衆議院

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第6号 平成30年3月22日(木曜日)

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平成三十年三月二十二日(木曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 加藤 寛治君 理事 後藤 茂之君

   理事 新藤 義孝君 理事 牧島かれん君

   理事 山口 俊一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 下条 みつ君 理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    穴見 陽一君

      池田 道孝君    石原 宏高君

      大西 宏幸君    加藤 鮎子君

      金子万寿夫君    神田 憲次君

      小林 茂樹君    左藤  章君

      新谷 正義君    田中 英之君

      平  将明君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    長坂 康正君

      平井 卓也君    古川 禎久君

      八木 哲也君    義家 弘介君

      渡辺 孝一君    武内 則男君

      長谷川嘉一君    堀越 啓仁君

      松平 浩一君    白石 洋一君

      寺田  学君    緑川 貴士君

      渡辺  周君    太田 昌孝君

      浜地 雅一君    篠原  孝君

      平野 博文君    宮本 岳志君

      谷畑  孝君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          梶山 弘志君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 鎌田 光明君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 服部 高明君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        高橋  淳君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          河村 正人君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        青柳 一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        田川 和幸君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           信濃 正範君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     穴見 陽一君

  田中 英之君     新谷 正義君

  古川 禎久君     八木 哲也君

  篠原  孝君     平野 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     金子万寿夫君

  新谷 正義君     田中 英之君

  八木 哲也君     古川 禎久君

  平野 博文君     篠原  孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案(内閣提出第五号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案及び地域再生法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補末宗徹郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長鎌田光明君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長服部高明君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長松尾泰樹君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進事務局審議官高橋淳君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、内閣府地方創生推進事務局審議官青柳一郎君、内閣府地方創生推進事務局審議官田川和幸君、文部科学省大臣官房審議官信濃正範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松平浩一君。

松平委員 おはようございます。立憲民主党、松平浩一です。

 本日、トップバッターということで、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、大学の振興及び若者の雇用機会創出に関する法律案についてお伺いいたします。

 この法律案、地域の活力の向上及び持続的発展を図ることを目的としております。この目的意識については、私も非常に大事なものであると思っております。

 ただ、今回、この法律案第十三条において、特定地域内、こちら、東京二十三区内となっているので東京と言いますけれども、東京の大学の定員がふえるのを認めないというふうにしています。

 確かに、学生の過度の東京集中は地方大学の衰退につながりかねないというロジックはそのとおりであると思います。しかし、それは東京の大学の人員を制限するという規制の方向性でやることなのかなと疑問に思ったりしています。

 この人員制限について、形式面と実質面の二つの側面から質疑させていただきたいと思います。

 まずは形式面から。憲法上の問題です。

 憲法二十三条で、「学問の自由は、これを保障する。」とされています。学問の自由は、思想、表現の自由の一部をなす非常に重要な、大事な権利です。学問の自由は学問研究の自由を認めており、この学問研究の場となる中心が大学となります。そして、大学における学問の自由を保障するために、憲法二十三条は大学の自治を認めております。

 今回の立法、東京の大学で学ぼうとする人数を制限するもので、この大学の自治を侵害するものではないかという疑問があります。

 例えば、その大学の教室の数に比べて学生の数が多過ぎる、あと、指導教官の数に比べて学生の数が多過ぎるというのであれば、学生の数を制限するのに合理的な理由だと思うんです。また、その地域の人口が多いから、その地域にある学生の人数を多くする、そういう定員を拡大する方向ならまだわかるんですけれども、しかし今回は、逆に、人口が多いから制限するというのは、学問とは関係のないところでの制限なので、果たして合理的な制限と言えるのかというふうに疑問を感じています。

 それから、憲法十四条、これは平等権を定めておりまして、もちろん、今回は直接的に適用があるものではないと私もわかっているんですけれども、ただ、この平等権の趣旨からさかのぼって考えますと、東京という場所にある大学だけを規制してしまうというのはいかがなものであるのかなというふうに思ったりもしています。

 更に言えば、東京という場所で学びたいという学生の希望を制限するものであって、学生の居住、移転の自由にかかわってくる、又は、東京にある魅力のある大学で学びたいという学生の学問の自由にかかわってくるのではないかなというふうに思っています。

 この点、いかがでございましょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、学問の自由についてでございますけれども、本法案の措置につきましては、大学に対して、特定地域内の収容定員をふやさないようにするということにとどまっておりますので、特定地域内における大学教員等の教育研究の内容あるいは活動そのものを制限するものではございませんので、大学の自治を含む学問の自由の観点からは問題ないと考えております。

 また、二点目の、法のもとの平等についてでございますけれども、これは一般論といたしまして、合理的な理由に基づく区別は許されるものと考えられていると承知しておりまして、この法案の定員抑制については、地域における若者の修学、就業の促進のために定員抑制する必要性があると認められますし、十年間の時限措置として特定地域の要件を限定的に規定をしておりますので、合理的な範囲における区別と考えられ、法のもとの平等の観点からも問題がないと考えております。

 三点目の、学生にとっての居住、移転の自由についてでございますけれども、この措置は、大学に対して、特定地域内の収容定員をふやさないようにするというものにすぎませんので、学生自身の居住、移転を制限するものではないということから、居住、移転の自由の観点からも問題ないと考えているところでございます。

松平委員 次に、実質面の観点からお伺いいたします。

 東京の大学の定員を抑制することによって地方の大学に進学させるというのが、果たしてその地域の創生につながるのかという点です。地域の大学に行かせたとしても、卒業して他の県に行ってしまえば余り意味がないのではないかなと思います。

 リクルートキャリアさんの就職みらい研究所というところが出している、大学生の地域間移動に関するレポート二〇一八というデータがございまして、これを見ると、大卒の都道府県別の、地域外出身者で地域内就職者率、つまり、別の県から来た大卒者がその大学のある県に残る率のデータなんですけれども、東京が四八・三%で、断トツ一位になっています。二位は大阪の一八・一%、以下、鳥取一六・七%、福岡一三・二%など、一〇%前後が続きます。

 結局のところ、外から大学で別の県に来ても、その後、余り就職で残っていないんです、一〇%ぐらいです。やはり、その現実からは、魅力ある地方にして、地域の大学に行きたい、地方に残りたいと思わせる、そういった施策を打つべきであると思うんです。

 その意味では、今回の法案のもう一つの目玉である地域における大学振興のための交付金制度の方、こちらは地方の大学の魅力を上げるという制度になりますので大賛成なんですけれども、やはり東京の大学を制限するという方向性の制度に関してはどうなのかなというふうに思います。

 例えば、地方の住居費用や地方の学費の一部を支援するなど、都内の私立大学に通学するよりも地方に行く方が安く済むというインセンティブ設計、こういった設計をする方が生産的なんじゃないかなというふうに思ったりもします。

 学生の側からしても、例えば研究活動が魅力的な大学が首都圏に多いですとか、理由はさまざまですけれども、東京の大学に行きたい人はやはり行きたいので、この施策を打っても浪人生をふやすだけではないのか、大学の間の自由な競争をゆがめるだけではないのかというふうに思ったりもします。

 この点、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 まず、地方の若者がみずからの意思によって上京し、さまざまな経験をすることは大変重要なことであると考えております。

 こうした認識の上に立って、地方から東京圏に出てきた学生が再度地方に目を向ける、そして、地方の魅力に気がつき、地方で活躍することができるようにするために、産官学を挙げての地元企業でのインターンシップを実施する地方創生インターンシップの実施や、地方圏と東京圏の学生の対流、交流を促進すること、さらにまた奨学金返還支援制度の全国展開など、今取り組んでいるところであります。

 また、法律案は、一義的には、まさにインセンティブとしての地方大学の振興のための交付金制度を創設し、地方大学の魅力を高める、委員がおっしゃったようなことを目的としておりまして、地方での若者の修学及び就業を促すものであります。

 その上で、今後、十八歳人口が大幅に減少してまいります。二〇一六年が約百二十万人、二〇四〇年には約八十八万に減少する予測が出ておりますが、現実に、二〇一七年には出生数は九十四万人ということで、この方たちが十八歳になるときにはそういう数字で推移をするわけでありまして、今後も条件の有利な東京二十三区の定員増が進み続けますと、東京一極集中がますます加速をし、東京の大学の収容力が拡大する一方で、地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じ、地域間で高等教育の就学機会の格差が生じかねないため、特定地域内の大学の収容定員を抑制することとするものであります。

 このように、本措置は、十八歳人口が大幅に減少することが見込まれる中での特定地域内の大学等の学生の収容定員を増加させることを規制するものであり、削減するものではないために、専ら本措置の実施によって東京の大学に進学したいという高校生の希望が損なわれ、浪人生が増加するとは考えにくいと私どもは考えております。

松平委員 御存じのとおり、日本の大学の国際競争力が下がっているという実情もありますので、今回の施策で更にその地位を低下させてしまうのではないかという懸念もあります。それを踏まえると、繰り返しになって大変申しわけないのですが、魅力のある大学をもっと伸ばす、そういった方向性に絞って地方創生は考えられないのかなというふうに思ったりもします。

 そこで、ちょっと一案なのですが、東京のサテライトキャンパスを充実させて東京の大学をもっと地方に進出させる、大学在学中の一時期を地方で過ごすというカリキュラムを導入するなどといった支援はいかがでしょうか。これだと、学生も、自分が入りたい、学びたい大学で学ぶこともできて、それでいて地方で勉強することになるので、その地方のこともよくわかる。地方に有名大学のセミナーハウスのような滞在施設をつくり、国内留学のイメージで大学二年生や三年生の一時期をそこで過ごすなどということも考えられます。ここに、複数大学が共同してセミナーハウスという構想も考えられます。

 東京の大学に通う学生が、地方の地元企業、観光産業、留学生などとも連携しつつ学べる場があれば、学生の興味や交友範囲が広がり、将来どこかでつながり、おもしろい化学反応があるかもしれない。当然、卒業後、地方に定着したいと考える学生も出てくるかもしれません。

 私、弁護士なのですが、弁護士など法曹の世界では、地方で司法修習をやるという制度もあります。この地方の司法修習制度、そのままその地方に根づいて弁護士事務所に就職という例も多いんです。

 こういった提案に関しては、いかがでございましょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 サテライトキャンパスにつきましては、委員も御指摘されたように、さまざまな効用があると考えておりまして、この点については、昨年の十二月に閣議決定をいたしました、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましても、東京圏に所在する大学の学部・学科のサテライトキャンパスの地方での設置を促進するというふうに明記をしているところでございます。

 これを受けまして、来年度におきまして、私どもの方で予算を確保しております。既存の取組を分析するとともに、サテライトキャンパスを望む地方側と大学側の意向等のニーズを把握してマッチングする仕組み等を検討するというふうに考えておりまして、調査事業を実施してまいりたいと考えております。

松平委員 ありがとうございます。

 それでは次に、地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度、こちらの方についてお聞きします。

 こちらの交付金、去年十二月八日に公表された地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の最終報告書、これを踏まえて検討されたものと理解しています。

 この有識者会議の最終報告においては、地方大学が総花主義から脱却することを目標とし、ベンチャー企業の創出やイノベーションに向けた取組を支援する視点が重要というふうに指摘されています。

 ここでの具体的なイメージとして、どういった形でベンチャー企業を創出するような事業計画、これを念頭に置いているのでしょうか。この点、大臣にお聞きできればと思います。

梶山国務大臣 委員御指摘の大学発のベンチャーに関する事例としまして、山形県鶴岡市の慶応義塾大学先端生命科学研究所では、県や市の継続的な支援、例えば財政面での支援、行政での手続上の支援等々によって、国内外のトップレベルの研究者が集い、イノベーション創出に向けた研究が多角的に展開をされ、その中からスパイバー社などの世界トップレベルの新しいベンチャー企業が生まれ、日本全国や世界じゅうから優秀な若者が集まってくるなど、地元経済に大きな活力を生み出す取組が行われていると今承知しております。

 昨年、私のもとで開催をいたしました地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議においても、スパイバー社の関山代表執行役から同社の取組について御説明をいただきました。

 こうした取組も参考にして、知事等のリーダーシップのもとに、産官学連携により、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行うすぐれた取組を支援する新たな交付金制度を創設したところであります。

 本交付金の対象となるベンチャー支援の取組に関して言えば、例えばですけれども、魅力ある大学組織改革による起業家教育の提供、地域の中核的産業に関する産官学連携による新たな技術シーズの創出、学生や若者が立ち上げたスタートアップへの支援、人材の支援ですね、そういったものも挙げられますけれども、このように、地域が一丸となって、本気で改革に取り組むすぐれた事業を重点的に支援することにより、大学発のベンチャーの創出を含め、地域における若者の修学及び就業の促進に努めてまいりたいと思っております。新たな雇用や産業を創出するための取組ということでもあります。

松平委員 どうもありがとうございます。

 今大臣おっしゃったような交付金制度、現在、大学発ベンチャーの創出支援については、やはり文科省でも大学発のベンチャー創出に取り組んでいて、大学発新産業創出プログラムというものが進められていると理解しています。また、経産省の方でも、研究開発型ベンチャー支援事業というものを行っていたり、大学ファンドをつくって、それを通じて大学発ベンチャーへの出資を行うことができるという制度もあると理解しています。

 これらが重複した取組であったなら、言葉は悪いですけれども、同じことをやっていても仕方がないということになってしまいますし、もしかしたら税金の無駄遣いと言われてしまうかもしれません。

 利用者としてわかりにくいので、ちょっと細かいですが、どう違うか教えてもらってもいいでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、文部科学省そしてまた経済産業省でも、ベンチャーへの出資また融資的事業を行っているところでございますが、これらはいずれもベンチャー支援自体を目的とするものでございます。

 今大臣から申し上げましたとおり、今回の交付金につきましては、地域の中核的産業の振興に当たっての既存の産業を更に発展させる仕組み、そしてまたベンチャーの創出により新たな産業を生み出すといった、地域特性のあるアプローチということでございまして、例えば、ベンチャー創出につきましても、起業家の教育の提供であるとか、技術シーズの創出といった複合的なものでございます。その中に位置づけられるものでございまして、文部科学省、経済産業省等の行っているベンチャー支援自体を目的とするものとは異なるものだというふうに認識してございます。

 委員御指摘のとおり、重複でありますとか、そういったことの関係につきましても、よくよく留意しながら制度を運用し、そしてまた、シナジーが出るような形で運用していきたいと思ってございます。

松平委員 どうもありがとうございます。

 更につけ加えると、官民ファンドの産業革新機構やREVIC、それから中小機構なども、ベンチャー出資、ベンチャー支援を行っています。ベンチャー支援一つとっても、いろいろな方向から支援がございますので、やはり今御答弁いただきましたように、その辺の交通整理をぜひともお願いしたいと思います。

 さて、この大学振興・若者雇用創出のための交付金制度について、運用に当たっては具体的なスキームが重要なわけで、この点、質問させていただきます。

 内閣府が平成三十年一月十一日に行った地方創生に関する都道府県・指定都市担当課長説明会の文書である、地方大学・地域産業創生交付金等の取扱いという文書がございますけれども、これによると、平成三十年度は、認定件数は十件程度とされていて、支援期間は原則五年で、一件当たり交付額は七億円というふうにされています。

 この七億円という交付額、どのような根拠に基づいて算出されたのか、その根拠を伺います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 この七億円の根拠ということでございますけれども、まず、今回の新たな交付金の特色でございますが、一つ目には、国内外のトップレベル人材の招聘等によりまして、特定分野でグローバルに競争力を持つ地方大学づくりを進めるという狙いがございます。二点目には、中核的な産業振興に関しまして、地域全体へ波及するという大規模な産官学連携の取組を支援するという狙いがございます。

 まず、今申し上げました一点目の観点からすると、これまでの大学等への既存の支援策でも、世界トップレベルの研究拠点の形成を目指すもの、あるいは産学連携により革新的なイノベーションの実現を目指すもの、こういった事業については、一件当たり、事業費で大体十億円規模となっております。

 また、二点目の大規模性という観点から申し上げますと、現在内閣府で持っております地方創生推進交付金がございますが、これは一件当たりの事業費、最大で六億円規模としているところでございまして、今回の新たな事業は、それかそれ以上の大規模な取組も想定されるところでございます。

 以上から、今回の交付金につきましては、事業費ベースでおおむね十億円程度、それで補助率等を逆算しますと、一計画当たりの国費で、大体目安額として七億円程度というふうにしたところでございます。

松平委員 どうもありがとうございます。

 済みません、ちょっと恐縮なんですけれども、時間との関係で、通告から三問ほど飛ばさせていただきます。

 この交付金、コンセプトとして、日本全国や世界じゅうから学生が集まる、きらりと光る地方大学づくり、これをスローガンとされております。繰り返しになって恐縮ですけれども、幾ら地方大学に人が集まっても、就職口、その地方に仕事がなければ、結局その地方に残ることができません。

 そういう意味では、この大学振興に関する法律案十五条に規定する、若者の雇用機会の創出、地域における適職の選択を可能とする環境、その他必要な施策、こちらが大事だと思っています。

 この施策として、具体的にどのような施策を考えていらっしゃるのか、お尋ねします。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 具体的にということでございまして、まず最初の若者の雇用機会の創出の面で申し上げますと、地域の強みを生かした産業、雇用の創出を地方創生推進交付金等で支援をすること、地域経済を牽引する企業を支援すること、それから良質な雇用の場を創出する本社機能等の移転を税制措置等で促進をしていくことがございます。

 また、二点目の、地域における適職の選択を可能とする環境の整備についてでございますが、若者が地域の企業を知ることができるよう企業見学会あるいは職場体験等の機会を提供すること、また、全国の新卒応援ハローワークで個別相談等による就職支援を実施すること、また、地元出身の学生を対象とした中小企業でのインターンシップを実施すること、さらには、大企業等の東京本社一括採用の見直し等を促すための普及啓発を図ることなどを実施してまいりたいと考えております。

松平委員 どうもありがとうございます。

 この点について、野村総合研究所の行った調査、中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査というものがございまして、こちらによると、二〇一四年十二月のデータなんですが、UIJターンの経験者が感じた課題として、一位が賃金収入の低下、不安定化、これが三二・四%、就職先が見つけづらいというのが一五・三%、そして移住に伴う生活基盤の確立が一二・四%と、仕事に関する不安というものが高い割合となっているんです。

 やはりこのデータからも、雇用の機会の創出、これが地方創生での非常に大切な要素と思いますので、この施策についてはしっかりとお願いしたいと思っております。

 では、次に、地域再生法の方についてお聞きします。

 政府は、まち・ひと・しごと創生総合戦略において、企業の地方拠点強化のKPIとして、平成三十二年までの五年間で、本社機能の一部移転等による企業の地方拠点強化の件数を七千五百件増加、地方拠点における雇用者数を四万人増加、そういった目標を掲げていらっしゃいます。

 一方、実績ベースとしては、東京の企業が地方に移転するという移転型事業、こちらの認定数は、平成三十年一月末時点で十九件となっておりまして、これによる雇用創出数は四百三十九人となっております。

 この移転型事業における認定数、そして雇用創出数について、政府としてはどのように評価されておりますでしょうか。また、今後、この認定数をふやすため、制度の利用をどのように促進していくのか、大臣にお尋ねします。

梶山国務大臣 地域再生法に基づきまして道府県が認定を行った事業者による整備計画の件数は、二〇一八年の一月末時点で二百二件となっております。同計画において、合計九千九百八十九人の雇用創出が計画をされております。

 地方拠点強化税制の適用件数については、本年二月、今国会に提出されました租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書によりますと、平成二十七年度及び二十八年度の二年間で、オフィス減税が二十四件、雇用促進税制が十二件となっております。

 特定業務施設の地方移転や拡充については、社内での意思決定及び計画認定の取得、さらには、工事着工から実際に移転して税制の適用を受けるまでにはタイムラグが生じるものでありまして、現時点まで実績としてあらわれている件数は少なくなっていますが、今後、地方自治体の地域再生計画どおりに企業の整備計画の認定が進めば、件数等の実績が上がることが期待をされているところであります。

 加えて、今般の地方拠点強化税制の改正では、小規模オフィスの移転や拡充などが支援対象となるよう要件の緩和をいたしました。また、移転型事業に限り、近畿圏の中心部及び中部圏中心部を対象地域に追加する等の制度拡充を講じることとしており、これらの制度拡充や企業に対するさらなる周知活動を通じて、引き続き、企業の特定業務施設の地方移転や地方における拡充のさらなる促進に取り組んでまいりたいと考えております。

松平委員 ありがとうございます。

 移転型事業については、東京から地方に会社が移転するということで、その会社の売上げであるとか雇用であるとか、その経済的な活動がそのまま地方に落ちてきやすいということで、移転型事業というものが進むのは地方にとって非常にいい話だと思っているんです。

 ただ、大臣先ほどお答えいただきましたけれども、タイムラグもある。これから要件の緩和もあるということなんですけれども、恐縮なんですが、私としては、やはりなかなか利用が進んでいないという印象がしています。整備計画の認定数を見ると、大阪、岩手、秋田、奈良、高知で、残念ながらゼロとなっています。

 十九件という数自体がやはり少なかったり、認定数が多い地域と少ない地域があったりしますので、この移転型事業の傾向やニーズについて調査、分析する必要があると思っています。そういったことというのは行われているのでしょうか。

田川政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者が策定をします整備計画、これにつきましては、本年の一月末時点で、御指摘のとおり、移転型事業については十九件ということでございます。

 この移転型事業十九件に関しまして、地方自治体からの情報収集あるいは個別の企業からのヒアリングなどによりまして、移転をした施設の形態、例えば管理部門の事務所でございますとか、あるいは研究所であるとか研修所であるとかですね、でございますとか、移転の場所あるいは移転スケジュールなどの、整備計画の内容について把握をしているところでございます。

 また、人口の動態でございますとか企業の移転の全国的な動向につきましても、国あるいは民間調査会社による調査結果などにより把握をしているところでございます。

 現時点で実績としてあらわれている件数が少ないということにつきましては、先ほど大臣からもございましたように、特定業務施設の地方移転、これについて、社内での意思決定、計画認定の取得に一定の時間を要することに加えまして、社員の転勤の調整などを要するということが主な要因であるということだと考えております。

 また、自治体によって認定件数にばらつきがあること、これにつきましては、それぞれの自治体の地理的状況あるいは経済的な動向、地方自治体による誘致活動の差などによって生ずるものというふうに考えているところでございます。

松平委員 移転型事業の効果として、税制控除の、オフィス減税と雇用促進減税があると理解しています。このメリットを受けるために本社の移転を考えるのかどうかというアンケート調査を企業にしてもいいのではないかと思います。その上で、きちんと傾向やニーズを把握して政策を打っていくべきではないかと思います。

 今回の移転事業に関しては、利用したいと思う方に対するパンフレット、説明文などでは、本社等を地方に移転するという表現となっています。

 そこで、この本社等という表現、これはハードルが非常に高く感じられてしまうのではないかなという印象がしています。会社からすると、本社等の移転はさすがになかなか簡単にはできないとなってしまいそうです。移転は移転でも、そんなに大きな移転でなくても大丈夫なのだよということで、よりこの仕組みを使ってもらえるようにする必要があるのではないかと思います。

 また、オフィス減税と雇用促進税制だけでは、企業にとっても、移転させる動機づけとして、もしかしたら足りないのではないかと思ったりもします。これは言葉、また表現は悪いかもしれませんが、そのくらいのメリットでは東京で企業活動をした方がメリットがあるとなってしまうかもしれません。もしかしたら、十九件というのはそれが原因かもしれません。

 私としては、移転型事業については地方創生に直接結びつく重要な施策だというふうに思っていますので、もっと大胆な移転施策を打つ必要があると思います。この点、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 地方拠点強化税制は、例えば本社機能の一部門でもいいわけなんですね。例えば、管理部門や研究所などを東京二十三区から地方に移転する移転型事業や、地方において拡充する拡充型事業を支援するものであります。そういった面では、少し説明が不足しているというのは、委員の御指摘、そのとおりだと思っております。

 このうち、移転型事業については、拡充型事業に比べて、より深掘りした支援措置となっております。東京一極集中の是正の観点から、平成三十年度の税制改正において、移転型事業の支援対象地域に近畿圏中心部及び中部圏中心部を追加するとともに、雇用促進税制に関する適用要件の緩和等を行い、より多くの企業にとって利用しやすい制度拡充を行ったところであります。

 こうした制度改正に加えて、地方自治体と連携しつつ、企業に対して制度のわかりやすい説明を行うこと、さらに、メリットの話がありましたけれども、いろいろな制度を合わせたり、また、地方が持っている特色また環境も含めて、あわせてやはり企業に説明をする必要があると思っておりますので、本制度の利用促進を図るとともに、他の施策の取組とも相まって東京一極集中の是正を進めてまいりたいと思っております。

 委員の御出身の石川県、コマツが、この制度とは、前に、企業の本社機能の移転ということで研修部門や調達部門を移転しておりますけれども、そういった例も含めて、わかりやすく説明をしてまいりたいと思っております。

松平委員 コマツの例に言及していただいて、どうもありがとうございます。私も、この移転事業、より周知して、利用しやすいものにしていく必要があると思っています。どうぞよろしくお願いします。

 そこで、この移転型事業、まだちょっと続きますけれども、移転に関してもう一つだけ御質問させていただきます。

 今、政府は働き方改革を進めようとしていますが、民間はもっと質的なところで進んでおりまして、テレワーク、つまりスカイプで会議したりですとか、メッセンジャーアプリでリモートで働いたり、そういう働き方がどんどん進んでいる状況です。つまり、東京の企業に所属しているのはそのままで、地方に住んで東京の会社で働くという形がだんだん出てきているようです。

 これは、ある意味、企業にとってもいいことなんです。あるNPO法人、ネイチャーサービスというNPO法人なんですが、そこが、自然に囲まれた場所で仕事をするのと、東京のオフィスで仕事をするので、仕事をする人の脳波を測定するという実証実験をやりました。

 その代表理事からお話を聞いたんですけれども、木や自然に囲まれて仕事をする方が、同じ仕事をしていても作業処理速度や正確性が上がったそうなんです。また、リラックスして仕事ができるので、クリエーティビティーあふれる仕事ができるという声も上がっているそうです。

 このように、生産性を上げるため、仕事は変えなくても働き方だけ変えて、地方に行ったり住んだりする、そうしながら東京で働くという働き方が今後ますますふえてくるのではないかということが予想されます。

 移転型事業の移転という概念を、単なる企業の物理的な移転というだけではなくて、従業員がどこで仕事をするのかという観点で考えて、それも支援の対象とする、そういった観点が必要なのではないかなと思ったりもします。これはいかがでしょうか。

田川政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、近年の高速インターネットなどの通信環境の整備を背景といたしまして、テレワークが普及するといったような状況がございますし、都市部にある企業が地方にサテライトオフィスを設置するという事例が出てきているというふうに認識をしております。また、地方自治体でも、こうした企業の動きを踏まえまして、サテライトオフィスの誘致に積極的に取り組んでいるという動きも出てきているところでございます。

 このような企業あるいは地方自治体の動きを踏まえまして、今般の制度改正におきまして、自治体の整備計画の認定要件、あるいは税制の適用時の要件の、増加雇用人数の要件の引下げでございますとか、小規模オフィスの移転拡充も支援の対象としているところでございます。

 このような制度改正に加えまして、地方創生の観点からも、経済団体に対する働き方改革の取組を促すとともに、地方創生交付金を活用して、地方公共団体と地域の企業が一体となって取り組む、地方の特性に応じた働き方改革の推進を支援しております。

 こうした取組と相まって、多様な働き方が可能な地方拠点の強化にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

松平委員 あと、移転の内容も、企業のルーチンワークの部分を移転するというだけであれば、企業の単なるコストカット、地方は東京の単なる下請のままとなってしまいます。したがって、企業のコアな部分の移転、新規事業の立ち上げですとか社内発ベンチャーなどを積極的に誘致できる仕組みであれば、そこで地域に落ちる経済効果も違ってくると思います。段階を分けて支援する、そういった観点も必要なのではないかというふうに思ったりもします。

 ちょっと時間もなくなってきましたので、済みません、通告は二問飛ばさせていただいて、最後のトピックとして、BID制度についてお尋ねします。

 今回、地域再生エリアマネジメント負担金制度、つまりBID制度の創設が検討されています。

 BID制度について、アメリカにおいては、一九七五年のニューオーリンズでのダウンタウンの土地開発、これを第一号とした長い歴史を持つもので、千二件の実績があるようです。アメリカでは、住民が自分たちで地方自治の形態が選択できるというホームルームチャーター制度という制度がほとんどの州で認められておりまして、住民自治の意識が高い、また応益負担の概念が比較的受け入れられているという土壌があるというふうに理解しています。したがって、関係者の私権をある程度制限して合意を形成し、再開発、再活性化を進めるBID制度が確立してきたという背景がございます。

 そういった背景があるのでアメリカではなじんだのかもしれませんが、もしかしたら、そういった土壌、背景事情がないという日本ではどうなのかという疑問もあります。

 日本でのBID制度、どの程度なじんで活用される予想なのでしょうか。この点、お尋ねしたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、アメリカでは長い歴史がございますけれども、我が国におきましても、まちづくりという点では、全国の約半数の市町村において民間のまちづくり団体が活動しているということ、一昨年の二十八年七月にはエリアマネジメント団体の全国組織が立ち上がるという形で、エリアマネジメント活動自体、全国的な広がりも見せているところでございます。

 このような中で、今後、エリアマネジメント活動を積極的に推進して地域の稼ぐ力を向上させるためには、今回提案させていただいておりますけれども、受益と負担の関係を明確化して、応益負担の考えに基づくフリーライダーの発生を防止する仕組みということで出させていただいているところです。

 また、内閣府が昨年、全国のエリアマネジメント団体に対して実施したアンケート調査によりますと、約半数のエリアマネジメント団体が強制徴収制度を必要と、また三分の一以上の団体が活用を検討すると回答もしているところでございまして、いわゆるBID制度への具体のニーズも存在しますことから、エリアマネジメント団体による本制度の活用というのを促進、期待もしてまいりたいと考えております。

松平委員 ありがとうございます。

 今回のBID制度を活用するには、まず、地域来訪者利便増進活動計画という計画の策定が必要となっています。制度としては非常におもしろい試みであると思うのですが、これを有効に活用できなければ意味がないと思っています。このグランドデザインを描いて、計画を策定し、実行に移せる人材がいなければ絵に描いた餅となってしまいます。

 過去にあったとちまたで言われているように、コンサルを外から雇って計画だけ書いてもらって、計画認定後はどうなるかわかりませんというのでは、むしろその地方にとってマイナスになっていってしまうかもしれません。きちんと自分たちで考え、計画を策定し、実行に移せる人材がその地方ごとに必要です。

 そういった人材の育成について、最後、ごめんなさい、ちょっと時間になったんですが、どういった取組をなされておりますでしょうか。

渡辺委員長 青柳地方創生推進事務局審議官、簡潔にお願いいたします。

青柳政府参考人 エリアマネジメント活動を促進していくためには、地域づくりに関しての深い知見と高い意欲を持って活動に取り組む人材の確保、育成というのは極めて重要でございますので、エリアマネジメント団体の全国組織などとも連携したセミナーの開催、また説明会等々、おっしゃるような人材育成に努めていきたいと考えております。

松平委員 地域の活性化においては、その地方が地方の人材で主体的にやっていくことが重要だと考えております。全て地方創生を進めるため、しっかりとどうぞよろしくお願いいたします。

 私の質問は以上です。どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田学です。

 質疑の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 梶山大臣とは初めて質疑をさせていただきます。

 私自身、政治家のことを書かれたもので一番感銘を受けたのは、お父様のことを田崎史郎さんが二〇〇三年か四年ぐらいに書かれた本を、私自身が当選した一年後、二年後ぐらいだったんですけれども読ませていただいて、本当に梶山静六先生の物事の考え方ということに非常に感銘を受けておりました。大臣からもさまざまな御示唆をいただきながら、質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 二法の法案ですが、根本には東京一極集中の是正というものが大臣に課せられた大きな課題であると思っていますので、そこの基礎的な認識を確認し、その上で、法律のこと、そしてまた私の問題意識、後段になりますけれども、地方における高齢者の減少ということに対しての質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 二年前に、私がこの委員会で当時の石破大臣にも質問させていただいて、同じような質問をしているんですが、大臣がかわられましたので改めてお伺いしますけれども、東京一極集中についてです。

 まず、基礎的なことですが、この東京の一極集中に関してどのような問題意識を持たれているのか、大臣の方からお答えいただければというふうに思います。

梶山国務大臣 東京への過度な一極集中ということでさまざまな問題が発生している、生じていると思っております。

 東京に住む人にとっては、通勤時間の長さ、住宅の価格の高さ、さらにはまた、お子さんを持ったときの保育サービス、高齢者介護サービスにおける待機者等、生活環境面での多くの問題を生じさせていると思っております。

 あとは、大きな意味で、災害が起きたとき、首都直下地震が起きたときの対応ということで、一応対応は皆しているんですけれども、なかなかやはり行き届いていないという思いがありますし、そのために、やはり東京の過度な一極集中というのは避けるべきだと思っております。

 地方にとっては、地方から東京への人口流入により、地域にとって子供や若者が大幅に減るということで、消滅の危機というか、やはり活力がだんだんだんだんうせていってしまう。そういうことのないように、地方にもしっかりと雇用をつくっていくということが必要だと思います。

 また、東京圏への人口集中は、出生率が低いということで、さらなる出生率の低下につながりかねない。ひいては、人口の減少につながっていく。それで、大変新陳代謝がなかなかできない地域になりつつあるという感じがいたします。

寺田(学)委員 基礎的な質問を重ねますけれども、原因は何だというふうにお考えですか、一つではないとは思いますけれども。もちろん、参考人の方でも大臣でも結構ですが、いかがですか。

梶山国務大臣 十代、二十代の人たちが就学、就職の際に、東京に魅力ある大学がある、また、かなり雇用も多いということで、東京に集中をしていくことがあるかと思っております。

 また、経済に関しては、やはり集中のメリットが生じている、さらに、情報なども入手が容易である。

 また、生活面での利便性、いろいろなものが身近にあったりするということで、そういうことが理由になっているのではないかということ。

 過去において、どうしてもやはり東京につながるインフラをつくってきた、新幹線でも高速道路でもそうですけれども。それは双方向あるんですけれども、どうしてもやはり電車に例えると上りの方に集中してきて、下りの方がなかなかやはり機能していないということもあろうかと思っております。

寺田(学)委員 大体、今四つぐらいのことをお話しいただきました。大学の入学のタイミングに若い方が大挙して訪れる、訪れるというか移住してくるということ、あと、経済的には集中することのメリットがある、そしてまた、暮らしやすさとか、それは考え方次第でしょうけれども、魅力ある町という意味での暮らしやすさもあるかもしれませんが、そういう形での誘引があるということ、そしてまた、そもそもとしてインフラが東京を一つのハブとした形でつくられていることとありました。

 ちょっと一個一個、タイミングを見て議論もしたいと思うんですけれども、ある種、では、解決のあり方というのはどのように考えているのかということを役所にも聞きたいんです。

 過度な東京一極集中が問題である、それを解決せねばならぬ、原因はかくかくしかじかこうであるということでした。では、その一つ、東京の過度の一極集中を是正されたという解決の一つのモデルというかあり方、どういうところを目指しているのか、何を指標に解決がなされたというふうに考えるのか、そこら辺、基礎的なことですが、お答えいただければ。どちらでも結構です。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 目的といたしましては、地方創生で東京一極集中の是正を掲げているわけでございまして、そのために、これまでも多岐にわたる施策を実施してきております。

 先ほど大臣が答弁されましたように、特に進学、就職時の点が原因になっているというふうに考えておりまして、そのために、地方に魅力的な仕事をつくるというようなところはかなり力を入れております。

 一つ申し上げますと、企業の地方拠点強化ということで、地方に仕事をつくるために、東京の本社機能を地方に移転する、あるいは現在地方にある研究所等の拡充をしていくというようなことをしているわけでございまして、そのためにこれまで政府として認定をしてきた計画に基づく雇用創出としては一万一千五百六十人ほど見込んでおります。

 また、そのほかの仕組みで申し上げますと、一旦東京に進学をして就職をしても、また地方に戻りやすくする、そのために、若者の地元就職時の奨学金の返還支援というようなことをやっておりまして、これの導入、今二十四県ですけれども、この実施県をもっと広めようとしているところでございます。

 また、加えまして、今回提案をいたしております地方大学振興で地方の大学の魅力を高めることによってそれぞれの地域に大学生が進学する、そのようなことを総合的に取り組むことによって、東京一極集中の是正を解消する努力をしているところでございます。

寺田(学)委員 質疑時間が一時間あるのでしつこくやりますけれども、東京一極集中、今いろいろお話しされました。どうやって東京一極集中の是正という問題自身を具体的な施策としてやっていくのかということはわかりましたけれども、本当に基礎的なことなんです、何をもって東京の一極集中を是正したというふうに成果として捉えるのかということです。

 人口というなら人口だと思います。流入率なら流入率だと思います。いや、企業数だというなら企業数だと思います。さまざまな指標があると思います。何を一つ客観的な指標として、東京の一極集中が是正されてきている、されたというふうに捉えるのかというのを聞いているんです。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年を目標にして東京圏への転出入の均衡を目指すということが目標でございます。

寺田(学)委員 人口ということですよね。人口の流出と流入が均衡がとれる。ということは、それは社会減、社会流入の話だと思いますけれども、それは一つ目標にしている。二〇二〇年ということだと思います。今、御答弁いただきました。

 その上で、今回、東京二十三区の大学定員の抑制という話に一つの具体的な施策としてなりました。

 政府参考人の方々、私は総務委員会でも同じような議論をしているので、重ねた議論になって大変恐縮なんですが、私、個人的に申し上げます、秋田の人間ですけれども、一回東京に出ること自体は私は悪いことではないと思いますし、御本人が選ばれるのであれば、それは非常にプラスになり得る。将来的に、個人としても、そして、その方が希望して生まれた故郷に戻られるとしても、その故郷にとってみても非常にプラスになることだと思います。

 今、二〇二〇年の人口の流入、流出の均衡をとるという、かなりやっつけな目標を立てているからこそこういうような施策が出てくるのかもしれませんが、私個人としては、こういうような施策、二十三区の大学定員をふやさないというやり方自体には、何の意味があるんだろう、物すごく短期的な意味でしかないんじゃないかなということで、非常に懐疑的に思っています。

 今申し上げた、私は、望む限りにおいては、地方の人間が地方の大学に入るのもいいでしょうし、東京二十三区にたまたま設置されている大学に入るのでも、できる限り、いいと思うんです。もちろん、大学側は大学側で、魅力あるような大学にしなければならず、その中での競争が生まれることは私はあっていいと思いますし、そういうさまざまな競争と経営の感覚の中で、定員をふやす、ふやさないというのは大学独自の考え方としてあっていいと思うんです。

 少し戻ってお伺いしますけれども、一回東京に出ること、悪いことじゃないと思うんです。どうですか、大臣でも参考人でも結構ですが。

梶山国務大臣 委員おっしゃるとおり、悪いことではありませんし、今度の法律はそれを妨げるものでもないと思っております。

寺田(学)委員 妨げはしませんが、定員に対して国の方がふやすことを制限することは何かしら影響は出ませんか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、妨げるものでもございませんし、今回、定員抑制をするわけでございますが、これは、今後、十八歳人口が大幅に見込まれるという前提に立っているところでございます。そういう中で、しかも、収容定員をふやさないということでございますので、いわば現状維持でございます。そうしますと、十八歳人口が減る中で現状維持ということは、比率的には高まるわけでございまして、そういうことも考慮いたしますと、上京を志す若者の選択肢を狭めるということにもなっていないと考えております。

寺田(学)委員 こういう聞き方をすると、何の影響もないと言い、違う角度で聞いたら、それで効果を及ぼすからこういうわざわざ法律をつくってやっているわけじゃないですか。

 影響はありませんかと聞いているんです。一応こういう法律をつくる以上、東京の流入のあり方に関しては、影響は出るんでしょうか、出ないんでしょうか。実質的に、子供の、十八歳年齢が減るからどうこうということでなくて、影響が出るか出ないかということはどういうことなんですか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回、抑制と申しましても、定員を減らすということではなくて、今をふやさないということでございます。そういう中で、十八歳人口が今後大幅に減るということを考えますと、先ほど委員がおっしゃいましたような意味で若者の選択肢を狭めるような影響はないものと考えているところでございます。

寺田(学)委員 一個ずつでいきましょう。

 何で十年なんですか。

末宗政府参考人 今回、期限をどのようにするかということについてはいろいろな角度から議論いたしまして、地方公共団体からいたしますと、できるだけ期限を設定しないようにすべきだという御意見がありました。一方で、大学関係者の方からいたしますと、大学の経営の自主性にもかかわる話であるので、これは謙抑的であるべしというような議論がございました。

 私どもは、いろいろ法制的にも検討し、やはり大学の経営の主体性にもかかわる話でございますので、十年間の時限措置といたしたところでございます。

 ただ、何で十年なのかということでございますが、余り短くいたしますと、これは、今回、措置を講ずるわけでございますが、既に法人の意思決定をしたものなどについて、経過的にまだ今後もふえる見込みのものがございますので、やはり一定期間の抑制措置を講じないと効果が出てまいりませんので、十年としたところでございます。

寺田(学)委員 十年となっていることは御説明を受けてわかっているので、なぜ十年にしたんですかと聞いているんです。

末宗政府参考人 繰り返しになりますけれども、大学の経営の自主性にかかわる話でございますので、合理的な範囲内の規制とするという観点から、十年間の時限措置としたところでございます。

寺田(学)委員 大学の経営の主体性の上での合理性というのは、なぜ十年だと合理的なんですか。

末宗政府参考人 規制をかける場合に、これまでも大体五年ないしは十年というような期間設定がなされることが多いわけでございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、五年という決め方でございますと、これから規制をかけた後も、まだ引き続き、これまで法人が意思決定をして経過的に認められるものが出てまいります。そのような中で、五年ですぐ解除をしてしまうということになりますと、効果があらわれる前に解除されることになってまいります。

 なおかつ、この種の規制の場合、大体長くて十年ということでございますので、十年間の時限措置を設定した上で、その時点で東京一極集中の状況がどうなっているのか、これを検討するという規定を入れまして、その時点の状況を見た上で、失効するのか、あるいは延長するのかということを検討するということで、十年にしたところでございます。

寺田(学)委員 しつこくやりますけれども、五年だと効果が見えないという意味での御答弁がありましたけれども、その効果というのは何ですか。

末宗政府参考人 五年で失効してしまうということになりますと、その時点からまた収容定員の増の申請が出てくるということでございます。

寺田(学)委員 それで、十年にしましたと。

 十年たった後に、延長するか、十年で終えるか決めるということですが、どのタイミングで十年後続けるのか続けないのか決めるんですか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 法律上は、附則の五条で、「政府は、平成四十年三月三十一日までの間に、地域における若者の修学及び就業の状況その他この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と書いてございますので、十年後までの間において、集中状況等を検討し、判断をするということを考えております。

寺田(学)委員 だから、いつごろ決めるんですか。

 大学だって、問題ですよ、経営している上で。ここから十年先、もう一回、定員に対してふやすことができなくなるのか、ふやすことができるのか、そういうことを経営感覚でやるわけですよ。いつごろめどを出すんですか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、平成三十六年三月三十一日までの間にということでございますので、通例で申し上げますと、その期限切れになる直前のところで検討するということになると思います。

寺田(学)委員 直前とは、大体どれぐらいの期間ですか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 大体、こういった規制なりあるいは制度改正をするときには年度単位で議論をするものですから、一年度ないしは二年度、そういったところで通例は検討していくことになると考えております。

寺田(学)委員 通例としてお話しされていますけれども、今所管されているのは、この十年、定員をふやすことを抑制することですから、事このことに関しては、じゃ、十年後どうするかは、その十年後からさかのぼること二年度ぐらい、二年度前には方針を出すということでよろしいですか。担当されているんですから、それぐらい答えてください。

末宗政府参考人 現時点におきましては、先ほど申し上げましたように、附則第五条に書いてありますように、「平成四十年三月三十一日までの間に、」というふうに書いてございますので、それまでの、この規定を踏まえて、検討する時期については決めたいと思います。

寺田(学)委員 大臣、ある程度めどを示すべきですよ、こういうふうにして私学が定員をふやすということに対して抑制を法律でするわけですから。

 十年たってみたらどうしようかなと考えると言われたら、経営って翌年のことだけ考えているわけじゃないわけですよ。さっきから私学の経営の主体性とか言っておきながら、十年後は延長するかしないかというのを曖昧にしているままだとよくないと思いますよ。一定程度のめどは必要だと思います。

 参考人に聞いても曖昧ですから、大臣の方から、一般的な意味では、年度的には一年、二年度というような話がありましたけれども、大臣として、このことを延長するかしないかに関してのめどを御答弁いただけたらと思います。

梶山国務大臣 今、政府参考人から話がありましたように、最後には一年のところで決めると思いますけれども、二年度内のところでさまざまな詳細な検討を進めていくということになりますし、また、この制度が始まった後に、一定程度の間隔を置きながら、KPI等もしっかり検証していくということになると思っております。

寺田(学)委員 いや、個人的にはもっともっと早く決めなきゃいけないと思いますよ。一年前というのは論外ですよ。十年やっている上で、大学の経営を考える上で、定員をふやせるかふやせないかというものを一年前にしか決められないって、そんな悠長な大学経営はしていないですよ。もっと前だと思います。そういう感覚はないですか、大臣。

梶山国務大臣 先ほど申しましたように、ある一定程度の間隔を置きながら、KPIの数値等の検証も公表しながら進めてまいりたいと思っておりますけれども、最終の決断は、今申しましたように、一年から二年の間だということになろうかと思います。

寺田(学)委員 もう一段お聞きしますけれども、だとすると、大体の方向性はもっと前に出せませんか。最終的な決定は二年度前でいいですよ。もう少し前におおよその方向性は出せませんか。

末宗政府参考人 今回の法案で定員抑制をするに当たりましても、一年度かけて、どのような対象地域にするのか等々を議論して、その間で自治体側ですとか大学関係者に聞いて法案を出したところでございます。

 その意味では、十年で失効する段階においても、やはりさまざまな関係者の意見を聞いて、それで、失効するのか延長するのか、あるいは、十年後の時点においての転出入の状況を見ないとなかなか判断ができないと思います。

 余り早くその方針を決めようにも、転出入あるいは学生の集中状況を見る必要があると思いますので、その意味では、先ほど大臣が御答弁したように、一年ないしはその前提の調査研究で二年、そういったところが対応の基本的なところであろうかと思います。

寺田(学)委員 検証、検証というお言葉が出ていますけれども、全体的に東京に対する若い人たちの流入の傾向というものはその都度その都度いろいろなトレンドがありますが、この政策自体が効果的かどうかということの検証というのは、抑制した瞬間から出ているわけですよ。おおよそ見える話で、事この政策に限って言うと。何を検証するんですか。

 もちろん、繰り返しになりますけれども、東京に流入するということの全体的なトレンドは、毎年毎年、それは担当の部局として、政府全体として見ていると思いますけれども、この政策自体を続けるか続けないかというのは、効果なんて最初から見えているじゃないですか、抑制しているんですから。参考人が言っているとおり、変わらないと言っているんでしょう。だから、変わらないんですよ、これから抑制する以上。効果の測定のしようがないですよ。全体的なトレンドは見れますよ。だけれども、この政策自体が、続けるか、続けるべきか、続けない、続けなくていいかというのは、抑制している以上、その場でわかっているはずですよ。効果の検証というのは、この政策に限って言うと、どのようにしてやるんですか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 この政策も含めでございますけれども、各政策については、毎年度毎年度、施策の実施状況を検討することにしております。特に、今年度は中間年ということで全般にわたって大幅な検証をしたところでございますので、毎年度毎年度、個別個別の政策の検証をし、そのトータルとして基本目標がどうなっているのかということを見ていくわけでございますので、そういう中でこの施策の検証もしていくことになると思います。

寺田(学)委員 だから、個別個別の政策の検証をした上でという上のこの二十三区の大学の定員を抑制するという個別の政策の検証はどうやってやるんですか。

末宗政府参考人 毎年度毎年度どのように定員の抑制がなされているのかということなんですが、これは、原則として定員の抑制をするということで、例外規定もございます。(寺田(学)委員「ちょっと話が違うんだけれども」と呼ぶ)いや、例外規定もございますので、例外で、抑制ではなくて、つくれるものもございますので、その辺も含めて、どういうふうに転出入になっているかということを検証することになると思います。

寺田(学)委員 いやいや、話をそらさないでくださいよ。この大学定員を抑制するということの効果を測定する上でどういうふうにするんですかと聞いているんですよ。

 今、場外の方から、受験者数という話をしましたよ。受験者数ですか。受験者数が減ったらこの政策の効果はあらわれたと考えているんですか。その是非は問いませんよ。いずれにせよ、この政策に対してどのように効果を測定し、続けるか続けないかにつなげるわけでしょう。

 この政策に限って言いますよ。この政策に限って、どのように効果を測定するんですか、その要素は何ですか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 さまざまな方法があるかと思いますけれども、受験者数、それからまた生徒の意識の問題、そういったことがあろうかと思います。例えば、地元志向、それからまた、東京に出てくる。アンケートによりますと、やはり、東京に出て、地元にちゃんと自分の行きたい学校があれば行くというアンケート調査もございますので、そういった意識の変化であるとか、そういったものを総合的に含めて検証するということになろうかと思います。

寺田(学)委員 具体的に二つ出ました。受験者数と受験する方の意識の問題ということでした。

 この二つを軸に、どのようになった場合にはおおむね続ける傾向なのか、それとも、この政策に関して、必要がない、十年で終わりだというふうに考えるんでしょうか。

松尾政府参考人 先ほど申し上げましたのは事例でございますので、ほかの方法もあろうかと思います。そういったものを複合的に検証するということになろうかと思います。

 そして、その上で、この政策が効果があるのかどうか、そういったことを総合的に検証するということになろうかと思います。

寺田(学)委員 受験する方の数というのは、私も大学を受けましたけれども、もちろん、倍率によって、いや、自分は今この学力ではここにかなわないなとか、さまざまな要素で動きますよ。そういうものをこの一つの政策の指標にするのはいいですけれども、今、政策を国会に提案して、そして、十年後に関しては続けるかわからないというような状態で提案されて、では、どうやったらそこを続けるか続けないか意思判断するんですか、時期と内容は何ですかと言っても、ほとんど詰まっていないじゃないですか。

 続ける、続けないということは十年後、それは今後の検証によりますねと言うんだったら、検証の内容ぐらいちゃんと詰めてくださいよ。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 そもそも、今回の抑制措置を講ずる理由でございますけれども、東京二十三区で見ますと、全国のうち一七・九%、約一八%の学生は集中しております。数にすると四十六万人程度でございますが、あわせて、この十五年間で東京二十三区の学部学生は八万人余ふえております。

 したがいまして、一つには、先ほど答弁しましたように、受験動向というのもありますけれども、全国に占める学生数の割合が減ってくるのかどうか、あるいは増加傾向がおさまるのかどうか、そういった客観的な数値も見きわめながら、効果を検証していくことになると思います。

寺田(学)委員 最後にしたかったんですが、今の答弁で、全国の学生数の変化がどのようになるかどうかというのを一つ検討材料にするんですか。

 僕、国立大学の定員のことまでちょっと考えていませんでしたけれども、東京の大学の定員がふえるかどうか、それは二十三区は、東京という言い方は二十三区に限った形だと思いますけれども、ふえるかどうかなんというのは大体わかるでしょう。

 それは、十八歳年齢、浪人生も含めてですけれども、その年ごろの学生数によって、それは、全体的な絶対数のばらつきはありますが、割合の話ですか。東京で学生をしている人数、それとも割合、それと地方における学生の人数、割合というものを考慮要素にしているんですか。

末宗政府参考人 今の点について申し上げますと、かつて工場等制限法というのがございましたが、これは、その当時に、東京圏における大学の立地の制限をしておりました。それも昭和三十四年から平成十四年度の間において機能していたわけですが、そのことによって東京圏の大学の学生の割合がかなり下がってきております。

 そういう学生の集中度合いというものを今回の法案でも検証し、どれほど集中が緩和したのかということをチェックする必要があると考えております。

寺田(学)委員 大臣、冒頭申し上げたとおり、余りよくない政策ですよ、これ。やはり本筋は、地方に魅力的な大学があればそっちに行くというのもある、そっちの方だと思います。私が東京の人間じゃないから、この政策に対して厳しい姿勢をとっているのは不思議かもしれませんが、やはり学生にとってみると、魅力があるところであれば、どんどん、どこであろうとも選んでいくということはあると思います。

 秋田の中でも、いろいろ苦しんでいる大学もありながら、国際教養大とかはかなり人気があって、四十七都道府県から、開学当初、もう学生が集まるような形になりました。そこに来ている学生たち、及び、受験を考えている相談も受けたりするんですが、最近は、そこに行くか、海外の大学に行くかという選び方をし始めています。

 なので、東京の二十三区の大学の定員を抑制します、これが東京一極集中是正の一つの政策の柱です、まあ柱じゃないのかもしれませんけれども、政策だというのは、余りにもつけ焼き刃的で、かつ短絡的で、短視眼的なものだなというふうに思います。

 なので、こんなもの、今回、法律がこの後どうなるか、今から明言することは避けますけれども、もうこの手の類いのことはやめた方がいいですよ。十年後延長するなんて、もう論外。そういうようなことを私は考えていますが、最後に、このことに関して、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 抑制すると申しましても、人口減少の中で、今百二十万人いる十八歳人口、これは想定ですけれども、二〇四〇年に八十八万人、現実の話としては、昨年生まれた出生数というのは九十四万人ですから、そのくらいに減っていくわけですね。その中で、現状維持の定員ということではありますので、私は、委員がおっしゃるような、学生の意思を妨げるような形にはならないと思っておりますし、また、全体の法律の目的からいいますと、地方大学の振興や地方の雇用の創出という点で、あわせた形で、合わせわざとしての法律ということで御理解をいただければと思っております。

寺田(学)委員 大学の自主性に任せたらいいんですよ。ただでさえ、子供が減っていることは、大学、特に私立なんて物すごく危機感を持っていますよ。その中でさまざまなことを、経営という感覚の中で、魅力を高めたり自主的に定員をふやさなかったり、さまざまして、もっともっと、これは文部科学行政的に厳しくやる部分というのは多々あると思いますが、地方創生という大きな話の中でこういうところを法案として出してくるというのは、私は余りにもシャビーだと。こんなものを十年後続ける必要なんて全くないということを最後に申し上げて、自分が一番問題意識を持っている高齢者の減少の方の話をしたいと思います。

 きょう、一枚、配付資料を配らせていただきました。これ自体は、社人研の日本の地域別の将来人口推計のものです。二〇一〇年から二〇四〇年までの間、高齢者、六十五歳以上人口ですね、高齢者の方々がどのような推移があるかということを示したものです。

 私、何が言いたいかというと、総務委員会でも同じ議論をしましたけれども、二〇四〇年に向けて高齢者が物すごくふえる、それに対して対策を打たねばならないということを政府として掲げています。

 確かに、この表の全国というところを見ますと、今を二〇二〇年の方に合わせてみれば、それに比べると、二〇四〇年、全国という絶対数でいうとふえていますので、日本全体としての高齢者はふえる。

 高齢者定義をどこにするかというのはいろいろ議論がありますけれども、まず一義的にはこのことですけれども、ふえるのは確かなんですが、地域によっては、高齢者がふえるどころか減っているというところがふえているということです。ちょっと言い方が変ですね。高齢者が減るところがかなりあるということです、推計上。

 皆さんのお手元の資料で、御自身でこれは見てほしいんですが、私がざあっと数えたところで、二〇二〇年と二〇四〇年を比べたときに、二〇二〇年より高齢者が減っている県、県全体でですよ、恐らく二十五の県が高齢者が既に減っているというところです。二〇四〇年、高齢者が一番ふえるから対策を打ちましょうと政府でやりながらも、実態としては、四十七都道府県中半分以上のところが二〇四〇年にはピークアウトし、かなり減っているということです。

 この二〇四〇年で比べるのは、ややトリッキーなんですよ。二〇四〇年は、御存じのとおり、団塊ジュニアの方々、私のちょっと上ぐらいが六十五歳に入る。当時の六十五歳がどれぐらいの健康状態かというのはまた別ですけれども、要は、一瞬ふえるんです。なので、実質的には二十五県よりももっと多い県が、府県なのかもしれませんけれども、道府県が、高齢者の減少局面に入っている。私の秋田県は、日本一高齢化率が進んでいる県と言われるので、その先頭をひたすら走っています。

 高齢者がふえるのでどうしたらいいかということを議論している間に高齢者が減る県が出てきているということを、地方創生というこの場において一番大事に捉えなきゃいけないことだと私は思っているんです。

 一般的なことですが、この問題意識について、大臣、どう思われますか。

梶山国務大臣 人口減少についても、例えば、全国的には二〇〇八年から人口減少局面に入ったということでありますが、私の住んでいる茨城県では二〇〇〇年からそういう形に入っている。また、市町村においてそれぞれ違うということでもありまして、高齢者に関しましても、人口減少の中で高齢者の比率がふえていく。数もふえていくか、また今度は数は減少に向かうかというのは、それぞれの地域によって違うということは十分に認識をしております。

 ただ、当面、二〇一五年から二五年までの間で七十五歳以上の方が増加する形になっていくわけですけれども、そういったものに対して対応していくということと、その後については、高齢者の進捗状況は地域によって今申しましたように異なってくることから、地方創生に取り組んでいく、その姿勢も含めて、政府として地方公共団体の創意工夫のある取組を支援してまいるというのが方針であります。

寺田(学)委員 もう少し端的にお伺いします。

 高齢者が減ることに対しての問題意識というのは、大臣としてお持ちですか。

梶山国務大臣 それは、設備とか資格を持った方とか、そういうことをピークに合わせていくと、そこはどうするんだという問題も出てくるでしょう。そして、その中で、あとは全体の人口の中でどういう形にしていくかという国としての政策、それぞれの地域の考え方があるかと思っております。

寺田(学)委員 きょうは、委員の方々、さまざまな御出身だと思いますが、秋田という、高齢化現象という一つのステージに対しては一番早いところに立っている者として言いますと、もう実際あらわれ始めています。もちろん、秋田市という県都自体は高齢者がどんどんふえ続けている部分はありますが、高齢化率が本当に高かったところは、高齢者の減少というものが地域経済に対して物すごくインパクトが大きいということです。

 東京の方々は想像つかないかもしれませんが、やはり高齢者の方々がいらっしゃることによって、当然、高齢者の方々は年金を受給されて、その年金の資金があることによって、地域の商店であったり、地域の金融機関の口座を保つことができるということもありますし、別にそれは勧めていることではないですが、体がだんだん言うことを聞かなくなって医療機関にかかる、介護機関にかかるということで、そこに通うことによって、その医療機関がある程度、経営という観点からは一つ、まあ、お客さんというような言い方はよくないですね、来られる方によってそこの経営が回っている。介護施設もそうです。

 ただ、その高齢者の方々が減ることによって、どんどんどんどん病院であったり介護施設であったりの経営が今後厳しい局面になっていく。もっともっと自分たちのカバーエリアをふやさない限り、経営として介護施設、病院を回せなくなってくるということは、これはもう当然の帰結として来るわけです。あるところの調査だと、秋田県に流れている資金の半分ぐらいが年金なんだということを調べて言われる方がいらっしゃいましたけれども、それが大げさかどうかは別として、それぐらい大きな、高齢者の方々がいらっしゃるということ自体が地域経済に対してもインパクトはある。

 先ほどの病院と介護の話がありましたけれども、病院と介護の経営が傾いてきて、ある程度縮小し始めると、何にあおりが来るかというと、そこで働いている若い人たちの雇用が失われるわけで、どんどんどんどんその地域にいられず、その地域を離れていくことになるということだと思います。

 その反面、都市部は、もちろんこの関東圏、委員長の千葉もそうですけれども、どんどんどんどん高齢者の方々がこれから加速をしながらふえていくので、医療ニーズ、介護ニーズが高まってきて、それに対する人手不足というものがあるので、じゃ、地方から引っ張ろう、引っ張ろうという機運になると思うんです。

 ですので、私自身としては、高齢者が減少する局面が地方では来ていることと、都市部においては高齢者がふえるというこの局面をちゃんと分けた上で、地方の高齢者減少に関しての施策というものをしっかり打っていかなければならないと思っているんです。

 この考え方に対して、大臣、お考えはどうですか。

梶山国務大臣 全ての課題に対して同じでありますけれども、やはり現在の課題、そして進行しつつある課題、そして変化をしつつある課題、それらの先を見越した上での対応というものが必要になりますし、今の政策の立て方が必要になると思っております。

寺田(学)委員 一個、これは総務委員会でもお話ししましたように、二年前に石破さんにもお願いしているんです。私自身の考えとしては、これからどんどんあふれて、介護ニーズ、医療ニーズが高まっている都市部、都市圏から、高齢者の方々をどんどんどんどん、もちろん今CCRCとかやっていますけれども、もっともっと構造的に、高齢者が減り始める地方の方に引き寄せていくような、構造的なインセンティブをつけるべきだと私は思っているんです。

 そういうことをずっと地元の自治体の首長さんとか議員さんにもお話をしているんですが、やはりちょっと及び腰なんです。できれば若い人たちをと言うんですが、もちろん、教育によって教育移住という、さまざまあると思うので、そういう施策は施策で大事だと思います。田舎町がいいという若い人たちを招き入れるということも大事だと思いますが、もっともっと構造的に、ボリュームも大きくやるとしたら、高齢者を一つの軸として考えるべきだと思うんですよね。

 自治体の方々に聞くと、及び腰な理由は、自治体の負担がふえるというふうに思っています。

 これは二年前にも石破さんに同じようなことを、担当大臣に言ったところ、このような答弁があって、私の問題意識に対してはまさにそのとおりだと御賛同いただいた上で、高齢者を受け入れると財政負担が大変だというけれども、そうですかと、それぞれの町村で、高齢者の方々の年金というものがそこの町に占める割合というものは、調べてみると思いのほか高いはずなんです、高齢者がどんどん減り始めるということは、その町の経済が回らなくなるということなのです、ですから、高齢者の方々を受け入れるということは、負の観点からではなくて、正の観点から捉えるべきだと思いますと御答弁されています。

 このときもお願いしたのですが、さまざまなアプローチはあると思うんですけれども、高齢者がお一人、県外から、それは何歳のモデルとさまざまなモデルケースをつくってもいいですが、例えば秋田だったら、秋田に来た場合の経済的なインパクト、市町村に対する、都道府県に対する財政的なインパクトが果たして客観的に捉えてどうなのか。私はプラスだと思っていますけれども、そこをちゃんと調べていただけないですかね。大臣、どうですか。

梶山国務大臣 どの地域においても、高齢者がほかの地域から、都市部から流入してくることに対する課題の意識というのは多分持っていると思います。今委員がおっしゃったように、経済的な意味合いも含めてどういう効果があるかということは、しっかりと調べる必要があると思っております。

 その上で、できれば、ただやはり、生涯活躍のまちではありませんけれども、企業をリタイアする、ただ、体はしっかり動く、また健康長寿の中での取組もしておられるというような方たちがその時点で地方に来られて、だんだんだんだん更にまた体が不自由になっていくというようなときにどうするかというようなことも含めて、地域で、受入れ側の気持ちも含めて、どうしていったらいいのかということをやはりしっかり考えていかなければならないと思っています。

寺田(学)委員 まさしく今言われた、受入れ側の自治体の気持ちが大事だと、私はそのとおりだと思うんです。その気持ちを形成する上でのファクトが必要だと思うんです。そのファクトを調べてほしいと思っています。

 参考人の中に厚労省御出身の方がいらっしゃるので、何かあればどうぞ。

鎌田政府参考人 今大臣の方から申し上げたとおりでございますけれども、我々、まち・ひと・しごとは、地域創生の観点からそうした影響についてなかなか包括的に調べるというのは難しゅうございます。

 私、CCRCというものを担当しておりますが、その観点からちょっと分析したところでございますが、新しい移住者が全く入らないケースと、それから、新しい移住者が、全て五十代でございますが、入ったケースを考えますと、現在から二十年後までの自治体の累計では、黒字幅が異なる。全く入らないケースよりも、移住者が入った場合が自治体の収支が五千万、四千万強ほどふえるといったデータがございまして、先生と同じような問題意識を持ってやっていきたい、また、それを続けてデータを集めていきたいというふうに考えているところでございます。

寺田(学)委員 大臣、今、自治体として黒字になると。

 もちろん、高齢者がふえることによる国家財政的な逼迫というのはありますよ。ただ、それはそれとして財政として議論するべきことだと思うんですが、地方創生、僕はもう正直、ここからもう五年ぐらい、秋田なんて創生とかなんて言っていられない局面に入ると思うんです。本当に高齢者が減り始めたら、もっと深刻に地域経済が落ち込んでくる可能性があると思っているんですよね。

 もう一回ちょっと鎌田さんにお伺いしたいんですけれども、CCRCという一つの施策はいいです。ただ、今政府が想定しているそういう施策によってどれぐらいの人口移動があるんでしょうかね。全体の本当の根本的な問題に比べると、私は、一つのモデルですばらしいことだと思いますけれども、全体構造としては、割合的には一つのモデルぐらいにしかならないんじゃないかなと人口比でいうと思うんですが、どのようにお考えですか。

鎌田政府参考人 CCRC全体としてどのくらいの人口が移動するかというのは、申しわけないんですが、持ち合わせてはございません。

 ただ、それぞれの、個々の自治体から出された計画の中には、そういった見込みですとか想定というのはございます。また、そういうところから、各自治体においては財政影響などもいろいろ考慮されているといったことは想定されるところでございます。

寺田(学)委員 大臣、お願いなんですよ。

 CCRCとか、非常に、本当に、個別具体の政策の是非というと、私は、物すごくポジティブで、それは進めるべきだと思いながらも、あまたある、二千ぐらいですかね、今、二千弱ぐらい自治体ありましたっけ、それが本当に危機感を持って動いていくには、やはり一つの施策モデルでは足りないと思うんですよ。

 繰り返しになるんですが、いや、各自治体でいろいろ計算している人たちはいると思いますよ。ただ、自治体職員及びその自治体の住民にとってみると、秋田なんてそういうところがありますけれども、高齢者がふえるとなると、大丈夫かよ、うちの町潰れちゃうんじゃないかというふうに誤解されている方々がまだまだたくさんいますし、大半はそうだと思うんです。

 私もいろいろなところでこういう話をするんですが、まんず、まあ秋田弁はいいですね、年寄りの方々よりも若い人を呼んできたらいいじゃないかというふうに言う方がいるんですが、絶対的に子供、若年層の方々であったり、若い人たちの数も少ないですし、移住する動機に関しても強いものがない限り、やはり移住してきませんよ、大概の方は。

 ただ、本当に、今回、これから都市部では、都市圏では介護、医療難民が出てくることは前から言われていることであり、私が声高に言っている、地方自治体においては高齢者が減り始めて深刻な事態を招くんじゃないかと言っているわけですから、やはり意識改革とか啓蒙というのも物すごい必要だと思うんです。

 だからこそ、ファクトをちゃんと、国というような、印籠ではないですけれども、国で調べた限りはこうなんです、信じてくださいよというふうに自治体が言えるように、国自体が率先をして、高齢者の移動によって自治体に与える経済的なインパクト、財政的なインパクトは、先ほど参考人が言われましたけれども、プラスなんですということをはっきりと調べ上げて告知する必要があると思うんです。

 大臣、やってくださいよ。

梶山国務大臣 委員おっしゃるように、一つの考え方なんですけれども、CCRCというのは、人工的につくったものを持ってくるということに、私の、ちょっと語弊があればお許しいただきたいと思うんですけれども、町全体がやはりある程度の高齢者も受け入れるというような形に私はなってほしいと思っております。そして、動ける人たちから始まって、ずっとそこで、最後、ついの住みかとして暮らしていけるような移住があればいいと思っております。

 そのためには、自治体がその方針を示すということですから、その根拠となる資料、ファクトが欲しいという委員のお気持ちもよくわかりますので、少し参考にさせていただきます。

寺田(学)委員 僕は、大臣がどれぐらいの力があるかというのは大臣になったことがないのでわからないんですけれども、大臣、一言指示してくださいよ。

 すごい急を要するんですよ。これを調べて、ファクトが出てきて、それをもとに各自治体がそういう政策を立てて、国としても、それを誘引するような、インセンティブを持たせるような施策をつくって、国会で通して、そこから人が動いていくわけですから、結構急を要するんです。一時間も嫌なお気持ちで答弁されていたのはわかるんですが、一個ぐらい下さいよ。本当に、地方創生というレベルじゃないですよ、もう。秋田はきついんですよ。

 こういうことを言いながらも、危機感は、きのうでこそ東京でも雪が降りましたけれども、秋田は雪が降るんですよ。高齢者の方々にとってみれば、雪寄せなんて大変なんです。雪道の運転も必要だし、冬タイヤも買わなきゃいけないし、物すごく、日本全国の高齢者が減り始めている同じような県に比べると、マイナスとなり得る要素も多いんですが、それでも、だからこそ、秋田県には、もう一刻も早く、ほかの県よりも先取りをし、例えば介護人材を、いい人材を集めるために、県単で上げてもいいですし、さまざまな形で、秋田に行ったら雪が降って大変だけれども、住居はいいし、介護施設も医療施設もしっかりそろっているし、安心して住めるよねということのブランディングが大事だと申し上げているんです。

 いずれにせよ、急を要するので、調査するぐらい言ってくださいよ、参考にするとかそんなのじゃなくて。大臣、一言でいけますって。大臣、お願いします。

梶山国務大臣 私も、過疎指定の地域も抱えたところに住んでおりまして、委員と思いは同じであります。

 その意味で、先ほどの言葉と同じになるんですけれども、参考にしたい。私も同じ思いを持っている、その上で、参考にさせていただきたい。少し前向きになったと御答弁させてください。

寺田(学)委員 指示ではなくて参考でとどまる理由は何なんですか。そこを教えてください。そうしたら、僕、しっかり説得もしますので。

 指示に至らない、参考にとどまる理由は、大臣、何なんですか。信用できないですか、僕の言っていること。

梶山国務大臣 委員のおっしゃること、よくわかりますけれども、我々の地域でも福祉に関することがやはり課題になっておりまして、都会から移ってくる、そのことによってビジネスを成り立たせている人たちもいる、そういうことも一つ問題になりました。それらも含めて、なかなかやはりそういう心証をよくしていくというのは難しいことだと思いますので、その必要性は十分に感じております。

寺田(学)委員 参考人の方、一番偉いのがどなたかわかりませんけれども、大臣が参考にすると言われていますので、何かしら下調べが必要だと思うんですが、どのような調査が必要かというのを、お考えはないですか。

鎌田政府参考人 我々としては、先ほど大きなくくりとして自治体の財政影響分析などを申し上げました。

 そのもととなるものとしては、各市町村の人口区分別の経済波及効果ですとかというのは調べておりますので、そうした既存の資料の分析、そして、それから今まで個別に出されている生涯のまちづくりの計画ですとか、それから、今行っております各般の施策によって、年度ごとに、それぞれの経過ですとか、それこそ税収ですとか生産誘発効果なども推計できるところでございますので、できる限りのことはやって、大臣の参考になるように努力してまいりたいと思います。

寺田(学)委員 もう時間が来ますので最後にしますけれども、大臣、本当に、地方創生という言い方がいいのかどうかは別として、今後の地方、大変ですよ。地方を一区切りにしちゃいけないというのが今回の後段の意味なんです。高齢者がふえる地方もあれば、高齢者がどんどん減るような地方もあって、一つの答えを持って政府が進んでいくということの危険性を申し上げたいんです。

 その上で、ふえるところも大変ですけれども、高齢者がふえるというところは政府全体の方針と合っていますからいいですけれども、減るというところの視点をかなり強く大臣のお立場から政府全体に投げかけないと、厚労省の問題とかもあると思いますけれども、高齢者が減少する地方の深刻さというものをもっともっと大臣が声を大きくしてやっていくこと、そこに比べると大学の定員抑制なんてどうでもいいですよ。

 なので、大臣、本当にこれは問題意識を持って、ぜひとも政府内で共有していただきたいということを申し上げ、それに対して御答弁いただいて、終わります。

梶山国務大臣 委員おっしゃるとおりで、地方それぞれの地域において、流入してくる、転入してくる世代を選べないという現実があります。

 その中で、持続可能な地域づくりはどうしたらいいのかというのはそれぞれの地域の発想によると思っておりますし、今回の地域大学の振興というのも一つの部分の方策でありまして、今委員がおっしゃったようなことも含めてしっかりと考えてまいりたい、そう意識してまいりたいと思います。

寺田(学)委員 大臣並びに参考人の方々、ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、平野博文君。

平野委員 民進党、無所属の会の平野博文です。

 きょうは、こういう機会を与えていただきまして、大変うれしく思っています。

 今、寺田委員の方から、大学の定員なんかどうでもいいよという発言がありましたが、私は大問題だと思っておりまして、これに絞って質問をしたいと思っております。

 大臣、特に通告はいたしておりません、これは大臣にかかわるところですから。大臣、所管をしている担務は、地方創生大臣を含めて幾ら持っておられますか。

梶山国務大臣 まち・ひと・しごと創生本部ということと地方創生、行政改革また規制改革、そして国家公務員制度、この五つでございます。

平野委員 それだけの担務を持ってやっておられることに対して敬意は表しますが、地方創生という立場で考えますと、どれぐらいのウエートを大臣は考えて仕事してはりますか。

梶山国務大臣 かなりのウエートをかけているということでありまして、どこに行っても地方創生担当大臣としか呼ばれませんでして、ほかの担務は理解していただけていないのかなという思いを持ちながら、いろいろなところで挨拶もさせていただいております。

平野委員 私は、まさに地方創生というのは大事だと個人的には思っておりますし、だからこそ、地方創生特別委員会、こういう委員会を設置してやっておるんですが、大臣、地方創生をやはりしていくための、なぜしていかなきゃならないかという、端的に答えていただくとしたら、何が一番問題だと思いますか。

梶山国務大臣 二〇〇八年から人口減少局面に我が国も入りました。そして、それぞれの地域がそれぞれの取組をされている中で、やはり大都市への過度な一極集中というものもございます。その過度な一極集中を是正するとともに、それぞれの地域で手を挙げられるように、旗を上げられるようにしていく、そして、それぞれの文化やそれぞれの地域のしきたりが後世に守られていくような地域づくりをしていくということだと思っております。

平野委員 過度な一極集中をしている大きな原因というのは何なのかということと同時に、やはり私、一番の問題は、我が国が世界のどの国も見ない人口減少に入っている、この人口減少の問題を解かずして、過度に一極集中しているといっても、一極集中のベースがどんどんと下がっていくわけですから、そういうことを前提にしなきゃならないというふうに思っています。

 私も生まれは田舎でありますから、和歌山なんですね、時々帰りますと、ほとんど、やはり空き家がふえていっている。何で空き家がふえていくんだ。そこに、町、人、仕事というのがそのエリアにやはりないからなんですよ。仕事があれば、そこにやはり住みついていくわけでありますよ。

 そういう視点で、きょう、特に東京への一極集中あるいは都市部への一極集中を是正しよう、こういうことで、今回の法案の中に、大学の定員管理あるいは定員抑制をする、特に東京二十三区内における定員を抑制する、こういう法案の中身が実はございました。

 私、文科相を担当した時期がございまして、これは何を意図してやっているんだ、このところが非常に問題である。私は、こういうことで東京に一極集中しているのではない、こういうふうに思っていますが、大臣、東京に一極集中しているのは、学生がふえているから東京に一極集中しているんですか。この点はどうですか。

梶山国務大臣 学生時代、東京で過ごしたり、自分の生まれた地域と違うところで暮らすのは非常に有意義なことだと思っております。

 その上で、東京の大学で自分の意思で学んでいる方たちも、その後のことをどう考えるかということに次はなってくるわけでありますが、やはり、東京にあるというわけではありませんが、地方に若者の雇用の場が少ないということも一つであろうかと思いますし、そういったものを克服するためにどうしたらいいのかという、トータルの中で今回の法案が出てきているものと承知しております。

平野委員 そうすると、東京での人口集中を抑制するために大学の定員を抑制することが一極集中を抑制していく、是正していくことにつながっていく大きな要因だというふうに大臣は思いますか。

梶山国務大臣 要は、地方に雇用をつくっていくということが大切だということで、新卒の雇用もそうですし、既卒の方たちが地方に魅力を感じて戻れるような仕事を探していくということも、情報の発信も含めてそういったことが大切であると考えております。

平野委員 決して、東京圏における学部学生の推移というデータが出ておりますが、これを見ますと、東京都の中での学生数の推移というのは、ふえていないんですよ。

 確かに、二十三区の学生数については若干ふえていっています。これがふえた理由は、なぜかわかりますか、大臣。若干ふえていっている。これはちょうど二〇〇八年ぐらいから若干ふえていっている。これはなぜふえていったかわかりますか。一極集中しているからふえていっているんじゃないんですよ。何でふえたかわかりますか。

 副大臣にきょうは来ていただいていますが、答弁は副大臣にお願いしますというふうに言っていると思うんだけれども、副大臣、どう。

丹羽副大臣 お答えさせていただきます。

 平野先生も文部科学の大臣経験者ということで、非常に御見識が深いというふうに思っております。

 特に近年、学生の移動は大学入学時とそして大学卒業時に多いというふうに認識いたしております。

 そこで、やはり地方に戻るとき、地方に仕事がなかったり、また地方の魅力がなかったりすると、大学卒業時にそのまま東京都内若しくは首都圏、大都市圏にとどまるということが非常に多いという学生の認識だというふうに考えております。

平野委員 なぜ二十三区内でふえていったかということのデータですが、これは、国がもともと工場制限をして、郊外に出ていけ、ちょうど二〇〇二年にこれを撤廃したんですよ。撤廃したために、郊外に出ていった大学が二十三区内、いわゆる首都圏という中心部に戻ってきた、そのことによって学生数がふえているだけなんですよ。トータルとしては横ばい、さらには減っていっているんですよ。これは、このデータから見ても明らかであります。

 したがって、東京にどんどん地方から学生を吸い上げているということは事実ではないんです。そういうバックグラウンドのエビデンスはない。地方から出てきているのは三割しかない。

 私らの学生のときは、もう随分昔ですが、多くの地方から東京の方へ学生として出てまいりました。今、なかなか出るに出られないのは、学生の経済的理由で出てこられない、いろいろな理由がありますが、地方から東京へ来る学生数は三割しかないんですよ。それでもって、地方の大学を活性化させるために、地方の大学は大変なんだということで東京の定員を抑制したって、地方の大学がそれによって潤うかといったら、私は全く潤わないと思う。なのに、今回、この法案の中に、特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制等、十三条関係、出ているんです。

 これを求めていく背景、立法する背景のエビデンスがないんですよ。ありますか、大臣。

梶山国務大臣 委員おっしゃるように、今、約三割が地方出身者ということで学生数が推移していると思いますし、また、昭和三十四年から工場等立地制限法がありまして、平成十四年にこれが廃止をされて、それで数がふえているという事実もつかんでおりますけれども、これから十八歳人口がずっと、一段と減っていくという現実がございます。

 今、二〇一六年の数値で百二十万人が、このまま推移するとということで二〇四〇年に八十八万人という数値が出ていますが、現実の話として、昨年の出生数というのは九十四万人であります。これだけでも二十六万人減っていくという中で、東京二十三区の学生の定員は現状維持ということで、増員を抑制するということで現状維持ということにさせていただいておりますが、地方の大学はもっと、大変厳しい経営環境に置かれているということであります。

 それはそれで大学が独自にやはり努力をしていく必要がありますけれども、高等教育を受ける機会をしっかりと保つことも必要でありますし、また、それぞれがやはり魅力ある大学になってほしい、その中で、十年間の時限措置として今回の増員を抑制する措置をとらせていただいているということであります。

平野委員 先ほど大臣が言われたように、学生数が減っていくんですね、全体的に。地方も減っていくんですね。そうすると、減っていったら、東京の定員抑制を更にまた抑制していくんですか。ここが私はよくわからない。

 したがって、この政策については、極めて安易な政策で、大学の現場の実態を知らない人がつくっている政策だと私は思えてなりません。

 といいますのは、地方大学の活性化というのはやはり必要だと思っていますし、私、担当大臣のときには、やはりその地域社会の中に大学がどう密着し、その中でどういうふうに雇用の創出をつくっていくか、地方の大学自身が考えなきゃならないことなんですよ。東京へ来る学生数を抑制することによってそこがどう潤うかなんということは、全くゼロとは言いません、ほとんど私は皆無だと思います。

 といいますのは、学生は何のために東京へ来るか、このことをやはりしっかり見ておかないといけないと思うんです。やはり、就職に有利じゃないかな、就職の機会が多いんじゃないかな、あるいは、地方の大学に行ってもなかなか就職先がないから、地方の大学へ行っても東京へ出てくる可能性は多分にある。

 こういうことですから、今回の収容定員の抑制なんという議論は誰が考えたんだと。知事会からの要望であるとか、いろいろある。あるいは、有識者会議の提言があって、昨年でしたか、これは二月ごろだったと思いますが、そこがあって、中間報告は五、六月ごろにされて、それから立法の措置を講じていっているんでしょう。そんな安直なあれで、この立法のエビデンスを含めて、背景が本当に得られた中身なのか、極めて私は疑問に思うんですね。

 一方、私学というのは、大学というのはこれからどうしていかなきゃならないか、こういう視点で見たときには、グローバル化してくる、国際競争力に勝っていかなきゃならない。これは国立であろうが私学であろうが同じであります。いかに、質を高めていくためにどうあるべきかということを常に考えていかなきゃならないのに、定員抑制というところでキャップをかけてしまうことは、本当に今の時代の流れに逆行しているような気がしてなりません。

 したがいまして、この点については、きょう、丹羽さんが来られています、文科省も本当に、官邸から言われて嫌々これをやっているんじゃないの。私は、少なくとも文科省は、これはそうですね、わかりましたと言う環境にないんじゃないだろうか。官邸並びに内閣府含めて政治主導でやらされ過ぎて、嫌々ながら文科省はこれを受けているんじゃないの。これは大臣告示でやるんでしょう、当然。どうですか、丹羽さん。そんなことないですか。喜んでやっていますか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 嫌々というわけではございませんが、平野先生も御存じのとおり、元文部科学大臣でございますので、十八歳人口は確実に減りつつあります。そういった中で、今後も東京二十三区の定員増が進み続けますと、確実に地方の大学は、特に私立大学もそうなんですが、疲弊するというのは、特にまた、疲弊するだけならまだしも、地方の大学が疲弊することによって地方の経済も疲弊する可能性もございます。

 そういった中で、経営悪化した大学等の撤退が生じて地域間の高等教育の就学機会の格差がより一層拡大しかねないという文部科学省の認識でございます。そこで、東京二十三区内の大学の定員増、定員をふやすのを抑制するという、今回、必要的な措置であるというふうに考えております。

平野委員 いやいや、だから、国立法人はすればいいんだよ。国立法人は運営交付金が出るから、国立法人はしたらいいんだよ。私学は、では、定員が減ってきたときにどうやって私学の経営と質を上げていくかという、大学の経営の問題にかかわってくるからですよ。

 まして私学は、七五%以上も人材を社会に出していっているんですね。その貢献度というのは大きい。ただし、これから国際競争力に勝っていくために質を高めていかなきゃならない。

 では、どうやって定員を抑制していけば、減っていく、抑制をしていく、こういうことをすればどういうふうになるかというと、結果的には学生の授業料の負担増になっていくんですよ。

 私学助成金はふえていっていますか。今はもう、まさに一桁台になっているじゃないですか。もともと私学助成の考え方というのは、二分の一、半分ぐらいよこしなさいよというのが要望でしたよ。つい数年前までは二桁まだありましたよ。今はもう一桁ですよ。

 こういう抑制をして変わって、大学経営についての交付金を、補助金を高めようという意図はあるんですか。

丹羽副大臣 平野先生おっしゃるとおり、私学助成が今減りつつある中で、文部科学省といたしましては、大学間の連携というのが今後必要になってくるというふうに考えております。大学間が連携を深めて、学内外の資源を活用しつつ、社会全体で大学という学びの場を支える構造の転換が必要であるというふうに我々は思っております。

 特に、これから人生百年時代を迎えるに当たり、リカレント教育とか学び直しの機会、やはり地方でもそういった場を提供できるということは非常に大事な課題であるというふうに考えておりますので、今後、文部科学省におきましても、私学助成ももちろんでございますが、大学改革推進等の補助金を通じて、教育の高度化、改革の取組を支援していきたいと考えております。

平野委員 いやいや、そういう答弁も私は何回かしましたよ。それだったら、こういう話は出てこないんですよ。なのに出てくるというバックグラウンド、エビデンスが私はよくわからない。

 したがって、予算委員会の分科会でも少し、はしりを質問させてもらいました。文科省の諸君に聞くと、スクラップ・アンド・ビルドしてやってください、こういうことをよく言うんですね。でも、私学の経営者あるいは云々で、ある既存の学部をぶっ壊して新しいものをつくっていく、そんなのは一年でできませんよ。何年かかけて新しい学部をつくる、これからの時代に合わせてどう大学で改革して質を高めていく、そういう人材を発掘する。最低数年かけてやるんですよ。

 ところが、今、一生懸命こういう時代の大きな変化の中で大学がやろうとしておっても、去年の二月に有識者会議で議論されて、六月に中間報告されて、その後、この法案の立法作業に入ってこの国会に出されたわけですよ。一年かかっていないんですよ、この法案をつくるのに。

 今、既存で準備している、数年かけて準備している。大学は常にイノベーションしていますよ。特に私学はしていっていますよ、そうしないと生き残れないから。さらには、加えて、質の高い人材を輩出しなきゃいかぬから、やっていますよ。その努力は無に帰すんですか。大臣、どうですか。

梶山国務大臣 背景にあるのは、先ほど申しましたように、十八歳人口の減少ということもありますし、大学教育を受ける機会をしっかりと地方でも維持していこうということ、それと東京一極集中の話がありますけれども、先ほどの問いにもあったんですけれども、十年後どうするんだという話がありまして、十年後で見直しをするというのは、続けるか続けないかということで、減少にいくということは想定を今のところしておりません。

 それと、今回の例外措置として、もう既に大学で意思決定しているものに関しましては例外となります。また、留学生に関しても定員増の例外となります。さらに、大学院生についても定員増の例外となるということでして、あと、委員がおっしゃった、新たな学科・学部をつくるときにはスクラップ・アンド・ビルドということになりますけれども、そういう例外措置もつくっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

平野委員 その例外措置というのはまた微妙で、何をもって例外措置とするのか、これがまたよくわからない。そうしないと逃げ場がないからつくっているだけの話ですよ、そんなの。大半が反対するから例外も置いておくと。

 もう一つは、これも去年でしたか、法案の中で専門職大学は例外にしているんですね。これは何で例外にしているの。

梶山国務大臣 これも緒についたばかりの制度でありますので、五年間の経過措置ということで、例外措置にしております。

平野委員 だから、政策が首尾一貫していない、一貫性がない。工場立地で郊外に出しなさい、二〇〇二年にそれは撤廃をする、それで郊外へ出ていった大学が戻ってくる、戻ろうとして今一生懸命考えている大学についてはちょっと待った、あと十年したらこれまた撤廃しますよと。国の施策によって大学の運営、経営が揺さぶられているんですよ、今日まで。

 それで、首都圏、二十三区にふえたというけれども、私は定義を聞きたいんだけれども、二十三区、東京都、東京圏。東京圏といったら、千葉とか埼玉とか入るんでしょう。そこへ出ていっている。そこの学生が東京の学校へ来る。千葉とか埼玉は地方大学という定義に入るんですか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 平野委員おっしゃるように、東京圏ではないという、地方大学という位置づけでいいと思います。

平野委員 きらりと光る地方大学づくりということで、何らかの施策を打つわけですよね。そうすると、東京圏は入らないということなんですか。

 要は、二十三区は制限するけれども、郊外へ出ていっているところ、これも本来の理屈からいったら、それ以外についてはその項目から外れるんじゃないですか。東京であればやむを得ぬかなと思ったりするけれども、何で二十三区かというのは非常に微妙なんですけれども。

 千葉とか埼玉は地方大学という、きらりと光る地方大学の中の大学に入るんですか、入らないんですか。

梶山国務大臣 対象として入ります。

平野委員 対象として本当に入るんですか。

 ということは、もう一つ聞きましょう、三つ目に、地域における若者の雇用機会の創出がありますよね。この措置というのは、私の知っている範囲では、どうですか、プロジェクトでいくと何ぼあるんでしたかね。十テーマぐらいしかないんじゃないの。十個ぐらいしかないんじゃない。違いますか。

 もう一度言いますよ。委員長、いいですか。もう一度言います。

 地方大学活性化の対象というのは十件ですよね、三つ目の柱。我が国には、大学七百七十八校のうち私立大が六百校あるんですね。ここも大変厳しい。こういう中で、次の部分でいくと、どうですか、この第一の地方大学活性化の対象というのは十件しかない、そういうことでいいんですかね。

梶山国務大臣 十大学というのは積算上そういう形にしておりまして、この取組というのは、地方自治体、知事を中心とするリーダーシップによって産業も巻き込む、そして地方の大学も巻き込む。大学も、単一ということではなくて、地方であれば連携をとってもいいということになっております。それらも含めて、今回の予算の範囲内で約十件を想定しているということであります。

平野委員 まあ、焼け石に水ですよ。もっと大事なことは、トータルのグランドデザインをどういうふうに描いて地方創生という考え方のもとにやるかということであって、こんなものは焼け石に水ですよ。余り意味のない話だと私は思いますよ。

 時間も余りないので余り深くあれはできないんですが、やはり大学というのは、教育というのは長いですから、常に一貫性のものでなきゃなりません。その時々に振られたらどうしようもなくなるわけですよ。したがって、成果がそんなに、きょう言うてあしたとれるわけではありません。ただ、学生の人口は確実に減っていく。だけれども、これだけの厳しい国際競争の中で人材を輩出していかなきゃいけない。

 国立法人の大学のあり方、あるいは大部分が私学に依存をしている。私学の自主性に任せているんですよ。任せているんだけれども、一番大事な根幹のところをキャップをかぶせようとしている。これで本当に国際競争力に勝てるんでしょうか。そんな人材を出せ出せと言うけれども、キャップをかぶせるのであれば、かぶせた分の負担を国策としてきちっと出すからこういうキャップをかぶせる、これが全くないんですよ。新しい学部をつくるために、教授陣含めて、設備、どれだけの費用、財源がかかるんですか。このことも含めてこの法案が立法されたとは、私、到底思えません。

 したがって、いま一度、例外措置ということよりも、そんなことも、大学の経営を自主独立で任せている私学については、ある意味、ここまではやらせるけれども、そのときにもう一度考えるという、一方、やはり踊り場をつくってあげないと、今回、踊り場なしの法案ですから、改めて、大臣、それがすばらしい人材をつくることにもなるし、大学の質を高めることにもなるし、アンブレラ方式とかいろいろな方式があります、大学の改革については。あるんだけれども、若者が東京に集中してくること、大学の定員を抑制することによってそれが抑制できるとは私は思いません。

 したがって、聡明な梶山大臣、ぜひそのことも頭に入れて、ある意味大学の経営の基盤を弱めていくような施策はとるべきでない。やるならば、それにかわる財源をしっかりと確保してやっていただかなきゃならないと思っておりますし、この法案はとんでもない法案だと私は思いますし、丹羽副大臣、文科省が喜んでやっているとは私は全く思いませんが、ぜひ、私と同じ気持ちで、まあ政権がかわりましたから同じ気持ちだとは思いませんが、同じ気持ちで私はやはり臨んでいただきたい。人材ですから、我が国のすばらしい人材を、こういうところで国際競争力に負ける人材にしないようにぜひお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、前回に引き続き、地方大学振興、若者雇用促進法案について、今度は東京二十三区の大学の定員抑制について聞きたいと思います。

 本法案では、一部例外を除き、東京二十三区内の大学の定員抑制を定めております。先日の当委員会でも自民党の委員に対して答弁があったと思うんですが、改めてその必要性について御答弁いただけますか、大臣。

梶山国務大臣 前回も申し上げたと思いますが、二〇〇〇年から二〇一五年までの間で、十五歳から二十九歳までの地方の若者が五百三十二万人減少しております。また、東京圏への転入超過数は近年十万人を超える規模で推移をし、そのほとんどが若者であるということであります。地方創生の開始から三年がたちますが、この流れに歯どめをかけられていないのは現実として受けとめております。

 今後、十八歳人口が大幅に減少していく、二〇一六年に百二十万人、そして二〇四〇年には先ほど申しましたように八十八万人になろうという推計が出ておりますけれども、現実に、昨年生まれた出生数というのは九十四万人ということですから、もう一つずつ階段をおりている、上っているというよりもおりているということだと思います。

 そういったこともしっかりと考えながら、今後も条件の有利な東京二十三区の定員が進み続けると、東京一極集中がますます加速をする、さらにまた、東京の大学の収容力が拡大する一方で、地方大学の中には経営悪化による撤退等が生じて、地域間での高等教育の就学機会の格差が生じかねない、このような状況を踏まえて、本法律案において、特定地域における大学の学部等の定員抑制を講じることとしているところであります。

宮本(岳)委員 要するに、若年層の東京圏への流出に歯どめがかからないために、法律で東京二十三区内の大学の定員増を禁止しようということであります。

 地方大学の振興のために東京の大学を痛めつけるかのような政策に、東京都から、東京対地方という構図をいたずらにあおる理不尽かつ不合理な規制と、厳しい反対の声が上がるのも当然のことだと私は思います。

 ところが、一方で、一昨日議論した地域における大学振興・若者雇用創出推進会議、つまり、地方大学の振興と地方の雇用創出のためのコンソーシアムでありますけれども、ここに東京二十三区内の大学が入って交付金を受けることは排除されないという説明を受けましたが、これは内閣府、そのとおりですね。

    〔委員長退席、加藤(寛)委員長代理着席〕

末宗政府参考人 お答えいたします。

 東京圏、二十三区の大学でありましても、例えば、地方圏のコンソーシアムを組んで農業振興とかをやるような場合に、東京圏でそういった部分の知見を持った大学が参画するということはあり得ると考えております。

宮本(岳)委員 驚きを禁じ得ないわけですね。

 これは、私は先ほど東京都の話を、東京対地方という構図をいたずらにあおるというふうに東京は言っておられますが、そんなものでもないと。一方で、支援する地方のコンソーシアムに東京二十三区内の大学が加わるということは認めているわけです。この政策は支離滅裂だと私どもは言わざるを得ないと思うんですね。

 しかし、同時に、それは当然のことであって、そもそも東京の大学が地域の振興に役立っていないかといえば、決してそうではありません。地域振興というのは、所在地にこだわらず、オール日本で知恵を出し合うべき課題であることはもう言うまでもないことであって、そういう本質からいえば、どこどこの定員を抑制してどこどこを応援すればうまくいくというようなものでないことはもう一目瞭然だと思うんですが、大臣もそのことはお認めになりますね。

梶山国務大臣 地方創生の政策、東京も含めたオール・ジャパンというか、日本全体で考えるべき課題であると思っております。

宮本(岳)委員 当然のことなんですね。東京と地方を対立させる考え方そのものがナンセンスだと言わなければなりません。

 つまり、あなた方は、みずからの誤った地方創生策がうまくいっていないから、それを大学のせいにして、東京対地方というような単純な構図で責任転嫁を試みました。しかし、その結果、みずから構築した制度は、東京二十三区の大学も地方のコンソーシアムに加わって交付金を受け取れるというような代物となっております。

 真に東京一極集中というものを是正したければ、東京を世界一の国際ビジネス拠点とする東京圏特区というようなものこそ見直すべきだと言わなければなりません。それを放置したまま東京の大学の定員抑制に走るなど、愚かきわまりない、不真面目な政策であるということを私は指摘しておきたいと思います。

 次に、地域再生法についてお伺いしたいと思います。

 今度の法改正は、町のにぎわいづくりや商店街の活性化を図るために、地域再生エリアマネジメント負担金制度と商店街活性化促進事業を創設しようというものであります。

 そこで、まず確認したいんですが、町のにぎわいづくりや商店街の活性化にとって、地域住民の参加というものは不可欠だと思うんですね。大臣もその認識は持っていただいておりますでしょうか。

梶山国務大臣 委員と同じ認識でありまして、住民の参加は不可欠であります。

宮本(岳)委員 では、地域再生エリアマネジメント負担金制度というものについて聞きたいと思うんですね。

 法案では、エリアマネジメント団体が地域来訪者等利便増進活動計画というものを作成することになっておりますけれども、この地域来訪者等利便増進活動計画作成段階で、エリアの住民の参加は保障されておりますか。

    〔加藤(寛)委員長代理退席、委員長着席〕

青柳政府参考人 お答えいたします。

 今回の地域再生エリアマネジメント負担金制度ですけれども、エリアマネジメント活動により経済的利益を受ける事業者から負担金を徴収する制度でございますので、経済的利益を受けない一般的なエリアの住民の参加については、法律上は位置づけてはおりません。

 制度上、市町村による地域再生等利便増進計画の認定に際して、市民の代表である市町村議会の議決を経ることを要件としているところでございます。

 一方で、実際に地域再生エリアマネジメント制度を活用する上では、エリアマネジメント活動によって影響を受けるような地域住民の方々、こういった方々に対して、説明会の開催などを通じて地域住民の理解と協力を得ながら進めることが望ましいと考えております。

 こうした考え方については、ガイドライン等を通じましてエリアマネジメント団体や市町村に周知してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 地域住民の参加というのは非常に大事な視点なんですね。

 私は、地元の商店街の方々から話もお伺いをしてまいりました。商店街を元気にしようと思ったら、その地域に住んでいる住民が、この町を活気あるものにしようと、みずから知恵も出し、それから積極的にまちづくりに参加していくこと、これが一番大事なことだ、皆さんからそういう声がありました。よそからコンサルタント会社などがやってきて、住民そっちのけで勝手に絵を描いて押しつけていっても、それはもう決してうまくいかない、地元の商店街の方々は口をそろえてそうおっしゃっております。

 そこで、少し具体的に聞くんですけれども、今度の負担金制度を開設するに当たって、皆さん方の「エリアマネジメント」という内閣府、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局のつくったパンフなどを見ますと、大阪版BID制度として大阪のグランフロント大阪を先進事例として紹介をしておられます。これは間違いないですね。

梶山国務大臣 間違いございません。

宮本(岳)委員 間違いないと確認をされました。

 では、このグランフロント大阪のエリアマネジメント団体、これは何と呼ばれているかというと、グランフロント大阪TMOというものでありますけれども、これは一体どういう企業で構成されているか、内閣府、お答えいただけますか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 グランフロント大阪、御案内のとおり、JRの大阪駅の北側の、梅田の北ヤードという操車場跡地を開発いたしたところでございます。

 一般社団法人のグランフロント大阪TMOというのは、開発事業者十二社によって設立をされているところでございまして、三菱地所、阪急電鉄等々の企業が構成員ということになっております。

宮本(岳)委員 三菱地所、阪急電鉄と、名立たる大企業ばかりでありますけれども、こういうものが地方の活性化や商店街の振興の参考になるはずがないのではないかと私は言わざるを得ません。

 そもそも、大阪の今おっしゃった、うめきた開発、グランフロント大阪というものは、地域再生とは全く無関係の代物であります。住民参加など、みじんもありません。大企業のもうけのために行っている巨大開発だと言わざるを得ないと思うんです。

 あなた方は、こうした大企業の要求に応えるために、今回のこの地域再生マネジメント負担金制度というものを創設しようとしているんですか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 今回のエリアマネジメント制度でございますけれども、地域の稼ぐ力を向上させるということで、さまざまなエリアマネジメント活動を通じて来訪者をふやし、また売り上げを上昇させる。これは、各地域地域において取組の主体また形態というのもさまざまなものがあろうかと思います。

 委員御指摘のグランフロントについては、梅田の大規模開発ということで、大企業中心ということでございますけれども、私ども、エリアマネジメント活動、これは全国の団体もございますけれども、いろいろな、大企業中心のものもあれば小さいところもございまして、そういった全国各地のエリアマネジメント活動を全体として底上げをしていきたいということで、今回の制度を設けようとしているところでございます。

宮本(岳)委員 そうおっしゃるんだけれども、先ほど十一社と。阪急電鉄と三菱地所、二社だけ名前をおっしゃいました。残りの九社というのはどういうものか。NTT都市開発、大林組、オリックス不動産、関電不動産、新日鉄都市開発、積水ハウス、竹中工務店、東京建物、日本土地建物。どこからどこまで見ても、全部が大規模開発を進める大企業なんですね。

 現在、これは、第一期の開発が終わって、二期区域の開発事業というものが始まろうとしております。うめきた二期という開発が進められるとしております。この法案が通りますと、このうめきた二期のエリアマネジメント団体には中小企業が入ることになるんですか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 うめきた二期、うめきた地区の第二期の開発事業、現在、事業者の募集の段階だというふうに承っております。まだ開発事業者が選定されておりませんので、エリアマネジメント活動についても、現在のグランフロントのTMO法人との関係がどのようなものになるのか、また、エリアマネジメント団体がどういった事業者から構成されるのかということについては、私どもはまだ承知しておりません。

宮本(岳)委員 まだ決まっていないということでありますけれども、しかし、入りようがないんですよ。

 うめきた二期のまちづくり目標というものを私は調べてきましたけれども、このまちづくり目標には、新たな国際競争力を獲得し、世界をリードするイノベーションの拠点となっておりまして、つまり、稼ぐ力のある大企業にもうけの拠点を整備しようというのが、このうめきた二期のまちづくり目標なんです。そんなところに中小企業が続々と入ってくるとか、あり得ない話なんですね。

 そもそも私は、二〇〇六年、うめきたの開発計画、つまり北ヤード開発というものが持ち上がった段階で、「梅田北ヤード開発を考える」というシンポジウムを大阪で主催したことがございます。この計画は、このときに随分研究しましたけれども、大阪の表玄関にふさわしい大阪駅前のまちづくりという観点からの真剣な検討など、ほとんどされた形跡はありませんでした。

 実は、私どものシンポジウムに、大阪市都市計画審議会の委員で、そのうめきた、北ヤード開発の都計審の計画決定をやったときの委員として参加された学者の方が、シンポジウムの時点ではもうそれをおりておられた、前委員だったという方でありますけれども、出席をしてくださいまして、随分その中身についても私たちはお伺いをいたしました。

 有識者からは、大阪駅前の空間をこんなふうにビルで埋めていいのか、もっと何か空間的広がりがとか、これは大体、どんなふうな埋まりぐあいになるか検討したのかとかいう意見が出ているんですけれども、このとき大阪市は、大丈夫ですといって押し切った。だから、もっとちゃんと、駅前をどういうふうにするかということを住民参加で考えねばならぬのではないかということを、随分このシンポジウムで徹底議論したことをきのうのことのように覚えております。

 こういうものを先進事例として地域活性化を語るなんというのは、まさに不真面目きわまりないと私は思いますけれども、大臣、そうじゃないですか。

梶山国務大臣 海外で始まった制度でありますけれども、日本でこれに似た形で取り入れているのは、まだまだごくわずかでありますので、そういった中で、この大阪のうめきたの例というのは、非常に卑近な例として取り上げさせていただきました。

宮本(岳)委員 私が申し上げたように、商店街の活性化とか地域の活性化という議論にこれを先進例として持ってくるというのは全く場違いであって、重ねて、不真面目きわまりないと言わざるを得ないと思います。

 ならば、どう進めるか。共産党は反対ばかりかと言われたら困りますから。

 例えば、商店街の活性化促進事業というものでありますけれども、これは、空き店舗の所有者にその利活用を促すために、指導や助言や勧告の手続を整備しようというものであります。国は、しかし、これまで、商店街の活性化や空き店舗対策に幾つもの対策を既にとってこられております。それでもこういう法律をまた改めて出してきたということは、これまでの施策は余りうまくいっていない、失敗だとお認めになったということですか、大臣。

梶山国務大臣 商店街の活性化につきましては、これまでも中小企業庁を中心に、商店街組織が取り組む事業の支援を行ってきたところであります。支援がなされた商店街の六割から七割で売上高、来訪者数の増加などにつながり、商店街を囲む厳しい状況の中でも一定の成果を得ているものと思っております。

 ただ、時代の進展とともに新たな課題が出てきているということでもあり、また、新たな課題に対応するための施策として今回の法律を取り上げたということであります。

宮本(岳)委員 一定の成果が上がり、うまくいっているというのであれば、それを拡充すればいいわけであります。

 そもそも予算は、三十件程度の適用分しか確保されておりません。しかも、その予算は毎年減っておりまして、予算が減っていることを取り繕うために、国の方で勝手に重点化と称して使える商店街を選別しているわけであります。

 全国に商店街というのは一万件あると言われているんですよ。一万件もある商店街が、こんな程度の制度で元気になるわけがないと私は思いますが、違いますか。

梶山国務大臣 国の支援のあり方として、やはりしっかりとその地域で議論をしていただいて、計画を練っていただく、それに対してでき得る限りの応援をしていく、限られた予算ではありますけれども、そういう応援の仕方をしているものと承知しております。

宮本(岳)委員 国の支援のあり方として、地域でしっかり議論をしていただく、それを国は応援していく、おっしゃることは正しいんですけれども、これまでやってきたことはそうなっていないんですよ。国の側でこういう仕組みをつくって、それに当てはめるようなものをやれと。先進例としてグランフロント大阪みたいなものまで持ち出して、これでいけと。だから、うまくいかないということを言っているわけですね。

 なぜうまくいっている制度から学ばないのか。

 私は、二〇一五年三月二十七日、当委員会で住宅リフォーム助成制度というものを取り上げさせていただきました。二年前のその時点でこの制度を整備している地方自治体は、全都道府県と、全市区町村千七百四十二のうち千五百五十九の市区町村で整備をされておりました。直近の数字というのはわかっておりませんが、そこから更に進んでいることだと思います。

 大臣の地元の茨城県常陸太田市でも、高齢者、重度障害者、空き家を対象とした住宅リフォームの助成制度を実施しておられます。

 大臣、地域の活性化を言うのであれば、こうした地方自治体の取組を国として支援する、これが一番効果的であって、一番値打ちがあると思うんですが、違いますか。

梶山国務大臣 やはり現場には現場の意見がありまして、それを取り入れるのが一番であると思っておりますし、私も地元の常陸太田市の取組も承知しておりますし、その人たちともよく話をしているつもりであります。

宮本(岳)委員 そうなんですね。こうした自治体の取組は更に進化していっているわけですよ。

 住宅リフォームの方はこうやって行き渡ってきた。今度は、商店版リフォーム助成制度というものが始まっておりまして、群馬県高崎市でありますけれども、住宅リフォームの商店版として、まちなか商店リニューアル助成事業というものに取り組んでおられます。これは、店舗の改装やエアコンなどの設備にかかった費用の半分を助成する事業でありまして、商店の方々から大変歓迎されている。このように、地方自治体では、活性化のためにいろいろな知恵を出しているわけです。

 大臣、こういう制度こそ大いに応援すべきだと思いますが、いかがですか。

梶山国務大臣 現場の声が多いもの、またさらには成果を上げているものに関しては、しっかりと継続も含めて考えていくのが本来の政策のあり方であると思っております。

宮本(岳)委員 地方自治体は、地域の活性化、町のにぎわいのために、知恵も工夫も凝らしながら頑張っております。町のにぎわいづくり、商店街の活性化は、こうした地域の取組に学んで、国はあくまでそれを支援することこそ必要だと思うんですね。国が上から絵を描いて押しつけてきたから、これまでことごとく失敗してきたと言わざるを得ません。

 そのことを私は厳しく指摘をして、本日の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 無所属の会の篠原でございます。

 質問の順番、一番、二番は時間があったらやらせていただきまして、三番目から入らせていただきたいと思います。

 資料を皆さんに提出してあります。

 やはり問題は、地方の大学というのは本当に、集中していますね、東京の二十三区内の定員の抑制というのに。

 では、我々、一番地元、衆議院議員の地方大学度合いがどうかというのをよく見てください。大臣、それから宮川政務官、よく見てください。もう事前に見てもらいましたね、質問通告のときにお渡ししてあるので。これをごらんになってどう思われますかというのを、皆さんもよく見てください。

 四百六十五名の衆議院議員のうち、これはもう最大限入れたつもりなので、失礼になるんですけれども、下はちょっと間違えまして、三大首都圏って、三つも首都はありませんでして、三大都市圏、本当はこれは首都圏の大学と京大は除くなんです。三大都市圏なんてなると、これまたちゃんとした定義がないとかいう、和歌山とか三重とかもみんな都市圏に入ってしまうんですね。だから、私のあれで、首都圏と京大を除いてと。だけれども、政令指定都市、そこにある大学、九州大学とかなんかも入れました。

 おわかりになりますか。地方大学出身の国会議員は、四百六十五名のうちの三十八名しかいないということなんです。地方の高校というのもちょっとやりましたけれども。それで、その中から、札幌とか仙台とか福岡とか、政令市を除くと、十五名しかおられないということです。いかに偏っているか。政治も物すごく偏っているんです。そこの経験が大事だと思う。都会の経験ばかり積んで、地方の経験を積んでいない人たちがわんさかいるということなんです。

 一番後ろのページを見てください。これは、地方創生特別委員会、四年前の二〇一四年の十一月五日に、安倍内閣の石破さんが、できたときにこれもやったんです。

 これもよく目を凝らして見ていただきたいんですが、皆さん、地方出身で地方が選挙区だとか言っておられますけれども、私は高校でやったんですよ。

 このころは、まだ国会便覧に高校を入れていませんでしたけれども、全員のプロフィールをネットで調べて、やったんですが、安倍総理、麻生副総理、岸田外務大臣、わかりますね、選挙区は地方ですけれども、高校、生まれ育っているのはみんな東京なんです、右側のところを見ていただくとわかると思いますけれども。十九名の閣僚のうち、首都圏が九名で、四七%なんです。その人たちは、二世、三世、多く出ている。

 こんなので、だから、私の地方度合いというのは、首都圏以外のひなびた田舎の高校を出た方を二重丸にしたので、高市早苗さんとか菅さんとか、湯沢高校とかね、二重丸にしてあるのはそういうもの。こういう議論をしました。これで地方創生なんてできますか、政治家からして、本当に魂を持って、地方への思いを、きちんとした政治、できないでしょうと。

 僕は、今回、これだけひどいとは思いませんでした。私自身も、長野県の中野市という、長野よりももっと北にある、志賀高原の麓の町で、大学は信州大学ではありません。人のことは言えませんけれども、そういう風潮が、長野もというか全国にはびこっている。

 その次のページを見ていただきたい。

 これは、アメリカに留学された方とかですとそんなのは御存じかもしれませんが、これがアメリカ版の国会便覧です。ここにみんな書いてあるんです。

 そして、三ページ目に、ミズーリ州の、全部書いてあります。MOというのはミズーリ州の略称です。それで、生まれ在所がどこかというのも大事で、必ず書いてあるんです。日本とちょっと違うのは、宗教も書いてあるとかいうんですね。この線を引っ張ったところが、出生地と大学です。

 そして、この三つの州をなぜ選んだか。

 どこを選ぼうかと思ったんですが、私が二年間留学させていただいたのは、シアトルが州都のワシントン州です。そのうち、一学期半、オンリーブという制度がありまして、カンザス州、ど真ん中の農業州に行ったんです。そして、ミズーリ州は、変な理由ですけれども、両県州ともほぼ国の真ん中にあるということで、姉妹州県で交流しているんです。それで選びました。

 見てください、真ん中のカンザス州。僕は、調べてびっくり仰天しました。上院議員、下院議員、だから、五人いますから、全部カンザス州生まれで、カンザス大学かカンザス州立大学なんです。上のワシントン州も、上院の一人はほかの大学に行っていますけれども、ワシントン州生まれで、ワシントン州立大学。下院議員は、十人のうち四人がワシントン州生まれで、七人がワシントン州の大学を卒業している。ミズーリ州も同じようなものです。

 これから比べたら、日本がいかに東京や首都圏に偏っているかというのをおわかりいただけると思います。アメリカは、この意味では健全なんです。首都が乱れても、トランプ大統領が乱れても、健全な田舎がそれをストップするんです。地方の声を国会に反映するんです。

 今、憲法の論議でいったりしたら、参議院の、人口だけで参議院を合区にするなんというのは、私は愚の骨頂だと思います。地方の声が反映されなくなるじゃないですか。これだけ首都の感覚、それしか入らなくなっている国会というのは、世界広しといえども日本しかないんです。だから、私はこの議論が大事だと思います。

 首都圏、それこそ、二十三区のを抑制したってしようがないじゃないかと。いやいや、一歩ずつ始めなくちゃいけない。遅過ぎるぐらいなんです。大学は、別に首都になくちゃいけないなんてないんです。

 これを見て、梶山大臣、宮川政務官、どのようにお感じになりますか。僕は、絶対、全力を挙げて是正すべきはこういうところにもあると思います。皆さんは、そんなちゃちなことをしたってしようがないと言っていますが、違うんです。もっともっと大胆なことをしなくちゃ私はいけないと思っているんです。この点についてお答えください。

梶山国務大臣 委員の調査の結果を見させていただきまして、もう少し地方大学出身があるかなと思っていたら、大分少ないという感想を持ちましたけれども、今議員である人、今さら過去は変えられないということでありますので、いかに地元に浸透していくか、みずからの生活も含めて、どれだけ地方の課題というものを掌握しているか、そういうことで選んでいただくということも必要だと思います。

 あとは、国政ですから、国政全般の考え方でありますが、ただ、軸足は地方に持って、国政のあり方、憲法のあり方というものもやはり見ていかなければならないなという感想を持っております。

宮川大臣政務官 私も、この表の中に入っていない一人でございます。

 御通告いただいておりませんけれども、私はこの表の中に入っておりませんが、大学と松下政経塾へ行きましたときの七年以外は、三十一年間、山梨県にずっと住んでおりますので、この表をもってして、全て、地方のことがわからないということは言えないのではないかなというふうには思っておりますけれども、一つの分析としては参考にしなければいけないというふうに思っております。

 以上でございます。

篠原(孝)委員 そういう言いわけはしなくていいんです、山梨学院大学附属高校を出て慶応大学に進まれたというのはわかっていますから。

 だけれども、アメリカと比べていかに差があるかというのはおわかりになりますか。これだけ違うんですよ。住民もそういう人を選んでいるし、国会議員はそういう人がなっている。

 ここで、我が委員会で、おられませんけれども、二重丸と丸と云々を僕がちょっと書いておきました。二重丸は、大学も高校も選挙区。選挙区って、その県内の選挙区。こうすると、ここに出てくるのは下条みつさんと左藤章さんと宮本さんと池田道孝さんで、二重丸は池田道孝さんだけなんです。

 もう一つ、余計なことですけれども、池田さんはアメリカにも留学されているんですが、イリノイ州立大学という田舎の大学に行っていたんです。私も途中から気がつきましたのでね。アメリカの大学の留学は、名門大学には行こうと思えば行けたと思いますけれども、そうじゃなくて、わざと田舎の大学を選んで、田舎の大学二つに行ったんです。そのころはもう農林水産省におりまして、仕事をしなくちゃというふうに思っておりましたからね。

 だから、もっと大胆に、そんな首都圏の大学の人数を減らせじゃなくて、どうしてこうなるかというのは、行かれた方、おわかりになると思います。

 あべ俊子さん、おられませんけれども、アラバマ州立大学に行っておられます。向こうの州立大学の授業料、どうなっているかというと、私、ワシントン大学にいましたけれども、私が一学期千ドルでした、ノンレジデント、非居住者。レジデント、二百ドル。五倍の差があるんです。

 質問通告したときに来た内閣府の中堅クラスの役人の人に、留学したことがあると言うので、UCバークレーに留学していたと。こういうもの、どうなっていると聞きましたら、外国人留学生、日本人とかは四百万で、そしてカリフォルニア州の住民といったら百万で、四倍の差があるんです。州立大学だから、そういうことができる。州民を優遇しているんですよ。

 もともとそういう意識があって、日本も、ふるさとへ帰郷だとかなんとか言いますけれども、アメリカ人の方がずっとふるさととか生まれ在所というのを意識しているんです。よく、労働力の流動性、流動化と言います、日本はそれがないと。うそです。アメリカは、仕事もかえる、家もかえる、ついでに女房も旦那も何でもかえる、そういうことがありますけれども、そうじゃないんです。地元意識というのが物すごく強いんです。それを代表するようなもので、例えば、大ヒットしたテレビドラマに「大草原の小さな家」があります。皆さん、覚えておられると思います。ローラ、主人公の。

 日本でもちょっと、一年間だけですけれども、「おしん」があります。明治から昭和にかけて。もっと言えば、「北の国から」があります。余り地方をメーンにしたドラマはないんですよね。

 その日本の健全な地方性が崩れている。アメリカはまだがっちりある。だから、私は地方創生が大事だと言っているんです。田舎の地方ががたがた音を立てて崩れている。それで、大学もこういうふうになっている。

 そうしたら、それは州立大学だからそうやってできるんだ、国立大学だからレジデントとノンレジデントの差をつけられないとすぐ言いわけが来るけれども、何を言っているのか。国立大学だったらもっとできる。全部移しちゃえばいいんです。そんなこと難しいとおっしゃるかもしれませんけれども、研究はみんなつくばに移しました。そのとき、どうしましたか。東京教育大学は、筑波大学になって、行ったんです。別に、大胆に、東京大学はなくして、ほかのところに行って、名前を変えた大学にしたって全くおかしくないんです。

 イギリスでロンドン大学が一番名門大学ですか。アメリカでニューヨーク大学が一番ですか。違うんです。日本は手が遅過ぎるんです。先進国で、こんなに何でもかんでも首都に集中しているのはないんです。私は、もっと大胆な政策をとっていただきたいと思います。

 大臣、この間の質問に対する答えの中で、先週の所信に対する質疑の中で、その県に合ったもので振興を図りたいと。

 そういう点からしたら、加計学園の獣医学部なんてバツバツバツなんです。示しましたよ、予算委員会のときに見ておられると思いますけれども、畜産の数が物すごく下がっているわけです。畜産振興というのを四国はやろうとしているのか、愛媛がしようとしているのか。

 ユニバーシティー・オブ・ワシントン、私がいたワシントン大学は、林業、林学部と水産学部と航空工学部、わかりますか、ボーイング社があるんです。まさに地域に密着した大学にしているわけです。

 カンザス州立大学は、カンザス州はウイートステーツというんです。アメリカ一の小麦の産地です。だから、アメリカ・インスティテュート・オブ・べーキング、パン研究所というのがある。日本の敷島パン、フジパンとか山崎製パンとか、研究者が六カ月、研修に来ていました。その州にぴったしの大学にしているんです。

 国はもっとそれをできるんです。中途半端にしている。大学の予算、国立大学法人の予算も、まあ、ほかの予算と比べれば、農業予算や何かと比べたら減り方が激しいかもしれませんけれども、減っている。そう大したことないんです。地方の大学に、国だからこそ、変えたり、ぴったしのことをやったりできると思うんですが、この点について、宮川政務官、どうお考えになりますでしょうか。文部省がもっと真剣にやっていただいてもいいと私は思います。

宮川大臣政務官 御通告をいただいておりませんので、お答えを差し控えたいと思います。

篠原(孝)委員 それは大臣の、通告云々というのじゃなくて、できると思います。

 じゃ、通告をいただいておられるという方を言いますよ。具体的なもので、これは通告してあるので。

 地方大学の活性化で、留学生をいっぱい受け入れると。その留学生、それぞれの地方大学に、国が担当して、そしてそこにどさっと予算をつけてということをやられたらどうですか。

 山形弁を話す外国人タレントもいますよね。皆さん、御存じかどうか、我々の世界では知っているんですが、アン・マクドナルドという人、上智大学の教授になっています。セーラ・カミングスというのが小布施にいて、地方活性化、小布施のまちづくりを中心にやっています。彼女たちは二人とも、本当の日本は都会にない、地方だということをやっているんです。

 多分、留学生はそう思うんです。東京で、このところでアルバイトしながらでもじゃなくて、地方の田舎で日本人の情感に触れ、大事にされ、帰った人の方がずっと日本びいきになると思います。そういうことを幾らでもできるんです。

 もう自主的にやっているところがある。和歌山大学。和歌山大学は、トルコ人が多いんです。なぜかというと、トルコの船を、遭難者を救った、だから、テヘランで大変なときにあって、日本の飛行機が行かないというときに、トルコ航空が、撃ち落とされるかもしれないのに飛行機を飛ばして日本人を救っているんです。こういう関係があるんです。

 地方とそうやった方がいいんです。そういうようなことも考えてください。

宮川大臣政務官 我が国における外国からの留学生の数というのは、平成二十九年の五月一日の時点で約十二万人というふうになっております。地方創生の観点からも、これらの留学生がそれぞれの地域に定着することに努めることが重要という認識は我が省でも持っております。

 このため、地域の産学官が連携し、就職に必要な日本語の能力や、また、あとは日本型のキャリア教育及び中長期的なインターンシップ等を行う留学生就職促進プログラムというのを本年度より開始しております。

 ただ、留学生の能力は多様であり、また、各国から来た留学生の能力を地域の産業界が多様にマッチングさせたいという要望もありますので、そういうことも踏まえまして、これから、このプログラムを活用して、それぞれ地域振興につながっていくように、その戦略を図っていきたいと考えております。

篠原(孝)委員 日本は何でもアメリカのまねをしたがるんですね。この地方密着型のは全然まねしていないんですよ。一番まねるのがTPPで、全部アメリカの制度をまねしようとしているんです。

 だから、このことを何で言うかというと、僕がいたカンザス州立大学に日本人と似たような顔をした人がいっぱいいたんですが、日本人じゃなかったんです、台湾なんです。あと、ナイジェリア。KSU、カンザス・ステート・ユニバーシティーは台湾とナイジェリアの担当大学なんですよ。学生がしょっちゅう行き来して、先輩がいるし、教授も知っているし、人的交流ができるんです。よく考えているなと思いましたよ。何でそういう、その程度の簡単なことが日本はできないのかということなんです。

 日本はこの点について、地方のところも大事にしていくというのが徹底的に欠けているんですよ。大学に目がつけられたのはいいことだと思います。この際ですから、思い切ってやっていただきたいと思います。加計学園をやるんだったら、もっともっとほかのところもやれと。首都圏にある必要はないんだ、そういうふうにやっていただきたいと思うんです。

 それから、最後に、予算も大事なんですが、一つだけ紹介いたします。

 カナダに在学された方もおられますけれども、カールトン大学で、亀井さん、今おられませんけれども。UBC、ユニバーシティー・オブ・ブリティッシュコロンビアというのは、私が留学していた四十数年前は本当に森の中の大学だったんです。二年前に、アジア太平洋会議というもので行ったので、UBCの中をタクシーの運転手さんに案内してほしいといって頼んだんです。何でそんなことをお客さんは言うんですかと言うから、森の中の大学で、またその森の中の大学の雰囲気を味わいたいと言ったら、いや、森ならもうないですよと。どういうことなんですか。日本と同じです。州政府が予算を削ったんです。独立行政法人的なんだから、やれと。だから、学長はしようがないから、森を削って、何とアパートをつくっているんです。

 それで、なおかつ、今度、もっとおもしろい論争が起きているんです。外国人留学生、他州の学生の数が物すごくふえているんです。どうしてでしょうか。ブリティッシュコロンビア州の学生と、五倍か四倍、授業料が違うんですよ。そして、州政府と大学の学長の論争になっているんです。ちゃんとやるんだったらお金を出すと。もちろん、ブリティッシュコロンビア州の学生をいっぱいとりたい、しかし、授業料で賄えなかったら大学を運営していけない、こういうことなんです。お金、お金、お金で、教育費をサボっているんです。こういうことがあるんです。

 こういうことは念頭に置いて、ぜひ、地方の大学、大々的に金をつぎ込んで、そして地方振興に役立てる、この狙いはいいと思います。どことなく、むちの方ばかりが話題になっていますが、あめの方、振興の方を積極的にぜひやっていただくことを切にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十三分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。谷畑孝君。

谷畑委員 地方拠点強化税制の実績に対する評価について質問をいたします。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、企業の地方拠点強化に関する重要業績評価指標として、平成三十二年までの五年間で、本社機能の一部移転等による企業の地方拠点強化の件数を七千五百件増加し、地方拠点における雇用者数を四万人増加という目標を掲げています。

 これに対し、移転型事業又は拡充型事業を実施する事業者が作成をした整備計画の認定数は平成三十年一月末の時点で二百二件であり、これにより、雇用総数は九千九百八十九人となっています。また、地方拠点強化税制の実際の適用数は、平成二十七年度及び二十八年度の二年間で、オフィス減税二十四件、雇用促進税制十二件となっています。

 そこで、企業の地方拠点強化に関する重要業績評価指標を踏まえ、事業者が作成した整備計画の認定数、地方拠点強化税制の適用数の現状についてどのように評価しているのか、お伺いします。

 また、今回の法改正による地方拠点強化税制の拡充も踏まえ、今後の整備計画の認定数や地方拠点強化税制の適用数をどのように見込んでおられるのか、大臣にお伺いをいたします。

田川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、事業者が作成する地方拠点強化に関する整備計画、これは本年一月末時点で二百二件が都道府県の認定を受けているところでございまして、雇用創出数も九千九百八十九件というふうになっております。税制の適用の件数につきましても、二十七年度、二十八年度の二年間で、オフィス減税二十四件、雇用促進税制十二件ということになっております。

 これについてでございますが、特定業務施設の地方移転、拡充につきましては、社内での意思決定あるいは計画認定の取得、具体的な工事着工から実際の移転まで一定の時間がかかることからタイムラグが生じるということでございまして、現時点までに実績としてあらわれている件数は少なくなっているというふうに承知をしております。

 今後の見通しでございますけれども、自治体と連携をしましたPR活動、あるいは政府自身も政府広報、あるいは地域の財務局、経産局、税理士会等と連携して企業への情報発信というものに積極的に取り組みたいと考えておりまして、これらを通じまして、今後、地方自治体の地域再生計画どおりに企業の整備計画の認定が進めば実績が上がっていくというふうに期待をしているところでございますし、加えまして、今般の制度改正によりまして、小規模オフィスの移転でございますとかあるいは移転型事業について、近畿圏中心部、中部圏中心部を対象に加えるといった制度拡充を講じることとしております。

 こうした制度拡充等を通じまして、KPIの達成に向けて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

谷畑委員 移転型事業の支援対象地域の追加について質問をいたします。

 本法律案では、東京圏で転入超過が続いている一方、大阪圏や中部では転出超過になっていることを踏まえ、移転型事業を実施した場合に地方拠点強化税制の適用を受けられる地域として、近畿圏中心部及び中部圏中心部を追加することとしています。しかし、認定地域再生計画における移転型事業の目標数二百八十件に対し、移転型事業に係る整備計画の認定数は十九件、雇用創出の人数は四百三十九人にとどまっています。

 そこで、認定整備計画における移転型事業の件数が認定地域再生計画における目標値を大幅に下回っている理由をどのように考えるのか、また、移転型事業が東京一極集中の是正にどの程度効果があったと考えているのか、お伺いいたします。

田川政府参考人 お答えいたします。

 道府県が作成をいたしました地域再生計画において、移転型事業の目標値が二百八十件であるのに対しまして実際には移転型事業は十九件にとどまっておるものでございますけれども、この要因の一つといたしましては、先ほども御答弁申し上げましたが、社内での意思決定、計画認定の取得に加えまして、やはり社員の転勤などの調整も必要になるといったところが大きな要因の一つであろうと思います。

 さらに、企業に対する情報発信でございますとか自治体の誘致活動、こういったところも更に強化をする必要があるというふうに考えているところでございます。

 今般の制度改正によりまして、小規模の事業者の移転、あるいは近畿圏中心部、中部圏中心部を移転型事業の対象にするということもございます。こうしたことによりましてより多くの企業が制度を活用しやすくなるという制度改正を行ったところでございまして、今般の改正を契機として、自治体と連携をし、情報発信など、更に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

谷畑委員 平成二十七年度の改正地域再生法等により、地方拠点強化税制の創設に当たっては、近畿圏の中心部及び中部圏の中心部については、東京二十三区ほどではないものの、周辺その他の自治体に比較すると相当突出して人口及び産業が集中をしています、これらの地域に国が支援すると弊害が生ずるおそれがあり、東京から移転が特定の地域へ集中するおそれもあるとして、移転型事業の支援対象地域から、近畿圏中心部及び中部中心部が除外された経緯があります。

 本法律によって、近畿圏中心部及び中部圏中心部から東京圏への人口の転出超過の状況を踏まえ、地域移転型事業の支援対象地域として追加するということになっております。

 そこで、まず、大阪府は、先端的な研究を行う大学、研究機関とともに事業活動を支援する機関が多数立地しており、本社機能の移転、拡充による事業展開をバックアップする仕組みが全域で整っているにもかかわらず、整備計画の認定件数がゼロ件である原因をどのように分析しておられるのか、また、茨城県、福岡県、富山県、静岡県、宮崎県など、整備計画の認定数が多い理由をどのように分析しておられるのか、お伺いをいたします。

田川政府参考人 お答え申し上げます。

 企業が移転、拡充をする際には、それぞれの自治体の置かれた地理的状況あるいは経済動向、企業の経営戦略、自治体による誘致活動など、さまざまな要因が関係をするというふうに考えられるところでございまして、それぞれの自治体により要因は異なっているものというふうに考えられるところでございます。

 大阪府でございますけれども、整備計画の認定件数がゼロになっているという要因につきましては、これまで、大阪市全域、堺市、東大阪市、守口市の一部といった大阪府の中心部が支援対象外地域になっていたということも影響を与えていたというふうに考えられるところでございます。

 しかしながら、今回の地域再生法の改正によりまして近畿圏中心部を移転型事業の対象に追加することを契機としまして、私どもも、大阪府と連携をし、企業に本制度が積極的に活用されるように取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、茨城県、福岡県、富山県、静岡県、宮崎県など、整備計画の認定件数が多い地方自治体におきましては、本社機能の移転を含みます企業誘致について積極的なPR活動を行うとともに、受入れ用地の確保、自治体独自の支援措置の整備、あるいは移転、拡充後のアフターケアなど、きめ細かな支援を行っているということも要因の一つではないかというふうに私ども考えているところでございます。

谷畑委員 企業の地方拠点強化のための課税の特例以外の措置の必要性について、本法律では平成二十七年に創設された地方拠点強化税制を拡充するとしているが、本社機能の地方移転を促進するためには、地方拠点強化税制とともに、税財政上の優遇措置の創設、生活環境の整備、企業にとって魅力的な事業環境を整備することが求められる。特に、本社機能を東京二十三区から地方に移転する場合、東京からの移転者やその家族にとっては、その地域で安心して生活を営み、子供を産み育てられる生活環境が整っていることが極めて重要であります。

 そこで、地方公共団体が企業誘致のために生活環境等を整備した先進事例はあるでしょうか。あれば、地方自治体のこれらの取組に対して国がどのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。

田川政府参考人 お答え申し上げます。

 企業が地方に移転をするに当たりまして、東京からの転勤者あるいはその家族のための生活環境が整備をされるということは重要な課題であるというふうに考えております。

 このため、地方公共団体におきましては、例えば地方創生交付金でありますとか、あるいは関係各府省の施策を有効に活用して地域の創意工夫によって地域における生活環境の整備を進めているということでございますし、地域の生活環境に関する情報、地域での生活環境の例えばすばらしさといったもの、こういったものを企業に対して積極的に発信していくことが重要であるというふうに考えております。

 例えば、企業誘致のということで限定したものではございませんけれども、地方創生推進交付金を活用して、駅周辺の既存施設を活用した子育て支援センター等の整備でございますとか、あるいは空き家を活用した住環境の整備などに取り組んでいる地方自治体もあるというふうに承知をしているところでございます。

 政府といたしましては、地域再生法に基づく地方拠点強化の取組に加えまして、こうした地方自治体の自主的な創意工夫による取組とも連携をして企業の本社機能移転を進めてまいりたいというふうに考えております。

谷畑委員 地方の創生に向けた取組の成功事例について少しお聞きをします。

 子育てをするなら大阪府の八尾市、これは私の選挙区ですけれども、今では多くの自治体が使うフレーズですけれども、元祖は静岡県の長泉町だと言われています。東海道新幹線の三島駅に近く、インフラの充実もあるが、子育て世帯が多く流入し、二〇一七年十一月時点の人口は四万三千人で、過去五年で三%の増加である。中学生までの医療費無料、第二子の保育料半額、幼稚園無料等の子育て施策を充実させておられます。これらの施策の結果、子供の出生率は一・八二で、全国でも上位に上がっておると聞いております。

 そこで、これら成功事例についてどのように評価、分析をされておられるのか、また成功事例についてもっと全国に発信すべきだと思いますが、意見をお伺いいたします。

鎌田政府参考人 先生御指摘のとおり、静岡県長泉町の子育て支援対策というのは幅広く、特徴のあるものでございますが、個々の施策の評価というものがどう出生率あるいは子育てに結びつくかというのは難しいところでございまして、その地域の特性に合った施策を打っているところが評価できるんじゃないかと考えておりまして、私どもといたしましても、そうした地域独自の積極的な支援策というものを全国に広げていく、また広がっていくことを期待しております。

 したがいまして、地方創生推進交付金という我々の施策などによりましてこうした地方公共団体の主体的な取組を支援ということを私たちは主眼としております。

 具体的には、子育て支援センターの整備による働く女性や子育ての女性が集まるまちづくりの推進、あるいは、子育て中の女性などに対する職場環境の改善、再就職の支援などの働き方改革の推進、多様なライフスタイルを求める子育て世帯をターゲットにした空き家活用型の移住推進などの取組が各地で行われているところでございます。

 今後とも、こうした地域の特性に応じた地方公共団体による主体的な取組が全国各地に広がるように支援してまいりたいと考えているところでございます。

谷畑委員 やはり地方創生というのは、そこに暮らして、そして結婚し、子育てができる、そういうことを行政があらゆるジャンルで支援していくこと、これが非常に大事だと思うんです。

 私も、公務員をやっていたころ家内も公務員で、子供を三人育てたわけですけれども、一番困るのはやはり病気になったとき。保育所に預けておっても引取りに行かなきゃならない。共働きをやっているとそんな頻繁に休むわけにもいかない。こういうときに、やむにやまれず、ばあちゃんがおるところへ引っ越しして、両親に手伝ってもらってやっと子供三人を無事に育てることができた、こう私自身が思うわけです。

 だから、ぜひひとつ、地方公共団体が町を活性化し、子育てができる、そういうためには、ゼロ歳児からちゃんと子供を預けられる、そういうような政策が非常に大事だ、私はこう思っておりますので、そのことについて何かコメントがありましたら。そういうようなことにさらに行政側も力を入れてほしい、こう思います。

鎌田政府参考人 今先生御指摘になりました保育所の病児保育の件、あるいは保育所の入園年齢の低下などにつきましては、厚生労働省あるいは内閣府などを中心に全国的な取組を行っております。

 そういった面では、子育てという観点からの施策も政府としては取り組んでいるところでございますし、また、私ども地方創生、あるいはまち・ひと・しごとの観点からは、そうした地方の取組の中で、やはり最後は地域の特性に合ったものが展開できる、行政もその地域の特性、それこそ、おっしゃったように、どういった世帯で構成されているのかを踏まえた対策が必要でございますので、そうした地方の特性に応じた施策が展開されるような支援を続けてまいりたいと思います。

谷畑委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。

渡辺委員長 次に、太田昌孝君。

太田(昌)委員 公明党、北陸信越ブロックの太田昌孝でございます。

 十九日に引き続きまして質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。

 今回は、地域再生法の一部を改正する法律案について、中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の改正案の中で、地域再生エリアマネジメント負担金制度の創設がございます。地域再生にとっても有効とされるこうしたエリアマネジメント活動を推進する上でも有効であると考えますが、地方の現場においては、なかなか、イベントを開催したときだけ人が集まるというような事例も正直間々見られるところでもございます。土日のイベント時はたくさん来るんですが、平日はなかなか人が来ないというようなこと。

 こういうために、今回の事例の中でも、そうした事業者から負担金を徴収するということに当たっても合意形成を相当丁寧にやらないとトラブルのもとになるのではないかと思いますが、この点について御説明をお願いいたします。

 あわせまして、エリアマネジメント活動の成功の鍵でございますが、これは、発想力や実行力、調整能力を持ったプロフェッショナルな人材が握っているというふうに思います。

 私の地元長野市においては、国宝善光寺の門前に、もんぜんぷら座という、大変に地域の商業が集まって、そこに来た観光客を集客するというような施設を設置いたしました。大変ににぎわっているわけでございますけれども、こちらにおいても中心になる方がやはりいらっしゃって、その方を中心にして、商店街の皆さんが協力をして今のにぎわいを創出しているというような現状がございます。

 こうしたエリアマネジメント成功の鍵というのは、やはり結果として人が握っている。そういう意味では、そうした人材を育成するために国によっての支援が必要であろうかというふうに思いますが、どのように取り組むのかもあわせて伺いたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 まず、合意形成の関係でございますけれども、エリアマネジメント活動は、民間が主体となって地域の価値の向上に取り組む活動であり、その実施に当たりましては、地域の関係者の幅広い理解と協力を得ながら進めることが重要でございます。

 今回創設する負担金制度では、計画の申請の際に事業者の三分の二以上の同意を得ることを要件としておりますけれども、また、申請を受けた市町村は、計画を一カ月間縦覧に供し、事業者や市町村に対して意見書を提出することができる、それから、市町村は、計画の認定に際しては市町村議会の議決を経るということで、少数利害関係者の意見提出の機会を確保するということも手続に定めております。

 もちろん、こうした法制度上の手続に加えまして、実際に負担金制度を導入していく上では、できる限り多くの事業者の理解を得られるように丁寧な合意形成プロセスをとることが望ましいということで、こうした考え方につきましては、ガイドラインや説明会を通じましてエリアマネジメント団体や市町村に周知してまいりたいと考えております。

 また、人材の点につきまして、エリアマネジメント活動を促進していくためには、地域づくりに関して深い知見と高い意欲を持って活動に取り組む人材を確保、育成することが重要でございます。

 この負担金制度では、人材の人件費を含めて、活動の実施に必要な財源の安定確保を図ることを目的とするものでございます。この制度の活用を通じて、有能な人材の確保も実現してまいりたいと考えております。

 また、この負担金制度を実施する場合には、地方創生推進交付金の申請事業数について上限の弾力措置、別枠措置を講ずることで、費用負担の軽減を通じた制度活用の促進にも努めていきたいということでございます。

 さらに、地方創生カレッジの活用、エリアマネジメント団体相互の知識、ノウハウの共有を目的とするセミナーの開催など、活動に取り組む人材の確保、育成にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

太田(昌)委員 御説明いただきました。

 とりわけ、地域来訪者等利便増進活動計画ですか、これについては、区域でありましたり受益者等も記載することになっています。

 区域というのも、どこら辺までが区域か。先ほど私が挙げた地元の事例では、大変に閉ざされたというか限られた空間、大変にくっきりすっきりしてはおりますが、そういう中で、商店街におきましても、どこまでを区域とし、あるいは、そんな中で、一体どこまでが受益者としていわゆる恩恵をこうむるのかということがやはり大切なことなんだろうなというふうに思います。

 今、市でしっかりそこの仕分けをしていただき、あるいは議会にも認定をいただくということでございますので、どうか、丁寧に進めていただきますような御指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、商店街活性化促進事業の創設について伺います。

 シャッター通りという言葉はもう、聞かれて久しくなっております。大変に深刻でありまして、最近も、新たにシャッター通りが生まれて、しまったなという、本当に目に見えてそうした厳しい状況というのがひしひしと地方の商店街に進行している、そんなふうに思っております。

 そんな中で、今回、後ほど聞きたいと思いますが、ディスインセンティブ措置なども行われるわけですけれども、まずは、現状を踏まえた商店街の活性化のためにさまざまな支援策が必要だと思いますが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えさせていただきます。

 最近の調査によりますと、先生がおっしゃられましたとおり、やはり空き店舗、なかなか厳しい状況でございまして、日本全国の商店街では、商店街を構成する店舗のうち、おおむね平均で一割程度が空き店舗となっているというような調査もございます。

 その背景には、商圏人口が減っている、インターネット通販が拡大しているといったことにより事業環境自体が悪化しているというようなこともありましょうし、あるいは、後継者が不在であるとか適切な借り手を見つけることができないだとか、まさにさまざまな事情があるんだろうと考えられます。

 このため、空き店舗の活用の促進に向けましては、例えばそれぞれの店舗や商店街全体の魅力を高めるために、専門家人材を派遣いたしますとか、あるいは魅力のある新サービスを開発するとかそういった取組を支援する、あるいは創業意欲のある方と空き店舗の所有者をつなぐ取組など、それぞれの地域の実情に応じた支援が必要だというふうに私どもも認識をしております。

 例えば、具体例を一つ申し上げますと、先生御地元の長野市の善光寺門前地域では、毎月毎月、空き家、空き店舗ツアーというのを実施して、創業意欲のある方と空き店舗の所有者をつなぐという取組をずっと五年間継続してやられた結果、約八十軒の空き家、空き店舗が店舗や事務所として活用されるという非常に目覚ましい成果を上げているというふうに伺っております。

 今回の制度は、このように、自治体が中心となりまして、地域の住民の方や商店街の事業者あるいは空き店舗の所有者の方などからも意見を伺いながら、それぞれの地域の特性に応じて、地域の知恵を踏まえた形で商店街の活性化を目指す取組を支援するものでございます。地方創生交付金なども活用しながら、商店街ごとの課題に応じたきめ細かな支援を講じてまいりたい、このように考えております。

太田(昌)委員 地元の事例も紹介をしていただきまして、ありがとうございます。

 本当に、商工会議所、青年会議所あるいは商工会議所の女性部とか、大変熱心に取り組んでいただいておりまして、また、そういう支援などもしていく中にあって、一つ一つそういう芽が出ているということを大変に喜ばしくも思っております。こうした中で、まだまだ実際にそれで十分とはなかなか言えない部分もございますので、ぜひともこれからも御支援をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 そんな中で、先ほどもちょっと申し上げました、そういう一つの大きな希望ある、方向性もある一方で、やはり今回、それを進めるためとは言いつつも、ディスインセンティブ措置とも言われる固定資産税の住宅用地の特例の解除の運用、こんなことも今度は議題の中で上がっているわけでございます。

 こうしたことについても理解を得られるよう、より丁寧に行う必要があると考えますが、この手続等々についてお伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今回の制度は、先ほども申し上げましたが、まず自治体が、商店街活性化のための計画を策定する段階で関係する事業者の方々の意見を伺いまして、また公聴会などを通じて地域の住民の方々の意見を聞くという手続がまず法案に規定をされております。

 それに加えまして、固定資産税の運用に当たりましては丁寧な取扱いが重要だということ、先生御指摘のとおりでございまして、法案の上でも、まず空き店舗などの活用に必要な情報提供の支援を行いまして、それで活用が進まない場合には相当の期間を定めて事業の用に供するように要請を行いまして、その期間が経過してもなお要請に従った対応が見られないときには、改めて調査を行いまして、要請に従わないことに正当な理由がないという場合には勧告を行う、まずここまでの手続を規定しております。

 このとき、居住を含めまして、いかなる用途にも使われずに長年放置されるものというものが勧告の対象になると考えておりまして、これらは、現行の地方税法におきましても固定資産税の住宅用地特例の対象外として扱われるものでございます。

 本法案におきましては、以上申し上げましたような丁寧な手続を踏まえまして固定資産税の取扱いをするものでございまして、今後、総務省とも連携いたしまして、それぞれの自治体で丁寧かつ適切な対応が行われるように周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

太田(昌)委員 それでは、丁寧な対応をよろしくお願いいたします。

 小さな拠点の形成に関しましてお伺いをいたします。

 小さな拠点、地域運営組織の取組を支援するために、今回の法改正の中でもあります、小さな拠点の形成に資する株式会社に係る課税の特例の拡充、こうした税制支援というのは重要であります。

 長野県におきましても豊丘村というところがありまして、さきの、さまざまなこれまでの議論の中でも事例として取り上げていただきました。道の駅を核とした小さな拠点整備事業というような形の中で、その道の駅を中心としながら、村の基本的な生活に資するためのインフラ整備をしっかりとここで行っていく。ここで暮らし、生きていく方にとって大変な設備でございます。

 豊丘村は、若干言いますと、人口六千八百人弱という一つの自治体でございまして、今回の株式会社化も、資本金二千万に対して村が五一%、そして残りを一口一万で村民始め地域から募って実行していくというような形。地元では、レストラン、農産物直売所を始め、あるいは日用品などを買うようなところも整備をさせていただいたりして、全体の整備費十億円のうち四割は補助金で賄っている。私も行かせていただきました。やはり地域にとって、ここで生活をし続けるために必要な整備について応援をいただいたというふうに思っております。

 ここは一つの自治体で、大変にやりやすい場所でもあったかなというふうに思います。しかし、地域運営組織の中では、こうした自治体以外にも、もうちょっと小さな、中山間地の集落というか、もっと少ないところはたくさんあるわけで、そういう中で、任意団体、あるいは進んでいるところだとNPO法人などで頑張っている団体もあります。

 そういう意味では、今回のような株式会社のようにある程度しっかりと将来も見据えられるようなところではなくて、やはりそうした小さなところ、広く地域運営組織に対しての支援をしっかりと進めていただければというふうに思うわけでございますが、この点について確認をしておきたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 小さな拠点を支える地域住民が主体となった地域運営組織の取組を推進ということは重要でございまして、株式会社以外にも、御指摘のとおり任意団体、NPO法人、幅広い団体が活動しておりますので、さまざまな形態の組織に対する支援を実施していきたいということでございます。

 具体的には、地方創生推進交付金による財政面での支援、それから地域運営組織の法人化のためのガイドブックの作成、あるいは内閣府のホームページでは優良事例や各省の支援措置を紹介しております。また、全国各地に出向いてきめ細かな説明会等の情報面での支援を行いました。地方創生カレッジで講座を開いて教育面での支援なども行っているところでございまして、各地でのいろいろな取組を総合的に支援してまいりたいと考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 時間が参りました。地域運営組織の法人化というのがなかなか進んでおりませんで、総務省の調査では、八六%が法人格を持たない任意団体。そういう小さな拠点の一番の問題は、やはりリーダーであるとか、人がなかなかいないということでもあります。そうすると、法人格を持たないと、そうした個人がたまたまそういう不利益を生じたときに結局かぶってしまうとか、さまざまなそういう苦労をされているところがたくさんございます。

 今回の制度は、一つは株式会社でもございますけれども、今おっしゃっていただいたようなさまざまな制度を総動員して、小さな拠点の法人化について御尽力いただきますことをお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 山形三区選出の、自由民主党の加藤鮎子でございます。

 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私の出身県である山形県は、風光明媚な景観と大変おいしい農産物、そして温かくて真面目な県民性のあるすばらしい地域であります。しかし、多くの地方自治体が直面しているように、我が県も、人口減少により、多くの課題と直面をしております。

 私の住まいのある鶴岡市におきましても、四十年以上前を知る人たちから聞きますと、平日の昼間から、町中の商店街では人と人が肩をぶつけ合って往来していたという話であります。今では考えられない状況でありました。

 また、農村地域ではもっとさま変わりをしました。農業が昔、手植えや手刈りをしていた時代は、農家の人口も多く、農村も非常ににぎわっていました。

 米づくりを中心に集落が形成されて、そこでは、季節になれば収穫を祝うお祭りが行われ、地域ごとに特色のある先祖伝来のお祭りが残っていて、伝統芸能を受け継ぐ子供たちも大勢いました。

 それが今は、伝統的に受け継がれてきた奉納の舞を踊れる子供たちもいなくなってきています。お祭りになると、隣の集落の子供たちにアルバイト代を払って奉納の舞を踊ってもらうなんという話まで聞くようになってきました。

 語り始めれば切りのないことではありますけれども、人口減少の影響で、地方の郡部では集落そのものが消滅してしまったところもありますし、今残っている地域も、経済基盤ばかりか、今申し上げたように、文化の継承まで危うくなっているという現状でございます。

 そんな現状でありますから、私自身も地元を足で回っておりますと、地方創生にかかわる要望、また祈りにも似た願いが本当に多く聞かれるところであります。

 前置きが長くなりましたが、きょうは、本当に地方に暮らす方々の気持ちに思いをはせながら、地方創生の施策、特に今回は、地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度について質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、地方創生に関する取組の進捗状況についてお伺いをいたします。

 我が国は、御案内のとおりに、平成二十年をピークに、これまで伸び続けていた人口が減少に転じ、今も減少傾向にございます。少子化に加えて高齢化も進み、安定的な年金制度の維持や、医療、介護を支える財政上の問題、労働力確保や生産性向上など、深刻な課題に直面をしていると言えます。

 また、その中で、人口移動の面におきましては、東京の一極集中の傾向が継続をしています。人が減ればそれだけ経済も縮小し、産業の活力も仕事も減っていきます、地方におきましては。若い世代が仕事の多い都市部へと流れて、その結果、地方で生まれてくる子供も減り、また活気もなくなっていくという悪循環が生じております。

 こうした状況を改善し、この悪循環を断ち切ろうと、平成二十六年十一月に、まち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定をされました。地方において、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立するとともに、町の活力を取り戻すことに狙いを定めた総合的な取組だと承知をしております。

 総合戦略が閣議決定をされて以降、政府におかれましては、毎年、施策の実施状況等を踏まえつつ見直しを行っているということを認識しております。ことし、平成二十九年度は、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、五カ年を展望した中における中間の年に当たりますけれども、地方創生の進捗状況について、総合戦略の中で設定している基本目標やKPI等々を比較し、どのように捉えていらっしゃるか、お伺いをいたします。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 ことしは総合戦略の中間年ということで、地方創生の進捗状況について総点検を行ったところでございまして、四つの基本目標を定めているところですが、そのうち、地方に仕事をつくる、結婚、子育ての希望の実現、町をつくるという三つの基本目標につきましては、一定程度進捗していると評価しているところでございます。

 一方、残る一つであります、地方への新しい人の流れをつくるということで、二〇二〇年に東京圏への転出入均衡という目標を定めているところでございますが、これにつきましては、昨年も東京圏への転入超過は約十二万人ということで、東京一極集中の傾向が依然として続いているところでございまして、この目標については、地方創生の根幹的な目標でございますので、見直しを行うべきではなく、一層の取組強化により達成を目指すとしているところでございます。

加藤(鮎)委員 非常に大切なテーマでありますので、ぜひともその目標に向けて引き続き、むしろ拍車をかけていくような形でお取組の方をお願いいたします。

 先ほど申し上げたとおり、地方創生総合戦略が走り出してから折り返しの三年目を迎えているわけでありますが、今の御答弁にあるように、KPIが順調な施策がある一方で、残念ながら、東京一極集中の流れそのものは歯どめがかかっているとはなかなかお世辞にも言いづらいところではあろうかと思います。

 まち・ひと・しごと総合戦略の基本目標の一つには「地方への新しいひとの流れをつくる」という項目があります。二〇二〇年に、東京圏から地方への転出を四万人ふやし、地方から東京圏への転入を六万人減少させ、東京圏から地方への転出入を均衡させるとしているわけでありますけれども、この総合戦略に基づくさまざまな施策を講じているにもかかわらず東京一極集中の流れが依然とまっていない、むしろ加速しているとの指摘もあるほどでありますが、東京圏への人口流出入に関する今の現状をお伺いいたします。

服部政府参考人 お答えさせていただきます。

 東京圏への人口移動でございますが、二〇一二年以降四年連続で転入超過数が増加し、二〇一六年には若干減少したところでございます。しかし、二〇一七年には再び若干の増加に転じ、先ほど御説明させていただきましたように約十二万人の転入超過となっており、東京一極集中の傾向が続いているものと承知しております。

 特に、転入超過の大半を十代後半、二十代の若者が占めており、若い世代の大学等への進学や就職が東京圏への移動のきっかけとなっているものと認識しております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 特に大学進学時のときが一つのきっかけになっているという、若者の人口流出でございます。

 この若い世代の流出というのは、その地域の出生率にも響いてまいります。地元山形県におきましても、最近のところ、年間約四千人前後で人口が減っておりますし、合計特殊出生率の方も、一九八六年の一・九から、二〇一六年までの三十年間では一・四七まで低下をしてしまいました。今回の地方大学の振興を支援しようとする法律案は、まさにこうした点に着目したものであると捉えております。

 私は、決して、首都圏や海外に移りたいと願う若者を無理やり地元につなぎとめたいという考えを持っているわけではありませんが、むしろ、地元の高校の卒業式なんかでは、多種多様な人たちと出会ったり、また違った価値観と触れ合ったりして、夢を持ってチャレンジをしてほしい、そういうようなことを言って呼びかけているぐらいであります。それだけに、私としては、地方の大学の伸び代、もっと頑張れるんじゃないかというようなところに大きく大きく期待を寄せているところでございます。

 東京圏ばかりへ学生が流入していくのを仕方のないものだと受けとめてしまうのではなく、より魅力のある地方大学として発展をして若者を地域に定着させていく、地域の活力を取り戻す、そんな拠点となることが地方大学には期待されているのではないかなと思います。

 そこで、お伺いをいたします。地方大学の重要性について、政府としてはどのような御見解をお持ちでしょうか。

松尾政府参考人 委員が御指摘のとおり、地方大学は極めて重要な位置づけだと思っております。特に、地域の知の拠点として、地域における人材の育成、そしてまた地域産業の発展などに大きく貢献するものと思っておりまして、地方創生を推進していく上での重要な位置づけにあると思っております。

 その上で、まち・ひと・しごと創生担当大臣のもとに置かれました有識者会議においても、その点、役割、機能について議論がなされています。

 例示を申し上げますれば、今委員御指摘のとおり、地元の高校生等の進学機会の提供によりまして若者の地元定着の促進、そしてまた日本全国の若者、海外の留学生を引きつけることによって地域の活力の向上そして地域産業の振興、人材の育成、そしてまた地域の抱えるさまざまな課題のシンクタンクとしての役割、そしてまた人生百年時代を迎えまして、地域の生涯学習、リカレント教育の貢献等々が挙げられるところでございます。

 こういったことを踏まえまして、今般、新たな交付金を創設し、地方大学の振興に努めてまいりたいというふうに思ってございます。

加藤(鮎)委員 御答弁をありがとうございます。

 今御答弁をいただいたような機能が本当に期待をされるところでありまして、まるで私がこれから申し上げることの前振りをしていただくような形で恐縮でありますが、実は、私の地元の山形県鶴岡市におきましては、慶応義塾大学先端生命科学研究所、これから先端研と略して呼ばせていただきますが、そういったものがございまして、地方創生のモデルとなっております。

 これまでもこの地方創生特別委員会の大臣の御答弁の中でも何度か登場させていただいておりますし、予算委員会におきましても、総理の答弁にも数回言及があったものと記憶をしております。

 この慶応先端研は、大変すばらしい取組をしておりまして、設立をされてからもう十八年目になりますけれども、これまでに若い研究者や起業家を大変多く育てておりまして、既に七社ものベンチャー企業を輩出しております。

 バイオ関連の最先端の研究所でありますので、バイオ関連のベンチャーが多いのですが、この場をおかりしてちょっと紹介させていただきますと、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズという長い名前ですが、このベンチャーは、うつ病の診断キットを開発して、差別化をしているというベンチャーであります。

 また、よく聞かれると思いますが、スパイバーというベンチャーがありまして、人工クモ糸をつくる技術を確立しました。

 サリバテックというところは、唾液からがんを検査することができる技術、血をとらなくても見分けてしまうという技術を開発しました。

 また、ヤマガタデザインという会社は、これはバイオじゃないんですが、まちづくりを推進するディベロッパーでございます。

 さらに、メタジェンという会社は、人の便から腸内細菌の遺伝子情報などを分析する技術を持っております。

 メトセラというベンチャー、移植用の心臓組織の製造と販売を行っています。

 最後に、モルキュアという一番新しいベンチャーは、次世代のシークエンサーとAIを用いた抗体医薬の探索を行っているということで、この最近五年間は、年に一社のペースでベンチャーが立ち上がっているという状況でございます。

 中でも、特に成長が目覚ましいのが、また世界からも注目をされているのがスパイバーであります。クモの糸を人工的につくる技術を開発し、繊維産業にイノベーションを起こそうという大きなビジョンを描いているベンチャーであります。

 この量産化と低コスト化が進めば、今ある車の車体ですとか飛行機のボディーに使われている炭素繊維、これに置きかわる可能性もあります。炭素繊維は石油に依存をしておりますが、クモの糸はたんぱく質ですから、石油には依存をいたしません。

 まさに地球規模の環境問題にも立ち向かっていく大きなイノベーションを起こそうという壮大なビジョンと使命感を持った若い方々が集まって、今や海外からもドクターやマスターを持った若者たちが、人材が次々と移住をしてきているところであります。

 数年前にはまだ世界じゅうにスパイバーに並ぶ競合がひしめき合っていましたが、今やスパイバーは多くの競合を振り切って、トップランナーとしてフィールドを切り開いているところであります。

 そんなスパイバーを始めとした多くのバイオベンチャーを輩出した慶応先端研は、それだけでも十分すごいわけでありますけれども、更にすばらしいところは、地方創生を自分でやってしまおうという大きなチャレンジ精神を持った若い人材をも次々と引きつけているところであります。

 この慶応先端研の所長の冨田勝先生は、日ごろからこのようにはっきりとおっしゃっています、クリエーティブな発想が生まれたり研究に没頭できる環境は田舎にこそあると。本当にそのとおりだと思います。

 一方で、田舎には不便さもあります。例えば、英語での幼児教育ができる環境がなかったり、国際的な学術イベントをやろうと思っても、外国人のビジネスマンが泊まれる宿泊所が少なかったり、職場の近くにフィットネスがなかったり、さまざまあります。

 しかし、だからといって、先端研を取り巻く人たちは諦めたりはいたしません。そういった課題をみずから取り除いてしまおうという発想と意欲を持った若者たちをも引きつけてしまったのであります。とうとう彼らは、十四ヘクタールもの田んぼをディベロップメントして、サイエンスパークという町をつくり始めました。

 先ほど挙げた七社のうちの一つ、ヤマガタデザインという会社は、ディベロッパーの方が立ち上げた会社であります。田んぼを一望できるビジネスホテルをつくろうと、今まさに進んでおりますし、雨の日でも子供が遊べる遊戯場、これは地元のお母さんたちの声を受けてつくっている子育て支援施設であります。また、働く方々のためにワークアウトができる施設をそのパークの中につくったり、また、地元の食材を生かしたレストランを近隣につくったりと、非常に短い間に多くのことを計画して進めているところであります。

 つまり、そこで、サイエンスパークで働いたり研究したりする方々の暮らしそのものの満足度を高めてしまって、それによって更に人材を集めていこう、こういうチャレンジをしているところであります。しかも、更にすごいのが、そのための資金はほとんど地元の企業から集められているということであります。当然、そのまちづくりの事業自体にも新たな雇用も生まれますし、関連産業でも多様な高度な人材が集まってきているという現状でございます。

 いろいろ申し上げましたけれども、このすばらしい地方創生のモデル、私、地元選出議員として、大変誇らしく思っております。まさにきらり、きらきらと光り輝く地方大学づくりのモデルだと言えるのではないかと思っております。

 そして、法案の質問に戻りますけれども、今回の地方大学振興法案は、まさにこの慶應先端研のようにきらりと光る地方大学づくりのための交付金制度の創設を含んでおりますが、これまでも、地方大学支援については文科省の方でさまざまな、先ほどの話もありましたが、事業をやって、予算をつけたりされています。それと今回の法案の交付金制度とでは何が違って、どこが新しいのかといったところをお伺いできればと思います。

梶山国務大臣 本法案は、地域における若者の修学及び就業を促進し、もって地域の活力の向上及び持続的発展を図ることを目的とし、東京一極集中の是正により、地方創生の実現を目指すものであります。

 先ほど来委員から披瀝がありましたスパイバー、そして慶応大学の研究所も大変すばらしい取組であり、それらをモデルの一部にして今度の制度もつくらせていただいたわけでありますけれども、具体的には、地域における大学振興・若者雇用創出のための新たな交付金制度の創設という形で行いました。特定地域内の大学等の学生の収容定員の抑制、そして地域における若者の雇用機会の創出等について講じることとしております。

 このうち新たな交付金は、知事等がリーダーシップを発揮することを前提に、地方大学が特色を出しつつ、産官学連携により地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援するものであります。

 一方で、これまで文部科学省においては、大学における革新的研究成果を用いてグローバル展開を目指した新事業を文部科学省の直接的支援のもとに地域の大学が主体となって立ち上げる取組や、地域が求める人材を養成するための教育改革などの特色ある教育研究の実施等を支援してきたところであります。

 したがいまして、従来の文部科学省の制度とは、大学主体ではなく、地域を代表する知事等がリーダーシップをとること、地方大学の役割として、教育研究そのものよりも地域産業への貢献を重視していること、知事等が主導することにより地域全体に波及する中核的な産業の振興を推進すること、地域における中核的な産業振興とそれを担う専門人材の育成等を一体的に推進することなどの点で異なるものと考えております。

 こうした取組により、日本全国や世界じゅうから学生が集まるようなきらりと光る地方大学づくりを進め、地域における若者の修学及び就業の促進に努めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 新たな側面を強化した地方大学への支援に心から感謝を申し上げます。

 ここで私の思いとして強調しておきたいことがありますが、先ほど来御紹介をさせていただいております鶴岡市の慶應先端研は、設立したのが十七年前、ことし十八年目で、この間に、先端研自体はもちろん、鶴岡市もまた山形県も、リスクをとって多額の支援をしてまいりました。それは紛れもなく市民、県民の血税でございます。

 グローバル化が進む世界の流れを見据えて、製造業が空洞化していくことが避けられない現実から目を背けずに、バリューチェーンの上流である付加価値の高い研究開発をしっかりと押さえた産業をみずからの力で育てるということは、私は、物すごい先見性があるとともに英断であったと同時に、さらに、それを続けていくということは中途半端なコミットメントではできなかったことだ、このように考えております。

 そこには、地元市民の辛抱強い理解とともに、先端研の方々自身も地域とのきずなをしっかりと大切にして、例えば地元の高校生を研究員として、特別枠をつくって研究所に招き入れて育てていくというような取組をされたり、そのような相互のウイン・ウインの関係を築きながら、自治体と先端研そして地元の企業が手を携えて、ここが大事なんですが、リスクをとって続けてきたということがございます。

 先端研のモデルを横展開するかのように国が財政的支援をしていただくことは大変すばらしいと思いますが、リスクをとって開拓する精神を応援する形でなければ、ともすれば補助金に頼って新しいことに自主的にチャレンジをするインセンティブが低減してしまいかねません。自主的に何らかのリスクをとったという部分も、ぜひそういったところへの支援という形でお願いをしたい、このように思います。

 ここについては言いたいことだけ申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 近年、学生の数が著しい二十三区においては、今回、いっぱい質問もありました、定員増が認められないという話がありまして、ただ、ただ単に量的に地方に大学生を分散させればよいということではないと私は考えております。首都であると同時に国際都市である東京都を含む首都圏に位置している大学と地方の大学とでは、期待されるものが違うと考えております。

 地方において大学が競争力を保つには、総花的に手を広げていくのではなくて、まさに慶應先端研がバイオ研究に重点を置いているように、分野を絞って資源を集中させていくことが重要であると考えます。

 新たな交付金制度において各大学の強みを生かした取組を支援するべきと考えますが、御見解をお願いいたします。

松尾政府参考人 委員御指摘のとおりだと思います。

 その上で申し上げますれば、大臣のもとでの有識者会議でも、地方大学が、総花主義、平均点主義の、特色が見えないというような課題も指摘されているところでございまして、委員御指摘のとおり、きらりと光る地方大学づくり、これを地域振興の核としたいという思いで今回の新たな交付金を創設するものでございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 財政難の中でせっかく充てていただく交付金ですので、ぜひとも効果的な用途に活用していただきたいと思います。

 中でも、若者の雇用につなげられるということが本当に大事なことであります。将来的な定住につなげるためにも雇用の創出が大事ですが、単なる雇用創出、数がふえるだけでは、これから人口減少で労働力の確保が難しくなっている地方においては、若い人たちを集めることはできないと思います。

 エキサイティングな仕事、これは冨田所長の言葉でもありますが、わくわくする仕事というものをつくっていかなければなりません。私は、それはまさに新しいものを生み出すベンチャーの創業、これはエキサイティングだと思い、そういったものが生まれているからこそ私は鶴岡の方が今モデルになっているんだと思いますが、東京の一極集中に歯どめをかけるためには、ベンチャー創業が地方で行われるときに何らかのインセンティブがあるような優遇措置も加えていくべきだなということを、これは私の思いとして伝えさせていただきます。

 最後の質問に移らせていただきますが、先ほど来申し上げているように、先端研……

渡辺委員長 質問者、済みません、時間が経過しておりますので、簡潔にひとつ。

加藤(鮎)委員 はい、わかりました。

 では、トップレベルの人材を地方大学に招聘できるように支援すべきと思いますが、大臣の御見解、そのあたり、一言だけお願いをいたします。地方創生で研究環境を整えるために、トップレベルの人材を集めるために地方大学に招聘できるように支援したいというところでありますけれども、よろしくお願いいたします。

渡辺委員長 梶山国務大臣、簡潔にお願いいたします。

梶山国務大臣 御指摘がありましたように、トップレベルの人材の招聘を支援していくということも想定に入れております。

 また、地域外の大学等の参画も可能とするなど、さまざまな想定をしながら、これらがしっかりと運用されるように考えてまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございました。これで私の質問を終わらせていただきます。

渡辺委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより両案について討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案及び地域再生法一部改正案に反対の討論を行います。

 まず、地方大学振興、若者雇用促進法案についてです。

 第一は、創設される交付金制度が、安倍政権が求める産業競争力強化のための大学改革を進める役割を果たすことです。

 基本指針に沿った十カ所程度の認定を想定していますが、内閣交付金七十億円には傾斜がかけられており、政府の成長戦略に沿った最先端技術の開発を競わせるよう誘導するものにほかなりません。

 第二は、文科省計上分二十五億円の配分の問題です。

 地方大学・地域産業創生交付金等が交付される事業計画を担う地方大学には、国立大学法人運営費交付金、私立大学等改革総合支援事業のうちから二十五億円が配分、交付されます。しかし、次年度分の運営費交付金の予算額は据え置かれており、配分も確定していることから、厳しい財政の中から当該事業の費用を捻出せざるを得ない事態を招くことになりかねません。

 第三は、東京二十三区の定員増の抑制の問題です。

 定員増抑制は、流入人口の抑制効果が期待できない不真面目な対症療法にすぎません。東京一極集中の是正のためには、世界じゅうから資金、人材、企業を集める国際的ビジネス拠点をつくる東京圏特区などを根本的に見直し、ストップすべきです。

 地方大学は、国公私立問わず資金難、人材難が蔓延しており、不足分を競争的資金で調達せざるを得ない事態となっています。地方大学の振興と言うなら、日常的運営に必要な経費の増額を図り、じっくりと教育、研究ができるよう条件整備を進めるべきです。

 次に、地域再生法改正案についてです。

 地域再生エリアマネジメント負担金制度の先進事例とされるグランフロント大阪のエリアマネジメント団体が名立たる大企業ばかりであり、本制度が一部の大企業の巨大開発、もうけのために利用され得ることが質疑を通じて明らかになりました。

 地域の活性化にとって、住民の参加は不可欠であります。ところが、本制度には住民参加の保障がないことも明らかとなりました。

 地域の事業者は、これまでもみずからの知恵と工夫でイベントなどを行っており、その際に必要な資金も工面してきております。国は、地域が自主的に取り組んでいる事業への支援こそ手厚く行うべきであり、こうした制度の導入は必要ありません。

 商店街活性化促進事業についても同様です。空き店舗の活用に限らず、地方自治体や地域の商店会などは、商店街の活性化のためにさまざまに努力しています。質疑で紹介した住宅リフォーム助成制度、そして、この制度からヒントを得て事業化した高崎市の商店版リフォーム助成制度、これらは地元業者に大変歓迎されています。

 町のにぎわいづくり、商店街の活性化は、こうした地域の取組に学び、国はそれを支援することこそ必要だということを指摘して、反対討論といたします。

渡辺委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、山口俊一君外四名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。亀井亜紀子君。

亀井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 内閣総理大臣が、地域における大学振興・若者雇用創出事業に関する計画を認定するに当たっては、明確な評価基準を設けることにより、審査の客観性及び透明性を確保すること。

 二 地域における大学振興・若者雇用創出事業に対する交付金については、当該地方公共団体が作成した計画の実現のために効果的な活用がなされているか、地域における雇用創出との相関関係があるものなのかを含め、運用状況の検証を行うこと。

 三 交付金の規模や認定件数等については、地域における大学振興・若者雇用創出事業の実施状況及び地方公共団体の意見を踏まえ、弾力的に見直すこと。

 四 特定地域内学部収容定員を抑制するに当たっては、学部の再編等に係る大学の自主性及び自律性を侵害しないこと。

 五 収容定員の抑制期間が十年と長期にわたることから、途中の年度において、その運用状況及び効果について検証を行うとともに、大学の国際競争力を損なうことのないよう定員抑制措置の随時の見直しを行うこと。

 六 収容定員を抑制する地域については、今後政令で定めることが予定されている東京二十三区以外の地域に安易に拡大しないようにすること。

 七 収容定員抑制の例外となる基準を明確にし、大学の運営に混乱をきたすことのないようにすること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、山口俊一君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。亀井亜紀子君。

亀井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地域再生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 企業の地方拠点強化に関する課税の特例等については、移転型事業に係る支援対象地域の拡大後の企業の動向等も踏まえ、より東京一極集中の是正に資するものとなるような見直しを検討するとともに、企業の地方拠点強化のための環境整備を行う地方公共団体に対し、地方創生推進交付金の重点的な交付を始めとした各種支援措置を講ずること。

 二 小さな拠点の形成に資する事業を行う株式会社に対する投資促進税制については、適用実態も踏まえつつ、現物出資等の場合の取扱いも含め、制度の在り方について検討を行うこと。

 三 企業の地方拠点強化に関する課税の特例及び小さな拠点の形成に資する事業を行う株式会社に対する投資促進税制の利用が低迷している実情に鑑み、これらの制度の趣旨及び内容について、地方公共団体及び事業者等に周知すること。

 四 地域再生制度の支援措置については、地方公共団体の要望等を踏まえ、引き続き、その充実・強化及び周知に努めるとともに、地方公共団体による地域再生制度に係る各種計画の作成に当たって、必要な支援を行うこと。

 五 人口減少の克服、東京一極集中の是正等を実現するためには地方公共団体による長期的な取組が必要であることに鑑み、地方創生推進交付金に必要な予算について、まち・ひと・しごと創生総合戦略の進捗状況等を踏まえつつ、安定的かつ継続的に確保すること。また、同交付金が、自由度の高い、使い勝手の良いものとなるよう、地方の意見を聴きつつ、不断の見直しを行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、両附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。梶山国務大臣。

梶山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十八分散会


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