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第27号 平成14年4月23日(火曜日)

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平成十四年四月二十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十号
  平成十四年四月二十三日
    午後零時三十分開議
 第一 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
 第三 国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件
 第四 国際労働基準の実施を促進するための三者の間の協議に関する条約(第百四十四号)の締結について承認を求めるの件
 第五 世界保健機関憲章第二十四条及び第十五条の改正の受諾について承認を求めるの件
 第六 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 武力攻撃事態への対処に関連する諸法案を審査するため委員五十人よりなる武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を設置するの件(議長発議)
 日程第一 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
 日程第三 国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件
 日程第四 国際労働基準の実施を促進するための三者の間の協議に関する条約(第百四十四号)の締結について承認を求めるの件
 日程第五 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件
 日程第六 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出)


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    午後零時三十三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 特別委員会設置の件
議長(綿貫民輔君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。
 武力攻撃事態への対処に関連する諸法案を審査するため委員五十人よりなる武力攻撃事態への対処に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、そのとおり決まりました。
 ただいま議決されました特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、商法等の一部を改正する法律案、日程第二、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長園田博之君。
    ―――――――――――――
 商法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔園田博之君登壇〕
園田博之君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 両案は、株式会社等の経営手段の多様化及び経営の合理化を図るため、委員会等設置会社の制度、重要財産委員会の制度、種類株主による取締役等の選解任の制度等を創設するとともに、株主総会の特別決議の定足数を緩和する等の措置を講じ、あわせて、関係法律の規定を整備し、所要の経過措置を定めようとするものであります。
 両案は、去る二日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されたもので、委員会においては、九日森山法務大臣から提案理由の説明を聴取し、十二日から質疑に入り、十六日には参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、十九日質疑を終局し、討論、採決の結果、両案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、商法等の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件
 日程第四 国際労働基準の実施を促進するための三者の間の協議に関する条約(第百四十四号)の締結について承認を求めるの件
 日程第五 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件
議長(綿貫民輔君) 日程第三、国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件、日程第四、国際労働基準の実施を促進するための三者の間の協議に関する条約(第百四十四号)の締結について承認を求めるの件、日程第五、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長吉田公一君。
    ―――――――――――――
 国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関する協定の改正の受諾について承認を求めるの件及び同報告書
 国際労働基準の実施を促進するための三者の間の協議に関する条約(第百四十四号)の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉田公一君登壇〕
吉田公一君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、インテルサット協定改正について申し上げます。
 国際衛星通信分野では、近年の技術進歩、通信自由化の流れを受けて、民間企業の参入、サービスの多様化など、情勢が急速に変化しております。このような情勢の変化に対応するため、国際電気通信衛星機構の目的、構成等を変更することを内容とする改正案が、平成十二年十一月に開催された第二十五回締約国総会において採択されました。
 本改正の主な内容は、
 衛星等の機構の宇宙システムを民間会社に移転し、機構が提供してきた国際衛星通信サービスは移転された民間会社が提供すること、
 機構は、ライフライン接続サービスの提供等の原則が民間会社により履行されることを監督するため、民間会社と公的業務契約を締結すること
等であります。
 次に、ILO第百四十四号条約について申し上げます。
 国際労働機関は、政府、使用者及び労働者の三者の間の議論を通じて、多くの国際労働基準を設定し、加盟国の労働条件の改善に貢献してまいりました。このような加盟国における国際労働基準の実施を促進するためには、各国の国内においても、政府、使用者及び労働者の三者の代表者間で国際労働基準に関する事項について協議を行うことが有益であるとの認識のもと、昭和五十一年の第六十一回総会において本条約が採択されました。
 本条約の主な内容は、
 加盟国は政府、使用者及び労働者の代表者の間の協議の手続を運用することを約束すること、
 協議の手続は国内慣行に従い各国において定めること、
 協議は国際労働総会の議題、条約案及び勧告案、既批准条約に係る年次報告等に関して行うこと
等であります。
 最後に、世界保健機関憲章改正について申し上げます。
 近年、世界保健機関におきましては、ヨーロッパ及び西太平洋地域における加盟国数が増加したことに伴い、機関の政策実施に責任を有する執行理事会の構成が、加盟国の地域的分布を適切に反映しているとは言えない状況になり、平成十年五月に開催された第五十一回総会において、両地域から選出される理事国の数を増加させるための本改正案が採択されました。
 本改正は、世界保健機関の執行理事会の構成員の数を三十二の加盟国が任命した三十二人から三十四の加盟国が任命した三十四人に改めるものであります。
 以上三件は、去る四月十一日外務委員会に付託され、十七日川口外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十九日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 三件を一括して採決いたします。
 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第六 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第六、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長大畠章宏君。
    ―――――――――――――
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大畠章宏君登壇〕
大畠章宏君 ただいま議題となりました道路関係四公団民営化推進委員会設置法案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、特殊法人等整理合理化計画に基づき、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団にかわる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査審議する機関として、内閣府に道路関係四公団民営化推進委員会を設置しようとするものであります。
 本案は、去る四月四日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されたものであります。
 本委員会におきましては、翌五日石原国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、十日、十二日及び十七日に質疑を行うとともに、十八日には国土交通委員会との連合審査会を開催し、十九日には参考人からの意見を聴取した後、小泉内閣総理大臣等に対し質疑を行うなど、真剣かつ活発な質疑を重ね、慎重に審査を行ってまいりました。
 かくして、同日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、民主党・無所属クラブから修正案が提出され、提出者からその趣旨の説明を聴取した後、討論を行い、採決いたしました。その結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 本案に対しては、細野豪志君外三名から、成規により修正案が提出されております。
 この際、修正案の趣旨弁明を許します。平岡秀夫君。
    ―――――――――――――
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔平岡秀夫君登壇〕
平岡秀夫君 民主党の平岡秀夫でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となっております道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に対する修正案について、その提案理由と概要を御説明申し上げます。(拍手)
 総理、国民の皆さんが小泉内閣の改革に対する姿勢に疑問を持ち始めたのは、この道路公団改革に対する総理の態度がきっかけであることにお気づきでしょうか。
 総理、あなたは、高速道路建設の一部凍結を含めた見直しを主張していたはずなのに、すべての建設を何らの根拠もなく認めてしまいました。
 総理、あなたは、道路公団の債務を三十年間で償還することを前提とした民営化を主張していたはずなのに、五十年間の償還延長に譲歩してしまいました。
 総理、あなたは、国民の皆さんに、道路公団民営化の結論が昨年中に出されると期待を持たせながら、その結論を一年先送りにしてしまいました。
 総理、今、国民の皆さんが小泉内閣の道路公団改革に対してどのような期待を持っているか、知っていますか。
 昨年の十一月に一応の道路公団改革が示されたにもかかわらず、その後にあった自民党青木幹雄参議院幹事長の恫喝にも似たごり押しに対して、小泉内閣のだれもが異を唱えられなかったことで、国民の皆さんは、やっぱり、今までと何も変わらないなとの思いを持って失望したのです。
 総理、今、あなたがなすべきことは、道路公団改革で本当になし遂げなければならないことを、あなたにかわり得る権威と権限のある組織が、これまで道路行政を牛耳っていた道路族議員からの影響を排除して、国民の監視のもとで、すべての国民にとって公正中立な結論を出すことなのです。
 総理、政府提案の道路関係四公団民営化推進委員会は、一体、どんな組織なのでしょうか。
 道路族議員の息のかかった委員が集まることのできる委員会で、できる仕事といえば、民営化して採算性がとれるようにする方策を検討するだけで、しかも、出された結論は総理に意見として述べられて、総理にとって、ただの参考にされるだけではありませんか。
 こんな権威も権限もない組織は、わざわざ国会の貴重な時間をかけて法律でつくらなくても、総理の一言だけでできるのです。それを、わざわざ法律にしてまで、このような組織をつくろうとする総理の真意は何なのですか。ただ単に、国民の皆さんに、小泉内閣は道路公団改革を進めていますよというポーズを見せるためだけではないのですか。(拍手)
 敬愛する議員の皆さん、今からでも遅くはありません、道路族議員の影響を排除することのできる権威と権限があり、かつ、国民にとって透明性の高い民営化推進委員会をつくろうではありませんか。
 以下、民主党が提案している修正案の概要を申し上げます。
 この修正案は、民営化推進委員会を、高速道路建設の優先順位などを決定する権限を有する権威の高い、国家行政組織法のいわゆる三条委員会として設置することとしています。
 そして、その委員会の委員は、国会の同意人事とすることによって、その選任が国民にとって透明性があるものとし、かつ、道路族議員の影響を受けない立場で検討ができるようにします。
 今や、このような委員会としなければ道路族議員の影響を排除できないことを、総理にも、そして議員各位の皆さんにも、認識していただきたいのです。(拍手)
 以上が、民主党提案の修正案の提案理由と概要であります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をいただきますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 討論の通告があります。順次これを許します。渡辺具能君。
    〔渡辺具能君登壇〕
渡辺具能君 自由民主党の渡辺具能でございます。
 私は、自由民主党、公明党、保守党を代表いたしまして、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、政府提出の原案に賛成し、民主党より提案された修正案に反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 国民生活の向上や広域的な連携による活力ある地域社会の形成のために、高速道路は、全国的な自動車交通網の枢要をなす根幹的な社会資本であり、法定されている予定路線を着実に整備する必要があります。
 しかしながら、右肩上がりの経済成長が終わりを迎え、今後、これまでのような交通需要の大きな伸びが期待できない状況を踏まえると、有料道路としての高速道路建設にとりまして、採算性の確保や債務の確実な償還が大きな課題となってきているのも事実であります。
 このような状況の大きな変化を踏まえ、道路関係四公団の改革については、民営化の推進によって、コスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した事業経営が行われる等のメリットが生じると考えられることから、昨年十二月に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画において、四公団は廃止し、新たな組織は民営化を前提とする等の基本方針のもと、第三者機関において具体的内容を検討することとされたところであります。
 この道路関係四公団民営化推進委員会設置法案は、その第三者機関を設置するため提案されたものであり、与党三党といたしましては、政府原案による、その一刻も早い成立を強く望むものであります。
 この委員会は、八条機関として設置され、内閣総理大臣に意見を述べることとしており、内閣総理大臣のリーダーシップのもと、政府を挙げて四公団改革に取り組む姿勢が明確に示されております。修正案の言う三条委員会では、総理のリーダーシップが生かせず、また、府や省と同列の機関の新設は行政改革にも逆行するものと考えます。
 委員の任命については、実効ある四公団改革を実現するため、与党合意を踏まえ、国家国民的視点に立ち、中立的な立場から公正な判断をなし得る人物が小泉総理において人選されるものと確信しております。
 最後に、道路関係四公団の改革は、特殊法人改革の中でも国民の関心が極めて高いものであり、四公団の民営化によって得られるさまざまなメリットを国民一人一人が享受できるような改革の実現を強く期待いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 野田佳彦君。
    〔野田佳彦君登壇〕
野田佳彦君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府原案に反対し、民主党提案の修正案に賛成する討論を行います。(拍手)
 まず、冒頭に明確にしておかなければならないのは、民主党は、道路関係四公団の真の改革と真の民営化の実現を求める立場であります。
 しかし、委員会審議を通じて、政府の改革意欲をみじんも感じることができませんでした。深く失望しております。
 総理、四月十九日、内閣委員会に出席された折に、皆さんは私のことを口だけと言うけれども、現実にはこれだけ進んでいるではないかとお話をされました。私は、これまで、この種の空疎な大見えを何度も見てまいりました。
 しかし、政権が発足して一年たち、一体、具体的な成果はどこにあるのでしょう。石油公団改革も暗礁に乗り上げているじゃないですか。
 同じく、私たちの同僚議員が、上下分離と上下一体とどちらが望ましいのかという、民営化の極めて本質的な問題について質問しました。そのとき、総理は、そのような技術的な問題は第三者機関の判断にゆだねるべきだと答弁されました。
 私は、この答弁に小泉総理の限界を感じました。すなわち、改革という言葉を呪文のように唱え続けてきたけれども、さらに踏み込んだ具体論を聞いたためしがありません。その理由は、基本的には、民営化の本質的な議論も枝葉の議論も区別がついていないからだということがよくわかりました。(拍手)
 さらに、最初から答えを出したらぶっつぶれてしまう、漠然とした内容に意味があるんだという答弁もされました。これほど国会を軽視し、さらには国民への説明責任を放棄するような無責任な発言はありません。
 また、委員会審議の中で、日本道路公団が昨年の末、十三件の高速道路建設工事の発注を見送った問題について、国土交通省と公団幹部とそして自由民主党の幹部との間で交わされた会話を記録したメモを用いた質疑が行われましたが、これなどにより、道路族の政治的圧力の疑惑はますます深まりました。すなわち、道路関係四公団改革は政治改革と不可分でありますが、残念ながら、その政治改革も小泉内閣にはできないということを改めて痛感した次第であります。(拍手)
 さらに、具体的には、政府案は、第一に、理念や目的が明示されていません。第二に、委員会の位置づけを国家行政組織法の第八条に位置づけており、独立性に欠けます。第三に、委員会の所掌範囲に個別路線建設の優先順位が入っていません。第四に、委員の任命について国会の同意を不要としています。
 これらの不備を是正しているのが民主党の修正案であり、実効性のある設置法案だと思います。ゆえに、政府案に反対し、そして、民主党修正案に賛成するものでございます。
 最後に、過日の本会議冒頭、道路関係四公団、小泉改革のこの改革は、残念ながら、回り道、迷い道、そして抜け道だと表現させていただきました。審議を経て、私の持った感想は、小泉内閣は日暮れて道遠しという感想を強く持ったことを付言させていただきまして、討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 工藤堅太郎君。
    〔工藤堅太郎君登壇〕
工藤堅太郎君 私は、自由党を代表して、政府提出の道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に反対、民主党提出の修正案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 政府案に反対の理由は、法案には理念や目的規定が全くなく、政府・自民党道路族の介入が容易にできるようになっていることに尽きます。
 以下、具体的に申し上げます。
 第一に、目的や理念が一切明確にされていないため、道路四公団の最終的な民営化の姿が、特殊会社、地方共同法人、民間法人、完全民営のいずれの形態になるのか、今後の審議を経ないとわからないというのでは、ただ単に名称を書きかえるだけの結果になりかねません。
 第二に、政府案では、道路関係四公団民営化推進委員会を八条機関、審議会としていますが、道路四公団の民営化の基本的な方向性を明示しないまま審議会にゆだねるのでは、審議の最中に横やりが入るとか、最終的な答申がないがしろにされる可能性があります。委員会に公平性と実効性を持たせ、中立の立場で検討するためには、委員会を三条委員会とするべきであります。
 第三に、委員の任命については、公平な人選を行うという観点からも、国会同意を求めるべきですが、政府案では国会同意を不要としていることであります。
 第四に、このまま政府案が成立すれば、道路関係四公団民営化推進委員会が政府・自民党道路族の手により恣意的に運営され、道路四公団の民営化が都合のよいように行われることは明白であります。
 そもそも、道路四公団の民営化を目指す理由は、民営化した結果、高速道路料金が下がる、工事渋滞が減少するなどの、いかに利用者が効果的なサービスを受けられるかということを目的に考えるべきです。形だけの民営化によって、道路公団本体と関連グループ企業が利益をなお一層独占し、利用者が高負担を強いられる仕組みが残されて、何のための民営化なのでありましょうか。
 政府案の前提となった特殊法人等整理合理化計画では、特殊法人等の大半が、統合あるいは独立法人化して実態を残すものとなっており、いずれも問題の先送りと看板のかけかえを列挙しているだけで、第二の特殊法人をつくるものにすぎません。小泉総理は、このことを肝に銘じるべきであります。
 以上の観点から、政府案に明確反対するとともに、民主党提出の修正案については、指摘した問題点を改善する内容となっているため、賛成することを表明して、私の討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 吉井英勝君。
    〔吉井英勝君登壇〕
吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に反対の討論を行います。(拍手)
 法案に反対する理由の第一は、法案で設置される民営化推進委員会には、むだな高速道路建設をやめさせるという権限も保障もないことであります。
 小泉総理は、むだに道路はつくらないと言いながら、高速道路建設の個別路線決定権を国土交通省の国土開発幹線自動車道建設会議に譲り、道路建設費の借金返済期間を五十年上限とすることで、高速道路の残りの計画を建設可能とする条件をつくりました。
 これに対して、民営化推進委員会の所掌事務は、民営化した道路関係四公団の採算性の確保について調査審議するとされているだけで、むだな道路建設をやめさせる権限はありません。これでは、むだな道路建設の中止を求める多くの国民の期待にこたえることはできません。
 第二に、政府は、破綻が明らかになっている既存の道路計画に固執し、この計画を根本的に見直そうとしていないことであります。
 今日の高速道路建設計画は、一九八七年の国土開発幹線自動車道建設法の改正に端を発しています。多極分散型国土の形成を目標に掲げた四全総で、バブル景気の上り坂にあった時期のものであります。当時の経済見通しと今の経済状況は大きく変わり、国民世論も変化しています。経済、財政ともに各種指標は大幅に落ち込み、地方では、高速道路や工業団地を用意して工場誘致をするような条件は失われるだけでなく、逆に、生産拠点の海外移転に直面して、開発事業が破綻している状況です。
 こうして、現行の高速道路計画の合理的根拠は失われ、高速道路計画そのものを一たん凍結して、抜本的に縮減を考えるべきときであります。
 第三に、政府の民営化方針が四公団の巨額の借金と赤字路線の負担を国民と地方自治体に押しつけることになるからであります。
 政府は、採算性が高い路線だけを民営化し、残る巨額の債務や赤字路線には税金投入することを、例えば、本州四国連絡橋公団の約四兆円の債務処理を国の道路予算と関係自治体の負担で処理すると決めるなど、明らかにしてまいりました。
 これは国鉄の民営化と同じで、民営化した企業が採算性の高い道路で大もうけする一方、四公団の巨額の借金と採算のとれない赤字路線の負担を国民と自治体に押しつけるものとなるのであります。
 第四は、政官業の癒着と利権構造にメスを入れていないことです。
 道路関係四公団の役員の七割以上を天下り官僚が占め、道路公団の子会社の役員を国土交通省と道路公団の出身者が占め、その企業が道路関係の仕事を独占するという、癒着と利権構造は全く断ち切られていません。道路公団の巨大な利権をめぐって、政治家、官僚、企業による汚職腐敗事件は後を絶ちません。天下りを禁止し、公共事業を請け負う企業からの政治献金を禁止することは、その気にさえなれば、すぐできることであります。
 なお、民主党の修正案については、民営化を前提にするなど、政府案に抜本的変更を加えるものとなっていないので賛同できないことを申し上げ、討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 原陽子君。
    〔原陽子君登壇〕
原陽子君 社会民主党の原陽子です。
 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案及び修正案に反対の立場から討論を行います。(拍手)
 この法案に反対する理由はさまざまあります。しかし、ここで最も強調したいのは、特殊法人改革の進め方の問題です。
 そもそも、小泉内閣が森前内閣から継承した形で、七十七特殊法人と八十六の認可法人を整理する特殊法人等改革基本法を成立させたのが、昨年の六月です。また、小泉首相が道路関係四公団の統合、分割・民営化の方針を示し、第三者機関に見直しの中身をゆだねると示したのが、昨年の十一月十九日です。
 今回は、いわばその考え方を法案に落としただけのものです。その間、改革派対抵抗勢力という、一見わかりやすい構図で改革がアピールされてきましたが、実は、肝心の改革がおろそかであったことが、今になって国民の前に明らかになってきました。
 本来、改革のメスは、道路関係四公団という組織の枠組みにではなく、その温床である政官業の癒着、つまり、私たち立法府の心臓部へと入れられるべきでした。
 票と政治献金を集めるために口ききをする政治家と秘書、省益優先のために国民のニーズを顧みず事業を進める官僚、天下り先確保や政治献金目当てで子会社やファミリー企業をふやす政と官、こうした関係に取り入り、談合を繰り返し、税金を吸い上げ、三%とも五%とも言われるリベートを政治家に還流させる企業、これらのすべては、それらを本気になってとめてこようとしなかった立法府に責任があることを、私たち議員はごまかすべきではないと思います。(拍手)
 これらの癒着を断ち切る改革が断行されてこそ、むだな事業は起こらず、必要な事業だけが住民自治に基づいて淡々と行われるのではないでしょうか。
 議員経験の浅い私がこんなことを言うのは、生意気なのでしょうか。それとも、単なる理想論にしかすぎないのでしょうか。甘いと言われるだけなのでしょうか。私はそうは思いません。
 今回の法案は、国会が対処してこなかったすべての責任を、労働者や道路利用者を初めとするすべての国民に押しつけることにしかなりません。私たちは、このことについて深く反省し、本来の改革、私たち立法府の心臓部への改革に着手しなければなりません。その上で、もともとの道路整備計画のあり方、需要予測、必要性の見直しを行い、環境、総合交通政策、地域格差の観点から国民の声に丹念に耳を傾けていけば、この国は生まれ変わることができるのではないでしょうか。
 政治が信頼されていなければ、どんなによい政策を掲げても、それを推進することはできません。本当の改革を進めるために、今、ここにいる私たち国会議員一人一人がその責任の重さを感じるべきだと思います。
 最後に、もう一度、小泉総理が主導した道路関係四公団民営化推進委員会設置法案及び修正案に反対の意を表し、私の反対討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、細野豪志君外三名提出の修正案につき採決いたします。
 細野豪志君外三名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立少数。よって、修正案は否決されました。
 次に、日程第六につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十四分散会


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