衆議院

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第2号 平成23年9月14日(水曜日)

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平成二十三年九月十四日(水曜日)

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 議事日程 第二号

  平成二十三年九月十四日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。

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 国務大臣の演説に対する質疑

議長(横路孝弘君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。谷垣禎一君。

    〔谷垣禎一君登壇〕

谷垣禎一君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、昨日の野田総理の所信表明演説について質問いたします。(拍手)

 先般の民主党代表選では当初の劣勢を覆すための多数派工作を優先し、かつ、代表・総理就任後は党内融和の人事に努められたためか、総理御自身の持論は、いまだはっきりと見えてまいりません。本日は、総理としての経綸を堂々と語っていただきたいと存じます。

 まず、今般の台風十二号に伴う豪雨被害につきまして、亡くなられた方に深く哀悼の意を表すとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 私も現地に伺いましたが、記録的な集中豪雨によって甚大な被害が生じております。地域の孤立あるいは土砂ダム崩壊のおそれといった住民の方々の不安を払拭するため、迅速な激甚災害の指定と、予算措置等による十分な対応を強く求めます。

 また、東日本大震災についても、仮設住宅におられる方を含め、いまだ八万人を超える方々が不便な避難生活を余儀なくされております。

 こうした災害について、被災地、被災者に寄り添いながら、一人一人にきめ細かな生活支援の手を差し伸べるとともに、被災地全体としての復旧復興を早期になし遂げることは、党派を超えた責務であります。

 三月十一日以来、我が党は、長らく政権を担ってきたことで培った知識と経験、草の根のネットワークなど、持てる力を総動員し、その対応に当たってまいりました。初期段階における緊急物資の支援や政府への申し入れに始まり、政策提言においても三次にわたって五百七十七項目を挙げ、精力的に働きかけました。

 これらの提言に基づき、政府は十数本の法案を提出、成立させる運びとなり、それで足らざる部分についても、我が党主導の議員提出法案により、復興基本法や津波対策推進法などを初め、多々成立に至っております。

 一日も早い復旧復興をなし遂げるべく、腰の重い政権、行政府を日々督励することで、野党としての責務を果たしてまいったわけであります。

 さらには、発災直後、政府が全力で人命救助や原発の鎮静化に当たるべく、国会審議を一時取りやめ、その後は、各党、政府との協議会を設置するなど、国会運営においても十分に協力してまいりました。震災に係る政府提出法案についても、合意を得るべく修正案を提示することをもって与野党協議に積極的に応じ、成立に至っております。

 我が党は、この復旧復興について、政権に全面的に協力するとともに、自民党こそが、これらをなし遂げ、その任を担うにふさわしい政党だとの気概を持って、今後とも総力を挙げてまいることを国民の皆様にお約束いたします。

 野田総理におかれても、こうした我が党の決意を真摯に受けとめ、政府・与党として十分な内容の復旧復興対策を早急に取りまとめ、我が党にお示しください。その際は、胸襟を開いて協議に応じたいと存じます。

 なお、我が党は、今後編成される第三次補正予算については、復旧復興施策や経済対策を盛り込んだ十七兆円に及ぶ原案を七月上旬には作成済みです。これは、既にさきの政権にも提案してありますので、十分に今後の予算に反映していただくとともに、既に自民党が提出している三法案、すなわち、二重ローン救済法案、私学復旧助成法案、原発事故調査委員会法案についても、臨時国会において早急に結論を得るとの合意が与野党間でなされております。政府・与党は、復旧復興を促進するため、その合意を迅速に履行されることを強く求めます。

 さて、このたび野田政権は、総理の醸し出す雰囲気が、上滑りな発言、行動を繰り返した鳩山元総理や菅前総理とは好対照をなしているとの受けとめもあり、ひとまず高い支持率でスタートしましたが、かわったのは民主党政権の表紙にすぎなかったことが、早くも露呈しつつございます。

 すなわち、一川防衛大臣の安全保障の素人発言、小宮山厚生労働大臣の唐突なたばこ一箱七百円への増税発言などが相次いだかと思うと、鉢呂経済産業大臣が、失言と福島県民を冒涜する子供じみた振る舞いを繰り返した末、辞任するという事態に陥りました。

 重厚に見える表紙を一枚めくった途端、浅薄な思いつきと不用意な失言、行動のオンパレードという民主党おなじみのどたばたストーリーが繰り広げられており、しょせん中身は変わっていないのだなという思いを強くせざるを得ません。私は、党の綱領すらいまだ定まっていないという事実が、民主党のこうした体質の根源と考えます。

 政党は、本来、共通の政治理念を持つ政治家の集まりであり、政党には、その政治理念を実現するための政治目標を示した綱領があるのは当然です。我が自由民主党は、自助、共助、公助の理念に基づく綱領を定めております。ところが、民主党は、単に政権交代だけを目的とした寄せ集め的な選挙互助会にすぎないために、綱領がないという、国際的にもまれな政党となっております。

 社会党の綱領の下にいた方々、国家より市民という市民運動家、我が党から出ていかれた方、あるいは、既存政党の壁に阻まれ、やむを得ず新党に身を寄せた方、あいている選挙区から当選した方々もおられます。このように、野田総理という表紙の下には、とじられてすらいない薄っぺらな紙が、ただばらばら積み重なっているだけです。

 このような、成立からして無原則、無責任、無秩序な民主党が、思いつきからくる不用意な発言、行動を繰り返す閣僚を輩出し、国家の大事にどのように臨むかについて無定見なまま右顧左べんし、時には児戯に類した振る舞いを繰り返すのは、ある意味、当然の帰結とも言えます。

 野田総理は、民主党代表選の過程で、我が党や公明党との大連立を、百一回プロポーズしてでもなし遂げたいとおっしゃいました。しかし、綱領すらない政党は、政党としての基礎的な要件を欠いており、野田総理御自身は民主党が大好きとおっしゃいましたが、我々から見れば、まだ婚姻年齢にも達しておりません。

 先ほど申し述べたとおり、東日本大震災からの復旧復興には党を挙げて協力してまいりますが、それ以上の課題をともに解決していこうという思いがおありになるのであれば、今のぬえのような状態から脱して、民主党とは何者なのかというアイデンティティーをはっきりさせていただくため、綱領をしっかりつくっていただきたいと存じます。

 民主党代表として、綱領をお定めになる気があるかどうか、お答えください。

 復旧復興についての我が党の協力姿勢は先ほど述べたとおりでありますが、政府・与党に構造的な問題があれば、野党が幾ら協力したところで、事をなすことはできません。

 そこで、国政の基本方針について、その方向を大きく左右する民主党のマニフェストについての取り扱いを伺います。過去の過ちに対する真摯な反省、謙虚な姿勢を欠いていては、そこに何ら進歩はありません。

 先般、我が党と民主党、公明党は、民主党マニフェストの見直しについて合意いたしました。野田総理は、内閣発足に際して、我々に対し、約束したことだから信頼してくださいと述べられました。その遵守を確約されたわけでありますが、公党間の合意は守られるのが当然であって、そもそも、民主党代表選でこれを白紙に戻すかのような主張をする候補がいたこと自体が異常であります。しかも、その候補が相当数の得票を稼ぎ、かつ、党内融和のかけ声のもとでその多くの支持者が政権入りしたのを目の当たりにすれば、幾ら野田総理御自身は誠実そうに見えても、果たして本当に三党合意が守られるかについては、大きな危惧を抱かざるを得ません。

 さらに申し上げれば、その野田総理からして、代表選で示したみずからの政権構想の中では、今こそ、マニフェストを含め政権交代の原点に立ち戻るときと明言されており、一体どちらが本心なのか、はかりかねます。

 まず伺いますが、この代表選での政権構想は三党合意とは明確に矛盾しており、悪く言えば野田総理は二枚舌をお使いになっているのではないかと考えますが、どのように理解したらよいか、総理の見解を伺います。

 本当の誠意というものは態度にあらわれるものと考えますが、三党合意の直後に、民主党が組織を挙げて、「「子ども手当」存続します。」という題名で、三党合意で子ども手当の恒久制度化が決まったかのようなビラを三十五万枚も用意、配布し、党の機関紙にも同様の記事を掲載させたことは、唖然とさせられました。

 三党合意では、二十四年度以降の制度について、「児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする」と明確に記載されており、報道各紙の受けとめも、子ども手当廃止、児童手当復活というものであったのに対し、舌の根も乾かぬうちに、何を根拠にこのような荒唐無稽な解釈を持ち出せるのか、理解しかねるものでありました。

 最終的に我が党の抗議で撤回されたとはいえ、一向に過ちを認めようとせず、自己弁護に終始し、公党間の信義どころか、国民をも欺き続ける民主党の体質をまざまざと見せつけられたと感じたものでありました。

 改めて、新たに民主党代表になられた野田総理に、この事件に対する御見解を伺うとともに、三党合意を踏みにじった行為に対し明確な謝罪を求めます。その上で、三党合意の解釈として、戻るべき原点は、民主党マニフェストの子ども手当ではなく、自公政権時代の児童手当であることを改めて明言していただきたいと存じます。

 我が党では、今回の三党合意について、子ども手当については撤回され、児童手当を復活させるとともに、その内容を拡充することが合意されたと支持者に説明しておりますが、野田総理の認識も同様であるかどうか、確認いたします。

 子ども手当ビラにあらわれた民主党の体質は、八月二十六日に公表されたマニフェストの中間検証にも如実にあらわれております。

 そこでは、既に国民の大多数がでたらめであったと認識している民主党マニフェストが実行できない要因について、想定外の税収減、ねじれ国会、さらには東日本大震災といった外的要因のせいであるというこじつけを行うことに終始しています。

 マニフェスト策定時の財源面の検討、検証が不十分であったという点についてはあくまで二の次という取り扱いにされていますが、こうした順序でマニフェスト未達成の要因が語られることについて、総理は適切とお考えでしょうか。真摯な反省が足りないと考えますが、お考えをお聞かせください。

 具体的に申し上げれば、マニフェストで九・一兆円行うこととされていた歳出削減が二年間で二・六兆円にとどまったということについて、税収が減ったから、あるいは、ねじれ国会があったから、財務副大臣や財務大臣であった野田総理や行政刷新担当大臣であった蓮舫大臣が大なたを振るえなかったとするのは、苦し過ぎる言いわけであります。さらには、この二年間の予算は震災前に策定されており、財源が捻出できなかったこととは全く無関係であります。

 したがって、マニフェストの目標削減額がしょせん絵そらごとであったか、野田総理や蓮舫大臣が十分な仕事をされなかったか、いずれでしか説明できないはずですが、そのいずれとお考えか、総理の見解を求めます。

 なお、これらマニフェストの構造的な問題点については、民主党政権発足以来、鳩山元総理、菅前総理を通じて再三再四私から指摘してきた事柄でありますが、耳を覆って、一顧だにされませんでした。野田総理はこれらを理解していただけるかと期待しておりますが、いかがでございますか。

 マニフェストの個別政策について、さらに申し上げます。

 高校授業料無償化については、菅前総理が退任間際のどさくさ紛れに朝鮮学校の無償化手続の再開を高木前文部科学大臣に指示しましたが、これは、国民不在の許しがたい暴挙です。朝鮮総連の傘下にあり、その思想教育の是正も行わず、国際的、国内的な状況が砲撃事件以前に戻ることとされた手続再開の条件も満たされておりません。

 三党合意との関係でも、高校授業料無償化について見直しを行うこととなっている以上、朝鮮学校を無償化の対象とする是非についても、当然見直しの俎上にのせてしかるべきであります。にもかかわらず、民主党政権が勝手に無償化手続の再開を決定し、野田内閣になってもなおこれを撤回しないことは、重大な背信行為と考えます。

 直ちに撤回を求めますが、お考えを伺います。

 さらには、三党合意においては、「高校無償化及び農業戸別所得補償の平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する」とされ、これらを含めて「二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処すること」とされております。

 これに対し、野田総理が八月二十三日に財務大臣として策定された平成二十四年度予算の概算要求作業についてには「「高校の実質無償化」及び「農業の戸別所得補償」については、所要の額を要求する」とされており、東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費と同様の表現とされていることは問題と考えます。

 こうした表現は、あたかも制度の維持に必要な金額は幾らでも要求できるかのような表現と言わざるを得ず、これに沿って概算要求がなされるとすれば、予算編成プロセスにおける誠実な見直しを求めた三党合意に明確に違背することになると考えますが、いかがでしょうか。野田総理みずからが策定された文書にかかわる問題であります。御見解をお聞かせください。

 この朝鮮学校の高校授業料無償化審査手続の再開撤回と、九月末の概算要求段階におけるマニフェスト施策の見直しは、野田政権の三党合意遵守に向けた試金石であります。我が党として、その動向を注視し、その実現を徹底的に求めていきたいと考えております。

 民主党マニフェストは、結局、内実はばらばらで政党の体をなしていない民主党ゆえに編み出された欠陥商品です。すなわち、本来、限られた財源の使途については、かんかんがくがくの党内議論を調整する必要があるはずですが、そうした総合的な調整が図られることなく、子ども手当に関しては小宮山議員、高校無償化については鈴木議員、高速無料化は馬淵議員、年金改革については古川議員といった、分野ごとに最も大きな夢、つまり空論を語った議員の意見がことごとく採用され、いわば最大公倍数のような安易な積み上げでつくられたのでありまして、そんなものが実現可能性に乏しいのは当然のことであります。

 今回の組閣では、閣内に、小宮山厚生労働大臣、古川国家戦略担当大臣といった、マニフェストをめぐる混乱のそもそもの原因をつくった方々が顔をそろえており、これでは、マニフェスト見直しがきちんと進むかについて、率直に懸念を感じます。

 各大臣の任命に当たって、マニフェスト策定に対する責任をきちんと考慮に入れ、それに対する真摯な反省を確認した上で任命を行われたのかどうか、総理に伺います。

 改めて振り返れば、マニフェストは、ばらまき四K政策や年金制度改革のみならず、後期高齢者医療制度の改革、自動車関連諸税の暫定税率の廃止、温室効果ガスの二五%削減を初めとした産業空洞化政策など、絵そらごとともいうべき空論のオンパレードであり、政策効果や実現可能性の検証も十分になされておらず、また、実際にほとんど実現しておりません。また、コンクリートから人へというスローガンも、この相次ぐ大規模災害を経験してみると、被災地の不安をあおるものとしかなっておりません。果たして、その総括はなされたのでしょうか。

 さらに、野田政権は、東アジア共同体構想の否定、政調会への法案事前審査制の導入、事務次官会議及び自公政権下の経済財政諮問会議の事実上の復活など、マニフェストからの逆走を加速化させており、もはやマニフェストは、やるべき政策のポジティブリストではなく、やらない政策のリストか、やってはいけない政策のネガティブリストではなかったのかと思わせるほどであります。これでは、この民主党マニフェストの上に成り立っている民主党の現在の多数の議席、ひいては民主党政権の正統性は、完全に崩壊したと言わざるを得ません。

 黒を白と言い続ける苦しい言いわけに終始するのではなく、潔くマニフェスト全体を撤回し、有権者におわびをした上で信を問い直すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。

 次に、野田総理御本人の宰相としての資質に関して伺います。

 総理は、過去二代の民主党政権において、財務大臣を初めとした要職、最重要閣僚のポストにありました。いわば、その失政に関して連帯責任を負うてしかるべき立場です。その総理から過去の反省について何ら聞こえてこないことは、無責任のそしりを免れません。この政権を担うことの責任感も所信表明演説からは感じられませんでしたが、まずは、この二年間の政権の総括、反省、みずからの責任について、総理の基本的な考えをお聞かせください。

 また、無反省なのは民主党政権のお家芸の感があり、新政権発足直後から、党役員や閣僚の無責任な放言がやまないところです。その中でも、被災者の心を踏みにじる鉢呂前経済産業大臣の振る舞いは、とりわけ看過できません。この件は、泥にまみれて仕事をするための適材適所ではなく、党内融和ばかりに心を砕いた不完全な組閣の結果であり、総理の任命責任についても厳しく問わざるを得ません。

 復旧復興の妨げとなる大臣を閣僚として任命したことに対して総理はどのような責任をとられるのか、誠意ある回答を求めます。

 資質に関して、野田総理の政治家としての理念について伺います。

 総理は保守の政治家を標榜されているようですが、その実態は極めて疑わしいものがあります。先ほど述べた綱領なき政党に所属していることはもちろん、総理は、国民の生活が第一、マニフェストの理念は堅持する、中間層を厚くするとの姿勢です。

 しかし、マニフェストに掲げられたばらまき施策が中間層を厚くするのではありません。中間層とは、自助努力による安定的な経済成長に支えられた安定的な雇用とそれによって得られる所得によってつくられ、維持されていくものであります。

 経済政策の基本はもとより、ばらまきを排し、あくまで自助を重んじる保守の理念を全くもって理解されていないのか、あるいは党内向けにあえて詭弁を弄しているのか、総理の見解を求めます。

 それに加え、日教組のドンたる輿石参議院議員を幹事長に据えて党運営や政策について重責を担わせたこと、子供は家庭ではなく社会で育てるという理念に基づく子ども手当を創出した小宮山厚生労働大臣など、総理の保守哲学に相反する人事についても、保守政治家としての矜持を失い、党内の声に抗し切れなかった結果とも思えますが、総理の認識をお聞かせください。

 一向にやまない民主党の政治資金問題について伺います。

 鳩山元総理の子ども手当問題、小沢元代表の陸山会事件、前原政調会長の外国人や脱税関係企業からの献金問題、同じく蓮舫行政刷新担当大臣の脱税関係企業からの献金問題、そして野田総理御自身も外国人及び脱税関係企業からの献金問題を抱えておられます。クリーンな政治を掲げる民主党に蔓延するこの風土病について、だれからも十分な説明はなされてきませんでした。

 総理は、国会においても説明責任を果たすべきでありますが、この場においても、その経緯と責任について誠実な答弁を求めます。

 これに関して、小沢元代表の党員資格停止処分の取り扱いについても、今後どのような方針で臨まれるのか、あわせてお答えください。

 その他、内政、外交にかかわる政策の各論について伺います。

 現在、政府・与党において検討されている第三次補正予算について、その財源が大きく取りざたされております。さきの民主党代表選において、野田総理とそのほか四人の候補者の間で最も大きな見解の相違が見受けられました。

 しかし、財源なくして責任ある政治は行えません。第三次補正予算の復興財源は、財政規律に対する揺るぎない決意を内外に示し、国債市場への信認をも高めるべく、増税により償還を明確に担保された復興債によってすべて賄うのか、建設国債を発行することもあり得るのか、総理は明確にお答えください。

 また、日本郵政の株式の売却益を充てることも検討されているようですが、問題点も多々指摘されており、政府・与党の統一された方針としての答弁を願います。

 こうした中、政府の税制調査会の議論は混沌としているようですが、復興基本法、復興の基本方針、さらには野田総理が代表選を通じて主張した方針とそごを来すような意見が政府内部から平然と聞こえてくるところに、民主党政権特有のガバナンスの欠如を感じます。

 野田政権の一員である各府省の政務三役がこのような主張を繰り返すようでは、政権の体をなしません。意見集約への総理の決意をお聞かせください。その上で、党内融和を掲げる総理におかれては、ぜひ挙党一致での覚悟を伴った具体的な成案を我々に示していただき、また、国民に問いかけていただくことを期待しますが、いかがでしょうか。

 歳出削減については、はかばかしい実績が見られないことは先ほど申し上げたとおりでありますが、こうした状況を見るにつけ、一世を風靡した事業仕分けとは一体何だったのかという思いを強くせざるを得ません。

 昨年の仕分けに至っては、民主党政権のもとで閣議決定に盛り込まれた施策や、政治主導の名のもとに各府省政務三役が概算要求に盛り込んだ施策、さらには、一昨年の仕分けで一たん廃止とされたはずの施策までが仕分けの対象とされており、マッチポンプショーもいいところでした。また、最も仕分けの対象としてふさわしい民主党のマニフェスト自体が対象となってこなかったことは、不当と言わざるを得ません。

 公開の場の議論をあえて避け、身内の検証にゆだねてきた結果が、先ほどの、客観性を欠いたマニフェストの中間検証だったわけです。野田総理は、その担当者であった蓮舫大臣を改めて行政刷新担当大臣に任命しましたが、馬脚をあらわしたと言える行政刷新会議にこれ以上何を期待しているのか。蓮舫大臣も、目的は財源確保のためではないと予防線を張られているようですが、総理のお考えを伺います。

 消費税を含む税制抜本改革については、平成二十一年度税制改正法附則第百四条において二十三年度中にその法制上の措置を講ずることとされており、次期通常国会には、いよいよ、消費税率引き上げの幅と時期を含む具体的な税制改革の内容を盛り込んだ法案が提出されることとなります。

 まずは、法案をスケジュールどおりに提出するのかどうか、総理の強い意思を再確認するとともに、これに向けてどのような準備を進めていくおつもりか、お答えいただきたいと存じます。

 六月の社会保障・税一体改革成案策定の過程では、民主党内では経済状況の好転を実施の条件にすべきだなどといった意見が強く、消費税率が一〇%に引き上がる時期も二〇一〇年代半ばなどとあいまいになりましたが、消費税率の引き上げ時期については、いたずらな先送りにつながらないよう、その考え方を整理する必要があると考えます。

 その際、民主党は消費税率引き上げについて国民に信を問うこととしているものの、あくまで引き上げ時期は、政治的な解散時期との関係ではなく、経済情勢との関係で決せられるべきであり、民主党の自己都合の結果として、経済との関係で不適切な時期に消費税率が上がることになっては本末転倒であります。

 具体的には、任期満了まで引き上げ時期を先送れば、施行までに法案提出後一年半以上という長い期間をあけることになり、タイミングを逸することになりかねません。むしろ、施行を前倒しし、その前に信を問うという判断も必要になるかと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。

 いずれにしても、消費税を含む税制の抜本的改革については、先ほど申し述べた東日本大震災からの復旧復興対策経費に係る税制措置の動向なども踏まえつつ、総合的に具体的な設計を図る必要があります。まずは、民主党内でお家芸の百家争鳴の状態を乗り越え、政府・与党一体の揺るぎない御提案として具体案をお示しいただいた上で我々も協議に応じるのが政党政治の王道ではないでしょうか。

 歴代の民主党政権の泣きどころでもある外交、安全保障について伺います。

 鳩山元総理は、普天間基地移設問題で迷走を重ね、沖縄県からの信頼関係も大きく損ねた上に、日米同盟にも大きな傷跡を残しました。野田総理は日米同盟重視を掲げておられますが、この沖縄県との基本的な信頼関係が欠如したままで、今後、普天間問題をどのように解決に導くのか、具体的な答弁を求めます。

 また、総理は、東アジア共同体などといった大ビジョンを打ち出す必要はないと考えておられるようですが、これは、鳩山政権の外交政策・理念を否定するものなのでしょうか。

 外交・安全保障政策については、一川防衛大臣の素人発言にはしなくもあらわれたように、当該分野についての経験不足の感は否めず、野党としても非常に心配するところであります。総理の基本的なお考えをお答えください。

 福島原発事故の収束に向けた対応とエネルギー政策について、総理の所信表明演説を伺う限り、今後の方向性は、いまだあいまいもことして、不透明との感が否めません。先の見通しが立たないままでは、被災者の生活不安と企業の電力不足への懸念を払拭することもおぼつかないわけであります。

 今後の経済成長にも重大な影響を与えるこれらの問題について、菅前総理は脱原発を華々しく掲げました。野田総理は、その内閣において重要閣僚の座にあったことに加え、中心となって原発対応に当たった枝野前官房長官を経済産業大臣に任命されましたが、この路線を引き継ぐのか、転換するのか、明確にお答えください。

 本日は野田政権の基本姿勢等について伺いましたが、予算委員会も開催せず、わずか四日で臨時国会を打ち切るなど、これは、国民に対して説明責任を全く果たさない暴挙であると言わざるを得ません。この与党の審議拒否に、断固抗議いたします。

 大震災からの復旧復興や円高対策等、国会で議論すべきことは山積しております。場外の与野党協議ばかりを求めながらも国会審議を行わないとは、本末転倒、国会軽視も甚だしい限りであり、これでは容易に協議に応じるわけにもまいりません。

 なぜ早々に閉じるのか。本件は与野党の信頼関係を大きく損ねることでもあり、国民に対して納得のいく説明を総理に強く求めます。

 野田総理は、国民から見放された鳩山元総理、菅前総理とは異なり、一見、ポピュリズムや思いつきを排除した路線でスタートされましたが、民主党の体質そのものが変わらない限り、早晩行き詰まることは必定であります。本来は民主党の党内改革こそが必要なのでしょうが、党内融和を強調する総理には、早くからその選択肢を放棄してしまったようであります。このままでは、国民のために泥臭く働く前に、民主党の泥沼・泥縄体質にからめ捕られて、鳩山政権、菅政権同様に、奥底に沈んでいくだけに終わりかねません。

 また、信なくば立たず。政権の正統性がなければ、結局は国民の支持は得られず、立ち行かなくなることは必至であります。マニフェストの見直しや、かつてはあれほど我々を非難した、信を受けないままの総理たらい回し。あなたの著書によりますと、与党のトップが交代する際には民意を問うべきであるとまで言われているわけでありまして、政権の正統性はもはや崩壊しているのは明らかであります。

 野田政権や民主党政権の本質はどこにあるのか、今後とも明らかにしていく必要がありますが、今般、こうした不都合な真実を覆い隠すべく、予算委員会も開かずに済ませようとしたことは、民主党の構造的な隠ぺい体質が改善されていないことを示します。

 今や民主党は、自民党を否定することによってのみまとまりを維持し、政権の座に居続けることだけがその存在目的となったことは、先般の不信任案の際の菅前総理と鳩山元総理の合意によって明らかとなりました。その民主党から協力をと呼びかけられたところで、単に国会運営を円滑にするための多数派工作に堕してしまいかねません。

 この正統性なき政権が居座る理由に、震災復興を挙げております。しかしながら、マニフェストを見直したことで、虚偽で政権を簒奪したまま、被災地も含めたすべての国民との契約違反の状態がこれ以上続くことに対して、どう弁明なさるのか。これには、正心誠意の真心ならぬ、下心も感じざるを得ません。

 野田政権の政権運営は本当に真心からのものなのか、党内をまとめ、国民を欺くための中庸の殻をかぶった妥協の産物、二枚舌にすぎないものなのか、我々は、国民とともに厳しく見きわめなければなりません。

 野田総理の人物が本物であれば、現下の政治的・政策的矛盾を解消し、被災地のみならず、我が国が復興するための方法は一つしかないことをその真心から理解されることを期待し、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党の谷垣総裁から、多岐にわたる御質問をいただきました。ありがとうございました。

 まず、民主党の綱領に関する御質問がございました。

 菅前総理が民主党の綱領について検討する旨の発言をされ、党の前執行部でも検討課題としていたことは承知をしております。

 ただし、誤解のないように正確に申し上げますと、法的に、政党届を提出する際には、綱領、基本政策、党規約等の提出が義務づけられており、民主党は、綱領として「私たちの基本理念」を届け出ております。これは、一九九八年四月二十七日に現在の民主党を結成した際に、結党に参加した議員が熱心な議論を重ねた上に、既成の政党の綱領も吟味、検討した上で、新しい政党として綱領という古い概念と既成観念を乗り越えていくと結論し、あえて「私たちの基本理念」という簡潔な文章にまとめ上げたものでございます。

 菅前総理も前執行部もこのことは承知しながらも、常に政党たるもの、理念と政策を磨き上げ、時代に適合したものを目指すという観点から、綱領の検討という問題提起について積極的に受けとめたと理解をしており、谷垣総裁の御提言については、党として受けとめ、結論はともかくとして、検討してまいりたいと考えます。

 続いて、三党合意についての御質問がございました。

 民主、自民、公明の三党間では、八月四日に政調会長レベルで「子どもに対する手当の制度のあり方について」を、また、八月九日には幹事長レベルで「確認書」を取り交わしています。

 私は、民主党代表に選出をされた翌日、組閣を行う前に、自民、公明それぞれの総裁、代表と党首会談を行わせていただき、その場で、三党合意について、私が約束したのだからぜひ信頼してくださいと申し上げました。

 三党の合意、確認については、誠実に履行してまいります。

 また、マニフェストの原点とは、国民の生活が第一の政治、チルドレンファースト、物から人への投資など、理念を大切にしたいという意味であり、また、政権交代という勇気ある選択をしていただいた国民の皆様の期待にこたえ、直面する危機を乗り越えていくという決意を申し上げたものであり、三党合意と矛盾するものではありません。

 続いて、子供に対する手当、三党合意についての御質問をいただきました。

 八月十八日に当時の岡田幹事長が党としての見解を表明しており、私としても同じ立場でございます。すなわち、現在の子ども手当がそのまま存続すると誤解されかねない表現があったことについては不適切であったと考えています。この点については率直におわび申し上げたいと思います。

 いずれにしろ、児童手当法の改正で対応するということは確認されており、同時に、三党合意においても中学生までの子供を支給対象とするなど、以前の児童手当がそのまま復活するものではないことも事実であります。

 今後、合意に基づき三党で十分に協議を行い、年末までに具体の制度についてお取りまとめいただきたいと考えております。

 続いて、マニフェスト中間検証についての御質問がございました。

 谷垣総裁御指摘のマニフェストの中間検証は、当時の岡田幹事長のもとで設置されたマニフェスト検証委員会において、八月二十六日に取りまとめられたものです。

 その中では、マニフェストに掲げた政策で実現できていないものがある理由として、経済状況の変化、ねじれ国会、東日本大震災、マニフェスト作成時の検討、検証が不十分などが列挙されています。私としては、この理由の中に順位づけがあるとは考えていません。いずれもがマニフェスト実現のハードルとなっていることは事実であり、中間検証は事実をそのまま記載していると考えています。

 検討、検証の不十分は民主党自身の責任であり、そのことから、中間検証でも真摯に反省しなければならないとしており、この点についても私の認識は同じでございます。

 マニフェスト財源についてのお尋ねがございました。

 マニフェスト財源の捻出について、実現可能性の検証に不十分な部分があったことは事実と考えています。公共事業の見直し、事業仕分け等を通じたいわゆる埋蔵金の確保については、マニフェストに記載した金額に二年間でほぼ達することができました。一方で、補助金や人件費の削減、租税特別措置の見直し等については、これまで全力を挙げてきたものの、マニフェストに掲げた金額には達していません。この点については、検証に不十分な点があったことを率直に認めなければならないと考えています。

 今後、マニフェストについては三党合意を踏まえて進めていきたいと考えており、御党からも積極的に御意見をちょうだいしたいと思います。

 続いて、概算要求作業と三党合意についての御質問がございました。

 八月九日に結んだ三党合意は、「高校無償化及び農業戸別所得補償の平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する」とされています。

 八月二十三日の財務大臣通知において、両施策について「所要の額を要求する」としたのは、まさに、三党合意に基づき、その扱いを今後の予算編成プロセスにゆだねる趣旨でございます。

 現体制のもとでも三党合意を引き続き遵守することが重要と考えており、両施策については、三党合意に沿って、予算編成過程における調整を図ってまいります。

 閣僚の任命とマニフェストについてのお尋ねがございました。

 閣僚の任命については、あくまで適材適所の人選を行ったつもりです。

 また、マニフェストについては、先月、民主党のマニフェスト検証委員会がマニフェストの中間検証をまとめたところでございます。

 中間検証においては、国民との約束の多くが実現されている一方、マニフェスト策定後の経済状況、ねじれ国会、また、当初の検討が不十分だったものもあったこと等により実現できなかったものもあることに対し、真摯に反省することを明確に述べています。

 マニフェスト撤回、総選挙についてのお尋ねがございました。

 まず第一に、東日本大震災及び原発事故の被災者、被災地の復旧復興については、この内閣が取り組むべき最大かつ最優先の課題であります。あわせて、台風十二号被災地の復旧復興についても全力で取り組んでまいります。

 また、マニフェストに掲げた基本的な考え方は現時点でも誤ったものとは考えておりませんが、政策は、優先順位を定め、さきの三党合意を踏まえて進めていきます。

 政治主導、政策決定の一元化、外交ビジョン等についても、これまでの政権の方針を否定するものではなく、方向性が間違っているとは考えておりません。野田内閣として、目の前の危機、課題を一歩一歩着実に乗り越えていく方針であり、政権担当二年間の教訓を踏まえて、改善するべきは改善をしていきたいと考えております。

 こうしたことを国民の皆様に誠実に説明し、御理解をお願いし、しかるべきときに審判を仰ぎたいと考えます。しかし、少なくとも今は解散のときではないと確信をしております。

 過去の内閣に在籍したこと等についての御質問がございました。

 私が過去二代の政権で副大臣、大臣を務めたことは事実でございます。これまでの民主党政権の歩みには、大きな意義もあれば、反省すべき点もあります。そのことは、八月に党でまとめたマニフェスト中間検証でも述べているとおりでございます。

 そのことは十分に踏まえた上で、私の所信表明演説では、何よりも、当面の国難ともいうべき事態、震災からの復旧復興、原発事故の収束、そして、厳しい経済情勢への対応に全力で当たるべきことを述べました。こうした問題を一つ一つ解決する、仕事をする、実行する政治を目指していきたいと思っております。

 また、被災者の心情に配慮を欠いた不適切な言動によって辞任した閣僚が出たことは、まことに残念でございます。失われた信頼を取り戻すためにも、内閣が一丸となって原発事故の収束と被災者支援に邁進することを改めてお誓い申し上げます。

 次に、政府・与党人事についての御質問がございました。

 谷垣総裁が言われる保守の定義については、よくわからない部分がありました。その上で申し上げれば、民主党人事及び閣僚の任命については、民主党の人材の幅の広さを生かしつつ、あくまで適材適所の人選を行った次第であります。

 政治資金に関する説明責任と小沢元代表の処分に関する御質問をいただきました。

 我が党議員の名前をいろいろ挙げられての御質問でございますが、政治家個人としての政治資金の問題に関しては、政治家それぞれが説明し、適正な措置を講じるべきものと考えます。また、それぞれの方が記者会見や国会答弁等で説明はしてきたところと考えております。

 私個人の政治資金の問題については、これまで国会答弁等でお答えをしてまいりましたけれども、最近御指摘をいただいた外国籍の方からの寄附問題に関しては誠実に対応していきたいと考えており、現在、専門家にも御協力いただき、調査をしています。結果が出ましたら、改めて御報告をいたしたいと考えております。

 また、小沢元代表の問題につきましては、前執行部における措置でしたが、党内手続については手順を踏んだものと理解しており、これから公判が開始されるということも踏まえ、新しい執行部においても、状況を見定めながら適切に対処していきたいと考えています。

 復興財源としての復興債の発行や日本郵政株式の売却についてのお尋ねがございました。

 東日本大震災の復興事業を、建設公債、赤字公債ではなく復興債という国債で賄うことについては、四月二十九日の三党合意に盛り込まれるとともに、自民、公明両党の賛成も得て成立した復興基本法にも規定をされております。復興基本方針でも、先行する復興需要を賄う一時的なつなぎとして発行するのは復興債と記載をされております。

 したがいまして、この復興基本法及び復興基本方針に沿って対応をしてまいります。

 日本郵政株式会社の株式については、いわゆる日本郵政株式売却等凍結法により、その処分が停止をされています。現在継続審議となっている郵政改革関連法案が成立すれば、政府保有義務がかからない株式は売却が可能となりますけれども、現時点では、日本郵政グループの事業、経営の見通しが立っておらず、具体的な売却の時期、収入を見込むことは困難であります。

 今後、郵政改革関連法案の早期成立を目指すとともに、財源確保の観点から、株式の売却に向け、そのための環境整備を含め努力をしていきたいと考えています。

 仮に売却が確定した場合には、それ以降の時点における復興の財源フレームの見直しの際に売却収入を織り込むことになります。

 復興財源についてのお尋ねがございました。

 東日本大震災からの復旧復興のための財源については、復興基本法及び復興の基本方針に基づき、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯して負担を分かち合うことを基本とし、復興債については、あらかじめその償還の道筋を明らかにすることとして検討を進めております。

 現在、復旧復興のための具体的な税制措置については税制調査会において検討しており、今後、具体的な税目、年度ごとの規模等を組み合わせた複数の選択肢を東日本大震災復興対策本部に報告した上で、与野党間での協議を経て、同本部において決定することとなっています。

 一日も早い本格復興に向けて、現下の経済情勢も勘案しつつ、まずは複数の選択肢を早急にまとめたいと考えており、与野党協議においては、各党各会派の皆様の積極的な御参加をお願いいたします。

 行政刷新の取り組みについてのお尋ねをいただきました。

 これまで三回にわたって実施してきた事業仕分けにより、行政の透明性を飛躍的に高めるとともに、大幅な無駄の削減を実現するなどの成果を上げてきたと認識をしています。

 また、事業仕分けは、独立行政法人改革や特別会計改革といった大きな改革の動きへとつながり、行政刷新の取り組み全体を進める原動力となっているところでございます。

 行政刷新の取り組みは道半ばです。仕分けの手法を深化させ、行政に含まれる無駄や非効率を根絶し、真に必要な行政機能の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 続いて、税制抜本改革のスケジュールについての御質問をいただきました。

 若い世代を含め、国民が将来に不安を持たないようにするため、社会保障のための安定財源を確保し、あわせて財政健全化を同時に達成するための社会保障と税の一体改革は、どの内閣であっても先送りをすることのできない課題であります。

 消費税を含む税制の抜本改革の具体的な内容を定める法案については、社会保障・税一体改革成案に基づき、平成二十一年度税制改正法附則第百四条に示された道筋に従って、本年度中の法案提出に向けて準備を進めてまいります。

 各党各会派の皆様におかれましては、法案成立に向けて与野党で合意形成できるよう、社会保障・税一体改革に関する政策協議に御参加をお願いいたします。

 消費税率の引き上げ時期についてお尋ねがございました。

 社会保障・税一体改革成案においては、「社会保障給付の規模に見合った安定財源の確保に向け、まずは、二〇一〇年代半ばまでに段階的に消費税率を一〇%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する」とされております。

 また、経済との関係においては、成案において、税制抜本改革の実施は経済状況の好転が条件であることを明文化し、その実施過程においても、予期せざる経済変動が生じた際には柔軟に対応する仕組みとすることとしております。

 いずれにせよ、具体的な税率の引き上げ時期については、今後、政府・与党内の議論及び与野党協議等を踏まえ、改革の具体化を図る中で決定したいと考えており、実施をする前には、総選挙で民意を問うべきものと考えております。

 普天間飛行場の移設を含む日米同盟関係についての御質問をいただきました。

 同盟を基礎とした日米の信頼関係は、長い歴史を持つものであって、軽々に揺らぐものではありません。普天間飛行場移設を初めとする日米間の諸課題を着実に実施していくことは、その信頼を維持強化し、日米同盟をさらに深化、発展させるために極めて重要です。

 普天間飛行場の移設問題については、同飛行場の固定化を回避し、沖縄の負担軽減を図るべく、全力で取り組みます。

 沖縄において県外移設を求める声があることは承知しておりますが、現在の日米合意は、全体として、少なくとも現状に比べると、沖縄の大きな負担軽減につながると考えており、引き続き、沖縄の皆様の御理解を得るべく、誠心誠意努力してまいります。

 東アジア共同体構想についてお尋ねがございました。

 私の政権では、大きな構想を打ち出すというよりも、当面の諸課題に着実に取り組んでいくことがむしろ重要であるとの認識を述べたものであり、東アジア共同体構想を否定しているわけでは全くありません。豊かで安定したアジア太平洋地域の実現は、日本の平和、安定、繁栄にとって不可欠であるとの考えのもと、ASEAN、東アジア首脳会議、ASEAN地域フォーラム、APECなどの枠組みを活用し、開かれた形で重層的な地域協力のネットワークを強化していく方針でございます。

 このような地域協力に関する基本的な考え方に、変わりはございません。

 外交・安全保障政策についてお尋ねがございました。

 我が国を取り巻く安全保障環境が不透明性を増す中、地域の平和や安定を図り、国民の安全を確保するため、外交的な努力とともに、昨年末に策定した防衛計画の大綱に従って動的防衛力を構築しつつ、日米同盟を一層深化させていく考えでございます。

 同時に、利害を共有するパートナー国との関係を強化すること等を通じて、新たな安全保障環境に対応していく所存でございます。

 脱原発に関する御質問をいただきました。

 国民の不安を和らげ、安心できるエネルギーのベストミックスを目指していくという方向性については、菅前内閣と同じ考えであります。

 具体的には、原子力発電について、脱原発と推進という二項対立でとらえるのではなく、中長期的には、原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきと考えます。

 同時に、安全性を徹底的に検証、確認された原発については、地元自治体との信頼関係を構築することを大前提として、定期検査後の再稼働を進めます。

 国民が安心できる中長期的なエネルギー構成のあり方について、幅広く国民各層の御意見を伺いながら、エネルギー・環境会議を中心に、今後冷静に検討してまいります。

 以上で御答弁とさせていただきます。(拍手)

議長(横路孝弘君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣野田佳彦君。

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 谷垣総裁、御無礼しました。二問、答弁漏れがございました。大変失礼いたしました。

 一つは、高校無償化に関する朝鮮学校の審査再開についての御質問でございました。

 朝鮮学校の審査手続については、菅前総理が関係閣僚と相談し、事態が昨年の砲撃以前の状況に戻ったと総合的に判断し、審査手続の再開を指示されたところでございます。

 朝鮮学校を指定するかどうかについては、今後、文部科学省において厳正に審査を行うべきものと考えております。

 また、高校無償化の平成二十四年度以降の制度のあり方については、三党合意を踏まえ、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討してまいります。

 もう一つ、臨時国会の会期についての御質問がございました。

 政府としては、大震災からの復旧復興、原発事故の収束、円高対策を含めた経済対策に取り組むため、三次補正の準備に全力を尽くすことを最優先に考えております。

 また、国会の会期については、国会において、各党会派での御議論の上、ルールに従って決められたものと理解をしています。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(横路孝弘君) 樽床伸二君。

    〔樽床伸二君登壇〕

樽床伸二君 民主党・無所属クラブを代表して、野田内閣総理大臣に質問いたします。(拍手)

 まず冒頭に、東日本大震災、そして今回の台風十二号を初めとする豪雨災害によって亡くなられました方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 新政権に課せられた使命は、国家と国民生活の立て直し、その一語に尽きるのではないかと考えております。

 具体的には、一つに原発問題、エネルギー政策を含む東日本大震災の復旧復興の早期実現、二つに日本経済の立て直し、三つに政治の実行力の確保、つまり、私たちにとりましては政権政党のガバナンスの確立であります。まずは、そのことを新政権の出発に当たり、改めて強く御認識いただきたいと思っております。

 一昨年の夏の政権交代は時代の要請であったと考えております。

 自民党及び自民党を中心とする政権は、米ソ対立、東西冷戦という世界の秩序を前提として、戦後日本の発展を担ってきた政権でありました。しかしながら、今から二十年前に東西冷戦は終わり、新興国の台頭が見られ、そのような中、我が国も時代にふさわしい外交が求められるようになっております。

 また、国内に目を転じると、我が国も、歴史が始まって以来初めての人口減少時代に突入いたしました。そのことは、右肩上がりを前提としてつくられてきた我が国日本社会の多くのシステムの抜本改革が必要不可欠であることを、今を生きる私たちに求めているのであります。

 内外ともに、我が国を取り巻く環境は激変したのであります。

 かつて、「種の起原」を著し、そして進化論を唱えたダーウィンは、最も強い種が生き残るのではない、最も変化に対応できる種が生き残ると断言したわけであります。つまり、我が国日本に未来があるとするならば、この歴史的な転換期に政権がかわることは、時代の要請であったわけであります。そのことを直観的に認識しておられる多くの国民の皆様は、政権交代を選択され、新政権に大きな期待をかけていただきました。

 しかし、民主党にとっては初めての政権運営であり、国民の皆さんの期待に十分にこたえることができていないとの評価をいただいております。そのことを、私自身も、そして民主党に所属するすべての者は強く反省しなければなりません。そして、出直さなければなりません。

 そんな折も折、本年三月十一日、東日本大震災が発生し、時代のページはさらに劇的かつ明確に変わったのであります。震災によって多くのとうとい人命が失われ、今なお、多くの方々が不自由な生活を余儀なくされています。一日も早い復旧復興は、被災地のみならず、我が国にとって最優先の課題であります。その課題を解決することが、犠牲になられた方々への私たちの責務であると考えております。

 さらに、アメリカの財政問題、ユーロ圏での財政危機など、世界経済は予測困難な激動期に突入いたしました。世界経済のグローバル化が進む中、日本経済も大きな混乱に陥っております。それゆえ、なお一層新しい政権の流れを定着させていかなければならないのであります。

 しかし、政策実現は一朝一夕にできるものではありません。野党時代のように、主張さえすればそれでよいというものではありません。決して大向こうをうならせる大見えを切るのではなく、地道に一歩一歩進んでいく決意が必要であります。

 かつて、マックス・ウェーバーは、政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、かたい板に力を込めてじわっじわっと穴をくりぬいていく作業であると述べたわけであります。一発逆転満塁ホームランをねらうのではなく、シングルヒットを積み重ねながら得点をしていかなければならないのであります。

 また、新政権は、ねじれ国会という国民の皆さんの審判を真正面から受けとめ、政権運営を行う必要があります。野党の皆様との協力体制の構築は新政権の大きな課題であり、そうした取り組みを通じて新たな政治スタイルをつくり出していかなければならないのであります。

 国家が大きな危機に瀕している今、国政は、与野党が一丸となって責任を果たしていくための再スタートを切らねばなりません。その責任を新政権には強く自覚していただくとともに、私たちも、これまでの失敗を教訓としながら、危機を乗り越えていく気概を共有していく決意であります。

 今後、政策を推進していくに当たっては、野党の皆様の御意見を真摯に聞かせていただき、合意を尊重し、御理解をいただいてまいりたいと思っております。私自身、与野党での政策協議を進められるよう全力で努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 以上の認識に基づき、政権交代の意義について、総理はどのようにお考えになっているのか、お尋ねいたします。

 政権交代を実現するに当たって先頭に立っていただいた先輩方への感謝と敬意に基づき、新しい政権の流れを定着させる決意をお聞かせいただきたいと思います。重ねて、与野党の壁を乗り越えて国難に対処する決意を具体的にお聞かせください。

 次に、東日本大震災の復旧復興についてであります。

 復興庁の創設を早期に進め、予算と権限を集中し、縦割りを超えた復旧復興体制を構築しなければなりません。その設置場所も、被災地を優先的に検討すべきとの声もありますが、何よりも、復興のための特区認定を早急に実施し、復興に係る障害の排除を進めなければなりません。そして、将来を担う子供たちに夢と希望を与えなければなりません。そのことは、私は総理と意見を同じくしております。

 改めて、復興庁の設置に対しての総理の強い決意を具体的にお聞かせいただきたいと思います。

 あわせて、復旧復興に重要な役割を果たすべき第三次補正予算の編成、早期成立についての取り組みをお伺いいたします。

 また、原発事故収束に最大限の努力を図ると同時に、現在避難を余儀なくされている地域の住民の皆様に対し、みずからの住みなれた土地への復帰の可能性や時期につきましては、早急に示していく必要があります。原発事故収束への御決意をお聞かせいただきたいと思います。

 次に、原子力発電を中心とするエネルギー政策についてであります。

 原子力発電を中心とするエネルギー政策については、さまざまな意見がございますが、新規の原発は凍結しながら、既存の原発は、安全確保をしながら、住民の皆様の理解を得た上で稼働していくことには賛成であります。

 また、ストレステストの検査体制を早急に構築し、検査において問題が判明したとするならば、速やかに運転停止する必要がありますけれども、安定的な電力供給を確保するためには、原発停止により生じたコスト増は、必要であれば国からの支援の検討も考えられます。

 そして、今回の原発事故を教訓として、原子力発電の安全性の技術をより一層高め、新興国の原子力発電の運営支援を継続していくことが、我が国の世界に対する責任と考えますが、いかがでありましょうか。

 再生可能エネルギーの活用は、積極的に推進しなければならないのは当然であります。しかし、最大のネックは、再生可能エネルギーが特に気候に影響を受ける不安定性を持っているということであります。

 そのネックを解消していくためには、蓄電池、スマートグリッドなどの技術革新を推進し、電力をつくるということだけの発想から、ためるという発想を持たなければならないと考えております。つまり、発想の転換であります。

 電力をためるという蓄電社会が実現したとするならば、電力需要のピークカットにもつながり、行く行くは三分の一のピークカットの実現も不可能ではありません。さらに、人口が爆発しております世界の現状を見れば、蓄電システムの世界への提供は、世界全体のエネルギー事情の改善にも貢献し、また、日本の成長戦略にもなるのであります。つまり、蓄電システムは、電力需要のピークカット、さらに再生可能エネルギーの普及、そして成長戦略の柱になる、その三つの効果をもたらすのであります。

 この蓄電システムの普及を促進するため、積極的な施策の推進が必要と考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。

 日本経済の立て直しに向けた最大の懸念材料は、産業の空洞化であります。早急に対策を講じなければなりません。

 まずは、日銀に大胆な金融緩和を要請するとともに、円高に対して複合的な手段を講じなければなりません。さらに、円高対策とデフレ対策は表裏一体であり、中期的には適正な物価水準を目指すべきとの考え方もあると承知しておりますが、総理の御意見をお伺いいたします。

 また、第三次補正予算にも、円高・空洞化対策をしっかりと盛り込むことを強く求めておきます。

 次に、六月三十日に政府・与党本部で決定されました社会保障・税一体改革成案についてであります。

 私は、財政の立て直しは、年金、医療、介護の社会保険制度に対する補助としての年間二十兆円以上もの歳出が最大のポイントであると常々考えております。極端に言えば、財政再建は社会保険制度改革であるとさえ思っております。それゆえ、年金の一元化を中心とする社会保険制度の抜本改革と同時に、消費税を社会保障の目的税にすることには賛成であります。

 しかしながら、決定された一体改革成案を二〇一〇年代半ばから実行していくためには、今後数年の間に、デフレ脱却と経済活性化に向けた取り組みを行い、これを通じて経済状況を好転させることに全力を投入しなければならないのであります。この経済の状況の好転なくして、一体改革成案の実行は難しいのであります。

 また、年金制度の一元化を中心とする社会保険制度の抜本改革とあわせ、国会議員の定数削減、公務員人件費の削減、特別会計の改革、公共調達改革などの不断の行政改革、及び予算組み替えの活用などによる徹底的な歳出の無駄の排除への取り組みが必須の課題であります。

 これらの課題の解決に対する総理の決意をお聞かせください。

 次に、地域主権についてであります。

 地域主権は、民主党の一丁目一番地の政策だと考えております。発展途上型国家運営システムである中央集権から、成熟国家にふさわしい地域主権に移行することで、行政の無駄、無理、むらを排し、国民ニーズに合った施策の実行が可能となると考えております。

 行政改革、産業振興、教育改革、良好なまちづくり、福祉の充実、外交の強化などの推進は、地域主権の確立なくしては進まないと確信しております。しかしながら、今回の所信表明には地域主権に力点が余り置かれていないように見えましたが、総理のお考えをぜひともお聞かせいただきたいと思います。

 次に、外交についてであります。

 所信の中では、日米、日中関係に触れられていますが、アメリカ、中国との関係が日本外交にとって重要であることは当然であります。さらに、アメリカとは安保五十年日米新共同宣言、中国とは国交正常化四十周年が新政権のテーマとなります。

 ここで、アメリカは同盟国であり、中国は隣国であるという基本を確認したいと思います。同盟国につきましては説明をする必要はないかと思います。隣国とは、近いがゆえに、課題の多い中で仲よくしていかなければならない宿命を持つものであります。

 近く訪中されるという報道もありますが、急成長する隣国とどのようにつき合っていこうとお考えか、総理の御認識をお聞かせください。

 最後に、真の政治主導についてお伺いいたします。

 真の政治主導とは、政治が方針、方向を決め、結果に責任を持つことであります。その結果を出すために、中央省庁を中心とする行政組織を国家のために活用していくことであります。役所の言いなりになることではありません。また、役所と対立することでもありません。私はそう考えております。

 それが政権与党としてのガバナンスの確立と考えておりますが、総理のお考えをお聞かせください。

 野田新政権には、二度と失敗を繰り返さない強い決意で、時代の過渡期の荒波を乗り切っていかなければならない使命があるのであります。国家の可能性を信じ、国民の皆様一人一人の可能性を信じ、がけっ縁に立った決意で前へ前へと進んでいただきたいと、強く、強く、強く希望いたします。

 私たちも、野党の皆様の御協力をいただけるよう全力で努めながら新政権とともに前進してまいることをお誓い申し上げ、私の代表質問といたします。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 樽床議員からは、ダーウィンやマックス・ウェーバーを引用した格調高い、加えて、温かい思いを込めた激励の御質問をいただきまして、ありがとうございました。

 まず、政権交代の意義、新政権の流れを定着させる決意、国難に対処する決意についての御質問をいただきました。

 樽床議員が御指摘のように、内外の情勢の大きな変化が我が国政治のあり方に大きな影響を与え、政権交代が可能となる土壌が形成されたものと考えています。加えて、国民の皆様の政治への参加意識の高まりが、政権交代可能な政治の実現につながったものと考えています。

 我が党の諸先輩が、政権交代という大事業をなし遂げ、この二年間、歯を食いしばって、必死の思いで政権運営をされてまいりました。それを引き継いだ私としては、ひたすら国民のための政治に邁進し、震災からの復旧復興、国家と国民生活の再建に全力を尽くす決意であります。

 続いて、復興庁の設置、復興特区の認定及び第三次補正予算の編成についての御質問をいただきました。

 復旧復興を加速していくためには、政府は、既存の制度にとらわれず、被災自治体の復興の取り組みを総力を挙げて支援していかなければなりません。

 このための体制として、省庁の枠組みを超えて、被災自治体の要望にワンストップで対応できる復興庁を可能な限り早期に設置することとし、必要な法案を早急に国会に提出いたします。

 また、地域における創意工夫を生かした復興を図るため、規制、制度の特例措置、税、財政、金融上の支援措置を講ずる復興特区に関する制度についても、可能な限り早期に実行に移せるよう、必要な法案を早急に国会に提出いたします。

 第三次補正予算については、一刻も早い被災地の復旧復興に向け、その準備作業を速やかに進めてまいります。

 原発事故の収束に向けた決意についての御質問をいただきました。

 原発事故の収束は国家の挑戦です。大気や土壌、海水への放射性物質の放出を確実に食いとめることに全力を注ぎ、作業員の方々の安全確保に最大限努めつつ、事故の早期収束に向けて、工程表の確実な実現を図ってまいります。

 政府としては、被災された方々が一日も早くふるさとへお戻りいただけるよう、まずは、先般閣議決定した約二千二百億円の予備費を最大限活用し、生活空間にある放射性物質を取り除く大規模な除染を、自治体の協力も仰ぎつつ、国の責任として全力で取り組んでまいります。

 原子力発電所の停止によるコスト増及び新興国への原子力技術支援に関する御質問をいただきました。

 原子力発電所については、ストレステスト等により安全性を徹底的に検証、確認した上で、再稼働が可能と判断したものについて、地元自治体との信頼関係を構築することを大前提として、定期検査後の再起動を進めます。

 また、原子力発電所の停止により生じるコスト増を最大限抑制するため、省エネなどの需要構造の改革や、あらゆる主体の電力供給への参加を促す供給構造の改革等により、コスト削減が持続的に進む仕組みを築いてまいります。

 国際的な原子力安全の向上に資するため、今回の原発事故の経験と教訓を共有すべく、努力を続けていきます。

 こうした観点から、これまで進められてきた各国との原子力協力を着実に推進していくとともに、原子力発電所の輸出を含めた国際的な原子力協力のあり方については、原発事故原因の徹底的な検証を踏まえ、できるだけ早い時期に我が国としての考え方を取りまとめる方針でございます。

 社会保障・税一体改革成案に関して、経済状況の好転についての御質問をいただきました。

 本年六月に政府・与党社会保障改革検討本部で決定した社会保障・税一体改革成案では、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指し、デフレ脱却と経済活性化に向けた取り組みを行い、これを通じて経済状況を好転させることとしております。

 経済成長と財政健全化は、車の両輪として同時に進めていかなければなりません。

 そのため、昨年策定された新成長戦略の実現を加速するとともに、大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、年内に日本再生の戦略をまとめ、経済状況の好転に向けて全力で取り組んでまいります。

 徹底的な歳出の無駄の排除についての御質問をいただきました。

 民主党政権下における過去二回の予算編成においても、事業仕分けによる無駄の削減など予算の効率化に最大限取り組み、成果を上げてきたと認識をしております。

 今後も、行政刷新の取り組みを継続、強化することが重要であります。行政に含まれる無駄や非効率を排除し、真に必要な行政機能の強化に取り組みます。

 社会保障・税一体改革成案にもあるとおり、徹底的な歳出の無駄の排除に向けた取り組みを強め、国民の理解と協力を得ながら、社会保障と税制の改革を一体的に進めてまいります。

 地域主権改革についての御質問をいただきました。

 地域主権改革は、地域のことは地域に住む人たちが、住民が責任を持って決められるようにするための重要な改革であります。私の内閣においても、この課題に取り組む姿勢に変わりはありません。

 引き続き、地域主権戦略大綱や出先機関改革のアクション・プランに基づき、私が議長を務める地域主権戦略会議を中心に、党の御協力もいただきながら、着実に推進してまいります。

 また、地方にかかわるさまざまな重要政策課題については、さきの国会で法制化された国と地方の協議の場を活用し、地方の意見を十分に反映してまいります。

 今般の東日本大震災の復興事業においても、地域主権改革の理念を踏まえ、自治体にとって使い勝手のよい交付金や復興特区制度などの施策を具体化してまいります。

 日中関係及び日米関係についての御質問をいただきました。

 日中関係は、アジア太平洋地域、ひいては世界にとっても重要な関係と認識をしております。中国との間では、来年の日中国交正常化四十周年を見据えつつ、大局的観点から幅広い分野で具体的な協力を推進し、戦略的互恵関係を深めてまいります。

 一方で、透明性を欠いた国防力の強化や、海洋活動の活発化には懸念を有しています。中国には、国際社会の責任ある一員として、適切な役割を期待します。

 私の訪中については、先日の電話首脳会談の際に温家宝総理から早期訪中の招請をいただいたところであり、日中双方の都合のよい時期に訪中したいと考えております。

 なお、日米同盟は、我が国の外交、安全保障の基軸であります。首脳同士の信頼関係を早期に構築するとともに、二十一世紀にふさわしい同盟関係に深化、発展させてまいります。

 最後に、真の政治主導についての御質問をいただきました。

 樽床議員御主張のとおり、閣僚を含む政権与党が一丸となって職責を果たし、官僚は専門家として持てる力を最大限に発揮し、与野党は徹底的な議論と対話によって懸命に一致点を見出すこと、心を合わせて、力を合わせて国の危機に立ち向かうことが肝要と考えます。とりわけ、この国難に立ち向かっていくために必要なのは、スピードであり、マンパワーだと考えます。

 政治が責任を持って決断し、官僚の皆さんの力を最大限引き出し活用していくこと、そして、官民の力を総結集して危機を乗り越えていきたいと考えております。

 どうもありがとうございました。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(衛藤征士郎君) 古川禎久君。

    〔古川禎久君登壇〕

古川禎久君 自由民主党の古川禎久です。

 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、野田総理の所信に対して質問を行います。(拍手)

 質問に先立ち、改めまして、東日本大震災、そして台風十二号によって亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族及び被災地の皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 十六年前の阪神・淡路大震災で、当時、震災対策担当大臣を務められた小里貞利元衆議院議員から、先日、お話を伺う機会がございました。

 小里先生は、こうおっしゃいました。震災という非常時において、部下である官僚の諸君が、大臣、現行法ではここまでしかできませんと言ってくることがよくある。私が、構いません、そのまま進めてください、君たちを信頼しています、何かあったら責任は私がとります、こう申しましたら、官僚の諸君は喜んで仕事をしてくれて、三日後にはこれ、二週間後にはここまでというぐあいに作業がはかどったのですとおっしゃいました。

 私は、ここにリーダーの本質を見ます。それは、リーダー自身が決断をすることであります。そして、指示を下し、その結果について責任をとる覚悟を持つことであります。決断をし責任をとる覚悟、これすなわち勇気と言っていいかもしれません。

 未曾有の大震災が我が国を襲ったとき、あるいは、無法なる外国が我が領土、領海で攻撃的不法行為に及んだ際、あるいは、我が同胞が異国の地において正当な理由なく拘束された場合において、国を預かる最高指導者は、本来、この勇気を持って事に当たらなければならなかったのであります。

 今般、新たに首班指名を受けられた野田新総理には、何よりもまず、一国の指導者として、この勇気と品格を持って国の大事に当たっていただきますことを強く強く望むものであります。

 「ノーサイドにしましょう、もう」の「もう」は、少なからず国民の心に響きました。私を含めてであります。その一言に新総理の誠実なお人柄を見たからこそ、国民は、新鮮さを感じ、期待をし、高い支持率を与えたのだろうと思います。

 しかし、あえて苦言を呈します。

 国民の潜在意識にあったのは、「政府は、国会は、一体何をやっているんだ。いいかげんにしてくれ、もう」の「もう」なのであります。民主党の党内抗争をどうおさめるかはひとえに民主党自身の問題であって、国民はそのツケを払わされる立場にはないということを忘れないでいただきたい。

 実際、総理が、民主党の党内融和を最優先にされて徹底した派閥人事をなさった結果、でき上がった内閣は、果たして適材適所と言えるものでしたか。

 閣僚一丸となって職責を果たすべしとの総理所信とは裏腹に、新閣僚による不適切、不見識な言動が後を絶たず、既に一人の閣僚が辞任をいたしました。

 九月二日には、一川防衛大臣も、安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロールなどと発言をしております。中国の領海侵犯、ロシア艦船の海峡通過、あるいはロシア爆撃機の飛来、近隣諸国が我が国の姿勢を瀬踏みするかの行動を続けている中で、使命感も知識も持たない人物を防衛大臣に任命したことの責任を総理はどのように感じていらっしゃいますか。

 一川氏をこのまま防衛大臣として用い続けることは、安全保障に関する我が国の基本姿勢について外国に誤ったメッセージを送り続けることになるのではありませんか。総理の答弁を求めます。

 総理は、所信表明演説の中で、内閣が取り組むべき最優先課題として、東日本大震災からの復旧復興と、世界的な経済危機への対応を掲げられました。国家が直面するこれらの重要課題を乗り越えるために、我々自由民主党も、引き続き、持てる知見、経験のすべてをささげ、事に当たってまいります。

 多くの国民の皆様は、与野党は政争に明け暮れているといって憤っておられます。しかし、実際には、さきの通常会におきましても、例えば、野党である我が党議員が、法案作成から成立までを主導する場面が少なからずあったこともまた事実です。官僚主導ではなく、議員みずから昼夜なく法案作成に当たる様子を私はこの目でたくさん見てまいりました。志高き有能な同僚議員諸兄を私は誇りに思います。

 野田内閣下の国会におきましても、自由民主党は、協力すべきは全力で協力し、努力を惜しまないことを改めて国民の皆様の前で申し上げておきます。

 さらに、改めて、今国会をわずか四日で閉じようとされることには抗議を申します。

 さきの国会で我が党の提出した、二重ローン救済法案、そして原発事故調査委員会設置法案、これについては、この臨時国会で成立を見るという約束をいただいているはずでございます。四日で閉じるということは、不誠実であります。

 さて、民主党は綱領を持ちません。政権獲得の原動力となったマニフェストも、今は紙切れとなりました。野田新総理が一体日本国をどこへ導こうとされるのか、野田総理の国家観は一体どのようなものなのか、国民はいまだ知りません。

 そこで、私は、谷垣総裁から質問のあったテーマを除き、国家主権にかかわる課題を中心に、総理のお考えをお聞きしてまいります。

 八月十五日、私は、谷垣総裁と靖国神社を参拝いたしました。モーニングを着て昇殿参拝し、英霊に感謝の誠をささげ、国を守るという決意を新たにいたしました。私は、四月二十八日にも可能な限り参拝をいたしております。この日は、サンフランシスコ講和条約発効の日であり、我が国にとって主権回復の日でもあります。

 現在は過去の延長上にあります。先人の努力に対する感謝の念なくして、輝かしい未来など期待すべくもありません。およそ、国に殉じた方々に対して最大限の礼を尽くすことは、国家として最低限の責務であります。

 にもかかわらず、野田総理は、就任後、靖国神社に参拝しないと明言されています。ふだんは何のちゅうちょもなく素直に靖国神社にお参りなさる総理が、なぜ考えを変えられたのでしょうか。

 菅内閣では昨年も、そして一昨年も、一人の閣僚の参拝もありませんでした。そしてまた、野田新内閣総理大臣も、国のために殉じた方々に感謝と敬意を表することをしないと言う。そんなことで、本当に日本の危機を克服できるのでしょうか。答弁を求めます。

 いわゆるA級戦犯の分祀論というものがございます。中国や韓国もこのような主張をしているようでございますが、そもそも、かの国々と我が国の間では、死に関する文化が全く異なります。日本では、どのような方であろうと亡くなれば神になり仏になるのであって、そのみたまをお慰めするというのが日本人の素直な宗教観であり、死生観であります。

 日本国は、日本人の死生観に従って静かに殉国者を慰霊するべきであり、いかなる内政干渉も排するべきだと考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。

 また、A級戦犯とは、まさに東京裁判によって張られたレッテルであります。総理は所信の中で日本人の誇りという言葉を使われましたが、その誇りの源泉が祖国の歴史や伝統にあることは、野田総理も重々御承知のところと拝察いたします。

 ところで、民主党代表でもいらっしゃる総理は、東京裁判史観を浸透させるのに主導的役割を果たした日教組の輿石参議院議員を党幹事長に任命されました。輿石氏は、かつて、教育の政治的中立などあり得ないと、憲法二十六条、国民の教育を受ける権利を侵害するがごとき発言をした人物でもあります。

 一国の歴史には、輝かしい側面もあるでしょう、恥ずべき側面もあるでしょう。しかし、歴史教育は、いずれかに偏ったものであってはなりません。占領政策のくびきから脱し、日本が真の自由主義国家として生きていくためにも、野田総理は、これまでどおり、素直なお気持ちで靖国神社を参拝されるべきであります。

 次に、外国人地方参政権について伺います。

 鳩山元総理は、かつて、日本列島は日本人だけのものではないと驚愕すべき珍説を披瀝して外国人への地方参政権の付与を強行しようとしましたし、菅前総理もまた同様でした。しかし、日本国憲法十五条は、参政権を国民固有の権利と規定し、外国人への付与を認めてはおりません。また、基地問題、領土問題など我が国の安全保障上も大いに懸念のあるところであり、到底許容できるものではありません。

 我が国の主権を直接毀損するこの問題について、野田総理はどのようなお考えをお持ちでしょうか。御所見をお伺いいたします。

 総理のみならず、菅前総理、前原元外相への外国人献金が明らかになっています。外国人献金が禁じられるのは、単に政治資金規正法の要請だからというよりも、祖国に奉ずる政治家としての最低限の良心だからであります。

 野田総理は、菅前総理の外国人違法献金問題について、どのようなけじめをつけるお考えでしょうか。総理の御答弁を求めます。

 また、党の最高幹部が献金を受けていることと、外国人への参政権付与の動きが活発であることが全く無関係なのかどうか、心ある国民は疑っております。その点、総理の御説明を求めます。

 北朝鮮による拉致問題に関連してお尋ねいたします。

 去る八月二十九日、退任直前の菅前総理は、突如として、朝鮮学校を高校授業料無償化の対象とするよう指示しました。これは、いわゆる三党合意に対する重大な背信行為ですが、それ以上に、重大な外交上の失態であります。

 昨年十一月の北朝鮮による韓国・延坪島砲撃以降、いまだ安定しない半島情勢であるにもかかわらず、菅氏は、韓国及び米国との事前調整もなく、外務大臣と意見調整することもなく、全くの独断で、退任直前の一瞬のすきをねらったのでした。これは、北朝鮮に対し、拉致問題について我が国が軟化したとの誤ったメッセージを与え、また、諸外国の対北朝鮮政策にも好ましからぬ影響を与えかねません。

 野田総理にお尋ねいたします。

 総理は、菅氏による正常な手続を無視したこの決定を踏襲されるおつもりですか。それとも、直ちに撤回されますか。日本の外交政策は、関係国との連携もなく、恣意的に、いかようにでも変わってしまうものなのですか。この点、先ほど谷垣総裁からの質問に対して誠意ある御答弁をいただいておりませんので、通告はしておりませんが、ここで質問をさせていただいております。

 続いて、領土、領海問題について伺います。

 近年、東シナ海のガス田、尖閣諸島、竹島、北方領土と、我が国の領土、領海、すなわち国家主権が露骨に脅かされております。

 これまでの長きにわたって、我が国は、領土問題を争点化、顕在化させないように、相手国とともに、事なかれの棚上げ方式で対処してまいりました。それは、戦後の基本方針でもありました。しかし、もはや時代は変わり、周辺各国ともに、姿勢を変え、極めて強い行動をとるようになってきております。

 特に、一昨年の政権交代以降、我が国は、腰の弱さを見透かされてか、諸国からいいようにつけ入れられ、そのたびごとに取り返しのつかない大失態を重ねるありさまです。

 もはや棚上げ方式は過去のものと相手方から言ってきているのであり、当然ながら、我が国も、国策を転換し、毅然として主張すべきは主張するという主権国家としての原理原則に立たなければなりません。足を踏まれても黙っていることで得られる平和は、真の平和ではあり得ません。

 昨年の尖閣漁船事件で我が国自身が突きつけられた問いかけの最大のものは、日本に自主防衛の気概があるかどうかということでした。

 日本領内で何かあった場合、米軍が自動的に出動するわけではありません。日米安保条約とは、そういう条約であります。少なくとも自分の国を自分で守るという気概と行動がなければ、どうにもならないのであります。自主防衛にかける強い意思と戦略がなければ、祖国は守れません。

 殉国者への感謝と敬意を表することもできずして、自主防衛の覚悟が持てるものでしょうか。自主防衛にかける野田総理の決意のほどを伺います。

 また、前原政調会長が武器輸出三原則について発言されましたが、閣内では意見が不一致のようです。総理はどのように考えておられますか。

 昨年十二月、防衛計画大綱策定に当たって三原則見直しが検討されたにもかかわらず、社民党の協力を取りつけるための方便として、菅前総理の判断で見送られた経緯がありました。国家の安全保障上の重要案件を政党間の取引材料に利用するなど、政権党として恥ずべきことであります。

 よもや野田総理はそのようなことはなさるまいと思いますが、いかがでしょうか。お尋ねいたします。

 近年、外国資本による水源林買収がささやかれ、国民の間に不安が広がっております。

 水源林や地下水は、私たちの世代のみならず、私たちの子孫まで永劫に手渡していくべき大事な資源であり、いわば我が国の主権の一部を構成するものであり、したがって、必要な規制を行い、これを守っていくことは当然であります。

 我々自由民主党では、高市早苗衆議院議員が先頭に立って、水源林や地下水を守るための立法に努力を続けておりますが、残念ながら、いまだ道半ばであります。

 そして、私は今、民主党政権下、蓮舫大臣が指揮する規制・制度改革分科会において、森林の買収や開発ができるよう強力に規制緩和が推進されようとしておりますことに、強い危機感を抱いております。木材価格が低迷し、森林所有者にとって苦しい状況が続く中で規制緩和などをすれば、日本の山林は到底守れないでしょう。

 野田総理にお伺いします。

 総理は、我が国の森林や地下水を守るべきだと考えますか。それとも、これまでの民主党内閣の方針を踏襲し、森林買収や開発を推進すべきだと考えていますか。国家の主権にかかわってくる重大な問題ですから、明確な答弁を求めます。

 豪雪、豪雨、火山噴火、地震、津波、台風と、自然災害が続いております。

 釜石市長は、国道四十五号が津波で壊滅したが、並走する三陸縦貫道が救助救援活動において決定的に重要な機能を果たしたと報告されております。また、相馬市長は、復興に不可欠なものは人々の高い士気とタフな道路であると、災害対策インフラとしての道路の重要性を力説しておられます。そして、台風十二号で被災し孤立した地域からは、救助はヘリコプターでよかったが、生活再建、地域復興には何としても道路の復旧が必要との強い声が寄せられています。

 民主党は、さきの参議院選挙まで、コンクリートから人へをスローガンに、徹底的に公共事業悪玉論を展開し、地方に道路は必要ないとばかりに事業費を削減してきました。しかし、ここに来て、命の道を初めとする公共事業の大事さについて、ようやく落ちついた議論ができる雰囲気になったと感じております。

 東海、東南海、南海、日向灘の連動地震への備えは、もはや待ったなしであります。人を守るコンクリートの必要性について、野田総理はどのようにお考えでしょうか。必要な事業を確実に実施する御意思があるか否かについて、明快な答弁を求めます。

 台風十二号は、紀伊半島を中心に甚大な被害をもたらしました。ヘリコプターからの映像を見ますと、山が膨大な雨量に耐えられなくなっている様子がわかります。

 七割を山林が占める日本列島を守るためには、間伐にせよ、広葉樹との混成林化にせよ、山に手を入れることが不可欠であります。限られた予算であっても、人家や交通インフラが存在する側の斜面を優先的、重点的に整備するなど、災害に備え、国土を守るための工夫が必要です。

 豪雨は、必ず、必ずまた降ります。災害に強い国土づくりにかける総理の熱意をお聞かせください。

 次に、TPP、環太平洋パートナーシップ協定への交渉参加問題についてお伺いします。

 総理は、所信表明演説において、TPPへの交渉参加について、しっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出すと述べられましたが、事は、我が国の国柄、日本社会のありようにもかかわってくる重大事でありますから、ゆめゆめ国民的議論を伴わない拙速な判断とならぬよう、ここで厳重に申し入れます。

 これまで、TPPは、農業は壊滅的ダメージを受けるが、輸出産業には有利であるといった、産業間の損得関係でのみ語られることが多かったように思いますが、実際には、農業のみならず、医療、労働、投資分野に及ぶ広範な内容を持ち、社会のありようまで変えてしまいかねないという意味では、国民生活全般、そして子孫の将来にもかかわる大問題であります。だからこそ、きちんと説明がなされた上での国民的論議が必要であり、その上での結論ということでなければ、時の為政者として、到底責任をとり得ないものだと確信しております。

 英国の保守政治家であり哲学者であるエドマンド・バークは、国家は、現世代だけのものではなく、過去を生きた先人、将来を生きる子孫のものでもあると言っております。日本の国柄あるいは日本らしさというものに対して謙虚な心を持っていただくよう、切に願います。

 終わりに、一つ、お願いを申し上げます。

 総理は、所信の中で、日本人の気高き精神、あるいは、危機の中で公に尽くす覚悟、互いに助け合いながら寡黙に困難を耐える、日本人として生きていく誇りという言葉を使っておられます。日本人の美徳を的確に表現されていると思います。また、被災地には世界各国から温かい支援が数限りなく寄せられました、これは、戦後の我が国による国際社会への貢献と信頼の大きな果実とも言えるものですともおっしゃいました。私もまた、総理のお考えに深く同意するものであります。

 であるならば、総理、東日本大震災に対しての中華民国、台湾から寄せられた真心あふれる破格の御支援に対して、日本国として、礼を尽くし、心からなる謝意を伝えるべきではないでしょうか。外交案件として申しているのではありません。人としての道、物の道理を申し上げております。

 台湾とは国交がございません。しかし、私たち日本人が、苦しみ、嘆き、悲しんでいるときに、最も親身になってくれた友人であります。それなのに、政府は、卑屈にも第三者の顔色をうかがうことにきゅうきゅうとし、友人の真心に気づかないふりをしているのではありませんか。真心には真心をもってこたえることこそ、気高き日本精神というべきであります。

 総理、あなたが、心の底から、本当に日本を信じ、日本人の誇りを語るのであれば、すべてに優先して我が日本の名誉を守っていただきたいのです。日本人は、恩知らずの弱虫などではありません。日本の名誉のためにも、日本の真心を示し、礼を尽くしていただくことを切に願います。

 以上、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇〕

内閣総理大臣(野田佳彦君) 古川議員から御質問をいただきました。十数年前、お互いに浪人しているころに、将来を語り合ったころを思い出させていただきました。

 まず、防衛大臣についての御質問をいただきました。

 一川大臣には、防衛大臣として適切に仕事をしていただけると信じております。

 シビリアンコントロールについての防衛大臣の発言は、一般の国民を代表する政治家が国民の目線に立って物事を判断していくべきとの趣旨であったと承知をしています。

 政府としては、文民統制の徹底に万全を尽くす一方で、地域の平和や安定を図り、国民の安全を確保すべく、平時からいかなる危機においても迅速に対応する体制をつくることとしており、新防衛大綱に従って、即応性、機動性等を備えた動的防衛力の構築に努めていることを改めて申し上げます。

 靖国神社への参拝についての御質問をいただきました。

 国に殉じた方々に感謝や敬意を表することは、当然のことと考えております。他方で、日本政府を代表する内閣総理大臣の立場として、靖国神社については、総合的に考慮すると、総理や閣僚が公式参拝することは差し控えなければならないと考えます。

 日本の危機克服に対する私の決意は、昨日の所信で述べたとおりであり、目の前の危機を乗り越え、国民の生活を守り、希望と誇りある日本を再生するために、国会の御協力をいただきながら、政府として全力を尽くします。

 A級戦犯の分祀論に関しての御質問をいただきました。

 一般論として言えば、不当な内政干渉に対しては、断固とした態度をとるべきだと考えます。ただし、宗教法人である靖国神社においてどのような祭神を祭るかについては、憲法が保障する信教の自由に関する事柄であり、政府として見解を述べる立場にはないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 永住外国人への地方参政権付与についての御質問をいただきました。

 永住外国人への地方選挙権付与の問題については、さまざまな意見があり、各党各会派においてしっかり御議論いただくことが必要であると考えます。

 政治資金規正法問題に関する御質問をいただきました。

 前内閣の閣僚の、政治家個人としての政治資金の問題に関して御質問をいただきましたが、これは、政府としてお答えするべき問題ではなく、政治家それぞれが説明し適正な措置を講じるべきものであり、また、菅前総理も国会答弁等で説明するべきはしてきたと考えております。

 また、定住外国人の地方選挙権の問題について、現在の民主党が極めて慎重に検討していることは御承知のとおりであり、過去において政治家個人が外国籍の方とは知らずに寄附をいただき、事実が確認された時点で返金等の措置を講じていることとは関係がないというふうに思います。

 なお、谷垣総裁と同じという形で御質問をいただいた、高校無償化に関する朝鮮学校の審査再開についてでございます。これは、恐縮でございますが、先ほど申し上げたことと同じになります。

 朝鮮学校の審査手続については、菅前総理が関係閣僚と相談し、事態が昨年の砲撃以前の状況に戻ったと総合的に判断し、審査手続の再開を指示されたところでございますけれども、朝鮮学校を指定するかどうかについては、今後、文部科学省において厳正に審査を行うべきと考えております。

 続いて、自主防衛の覚悟についてのお尋ねがございました。

 私は、国の防衛は国家が担うべき最も基本的な施策であり、また、その根幹となるのは、我が国自身が主体的に行う努力であると認識をしております。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、不透明性を増しております。そうした中で、いかなる危機にも迅速に対応する体制を構築すべく、政府は昨年末に新防衛大綱を策定しましたが、その新防衛大綱においても、我が国の安全保障の目標を達成するための根幹となるのはみずからが行う努力であるとの認識に基づき、同盟国等とも連携しつつ、平素から国として総力を挙げて取り組むこととしております。

 政府としても、今後とも、こうした考え方に立って、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいります。

 武器輸出三原則等の見直しについての御質問をいただきました。

 防衛大綱の見直しの過程では、武器輸出三原則等についてさまざまな意見がございました。こうした経緯を踏まえ、新防衛大綱においては、防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策を検討する旨の規定が明記をされてございます。

 もとより武器輸出三原則等については、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、政府としては、この基本理念は引き続き堅持をしてまいります。

 なお、御指摘のような、安全保障上の重要案件を政党間の取引材料に利用したなどという事実はございませんし、これからもそういうことは全くするつもりはございません。

 森林の適切な整備、保全についての御質問をいただきました。

 森林は、水源の涵養、国土の保全などの公益的機能を有しており、森林・林業の再生を図り、緑豊かな国土を次世代に伝えていくことは、政治の使命と考えております。

 本年四月には、野党の皆様の御協力も得て森林法が改正され、森林の土地の所有者となった旨の届け出制度や、森林所有者がだれであれ、森林の適切な整備、保全が図られる仕組みなどが措置されたところでございます。

 なお、規制・制度改革においては、再生可能エネルギーの設備の設置のために保安林の指定を解除する場合の要件等を見直すこととしておりますけれども、その上でも、森林の公益的機能にも十分配慮する考えでございます。

 今後、森林・林業基本計画に基づき、森林施業の集約化、路網整備、人材育成等の施策を講じ、我が国林業を再生し、森林の適切な整備、保全を進めてまいりたいと考えております。

 災害対策インフラとしての社会資本整備についての御質問をいただきました。

 三陸縦貫自動車道等の高速道路は、今回の震災でも、住民の避難や物資輸送に重要な役割を果たしたものと認識をしております。

 こうした災害時に重要な機能を果たす道路を初め、安全、安心な国民生活を支えるために真に必要な社会資本整備について、戦略的に実施していくことが必要であると認識をしています。

 続いて、災害に強い国土づくりについての御質問をいただきました。

 我が国は、今般のような豪雨災害を初め地震、津波などにより災害が発生しやすい国土であると認識をしております。

 したがって、引き続き、災害の防止や被害の軽減のために真に必要な事業を優先的、重点的に実施し、災害に強い国土づくりを推進してまいります。

 TPPについての御質問をいただきました。

 世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防止していくためには、国と国との結びつきを経済面で強化する経済連携の取り組みを欠かすことはできません。このため、包括的経済連携に関する基本方針に基づき、高いレベルの経済連携協定の締結を戦略的に追求してまいります。

 TPPについては、八月十五日に閣議決定した政策推進の全体像にあるような広範な視点を踏まえ、協定への交渉参加について、しっかりと議論し、できるだけ早い時期に結論を出してまいりたいと思います。

 最後に、これは御質問と受けとめさせていただきましたけれども、震災に対する台湾からの支援に関するお尋ねがございました。

 今般の国難に際して国際社会から寄せられた幅広い支援に対して、日本国民に対する国際社会の温かい連帯のあらわれとして、深く感謝をしています。

 台湾においても、支援に対する謝意を盛り込んだ菅前総理のメッセージを馬英九総統を初めとする台湾当局者に伝達したほか、ホームページや新聞広告を通じて、これまでも謝意を表明してきております。

 このように、台湾に対しては適切な形で謝意表明を行ってきたところでございますけれども、改めて私としても、台湾からの友情あふれる破格の心からの御支援に対して、深く心から感謝申し上げたいと思います。(拍手)

     ――――◇―――――

太田和美君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十五日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(衛藤征士郎君) 太田和美君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(衛藤征士郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十一分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   野田 佳彦君

       総務大臣     川端 達夫君

       法務大臣     平岡 秀夫君

       外務大臣     玄葉光一郎君

       財務大臣     安住  淳君

       文部科学大臣   中川 正春君

       厚生労働大臣   小宮山洋子君

       農林水産大臣   鹿野 道彦君

       経済産業大臣   枝野 幸男君

       国土交通大臣   前田 武志君

       環境大臣     細野 豪志君

       防衛大臣     一川 保夫君

       国務大臣     自見庄三郎君

       国務大臣     平野 達男君

       国務大臣     藤村  修君

       国務大臣     古川 元久君

       国務大臣     山岡 賢次君

       国務大臣     蓮   舫君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  齋藤  勁君


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