衆議院

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第39号 平成13年6月14日(木曜日)

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平成十三年六月十四日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十四号

  平成十三年六月十四日

    午後一時開議

 第一 商法等の一部を改正する等の法律案(相沢英之君外六名提出)

 第二 商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(相沢英之君外六名提出)

 第三 計量法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 第四 特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)

 第五 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第六 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第七 社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第八 林業基本法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第九 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十 森林法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第十一 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案(内閣提出)

 第十二 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 商法等の一部を改正する等の法律案(相沢英之君外六名提出)

 日程第二 商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(相沢英之君外六名提出)

 日程第三 計量法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 日程第四 特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)

 日程第五 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第六 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第七 社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第八 林業基本法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第九 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十 森林法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十一 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案(内閣提出)

 日程第十二 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)




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    午後一時四分開議

議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 商法等の一部を改正する等の法律案(相沢英之君外六名提出)

 日程第二 商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(相沢英之君外六名提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第一、商法等の一部を改正する等の法律案、日程第二、商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長保利耕輔君。

    ―――――――――――――

 商法等の一部を改正する等の法律案及び同報告書

 商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔保利耕輔君登壇〕

保利耕輔君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、商法等の一部を改正する等の法律案について申し上げます。

 本案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、自己株式の取得及び保有制限の見直し並びに株式の単位に係る規制の見直し等を行おうとするもので、その主な内容は、

 第一に、一定の制限のもとに、取得目的にかかわらず、自己株式の取得を認めること、

 第二に、取得した自己株式を期間、数量等の制限なく保有することができること、

 第三に、単位株制度を廃止し、一定の数の株式をもって一単元の株式とする旨を定めることができる単元株制度を創設すること

などであります。

 次に、商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。

 本案は、商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴い、証券取引法等の関係法律について規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 両案は、相沢英之君外六名提出によるもので、去る五月二十五日本委員会に付託されたものであります。

 委員会においては、六月五日提出者金子一義君から提案理由の説明を聴取し、八日から質疑に入り、十二日には参考人から意見を聴取する等、慎重に審査を行い、同日質疑を終了し、討論、採決の結果、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 計量法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(綿貫民輔君) 日程第三、計量法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長山本有二君。

    ―――――――――――――

 計量法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山本有二君登壇〕

山本有二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における環境の保全の要請を受け、極めて微量のものに関する適正な計量の実施を確保するための措置を講じようとするものであり、その主な内容は、

 第一に、計量単位として、従来の質量百万分率ppm、十億分率ppb等に加え、質量一兆分率ppt、千兆分率ppq等を追加すること、

 第二に、政令で定める極めて微量のものの計量証明の事業を行おうとする者について認定制度を導入するとともに、同事業のうち政令で定めるものについては、事業の登録基準に当該認定を受けていることを追加すること、

 第三に、計量証明事業者の発行する計量証明書の信頼性を確保するため、同証明書を法律上に位置づけるとともに、記載すべき事項を明確化し、また、計量証明事業者が不正の行為をした場合を登録の取り消し等の要件として追加すること

等であります。

 本案は、去る五月二十五日参議院から送付され、同月三十日本委員会に付託され、同月三十一日平沼経済産業大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。昨日質疑を行った後、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第四 特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第四、特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長山口俊一君。

    ―――――――――――――

 特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口俊一君登壇〕

山口俊一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 特定融資枠契約に関する法律は、企業の資金調達の機動性の増大を図るため、借り主が商法特例法第二条に規定する株式会社である特定融資枠契約に係る手数料について、利息制限法及びいわゆる出資法の特例を定めたものでありますが、本案におきましては、この特例の対象である借り主となる法人の範囲を拡大しようとするものであり、以下、その概要を申し上げます。

 第一に、特定融資枠契約において意思表示により借り主となる法人に、資本の額が三億円を超える株式会社、証券取引法の規定による監査証明を受けなければならない株式会社、特定債権等譲受業者、特定目的会社及び登録投資法人等を加えることにしております。

 第二に、この法律は公布の日から施行し、改正後の特定融資枠契約に関する法律の規定は、この法律の施行後に締結される特定融資枠契約について適用することにしております。

 第三に、特定融資枠契約に係る制度のあり方については、この法律の施行後二年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとしております。

 本案は、去る六月五日当委員会に付託され、昨十三日提出者塩崎恭久君から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第五 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第六 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第七 社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第五、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、日程第六、学校教育法の一部を改正する法律案、日程第七、社会教育法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。文部科学委員長高市早苗君。

    ―――――――――――――

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

 学校教育法の一部を改正する法律案及び同報告書

 社会教育法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔高市早苗君登壇〕

高市早苗君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本法律案は、教育委員会の活性化を図るとともに、児童生徒に対する指導が不適切な教員に対し所要の措置を講じ、あわせて、公立高等学校の通学区域について、より弾力的に設定できるようにする等の改正を行おうとするものであります。

 次に、学校教育法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本法律案は、学校における多様な教育の実施を促進するため、児童生徒の体験的な学習活動の充実に努めるとともに、大学における飛び入学の促進等を図り、あわせて、出席停止制度の改善を行う等、所要の改正を行おうとするものであります。

 次に、社会教育法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本法律案は、家庭の教育力の向上のための社会教育行政の体制の整備を図るとともに、地域の教育力の向上のため、青少年の体験活動を促進する等、所要の改正を行おうとするものであります。

 三法律案は、去る五月二十九日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、五月二十九日三法律案を一括して議題とし、遠山文部科学大臣から各案の提案理由の説明を聴取し、翌三十日から質疑に入り、参考人から意見を聴取するなど、慎重に審査を行ってまいりました。

 かくて、昨六月十三日質疑を終局いたしましたところ、民主党・無所属クラブから、学校教育法の一部を改正する法律案に対し、大学における飛び入学等について、また、社会教育法の一部を改正する法律案に対し、社会奉仕体験活動についての修正案がそれぞれ提出されました。

 次いで、三法律案及び両修正案を一括して討論を行い、採決の結果、まず、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。次に、学校教育法の一部を改正する法律案は賛成多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。次に、社会教育法の一部を改正する法律案は賛成多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。

 なお、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律案に対し、それぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。都築譲君。

    〔都築譲君登壇〕

都築譲君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。(拍手)

 先日発生した大阪・池田市の小学校乱入殺傷事件は、その残忍さと不条理さのゆえに、私たち国民を戦慄させ、日本の社会が内側から崩壊していくとの危機感を強く抱かせました。つとに、青少年の異様な犯罪や学級崩壊などが大きな社会問題になっており、他方、大学生の学力低下や創造的人材育成の必要性など、教育のあり方について、各界でさまざまな議論が沸き起こってまいりました。

 この問題の根幹は、戦後の日本が、経済発展を目標に掲げて突き進んでいた陰で、利己主義や金銭万能主義がはびこり、国家社会の最小単位である家庭や地域共同体が崩壊し、人間としてのあり方や社会生活の基本的ルールを学ぶための場所や機会がなくなり、日本人としての精神構造が誤った方向に進みつつあることに、また、学校教育の中でも、産業の要請する人材を供給するための受験教育の画一的な枠組みに馴致する風潮が蔓延しつつあることに、大きな原因があります。

 これを解決するには、日本人の精神的荒廃を立て直す具体的施策を早急に実施しなければなりません。

 そのためには、本来であれば、まず教育基本法を改正して、今後の教育のあり方の基本的指針を明確にした上で、その指針に従い、各種の教育関連法案を改正するべきでありました。しかし、政府は、教育基本法の改正などの抜本的な改革には目をつぶったまま、個別法の改正などによる小手先の手法で事を済ませようとしているのであります。

 この国会は、教育改革国会と呼ばれました。会期途中で誕生した小泉政権は、「聖域なき構造改革」をスローガンにいたしておりますが、この法案のどこに改革の名に値する項目があるでしょうか。そのほとんどは、学習指導要領や通達などで既に実施されてきたものを法律項目に書き直すというもので、相変わらずの官僚主導の教育行政に国会が振り回されているものでしかないと断ぜざるを得ないのであります。

 以下、反対する主な理由を申し述べます。

 第一に、社会奉仕体験、自然体験などの活動の重要性は既に学校教育の中に取り入れられてきたものでありますが、やる子はやる、やらない子はやらない、こういった状況の中で、もっと大人と子供の共同作業を持続的、継続的に推進していく施策を講じるべきであります。

 第二に、飛び入学の拡大についても、個性や才能を見出すことにはならず、むしろ、この提案によって浮き彫りにされたように、個性や才能を押しつぶしている受験偏重の画一的、管理的な今日の教育の仕組みを根本から改めることが何よりも肝要であります。

 第三に、子供の出席停止措置に関しても、問題行動に至る前の子供への対応やフォローアップの指導など、子供と学校の関係だけでなく、家庭や地域、諸機関との連携に焦点を当てるなどの施策の充実が何よりも必要であります。

 第四に、教育委員会の活性化についても、今まで一貫して地方の独自性を阻むような改革、運営を指導してきたわけであり、中央官庁が音頭をとって活性化を言うなど、笑止千万と言わざるを得ません。本当に活性化を望むならば、もっと大胆に、地方のことは地方に、業務も予算も人員も任せる改革が必要であります。

 第五に、不適切教員の問題については、今日の教員が直面している課題を放置したままでは、これからも同じ問題の再生産は必定であり、むしろ、教職員の専門化、分業化などによる負担の軽減や地方公務員制度の抜本的改革にまで立ち至って議論をすべきものであります。

 以上が反対の主な理由です。

 私たち自由党は、日本人の精神的荒廃を回復することが日本再興への道筋であるとの信念のもと、日本人の心と誇りを取り戻す、自己中心的社会から規律ある自由に基づく開かれた社会に改める改革の実現に向けて全力で取り組んでいくことを表明し、討論といたします。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 鈴木恒夫君。

    〔鈴木恒夫君登壇〕

鈴木恒夫君 私は、自由民主党、公明党並びに保守党を代表いたしまして、ただいま議題となりました三法律案について賛成の討論を行うものであります。(拍手)

 今の日本社会を見るときに、依然として経済不況が続き財政の再建も急がねばならない、喫緊の問題を我々は抱えて、これに今、一生懸命取り組んでいるところであります。しかし、大阪の池田市で起きた、いたいけな子供たちが刺し殺される事件を目の当たりにして、我々は、日本の社会はもっと根源的なところから立て直しを図らねばならない、そう認識をしなければならぬことを感じ取った次第であります。

 ただいま議題となりました三つの法律案は、お亡くなりになりました小渕元総理大臣が、教育改革国民会議、この私的諮問機関を起こされ、その最終報告に基づいて、まず当面なすべき法的整備を図ろう、そうした発想に基づいて提案をなされたものであります。我々は、教育基本法の見直しを視野に入れながら、しかし、当面なすべき教育改革を進めて、日本の社会全体を覆ってきた退廃、腐敗よりも怖いものは退廃であるという言葉がありますけれども、基本からこの社会の根源を立て直す、その作業に取り組みたいと考えて、この法案の審議に入ったのであります。

 地方教育行政組織法は、形骸化しておりました地方の教育委員会を活性化しよう、一言で申し上げれば、そうした発想に基づくものであります。

 学校教育法は、問題行動を起こす方の児童生徒の出席停止をやはり考えるべきではないか、そうした今までにない視点から取り組んだものでありますし、一方で我々は、優秀な若者を育てなければなりませんから、飛び入学を思い切ってもっと拡大していく、こうしたことも法改正を図ろうとしたものであります。

 社会教育法の改正は、ともすれば社会性を失いがちな、これから少子化、情報化、そうしたものが進んでいく中で、閉じこもったり引きこもったりする子供たちにどのようにして社会性を身につけさせるか、そうした視点から、社会奉仕活動の充実を図ろうとするものでありました。

 さらに、地方教育行政組織法の中では、子供にとって、よい先生に出会えるかどうかは、とりわけ初等中等教育で大きな問題でありますから、いわゆる不適切な教員の転職を思い切って進める、そうしたことも含んでおりますし、一方で、高等学校の通学区域の規制緩和も図ろうとするものであります。

 私たちは、この法案に真剣に取り組んで、三法案一括して、何と七日間、三十一時間の質疑を行ってまいりました。

 ありがたいことに、民主党の皆さんからは真摯な取り組みをいただいて、最終段階で、飛び入学の余りにも激変があってはならないという指摘に我々は耳を傾け、一方で、社会奉仕活動という言葉にも若干異論がございましたので、ボランティア活動という言葉を修正文に入れて、私たちは、民主党とともに、この法案の賛成を決めたのでございます。

 一方で、附帯決議についても、例えば問題行動を起こす子供たちを出席停止にする期間についても、できるだけ短い期間にこれをとどめるのが子供の立ち直りを進めるために必要だ、そうした附帯決議もつけさせていただきました。

 冒頭申し上げましたとおり、この三法は教育改革の入り口でしかありません。我々は、この国の立て直しのために、大きな日本の社会の理想像を胸に描きながら、教育基本法の改正も含めて、これからもっと深刻に、大きな教育改革に取り組んでいかなければなりません。

 こうした法案の入り口に反対をする共産党あるいは自由党あるいは社会民主党の方々に、私は、この国の未来をぜひ考えていただきたい、できるものから取り組んでいかなければならぬ、そうしたことをお訴え申し上げ、賛成討論といたします。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 石井郁子君。

    〔石井郁子君登壇〕

石井郁子君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案等三法案に反対の討論を行います。(拍手)

 子供と教育の深刻な状況を克服するには、過度の競争教育を改め、子供の成長、発達を保障する学校づくりこそ急務であり、政治はそれを支援する責務があります。

 ところが、今回の三法案は、父母、教職員の切実な願いにこたえるものになっていないばかりか、審議を通して、法案の問題点や矛盾が次々と浮き彫りになりました。しかも、公聴会、地方公聴会を開催することもせず、数の力で審議を打ち切り、委員会採決を行いました。このようなやり方は、教育改革の名に反するものであり、断じて認めるわけにはまいりません。(拍手)

 反対の主な理由の第一は、高校の通学区域の指定を廃止し、全県一学区を可能としたこと、また、大学、大学院への飛び入学を、これまでの物理、数学のみならず、全分野に拡大し、競争教育、ふるい分け教育を促進するものとなっていることです。これまで以上に受験競争を一層激しくし、子供たちの苦しみを深める本改正は、許すことはできません。

 第二の理由は、社会奉仕体験活動を法定化することにより、奉仕活動を強制する問題です。審議の中で、社会奉仕体験活動が、評価の対象となることが明らかになりました。本来、自主的、自発的であるべき奉仕体験活動が苦役として課せられることにつながり、憲法十八条に反する問題です。

 修正案では、「ボランティア活動など」の文言が加えられましたが、自主的、自発的に行われるボランティア活動が強制されるという結果になり、さらに矛盾を広げることになりました。

 第三の理由は、指導が不適切の判断を下して、教員を免職、配置転換することを可能とする本法案は、教師の力量の向上につながらないばかりでなく、教育の現場を管理、統制し、教師の教育活動を萎縮させ、伸び伸びとした教育活動を奪うものであり、反対です。

 審議の過程で、何をもって不適切とするのか、明確な答弁はありませんでした。研修の保障も不明確です。拙速な審議で国民全体の奉仕者である教師の身分を危うくすることは、あってはなりません。

 第四の理由は、問題を起こす子供への出席停止要件の法定化でありますが、憲法上保障された教育を受ける権利が一時停止されるにもかかわらず、子供、父母の異議、不服提出に関する適正手続が欠如しています。しかも、子供の意見の聴取が明記されないなど、児童は特に自己に影響を及ぼす行政上の手続において意見を聴取される機会を与えられるとする、子どもの権利条約第十二条を無視したものになっていることは重大です。

 この教育三法案は、森前首相が、首相の私的諮問機関でしかない教育改革国民会議の報告をもとに、わずか一カ月ばかりで拙速に法案化、国会に提出したものです。森前内閣にかわって新しく発足した小泉内閣がこの三法案の成立に執着することは、教育問題でも、小泉内閣が最も自民党的な改革しかできないことを証明したことにほかなりません。(拍手)

 日本共産党は、受験中心の教育から子供を解放し、基礎的な学力の保障など、すべての子供たちの成長、発達を中心に置いた学校教育とするために全力を尽くします。この方向こそが、日本の未来を真剣に考えている道だと確信するものです。

 以上を表明して、反対討論を終わります。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 金子哲夫君。

    〔金子哲夫君登壇〕

金子哲夫君 社会民主党・市民連合を代表して、政府提出の地方教育行政法、学校教育法、社会教育法の一部改正案、いわゆる教育改革関連三法案及び関連修正案に反対する立場から討論を行います。(拍手)

 反対討論に入る前に、去る八日、大阪教育大学附属池田小学校で起きた事件によって、犠牲となられた方の御冥福をお祈りするとともに、負傷された方々の一日も早い御回復を切に願うものであります。

 さて、今回の教育改革関連三法案は、重要法案と言いながら、首相の私的諮問機関にすぎない教育改革国民会議の報告を、文部科学省の関係審議会である中央教育審議会を通さずに法制化したものであり、納得できるものではありません。

 しかも、今回の教育改革案は、学ぶ側、子供の側の論理から、国家の側の論理へと大きくかじを切ったものです。

 国民会議の報告書によれば、子供はひ弱で欲望を抑えられず、苦しみに耐える力、自制心を発揮する意思を失っているとして、子供を否定的にとらえ、わがままになった子供を奉仕活動で押さえ込もうとする教育改革です。子どもの権利条約を批准した我が国がなすべき教育改革は、子供の最善の利益として、子供の目線に立った改革であるべきです。

 悲鳴を上げている全国十三万人の不登校の子供たち、十一万人の高校中退者や保護者の声にこたえていないばかりか、二十一世紀を担う子供たちの願いにこたえる教育改革とは言えません。また、日々、理想の教育を模索して奮闘している教職員の声を真摯に受けとめる姿勢さえ見られません。

 子供たちに最も身近な学校教育法改正案の問題点は、社会奉仕活動の明文化と、問題を起こす子供の出席停止措置の明文化です。

 今、重要なことは、子供の自主的、自発的な意思によるボランティア活動や自然体験活動を通して、子供たちの生きる力や自分で考えることの大切さを実感させることです。強制は、子供たちの伸びようとする芽を摘み取ります。奉仕活動の導入と強制は、教育の目的に反するものです。

 また、問題を起こす子供には、なぜそうなったのか、大人は子供の声に耳を傾けることです。子供と教職員と保護者が、ともに問題解決に当たって力を合わせることです。出席停止という手段で子供を学校から排除することからは、問題は何一つ解決するものでありません。

 指導不適切な教員の排除も問題です。教員養成や教育実習、初任者研修、現職研修の見直し、充実こそが重要な課題です。公正で厳正な客観的な判断も示せない法改正には反対です。

 今回の法改正は、教育基本法の改正への一里塚であり、教育への国家介入の一歩としての奉仕活動の導入と、科学技術立国へのエリートづくりを目指す大学への飛び入学導入を目的としています。後期中等教育における制度そのものに混乱をもたらすものです。

 文部科学省が今なすべきことは、教育基本法の第十条、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべき」であり、「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」ことの具体化にこそ努力すべきであります。

 以上の理由で、教育改革関連三法案及び関連修正案に反対することを表明して、討論を終わります。(拍手)

議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 三案を一括して採決いたします。

 日程第五の委員長の報告は可決、日程第六及び日程第七の両案の委員長の報告はいずれも修正であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第八 林業基本法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第九 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第十 森林法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第八、林業基本法の一部を改正する法律案、日程第九、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、日程第十、森林法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。農林水産委員長堀込征雄君。

    ―――――――――――――

 林業基本法の一部を改正する法律案及び同報告書

 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案及び同報告書

 森林法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔堀込征雄君登壇〕

堀込征雄君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 林業基本法の一部を改正する法律案は、森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項等を定めようとするものであります。

 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案は、林業経営基盤の強化を促進するため、生産方式の合理化に必要な資金を新たに貸し付けることができるようにする等の措置を講じようとするものであります。

 森林法の一部を改正する法律案は、森林の有する公益的機能を重視し、かつ、地域の実情に即した、きめ細かい森林整備を推進するための措置を講じようとするものであります。

 林業基本法の一部を改正する法律案は、去る五月三十一日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。また、他の二法律案についても、同日本委員会に付託されました。

 委員会におきましては、同日武部農林水産大臣から三法律案の提案理由の説明を聴取し、六月六日から質疑を行い、十二日には参考人の意見聴取を行うなど、慎重な審査を進めました。

 かくて、昨十三日質疑を終局したところ、林業基本法の一部を改正する法律案について、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び21世紀クラブの六会派共同提案に係る修正案が、また、日本共産党提案に係る修正案が提出され、それぞれ趣旨説明を聴取いたしました。

 次いで、採決の結果、日本共産党提案に係る修正案は、賛成少数をもって否決され、本案は六会派共同提案に係る修正案のとおり全会一致をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本修正案は、森林の適正な整備及び保全に当たっての山村の振興の位置づけを明確化すること等を内容とするものであります。

 次に、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案について採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 次いで、森林法の一部を改正する法律案について採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 三案を一括して採決いたします。

 日程第八の委員長の報告は修正、日程第九及び日程第十の両案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、三案とも委員長報告のとおり議決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十一 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案(内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第十一、厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員会理事森英介君。

    ―――――――――――――

 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔森英介君登壇〕

森英介君 ただいま議題となりました厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。

 本案は、公的年金制度の一元化の一環として、農林漁業団体職員共済組合の年金給付等を厚生年金保険へ統合するため所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、農林漁業団体職員共済組合法等を廃止し、旧農林共済組合の組合員を厚生年金保険の適用対象とするとともに、旧農林共済組合の年金給付等のうち、厚生年金相当部分については、厚生年金保険から支給すること、また、厚生年金相当部分の年金給付に要する費用に充てるため、旧農林共済組合は、政府に対して、当該費用に係る積立金に相当する額を納付するとともに、農林漁業団体の事業所等に係る被保険者については、特例保険料率を設定すること、

 第二に、旧農林共済組合の年金給付等のうち、職域年金相当部分については、統合後もなお経過的に存続する旧農林共済組合が支給すること、

 第三に、この法律は、平成十四年四月一日から施行すること

等であります。

 本案は、六月六日本委員会に付託され、八日に坂口厚生労働大臣から提案理由説明を聴取し、昨十三日の委員会において質疑を行った後、採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第十二 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(綿貫民輔君) 日程第十二、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長横路孝弘君。

    ―――――――――――――

 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔横路孝弘君登壇〕

横路孝弘君 ただいま議題となりました風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、最近における風俗環境の変化にかんがみ、店舗型電話異性紹介営業等を営む者に対し、電話による会話の申し込みをした者が十八歳以上であることの確認を義務づけるなど、必要な規制を行うとともに、映像送信型性風俗特殊営業を営む者が児童ポルノ映像を送信することを防止するための規定の整備を行い、及び特定性風俗物品販売等営業を営む者に対する営業停止命令に関する規定を新たに設けることとするほか、精神病者に係る欠格事由の見直しのための規定の整備等を行おうとするものであります。

 本案は、参議院から送付されたものでありまして、去る六月六日本委員会に付託され、同月八日村井国家公安委員会委員長から提案理由の説明を聴取し、昨十三日質疑を行い、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十分散会




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