衆議院

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第33号 平成14年5月15日(水曜日)

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平成十四年五月十五日(水曜日)
    ―――――――――――――
  平成十四年五月十五日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 議院運営委員長鳩山邦夫君解任決議案(高木義明君外五名提出)


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
馳浩君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 高木義明君外五名提出、議院運営委員長鳩山邦夫君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 議院運営委員長鳩山邦夫君解任決議案(高木義明君外五名提出)
議長(綿貫民輔君) 議院運営委員長鳩山邦夫君解任決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。上田清司君。
    ―――――――――――――
 議院運営委員長鳩山邦夫君解任決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔上田清司君登壇〕
上田清司君 私は、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び民主党・無所属クラブの各会派を代表して、ただいま議題となりました議院運営委員長鳩山邦夫君の解任決議案について、提案理由を説明いたします。(拍手)
 主文
  本院は、議院運営委員長鳩山邦夫君を解任する。
 以下、その理由を申し上げます。
 議院運営委員長は、憲法第四十一条に定められた、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である国会の、議院の運営に関する最高責任者として、その責任は極めて重大であります。議院の運営に当たっては、公正かつ慎重であらなければなりません。
 しかるに、議院運営委員長鳩山邦夫君は、昨日開かれました議院運営委員会で、国民が最も注目する、議員鈴木宗男君の議員辞職勧告決議案を本会議に上程するための質疑終局動議について、賛否が可否同数になった際、委員長の決断でこれを否決しました。
 鈴木宗男君に関する疑惑は、同君の公設第一秘書が、去る四月三十日に、国後島緊急避難所兼宿泊施設建設工事の受注をめぐって偽計業務妨害罪で逮捕されたこと、さらに、外務省の前国際情報局主任分析官らが、昨日、支援委員会の不正支出に絡む背任容疑で逮捕されたことでも、より一層明らかになってきております。(拍手)
 しかしながら、同君の疑惑解明については、与党側が、衆議院予算委員会における鈴木宗男君の再証人喚問を拒否し、重ねて衆議院予算委員会における鈴木宗男君の偽証告発の動議を衆議院史上初めて否決して葬り去ったために、全く進んでいません。野党が疑惑解明に向けて何を提案しても、与党が数の力で否決するという事態にあります。まさに、国民の政治に対する不信と小泉改革に対する国民の疑念は深まるばかりであります。
 それがゆえに、鈴木宗男君に対する議員辞職勧告決議案を速やかに本会議に上程、可決し、本院としての意思を明確にすべきであったのです。(拍手)しかしながら、その機会はまたしても奪われたわけであります。三月二十日に続いて二度目であります。国民は一体どのように感じているでしょうか。国会の権威は大いに傷ついたまま、国民の政治不信は増大する一方であります。
 ましてや、今回の議院運営委員会では、与党内でも本会議上程に賛成する意見があり、動議の賛否は同数となったのであります。同決議案の本会議採決について、その必要性について十分な理解を得ることもなく、その努力も全くせず、与党内にさえある決議案の本会議上程賛成の意見も強引に押し切って決定した鳩山議運委員長の行為は、国民の常識と全くかけ離れた、極めて見識を欠いたものであります。(拍手)
 また、本会議において議員が意見を表明し、本院としての意思を国民に明らかにする機会を封殺したことは、議会の何たるかをわきまえていない行為と思います。鳩山委員長のこのような態度は、いかに所属する自民党の意向を踏まえざるを得ないとはいえ、議院運営委員長の重い職責に全く背くものであります。
 それにつけても、私は、故奥田敬和先生のことが思い出されます。
 奥田敬和先生は、細川連立政権のときに議院運営委員長に就任されております。所属は新生党でありました。奥田敬和先生は、新生党の議員控室に来て、私は議院運営委員長になったので、これから新生党の役員会あるいは会議、行事に一切出席しない、そういう立場で議運に臨むんだということを我々に表明しました。私は当選間もないときでしたから、この意味がよくわかりませんでしたが、今、この奥田敬和先生の、議運委員長として臨む決意とその後の対応というものがはっきり認識されたものであります。(拍手)奥田敬和先生の議運委員長としてのまさにその行為が、出身政党に偏ることなく、おのれ自身の見識で対応するという議会人としての見本を示されたのであります。(拍手)
 議院運営委員長の責任はより重大です。中立公正であるべき議院運営委員長が、与党の一部の議会運営に一方的に加担し、国民の国会に対する期待と信頼を裏切るようでは、国権の最高機関としての国会の地位も地に落ちたと言わざるを得ません。
 以上、かかる事態を招いた鳩山委員長の責任は極めて重大であり、解任に値します。これが本決議案を提出する理由であります。
 さて、この際、議員諸兄に申し上げたいことがございます。
 先日、綿貫衆議院議長が、政治倫理基本法の制定を提案されました。本院の象徴であります衆議院議長があえて政治倫理基本法の提案をされている政治状況を、私たちは重く重く受けとめなければならないと思います。
 国民が国会に今、何を求めているのか、何を期待しているのか、今、政治が何ができるのか、真剣に考えなければならないと思います。民意を無視した国会運営が続けば、議会制民主主義は形骸化し、我が国の民主制度は危機に瀕することは、言うまでもありません。まさに、議員一人一人の良心と見識が問われます。
 私は、ここに、賢明なる議員各位の本決議案に対する御賛同を心からお願いすることにかえて、昭和六十年に本院が議決した政治倫理綱領の五項のうち、三項を読み上げさせていただきます。衆議院手帖の五十ページにあります。
 まず、前文であります。
  政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感をもつて政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。
  ここに、国会の権威と名誉を守り、議会制民主主義の健全な発展に資するため、政治倫理綱領を定めるものである。
 一、われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。
 一、われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。
 一、われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。
 以上、終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 討論の通告があります。順次これを許します。小此木八郎君。
    〔小此木八郎君登壇〕
小此木八郎君 自由民主党の小此木八郎でございます。
 私は、自由民主党、公明党及び保守党を代表して、ただいま議題となっております議院運営委員長鳩山邦夫君解任決議案に対する反対討論を行うものであります。(拍手)
 昨日の議院運営委員会において、野党四党が共同提出した議員鈴木宗男君議員辞職勧告決議案の質疑終局の動議を採決した際、可否同数となり、鳩山委員長の裁定によりこの動議が否決されました。
 この委員長裁定を不服とし、野党四党は、鳩山議院運営委員長解任決議案を提出いたしました。委員長の運営に、何か瑕疵があったのでしょうか。国会法第五十条に、「委員会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。」とされており、先例においても、数多くの例が残されております。委員長はこの法律に従って裁定を行ったのであり、手続に従い、与えられた職権を行使したまでであります。
 にもかかわらず、野党は、日ごろより公正で民主的な議事運営を心がけてこられた、また、率直にして温厚な人柄でもって知られる鳩山邦夫議院運営委員長を解任するという全く筋の通らない本決議案を提出したのであります。これまでに可否同数の委員長裁定で解任決議案が出されたことなど聞いたこともありませんし、委員長御自身の規則上許された行使に対して、みずからの主張が通らないことを不満とし、その責任が本決議案にまで至るとは、まさに異常と言わざるを得ません。それは、一議員の表現の自由、思想信条の自由をも否定するものにほかならないのであります。
 鳩山委員長は、さらに注意深く審議すべしとの意見と、速やかに質疑を終局し本会議に上程すべきとの両意見を聴取した上、議員の身分に関する決議については慎重の上にも慎重に審議すべしとの立場から判断されたのです。この行為は当然のこととして認識いたします。
 このように、何ら瑕疵のない鳩山委員長の委員会運営に問題ありとして解任決議案を提出することは、議会制民主主義を破壊するものであります。
 さらに、去る十三日の議運理事会において、与党から辞職勧告決議案の質疑終局の動議を委員会で諮ることをもって国会を正常化することを確認した際、野党は、それはそのとおりとお答えになられました。与野党間で合意したにもかかわらず、野党は、十四日になり、この約束をほごにし、すべての委員会での話し合いを拒否し、突然、鳩山委員長の解任決議案を提出するという全く意味不明なる行動に出たのであります。我々議運のみならず、事議会運営においては、お互い最低限の信頼関係の上に成り立つものであるということは、言うまでもありません。理事会での約束はどうなったのでしょうか。
 今国会も六月十九日の会期末まであと三十五日間となり、残り短い会期の中で重要案件がまさに山積状況でございます。我々は、このような議会の本来の姿を逸脱した、単なる審議引き延ばしのためのパフォーマンスを到底受け入れられるものではありません。
 我々は、このような理不尽な解任決議案に断固反対することを表明いたします。
 終わりに、今、不況にあえぎ苦しんでおられる国民、就職難に困り果てた若者たちに対して、国会が何をすべきか。さらには、きのうの本会議でも議題となりました中国・瀋陽の総領事館事件に至っては、各党の各議員が、中国あるいは日本国政府に対してまで、憤りをあらわにしておられたではありませんか。このことについて、国会が何をなすのか。我々は、本来の政治の責任に今以上に目を向け、これらに議論を尽くし、そこで出た結論を国民に対して、世界に対して毅然と訴えるべきであります。(拍手)
 ここにおられる若い議員諸兄、若いというのは年齢ではありません、若いと思っておられる方々、皆様は、それぞれが苦しい選挙に勝ち抜き、選ばれた皆様であります。国民の真の期待にこたえようではありませんか。このことを強く強く訴えて、私の討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 一川保夫君。
    〔一川保夫君登壇〕
一川保夫君 私は、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、自由党を代表いたしまして、ただいま提案のありました議院運営委員長鳩山邦夫君解任決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 冒頭に、一言申し上げます。
 今国会においても、政治家と金に絡む問題が多数噴出し、責任をとって、衆議院、参議院を合わせ、もう既に三人の議員が辞職いたしました。その中、今なお国民の非難を一身に浴びているのが、疑惑の渦中にある、自民党を離党した鈴木宗男衆議院議員であります。
 そもそも、不祥事を起こした政治家は、所属政党を離党したからといって、疑惑に対する責任をとったことには一切なりません。本人がどこの政党に所属しているかということは個人の政治信条の問題なのであり、国会議員として、国民の代表として有権者や社会に対しどのように自分自身を律するかとは、全く別の問題であります。
 その観点からも、鈴木宗男議員は、自民党を離党したからといって、疑惑に対する責任をとったことにはなりません。漠然とした疑惑だけならいざ知らず、既に自分の公設秘書や側近中の側近と言われた外務省官僚が逮捕され、自身に対しても司直の捜査が行われつつある以上、鈴木宗男議員は、厳しく自分を律し、責任をとってみずから辞職するのが当然であります。(拍手)
 また、小泉総理や自由民主党にも大きな責任があります。小泉総理は、議員の出処進退はみずからが決断すべきであると繰り返し述べるばかりであり、自民党幹部の多くも、司直の手にゆだねるべきだとだけ発言するにとどまっております。鈴木宗男議員に対し、議員辞職を求めることもありません。
 しかし、本来、立法府と司直は別の組織であり、立法府の政治的な決断と、検察、司法の判断とは別次元の問題であります。立法府である国会としては、鈴木宗男議員の議員辞職勧告決議案を堂々と採決すべきであります。(拍手)
 なお、自民党を離党した鈴木宗男議員は、けさほど、北海道釧路支庁に確認した時点でも、いまだに自民党北海道第十三総支部会長として登録されており、このままになっている状況であります。これは国民を冒涜する行為であり、それ以外の何物でもございません。
 小泉総理及び自民党は、猛省するとともに、自民党を離党した議員が自民党の総支部会長を続けていることに対して、国民に明確な説明を行うべきであります。(拍手)
 さて、本論に入りますけれども、そもそも議院運営委員長は、国権の最高機関である国会にあって、議会運営に責任を持ち、公正かつ中立の立場でその職務を全うし、国会の権威を守るという極めて重要な立場にあります。また、鳩山邦夫君も、同委員長就任に際し、当委員会の円満な運営に力を尽くしていきたいと述べていたはずでございます。しかし、鳩山邦夫君がその職務を全うしているとは到底思われません。
 我々、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、そして自由党は、鈴木宗男議員が国民の政治不信を深刻なまでに増大させ、国会の権威を大きく傷つけているという観点から、去る三月十二日に、四会派共同で、鈴木宗男議員の政治的道義的責任を問うために、議員鈴木宗男君の議員辞職勧告決議案を議院運営委員会に提出し、速やかに本会議に上程して採決に付し、本院の明確な意思を国民に示すべきであると主張してまいりました。
 しかし、鳩山邦夫君は、これを議題として採決することもなく、その後も、我々四会派の要求に全く応じず、決議案をたなざらしにし続けてまいったのであります。これは、委員長としての責務を放棄した、職務怠慢以外の何物でもありません。
 そして、ようやく、国民の怒りの声に後押しされるように、与党内からも本決議案の本会議上程に賛成する声が出始めたために、昨日の議院運営委員会で、野党四会派共同提出の議員鈴木宗男君の議員辞職勧告決議案が議題となりました。
 ところが、鳩山邦夫君は、議院運営委員会開催に先立ち、事前に開かれた自民党の役員連絡会で、可否同数の場合は私が否決すると述べていたやに報道されております。公正中立であるべき委員長が、予断を持って、しかも、それを宣言してから委員会に臨み、これを運営するというのは、委員長にあるまじき行為であります。(拍手)
 さらに、この決議案を本会議に上程するための質疑終局動議について、賛否が可否同数となったため、鳩山邦夫君の決断でこれが否決されました。
 鈴木議員の疑惑が単なるうわさならまだしも、自分の公設秘書や側近と言われた外務省官僚が逮捕され、自身に対しても司直の捜査が行われつつあり、それを受けて、国民の大多数が鈴木宗男議員の辞職を求めている状況を目の当たりにしながらも、この決定を行ったことは、国民の常識と全くかけ離れております。これは委員長として極めて見識を欠いた行為であると言わざるを得ません。(拍手)
 また、同決議案を否決したということは、本会議における国民の代表たる議員の意見表明の機会を奪い、本院としての意思を国民に示す機会を封殺した行為であります。議員の言論の機会を抹殺したことは、断じて許すことはできません。
 以上の観点から、鳩山邦夫君は議院運営委員長の職にふさわしくないと断ぜざるを得ません。
 なお、最後に一言申し上げます。
 鳩山邦夫君は、自由民主党、新進党、民主党、自由民主党と、所属政党を変遷してまいりましたが、その政治信条の一つには、政官癒着の政治を打破するということが入っていたと思います。しかし、自民党に所属し、議院運営委員長に就任した途端に、今回のような、疑惑隠ぺいに手をかす行動をとったことは、返す返すも残念でなりません。
 鳩山邦夫君が、本解任決議案を機に、先ほどの趣旨弁明に述べられておりましたように、奥田敬和元議院運営委員長の態度を見習い、一刻も早く昔の政治信条を思い起こし、今回の行動を深く反省することを切に願い、私の賛成討論とします。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
議長(綿貫民輔君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
議長(綿貫民輔君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百五十三
  可とする者(白票)        百八十
  否とする者(青票)      二百七十三
    〔拍手〕
議長(綿貫民輔君) 右の結果、議院運営委員長鳩山邦夫君解任決議案は否決されました。(拍手)
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十九分散会


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