衆議院

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第7号 平成29年4月21日(金曜日)

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平成二十九年四月二十一日(金曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 池田 道孝君 理事 後藤 茂之君

   理事 新藤 義孝君 理事 田中 英之君

   理事 山口 俊一君 理事 坂本祐之輔君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      伊藤 達也君    江藤  拓君

      大野敬太郎君    岡下 昌平君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      佐藤ゆかり君    坂井  学君

      菅原 一秀君    瀬戸 隆一君

      武部  新君    谷川 とむ君

      長坂 康正君    平井たくや君

      福田 達夫君    牧島かれん君

      三ッ林裕巳君    宮川 典子君

      宗清 皇一君    簗  和生君

      山田 賢司君    小川 淳也君

      高木 義明君    武正 公一君

      福田 昭夫君    横山 博幸君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      吉田 宣弘君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君    椎木  保君

      丸山 穂高君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          山本 幸三君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   財務副大臣        大塚  拓君

   財務副大臣        木原  稔君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大島 一博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         古澤 ゆり君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          佐々木 基君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        藤原  豊君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           神山  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官付参事官)         小川 良介君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  浅川 京子君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     簗  和生君

  勝俣 孝明君     神山 佐市君

  小泉進次郎君     宗清 皇一君

  谷川 とむ君     岡下 昌平君

  中谷 真一君     勝沼 栄明君

  福田 達夫君     武部  新君

  宮川 典子君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     谷川 とむ君

  勝沼 栄明君     中谷 真一君

  神山 佐市君     勝俣 孝明君

  瀬戸 隆一君     宮川 典子君

  武部  新君     福田 達夫君

  宗清 皇一君     小泉進次郎君

  簗  和生君     江藤  拓君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大島一博君、内閣官房内閣人事局内閣審議官古澤ゆりさん、内閣府地方創生推進事務局長佐々木基君、内閣府地方創生推進事務局審議官藤原豊君、内閣府子ども・子育て本部審議官中島誠君、警察庁長官官房審議官長谷川豊君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子さん、文部科学省大臣官房審議官神山修君、文部科学省大臣官房審議官松尾泰樹君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子さん、農林水産省大臣官房審議官山北幸泰君、農林水産省政策統括官付参事官小川良介君、水産庁資源管理部長浅川京子さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。椎木保君。

椎木委員 日本維新の会の椎木保です。

 本日はトップバッターの御指名をいただきましたので、山本大臣を初め政府参考人と建設的かつかみ合った質疑に努めたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 本日議題となっております国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について質問いたします。

 初めに、日本版レギュラトリーサンドボックスについてお聞きいたします。

 自動走行の公道実証を行う際に道路交通法の規制や手続等に時間と手間を要すると聞いております。そうであるならば、規制や手続を見直し、公道実証を迅速、円滑に行うことができるようにする必要があると考えますが、この点について警察庁はこれまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。また、今後どのような方策を講じようと考えているのでしょうか。あわせて答弁を求めます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転技術につきましては、我が国の将来における交通事故の削減や渋滞の緩和を図る上で不可欠な技術であることから、警察としても、その進展を支援する観点から積極的に取り組みを進めているところでございます。

 自動運転技術を搭載した自動車の公道での実証実験につきましては、運転者席に運転者が乗車して周囲の状況等を監視し緊急時等に必要な操作を行うものであれば、何ら警察への事前の調整や許可を要することなく、現行の道路交通法において可能でございます。

 こうした公道実証実験を適切かつ安全に行うことができるよう、警察庁では昨年五月にガイドラインを策定し、既にこのガイドラインにのっとって日本全国で多くの実験が実施されているところでございます。

 また、有識者を交えた調査検討委員会を設けまして、運転者席に運転者が乗車しない遠隔型自動走行システムの公道実証実験を、日本全国において、一定の安全性を確保しながら円滑に実施することを可能にするための措置について、本年三月に取りまとめ、現在パブリックコメントを実施しているところでございます。

 今後とも、自動運転の実現に向け、政府全体のロードマップを踏まえつつ、今後開発される自動運転システムの具体的な性能や使用方法等も把握しながら、道路交通法に関連する課題の検討をさらに進めるなど、交通の安全と円滑の確保の観点から必要な取り組みを推進してまいります。

 なお、これまでに、国家戦略特別区域におきまして事業者が道路使用許可を受けて実験を実施したことがあると承知しておりますけれども、当該手続につきましても、管轄する警察署において適切かつ迅速に行われたものと承知しているところでございます。

椎木委員 これまでの取り組みと今後の方策について明確な御答弁をいただけたと思います。ありがとうございます。

 次に、千葉市でドローンの実証実験を行った際、漁協との調整に時間を要したと聞いております。海上でドローンの実証実験を行う場合、漁業関係者との調整を円滑化するために水産庁が関与する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローンについては、沿岸域の密漁監視と漁業への活用が期待されているところでありまして、現に岩手県においては漁協等の関係者が協力をして実証実験を進めている、そういった事例もございます。

 このように、ドローンの海上での実証実験は沿岸域で実施されることが多いと認識されておりまして、安全確保という観点から、実証実験の実施者から漁業関係者への情報提供なり話し合いが行われることもあるというふうに承知しております。

 いずれにしても、先生御指摘の千葉市で開催された事案でございますけれども、私どもも千葉市で開催されましたドローン宅配等分科会の議事録は確認いたしましたが、もう少し詳しく、水産庁といたしましても、漁業関係者に対してどのような調整が行われたのか、事実をよく確認して、問題があれば円滑な調整に向けて指導してまいりたいと考えております。

椎木委員 ありがとうございます。

 次の質問に入ります。

 入管法の特例について、クールジャパン・インバウンド外国専門人材の就労促進と農業外国人の就労解禁の二項目が提案されておりますので、この件について質問させていただきたいと思います。

 農業外国人材の特例については、人材確保に悩む農業現場での活用ニーズが高いと聞いておりますが、その一方で、我が党の丸山穂高議員も本委員会で指摘しているとおり、不法滞在の温床となり、不法滞在者が都市部に流入するのではないかと懸念する声も聞かれております。

 農業外国人材が不法滞在者とならないよう適切な在留管理や適切な処遇が必要であると思うのですが、今回の法律改正ではどのような対応を考えているのでしょうか。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 農業分野での外国人受け入れに際しましては、劣悪な労働環境ですとかあるいは低賃金等によりまして失踪等の不法滞在の問題が生じないようにしていく、対策を講ずる必要があるものと考えております。

 このため、今回の制度設計におきましては、国と関係自治体が合同で適正受け入れ管理協議会を設置いたしまして、国、自治体が受け入れ機関を直接管理することで、労働時間ですとかあるいは賃金等の労働条件を適切に管理する仕組みを導入する予定でございます。

 また、外国人材を適切に保護できますように、苦情、相談を直接受け付ける窓口を適正受け入れ管理協議会に設けまして、必要な巡回指導等を行うことによりまして、適正な運営を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。

椎木委員 次の質問に入ります。

 技能実習を含めた農業分野の外国人材を、単なる労働力としてではなく、農村コミュニティーの一員として温かく受け入れ、農村の多文化共生を進めていくべきではないかと考えますが、これまでの取り組みと今後の対応について、できるだけ詳細に答弁の方をお願いします。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 技能実習制度におきましては、農業の実習生を受け入れている監理団体が、日本の生活習慣ですとかあるいは文化を学ぶ講座を開催いたしましたり、あるいは、監理団体や実習の実施機関であります農業経営体が、技能実習生に地域の祭りなどへの、行事の積極的な参加を促すような、そういう取り組みをしているところがございます。そうしたことによりまして、外国人実習生と地域社会との共生を目指した取り組み、そういったものが行われている事例がございます。

 こうした取り組みにつきましては、今回の改正法案に基づきます制度を適切に進める上でも望ましいというふうに考えておりまして、本事業の特定機関ですとかあるいは派遣先の農業経営体に対しまして、地域社会との共生につながるような取り組みを促すことですとか、あるいは適正受け入れ管理協議会による好事例の発信等につきまして、今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

椎木委員 非常に私の質問に対しててきぱきと答弁いただいていて大変ありがたいんですけれども、できるだけ詳細に丁寧に御答弁いただければと思います。今の答弁で十分理解はしているところなんですけどれも、できるだけ、少し答弁の時間を長くとっていただいても構いませんので、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 昨年の特区法改正の際、クールジャパン人材受け入れを推進する観点から質問いたしましたが、今回、クールジャパン・インバウンド専門人材の受け入れとして法制化に至ったことは、大いに評価したいと思っております。

 しかし、この特例が機能するか否かは、制度をいかに運用するかにかかっていると考えます。今回の特例の対象となる在留資格である技術・人文知識・国際業務、技能の該当性の判断が恣意的ではないかとの声もあります。

 恣意性を排除するとともに、その範囲を可能な限り明確化することが必要であると考えますが、いかがでしょうか。

佐々木(聖)政府参考人 お答えいたします。

 入管法上、在留資格、技術・人文知識・国際業務には、本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学の分野もしくは人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動が該当をいたします。

 在留資格、技能には、本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動が該当をいたします。

 いずれの在留資格におきましても、上陸許可基準を法務省令において定めておりまして、例えば、在留資格、技能の当該省令におきましては、一定の要件を満たす外国料理の調理師や航空機のパイロットといった、対象となる技能の種類が明記をされております。

 しかしながら、これまでも、今申し上げましたような法律の文言ではわかりづらいというお声をいただいておりましたので、入国管理局といたしましては、在留資格の決定に係る運用の明確化及び透明性の向上を図り、申請される方の予見可能性を高めるために、技術・人文知識・国際業務の在留資格で認められる活動、留学生が我が国で就職を希望する場合の技術・人文知識・国際業務の在留資格、さらには、ホテル、旅館等において外国人が就労する場合の在留資格などに係る考え方や典型的な事例などの資料を作成して公表しております。

 さらに今後の取り組みといたしまして、クールジャパンにかかわる分野において、どのような場合に外国人材の就労が可能なのかを明確にし、外国人本人及び受け入れる企業にとっての予見可能性を高めるため、現在、関係省庁と協議しつつ、ガイドラインの作成を進めているところでありまして、引き続き、在留資格の決定に係る運用の明確化に努めてまいります。

椎木委員 ありがとうございます。

 今ぐらい長く答弁いただけますと、私は、この委員会の質疑の内容を全部議事録をとって地元での勉強会とか有権者にもお配りしたり、非常に関心のある選挙区の方が多いですから、そういう意味では、今ぐらいじっくり御答弁いただけると、なおさら私も勉強になりますし、説明しやすいので、できるだけ、思いも込めた答弁で結構ですので、答弁の時間を長くとりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 今回の法律改正では、小規模認可保育所の対象年齢の拡大と、地域限定保育士試験の実施の拡大が提案されておりますが、そもそも、潜在保育士は約八十万人いると言われております。さまざまな事情で就業していない保育士が働くことのできる環境を整えることも重要な施策だと思いますが、潜在保育士の活用について政府はどのように考えているのでしょうか。答弁を求めます。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、保育士の資格をお持ちになりながらも現在保育に従事されていない方が八十万人いらっしゃるということでございます。

 保育士として就業を希望していない、そういう理由を調査いたしますと、まずやはり賃金が希望と合わないといったこと、また責任の重さ、事故への不安といったようなものが多く挙がってくるところでございます。

 こうしたことを少しでも改善いたしますためには、処遇改善、そしてまた離職者の再就職支援、それから新規の資格取得、就業継続に向けた支援と、総合的に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

 具体的に申し上げますと、まず処遇改善につきましては、平成二十九年度の予算におきまして、全職員一律二%の処遇改善を実施したところでございます。さらに、努力が評価され、将来に向けて希望が持てますように、技能、経験に応じたキャリアアップの仕組みを構築いたしまして、経験年数がおおむね三年以上の職員の方には月額五千円、また経験年数がおおむね七年以上の中堅職員の方に対しましては月額四万円の処遇改善を行うこととしたところでございます。

 さらに、特に潜在保育士の活用といった点につきましては、再就職される際の支援といたしまして、就職する際の必要となる費用の貸し付けを行う事業、これにつきましては、それまで二十万円だったものを、平成二十八年度補正予算におきまして四十万円に引き上げまして、これは、その後二年間、保育士として従事していただきますと、返還が必要なくなります。

 そういった制度を御活用いただきますとか、もう一つ、今年度予算におきましては、保育士・保育園支援センターと申しまして、これは職業紹介、マッチングを行う施設でございますが、そこにコーディネーターを配置するなどいたしまして、再就職支援の強化を行ったところでございます。

 今後とも、これらにより、取り組んでまいりたいというふうに考えております。

椎木委員 大変丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 次に、テレワークの推進について、特区法では、国、自治体による民間事業者、労働者向けの援助規定を設けておりますが、まずは国家公務員が率先してテレワークを実践することが重要であると考えます。国家公務員のテレワーク推進に関する取り組み状況並びに今後の対応について、山本大臣にお尋ねいたします。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 テレワークは、育児、介護などを担う職員を含めた全ての職員のワーク・ライフ・バランスの推進の観点から有効な働き方でございまして、国家公務員についても進めていく必要があると考えております。

 このため、例えば全府省においてテレワークを実施する際の申請などに関する省内ルールを整備しておりますし、また大臣から職員に対してテレワークの実施を促すメッセージを発信したり、管理職が率先してテレワークを実施したりするなど、各府省において意識改革にも取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、現状、国家公務員のテレワークの実施率は平成二十七年度の実績で職員全体の三%にとどまっておりまして、引き続き、普及拡大を図っていく必要があるものと認識しております。

 また、テレワークを必要とする職員が不自由なくテレワークを実施するためにはそのための環境整備が必要となりますが、昨年十一月に内閣人事局などで取りまとめた実態調査によりますと、テレワークで使用できるパソコンの台数に制約があるなど、希望者が自由にテレワークをできる環境にないという省庁もあるのが現状でございます。

 国家公務員のテレワークにつきましては、平成二十六年に各府省事務次官級で構成する女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会で定めました国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針や、先月末に働き方改革実現会議において決定されました働き方改革実行計画におきまして、二〇二〇年度までに必要な者が必要なときにテレワークを本格的に活用できるようにするための計画的な環境整備を行うことが定められているところでございます。

 内閣人事局としましては、引き続き、これらの指針、計画などを踏まえ、環境整備がおくれている各府省に対し、さらなる取り組みを加速させるよう、必要な後押しを行うなども含めて行って、国家公務員のテレワークを積極的に推進してまいりたいと考えております。

椎木委員 最後の質問になります。

 国家戦略特区の指定に関しては、これまでに二次にわたって改正が行われてきました。今回の改正については、民間や自治体からの規制改革に関する要望を調査した結果、九項目の改正となっておりますが、いわゆる岩盤規制の改革については道半ばであると感じております。引き続き、地域からの声を聞きながら、しっかりと対応していくことが必要であると思います。このことを強く要望させていただきたいと思います。

 最後に、山本大臣の決意をお伺いいたします。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 国家戦略特区につきましては、今年度末までを集中改革強化期間として、重点六分野を初めとする岩盤規制改革に取り組んでいるところであります。

 重点六分野と申しますのは、幅広い分野における外国人材の受け入れ促進、それから、公共施設等運営権方式の活用等によるインバウンドの推進、幅広い分野におけるシェアリングエコノミーの推進、幅広い分野における事業主体間のイコールフッティングの実現、特にグローバル・新規企業等における多様な働き方の推進、それから、地方創生に寄与する第一次産業や観光分野等の改革ということでありますが、規制改革に終わりはなく、引き続き、特区ごとに設置する区域会議や全国の地方公共団体、民間からの提案等の現場の知恵を生かしながら、国がみずから主導することにより、大胆な規制改革事項の追加をさらに加速してまいりたいと思っております。

 このため、今後、熱意のある全国の自治体や事業者から大胆な規制改革事項の募集を開始するとともに、特区諮問会議等での議論を踏まえて、年内をめどに特区の追加指定も実現してまいりたいと思っております。

椎木委員 最後に山本大臣から期待どおりの力強い決意が聞けて、質問が終われることになります。

 他の委員会でも私は申し上げているんですけれども、私は質問通告を前日の午後の早い時間にさせていただいております、要旨だけではなく、できるだけ原稿に近いもので。それが他の委員会でも大変肯定されているんですけれども、大変いい答弁がやはりいただけているんですね。

 これをぜひ国会改革として、私も党の中で訴えていきたいと思いますので、引き続き、大臣初め政府参考人の皆さんには、しっかりとした御答弁をいただけますよう改めてお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民進党の武正公一です。

 国家戦略特区法改正案について質疑を行います。

 質問に入る前に、過日、この法案の趣旨説明の際に、山本大臣から滋賀県の地方創生セミナーでの発言について謝罪、撤回があったわけなので、どうしてもこれはちょっと先にお聞きをしなければならないなと思っております。ちょっと質問通告にはなかったんですが、過日、この場で謝罪、撤回をされましたので、御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、やはり、四月十六日は滋賀県地方創生セミナーという場で行われましたので、この後の質疑にもかなり関係してくるのではないかと私は考えております。

 そこで、やはり大臣の真意をお聞きしたい。特に、学芸員はガンである、一掃しなければならないの趣旨について、これが地方創生セミナーで語られたということは、やはり国家戦略特区について、あるいは地方創生について、大臣の御見識に、学芸員が地方創生なりあるいは国家戦略特区における規制改革において、何か阻害要因があるという御認識があったからこういう発言になったのではないかというふうに類推するんですが、御見解を伺いたいと思います。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 私の真意としては、文化財は、保護することだけではなくて、観光立国の観点からも文化財を地域資源として活用していくことが重要であり、これは、地方を回っておりましてもいろいろな文化資源があるわけでありまして、これを活用して地方創生を図るということが大変重要だと思っておりまして、そういう意味で、学芸員の方々にもより一層観光マインドを持っていただきたい、そういう思いから発言させていただきました。

 また、文化財を観光資源として活用していくことは、入場料等の収入増にもつながって、貴重な文化財の保護にも資するのではないかと考えているものであります。

 ただ、この場で学芸員の方々に対して批判をいたしまして、これは大変、私のこの真意が伝わらない不適切なものであったと深く反省しております。

 ついては、十八日の本会議及び十九日の本委員会においても発言の撤回とおわびを申し上げたところでありまして、改めておわびを申し上げたいと思います。

武正委員 本委員会の委員である高木委員、文科大臣経験者でございまして、ちょっときのうもこの話を高木先生と私はさせていただきまして、やはり学芸員の方、博物館、美術館、あるいは大臣御担当の公文書管理法、公文書館などで、歴史的文書などの修復、あるいは芸術品などの修復に根気よく当たっておられる。それはなかなか地道で、我々の目にはなかなか触れることはなくて、時々報道などで、あるいは特集番組で触れる程度なんですが、ああいった大変地道な作業をしていただいているからこそ、それが今大臣が目指された観光資源にもつながるわけなので。

 その基本的なところが、その御努力を十分御認識いただいていなくて、観光面にスポットを当てる、あるいは地方創生にのみスポットを当てる、あるいは国家戦略特区における規制改革にのみスポットを当てたゆえに、あのような御見解になったのではないかというふうに思うんです。

 公文書管理法の所管大臣でもある、担当大臣である大臣として、学芸員について、今の御答弁では、観光面に、観光振興に文化財等を充てたいから、その真意が伝わらなかった、申しわけない、謝罪、撤回と言われたんですが、学芸員はいかなる重要性があるのかということについて、御認識はいかがでしょうか。

山本(幸)国務大臣 委員御指摘のとおり、学芸員は、博物館法に基づいて、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究や関連する事業についての専門的事項をつかさどる専門的な職員とされておりまして、大変重要な任務を担っているものと思っております。

 また一方で、博物館は、資料を収集、保管、展示し、来館者の学習やレクリエーション等に資するために必要な事業を行う施設とされておりまして、観光客を含む来館者のニーズに応える施設づくりという視点からも学芸員の職務に取り組んでいただいていると認識しております。

 そういう意味で、大変そういう認識のところの一部に欠けていたということは御指摘のとおりでありまして、大変申しわけなく、陳謝を申し上げる次第であります。

武正委員 きょう質問通告もしております加計学園、前回も取り上げましたが、大臣、この間の答弁では、私が決めた、私が決めたと、何度も、自分が全て責任があるんだというような発言をされておりますが、これはまた本委員会でも引き続き取り上げていくことになろうかと思いますが、何か山本大臣の肩にちょっと力が入り過ぎているんじゃないかなというふうに思わざるを得ないんですね。

 何か国家戦略特区でも成果を上げなければならないというところが、加計学園、今治市での獣医学部、唯一というような形になっていった背景にもあったり、また、公文書管理法の所管大臣でありながら、学芸員はガンであるといった発言をしてしまう。そこはちょっと、木を見て森を見ずというような感を否めないわけでありまして、改めてこの点については猛省を促したいというふうに思っております。

 そこで、質疑、法案について移りたいと思いますけれども、まず、資料一ページにございます今回の改正案の概要、一ページ右上にございますが、焼酎特区、左上ですかね、の創設、構造改革特区法案の改正も今回ありますので、というふうに位置づけられているんですが、これは既に、平成十五年にどぶろく特区が構造改革特区で行われ、そのときには、百八十場、百七十社がこのどぶろく特区、まあワインなども含めて、どぶろく特区については九十五ということであります。

 それはどこの部分を改正したか、特区で認めたかというと、この三ページにあります酒税法第七条の「酒類の見込数量が当該酒類につき次に定める数量に達しない場合には、受けることができない。」としたところを、どぶろくについては「十三 その他の醸造酒 六キロリットル」を下回っても大丈夫ですよというふうにした例が既にあり、今言ったように、百八十場、百七十社、あるいはどぶろくについては九十五というようなことで、今もう進んでおります。

 今回また、焼酎だということで、二ページを見ますと、単式蒸留焼酎製造免許保持者の原料用アルコールに係る最低製造数量基準の適用除外、ここは、三ページを見れば、単式蒸留焼酎は十キロリットル以上じゃなきゃだめだよというものを、六キロリットルというものをさらに下回ってもいいというものでありまして、もう一本、二番目のものは、地域の特産物を原料としては、提案内容が書かれておりますが、これは十キロリットルを下回ってもいいですよと。特に、一番目については、青ケ島村などでは、十リットルというような提案でこれが出ているということなんです。

 こうやって見ていきますと、きょう、財務省からも財務副大臣がお見えでございますが、また今回も、どぶろく特区に続いて焼酎特区をやりますよという話なんですが、酒類の製造免許の数量規制をもう撤廃してしまえば、一々こういうふうな形でやっていかなくても、特に地域振興の観点から、特に地場の中小企業がこういったものをやりたいと言っているわけですから、この数量規制を酒税法について見直せば、見直すかあるいは撤廃するか、この方が早いんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。御所見を伺いたいと思います。

木原副大臣 武正委員からは、最低製造数量要件と製造免許との関連性の御質問をいただきました。

 現行の酒税法、こちらでは、酒税の適正かつ確実な課税を確保する観点から、酒類の製造免許に最低製造数量要件というものを設けまして、一般に採算のとれる程度の規模の酒類メーカーに限って酒類の製造を認めることとしているところでございます。これが原則であります。

 一方、特区制度のもとでは、地域の特性に応じた活性化を支援する観点から、地方公共団体が作成する特区計画というものを踏まえまして、一定の酒類の製造免許について最低製造数量要件を緩和し、小規模な製造を可能にしておりますけれども、別途、みずから生産した酒や果実を原料に使用すること等の要件を設けることで、採算性も考慮しておるところでございます。

 なお、単に最低製造数量要件の緩和を全国に展開するということ、これは委員の問題意識はよく理解はできますけれども、それを単に緩和してしまうということは、逆に、地方の特性に応じた活性化を図るとの目的が損なわれるのではないかということ。また、採算性に不安のある製造者の増加を招いて、酒税の納税に支障を来すことが懸念される。つまり、酒税というのは間接税ですから、間の業者が不安定になってくると納税に支障を来す可能性があるということ。

 こういったところから、酒税の確実な課税を確保するための免許制度に大きな支障を生じかねないという懸念があるというところでございます。

武正委員 それぞれ先生方の地元でも、地ビールをつくっておられるところは多いと思うんですね。既に地ビールは、百八十の業者が地ビールをつくっておられます。

 三ページを見ていただけると、ビールは六十キロリットル以上つくらなきゃいけないということで、今の御提案の単式蒸留焼酎、焼酎の十キロリットル、原料用アルコール、これは一番の方ですから六キロリットルですよね、あるいは、さっきの、どぶろくの六キロリットルよりも非常に多いわけです。

 単純に三百五十ccの缶ビールでいいますと、六十キロリットルというのは十八万本。これを全部売るのか、あるいはつくったものを、おけ売りじゃないですけれども、どこかに売ることも可能なんだということですが、全部売ろうとすれば十八万本、これは大変な数です。それでも、百八十の事業者が、中小企業が頑張っています。

 今副大臣が言われました納税の話、ではお聞きをいたしますが、酒税の納税額は幾らで、滞納額はそのうち幾らか、お答えいただけますでしょうか。

木原副大臣 税収でございますけれども、約一・三兆円で、滞納税額は約二億円弱と承知しております。

武正委員 極めて滞納額は少ないわけであります。

 しかも、その二億円のうち、ビールの滞納額は百万円ですよ。一億円強は、今回緩和をする蒸留焼酎が一番滞納額が多いんですが、それでも一・三兆のうち二億円と、極めて国税あるいは税当局ががっちり捕捉をして酒税を納めていただいているし、そして、百八十の地ビール、あるいは九十五のどぶろく、あるいは百七十社のどぶろく特区、ワインなども含めた中小企業、地場で本当に堅実に頑張っておられますよ。

 ですから、何もこういう特区特区でやる必要はないんじゃないか。酒税法の改正、最低数量の見直し、ここをやれば一発で、もっといろいろな地域で、お酒をつくろう、いろいろな動きが出てくると思うんです。

 改めて、その点、今の納税額も含めて、先ほどの理由とされたところは理由になっていないんじゃないかと思いますが、再度御答弁をお願いいたします。

木原副大臣 先ほども申し上げましたけれども、いわゆる酒税というのは間接税でありますから、いわば預かり金的な性格の税であると思いまして、これは滞納の発生自体が適当でないというふうに考えております。

 現在、その多くの酒類の製造業者は、今委員おっしゃったように、中小事業者でありますけれども、この最低製造数量要件を満たして製造免許を取得した者であることを踏まえると、採算性を考慮した最低製造する要件というものは、酒税の滞納発生の防止に一定の効果があるものというふうにも考えております。

 いずれにしましても、この最低製造する要件、これを全国的に緩和するということは、採算性に不安のある小規模な製造者の増加を招いてしまって、また、酒税の納税に支障を来すということの懸念がされるために、適当でないというふうに考えております。

武正委員 政府は、平成十一年三月三十日、規制緩和推進三カ年計画でこう閣議決定しております。酒類の製造免許。

  需要が低迷し、中小企業が多く需給調整が行われている酒類について、需給状況の好転が認められる場合には、速やかに当該品目についての需給調整規制を廃止の方向で見直す。また、それまでの間に、中小企業者の合理化を進め、需給調整なくして酒税の保全が図られるような業界の構造の構築を目指す。

  上記以外の酒類について、今後、新たに需給調整を行うことは厳に慎む。

と政府は閣議決定しているんですね。

 もうそれから十八年経過をしております。この間に、今言ったような好転が見られたり、あるいは地ビールだったりどぶろくだったり、地域でのそういう御当地の酒類についてのブームがあったり、そして中小企業の努力があって、そしてきちっと納税もされている。到底、今の副大臣の答弁では、私は容認できませんし、今回、あえてこうやって特区ということで設ける意味がどこにあるのかなということを申し上げたいと思います。

 それでは、次に移りたいと思いますので、どうぞ財務副大臣、お引き取りください。

 続きまして、農業外国人の就労解禁についてということで、今回の資料の一ページにありますが、「外国専門人材の受入れなど、インバウンド・競争力向上」「農業外国人の就労解禁 適切な管理の下、技能等を有する農業分野の専門外国人材の就労を可能とする。 入管法の特例」ということで、きょうは、盛山法務副大臣も、そして堀内厚生労働大臣政務官もお見えをいただいておりますので、御質問をさせていただきたいと思います。

 既に、この国家戦略特区のワーキンググループなども含めて、三省庁は内閣府に対して、例えば、九月六日、九月十三日、農業の担い手となる外国人材の就労解禁の検討状況について回答をされております。その回答の中では、「本件検討に関しては慎重に進めるべきものと考えている。」と。九月十三日も、「本件検討は、外国人材受入れの在り方に係る政府全体の検討と密接に関連するものであることから、慎重に進めるべきものであり、現時点において、本件の対応方針や今後のスケジュール等をお示しできる段階にはない。」こう答えておられます。

 十二月になりまして、諮問会議では、それぞれ両省代表で検討していきますよという答えはありましたが、やはりそうした慎重であるべきというようなことで進んでおられたものが、今回受け入れということになっておりますが、これについて、それぞれ、なぜ今回、慎重な検討が受け入れることになったのか、御所見を伺いたいと思います。

盛山副大臣 武正委員の御指摘でございますけれども、国家戦略特区制度における特例措置に基づき受け入れる外国人につきましては、現在我が国が積極的に受け入れることとしております専門的、技術的分野の外国人とは必ずしも言えないということでございました。

 しかしながら、その後検討を進めました結果、今回の結論に至ったということでございます。

堀内大臣政務官 武正議員にお答え申し上げます。

 農業支援外国人受け入れ事業では、管理体制の核として、自治体や国の行政機関が参画する適正受け入れ管理協議会を設置し、その協議会が特定機関等に対して巡回指導等を行うとともに、外国人向けの苦情、相談窓口を設置するなど、本事業の適正な運営のための仕組みを構築する方向で各関係府省が連携して今調整を進めておりますし、しっかりとしたそういった体制ができつつあると思っております。

 また、農業支援外国人受け入れ事業により受け入れる外国人人材は、特定機関との雇用契約を結ぶ際、日本人と同等以上の報酬を支払うことを要件とするなど、日本人の労働条件についても影響が生じないように十分配慮しつつ、受け入れる外国人人材の労働条件の確保が適切に図られる必要があると認識しつつやっております。

武正委員 資料の方、五ページが、今回農水省が示した、受け入れについて関係自治体と協議会をつくりますと。特定機関、これは労働者派遣法ですから、派遣事業者について報告を求めたり監査をしますよ、それから、派遣先の受け入れ農業経営体、これについては契約を結び、現地調査も協議会は行いますよ、こういうスキームでやるから大丈夫だということを農水省、ちょっときょうは呼んだつもりなんですが来ていないようなので、今、呼んでいないですかね。

 これをもとにそれぞれお聞きをいたしますけれども、農水省はこういうことで大丈夫だということで両省は受け入れる、検討も、今この受け入れ期間も三年か五年かもまだ決まっていないということで、さらに協議をしていくということらしいんですが、次の六ページを見ていただきますと、これは法務省さんの平成二十八年版の出入国管理、法務省入国管理局の資料でございます。不法就労者の就労内容別の稼働場所構成ということで、九千人の不法就労者のうち、農業従事者が一番多い二千二百十五人ということです。特に、関東近県の茨城あるいは千葉、こういったところが多いんですけれども。

 既に家事労働については受け入れが行われておりますが、前回、国家戦略特区法案について、当時民主党は反対をいたしました。その一つの理由について、家事労働で外国人の受け入れが無制限になってしまうのではないか、しかも高度人材ではないんじゃないか、こういったところがその理由の一つになっていたというふうに私は記憶をしておりますが、先ほど法務副大臣は、高度人材ではない農業関係の受け入れについて、今受け入れる方向で検討し、協議をしているということなんですが、まず、厚生労働省でよろしいでしょうか。家事労働の受け入れの実態は今どうなっているか、厚労省はお答えできますか。

 では大臣、お願いします。

山本(幸)国務大臣 まず、家事支援外国人材につきましては、制度検討段階におきまして受け入れ見込み人数は算出していないんですが、外国人材を受け入れようとしている企業からの要件適合性の確認を求める申請書類によりますと、当面約百五十名の受け入れが予定されていると承知しております。このうち、本日時点で三十三名が入国していると聞いております。

武正委員 平成二十九年三月九日で、神奈川で、パソナさん二十五名それからダスキン四名で二十九名。それから、大阪で四名ということで伺っております。人数が若干ずれておりますが、三十名を超える受け入れが行われているということなんです。

 ただ、家事労働も我々は懸念をしておりましたが、不法就労者の農業従事者が最多の状況を見ると、家事労働も、非常に高度人材ではない形での受け入れ、特区に限っても、それが全国に普遍したときの影響ということはもうちょっと慎重に対応してはどうかというのが、我々、そのときの法案に臨んだ態度だったと思います。

 今度、それを超える農業の従事者の、今の不法就労の状態を見ると、日本社会、特に地域社会に与える影響というのが極めて大きいのではないかなというふうに思うんですね。

 確かに、五つの自治体から提案があったことはよく承知をしております。提案、手挙げ方式で、今回、国家戦略特区でこういう法案が出てきていることも承知をしております。

 ただ、外国人の受け入れについては、まだ国論を二分している点もあり、また、国会での議論もまだまだ道半ばという中で踏み切った今の政府の取り組み。

 家事は、先ほどの状態では三十名ちょっと受け入れているけれども、農業についてはどうなんだろうということについては、入管を所管する法務省としてはどういう検討をされ、今回この法案提出に至ったのか、この点について御所見を伺いたいと思います。

盛山副大臣 先ほど、こういった農業の関係の方は、専門的、技術的分野の外国人、我々が受け入れを推進してきたそういう方ではないということを御答弁申し上げたところでございます。

 他方で、特区制度に基づく外国人の受け入れは、それぞれの事業の目的に即して、そして手を挙げられて、あるいは指定された区域において限定的に、また、ある意味試行的に、そして、先ほど堀内厚生労働大臣政務官からも御説明がありましたが、その受け入れによって問題が生じないよう特別な管理体制を講じた上で、一定の専門性を有する外国人の受け入れを可能とするものというふうに考えているものでございますので、今委員が御指摘になりましたところについては御懸念に及ばないのかなと思っております。

 いずれにせよ、具体的な受け入れの内容につきましては、現在、関係府省間で検討中でありまして、国と自治体が合同で適正受け入れ管理協議会を設置し、国、自治体がみずから受け入れ企業を直接管理するといったようなことを考えているところでございます。

武正委員 法務副大臣から、御懸念に及ばないというようなことなんですが、私は、外国人の受け入れを決して拒否するものではなくて、例えば難民受け入れなんか、地方自治体などで受け入れてもらったらどうだろうというようなことも党内で議論をしている一人であります。

 ただ、家事受け入れが今始まって、三十数名と。しかし、これだけ今農業の不法就労が第一位であるといったことからいうと、もうちょっとこの議論を国会内、政府内、先ほどの報告にあったように、九月の時点では慎重な検討をそれぞれ三省庁は求めていたわけですから、本当に半年で、懸念に及ばないと変わってしまったとは到底思えないんですね。ですから、この点は、今回の法律の提出は拙速に過ぎないかということを申し上げたいと思います。

 それで、最後の時間でありますが、資料九ページをごらんいただきたいと思います。

 一年前の創生特委で石破大臣に私から聞いたんですが、これは求職票です。求職票の一番上に、二二三一一の右側に提供先区分というのがあって、一から四、大変ちっちゃい字で、一番、自治体と人材ビジネス両方に可、二番、自治体に可、三番、人材ビジネス可、四番、どっちもだめだよというのが出ているんですが、これがこの一年間どういう状況だったのか、その数字、実態を厚労政務官に伺って、それと、やはり余りにも字がちっちゃくて見づらいわけです。これは当時、石破大臣も厚労省に見直しを求めたいと言っておりましたが、見直しが進んでおられるのか、あるいはこれからの方向性について伺って、終わりたいと思います。

堀内大臣政務官 武正委員にお答えいたします。

 まず一つ目の、この一年間の進捗状況についてでございますけれども、ハローワークの求職情報については、平成二十八年三月二十二日よりオンラインでの情報提供を開始し、平成二十九年四月十七日現在で、利用者数は四百十七団体、そのうち地方自治体等が九十九団体、そして民間職業紹介事業等が三百十八団体となっております。

 また、利用希望求職者数は、平成二十九年三月までの累計で延べ六万九千五百一人となっており、その提供先の内訳は、自治体、民間人材ビジネスともに可が延べ六万百七人、自治体のみ可が延べ五千百二十九人、民間人材ビジネスのみ可が延べ四千二百六十五人となっております。

 引き続き、ハローワークにおいて求職情報の提供の趣旨を丁寧に説明して、求職者が適切な選択ができるように努めてまいりたいと思っております。

 一方、この字の細かい票についてでございますけれども、御指摘の点については、平成三十一年度に予定しているハローワークシステム全体の更新にあわせて改善できるように検討してまいりたいと思っております。

 現在は、実は、求職申し込みをスキャンして読み込むシステムとして運用しておりますために、様式を変更する場合にはシステムの変更全体も必要となってくることから、直ちに見直すことは困難であることをぜひ御理解いただきたいと存じております。

武正委員 時間が来ましたので終わりたいと思いますが、ぜひ現場のハローワークで、今の点、このとてもちっちゃい字は見えませんので、説明をしっかりと行って、今のお話ですと、実際にこの求職情報、何県の何さんがどういう企業に勤めたいかというその情報が、まだ一%しか活用されていない、書いている人が一%というようなことが実態ですから、やはり現場での説明を丁寧に行っていただくことを求めまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 大臣は、二十分ぐらいから参議院で呼ばれているようでありますので、どうぞ行っていただいて結構でございます。

 最初に、国家戦略特区の今回の新たな規制改革もさることながら、国家戦略特区の評価について、ちょっと議論させていただきたいと思っております。

 国家戦略特区において実施されるそれぞれのプロジェクトにつきましては、当然ながら、成果目標をきちっと設定し、PDCAサイクルによる進捗管理を適切に行うというふうにされているわけであります。これは、地方創生、まち・ひと・しごと総合戦略なんかも同じ考え方でありますけれども。

 平成二十七年度の評価が既に昨年四月、発表されておりまして、ことしもまた、これは定期的に発表されるんだろうと思いますが、昨年の初回レビュー、第一回のレビューではどのような評価になっていたか。

 平成二十五年に、年末だったと思います、この特区法ができて、そして二十六年四月から、六地域、まずは指定をして、この特区の取り組みが始まったわけであります。その結果、二十七年度事業の評価ということが昨年の四月公表された、こういう経緯だろうと思っておりまして、これはこれで、初回レビューは非常に大事だなと思っておりますが、どのような評価になっているのか。

 個別の事業をそれぞれやっていたらえらい時間がかかりますので、総括的にまずは御説明いただきたい。これは内閣府の佐々木事務局長で結構でございます。どうぞよろしくお願いします。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がありましたように、この特区制度ができまして初めてとなる評価が平成二十七年の評価ということでございまして、一次指定されました六区域を対象といたしまして、個別認定事業の進捗状況でございますとか、規制改革事項の活用及び見込みの状況でございますとか、追加規制改革事項の提案状況、こういったものにつきまして、昨年四月十三日に開催いたしました特区諮問会議で総理に報告し、公表させていただきました。

 この際、有識者委員の方々からは、二十七年度までに認定された百十三の事業につきまして、総括的でございますけれども、具体的事業が目に見える形で実現しつつある、あるいは各事業がスピーディーに進捗していると総じて評価できるとの御意見をいただいたところでございます。

 しかしながら、他方で、各特区において本来活用されるべきメニューが未活用のままとなっている状況も散見されるという意見もいただいているところでございまして、こうした課題のある事業につきましては、PDCAサイクルに基づく進捗管理のもとで改善に努めてきたところでございます。

桝屋委員 私も昨年の特区諮問会議の状況等を見させていただきました。

 おおむね順調に進んでいるというような総合的な評価であったかなと思うんですが、今御報告があったように、しかし、なかなか簡単でないという状況も同時に報告されておりまして、当時の石破大臣も、幾多の成果が確かに得られた、国民の皆様方の利便性の向上、あるいは産業の競争力あるいは生産性の向上に寄与したと思うけれども、使われていない規制改革メニューもある、特区の活用がさらに広がっていくためにはどうしたらいいかという率直な思いをお述べになっておられます。

 いろいろな問題があるんだろうと思うんですが、使われていないメニューの代表的なものをお示しいただき、これを、岩盤規制を突破するのはどうしたらいいかというその辺の課題も、この二十七年の初回レビューから見えてきたことがもしあれば、ここでお示しをいただきたいと思います。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がありましたように、総じて評価は高かったわけでございますけれども、一部の事業につきましては、必ずしも成果が上がっていないという御指摘をいただいたところでございます。

 それを受けまして、一例でございますけれども、例えば外国人の家事支援人材の活用、先ほどもちょっと話が出ておりましたけれども、これにつきましては、昨年の評価時点では、平成二十七年十二月に神奈川県がその認定を受けたんですけれども、具体の事業者も確定していなかった、こういう状況でございましたところが、現在におきましては、神奈川県の六事業者に加えまして、平成二十八年度に新たに認定を受けた東京都で六事業者、大阪府大阪市で三事業者が認定を受けておりまして、本日時点で三十三名が入国し、受け入れ企業からの申請書類によれば、当面は約百五十名の受け入れが予定されていると承知しているところでございます。

 また、NPO法人の設立手続の迅速化につきましては、平成二十七年度におきましては、既に認定を受けていた六自治体でございましたけれども、これに加えまして、平成二十八年度にはさらに五自治体が新たに認定を受けまして、現在、最も多くの自治体で活用されたメニューとなっておりまして、特例を活用したNPO法人の件数も、二十七年度の二百二件が二十八年度で三百六十八件というふうに、大幅にふえているところでございます。

 一方で、なかなか進んでいない事例といたしましては保険外併用療養の拡充がございまして、これについて見ますと、一定の成果は上げられているものの、国内未承認薬に係る事業につきましては実現していないというところでございまして、引き続き課題を有しているところでございます。

 これらの課題の残る事業につきましては、今後、特区のワーキンググループ等におきまして、事業実施上の課題解決策、どういう原因でこれが進んでいないのか、それを進めるためにはどうしたらいいか、こういった解決策について検討して、事業が速やかに進むように取り組んでいきたいと考えております。

桝屋委員 この二十七年度の初回レビューについて、いろいろ今お話もございました。百十三事業の中でまだ使われていないメニューも結構あると。先ほどお話がありました国内の未承認薬による保険外併用とか、あるいはNPOの設立承認の迅速化、これなんかは二十七年のときは余り使われていなかったんですが、今、二百二件から三百件になっている、こういう話もありましたが、なかなかに簡単なことでないと。

 それぞれ特区は、例えば東京圏にしても関西圏にしても、特区の大きな特徴があって、ここは多分、例えば保険外併用の話も、この地域では使われるだろうと期待をして、諮問会議等でも期待をし、特区指定をしてやってきたんだけれども、なかなか進まないという。全ての事業でと私は申し上げませんが、狙ったことが進まないということは、ここはかなり検討を要するのではないかと指摘をしたいと思います。

 民間のシンクタンク等からも、この第一回目の初回レビューに対してなかなか厳しい声も寄せられております。特に、二〇一五年度末まで集中取り組み期間、いわゆるロケットスタートをするんだ、こういうのが世間に注目をされたわけです。安倍総理の声がかりで、まさに三本の矢の一つとしてこれはロケットスタートするんだ、こう言われていたんだけれども、各特区の実情を見ると、当初期待されたロケットスタートという状況には遠く及ばないという、厳しく批判する声もあるわけであります。

 ここは大臣に、どうだと聞きたかったのでありますが、今いらっしゃいませんので、事務局長、こういう批判に対してどう応えるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区の取り組みに関しまして、規制改革メニューは順調に拡大しているわけでございますけれども、今お話のありましたように、未着手の事業があり、十分な事業の成果が上がっていないというさまざまな御意見があるということは承知しております。

 昨年の評価で未着手のものが多かったというのは、一つには、区域計画に事業を位置づけたばかりということもありまして、各自治体がこの事業をやりたいということで事業計画に盛り込んだということは、非常に意欲は高かったというふうに思いますけれども、その反映が一つあったのと、それに対して、今おっしゃいましたように、前向きの姿勢の割にはなかなか実は難しいところがわかったということもあろうかと思います。

 実際には、東京都の都市再生プロジェクトでございますとか、養父市の件でございますとか、地域限定保育士の件でございますとか、かなり成果も見られているところでございますけれども、特区の取り組みにつきましては、スピーディーに規制改革を実施して、これを活用した事業について、速やかに目に見える形で成果を上げられるようにするということが極めて重要だというふうに思っております。

 順調な取り組みのさらなる加速化を図る一方で、課題を有する取り組みに対しましては、その解決に向けて粘り強く取り組んでいくことが必要だと思っております。公共団体はそれぞれ非常に前向きに取り組もうと思っておりますので、ぜひそういった力を生かしていきたいというふうに思っております。

桝屋委員 この特区は、ある意味、二〇一八年までの限られた期間に特別の取り組みをしよう、残された規制、岩盤を突き破っていくんだ、こういうことからいたしますと、ぜひ頑張っていただきたい、我々も努力をしなきゃならぬ、こう思っている次第であります。

 その上で、これから、評価については、特区法に定められておりますように、定期的にレビューをするということになっておりますから、そうした今後のレビューの内容についても注目をしてまいりたい、こう思っている次第であります。

 もう一点だけ、時間が余りないのでありますが、先ほどから話が出ております農業外国人の就労解禁について、いま一度。

 さっき聞いておりまして非常に中途半端な感じがいたしまして、これは我が党でも随分、法案を審査する段階で議論があったところであります。

 つい三月ですか、政府が発表しました働き方改革の中にも外国人の活用という項目が一つありまして、その中にも、やはり外国人の活用については、政府の見解としては、さっき話がありました専門的、技術的分野は積極的に受け入れる、しかし、そのように評価されない分野については、日本人の雇用の問題であるとか、産業に与える影響であるとか、慎重に検討するんだと。慎重というのは私の言い過ぎかもしれませんが、大きな課題とされているわけであります。

 そうした中で、今回の農業外国人の就労解禁、これは、今のまさに専門的、技術的分野という位置づけなのかどうなのか。もう少し、きょうは農水省に来ていただいておりますので、さっきはいらっしゃらなかったのでありますが、農水省から見解を伺いたいと思います。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 昨年六月に閣議決定されました日本再興戦略二〇一六におきましては、「経済・社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ、外国人材受入れの在り方について、総合的かつ具体的な検討を進める。」、また、「移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成の在り方などを含めた必要な事項の調査・検討を政府横断的に進めていく。」というふうにされているところでございます。

 御指摘のありましたように、今回の制度におきましては、専門的高度人材ということではございませんけれども……(桝屋委員「ではない」と呼ぶ)ではないのでございますが、特定活動ということでございます。

 それで、手当てされている制度につきましては、この閣議決定を踏まえた上で、経営規模の拡大ですとか、あるいは経営の多角化、高度化などといった強い農業を実現するために、国家戦略特別区域において限定的に、また在留期間も限りまして、一定水準以上の技能等を有する外国人材の受け入れを可能とする特例措置を講じるものだということでございます。

 そういう意味で、外国人労働者の受け入れに対する基本的な考え方を変更するものではないというふうに考えているところでございます。

桝屋委員 ですから、今回受け入れを解禁する外国人材については、強い農業を実現する、そのために即戦力となる人材を確保する、こういうことだろうと思います。

 これはもう一点、私は頭の整理のために確認したいんですが、現在ある技能実習制度では、こうした現場から上がってきている規制改革のニーズに対応できないという理解でいいんでしょうか。

 現在の技能実習制度、うがった見方をすれば、技能実習制度も非常に制度を改正して厳しくなったではないか、ではこっちでいこうという安易なことではないんだろうと私は思っておりますが、現在の技能実習制度ではできないファクターというのは何なのか、ちょっとお示しをいただきたいと思います。

山北政府参考人 お答えいたします。

 委員御承知のとおり、外国人の技能実習制度につきましては、あくまでも国際協力という観点から、母国では修得できない技能等を、一つの実施機関におきましてそういう研修計画に基づいて実施していただく、こういう制度でございます。

 今回の外国人の受け入れ事業につきましては、先ほど申し上げましたとおり、経営規模の拡大ですとか、あるいは経営の多角化、高度化などによります強い農業を実現するために、日本農業の現場で即戦力として活躍できる熟練作業者レベルの外国人を労働者として受け入れるものでございます。そうした上で、複数の農業者の、言ってみれば農繁期のようなものを調整しながら、複数の農業者に派遣していくといった、そういうような制度でございまして、本事業と技能実習制度はその目的が違うものだというふうに承知しているところでございます。

桝屋委員 では、最後にもう一点だけ確認ですが、今回、派遣のシステムを利用するということであります。

 当然ながら、労働者派遣法も内容が強化されたわけでありまして、当然ながら、派遣法の許可を受けて、特定機関が派遣の制度を使って派遣先に派遣をする。それぞれ私は要件があるだろうと思っておりまして、とりわけ雇用契約に基づいて外国人を受け入れる形、その辺の部分であるとか、あるいは特定機関の要件、それからもう一つは派遣先の農業経営体の要件、これが非常に大事になってくると思うんですが、現在検討されているそれぞれの要件について簡略に御説明いただきたいと思います。

山北政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案に基づきます制度内容のうち、特定機関の基準につきましては、もちろん今御指摘がございましたように、労働者派遣法に基づく派遣事業者としての許可を受けた者であること、また、入管法や労働関係法令を遵守していることといったことに加えまして、総理が定めます指針を確実に実行していく、そういった措置を講ずるといったような基準を定める方向で調整しているところでございます。

 また、派遣先農業経営体の要件につきましては、特区の指定区域内で農業経営を営む、農業経営を実際に行っている個人または法人でありまして、本事業を適切に遂行できる能力があるものとして、労働者を例えば雇用した経験がある、あるいは派遣先責任者講習を受講した派遣責任者を選任しているといった要件に加えまして、技能実習法の規定によりまして例えば実習認定を取り消されたというような過去、そういったようなことがないといった、欠格事由に該当しない者であることを内閣総理大臣が作成する指針において定める方向で、関係府省と調整しているところでございます。

 加えまして、本法律におきまして、先ほど言いました指針の中で、関係自治体や国の行政機関が参画する適正受け入れ管理協議会が本事業の管理体制の核として必要な措置を講ずること等を定める方向としております。

 本事業が適正に運営され、農業の競争力強化につながるよう、今後とも、関係府省と連携して詳細な制度設計を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

桝屋委員 さらに個別の話もしたいのでありますが、時間が参りましたのでやめますが。

 今の外国人の活用についても、恐らくこれは県単位で行われることになるのではないか。そうしますと、県内特定機関と、それから派遣先が県内の全ての地域が対象になるわけで、このやり方、あり方というのは非常に私は今後とも注視しなきゃいかぬな、こう思っているわけでありまして、我が党としても、そうした内容をしっかり注視してまいりたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、御礼を申し上げたいと思います。

 それでは、早速質問させていただきます。

 まず、このたび衆議院選挙区画定審議会が、選挙区定数を六県で一減し、一票の格差を二倍未満に抑える区割り改定案を十九日に安倍総理へ勧告したわけであります。その中身の中には、また、十九都道府県九十七選挙区の区割りを見直すということも載っているわけでありますが、いわゆる一票の格差というか、人口減だと思うんですね。人口がどんどん減って、格差がある。

 地方創生も、東京一極集中を是正する、いわゆる人口の偏在化とか。あるいは人口をふやしていって一億人を維持していく、これは国策で示されているわけです。二〇三〇年、国の目指す出生率は一・八、二〇四〇年は二・〇七という方向性が示されていますから、地方創生の考え方としても、やはり、そういった人口、国が示している出生率というんですか、それらを達成するということを目指すべきだし、それを踏まえてさまざまな、特区であったり地方自治体の前向きな取り組みに支援をしていく。でも、それはやはり、そういったものにつなげていくということが私は極めて重要なのではないか、このように思いますが、その辺の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

松本副大臣 今委員から御指摘をいただきましたように、出生率をいかに高めていくか、そして目標を達成していくかというのは、国における大変重要な課題であります。

 その中で、地方創生におきましても、地域の人口減少を克服し、将来にわたって成長力を確保することを目指しているところでありまして、そのためには、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえていくことが重要であると考えておりまして、その場合には、合計特殊出生率は一・八程度になるということであります。

 国といたしましては、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえることにつきまして、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版におきまして基本目標として掲げさせていただいているところでありまして、引き続き、少子化対策における地域アプローチの推進、若い世代の経済的安定、出産、子育て支援、地域の実情に応じた働き方改革の推進など、さまざまな施策を通じまして、国民の結婚、出産、子育ての希望を実現し、人口減少に歯どめをかけることができるよう取り組みを進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

菅家委員 出生率を上げるというのは、総合的な地域づくりといいますか、活性化も含めて、対策でありますから、そういったものを前向きに取り組んでいる、地方創生交付金等を生かして取り組んでいる自治体の中で、やはり成果として出生率が上がっているんだというようなのがあれば、どんどんこれは推進すべきだし、成果が上がっていないのであれば、やはり国と連携を図って具体的な戦略的な対応をしていただきたい、これは要望しておきたいと思います。

 さて、今回の一部改正法律案についてですが、まず、革新的医薬品の開発迅速化について若干お聞きしたいんです。

 国は、いわゆる厚生労働省は、創薬支援ネットワークの構築により、大学や産業界と連携しながら新薬創出に向けた研究開発を支援するとともに、創薬支援のための基盤強化を図っているわけであります。また、創薬ターゲットに係る研究、創薬の基盤となる技術開発、医療技術の実用化に係る研究を推進して、革新的医薬品及び希少疾患治療薬等の開発を支援するオール・ジャパンでの医薬品創出に現在取り組んでいるわけであります。これは大変、私は期待をするわけであります。

 それで、まさに、日本発の革新的医薬品の開発及び承認までのプロセスの迅速化、効率化、これは我が国の総力を挙げて取り組む課題でありますが、このたびの法律案に規定した上で国家戦略特区に限定して取り組むこととの整合性とその効果について、お示しをいただきたいと思います。

大島政府参考人 ただいま、創薬支援ネットワークと国家戦略特区の関係について御質問いただきました。

 創薬支援ネットワークの運用は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、長いのでAMEDというふうに呼んでおりますが、ここが実際に運用をしております。

 具体的には、臨床研究中核病院等におけます革新的新薬の創出を目指した実用化研究につきまして、知財戦略ですとか研究戦略の策定に関する技術支援、あるいは、企業、製薬企業等への導出支援を行っているところでございます。

 今般、大阪府及び大阪大学から、特区に関しまして、基礎研究から臨床試験の初期段階までのアカデミア主体による研究開発のスピードアップを図りたいとの御要望がございました。こうした要望を踏まえまして、今回、AMEDの中に、特区内の臨床研究中核病院等の担当コーディネーターを必要に応じて設置いたしまして、緊密な連携や適時の情報交換を行うなど、窓口強化をすることにしてまいりたいと考えます。

 それで、お尋ねの、特区外の拠点についてでございますが、これにつきましても、AMEDの体制等を踏まえつつ、必要に応じて同様の措置をとることにしてまいりたいと考えております。

菅家委員 創薬シーズ、いわゆる研究成果の実用化に向けては、AMEDによる研究開発支援だけではなくて、医薬品の承認申請に対する実際の審査及び調査を担うPMDAとの連携が不可欠である、このように考えますが、どのように取り組んでいかれるのかをお示しいただきたいと思います。

大島政府参考人 AMEDとPMDAの関係でございますが、革新的な医薬品の創出を効率的に進めるためには、薬事規制の方針を踏まえた研究開発戦略の構築が重要でございまして、委員御指摘のとおり、AMEDとPMDA、独立行政法人医薬品医療機器総合開発機構との連携は極めて重要と考えております。

 そのため、AMEDとPMDAは平成二十七年八月に、革新的な医薬品、医療機器の創出を加速化するということを目的に、連携協定を締結しております。

 具体的には、AMEDが採択した研究課題のうち実用化段階に移行するものは、原則としてPMDAのレギュラトリーサイエンス戦略相談を実施してもらう。それから、AMEDの研究課題の評価のときにはPMDAが協力する。その他、双方が保有する情報の共有等を、この協定に基づいて行っているところでございます。

 引き続き、こうした連携を進めることによりまして、相互協力を発展させてまいりたいと考えております。

菅家委員 私は、我が国は、国家戦略特区内の臨床研究中核病院、これは今十一病院ですか、認定されているわけでありますが、これらの病院を中心に、さらにそれを支援して、革新的医薬品の開発とか、iPS細胞研究などのいわゆる再生医療、これを生かして、国際先端医療特区国家という、国家自体がやはりそういう特区をもって目指すべきではないか、このように考えるわけであります。特に、希少疾患、難病治療に取り組み、難病治療は日本でならば治療可能という世界的評価を得る国を目指すべきではないか、このように思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。

越智副大臣 医療分野の研究開発に関しましては、平成二十七年四月にAMEDを設立いたしまして、関係省庁、三省庁でばらばらに支援していた国の研究を集約した上で、基礎から実用化まで切れ目のない研究支援を一体的に実施しているところでございます。

 御指摘の希少疾患、難病に関する研究開発につきましては、疾患領域対応型統合プロジェクトの一つに位置づけた上で、難病の病態解明や画期的な診断法、革新的な医薬品や希少疾患治療薬等の開発などに積極的に取り組んでいるところでございます。

 委員からも御指摘がございましたけれども、世界に先駆けて超高齢社会を迎える我が国にあっては、健康長寿社会の形成に向けて、世界最先端の医療技術、サービスを実現して、超高齢社会を乗り越えるモデルを世界に広げていくことが重要だというふうに考えているところでございます。

菅家委員 どうか前向きに取り組んでいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 次に移ります。

 国家戦略特区制度、この円滑な導入を図るために、国家戦略特区は段階的に指定することとし、当面、先行的に指定する数については特に絞り込んで指定を行うこととするとしているわけでありますので、特区の新規指定については、昨年一月の三次指定以降行われておりませんが、追加指定の時期及び今後の指定区域のあり方をどのように考えておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

松本副大臣 国家戦略特区の指定についてでありますけれども、国家戦略特区基本方針で定めるとおり、厳選することとしておりまして、これまで三次にわたりまして合計十の区域を指定してきたところであります。

 また、特区の指定につきましては、特区基本方針で定める事業の先進性、また地方公共団体の意欲、実行力などの六つの指定基準に基づいて行われております。

 本年三月六日の第二十九回特区諮問会議におきまして、有識者議員より、熱意ある首長の主導で大胆な規制改革提案を行う自治体を対象にいたしまして、四次指定を検討すべきという提案をいただいているところであります。

 また、総理からも、この春には熱意ある全国の自治体や事業者から大胆な規制改革事項を募り、今年中をめどといたしまして国家戦略特区の第四次指定を行いたいという発言があったところであります。

 これらを踏まえまして、今後、熱意ある全国の自治体や事業者から大胆な規制改革事項を募りまして、特区ワーキンググループや特区諮問会議で厳格に審査するなど必要な手続を経た上で、年内をめどといたしまして追加指定を実現してまいりたいものと考えております。

菅家委員 そこでお聞きしたいのは、次に、今御答弁がありましたように、まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、国家戦略特区と地方創生推進交付金等との連携として、国家戦略特区における規制改革を大胆に行う、志の高い、熱意ある公共団体が行う、まさに先進的で経済効果の高い事業については、地方創生推進交付金等も含めて総合的、重点的に支援すべきである、このように思うわけでありますが、お考えをお示しいただきたいと思います。

松本副大臣 国家戦略特区でありますけれども、大胆な規制改革によりまして、国の制度を変えてまで全国でオンリーワンの事業を実現しようとする、志の高い、熱意ある地方自治体等を対象とする制度でありまして、地方創生の強力な手段として位置づけられているものであります。

 国家戦略特区と地方創生推進交付金との連携についてということでありますけれども、昨年末に改定をいたしましたまち・ひと・しごと総合戦略におきまして、国家戦略特区における規制改革を大胆に行う、志の高い、熱意ある地方公共団体が行う、先駆的で経済効果の高い事業につきましては、地方創生推進交付金なども含めて総合的、重点的に支援し、地方創生のさらなる深化につなげると新たに記載をさせていただきました。

 政府といたしましては、国家戦略特区を活用して地方創生に取り組む地方公共団体に対しまして、地方創生推進交付金などによって総合的にしっかりとバックアップをしてまいりたい、支援をしてまいりたいと思っております。

菅家委員 バックアップをしてまいりたいという強い御答弁がありましたので、やはり財政的な支援、これは重要ですから、ぜひ強くお願いをしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、農業外国人就労解禁についてであります。

 本法律案では、農業支援活動の内容、受け入れる外国人の要件、特定機関の基準は、いずれも政令事項となっているんですね。ですから、外国人の受け入れは地域住民の生活環境等にも大きな影響を及ぼす可能性があり、また本事業を適切に遂行する上でも、国会における法律案の審査の段階において、あらかじめ政府の考え方を具体的かつ明確に示す必要があると思いますが、本事業の全体像をどのように描いておられるのかをお示しいただきたいと思います。

細田大臣政務官 御質問いただきまして、ありがとうございます。現時点での私どもの検討の方向性について御説明をしたいと思います。

 本法案に盛り込む農業支援外国人受け入れ事業でございますが、複数の自治体からの提案を踏まえて、適切な管理のもと、技能等を有する農業分野の専門外国人材の就労を可能とする制度として検討し、一定の要件を満たす外国人材を労働者派遣契約に基づき農業経営体に派遣する方式で導入することといたしております。

 御指摘の農業支援活動の内容については、法律で規定している農作業及び製造、加工の作業に加えて、農業に付随する作業として、貯蔵、運搬、販売、農業生産に必要な資材の製造も対象とする方向で検討しております。

 また、受け入れる外国人の要件については、満十八歳以上で、農業支援活動を適切に行うために必要な知識経験を有する者として定める方向で検討しております。

 特定機関の基準については、労働者派遣法に基づく派遣事業者としての許可を受けたものであることや、入管法や労働関係法令を遵守していること等を定めるといった方向で、現在、関係府省と所要の調整を行っているところでございます。

 また、政令のほかに、法律において、内閣総理大臣が作成することとされている指針というものがございますが、この指針の中で、関係自治体や国の行政機関が参画する適正受け入れ管理協議会が、本事業の管理体制の核として必要な措置を講ずること等を定める方向でございます。

 本事業が適正に運営され、今先生が御指摘になったようなさまざまな課題がないようにする方向で、かつ農業の競争力強化につながるよう、今後とも関係府省と連携して、詳細な制度設計を詰めてまいりたいというふうに考えております。

菅家委員 いろいろな課題、問題がありますので、それを円滑に進めるように、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 時間もちょっと限られてきたので、次に、焼酎特区の創設についてお聞きしたいと思うんです。

 本法律案による改正後の構造改革特別区域法第二十八条の二第三項により、本特例措置の適用を受けた原料用アルコールについては、自己の営業場またはホテル、旅館等における飲用とする場合等を除いて販売が禁止されておりますが、私は、企業努力によって地域活性化を支えるためにも、やはりこの禁止というのを見直したらどうか、このように思いますが、どうでしょうか。検討する余地があるのか、お考えをお示しいただきたいと思います。

大塚副大臣 平成二十九年度の税制改正において、地域の特色を生かした酒類の製造を後押ししていく観点から、構造改革特区の枠組みを活用して、焼酎の製造過程で生成される少量のはな垂れ、最初にちょこっと出てくる部分ですけれども、それについて、その製造免許を取得する際に、最低製造数量要件、年間六キロリットル、これを課さないということにしたところでございます。

 最低製造数量要件は、製造コストを回収して採算がとれる程度の規模のメーカーに限って酒類の製造を認めようという趣旨のものでございまして、これまで構造改革特区の枠組みを活用して最低製造数量要件を緩和した際にも、その趣旨を踏まえて、別途一定の要件を定めてきているという経緯になっております。

 今回のはな垂れについては、製造数量がかなり少量だと見込まれるため、たしか〇・〇一キロリットルとか、そういう非常に少量でございますので、特区外へ商品の販売をしようとするとそのときのコストを賄えないということでありましたり、特区内の飲食店等での提供に限定して、そもそも観光客を呼び込むという狙い、そういうことを通じて地域の活性化を図っていこう、こういう観点から、特区内の飲食店等において提供する場合の販売に限定することとしているところでございます。

 とりあえず、これから制度を実施していこうという段階でございますので、まずこの利用状況なんかを見ながら、将来のことについては検討していきたいというふうに考えております。

菅家委員 時間が来たので終わりますが、やはり最後の答弁で、経過を見て、最初はこういう少ないところから、どんどん売れていくという状況を見て、見直しの判断もぜひ検討していただきたいことを申し上げ、政務官には大変申しわけありません、答弁できなくて。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時二十四分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民進党、宮崎岳志でございます。

 本日、国家特別区域法の改革法について質問させていただくわけでありますが、まずその前に、地方創生に関連する話題といいますか、地方創生そのものということだと思いますが、山本幸三担当大臣の発言についてお伺いをしたいと思います。

 学芸員はガンである、一掃しなければいけないという発言があり、今委員会でも、先日、陳謝をいただいたところでございます。発言自体、がんに例えるということが不適当であるということのみならず、特定の職業について十把一からげにしてレッテルを張って批判するということも大変不適当であると思いますが、その後、さまざまな報道で、大臣の発言のみならず、そのときに大臣が例示等で挙げられた、例えば、国宝でも重要文化財でも火も水も使えないとか、ロンドンの大英博物館は観光のための改修に反対した学芸員をみんな首にして入れかえたとか、あるいは英語の表記が全くないとか、そのような発言に対して、事実誤認ではないかという指摘があるところであります。

 お手元の資料にも、東京新聞をつけさせていただきましたが、この中段のところですけれども、表も出ておりますが、これ以外にもさまざまな報道において、大臣の発言は事実誤認である、こういうことがございました。

 それに対して、大臣は、閣議後の記者会見、四月十八日火曜日において、記事の方が事実誤認である、しっかり事実を確認して報道していただきたい、こういう発言をされておりました。

 この見解は今もお変わりありませんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 あの先般の発言については、不適切なものがあったと大変反省しておりまして、当委員会でも撤回とおわびを申し上げたところでございます。これはもうそのままであります。

 事実誤認というところの、私の事実誤認と言いたかったのは、私が二条城に一度も行ったことがないというような記事が出ましたので、それは違いますよということであります。

 それから、水を使えないということについて、私自身が経験したことで、一昨年になりますけれども、私の書道教室が展示会を二条城の二の丸御殿台所でやりましたが、そのときに、先生がそこで書道のパフォーマンスをやりたいということだったんですけれども、水が使えないので一切できませんということで、できなかったことを思っておりまして、そのことについて御指摘を申し上げただけであります。

宮崎(岳)委員 本日、四月二十一日午前九時十七分の共同通信番外において、山本担当相が大英博物館発言で事実誤認を認めるという報道がありました。事実誤認を認められたんですか。

山本(幸)国務大臣 ロンドンの大英博物館の件につきましては、私の発言は、私の二十年来の友人のイギリス人の文化財観光に造詣が深い知人から伺った、これは党の調査会の勉強会に来ていただいたときにそういうふうに言っておられたので、それをそのまま言ってしまったわけでありますけれども、その後改めて同氏に確認いたしましたところ、私の、時系列的な意味で記憶違いがあったようであります。

 それは、大英博物館では、来館者の快適性を高めるための多言語対応や展示物解説の充実等の改革をずっと進めてきていた、その中で、入館者が各テーマごとの展示室の移動をより容易に行うための動線確保や、来館者が快適に過ごすための空間の確保という観点から建物を二〇〇〇年に改装したということでありまして、オリンピック後と私は申し上げましたけれども、これは間違っていたということであります。ただ、その後も、大英博物館では多くの若い人たちに来ていただくためにいろいろな工夫をして進化を続けているということでありました。

 それから、反対した学芸員を全部首にしたというところがあるんですけれども、この点についても改めて確認いたしましたところ、大英博物館では、三十年ほど前から、来館者の増加のために、学芸員は研究のほか来館者に説明するなど改革を進めてきたということでありますが、その際に一部の学芸員がその改革の方針に反対していた、しかしながら、自分たちの考えと同館の方針が異なるためにいづらくなって定年前に退職していったということのようであります。

 その結果、オリンピック終了後も含めて、同館の方針と異なる考えの学芸員が退職し、全体として同館の方針に従う学芸員に入れかわっていったということでありまして、私が単純に表現したことについては誤りもあったということで認めたところであります。

宮崎(岳)委員 まず、大臣が先ほど言われた記事について、大臣は、事実誤認だったと思っていますというふうにその記者会見で発言をされた。

 これは二条城に行ったことがないということを指して言ったのだと大臣はおっしゃられましたが、その会見の要旨を読み上げますと、その記事の方は事実誤認だったと思っています、京都府にも確認しましたけれども、これまでは、国宝、重要文化財に指定されていた例えば二の丸御殿では水も火も使えておりません、こう言っておりまして、確かに二条城に行ったことがないという部分も出てきますが、その後の話であります。

 これは素直に読めば、大臣が、火も水も使えていないということについて、国宝、重要文化財についてですね、その後のところでも、国宝、重要文化財については火も水も使えていないと。例えば、学芸員さんなどの判断で、国宝、重要文化財では一切だめだというようなことがこれまでずっとあったわけでして、こういう発言があります。

 しかし、各種の報道を見ますと、確かに、二条城において、国宝部分では水を使うなということはあったようでありますが、重要文化財部分では水を使うようなこともあり、例えばお花の、生け花の展示等も行われていた実例があるというふうに言われています。これは事実誤認ですか、そうではありませんか。

山本(幸)国務大臣 そこは、国宝と重要文化財を一緒にしてしまったところは言葉足らずだったと思います。

 私の理解では、京都市にも確認して理解しているところでありますが、つまり、二の丸御殿の国宝の部分については、昨年十月までは水も火も使えなかったということであります。

 また一方で、重要文化財については生け花の展示が行われていたということでありますから、そこは私は存じませんでしたので、知りませんが、先ほども申し上げましたように、私の個人的経験で一昨年には全くだめだと言われてしまったものですから、そういうことだというふうに理解しておりました。

 そういう意味では、重文について、水や火の使用が認められているということについては、それを一緒にしてしまったということについては、これは認識違いであったということは認めさせていただきます。

宮崎(岳)委員 大臣は一貫して、国宝、重要文化財という言い方をされています。記者会見でもそう言われていますし、最初の講演の際にもそこを一緒にして話されている。それに対して、もちろんその中の一部の発言に対して、学芸員はガンであると言った部分に対して批判があって、その批判記事に対して、その記事の方が事実誤認であると言って、結果、自分の方が認識違いだったということであっては、ちょっととても、本気で陳謝をされたのかということが疑われても仕方がないということだと思います。

 大英博物館の件についても、ネットメディアのハフィントンポストが四月二十日から昨日にかけて、途中で更新がされていますのでちょっと正確な投稿日はわかりませんが、最終更新が本日の午前零時三十分ということですが、大英博物館の広報担当者はハフィントンポストの取材に対し、山本氏の発言は明らかな事実誤認です、大英博物館は、観光のためスタッフを解雇したことも、根本的な建物の改装をしたこともありません、そういうふうに言われています。

 もちろん、観光面以外も含めた、あるいは観光も入っているかもしれませんが、さまざまな改革に対して、それに反対した人がいて、それによっていづらくなって定年前に退職をされる、こういうことはいろいろなところであるということだと思います。そういうこともあったのかもしれませんけれども、観光化に反対した学芸員を並べて首にして、それによってよくなったという、その事実関係の根幹部分が間違っているのではないかというふうに思います。

 この点について、大臣、今、認識違いであったということは言われましたけれども、もう一度はっきり、撤回なりしていただけますか。

山本(幸)国務大臣 私は、知人のお話を聞いてそのまま申し上げたところでありますが、しっかり事実を確認すると、どうも違うということのようでありますので、この点については訂正し、そしておわび申し上げたいと思います。

宮崎(岳)委員 もう一つ、英語表記の点に関しても事実誤認じゃないかということを言われています。

 大臣、この講演の中で、もちろん、問題発言があったからこれだけの大きな騒ぎになったわけでありますが、少なくとも重要な部分で三つの事実関係の誤りがあり、しかも、それを指摘されて、記事の方が事実誤認だ、もっとよく、しっかり事実を確認していただいて報道していただきたいというふうに言われたのは、これは開き直りと言われても仕方がないというふうに思います。大変私は、この一事、大臣の資質に対して重大な疑念を抱かせるということを指摘させていただきます。

 続きまして、国家戦略特区法の根幹部分にかかわる話でありますが、昨今疑惑となっている加計学園の疑惑について申し上げたいと思います。

 国家戦略特区は、そもそも、日本にある岩盤規制を地域を限定することによって突破していこうという発想であって、既得権益と闘うという旗印のもとにこれまで進められてきたということだと思うのですが、現実にはそれが反対になっているのではないか、特定の方々に利権をもたらすための、まさに利権製造装置のようになってはいないか、こういう指摘があるわけであります。

 今回の改正法の中におきましても、農業支援外国人というのがありますが、これが、例えば、外国人は事実上、労働移民に近いものでありますけれども、日本で農業をする限りは、日本に幾らでもと言ってもいいと思いますが、入れてもよろしい、こういう制度であります。一見、規制が改革されている、規制改革になっているようではございますが、現実の問題としては、派遣会社のみに許す、こういう仕組みになっております。直接雇用もできないし、家事人材の方では外国人を請負という形で入れているんですが、派遣しかだめだというふうになっています。

 特区諮問会議の中でそれについて検討されてきたわけですが、その特区諮問会議の委員の中に、最大手の派遣会社の取締役会長の方がいらっしゃって、その方が、ぜひこの農業支援外国人の制度を導入すべきだと力説されておられる、こういうことです。

 そうしますと、これは極めて、公平性という観点に対して、特定の方々の利益のためにいわゆる法の抜け穴を用意する、そのためにこの制度が使われているのではないかという疑念につながってくるということであります。

 今回の加計学園の件は、五十年以上新設が認められなかった獣医学部を新設することを認める。ところが、さまざまな条件が付されていて、結局は、安倍総理の腹心の友と言われた加計孝太郎氏の経営する加計学園しかこれを新設できない制度であったのではないか、こういった疑惑であります。

 そして、この学校の新設に当たって、土地の無償譲渡とか、市の方からですね、あるいは市や県からの補助金というものがもたらされる。市や県からの補助金がおおむね百億弱、土地が三十数億円と言われていますが、これは、今治市という人口十五万人の市の人口で一人頭に割っても、例えば、標準世帯で一家四人みたいな家庭の負担だけにしても、一世帯当たり三十万円とか、そういった住民負担がもたらされるようなものなんですね。ある意味、これを制度によって後押ししているということではないかと指摘をされているわけです。これは私が勝手に批判をしているということではありません。

 今週号の週刊文春に、「安倍夫妻「腹心の友」 加計学園に流れた血税四百四十億円! 問題の核心 昭恵夫人の紹介で籠池氏も二度視察した“学園ビジネス”」、こういう記事が載っているわけでありますが、この記事の中に、国家戦略特区担当、地方創生担当の、大臣の前任者でありました石破茂前大臣の談話が載せられております。その部分をそのまま引用いたします。「不思議ですよね。なぜ大臣が代わることでこんなに進むのか。新たな条件が出るのか。世間で言われるように、総理の大親友であれば認められ、そうじゃなければ認められないというのであれば、行政の公平性という観点からおかしい」と。

 山本大臣は、石破前大臣の在任中に、委員長としてこの委員会でも中心的な役割を担ってこられたわけでありますけれども、その石破前大臣、そして、この特区制度、特に、今回の獣医学部の新設の案件にもかかわってこられた前大臣が、不思議だ、大臣がかわることでこんなに進み、新たな条件が出るのはおかしい、総理の親友なら認められるということでは行政の公平性が保てない、こういう発言をしております。

 この石破前大臣の発言に対して、山本大臣、どのようにお受けとめになりますか。

山本(幸)国務大臣 石破前大臣の発言について、私がコメントすることは差し控えたいと思います。

 ただ、私は、国家戦略特区そして規制改革担当ということで、岩盤規制を突破して日本の経済社会を活性化しなければいけない。これは、私がなる前からもずっと海外の投資家等から、日本で一番おくれているのは成長戦略だ、規制改革だと言われておりまして、その立場になった以上は、スピード感を持って断固やるという気持ちで職務を担っているつもりであります。

宮崎(岳)委員 規制改革については賛否はさまざまあろうと思いますが、総じて、その精神自体を否定する人は余りいないだろうと思います。そうではなくて、規制改革に名をかりて、一部特定の方々のビジネス、利益につながることだけをやっているのではないか、そういう疑惑であることをお受けとめいただきたいというふうに思います。

 今回、一つお伺いしたいのは、十一月九日の特区諮問会議の席上におきまして、山本大臣は、この件も含めて、重要事項については、総理が直接、迅速に進めろというふうにおっしゃっているので、これは前回の特区諮問会議の席上でということでありますが、総理が、法律にするものは速やかに今通常国会で、去年の発言ですから、今通常国会でと、そして、法律の必要ないものは今すぐにでもやれという指示をして、今回の獣医学部の新設についての規制緩和もやった、そういった趣旨の発言をされています。

 それに関連し、大臣は、就任以来、安倍総理と直接面談、もちろん、閣議で会うとか会合の席で一緒になるとか、大人数の会議で一緒になるとか、そういうことは除いてですけれども、官邸に入るなりして直接面談したことは何件あり、それはいつでしょうか。

山本(幸)国務大臣 閣議等を含めて各種の会合でお会いしますけれども、しっかりとした日程をとって面談したというのは、十月二十四日に、中央省庁の事業に無駄がないか点検する秋のレビューに関して、日程や対象事業等について御相談したものがございます。

宮崎(岳)委員 事実上、この十月二十四日は、大臣が総理に十月二十四日に面談をされている、このときしかしっかり時間をとって会われていない。首相動静等を確認させていただきましたけれども、閣議後の二分とか、そういったときにお会いしたことはあったようですが、私の確認する限り、十月二十四日だけだ。そして、今大臣からの御答弁もそういうことであったわけであります。

 さて、お手元に資料ナンバー四というものをお配りしております。左側が、週刊現代に載りました「今治「異例の獣医学部」ができるまで」という、スケジュール表というんでしょうかね、カレンダーというんでしょうか、そういったものです。右側が私の事務所で作成をさせていただいたものであります。

 私は、前回の質疑で、この鍵は、十一月九日に空白地縛りというものが文言に初めて盛り込まれ、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り新設を認めるという文言が盛り込まれた。これによって、加計学園の、提案の中ではライバルであり、また、世界的な鳥インフルエンザ研究拠点になったであろうと言われる京都府と京都産業大学からの提案というのが門前払いの格好になるわけです。そして、事実上、この瞬間に、今治、加計学園の、獣医師学部の新設というのがここに限定をされたというふうに思っております。十月十七日に特区ワーキンググループは京都府と京都産業大からヒアリングをしている。この時点では、まだ空白地縛り、四国限定ということはもちろん確定していないからヒアリングをしたんだという指摘をさせていただきました。そのことについては大臣もお認めをいただいたということであります。

 そして、その後のスケジュール感を見ますと、十月二十八日に、この右側の表でいいますと、網をかけてありますが、内閣府が文科省高等教育局に十一月九日に発表された取りまとめ案の原案を提示されている。この時点では空白地縛りというものが既に登場している。わずか十日ほどの間にこの流れができた。

 その間に何があったのかといいますと、十月二十三日に福岡六区の補選がございました。獣医学部の新設に強く反対をされていた日本獣医師会の蔵内勇夫氏は自民党の福岡県連の会長でありますが、その御長男の蔵内謙氏が福岡六区の補選で鳩山二郎氏と対決をされた。結果、鳩山二郎氏が勝利をすることになったわけでありますが、このとき、地元の重鎮である麻生財務大臣は蔵内氏を応援し、また、報道によりますと、菅官房長官や二階幹事長が鳩山二郎氏を応援したということだと思いますが、山本大臣自体も自民党福岡県連の役員であると思います。

 いずれにせよ、地域を二分する、そして自民党内を二分する戦いの中で、この日本獣医師会の会長の御長男が大敗をされた。その後ろ盾であった麻生財務大臣も政治的にはダメージを負ったということだと思いますけれども、全国的にもそうですが、福岡県的にも恐らく大きな政治変動だったと思います。

 その翌日に山本大臣が安倍総理と面談をされ、そしてその四日後には加計学園に獣医師学部の新設が認められることが事実上決定した、こういう流れに私は感じられてならないんです。

 山本大臣、十月二十四日、安倍総理と面談した際に特区の話はされましたか。

山本(幸)国務大臣 一切そういう話はしておりません。しかも、この会談のときには事務方が一緒についておりますので、そんな話は全くないということはわかると思います。

宮崎(岳)委員 特区については何一つお話しになっていないんですか。

山本(幸)国務大臣 何一つ話しておりません。

宮崎(岳)委員 このときは、それでは何をお話しになったんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 先ほど申し上げましたが、秋の行政事業レビューについての日程、そして取り上げる項目等について御説明をしたところでございます。

宮崎(岳)委員 唯一の面談というのが、大臣就任以来もう八カ月になるんでしょうか、八カ月、九カ月ぐらいかなと思いますが、唯一の面談がここにあったと。大臣、お認めにならないということはわかりました。

 けれども、この日程の中で、では大臣は、四国に限定する、空白地に限るということはどのタイミングでお決めになったんでしょうか、大臣。

山本(幸)国務大臣 総理と面談したのは唯一というのは、十月二十四日は行政レビューですが、その前に、規制改革推進会議の人選について、これは八月二十四日に御説明しています。それから八月三十一日に政府関係機関移転関係について御説明をしております。あとは会議でお会いしているということであります。

 十一月九日に至ります、地域を限定するということに至ります経緯でありますけれども、まず申し上げたいのは、新潟市や最近登場した京都府の提案を門前払いしたということはありません。いずれの提案も今後引き続き検討していくことでありまして、そういう扱いというふうに理解しております。

 昨年の十月の下旬ごろ、私が、特区ワーキンググループでの文科省、農水省との議論、それから獣医師会などからの慎重な意見などの状況を総合的に判断して、地域を限ることを決断いたしました。その上で、すぐに内閣府の事務方に、昨年十一月九日の特区諮問会議取りまとめの原案作成を指示したものであります。

 地域を限るという決断は、昨年九月七日の獣医師会との会談だけではなくて、以前から一貫して獣医師会は慎重な立場であることなどを踏まえて、私の責任において行ったものでございます。

宮崎(岳)委員 大臣、十月二十四日だけじゃないということで今訂正されましたけれども、十月二十四日だけですというのは今大臣がされた答弁で、御自身が総理に会ったときのお話であります。その八月の件がどのようなものか、私はもちろんつまびらかには存じませんけれども、自分でそのときだけだと言っておいて、直後に事務方から紙を渡されて、御自分の面会した話ですからね、訂正するというのも、ちょっと趣旨が、意味がわからないところでありますが、その十月下旬というのは、ですからいつなんでしょうかというふうに伺っているわけです。

 十月二十八日に文科省の方に内閣府が言ったというのは事実でありますが、これは、大臣の指示を受けて、そして原案、文面案を作成してということでしょうから、それなりの時間が十月二十八日までの間にかかるんじゃないかというふうに思っていまして、ではいつなんでしょうか、こういうことでありますが、いつなんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 何月何日というのは、ちょっとはっきり記憶にございません。十月下旬、二十八日に、内閣府は、指示をして事務方が取りまとめ原案を作成しておりますので、その前後だというふうに思います。

宮崎(岳)委員 昨年の四月、木曽功内閣官房参与、元文科省の国際統括官、文科省のキャリアの方でありますが、内閣官房参与に在職のまま加計学園に天下りをし、理事兼千葉科学大の学長に就任をされました。そして、九月三十日に退任するまでの間、内閣官房参与と加計学園の理事兼千葉科学大学長を兼任されていた状況にございます。大臣は、木曽功氏と面会をされたことはありますでしょうか。

山本(幸)国務大臣 私は木曽功さんという方と面会した記憶はありませんし、また面識もありません。

宮崎(岳)委員 それでは、内閣府にお伺いします。

 地方創生推進事務局の佐々木事務局長は、御面会をされたことはありますでしょうか。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 木曽元参与につきましては、ユネスコ日本政府常駐代表部特命全権大使等の御経験があることから、ユネスコ関連の業務について御助言いただくために、平成二十七年七月に世界文化遺産に登録されました明治日本の産業革命遺産に関する有識者会議に参加いただいております。

 私はその有識者会議の事務局を務めておりますものですから、昨年の四月以降では、六月八日に開催いたしました当該会議の場におきまして、面会ということではないと思いますけれども、同席した記憶はございます。そのときは雑談程度の話しかしなかったように記憶しておりますけれども、当時の状況を申し上げますと、さらに申し上げれば、当時は、正直言いまして、当時の木曽参与が民間事業、つまり加計学園でございますけれども、と兼務していたことは、私ども全く存じ上げませんでした。

 したがいまして、一般論にはなりますけれども、参与の求めに応じまして、通常の業務の一環として、業務に関する一般的な説明を行うことは十分にあり得ることであったとは思いますけれども、私の記憶ではそういう話はしておりません。

 以上でございます。

宮崎(岳)委員 会ったことはあるけれども、何を話したかはよく覚えていない、多分話していないだろうとは思うけれども、はっきりしたことは言えない、こういう御回答だったと思います。

 それでは、推進事務局の特区担当でございます藤原審議官についても、本日はおいでをいただいております。藤原審議官は、お会いをされたことはございますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 御指摘の、当時の木曽内閣官房参与との面談でございますけれども、昨年の春と秋、二回でございますけれども、木曽参与からの求めに応じまして、私の部下とともに参与室を訪問させていただきまして、参与の御質問に答える形で、三十分程度でございます、特区制度の概要それから各特区の最新の状況全般につきまして、一般的な御説明をさせていただいたところでございます。

宮崎(岳)委員 昨年の春と秋ということでしたが、それはいつでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 記録がなく、詳細な日程等は不明でございます。ただ、参与室に参った、秋ということでございますので、恐らく後半は九月ではないかと思いますが、一年前の状況は、四月なのか五月なのか、そこは記録がなく、不明でございます。

宮崎(岳)委員 実際に、今のお話ですと、参与室に訪問をされて、そして特区の制度について御説明をされた。木曽参与の担務は必ずしも特区ということではない、かする部分はあるのかもしれませんが、基本的にはそうではない。その方のところに、特区担当である藤原審議官が行って説明をされて、そして、そこの木曽参与が兼務をされていた加計学園が特区の提案をして、実際に獣医学部の新設が認められた、こういうことであります。

 藤原審議官は、その木曽参与とお会いになったとき、木曽参与が加計学園の理事なり千葉科学大の学長を兼任されていたことは御存じだったでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど佐々木事務局長からもお話ございましたが、私ども事務局としまして、木曽参与が当時どのような民間事業を兼職していたか、私どもとしても全く存じ上げておりませんでした。

宮崎(岳)委員 木曽参与からは特区制度について質問があったということでありますが、その際、獣医学部の件については質問はありましたでしょうか。

藤原政府参考人 御質問でございますけれども、木曽参与からの質問に答える形で、特区制度の概要それから各特区の状況などにつきまして、全般的でございますが、一般的な御説明をさせていただきました。

 特区制度につきましては、基本的な仕組み、例えば区域会議や特区諮問会議の機能や開催頻度、それから各指定区域の特徴、活用しているメニューでございますとか課題、こういった特区制度関係の最新の状況全般について御説明をさせていただいた次第でございます。

宮崎(岳)委員 獣医学部の件については質問がございましたか。あるいは、御説明をされましたか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 指定区域は、今現在、十ございます。当時も十個でございました。他の区域と同様に、広島県・今治市の特区についても御質問がございましたけれども、最新の状況全般をその十個の特区の一つとして御説明した次第でございます。

宮崎(岳)委員 しまなみ特区に関連する獣医学部の件について、質問もあり、説明もされたということでよろしいですね。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 獣医学部につきましてのみならず、今治市、広島県につきましては、例えば、これも大変な難しい問題でございましたが、道の駅の民間開放、設置段階から民間事業者にお願いする話でございますとか、それから今治市につきましては、しまなみ海道でサイクリングの事業をやっております、ここで、多くの外国人の方がお越しになるので、そのもてなしをする人材、外国人材の入国につきましてとか、そういったほかの項目も含めてお話をした次第でございます。

宮崎(岳)委員 獣医学部の件については、質問もされ、説明もしたということでよろしいですね。

藤原政府参考人 他の項目とともに、一般的な御説明をさせていただいた次第でございます。

宮崎(岳)委員 藤原審議官、加計学園の理事や千葉科学大の学長を木曽参与がお務めになっていることは知らなかったという御説明でありました。

 では、何のために特区の説明を求められたんだと思いますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 木曽参与のみならず、他の内閣官房参与などからの場合も同様でございますけれども、政府内の幹部から、特区制度の概要でございますとか最新の状況、これを事務方として説明を求められる機会は大変多うございます。通常の業務の一環として、先ほど佐々木事務局長からもお話がございましたけれども、最近の現状について御説明をさせていただいた次第でございます。

宮崎(岳)委員 木曽参与は特区の担当じゃないわけですよね。何のために知りたかったんでしょうか。個人的な趣味とか、そういうことでしょうか。何のために知りたかったんですか。

 ちょっと、藤原審議官、何のために知りたかったんですか、藤原審議官。だって、言われるでしょう。

佐々木(基)政府参考人 私は、当時の記憶が定かでなくて恐縮なんですけれども、確かに、木曽参与にこういう話をしましたということは報告を受けたような気がしております。

 それは、私も先ほど言いましたように、業務の関係で木曽参与は全く知らない方ではなかったということで、参与という立場でいらっしゃいますので、そういう立場にある方が、御本人の心情はわかりませんけれども、何かについてお尋ねになれば、私どもとしては、それは当然お答えする立場にあると思っておりまして、そのとき私どもは、先ほども申しましたように、木曽参与が加計学園と兼ねているということは全く存じ上げませんでしたので、全く何の疑問も抱かずに多分対応したんだと思っております。

宮崎(岳)委員 しかし、全然関係ない役職の方が特区のことを聞いたのであれば、なぜかな、どういう趣旨かなということによってお答えも変わってくるでしょう。どの程度詳しく御説明するかも変わってくると思います。

 通常、どういう観点から説明すればよろしいですかとか、どういう趣旨でしょうかとか、伺うんじゃないでしょうか。全くそういうことについては、別に加計の件で教えてくれと言うかどうかは知りませんよ、知りませんが、何かはあるんじゃないですか、そのときに、こういう理由で教えてくれと。

 そして、そのときに、獣医学部の件についても向こうからも質問が出たというお話で、中にはですね、説明もされたということですけれども、どういう観点で呼ばれたのかなと思わないんでしょうか。何かなかったんですか、事前に。こういうことで教えてくれという話は。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 木曽参与からのお申し出は、特区制度の概要また各特区の状況全般、これは、今治市、広島県のみならず、最近の状況ということで御要請がございましたので、一般的な御説明を行わせていただきました。

 申し上げますと、木曽参与は大変、観光分野、特に民泊など、昨年の半ばでございます、これは、山本大臣の指示のもと、通常大田区などでやっておりました民泊制度が最低宿泊日数を改善したりしました、こういったことにつきましても大変御関心が深くいらっしゃったということもございまして、そういった他の項目、他の地域、一般に御説明をさせていただいたということでございます。

宮崎(岳)委員 事実関係を確認させていただきます。

 先ほど、日程の詳しいものはわからないと言いましたが、春が四月以降ということだと思いますが、この春というのはいつごろまでということなのか、それで、秋は九月ということでよろしいのかどうか。

藤原政府参考人 日程につきましては詳細な記録がございませんが、今委員御指摘のとおり、四月から九月にいらっしゃったということが事実だとすれば、秋は恐らく九月だと思います。

 それから、春につきましては、先ほども申し上げましたけれども、四月ないし五月だと思いますけれども、そこは定かではございません。

宮崎(岳)委員 内閣府というのは、あるいは官邸ということなのかわかりませんが、参与の方は、参与室でお会いになったときに面談記録はおつくりにならないんですか。これはどなたか御説明できますか。

 大臣はおわかりになりますか、面談記録はつくらない。

 では、佐々木事務局長、いかがですか、これはつくらないんですか。あるいは、皆様も、そういう方にお会いになって、わざわざスケジュールをとってお会いになるということで、そういう記録はおつくりにならないんですか。

佐々木(基)政府参考人 大変申しわけありません。参与の方も、それぞれの方によりまして多分やり方が違うかもしれませんけれども、少なくとも木曽参与についてどういう対応だったかというのは、申しわけありませんけれども、ちょっと私ども承知しておりません。

宮崎(岳)委員 この面談記録については、改めて探していただいて公表していただきたいということをこの場で申し上げさせていただきます。

 文科省にお伺いします。

 文科省の高等教育局担当審議官、高等教育局長ないしこの担当であります専門教育課長、こういった方々は、木曽功参与と面会されたことはありますでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 昨年四月以降でございますけれども、木曽氏が内閣官房参与に就任していた期間のうち、文書保存期間中の日程表を調べたところでございますけれども、木曽氏との面会は確認できなかったということでございます。

宮崎(岳)委員 では、農水省の方はいかがでしょうか。

 消費・安全局担当ということで伺っております。消費・安全局担当の審議官、あるいは消費・安全局長、畜水産安全管理課長、この方々は木曽氏との面談というのはされていないということでよろしいんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月以降、農林水産省消費・安全局の局長、それから局担当大臣官房審議官、また畜水産安全管理課長が、木曽元内閣官房参与と面談したことはございません。

宮崎(岳)委員 いずれにせよ、私は、特区担当の審議官に対して特区制度について説明せよと、その担当でもない方が。いろいろな個人的興味はおありかもしれませんけれども、しかもそのとき、参与とともに加計学園の理事を兼務されていた。さらに、千葉科学大という学長も務められて、その科学大の方でしたかね、総理らが御挨拶に行かれたこともあったという報道があったと思いますが、疑惑がこれは深まったと言わざるを得ないということであります。

 昨年の四月ないし五月、それから昨年の九月といいますのは、特に後半の九月の件は、まさに今治の分科会が開催をされて、獣医学部新設について、今治の案件がまさに具体的に動き出したその月のことであります。

 また、その月には、山本大臣が獣医師会等とこの獣医学部の新設について面談もされている、会談もされた、そういった時期で、もう一つ申し上げれば、もともと、昨年八月初めまで第三次安倍第一次改造内閣ということで、当時、地方創生特区、その担当は石破茂大臣でありました。また、農水大臣は森山大臣で、農水関係では非常に重鎮とされる方だったんだと思います。

 そういった環境の中で、今回、関連する三大臣、第三次安倍第二次改造内閣と正式には言うんでしょうけれども、この八月三日にその改造内閣が発足して、関係三大臣、山本幸三地方創生担当大臣、松野博一文部科学大臣、山本有二農林水産大臣の三名が、いずれも信任をされます。特に、山本大臣、松野大臣は初入閣ということでありまして、ある意味で、総理に対して、非常に、何というんでしょうか、省を代表して何かを申し上げるということも難しい立場であったのではないかと推察しますけれども、そういった状況の中で動き出したということであります。

 私は、今回の問題、非常に、さらに疑惑が深まったということも含めてでありますけれども、今後さらにこの解明を続けていかなければならないと思います。

 最後に、山本大臣にこの件で伺いますけれども、獣医学部の新設について直接総理から指示があったということは、これはないということでよろしいんでしょうか。

 それからもう一点、加計学園と大臣の間には、何か面識があったりとか、仕事上のおつき合いがあったり、そういうことはなかったでしょうか。

 この二点、お伺いできますでしょうか。

山本(幸)国務大臣 総理と、この獣医学部の新設について、会議で最終的に決まるまで一切話もしたこともありませんし、そうしたことの何らかの打ち合わせということも全くありません。

 加計学園の理事長さんですが、二回私のところに来ています。最初が九月七日ですね。これは、まさに、今治市と一緒に提案しているのでよろしくという挨拶だったと思います。それが一回と、それから、二回目が二月十三日、これは決まってからですね。一応、お礼ということで挨拶に来ました。それ以外は、私は全く存じませんでした。

宮崎(岳)委員 九月七日は、これは大臣室の方にどなたかと一緒に来られたということでしょうか。

山本(幸)国務大臣 私が覚えているのは理事長さんだけでありますので、どなたか連れてきたかはちょっと承知しておりません。

宮崎(岳)委員 つまり、私が申し上げているのは、よろしくという挨拶に来たということですが、それは、例えば今治市長と一緒に来たとか、何かそういうことではなく、基本的には単独でいらっしゃったという意味でよろしいんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 単独でいらっしゃいました。

宮崎(岳)委員 日本獣医師会と山本大臣がまさに面会されたその日、同じ日に、加計孝太郎理事長が大臣室の方に単独で、おつきの方がいたかどうかは別として、直接いらっしゃったということでございますね。そのときには、獣医学部の件について、つまり、よろしくということで頼まれたということですよね。

山本(幸)国務大臣 頼まれたといいますか、今治市と提案を共同でしているので、その点についてよろしくお願いしますということだったと思います。私は、きちっとルールに従って、公正公平にやりますというふうにお答えしたと思います。

宮崎(岳)委員 今の藤原審議官と木曽参与との面会のタイミング、それから、大臣にこういうお願いをされたという話、これも九月二十一日の今治市の分科会で獣医学部新設について本格的な説明がされる前ということで、私は、やはりそこに何らかの意図を感じざるを得ないというふうに思っております。

 農業支援外国人の就労解禁について、たくさん質問を用意したんですが、ちょっと前の件が延びてしまったので質問できませんでした。ちょっとそこに一点、二点、入りたいと思います。

 農業支援外国人、外国人を農業に就労を解禁するという件については、特定農業支援活動というものに限って認めるということで伺っておりますが、特定農業支援活動とは具体的に何でしょうか。また、どういう方に認めるということでしょうか。農水省の方からお願いいたします。

山北政府参考人 お答えをいたします。

 農業支援活動の内容につきましては、まず、法律案でございますけれども、その中で、農作業及び農畜産物を原料もしくは材料として使用する製造もしくは加工の作業というのを定めておりまして、それに加えまして、政令におきまして、農業に付随する作業といたしまして、貯蔵、運搬、販売、農業生産に必要な資材の製造について対象とする方向で調整しているところでございます。

 また、外国人の人的な要件という御指摘がございました。

 受け入れる外国人の要件につきましては、政令で、満十八歳以上であること、それから農業支援活動を適切に行うために必要な知識経験を有する者であることを定める方向で検討しているところでございます。

 その中で、本事業で受け入れる外国人人材につきましては、農業の専門知識と経験を有する熟練作業者といたしまして、派遣先の農業経営者の与えた裁量の範囲内で、現場の状況に応じて作業手順をみずから考え、施肥ですとか農薬散布等の栽培管理や、収穫、出荷調製等の作業が行える者ということで考えているところでございます。

宮崎(岳)委員 としますと、特定農業支援活動というのは、農作業全て、プラス、加工や製造や販売もかかわる、相当幅広い範囲に及ぶ、こういうことだと思います。

 また、その人的要件については、専門性を有するということですが、具体的に、専門性を有するというのはどういうことを求めるのか。例えば何らかの資格が必要なのか、あるいは従事経験が必要なのか、そこのところを政令に委ねるという話でありますが、具体的にどういうことを想定されているのか、お答えいただけますか。

山北政府参考人 知識経験につきましては、熟練技能を持つ作業者といたしまして、例えば農業機械の操作でございますとかあるいは農薬の取り扱い、それから施肥設計、あるいは土壌の種類の判断といった、農作業に必要不可欠な項目につきまして、試験などによりまして一定以上のレベルであることを評価、確認する方向で検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

宮崎(岳)委員 時間となりました。

 本法案は非常に膨大な範囲が含まれている法案だと思います。ぜひ充実した時間をとっていただいた審議をお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十七分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 山本大臣が今月十六日、大津市で述べた、一番のガンは文化学芸員、一掃しなければいけない、この発言に、全国から抗議の声が上がっています。

 そもそも学芸員は、博物館法に定める資格と任務を持った専門職であります。法律を誰よりも守らなければならない大臣が、この学芸員を侮辱し、一掃しなければならないと発言したことは、許されるものではありません。大臣がいかに釈明されようが、誤解の余地のない暴言であります。撤回すれば済む問題でもありません。

 みずから発した発言であります。大臣、責任をとって大臣の職を辞職すべきだと考えますが、いかがですか。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 四月十六日の滋賀県大津市の地方創生セミナーにおける発言につきまして、私の真意としては、文化財を保護することだけでなく、観光立国の観点からも、文化財は地域資源として活用していくことが重要であり、学芸員の方々にも、より一層観光マインドを持っていただきたいという思いから発言したところであります。

 しかしながら、当日の発言はこの真意が伝わらない不適切なものであったと深く反省しておりまして、十八日の本会議及び十九日の本委員会においても、発言の撤回とおわびを申し上げたところであります。

 反省すべきところは反省して、しっかりと任務に当たっていきたいと思っております。

田村(貴)委員 ずっと議論がありますけれども、文化財を保存することの重要さや学芸員の職務を全くわきまえない発言でありました。

 山本大臣、学芸員が果たしているこの役割を御存じでしょうか。博物館法第四条第四項に定めている学芸員の任務についてお答えいただきたいと思います。

山本(幸)国務大臣 博物館法第四条第四項では、「学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる。」と規定されていると承知しております。

田村(貴)委員 そうなんですよね。博物館法第四条第四項に定める学芸員の任務というのは、まず何といっても資料の収集であります。そして、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる、これが学芸員の役割であります。文化財をまず収集、保管しなければ、展示することもできません。まして、観光に役立つこともないわけなんです。大臣はこうした学芸員の任務を、その理解を著しく欠いた、そんな発言だと言わなければなりません。

 日本の国立博物館あるいは国立美術館の学芸員一人に対する来館者数について紹介したいと思います。

 ほかの国の博物館などと比べれば多いんです。文化庁の資料によれば、国立博物館は四万九千人、国立美術館は八万人であります。大臣が例に出された大英博物館は二万四千人であります。統計の上でも、学芸員は一生懸命努力されていることがうかがえると思います。

 文部科学省にお尋ねいたします。

 自治体が設立した博物館から、もし学芸員を置かないとするならば、この博物館はどうなってしまうんでしょうか。

神山政府参考人 お答えいたします。

 登録博物館におきましては、博物館法第四条及び第十二条の規定に基づきまして、学芸員を置くこととされているところでございます。学芸員を置かなくなり、都道府県または指定都市の教育委員会が博物館法第十二条の登録要件を欠くに至ったものと認めたときには、博物館法第十四条に基づきまして、博物館の登録を取り消すこととなると規定されてございます。

田村(貴)委員 登録を取り消される、それは博物館のステータスがなくなってしまうということであります。つまり、博物館の魅力そのものがそがれてしまう、烙印を押されてしまうということであります。大臣、学芸員あっての博物館ではありませんか。

 熊本では、震災によって被害のあった文化財の救出活動が行われてきました。続いています。文化財レスキューという制度とその事業であります。転倒した仏像の修復、倒壊した家屋の中から古文書など歴史的な資料を一つ一つ学芸員が取り出して、修復、保存に当たっています。

 東日本大震災で、全国の学芸員がボランティアとして集まって被災した文化財を救い出すことから始まった、この文化財レスキュー制度、熊本では、これまで延べ一千人が参加され、そして六千二百点にも及ぶ文化財及びそれに匹敵する重要な資料を救い出して、保管と修復に当たっているわけであります。

 山本大臣、こうした取り組み一つをとっても、学芸員は貴重な文化財を後世に伝えるために重要な役割を果たしているとはお思いになりませんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 その点は委員御指摘のとおりだと思います。熊本震災によって被災した熊本県内の動産文化財等を緊急に調査、保全し、我が国の貴重な文化財等の廃棄、散逸を防止するため、多くの学芸員や研究者が文化財レスキュー事業に御尽力いただいたと承知しております。

 学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究等を行う専門的職員であり、地域や人類にとって大切な資料を取り扱い、人々の新しい知識の創造と普及に役立てるとともに、次代に継承するという極めて重要な業務を担っていると認識しております。

 他方で、学芸員がそうした業務を行うに当たっては、文化財を保護することだけではなく、観光立国の観点からも、文化財は地域資源として活用していくことが重要であり、学芸員の方々にもより一層観光マインドを持っていただきたいと考えております。

 引き続き、昨年十二月に閣議決定したまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版を踏まえ、今後、地域の宝である文化財を、適切な保存を図りつつ、観光資源として活用することにより地域活性化を図ることができるよう、政府全体として取り組んでまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 大臣も陳情を受けたと思いますけれども、私の地元でもある北九州市、その小倉南区の城野で、大変歴史的、重要な遺構が出現しました。この城野遺跡の保存をめぐって市民運動が起こって、大臣の事務所にも陳情されたということです。そして、この遺跡を残そうということで、多くの歴史家、考古学者、学芸員の方が努力をされているわけです。こうした学芸員の名誉を傷つけ、そして、がん患者さんに対する思慮を欠いた発言であったわけであります。

 山本大臣は謝罪をされました。しかし、本会議と本委員会で述べたその弁明の言葉の中には、学芸員とがん患者さん、その家族に対する言葉はありませんでした。私は、真摯な反省が見られないというふうに感じております。みずから発した言葉に責任をとられて、山本大臣は大臣を辞任すべきであります。再度要求したいと思います。

 続いて、きょうは法案の質疑でありますので、法案の中身について、今からただしていきたいと思います。

 小規模保育事業の入園対象年齢の拡大について質問をします。

 現在、ゼロ歳児から二歳までの子供を対象としている小規模認可保育事業については、三歳以上児でも受け入れることを可能にする規制緩和の提案であります。

 資料をお配りしています。

 小規模保育所の現状について書かれたものですけれども、始まって二年、ふえています。こうした理由等について、現状について簡単に説明をしていただけますか。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年四月一日時点での小規模保育事業全体の数は二千四百二十九件でございまして、平成二十七年の同日時点に比べまして、七百七十四件増加しているところでございます。

 この増加の原因といたしましては、一つは、平成二十七年度から子ども・子育て新制度の中でこの新しい小規模保育事業ができたわけでございますが、特に土地の確保が困難な都市部におきます受け皿拡大、また待機児童解消の方策としまして、この事業の浸透が図られているということではないかというふうに考えております。

田村(貴)委員 この年齢制限の緩和は東京都などから要望が出されているということでありますけれども、都心における小規模保育所というのは、どういった立地条件のもとで運営されているんでしょうか。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 どういった建物であるかとか、あるいは建物の何階にあるかといったような形での定量的な把握はちょっとできておりませんけれども、私ども、小規模保育の整備に関しまして一定の支援、補助を行っておりまして、自己所有の建物の施設整備に対する補助と、一方で、賃貸物件を改修して整備するといったものとを比較いたしますと、賃貸物件を改修して事業を実施するといったケースの方がかなり多いといったような状況は見てとれるところでございます。

 あと、東京都から一覧を提供いただいて見ましたところ、やはりビルなり建物の一部を利用して実施しているというようなものが多いのではないかということはうかがえるところでございます。

田村(貴)委員 やはり都心でありますので、ビルであるとか集合住宅であるとか、その中の一室を利用しての小規模保育所が多いということが、今、答弁でもわかりました。

 では、この小規模保育所の年齢引き上げについてなんですけれども、保育所の保育士さんの配置はどうなっていくんでしょうか。

 例えば、A型の保育所で、ゼロ歳児を五人見ている、それから一、二歳児が五人、計十人いたとします。そうすると、保育士の配置基準によって、三人であります、この保育所は。ここに三歳児以上の子供たちを受け入れるとする。一人入園したとします。そうすると、保育士は一人ふえるということになりますけれども、それでよろしいですね。

吉本政府参考人 国が定めます小規模保育事業の人員配置基準によりますと、三歳児二十名に対しまして保育士が一名、四歳以上児三十名に対しまして保育士一名ということでございまして、ただいまの例で計算をいたしますと、必要な保育士数の増は一名ということになろうかと存じます。

田村(貴)委員 そうなんです。一人、保育士さんはふえるわけなんです。

 三歳児、四歳児、五歳児を受け入れるということになりますと、上限が十九人になっておりますので、小規模保育所で三歳児から五歳児までの子供が、あとぎりぎり入って九人、入ってきたとしても、これは配置基準からいったら、保育士は一名のままだと。二名にはならないわけなんですよね。いかがですか。

吉本政府参考人 そのような例でありましても、増は一名までということでございます。

田村(貴)委員 三歳児が二十対一、そして四歳から五歳児は三十対一の配置基準でありますから、この小規模保育所の定員の上限が十九人とすると、保育士はふえても一人ということになってくるわけなんですよ。

 では、保育所の面積についてはどうなっていくのか。広がっていくんでしょうか。

 特区の要望を出している東京都から、子供が生活するこの施設面積を拡大、確保する取り組みについての情報等は、今、聞かれていますか。

吉本政府参考人 東京都の方からの今回の要望であったわけでございますが、面積の基準なりその拡大に関しましては、特段の、何らかを改めるといったようなことについては、お伺いはしておりません。

田村(貴)委員 保育士の加算は、たくさん入ってきたとしても一名である、そして、面積が広がるという話も伺っていないということであります。

 これは、厚生労働省、保育の質の低下につながるのではないかという不安の声が上がっているわけであります。

 小規模認可保育事業が基準根拠としている、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準があります。これは最低基準として策定されているものと理解していますけれども、それで間違いないですか。

吉本政府参考人 家庭的保育事業の設備、運営の基準に関しましては、市町村は条例でその基準を定めなければならない、これが児童福祉法三十四条の十六の規定でございます。

 この条例を定めるに当たっては、厚生労働省の方で定めております家庭的保育事業等の設備運営基準のうち、職員配置また連携施設の確保については、従うべき基準ということになっておりまして、また、その他の屋外遊戯場の設置等に関しましては、参酌すべき基準ということで、そうした基準、今の考え方をもとに各市町村が条例を定めるということになっておりまして、保育事業者はその条例を遵守しなければならないということでございます。(田村(貴)委員「最低基準なのかということ」と呼ぶ)

 職員配置、面積基準等につきまして、従うべき基準ということでございますので、それに関しましては、厚労省が定めるその設備運営基準、それを下回る条例はございませんので、そういう意味ではそれが最低基準ということでございます。

田村(貴)委員 最低基準ということです。

 この設備運営基準の一条二項には、こういうふうに定められています。設備運営基準は、家庭的保育事業等を利用する乳幼児が、明るくて衛生的な環境において、素養があり、かつ適切な訓練を受けた職員が保育を提供することにより、心身ともに健やかに育成されることを保障するものとすると定めてあります。同条第三項では、厚生労働大臣は設備運営基準を常に向上させるように努めることとされているわけであります。

 でも、今お話ししてきましたように、保育士がふえても一人、面積が広がるような話になっていないということであるならば、今度の改正というのは、厚生労働大臣は最低基準を常に向上させるべき、この努力規定に違反することになってしまう措置にはなりませんか。いかがですか。

吉本政府参考人 今般の国家戦略特区における小規模保育事業の対象年齢の拡大に当たりましては、職員配置、面積の基準などにつきましては、現行の家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準、これを遵守するということは当然のことでございますが、これに加えまして、三歳以上の児童を預かる場合の保育の質の確保を図るための措置を新たに設けることを考えているところでございます。

 具体的に申し上げますと、異年齢で構成されるグループ保育などにおきましては、個々の発達過程等に応じた適切な支援ができるように配慮すること、また、三歳以上児については、特に個の成長、それから友達との相互的、協力的な活動が促されるように配慮すること、そういったことを徹底いたしますとともに、ただいま申し上げました設備運営基準、さらには保育所保育指針などをきちんと適用していくということをいたします。それとともに、今申し上げましたそれぞれの配慮がきちんとなされているかどうかにつきまして、事業者は市町村を通じて都道府県に報告をし、都道府県はそれを公表するといったことも定めたいというふうに考えているところでございます。

 こうしたことから、今御指摘の、基準第一条第二項、第三項の規定に違反しているという御指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。

田村(貴)委員 いろいろ言われましたけれども、配慮すべき、配慮すべきという話です。つまり、お願いしているという程度の話なんですよね。

 子供一人当たりの居室面積は広がらないけれども、三歳児以上の子供の受け入れを可能にしていく。現場の負担はふえますよね。そして、入所するゼロ歳から二歳までの、また三歳児以上の保育環境を、これは後退しかねない問題なんですよ。最低基準を国がみずから掘り崩すものではありませんか。これでどうして最低基準の改善と言えるんでしょうか。

 今おっしゃったことは、いわゆる基準がないわけなんですよ。努力義務みたいなものですよ。配慮を促しているだけの話なんですよ。子供たちの毎日生活する、その保育所の空間、面積について、これがふえるという保証はあるんですか。しっかとお答えいただきたいと思います、面積について。

吉本政府参考人 職員配置また面積に関する基準につきましては、現行の基準をきちんと引き続き徹底していくということで申し上げましたけれども、これにつきましては、現在三歳以上も含めて保育をしております通常の認可保育園におきますその基準と同等のものでございまして、そういう意味では、それと変わるところがないものでございます。

 ですので、そういった最低基準にのっとった上で、その中で、適切な、先ほど申し上げましたような、個々の発達過程に応じた適切な支援が行われるようにやっていっていただけるようにしていくということで考えているところでございます。

田村(貴)委員 一番重大なことは、この設備及び運営の基準に基づく条例委任による面積基準、これを参酌基準、先ほどお答えもあったんですけれども、参酌基準としたことであります。面積が広がらないにもかかわらず、ゼロ歳から五歳までの異なる年齢がこれだけ広がっている保育を事業主の判断で行えるようにする。本法案は、やはり保育の質に対する国の責任を投げ捨てるものでもあるというふうに指摘せざるを得ません。

 少し紹介したいと思います。

 二〇一六年三月、政府は、待機児童対策として、保育士配置基準や面積基準が国基準よりも手厚い独自基準を設けている自治体に対して、国基準まで引き下げるように求めました。これに対して、回答した中で独自基準がある五十五自治体のうち四十八自治体が緩和予定はないとしたのであります。これはなぜか。保育士配置基準や面積基準は保育の質を低下する、だからやらないということになっているわけですよね。自治体は真剣に向き合っていますよ。こうした規制緩和を厚生労働省が対策なしに推進していくというのは、やはり問題があります。

 私、小規模保育所の当事者の声を伺いました。少し紹介したいと思います。

 小規模保育所の運営者ですけれども、就学前までに身につけるべき力が育てられるのかという懸念がある。幼児は集団の生活の中で成長していくが、その保証ができない。小規模に入れてしまうということで、安上がりの詰め込みになる。本来は保育所での生活を保障すべきだ。こういう意見です。

 保育園の施設長にもお伺いしました。二歳児までは一人で遊ぶ、あるいは少人数の集団で遊ぶことが多いんだけれども、三歳児からはごっこ遊びがふえていく、何々ごっこですね。それで、集団での活動が主体になっていくけれども、この保証ができるかどうかわからない。昼寝の時間も違う。お昼寝は、二歳児までは幼児とは全く違うわけで、三歳になったら少し早く起きて、そして活動が活発になるということであります。

 十名程度の小規模B型の小規模保育所で働く保育士さん、この方は、三歳児以上を複数で受け入れるというのはなかなかしにくいのではないかとおっしゃっています。

 また、小規模保育所に子供さんを預ける保護者の方です。心配なことは、ワンフロアで狭いので、これは先ほど御答弁があった、いわゆる都心のビルの一室ですよね、部屋を分けることができないといったところで、動きの活発な三歳児が入ってくると、二歳以下の幼児にとっても、三歳以上の子供にとっても、双方ストレスになっていくのではないかと親御さんが言っておられるわけなんですよね。

 こうした声に対して、厚生労働省、耳を傾けておられますか。こういう声が上がっていることは御存じですか。お答えいただきたいと思います。

吉本政府参考人 これまで二歳以下の児童を預かる事業だったところが三歳以上の児童を預かるということで、さまざまな御懸念の声があろうかというふうに思いますが、それにつきましては、きめ細かく、先ほど申し上げましたことと重なりますけれども、それぞれの年齢によりまして、ただいま御指摘がございましたように、生活のパターンでありますとか、また遊びの種類、あるいは学ぶこと等々が違ってくるということでございますので、それぞれの発達の状況、段階に応じて適切に支援できるようにしていきたいということで考えているところでございます。

田村(貴)委員 先ほどの話の続きですけれども、ゼロ―二歳児にとっても、それから年長さんに当たっていく三、四歳、五歳が一緒になっていく、しかし、その居住空間、小規模保育所は面積が限られている、ビルの一室である、部屋を区切ることができないといった中に無理やり入れるということは余り、保育の質上、いいことではないというふうに思いますけれども、そういうことを、やはり詰め込みにならないように、そして子供の保育に影響が及ばないようにするためには、どうしたらいいんですか。この設定の中で、この仕組みの中で三歳児以上を受け入れる、そして箱物については一定限られている、その大きな矛盾については、厚労省はどうしたらいいと考えていますか。

吉本政府参考人 お答えいたします。

 お話し申し上げたのは最低基準でございまして、まあ基準でございまして、その中でどのように異年齢の子供たちをきちんと保育していくことができるか、それについては、さまざまな場所の状況等が違いますでしょうから、その現場現場でしかるべき適切な判断をなされていくように、私どもも先ほど来申し上げておりますような配慮をきちんと促していきたいというふうに考えております。

 今回のこの事業でございますが、改めて申し上げるまでもございませんけれども、今回は特に、特区の中で、三歳以上の、三歳の壁があって、そこの受け皿確保が困難だというような指摘もあることからの、特区内に限った限定的な事業ということでございます。

 その範囲内でできる限りの先ほど申し上げたような配慮をしていただきながら、適切な質の保育が提供できるように促してまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 いろいろ工夫はされているかもわかりません。しかし、保育室をパーティションで区切るとか、あるいは保育室の利用の仕方を工夫するとかしておくことをやっても、限界があります。

 厚労省の保育所保育指針では、三歳以上の子供の保育に関し、「三歳以上児については、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。」とされているではありませんか。ここに基づくならば、今度の設定は無理があると思います。

 保育の質を後退させてはなりません。待機児童解消というのであれば、公立保育所の増設、公営保育所の増設、保育士の処遇改善とその増員で行うことが筋ではないでしょうか。そのために、自治体への国の財政支援を抜本的に強化していく、これが今一番大事ではないかなと思いますけれども、いかがですか。

吉本政府参考人 待機児童解消につきましては、こうした状況を、保育事業のみならず、通常の認可保育所も当然含めて、その受け皿の拡大を図るべく、ハードの整備も行っておりますし、それを加速化して行っておりますし、それを担うための保育人材の確保といったことも力を入れてやっているところでございます。

 そうしたさまざまな方策の中の一つとして、特に都市部におきましては待機児童の問題が大きく、三歳の壁もある。三歳以上についてはその連携施設を確保していただくということになっておりますけれども、それも困難な事情がある。三歳以上の受け皿もやはり不足している状況がある。そういったさまざまな事情から、今般、特区の中でこうした事業もあわせて活用することによって、待機児童の解消を図っていこう、そういう趣旨でございます。

田村(貴)委員 元気な子供たちが自由に走り回れる、そういう園庭もない、保育士さんの数も少ない、そういう状況はあってはならないというふうに思うわけです。

 そして、何度も言いますけれども、待機児童解消というのは、大事なのは、やはり公設の保育所をちゃんと増設していく、そして保育士さんの増員とその処遇を改善していく、このことにやはり政府は一番頑張らなければいけない、このことを指摘して、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十九分散会


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