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第19号 平成14年4月2日(火曜日)

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平成十四年四月二日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十二号
  平成十四年四月二日
    午後一時開議
 第一 国土交通省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日程第一 国土交通省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 国土交通省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、国土交通省設置法の一部を改正する法律案、日程第二、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長久保哲司君。
    ―――――――――――――
 国土交通省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書
 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔久保哲司君登壇〕
久保哲司君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、国土交通省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、地方運輸行政の総合的展開を図る等のため、地方運輸局の陸運支局及び海運支局を統合して運輸支局を設置できること等とすること、地方運輸局の海運監理部を運輸監理部とすること等、所要の措置を講じようとするものであります。
 次に、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。
 本案は、多極分散型国土形成促進法等に基づき、平成十四年度において主たる事務所を東京都区部から移転する、日本原子力研究所、宇宙開発事業団、水資源開発公団、日本鉄道建設公団、運輸施設整備事業団及び都市基盤整備公団の六特殊法人について、各設立根拠法における主たる事務所の所在地の規定を一括して改正しようとするものであります。
 両案は、去る三月二十七日本委員会に付託され、二十九日扇国土交通大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、直ちに質疑に入りました。
 国土交通省設置法の一部を改正する法律案につきましては、地方運輸行政の総合的展開の具体策、地域に密着した行政サービスの確保策等について、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案につきましては、国の行政機関等の移転を図る施策の今日的意義、特殊法人改革との整合性等について議論が行われました。
 両案は、同日質疑を終了し、国土交通省設置法の一部を改正する法律案につきましては、採決の結果、全会一致をもって、また、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案につきましては、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣森山眞弓君。
    〔国務大臣森山眞弓君登壇〕
国務大臣(森山眞弓君) 最初に、商法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、最近の社会経済情勢の変化に伴い、株式会社等の経営手段の多様化及び経営の合理化を図るため、会社の機関関係を中心に、会社法制の全般にわたり、商法、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正しようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。
 第一に、会社の機関関係では、まず、大規模株式会社につきまして、監督と執行を分離した委員会等設置会社の制度の選択を可能とすることとしております。この制度におきましては、取締役会の中に、メンバーの過半数を社外取締役とする指名委員会、監査委員会、報酬委員会の三委員会を設けて、取締役会の監督機能を強化するとともに、業務執行を担当する執行役を設け、取締役会が執行役に対して決議事項を大幅に委任することができるようにし、機動的な業務決定を可能としております。
 また、従来型の大規模株式会社につきましても、機動的な業務決定を可能とするため、社外取締役を選任している場合には、取締役会が、その中に取締役三人以上で組織する重要財産委員会を設け、これに重要な財産の処分や多額の借財等についての決定権限を委任することができるようにすることとしております。
 さらに、株主総会の手続につきまして、議決権を有するすべての株主の同意がある場合には、招集手続を省略することができるようにし、また、株式の譲渡につき取締役会の承認を要する会社については、定款により、招集通知の発出から総会期日までの期間を一週間を限度として短縮することができるようにするなど、その簡素化、合理化を図ることとしております。
 また、定款変更等の場合に必要となる株主総会の特別決議の定足数について、個人株主など議決権を行使しない株主が増加している反面で、安定株主が減少している状況にかんがみ、その下限を定款により議決権総数の三分の一まで緩和することを許容することとしております。
 第二に、株式関係では、まず、一定の株主が議決権の比率にかかわらず一定の数の取締役または監査役を確実に選解任することができるようにし、ジョイントベンチャーとして合弁会社を設立することや、ベンチャーキャピタルによるベンチャー企業への投資を行いやすくする観点から、取締役または監査役の選解任を種類株主ごとに行うこととなる株式の発行を可能とすることとしております。
 また、株券を喪失した株主が発行会社に喪失登録をする制度を創設し、喪失株券の再発行のための手続を整備することとしております。この新たな手続は、裁判所に公示催告手続の申し立てをすることを要しない簡便な手続で、かつ、名義書きかえ制度との連携を図ることによって、喪失株券の善意取得者の正当な利益も十分に確保されるものであります。
 第三に、会社の計算関係では、まず、大規模会社につきまして、株主への情報開示の充実を図るため、連結計算書類の作成と定時株主総会での株主への報告を要求することとしております。
 また、会計基準の変更への迅速な対応を可能にし、商法会計と証券取引法会計との整合性を確保し続けるため、財産の価額の評価方法等についての規定を法務省令で定めることとしております。
 このほか、現物出資等の際の検査役調査にかわるものとして、弁護士等の専門家による財産の価格の証明制度を拡充することなどの措置も講ずることとしております。
 続いて、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、非訟事件手続法ほか百一の関係法律について、規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。
 以上が、これら法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。山村健君。
    〔山村健君登壇〕
山村健君 民主党の山村健です。
 ただいま議題となりました商法等の一部を改正する法律案並びに同法施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問させていただきます。(拍手)
 基本六法をなすこの商法は、御承知のとおり、百三年前の明治三十二年に制定された法律です。以降、時代に合わせて進化し、改正を繰り返してきた、商いのルールを定めた基本的な法律で、昨年の秋の臨時国会におきましても、高度情報化社会に対応すべく改正されたばかりです。
 なぜこれほどまで頻繁に改正を繰り返すのかと問われたら、生き物である経済の環境の変化が速いからと、答えは簡単です。
 それに比べて、この永田町の世界は、余りにも世情の変化に対し鈍感過ぎないか、そう感じております。
 一昨日行われました、人口三百四十七万人の日本最大の政令指定都市である横浜市の市長選挙では、古くからの永田町の住人には理解しがたい判定が下されました。候補者の人となりや政策とともに、候補者を取り巻く応援団の属性、姿勢が、御承知のとおりの結果としてあらわれました。このことは、特に永田町支配の政治に対して突きつけられた、国民からの強いメッセージです。
 国民は、一体、どのような政治、制度を望んでいるのか、政党の使命とは何なのか。この議場にいる、現在四百七十八名すべての議員が、若干の欠席者も見えますが、真摯に受けとめ、自省すべきだと思います。
 そして、速やかに、時代と国民の声を反映する政治体制、選挙制度へと、自身の立場にかかわる法律、制度を改正しなければなりません。特に、小泉総理におかれましては、一年前の気概を思い起こしていただきたく存じます。同時に、私たち議員も、長く親しんだ永田町の慣習から一刻も早く脱皮し、時代に合った議員として進化していく必要があると思います。(拍手)
 冒頭に生意気な意見を申し上げましたが、本題に入らせていただきます。
 今回の商法改正案は、前出のとおり、昨年の秋の改正に続いての改正案ということになります。ということは、とりもなおさず、小泉内閣発足後に改正された法律の重ねての改正案です。関連法案が百二本にも及ぶ、すそ野の広い本改正案は、すなわち、まさに、構造改革を唱えてきた小泉内閣の意志のあらわれと理解しております。
 概要は、会社経営に意思決定のスピードを求め、経営責任を明確にする方法として、大規模会社においてアメリカ型の経営手法を取り入れるための措置として改正したと解釈しましたが、なぜ、単純にアメリカ型のシステムへと変更するのか、その根拠を法務大臣にお尋ねいたします。
 私見ではございますが、せっかく、今までとは違った委員会制度という経営形態を導入するのであれば、アメリカ型にはない、これからの企業経営に欠かすことのできない視点として、環境委員会なる機関も日本独自の制度として加えていただきたかったと、残念に思います。
 また、官房長官におかれましては、当法案や昨年のテロ対策特措法等、一連の小泉内閣の姿勢では、すべての領域においてアメリカ追従型と受けとめられるのですが、内閣が進めてみえる改革の後のこの国の形は、弱肉強食型、市場万能主義の、アメリカ型の経済社会を目指しているのですか。内閣の描く将来像を明確にお示しいただきたいと思います。(拍手)
 法務大臣にお尋ねいたします。
 この改正案は、資本金五億円以上の大規模会社に対して、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の設置を選択できる制度となっておりますが、選択制ということは、まさしく、一国二制度として中途半端に終わるのではないかと疑問を抱きます。
 改革へのスピードが要請されている今日、悠長なことは言っておられませんが、選択制の後に、二、三年の時を経て完全実施の方向へと進めてはいかがなものでしょうか。
 また、本改正案の主なねらいは、資本金五億円以上といった大規模会社の制度改正に重きが置かれていると感じます。中小規模の会社にも有限会社並みの簡素な株主総会手続を許容する等の改正も盛り込まれてはいますが、重心はあくまでも大規模会社です。
 今日まで我が国の経済を支えてきたのは、紛れもなく、勤勉な中小零細事業者と勤労者です。それらの人々に対しては、本改正案は、将来、具体的にどうなっていくのか、明確なイメージが描けるような制度というものが全く見当たりません。
 年間三万人を超える自殺者の大半が経営不振や失業といった経済問題に起因したものという事実をどう受けとめていらっしゃるのか。
 今回の改正案においても、やはり、今までの自由民主党を中心とした政治が、社会的強者である大企業や業界団体の上層部に厚く、数の上では最大の納税者である、社会的弱者に近い中小零細事業者や勤労者に対しては二の次であるという印象は、全くそのとおりだと思います。
 これらの中小零細事業者や勤労者、社会的な弱者の側に立つ人々に、製造業の空洞化対策や雇用対策も含めて、政府としてどのように考えているのか、官房長官にお伺いいたします。
 同時に、社会の要求にこたえるためには、商法と同様、民法等他の法律も早急に改正していかなければならないと思うのですが、改革後の社会を見越して、法務省はどのようなビジョン、スケジュールを持っているのか、法務大臣にお尋ねいたします。
 また、経済産業大臣には、現在実施しておられる中小零細事業者向けの対策と、これから取り組もうと考えていらっしゃる政策の方針について、お伺いいたします。
 あわせて、改革後の日本の中小零細事業者がどのようになっているのか、地方の商店街や下請、孫請の製造業者等の具体的な姿、形をお示しいただきたいのです。
 法案に戻って、法務大臣に再びお尋ねします。
 今回の改正案の中にあります現物出資等の財産価格の証明制度について、「弁護士等」の「等」の部分に含まれている職種の有資格者とその選定基準はどうなるのか、これも具体的にお願いいたします。
 今回の改正案は、日本の商業システムが、アメリカンスタンダードをグローバルスタンダードと言いかえて取り入れるという法律ですが、今までよりも時代には合っているとは思います。しかし、かつて日本式経営がたたえられ、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われる時代もありました。
 そんな時代の成功体験に酔いしれ、おごり、いつまでもそのときに得た権益を保持しようとした一部のリーダーたちが、世界の流れ、時代の変化に目もくれず、私腹を肥やすことのみに執心し、一部の権限を持つ政治家も、政治家としての役割を果たさず、同様に私腹を肥やすことに走った結果が、現在のこの国の姿です。
 失われた十年と言われるバブル経済破綻以降今日までの期間、今回の商法改正に際し、同改正案の目玉ともいえる執行役の権限と責任を政治の世界にも当てはめ、失われた十年の責任を、民間企業と同様、政治的な執行者であったこの期間の内閣の担当者に責任をとっていただきたいと思います。
 議場にお見えになる多くの当時の指導者と言われる先輩方、まことに申しわけございませんが、政治的な責任をとっていただき、新しい時代を創造できる後進に席を譲っていただけないでしょうか。まさに、政治家の出処進退はみずからの責任によって下していただきたいと願う次第です。(拍手)
 自民党をつぶすと言って政権を担われた総理のもとで、内閣のかなめとしての役割、時として外務大臣の役割まで担われた官房長官には、この政治家の出処進退の問題に関して、現在、マスコミで話題になっていらっしゃる方だけではなく、過去の失政の原因者の方に対しても、どのように考えていらっしゃるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
 現在の日本の状況を歴史に重ね合わせてみれば、明治維新直前の徳川時代末期に似ています。二百六十年の長きにわたって政権を維持してきた幕府が、産業革命以降の世界の流れについていけず、維新を唱える地方の下級武士たちを中心とした勢力にその座を譲った時代転換のときと、今日のIT革命、環境との共生、資源循環型社会と言われる時代に、変えると言いながら変えられず、もとの政官業癒着構造、官僚主導・既得権益維持型のえせ資本主義の体制擁護に方向転換した小泉内閣は、世界の潮流からますます離れてしまい、遠からず政権移譲をしなければならない宿命にあると言えましょう。(拍手)
 近代の繁栄の礎を築いた維新の志士たちは、だれもが、当時無名の、名もなき若い下級武士でした。そんな彼らが、政権をとるや否や、瞬く間に日本を世界の一等国に押し上げた事実を、いま一度この議場にいる先輩、同輩の諸氏に再認識していただき、与野党問わず、自身の現在と過去を振り返り、時代とのずれを少しでも感じられた皆さんには潔く自身の出処進退を下していただくことが、日本を再生させるための一番の近道であるということを申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕
国務大臣(福田康夫君) 山村議員にお答えをします。
 まず、目指すべき経済社会についてのお尋ねがございました。
 小泉内閣は、我が国が持続的な経済成長を取り戻すためには、構造改革を直ちに断行すべきであるとの考え方のもと、国政に当たってまいりました。
 こうした構造改革が目指すものは、我が国の人材、自然、歴史、文化といった多様な資源を生かし、知恵と工夫でそれぞれの能力と個性を発揮できる社会の実現であります。これは、国民がこの国に生きることに誇りを持ち、文化芸術等を含め、世界の人々にとっても魅力のある日本の国づくりを進めるものであります。
 次に、雇用対策を含めた中小零細企業対策についてのお尋ねがございました。
 中小零細企業は、景気の低迷の中、製造業の海外移転等の動きもあり、厳しい状況です。また、雇用情勢も厳しさを増しております。
 政府としては、雇用・中小企業に対するセーフティーネット対策に万全を期すとともに、開業、創業や中小企業の新分野進出を積極的に支援して、産業活性化と雇用創出を図ることとしております。
 次に、バブル経済破綻後の経済運営とその政治的責任についてお尋ねがございました。
 今日、我が国経済が直面している不良債権処理、デフレの克服、規制改革などの課題は、バブルの崩壊とともに、十年も前から盛んに指摘されてきた問題であります。しかしながら、平成元年からの十三年間に、総理大臣が十人も交代しました。確かに、御指摘のような政治的責任はあるものとは考えますが、相次ぐ内閣の交代により、改革の必要性は認識されながら、その持続的な実行が伴わなかったというのが実態であって、改革をなし遂げるために政権の安定がいかに重要であるかということを痛感しております。
 我が国経済は低迷を続けておりますが、これ以上、改革の機会を先延ばしするわけにはいきません。経済の再生のために、今こそ、不退転の決意で、経済財政、行政、社会の各分野における構造改革を断行しなければならないと考えております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣森山眞弓君登壇〕
国務大臣(森山眞弓君) 山村議員にお答え申し上げます。
 まず、今回の商法改正法案においてアメリカ型の経営システムを取り入れる理由についてのお尋ねでございます。
 近年、企業活動の国際化が急速に進んでいる中、我が国の企業の競争力を強化するために、取締役会の権限の見直し等により機動的な業務決定を可能とする方策を講じる必要性が高まっております。
 また、米国を初めとする先進諸国においては、監督と執行の分離によって取締役会の監督機能の強化を図ることが一般的なことになっております。
 そこで、このような手法によって取締役会の監督機能の強化を図りながら、業務執行役員に対する大幅な業務決定権限の委任を可能とする制度を、大規模会社を対象とする選択的な制度といたしまして提案しているものでございます。
 次に、改正法案の委員会等設置会社の制度について、選択制ではなくて、これを義務づける方向で今後さらに検討すべきではないかというお尋ねでございました。
 改正法案における委員会等設置会社の制度は、適切な企業統治を実現するための機関のあり方について、会社の選択の幅をふやそうというものでありまして、これまで我が国の株式会社においてとられてきた監査役制度を否定するものではございません。
 監査役制度も数次の改正によりその機能が強化されており、これによっても企業統治の実効性は確保できると考えられますので、現時点においては、この制度を義務づけるということまでは考えておりません。
 次に、法務省における民事法制の整備の方向性についてお尋ねでございます。
 法務省におきましては、社会経済構造の変革に伴い、経済活動にかかわる民事法制全般の整備が必要であると考えまして、平成十三年四月に、法務大臣を本部長とする経済関係民刑基本法整備推進本部を発足させまして、必要な作業を進めているところでございます。
 今回の商法改正の後は、区分所有法、担保・執行法制等につきましての所要の法整備を行う予定であり、また、倒産法制についても、会社更生法、破産法等の全面的な見直しに向けて検討を進めているところでございます。
 このような経済活動にかかわる民事法制全般の整備におきましては、中小零細事業者や勤労者に与える影響等につきましても、十分な配慮をきめ細かく行い、関係機関とも十分協議をいたしながら作業を行っていく所存でございます。
 次に、現物出資等の財産価格の証明制度に関するお尋ねでございます。
 改正法案におきましては、現物出資等の財産価格の証明を行うことができる者といたしまして、現行法で認められている弁護士に加え、公認会計士及び税理士を追加することとしております。
 公認会計士及び税理士を追加いたしましたのは、これらの者は、その職務に付随して財産の評価を行うことが予定されており、その能力から、公正な財産価格の評価を行うことを期待できるということを理由とするものでございます。(拍手)
    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕
国務大臣(平沼赳夫君) 山村議員にお答えをさせていただきます。
 私に対しては、中小零細企業に対する政策と、そして構造改革後のその姿、こういうお尋ねでございました。
 現下の厳しい経済情勢の中で、中小零細企業が大変厳しい立場に立っていることは事実であります。
 中小零細企業というのは、日本に五百万社あるとされている企業の中で、数の上では九九・七%、また、雇用の七〇%以上を受け持っていただいて、言ってみれば、日本経済の屋台骨を支えていただいている、こう言っても過言ではありません。
 そこで、厳しいこの経済情勢の中で、対策としては、幾つか積極的にやらせていただいています。
 一つは、現下の厳しい金融情勢にかんがみまして、従来ありましたセーフティーネット貸し付けあるいはセーフティーネット保証、これを大幅に拡充させていただきました。さらに、実施後なかなか実績が上がってきておりませんけれども、売り掛け債権に着目いたしまして、これを担保として新たな保証制度をつくらせていただき、鋭意努力いたしまして、おかげさまで、最近、その利用実績も上がりつつあるところであります。このことも一生懸命拡充していかなければならない、こう思っております。
 また、地域経済というものを活性化させるためには、やはり、地域にインパクトを与える、こういうことが重要だと思っておりまして、その中で地域の産業クラスター計画、これを推進させていただいておりまして、中小零細企業の方々にも参画していただく、こういう形に相なっておりまして、現在、全国十九の地域で百五十の大学が参画していただき、企業もこれからどんどんふえると思いますけれども、三千社の中小企業を含めた企業が参画して、地域経済の活性化、こういう方向で伸びつつあるわけであります。
 また、中小零細企業というものが今後この厳しい時代に立ち向かっていく、そのためには、イノベーション、技術革新が必要であります。そういう意味で、政府といたしましては、地域の中小企業に着目して、創造技術に対してインセンティブを与えるような政策もあわせて行わせていただいているところであります。
 それからもう一つ、今後の日本の中小企業を活性化してリニューアルしていくためには、新しいいわゆる起業あるいは経営革新が必要なわけでありまして、これは両院の御賛同をいただきまして、無担保無保証、本人保証なし、こういうことで、新規開業にインセンティブ、あるいは経営革新に力を与える、こういう政策も展開させていただいています。
 いずれにいたしましても、この厳しい中で、こういった政策を遂行し、また、小泉内閣が取り組んでいる構造改革を断行した暁には、私は、やる気と潜在力のある中小零細企業は相当大きなパワーを発揮していただける、このように思っておりまして、それは下請、孫請も同然だと思っておりますし、また、地域の今非常に沈滞化した商店街、そういったところにも、いわゆる中心市街地活性化事業、そういったものを通じて活力を与えて、そして皆さん方に、やる気があれば必ずできる、こういう一つの姿を現出していきたい、そのために全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十八分散会


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