衆議院

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第6号 平成30年12月6日(木曜日)

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平成三十年十二月六日(木曜日)

    午後一時四十九分開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 穴見 陽一君 理事 石原 宏高君

   理事 田畑 裕明君 理事 平  将明君

   理事 武村 展英君 理事 大河原雅子君

   理事 関 健一郎君 理事 鰐淵 洋子君

      伊藤信太郎君    岩田 和親君

      小倉 將信君    木村 弥生君

      小泉 龍司君    小島 敏文君

      佐藤 明男君    鈴木 隼人君

      中山 展宏君    西田 昭二君

      百武 公親君    藤井比早之君

      藤丸  敏君    船田  元君

      堀内 詔子君    松本 洋平君

      宮路 拓馬君    尾辻かな子君

      初鹿 明博君    堀越 啓仁君

      山本和嘉子君    大西 健介君

      西岡 秀子君    森田 俊和君

      古屋 範子君  もとむら賢太郎君

      畑野 君枝君    丸山 穂高君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            宮腰 光寛君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  諸戸 修二君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          二之宮義人君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         福浦 裕介君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            水口  純君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井藤 英樹君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            油布 志行君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            佐藤 則夫君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    小林  渉君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    高島 竜祐君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     秋本 芳徳君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     菅原 泰治君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    重藤 哲郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           丸山 洋司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           永山 裕二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小野  稔君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鈴木英二郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松澤  裕君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事)       宗林さおり君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月六日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     西田 昭二君

  大西 健介君     森田 俊和君

  黒岩 宇洋君     もとむら賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  西田 昭二君     藤井比早之君

  森田 俊和君     大西 健介君

  もとむら賢太郎君   黒岩 宇洋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人国民生活センター理事宗林さおり君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官諸戸修二君、内閣府消費者委員会事務局長二之宮義人君、個人情報保護委員会事務局次長福浦裕介君、金融庁総合政策局審議官水口純君、金融庁総合政策局審議官井藤英樹君、金融庁総合政策局審議官油布志行君、金融庁総合政策局参事官佐藤則夫君、消費者庁政策立案総括審議官高田潔君、消費者庁審議官橋本次郎君、消費者庁審議官小林渉君、消費者庁審議官高島竜祐君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長秋本芳徳君、消防庁審議官菅原泰治君、法務省大臣官房審議官山内由光君、財務省大臣官房審議官小野平八郎君、国税庁課税部長重藤哲郎君、文部科学省大臣官房審議官丸山洋司君、農林水産省大臣官房審議官永山裕二君、農林水産省大臣官房審議官小野稔君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君、国土交通省大臣官房審議官鈴木英二郎君及び環境省大臣官房審議官松澤裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井委員 藤井比早之でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、まず、インターネット、SNS等を利用した最近の消費者被害の実態といいますか、そういった問題事例と対応方法につきましてお伺いさせていただきます。

 例えば、架空請求であったり、間違ってクリックしたら高額請求された、無料動画と思って見ていたら高額請求された、スマホでタップするだけでお金がいっぱい簡単にもうかりますよ、ユーチューブで簡単にもうかりますよといってだまされた、さまざまなケースがあろうかと思いますけれども、まず、インターネット、SNS等を利用した最近の消費者被害の実態とこれに対する対応をどうしたらいいのか、被害を受けた皆様はどこにどう相談したらいいのか、お伺いさせていただきます。

高田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、インターネットを利用しまして架空請求や情報商材に係る消費者トラブルが多数発生しており、対策が求められている状況にあると認識しております。

 具体的には、架空請求への対策では、平成二十九年度以降、はがきによる架空請求が急増していることも踏まえ、本年七月、政府全体で架空請求対策パッケージを取りまとめたところでございます。消費者庁では、パッケージに基づき、二度にわたって啓発資料を作成し、被害の抑止を図っております。

 また、いわゆる情報商材への対策でございますが、本年八月、国民生活センターが注意喚起を実施しているところでございます。

 また、必要に応じまして、消費者安全法に基づいて、事業者名を公表する形で、消費者に対する注意喚起も行っております。例えば、架空請求に関しては、本年六月二十九日に、SMSを用いて有料動画等の未納料金の名目で金銭を支払わせようとするアマゾンジャパン合同会社等をかたる架空請求に関する注意喚起を、情報商材に関しましては、本年十月十七日に、スマホをタップするだけでお金が稼げるなどとうたい、多額の金銭を支払わせる株式会社Questに関する注意喚起を行っております。

 こうした消費者トラブルについて少しでも不安に感じることがあれば、消費者ホットライン一八八(いやや)などを通じて地元の消費生活センター等に御相談いただきたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 架空請求につきましては、本年七月に架空請求対策パッケージということで対策を講じていただいておるというところでございますけれども、先ほど、まずは消費者ホットライン一八八(いやや)、このピンバッジはイメージキャラクター、イヤヤンということのようですけれども。

 ただ、しかしながら、一般の皆さん、消費者の皆さんは、どこに相談したらいいのか、やはりそれは御存じないことが多いと思うんですよ。そういったところ、それこそSNS等を通じて、こういう被害がありますよ、こういうことに注意しましょう、こういうケースは一八八(いやや)ですよ、自治体の消費生活センターですよ、また国民生活センターですよ、こういうケースは警察ですよというふうに、正確に周知していただくということが重要だと思います。

 こういう呼びかけ自体を逆手にとって新手の手口とかイタチごっこというのがこの世界の常でございますので、警察との情報交換、捜査当局との連携も含めまして、消費者の皆様、被害者の皆さんにわかりやすい対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、オンラインショッピングとかインターネットオークションなど、いわゆるインターネット等を利用して行われる取引に関する問題事例、最近の問題事例や、発生した際の相談窓口、対応方法をお伺いいたします。

高田政府参考人 お答えいたします。

 インターネット等を利用して行われる取引に関する最近の消費者問題としては、オンラインショッピングにおける商品未着、届かないでございますとか、オークションサイトにおける意図しないにせものの購入等が挙げられるところでございます。

 消費者庁といたしましては、消費者がトラブルに巻き込まれるのを未然に防止するため、正確な事業者の情報、事業者名、住所、電話番号などでございますが、はっきりと書かれているか、キャンセルの条件などがはっきりと書かれているかといった、具体的に注意すべきチェックポイントを消費者庁のウエブサイトや国民生活センターの冊子等で提示するなど、消費者に向けた情報提供や注意喚起等を実施しているところでございます。

 いずれにしましても、消費者の皆様が取引に係るトラブル、相談がございますときは、先ほどと同じでございますが、一八八(いやや)に御相談いただければと思っております。

 以上でございます。

藤井委員 先ほど、商品未着、にせものという話もありましたけれども、実際、ちょっと商品がきずものであったりとか、思ったものと違うかったというときに、じゃ、どうしているかというと、大体泣き寝入りというか、しようがないかなというふうに、実際、物を見て買っているわけじゃないんでというケースが多いと思うんですよ。

 そういうときに、じゃ、どこに相談したらいいかというのを、実際に消費者の方がどれだけ知っておられるのかと。この一八八(いやや)というのも、じゃ、今、どれだけの方が知っておられるかということだと思うんです。

 ですから、そういったところ、一番身近なところは自治体とかになるんでしょうけれども、それも消費生活の方ですよと。担当部局どこですかというのが、実際に御存じないことが多いと思いますので、そういったところの周知徹底をぜひお願いしたい。実は、消費関係の行政部局に行けばそういうのは相談に乗ってもらえますよというところをやはり知っていただくということが必要だと思っております。

 次に、インターネット、SNS等による人権侵害事案につきましてお伺いさせていただきたいと思います。

 インターネット、SNS等による人権侵害情報に関する事件といったものが後を絶ちません。こうした実態をどのように把握しておられるのか。そもそも、人権侵害事案の相談窓口はどこなのか、それは皆様に周知されているのか。

 人権侵害事案には、個人の名誉毀損、プライバシー侵害となる事案も存在いたします。具体的に個人名とか場所とかは申し上げませんけれども、この人はここ出身ですよとSNSで掲載されるという悲しい事案が発生しているところです。こうしたことがあってはなりません。平成二十八年十二月十六日に部落差別解消推進法が施行されたところでございます。

 管理者、プロバイダー事業者、インターネットサービスプロバイダー等が直接こういった投稿とかを削除することができるようにする、そういったことができないかどうか、そういった取組についてお伺いさせていただきます。

秋本政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネット上の人権侵害情報への対応につきましては、通信関連の業界団体におきまして、違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項を平成十八年の十一月に策定しており、この十二年間で何度となく改定を重ねてきております。総務省としても、この業界団体によるモデル条項の策定、改定作業にオブザーバーとして参加する形で支援をしております。

 また、こうした業界団体のモデル条項を踏まえまして、各通信事業者におかれまして、約款等に基づき、契約している利用者の方との間で適切な対応をとるよう促しているところでございます。

 平成二十八年十二月に部落差別の解消の推進に関する法律が公布、施行された際にも、このモデル条項の解説の改定作業を法務省とともに支援いたしました。

 総務省といたしましては、関係事業者や法務省と協力しつつ、今後も、インターネット上の人権侵害情報に対しまして適切に対応してまいりたいと考えております。

藤井委員 ちなみに何件ぐらい、例えばこういったのを削除したとかそういう実績というのはあるんですか。

秋本政府参考人 各事業者による削除件数の数字については、私どもでは把握はしておりません。

藤井委員 一旦流れると、とめどがないといいますか、流れてしまうと取り返しがつかないというのがSNSの怖さというところでございますけれども、先ほど、モデル条項をつくって、約款で、それでやっていただける、そちらで約款で決めれば、そういった、とめるという措置も可能だというような答弁だったと思うんですけれども、やはり、こうしたいわれのない人権侵害というのはあってはならない。日本国として、日本国民として、どこで生まれ育っても、どこで生まれても、どこで育っても、ひとしく平等にチャンスに恵まれる、そういったことが国としては一番大切なことではないかと思っております。

 また、相談窓口はどこなのかということになりますと、これは法務省ということになるわけですよね、人権侵害事案につきましては。

山内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、この種、人権侵害に関しては、全国の法務局あるいは地方法務局で人権相談の窓口を設けております。こういった窓口のみならず、電話などでも、議員御指摘のインターネット上の人権侵害を含む人権問題についての相談を受け付けております。

 そういった窓口があるということの存在につきましては、ポスターとかリーフレットとか、あるいは新聞広告、あとインターネットバナーなどでも周知を図っているところでございます。

藤井委員 先ほど、インターネット全体の問題というのは消費者庁ですよ、この一八八(いやや)ですよという話があったんですけれども、人権関係になってくると法務局、法務省であると。

 地元の人間からすると、一番身近なところだと自治体という形になるので、やはりどこに相談したらいいのかというところで、わからないとかそういうことがあってはいけないと思うんですよね。その辺のところの周知を徹底していただきたいのと、やはり現場の感覚からすると、相談しに行っても親身になってくれていないんじゃないかというような、どこへ行ったらいいのかわからないというのがやはり一番困るところだと思いますので、そういった現実を受けとめて、真剣に取り組んでいただきたいというふうに考えておるところでございます。

 また、そもそも、管理者、プロバイダー事業者、インターネットサービスプロバイダー等が契約約款で削除できるというような話でございましたので、そういったところでぜひ事業者の皆様に対応していただいて、早期で削除していただけるとか、そういった対応の徹底をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、インターネット、SNS等によるいじめについてお伺いさせていただきたいと思います。

 これはやはり、親も学校の先生も知らないところで、子供たち同士でみんなやりとりしているわけなんですよね。そうなると、本当に陰に隠れてしまって、よく現状がわからない。これは学校の先生もわからないですし、親もわからないということで、問題が生じた場合に一体どこに相談しに行ったらいいのかといったところが問題になってくると思います。

 具体的にどのように対応したらいいのか、お伺いさせていただきます。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 SNS等に悪口や誹謗中傷を書き込むなどの方法によりいじめを行うインターネット上のいじめは、児童生徒のスマートフォン等の利用率が高まる中、その認知件数は増加をしておりまして、憂慮すべき事態になっているというふうに認識をしております。

 文部科学省におきましては、こうした認識のもと、インターネット上のいじめを含むさまざまな悩みを抱えた児童生徒が、いつでも、どこからでも相談ができるよう、夜間、休日を含め、無料で通話可能な、二十四時間子供SOSダイヤルを設置をしております。

 加えまして、平成二十九年度から、児童生徒を対象にいじめ等のさまざまな悩みを受け付ける、SNS等を活用した相談体制の構築に取り組む都道府県への支援を行っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、児童生徒が相談しやすい多様な環境が構築をされるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

藤井委員 本当に、SOSダイヤルがありますとか、そういった通り一遍のところでは、やはり現場での対応というのはできないと思うんですよ、子供たち同士でつながってやっていることですから。ですから、そこのところを、気づきの部分も含めてなんですけれども、しっかりと対応していただきますことをお願い申し上げたいと思います。言葉だけではなくてというところをお願い申し上げたいと思います。

 子供さんの事例なんですけれども、やはり、インスタ映えするとか、フェイスブックに載って、いいねをいっぱいつけてほしいとか、ツイッターでとかいうことになると、家族の写真とか、こういうので楽しかったですとよく上げられるんですけれども、安易に上げることによって、実は危険にさらされる、そもそも個人情報が流出するといったことが考えられると思うんですけれども、こういったものの悪用例、そして、やはりそういうことで、安易に上げると危ないですよ、自分の住んでおるところもわかりますよ、通学路もわかりますよとかいう、そういった注意喚起というのはなされているのか、お伺いさせていただきます。

福浦政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、インターネットやSNSなどに個人情報を投稿することによりまして、さまざまなトラブルや犯罪等に巻き込まれるおそれがあるものと認識をいたしております。

 このため、個人情報保護委員会におきましては、子供を含めた消費者に対しまして、個人情報の保護に対するリテラシーを高めていくために、個人情報の大切さや適切な取扱いについて広く周知啓発することが何よりも重要だというふうに考えてございます。

 こうしたことから、当委員会のウエブサイトに消費者向けのページを設けまして、各種の情報提供を行っております。また、特に子供向けといたしまして、子供向けのハンドブックの作成、その周知、また、小学生やその保護者向けの啓発動画を作成をいたしまして、現在、私どものホームページ上に公開をいたしておりますなどの取組を行っております。

 いずれにしましても、当委員会としましては、このような取組を通じまして、消費者お一人お一人が個人情報の大切さを認識していただき、その安易な取扱いをすることがないように、事前の予防の大切さについて、引き続き周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

藤井委員 最近本当に、運動会とか音楽会とか、無断で勝手に写真を撮らないでくださいねとか、動画を撮って載せないでくださいねとか、大分いろんなところで周知は徹底されているところなんですけれども、そもそも、子供かわいさにとか、そういったところもありますので、そういう注意喚起も含めて、一旦流れてしまったらもう取り返しがつきませんので、そういったところの対応、周知啓発をぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、通常国会でもお伺いさせていただきました食品ロスについてお伺いさせていただきたいと思います。

 そもそも、食品ロスとは何ぞやという定義、そしてまた、その削減の必要性と取組方針についてお伺いさせていただきます。

安藤大臣政務官 食品ロスについては、本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品とされています。

 我が国では推計で年間六百四十六万トンの食品ロスが発生しており、食品ロスの削減に向けて、国、地方公共団体、事業者、消費者など、多様な主体が自発的に取り組み、社会全体として対応していくことが求められています。

 このため、政府では、食品ロス削減の国民運動の推進を消費者基本法に基づく消費者基本計画に位置づけ、関係省庁とともに、食品ロス発生量の推計や発生要因等の分析、食品関連事業者による商慣習の見直しの促進、家庭でできる取組など消費者向けの周知啓発などに取り組んでいるところです。

 今後とも、さらなる食品ロスの削減に向け、関係省庁、地方公共団体、消費者団体等と連携しつつ、一層の推進に取り組んでまいります。

藤井委員 年間六百四十六万トンということになると、年間の米の生産量とそんな変わらへんという形になりますので、非常に大きな量でございます。それは本当にやはりもったいないというところからくると思うんですけれども。

 消費者サイドもわからないことが多くて、まず、賞味期限と消費期限の違い、これをちょっとわかりやすく説明していただきたいと思います。

 また、先ほど答弁で商慣習の見直しという話がございました。いわゆる賞味期限という観点もあり、納品期限ですね、食品業界の商慣習、三分の一ルールとかありますけれども、そういった納品期限の見直し。それから、賞味期限自体も、表示を年月表示にするとか。そういった、今の取組、これからの取組方針についてお伺いいたします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 消費期限と賞味期限につきましては、食品表示基準第二条で定義されているところでございます。

 具体的には、消費期限は、定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限のことをいうものでございます。そして、賞味期限は、定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限のことをいうとされているところでございます。

小野(稔)政府参考人 続きを答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、フードチェーン全体で取り組むべきものといたしましては、まず三分の一ルールの見直しによる納品期限の緩和、それから賞味期限の年月表示化、これは、食品ロス削減のみならず、物流、卸、小売段階での在庫管理の効率化に資するものでございます。

 まず、納品期限の緩和でございますけれども、対象企業、それから品目の拡大が課題となっております。現在、飲料ですとか菓子、これにつきましては取組が進んでおりますけれども、カップ麺、レトルト食品などへの拡大に向けた実証実験を行っているところでございます。物流センター、小売の店頭での納品期限の緩和による影響を検証しているというところでございます。

 また、賞味期限の年月表示でございますけれども、菓子業界、飲料業界が先行して取り組んでおるところでございます。ことしの九月には飲料業界が自主ガイドラインを公表いたしております。

 農林水産省といたしましても、今後、このような取組をほかの業界に拡大するための働きかけを行っていきたいというふうに考えております。

藤井委員 消費期限だと、過ぎると本当に腐ってしまっていて危ないかもしれないと。賞味期限だと、菓子とか飲料品なのでと。まあ、余り、期限を過ぎても飲めますよとか食べますよとは言えませんけれども、ある程度消費者にとってわかりやすい、皆さん、ごっちゃにしておられることが多いと思いますので。

 また、いずれにいたしましても、商慣習の見直しで食品ロスを減らすことができるというところは、しっかりと対応していただきたいというふうに考えておるところでございます。

 次に、フードバンク活動についてお伺いしたいと思いますけれども、このフードバンク活動、そもそもどのようなものか、そしてまた課題は何かというのをお答えいただきたいと思います。

小野(稔)政府参考人 お答え申し上げます。

 フードバンク活動ですけれども、生産、流通、消費などの過程で発生する未利用の食品を食品関連事業者から寄附を受けて、必要としている人、施設等に提供するという取組でございます。もともとアメリカで約五十年前に始まった活動でございますけれども、日本でもようやく広がりつつあるところでございます。平成二十八年度の実態調査によりますと、約八十の団体が活動しているというところでございます。

 課題といたしましては、食品の衛生的な取扱い、トレーサビリティーの観点から食品関連事業者が安心して食品の提供を行える環境が十分整っていないという点があろうかと考えております。

 農林水産省では、食品の提供等における原則ですとか関係者間のルールづくり、衛生管理、取扱情報の記録など、フードバンク活動の関係者が取り組むべき事項につきまして手引として公表したところでございます。これによりまして、食品の提供者である食品関連事業者などからフードバンクへの信頼性向上を図っているところでございます。

 また、フードバンク活動の認知度が低いということもございます。あるいは、マッチングが効率的に行われていないという状況もございます。

 これにつきましては、フードバンク団体、事業者、地方自治体等を対象にいたしまして、情報の交換会を各地で開催しているところでございます。こうした取組を通じまして、フードバンク活動の普及支援に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

藤井委員 八十ぐらいあるということでございますけれども、実際のところ、我が国では広がり始めたところと言っていいと思うんです。

 ルールづくりというのもそうなんですけれども、また、認知度がそもそもないということで、そもそもマッチングをしなければならないというところがまだまだこれからなんだと思いますし、そもそもアメリカとかは寄附文化なので、寄附することに対して、やはり、して当たり前と言ってはいけないですけれども、そういったものになれがあるんですけれども、日本の場合は、寄附、これはまた税制の話も出てくるんですけれども、そういったそもそもの仕組みといったところも問題となってくるかと思います。

 いずれにいたしましても、認知度をアップして、非常に取組としてはいい取組だと思いますので、そういったところの普及をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 食品ロスということですけれども、全体で食品廃棄物ということになるともっと範囲が広くなってくるということでございまして、そういったものを食品リサイクルということでリサイクルしていくということが必要だと思うのですが、その再生利用の考え方、現在の取組、そしてこれからの取組についてお伺いいたします。

松澤政府参考人 食品の売れ残りや食べ残し、製造過程で発生する残渣などの食品廃棄物、この再生利用に関しましては、発生抑制も含めまして、有用なものの再生利用を行うということが循環型社会の構築につながっていくということで、大変重要と考えております。

 政府といたしまして、平成十三年に施行されました食品リサイクル法、この法律に基づき取組を進めてきておりまして、平成二十八年度には、食品産業全体の再生利用の実施率は八五%に達しているところでございます。

 一方で、本来食べられるにもかかわらず捨てられております御指摘の食品ロスでございますが、この発生量は近年横ばいとなっておりまして、今後は引き続き、食品廃棄物の再生利用、これを進めるとともに、特に、発生抑制の一環として食品ロスを減らしていく、ここに力を入れていくべきと考えております。

 食品ロスの削減につきましては、SDGsのターゲットの一つにもなっておりますので、ことしの六月に閣議決定されました第四次循環型社会形成推進基本計画におきまして、家庭系の食品ロスを二〇三〇年度までに半減するという目標を掲げております。また、事業系の食品ロスの削減目標につきましても、現在、中央環境審議会と食料・農業・農村政策審議会の合同会合におきまして、食品リサイクルの制度全体の点検を行う中で、今年度末までにこの目標を設定すべく検討が進められているところでございます。

 こうした検討を進めながら、環境省といたしましても、関係省庁と連携いたしまして、市町村におけます食品ロス発生の実態把握、こういった調査への支援、あるいは市町村の先進的な取組の情報の共有、こういったことを進めて食品ロスの削減にも取り組んでいきたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 まず食品ロスを減らす、出さないようにする、そしてまた、食品廃棄物についてはリサイクルをする。よろしくお願い申し上げたいと思います。

 ちょっとした、身近なところですけれども、防災備蓄品として食品がある。そういったものをどう取り扱っておられるのか、長いことたったときにですね。そういった取組についてもちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 まず、国におきましては、内閣府防災担当や消防庁、環境省と消費者庁の連名で、地方公共団体宛てに、本年一月に、食品ロス削減の観点から、備蓄食料の有効活用について検討いただくよう通知により依頼したところでございます。そして、地方公共団体におかれては、防災備蓄の重要性を認識するために、防災訓練などで配付するとともに、フードバンクに寄贈するなど、備蓄食料の有効活用と食品ロス削減につながる取組が実施されていると承知しております。

 それから、国の備蓄食料につきましては、それぞれの省庁の実情に応じて取り扱われておりまして、消費者庁の取組といたしましては、防災への意識づけと食品ロス削減の観点から、備蓄食料の更新に当たり、賞味期限間近のものを職員に配付しているところでございます。

藤井委員 時間となりましたので、最後に一言。

 自治体に対しては通知しているけれども、国はそれぞれ、省庁ごとに別々対応になっていると思いますので、そこはちゃんと統一していただきたいということが一つと、やはり、ことしも随分と災害がありました。そういうときに、ボランティアもそうですけれども、いろいろと食品が集まるわけでございますけれども、そこのマッチングが余りできていなくて、山のようにそれを捨てなあかんといったこともありますので、防災の観点からどのように食品ロスを減らしていくかという観点もよろしくお願い申し上げたいと思います。

 終わります。

土屋委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 十五分という限られた時間になっております。簡潔なお答えに御協力いただけると助かります。

 きょう朝の東京新聞一面に載ったスマートメーターの火災の件についてまず聞かせていただければと思います。

 皆さんの方にも配付資料を配らせていただきました。電力の使用状況を計測するスマートメーターの火災が相次いでいる問題で、総務省消防庁がことし四月、製品の事故の情報を広く消費者に知らせる消費者庁のネット上のサイトに情報を上げないよう、東京消防庁に指示していたことがわかった、この結果、少なくとも六件の火災がサイトに掲載されなかったということになっております。

 消費者安全法に基づいて、消費者庁などが運営している事故情報データバンクシステムというのがあります。ここに、このスマートメーター火災のうち、二〇一七年一月から七月に発生した十件は掲載をされた。しかし、市民団体との意見交換をしたときに、総務省の消防庁が掲載を誤りだというふうに指摘をして、その後、調査が終わった六件、火災の六件はこれに報告をされなかったというようなことになっております。

 記事によりますと、総務省消防庁によると、現行のサイトの運用が始まる二〇一〇年、消費者庁と報告対象の製品を協議し、メーター類を除外した、当時は普及していなかったスマートメーターも同様に扱ったというふうに言われているわけです。予防課の課長補佐さんのコメントとしては、とにかく今後もデータベースには載らないという御発言をされております。

 これが、消費者庁の方はというと、この新聞記事でいきますと、もう一面、違うところに特集がなっておりまして、当然、消費者安全法ということに基づいたら報告が必要で、それが法律の規定だということを消費者庁消費者安全課は答えているということで、これは食い違いを見せているということになります。

 まず、総務省、消費者庁、両方に聞かせていただきたいと思うんですが、この報道の発言、そして報道内容について正しいかどうか、まずお答えいただければと思います。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 平成二十一年の通知で、個人が購入し所有する電気機器の火災が発生した場合、消防本部から報告を求める一方で、個人が購入し所有する商品等ではない電気メーターなどの設備の火災については報告を要しないというふうにしていたところでございます。

 スマートメーターにつきましても、個人が購入し所有するものではないことから、先ほど申し上げました電気メーターに含まれるものと整理いたしまして、報告対象には当たらないとしたところではございます。

 しかしながら、スマートメーターの火災が複数発生していることを踏まえまして、今後、消費者庁とも十分相談させていただきまして、スマートメーターを含めて報告対象とすることについて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

尾辻委員 では、消費者庁の方にも……。済みません、じゃ、先、消費者庁から返事をいただいて質問します。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者安全法では、消費者による製品やサービスの利用によって重大事故等、すなわち重大な生命身体被害が発生した事故や発生させるおそれのある事案については、関係行政機関等から消費者庁への報告が義務づけられているところでございます。

 消費者による製品の利用によって火災が生じた場合は重大事故等に該当することとされており、お尋ねのスマートメーターの火災のような事案についても、重大事故等として消費者庁への報告をいただく必要があると認識しているところでございます。

尾辻委員 では、総務省の方からも検討するということですので、消費者庁としても、ぜひ、総務省に要請をしまして、報告を必ずしてもらえるように要請していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者による製品の利用によって火災が生じた場合は重大事故等に該当することとされておりまして、お尋ねのスマートメーターの火災のような事案についても、重大事故等として消費者庁への報告をいただく必要があると認識しております。

 総務省消防庁にその旨を伝え、同法に基づく報告を求めていきたいと考えております。

尾辻委員 本当に火災が起きていますので、このことが消費者に知られないというのは非常に重要な欠陥になりますので、早急に対応いただきますように、総務省さん、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、質問通告させていただいている消費者契約法についてお伺いをしたいと思います。

 消費者契約法は、この前の通常国会、六月八日参議院で可決して成立をし、六月十五日に公布をされました。来年の六月十五日から施行ということになっております。

 約半年たったわけですけれども、きょうは、附帯決議の進捗状況がどうなっているのかということについて、特に年限が迫っているものについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 まず、衆議院の方で附帯決議をつけさせていただいた中で私が気になっているものですけれども、それは附帯決議の三であります。つけ込み型不当勧誘取消権の創設、この部分ですね、附帯決議ではこのようになりました。「消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における取消権の創設について、要件の明確化等の課題を踏まえつつ検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。」ということになっております。

 実は、これは、民法の一部を改正する法律案の参議院の法務委員会の附帯でも同じように、「二年以内に必要な措置を講ずること。」ということで要請をされております。

 二年ですから、今もう半年たちました、あと一年半ということであります。現在の進捗状況を教えてください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の附帯決議に関して、いわゆるつけ込み型と言われる不当勧誘の取消権については、合理的な判断をすることができない事情を不当に利用された消費者の被害救済に資する一方で、附帯決議にあるように、要件の明確化等が課題であると認識しているところでございます。

 そこで、高齢者や若年者等の消費者被害事例を収集、分析し、その類型化を試みるとともに、有識者に対するヒアリング等を行うことで、着実に検討を進めております。

 引き続き調査分析を進めるとともに、これらにより得られた蓄積を踏まえ、今後、有識者との意見交換の場を設けて検討したいと考えております。

尾辻委員 もう少し具体的に言うと、今どれぐらい事例が収集できているのか、また、有識者のヒアリングというのは何人ぐらいとできているのか、教えてください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 手元に人数等、ちょっとございませんけれども、ヒアリングといたしましては、消費者被害の救済に携わっている弁護士や消費生活相談員、民法等の学識経験者等からヒアリングを行い、被害の実態把握や意見交換を行っているところでございます。

尾辻委員 二年以内ということですから、次の動きは、一体いつぐらいに議論が実際始まっていくのでしょうか。今後の見通しの時間的なことも教えてください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 これまでの調査分析により得られた蓄積を踏まえ、今後、来年の早いうちに有識者との意見交換の場を設けることを考えております。

 二年以内に必要な措置を講じることができるよう、取組を進めてまいります。

尾辻委員 それで、同じく附帯の方、二の方では、平均的な損害の額の推定規定についても、これは「二年以内に必要な措置を講ずること。」というふうになっております。

 こちらの進捗状況も教えてください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の附帯決議に関して、平均的な損害の額の推定規定につきましては、平均的な損害の額が争点となった裁判例の分析、関係省庁へのヒアリング等を通じた業界標準約款等の条項の分析、有識者に対するヒアリングを行うなど、着実に検討を進めているところでございます。

 引き続き調査分析を進めるとともに、これらにより得られた蓄積を踏まえ、今後、有識者との意見交換の場を設けたいと考えております。

尾辻委員 同じ質問で恐縮ですが、時間的な時間軸、どうでしょう、二年以内に法改正というのはできそうかどうか、その辺の見込みを教えてください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 これまでの調査分析により得られた蓄積を踏まえ、今後、来年の早いうちに有識者との意見交換の場を設けることを考えております。

 二年以内に必要な措置を講じることができるよう、取組を進めてまいります。

尾辻委員 具体的に話が全然出てこないので、本当にこれ、できているのかなとちょっと不安になる部分があります。

 さらに、附帯の四の方もちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、今回、衆議院の附帯の四は考慮要素の検討と約款等契約条件の事前開示ということで、この二つも検討を行うということになっております。

 そして、約款等の条件開示は、消費者委員会の答申書においては喫緊の課題というふうに付言をされて、今回できなかった部分なんですね。そして、考慮要素の検討でいきますと、実は、先ほど御紹介をした参議院の法務委員会の附帯では、これは二年以内というふうに、こっちは年限が切られて考慮要素のことはちゃんとすることというふうになっております。

 この二つのことについても、進捗状況はどうなっているか教えてください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 まず、考慮要素の方からお答えいたします。

 事業者の情報提供については、条文上、消費者の理解を深めることが目的とされているところでございます。情報を提供する際の考慮要素としては、消費者の理解と関連性が高い知識及び経験を明記しているところでございます。附帯決議におきましては、年齢、生活の状況及び財産の状況についても要素とするよう検討を求められているところでございます。こうした要素が考慮要素とされた場合に、事業者の活動にどのような影響が生じるかを把握することを検討しております。

 消費者に対する情報提供は事業者の努力義務でありますが、事業者の行為規範となるものでございます。そのため、まずは事業活動に対する影響を把握することが重要と考えております。

 引き続きまして、約款の事前開示の方でございます。

 御指摘の附帯決議では、約款等の契約条件の事前開示のあり方について、消費者委員会の答申書の付言を踏まえ検討することとされております。

 消費者委員会の報告書では、消費者に対する契約条項の開示の実態を更に把握することなどを経た上で、必要に応じて検討することとされております。そのため、消費者に対する契約条項の開示の実態について事業者に対する調査を行うことを準備しております。

尾辻委員 今答えていただきました考慮要素の検討は、参議院の法務委員会では二年ということを一応言っているわけです。二年以内ということで認識されているかどうか、お答えいただければと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 法務委員会、本年三十年六月でございますが、「成年年齢引下げに伴う消費者被害の拡大を防止するための法整備として、早急に以下の事項につき検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。」といたしまして、その二番目でございますが、「消費者契約法第三条第一項第二号の事業者の情報提供における考慮要素については、考慮要素と提供すべき情報の内容との関係性を明らかにした上で、年齢、生活の状況及び財産の状況についても要素とすること。」とされていると理解しております。

尾辻委員 読んでいただいただけだったような気がするんですが、二年以内というふうに要請しておりますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、大臣にお聞きしたいと思います。

 消費者契約法、前回のときにはかなりいろいろな課題が積み残されたままになっております。二年という年限の中でしっかり前に進めていただきたいということで、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

宮腰国務大臣 消費者契約法は、消費者と事業者の間の契約であれば労働契約以外のあらゆる契約が対象となるという意味で、生活に密着した重要な法律であると認識をいたしております。

 政府としては、まずは、さきの通常国会で改正いたしました消費者契約法、これも大きな改正が含まれておりまして、取消しの対象となる不当な勧誘行為や無効となる不当な契約条項に新たな類型を幾つも追加をしたわけでありますので、その改正内容について、来年六月の施行に向けた消費者団体等への皆様への周知を図っていくこと、並行して、附帯決議で御指摘いただいた件につきましても真摯に検討を進めていく必要があるというふうに考えております。

 これに加えまして、高齢化の進展を始めとしたさまざまな社会情勢に応じて、法律のあり方について不断の検討を行うことも重要であります。改正法の施行状況等も踏まえつつ、しっかりと適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 しっかり取り組んでいただくことをお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 お疲れさまです。立憲民主党の初鹿明博です。

 続きまして、質問をさせていただきます。

 きょうは、二つの具体的な事案を取り上げまして、質問をさせていただきたいと思います。

 今お手元に資料を配付をさせていただいておりますが、一つは、この委員会だけではなくて、ほかの委員会でも取り上げられている問題でありますけれども、スマートデイズと、あとスルガ銀行によるサブリースの問題であります。

 皆さんも御存じだと思いますが、シェアハウス、かぼちゃの馬車というものを舞台としまして、サブリース契約を結んだ方々が、スルガ銀行またスマートデイズのある種詐欺的な手法によって被害に遭っている、そういう状況があるわけです。

 もう一つは、資料の一番後ろに雑誌の記事を載せさせていただいておりますが、こちらは、ゴルフスタジアムという企業が破綻をしたんですけれども、このゴルフスタジアムの問題を取り上げさせていただきます。

 こちらの方は、レッスンプロの方々が、ゴルフスタジアムという会社からホームページをつくらないか、そういうお話があって、ホームページの作成代金についてはリースを組まされるわけですけれども、その毎月の支払いは、ゴルフスタジアムの広告をホームページに張りつけてくれればその広告代で行って来いになって、お金がかからないで済みますよということで勧めて、実際のところは、契約自体はこのソフトを買うという契約になぜかなっていて、そして、しばらくしたらこのゴルフスタジアムが破綻をして、広告料が入らなくなって多大な借金が残ってしまった、そういう問題であります。

 それぞれについて確認をさせていただきながら、質問をさせていただきたいと思います。

 では、まず最初にスマートデイズの方に入りますけれども、お手元に弁護団がつくった二つのニュースを示させていただいておりますが、これは、スルガ銀行とスマートデイズ、スルガ銀行の主に横浜東口支店なんですけれども、そことスマートデイズが、ほぼこれは結託をしてと言っていいと思いますが、一緒になってこのシェアハウスのかぼちゃの馬車というものをサブリースで契約をするということを勧めて、そこに融資をしていったというものであります。

 この問題、被害者の方々が、最終的には、シェアハウスを契約をした後、シェアハウスを経営をするという形になるので、個人事業主だというふうになってしまって消費者としての保護がされない、そういうことになってしまうんですけれども、でも、じゃ、実際に本当に消費者じゃないのかというと、本当にそうなのかなと思わざるを得ないこともあるんですね。

 というのは、最後から三枚目ぐらいに物件のチラシをちょっと載せさせていただいているんですが、こういう物件の広告を見て、被害に遭った方々はサブリース契約を結ぶことにつながっていくわけですが、被害に遭った人たちの多くが、まさか自分がシェアハウスの運営をする事業者になるというふうに思っていなかったんですよ。

 どういうことかというと、投資目的で利回りのいい商品を探していて、これを見たら、ここに確定利回り七・四四と書いてあって、結構、そこそこいい利回りですよね、この利回りだけを見て、そして契約に進んでいっているという面があるわけです。

 これは、少なくともその時点まで、契約するまでの時点では、サラリーマンだったり、お医者さんだったりする人たちで、その時点までは事業をやっていないから消費者なわけですよね。ところが、契約を結んだら、シェアハウスの事業をやる人になって、個人事業主になってしまうという、非常に何か不思議な構図なんです。

 この被害者の方々の多くが、これは私も驚くんですけれども、そんなことでいいのかなと、被害者の方々もちょっと考えた方がよかったんじゃないかなと思うところは、物件すら見に行っていない人がいるんですよ。つまり、投資のためだけだと思っているんですね。つまり、株や投資信託を購入するのと同じ意識でこの契約をしてしまっているという状態なんです。

 ちょっとここで確認ですけれども、株や投資信託の金融商品を契約した場合であったら、消費者保護の対象になるんでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の場合の法的な取扱いについては、あくまで仮定の場合であり、一概に評価することはできませんが、一定の場合には、消費者契約法上、消費者と見ることができる場合があり得ます。

 しかしながら、民事ルールでありますので、最終的には裁判所において個別具体的な事例の該当性が判断されるものですので、詳細な答弁は差し控えさせていただければと思います。

初鹿委員 個別の状況によって違うということですが、基本的には消費者になるんだと思うんですよね、事業として買っている場合でないとしたら。サラリーマンだったり、お医者さんだったりが単に投資信託をやるということでありましたらね。それがたまたま今回はシェアハウスを経営するということになってしまったということで、ちょっと問題が複雑になっているということです。

 この弁護団がつくった図を見ていただきたいんですが、非常にこれはやはり複雑なんですよ。何でかというと、この被害者の方が四つの契約を結ぶんですね。スマートデイズとの間でサブリースの契約。そして、銀行から融資を受けるので、そこで消費貸借の契約。土地を買うわけですから、土地の販売会社との土地の売買の契約。そして、更地に建物を建てるので、建物を建てる契約を建築会社ともする、そういう構図になっているんですね。恐らく多くの人たちが、その契約をする直前まで、こんなになるというのは余り認識していないでやっているんですね。

 さらに、この事件で問題なのは、スルガ銀行が、まず、借入れをするに当たって、源泉徴収票や、あと、預金通帳を改ざんしていて、本来貸出しができないような金額まで貸出しをしているわけです。

 これは、このような形で融資をするということは法令に違反しないんでしょうか、改ざんを行って融資をするということは。

油布政府参考人 金融庁からお答えいたします。

 今般のシェアハウス向け融資などでの不正行為では、不動産関連業者が預金通帳や所得確認資料を改ざんし、スルガ銀行の営業職員も明確にこれを認識若しくは相当の疑いを持ちながら業務を行っていたということが行政処分の理由となっております。

 なお、一部の類型の書類につきましては、一部のスルガ銀行行員がみずから改ざんした例も認められております。

 こうした改ざん行為自体は、明示的に銀行法上、禁止行為として規定されているわけではございません。ただ、禁止行為以外の行為でございましても、それによって銀行の業務の健全、適切な運営が確保されていないと判断される場合には、銀行法第二十六条に基づきまして、行政処分、すなわち業務改善命令や業務停止命令の対象となるということでございます。

初鹿委員 それによって銀行に対する処分が行われているということなんでしょうけれども、これは、私文書偽造とかそういう疑いもあるわけですよね。そのこともつけ加えさせていただきたいと思います。

 このスキームをちょっと見ていただきたいんですが、2と書いてあるところを読んでいただきたいんですけれども、「本事件の契約は契約書上、建築請負契約と土地売買契約が完全に分離されている。にもかかわらずマイソク(売り込み広告)には建物と土地が一緒の建て売りとして営業されており、且つ金利、販売価格、サブリース賃料が予め決定していた。」先ほどのチラシのことです。このことはまた後で聞きます。

 「また、サブリース契約書添付の合意書にはフリーローン抱き合わせの事項が明記されており、予めスルガ銀行とスマートデイズが販売を申し合わせ計画していた事がわかる」ということで、個人のローンもあわせて組まされているんですよ。

 こちらのニュースを見ていただきたいんですけれども、ここの丸一、二、三とあるところの五番目のところなんですけれども、三・五%の三十年ローンで一億三千万円貸し付けた上に、平均八百五十万円、年利七・五%の借入れを強制し、平均二百三十万円の定期預金をさせたとなっています。

 要は、土地売買のための、土地を買うためのローンと別に、個人のローンも組ませているんですね。それとあわせて、スルガ銀行に対して定期預金することもセットになっている、こういう抱き合わせでやっているということなんですが、こうやって抱き合わせで契約を求めるということは、何らかの法令に違反はしないんでしょうか。

油布政府参考人 お答えいたします。

 スルガ銀行におきましては、シェアハウス向けのものを含めました投資用不動産融資を実行する際に、カードローンなどの金融商品あるいは定期預金、これを抱き合わせて販売していた事実が確認されております。

 こうした抱き合わせ販売につきましては、銀行法第十三条の三第三号に違反する行為でございまして、先般の行政処分、私どもの行政処分におきましても、処分の理由としてその旨を明記しているところでございます。

初鹿委員 今、違反する行為だとはっきり明言がありました。

 もう少しこのところをちょっと確認をしたいんですけれども、これは、個人ローンと定期預金ですよね。ここの部分は業とは関係ないと思うんですよ、個人のローンと定期預金ですから。この部分だけを見れば、消費者として保護をされるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような仮定の場合について一概に評価することはできませんが、一定の場合には、消費者契約法上、消費者と見ることができる場合があり得ます。

 しかしながら、民事ルールであるため、最終的には裁判所において個別具体的な事例の該当性が判断されるものですので、詳細な答弁は差し控えさせていただければと思います。

初鹿委員 ちょっと確認させてください。

 一定の場合にはという、一定の場合というのはどういうことですか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者契約法は、消費者と事業者との間の契約を規律する法律であり、同法において消費者とは、事業として又は事業のために契約当事者となる場合を除く個人を指しております。

 また、この法律において事業とは、一定の目的を持ってなされる同種行為の反復継続的遂行をいうものですので、裁判所において、これらの規定を参考に適切に判断されるものと考えております。

初鹿委員 事業のために借りたものでなければ、これは消費者になるということですよね。抱き合わせをされているときに、本来、必要がない、事業には関係がないということが確認できれば、ここの部分は消費者だということがみなされるんだ、そういう理解でいいわけですね。そういう理解でいいんですか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 裁判所において個別具体的な事例の該当性が判断されますので、特定の類型について消費者に該当するか否かをお答えすることは差し控えたいと思いますが、考え方といたしましては、先ほど申し上げましたように、一定の、同種の行為を反復継続的に行っている場合が事業でございますので、それを除く場合でございます。

初鹿委員 では次に、またこの図を見ていただきたいんですが、1を見ていただきたいんですが、またこれもひどい話なんですよ。

 スルガ銀行は、この土地の契約の際に、被害者に白紙の出金伝票を書かせて預かっていた、その資料の開示を今拒んでいるんですけれども、この白紙の出金伝票を使ってどうしていたかというと、土地の売買代金を分配をして、サブリースの会社に払ったり、出金をしたり、また建築会社に出金をしたり、そういうふうに勝手に銀行側で出金伝票に金額を書いて、そして土地の代金の分配をしていたということなんです。本人には、どこに幾らお金が行ったのかというのは知らされていない、今も知らせていないということなんですよね。

 このように、銀行が白紙の出金伝票を預かって、当事者である本人に出金先、出金金額すら知らせないで、そして出金をして、実際にお金を移動する、こういう行為は法令に違反しないんでしょうか。

油布政府参考人 御指摘ございましたけれども、このスルガ銀行に関します個別の事実関係の有無についてはコメントを差し控えさせていただきますが、ただ、これが事実であるとした場合というふうなお尋ねでございますので、これにつきましては、先ほどの改ざんのところと考え方としては同じでございます。こうした行為自体が禁止行為として銀行法上、明記されているわけではございません。

 しかしながら、こうした禁止行為には当たらない、ほかの行為でございましても、これによって銀行の業務の健全かつ適切な運営が確保されないという場合には、銀行法第二十六条に基づきまして、行政処分、業務改善命令や業務停止命令の発出をいたしますということでございます。

初鹿委員 つまり、このサブリース契約の根っこであるスルガ銀行との契約のスタートが偽造から始まって、さまざま、直ちに違法とは言えないけれども、銀行業務として健全性や適切な業務の遂行に支障を来すようなことが行われているという、それはもう事実として多分認定を金融庁としてしているわけでありますから、そういう融資は、融資自体が私は無効ではないかというふうに思うわけです。

 これをやはり無効だとして、融資自体が無効だったということで、この問題の救済というか解決を図っていく必要があるんじゃないかと思いますが、このような、違法に違法を重ね、偽造までして行われた融資というのは無効にはならないんでしょうか。

油布政府参考人 金融庁からお答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、仮に融資契約が、錯誤による無効、これは民法九十五条でございますし、詐欺による取消し、これは民法九十六条第一項、それから公序良俗による無効、民法第九十条などに該当する場合には、契約の効力が失われることになるということは認識してございます。

 しかしながら、私ども金融規制監督当局といたしましては、スルガ銀行におきます具体的な契約が今申し上げたような民法のいずれかの要件を満たすのか、その結果、無効になるのかどうか、この点についてはお答えする立場にないということでございます。

初鹿委員 なかなか個別の事案に対してこうだということは言えないだろうとは思いながらも、やはりこれは、個別に、個々に判断をしているんじゃなくて、やはりみんな同じスキームなんだから、同じように無効だということにしてもらいたいな、していかなければ解決できないんじゃないかなということを指摘させていただきます。

 その上で、このスルガ銀行は、行政処分は受けたわけですよね、業務改善命令が出されたということですが、刑事罰の対象には今のところなっておりません。先ほど言ったように、私文書偽造の疑いもあるし、場合によっては、詐欺ではないか、そういう疑いもあるわけです。しかしながら、刑事罰の今は対象になっていないんです。

 刑事訴訟法第二百三十九条第二項には、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」というふうに、公務員の告発義務が設けられております。

 金融庁さんは、今回、スルガ銀行の調査をして、こういう刑事罰の対象になるんではないかというような事実も把握をされたわけですから、私は刑事告発をする必要があるんではないかと思いますが、いかがですか。

水口政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案につきまして告発をすべきかどうかに関しまして、恐縮でございますが、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論としてお答え申し上げますと、公務員の告発義務は、刑事司法の適正な運用を図るために、各種行政機関に対して刑事司法の運営についての協力義務を課し、もって捜査機関に対し捜査の端緒を提供することを期待して設けられたものというふうに解されております。

 この趣旨を踏まえまして、個別の事案について告発するかどうかの判断に当たりましては、当該問題行為の悪質性、一般国民又は私企業の処罰を求めることの重大性、金融行政の目的遂行の確保、今後の検査一般の実効性に与える影響、当該問題行為の存在が公知かどうかなどを総合的に勘案して検討する必要があると考えてございます。

初鹿委員 今答弁されたとおり、検討をしっかり行っていただきたいと思います。

 きょうは、国土交通省からも鈴木官房審議官に来ていただいておりますので、この広告のところを少し聞かせていただきたいんです。

 これは、新築と書いてあって、この広告を見ると、普通は、建物が建っていて、このアパートを買うんだなとみんな思いますよね、これを見たら。ところが違っていて、これは、土地の更地があるだけで、建物はあなたが建ててくださいね、建てるに当たっては建築会社を紹介します、そういうものなんですよね。建物はないんです。これ自体、ちょっと違法というか、不適切な広告じゃないかと思うんですが、それに加えて、確定利回り、七・四四%、確定利回りと書いてあるわけですね。保証賃料、七百三十四・四万円、月六十一・二万円と書いてある。こういう、確定なんていうことが本当に言えるのかということですよね。

 サブリース契約で、確定というのが、三十年ずっと同じ金額が入ってくるということをはっきり書いちゃっているわけですけれども、こういう広告は法令に違反しないんでしょうか。

鈴木政府参考人 土地販売会社の広告という観点からお答え申し上げます。

 宅地建物取引業法第三十二条におきましては、宅地建物取引の公正を確保する観点から、宅地建物取引業者は、その業務に関して広告するときは、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないと規定してございます。

 したがいまして、一般論で申し上げますと、宅地建物取引業者がその業務において御指摘のような広告を行った場合には同条に抵触する可能性が考えられますけれども、具体の事案におきましては、同条の抵触の有無につきましては、当該宅地建物取引業者の免許行政庁におきまして事実関係を確認し、判断することになるものでございます。

初鹿委員 どこの会社がこういう広告を出していたかということも弁護団は把握していますので、ぜひ、国交省もきちんと調べて、違反をしているならそれなりの対応をしていただきたいとお願いをさせていただきます。

 では、ちょっと時間がなくなってきたので、ゴルフスタジアムの方に移りますが、このゴルフスタジアム、先ほども申し上げましたけれども、ゴルフのレッスンプロの方々は、ホームページをつくるというつもりだったんですね。ところが、契約内容は、このソフトを買うという契約になっているんですよ、ホームページをつくるつもりなのが。

 このソフトが、またひどい話なんですけれども、ちょっとこの記事を見ていただきたいんですけれども、人によって三百万だったり一千万だったりするんですよ。これ、一千万ですよ。これはモーションアナライザーというものなんですけれども、つまり、ゴルフのスイングのモーションをカメラで撮って分析をする、そういうソフトらしいんですけれども、そういうゴルフのスイングができるような広さの場所がなければだめだし、カメラでそれを撮らなければいけないわけですね。多分、幾つかの方向から撮らなきゃいけないと思うんです。

 つまり、普通のレッスンプロの方々がそんなスペースを持っているわけないし、その器具すらないわけで、はっきり言って使えないソフトなんです。これは実際に被害者の方から預かってきたんですけれども、封をあけていないわけですよ。つまり、あけてもいないわけです。つまり、必要のないものとの契約をさせられているということなんです。

 この記事を見ていただきたいんですが、この二ページ目の方の二段目のところを見ていただきたいんですけれども、結局、本人たちはホームページをつくるという契約をしたと思っているから、信販会社から電話がかかってくるわけですよ、モーションアナライザーの購入でよろしいでしょうかとかかってきたら、いやいや、私は違う、僕が契約したのはホームページの作成だと言ったと。それで、一旦電話が切れるわけですね。そうすると、今度はゴルフスタジアムの営業から、いや、ちゃんとホームページはつくるから、ただでつくるからこれを買ったことにしてくれというふうに言われて、被害者の方々は、何かおかしいなと思いながらも、もう一回電話がかかってきたら、まあそれでいいです、はい、そうですと言っているというように、明らかに本人が望んでいる契約とは違う契約をさせているわけです。

 こういう契約というのは有効だと言えるんでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事案につきましては、既に係争中の案件であり、コメントは差し控えたいと思います。

 なお、一般論で申し上げますと、売り手と買い手の意思表示が客観的に合致することにより契約は成立すると考えられ、その上で、錯誤無効や不法行為に基づく損害賠償請求といった主張をすることが考えられますが、いずれにせよ、本件は係争中の案件であり、コメントは差し控えたいと思います。

初鹿委員 ちょっと時間がなくなっちゃったので、最後に一つ、私からの提案なんですけれども、消費者基本法や消費者契約法の第一条には、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差があるから消費者を保護する、そういう規定になっているわけですよね。

 個人事業主の場合、契約する相手方にもよると思いますが、今回のように、信販会社や銀行が相手だと、やはり圧倒的に情報の量や質で差があるし、交渉力にも明らかに格差があると思うんです。

 今後、個人事業主の方がこういう被害に遭わないようにするためには、一定の条件をつけるということは必要になってくると思いますが、個人事業主の方であっても、情報量や交渉力に差が明らかにあると判断できるような場合は、消費者と同様に保護をする、そういう規定を設ける必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、最後、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 消費者基本法や消費者契約法は、ともに、消費者と事業者という異なる二者の間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に注目をし、消費者の利益の擁護を図ることを目的とする法律であります。

 このため、例えば、個人事業主と銀行というように、事業者という意味においては同質のものである以上、これらの法律の趣旨を引用しても、直ちにそのいずれか一方の利益を擁護すべきと判断することは、これはなかなか困難であるというふうに考えております。

 今後とも、消費者庁といたしましては、消費者の利益を擁護、増進する観点からの施策を引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

初鹿委員 とはいっても、消費者か個人事業主か、どっちなのかよくわからないような、スマートデイズみたいな事件のようなケースもあるので、少し研究していただきたいということをお願いをして、質問を終わらせていただきます。

土屋委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 国民民主党の関健一郎でございます。

 委員長並びに与野党の理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 きのう、一部報道でもありましたが、ジャパンライフに関して質問をさせていただきます。

 まさに警察の捜査が進んでいるというところでありますが、まず、この仕組みについておさらいを少しだけさせていただきたいと思います。

 預託商法ということで、ターゲットは主におじいちゃん、おばあちゃんです。七五%以上が七十歳を超えるお年寄りが被害に遭われています。そして、被害の人数は七千人、二千四百億円を超えるというのが今回の事案です。そして、健康にいいネックレスだとか、何というんですかね、これ、手首に……

土屋委員長 ブレスレット。

関(健)委員 ええ、そういうのとかですね、そういうのをいろいろ買って、そのままレンタルをして、そのレンタルで、レンタル料があなたのもとに来ますよと。これは実体がなかったわけです。

 ただ、私も、元記者として、やはり、二千四百億円、七千人といってもぱたっとこないと思いますので、被害者の方一人一人、ちょっと取材をしてみましたので、一つだけ御紹介をさせていただきます。

 愛知県豊田市というところに住んでいる七十二歳の女性が被害に遭われました。この方は四十一歳の娘さんと二人で住んでいるんですけれども、二人とも被害に遭われました。合計が一千万円です。最初は、無料のエステにいらっしゃいといって、行くそうです。それで、その彼女も後悔しておりますけれども、三回目まで無料よと。四回目から有料になっていって、いつの間にかどんどん払わされて、健康器具を買わされてということになっているわけですね。

 その七十二歳の女性と娘さんの四十一歳の方、被害の合計は一千万円です。どういう一千万かというと、実は、この娘さんは障害を持っておられて、お母さんが、自分がこのままこの世を去ったときに娘さんが一人でも生きていけるようにお金を残していかなきゃと残していった一千万がジャパンライフにだまし取られたというのがこの事案です。

 やはり、簡単に二千四百億円といいますけれども、そこにはたくさんの皆さんの老後やら、この後どうしようという絶望の積み重ねがこの二千四百億円ということをしっかりと認識をして、この質問を続けさせていただきます。

 今回の質問で明らかにしたいことは主に二つあります。一つは、今回のジャパンライフ一連の問題に対する消費者庁の対応は後手後手で、ずさんと言わざるを得ません。ですから、消費者からの信頼は失墜しています。ですから、その信頼回復のためにまず何をすべきか、一歩一歩やっていくしかありませんので、そこについても質問させていただきます。そしてもう一つ、これが一番大事だと思いますが、この同様の手法にさらなる被害者が発生しないための対策、これが最も大事なんだと思います。それに関してお話をさせていただきます。

 冒頭、大臣にお伺いをさせていただきます。

 この数字、繰り返しますけれども、七千人、二千四百億円を超える被害、これは戦後でも最大級の消費者被害です。消費者庁のトップとして、この大きな事案に関する認識を伺います。

宮腰国務大臣 ジャパンライフ事件につきましては、高齢者を中心とする多数の消費者に被害が生じるおそれのある重大な事案であるとの認識のもと、昨年十二月までの一年間に四回の行政処分を行い、新規の契約による消費者被害の拡大を防止するとともに、消費者に対し既存契約の解除や返還請求を促してきたところであります。これに伴い、同社は資金繰りに窮し、昨年十二月に銀行取引停止処分を受けた後、本年三月には同社の破産手続の開始に至ったと承知をいたしております。

 消費者庁といたしましては、引き続き、本件のような重大事案に重点的に取り組み、法と証拠に基づいて法違反行為には厳正に対処することにより、消費者被害の防止に一層積極的に努めてまいりたいというふうに考えております。

関(健)委員 今、御答弁の中にも一部入っておりましたけれども、ジャパンライフの今の状況について御説明をお願いします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも申し上げましたけれども、消費者庁は、ジャパンライフ社に対しまして一年間に四回の行政処分を行いまして、新規の契約による消費者被害の拡大を防止するとともに、消費者に対し既存契約の解除や返金請求を促してまいりました。これに伴いまして、本年三月には同社の破産手続の開始に至ったというところでございます。

 同社につきましては、現在、裁判所が選任した破産管財人により破産手続が進められておりまして、十一月十二日に第一回債権者集会が開催されたものと承知しております。

関(健)委員 今、ひとまず被害の拡大はしていないということは確認できたと思います。

 そして、続けて質問させていただきますが、これは警察の捜査の対象となっているか、お答えください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 警察の捜査の状況につきましては、お答えする立場にないので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

関(健)委員 警察の捜査の対象になっていますし、捜査は進んでいます。これは、特定商取引法違反などの疑いで捜査は進んでいるわけです。

 ですから、その認識でいうと、これは刑事事件になるわけですから、更に更に明確にその被害の実態とかを明らかにして、再発防止に向けた調査を消費者庁としてもしなければいけないと思います。

 さらに、その中で、先ほど御答弁の中にもありましたが、先月の十二日に、要は、だまされた人たちの集会がありました。そのときに、私たちの被害のお金を返してくれと。ところが、ジャパンライフで働いていた人たちにお給料を払わなきゃいけないんだと。それは法律上はそうなんでしょうけれども、だまされた人にしてみると、片棒を担いだ人間の給料を先に払って、私たちのだまされたお金は戻ってこない、これはどうにも納得いかないわけです。

 消費者庁として、まずはそれは先に被害を弁済すべきじゃないのかということは言えないんでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 ジャパンライフ社につきましては、法令に基づき、裁判所が選任した破産管財人により破産手続が進められておりまして、債権者と債務者との間の権利関係につきましては、破産手続において処理されるものと承知しております。

 消費者庁を含め、行政の立場から破産手続中の事業者に係る債権債務関係の処理についてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

関(健)委員 あえてお尋ねをしましたけれども、それは、行政がそういうことを言うことはできないわけです。当然ですよね、そこに口を挟むことができないのは。ただ、であれば、消費者庁ができることは、少しでも早く認知をして、世の中の人にこういうことがありますよと、知って被害を減らしていくということだと思いますけれども。

 ここは前後関係をしっかりさせていただきますけれども、消費者庁はいつからジャパンライフが自転車操業だったと認識したか。つまり、もうこのビジネスモデルは破綻するなというふうに認識したのはいつですか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 ちょっとビジネスモデルの話まではなかなか難しいんでございますけれども、消費者庁としましては、二十九年三月にジャパンライフに対する第二回目の行政処分を行うというときに当たりまして、同社が顧客から預かったことになっている商品を実際には十分に保有していなかったということを認定しております。

 このような実態のもとで、同社が商品を販売して売上げを得て、かつレンタル料と称する金銭を支払っていたことからしますと、ある顧客の売上げを別の顧客への支払いに充てる、いわゆる自転車操業状態であったというふうに認識しています。

 つまり、消費者庁として、証拠に基づいて御指摘のような自転車操業状態であったという事実を認定いたしましたのは、平成二十九年三月の第二回目の行政処分の直前ということになるということでございます。

関(健)委員 二十九年三月に消費者庁は認識したということでいいわけですね。

 その前に認識していたんではないですかという質問を今からさせていただきます。

 二〇一五年の九月、立入検査をしていると思います。そこから最初の行政処分になるわけですが、その時点で、自転車操業の裏づけとなるレンタルユーザー、つまり貸す人ですね、貸す人とオーナーの数、そのお金の数が合わなきゃおかしいわけですけれども、そのレンタル事業における数値、二〇一五年の十月の時点で把握していませんでしたか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年の九月、十月にジャパンライフ社への立入検査を実施しておりますけれども、この立入検査におきましては、同社が顧客から預かったことになっている商品を実際には十分に保有していない可能性も視野に入れて検査を行ったものでございます。

 他方、消費者庁としましては、その立入検査により収集した証拠に加え、別途同社から提出させた資料等を総合的に分析した結果、先ほども申し上げましたが、同社が顧客から預かったことになっている商品を十分保有していないという事実を認定した上で、平成二十九年三月に同社に対して二回目の行政処分を行ったというものでございます。

関(健)委員 つまり、最初の立入検査の時点では、その自転車操業を裏づける数値を把握していたという理解でよろしいですか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 立入検査に当たっては違反行為の疑いというものを持って入るわけでございますけれども、その際にそういった点も疑いとしてはあって立入検査をしたものでございますけれども、ただし、その立入検査の時点で実際の保有数とかレンタルに回している数とかいうものを承知していたわけではないということでございます。

関(健)委員 その立入検査で把握をしたというわけではないということですよね、確認です。済みません、せっかくだからお願いします。

小林政府参考人 お答えします。

 立入検査で得た証拠に加えて、その後、報告徴収とかその他いろいろな証拠を総合的に勘案して最後の認定に至ったものでございますので、立入検査時点でその数値を全て認識したというものではないということでございます。

関(健)委員 その数値を公表していただくことはできないでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 今の御指摘の数値でございますけれども、同社がレンタルユーザーに賃貸していた商品の個数とか、あるいは同社が持っていた個数ということでよろしければ、それ自体は二十九年三月十六日の第二回目の処分のときのプレスリリースにありますけれども。

関(健)委員 ありがとうございました。

 この時系列と、知っていたんですか、知っていないんですかというこの細かい質問をした意味は、消費者、この被害に遭われた方にしてみれば、早い段階で気づいていたものを、早く処分をして、早くとめてくれれば私は被害に遭うこともなかったんじゃないかと。この四回の行政処分の間に、立入検査も含めて、どんどんどんどん被害が拡大していたわけですね。

 さらに、これはもちろん大前提として、政府を批判する前に悪徳業者が悪いのは言うまでもないんですけれども、政府の対応として、本来それを監督する対策課というところの課長補佐さんが天下りしていたわけですよね。その天下りしていたって、これは結構びっくりな話ですけれども、監督する方が監督される方に天下りしていたわけです。これ自体、信頼失墜に十分な客観的な事実ですけれども。

 そして、本来であれば、その半分以下の時間で進められる、通例七カ月程度で進められる行政処分に関しても、倍以上の時間がかかっていた。これは、その被害を拡大させたことに関して、政府に責任があると言わざるを得ないんじゃないかというのが被害者の皆さんの多くの声です。

 大臣にお尋ねします。

 やはり、この被害が広がった背景には、もちろん、その業者自体が悪徳なことは言うまでもありません。ただ、李下に冠を正さずではないですけれども、監督する担当課の人が天下りをして、そして、ふだんよりも、通例よりも倍以上の時間がかかる行政処分が続けられた。もっと早くとめることができるんじゃないのか、これは国の責任でもあるんじゃないのかという厳しい消費者の指摘もありますが、大臣の御所感を伺います。

宮腰国務大臣 ジャパンライフにつきましては、消費者庁は、適正な調査により入手した膨大な証拠を慎重に分析をした上で、四回の行政処分を行うなど、前例のない厳しい対応を行いました。この結果、同社は、事業継続が困難となり、本年三月の破産手続開始に至ったものと承知しております。

 もとより、事案により調査に要する時間は一定ではありませんが、消費者庁において、本件も含め、法令違反行為に対しましては、法と証拠に基づき、可能な限り迅速かつ厳正に対処してきており、引き続き、消費者被害の防止にしっかり取り組んでまいります。

 なお、本件を含め、消費者庁としては、法令違反行為に対しては、法と証拠に基づき、あくまで組織として厳正かつ適切に対処を行っており、元職員の再就職が行政処分の時期や内容に影響を与えたという事実は全くありません。

関(健)委員 適正な証拠に基づいて、前例のないスピードで対処されましたと。これは、そういう認識であられるというのは別に私は否定するものではないんですけれども、適切かどうか、迅速かどうかは、被害に遭われた方なり世の中が判断することであり、この四回の行政処分が迅速かつ適切で厳しいものであったという認識とは到底、されていないということは言わざるを得ません。

 そして、次の質問なんですけれども、であれば、これは何度も申し上げますけれども、政府を追及する前に、一番悪いのは悪徳業者なわけです。彼らは今までも、ルールが変わるたびに、また形を変えて、形態を変えて同じことをやっているわけです。であれば、断続的また定期的に財政基盤とか勤務実態を監視することができる法律の改正が必要だというふうに考えるんですが、認識を伺います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 現行法令のもとでも、法違反の疑いのある事業者に対しては、できるだけ早い段階から継続的な調査を行って、証拠を収集した上で行政処分を行っております。

 ジャパンライフにつきましても、消費者庁は、立入検査や同社からの報告徴収等の継続的な調査を経まして、その後、二十八年十二月の行政処分に続き、二十九年三月に、累次申し上げていますけれども、同社が顧客から預かっていることになっている商品を十分に保有していなかったことなどの重大な違反を認定して、行政処分を行ったところでございますが、同社は顧客に対して、まだその時点では、おおむね配当の支払いなどの債務を履行しておりましたので、すなわち、本件は、現行法令のもとで、被害顕在化の前の早い段階から継続的な調査を行い、処分に至ったものと承知しております。

 引き続き、悪質事業者に対しましては可能な限り迅速かつ厳正に対処することによって、消費者被害の防止に努めてまいります。

関(健)委員 迅速かつ適切にやられたんだと思いますけれども、消費者であり被害者の方は、迅速かつ適切だとは全く思っていません。そういう受けとめは深刻に、真摯に受けとめなければいけないし、現行法令の中で迅速かつ適切に対応ができていないんであれば、悪徳業者は進化しているわけですから、これはやはり、たたき潰すというか、根治のための仕組みをつくる必要はあると思いますので、引き続き、それに関しては議論をさせていただきます。

 最後の質問なんですけれども、ジャパンライフを退職をしていった人間が、同じような仕組みの悪徳商法を会社の名前を変えてやっているという情報があります。

 新しい被害が出ないというのは、僕も、この消費者特別委員会で質問させていただく一番大事な意義だと思います。そして、ふわっとした情報じゃなくて、具体的にそういう情報がありますから、大臣、その具体的な、ジャパンライフをやめた人が新しい同じようなビジネスをやっているということがあるわけですから、具体的に対策を指示してください。

宮腰国務大臣 消費者庁における個別事案の調査につきましては、今後の法執行に影響を及ぼす可能性がありますので、お答えを差し控えさせていただきます。

 一般論として申し上げれば、引き続き、消費者庁において、消費者被害を防止するため、さまざまな端緒情報を収集、分析し、適正な手続に基づく調査を行って、必要な証拠を収集した上で、法違反行為に対しては、可能な限り迅速かつ厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

関(健)委員 今、大臣、御答弁の中でいただいた御発言ですけれども、被害者からの申出や申告のみならず、さまざまな端緒情報を収集、分析しというふうにおっしゃられたと思います。今、僕、この場で端緒情報を申し上げているわけです。複数のジャーナリストであり、捜査関係者が、ジャパンライフを退職した人間が名前を変えてまた同じ被害を出そうとしているという端緒情報を今お示ししているわけです。

 委員会で一番大事なことは、新しい被害を出さないことだと思います。老後の一千万円を分捕られるかわいそうなおじいちゃん、おばあちゃんがふえないための質疑ですから、ジャパンライフをやめた人が同じような手法でおじいちゃん、おばあちゃんをだましていないか徹底的に調べるように指示を出してください。大臣、お願いします。

宮腰国務大臣 端緒情報の一つとして受けとめさせていただきたいと思います。

関(健)委員 ありがとうございました。

 やはり、消費者庁の信頼の回復と、一人でも老後の大切なお金をだまし取られないような仕組みづくりが必要なわけですから、これは何度も申し上げますけれども、政府はけしからぬの前に悪徳業者が一番けしからぬわけですから、形を変えて名前を変えてまた同じことを必ずやるわけですから、そこは徹底的に、アンテナを高くして端緒情報をとっていただいて、厳しい監視をしていただきたいと思います。

 ジャパンライフに関しては、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきます。

 私、一年生議員なんですけれども、消費者特別委員会で質問をさせていただくということを地元の皆さんに言ったりすると、やはり、百人に聞きましたをやると、大体、ほとんどの人が軽減税率の話を質問をされます。もちろん、軽減税率というのは財務省の、国税庁の話であるんでしょうけれども、やはり、毎日の消費、暮らしの中でも密接に関係する話ですので、これに関して質問をさせていただきます。

 そもそもなんですけれども、軽減税率の目的について教えてください。

小野(平)政府参考人 お答えいたします。

 軽減税率制度につきましては、ほぼ全ての人が毎日購入されている飲食料品等の税率を、来年十月の一〇%消費税引上げの際に八%に据え置くことによりまして、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるということと、低所得者ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性、これを緩和できるというメリットがございますところから、低所得者に配慮する観点から実施することとしているものでございます。

 軽減税率の対象品目につきましては、低所得者ほど収入に対する消費支出の割合が高い、酒類、外食を除く飲食料品等としておりまして、収入に対する消費税負担の割合について低所得者の方が高所得者よりも大きく引き下げることができ、いわゆる逆進性の緩和につながるものと考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 痛税感の緩和、低所得者への配慮からの逆進性の緩和、これはやはり、全く同感といいますか、大切な観念だと思います。

 ただ、今からさせていただく質問の積み上げで申し上げたい結論は、やはり、痛税感の緩和と低所得者への対策、逆進性の緩和、この大きな哲学、方向性と、飲食料品が軽減税率という、この二つが構造的にかみ合わないところがあることから、いろいろな問題が起きてしまっているんだということを明確にしておきたいと思います。

 ただ、これはもう十月一日から、御答弁いただいたようにあるわけですから、少しでも消費者の方の混乱を最小限にできるように、ここで質疑を進めさせていただきます。

 まず、素朴な疑問ですけれども、じゃ、これ八%ね、これ一〇%ですと、例えばお店屋さんだったら誰が決めるんですかね。誰がどの時点で八パーか一〇パーか決めるのか、教えてください。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、軽減税率の対象となる品目でございますが、酒類、お酒を除く飲食料品の譲渡、あるいは週二回以上発行される定期購読契約に基づく新聞といったものが軽減税率の対象で、八%ということになります。それ以外のものの譲渡は一〇%の税率ということになります。

 その適用税率の判定ということでございますが、それは、それらのものを販売する事業者がその販売の時点で行う、例えば、顧客に対して持ち帰りの飲食料品を売る、その時点で八%だといったことを判定をするということになるものでございます。

関(健)委員 つまり、例えばファストフードの店であれば、アルバイトの高校生であれ、まさにお客さんと対面したその人が八%か一〇%か、ここで決めるという理解でいいわけですよね。

重藤政府参考人 実際にお客様に物を売る、その時点で判定をするということでございます。

関(健)委員 これは幾つかの場合分けでお話をさせていただきたいと思います。

 例えば、ファストフード店であります。まず、店内で食べます、これは軽減税率の対象になるんでしょうか。

重藤政府参考人 まず、テーブルや椅子などの飲食設備がある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供、これは食事の提供ということでございまして、軽減税率の対象とはなりません。したがいまして、ファストフード店において店内で飲食をする場合、これは標準税率一〇%が適用されることとなります。

関(健)委員 済みません。一々御足労いただくのもなんなので、だだだだっと聞きますね。

 そうすると、じゃ、お持ち帰りだと何%なのか。私はそんなこと言いませんけれども、持ち帰りだと言って室内で食べるのはどうなるのか。ドライブスルーで持ち帰る場合はどうなのか。ドライブスルーで敷地内に車をとめて食べる場合はどうなのか。全部質問通告してありますよね。あとは、ドライブに行く車中で食べるためのドライブスルーのお持ち帰りはどうなのか。お答えください。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、持ち帰りと言って持ち帰る場合には、これは軽減税率の対象となります。それから、先ほど申し上げましたように、それは販売の時点で税率を判定するということになりますので、持ち帰りだと言って販売したもの、それは、その後、結果的にそこで食べるということになっても、販売の時点で税率を判定いたしますので、軽減税率の対象ということになります。

 それから、ドライブスルーの場合ですが、これも飲食料品の譲渡に該当いたしますので、八%の税率が適用される。その後、それを敷地内で食べる場合、あるいはドライブに行く途中どこかで食べる場合、これらもいずれも軽減税率の対象になるということでございます。

関(健)委員 細々とありがとうございました。

 何が言いたいかというと、最初、冒頭申し上げましたけれども、それ自体はあれなんですけれども、低所得者の逆進性ということとやはり矛盾はしていってしまうというのが課題なんだと思います。八%と一〇%、線引きは極めて難しいわけですし、ファストフードの一つのケースの場合分けをしても、これだけあるわけです。

 だから、そんな人はなかなかいないと思いますけれども、八%を適用されるということを目的で、どんなに室内で食べようが持ち帰りますという人はきっとふえていってしまうでしょうし、税金は、徴収するものはしっかり徴収しなければいけないわけですし、そういうところにも影響が出てくるということを指摘をさせていただきます。

 あとは、多く質問があったので質問させていただきます。しょうゆ、お酢、甘酒、みりん、みりん風調味料、これは対象か対象外か教えてください。

重藤政府参考人 まず、しょうゆやお酢に関しましては、これは飲食料品に該当するものとして軽減税率八%の対象となります。

 それから次に、お酒の関係ですが、お酒、酒類に関しましては、まず一般的に軽減税率の対象外とされてございますが、ここで言う酒類といいますのは酒税法に基づいて規定されているもので、アルコール分が一度以上の飲料というのが一般的に酒類ということでございます。

 甘酒でございますが、これは特に酒税法等に定義があるわけではございませんが、一般的には米や米こうじなどを原料としてつくっていて、アルコール分が一%未満のものが一般的だと思います。したがいまして、これは酒税法に規定する酒類には該当しませんので、軽減税率の対象となります。

 それから、みりんでございますが、みりんは、酒税法におきまして、米とかあるいは米こうじに焼酎又はアルコールを加えて、こしたものといったことで定義がございまして、酒税法上の酒類に位置づけられております。したがいまして、みりんはお酒ということですので軽減税率の対象外、したがいまして標準税率となります。

 それから、みりん風の調味料、これは酒税法等に定義があるわけではございませんが、一般的には、アルコール度数が一度未満のみりんに似た風味の調味料というふうに理解してございます。したがいまして、これは酒には該当いたしませんので、軽減税率八%が適用されるということになろうかと思います。

関(健)委員 ありがとうございます。

 私、料理初心者ですけれども、しょうゆ、お酢、みりんというのは、やはり使うわけです。そうすると、やはり最初に申し上げた低所得者への逆進性の緩和ということとちょっとずつずれていってしまうわけです。ずれてしまっているということを指摘させていただいて、でも、これは結構、お茶の間の皆さん、みりんはとよく聞かれたので、質問できてよかったです。

 次に行かせていただきます。

 今から寒くなってまいりまして、皆さん、屋台でおでんを食べたり、ラーメン屋さんに行ったりすると思いますけれども、屋台のラーメン屋さん、おでん屋さん、お好み焼き屋さんとか、屋台の、縁日の、こういうのは軽減税率の対象になりますでしょうか。

重藤政府参考人 屋台で食べ物を提供している場合でございますが、これは、その屋台に、例えばテーブルとか椅子とかカウンターといった、食べるための設備が備わっているかどうかといったところが一つの判断材料になろうと思います。

 テーブルとか椅子、カウンターなどが一緒にあわせて設けられているような屋台でございますと、これはいわば外食と同じような扱いになりまして標準税率、そういった設備がなければ、これは飲食料品を持ち帰るということになって、軽減税率の対象ということになろうかと思います。

関(健)委員 つまり、座るところがあって、こうやると一〇%だけれども、カウンターも机も椅子もなければ八%ということですよね。ですから、なかなかこれも複雑なところですけれども、ラーメンの区別、屋台の区別はつきましたので、次に行かせていただきます。

 新聞に関してなんですけれども、これは一気にまた質問させていただきます。

 飲食料品はよくわかります、逆進性の緩和で、多くの人が食べるからと。これはもう全く異論はないというか、それはそうでしょう。どんどんどんどん制度が複雑になるものの、基本的な哲学は全く理解、理解というかわかるんですけれども、なぜ新聞が対象になったんでしょうか。

小野(平)政府参考人 お答えいたします。

 新聞につきましては、まず、日常生活における情報媒体として全国あまねく均質に情報を提供し、幅広い層に日々読まれているということ、それから、この結果、新聞の購読料に係る消費税負担は逆進的になっていることなどの事情を総合勘案して、軽減税率の適用対象としたところでございます。

 家計調査のデータをとりますと、収入に占める新聞支出額の割合というものを計算できます。最も収入が多い第五分位の世帯における新聞支出額の割合というものは〇・三%である一方で、最も収入の少ない第一分位の世帯においては一・四%ということでございますので、データ上も逆進性が見られるということでございます。

 なお、OECD三十五カ国で日本と同様の消費税あるいは付加価値税というものを導入しておりますけれども、そのうち二十八カ国において新聞を軽減税率の対象としているということも認識しているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございました。

 今の新聞で、関連で聞かせていただきます。

 恐らく、新聞の購読は八%です。その後、この三つ、一気にお答えいただきたいんですけれども、駅のホームで買ったらどうなのか。電子版はどうなのか。最近、僕もそうですけれども、購読足す電子版、合わせわざ契約みたいなものがありますけれども、これはどうなるんでしょうか。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、新聞を定期購読する場合、これは先ほど申し上げましたとおり、軽減税率八%でございます。

 一方、駅の売店などで買う場合、これは定期購読契約に基づくものではございませんので、標準税率一〇%が適用されるということになります。

 それから、電子版のものでございますが、これは電気通信回線を介して行われる役務の提供に該当して、いわゆる新聞の譲渡には該当しないことから、標準税率一〇%の対象となります。

 それから、定期購読の新聞と電子版がセットになっている場合でございますが、この場合には、定期購読の新聞の販売と、それから電子版の新聞の配信というものを、それぞれ対価を区分してそれぞれの税率を適用するということになろうかと思います。

関(健)委員 冒頭申し上げましたけれども、やはり痛税感の緩和と低所得者への配慮、逆進性の緩和、これが大きな哲学であり、それと飲食料品の枠組みというのが構造的に合わない部分がこのいろいろな細かい問題につながっているんだと思います。

 ただ、実施する以上は、消費者の皆さんに少しでも、こういう一個一個混乱を緩和するということが必要だと思いますけれども、最後に、消費者の皆さんへの周知徹底のために行っている取組について教えてください。

重藤政府参考人 私ども国税庁といたしましては、先ほど申し上げましたような、どういったものが軽減税率の対象になるのか、どういったものがならないのかといったことに関しまして、具体的な事例に基づいて解説した例えばQアンドAを公表する、あるいはまた、関係府省庁や関係団体等を通じて説明会を開催して、その具体的な事例などに基づいてわかりやすく御説明をする、あるいはまた、消費税の軽減税率に対応するための電話相談センターなどを開設するといったようなことを通じまして、制度の周知、広報に努めているところでございます。

 今後とも、更により一層そうした周知、広報に努めてまいりたいと考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 実施の前に十分な周知徹底、更によろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 無所属の会、もとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 十一月十五日にも、消費者庁、国民生活センターの徳島移転について数点お伺いさせていただきましたが、きょうもこれを少し問いをさせていただきます。

 前回も指摘をしましたが、アクセスが悪く、時間や予算がかかるため、地方が研修費を減らす中、徳島への移転、また参加がしにくいという指摘をさせていただいております。

 そうした中で、徳島における研修参加率は今年度は一回当たり平均二十三・七人、私どもの地元の相模原市では五十八・〇人ということでありまして、参加者の半分は徳島県内となっており、全国的にとってプラスになっていないんじゃないかなという感想がしております。

 定員充足率は四一・九%ということでありますが、そこで質問させていただきますが、この徳島オフィスにおける研修の参加状況について、定員充足率が低いことをどのように捉えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

高島政府参考人 お答えいたします。

 徳島での研修事業におきまして、研修の定員充足率でございますが、今委員からお話がございました、二十九年度においては約五〇%となってございます。

 徳島での研修事業におきましては、会場までの交通アクセスについて課題がございました。これにつきまして、徳島県、鳴門市の御協力を得まして、平成二十九年度からは空港や駅、高速バスのバス停に無料送迎タクシーを配車するなど、アクセスの向上を図ったところでございます。

 消費者庁といたしましては、国民生活センターとともに、今後とも、より多くの方に受講していただけるように、引き続き見直しに努めてまいりたいと考えております。

もとむら委員 大臣にお伺いいたしますが、十一月十五日の委員会の御答弁で、「県外の受講者の数の増加に向けた努力は引き続き必要である」と述べられていらっしゃいますが、それはどんな努力を行っていくのか、大臣にお伺いいたします。

宮腰国務大臣 徳島県においては新たな実証実験を行っておりまして、それと結びついた研修なども行っております。もちろん、相模原事務所における研修と同様の研修も行っておりますけれども、いろいろな意味で新しいものをどんどんやっていくというのが徳島県、新未来創造オフィスあるいはセンターということでありますので、魅力ある研修を引き続き行っていきたいというふうに考えております。

もとむら委員 新しい取組に対しては否定はいたしませんが、恐らく現状では、今、相模原の事務所以上のことはなかなかできないんじゃないかなという実感があります。また、タクシーの無料など、行っているようでありますが、それでも人数が減少しているという点は、ここはよく御理解いただきたいなと思います。

 次に、テレビ会議についてお伺いいたします。

 河野元大臣が徳島移転の場合に業務をテレビ会議で行うことを想定したことを、以前、質疑もさせていただいたわけでありますが、そのときに、私が相模原の国民生活センターに行った際に、手袋の臭いにおいを検査する実験が行われていたわけでありますが、それを河野元大臣に質問させていただいて、例えば、においなんかも将来的にはテレビ会議で伝えられるんですか、感じられるんですかというふうにお話しした際に、大臣がそれも可能になるんじゃないかというお話をされましたが、大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 将来、においがテレビ会議で伝えられるようになるかについては、技術の進歩をまつということにいたしたいと思いますが、ことしの七月だったか、八月だったか……(発言する者あり)あ、六月。六月、幕張メッセで開かれたバーチャルリアリティー体験。

 私、当時、農林水産物、食品の輸出振興の担当の総理補佐官をやっておりましたので、どうしても、ミラノ万博で世界じゅうから集まってきたお客さんのハートをしっかりつかんだ日本の食のプレゼン、あれをできる限り小さなスペースで再現ができないかということで、最初の試みとして幕張メッセで体験をさせてもらったのでありますけれども、そのときに、ゴーグル型のモニター、ずっとぐるっと回ったらいろいろ光景が変わるというときに、実はにおいも一緒に嗅げるという体験をしてまいりました。

 しかし、そのにおいは、実は周りの方からしゅっと噴き出すのであります。画面に合わせてにおいが変わるというのは、やはりそのにおいのもとがあって初めて、現実に物があって初めて、画面に合わせてにおいが変わるというバーチャル体験はしてまいりましたけれども、今のところは、テレビ会議、テレビを通じてそのにおいまで体験できるというのは、ちょっと今の現時点の技術では難しいのではないかなというふうに思います。

もとむら委員 河野元大臣は、恐らくにおいを嗅ぐことができるんじゃないかという答弁をして、当時、私も驚いたわけでありますが、実際、東京工業大学では研究もされていて、物体のにおいを認識するにおいセンサーと、任意のにおいを発生させることのできる嗅覚ディスプレーを組み合わせたもので、疑似的に遠隔地のにおいを嗅ぐことができるシステムを今研究中ということでありますし、また、スマートフォンで香りを送受信する技術の開発も進んでいるというふうに伺っております。

 しかしながら、将来的ににおいを遠隔地に伝える技術が実用可能になることは否定はしませんが、大臣は前回の答弁でも、この移転に関しては、三年間の実証実験の中で、一年たったわけでありますが、来年の夏ごろには方向性を決めるという答弁もいただいている中で、数年以内にさまざまなところで使われていなければ、徳島に移転しても、テレビ会議を使うことで、変わらず、業務が行えないというふうに思っております。

 テレビ会議にしても、仮ににおいを送る装置ができるにしても、現在設置していない以上、新たに設置すれば予算がかかるわけでありまして、予算の肥大化につながるんじゃないかなということは指摘をしておきたいと思います。

 まち・ひと・しごと創生本部の中央省庁の地方移転の基本的な考え方によれば、地方移転による費用増大や組織肥大化の抑制という視点が盛り込まれておりますので、恐らく、においが嗅げるようになったとしても、予算の肥大化につながるんじゃないかということは指摘をしておきたいと思います。

 次に、全国消費生活相談員協会から、平成二十八年、移転反対の声が上がっていますが、これは大臣、どう受けとめていらっしゃいますか。

宮腰国務大臣 議員御指摘の全国消費生活相談員協会からの御意見も含め、これまで、消費者団体等の方々からは、消費者庁及び国民生活センターの移転に対する反対意見をいただいており、その多くが、移転による消費者庁等の機能低下を危惧するものであったと認識をいたしております。

 現場の消費生活相談員の皆様の声は真摯に受けとめつつも、実証に基づいた政策の分析、研究機能をベースとして開設された消費者行政新未来創造オフィスのあり方については、御指摘のとおり、二〇一九年度を目途に検証、見直しを行うこととされております。

 消費者の安全、安心の確保のための消費者庁の果たすべき役割は日々重くなっておりまして、いかなる場合においても消費者庁の機能が低下することがあってはならないと考えておりまして、こうした観点を踏まえ、総合的に検討する必要があると考えております。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

もとむら委員 地方公共団体の消費生活相談員は、平成二十七年度で三千三百六十七名いらっしゃいます。私どもの地元相模原にも三カ所消費センターがありまして、私も常々気にはしておりますけれども、多くのこうした相談員の皆様が、やはり移転に関して慎重な又は反対な御意見が多くございますので、大臣もそのことをよく受けとめていただきたいというふうに思います。

 また、国民生活センター相模原キャンパスは、研修施設や宿泊施設について稼働率が低調なので、以前、廃止や売却を念頭にコスト比較、検討を行うべきとされ、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針に廃止が盛り込まれたことも過去にございました。

 その検討過程において、平成二十六年八月に、国民生活センター相模原事務所研修施設の活用に関する懇談会報告書が出され、当該研修施設の処分には電気設備の移築等の費用を要するほか、立地上、売却も困難な見通しであり、当該施設利用時に比べてかえってコスト増の結果となっていると指摘をされたこともございます。

 こういった中で、国民生活センター相模原キャンパスの稼働率を上げるよう求められている中、徳島でも研修を実施することがよいことなのか、大臣にお伺いいたします。

宮腰国務大臣 国民生活センター相模原事務所の稼働率の向上につきましては、保有資産の有効活用の観点からも重要と考えております。センターの中期目標におきましても、稼働率目標、例えば宿泊室の利用を、稼働を三八・六%から五〇%に引き上げていくという記載もあります。

 このため、研修事業による利用に加え、地域との一層の連携を図りつつ、地域の団体、例えば地元の高校、近隣の大学などによる土日祝日も含めた利用を積極的に推進することで、稼働率向上に努めているところであります。

 これに対し、徳島における研修につきましては、新未来創造オフィスや徳島県庁が実施する先駆的、実証的な取組と一体的に実施することで、より効果が発現する研修も実施しております。例えば、平成二十九年度は、消費者教育に熱心な徳島県内の大学キャンパスでのフィールドワークにより、徳島県の先進的な取組事例も交えながら、エシカル消費を若者に伝える手法の体験を盛り込んだオリジナル研究を実施をいたしました。

 このように、相模原、徳島、それぞれの特性を生かした研修プログラムを企画し、全体として国民生活センターの研修機能の強化につながるよう検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 前回の消費者特でもこの国民生活センター相模原事業所の移転に関して大臣に質問させていただきましたし、きょうも御答弁いただきました。

 御答弁からも、来年夏ごろの決定、方向性を決めるということでありますが、現時点では、なかなか徳島への移転というものは、石破前大臣も、そして河野元大臣も、両大臣とも、やはり国民全体にプラスでなければいけないということでありますし、地方創生の視点からも、やはり現状よりもマイナスがあってはならないということを常々、両大臣も言われてまいりました。

 そういったことをしっかり鑑みながら、現状ではやはり徳島への移転というものは非常に厳しいなと思っておりますし、二十七年度のデータでありますが、徳島においては、消費生活専門相談員資格保有率は徳島県は全国で四十位、研修参加率は四十五位、二十七年度の相談員資格件数、消費生活アドバイザー件数、合格者はゼロ、相談件数、あっせん件数も、この国民生活センター相模原事務所と比べて非常に少ないということもありまして、アクセスの問題も含めて、まだまだ多くの課題があります。

 ぜひとも、この現実、現状を捉まえて、来年の夏、決断をされるころには、消費者のいわゆる相談員の皆さん、それから各自治体や各省庁を始め皆さんにとって、やはり今よりもサービスが落ちるようなことがないように、的確な御判断をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、食品ロスについて質問させていただきます。

 二〇一五年九月に国連が採択した十七の持続可能な開発目標では、個別目標の一つとして、二〇三〇年までに小売、消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産、サプライチェーンにおける食料の損失を減少させることが掲げられているわけであります。

 日本では、年間八千二百九十一万トンの食料が利用され、二千八百四十二万トンの食品廃棄物が出ておりますが、農水省と環境省による推計では、このうちまだ食べられる食品が六百四十六万トンに上る、世界の食糧援助量の約二倍に当たるわけでありまして、毎日お茶わん一杯分の食べ物が捨てられている現状であります。約一千三百万人、東京都の人口に匹敵するぐらいでありますが、一年間で摂取する食事の量とほぼ同じということでありまして、これらの視点から、食品ロスについて数点質問させていただきます。

 まず、家庭における食品ロスが発生量全体の半分を占めているということでありますが、食品ロスを自分自身の問題として認識していただく啓発活動が必要だと思いますが、政府としてどのように取組を行っているのか、お伺いいたします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 家庭での食品ロスの削減に向けた取組といたしまして、具体的には、食品の期限表示、すなわち賞味期限、消費期限の理解の促進、それから、料理レシピサイトを利用した食材を無駄にしないレシピの紹介、そして、消費者庁ウエブサイトにおいて地方公共団体等の取組やイベント等の情報の掲載などを行っているところでございます。

 また、徳島県におきまして、家庭における食品ロス削減の取組についての実証事業を実施しておりまして、まず、家庭で食品ロスの計量を行うといった取組で約二割、そして、計量に加えて削減の取組を行うというところで約四割、食品ロス量が削減したという結果が得られております。

 こうした結果も活用しまして、今後とも、関係省庁、地方公共団体、消費者団体等と連携しつつ、家庭での食品ロスの削減に向けて効果的な普及啓発を行ってまいりたいと考えているところでございます。

もとむら委員 消費者の意識や購買行動の見直しが重要な課題の一つだなというふうに私自身も思っておりまして、その点は今後もぜひとも皆さんで協力しながら、このことをしっかり努めてまいりたいと思います。

 次に、外食産業における食品ロスについて、料理の提供方法やメニューの改善、食べ切るように呼びかけることなどのほか、持ち帰りの普及が有効だと思います。

 持ち帰りについては、食中毒の観点から敬遠する事業者も多いようでありますが、政府の見解をお伺いいたします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 外食での食べ残しへの対策は食品ロス削減の観点から重要でありまして、「おいしい食べきり」全国共同キャンペーンの実施、それから、会食や宴会で、乾杯後の三十分間とお開き前の十分間に料理を楽しむ三〇一〇運動の推進などの取組を行っているところでございます。加えて、持ち帰りも食べ残し対策の一つの方法であると認識しておりまして、昨年五月に、農林水産省、環境省、厚生労働省とともに、飲食店等における食べ残し対策に取り組むに当たっての留意事項を作成したところでございます。

 今後とも、引き続き、事業者の方々の御理解、御協力がいただけるよう、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

もとむら委員 今、三〇一〇運動というのが、私もちょっと勉強不足で知りませんでしたが、ぜひともまたそういうことが広く皆さんに知られるようにお願いしてまいりたいと思います。

 農水省によれば、平成二十七年度の外食産業から発生する食品ロスは百三十三万トン、食品関連事業者全体の三百五十七万トンの約三七%を占め、食品製造業の百四十万トンに次いで多いわけであります。

 また、欧米では、ドギーバッグといった食べ物を持ち帰る箱や袋が用意されているのが一般的で、近年は日本でもドギーバッグを用意している地域と飲食店が徐々にふえているということであります。

 私も、もったいない運動ではないんですが、残ったらなるべく持ち帰るようにしておりますが、まあ、衛生上の問題、特に夏などは、注意をされているときはもちろん持ち帰りませんが、やはりこうした食べ切るような呼びかけも必要だし、料理の提供方法やメニューの改善なども今後心がけていく必要があるんじゃないかなと思います。

 そうした中で、日本マクドナルドは、厨房内の調理体制を一新して、つくり置きを廃止し、オーダーメード方式の料理システムを約四年間かけて全国の店舗で実施していると伺っております。そのことによって食品ロスを約半減して、また、コーヒーの注文時に、お砂糖とミルクは御利用になりますかとお声がけをすることによって、ロスの発生を抑制しているという運動もされております。

 私も、余りコーヒーは飲みませんが、たまにコーヒーを頼むときに、先ほどの関委員の軽減税率の話じゃありませんが、持ち帰るときにお砂糖とミルクはどうしますかというお話もありますが、そういったときに、必要がなければやはりお断りするようなことも食品ロスの活動につながっていくんじゃないかなと思います。

 次に、大臣にお伺いいたしますが、フードバンク活動の推進について、我が国ではより一層の活用の拡大が期待されるところでありまして、認知度の向上や食品事業者との連携を進めていく必要があると思いますが、大臣の認識をお伺いいたします。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

宮腰国務大臣 フードバンク活動は、日本においても、NPO法人を中心として取組が広がっており、食品ロスの削減だけではなく、生活困窮者への支援などの観点からも意義のある取組として認識をしております。

 こうした点は、昨日の参議院消費者問題に関する特別委員会におきまして食品表示法改正案の附帯決議の中でも御指摘をいただいておりまして、重要な課題であるというふうに考えております。

 このため、政府といたしましては、フードバンク活動に取り組む民間企業や団体の活動、具体的には、食品の出し手、運び手、受け手が抱える課題をしっかりと把握し、我が国におきましてフードバンク活動が社会的な仕組みとして定着する方策について、政府全体で検討を進めてまいりたいと考えております。

 先日も、豊島区にあるわくわく子供食堂に行ってまいりました。本当にNPOの皆さんが、やはりその地域、行政とも一緒になってやって、頑張っておいでになる。いろいろな、私、子供、子育て担当の大臣もやらせていただいておりますが、先日も、江戸川区に行ってキッズドアとかいうところを拝見してまいりましたが、やはりNPO法人の皆さんとその地域の行政とがしっかりと連携をするということがまず何よりも大事ではないか。

 その上で、応援企業だとかも一緒になって、しっかりとした地域におけるネットワークをつくっていく必要がある。北海道の食べ物を東京でということはやはりなかなか無理だ、難しいと思いますが、やはり、できる限りその地域でそういうフードバンクのシステムをちゃんとつくっていく。そこをどう結びつけていくか。業界の皆さん方とも協力をし合って、思いを持っている企業もたくさんあります、団体もあります、そういうところといかに一つのシステムとして地域で結びつけていくか。そういう体制をつくっていくのが本当の大事な仕事ではないかというふうに考えております。

もとむら委員 このフードバンクの活動は、一九六〇年代にアメリカでスタートしまして、四十年ぐらいおくれてから我が国にも入ってまいりまして、民間団体であるセカンドハーベスト・ジャパンによって始められたことは私自身も承知していますが、現在、二〇一七年一月末時点で四十四都道府県において七十七団体が活動しております。年間六百四十六万トンと推計される食品ロスでありますが、フードバンク団体における食品取扱量は、平成二十七年で約三千八百トンにとどまっているというふうに伺っています。

 また、企業が未利用食をフードバンクなどに福祉目的で寄附した方が廃棄するより税金が安くなるような仕組みが必要との指摘もあるようでございますので、こういった点もぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 次に、大臣に、フードロスの関係で、食品ロス対策をしっかり進めていくことに対する大臣の意気込みをお伺いいたします。

宮腰国務大臣 国民運動として展開することとされております食品ロスの削減に向けまして、生産、流通、消費の各段階での取組を強化する必要がありますが、取り組むべき課題は多く残されていると思います。

 このため、三〇一〇運動やいわゆる三分の一ルールの見直しなど、業界をしっかり巻き込んだ形で、食品ロスの削減に向けた取組を実効あるものとする必要があると考えております。

 消費者庁は、関係省庁で組織する連絡会議で事務局という重要な役割を担っていることから、食品ロスの削減に向けた取組の強化に向けて積極的に貢献してまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 最後の質問になりますが、フリーマーケットのアプリにおける消費者トラブルについて、一点お伺いいたします。

 消費者契約法や特定商取引法は、売り手が個人であるときには規制の対象外であるということは承知をしているわけでありますが、近年、フリーマーケットアプリの利用が拡大する中、個人間の取引トラブルが増加しています。例えば、買ったものが届かないとか、二十六センチの靴を頼んだんだけれども二十四センチの靴が来たとか、ブランド物がにせものであったとか、さまざまなそういうトラブルが起こっています。

 現在、こうしたトラブルがある中で、個人の売り手は法規制の対象外となっており、何らかのルールを定めていく必要があると思いますが、政府の見解をお伺いいたします。

二之宮政府参考人 お答えいたします。

 フリーマーケットアプリを利用した取引等、オンラインプラットホームが介在する取引には、BツーCだけではなく、CツーCのものもあり、消費者が容易に財・サービスの提供者としても取引に参加することが可能になってございます。

 しかし、現時点では、このような取引にかかわる財・サービスの提供者、それらの購入・利用者、オンラインプラットホーム、それぞれの、どのような責任や義務を担うべきか、必ずしも明確にされてございません。

 このため、消費者が財・サービスの提供者、購入・利用者として安心してこうした取引を利用することができるよう、必要なルール、仕組みについて調査検討を行うため、消費者委員会の下部組織として専門調査会を設置し、具体的な検討をしていただいているところでございます。

 現在、七月に行った論点整理を踏まえ、個別の論点について検討がなされており、議員御指摘の点も含め、専門調査会の中で議論されているものと認識してございます。

もとむら委員 お買物の仕方が大分、今、変わってまいりまして、こうしたフリーマーケットアプリみたいな形で物を買う方が多くなっていますので、そういったトラブルが発生しないように、今後よく対応を考えていただきたいと思います。

 質問を終わりにします。

土屋委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 宮腰光寛大臣に伺います。

 消費者庁等の移転について、二〇一六年九月一日の「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」、まち・ひと・しごと創生本部決定では、それまでの試行の結果、課題等を踏まえ、徳島県に消費者行政の新たな未来の創造を担うオフィス、消費者行政新未来創造オフィスを置き、実証に基づいた政策の分析、研究機能をベースとした消費者行政の発展、創造の拠点とするとして、三年後をめどに検証、見直しを行って、結論を得るとされてまいりました。

 先日、私のところにも相模原から御要望に来られまして、二〇一五年十二月に、地元自治体への協議、調整がないままに、急遽、国民生活センター相模原事務所が地方移転の対象となったというふうにおっしゃっております。

 当時、地元自治体との協議の状況はどうだったのでしょうか。

宮腰国務大臣 お答えいたします。

 平成二十六年のまち・ひと・しごと創生総合戦略に基づきまして、平成二十七年三月から八月にかけて行われました政府関係機関の地方移転に係る提案募集において、徳島県から消費者庁及び国民生活センター東京事務所の誘致の提案がなされました。その後、同年十二月に徳島県からまち・ひと・しごと創生本部事務局に連絡があり、国民生活センター相模原事務所も誘致の提案の対象に追加されたという経緯があったものと承知をいたしております。

 翌年の平成二十八年二月、当時の松本文明内閣府副大臣が加山相模原市長を往訪し、これまでの経緯について市長に御説明したものというふうに承知をいたしております。

畑野委員 そうなんですよね。ですから、二〇一六年の一月の段階で突然、内閣府からこの相模原事務所について地方移転についての意見聴取の依頼があって、判明したということですね。本当に地元としては、宮腰大臣がおっしゃったような、突然、相模原事務所が入ってきたという状況だったというふうに思います。

 二〇一六年の九月一日のこの「政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組について」については、しかし、よく読みますと、国民生活センター相模原事務所を今後どうするのかについては、何も触れられておりません。

 消費者庁はどのように考えていらっしゃるのか、宮腰大臣にその点について伺います。

宮腰国務大臣 平成二十八年のまち・ひと・しごと創生本部決定に基づきまして、消費者行政新未来創造オフィスのあり方については、二〇一九年度を目途に検証、見直しを行い、結論を得ることとされていることから、国民生活センター相模原事務所の移転のあり方についても、この検証、見直しの結果の中でお示しすることになります。

 二〇一九年夏には、二〇二〇年度の予算や組織に関する考え方を示す必要があります。消費者行政の中核的実施機関として国民生活センターの役割は極めて重要であることを踏まえながら、その時点で検証、見直しをし、その結果を反映した要求案をお示しできるように検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 国民生活センターが中核的な、本当に大事な役割をされているというふうに宮腰大臣もお話しになりました。

 それで、私は、国民生活センター相模原事務所に伺ったことがなかったものですから、大臣はもう既に以前行かれたということなんですが、改めて伺って、勉強をさせていただいてまいりました。なかなか商品テストでも大事な役割を果たされているということがわかりまして、きょう、資料の中に、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品についてつけさせていただきました。

 伺いたいのですが、国民生活センター相模原事務所では、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品についての商品テストを行っていらっしゃるということですが、どのようなテストをされて、その後どのような対応をされてこられたのでしょうか。

宗林参考人 お答えさせていただきます。

 今先生御指摘のプエラリア・ミリフィカというような健康食品を昨日見ていただきましたけれども、これは強い女性ホルモンの作用を含むタイの植物でございます。

 全国の消費生活センターから、PIO―NETという苦情を集積するデータベースがありますが、二〇一二年度以降五年間で、このプエラリア・ミリフィカを含む健康食品に関する危害、実際に何か異常が出るというようなものが二百九件寄せられておりました。その中には、月経不順とか不正出血等の女性特有の特徴的な危害が多く含まれておりまして、大変深刻に感じました。

 そこで、強い女性ホルモン様作用の成分が入っているのではないかというようなことでテストをしまして、その結果、これらの健康食品の多くにはこの成分が含まれていることがわかりました。この結果について、二〇一七年七月十三日に記者発表を行い、広く消費者へ注意喚起情報を発信するとともに、健康被害の再発防止に向けて取組を行うように厚生労働省に要望いたしました。

畑野委員 宗林さおり理事に少し伺いたいのですが、事業者とのやりとりというのは、大分たくさんの事業者がかかわってこられたと思うのですが、それは来ていただいていろいろとやりとりをされるのですか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

宗林参考人 お答えさせていただきます。

 テストをしました対象の事業者には、事前に来ていただいて、その結果をよく御説明する会を設けてございます。いわゆる発表までのプロセスをきちんと法的にも踏みまして、デュープロセスを踏んでの公表をさせていただいております。

畑野委員 わかりました。

 いろいろな商品が出ているということもこの中に、資料に載っておりますので、本当に、やりとり含めて時間もかかるし、大変な御苦労をされているというふうに思います。

 それで、この国民生活センター相模原事務所が大変役割を発揮されているということだと思うのですが、私、実はきのう伺ったんです。ちょうど二泊三日の予定で相談員の皆さんの研修がされておりまして、全国から八十人近い相談員の皆さんが、その日は、食品関連の法律、商品知識と消費者トラブルというテーマで活発にグループ討論をされておりまして、私もずっとその中を見て回らせていただきました。

 施設内には、食堂、図書室、個室の宿泊施設が完備されて、夜の時間帯も相談員同士の情報交換などが活発に行われて、大変内容の濃い研修がされているというふうに伺ってまいりました。

 商品テストのところも、大臣もごらんになったと思うんですけれども、施設を拝見いたしまして、商品に関するトラブルの原因を特定するために、壊さなくてもいいような非破壊検査などありますし、それから、いろんなアプローチができるように、部屋ごとに、一本の廊下でずっと沿って、さまざまな機材がそろえられておりまして、また、引火しやすいスプレー缶による火災の状況も、危ないなと思いながら見させていただきましたが、そういう火災ややけどの事故を再現する難燃性テスト室、そういうものもありました。

 それから、屋外に行きましたら、自動車や自転車の商品テストを行うドライビングレンジというのもありまして、ちょうどそのときは、小さいお子さんが、ペダルなしに、二輪の遊具で、足でこいでいくんですけれども、坂道がありまして、ここをおりると大変転倒や衝突の事故がありますよという指摘もしていただいてまいりました。それから、モデルハウスというのもありまして、建物内の段差とか、それから階段の角度などのテストが行われる、そういったものも敷地内に建てられておりました。

 私、今クリスマスシーズンなので、驚いたんですけれども、強力な磁石のマグネットボールを小さいお子さんが過ってのみ込んで、それでおなかの消化管に穴があいて、磁石と磁石がくっついて、それで穴をあけてしまって、開腹手術をして摘出した。小さい磁石が一固まりになった、これが子供さんには危険ですよとか、そういう注意をこの相模原事務所でやっていただいているというので、私も、マグネットボールってさわったことがないんですけれども、見て、ああ、こんなちっちゃいものがくっつき合うとそれは大変な事故になるだろうと。

 ちょうど去年のクリスマスプレゼントとして、のみ込んでしまった、去年の十二月やことしの一月、そういったことが寄せられて、注意喚起も、インターネットショッピングモールの運営事業者にも言っていただいた。事業者にも要望し、消費者にもアドバイスをされている、こういうこともあります。

 リモコンや体温計や玩具に入っているボタン電池も、ぽとんと落ちると、もう普通に中からボタン電池が転がって、それを誤飲してしまうというのも、多分大臣も見られたかもしれませんが、そういったものもありまして、なるほど、これだけ充実した商品テストと研修とこういう充実した施設というのは、なかなかほかにかわるものはないのではないかという印象を受けたんです。

 宮腰大臣に伺いたいんですが、この国民生活相模原事務所の商品テストの機能あるいは宿泊施設を完備した研修機能について、どのような御所見をお持ちでしょうか。

宮腰国務大臣 きのう委員に御視察いただいたということでございますが、国民生活センター相模原事務所は、一九八〇年以降、東京事務所で行っていた商品テスト事業、教育研修事業を実施しております。

 私自身、今思い出したのでありますけれども、経済産業委員会の筆頭理事をやっておりましたときに、当時、パロマのガス瞬間湯沸かし器のあの案件が相次いで発生をいたしました。そのときに委員会の視察で、この国民生活センター、商品テストの現場を皆さんと一緒に視察をしてきたことを思い出しました。そのパロマの事件がきっかけになって、一つの大きな要素になってこの消費者庁が設置をされたということにもつながったということも聞いております。

 具体的には、昨年度、二百十一件の商品テストを行いまして、事故の未然防止を図る必要があると考えられる場合には積極的に情報提供を行ったというふうに承知をいたしております。また、見ていただいたと思いますが、宿泊施設を完備をしておりまして、複数日にわたってじっくりと研修を行うことで研修生同士が意見交換を行うことが可能となるなど、研修の効果を高めることにもつながっております。

 このように、相模原事務所は、消費者行政の推進に具体的な形で貢献する重要な業務を担っている機関であるというふうに考えております。

畑野委員 今、宮腰大臣がおっしゃっていただいたあのパロマの事故器なんですが、きのう伺いましたら、それが御遺族の方から寄贈されて展示されているんです。本当に涙が出る思いがいたしました。消費者行政への思いを大臣からそうやってお話しいただいて、本当に私も大事だなと改めて思ったところでございます。

 今後どうするかということなんですが、二〇一六年八月に、消費者庁と国民生活センターそれぞれが徳島県における試行的滞在の結果についてまとめていらっしゃいます。

 それで、その懸念について、例えば消費者庁は、法執行の対象とする事業者の大半は東京圏にあるため、法執行担当課を徳島に移転させ、出張で対応すると効率が低下、国会、官邸、関係省庁を結ぶテレビ会議等の共通のシステムは構築されていないなど、消費者庁に期待される迅速な対応や、関係者との調整が重要な業務、関係者との日常的な関係の構築等において課題が示唆されたなどと述べております。

 また、国民生活センターは、研修業務については、受講参加者の地域が限定されたことや、徳島県の近県を除き全国からのアクセスの問題等が明らかになり、厳しい予算、人員事情のもとで、研修に送り出す側の全国の地方自治体の事情を考えると、全国からの参加者を想定した研修を徳島県でのみ実施することには、地方消費者行政の機能低下につながりかねないと述べております。

 商品テストについても、一カ所で保秘を維持できる相模原施設と同規模の機器、設備を有する自前の施設がなければ、必要な商品テストが実施できないことが確認された、仮に自前の施設が整備されたとしても、徳島県において商品テストを行う場合には、市場調査の実施、事業者との交渉、有識者の知見の活用に課題があることがわかったというふうに述べているわけです。

 私は、大臣、もう答えは出ているのではないかなというふうに思っております。先ほどの御答弁で今後の検討課題ということなんですけれども、私は、相模原事務所における研修、商品テスト等の機能を維持してほしいという相模原市の要望をちょっと紹介しますが、これは、相模原市だけの要望でなく、全国から見ても道理のある要望ではないかなというふうに思いまして、そういう思いをしっかりと受けとめて検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、二〇一九年夏には、二〇年度の予算や組織に関する考え方を示す必要があります。消費者行政の中核的実施機関として国民生活センターの役割は極めて重要であるということを踏まえながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 ぜひ、国民生活センターの役割、相模原事務所の役割、しっかりと受けとめて進めていただきたいと重ねて申し上げておきます。

 次に、トランス脂肪酸の栄養成分表示について質問いたします。

 二〇一二年三月に公表された食品安全委員会の新開発食品評価書、食品に含まれるトランス脂肪酸では、諸外国における研究結果として、トランス脂肪酸の過剰摂取は冠動脈疾患を増加させる可能性が高いなど、身体に与えるマイナス影響について紹介しております。

 宮腰大臣は、トランス脂肪酸が健康に与える影響について、どのように認識されていらっしゃいますか。

宮腰国務大臣 私自身、特別な医学的知見を有するものではありませんので、現在の立場から申し上げれば、トランス脂肪酸の影響については、平成二十四年三月に食品安全委員会が実施した食品健康影響評価に尽きるものというふうに考えております。すなわち、日本人の通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられるものの、脂質に偏った食事をしている個人においては留意する必要があるものと考えています。

 平成二十四年以降、食品安全委員会において、これを上書きする影響評価は行われておりませんので、当該評価結果は、関係省庁において施策の検討のベースに用いられているものと考えております。

畑野委員 資料の三につけさせていただきました。

 あわせて、消費者庁は、二〇一一年二月二十一日に、トランス脂肪酸の情報開示に関する指針の公表についてを発表しました。食品事業者に、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示するように求めるものです。

 この指針を踏まえて、食品事業者による情報開示が具体的にどのように進んだのか、伺います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、消費者庁では、消費者が食品を適切に選択して栄養バランスのとれた食生活を営む観点から、平成二十三年二月に「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針について」を発出し、食品関連事業者に対して、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示するよう要請しているところでございます。

 情報開示を行っている個別事例については把握しているところでございますが、体系的な調査などによる把握はまだ行っていないところでございます。

 委員の御指摘も踏まえて、食品関連事業者によるトランス脂肪酸を含む脂質に関する情報開示の取組実態を把握するとともに、指針の周知、普及を図ってまいりたいと考えております。

畑野委員 指針も出されたわけですから、ぜひそれを進めていただきたいと思います。

 食品表示法が二〇一五年四月に施行されるに当たって、消費者向けにあらかじめ包装された全ての加工食品と添加物、業務用加工食品は除く、に栄養成分表示が義務化されました。

 これに先立つ二〇一三年四月に、日本動脈硬化学会が、コレステロール、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の栄養成分表示を行うように要望しました。この中では、全ての脂肪が健康障害につながるわけではないこと、脂肪に多くの種類があり、それらを一まとめにして総体としての脂肪摂取を低減することを目的として表示することでは十分ではないとしまして、動脈硬化疾患発症のリスクとなるコレステロール、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の栄養成分表示を直ちに行うことというふうに指摘されておりました。

 しかし、義務化された表示というのは、脂質という、数ある脂肪分を一まとめにした表示でありまして、トランス脂肪酸は栄養成分表示を除外されるということになっているんですが、これはなぜでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁では、食品表示法に基づいて、消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保の観点から、栄養成分表示を義務化いたしました。

 トランス脂肪酸につきましては、まず、日本人の通常の食生活では健康への影響が小さく、消費者への表示の必要性が低いこと、そして、国際基準に示されている公衆衛生上懸念がある国にも該当しないことから、現時点では義務化としていないところでございます。

 他方で、消費者庁としては、消費者が食品を適切に選択して栄養バランスのとれた食生活を営む観点から、先ほど御指摘いただいた指針を発出しまして、食品関連事業者に対して、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示するよう要請しているところでございます。

 今後、食品安全委員会の新たな評価等が示された場合には、表示を義務化すべきか等について検討する必要があると考えているところでございます。

畑野委員 消費者庁の指針の中では、「我が国における最近の研究では、若年層や女性などに、摂取量が一%を超える集団があるとの報告もある。」というふうにあるんですね。ですから、一%を超すという状況、これは問題なわけです。

 それで、私、資料の中で、幾つかつけさせていただいたんですが、六ページのところに「脂質について」、これは消費者庁の「栄養成分表示を活用しよう」というものですが、女性の絵がありまして、「甘いものや脂っこいものは大好き!でも、体重増加は気になるから食事はたくさん摂らないようにしているわ!」と言った後に、この方のある日の食事内容、八時ドーナツ、十時チョコレート、十二時ハンバーガーとフライドポテト、十五時クッキー、十九時ピザ、二十一時アイス。これを食べると本当に脂質の量が多い。多くなれば、トランス脂肪酸も多くなる。私、ちょっと調べてみたら、一%を超えるかなというようなものも、これは正確には出すのは難しいというふうに専門家から聞いておりますけれども、ということなんです。

 ですから、私は、農水省と、あと大臣に聞いて質問を終わりますけれども、農水省には、やはりWHOが、世界保健機構が、今後、人工的なトランス脂肪酸の撲滅を掲げて、加工食品を製造するときにできるトランス脂肪酸を減らすための行動計画を発表しました。食品事業者の製造段階における低減化の取組をしっかりと調査して、そして、人工的なトランス脂肪酸は摂取しなくても済むようにしていくべきではないかと思います。

 大臣に最後に伺いたいのは、日本動脈硬化学会が、重ねて、コレステロール、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の栄養成分表示の御要望をされているんです。やはり、義務化されればトランス脂肪酸の摂取量が必ず減らせるとおっしゃっているので、ぜひこれを検討していただきたい。その二点を聞いて質問を終わります。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、トランス脂肪酸につきまして、国内外の情報の収集、食品中の含有実態調査、食品からの摂取量の推定を行っております。その結果、日本人の平均的な食事由来のトランス脂肪酸の推定摂取量は、WHOが定める目標値である総エネルギー摂取量の一%未満であるということが明らかになっております。

 また、国内の食品事業者でございますが、既に食品中のトランス脂肪酸濃度の低減に自主的に取り組んでおります。農林水産省が平成二十六年度―二十七年度に行った含有実態調査の結果、濃度は、約十年前の平成十八年―十九年当時の調査結果より低い傾向であるということが確認されております。

 農林水産省としては、引き続き、トランス脂肪酸に関する国内外の情報の収集、解析をいたしまして、消費者、食品事業者に対する情報提供に努めてまいりたいと考えております。

宮腰国務大臣 日本動脈硬化学会から、トランス脂肪酸の表示の義務化についての要望があることは承知をしております。

 しかしながら、消費者庁としては、消費者が食品を適切に選択し、栄養バランスのとれた食生活を営む観点から、平成二十三年にトランス脂肪酸の表示に関するガイドラインを発出し、食品関連事業者に対し、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示するよう要請しているところであります。

 この指針に基づきまして、トランス脂肪酸に関する情報開示に取り組む事業者がふえるよう、事業者の取組実態を把握するとともに、指針の周知、普及を図ってまいります。

 なお、この食品安全委員会の健康影響評価でありますけれども、委員から提示いただいている表のところは、日本人のトランス脂肪酸摂取量の上位五%の人の値の合計値、平均値ということでありまして、実は一般の方々はこの数字よりもはるかに低い数字である。つまり、日本の、日本人の、日本型食生活がいかに肥満にならない食事であるかということの証明のような表ではないかというふうに思っているところであります。(発言する者あり)

畑野委員 委員からも、与党席からも意見が出ていますけれども、そうです、今若い人が本当に脂漬けになっているということです。

 ですから、ぜひ検討していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。私で、十五分、最後でございますので、おつき合いのほど、よろしくお願いします。

 先ほどの質疑を聞いていまして、非常に興味深い、トランス脂肪酸の話、ああ、なるほどと思って聞いていたんですけれども、ちょっと前ぐらいまでは、全然何でも食べるぞという感じで、それこそ食品ロスがないように、いただくものは何でもいただきますという方針で食べていたんですけれども、最近やはり徐々に体のことを考え始めて、健康のこととか気になり始めて、やはり年齢を重ねるとそういうふうになっていくのかなというふうに思いまして、今興味深く伺っていたんです。

 とはいえ、一方で、今国会でも、できるかなと思って結局出なかった食品ロスの問題もありまして、これは非常にバランスが難しいなと思って聞いていたんですけれども、そういった観点も大事だと思います。特に食品ロスの話ですね、この観点を最初に伺いたいんですけれども、今国会は難しかったということですが、全体としては、日本全体でもかなりの食品ロスが出ていますので、これに対して対応していくというのは非常に大事な観点だと思いますし、次期国会に向けてこの法案をしっかり前に進めていくというのは各党一致しているところじゃないかなというふうに思うんです。

 一方で、ちょっと記事を見ていて驚いたのが、オリンピックにおいても食品ロスがかなり出ているという話が出ていまして、例えばロンドン大会では、ロンドン大会の期間だけで、大会において合計二千四百四十三トンの食べ残し、二千トンを超える食べ残しがロンドン大会をやることで出ているということでございました。それは調理中に皮をむいたとかそういった部分が多いのかなと思って聞いたら、食べ残しとか、あと保管中に腐ったとかいうので五五%。つまり、一千トン以上が保管中に腐ったとか食べ残しみたいな部分であるということで、非常に、オリンピックというのは各国からいろんな方が来られる中で、こうした部分、起きるんだなと思ったんです。

 オリンピックといえば、東京もオリンピックをやっていくわけで、私は大阪なので、オリンピックと万博だったら万博やと思っちゃう方なんですけれども、でも、オリンピックも大事なイベントで、こうした中で、消費者庁が抱える分野としては、この食品ロスをなくしていこうという中で、非常にこのオリンピック、世界じゅうからも注目を集めるところだと思うんです。

 情報によると、大会組織委員会の方はこれを何とか少なくしていきたいということで検討をされていまして、対策をいろいろ行われるということなんですが、これはぜひ政府の方もできる限りのバックアップをいただきたいですし、何かしら連携ができるならやっていただきたいと思うんですけれども、このあたり政府としてどう考えられているのか、お答えいただけますか。

諸戸政府参考人 お答えを申し上げます。

 持続可能性に配慮をした大会とするために、東京大会におけます食品ロスの削減は、組織委員会の持続可能性に配慮した運営計画でございますとか、飲食提供に係る基本戦略などに位置づけられておるところでございます。

 御承知かと思いますけれども、例えば東京大会の選手村のメーンダイニングでは、一日当たり最大四万五千食が提供されるというふうに伺っております。こうした場で委員御指摘の食品ロスの発生の抑制ということを行うためには、知恵や工夫が必要であるというふうに考えております。

 省庁の方でということでございましたが、例えば、農林水産省では、ことしの秋に開催をされましたスポーツの世界大会の機会に、例えばポーションサイズ、いわゆる一盛りみたいな、供給量といいますか、給仕する量一回分というか、そういうものによる残食量の違いなどの調査を実施したというふうに伺っております。

 こうした取組は東京大会でも参考になると考えておりまして、そのような調査結果を御提供するなど、各省とも連携をしながら組織委員会をサポートしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

丸山委員 しっかりサポートいただきたいんですが、先の話になりますが、もちろんオリンピックも大事でしっかりやっていただきたいですが、万博も「いのち輝く未来社会のデザイン」ですから、これもしっかりこの先の部分も見据えて、ぜひ政府としてもこうした部分に取り組んで、大きな国際的なイベントのときも含めて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 時間がありませんので、あと三つほどお聞きしたいことを聞いて私の時間は多分終わってしまうと思うんですが、二つ目が、いわゆる打ち消し表示についてお伺いしたいんです。

 何のこっちゃとおっしゃる方もいるかもしれませんが、例を出すとわかりやすいんですけれども、携帯料金が半額、ただし何とか何とか、三年契約が必要ですみたいなのをちっちゃく書くのを打ち消し表示というんですが、これが結構ふえているなというのは、正直、私もいろんな広告を見ていて思うんです。

 地元でも、地域の方の話を聞いたら、いや、丸ちゃん、丸ちゃんはいつも言われるんですけれども、丸山議員、だまされたとまで言わへんけど、もうちょっとちゃんと読んでおけばあれだったんだけれども、小さい字だったり、契約のときに長々といただいて困っちゃうみたいな話が結構ありまして、これは取締り等、一方で表現とか広告の自由というものがありますので、このバランスが非常に難しいなとも思っているんです。

 一方で、政府も対策されているとは聞いておりますが、こうした打ち消し表示の、法律的には景品表示法ですね、これに対する違反として摘発した事例、若しくは措置命令等々、数々あると思うんですけれども、こうした事例、大体どうしたものがあるのか、この事例数等を含めて確認したいんです。

小林政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁では、価格の安さなどを大きな文字で強調した表示に対し、その制約条件を小さな文字で記載する打ち消し表示というものは、消費者に誤認を与えるおそれのある表示方法として問題があるという認識のもと、その改善に向けて、平成二十八年度から二年間にわたり実態調査を行いまして、景品表示法上問題となる表示方法等についての考え方を、新聞、テレビ、スマートフォンなどの媒体別で整理しまして、三つの報告書として公表しております。

 消費者庁では、この報告書の考え方を踏まえまして、打ち消し表示が問題となる景品表示法違反事案に対して厳正に対処してきておりまして、報告書公表以降で申しますと、平成二十九年度に十八件の措置命令を行っておりまして、本年度も更に五件、合わせまして本日までに二十三件の措置命令を行っております。

 また、景品表示法では課徴金制度の運用が始まっておりまして、打ち消し表示が問題となった景品表示法違反事案では、これまでに十一事業者に対しまして、合計二億三千七百三万円の課徴金の納付を命じたところでございます。

 具体的な事例としましては、例えば、個人の感想ですといった打ち消し表示を併記しながら、痩せるというような、痩身効果を標榜する健康食品に対する措置命令が十四件と多くなっております。

丸山委員 一応、消費者庁さんも、指針は、こういうふうにやってくれというのを出していらっしゃって、それは拝見したんですが、非常に細かく書いていらっしゃるんですよ。これを見ながら、恐らく、広告業者とか、もちろん宣伝する方の企業も、話をしながら、違反しないようにとやられるのだと思うんですけれども、しかし、消費者側ではなく、企業側としては、一番売りになるところを前面に出して売りたいというのはもう企業心理として当たり前のところですので、このバランスをどうチェックするかというのは、行政として非常に大事なところだと思います。

 本当にこうしたものはふえていまして、昨今だと、例えば百億円分プレゼントみたいな、電子マネーのものが出て、そうすると、もう百億円分消費者に配られるのかというところがすごく頭がいっぱいになっていって、じゃ、細かいところはどうかみたいなのはやはり見落としがちになったり、後で追って見ると、あれ、みたいなのがあったりしたり、いろんな事例、挙げると数多くあると思うんです。これは消費者庁さんとして大事な観点だと思うんですけれども、今後、これは注意喚起も含めてしっかりやっていただきたいんですけれども、消費者に対する注意喚起、ここも含めてどのような対応になっているのか、そしてされていくのか、この点、お伺いできますか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁では、違反行為の未然防止の観点から、先ほどの御説明しました報告書の考え方を広く周知するために、まず、広告事業者等を含め、広く説明会を実施してきております。

 他方で、今消費者への注意喚起という点もございましたが、実際に、さまざまな事例を摘発することによりまして、措置命令をして、それを一件一件公表していくということを含めまして、消費者に対しても、そういった打ち消し表示の問題を消費者庁が見ていって、また、実際こういう打ち消し表示もあるといったことを知らせていくということとしております。

丸山委員 これはイタチごっこな部分もあると思いますので、しっかり目を光らせていただいて、確認していただきたいというふうに思います。

 地元を回っていまして、もう一つ言われた、あと二つあるので、時間がないので二問まとめて、来ていただいていると思いますので、お伺いしたいんですけれども、いわゆる無断キャンセル。飲食店で、予約してあったのに、結局来られなくて大量の被害があるというのは、うちの地元でもかなり、何とかしてよという話があります。

 民民の契約なのでというところもあるんですが、しかし、余りに悪質な部分は、もちろん刑事処分、若しくは民事的な部分ももちろん出てきますし、これは政府としても、若しくは業界としてもしっかりやっていかなきゃいけないと思うんですけれども、聞くところによると、業界としては、無断キャンセルに対するキャンセル料はどれぐらい取るべきかみたいな指針を出されたということで、それに対して政府も、どこまで絡んでいらっしゃるのかもちょっとわかりませんが、ある程度相談には乗っているんじゃないかという話も聞いています。

 今後、こうした被害額、政府としてどれぐらいと思われているかということ、そして、どれぐらい推移していくかという数字の部分もお聞きしたいんですけれども、同時に、その指針に対してどのように政府として考えられていて、今後対応されていくのか。二問まとめての質問になってしまいますが、お伺いできればと思います。

島田政府参考人 サービス業、特に飲食業界の生産性向上におきまして、議員御指摘の無断キャンセルは極めて大きな問題であるというふうに認識をしてございます。

 このため、経済産業省では、飲食業界あるいは弁護士などの法曹関係者を中心とする勉強会を関係省庁とともに設置をしまして、先月、ことしの十一月に、無断キャンセルに対する対策レポートをまとめたところでございます。

 このレポートにおいては、無断キャンセルの被害額といたしまして二千億円という数字を出してございます。これは、民間の統計ですとか企業ヒアリングをもとに、無断キャンセル率等を用いて幾つかの仮定のもとに計算した推計ということで、二千億円の被害額というふうなことが出てございます。

 こういった対策レポートの公表後に、民間企業を中心に普及啓発の取組がかなり進められてございます。

 飲食店あるいは飲食店の予約サイトの関係者による対策が、これもやはり消費者の理解を得ながら進めるということが非常に重要であると思いますので、しっかりとそのあたりに取り組んでいただき、関係省庁といたしましても、この取組を後押ししていきたいなというふうに考えているところでございます。

丸山委員 後押ししていきたいという審議官のお言葉をいただきましたので、よろしくお願いします。

 審議官、済みません、万博のバッジ、ありがとうございます。自分がつけずに来たので、済みませんと思いながら。決まって安心しちゃだめですよね。しっかり周知していかなきゃいけないと思うので、よろしくお願いいたします。

 ちょっと関係ない話が気になってしまったんですが、でも、今、しっかり後押ししていきたいという話でしたので、これをしっかりよろしくお願いします。現場のお店の方、非常に困っているお店も多いと思いますので、国としても、知らないよじゃなくて、やっていただくことが非常に大事だと思います。

 最後にお伺いしたいのが、金商法関係なんです。

 詐欺というのはずっと昔からあるとは言われていますけれども、昨今、この金商法違反で摘発された事例で、仮想通貨をかき集めて、投資の案件として甘い言葉をかけて、毎月これぐらいもうかりますよみたいな形で、結局それは詐欺で配当が支払われずみたいな、前々からあるような形なんですけれども、問題は、それがお金や現金ではなくて、仮想通貨で集めてという事例。この間逮捕された事例が、SENERという投資グループのものもありましたけれども、かなりふえている状態ですが、こうした無登録で投資事件というのが非常にふえているなというのが率直な印象なんですけれども、どれぐらいこれは発生しているのかどうか。

 そして、重ねてで恐縮なんですけれども、二問目も時間がないので聞きたいんですけれども、これはやはり何人か議員の皆さん、聞かれている方もいらっしゃるみたいですが、これは金商法の改正が要るんじゃないかなと。

 というのは、仮想通貨が規制の対象外であるがゆえに、結局、警察も立件するのが現金の部分だけの立件になっちゃって、この部分に対する被害の部分が微妙な、刑事罰としては、要は抜け穴になっているんですよね。これは早々にやはり対策をとっていかないと、詐欺した者勝ちとは言わないですけれども、被害を食いとめていくために非常に大事な観点だと思うんですけれども、これは金融庁さん、どうお考えなのか、お伺いできますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、金融庁におきまして、金融商品取引業の登録を受けることなく無登録で出資を募ったケースとしまして、これは必ずしも仮想通貨関係の事案ではございませんが、平成二十六年以降で八十件の警告書を発出しております。

 また、先生御指摘のケースにつきまして、現在捜査中ということもありまして、私どもとして基本的にコメントは差し控えたいと考えておりますが、一般論として申し上げまして、出資した事業からの収益の配当を受けることができる権利を販売し、それが法定通貨で購入される場合であるとか、あるいは仮想通貨で購入されるものの実質的に法定通貨で購入されると同視される場合には、金融商品取引法の規制対象になると考えられております。

 ただ、仮想通貨をめぐりましては、仮想通貨を用いた資金調達を含む諸課題につきまして、金融庁に設置しました仮想通貨交換業等に関する研究会におきまして、制度的な対応のあり方について御議論をいただいております。

 研究会の議論の中におきましては、仮想通貨による出資や購入であったとしても、経済的効果は法定通貨による出資、購入と変わるものではないために、このような場合も規制対象となる旨明確化する必要があるのではないかといったことも議論がなされているところでございます。

 現時点において最終的な結論が出ているわけではございませんが、利用者保護の必要性なども十分踏まえて、一定の方向性を示していく必要があると考えております。

丸山委員 時間が来ましたので終わりますけれども、まだ研究会ということで、スピード感としてはもっと巻きでやっていただきたいなというふうに思いますし、刻一刻と被害が新たに出ているかもしれませんので、しっかりと金融庁さんとしても対応をよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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