衆議院

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第5号 平成30年3月20日(火曜日)

会議録本文へ
平成三十年三月二十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 加藤 寛治君 理事 後藤 茂之君

   理事 新藤 義孝君 理事 牧島かれん君

   理事 山口 俊一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 下条 みつ君 理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    池田 道孝君

      石原 宏高君    大西 宏幸君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      神田 憲次君    小林 茂樹君

      左藤  章君    田中 英之君

      平  将明君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    長坂 康正君

      平井 卓也君    古川 禎久君

      穂坂  泰君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    義家 弘介君

      渡辺 孝一君    武内 則男君

      長谷川嘉一君    堀越 啓仁君

      松平 浩一君    白石 洋一君

      寺田  学君    緑川 貴士君

      渡辺  周君    太田 昌孝君

      浜地 雅一君    篠原  孝君

      宮本 岳志君    谷畑  孝君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          梶山 弘志君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         大村 慎一君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        山崎 俊巳君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        青柳 一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        田川 和幸君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        高橋  淳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     宮路 拓馬君

  長坂 康正君     穂坂  泰君

  義家 弘介君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     長坂 康正君

  三谷 英弘君     義家 弘介君

  宮路 拓馬君     金子万寿夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案(内閣提出第五号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官・内閣府地方分権改革推進室次長大村慎一君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補末宗徹郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進事務局審議官山崎俊巳君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長松尾泰樹君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、内閣府地方創生推進事務局審議官青柳一郎君、内閣府地方創生推進事務局審議官田川和幸君、内閣府地方創生推進事務局審議官高橋淳君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀越啓仁君。

堀越委員 立憲民主党・市民クラブの堀越啓仁でございます。

 本日は、諸先輩方に格段の御配慮を賜りまして、地方創生委員会の中で初質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、早速法案に入りたいところなんですけれども、ぜひ、今回露見いたしました財務省の決裁文書の改ざん問題について大臣の見解をお伺いしたいというところでございますので、よろしくお願い申し上げます。

 今回、財務省によります公文書の改ざんの件、とりわけ行政府が虚偽の資料を国会に提出して、虚偽の資料をもとに一年にわたって国会の議論がなされていたということについて、梶山大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。まず一点、お聞かせください。

梶山国務大臣 御指摘の件につきましては現在財務省において調査中でありますけれども、行政機関の意思決定の基礎となる決裁文書について書きかえが行われ、更にその文書が国会に提出されたということについては、公文書への信頼、そして行政全体への信頼を揺るがしかねない行為であり、極めて重く受けとめております。

 本件については、国民の皆様から厳しい目が向けられていることを真摯に受けとめ、なぜこのようなことが起きたのか、財務省において、全容を解明するため、速やかに調査を進めていくことが重要と考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 まさしく本当にそのとおりでございまして、やはり行政の信頼、あるいは公文書そのものの信頼が揺らぐ大きな事件であると思います。

 この件に関して、私、梶山大臣始め、地方創生にかかわる官僚の皆さんを大変信頼させていただいておるわけでございますが、その上で質問させていただきたいんですけれども、もし仮に大臣の所管の内閣府でこの問題が起こった場合、どのように対応するのが望ましいと考えておられるかという点についてでございます。

 先ほど御答弁いただいたとおり、財務省が財務省のことを調べるということになっておりますが、私はこの点に関して疑問、違和感を感じるわけでございまして、この件に関しての大臣の御見解をまずお伺いいたしたいと思います。

梶山国務大臣 決裁文書の書きかえは、先ほど申しましたように、公文書への信頼、そして行政全体への信頼を揺るがしかねない行為であり、極めて重く受けとめているというのが大前提であります。

 行政文書の管理につきましては、各行政機関の業務プロセス等を最もよく理解する当該行政機関において、みずから定める行政文書管理規則にのっとって責任を持って行うものであり、みずから点検等を通じて把握し、必要があれば適切に対応していくことが重要であります。仮に私どものところで問題が生じた場合にも、当該行政機関において調査を通じて全容を解明し、再発防止を実行することがまず重要と考えております。

 財務省において今調査を進めているところでありまして、さらに、検察による調査が行われていると承知をしているところであります。

 公文書の管理に関しましては、法律があり、そのもとでガイドラインがあり、そしてガイドラインに基づいて今各省庁の行政文書管理規則が定められているということでありますが、昨年暮れにガイドラインが決められて、今各省庁の行政文書管理規則が公文書管理委員会のチェックを受けているところであります。そして、その答申を受けて、答申が是か非かということで今議論をしているところでありまして、それらを受けて、四月一日から、新しい規則のもとにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

堀越委員 ありがとうございます。

 公文書というと、一番先に私が頭に浮かぶのが公文書管理法というものでございまして、私、地元は群馬県でございます。群馬県が生み出しました内閣総理大臣の一人であります福田康夫元内閣総理大臣がこの公文書管理法を制定されたということを承知しておりますが、この公文書管理法の第一条には、やはり公文書というのは国民共有の知的財産であり、そして民主主義の根幹である、そしてこれを、国民に説明責任を果たすためにしっかり管理しなければいけないということが記載されている。

 この件に関して、やはり福田元総理の行われた尽力というのは大変なことであったと思うと同時に、この公文書管理法が今回余り機能していない、あるいは更に厳格化が必要だということに対して、私は非常に強くそういったことを思っているわけですので、今後とも、今回、財務省によります公文書の改ざんがなぜ、誰のために、何のために行われたのかということの原因究明を、与野党一体となってしっかり明るみに出していくこと、これが私は民主主義の根幹を揺らがせないためにも重要なことだと思っております。ぜひ、皆様と一緒になって尽力をしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 そうしましたらば、最初に法案に関する質問をさせていただきたいと思いますが、いわゆる地方大学産業創生法案、次に地方再生法の一部を改正する法律案について、それぞれ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、平成二十六年十一月にまち・ひと・しごと創生法が公布、施行されて以来、東京一極集中を是正すべく、政府や地方においては地方創生に関するさまざまな施策が行われてきました。しかし、平成二十九年においても東京圏の転入超過は約十二万人と、一向に改善の兆しは見えず、政府が目指す二〇二〇年における転出入均衡の実現は危ぶまれる状況です。

 そのような中、政府は、いわゆる地方大学産業創生法案という、地域における大学振興、若者雇用創出のための交付金制度、特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制、そして地域における若者の雇用機会の創出等といった主に三本柱から成る法案を今国会に提出いたしました。

 そこで、最初に、新たな交付金制度について伺いたいと思います。

 確かに、東京圏に転入する人々の大半は進学又は就職により上京する若者たちでありまして、これによって地方の担い手がいなくなることで地方そのものが疲弊していく、このため交付金制度が必要だということは、当然ですが理解をいたします。

 さて、今回のこの交付金は、まず、地方公共団体が、内閣総理大臣が定める基本指針に基づき、地域の中核的産業の振興や専門人材育成等に関する計画を作成し認定をするとしています。計画の認定は、当該計画の実施が当該計画の区域における若者の修学及び就業の促進に相当程度寄与するものであると認められることを基準の一つとして行うものとされておりますが、この相当程度寄与するものと認められるについて、どのような客観的な基準が設けられているのか。

 また、いわゆる加計学園の問題におきまして、内閣府の国家戦略特別区域諮問会議等における審査の不透明性というものが繰り返し指摘されてきたという背景を鑑みまして、やはり交付金の大もとは国民の税金でありますので、このことを鑑みて、審査の透明性はやはり重要な、確保するためには重要な点と考えております。

 本法案において、計画の認定プロセスを始めとして、地方創生に係る交付金において審査の透明性をどのように確保していくのか、見解をお伺いしたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の新たな交付金の申請に当たりまして、地方公共団体が策定する計画におきましては、御指摘のとおり、若者の修学及び就業の促進に相当程度寄与するものということを設けているところでございまして、この観点からは、その計画の地域内における産業の雇用者数の増加数あるいは地元就職者、起業数、これをKPIとして設定することといたしております。

 プロセスの透明性に関してでございますけれども、内閣総理大臣が策定する基本指針において審査における評価基準を定めることと考えておりまして、例えば自立性ですとか地域の優位性、それから先ほど申し上げましたKPIの実現可能性、こういったところを評価基準として明確にしてまいりたいと考えております。

 それについて、専門性を有する外部の有識者で構成する委員会を設置することといたしまして、その委員会が書類審査それから現地審査、さらに面接審査という多段階の審査を行うことによりまして審査の透明性を確保してまいりたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 公平性、妥当性の観点から、透明性の高い判断基準は確実に求められるというふうに思っております。

 先ほどおっしゃっていただいた委員会で現地調査、書類調査あるいは面接調査等々、こういったプロセスをしっかり経ていただいて、やはり国民が不信感を抱くことにならないように地方創生というものを進めていかなければいけないというふうに考えておりますので、ぜひ、その辺、透明性の高いものを用意していただければというふうに思います。私も、このあたり、引き続き調べ、そして注視をさせていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、地方創生に関する交付金に続いてなんですけれども、内閣府がことし一月に地方創生に関する都道府県・指定都市担当課長説明会において提示した「地方大学・地域産業創生交付金等の取扱い(案)について」によれば、初年度における交付金の認定件数は十件程度とされております。文科省の学校基本調査によれば、本年度の大学数は国公立合わせて七百八十校あり、認定に合格するのはかなり狭き門のようでございます。

 この狭き門をくぐるに当たり、地域的な状況を配慮する旨が法案内にも、そして提示された取扱案にも盛り込まれていないため、計画が認定される地方公共団体が特定の地域に偏る懸念があると考えております。

 そこで、質問なんですけれども、まち・ひと・しごと創生法の第一条に、その目的として、「それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくため」と明記されている点、また、有識者会議最終報告においても、「東京一極集中の加速化を市場原理の成り行きに任せて看過するのではなく、行政が適切に関与し、国全体の発展を促す必要がある。」と明記されている点を踏まえ、地域性は計画認定の基準として考慮するつもりはないのか伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の交付金でございますけれども、これは、知事がリーダーシップを発揮した上で、地域が一丸となって、産官学の連携によりまして、地域の中核的産業の振興と専門人材の育成、その両面からすぐれた取組を重点的に支援するという考えでございまして、そのようにしっかり取り組んだところを応援することによって、魅力度を増して、その大学が日本全国あるいは世界じゅうから学生を集めるような、きらりと光る地方大学づくりを目指していこう、そういう趣旨でございます。

 したがいまして、この交付金については、それぞれの地域がその特性を踏まえて、例えば先端科学、あるいは農業、観光といった中核的産業として振興する分野を定めた上で、先ほど申し上げましたけれども、地域が一丸となって本気で改革に取り組むようなすぐれた取組を採択する、これを第一義に考えておりますので、必ずしも地域的なバランスを考慮して採択するということは想定していないところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 地方創生とは大学の振興だけではないとはもちろん思いますので、この辺に関してはそうなんだろうというふうに思いますが、やはり、隣の芝は青く見えるではないですけれども、他県でやられている取組が非常にまぶしく目に入ってしまう点がございまして、そういった地域の偏り等々が生じ得ないかというところに関して懸念をさせていただいているものですので、我が県群馬県にとってもこれが大きく進むように、県内への働きかけも含めて注視をさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、特定地域、すなわち東京二十三区内の大学等の学生の収容定員を法律により規制したことについて伺いたいと思います。

 かつて東京圏では、一九五九年に、主に東京都区部における人口の増加による都市環境の悪化を防ぐためいわゆる工場等制限法が制定され、これによって、工場のほか、多くの大学が郊外に移転せざるを得なくなりました。しかし、この法律は、平成十四年、少子化の進行に伴う若者の人口の減少等により、有効性や合理性が低下したとして廃止された経緯があるはずです。

 当時の国会の会議録を見ますと、政府は、今後大都市への学生の再集中というのは想定しにくいとの答弁を行っております。その後、郊外に移転した大学が学生の確保や大学の競争力向上のため都心回帰の流れを見せた中で、今度は二十三区内の定員抑制を行おうとしています。結果として、その時代時代の政府の政策に振り回されているのが現場の大学なのではないかなというふうに感じるわけでございます。

 そこで、本法案に係る定員抑制は大学の自主性、自律性に再度制限をかけることになるとの指摘がございますが、その有効性や合理性について伺いたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の東京圏、特定地域の規制についてでございますけれども、今回、その趣旨は、今後十八歳人口が大幅に減ることが見込まれております。具体的には、二〇一六年、約百二十万人が、二〇四〇年には約八十八万人に減少するということが見込まれているわけでして、今後も条件の有利な東京二十三区の定員増が進み続けますと、東京一極集中がますます加速してしまう。また、東京の大学の収容力が拡大する一方で、地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じ、地域間で高等教育の就学機会の格差が拡大しかねないと考えておりまして、このようなことから、特定地域について大学の定員抑制を講じようというものでございます。

 しかしながら、この措置につきましては、一つには、十年間の時限措置とすることとしております。また、二つには、例外措置といたしまして、国際化のニーズを踏まえて、留学生や社会人の受入れを例外とすること、また、スクラップ・アンド・ビルドによる、時代に合った最先端の学部、学科を新設できることとする、そのような例外措置を設けておりますので、大学の自主性にも十分配慮した内容になっているものと考えております。

堀越委員 時限措置、あるいは留学生や社会人の例外措置、こういったことに関しては、私もそこは安心しているところでございますけれども、ただ、そうはいいましても、過去の経緯は過去の経緯として残っているということでありますし、やはりそれを繰り返さないようにしていくということは十分必要なことだと思っております。

 あと、私、個人的にといいますか、広く考えていかなければいけないというのは、地方創生そのものに、やはり大学と工場というもの等々をセットで考えていく、大学と地方創生そのものは私は切り離してそろそろ考えてもいいのかな、十八歳人口の減少等々も含めて考えていく必要があるのかなというところを考えております。

 その上で次の質問に入らせていただきたいんですが、定員抑制と地方創生の間に明確な対応関係があるのかということについて質問をさせていただきます。

 進学時に東京に若者が集まるから二十三区内の定員を抑制しようというのは少し疑問を感じるところでございまして、大学には学問の自由がある、学生には学びたいところで教育を受ける権利というものがあると承知しています。定員抑制は、これらを制約する懸念があると考えます。また、定員抑制は、大学の自主性、自律性だけでなく、実際の経営、さらには大学自体の存立にも影響を及ぼすおそれがあるとの指摘もあります。このような重大な問題を引き起こすおそれがあるからこそ、定員抑制と地方大学の振興等との間には明確な対応関係がなければいけないというふうに考えております。

 そこで、政府は、二十三区内の大学の定員抑制を行えば若者が地元で進学し就職する傾向が高まる等の具体的な調査結果をもとに立案を行ったのでしょうか。この件に関して説明を求めたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の定員抑制を行うに当たりましては、いろいろな議論を行いましたし、かなりの調査分析を行ってまいりました。

 具体的に申し上げますと、まず、二〇〇〇年から二〇一五年の間で、地方の若者が約五百三十二万人、約三割減少をしております。また一方で、御案内のとおり、東京圏への転入超過数、二〇一七年で約十二万人ということで、それも、そのほとんどが若者という現状でございます。

 また、将来予測でございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、十八歳人口が大幅に減少することが見込まれておりますので、このままの状況が、東京二十三区の定員増が進み続けますと、東京の大学の収容力が拡大する一方で、地方大学の中に経営悪化による撤退が生じて高等教育の就学機会の格差が拡大しかねないということであります。

 具体的な数字で申し上げますと、大学の学生数の分析でございますけれども、一つ目には、東京二十三区のみで現在四十六・三万人の学生が集まっておりまして、既に全国の学生数の一七・九%を占めております。

 また、二〇〇二年、先ほど委員が御指摘をされた工場等制限法が廃止された二〇〇二年から二〇一七年の間で、東京二十三区の学部学生数は八万人増と増加傾向を続けておりますので、このようなことが明らかになりましたので、二十三区の大学の学部定員抑制を行うこととしております。

 また、加えまして、今回の抑制に当たりましては、地方六団体の方から、二十三区の現状に鑑みて抑制をしていただきたいという要望もいただいているところでございます。

 以上のような現状を踏まえて、この定員抑制によりまして、学生が現状以上に東京二十三区に集中することに歯どめをかけるという効果が見込まれると考えております。

 それに加えまして、新たな交付金制度によってきらりと光る地方大学づくりを進めることによりまして、若者の東京圏への転入超過、これを緩和する効果を期待しているところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 やはりデータに基づいた法案というのは、当然ですけれども、必要だと思います。

 私も作業療法士というリハビリテーションの現場で、医療や介護の現場で十二年間勤務をさせていただいておりまして、学会等々での発表の際にはやはり調査研究等々をするわけでございまして、やはりその大もとになるデータがしっかりしていなければ、我々が行っている治療が効果があったのかどうかということに対しての信頼性が揺らいでいってしまうものでございます。

 今回調査されたその経過、二〇〇〇年から二〇二五年のかなり長い期間にわたりいろいろな調査をされてきているんだとは思うんですけれども、やはりこれは人間の行動にも関係することだと思いますので、そのときそのときで若者がどう捉えるのか、今の社会自体をどう考えて、自分がどう将来動こうとしているのかということに関しても大きな変化がある、生じると思っておりますので、今回はこういった抑制の措置ということに動くことになるとは思うんですけれども、今後、これが経過していく中での評価もしっかり行っていただいて、柔軟な対応を、ぜひ、地方創生に係る事業でございますので、取組をしていただきたいということをお願いさせていただきたいというふうに思います。

 続いて、法律案名の一部をなしている地域における若者の雇用機会の創出等に対する国の関与があくまで努力義務というのは、政府の取組姿勢、意識として不十分ではないのかなと考え、質問をいたしたいと思います。

 有識者会議の最終報告には、定員抑制が採用された経過として、「東京一極集中の加速化を市場原理の成り行きに任せて看過するのではなく、行政が適切に関与し、国全体の発展を促す必要がある。」こと、また「地域間の大学定員の収容力の格差が大きい中にあって、全国的に見た大学の適正配置や就学機会の格差是正といった観点から、行政が適切に関与することが必要である。」ことが明記されているなど、行政が適切に関与することにより、東京の一極集中を是正し、地方大学の振興を図る考えが示されています。

 そこで、定員抑制は本法案に規定されておりますけれども、若者の雇用機会の創出等に対する国の関与が努力義務にとどまっている理由をまず伺いたいと思います。そして、そのことを踏まえまして、今後、若者の雇用機会の創出等に向けて、政府として具体的にどのような取組を加速していく必要があると認識しているのかということについてお伺いをしたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 定員の抑制につきましては、先ほど申し上げました必要に鑑みまして大学設置者に対してその抑制を義務づけているところでございますけれども、御指摘の雇用についてでございますが、法案の第十五条で地域における若者の雇用機会の創出については努力義務というふうにしているところでございますけれども、これは、地方公共団体と連携しながら国が取り組むとしておりますので、地方団体の自主性、自立性を尊重する必要があるという性格から、努力義務にしているところでございます。

 また、その中身でございますけれども、大きく二つございます。一つは、若者の雇用機会の創出、二点目には、地域における適職の選択を可能とする環境の整備などの施策から成っております。

 最初の若者の雇用機会の創出については、地域の強みを生かした産業、雇用の創出を地方創生推進交付金等によって支援すること、二つ目には、地域経済を牽引する企業を支援すること、三つ目には、良質な雇用の場を創出する本社機能等の移転を税制措置で取り組んでいくことなどでございます。

 また、二つ目の地域における適職の選択を可能とする環境の整備につきましては、アウトリーチによる企業相談など、働き方改革の推進により職場の魅力の向上を図ること、また地元出身の学生を対象とした中小企業でのインターンシップを実施すること、また大企業等の東京本社一括採用の見直しを促すための普及啓発を図ること、さらには地元企業等に就職した若者を対象とした奨学金返還支援制度の全国展開を図ること、こういった取組を国と地方が連携して取り組んでいきたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 努力義務にとどまっている点について、地方団体との連携、そして地方公共団体の自立性、主体性を重視してという理解をさせていただきました。

 地域で求められている若者のニーズ、当然ですけれども多様でございまして、工業地域に求められるところとか、もう少し地方でいけば、さらに文化、伝統に求められるということですとか、あるいは中山間地域におきましては、高齢化率が非常に高くなっているところにおいては福祉、医療のニーズというのが当然上がってきているというところでありまして、若者の雇用というところに関しては、やはり適職というところが私は大きな課題になってくるのかなというふうに思っております。

 こういったところが大きく寄与、進めていくに当たって、ある程度の行政による介入というのが必要になってくる部分もあるのかなというふうに思っておりますので、こういった質問をさせていただきました。

 それでは、次の質問に移らさせていただきますけれども、もう一つの法案、地域再生法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 今回、地方創生推進交付金に関する改正は行われませんが、本改正案によって創設又は拡充される支援措置の活用に当たり、地方創生推進交付金を活用した事業をあわせて実施することで事業の相乗効果が期待されると考えて、あえて質問をさせていただきたいと思います。

 先日の大臣所信に対する質疑でも取り上げられておりますけれども、地方創生推進交付金は、地方創生の目玉政策として平成二十八年度に創設されましたが、自由度が低く使い勝手が悪いため、地方に使ってもらえず、平成二十八年、二十九年度と二年連続して四百億円前後の大幅な未執行額が発生していると承知しています。

 地方六団体の要望にもあるように、地方創生推進交付金については、地方団体ごとの事業数や交付上限額の目安の撤廃、要件の緩和など、その内容や規模について地方の意見等を十分踏まえるとともに、地方創生のさらなる深化や取組の全国展開に向け、地域の実情を踏まえた、自由度の高い、より使い勝手のよいものにすべきではないかなというふうに考えております。

 今のところ、地域の実情を踏まえていないことが数字上明白ですから、今後、地方創生推進交付金のさらなる運用の弾力化が政府として難しいのであれば、このまま続けるよりも、いわゆる一括交付金を復活した方が私は真の地方創生になると考えておりますが、見解を伺いたいと思います。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地方創生交付金につきましては、平成二十八年度、二十九年度におきまして執行残が発生しております。いずれも、早期執行を求められる補正予算を優先して執行した結果であると考えております。

 地方創生推進交付金につきましては、地方六団体から、地方創生推進交付金等の継続実施、また交付金額の上限設定や対象経費など制約の大胆な緩和、また施設整備事業等に係る要件の緩和、事業の早期着手などの要望が寄せられているところでございます。

 これらの要望等を踏まえまして、これまで、必要な予算額の確保や、ハード事業割合の緩和や、交付上限額の引上げを行ってきたところでございます。

 平成三十年度におきましては、特に地方からの要望が強くありました、年度当初からの事業執行が可能となるように交付決定時期の早期化を図るなど、大幅な運用の弾力化を行ってきております。

 引き続きまして、こうした運用弾力化の取組を通じ、熱意を持って地方創生に取り組む地方公共団体において地方創生推進交付金の積極的な活用が図られることを期待しております。

堀越委員 地域単位で地方創生に係る要望、当然多様だとは思います。その地域地域によってまた違うというところでありますので、地域が、地方が独自の力を発揮できる交付金のあり方は必要だというふうに考えておりますので、自治体のニーズを含めて地方のニーズをしっかり聞いていただき、そして交付金のあり方をそういう使い勝手のいいものにどんどん変えていっていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、地方拠点強化税制の実績に係ることを伺います。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、企業の地方拠点強化に関するKPIとして、平成三十二年までに、1本社機能の一部移転等による企業の地方拠点強化の件数を七千五百件増加、2地方拠点における雇用者数を四万人増加という目標を掲げております。

 しかし、企業の地方拠点強化を行う事業者による整備計画の認定数は平成三十年一月末の時点で二百二件、これによる雇用創出数は約一万人にとどまっている現状があります。しかも、地方拠点強化税制の実績は、平成二十七年度と二十八年度の二年間で、オフィス減税は二十四件、雇用促進税制は十二件と、非常に寂しい状況であります。

 このように企業の地方拠点強化の実績がKPIを大きく現在下回っている状況で、このことについて、この原因をどのようにお考えになられているのかという点と、また、平成三十二年度までにKPIを達成することが果たしてできるのかということについての政府の見解を伺いたいと思います。

田川政府参考人 お答え申し上げます。

 地方拠点強化税制の活用の前提となります、事業者が作成をしました本社等の特定業務施設の整備計画の認定件数でございますが、本年一月末で、東京二十三区から地方への本社機能の移転を行う移転型事業については十九件、地方において本社機能を拡充する拡充型事業につきましては百八十三件の合計二百二件となっているところでございまして、この計画において、雇用創出でございますけれども、合計で九千九百八十九名の雇用創出が計画されているところでございます。

 特定業務施設の地方移転あるいは拡充につきましては、社内での意思決定及び計画認定の取得、さらには具体的な工事着手から実際の移転までに一定の時間を要するということから、検討から認定取得、税制の適用までにはタイムラグが生じるということでございます。

 現時点までに実績としてあらわれている件数は少なくなっているというところでございますが、今後、認定を受けた事業者の整備計画が自治体の地域再生計画どおりに進みますと件数の実績も上がるものと期待をしているところでございます。

 さらに、今般の地方拠点強化税制の改正におきましては、小規模オフィスの移転、拡充などが対象となるよう、雇用等の要件の緩和、そして、移転型事業に限り、近畿圏中心部及び中部圏中心部を対象地域に追加するなどの制度拡充を講じているところでございます。

 これらの制度拡充や、事業者、地方公共団体に対するさらなる周知活動を通じまして、引き続き目標達成に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

堀越委員 現在のところKPIを大きく下回っているというところでございまして、これから伸びていくということでございますけれども、かなり幅が広いものですから、こちらも達成可能になるように、私もこれから引き続き注視をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、地方拠点強化税制のうち、移転型事業について伺います。

 政府は、本社機能を東京二十三区から地方に移転する移転型事業について、東京一極集中の是正に直接的に効果があるとして、拡充型事業の場合よりも深掘りした税制優遇措置などを講じています。

 それにもかかわらず、認定地域再生計画における移転型事業の目標数二百八十件に対し、移転型事業に係る整備計画の認定数はこの二年間で十九件、これによる雇用創出人数も四百三十九人にとどまっております。このような現状で、移転型事業は東京一極集中の是正に本当に効果があると言えるのかということ。

 また、本改正案は、平成二十七年の改正地域再生法の附則第三条の検討規定を受けて移転型事業の支援対象地域の拡大等を行うものと理解していますが、移転型事業について、地方拠点強化税制の実際の適用状況、本社機能の移転先及び移転した施設の別などが公表されておらず、移転型事業に係る企業の動向が必ずしも明らかになっているとは言えないのかなというふうに思います。

 そこで、これらの状況をどの程度把握し、どのような検討を行ったのか、政府の見解を伺いたいと思います。

田川政府参考人 お答えいたします。

 本社機能の地方移転につきましては、先生御指摘のとおり、移転型事業については十九件にとどまっているところと認識をしておりますが、これにつきましては、先ほども申しましたけれども、社内での意思決定及び計画認定の取得、これに加えましてやはり社員の転勤などの調整も必要になってくるということでございます。こうしたことから、移転型事業については十九件にとどまっているというふうに認識をしているところでございます。

 まだ道半ばではございますけれども、今後、自治体と連携をいたしまして、自治体が実施いたします企業誘致セミナーなどのPR活動、あるいは政府広報、各地域の財務局、経済産業局、税理士会等を通じた企業への情報発信に積極的に取り組むことで、まずは企業による地方拠点強化の促進を図っていきたいというふうに思っております。

 また、今回の移転事業の支援対象地域の追加の検討についてでございますけれども、具体的には、人口の動態あるいは企業動向の動きといったものも踏まえた検討を行っているところでございます。

 人口については累次御説明をしているところでございますが、東京一極集中は依然として継続をしている、さらに、東京圏への人口流入の上位一位、二位を大阪市、名古屋市が占めるということで、近畿圏、中部圏の中心部から東京圏への人口流入というものが東京一極集中の要因の一つとなっているということ、加えまして、この地域から東京圏への転入超過数が制度創設時よりも増加傾向にあるということがございます。

 さらに、企業の移転の動向につきましては、民間調査会社の調査によりますと、東京圏への企業の本社の転入超過数というのは増加傾向にあるといったことを踏まえて検討を行ったものでございます。

 こうした人口動態、企業の動向とともに、全国知事会を始めとしまして地方の意見を踏まえまして、今回、移転型事業に近畿圏中心部、中部圏中心部を対象に追加をしたということでございます。

堀越委員 この移転型事業というのは、やはり企業側が、どう自分たちのやっている仕事とあわせて、地域へ、外に出ていくかということに関しては、やはり先ほどお話しいただいたように、職員の転勤の件も含め、あるいは交通網、公共交通機関の交通網を重点化させて議論する点にあると思いますので、なかなか難しい点もあるとは思いますが、やはり一極集中を是正するために取り組んでいただきたいというところでございます。

 もう時間もあと少しになってしまいましたので、最後、一点だけ質問させていただきます。

 商店街の活性化促進事業についてなんですけれども、今回、商店街の活性化については全国各地、どこでも取組がなされておりまして、私の地元群馬県でも当然ながら大変な問題となっておりますし、シャッター街というのはたくさんふえているわけでございますけれども、空き店舗がふえていく中で、所有者等に利活用を促すため、指導、助言、勧告等の手続を整備することと本改正案はしているわけでございます。

 この点、まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、これらの措置を踏まえ、「計画達成に向けた利活用に協力が得られない居住実態のない空き家兼空き店舗等にかかる固定資産税の住宅用地特例を解除できる仕組みの構築を目指す。」とされておりますが、この改正案の中には固定資産税の住宅用地特例の適用対象外とすることについての条文が見受けられないというところについて、このことについて何らかの根拠条文を規定しなかった理由というのをちょっとお伺いをしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、市町村が中心となりまして住民や事業者などから意見を聴取して、いわば地域の総意として目指すべき商店街のあり方を定めた場合にその実現を支援しよう、こういう内容になっております。

 例えば、事業者の資金調達を支援いたしますとか、地方創生交付金を始めといたしまして、関係省庁の関連予算を一体的に支援するというようなことを予定しております。こうした中で、空き店舗を活用いたしました新たな事業の取組などにも支援を行いまして空き店舗の解消が進められていく、そういうことを想定しております。

 御指摘の固定資産税の特例解除でございますけれども、市町村などからのさまざまな支援措置にもかかわらず空き店舗の活用が進まない、こういう場合には、商店街活性化促進事業計画に従った活用をまず要請いたします。そして、相当期間が経過をいたしました後でも正当な理由がなく要請を踏まえた措置が講じられておらず、居住の実態もないということが確認されまして勧告に至った建築物につきましては、これは固定資産税の住宅用地特例の対象外ということになりますので、現在の法律の運用におきまして固定資産税の課税をする、こういうことにしております。

堀越委員 済みません。質問時間が終了しましたので、一言だけ。

 固定資産税の例外措置の特例解除、シャッター街の中で頑張っているお店さんに言わせると、これはちょっと見直した方がいいんじゃないかということでありましたので、今回こういうふうに盛り込まれていること、このことは大きく前に進めていいんじゃないかなというふうに思っておりますので、今後とも、地域の活性化のために、私も商店街の中で生きてきた人間でございますので、注視をさせていただきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 ただいま御指名をいただきました、私は立憲民主党・市民クラブの長谷川嘉一でございます。

 きょうは、初質問ということで緊張しておりますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 また、地方創生ということもございますので、私の地方における歩みをちょっと御案内させていただければというふうに思っております。

 私は、平成三年に、群馬県太田市の市議会議員を一期務めさせていただきました。その後、群馬県議会議員として務めた後、この十月に、今回、国政の場に参加をさせていただいたということでございます。

 その間の背景としては、平成三年でございますので、ほぼバブルの絶頂期で、皆さん、投機に浮かれていたという時代背景で、このままでは政治が、教育が、若者の心がよくないということで参加をしたのがスタートでございました。

 また、その年の十一月であったかと思いますが、ちょうど有効求人倍率にちょっと陰りが見え始めたという状況があって、平成四年の三月にバブルが崩壊ということが顕著になって、三年間、そういった状況が続いた後、その後また、時代は失われた二十年という時代に入った。

 一億総中流階級を我々も謳歌をして、将来の不安も全くなく、少子化の不安など全くなくやってこれたという時代を享受させていただいた世代でもございます。

 しかし、その後、大変時代は厳しくなりまして、この国における運営も大変厳しい中で、借金はウナギ登り、プライマリーバランスを均衡しなければいけないという大きな課題の前で、大変大きな壁の前で皆様方が懸命に闘っていらっしゃるということを地方議会として目にしてまいりました。

 その後、地方分権一括法で、道州制が議論されたり、あるいは権限移譲が叫ばれたりということで、県議会時代も、分権に向けて議会の活性化のために一生懸命仲間と一緒に努力したというのをついこの間のように思い出しております。

 そういう思いを持って、今回は国政の場で働かせていただくということは、本当にこの上ない喜びでありますし、拙い質問ではあるかもしれませんが、一生懸命務めさせていただきますので、よろしくおつき合い賜りたいと思いますので、お願いいたします。

 最初に、大臣にお伺いをさせていただきます。

 まず、今回、大臣の所信の中で述べられていらっしゃいます、「地方の活力なくして日本の活力なしとの強い思いで、安倍内閣は、地方創生に取り組んでまいりました。」ということで、ちょうどその中間年、五年の中の中間年ということで現在に至っているということで、ある面大きな節目、逆に、それだけの首相の強い思い入れからすると、この地方創生に関する特別会議のあり方が問われる時期でもあるのではないかと思っております。大変私もそれについて期待をしている人間として、質問に入らせていただきます。

 まず、このまち・ひと・しごと総合戦略のKPI検証に関する報告書を拝見させていただきました。大変細かい項目のものなので、一応目を通したけれども、なかなかこれが頭に落ちてこない、理解が進まないという状況の中で、この百二十件について、その検証結果を、1、2、3ということで検証した結果を見させていただきました。

 1が、目標に向けて進捗をしている、これが実は八十六件で、パーセンテージでいくと八八%、大変これはできのいい、すばらしい結果をお残しになっていらっしゃるということで、敬意を申し上げたいと思います。残り、十分に発現していないものが十二件、一二%。あとの、三番目でありますけれども、これは現時点で把握不可能なもの等が二十二件あるということでございます。

 これをどのように解釈するかということでありますので、八八%、すばらしいね、見直しの時期において、このまま進めればいいんじゃないか、さらにアクセルを踏んでいけばいいんじゃないかということもあるのかもしれませんけれども、この辺も踏まえての御答弁をお願いできればというふうに思っております。

 しかし、現実を見ますと、一番の課題である一極集中には歯どめがかかっていない。二〇一三年に十万人であった東京圏への人口流入が、実は二〇一六年には十二万人と、逆に二割膨れ上がってしまっているということで、歯どめがかかっていない状況があるということもございます。

 また、平成二十九年の十二月に内閣府地方創生推進事務局が作成していただいた資料によりますと、「「地方消滅の危機」の共有」という部分が資料の一部に小さく出ておりました。これは、「極めて重要な課題であるにも関わらず、」、地方創生についてですけれども、「最近では、」、地方自治体を中心とした方たちだと思いますけれども、「関係者の中で地方創生への熱意が薄れている、地方公共団体によっては危機意識にばらつきが感じられるとの指摘も出ている。」というふうな一文がきちっと正直に報告をされておりました。

 これが地域によっての実態の一つではないか、そうしてしまったのは、これに対する期待感をそがれてしまったという部分もどこかにあるのではないだろうかという思いもあるわけでございます。

 これらの状況は、創生の中間年である本年まとめられた重要業績評価指標で示されたものでありますけれども、1として、目的達成に向けて進捗しているもの、先ほどの繰り返しでありますけれども、これが八八%ということが、状況をきちっと把握し、評価している内容となっていないのではないかと私は思われてなりませんので、大変恐縮でございますが、この点についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 平成二十九年度は五カ年のまち・ひと・しごと創生総合戦略の中間年に当たることから、基本目標と各施策のKPI、重要業績評価指標の進捗状況について、外部の有識者によって構成をされる委員会に総点検を行ってもらったというのが現実であります。その結果として、実施した施策の大宗は一定程度進捗しておりますけれども、先ほど委員がおっしゃられたように、東京圏への転入超過が約十二万人ということで、これは更にまたふえてしまったということでもあります。

 いろいろな評価の項目がありますけれども、外部の方に見ていただいたという中で、もう一度、一七年の総合戦略に生かしてきたところでもあります。

 この転入超過については、結構大きな目標なものですから、これはしっかりと転出入が均衡するように、最初の目標をしっかり持ち続けるようにということが外部の有識者からの御意見でもありました。それらを実現するために、今ある政策について深掘りをしていく、さらに、新たな施策をしていく、そういうことも含めて、これからしっかりと残りの二カ年頑張ってまいりたいと思っております。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 外部識者の会議の評価というふうなこともございましたけれども、評価項目が余りにも多岐にわたっておりまして、我々が、先ほどの繰り返しです、見せられても、すとんと落ちてこない部分がございますので、それをこちらの方にお示しいただく以上、これについてもちゃんとした評価の解説みたいなものがいただけるとありがたいなというふうに思っております。

 それから、地方の期待感という部分について、もう一度触れさせていただきます。

 地方創生というのは、誰しも思っている共通の思い、共通のベクトルでありますから、国を挙げ、地方を挙げ取り組むべき。私も、やはり最大の課題、その重責を担っていらっしゃるということで、大変心中は重いものをお持ちだということは十分察して余りあるものがございます。

 ただ、それに関する財源が約一千億何がしというようなことと、あと、地方との連携をしての事業連携等々を考えると、与えられた財源、まあ権限は強大なものをお持ちだと思います、財源からすると、中央省庁横断的に、ここが間に入って地域の活力をしっかり引き出して、省庁間の縦割りの弊害にある部分をここで中和をして地方を活性化するという牽引車になっていただきたいという思いが私にはございますので、ぜひこの辺についても御要望だけを申し上げさせていただきまして、次の質問に移らせていただきます。

 これは先ほど繰り返した、東京一極集中が生じた根本原因を大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるかということで、本当にしつこい、重複してしまった質問になりますけれども、これはなかなか簡単ではない、根深いものがあるわけだと思います。

 特に、格差社会、それから、格差社会に象徴されるように、大企業優先ということはありませんけれども、大企業は非常に潤っている、しかし、そのトリクルダウンで中小零細企業は潤っていない。しかも、そこに勤務する七五%以上からの勤労者の実質可処分所得はふえていない。こんな現状があって、やむにやまれず地方はほとんどが廃業に追い込まれてしまっているところが大変多いわけであります。

 私の群馬県は、首都圏から私のところで約八十キロほどでありますから、湘南ライナーというのがありまして、それに飛び乗ると一時間ぐらいで新宿まで参る、池袋まで来られるという立地でありますけれども、そこですら商店街の疲弊が目に余る、そういった状況がありますので、ぜひ、根深いということは重々承知しておりますけれども、この辺については再度触れさせていただきたいと思います。

 一つに、私の生まれ育った町は群馬県太田市という、群馬県の東の隅の方で、もうちょっと先が館林市ということで、足利とか熊谷と近接した場所でございますが、ここの商店街の廃業が非常に目につきます。特に、余談を言って失礼でありますけれども、前回の消費増税がなされた後、急速に中小零細の商店が廃業してしまっているという状況が太田市には少なくともございます。

 そういった中で、実は活性化のためのいろいろな資金をお与えいただけるということでありますけれども、私の群馬県太田市、人口が二十二万ですから、地方の中都市だと思います。SUBARUという会社があって、非常に経済は潤っております。ただ、トリクルダウンは余り起きていないというところでありますけれども、この本町通り、昔からの例幣使街道という街道にあった本町通り商店街の組合が解散してしまいました。ですから、活性化事業の受皿となるところがもうない部分が太田市の中心商店街にはあるということも申し添えさせていただかねばいけないと思います。

 こうした状況は、恐らくは、県都前橋のオリオン通り、非常に不謹慎で恐縮でありますけれども、演歌で「前橋ブルース」は、「新潟ブルース」あるいは「柳ケ瀬ブルース」ほどは有名ではないんですけれども、そこで出てくる繁華街、オリオン通りという部分があります。ほとんどシャッター。ほとんど買物客がそこに集まっていない。立派なアーケード、商店街。これが、地方都市、県都の状況でもございます。こんなこともぜひ、一端ではありますけれども、御理解を賜れればというふうに思っております。

 こうした状況の中で、大臣はこの東京一極集中の根本原因をどのようにお考えになっていらっしゃるか、御所見をお伺いいたします。

梶山国務大臣 さまざまな理由が考えられると思います。

 転入超過の大半を十代後半、二十代の若者が占めている、十五歳から二十九歳までの若い方たちで大宗を占めているということであります。

 若い世代の大学等への進学、そして大学卒業後の就職の道筋が東京圏への移動のきっかけとなっているとまず考えられます。

 それとあわせて、東京に若者が集まってくる理由については、集積のメリットが働くことから、経済活動では、サービス業を中心とした効率性や情報入手の優位性、生活面では、利便性や多様な商品、サービスの選択可能性があると考えられます。

 また、大学や本社機能が東京に集中しており、教育や雇用などの面においても若者を引きつけていると考えられております。

 ただ、東京の生活が、東京や大都市の生活がその人にとって幸せかということを考えていきますと、地方の方が、同じ給料でももっと豊かに暮らせるかもしれない、また家族との時間を持てるかもしれない、そういうことも含めて、価値観を変えていくことも地方創生の考え方の一つであると思っております。

 委員から今商店街の話が出ましたけれども、全国どこも、商店街の再生というのは大きな課題であろうと思います。時代の進展により、交通機関の発展、また自動車の所有ということも含めて、だんだん生活スタイルが変わってきた。そういった中で、新たな特性を持った商店街ということで、それぞれの知恵を生かしながら再生に取り組んでいただくことに対して応援をしていこうというのはこの中での考え方でもあります。

 もともといた方というか、商店街というのは、ある意味、道路に面したところは公共物だと思うんですね。そういったものを生かすためにどうしたらいいのか、品ぞろえもどうしたらいいのか、また、お客さんが興味を引くような、そこを歩行者が興味を引くような構成にするにはどうしたらいいのか。それは、やはり地域の知恵を使っていただいて、我々も手助けをしてまいりたいと思っているところであります。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 大臣おっしゃられたとおりで、特色のある、魅力のあるものができれば、本物はどんな状況であっても私は生き残れる状況だと思います。これは、地方においても都内においても同じであります。

 例えば、東京の中央で、銀座で商売をして、十軒開いて何軒が十年後に生き残れるかといったらば、ほとんど生き残れない状況もありますし、地方であれば、一度評価をかち得れば、ずっとそこで戦っていける、生活できるという部分もありますので、そういう魅力あるところについての御支援をいただけるというのは、非常に時宜を得た、的を得た政策であるということは、私は共感しております。

 ただ、その層が残念ながら厚くない、またその母体となる組織がもう疲弊してしまっているという状況もあることは申し添えさせていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 また東京一極集中の部分についてでありますけれども、これを是正するための実効性についてでございます。

 現在まで、地方と東京圏の転出入均衡を図るために、地方創生版三本の矢等さまざまな施策を講じてきておりますが、先ほど述べたとおり、二〇一六年では十二万人が東京圏へ転出超過となってございます。

 最も重要な地方創生のテーマである東京一極集中の是正について、当局はこの実効性についてどのように考えていらっしゃるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 東京一極集中是正に向けての施策の実効性というお尋ねでございますが、これまで取り組んできた主なものを申し上げさせていただきますと、第一点には、一千億の地方創生推進交付金によりまして、地方の自主的、主体的な取組を支援してきてございます。また、企業の地方拠点強化税制を創設し、拡充をしているところでございます。また、若者の地元の就職、UIJターンをして地元に帰るときに奨学金の返還免除をするという制度、これを全国展開を目指しておりまして、さまざまな施策によりまして、地域によって、雇用の創出あるいは移住者の増加といった効果が出てきてございます。

 ただ、先ほど来、委員御指摘の東京一極集中、転入超過の状況が続いておりますので、更に施策の充実に取り組んでいきたいと考えております。

 具体的には、今般の法案で出しておりますきらりと光る地方大学づくりですとか、もう一つの法案の地域再生法での拠点強化税制の拡充に加えまして、現在、梶山大臣のもとにわくわく地方生活実現会議という有識者会議を設けまして、そこで地方への大きな人の流れをつくるための抜本的な対策を今検討中でございまして、一つは、若者を中心としたUIJターン対策の強化策、二つ目には、これまでにない地方生活の魅力の発信、あるいは子供の農山漁村体験の充実などについて取り組んでまいりたいと考えております。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 この点については、一千億円の予算を交付金としていろいろ活性化事業のためにやっているとか、大学の支援企業に対する税の減免措置というのは非常に理解できるところでありますし、予算の範疇で、また権限の範疇で最大限の御努力をされているということは理解はできるところでございます。

 ただ、この地方創生の意義、使命から考えると、これは余りにも、抜本的な、インパクトのある集中是正の事業にはなり得ていないのではないかというふうに考える部分も、私の場合、予算に縛られない、議員としての立場からすると思われます。

 例えば、この委員会での各委員の、発言者の御発言を聞いておりましたけれども、すばらしい発言、皆様方の御意見は全てごもっとも。ですけれども、これを実施するにはいろいろな壁があるわけでありますね。ですから、その壁、岩盤でしょうか、岩盤規制を国家国民のためにやっていただくというのがこの創生の使命の大きな部分ではないかと思って、御期待を申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 政府機関の地方移転の話はどなたかがおっしゃっていた中に触れられていたかもしれませんが、かつて東京遷都という部分があって、栃木県が手を挙げたり、那須ですけれども、群馬県も前橋方面が手を挙げたり、長野が挙げたり、いろいろなところからそういった希望は出た。ただ、その実現性については皆さん懐疑的であったのを地方議員のときに覚えておりますが、そういった構想というのは、私は正しいのではないかと思っております。

 国家の中枢となるべきこういう機関が中心街にあるというのは極めて重要かもしれませんけれども、今、東京直下型地震の起こる確率は何%ぐらいでしょう。十年以内に、あるいは二十年以内にかなりな高率で起こる。東日本大震災以上のものがここに起こったとしたときの都市機能、これを考えたとすれば、この中枢部分についての移転は、しっかりと提言等々して、それに向けての何か答申ぐらいがここで出されるような委員会であってほしいなというふうな思いがございます。

 そういった部分について、担当大臣としての御所見を承りたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

梶山国務大臣 政府機関の地方移転の取組は、東京一極集中を是正するために、地方の自主的な創意工夫を前提に、それぞれの地域資源や産業事情等を踏まえて、地域における仕事、人の好循環を促進することを目的としているものであります。

 委員御存じのように、文化庁を京都に移す、さらに、消費者庁の一部を徳島県に、また総務省の統計局は和歌山県にということで、幾つかあるわけでありまして、そのほかにも、研究機関を各地域にという動きもございます。

 その研究機関、特に、地域の産業と結びついた形で、こういったものが新たなイノベーションを生むような形にしていきたい。東京から送り出すというだけではなくて、受入れ側もしっかりと体制を整えていただいて、それをどう生かすか。それが来れば人が来るんだ、また、かなりのにぎわいができるんだということじゃなくて、それを生かしてどうするかという視点も踏まえて、協力をしながらやってまいりたいと思っております。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 私も、それが、現在のこの状況からすれば、すばらしい、模範的な姿勢ではないかというふうに思っておりますが、ただ、東京一極集中の是正、地域の活力の創出ということを考えると、そういうところに視点が本格的に向いていかないと、なかなかこれは重い課題かなと思われておりますので、この辺は提言とさせていただきたいと思います。

 次に、地元群馬県の例に入らせていただいて大変恐縮ではございますけれども、この地方創生の諸事業が全国津々浦々にまで広がって、これが取り上げられているというふうなことではないかと思いますが、群馬県においても相当な予算規模のものが地方創生の事業の一環としておりてきているというふうな資料を私も見させていただいております。

 担当当局は各都道府県の状況を細かく掌握して連携をとりながらやっていらっしゃると思いますが、一つの例として、群馬県における地方創生の推進事業の効果と課題について御報告いただければと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生交付金につきましては、先生御指摘のように、地域の実情に応じて、地方版総合戦略に基づいて、自主的かつ主体的な、先導的な取組を行うということで、三年から五年の複数年度にわたって継続的に支援することとさせていただいております。

 御地元の群馬県でございますが、まず、群馬県における取組の一例といたしまして、群馬県働き方改革推進事業といたしまして、社会保険労務士会と連携した働き方改革アドバイザーの育成、それから男性の育児参加を促すセミナーの開催、子育て中の女性等に対する職場環境の改善を行った企業に対する認証制度の整備、それから子育て中の女性に対するキャリアカウンセリング等を通じまして、女性の社会参画を促していきたいというような取組が積極的に出されているというふうに承知しております。

 また、市町村の例で申し上げますと、片品村が取り組んでおりますところの尾瀬の里にぎわい仕事づくり事業、これにつきましては、農産物の直売所やレストランを併設した尾瀬里のエリアを整備することによりまして、村内外の人口の交流の増加を図る、そういうことを目指しまして、仕事、暮らし、産業等の情報を集約、発信することとしておるようです。

 それから、さらに、空き家等の活用によりまして住環境の整備、にぎわいの担い手となりますところの観光にかかわる人材、それから特産品開発を行うところの人材の育成確保によります雇用環境の整備をすることとしておりまして、こういうことは、交流からまさに移住、定住につながるというような施策の展開をされているということで、効果が期待されるというふうに考えております。

 何分、効果が実績に上がるまでには時間がかかるというふうに我々も認識しておりますので、安定的、継続的にしっかり支援してまいりたいということで、群馬県においてもしっかり取り組んでいただけるものというふうに確信しております。

 以上です。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 きめ細やかな対応をしていただいている、また地域の事業を掌握し続けていただいているということで理解をさせていただきます。

 群馬県というのは、北関東三県で、群馬、栃木、茨城、特に、栃木、群馬というのは全国的に知名度の低い県ワーストワン、ツーでございまして、こういったところでありますけれども、ただ、首都圏から近い、八十キロ、百キロ圏内にあって、非常に魅力の多い場所でございます。働く場所も、栃木県も多いですし、群馬県も多い。また、観光資源もありますし、自然環境も非常にいい。あと、一番大きな、震災に見舞われる可能性が歴史的には極めて少ない。唯一天災というと、白根火山に見られるようなものはありますけれども、中山間部ではそういったことはありますけれども、非常に安全な場所でございます。

 ただ、ここで今、一つの課題としてあるのが、若者の流出超過がとまっていないんです。これだけ産業があって、働きやすくて、環境がよくても、なかなか、やはり都市圏に行ってしまって、戻ってきていただく率が少ないということがございますので、そういった視点も踏まえて、何か御示唆に富んだ事業を国の方から群馬県に提言していただく、また、群馬県の提言、そういったものがあれば、うまく事業として煮詰めていただくことを要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。

 次は、道州制という部分が、大臣の所信表明の中の一文に書かれておりました。

 これは非常に懐かしい言葉で、非常に不遜かもしれませんが、私が県議会議員をやっていた平成十一年から二十年、私の同僚県議に聞いたら、いや、あれはもうなくなっちゃっているんだよ、もう終わっているんだよ、長谷川、議会改革か何かしたってしようがないよというふうに言われたこともありました。でも、道州制は、大臣のこの文言からいくと、ちゃんと残って、ちゃんと取り組まれているというふうな流れもあるようでございます。

 道州制については、「地方経済の活性化や行政の効率化にも資する手段の一つとして考えており、国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいります。」というふうに述べられておりますので、このことについて、御所見をいま一度お聞かせいただければと思います。

梶山国務大臣 道州制につきましては、国家の統治機能の集約、強化をするとともに、住民に身近な行政はできる限り地方が担うということで、地域経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであり、国と地方のあり方を根底から見直す大きな改革であると思っております。

 このような大きな改革であることから、その検討に当たっては、地方の声、当事者の声を十分に聞きつつ、国民的な議論を行いながら丁寧に進めていくことが重要であると思っております。

 現在、全国町村会、全国町村議会議長会は反対を表明しているということであります。しっかりと議論を進めてまいりたいと思っております。

 現在、与党において道州制に関して検討がなされており、政府としても、連携しつつ取り組んでまいりたいと思っております。

 行政の効率化という点からすると、近隣の行政の広域での協力というものもありますし、そういったものがしっかりとまずはなじんでくることが大切なことではなかろうかなと感じております。

長谷川委員 責任あるお立場の大臣でありますから、私もそのとおりであると認識はさせていただきます。

 ただ、私たち国民の側から見ると、行政の効率的な運営、そして、今、議会が成立をしない村落、村や町が群馬県内でも大分生じてきております。こういったことを考えると、行政機構をいま一度しっかりと再編する時期には来ている。

 あと、予算の部分からしても、なかなか、今のこの状況でこの予算を執行し続けるということは、日本の将来の人口減少、四十年後、六十年後を見据えると、どだい無理な話になってまいりますので、後世にツケを残さないためにも、この議論がいい方向で収れんしていくことを念願して、この質問は終わらせていただきます。御答弁ありがとうございました。

 次に、地域再生法という今回の部分でございますので、この辺について、時間の範疇で触れさせていただきたいと思います。

 まず、一番目として、この改正法案について、(一)から(四)までございますけれども、この(一)としてでありますが、企業の地方拠点強化に関する課税の特例等の拡充について、その内容についてお聞かせいただきたいと思います。

 特にこれは、時間の関係で重複を避けますので、例えば、今回は近畿圏、中部圏が追加して入った。そこでも人口流出が続いているから、ある面、それもあってもいいのかなと思いますが、限られた予算を執行するに当たって、どこを重点にやっていかなければいけないかという視点で考えると、数字上の成果も大切かもしれませんけれども、そういう観点からいくと、この辺についてはいかがかなと思われますので、御所見を承りたいと思います。

田川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の地方拠点強化税制の課税の特例の拡充でございますけれども、もう既に御説明をしているところでございますが、雇用者の増加数の要件引下げなどの要件の緩和でございますとか、あるいは、近畿圏中心部、中部圏の中心部の支援対象地域への追加ということを行うことにしているところでございます。

 こういう施策を通じまして、特に雇用者の増加数の要件の引下げ、これによりまして、例えば小規模な事業者の支援対象への拡大でございますとか、あるいは、やはり、この近畿圏中心部、中部圏中心部というところ、ここがやはり人口の流出の観点でも非常に大きな課題のあるところでございます。こうしたところを支援対象地域に追加するということによりまして、本社機能の地方移転拡充に取り組みまして、東京一極集中の是正につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。

長谷川委員 ありがとうございました。

 御答弁の内容は理解できる節もありますけれども、私の視点としては、もっともっと疲弊している地域に光をしっかり当てるという視点も大切ということを申し添えさせていただきます。

 次に、二番目、(二)の方の質問に入らせていただきますが、地域再生エリアマネジメント負担金制度の創設という部分が盛り込まれております。

 これは、私も認識不足で、初めて知ったんですが、欧米では既に広がりがあり、成功している事業というふうに聞いておりますが、実際、まだ、日本も、アジア圏でも、どこでもやられていないわけであります。ここに着目されたということは、ある面すばらしい部分であると思いますけれども、実際、日本で受け入れられる可能性はどのくらいを、どのように予測していらっしゃるか、御所見をお伺いしたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 BID制度、先生御指摘のとおり、欧米、カナダで一九八〇年代にスタートして、アメリカ、イギリス、ドイツなどで盛んに行われているものでございます。日本においては、エリアマネジメント活動ということで、ここ十年、二十年ぐらい活動が進んでいるということでございますけれども、BID制度というのは、事業者が組織、資金調達についてのルールを定めて、そのルールに基づいて、地方公共団体が事業者から負担金を徴収して、それを原資として地区内の事業者から成る組織が必要な活動を行う仕組みというふうに一般的に言われております。

 今回、法案で仕組みを措置しておりますけれども、昨年になりますが、エリアマネジメント団体に対するアンケートを行ったところ、全体で四十余りの回答がございましたけれども、約過半数の団体からは、こういった仕組みができれば活用を考えていきたいということがございますので、今後、この制度が成立した暁には、それなりの数の団体がこういった仕組みを活用していただけるのではないかと期待しているところでございます。

長谷川委員 御答弁ありがとうございました。

 時間の関係がありますので、次の三番目の質問、(三)に移らせていただきます。商店街活性化促進事業についてでございます。

 これらについては、他省庁においては既に従前から長く問題として実施されてきていると思われますが、空き店舗活用の問題でありますけれども、導入した場合の活用の予測、改めて新規のものとして取り組まれるわけですけれども、活用の予測はどのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生から御指摘がございましたように、商店街の活性化ということでありますと、これまでも、特に中小企業庁さんを中心といたしまして、このときには商店街組織が取り組む事業につきまして特に支援を行ってきているということでございまして、このような政策で一定の成果はもちろん上げてきたものというふうに私どもも認識をしております。

 他方、今回の法案におきましては、単に商店街組織ということではなく、市町村が中心となりまして、地域の住民や事業者の方から意見を聴取しながら、先ほど大臣からの御答弁にもございましたように、地域の特性に応じた、地域の知恵を踏まえた形で目指すべき商店街のあり方を定めた計画を作成していただいて、その実現を支援する、こういった内容になってございます。

 また、この計画に沿った取組につきましては、関係省庁の補助金や交付金による総合的な支援を幅広く受けられるような枠組みとすることを考えてございます。

 加えまして、空き店舗の活用を促すためには、自治体が空き店舗の所有者などに事業の用に活用するよう要請や勧告ができるという旨を規定しておりまして、今までにない幅広い形での取組ということを想定しておりますので、商店街に任せるという形ではなく、周辺の住民を含めました地域全体に期待される形で、商店街の活性化が幅広くこの計画で使われていくものというふうに期待をしております。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 あと、(四)がございましたけれども、ちょっと時間の関係でこの(四)は割愛させていただきますけれども、それぞれの地域再生法の一部を改正する法案の中で挙げられた事業というのは、きめ細やかな視点で、これから期待できるものも多くあると思います。これはさすがというふうに私は思います。

 ただ、政治家的にこういった視点を見ると、やはり、たらいの中での部分、あるいは、言葉は物すごく悪いんですけれども、重箱の隅をつつくような事業ということも言葉の悪い人は言う、思われるかもしれない、この事業全体を眺めたときに。ですから、この事業を一つ一つやりながら、こういう細かいところから大きなところに食い込んでいく、そして大きな地方創生に実を上げる、このことを期待申し上げまして、質問時間が終わりましたので終了とさせていただきます。

 大変ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、谷畑孝君。

谷畑委員 私は、昭和二十二年一月の十日、これはえべっさんというんですけれども、おぎゃあと生まれて、今七十一歳で、ちょうど私、昭和二十二年に生まれたときはベビーブームと言われて、小学、中学、もう教室がぱんぱんというのか、いられるところがないということで、一つの教室に大体五十八名から六十名押し込んでいくという、そんな時代に生まれてきました。ある意味で言うたら、活気があるというのか、競争というのも激しかった。そのかわり、仕事も、ぜいたくさえ言わなきゃどこでも、高度経済成長をずっといっているところですから、そういうところで生まれたわけであります。

 しかし、最近、少子高齢化ということで、私は、先ほど言いましたように、男兄弟五人、ひどいときには十人家族でずっと暮らしたわけですけれども、今は、考えましたら、子供一人あるいは夫婦二人だけ、こういう姿をたくさん見ます。やはり人口が少ないということはそれだけ活力がない、こう実は思うんです。

 きょうは、ちょっと質問の要項に入っていないわけですけれども、まず第一に、日本が活気づいて元気を出していこうと思ったらやはり人口という問題が大事だと思うので、ちょっと質問要項は出していませんけれども、まず冒頭に、大臣、日本の活力をつくるためにどのようにしていったらいいのか、少し、所見がありましたら。えらい済みません。申しわけないと思います。

梶山国務大臣 谷畑委員おっしゃるように、やはり人口というのはその国の活力につながるものだと思っております。

 二〇〇八年をピークに、人口減少の状況に入ってまいりました。このままずっと続けると二〇六〇年には一億人を切ってしまうだろう、そして高齢化率も四割を超えるだろうということなんですが、人口一億人を維持するとともに、若い人たちもある程度やはりいなくちゃ世の中は活動的にならない。

 というのは、子供さんがいて、子供さんの成長につれて、ランドセルを買ったり、机を買ったり、リフォームをしたり、車を大きいものに買いかえたり、自転車を買ったりということですから、借金してでもお金が必要な世代というのは、やはり子供さんが成長するときだと思うんですね。

 そういうことも含めて、バランスのとれた世代でしっかりこの国の活力が維持できるようにしていく、そして、息の長い取組というのがこの地方創生の考え方であると思っております。

谷畑委員 大臣がおっしゃるとおりだと思います。

 やはり、地方創生をしていこうと思ったら、基本的には人口。そして、その人口が維持できて、更にふえていく。そのためには、環境というのか、今やもう共働きが当たり前ですから、共働きができても、もちろんじいちゃん、ばあちゃんが近くにおればありがたいんですけれども、やはり保育所を充実さすこと、そしてまた地域社会全体が子育てに協力をし合う、こういう社会形成の中で安心して子供が生まれ育てられる、そういうふうに思います。私もまた、それのために旗を振りながら、日本社会がしっかりと活力を持って今後とも維持できて発展できるよう、そういうことを祈願していくものでございます。

 さて、平成二十六年に地方創生特別委員会がつくられたわけです。私ももう二十八年国会議員をしていますけれども、基本的には地方分権という言葉だけで終わってきましたよね、ずっと。そういう中で、あえて地方創生特別委員会というのが二十六年にできて、これは最近ですよね、今までそんなものはなくて、ほとんどは地方分権という枠組みの中で終わっておった、そう思うんですね。

 そういう意味では、大臣、もう一度、地方創生特別委員会のできた背景というのか、またそのことに対する重要性、大臣としてのそういう決意、そういうことをお伺いいたします。

梶山国務大臣 先ほどの御質問にもつながると思うんですけれども、二〇〇八年をピークに、人口減少社会に入ってきた、そして、何もしなければという前提で、一億人を切ってしまう時期が来る、また高齢化率の高くなってしまう時期も来るということで、それでは国の活力が失われてしまうという中で、やはり日本の活力を維持していくためには何かしら手を加えていかないとなりませんね。

 それはやはり、地方にしっかりと柱を立てていかなくちゃならないということだと思っております。大都市の太い高い柱だけでなくて、地方にも、細くても短くてもいいから柱を立てていく、そして、それぞれの地域が連携しながら日本の国が動いていくということが必要だという中で、地方創生の政策がとられたものだと思っております。

 ただ、国が全てやるということではなくて、料理に例えると、基本レシピは国が提供しますよ、出しますよ、そして予算もそういうものに従ってつけていきますよ、でも味つけは、また少し独創的な料理も含めて地方でしっかり考えてくださいねということをやるために皆さんから御意見を賜って、そしてそれを政策にしていく、予算を獲得していく。

 そして、さらにはまた、都道府県、市町村、今、千七百四十の市区町村に総合戦略をつくってもらっていますし、四十七都道府県にもつくってもらっていますけれども、そういった共通の思いを持って、方向性を持って、次の世代というか、次の次の世代の危機感を共有していくというのがこの地方創生委員会の意義であると思っております。

谷畑委員 それでは、もうちょっと事務方の方で、難しい問題で、人口を維持して、それを更にふやしていくということは、口では簡単だけれども、これは強制的にできるわけでもないし、やはり社会環境を地道につくり上げて、そして、一つは、やはり家族というものがいかに楽しいものか。じいちゃん、ばあちゃんがおって、夫婦がおって、そしてそこには子供がおり、そういう社会というのがいかに楽しいか、こういうことを積み重ねていくしかないと思うんです。

 ちょっと難しい問題ですので、事務方の方で、人口減少の原因というのをどう捉えて、またそういう点の中でどういうふうにされようとしているのか、国としてどんなことをされているのか、そこらをちょっと事務方の方から説明をお願いいたします。

末宗政府参考人 お尋ねの人口減少の原因ということでございますけれども、近年、出生率が低下をしてきております。その一つの大きな理由が、やはり晩婚化ということがございます。あるいは、更にもう少し申し上げますと、結婚をしたいけれども、いろいろな環境面で、例えば働き方改革が十分でない、あるいは保育所が整備されていない、そういうような環境整備面の課題もございますので、こういったものをトータルで解消していくという意味で、地方創生の意義がございます。

 今申し上げましたのは、一つは、結婚、出産、子育てにかかわるいわゆる自然増というんでしょうか、出生にかかわる話でございますが、もう一方で、特に地方圏におきましては、東京圏に人が流出をいたしまして、どんどんどんどんと人口が減少するということもございますので、地域の面でいいますと、出生数が落ち込むこととあわせて若者が流出する、そのダブルで影響が出てきているものだと考えております。

谷畑委員 私、今、七十一になったわけですけれども、先ほども言いましたように昭和二十二年のベビーブームで生まれたわけですけれども、私ももともと大学を出て公務員をやっておりまして、うちの家内も公務員でして、結婚しまして、そのときに、共働きをしながら子供を育てるというのは、私は子供を三人育てることができたんですけれども、やはり一番助かったのは、うちの家内の母親の家のところに暮らした。そうしないとこれは難しい。そして、ちゃんと保育所が近くにある、これでやっと共働きで暮らせるんです。

 というのは、小さい子供は必ず熱を出す、保育所からすぐ返品。返品ということはおかしいですけれども、済みません。どうぞ、きょうは熱が出ていますよ、こういうことで、二人とも一生懸命職場で働いている、余り休むとまたその職場においても欠員になってしまう、だからこれは非常に苦労しました。しかし、結論は、おかげさまで地域にそういう保育所があったり、育てられる環境があるからだと思うんです。

 私は、日本の人口を含めても、そういう家庭的な状況をしっかりするということが非常に大事だ、こういうように実は思っております。

 次に、先ほども大臣の発言がありましたけれども、この日本の社会の中において、余りにも東京一極が強過ぎる。私らが若いころはまだ、九州も四国も皆、大学は大阪へやってきました。僕らの大学のときは、大体、九州の人とか四国の人が多かったんですよね。しかし、多分最近は、もう大阪を飛び越えて、九州、四国は皆、東京の大学へ行ってしまう。皆さん、一回そこで大学へ行ってしまうと、自分のふるさとへ帰る人は少ないですよ、よっぽど、その前は、長男であって、やむを得ないという事情がない限りは。やはり学生時代で学んだ東京で就職したい、これは人情ですよね。

 だから、ひとつ日本国のために、この地方分権というのが、生まれたところでも暮らすことができて、就職ができて、その方が楽しい、こういうことを相当大きな力で持っていかないと、やはり一極集中、東京の力は強過ぎる。ぜひここらは、大臣、説法な話で申しわけないけれども、もう一度その点、決意を持って、地方に人がもっと暮らして働けるような、そういう旗を振るという決意をもう一度だけちょっと、しつこいようで済みません、決意をいただきます。

梶山国務大臣 もちろんそういう決意のもとにこの職務を引き受けているわけでありますが、今回法案として提出した二法案、これは地方の大学の振興というものを地方の産業の振興にもつながるようにしっかりやっていきましょう、どうしっかりと地方に特化した産業の技術をきわめていくか、その人材をまた養成していくかということも入っております。

 また、地域再生法も、地方にとってしっかりと人が流れるような、人の流れをつくっていきましょうという中で、その受皿の会社をどう移転させるかという中での税制やさまざまな措置であると思っております。

 一朝一夕にはなかなかやはり結果は出てまいりませんけれども、しっかりとそういう共通の認識を持って息の長い取組として続けていくこと、そして、地方に対する価値観を、多くの方が新たな価値観を持っていただくことができるような取組をしっかりしてまいりたいと思っております。

谷畑委員 そのとおりなんだと思います。

 ちょっと事務方の方へお聞きするんですけれども、大都市圏にある企業が地方に移るということは、いわば政策的にもそうだし、相当メリットがなければ、やはり商売ですから、もうかるということが大事なので、どうしても日本の人口は三割が東京に集まって、そして日本の学生の四割が東京に集まる、そういうことですから、企業だってその周辺におる方がやはりもうかるわけで、にもかかわらず、地方に行くことが国策だということになりますと、相当な、税制だとか、あるいはそこの都道府県との連携だとか、そういうものが非常に大事になると思うのです。

 ちょっと実務者の方で、私が言っているようなことにもう少しつけ加えたようなことで、どうしたら企業が地方に移転しやすくなり、あるいは魅力ある、そういう政策をどういうように推し進めていくか、今わかる範囲で少し答えていただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 現在、地域再生法の中に企業移転税制が入ってございますけれども、これは大きく二つの中身から成っておりまして、二十三区から移転をするときに、一つは、オフィスを建てるときに税額控除をするという仕組みがございます。もう一つは、移転に伴いまして従業員が移転をする場合には最大で一人九十万円のまた優遇措置があるということでございますので、オフィスを投資する場合と人が移る場合、この二つの観点から措置を講じておりますが、今回の法案の中では、特に東京一極集中が進んでいるということがございまして、今まで対象外としておりました名古屋の中心あるいは大阪の中心を移転型については対象に加えていくというようなことで法案を提出しているところでございます。

谷畑委員 そういうようにして、少しでも東京から企業が地方に移転できるという政策を打たれているわけですけれども、問題は、そういう政策の効果が上がっているのかどうか、やはりそれを実証することが大事だと思うんですよね。その点についてはどうですか。それなりに効果がある、そういう確信を持っておるのか。効果が上がるのか。もう一度お願いします。

末宗政府参考人 計画認定で申し上げますと、既に一万一千人を超える認定をしておりまして、そのうち企業自身の計画でいうと約一万人ぐらいの計画が進んできておりますので、着実に進んできていると思いますが、しかしながら、まだまだ目標値からすると到達をしていないところでございますので、今回も措置の拡充を講じることによって更に雇用創出なりを目指していきたい、そういうことでございます。

谷畑委員 今後とも、ぜひ効果が上がるよう、少しでもやはり実績というのか、それを上げてもらって、いろいろな企業が地方に移っていくということが一つの流れになっていく、そういうことが非常に大事だと思います。そうすることによって、地方の人も、東京に就職に上がる必要もなく、自分の生まれた、育った、そういうところで就職ができて家族を形成できる、また、両親も含めてちゃんとつながりを持って、両親の面倒を見ることもできるという非常にすばらしい社会になっていく、そういうように私は思っておるところであります。

 次に、政府関係。民間に出ろ出ろ、出ろ出ろと言っても、結局、役所関係は一歩も出ない。この霞が関にずっとおるということになると、やはり企業も、役所を見ながら、役所が行けへんのに何でわしらが東京出ないかんねん、こういうことになっていきます。

 役所は、一つだけ京都へ出たところがあるね。あれは……(発言する者あり)ああ、文化庁やね。文化庁だけが京都か。それ一つだけと聞いていますので、もう一度ちょっと役人側の方、もう一つ、二つ、近いうちにそういうことがあるのか、ぜひひとつ役所の移転も将来考えてほしいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今、政府機関移転のことでございますが、文化庁は確かに規模的にも一番大きいわけでございますけれども、それ以外に、消費者庁が徳島県の方に、既に昨年の七月に、消費者行政新未来創造オフィスという形で移転をしてございます。それに加えまして、総務省の統計局、これは三十年度ということでございますけれども、統計データ利活用センターを和歌山県に開設するとしてございますので、中央省庁で申し上げますと三省庁ということになります。

 加えまして、政府関係機関移転で申し上げますと、中央省庁以外にも、研究機関、研修機関をそれぞれ各地域で実施してございますし、特に研究機関で申し上げますと、産学あるいは地元自治体とのイノベーションを起こしていくということを考えておりますので、それらについても、創生交付金で応援をすることによりまして経済波及効果を狙っているところでございます。

谷畑委員 地方分権という場合は、やはりそういう政府機関含めてが地方に移っていくという姿を見せないと、同じ話で申しわけないですけれども、実現性が近い、そう見えますので、今後とも、更に前向きにそういうものを検討しながら地方分権というものを前へ進めていただきたい、そういうふうに思います。

 それで、梶山国務大臣も本委員会で、所信表明において道州制という言葉を語られました。我々もこの道州制というのを、これは地方分権の非常に大きなあらわれだと思います。

 ちょっと私も忘れましたけれども、ドイツへ視察に行ったときにそういうお話を聞きました。ドイツというのは日本とは違って地方分権が物すごく進んだ、いわゆる日本の縦型じゃなくて、ほんま、地方地方のところが全て決定をするという、道州制というのがそのまま生きているというのか、そういうようなお話をドイツに行ったときに聞きました。

 だから、日本だって、やる気があれば道州制を実現できる。よっぽど大きな政治力でしかできないと思いますけれども、やはり日本の発展のためにもそれは非常に大事だな、私はそう思いますので、今後とも道州制についての基本的認識を持っていただきますよう、強く申し上げておきます。

 次に、「国際金融都市・東京」構想について少し質問をしていきたいと思っております。

 やはり金融資産、金融というものは、ロンドンに匹敵して、あるいはニューヨークというところに並んで、東京に世界の金、資産が集まる、こういうことは日本の社会が潤っていくのにも非常に大事だ、私はそう思っております。

 そういう中で、世界に冠たる国際金融都市にしていくためには何が必要で、どういう課題があるのか。きょうは金融庁もちょっと呼んでいると思いますので、よろしくお答えをいただきます。

 わかりました。済みません、ちょっと私の手違いで。そうしたら、そのことについては、そういう発言をして終わっておきます。

 次に、東京の国際センター推進の観点から、金融面においても東京の拠点が必要だという発言をしたわけですけれども、そのためには、金融庁と東京都の連携というものが非常に強くなければできない、土地とのつながりが非常に大事だ、こう思っているわけです。しかし、きょうは、金融庁がいないというので、その質問をするのは飛ばしておきます。

 次に、金融系企業に東京進出を促すビジネス環境の整備についてでありますけれども、アジアのライバル都市のシンガポールや香港、そういうところは法人税の実効税率は一〇%台ということになっておる。そういうことから見たら、日本では特区ゆかりの法人所得を二〇%控除することを検討するという報道もありますけれども、やはり国家戦略特区を更に活用して、東京に人も金も集まる、そういう税制をしっかりと打ち立てる必要があるんじゃないか。国際的競争に負けないように、税制においても、東京に関連企業が集まっていく、そういう施策が必要だと思うので、その件について、今、税制でなくても、少し答えていただきたいと思います。

河村政府参考人 東京の金融都市化という御質問でございますけれども、先生御承知のように、国家戦略特区に東京は指定をされてございまして、平成三十年度、今回の税制改正におきまして、特定の、フィンテックなどの一定の金融事業者を対象とする拡充要望をしたところでございますけれども、この税制はまだ生まれたばかりでございまして、適用事例が今回初めて出てきたというところでございますので更に今後の検討課題とされたところでございますが、いずれにいたしましても、国家戦略特区として指定されている東京都知事からも金融都市化に向けてのさまざまな規制緩和の御要望を頂戴しておりますので、現在までに講じております規制緩和に加えまして、さらなる検討を今後とも続けていきたいというふうに考えております。

谷畑委員 どうしても、日本人、かつて貧しさを経験したということもあり、将来がいつも不安だということもあったりして、少しでも貯金貯金ということで、そういう傾向が非常に強いと聞いております。

 そういう意味では、千八百兆円にも及ぶ日本の金融資産、かなりの部分が現金、預金にあるという、これではやはり経済は発展しないので、我々政治家としては、しっかりと老後の幸せを確保するために、年金制度だとか社会保障制度はしっかりとして、そして、稼いだお金はため込むんじゃなくて、できる限りそれをいろんな意味で使う、こういうことにすれば更に日本の景気は動き出すし活性化をすると実は思います。

 質問時間が終了いたしましたので、非常に中途半端になりましたけれども、今後とも経済産業発展のためにも大臣に頑張っていただくことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、地方大学振興、若者雇用促進法案について質問をいたします。

 大臣は、趣旨説明で、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中間年に当たり、掲げられた基本目標や施策の重要業績評価指標の進捗状況を点検したところ、依然として東京圏一極集中が是正されていない、そのため、ライフステージに応じた政策メニューの充実強化に取り組むために本法案を提案した、こう述べられました。

 この大臣の説明では、財政的に深刻な地方大学の現状を解決するために提案されているということではなくて、あたかも、まさに政府の地方創生の施策がうまくいっていないから、地方大学を地方創生に貢献させようとしているように聞こえるわけですね。大臣、そうじゃないんですか。

梶山国務大臣 地方にいろいろ大学がありますけれども、その大学も地方の資源の一つとしてどう地方創生に活用をしていくかということも一つ意味があると思っております。

 地方の産業がある、それに関連する学部、学科があるところもある。また、新たにそういう取組をしようとする大学が出てくれば、そのことによって地域の産業にプラスになり、また新たな展開が見られるかもしれない、また新たな雇用ができるかもしれないという思いでこの法案を出させていただいているところでもあります。

宮本(岳)委員 今、地方大学の現状は本当に深刻なんです。

 ことし二月十日付の週刊東洋経済、地方国立大学の悲惨な実情を特集して、表紙にはこのように、「大学が壊れる」と極めてセンセーショナルな言葉が躍っております。

 ここでは、いびつな大学改革と競争制度で地方国立大学の危機的貧困が進んでいるということを研究者たちが生々しく語っております。

 生化学が専門の田中智之岡山大学教授は、僕らぐらいの陣容の研究室だったら、最低限の実験機材、試薬代などで年間五百万円はないと回らへんと言いつつ、大学から定期支給される研究費はたかだか年五十万円、四百五十万円足りないと語っております。

 遺伝子組み換え植物を研究する静岡大学の本橋令子教授は、私は毎週末、外部資金の申請書を書いている、二十回出して当たるのは三つぐらいと語っております。

 十年ほど前、研究室のエアコン類に料金メーターを取り付けられた、運営費交付金が削減されて懐事情が厳しくなった大学本部から、各研究室の電気代はおのおの半額負担してほしいとの通達が来たそうであります。閉鎖系の植物室を保有する本橋教授の研究室にとってこれは死活問題で、温度を一定に保って栽培する必要があるために電気代負担は重く、年約百八十万円かかっているそうであります。

 教員一人につき年五十万円近く定期配分されていた個人研究費も四十万円に引き下げられ、二〇一七年度から三十万円になった。電気代にすら到底届かなくなった研究資金不足を補うために、外部資金の獲得に血眼になっている、そういう本当に赤裸々な実態があります。研究に回せていたはずの時間を使って一体私は何をやっているのかとふと思うときがある、こう語っておられます。

 きょうは文科省に来ていただいておりますが、このような地方大学の悲惨な状況を認識しておりますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生の実現には地方国立大学の役割は極めて重要であり、文部科学省としても、地域で活躍する人材の育成など、地方大学の活性化に向けた支援を行うことは重要と考えております。

 しかしながら、委員がただいま引用された雑誌の中でも、文科省自身が行ったアンケート調査で、国立大学の個人研究費が十年前と比べて減ったと答えた者の割合が六割近くにも上がっていたり、あるいは、研究に割ける時間が、従前と比べてその割合が低下しているといったデータも示されているところではございまして、私どもとして、地方国立大学を含めた国立大学への支援の充実が必要と考えているところでございます。

宮本(岳)委員 地方国立大学の困難でいえば、基盤的経費である国立大学運営費交付金が年々減らされてきたことが最大の要因である、これはもう誰もが否定できない厳然たる事実だと思います。

 文科省に聞きますけれども、今参議院で審議中の来年度予算で、国立大学法人運営費交付金と私立大学等経常費補助金について、それぞれ概算要求額と予算額を示していただけますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人運営費交付金等につきましては、平成三十年度の概算要求において一兆一千四百九億円を要求し、現在御審議いただいている予算案においては一兆九百七十一億円を計上してございます。

 また、私立大学等経常費補助につきましては、三十年度の概算要求において三千二百八十三億円を要求し、現在の提出させていただいている予算案におきましては三千百五十四億円をそれぞれ計上させていただいているところでございます。

 以上です。

宮本(岳)委員 国立大学法人の運営費交付金で四百三十八億円、概算要求よりも減らされ、私学の補助金は百二十九億円、概算要求よりも減らされているわけですね。

 そもそも、概算要求というものは、文部科学省として、今の大学の現状に照らしてどうしても必要だからこそ要求しておられるんだと思うんですよ。念のために聞くんですけれども、文部科学省が概算要求において不必要なものやぜいたくなものまで入れたような要求を行ったことがございますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省としましては、国立大学の運営費交付金につきましても私学の補助金につきましても、それぞれ必要というものにつきまして概算要求をさせていただいたということでございます。

宮本(岳)委員 当然のことでありまして、必要ないものまで要求するはずがないんです。だから、財務省との折衝で、大学の基盤的予算は、先ほども申し上げたように、国立、私立合わせれば五百六十七億円も削減された、必要な額からは減らされた、予算においても。

 今日の地方大学の危機が運営費交付金等の基盤的経費の削減、私学助成の圧縮によってもたらされているというこの現状については、文部科学省も共有していただけますね。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人運営費交付金は、法人化以降、千四百四十五億円減額されてきたところであり、私立大学等経常費補助金についても、平成十八年度以降、減少ないし横ばい傾向にございます。

 また、常勤の教職員人件費が圧迫され、特に若手教員の安定的なポストが減少するとともに、先ほども触れさせていただきましたが、文科省が実施した個人研究費等の実態に関するアンケートによれば、国立大学教員について、年間の個人研究費が五十万円未満の者が約六割という結果も出るなど、国立大学の教育研究基盤の強化が大きな課題となっております。

 文科省としては、今後とも、各大学が継続的、安定的に教育研究活動を実施できるよう、運営費交付金等の基盤的経費の確保に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

宮本(岳)委員 きょうお配りした資料の一と二を見ていただきたい。

 国立大学の運営費交付金は、二〇〇四年度の一兆二千四百十五億円から今日の一兆一千億円弱へ、一千四百億円以上も減らされてまいりました。私学の経常費補助金も、二〇〇六年度の三千三百十三億円から今日の三千百五十四億円へ、百八十億円も減らされております。昨年度に比べて今年度の運営費交付金、前年度同額確保ということでありますけれども、これは、先ほど紹介したような大学が壊れるような事態が、ことしもその程度の額は確保したというにすぎないわけであって、必要額だとは到底言えないと思うんですね。

 そこで、地方創生担当大臣に伺いたいんです。本法案は、このような地方大学の財政的危機を解決するものになるんでしょうか。

梶山国務大臣 地方大学の課題に関しましては、私のもとで開催してきた地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の最終報告において、地方大学は、総花主義、平均点主義のため、特色が見えないと言われている場合が少なくないという指摘がされたところであります。

 地方大学を魅力化するためには、そこから脱却して、強みのある分野の強化に取り組むなど、特色のある地方大学づくりを進めることが重要であり、それによって地方への新しい人の流れをつくることになります。

 本法案では、産官学連携により、地域の中核的産業の振興や専門的人材育成などを行うすぐれた取組を新たな交付金等により重点的に支援をし、特色ある大学組織改革の実施などを進めていくということで、最初に、大学が瀕死の状況にあるのを戻せるかということになると、これらの取組を通じて活力を得ていくということになろうかと思います。地域の活力も含めてということであります。

宮本(岳)委員 いや、それはならぬと思うんですね。この十年余りで千四百億円も減らされてきた運営費交付金。必要だとして要求した額から、国立、私立合わせて五百六十七億円も減らされた大学に、わずか百億円の地方大学・地域産業創生事業をやったからといって、救われるはずがないと言わなければなりません。

 では、具体的にお聞きしたい。

 資料三を見ていただきたい。これは政府の説明の資料であります。

 この法案では、国が策定する基本方針を踏まえ、首長主宰のコンソーシアムを構築し、地域の産業振興、専門人材育成の計画を策定いたします。この計画に位置づけられた自治体や地方大学の事業のうち、国の有識者委員会の審査を経てすぐれた事業として認定を受ければ、原則五年間、新たな交付金を受けられるという制度であります。

 そこで、これは事務方でいいんですが聞きますけれども、事業イメージにある首長主宰のコンソーシアムというものは、法案第十条にある、地域における大学振興・若者雇用創出推進会議のことですか。

末宗政府参考人 お答えします。

 御指摘のとおりでございます。

宮本(岳)委員 先ほど、わずか百億円の交付金では救われようがないと指摘をいたしましたが、この百億円のお金は全て地方大学に交付されるのですか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 この交付金につきましては、百億円のうち七十五億円が内閣府計上分でございますけれども、内閣府計上分につきましては、委員の資料の左下にございますように、国から地方公共団体に交付されることになります。ただ、コンソーシアムを組んで共同研究などをすることになりますと、地方公共団体から大学の方にも交付金が行くということになろうかと思います。

宮本(岳)委員 つまりは、この百億円は全て大学に行くわけではありません。

 もう一枚めくっていただいて、資料四をごらんいただきたい。これは、対象経費と補助率を示した、これも政府提出の図表であります。

 (一)で示された地方大学・地域産業創生交付金、一件当たり国費上限目安額二億円というものは、基盤構築分、すなわち計画策定経費やコンソーシアム運営経費等に補助されるわけでありますけれども、これらは自治体に対する補助であります。下の4と5が大学に対する交付金ということになるわけでありますけれども、これらを受けようと思えば、魅力ある大学組織改革とか先導的研究基盤というような一定の方向に誘導されざるを得なくなります。

 既に現在、大学間でコンソーシアムというものには取り組まれております。これは複数の大学が自主的に参加して連携するものでありますけれども、本法案の推進会議は、自治体が計画を作成し、資金を提供するというものでありまして、大学はその下請機関にならざるを得ないと思うんです。現在のコンソーシアムとは似て非なるものであることは明らかだと思うんです。

 大臣、これは大学の自治や学問の自由を侵しかねない、政策誘導になりかねないと思うんですが、いかがですか。

梶山国務大臣 この交付金制度に大学が参画するかどうかというのは、大学が主体的に判断をすることであります。

 知事等が地方大学に対して改革を主導するものではなくて、むしろ、その取組に対して、地方大学がみずからその強みや特色を伸ばすために主体的に改革を行う地域を支援するものでありまして、大学の自主性、自律性の侵害という指摘は当たらないと思っております。

宮本(岳)委員 いや、それは、入るときには、参加するときには自主的に参加するんでしょうが、一たび参加してしまえば、自治体の掲げる事業計画に基づいて進めなければならなくなるんです。しかも、その中身というのは、この間国が進めてきた大学改革の方向に誘導されるのは火を見るより明らかだということを指摘したいと思います。

 もう一度、今の資料四に戻ってください。

 (二)の地方創生推進交付金活用分、一件当たり国費標準額五億円の方では、1の産官学連携事業は補助率二分の一でありますけれども、2の大学組織改革による質の高い教育の提供、リスクの高い先端研究では補助率三分の二、3の先導的研究基盤、技術を活用した最先端研究等では補助率四分の三と大きく傾斜がつけられております。

 これは事務方でいいですけれども、これは一体なぜですか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の交付金につきましては、昨年、大臣のもとで有識者会議でさまざまな議論をいたしまして、産官学連携でこういったハイリスクの先端研究も実施していく、その際に、地方公共団体の方から、二分の一ではなくて、より高率な支援制度も設けてほしい、そういうような強い御要望もございましたので、本来ですと地方創生推進交付金は原則二分の一でございますが、ここにもございますように、1は二分の一にしておりますけれども、よりレベルの高いもの、ここにおいては地方の御要望も踏まえて率を高くしたというところでございます。

 なお、先ほど私の答弁の中で、内閣府分七十五億と申し上げましたのは七十億でございましたので、訂正をさせていただきます。

宮本(岳)委員 いやいや、レベルの高いもの、こういうふうにおっしゃって、補助率を上げているわけですね。それが、私が言うように、大学を政策的に誘導することになりかねないと私は指摘をしたいと思うんです。

 例えば、この一番補助率の高い先導的研究基盤というものですけれども、どのようなものか。共用可能な大容量情報ネットワークや大型研究施設、共用プラットホーム等、こうなっておりまして、その中身ですけれども、学術情報ネットワーク、SINET、大型放射光施設、SPring8、エックス線自由電子レーザー施設、SACLA、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、HPCI、大強度陽子加速器施設、J―PARC、ナノテクノロジープラットフォーム等というものが例示されております。地方大学の振興と若者の雇用機会の創出などというけれども、この実態は、交付金に傾斜をかけて、政府の成長戦略に沿った最先端技術の開発を競わせようというものにほかならないと思うんですね。

 この対象経費でありますけれども、(一)の4や(二)の2は、これは大学改革関係に限定された対象経費となると思うんですけれども、にもかかわらず、これを地方自治体に交付する仕組みにしているのは、これはなぜなんですか、内閣府。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 この新たな交付金でございますけれども、これはあくまでも、地方における新たな産業の創出でありますとかそれに対応する人材の養成、これについての計画を、自治体が主体となって、これは当然、大学の自主的な判断などで入ってもらいながら、自主的な計画をつくってもらう、そういうものでございます。したがいまして、この交付金の対象経費でございますが、委員御指摘のような形で、さまざまなレベルの交付対象、それと交付率を定めているものでございます。

 こういった中で、例えば地方の大学が改革をするといったときに、基盤的経費だけではできないような、そういったみずからのリソースだけでは進められないような思い切った改革もする、そういったことで、こういった経費も含めているところでございます。

 したがいまして、外からの予算と大学みずからの改革とうまくマッチングさせるということ、そしてまた、大学から見れば、みずからの基盤的経費だけではできない思い切った改革をしていただくこと、地方から見れば、その振興と人材育成、そういったものを合わせわざで行う、そういった経費でございます。

宮本(岳)委員 二言目には自主的な判断でと言うんですけれども、今、全国の大学は、大学が壊れるというような財政的な深刻な困難にあるわけですよ。文部科学省も認めましたよね。そういう状況のもとで、これに加われば、百億円というお金があって、交付されますよ。ただし、自治体が、首長が主宰して、こういう形でやります、それにちゃんと乗っかってくれれば、こういうことがぶら下げられているわけですよ。

 それは、自主的な判断といったって、そんなもの、とれるものならば、もらえるものならば加わっていくという方向に行くのは当然であって、だって、先生方は、毎週末になったら書類を書いて、いかに競争的経費をとってくるか必死になっているんですから、このお金だって、当然、とってこようということになるわけですよ。

 だから、入り口が自主的だといったって、実態は、それはやらざるを得ない状況に追い込まれていっている、そういう状況を放置していると言わざるを得ないと思うんですね。

 そこで、文部科学省に改めてもう一度聞きたいと思うんです。

 この事業の百億円には、先ほどお話があった内閣府のお金とともに、文部科学省計上分の二十五億円という予算も含まれております。この文部科学省計上分という予算は一体どこから持ってくるんですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 地方大学・地域産業創生事業につきましては、内閣府交付金分の七十億円のほか、当該交付金の対象となる大学においては、国立大学の運営費交付金及び私立大学等改革総合支援事業のうち二十五億円分を文部科学省において計上をしているところでございます。

宮本(岳)委員 つまり、国立大学運営費交付金と私学助成のお金で二十五億円、これに充てるということですね。

 それで、文科省に聞くんですけれども、先ほどの、来年度予算ではふえずに、前年度同額の一兆九百七十一億円、運営費交付金、答弁があったわけでありますけれども、この額の外で新たに二十五億円の予算措置が講じられるということになりますか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 地方大学・地域産業創生事業における文部科学省計上分の二十五億円については、既存の国立大学運営費交付金及び私立大学等改革総合支援事業に含んで計上しているものでございます。

宮本(岳)委員 ふえるわけじゃないんですね、今答弁があったとおり。それどころか、国立大学運営費交付金が前年度比同額にとどまるもとで、むしろ、これに認定されましたら、国から配賦された既存の運営費交付金も先導的研究基盤、技術の活用や大学改革の推進に振り向けざるを得なくなるわけですよ、これにおつき合いをして。交付金が仮に同額ならば、自由に使える基盤的経費はむしろ減ってしまうということになります。このようなものが地方大学の振興に役立つわけがないではありませんか。

 先日、私は久しぶりに母校和歌山大学を訪ねました。副学長以下大学の関係者からも話を聞かせていただきました。

 もちろん、地域連携は大切だと認識しておられました。地域経済や地場産業の振興、中小企業の技術力向上のための取組を、既に地域の産業界や自治体と連携しながら進めてきておられます。

 しかし一方で、そこに割く人、金がままならない、競争的資金を得るため、申請書書きやKPIに追われている、そういう実情も率直に出されました。長期的な資金獲得の見込みがないために、プロジェクトごとの短期雇用にならざるを得ず、若い研究者がじっくり研究できる処遇にない等々、極めて深刻な状況であります。

 最後に、文部科学省に確認したいんですけれども、地方国立大学の持つ役割は、その地方の学術の中心であって、我が国の知的基盤として、社会の知的、文化的な発展、国民生活の質の向上や地域経済に大きな役割を果たすものだと思います。それは決して地方自治体の下請機関といったものではないはずでありますけれども、改めて、地方国立大学の役割を、文科省、述べていただきたいと思います。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学は高等教育の発展のために大きな役割を担っており、その中でも、全国に設置されております地方国立大学は、教育の機会均等や、あるいは、地域と連携しながら、地域課題の解決も含めて、人材育成や地域における学術振興のために大きな役割を担っているものであり、大変重要な役割を果たしている主体と考えているところでございます。

宮本(岳)委員 大学の役割について、京都大学の山極寿一学長は、読売の「異見交論」で、ずばり国立大学とは何かと問われて、以下のように述べております。

 国立大学は公共財という考え。国民の税金でつくっていただいたもので、国民の税金で運営させていただいたものだ。だから、大学の知は、一私企業に利用されてはいけない。国民全体の資産にならなければならない。今のやり方は、組織と組織を競争させているが、それは間違い。大学同士は、戦うのではなく、むしろ連携しなくてはいけない。

 地方大学の振興を考えるに当たり、実に示唆に富む発言をされております。

 質疑で明らかなように、本法案は地方大学を、内閣総理大臣が定めた基本指針に沿う地方創生の下請機関として競わせるものにほかなりません。

 大学は、学術の中心であり、学問の自由が保障されてこそ、多彩な学問研究が進むものであります。地方大学の振興というのであれば、基盤的経費の削減をやめて、その役割にふさわしく予算を拡充することを強く求めて、私の質問を終わります。

渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時四十二分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。緑川貴士君。

緑川委員 希望の党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 皆様、二日目の法案質疑、そして夕刻、大変お疲れのところ、そしてまた、参議院から梶山大臣、息を切らしながら、また小走りで到着いただきまして、本当にお疲れさまでございます。私がお話ししている間に息を整えていただければと思っております。きょうは、審議、最後までどうぞよろしくお願いいたします。

 早速入らせていただきます。

 私が暮らす秋田県でございます。そこでは、昨年の春に人口が戦後初めて百万人を切ってしまいました。一年を待たずして、この春にも間もなく九十八万人台になろうとしております。二十年前に比べまして三倍近いスピードで人口が減少している状況で、ますます拍車がかかっております。秋田県の人口減少率、少子高齢化率は全国で最速、そして最も高くなっております。

 人口減少に拍車をかける少子高齢化、それに伴う労働力人口の不足、中小企業経営の後継者不在、そして地域コミュニティーや生活サービスの縮小、秋田を含めた全国の地方の持続可能な地域のあり方をめぐって、これは待ったなしの対策が問われる時代に来ているところでございます。

 そうした状況の中で、秋田県について少しお話をさせていただきますと、全国でも有名ななまはげ、そして、このところは秋田犬が大変知名度を上げております。切りたんぽ、ハタハタ、伝統工芸の曲げわっぱ。そして、かまくら行事、雪祭りも魅力ではありますが、一面銀世界の、東北にとって半年近い冬をじっと耐えながら、ため込まれてきたそのエネルギーが一気に爆発するかのような各地の夏祭りでのにぎわい、これが魅力であります。

 こうした郷土の宝をこれまで以上に磨いて輝かせ、お祭り熱をますます高めて観光の振興、誘客につなげようという動きが、近年、一層加速しております。

 地域を回らせていただくと、自分たちも頑張るけれども、我が町を一体どんなふうに国は応援してくれるんだろうと、国が後押しをしている地域活性化の取組に期待をしている住民、自治体、地元企業、商店街、町おこしグループなど、たくさんのお声を私は受けとめております。

 安倍総理御自身も、これは地方再生に全力を注いでいくと各地域で力を込めて訴えられ、二〇一四年の解散・総選挙では勝利して、その翌年から始められたのが、このまち・ひと・しごと創生総合戦略であります。

 しかしながら、その中で、今回の二つの法案の目標である、人の流れを変える、この観点で見た場合に、再三強調された地方再生というこの言葉とは、残念ではありますが、裏腹な状況と言わざるを得ません。

 実際、昨年、二〇一七年は、東京圏への転入者が転出者を十二万人近く上回り、二十二年連続の転入超過になっております。しかも、この転入超過は年々ふえております。二〇一四年は十万人台でしたが、その翌年、つまり、まち・ひと・しごと創生をスタートさせた二〇一五年以降は十一万人台にふえ、昨年はここ九年間で最大の転入超過となりました。

 地方創生の新展開の年と政府は位置づけてきた今年度も、年度末を間もなく終えようとしております。政府は、二〇二〇年の時点で、東京圏、地方間の転出数、転入数を均衡させる、東京一極集中をつまりはストップさせる、こういう目標を掲げて、二〇一五年度からの取組を加速化してくるというふうにしてきたわけですけれども、人の流れで見た場合、今の数字が示したように、是正どころか、地方ではますます人が減り、東京圏には前以上に人が入ってきてしまっている、こういう状況です。

 中間年というこの年度にもかかわらず、人の流れの目標とする、東京圏における転出、転入の均衡に近づくどころか、むしろ悪化の一途をたどっている形になっておりますが、梶山大臣、この現状の御認識と、そして、このような経過をたどっている原因についてお伺いいたします。

梶山国務大臣 今委員のおっしゃるように、東京圏への転出入を均衡させるというのが、この五カ年の総合戦略のKPIの一つであります。

 しかしながら、このKPIに関しましては、今なかなかその方向に行っていないというのが現実ということで、中間年として全ての総括をしてみて、この部分がどうしてもやはり弱いという御指摘も外部の有識者の皆さんにいただいたところであります。

 しかし、この目標を下げるというよりも、しっかりこの目標に向けて努力をしろということで、外部の有識者から成る検証チームからも言われているところでありまして、一朝一夕にはなかなかこの流れはとまらないものかもしれませんけれども、政策を総動員してしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 地方においても、それぞれの地域で、少しずつではありますけれども、東京からの移住者、ほかの地域からの移住者、そして新たな産業の芽生えみたいなものが出つつあるわけでありまして、それらに向かって最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

 委員がおっしゃったように、秋田県も百万人を切ったということでありますが、日本の国も、二〇〇八年に一億二千八百八万人をピークに人口減少の方に参りました。私の住む茨城県も、秋田県とは兄弟県のようなものなんですけれども、二〇〇〇年から人口減少社会に入った。私が住むところも、過疎地指定の地域もございます。やはり切実な問題として捉えております。

 しっかりと地域の人たちの知恵を生かしながら、そこにまた地方創生版三本の矢で財政面、人材面また情報面で支援をしながら最大限の努力をしてまいりたいと思っておりますが、現状に関しましては、委員おっしゃるとおり、大変厳しい状況であることは認識した上で取り組んでまいりたいと思っております。

緑川委員 梶山大臣、ありがとうございます。

 現状の御認識を共有させていただいて、秋田県では、全国に先駆けて、篠原委員もおっしゃったように、一九七〇年代後半から人口減少が始まっているということで、大変全国に先駆けてこの課題を、地方から課題を解消していくことが地方の本当の創生につながっていく、そのためには東京圏への流入をとめる、地方への還流の動きを進めていきたい、この思いはやはり共有して強めさせていただきたいというふうに思います。

 まち・ひと・しごと創生は、五年間の取組として、二〇二〇年が集大成ということになります。人の流れを変えるために、まず、東京圏での労働需要、やはり若い人が仕事を見つける上での、この労働需要の高い状況を変えていかなければならない。それにもかかわらず、更にこれに拍車をかけるという事態になっているのが、同じ年に控えている東京オリンピック・パラリンピックに伴う再開発であります。

 今、渋谷や丸の内、日本橋、六本木、そして品川、浜松町と、続々と完成する大規模な複合施設、高層ビル群、ハイクラスなホテルなど、次々に再開発が進んでおります。ことしから二〇二〇年にかけて、各地で次々に新しいスポットが誕生して、また新しい施設もオープンすることになります。大会が終わってからも再開発が続く予定のエリアもあります。それはつまり、二〇二〇年以降も、オリンピックが終わってからも続く傾向です。

 大臣のおっしゃった、最初に、仕事が人を呼び、そして人がまた仕事を呼び込むと法案の冒頭でおっしゃられたお話もそうですけれども、東京二十三区の再開発事業における圧倒的な労働需要を考えれば、東京にますます人が呼び込まれてしまう。二〇二〇年時点で東京圏の転出、転入の数を均衡させる、東京一極集中の流れを完全にとめていく、二〇二〇年時点でです、この目標の達成は、やはり現実的に、今の事情も加えて、改めて厳しいと言わざるを得ませんが、そのあたりの御認識はいかがでしょうか。

梶山国務大臣 先ほども申しましたが、二〇〇八年から我が国は人口減少局面に入りました。このまま何も策を講じずにいけば、二〇六〇年には一億人を割ってしまう、そして高齢化の比率も四割を超えてしまう、活力のない国家になってしまう可能性があるということで、地方創生の取組は始まったということであります。

 なかなかもとには戻らない。今、人口がピークから下がり続けて、ジェットコースターで下がっているところで、どこでとめられるか、そして、どこで持続可能な地域をつくれるかということも含めて、息の長い取組であると思っております。

 その中での地方創生の総合戦略ということで、最初の五カ年ということでのKPIを立てて今取り組んでいるということでありますけれども、私が思うに、やはり次の世代も、その次の世代も、二世代か三世代先の危機感を共有しながらこの取組を進めていくことが大切であると思っております。

 今、オリンピック、パラリンピックの話がありました。それに限らず、訪日観光外国人の方の数がふえて、インバウンドがふえております。今、二千七、八百万人ということで、五年前の三・五倍ぐらい来ているんですね。その人たちがまたオリンピックを見るために来ますけれども、その人たちをいかに今度は地方に誘客をしていくかということも、逆にチャンスと捉えて、観光というものを一つの産業としていくということも必要だと思っております。

 余りバラ色のことは言いません。ただ、一つ一つ、地域が生き延びるために、生き残っていくために何をしたらいいのかということを地域の知恵でやはり考えていただきたい。

 そして、先ほども申したんですけれども、基本レシピはそろえました、後は地方の味つけでやってください、場合によっては少し独創的なものでもこのレシピでいけるかもしれない、ベースはこれでいけるかもしれないというものも含めてしっかり対応をしていくということだと思いますし、何となく地方創生をやっていればよくなるということじゃなくて、一人一人がやはり危機感を持って臨んでいくことがこの地方創生の政策であると思っております。

緑川委員 ありがとうございます。

 地方でチャンスをつくるために、国がやはりこれは先頭に立って、まずは、先例的な事例もいろいろなものがあると思いますけれども、そうしたものも示しながら、地方にとって自由度のきく、こうした取組を応援していく、これがやはり国の使命であるというふうに考えております。

 やはり、人の流れをつくり出すものというのは、絶対的なもので動いていくのではなくて、私は相対的なもので変わっていくというふうに思うんです。いい観光、地方にこういういいところがあるというのであればいいけれども、もっとほかのところでいい観光というものがもし生まれる余地があるとすれば、そこにやはり人の流れというのは向く、そうしたものであるというふうに考えております。

 雇用についても同じことが言えると思うんですね。地方で雇用を充実させるという取組、これを進めたとしても、そこでいい仕事があったとしても、東京圏でもっと魅力的な仕事が見つかる可能性があるとすれば、やはり私は、人の流れ、人の目というものがそちらに集中してしまうのではないかというふうに感じてしまいます。

 そうであれば、政策のそご、それぞれがやっている政策の意味がなくなってしまうというふうにも考えるわけでございます。

 確かに、各地方自治体でも、東京オリンピック・パラリンピックの参加国と国際交流を図ろうというホストタウンの特色ある取組が進められていることに対して、国が情報、人材、財政支援も通じて最大限これを盛り上げていく責務は当然としてあると思います。地方の取組を応援していく。その上で、そうした各地の懸命な努力の中で図られる地域の活性化の効果でさえも、やはり東京再開発によって打ち消されてしまうのではないか。

 東京二十三区では、地方から流入する人材、これも多数のみ込んでいくような巨大な事業が次々に立ち上がっている。再開発はこの五年とまらないと思うんです。日本の威信をかけて、二〇二〇年、世界に向けた年、人の流れの先、若者の就職の先に通じる扉、雇用の受皿は、東京と地方とでどちらが相対的に大きく開かれているでしょうか。これは言うまでもないと思うんですね。

 東京都の試算では、東京オリンピック・パラリンピックに向けた交通インフラ整備、バリアフリー対策事業、こうした面での雇用について、全国でおよそ百九十万人、このうち、東京都で雇用が見込まれる数は何と百三十万人です。七割近くを占めるという都の試算であります。

 日本全国から、世界じゅうから学生が集まる地方大学、きらりと光る、こうしたネーミングも大いに私は本当は期待をしたいところです。しかし、今後二年を考えると、現実となるのは、日本全国からも、そして世界じゅうからももっと人が集まってしまう二十三区というのがやはり現実的な姿になってしまうのではないかというふうに思います。

 そうであるとすれば、少なくとも二〇二〇年までは数として最大の雇用の受皿は東京二十三区になることは、私は残念ではありますが確実というふうに捉えていますが、大臣、このあたり、具体的にはどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

梶山国務大臣 東京についても、日本を牽引していく都市として、国際競争力をしっかり備えてもらいたいと思っております。東京の勢力を地方にということよりも、しっかり両方が伸びていくことが必要だと思っております。

 そういった中で、地方は地方の特色、特性というものをどう生かしていくかということになるかと思うんですが、UIJターンという言葉があって、Uターン、Jターン、Iターン、そういうものの取組をいろいろな団体で今しております。

 でも、Uターン、Jターン、Iターンにもそれぞれの思いがある、それぞれの世代についてもいろいろな思いというか要望もあるということですから、情報をしっかりと発信をしていくということも必要でしょう。

 地方で暮らすには、やはり、なりわいというか収入がなければ暮らしていけません。そういった収入につながる就職というものもどう情報を発信していくかということで、いろいろな取組をしておりまして、東京で大企業にお勤めになっている、そして専門的な技術や知識をお持ちになっているプロフェッショナル人材事業というものもこの地方創生の中でやっております。地元に帰りたい、地元でも同じくらいの給料が欲しい、同じような仕事が欲しい、給料は同じでないまでも同じような仕事はできるけれども、額が少し違っても東京と同じくらいのレベルの暮らしができるねというような情報も含めて、どう発信していくかということをさまざまな会合で今議論をしていただいているところであります。

 東京をそのまま地方に持っていくということはあり得ません。東京も発展はしていきます。していく中で、少しずつやはり価値観を変えるための作業をしていく。そのために国が何ができるか、地方が手を挙げて何を発信できるかということだと思っております。

緑川委員 そうですね。そうした地方への還流をやはり息の長い取組で進めていかなければならないというふうに梶山大臣はお答えをされますけれども、人の流れというKPI、数値目標で見た場合には、二〇二〇年時点という目標を明確に立てていらっしゃるわけです。こうした中で、時限的な目標達成ということが求められているわけです。

 こうした中で、どのような姿勢で、UIJターンもこれは長期的には大きな流れになっていく可能性もあると思いますけれども、今KPIとして求められている、二〇二〇年に東京圏での転出入を均衡させる、これについての取組を御説明いただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 これまでも東京一極集中是正という観点からさまざまな取組をしておりまして、先ほど大臣が答弁されたように、UIJターンを促進するために、プロ人材あるいは東京で就職していた方が地元に戻るときに奨学金を免除する仕組み、こういったものも、今二十四県でございますが、この数をふやしていこうというようなこともやってございます。

 さらに、やはりこれはいろいろな施策を複合的にやっていく必要があると考えておりますので、このたびお諮りをしております法案で地方大学振興産業創生法というのは、学生の時分において、地方大学の魅力を高め、全国ないしは世界から学生が来るような取組をしていこうということを狙いとした新しい交付金をつくることといたしております。

 加えまして、もう一つの地域再生法の一部改正でございますけれども、こちらは、かねてから、本社機能の移転を、二十三区から地方圏に出す場合に優遇措置を講ずるというものでございますが、更にその措置を拡充することによって職業人を含む人の流れをつくっていこうというようなことを考えておりまして、さらに、今法案を出しているものに加えて、もっと大きな人の流れが出てこないかということを、今、梶山大臣のもとで有識者会議を開いて、さらなる次の策についても検討を行っているところでございます。

緑川委員 今回の両法案の中身の前の時点でのお答えも求めていきたいわけであります。

 まち・ひと・しごと創生本部、この総合戦略を打ち出す前には両法案についてはまだ審議がないわけですから、この時点でやはりこの目標を、二〇二〇年に東京圏での転出、転入の均衡というものを定めたわけですから、そして、この総合戦略における取組、これをどういうふうに、あるいは修正していくお考えがあるのかどうかも含めてお伺いしたかったところであります。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 これまでの取組もさまざまやってきているところでございますけれども、中間年ということで、三年目に入ったときに、昨年に、有識者から成る検証チームというのを設けて、これまでの効果検証を行ったところでございます。

 四つの目標のうち、人の流れを地方につくるという東京一極集中の是正というのが、依然として十二万人規模の転入超過ということでございまして、その際にも、これまでやってきております施策で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、奨学金の返還支援。あるいは、少し数字で申し上げますと、地方拠点強化税制でいうと、これは計画ベースでございますけれども、一万一千五百六十人の雇用創出を地方でつくっていくですとか、あるいは、生涯活躍のまち、これも一定年度の時間がかかります、それを地域につくっていくことによってアクティブシニアを地方に移住していこう。

 あるいは、政府関係機関の地方移転、文化庁を始めとする施策を講じることによって、それぞれに施策を講じておりますが、やはり一定程度の時間を要するという中で、十二万人が解消していないので、先ほど申し上げましたけれども、上乗せした新しい対策も講じていくということで、大事な目標でございますので、この二〇二〇年に均衡させるという目標は維持しながら、施策を積み増すことによってその達成を目指していこうというスタンスでございます。

緑川委員 ありがとうございます。

 参考人からは、こうした目標の見直しはやはり考えていないということでありますが、この地方創生、先頭に立って進められる長である梶山大臣はどのようにお考えでしょうか。

梶山国務大臣 先ほど来申し上げていますけれども、総合戦略の中間年ということで、外部の有識者による検証チームをつくって、この二年の検証をいたしました。

 そして、転出入の均衡という件に関しては、なかなか今の時点ではできていないという厳しい意見もいただいておりますけれども、この転出入の均衡というものの目標はずっと掲げたままで、しっかり、この二年、あと二年ですけれども、政策を深掘りすること、また新たな政策も含めて全力を尽くしてまいりたいと思っておりますし、そして、この五年が終了したときに、さらにまたKPIの評価、PDCAサイクルで、今後どうしていくかということにもつながるものと思っております。

緑川委員 ありがとうございます。

 地域活性化のために、この地方創生委員会の委員もきょうもまた遅くまで審議を続けて、そして職員の皆様もお知恵を出し合って、できるだけ多くのものを振り絞って、連日、国費を投じて、きょうもこの審議を進めている状況であります。

 その一方で、今のお話のように、地方からの人材を更に吸い上げていくような首都再開発、そして、関連対策事業に国税を含めた巨額の費用が投じられているという、これはやはり、ちぐはぐさを抱えた状況の中で取り組まれていると言わざるを得ません。

 こうした国政の議論を尻目に、各地域では、その魅力をどうにか発信して地方に人を呼び戻したい、あるいは、UIJターン、ありますけれども、移住する人を一人でもふやしたい、そうした各地の熱が高まっているのを地元に帰っては感じております。

 秋田県では、よそ者の視点を取り入れながら、県外出身者が町の古民家を交流人口拡大の拠点として、シェアビレッジというふうに呼んでいますけれども、活用して、創業につなげている取組があります。また、学校跡地を活用しながら、地元有志の商工業者がにぎわいづくりを行おうと、地域外の商工団体にも呼びかけながら定期的に開かれている市。また、小学校の空き校舎を活用した地元企業の取組として、生ハム製造工場や、別のところでは、日本海の海水を取り込みながらアワビの陸上養殖の拠点としての活用もあり、世界遺産の白神山地からそれぞれ名前をとった、白神生ハム、白神あわびとして生産、販売されております。

 こうした企業誘致、雇用の場の確保の取組のほかに、別の空き校舎では、貸し事務所となっていたり、今後、高齢者の入浴施設としての活用を検討しているところもございます。

 また、私が住む秋田県の北部で、大館市というところですけれども、農産物の販売、加工を行う、農家の女性でつくる、陽気な母さんの店というところがあります。地方新聞四十六紙と共同通信が設けている地域再生大賞、このことしの大賞に陽気な母さんの店が選ばれました。産直の経営を軸として、総菜、弁当の宅配、食堂運営のほか、切りたんぽ、地元特産のそばなど郷土料理体験や民泊を通じて、修学旅行生や外国人旅行者などを積極的に受け入れております。

 現場のニーズを鋭く感じ、その感覚を企業経営やまちづくりに取り入れながら、行政の補助金に頼らない取組を進めているところもございます。こうした、愛着を持って暮らしているそれぞれの町で、地域のにぎわいを、あるいは活力のきっかけをつくり出すために、それぞれの持ち場でできる取組を行って前に進もうと頑張っていらっしゃいます。

 こうした取組で共通していることがございます。空き店舗や空き家、そして空き地の利活用に対して、地域での関心が大変高いということです。関心が高いと同時に、それは、空き家、空き店舗の現状とその展望、これを考えれば深刻でございます。

 お配りした資料を見ていただきたいと思います。棒グラフ、折れ線グラフの下の表ですけれども、全国の総住宅数と空き家数のデータであります。

 ごらんいただくように、人口が増加していた時代につくられた家、これが、核家族化、単身世帯の増加と相まってまだまだふえ続けております。総住宅数は二〇三三年でもふえ続ける見込みです。

 そして、その総住宅数の数字以上のペースで伸びているのが空き家の数であります。二〇一八年以降はあくまで予測の値ですが、二〇一八年時点では千七十八万戸で、十五年後、二〇三〇年には二千百七十万戸と倍増しています。

 空き家率が急激に上昇することも見込まれています。十五年後には、空き家率の全国の平均がごらんのように三〇%を超える、つまり、どこに行っても、ほとんどの地域で、住宅の十軒あるうちの三軒は空き家になっているという推計です。地方ではこの割合は残念ですがもっとふえることになろうかと思います。

 こうした空き家の状況を踏まえて、いろいろ私からお尋ねさせていただきたい、提案も含めてなんですけれども。

 まずは、今回の地域再生法の改正案について、政府参考人からもいろいろ先ほど御答弁いただいたんですが、改めてになるかもしれませんが、空き店舗の利活用を通じた商店街活性化の取組においても、この空き家活用、空き店舗活用が言えると思いますが、私からは、小さな拠点の形成に資する株式会社に対する投資促進税制についてお尋ねさせていただきます。

 改正していないまずは現在の時点で、この投資促進税制の活用実績は一体何件でしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 この小さな拠点のこれまでの税制、平成二十八年の創設後、課税の特例が位置づけられました地域再生計画は二件認定しているところでございまして、そのうち、長野県の豊丘村では、本年の三月中に課税の特例の対象となる増資を行う予定と聞いております。

緑川委員 ありがとうございます。

 この税制は昨今始まったものではない。つまり、前の姿が、社会福祉の増進に関する事業等を行う株式会社に対する投資促進税制ということで、昨今というか、ここ二年とかという話ではなくて、二〇一二年度から二〇一五年度まで、既にこれは四年間で実施されてきた事業の後の姿であろうかと思いますが、この適用件数は、調べたところ、一件もないということです。

 これは、税制の名称は変わっておりますけれども、いずれにしても、ほとんど活用に至っていない、こうしたことが言えると思いますが、この原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、平成二十四年度に創設されました税制については活用実績がなかった。

 私ども、これまでの税制、実は、先ほど二件、地域再生計画の認定があったというふうに申し上げましたけれども、これは、創設のときから、増資のときを対象とした特例ということでございまして、小さな法人が増資をして寄附金税制の特例を受けるというケースがなかなか出てこなかったということでございまして、それを踏まえまして、今回、設立時の出資についても適用対象としようということで、拡充を法案に盛り込んでいるところでございます。

緑川委員 改正後の適用された投資促進税制についてもまた後で少しお話もしたいところではありますが、いずれにしても、今後、どの程度の幅で、この六年間で二件ということです、今回、設立時出資も認めるという形であれば、具体的な数値ももしあれば、どの程度まで活用が広がっていく、あるいは広げていきたい、こうした取組なのでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度以降これまでに、いわゆる小さな拠点の形成というものが位置づけられております地域再生計画、百六十五計画が認定されているということでございまして、近年は、各地方公共団体の各地域におきましてこの小さな拠点の形成に向けた取組が広まってきておるということで、こういった中から本税制の特例を受ける法人が出てくるのを期待している。

 ことしに入りましてから、各自治体に問合せを、活用の見込みを聞きましたところ、広島県の三次市、それから愛媛県の内子町の方で活用について具体的な検討を進められておるということが既に聞こえてきておりますし、また、この税制に関心を有するという地域も幾つか問合せが来ているということで、今後、更にフォーラムですとか説明会等を通じましてこの税制の周知を図って、広く活用されるように取り組んでいきたいと考えております。

緑川委員 この小さな拠点の形成に資する会社自体の母数、もともとの数が少ないということももしかして視野に入れていらっしゃって、今回、この設立時出資も、大幅に、大胆に変えようというふうな取組なのかもしれない。でも、実際まだ活用はされていない、二件ということですから。

 私は思うんです。出資の仕方、金銭出資ということになっております。これは大変私はハードルが高い話だなというふうに感じるんです。

 ましてや、景気が拡大していると言われている今、戦後二番目の長さの景気拡大と言われているただ中にありながら、そして来年の一月には戦後最長の景気の拡大、こういうことが見込まれていながら、都心を中心とした企業では内部留保は過去最高、年々それも更新している。その一方で、地方創生ですから、日本全体を考える、この場合には、企業の設備投資は、そして賃上げは全く、一向に進んでいない。家計の可処分所得、五年間で、残念ですけれども、ふえるどころか、やはり減っているわけです。たとえ思いはあっても、目先の暮らしを考えれば、お金を出資したいという経済状況ではないです。

 私が先ほど紹介した秋田の取組のように、今求められているのは、この表のように、現状あるものの活用に対して一層耳目が注がれているんじゃないか、だからこそ一層の支援が必要ではないかというふうに私は考えております。

 小さな拠点の形成に資する株式会社に対して、金銭によらない出資、つまり現物出資のニーズ、その可能性を、職員の皆さん、そして大臣始め議員の皆さんに受けとめていただきたいんですけれども、地域のお声を強く聞いて感じているからこそ、ここで提案させていただきたいというふうに思います。

 今回の改正によって、参考人の御答弁のように、税制の特例対象となる株式会社を設立する場合も含めて、金銭の出資だけでなく、今のこの表のように、空き家などの現物出資によって株式会社を支援する方法は地域の実情に私は即していると思います。空き家対策としても有効であるというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 小さな拠点税制は、御指摘のように金銭出資のみを対象としておりまして、現物出資は対象としておりません。

 これは、これまで、小さな拠点に資する事業を行っている株式会社は、私ども、実態調査を行ったところ九社ございましたけれども、いずれも金銭出資のみで現物出資が行われていなかったということ、また、調査によりますと、少なくとも現時点で、近い将来、現物出資を行う具体的な計画というのは聞こえてこなかったというところがございます。

 ただ、一方で、これまでの調査は、現物出資のニーズを直接ありますかと聞いたわけではございませんので、将来的な現物出資のニーズがどれぐらいあるかという点について、地域の声を更によく聞きながら、まず実態の把握をしてまいりたいと考えております。

緑川委員 地域での実情というものをやはり受けとめて、それを手がかりに地方創生をしっかり前に進めていっていただきたいということで、現状のニーズは、現状はまだ正確には把握されていないということになろうかと思います。

 改めてですけれども、租税特別措置法によれば、法律上の根拠もお伺いしたいと思うんですが、営利目的で設立される株式会社への現物出資は対象外というふうになっておりますけれども、この投資促進税制の特例として認められない理由をお伺いできればと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 現在、不動産等の資産を法人に現物で寄附する場合に、税法上、その財産を時価で譲渡したものとみなされて、いわゆるみなし譲渡所得というのが課税されることになります。

 このみなし譲渡所得課税につきましては一定の非課税特例というのが設けられておりまして、具体的に、国又は地方公共団体に対して財産を寄附した場合、それから、公益法人等に寄附をして、公益の増進に著しく寄与すること等の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けた場合というのが認められております。

 これは結局、対象は、公益法人等公益を目的とする事業を行う法人とされている、それから寄附者は何ら財産的価値を受け取らない一方で、出資というのは株式、持分を取得するといった違いがあるということで、これを踏まえれば、公益法人等に対する寄附と営利目的で設立される株式会社への現物出資というのは、同列に論ずるというのはなかなか難しいのではないかと考えられるところでございます。

緑川委員 先ほどのお話で、公益的な存在ということがまず前提だというお話でございます。

 しかし、考えてみますと、小さな拠点、これは地域にどうしても欠かせない存在だと私は思っております。この形成を進めていこう、その数をふやしていこう、こういう今回の投資促進税制のはずですね。この目的は一致している、方向性は同じはずなんです。でも、現実には、そうした拠点を担う主体が、時代の中で、もともと少ないかもしれませんけれども廃業に追い込まれている、形成どころか今減ってしまっている、大変私はそれを心配しております。そうした拠点をなくさないでほしい、その切実な思い。

 確かなニーズというものはあります。現状、ニーズを把握されていないということもあるかもしれませんけれども、私は地域を回って、少なくとも秋田県内の多くの地域では、こうした、地域での暮らしを支えていく、身近な暮らしを支えるような、持続的に経営をすることによって支えていくというこの拠点、これは確かに求められている、そうした声は受けとめております。

 私が住む、また少し具体的なお話ではありますけれども、北秋田市というところが隣町にございます。北秋田市のある地区で、御挨拶に回っていたときに、食品や日用品をそろえていたディスカウントストアがあります、この地区で唯一買い物ができるこのお店が不況のあおりを受けて先日閉店したというふうに聞きました。

 このお店がなくなったことで、近くに住む住民にとって一番近いショッピングセンターはその地区から五キロ以上の距離となって、往復で十キロ以上、これは車でなければ利用できません。バスを乗り継いだとしても、お年寄りには大きな負担がかかる厳しい現状です。

 ひとり暮らしのお年寄りのおうちを訪ねますと、ディスカウントストアでの買い物は何より助かっていただけに残念だとお話しされて、息子も市街で離れて暮らしているから頼みづらいけれども、連絡してわざわざ実家まで来てもらっているんだと申しわけなさそうに話しているのが大変印象的でありました。

 また、私の地元の事務所から近いスーパーでも、およそ半世紀続いていたお店がまた閉店してしまいました。個人商店じゃなくて、これはチェーン店なんです。個人、チェーンかかわらず、地域でなじみのあったお店が次々に姿を消して、長い歴史に幕をおろしてしまっている、こうした姿を目の当たりにしております。

 人口減少社会の中で、行政サービス、生活サービスが行き届くエリアがどんどんと狭まっていく、これは一つの流れになってしまう、そうしたものかもしれない。でも、このコンパクトシティーという考え方を当然のものとして、ただただこれを受け入れるだけではなくて、あらゆる試み、もがきを繰り返す、こうした審議を経た、結晶を固めたものをしっかりと地域に還元する思いで取り組んでいかなければ、ただ、そうかと思って流れに身を任せるだけでは地域活性化にはならないんじゃないかというふうに私は考えております。

 拠点としては小さい、でも、地域の身近なニーズにしっかりと応えられる、暮らしを持続的に支えていく上でなくてはならない、この御紹介したお店のようになくなってしまったものもありますけれども、そうした最後の拠点がまだ地域に残っているところがあります。まだ間に合うと思いますし、これからなくしてはいけない。

 これから地域で生活サービスを、そして安心を届けられるように旗上げしようという強い思いのある株式会社の事業主、これをいろいろな形で応援しやすい仕組みに私は変えていくべきであると思うんです。その一歩目が設立時出資ということで、全く反対の方向ではないと思いますし、私は第一歩だというふうに受け取っております。

 その上で、あえて提案をさせていただきたいのが、現物による出資。

 株式会社は決して、今回のこの小さな拠点に資するという意味では、営利目的という定義はありますが、これらのケースは、ただひたすらに利益を追求していく、そういう性質のものではないことは共有していただけると思うんですね。地域の方が持続的に暮らしていけるように、住民の福祉、利便性を確保していくために、これは公益的とも言えるというふうに私は思うんです。

 その存在である以上は、会社を応援したいのに、先ほどお話が参考人からございました、みなし譲渡所得への課税、この税法上の大きな壁がある。出資の形が極めて限定されてしまっている。

 私は、ここに立たせてもらっていますけれども、この国会のよさというか、それはやはり横断的に議論ができるという点にあると思うんですね。たとえ税法であっても、地方創生ですから、横断的な取組の中で、しっかりと足並みをそろえて、各省庁で意識を共有し合って、これを地域活性化に資する取組につなげていくということがすごく私は大事だと思うんですね。

 みなし譲渡所得について私も少しお話しさせてもらいますと、個人から個人へ財産をただで上げてしまう、つまり贈与した場合には、上げた側に譲渡所得が生じないために課税されないんです。

 一方、今回提案しているケースでは、たとえ善意で、よかれと思って個人から株式会社にただで財産を上げた場合、これは、個人からもらった財産を保有しようが、ほかへ売り払おうが、法人の場合には、所得税が課されない、課税されないために、これは比較的日本で簡単に会社をつくることができるということもあって、会社が取得した財産に対する譲渡所得への課税は永久に免れることもできる、悪用すれば税金逃れもできるというような中身になっている、これを防ぐためにみなし譲渡所得の規定がある。個人が財産をただで会社に上げた場合には、上げた側の方が課税される。上げた本人にしてみれば、これは半ば不本意な形、感じにも見えるわけです。

 家とか土地は大きなものですので、ここからまた現物出資という形で急には実現は難しいというふうには私も思いますけれども、例えば、家や土地、不動産以外のもの。

 私が地域を回っていると、いろいろなものを目にします。土地や建物だけじゃなくて、地方の交通に欠かせないもちろん車、そして工業用又は農業用トラクターとか、また食品加工用の機械、農林漁業用の施設、資材など、手つかずになっているもの。高齢化の中で、もう働けない、外に出て働けないという方がたくさんいらっしゃるわけで、こうした資材とか財産が手つかずになっている、優良な資産があります。またあるいは、老朽化が進んではいるけれどもまだまだ利用できる、こうしたもったいないものがたくさんあるわけです。

 地域のためになるのであれば、今後のために、事業主さん、役立ててくださいという声、こうした切実な思いを受けとめられる税制であってほしいというふうに私は願いますし、よいものであれば活用したいと思うものであればあるほど、残念だけれども、それに比例してみなし譲渡所得への課税というものが高額になっていく、こういう現実があります。この壁がやはり地域では越えられないんですね。

 土地建物以外のもの、一定の枠組みの中で、今回は、土地建物というのはもう少し議論が必要かと思います。でも、地域で眠っている宝、こうした資材とか施設、こうしたものを一定の枠組みの中で規定をして、みなし譲渡所得課税の、免除とは言いません、減らしていく、こういう措置でも、使われていない資産の有効活用、そして地域活性化にも資すると考えますけれども、この考えについてはいかがでしょうか。

梶山国務大臣 人口減少や高齢化が進行する地域においては、空き家や空き地等、十分に利用されていない活用可能な遊休資産が増加をしているところであります。この遊休資産をどう使うかというのは、やはり地方創生にもつながることだと認識をしております。

 そのような地域での地方創生を進める上では、例えば、先ほどお話にありました、空き家を改修した移住者向けの住宅や、古民家を改修した宿泊施設やレストランの整備といった地域の遊休資産の活用が効果的であり、遊休資産が活用されやすくなるような環境を整えていくことが重要と考えております。

 このため、今後、地域の遊休資産等の活用を推進する上でどのような対策が効果的なのか、御指摘も含めて、よく地域の実情を調査、分析しつつ、具体的な方策を検討してまいりたいと思っております。

緑川委員 ありがとうございます。

 この方向性はいいというふうにもしかしたら御承知いただけるかもしれませんけれども、投資促進税制の枠組みの中では御検討はいかがでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、みなし譲渡所得課税、大変壁は高いというところでございます。大臣から、今、御指摘も含めて具体的な方策を検討するというふうに申し上げたところでございますけれども、さまざまな手法が活用という意味では考えられるのではないかということで、私どもも、まず実情も調査、分析をしながら、どのような方策が考えられるかというのはよく検討してまいりたいと考えております。

緑川委員 ありがとうございます。

 そうしたお答えも踏まえて、さらに、私から僣越ながら提案のような形になってしまうかもしれませんけれども、やはり税法関連になるかもわかりませんが、これをすぐに改正できない、こうした事情は大いに承知いたします。省庁の横断的な議論を今後も積み重ねていく、その上で答えが出るものというふうに思います。

 そもそも、地域再生法の中で、小さな拠点に資する株式会社と似た取組があると思うんです。地域運営組織と呼ばれるもの、何か明確に線引きできないものも、個別に私は見てみましたけれども、あるのではないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 今回、税制の対象となります株式会社もいわゆる地域運営組織の一形態ということで、地域運営組織というのは法律上定義がなされているものではございませんけれども、いわゆる中山間地域を中心として、集落での生活サービスを確保するために住民がみずから団体を組織している形態を地域運営組織、これは、全国で調査によると三千団体余りあるところでございますけれども、約九割は任意の団体ということで、法人格を持っているのは一割程度、その法人格も、一般社団法人であったり、株式会社もございますけれども、NPO法人であったり、さらには認可地縁団体という自治法上の組織であったりということでございます。

 先ほど来先生が御提言いただいているように、こういった中山間地域での地域運営組織ないしは小さな拠点の形成というのは非常に重要な施策だと考えておりまして、私ども、いろいろな、地方、小さな拠点版の三本の矢と呼んでおりますけれども、財政支援、人材支援、情報支援という形でこれまでも取り組んでおりますし、今後ともしっかりと応援していきたいと考えております。

緑川委員 ありがとうございます。

 この小さな拠点、そして地域運営組織、これは同列にはできないけれども、同じものとしては扱えないけれども、同じ方向性を持って進めているものということ。

 NPO法人についてなんですけれども、私、またその上で更に提案させていただきたいんですが、NPO法人の行う特定非営利活動というものがありますが、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的としている。二十分野の活動に分けられたうちに、まちづくりの推進を図る活動、そして経済活動の活性化を図る活動というものも含まれております。つまりは、会社にも似た活動を進めることができるのではないかというふうに私は考えております。

 このNPO法人の中には、参考人がおっしゃったように、地域運営組織の主体となっている未認定団体というか、任意の団体ですね、圧倒的に任意の団体、法人格を持たない団体が占めていて、そのほかはNPO法人、そしてもう一つが認定NPO法人で間違いないですね。

 この認定NPO法人というものが、相続や遺贈によって財産を取得した人が、その取得した財産を認定NPO法人の特定非営利活動について寄附をした場合に、寄附額が課税対象から除外されるという税制上の特例措置もある、可能になっているということで、つまり、株式会社で小さな拠点に資する投資促進税制の適用ができないのであれば、認定NPOを小さな拠点の形成に資する主体と位置づけて、現在の税法上も相続、遺贈に絡む財産の寄附ということが可能になっております。

 認定NPO法人を軸に置いた小さな拠点形成については、どのようにお考えでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、認定NPO法人については税制上の特例がございます。

 先ほど、小さな拠点と地域運営組織の関係というお話がございましたけれども、地域運営組織というのは、その地域でのさまざまな生活サービスだとかを担う、活動の団体でございまして、小さな拠点というのは、いろいろなその活動を行う箱が小さな拠点、町というか地域の捉え方ということで、同じ、表と裏みたいな話でございますので、それは一体的なものだというところでございます。

 認定NPO法人でございますけれども、御指摘のとおり税制の特例もございまして、先ほどさまざまな観点から具体的な方策を検討と申し上げた中の一つの方向性だと思っております。

 ただ、認定NPO法人というのは、やはり公益性の認定についてのハードルもそれはそれでございますので、そこをどういうふうに越えていけるかというところもしっかりと検討していかなくちゃいけないと思っております。

緑川委員 いろいろなまた提案型の議論を進めてまいりたいと思いますし、またここで言い足りなかったところがありまして、少し長い時間でいろいろ御答弁いただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 私の暮らす秋田県、本当に、山があって、三方は山に囲まれて、そして日本海が広がっている。本当に、海の幸、山の幸、そしてまた畑でとれたいろいろな野菜、こうしたもので元気をいただいております。地域の元気はやはり地方から生まれるものであるというふうに思っておりますし、日々地域を回りながらアンテナを張り続けて、そしてこの国会で政治を前に進めていけるような、そうした原動力を培って、地域に還元してまいりたいと思います。

 きょうは、夕刻となって最後まで質疑の応答、ありがとうございました。

 終わらせていただきます。

渡辺委員長 次回は、来る二十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十五分散会


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