衆議院

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第16号 平成13年11月13日(火曜日)

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平成十三年十一月十三日(火曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十二号

  平成十三年十一月十三日

    午後五時開議

 第一 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

 第二 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

 第三 投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十三年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)

 日程第一 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

 日程第二 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

 日程第三 投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出)




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    午後七時三十三分開議

議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 平成十三年度一般会計補正予算(第1号)、平成十三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 平成十三年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十三年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)

議長(綿貫民輔君) 平成十三年度一般会計補正予算(第1号)、平成十三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。予算委員長野呂田芳成君。

    ―――――――――――――

 平成十三年度一般会計補正予算(第1号)及び同報告書

 平成十三年度特別会計補正予算(特第1号)及び同報告書

 平成十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔野呂田芳成君登壇〕

野呂田芳成君 ただいま議題となりました平成十三年度一般会計補正予算(第1号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 この補正予算三案は、去る十一月九日本委員会に付託され、同日塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十二日及び本十三日質疑を行い、本日討論、採決を行ったものであります。

 まず、補正予算三案の概要について申し上げます。

 一般会計予算については、歳出において、雇用・中小企業等セーフティーネット充実対策費、緊急構造改革加速対策費、緊急テロ等対策費、牛海綿状脳症対策費、災害対策費、義務的経費の追加等を行う一方、既定経費の節減、公共事業等予備費の減額、予備費の減額等を行うこととしております。

 また、歳入において、租税及び印紙収入等の減収を見込む一方、公債金の増額、前年度剰余金の受け入れ等を行うこととしております。

 この結果、補正後の平成十三年度一般会計予算の総額は、当初予算に対し歳入歳出とも一兆六百十億円増加して、八十三兆七千百三十三億円となります。

 特別会計予算については、産業投資特別会計、労働保険特別会計など二十三特別会計において所要の補正を行うこととしております。

 政府関係機関予算については、国民生活金融公庫など三政府関係機関において所要の補正を行うこととしております。

 次に、質疑について申し上げます。

 質疑は、雇用・失業対策への政府の取り組み姿勢、景気の現状認識と財政政策による対応のあり方、構造改革の推進についての小泉首相の姿勢、特殊法人改革のあり方、中小企業対策の充実、アフガニスタンにおける米国の軍事行動の是非、外務省改革の必要性等、国政の各般にわたって熱心な質疑が行われました。

 かくて、本日質疑を終局し、補正予算三案を一括して討論に付しましたところ、自由民主党、公明党及び保守党を代表して谷口隆義君から賛成の意見が、民主党・無所属クラブを代表して城島正光君から、自由党を代表して中塚一宏君から、日本共産党を代表して山口富男君から、社会民主党・市民連合を代表して横光克彦君からそれぞれ反対の意見が述べられました。討論終局後、採決の結果、平成十三年度補正予算三案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。松本剛明君。

    〔松本剛明君登壇〕

松本剛明君 民主党の松本剛明です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の平成十三年度補正予算三案に反対する立場から討論をいたします。(拍手)

 改革なくして成長なし、改革の目的は日本経済に生命力をよみがえらせることです。一刻も早く不良債権の抜本処理を行い、財政、経済の構造改革を断行することが、景気低迷とデフレから脱却する唯一の方法です。

 ところが、課題の不良債権処理も、三年以内に終わらせると、かけ声だけは勇ましいのですが、責任逃れに終始して、要注意債権に対する厳格な資産査定というポイントを欠いているために、マーケットから疑念を持たれているありさまです。

 医療については、一九九七年の自己負担引き上げのときの国会審議で、当時の厚生大臣であった総理が、二〇〇〇年までに抜本改革を行うと公約されました。しかし、九月に発表された医療制度改革試案は、来年から自己負担をアップし、その翌年には保険料の引き上げが必要だとしており、要はツケを国民に回すだけの現行制度の延命策であり、とても抜本改革とは言えません。政府内の財務省や所管されている厚生労働大臣からも厳しい評価を受ける代物であります。

 特殊法人改革も、最初は勢いがよかったのですが、族議員の抵抗に遭ってどんどんトーンダウンし、ついには、この予算審議でも、見直すという言葉しか出なくなってしまいました。道路特定財源の一般財源化は、いつの間にか、本体の揮発油税ではなくて自動車重量税の見直しにすりかわってしまいました。目玉の道路公団改革で、本質的な問題である高速道路整備計画の見直しに踏み込めるのでしょうか。

 結局、小泉改革は、今のところ、見出しこそ民主党が結党以来主張してきたことが大幅に取り入れられていますが、実質を伴っていません。昨日の予算審議で同僚の原口議員が、あたかも花火のようだと申し上げました。打ち上げても、空に輝く総理ばかりが光り輝き、地上の私たちはやみに包まれたままであります。そのうち花火もむなしく消えてしまうのではないか、このように思うわけであります。

 次に、補正予算について申し上げます。

 国債発行三十兆円枠をぎりぎり守ったことは、最低限の線とはいえ、財政規律の必要性を認識している点でうなずけます。自民党の先生がお示しになったグラフからも読み取れるように、国の赤字が拡大している今、財政出動は景気刺激にきかないばかりか、むしろマイナスに作用するおそれすらあり、公共事業等のばらまきをふやさなかったことは一定の評価に値いたします。

 しかし、多くの問題があります。

 第一に、本案の柱である雇用対策です。

 今になってやっと雇用問題が取り上げられましたが、私たちは、三月の当初予算の組み替え要求のときに、もっと雇用に重きを置くようにと提案いたしました。そのときによく私どもの話を聞いていただければもっと早くから取り組めたのに、この間にどれほど事態が悪化したか、そのことを思うと残念でなりません。

 加えて、この雇用対策は、これまでの問題点がクリアされていません。仙谷議員が先日の本会議で、効果の割にコストがかさむ、必ずしも失業者が対象となっていない、安定的な雇用機会の提供となっていない、そして失業率は上がっていくと指摘をいたしました。総括がないから、従来の失敗をまた積み重ねることになります。

 民主党が提案する、効果と未来を考えた雇用対策は、真の雇用創出につながるワークシェアリングや成長型の産業、企業、NPOの育成支援に取り組み、高齢者、若年者、障害者の就職支援を進めるとともに、再就職に実際に有効な求職者能力開発支援制度の創設、住宅ローン対策、教育費の支援など、生活のサポートも行います。地域においては、公労使の連携で知恵を競いながら中期の雇用創出事業を展開し、ミスマッチ解消のためには民間の力も生かして職業紹介機能を充実させるなど、功罪を差し引きするとマイナスになるかもしれない政府案とは大きく異なります。

 第二に、経費節減が不十分です。

 既定経費を一兆一千億円節減したとうたっていますが、大半は低金利による国債の利払い減少です。節約によるものは、一兆一千億円のうち一千六百億円だけ、それも、もともと慣例で一五%多目に確保された経費を削っただけです。限られた財源だからこそ、その使途は十分に吟味されなくてはなりません。当初予算の中身も改革の対象になるべきではないでしょうか。

 外務省関連だけでも、大臣も御指摘になられたように、見直すべきものが、当初予算で、報償費五十六億円、諸謝金百三十七億円、渡し切り費七十九億円、合計二百七十二億円もあります。ところが、今回は、私たちが当初予算から大幅に削減するべきだと申し上げてきた報償費が、ほかの経費並みに一五%削減されただけです。

 外務省所管経費は、昨年度十二月末までで五割余りしか使われていません。来年度から見直す旨の答弁がございましたが、国民の税金なのですから速やかに変えるべきであります。年度がわりまで待つのが霞が関の常識かもしれませんが、すぐに実行するのが普通の常識ではないでしょうか。

 公共事業は、十一月末時点で未契約の事業が二兆円程度と推計されています。むだなものをやめて、少しでも雇用や中小企業対策等、緊急の課題に回す努力が必要です。

 第三に、公債発行を抑制するために、前年度剰余金を本来公債の償還に充てるべき部分まで補正予算の財源として、財政法の趣旨をねじ曲げている点であります。これは実質新規発行に等しく、三十兆円に抑えたといっても、小手先の手段を使って、見かけだけ繕ったにすぎません。

 また、責任が意識されていない点も、認められません。牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病対策費として、今回、二百六十五億円計上されています。国の失政により被害を受けた、関係の生産、流通、食品や外食などの方々に対しては手厚い支援が必要であります。しかし、このような事態発生に責任を有する部署の経費を切り詰めることもなく、すべて国民にツケを回すような対応には、私たちは反対です。

 改革にはスピードが求められます。遅ければ国民の痛みが大きくなるからであります。半年たっても、「見直す、検討する」ばかりでは、何もやっていないのも同然です。まだ半年ではなく、もう半年です。二、三年待ってくれとおっしゃいますが、失われた十年、もう十年待ちました。本気でやればできるのです。

 我が党の菅幹事長は、薬害エイズ問題に取り組んだときに、就任から十日でプロジェクトチームをつくり、三カ月で内容のある報告をまとめています。できることがあるのに先送りする、そのような本補正予算案は、改革に充てられるべき時間をいたずらに費やすものと言わざるを得ません。

 私たち民主党は、無所属クラブとともに、国民のために反対することを申し上げて、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 若松謙維君。

    〔若松謙維君登壇〕

若松謙維君 私は、自由民主党、公明党、保守党を代表して、ただいま議題となっております平成十三年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)

 我が国経済は、米国を初め世界経済の成長に減速が見られる中、輸出、生産、設備投資が減少し、失業率は過去最高の五・三%に達するなど、厳しい状況にあります。さらに、今後、テロ事件の影響等もあり、内外の経済動向を注視していく必要があります。また、不良債権問題の解決に向けた取り組みなど、小泉内閣の構造改革がいよいよ本格的な実行段階に移っていく中で、これらの改革が我が国経済に与える影響についても十分に見きわめながら、万全な経済運営を講じていくことが強く求められております。

 政府・与党は、このような状況の中、民需主導の持続的成長を図るため、各般の構造改革を積極的に推進することを経済財政運営の基本としつつ、改革に伴う痛みを和らげるための雇用対策、中小企業対策等のセーフティーネットの構築を図ることが重要であるとの認識に立ち、去る十月二十六日に、構造改革を進めていく上で先行して決定、実施すべき施策を盛り込んだ改革先行プログラムが決定いたしました。

 今回の補正予算においては、本プログラムに盛り込まれた施策を実施するために必要な国費一兆円、事業規模で五・八兆円の対策を含む、まことに重要な予算であり、議員各位の賛同を得て、早期成立が図られることを強く期待するものであります。

 以下、賛成する主な理由を申し述べます。

 その第一は、本補正予算が、現下の緊急課題である雇用対策、中小企業対策を最重点に編成されたものである点であります。

 構造改革を実施する過程では、非効率部門における失業や倒産、また中小企業への悪影響など、社会の中に痛みを伴う事態が生ずることは避けられません。このような構造改革の痛みや、それに対する国民の不安を和らげることは政治の責任であります。

 本補正予算においては、改革先行プログラムに要する国費一兆円のうち、五千五百一億円を雇用対策費として、二千五百十一億円を中小企業等対策費として計上しております。

 具体的には、雇用対策については、三千五百億円計上された緊急地域雇用特別交付金においては、地域の実情に応じた新公共サービス雇用を中心に、事業期間を通じて五十万人強の雇用創出が見込まれております。そのほか、職業訓練つき失業給付延長制度の拡充など万全なセーフティーネット対策を盛り込んでおり、事業規模にして一兆円の対策を講じております。

 中小企業対策としては、セーフティーネット保証、貸し付けの充実、中小企業者の多様な資金調達を開く有効な手段として強く期待されている売掛金債権担保融資の推進、さらには、DIPファイナンスの推進等により、融資・保証規模等で四・五兆円の対策を講じております。

 私は、補正予算の早期成立を図り、必要とされる施策の早期執行に努めるとともに、規制改革の推進による雇用創出等を進めることにより、構造改革の痛みを和らげることができると考えております。

 賛成する第二の理由は、本補正予算が、改革先行プログラムに掲げられた、電子政府の実現、保育所待機児童ゼロ作戦等の推進、ダイオキシン対策を含めた廃棄物処理施設の緊急整備等、構造改革を加速するために特に緊急性の高い施策を推進するために必要な経費を盛り込んだことであります。

 これらの施策の実施が、国民の利便性の向上、IT革命の進展を踏まえた人材育成、女性を初めとする個人や民間企業の潜在力の発揮に資するものと考えます。

 また、本補正予算には、特に緊急を要する緊急テロ対策、狂牛病対策、さらには、災害対策に係る所要の経費を計上しているところであります。

 賛成理由の第三は、本補正予算に必要な財源について、歳出歳入の見直し、十二年度決算剰余金の活用などにより、補正予算後の国債発行額をできる限り抑制したことであります。

 以上、本補正予算に賛成する理由を申し述べましたが、私は、雇用対策等、現下の緊急課題に重点を置いた本補正予算が必要不可欠なものであるとして賛成の意を表するものであり、ぜひともその速やかな成立を期待するものであります。

 また、政府におかれましては、補正予算の成立後には、関連法案を含めた諸施策を速やかに、かつ確実に実施されるよう強く要望するものであります。

 今後の我が国経済及び世界経済の動向は、冒頭申し上げたとおり、テロ事件の影響等もあり、予断を許さない状況にあります。政府におかれましては、今後の経済状況を見きわめつつ、さらに必要があれば財政、金融その他の経済対策について、大胆かつ柔軟に検討を図るなど、的確に対応されるよう強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 中塚一宏君。

    〔中塚一宏君登壇〕

中塚一宏君 私は、自由党を代表して、平成十三年度一般会計補正予算、平成十三年度特別会計補正予算、平成十三年度政府関係機関補正予算に対し、反対の討論を行います。(拍手)

 反対の第一の理由は、この補正予算案が、抜本的な構造改革に資するものでは全くないということであります。

 小泉内閣発足以来、半年以上経過しているにもかかわらず、いまだに実行された構造改革策もなければ、具体策さえ提示されておりません。構造改革なくして景気回復なしどころか、構造改革がなくて景気回復もなしであります。本補正予算に盛り込まれている公共サービス雇用のための緊急地域雇用創出特別交付金は、結局のところ、構造改革を進めないで景気が悪化してしまっている無策の現状の穴埋めを、一時的な失業対策でしのぐことでしかありません。構造改革を通じた抜本的な雇用創出効果をねらうものとは全く性質が異なります。

 反対の第二の理由は、この補正予算案は小泉内閣の経済失政の象徴であり、当面の景気対策としても何らプラスにはならないし、提出のタイミングも遅きに失していることであります。

 補正予算案を編成せざるを得ない状況となったのは、政府が構造改革を先送りし続けた結果、四―六月期のGDPが落ち込んだからにほかなりません。景気が悪化したから補正予算を編成するという発想自体が、旧来の自民党政治と何ら変わるところがありません。

 反対の第三の理由は、小泉内閣の経済財政運営の方針が既に破綻してしまっており、この補正予算の位置づけも支離滅裂であることであります。

 政府は、当初から、外需、とりわけアメリカ任せの景気回復シナリオを想定しておりましたが、夏過ぎまでにアメリカ経済は予想以上に落ち込み、加えて、同時多発テロの影響によって低迷が長引きそうな中にあって、将来の景気回復への展望も、また財政健全化への道筋も、全く見出せなくなってしまっております。

 以上が、この補正予算案外二案に反対する主な理由であります。

 私ども自由党は、日本の仕組みを変えるため、本日までに、特殊法人を三年以内に一括して廃止・民営化を定める法案、国の事業費補助金は廃止をして一括して独自財源として地方に交付する法案、衆議院の一票の格差を是正し定数を削減するための法案を国会に提出いたしました。また、近日中には、自由な経済活動を阻害している規制の一括廃止と統一ルール制定のための法案を提出いたします。また、所得課税の税率の引き下げ、税率構造の簡素化、人的控除原則廃止のための法案の準備をいたしております。

 これらの法案の目的は、官僚主導の規制社会、管理社会を改め、自立した個人、企業、地域がみずからの責任と能力に応じて自由に活動できる、公平で開かれた自立社会をつくることにあります。また、この法案によってこそ、抜本的な経済活性化、雇用創出につながる真の構造改革が実現すると考えます。

 今行うべきことは、その場しのぎの補正予算案を編成することではなく、構造改革を前倒しにして進めていくことであることを申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 佐々木憲昭君。

    〔佐々木憲昭君登壇〕

佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました二〇〇一年度補正予算三案に対して反対の討論を行います。(拍手)

 反対理由の第一は、本補正予算案が、大量の倒産と失業を生み出す小泉内閣の構造改革路線、改革先行プログラムと一体のものであり、暮らしを守り日本経済を再建する方策がまともに盛り込まれていないからであります。

 小泉内閣が発足して半年余、景気は悪化を続け、失業率五・三%、完全失業者は三百五十七万人、潜在失業者を加えると八百万人近くにも及んでおります。ところが、本補正予算案には、雇用不安の根本にある、大企業の大量人減らしに対する規制は、全く盛り込まれておりません。そればかりか、委員会審議を通じて、小泉内閣が構造改革のためなら失業と倒産がふえ続けるのもやむを得ないとの態度をとっていることが、一層明らかになりました。本補正予算案の雇用対策は、今後三年間でわずか百万人弱、しかも原則六カ月未満という一時的雇用にすぎず、それは大企業の大量人減らしで完全に吹き飛んでしまう規模のものであります。

 第二の理由は、本補正予算による中小企業対策が、小泉内閣の不良債権早期最終処理、中小企業つぶしとセットで出されているからであります。

 本補正予算案では、売り掛け債権担保融資の創設など、中小企業の資金調達手段を拡大する措置がとられています。しかし、これらの対策は、過去のものと比べて一けた少ない融資枠を設ける程度の貧弱なものであり、これでは中小企業倒産の激増を防ぐことは全くできません。

 その一方、銀行株式買取機構に対する二兆円もの債務保証は、大銀行に対する新たな税金投入の仕組みをつくるものであります。大銀行を守り中小企業をつぶす小泉内閣の逆立ちした姿勢が、ここにも明白にあらわれているのであります。

 第三は、本補正予算案が、防衛庁関連の補正予算としては、総額四百二十億円と過去最高のものになっていることであります。

 今国会で改悪された自衛隊法に基づく米軍基地など重要施設警備のための予算、沖縄の普天間代替基地強行のためのSACO関連経費、東ティモールへの自衛隊派遣に伴う準備費などが盛り込まれております。しかし、これは認めるわけにはまいりません。

 最後に、本補正予算案では、一兆六千八百億円余りもの国債を追加発行した上、決算上の剰余金の全額を特例を設けて財源に充てようとしています。

 今回の国債新規発行によって、我が国の国債依存度は、当初の三四・三%から三五・八%にまで上昇することになります。また、本来、決算上の剰余金を財政法をも踏みにじってまで財源に充てるのは、小泉内閣が掲げた国債発行額三十兆円枠の帳じり合わせ以外の何物でもありません。

 このような予算案は、断じて認めるわけにはいきません。今、緊急に求められているのは、日本経済の六割を占める個人消費を温め、経済を再建することであります。

 生活防衛なくして景気回復なし、このことを強調して、私の反対討論といたします。(拍手)

議長(綿貫民輔君) 阿部知子君。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、本補正予算案並びに関連する交付税法等の改正、そして剰余金の特例法に、反対の立場からの討論をいたします。(拍手)

 まず、昨日、アメリカのニューヨーク郊外で、旅客機の事故が起こりました。この事故に対して、あの九月十一日を思い出されたアメリカ国民の方も多々あるやもしれません。事故の犠牲となられた方々には心から哀悼の意を表したいと思います。

 あわせて、その一方で、その米国によって強行される空爆は、今、アフガニスタンにおいて、無辜の民を恐怖へと追いやり、そして、死すら避けられない状況にしております。

 一方、国内に目を転ずれば、ちょうどこのアメリカでの同時多発テロ事件と相前後して、我が国でも牛海綿状脳症の発生が発覚いたしました。国民の食卓も消費も著しく萎縮し、あわせて、戦後最大の五・三%という失業率も、私どもに重くのしかかっております。

 にもかかわりませず、小泉構造改革では、さらに追い打ちをかけるように、とりわけ御高齢者に対して、「聖域なき構造改革」の名のもとに医療、福祉の削減が行われ、今や、不安は絶望へと転化しております。

 そして、私が最も本当に切なく思いますことは、この社会を担うべき未来の子供たちの出生が著しく低下し、その少ない数の子供たちを育てる親御さんたちも、焦燥感、不安感に駆られて、我が子に対してすら愛情を抱けない事態が進展しております。

 今、私の身の回り、特に私が長年手がけてきた思春期の子供たちは、自己の意思を表示する手段を失い、引きこもり、あるいはキレるという状態で、この社会に必死にあらがっているように思えます。

 今、この社会を一言で申しませば、不安というキーワードが一番当てはまるのではないでしょうか。そして、このことに対して、私は、政治こそが安心と安全、未来を対置すべき一番の役割を担っていると思います。

 にもかかわりませず、小泉構造改革は、右手にあってはいわゆる好戦的外交、そして左手では人間不在の構造改革を推し進め、市場原理を追求しております。

 その中で、特にアジアの平和外交が、小泉首相の靖国参拝を機にして大きくアジアの国々の不信を招き、我が国の国益を損ねておることも事実でございます。また、中東和平にあっても、我が国の態度は、これまでの中立的なものを一歩逸脱し、大きく米軍支援へと傾いております。

 今の時代、私どもにとって必要な構造改革とは、実は、平和の問題と構造改革を同時に行うことによって、大きくアジアでの信頼を、あるいは世界での信頼を得ていくことにあると思います。

 私ども社会民主党は、今の時代、まず本当の意味で、人が働くことに中心を置く、人から元気にする経済ということを掲げて、万が一企業がつぶれても人がつぶれない仕組みをつくるべきと思います。

 あわせて、地球環境保全の問題も、今、アメリカの空爆にさらされるアフガニスタンは、昨年来の著しい干ばつによって一千二百万人の被災者を出し、あわせて、この干ばつは中央アジア一帯へと広がろうとしている中、我が国は、世界的規模での環境保全問題と平和、そして核戦争の恐怖に、断固たる位置を築くべきであります。そして、その中でこそ、アジアの経済圏の確立を求めていく立場に立つべきと思います。

 今、時代は大きな転換点にあります。女性たちの働き方と、多数の自殺者を出すような男性たちの働き方を変え、時間短縮、ワークシェアリングを推し進める我が党の政策のみが、本当に安心と安全の二十一世紀を開くものと思います。その意味では、今般の補正予算案は、三十兆という枠のみにこだわり、体裁を整え、何ら内実のないものとして、また引き続く補正予算を必要とするものでしょう。

 私ども社会民主党、本当に人間が幸せに生きる社会をこれからなお国民とともに追求していく立場から、補正予算案に反対し、私の討論を終えます。(拍手)

議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 三案を一括して採決いたします。

 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)

     ――――◇―――――

 日程第一 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

 日程第二 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

 日程第三 投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百五十一回国会、内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第一、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件、日程第二、投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第三、投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長吉田公一君。

    ―――――――――――――

 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する二千年十一月二十七日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 投資の促進及び保護に関する日本国とモンゴル国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 投資の促進及び保護に関する日本国とパキスタン・イスラム共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔吉田公一君登壇〕

吉田公一君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日本国の譲許表の修正等に関する確認書について申し上げます。

 WTO協定の農業に関する協定は、農産品についての関税化を原則としつつ、一定の条件を満たす農産品については特例措置を認めております。我が国は、米等について特例措置を適用してまいりましたが、平成十年十二月、関税化を行う方針を決定し、WTO事務局を通じて、すべてのWTO加盟国に通報いたしました。この我が国の譲許表の修正及び訂正案に対し、豪州ほか数カ国より異議が申し立てられましたが、平成十二年十一月七日までにすべての異議が撤回されたため、当該修正及び訂正が確定し、同年十一月二十七日にこの確認書が作成されました。

 本確認書は、WTO協定に含まれている我が国の譲許表に関し、米等についての関税化の特例措置の適用の終了に伴う修正及び訂正を確認するためのものであります。

 次に、モンゴルとの投資協定及びパキスタンとの投資協定について申し上げます。

 モンゴル及びパキスタンの両国は、かねてより、投資保護協定の締結を希望しておりました。モンゴルとの協定は、平成十三年二月東京において、パキスタンとの協定は、平成十年三月東京において、それぞれ署名されたものであります。

 両協定の内容は、我が国がこれまで締結した投資保護協定とほぼ同様のものであり、投資の許可及び投資の許可に関連する事項についての最恵国待遇を相互に与えているほか、投資財産、収益及び投資に関連する事業活動に関する内国民待遇及び最恵国待遇、裁判等を受ける権利に関する内国民待遇及び最恵国待遇、収用等の措置をとる場合の条件及びその補償の方法、送金等の自由の保証、投資紛争解決のための手続等について規定いたしております。

 さらに、モンゴルとの協定につきましては、投資環境における国際的傾向を踏まえ、投資に関連する法令の公表、合同委員会の設置等について規定を設けております。

 パキスタンとの投資協定は、第百四十二回国会に提出されましたが、審査未了となり、第百五十一回国会に再提出され、第百五十一回国会で提出された他二件とともに、今国会に継続審査となっていたものであります。

 以上三件につきましては、第百五十一回国会の平成十三年六月二十日に田中外務大臣から提案理由の説明を聴取し、今国会におきまして、去る九日に質疑を行い、これを終了し、まず、日本国の譲許表の修正等に関する確認書について採決を行いました結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決いたしました。次に、モンゴルとの投資協定について採決を行いました結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。最後に、パキスタンとの投資協定について採決を行いました結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一につき採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第二につき採決いたします。

 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第三につき採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長御法川英文君。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔御法川英文君登壇〕

御法川英文君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、地方財政の状況等にかんがみ、地方交付税の総額を確保するため、今回の補正予算による国税の減額補正等により生じる平成十三年度分の地方交付税の影響額について、国の一般会計からの加算及び交付税特別会計借入金の増額により補てんしようとするものであります。

 本案は、去る十一月九日本委員会に付託され、本日片山総務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案(内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長山口俊一君。

    ―――――――――――――

 平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口俊一君登壇〕

山口俊一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、さきに決定されました改革先行プログラムを受けた平成十三年度補正予算におきまして、国債の追加発行を極力抑制するとの観点から、平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理についての特例を定めようとするものであり、その内容は、次のとおりであります。

 財政法第六条第一項におきましては、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を、翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、平成十二年度の剰余金については、この規定は適用しないことにしております。

 本案は、去る十一月九日当委員会に付託され、本日塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後八時二十五分散会




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