衆議院

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第7号 平成13年2月21日(水曜日)

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平成十三年二月二十一日(水曜日)

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  平成十三年二月二十一日

    午後一時 本会議

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本日の会議に付した案件

 予算委員長野呂田芳成君解任決議案(佐藤観樹君外五名提出)




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    午後一時二分開議

議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

小此木八郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。

 佐藤観樹君外五名提出、予算委員長野呂田芳成君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。

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 予算委員長野呂田芳成君解任決議案(佐藤観樹君外五名提出)

議長(綿貫民輔君) 予算委員長野呂田芳成君解任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。佐藤観樹君。

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 予算委員長野呂田芳成君解任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

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    〔佐藤観樹君登壇〕

佐藤観樹君 私は、ただいま議題となりました予算委員長野呂田芳成君の解任決議案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合を代表して、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)

 主文、

  本院は、予算委員長野呂田芳成君を解任する。

 以下、その理由を申し上げます。

 そもそも、予算委員長初め常任委員長は、国会法に定める各議院の役員であり、厳正、中立、公平な立場で委員会運営に当たるべき立場にあり、予算委員長野呂田芳成君も、委員長就任に際しては、公正な委員会運営を誓約しておりました。

 現下の政治情勢のもとで、我々は、予算案審議に当たって、まず取り組まなければならないことは、KSD汚職事件や機密費横領事件などの真相を国民の皆さんに明らかにすることであります。

 村上正邦参議院議員が、KSDをバックに、自民党を中心に金をばらまき、ものつくり大学の開学に当たってどのように政治をゆがめてきたのか、いまだに解明されておりません。

 機密費については、松尾前室長の銀行口座数もどんどんとふえ、不明な金額も、当初、官房長官が委員会で答弁をした九億六千五百万円からさらにふえていき、外務大臣の答弁、外務省の調査は極めていいかげんなものであることが委員会審議の中で明らかになってまいりました。

 実習船えひめ丸衝突沈没事故に際しては、森総理がゴルフ場を離れなかったことも重大であります。

 そのために、これに関連をする村上正邦参議院議員、額賀福志郎衆議院議員、松尾前外務省要人外国訪問支援室長らの証人喚問の実現や関係資料の提出、これが不可欠であると野党は理事会ごとに強く求めてきました。

 それにもかかわらず、同君は、野党の要求に全く応じない与党、自由民主党、公明党、保守党に同調して、村上氏を参議院予算委員会で、額賀氏を基本的に秘密会の政治倫理審査会で行うという、衆議院予算委員会の野党の要求に全くこたえようとはしておりません。国民が求めている真相解明にふたをしてきたのであります。極めて無責任な態度と断ぜざるを得ません。(拍手)

 予算委員会は、国の予算を審議するという極めて重要な役割を持つ委員会です。機密費は、国民の税金そのものであり、KSDが絡んだものつくり大学は、労働省の雇用保険特別会計から出された補助金が使用されております。国民が重大な関心を持っている予算の執行にかかわる疑惑の解明をすることなく審議を行うことは、国民、納税者は到底納得できません。(拍手)

 また、同君は、二月九日、予算委員会が開かれた衆議院第一委員室において、自由民主党林省之介議員が社会民主党・市民連合辻元清美議員を誹謗中傷する文書を配布した行為について、林議員へ委員長からの厳重注意で決着させましたが、決着までに十日もかかったことは、野呂田予算委員長はその職責を放棄し、院の品位を汚すことに加担したと言われても仕方ありません。

 さらに、予算委員長野呂田芳成君は、二月十八日、太平洋戦争について大東亜戦争と呼んだ上、その戦争がアジア諸国の独立を助けたという、日本の侵略戦争行為を正当化するような発言をいたしました。これは、委員長の個人的な見解を述べたというには余りにも重大な発言であり、看過できません。予算委員長という重要な立場を顧みない、極めて軽率な発言であると言わざるを得ません。

 一九九五年、自由民主党、日本社会党、新党さきがけの村山内閣当時、戦後五十年に当たり、歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議を国会決議として世界に向けて発信し、また、村山総理は談話を発表しました。その四年後、野呂田芳成君は防衛庁長官に就任されましたが、その野呂田君が、今度の発言のように、アジア諸国からも批判されるような浅薄な理解で防衛政策を行っていたかと思うと、愕然とする思いであります。河野外務大臣でさえ、昨日二十日、閣議後の記者会見で、一九九五年の村山談話が一貫した我が国の考え方で、私もそのとおりだと考えると、野呂田委員長の誤った歴史認識を批判しているではありませんか。そして、その結果、予算委員会の審議にさらなる混乱を招いた責任は極めて重く、本来なら即刻みずから職を辞すべきであります。

 そして、このような同君の不当な態度がきわまったのが、翌十九日、予算委員会中における公聴会日程の強行採決であります。公聴会の日程については、理事会での協議が途中だったにもかかわらず、事もあろうに、委員長は、民主党・無所属クラブ池田元久議員の質疑時間中に、我々が反対する中で、公聴会日程の強行採決をするという暴挙を行いました。このような行為は、極めて公正を欠き、議会制民主主義を無視した言語道断の行為であります。(拍手)

 あげくは、昨日二月二十日の予算委員会の与党単独での強行開会であります。無法きわまれりであります。予算委員会では、いまだに審議はわずか七日しか行われていません。KSD汚職事件、機密費横領事件、さらにはアメリカ海軍原潜と宇和島水産高校実習船の衝突沈没事故をめぐる森内閣の危機管理問題、さらには不況脱却、財政金融など、審議すべき課題が山積をしております。このような中で、与党の審議時間消化のための委員会審議強行に予算委員長がみずからの立場を忘れて加担するなど、許しがたい行為であります。

 当然のことながら、委員長は、みずからの職責を遂行すべく、率先して、理事会、委員会の正常化を目指して、各党に陳謝し、与野党の合意に基づく公正で円滑な運営に戻すべく努力するべきでありました。合議制を尊重しつつ、委員会の議事を整理し、秩序を保持することが国会法に定められた委員長の本来の使命であります。

 野呂田芳成君は、大学卒業後、建設省に入り、文書課長を皮切りにして、参議院議員、農林水産大臣、防衛庁長官、そして近くは衆議院国家基本政策委員長も務めたベテラン議員であり、温厚篤実、バランス感覚にもすぐれたジェントルマンであるとかつては言われたこともありました。

 しかるに、その野呂田君をして、いまだ予算審議七日にして、かかる議会制民主主義を破壊する数々の暴挙を重ねさせたのは、参議院選挙の結果を心配する余り、党利党略で日程を決め、一月三十一日という異常に遅い国会を召集しておきながら、予算審議の充実より、とにかく早く通しさえすればよいとする自民党、公明党、保守党の圧力に屈した結果であります。一日も早く予算を成立させ、森総理の退陣を促そうという政略であります。まさに、森政権も自公保体制も断末魔のあがきと言えます。

 今日に至り、委員会の審議を正常化し、重要な予算の審議を行っていくためには、予算委員長野呂田芳成君の解任以外に解決の道はありません。

 重ねて、予算委員長野呂田芳成君の解任を強く求め、提案理由の説明を終わります。

 議員各位の御賛同を心からお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 討論の通告があります。順次これを許します。自見庄三郎君。

    〔自見庄三郎君登壇〕

自見庄三郎君 私は、自由民主党、公明党及び保守党を代表いたしまして、ただいま議題となりました予算委員長野呂田芳成君解任決議案に対しまして、反対の討論を行うものであります。(拍手)

 本予算の一日も早い年度内成立は、我が国国民はもとより、世界各国からも熱望されているところであります。このような状況にもかかわらず、今回の予算委員長野呂田芳成君解任決議案の提出は、いたずらに予算委員会や国会を混乱に陥れ、平成十三年度予算の成立をおくらせ、回復基調の見えた景気に冷や水を浴びせるもの以外の何物でもありません。

 今回提出されました予算委員長野呂田芳成君解任決議案の提案理由なるものは、国会法の乱用と言わざるを得ず、このような野党の態度は厳しく指弾されなければなりません。常任委員長の解任には、不公平、不公正な委員会運営を行った等の積極的な理由が必要でありますが、野呂田委員長の委員会運営のどこがその理由に該当するというのでしょうか。全く理解に苦しむのであります。

 野呂田委員長は、予算委員長に就任以来、誠心誠意、与党、野党の分け隔てなく、また会派の大小にかかわりなく、各党各会派の主張、意見に真摯に耳を傾け、公正かつ円満な委員会の運営に、日夜、心を砕いてまいりました。(拍手)

 予算委員会の理事会では、野党側から、予算委員会への総理の出席が少な過ぎるので多くしてほしいとの要望が出されました。この要望は、公党間の申し合わせに反するものであります。

 しかし、野呂田委員長は、自分の責任で、さらに二日間、総理を出席させると野党側に最大限の配慮を示したではありませんか。この結果、一昨日、森総理出席のもと、宇和島水産高校の実習船えひめ丸と米原潜との衝突事故等の緊急問題を質疑することができたのであります。

 解任決議案では、いわゆるKSD問題、外務省や内閣官房等の報償費問題等に関して、野党から、現職国会議員を含む数名の証人喚問要求について、野呂田委員長の取り組み姿勢が消極的だとしております。

 本問題については、我々与党は、野党の要求する証人喚問は、喚問すべき人が逮捕され身柄勾留中であること、政治倫理審査会での審査の申し出があったこと、参議院議員の証人喚問を衆議院で行うことには慎重であるべきこと、また、参議院で近く証人喚問が行われる予定等の理由から、直ちには証人喚問を受け入れられない旨を一昨日の理事会で野党に回答したのであります。しかし、野呂田委員長は、それでも、なお引き続き与野党間で協議するように強く要請されたのであります。

 またさらに、解任理由として、野党四党は、野呂田委員長が公聴会の開催日を採決したことを挙げておりますが、これは強行というものではなく、国会法に基づく委員長の職務を行う上から採決されたものであります。(拍手)

 公聴会の開催について、我々与党は、景気対策として予算の年度内成立が絶対必要との観点から、諸手続に要する日数も勘案し、二月二十六日、二十七日の二日間を要求したのであります。しかし、野党側は、証人喚問実現が確約されなければとか、公聴会開催は時期尚早などと言い、予算の年度内成立を阻む姿勢に終始したのであります。

 しかし、野呂田委員長は、景気の現状を踏まえ、予算の年度内成立の重要性に思いをいたし、かつ、野党側の意見にも十分配慮し、予算の審議時間を十分に確保すべきだとして、公聴会開催日を一日ずらし、二十七日、二十八日の二日間開催することを提案されたのであります。

 さらに、野呂田委員長の秋田県内での発言を解任理由に挙げていますが、発言は全く私的な会合で行われたものであり、その内容も委員会運営に関したものでは一切ありません。野党におかれましても、その党所属の委員長が、国会を離れ、さまざまな場所でさまざまな発言をしていると思われますが、それは、一政治家、一国会議員としての発言であり、したがって、委員長解任の理由になるものではありません。

 温厚篤実にして人情味あふれ、包容力に富み、該博な知識は内外に及び、極めて見識豊かな責任感ある政治家野呂田芳成委員長に対し理不尽な理由で解任を求める野党の態度は、断じて許すことができません。

 以上申し上げた理由により、本解任決議案に断固反対することを表明いたしまして、私の反対討論といたします。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 山田正彦君。

    〔山田正彦君登壇〕

山田正彦君 私は、自由党を代表して、ただいま提案されました予算委員長野呂田芳成君の解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 これまで自由党は、議会制民主主義のルールにのっとって予算委員会の審議が円滑に行われ、かつ、国民の信頼にこたえることのできるよう、予算委員会の質疑を通じて政府の考え方をただしてきたところであります。

 もとより、今、国会の予算委員会審議は国民全体が注視している中で行われているのであって、とりわけ国民の関心は、相次ぐ不祥事を繰り返してきた政府・自民党の数々の疑惑について、政治がどのような決着を図るかということに集中しているのであります。

 この見地から、我が党は、他の三野党とともに、国会が始まる前にも、KSD事件、機密費横領事件に関連した閉会中審査を求め、また、国会開会当初から、関係者の証人喚問を要求してきたところであります。

 しかるに、野呂田芳成君は、野党の再三の要求に耳をかさず、与党側の意見のみを聞き入れた上で、二月七日、衆議院予算委員会を職権でもって開会し、平成十三年度政府予算案に関する宮澤財務大臣の提案理由説明を与党のみで一方的に行うという行動をとったのであります。

 このような暴挙を行ったにもかかわらず、我が党は、国民注視の問題を委員会審議を通じて解明していくことが必要であるとして、野呂田予算委員長の裁定を不服としつつも、整々粛々と予算の審議に協力してきたのであります。

 ところが、野呂田芳成君は、公正中立を旨とする予算委員会の委員長という職責を顧みない数々の不手際を繰り返したのであります。

 肝心の証人喚問要求については、野党が繰り返し強くこれを求めたにもかかわらず、一顧だにする気配もなく、臭い物にはふたをするかのように、与党側に同調して、逃げの一手を決め込んだのであります。

 野呂田芳成君の言い分は、村上正邦前自民党参院議員会長は参議院議員だから衆議院ではやれない、額賀福志郎前経済財政担当大臣は政治倫理審査会の審査があるのでその結果を見なければやれない、小山孝雄前自民党参議院議員とKSDの前理事長の古関忠男被告については被告として収監中であるからやれない、外務省の松尾克俊元要人外国訪問支援室長は現在捜査中であるからやれないというものでありますが、これほど国会と国民をばかにした話はありません。(拍手)衆議院予算委員会の権威も役割も全く認識していない発言としか言いようがありません。そのへ理屈には、真相解明を避けて通り、真実を国民の前に明らかにさせたくないという魂胆が透けて見えてまいります。

 委員会の審議中においても、松尾克俊元外務省要人外国訪問支援室長が受け取っていた官房機密費の支出名目についての政府側の説明が二転三転するなど、政府答弁が答弁の体をなしていない場面がたびたびあったにもかかわらず、公正無私の立場で政府答弁を適切に行うよう促すこともなく、真相解明努力とはほど遠い、緩慢な委員会運営に努めたのであります。

 与党側は、口を開けば、予算案を一刻も早く成立させることが大切であると、さも景気や国民生活に配慮しているかのポーズをとりますが、真相解明による国民の信頼回復、あえて言うならば、自民党的政治体質の転換こそが最大の景気対策であることを、この際、はっきりと申し上げておきます。(拍手)

 また、野呂田芳成君は、二月九日、衆議院第一委員室において、予算委員でないにもかかわらず、自由民主党林省之介議員が同一選挙区の競争相手である社会民主党・市民連合の辻元清美議員を中傷する文書を頒布するという前代未聞の卑劣きわまりない行為に迅速に対応することなく、予算委員会の品位を著しくおとしめたのであります。

 さらに、二月十九日の委員会審議において、民主党の池田元久議員の、事もあろうに質疑時間中に、公聴会日程の強行採決をするという暴挙を行ったばかりでなく、二十日には、予算委員会の理事会での合意なしに、一方的に与党単独で予算委員会を強行開会するという無定見な行為に及んだのであります。(拍手)

 このような一方的な態度は、議会政治のルールを委員長みずからが破り、審議の公平公正を旨とする委員長がみずから審議拒否をするにも等しいものであって、予算委員会混乱の原因は挙げて野呂田芳成君のとった暴挙にあり、その責任は重大であると言わざるを得ません。(拍手)

 予算委員会が開催されてから二週間の間にこれだけの不手際を積み重ねた委員長のもとで、もはや適正な委員会運営を期待することはできません。

 最後に、一言申し上げます。

 最近行われた新聞の世論調査によれば、議会への信頼度は、米国が六三%であるのに対し、日本はわずか九・三%であります。今ほど国会の、そして国会議員の見識が問われているときはないのであります。(拍手)

 この見地から、我々自由党は、議会への信頼をさらにおとしめた野呂田芳成君の行為に抗議し、あわせて、予算委員会での関係者の証人喚問を強く求め、賛成の討論を終わります。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 佐々木憲昭君。

    〔佐々木憲昭君登壇〕

佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、予算委員長野呂田芳成君解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 この国会、冒頭から、KSD問題と機密費疑惑の徹底究明、米原潜による実習船えひめ丸衝突沈没事件への政府の対応など、緊急を要する問題が次々と提起されております。そのため、我々野党四党は、総理出席を求めて十分な時間をとった総括質疑を行うこと、また、疑惑解明のための集中審議を行い、とりわけKSDと機密費に関する五人の証人喚問を求めたのであります。

 KSD事件は、中小業者の汗の結晶である共済掛金、これを自民党に流し込み、党を丸ごと汚染した重大事件であります。機密費疑惑は、外務省から内閣官房への上納という財政法違反の疑いや、与野党議員に対するせんべつ、国会対策費という税金の党略的流用が問題の核心であります。これらは予算の内容に直接かかわるものであり、その全容究明を国民が強く求めているのであります。

 ところが、野呂田芳成予算委員長は、これにまともにこたえないまま、二月十九日、理事会での合意が全くないにもかかわらず、公聴会の日程を独断で決定するという暴挙を行ったのであります。しかも、NHK放映中の野党議員の質疑時間中に採決を強行したのは前代未聞であり、予算委員会の歴史にぬぐうことのできない汚点を残したのであります。(拍手)

 この暴挙に野党四党が厳しく抗議し、採決の撤回を求めているにもかかわらず、野呂田芳成委員長は、これに全くこたえようとしなかっただけでなく、昨日、委員長の独断によって、与党だけで委員会を強行する暴挙を重ねた上、一方的に野党の質疑時間まで設定したのであります。野党質疑のタイムテーブルについては、直前に行われた理事会において、何の提案も合意もなかったのであります。このような傍若無人は絶対に見過ごすことはできません。(拍手)

 我々野党四党は、村上正邦元労働大臣、額賀福志郎前経済財政大臣、松尾克俊前外務省要人外国訪問支援室長を初め五名の証人喚問を実現するよう求めてまいりました。しかし、自民党、公明党、保守党の与党三党は、これに全く耳をかさず、疑惑にふたをする不当な態度をとり続け、事もあろうに、公正な運営を行うべき野呂田芳成委員長が、理不尽な態度をとり続ける与党をたしなめるどころか、その主張に唯々諾々と同調し、疑惑隠しを放置する態度をとり続けているのであります。予算委員会本来の役割を否定する予算委員長の態度は、断じて黙認することができません。(拍手)

 また、二月九日、予算委員会の議場で、自民党林省之介議員が社民党辻元清美議員を誹謗中傷する文書を配布した行為について、直ちに的確な対応をしなかったことも重大であります。(拍手)

 加えて、野呂田芳成委員長は、予算審議が重要な局面に差しかかっている十八日、秋田県内で、大東亜戦争をやったことでアジアの植民地政策は根本からなくなったなどと驚くべき発言をしたのであります。衆議院の予算委員長という要職にありながら公然と侵略戦争を美化したことは、絶対に許せるものではありません。(拍手)

 野呂田芳成委員長の言う大東亜戦争とは、大東亜共栄圏をスローガンに、日本だけが優位に立って他国を支配する侵略戦争美化のために使われた用語であります。植民地政策をなくすどころか、日本の他民族支配と植民地化を推進するものであったことは、今ではだれしも否定しがたい歴史の事実であります。

 だからこそ、中国外務省は、野呂田発言に対し、侵略に功績があったというでたらめな論調は日本の一部の人が歴史問題にどれほど無知であるかを示していると強く抗議したのであります。韓国政府も、太平洋戦争を美化し、近隣諸国の苦痛から目をそらした野呂田議員の歪曲発言を非常に遺憾と考えると強い不快感を示しているのであります。

 野呂田芳成委員長はもはや委員長としてふさわしくないことは、これらの点から見て余りにも明らかであります。(拍手)

 今、政治に求められていることは、腐敗し、行き詰まった自民党政治の根本的な転換であります。そして、国民本位の景気回復を目指し、暮らしと経済再建への第一歩を切り開く予算への抜本的な組み替えを実現することであります。日本共産党はその先頭に立って奮闘する決意を申し上げ、予算委員長解任決議案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 大島令子君。

    〔大島令子君登壇〕

大島令子君 社会民主党・市民連合、大島令子です。

 私は、ただいま議題となりました予算委員長野呂田芳成君の解任決議案に対しまして、賛成の立場から討論を申し上げます。(拍手)

 予算委員長を初め常任委員長の職務とは、国会法四十八条並びに衆議院規則六十六条に基づき、委員会の議事を整理し、秩序を保持することにあります。

 しかしながら、野呂田予算委員長は、本通常国会冒頭の二月七日の予算委員会を、野党の合意がないまま強行開会いたしました。そして、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員が欠席する第一委員室において、「皆さんの御推挙によりまして、私が予算委員長に選任されました。」「全力を傾注して公正な委員会運営を図ってまいる所存でございます。」と、与党のみに向かってあいさつを行ったのです。野呂田予算委員長の委員会運営は、その第一歩から二月十九日の公聴会日程の強行採決に至るまで、与党の党利党略だけを優先させた不当きわまりないものでございます。(拍手)

 加えて、野呂田予算委員長が、KSD疑獄、外務省機密費流用問題について、野党が要求している証人喚問等に対し、現在に至るまでこれを放置していることも言語道断であります。野呂田予算委員長が真相究明を求める国民世論の圧倒的な高まりにこたえようとしていないことは明らかでございます。

 さらに、二月九日の審議中には、予算委員ではない自民党林省之介議員が、我が社民党・市民連合の辻元清美予算委員を誹謗中傷する文書を、予算委員長の許可を受けることなく、また辻元予算委員の質問直前に、複数の委員に頒布するという行為を行いました。国会の尊厳を著しく傷つける行為であることが明白であるにもかかわらず、野呂田予算委員長は迅速な対応を行いませんでした。

 林議員のこの行為は国会法四十八条における委員長の職務権限を侵すものであり、野呂田予算委員長は、当然、国会法第百二十一条第二項及び衆議院規則第七十五条に基づき、委員会における懲罰事犯として議長に報告し、直ちに同議員の処分を求めなくてはならないはずでした。自民党の議員の中からですら、毅然たる対応をすべきだという声が出てくるありさまでした。

 二月十六日には、衆参の各党女性議員有志が野呂田予算委員長に対して抗議の申し入れを行い、私も同席いたしました。やっと野呂田予算委員長は、十日後の二月十九日の予算委員会になってようやく、林議員を注意したとの報告を行い、委員長としてもこの種のことに対して今後注意していく旨の発言を行いました。このような対応は、委員長としての厳正な対応とは言えません。

 また、野呂田委員長は、太平洋戦争を美化し、侵略行為を正当化するかのような発言を行ったとされています。こうした放言によって何人の閣僚が、過去、更迭されてきたのでしょうか。アジア諸国の人々に与えた損害と苦痛に対する一片の反省もなく、ひとりよがりな歴史認識を改めない野呂田予算委員長がその任にあること自体、重大な外交問題でもあります。国内向けにしか物事を考えない政治家の発言が実際にはどれほど国益を損ねているのか、おわかりにならないのでしょうか。既に、中国と韓国の外務省からも厳しい非難が発せられています。

 責任ある国際社会の一員として国際協調を促進することこそ、国会議員たる責務であるはずです。政治家たる者、言論の自由のもとにうそや暴言、差別の助長を行うことは許されません。

 厳正、中立、公正を期すべき予算委員長がかかる暴挙暴言を繰り返すことは許しがたいものであります。野呂田予算委員長が解任されるべきは当然であります。

 以上申し述べて、私の賛成討論といたします。(拍手)

議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(綿貫民輔君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(綿貫民輔君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十九

  可とする者(白票)       百八十四

  否とする者(青票)      二百七十五

    〔拍手〕

議長(綿貫民輔君) 右の結果、予算委員長野呂田芳成君解任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

 佐藤観樹君外五名提出予算委員長野呂田芳成君解任決議案を可とする議員の氏名

    安住  淳君    阿久津幸彦君

    赤松 広隆君    荒井  聰君

    五十嵐文彦君    井上 和雄君

    伊藤 忠治君    家西  悟君

    池田 元久君    石井 紘基君

    石井  一君    石毛えい子君

    岩國 哲人君    上田 清司君

    生方 幸夫君    江崎洋一郎君

    枝野 幸男君    小沢 鋭仁君

    大石 尚子君    大石 正光君

    大出  彰君    大島  敦君

    大谷 信盛君    大畠 章宏君

    岡田 克也君    奥田  建君

    加藤 公一君    鹿野 道彦君

    海江田万里君    鍵田 節哉君

    金子善次郎君    金田 誠一君

    鎌田さゆり君    川内 博史君

    川端 達夫君    河村たかし君

    菅  直人君    木下  厚君

    北橋 健治君    釘宮  磐君

    熊谷  弘君    桑原  豊君

    玄葉光一郎君    小平 忠正君

    小林 憲司君    小林  守君

    古賀 一成君    五島 正規君

    後藤 茂之君    後藤  斎君

    今田 保典君    今野  東君

    近藤 昭一君    佐々木秀典君

    佐藤 観樹君    佐藤謙一郎君

    佐藤 敬夫君    鮫島 宗明君

    島   聡君    城島 正光君

    末松 義規君    鈴木 康友君

    仙谷 由人君    田中 慶秋君

    田中  甲君    田並 胤明君

    高木 義明君    武正 公一君

    玉置 一弥君    樽床 伸二君

    津川 祥吾君    筒井 信隆君

    手塚 仁雄君    土肥 隆一君

    中川 正春君    中沢 健次君

    中田  宏君    中津川博郷君

    中野 寛成君    中村 哲治君

    中山 義活君    永井 英慈君

    永田 寿康君    長妻  昭君

    長浜 博行君    楢崎 欣弥君

    野田 佳彦君    羽田  孜君

    葉山  峻君    鉢呂 吉雄君

    鳩山由紀夫君    原口 一博君

    伴野  豊君    日野 市朗君

    肥田美代子君    平岡 秀夫君

    平野 博文君    藤村  修君

    古川 元久君    細川 律夫君

    細野 豪志君    堀込 征雄君

    前原 誠司君    牧  義夫君

    牧野 聖修君    松沢 成文君

    松野 頼久君    松原  仁君

    松本 剛明君    松本  龍君

    三村 申吾君    三井 辨雄君

    水島 広子君    山内  功君

    山口  壯君    山田 敏雅君

    山谷えり子君    山井 和則君

    山花 郁夫君    山村  健君

    山元  勉君    横路 孝弘君

    吉田 公一君    渡辺  周君

    東  祥三君    一川 保夫君

    黄川田 徹君    工藤堅太郎君

    佐藤 公治君    塩田  晋君

    菅原喜重郎君    鈴木 淑夫君

    高橋 嘉信君    武山百合子君

    達増 拓也君    都築  譲君

    土田 龍司君    中井  洽君

    中塚 一宏君    西村 眞悟君

    樋高  剛君    藤井 裕久君

    藤島 正之君    山岡 賢次君

    山田 正彦君    赤嶺 政賢君

    石井 郁子君    小沢 和秋君

    大森  猛君    木島日出夫君

    児玉 健次君    穀田 恵二君

    佐々木憲昭君    志位 和夫君

    塩川 鉄也君    瀬古由起子君

    中林よし子君    春名 直章君

    不破 哲三君    藤木 洋子君

    松本 善明君    矢島 恒夫君

    山口 富男君    吉井 英勝君

    阿部 知子君    今川 正美君

    植田 至紀君    大島 令子君

    金子 哲夫君    菅野 哲雄君

    北川れん子君    重野 安正君

    辻元 清美君    土井たか子君

    東門美津子君    中川 智子君

    中西 績介君    原  陽子君

    日森 文尋君    保坂 展人君

    山内 惠子君    山口わか子君

    横光 克彦君    川田 悦子君

 否とする議員の氏名

    安倍 晋三君    相沢 英之君

    逢沢 一郎君    青山  丘君

    赤城 徳彦君    浅野 勝人君

    麻生 太郎君    甘利  明君

    荒井 広幸君    伊藤 公介君

    伊藤宗一郎君    伊藤 達也君

    伊吹 文明君    池田 行彦君

    石川 要三君    石破  茂君

    石原 伸晃君    稲葉 大和君

    今村 雅弘君    岩倉 博文君

    岩崎 忠夫君    岩永 峯一君

    岩屋  毅君    植竹 繁雄君

    臼井日出男君    江藤 隆美君

    衛藤征士郎君    遠藤 武彦君

    小此木八郎君    小里 貞利君

    小野 晋也君    小渕 優子君

    尾身 幸次君    大木  浩君

    大島 理森君    大野 功統君

    大原 一三君    大村 秀章君

    太田 誠一君    岡下 信子君

    奥谷  通君    奥野 誠亮君

    奥山 茂彦君    加藤 紘一君

    嘉数 知賢君    梶山 弘志君

    金子 一義君    金田 英行君

    上川 陽子君    亀井 静香君

    亀井 久興君    亀井 善之君

    鴨下 一郎君    川崎 二郎君

    河村 建夫君    瓦   力君

    木村 太郎君    木村 義雄君

    岸田 文雄君    岸本 光造君

    北村 誠吾君    北村 直人君

    久間 章生君    熊谷 市雄君

    熊代 昭彦君    倉田 雅年君

    栗原 博久君    小泉 龍司君

    小坂 憲次君    小島 敏男君

    小林 興起君    古賀  誠君

    古賀 正浩君    後藤田正純君

    河野 太郎君    河野 洋平君

    高村 正彦君    左藤  章君

    佐田玄一郎君    佐藤 静雄君

    佐藤 剛男君    佐藤  勉君

    斉藤斗志二君    坂井 隆憲君

    坂本 剛二君    阪上 善秀君

    笹川  堯君    自見庄三郎君

    塩崎 恭久君    七条  明君

    実川 幸夫君    下地 幹郎君

    下村 博文君    新藤 義孝君

    菅  義偉君    杉浦 正健君

    杉山 憲夫君    鈴木 俊一君

    鈴木 恒夫君    鈴木 宗男君

    砂田 圭佑君    園田 博之君

    田中 和徳君    田中眞紀子君

   田野瀬良太郎君    田村 憲久君

    高市 早苗君    高木  毅君

    高鳥  修君    高橋 一郎君

    滝   実君    竹下  亘君

    竹本 直一君    武部  勤君

    橘 康太郎君    棚橋 泰文君

    谷  洋一君    谷垣 禎一君

    谷川 和穗君    谷田 武彦君

    谷畑  孝君    谷本 龍哉君

    近岡理一郎君    中馬 弘毅君

    津島 雄二君    渡海紀三朗君

    虎島 和夫君    中川 昭一君

    中川 秀直君    中曽根康弘君

    中谷  元君    中野  清君

    中村正三郎君    中本 太衛君

    中山 太郎君    中山 利生君

    中山 成彬君    中山 正暉君

    仲村 正治君    長勢 甚遠君

    丹羽 雄哉君    西川 京子君

    西川 公也君    西田  司君

    西野あきら君    額賀福志郎君

    根本  匠君    野中 広務君

    野呂田芳成君    葉梨 信行君

    萩野 浩基君    萩山 教嚴君

    橋本龍太郎君    蓮実  進君

    馳   浩君    鳩山 邦夫君

    浜田 靖一君    林 省之介君

    林  幹雄君    林  義郎君

    林田  彪君    原田昇左右君

    原田 義昭君    菱田 嘉明君

    平井 卓也君    平沢 勝栄君

    平沼 赳夫君    平林 鴻三君

    福井  照君    福田 康夫君

    藤井 孝男君    二田 孝治君

    古屋 圭司君    保利 耕輔君

    細田 博之君    堀内 光雄君

    堀之内久男君    牧野 隆守君

    増田 敏男君    増原 義剛君

    町村 信孝君    松岡 利勝君

    松下 忠洋君    松島みどり君

    松野 博一君    松宮  勲君

    松本 和那君    三ッ林隆志君

    三塚  博君    御法川英文君

    水野 賢一君    宮腰 光寛君

    宮澤 喜一君    宮澤 洋一君

    宮路 和明君    宮下 創平君

    宮本 一三君    村井  仁君

    村上誠一郎君    村田 吉隆君

    持永 和見君    望月 義夫君

    茂木 敏充君    森  英介君

    森  喜朗君    森岡 正宏君

    森田  一君    森山 眞弓君

    八代 英太君    谷津 義男君

    保岡 興治君    柳澤 伯夫君

    柳本 卓治君    山口 俊一君

    山口 泰明君    山崎  拓君

    山本 明彦君    山本 公一君

    山本 幸三君    山本 有二君

    横内 正明君    吉川 貴盛君

    吉田 幸弘君   吉田六左エ門君

    吉野 正芳君    米田 建三君

    渡辺 具能君    渡辺 博道君

    渡辺 喜美君    青山 二三君

    赤羽 一嘉君    赤松 正雄君

    井上 義久君    池坊 保子君

    石井 啓一君    市川 雄一君

    上田  勇君    漆原 良夫君

    遠藤 和良君    太田 昭宏君

    河合 正智君    河上 覃雄君

    神崎 武法君    北側 一雄君

    久保 哲司君    斉藤 鉄夫君

    坂口  力君    白保 台一君

    田端 正広君    高木 陽介君

    谷口 隆義君    西  博義君

    東  順治君    福島  豊君

    冬柴 鐵三君    桝屋 敬悟君

    丸谷 佳織君    山名 靖英君

    若松 謙維君    井上 喜一君

    海部 俊樹君    小池百合子君

    二階 俊博君    西川太一郎君

    松浪健四郎君    宇田川芳雄君

    金子 恭之君    近藤 基彦君

    森田 健作君    粟屋 敏信君

    柿澤 弘治君    土屋 品子君

    徳田 虎雄君    中村喜四郎君

    藤波 孝生君

     ――――◇―――――

議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時六分散会




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