衆議院

メインへスキップ



第5号 平成28年10月19日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年十月十九日(水曜日)

    午後六時四十八分開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 うえの賢一郎君 理事 江藤  拓君

   理事 菅原 一秀君 理事 西村 康稔君

   理事 森山  裕君 理事 上田  勇君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      池田 道孝君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    加藤 寛治君

      勝沼 栄明君    黄川田仁志君

      北村 誠吾君    坂本 哲志君

      武部  新君    武村 展英君

      寺田  稔君    中川 郁子君

      中村 裕之君    ふくだ峰之君

      福田 達夫君    福山  守君

      古川  康君    前川  恵君

      宮川 典子君   山本ともひろ君

      渡辺 孝一君    稲津  久君

      岡本 三成君    中川 康洋君

      松浪 健太君    丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       松野 博一君

   農林水産大臣       山本 有二君

   国務大臣         石原 伸晃君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   衆議院調査局環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別調査室長      辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     大隈 和英君

  小沢 鋭仁君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     宮川 典子君

  丸山 穂高君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件(第百九十回国会条約第八号)

 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百九十回国会閣法第四七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 この際……(発言する者あり)

 この際、山本農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山本農林水産大臣。

山本(有)国務大臣 昨日、私の発言で皆様に御迷惑をおかけいたしましたことをおわびを申し上げます。

 この発言の趣旨は、この委員会におきまして御質問のございました強行採決に関しまして、私は、あくまで採決は国会でお決めになることであるという意をお伝えしたかったものでございます。

 いずれにいたしましても、この発言を撤回し、おわびを申し上げます。

塩谷委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩谷委員長 速記を起こしてください。

 民進党・無所属クラブ及び日本共産党が退席をいたしましたので、理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩谷委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民進党・無所属クラブ及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 第百九十回国会、内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案件審査のため、本日、政府参考人として文化庁次長中岡司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。

 理事間の協議の結果、質疑順番を変更することとなりました。丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 さて、実際の時間より六時間もおくれて開催することになりました。また、さきの通常国会でも同じような光景を見ましたけれども、民進党も共産党も欠席と。本当に税金の無駄遣いなんですよ。

 TPPについて、国民の皆さんが、しっかりと議論をしてほしい、どんなメリットがあってどんなデメリットがあるんだ、国民の生活にどんな影響があるんだと、議論をしてほしいと願っているにもかかわらず、この状況、二回目。非常に恥ずかしくて、そして情けない気持ちでいっぱいです。

 しかし、今回、山本農水大臣、どうしてこうなったのか。先ほども、御自身の思い、御発言について、撤回とおわびというお話がありました。かなり大ごとになっていますけれども、私も、あの発言、立法府にいる一人として非常に問題があるとそこは思います、率直に。

 改めて、御自身、撤回とおわびとおっしゃりましたけれども、どのようにお考えになっているのか、お答えいただけますか。

山本(有)国務大臣 昨日夕方の会合での不用意な発言によりまして、皆様に御迷惑をおかけいたしました。この趣旨は、当委員会で御質問をいただきました強行採決に関するものでございました。採決はあくまで当委員会の皆さん、国会で定まるものということの意をお伝えしたかったわけでございますが、大変、この意が通じず、また、私の軽率さに対しまして、おわびを申し上げる次第でございます。

丸山委員 撤回とおわびということですけれども、委員会もこんなに遅くなってしまったんですね。常々、質問の通告にしても国会の審議にしても、できる限り無駄遣いをなくしていく。一日国会を開くだけで億単位のお金がかかる。その中で、これは六時間もおくれてしまった。

 この委員会に対する責任についても、本当は仕事をしなければいけない民進党さんがいないので、不本意ではありますが、初めに聞いておかなければなりません。委員会に対してはどのように考えられていますか、大臣。

山本(有)国務大臣 先ほど委員御指摘のとおり、国民の皆さんの前に、TPP、この合意の内容につきまして丁寧に説明し、そして、国民皆さんが全員納得をいただけるまで御審議を頂戴したいというように思っているところでございます。

丸山委員 御自身の、委員会に対しても責任があるという認識でよろしいんですよね。

山本(有)国務大臣 当然、委員会に対して責任を感じております。

丸山委員 もう一つだけ聞いておかなければなりません。

 御発言が、佐藤委員長、議運の委員長が佐藤委員長ですけれども、佐藤委員長は、基本的には、議運の委員長ですので、公明正大に運営していかなければならない立場にあります。その立場にある佐藤議運委員長は、強行採決するかどうかはその佐藤議運委員長が決めると大臣は御発言されたと。そのような公明正大に運営していかなければならない立場ではないんでしょうかね。

 強行採決するかどうかは佐藤議運委員長が決めるのかどうか、改めて御発言、御見解を伺えますか。

山本(有)国務大臣 議運委員長のお立場は公平公正でなければならない、そう私も存じております。いわば佐藤委員長は議会の代表という意味で、採決について議会、国会がお決めいただくという趣旨が足らざるところがございました。

丸山委員 大臣、これから、これについては説明責任が伴ってくると思いますので、しっかりと説明いただきたいと思いますが。

 維新の会は、いかなる場合も審議拒否はしません。それは、国民にとって当たり前の議員の姿であって、政党の姿だと考えますので、大臣のお話、この経緯になってしまった関係上、最初に聞かざるを得ませんでしたが、余り長々とやるつもりはありませんので、一度ここで終わらせていただいて、今後の委員会の流れは予断を許しませんけれども、ここからは、維新の会、しっかりと審議を進めていきたいというふうに思いますし、それが我々議員のあるべき姿だと考えます。

 そうしましたら、早速、実際にこの委員会で、本当は通常どおりであれば聞くはずであった御質問に移りたいというふうに思います。

 いわゆる今回のTPPの協定に基づいて、いろいろな国内の関係法令が整備されることになっております。そして、その法の施行は、基本的にはTPPが発効されたらというのが基本でございます。

 その中でも、さきの通常国会で、これも最後の最後、ちょうど民進党が、共産党が欠席した同じ日に、私から総理に最後の最後に質問させていただいたいわゆる表現の自由に関連して、著作権法が今回TPPの発効に伴って改正を目指しておられますけれども、この点、非常に危惧される、表現の自由が脅かされるんじゃないかと危惧される声が多うございますので、文部科学大臣を中心にお聞きしていきたいというふうに考えております。

 まず最初に、前回の国会で総理にお伺いして、ちょっと国会をまたいでしまって、継続審議で、文言は変わっていないので同じお答えをいただけるものだと思うんですけれども、改めて確認しておきたいんですけれども、いわゆる同人誌とかいった二次創作が今回の著作権の非親告罪化への対象となるかどうか、お伺いしたいんです。

 特に、重ねてお伺いしたいのは、今政府にとって、例えばいわゆるパロディーの作品とか、例えば漫画やアニメをもとに作成した同人誌のようなもの、またグッズみたいなものもありますね。こうした二次的な著作物についてどのように政府が認識していて、そして、文化がどうかとか、また、今政府はクールジャパンを推進していますので、このクールジャパンの対象なのかどうかとか、そういった観点も含めて、今回の法改正に当たっての位置づけをお答えいただけますでしょうか。

松野国務大臣 委員御指摘の、いわゆる同人誌やパロディーなどの二次創作活動は、創作活動の裾野を広げ、新たな創作者を生み出す基盤となるものであり、我が国の多様で豊かな文化の形成のための重要な意義を有していると認識をしております。

 TPP協定においては、著作権等侵害罪を非親告罪とすることが求められていますが、その範囲については、二次創作活動への萎縮効果を生じないよう、市場における著作物等の利用のための権利者の能力に影響を与える場合に限定をすることができるとされています。

 これを踏まえて、改正法案では、非親告罪の範囲を悪質な侵害行為に限定することとしております。

 具体的には、侵害者が、侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的または有償著作物等の販売等により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること。二つ目が、有償著作物を原作のまま公衆譲渡もしくは公衆送信する侵害行為またはこれらの行為のために有償著作物等を複製する侵害行為であること。三つ目が、有償著作物等の提供または提示により権利者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合であること。これらの三つの項目の全てに該当する場合に限り非親告罪とすることとしております。

 同人誌などの二次創作は、一般的には原作のまま著作物等を用いるものではないこと、また、市場において著作物等の正規品の販売等と競合するものではなく、有償著作物等の提供または提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合との要件には該当しないと考えられることから、非親告罪とはなりません。

丸山委員 総理もさきの通常国会で同じようにお答えいただいて、その意図をそのまま引き継いでいらっしゃるというのが今の答弁でわかったところです。

 そうしましたら、ただ、この点、では何が、どういった二次創作物がこの非親告罪に当たってしまうことになるのか、この改正で。非常にいろいろな二次創作物があるわけで、どれが当たってどれが当たらないんだというのが非常に国民の皆さんの中でわかりにくいという声が上がっています。なので、これをしっかりと、この議会の中で、細かいところも含めて確定させていきたい、お伺いしておきたいんですけれども、非常に表現の自由を守る上で大事な観点だと思います。

 そういった意味で、ちょっとテクニカルな部分もお聞きしますので、事務方の方で構いませんが、お伺いしたいと思います。

 時間の関係で、今大臣にお答えいただいた部分を少し抜いて、具体的な事例を挙げて、それが果たして、今回の非親告罪に改正された場合当たるのかどうかというのを具体的に五つぐらいまずお伺いしたいと思います。

 一つ目は、いわゆる漫画がローカライズされる、翻訳されてそれが市場に出回っている、そういったものが果たしてでは非親告罪に当たるのかどうか。

 二つ目が、よく動画サイトを最近見ていますと、アニメに対して海外の字幕を当てたり、または声を海外の言葉で当てて、恐らく許可をとっていないだろうと思われるような形で動画サイトにアップされているものがあります。こうしたものがこれに当たるのかどうか。

 そして三つ目は、これはいわゆる総統閣下の動画というと恐らく若い方はわかるんですけれども、少し前にはやっているような、いわゆるパロディーでMAD動画というものをつくって、もとの原作をそのまま使うわけじゃないんですけれども、うまく切り張りして、音声とかが残ったりしているようなMAD動画はどうなのか。

 四つ目。いわゆる歌ってみた動画といって、もともとある、原作のある歌を投稿主が歌う、そんな動画が上がっていますね。それについてどうなのか。そして逆に、踊ってみた動画というのもありまして、いわゆる既存のある音楽に乗せて踊った画像が上げられている。AKBのフォーチュンクッキーなんというのは有名だと思いますけれども。

 そうしたもの、今五つ挙げましたけれども、今回、原作のままという要件が第二条件にあって、大臣もおっしゃいましたけれども、そして、何よりこの非親告罪に当たるのかどうか。非常に大事な観点だと思うんですけれども、今の五つの点、お答えいただけますか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案では、著作権等侵害罪につきまして、対価を得る目的または権利者の利益を害する目的があること、有償著作物等について原作のまま譲渡、公衆送信、または複製を行うものであること、有償著作物等の提供、提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されることとなる場合であることの要件の全てに該当する場合に限り非親告罪とすることとしてございます。

 先ほど御指摘の原作のままということは、原作の著作物等をそのまま再現することを意味してございまして、委員御指摘の例におきまして、漫画の絵の部分やアニメ、動画の映像部分、あるいは歌の楽曲部分をそのままコピーした場合には、当該部分については原作のままという要件を満たす可能性があると考えられます。

 これらの行為につきまして、原作のままという要件以外の要件を勘案いたしますと、委員御指摘の漫画のせりふ部分のみを翻訳した場合、二つ目に挙げられました、アニメに声を当てたり字幕を付した、いわゆる海賊版の場合につきましては、これらにより正規品の販売等と競合する場合には、権利者の得ることが見込まれる利益を不当に害する場合に当たることとなると考えられます。この場合に、対価を得る目的、または権利者の利益を害する目的がございますれば、これらの著作権等侵害行為につきましては、非親告罪と判断されることとなると考えております。

 一方、委員御指摘の、三番目にお挙げになりましたいわゆるMAD動画のように、映像を素材にしてコミカルな改変を加えてみた動画や、いわゆる歌ってみたと言われるカラオケ楽曲をみずから歌唱した動画、最後に触れられましたいわゆる踊ってみたと言われる既存の楽曲をBGMにダンスをみずから踊った動画をインターネットで送信する行為につきましては、一般的には、正規品の販売等と競合するものではなく、権利者の得ることが見込まれる利益を不当に害する場合には当たらないと判断される可能性が高いものと考えられます。このような場合には非親告罪とはならないと考えております。

丸山委員 委員の先生方の中には何を言っているんだというお声もあるかもしれませんが、実は若い世代にとっては非常に大事な論点でして……(発言する者あり)大丈夫ですか。ありがとうございます。

 例えば、最後の、踊ってみたとか歌ってみたというのは、非常に若い世代にはやっているんですよ。その中で、今の話だと、いわゆる海賊版のような翻訳した漫画だとか、あとは、動画をそのまま外国語の字幕をつけてアップしているみたいな、そういうのはアウトの可能性が高いと。しかして、三つ挙げた、踊ってみた、歌ってみた、またMAD動画みたいなのは漏れる可能性もあるというお話がありましたけれども、歌ってみたなんかは、音だけ取り出せば、例えば先ほどのフォーチュンクッキーの話だと、そのままフォーチュンクッキーの音楽として聞こえてしまう可能性もある。そうすると、事前の文科省との話では、これは抵触する可能性もあるんだという話がありました。非常に線引きが難しいんですよ。一方で、線引きが難しくなってしまうと、二次創作の活動にかなり阻害を与えてしまうと思うんです。

 だから、具体的にお願いしたいことがあります。

 線引きが難しいので、しっかりと、何がその要件に当たるのかを、今挙げたような具体的な事例を挙げて、メルクマールを明らかにしてほしいんですよ。それで、それを広報していただきたい。

 問題は、今回またややこしいのが、法律がTPPの発効の日が施行日になっているんですね。だから、今の発効しない段階ではどうで、発効したらこうなるんですよとしっかり説明しないと、恐らく国民の皆様は今がそうなんだと思い込んでしまうと思うんですよ。

 しっかりこれは広報いただきたいんですけれども、いかがでしょうか、大臣。

松野国務大臣 本改正案の趣旨、対象を正しく御理解いただくために、広報に力を入れるべきと、丸山委員の御指摘はそのとおりだと考えております。

 改正法の施行に当たりましては、二次創作活動への萎縮効果が生じることがないよう、非親告罪化の趣旨や要件の具体的内容について十分に周知を図ってまいります。

丸山委員 今、御提案の趣旨を踏まえてしっかりと周知を図っていくとお答えいただきましたので、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 重ねて、今回の著作権法をもう一つ。いろいろな論点があるんですけれども、改正で、もう一個大きいなと思っているのが、著作権物の保護期間が五十年から七十年に延長されます。これは、各国との交渉の過程の中で恐らく入ってきたんだというのは推測されるんですが。

 現行、例えば、インターネット上、スマートフォンでも、いわゆる青空文庫のような形で、昔の例えば夏目漱石の「坊っちゃん」だとか、そういったものが、ネット上からダウンロードして、自由に過去の著作権が切れた文学作品が公開されて読めるような時代で、またそれが文学を親しみやすくしている今の時代だと思うんですけれども、一方で、五十年から七十年に変えてしまうと、この期間がずれることで、一回これがオープンになったものが見られなくなっちゃうんじゃないの、その辺の権利関係がわからないよという声が大きいんですけれども、こうしたものがどうなるのか、そして、その影響をどう考えていらっしゃるか、お答えいただけるでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 改正法案におきましては、著作物等の保護期間の延長に係る改正規定は、改正法の施行日の前日の時点で著作権等が存続している著作物等について適用することとしてございます。すなわち、改正法の施行日の前日の時点で既に保護期間が満了している著作物等につきましては、保護期間が復活して延長されることはないということでございます。

 そういった趣旨につきましても、大臣が先ほど申し上げましたように、きちっと広報に努めてまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 非常に大事な点だと思いますね。これもしっかり広報いただきたいというふうに思いますし、今の回答を聞けば当たらないということですので、しっかりそれは明らかにしていっていただきたいというふうに思います。

 時間が迫ってまいりましたので、少し大事な点をはしょって質問させていただきたいんです。

 今回のTPPの議論、国民の皆さんは、大事な議論で、してほしいと思っていらっしゃると思うんですけれども、一方で、皆さんも、国民の皆さんも御承知なのは、アメリカの大統領選挙が今行われていて、そして、現に候補者のお二人がこのTPPに対して疑問を呈しているという話があります。そして、一方で総理は、今回もし大統領が新しくなった、それに対してアメリカがうんと言わない場合には再交渉しますかという問いに対して、再交渉はしないというお答えをされています。

 そうすると、自動的に疑問が皆さん湧くと思うんですけれども、もちろんTPPの成立を全力で目指す立場はおっしゃるとおりだと思います。もちろんなんですけれども、一般的に考えていただいて、万一TPPが発効されない場合にこの著作権法もどうなるんだと。

 今回、これを通していただきたいということで審議を今お願いされて、そして通った場合に、しかし、この施行日はTPPが発効した日なわけですよ。でも、TPPが発効しない可能性だって排除されないわけで、その場合に、とはいえ、この法改正の中身にとって非常にやるべきこと、やらなきゃいけないと考えているところもあると思うんですけれども、国内法の整備を先にする可能性は排除しないということでよろしいんでしょうか。これは、海外との制度調和の観点から、万一の場合には国内の制度整備を先にやらなきゃいけないかもしれませんね。

 そういった点、大臣、どのようにお考えになりますか。

松野国務大臣 TPP協定については、政府を挙げて発効に向けて取り組むこととしているところであります。現時点において、TPP協定の発効に先立って協定に関連する改正を行うことは考えていません。

 なお、今回の著作権法の改正は、TPP協定により著作権に関する国際的な共通のルールが構築されることを踏まえ、国際的な制度の調和を図る観点からのものであることは委員から今御指摘をいただいたとおりであります。

 したがって、一般論としては、TPP協定の発効を待たずに関連する著作権法の改正を行うか否かについては、改めてその必要性等について検討を行うこととなるものと考えております。

丸山委員 つまり、今の大臣の御答弁だと、TPPの発効いかんに関係なく、もし発効されない場合には、それぞれの法によって、これをやらなきゃいけない場合にはやるというのをそれぞれケースごとに御判断されるという御答弁ですけれども、これは、著作権の話を今大臣に聞きましたけれども、TPPの御担当の大臣にもお伺いしておきたいと思います。

 今回の法改正、著作権法以外にもいっぱいあるわけですよ。現実面として、TPPの発効を目指すんですけれども、しかし、されない場合もある。そのときに、今回の議論している国内法は、その中には、きちんと改正しなきゃいけないものもその場合は出てくると思うんですね。これは個別ケースごとだというふうに思うんですけれども。

 国内法を先に整備する可能性も一般的に排除されない、著作権法以外も排除されないということでよろしいんでしょうか。

石原国務大臣 先ほど松野大臣が御答弁をさせていただきましたとおり、発効をもって十一本の関連法は効力を有するわけでございますが、一般論として言わせていただくならば、著作権法と同じように、他の十本の法律も、その法律が必要であるならば、必要性、タイミングを見て判断されるものになると承知をしております。

丸山委員 今回の法改正、全て施行がTPP発効の日となっていますので、今非常に大事な御答弁をいただいたと思いますので、今後の審議においてもこの点を考えた上で議論をしていきたいというふうに考えております。

 大臣に最後にこれはお伺いしておきたいんですけれども、今回の法改正、著作権法は特に規制を強めるものばかりなんですね。でも一方で、内閣の方では、知財推進計画で、表現の自由を守っていくという観点からも、この著作権関係、規制だけじゃなくて利用の促進とのバランスが大事なんだとおっしゃっているんですよ。

 この点、しっかりやっておられるのかどうか、お伺いできますでしょうか。

松野国務大臣 今回の改正は、TPP協定の実施に伴い、国際調和の観点から、著作物等の保護期間の延長、著作権等侵害罪の一部非親告罪化等の措置を講ずるものであり、国内における著作物等の適切な保護に資することが期待をされるものであります。

 一方、委員御指摘のとおり、TPP協定により権利保護が強化されることに伴い、著作物の利用円滑化を図ることも重要であります。

 文部科学省としては、保護期間の延長に伴って増加される権利者不明著作物等の利用のための裁定制度の改善、権利処理コスト低減のための権利情報の集約化、社会のニーズに対応した権利制限の見直し等、著作物の利用円滑化のための必要な措置を講じてまいります。

丸山委員 この点もしっかりやっていただきたいというふうに強くお願い申し上げます。

 石原大臣、最後に、この不正常な状況に今なってしまっております。そして、御本人はいみじくも、今回の発言を農水大臣は撤回されて、おわび申し上げるという御発言もありました。

 この委員会の状況と、そして農水大臣の御発言についてどのようにお考えになっているのか、最後、大臣、お伺いできますでしょうか。

石原国務大臣 TPPを所管する大臣として、このような事態を招いたことは本当に国民の皆様方に申しわけないと思いますし、冒頭、委員が山本大臣をただしましたように、本来、委員は、もっと著作権の話、それに準ずる他の法律案の中でも、先ほど来私も御答弁させていただきました、松野大臣も御答弁させていただきました、万々が一のときに対して本当にやらなきゃいけないものも入っております。農業の関係でも、豚マルキンとか、要求のあるものもたくさんあるわけです。

 そういうものについて細かく議論もさせていただいて、国民の皆様方にTPPの意義、そしてまた、農業を営む方々については、政策大綱の中で十分な手当てがなされているということを十分説明させていただく場にしていかなければなりません。また、今回のことを教訓として、この後、懇切丁寧に説明に努めさせていただきたいと考えております。

丸山委員 時間が来ましたのでここで終わりますけれども、我々この委員会の委員の使命は、しっかりと議論する、このことに尽きるというふうに思います。これからもしっかりと議論していくということを国民の皆さんにお約束して、私、丸山穂高の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 両案件審査の参考に資するため、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣の期日は来る二十四日月曜日、派遣地は北海道及び宮崎県、派遣委員の人選等は委員長に御一任願うことに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時二十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.