衆議院

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第11号 平成14年3月6日(水曜日)

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平成十四年三月六日(水曜日)
    ―――――――――――――
  平成十四年三月六日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 予算委員長津島雄二君解任決議案(熊谷弘君外四名提出)
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)


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    午後二時二分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
馳浩君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 熊谷弘君外四名提出、予算委員長津島雄二君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 予算委員長津島雄二君解任決議案(熊谷弘君外四名提出)
議長(綿貫民輔君) 予算委員長津島雄二君解任決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。枝野幸男君。
    ―――――――――――――
 予算委員長津島雄二君解任決議案
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔枝野幸男君登壇〕
枝野幸男君 私は、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました予算委員長津島雄二君の解任決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)
 初めに、決議案の主文を朗読します。
 主文
  本院は、予算委員長津島雄二君を解任する。
 以下、その理由を申し上げます。
 言うまでもなく、予算委員長は、国会法に定める院の役員であり、予算という国政上の最重要案件を扱う委員会の長であります。公正かつ公平な立場で委員会運営を進めるという大変重大な任務を負っており、津島雄二君御自身も、委員長就任に際し、このことを誓約しておられました。
 ところが、津島委員長は、こうした責務を放棄し、不当かつ不公正な言動を繰り返して、充実した委員会審議を骨抜きにしようとしてきたのであります。
 私たち野党は、平成十四年度予算案審議に際し、外務省をめぐる一連の疑惑を初め、予算の執行をめぐる国家の基本にかかわるさまざまな問題を明らかにしてまいりました。これらの真相を究明し、税金がどのように使われているのかを明確にして、納税者の信頼を回復させることは、我々国会議員に課せられた重大な使命であります。
 特に、鈴木宗男衆議院議員が、みずからの立場や地位を背景に、ODAや北方領土に至るまで、外務省などを思いのままに動かし、税金の私物化を進めてきたことは、構造改革を唱える小泉内閣の主張と全く矛盾するものであり、国民を大きく失望させました。これは、鈴木宗男議員一人の問題ではなく、政官業癒着という旧来の自民党型政治そのものとも言える根深い問題であります。予算審議の前提として、その癒着の構造全体を一日も早く明らかにする必要があることは論をまちません。
 野党による再三の追及に対して、外務省の答弁は、二転三転し、国会審議をしばしば混乱させました。ところが、外務省からの調査結果報告でも、疑惑の真相は全く明らかになっていません。この報告を受けて行われた昨日の審議でも、外務省の答弁は、右往左往を続けた上に、事実を隠ぺいしようとする姿勢を改めることなく、またしても審議を混乱させたのであります。
 津島委員長は、外務省などが不当かつ不誠実な答弁を繰り返し、このことに対して野党側が強く抗議をしたにもかかわらず、積極的な事態の解決を図ろうとすることなく、結果的にこうした外務省の姿勢を放置してきたのであります。さらに、その調査を急がせることもなく、また、鈴木議員の証人喚問実施を早期に実現させなかったことこそが審議の混乱に拍車をかけた原因であり、このことは予算委員長の重大な責任であると言わざるを得ません。(拍手)
 平成十四年度予算案には、疑惑の持たれている海外への支援関連経費だけでも一兆円近い金額が計上されています。国民が重大な関心を持ってこうした予算の執行にかかわる疑惑の解明を求めているにもかかわらず、その全体像を明らかにしないままに予算の審議を終了することは、予算委員会としての重大な責任をみずから放棄することにほかなりません。(拍手)
 津島委員長は、外務省などのいいかげんな答弁を放置して、その疑惑隠しに加担するのみならず、野党委員の質疑を再三にわたり遮り、あろうことか、質疑の内容にまで介入する不遜な言動を繰り返してまいりました。野党議員の質問内容を論評するかのごとき発言をしたり、質問に対して指導するかのごとき不遜な態度をとるのであるならば、一刻も早く議員をおやめになって、評論家になられればよいのであります。(拍手)
 予算委員長は、さきに行われた平成十三年度第二次補正予算審議の際にも、いわゆるNGO会議出席問題をめぐる政府からの見解を約四時間にわたって待たせたあげく、ようやく出てきた回答に対して、野党側がその対応を持ち帰って協議し、これはしっかりと誠意を持ってきちんと御回答しますと約束していたにもかかわらず、既に決まっていた審議時間を一方的に奪って、抜き打ち的な採決を行いました。野党が誠実に対応している中で、与党の圧力に屈した不当な対応であったと言わざるを得ません。実際に、このことに対しては、予算委員長も与党の理事の皆さんも、理事会の場で陳謝をされておられます。
 国会審議が混乱、空転をした最大の責任は、信義にもとる抜き打ち採決を容認した津島委員長こそ問われるべきであり、津島君の行為は、これだけでおよそ委員長としてふさわしいものとは言えません。
 小泉総理は、なぜか、このときの国会空転の責任だといって、直接には関係のない田中眞紀子外務大臣を更迭したようでありますが、もし国会空転の責任をとらせるのであるならば、このときに、みずから、与党として津島委員長を更迭すべきであったのであります。
 津島委員長の不当、不遜な態度は、平成十四年度予算審議の中でも一貫して続きました。
 まず、二月二十日、我々の反対を押し切って職権で公聴会日程の強行採決を行い、さらに、二十六日には、与党単独で分科会の開催を議決しました。我々は、決して審議を拒否していたわけではなく、鈴木宗男議員の証人喚問実施が審議を行う上で不可欠であるという前提のもとに、しっかりとあらかじめ回答期限を余裕を持ってお示しした上で、与党側の回答を待っていただけであります。
 審議を急げ急げと一方では言いながら、回答をずるずるずるずると引き延ばしたのは与党御自身であって、この態度こそ問題にすべきであるにもかかわらず、与党に対する督促はほとんど行わずに、一方的に分科会開催を議決した姿勢は、極めて公正を欠くと言わざるを得ません。(拍手)
 そして、本日、与党は、平成十四年度予算案の採決を与党単独でも強行しようとしています。その横暴を許し、政府・与党に加担した予算委員長津島雄二君の行為を決して許すわけにはいきません。
 しかも、昨日夕刻の理事会において、津島委員長は、みずから、「我々与党としては」などとおっしゃられました。要するに、自分が中立公正ではなく、与党の立場で物を考え、発言、行動していることをみずから自白されたわけであります。院の役員たる者、それぞれ出身の党派があったとしても、その職務の執行に当たっては、その立場を超えて、中立公正を保つべきことが当然であり、そのことの自覚なく、みずから、「我々与党としては」などとおっしゃる津島雄二君は、明らかに予算委員長として不適任であります。
 国民生活に深くかかわる雇用問題、景気回復、財政・金融問題、さらにはBSE問題、医療制度改革問題など、審議すべき課題は山積しています。これら重要な課題について十分な審議がなされたとは到底言えない状況のまま、国の重要な予算を決める審議を終えるわけにはいきません。
 公聴会においても、与党推薦の公述人を含めて、ほとんどの方がこの予算案の問題点を次々と指摘され、この予算はいいものだと言った公述人はおりません。真に国民生活を考え、山積する諸課題を解決しようとするのであれば、議論を尽くし、問題点を改めることが必要です。
 昨日の審議では、あろうことか、財務大臣御自身が、予算の一部について、その執行停止を協議する必要があるというような趣旨をみずから発言しておられます。つまり、政府みずからが、このままの予算を通したのではだめだと、御自身が、財務大臣自身がきのうの委員会で発言をしているのであります。どこをどう見直して、どう手直しするのか、さらに審議を深めることは政府も認めていることでありますから、当然、予算委員会の中で進めていかなければならないことであります。
 予算委員会の審議を正常に戻し、国民にとって重要な予算の審議を公正に行い、国民の皆さんの期待する経済の回復、構造改革、そして、鈴木宗男議員を初めとするさまざまな癒着疑惑の問題を解明していくためには、そのための公正な審議を行うためには、予算委員長津島雄二君の解任以外に解決の道はありません。(拍手)
 重ねて、予算委員長津島雄二君の解任を強く求め、提案理由の説明といたします。
 議員各位の御賛同を心から強くお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 討論の通告があります。順次これを許します。井上義久君。
    〔井上義久君登壇〕
井上義久君 私は、自由民主党、保守党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました予算委員長津島雄二君解任決議案に対しまして、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 平成十四年度予算は、現下の厳しい経済状況にあって、国民から年度内成立が強く求められているところであります。にもかかわらず、今回の予算委員長津島雄二君解任決議案の提出は、いたずらに国会を混乱に陥れ、平成十四年度予算の成立をおくらせるもの以外の何物でもありません。
 常任委員長の解任には、不公平、不公正な委員会運営を行った等の積極的な理由が必要でありますが、津島委員長の委員会運営のどこがその理由に該当するのか、全く理解に苦しむものであります。
 津島委員長は、予算委員長に就任以来、誠心誠意、各党各会派の主張、意見に真摯に耳を傾け、公正かつ円満な委員会運営に、日夜、心を砕いてこられたことは、野党側も十分に承知していたではありませんか。ともすれば、野党側の主張により配慮した委員会の運営を行ってこられたのではないかとさえ思うところであります。
 例えば、津島委員長は、野党側からの、アフガニスタン復興支援国際会議への我が国の一部NGO参加拒否問題に関して、田中前外務大臣及び鈴木宗男前議院運営委員長の参考人招致、小泉総理出席による外務省問題についての集中審議を開催すべきとの強い要望に対し、その実現に最大限の御努力をなされ、現に二月二十日、それが実現されたではありませんか。
 その後、さらに津島委員長は、野党側のBSE問題、医療改革問題、金融・財政・景気・雇用問題での小泉総理出席のもとでのたび重なる集中審議の開催要望に対しても、その実現に最大限の御努力をなされ、現に、二月二十五日、二月二十六日と、これも実現をしたではありませんか。
 解任理由として、証人喚問の実施に関しその姿勢を挙げておりますが、我々与党は、証人喚問は、議員の身分にかかわることでもあるので、慎重の上にも慎重を重ねて判断しなければならない、さらに、外務省の内部調査報告を踏まえた上で検討する旨を主張し、野党側は本予算採決前の喚問実現を、それぞれ主張しておりました。津島委員長は、与党、野党の主張の隔たりが大きいことから、そのことが予算審査及び成立に影響を与えることを懸念し、理事会において、その都度、与野党に対し、円満に協議、解決するよう強く進言され続けたのであります。その結果、三月十一日に証人喚問が実現することになりました。これにより、国民が願っておる一連の問題に関しての事実解明が図られるものと思われます。
 さらに、野党側は、解任理由として、津島委員長が、野党の反対を押し切って、与党単独で分科会の開催を議決したことを挙げておりますが、これは国会法に基づく委員長の職務権限を適正に行使したものであり、何ら批判されるものではありません。(拍手)
 また、解任理由として、あたかも本予算を単独で採決を強行しようとする与党の党利党略に加担したごとく主張しておりますが、津島委員長は、我が国の置かれている大変厳しい現状を踏まえ、さらに本予算の年度内成立の重要性に思いをいたし、やむにやまれず決断されたものであり、まことに的確な判断であります。
 最後に、公平、円満な委員会運営に特段の御配慮をなされた津島委員長のこれまでの御労苦に対し心より敬意を表し、本解任決議案に対する私の反対討論といたします。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 中塚一宏君。
    〔中塚一宏君登壇〕
中塚一宏君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました予算委員長津島雄二君の解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
 予算委員長津島雄二君は、今国会において、既に四度にわたり、委員長の職務権限の名のもとに、委員会審議を独断的に運営いたしました。
 一月二十八日には、平成十三年度の第二次補正予算案について、与党側の要求のみを一方的に受け入れ、委員会採決を強行いたしました。その不明と不手際をみずから恥じ、その後、野党理事に陳謝したにもかかわらず、その舌の根も乾かぬうちに、平成十四年度予算案の審議においても、同様の独断専行の委員会運営を押し通し、与党単独で分科会の開催を強行することに手をかしたのであります。さらに、一昨日には、委員長職権で本日六日に採決することを決定した上に、昨日は、本日の質疑日程を、これまた委員長職権で設定いたしました。
 仏の顔も三度といいますが、わずか一カ月余りのうちに四度の採決を野党側の主張を無視して強行するという暴挙を、我々は断じて認めるわけにはまいりません。(拍手)
 議会政治には、政党政派を超えて守らなければならないルールというものがあります。そのルールを踏みにじるなどということは、委員長としてあるまじき、言語道断の振る舞いであります。
 これは、採決の強行に限ったことではありません。
 津島君は、しばしば委員の質疑中に、委員長個人の発言として委員の質問に注文をつけ、我が党の委員がみずからの責任で十分な調査を踏まえて行った質問に対して、発言に責任を持てなどと発言し、およそ委員長としてあるまじき運営を行ったのであります。(拍手)
 さらに、しばしば政府が答弁に窮し、理事間で協議になっても、本来であれば時計をとめて適切な質疑時間を確保すべきところを、ただひたすら進行を急いで、委員の質問時間をいたずらに浪費させ、充実した質疑の邪魔をし続けたのであります。
 理事会等において、委員長の委員会運営に対し、これほど注文のついた委員長の例を私は知りません。
 もとより、津島雄二君の議員個人としての資質、能力が、品格のある温厚な人柄とともに高く評価されてきたことは、私も否定するものではありません。厚生大臣を初め数多くの重責を果たされて国家に貢献し、昨年十月、議員在職二十五年の表彰を受けられたばかりの津島雄二委員長がこのような委員会運営を行ったことは、痛恨のきわみであります。(拍手)
 これ以上その品格をおとしめられないためにも、解任決議案を待たずに、みずから進んで辞職をされるよう御進言いたします。
 日本という国家を組織する国民の代表者の集まりである国会において、運営が民主的になされないとするならば、それは、国会自身がみずからの国家国民の価値をおとしめるものにほかなりません。
 国会審議の中でも最も重要な常任委員会と位置づけられている予算委員会において津島雄二君の行った委員会運営は、まさに日本国民の価値が世界から問われかねない、非民主的なものであります。有権者に対してまことに申しわけない所業というふうに言わざるを得ないことを重ねて申し上げまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 佐々木憲昭君。
    〔佐々木憲昭君登壇〕
佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、予算委員長津島雄二君解任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
 最初に強調したいことは、税金の私物化、援助の私物化、利権疑惑が次々に明るみに出ていることであります。予算執行に直接かかわるこれらの疑惑を解明せずして、予算案の採決などどうして認めることができるでしょうか。
 ムネオハウス、ムネ電は言うに及ばず、昨日の午後の審議だけでも疑惑噴出という状況ではありませんか。鈴木宗男議員が、自民党候補落選の報復として、北海道の農地整備事業の予算を凍結させる圧力をかけていたという重大な疑惑が、政府内部の文書の裏づけをもって新たに示されました。疑惑は外務省を超えて広がっております。扇国土交通大臣は、来週火曜日までに調査し、結果を報告したいと約束しました。
 北方四島人道支援事業で、支援委員会が、消費税の支払いが不要であることを承知しながら、二億六千万円も受注業者に支払っていたという信じられない事態も明るみに出されたわけであります。小泉総理は、よく調査すると答弁されました。色丹島診療所建設に至る疑惑についても、首相は、よく調査すると答えました。タンザニアへの資金送付問題の疑惑でも、川口外相は、資料の提出について検討すると約束しました。調査するのオンパレードではありませんか。
 こうした調査結果を受けて疑惑解明を徹底することこそ、国民の期待にこたえる予算審議にほかなりません。ところが、津島委員長は、野党が求める審議継続の当然の要求を無視し、疑惑解明にふたをしようとする与党に加担して、強引に審議の幕引きをしようとしているわけであります。
 津島委員長は、疑惑解明に欠かせない鈴木宗男議員の証人喚問問題でも、外務省の調査報告を見てからとずるずる回答を引き延ばす与党にくみし、与党単独の分科会開催を強行したのであります。津島委員長、あなたはそれほどまでに鈴木宗男氏の疑惑にふたをしたいのですか。公平性を投げ捨てて、国民の期待を裏切るこの言語道断の委員会運営を断じて認めるわけにはいかないのであります。(拍手)
 津島委員長による公平性を損なう委員会運営は再三にわたっており、この点からも絶対に見過ごすことができないのであります。第二次補正予算審議の際、野党議員の質問権まで侵害するという目に余る委員会運営ゆえに、津島委員長は野党理事、オブザーバーに対し陳謝したのであります。その態度はその場しのぎのものだったのでしょうか。陳謝を受けた当事者として怒りを禁じ得ないのであります。
 良識ある議会人であるならば本決議案に賛同するのは当然であるということを強く申し述べて、賛成討論を終わるものであります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 金子哲夫君。
    〔金子哲夫君登壇〕
金子哲夫君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました予算委員長津島雄二君解任決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 津島委員長は、一月二十一日の就任に際し、「国の基本政策、経済政策、雇用政策あるいは福祉政策の面において、我が国が一つの岐路に立っているという指摘もございます中で、できるだけ国民にとって内容のある審議を進めていただきたいと願っております。」などと、みずからの職責を他人事のように語り、事実、この間、与党任せの委員会運営を行ってきました。
 そして、就任早々、平成十三年度第二次補正予算の審議に際しては、野党の質問を妨害し、あろうことか、与党のみで強行採決を行ったのであります。時あたかも、外務省によるアフガニスタン復興支援会議へのNGO出席拒否への政治家関与の問題が顕在化し、政府みずからが、外務大臣と事務当局の答弁に相違があると認めざるを得ない事態だったのにもかかわらず、野党の要求を受け入れず採決を強行したことは、国会と国民を愚弄するものであります。
 現在に至っても、外務省をめぐる一連の疑惑はさらに広がりを見せております。外務省の作成した調査報告書も不十分であることが、昨日の予算委員会における野党の追及で明らかになっております。政治家の行政に関する不当な関与は、国土交通省、防衛庁なども認めるところであります。ODAや公共事業をめぐる疑惑はまさに予算執行にかかわるものなのであり、予算委員会において究明されなければならないのは当然のことであります。
 こうした事態の真相究明を行うことなしに平成十四年度予算案を採決しようとすることは、まさに国民不在の暴挙であります。疑惑を徹底的に究明し、国民の不信を払拭することなしに平成十四年度予算案の採決を強行すれば、国民の政治と行政に対する不信は増すばかりであります。しかしながら、津島予算委員長が真相究明を求める国民世論の圧倒的な高まりにこたえようとしていないことは明らかであります。
 また、民主党、自由党、日本共産党及び社会民主党の野党四党は、現下の厳しい経済・雇用状況を深刻に受けとめ、景気回復を実現し、国民の安心を高めるために、予算の組み替えを求めております。看板倒れの改革断行予算などではなく、国民生活の安心と景気回復に資する予算への組み替えを行うことこそが、予算委員会に課せられた使命であります。
 しかし、津島予算委員長は、公正な議事運営を怠り、与党の党利党略に偏った、一方的な議事運営を行ってきました。津島予算委員長は、こうした事態を反省し、与野党の合意に基づく民主的な運営に努めなくてはなりません。
 にもかかわらず、津島予算委員長は、与党のみの議決による分科会開催を強行したばかりか、本日また、与党による平成十四年度予算の採決強行への加担を行おうとしているのであります。不当な運営はここにきわまったのであります。
 厳正、中立、公正を期すべき予算委員長がかかる暴挙を繰り返すことは許しがたいものであり、津島委員長が解任されるべきは当然のことであります。
 以上申し上げまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立少数。よって、予算委員長津島雄二君解任決議案は否決されました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件
議長(綿貫民輔君) お諮りいたします。
 内閣から、
 国家公安委員会委員
 中央社会保険医療協議会委員
及び
 社会保険審査会委員長及び同委員に
次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 内閣からの申し出中、
 まず、
 国家公安委員会委員に川口和子君を、
 中央社会保険医療協議会委員に飯野靖四君を、
 社会保険審査会委員に橋本宏子君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、
 社会保険審査会委員長に土井豊君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) この際、暫時休憩いたします。
    午後二時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後九時四十五分開議
議長(綿貫民輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
馳浩君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
議長(綿貫民輔君) 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算、平成十四年度政府関係機関予算、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長津島雄二君。
    ―――――――――――――
 平成十四年度一般会計予算及び同報告書
 平成十四年度特別会計予算及び同報告書
 平成十四年度政府関係機関予算及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔津島雄二君登壇〕
津島雄二君 ただいま議題となりました平成十四年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この予算三案は、去る一月二十五日本委員会に付託され、二月八日塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。その後、基本的質疑等、公聴会、分科会を行い、本日、締めくくり質疑をもって、討論、採決をいたしたものであります。
 まず、予算三案の概要について申し上げます。
 平成十四年度一般会計予算は、国債発行額三十兆円以下との目標を掲げ、五兆円を削減しつつ、重点分野に二兆円を再配分するとの方針のもと、歳出の一層の効率化を進める一方、予算配分を重点分野にシフトするとの観点に立って編成されており、歳入歳出とも、その規模は八十一兆二千三百億円でありまして、前年度当初予算に対し一・七%の減少となっております。
 歳入のうち、公債の発行額は、建設公債、特例公債合わせて三十兆円で、公債依存度は三六・九%となっております。
 特別会計及び政府関係機関予算については、資金の重点的、効率的な配分に努め、事業の適切な運営を図ることとされており、その数は、特別会計が三十七、政府関係機関が九でありまして、ともに前年度と変わりありません。
 なお、財政投融資計画の規模は、二十六兆七千九百二十億円であり、前年度当初計画に対し一七・七%の減少となっております。
 次に、予算委員会における主な質疑について申し上げます。
 質疑は、平成十四年度予算に対する評価、デフレ対応策の実効性、雇用情勢の見通しと雇用対策への取り組み姿勢、外務省に関する諸問題、医療制度改革、不良債権問題、特殊法人改革、BSE問題など、国政の各般にわたって熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくして、本日、質疑を終局いたしましたところ、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案により、平成十四年度一般会計予算修正案が提出され、松本剛明君から趣旨の説明がありました。
 次いで、政府原案及び修正案を一括して討論に付しましたところ、自由民主党、公明党及び保守党を代表して井上義久君から政府原案に賛成、修正案に反対の意見が、民主党・無所属クラブを代表して城島正光君から修正案に賛成、政府原案に反対の意見が、自由党を代表して達増拓也君から修正案に賛成、政府原案に反対の意見が、日本共産党を代表して矢島恒夫君から修正案に賛成、政府原案に反対の意見が、社会民主党・市民連合を代表して辻元清美君から修正案に賛成、政府原案に反対の意見が、それぞれ述べられました。
 引き続き採決を行った結果、修正案は否決され、平成十四年度予算三案は賛成多数をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 平成十四年度一般会計予算外二案に対しては、枝野幸男君外六名から、三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
 この際、その趣旨弁明を許します。松野頼久君。
    ―――――――――――――
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔松野頼久君登壇〕
松野頼久君 民主党の松野頼久でございます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の野党四会派を代表して、その趣旨の弁明を行います。(拍手)
 まず、私たち野党四会派が平成十四年度政府提出予算の組み替えを求める理由を申し上げます。
 私たちが予算の編成替えを求める第一の理由は、政府の提出した平成十四年度予算では、当面の景気回復と中長期の安定経済成長への道筋が全く見えないことであります。
 小泉内閣が昨年四月に成立して以来、失業率は〇・九ポイント上昇し、失業者は五十五万人増加し、株価は大きく下落する一方、長期金利が上昇するなど、各種経済指標は悪化の一途をたどっています。このように我が国経済が危機に直面しているにもかかわらず、小泉総理は、改革なくして成長なしと声高に叫び、あたかも、みずからの構造改革を進めればその先に景気回復があるかのような幻想を国民に与えようとしているのであります。
 しかし、小泉総理が改革断行予算を標榜した予算は、相変わらずの従来型事業の積み上げであり、失われた十年をもたらした、既得権益温存型予算であるわけであります。これでは景気回復を望むことはできず、また、国民の信頼も期待も得られないのは当然のことだと思われます。
 現在、最も深刻な問題は、史上最悪の状況となっている雇用情勢であり、このような不安な状況が将来にわたって継続するのではないかという国民の不安感であります。この雇用や将来に対する国民の不安が払拭できない限り、最大の需要項目である消費が盛り上がることはなく、新たな投資も望めないのであります。
 本来、新年度予算は、失業に対する不安の解消、新たな産業育成を通じた雇用の創出に全力を挙げるべきものでありますが、政府提出の予算は、この点への取り組みが全く不十分であります。
 そこで、国民の安心を確保し、景気の速やかな回復を図るために、求職者の能力開発を推進し、実際の雇用に結びつくような、失業給付制度の改善を行った上での給付の延長、雇用保険の財政の安定化、就職支援の体制の強化、中小企業の技術革新の支援策の拡充等が必要だと考えられるものであります。
 また、より広く国民の安心を確保する観点から、BSE対策の強化拡充、保育所整備促進事業、看護休暇制度等の導入の促進等の仕事と子育て両立支援策の拡充、待機者解消のための特別養護老人ホームの整備促進等の社会保障そして福祉政策の充実、将来の日本を支える人材育成の観点からの三十人学級の早期実現に向けた条件整備、日本育英事業の無利子貸付貸与枠の拡充、老朽校舎改修促進等の教育振興の施策の充実が必要であるわけであります。
 第二の理由は、政府提出の予算が、国民の目を欺く、粉飾予算であることであります。
 小泉総理が構造改革のシンボルとして掲げてきた国債発行三十兆枠は、実質的には破綻しています。実現もしていない、外為特会の剰余金を歳入に計上し、返すべき借金を先送りし、さらには、たった一年前に政府が決めた、地方交付税特別会計における借入金は行わないという方針を、朝令暮改的に覆してまで守ったものは、財政規律ではなく、小泉総理のメンツのみであります。(拍手)
 財政規律を重視するならば、まず現在の財政状況を正直に国民に提示すべきであり、隠れ借金によって見かけのみを整えることは、一層の財政規律の喪失を招くものであります。このような予算編成は、単に予算のあり方を超えて、内閣の姿勢として極めて問題があると言わざるを得ません。(拍手)
 第三の理由は、予算執行体制の適正性に疑念があるということであります。
 予算委員会の審議及び三月四日に外務省が発表した調査報告によって、外務省の予算執行に対して個別の国会議員の深い関与があり、適正な予算執行がゆがめられていることが明らかとなりました。これを一刻も早く改めるためには、一連の外務省問題の発端となった外務省報償費及び官房報償費の抜本改革が不可欠だと考えるものであります。
 政府提出の予算において、対前年度当初比で、外務省報償費は四割削減、官房報償費は一割削減としていますが、削減の一部は他費目への振りかえであり、また、制度としての抜本改革には全く踏み込んでいないものであります。これでは、国民の期待に全くこたえられていないどころか、財政法、会計法の規定からもかけ離れており、容認することは到底できません。
 報償費に始まった一連の外務省関連不祥事に対する国民の批判を真摯に受けとめ、報償費の一層の大幅削減を図るとともに、その使途の限定、内部監査や会計検査の適正化、国会によるチェック体制の確立等、制度面での抜本改革が不可欠だと考えます。このような改革なくして、外務省に国民の貴重な血税を使用する資格はないものであると考えます。
 このほか、環境循環型農業、有機農業などの推進、信頼できる食品表示を担保する検査、監視等の強化等を通じた食の安全の確保、新エネルギーの研究開発・普及のための支援策拡充、公共交通機関への低公害車の導入促進、森林整備拡充を通じた環境重視、公共交通機関のバリアフリー化、高齢化社会への対応により、我が国社会の新たな方向性を明確に本予算において示していくことが必要であると考えるものであります。
 同時に、従来の需要追加型景気対策の効果が乏しくなっていること、危機的な財政状況を踏まえて、予算を伴わない、あるいは予算の執行上の工夫によって、景気・雇用対策を推進することも不可欠であります。
 一方、先ほど申し上げた、国民の安心を高めるためのさまざまな施策を行うに当たっては、その財源は、政府提出の予算に内包されているむだを排除し、効率を高めることによって見出すべきであると考えます。
 その第一が、予算委員会で予算の執行体制に大きな問題があることが明らかとなった、支援委員会の関連予算であります。組織上の不備があり、支援事業の基準や選定過程に大きな問題があることを塩川財務大臣さえ認めた、この支援委員会関連予算を削除することは、国会の責務とも言えるものであります。(拍手)
 また、外務省報償費及び官房機密費の大幅な削減は当然であり、同時に、平成十三年度第二次補正予算や高どまりしているコストの見直しを踏まえた公共事業関係経費の見直し、一層の行政経費の効率化、真の特殊法人改革に向けた関係予算の見直しが必要であります。
 以上のように、来年度予算については、景気回復に資する、真に必要な事業の拡充、追加、国民に対して真の財政状況を開示するための粉飾予算の是正、政治、行政に対する国民の信頼を回復するための第一歩としての報償費改革等の実現を求めた抜本的な改革が必要であると考えます。
 野党四会派は、以上のような見地から、二〇〇二年度政府予算を、別途お配りしております重点事項に沿って組み替えるように要求するものであります。
 何とぞ御賛同くださいますようにお願いを申し上げ、趣旨の弁明といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより、予算三案に対する討論と、動議に対する討論とを一括して行います。順次これを許します。西川太一郎君。
    〔西川太一郎君登壇〕
西川太一郎君 私は、自由民主党、公明党及び保守党を代表して、政府提出の平成十四年度一般会計予算など予算関係三案に賛成し、野党共同提出から成る組み替え動議に反対の討論を行います。(拍手)
 以下、賛成する理由を申し述べます。
 第一は、平成十四年度予算は、小泉内閣初の本格予算であり、小泉総理の「聖域なき構造改革」、構造改革なくして景気回復なしの方針に基づき、改革に第一歩を踏み出した予算となっていることであります。新規国債発行三十兆円枠を堅持し、財政再建への意思を明確にするとともに、特殊法人に対する財政支出の一兆円削減、ODA予算の一割削減、既存の公共事業の配分を見直し、都市再生、環境整備等の重点七分野への配分など、改革を進めております。
 第二は、行政改革を断行していることであります。小泉総理は、「聖域なき構造改革」を進めるため、改革に伴う痛みに対する国民の理解と協力を求めております。そのためには、行政が率先して改革に取り組む姿勢を示すことが不可欠であります。この点、平成十四年度において、国家公務員の定員を九千二百七十一人削減いたしております。これは過去最高の削減であります。また、特殊法人改革においては、十七法人を廃止、四十法人を民営化、民間法人化、三十八法人を独立行政法人化というように大胆な改革を進め、来年度の財政支出を一兆円削減しております。政府のこの姿勢は評価されるべきであります。
 第三は、緊縮予算の中で、現下の厳しい経済情勢に対応し、国民の雇用と暮らしを守ることに配慮していることであります。離職を余儀なくされる国民のための民間事業者を活用した再就職支援、大学、企業への訓練委託などに三百三十九億円、職業訓練中の失業手当は昨年の倍の七百三十六億円を手当てするなど、再就職支援に力点を置いて国民の生活の安定を目指しております。また、保育所の増設で五万人の保育児童を受け入れ、特別養護老人ホームの増設などの介護基盤整備、ダイオキシン対策の強化など、少子高齢化社会の到来を見据え、国民の暮らしや環境を守ることに配慮いたしているのであります。
 第四は、我が国産業の根幹を支える中小企業対策に力を入れていることであります。創業支援策を強化するとともに、売掛金債権を担保にした新たな融資制度の創設、成長分野進出のための経営革新などへの支援、活力ある中小企業の育成とセーフティーネットの整備を図っております。
 以上が、賛成する主な理由であります。
 最後に、明確な理念を欠き、現実的な提案でない等の理由から、野党提出の組み替え案には反対することを申し上げ、与党三党を代表して、私の討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 岩國哲人君。
    〔岩國哲人君登壇〕
岩國哲人君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました二〇〇二年度政府予算三案に反対し、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合提案の予算の組み替えを求める動議に賛成する立場で討論を行います。(拍手)
 まず、討論に先立ち、予算委員長の強引な委員会運営について抗議を申し上げます。
 一月二十八日深夜、津島予算委員長は、野党をまるでだまし討ちするかのように、二〇〇一年度第二次補正予算の採決を強行しました。そして、本予算案の審議入り後も、鈴木宗男議員による予算の私物化という一連の疑惑が噴出しているにもかかわらず、そのための証人喚問を待つこともなく、さらには、政府が約束したさまざまな調査の結果が出るのを待つこともなく、強引に審議を打ち切りました。
 わずか一カ月余りの間にこのような暴挙を繰り返すことは、民主主義の精神を踏みにじるものであり、断じて許されるものではありません。津島委員長には猛省を促すものであります。(拍手)
 さて、自民党を変えると叫び、国民の高い支持を得た小泉さんが総理に就任、間もなく一年がたとうとしています。
 昨年の今ごろ、中小企業を食い物にしたKSD事件に絡み、自民党の村上正邦・小山孝雄前参議院議員が逮捕され、額賀福志郎議員も疑惑を取りざたされました。一昨年の今ごろは、時の総理が株取引をめぐる疑惑を取りざたされ、金融行政のトップでありながら銀行業界に手心発言をし、今日に至る金融行政不信を招いた越智通雄前議員が、金融再生委員長の座を追われました。まるで年中行事のように、自民党議員をめぐる政官業癒着の疑惑が出てきております。そして、ことしが、鈴木宗男議員にまつわる数々の疑惑であります。
 鈴木宗男議員に関する疑惑が真実であるとすれば、いかに、我が国の政治と行政が私物化され、ゆがめられてきたかがわかります。
 権力を振りかざして国民や官僚を恫喝する、自分を応援しない者からは仕事を奪う、公共事業やODAの口ききで税金をピンはねする、役所の人事にも口出し放題、こうした疑惑が真実であるかどうかを国民の前に明らかにし、どの政策がゆがめられたのか、どの予算が不正に執行されたのかを検証しなければ、たとえどんなにすばらしい予算を組んだところで、まるで穴のあいたタイヤに空気を入れるように、穴のあいたバケツに水を注ぐように、大切な税金がどこかに消えていってしまうではありませんか。(拍手)
 私は、国会に入って六年間、ずっと予算委員会の席から予算審議に参加し、日本の政治を眺めてまいりました。その中で、ばらまきと言われ、消えている税金の行く先がようやくわかってきました。中尾元建設大臣逮捕、中村喜四郎元建設大臣有罪判決、そして鈴木宗男議員の数々の疑惑、要するに、ばらまきが政治家の腹巻きに入っておったんです。(拍手)
 腹巻きのない人はどうするか。鉢巻きをして、きょうも働いています。今の日本の政治は、腹巻きにばらまきを運ぶのか、鉢巻きをする人の汗とお金を大切にする政治に変えていくのか、それがもっともっと審議される必要があるのではありませんか。(拍手)
 多くの国民が小泉さんに高い支持率を寄せたのは、小泉さんなら腹巻きから鉢巻きの方へ大きな政治の転換をしてくれる、それが国民の期待であったはずです。この予算委員会の審議で明らかになったことは、この政治がいまだに続いている、そして、自民党によって変えられようとしないということです。
 官僚を見ても、外務省では税金が馬やマンションに化けている。政治家は税金を献金にかえている。政官癒着のもとで、このような錬金術がいまだに行われています。こうした現状を批判し、反省もしないままに、ばらまきが腹巻きに入るような予算は通すべきではありません。少なくとも、削除するか凍結すべきではありませんか。
 政官業癒着の利益誘導型政治がまかり通っている間にも、国民生活は厳しさを増しています。とりわけ、深刻な雇用情勢と金融危機の再燃が目下の最大の焦点です。
 世界の二大経済国と言われるアメリカと我が国を比較すれば、その違いが一番よくわかるでしょう。アメリカは、テロ事件以後、一時停車した後、また順調な回復に入っています。我が国の経済は、昨年の一月にダボスの国際会議で、負の遺産を克服し本格的な回復の軌道に入ったと言ってから一年、本格的な回復どころか、ますます悪化しているではありませんか。
 景気予測や成長率の予測も外れることがしばしば。この四十年間に当たったと言えるのは、わずか六回。政府の成長率予測が当たるのは、十年に一回か二回、その程度の話です。
 政策は曲がりっ放し、予測は外れっ放し、景気は下がりっ放し、雇用は減りっ放し、倒産はふえっ放し、国民の借金はふえっ放し、責任は投げっ放し、こういう政治が我々の前に広がっているのです。(拍手)
 先日、政府は、いわゆる総合デフレ対策を決定しました。しかし、政府・与党内からさえ酷評する声が上がったこの対策は、既に打ち出されている政策の寄せ集めであって、インパクトのある政策は全くありません。この内閣には、デフレスパイラルという現実に対する危機感も、それを阻止しようという意欲も欠如していると指摘せざるを得ません。
 以下、本予算案に反対する理由を具体的に申し上げます。理由は四つ。
 第一に、本予算案は、国債発行額を三十兆円以下に抑制するという公約を守ったように見せかけるため、隠れ借金を駆使した粉飾予算であるということです。財政には、何よりも透明性が、すなわち明朗会計であることが求められます。それを、ただ単に自己保身を図ろうとする余り、当初の公約へのこだわりが過ぎて不明朗会計にねじ曲げてしまうことは、断じて許されるものではありません。こうした姿勢が我が国財政に対する内外の不信を招いているのです。
 第二に、五兆円を削減しつつ重点分野に二兆円を再配分する、このような方針のもとに、公共投資を一割削減したと言いながら、既に、今年度第二次補正予算で前倒しにその埋め合わせをしていることです。朝三暮四とは、まさにこのことです。しかも、その財源は、本来なら国債償還に充てるべきNTT株式売払収入を流用しているものであり、単なる借金の先送りです。
 第三に、改革断行予算というふれ込みの本予算案が、相も変わらず、硬直化した省庁別シェアや公共事業シェアに象徴されるように、構造改革に値しないものであることです。むだな公共事業の代表と言われている川辺川ダムや諫早湾干拓事業にも、相変わらず予算がつけられているではありませんか。
 第四に、雇用・社会保障関係の予算が依然として質量ともに不十分であり、国民の将来不安を解消するにはほど遠いものであることです。とりわけ、医療関係予算に関しては、小泉総理の独善によって最重要課題である医療制度の抜本改革が先送りされ、国民に大きな負担が強いられるものとなりました。ここにも、自民党と医師会の政官業癒着の影がちらついています。
 以上申し述べたとおり、本予算案にはさまざまな問題があり、景気浮揚にも構造改革にもつながるものとは考えられません。これに対し、野党四会派提出の予算の編成替えを求める動議は、むだな公共事業などを削減する一方で、国民の将来不安を取り除く、雇用や社会保障、教育、環境、災害対策、教育という将来の人的資源への先行投資、あるいは地球環境への先行投資を充実させ、国の資源配分を大きく変えることを主張しております。
 我が国財政は危機的な状態に陥っており、将来、財政健全化を達成するためには、今から財政構造改革に着手し、財政を効率化していくことが必要不可欠であります。
 以上申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 達増拓也君。
    〔達増拓也君登壇〕
達増拓也君 私は、自由党を代表して、政府提出の平成十四年度予算三案に反対し、野党四会派提出の予算組み替え動議に賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 失われた十年と呼ばれる日本経済社会の低迷、それは、国際関係や産業技術の大きな変化の中で、変化の本質を見定めて戦略的に行動するような国民意思の統合に政治が成功せず、場当たり的で、その場しのぎの対応を続けてきたことに原因があります。
 平成十四年度の国の予算を審議し、議決するに当たって、国会に必要なのは、真実に対する誠実さ、そして、筋道立てて物事を決めていくことへの誠実さです。真実を共有し、日本という国がなすべきことを一つ一つ確かめ合いながら、私たちは予算を議決しなければなりません。
 しかし、小泉内閣においては、閣僚のうそや、前言の撤回が余りにも多過ぎます。また、忘れました等のいいかげんな答弁や、はぐらかしの答弁も極めて多く、国会審議はたびたび混乱に陥りました。混乱の最たるものが、田中外務大臣の答弁と外務省官僚の答弁の食い違いをめぐる、いいかげんな政府見解による国会の混乱でありました。
 総理御自身も、スローガンを連呼するばかりで、その中身をきちんと説明することが決定的に足りず、解説を試みる閣僚も、人によって言うことが違うので、日本が進むべき方向を政府はどう考えているのか、国民ははかりかねています。
 この政府案をこのまま通してしまっては、国会としてなすべき国民意思の統合に失敗したことになると断ぜざるを得ません。
 以下、政府案に反対する理由を申し述べます。
 政府案反対の第一の理由は、この予算は、歳出面において、構造改革に全く役立たない上、景気、雇用にも配慮を欠いたデフレ加速予算であるということです。
 改革断行予算と自称しながら、歳出の仕組みを改めて効率化を図ることもなく、従来型の公共投資を並べかえて、積み上げただけにすぎません。一方で、景気や雇用の下支えは行っておりません。
 しかも、本予算を審議する傍ら、政府は、総合デフレ対策を決定し、その対策を第一弾として、今後さらにデフレ対策を打ち出すと公言しています。それは、この政府予算案自体が欠陥予算であることを、みずから認めることにほかなりません。(拍手)
 現下のデフレは、規制撤廃、税制改革、経済活性化のいずれも先送りしてきた小泉内閣の経済失政、無為無策の結果であるにもかかわらず、同じ過ちを繰り返そうとしているのです。
 政府案反対の第二の理由は、この予算案は、歳入面で、財政健全化に逆行しているということであります。
 本予算は、国債発行三十兆円枠を守り、財政規律を守ったと強調しますが、外国為替特別会計等からお金をかき集め、やめる予定だった地方交付税特別会計の民間借り入れを継続するなど、体裁を整えたにすぎません。国債発行三十兆円枠は、事実上破綻しているだけではなく、むしろ財政規律をゆがめるものであり、このような政府・与党の場当たり的、その場しのぎの対応の繰り返しは、三十兆円枠を守らなかった場合よりもさらに財政を悪化させ、後世にツケを回すことになります。
 政府案反対の第三の理由は、政府予算そのものが政官業癒着構造を温存させる手段として使われ、予算の編成と執行に重大な疑義があることが明白になったことであります。
 鈴木宗男議員、その行政介入問題は、政官業癒着構造にどっぷりとつかっている政府・与党の実態のほんの一部にすぎません。ODAや公共投資が族議員の介入によってむだ遣いされ、予算執行が著しく歪曲されているのです。それにもかかわらず、その癒着構造温存予算を後生大事にして、国民の血税を垂れ流し続けることは、言語道断であります。
 一方、野党四会派提出の予算案組み替え動議は、隠れ借金によって粉飾し、旧来型公共事業を継続する政府予算案を最小限改め、雇用対策、中小企業対策など、緊急性の高い事業に重点化しております。さらに、予算の効率的な執行を促すことによって、経済の活性化と国民の安心の確保が可能になるものと考えます。
 また、組み替え動議には、鈴木宗男議員の行政介入問題に絡み、北方四島住民支援事業に関する支援委員会への予算の削除も盛り込まれております。塩川財務大臣は、常識的に考えたらおかしい、実態を調べ、外務省とよく相談し、執行について内閣で協議すると述べ、政府予算案に計上されている支援事業の予算執行を再検討する考えを示しました。しかし、そうであるならば、支援委員会への拠出金を削除し、見直しを行うことが当然であります。
 以上の観点から、野党四会派提出の組み替え動議に賛成をいたします。(拍手)
 最後に、申し上げます。
 自由党は、改革を志向する日本国民の大きな運動の中から、改革に一生をささげようとする者たちが集まって、改革を断行するためにできた政党です。私たちの日本一新は、スローガンであると同時に、理念であり、政策パッケージであり、改革実現のための運動論でもあります。明治の御一新に匹敵する大改革をやり遂げようとする覚悟を示す言葉でもあります。
 そのような私たちから見ますと、小泉改革なるものは、全くのインチキであります。国民の仕事と国民の暮らしがどんどん悪くなっていくことを、改革が進んでいるということにし、現状の悪化に責任をとらずに済む予防線を張っておいて、抵抗勢力が協力勢力になるというまやかしの言葉で、守旧派との折々の妥協を正当化しています。究極のお気楽、日本一の無責任政権と言ってもいいでしょう。(拍手)
 そういう無責任政権は、ドラマの中でなら、おもしろいでありましょう。しかし、国民の仕事、国民の暮らしはドラマの外にあるのです。ドラマの外で、生身の現実の中で、政治が国民としっかり結びついていくためにも、政府予算三案に反対し、野党四会派提出の予算組み替え動議に賛成して、私の討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 穀田恵二君。
    〔穀田恵二君登壇〕
穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、野党四党が共同提出した組み替え動議に賛成し、二〇〇二年度政府予算三案に反対の討論を行います。(拍手)
 まず初めに、我が国の外交をゆがめ、行政を私物化する鈴木宗男議員による数々の疑惑が明らかになり、政府の予算執行の資格が厳しく問われていることを指摘しなければなりません。にもかかわらず、疑惑の徹底解明を後回しにしたまま、深刻な経済危機をさらに推し進める予算案の衆院通過を強行しようとしていることに対し、満身の怒りを込めて、抗議の意思を表明するものであります。(拍手)
 アフガン復興会議へのNGO排除問題での不当な圧力を初め、鈴木議員による行政私物化の実態は、許すことのできないものです。我が党の佐々木憲昭議員が明らかにしたムネオハウスなど、北方四島支援事業への不当な介入と私物化、コンゴ民主共和国臨時代理大使に対する外交官身分証明票発給の妨害という、他国の主権に介入し、日本の外交をゆがめた事実などは、外務省の行った不十分な調査でも認めざるを得ないものでした。
 鈴木疑惑の解明は緒についたばかりであり、疑惑はますます深まりと広がりを見せているのであります。現に、昨日、本日の予算委員会での審議を通じて、国土交通省をめぐる疑惑、防衛庁をめぐる疑惑など、疑惑は政府全体に広がっているのであります。
 これらの疑惑は、日本の外交政策、予算の執行にかかわる重大問題であります。だからこそ、本日の予算委員会で、塩川財務大臣も、このままの形では予算の執行はできないと答弁したのではありませんか。疑惑の全容解明がないまま予算案採決を強行することに、一片の道理もないのであります。
 政官業の癒着をめぐって、解明すべきはこれだけではありません。自民党加藤紘一元幹事長の秘書や鹿野道彦議員の元秘書による公共事業への口きき疑惑、一連の疑惑を徹底解明し、政官業の癒着をもとから断つことこそ、今、国会に求められています。(拍手)
 次に、本予算案の中身の問題です。
 何よりも、本予算案は、長引く不況とデフレを解決し、国民の暮らしを応援する内容に全くなっていないのであります。そもそも、本予算案を提出した折、デフレ対策を組み込んだ最適な予算と豪語していたにもかかわらず、本予算案審議のさなかに、デフレ対策を出さざるを得ませんでした。このこと自体、欠陥予算であることを政府みずから告白しているものです。全くつじつまが合わないではありませんか。
 小泉内閣が発足して十カ月、この間、失業率は過去最高の、最悪の水準にあり、企業倒産も相次いでいます。我が党の追及で、信金、信組を無理やりつぶす、金融庁の理不尽なやり方が明らかになりました。小泉内閣は、不良債権の早期最終処理の名のもとに、中小零細企業をつぶし、地域金融を支えている信金、信組を、手段を選ばず、強制的に破綻させてきました。その一方で、大企業や大手銀行には、手厚い支援を一貫して続けています。まさに、弱きをくじき、強きを助けるのが小泉構造改革であります。
 来年度予算案には、その必要性が疑われ、壮大な浪費とまで言われている川辺川ダム、関空第二期工事、諫早湾干拓など、大型プロジェクトは依然として温存されています。また、大銀行支援のための公的資金枠七十兆円も維持され、さらなる投入の動きさえ見られるのであります。
 歴代の自民党政府が行ってきた景気対策の結果、一九九〇年から二〇〇一年までの十一年間で、サラリーマン世帯の消費支出は、マイナス五・一%、月額で一万八千円余りも落ち込んでいることに見られるように、深刻な経済危機の根本には消費大不況があることは、余りにも明白であります。
 多くの国民が痛みを押しつけられている上、不況で苦しむ人々に一層のしわ寄せを迫る、それが本予算案の特徴です。サラリーマンなどの医療機関の窓口での自己負担を三割に、高齢者の負担限度をも引き上げる医療制度の改悪、高齢者マル優の廃止、中小企業予算のさらなる削減、日本育英会奨学金の無利子貸与枠の大幅削減、これらは、庶民の暮らしと営業を破壊し、景気と経済をさらに悪化させるもの以外の何物でもありません。焦眉となっているBSE問題でも、まともな対策予算もないではありませんか。既に破綻した大企業中心の経済政策をさらに徹底して推し進めるやり方であり、今や、経済危機の最大の原因は、小泉構造改革そのものなのであります。
 今、求められていることは、小泉構造改革をきっぱりやめ、大企業のリストラを規制して雇用を守る、医療、年金、介護など社会保障の改悪を中止すること、経済運営の軸足を国民の暮らしと営業に置く方向に転換することです。こうした国民生活を応援する予算への転換以外に、GDPの六割を占める家計消費を温め、現在の経済危機から抜け出す道はありません。
 日本共産党は、そのための予算案の抜本的な組み替え要求を提案し、その実行を求めてきました。
 過去最悪の雇用情勢に対応するため、解雇規制法や、地域経済に打撃を与える一方的な工場閉鎖などを規制するための立法措置など、大企業の社会的責任を明確にすること、本人三割負担は直ちにやめ、国の財政支出を最優先にした医療保険財政に立て直すこと、銀行への公的資金投入を中止し、中小企業を支援すること、公共事業の浪費をなくす上では、ゼネコン奉仕の大型公共事業から生活改善型の公共事業への予算配分の転換が不可欠であります。
 我が党は、こうした抜本的転換の方向を掲げるとともに、野党四党で一致する、最低限の予算組み替えも要求してきました。こうした提案にさえ真摯に耳を傾けない政府・与党の態度は、国民の願いを真っ向から踏みにじるものと言わなければなりません。
 自民党政治の行き詰まりは、いよいよ深刻です。小泉改革の正体は、旧来の自民党政治と何ら変わらないこと、自民党政治をよりむき出しにしたものであることが白日のもとにさらけ出されており、その転換が求められています。政官業の癒着をもとから断つこと、憲法で保障された、人間を人間として大切にする経済社会を目指すこと、有事法制や、テロ対策と称した報復戦争への無条件の協力ではなく、世界に誇るべき平和憲法を政治の根本に据えること、二十一世紀の日本の進路が厳しく問われています。
 日本共産党は、憲法を政治に生かすため、国民と力を合わせ全力を挙げることを表明して、討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 菅野哲雄君。
    〔菅野哲雄君登壇〕
菅野哲雄君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました二〇〇二年度政府予算三案に反対、野党四会派提出の二〇〇二年度一般会計予算外二案につき撤回のうえ編成替えを求める動議に賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 政府予算案に反対する第一の理由は、隠れ借金による粉飾予算だからであります。
 小泉首相の公約である国債発行三十兆円ありきで終始した結果、見せかけだけの数字合わせによって、かえって、財政の透明性は後退し、財政民主主義という観点から問題を残す粉飾予算となっているからです。
 しかも、税収が大幅に落ち込むときに三十兆円の国債目標にこだわったことで、本当に必要な分野へ必要なだけ手当てするという、景気に対する財政の働きを放棄することになっているのであります。その結果、国民が期待する、不況の克服、不安の解消、暮らしの安定と安心につながる予算とはなっていません。
 しかも、最終的に、国、地方を合わせた長期債務の総額は二十七兆円増の六百九十七兆円にまで膨れ上がり、OECD諸国で最悪の水準となっており、財政悪化は一層進むという、どこをとっても取り柄のない予算となっているのであります。
 反対の理由の第二は、改革断行予算とは名ばかりの、まやかしの予算だからであります。
 公共事業費の一兆円強の削減にしても、二〇〇一年度第二次補正予算は公共事業中心であり、補正予算を合わせた公共事業費の実態は対前年度当初比六%増となっており、まやかしの削減なのです。鈴木宗男議員の不当な関与が明らかになった北方支援予算も含まれており、旧来型公共事業温存、既得権益擁護の姿勢は変わってはいません。
 一方、同時多発テロ事件や不審船問題をいいことに、防衛費は聖域となり、歳出全体に占める割合は逆にふえています。中でも、後年度に大きな影響をもたらす、空中給油機の導入や五隻目のイージス艦購入は、断じて容認できません。また、相変わらず警察の不祥事は続発している中、警察官の四千四百人の増員が行われています。機密費詐取事件で大きな問題となった外交機密費、外務省報償費も、他の費目へのつけ回しで逃れており、外務省不祥事の反省が真摯に行われているとは、到底言えるものではありません。
 理由の第三は、弱者に痛みをしわ寄せする予算だからであります。
 児童扶養手当の改悪、国立大学の授業料の引き上げ、日本育英会の無利子奨学金の縮小、一定の高齢者の本人窓口負担の引き上げなど、社会保障や教育に痛みがしわ寄せされているのです。また、多くの中小企業が苦境にあえぐ中、中小企業対策費も削減されているのであります。医療費の値上げも、政府・与党が抜本改革を怠ってきたツケを国民にのみ押しつけようとするものです。
 地方財政の財源不足の補てんをめぐる、一度廃止を決めた特別会計借り入れ方式の復活や、タコの足食いにほかならない赤字地方債による交付税総額の確保は、地方財政調整制度の機能不全、破綻を意味しています。自治体にも自己責任、自助努力の競争原理を適用しようとする姿勢は、地方自治への無理解を示すものであり、地方交付税の段階補正の見直しなど、市町村合併推進のむちが目立つものであります。
 国民一人一人の生活の安定、不安の解消なくして、不況の克服はできません。防衛費や原子力関係費、むだな大規模公共事業費を削減した上で、雇用対策や社会保障の充実、地球温暖化対策を初めとする環境対策、三十人以下学級の早期実現を初めとする教育予算の充実、バリアフリー化や生活の足の確保、BSE緊急対策、信頼できる食品表示のための検査・監視体制の強化拡充など、国民生活に重点を置いた予算に組み替えていくことこそが、国民の安心に資するものでありましょう。
 しかるに、予算委員会における審議は極めて不十分で、審議が尽くされたとは到底言えません。
 外務省をめぐる一連の疑惑は大きく広がりを見せています。政治家の行政に関する不当な関与は、国土交通大臣、防衛庁長官なども認めているところであります。外務省の作成した調査報告書も不十分であったことが、昨日の予算委員会における野党の追及で明らかになっています。ODAや公共事業をめぐる疑惑はまさに予算の執行にかかわるものであり、疑惑を徹底的に究明し、国民の不信を払拭することこそが、本院に課せられた責務なのであります。
 このような中で二〇〇二年度予算案の採決を強行するならば、国民の政治と行政に対する不信は増すばかりであり、政治、行政への信頼は地に落ちることになりましょう。(拍手)
 改革に逆行する政府予算案が目指しているものは、国民生活の切り捨てです。旧来型公共事業の温存や既得権益に縛られた政府予算案では、国民の生活不安は深刻化するだけであり、不況を克服することはできません。国民の安心を確保し、景気の速やかな回復を図るためには、野党四会派提出の予算の編成替えが不可欠なのであります。多くの議員の圧倒的な御賛同をもって動議を可決しようではありませんか。(拍手)
 以上申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、枝野幸男君外六名提出、平成十四年度一般会計予算外二案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 枝野幸男君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立少数。よって、枝野幸男君外六名提出の動議は否決されました。(拍手)
 次に、平成十四年度一般会計予算外二案を一括して採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
議長(綿貫民輔君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
議長(綿貫民輔君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百七十三
  可とする者(白票)      二百八十六
  否とする者(青票)       百八十七
    〔拍手〕
議長(綿貫民輔君) 右の結果、平成十四年度一般会計予算外二案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
馳浩君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長平林鴻三君。
    ―――――――――――――
 地方税法の一部を改正する法律案及び同報告書
 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔平林鴻三君登壇〕
平林鴻三君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、両案の要旨について申し上げます。
 地方税法の一部を改正する法律案は、地方税負担の軽減及び合理化等を図るため、特別土地保有税の徴収猶予制度の拡充を図るほか、株式譲渡益に係る個人住民税の申告を不要とする特例の創設等、所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、平成十四年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、地方交付税の単位費用の改正等を行おうとするものであります。
 両案は、去る二月二十二日本委員会に付託され、同月二十六日に片山総務大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、昨日及び本日両案に対する質疑を行い、討論、採決の結果、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
馳浩君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。財務金融委員長坂本剛二君。
    ―――――――――――――
 平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び同報告書
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔坂本剛二君登壇〕
坂本剛二君 ただいま議題となりました両案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、当面の財政運営を適切に行うため、平成十四年度における公債の発行の特例に関する措置、外国為替資金特別会計からの一般会計への繰り入れの特別措置等を定めるものであります。
 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、中小企業関係税制として同族会社の留保金課税の特例の拡充等を、金融・証券税制として老人等の少額貯蓄非課税制度の障害者等を対象とした制度への改組等を行うとともに、金融業務特別地区における認定法人に係る所得の特別控除制度の創設等、沖縄の経済振興のための措置等を講ずることにしております。
 両案は、去る二月十九日当委員会に付託され、同月二十七日塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、本日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、順次採決いたしましたところ、両案はいずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後十一時十三分散会


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