衆議院

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第38号 平成13年6月12日(火曜日)

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平成十三年六月十二日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十三号

  平成十三年六月十二日

    午後一時開議

 第一 測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 第二 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案(環境委員長提出)

 第三 確定拠出年金法案(第百五十回国会、内閣提出)

 第四 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案(厚生労働委員長提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第二 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案(環境委員長提出)

 日程第三 確定拠出年金法案(第百五十回国会、内閣提出)

 日程第四 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案(厚生労働委員長提出)

 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑




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    午後一時三分開議

議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(綿貫民輔君) 日程第一、測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長赤松正雄君。

    ―――――――――――――

 測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔赤松正雄君登壇〕

赤松正雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、測量及び水路測量の基準に関する世界標準化の進展等を踏まえ、所要の措置を講じようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、測量法において、基本測量及び公共測量における経緯度は、世界測地系に従って測定しなければならないこととすること、

 第二に、水路業務法において、水路測量は、経緯度については世界測地系に、その他の事項については政令で定める基準に、それぞれ従って行わなければならないこととすること

などであります。

 本案は、参議院先議に係るもので、去る五日本委員会に付託され、翌六日扇国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、八日質疑に入り、世界測地系への移行が国民生活に与える影響、改正内容の周知徹底を図る必要性等について質疑が行われました。同日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(綿貫民輔君) 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第二 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案(環境委員長提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第二、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案を議題といたします。

 委員長の趣旨弁明を許します。環境委員長五島正規君。

    ―――――――――――――

 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔五島正規君登壇〕

五島正規君 ただいま議題となりました特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。

 本案は、人類共通の課題であるオゾン層の保護及び地球温暖化の防止に積極的に取り組むことが重要であることにかんがみ、オゾン層を破壊し、または、地球温暖化に深刻な影響をもたらすフロン類の大気中への排出を抑制するため、業務用冷凍空調機器及びカーエアコンからのフロン類の回収及びその破壊の促進等に関する指針及び事業者の責務等を定めるとともに、業務用冷凍空調機器及びカーエアコンに使用されているフロン類の回収及び破壊の実施を確保するための措置等を講じようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、この法律において対象とするフロン類とは、CFC、HCFC及びHFCの三種類のフロンとし、対象機器については、第一種特定製品を業務用冷凍空調機器、第二種特定製品をカーエアコンとすること、

 第二に、業務用冷凍空調機器が廃棄される場合において、冷媒用フロン類を回収する第一種フロン類回収業者には、フロン類の引取義務、回収、運搬の基準の遵守義務等を課し、都道府県知事は、必要な指導、助言、勧告、命令をすることができることとすること、

 第三に、使用済み自動車に搭載されたカーエアコンを引き取る第二種特定製品引取業者は、自動車フロン類管理書を添付して、自動車ユーザーから引き取ったカーエアコンを、冷媒用フロン類を回収する第二種フロン類回収業者に引き渡すこととするとともに、第二種特定製品引取業者には第二種特定製品の引取義務等を課すとともに、第二種フロン類回収業者にはフロン類の引取義務、フロン類の回収、運搬の基準の遵守義務等を課し、都道府県知事は、これらの者に対し、必要な指導、助言、勧告、命令をすることができることとすること、

 第四に、特定製品の冷媒フロン類の破壊を行うフロン類破壊業者には、フロン類の引取義務、破壊の基準に従ってフロン類を破壊する義務等を課し、主務大臣は、必要な指導、助言、勧告、命令をすることができることとすること、

 第五に、業務用冷凍空調機器については、廃棄するユーザー事業者が、第一種フロン類回収業者に、フロン類の回収等の費用につき適正な料金を支払うこととすること、また、使用済み自動車に係るカーエアコンについては、第二種フロン類回収業者が、引き取ったフロン類を、自動車フロン類管理書を添付して、自動車メーカー、輸入業者に引き渡すとともに、回収、運搬の費用を請求することができることとし、自動車メーカー、輸入業者は、そのフロン類を引き取るとともに、第二種フロン類回収業者にその費用に関し料金を支払わなければならないこととすること、

 第六に、この法律は、平成十四年四月一日から施行すること、ただし、カーエアコンからのフロン類の回収義務や費用支払いに係る規定に関しては、平成十四年十月三十一日までの間で政令で定める日から施行することとすること。

 以上が、本法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。

 本案は、去る八日の環境委員会において、全会一致をもって成案と決定し、これを委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 なお、本委員会におきまして、本法律案に基づくカーエアコンからのフロン類の回収に関する規定の早期施行等を内容とする、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する件を本委員会の決議として議決したことを申し添えます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(綿貫民輔君) 日程第三とともに、日程第四は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第三 確定拠出年金法案(第百五十回国会、内閣提出)

 日程第四 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案(厚生労働委員長提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第三、確定拠出年金法案、日程第四、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。厚生労働委員長鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 確定拠出年金法案及び同報告書

 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鈴木俊一君登壇〕

鈴木俊一君 ただいま議題となりました確定拠出年金法案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げますとともに、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 まず、確定拠出年金法案について申し上げます。

 本案は、国民の高齢期における所得確保についての自主的な努力を支援するため、新たな選択肢として、確定拠出年金を設けようとするものであります。

 その主な内容は、

 第一に、確定拠出年金は、事業主が労使合意に基づいて実施し、六十歳未満の従業員が加入者となる企業型年金と、国民年金基金連合会が実施し、国民年金の第一号被保険者等が加入者となる個人型年金の二種類とすること、

 第二に、掛金は、企業型年金においては事業主が、個人型年金においては加入者が拠出すること、

 第三に、加入者は、個人ごとに管理された資産について運用の指図を行うこと、

 第四に、加入者が離転職した場合等においては、他の企業型年金または個人型年金に個人ごとに管理された資産を移換すること、

 第五に、加入者の受給権保護等を図る観点から、関係者の行為準則を定めること

等であります。

 本案は、第百五十回国会に提出され、昨年十一月二十八日の本会議において趣旨説明が行われ、継続審査となっていたものであります。

 本委員会においては、五月二十五日坂口厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十九日質疑に入り、六月五日参考人から意見を聴取し、同月八日質疑を終了いたしましたところ、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守党の五会派共同提案により、施行期日を平成十三年十月一日に改める等の修正案が提出されました。討論の後、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案について申し上げます。

 去る五月十一日の熊本地方裁判所におけるハンセン病国家賠償請求訴訟判決について、国は控訴しないことを決定しました。これを受け、各会派間で協議を重ね、また、ハンセン病国家賠償訴訟全国原告団及び全国ハンセン病療養所入所者協議会の意見を伺うなどして、委員長において草案を作成し、昨六月十一日、多数をもって委員会提出の法律案とすることに決定したものであります。

 その主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、本案には、特に前文を付し、らい予防法廃止に至るまでの経緯、悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受けとめ、深くおわびするとともに、ハンセン病の患者であった者等に対するいわれのない偏見を根絶する決意及び本案の趣旨を明らかにしていること、

 第二に、国は、ハンセン病療養所入所者等に対し、その者の請求により補償金を支給するものとし、その請求は施行日から起算して五年以内に行わなければならないこと、

 第三に、補償金の額は、ハンセン病療養所入所者等の区分に応じ千四百万円から八百万円とし、昭和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間にハンセン病療養所等から退所していたことのある者に対する補償金は、ハンセン病療養所入所者等の区分及び退所期間に応じた額を控除した額とすること、

 第四に、本法案による補償金の支給を受けるべき者が同一の事由について国から国家賠償法による損害賠償等を受けたときは、国は、その価額の限度で補償金を支給する義務を免れるものとし、また、国は、補償金を支給したときは、同一の事由について、その価額の限度で国家賠償法による損害賠償の責めを免れるものとすること、

 第五に、国は、ハンセン病の患者であった者等について名誉の回復及び福祉の増進を図るとともに、死没者に対する追悼の意を表するための必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとし、これらの措置を講ずるに当たっては、ハンセン病の患者であった者等の意見を尊重するものとすること

等であります。

 なお、本案施行に要する経費としては約七百億円が見込まれますので、本案の成案を決定するに際しましては、内閣の意見を聴取いたしました。

 以上が、本案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。

 まず、日程第三につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。

 次に、日程第四につき採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、地方自治法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣片山虎之助君。

    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕

国務大臣(片山虎之助君) 地方自治法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。

 地方自治法等の一部を改正する法律案につきましては、住民自治のさらなる充実及び自主的な市町村の合併の推進を図り、もって地方分権を推進するため、地方制度調査会の答申及び地方分権推進委員会の意見にのっとり、直接請求に必要な署名数の要件の緩和、議会制度の充実、住民監査請求制度及び住民訴訟制度の充実、中核市の指定要件の緩和等の措置を講ずるとともに、合併協議会の設置に係る直接請求制度の拡充及び住民投票制度の創設を行い、あわせて、法律において地方公共団体の規則等に委任している事項のうち必要なものについて条例で定めることとするほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。

 以下、その概要について御説明申し上げます。

 第一は、地方自治法の一部改正に関する事項であります。

 まず、直接請求に関する事項として、地方公共団体の議会の解散請求及び長等の解職請求に必要な署名数要件につきましては、現在、有権者数の三分の一とされているところでありますが、これを、有権者数が四十万を超える場合について、四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数に緩和することとしております。

 次に、議会制度の充実に関する事項として、議員派遣の根拠及び手続を明確化するとともに、議会における選挙において、点字投票の導入を図ることとしております。

 また、住民監査請求制度及び住民訴訟制度に関する事項として、住民監査請求について、監査委員による暫定的な停止の勧告制度を創設するなど、審査手続の充実を行うこととしております。住民訴訟については、個人を被告とする訴訟を地方公共団体の機関を被告とする訴訟とするなど訴訟類型の再構成を行うとともに、違法な財務会計行為の差しとめを求める訴訟の対象を拡大し、あわせて、差しとめに当たり公共の福祉との調整を図る規定を設けることとしております。また、住民訴訟における原告の弁護士費用についても、公費負担の対象を拡充することとしております。

 さらに、中核市の指定要件の緩和に関する事項として、人口五十万以上の市については、面積要件を廃止することとしております。

 第二は、市町村の合併の特例に関する法律の一部改正に関する事項であります。

 まず、合併協議会の設置に係る直接請求制度の拡充及び住民投票制度の創設に関する事項として、合併協議会設置の請求に基づく議案が議会で否決された場合に、市町村長からの請求または当該請求がなかった場合に有権者の六分の一以上の署名によって行われる直接請求を要件として住民投票を実施し、過半数の賛成があった場合に議会が可決したものとみなすこととするほか、直接請求により置かれる合併協議会については、請求代表者を委員に加えることができることとするとともに、合併に関する協議の状況を設置後六月以内に請求代表者に通知し、かつ、公表しなければならないこととしております。

 さらに、地方税に関する特例を拡充するとともに、一部事務組合等に関する特例及び流域下水道に関する特例を創設することとしております。

 第三は、法律において地方公共団体の規則等に委任している事項のうち必要なものについて条例で定めることとするものであります。権利義務規制を行うための基本的な規範の定立を地方公共団体の規則等に委任しているものについては、原則として条例に委任することとすべきであるという地方分権推進委員会の意見を踏まえ、化製場等に関する法律等の四本の法律について、所要の改正を行おうとするものであります。

 その他、地方自治法別表の規定等、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、地方自治法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)

     ――――◇―――――

 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。武正公一君。

    〔武正公一君登壇〕

武正公一君 民主党の武正公一です。

 民主党・無所属クラブを代表して、地方自治法等の一部を改正する法律案について質問を行います。(拍手)

 改革断行内閣を掲げる小泉内閣は、間もなく発足二カ月を迎えます。森内閣当時には、景気回復と構造改革は、まず景気回復優先であったのが、竹中経済財政担当大臣いわく、景気回復と構造改革はコインの裏と表、二匹のウサギは一匹であると転換を行うことを言明しています。

 橋本内閣が財政構造改革に取り組み、途中で方向転換した轍を繰り返さず、景気回復と構造改革を実現するためには、一九八〇年代後半からの経済運営や失われた九〇年代の十年の厳しい検証と、その検証により得られた教訓を生かすことが欠かせません。そのことの是非と、どのような教訓を得られたか、お考えをお伺いします。

 日米構造協議で四百三十兆円の公共投資を合意し、九五年には六百三十兆円にかさ上げし、十六分野の公共投資基本計画を進めてきたことは見直しが必要です。例えば、事業費一千兆円と言われる四全総で、道路公団の予定路線は、七千六百キロを一万一千五百二十キロに延ばしました。今、原点を四全総の策定時点に戻して、公共投資の考え方の転換が必要ではないでしょうか。

 以上、竹中大臣と塩川財務大臣の御所見を伺います。

 平成十四年度予算で国債発行額を三十兆円に抑えることを掲げる小泉内閣は、道路特定財源の見直しを、地方交付税の見直しを挙げました。しかし、所信表明でも、「財源問題を含めて地方分権を積極的に推進するとともに」の二十五文字しかなかったように、地方分権ということでは小泉内閣の顔が見えません。

 民主党は、地方分権を徹底する中で、地方における雇用の受け皿を、福祉、環境、NPO産業に求めています。さらに、緑のダム構想にて、山の手入れを継続的に行うことによる雇用の創出も提案しています。そして、百花繚乱の地方(まち)をつくることで、地域地域の個性的で自立した産業や経済が生まれ育つと考えます。

 きのう、素案が示され、今月末には骨太の方針を打ち出す経済財政諮問会議の担当大臣である竹中大臣に、景気回復と構造改革における国と地方の役割分担をどのようにお考えか、伺います。

 あわせて、経済財政諮問会議で本間委員が指摘したように、国債発行額を抑えた分を地方債発行という抜け道をとらないことの確認を塩川大臣にさせていただきます。(拍手)

 次に、道路特定財源は平成十三年度で五兆五千億円、地方自治体分はそのうち二兆三千億円になります。道路特定財源の見直しが地方税収に与える影響を心配する声があります。

 先週の党首討論でも、小泉首相は、見直すと言ったら見直すんだ、しかし、具体的な中身は参議院選挙後の一点張りでありました。

 宮澤前財務大臣は、経済財政諮問会議が依頼して、経済社会総合研究所がつくる複数の財政再建のパターンをこの夏、提示する、それを国民が選択すると述べています。この中には、歳入構造の見直しとして、消費税の税率のアップなどが想定されると言われています。

 増税はしないと言う小泉首相ですが、この財政再建のパターンも、この夏、すなわち参議院選挙後に明らかになります。いわゆる小泉改革の是非を国民に仰ぐならば、少なくとも道路特定財源の見直しの具体的な内容は参議院選挙前に明らかにすることが小泉内閣の責務と考えますが、いかがでしょうか。(拍手)

 また、この見直しは、政府、自治体あわせて、公共事業の見直しの一環としての措置と考えてよいのかどうか、伺います。

 さらに、消費税の税率アップなどの増税は行わず、例えば電波のオークション制の実施などにより歳入増を図ることについての御所見を伺います。

 以上、塩川大臣のお考えはいかがでしょうか。

 次に、地方交付税について伺います。

 塩川財務大臣は、基準財政需要額の算定の見直しを行うと述べました。これについては、片山総務大臣も同意をされています。基準財政需要額の算定の見直しを行うことは、法律の改正を必要とします。関連法案は十五本あります。平成十四年度予算に反映させるにはどのようなスケジュールで改正を行うのか、財務大臣と総務大臣の御所見を伺います。

 三割自治と言われた地方自治体の財政も、今、歳入総額に占める地方税割合は、平成十一年度決算で、一〇%以下が二六・八%、二〇%以下が五六・一%、三〇%以下が七四・六%を占めます。六次にわたる政府の総合経済対策の下請を自治体が担い、地方単独事業を進め、地方債が二・七倍の百八十八兆円になったこと、政府の補助金、負担金、交付税のうち、特に交付税で後年度の地方債の元利償還を見てもらう措置に乗り、歳出を膨らませてきたことが理由です。財政の硬直化を招いています。

 政府は、地方自治体の財政力を高めるねらいから、市町村を千に統合しようとさまざまな優遇策を講じてきました。本法案では、市町村合併を進めようという視点から、合併協議会に当該請求を行った代表者を加え、意見陳述の機会を義務づけるなどの改正は、当たり前といえば当たり前でありますが、これまでできていなかった点から、評価するものであります。

 そもそも、合併が進まない理由はどこにあるかということは、合併しなくても自治体の運営に支障はないという点にあります。すなわち、全国三千三百市町村のうち人口が一万人以下の町村が約五割を占めています。また、交付税制度は、基準財政需要額と同収入額の差のため、支出を減らそうとか収入をふやそうとかの自治体の経営努力を促進する仕組みになっていません。

 民主党は、政権獲得後、翌年度の補助金等を全廃し、使途を問わない一括交付金にします。そして、五年後、税源を移譲するとともに、自治体間の財政調整は、人口と面積要件により算定した交付金を考えています。

 片山大臣は、余りに複雑でわかりにくい地方交付税の算定方式の簡素化を打ち出し、特に、本年二月二十七日の総務委員会では、「人口が少ない方が一人当たりの交付税額はかなりふえていますから、こういう状況をいつまでも続けるかどうか検討させていただきます。」との答弁がありました。しかし、第九回経済財政諮問会議では、遠藤副大臣が出席し、片山総務大臣のメモとして、「受益者の適正な負担」と「段階補正の縮小」を、骨太の方針の見出しから削除を求めています。その真意をお聞かせください。

 次に、地方税の充実について伺います。

 地方の税財源の充実強化は避けて通れません。民主党は、歳出面で政府と自治体が四対六、税収面で六対四の現状を、五対五に見直すことを打ち出してきました。片山大臣は、景気が回復したら地方への財源の移譲が可能と発言され、議論を始めると言われ、赤字地方債も三年に限って発行したように、三年たったら景気は回復するとの答弁がありました。小泉内閣になり、景気回復と財政構造改革は一匹のウサギと認識を転換された今、どのようなスケジュールで地方税の税源移譲を考えていますか。御所見を伺います。

 同じく、塩川大臣に、地方税の税源充実について伺います。

 次に、住民訴訟について伺います。

 住民の訴訟対象を自治体の長から自治体などの機関にしようという改正は、全国市長会などから、百万円以下が七〇%強を占める弁護士費用立てかえの点からも要望が出ていたことであります。しかし、職員の不正については、二段階で自治体の長が訴えることにより裁判結果のおくれが懸念されます。また、市長がかわった場合、前市長の不正をただす裁判を現市長の市相手に起こし、第二弾として、現市長の市が前市長を訴えるという仕組みになります。

 また、差しとめ請求は、公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときはできないことになっていますが、いわゆる公共事業の差しとめ請求ができなくなるのではないかという指摘もあります。

 また、官製談合については、自治体が費用を持って訴訟することに疑問の声が上げられています。さらに、相手方を削除したことにより企業の責任を問えないという指摘もあります。わかりやすく言うと、談合に加わった職員の弁護費用などを税金で負担することにより、談合した職員及び相手方の弁護に当たり公費を使い、談合を追及する住民と対抗することになります。

 一方、自治体が第二弾で自治体の長を訴えるときは、代表監査委員が務めることになります。代表監査委員の自治体の長からの独立性や事務局体制の充実が担保されなければ、実効性は乏しいと考えます。

 以上の指摘について、片山総務大臣の御所見を伺います。

 また、住民監査請求制度における監査委員と外部監査人の権限を強化した点は、地方分権における自治体運営のチェック機関としての役割を認識した結果と評価するものであります。

 そこで、過日、本院を通過した行政評価法における国の委任または補助にかかわる政策評価のうち、自治体分に関しては、行政評価・監視の連携のもと、監査委員及び外部監査人との協力体制が必要と考えますが、総務大臣の御所見を伺います。

 小泉内閣は国民の圧倒的な支持を受けています。政治に対する関心も高まっています。その手法は、首相のリーダーシップをもって方向性や具体的な政策を国民に示し、その国民の支持を確認して、トップダウンで進めようとしています。

 であるならば、国権の最高機関である国会の議論を通じて、わかりやすく国民に小泉内閣の目指す方向性や具体的な政策を伝えるべきであります。党首討論の時間が四十分では説明責任を果たしていないと考えますが、いかがでしょうか。(拍手)

 また、今通常国会のNOx法審査や行政評価法審査で明らかになった各省間の覚書は法律に書き込むべきであり、省庁間の問題点は国会の議論の土俵にのせることで、行政をわかりやすくするべきであります。官房長官の御所見を伺います。

 最後に、国民に痛みを求めるという小泉首相の痛みを求める国民とは、政官業の癒着で守られてきた族議員であり、組織防衛に努める縦割り官庁であり、既得権益を持つ業界、団体であるはずで、決して一人一人の国民に安易に痛みを求めてはならないということを最後に申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕

国務大臣(竹中平蔵君) 私に対しては三つの質問があったかと思いますので、お答えさせていただきます。

 第一は、失われた十年の検証と、それにより得られた教訓についてであります。

 二点申し上げたいと思います。

 最大の政策上の教訓は、やはり資産デフレ、大幅な資産デフレの影響というのを私たちの社会全体が過小評価してしまったということではないかと思います。これについては、九二年から九四年までの成長見込みを非常に高く政府見通しが見積もっていたということの中に象徴的にあらわれていると思いますが、同時に、民間のシンクタンクも同じような高い成長見込みをその当時、掲げていました。その意味では、社会全体の資産デフレというものに対する知的なストックが不足していたということを、これは学者も含めて、ジャーナリズムも含めて恥じるべきだというふうに考えます。

 政策に関してもう一点申し上げますことは、九七年から九八年にかけて一種の危機的な状況が起こってしまった、危機的な状況が起こりますと、これは、なりふり構わず財政金融の政策を発動せざるを得なくなる、それによって、しかし一方で、非常に大きな財政の負担、赤字の負担を負ってしまったということではないかと思います。その意味で、そういった政策を受けて、安易に需要の拡大に頼らない構造的な政策が今求められている、それをぜひ実行したいというふうにも認識するわけであります。

 第二の質問は、公共投資基本計画と公共事業関係長期計画についてのお尋ねであります。

 これらの計画は、国民が豊かさを実感できる社会に向けて、社会資本の整備という点でそれなりの大きな役割を果たしてきたということは間違いありません。しかし一方で、資源配分を硬直的なものにしたというような批判も、これは十分にやはり傾聴に値するわけであります。結局のところ、社会資本については、新しい時代の変化に対応して、やはり効率的で重点的な配分を進めなければいけない、そのための新しい仕組みづくりをしなければいけないということに尽きると思います。

 骨太の方針では、そういった社会資本の問題というのを非常に大きなテーマの一つと位置づけておりまして、幾つかの議論を最終的に、今、詰めているところであります。六月末の骨太の方針の中で、このような議論をさらに詰めていきたいというふうに考えます。

 第三の、国と地方の関係についてのお尋ねであります。

 国の過度の関与を縮小して、自立した地方が多様な個性と創造性を発揮して競争していくということが、地域の活性化につながるし、同時に効率的な資源配分ももたらすということは、もう間違いないと思います。

 個性ある地方の競争ないしは自立した国、地方の関係の確立等、こういったテーマに基づいて、経済財政諮問会議の骨太の方針の中では、国と地方のあり方を根本的に再検討しております。受益と負担の明確化という観点からこの議論を今、詰めているところでありますので、骨太の方針に沿って御報告をさせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕

国務大臣(塩川正十郎君) 武正議員にお答えいたします。

 短い時間で随分とたくさん御質問されましたので、ひょっとしたら答弁漏れがあるかもわかりませんが、十分注意してお答えいたしたいと存じます。

 まず、第一点のお尋ねでございますが、八〇年代後半からの日本の経済の運営はどうであったかということについてでございます。

 竹中大臣が先ほどお答えになりましたので、重複を避けまして、私の感想を申し上げますと、九〇年代になりましてから日本の経済も変わってまいりましたが、しかしながら、右肩上がりの、それ行けどんどんの経済方式で依然として景気対策をやってきたということは間違いなかったと思うのです。それが効果がなかったということではございませんけれども、それがために経済の構造改善は余り進んでいなかったと思っております。

 しかしながら、いつまでも右肩上がりではございませんので、そこで、根本的に経済の構造を変えなければならぬ、財政の構造も変えなければならぬということで、今回、小泉内閣が「聖域なき構造改革」ということをテーマにして登場いたしましたのは、その使命感をしょっておることだと思っておりますので、私たちも、これからの制度の改正と同時に、その改正した、規制緩和をしたその力をもって新しい経済の力をつくっていきたい、こう思っておる次第でございまして、構造改革をしながら景気回復に懸命の努力をしていきたいと思っております。

 それから、二番目のお尋ねであったと思うのでございますけれども、日米構造協議において六百三十兆円の公共投資をして、十六本の公共投資計画を進めてきた、この見直しをどうするかということでございます。

 確かに、長期計画をつくりまして公共事業を進めたことが、そのことが予算に対して大きい硬直状況をつくったということは、これは事実であろうと思っておりますけれども、これによって、日本の経済基盤、社会基盤はしっかりした、基礎を固めたということもまた事実でございます。

 ここにおいて、公共事業のあり方等についても、やはり財政を拘束しない、硬直させない範囲において、軽重をわきまえた、けじめのある投資をしなければならぬということでございまして、その見直しにつきましては、法律で裏づけられておるところの長期計画は、これを推進いたしますけれども、しかし、法律に裏づけられておらない長期計画につきましては、今後においてのその効用等を十分見定めて、計画の練り直しをいたしたいと思っております。これにつきましては、現在進められておりますところの経済財政諮問会議において十分な検討をいたすつもりでございます。

 それから、道路財源についてのお尋ねがございました。

 道路財源は一般財源化するということを一つの目標にいたしております。

 確かに、道路財源が設定されましたその当時から見まして、現在の道路財源が経済的に、あるいは地域開発的に果たしていく役割というものも相当充実してまいりましたし、また、変わってまいりました。したがって、ここ五十年近く続けてまいりました道路特定財源の使い方につきまして、もう少し幅広く、いわば私たちの生活、あるいは地域の密集地帯における解消のために使うべきではないかと思うのでございまして、道路特定財源の創設された使命を尊重しながら、これの多様化を図っていきたい。

 その上におきまして、さらに、一般化への問題は将来の問題といたしまして検討し、必ず一般財源化してやっていきたいと思うのでございますけれども、そのためには、ガソリン税あるいは重量税等を納税していただく方々の御意向も十分に参酌しなければならぬと思っておりまして、せっかちな改正というよりも、十分納得のいく方法で一般財源化へ進めていきたいと思っております。

 それから、非常に関心の高い御質問でございましたが、例えば電波オークションの制度を実施してはどうか。

 これはなかなか新しい提案でございまして、私もこれは注目しておるところでございます。ちょっと静かに聞いてください。

 増税を行わずに、例えば電波オークション制度を実施して歳入を図る、これはなかなかいいアイデアだと私は思っておりますし、構造改革なくして景気回復なしと言っているその考え方にも合致するものだと私は思っております。

 つきましては、この電波オークション制度の実施につきましては、これは所管が私、財務省じゃございません、総務省の関係になるのじゃないかと思いますので、総務大臣、来ておられますので、後でお答えいただければ結構かと思っております。

 それから、地方交付税に関して、基準財政需要額の見直しのためには法改正が必要と考えるが、平成十四年度に向けてどのようなスケジュールで見直すのか、こういう御質問でございまして、これは非常に私たちの関心の高いお尋ねでございます。

 小泉内閣としては、財政構造改革に取り組む中で、十四年度並びに十五年度の予算編成に当たっては、国と地方が協力して、聖域なく歳出を見直していき、その歳出の中で行政単価を一度根本的に見直してみたい、そして経費の節約を、確実に実りをとっていきたいと思っております。

 地方交付税につきましても、こうした観点を踏まえまして、予算の編成過程及び地方財政計画の策定を通じて、市民が要求するところの最小必要な行政要求に対しまして、そういうものを十分に見直した上で、地方歳出について聖域なき見直しを行う。そして、所要の交付税額を決定して、これは保障いたしますけれども、しかしながら、交付税の中で、地域において相当相違あるもの等は、これは修正していかなきゃなりませんし、また、交付税の配分につきましても、ニーズの高いところとそれの濃淡によりまして、新しく交付税をし直すということも必要ではないかと思っておるのでございまして、要するに、国も節約いたしますから、地方も十分に節約していただきたいというのが私たちの趣旨でございます。(発言する者あり)したがって、それに伴って法改正をいたしますということでございます。

 地方への税源移譲と地方税の充実に関する私の所見を問うということでございます。

 地方税財源につきましては、国と地方を問わず、やはり行政の最低限はどの程度のことなのか、過大化していきますところの行政需要というものを限りある財源で賄い切れるものでございませんので、この際に、シビルミニマムあるいはナショナルミニマムというものをしっかりと見定めて、歳出水準を考えていくべきだと思っております。

 それから、八〇年代後半から……(発言する者あり)質問が多かったのでね。――交付税、補助金等を削減して、税源の移譲により国税を減税し、その分、国の交付税総額と減らして、財政構造目標の三十兆円以下にできるようにして、そして地方に財源を移譲したらどうだろうかということであります。

 税金というものは、全部、国民に払っていただくものでございまして、それを国と地方とに分けておるのでございますが、財源の移譲といいましたら国から地方へ移すということでございますから、移していったら国が減るのは当然でございます。そうすると、国の財政も困る。

 したがって、これからの見直しの必要なのは、国と地方との財源をどう配分するかということでございまして、移譲ではなくて、私たちは、配分のことについて協議をしよう、それによってお互いのニーズとして沿うところの財源を確保したらいいではないか、こう思っておるのでございまして、これは、経済財政諮問会議の中で必ず検討していただいて、適正な方向を出していただくようにいたしたいと思っております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕

国務大臣(片山虎之助君) 武正議員から何点かの御質問がございましたので、順次お答え申し上げます。

 まず、地方交付税の見直しに係るスケジュールでございます。

 先ほども財務大臣からお話ありましたが、地方交付税というのは、毎年度の地方財政計画を策定する際に、その年度の地方交付税を幾らにするか、こういうことが決まるわけです。地方財政計画は、御承知のように、すべての地方団体の収入と支出を集約いたしまして、その結果、毎年度かなりな財源不足額が出る、それを地方交付税で埋める、こういうわけでございまして、今は、国税五税の一定の比率を交付税にいたしておりますけれども、それで足りればもちろん結構でございますけれども、足りない場合にはいろいろな手だてでそれを補てんしていく、こういうことにいたしております。そこで、交付税が決まりましたら、その交付税を算定する技術的ないろいろな基準として、基準財政需要額と収入額の中身を固めていくわけであります。

 基本的には、まず地方の歳出をどうするかということ、収入がどのくらい見込めるかということ、その差額を地方交付税で補てんして、それを基準財政需要額、収入額という技術的なやり方で中身を固めていく、こういうことでございまして、これは毎年度、予算編成のときに内容は固まる、こういうふうに御理解を賜りたい、こう思っております。

 それから、地方交付税のこと等につきまして、経済財政諮問会議で、おまえの方から意見を出したではないかと。

 実は、二点出しました。武正議員の言われるとおりでございまして、一つは、「受益者の適正な負担」という項目は落としてくれと。

 これは、公共事業の地方負担額に対する交付税措置の記述でございますけれども、同じことがよそにもあるのです。それともう一つは、地方の歳出を切り込むためには、地方の歳出の七割は国絡みなんです、公共事業、社会保障、教育で。この国の歳出の方の見直しがなければ、地方の歳出そのものの見直しはないのです、実は七割がそうですから。

 そういう意味で、むしろ公共事業の見直しの方が先なので、ここで麗々しく、受益者負担の云々というのは、落としておいた方がまとめとしてはいいのではないか、こういう意見を申し上げたわけであります。

 それから、「段階補正の縮小」は、これは御承知のように、規模の小さいところを優遇する補正でございまして、このものの見直しはいたします。私は、段階補正の時代的な要請は満たしてきた、こう思っておりますから、現時点で見直す必要があると思いますけれども、これを経済財政諮問会議のあそこにかけますと、市町村合併のためにこれを一つのてこにするのじゃないか、こういう疑心暗鬼を市町村の方に持たれるといかがかな、こう思いまして、削除を求めたわけでございます。

 なお竹中大臣の方と調整いたします。

 それから、二兎・一兎論というのがありまして、おまえは税源移譲は景気が回復してからだと言っておったけれども、今、変わったのかと。

 私は、基本的に変わっておりません。ただ、国から地方への税源移譲は、議論をこれから始めます、もう既に議論をいたしておりますけれども。

 そこで、今、財務大臣は、税財源の再配分だ、こう言いましたけれども、我々は、今、国と地方は税を六対四で分けているのです。国が六割、地方が四割。ところが、実際の仕事は、地方が三分の二やっているのですね、国が三分の一で。国が収入の六割を取りながら仕事は三分の一、地方は収入の四割で仕事は三分の二で、ここに、受益と負担といいますか、収入と支出の乖離があるので、これをできるだけ詰めたい、できれば五対五ぐらいが一つの考え方ではなかろうか、こう思っておりますから、再配分でも税源移譲でも、地方の取り分をふやすということが我々の考え方でございまして、その議論は、地方分権の今、私はすぐ始めなきゃいかぬと思います。

 ただ、現実問題として、御承知のような財政状況ですから、それじゃ、来年度すぐなるかどうかということは、今それを盛んにあれしても、やや現実的ではないのではなかろうか。議論は始めます、しかし、それはやはり景気回復との関係が相当ある、こういうことを申し上げているわけであります。

 それから、住民訴訟につきましては、大変細かい質問がございましたので、要約して答弁させていただきます。

 まず、今回の改正による裁判結果のおくれの懸念についてはと、こういうことでございます。

 今回、二段階にしたわけですね。執行機関にまず訴訟を起こしていただいて、そこで勝訴、敗訴の場合に、当該本人に執行機関が求償する、こういう仕掛けにしたわけでありますが、第一段階目の訴訟において、執行機関等から長や職員個人、当該当事者に対する訴訟告知を義務づけておりますから、訴訟が長期化するおそれは、私は、ないものと考えております。

 また、前市長の行為について執行機関としての現市長を訴えることや、官製談合等の事例について地方公共団体が弁護士費用を負担することにつきましては、いずれも、当該行為が適法か違法かの判断が、訴訟を起こされた住民の方と執行機関の間が違うわけでありますから、執行機関を相手に争うことが私は適当であると考えております。さらに、執行機関を被告とすることにより、将来の予防や類似の違法行為の是正のための措置を講じやすいという利点もあると考えます。

 また、差しとめ請求の制限につきましては、「人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるとき」というふうに法律が書いておりますから、極めて例外的な場合でございまして、公共事業がすべてこれに当たるということはあり得ないわけであります。

 また、企業の責任を問えないのではないかということでございますけれども、新しい四号訴訟は、団体が企業に対して有する賠償金等の請求をすることを執行機関に求めるものでございますから、企業そのものの責任は従前と同じでございます。

 代表監査委員が提起をする訴訟は実効性が乏しいのではないかということにつきましては、代表監査委員は、第一段階目の訴訟の裁判で決められた額の訴訟の提起そのものを義務づけられておりますから、御指摘の懸念は当たらないものと考えております。

 次に、政策評価法、国の行政機関が行う政策評価について、地方団体の補助事業、委託事業についてはどうか。

 私は、それを各省庁がみずからの政策評価として、地方団体に対する補助や委託の事業について、いろいろ調査される、評価されるということは結構なことだと思っております。その場合には、外部監査人なりあるいは監査委員さんと、必要な情報や意見の交換をやる、共同の研修を行うこと、一緒にやる、これは大いに結構なことではなかろうか、こう私は思っておるわけであります。

 それから、電波免許のオークション制の導入については、これは総務委員会等で盛んに議論されておりますが、これは大変なメリットもあります。電波というのは国民共通の資産といえば資産でございますから、これを高く売る方がいいという議論は確かにあるのですが、よその国で、オークションをやっているところで大変弊害が出ておりますから、そういうものをつまびらかに検証した結果、日本としてはどういうあり方がいいのかという結論を、できれば二〇〇五年までに出したいということで、現在、検討に入っているところでございます。

 以上、御理解を賜りたいと思います。(拍手)

    〔国務大臣福田康夫君登壇〕

国務大臣(福田康夫君) 武正議員にお答えをします。

 まず、党首討論に関してでございます。

 国会において政府としての考え方を説明し、あるいは議論を重ねていくことは、国民の前に争点を明らかにし、国民の政治への関心を高めるために重要なことであり、国政を預かる者としての責務であると心得ております。

 御指摘のありました党首討論の時間に関しては、いろいろな見方はございますけれども、党首討論のあり方全般について国会改革の一環として国会において決定されたものであり、国会において御議論をいただきたいと思います。

 次に、法律案の提出に際してのお尋ねがございました。

 内閣提出の法律案については、所管省庁において、法律案の目的等を踏まえ、そこに盛り込むべき事項について必要な検討を行った上、これを法律案に規定して提出しているところでございます。

 いずれにせよ、法律案について、国会の場において十分な御審議をいただく中で、国会からのお求めがあれば、所管省庁において、資料の提出や説明など、できる限り協力してまいる所存であります。(拍手)

    ―――――――――――――

    〔議長退席、副議長着席〕

副議長(渡部恒三君) 黄川田徹君。

    〔黄川田徹君登壇〕

黄川田徹君 私は、自由党を代表して、ただいま提案のありました地方自治法等の一部を改正する法律案に対して質問をいたします。(拍手)

 冒頭、さきの大阪教育大学教育学部附属小学校における殺傷事件で、犠牲になった八名の児童の御冥福をお祈りいたしますとともに、御家族の方々に心よりお悔やみを申し上げます。また、重軽傷を負われた方々の一刻も早い回復を願うものであります。

 今後は、政府に、池田小学校の校舎の建てかえや児童の対策を早急に実施することを要請するとともに、私として、一部勢力の反対により立法化が断念されている、他人に危害を加えるおそれのある者を隔離、治療する保安処分の立法化に向け努力する決意であることを表明しておきます。

 しかしながら、この問題の本質は、単に法改正すればいいなどというものではなく、この十年間、経済の停滞を招き、教育制度を放置し続けてきたことによる社会の荒廃をもたらした結果が根底にあるのであり、政治の責任はまことに重大であるということを、あえて指摘しておきたいと思います。(拍手)

 さて、本題に入りますが、まず申し上げたいことは、私が以前から委員会等で指摘していることであります。

 政府・与党の方々も皆、こぞって、地方自治の確立を声高々と主張されておられます。ぜひ、地方分権確立のために与野党を問わず協力して、本当の意味での地方自治の確立を実現させたいものであります。

 しかし、なぜか、政府・与党の方々が豹変してしまう事例があります。それは、国政選挙等における選挙演説などであります。

 国政選挙においては、与党候補者たちの多くが、中央とのパイプが直結していると声高々に叫び、訴えております。また、その選挙に応援に行く総理、閣僚や自民党の幹部の方々が恥も外聞もなく言い放つ、何々候補が当選することによって何々事業が実現されるとか、省庁を挙げて応援しているなどという言葉などは、いやが応でも、中央の地方支配や官僚の民間支配を如実に示しているのではないでしょうか。

 本当に地方自治を尊重し、地方自治を確立させようと考えているのであれば、まず、次期参議院議員選挙から、このような地方自治を否定するような選挙演説や応援演説はやめることから始めるべきであると考えますが、総務大臣及び政治家の立場としての官房長官の御意見をお伺いいたしたいと思います。(拍手)

 次に、地方財源の問題について伺います。

 小泉総理は、将来の財政支出増要因として、社会保障経費、地方へ交付される経費、公共事業費の三つを挙げておられました。具体的な削減方法を伺うには至っておりませんけれども、地方交付税の減額も視野に入れていると聞いております。しかし、一方では、地方債等の残高が平成十三年度末の見込みで百八十八兆円にも上り、多くの地方公共団体がその返済のために血のにじむ思いをしている現状もあるのです。

 地方行政のあるべき姿と、それに必要な抜本的な地方行財政制度の改革の議論のないままに、ただ単純に地方交付税を減額することは、赤字財政に苦しむ地方公共団体に死を宣告する行為であります。

 まず、総務大臣に、小泉総理が主張されている地方交付税の減額問題に対するお考えをお伺いいたしたいと思います。

 また、地方公共団体に対する国の補助金制度及び広範囲にわたる国の公共事業が、地方自治の本旨を妨げ、特色ある地域づくりを阻害しているだけではなく、一部の地域においては政治と行政、業界団体の癒着の温床となっていることは、言うまでもありません。

 これらの構造的な問題を解決するためには、国と地方を通じた税財源の再配分を断行することが必要であります。そのためには、まず、国の事業補助金や負担金を原則として廃止し、その分の財源を地方公共団体に移譲することを早急に実施するべきであります。

 なお、最近、道路特定財源の一般財源化が問題となっておりますが、単に、国土交通省の利権が財務省の利権になるだけにすぎません。地方公共団体の道路事業などに代表されるさまざまな事業補助金を一括して地方に交付することによって、構造改革の名に値する、地方分権のための施策になると考えます。

 これら国と地方を通じた税財源の再配分問題について、特に、国の事業補助金や負担金を原則として廃止し、その分の財源を地方公共団体に移譲することについての総務大臣及び財務大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。

 それでは、次に、順次、本法律案の具体的内容についてお聞きいたします。

 まず、住民監査請求制度、住民訴訟制度について伺います。

 地方分権の推進のためには、行政が住民に対して情報公開や行政評価等の説明を充実するとともに、住民による行政の監視機能の強化などの施策を実施する必要があります。よって、住民監視制度において重要な役割を果たしている住民監査請求制度や住民訴訟制度についても、地方分権の時代に即した、ふさわしい制度となるように、その機能を一層充実させなければなりません。

 この観点からも、今回の改正によって、住民監査請求制度に監査委員による暫定的な停止の勧告制度を創設したこと、監査時の意見聴取の場への請求人の立ち会いを認めたこと、住民訴訟制度において四号訴訟に限られていた原告勝訴時の弁護士費用の公費負担の対象をすべての訴訟類型に拡大したことなどは、当然であると思われます。

 また、今までの四号訴訟においては、住民が、長や個人を被告として、その財務会計上の行為についての個人責任を追及するという形をとりながら、実質上は、地方公共団体の政策判断や意思決定について、その合法性、違法性を争う事例がありました。この場合だと、長や職員が個人として、住民と政策判断の是非を裁判で争わねばならず、しかも、その費用も自己負担であるという問題点が指摘されておりました。

 今回の改正で、新四号訴訟の被告は地方公共団体の執行機関になるなどの改善がされたことは、一定の評価ができるものでありますが、別の観点から見ると、長や職員の個人の不法行為についても責任を隠すことになるのではないかとの指摘も出ております。この点について、総務大臣の見解をお伺いいたします。

 次に、市町村合併の推進について伺います。

 地方公共団体を真の地方分権の担い手とするには、市町村の合併を強力に推進し、一定規模の行財政能力を持つ地方公共団体をつくることが必要であります。これは、住民サービスの観点からも一目瞭然であります。介護制度などを例に見てもわかるように、一定規模の行財政基盤を持たない市町村が単独では行えない事業は多々あります。

 しかしながら、市町村合併は思うように進んでいないのが現状であります。

 市町村合併を行うための過程としては、まず、当該市町村や住民の発議により合併協議会を設置しなければなりませんが、今までは、住民発議が行われても、当該議会の反対などにより、合併協議会設置に至らない場合が多く見られました。

 その観点から、今回の改正案で、住民発議による合併協議会設置の議案が議会で否決された場合に、住民からの直接請求により合併協議会の設置の有無に対する住民投票が行えるようになることは、地域住民の意向がより反映されることになると思われます。

 ただ、合併についての最終判断は、従来どおり、長と議会が決定するという問題点が残されたままになっております。合併によって定数削減の対象となる長や議会が、その地位を守るためと住民から誤解を受けないためにも、この点について、迅速に改善すべきであると考えます。

 なお、市町村合併についての今回の改正案は、あくまでも技術的な面における改正にすぎず、今後、早急に地方公共団体の再編に対する抜本的な改革案を策定、提示しなければならないことは言うまでもありません。

 自由党は、地方公共団体を当面千に、最終的には三百に再編するということを主張しております。確かに、地方自治の本旨にのっとると、市町村合併は当該住民の意向に任せるべきではありますが、国としても、市町村合併を進めた上での最終的な地方公共団体のあり方等についての青写真は策定しておくべきであります。

 市町村合併についての総務大臣の具体的な考えをお聞きいたしたいと思います。

 次に、中核市指定のための要件緩和について伺います。

 中核市制度は、地方分権を積極的に推進することを目的として、第二十三次地方制度調査会の広域連合及び中核市に関する答申を踏まえて、平成六年の法改正により創設されたものでありました。そして、既に二十七市が指定を受けており、地方分権の推進に大変役立っております。

 ただ、中核市の指定条件として、人口が三十万人以上かつ面積が百平方キロメートル以上であることとの要件が定められております。確かに、それぞれの市の規模により事務能力が異なることを考慮すると、人口要件は必要であると考えます。しかし、面積要件については疑問が残ります。

 今回の改正では、人口五十万人以上の市については面積要件を撤廃するとしていますが、その理由が、対象となる市が三市しかないから都道府県の行政サービスの提供が非効率にはならないということでは、地方分権の趣旨を全く無視した、本末転倒の話であると断ぜざるを得ません。

 人口が三十万人以上の市においては、面積の大小はあったとしても、行政需要のまとまりや行財政能力などの事務能力については、ほぼ同等のはずであります。この際、地方分権推進の観点から、中核市指定の条件から面積要件を撤廃すべきと考えますが、総務大臣の見解をお伺いいたします。

 最後に、一言申し上げます。

 現在、地方自治は、民主主義のかなめとして、制度的には確立しております。現行憲法においても、第八章という独立した章を設け、地方自治に関する諸原理と基本的制度を保障しておりますが、あくまでも、制度的に保障されているだけにすぎません。地方の自立性が阻害されている現状は言うまでもなく、早急に、本当の意味での地方自治を確立する必要があります。

 自由党は、中央が許認可権や補助金等で地方を縛り、陳情政治や官官接待等で国民の税金の膨大なむだ遣いを生んでいる現状を改め、地方のことはそこに住む住民自身が決定できる地方分権社会をつくるために全力を尽くすことを表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕

国務大臣(片山虎之助君) 黄川田議員から何点かの御質問がありました。順次お答え申し上げます。

 冒頭、お話がございましたが、やはり二十一世紀の大きな課題は、私は、地方自治の確立である、地方自治のさらなる尊重である、地方分権の推進である、こう思っておりまして、そういう方に国会議員にたくさん出てきていただければ大変ありがたいなと。そのためには、その地方の事情に熟知して、その地方を愛して、その地方のために頑張ろう、こういう人がいいわけでございますから、そういう点をさらにすべての皆さんによく御理解を賜りたい、こういう趣旨で、そういう意味での啓蒙を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。

 地方交付税の減額問題です。

 総理は、地方交付税を減額する、削減するとは言っていないのです。地方の歳出も「聖域なき構造改革」ということで見直す、場合によったら、見直して歳出を削減する、交付税については見直す、こう言っておられるわけでありますが、それが、一部のマスコミの不正確な報道によって、ストレートに地方交付税の減額ということになっていると私は思います。

 前の方の質問にも答えましたけれども、地方交付税は、一律に削減するというような、国の歳出と同様のものじゃないのですね。今言いましたように、地方財政計画を策定する中で、地方の財源不足を国の責任で補てんする、こういう制度でございますから、一律に削減するとか、一定の数値目標をもってどうにかするというのは、これは逆なんですね。国の歳出を見直して、それによって地方の歳出も見直されて、その結果、地方にゆとりが出れば、その場合には地方交付税を落とす、少なくするということはあり得ますけれども、それは結果なんですね。そういうふうにぜひ御理解を賜りたいと思います。

 ただ、「聖域なき構造改革」でございますから、国の歳出とあわせて地方の歳出についても思い切った見直しをやってまいりたい、特に、バブル期に地方単独事業が相当伸びておりますから、これについては我々もきちっと見直しをしてまいりたい、こういうふうに思っております。

 それから、先ほども言いましたが、地方税源を充実することによって国庫支出金を減らす、私は、これは正しい方向だと思います。

 今言いましたように、国が六で地方が四で、六対四で、仕事の方は一対二で、だから、大ざっぱに言って、四割の収入しかないところに国の方から一七%ぐらいのお金が流れてきているわけですね。それが国庫支出金と地方交付税なので、基本的には四を上げていくということが、歳入の構造のあり方からいって正しいあり方でありますから、地方税を充実していく、強化していくというのは当然です。国税からの移譲を含めて、地方税の充実強化が避けて通れない、私はこう思っておりまして、その過程で国庫支出金を減らすとか地方交付税を縮減するとかということは十分あり得る、私はこういうふうに思っております。

 それから、今、国の補助金もできるだけ、国土交通省その他の御協力を仰ぎまして、一括交付金にしているのですよ、箇所づけは地方ができるように。これが今、七千二、三百億ありますから、これをさらに拡充することも過渡的な考え方としては十分あり得るので、さらに努力いたしたい、こういうふうに思っております。

 それから、今回の自治法の改正で、訴訟の形態が変わりました。

 これはもともと、アメリカの納税者訴訟が、戦後、そのまま入ってきた制度なんです。これは、地方公共団体の個人に着目するのですよ。首長さんだとか職員だとか、その人に着目して、個人に訴訟が起こるのですね。だから、全部一人で、個人が対応するわけですよ、訴訟の準備から、いろいろな経費から。

 これはいかにも合理的じゃありませんので、今回の改正では、間に地方団体の執行機関を入れるのです、ワンクッション。地方団体の執行機関に訴訟を起こしてもらって、ここで勝った、負けたということになりますね。なったら、仮に地方団体が負けたら、この地方団体の執行機関は当該個人に、首長さんや職員個人に求償するのですよ、二段階目の訴訟を起こして。

 こういうことにいたしたわけでありますから、首長さんや職員さんの責任を免らしめる、見過ごすということじゃないのです。より制度としては充実した、こういうふうに私は思っているわけであります。

 それから、合併につきましては、かねがね御承知のとおりでございまして、二十一世紀は地方の時代にする、地方の時代は、これは市町村の時代だ、こういうことで合併に今取り組んでおりまして、今回の改正は、合併協議会設置についての住民投票制度を入れました。

 そこで、我々は、合併は、とりあえず、与党三党が言われるように千を目標にしたい。今、三千二百二十四あるのです。その約三分の一の千を念頭に合併を進めたい。そのために、内閣に合併支援本部というのをつくりまして、私が本部長で、各府省の全副大臣がメンバーになっておりまして、どうやって内閣として合併支援の仕組みがとれるかというのをやっております。

 それから、各都道府県といいますか全都道府県に、自分のところの合併のパターン、たたき台をつくっていただいておりまして、それをもとに関係者の議論を起こしていただこう、こう思っております。

 さらに、樋口広太郎さんにお願いしまして、合併を応援する国民協議会という民間の組織をつくっていただきましたので、これをぜひ全国に広げてまいりたい。やはり、基礎的な地方自治体である市町村の規模、能力を充実していって、さらに、効率化していくということが私は地方行政の大いなる構造改革だと思っておりますから、合併についてはさらに推進してまいるつもりでございます。

 今回、中核市の指定の要件から面積要件を外しました。

 もともと、面積要件を入れるときに大変議論があったのです。そこで、面積要件を入れましたが、五十万以上の市について、面積要件もいかがかな、数も少ないしということで、これを落とすことにいたしましたが、議員御提案の三十万以上についても考える、引き続いての検討課題にさせていただきたい、こういうふうに思います。

 以上であります。(拍手)

    〔国務大臣福田康夫君登壇〕

国務大臣(福田康夫君) 黄川田議員にお答えいたします。

 地方自治の問題について御質問がございました。

 地方自治の尊重が重要であるということは、これは申すまでもございません。地方分権を一層推進し、国と地方公共団体は、対等、協力の関係のもと、それぞれが役割を適切に分担しつつ、国民福祉の増進という共通の目的の実現に向けて、ともに努力していくものであると考えております。

 このような関係の上に立って、政治家が国政選挙の機会に、国の進めている施策の内容を許される方法で説明し、地方の方々に理解していただくことは、政治家としての当然の義務であり、地方自治の尊重や地方自治の確立をいささかも損なうものではないと考えております。(拍手)

    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕

国務大臣(塩川正十郎君) お答えいたします。

 私に対する質問は、国と地方を通じた税財源の再配分問題について、特に、国の事業補助金や負担金を原則として廃止し、その分の財源を地方公共団体に一括して移譲すべきではないか、こういう御質問でございました。

 私も、こういうことができればすばらしいことだと思っております。

 しかしながら、先ほど黄川田さん自身の演説の中にもございましたように、後半の方でございますが、この際に地方自治体が合併して行政能力を高める団体にしなければできないというお話がございましたが、まさにそのとおりでございます。

 現在、府県単位で見ましても、人口一千万のところと五十万のところがございますし、また、市町村にしましても、人口三千人、四千人のところと百万人という地方自治体がございます。これでは、どういたしましても均衡ある国土の発展ということはなかなか難しいことだろうと思います。でございますから、やはり国と地方とが相協力して、一定の行政水準を保つための努力をしてまいっておるのでございまして、それが、補助金、負担金の制度なり、あるいはまた地方交付税ということで有効に働いておるところでございます。

 したがいまして、これからの一番の問題は、地方自治体がその行政能力を適当な規模に努力をして集中していくことだと思っております。私は、三十年前でございますが、市町村の合併の実現に努力をした一人でございますが、その際、一番大事なことは、やはり首長が腹を決めて合併の意思をきちっとして、お互いが協力し合うことから始まるのでございまして、それさえできましたら、合併は後から追うてくるものだと思っております。

 できるだけ早く合併を推進されまして、地方行政の行政能力を高めていただいて、先ほど御質問のように、一括交付できるような状態をつくっていただくように期待いたしておるところでございます。

 ありがとうございました。(拍手)

副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十七分散会




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