるということは考慮しなければいけないと思います。

木村(た)委員 大臣がおっしゃるように、中小企業がこれから海外展開をされることも私は望むところでありますが、それだけの担税力のある元気な中小企業の皆さんにとっては、これはさほど大きな問題ではないと思います。しかし、現在の日本の商慣行においては税込み発注をされていて、なかなかそれに対して異を唱えることができない、これが現状でありますので、その点に関しても御考慮いただきたいと思っております。

 消費税の増税分の価格転嫁が大変困難である、そして、政府・与党が転嫁対策として、公正取引委員会や中小企業庁に時限的に大幅にいわゆる転嫁Gメンを設置すると打ち出しておられますが、中小企業数が四百万社を超える中において、私は、物理的にも、そして商慣行の観点からしても、なかなかこれは効果が期待できないと思っております。そもそも抜本的な対策を打ち出すべきであると思っておりますが、経産省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

中根大臣政務官 消費税の引き上げに当たっては、中小企業の方々の価格転嫁対策に万全を期す必要があるということは今までも申し上げたとおりでございますが、特に、取引上優越した地位にある企業が消費税の転嫁を拒否する等の行為については、被害を受けた中小企業の方々からの告発が期待しにくいため、情報提供を受け身的に待つだけではなく、積極的な監視、取り締まりを行うための体制を整備することが必要不可欠であると考えております。

 このような考え方のもと、五月三十一日に取りまとめられた中間整理では、積極的に独占禁止法や下請法上の違反行為等の情報収集、調査を実施するための時限的な人員の拡大など体制整備を図るとの方針を示したところでございます。

 また、価格転嫁対策への対応に当たっては、監視、検査体制の強化に加え、親事業者及び下請事業者に対する特別調査を過去の消費税導入時、引き上げ時を大幅に上回る規模で実施する、税率引き上げの半年以上前から事業者に対する要請文を発出するなど、優越的地位の濫用を厳しく監視する姿勢を示すための取り組みを早期に実施するなどが中間整理において示されているところでございます。

 さらに、先般の三党合意に基づく修正案において、独占禁止法や下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずる旨の規定が追加をされているところでございます。

 今回の消費税率の引き上げが二段階での引き上げを予定しているという事情を踏まえ、転嫁対策は、政府全体として、過去の消費税導入時及び引き上げ時を上回る対策を講じ、万全を期す必要があると考えております。経産省としても、中間整理において示された方針などに基づき、中小企業の方々の取引価格に適正に消費税が転嫁されるよう万全の対策を講じてまいります。

木村(た)委員 憲政史上始まって以来の十三兆五千億円の大増税になるわけでありますから、これまでの三%、五%とは違って未体験ゾーンの一〇%ということでありますので、経済に対する影響、中小零細に対する影響ははかり知れないと思っておりますので、どうか万全を期していただきたいと思っておりますし、それ以前に、私は、デフレから脱却をすることがまず先決であるということをお訴えさせていただきたいと思います。

 次に、事務負担の拡大についてでありますが、中根政務官おっしゃられましたとおり、二段階の引き上げに伴う事務負担に対して、人員的にも余裕のない中小企業にとっては大変な御負担であり、御不安を抱かれておられます。事務負担軽減のためのシステム導入が検討されるやに伺っておりますけれども、価格転嫁できないという観点からだけでなく、中小企業の厳しい現状を鑑みますと、免税点制度の対象の引き上げや、みなし課税制度の対象の引き上げも検討するべきだと私は考えております。

 中小企業は、日本経済、地域社会を支える、なくてはならない存在であると政府がおっしゃっておられるのであれば、私はぜひその点に関しても考慮するべきだと思いますが、経産省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、消費税に関する事務というのはなかなか軽いものではありませんから、これまでも免税点制度や簡易課税制度を設けて中小企業の事務負担への配慮をしてきたところでございます。

 今回、税率は引き上げになりますが、二段階あるということで、その作業を二回やっていただかなきゃならないということはあるわけですけれども、その事務負担をどの程度の規模の皆さん以上はお願いをするのかという趣旨については、税率の引き上げの数字そのものが直接影響するものではないというふうに思っておりますので、従来の制度を維持するということが政府の方針でございます。

 ただ、先ほど来御指摘いただいておりますとおり、転嫁がしにくいという中小企業の実態、それからもう一つは、消費税が経済に与える影響ということについて、専門家の間でも異論があるというか両説あって、直前の駆け込み需要と直後の落ち込みをならせば消費税の税率が上がることそのものが実体経済に影響を与えるものではない、私はそういう見解が正しいというふうに思っておりますが、まさに、この駆け込み需要とその直後の反動の落ち込みという大きな変動は、大きな企業であればそれを織り込んださまざまな経営をしていくことができますが、中小零細企業、規模が小さくなるほど対応が困難であるという側面があって、その点に配慮しなければならないというふうには思っております。

 これらについては、今後も、予算や税制、そして何よりも中小零細企業の体力をつける、底力をつける、あるいは引き出すということが重要だと思っておりまして、昨日、“ちいさな企業”未来会議を踏まえた政策の具体化のための審議会の部会もスタートさせました。こういった審議を急いでいただくことで、中小零細企業の底力の底上げをしていきたいと思っております。

木村(た)委員 また議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。

中山委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、枝野大臣に日本のエネルギー政策を中心に質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、政府のエネルギー・環境会議から、今後の日本のエネルギーミックス、電源構成について、三つの選択肢、シナリオが示されたところでございます。昨年以来、総合エネルギー調査会、中央環境審議会、原子力委員会において議論が行われ、多くの議論を重ねてまとめられたものを踏まえて、このエネルギー・環境会議で選択肢を決められたものと考えます。

 エネルギー政策と表裏一体の温暖化対策について結論を出すこととなっておりますが、これらの選択肢は非常にわかりにくいものであると考えます。全体で十九ページのこの資料を見て、すんなり理解する人がどれだけいるのか。国民的議論を行うということであれば、その内容が国民に伝わらなければ国民は判断のしようもない。

 そこで、この三つのシナリオが何を意味するのか、また、シナリオの基本的な考え、その前提条件を明らかにしながら中身を確認してまいりたいと思います。

 現在、エネルギー・環境会議から示されている三案というのは、原子力の電源構成を二〇三〇年に〇%、一五%、二〇ないし二五%とする案であります。各選択肢については、おのおの、原発の扱いや省エネの取り組み、再生可能エネルギーの導入について、実現可能性や実施方策に関して大きな問題点がありますが、それが具体的な形で明確に国民に示されていないのではないかと思います。

 まず、ゼロシナリオの電源構成は、原子力が〇%、再生可能エネルギーが三〇%、火力が七〇%となっています。このままでは火力の依存度が現状の六五%よりも高くなってしまうために、政府はより踏み込んだ制度改革等により、再生可能エネルギーの割合を約三五%にすることを目指すこととしておりますが、この制度改革とは具体的にどんなことを目指すのでしょうか。

 また、火力依存度が高どまりすることから、二〇三〇年時点におけるCO2の排出削減量は九〇年比で約二三%減となることとしております。このため、政府は、省エネ性能の劣る製品の販売制限、禁止を含む厳しい規制を広範な分野に課して、経済的負担が重くなってでも省エネルギーや温室効果ガスの排出量削減対策を行うこととしておりますが、この書きぶりだと、ゼロシナリオを選ぶことは難しいと言っているように聞こえます。

 政府は、このゼロシナリオについて現実性に乏しいと考えているのかどうか、枝野大臣にお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、この三つの選択肢について、わかりにくいのではないか、説明が十分ではないのではないかという御指摘をいただいています。率直に申し上げて、これはやむを得ないと思っています。

 なぜかといいますと、これは総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会のこの間の御議論などをフォローしていただければ明らかなんですけれども、そもそも、例えばこれぐらいの原発依存度を引き下げるためにはどれぐらい何をしなければならないのか、それによって経済にどういう影響を与えるのか、その部分の意見の違いそのものが、実は最終結論についての意見の違いである。この点について、エネルギー調査会の御議論自体も実はまだ分かれたままであります。

 したがって、政府として今の段階でよりわかりやすく説明しようとすればするほど、これまでのエネルギー調査会の議論の積み重ねを離れて、政府として何かを誘導することにつながりかねないという現状にあります。まさに、それぞれについて、いや、例えば原発依存度をこうしようと思ったらこれぐらい大変なんだとか、いや、こうやればこういうふうにできるんだということそのものを、国民的な御議論の中で、どういったところまで脱原発のために負担を受け入れていただけるのかとか、あるいはどういう可能性があるのか、そういうこと自体を含めて国民の皆さんにさまざまな意見を出していただきたいということが、今回の選択肢をお示しし、国民的議論をお願いしている趣旨でございます。

 もちろん、最終的にエネルギー基本計画等をまとめるに当たっては、政府の責任として、こういう施策をとることによってこう実現する、あるいはそのことによってこういった経済影響が生じるということはお示しをしなければならないというふうに思いますが、今のような経緯と問題意識でやっているということは御理解をいただければというふうに思っています。

 したがいまして、ゼロシナリオの場合の制度改革等について、まさに、どこまでやらなければいけないのか、あるいはどこまでなら国民的に受け入れていただけるのかということ自体、今回の議論の中でさまざまな御意見をお出しいただきたい。

 ただ、例えば一五シナリオなどと比べても、より踏み込んだ制度改革が必要であるという方向の一つの示唆といいますか、サンプルとして、例えば省エネ性能の劣る製品の販売制限や禁止等などまで含む、かなり踏み込んだところが必要だ、この点についてはおおむねコンセンサスが得られているのかなということで、お示しをしているところでございます。

 これについて、現実性に乏しいと考えているのではないかという御指摘でございますが、私は、ゼロシナリオで、なおかつ二酸化炭素の排出量を一定程度抑えるということをやろうとすれば、相当大変だというふうに思っておりますし、その大変なことに多くの国民の皆さんの御協力をいただかなければいけないと思っておりますが、多くの国民の皆さんがそういったことを、ある意味では負担をみんなで分かち合ったとしても、原発を早くゼロにするべきだ、そういったコンセンサスがとれる可能性は十分あると思っておりますし、そうした国民の皆さんのコンセンサスのもとであれば、かなり厳しいことであっても実現可能であるというふうに思っております。

江田(康)委員 今るる大臣からお話がありましたけれども、例えば原発の構成比率を主軸としてこの三つのシナリオをまとめているわけでございますけれども、その原発の情報そのもの自体が非常にわかりにくい、また明示されていないということを指摘させていただきます。

 一五シナリオの電源構成は、原子力が一五%、再生可能エネルギーが三〇%、化石燃料が五五%となっております。

 このシナリオでは、原子力を現状の半分程度残すこととされておりますけれども、そもそも、現在建設中の原子力発電所の運転は見込んでいるんですか。電力会社ごとに原子力依存度が異なることはもちろん考慮していると思いますけれども、二〇三〇年時点で稼働を許される原発とはどういった原子炉を見込んでいるのか。運転開始から四十年を経過した原子炉について、その後も稼働を認めるという可能性を残すと考えているのか。その主軸たる原発に関するそういう情報が極めて不明瞭であり、少ないと思っております。このように考えるのであれば、脱原発依存というのは、これは一体いつ実現することを目指しているのか、こういうところについても明確に示していかなければならないのではないかと思います。

 また、このシナリオにおいて再生可能エネルギーの割合を三〇%としているわけでございますけれども、ゼロシナリオと同様の相当な普及拡大対策を行わない限り実現は困難なものと考えます。

 政府は、ゼロシナリオとは異なって、より踏み込んだ規制改革等を実施せずにこの三〇%を達成しようと考えているようでありますけれども、政府の具体的な見通しもお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、大前提として申し上げなければいけないのかなと思いますのは、これは三択で一つを選ぶということで選択肢をお示ししているわけではありません。

 国民的議論を進める上で、本当に十人十色の多様な意見がある中で、それで白紙で議論をしてくださいと言っても国民の皆さんも困るだろう、かといって、余りたくさん選択肢を示してもなかなかわかりにくいだろうということの中で、議論を進めていく上のスタートラインというかベースということで三つをお示ししていますので、今決めている、示している三つの中の一つが選ばれるということではありません。

 むしろ、これをベースに議論いただいた結果、総合的に判断していくということで、一五%シナリオについて言えば、四十年廃炉原則を自然体で運用し、新増設が困難であるという状況を踏まえた数字にほぼ相当するということで申し上げております。

 四十年廃炉をもっと徹底すべきであって、したがって、これは二〇三〇年以降もそれに従って、だから二〇五〇ごろにゼロになる、そのプロセスなら賛成だとか、いや、二〇一五年でそこで減らすのをとめるなら賛成だとか、多分いろいろ多様な意見があるだろうと思いますし、自然体といっても、これは稼働率によって変わってきますから、だから、いや、稼働率を高く見過ぎだから、一五ではなくて、これは一三じゃないかとか一二ではないかとか、さまざまな御意見が現に出てきておりますし、そうしたことを踏まえて判断していきたい。

 出発点としては、四十年廃炉自然体、そして新増設は困難というところを出発点としているところでございます。

 それから、この場合の再生可能エネルギーや省エネについてでございますが、これは逆に、総合エネルギー調査会における議論は、御承知のとおり、もうあすにでも全部廃炉にしろという御意見の方から、いや、原発はこれまで同様重要なんだという方まで、大変幅広い皆さんに御議論いただいている中で、細かい部分について全部一致したとは申し上げませんが、省エネと再エネについての導入目標については大方の一致を見ているということでありますし、それについては経済産業省としても十分に実現可能であるというふうに考えております。

江田(康)委員 再生可能エネルギーへの対応についてはこれからまた質問をさせていただきますけれども、少なくとも一五シナリオの場合には、新増設なし、また四十年運転規制のもとで行っていくものであるということを今明言されたところでございます。

 では、二〇から二五シナリオの電源構成というのは、原子力二〇ないし二五%、再生可能エネルギー二五ないし三〇%、火力五〇%となっております。

 このシナリオでは、現状と同程度の原子力を残すこととなりますけれども、これは原子力発電所の新増設と更新を認めるという前提であると理解して問題はありませんか。そうであれば、当然、具体的な設置基数、更新基数が念頭にあると私は思うんですね。

 この選択肢における原発の想定される新設置基数、更新基数を伺いたいと思います。また、追加的に必要となる費用は詳細に明らかにされておりませんが、これも明らかにされたいと思います。どうですか。

枝野国務大臣 先ほどの話の繰り返しは申し上げませんが、まさに大きな方向性としての国民の皆さんの御意見が那辺にあるのかということを今国民的議論の中で把握させていただきたいということでございまして、もちろん、前提として、二〇から二五は、これは客観的な事実としては、原子力発電所の新、更新が必要になる数字である、これは間違いございません。

 ただ一方で、ゼロシナリオの場合の省エネや再エネが相当な困難を乗り越えないと実現できないように、二〇から二五シナリオで新、更新を実施するというのは、原子力行政に対する、あるいは電力会社に対する相当な信頼回復がないととてもできることではない。現状では、そうした信認があるとは全く思っておりません。

 したがいまして、もしこのシナリオを多くの国民の皆さんが御支持をされるという場合にあっても、こういうふうなことをやれば信認できるからこういうことをやるのが前提だとか、そういったさまざまなエクスキューズがつくんだろうというふうに思います。もちろん、国民の皆さんの意見を余り予断を持ってあらかじめ見てはいけないんですが。

 ということでございまして、もしこれが国民の皆さんの多数の意見であった場合であったら、そういったエクスキューズといいますか前提条件としてどういったことが求められるのかということを踏まえた上で、具体的なプロセス、つまり、どれぐらいの基数をどこにということの検討がなされることになろうかというふうに思いますが、さまざまなところでの意見聴取会やパブリックコメントをいただいているところを現状の中間報告で申し上げますと、何らかの一定条件をつけてもなかなか新増設を認めるという国民の皆さんの声ではないというのが現状ではないかと思っています。

江田(康)委員 今大臣が申された私の質問に対する回答は大変重要なことが幾つも含まれておりますので、それをもとに国民的議論を進めていかなければならないなと思います。

 これらのシナリオがまた経済成長や国民の生活に大きな影響を与えていくわけでありまして、その点について幾つか質問をさせていただきます。

 他方、全ての選択肢に共通している、省エネ等によって二〇三〇年の発電電力量が一〇%削減されるという点について、経済成長を可能な限り阻害しないでこれを実現するために政府はどのような対策を講じようとしているのか、こういう点も見えないわけでございます。これもお伺いをしていきたいと思います。

 三〇年に一〇%削減されるということは、自然増一〇%を見越しても二〇%の削減ということにもなってくるわけでありまして、これは大変な省エネの規模でございます。政府は、日本再生の基本戦略において、二〇一一年度から二〇二〇年度までの平均で名目GDP成長率三%、実質GDP成長率二%を目標としておられますが、エネルギー・環境会議が提示したエネルギー・環境の選択肢では、実質GDPの成長率が二〇一〇年代は一・一%、二〇二〇年代では〇・八%という前提が置かれているわけであります。

 これは両者相異なるわけでありますけれども、両者の目標とする数値がこのように異なるのは一体なぜなのかということをお伺いさせていただきます。

    〔委員長退席、石関委員長代理着席〕

枝野国務大臣 政府の成長戦略に掲げられた数字は、政策努力の目標として、その達成に全力で取り組むものでございまして、私も閣僚の一員として全力で取り組みたいと思っておりますが、一方、こうした目標とは別に、他の一定の経済見通しを前提とする場合もほかにもございます。例えば、財政運営戦略において、財政健全化の道筋を示すに当たっては、慎重な経済見通しを前提とすることを基本とすべきとされております。

 今回は、総合エネルギー調査会での御議論あるいは中央環境審議会での御議論においてさまざまな、これは試算でございますので、試算をもし行うなら成長戦略の目標を使うべきという意見はなく、むしろ、慎重シナリオを使うべきであるといった意見や慎重シナリオの成長率でも相当高い成長率だという意見がありました。

 総合エネルギー調査会においては、まさにこれは審議会でございますので、私や経済産業省が何か議論そのものを誘導するべきではないと思っておりますので、委員の皆さんのこうした意見を踏まえて慎重シナリオの数字に基づいた試算を行い、それに基づいた試算であるということをちゃんと明記して、今回もエネルギー・環境会議の提案においてもお示しをしている、こういうことでございます。

江田(康)委員 しかし、政府が目標とするのは実質GDP成長率で二%、これは慎重シナリオを設定されたわけでございましょうけれども、今後のエネルギー政策を考える上での前提は一%、これにすれば二倍も違うわけであります。

 これがどのような意味を持つかというのは大臣もおわかりだと思いますけれども、こういう非常に大きな差がある、その異なる数字を用いるということが、これからのエネルギー基本計画の見直しにつながる、そういうエネルギーの基本電源の構成を決めるものに果たして適しているのかどうか、そこについては非常に疑問がございます。

 さらに、確認をさせていただきますけれども、火力についてであります。

 各シナリオを見ると、いずれも火力発電の割合は現状よりも下がります。しかし、電源構成の中では大きな割合を占めていくことになります。二〇三〇年を見通して火力発電に頼らざるを得ない状況であるのに、火力発電の内容についての説明が少ないのではないですか。

 火力に頼らなければならない状況であれば、なおさら、その中身はCO2削減に寄与するもの、クリーンなものにしていかなければならないと当然思われるわけでありますが、いかがですか。また、その際に、石炭ガス化複合発電システム、IGCCの導入促進なども重要になってくると思いますし、コージェネレーションというところも大変重要になってくるかと思いますけれども、この点についての見解もお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、最終的に、特に経済産業省の立場からすると、これはエネルギー基本計画に集約されていくものでございます。そのエネルギー基本計画においては、もちろん、原発比率をどうするのか、国民的な関心の強い一番大きな前提であるかもしれませんが、同時に、他の発電手段あるいは発電以外のエネルギーというのも同じように重要でございます。

 ただ、今回国民的な議論をやっていただくに当たって、同時にその参考資料としてくっつけている部分のところについては、やはり国民の皆さんの御関心が圧倒的に高い原発のところを中心にお示しをさせていただいておりますが、総合エネルギー調査会の基本問題委員会におけるこれまでの議論においても、火力を初めとしてさまざまな発電分野あるいは発電分野以外のエネルギーのところについても一定の御議論をいただいてきておりますし、それについては公開をし、なおかつ国民の声なども求めているところでございます。

 実際に、天然ガスのコージェネレーションの導入であったり、あるいは石炭ガス化複合発電システムなどの石炭火力発電所の効率化であるとか、さらには、例えば火力発電にも影響を与えるであろう天然ガスのパイプラインの話であるとか、こうしたことについては、総合エネルギー調査会において、基本問題委員会あるいはさらに専門的な委員会においてもしっかりとオープンな議論を進めているところでございます。

 したがって、こうした議論のここまでの集積を踏まえて、火力発電所を今後も重要な電源として活用していくという選択肢が示されているというものでございますが、これについては、御関心ある方が例えばエネルギー・環境会議のホームページ等から、そうした議論、どうなっているんだということに、例えばリンクがしやすいように工夫できる余地がないかどうか、ちょっとこれは検討させてみたいというふうに思います。

江田(康)委員 今大臣、火力発電の転換というか、これに関する情報はそういうホームページ等でのアクセスを検討していただくということでございますので、それはぜひ検討していただきたいと思います。

 私は、火力発電の高効率化というのは大変重要と思っておりまして、日本では火力発電のために膨大な化石燃料を使っております。それは周知のとおりでありますけれども、燃料の六割は廃熱として捨てられているわけでありまして、この廃熱をもう一度発電に使う最新式の発電に切りかえれば、無駄は四割程度に減少するわけであります。さらに、コージェネレーション、熱と電気を供給していくシステムならば、この無駄は何と一割程度まで減らせる、こういうふうに大変重要な火力発電の高効率化でございます。

 ぜひともこういう情報についても国民に届くように、また、重要な判断材料になるようにしていってもらいたいと思います。

 さらに質問を続けます。

 七月の六日並びに昨日の委員会等で、細野環境大臣は、温室効果ガスの排出量削減を二〇二〇年に九〇年比で二五%削減する政府目標について、非常に難しい数字になってきたというのは事実だと発言をいたしました。全てのシナリオに共通して、二〇二〇年における温室効果ガスの排出量削減幅が最大でも一一%程度にとどまる、これに最大限確保することを目指している森林吸収分の三・五%とこれまで同様の国際貢献分の一・六%を加えたとしても、政府が国際約束した二〇二〇年二五%の削減目標はいずれのシナリオでも不可能ということになってしまいます。

 これは、すなわち、政府目標の達成はどの選択肢を選んだとしても達成不可能ということを政府は意味しておられるのか、枝野大臣の見解をお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 現在までの、二〇二〇年の二五%削減という目標も原子力発電所の新増設が前提になっております。これはあえて申し上げれば、昨年の三月十一日に当初の見通しどおりやるということは不可能になったという状況でございまして、そうしたことを踏まえれば、これは直接所管大臣の言葉を私の立場からはそっくりなぞった方がいいかと思いますが、達成自体は非常に困難になったと言わざるを得ないというふうに認識をしているところでございます。

 エネルギー・環境会議における原発を中心とした電力についてのさまざまな国民の皆さんの御議論を踏まえて、エネルギーの中長期計画をまとめていく、その中で、この温室効果ガスについての考え方をどう見直すのかということを決めてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 再び、コスト、経済的な点について戻ります。

 コストについては、発電コスト、系統対策コスト、省エネ投資、家庭の電気代、またGDPにも触れられておるわけであります。例えば、四つの機関が試算した家庭の電気代を見ますと、二〇三〇年時点で月額一・四万から最大二・一万円までとなっておりまして、二〇一〇年時点の一万円と比べれば、一・五倍から二倍にも達することになります。

 ここに示されたコストについては、負担増を強調するイメージが先行していて、そこで懸念されるのが、再生可能エネルギーについてコストとしてしか計算されていないのではないかということであります。

 コスト増になるというのであれば、国民にそういうことも含めて説明すべきであると思いますけれども、その説明も十分ではない。コストの部分において、再生可能エネルギーの経済効果、新産業や雇用への貢献がどのように捉えられているか、再生可能エネルギーのその位置づけについてお伺いをしたいと思います。

枝野国務大臣 今回の選択肢と同時に付随してお示しをしている経済影響評価について、これも総合エネルギー調査会で、その試算の仕方そのものについてもさまざまな議論がある中で、もちろん異論もありましたけれども、おおむね合意をいただいた前提、原則のもとで、しかも複数お示ししたのを、ちゃんと細かく全部複数示せということでお示しをしております。

 導入量の拡大が電気代を押し上げることを通じて経済に負の影響を与える、これは間違いなくある。一方で、投資需要の拡大を通じて、関連産業の拡大、雇用増加など、経済へのプラスの効果もある。それぞれの専門家、それぞれの機関が、それぞれの共通する前提は前提としてこれらを御評価していただいて織り込んだ見通しというものを並列しているところでございます。

 ただ、これはそれぞれの専門家によって、ここには直接計上されていない投資によるプラスの効果もあるという先生もいらっしゃいますし、なかなかコストの方が大変なんだ、もっと実際には経済に悪い影響を与えるんだという趣旨の御意見もあるようでございます。

 いずれにしても、これらの試算や前提についても、これは一般の国民の皆さん、細かく見てくださるのはなかなか難しいですが、それぞれ専門的な知識をお持ちの皆さんがさまざまな御意見をお出しいただくことを通じて、それも踏まえながら、最終的に政府のエネルギー基本計画を示す前には、政府としてはこう考えるということをお示ししたいと思っています。

江田(康)委員 この十九ページをもとにした資料を見ても、コストが前面に出てきて、これはいずれのシナリオでも百兆円とか八十兆円の投資が必要である、電気料金もそのように引き上がる、そういうようなことが前面に出ている。

 ところが、今大臣も、再生可能エネルギーの経済効果も含まれているんだ、こうおっしゃいますけれども、あの資料を見てそれがわかるというところまでには至っていないと思うんですね。

 そういうようなところも本来ならば説明が必要なところであろうと思いますので、これはいずれの選択肢を選ぶにおいても再生可能エネルギーは今後の柱となるわけですから、そういうものについてはやはりきちんと説明をされた方がいいと思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、どうしても将来の経済見通しについて、コストの部分のところの方がクリアに試算をしやすいという側面が、私は専門家ではありませんが、この四つの試算の数字その他、あるいはエネルギー調査会での議論等を踏まえて思っております。

 むしろ定性的には、今日本の置かれている、国内でなかなか消費が出てこない、ですから、できるだけ消費をつくらなければならない、ニーズを生み出さなければならないという観点からも、また今後の世界における日本の立ち位置で、やはり圧倒的な競争力を持った、なおかつ国際マーケットが拡大する分野を育てていかなきゃならないという観点からも、再生可能エネルギーや省エネというのは潜在的需要を掘り起こせるし、国際展開の期待も大きい分野でありまして、この分野は、なかなか現状のオーソドックスな試算からは出てこないメリット、効果というのが私はかなりあると思っていまして、そのことは定性的にもっときちっと説明をしていきたいと思っております。

 また、なかなか定量的な従来の分析の方法では難しい部分があるのかもしれませんけれども、さらにわかりやすくお示しができないかどうかということは努力をしてみたいと思います。

江田(康)委員 ぜひ大臣よろしくお願いいたします。

 クリーンエネルギーの政策イメージというのが示されておりますけれども、再生可能エネルギーの導入、省エネルギーの推進、化石燃料のクリーン化について、シナリオごとに政策イメージが示されております。

 しかし、実際に一五シナリオ及び二〇ないし二五シナリオを見ますと、例えば太陽光では一千万戸、すなわち現在設置可能なほぼ全ての住宅の屋根に導入する計算となりまして、ゼロシナリオに至っては、耐震性が弱いことによって現在設置不可能な住宅も改修してこれを導入する、まあ、ほとんど日本じゅうの住宅の屋根に太陽光を導入するというようなことが書かれているわけであります。

 また、堅牢度に劣る住宅を建てかえて、太陽光発電を設置するため、固定価格をより高水準にとも記載されております。建てかえ費用まで賄える買い取り価格を想像することは私は難しいと思うんですが、政策イメージだからこのような書きぶりにしてもいいと考えていらっしゃるのかもしれませんけれども、これではかえって混乱があるのではないかと思います。

 今、政府は国民的議論を展開しておられますけれども、情報が正確に伝わってこそ、これからこの基本計画等の決定にもつながる、そういう適切な議論が行われるのではないかと思います。この点について適切に説明をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 わかりやすくお示しをする一方で、正確性や中立性などをきちっと確保する、正直言って苦慮しながらやっております。今の御指摘は私もうなずきながら聞かせていただいたところでございますので、さらに努力をしたいというふうに思っているところでございます。

 また同時に、そもそも三つの選択肢に付随して出てきている、この部分はこう違うんだというようなことを国民的に、いや、こう誤解を招くけれども実際はこうなんだとかということ自体を、ぜひ国会議員の先生方はもとより、多くの国民の皆さんにも御指摘をしていただきたい。

 私たちは、今示しているものが何か絶対、金科玉条で動かさないということではなくて、一つのものをお示しをしているけれども、それを軸に、いや、そうじゃない、こうなんだとかという議論自体を待っているという趣旨でお示しをしているということ、この意味もさらにしっかりと徹底していきたいと思っております。

江田(康)委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 この国民的議論を行った後に、政府が最終決定するに当たってどこまでこの国民の声は生かされるのかということもはっきり示されておりません。国民の声をしっかりと受けとめて反映させていく、生かしていくということを政府は約束できるのか、どのように反映していくのか、担保はあるのか、国民の議論が拮抗する場合、どのように政策を決定するのか、伺いたいと思います。

枝野国務大臣 なかなか国民の皆さんのマジョリティーが那辺にあるのかということを機械的に判断するのは難しいというのは、先生も十分、政治の世界では共有だというふうに思っております。

 全国十一カ所での意見聴取会、これは意見発表していただくだけではなくて、アンケートという形で来ていただいた皆さんに意見を書いていただく。それから、もちろんパブリックコメント。それから、討論型の世論調査。それから、むしろ誘導とかという疑いを持たれるのがよくないと思ったので、一般的な世論調査をメディア各社がもう十分各社ともやるだろうというふうに思いましたので、こうしたことも当然参考になっていく。

 なおかつ、それをどう受けとめなければいけないのか。例えば、率直に申し上げて、今、意見聴取会とかパブリックコメントには非常に強い思いを持った皆さんの声というものが寄せられています。ただ一方で、そうしたところにわざわざ意見は出さないけれども、実は自分はこう思っているというような声は、多分、世論調査等に出てくるんだろうというふうに思います。これをどういうふうに受けとめなければならないのか。

 私は、聞かれればこうだけれどもということでの民意と、強くぜひこうしてほしいという民意というのは、やはり同じウエートでは捉えられないんじゃないかと思いますが、では、機械的に一・何倍だとか二倍だとか、こういうものでもないんだろうというふうに思います。

 まさに、これで国民の皆さんの意見、声というものをどう受けとめることができるのか、受けとめたんだなということで国民の皆さんに感じていただけるのかどうかということが、まさに野田政権が今後も続いていくのかどうかということの分水嶺だろう、そういう思いで国民の皆さんの意見、もちろん、意見は分かれるわけですから、全員の皆さんがそうだという結論には絶対ならないわけですが、なるほど、国民の声を踏まえて決めたんだなと受けとめていただける最大限の努力をしたいと思います。

江田(康)委員 大変重要な発言でございましたが、これらの選択肢について、政府は、七月以降、いわゆる国民的議論を経た後に、八月をめどにエネルギー・環境会議が新たなエネルギー基本計画を含む革新的エネルギー・環境戦略を決定することとしておりますけれども、エネルギー基本計画に関して言えば、三つの選択肢を一つに絞るというプロセスであると考えて問題ないのでしょうか。先ほどそのような御発言があったかと思いますが、そうであるならば、専門家でない政治家がこれをどうやって決めるのか、これについても疑問が残りますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 八月を目途に革新的エネルギー・環境戦略を策定します。

 繰り返しになってしまいますが、ここにおいては、三つの中のどれかを選ぶではなくて、三つの選択肢をベースに、今お示しをしている選択肢のようなベース、レベルの大きな方向性について決定をしたいというふうに思っています。それに基づいて、具体的なアクションプランとしてのエネルギー基本計画をその後、でも速やかに策定をしたいと思っております。

 これについては、エネルギー・環境戦略で示された大きな方向性、これは民意に基づく方向性というものを踏まえつつ、その枠の中で、より専門的な知見をもとにしなければ議論が進まない部分はありますので、そこについては総合エネルギー調査会の専門的な御議論も踏まえた上で決定をしていくということになります。

江田(康)委員 今大臣がおっしゃいましたが、三つの選択肢をベースに大きな方向を決定していく、また、それをベースに今後の最終的なエネルギー戦略を決定する、こういうようなことであったかと思います。

 であるからこそ、もう一つ最後に質問をさせていただきますけれども、このエネルギー・環境に関する選択肢では、不断の検証、二〇三〇年の検証をするとしておられますが、これらの政策の実行についてはエネルギー・環境会議が監視を行うとしておられます。

 ここでは非常に重要なことがざっくりと書かれているわけでありますけれども、つくったものが監視や検証を行うというのは適正であるのか、第三者機関による検証を行わなくてもいいのか。また、特に重要だと思いますけれども、二〇三〇年における検証などについては、やはり法律、例えばエネルギー政策基本法の中に明確に位置づけて、法的な裏づけを措置する必要があると考えますけれども、この検証のあり方について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

    〔石関委員長代理退席、委員長着席〕

枝野国務大臣 二〇三〇年における検証ということなんですが、不断の検証をしていく、これはあらゆる政策、あらゆる行政活動について当然のことでありますが、この二〇三〇年の検証ということについては、もちろん何か選択肢ではありませんが、選択肢と一体となって国民の皆さんに御議論をいただく課題の政府からの一つの考え方としてお示しをしているものでございまして、そもそもそんな二〇三〇年なんて検証は要らないとか、それでは遅いとか、少なくとも、間違いなく今ありますのは、ゼロにするという方針、今決めても三〇年にはまた白紙に戻っちゃうのかとか、いろいろな御議論がありますので、そのこと自体、国民の皆さんの多様な御意見をいただきたいと思っていますし、今まさに国民を代表するお立場からの御意見として、もし検証するなら、法的な位置づけとか誰がやるのかとかしっかりしないといけないんじゃないかという御提起は、大変貴重な御提起だというふうに思いますので、そもそも三〇年における検証そのものについての国民の皆さんの御意見も踏まえ、今の御意見も参考にしながら、議論を進めてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 一連のエネルギー・環境会議が示したエネルギーミックスに関する選択肢について御質問をさせていただきました。

 あと何分残っているのか、あと若干であるかと思いますが、ちょっと観点を変えて、電気料金の値上げについて確認をさせていただきたいと思います。

 東京電力が、原子力発電所事故に伴って、火力発電の割合が急増して、LNGなどの火力燃料調達費が大幅に高まったこと、これを理由として、五月十一日には、規制部門に対しても、これは小口需要家ですけれども、平均一〇・二八%の値上げの申請を行いました。この申請を受けて、経産省は、電気料金審査専門委員会を立ち上げて、東京電力の申請内容について検証を行ってきたところでございます。

 そういう中では、東京電力のいびつな構造も明らかになっているわけで、自由化部門からの利益割合が極端に低い構造、家庭などの規制部門が極端に高い、こういうような構造も示されたところでございますし、私の地元の九電においても、やはり規制部門から多くの利益を得ている構造には変わりはございません。

 こういうようなものを踏まえた上で、この七月五日に開催された会合で示された査定方針案では、LNG調達費、百億円、事業報酬率、百億円及び健康保険料の会社負担率、四十億円の引き下げなどを考慮して、値上げ幅を九%台前半に圧縮する旨が記載されたわけでございます。そして、さらに消費者庁との協議の結果、値上げ幅を八・四七%まで圧縮するということが決定されたわけでございます。

 確かに、当初案からすれば二%近い引き下げとなるわけでございますけれども、まだ、今後稼働するかどうかわからない福島第一原発五号機、六号機、福島第二原発一号機―四号機の減価償却費を総括原価に算入することを認めていたり、また、人件費も、東京電力が提示した一般職員の給与削減幅二〇%ですか、今回、管理職の人件費三〇%が考慮されて八・四七%になったかと思いますけれども、しかし、いまだに一般職員の給与削減幅は二〇%案を妥当としているわけでありましょう。

 まだまだ切り込む余地は大いに残されていると私は考えますけれども、政府はさらなる電気料金の引き下げを国民にわかりやすく行うべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 電気料金については、これまで、自由化が部分的にしか進まず、いわゆる総括原価方式で料金の規制をするというやり方でやってまいりました。そうしたことの中における総括原価の原価の算定、会計のルールその他を踏まえた中では、最大限の努力をさせていただいたつもりでおりますが、まだまだ十分ではないという消費者の皆さんからの思いというのも十分受けとめなければならないというふうに思っています。

 若干の時間をいただくことになりますが、今回、エネルギーシステム改革において、小売も含めた全面の自由化、そして、その自由化というのは、規制なき独占ではいけない、実際に競争が生じる、そういう構造をつくらなければならないんだということも含めて、そういったことの方針を決め、また、発送電分離も、詳細な制度設計は今後でありますが、分離をすることについては決めて、そして、電力会社においてもそれに協力をすると言わせました。

 実は、送電部分というのは、自然独占の世界ですので、競争は働きませんので、いわゆる料金を規制して原価に基づいてやるというしかないんですが、発電や小売については、今のような形で、実質的な競争をもたらすことによってユーザー、消費者の皆さんに納得いただける、この構造を一刻も早くつくらなければならない。もちろん、システム改革によって電力の安定供給ができなくなってはいけませんので、そのことには慎重に対応しながらも、ユーザーの皆さんが電力会社を選べるという構造でマーケットメカニズムが働いて、料金が抑制される、こういうことを一日も早くつくり上げたいと思っています。

江田(康)委員 残り五分でございます。

 最後に、シェールガスについて確認をさせていただきたいんですけれども、我が国では、火力発電の割合が急増しております。化石燃料の中では最も温室効果ガスの排出量が少ない天然ガスの輸入が急増しているわけでありますけれども、平成二十三年度輸入金額五兆四千二十二億円、今後さらに燃料費が高騰すれば、東電以外の電力会社も大幅な電気料金の値上げを行う可能性が高いことは容易に想像できるわけでございます。

 北米、アメリカ、カナダでは、シェールガスの商業生産に成功して、アメリカ国内の天然ガスの価格は、百万BTU当たり二ドル前半から中盤を推移しております。我が国の場合は十八・三ドル台中盤を推移しておりまして、大変割高な輸入価格で天然ガスを輸入しておるために、一刻も早く安価なシェールガスの輸入開始が大変重要であると思っております。そうすれば、電気料金の値上げを抑止また値上げ幅を抑制することができる。

 野田総理が四月三十日に日米首脳会談で液化天然ガスの輸出許可を求め尽力をされているところでありますけれども、アメリカとしては、自由貿易協定、FTAを締結しない国への天然ガスの輸出は政府の許可が要る等々、さまざま、まだまだ多くの課題が残っておりますが、この件は、国民負担の軽減につながる重要な交渉でありまして、確実な対応をお願いしたいところであります。

 政府として、本件について今後どのように取り組むおつもりか、勝算はあるのか、お聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のように、北米のシェールガスは、本当に大きく世界のエネルギー状況を変えつつあるというふうに思っております。したがって、この状況にしっかりと対応して、アメリカ合衆国あるいはカナダなどからできるだけ安価な天然ガスを安定的に供給を受けるということは、我が国にとって最優先の通商課題の一つだというふうに思っているところでございます。

 JOGMEC等を通じて、各民間企業の努力は十分に後押しをしてきているところでございます。それによって十分に権益を確保しつつあるところでございますが、御指摘いただいたアメリカからの輸出許可というのが行政的な一つのネックでございます。総理御自身にも首脳会談でもお話をいただいておりますが、私自身も、チュー・エネルギー庁長官やポネマン副長官などと会談の折には、常に、我が国として最優先の、あえて言えば福島の廃炉などに技術協力をいただきたいというのが最優先ですが、それに次ぐ優先課題としてお話をしています。

 きのうも、たまたまポネマン副長官とお会いをしました。相手のあることですので詳細は申し上げられませんが、私は、我が国の期待に米国は十分にお応えをいただける、もうちょっと一定の時間をいただきたいということでありますが、いただけるという勝算があるというふうに思っております。

江田(康)委員 全面的に御支援をいたしますので、ぜひとも御尽力をいただきたいと思います。

 きょう、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度等について、また国会事故調の委員会報告書等について質問を残してしまいましたけれども、次回、また取り組んでいきたいと思います。

 本日は、大臣、どうもありがとうございました。

中山委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうは二つのテーマについて伺いたいと思いますが、最初に、福島事故と原発再稼働の問題について、ここから伺っていきたいと思います。

 まず、二〇〇七年の七月十六日に発生した柏崎刈羽原発の事故のときには、基礎地盤面で六百ガルぐらいを記録し、三号機タービン建屋の方では二千五十八ガルというのを記録して、これは東電が二〇〇九年に報告したものですが、三千六百六十五件を超える機器の損傷そして事故、トラブルが発生しました。

 三・一一で、一Fで一号機から四号機は損傷してしまっていますが、五、六号機については炉心溶融じゃないですから、本当は中にかなり入れるわけですね。要するに、五、六号機で、配管とバルブやフランジなどの継ぎ手部分の損傷、それから配管そのもののひずみ等異常がそれぞれ何カ所あったのか、どういう損傷であったのかというのは、これはもう既にはっきりしていると思いますし、またはっきりしていなきゃおかしいと思うんですが、これは政府参考人に先に伺っておきます。

深野政府参考人 御指摘のとおり、五号機、六号機は、中は放射性物質に汚染されておりませんので確認ができる状況でございます。

 その中で特に五号機につきましては、いわゆるマーク1型の格納容器で、基本的な構造は二号機から四号機とほぼ同じということでございます。そういうこともございまして、この五号機については、これまで二度にわたって中の確認を行っております。一回は専門家の方にも同行をいただきました。

 そこで、まず、確認に先立ちまして、私どもの方で解析評価をいたしまして、今回の地震で加わっただろう力を想定いたしまして、その許容値の中におさまっているかどうかということを確認して、その上で中に立ち入っております。

 計算上は、当初想定されていた許容値を上回る力が加わった、そういう箇所も幾つかございまして、そういったところについても確認を行っておりますけれども、目視でございますけれども、異常は見つからなかったということでございます。

吉井委員 ちょうどこの間、東電が最終報告書を出しまして、これを読んでみますと、五、六号機の原子炉建屋については内部についても詳細な点検は行っていない、これは添付資料に出ています。設備の状況の確認結果では、写真が添付されていて、問題箇所も出ています。クレーンの転倒、小口径配管破断、小規模LOCAなども、記載が添付資料に出ております。

 要するに、地震動そのものによる破損、事故、トラブルの発生はあるんですけれども、内部の詳細な点検はまだ行われていない、こういうことが現状だということをきちっと見ておかなきゃいけないと思うんですが、そういう状況ですね。

深野政府参考人 五号機につきましては、先ほど申し上げましたように、二度にわたって私どもも確認をしておりますけれども、限られた時間の中でやっておりますので、もちろん全てを見尽くしたということではございません。

 それから、一号機から四号機につきましては、内部が汚染されていることもございまして、いろいろな解析評価を行っておりますけれども、現物を……(吉井委員「五、六号機の話ですから」と呼ぶ)はい。

吉井委員 巨大な地震、津波が老朽化した原発を直撃したときの問題はどうなるか、これは福島原発でもう経験済みなんですね。今、大飯原発と志賀原発の敷地内の活断層を保安院が調査するように命じておりますが、改めて伺っておきたいんです。

 実は、二〇〇七年の三月二十八日に、私は、当時、広瀬さんが保安院長だったんですが、能登半島沖地震に伴う志賀原発の問題について質問しました。志賀原発では、近くにある邑知潟断層帯が約四十四キロメートルで、マグニチュード七・六の地震を起こす可能性が高い、北陸電力の活断層調査が十分でない、そして、志賀原発近傍の沿岸域の海底活断層を調べたかとそういう活断層調査について伺ったんですが、当時、広瀬保安院長は、能登半島地震の震源となりました活断層につきましてまだ確認されていない段階です、今後、専門的な研究機関において詳細な調査検討が行われると答弁したんですね。

 私は、国会答弁というのはいいかげんに扱われちゃいかぬと思うんですよ。あれから五年余りたつんですが、志賀原発周辺の富来川南岸断層とかS―1断層などについて、完璧にもう調査をしたんですか。

深野政府参考人 志賀原発の周辺の断層帯でございます。

 これにつきまして、平成十九年に能登半島地震があったわけでございますが、その後の平成二十年三月に、ここの耐震バックチェックの中間評価ということで、電力の方で再評価をしたものを保安院の方に提出を受けまして、再評価をいたしました。そのときに、震源になりました笹波沖断層というところについて、この全長が、一遍に動く、連動するという想定で評価を変えておりまして、その結果、基準地震動も引き上げられております。

 また、今回の東日本大震災以降、活断層の連動性あるいは破砕帯の調査、そういったことに再度着手をしておりまして、現在、志賀の周辺の断層についても評価を続けているところでございます。

吉井委員 五年前に指摘したんですけれども、今ごろ、まだ、富来川南岸断層、S―1断層などについて改めて調査をすると。実際に原発の建物の敷地地下にもあるかもしれないというものが、この五年間、あれだけ言ったのに曖昧にされてきたということは大変重大な問題だと思うんです。

 実は、北陸電力というと、これも以前国会で取り上げましたが、二〇〇五年四月二日に、羽咋市で地すべりによる送電鉄塔の倒壊で、外部電源が失われた実績があるんです。これは、今回、福島で夜の森線の鉄塔が倒壊して外部電源喪失になったのと同じことなんです。同じ実績があるんです。地震でディーゼル発電機が破壊されるとか、あるいはディーゼル発電機に燃料や冷却水を送る小口径配管の破断事故を起こすと、実は内部電源も喪失ということになるんですよ。そうすると、この場合は、今回と同じ、別に津波のあるなしにかかわらず、全電源喪失という事態になるんです。

 ですから、今問題になっている志賀原発の原子炉直下に活断層があると、これが働いて大きな地震になりますと建屋そのものが引き裂かれるという重大な問題になるんですが、そうでない場合であっても、DGの破損その他で全電源喪失という可能性があるんですが、五年たってもなぜこんなに活断層調査が遅いのか。これは、改めて政府参考人の方にも伺っておきたいと思うんです。

深野政府参考人 全体として耐震バックチェックの作業がおくれておりますことにつきましては、大変遺憾に思っております。

 志賀につきましては、平成十九年の地震の後に耐震バックチェックの中間評価は行って、一旦そこで地震動の見直しを行ったわけでございますが、ただやはり、今回の地震を踏まえると、例えば震源域がより広範に連動する可能性とか、あるいは、これまで活動性がないというふうに考えていたものについて活動性を評価し直さなければいけない問題とか、いろいろと新しい知見も出てきておりますので、そういったことも踏まえて、改めて今見直し作業を各サイトにおいて行っているということでございます。

吉井委員 今、耐震バックチェックがおくれているということをおっしゃったわけですが、実は、原発破壊という巨大地震でなくても、一つには、地震動を受けて、例えば運転中ですと、地震のとき制御棒がぽんと入らなきゃいけないんですが、制御棒駆動水圧系配管が破損するという事故が何度も各地で起こっております。福島であったのを私は調査に行ったんですが、破断してしまうと圧力がかからないわけですね。そうしたら、そもそも制御棒が中へ入らないわけですよ。スクラムがかからないんです。逆に、定期点検中であれば、制御棒をとめているクラッチ、爪などが地震で壊れてしまったりすると、制御棒が落下してしまって、臨界事故を起こすわけですね。

 他の機能が働かないと原発暴走ということになりますが、現実に、一九九九年六月十八日に、志賀原発では、定期点検中に三本の制御棒がぽとんと落ちてしまって、点検中ですから本当は入っていなきゃだめなんですが、臨界事故を起こす、それを八年間ほど隠し続けるということをやったところなんですが、あのときは十五分間、臨界状態が続いたんですよ。

 これは三本だったからそれなんですが、もっと大規模に巨大地震でこういう事態を招くと、たとえ定期点検中でとめておったとしても、今回のような問題を起こしかねないという重大な問題があると思うんです。だから、ストレステストできちんとやらなきゃいけないんです。

 そこで、保安院長に、ストレステストで、今申し上げましたこの二つの問題について、どこでどのような実証実験をやって大丈夫だという判断をされたのか、伺っておきます。

深野政府参考人 ストレステストにおきましては、基本的には解析によりまして、例えば地震動に対する余裕がどのぐらいあるかとか、あるいはどのぐらいの津波に対する余裕があるかということを評価しております。

 ただ、機器によっては、特に動的機器中心でございますけれども、過去のいろいろな実証データを参考にしているものがございまして、また、そういうものが不十分な場合には、同じ業者において、実際の実証試験といいますか、そういうことを行っていただく場合もございます。

 ただ、基本的にはそういうシミュレーションによる評価ということでやらせていただいているところでございます。

吉井委員 もう一度確認しておきますけれども、制御棒駆動水圧系配管が、ピンホールがあいたり、ほとんど破れてしまっておったりとか、こういう事例は定期点検のときに見つかっておるわけですね。そういうふうなことが起こったらどうなるのかとか、それから、停止中に制御棒が、地震によってクラッチが壊れたりすると、すとんと落ちてしまうわけですから、それで大丈夫なのかということは、やはりきちんとした実証実験をやらないと、コンピューター解析というのは大体ぴかぴかの新品をもとにやりますから、ぴかぴかと三十年、四十年使ってきたものでは実態が違うわけですよ。

 そういうものについてのきちんとした実証実験をやらないと、大丈夫だという判断は本来できないと思うんですが、そういうストレステストというものはやってきていませんね、伺っておきます。

深野政府参考人 今、ちょっと、具体的にどの機器について実証実験が行われているかということについて、詳細なものを持っておりませんけれども、いろいろな動的な機器を中心にして、過去、さまざまな振動実験等が行われておりますので、そういった結果のデータを活用しているケース、それから、志賀については、まだストレステストの私どもの評価は終わっておりませんけれども、若干、電気系統の機器を中心に、新たに振動実験を行ったものがあるというふうに承知をしております。

吉井委員 評価はまだでも、ストレステストをやったといって出してきているわけですよね、相手の方は。

 志賀原発の場合には、地震じゃないんですよ。ただの地すべりが地震でない状況で起こって、送電鉄塔が倒壊して、外部電源喪失になったんですよ。これがもし巨大地震に遭遇しておったならば、それはきちんと機能するような構造になっているのかどうかということは、システム全体としてストレステストをやっておかないと、何か一カ所だけ限られたところをやってみたって余り意味のあるストレステストにはならないと思うんです。

 二〇〇八年四月四日の内閣委員会でしたが、活断層問題を取り上げました。このとき、保安院の佐藤均さんという審議官は、原電敦賀原発の敷地表面に耐震設計上考慮すべき活断層があるという答弁と、それから、関電美浜原発には、原発地下深くに活断層が想定されると答弁をされました。「もんじゅ」原発から二百メートル離れたところには活断層が走っています。

 こういうことを聞くと、当時、佐藤審議官は、アメリカの原発では活断層から五キロ、八キロ離れていると認めて、日本の関電高浜、大飯のように、原発周辺や原発直下に活断層がある国はありませんと、このことが答弁で明らかになりました。

 そもそも、伺っておきたいのは、岐阜県から滋賀県東部、そして福井県、特に敦賀半島などにかけて、日本で最も活断層の集中した地域の一つではありませんか。

深野政府参考人 御指摘のとおり、福井県の若狭周辺も活断層は幾つもございまして、そういったものについて、今回の東日本大震災の知見も踏まえて、連動性とかあるいは極めて近傍にあるものが破砕帯にどんな影響をするかとか、そういったことについて、今、再度評価を行っているところでございます。

吉井委員 この福井の原発と活断層問題については、もともと指摘してきたんですけれども、今までは大丈夫だと、十分な活断層調査を大丈夫だといってやってこなかった責任は非常に重いと思うんですが、今度、大飯原発のF―6破砕帯の調査というのは、いつまでにやり上げて、いつ報告を出すという予定でいらっしゃるのかを伺っておきます。

深野政府参考人 F―6破砕帯につきましては、今申し上げましたように、全国のいろいろなサイトの近傍あるいは中に存在する破砕帯の再評価ということでやっている中で出てきたものでございます。これ自体につきましては、最初に設置許可の審査をしたときにも、そういう破砕帯があるということについては認識をしておったものでございまして、その後のバックチェック作業のときにもそれについて評価をしたものでございます。

 ただ、今回いろいろな問題提起がございまして、また、私どもの意見聴取会でも、これは活動性があるという指摘はございませんでしたけれども、活動性を完全に否定するには追加的な調査といいますかそういうことが必要だということで、調査計画の策定を指示いたしまして、次の意見聴取会が今月末ごろに予定されておりますけれども、まず、そこにきちんと計画を出していただいて、それを専門家にも見ていただいて評価をしたい、そのように考えております。

吉井委員 大飯原発の場合は、原発建屋の下のところを活断層が走っているわけですね。破砕帯が走っているというのはわかっているんですけれども、それがどういう規模のものかとか、そうしたことをきちんと調べないことにはだめだし、今、今月末に検討会で検討されるということなんですが、枝野大臣によくお考えいただいておきたいのは、再稼働問題というのを考えるときには、私は順番が逆だと思うんですね。まず、活断層調査をしてから検討する。活断層調査もしないで再稼働に走るというのは、これはまず論外だということを申し上げておきたいと思うんです。

 時間の関係で次のテーマに移りますが、今度は電気料金値上げ問題です。

 東京電力の電気料金値上げ認可申請に関する対応を見ていますと、経産省の電気料金審査専門委員会は、七月五日に、査定方針案を取りまとめて大臣に提出しました。総原価から五百億円程度を圧縮し、値上げ率を九%台前半にすべきだというものでしたが、一方、消費者庁の認可申請に関するチェックポイント検討チームの方は、七月十七日に、この専門委員会の査定方針案に対する評価を取りまとめました。

 この中では、福島第一原発五、六号機と福島第二原発一号機から四号機の減価償却費については、原価に算入すべきではない。それから、安定化維持費用、賠償対応費用についても、原価に算入すべきではない。日本原電などは、現在、原発はとまっていますから、そもそも東京電力はここから電気を買いようがないわけですね。停止中で電気を買うわけでもない原発からの購入電力料は、これについても原価に算入するべきではないと指摘をされました。

 私は、古城座長のまとめで言っていることは、非常に当然の話じゃないか、真っ当な話じゃないかと思うんですが、枝野大臣はこれについてどのように考えられたのか、伺っておきます。

枝野国務大臣 いずれも、消費者、ユーザーの立場からすればもっともなお話だと私も思います。

 ただ、一つは、東北電力や日本原子力発電からの購入電力料については、これが単に買っているということであるならば買わないということでありますけれども、これの対象になっている原発はいずれも、東北電力と東電、あるいは日本原子力発電と東電との共同開発である、したがって、人件費、修繕費、減価償却費等については自社電源同様に負担する義務がある、こういう位置づけで、勝手につくったものを勝手に買っているんじゃなくて、初めからきちっとそのコストを共有しますという約束でつくっているということでありますので、この約束は前提とせざるを得ない。

 ただし、特に日本原子力発電においては、これは東電のいわゆる関連会社でもありますので、ここについて、特に人件費や修繕費等コスト削減努力が可能な部分については、東京電力に準じて原価を減額させて、そして購入電力料を引き下げるということの対応をいたさせました。

 それから、賠償、廃炉に関するランニングコストの部分です。大きな投資を要する部分についての本体は、これは別枠で国が支援して行って長期にわたって返していただく、こういう構造でありますが、それ以外のランニングコストは、会計の原則からすれば、今回のような大きな事故でない場合とかなども含めて考えると、会計上のルールとすれば、いわゆるランニングコストは原価に含まれることが相当という考え方が会計の専門家の皆さんの御判断でございました。

 そして、私も東京電力のユーザーでありますから、電気料金に転嫁するのかということについての思いは非常に共有するところでございますが、いずれにしても、これは電気料金でユーザーの皆さんにお願いをするのか、それが短期であるのか長期であるのか、それともう一つは、そうでないとすれば、税金で全部を国民の皆さんに御負担いただくのか、こういう違いでございます。そうしますと、会計の原則とそれから今回の事故の経緯とを考えると、この部分を全国民の負担にするとか、あるいは国民の負担で長期にわたって国がお金をお貸しするという枠の中で超長期にわたって返還をいただくということではなくて、会計の原則に基づいて原価に算定せざるを得ないという判断をいたしました。

 それから、減価償却費についてでございます。これも、会計の原則からすれば、廃炉を正式決定していない以上は原価に含まれるというのは会計の基本的な原則であるということと、それから、これは率直に申し上げますが、賠償と廃炉を迅速、適切に進めていくということを考えたときには、それで会計の原則をゆがめてはいけませんが、会計の原則にのっとって対応するということが、電力の安定供給を含めて、賠償、廃炉をしっかりと行っていく上でやむを得ないということで、やむなく判断をしたものでございます。

吉井委員 日本原子力発電株式会社、原電は、これは東京電力でもなければ東北電力でもない、全く発電専門の会社ですね。いわば発送電分離をもう先にやっている会社なんですよ。そこが電気を起こしてもいないのに、そこに対して、だから電気を買ってもいないのに買います、その分を家庭の皆さん、御負担くださいと。

 これは誰が考えてみても筋が通らないわけで、原発株式会社でやっていって、今までは国からの応援を受けて成り立ったかもしれないけれども、しかし、そうはいかないとなれば、それは、その破綻処理を考えるのか何を考えるのかは別にして、本来、日本原電についてはそういう考え方をきちんとやって、他社から電気を買うわけでもないのに、なぜ電力購入費七千九百四十三億円を払うのかというのは、これはやはり、公聴会や国民の声を見ておっても、多くの方が問題、疑問を寄せているところですね。

 本来、値上げ前に公聴会を開くとして、確かに形の上では開いているわけですが、これはただのガス抜きをやらせるだけのものになっちゃいけないと思うんですね。私は、こういう電気を買ってもいないのに電気料金を負担しなさい、このやり方についての国民の声、公聴会その他で寄せられた声に、やはり素直にといいますか、率直に聞くという立場が大臣に求められると思うんですが、これは一言でいいですから、伺っておきます。

枝野国務大臣 御指摘を受けて今思いましたのは、日本原電とそれから東京電力との契約の内容がコストを分担し合うという長期契約になっているという、この契約内容も専門家に確認をしていただきました。そもそも、その契約自体が妥当であるのか、適切であるのか、そういう問題は、私自身もそういった問題意識を持っておりませんでした。

 今後、発送電分離をしていくという観点からすれば、少なくとも今後も許されるものではないだろう。電力会社として、どこか別の電力会社、特に東北電力、別の電力会社との関係は共同設置というのはあり得るのかもしれませんが、発電専門会社と事実上共同開発をしてコストを分担するという話は、実は本来の役割分担からしておかしいという問題意識は、今の指摘を受けてそう思います。

 だとすると、契約自体を一方的に取り消すことによって払わないということで、そのときどうなるか。恐らく破綻をするんだと思います、原電の方が。

 破綻処理するというのは一つの選択肢だと思いますが、ちょっとこの株主構成を全部把握しているわけじゃありませんし、原電の方の利害関係者、もちろん、原電そのものとか東電がみずから株主であるということはどうでもいいと思うんですが、それは関連企業もたくさんございますから、では、それを契約違反、しかも契約違反そのものが、今後やっちゃいかぬということを行政指導でやらせないということはありますが、少なくとも契約時点において許されていた契約を事後に一方的に破棄することで、関係者の皆さんにどこまで影響を波及させていいのかということを考えると、単純に破綻させちゃえばいいじゃないかという話では私はないんではないかなと思いますが、せっかくの御指摘でございますので、破綻をさせても第三者に影響を及ぼさないのであるのかどうか、ちょっと確認してみたいと思います。

吉井委員 私、直ちに破綻させろと決めつけて物を言っているんじゃないですからね。要するに、電気を生み出してもいないところから電気を買った形をとって、その料金を家庭に押しつける、値上げに押しつけるというのは、これは国民的には理解の得られることじゃない。

 最後に、やはり物すごく甘えの構造があると思うんですよ。この甘えの構造というのは、一つは燃料費調整制度と総括原価方式ですね。原発がだめなら火力だ、その燃料費がアメリカに比べても相当高いLNGを買っている、LNGが大半ですが。

 そういうことがなぜ成り立つのかといったら、これは燃料費調整制度で、一九七四年三月二十五日の通産省公報を持ってきましたが、燃料費調整制度というのは、総括原価の中で、実は、購入価格と消費量の両面における燃料費の抑制に対する企業努力の誘因がなくなり、経営が安易に流れるおそれがある、だから、燃料費調整制度という、これが一つ、幾ら高くなっても料金転嫁すればいいということで甘い形になっているというのは問題だということを指摘しているんですね。

 それから、火力なんかの燃料費を高くしておくと、今まで、事故前ですと、原発コストが相対的に安いぞという話に使うことができたわけですね。原発に幾ら金がかかろうと、燃料費が幾ら高くなろうと、全部総括原価方式で電気料金で賄える、今度の場合も、火力の売り手に東電の子会社が入っているわけですし、買い手の方が東電でその燃料を買うわけですが、売り手と買い手を兼ねて利益を生み出す、こういう構造になっているのも、やはりこういう燃料費調整制度と総括原価があるからなんですよ。

 私は、この甘えの構造を是正しないことには家庭用電気料金の抑制というのはなかなかできないと思うんですが、もう時間が参りましたので、最後に一言伺っておきます。

枝野国務大臣 済みません、先ほどの点、ちょっと誤解を招くと危ないので、もう一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 発電していないから買わないというところを徹底すると、日本原電には収入がなくなる。収入がなくなれば、これは必然的に破綻に追い込まれるでしょう。破綻に追い込まれた場合、これは廃炉の費用とかそういったことが誰の負担になるのか。結局、税金の負担になっていくということにならざるを得ない、破綻をしたからほっておいていいというものではありませんので。したがって、これも簡単に潰すわけにはいかない。しっかりと時間をかけて、廃炉すべきものは廃炉していくということをやらなきゃならない。こういったことを総合的に判断しなければならないということは御理解いただきたいというふうに思います。

 それから、今の御指摘ですが、私は御指摘の問題意識は全く同感でございます。中期的には、これはもう小売も含めて自由化をして、そして、そこに規制なき独占ではなくて実質的な競争が働く、それで消費者、ユーザーが選べるということで、料金の規制というのは送電部門を除いてなくなるということ、そうすれば、当然のことながら燃料費調整制度もなくなるということで、各電力、発電会社、小売会社が、まさにできるだけ安く売らないとお客さんがついてくれないという競争の中で努力をしていただく、これを一刻も早くつくりたいというふうに思っています。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

中山委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、東京電力の経営陣の経営責任について質問をしたいと思います。

 先日、経済産業大臣と消費者大臣の間で東電の電力料金の値上げ、合意がなされて、きょう正式に値上げの決定がなされるときょうの朝刊で読みました。東電のコスト削減努力については、これまでも何人かの委員から質問がありました。コスト削減の努力がまだ足りないんじゃないか、あるいは、今の日本原電の話ではありませんけれども、本来、総括原価の中に入れるべきではないものが入っているんじゃないか、そういう指摘もあります。私も全くそのとおりだと思います。

 ただ、同時に、もっと大きな問題があるのではないか。国民負担、東電の使用料を払う利用者、消費者の負担の前に、その前にきちんと責任を明確化しておく必要があるのではないかと思います。経営者の責任あるいは東電にお金を貸していた貸し手の責任、株主の責任、こういった責任を問わずして、賠償費用も含めて、利用者、国民に電気料金で支払わせよう、こういうところは問題があるんじゃないかと思います。

 まずは、そういう経営責任を明確化することが第一だと思うんですけれども、この福島第一原発事故の後を受けて、東京電力の経営陣はどのように責任をとられたんでしょうか。あるいは、おやめになった方がいますけれども、退職金の返納などをきちんと行ってきたんでしょうか。お尋ねします。

糟谷政府参考人 東京電力の経営責任明確化のための措置ということでございます。

 昨年の六月に、当時の社長それから原子力担当の副社長が退任をいたしております。さらに、役員の報酬につきましては、去年の五月の支給分以降、代表取締役は全額、常務取締役は総報酬の六割を減額しております。

 さらに、ことしの株主総会におきまして、十六名の取締役のうち十三名が退任をいたしております。そもそも東京電力は退職慰労金制度を平成十七年に廃止しておりますが、それ以前から取締役であった者で役員退職慰労金の支給の対象となり得る者が三名ありました。この三名につきましても、その受け取りを辞退いたしております。

山内委員 やめた皆さんはどうなさっているんでしょうか。関連会社、子会社に普通に天下ってそのまま電力関係の仕事をなさっている、そういうケースが多いんじゃないかと思いますが、そこはどうなんでしょうか。

糟谷政府参考人 やめられた後、関係会社に職を得た方もおられます。

山内委員 一人一人挙げなくてもいいんですけれども、その代表的な人物として東電の勝俣元会長は、今まさに吉井委員がおっしゃっていた日本原電の取締役におさまっていらっしゃいます。この取締役というのは、給料は出るものなんでしょうか、幾らぐらい出るものなんでしょうか。

 それから、そもそも、問題を起こしてやめた元会長が関連会社にそのまますぽんと天下りをする、これが本当に許されるんでしょうか。

糟谷政府参考人 東京電力の勝俣前会長でございますが、日本原電の非常勤の取締役には去年の七月から就任をしています。去年の七月からことしの六月までの期間は、取締役としての報酬は本人が辞退をしていたということでございます。

 ことしの六月二十九日の株主総会で、日本原電の取締役、やはり非常勤でありますが、これに再任をされまして、同日の社内手続を経て、ことしの七月以降、今月以降でありますが、月十万円の報酬が支払われることとなったと聞いております。

 どういう人を役員として受け入れるか、それをどういうふうに処遇するかということは、それぞれの民間企業の判断でありまして、個別の案件についての当否をちょっと政府としてコメントすることが難しゅうございます。

山内委員 ぜひ大臣の御感想をお聞かせ願いたいと思います。

 確かに、報酬は受け取っていないとか、あるいは月十万ということで金額が少ないかもしれません。ただ、東電の勝俣元会長の場合は、いろいろな意味で責任のある、問題を起こした当事者であり責任者であった人が、今まさに吉井委員がずっと指摘されていた問題のある日本原電にそのまま取締役に入ってしまう、こういうことが許されるんでしょうか。非常に実績を上げてすばらしい経営者だという人が天下るのは、私はある程度理解できますけれども、問題を起こした直後のその勝俣元会長がそのまま、非常勤とはいえ取締役におさまっている、そして経営に参画する。失敗した人がまた経営に参画して本当にいいんでしょうか。

枝野国務大臣 まさに大臣の実質的な行政指導というのが、どこまでやるべきであり、あるいはどこまで許されるのか、正直言って、率直に言って、迷いながら対応してきているところでございます。

 今回、間もなく国が圧倒的株主、三分の二を占める株主になり、そのことを見込んで、今回、取締役の過半数は外部から、政府が関与する形で選ばせていただきました。今後の東京電力が、こういったいわゆる天下りなどと称される部分などを含めた関連会社との関係については、これは株主として、政府としてお願いをした取締役の皆さんを通じて、国民の皆さんの目線というものも十分に踏まえた対応をしていただける、そういう取締役の皆さんをお願いしております。

 直接的に事故を起こした東京電力そのものであったりとかということについては、特に賠償などを含めて、さまざま、事実上のことを含めて行政指導してまいりました。そうではない、形式的には別の、なおかつ民間企業について、その人事等をどこまでどう言っていいのかというのは、正直なかなか悩ましいところでございます。

 ただ、私は、できることとしては、東京電力といわゆる再就職者がいる当該企業との関係については、他の企業とは異なる厳しいチェックをさせていただく。これは間違いなく、経済産業大臣としての広い意味での行政指導の範囲内として許されることだというふうに思っております。

 現に、勝俣前会長が再就職をした日本原電については、もちろん今回の料金の査定において、一般的な関連会社との関係について厳しく査定をしましたが、特に、先ほど吉井先生からの御指摘もあった、実態、共同開発した発電所からの購入電力料の件などとも関連をして、他の関連会社以上に厳しく査定をさせていただいています。

 つまり、東京電力からいわゆる再就職を受けるということは、東京電力との関連においてより厳しい目で見られるんだということの前例を今積み重ねさせていただいていることであります。

 にもかかわらず、どうしてもその民間企業がとりたいということについて、それ以上介入するのは、やはり私は、大臣の権限の濫用ではないか、もともと、学生時代は行政法を勉強して、行政指導というのはできるだけやらない方がいいという基本的な立場でありますので、そんなふうに考えています。

山内委員 行政指導はなるべくやらない方がいいと私もその点は思いますが、分野が分野、それから問題が問題なだけに、別途考え方を改めてもいいのかなとは思います。

 次に、東京電力の会社更生法による破綻処理についてということで、もうこれまでも多くの議員から質問、意見表明などがあったと思いますが、私は、東京電力は破綻処理をきちんとやるべきであるというふうに考えます。

 国民、利用者にまず電力料金の値上げで負担を求めるよりも先に、株主の責任は当然追及すべきだと思います。減資一〇〇%。それから、貸し手の責任もやはりきちんと問わなくてはいけないと思います。これまで商売でもうかっていた人たちが負担をせずに、いきなり国民負担、いきなり利用者負担というのはもうあり得ないと思います。

 そういった意味では、破綻処理、JALも破綻処理をいたしました。今、JALの場合は、その後頑張って逆にANAにとって脅威になって、公的資金を入れた企業がちょっと競争条件不平等になっているんじゃないか、そういう指摘もありますけれども、JALの社員は頑張ったんだと思うんですね、破綻処理をされた後。きっと中で一生懸命頑張って今のV字回復につながったと思いますから、ここはしっかり、東京電力ももう一回再生していただくためにも、破綻処理をちゃんとやらなきゃいけないんじゃないかと思います。

 しかも、福島の原発事故に関しては、関連の福島の中小企業とか、風評被害で潰れちゃった中小企業はたくさんあると思います。そういう、被害者の方が破産しているのに、加害者の東京電力は国の支援のもとで生き残っている、それでは納得も得られないと思うんですけれども、なぜ破綻処理ができないのか、改めて大臣にお尋ねします。

枝野国務大臣 私も、破綻処理で対応できるなら破綻処理すべきであると一貫して思っています。

 ただ、例えばJALなどと違うのは、もちろん、社会的責任として金融機関などに債権放棄を求める、実際、会社更生手続では債権放棄をしています。ただ、御承知のとおり、電力会社、東京電力の場合、電力債が多額に発行されています。これは法律に基づき一般担保つき債券であって、まさに担保がついているんですね。ですから、この電力債が担保がついているということについて、担保のついていない被害者の皆さんの損害賠償債権や、事故の収束、廃炉に当たる関連企業の取引債権に優先させざるを得ない、これは法律上の問題ですので、させざるを得ないということがあります。

 それから、金融機関が会社更生手続などに当たって債権放棄に応じていただけるのは、回収する見通し、つまり、どうせ全額回収できない、一方で、会社更生手続にのっとって債権放棄をすれば、当該企業が再建をされて、その再建された企業が取引先として当該金融機関にとって非常に利益をもたらす、こういうことがあるから、債権放棄に会社更生手続で応じていただけます。

 そういったことがなく金融機関が債権放棄をすれば、それは本当に、一種の行政指導権の濫用的なやり方をすれば、金融機関は債権放棄をしろと迫ることはできるかもしれませんが、金融機関も一般の株主の皆さんを抱えています、株主代表訴訟にさらされます。それから、金融機関の監査法人、これも、まさに会計のルールにのっとって適切な会計処理をしなければ、そもそも金融機関の監査について判こを押してくれません。したがって、経済的合理性の範囲を超えた債権放棄を金融機関にさせるということは、監査法人が判こを押さない、取締役の皆さんも、株主代表訴訟がありますから、それに応じることはできないということになってしまいます。

 したがって、会社更生手続には金融機関は乗っていただけないと思います。つまり、清算をするしかないということになるというのが、今の東京電力の債権の構造と、それからその債権者の、そのステークホルダーとの関係を考えると、これは当然予期できることでございます。

 なおかつ、JALとかりそなとかは、債権を切ったことによって、もちろん各企業の皆さんも努力をしましたが、V字回復をいたしました。ただ、東京電力については、これは債権を切れません。少なくとも、賠償債権と廃炉に関する債権というものは、これは債権放棄できません。債務の圧倒的部分はこれらのものがありますから、会社更生手続をすることで身軽になってV字回復をするということ自体がそもそも期待できません。したがって、多分、更生手続に協力していただけるステークホルダーはないと思います。

 したがって、やはり破綻処理するなら清算しかなくなる。当然のことながら、清算ということでは賠償もできなくなります。全部税金でやるということになります。あるいは電力の安定供給もできなくなります。やむを得ないので、破綻処理ではないやり方でやっているというのが率直なところでございまして、これはぜひ専門家の皆さん、実務家の皆さんに御意見を聞いていただいて、私の申し上げていること以外のやり方で本当に会社更生などができるのであれば、そのやり方を教えていただければ、今からでもそういったやり方をとらせていただきます。

山内委員 非常に丁寧に長くお答えいただきましたので、一つ一つコメントはいたしませんが、時間がないので次の質問に行きたいと思います。

 一個飛ばして、四番目の原子炉等規制法の改正について。

 先週の東京新聞の記事なんですけれども、北陸電力の志賀原発の真下に活断層があるんじゃないかという指摘があったという報道がありました。仮に原発が活断層の上にあることが後になって確認されて、立地が不適格とされても、今の原子炉等規制法では運転停止命令を出すことができないとその新聞記事には書いてありました。

 本当にそうなんでしょうか。まずいということが後でわかったからといって停止命令が出せない。このままじゃまずいと思うんですけれども、再改正の必要はないんでしょうか。お尋ねします。

山本政府参考人 まず、現行法の体系についてお答えさせていただきます。

 現行の原子炉等規制法におきましては、設置許可を受けました原子炉が事後的に設置許可の基準に適合しないことが判明したといたしましても、当該原子炉に対して使用の停止あるいは許可の取り消しなどの措置を講ずることができるとする、こういうような規定は存在をしておりません。これは事実でございます。

 ただし、先ほどの志賀原発につきましては、七月十七日の意見聴取会におきまして、専門家の方々から、破砕帯は活動性がある断層ではないかという意見がたくさんございましたので、追加調査が必要であるということを判断いたしまして、保安院から北陸電力に対しまして、直ちに追加調査をするための計画を策定して報告するよう指示をしたところでございます。

 以上でございます。

山内委員 再調査をして、やはり活断層があったということになると、どうなるんですか。とめられるんですか。

枝野国務大臣 これは、今度はこの間国会で成立をしていただいた原子力規制委員会設置法ですので、今の保安院が答えるのはなかなか立場上難しいので、私からお答えさせていただきますが、これで原子炉等規制法の改正を決めていただいております。これでいわゆるバックフィット制度が導入され、これによって、新しい基準には適合しないと原子力規制委員会が認めるときは、原子炉の使用の停止や設備の改造、場合によっては許可の取り消しなど必要な措置を命ずることができるようになるというものでございます。

 もちろん、できるだけ、この調査、保安院の間にもできることを最大限やっておきたいと思いますが、この段階ですから、恐らく規制委員会の設置後にいろいろな技術的な結論が出ると思いますし、そのときにはこの法律が施行されているというふうに思いますので、この法律に基づいて、規制委員会において適切に対応していただけると思っております。

山内委員 わかりました。

 では、次の質問に移ります。

 消費者庁が、電力料金の値上げに関してチェックポイントというのを出されています。その項目はもう既にいろいろ報道され、これまでの質疑でも出ていますけれども、人件費の問題とか、あるいは法定厚生費あるいは社員食堂のカフェテリアの何ちゃらとか、いろいろ、たくさんの項目にわたっております。それに対して、経産省から七月十九日付で、消費者庁の意見に対する反論というか回答が出ております。いろいろ、消費者庁、経産省それぞれの主張を見ると、消費者庁も結構ちゃんとしたことを言っているなと思うところもあります。

 一応、間をとって多少値上げ幅が小さくなったのかもしれませんが、まだまだ削減の余地があるように思えてなりません。特に東京電力みたいな会社は、これまでかなり割高な調達をやってきたということが言われておりますし、随意契約を減らしてもっと安くしろと、政府機関でもずっと言われてきたことですけれども、それがまだまだ官公庁以上にやられていなかったのが東京電力ではないかと思います。

 今後、今回は決着をしたようですけれども、次の改定のときにはもっとコスト削減できると思うんですが、そのために経産省はどのようなフォローをなさるおつもりでしょうか。

枝野国務大臣 具体的に、この項目、この項目ということについて御指摘いただいたことについては、先ほど来申し上げている、安定供給や賠償に影響を与えない、それが守られる前提の中で最大限取り入れさせていただきましたが、その調達のあり方などを初めとして定性的に問題点が指摘をされていることについては、今後まさに東京電力においてさらなる努力をしていただきたいというふうに思いますし、そうした原価がちゃんと、きちっとした査定ができるような構造をつくっていかなければならないと思っています。

 まずは、何度も申し上げておりますが、ここは、東京電力が新しい経営陣になって、外部から過半数の役員が入っておりますので、こうした皆さんは、まさに徹底したコスト意識を持って、実際の企業経営にも当たってこられた皆さんですので、こうした皆さんの活躍によって相当の努力をしていただけると思っています。

 今後の査定に当たってですけれども、本来からいえば、次の規制料金の値上げを要するようなタイミングまでに電力の自由化を行って、実質的な競争環境を整えるということが望ましいと思っていますが、三年間で制度改革は決めていくことができますが、実行して実質的な競争が働くというのには、やはり三年間では、実際に新規参入が必要ですので、難しいと思います。

 したがって、この際に、単なる自由化ではなくて、実質的な参入が生じるような自由化のプロセスと手続を決めていかなきゃならない。そのときに、自由化はされるけれども、既存の電力会社においてどういう規制をかけるのかということをもう一度見直さなければならないと思いますので、その際に総括原価を、送電は総括原価にせざるを得ないと思うんですが、発電部分のところをどういうやり方で原価計算するか、一から議論をしなければならないというふうに思っておりまして、そうした折に、さらに厳しく査定をさせるにはどうするかを取り込んでいきたいと思っています。

山内委員 ぜひ、次の料金改定のときには値下げの議論をしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

     ――――◇―――――

中山委員長 次に、内閣提出、災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。枝野経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

枝野国務大臣 災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 今般の東日本大震災では、製油所、油槽所等の石油施設及び道路、鉄道、港湾やタンクローリー等の物流施設が広範囲にわたって被災し、供給体制の構築に時間を要したため、被災地等への迅速な石油供給に支障が生じました。また、震災後、我が国の資源、エネルギーに係る動向が激変する中、その安定的な供給を確保することの重要性が一層増大しております。

 こうした状況を踏まえ、石油を初めとしたエネルギーの安定供給を図るため、災害時の石油供給の体制を強化するとともに、資源獲得に向けた体制を整備するための措置を講ずることが必要であります。

 このため、石油の備蓄の確保等に関する法律、石油需給適正化法及び独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法を改正する本法律案を提出いたしました。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、海外からの石油の供給不足時だけでなく、災害による国内の特定の地域への石油の供給不足時にも備蓄石油を放出できるよう、発動要件を見直します。

 第二に、災害時に直ちに被災者等への石油の供給が行われるよう、石油会社に対して、共同で、地域ごとに、災害時の石油の供給に関する計画をあらかじめ作成させ、災害時には経済産業大臣の判断により、その実施を勧告できることとします。

 第三に、石油製品の国家備蓄を拡充していくことにあわせ、国家備蓄石油のうち石油製品については、その管理を石油会社に委託できることとします。

 第四に、一定の要件に該当するガソリンスタンドを災害時における給油の拠点とするため、石油販売業者に対して、そのガソリンスタンドの給油に係る設備の状況についての届け出義務を追加します。

 第五に、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の石炭資源開発業務、地熱資源開発業務等を独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構に移管し、出資業務等の支援機能を整備します。

 第六に、財政投融資特別会計の投資勘定の資金を、天然ガス等の資源開発への出資等の業務に対して活用することができるよう、経理の区分を見直します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十七日金曜日午前八時三十分理事会、午前八時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十六分散会


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