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第16号 平成14年3月26日(火曜日)

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平成十四年三月二十六日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  平成十四年三月二十六日
    午後一時開議
 第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日程第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案(内閣提出)
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する等の法律案(議院運営委員長提出)
 国立国会図書館法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文部科学委員長河村建夫君。
    ―――――――――――――
 国立学校設置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔河村建夫君登壇〕
河村建夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、国立大学における教育研究体制の整備及び充実を図るとともに、実践的技術者の養成を目的とするもので、その内容は、
 第一に、図書館情報大学を筑波大学に統合し、山梨大学と山梨医科大学とを統合して山梨大学を新設すること、
 第二に、秋田大学、筑波大学、信州大学及び九州大学に併設されている医療技術短期大学部を廃止して、それぞれの大学の医学部等に統合すること、
 第三に、沖縄工業高等専門学校を新設すること
であります。
 本案は、三月十九日本委員会に付託され、翌二十日遠山文部科学大臣から提案理由の説明を聴取し、去る二十二日質疑を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
馳浩君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案(内閣提出)
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長吉田公一君。
    ―――――――――――――
 二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案及び同報告書
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉田公一君登壇〕
吉田公一君 ただいま議題となりました両案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について申し上げます。
 本案は、平成十七年に愛知県で開催される二千五年日本国際博覧会の円滑な準備及び運営に資するため、国際博覧会条約第十二条の規定に基づく政府代表を設置し、その任務、給与等について定めたものであります。
 その主な内容は、
 外務省に、特別職の国家公務員である二千五年日本国際博覧会政府代表一人を置くこと、
 代表は、博覧会に関する事項について、国際博覧会条約の規定により、日本国政府を代表することを任務とすること、
 代表の任免は、外務大臣の申し出により内閣が行い、代表が任務を終了したときは、解任されるものとすること
等であります。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、
 第一に、在東チモール日本国大使館及び国際連合教育科学文化機関日本政府代表部を新設するとともに、これらの在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めること、
 第二に、地名変更に伴い、在カルカタ日本国総領事館の名称及び位置の地名をカルカタからコルカタに改めること、
 第三に、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額及び研修員手当の支給額を改定すること
を内容とするものであります。
 以上両案は、去る三月二十日に外務委員会に付託され、二十二日川口外務大臣から提案理由の説明を聴取し、本二十六日に質疑を行い、これを終了し、まず、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について討論を行った後、採決を行いました結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行いました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
馳浩君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する等の法律案及び国立国会図書館法の一部を改正する法律案の両案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する等の法律案(議院運営委員長提出)
 国立国会図書館法の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
議長(綿貫民輔君) 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する等の法律案、国立国会図書館法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長鳩山邦夫君。
    ―――――――――――――
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する等の法律案
 国立国会図書館法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔鳩山邦夫君登壇〕
鳩山邦夫君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 まず、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する等の法律案でありますが、我が国の現下の経済情勢、財政状況は非常に厳しく、また、本格的な構造改革のスタートにより、経済、社会、国民生活への多大な影響が見込まれております。こうした我が国の置かれている状況にかんがみ、各党、熱心な協議を行ってまいりましたが、各党の合意を得て本案を提出した次第であります。
 その主な内容は、
 まず第一に、議長、副議長及び議員の歳費月額を、本年四月一日から明年三月三十一日までの間、一割削減することであります。
 これに伴い、副大臣等が給与の一部に相当する額を国庫に返納することができるよう措置することといたしました。
 第二に、二十五年以上在職し、表彰の議決があった者が月額三十万円を受ける永年在職表彰議員特別交通費の制度を廃止することであります。
 これらの施行期日は、本年四月一日からといたしました。
 第三に、五十年以上在職し、表彰の議決があった者に年額五百万円の功労年金を支給することを規定した憲政功労年金法を廃止し、関係する法律を整備しようとするもので、その施行期日は、平成十五年一月一日からといたしました。
 次に、国立国会図書館法の一部を改正する法律案でありますが、本案は、国立国会図書館の中央の図書館に関西館を設置するとともに、電子ジャーナル等インターネットを通じて閲覧の提供を受けた情報に関する規定及び複写事務の委託に関する規定等を整備しようとするものであります。
 両法律案は、本日議院運営委員会において起草し、提出したものであります。
 何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣中谷元君。
    〔国務大臣中谷元君登壇〕
国務大臣(中谷元君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正を内容としておりまして、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに、必要な機能の充実等を図るとの観点から、陸上自衛隊の第四師団の改編等、陸上、海上、航空各自衛隊の情報保全隊の新編等並びに統合幕僚会議における防衛情報通信基盤管理運営室の新設及び情報の収集・分析態勢の強化等に伴い、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更するものであります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正の内容について、その概要を御説明いたします。
 これは、陸上自衛隊の第四師団の改編等及び情報保全隊の新編等に伴い、陸上自衛隊の自衛官の定数を四百五十四人削減し、海上自衛隊及び航空自衛隊の自衛官の定数をそれぞれ十四人増加するとともに、統合幕僚会議事務局における防衛情報通信基盤管理運営室の新設等及び情報本部における情報の収集・分析態勢の強化等に伴い、統合幕僚会議の自衛官の定数を百三十五人増加することを内容とするものであります。これにより、自衛官の定数は、計二百九十一人削減されることになります。
 次に、自衛隊法の一部改正の内容について、その概要を御説明いたします。
 これは、陸上自衛隊の第四師団の改編に伴い、即応予備自衛官の員数を三人増加するものであります。
 以上が、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。大出彰君。
    〔大出彰君登壇〕
大出彰君 民主党の大出彰でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)
 今回の改正は、我が国を取り巻く国際環境の変化に伴い、昨年度から始まった中期防衛計画にのっとるものと伺っています。そこで、国防上の緊急課題に対する政府の姿勢についてお伺いいたします。
 まず、いわゆる拉致事件についてお伺いいたします。
 元神戸外大生、有本恵子さんが北朝鮮に拉致された疑いがあると、警察当局によって認定されました。この拉致事件は、日本国民の平和と安全を脅かすとともに、国家の主権を侵害する重大な犯罪だと言わなければなりません。
 そこで、まず、国家公安委員長にお尋ねいたします。
 これまで警察庁が北朝鮮拉致疑惑と認定した疑惑は何件あるのでしょうか。また、警察庁の内部資料に「日本人拉致疑惑に関する動向表」というものがあると伺っていますが、その資料は、疑惑と北朝鮮との関連を断定できる客観的な証拠に基づいているのでしょうか。特に、象徴的な疑惑とされる横田めぐみさん拉致疑惑については異論も出されておりますので、国家公安委員長のお考えをお尋ねいたします。
 さらに、今回認定された有本恵子さん拉致事件には、拉致を裏づける三点セット、手紙、写真、証言があります。警察庁としては、どういう対処をとることができるのか、また、どのような対処をとろうとしているのか、国家公安委員長にお伺いいたします。
 また、小泉総理は、拉致問題を解決しないと北朝鮮との国交正常化の機会はないと述べておられます。しかし、この問題は、逆に、国交正常化が進まないと拉致問題解決につながらないとも言えることです。
 総理は、拉致疑惑の被害者家族の皆さんとお会いになったにもかかわらず、被害者家族の皆さんを、首相には具体的な発言を期待したが手ごたえがなかったとか、握手しただけで何も話せなかった、人気取りのパフォーマンスなどと失望させてしまいました。
 その後、日韓首脳会談での協力要請、北朝鮮赤十字による不明者の調査継続発表や三人の安否通告など、進展はありますが、こういうときだからこそ、被害者家族の皆さんの思いと同じように、北朝鮮に対して、毅然とした態度で、しかも、さまざまなルートを通じて、もっと強い交渉を求めたいと思いますが、官房長官のお考えをお伺いいたします。
 次に、外務大臣にお伺いいたします。
 安倍晋三官房副長官は、三月十八日の参議院予算委員会で、平成十一年当時、槙田邦彦アジア局長が、拉致されたたった十人のことで日朝国交正常化がとまってもいいのか、拉致にこだわり国交正常化がうまくいかないのは国益に反すると語ったことを認めました。拉致疑惑の被害者家族の気持ちを逆なでするような発言だと言わなければなりません。許せません。
 御本人はその発言を認めておられるのでしょうか。また、この発言に関して、徹底的に内部調査を行い、メモの提出を含めた事実解明に向けた積極的な意思がおありなのか、お伺いいたします。
 さらに、今、日本の中では、あのとき、なぜ金正男とおぼしき人物を犯罪の立件もなく帰してしまったのかと、怨嗟の声が起こっています。外務省が反対したせいだと言われています。外務大臣のお考えをお伺いいたします。(拍手)
 次に、鈴木宗男議員問題についてお尋ねいたします。
 ムネオハウスから始まって、一連の疑惑が追及されているところですが、証人喚問でもその疑惑は晴れず、むしろ、その根の深さを印象づける結果となりました。
 中でも、北方領土返還不要論と受け取れる鈴木議員の発言は、大問題だと思います。もともと並行協議には、二島だけ帰ってくればいいんだという意図が透けて見えるような、うさん臭さがありました。だからこそ、そのうわさが永田町を駆けめぐったとき、私は、本会議場で、国を売っているのは鈴木宗男、おまえかと、やじを飛ばしました。みずからの利権あさりのために国を売るなどということは絶対に許せないと思ったからです。案の定、やはりそれを裏づけるような発言が出てきたじゃないですか。
 三月十三日の日ロ外務次官級協議で、ロシア側がいつになく厳しい立場だったことでわかるように、鈴木議員は、一方で、二島先行返還論を主張してロシアをその気にさせ、他方で、日本国民には四島一括返還を装い、その実、みずからの利権を肥やすために対ロ政策をねじ曲げてきたのです。
 鈴木議員の罪は余りにも深く、また、鈴木議員とともに対ロ外交を推進してきた外務省、そしてその担当者は、万死に値すると言わざるを得ません。(拍手)
 鈴木議員は、その責任を自覚し、絶対に辞職すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。特定議員の政治介入で、我が国の北方領土問題にかかわる対ロ外交がねじ曲げられてきたという認識がおありでしょうか。また、外務省はどのような責任をおとりになるのでしょうか。さらに、今後、どのような方針で対ロ外交に臨もうとしているのか。この四点について、外務大臣にお伺いいたします。
 民主党は、ほかの三野党とともに、鈴木議員の一連の疑惑と、今申し上げた鈴木議員の国家反逆的な行為に対して、鈴木宗男議員の議員辞職勧告決議案の本会議上程を要求してきました。しかしながら、政府・与党は、議員辞職勧告決議案が、強制力はなく、鈴木議員がみずからの意思で政治責任をとって議員を辞職することを促すものであるにもかかわらず、数の力で、本会議に上程することすら拒否しました。
 このことを、この場をおかりしまして、すべての国民の皆さんへお知らせするとともに、このような暴挙に対して、全国津々浦々から抗議の雄たけびを上げていただくことを強く強く強く訴え、次の質問に移ります。(拍手)
 次に、九州南西海域の不審船問題についてお尋ねいたします。
 私は、昨年十二月二十五日に行われた我が民主党の外務・安全保障・国土交通・内閣部門合同会議におきまして、政府の某参事官に、P3Cが不審船を発見する以前にどこからか情報はなかったのですかと尋ねました。そうしたところ、ありませんの一点張りでした。
 ところが、その次の日、二十六日、産経新聞朝刊に、「不審船 北朝鮮と交信 党の周波数使用 米軍の情報提供受け 防衛庁が傍受」と大見出しで載りました。あいつ、うそをついた、情報化の時代に、国民の皆さんに託されて出てきている議員に対して、こんなことまでうそをつくのかと憤ると同時に、自分たちは二日前から知っていて、海上保安庁に知らせなかった責任があるのに、ひどい人たちだ、信用できないという思いが込み上げてきました。こんな基礎的な情報までうそをつくならば、有事法制を初めとしたまともな防衛議論など、決してできません。
 そこで、防衛庁長官、次のような経緯で米軍情報があったことを御確認ください。
 二〇〇一年十二月十八日、アメリカ国防総省は、KH12を初めとする軍事偵察衛星で、奄美大島沖近海に接近する正体不明の船を発見し、直ちに在日米軍に連絡、米軍は、嘉手納基地より電子偵察機EP3Eエアリーズ2を出動させて捜索活動を行うとともに、防衛庁に連絡、そして、偵察衛星による映像情報を提供したというのが事実ではありませんか。御確認ください。
 続いて、不審船事件における情報伝達のおくれについてお尋ねします。
 P3Cが不審船を発見してから海上保安庁に通報するまで、九時間もかかっております。聞いてみれば、分析に時間を要した、衛星通信できるP3Cを九州、沖縄に配備していない、デジタル通信の速度が民間より遅いなど、情報収集態勢のお粗末さが暴露されました。
 この原因の一端は、冷戦が終結しているのに、いまだ北方重視態勢が続いているとともに、戦闘機や戦車といった正面装備を優先させ、IT革命を軽視し、情報にお金を使ってこなかったからだと思います。不審船事件を契機に、部隊編成の見直しや情報通信のあり方の見直しをどのように行うのか、防衛庁長官にお伺いいたします。
 最後に、即応予備自衛官の員数の変更に関連して質問いたします。
 今、日本の人口は、二〇〇六年の一億二千七百七十四万人をピークとして減少し、回復することはないと言われております。二一〇〇年には、六千万人まで減ってしまいます。まさに少子化の問題です。
 このように減り続ける人口の中で、防衛庁はどのように自衛官の員数を確保しようと考えているのでしょうか。また、ことし一月十五日から予備自衛官補の募集が開始されました。武器や軍事訓練とは縁のなかった素人に、三年間で五十日の軍事教練を受けさせて、防衛出動や災害派遣の際に招集する予備自衛官への道を開くものだといいます。
 しかし、公募制度の検討が開始された九六年当時、徴兵制の呼び水になると批判された経緯があります。将来は徴兵制を考えているのでしょうか。徴兵制との関係をお聞かせください。単に銃を撃ちたいだけの武器オタクばかりが集まるのではないでしょうか。
 次に、本法案では、即応予備自衛官の員数を三名増員していますが、なぜ三名なのでしょうか。
 また、即応予備自衛官制度が誕生した結果、予備自衛官が即応予備自衛官に流れ、充足率は定数四万六千人に対し九割まで落ち込んだと伺っています。そうであるならば、今回、その減った予備自衛官をふやすべきではないのでしょうか。今までの予備自衛官は縮減していくのでしょうか。
 防衛庁長官にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕
国務大臣(福田康夫君) 大出議員にお答えします。
 拉致問題についてのお尋ねがございました。
 拉致問題は、我が国国民の生命にかかわる重大な問題であり、国交正常化のためには避けて通れない問題であると認識しており、北朝鮮側に対し、このような断固たる立場をあらゆる機会に明確にいたしております。
 また、政府は、従来から、他の関係国との協議及び国際会議等の場でも、拉致問題解決の重要性について訴えてきております。先般の日韓首脳会談においても、小泉総理より、拉致問題は国民の生命にかかわる重要問題である旨説明し、金大中大統領より、理解が示されたところでございます。(拍手)
    〔国務大臣川口順子君登壇〕
国務大臣(川口順子君) 安倍官房副長官の答弁に関するお尋ねです。
 これまで、省内で、当時の記録等を中心に調査いたしましたが、公的な場において御指摘のような発言があったとの事実は確認されていません。
 安倍官房副長官は、拉致問題について外務省とさまざまな議論を行ってきた過程で、当時のアジア局には拉致問題を軽んじていると受け取られるような雰囲気があった旨述べられたと承知しています。当時、外務省では、拉致問題をいかにして解決すべきかにつき種々の議論が行われてきており、こうした過程の中で、安倍官房副長官がおっしゃったような雰囲気があったとの印象を持たれたのではないかと推測いたしています。そのような印象を与えたとしたら、反省すべきと考えます。
 いずれにせよ、政府としては、拉致問題は国民の生命にかかわる重大な問題であり、一刻も早い解決を必要とするとの認識のもと、日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組み、こうした努力を通じて拉致問題を初めとする人道上の問題や安全保障上の問題の解決を目指すとの方針で、一貫して取り組んできています。
 昨年の不法入国事案についてのお尋ねです。
 同事案については、法務省において、当省を含む関係当局と協議の上、関係法令等に従い、適正に措置がとられたものと承知しています。
 いずれにせよ、私としても、本件の処理が長引くならば、内外に予期しない混乱が生ずるおそれもあったと考えており、そうした事態を避けるといった総合的判断からも、本件の処理は適正かつ妥当なものであったと考えています。
 日ロ関係についてお尋ねがありました。
 まず、鈴木議員との関連については、議員が辞職すべきか否かは、国会議員の地位にかかわる問題であり、政府としてコメントすることは不適切であると考えます。
 いずれにせよ、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという日本政府の方針は従来より一貫しており、このような方針が特定議員によりねじ曲げられたということは一切ありません。
 政府としては、今後とも、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという一貫した方針に基づき、精力的に交渉を継続するという考えです。(拍手)
    〔国務大臣中谷元君登壇〕
国務大臣(中谷元君) 九州南西海域における不審船の問題についてのお尋ねがございました。
 日米安全保障体制のもと、我が国と米国は平素から必要な情報交換を行っておりますが、その具体的、個別的な内容につきましては、相手国たる米国との関係もあることから、お答えを差し控えさせていただきます。
 なお、防衛庁としては、通常の警戒監視活動を行っていた海上自衛隊のP3Cが昨年十二月二十一日撮影した写真を総合的に分析した結果、二十二日午前零時半ごろ、平成十一年に能登半島沖で確認された不審船舶と同様な性格の船舶である可能性が高いとの判断に至ったわけでございます。
 次に、不審船事案を契機とした部隊編成及び情報通信のあり方の見直しについてのお尋ねがありました。
 平成十一年の能登半島沖不審船事案を踏まえ、部隊編成については、不審船の武装解除、無力化を任務とする特別警備隊を新編する等、組織の充実強化を図ってきたところであります。また、今般の不審船事案を踏まえ、情報通信については、P3Cの画像伝送能力の強化、基地から海上幕僚監部への画像伝送能力の強化の観点からの改善策を講じております。
 自衛官の員数確保についてのお尋ねがありました。
 防衛庁では、これまでに、曹候補士制度の導入、婦人自衛官の活躍する分野の拡大、自衛官採用試験の受験資格の緩和、隊員に対する処遇改善、自衛官の定年延長などを逐次行ってきたところであります。今後とも、こうした努力を継続することにより、必要とする人材の確保に努めてまいりたいと思っております。
 予備自衛官補と徴兵制との関係についてお尋ねがありました。
 この制度では、自衛官未経験者を、志願に基づく試験または選考により、防衛招集応招義務のない予備自衛官補に採用し、所要の教育訓練終了後、予備自衛官に任用することとしており、あくまでも個人の志願、意志に基づく制度であることから、徴兵制の呼び水になるという御指摘は当たりません。
 なお、平成十四年度の予備自衛官補の採用予定数は、衛生、語学等の技能を持った方を含め三百人のところ、現在、既に六百五十人を超える志願の受け付けを行っており、志願者の中から適格者の採用に努めていきたいと考えております。
 即応予備自衛官を三名増員する理由についてのお尋ねがありました。
 即応予備自衛官については、防衛計画の大綱のもと、平成九年度以降、逐次、師団改編に合わせて導入してきております。
 平成十四年度予算案では、既に九年度に即応予備自衛官を導入している第四師団の二度目の改編を行うこととしており、普通科連隊の効率化や火力戦闘能力の向上による各部隊の改編に伴い、即応予備自衛官の員数についての所要の増減を行った結果、三名の員数の増加を行うものでございます。
 最後に、予備自衛官は縮減するのかというお尋ねがございました。
 この予備自衛官の充足が低下している状況を受けまして、防衛庁としては、仕事の都合に配慮し訓練参加できる機会をふやすなど、訓練に参加しやすいような工夫を講ずるとともに、予備自衛官等の制度の趣旨や訓練の状況に関する広報を行い、雇用企業等の理解が得られるよう努めており、また、自衛官退職予定者、元自衛官に対する募集活動を積極的に行っているところであります。
 さらに、将来にわたり予備自衛官の安定的な確保に資するため、予備自衛官補制度を導入することとしたところであり、今後とも、予備自衛官の員数の確保に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣村井仁君登壇〕
国務大臣(村井仁君) 北朝鮮による拉致の疑いのある事案の件数についてお尋ねがございました。
 警察といたしましては、これまでの一連の捜査の結果を総合的かつ慎重に検討した結果、八件十一名と判断しておると承知しております。
 「日本人拉致疑惑に関する動向表」なる警察庁の内部資料は客観的な証拠に基づいているのかとのお尋ねがありましたが、捜査上の秘密の保持の観点から、当該資料の存否も含め、お答えを差し控えさせていただきます。
 警察といたしましては、御家族その他の関係者からの事情聴取や関係各機関との情報交換など、国内外での捜査結果を総合的かつ慎重に検討した結果、八件十一名の事案について、北朝鮮による拉致の疑いがあると判断したものと承知しております。
 御指摘の横田めぐみさん拉致容疑事案につきましても、関係者の事情聴取、関係各機関との情報交換等を幅広く行い、これら一連の捜査の結果を総合的かつ慎重に検討した結果、北朝鮮による拉致の疑いがあると判断したものと承知しております。
 最後に、有本恵子さん拉致容疑事案についてお尋ねがありました。
 本件につきましても、これまでの捜査結果を総合的に検討した結果、警察としては、北朝鮮による拉致の疑いがあると判断したものと承知しております。
 警察におきましては、本件について、警視庁が捜査本部を設置するなど、鋭意捜査を進めているところでありますが、今後とも、国内外の関係各機関との連携、情報交換や関係者からの事情聴取等を行い、全容解明のため最大限努力していくものと承知いたしております。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十五分散会


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