衆議院

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第21号 平成21年6月2日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十一年六月二日(火曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 望月 義夫君

   理事 奥野 信亮君 理事 菅原 一秀君

   理事 中山 泰秀君 理事 福井  照君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 上田  勇君

      赤池 誠章君    秋葉 賢也君

      泉原 保二君    稲葉 大和君

      江崎 鐵磨君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    太田 誠一君

      岡部 英明君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    近藤三津枝君

      佐田玄一郎君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    原田 憲治君

      松本 文明君    盛山 正仁君

      吉田六左エ門君    若宮 健嗣君

      石川 知裕君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    高木 義明君

      長安  豊君    三日月大造君

      森本 哲生君    鷲尾英一郎君

      高木 陽介君    谷口 和史君

      穀田 恵二君    下地 幹郎君

    …………………………………

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   参考人

   (一橋大学大学院商学研究科教授)         山内 弘隆君

   参考人

   (全国自動車交通労働組合連合会書記長)      待鳥 康博君

   参考人

   (社団法人全国乗用自動車連合会会長)

   (日の丸交通株式会社代表取締役社長)       富田 昌孝君

   参考人

   (全国自動車交通労働組合総連合会書記長)     今村 天次君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     近藤三津枝君

  藤井 勇治君     秋葉 賢也君

  亀井 静香君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     藤井 勇治君

  近藤三津枝君     亀岡 偉民君

  下地 幹郎君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 気象事業の整備拡充に関する請願(森本哲生君紹介)(第三〇五八号)

 同(長安豊君紹介)(第三二四一号)

 名瀬測候所の気象台格上げを求めることに関する請願(小里泰弘君紹介)(第三〇五九号)

 建設不況打開と資材高騰への緊急対策に関する請願(小宮山洋子君紹介)(第三二三九号)

 同(高木美智代君紹介)(第三二四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案(内閣提出第二七号)

 道路運送法の一部を改正する法律案(細川律夫君外四名提出、衆法第二八号)

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案(細川律夫君外四名提出、衆法第二九号)


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     ――――◇―――――

望月委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案、細川律夫君外四名提出、道路運送法の一部を改正する法律案及び細川律夫君外四名提出、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、全国自動車交通労働組合連合会書記長待鳥康博君、社団法人全国乗用自動車連合会会長・日の丸交通株式会社代表取締役社長富田昌孝君及び全国自動車交通労働組合総連合会書記長今村天次君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 なお、山内参考人については交通事情によりおくれておりましたが、ただいま到着したようでございます。

 一橋大学大学院商学研究科教授山内弘隆君、以上四名の御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。各案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、山内参考人、待鳥参考人、富田参考人、今村参考人の順で、それぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際には着席のままで結構でございます。

 それでは、まず山内参考人にお願いいたします。

山内参考人 遅参いたしまして御迷惑かけました。大変申しわけございません。

 私は一橋大学の山内でございますが、これから、本案件につきまして、これをどのように考えるか、ちょっと意見を述べたいというふうに思っております。

 まず、今回のこのタクシー問題、それから、それをめぐる幾つかの法案でございますけれども、私どもは、昨年度、交通政策審議会においてタクシーの諸問題を論じる委員会を設けまして、そこで議論をしてまいりました。それが今回の法案あるいは改定案に結びついたということを承知してございますので、その辺の議論の経緯から御紹介を申し上げたいというふうに思います。

 東京について見ますと、平成七年に運賃改定をいたしまして、その後十二年間、運賃改定が据え置かれておりました。その間、いろいろな経済変動等があったわけでございますけれども、特に近年、タクシー運転者の方々の労働条件が非常に悪くなっているというようなことがございまして、そういったことをかんがみて、特に運転者の方々の労働条件の改善ということを目的といたしまして、平成十九年の十二月に運賃改定を行った、こういう次第でございます。

 御承知のことと思いますけれども、東京におけるタクシーの運賃改定というのは、その改定の前に物価安定政策会議に諮られて、そこで議論をお聞きして、それで、その後に物価問題に関する関係閣僚会議ですか、この議を経るということになっております。

 私もこの議論に参加をさせていただいた一人でございますけれども、その過程でいろいろな御意見が出されました。

 特に、その運賃改定の理由となりました労働者の、運転者の皆さんの待遇の改善について、これはやむを得ないことである、必要なことである、こういう御同意をいただいたと思いますけれども、そのほかに、業界の構造的な問題に起因するさまざまな課題、こういうのがあるのではないか。そして、その根本的な構造問題の解決を目指さない限り、根本的なタクシーの改善にならない、こういうようなことがありました。あるいは、特に消費者サイドの方々からは、タクシー業界についての経営努力が足りないのではないか、こういった御指摘もなされたというふうに思っております。ある意味では、そういった厳しい御意見を踏まえて、十九年の運賃改定がなされたということであります。

 ただ、その改定に際しまして今言ったような問題が指摘されましたので、それを交通政策審議会の方で議論する、こういうような立場になったということでございます。それで、平成二十年の二月から、タクシー問題について交通政策審議会でワーキンググループが設けられて、都合十三回になりますか、会議を開催いたしました。この際、通常の交通政策審議会の委員のメンバーだけではなくて、先ほど申し上げた、例えば物価安定政策会議のメンバーの方々も入っていただいて、幅広い御意見を伺った上で、このタクシー問題について考えようということだったと思います。

 もちろん、そういう意味では幅広い委員ですので、労働者の方々の改善の問題だけではなくて、もっと一般的に、例えば消費者の利益とかそういったことを考える、あるいは地域の問題を考える、こんないろいろな立場から御意見を賜ったということであります。

 この交通政策審議会のワーキンググループでどんな議論があったかということなんですけれども、基本的には、タクシーの供給過剰問題が進行しているのは大きな問題である、こういう問題意識がございまして、それを解決しなければならないという意見が強く出されました。

 ただし、タクシーの場合も、平成十年、規制緩和ということが行われたわけですけれども、そういった自由化のよい面、消費者にもたらした利益、こういったものを生かしつつ問題を解決してはどうか、こういうような議論だったと思います。特に供給過剰の問題については、地域によってかなりばらつきがあるということで、地域的にあるいは限定的な意味合いを持って供給過剰の問題に対処してはどうか、こういう意見が多数であったというふうに思っております。

 この際に、いろいろな御意見が出されました。その中には、例えば、今あるのが供給過剰であれば、それを強制的に減車をするとか、あるいは車を買い上げるとか、こういうような意見もあったわけですけれども、そういったことが法的にどこまで許されるのか、財産権の問題等ございますので。そういったことから総合的に見た結果、自主的、協調的に、業界の構造を改革するような形での減車あるいは供給の削減、こういったものが望ましいのではないかという結論に至ったわけであります。

 ただ、タクシーの場合には、現実の問題を見ますと、需要が減っているにもかかわらず増車が行われる、こういう問題が常に存在しているわけで、あるいは根本的な問題だというふうに思いますけれども、それにどう対処するのかということについては、根本的な問題としてとらえて議論しなければならない、こういう指摘もございました。

 基本的には、先ほど言いましたように、消費者の方々がいて供給者の方々がいるわけですから、両者の利益、特に、ここのところ、やはり消費者の方々の利益というものを重視すべきだ、こういう御意見もございますので、基本的には消費者の方々の利益を重視しつつ、その中で、今も言ったような事業者の適切な行動を促すためのあり方、例えば歩合制賃金の問題等について議論をするということになったわけです。

 それから、運賃問題について特に指摘されておりましたので、ワーキンググループの中にタスクフォースというのを設けて運賃問題を議論いたしました。現行では、上限で幅というような認可になっているわけでありますけれども、これがどうなのかということであります。

 結論的に言いますと、このタスクフォースの結論は、現行の運賃のあり方というものはそれほど大きく間違っていないんじゃないか、こういうことであります。議論の中には、同一地域同一運賃というような御意見も出されましたけれども、これについても、要するに、上限以下の事業者さんに上げろというようなことをどこまで強制できるのか、こういう問題もあって、なかなか同一地域同一運賃を強制するというのは難しいのではないかというようなことであります。

 結果的に、タスクフォースでは、運賃については、下限割れと言われるものについて、その下限というのは恐らく、タクシーの運転者の皆さんの待遇、その方々の待遇を確保するために必ず必要であるという認識のもとに、それについて一定のガイドラインを設けて明確化する。その下限を割れるようなことは、なかなかグレーなところがありましたので、それを明確化する、こういうような結論に達したというわけであります。

 一般に、今の運賃の問題も含めまして、基本的に、交通政策審議会のワーキンググループでは、消費者の方々の利益と、それから生産者、特に運転者の方々の利益、こういったものをバランスするような形でタクシーの行政を進めたらどうか、こういう結論になったというふうに思っております。

 そういった視点から見ると、今回の法案についてでございますが、基本的にはタクシー問題についてのワーキンググループの考え方が反映されているということだと思います。規制緩和のよい点というものは必ずあるわけでありまして、それを生かしていくという面はある。ただし、構造的な問題があるということで、それについての解決策を、まずは需給の問題からここに提案したという形になっていると思います。

 その他、残された問題がございまして、先ほどの、タクシーの運賃は本当にこのままでいいのかとか、タクシーの運転者の皆さんの待遇の改善をするにはもっと根本的な問題があるのではないかとか、あるいは、タクシーのマーケットというものをうまく機能させるためにはほかに何か手だてが必要なのではないか、こういうような構造的な問題が残されているというふうに認識しております。

 そこで、タクシー運賃の制度についてもう少し深掘りをするとか、あるいは賃金システムについてもう少し深掘りをする、こういった形の研究会、懇談会も新たに設けられておりますので、何か問題があるということであれば、その中でもう一度議論をしていくということだと思っております。

 以上、ちょっと時間をオーバーして大変恐縮でございますが、私の陳述とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

望月委員長 ありがとうございました。

 次に、待鳥参考人にお願いいたします。

待鳥参考人 全自交労連の待鳥です。意見表明の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 私ども全自交労連は、タクシー運転者が大多数を占めておりまして、御審議中の三法案について大きな関心と期待を持って今臨んでおります。

 タクシーの規制緩和は、二〇〇二年二月の改正道路運送法の施行で始まったというふうに認識をされておりますけれども、実際には、一九九七年度から需給調整の運用の緩和やゾーン運賃制という幅運賃が導入されまして、段階的に規制緩和が実施されてまいりました。したがって、タクシー規制緩和から既に十二年が経過しているわけでありまして、その間長年にわたって、私どもタクシー労働者は辛酸をなめさせられてきたというふうに感じております。

 規制緩和以降のタクシーの実情については多くを繰り返す必要はないと存じますけれども、端的に表現すれば、良識あるまともな企業が行き詰まり、運転者の生活が破壊され、そしてタクシーの交通事故が急増したと言えると思っています。

 配付いただきました私の資料の四ページの表にありますとおり、業界全体の売り上げが約二兆円でしかない、そういう小さな産業に五十万人近い人々が従事しておりまして、運転者だけでも四十万人を超えます。その人たちが辛うじて生計を立てております。従業員一人当たりの売り上げは五百万円にすぎない。そして、事業コストの七四%を人件費が占めるという典型的な労働集約産業でありまして、しかも、運転者の賃金が歩合給である。そのような産業に対して、無理やり規制緩和をして市場原理にさらしてしまった。その結果、やはりタクシーの規制緩和が失敗をした。必然の結果ではないかというふうに私たちは認識をしているところです。

 この間、タクシー労働者の実情が格差社会の象徴と指摘されてまいりましたけれども、現状はさらにひどい貧困へと進んでいると言わなきゃいけないと思っています。規制緩和以降で、年収は約百万円減少いたしました。今や、全国的には年収二百万円台というのが圧倒的であります。標準的な生活保護世帯の年収を下回る、そういう実態は全国に及んでいますし、最低賃金に抵触する事態も頻発しております。五ページのグラフのとおり、タクシーの最低賃金違反は他産業に比べて突出いたしております。

 もうタクシーでは暮らしていけない、もはや生業とは言いがたいような状態に陥っているというのが現状であります。労働時間など法律を守っていては食べてはいけない、したがって、背に腹はかえられず、違法な長時間労働を黙認するような、そういう悪質企業に運転者が移動をするという残念な傾向も生まれているわけであります。一部に、労働条件の確保は労働法規でという御主張もありますけれども、実態は、それは空論でしかないと言わざるを得ない状況であります。

 また、タクシー労働者の自殺率は、私たちの調査では、一般の二・七倍に上っております。多数の仲間が、この間、無念の思いでみずから命を絶ってしまいました。悲痛なことでありました。

 この労働条件の悪化は、やはりタクシーの使命である安全輸送を脅かしておりまして、タクシーが第一当事者となった交通事故は、規制緩和以降に急増し、五割もふえました。九〇年代初頭と比べると六割の増加で、高どまりをした状況にあります。

 私たちは、当初から、タクシー産業には一般的な市場原理は機能しないと指摘をしてまいりました。まさにそのとおりに現状は推移しております。利用者が減少しているにもかかわらず、新規参入や増車がとまらず、タクシー台数はふえ続けてきている。

 なぜそうなるのか。それは、運転者の賃金が出来高給、いわゆる歩合給で、しかも、ほとんどが累進歩合になって、営業収入によって歩合率が大きく変動いたします。その結果、台数がふえて、また、運賃競争によって運転者一人当たりの営業収入が減少しても、その分そっくり賃金が減額をされる仕組みになっております。

 二ページの数字はその一例でありまして、通常の商売では、商品やサービスの値段を下げたからといって労働者の賃金が減少することはありませんが、タクシーでは、値下げをした分は運転者がそっくりかぶるという状況であります。大阪の五千円超え五割引きも、ワンコインという低額運賃も、皆そういう実態にあります。安売りで賃金が下がれば、労働時間を延ばし、走行距離を延ばし、体にむち打って、無理を重ねて働かざるを得ない状況にあります。

 このように、経営者がほとんどリスクを負わない構造になっているがために、利用者が減っても台数の増加がとまりませんし、お客を奪うための安売り競争が繰り広げられてきました。しかし、運賃を下げても、実際には利用者の増加にはつながっておりませんし、他社からお客を奪っているだけであります。この構造については、交通政策審議会の答申にも指摘をされているところです。

 先月、日本一安いタクシーをうたっております徳島県の会社が、労基法違反、長時間労働で送検されました。一日十一時間、月百四十時間もの時間外労働をさせていて、運転者が勤務中にクモ膜下出血で死亡してしまって、ようやくその実態が明るみに出ました。

 こんな痛ましいことが続かないように、今回の法改正をもって、台数の増加をストップし、台数削減を図ると同時に、やはり運賃の適正化をぜひ実施していただきたいと存じます。

 一部には、台数がふえて競争が激しくなったから安売り競争が激化したんだという主張もあります。しかし、それは事実と違います。タクシーにおいては、一部の会社が安売りを仕掛けて他社からお客を奪い、そして台数をふやす。そしてまた他の会社も、お客を奪われないように対抗して値下げをする。結果として、地域全体の運賃水準が下がり、地域の運転者の賃金が減るという構図でありまして、大阪の事例が典型的であります。

 したがって、台数規制と運賃規制の双方が相まって初めて実効性が確保できる。現行の道路運送法の運賃の定めは、二〇〇〇年の法改正で上限価格制に変更されました。そのことで、運転者の人件費を削れば幾らでも安価な運賃を設定できるようになっております。この上限価格制を改めない限りは、運転者を犠牲にしての低価格競争は完全には排除できないと私たちは考えています。やはり、適正原価に基づく同一運賃にぜひしていただきたい。そのためには、道路運送法の九条の三の改正がぜひとも必要です。わかりやすい運賃で安全なタクシーこそが利用者の利便にもかなうと私たちは確信をいたしております。

 私たちは、タクシーで人並みの生活が送れるように、台数の削減と同一地域同一運賃の確保、このことが、全国五十万タクシー労働者が切望しているところであります。

 これまで、時計の針はもとに戻らないと言われてまいりましたが、やはり人為的に壊したものは、もう一度人の力、政治の力で修復することは可能だというふうに思います。ぜひとも、再度、しっかりしたタクシーの法制度を築いていただくことをお願いいたしまして、意見陳述を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

望月委員長 ありがとうございました。

 次に、富田参考人にお願いいたします。

富田参考人 ただいま御紹介いただきました富田と申します。本日は、発言の機会を与えられまして、本当にありがとうございます。

 時間が限られておりますので、少し早口になりますけれども、御容赦いただきたいと思います。

 本日は、全国団体会長の立場、日ごろからタクシー事業の経営に携わっている立場、また、昨年、国土交通省の交通政策審議会ワーキンググループ委員として参加させていただいた立場から、総合的に意見を述べたいと思います。

 まず、全国のタクシー業界の現状について申し上げたいと思います。

 全国の法人タクシー事業者は平成十九年度末で七千社、タクシー車両数は二十二万台あり、個人タクシー等を含めますと二十七万四千台となっております。また、法人タクシーの約九九%が資本金一億円以下、従業員数三百人以下の中小企業となっております。タクシーの輸送人員は、鉄道やバスの路線網の発達やマイカーの普及等によりまして、昭和四十五年度の四十三億人をピークに減少に転じ、近年においては、景気の低迷を受けた需要減もあって、平成十八年度には二十二億人とおおむね半減し、大変厳しい経営が続いております。

 また、先生方も御存じのとおり、規制緩和の流れの中で、タクシー事業におきましては、平成十四年二月に改正道路運送法の施行によって需給調整規制が撤廃され、タクシー事業への参入、増車が容易になりました。そもそも、バブル期に増車を行ったものが、その後の需要減退の中でもそのまま残り、既に供給過剰となっておりましたが、さらに規制緩和ということでタクシー台数が増加してしまいました。統計によりますと、規制緩和後の平成十三年度末から十九年度末におきまして、全国で法人、個人合わせて一万五千台も増加しており、激しい競争が生じております。

 例えば、仙台市では、規制緩和後にタクシーが急増したため、一般のタクシー需要が少なくなる夜間に、仙台市中心部の歓楽街である国分町付近にタクシー車両が集中し、二重、三重停車による客待ち行為が発生いたしました。そのため、交通渋滞を引き起こし、路線バスや歩行者等の一般の交通の妨げとなっているばかりでなく、交通事故の多発や騒音、排気ガスによる周辺環境の悪化が社会問題化しております。

 一方、大阪の例では、北新地タクシー乗り場周辺の国道二号線では、二十二時から乗り場以外でのタクシー乗車禁止、北新地内車両乗り入れ禁止、駐停車禁止の三つの規制が始まりますが、客待ち車両により、タクシー乗り場のある幹線道路がタクシー車両で埋め尽くされ、一般の交通にも影響が生じております。

 タクシー台数が供給過剰になりますと、日車営業収入といいますが、車一台が一日に稼ぐ収入が当然ながら減少することになります。一般法人タクシーの平均日車営業収入を見てみますと、例えば、仙台市を含む宮城県では、平成元年度に三万四千円だったものが、平成十九年度では二万二千円、大阪府では、平成元年度に四万三千円だったものが、平成十九年度には三万円にまで低下しております。

 また、タクシー運転者は事業所外の労働が中心であるという性格から、多くの場合で歩合制賃金が取り入れられておりますので、日車営業収入が低下いたしますと、どうしても運転者の賃金低下を招いてしまいます。平成二十年の月間給与額について比較してみますと、全産業男性労働者が三十七万円のところ、タクシー運転者は二十五万円となっております。年間の賃金水準を見ましても、全産業男性労働者が五百五十万円のところ、タクシー運転者は三百二十六万円で、長時間労働にもかかわらず、全産業男子労働者の約六〇%の賃金しか稼げないという状況になっております。

 このような状況が、まことに遺憾ではございますが、交通事故件数の高どまり等の原因の一つにもなっているのではないかと考えております。例えば、全国における平成十九年の走行一億キロ当たりの事故件数を見てみますと、自動車全体では百九件となっておりますが、ハイヤー、タクシーに限定いたしますと百七十六件となっております。なお、バス及びトラックにつきましては、それぞれ七十七件、四十件となっており、大変お恥ずかしい話ではございますが、タクシーの事故件数が突出して高どまりしている状況になっております。

 規制緩和につきましては、利用者の方が待たなくても、いつでもタクシーを利用できるようになったと評価する意見も一部から聞かれるところでございますが、デメリットの方がはるかに大きいと言わざるを得ず、諸問題の根源である供給過剰問題と低額運賃問題の解決を従来から要望してきたところでございます。

 供給過剰問題への対策を大きく分けますと、需要の喚起と供給の削減が挙げられるかと思います。

 我々タクシー業界としては、需要の喚起につきましては、GPS―AVMシステムの導入による無線配車の効率化、乗り合いタクシーの積極的参入、ケア輸送、子育てタクシーなど地域の足の確保、禁煙タクシーの導入などの取り組みに加え、供給過剰地域における国土交通省の行政運用上の措置として、昨年七月十一日に指定された特定特別監視地域におきましては、タクシー事業構造改善計画を策定し、当該地域における利用者サービスの改善に精力的に取り組んでいるところでございます。

 しかし、問題の解決には至らず、むしろ先般のリーマン・ブラザーズの倒産に端を発した現在の大不況により、過去に経験したことがないほど営業収入が落ち込んでおります。具体的に申し上げますと、東京都特別区・武三地区の主な事業者を対象にした四月の速報値によりますと、前年対比で全体の運送収入は一六%、日車営業収入は一七%も減少しております。現在、早々に新たな需要が見込める状況ではなく、一刻も早い景気回復を望んでいるところでございます。

 一方、供給の削減といたしましては、独占禁止法上の問題から共同で減車に取り組むことが不可能でありますので、あくまでも事業者ごとの自主的な判断によって独自に減車に取り組む動きが全国的にございますが、東京では千台にとどまる等、効果は微々たるもので、満足な結果は得られておりません。以上のことから、供給過剰問題の解決に当たっては、業界の取り組みだけではどうしても限界がございます。政策的な支援の必要性を痛感しているところでございます。

 特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案では、指定された特定地域において、地域の関係者が協議会を組織し、地域計画の作成ができることとなっております。その際に、地域のニーズを的確に把握し、そのニーズにおこたえしていく事業を実施することで、新たな需要の喚起へとつながるのではないかと期待しております。

 さらに、我々事業者は、協議会が作成した地域計画に即して、単独または共同で特定事業計画を作成することができ、その内容には、事業再構築として、事業譲渡、合併、減車等について盛り込むことができることとなっております。法案を成立いただければ、独占禁止法の問題をクリアして、地域の事業者が共同で減車を含む事業再構築に取り組むことが可能となります。減車を含む事業再構築は、タクシー事業者にとって大きな痛みを伴うものでございますが、利用者の皆様のためにもよりよい業界になるべく、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、運賃問題につきましては、業界として従来より要望してまいりました同一地域同一運賃が最適と考えておりますが、先生方の御努力により適切な運賃制度が実現することを念願いたしております。

 なお、法案成立に当たってぜひ要望しておきたいことは、地域の協議会の設置がスムーズに行き、また、特定事業及び事業再構築を実効性あるものとするため、強力な御支援をいただきたく、よろしくお願いいたします。特に、減車に対するインセンティブなどについて御検討をいただきまして、財政面や税制面における国や自治体からの援助等、努力した事業者にメリットのある制度となるようにお願い申し上げます。

 最後に、従来から厳しい状況が続いているタクシー業界でございましたが、先ほども申し上げましたとおり、リーマン・ブラザーズの倒産に端を発した大不況により、現在、さらなる危機に瀕しております。この危機を乗り切るためにも、法案の一刻も早い成立をお願いいたしまして、私からの意見陳述を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

望月委員長 ありがとうございました。

 次に、今村参考人にお願いいたします。

今村参考人 自交労連書記長の今村です。意見陳述の機会をいただき、大変感謝をしております。

 さて、私は、一九八八年から今日までの二十一年間、自交総連の書記長としてタクシー労働者の暮らしと権利を守る運動に携わってまいりました。

 一九九二年の第三次行革審答申に端を発した規制緩和問題では、それがタクシー労働者の人間らしい生活と労働を危うくするばかりか、安心、安全な輸送を左右する重大問題であることを訴え、さまざまな運動に取り組みました。

 とりわけ、二〇〇〇年の改正道路運送法成立に至る過程では、規制緩和反対の闘いに全力を挙げました。残念ながら、規制緩和は実施され、厳しい労働環境と貧困化、先の見えない状況のもとで、既に七年と三カ月が経過をいたしております。

 本委員会で審議されております規制緩和実施後に発生した諸矛盾の解消とタクシー規制のあり方にかかわる問題については、多くのタクシー労働者とその家族が深い関心と期待を持って審議動向に注目をいたしております。特に、規制緩和実施後に発生しました増車・運賃競争は、タクシー労働者にとっては死活的問題であります。多過ぎるタクシーを減らせ、増車はするな、ばらばら運賃反対、このことは、みんなの切実な要求となっております。

 このような立場から、私の意見を率直に述べさせていただきます。

 最初に強調したいのは、タクシーの持つ特性が、必要な規制の強化を求めているという点であります。

 タクシーは、一人の運転者が乗客の特別の目的地指定に基づいて、いわゆるドア・ツー・ドアの輸送を行うものであります。また、運転者が乗客を求め、そして輸送を行い、運賃を収受するという、営業、生産、販売、集金を自己完結的に行う労働によって遂行されます。したがって、タクシーサービスの安全性と快適性の確保は、何よりもタクシー運転者の自覚と努力なしには実現をいたしません。運転者と乗客が相対関係にあるタクシーでは、安心感が大前提になることも重要な特性であります。

 しかしながら、現状のタクシー運転者の労働条件は、極めて過酷なものがあります。衣食足りて礼節を知るという基礎的条件が全く担保されていない状況下にあっては、疲労と生活上の不安を抱いている労働者に対し、タクシーの使命を自覚し、質の高いサービスを要求したとしても、必ずほころびが出ざるを得ません。私は、そのように考えております。

 少なくとも、現状の低賃金、長時間労働の構造を放置したままでは、タクシーの安全性や快適性の基礎は不安定なものと言わざるを得ないわけです。そもそも、そのような不合理なタクシーシステムでは、成熟した社会の社会資本としての内実を持たないし、公共交通機関としてタクシーを処遇しているとも言えない、このように思います。

 労働条件の改善は、タクシー運転者がタクシーの公共性を自覚し、それにふさわしいタクシーサービスの提供に努力する基礎をつくることになります。タクシー労働者に社会的水準の労働条件を保障すること、それへの接近のスピードを上げるために必要な施策を断行することが求められていると考えます。

 国、行政には、規制緩和実施後、タクシー車両が増加し、需給の不均衡が拡大した結果、賃金の大幅な減少や運転者の高齢化といった労働環境の悪化がもたらされていることへの責任があります。タクシー輸送の安心、安全と、働く労働者の職業に対する誇りと働きがいを回復させる施策を実行する適切な対応が急務であります。

 そのために何が必要なのか。これまでのタクシーの規制緩和政策を改め、安心、安全、誇りと働きがい、地域貢献を保障し得るタクシー政策への転換が求められていると考えております。その根幹をなすのが、需給調整機能の確保と適正運賃の問題であります。

 今回提出されておりますタクシー適正化特別措置法案は、タクシーの機能を維持強化するために現時点で必要と考えられる対策と位置づけられておりますが、その緊急性と実効性確保の観点から、四野党共同法案における修正部分の積極的受け入れのもとに、与野党一致での成立を目指していただきたいと考えております。その場合、法案に盛り込まれている減車にかかわる枠組み及び新規参入と増車抑制の実効性をより確かなものとする方向での対策強化を強く要請するものであります。

 同時に指摘しておきたいのは、この特別措置法をもってしても、今日タクシーが抱えている諸問題の根本的解決には至らないだろうと推測されることであります。

 タクシーの特性からして、規制緩和を実行した世界の主要都市が抱えた矛盾は、結局のところ、需給調整機能と適正な運賃の確保の問題であり続けていることを考えれば、答えは明らかであります。この点について、四野党共同法案の道路運送法一部改正は、需給と運賃の本来のあり方に立ち返る特別の重みを持つものと考えます。十分な検討を要望するものであります。

 最後に、タクシーのあるべき将来像との関係において一言申し上げます。

 ローマのタクシー運転者は、おれの息子もタクシードライバーになったと言って誇れる地位を保持しています。ロンドンのタクシー運転者もまたそうであるように、日本にとっても、職業に対する誇りと働きがいをタクシー運転者に与える方策として、国家資格としてのタクシー運転免許の制定が今後の課題として求められると考えます。委員の皆さんの真摯な御検討を期待するものであります。

 以上のことを申し上げ、私の意見とさせていただきます。(拍手)

望月委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

望月委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉賢也君。

秋葉委員 おはようございます。自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、四人の参考人の皆様には、大変お忙しい中、貴重な御意見を、特に、それぞれのお立場で現況の実態をつぶさに踏まえました御意見をちょうだいしまして、まことにありがとうございます。

 要約をいたしますと、本当にタクシー需要が大幅に落ち込んでいるにもかかわらず、台数だけはふえ続けてきた、このことが、運賃の問題あるいは労働者の賃金の問題を含めて大きな問題になっているんだということが共通した御意見ではなかったのかなと。その中で、せんじ詰めて言えば、やはり供給過剰の問題、今回の法案ではこれにしっかりと対応していけるスキームができ上がっていると言っていいのではないかとは思っておりますけれども、その一方で、山内参考人等からも言及がありましたように、運賃問題については、さらに踏み込んだ対応を別途していくことも必要なんじゃないかなというふうに思います。

 私の選挙区の仙台市は、現在、全国で唯一、道路運送法に基づきます緊急調整地域に指定をされておりまして、まさに、全国で最も供給過剰が著しい地域であります。供給過剰の仙台、運賃価格破壊の大阪といったところが代表なのではないかなというふうに思いますが、まず、仙台の供給過剰の実態について、富田会長からも御言及いただきましたけれども、少し御紹介をさせていただきます。

 まず、仙台の需要を見ておりますと、お客さんがタクシーに乗車して走行した総距離というデータで見た場合に、仙台市では、規制緩和直前の平成十三年度を一〇〇にした場合に、平成十九年度は九四ということで、六ポイントほど減少しているにもかかわらず、供給面におきましては、延べ実在車両数で見ますと、規制緩和前の平成十三年度を一〇〇にした場合、平成十九年度は実に一四八と、一・五倍にまでふえているのが実態でございます。

 すなわち、規制緩和以降、需要が六ポイント減っているにもかかわらず、供給が五割近くふえている。これでは黙っていてもいろいろな問題が生じてしまうのは当然のことでありまして、地元の業界の会長さんの言葉をかりれば、今回の法改正も、燃え盛る火事がようやく鎮火したころに消防車がやっと到着するような状況じゃないのか。極めて言い得て妙な表現だと私は思いますけれども、しっかりと立法府が責任を持って速やかに対応していかなければならないんだろうと思います。

 仙台でも、タクシー車両一日一台当たりの営業収入で見ても、平成十三年には三万五千八百八十円の収入があったものが、十九年度では二万四千円にまで落ち込んでおります。きょうの参考人の待鳥参考人からも、全国のデータの御紹介もございました。大変、売り上げ減、そして、売り上げの減少だけではなくて、労働者の所得減少も著しいものがあるという御紹介がございましたし、また、富田参考人からは、事故も残念ながら大変ふえている、これも激しい競争が大きな原因としてあるのではないかという御紹介がありました。

 実際、走行百万キロ当たりの事故件数というデータを見てみますと、仙台市は、平成十六年度から十九年度まで一貫して全国平均よりも高い状況となっております。平成十九年度は、全国平均で七・二九六件というデータでございましたけれども、仙台市は八・八三二件ということで、死者や重傷者につながるような重大事故についても、全国平均よりも高い傾向になっている実態でございます。また、つぶさに深夜の繁華街での二重駐車の問題なども参考人から御指摘いただいたとおりでございまして、走行車の安全を脅かしかねない状況になっているわけでございます。

 さらに深刻な問題としては、やはり待鳥参考人や今村書記長からもお話がありましたとおり、特に運転者の労働条件の悪化の問題も、まさに看過できない問題なんだろうと思います。

 宮城県も、タクシー運転者の年間賃金で見ますと、平成二十年で二百六十六万だったものが、宮城県全産業男子平均の四百九十九万と比べても二百三十三万もの格差が生じている実態でございまして、全国のタクシー運転者の平均賃金の三百二十五万と比べても、五十九万円も仙台は低い実態にあるわけでございます。

 こうした中で、参考人の皆さんからは、とにかくやはり供給過剰の問題と、同一地域同一運賃の問題をぜひクリアしてほしいというのが共通した御意見ではなかったかなと思っておりますけれども、今回の政府案ではこの供給過剰の問題について、特定地域を指定して、そして協議会を開いて実態を精査した上で対策に当たることとしているわけでありますし、増車もまた許可制に戻していくということも盛り込まれているわけでございます。それぞれ実態を踏まえた貴重な御意見をちょうだいしたわけでございますけれども、改めて、四人の参考人の皆様に、今回の法改正についての評価、そしてポイント、ぜひこの部分は重要だ、また今後の課題も含めまして御評価を、それぞれ御意見をちょうだいできればと思います。

山内参考人 今回の特別措置法の評価ということでございますけれども、私は、基本的に二つあるというふうに思っています。

 一つは、今御指摘のように、供給過剰問題をどういうふうに対処するかというその具体策であります。先ほど申し上げましたように、今回の法案では、ある意味では構造的な改革を行いながらその地域の供給過剰を是正していく、こういうような内容になっている。これは非常に重要なことだと思っております。といいますのは、やはり、一方では独占禁止法の問題がございますので、どういう形で供給を減らしていくかということは非常に難しい問題がある。それを構造改革というような形をとりながら実行していくということ、その意義がまず一つあろうかというふうに思っています。

 もう一つは、これも先生御言及になられましたけれども、地域の協議会でありまして、私の考えですけれども、やはり地域交通というのは、その地域地域で情報を持った方々、実際に暮らしている方々が話し合って、いい方向を出していく。これが一つのやり方だと思っております。その意味では、地域協議会でその地域のタクシーも含めた交通のあり方をいろいろ考えていただいて、その中で適切なタクシーの供給量といいますか、台数といいますか、こういうものを答申していく、これが一つの大きなポイント。

 この二つがあって、これについての評価を私はいたしております。

 以上でございます。

待鳥参考人 供給過剰状態というのは、程度の差はあったとしても、現状、全国的なものだというふうに私たちは認識をしています。

 したがって、対策をとるという以上は、やはり道路運送法本体を改正して、全国一律で台数抑制あるいは削減を図るという対策がとられてしかるべきじゃないかというふうに思っているところです。

 政府案については、地域と期間を限定した、いわば対症療法にとどまっているんじゃないか。対症療法が必要な場合もありますけれども、現状のタクシーが置かれている状況というのは、もう対症療法では済まない、抜本的な対策が必要だ。それが求められている今現状じゃないか。したがって、将来にわたっての、ちゃんとしたタクシーのあり方を考えた上での抜本対策をとっていただきたい。

 現在の状況をもたらしているというのは、やはり前回の二〇〇〇年の法改正で台数規制を撤廃したことにあるわけですから、その台数規制を本法、道路運送法でもとに戻すということが求められているんじゃないか。

 やはり、需給調整規制を撤廃したわけですから、改めて、今のタクシーの構造を考えたら、需給要件を入れたそういう新規参入の条件とか、あるいは、増車についても全国一律認可にする、そういう対策が今抜本的に求められているというふうに考えていますので、そういう御配慮をいただきたいと思います。

富田参考人 私も交通政策審議会に一年出席させていただいて、そこでタクシーの最大の問題は、供給過剰それから運賃問題という二つの問題が中心になっております。

 そのうちの一つの問題ですけれども、この供給過剰を直すのは、まず車を減らすこと。これはもう当たり前のことなんですけれども、これが、事業者が集まって相談して減車をすることができない。これは独禁法の問題で、よく先生方は御存じのことと思いますけれども、今度のこの法案が通りますと、事業者がみんなで集まって、何とか需給のバランスをうまくとるようにしようということになってまいりますので、業界で初めて業者が集まって減車の話ができるという法案でございます。

 そういう意味では、一日も早くこの法案を通していただきまして、私ども事業者が話し合って、減車ができて、需給のバランスがとれて、それで結果的に乗務員さんの賃金がきちっと一般並みになってくるということを、私どもは一日も早くやりたいという意味では、先生方に一日も早い法案の成立をお願いしたいと思っております。

今村参考人 意見の中でも申し上げましたように、タクシーの特性からして、結論的には、需給調整機能を持たせる、それから適正な運賃がきちっと確立をされるということなしには、根本的な解決には至らない。ただ、現実に起こっております、仙台などを中心とする供給過剰地域に対して、いわゆる新規参入や増車を抑制しつつ、かつ、現実的には車を減らさなくてはいけないという問題があるわけであります。

 したがいまして、今度の法律でもって一つの枠組みができることになるわけですが、何回も申し上げますが、減車が促進されるような実効性をどう担保していくのかということ。その中では、恐らくインセンティブ効果ということも重々検討される必要があるでしょうし、もう一方では、協議会がつくられることになるわけですから、単なる協議的な機関ということではなくて、減車問題等も含めまして、一定の権威、機能を持つものとして、人選といいますか構成問題も含めてきちっとさせるということは必要であろうかと思います。

 とにもかくにも、やってみなきゃわからないという部分もありますが、これはやはり必ず成功させる、そのような必要性のあるものとして御尽力をいただけたらというふうに考えております。

秋葉委員 どうもありがとうございました。

 やはり、参考人の皆さんそれぞれ、規制強化に向けての需給調整にもっと踏み込んだ対応をということだと思いますし、協議会も実効性あるものにしていかなければなりませんし、特に、これからの成立後の運用の中では、減車を実効性あらしめるための、業界の自主性にゆだねるだけじゃなくて、やはり積極的に行政としての支援策、インセンティブ策も考えていくということが必要なんだろうということを改めて再認識いたしました。

 また一方で、供給過剰の問題と並んでもう一つ大きな問題が、同一地域同一運賃の問題、実現ということではないのかなというふうに思っております。

 きょうの参考人の陳述でもお披瀝がありましたけれども、東京では平成十九年の十二月に初乗り運賃が六百六十円から七百十円に改定されるなど、全国の多くの地域で運賃改定が行われましたけれども、私の地元などでは、平成七年に改定が行われて以来、実に十四年以上の間、全く改定が行われずに、運賃が据え置かれたままでございます。この間、低額運賃競争などによりまして、運賃を上げたくてもまさに上げられない状況、そして、運賃を下げても需要がふえていないという実態のお披瀝もきょうはありました。

 こうした問題に有効に取り組んでいくためには、やはり、利用者に安全で安定したサービスを提供するためにも、同一地域同一運賃を制度化することが望ましいのではないか、そうした御指摘もきょうはいただいたかと思います。

 今の現状を見ておりますと、現行の運賃制度というのは、上限運賃から一〇%というゾーンの中で運賃を自動的に認可するという仕組みや、一〇%を下回るいわゆる下限割れ運賃についても、実態としては通達でこれを安易に認めているというような実情にあるのではないかと思います。やはり、運賃競争を助長するようなこうした運用は今後改めていかなければならないと私自身は思っております。

 地元でも、初乗りが三百四十円といったような低価格を売り物にしたタクシーが走っておりますけれども、こうしたことが全体の需要を喚起することにつながっていないという現実を直視するならば、同一地域同一運賃という問題にもしっかりと踏み込んでいく必要があると思っております。

 今回の我々の改正案では、その運賃の問題には直接触れておりませんけれども、まず、全乗連の業界としてこの問題についてどのようなお考えがあるのか、富田参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

富田参考人 私ども長年の経験に照らしまして、同一地域同一運賃というものはタクシーには必要だと私は思っております。

 これをやることによりまして、経営の安定化、それから運転者の労働条件の改善、また利用者への安全、安心、サービスの提供というものが可能になるというふうに思っております。業界の悲願であります同一地域同一運賃を制度化できれば、大変ありがたいことであると考えております。

 いずれにいたしましても、先生方のお力により、適切な運賃制度が実現できれば理想的だと私は考えております。

秋葉委員 ありがとうございます。

 先ほど山内参考人からも、今回のワーキングの審議会では特に掘り下げた議論がなかったので今後深い議論が必要だというお披瀝がありましたけれども、この問題についてはどのようにお考えになっておりますでしょうか。

山内参考人 運賃問題は非常に難しいと思っております。

 同一地域同一運賃というのも、法制度的にどこまで担保できるのかという問題もあろうかと思います。ただ、先ほど申しましたように、これは消費者と運転者の方々のバランスの中で決めていく問題。ある意味では、消費者にとっても、価格が単一の方がわかりやすい、そういうメリットは確かにあるということだと思います。

 ですから、そういった面も考慮しつつ、また一方で、今、富田会長がおっしゃったように、業界としての事業運営のやりやすさという問題もあるし、それからもう一方では、運転者の方々にとっては運賃の引き下げが労働条件の悪化に結びつくということもやはりございますので、そういったところも総合的に勘案して、あり方についてさらに議論したいというふうに思っております。

秋葉委員 ありがとうございます。

 やはり、今後は、この運賃の問題についても精力的に取り組む必要があるんだということだと思いますので、我々も頑張って取り組んでいかなければならないと思っております。

 今回の政府案がもし通れば、供給過剰問題については一定の成果が得られるのではないかと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、これを実効性あらしめていくためには、現実に減車というものが促進されるのかということ、協議会での議論がいわゆる実態の中での減車に結びつくのかということが大変重要なわけであります。

 先ほども参考人の皆さんからも指摘がありましたとおり、これから行政としてもそうした減車のインセンティブを具体化していくという作業に入らざるを得ないと思っておりますけれども、この減車を協議会の議論の中で、あるいはまた、こうしたインセンティブ策を打ち出してほしいということも含めまして、皆さんから具体的な御意見をさらにお伺いしておきたいと思っておりますので、山内参考人から一言ずつお願いしたいと思います。

山内参考人 おっしゃるとおりでありまして、今回の法案は、地域で話し合って、それが実行に結びつかなければ意味がない、こういうことだと思います。

 そのためにどういうインセンティブがあるかということですけれども、やはりこれは、先ほど私が申し上げましたけれども、地域の交通をどう考えるかという広い立場からの議論が必要だというふうに思っています。特に利用者にとっても、例えば、東京なんかでも見られますけれども、駅待ちタクシーが街頭にあふれるとか、そういった面での不都合がある。あるいは、タクシーの質という問題もある。そういったことを頭に入れた上で、総合的なタクシーのあり方を検討する。

 そのためのインセンティブとしては、やはりそれによってその地域の交通がいかによくなるかという姿を描くことと、それから事業者の方々に、これはある程度苦痛を強いることになると思いますけれども、それに対する何らかの手当て、そういったものの結果として、新しいタクシーのあり方がその地域で生まれていくんだ、こういうふうに思っております。

 以上でございます。

待鳥参考人 協議会については期待をしますけれども、この業界の体質を考えると、なかなか協調的な減車、自主減車というのは難しい現実もあります。

 協議会に参加をしない、あるいは自分さえよければということで、よそは減車しても増車をする企業は必ず生まれてまいりますので、そういった企業に対する不利益扱いというのをかなり強力にやっていかない限りは難しいんじゃないか。なかなか難しいと思いますけれども、やはりそういった、全体のタクシーの質の向上について背を向ける企業に対する、企業名の公表等、そういったものを地域でしっかりと当局にやっていただくということが必要ではないかというふうに思っています。

 それから、減車をした企業あるいはその業界に対する財政的な優遇策ということについても考えていただきたいと思います。

富田参考人 減車は、先ほどお話ししたとおり、我々業界の中では歴史的に、制度化したことが一度もないわけです。需給調整をやっていましたけれども、これはふやす方の需給調整をやっておりまして、車を減らす需給調整はやったことがございません。そういう意味では、強制的な減車というのは各事業者の財産権を侵すことになりまして、これはなかなかスムーズにいかない。その中で今度の法案をおつくりいただいたということは、私どもにとっては非常にありがたい。ただ、完全にできるかどうかわかりませんけれども、その協議会の中で私どもは話し合いをすることができるというチャンスを与えていただけたということは、感謝いたしております。

 そういう意味で、減車をスムーズにやるには、減車に対するインセンティブをもう少し何とか政府の方でお考えいただけないか。それで、まじめにそれに対応した、努力した事業者に対してはそれ相応のメリットを十分に与えられるような方策をぜひ先生方にお考えいただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

今村参考人 やはり企業の社会的責任、CSRとの関係において、一定の地域内においてタクシー事業者がどういう社会的貢献を果たしていくのか、あるいはどういう形で共存を図っていくのかという点でいいますと、減車をしないということによって、あるいはまた増車をするということによって、かなりの負担や問題を地域に引き起こしているわけですから、それは知らないよということがあってはならないし、そういう経営者が仮にいるとするならば、先ほどインセンティブという話もありましたけれども、逆の面でいいますと、やはりぴしっとしたペナルティーもかけるということも必要不可欠のことではないのかというふうに思います。

 とりわけ、協議会の中では、やはり、個々の企業がどういう活動をしているのか、チェックをしながら、問題のあるところについてはぴしっとした対応をする。そういうことも含めて、全体として、協調的減車が促進されるような誘導策、そしてまたそれに対する援助、指導といいますか、そういった点での努力というのは求められるのではないかと思います。

秋葉委員 貴重な御意見、まことにありがとうございました。

望月委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆さん、お忙しい中ありがとうございます。特に、本当に現場で日夜活動なさっている待鳥、今村両参考人、そして、経営者としてもらつ腕を振るっている富田参考人には、特にお忙しい中ありがとうございます。山内先生は、後で、先生が需要喚起の方策ということで幾つか御提言もなさっているので、お伺いをしたいと思います。

 御案内かと思いますが、この委員会では、今、いわゆる閣法であるタクシー活性化法、これは、先ほどもお話がありましたように、地域限定、期間限定ということで、今非常に供給過剰に遭っている地域にできるだけ焦点を絞ってやるということで、どなたかがおっしゃったように、ある意味では第一歩かなというふうに私自身も個人的には思います。

 ただ、本質的な問題解決が今の閣法だけで図られるかというと、私どもは、そうではない形でということで、道路運送法本体の改正ということまで踏み込んでおります。特に、先ほど富田参考人からもお話がありましたように、リーマン以降のこの半年で、さらに大きく営業収益が減っているということを考えれば、やはり制度、法体系というものは、それをある意味では先取りした形で形をつくっていかなきゃいけないという思いが実はございます。

 民主党という立場では、この一年以上にわたって、いろいろな方からお伺いをしながら、この道路運送法の改正も含めて踏み込んだ方がいいという結論に達して、野党三党の皆さん方の御協力もいただいて、今、共同提案ということでこの委員会で質疑を進めているところであります。

 そして、まずお聞きをしたいのは、先ほどもお話があったように、ある意味では規制緩和というものは、例えば、消費者の方が価格や料金が下がってうれしいなということや、経営者の方がたくさん事業を拡大してもうかってうれしいな、いろいろなことが規制緩和を通じてプラスの面がなければ、それは先ほど、多分、今村参考人だと思いますが、誤っているものは堂々と直していかなきゃいけないというように私も思っています。

 そんな中で、もう一度、端的にぜひお答えをいただきたいんですが、やはり、経営者の方も労働者だ、ドライバーの方も、そして消費者の方も、料金・運賃を引き上げたということで、だれもよくなっていない。そういう部分を含めて、この十二年ないし八年間のタクシー事業を取り巻く規制緩和というものは、ある意味では若干のプラスはあったものの、基本的には、現状、間違っていたという認識に私は立つべきだと思いますが、その点について、山内参考人から、端的で結構ですからお答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、福井委員長代理着席〕

山内参考人 平成十四年の規制緩和、それから、先ほど御言及がありましたけれども、それ以前から、運用面でかなり自由化の議論というのはあった、制度といいますか運用があったわけですけれども、私自身の結論を申し上げると、今回の規制緩和というのは確かに非常に大きな問題もあった、それで今こういう議論をしているわけですけれども。

 一方で、そのメリットがなかったかというとそういうわけではなくて、恐らく先生も御承知のように、例えば需給がタイトになってタクシーがつかまらないというような状態も過去にはあったわけですね。そういったことと比べれば、例えば待ち時間が減るとかいうこともありますし、それから、タクシーの内容といいますかサービスも多様なものが出てきたというのも事実でありまして、例えば、比較的高級なタクシーが出てくるとか、あるいは子育て支援型のタクシーが出るとか福祉型のタクシーが出るとか、いろいろなことがあった。そういう面ではメリットはあったというふうに思っております。

 ただ、それだけではなくて、一方では非常に大きな問題があって、供給過剰に端を発する、まさにおっしゃるように三方一両損のような、運賃を上げても、経営者の方もそれから労働者の方も消費者も、だれも得をしなかった、こういうような問題が出てきている。恐らくそれは供給過剰が原因だと思いますけれども、それを改善しなければいけない。これが現状であるというふうに考えております。

 以上です。

待鳥参考人 規制緩和でいろいろなサービスが出てきたと言われますけれども、いろいろなサービス、介護タクシーあるいは福祉タクシー、これは規制緩和によって生まれたのではなしに、やはり、利用者のニーズにどうやってこたえていくかという業界努力で生まれた。それは当然のことだと思っていますし、輸送サービスでそういったニーズに対応するいろいろなメニューが出てきたということについては、いいことだというふうに思っています。

 しかし、全体の競争が、やはり、すぐれた企業が残って、そしてサービスの悪い企業がつぶれていくといったような、いわゆる優勝劣敗という状況になっていない、タクシーでは優勝劣敗が働いていないというのが現実であります。

 運賃の場合には、やはり、コストの七四%が人件費と先ほど言いましたけれども、いわゆるガス代が、去年は高騰しても六%ぐらい、それから車両費が、修理代と代替費用を入れても四%ぐらい。合わせて燃費と車両費で一〇%ぐらいという状況であります。

 コスト競争、いわゆる運賃競争をする余地はない。やろうと思えば、人件費を削るか安全コストを削るかしかないのがこのコスト構造ですから、そこに運賃競争を持ち込むべきではない。やはり原価は、適正な原価を考えたときには同一の原価に収れんをしていくというのがこの産業ですから、同一運賃というのが一番明確で、そして利用者にとってもわかりやすい、安心して乗れるというふうに思っています。

 今、安いタクシーの多くが、実態としては名義貸しの疑いのある営業形態をとっていまして、やはり、運行管理やあるいは安全確保という面で大きな問題を起こしているわけでありますから、そのことをぜひ念頭に置いて運賃制度は計らっていただきたいと思います。

富田参考人 規制緩和というのは、例外なしの規制緩和ということで政府がおやりになったと思います。規制緩和をやることによりまして、我々の産業の需要を拡大して活性化していこうという目的でおやりいただいて、その結果、利用者がその恩恵をこうむるという目的で実行されたと思いますけれども、実は、この規制緩和を行う前から、バブルがはじけて、ずっと我々の業界では需要が少しずつ少しずつ減っておりまして、ふえたことはほとんどございません。

 そういうことで、需要が減っている中での規制緩和という非常に難しい時期にこれが実行されたということが、タイミングがちょっと悪かったかなというような気がいたしております。

 その不況が、いろいろな要因でいろいろな問題が起きてきまして、燃料は時々どんどん上がっていってしまうとか、不況はどんどん悪くなっていく、デフレがずっと続いていて、よくなったような感じはありますけれども、実態はよくなかった。それで、最後に、昨年から世界的な大不況が起きてしまったというような、本当にマイナス要因になることばかりが起きまして、この規制緩和の足を引っ張ったと思うんですよね。そういう意味で、目的としたところがうまくいかなかったということはあったと思います。

 結果、どういうことが起きるかといいますと、不況になってきますとお客様が減ってくる、お客様が減ってきますと、車はそのままの台数であるということによりまして、需給のアンバランスがどんどんどんどんひどくなっていく。これがもう毎年毎年、最近では月ごとにそのアンバランスがひどくなってきているというような状況でございます。

 そういう意味で供給過剰になっているわけですけれども、これを何とか直そうということでいろいろ審議されたわけですけれども、一番簡単な直し方は、景気が回復することです。ですから、早く景気を直していただくということが大事だと思いますけれども、やはりそうすぐには景気が回復できないということになれば、何とか減車をやって供給過剰の問題を解決する以外ないというような結論になったわけでございます。

 そういう意味で、今度の新しい法案を早く通していただいて、早くこの不況に対応できるような体制を整えないと、我々の産業は本当にどんどん疲弊してしまうということになりますので、私としましては、この法案を早く通していただきたいというようにお願いしたいと思います。

今村参考人 タクシー労働者の賃金は出来高払い制の賃金でありますから、本人がどれだけの売り上げを獲得できるかどうかということ自体が、賃金が上がる、下がるということになるわけであります。

 売り上げの中身というのを見る場合にやはり一番重要なことというのは、その地域の供給状態がどういう状態なのか。かつて、例えば東京なら五二%の実車率でありましたが、今は四〇%を切っております。一〇%以上実車率が下がっているというのは、極端な供給過剰状態になっているということであります。ですから、当然、一定の運賃の水準は確保しなくてはいけませんが、物すごく車がふえるということは、実車率が引き下げられる、つまり、自分の上げる売り上げが物すごく下がるということとの関係があるわけであります。

 したがいまして、適正な台数であるのかどうか、そしてまた、右の方に、適正な運賃であるのかというのは、バランス的に見てそれが一定のまとまりのあるものが、我々にとっても利用者にとっても最も望ましいんだろうというふうに思います。

 もっと平たく言いますと、前回の運賃値上げをして、経済動向もありまして実効は上がりませんでしたけれども、それは、今の経済動向の問題があり、なおかつ車がだぶついているのに減車をしないということは、結果として労働条件改善に結びついていないということですから、絶えず需給の問題と運賃の水準というものを見ながらそれなりの政策を実行していくということが不可避であろうというふうに考えております。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。

 山内参考人と富田参考人に端的にちょっとお伺いします。

 先ほど待鳥参考人からお話がありましたように、最低賃金の違反率というのが、タクシー業界、非常に高い部分があります。七倍から八倍以上ということで、この原因は、山内参考人、富田参考人、どこにあるというふうにお考えでしょうか。

山内参考人 私は、最低賃金違反の問題というのは、基本的には、通常、規制の場合は、社会的規制と経済的規制とに分けるわけですけれども、私の立場からすると、社会的規制をどこまで網羅的に実行できるか、そういう問題が一つあるというふうに思っています。要するに、そういったものをいかに排除していくか、それによってその事業者に業界から退いていただく、こういうようなことができるかできないかというのが一つあると思います。

 ただ、全体的に見ますと、確かに、経済状態が悪く、そして運賃水準の問題等があり、それぞれの運転者さんの売り上げが上がらずに、それで最低賃金を下回ってしまう。一つは、そういった全体、マクロ的な経済の問題と、それからタクシー事業の構造的な問題、両方がある。それからもう一つは、賃金の歩合制の問題。どこまで歩合制をとるかというような問題もあって、こういったことについての構造的な問題があるというふうに思っています。

 社会的な規制はもちろん必要ですけれども、それだけではいけないというところについて、我々も、これもまだ議論しなきゃいけないと思っておりますし、それから行政の方でも、タクシーの賃金に対する問題というものをもっと掘り下げてやるということになっております。もう少し考えてみたいと思います。

富田参考人 最賃の話は、各地域によりましていろいろ条件が違いますものですから、一概にはなかなか言えないと思います。バブルのときは最賃なんという言葉は余り出てきませんで、問題にならなかったと思うんですけれども、これだけ不況が長く続きますと、やはり最賃という言葉がささやかれるようになるということで、何しろ一番の根本は不況の問題だと思います。

 この不況でだんだん稼げなくなりますと何が起きるかといいますと、先ほど山内先生がおっしゃったように、社会的規制を非常に強くしないと、何とか生き残りたいということで経営者が悪質になっていく、また乗務員さんもいろいろな手を使って稼ごうとするというようなことで、最賃をささやかれるようになるような産業は何とか手を打って生き延びようということを考える、そういう環境を与えてしまうということだと思いますので、その辺を直していただければと思っております。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。

 山内参考人と富田参考人の意見を私なりにまとめてみますと、やはり、違法状況という今の状況があるというのは、これはだめだという部分に立った制度づくり、法改正というのが必要だということでよろしいですね、うなずいてもらうだけで結構ですから。(富田参考人「結構でございます、よろしいです」と呼ぶ)

 ですから、私たちは、需給調整機能を道路運送法の改正をしながら持たせ、なおかつ、賃金についても、適正原価に適正利潤を加えるという形で対応していきたいという強い思いを持っております。

 そんな意味で、時間もありませんけれども、これは待鳥参考人と富田参考人にお聞きをしたいと思います。適正な賃金水準と運賃水準というものはどのようなものであるかというのを、これも端的に、ちょっと時間がないので簡単で結構ですから、お答えいただけますか。

待鳥参考人 最賃の話がさっき出ていましたけれども、最低賃金というのは、本当に、いわば非正規のそういったパート的な人たちの賃金として設定されたものであって、二種免許を持ったタクシーの運転者が、そして熟練労働者が、ましてや人の命を預かって車の運転に携わるのですから、最低賃金でいいというふうには私たちは考えていません。

 先ほどの最賃の違反率一七%と異常な突出した高さも、私たちは氷山の一角だと思っています。労働組合のないところでは、そういったところでは実態は告発をされていませんし、あるいは、今の現場の実態を見ても、最低賃金に抵触をするから、実際は車を運転して、あるいは車に乗っていながら、車の車輪が十五分以上動いていないとそこは労働時間と認めないとか、あるいは、一時間二千円以上売り上げがないとそこは労働時間に認めないとかといって、労働時間を短く算定することで最賃逃れというのが横行をしている。そんなひどい実態にあるわけであります。

 やはり私たち、そんな実態だからこそ、最低賃金も保障できないのであれば、保障できるように車を自主的に減らせばいいんだけれども、やはりタクシーの経営者の体質というのは、タクシーを減らそうとしないというところがそんなふうになっていると思っています。

 それで、賃金のあり方でありますけれども、私たちはやはり、労働時間を守って、それから安全輸送で、そしてお客さんにきちっとしたサービスができる、そうやってゆとりのある運転で仕事ができる、そういった賃金をぜひつくり上げていきたいというか、確保できるようにしていただきたい。

 それは、オール歩合といったような完全な出来高給じゃなくて、やはり固定的な賃金を賃金の中に六割とか七割つくって、その上で若干の成果配分の歩合給も入れるといったような賃金、そういった賃金を組み立てられる余力のある産業構造をつくっていただきたい。そのためにも台数と運賃の規制が必要だと思っています。

後藤(斎)委員 短く、済みません、富田参考人。

富田参考人 短く発言させていただきます。

 供給過剰は、やはり経営的にも、乗務員にも、それから利用者にとっても、これは今害を与えていると私は思っております。これを減車しますと、経営も効率的に運営されますし、運転手も、一日車を出して労働時間を守ってちゃんとやっても、ちゃんとした稼ぎができて、ちゃんとした給料が取れるようになる。また、利用者も、事故が少なくなるし、それからサービスもよくなるということで、私は、供給過剰を直せば、かなりの部分、このタクシー業界はよくなるんじゃないかというように思っております。

 それからもう一つは、賃金水準の話ですけれども、労働形態によっていろいろ違いますので、一概にこれは言いにくいような気がするんですけれども、何が適正かというような御質問ですと、やはり一般産業並みの賃金は乗務員に与えてやってほしい。それによってタクシーの乗務員の質がかなり上がっていくんじゃないかというように私は考えております。

後藤(斎)委員 最後に、富田参考人にちょっとお伺いをします。

 私どもは、先ほどお話ししたように、特定地域だけではない、全国に需給調整機能を持たせ、なおかつ原価に適正利潤を加えたという運賃の制度をあるべき姿だと思っています。ぜひ、そんな意味で、富田参考人も、そうであるべきだという強い意思表示を最後にお願いしたいんですが。

富田参考人 私は、野党さんの方の中身につきましては、与党さんほどは中身はよく理解していないような感じがいたしますけれども、大体同じようなものじゃないかなというような気がいたしております。

 そういうことで、ひとつこのケースだけは与野党さん手を組んでやっていただいて、新しい法案を通していただければ大変ありがたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 最後に、委員長、一言。

福井委員長代理 時間が終了しておりますけれども、後藤斎君。

後藤(斎)委員 きょうの参考人の質疑は、委員長の御支援の中で、四党でそれぞれ参考人を出し合って議論をしています。少し言うと、今の状況は、参考人の先生方にも大変失礼だったということを促して、委員長のこれからの委員会運営についての御配慮を求めて、質問を終わります。

福井委員長代理 わかりました。

 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、四名の参考人の皆様方には、大変お忙しいところ御出席をいただきまして、貴重な御意見、大変にありがとうございました。

 それで、ちょっと着席をさせていただいて質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、山内先生にお伺いしたいというふうに思いますが、山内先生は、タクシー行政のあり方、規制のあり方などにつきまして、長く専門的にかかわってこられたわけでございます。

 そこで、規制緩和を行った際に、需給調整規制を廃止いたしました。その段階では、多分、市場の機能がある程度働いて、一定の期間を置けば、ある程度適正な水準に落ちついてくるんだろうという予想に基づいていたのではないかというふうに思います。結果はそうはならなかったわけで、今回こういう見直しを行うということになったわけでありますけれども。

 当初予想していたものがそのとおりにはならなかった、そのあたりの主な要因というんでしょうか、その辺のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。

山内参考人 先生御指摘のように、当初、規制緩和をするというときには、こういった結果になるのではないかと予想があって、それに対して今はどうかということでありますが、確かに、今ここに問題になっているような、例えば需給バランス、供給過多といった問題が深刻になってきた、こういったところがどこから来たかということだと思うんです。

 私、規制緩和をするときの議論というのは、恐らくもう少し、タクシーに対する選択性といいますか、消費者が選んで、要するに、質がよくて比較的安い、こういったタクシーが選ばれて、そういった業者さんが努力をされて、いいサービスを提供して、マーケットがよくなる、こんなことが想定されていたんだというふうに思っております。

 ただ、結果的に、消費者の選択性というものが十分でなく、しかも、一方では、質が悪く、しかも安いというようなタクシーが大量に参入したということがあって、そういったことからマーケットがうまく機能しなかった、こういうようなことが原因ではないかというふうに思っています。

 地域によってこれもばらつきがあろうかというふうに思っておりますけれども、押しなべて言うと、参入の容易さというものが全面的に出てしまって、通常のマーケットで言われるところの市場の改革とかイノベーションとか、新しいサービスの普及とかいったものが十分でなかった、こういうふうに思っております。

上田委員 ありがとうございます。

 次に、山内参考人、そしてまた富田参考人にも御意見を伺いたいというふうに思うんですが、先ほどの待鳥参考人からの意見陳述の中で、現在の歩合制、また累進歩合制の賃金体系が結構多くなっている、それによって人件費が完全に変動経費となることから、適正というか、合理的な水準をはるかに超えた形で増車する誘因になってきているのではないか、それがさまざまな問題を発生する大きな原因の一つとなっているというような御意見がございました。

 確かに、今のこの賃金体系、他産業から比べてちょっと異例な形になっているのではないかというふうに思いますし、また、私が承知しているところでは、従前は固定給と歩合給を併用しているというような形が多かったといったふうに聞いておるんです。

 そこで、山内先生に、現行の賃金体系のあり方についてどういうふうにお考えか、また、それを改めるとしたらどのようにしたらいいのか。また、富田参考人には、経営者の立場から、この歩合制の賃金体系についてどのようにお考えか、また、それを改めていくというようなことは果たして可能なのかどうか、そのあたりの御意見を伺えればというふうに思います。

山内参考人 歩合制の問題というのはかなり深刻で、やはりタクシーの場合には、場外労働ですので、何らかのインセンティブで事業者が運転者さんの労働を管理する、こういうようなことはある程度は仕方ないのかというふうに思っておりますけれども、現状の歩合制がどうかと言われれば、かなり行き過ぎの面もあるのではないかというふうに考えております。

 この問題は、どれだけ例えば固定部分を大きくするか、歩合部分を小さくしていくか、こういう具体的な問題もございますし、それからもう一つは、これは物価安定政策会議である委員が指摘をされたんですけれども、タクシー事業の場合に参入や増車に関して事業リスクというのはどこまであるのか、こういうような御指摘があった。やはり事業でありますから、何らかのリスクを冒して事業をするというのが通常の実態でありますけれども、それが、こういった歩合制の問題から、ほとんどリスクがなくなっているという、それは事実だと思うんですね。

 ですから、これもレギュレーションということになろうかと思いますけれども、歩合制の比率を小さくしていって、固定給を上げていく、こういうようなことが必要であろうかというふうに思っております。

 以上です。

富田参考人 この問題も交通政策審議会で一年間討議された内容でございます。何とかこれを直せないかというようなお話もございましたけれども、一般論として申し上げますと、タクシーの運転者の仕事というのは事業所の外でやる仕事でございますので、管理者の目が行き届かない。また、運転者一人一人の営業収入には大きな開きがあって、運転者の賃金をすべて固定給とすることは、経営の維持及び運転者間の公平性確保の観点から見て非常に困難であるというような結論が出ております。

 なお、タクシー運転者の賃金制度については、引き続きまして、タクシー事業における賃金システム等に関する懇談会というものを立ち上げまして、国交省で今いろいろとタクシーの賃金のシステムを検討いたしております。それにつきまして、固定給のあり方がどういうふうになってくるかわかりませんけれども、私ども業界といたしましては、その懇談会の結論を待って、適切に対処していきたいというように考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 この賃金体系の問題がいろいろ指摘をされている中でございますので、これについて、ぜひ精力的に、またそれぞれの立場で御検討をいただければというふうに思います。

 次に、山内参考人にお伺いをいたしますけれども、きょう御出席をいただきました四名の参考人の方々も共通して、それぞれ度合いの違いはあるものの、需給調整を少なくとも特定の地域においては導入していくことが適切だという御意見だったというふうに承りました。供給過剰がこれほどひどくなっていて、事業者にとっても経営が圧迫をされ、また運転者の賃金が低下をしている。交通問題や環境問題の指摘もありました。そういうことから考えますと、需給調整を行っていくことは今必要なことなんだろうというふうに私も思っております。

 ただ、この需給調整のあり方が余りに固定化されると、逆にこの業界自体の活力がなくなっていくのではないかということも心配されます。

 あくまで、今回協議会で決定をする総枠の範囲の中でということになろうかというふうに思うんですが、やはり、経営上の問題がある事業者であるとか、サービスについての評価が低い事業者であるとか、そういったところを中心に減車をする、また退出をしていただく。一方で、顧客に適した新しいサービスを提供しようという、いわばイノベーションを促進していこうというような事業者、そういった事業者については、もちろん大きな範囲、大きなものはできないかというふうに思うんですけれども、仮に限定的であったとしても、増車とか新規参入の道をやはりつくっておかなければいけないのではないかというふうにも思います。

 ただ、きょう、ずっと参考人の皆様の御意見をいろいろ伺っておりますと、これはなかなか、自主的には事実上困難じゃないかというようなことでございました。

 そこで、何らかの行政のかかわりが必要なのかどうか、このあたり、今後どういう形で、いい事業者が残り、業界全体の活性化に役立ち、また質を向上させていくためにはどういうような取り組みの御提案があるか、御意見を伺えればというふうに思います。

山内参考人 今回の法案、特に政府案の特別措置法ですけれども、私の認識は、かなりこれは強い内容だというふうにとらえることもできると思っているんですね。

 というのは、先ほど富田参考人もおっしゃっていましたけれども、これまで業界として、旧道路運送法の時代も含めて、減車というような措置を何らかの形で受けたことはないということをおっしゃった。というのは、旧道路運送法の需給調整条項でも、供給量を減らすということはほとんど不可能だったというふうに私なんかは理解しています。実際、そういったことを指摘している研究者もいらっしゃいます。

 今回の措置は、減車が事実上行えるという意味ではかなり強い法案でありまして、その意味では、委員おっしゃるように、こういったことが固定化するということに対する懸念は若干ある。だから、政府は特別措置法という形で出されていますので、その意味ではその辺のこともよくおわかりになって出しているのかなというふうに思っています。

 では、一体どういうふうにしたらいいかということなんですけれども、私は、今、供給過剰であって、タクシーのマーケットというのは機能していないというのは確かに事実だけれども、これを減らすということと、それから、おっしゃったように、タクシーが新しいサービスとか新しい何か需要をつくり出していくような努力といいますか、そういったものが必要でないかというと、決してそんなことはなくて、マーケットといいますか、動いている経済の中で、イノベーションとか新しいサービスの提供とかいったものは、やはり事業者の責務だというふうに考えている。そういう意味では、余り事業者さんの自由度をそぐということもいかがなものかというふうに思っています。

 ただ、供給過剰ですので、今の段階でこれを何とかするというのは確かに必要でありますので、それをまずやっていくということだと思います。

 私、東京のタクシーを見せていただきますけれども、東京のタクシーでも、恐らくおっしゃるような形で質の悪いとか問題があるというのは二割以下だと思っています。東京タクシーセンターというところで、ランク評価委員会というので東京のタクシーを今ランクづけしているんですけれども、それで本当にいつも悪い評価を得るというのは二割以下のタクシー、台数でいってそのくらいですね。ですから、そういったところを何とかするというのが一つあろうかと思っています。

 最終的には、私は、何らかの形で消費者の皆さんがタクシーをちゃんと選択できて、そして、おっしゃるような形の新しいイノベーションというものが生まれてくるようなものが生き残っていく、これが業界にとっても社会全体にとっても望ましい姿ではないかというふうに思っています。

 繰り返しますけれども、ただ、今大きな問題を抱えていますので、これを何とかしなければいけないというのは我々共通した認識であると思っております。

 以上でございます。

上田委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、待鳥参考人、また富田参考人にお伺いをしたいというふうに思います。

 国土交通省では、この法案とともに、運賃に関するガイドラインを策定する予定であるというふうに承知をしております。お二人の参考人にもそれぞれの立場で御協力をいただいているものというふうに承知をいたしております。

 そこで、このガイドラインによって、供給過剰の抑制、あるいは運転者の適正な賃金の確保、事業者の経営安定、こうしたものが実現をされる必要があるわけでありますけれども、ここで、このガイドラインの効果についてどういうふうにお考えになっているのか、それから、今御協力をいただいているところでありますけれども、このガイドラインの中にはどのような内容、項目を盛り込む必要があるというふうにお考えか、お二人から御意見を伺えればというふうに思います。

    〔福井委員長代理退席、委員長着席〕

待鳥参考人 私も、国交省で設けていただいている運賃制度研究会のメンバーに入っていまして、ガイドラインの策定にかかわっております。

 交通政策審議会の答申では、ガイドラインをつくるに当たって、適正な人件費コストを織り込むべきだという趣旨の文言を盛り込んでいただいています。やはりポイントはそこだろうというふうに思っているわけです。やはり、適正な人件費をどう考えるかによって大きく運賃水準は変わってまいりますし、運賃のあり方も変わってくるということであります。

 それからもう一つは、現在のガイドラインの策定については、現行の道路運送法の九条の三、いわゆる適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないことという上限価格制になっておりまして、これを前提としてガイドラインの策定、そしてその結果としての運賃制度の通達の改定ということが見通しをされているわけであります。

 これでは今までと根本的には変わらないんじゃないかというふうに私は考えています。やはり上限価格制である以上は、いわゆる低い運賃についても、厳密には制限することは難しい。いわばコスト割れの運賃であったとしても、その企業がこれでできると言えば、規制することは難しいんじゃないかというふうに思っています。

 これまでも、いわば自動認可額というのが設けられてきましたけれども、運賃の実際の査定については、自動認可の下限割れについても、どんどん申請のままに認可をされてまいりました。あるいは、この間、運賃の審査の通達についても何度か改定をされてきています。

 つまり、法律は変わらないのに、その時々の情勢、社会情勢、政治情勢で、タクシー運賃が行政によって変更されてしまうということが繰り返されてきたわけであります。やはり、きちんとした法律の土台があって、いわゆるガイドラインあるいは運賃の認可基準、通達は策定をされなければいけないんじゃないかというふうに思っています。

富田参考人 今お尋ねの問題は、この前の山内先生のに関連するんですけれども、一つだけはっきりしたいのは、供給過剰それから運賃問題、これは日本全国で蔓延しているわけじゃないんですよね。地域によって供給過剰の地域がある、それから運賃で問題ある地域があるというところで、その地域は問題がある地域だということで特定地域という指定をされて、そこの地域の供給をどうするかという問題になっているわけです。それによりまして、今度の新しい特措法によりまして、その問題があるところの供給過剰を直していこうということが基本にあると思うんですね。

 ですから、運賃も、ガイドラインをつくってやらなくちゃいけないような場所というのは、日本全国ではなくて、やはり部分的に何カ所かということだと思いますけれども、それによりまして、私どもが祈願しております同一地域同一運賃に少しずつ近づいていくのではないかなというような気が私はいたしております。一遍に同一地域同一運賃にできないということになれば、私どもは、それに少しでもだんだん近づいていくということが非常に大事じゃないかなというような気がします。

 どちらにしましても、この法案でこの産業が何か固定してしまって発展がないようなことをちょっと伺いましたけれども、協議会が今度できますので、各地域地域で起きるいろいろな問題をそこの地域の協議会で解決していくという場を設けていただけると。それから、今度の需給調整と言えるかどうかわかりませんけれども、増減車を含んだ需給調整、多いと思えば減らす、少し減らし過ぎたと思えばふやすというようなことも可能になるような気がいたします。

 いずれにいたしましても、地域地域の、その一つ一つの町のタクシーをどうしたらいいのか、どうしたらよくなるのかということを、地域の住民、自治体、警察も関係しますけれども、すべての人たちと一緒にその町のタクシーをよくしていこうというのが基本にあるものですから、私は、この協議会というものをぜひスムーズにつくれるように後押しをしていただきたいと思っております。

上田委員 ありがとうございました。

 もう時間でございますのでこれで終わりますが、改めて、四名の参考人の方々から大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、厚く御礼を申し上げます。大変ありがとうございました。

望月委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 四人の参考人には、貴重な御意見をありがとうございました。

 着席して質問いたします。

 まず、今村参考人にお聞きします。

 タクシー規制緩和の根本について意見を述べてください。

 御承知かと思いますが、二〇〇〇年の道路運送法の審議の際、私どもは反対しました。当時の運輸大臣は、新しいタクシーの需要も起こってくる、労働者に対しても条件をさらによくしていく方向になっていくと述べました。規制緩和の未来がバラ色であるとしたわけであります。それに対して、私どもは、需給調整廃止によって供給過剰状態を一層深刻化させると指摘をし、規制緩和によりタクシーの台数はさらにふえ、一層の長時間労働を余儀なくされ、安全を脅かすことになると結論づけて、あわせて、政府の緊急調整措置は台数規制の歯どめにはならないと反対討論を行ったのであります。

 結果はどうだったか。もう明白であります。政策の誤りがどれほど多くの方々に被害と苦しみをもたらしたのか。市場の失敗では済まない。利用者の安全、つまり、これは人の命であります。そして、労働者の労働条件悪化、これは生活が成り立たないほど深刻になっているわけであります。したがって、これらの検証の上に、まず真摯な反省が必要だと私は考えます。

 タクシーの規制緩和は間違いであったと思いますが、その辺の結論を述べていただければ幸いです。

今村参考人 二〇〇〇年の改正道路運送法にかかわる国会の段階で、我々の労働組合も、私も含めてもそうでしたけれども、アメリカやヨーロッパを見渡しても、規制緩和を実施して成功した事例がないではないかと。ことごとくいろいろな矛盾や問題を引き起こしている。最終的には需給の調整や運賃の問題についてもきちっとしたものに変えるといったことで、一言で言えば、失敗というよりも誤り、誤りであるものをなぜあえてタクシーにここまでごり押しをしてやったんだという思いが非常に強かったわけです。

 緊急調整措置制度にしても、運賃の認可制にしても、それを維持するから大丈夫であるということが相当言われましたけれども、結果は御承知のとおり、今日行われているような議論の結果になっているわけであります。

 もっとわかりやすく言いますと、サービスがよくなるんだ、そして悪い事業者は市場から退出しなくちゃいけなくなるんだ、いい経営者、経営が生き残るんだ、したがって、そこに働く労働者の賃金、労働条件は改善をされる、いいこと尽くしではないか、なぜこのタクシー規制緩和に賛成をしないというのが当時の論調でありましたが、現実との関係でいうと、ことごとく反対の結果が出ているということについては間違いのないことでありまして、そういった面では、私は、一言で申し上げますと、過ちを改むるにはばかることなかれ、そういう精神のもとに今後のタクシー政策を行っていただきたいと考えております。

穀田委員 待鳥参考人にお聞きします。

 市場の失敗という小委員会の問題提起があったことは御承知かと思います。そこで言うところの原因たる情報の非対称性、乗務員を選択しにくい、これはタクシー業界における従来からあった特性であったはずであります。この間の状況の反省を、市場のメカニズムを動かすようにすればよいという考えが成り立つのであろうかと私は思うんです。

 さらに、サービスの多様性と称して運賃が安くなった例を挙げる方もいます。しかし、交通政策審議会答申は、人件費が一般的に費用の七〇%以上を占めるタクシー運賃、参考人によれば七四%と指摘していましたが、したがって、運賃を安くするには人件費を下げるしか、実際上、方法はないわけだということは、もう明らかであります。労働者の犠牲の上に市場原理を働かせることになるというのがこの市場の特質と私は考えています。

 したがって、私は、公共交通の最大のサービスは安全だと思うんです。その安全を担う労働者の犠牲の上に成り立つ市場のメカニズムとは一体何ぞやというふうに思うんですが、御意見をお聞かせ願えれば幸いであります。

待鳥参考人 タクシーの選択性、今、流し中心ということで選択がきかない乗り物だと特性が指摘をされてきました。あるいは、歩合給を中心とした賃金構造がある。そういったものを放置して、やみくもに規制緩和したことが今日の状況をもたらしている、いわば市場の失敗をもたらしたという指摘だと思いますので、まさにそのとおりだというふうに思っています。

 それで、市場の原理がきかないということでありましたけれども、需給調整がなされていた法改正以前、免許制のもとであっても、MアンドAというのは盛んに行われてまいりました。経営権の譲渡譲受も多く存在をしました。九〇年代初頭に八千社あったものが、規制緩和以前には七千社まで減っておりました。それは、MアンドAや経営統合といったことで減って、産業の効率化が図られてきたというふうに私たちは思っていました。

 しかし、規制緩和以降、今や一万二千社を超えております。やはりそれは、本当に市場原理が働いて効率化が図られているのかということからすると、大きな疑問だというふうに思っています。需給調整がされていた時代でも、意欲ある資本というのはMアンドA等を通じて参入が十分可能であったということであります。

 それから、減車が難しいということも言われておりますけれども、需給調整時代には、例えば、秋田で一割減車をみんなで自主的に取り組んだ、熊本で五%の減車を取り組んだということがありました。しかしながら、逆に、台数規制が撤廃をされてから、結局は、みんなで減車をして効率化を図ろう、適正化を図ろうとしても、ほかがふやすからできなくなってしまった、そういう逆行する状況も生まれてきているということであります。

 やはり、きちっとこの業界の特性あるいは経営の体質等を見きわめた上で、いわば市場性をきかすのであればそういう対策をとるべきであって、ただ台数を撤廃する、あるいは運賃規制を自由化するということでは、この業界については健全化、効率化は図られないというふうに考えています。

穀田委員 富田参考人にお聞きします。

 昨年十二月二十四日、車両台数の適正化及び同一地域同一運賃制度の確立を求める要請においでいただきまして、ありがとうございました。私もそのとき受けた側なんですが、少し、同一地域同一運賃にした場合、利用者、国民へのサービスの低下を招くという意見がありますが、それはどうお考えですか。

富田参考人 いろいろなサービスがありますので、私が全部お答えできるかわかりませんけれども、一つは、同一地域同一運賃というのは、お客様がどのタクシーをお選びになろうとも同じ運賃で乗れる、それで、同じように安心して安全に利用できるということの一つだと思います。そういう意味で、同一地域同一運賃が理想的ではないかなと私は感じております。

穀田委員 続いて、私は京都に住んでいまして、京都は、御承知のMKタクシーというのがございます。MKタクシーなどは、依然として規制緩和継続を主張し、増車、低運賃戦略をとっているわけであります。そういう事業者がとっているリース制について、どういう意見をお持ちでしょうか。

富田参考人 MKタクシーさんは、運賃が安く、またサービスがいいということでよく新聞に出ていらっしゃいますけれども、その地域でそういう会社がありまして、そのサービスというのは非常にいいと私は思いますけれども、運賃を安くすることによって、そこの地域のお客様がそっちへ寄ってしまう。そうしますと、そうでない、安くしていない、普通の運賃でおやりになっているところのお客さんが少なくなってしまう。そこで働いていらっしゃる乗務員さんが食べられなくなる、給料が低くなってしまう、MKさんの方の運転手さんの給料が高くなっていくということになってくるんだと私は思います。

 そういう意味で、一カ所、一つの地域で少しの会社が安くするということは、やはり全体の乗務員さんのことを考えると余りいいことではないんじゃないかなというような気がいたします。

 それから、リース制の話ですけれども、東京ではそういう会社がございませんので、私は東京の業者なので、実態としては、本当に身についた、肌からよくわかっているということではないと思いますから、概念的な答えになると思います。

 リース制というのは、運転手さんに車を幾らで貸す、あとは、稼いだものは全部運転手さんに上げるという、簡単に言えばそういう制度ですよね。そうしますと、稼ぎたい人は、もう労働時間オーバーでも何でもいいから働いて稼ごうとする。そういうことができるということで、どうしても法律を犯してやる傾向が出てくるというような気がいたしまして、今のところ、リース制につきましてはやってはいけないことになっている、これは、国土交通省の方の行政の指導でそれはやらないことになっておりますので、私どもは、どこでもやっていないというふうに信じたいと思います。

穀田委員 それは、リース制はやっているんですけれどもね、MKタクシーはやっているんですね。ですから、三十万円を超えればあとは全部自分のもの、こういう仕掛けでやっているところにあそこの秘密があるわけですね。確かに、サービスその他についてはいろいろな意見があるんでしょうけれども、私は、根本は労働者犠牲のリース制だと思っています。

 最後に、全参考人にお聞きしたいと思います。

 皆さん、事業者並びに労働者の代表を含めまして、中心はやはり、需給調整と同一地域同一運賃というのが基本にあるんだと思うんです。それで、政府提出の、タクシー適正化・活性化法と略して言っていいと思うんですが、それと、野党提出の道路運送法改正案、もちろん、タクシー適正化・活性化法の改正案、二つ野党は出しているんですが、いずれが今の現状の打開に役立つかということについてお考えをお聞きしたいし、そういうのはなかなか言いにくいというのであれば、その両方の案の違いやそれぞれの法案の不十分さを指摘していただいても結構ですので、全参考人に御意見をちょうだいしたいと思います。

山内参考人 御指摘の特別措置法と野党の法案、これは両方あるわけですけれども、先ほど申し上げましたように、私は、特別措置法の中の今回の需給調整というよりも、減車の規定というのはかなり重要であるし、大きな問題だというふうに思っております。

 その意味で、現状をかんがみますと、これを早急に実現するといいますか、あるいは実行していくというのがまず第一であって、事の緊急性から顧みますと、この問題について、まずは皆さんの御理解を得て、成案としてお取り上げいただきたいというふうに思っております。

 それから、野党の提案されている案につきましては、これは道路運送法の本法の改正ということでございますので、その点については、もちろん御指摘の点、例えば同一運賃ということも一つの選択肢かとは思いますけれども、これについては、もう少し、若干の審議の時間が必要である、あるいはその本質についてもう少し見きわめる必要がある、こんなふうに考えております。一つの選択肢であるというふうには考えております。

 以上でございます。

待鳥参考人 政府案の特別措置法については、タクシーは地域公共交通機関ですから、地域協議会の中で地域の実情を十分酌み上げて議論をするということについては、すぐれた点だと私たちも評価をしたいというふうに思っています。

 しかし、供給過剰問題の対策あるいは運賃の対策というのは、今緊急に、全国一律に講じなければならない問題だというふうに思っています。したがって、三案のいいところを取り入れて成立を期していくということが一番求められているんじゃないかというふうに思っています。

 とりわけ、特措法には運賃問題が書けておりません。運賃問題の今の問題についても、いわゆる交通政策審議会のワーキンググループの中では十分な議論をされて、今の低運賃競争の問題点についても指摘をされているところでありますから、それを法律に生かしていくということについては問題がないというふうに考えています。

 もう一つは、それと、悪質事業者対策についてもそうであります。政府で講じられていますけれども、今、車両停止や営業停止処分等を食らうと、あるいは許可の取り消し処分が近くなってくると、偽装倒産をさせて、あるいは労働債権も踏み倒して新しい会社を起こして、また同じところで商売をするといったような悪質経営もあります。

 そういう意味で、運賃問題あるいは悪質事業者対策等も道路運送法の中できちっと講じていくということが今求められていますので、十分な御配慮をいただきたいと思います。

富田参考人 野党の皆さん方の提出されている法案における道路運送法第九条の三でございますけれども、その改正が業界の悲願である同一地域同一運賃を制度化するものであれば、大変ありがたいことであると私は感じております。いずれにしましても、先生方のお力により適切な運賃制度が実現できれば理想的だと考えております。

 また、道路運送法六条の問題でございますけれども、その改正が平成十二年以前の需給調整規制を復活し制度化するものであれば、大変ありがたいことであると考えています。いずれにしましても、減車を含む需給調整は業界の悲願であり、先生方のお力によって実現できれば理想的だと思っております。

 最後に、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法案への評価でございます。私を含め、国土交通省の交通政策審議会での一年間の議論を経て、今般、政府の法案が出されているものと承知しており、私としましては、この法案の一刻も早い成立を望んでおりますが、野党提出の同法案も政府の法案とほぼ内容を同じくするものであると理解しておりますので、後は国会の先生方の協議にゆだねたいと存じております。いずれにいたしましても、この特別措置法案は業界の発展のために必要不可欠なものであると思いますので、一刻も早い成立をお願いしたいと思っております。

 よろしくお願いします。

今村参考人 いずれが打開に役に立つのかというふうに言われれば、政府案プラス四野党共同法案ということになるんだと思います。それがもし可能であるとするならば、即座に成立をさせ実行させていただきたい、私はこのように考えております。

 いずれにしましても、どこまで詰めていただけるかという問題もあるんですが、すべてがなしよということではない問題、相当いろいろな方々もいろいろな問題意識を持っていらっしゃるわけで、その辺で、よりよい方向でのタクシーの打開という点で努力をしていただけたらと思います。

 なおかつ、一点ですが、あえて、この四野党の共同法案との関係でいいますと、私はやはり、タクシー運転者をどう大事にするのか、その人たちが主人公となるような働き方であり職業である、そういう知恵というのももっと工夫していただけたらどうかというふうに思います。

 私たちは、ローマとかロンドンの例を引きながら、タクシー運転免許の法制化ということで国家資格制度を提起いたしておりますけれども、これは、間接的な需給調整機能を持つものでもありますから、そういった点では直接的な台数規制ではない、そういう有意性ということも含めて、大いに検討すべき問題であろうかというふうに思いますので、ひとつ、その辺も含めて御尽力をお願いしたいと思います。

穀田委員 本当にありがとうございました。

 私どもは、今皆さんから御意見をいただいて、やはり与党案と野党四党の案は、今の現状を打開する上でそれぞれ持っているよさが率直に言ってあるんだと思うんです。

 ですから、富田参考人からも、最初の方は九条の話や六条の話に触れられて、後ろの方の結論はもう一つ、どういうことかなというのは少しあるんですけれども、九条と六条を変えろということは道路運送法を変えろということですから、はっきりおっしゃっていただくのが、まあ、最初の方に言ったのが多分あるんだと思うんです。

 ですから、私どもは、先ほど待鳥参考人もおっしゃいましたように、地域の問題の点については、非常に、私どもはそれをあかんと言っているわけじゃないので、それらを踏まえて、どうしたらこの問題を打開できるかという立場で、我々は過去のことを余りとやかく、まあ、きょうは一言言いましたけれども、それをやはり野党四党にまとめ上げたという経過がございますから、今後はその実現のために頑張りたいと思います。

 ありがとうございました。

望月委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言申し上げます。

 本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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