衆議院

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第20号 平成14年4月4日(木曜日)

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平成十四年四月四日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十三号
  平成十四年四月四日
    午後一時開議
 第一 船舶職員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化のための農業近代化資金助成法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案(内閣提出)
 第四 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
     ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 人事官任命につき同意を求めるの件
 日本銀行政策委員会審議委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
 日程第一 船舶職員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化のための農業近代化資金助成法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案(内閣提出)
 日程第四 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時四分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 人事官任命につき同意を求めるの件
 日本銀行政策委員会審議委員任命につき同意を求めるの件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
議長(綿貫民輔君) お諮りいたします。
 内閣から、
 人事官
 日本銀行政策委員会審議委員
及び
 中央社会保険医療協議会委員に
次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
 内閣からの申し出中、
 まず、
 人事官に佐藤壮郎君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。
 次に、
 日本銀行政策委員会審議委員に春英彦君及び福間年勝君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
 次に、
 中央社会保険医療協議会委員に土田武史君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第一 船舶職員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長久保哲司君。
    ―――――――――――――
 船舶職員法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔久保哲司君登壇〕
久保哲司君 ただいま議題となりました船舶職員法の一部を改正する法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、小型船舶に関し、その利用実態の変化等に伴う利用者の要請に的確にこたえるとともに、その航行の安全を一層図るため、所要の措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、小型船舶の船長を小型船舶操縦者と位置づけ、船舶職員の資格制度から小型船舶操縦者の資格制度を分離することとし、法律名、目的等について所要の改正を行うこと、
 第二に、小型船舶操縦者が受けなければならない小型船舶操縦士の免許の資格区分について、一級、二級及び特殊小型船舶操縦士の三つの区分に再編成するとともに、小型船舶操縦士の試験について、安全に配慮しつつできる限り簡素なものとすること、
 第三に、小型船舶操縦者が遵守すべき事項として、危険操縦の禁止、酒酔い操縦の禁止等を明確化するとともに、遵守事項の違反者に対する再教育講習の制度を設けること
等であります。
 本案は、去る四月二日本委員会に付託され、昨日扇国土交通大臣から提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑に入り、小型船舶操縦士の免許の資格区分の再編成が利用者に与える効果、プレジャーボートの利用促進のための環境整備の必要性等について議論が行われました。
 同日質疑を終了し、採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化のための農業近代化資金助成法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第二、農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化のための農業近代化資金助成法等の一部を改正する法律案、日程第三、農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長鉢呂吉雄君。
    ―――――――――――――
 農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化のための農業近代化資金助成法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔鉢呂吉雄君登壇〕
鉢呂吉雄君 ただいま議題となりました両案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化のための農業近代化資金助成法等の一部を改正する法律案は、農業経営の改善に必要な資金の融通の円滑化を図るため、農業近代化資金等の各種制度資金を抜本的に見直すための措置を講じようとするものであります。
 また、農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法案は、農業法人の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、農業法人に対する投資を円滑に進めるための措置を講じようとするものであります。
 両案は、去る三月二十八日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、同日武部農林水産大臣から両案の提案理由の説明を聴取し、四月二日及び三日に質疑を行いました。質疑を終局し、討論の後、採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第四、特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。経済産業委員長谷畑孝君。
    ―――――――――――――
 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔谷畑孝君登壇〕
谷畑孝君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定における相互承認の的確な実施を確保するため、通信端末機器、無線機器及び電気製品に係る国外適合性評価事業に関する認定等に必要な事項を定めるほか、電気通信事業法、電波法及び電気用品安全法の特例を定める等の措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、シンガポール共和国向けの通信端末機器、無線機器及び電気製品に係る国外適合性評価事業を行おうとする者は、協定に定めるシンガポール共和国の基準に適合していると認められるときは、主務大臣の認定を受けることができるものとすること、
 第二に、登録を受けたシンガポール共和国の適合性評価機関が実施した我が国向けの端末機器、特定無線設備及び特定電気用品に関する我が国の関係法令に定める技術上の要件への適合性評価の結果を我が国において受け入れることができるようにするため、電気通信事業法、電波法及び電気用品安全法の特例を定めること
であります。
 本案は、去る三月二十八日本委員会に付託され、翌二十九日平沼経済産業大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。四月三日質疑を行った後、採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第五、日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。財務金融委員長坂本剛二君。
    ―――――――――――――
 日本たばこ産業株式会社法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔坂本剛二君登壇〕
坂本剛二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、日本たばこ産業株式会社の民営化を段階的に進める観点から、同社株式の政府保有比率の引き下げを行うとともに、同社が機動的に新株等の発行を行えるようにするため、所要の措置を講じようとするものであり、以下、その概要を申し上げます。
 第一に、政府の株式保有比率について、日本たばこ産業株式会社の成立のときに政府に無償譲渡された株式総数の二分の一以上に当たる株式を政府が保有していなければならないこととするとともに、政府の株式保有比率を、当分の間、日本たばこ産業株式会社の発行済み株式総数の三分の二以上とする附則の規定を廃止することとしております。
 第二に、政府保有比率低下の歯どめ措置として、政府は、日本たばこ産業株式会社の発行済み株式総数の三分の一を超える株式を保有しなければならないこととしております。
 本案は、去る三月二十日当委員会に付託され、昨四月三日塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、質疑を終局いたしましたところ、山本幸三君外一名から、「平成十四年四月一日」と定められている施行期日を「公布の日」に改める修正案が提出されました。次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣石原伸晃君。
    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕
国務大臣(石原伸晃君) 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、その趣旨を御説明いたします。
 平成十三年十二月に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画において、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団は廃止することとし、これらの道路関係四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保については、第三者機関において検討し、その具体的内容を平成十四年中にまとめることとされたところであります。
 この特殊法人等整理合理化計画に基づき、第三者機関として道路関係四公団民営化推進委員会を設置するため、この法律案を提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、道路関係四公団民営化推進委員会は、内閣府に置くこととしております。
 第二に、委員会は、特殊法人等整理合理化計画に基づき、道路関係四公団にかわる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、平成十四年中に内閣総理大臣に意見を述べることとするほか、この意見を受けて講ぜられる施策の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣等に勧告することとしております。
 第三に、委員会は、すぐれた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する委員七人以内をもって組織することとし、委員の互選により委員長を定めることとしております。
 第四に、委員会は、関係行政機関及び道路関係四公団に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができることとするほか、道路関係四公団の業務の運営状況を調査し、または委員にこれを調査させることができることとしております。
 第五に、委員会に事務局を置くこととしております。
 第六に、この法律は、平成十八年三月三十一日限り、その効力を失うこととし、その日より前に委員会の意見を受けて講ぜられる施策に係る法律が施行されるに至ったときは、当該法律の施行にあわせて廃止することとしております。
 以上が、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案の趣旨説明でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。岡下信子君。
    〔岡下信子君登壇〕
岡下信子君 自由民主党の岡下信子でございます。
 私は、自由民主党、公明党、保守党を代表いたしまして、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に係る趣旨説明に対して質問をいたします。(拍手)
 特殊法人改革は、言うまでもなく、数ある行政改革の課題の中でも最重要課題の一つと位置づけられるものであります。「肥大化し硬直化した政府組織を改革し、簡素で効率的な政府を実現するためには、緒についた特殊法人改革を一層強力に進めなければなりません。」との、小泉総理の施政方針演説に示された問題意識は、自由民主党、公明党、保守党といたしましても共有するところでございます。
 これまでにも、特殊法人等整理合理化計画を昨年十二月に閣議決定されるなど、総理のリーダーシップを遺憾なく発揮され、目に見える成果を出しつつ、現在、特殊法人改革に取り組んでおられるところと認識しております。
 自由民主党といたしましても、党の行政改革推進本部に、今般、総合交通、政策金融、研究開発、独立行政法人化の、特殊法人に関する四つの委員会を設けまして、さらに取り組みを強化したところでございます。
 今後も、政府・与党一体となって、特殊法人改革に取り組んでまいりたいと考えておりますが、政府の基本的方針について総理の御見解をお伺いいたします。
 さて、数ある特殊法人のうち、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団のいわゆる道路関係四公団に関しては、この道路関係四公団民営化推進委員会設置法案が提出され、これからこの法案についての審議が始まるわけでありますが、まず、本法案を国会に提出するに至った経緯について、石原行政改革担当大臣にお伺いいたします。
 次に、この法案の内容について質問いたします。
 まず、本委員会が設置される省庁についてお伺いいたします。
 本委員会については、内閣府に設置することとされておりますが、道路行政を所管し、また道路関係四公団の監督官庁である国土交通省において検討するのではなくて、内閣府に設置することとした理由は何か、石原行政改革担当大臣にお伺いいたします。
 次に、本委員会の組織上の位置づけについてお伺いします。
 本委員会は、組織法制的にはいわゆる八条機関、審議会という位置づけがなされていますが、行政決定権限を有するいわゆる三条機関ではなくて、八条機関として本委員会を設置することとした理由について、石原行政改革担当大臣にお伺いいたします。
 次に、本委員会の調査審議内容についてお伺いいたします。
 本法案においては、道路関係四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保について調査審議することが委員会の所掌事務として規定されています。もちろん、詳細についてはこの法律案の範囲内で委員会において決定されるものであることは承知しておりますが、我が国の高速道路網のあり方を含め、具体的にどういう内容の調査審議を行うことを現時点で想定されておられるのか、石原行政改革担当大臣にお伺いいたします。
 また、高速道路の個別路線の整備については、現在、国土開発幹線自動車道建設会議における議を経て国土交通大臣が決定するという仕組みになっているものと承知しております。本委員会の調査審議との関係は今後どのようになるのか、石原行政改革担当大臣にお伺いいたします。
 次に、委員の人選についてお伺いいたします。
 道路関係四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保という非常に重要なテーマを取り扱う本委員会の調査審議が実のあるものになるかどうか、説得力のある答申が提出されるかどうかは、どのような人が委員として選任されるのかによって大きく左右されるものと考えます。国家的見地に立ち、客観的かつ公平な審議が確保される委員の人選を考えるべきと思いますが、今後、実際に委員を任命される総理のお考えをお伺いいたします。
 冒頭にも述べましたが、特殊法人改革は、行政改革の最重要課題の一つであります。特に道路関係四公団に関する改革は、四公団の廃止・民営化という基本方針は既に決定されておりますが、引き続き、非常に高い社会的関心を集めているところであります。その意味からも、できるだけ早くこの道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を成立させて、改革の具体的内容について目に見える形で国民に示していくことが重要であることは、言うまでもありません。
 最後に、道路関係四公団の改革に対する総理の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 特殊法人改革に対する政府の基本方針についての御質問でございます。
 特殊法人改革については、昨年、道路四公団の民営化や都市基盤整備公団、住宅金融公庫、石油公団の廃止等、踏み込んだ内容の特殊法人等整理合理化計画を策定いたしました。
 特に道路関係四公団については、これらにかわる新たな組織及び採算性の確保について一体として検討し、その具体的内容を今年中にまとめることとしております。その検討を行うための第三者機関を設置する法案を今回提出したわけでありますが、十分御審議いただいた上で速やかな成立を期待しております。
 その他の法人も、平成十四年度から事業見直しについて講ずべき措置を具体化するとともに、組織形態についても平成十五年度には具体化を図ることとしており、緒についた特殊法人改革を政府・与党一体となって一層進めてまいります。
 道路関係四公団民営化推進委員会の委員の人選についてのお尋ねであります。
 本委員会においては、道路関係四公団の改革について、特殊法人等整理合理化計画に沿って、その的確な具体化を図るため、客観的、合理的な調査審議を尽くす必要があります。
 このため、その委員については、すぐれた識見を有する方々、改革意欲に富み、国家国民的視点に立ち、特定の分野及び利害に偏することなく、公正な判断をなし得る方々を選任したいと考えております。
 道路関係四公団の改革に対する決意についてのお尋ねであります。
 道路関係四公団の改革は、内閣の重要課題である特殊法人等改革の中でも、特に重要な位置を占めるものと考えています。新たな組織は民営化を前提とする、国費は投入しない等の特殊法人等整理合理化計画に示された基本方針のもと、新たな組織及びその採算性の確保に関する本委員会の意見を踏まえ、改革の具体化に邁進してまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕
国務大臣(石原伸晃君) 岡下議員にお答え申し上げたいと思います。
 本法案の提出に至る経緯についてのお尋ねでございます。
 昨年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画において、道路関係四公団は廃止することとし、四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保については、新たな組織は民営化を前提とする、国費を投入しない等の基本方針のもと、第三者機関において一体として検討し、その具体的内容を平成十四年中にまとめることとしたところでございます。
 この特殊法人等整理合理化計画に基づき、第三者機関として道路関係四公団民営化推進委員会を設置するため、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を国会に提出した次第でございます。
 次に、本委員会を内閣府に置くこととした理由についてのお尋ねでございます。
 道路関係四公団の改革は、内閣総理大臣のリーダーシップのもとに、政府を挙げて取り組むべき重要な課題であるため、本委員会については、内閣総理大臣を長とする行政機関である内閣府に置くこととしたものでございます。
 次に、本委員会を三条機関ではなく八条機関とした理由についてお尋ねでございます。
 いわゆる三条機関は、準司法的手続を行う等の特別の目的のために設置されるものであり、行政決定権限を有するものでございます。一方、本委員会は、特殊法人等整理合理化計画に示された改革の基本方針を踏まえ、道路関係四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保について調査審議し、内閣総理大臣に意見を述べるものでございます。したがって、いわゆる八条機関として内閣府に設置することが適当であると考えております。
 次に、本委員会の調査審議内容についてのお尋ねでございます。
 本委員会は、特殊法人等整理合理化計画に基づき、道路関係四公団にかわる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べることとしております。
 新たな組織については、業務、財務等のあり方を含み、その具体的内容について御意見をいただきたいと考えております。
 採算性の確保については、道路交通需要の見通し、金利の見通し、費用対効果分析の考え方等について御検討いただき、新たな組織による事業の前提となる採算性の確保に関する基準などについて御意見をいただきたいと考えております。
 最後の御質問でございましたが、本委員会と高速自動車国道の個別路線の整備の関係についてお尋ねでございます。
 本委員会においては、特殊法人等整理合理化計画に示されました、国費を投入しない、償還期間は五十年を上限として短縮を目指す等の基本方針のもと、道路交通需要の見通し、金利の見通し、費用対効果分析の考え方等について御検討いただき、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性の確保に関する基準などについて御意見をいただきたいと考えております。
 高速自動車国道の個別路線の整備については、本委員会の意見を踏まえ、国土交通大臣が、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、最終的に決定することになると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 野田佳彦君。
    〔野田佳彦君登壇〕
野田佳彦君 民主党の野田佳彦でございます。
 民主党・無所属クラブを代表して、大臣より御説明をいただきました法案について質問をいたします。(拍手)
 公団方式の高速道路整備は、その基本的な特徴は、償還主義とプール制にあります。
 償還主義は、要は、数十年も先に料金収入などによって借金を返していくという時間軸のどんぶり勘定であります。プール制は、もうかる路線ともうからない路線を抱き合わせにする空間軸のどんぶり勘定です。この二つのどんぶり勘定が重なって、車を走らせる道路の経営状況は、自動車操業ではなくて、自転車操業になってしまいました。
 これに対する小泉内閣の姿勢は、道路の問題でありますので道に例えて言うならば、抜け道、迷い道、回り道に陥っていると思います。(拍手)
 国費投入をゼロにするというのは、一見、英断に見えます。しかし、その浮いた三千億円は、高速道路には回らなくなったとしても、国交省の道路局の財源再配分で一般国道に回すことはできる。要は抜け道があります。
 加えて、償還期間を本来ならば三十年に短縮する話がありました。いつの間にか、妥協されてしまいまして、五十年に後退しました。総理は明らかに迷い道に入っています。
 加えて、大事なさまざまな政治的な決断を、今回の法案に出てくる第三者機関にほとんど丸投げであります。回り道です。
 結局は、赤字路線をだらだらとつくり続ける。人の道に反すると思います。こんなことを続ければ、あなたへの支持は坂道を転がるだけであると思います。
 以下、具体的に質問させていただきたいと思います。
 まず、この第三者機関の検討は、二〇〇二年中に結論を出すということになっていますが、この間も公団方式の道路整備は続くわけでありまして、この間に開通する新しい路線を見ても、相当に赤字路線が含まれております。
 私は、せめて、こうした大事な検討が行われている間は、建設工事はストップすべきである、一時凍結すべきであると思っています。治療をする前に、手術をする前に、血をとめない、止血をしないというのは、私はおかしいと思いますが、総理大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、この法案は、冒頭からいきなり、淡々と、「整理合理化計画に基づき、」と表現されておりまして、何ら理念や目的が明記されていません。まさに、小泉内閣の理念なき構造改革を象徴的にあらわしている法案だと思います。
 法案には明文化されてはおりませんが、どのような理念で、どのような目的でこの委員会を設置しようとするのか、総理の明快な答弁を求めたいと思います。
 次に、新たな組織形態についても、十分な検討をしないでこの第三者機関に丸投げをしています。極めて無責任だと思います。
 高速道路の建設部門と管理部門を分けるのか分けないのか、上下一体か上下分離かというのは、とても大事なテーマであります。上下分離というのは、一方は公的なセクター、もう一方は株式会社という形態であって、しかし、これはよく考えてみると、日本道路公団とファミリー企業との関係と何ら本質的な変わりはありません。部分民営化にすぎません。
 本当にむだな道路をつくらないようにするためには、上下一体の民営化が望ましいと私は思いますが、総理大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。(拍手)
 このように、いろいろなことが十分に煮詰まらないで第三者機関に丸投げをされている今回の動きでございますので、だからこそ、そうしたあいまいさ、玉虫色の部分を乗り越えて、この第三者機関には十分な権限と万全な体制をつくらなければならないと思います。
 その意味では、国家行政組織法上の独立性の弱い八条委員会ではなくて、独立性の強い三条委員会としてスタートすべきであったと思いますが、これも総理大臣にお尋ねしたいと思います。
 次に、国会同意人事を拒む理由についてお尋ねしたいと思います。
 予算委員会の答弁では、総理は、委員の人選に当たって、自民党、公明党、そして保守党、さらには有識者の意見を聞くとおっしゃっていました。だったら、国会で否決されるはずはありません。
 さらに加えて、あの人はいい、この人はだめというやり方はしたくない、選ばれた人はいいけれども、否定された人の名誉にかかわるという答弁もされました。私は、これは国会同意人事そのものを否定する、極めて説得力のない御説明だと思っています。
 もし、総理が真の改革者であったならば、与党審査を避け、国土交通省の横やりを避けて御自身で人選をするというやり方も、一定の理解は得られたかもしれません。しかし、田中眞紀子元外務大臣が、自分のスカートを踏んでいた抵抗勢力と指摘された今の小泉総理に、私は、残念ながら、信をおくことはできません。小泉神話は消えてしまいました。
 だからこそ、重要な人事は国会の同意を求めるべきであります。私ども民主党は、大使の任命も国会の同意を求めるべきだと考えています。今回の民営化推進委員会の人選についても、ぜひ国会の同意を求めるべきだとお訴えをしたいと思います。(拍手)
 いずれの形をとるにしろ、この人選は、民営化の成否を占う、とても重要なかぎを握っています。この人選について、自民党の道路族は、公平中立を求めていらっしゃいます。この公平中立という考え方は、一見、耳当たりはいいけれども、要は、九千三百四十二キロの整備計画どおり全部つくれと言う人を入れることが中立であり、公平であるという考え方であります。仮に、そうした意見に押し流されて、国土交通省OBなど、非効率な道路整備にかかわってきた人を入れるとするならば、私は、今回のせっかくの民営化の動きも魂を抜かれてしまうという懸念を強く持つものであります。
 総理大臣は、改革意欲に富んだ人を選びたいとお話をされているそうでございますが、改革意欲に富んだ人とはどういう人でしょうか。私は、かつての国幹審の決定も、整備計画の九三四二も、バブル全盛期につくられた予定路線も、すべて根本から見直すことのできる人こそ改革意欲に富んだ人だと思いますが、総理の具体的な人選に向けての御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、個別路線の取り扱いについてお尋ねいたします。
 今の国幹道法や道路整備特別措置法が生き残っている限りにおいて、九千三百四十二キロの道路を国がつくるというスキームは残ったままであります。その中で、今回発足しようとする委員会に採算性を検討しろといっても、おのずと限界があります。個別路線の整備計画のよしあし、そこまで見直しができるように、国幹審の決定もさかのぼって変更できるように、そうした権限を付与すべきであると思いますが、総理大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
 次に、石原大臣にお伺いいたします。
 第二東名・名神についてであります。
 整備計画の残事業は約二千四百キロメートル、その総事業費は約二十兆六千億円と見込まれています。その半分近くが第二東名・名神の整備費になろうと思います。
 現在、東名・名神はドル箱の黒字路線です。その横にもう一本、高速道路を走らせようというお考えでございますし、計画は進んでいますが、これは、平たく言うならば、もうかっているスーパーの横にもう一店舗つくる話であって、双方が赤字になる可能性すらあると私は思います。
 個別路線の検討の中で最大の焦点である第二東名・名神について、石原大臣は、昨年十二月だったと思いますが、テレビに出演された折に、第二東名は必要ない、できっこない、第二名神の鈴鹿山脈を貫く計画は必要ないと明言されていました。現在はどのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
 石原大臣におかれましては、実は、私と同じ昭和三十二年生まれであります。大臣のお父さんは大東京都知事であって、私の父は地元の老人会の副会長ぐらいですが、氏素性は全く違いますけれども、同じ若い世代として、ぜひ、ひるまずに、恐れずに、クマばかりのところには道路はつくらなくてもいいというお話も昨年されていましたが、大胆な御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 次に、石原大臣は、地方講演の中で、高速道路の料金の引き下げについても検討すべきであると言及されています。もしそれができるならば、夢のある改革になるでしょう。物流コストの引き下げにもつながります。
 しかし、現実は、二〇〇〇年度の決算ベースで見てみると、四つの公団の債務総額は三十八兆円にもなろうとしています。その債務をどのように圧縮するのでしょうか。
 とりわけ、本四公団におきましては、有利子負債が三兆八千億円です。料金収入が利払いにも満たない、経営破綻状況に陥っています。かつて、大平、三木、宮澤という歴代総理が政治力を駆使されてつくった三本のルートは、今や、官製不良債権の最たるものであります。この本四の改革なくして、私は、四公団の本当の意味の改革はないと思っています。往復で一万円も通行料金がかかる、通行するための橋というよりも、ただ見るだけの橋になりかねません。本四の改革についての石原大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、もう一度、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
 かつて、竹下登元首相は、道路イズ政治、政治イズ道路と語られたことがありました。これほど見事に、自民党の地方への利益誘導、公共事業依存型の政治を端的に語っている言葉は、私はないと思います。その竹下イズムは、現在も自由民主党の中に、とりわけ経世会の中に脈々と引き継がれていると私は思います。
 九〇年代に入ってからの自民党の歴代の道路調査会会長の顔ぶれをぜひ思い起こしていただきたいと思います。敬称略でまいりますが、金丸信、中村喜四郎、渡辺栄一、そして綿貫民輔議長、続いて村岡兼造、野呂田芳成、すべて経世会です。現在は古賀誠前幹事長という実力者でありますけれども、極めて親しいお仲間だと思います。
 赤字路線でも構わずに地元に道路を引き込んで、関連業界から政治献金を受け取って選挙の支援まで仰ぐという構図、これは、ずぶずぶの政官業の癒着構造の最たるものであります。(拍手)
 こういう自民党流の利権政治を変えない限り、本当は、道路関係四公団の改革はできません。私は、これが本質であり、すなわち、これは政治改革の問題だと思います。
 仏経山トンネル工事の発注が見送られようとしたとき、昨年の暮れに、青木自民党参院幹事長は烈火のごとく怒って、政治的圧力をかけたと報道されていますけれども、これは、鈴木宗男議員がその影響力を駆使して、外務省に圧力をかけて国策をねじ曲げてきた構図と全く同じであります。BSE問題でちらちらと影が出てくる農水族の動きと全く同じであります。
 自民党解体なくして、道路公団改革はあり得ません。政権交代なくして、道路公団改革はあり得ません。
 こうした私の意見についての総理の御見解を賜りまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 野田議員にお答えいたします。
 高速自動車国道の建設事業の凍結についてのお尋ねであります。
 道路関係四公団の改革については、特殊法人等整理合理化計画において、国費を投入しないこととした上で、新たな組織により建設する路線は、費用対効果分析を徹底して行い、優先順位を決定する等の基本方針のもと、平成十四年中に具体的内容をまとめることとしたところであります。
 平成十四年度の個別の建設事業については、資金調達の見通し、事業の進捗状況等を踏まえて、公団が適切に進めるべきものと考えております。
 なお、日本道路公団については、平成十四年度より既に国費を投入しないこととしております。
 委員会を設置する理念や目的についてでございます。
 道路関係四公団の改革については、民営化の推進によって、コスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した事業運営が行われる等のメリットが生じると考えられることから、特殊法人等整理合理化計画において、新たな組織は民営化を前提とする、国費を投入しない等の基本方針のもと、第三者機関において具体的内容を検討することといたしました。
 本法案において、道路関係四公団民営化推進委員会は、この特殊法人等整理合理化計画に基づき調査審議する旨を規定しているところであり、計画で示された方向性に沿って進められるものと考えております。
 上下一体の民営化を実現すべきではないかとのお尋ねがありました。
 道路関係四公団にかわる新たな組織の業務、財務等のあり方を含む具体的内容については、委員会において調査審議していただくこととなると考えており、その中で、いわゆる上下一体とすべきか否かも含め検討されるものと考えております。
 道路関係四公団民営化推進委員会について、八条機関ではなく三条機関とするべきではないかとのお尋ねがありました。
 いわゆる三条機関は、準司法的手続を行う等の特別の目的のために設置されるものであり、行政決定権限を有するものであります。一方、本委員会は、私が示した道路関係四公団の改革の基本方針を踏まえ、道路関係四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保について調査審議し、私に意見を述べるものであります。したがって、いわゆる八条機関として内閣府に設置することが適当と考えております。
 道路関係四公団民営化推進委員会の人選は国会同意とすべきではないかとのお尋ねであります。
 国家行政組織法第八条に基づく審議会等のうち、その委員の任命について両議院の同意を得ることとされているものは、政治の基盤に関することを扱うものや国民の権利義務に直接かかわるものなどとなっております。
 道路関係四公団民営化推進委員会は、道路関係四公団の改革について、特殊法人等整理合理化計画に沿って、その具体化を図るために検討を行うものであり、委員を国会同意人事とする必要はないものと考えております。
 委員会の委員の人選についてのお尋ねであります。
 本委員会におきましては、道路関係四公団の改革について、特殊法人等整理合理化計画に沿って、その的確な具体化を図るため、客観的、合理的な調査審議を尽くす必要があります。
 このため、その委員については、すぐれた識見を有する方々、改革意欲に富み、国家国民的視点に立ち、特定の分野及び利害に偏することなく、公正な判断をなし得る方々を選任したいと考えております。
 個別路線の取り扱いについてでございます。
 本委員会においては、特殊法人等整理合理化計画に示された、国費を投入しない、償還期間は五十年を上限として短縮を目指す等の基本方針のもと、道路交通需要の見通し、金利の見通し、費用対効果分析の考え方等について御検討いただき、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性確保に関する基準などについて御意見をいただきたいと考えております。政府としては、この御意見を踏まえ、必要な対応をしてまいりたいと考えております。
 自民党解体なくして道路公団改革なしとの御指摘がありました。
 いかにして必要な道路を、できるだけ国民の負担を軽くしてつくるか、徹底的な費用対効果分析が行われているか、こうした基本姿勢に立ち返って見直しを行うのが、今回の道路公団改革であります。その際、自民党も、一部の意見のみを反映させるようなことがないように、国民全体の意見を反映させるように努めなければならないのは、言うまでもありません。
 道路公団改革とあわせて、党改革、政治改革にも全力で取り組んでいく決意であります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕
国務大臣(石原伸晃君) 野田議員にお答え申し上げます。
 第二東名・名神の整備についてのお尋ねでございます。
 先ほど総理からも御答弁がございましたように、本委員会においては、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性確保に関する基準などについて御意見をいただきたいと考えており、第二東名・名神につきましても、高速自動車国道の個別路線の整備については、本委員会の意見を踏まえて、国土交通大臣が、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、最終的に決定するということになっております。
 二つ目の御質問でございますが、道路関係四公団の債務についてでございます。
 本委員会においては、特殊法人等整理合理化計画に示された基本方針のもと、債務の確実な償還も含め、道路四公団にかわる新たな組織の採算性の確保について調査審議し、御意見をいただくことになるものと考えております。
 また、本州四国連絡橋公団の改革についてでございます。
 本委員会においては、特殊法人等整理合理化計画に示された、「債務は、確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討する。」との基本方針のもと、道路交通需要の見通し、金利の見通しなどについて御検討いただき、新たな組織が債務を確実に償還できる方策について御意見をいただきたいと考えております。
 これらの委員会の意見を踏まえ、政府として必要な対応をとらせていただこうと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 一川保夫君。
    〔一川保夫君登壇〕
一川保夫君 自由党の一川保夫でございます。
 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま提案のありました道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、総理並びに関係閣僚に御質問をしたいと思います。(拍手)
 本題の質問に入る前に、まず総理に一言申し上げたいと思います。
 先般とり行われました横浜市長選挙において、各党相乗り、また各種業界が推薦する現職の候補者が負けまして、我々自由党も支援してきました中田宏氏が当選いたしました。
 そもそも、横浜市は、小泉総理の地元神奈川県の中心である政令指定都市でございます。この市長選の結果は、有権者が、今日の自民党・小泉政治に対してノーの答えを突きつけたことを意味するというふうに私は思います。
 自民党は、今まで、リクルート事件、東京佐川急便事件、それから共和事件、KSDの事件など、数多くの汚職事件を引き起こしてきました。このように、現在の政治腐敗の元凶が、自民党を中心とする政官業癒着の構造にあることは明らかでございます。
 このことについて、小泉総理は、事あるごとに、私が自民党を変える、自民党の古い体質を私が壊すということを宣言してきました。しかし、今回、自民党を離党した鈴木宗男、加藤紘一の両衆議院議員の疑惑を前にしては、自民党的政治体質が問われているにもかかわらず、議員の出処進退は御自身が判断されることとして、逃げ口上ばかり言ってまいりました。リーダーシップは一切発揮されておりません。
 御自身の発言に責任を持つのであれば、小泉総理は自民党総裁として、鈴木、加藤両衆議院議員に対し、議員辞職を勧告すべきであると思います。
 次に、先日、BSE問題に関する調査検討委員会の報告が発表されました。一九九六年に肉骨粉の規制を農水省が行政指導にとどめたことについて、重大な失政を問わざるを得ないと断定し、農水省の行政責任を明白にしました。
 これに対し、武部農水大臣は、関係者十数人の職員に対し、減俸を中心とした処分を行いましたが、自分自身の責任については、大臣報酬を一部返納するという表明をしたにすぎません。
 しかし、武部農水大臣は、これまでも、BSE問題に関しては、感染源の究明はそんなに大きな問題かといったような失言を行ったり、あるいは雪印食品問題で明らかになったようなずさんな施策などなど、これまでの農水省のこのBSEに対する施策は非常に後手後手に回り、場当たり的な施策を繰り返してまいりました。国民生活にとって大変大きな影響を与える食品関係の行政に対して、国民の信頼を完全に失ったと言えると思います。
 それにもかかわらず、農水省の行政責任が明白になった後の大臣自身の責任のとり方が大臣報酬の一部返上ということでは、国民は納得するわけにはいきません。武部大臣がみずから辞任を申し出ない以上は、総理は任命責任者として武部大臣を罷免すべきであるというふうに思います。
 以上の点について、総理大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 さて、道路四公団に関係する本題の質問に入りたいと思います。
 特殊法人等整理合理化計画において、日本道路公団、それから首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団は廃止されることになり、四公団にかわる新たな組織について検討されることとなりました。それを受け、今回の道路関係四公団民営化推進委員会設置法案が提出されましたけれども、民営化というのが、特殊会社化、地方共同法人化、民間法人化、そして完全民営化のいずれかを指すというのでは、ただ単に名称を書きかえただけの結果にほかなりません。
 現在、日本道路公団の子会社、関連会社は、全体で八十二社、また、関連公益法人は五法人に上り、剰余金は約一千億円、正味財産は約六百五十億円にも達しております。また、道路公団出身者が代表者に就任している子会社、関連会社は、約九〇%を占めております。関連法人についても、八〇%となっております。一大グループを築き上げ、道路公団本体は赤字でも関連企業は利益を上げるという、いびつな状況となっております。
 形だけの民営化によって、表面上は国の介入がなくなったとしても、実態はそのままであり、これらグループ企業で利益をなお一層独占し、利用者が高負担を強いられることであっては、民営化の意味がありません。真の民営化を先送りしていると言わざるを得ないと思います。
 そもそも、民営化を目指す理由は、民営化した結果、高速道路の料金が下がる、また、工事中のいろいろな交通渋滞が減少するなどの、いかに利用者が効果的なサービスを受けられるかということを目的に考えるべきであります。また、中央官庁からの天下り人事を廃止し、国民にわかりやすい民営化を目指すべきであります。
 例えば、民営化する際に、利用者からの不満が最近非常に高く、マスコミ等でもよく特集を組まれて批判されております高井戸―八王子間を首都高速に組み入れて料金を不要にするなどの具体的な事例を、しっかりと打ち出すべきであるというふうに思います。
 総理及び行政改革・規制改革担当大臣、それから国土交通大臣に、この道路四公団の民営化に関する基本的な考え方をお聞きしたいというふうに思います。
 次に、高速道路計画等についてお伺いいたします。
 平成十四年度予算において、小泉総理は、道路公団に対して三千億円に上る政府出資金を全廃いたしました。しかし、本来行うべき一万四千キロに及ぶ高速道路計画の見直し、そして、国が責任を持ってどこまでそのビジョンを実施するのかの明確なものは、何ら示されておりません。
 他方、平成六年に地域高規格道路の候補路線として指定された、小泉総理の地元横須賀と房総半島を結ぶ東京湾口道路を含む、六つの海峡横断道路プロジェクトがございます。平成六年から毎年、年間約五億円以上の予算がつけられております。平成十四年度予算においても、五億五千万円余りの調査費用が計上されております。
 このプロジェクトは、あくまでも整備の必要性なり緊急性、現実性等を検討している段階の構想中の路線であるというふうに聞いておりますけれども、東京湾アクアラインなどが大幅な赤字となっている現状を見たときに、こういった構想段階の道路に依然として毎年五億円余りもの調査費をつぎ込む必要性があるかの問題がございます。
 これでは、小泉総理のおひざ元の事業であるということで予算が継続しているのではないかと思われても仕方ない、そういう現象だというふうに考えます。
 東京湾口道路などの海峡横断道路プロジェクトを継続することの必要性を含め、どのような原則に基づいて高速道路網を整備していこうと考えているのか、総理及び国土交通大臣に基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 また、この際、小泉総理にお伺いしたいわけですけれども、総理は、道路特定財源の一般財源化を強調しておりました。平成十四年度に三千億円を削減して、これで終わりだというふうに考えておられるのかどうか、また、道路特定財源の一般財源化がなぜ必要なのか、どう実現していこうとされているのか、小泉総理の明確な御答弁をお願い申し上げます。
 次に、都市高速道路等に係る割と身近な問題について若干お伺いしたいと思います。
 現在、都市高速道路は、ほとんど制限速度が六十キロとなっております。これほど実態を無視した事例はございません。渋滞のときならいざ知らず、道路が通常の状態で制限速度を守っている車は、まずほとんど見かけない現状でございます。
 確かに、都市高速は渋滞が割と多い、また、カーブも多いという問題もあり、ある程度、制限速度を設けなければならないことはわかりますけれども、それにしても、余りにも実情にそぐわない典型的な事例ではないかというふうに思っております。
 総理や国家公安委員長は、首都高速などの都市高速道路を走行する際に、必ず制限速度を守っていますか、また、守るように運転手に指示をされておりますか。また、御自身の体験からして、この都市高速の現在の制限速度はこれでいいというふうにお考えですか、あるいは改善すべきだというふうにお考えですか。御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、ETC、ノンストップ自動料金支払いシステムについてお伺いいたします。
 平成十二年の道路審議会において、「都市高速道路については、」「概ね五年後を目途にETCに限定した利用とすることを目指す」ということになっておりました。そういった答申を踏まえまして、国土交通省としましても、実施方法のあり方を現在検討しているというふうにお聞きしております。
 しかし、これが現実に実施されるということになりますと、非常に問題があるというふうに思います。アメリカのように数千円でETCが取りつけられるというならまだしも、ETCの取りつけのために日本では平均五万円余りもかかるということでは、このまま都市高速道路のETCに限定した利用を実施するのであれば、国民にとって多大な負担を強いることになります。この点について、国土交通大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、一言申し上げたいと思います。
 特殊法人等整理合理化計画というのは、国がそれぞれの特殊法人等について講ずべき措置を定めております。しかし、計画内容の大半は、統合あるいは独立行政法人化して実態を残すものとなっております。問題の先送りと看板のかけかえを列挙しているだけで、第二の特殊法人をつくるにすぎないのではないかという懸念がありました。
 しかも、この懸念は、特殊法人等整理合理化計画の目玉となるべき道路四公団に関する今回の委員会設置法案を見て、現実のものとなってきたような感がいたします。一連の特殊法人改革案は、まさに、小泉総理のパフォーマンスと一部の族議員あるいは官僚の利権との妥協の結果であることが徐々に明確になってまいりました。
 これに対して、自由党は、日本の構造改革を断行するために、もう既に、特殊法人等の整理及び合理化に関する法律案を策定いたしております。政治のリーダーシップによって、三年以内にすべての特殊法人等を原則廃止・民営化することを主張いたしております。
 自由党は、今後とも、日本一新、国民が主役の社会を築くために全力を注ぐことを表明いたしまして、私の質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 一川議員にお答えいたします。
 初めに、鈴木議員、加藤議員に対する議員辞職についてのお尋ねであります。
 議員の出処進退については、本人が決めるべき問題だと思っております。
 武部農林水産大臣を罷免すべきではないかとのお尋ねでございます。
 一昨日、武部農林水産大臣と坂口厚生労働大臣より、BSE問題に関する調査検討委員会の報告について説明がありました。
 本報告においては、危機管理体制の欠落や消費者保護軽視など、農林水産省の体質及び農林水産行政に対する大変厳しい御指摘をいただいており、このため、私からは、消費者保護をより一層重視する観点から、食品安全性の確保に関連する法制度の抜本的見直しを含め、対応に万全を期すとともに、関係閣僚会議を設置し、新たな行政組織のあり方を中心に、本年夏ごろを目途に具体案を作成するよう指示したところであります。
 今後も、武部農林水産大臣には、本報告の指摘を厳粛に受けとめ、食の安全と安心を確保するため、農林水産政策の大胆な見直し、改革に引き続き取り組んでいただきたいと考えております。
 道路関係四公団の民営化に対する基本的考えについてでございます。
 特殊法人改革については、民間にできることは民間にゆだねるとの原則に基づき、廃止・民営化を前提に徹底した見直しを行い、昨年、特殊法人等整理合理化計画を閣議決定したところであります。
 道路関係四公団の改革については、民営化の推進によってコスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した事業経営が行われる等のメリットが生じると考えられることから、特殊法人等整理合理化計画において、新たな組織は民営化を前提とする、国費を投入しない等の基本方針を定めたところであり、今後、道路関係四公団民営化推進委員会の意見を踏まえ、実効ある改革の具体化に取り組んでまいります。
 今後の海峡横断道路プロジェクトを含む高速道路網の整備のあり方についてお尋ねであります。
 今後の高速道路網のあり方については、道路関係四公団民営化推進委員会において、新たな組織は民営化を前提とし、今後の高速道路整備の前提となる採算性の確保に関する基準などについて意見をいただくこととしておりますが、その意見などを踏まえ、検討してまいります。
 なお、東京湾口道路などの海峡横断道路プロジェクトについても、こうした考え方を踏まえ、その必要性を含め、慎重に検討してまいりたいと考えております。
 道路特定財源についてでございます。
 平成十四年度予算においては、道路予算について削減した結果、自動車重量税を含めたいわゆる道路特定財源の額が道路予算の額を上回ることとなり、これを、使途の限定なく、一般財源として初めて活用することといたしました。
 今後の、道路を含め、特定財源及びその税制の見直しについては、その基本的なあり方について、経済財政諮問会議や政府税制調査会等の場においてさまざまな観点から幅広く検討を進め、平成十五年度予算から反映させていきたいと考えております。
 都市高速道路における制限速度についてのお尋ねであります。
 私は、現在、車を運転しておりませんが、運転を担当している者については、交通ルールに従って安全運転をするように指示しております。この制限速度については、交通事故の防止という点からも考えられているのでありまして、私は、速度制限を遵守すべきであると思っております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕
国務大臣(石原伸晃君) 一川議員にお答え申し上げたいと思います。
 先ほど総理からも御答弁がございましたように、民営化の推進によってコスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した事業経営が行われる等のメリットが生じると考えられることから、特殊法人等整理合理化計画の中で、新たな組織は民営化を前提とする、国費は投入しないなどの基本方針を定めたところでございます。
 今後、道路関係四公団民営化推進委員会の意見を踏まえて、効率性やサービスの向上、民営化のメリットを広く国民の皆様方が享受できるような改革の具体化に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣扇千景君登壇〕
国務大臣(扇千景君) 道路四公団が建設、管理を行っております高速道路は、全国的な自動車交通網の枢要をなす根幹的な施設でございますので、私は、このネットワークの整備というのは、我が国経済の発展とか国民生活の利便性の向上、そういったことに極めて重要でございますし、今後とも、必要なネットワークについては着実に、効率的に整備を進めていくべきであろうと思っております。
 このような点を十分勘案した上で、道路四公団につきましては、特殊法人等整理合理化計画に示されました基本方針にのっとり、民営化を前提とした新たな組織に移行して、経営の効率性の向上とかサービスの向上等を図るべきものと考えております。
 道路四公団にかわります新たな組織の具体的な内容につきましては、道路関係四公団民営化推進委員会におきまして、今後、調査審議していただくことになっておりますけれども、国土交通省としても、その意見を踏まえて、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。
 また、高速道路網の整備は、我が国の脆弱な国土を克服して、国土を有効に利用して適正に管理するために重要不可欠なものと考えております。
 ただ、その整備に関しましては、道路関係四公団民営化推進委員会から示される意見とか、また、経済効果、地域に与える影響、費用対効果の分析などを踏まえて、総合的に検討する必要があるものと考えております。
 御指摘の海峡横断道路プロジェクトにつきましては、平成十年三月に閣議決定された全国総合開発計画を受けて、現在、国土交通省において、経済効果あるいは地域社会に与える効果等の調査、コスト縮減等の技術開発を進めておりますけれども、このような大規模プロジェクトにつきましては、費用対効果の分析の検討に加えまして、何よりも、広く国民のコンセンサスを得られるかどうかがその具体化に当たっては大きな課題となってまいるものと考えております。
 最後に、ETCに関しての御質問がございました。
 都市高速道路でのETCの導入によりまして、今後、料金所に起因する渋滞の解消はもとより、渋滞区間を避けるための乗り継ぎ割引でございますとか、また、時間帯や曜日等の渋滞の状況に応じた料金体系、これを見直していくべきであろうと思っています。利用者のニーズに対応した多様なサービスの提供が必要であろうと思っております。これによりまして都市高速道路の機能が最大限に発揮されますことから、都市再生の観点からも極めて重要な施策であると考えております。
 このような観点から、平成十二年十一月、道路審議会より、「概ね五年後を目途にETCに限定した利用とすることを目指すことが重要である。」との答申をいただいております。
 しかしながら、昨年十一月の全国展開後、ETCの普及は着実に拡大しているものの、現在の首都高速道路での利用率は約二・一%程度であり、現状では、ETCの限定利用のための諸条件は必ずしも整っているとは言えないと思っております。
 今、一律割引サービスということで二割を割り引いておりますので、例えば、首都高速をお通りいただきますと、通るときは七百円といいますけれども、それを請求するときには二割引きの五百六十円となっております。
 そういう意味で、まずETCの普及拡大を図っていくということが肝要でございますし、また、スルーに通っていただくということによって、渋滞解消と環境問題でのCO2の削減ということは、今後、二十一世紀型の道路行政の中で大きな地位を占めていくものと思っておりますので、少なくとも、専用レーンの拡充とか、利用者の立場に立った施策を進めて、普及拡大を図ってまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣村井仁君登壇〕
国務大臣(村井仁君) 一川議員にお答えいたします。
 首都高速などの制限速度についてお尋ねがございました。
 総理からもお答えがございましたが、私自身は、現在、運転をいたしておりませんが、運転に従事する者は交通ルールを守って安全運転に心がけているものと認識いたします。
 議員御指摘のとおり、都市高速道路の制限速度につきましては、やや低目に設定されていると感じる向きがあることは承知しております。
 都市高速道路は、一般の高速道路と比べ、設計速度が低く、また、交通量が過密であることに加え、周辺の住宅・都市環境などにも配慮して、時速八十キロメートルから時速四十キロメートルと、きめ細かく指定しているところでございます。それでもなお事故が多発しているのが現状でございます。
 今後とも、引き続き、合理的かつ適正な交通規制の実施など、交通事故防止対策を強力に推進してまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
副議長(渡部恒三君) 大幡基夫君。
    〔大幡基夫君登壇〕
大幡基夫君 日本共産党の大幡基夫です。
 私は、日本共産党を代表して、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、総理に質問いたします。(拍手)
 まず、加藤紘一元自民党幹事長をめぐる疑惑への小泉総理の姿勢であります。
 加藤紘一議員の政治資金疑惑は、加藤氏の事務所代表を中心にして、選挙区の地元山形県などでの公共事業に当たって、入札参加企業、公共工事受注企業から資金を集め、巨額の脱税が立件されています。
 重要なことは、加藤氏が、こうして集めた巨額の政治資金を背景として、自民党内での地歩を築き、総理・総裁の座を目指していたことであります。しかも、その資金を、自宅マンションの家賃など、生活費として私的流用していたという疑惑さえあります。とても、秘書がやったこと、監督不行き届きなどの弁解で済ませられる問題ではありません。事は、総理が総裁を務める自由民主党の元幹事長にかかわる重大疑惑であります。
 しかも、小泉総理は、加藤氏とYKKの盟友関係にあったのであります。にもかかわらず、総理は、先ほども、出処進退は本人が決めることなどと、まるで他人事のように言っています。
 総理、なぜ、加藤氏に対して、すべての疑惑の真相を明らかにし、その責任を明確にして議員を辞職すべきだ、こう言わないのでしょうか。自民党を離党したからいいとでもいうのですか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、法案について質問します。
 第一は、道路四公団の巨額の赤字をもたらした原因と責任がどこにあるのかという問題です。
 戦後の道路行政は、田中角栄氏の日本列島改造論に代表される、全国を高速道路で覆い尽くす、大企業本位の高度経済成長政策を支えるものとして推進されてきました。このような経済の右肩上がりを前提にした道路行政の破綻は、既に明らかであります。
 そのことは、本州と四国に三本も巨大橋をかけるというばかげた計画や、東京湾の海底と海上を横断するアクアラインなどの建設が、今日の道路財政破綻の主要な原因になったばかりか、環境や自然を破壊したこと一つとってみても、明らかではありませんか。
 その上、まだこれから六本もの巨大橋を日本列島にかけるという計画まで持ち出し、現に、今年度予算でも巨額の調査費を計上して、あくまで建設しようとしているのであります。しかも、これらの大規模プロジェクトが利権と談合の道具になってきたことも明らかになっています。
 総理、これらの巨大橋プロジェクトをなぜ中止しないのか、その理由を明らかにしていただきたい。
 総理、あなたは、こうした無計画で採算性を度外視して進めてきた今日までの道路行政が道路財政破綻の原因であるという認識は全くないのですか。その責任を明らかにし、その反省の上に立たずして、真の改革の方向を打ち立てることはできません。見解をお聞きします。(拍手)
 第二の問題は、これまでの道路計画の破綻が明らかになっているにもかかわらず、従来の計画を根本的に見直そうとしていないことであります。
 六百三十兆円に上る公共投資基本計画に基づいて、五年間で七十八兆円投資するという道路整備五カ年計画が、最初に総額ありきで進められています。この計画によって予算の総枠が決められ、必要性も採算性もない道路が建設され、むだと浪費が再生産されてきたのであります。
 総理は、この計画を根本的に見直す考えはないのでしょうか。また、総理が公約されてきた、道路建設財源だけが確保できる揮発油税など道路特定財源の一般財源化を行うのかどうか、お聞きします。
 総理は、予算委員会で、今回の推進委員会の設置によって道路建設は計画どおりいかないと答弁しました。ところが、今回の道路公団の問題でいえば、国土開発幹線自動車道建設会議で決められた九千三百四十二キロの残りの事業である二千三百八十三キロの高速道路については、二十年間に二十兆六千億円を投じて建設し続けるということではありませんか。
 そして、政府・与党の方針では、建設費用の償還期間を五十年にしました。国土交通省の試算では、三十年の償還期間では残事業はほとんどできないが、五十年にすれば六、七割はできるとしています。実際、古賀自民党道路調査会長は、五十年償還なら建設コストを削減すればほとんど整備できると明言しています。これでは、一度決めた事業はやめないで、あくまで推進する、現在の計画は何ら見直さないということではありませんか。
 世論調査でも、圧倒的な国民は、高速道路の建設計画を大幅に縮小すべきだと答えています。これに全く逆行する姿勢であります。道路公団の改革を言うなら、この国民の声にこたえて、高速道路の計画を全部一たん凍結して、抜本的に削減すべきであります。こうしてこそ本当の改革であります。なぜそれに手をつけないのか、お聞きします。
 また、本年一月、道路公団が、一たん工事発注を凍結した十三件の事業について、自民党の青木参議院幹事長の一声で、これを撤回するという問題が起きました。当の青木氏は、その中にある地元島根県の工事に関して地元住民に説明するように言っただけだと弁明しましたが、道路族や有力政治家の意向に左右されて、どうして改革ができるのですか。見解を求めます。
 そして、従来のやり方を推進しようとしているからこそ、国会同意も必要としない民営化推進委員会を設置し、民営化の方策を密室で行おうとしているのではありませんか。国会で堂々と真剣に議論すべきではありませんか。総理の明快な答弁を求めます。(拍手)
 第三に、なぜ今、道路四公団を民営化するのかという問題です。
 日本道路公団は、二〇〇一年度末で、既に二十七兆円もの固定負債を抱えています。その上、交通量が予測を一割下回っただけで三十一兆円もの借金が残るという試算があります。本州四国連絡橋公団の二〇〇一年度末の決算は、管理費や金利負担が千六百二十七億円、これに対して、料金収入はわずか八百六十九億円、半分にも及ばず、累積赤字は今年度末に一兆円を超えようとしています。このまま民営化すればどういうことになるのか。
 総理は、予算委員会で、税金は投入しないと盛んに言っていますが、道路四公団が抱える巨額の負債は、結局、国民に押しつけることになるのではありませんか。国民に負債を押しつけないと約束されますか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 しかも、採算性の確保できるところだけが民営化され、かつて国鉄がJRに民営化された結果もたらされた事態と同様に、もうかる道路で大もうけする一方、採算のとれないところは地方自治体に負担を押しつけていく、こういうことになるのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 第四に、道路行政をめぐる政官業の癒着と利権の構造に抜本的なメスを入れる問題であります。
 一つは、高級官僚の天下りの問題です。
 道路公団などの特殊法人に建設省、国土交通省などの高級官僚が天下りし、特殊法人の役員が子会社に天下りし、そのファミリー企業が道路関係の仕事を独占する、こうした癒着と利権の構造を断ち切るべきであります。
 道路関係四公団の天下りは、極めて異常であります。役員三十一人のうち、七割を超える二十二人を天下り役員が占めています。天下りは五割以内という政府の基準さえ大幅に上回っています。
 総理、政官業の癒着の人的接着剤ともいうべき天下りは、特殊法人に対しても、また、特殊法人から関係企業への天下りも、厳しく規制すべきではありませんか。
 かつて、総理は、天下り問題を質問されて、だから民営化が必要だと述べました。しかし、天下りは、本来、民営化とは関係なく、天下り禁止法をつくれば解決できるのであります。また、特殊法人を渡り歩く、いわゆる渡り鳥官僚の全面的な禁止、役員の高額退職金の是正を直ちに行うべきではありませんか。答弁を求めます。(拍手)
 もう一つは、政官業の癒着と利権の構造の根本にある企業・団体献金の問題です。
 日本共産党は、企業・団体献金をきっぱり禁止することを一貫して主張してきましたが、今日の公共事業を食い物にする政治腐敗事件が相次ぐもとで、少なくとも、国、地方の公共事業受注企業からの政治献金を禁止する措置を直ちにとるべきであります。
 この問題で、小泉総理は、与党三党に今国会中の法改正を指示したと報じられています。自民党総裁としてその実現にどのような努力をされるのか。
 この問題について、福田内閣官房長官は、公共事業には建設会社だけでなくいろいろな関連企業があるとか、どの企業が受注したかは事後でないと判明しないなどと、技術的問題を挙げています。
 しかし、現行の公職選挙法第百九十九条は、選挙に関して公共事業受注企業からの寄附禁止を既に定めているのであります。それを選挙中以外の政治献金にも適用すれば済むことであり、やる気になればすぐにできることです。まさに、小泉総理の政治腐敗問題に対する姿勢が問われているのであります。
 このことについての明確な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大幡議員にお答えいたします。
 加藤議員に関連したお尋ねであります。
 疑惑を持たれた議員は、だれであれ、率直に説明する責任があると思います。出処進退については、御本人が判断すべき問題だと思います。
 大規模プロジェクトのあり方や過去の反省に立った改革についてでございます。
 道路事業については、今後、より一層効果的、効率的な事業の執行が重要と考えており、このため、私は、道路四公団を廃止し、新たな組織は民営化を前提とし、コスト意識の徹底を図ることとしたところであります。
 今後とも、政策課題に対応した予算の重点化、評価制度の厳格な適用などにより、国民生活にとって真に必要な道路事業となるよう、努力してまいります。
 なお、海峡横断道路プロジェクトについては、その必要性を含め、慎重に検討してまいりたいと考えます。
 道路整備五カ年計画、道路特定財源及び高速自動車国道についてのお尋ねであります。
 現在の道路整備五カ年計画は平成十年度から平成十四年度まででありますが、今後の道路整備五カ年計画を含む公共事業の長期計画に関しては、現在、経済財政諮問会議において議論されており、こうした議論も踏まえ、必要な対応をしてまいります。
 また、道路を含め、特定財源及びその税制の見直しについては、その基本的なあり方について、経済財政諮問会議や政府税制調査会等の場においてさまざまな観点から幅広く検討を進め、平成十五年度予算に反映させていきたいと考えております。
 さらに、高速自動車国道の整備については、特殊法人等整理合理化計画において、償還期間は五十年を上限としてその短縮を目指すこととしており、道路関係四公団民営化推進委員会において、新たな組織の採算性の確保について調査審議し、御意見をいただくことになると考えております。この意見を踏まえ、政府として必要な対応をしてまいりたいと考えております。
 日本道路公団の工事発注の見送り及び改革についてのお尋ねであります。
 日本道路公団の工事発注については、その事業執行上の問題であり、予算の状況等を踏まえて、公団において判断したものと聞いております。いずれにせよ、改革については、揺るぎない決意のもと、具体化に邁進してまいりたいと考えます。
 国会同意を得ずに道路関係四公団民営化推進委員会を設置することについてのお尋ねであります。
 国家行政組織法第八条に基づく審議会等のうち、その委員の任命について両議院の同意を得ることとされているものは、政治の基盤に関することを扱うものや国民の権利義務に直接かかわるものなどとなっております。
 道路関係四公団民営化推進委員会は、道路関係四公団の改革について、特殊法人等整理合理化計画に沿って、その具体化を図るために検討を行うものであり、委員を国会同意人事とする必要はないものと考えております。
 道路関係四公団の債務と採算性についてであります。
 本委員会においては、特殊法人等整理合理化計画に示された基本方針のもと、債務の確実な償還も含め、道路四公団にかわる新たな組織の採算性の確保について調査審議し、御意見をいただくことになると考えています。この意見を踏まえ、政府として必要な対応をしてまいりたいと考えます。
 天下りについてのお尋ねであります。
 特殊法人への再就職については、国民の批判を真摯に受けとめ、昨年末閣議決定した公務員制度改革大綱などにおいて、役員退職金の大幅削減や法人の子会社を含めた再就職状況の公表等を行うこととしたところであり、これを受けて、先月、特殊法人等の役員の給与を平均一割、役員退職金を平均三割削減することを閣議決定いたしました。これらの閣議決定に基づき、国民の理解を得られるよう、引き続き厳しく対処してまいります。
 公共事業受注業者からの寄附に対する規制についてでございます。
 私は、政党が一定の規制のもとで献金を受けることは必ずしも悪であるとは考えておりません。同時に、政治と金の結びつきが国民から厳しい目で見られている中、国民の信頼を回復するには、公共事業受注企業からの献金等について疑惑を招くことがないよう、法整備を含め、もう一段踏み込んだ仕組みを考えることが必要と考えます。
 現在、与党に、問題点を整理し、早急に具体的な検討を進めるよう求めているところであります。各党各会派から幅広い合意が得られる成案の作成に向けて、引き続き配意してまいりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
副議長(渡部恒三君) 日森文尋君。
    〔日森文尋君登壇〕
日森文尋君 社民党・市民連合の日森文尋でございます。
 私は、社会民主党・市民連合を代表して、議題となりました道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、小泉総理及び関係閣僚に質問いたします。(拍手)
 「聖域なき構造改革」をスローガンに掲げて登場された小泉総理、あなたが総理になられて一年が経過しようとしています。痛みに耐えて頑張れ、改革なくして成長なしという総理のお得意の言葉も、今や、すっかり色あせ、半ば死語になりつつあるのじゃないでしょうか。国民生活やこの国の経済の現状を見るとき、そう感じるのは、私一人ではないはずです。
 内閣府の調査によると、日常生活で不安、悩みを感じるとした人は三人に二人、過去最高水準です。生活不安度指数も最悪水準。生活保護受給者は、対前年比で約六万八千人の増加。失業手当の月平均受給者数も過去最高。完全失業者数や高校生の就職内定率も過去最悪。今や、自殺者数三万人が当たり前。さらに加えて、医療制度の改悪や所得税の課税最低限の見直しなど、弱者に厳しく、冷たい政策がメジロ押しです。
 総理、これでもまだ国民に痛みを押しつけ続けるのが小泉改革なのでしょうか。総理の明確な御見解を求めたいと思います。(拍手)
 さて、こうした小泉改革の柱の一つが特殊法人改革です。
 総理は、民間にできることは民間にと強調されました。しかし、特殊法人が担っている事業、業務が国民生活にとって必要か否か、廃止・縮小が将来にわたって国民生活に利益をもたらすのかという政策的精査はほとんど行われないまま、初めに廃止・民営化ありきで突っ走ったのじゃないでしょうか。
 また、改革派対抵抗勢力という構図を巧みに演出することで、実態である政官業の利権・権益争奪戦にすぎない本質を隠ぺいし、結局、もうかるところは民営化することで、国民の財産を民間に売り渡し、債務、負債は国民負担に転嫁するという、およそ改革の名に値しないものと言わざるを得ません。
 しかも、改革の矛先も、公共賃貸住宅や住宅金融公庫、育英会など、国民に痛みを強いる分野へ向けられており、これだけでも、この改革が国民の暮らしを守るためのものではないことを明確に示しています。
 本来、改革すべきなのは、特殊法人等の経営破綻や行き詰まりを生み出した温床である政官業癒着構造と、族議員、特権官僚による支配構造であり、子会社・ファミリー企業問題や天下りなどに大胆なメスを入れることであったはずです。
 そもそも、道路公団の役員の任命・承認権は大臣にあり、予算も国会の承認を必要としない。高速道路の建設自体も、総理を長とする国土開発幹線自動車道建設会議が決定した計画に基づき、大臣の施行命令によって実施される。したがって、特殊法人の経営破綻や行き詰まり、目を覆うばかりの天下りの横行などは、歴代自民党政権の責任と言っても過言ではありません。政府・与党の責任は重大です。総理の御見解をお伺いいたします。
 総理、道路四公団をめぐって、総理と自民党との駆け引きがあったと聞いています。結局、巷間、四人組と言われている自民党幹部との手打ちで決着したといわれているやり方は、これまでの自民党的密室談合方式と何ら変わるものではありません。
 今回の民営化推進委員会人事についても、当初、自民党内では国会同意人事とする方向であったようですが、いわゆる族議員との手打ちができたから総理の任命とする決着のつけ方も、極めて不透明です。
 族議員との話がつけば、国会の同意は不要というのでしょうか。あなたのおっしゃる構造改革の柱が道路公団改革であるならば、しかも、公正中立な人選を行うというのであるならば、なぜ国会の同意人事としなかったのか、総理の本心をぜひお聞かせいただきたいと思います。
 さて、道路公団法では、子会社は原則として設立できないことになっていますが、道路施設協会を迂回して、多くのファミリー企業が設立されているのが現状です。しかも、これらの子会社、孫会社、関連会社は、公団関係の業務を独占的に受注し、多額の内部留保をため込んでおり、その一部は政治献金に回っています。
 こうした利権癒着の構造を解体することこそ、国民の望む改革ではないでしょうか。関連会社の設立、業務の厳格な規制について、国土交通大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 また、天下りは、事実上、高級官僚の特権と化しており、法人内部の士気を低下させ、経営の自主性をも阻害しています。こうした実態に国民の強い批判があることも、御承知のとおりです。
 公務員制度改革大綱では、天下り規制の緩和、在籍出向制が盛り込まれていますが、これで本当に責任を持った自発的な経営が可能なのでしょうか。また、民営化によって、天下りや高額報酬、高額退職金は是正されるのでしょうか。
 あわせて、今後、特殊法人改革を進めるならば、そこに働く職員の雇用・労働条件に十分配慮すべきと考えますが、石原担当大臣の御見解をお伺いいたします。
 国民の不安は、将来、何十兆円もの巨額の債務が返済不能となって、国民にツケ回しされるおそれがあることです。にもかかわらず、なぜ民営化なのか、どのように改革するのか、国民にとってどのようなメリットがあるのか、明確になっていません。
 民営化論の前に、公共事業のあり方や必要性、目的の妥当性を見直す作業、これが必要であると思います。高速道路整備についても、総合交通政策、総合交通体系の確立などが先行してしかるべきと考えます。扇大臣の御見解をお聞きいたします。
 民営化推進委員会は、民営化を前提に新たな組織及び採算性の確保に関する事項について調査審議するとしていますが、これと国土交通省が既に独自に立ち上げた検討会との関係は一体どうなるのでしょうか。また、個別路線の建設の是非についてはどうされるおつもりなのでしょうか。また、今後、全国プール制や償還後の料金無料化は放棄されてしまうのでしょうか。石原大臣及び扇大臣にお聞きいたします。
 民営化先進国と言われるイギリスでは、鉄道の例で恐縮ですが、鉄道が、水平分割を中心にして、全線路、全資産を保有するレールトラック社と、その上で車両を保有する会社、それを借りて運行する会社に分割し、さらに、地域分割という形で百社近くに分割されました。当初は大成功と、もてはやされましたが、レールトラック社は、株主重視の経営路線で、設備投資はしない、修繕費は削減する、これらの方向で資産の食いつぶしを行った結果、二年連続して数十人の死傷者を出す事故を初め、重大事故を発生させる結果になりました。結局、改善命令が出されましたが、最終的には、これにこたえる資金がなく、昨年十月に倒産したのです。
 民営化すればバラ色の未来というのではなくて、諸外国の規制緩和の負の経験にも、教訓とすべき点が多いと思います。十分学ぶべきものではないかと考えます。この点について、石原大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、企業・団体献金の禁止についてお尋ねいたします。
 このたび、総理は、さまざまな不祥事には公共事業を請け負っている会社が関係している、その政治資金や寄附のあり方を検討してほしいとして、公共事業受注企業からの献金規制について、今国会中に関連法案の成立を目指すよう指示されたということですが、よもや、総理、これは選挙向けのポーズではないでしょうね。
 与党内には厳しい異論が根強いと聞いていますが、この問題についてはぜひとも総理のリーダーシップの発揮を期待しているということを強調し、公共事業受注業者からの寄附の禁止について総理の決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日森議員にお答えいたします。
 国民の不安、悩みについてのお尋ねであります。
 さまざまな不安、悩みはだれでも持っていると思います。私は、改革なくして成長なし、改革しないことによってもっと不安や悩みは回ってくるのではないか、まさに改革することによって、さまざまな不安や悩みについて克服していく必要があると思います。
 いろいろ改革あるいは不良債権処理を進めることによって倒産や失業が出てくると思いますが、その際に対しては、雇用対策等、しかるべき措置をすることも、痛みを和らげる一つの手段だと思います。明るい未来を実現するためには、ちゅうちょすることなく改革を実現しなくてはならないと思っております。
 特殊法人改革における政府・与党の責任についての御質問であります。
 従来から、特殊法人については、経営責任の不明確性、事業運営の非効率性、不透明性、組織、業務の自己増殖、経営の自律性の欠如等の問題が指摘されておりまして、その抜本的な見直しが求められておりました。
 このため、政府・与党が一体となって、特殊法人の事務事業及び組織形態について見直しを行い、昨年、道路四公団の民営化や都市基盤整備公団、住宅金融公庫、石油公団の廃止等、従来よりも踏み込んだ内容の特殊法人等整理合理化計画を策定いたしました。
 同時に、特殊法人への公務員の再就職に関して、退職金が高過ぎる等の批判を踏まえ、退職金、給与の削減を決定したところであります。
 こうした計画の具体化に向け、手綱を緩めることなく特殊法人改革を進めることこそ、政府・与党の責任だと考えております。
 道路関係四公団民営化推進委員会の人事についてのお尋ねであります。
 国家行政組織法第八条に基づく審議会等のうち、その委員の任命について両議院の同意を得ることとされているものは、政治の基盤に関することを扱うものや国民の権利義務に直接かかわるものなどとなっております。
 道路関係四公団民営化推進委員会は、道路関係四公団の改革について、特殊法人等整理合理化計画に沿って、その具体化を図るために検討を行うものであり、委員を国会同意人事とする必要はないものと考えております。
 なお、その委員については、すぐれた識見を有する、改革の意欲に富んだ方々を選任したいと考えております。
 公共事業受注業者からの寄附に関する問題でございます。
 私は、政党が一定の規制のもとに献金を受けることは必ずしも悪であるとは考えません。同時に、政治と金の結びつきが国民から厳しい目で見られている中、国民の信頼を回復するには、公共事業受注企業からの献金等について疑惑を招くことがないよう、法整備を含め、もう一段踏み込んだ仕組みを考えることが必要と考えております。
 現在、与党に、問題点を整理し、早急に具体的に検討を進めるよう求めているところであり、そこでの議論を踏まえて、私としても判断してまいりたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣扇千景君登壇〕
国務大臣(扇千景君) 日森議員に対してお答え申し上げます。
 道路公団の子会社、関連会社の設立及び業務受注に関する規制について御質問がございました。
 平成十二年度の行政コスト計算書を作成するに当たりまして、民間企業で用いられている基準で判定した結果、八十二社が子会社、関連会社に該当いたしました。これら八十二社の総売上高に占める公団との取引高の割合は約七割、平成十二年度当期利益は一社平均七千五百万円、剰余金は一社平均十三億円、八十二社合計では千六十二億円となっており、子会社、関連会社が利益を蓄積しているとの国民の批判があることは承知いたしております。
 これら八十二社は民間企業でございますので、その設立の直接規制には困難な面がございますけれども、公団にかわる新たな組織の検討とあわせて、これらの会社との関係や業務発注のあり方については、抜本的な検討を行う必要があるものと考えております。
 なお、これに先駆けて、公団業務の合理化、効率化を図り、業務発注費の節減を通じて会社の利益を吸収するとともに、入札契約において一層の競争性の確保に努めてまいりたいと存じております。
 二つ目には、高速道路整備と総合交通政策についてのお尋ねがございました。
 国土交通省では、二十一世紀にふさわしい、真に国民のためになる公共事業を推進することを目指しておりますけれども、その効率性、透明性を高めながら、より地方の主体性を尊重しつつ、施策を展開することが重要であると認識いたしております。
 そのような中で、国土交通省においては、各交通部門の連携が図られた総合的な交通体系を形成する必要があるとの観点から、道路、鉄道、空港、港湾等の連携の強化による、物流と交流の円滑化を図るマルチモーダル施策を推進することにしておりますし、高速自動車国道等につきましても、我が国の国際競争力の強化のために必要となる空港、港湾へのアクセス性の強化に資する社会資本として、その整備推進に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 道路関係四公団の民営化に関する委員会とのお尋ねでございました。
 高速自動車国道の整備のあり方検討委員会は、昨年十月二十六日、諸井虔太平洋セメント相談役を座長として設置し、一カ月間に計七回の精力的な審議をしていただきまして、十一月二十六日に、今後の高速自動車国道の整備のあり方に関する中間報告を取りまとめていただき、総理にも御報告をさせていただいたところでございます。
 その後、十二月十九日に、特殊法人等整理合理化計画が閣議決定されたものであり、これに基づいて道路関係四公団民営化推進委員会が設置されることになったものであり、今後の論議の参考に資するものであると期待いたしております。
 それから、高速自動車国道の個別路線の建設の是非についてのお尋ねがございました。
 これに関連しましても、この高速自動車国道の個別路線の整備につきましては、道路関係四公団民営化推進委員会の意見を踏まえまして、高速自動車国道法に基づき、国土交通大臣が、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、国幹会議でございますけれども、最終的に決定することになっております。
 最後に、全国のプール制についての御質問がございました。
 全国の料金プール制につきましては、全路線が一体的な交通網として機能していることや、事業実施時期や建設コストに起因する料金格差による不公平感の解消等の観点から、必要であると考えておりますけれども、道路関係四公団民営化推進委員会においても議論がなされることがあろうと考えております。
 また、特殊法人等整理合理化計画におきましては、償還期間は五十年を上限として短縮を目指すとの基本方針が示されており、一定期間内に債務償還することを前提に検討されるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣石原伸晃君登壇〕
国務大臣(石原伸晃君) 日森議員にお答え申し上げたいと思います。
 天下り規制の緩和や在籍出向制度が特殊法人の自発的な経営に影響しないのか、また、民営化によって天下りや高額報酬、高額退職金が是正されるのかというような御指摘でございます。
 昨年十二月に取りまとめました特殊法人等整理合理化計画、公務員制度改革大綱において、特殊法人等への再就職については、役員退職金の大幅削減、役員給与の削減を行う、内閣が、役員の人事及び処遇のあり方について透明で客観的なルールを定めて公表するとともに、各府省に対する監督体制を強化する、法人の子会社等への再就職を含め、再就職状況等に関する情報公開を徹底するなど、厳しい措置を定めているところでございまして、天下り規制を緩和しているというような御指摘は当たらないものと存じます。
 また、役員出向制度の導入については、退職金の二重取り等の批判にこたえて導入することとしており、その具体的内容については、今後、検討していくことになりますけれども、いずれにしろ、法人の自律的経営を損なうことのないよう制度設計を行わせていただきたいと考えております。
 また、今回の特殊法人改革においては、百六十三の特殊法人及び認可法人の事業について徹底した見直しを行い、四十五法人について民営化等を進めることにしていますけれども、これらの法人については、民営化によりまして、事業の効率化、事業の自律的な運営、経営、サービスの多様化、国民負担の軽減等が図られるものと認識しております。
 また、特殊法人改革における職員の雇用・労働条件への配慮について御質問がございました。
 昨年十二月の特殊法人等整理合理化計画におきまして、これから私どもの方で着実にこの実現を図っていくことになりますけれども、改革を進めるに当たりましては、今回の特殊法人等改革の趣旨を十分に踏まえつつ、かつ、衆参両院内閣委員会における特殊法人等改革基本法の附帯決議の趣旨を踏まえて、適切な配慮を払ってまいりたいと考えております。
 扇大臣からもお答えがあったと思いますけれども、本委員会と国土交通省の検討会との関係についてでございます。
 高速自動車国道の整備のあり方検討委員会は、昨年十一月二十六日に中間報告を取りまとめており、今後の運営については、国土交通省において適切に判断されるものと考えております。
 また、個別路線の建設の是非についてのお尋ねでございます。
 本委員会において、特殊法人等整理合理化計画に示された、国費を投入しない、償還期間は五十年を上限として短縮を目指す等の基本方針のもと、道路交通需要の見通し、金利の見通し、費用対効果分析の考え方について御検討いただき、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性確保に関する基準などについて御意見をいただきたいものと考えております。
 高速自動車国道の個別路線の整備については、先ほどもお答え申し上げましたけれども、本委員会の意見を踏まえ、国土交通大臣が、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、最終的に決定することになると考えております。
 最後の御質問でございましたが、プール制でございます。
 本委員会における新たな組織の採算性確保についての検討の中で、全国プール制について議論がなされることもあると考えております。
 また、償還後の料金無料化についてでございます。
 特殊法人等整理合理化計画に示された基本方針においては、「現行料金を前提とする償還期間は、五十年を上限としてコスト引下げ効果などを反映させ、その短縮を目指す。」と明記しており、一定期間内に債務償還することを前提としております。
 また、諸外国の事例を参考にすべしというような御指摘でございます。
 昨年取りまとめました特殊法人等整理合理化計画の中では、道路四公団の民営化や都市基盤整備公団、住宅金融公庫、石油公団の廃止等、従来では考えられないような踏み込んだ内容になっております。
 政府としては、この整理合理化計画を着実に実施していくことになりますが、その際には、我が国と他国の国情の違いや特殊法人等を取り巻く環境の違い等を十分に配慮しつつ、議員御指摘のとおり、必要に応じ、他国における見直しの成功例や失敗例を参照することも有益であると私も考えております。(拍手)
副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時六分散会


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