衆議院

メインへスキップ



第17号 平成29年5月31日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十九年五月三十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 うえの賢一郎君 理事 大見  正君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 白須賀貴樹君

   理事 吉川 貴盛君 理事 北神 圭朗君

   理事 近藤 洋介君 理事 高木美智代君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      島田 佳和君    高木 宏壽君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宮川 典子君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    大畠 章宏君

      小宮山泰子君    篠原  孝君

      鈴木 義弘君    田嶋  要君

      中根 康浩君    福島 伸享君

      升田世喜男君    中野 洋昌君

      畠山 和也君    真島 省三君

      木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   国土交通副大臣      末松 信介君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   経済産業大臣政務官    大串 正樹君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 和夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三角 育生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         古澤 ゆり君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 生川 浩史君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 四方 敬之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     住田 孝之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 茂明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中石 斉孝君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          柳瀬 唯夫君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       渡辺 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     飯田 陽一君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務情報政策統括調整官)            吉本  豊君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     海堀 安喜君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           早川  治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 青木 由行君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           齋藤 雅一君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     宮川 典子君

  落合 貴之君     升田世喜男君

  中根 康浩君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     穴見 陽一君

  小宮山泰子君     中根 康浩君

  升田世喜男君     落合 貴之君

    ―――――――――――――

五月三十日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

同日

 国と東京電力が責任を果たすことに関する請願(畠山和也君紹介)(第一四四五号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(畠山和也君紹介)(第一四四六号)

 信用保証制度の部分保証拡大とセーフティーネット保証縮小の中止に関する請願(畠山和也君紹介)(第一四四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田和夫君、内閣官房内閣審議官三角育生君、内閣官房内閣人事局内閣審議官古澤ゆりさん、内閣府大臣官房審議官生川浩史君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子さん、外務省大臣官房審議官水嶋光一君、外務省大臣官房参事官四方敬之君、農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君、経済産業省大臣官房長高橋泰三君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官住田孝之君、経済産業省大臣官房審議官田中茂明君、経済産業省大臣官房審議官中石斉孝君、経済産業省経済産業政策局長柳瀬唯夫君、経済産業省通商政策局通商機構部長渡辺哲也君、経済産業省貿易経済協力局長寺澤達也君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長飯田陽一君、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀君、経済産業省商務情報政策局長安藤久佳君、経済産業省商務情報政策局商務情報政策統括調整官吉本豊君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、資源エネルギー庁資源・燃料部長山下隆一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君、中小企業庁経営支援部長高島竜祐君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官海堀安喜君、国土交通省大臣官房審議官石田優君、国土交通省大臣官房審議官早川治君、国土交通省大臣官房技術審議官五道仁実君、国土交通省道路局次長青木由行君、原子力規制庁原子力規制部長山田知穂君及び防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官齋藤雅一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山佐市君。

神山(佐)委員 おはようございます。自由民主党の神山佐市でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まずは、北朝鮮制裁に関してお尋ねをいたします。

 ことしに入って北朝鮮の挑発行動はほぼ常態化しておるわけであります。五月に入ってからも、三回の弾道ミサイル発射実験が行われたわけであります。一昨日も我が国のEEZ内に落下したと見られるなど、全く改善の兆しも見えないような状況であるわけであります。

 これは、我が国のみならず、北東アジアの安定にとってゆゆしい事態であるわけであります。この問題を速やかに解決することが必要であるというふうに思いますけれども、我が国のみならず、米国、韓国などの同盟国や、中国、ロシアといった、関係の深い国々との間で北朝鮮への制裁圧力を強めていく必要があると考えているわけであります。

 我が国と北朝鮮との間の取引は、我が国独自の制裁である輸出入の全面禁止措置により今なくなっているというふうに認識をしているわけでありますけれども、第三国を迂回して北朝鮮への納品がされている、制裁措置を違法に逃れている事例もあるとお聞きしているわけであります。

 そこで経済産業省にお伺いいたしますけれども、北朝鮮制裁措置違反により、これまで三十件の行政処分が行われたというふうに認識をしているわけでありますけれども、具体的にはどのような国を経由した迂回輸出入が行われているのか、経済産業省の方からお願いいたします。

寺澤政府参考人 お答えします。

 対北朝鮮制裁措置の一環として、外為法に基づき、平成十八年から対北朝鮮の輸入を全面的に禁止し、平成二十一年から、輸出を全面的に禁止するという措置を講じています。

 なお、この禁止措置は、第三国を経由したいわゆる迂回取引も規制等の対象としているわけでございます。

 北朝鮮に関連しましては、平成十八年以降、委員御指摘のとおり、三十件の行政処分を行っているところでございます。その内訳でございますが、輸出関係が二十三件、輸入関係が七件となっています。

 輸出の違反について見ますと、一件を除くと、全てが第三国を経由した迂回輸出となっています。迂回地でございますけれども、大半は中国ではございますが、韓国経由のものが一件、それから、韓国と中国、香港と中国、シンガポールと中国のような、二カ所を経由地として迂回輸出された事案も確認されているところでございます。

 また、輸入違反については、同様に、一件を除いて、全て第三国である中国を経由して迂回輸入が行われているという状況でございます。

 こうした事案に対応するため、経産省としましては、税関や警察等関係省庁と緊密な連携を保ちながら、厳格な法執行に鋭意努めているところでございます。

神山(佐)委員 ただいまの説明は独自制裁の違反についてでありますけれども、国連安保理決議の実施についても同じようなことが言えるのではないかというふうに思います。この辺についてはお答えができればですけれども。

寺澤政府参考人 お答えします。

 我が国の場合は、独自の制裁措置として輸出入を全面的に禁止しているものですから、国連の安保理の制裁決議に比べて、もう全て輸出入を禁止しているということでございますので、我が国の制裁措置は、国連による安保理決議に基づく制裁を包含しているというものだと理解しております。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 北朝鮮の対外取引の九割は中国であるというふうに認識しているわけであります。また、ことし二月に北朝鮮からの石炭の輸入を全面禁止するなど、中国は安保理決議を履行していると言っていますけれども、実際にどの程度厳格に実行しているのか甚だ疑問であるというふうに考えるわけであります。どのように中国に対北朝鮮措置を厳格に履行させ、北朝鮮への圧力をつくっていくのかが大きな課題であると思います。

 そこで外務省にお伺いいたしますけれども、中国の安保理決議の履行状況についてどのように評価しているのか、また、その履行を確実にするため、中国に対しどのように働きかけているのか、答弁をお願いいたします。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮問題の対処に当たりましては、安保理常任理事国かつ六者会合議長国であり、北朝鮮との貿易額の約九割を占める中国の役割は、極めて重要であると考えております。

 我が国としましては、関係国と連携しながらさまざまなレベルで、中国に対し、責任ある建設的な役割を求めてきております。

 具体的には、北朝鮮に圧力をかけていく上でさらなる役割を果たすことを促すとともに、北朝鮮に対して影響力を行使し、挑発行動の自制や関連安保理決議等の遵守を強く求めるように働きかけております。

 直近では、昨日、岸田外務大臣とヨウケツチ中国国務委員との会談で岸田大臣から、今は北朝鮮への圧力を強化することが重要である、中国の役割は極めて重要であり、責任ある建設的な役割を果たしてほしい旨、強く働きかけたところでございます。

 また、先般のG7タオルミーナ・サミットの際には、安倍総理から中国の役割の重要性を指摘しまして、北朝鮮に圧力をかける上でさらなる役割を果たすよう促したい旨、指摘したところでございます。

 二十六日の日米首脳会談、二十九日の日米外相電話会談の際にも、同様の、中国がさらなる役割を果たしていくよう引き続き働きかけていくことを確認したところでございます。

 中国の安保理決議の履行状況の関係でございますが、委員御指摘のとおり、本年二月に中国は、本年末までの間、北朝鮮産石炭の輸入を暫定的に停止するということを発表しております。それ以降、北朝鮮から石炭を輸入していない旨表明しておりますけれども、政府としましては、こうした中国の取り組みを注視するとともに、引き続き中国に対して、責任ある建設的な役割を求めていきたいと考えております。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 さらに、北朝鮮とは、中国だけではなく、シンガポールやミャンマー等、東南アジアの輸出入管理が比較的脆弱な第三国を経由する形をとるなど、さらに巧妙化している現状があるわけであります。行政処分を受けた事案についても、中国経由に加え、シンガポール経由が入ってきているわけであります。

 また、北朝鮮と国交がある国は世界の約八〇%、百六十四カ国となっているわけで、多くが国交があるわけであります。我が国だけがしっかりとした輸出入管理をすればよいというものではない状況があるわけであります。こうした国々を通じた取引も含めて、厳格な取引ができるようにすることが重要であると考えるわけであります。

 そこで経済産業省にお尋ねしますけれども、シンガポールなどの第三国を経由した迂回輸出入を防ぐため、第三国にどのような働きかけをしていくのか、また、しているのか。お聞かせください。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、中国とか東南アジアといったアジアの国々が、北朝鮮制裁に違反した迂回取引の経由地になっているところでございます。

 したがいまして、中国、韓国、香港やシンガポールなどのアジアの国々における輸出入管理体制の強化を図るということは、対北朝鮮制裁の実効性を高める上でも極めて重要であると考えております。

 こうした観点から、具体的には、二十四年間にわたり、アジアでは最大規模となるアジア輸出管理セミナーを毎年開催しているところでありまして、直近ではことし二月にセミナーを開催しましたが、中国を含むアジアの十九の国・地域が参加しているところでございます。

 また、毎年、香港やシンガポールなど四ないし五カ国に対しまして、政府間協議を行ったり、あるいは、産業界に対する普及啓発活動を行うということを行っています。

 また、中国につきましては、これに加えまして、原子力供給国グループ会合等の場で中国とも議論を交わし、輸出管理の厳格化を促しているところでございます。

 さらに、昨年度、平成二十八年度からは、輸出管理制度の構築を具体的に検討している国、例えばフィリピンとかタイの政府を対象に、我が国の専門家を派遣する事業を開始しているところでございます。

 今後、こうした取り組みをさらに拡充することにより、委員御指摘のとおり、アジア各国に対して、輸出入管理体制の強化に向け働きかけを強化してまいりたいと考えている次第でございます。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 北朝鮮に対する制裁が、迂回をされたりして、実りある部分について、これからも対応していただければというふうにお願い申し上げる次第であります。

 次に、商店街振興策についてお伺いいたします。

 中小企業庁が進める地域・まちなか商業活性化支援事業というものがあるわけでありますけれども、中長期的に、さらなる人口減少、少子化、高齢化の進展が叫ばれている中、地域における中心市街地のまちなか商店街機能の活性化、維持を図ることが、地域経済活性化のため不可欠であるわけであります。

 そのための事業として承知しておるわけでありますけれども、非常に有用な制度であるわけでありますけれども、今年度は募集期間が三月三十一日から五月九日までの間で、一月少しということであったわけであります。非常に短いなというふうに印象があるわけでありますけれども、次年度からの期間の延長等が可能かどうかについてお伺いいたします。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありました平成二十九年度の地域・まちなか商業活性化支援事業についてでございますけれども、今年度事業の募集締め切りは、委員がおっしゃられましたとおり、五月九日ということでございました。

 締め切り日がおっしゃるように一カ月ちょっとということなのでございますけれども、締め切り日の設定ということにつきましては、この事業によって、商店街の中で一部の建物の整備、改修、そういったものを行う場合が比較的多うございまして、この工事に一定の期間を要するということを考慮しまして、その工事、事業が年度内に終了できるようにということで、余り締め切りを遅くするとそれに差しさわりがあるということで、締め切り日を設定をいたしております。

 ただ、委員から御指摘ございましたように、募集期間をもうちょっととった方がいいのではないかということはごもっともかと思いますので、この事業をさらに使いやすいように改善を図ることといたしまして、できる限り早い時期から募集を行うことなどを検討いたしまして、募集期間が少しでも長くなるように見直しを図ってまいりたいと思います。

神山(佐)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 世耕産業大臣にお伺いいたします。

 先ごろ、地元の商店会から、オリンピック・パラリンピックに備えて防犯カメラの設置を検討しているわけでありますけれども、補助金等の出る制度はないのかという要望があったわけであります。

 調べましたら、幾つかの自治体で制度がありますけれども、国としては、厚生労働省での制度はありましたが、高齢者や障害者がより安全で快適に過ごせるための環境、人材の整備にかかる費用とのことでありました。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けて、外国人の皆さんも多く訪れる中で、非常にうれしい悲鳴にもなるわけでありますけれども、一方で、お店の中で万引きも多くなってきているというふうなことであるようであります。防犯カメラの映像を犯罪の抑止に活用するという需要はふえているというふうに考えているわけであります。

 観光立国を国の重要な施策の一つに掲げた観光立国推進法が施行され、二〇〇八年には観光庁が設置されたわけであります。これらの一連の動きの中で官民挙げてさまざまな振興策がとられ、訪日外国人旅行者数は、二〇一三年以降、急増しているわけであります。

 こうした状況を考えますと、街路灯設置のみならず、町の景観に目を向けざるを得ないというふうに考えるわけであります。防犯カメラの設置も含め、これら商店街のハード面における整備等の支援事業について、世耕大臣の御所見をお伺いいたします。

世耕国務大臣 御指摘のように、今、外国人観光客は急増しているわけでありまして、そういう中で、来ていただいた外国人の皆さんあるいは商店街で暮らす人々の安心、安全という観点から、防犯カメラとか街路灯の設置というのは、非常に重要だというふうに思っております。

 こうした観点から、平成二十九年度の当初予算であります地域・まちなか商業活性化支援事業、ここにおいて、防犯カメラについては、増加する外国人観光客の方々にも安心していただけるよう支援対象とさせていただいております。また、街路灯については、少子高齢化、地域交流といった六分野の取り組みと関連して行う事業について、公共的機能の強化という観点から支援対象とさせていただいています。

 そしてまた、防犯カメラ、街路灯だけではなくて、オリンピック・パラリンピックに向けて外国人観光客がさらに増加すると考えられる中で、商店街の活性化の支援としてだけではなくて、中小企業のサービスや伝統工芸品などの日本の魅力を発信をして、大会後の海外販路の開拓や新しいビジネスに結びつけていくための政策を、商店街の支援とあわせて総合的に実施をしていきたいというふうに思っております。

 また、ハードの支援だけではなくて、ソフトの支援も非常に重要だというふうに考えております。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 商店街への支援をしっかりすることによって地域のコミュニティーがつくれるんだというふうに考えておりますので、引き続きまして大臣には、御協力、御支援いただければというふうにお願い申し上げる次第であります。

 次に、原発政策についてお伺いします。

 去る五月十七日に関西電力の高浜原発が再稼働となったわけであります。これで現在稼働中の原発は四基となったわけでありますけれども、高浜については、三号機も間もなく稼働すると伺っているわけであります。ほとんどの原発が稼働していない現在でも多くの国民の皆さんは、原発ゼロでも電力需要は賄えているのではないのかと考えているというふうに認識をしているわけであります。

 確かにそう見えてはいますけれども、結果としてエネルギーの自給率は、震災前の二〇%から、現在は、先進国でも最低の水準である六%となっているわけであります。また、電気料金は、産業界は三割、家庭でも二割の電気料が値上がっているわけであります。家庭ではそれほど負担を感じない支払いというふうなことなのかもしれませんけれども、産業界にとっては、世界最高での電気料金が高いコスト高となっているということでもあるわけであります。さらに、化石燃料を燃やして空気中に出ているCO2というそのごみについて、原発停止、火力発電のたき増しで、二〇一三年度は過去最悪となっているわけであります。

 こうした中、政府は二〇三〇年度に向けて、自給率、電力コスト、CO2削減についてどういった目標を掲げ、どのようなエネルギーの需要の姿を見通しているのでしょうか。

 よろしくお願いいたします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 二〇三〇年度におけるエネルギー需給の姿として、二〇一五年七月に、長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスをお示ししております。

 このエネルギーミックスにおきましては、安全性の確保を大前提に、現在六%まで低下しておりますエネルギー自給率について、震災前を上回る二五%程度まで改善をすること、それから、先生御指摘のように、電気料金が家庭用で約二割、産業用で三割程度上昇している中、電力コストを現状よりも引き下げること、それから、特に電力由来のCO2排出量が増加する中で、欧米に遜色ない温暖化ガス削減目標を掲げて対応すること、こういった具体的な政策目標を掲げております。

 その上で、二〇三〇年度の電源構成として、再生可能エネルギーを二二から二四%程度としております。このうち、太陽光につきましては七%程度、風力につきましては一・七%程度、地熱については一から一・一%程度などとしております。そのほか、石炭を二六%程度、LNGを二七%程度、原子力は二〇から二二%程度などと見込んでございます。

 こうしたエネルギーミックスの実現へ向けまして、徹底した省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担抑制の両立、火力発電の高効率化、安全最優先での原発の再稼働などを進め、バランスのとれたエネルギー需給構造を実現してまいりたいと考えております。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 これを踏まえますと、既存原発を最大限活用し、再稼働を積極的に進めていくべきだと考えますけれども、世耕大臣のお考えについてお尋ねいたします。

世耕国務大臣 まず原発の再稼働については、やはり安全最優先で取り組まなければならない、このことが大前提になるわけでありますけれども、一方で、資源に乏しい我が国は、この安全性の確保を大前提にしながらも、経済性、気候変動といった問題あるいはエネルギー供給の安定性といった問題に、これも確保していかなければいけないということであります。

 御指摘のように、原発が動いていなくても、一見すると何の問題もないように見えるんですが、やはり我が国のエネルギーを取り巻く環境というのは、三つのリスクに直面しているというふうに思っています。

 まず、今日的にはやはり一番重要な問題は、地球温暖化対策の視点の問題でありますし、また、エネルギー安全保障の視点、そして発電コストの上昇、こういったリスクがそれぞれあるんだろうというふうに思っています。

 そういう中で原発に関しては、まず、運転時に温室効果ガスを排出をしないということ、そして、国内にある燃料だけで数年にわたって発電を続けることができるということ、そして経済性の高い電源であるということ、この観点からいうと原発は、今言った三つのリスクに対処する上で引き続き重要だというふうに思っております。

 まず、エネルギーの大半を化石燃料に依存してしまっている結果、我が国のCO2の排出量というのは、震災前に比べて四%も押し上げられております。パリ協定の発効によって世界的にも温暖化対策の機運が高まりつつある中、そして、現実に温暖化が原因ではないかと思われる異常気象などで大変な被害が出ている中で、運転時に温室効果ガスを排出しないゼロエミッション電源であります原発は、温暖化対策を実現する上で非常に重要な手段だというふうに思っております。

 そしてもう一つは、我が国のエネルギー自給率、これは現在六%に落ち込んでおりまして、先進国でも最低の水準であります。中東からの化石燃料の輸入に頼らない原発の活用は、二度のオイルショックの経験に基づくものでありまして、エネルギー安全保障上、意義が大きいというふうに思っております。

 そして三つ目に、燃料の輸入によって、発電のコストが震災前と比べて一・三兆円増加をしています。家庭向けの電気料金では二〇%、工場、オフィスなどの産業向け電気料金は平均三〇%上昇しています。私の関西なんかは、もっと以前から原発依存度が一番高かったということで、逆にこの値上がりの幅というのはこの平均よりもう少し大きくなっているわけですけれども、国民生活ですとか、あるいは、中小企業を含む産業界に大きな負担がかかっているわけでありまして、そういった点からも、安全最優先ではありますが、原発の再稼働というのは、真剣に向き合っていかなければいけないテーマだというふうに考えております。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 これからの原発の再稼働について、しっかり国民の皆さん方が理解できるような形の中で再稼働を進めていただければというふうに願うわけであります。

 そして、国民世論を変えていくというのには非常に難しいテーマであるわけでありますけれども、長い国益を考えるならば、あらゆる機会を捉えてとことん国民の皆さん方に説明していくということは大事だというふうに考えるわけであります。ぜひその努力を引き続きお願いをしていただきたいというふうに考えるわけであります。

 次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分の進捗状況についてどのようになっているのか、お伺いをいたします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分につきましては、現に廃棄物が存在している以上、現世代の責任として解決すべき重要な課題というふうに認識しております。

 しかしながら、今に至るまで、最終処分法に基づく最初の文献調査にすら着手できていない状況でございます。

 これを踏まえまして、二〇一五年の五月に最終処分法に基づく基本方針を改定いたしまして、単に自治体から手が挙がるのを待つのではなく、国民の皆様に関心や理解を深めていただくため、地層処分に関する地域の科学的な特性を全国地図の形で示すなどにより、国が前面に立って取り組むこととしております。

 この科学的特性マップの提示に必要な要件、基準につきまして、審議会において約二年にわたり御議論いただき、この四月に要件、基準が策定されたところでございます。

 これを踏まえまして、現在、当省におきまして、関係機関の協力を得ながらマップの策定作業を進めてございます。

 また、今月から全国で、シンポジウムや自治体向けの説明会を開催しております。このマップが、国民の皆様に最終処分に関する御理解を深めていただくためのまさに第一歩であって、処分場の受け入れの判断を求めるものではないといったことを丁寧に説明しているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、マップの提示を冷静に受けとめていただける環境を整えていくことが重要というように考えております。

 国民の皆様の理解を得ながら、一歩ずつ着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 最終処分事業についての認識拡大や理解浸透をさらに深めてもらうように、御尽力をお願いいたします。

 次に専門職大学について、時間の方が少なくなっておりますので、二〇一九年度開設目標になっておりますこの専門職大学について、企業との連携を重視して、卒業単位の三割から四割が実習などに振り向けられるということであるわけでありますけれども、産業界の発展について、経産大臣はこの専門職大学に対してどのような期待をされるのか。御所見がありましたらよろしくお願いいたします。

世耕国務大臣 これから第四次産業革命の担い手を育成する上で、専門職大学、我々も非常に重視をしています。

 例えば、データを扱うようなデータサイエンティストですとか、あるいはサイバーセキュリティーの人材、あるいは、サービス産業における、サービスに特化したような専門性を持った人材、こういった者を育成する上でこの専門職大学に期待をしております。

 引き続き、文科省などと連携をしながら、この専門職大学に産業界の発展に寄与する大学となっていただくべく、貢献をしてまいりたいというふうに思います。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 日本の経済の成長のために、しっかり経産省に頑張っていただく、また、国会議員としてしっかり取り組んでまいります。

 質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日は一般質疑ということで、私の方からは、下請企業の取引条件の改善、きょうはこれをテーマに質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 よく言われておりますように、大企業は収益が改善をしている、他方で、中小企業が収益をなかなか改善しない、特に中小の製造業など、なかなか改善をしない。やはり、こういう状況が続けば、日本の経済というのは元気にならないんだろう、こういう問題意識がございます。

 特に、製造業などを見ますと、元請、下請の取引条件のいろいろな課題がございますので、ここの改善がやはり必要ではないか、こういうことで、過去には予算委員会の方でも取り上げさせていただいたりですとか、また、世耕大臣の方にも、党で申し入れに行かせていただいたときに、私からも、下請取引条件の改善をよろしくお願いしますということでお願いをさせていただいて、たしかそのときにも、大臣から、官房副長官時代からずっと取り組んできた課題なのでしっかりやりますということで、非常に力強い御答弁もいただきまして、この取り組みはぜひ進めていかないといけない、こういう大きな期待をしたわけでございます。

 さて、下請取引条件の改善につきましては、既に政府の方でも取り組みを進めております。

 まず冒頭、この取引条件の改善、現在どの程度の取り組みが進んでいるのか、現在の政府の認識というものを伺いたいというふうに思います。

吾郷政府参考人 お答え申し上げます。

 下請取引条件の改善につきましては、一昨年、おととしの十二月に官邸に設置されました下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議のもとで、政府を挙げて取り組んできたところでございます。

 まず、不適切な原価低減要請、あるいは金型の無償保管要請、あるいは手形払いの多用といった課題に対応するため、昨年九月でございますけれども、対策パッケージ、いわゆる世耕プランを取りまとめまして、それに基づきまして、昨年十二月には、関係法令、下請代金法あるいは下請振興法の運用を大幅に強化したところでございます。

 また、改正しました法令の内容を浸透させていくために、ことし三月末までに、自動車、情報通信機器、繊維、トラック運送業、建設業など八業種二十一団体が、サプライチェーン全体での取引適正化と付加価値向上に向けて自主行動計画を策定、公表したところでございます。

 今後も引き続き、関係府省と連携しながら、こうした取り組みの浸透や徹底を図ってまいりたいと考えております。

中野委員 現在進めてきた取り組みについて説明をしていただきました。

 確かに、手形の取引の改善ですとか、さまざま制度も変えたところもございまして、あとは、それぞれの業種というか、そういったごとにいろいろな事情がございますので、それをしっかりと進めていくというのが今後の課題であるかというふうに思っております。

 というわけで、取り組みもさまざまな分野にまたがりまして、省庁も幾つかにまたがりますので、きょうは下請取引という意味でも何点か分野を取り上げまして、また、きょうは他省庁の方にも来ていただきまして、さまざまな現状、また、今後の取り組みについて御説明をいただきたいと思っております。

 まず、食品製造業の関係でございます。

 どうしても、下請取引というと、製造業ですとかそういったところの取り組みのイメージがあるんですけれども、いろいろお話を伺うと、大手の小売であるとかあるいは流通業であるとか、こうしたところに加工した食品を納入している、こういう関係もいわゆる下請という取引でございまして、これについて、やはり、一方的に価格を決められたり、値引きをするからもうこの値段でしかだめなんだということでそうした価格を決定される。あるいは、日ごろのつき合いということで、物品の購入を、これを幾つ買いなさいということで、そうしたものを強制される。さまざまこれは問題ではないかという事例が、いろいろお伺いをするとやはり出てきてまいりました。

 食品製造業の下請取引改善というのは、農水省の方で今取り組みを進めておられるというふうにお伺いをしておりますので、その取り組みの概要と、また、今後の進め方の方向性についてお伺いをできればというふうに思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきましては、本年三月三十一日に、いわゆる下請ガイドラインを食品関係では初めて策定し、「食品製造業・小売業の適正取引推進ガイドライン 〜豆腐・油揚製造業〜」として公表したところでございます。

 このガイドラインは、加工食品の中でも、いわゆる日配品で日もちがせず、また、特売の対象ともなりやすい豆腐、油揚げにつきまして、独禁法や下請法上問題となり得る事例を掲載し、違反行為の未然防止を図りつつ、あわせて、望ましい取引事例も紹介し、適正な取引の推進を広く促すものでございます。

 策定に当たりましては、豆腐製造業界団体の協力を得つつ、豆腐製造業者からのヒアリングまたはアンケートを通じまして取引実態を詳しく把握いたしますとともに、スーパーやドラッグストアといった小売団体の参画も得ながら、取引の実態に即した具体的な事例を十一項目にわたり掲載をしております。

 周知の取り組みでございますが、これまで、製造、小売双方の業界団体に対し、農林水産省、経済産業省連名で周知の依頼をしておりまして、各業界のホームページでの掲載、各業界紙への掲載など、団体、会員、各者への周知に御協力をいただいております。また、一昨日の二十九日には、豆腐製造業界団体への説明会を実施したところでございます。

 今後とも、関係省庁とも連携し、小売業界のコンプライアンス担当者などへの説明会の実施など、さまざまな機会を捉え、周知に努めてまいりたいと考えております。

中野委員 続きまして、運送業の関係についても質問をさせていただきます。

 私も、前職が国土交通省におりまして、実は物流の担当をしていた時期が長かったものでございますので、やはり、こういう物流の事業者というのは荷主との力関係というものが非常にございまして、以前から、例えば燃料油が高騰したときも、価格転嫁がうまくいかないというふうなお話でありましたり、いろいろな形で、こういう取引の条件を改善したいという御要望は、今までもかなり伺ってまいりました。

 特に今回、トラック運送業ということで取り上げて質問したいというふうに思うんですけれども、トラック運送業ですと、荷主との関係というのももちろんございますし、また、トラック事業者の間でも、やはり大手の元請、下請というさまざまな重層構造にもなっておりまして、適正な運賃収受でありますとか、あるいは、昨今、長時間労働の削減というのも大変大きな課題になっております。そうして、現実的にドライバー不足というのも顕在化をしておりまして、ドライバーの処遇が悪い、労働条件が悪い。

 こうしたいろいろな取り組みを改善しないと、やはり物流というのは日本の経済をある意味一番土台で支えている部分かなというふうにも思いますので、長時間労働であるとか下請取引であるとか、こうしたトラック事業者の取引条件の改善、あるいは働き方改革、これについて今回しっかり進めていかないと、やはり非常に難しい、業界として大変厳しい状況になる、こういう認識をしております。

 国交省として、まず、しっかりとこの取り組みを進めていただきたいと思うんですけれども、今後の進め方、あるいは現状、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

早川政府参考人 お答えいたします。

 トラック運送業における取引環境及び労働条件の改善に向けましては、委員御指摘ございましたとおり、業界内の取り組みということに加えまして、荷主の理解、協力を得て、取引慣行上の課題も含めて解決をしていく必要があると認識をいたしております。

 このような観点から、国土交通省といたしましては、例えば燃料費高騰分の支払いといったことを含めまして、トラック事業者との取引の適正化に向けた荷主業界に対する協力要請、これを関係省庁と連携して行うなどの取り組みを進めておりますほか、積み込み、取りおろし作業など、運送とは別の役務に対する対価をトラック事業者が運賃とは別建てで収受できる環境を整えるために、現在、標準運送約款の改正などに向けた作業を進めているところでございます。

 また、働き方改革ということにつきましては、三月末に決定をされました働き方改革実行計画におきまして、トラック運送業に係る時間外労働の上限規制の適用除外を見直すこととするとともに、今後、関係省庁横断的な検討の場を設けて、長時間労働を是正するための環境を整備するための関連制度の見直しや支援措置を行っていくこととされているところでございます。

 国土交通省といたしましては、トラック運送業の取引環境の改善、あるいは長時間労働の是正ということに向けて、引き続き、関係省庁と連携しながら、こうした取り組みにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 まさに荷主との関係ということで先ほどおっしゃられましたけれども、非常にここが大きいわけでございます。標準運送約款の改正も検討されているということでございますので、こうした約款の部分でしっかり、こういう運賃を取るとか、いろいろ明記がされると、かなりわかりやすく、私は、アピールにもなると思います。しっかりこの取り組みはしていただきたいと思うんです。

 まさに荷主あるいは元請という意味では、先ほどの食品製造業にしても、流通業、これは経産省が所管をしております、これはまた運送業の大きな荷主でもございます。どこまでいっても、やはりこれは、荷主との協力を得ながら進めていかないと進んでいかないというのがこうした取り組みでございますので、そうした所管をする経済産業省の立場として、先ほど質問したような課題に対してどう取り組んでいくのか、これについてもぜひお伺いをしたいと思います。

住田政府参考人 御指摘のとおり、中小企業の取引条件の改善というのは非常に重要な課題でございます。

 今御指摘がございましたように、流通業というのは、食品製造業にとってみますと納品先でございますし、トラック運送業との関係でいいますと、ある意味、荷主という関係になります。この流通業を所管するという立場から、関係省庁と連携して取り組みを進めてきたところでございます。

 先ほど御議論のございました、豆腐、油揚げ製造業を対象といたしました食品製造業・小売業の適正取引推進ガイドライン、この策定に際しましては、農水省と連携をしまして、流通業の業界団体への趣旨の説明あるいは意見交換を行ったところでございます。

 また、このガイドライン、先ほどございましたように、三月三十一日付で策定をされたわけでございますけれども、その際には、農水省と連名で、流通業の業界団体に対しまして、このガイドラインの周知を行ったところでございます。

 また、四月の十一日でございましたけれども、流通の十の業界団体が集まる場がございました。この場におきまして、ガイドラインの趣旨を改めて説明するとともに、法令遵守の徹底を要請したところでございます。

 また、トラック運送業との関係でございますけれども、トラック運送業の皆様が直面しておられる長時間労働あるいは低賃金といった課題に対しましては、荷主企業も含めた関係者が一体となって対応する必要があるというふうに考えておるところでございます。

 こういった観点から、ことし一月に、流通業の業界団体に対しましては、先ほども御指摘のございました、一律何%引きだとか、あるいは、燃料価格をどうするといったような価格決定方式の適正化でございますとか、あるいは、荷待ちの時間、到着したんだけれども荷おろしまでの間に待たなきゃいけない、こういったことを解消することを通じて長時間労働を削減するといったようなことへの配慮などを内容といたしました協力要請を行ったところでございます。

 引き続きまして、食品製造業及びトラック運送業と小売業との間で適正な取引が進められますように、関係省庁と連携をしてガイドラインの周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

中野委員 下請の事業者さんに聞くと、こういう取り組みをやっているんだということが大分現場まで周知というか、認識としては広がりつつあるなという感触を私も受けております。そうすると、あとは荷主の側でそういう認識をどれだけ持つかということが大事だと思いますので、この周知徹底、また要請というものを含めて、ぜひ引き続きお願いをいたします。

 続きまして、建設業の関係もお伺いをしたいというふうに思います。

 建設業の下請の関係というと、どうしても、例えば発注者と建設業の関係であるとか、あるいは、建設業の中でも、元請、下請でこれも重層構造になっておりますので、そうした関係を私も念頭に置いておったんですけれども、さまざまお話を伺っておりますと、それだけではなくて、建設業者と建設資材を納入する事業者との間でも、やはりこうした改善をしてほしいというふうな取引慣行が、さまざま御要望が上がってまいりました。

 例えば、これは鉄骨の加工であるとか、あるいは電線の製造であるとか、そうした業種であるというふうに思いますけれども、こうした分野における下請の取引、現在どのような取り組みをしているのかということについてお伺いをしたいと思います。

糟谷政府参考人 鉄骨とか電線といった資材の取引をめぐっては、企業のヒアリングなどを通じて、幾つかの課題があることがわかっております。

 例えば、鉄骨の取引において、出来高払いを行う際に、代金の一部を保留いたしまして、工事全体が完成するまで支払わなかった事例。また、電線について、納期が数カ月先の場合、銅の先物取引を行って、その価格を基礎にして価格を算定して契約をするわけでありますけれども、実際の引き渡し、納入のときにスポット価格が契約した単価を下回っていると、単価が安くなっているんだからということで値引きを要請されるというような事例。また、発注の書面にない電線の配送を無償で求められる。

 こんな課題があることが明らかになっております。

 これを受けまして、経済産業省といたしまして、ことしの二月に、鉄鋼分野の取引ガイドラインに新たに非鉄分野の取引を加えた金属産業取引適正化ガイドラインを策定いたしました。下請法とか独禁法に違反するおそれがある行為を具体的に明記いたしました。

 また、国交省それから経済産業省担当局長連名の要請文を、三月に百六の建設業関係の団体に対して発出いたしまして、取引の適正化を求めているところであります。

 今後さらに、このガイドラインや要請文書をもとに、全国での説明会を実施するなどいたしまして、周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。

中野委員 これも先ほどと同様、それの納入をする先は建設業者でございますし、もっと言いますと、やはり建設業同士の元下の関係で、あるいは、さらに上流へ行くと発注者との関係も含めて、こうした条件の改善をするということが、認識を共有して協力した取り組みでないと、なかなかこうした問題は解決をしないのではないかというふうに思っております。

 先ほど質問した課題に対して、あるいは建設業の元下関係も含めて、こうした全体の構造の中でどのように下請の取引の改善をするのか、これについて、国交省に今後の取り組みをお伺いしたいと思います。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省といたしましても、先ほど糟谷局長から御答弁ありましたように、国土交通省、経済産業省の両省局長の連名による要請文書を本年三月に発出しまして、適正な取引を求めたところでございます。

 また、国土交通省におきましても、建設業者間の取引ルールに関しまして、建設業法令遵守ガイドライン、これを策定しております。従来からその重要性について周知徹底しておりますが、その適正化に向けて、さらなる改訂を本年三月に実施したところでございます。

 具体的には、下請代金をできるだけ現金で払う、あるいは、手形サイトは百二十日を超えてはならない、あるいは、将来的には六十日にするなど、そういった取引の適正化を反映させたほか、国土交通省で行っている立入検査などで見られる違反、疑義事例についてもガイドラインに追加させていただいています。

 今後、立入検査等を通じまして、こういった取引の適正化にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

中野委員 建設業の取引条件の改善という意味では、確かにさまざまな課題があるというふうには思っておりまして、そもそも、例えば土木の分野であれば、やはり、もともとの発注の価格が安いと、一番入り口のところで、ここが単価が安い、こういう状況であれば、当然その下に全部しわ寄せが行くわけでございまして、そういう意味では、国交省としても、こうした適正な価格を反映した発注をするというふうな取り組みも含めて、さまざま御努力はいただいているというふうに認識はしております。

 そういった労務単価という意味でも、ことしもまた上げていただいたということで、私もお伺いしたら、四割ぐらい、ここ数年間で上がっているということでございますので、いろいろな取り組みをしていただいているとは思うんですけれども、やはり、こうした生産性の向上をどうやって図るのかという意味でも、今後いろいろな取り組みを進めていく必要があるんだろうなというふうには思っております。

 この建設業に関連をしましては、最近、i―Constructionということで、ICTを活用する、そういう中で建設の施工の効率化を図っていく、こうした取り組みを国交省としても進めていきたいということをお伺いしておりまして、私は、これは非常に重要な取り組みかなというふうに思います。

 下請の取引のこういったさまざまなものを改善していくというのも当然大事ではあるんですけれども、やはり、全体の生産性の向上というか効率化を、では、どうやってこれから図っていくのか。そういう取り組みもあわせてやっていかないといけない。

 地元でも、このi―Constructionの取り組みについてお伺いをする機会も実はふえてまいりました。測量も、ドローンなどを活用して効率化をする。設計についても、今まで図面でやっておったものを3Dのいろいろな取り組みをしながら、そうして、施工の部分についてもある程度自動で制御できるような、そういうICT技術を活用すれば、建設をする施工の期間というのを非常に大きく縮めることができて、生産性の向上につながるんじゃないか。こういうふうな、いろいろな取り組みについてお伺いをする機会がふえてきたのでありますけれども、これはまだまだ、特に土木の分野では緒についたばかりで、これから具体的に進めていかないといけないというふうにも思っております。

 あるいは、大手の企業はこうした取り組みを早くから着目してやっておるとは思うんですけれども、やはり、中堅、中小、裾野を広げて、こうしたICTを活用した施工の効率化に取り組んでいきたいというふうな御質問もよく伺うこともございまして、それができるようにしっかり国としては支援をしていくべきではないかというふうに思います。

 i―Constructionにつきまして、今指摘した事項、答弁いただければというふうに思います。

五道政府参考人 お答えいたします。

 建設業は、社会資本整備の担い手であると同時に、地域の安全、安心を担う、国土保全上重要な地域の守り手でもございます。人口減少や高齢化が進む中にあっても、建設業がこれらの役割を果たすためには、賃金水準の向上や休日の拡大等による働き方改革とともに、建設現場の生産性の向上が必要不可欠でございます。

 国土交通省では、昨年を生産性革命元年、本年を生産性革命前進の年と位置づけ、調査、測量から、設計、施工、検査、維持管理、更新までの全ての建設生産プロセスでのICTの活用や、施工時期の平準化等に取り組む建設現場の生産性革命、i―Constructionを推進しているところでございます。

 委員御指摘のとおり、i―Constructionを進めるためには、大企業だけではなく、中堅・中小企業を含む建設業全体で取り組んでいただくことが重要であるというふうに考えてございます。

 国土交通省では、切り土、盛り土の工事においてドローンやICT建機等を活用するICT土工に取り組んでいるところであり、昨年度は全国で五百八十四件で実施をし、うち、約八割以上が地域の建設企業に実施していただいているところでございます。

 また、こうした新しい技術を普及するためには人材育成が重要であることから、全国の地域の建設業者等を対象に講習会等を開催し、昨年度は全国四百六十八カ所で三万六千人以上の方々に参加をいただいたところでございます。

 加えて、今年度につきましては、ICT舗装、またICTしゅんせつということで、工種を拡大していくとともに、昨年度、ICT土工での実績を踏まえて、中小企業を含め、さらにICTの活用が進むよう、測量に関する基準を見直すなどの取り組みを進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、各企業の御意見を伺いながら、i―Constructionが広く普及するよう、各基準類の見直しをするなど、環境整備に努めてまいります。

中野委員 ありがとうございます。

 最後に大臣にお伺いをしたいんですけれども、下請取引条件の改善、私もきょう、食品製造の関係ですとか、運送業、建設業、あるいは建設資材の金属加工も含めて、いろいろな業界ごとにそれぞれ課題がありまして、その質問もさせていただきました。

 それぞれの業界ごとにガイドラインを今つくっておりますので、これを広げていく、取り組みを深めていくということだというふうに承知をしておりますけれども、やはり大事なことは、一過性の取り組みに終わらせるのではなくて、下請の企業に対して、現状どうなっているか、こういうヒアリングであるとか、あるいは、大企業に対して、引き続きこの取り組みをぜひやってほしいという働きかけでありますとか、継続的に行っていくことが大事だと思っておりまして、また、党の方でもそのような要請もさせていただいております。

 そして、私が個人的にさらに大事だと思いますのは、こうした取り組みを通じて、元請も下請も協力して、どうやったら業界全体として生産性が上がっていくのかということについて協力をした取り組みというのが進んでくれば、日本全体としても、経済が、生産性が非常に上がっていくんじゃないか、こういうふうな思いもしております。

 今後の下請取引の改善の進め方、今後の御決意というか、最後にぜひ大臣にお伺いをしたいと思います。

世耕国務大臣 公明党からも御提言いただいているように、これは、しつこくフォローアップをやっていく、それも、もう何度繰り返してでもやっていくということが非常に重要だというふうに思っています。

 まず、今、業界団体が決めてもらっている自主行動計画については、中小企業庁が定めたフォローアップ指針というのがあります。ことし秋ごろに調査して、年末ごろに公開をして、そして一月ぐらいに修正すべき点は修正してもらうという、こういった指針を踏まえて、合理的な価格決定や現金払いの割合などを産業界みずから調査をしていただいて確認をしていただいて、その結果を経産省に提出していただいて、できれば年末に経産省としてもまとめて、公表してまいりたいというふうに思っています。

 それに加えて、我々は、八十名ほどの下請Gメンを配置いたしまして、特に地方の三次下請、四次下請、あるいはもっと下の下請も含めて、年間二千件以上の下請企業のヒアリングを行います。同時に、大企業に対してもアンケート調査などを行って、大企業、発注側の認識と末端の認識がきちっと合っているかどうか、こういうこともチェックをしていきたいというふうに思っています。

 さらに、今、八業種二十一団体となっていますが、これで十分なのかどうか。我々はどうしても製造業、サービス業ということになりますが、経産省所管以外の役所でも、やはり下請関係にある業種というのは幾つもあるわけでありますから、そういったところまで広めていくことも考えていきたいと思いますし、経産省所管の業界の中でももう少し広げた方がいいのかどうか、よくチェックをしていきたいと思います。

 さらに、官公庁自体も発注者という立場を持っていまして、国や地方自治体の発注関係が実は下請いじめみたいなことになっていないのかどうか、この自主点検も私は非常に重要だというふうに思っています。

 そういった中で、単に下請という視点で取引関係を是正するだけではなくて、やはりサプライチェーン全体の生産性を向上させていくことが重要で、うまくいっている業界のベストプラクティスを水平展開するとともに、中小企業等経営強化法の推進機関に自主計画を策定した団体がなってもらって、取引先の支援に取り組む動きを広げていきたいというふうに思っております。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 田嶋要です。

 過去に質問させていただいたことの関連も含めてきょうも質問させていただきますが、まず、先日、地元の千葉の市長選挙が終わりましたので、少し地元の関係でも最初に質問させていただきます。

 今のエネルギーの関係では、何といっても省エネ、そして、省エネの中でも一番商品として既に十分なマーケットが育っている分野がLEDでございますので、まず、このLEDに関して、役所の取り組みはどうなのかということを確認させていただきたいと思います。

 国交省にまとめて聞きますけれども、全国の自治体の道路照明のLEDへの切りかえ、そして、国の国道や高速道の切りかえはどういう進捗でしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、LED、これを道路照明で切りかえていくということにつきましては、省電力化それから維持費の軽減の観点から重要なことというふうに考えてございます。

 まず、御質問の自治体管理の方でございますけれども、大変恐縮なのでございますが、国土交通省では、全国の自治体が管理してございます道路照明のLEDへの切りかえの進捗状況については、把握をしてございません。

 次に、国の管理しております国道などの道路照明でございますけれども、これは、平成二十三年度から道路照明灯のLED化を進めてございまして、新設時それから既にある既設照明の更新時におきまして、積極的にLED照明の導入を進めてございます。当時、文書通知に加えまして、LEDの照明導入のガイドラインを発出いたしまして、その普及に努めているところでございます。

 現在、直轄管理区間の全国約五十九万灯、道路照明灯がございますけれども、このうち、平成二十八年三月末現在でとりますと、約一六%、約九万灯がLED照明になっているという状況でございます。

 今後もLED化を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

田嶋(要)委員 それでは、次に経産省に伺いますけれども、供給サイドはどうなのかということでございます。流通面ですね。いいものがあっても、値段が全然高かったりすれば世の中には普及しないわけでございますので、このLEDに関しては、製造や流通面で供給が追いつかない、あるいはボトルネックがどこかにあるとか、そういうことがあるのかどうか。

 それからもう一点は、リース業界ですね。後ほど触れますけれども、リース業界にこういった先進的な取り組みの事例を、こういったというのは、まだ言っていないわけですけれども、千葉市の取り組みとして御紹介を以前も、二年前にいたしましたが、全てリースを組むことで、バルクのリースでほぼ全てのものを入れかえるということが実現しておるわけでございまして、初期投資を一切かけない形で、納税者の税金を一年間で四億円、人口百万人弱の千葉市がもう既に実現をしておるわけでございます。

 こういった二点、製造、流通、それからリース業界、御意見をいただきたいと思います。

吉本政府参考人 私の方からは、供給面でのボトルネックについてまずお答え申し上げます。

 今回、改めまして、主要な製造事業者、流通事業者、あるいはそれらの事業者団体に確認をいたしましたけれども、製造面、流通面ともに、特段のボトルネックがある、こういった状況ではないということでございまして、基本的には、需給が逼迫するような状況にはない、このように認識をいたしております。

住田政府参考人 リースの件でございますけれども、御指摘のとおり、千葉市ではかなり多額のコスト削減効果を得たというふうに承知をしております。

 このリースの方式を活用しますと、購入をするものと違いまして、初期負担が非常に少なくて済む、費用が平準化されるということで、リース照明の普及に向けては非常に有効な手段だというふうに思ってございます。

 こうした利点も踏まえまして、今既に、各リース企業におきましては、道路照明だけでなくて、例えば学校の施設でございますとか、あるいはオフィスといったようなところに関しますLEDの導入につきましても、リース方式を大いに使ってほしいということで、活用を促しているというところでございます。

 こういう千葉市のような事例を横展開していくということが非常に大事だというふうに思っておりまして、今後さらに、リース方式でのLED導入が幅広く進むように、リース企業あるいは関係団体と十分連携して進めてまいりたいと思います。

田嶋(要)委員 何も千葉市だけがやっているわけではございませんが、一応御紹介しますと、防犯街灯に関しては九七・七%がLED化、公園照明が七一%、そして道路照明が七〇%です。もちろん、全部入れかわるということではないということを私も千葉市から確認しております。つけたばかり、LEDが来る前に最新のをつけている、そういうこともあろうかと思うんです。

 最後に大臣に、これは地道な努力だと思うんですけれども、もう既にそこにある既存の商品で、価格も大分安くなってくれば、やはり一番即効性のあるエネルギー節約になるわけでございますし、しかも、先ほどのリースのような金融手法を組み合わせれば、いわゆる行政の予算措置が要らないんです。言ってみれば手品みたいなものですよ。いきなり四億円も予算が節約できれば、それを福祉に回す、子育てに回す、それを実際に千葉市では熊谷市長がやっているわけでありまして、そんなことは多分、全国どこでも同じようなことができてしかるべきだろうと思います。

 先ほど冒頭に、全国の自治体の道路を把握していませんと。自治体のことは自治体が独自でやるからということかもしれませんが、国を挙げてエネルギー効率を上げて、なるべく中東にも依存しなくてもいいような、そうした自立を目指すのであれば、やはりもう少しそこは情報集約をして、国全体としての運動として盛り上げていっていただきたいし、そのためには啓発活動も必要だと思っております。

 最後に、やはり国民の税金でありますから、LEDがもうそこにあるのに、それを何年も何年も先送りして切りかえしなければ、それは税金の無駄遣いというふうに言われても仕方がないと思います。

 世耕大臣には、一つは、他省と連携すること、それからもう一つは、期限を設けて切りかえをやり、国家プロジェクトとして切りかえていっていただきたい、そういうふうに思いますが、大臣、一言お願いします。

世耕国務大臣 私も、自宅はもう全部LEDにしていまして、やはり電気代は物すごく下がって、本当に効果があるんだなということはよく実感をしております。

 これはもうエネルギー基本計画で政府の方針は決めておりまして、LEDを含む高効率照明については、二〇二〇年までにフローベースで、そして二〇三〇年までにはストックベースで一〇〇%にするという目標にしております。

 国の照明については、平成二十八年五月に閣議決定された、温室効果ガスの排出の抑制等のための政府実行計画において、政府全体のLED照明のストックでの導入割合を二〇二〇年度までに五〇%以上とするということをもう既に決めているわけであります。

 経産省としても、関係機関や地方公共団体とよく連携をして、省エネ性能が高くて費用対効果のよいLED照明の導入を要請しているところであります。

 徹底した省エネルギーを推進する立場から、他省庁と連携もしながら、LED照明の導入について引き続き主導的な役割を果たしてまいりたいと思います。

 うちがどうなっているかというのを調べましたら、LEDが、ストックベースで……(田嶋(要)委員「うちというのは」と呼ぶ)経産省です。経産省が、二〇一四年ベースで一一%。二〇一五年は、全体の調査はなくて本省のみなんだけれども、一五・八%。二〇一六年度はまだ調査していないということでありますので、自分のところのデータもしっかり把握しながら進めてまいりたいと思っております。

田嶋(要)委員 まず隗より始めよですけれども、防犯で九七%ちゃんとやれている自治体があるということは、やはりどこでもやれなきゃおかしいと思います。先ほど、供給ボトルネックはない、流通のボトルネックもないわけですから、どこの地域だって、買おうと思えば、バルクリースをして何万というのを買うことはもう既にできる状況までマーケットは成熟しているというふうに思いますので、先ほど国土交通省が、国の国道や高速道路は一六%ですか、そういう話がありました。極めて低いと思います。何で、自治体が七割、八割、九割できているのに国は一六%しかできないのか。

 今の経産省も同じです。ちょっと足元をよく見ていただいて、よく連携をして、スピードアップしないと目標には追いつけないんじゃないかな、そういう危機感を持っておりますので、どうかよろしくお願いします。地道な努力が日本全体としての大きな省エネを生むというふうに考えております。

 次の質問をさせていただきますが、電力料金の話をさせていただきます。

 FITも大分数字が大きくなってきているということでございますが、現在の水準、そして、今後の、どういうピークがいつぐらいにやってくるのか、どういう総額か、まずそこをお聞かせください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 固定価格買い取り制度に関しまして、今年度の買い取り費用の見積もりが約二・七兆円、その中で、賦課金と言われる、家庭その他ユーザーの皆さんから御負担いただいている分に関しましては約二・一兆円というふうに見積もっているところでございます。

 将来に関しましては、これは御案内のとおり、固定価格買い取り制度の今後の運用でございますとか、あるいは今後の卸電力取引市場での価格の推移といったような未確定要素はございますが、この固定価格買い取り制度が二〇一二年度にスタートしたということを考えますと、エネルギーミックスの二〇三〇年度ごろが一番大きな数字になっているのではないかと思われまして、この二〇三〇年に三・七兆円から四兆円で買い取り費用総額ということでございまして、この中で賦課金額、ざっくり計算しますと三兆円を超える可能性もあるというふうに考えているところでございます。

田嶋(要)委員 明細にもちゃんと明記されているし、やはり負担感は徐々にこれからふえていく。また、重要なことは、そのピークを過ぎると急激に減るということも事実でございまして、これは、よく言う、いわゆる市場原理から外れた形での幼稚産業というんですか、そこを支えるためのスタートの経済モデルだというふうに理解いたしておりますので、そういうことも含めて対応を考えていかなきゃいけないと思います。

 大臣にお伺いしますけれども、このFITも含めて、産業界からは、今後の電気料金のさらなる高騰について、産業競争力の観点から強い懸念が表明されておりますけれども、この懸念に対する受けとめ、それから、今後考えておる対策について御答弁ください。

世耕国務大臣 やはり、東日本大震災以降、家庭では二割、そして産業用では、これは中小企業も含めて三割、地域によっては、私の近畿圏なんかはやはり四割近く産業用はアップしているということで、これは企業収益の圧迫要因にもなっていますし、あるいは、日本に進出しよう、日本に投資をしようと考えている海外の企業にとっても、これはちゅうちょさせる大きな要因になっているというふうに思っております。

 このところ原油価格が低下しておりますので少し低下の傾向も見られますが、まだ震災前に比べて高い水準にあるということは間違いないわけでありまして、いろいろな取り組みで下げていかなければいけないと思っています。

 一番の方法は、やはり小売の全面自由化、これがきいてくることを期待したいというふうに思っています。

 値上がり率という意味では関西が一番高いんですが、その関西では新電力への切りかえ率も非常に高くなっておりまして、やはり価格の面というのが非常に重要だなということを示しているというふうに思っておりまして、今後は、さらなる競争の促進に向けて、ベースロード電源市場の創設ですとか、あるいは、低廉なベースロード電源に新電力がアクセスできるようにする仕組みを導入するなど、新電力の参入ですとか、新電力が活躍しやすい環境を整備して、電気料金の抑制につなげたいと思います。

 もう一つは、やはり資源の調達コストを抑えるということであります。

 いよいよ、シェールガス革命などによって、かなり我が国も調達源の多様化が可能になってまいりました。今こそ、特にLNGを中心として、我が国のバーゲニングパワーというのを発揮すべきだと思います。LNGは、世界で一番買っているのは日本でありますから。そして、そういう中で、東電改革の一環として中部電力と共同で火力事業をやって、燃料調達を一元化してバイイングパワーを強めるというような取り組みも既に行っておりまして、こういう改革の効果もこれから生み出していきたいというふうに思います。

 そしてもう一つは、やはり原発の再稼働であります。これは安全最優先ということにはなりますけれども、御地元の御理解もいただきながら、低廉な電力源であります原発の再稼働も進めていく必要があるというふうに思っています。

 もう一つは、省エネであります。省エネは、これは電気料金上昇による影響を緩和する取り組みとして非常に重要だと思っておりまして、LEDへの切りかえですとか、あと、省エネ型機器への切りかえに関して支援措置を講じていくことが重要だ。

 こういったことを複合的に取り組んで、電気料金を抑えることに努めたいと思っております。

田嶋(要)委員 だんだん上がってくるんじゃないかという懸念は現実にはなってはおるわけですが、今大臣もおっしゃられたように、私は、日本はやっていないことがまだ無数にあると思っているんです。自由化も含めて、おくれている、それを一個一個きちんと、先ほどのLEDも含めて、着実にやっていくことですね。

 そして、再生可能エネルギーも、FITは先ほど言ったピークがあるわけで、その後コストは激減します。将来的には、いわゆる限界費用というんですか、少し追加に発電するコストはほぼゼロですから。ヨーロッパなんかではもうそれが起きているわけです、燃料がかからない風力は限界費用ゼロなんですから。つまり、究極的には、省エネのみならず、再エネも普及すれば普及するほどエネルギーコストは下がるはずなんです。

 我々のアキレス腱である中東から資源を輸入する必要も徐々になくなっていくというわけでありますから、ぜひとも、後ほど触れますけれども、やらなきゃいけないけれどもまだやれていないことがこの日本には無数にあるということをまず強調しておきたいと思います。

 そこで、きょうは、国土交通省にも来ていただいていますが、一つ、ここは大きな部分なんですね。ここは大きな部分なんですけれども、若干、経産省からすると人の庭という感覚もあって、全く進んでいないと私は考えていますが、国交省にお伺いします。

 二年前に建築物省エネ法をつくりましたけれども、その規制は現在どういう建築物に適用されているか、その適合割合はどのぐらいかを御答弁ください。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生今お話しありましたとおり、一昨年に建築物の省エネルギー性能の向上に関する法律を制定いただきました。

 本年四月から、住宅以外の建築物であって、かつ延べ面積が二千平米以上のものの新築等に対して、省エネ基準の適合を義務化しております。

 また、もう一つの、基準の適合率に関しましては、今申し上げました、法律の義務化の対象であります住宅以外の大規模な建築物、これについては、平成二十六年度現在で九六%が現在の基準に適合しているという状況でございます。

田嶋(要)委員 要は、残り数%のための義務化があって、非住宅であり、二千平米以上に限定されておるというわけでございますが、もうこれは私だけじゃなくて、多くの方から声が上がっていますよ。なぜ住宅に適用しないんですか。そして、適用する気があるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

末松副大臣 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、エネルギー基本計画におきまして、規制の必要性や程度、バランス等を十分勘案しながら、二〇二〇年度までに新築住宅・建築物につきまして段階的に省エネ基準への適合を義務化する方針が閣議決定されているところであります。

 建築物省エネ法の規定に基づきまして、本年四月より、適合義務の対象とした住宅以外の大規模建築物、非住宅でありますけれども、これにつきましては、一つには、省エネ化が既に相当進んでおりまして追加的費用が小さいこと、二つ目には、エネルギー消費量が新築着工建築物の全体の三分の一をカバーするなど一定の効果が期待できること、〇・六%の構成比で、先生も御承知のとおり、エネルギー消費量全体の三五・六%を占めていることでありますが、そういったことなどの理由から対象としたものでございます。

 住宅の省エネ基準への適合義務化につきましては、適合状況の推移を見ながら、規制による費用負担と効果のバランス、二つ目には、規制の必要に対する国民の理解、そして、建築主など申請側と審査側の体制整備の状況など、総合的に勘案しながら検討を進めていきたいと考えているところでございます。

田嶋(要)委員 二年前の答弁と同じでございますけれども。

 配付資料をごらんいただきたいと思います。

 一番、これは国交省の資料でしょう。一番目の右側を見てください。世耕大臣もこういうことは御存じですか、事実として。これは日本だけすごく違うんですよ。これは、量的にはアメリカがでかいですけれども、見ていただきたいのは新築と既築の比率なんです。日本だけは圧倒的に新築なんです。国交省にとっては釈迦に説法ですけれども、圧倒的に新築。左側のグラフを見ても、いまだに既存住宅の流通シェアは一四・七%ですよ。では、これが世界とどう比べられるかというのは右側。

 次の資料をごらんください。次の資料を見ると、ちょっとだんだん不安になってくると思いますよ、世耕大臣。これをごらんください。上、「総世帯数を大きく超え一三%の空家率」。今、八軒に一軒が空き家です、世耕さん。多分、和歌山県もそうだし、数的には東京都が一番多いですよ。空き家だらけ。もうみんな、我々、実感していますね。個別で回っていればわかりますよ、政治家なら。(発言する者あり)山梨、長野。率でいけば山梨が一番。

 これは、ドイツと比較すると、何をやっているかというと、日本はこれだけ空き家率が高いのに、どんどん新築の住宅ストックがふえているんですよ。見ていただくと、四千九百六十万世帯に対して五千七百五十九万世帯のストック数がある。では、下の、ドイツはどうか。ずっと見ていただくと、昔は違いますけれども、この近年、ずっとバランスをとって、世帯数とストック数は非常にいいバランスをとっている。誰が考えても、このバランスが崩れたら、将来の住宅の流通、市場価格が崩れるんじゃないかという心配が当然出ると思うんです。日本は今、もうずっと空き家の問題がかなり大きな問題として言われている。

 副大臣にももう一問質問させていただきますが、私は、もう遅過ぎるぐらいですけれども、新築の住宅の供給量、これを直接ないしは間接的にやはりコントロールしなければまずいと思いますよ、これは。ドイツはそういうふうにしています。

 例えば、どうコントロールするかですけれども、先ほどコストが負担増となるとおっしゃいました。負担増でいいんですよ。だから、しっかりと断熱性能の効いたものだけ例えば新築させる。今は二千平米の非住宅でしょう。住宅は関係ないわけですよ。みんな、私も百平米ぐらいの、もっとちっちゃいところに住んでいるわけですから。

 だから、やはり普通の人たちが新築をつくるときには、これからは、ちゃんと断熱性能が守られているようなものをつくらなかったら、このままいくと大変なことになる。これはもう、私みたいな素人じゃなくて、専門家がたくさん警鐘を鳴らしているんですよ、日本の住宅、やばいぞ、危ないぞということを。これはやるべきじゃありませんか。

 それから、副大臣にも、これは中小企業対策として大変大きな効果がある。これはドイツで証明されているんです。ドイツは、かつては新築中心でした。今、中古中心ですが、リフォーム産業が大きく伸びました。では、建築業界にとってマイナスばかりかというと、中小企業は余り減っていないんですよ、この間。つまり、業態転換して、リフォーム産業が何倍にも育っている。これこそ、人口減少が日本の方が激しいわけですから、やらなきゃいけないと思いますよ、世耕大臣も。

 では、副大臣から御答弁ください。いかがですか。

末松副大臣 お答え申し上げます。

 先生から大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 もう先生御承知のとおり、我が国の住宅ストック総数は六千六十三万戸、総世帯数は五千二百五十万世帯。充足はいたしております。

 しかし、総世帯数の増加や、就学、就職等を契機とした地域間の人口移動とライフスタイルの変化や、居住住宅選択による住宅需給の乖離が生じているため、一定の新築住宅への需要があることも考えられているところでございます。

 それと、住宅ストックのうち、耐震性のない住宅が約九百万戸あり、その他、省エネが不十分な住宅が多数あることから、これらについて、建てかえやリフォームが必要でございます。このため、建てかえも含めて、新築住宅への一定の需要があることから、引き続き良質な新築住宅の供給が必要であると国土交通省は考えてはございます。

 他方、人口減少、少子高齢化が進む中、質の高い新築住宅の供給を促進していくこととあわせて、既存住宅をリフォームし、流通の活性化を進めていくことは極めて重要だと思います。

 そのため、既存住宅の質の向上、良質な既存住宅が適正に評価される市場の形成、三番目に、既存住宅が安心して取引できる環境整備に向けて取り組みを進めているところであります。

 今後とも、既存、新築、住宅全体として、国民の住生活に対する多様なニーズに応えつつ、将来世代に継承できる良質な住宅の供給に向けて、引き続き、予算、税、融資など、政策手段を組み合わせながら積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 ただ、先生、非常に私も、二十年前から、十七万五千戸、全然変わらないのは……(田嶋(要)委員「短くね」と呼ぶ)短く。

 いずれにしても、中古住宅の良質性がきちっと評価されて確保できるというシステムをつくることも大事だと思っております。

田嶋(要)委員 あめ政策、むち政策、両方必要だと思うんですけれども、もう一度言っておきますけれども、これは警鐘を鳴らしておきますよ、本当に。危ないですよ、このままだと本当に。もう危機的状況にあると私は思っています。

 良質なものはいいですよ、新築をつくっても。だから、しっかり断熱の義務化を全部やって、ドイツがやっているように、全部に断熱性能を義務化する、もう既に。もう二〇二〇年はすぐそこですから。いまだに法案が出ていないのも、法律も出ていないのも不思議ですけれども、もう二年前にそのことを指摘させていただきました。附帯決議にも入れてほしい、そういうことも言いましたけれども、何もやっていない。そういう状況でありますけれども、これは本当に私はまずいと思います。

 大臣、ごめんなさい、少し飛ばさせていただきまして、ぜひとも、リフォーム産業、中小企業の支援ということは大変重要でありますから、私はこの分野はかなり大きいと思いますよ、これからの地域経済にとって。そこをよく御理解いただきたいと思います。

 きょうは時間をちょっと早く切り上げたいと思うんですけれども、先ほど大臣がさまざまあるという話の中で、私からは、きょうは二点に関して大臣に御答弁をいただきたい。

 どういうふうにしたらこれからコストを下げ得るかということの一つでもあろうかと私は思いますが、これはかつて安倍総理にもお尋ねをしたところでございますが、日本は島国だからよそとはつながらないと言っているんですけれども、それは、つなげたくないからつなげていないだけであって、つなげる気があったらつながるわけであります。実際、イギリスはつながっているわけであります。

 国際電力網、これもいろいろな方が言っていますが、もうそろそろこれは機が熟しているんじゃないか。世耕さんはロシアも一生懸命やっているわけであります。

 これはウイン・ウインの関係をつくるためにも大事だし、経済で連携をするということは非常に平和な話だし、そしてまた、首根っこをつかまれるようなことはさせる必要はもちろんないんですよ、それは大事なことですから。それはイギリスだって同じことを考えていますから。当たり前のことです。ただ、やはり、余っちゃったときとかに売ることだってできる、そういう国際連携網の検討を隣国と考えることは私は非常にプラスだろうというふうに思っている点をどう考えているか。

 それから、LNGです。先ほど、調達も大事だとおっしゃいました。共同調達が何か今、一生懸命言われていますけれども、では今まで何をやっていたんだという感じがします。ある意味で国民は余分な電気料を払わされていたんじゃないかと思いますよ。共同調達すれば安くなるんだったら、前からそうしてくれと言いたいですよ。だから、何か、やってこなかったことをいっぱい今からやろうとしているような感じもします。

 これは、シンガポールに大分水をあけられているような新聞記事を添付しました。添付の三です。もう何か事実上勝負あったんじゃないかというような感じの書きぶりで、商社も一生懸命シンガポールをハブにしようなんて頑張っていると言っていますけれども、これはどういう影響があるのか。

 日本のLNG価格は、先ほど大臣がおっしゃった、世界一買っているのに何で世界一高いんだと。非常に不思議ですよね。世界一かどうかはわかりませんが。世界一の量を買っているのに非常に高い料金で買っているというのは不思議でなりませんよ。これからここを劇的に下げていただくことを、先頭に立ってもらいたいと思います。

 ハブ化のことが大丈夫なのか、日本はこれからどういう戦略でいくのか、この二点。よそとつなげる話と、それから調達の話、これを最後、まとめて御答弁お願いします。

世耕国務大臣 よそとエネルギー網をつなげるという話は、これは私も、価格を下げていく一つのアイデアだというふうに思っています。ただ、安全保障上の点ですとか、あと、我が国は国内法的にまだできませんから、この法律をどうするかという点とか、あと、事業としての経済性、これは、イギリスに比べてやはり大陸からは離れているわけでありますので、その辺をどう考えるのか、丁寧に検証して、これは進めていきたい。ロシアとも研究には着手をしているわけであります。

 あと、LNGのハブは、これはぜひともとりたいと思っていますし、シンガポールは、幾らハブだといっても、あそこ自身がLNGはそんなに買っていないわけです。日本はやはり一番の買い手であるということと、これからアメリカから来る、あるいは北極海を回ってロシアのLNGが来るというときに、日本は地理的な優位性もあります。ハブをとることによって、日本がしっかり世界のマーケットの中心に存在をして、LNGの調達価格を下げていく努力をしていきたいというふうに思っております。

 今、十社のLNGの合計調達量から考えると、例えば一割下げることができたら二千八百億円の節約ができる。これは電気料金の二%ですから大きいというふうに思っておりますので、熱心に、熱意を持って取り組んでいきたいと思います。

田嶋(要)委員 ここは本当に鍵だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたい。

 それから、電力網をつなげる話も、総理よりは何か二歩ぐらい前向きな御答弁を今もらったような気がしますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。私も応援したいと思います。

 ありがとうございました。以上です。

浮島委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 質問順序で御努力いただいた委員各位に初めに感謝を申し上げて、早速質問に入ります。

 きょうこの後議題となります、外為法に基づく北朝鮮への対応措置について、外務省からもきょうはお越しいただきましたが、最初に質問しておきます。

 北朝鮮は二十九日早朝にも、国際社会の警告を無視して、弾道ミサイル発射を繰り返す暴挙を行いました。日本共産党としても、改めて、この場から強く抗議したいと思います。

 北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射に対する対応措置は、安保理決議に基づいて国際社会として行うものと、我が国独自の制裁措置として行うものの二つがあるのは御存じのとおりです。外為法に基づく措置はこの後者によるもので、二〇〇六年から実施されてきました。閣議決定によって、北朝鮮を仕向け地とする全品目の輸出入禁止などを行うもので、我が党は、問題の平和的、外交的解決を図るための手段として、前回も、延長の承認については賛成をしてきました。

 今回、新たに二年間の延長をするというものですが、この二年間だけでも、国際社会の警告などに反して、核実験や弾道ミサイルの発射を続けているのは御存じのとおりです。容認できるものではないことを我が党も繰り返し表明してきました。

 そこで問題は、どのように平和的、外交的解決を図るかということだと思います。

 五月二十二日の国連安保理声明では次のように書かれていました。「制裁を含むさらなる重要な措置を講じることに合意」しつつ、声明の最後には、「状況に対する平和的な、外交的なそして政治的な解決に対する安保理の公約を表明し、そして対話を通した平和的且つ包括的な解決を促進するための安保理理事国並びにその他の国家の取組を歓迎する。」このように書かれているわけです。

 経済制裁の全面実施、強化は必要ではありますが、その目的は対話に置かれなくてはならないと思います。

 そこで外務省に、日本における経済制裁もこの安保理声明と同じ立場であるかどうか、まず初めに確認しておきます。

武井大臣政務官 お答えいたします。

 ニューヨーク時間の五月二十二日、日本時間の二十三日でございますが、二十一日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を強く非難するとともに、さらなる核実験及び弾道ミサイル発射を行わないことを要求する、先ほどございましたが、この安保理のプレスステートメントが発出をされたところでございます。

 このプレスステートメントにおきましては、この安保理が、制裁を含むさらなる重要な措置をとるということ、そしてまた、関連安保理決議に含まれる全ての措置を完全かつ包括的に履行することに言及がされているところであります。

 北朝鮮のたび重なるこの挑発行動でございますが、我が国は、この関連安保理決議の実効性を確保するとともに、他の加盟国に対しても、厳格かつ全面的な履行を働きかけているところでございます。こうした取り組みは、今委員御指摘のこのプレスステートメントと一致をするものと考えております。

 我が国といたしましては、引き続き、この安保理を含め、米国、韓国等とも緊密に連携をし、また、中国、ロシアにもさらなる役割を求めながら、北朝鮮に対する圧力を強化し、北朝鮮に対して具体的な行動を求めていくと考えております。

畠山委員 そこで、この間の総理や外務大臣の発言なんですが、安倍首相は二十九日の会見で、北朝鮮を抑止するため、米国とともに具体的な行動をとっていくと述べておられます。岸田外務大臣もティラーソン米国務長官との電話会談で、北朝鮮の脅威を抑止するため、日米は防衛体制など能力の向上を図るべく具体的行動をとることで一致したと会見で述べました。

 その米国ですけれども、私、着目する必要があると思うのは、北朝鮮との対話の門戸を閉じていない、開いているということです。

 例えば五月三日、ティラーソン国務長官は国務省職員を前に講演をして、北朝鮮に対して四つの問題をここで述べているんです。一つに、北朝鮮の体制転換を追求しないこと、二つに、金正恩政権の崩壊を目標にしないこと、三つに、朝鮮半島の統一を急がないこと、四つに、三十八度線を越えて北朝鮮に侵攻しないことを表明しているわけです。その上で、条件が整えば対話をする準備ができているとも述べました。

 安倍首相は、対話のための対話となってはいけないと述べて、六カ国協議に否定的な態度をこの間とっていますが、制裁のための制裁となってもいけないと私は思います。

 そこで、これはまた外務省に伺いますが、米国の対話に向けたこのような努力についてどう評価をされていますか。

武井大臣政務官 お答えいたします。

 もちろん、平和的、外交的に問題を解決することが重要であるということは言うまでもありませんし、これにつきましては、委員の御指摘、全く一致するところでございますが、ただ、現行の北朝鮮の状況を見ましても、これは安倍総理も述べておりますが、対話のための対話ということであっては意味がないということでもございます。北朝鮮とのある意味真剣な、意味ある対話のためには、北朝鮮が非核化に向けた真剣な意思や具体的な行動を示すということが重要でございます。

 しかし、るる議論ございますとおり、北朝鮮は五月二十九日にも弾道ミサイルを発射しているところでございまして、現段階におきましては、対話ではなく、北朝鮮に対するさらなる圧力を強化するということが重要であるというふうに考えておりまして、五月二十六日の日米首脳会談及び二十九日の日米外相電話会談でございますが、これにおきましても、この方針について我が国と米国政府の立場は完全に一致していると考えております。

 その上で、先ほど御指摘ございましたティラーソン米国務長官の四つのノーということでございますが、これにつきましては、北朝鮮の非核化の目標のために米国政府として北朝鮮に圧力を強化していくというためのものでございまして、この圧力強化が体制変更を目指すというものではないということを説明したというものでございまして、この圧力を強化していくということについては一致をしているものと考えております。

 日米両国は、朝鮮半島の非核化ということにおいても目標を共有しておりますので、このような形で緊密に連携をしているところでございます。

 我が国といたしましては、この対話と圧力、また、行動対行動の原則のもと、米国を初めとする関係諸国と緊密に連携をとりながら、北朝鮮に対する諸懸案の包括的な解決に向けて努力していく所存であります。

畠山委員 重ねて指摘だけしておきますけれども、安保理声明でも強調しているのが、平和的、外交的、政治的解決であります。国際社会が一致して取り組むことこそ実効性あるものとなると思います。日本政府がその立場に立った外交努力を、改めて強く求めておきたいと思います。

 ここでこの問題を終えて次の議題に行きたいと思いますので、政務官、結構でございます。

 きょう、私、北海道での再生可能エネルギーと泊原発に関して中心的に質問したいと思っています。

 経産省は二〇一三年度の補助事業で、風力発電の適地である北海道、北の道北地方からの新たな送電を進める試みを実施しました。これは、事業期間を十年ほどとして、民間事業者がSPC、特別目的会社です、これを設立して補助する仕組みとしてのスタートでした。

 当時、まだ議員になっていない私が北海道にいたときに、この事業がどう進むのかということで注目していたわけです。北海道だけでなく、本州にも北本連系線を通して送電する、これは北海道電力の事業となりますが、そういうことも念頭にあったかと思います。

 この事業について現在どうなっているか、まず説明してください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道、御案内のとおり、風力発電の適地ということでございますが、残念ながら、送電網が十分整備されていないということがございます。

 風力発電のための送電網実証事業ということで、風況がよく、大規模な風力発電に適する場所、かつ、送電網が脆弱な地域ということで、送電網の整備、技術的課題の実証を行う、こういうものでございます。

 現在、北海道、東北でそれぞれ実証を進めておりますが、御案内の道北につきましては、北海道北部風力送電株式会社という会社が設立されまして、昨年度、対象地の大半で環境アセスの手続を終えまして、今年度から本格的な用地交渉に入っているというふうな段階にございます。

 また、東北において事業を行っております秋田でございますが、秋田も秋田送電株式会社というのが設立されまして、今年度から環境アセスに本格的に取り組むという段階に入っているというふうに承知してございます。

 こうした実証事業を通じまして、送電網の整備、そして、その実証成果の活用ということにつなげていきたいと思っています。

 また、もう一点お尋ねございました北本連系線でございます。北海道電力が今取り組んでおりますが、現在、この六十万キロワットという規模でございますが、これを三十万キロワット拡張いたしまして九十万キロワットまで増強するということで、二〇一四年四月に着工しておりまして、二〇一九年四月の運転開始をめどに今工事が進捗している、こういう段階だと承知しております。

畠山委員 道北地方は、風力発電の実績そして可能性がある地域であって、そこで、経産省としても着目されていたと思います。

 これも確認しますが、北海道における再生可能エネルギーのポテンシャル、可能性を示した数値などもあると思います。北海道がどれだけ電力消費もしているか、それとともにお示しください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 特に北海道、風況がよくて大規模な風車の立地が可能であるということで、風力発電に適しているということで、再生可能エネルギーの中でも風力発電ということで、ポテンシャルが非常に大きいと認識してございます。

 ポテンシャルの捉え方はいろいろな数字があるわけでございますけれども、一つは、具体的な検討が始まっているという意味では、環境アセスメントで基準をとってみますと、環境アセスメントが行われている、今全国で風力発電事業は約一千百万キロワットございますけれども、このうちの約四分の一に当たります二百五十五万キロワットが北海道に立地しているということでございまして、かなりのウエートを北海道が占めていると認識してございます。

 それから、電力需要の方でございますけれども、平成二十七年度におきまして、北海道電力管内における電力需要量、年間で約三百七十億キロワットアワーというふうになっていると承知してございます。

畠山委員 アセスに入っているものだけでも二百五十五万キロワットということですから、泊原発、三号機三つ合わせて二百七万キロワットなんですよね。もちろん理論上の問題で数字で挙げてもらっただけですが、北海道はこれ以外にも、北海道庁なども試算して、中小の水力発電でも八千六百ギガワット、地熱発電、木質バイオマスなども相当のポテンシャルを計算しています。

 実際に、北海道にはエネルギー自給率が一〇〇%を超えている町が八つあります。苫前町とか幌延町など、いずれも風力発電が中心となっているところです。ただ、さまざまなアセスなどが必要なことは私も一言申し上げておきたい。

 それで、これは大臣に一般的な認識を伺いたいと思います。

 送電線の整備の重要性は前々から言われていたことではありますが、そこまで至らなくても、小型の、さまざまな分散した形で供給体制をすることは可能であるというのは、研究者などから指摘もあったことでありました。そして、全国はもとよりですが、今述べたように、北海道でのポテンシャル、可能性というものは非常に大きいものだと思います。

 大臣の、この北海道での再生可能エネルギー普及の認識を御答弁ください。

世耕国務大臣 私は従来から、再生可能エネルギーの一つの大きな可能性として、やはり地産地消、その地域の中の電力をそれでカバーをしていって、電気代という形で外へ出ていくのをとめて、地域の活性化につなげることができるんじゃないか。

 今、自給自足をしている自治体が八つもあるというのは初めて伺いまして、そういう意味でも、北海道はもともと場所も比較的確保しやすいですし、特に風の状況が非常にいいですから、大型の風力を設置できるというメリットもありますので、そういう意味で非常に適地なんだろうというふうに思っています。

 広域に配電を考えなくても、地産地消という形の風力というのももし考えられるのであれば、これは北海道にとっては非常にポテンシャルは大きいと思いますし……(発言する者あり)場所によるということですが、ただ、広域で送電するとなるとどうしても、広い面積で、電力需要が少ないということがあって送電網が脆弱ということがありますから、そういう意味ではそこは拡充をしていかなければいけないと思いますし、北本連系線も、今我々はこれを活用するということも、あるいは拡充するということも考えているわけでありますから、そういう手だても打っていかなければいけないと思っています。

畠山委員 この再生可能エネルギーについてさまざまなきょうも議論がありましたけれども、一層拡充していくことでは一致する話だと思うんです。

 一方で、問題はそこで泊原発になるわけです。北海道泊原発については、今重大な状況になっていることが規制委員会のこの間の審議で私感じています。

 北海道電力は四年前に、再稼働に向けた申請を規制委員会へ提出しました。しかし、現在、まだ申請が認められる状況からはほど遠い地点にあると思います。それはなぜなのか。

 直近三月の会議で規制委員会の側から示した問題点や、北海道電力自身が問題と表明している点があると思います。整理してまず答弁を願えますか。

田中政府特別補佐人 三月十日の審査会合において私ども規制庁の方から北海道電力に対して、これまで出されているデータあるいは公開資料を用いて、二点、大きな点、指摘しております。

 一つは、積丹半島の海岸地形が隆起している原因ですが、これが、事業者は広域の隆起等によるものであるという説明をしてきました。それに対して、海上音波探査の結果とか、海岸地形、微小地震分布等から、積丹半島の北西部に断層を想定して地震動評価をすべきではないかという指摘が一点であります。

 もう一点は、泊原発の前面の海上は大体埋立地になっておりますので、そこに防潮堤が設置してありますが、そういった設置地盤について、埋立地の液状化についてきちっと評価をして説明をしていただきたい、そういう二点を指摘しております。

畠山委員 今、規制委員会から指摘のあった点というのは非常に重要だと思います。

 きょうは資料も出していますので、後ほど詳しく私からも重ねて指摘をしたいんですが、まず、最初に述べられました広域的隆起の問題について改めて聞きたいと思うんです。

 泊原発のある積丹半島がゆっくり盛り上がったのか、それとも地震によって変動したのかというのは、これは大きな違いになります。地震であれば、泊原発敷地の、数本断層が存在していますが、特に岩内層というところを切っているF―1断層というのがありまして、これが活断層である可能性が科学者からの意見としても存在しています。

 その岩内層というのは、泊原発の向かい岸にある岩内台地と同じ層だというのが北海道電力の主張です。その岩内台地に、外来礫、石ころですね、礫が百二十万年前のものとしてあるからこれは活断層ではないというのが北海道電力からの理由になっています。でも、それは礫の話であって、岩内台地の実際の砂の層を評価したものではありませんよね。だから、これは違うのではないかという意見が科学者から出されるのも私は当然だと思います。

 このような科学者からの指摘、知見は重要と考えますが、実際の審査の中でこれらの観点を取り上げた、あるいは、取り上げる必要性はないでしょうか。

田中政府特別補佐人 今先生御指摘のF―1断層というもの、破砕帯ですが、これが、上載層に岩内層がありまして、その岩内層の年代が、今事業者が申しております、百万年以上前から動いていないというそういう評価については、今、もう少し詳細にそのデータをきちっと評価するようにということで求めているところであります。

 ですから、まだその点については審査途中というふうに御理解いただければと思います。

畠山委員 重要な点だと思います。もちろん、何万年前かということの評価が最大の焦点だと思いますから、科学者からこのように知見として出されているものは取り上げて検討されることを望むものです。

 そこで、実際に安全性を規制委員会として確実なものとするならば、現地調査は欠かせないことと思います。実際にこれまで泊原発については、現地の調査も規制委員会として行かれました。

 この岩内層の判定には、北海道電力は向かい岸の岩内台地を調査したと述べていますが、一番わかりやすいのは、泊原発と同じ敷地として成っている後ろの段丘、積丹半島全体につまりはなりますけれども、ここを掘削していくことをすれば判明するはずです。

 規制委員会として、そのような調査をして評価をすれば明瞭な評価が可能になると思いますが、いかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 年代を決めるためにさまざまな方法があると思います。先生御指摘のようなこともあるのかもしれませんけれども、基本的には、そういった調査についてはまず事業者が行うべきものであって、それに基づいて私どもは、厳格に現地調査を含めて評価をしていくという立場をとっております。

 ということで御理解いただければと思います。

畠山委員 事業者が基本的には調査して、それを申請、報告するということの仕組みは私も承知はしています。

 ただ、私がなぜこの問題をこう取り上げているかといえば、北海道電力の調査能力についての疑念を持ったからです。それは、私が持った疑念というよりも、規制委員会みずからが示した資料によって明らかだったと思います。

 三月のその審査においては、先ほど規制委員長からもありました、近海での活断層の疑いについて、わざわざ資料を規制委員会が使って説明をされたとなっています。活断層の疑いを示すために使ったそのデータというのは、規制委員会がどこからか新しく持ってきたデータだったのでしょうか。

田中政府特別補佐人 私どもが新しいデータを持ってきたということはありませんで、これまで事業者側から提出いただいた、説明していただいた資料をもとに、それを私どもなりにいろいろ評価をして、全体的にそういった指摘をしているところでございます。

畠山委員 今、規制委員長からあったように、疑いは、みずから北海道電力が示していたデータの中にあったわけです。それが、きょう委員の皆さんのお手元に配付した資料の一枚目です。これが、実際に規制委員会がまとめて北海道電力へ示したそのもののものです。

 ちょっとわかりにくいんですが、左上に、黒い点々々のついているものが微小地震の分布です。右上に、カラーで、特に赤いところが、中心的に色のついている部分があると思いますが、これは、海底地形の露岩域、つまり盛り上がっているところを示したものです。そして右下に、青い線と赤い線が縦横にクロスしているものがあります。これは、いわゆるゆがみ、たわみについての北海道電力の資料です。

 つまり、この三つそれぞれが北海道電力が提出した資料ですけれども、重ね合わせてみると、右上がわかりやすいんですが、赤い地点が、微小地震の分布でも、たわみにおいても、三つ照らし合わせたら一致するんです。だから規制委員会としても、泊原発からここは二十数キロ離れた地点ですが、活断層の疑いがあるんじゃありませんかと指摘したのは、私、当然のことだと思います。

 それなのに、指摘された当の北海道電力は、みずから出したデータなのに、寝耳に水とのコメントを報道に出しているから、おかしいなと私は思うんです。自分たちの出したデータを読み込めないのか、わざと触れなかったのか、どちらかはわかりません。

 いずれにしても、規制委員会からこのようにデータを整理して指摘をするということは、異例中の異例だったはずです。だから、北海道電力の姿勢や調査能力に疑問があると私が先ほど指摘したのは、規制委員会みずからのこの指摘によるところに大きいと思っています。

 ですから規制委員長に述べたいんですよ。これはやはり根本の科学性に対しても真摯な姿勢とは言えないのではないか。出てきた申請だから受け入れるということでなく、ここは申請やり直し、却下するぐらいの中身が必要なのではないのでしょうか。

田中政府特別補佐人 まず、ただいまのような議論は、いろいろなこれまでの原子力発電所の審査では多々あることであります。いろいろ、同じデータでも見方が少し違ったりいろいろな評価がありますので、それに対して私どもなりに評価をして、それで疑問があれば、それを事業者に問いかけてそれについてきちっと説明を求めるというのは基本的な審査の考え方で、そういうやり方をしております。

 ですから、現段階では、北海道電力が私どもの質問に対して、疑問に対してしっかり答えるべく今いろいろな調査をしているというふうに理解しております。(発言する者あり)

畠山委員 疑問をただすというのは、もちろん規制委員会の仕事だから当然ですけれども、このように出てきた資料をわざわざ整理して指摘するということはなかったはずです。だから、なぜこんなことが北海道電力はできなかったのかということが根本的に問われているんだと思うんですよ。

 それで今指摘もありましたが、ちょっと液状化の問題についても重要な問題なので、時間もありませんから、資料の二と三を見比べて、この場でも私の方からも指摘をしておきたいと思うんです。それぞれ北海道電力から出された資料です。

 資料の二は、泊原発が建設される前の空中写真です。赤い枠で一号機から三号機までの今ある原子炉の場所が示されて、海側の点線で囲っているところが、埋め立てて現在の敷地になっているところです。

 資料の三枚目はちょっと小さくて見にくいかと思いますが、こういうものと重ね合わせてみれば、随分と多くの敷地が埋め立てられた上につくられているということです。この盛り土の上に防潮堤ももちろん建っているし、海から取水した後の冷却水はこの埋立地を通っていくわけですから、この点についても、地震による液状化で壊れることがないか等のおそれがあります。

 それは規制委員会も承知をしていて、資料の四枚目をごらんください。実際にこれは審査の中で出されていた規制委員会からの資料でありますが、赤線を引いたところに、実際に泊発電所の埋め立ての地盤が、今言ったようなことから、「液状化の可能性について実例を踏まえ検討する必要がある。」と、阪神大震災の事例も取り上げて指摘をしています。規制委員会でも液状化の危険性はこのように指摘してきたんです。

 実際に北海道電力は、防波堤の方ですが、ここが崩れて取水口が塞がってしまうおそれも認めています。

 規制委員会の方に、敷地が今見たようにかなりの部分を埋め立てていることから、防潮堤だけではなく、重要な施設も含めて液状化対策ということ、その問題点を進めて調べる必要はないでしょうか。

田中政府特別補佐人 今御指摘のように、先ほども申し上げましたけれども、液状化のおそれがあるという私どもは懸念をしておりますので、もしそういうことであれば、それに対して対策を求めるということは当然のことだと思います。

 まず、そういったことも含めて、事業者からきちっとした対応を待っているところでございます。

畠山委員 もう一度、二枚目と三枚目を比較して見ていただきたいんですが、私も泊原発の敷地には何度か中に入れさせていただいて、例えば二枚目の、三号機の、四角でくくっているのは原子炉建屋ですけれども、この海側の方にタービン建屋があります。そこを三枚目の方で見ていただければそういったものがわかるかとは思うんですけれども、つまり、重要な建屋なども含めて、埋立地の上に立っている可能性があるんです。

 非常にこれは、先ほど防波堤の例も北海道電力みずからが認めているように、さまざまな点で、液状化が起きたら実際に取水できなくなるのではないか、車も入れなくなるのではないか、この泊原発の山側の方からは入ってこれませんので。こういうような点も含めて、かなり重大な問題があると思います。

 規制委員長は、先日、高速実験炉「常陽」の適合性審査についても、規制委員会として保留をされた際に次のようなコメントを発表されました。「常陽」の方は、熱出力を小さくするので認めてほしいという申請だったんです。それに対して田中委員長は、ナナハンを三十キロ以下で走るから原付の免許でもいいですよねという話には納得できないという極めて明確な例示もして、不適切なものに対して厳しい態度で臨むことを表明されました。

 私たち日本共産党自身は再稼働そのものについては反対の立場ではありますけれども、今見てきたような状況を見る中で、北海道電力の、あるいは泊原発の実態というのは、かなり厳しいものではないのかということを私は述べたいと思っているわけです。

 そこで大臣に伺います。今、やりとりを聞いていただいたと思いますが、北海道電力は自分たちのデータさえ読み込めていない可能性があります。もしかして、知っていて隠した可能性もあります。それはわかりません。しかし、どちらにしても、原発を動かす事業者としても問題はあるのでないかと私は強く懸念します。

 つけ加えれば、北海道電力の体質についても、私は、実は過去に疑問を持ったことがありました。

 議員になる前、北海道にいて、北海道電力のやらせ問題というのが発覚をしました。三号機のプルサーマル発電に向けたシンポジウムが、社員に参加や計画推進の立場で発言を組織した問題がありました。このとき私、共産党の北海道の専従職員で、実はこの問題は、我が党に内部文書、内部告発が届いたものとして当時新聞などでも報道され、私、そのときの資料も持っているんです。

 こういうようなことからも、今回の申請の件と一連あわせて、体質の問題として非常に私は問題意識を持っています。原発を動かす事業者としての適性や体質の問題として、安易に再稼働を許す状況にはないと思います。

 繰り返しますが、私たちは再稼働そのものについて反対ですが、きょう私が提起したのは、それ以前の問題として、申請の件に関してもこういう実態があるじゃないかという提起をしたわけです。

 大臣、どのように受けとめますか。

世耕国務大臣 個別の原発を再稼働する、しないについては、これは、我々から独立をした規制委員会が、新規制基準に適合するかどうかというのを科学的、技術的に厳しく審査をしていただく、これに尽きることだろうというふうに思います。

 その上で、各電力会社、これは北海道電力に限らず、当然、地域の住民から信頼をされるように、また、原発事業のあり方についてしっかりとした御理解をいただくように取り組むのは当然のことだというふうに思っております。

畠山委員 大臣にもう一つ、せっかくですから、この機会に北海道電力の状況もお伝えしようと思うんですが、再稼働に向けた結論が先にありきとなって、そのしわ寄せがどこに行くかとなると、職員や現場の労働者になると思うんです。

 これは、二月の予算委員会で我が党の高橋千鶴子議員が、各電力会社の残業問題というものを取り上げました。三六協定上でそれぞれの電力会社がどのような労使協定を結んでいるかという点で、北海道電力でも残業は一日十六時間まで可能となっておりました。つまり、通常の八時間と合わせれば二十四時間になります。

 厚生労働省は、この間、さまざまな繰り返しの、我が党を含めた質問や運動などもありまして、原発再稼働の審査に関する電力会社の業務を残業時間規制の適用除外とした通達というのがあったんですが、これを廃止することで今言ったような状況を改善するということをやったわけです。泊原発がこの適用除外になっていたんです。

 ことしの一月に北海道電力は、札幌の中央労基署から、長時間残業の是正に向けた勧告及び指導も受けております。再稼働先にありきのもとで、電力会社の中でも過酷な労働条件にあったことがうかがわれます。

 実際、私も、北海道電力で勤めていたことのある方から話を聞いたことがありました。実際、先ほどからやりとりがあったように、かなり無理を重ねるということになれば、それは大変な労力になることは想定されます。

 大臣に重ねて伺います。再稼働に向けた結論先にありきで、そのしわ寄せが社員に行くような現状が北海道電力にあるのであれば、問題ではありませんか。

世耕国務大臣 これは再稼働ありきというわけではなくて、やはり安全ありきでありまして、そして、その上で独立した規制委員会が、新規制基準に適合するかどうか、そういうふうに判断されるかどうか、これがもう全て再稼働の一番のポイントだというふうに思っています。

 その上で、社員の労働環境については、これは、労働基準法に沿って、厚生労働省の指導に従って、適正に対応してほしいというふうに思っております。

 電力事業に携わる方というのは、ある意味、地域住民の安心、安全にもかかわる仕事をしているわけですから、当然、心身とも健全な状態で仕事に臨んでもらう。そういう環境を整えるのが電力会社の責務の一つだというふうに考えます。

畠山委員 時間になりますので終わりますが、北海道では、道民世論調査を新聞社などが行うと、必ず泊原発の再稼働については反対が多数を占めている現状にあります。きょうも大臣は地域、地元の理解が必要だということを述べていましたが、そのような状況が今もなお続いています。

 また、再生可能エネルギーのポテンシャルについては、きょうの質問の冒頭で述べたように、非常に大きなものがあります。風力発電だけでなく、地熱発電、中小の水力発電、また、木質バイオマスというのは、私は農林水産委員でもあるので、ここでもかかわって質問していきたいと思っていますが、非常に経済的にも大きなポテンシャルを持っていることを改めて強調しておきたいと思います。

 何よりも、先ほどから規制委員会みずからが問題点噴出と示している泊原発の再稼働ということを、やはり認めることは当然できません。使用済み核燃料の処理の問題もまだ解決する見通しが立っていない中、我が党として、原発の再稼働そのものは認めないし、泊原発自身の再稼働は到底認められる状況にはないことを強調して、私の質問を終わります。

浮島委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 民進党の鈴木義弘です。

 何か今国会の最後になるんじゃないかというふうに、今、近藤筆頭理事からハッパをかけられましたので、気合いを入れて頑張っていきたいというふうに……(発言する者あり)まだあるかもしれない。いや、私の登板がないかもしれないということで。

 先日の日経新聞に、見ようと思ったのはその記事じゃなかったんですけれども、脇にぱっと目が行ったら、「「熱意ある社員」六%のみ」、こう記事が出ていたんです。

 これは何なのかなというふうに読み返してみたんですけれども、従業員のエンゲージメントというんですか、私は余りイングリッシュが得意じゃないので、仕事の熱意度についてというので、先日、米ギャラップ社が世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント調査の結果、熱意のある社員六%のみ、日本は百三十二位というものなんです。

 去年から言われている働き方改革だとか生産性を上げろとか、前にも委員会で質問させていただいたんですけれども、日本は一九六〇年から八〇年代に非常によい経営をしていた、コマンドとコントロール、指令と管理という方法で、ほかの国もこれを模倣したんだということです。

 問題は、一九八〇年から二〇〇〇年に生まれた、私は一九六二年生まれですからおじさんなんですけれども、ミレニアム世代が求めていることは全く違うということなんです。ミレニアム世代は、自分の成長に非常に重きを置いていて、しかし、それ以上に問題なのは、不満をまき散らしている無気力な社員が二四%と高いことと指摘しているんです。

 この現状を見て、大臣のまず御感想というんですか、御所見をいただきたいと思います。(発言する者あり)

世耕国務大臣 私も確かに元猛烈社員で、二十四時間働けますかというキャッチフレーズがはやったころにサラリーマンをやっていたわけでありますけれども、何かやはり私の感覚と、ちょっとしっくりは来ない。幾ら今の世代、若い世代がいろいろ我々の世代と変わったとはいえ、必ずしも日本の企業で働く人々のエンゲージメントが米国に劣っているとは思えないんです。

 例えばカイゼンなんていうのは、いまだに、日本の現場で、毎日工場で働いている方々が、少しでもいいものをつくろうといってカイゼンをやっている。こんなことはなかなか、最近はまねをし始めていますが、ほかの国で、欧米でやろうとしたら、それで私は一体幾らもらえるんですかみたいな話になるわけですけれども、日本はそういう地道な取り組みもやっているという意味では、エンゲージメントが必ずしも劣っているとは思いません。

 あえて、活力をとめている要因は何かということをいろいろ分析してみますと、ほかの日本企業の停滞要因に関してのアンケートというのがありまして、その中では、例えば、意思決定のスピードが遅いとか、仕事の進め方の効率が悪いとか、権限と責任の所在が明確でない、こういったところがかなりの比率で問題点として指摘をされているところでありまして、こういうところが働き手のエンゲージメントに悪い影響を及ぼしているんではないか。

 あるいは、先ほどミレニアム世代とおっしゃいましたけれども、この世代は、やはりいろいろな意味で価値観も多様化していますし、自分の生活と、ワーク・ライフ・バランスについてもいろいろな考えを持っている。そういう考えを持っている多様な人々に対して、今の日本型雇用システムは、新卒一括採用と、もう就職活動のときから画一化された形で採用をされていって、そして年功序列があってという、彼らの価値観に合った仕組みに日本企業がうまく変われていない、日本企業の労働慣行がまだ変化できていない、この辺がエンゲージメントを低くさせている要因としてあるのではないかなというふうに思っております。

 これは、まさに今我々がやっている働き方改革が取り組まなければいけないところで、例えば、長時間労働の是正、何時間働いたかとかという価値観ではなくて、成果で評価をしていく。あるいは、何年会社にいたかではなくて、やはり、どんな業績をなし遂げたかで成果を評価していく。

 こういうことを通じて、エンゲージメントの向上、そして、それとあわせて、生産性の向上に努めていくべきではないかというふうに考えております。

鈴木(義)委員 委員長はいつもカラフルな洋装をされているんですけれども、今の新任の若い女性の人たちというのは、みんな黒なんです。何で、黒を着て面接へ行ったり、仕事をされているときもほとんど黒なんですけれども、まあ、それは余計な話なんですけれども。

 マインドリセットを、変えないといけないというふうにこの方は述べているんです。米国でも、十五年ぐらい前は、大手テレビ局も三つ、自動車メーカーも三つ、飛行機会社も三つ。どういうわけだか三つが好きなんです。どの業界も寡占で安定していた。それが、自由化が進んで厳しい状況に追い込まれて、強みを伸ばすことに活力したことで、米国では熱意ある社員の割合が高まり、生産性が上がったというふうに述べているんです。

 日本がどういう状況にあるという認識をされているか。

 それと、続けまして、日本企業も変われるのかという問いに、日本のリーダーはマインドリセットの、変革に興味を示さなかったが、生産性を高めることに対する危機感が強いんだそうです。大きな変革は困った状況にならないと起きないという点で、今は逆にチャンスだと締めくくっているんです、この新聞の、掲載した米国の方が。

 これを、二つあわせて、どういうふうに御感想をお持ちになっているか。短目で結構です、まだいっぱいありますから。

世耕国務大臣 人口減少とか超高齢化社会を迎えるに当たって、そして、そこに第四次産業革命というイノベーションも起こってきている中で、経営者がやはりマインドセットを変えていくということは非常に重要で、これができないと、これから起こってくる大きな変化に日本の産業がついていけないということになるのではないかというふうに考えております。

 そして、今は、一方で、そういう課題があるからこそチャンスだというふうに思っています。高齢化が進む中で働き手が少なくなっていく、こういう中で、日本はロボットを導入していくチャンスでもあります。今、ヨーロッパで、あれだけ失業率が高い中で、ロボットを入れると言ったら、暴動が起こりかねないわけです。ところが、ロボットを入れると言っても、日本では誰も文句を言わないわけです、今、人手不足なわけですから。

 そういう意味では、今、ピンチをチャンスに変えるいい機会だと思いますし、経営者は、まさにマインドセットを変えるべき時期に来ているというふうに思います。

鈴木(義)委員 また、違ったシンクタンク、コンサルティングの機関の博士が次のような記事を出しているんです。「仕事ができる人が辞めてしまう九つの原因」と題して、離職の問題について、管理者がありとあらゆることを非難しがちだが、従業員は仕事から離れるのではなくて、管理職から離れようという点が指摘されているんです。

 次に、管理職側の九つの悪い行動を理解しなくては、それが解決できないだろうというものなんです。一つは、先ほど大臣がおっしゃられたように、過度に働かせる。二つ目、貢献を評価せず、よい仕事に報いない。社員のことを気にかけない。約束を守らない。間違った人材を雇用し、昇格させる。情熱を追い求めることを認めない。社員のスキルを伸ばせない。クリエーティビティーを利用しない。知性を試せる目標を与えない。この九つを指摘しているんです。

 優秀な社員をとどめたければ、彼らをどう扱うか慎重に考える必要があるんだ、能力が高い彼らは豊富な選択肢を持っている、そういった人があなたのために働きたいと思わせる環境をつくらなければならないとまとめているんです。まさしくそのとおりだ。

 では、大臣、経産省はこれができているかどうか。それと、それをすることを、経産省の中もそうですし、やはり、今の企業に求めているのは、大臣が日本の企業にそれを情報発信していくのが大事なんじゃないかと思うんです。二つ、お尋ねしたいと思うんです。

世耕国務大臣 まさにおっしゃるように、産業界に求めるのであれば、まず隗から始めろということで、経産省もしっかりと、トップが、幹部がマインドセットを変え、そして働き方改革をやっていくということは非常に重要だと思います。この九つを一つ一つお答えしているとあれですけれども。

 まずは、やはり、過度に働かせないということを頑張っています。答弁作業についても大分合理化をして、国会対応担当の残業時間は、ざっくり調べると三割ぐらい減らすことができました。これはやはり、みんなで取り組めばできるということを示したというふうに思いますし、また、最近では、後でも別の方から御質問が出ると思いますが、若手の職員に勉強をさせて、自由な意見発信をさせるということもさせました。

 そういう意味で、この役所の中をいろいろな形で、効率的に仕事をしながら、クリエーティブなアウトプットを出していくということを努めていきたいというふうに思っています。

鈴木(義)委員 せっかく官房長がお見えになっているので、今大臣が答弁されたんですけれども、どうですか、御感想を。変わりましたか。まあ、上司がいる前でなかなか答えづらいんですけれども、ひとつお願いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣から今お話がありましたように、経済産業省として、若手の活力というのをやはり大変重視しておりまして、そのためには、管理職も、若手からああいう管理職になりたいなというふうにならないと、すぐ上司のことを上司と思わないようなこともあり得るので、私どもでは、部下が管理職を評価するいわゆる三百六十度評価というのを導入しておりまして、管理職の気づきとか、あと、今大臣からお話がありましたけれども、働き方改革、人材育成等についてもそういう取り組みを人事の評価に加えるというようなことをして、活力あるマネジメントというものに努めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 大臣、経産省がうまくいったら、日本の企業に情報発信して、みんなで取り組んで頑張っていきましょうというふうに、ぜひ発信をしていっていただきたいというふうに思います。

 今、官房長からそういうふうに御答弁いただいたんですけれども、内閣人事局が人事を握るようになったんです。

 では、内閣人事局ができて数年たつんですけれども、人事権を握っている人はこの九つが備わっているんでしょうか。また、それが評価できる制度になっているのか。

 今いろいろ何か、元事務次官がいろいろ御発言されたり、政治家の一番の人事権をお持ちになっている方も、国会から外に出たところでいろいろな発言をされているんですけれども、今言った九つがきちっと備わっているんだったら、やはりそういういろいろな意見は出ないんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか、内閣人事局。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の任用につきましては、国家公務員法第五十四条に基づきまして、各任命権者が採用、昇任などに関する制度の適切かつ効果的な運用を図ることを確保するための基本方針として、採用昇任等基本方針というものを定めているところでございます。

 今御指摘のあった人事権を有する者というのは管理職ということになるかと思うんですけれども、この採用昇任等基本方針におきまして、国家公務員の管理職の任用に関する指針を設けているところでございます。

 具体的には、能力・実績主義の人事管理のもと、例えば、効率的な行政を推進していく観点から、コスト意識を持って効率的に業務を進めることができる者を選定するということですとか、あるいは、職員の士気を確保し、公務の能率的な運営を実現する観点から、適切な業務配分のもとで、部下の指導、育成を行うことができ、部下の仕事と生活の調和にも十分配慮できる者を選定することなどの基準を設けております。

 各府省においては、御指摘いただいたような、問題ある職場環境を招く管理職が任用されないように、制度の適切な運用を図っているところでございまして、以上の観点におきましては、定期的な人事評価においてもしっかりと評価をしているところでございます。

鈴木(義)委員 人事評価はそれで結果が出ているんでしょうから、どんどん上がっていっているのか、下がっていっているのかといったら、どっちなんでしょうか。お答えできますか。上がっている方向に行っているのか、横なのか、下がっちゃうのかといったときに。みんなが評価が上がっていけば一番いいんでしょうけれども。いかがでしょう。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 人事評価自体は、定まった期間で上げた業績あるいは発揮された能力を絶対評価するものでございまして、その都度、その個人が発揮した能力を評価しているということでございますので、その評価のレベルの、相対的にどういうふうな比率で勝っているかということは、済みません、現時点で申し上げる数字を持っていないんですけれども、基本的には、その期その期の絶対評価で行っているところでございます。

鈴木(義)委員 余りよくわからない答弁だったんですけれども、では次に、「実はモチベーションと生産性が低い日本人―理由はこれだ」というふうに指摘する経営者もいるんです。

 日本には、ばりばり働いて、とても頑張っているのにと思っている人が多いんですけれども、社員が自分の仕事についてどう思っているのかを測定する手段として、最近アメリカで注目を集めているのが、先ほど大臣からも御答弁いただいた、社員のエンゲージメントというコンセプトで、すなわち仕事の情熱度ということなんです。

 高いエンゲージメントによって数多くの恩恵がもたらされているというのも事実。エンゲージメントが高い社員は、企業にとどまる傾向が高く、さらに、企業とその製品、サービスの支持者として、より熱心な営業とすぐれた顧客サービスを提供するんだそうです。企業にとどまる人でエンゲージメントが高い人ほど、企業にとってはメリットがあるということなんです。逆に、低い社員は、やる気がなく、仕事にも関心がなく、必要最低限のことしかしない。欠勤が多く、安全に関する事故を起こしたり、品質問題を発生させたり、顧客を遠ざけたりする原因となっているんだそうです。

 日本のエンゲージメントは、対象国中、最低スコアを続けている。先ほど御提示させてもらった。生産性も低く、時間を生産的または効果的に使うことをしていないことを示唆しているというものなんです、この方が指摘しているのは。

 では、その原因として何を示しているのか。雇用の構造、人事管理の慣行、人材育成の方法、企業文化、この四つのエリアに問題があるんじゃないかというふうな指摘なんです。これらの問題は、今日の日本企業のあり方に内在しているため、取り組むためには著しい構造的変化が必要とされるだろう。しかし、今のままでは、日本はこれから他の先進国にどんどん取り残されていってしまうんじゃないか。

 大臣の認識とこの指摘されている人は若干違うんです、外国の方なんですけれども。日本のビジネスは、今、将来を左右する重要な分岐点に立たされていると言っても過言ではないだろうというふうに指摘しているんです。

 これは認識の差が出てくるんでしょうけれども、先ほど申し上げましたように、雇用の構造、人事管理の慣行、人材育成の方法、企業文化、この四点、この中も本当はもっと細かくあるんですけれども、大臣は、これをどこから手をつけていくように情報発信なりしていく考えがあるのか、お尋ねしたいと思います。これは大臣でいいですか。

世耕国務大臣 今御指摘の点というのは、非常に重要だと思います。これからのいろいろな社会の変化に向けて対応する中で、やはり一番、雇用慣行を改めていかなければいけない。今まで当たり前だったことを改めていかなきゃいけない。長い時間働いた人が評価される、長い期間会社にいた人が忠誠心が高いと評価される、このことを改めなければいけないというふうに思っています。

 ただ、私は、そんなに悲観はしていなくて、今、働き方改革で大分カルチャーも変わってきましたし、また、いわゆる日本的に、新卒一括採用とか終身雇用、年功序列というこのシステムを実は今もがちっと入れているところというのは、何となく……(鈴木(義)委員「役所です」と呼ぶ)役所はそうですが、一部上場企業、全体の労働者から見たら二割ぐらいなんです。

 今は、大分ベンチャー企業もふえてきました。新興企業も出てきていますし、地域では、やはり経済を支えているのは中小・中堅企業ということになるわけですから、そういったところはもう既に変化も始まっているというふうに思いますので、これからも働き方改革などを通して、ともかく、きちっとした、仕事のジョブディスクリプションがはっきりしていて、そして、それに対して出した成果がきちっと評価をされるというような仕組みをつくることを通して、日本の働き手のエンゲージメントを高めていきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 続いて、「なぜ「やる気」が出ないのか?」という、二割は官公庁だとか大手企業さんになるんでしょうけれども、こういったアンケートというより調査結果みたいなのがあるんですね。「会社が知る由もない社員のホンネ大調査」と題した調査結果なんです。これは一部なのかどうかはまた別。

 日本のビジネスパーソンは、アジアの他の国のビジネスパーソンと比べて、転職の際に給料よりも新しいチャレンジを重視する傾向が強いことがわかったというものなんです。仕事で報酬よりやりがいを重視する人が日本にはまだ多いというふうな指摘なんです。

 では、経営者はふだんからどんなことに注意すればよいのか。それは、社員にやる気を持たせる仕組みを戦略的に考え、よどみなく運用していくことにほかならない。

 調査の結果、やる気が出る会社三七%、やる気が出ない会社六三%。これは、全国の、無作為というんですか、アンケート調査の一つの結果なんです。一つは評価の公平さ、人間関係や職場の雰囲気のよしあし、三番目が会社の将来ビジョンの有無。やる気が出ない人の意見の中で多かったのが、職場のガバナンス欠如、上司に対する不満。これは、さっき御提示させてもらったのと絡んでくるんですけれども。

 この中で、問題なのは、アンケートの結果、二十歳から二十九歳、五十歳以上のシニア層が、やる気が出る人と比べて出ない人の方が多いんです。私たちの世代から上、それと若い世代の人が、やる気が出ているか出ていないかというと、出ていないんです。

 今の企業社会では、三十代、四十代の中堅世代は誰からもサポートを受けられず、ひたすら最前線で成果を出すことだけが求められる貧乏くじ世代とやゆされていると。中堅世代のストレス、不満を緩和する策の一つとしても、若手やシニアの活用は重要課題だが、それには彼らのモチベーションを上げなくてはいけない、全ての世代を融合させ、ともに活性化させることが急務であるという課題もアンケート結果で示されているんです。

 ちょっとわかりづらいかもしれませんけれども、今の御指摘をさせていただいたことに関して、大臣の感想はいかがでしょうか。

世耕国務大臣 私もサラリーマンをやっていた経験からいって、やる気が出る、出ないというのは、やはり自分の仕事の成果に対する評価だというふうに思います。

 私も部下を持って評価をしたことがありますが、そのとき評価をするための研修というのを受けるんですけれども、ついつい陥りがちなのが、ちょっときょう飲みに行こうよといって誘って、はいはいとついてきてくれるやつが何となく評価が高くなる。それは幾ら気をつけていても、ボーナスの評価のときにずらっと評定表を自宅の床の上に並べて、上から順に並べてみると、やはり上の五人はいつも飲みに誘ったら来てくれるやつだなというふうになっちゃうわけです。

 それは何でかというと、結局、何か、協調性とかそういうわけのわからない評価の指標が多いんです、日本企業の場合は。そこをやはり、やるべきミッション、ジョブをはっきりさせて、そしてその達成度ではかるということを明確にして、それをまたさらに三百六十度評価みたいな形で上下左右から評価をさせる、そういう仕組みを入れていくことによって評価をきちっとする、そのことが私はやる気を出させる一番の王道だというふうに考えます。

鈴木(義)委員 官房長は、今の大臣の答弁をお聞きして、どうでしょうか。そうなっていますか。大丈夫ですか。

 では、御答弁いただければ。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣の申し上げたとおりだと思っています。

鈴木(義)委員 やはり、協調性を一番に。飲みに誘ったときにはちゃんと官房長もお見えになるんでしょうけれども。まあ、これは冗談として。

 あなたがよりやる気を出して働けるよう、会社にどんな取り組みをしてほしいですかというアンケートの結果では、短期目標の取り組み、中長期目標の取り組みというふうにきちっと目標を掲げるということです、先ほど大臣が御答弁いただいたように。働きやすい環境だけでなく、会社の将来性を重視する声も結果として多いんです、この会社は大丈夫かと。

 前にも質問申し上げたかもしれませんけれども、自分の十年後の会社なり役所がどういう形になっているかとか、自分は何をしているのかというような質問を去年させていただいたと思うんです。

 「今や社員は企業のステークホルダーの一人と言ってもいいほど、自社を高所から見つめている。彼らの「やる気」を引き出すことは、口で言うほど簡単ではないことを、経営者は肝に銘じるべきである。」と指摘しているんです。これは一例かもしれませんが、各企業が抱えている問題だと私は思うんです。働き方改革だとか生産性の向上と一口で言っても、最終的には、各人のやる気が一番。

 大臣が、きちっと目標を掲げてやるということと、自分が何の仕事をするのか、それに対してきちっと適正な評価をするというふうに御答弁いただいたんだと思うんですけれども、結局、戦後七十年たっても、仕事をしたら、きちっと評価をしてあげて、それに見合ったサラリーを払えばみんなやる気が出るんですけれども、何となくグループで、チームワークで仕事をしたんだとかといって、一人一人の評価をしないで、日本企業は、護送船団方式というのは昔もてはやされた言い方ですけれども、その感覚がまだずっと残っているんじゃないかと思うんです。

 それを変えていかないと、それは、先ほど申し上げましたように、マインドのリセットをしない限りはこれ以上の活力を出していくのにはやはり心もとないんじゃないかと思うんですけれども、もう一度、取り組み方というんですか、決意をお聞かせいただきたいと思います。

世耕国務大臣 何度も同じ答えになるんですけれども、やはり、ジョブディスクリプションを明確にして、それに対する評価をきちっと公正にするということが重要だと思っていまして、今、一つ大きな変化が起こり始めていまして、同一労働同一賃金というのを働き方改革の中へ入れました。

 ただ、これをお題目のように言っていてもいけないのであって、同一労働同一賃金を入れるときこそ、ちゃんと職務や能力などの内容の明確化、そしてそれに基づく公正な評価を入れなきゃいけない。その趣旨を、働き方改革実行計画、これは私、かなり会議の中でもしつこく言いまして、これをしっかりと入れていただいて、その計画の中には「処遇体系全体を可能な限り速やかに構築していくことが望まれる。」、こういう、ちゃんとジョブを評価する処遇体系を入れていかなければいけないということを明記してもらいました。

 こういう新しい、今までの年功序列の賃金ではない処遇体系を入れることによって、やる気を引き出していくことが重要ではないかというふうに思います。

鈴木(義)委員 ちょっと、お越しいただいている方もいらっしゃるんですけれども、時間が押しているので、北朝鮮の話を最後にお聞かせいただきたいと思うんです。

 一つは、ここのところ何カ月かの間に何発もミサイルを打ち上げられてしまったんですけれども、今、これがもし東京の、国会のこの場所に着弾をしそうだという話になったときに、今の日本の防衛システムの中でそれを排除することができるのかどうか、それが一点。

 それともう一つ、日本は経済制裁を北朝鮮に科して、これから一般質疑が終わった後にそれの審議をしていくんだと思うんですけれども、二〇一七年の三月の、二〇一六年の最近の北朝鮮経済に関する調査という報告書を見ると、二〇一一年、中国、韓国、インド、ロシアの輸出入で、金額が八十七億七千六百万ドルぐらい貿易のやりとりがあるんです。これが、二〇一五年になったら、同じ中国、韓国、インド、ロシア、これが輸出入で九十一億五千五百万ドルというふうに伸びているんですよ。日本は経済制裁をしてきたんです。特に、その中で韓国の輸出入が増加している。これが報告書の中に出ているんです。

 そういう状況を考えて、この経済制裁を日本だけが発動したからといって、結局痛くもかゆくもないんじゃないかと思うんです。北朝鮮は孤立しているような報道をマスコミがされたりしているんですけれども、実際は、今四つの国を挙げさせてもらいましたけれども、それ以外の国とも貿易をやっているんですよ。

 それで、この経済制裁を発動したとしても、実際は本当に効力があるのかどうか、それを検証して、もう違う段階に入って、抑止をしていくようなことをしないと、とまらないんじゃないかと思うんです。

 二点お尋ねしたいと思います。

武井大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 先に二点目の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、まず、二〇一七年の三月にジェトロが発表いたしました北朝鮮の経済に関する調査というのがございまして、これに、二〇一七年に発表したんですが、二〇一五年までの北朝鮮の貿易額が記載されているというようなことでございます。

 これは、まず、安保理の決議上、全ての品目が北朝鮮との間での輸出入が規制されているわけではないということでございます。

 その上で、輸出に対して大きな部分を占める石炭でありますとか鉄でありますとか鉄鋼でありますとか、このような天然資源の輸出の規制が課されたのは、二〇一六年以降、これは安保理の二二七〇号でございます。

 ですから、現在発表されているものは二〇一五年までの貿易統計でありまして、一六年以降そういったようなものが規制をされてまいりましたので、そういったようなものの効果が数字にあらわれるのはこれからということになるわけでございます。

 その上で、御指摘の点を、そのような点を考えますと、この安保理の決議に基づく効果が出ているかというのは、さまざまな品目がありますので一概に困難なところはあるわけですが、これからはそういうものが数字にもあらわれてくるのではないかというふうにも考えておるところでございます。

 その上で申し上げますと、北朝鮮との間での人、物、金をまずは規制する北朝鮮への措置でございますが、これにつきましては、北朝鮮の経済状況は大変厳しいわけでございますので、やはり一定の効果は今までも及ぼしてきたと考えております。

 我が国といたしましては、引き続き、関係国と連携をしながら、安保理の実効性を確保するとともに、独自の措置の徹底をしてまいりたいと考えておるところでございますし、そしてまた、先日のG7タオルミーナ・サミットもそうでございますが、国際社会について、あらゆる場面におきまして、この安保理の決議を履行するよう強く呼びかけを、今までもしておりますし、これからも、しているところでございます。

 その上で、各国によるこの安保理の決議の条項の履行につきまして、各国の状況、また各国が履行した措置も踏まえまして、今後、北朝鮮制裁委員会、また、専門家パネルでの精査ということになるわけですが、我が国といたしましても、積極的にこのような作業に関与をして、各国の状況の注視をしてまいりたいというふうに考えております。

 一点目でございますが、もう一回ちょっと……(発言する者あり)よろしゅうございますか。

浮島委員長 既に申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

鈴木(義)委員 フラストレーションがたまったんですけれども、終わります。

浮島委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 民進党の北神圭朗でございます。

 きょうは、附帯決議はなさそうなので、質問の方に専念をしたいというふうに思っております。

 まず、大臣、この前の議論、覚えていらっしゃると思いますけれども、委員会で質問したときの経済政策の話で、ちょっとおさらいなんですけれども、お配りしている資料で、私が一番憂えているのは、短期的には、今も景気はよろしいし、結構なことなんですが、これは中長期的に見たら非常に厳しい状況だという話で、昔、財政学で、民主主義は財政赤字につながりやすいというワグナーの法則というのがあるんですけれども、経済政策でいえば、民主主義というのは短期的な経済政策に集中しやすいという、非常に将来に対する憂いがございます。

 一ページ目をごらんになりますと、内閣府の資料ですが、労働力人口でいけば、これは、仮に、かなり希望的な前提を置いて、出生率が二〇三〇年に二・〇七まで上昇し、かつ、女性がスウェーデン並みに働く、つまり三十歳から四十九歳の女性の労働力率が九〇%になるという話なんですが、さらに、高齢者が現在よりも五年長く働いたとしても、二〇六〇年には五千四百万人程度まで減少する。下のグラフでいえば一番右の棒なんですが。それでも、この推計でいえば、二〇一三年からいえば、毎年平均〇・三から〇・五%人口が減っていくという状況で、相当これは希望的な前提を置いている。

 ほっておけば、この青い斜線の入った棒で、今の、二〇一三年、六千五百七十七万人から、半分弱の三千七百九十五万人まで、十五歳から六十四歳の、この働き盛りの人口が減ってしまう、こういう試算でございます。これは、今二〇一七年ですから、二〇六〇年というのは、まあまあそんな遠い将来ではない。

 こういう状況の中で、三ページ目を見ていただくと、潜在成長率というのがございますが、下のグラフなんですが、八〇年代、四%ぐらい潜在的な成長率があったのが、今、一%弱ぐらいになってしまっている。これをほっておけば、恐らく、いろいろな識者の話を聞いていても、下手するとゼロ近傍になり、そしてマイナスということも十分あり得る。例えば日本銀行なんかでも、そういうこともあり得るという状況で、短期的な財政政策とか金融政策は、もちろんこれは需要を喚起して、上のグラフにありますように、需給ギャップは改善している。これは効果はあると思います。

 しかし、この潜在成長率、長期的な成長率には、若干はあると思うけれども、やはり技術進歩、技術革新というところが一番重要で、この潜在成長率のグラフを見ても、TFPという要素の部分がこの技術進歩ですが、これは大分、少しずつ減ってきているという状況で、ここが非常に私が心配をしているところであります。

 ちょっと一枚戻っていただいて、いや、そんなことを言ったって、やはり短期的な経済も大事だという話なんですが、短期的な山、谷ですね。短期の景気というのは山、谷の話ですが、それでいけば、これは世界のGDP、OECD加盟国のGDP、米国、中国、そして日本のGDPの成長率の推移なんですが、これをごらんいただくと、大体、OECD加盟国の山、谷と、まあまあ、ある程度比例していくわけです。つまり、世界の経済がよければ短期的な日本の景気もいいし、今まさにそういう状況でありますし、悪くなれば日本の経済も悪くなる。

 こういう状況の中で、心配すべきは、この山、谷は結構なんですが、その水準がどんどんどんどん下がっていって、OECD加盟国と大体、上か、同じぐらいの水準が、今やもう下回っちゃっている。こういう状況の中で、私らは、やはり研究開発とか、そういったものに力を相当入れないといけない。

 そこでお聞きしたいのは、この前も大臣は、財政金融も大事だというお話で、そこは私とちょっと見解が違うんですが、いわゆる三本目の矢の第四次産業革命、これが大事だというお話をされたので、私もそのとおりだと。

 ただ、残念なのは、経済産業省の役人さんに聞いても、人工知能の技術自体は日本はもうおくれをとっている、そのものは。もうアメリカにも中国にもかなわないと。しかし、その技術を利用して、日本のものづくりと合わせていけば、相当日本も経済成長に結びつけることができるという話なんですが、そこで心配なのは、心配ばかり言って申しわけないんですが、ここで日本のものづくりのたくみのわざというものが非常に生きてくる。

 これは、ロボットというのが、人工知能によって目の部分が非常にすぐれてきている。ここで、例えば瓦職人、これは熟達した職人にしかわからない、焼きぐあいとか色合いとか、よく言われるすり合わせ的な技術、経験、知識、こういったものがロボットにも、全く模倣することが可能になる。それで、ロボット自体を各国に輸出したりして、そこで各国で日本の瓦技術というものを普及させることができるという意味では確かにいいんですが、問題は、その瓦職人であれ、例えば農業でもそうですね、農業の熟達した、このリンゴの色合いでちょうど採取する時期として適当だとか、周りの葉っぱをこう切ったらいいとか、こういう日本のたくみのわざというものが生かされるはずなんですけれども、私が心配しているのは、それだけデータにとられ、それだけロボットに入力されて、それで外国に売られるけれども、職人さん自体には何の利益も返ってこない。何の利益ということはないですけれども、若干の利益しか返ってこない。

 そういう事態になると、非常に日本にとっては大きな損失ですし、逆に、今の時代こそそういう職人のわざを継承していかないといけないのに、余りもうからない分野だというふうになってしまうと、何か自分たちの技能だけとられて、それで何かほかの大企業とか外国の企業はもうけているというような話になってしまうと、これはまことに残念なことですので、そこをどうやって、知的財産権なりで保護するか、どういう方法があるのか、ここは非常に私、問題意識がございます。

 ところが、瓦の職人の職人わざとか熟達した農家のはさみの入れ方とか、こんなことは新規性も進歩性もないということで特許の対象にならない。それをどうやって保護していくかということを考えないと、せっかく、人工知能とものづくりを合わせて、これから第四次産業、突進するんだという経済産業省の意気込みはよろしいんですが、そこをやらないと非常に大きな穴があいてしまうということについてどうお考えかということを伺いたいと思います。

世耕国務大臣 おっしゃるように、たくみのわざというのは、今までは基本的には盗めないものだったわけであります。私も近大の理事長をやっていたときに、近大マグロ、ノウハウをとられちゃうんじゃないかという心配をしたんです、生き物というのはなかなか特許で保護できないですから。そうしたら研究者たちは、それはとられないと。なぜならば、何十年も重ねてきた何百もの細かいノウハウの結果としてしかできないので、何かここでこういう餌をやればいいというところだけをとっても、全くまねができないということで、全くそれは心配がない。

 たくみのわざというのは私はそういうものだったんだと思うんですが、これからビッグデータ、人工知能という時代になってくると、それがデータ化されて割と持ち運べるようになってくる。

 私は、この間、象徴的なものを見たんですが、うどん職人ですごい人がいて、おじいさんで、みんなまねしてつくるんだけれども、どうしても同じものができない。それをセンサーで全部体の動きを見たら、ある一カ所だけ、みんなが膝を前に動かすところを、彼は後ろへ引いていたというのがわかったという、これは本当にそうなんです。こういうことがあります。

 一方で、だけれども、今おっしゃっているように、生産労働人口が減っていく、労働人口が減っていく、あるいは、たくみのわざを継承するのに、今までだったら十年見て学べみたいなところが、今そんなことをやっている時代じゃないというときに、やはりデータ化をして引き継いでいくということも考えていかなければいけないし、それをロボットにやらせる、人工知能でビッグデータを解析させて動かすということも必要だというふうに思います。

 少なくとも、今我々は、このデータ化のルールはつくりたいと思いますし、そのデータ化されたものを盗んだり不正利用した場合には、完全に何か歯どめをかけられる法制度、これは少なくとも整備をしなければいけないということで、データ化のガイドラインというのをきのう出させていただきましたし、それの不正利用を防ぐ法整備というのもこれから急いで検討をしていきたいというふうに思います。

 ただ、今委員御指摘の、その人に対するインセンティブというか、もともとたくみに対して何かリターンはないのかというところは、これは少し、ちょっと研究をさせていただきたい。

 傾聴に値する御指摘だというふうに思っております。

北神委員 ありがとうございます。

 データ化のものも職員の皆さんに見せていただきましたし、ぜひ法律化しないといけないし、場合によっては世界基準みたいなものも考えていかないと、外国にいいふうにやられて、私がいつも腹立つのは、アップルの後ろのリンゴが新潟のすばらしいメッキで、スティーブ・ジョブズも、すばらしいと。日本はすばらしい国だね、職人さんがすばらしい、でも、もうけるのはアメリカだと。こんなのは絶対に許しちゃいけないので、ぜひそこの部分を今度の第四次産業革命で確保するようにお願いをしたいというふうに思います。

 二つ目は、第四次産業がおくれをとっているという話なんですが、第五次産業、これがリニアコライダーの可能性もあるということであります。

 リニアコライダー、せっかく萩生田副長官もお忙しい中お越しいただいたんですが、ここは答弁する必要はないですけれども、聞いていただきたいのは、これはもうすごいですよ。素粒子物理学とかそういう話だけじゃなくて、ここからワールドワイドウエブというものが出てきましたし、物すごい派生技術が出てきた。

 政府は、いや、どういう見通しがあるかわからないと言いますけれども、当たり前の話で、こういうのは、まさにいろいろな、世界一の学者が岩手なり九州なりに来られるわけで、五千人ぐらい、世界一の物理学者、この人たちが最高の知能と知識と技術を持ってきて、そこからどういうものが生まれてくるかというのが、これがまさに技術革新で、最初からこうなるんだとかいうものがないのは当たり前の話です。

 ある試算で、日本生産性本部、もともと経済産業省の天下りもたくさんいる、立派な、正当性のある組織でありますけれども、これが、国際リニアコライダーイノベーション効果が四十五兆円だと。今まで、普通のこういう試算というのは、投資効果というのは、研究成果から派生するイノベーション効果を全く考慮に入れなかったんです。考慮に入れたら四十五兆円という大きな数字になっているわけです。

 これをぜひやらないといけないんですが、文科省が今主導でやっている。彼らは、よく理解するんです、役所の立場は。科学技術コミュニティーを大事にしたい。彼らは、学術の世界というのは、やはりたくさん、このリニアコライダー以外でもいろいろな事業をしたいという中で、一応要望されているのは二百七件ぐらいあるんです、こういうことに予算をつけてほしいと。そのうち二十八件が重点事項だと。その中にリニアコライダーは入っていないんです。

 問題は、ほかの案件というのは、まあ数億円単位のものがほとんどです。リニアコライダーは場合によっては一兆円かかる、だからこんなものを要望しちゃうとほかの要望が全部なくなると。これは、彼らの世界の中では、あるいは文科省を入れたら、それは合理的な判断かもしれないけれども、これが本当に政府にとって、日本の経済成長にとってすばらしい話であるならば、ここに任せていたらえらいことになるということで、石原副大臣、科学技術担当ということで、お兄さんと一緒に頑張っていただいておりますので、ぜひ、この点で、文科省に任せるんじゃなくて、場合によっては別枠の予算をつくってこのリニアコライダーを強力に推進していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石原副大臣 お答え申し上げます。

 国際リニアコライダー計画については、今、北神委員が言われたように、文部科学省において有識者会議を設置し、科学的意義や技術的実現性等について検証を重ねているというふうに承知しております。

 有識者会議のこれまでの議論のまとめとして、先ほど北神委員が言われたように、一兆円規模の巨額の投資が必要であり、一国のみで実現することはできず、国際的な経費分担が必要不可欠である、技術面での課題の解決やコスト面でのリスクの低減について明確にすることが必要である、また、国民及び科学コミュニティーの理解を得ることが必要であるとの提言があったというふうに承知しております。

 御質問の計画は、繰り返しになってしまいますけれども、一兆円を超える巨額の投資が必要であり、有識者会議の提言にあるとおり、国際的協力が必要不可欠との観点から、米国とコスト削減に向けた検討を行っているというふうにも聞いております。内閣府としては、文科省の検討状況を注視してまいりたいと思います。

 ただ、個人的には、理研が加速器を使ってニホニウムを発見しました。国際リニアコライダーというものが実現すると、さらなる、光速の加速が実現をして、宇宙の根源がわかるというような形で、物理学的には非常に重要だということは個人的には認識をしているところでございます。

北神委員 この前、三木財務政務官はもうちょっと積極的な答えをくれたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。物理学だけじゃないんです。これは本当に、技術革新で経済成長に必ず結びつくので、よろしくお願いしたいと思います。

 副長官もちょっと頭に入れておいて、これは、リニアコライダー、アベノミクスじゃなくて、セコウライダーとか、何か名前をつけたら、短期的には大したことないです、でも、長期的には歴史に名前が残るということを提言していきたいというふうに思います。

 時間がございませんので、あと十分で終わりたいと思います。

 今回、北朝鮮の輸出入の話で、貿易額がこの数年ゼロになっているという状況でありまして、これ自体は結構なことだと思いますが、一方で、資料の五ページ目をごらんいただきますと、これはロイター通信、五月二十三日、つい八日前ぐらいの記事なんですが、これは専門家たちが言っているんですが、いろいろな銀行、バングラデシュ中央銀行の口座がハッキングされ、これは日本円でいえば大体九十一億円とか九十二億円のお金が盗まれているという話がありますし、その前の年は、二〇一五年の十月、十二月には、フィリピン、ベトナムの銀行にも、北朝鮮と推定されるところから、あるいはそれに関連する団体から攻撃があったということなんです。

 この九十一億円がどうかとか、あるいは、この記事自体も、もちろんいろいろな根拠を調べないといけないと思いますが、輸出入で禁止をしていながら、これは経済制裁を科すという意味合いなのに、こっちでサイバー攻撃でいろいろな世界の銀行からお金が盗まれていけば、何の意味もなくなってしまいますので、ここは外務省さんにお聞きしたいんですが、あるいはその次に防衛省の方にも聞きたいんですが、ここをどうやって対応するのか。これは日本一国だけじゃなくて、米国を初め関係国家と連携して、絶対にこういうものをとめるような方策を、少なくとも連携をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、北朝鮮が世界三十カ国以上の銀行を狙ってサイバー攻撃をしかけ、多額の現金を盗んだ可能性がある旨の報道があることを承知しております。また、アメリカの大手サイバーセキュリティー関連企業の幹部が、五月にアメリカの議会上院の公聴会で、北朝鮮が昨年二月にバングラデシュ中央銀行にサイバー攻撃をしかけ、八千百万ドルを盗んだ疑いがあると証言したと承知しております。

 北朝鮮につきましては、このような経済的目的のみならず、政治的な目的のため、当局などが関与してサイバー攻撃やサイバー分野の人材育成を行っているとの指摘がなされておりまして、アメリカを初めとする関係国と連携しながら、こうした事案につきましても、重大な関心を持って情報収集、分析に努めておるところでございます。

 サイバー攻撃への対応は、我が国の安全保障、危機管理上の重要な課題として認識しておりまして、関係省庁とも相互に緊密な連携を保ちつつ、引き続き緊張感を持って対応してまいりたいと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、みずからの情報通信ネットワークの防護を任務といたしております。そのため、サイバー攻撃に対処するための体制といたしまして、サイバー防衛隊が情報通信ネットワークの監視及びサイバー攻撃への対処を二十四時間体制で実施しているほか、各自衛隊のシステム防護部隊がそれぞれの情報システムの防護に当たっております。

 金融、電力やガスといった重要インフラに対しましてサイバー攻撃というものがあった場合でございますけれども、これは一義的に各事業者が対処を行いまして、重要インフラ所管省庁や防衛省などの関係省庁は、内閣サイバーセキュリティセンターを中心といたしまして、サイバー攻撃を受けた事業者等に対しまして必要な支援や協力を行うということになっております。

 いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしましては、社会全般におけるサイバー空間の安定的な利用の確保は極めて重要であるという認識のもと、内閣サイバーセキュリティセンターに対しまして、情報共有や要員派遣など、政府全体としての総合的な取り組みに積極的に貢献していく所存であります。

北神委員 だから、これは、萩生田先生、こういう状態ではやはりだめなんですよ。一般論だけですよ、今の。やはり、北朝鮮を標的にして、各国、こうやってサイバー対策をやるんだということを考えないといけない。

 これで私、質問を終わろうと思っていたんですが、この件で役所にいろいろ問い合わせると、たらい回しにされるんです。今の防衛省も、審議官がおっしゃったように、いみじくも、うちの自衛隊の防護に限定をしているんです。各省庁、自分の省庁あるいは自分の業界に限定をしている。

 では、内閣サイバーセキュリティセンターという、これは近藤洋介先生もかかわって法案をつくった議員立法に基づいているらしいんですが、そこに聞くと、いや、我々は統括していない、我々は単なる調整官庁だと。だから、北朝鮮の、そんな方針とか、そんなものは何も考えていない。

 つまり、どこも今、考えていないような状況なので、それで、お忙しいのに官房副長官にお越しいただいたのは、まさにこれはちょっと立て直さないと危ないということを申し上げたいためであります。

 資料をごらんいただきますと、四ページですが、一応、NISC、内閣サイバーセキュリティセンターというのは立派な組織立てになっていまして、国際戦略とか。私てっきり、国際戦略だから、こういうことをここで考えているのかなと思いますよね。事案対処分析とかね。でも、北朝鮮、どうなんですか、いや、我々これは所管外です、警察庁に聞いてくださいとか防衛省に聞いてください。

 こういうていたらくなので、やはりここを中心に、しっかり、政府として、最終的には総理大臣が自衛隊の指揮官ですから、ですから、そこをやはり組織として立て直していただきたいのと、もう時間がないので最後の質問にしますが、もう一点は、最後の資料の六ページだと思いますが、菅官房長官が三月の記者会見で、「日本が積極的なサイバー戦術を行うことはあり得るのか?」という質問に対して、下線を引いていますが、「我が国としては他国にサイバー攻撃することは想定していません」と。

 しかし、サイバー攻撃というのは、皆さん御案内のとおり、普通の軍事防衛とは全く違っていて、急迫不正の脅威とか、そんなことを待っているような事態ではもう遅過ぎる。極端に言えば、全て日本のコンピューターが使えなくなってしまうとか、そういうおそれもありますし、原発にいたずらをされることも現実に今までもありました、イランの方で。大規模な停電もグルジアでありました。

 こういったことで、ほとんど戦争ですので、あるいは、少なくともテロですので、ここの部分で、ただ防衛を、やはり、役所に聞くと、どうやって守るかとか、やられた場合にどういう次善の策があるかとか、こういう話ばかりなんだけれども、サイバーについては、専守防衛も何もなくて、やはり積極的に外国も攻撃する、こういう方針を持たないと、これはもちろん、いろいろな法律の整備もしないといけないと思いますが、これをぜひやらないと、私は、北朝鮮問題を初め、サイバー戦争には勝てないというふうに思っていますので、ここは萩生田先生、ひとつ力強い答弁をお願いしたいと思います。

萩生田内閣官房副長官 北神先生がおっしゃった、現状は確かに、さまざまな規模ですとか程度に合わせて、関係省庁、多岐にわたりますので、その都度、内閣官房にメンバーが集まり、そして、サイバーセキュリティ戦略本部と緊密な連携のもと、NSCにおいて、政府としての対応方針を審議し、対応策を講じているわけなんですけれども、では、常にその体制でいいのかという御指摘をされれば、問題意識はございます。

 これは、きょうの御質疑を踏まえて、ぜひ持ち帰らせていただきたいと思います。

 あわせて、サイバーアタックに関してなんですけれども、アタックと言うとかわいく聞こえますけれども、要はサイバーテロですよ。総合的に武力攻撃事態になる中にサイバー攻撃が入っている場合は、現行の法律で確かに反撃のオプションというものも考えられるんですけれども、現在、単体で来るサイバーテロ、サイバー攻撃に対しては、確かに、反撃をするということを日本政府としては現段階では想定をしておりません。

 しかしながら、今いろいろお話がありましたように、例えば、生活にかかわる水ですとか、さまざまな施設が狙われたり、あるいは、人工呼吸器で延命を図っている、そういう医療機関などが狙われれば大量の国民が命を失うという危険性も当然あるわけでありますので、きょう先生から貴重な御指摘をいただきましたので、サイバー安全保障の確保のために何ができるかについて、具体的な状況に応じ、また、サイバー攻撃をめぐる情勢や国際的な議論を踏まえつつ、しっかり検討を加えていきたいと思っています。

 御案内のとおり、かなり緻密な法律をつくっていかなきゃならないというふうに思いますので、その辺はまたお知恵をかしていただければありがたいというふうに思います。

北神委員 どうもありがとうございました。終わります。

浮島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民進党の近藤洋介です。

 午前中に引き続き本日は一般質疑でございますけれども、この後に、北朝鮮への制裁に対する採決が予定されております。いわゆる飛翔体といいましょうか、ミサイルの発射など、国際社会で容認されない行為を繰り返す北朝鮮に断固抗議するとともに、このような状況にある以上は、北朝鮮に対して引き続き厳しい措置が必要であるということをまずもって表明したい、このように思います。

 その厳しい措置が必要であるという前提に立ちながらでありますが、ミサイルは目に見える脅威であります。ただ、同時に、午前中、敬愛する同僚議員である北神圭朗議員からも指摘がございましたが、見えない脅威に対する備えも大切、重要でございます。

 それは何かといえば、サイバー攻撃であります。コンピューターウイルスなど情報空間における攻撃、いわゆるサイバー攻撃に対する備え、あらゆるものがネットにつながるIoT時代となると、このサイバー攻撃に対する備えが非常に重要になっておる。我が国にとって最重要課題になっておるわけであります。

 そこでまず伺いたいわけでありますが、サイバー攻撃は、国内犯罪のケースもあるわけでありますが、容易に国境を越えて行われるということが大きな特徴であります。我が国の政府機関や日本企業等に対するサイバー攻撃については、最近は、中国からによるものに加えて、北朝鮮によるものがふえているとの見方もあるわけでありますが、政府は、北朝鮮による我が国へのサイバー攻撃の現状についてどのような状況にあると把握をされておるのか。また、どの程度の脅威が存在しているというふうに認識をされているのか。

 この点について防衛省と内閣情報セキュリティー室それぞれに伺いたいと思うのですが、まず内閣官房、お答えいただけますか。

三角政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、海外において北朝鮮の関与が指摘されているサイバー攻撃、そういうものがあるというふうに承知しております。我が国におきましても、政府においては、我が国に対するサイバー攻撃について、関係機関と連携して情報収集、分析等を行っておるところでございます。

 一般論として申し上げますと、サイバー空間におきましては、組織的で極めて高度なサイバー攻撃が我が国の組織に対して行われていることを把握しておりまして、引き続き、緊張感を持って対応したいと考えております。

小林大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、北朝鮮のサイバー攻撃につきましては、北朝鮮はサイバー攻撃を核、ミサイルと並ぶ三大攻撃手段として位置づけております。また、北朝鮮の関与が指摘されるサイバー攻撃の事例というものも見られております。

 例えばなんですけれども、二〇一四年末に発生いたしましたアメリカの映画会社へのサイバー攻撃、あるいは、二〇一六年二月に発生をいたしましたバングラデシュ中央銀行などへのこうした金融機関へのサイバー攻撃、また、二〇一六年九月に発生をいたしました韓国軍の内部ネットワークに対するサイバー攻撃なども、北朝鮮の関与が指摘されているところでございます。

 こうしたことがありますため、我が国に対する北朝鮮からのサイバー攻撃も十分に想定されると考えておりまして、防衛省といたしましても、北朝鮮のサイバー部隊やその能力につきまして、重大な関心を持って、引き続き、必要な情報の収集、分析に努めてまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 午前中の北神議員と内閣官房副長官の質疑も踏まえてでしょうか、若干、政務官の答弁も午前中よりは進歩が見られたかなというか、防衛省の答弁が、防衛省の事務方の答弁よりは政務官の答弁の方がきちっとした答弁になっているということで、午前中の質疑がよかったな、こういうふうに受けとめているわけです。

 そういったことに立ちながら、加えて伺いたいと思うんですが、一定、北朝鮮はまさにサイバー攻撃を大事な攻撃手段として彼らなりに育てているという認識でございまして、もう少し具体的に伺いたいと思います。

 北朝鮮では、いわゆる、報道等によると、選抜されたエリート集団をサイバー部隊に集めて、毎年五百人程度がサイバー兵と言われる形で集められて、現在は七千人ものそうした部隊がいるという情報もございます。実際にはどういった状況に具体的になっているのか。

 また、その攻撃力です。これまた伝えられているところによると、米国や中国にはやや劣る、中レベルというふうなことだということに言われておりますけれども、この辺の実力というのはどうなのか。

 これもそれぞれ内閣官房及び防衛省、お答えいただけますか。

三角政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮におけるサイバー部隊の一つといたしまして百二十一局がございまして、同部隊は、偵察総局の隷下に置かれ、サイバー攻撃を統括し、最大の実行部隊であるとの指摘がございます。

 百二十一局を含むサイバー部隊の規模につきましては、韓国国防白書によりますと、約六千八百名とされていると承知しております。

小林大臣政務官 委員のただいまのサイバー兵に関する御質問につきましては、北朝鮮におけるサイバー部隊の一つといたしまして一二一局と呼ばれているものがあるとされております。

 この一二一局という部隊は、偵察総局の隷下に置かれておりまして、サイバー攻撃を統括し、最大の実行部隊であるとの指摘があります。

 この一二一局を含むサイバー部隊の規模につきましては、まさに今委員御指摘のとおり、韓国の国防白書によれば、約六千八百名とされているものと承知をしております。

 具体的なコメントというものは差し控えさせていただきますけれども、北朝鮮はサイバー攻撃を、先ほど申し上げましたとおり、核、ミサイルと並ぶ三大攻撃手段として位置づけているとされておりまして、また、この北朝鮮の関与が指摘されるサイバー攻撃の事例が実際に見られているところ、防衛省としても、北朝鮮のサイバー部隊やその能力について、重大な関心を持って、引き続き、必要な情報の収集、分析に努めてまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 では、そこで伺います。

 大きなサイバー攻撃では、つい先ごろ、世界的なサイバー攻撃が行われたわけであります。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、この一ページ目、各紙で大きく報道されているわけでありますけれども、世界各地で、ランサムウエア、身の代金型のと言われるウイルスを使った大規模なサイバー攻撃が発生をしたということであります。大変大きな被害が世界各地で起きたわけでありますけれども、我が国においても、民間企業、例えば日立製作所さんやJR東日本、また、自治体でも被害が、一部とはいえあった、このように確認をされているわけであります。

 まずこれは、内閣官房において政府が把握している被害状況を伺いたいというのが第一点。そして、この事案について北朝鮮が関与したという疑いも生じているわけでありますが、今般起きた、このランサムウエアと呼ばれるウイルスを使った大規模なサイバー攻撃、我が国も被害を受けて、また世界各国で、中国、タイ、韓国、インドネシア等々で、また、ヨーロッパでも被害を受けたわけですが、これに北朝鮮が関与したという疑いも生じていますが、これについて防衛省はどのような認識をしているのか。それぞれお答えいただけますでしょうか。

三角政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の件につきましては、我が国におきましても被害があったとの報告を受けております。

 具体的には、委員御指摘のとおり、日立製作所、JR東日本のほか、東急電鉄とか川崎市、富士市、日立総合病院等で被害があったと報告を受けております。

 これらにつきましては、いずれも、人命や重要なサービスに影響を及ぼすようなものではなかったと承知しております。

 本件につきましては、政府の対応といたしましては、まず、本件がマイクロソフトウィンドウズの脆弱性をつくものであったことから、ソフトウエアアップデートを行うなどの対策を講じるよう、十三日土曜日から注意喚起を行ったところでございます。そして十五日には、官邸に危機管理の情報連絡室を設置いたしまして、情報収集を行ったところでございます。

 また、御指摘の北朝鮮の関与につきましては、そのような報道があったことは承知しております。

 政府においては、今月発生した大規模サイバー攻撃について、関係機関が連携して情報収集、分析を行っているところでございますが、詳細につきましては、我が方の調査能力が明らかになることから、お答えを控えさせていただきたく存じます。

 いずれにつきましても、報道にあるようなサイバー攻撃は、ITの信頼性を損ない、その利活用を阻害するものであることから、政府といたしましては、今後とも、サイバーセキュリティー対策の強化に努めたいと存じます。

小林大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のこのランサムウエアの件につきましては、まず、防衛省・自衛隊では現在のところ被害は確認されておりませんが、この事案の発生を受けまして、省内の関係機関には、当然のことながら、注意喚起を行ったところであります。

 そして、当該サイバー攻撃の攻撃源に関しましては、まさに委員御指摘のような報道があったということは承知をしておりますが、今、内閣官房からもお答えさせていただきましたとおり、特定の者からの攻撃の有無や内容を公表することは、攻撃者に防衛省・自衛隊の対応能力などを明らかにすることになってしまいますから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 具体的なことを防衛省がこの場で答える必要はないとは思いますが、私がやはり指摘をしたいのは、本件、北神議員も指摘をしましたし、午前中、官房副長官とも問題意識を共有させていただいておるんですが、やはりこのサイバー攻撃に対しても対応というのを、ぜひ防衛省も含めて内閣官房でしっかりやってもらいたい、こういうことなわけであります。

 ちょっと引き続き伺っていきたいと思うのですけれども、まず経産大臣に、この事案に対して大臣は非常に素早く対応された、こう思います。素直に評価をしたい、こう思うんです。週末を挟んででありましたけれども、大臣御自身は大変素早く対応されたとこう思うんですが、改めて、こうしたサイバー攻撃に対する、素早く対応したその思いというのをお伺いしたいんですが。

世耕国務大臣 第一報が入った時点では、ヨーロッパが非常に被害に遭っているんだけれども、日本では被害が広がっていない、それはちょうど土日だったからだ、もしかすると月曜日になると思いっ切り広がるんじゃないかという話がありました。

 私はちょうど地方出張で移動中でありましたけれども、直ちに指示を出しまして、経産省及び関係の団体のあらゆるルートを使って、徹底的に産業界に周知しろ、月曜日、出勤をしてきてパソコンをあけるときに何をすべきか、何をしてはいけないかということを徹底的に周知すべきだということを指示をいたしました。

 それを受けて、まずIPAとかJPCERT、こういったところが、企業や個人などに対して注意喚起を行いました。あと経産省も、各局が、所管をしている業界に対して、ともかく気をつけてくれ、先ほどNISCがお話ししたように、まずセキュリティーパッチを当てること、不審なメールはあけないこと、ウイルスソフトのアップデートをすること、こういうことを全部伝達をさせていただきました。

 さらに加えて、IPAが、これは一般の記者も集めて記者会見をして、ともかく月曜日注意をしてくださいということを周知をさせていただいたわけであります。

 今回は大規模停電とかそういうことには至らなかったですけれども、それでもまだ、企業で被害に遭ったところが出てしまったわけであります。

 改めて、これから、サイバーセキュリティーというものに、サイバーアタックというものに対しては、まさに災害対応と同じような心構えで、事案を認知したら直ちにアクションを起こして、みんなに注意喚起をするということをやらなければいけないということを改めて痛感をした次第であります。

近藤(洋)委員 今大臣がおっしゃったように、これも一種、災害対策と同様の危機意識を持たなければいけない、こうおっしゃった。全く私も同様だと思うんです。

 折しも、昨日ですか、個人情報保護法が完全施行されたわけでありますけれども、ビッグデータ時代になって、このデータというのがさまざまな形で電子化される。これから後半質問していきますけれども、IoT時代で新しい産業政策をやるということで、データ、インターネット、こういう世界になっていくときに、ある意味ではデータというのは、二十一世紀時代の経済における、言葉が適切かどうか、石油みたいなものであって、何かというと、石油がないと経済が動かないと同時に、データがないと経済が動かない。それを破壊するというのは、先ほどの萩生田副長官の言葉をかりれば、これはまさにテロ行為なんですね、それを破壊するというのは。テロ行為である。経済的なテロ行為であり、アタックというかわいいものではないと答弁されましたけれども、まさにテロ行為なんだろうと思うんです。経済を破壊する。

 経済を破壊するではなくて、現実リアルな問題としても、現実の問題としても、社会インフラを狙うとすると、相当甚大な被害が出るということだろうと思います。

 お手元の資料の三ページ目に社会インフラを狙ったサイバー攻撃の海外の事例を、これは経産省の資料を添付させていただいておりますけれども、二〇〇三年、原発の制御システム停止、五時間にわたって停止をした。二〇〇八年、トルコの石油パイプラインが爆発をした。さらにはドイツ、二〇一四年、製鉄所の炉が損傷を受けた。また、ウクライナでは変電所が六時間にわたり大規模停電が起きた。これだけ大きな、社会インフラが毀損している。我が国ではさすがにそこまでの被害はないものの、社会インフラでこれだけ大きなことが起きている。

 また、有名な話ですが、ロンドン・オリンピックでは、二〇一二年、毎秒一万件の不正通信を受けて、最後は手動で切りかえた。これは有名な話であるわけでありますが、まさにこうしたこと。

 社会インフラが毀損すれば人命にもかかわるということでありますから、経済活動のストップ、経済活動へのテロだけではなくて、人命にかかわるテロにもなるということですし、これは大変な社会的な混乱をするわけであります。

 ここで政府参考人に伺いたいわけでありますが、こうした問題意識にのっとって、それこそ政府に先駆ける形で、超党派で、平成二十六年に公布をされたサイバーセキュリティ基本法を我々は議員立法で制定をしたわけであります。席を外されてしまいましたけれども、内閣委員会で高木先生も理事で、私も野党の筆頭理事で当時おりまして、まさに一緒に提出をしてつくってきたわけでございます。サイバーセキュリティ基本法を成立させました。

 そこで、いわゆるNISC、セキュリティセンターの機能強化と同時に、戦略本部をつくり、その本部の機能を強化しということで体制を整えたわけでありますが、実際、きちんとそこが機能しているかというのが重要なわけであります。

 まず内閣官房に伺いたいんですが、我が国の少なくとも政府機関、公的機関に対するサイバー攻撃の現状はどのようになっているのか改めて伺いたいのと、それに対する体制は、基本法制定以来、陣容はどの程度強化されたのか、改めて御答弁いただけますか。

三角政府参考人 お答えいたします。

 内閣サイバーセキュリティセンター、NISCでは、政府機関へのサイバー攻撃等につきまして、二十四時間体制によって監視体制を行っているところでございます。

 この監視活動によりまして政府機関への脅威と認知された件数は、平成二十七年度は六百十三万件で、これは対前年度比で一・五倍、約五秒に一回の脅威を認知しております。また、不審な通信等を検知し対処が必要と判断された際には、当該政府機関への通報を行っておりまして、平成二十七年度には百六十三件の通報を行いました。

 それから、政府の体制強化の点でございますが、政府機関等のサイバーセキュリティー対策につきましては、サイバーセキュリティ戦略及びサイバーセキュリティ基本法を踏まえまして、抜本的な強化を図っているところでございます。

 具体的には、GSOC、二十四時間三百六十五日、政府機関等を監視するところでございますが、ここについては、システムも更新いたしまして、解析能力の強化も行っているところでございます。

 また、統一基準群の改定によりまして、政府のルール、こちらについても強化をしていまして、そしてシステムの防御策、そして事案対処体制、この強化を図っているところでございます。政府機関に加えて、法改正をいたしまして、独立行政法人、それから指定法人等の監視、監査も開始したところでございます。

 さらに、体制でございますが、昨年度、各府省庁にセキュリティー対策等を担う専任の審議官等を新設いたしまして、当該審議官等の主導のもと、人材育成、体制の整備等を計画的に推進しているところでございます。今年度も約八十名の本省部局の方の定員強化を行ったところでございます。

 それからNISCにつきましては、まさに委員御指摘の、法律の前のときは、NISC、約八十名体制でございましたが、現在は強化いたしまして、全体で、この四月現在で百八十人体制で取り組んでいるところでございます。

近藤(洋)委員 少なくとも、まだまだアメリカ等と比べると少ないとはいうものの、相当強化してきたのは事実なんです。ですから、内閣官房におかれては、ぜひ、責任感を持ってもう一つは司令塔機能を発揮してもらいたい、こう思うわけであります。防衛省、そして警察、そして経済産業省、外務省等を束ねる役割として、内閣官房がしっかりと主体的に行動してもらいたいということだろうと思います。

 そこで経産大臣にお伺いしたいんですけれども、政府機関の強化というのはこれからだと思うんですけれども、徐々に体制を急ぎつくってもらわなきゃいかぬのですが、大事なのは、インフラは全部政府がやっているわけじゃなくて、電力会社があり、ガス会社があり、通信会社があり、JR、民間鉄道があり、金融がありということで、ほとんど民間なわけであります。ここはガバメントリーチの外の話のわけです。かつ多くの企業がある、こういうことでありまして、ここは特に社会インフラ等は、やはりかなりの部分、産業界というか企業を所管する経産大臣の大きな責任範囲になるだろうと思うわけであります。

 こうなると、ここの重要インフラを中心とする情報セキュリティー対策というのは、経済産業省が相当責任感を持って取り組んでもらわなきゃいけない分野だろう、こう思うわけであります。

 ここについて経産大臣、どのように認識をされているのかということと、あわせて、やはり全部が全部公務員でするわけにはいかぬわけでありまして、要は、民間人も含めて、どうやってこのサイバーセキュリティーを担う人間を養成していくか、人材を確保していくか等々さまざまな課題があるわけですけれども、特に人材の育成というのは、極めて重要になってこようかと思うわけであります。

 こうした人材の確保の点について、どうやって仕組みをつくっていこうとされていくのか。この点に絞ってまずはお答えいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 東京オリンピック・パラリンピックというのもありますし、重要インフラのサイバーセキュリティー、サイバー攻撃からの防御というのは非常に重要だというふうに思っていまして、経産省と、そして独法のIPA、これが連携をして、重要インフラへのサイバー攻撃に対する防御力の確認や改善計画の策定などを進めていっていますし、また、重要インフラ対策の中核を担う人材育成などにも取り組んでいるところであります。

 ただ、私、まだ不十分だと思っていまして、経産省関係の独法ということで、実は、重要インフラと言いながらそこにぶら下がっているのは、電力とかガスとか化学とか自動車とかそういうところでして、うちの経産省の所管じゃないインフラ、例えば鉄道とか金融とか、そういったところもできれば一元的にしっかりと防御していく仕組みは組み立てていかなければいけない。

 これは今、政府でも問題意識は共有して、重要インフラ、横串を刺してしっかり守っていくという体制を今組み立てつつありますし、今度IPAが立ち上げた産業サイバーセキュリティーの人材センターでは、これは経産省所管以外の業界からも人を送ってもらっていまして、ようやく今連携ができつつあるのかなというふうに思っています。

 おっしゃるように、人材は非常に重要です。IPAでようやく育て始めた人材がまだ八十人というレベルですが、二〇二〇年までには、やはり数万人単位でサイバーセキュリティーに知見のある人材が必要だというふうに思っています。少なくとも、重要インフラを担っている企業で、課に一人ずつぐらいは精通した人がいるという状態にならなければいけないというふうに思っていまして、人材育成、急ピッチで民間と連携しながら頑張っていきたいと思いますし、国家資格として情報処理安全確保支援士という制度も創設をいたしました。

 また、セキュリティ・キャンプというのをやって、若手の人材発掘、育成に取り組んでおりますし、先日は、和歌山の白浜というところで学生向けのセキュリティーコンテストもやりました。何と優勝したのは、東大を抑えて木更津工業高等専門学校だったんですけれども、そういう若いうちからの人材発掘みたいなこともやらせていただいていますし、やはりあとこの分野では、アメリカ、イスラエル、これが非常に先行しています。

 ここはもう謙虚に彼らの力もかりるべきだというふうに思っておりまして、イスラエル、アメリカなどといろいろ協力などもしっかりと進めていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 大臣、大変大事なことをお答えいただいたと思うんです。まさにその取り組みは重要だ、こう思うわけであります。

 とりわけ、お答えされた、本年四月ですか、情報処理推進機構に新たに設置したサイバーセキュリティセンター、この取り組みとして私も注目をしておるんですが、大変大事な取り組みだろうなとこう思うんです。

 ここを核に人を育てていくということなんでしょうけれども、せっかく商情局長が来られているので、事務方で結構なので、具体的に、サイバーセキュリティセンターでどういう人たちを集めてどういうことをされようとしているのかということを、今大臣御答弁もされましたけれども、もう少し補足的に御答弁をいただけますでしょうか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今大臣から御答弁申し上げましたように、IPAに、重要インフラの防御を専門で扱うインフラの防衛センターというものを今回設置をさせていただきました。大臣から御答弁申し上げましたように、現在、約八十名の方、これは六十の企業から参加をして、来ていただいております。電力、ガス、鉄鋼、石油関係、それに加えまして、先ほど御答弁がございましたように、他省庁でございますけれども、鉄道関係、そして、一部自衛隊の隊員の方もお入りいただく、あるいは、空港ビルを含めたビル管理というのも、これも重要なインフラでございますので、こういった他省庁関係の所管事業からも御参加をいただいております。

 これは、約一年間、かなり実践に基づいた徹底的な防衛と攻撃双方についての訓練を行わさせていただいております。先ほど御答弁ありましたように、アメリカの国土安全保障省とも連携をとりながら共同演習などを行ってまいりたい。こういった人材育成が一つと、それと、インフラについて、現実のインフラを対象といたしまして、どこに脆弱性が存在をしているのか、どこからどういう形で侵入をされるのかということを、実際にある種のホワイトハッカーをつくって攻撃の模擬演習を行う、こういうことが大変大事でございます。

 これによりまして、いわば現実に直面をするということが経営者の方にも可能になってくるということで、いわゆるペネトレーションテストと言っておりますけれども、こういったことを今後政府が主導いたしまして、例えば、IPAがチームを編成しながら個々のインフラに対してそういうチェックを行って、システム全体の脆弱性なりなんなりというものについて客観的な認識を共有化していく、こういうことが大変大事だと思っております。こういう機能を見直したいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ大臣、この取り組み、大事なことをされているなとこう思いますし、御答弁いただいたように、金融関係もあるでしょうし、経産省所管に限らず、さまざまな方々を集めて徹底的に人材を育てる場に育ててもらいたいなと思いますし、事務方にレクチャーを受けたら、恐らく予算がかかるんじゃないかと聞いたら、補正で最初やって、また、運営費もということでしたが、こういう部分はやはりお金がかかると思います。しっかり来年度予算でも確保されたらいいんではないか。まあ私が言う話じゃございませんが、これは大事な話だと思います。こういうところが大事だと。

 加えて、大臣ももう御答弁されましたけれども、確かに海外の方との連携という御答弁、これも非常に重要なので御答弁いただきましたけれども、米国やイスラエルのそういった有識者をここに入れて深く連携をとっていただくということだろうと思います。

 安藤局長が答弁されたように、ディフェンスだけじゃなくて、要するにアタックの両方、多分そのセンターでは学ぶんだろうと思うんです。そういうことを通じて本当の意味でのディフェンスができるんだろうということだと思いますし、この取り組みは民間重要インフラを守るための取り組みですけれども、多分、政府全体においてもしかりなんだろうと思うんです。

 ぜひ、世耕大臣、また防衛政務官、政府におかれては、その役割をNISCにしっかり担わせるように指導をしてもらいたい。

 NISC、セキュリティセンターのセンター長は、あれは官房副長官補ですよね、三角審議官。副長官補は防衛省出身の補がやられる副長官補であられて、そして審議官は、経産省そして総務省等々出ているわけですから、もうそこは縦割りだ何だということの言いわけができない内閣官房の組織体になっているはずでありますから、法的に足りないというのであれば内閣委員会で法案を出せばよいのであって、余談ですが、何か内閣委員会は、今国会、非常に法案があいているようでありまして、なぜ法案があいているのか不思議でございますけれども、なぜあいているのか、いろいろな理由があるのかもしれませんが、それはともかくとして、ぜひ法の改正が必要なら、NISCを強化する必要があるならば、法改正をしてでも結構ですし、体制の整備を急ぐべきだということを申し上げておきたい、こう思うわけであります。

 そこでもう一つ大臣にお伺いしたいんですが、こうした体制の整備とあわせて、やはり民間企業に積極的に取り組ませなければいけない。

 そうだとすると、民間企業に費用がかかるんです。人材が育っても、設備投資も必要だし人材投資も必要だ。こうなると、やはり民間企業にセキュリティーの必要性を認識してもらうことが重要だと思います。

 加えて、ちょっと時間の関係上、順番を入れかえますけれども、今回の産構審で議論された新産業創造政策の中にもしっかりとサイバーセキュリティーのことが書かれておって、この中に、サイバーセキュリティー投資を促進する制度の検討というのが盛り込まれております。資料の十ページ目に書いているんですが、「サイバーセキュリティの強化」というところで書いておりますが、これが産構審の新しい産業政策の中の「サイバーセキュリティの強化」の欄ですが、ここで私がちょっと注目して、ぜひやるべきだと思っているのは、「企業等におけるサイバーセキュリティ対策投資を促進する制度等を検討」、こういうふうに書いてある。なるほど、こう思いました。

 私に言わせると、ここはやはり税制なんじゃないかと思うんです。企業に投資をさせるのなら、やはり税制の優遇なりをさせるということが大事なんだろう、こう思うわけであります。

 産構審の新たな新産業ビジョン、数年ぶりに書いた新しい新産業ビジョンにもしっかりと書いているということでありますから、多分、世耕大臣の頭の中にはもう既にイメージもでき上がっているんじゃないかな、こう思うわけでありますが、サイバーを重要だと思うのであれば、ここはやはり税で踏み込むというのも、これは経済産業省の役割じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 私も過去経験がありまして、二〇〇〇年代初頭、まさにインターネットの黎明期のときに、中小企業を中心に、ファイアウオールという最低限の防御システムすら置いていないところが多かったので、このとき、二〇〇〇年代初頭ですけれども、サイバーセキュリティー減税というのをやりました。設備投資を即時償却できる仕組みを入れて、これでファイアウオールが一気に広まって、何とか最低限の防御はできるようになったということであります。

 現在も、一応、サイバーセキュリティーに関する製品の購入は、税額控除を行うなど、制度は今あるんですけれども、さらなる拡充が必要かどうか、これだけサイバーセキュリティーが言われている状況でありますから、よく検討して、具体的に議論を進めていきたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 これは私は極めて重要な話だと思うんです。経営者の意識の改革等も大事だと思うんですが、やはりここで、経済産業省が税制にも切り込むんだということで大臣が旗を振られて、そして、そこにおられる局長さんたちが掲げて、税制改正で経産省を挙げて財務省と戦う、そして税制改正をとるとなると、一気に、国家として重要だということを政府も認識しているというあかしになるんだろう、こう思いますので、ぜひここは何らかの税制の措置はあっていいんじゃないか、私はこう思いますので、今御答弁いただきましたけれども、御検討をお願いしたい、こう思います。

 それでは、産業構造審議会、新産業ビジョンについてお伺いをしたいと思います。

 先週ですか、新しい産業ビジョン、新産業ビジョンを経産省が策定をされて、それが新しい成長戦略ですか、昨日、政府全体でも決められたというふうに報道されておりますが、お手元の七ページに、ソサエティー五・〇、新産業ビジョンということで書かれております。

 本体はこれぐらい厚いものでございますけれども、読みました。柳瀬局長もおられますけれども、産業政策局挙げてつくられたんでしょう。率直に言って、結論から言うと、よくできていると思います。あえて言うと、これから出られる福島議員がどういう評価をされるかわかりませんが……(発言する者あり)否定しますか。私は、まずよくできていると思います。理由を述べるとこれで終わっちゃいますので、一定の評価をしたいと思うんです、一定の評価は。私もあの成長戦略を民進党時代につくった人間からすると、安倍政権の中でできた数々の政策の中ではいい方だと思います。安倍政権の中の政策の中ではまだいい方ではないかと思うんです。

 その上で、もう時間もあれなので、一つ具体的な項目を伺いたいんですが、この中で、ソサエティー五・〇を実現するといういろいろな総論、さまざまなことを書いているわけですが、具体策の中で、レギュラトリーサンドボックスの導入を入れている、こういうことなんです、手法として。

 これは、法律などの規制を一時凍結をして、全国で実証を可能とする。砂場の遊び場という、直訳するとそういう言葉なんですけれども、遊び場、砂場で遊んで、だけれども、うまくいったら全国に広げましょうというような、一種の規制改革の手法としてのこれを取り入れようということのようであります。プロジェクトごとの特区、特区のプロジェクト版ということとしてこの手法を入れているということのようでありますが、私は、それなりに一つの手法かなと思って受けとめさせていただきました。

 ただ、大臣、きょうはこの点を伺いたいんですが、この手法はそれなりにおもしろいとは思っておるんですけれども、というのも、規制の組みかえ、新しい制度をつくろうというのはなかなか難しいわけでありまして、私も政権にいるときに規制改革推進会議でいろいろ議論をさせていただいて、なかなか難しい。うまくいったケースもあるし、いかなかったケースもあるわけです。難しいわけであります。

 そういう中で、一つの手法としてこういう手法はあり得るな、こう思うわけでありますが、問題は、果たしてそれが、公平に、公正に、いい制度を選んできちんとできるかということ、プロセスが難しいと思うんです。プロセスが難しいんです。

 何となれば、まさに今や特区制度も、例えば、我が党で活躍をされている後藤祐一衆議院議員なり、それこそ福島衆議院議員なりが役所にいらしたころ、特区制度をつくり、この精神は非常にいいわけです、特区制度。我々も特区制度を、民主党政権時代にはこの法律を運用してきましたし、いい制度だと思ってつくってきたわけであります。

 しかしながら、残念ながら使い方を間違うと、多くの疑念を生むというのも事実なわけです。なぜ疑念を生んでいるかというのはこの場で繰り返す必要もありませんが、文部科学省の次官経験者の方が、異議あり、ゆがめられたという記者会見をせざるを得ないような、事実としてこういうことも起きている。こういうことなんです。

 だとすると、やはり、透明感、公正感を持って進めなければいけない。こういう課題もあろうかと思います。

 要するに、そういうハードルがあろうかと思いますが、このサンドボックスの導入、どのように取り組むおつもりなのか。大臣、お答えいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 これは、特区制度、いろいろな特区制度、民主党政権も自民党政権もありますけれども、当然、決めるときは透明かつ公正に決めなければいけないというふうに思っております。レギュラトリーサンドボックスの導入に当たっても、当然その精神に立って行うということだと思います。

 多少、各省庁はそういうところで規制をこじあけられる立場ですから、その立場の人が不満を言うというのは、これは心情としてはわかりますけれども、それなりのポストにあった人が後になって言うというのはいかがなものかとは思いますけれども、いずれにしてもレギュラトリーサンドボックスについては、今までの国家戦略特区等と同じように、透明にやっていきたいというふうに思っています。

 具体的には、これから具体的制度設計、まだ正式決定したわけではありませんから、やっていきますけれども、まず参加者や期間を限定をして、実証する内容とリスク、当然、実験的にやるわけですからリスクもあり得るわけですから、リスクを説明した上で、参加者の同意を前提としたプロジェクト単位の取り組みになると思います。

 これは、だから単にその企業に何か認めるというよりは、そのエリアとかそういったところで多少リスクのある実験を行う、そこをサンドボックスとしてやるということになるわけですから、いろいろな説明とか地域の了解とか、そういったことも非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。

近藤(洋)委員 私はこの取り組みを否定するつもりもないですし、ぜひトライをされたらいいと思うんですけれども、やはり制度設計が重要だと思いますので、恐らく法案事項になるでしょうから、しっかり議会においても議論させてもらいたいと思いますし、我々党としても、注目をしながら議論を党内でもさせてもらいたい、こうこの場では申し上げておきたい、こう思います。

 あともう一つ、この新産業ビジョンで幾つか申し上げたいんですが、時間の関係で、私なりの一点、この場で伺いたいことを申し上げたいと思います。

 いずれにしろ、やはり産業ビジョンの中で担い手は、人であり企業なんですよ。人についてはいろいろなことを書いています。私はきょうこれは産業政策局長に伺いたいんですが、企業なんです。企業について、日本の企業、持続的な価値創造に向けた企業をどうするか、どういった日本の企業社会をつくるかということ、これが産業政策のずっとかねてからの課題であって、我が国の企業が投資家にたえ得る企業になるべきである、企業のガバナンス改革というのを経済産業省産業政策局がずっと掲げてきたわけでありますが、ここに、企業の開示制度、長期投資の重要性が必要である、そして我が国の開示制度が重要である、また、この中には、世界一効率的また効果的な開示制度を実現する、コーポレートガバナンスも立派なものをつくらなければいけないということを高らかにうたっております。

 そこで局長にお伺いしたいんですが、我が国のコーポレートガバナンスの水準及び開示の現状は、米国を百点とすると、一体何点だとお考えになりますか。

柳瀬政府参考人 お答えいたします。

 私ども、コーポレートガバナンス、日本は今まではいわゆる日本的経営ということで、目指すべき姿、企業の長期的価値の向上、それは、株主、従業員、顧客、取引先への還元ということでございますけれども、そこに向けてまだ発展途上だというふうに思ってございます。

 ただ、その百点がアメリカだというわけに必ずしも思っているわけではございませんで、やはりアメリカのシステムには、行き過ぎた株主至上主義だというような御批判もありまして、アメリカをただまねればいいということでもないと思ってございまして、なかなかそういう意味で点数をつけるのは難しいと思っていますけれども、方向としてはさらに進めるけれども、だからといって、アメリカの悪いところまでまねちゃいけないな、こういうふうに思ってございます。

 それでポイントは、コーポレートガバナンスの形式から実質へということなんですけれども、それは何を言っているかというと、経営者の人が、大胆な投資と、長期的な投資と再編を決断できるようにするということで、社外取締役などの外部の視点を取り入れた経営の規律の強化、あるいは、相談役や顧問についての外部への情報発信などを明記したような指針をつくりました。

 それから、財務情報の開示、先生から御指摘のあった点についても、日本の場合には、会社法とか金商法とか東証のルールとか、山のような、同じような開示を誰も見ないのにいっぱいつくってございますので、そこを整理をするとともに、企業戦略とか、そういう大事な非財務情報の開示をむしろ充実をさせるということで、先生御指摘になったような、世界でも高い水準の効率的、効果的な開示を目指して、その結果、思い切った長期投資が行われるように目指したいと思っているところでございます。

近藤(洋)委員 では局長、質問をかえましょう。

 この五年間で我が国の上場企業の開示というのは、経済産業省産政局が思い描いている状況に向かってよい方向に進んでいるとお考えか、それとも現状維持なのか、それともちょっと悪化していると考えているのか、どっちなんでしょうか。

柳瀬政府参考人 社外取の数など見ても、顕著に数字はよくなっていると思います。ではそれに実質が伴っているかというと、日本的な横並びで、みんな形式的に社外取を入れればいいや、こういうことが多数出ていますので、これからそれを実質にするということがポイントだと思ってございます。

近藤(洋)委員 では、これは数字がそうだということで全体のことを伺いましたが、産業構造審議会ではどうかは別にして、経団連会長を過去輩出をされて、また、政権下でも産構審のメンバーにもなられた企業でもある東芝が、少なくともこのような開示状況に陥っている。社外取も形式的には入れているという形式は整えたにもかかわらず、まさに監査法人からも開示よしという状況になっていない。こういう状況になっている。

 まさに、経済産業省の政策に意見をする役員を輩出した企業ですらそのような経営に陥り、かつ、決算の数字も一カ月間で大きく変わるといったこのような状況に陥っているということをもって、これは代表例なのだと思いますが、このような状況でも、日本の企業開示が数字上はよくなっているというふうな御答弁、局長できますか。

柳瀬政府参考人 まさに先生御指摘のように、東芝の例をおっしゃいましたけれども、まさに典型だと思っていまして、東芝も委員会設置会社をいち早く入れた会社で、当時、コーポレートガバナンスの代表選手みたいに、フロントランナーみたいに言われていましても、結果これでございますので、そういう意味で、最初のころにやっていた、社外取をやる、できれば二人にする、そういった数字だけじゃだめだよなということで、どういう人が社外取の役割を担うか、それから、どうやって人事の選定をするようなメカニズムをつくるかということを、今ガイダンスを公表して、これを徹底していこうということでございます。

近藤(洋)委員 武士の情けなのでこれ以上は聞きませんが、私は、大事なことは法令遵守なんだろうということだけは申し上げたいと思います。

 幾ら社外取を入れたり形式上やっても、法律に基づいて上場はできるかどうか、法律に基づいて会計基準に合っているかどうか、法令に基づいてその企業が存続できるか、これをきちんと運用するかどうかが、私は、その国の透明性なり市場の透明性の全てなんだろうとこう思います。

 そのことをきちんと実現できなければ、幾ら何を書いても、日本の企業の透明性なり日本の企業のガバナンスといったことを幾ら産構審で訴えても、絵に描いた餅になる、あの東芝ですらしかりとなると、まさに法令に基づいて例えば東芝の案件もきちんと扱う。それは、マーケット、東証においてもそうでありますが、会計もそうでありますが、経済産業省における扱いもそうでありますけれども、そのことを徹底することが、ここに書いてある、世界でトップクラスの状況である。

 その法令は国々によって違いますよ。アメリカの法令もあるし日本の法令もあるけれども、その国の法令どおりにできないということであれば、それはお話にならないということではないかということを申し上げて、時間ですから質問を終わります。

浮島委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民進党の福島伸享でございます。

 一般質疑ということで、幾つかのことをお伺いさせていただきたいと思っております。

 まず資料をお配りさせていただきましたけれども、この委員会でも何度も問題になっております、問題というか話題になっております、次官・若手プロジェクトの「不安な個人、立ちすくむ国家 〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」。本当にいろいろあちこちで話題になっておりますけれども、まず冒頭、大臣、これを読んでの御感想、どのようなものであったかお聞かせください。

世耕国務大臣 この報告書は、若手職員が通常の業務を行いながら、有識者とフリーディスカッションなどを通じて意欲的に検討したものだというふうに思っています。

 特にこの資料の中で、戦後の高度成長期につくられた制度が人々の中に固定観念として固着化をしていて、少子高齢化といった社会構造の変化や変わりつつある価値観に対応できていないのではないか、この問題点を提示しているところが非常に重要なポイントではないかなというふうに思います。

 ネット上でかなり盛り上がっていまして、最初はわあっと賛成ばっかりだったんだけれども、途中からかなり批判も出てきて、こんなこと、言っているだけじゃないかみたいなことを言われたんですが、若手職員がやはり問題意識を持って世の中に投げかけたということが極めて重要だというふうに思っておりまして、意義のある取り組みだと思っていますし、これをただ単に若手の報告書に終わらせることなく、必要に応じて他省庁とも連携をしながら、この取り組みの結果を具体的な活動につなげていこうという、民間の人々とも連携をしてやっていきたいというふうに考えておりまして、さまざまな官民の知恵を集約をして、政策につなげていくような取り組みにしていければというふうに考えております。

福島委員 きのうのあの職員へのレクが効いたのか、全部お答えになってしまっていて、模範答弁が手元にあるみたいですけれども、大臣がおっしゃるように、戦後つくられた制度が対応できないというのは、もう私が役所にいるころからそう思われていたんですよ。

 私が役所に入ったのは平成七年、一九九五年ですけれども、思い返してみたら、そのころの日本の一人当たりのGDPは世界三位、ルクセンブルク、スイスに次いで三位だったのが、今は二十八位ぐらいですよね、多少数字のとり方によって違いますけれども。二十年たってこれだけ落ちて、私、八年間、経済産業省にいましたけれども、この二十年間の前半を経済産業省にいた身としては、非常にじくじたる思いがあるんです。制度が、世界の変化、技術の変化、さまざまな時代の変化に対応できないまま過ぎてしまったという思いは、私もこの若手役人の人たちと同じ思いなんです。

 中身は、先日、木下委員の説明に対して高橋官房長が詳細にお話しになりましたので私はあえて繰り返しませんけれども、本当にこの意気込みはよしだと思っております。経済産業省だからこそおやりになったことだと思いますし、非常にその意気込みは買おうと思う。中身は、議論したらそれはいろいろあるんです。幾らでも批判できるんです。

 一つは、ちょっとスケールがちっちゃいなと思うんですよ。この一の三というところに、「グローバルメガトレンドと今回の議論のスコープ」と書いてあって、いろいろなグローバルメガトレンドのことがあって、こうしたグローバルメガトレンド、日本だけじゃなくて、世界で抱えているさまざまな問題、格差の問題もそうでしょうし、宗教を原因とする対立の問題、さまざまな対立をそれぞれの国家や社会の中に内包していたり、あるいは、グローバル化の進展によって国家という枠組みそのものが変わっているかもしれない。国家が変動すれば、当然、政府が行い得る政策の射程も変わってくるかもしれない。

 さまざまな根本的なことが多分変わっていて、私、近代の超克という言葉が大好きなんですけれども、西洋がつくり上げた近代文明というのは恐らく大きな曲がり角にあって、それを、近代の西洋文明を生み出してきた欧米諸国はどう解決するかで悩んでいる。その中で、では我が国がどうやってできるかというような大きな問題を本当は議論してほしいんですよ。でも、その入り口まで若い人が来ていると思うんです。

 先ほど、職員がふだんの職務を離れてとおっしゃいましたけれども、私はそうではなくて、これを職員の本務としてやらせてあげたらいいと思うんですよ、自由に。

 産構審の中の資料で出されたじゃないですか。先ほど大臣は、具体的なものを民間なんかを巻き込んで出していくんだとおっしゃっていましたけれども、産構審で一緒につくられた資料がその後の資料二の一というものです。これは、先ほどの近藤委員が評価された新産業構造ビジョンでありますけれども、これこそ、経産省が昭和から繰り広げてきた政策なんですよ。この若手のところも、なぜ日本は大きな発想の転換や思い切った選択ができていないのだろうか、昭和の標準モデルを前提につくられた制度というのを変えられなかったと言っているまさに昭和の標準モデルが次の資料にあるわけですよ。

 産業構造審議会だからといって経産省の枠にとらわれることはないと思いますし、日本の成長の大きな制約というのは産業政策にあるんじゃないんです。少子化にしても、さまざまな問題は、産業政策の外部に大きなフィールドが広がっていて、そこに私は政策の射程を広げていかなければならないと思っておりまして、きょう午前のあの高橋官房長の答弁では、若手にとって手本になるような上司でありたいみたいなことをおっしゃっていましたけれども、若手の人は上司を手本にしてはいけないんです。昭和の薫りのする、昭和の入省の、こちらに先輩方がいて大変恐縮ですけれども、それを乗り越えるようなことをやらなければならないので、ぜひ産業構造審議会で堂々と議論されたらいい、若手の人も出てきて。そして、きちんとアウトプットを経済産業省の所掌にこだわることなく出されたらいいと思いますけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

世耕国務大臣 何か、思い切り持ち上げてから落とされた感じであれなんですが、私もそれは考えています。

 実はこの新産業構造ビジョン、厳しいお言葉をいただきましたが、やはり、そこへ参加していただいている、特に経営者、学識経験者からは、今回は本当におもしろいのができたという御評価もいただいています。

 そこに、この若手プロジェクトに参加した若手も何らかの形で関与させるというのはなかなかおもしろいお考えだと思います。よく考えてみたいと思います。

福島委員 ちょっと違うんですね。これはやはり新産業構造ビジョンなんですよ。まず産業構造というのを使っている時点で、経済産業省には産業構造課というのがまだありますよね、昔から産業ビジョンみたいなのを十年ごとに昭和の時代に出してきたそこの枠から出ていないんですよ。テーマは産業じゃないと思うんです。文明だと思うんですよ。

 どうしても役所というのは、済みませんね話が長くて、法学部、経済学部の人が中心なんです。今必要なのは、例えば哲学とか科学技術論とか、さまざまなフィールド、最新の知を集めて、しかも日本だけじゃなくて、世界じゅうの若い同世代の知性を集めて、今世界が抱えている問題にどう直面するかという壮大なことに私は取り組むべきだと思っていて、そうであるとすれば、ここの新産業構造ビジョンの枠にはまるようなものじゃないものが出てくるはずだし、それを出させるようなことをやるべきだと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。

世耕国務大臣 済みません。実はこの新産業構造ビジョンも、今までのと違うのは、やはり、最後の出口として社会を変えるということを意識しているんですね。ソサエティー五・〇ということを打ち出していて、それを支える産業は何かといったときに、コネクテッド・インダストリーズだという流れをつくっていまして、我々は、今回は社会を変えるということを意識しています。

 それは、アメリカで新政権が誕生したり、ヨーロッパで今ああいうことが起こっているという中で、やはり、いろいろなイノベーションとか産業の変革が一般の人々の社会生活にいい影響を与えるんだということをしっかりと訴えていかないと、また格差とかそういうことになって社会が不安定になるというふうに思っていまして、そういう気合いを持ってつくっているつもりであります。

 そこはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、そういう意味で、今回、社会のテーマ、もう昭和の感覚から脱却したいというこの若手のプロジェクトと、この新産業構造ビジョンをうまく融合させるようなことをやってみたいなというふうに思っています。

福島委員 だから、そこが経済産業省的な癖で、ソサエティー五・〇とか第四次産業革命とか、言葉が全て安っぽいんですよ。やはり哲学がないんですよ、哲学が。

 私は、大学に入るときに、哲学をやりたくて文科三類というところに入ったんですけれども、やはり最先端の人文科学の知性というのがあって、それが残念ながら、経済産業省だけじゃなくて、霞が関もそうかもしれない、政治の世界もそうかもしれないんですけれども、それが少ないんです。もうちょっと文明論的に、哲学的に、軽い言葉じゃなくて、いや、いろいろ書いているのはわかるんですけれども、すごい軽いんですよ、電通がつくったみたいな感じで。そうじゃないです。本質的なことをぜひやっていただきたいと思います。

 それで、もう一つだけ最後に軽い質問なんですけれども、お聞きしたいんですけれども、この話で、これをつくった若手の役人たちと、大臣、膝詰めでお話とかされましたか。

世耕国務大臣 残念ながらまだなんです。私は余り関与しないようにしようと思って、次官がせっかく考えてフリーにやっていました。私がこれに関与したのは、唯一、公開していいかどうか。それはいいですよということになりましたが、ただ、一旦どこか落ちついた時点で、ゆっくり懇談の機会はぜひ持ちたいと思っています。

福島委員 というのは、私、「次官・若手」となっているのが非常に気になるんですよ。だから、政治家なんて入れないぞ、おまえらは、どうせ政治家なんかに言っても無駄だろうという気概を経済産業省の役人が持つのは私はいいと思うんですよ。

 ただ、私も役所にいてずっと思ったのは、大きな発想の転換とか思い切った選択がなぜできないかと考えたときに、それを巻き込んでいくのが政治の役割であって、政治の役割が弱いからこそ、大きな発想の転換、思い切った選択、役人は頭でそれは考えられますよ。でも、国を動かすときには、国民の皆さんに御納得いただいて、反対はあるかもしれないけれども、最後の選択に向けて国民を巻き込んでいくのは政治の役割であって、あえて言えば、本当に政権交代じゃなきゃ実現できないんですよ、時によっては。思い切ったテークアウト。政権内のマイナーチェンジじゃなくて、政権をかえて、それを国民が支持することによってかじを切るということをやるのが二大政党の国ではよくあること。

 だから私、民主党という政党に入って政治活動をやったわけでありますけれども、そういう意味では、これは……(発言する者あり)今もやっていますか。今もやっているという話でしたのでそうだと思うんですけれども、そういう意味では我々政治にも突きつけられていることだと思いますので、僕らもできたら本当は経産省の若い人とここにいるメンバーで話もさせていただきたいと思うんですよ。

 それが政治の選択を伴ってやるものであれば、最後は国民に問わなければならない。我々が国民を巻き込んでいかなければならない。そうしたダイナミズムを生む仕組みになれば非常にすばらしいなと思っておりますので、ぜひいろいろこれからも注目させていただければと思っております。

 その上で、ちょっと話はかわるんですけれども、では、政策が本当に現状を打破すると言ってやっているものが、それに相当するかどうかというものの検証の一つの例として、この委員会でも一度取り上げました日本版高度グリーンカードの創設、これについてお聞きしたいと思っております。

 四月二十六日に施行されました。日本版高度人材グリーンカード、資料の三の一というものがあって、従来、高度人材ポイント制というのがありまして、何点かいろいろなポイントがあるんですよ。二枚めくっていただいて、「高度人材ポイント計算表」というのがあって、博士号を持っていたら三十点、職歴七年以上だったら十五点とかというポイントがありまして、七十点以上のポイントをとった人は高度外国人材として認められて、永住許可申請が五年で出る。今度は五年が三年で出るようになる。

 これが、特に八十ポイント以上の人は、高度人材の中でも特に高度と認められる者として、一年でグリーンカード、つまり永住権が得られるという制度でありまして、二〇一六年の六月二日の日本再興戦略でこれが取り上げられ、ちなみに、これは同じときに国家戦略特区で獣医学部を新設するというのも出されましたけれども、そのときに出されたものです。世界最速でグリーンカードを出す、永住権を出すというものであります。

 これが議論になったのは、平成二十八年四月六日の産業競争力会議の第四十二回実行実現点検会合というところでありまして、経済産業省からは、「今後、日本経済の発展に貢献が期待される外国人材の受入れを増加させるためには、魅力的な仕組みを構築し、受入れに向けたメッセージを積極的に発信していく必要がある。」というふうに言っておりまして、議事録を読んでも、経済産業省らしく、民間議員に対して巧みな根回しをやっておりまして、みんなこの経産省の資料を褒めたたえるという形でこの制度が実現に至っておりますけれども、経済産業省が主導してやったということでよろしいですよね、大臣。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 私は貿易経済協力局長でございますけれども、日本が発展する中で、内なる国際化が重要だ、外から投資も入れ、外からも人材を入れるということが不可欠だろうという思いで、昨年の成長戦略、いろいろな議論の中で、もちろん私どもだけではないんですけれども、さまざまな方と御議論する中で、今後、日本のイノベーションを実現する上では、外の人材をどんどん取り入れるということが不可欠だろうということで打ち出したものでございます。

福島委員 これは後でまた議論しますけれども、本当に、外の人材を取り入れる、内なる国際化を取り入れるという目標と、一年で永住権を出すというのがつながるかということが一番の問題になると思います。

 これは入管制度でありますから、法務省が所管なんです。この会合で法務省の佐々木大臣官房審議官は、「我々としても、もう少し検討を進めていこうとは思っているが、他方で政府全体として、外国人の受入れについて、「移民と誤解をされないように」という方針もある。」「政策としての整合性についても上手に考えていかなければならないと思っている。」とおっしゃっていますけれども、法務省として、グリーンカードを一年に、永住権を一年にするというのでいろいろな懸念事項があったと思うんですけれども、それはどこの場でどのように検討されたんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 この制度を見直すに当たりましては、今もお話しありましたように、「高度外国人材の永住許可申請に要する在留期間を現行の五年から大幅に短縮する世界最速級の「日本版高度外国人材グリーンカード」を創設する。」こととし、「可能な限り速やかに必要な措置を講ずる」という日本再興戦略の内容も踏まえまして、また、そもそも政府として取り組んでいる高度外国人材の受け入れについて入管行政としても貢献をするという考えのもと、まずは当局におきまして検討を行って原案を作成し、昨年十一月二日に開催されました、法務大臣の私的懇談会であります出入国管理政策懇談会において、有識者の委員の方々に、事前に十分に御説明をした上で丁寧に御議論をいただき、見直しの内容について御了解を得たものでございます。

福島委員 どういう点が問題になって、どういう論点で議論をされたんですか。懸念の点とか、それはどうやったら解消されるという議論をされたんでしょうか。

佐々木政府参考人 もともと、高度外国人材の方々、いろいろなポイントを定めまして、在留管理上、問題のある在留状況になる蓋然性の低い方々という前提でございまして、なおかつ、今先生の御指摘ありました、早い段階で永住許可をするということについて、それで本当に大丈夫かという御懸念もございましたけれども、そこは、先ほど御紹介いただきましたように、さらにその方々についてはポイントを高くして、高度性を高めた上で、ある意味、対象を絞って今回の最速のグリーンカードの対象とするということで、懸念の蓋然性を低めたというものでございます。

福島委員 本当なんですかね。十一月二日の出入国管理政策審議会一回はたった二時間だけなんですよ。

 本当に高度人材かチェックできるかというと、資料三の三の「高度人材ポイント計算表」を見てほしいんですけれども、例えば高度学術分野だと、博士号をとれば三十点、年収一千万を超えれば四十点ですから、これだけで七十点、年齢が三十四歳以下だと十点、これで八十点なんですよ。一年たてば永住権を与えるわけだから、一年間おとなしく黙っていれば永住権がもらえるわけですよ。

 この人が定性的にどんな能力があるかというのはチェックするんですか。それとも、博士号を持っていて年収一千万円で、三十四歳以下で、特に前科がないみたいな、問題がなければ、これは自動的に永住権が与えられるものなんですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 制度の概要といたしましてこのポイントをお示しして、御自身にも計算をしていただけるようなものにはしてございますけれども、この高度専門職の審査に当たりましては、ポイントが一定点数に達していることのほか、素行が善良、納税義務を履行している、また、本邦において行おうとする活動が、我が国の産業及び国民生活に与える影響等の観点から相当であるなどについても審査を行っております。

 加えまして、高度専門職から永住許可の審査に当たりましては、これは一般の永住許可の審査も同様でございますけれども、法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合すると認めることが必要でありまして、今先生のおっしゃられました、ポイントは達しているので自動的に永住を許可するというものではございません。

福島委員 ただ、それゆえ、今まで五年とか十年という期間を置いて、ある程度の期間を置いてその人の日本国内での活動を見てきたわけです。一年だったら、正直言って、猫をかぶっていても一年は過ごせるわけです、私のような人間であっても。本当に高度人材は法務省でチェックできるんですか。その人がこの我が国にとって必要な人材と何をもって判断するんですか。論文を読んでみるんですか、技術をチェックするんですか。どうやって判断するんですか。

佐々木政府参考人 その申請者の方から論文を審査資料として出していただくわけではございませんので、基本的にはこのポイントに沿っているということを立証していただきますが、それに加えまして、先ほども申しましたように、本当にその方の在住が、入管行政上、日本の入国・在留管理上問題がないかということをチェックいたします。

 これまでの運用の中で、ポイントは達しているけれども不許可になっているというケースもございまして、それにつきましては、諸々の情報を入手をした上で判断をしているものでございます。

福島委員 るる答弁しましたけれども、結局、法務省じゃ判断できないんですよ。

 三の四という資料を見てください。これまでこの高度人材ポイント制度で入ってきた人を見ると、このオレンジ色が中国なんですけれども、圧倒的に中国人なんですよ。中国人が悪いと言うつもりはありません。本当に我が国が必要な高度な人材をこの在留資格制度で呼べているかといったときに、私は、これはきちんと検証する必要があると思うんですよ。

 博士号といったって、アメリカの博士号と中国の博士号じゃ全然違うんですよ。日経ビジネスの記事でこういう記事があって、今、世界一の博士号授与国は中国です。中国は、大学だけじゃなくて、軍の大学とか政府の科学研究所なども博士号を授与することができて、正直、金で解決しているようなところがあるんです。「米国の三流大学の学術レベルで評価すれば、中国国内の指導教官やその指導を受けて大学院を卒業した博士の九九%が不合格である。」という評価があって、だから、博士号だけを形式的に取って、年収一千万なんて今の中国でいったら大したお金じゃないですよ。三十四歳で、日本の技術を盗もうとやってきて一年間おとなしくしていれば、永住権が与えられてしまうかもしれない。

 本当にこれが内なる国際化につながっているのかどうか、経済産業省は検証されているでしょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 先ほど法務省からの答弁にありましたように、この高度人材グリーンカード制度というのは、一年いれば自動的にもらえるものではないということがまずあります。その上で審査するわけでございます。

 この新しい制度が導入されたのは四月末でございますので、これからではございますけれども、既に、在住の外国人と非常に接点が多い行政書士の人たちからはすごく反響がある。閉鎖的であった日本のイメージが大きく変わるというインパクトがあるということなんです。

 さらに、海外の投資家とかいろいろお話ししても、最も驚くのはこの点であって、閉鎖的なイメージ、特に外国人に対して閉鎖的イメージ、この日本が変わるということで大きく受けとめられています。

 また多国籍企業、いろいろなところに拠点を持っています。そういう拠点を持っているところが次どこに投資をしようかといったときに、日本よりコストが安いところはたくさんあるわけです。そのときで、では日本を選ぶというと、日本はイノベーションだ、日本はイノベーションの力があるか。そうしたときにこのグリーンカードを説明すると、例えばアメリカの会社ですと、自分たちのグリーンカードと比較できるものですから、このグリーンカードは一年いれば申請できるということですごく驚いて、結果的に、ある社ですけれども、日本に投資をしているわけです。

 委員からいろいろ御指摘ありますけれども、世界のイノベーション、恐縮でございますけれども、最後は人材の戦いです。高度な人材を集めないと戦えない。そうした戦いを日本人だけでやるというのは全く古い考えだと思います。(福島委員「そんなの言っていないじゃない、そんなこと言っていないじゃないですか」と呼ぶ)いえいえ、これで高度な人材を入れてやらなきゃいけないということだと思います。

福島委員 全くそういうことを言っていないですよ、私。人材を入れることが必要だけれども、この制度がそうなっているんですかと言っているんです。

 内なる国際化研究会の報告書で在留資格の問題があるみたいなことを言っているんですけれども、確かに、五年は長いからそれを短くしろとか手続が煩雑だというのは変えればいいですよ。誰も、一年にすればいいと言っていないんですよ。驚かれるのは当たり前で、世界で、こんな一年でグリーンカードを与えられるのは韓国だけなんですよ。ないんですよ、ほかに。細かい点は反論しなくていいですから。

 むしろこの内なる国際化研究会は、フリーランスで世界各国を飛び回っている優秀な外国人材にとって必要なのは、永住権でなく、長期滞在できるビザや複数回自由に出入国できるビザとか、高度な能力を有する人材ほど定着せず、グローバルな流動性が高い、優秀な外国人を日本に抱え込むばかりが得策でなく、優秀と認めた外国人材には、自由に世界を駆けめぐって、当然日本にも来てもらって、活躍するのがよいと言っていて、結局、永住権なんかでつると、永住権目当ての人も集まってくるわけです。行政書士は、それは手続が簡単になったからみんな喜ぶに決まっていますよ。

 本当に来た人間が我が国に役立っているのかどうかというのは、単なる閉鎖的なイメージが変わったとか変わっていないとか、そうしたイメージの問題の政策としてやるべきではないと思うんです。だから私はさっきから、経済産業省の政策を批判するわけじゃないけれども、タイトルだけじゃなくて、実質をちゃんとしなければならないというふうに思っております。

 最後に、武井さんが来ているので、北朝鮮の経済制裁の方にちょっと質問を移しますけれども、これも思い切った発想転換が必要だというふうに思っております。

 相次ぎミサイル発射実験がされているのを見て、本当に経済制裁は効いているのか。今回、確かにまた二年延長しますけれども、延長して、経済制裁、輸出入を禁止していることをもって満足して、制裁をやっていますという言いわけをするわけにはいかないと思うんです。

 北朝鮮の経済制裁が効かない理由は、経済制裁が全てではないと思うんですけれども、それが効かない理由というのはどこにあるとお考えでしょうか。

武井大臣政務官 お答えをいたします。

 北朝鮮の核・ミサイルの開発を阻止するためには、この核・ミサイル関連品目の移転を防止すること、これは言うまでもないわけですけれども、北朝鮮の外貨を減少させるということが大変重要であると考えております。

 ですから、対策というのもまさにここに注力をしていかなければいけないと考えておるわけですが、そういう意味でも、我が国から関連国と緊密に連携をしながら、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、この我が国独自の措置の実施も徹底しているところでございます。

 本年四月には、北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案をいたしまして、全ての北朝鮮船舶の入港禁止及び北朝鮮との間の輸出入の措置を二年間、今御指摘あったとおり、延長をしたところでございます。

 加えまして、貨物検査法でありますとか、例えばこれにおきましても規制対象を幅広く指定をしておりますが、さらに、キャッチオール規制ということで規制対象をより幅広く見ていく、また、そういったようなことを含めまして北朝鮮に対する圧力をさまざまな形で強化していきたい。

 引き続き今後とも、米国、韓国とも連携して不断に取り組んでまいりたいと考えております。

福島委員 私は、これは我が国の問題だけじゃないと思っているんです。いや、むしろ大きなのは中国の問題であって、北朝鮮の貿易の九割以上が中国、しかも、そのうちの、北朝鮮の対外貿易の約七割が石炭輸出で、中国と北朝鮮の間の石炭貿易がある意味北朝鮮経済を支えていて、日用品の経済制裁なんて、もう北朝鮮の国民にとって、対応できるだけの経済構造をつくっちゃったわけです、自給自足的な。石炭を売って外貨を稼いで、それで政権を長らえているという意味では、中国がどうするかというのが非常に大事だと思うんです。

 ですから、先ほど安保理決議を実効性あらしめると言いましたけれども、安保理決議も、詳細に読むとあっちこっち抜け穴があって、石炭の禁輸みたいのを言っているんだけれども、穴があったり、例外があったり、あるいは量的な制限があったり、実際は闇貿易が多く行われていて、それを中国がまともに取り締まっていなかったりとか、さまざまな問題があるという意味では、中国に強く働きかけることが、一番、経済制裁を実効性あらしめるためには必要だと思うんです。

 そして、それをやるに当たって、我が国もではあと何ができるかといえば、例えば、そうやって中国の企業が北朝鮮と取引をしたら、その取引した中国の企業とは日本の企業の取引ができませんという、セカンダリーボイコットと言いますけれども、そうした手段も含めてあらゆる手段を考えて、期限が来たからただ延長だ、我々は当然全会一致でこれは賛成するでしょうけれども、そこで思考をとどめることなく、どうやって中国政府を動かすか。これを考えた我が国としてとり得るさまざまな措置を講じるべきだと思いますけれども、何をおやりになるつもりなのか、ぜひお聞かせください。

武井大臣政務官 御指摘の点でございますけれども、中国が、この安保理決議二三二一号の履行のために、本年末までの間に石炭の輸入も暫定的に停止をしている。それ以降、輸入をしていないということも表明をしておるところでございます。

 加えまして、我が国といたしましては、第三国企業に対する制裁措置といったような、また、今のような、中国での取引した企業への措置ということも含めて、やはりこの諸懸案、包括的に考えまして、どういうことが最も効果的かということをこれからも不断に検討してまいりたいと考えております。

福島委員 中国は輸入していないと言いながら、統計上、四月は少なくとも石炭を輸入しているデータがもう上がってきているわけですよ。だから、口とやっていることは違うわけです。そういう意味でも、我が国としてとり得る対応をしっかりとるべきだと思っております。

 きょうはちょっと寺澤さんを怒らせてしまったかもしれませんけれども、決して外から優秀な人を入れるなと言っているわけではなくて、その理念と政策が本当にマッチしていますかというのは、最速でグリーンカードを出すという言葉だけが躍って、実態上どうなっているかという検証を意外と経済産業省はしないんですよ。だから、それをしっかりした上で政策の妥当性というのを常に検証すべきだということを申し上げさせていただきまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 今の話を聞いていて、福島委員は結構いつも厳しいことを言われる割には、実は気が優しい人なんだなと思って聞いていたんですけれども、最後の質問で北朝鮮の話が出ておりました。福島委員は、当然違うと思うんですけれども、中国のみを言われていました。

 ただ、私が思うのは、中国だけじゃなくて、周辺国全部なんです。特に私が思っているのは、後ろからいろいろと、表現が悪いのであれですけれども、舌なめずりをしているような、そういう国があると思っています。北の方にある国です、北朝鮮よりも北の方にある。

 こういったところもしっかりと協調路線をとれるように、国際社会の中でいろいろな発言を我が国としてしていって、そして要求をしていく。そうしなければ、北朝鮮、経済制裁を日本のみできつくやっていったとしても、これはワークしていかないのは当然だと思いますので、きょう、この法案についての採決があるということで、一言だけ述べさせていただきます。

 それでは、きょう用意してきました本題についてちょっとお話をさせていただきたいと思うんですけれども、私の手元に、よく東海道新幹線の中にある雑誌で、ウェッジという雑誌があって、これの六月号に、クールジャパン機構についてぼろくそに書いてあるんですよ。

 このクールジャパン機構の機構法ができたときから、私は何度かクールジャパンに関して質問をさせていただいておりまして、きょう、この雑誌に書いてある中身が事実かどうかとか、当然ここの中には経産省の反論は一つも書いていないので、この場で反論したいところを反論していただいて、実際にこの記事が正しいことなのかどうなのか、それから、しっかり、もともとのクールジャパン機構自体がうまく回っているのかどうかというところについて質問をさせていただきたいと思います。

 一番最初に書いてあるのが、ガバナンスがきかないクールジャパン機構がもたらす惨状という感じのことが記事に載っています。

 その中で、一番頭で出てきているのが、クールジャパン機構とイマジカ・ロボットホールディングス、イマジカと言われているところです、そこが米国子会社ののれんを減損している話、イマジカの方がしているけれども、クールジャパン機構の方が減損していないんじゃないかというふうな話が載っているんです。

 アメリカのSDIメディアというところの買収をこのイマジカとクールジャパンとでやっています。それ以外に住友商事がちょい乗りをしていて、出資比率でいうと、五〇・一%がイマジカ、クールジャパン機構が四九・六%、残りが住友商事でやったと。

 これは、のれん、営業権です。当初計上していたのれん代の一部に当たる四十三億円を、イマジカは、一七年三月期の経常利益の二倍以上、この部分を減損として出している。

 減損というのは、どういう形でしているか。これは会計基準はいろいろあって、恐らく、記事を読んでいると、イマジカの方は米国会計基準、US―GAAP、これで実際に評価テストというのを厳正に行った上で、のれん自体が当初の金額にも満たないという形で評価され、減損している。

 それにもかかわらずとこの記事に書いてあるんですけれども、記事の方では、クールジャパン機構の方は、イマジカの減損発表と同日、ホームページに、イマジカ・ロボットホールディングスからのお知らせというのを掲載したと。

 そこで書いてあるのは、イマジカの方は減損しましたよ、クールジャパンの方は、特に読むのもあれかなと思うんですけれども、こういうお知らせがありましたというような形で、「当機構としてはSDIの事業支援に引き続き取り組むとともに、同社の日本国内事業の拡大を通じて我が国映像コンテンツのローカライズ・海外展開支援に積極的に取り組んでまいります。」というふうな感じのことしか書いていない。

 ここで書いているのは、出資している片一方が、米国会計基準をとってだと思いますが、減損処理をしている、それに対して、クールジャパンは、ファンドなんですよ、ファンドにもかかわらず、これは評価するものかどうかというのはあるんですけれども、どう捉え、どういうふうな処理をするかということが一切書かれていない。これはちょっとおかしいんじゃないかというような意味合いだと思うんです。

 そこで、クールジャパン機構が、IFRS、日本の会計基準をとっているか、USの会計基準をとっているかにもよるんだと思うんですけれども、評価が適正になされて、その上で減損処理をしなくていいというふうに判断したのか、それとも、何かの意味があるのか、これをちょっと、ここの記事にのっとって、どういうことで今回減損しなかったということなのかを説明いただけますか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 どういう処理を行ったのかということについてクールジャパン機構が公表しなかったことという問題はちょっと外しまして、減損しなかったことの是非ということでお答え申し上げたいと思います。

 私どもの方からしますと、イマジカがどういう会計処理に基づいたということを論評する立場にはないわけでありますけれども、クールジャパン機構といたしましては、まず、イマジカがSDIメディア、これを完全子会社化しているものですから、連結決算を行っているということと、それと、クールジャパン機構の方は一般的な株式を保有しておるということによって、減損判定の方式が異なっていたということであると思っております。

 その上で、クールジャパン機構の方で減損するかしないかの判断は、まさに今の日本の会計基準に基づきまして、株式の実質価額が取得原価を五〇%以上下回り、また、それが回復可能性が見込まれない場合、こういったような場合に、損失を計上、すなわち、減損処理をするということになっているというふうに理解をしております。

 このSDIの案件につきましては、一時期業績が落ち込んだことは事実でございますけれども、五〇%以上の株式の価格の下回りということは発生をしていなかった、こういう事実認識でございます。

 また、その上で、SDIメディアの方のコスト削減やあるいは顧客の拡充、こういったことを盛り込んだ新事業計画というものをSDIメディアがつくりまして、これに基づきまして、現在、足元も含めて、回復基調に入っている、このような認識でございます。

 したがいまして、減損処理を行わなかったことにつきましては、クールジャパン機構の会計監査人からは、適正であるとの意見をいただいているところでございます。

 現状、今申し上げましたように、新事業計画のもとでSDIメディアの業績は現在は回復をしておる、向上しておるという実態がございます。その新しい事業計画を上回る水準で利益等々も出ておるというのが実態でございまして、引き続き、減損の必要性はない、このように判断をしたというふうに理解をしております。

木下委員 一言で言うと、結果はよくなっているからよかったんだということだと。あとは、会計基準の問題もあるということだと思うんです。それはわかるんですよ。わかるんですけれども、私の感覚で言うと、これはちょっと、えっと思ってしまうところはある。

 同じようなことを独立系の民間ファンドの会社の会長兼社長の方も言われているんです。「共同出資者が減損を発表している場合、減損するにしてもしないにしても、その判断の理由を投資家に説明するのが当たり前。官民ファンドであれば、それを国民が調べれば分かるような状態にしておく必要がある」んじゃないかというふうに言われていて、これは官民ファンドだから特にそうだと思うんですけれども。

 ファンドの場合は、実際に自分が出資していて、そのファンドがどういう判断をして減損しなかったのか、もしくはしたのか、これはタイムリーに開示する必要が私はあると思うんです。それがこの記事によると余りちゃんとされていないから、だからこんな記事になっているんじゃないかなと思うんです。

 結果はよかったんです。結果は、判断としては間違っていなかったという評価をしてもいいかなというふうに私は思いますけれども、この辺は官民ファンドのそもそものあり方にもつながるんだと思うんですけれども、これは、ちゃんと遅滞なく開示されたというふうに判断していいんですか。その辺はどうなんですか。

安藤政府参考人 先ほども冒頭申し上げましたように、開示といいましょうか、どういう処理を行ったかということについての説明が、イマジカがこういう対応をとったということに対する対比におきまして十分できていたかどうかという点については、私自身も疑問が残る、こういう扱いではなかったかというふうに率直に思わせていただいております。

 今後、こうしたことにつきまして、世の中の投資家の皆さん方に、正確に、クールジャパン機構の立場がほかの出資者との関係において比較をされるような状態になっている場合には、しっかりとした説明を行うべきだ、このように思っております。

木下委員 一般のファンドの感覚というのをここはやはり持っていただきたいと思うんです。官民ファンドの性格上、いろいろ出せない部分も出てくるんだろうなという理解をした上でですけれども、そういうことを気をつけていただきたい。

 それにちょっと関連しているかなと思うんですけれども、このクールジャパン機構の実質的な、全体的なファンドパフォーマンスについてお伺いしたいんです。

 前もそうだったんですけれども、物によって共同出資者がいたり、事業の内容がつまびらかにしにくい部分があったりということで、全体的なパフォーマンスがなかなか開示しにくいというふうなことは、これは常々、もう何年か前から、二年ほど前ですかね、答弁いただいているんですけれども、今のファンドパフォーマンスについて、全体的な部分というのはお答えできますでしょうか。

安藤政府参考人 先生御案内のとおり、この分野は結構、その事業の展開がうまくいっているのかどうかということについての評価に若干時間がかかるものでありますので、クールジャパン機構が設立したのが二〇一三年の十一月ということでありますけれども、実際に仕事を始めさせていただいてから時間の経過がまだ十分ではないものですから、そういう前提でちょっとお聞きいただきたいと思いますけれども、これまでのところ、合計二十二件、総額五百億円の支援決定をさせていただいております。

 まさに委員御指摘のように、事業運用にかかわる具体的数字は原則非公表ということにさせていただいているものですから、やや定性的なお話になりますけれども、今申し上げましたSDIメディアの件につきましては、例えば、事業計画を上回る利益で推移をしておるという実態がございます。

 また、一風堂の案件というのがございまして、日本の外食店の出店支援でございますけれども、これは先日、三月の二十一日でございますけれども、東証マザーズ市場に上場を果たして、公開価格の四倍近い初値がついた、こういったこともございました。

 また、パリにおけますサスエニスという地域産品等のアンテナショップ事業ということでございますけれども、地方経産局などとの連携も図りながら商材の拡大を行っておりまして、現在のところ、事業計画を上回る利益で推移している、こういったような実態がございます。

 また、他方、ちょっと悪い案件をあえて申し上げますと、ウェッジにも指摘をされておりますけれども、先般エグジットをした案件、これはまだ一件でございます。一件エグジットをした案件で、日本のアニメの海外展開案件というのがございますけれども、これはいろいろ、市場状況の急速な変化、技術革新の想定以上の進展等々、あるいは競合会社の事業進出等がありまして、本事業の役割や採算性というものを勘案いたしまして、最大の出資者、これはバンダイナムコでございますけれども、こちらの方に迅速に全株を引き受けさせた。

 やや見込みがずれたという問題がございますが、はっきりと確定をしたものは、このエグジット案件一件なものですから、先ほど申し上げましたように、比較的うまくいっているケースの事例を紹介させていただくということで御理解をいただきたいと思います。

木下委員 いろいろあると思うんです。

 ファンドというのはそういうもので、ポートフォリオの中に十件あったとしたら、十件のうち一、二件当たって、それでほかのものを全部取り返すぐらいのことだってありますので、エグジットしたものが、ちょっと失敗したからといって、ここには書いてありますけれども、そんなになかなか、全てうまくいくわけないよなと思いながら私は見ていたんです。

 ただ、問題は、思っているのは、普通、出資者がいるファンドであれば、パフォーマンスというのは本当に精緻に出てくるわけです。これが、全体的な部分というのが把握しづらい。ここ自体が、官民ファンド、そういうことなの、いいのというふうに私はちょっと思ってしまうところなんです。これが全部ちゃんと出せるような、そういう形にやはりしていかなければならない。

 今の状態の中で、思うようなパフォーマンスが出ていないところも含めて、しっかりとポートフォリオの中身を見せて、パフォーマンスがどういうものなのかということをやっていかなければ、ファンドと言うに足らないようなものになってはならないんじゃないかな。投資家の見方というのは相当厳しいと思いますので、それを念頭に考えていただきたいなと思うんです。

 ちょっと最初のところで言うのを忘れたんですけれども、さっきの減損の話です。これは、評価テストをしっかりやっていかないと、近藤委員なんかがよく言われる例の東芝の話、ウェスチングハウスは、評価テストをしっかりしていないで、減損してこなかったんですよ。いきなりがつんと来てしまって、会社全体を揺るがす、日本経済まで揺るがすような、そういう状態になっている。

 ということを考えると、評価テストをして、そしてしっかりそれを開示していく。どうしてやらなかったか、どうしてやったかというふうなことを明確にしていくことは、特に官民ファンドであるからこそ、しっかりやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 次に、ファンドパフォーマンスについて言ったんですけれども、もう一つここに書いてあるんですね。

 KPIについて、「出資案件のKPIとして、」ということで、ここに批判的に書いてあります。「個別案件で五〜七年で概ね一・五倍、すなわちIRR(内部収益率)に換算すると約六〜八%、機構全体では長期で一倍超の」、一倍超のというところがポイントだと思いますけれども、「収益を得ることを掲げている。」一倍超というのは、考えると、「まずは設置期限の二十年が過ぎたときに損をしていないか、が評価基準」だというふうになっているんです。

 でも、さっき出てきた会長が言われています。民間のプライベートエクイティーファンドなんかでは、IRRが大体一五から二五%が普通の目線だと。ましてや、投資は概して事前の目標収益率より下振れするもので、それを長期で損を出さなければいいというような観点で投資しているとしたら、収益の黒字化は絶対に見込めない。公的資金が投入されているファンドであればなおさら、実績がある投資のプロが運営すべきだというふうになっているんです。

 このKPIについてなんですけれども、ここに書いてあるのは、実際のIRRであるとかそういうところは書いてあるんですけれども、それ以外にもいろいろなKPIがあると思うんです。ここだけがとられているので、これについて、実際に反論があるかどうか。それから、いや、それ以外のKPIでちゃんとやっているよというところがあるのであれば、それを教えていただければと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 クールジャパン機構が持っております、そもそも経産大臣から示された支援基準というのがございまして、これは三つございまして、一つは、政策的意義があるかどうか。まさに日本のコンテンツなり日本の魅力を発信する、そういった力があるかどうか、こういう点がございます。そして二番目が、収益性の観点がございます。そして三番目が、まさに波及効果があるかどうか、こういった点がございます。

 収益性につきましては、今先生が御指摘のように、一・〇ということで、損するなという形になっておるわけでございますけれども、これは当然、官民ファンドでございますので、それに加えた政策的意義、あるいは、官民ファンドとしてのクールジャパン機構がいわば出資をすることによるほかの波及効果、こういったものがやはり期待をされているからこその官民ファンドではないか、このように思わせていただいております。

 例えば、その波及効果のところで申し上げますと、まさにさまざまな企業とか業種との連携を図れているか、そういったプロジェクトであるかどうかということ、あるいは、今申し上げました、魅力の発信にどの程度の影響力を持っているかどうか、そして、市場開拓の先駆けとなるかどうか、そしてまた、ある種のプラットホームとしての共同基盤性があるかどうか、こういったような四つの観点から、総合的に、できるだけ定量的な形で指標化をさせまして、この案件は今の波及効果が何ポイントぐらいあるのか、このようなことが内部での海外需要開拓委員会等々での決定に当たっては議論がされておる、こういうことになっております。

 もう個別の事例は除きますけれども、先ほどのことで申し上げますと、例えば、アメリカでお茶カフェを展開するというようなことがございますけれども、こういったようなものは、お茶だけではなくて、陶磁器とかお菓子とか、そういったほかの事業や業種をいわば連合軍を組みまして引き連れていく、こういったような効果があったりいたしまして、他業種との連携の効果があるというのが一例でちょっと申し上げたいと思います。

木下委員 さっき言われていたとおり、政策的な意義があるから、だからそうなんだと。これはわかるんです。当然、そうであるからこそ、民業圧迫とか言われる可能性はあるけれども、やっているんだと思うんです。だから、一倍以上というのも、これもある意味納得はできるところはある。

 ただ、ファンドなんですから、しっかり収益を上げていくという形にやはり変えていかなければ、全体的な底上げはできないと思います。波及効果というところはそこに当たるんだろうと思うので、そこがしっかりと評価できるように、まあ見ればわかるんですけれども、もっと表へ出していっていただければ、こういうふうな話も薄まってくるんだろうというふうに思うんです。

 ただ、今何遍も言っているこの会長、プライベートエクイティーファンドの会長が言われていますけれども、「本来、投資ファンドでは出資してくれる投資家の利益の最大化を目指すことでガバナンスが効くが、国が主な投資家のためにそれがない」んだというふうに言われているんです。これはガバナンスの話のところでそういう話になっているけれども。

 ここはすごく難しいところなんですけれども、だからこそ、こういうところで、国がと言いながら、国会議員がこれをちゃんとウオッチして、投資家の目と同じ目線でしっかりと評価をしていきたい。だから、きょうこういう話をさせていただいております。

 もう一つ、ここで出ていたんですけれども、官庁出身者の再就職について。

 「CJ機構では専務執行役員のポストを、設立以来、財務省、経産省からの“退職者”が占めており、投資先管理にかかわる会議に参加している。これについてCJ機構は「専務執行役員は国家公務員を辞職して就任している」とする。しかし、これまで専務執行役員を務めた三人は、財務省出身者の二人は財務省に、経産省出身者の一人は復興庁に、現在、在籍している。」と。

 これはちょっと、私、書いてあって、ここの意味がわからなかったんです。一旦やめたんですよ。一旦やめてクールジャパン機構の執行役員になっていて、その後、この財務省の人は財務省に、経産省出身だった人は復興庁に在籍している。これはどういう意味なんですか。

安藤政府参考人 事実は、今先生御指摘のとおりでございます。いわゆる現役出向の制度ということであります。

 クールジャパン機構におきましては、政策的意義の確保とかあるいはガバナンス向上の観点から経営を補佐するために、経済産業省及び財務省を一度退職した者が専務執行役員として在籍をした後、また官庁に戻る、こういうことで行わせていただいております。

 それで、官民ファンドに係ります閣僚会議というのがございまして、ここの決定に、官民ファンドの運営に係るガイドラインというのがございます。この中におきまして、官民ファンドに対しては、監督官庁及び出資者としての国と密接に意見交換を常時行うための体制を構築すべきである。そのために、役職員の出向を可能とする措置を講ずるよう求められている。このような全体のフレームワークがございまして、まさにその閣僚会議ベースのところの御決定に基づいて、役職員の出向を可能とする措置を個々のファンドで講ずるべきである。このようなことがガイドラインとして提示をされております。こういったものに基づきまして、クールジャパン機構の方でも、今申し上げましたような形での運用がされております。

 他方、現実に、この専務執行役員が本当の投資判断を行うような場で参加をしているということではなくて、投資判断は、先ほど申し上げましたように、海外需要開拓委員会というところで、まさに投資のプロの判断、それと経営者としての社長の判断に基づいて行われておる、このようなことでございます。

木下委員 ガバナンス云々とか、この記事には書いてあるんです。そういうところはあれだとか、投資のプロがやるべきなのにどうなんだとかいっていろいろ書いてあるけれども、私は、それは、適正な役割があれば、別にどんな人であっても、いろいろな仕事内容はあるからいいと思っているんです。

 ただ、今の話を聞いていて、ちょっとやはりどうしてもわからないというのか、これは役所の人からしたら当然なのかもしれませんけれども、一旦退職してそこへ行っている、それで、また戻ってくる。

 まずちょっといろいろ疑問に思って、今度またもう一遍聞きたいんですけれども、一旦退職しているということは、これは役所の規定に基づいたら、退職金をもらって行くんじゃないかと思ったら、もらわないみたいですよね。何かそれもよくわからないし、それで、退職して、戻ってくるというのは、普通の企業だったら、普通あり得ないんですよ。あなた、よく働いたからといって、本当に縁が切れて、またもう一遍戻ってくるというのはあるけれども、もう最初から戻ってくるのありきでなっているというような感じが今の答弁だったらしていて、何かちょっと腑に落ちないな、そういうものなのかなと。これは文化が違うから一般の企業とは違うのかもしれませんけれども、形上はそうせざるを得ないという。

 でも、ちょっと何か、どうしても腑に落ちないので、またこれを改めて聞きたいなというふうに思っています。

 最後に、これは大臣、長々と質問して、今国会、多分、ほとんど、もう質疑するのは最後になるかもしれませんけれども……(発言する者あり)そんなことを言っちゃだめなんですね。済みません。今までの話を聞いていて、この官民ファンドのあり方。

 大臣、この間、中小企業対策云々の話で、融資からもっとエクイティーの部分に力を入れていくべきだというふうにおっしゃられていましたけれども、どういうふうに世の中を変えていくべきかというところで。やはり、この官民ファンド、今の話を聞いていると、どうしても、エクイティーの方には行くと言いながら、実際に市場の中でのエクイティーファンドのあり方とはちょっとまだ様子は違うと思うんです。

 これをどういうふうに持っていくべきなのか。官民ファンドとしてあるべきなのか、それとも、プライベートなエクイティーファンドと同じような形でやっていくべきなのか。何が違って、どうしていくべきなのか、最後にお願いします。

世耕国務大臣 官民ファンドというのは、安倍第二次政権ができたときに幾つかばっと新規にできまして、やはり霞が関の人というのはファンドが何かというのをよくわかっていないんですね。これは、下手すると姿を変えた補助金になってしまう可能性がある。一方で、あくまでも、先ほどIRR二〇とかおっしゃっていましたけれども、それを目指していく。そればかりやっていると、今度は民業圧迫になってしまう。官民ファンドというのは、まさにその中間的存在だと思っています。

 私、副長官のときに、これはほっておくとちょっと世の中に説明がつかないことになってはいけないなというので、官民ファンド運営に係るガイドラインというのを平成二十五年九月に決めさせていただきました。これは関係閣僚会議で決定をしています。これは非常に、ファンド運営に関する教科書的にいいまとめをしていますので、ぜひ読んでいただきたいと思うんです。

 官民ファンドというのは、ですから、当然、ファンドだから、ある程度リターンは求めなきゃいけない。だけれども、リターンばかり求めていると、公益性というのが実現できない。その公益性というのがちょっとわかりにくいので、KPIということによって、どれだけ公益が達成されたか。だから、場合によっては、投資としてはだめだったけれども、KPIを見た結果、例えば、コンテンツがある国に物すごく広まって、結果としてはよかった、その二次、三次の効果を民間企業が受けているということであれば、公益が達成できた、これが官民ファンドの特徴だというふうに思っています。

 私は、副長官時代から、特に各ファンドのKPIというのを非常に重視してきましたし、一方で、やはり、補助金配付機関ではなくて、投資機関としての目ききをしたり、リスクをちゃんととって、そして、全体のポートフォリオで一定の利回りを上げていくという仕組みとか、そういうところを非常に重視してやってまいりました。

 残念ながら、クールジャパンファンドは、私は今、不十分だというふうに思っています。これは随分前にも安藤局長に指示を出して、今、クールジャパンファンドの運営のやり方、ガバナンス、これを全部抜本的に見直すように指示をしておりまして、その結果は間もなく世の中に出ていく形になるというふうに思っています。

木下委員 ありがとうございます。

 もう最初から大臣に全部お答えいただければよかったかなと、今ちょっと後悔してしまいましたが、また詳しく教えていただければと思います。

 どうもありがとうございます。

     ――――◇―――――

浮島委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。世耕経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

世耕国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件の提案理由及び要旨につきまして御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を厳格に実施してまいりました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日以降、北朝鮮への輸出の禁止などの措置を厳格に実施してまいりました。

 しかし、北朝鮮は、我が国を初めとする国際社会による働きかけにもかかわらず、引き続き関連する国際連合安全保障理事会決議に違反し、挑発行動を繰り返しており、北朝鮮の核・ミサイル計画は新たな段階の脅威となっています。さらに、拉致問題については、現時点においても解決に至っておりません。

 政府においては、こうした北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案し、平成二十九年四月七日の閣議において、引き続き平成三十一年四月十三日までの間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することを決定いたしました。

 これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十九年四月七日の閣議決定に基づき、同年四月十四日から平成三十一年四月十三日までの間、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、及び北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借または贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 本件につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浮島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.