衆議院

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第16号 平成13年6月8日(金曜日)

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平成十三年六月八日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 横路 孝弘君

   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君

   理事 古賀 正浩君 理事 西川 公也君

   理事 島   聡君 理事 中沢 健次君

   理事 河合 正智君 理事 塩田  晋君

      岩崎 忠夫君    亀井 久興君

      川崎 二郎君    倉田 雅年君

      阪上 善秀君    実川 幸夫君

      菅  義偉君    竹本 直一君

      谷川 和穗君    近岡理一郎君

      三ッ林隆志君    渡辺 具能君

      渡辺 博道君    井上 和雄君

      石毛えい子君    大石 尚子君

      大畠 章宏君    細川 律夫君

      山花 郁夫君    山元  勉君

      太田 昭宏君    田端 正広君

      松本 善明君    北川れん子君

      重野 安正君

    …………………………………

   議員           太田 誠一君

   議員           若松 謙維君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村井  仁君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (科学技術政策担当大臣) 尾身 幸次君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   内閣府大臣政務官     阪上 善秀君

   内閣府大臣政務官     渡辺 博道君

   文部科学大臣政務官    水島  裕君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長

   )            坂東眞理子君

   政府参考人

   (警察庁長官)      田中 節夫君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    漆間  巌君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児

   童家庭局長)       岩田喜美枝君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・

   ガス事業部長)      大井  篤君

   内閣委員会専門員     新倉 紀一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  小西  哲君     倉田 雅年君

  実川 幸夫君     菅  義偉君

  宮澤 喜一君     竹本 直一君

  井上 和雄君     大石 尚子君

  太田 昭宏君     田端 正広君

  北川れん子君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  倉田 雅年君     小西  哲君

  菅  義偉君     実川 幸夫君

  竹本 直一君     宮澤 喜一君

  大石 尚子君     井上 和雄君

  田端 正広君     太田 昭宏君

  重野 安正君     北川れん子君

    ―――――――――――――

六月八日

 慰安婦問題の戦後責任を果たすための立法措置に関する請願(川田悦子君紹介)(第二四六一号)

 同(北川れん子君紹介)(第二四六二号)

 同(土井たか子君紹介)(第二四六三号)

 同(北川れん子君紹介)(第二四九〇号)

 同(土井たか子君紹介)(第二四九一号)

 同(北川れん子君紹介)(第二五〇八号)

 同(土井たか子君紹介)(第二五〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特殊法人等改革基本法案(太田誠一君外四名提出、第百五十回国会衆法第一六号)

 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八八号)(参議院送付)

 国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案起草の件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件




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     ――――◇―――――

横路委員長 これより会議を開きます。

 第百五十回国会、太田誠一君外四名提出、特殊法人等改革基本法案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る六日既に終局いたしております。

 この際、本案に対し、島聡君から修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。島聡君。

    ―――――――――――――

 特殊法人等改革基本法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

島委員 島聡でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました特殊法人等改革基本法案に対する修正案につきまして、その提案の趣旨及び概要について御説明を申し上げます。

 与党提案の特殊法人等改革基本法案につきましては、本委員会の審査を通じまして、特殊法人等の改革が喫緊の重要課題であるとしながらも、集中改革期間が五年間と長過ぎること、基本理念が不明確であり、改革の方向性が全く見えないこと、特殊法人等の抜本的な改革に当たり、関係者の雇用の確保を図ることが必要であるにもかかわらず、雇用の確保に関する規定がないこと、特殊法人等の大きな問題の一つである特殊法人等の役員の報酬及び退職手当の適正化に関する規定がないことの問題点が明らかとなりました。そこで、これらの問題点を是正するため、本修正案を提出した次第であります。

 次に、本修正案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、集中改革期間の短縮であります。

 集中改革期間を二年間短縮し、この法律の施行の日から平成十六年三月三十一日までの期間に改めることとしております。

 第二に、基本理念の見直しであります。

 基本理念について、特殊法人等の改革は、各特殊法人等の組織及び事業について、内外の社会経済情勢の変化を踏まえた抜本的な見直しを行い、特殊法人等の事業とする必要性が失われ、または減少しているものについてはできる限り民間にゆだね、または廃止し、その他のものについては独立行政法人を活用し、または政府がみずから行うこととするとともに、その事業運営の効率化を図ることを基本として行われるものとする旨の規定に改めることとしております。

 第三に、雇用の安定に関する規定の追加であります。

 先ほどから雇用、雇用とおっしゃっておりましたが、これが私どもが重視するところでございまして、政府は、特殊法人等整理合理化計画を実施するに当たっては、特殊法人等の職員の雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるものときちんと明記することとしております。

 第四に、特殊法人等の役員の報酬及び退職手当の適正化であります。

 特殊法人等の役員の報酬及び退職手当については、一般職の国家公務員の給与及び退職手当との均衡に留意し、その適正化を図るために必要な措置が講ぜられるものとしております。

 その他、所要の規定の整理を行うこととしております。

 以上が、本修正案を提出する趣旨及び概要であります。

 委員各位の御賛同をお願いいたしまして、説明を終わります。(拍手)

横路委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

横路委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君。

小野委員 私は、自由民主党、公明党を代表して、民主党提案の特殊法人等改革基本法案に対する修正案に反対し、原案に賛成する立場から討論を行います。

 この修正案は、原案に定める特殊法人等の集中改革期間を短縮するとともに、基本理念を改めるほか、雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるとともに、役員の報酬及び退職手当の適正化を図るべき旨の規定を加える修正を行うものでありますが、以下、これに反対する理由を申し上げます。

 第一に、集中改革期間の短縮についてであります。

 特殊法人等改革については、現在、事務事業の徹底した見直しを行っているところであり、組織形態についても、この作業を踏まえ、廃止、民営化、独立行政法人への移行等抜本的な見直しを行うこととしております。これらの事業見直し、組織形態の見直しが終了するまでには、そのための法律改正、資産や負債等の処分、関係者との調整、職員の雇用問題の処理等について五年程度の期間は必要と考えており、その判断に従って、原案においては集中改革期間を五年と定めたものであります。これをさらに短縮することは実質的に困難であり、修正案は非現実的と思われます。

 第二に、基本理念についてであります。

 原案の基本理念においては、特殊法人等改革を行うに当たっての基本的考え方を記述したものでありますが、修正案は、特殊法人等改革を行い、事務事業及び組織形態を見直した後の結果を記述しているにすぎず、本法案の基本理念として記述する内容としては不適切と考えます。

 第三に、雇用の安定についてであります。

 特殊法人等の改革の具体的内容については、これから本法案に基づいて行われる事務事業及び組織形態の見直しの結果明らかになるものであり、特殊法人等改革の最終的な姿が確定していない段階で雇用の安定を図るため必要な措置を講ずることを本法案に盛り込むことは、今後進められる特殊法人等改革の作業に支障を及ぼす可能性もあります。したがって、修正案は不適切と考えます。

 第四に、役員の報酬及び退職手当の適正化についてであります。

 特殊法人等の給与、退職金については、行政改革大綱において、事業、組織形態の見直し等を通じ、民間及び業績等に留意しつつそのあり方を見直し、十三年度中に所要の調整を行うとされております。自由民主党、公明党、保守党ともこの大綱の方針を了承しております。一般職の国家公務員の給与及び退職手当との均衡のみに留意することとするとの修正案は不適切と考えます。

 以上から、民主党提案の修正案に反対するものであります。

 なお、原案については、特殊法人等改革そのものに関する基本理念や国の責務等について明確に定めており、まことに時宜を得たものであって、適切かつ妥当なもので、賛成するものであります。

横路委員長 塩田晋君。

塩田委員 自由党の塩田晋でございます。

 私は、ただいま自民、公明、保守党から提案のありました特殊法人等改革基本法案に反対、民主党提案の同修正案に対して反対の立場から討論を行います。

 戦後、数多くの特殊法人が、民間の活動を補完するために設立されてまいりました。しかし、民間経済が発達した今日においては、特殊法人が果たしている役割よりも、特殊法人が民業を圧迫していることや、事業が非効率であるなどの弊害の方がより多く見受けられてきております。また、たびたび汚職事件などでマスコミ等をにぎわし、一部の特殊法人においては、官公庁の高級官僚の天下り先となり、政官業癒着の温床となっていたケースも少なくありません。

 このように、民間経済が発達した現状を踏まえると、肥大化し、硬直化した行政機構は早急に改革し、行政が時代の変化に対応してその役割を効果的に果たすことができるように変革すべきであります。そのためには、特殊法人の廃止、統合及び民営化を早急に行う必要があります。

 しかし、自民、公明、保守党提案の特殊法人等改革基本法案においては、五年間の集中改革期間に特殊法人等整理合理化計画を定め、それぞれの特殊法人のあり方を検討し、実施することとしておりますが、何らこれは特殊法人の整理合理化のための実効性はないのであります。

 自由党が提案した特殊法人の整理及び合理化に関する法律案は、特殊法人の原則廃止、必要なものは統合及び民営化、並びに特殊法人の役員及び職員の削減に関し必要な措置を明確に定めており、その完全実施期限を法律の施行の日から三年を経過する間としているため、特殊法人の整理合理化が早急に実施できるものであります。

 以上の点から、私は、自民、公明、保守党提案の特殊法人等改革基本法案に反対いたします。

 また、民主党提案の同法修正案についても、改善であると思いますが、残念ながら抜本的な改革案ではないため、反対の意見を表明して、私の討論を終わります。

横路委員長 松本善明君。

松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、特殊法人等改革基本法案に対し、反対の討論を行います。

 反対の理由は、本法案が進める特殊法人改革は、改革を理由に、国民生活関連分野の住宅、国民・中小企業への金融、奨学金など国民の基本的人権にかかわる事業の縮小、切り捨てにつながる一方、大銀行やゼネコンなど財界の利益を最優先するものとなるからであります。

 我が党は、特殊法人改革は、むだや放漫経営、腐敗構造に徹底的にメスを入れ、その上で不要な特殊法人は解散させることも当然だと考えております。同時に、国民生活に必要な特殊法人は、その公共的責任にふさわしく、民主的に改革する必要があると考えております。そのためには、国民生活に関する分野をしっかり守り、その上でむだな浪費を徹底的に洗い出し、事業や組織を思い切って縮小、廃止することが必要であります。

 小泉首相は、郵政事業の民営化や国立大学の民営化を主張しております。郵政事業の民営化は、非効率で高コストの小口預貯金や郵便の地方サービスを切り捨てます。このことはJRのローカル線廃止で証明済みであります。国立大学の民営化は、高等教育に対する国の責任放棄であります。

 法案の目的には、今次の中央省庁等改革の趣旨を踏まえて改革を推進することを明記しておりますが、これは、大型公共事業温存の巨大公共事業官庁を設立する一方、国立病院、国立大学などを独立行政法人化して、国民の医療や教育を国の直接責任から切り離す路線の踏襲であります。

 また、基本理念は、見直しの観点として、事業目的の達成程度、事業を民間にゆだねることの適否、その事業の便益を直接または間接に受ける国民の範囲及び当該便益の内容の妥当性などを明記しています。しかし、これらの項目は、これまで政府が公共住宅部門や国立病院から撤退するときに使われた理由と全く合致するものであります。

 政府は、今年度から本四公団に八百億円を税金投入いたしました。さらに、道路公団、関西空港などへの税金投入も検討されております。乱脈経営の責任をあいまいにしたまま大型公共事業の破綻を国民に償わせるものであります。

 大銀行やゼネコンを利する行革ではなく、国民の生活、暮らしを中心に据えた行革を進める、そのために公共事業に五十兆、社会保障に二十兆という逆立ち予算を改めることを強く要求いたします。

 なお、民主党修正案は、考え方が違うということを申し上げまして、討論を終わります。

横路委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

横路委員長 これより採決に入ります。

 第百五十回国会、太田誠一君外四名提出、特殊法人等改革基本法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、島聡君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

横路委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

横路委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

横路委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、小野晋也君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。河合正智君。

河合委員 ただいま議題となりました自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    特殊法人等改革基本法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。

 一 特殊法人等改革の推進に当たっては、平成十二年十二月一日に閣議決定された行政改革大綱を踏まえ、これとの整合性を図るよう十分配慮すること。

 一 特殊法人等の改革に当たっては、その事業が、独占的な事業等について、その効率性、合理性等を図る観点から実施されていること等にかんがみ、その事業及び組織の全般について、内外の社会経済情勢の変化を踏まえた抜本的見直しを行うこと。

 一 特殊法人等の事業及び組織形態の抜本的見直しに当たっては、政治主導の下に、特殊法人等の個々の事業について、その目的、事業内容、中長期的な経営分析などの検証を十分に行った上で、特殊法人等の改革が円滑に推進できるよう万全の措置を講ずること。

 一 特殊法人等改革の推進に当たっては、国民の期待に応えられるよう、いわゆる天下り問題について、役員の経営責任の明確化、給与・退職金及び役員人事等の適正化を図るとともに、特殊法人等の透明性を確保するため、財務内容等の情報公開及び業績評価システムの整備を推進すること。

 一 特殊法人等の改革の推進に当たっては、これまで維持されてきた当該特殊法人等の職員との良好な労働関係に配慮するとともに、関係職員団体の理解を求めつつ、その雇用の安定に配慮すること。

 本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。

 よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

横路委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

横路委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石原国務大臣。

石原国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮させていただきたいと考えております。

    ―――――――――――――

横路委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

横路委員長 次に、栄典及び公式制度に関する件について調査を進めます。

 国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得た次第であります。

 それでは、本起草案の趣旨及び内容につきまして、私からその概要を御説明申し上げます。

 御承知のように、最近における我が国経済の成熟化に伴い、近年、国民の意識、価値観も著しく多様化し、国民の生活も、より個性的で、よりゆとりのある豊かさを求めるようになってまいりました。このような社会経済情勢の変化に対応して、国民の余暇の過ごし方も、スポーツや旅行あるいはボランティア活動への参加など、その範囲は幅広く多種多様なものへと変化してまいってきております。

 こうした中、このような余暇活動をより一層充実させるため、第百四十三回国会において、成人の日及び体育の日をそれぞれ一月及び十月の第二月曜日と指定し、連休化したところでありますが、今回、さらに国民の間から、特定の曜日を国民の祝日に指定し、連休化させようとする機運が高まってきております。

 本案は、このような現状にかんがみ、よりゆとりのある国民生活の実現に資するため、国民の祝日に関する法律及び老人福祉法を改正し、七月二十日の海の日及び九月十五日の敬老の日をそれぞれ七月及び九月の第三月曜日とし、また、九月十五日を老人の日とし、同日から同月二十一日までを老人週間としようとするものであります。

 このように、今回、海の日及び敬老の日を連休化することは、国民の余暇活動の機会がますます増大し、生活の楽しさ、豊かさをより一層充実させることにつながるとともに、平成十四年度から完全学校週五日制の実施が予定されていることとも相まって、敬老の日にふるさとの祖父母などを訪問する機会も増大するなど、家族のきずなをより一層深めることもできるようになると思われます。

 また、年末年始やお盆の時期に集中する旅行や帰省等が分散されることにより、道路などの混雑の緩和が期待されるとともに、余暇活動などが活発化することにより、大きな経済波及効果も見込まれるところであります。

 以上、申し述べましたところから、この際、本改正を行いますことは、まことに時宜に適した措置であると考える次第であります。

 なお、この法律は、平成十五年一月一日から施行することといたしております。ただし、老人の日及び老人週間についての規定は、平成十四年一月一日から施行することといたしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

横路委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

横路委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

横路委員長 次に、内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府男女共同参画局長坂東眞理子君、警察庁長官田中節夫君、警察庁刑事局長五十嵐忠行君、警察庁警備局長漆間巌君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長大井篤君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

横路委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺具能君。

渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。

 今、石原大臣におかれては、行政改革あるいは公務員制度の改革に対して必死の思いで取り組まれておられます。その中の一つのパーツの問題ではありますけれども、きょうは、技術系職員、いわば我々技官と言っておりますが、技官の活用の問題あるいは処遇の問題についてお伺いしたいと思います。

 我が国は、資源もなし、国土も狭いわけで、これからの生きる道は科学技術だと言われております。確かに、民間でも新しい技術というものを非常に大切に思っておりまして、いろいろな新しい工夫を得るために技術開発を進めております。そして、そういう新しい技術をアウトプットするエンジニアというものに対しても、大変大切に取り扱っているわけであります。

 ところが、技術立国を標榜する政府の組織はどうかというと、まことにお粗末になっている現状があるわけでございます。

 例えば、資料によりますと、一部上場の会社の役員について調べてみたら、実業界では三〇%ぐらいが理系をバックグラウンドにする方々が頑張っておられる。ところが、それに対して、役所の中では、例えば局長以上に限って理系の割合を見ると、わずか十数%しかない。ここに全く大きなギャップ、格差がある。私は、技術立国を標榜する割には、官庁組織において技術系の職員がないがしろにされておるのではないかというふうに思うわけでございます。

 まず、官庁組織において技官というものをどういうふうに考えているか、具体的には後でいろいろ御質問させていただきますので、最初に理念だけを簡単にお答えいただければと思います。

石原国務大臣 渡辺委員の御質問にお答えしたいと思います。

 今渡辺委員が示されました表を見まして、本当にないがしろにされているなと、数字を見まして率直な印象を持ったところでもございます。

 もう委員既に御承知のことだと思いますが、一九九〇年の冷戦の崩壊によりまして、ボーダーレス、グローバル化が社会、経済を通じて世界の潮流となってきている中で、行政の側も、そのニーズにこたえるべき高度の知識、またそういうことにこたえられるテクノロジーを持った人材が非常に求められているような気がいたします。

 そんな中、今委員御指摘のように、技術系の職員についてはもちろんのこと、このほか、法律とか経済等の知識を持つ事務系の職員についても、多様なタレント、才能、資質というものを持った人材の確保が現在公務員制度全体の中で重要になってきている。そんな中で、技術系と言われる方々の位置も、おのずと求められているものは前よりも増しているのではないか、こんなことを感じているところでございます。

渡辺(具)委員 技術系の職員に対する期待は今後もあるということが基本的なお答えだったと思います。

 私は、人事の要諦は、やはり適材適所だというふうに思います。役所ですから、仕事柄事務系の人の仕事が多いかもしれないというふうには思うのですが、しかし、行政改革を進めなきゃいけないこういう時代では、技官の、自然科学をバックグラウンドにするエンジニアの働き場所というのは案外あるんじゃないかと思っているんですね。つまり、エンジニアというのは、人より一秒でも速く走れるもの、新しいものをつくらなければ意味がないというふうに考えるわけでして、そういう意味では、改革をするということについては案外向いている面も持っているんじゃないかというふうに私は思うのです。

 ところが、今の現状は、技官の活用といいますか、処遇については非常にお粗末であります。私も、三十三年、旧運輸省で技官として仕事をさせていただきました。幸いにしていいプロジェクトにも恵まれましたし、いい人間関係の中で、事務官の方とも仲よくしながら仕事をしてきたわけですけれども、しかし一方では、技官の処遇改善という問題について、私もインボルブされて、案外そういう仕事が私は長かったわけですけれども、そういう場面に遭遇すると、事務官一人一人はいい方なんだけれども、自分らのテリトリーを守って、なかなか技官に対してそういう処遇の面では配慮をしてくれない、そういう状況であります。

 その結果、旧運輸省では、課長に就任した人たちの年次も事務系に比べて四、五年おくれていますし、あるいは農水省の関係でも、例えば10Gの在職の年次が、幅が、技術系は十年ぐらいありますけれども、事務系は四年ぐらいしかない。そういうことではありますし、きょうは資料もお配りさせていただいていますが、「法文系・技術系別のポスト数」を見ていただくとわかるのですけれども、採用は技官の方が多いのですよね。六割近くが技術系である。ところが、さっき言いましたように、これが局長級ぐらいになると途端に一三%になってしまう。ということは、いかに処遇の面で冷遇されているかということがわかるわけです。

 もっと具体的に、もう一つの紙、二枚目の紙を見ていただくと、これは全技懇という組織が出した資料を私なりにわかりやすく直したのですけれども、これを見ると、下は事務官ですが、事務官はきちっと昇進していくのですね。一年で全部整合性を持たせて、一年次だけは、例えば、指定職と11Gと格差のある年次がありますけれども、あとはきれいにきちんと、見事に昇進していくわけですね。私は、人事管理上は、本当に考査をしているならば、こういうパターンではむしろないのではないかと思うのですね。

 ところが、技官の方を見ていただくと、物すごい幅があって、同じ年次であっても上から下まである。これの方が本来の人事管理なのかもしれませんが、これを例えば二十七年次、二十八年次のあたりで見ると、10Gの人がいるにもかかわらず、事務官の方は全部指定職になっている。つまり、二ランクほど技官は冷遇されている。私もその改善に大変努力をしてきたのですけれども、なかなか厳しい中でやはり現実はこうなのです。

 そういうおぞましい現実があるわけでございますが、いわゆる技官の処遇の改善に向けて、大臣はどのように受けとめ、今後、どのように改善をしていくおつもりなのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 渡辺委員の御質問にお答えいたします。

 今、渡辺委員が整理をしていただきました表を見ますと、委員と同じ感想を実は私持ちまして、事務系の方の昇進は、まさに年功序列、画一的で、適材適所、能力というものを配慮していないということが一目瞭然。そして、その一方で技術系については、年代においても事務系の方に比べてやはり昇進のスピードが劣っているケースもある。

 これをどういう原因かということは、ちょっと一概には言えないと思うのですけれども、やはり先ほど委員御指摘のとおり、事務系の方と長い官僚生活の中で親しくはさせてもらったけれども、事務系の方々も事務系のテリトリーを守ろうとする。その一方で、いわゆる技官と言われる方々についても、専門分野ごとの採用ということもございますし、そこである意味での人事グループをつくってタコつぼに入っていく。そういうことによって生じている面もあるのではないかなというふうな感想を私は持っております。

 今回の公務員制度改革においては、委員御指摘のように、適切な人事運用が行われることを通じて、公務員の方、特に技官の方等の持っている能力を最大限発揮して、強い使命感を持って働けるような制度が実現できるように、現在検討を進めているところでもございます。

 そんな中で、技官と言われる方々の処遇の問題につきましても、事務官、技官の別などの採用区分にとらわれない新しい人事システムの確立が、私も委員と同様に重要ではないかと考えており、適材適所の任用や能力に応じた、この表を見る限り、どうも能力というよりも年功序列、過去の踏襲というような気がいたしますので、能力に応じた処遇が図られるように、これから積極的に、党の方々、また与党の方々と、また委員会でも御議論いただいて取り組んでまいりたい、こんなふうに考えております。

渡辺(具)委員 ただいま大臣もおっしゃったように、それぞれのグループがなかなかオープンになっていないというところも問題だろうと思うのです。確かに、技官サイドも問題がないわけではない。私もよくわかるのです。視野が狭いとか、その専門の分野に埋没してしまうとか、そういうことも確かにあるわけです。しかし一方では、技官は、入省するときは、まさかそんな大きな差があると思って入っておるわけではないのですね。やはり1種の試験を受けて1種として入っておるわけです。そうなると、入ってこういう状況に遭遇すると、非常にディスカレッジされてやる気を失うということもあるわけです。

 1種として採用するからには、やはりちゃんとした人事管理をすべきだというふうに思うのですね。確かに、技官の採用人数が多過ぎるとか、そういうこともあろうかと思うのです。しかし、この処遇の悪さが一方ではタコつぼに入り込んでいるのですね。処遇改善が図られないならばせめて自分のところの仕事だけは確保したい、そういう思いでタコつぼに入っていくというようなこともあるのではないかというふうに私は思うのです。

 それで、技官の処遇がどうすればよくなるかということの一つの問題点に、処遇を決める担当部局、例えば人事課であったり官房長であったり、そういう方々が処遇の一番担当者なのですけれども、こういう方々は全部事務官なのですね。技官はそこにお願いをするという関係でございまして、私も今改めて調べたのですけれども、官房長十二名のうち、技術系の職員は文科省に一人おられるそうでございます。これは昔の科技庁の御出身の方だろうと思うのです。人事課長は、今各省に十五人おられるのですが、一人もおられないのですね。民間企業では、技術系の職員だって人事課長になったり人事部長になったりしている人がいますよ。そういう目で人事管理をしなければいかぬ面だってあるわけです。私は、こういうふうなところに問題が一つあるのではないかというふうに大変強く思っているわけです。

 例えば、石原大臣のもとで行政改革推進事務局というのがありますね。私は人間を数えたら、あそこに四十九名、五十名おられました。その中で技官が何名いるかなと思って、見ました。恐らく、私役所に聞いたわけではないのですけれども、大体わかりますので見ましたら、二、三名しかいませんよ。公務員制度をどう変えるかという議論の中に、五十名の中に二名しかいない。これで技官の処遇改善をどうしようかなんという発想が私出てこないというふうに思うのですが、その辺に対して、やはり技官の登用というか、そういうことをぜひ考えていただきたいと思います。その辺についてどうでしょうか。

石原国務大臣 今委員御指摘の点につきましては、ちょっとこっちで数えましたら、技官の方が五名。三も五も大して変わらない。比率から言ったらやはり技官の方が少ない。

 私、仲間にもやはり技官の方がいて、いろいろお話を聞きますと、技官の方というのは地方なんかに現場があるのだそうですね、所長さんで出られたり、自分の入った専門分野で。そういうところへ行きますと、やはり事務系の方は、そういうとき、係長さんとか課長補佐さんとかで官房組織の中で予算をやったり人事をやったり、トレーニングというか、そういう仕事もしてきている。その期間、技官の方は専門分野があるので、そういうところで働く機会がほとんどない。ですから、キャリアパスという言葉がいいかどうかは別といたしまして、そういうところにも、地方の現場というものも大切ですけれども、やはりそういう内閣官房のいわゆる総務畑みたいなところにも技官の方にも入っていただいて、経験と蓄積を持っていただければ、今委員御指摘のような問題の解決というものはこれからなされていくことができるのではないかと今のところ考えております。

渡辺(具)委員 数字を正確に教えていただきましてありがとうございました。

 ただ、申し上げておきますが、恐らくその五人は全部下っ端ですよ。全部コピー焼きぐらいしかしていない下っ端だと思います。私大体わかりますから。下っ端というのは言葉が悪いかもわかりませんが、非常に下部職員のあたりにしか置いていないのです。非常に大枠を決めるような議論の中に参画させてもらえないのです。だから、そういうことにぜひ注目をしていただきたいというふうに思います。

 それともう一つ、そういう処遇改善に関する部署に技官を登用していただきたい、仲間に入れていただきたいという意味で申し上げるのですが、仄聞するところによると、人事院の機能を少し減じて、定員管理あるいは定数管理、もう石原大臣はよく御存じだと思いますが、そういう問題に対して、各省庁の自由裁量の枠を広げようというふうな動きがあるというふうに聞いております。

 しかし、これは一見いい制度改正だなというふうに思われるかもしれないけれども、私が今問題にしているような問題について考えると、これはかなり危険なのですね。つまり、省内だけで技官の処遇改善を図ろうとすると、さっき言いましたように物すごく大きな壁があって、なかなかそれがやりにくい。ところが、正義の味方とは言いませんけれども、やはり人事院があるということは、いろいろなアンバランス、年次のアンバランスだとか、あるいは技官と事務官の極端なアンバランスとか、そういうものに目を向けてくれているという思いが技官にはあるのですね。場合によっては、めったにないことでありますけれども、直接人事院にお願いをして、こんなにひどいんですよという話をすることもたまにはあるわけで、その辺については、我々は、ぜひこれまでどおり人事院の存在が、機能が必要であるというふうに思っておるのです。

 その辺について、きょう総裁お見えになっておりますので、総裁にお伺いしたいと思います。

中島政府特別補佐人 委員の御質問というか御指摘をお聞きいたしておりまして、何か座り心地が悪くなったといいますか、よくなったといいますか、落ちついて座っておれないような感じがいたしましたけれども、私も、実は昨年の秋に、技官の方から処遇の実態ということについて御説明を受けまして、かねがね問題意識は持っておりましたけれども、やはりここまで差がついておるというのはかなり真剣に取り組むべき課題だなというふうに思いました。

 これから私たち、それぞれの時点で与えられた職責というものを踏まえまして、今委員が御指摘になりました問題に真剣に取り組んでまいりたいというふうに思います。

渡辺(具)委員 ありがとうございました。

 先日、五月二十九日、自民党の行革推進本部の本部長会議で橋本元総理がこういう御発言をされたという話を聞いて、私は大変感激しておるのです。

 ちょっと読ませていただくと、今後大切なのは技官の処遇改善である、事務官と技官のたどるコースは全然違う、技官は地方を転々とし、事務官は地方に出ることは余りない、そして現場を知らない事務官ばかりが上のポストについてしまう、こんなことでよいのか、また、外交の場などにおいて、技官はテクニカルアドバイザーだということで、事務官より後ろの席に座られているそうである。私も日米交渉に行ったとき後ろの席で、発言権がありませんでした。けしからぬことである、男女共同参画の時代であるから、今後は、事務官、技官共同参画を推し進めていくべきではないかと。すごくいい言葉をお使いになっているというふうに思うのです。

 私は、橋本総理時代に、この技官の処遇問題については橋本総理にじきじき陳情申し上げたこともあるのです。技術系をバックグラウンドにする国会議員が集まりまして橋本総理に言ったのですけれども、そのときは何となく冷たくて、これだけ理解があるとは思わなかったのですけれども、これだけ理解を示していただいて大変感激をしておるわけでございます。日本の政府も、やはり技術系の職員をもっと活用する方法を本気で考えてもらいたいというふうに思うのです。

 橋本元総理はこういうふうにおっしゃっていますが、しかし、おひざ元の内閣官房を私は調べてみました。いわば日本政府の中枢です。知恵の府とならなければいけない内閣官房の人員構成を調べると、局長以上が十一人いらっしゃるのだそうですが、技術系の職員はゼロだそうです。課長以上の職員は六十二名おられるのですが、このうち技術系職員は四人だそうです。これは私は役所に聞いた数字ですから、お出しになった数字ですから間違いないと思いますが、これを見て、やはり皆さん、ぎょっとするのじゃないかと思うんですね。これを民間の人などが見たら、ぎょっとするんじゃないかというふうに思うんですね。

 特に、中枢の中でもより中枢だと思いますが、内閣官房副長官室を調べてみると、八十二名いらっしゃるのですが、四名しかそこに技官がいないのです。私は、これではどうかなというふうに思うのです。

 例えば、アメリカの大統領補佐官の中には科学技術関係の職員が、かなりハイランクの職員がいて、いつも大統領にブリーフィングをする立場にあるわけです。だから、アメリカの大統領のステートメントなんて格好いいじゃないですか。ロケットの話も出てくるし、最近の新しい科学技術に関する私見なども出てくるわけです。

 ところが今の日本では、内閣総理大臣の近くにこういうエンジニアあるいは科学技術をバックグラウンドにした人はいませんよ。私は、こういうことで科学技術立国が目指せるのだろうかというふうに思うのです。総理に対するそういうことをブリーフィングする場所として総合科学技術会議があって、その中の議員の方が一カ月に一回ブリーフィングすることになっておりますけれども、こういうことではなかなかうまくいかないんですね。総理大臣には申しわけないですけれども、やはり言葉が違う面もありますから、通訳をするようにブリーフィングをできる人がすぐそばにいることが大事じゃないかというふうに思うのです。もっと日本の政府も本気で、この技術系職員の活用について頑張っていただきたいというふうに思います。その点について、最後に石原大臣の御決意を聞いておきたいというふうに思います。

 そして私、念のために申し上げておきますが、これは私のライフワークとしてやろうと思っておりますから、ここでお答えいただいたきょうの現実というか、数字を私もちゃんとメモしておきまして、私、もしも落選しなかったら、何年後かにはまた同じことで、進歩がなければ進歩がないじゃないですかと。これだけ進歩があったとかなかったとか、そういうレビューも含めてまた同じ質問をさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

石原国務大臣 渡辺委員の御趣旨を体しまして、公務員の方々が文系、技術系を問わず適材適所で働けるように、公務員制度を本当に二十一世紀型にするべく努力を続けてさせていただきたい、こんなふうに考えております。ぜひまた機を見まして、この数字、先ほど委員御指摘のとおり、私が今見ましたら、技術系の方五人とも入省年次は五、六年の係長の方ばかりでございまして、すべてお見通しでございますので、この点にも十分留意をして物を進めていきたい、こんなふうに思っております。

渡辺(具)委員 ありがとうございました。

横路委員長 中沢健次君。

中沢委員 民主党の中沢でございます。おはようございます。

 私の持ち時間、わずかでありますが、福田官房長官とさしで、この時間帯の中で例の官房の機密費問題、いわゆる報償費問題、集中的にいろいろ議論をしてみたいと思うのです。

 それにしても、福田長官は森内閣総理大臣を支えてこられて大変苦労された。今度、大変な国民的な人気の高い小泉総理大臣を支えて、今日いろいろ御苦労をされている。正直言いまして、私ども野党でありますが、やや国民的な目線でいうと、今度の内閣、総理もそうでありますが、極めて個性的な大臣もいらっしゃって、やはり、閣内の取りまとめも含めて、別な意味で大変御苦労をされていると思います。そのことは、同じ政治家として、その労をある意味でねぎらいたいな、こんな思いなんですよ。

 さてそこで、長官とは機密費問題で過去二回ぐらいこの委員会でもやっておりますから、国会の会期末も近づいている、あるいは外務省も一応外務省の報償費問題についての改革のまとめを発表された、こういうことなどを背景として考えますと、やはり官房長官も、長官としての役割、責任をしっかり改めて認識をしていただきまして、官房の機密費、報償費問題についてはもうそろそろ国民に対する改革のメッセージを具体的に送る時期ではないか、それが私の結論なんですよ。

 その前に、具体的な幾つかの関係につきましてお尋ねをしたいと思うんです。

 今までも委員会でも随分議論をしました。残念ながら、答弁は、答えられないということで押し問答を繰り返しておりますが、改めて、まず第一にお尋ねをしたい。官房の機密費の中で、前任者は別にいたしまして、官房長官の在任中、いわゆる野党を含めた政党対策費としてこの報償費を使った事実があるのかないのか。どうでしょう。

福田国務大臣 過分なねぎらいのお言葉をいただきまして大変ありがとうございます。

 先般来、報償費についてお尋ねがございまして、委員の御満足をいただいていないというので、これはまことに私の不徳のいたすところだ、こう思っておりますが、誠心誠意答えておるつもりでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。

 今、報償費の具体的な使途のことについてお尋ねがあったわけです。こういうことはもう以前も何回もございまして、その都度お答えしているのと同じでございますけれども、報償費の性格上、これは申し上げるわけにいかない、こういうことで一切お話をしていないということでございます。ただ、執行に当たりましては、報償費の目的に照らして適正な支出であるかどうか、一つ一つ十分吟味して厳正な運用に徹している、こういうことでございます。

 内閣官房の報償費というものは、内政、外交を円滑に遂行するということであり、責任者であります官房長官のその都度の判断でもって機動的かつ効果的に使用している、こういうものでございますので、御理解をいただきたいと思っております。

中沢委員 今の長官の答弁については、またこの後いろいろ議論をしてみたいと思うんですが、同じようなことで、国会議員に対するいわゆるせんべつ、在任中、支出をした事実があるかないか、お答えをください。

福田国務大臣 これも使途にわたることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたい、こういうように思っております。繰り返しでございますが、執行に当たりましては、報償費の目的に照らして適正な支出であるかということをよく吟味した上で運用に徹しているということでございます。

中沢委員 今、政党対策の問題と議員のせんべつ問題、簡単に質問をしました。残念ながら、具体的にはお答えができないと。これは従来どおりの答弁なんです。

 そこで、言うまでもありません。これは釈迦に説法だと思います。小泉さんは、改革断行、大変な旗を立てて、今国民的な支持をかなり集められている。私は、改革断行というのは言葉だけではだめだと思うんですよ。ですから、総理大臣をしっかり支える女房役の官房長官としては、自分の役割と責任が明確である今の報償費問題について改革をする、こういう熱意と責任感をまずしっかり私は持つべきだと。これは考え方としてどうですか。具体的にはまた後で聞きますから。

福田国務大臣 委員から御指摘を受けるまでもなく、私は、私のこの職につきまして以来、この趣旨に照らして、この趣旨に沿った適正な運用をしているというように私自身は自信を持っておるところでございます。内閣がかわりまして、改革断行ということでございますけれども、そういう意味におきましては既にそういうことはやってきた、こういうつもりでございます。

 今後も、常に新しい感覚を持って、そのときに適した考え方でもってやっていこう、こういうように思っております。

中沢委員 その辺は、僕は正直言いまして、同じ政治家としてはいささか腑に落ちないというか。

 というのは、確かに今までも間違いなくやってきました、自分の職責の、責任ある、そういう職責の中でやってきたと。私はそうだと思いますよ。それは当たり前といえば当たり前だ。しかし、少なくとも、国民の目線でいうと、森内閣から小泉内閣にかわった、改革がさまざまな形でこれから行われるであろう。そうすると、残念ながら、今非常にやみの中に存在をしている機密費問題についても、官房長官の心構えとして、今までどおりということよりも、確かにその延長線だとは思いますけれども、決意を新たにして、もっとしっかり改革という精神を踏まえてやるんだぐらいの答弁は、私は当たり前といえば当たり前だと思うんですけれども、そういうことも、長官、言えませんか。その程度のことは国民に向かってメッセージを送った方がいいんじゃないですか。

福田国務大臣 私の気持ちは今申し述べたとおりでございまして、そのような気持ちで日々その適正なる使用というものに徹してやっているわけでございます。あとは、私を信用していただけるかどうか、こういうものになるかと思います。

 この報償費の性格上、これはその使途を明らかにできない、こういうものでございます。これは何も内閣官房だけでなくて、ほかの省庁にも必要なところはあるわけでございますので、そういう質問でしたらほかの省庁にもお尋ねいただきたい、こう思っております。

中沢委員 委員長、私は比較的好意的に今私の意見を言っているつもりなんですよ。好意的というのは、それは与党、野党の立場の違いがありますから、もっとばんばんやればいいのかもしれませんが、私はやはり好意的に、少なくとも、森さんから小泉さんにかわった、全体の問題でいうと国民は注目をして期待している。残念ながら、外務省も今の官房も、現状においては、この報償費問題は依然としてやはり暗やみの中に存在をする。

 確かに、言えない、公表できないという性格なんでしょう。それはわかっていますけれども、事のよしあしは別にして、わかっていますけれども、やはり官房長官はもっと踏み込んで、気持ちの上でも踏み込んで、やはりできるだけ、これからうちの党はまた別な意味での法案を出しますけれども、そういう問題も含めて、一歩二歩やはり踏み込んで、官房長官として官房の機密費、報償費については改革をする、そういう努力を全力を挙げてやる、やや精神論かもしらぬですが、その程度のことはきょうは僕はおっしゃった方がいいんではないかと思うんです。私の思いやりでは全然ないけれども、同じ政治家としてはそのぐらいのことはきょうの委員会で堂々とおっしゃったらどうですか。

福田国務大臣 改革、改革とおっしゃられるわけでありますけれども、日々改革だ、こういうふうに思って取り組んでおるところでございます。

 内閣官房の報償費は、今回不祥事が発覚をいたしたわけでございます。そういう意味でいろいろと点検を行ってきました。その結果を踏まえまして、平成十三年度の予算の執行に当たりましては、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行されるための経費である、その目的にかなうものでなければならない、これはもう大原則でございますが、また、総理の内政、外交の円滑な推進、広範な情報の収集、報償などの報償費の目的に照らして適正な支出であるかどうか、こういう、これまでの経緯にとらわれることなく、その都度厳正に吟味を行い、内閣官房長官としての判断に基づいて執行をしているということ。また、執行に当たりましては、事務処理の補助が必要となる場合には、複数の担当者に当たらせて二重のチェックを徹底するといったような考え方のもとで効率的な執行の徹底を図っている、こういうことでございます。

 今年度の予算につきましては、これは今現在でも節約できるところは節約するということも当然しているわけでございまして、そういう具体的な減額のあり方、そしてまた来年度の予算の要求方針、これはこの秋以降行うわけでございますけれども、そのころの予算要求、これをめどに具体的にその数字等を固めていきたい、このように思っているところです。

中沢委員 まだ具体的にそういう問題は質問をしておりませんから、また後でやりたいと思います。

 今言っているのはいわゆる精神論ですよ。政治家の心構え。ですから、その辺は、表現は違うにしても、それなりに官房長官ももちろんよく理解されて今までもやってきたし、私としては、やはり小泉内閣の官房長官としてさらにそのことをしっかりわきまえて、自分の職責の重要性、この改革の必要性をわきまえてやる、こういうふうに受けとめておきたいと思いますが、それでいいですか。

福田国務大臣 そのように思っております。

中沢委員 では、総論といいましょうか、精神論というか、心構えはそのぐらいにして、残念ながら、政党対策だとか国会議員のせんべつを出したかどうかは答えられないと。残念だと思うんですね。しかも、在任中のことですから。今新聞、テレビでもまだ依然として話題になっている塩川財務大臣の官房長官在任中のこと、忘れただとか勘違いだとか、こういう性格とは全く、今の在任中の問題ですから、事実はもう間違いなく全部長官は承知をされていると思うんですよ。されていると思いますが、答えるわけにはいかないと。これは残念ながらもう幾らやっても押し問答で終わると思います。

 しかし、人によっては、何で言えないんだろうか、正々堂々やっているのであれば、今私の質問をした二つについても、支出をしただとか支出をしていないだとか、こういう程度のことはどうして言えないんだろうかと。言えないということは、答弁できないということを隠れみのにして、こういう国民からあるいは私どもから批判が集中している問題についてほおかぶりをする、実際は支出をしているけれども、答弁できないということを隠れみのにして、くどいようですが、こういう事実を隠ぺいしているんじゃないか、そういう見方をされる人もいると思いますよ。私もその一人ですよ、率直に言って。そういうことがずっとこれからも続くということ自体は、私は、やはりだめだ、改革をしなければいけない、このように指摘をしておきたいと思います。これは恐らく同じような答弁しか返ってこないと思いますから。

 そこで、角度を変えまして、この報償費の支出については、それ以外にも、前に指摘いたしましたように、総理大臣あるいはその周辺の人方の俗に言うところの交際費的な、食糧費的な支出もかなり入っている、このように、単に推測だけではありませんが、十分そのことは間違いがないというふうに私は思います。

 ですから、例えば総理が外遊する際のお土産代だとか、あるいは海外から国賓を含めてさまざまなお客さんがお見えのそういう歓迎の費用だとか、あるいは総理大臣が主催をするあるいはそれに準ずるさまざまな国内行事、たくさんやられていますよ。そういう費用は本来、機密だとか報償費だとか、国民に全然明らかにしないという性格のものでは私はないと。

 長官、政党対策だとかあるいは国会議員のせんべつだとかということとやや線を引いてみると、今私の言ったこの三つは、俗に言うところの交際費、食糧費のたぐいだと思うんですよ。ほかの国の行政機関にしても、全国の都道府県、市町村にしても、その種の予算は持っているんですよ、金額は別にして。

 そうすると、そういうものは一般的に考えたって、恐らく長官だって心の中ではそうだなと思っているのかもしれませんよ。こういうものは、この際だから、機密費だとか報償費というああいう予算に入れないで、一般的に会計検査院の検査の対象にするようないわゆる行政費、事務費、そういうものに組み替えをしていく、こういうことについてはどのように考えていますか。

福田国務大臣 いろいろ使途にわたるお話でございますけれども、内政、外交を円滑に推進するというその目的で支出をする、そういうこと、大目的があるわけでありまして、そういう目的にかなわないものを報償費から出すのはよくない、こういうことであります。

中沢委員 もういつもの調子の答弁しか返ってこないのでいささかいら立っているんですが、そういうことでずっとこれからもやるのであれば、改革をやるという意欲は私にも具体的に伝わりませんよ。国民にも伝わらない。

 これは長官、非常に大事な問題ですよ。確かに、機密費、報償費、どうあっても国民には公表できない、こういう性格のものは私は全然ないとは考えません。これは、普通の政治家のレベルでいうと、そういうものは必ずあるだろう。しかし、それ以外に、国のほかの行政機関でも、あるいは全国のいわゆる公的な機関でも、俗に言うところの交際費だとか食糧費だとか事務費というのは、全部予算を持っているんですよ。そういうものとほとんど同じたぐいのものが官邸の十六億円の機密費、報償費の中にも相当程度あるのではないか。これは、この際だから、改革の具体的なテーマとして、具体的な検討課題として、別枠で、報償費、機密費の枠外に置いて、そして国民にしっかりと監視をしてもらう、あるいは会計検査院の検査も受ける、そういう仕組みに変える努力をどうしてできないんですか。改めて聞きます。

福田国務大臣 何度説明申し上げても同じことを言わざるを得ない。要するに、報償費の支出の中身を申し上げることはできないということでございますので、ですから、なかなか納得していただけない、こういう性格のものだというように思います。本当に一〇〇%納得していただくということになると、逐一使途をつまびらかにしなきゃいけない、これはいろいろと問題を生ずるというように考えているわけでございますので、内容についての説明は勘弁願いたい、こういうことでございます。

 この使途につきましては、毎年会計検査院の検査も受けておるわけでございますので、実行している私がそのような趣旨に照らして厳正にやっているというように申し上げていることと、そういうふうに外部的な検査も受けているということで御納得いただくしかないのじゃないかというふうに思っております。

中沢委員 今の答弁は、私の結論は、全く納得ができない。この問題でいうと、個々の支出先を言えというふうに私は言っていませんよ。全体として、国のほかの行政機関だってあるじゃないか、全国の都道府県、市町村だってそういう予算科目を持っているのじゃないか、それが国民から見てどうなっているのだかわからないねという疑惑はまだ非常に強いのですから、そういう疑惑を晴らす意味で、国民の期待にこたえる意味で、改革の一つのテーマとして、そういう内容について別枠でやったらどうだ、こういうふうに私は問題を出しているのですよ。それすらも同じような答弁なんですか。僕は、それでは、いよいよ国会も会期末を迎えてきていますよ、この後さまざまな政治的な闘いもあるわけですから、その程度では、改革という中身でいうと、率直に言って、国民はますます失望するのじゃないですか。

 そして、それに関連して、外務省は、私のところにも資料も内容も届いていますけれども、外務省なりの今までの努力の結果、例えば、外務省の報償費についてこういうふうに改革をします。内容は、率直に言って余り具体的なものはない。しかし、そういう検討をずっと重ねてきたという、その努力の跡はそれなりに評価すべきところは評価をすべきだと私は思うのですよ。

 もっと言うと、外務省の報償費の減額問題、最終的なここの文章の中では、目標やあるいは減額の具体的な金額等々は全く触れられていません。しかし、一時期、外務省の報償費、機密費、二割減額をめどに何とかやりたいのだ、こういうことが対外的にも、新聞、テレビの報道でも出されてまいりました。ということは、外務省は外務省なりにいろいろ検討して、今たまたま私が指摘をしたような、俗に言う食糧費あるいは交際費、その種のたぐいは別枠にしたらどうだという議論が恐らくあったのじゃないでしょうか。だから、二割程度の減額をしようじゃないかということの作業が私はずっと続いたと思いますよ。

 結論的に言えば、そこのところが全く数字としては除かれていますが、せめて長官、長官は、とにかく、使途は言えない、改革はやると。しかし、改革の中身でいうと、一切その輪郭すら明らかになっていない。だれが見たって、外務省から見たら一歩も二歩も官房長官の官邸の報償費問題の改革はおくれをとっている、こういうふうに客観的な事実としてみんな見るのじゃないですか。私もそう思いますよ。そんなことでいいのでしょうかということですよ。

 年度が始まって、四月、五月、六月、それぞれもう支出が続いていると思いますよ。ですから、具体的な質問として、外務省のそういう改革の動き、私は、これは全部、大した、立派なものだとは言いませんが、それなりの一定の評価もしなければいけない。それに比べて官房の機密費問題は、今のような答弁では全く納得できない。

 もっと言えば、それでは、年度内のどの程度の減額を目標にして具体的な改革をやろうとしているのか、具体的にそのことだけでも答弁してください。

福田国務大臣 外務省で改革案というものを取りまとめられました。これは外務省全体の総合的な改革案ということでもって、私は、大変いいものができたというように率直に評価をしたいと思っております。

 私どもの方の改革案がないじゃないか、こういうふうにおっしゃるけれども、私の方は、報償費の部分だけでございますので、組織も小さいところでございますので、外務省ほどの大げさなと言ってはいかぬかもしれませんけれども、大規模の検討という、その必要は私はまずないと思います。

 しかし、改革案、改革案とおっしゃいますけれども、私どもは、日々のこういう実務の執行に当たって、先生のおっしゃられるような趣旨も十分踏まえた上でやっておるわけでございます。それは、たびたび申し上げますように、厳正な執行に努める、そしてその趣旨に沿うものでなければいけない、こういうことでやっておるわけでございます。

 減額幅のお話がございました。外務省も今二割とおっしゃったけれども、そういう話があったということで新聞報道で知りましたけれども、実際にはそういうものは決まったという話は聞いておりません。私どもは、これは節約に努めるということで、結果的に減額できるかもしれぬというように思っておりますけれども、あらかじめ減額の具体的な目標枠を設定するということは、報償費の性格から、機動的に使用するという、そういう機動性というものになじまないというふうに考えておりますので、これは使わなきゃ残すという考え方でいくしかないというか、そうしなきゃいけない、こう思っております。

 この点は、今、何%とか何割とかいうようなことを申し上げられる段階ではない、このように御理解をいただきたいと思います。

中沢委員 本当に残念だと思いますね。官房長官としては、人柄かもしれませんが、やはりもっと官房の報償費、機密費問題については、改革をする決意はあるというのですから、その決意のもとに、例えば今の答弁でいうと、とにかく自然体で節約をして、減額できたら減額をするという程度の答弁なんですよ。

 僕は、それは違うと思いますよ。やはり自分のリーダーシップで、ことしの十六億の官房の報償費については、自然体じゃなくて、長官のリーダーシップでできるだけとにかく節減に努める、こういう具体的なあなた自身のスタンスがまず必要ですよ。そうしないと、一般的に自然体で節約をして、したがって年度末でどの程度節約できましたということと、一生懸命節約をしようという気持ちがあるかないかによって、全然違うのじゃないですか。

 ですから、くどいようだけれども、僕は、国民に向かって、長官のメッセージとして、官房の機密費も残念ながらまだまだ疑惑を浴びている、これは間違いがないのですから、そうすると、その解明に向かって長官も努力をする。外務省もこういうことでまとめた。したがって、自分の意思で、長官の責任と役割のその責任感でしっかりとそういう国民の期待にこたえる、積極的に減額に努める。私は、この際、あえて二割だとか三割だとか目標を言わなくてもいいと思いますよ。そういう積極性をぜひ我々にも伝えてほしい。国民にも伝えるべきだ。改めて聞きたい。

 それと、もう時間がありませんから、もう一つ。

 例の外務省と官房との報償費全体で約七十億ぐらい、そのうちの外務省の持ち分の二十億が官邸に上納されている。今度の外務省の報告を見る限りでは、全くそのことが触れられていない。しかし、一般的にはまだまだこれが暗やみの中に残念ながら存在をしている。改めて、上納ということは、本当に間違いなく、ないのですか。そのことも含めてお答えください。

福田国務大臣 最初の方の積極的にと、私、まさに委員おっしゃっているとおり、今やっておりますので、ぜひ期待をしていただきたいと思います。

 第二点は、これはもうたびたび答弁しているとおりでございます。

中沢委員 もう時間がありませんから最後にしたいと思いますが、決意のほどはそれなりに伝わってまいります。その決意が具体的な改革の中身として、みんながなるほどなと一〇〇%納得するかは別にして、そういうことでぜひひとつ、長官としてこれから職責をかけまして頑張ってやるべきだと改めて言っておきます。

 問題は、まだ時期としては早いかもしれませんが、平成十四年度の予算の編成時期がだんだん迫ってきていますね。経済財政諮問会議で今いろいろと大局的な立場で、トータルの問題も含めて議論をされている。従来どおりの予算の要求あるいは決定というシステムでいくのかどうかまだ定かではないと思いますが、しかし、いずれにしても、今の立場でいうと、十四年度の報償費について予算を要求する、こういう責任ある立場だと思うのですよ。私は、今十三年度の減額問題、少し触れましたけれども、私としては、十四年度の官房の報償費も最初からその延長線でぜひひとつ減額に努める、そういう努力をする、これをきょうひとつ明確にお答えいただけませんか。

福田国務大臣 来年度の官房報償費につきましては、今現在十三年度の実施をいたしております。それはもう繰り返します、もう本当に厳正に、また積極的に節約する、委員のお言葉をかりますとそういうことになるのでありますけれども、そういう気持ちでもって、今、実際に当たらせていただいております。その実行状況を見ながら十四年度の予算の要求をしてまいりたい、このように思っております。

中沢委員 終わります。ありがとうございました。

横路委員長 島聡君。

島委員 民主党の島聡でございます。

 今、中沢委員と福田官房長官の官房機密費についての議論を聞いておりました。福田官房長官、官房機密費でも何でも、秘密費もそうですが、こういう運用につきましては、極めていわゆる財政民主主義との間の緊張を持って運用をしていかなくてはいけない問題なわけであります。その緊張感というのが余り私は感じられません。国家の予算、税金は、本来ならこれはきちんと公開をされなくてはいけないものでありますが、それが、いろいろな意味で国家の運用のために必要であるということで機密費という形をとっている。それを当然と思ってはいけないのでありまして、常に財政民主主義の観点、そういうものからきちんと緊張感を持って運用をされていかなくてはいけないというふうに思うわけであります。

 特に、上納問題についてきちんとしないと、今、外務省の混乱というのは目に余るものがあると私は思っております。特に、田中外務大臣がこのところ、何か外務省の官僚がリークをするからけしからぬみたいな論調を言っていますけれども、あれはとんでもない話で、そもそも、外務大臣が外務省の総責任者なんですから、リークされたらまず謝るのが筋であって、何か、私は悪くない、リークするのが悪いんだみたいな発想をしていることは全くよくないと私は思っています。

 それで、その後の人事がどうなるか知りませんけれども、いろいろなところで外務大臣更迭論も出ている。私はもうこれは本当にやめてもらうべきだと思っていますが、例えばこの上納問題をきちんとせずに、いろいろなちまたのうわさでは、何かその後任にはだれが彼がと、もう議論が出ていますけれども、例えば福田官房長官がその後任になるようなことがあった場合に、上納問題をうやむやにして外務大臣になったら、何か上納問題をうやむやにするために外務大臣になったというふうにとられるかもしれない。絶対それは私は許すわけにはいかないと思うのです。

 したがって、まずきちんとそのことを申し上げていきたいと思うわけでありますが、繰り返しになりますが、私たちは、きちんと、官房機密費の記録が今残ってはいないわけですが、官房機密費の使途の記録を残して、十年から二十五年かけたら公表するという官房機密費公表法案というのを今用意しております。間もなく議員立法として提出します。

 再び聞きますが、官房機密費、上納問題も含めて、きちんと官房の方の改革を具体的に実行していくという気持ちはないのですか。

福田国務大臣 改革というのは、いろいろな角度からの改革というのはあるのだろうと思うのですね。ですから、それは私どもも、今のままでよろしいかどうか、今までのことでよかったのかどうかというような反省も込めて、いろいろな改革はしておるつもりでございます。そういうことを総合して改革というのではなかろうかと思います。

 しかし、報償費というのは、そもそもの趣旨というものがありまして、その目的を達成するためにあるものでございますから、その趣旨に照らして私どもも実施している。しかし、そのやり方についてはいろいろ考えなければいけない。それをここで申し上げる、中身を申し上げるということはなかなか難しい性格のものであるということはおわかりいただけるのではなかろうか、こう思っておりますので、気持ちはそういうことで、実際にそれも行っているというように御理解いただきたいと思います。

島委員 とにかく、今、外交、福田官房長官はずっと外務委員会もやられて外交にお詳しい。今この状況が極めて憂慮すべき事態であるということは多分共通認識だと思いますので、そういうことを含めて、この上納問題、きちんと整理されないといけないと私は思います。

 それで、今、改革と言われました。いろいろな改革が小泉政権になって出されました。前と違いまして、何か福田官房長官の色つやがいいような気がします。前の官房長官のときにこうやって議論しておりましても、何か色つやがいいなとふだんから思っておるのですが。

 ただ、きのうから見ていますと、小泉改革、経済財政諮問会議の議論がいろいろ出ていて、経済財政諮問会議の議事録要旨を見ていますと、きょう竹中さんがおられないのは残念なのですが、それの骨太の方針に対していろいろな意見が出ていて、そしてまたきのうも幾つかのところで小泉総理の改革に異論が出ている。

 私は、小泉総理のやり方というのは、いわゆるトップダウンでやっていく、これにつきましては、今回の内閣法の改正の趣旨に従って、線に沿っているからいいと思うのですよ。内閣総理大臣が、憲法にあるように、内閣の首長たる立場においてやっていく、閣議にあって、自己の国政に関する基本方針を出して、そしてきちんとそれに基づいてやっていく、これは新しい政治のスタイルで、これは望ましいと思うのです。これをやっていくべきだと私は思っています。

 特に、内閣法の四条二項に首相の発議権というのがふえました。「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。 この場合において、内閣総理大臣は、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる。」とあります。今までは、いわゆる事務次官会議を通らなかったら閣議のテーマにのらなかった。そうすると、今回の道路特定財源も地方交付税の改革ものるわけないです。経済財政諮問会議の議事録要旨を見てもそうだし、今回驚いたのは、経済財政諮問会議の資料に、ここを直してくれ、そういう要請があったところまで出ていた。今まではこれは通るわけなかった。

 だから、首相発議権について聞きますが、「内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる。」とありますが、これに対してどこまでできるのかということが明文に規定されていません。明文規定されていませんから、例えば、小泉総理がおっしゃっている、道路特定財源を一般財源化するというのも、これが財政の大きな抱負の最初のスタートだ。郵政民営化というのも最初の行政へのスタートだとおっしゃっている。さらに言えば、一票の格差是正も重要だと党首討論でもはっきり言っている。そうしたら、こういうものも完全に、首相発議権を用いれば、閣議に出して、そしてトップダウンで運営できると私は考えますが、どうですか。

福田国務大臣 おっしゃられます発議権、これは、内閣の重要政策に関する基本的な方針に該当するかどうか、その内容いかんでもってこれを内閣総理大臣がみずから発議するかどうかということを判断する、こういうことになるわけですね。ですから、そのように重大なものである、例えば経済財政諮問会議のこの方針を発議するかどうかということは、総理大臣がまさにお決めになることであるということでございます。

島委員 ということは、重要かどうかは総理大臣が決めるのだから、総理がそうだと思えばこれは発議できる、そういう解釈でよろしいですか。

福田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

島委員 極めて明快にお答えいただきました。

 そうすると、総理が発議しなかったということは、重要だと思っていないということになるし、それを使えればできるわけでありますから、ぜひとも発議権を使って実行していっていただきたいと思う次第であります。

 もう一つお聞きします。

 首相の発議権を用いて閣議に出る。ところが、閣議が全会一致の方式であると言われています。憲法六十六条、内閣は国会に対し連帯して責任を負う、内閣法一条二項、内閣は、行政権について、全国民を代表する議員から成る国会に対し連帯して責任を負うとあるわけであります。これがいわゆる全会一致の根拠だと言われている。そうしたら、一緒なんですね、首相発議権でこれをやっても、だれか一人閣僚が反対したら。もちろん、閣僚を罷免することはできますからやれるわけですけれども、そこまで荒わざをやるかというと、問題がある。

 だから、私は申し上げたいのですが、これは平成九年九月三日に出た行革会議の中間報告でありますが、「内閣機能の強化」で、「閣議の議決方法については、本来、内閣自らが定めるものである。」私もそう思います。イギリスでは、例えば内閣がつくられたときに、サッチャーでもブレアでもそうですが、私の内閣はこういう方針でやるということを言うのです。あそこは慣習法的な国でありますから。

 日本国憲法の解釈ですが、私は、これは必要とあれば多数決制の採用もできると思います。日本国憲法は、転変する政治状況の中で内閣が機敏かつ実効的な意思決定ができるよう、閣議の議事手続等については、基本的に内閣自身の意思にゆだねていると思いますし、連帯してというのは、内閣が全会一致ですぐ決めるというのではなくて、多数決原理をして多数決で決定した後は、各大臣が、反対者も含め一致してその場決議を守って実行していく、これが連帯責任の意味であると私は思っています。

 だから、小泉内閣ではぜひとも、本当に改革を断行するのだったら多数決の方法の採用も考慮すべきだと思いますが、いかがですか。

福田国務大臣 憲法において国会に対して連帯して責任を負う、こういうことになっております。これは、内閣の構成員すべてが一体として統一的な行動をとることが要請されている、こういう意味だというふうに考えておりますので、結果として、最終的に内閣としての結論というのは一つである、それは総理大臣が決めた方針である、こういうことになるだろうと思います。

 そのプロセスの話で、まあいろいろあるでしょう、では御意見を伺いましょうというようなときに、個々に発言をする、そしてその結果、何対何ですねなんという話もあるかもしれぬけれども、しかし、もし反対する閣僚がいたときには、その閣僚を説得するということは必要なのではないかと思います。そして、その結果、内閣全員一致してその発議に従う、こういうように解釈すべきでないかと思います。

島委員 今質問にお答えになっていないので聞きたいのですが、説得をします。説得をしても聞かない場合がある。罷免することもできますけれども、多数決制の原理を導入してもそれは問題ないとお考えですか、どうですか。

福田国務大臣 今申しました憲法上の解釈ということになりますと、やはり全員一致ということではないかと思っております。

島委員 ということは、小泉内閣の場合は、憲法上の解釈は全員一致じゃないとだめだというふうに、解釈を変更していない、しないということですね。

 申し上げておきますが、行革会議の中間報告にも出ていますから、これはぜひ検討してみてください。検討するかどうかだけ聞かせてください。

福田国務大臣 行革会議のそういう内容もあるようでございますけれども、政府の立場ということになりますと、やはり全会一致ということで考えております。

島委員 当時の座長が橋本さんですから、何とかなるかもしれませんから、頑張ってやってみてください。橋本派ですから、もと。

 ちょっともとに戻ります。済みません、ちょっと聞き忘れたので。

 先ほど、内閣法四条二項に「その他の案件を発議することができる。」とあるのです。「その他の案件」というのは、例えば外交政策や安全保障政策とかいうのも全部入ると考えてよろしいですか。

福田国務大臣 この内閣法四条二項の「その他の案件」に外交案件が含まれるかどうかということは、その内容いかんによるということでございまして、それを内閣総理大臣がみずから発議するかどうかはその時々の総理大臣の判断にゆだねられる、こういうことであります。

島委員 ということは、総理大臣の判断があれば外交案件も入るということでよろしいですね。今、うんと言われましたから、よろしいということでしょう。

 極めていろいろなことができると思いますから、しっかりとやっていただきたいと思う次第でございます。

 今申し上げていますのは、残念でした、多数決もやった方がいいと思います。説得しても説得し切れない、罷免よりは多分いいと思いますので、ぜひ検討されるべきだということを改めて申し上げます。

 もう一つ、どうも今の小泉内閣が一番危なっかしいと言われているのは、議院内閣制において与党の支持がきちんとないことであります。議院内閣制のもとでは、政党政治が当然根幹をなしているわけですから、内閣と与党が一体であるのは当然なんだけれども、何か与党が全然支えていないというような感じがしているわけであります。

 問題は、内閣が国会に法案を提出する権限を持っている、それは内閣法五条にもあるからいいと思いますが、実際には与党が事前に党内調整を行うということなんですね。だから、この内閣委員会でも、与党の質疑者は大変なんですよ。細かい調整までやっていて、質問するというとなかなか質問されない、質問することもないみたいな感じで、かえって困っておられる。国会審議形骸化というのは、与党の事前審査にあるのです。それで、修正案を出しても、今与党の事前審査があって通っているから修正をするわけにいかないという話になって、全く形骸化しています。

 国会の活性化のためにも申し上げますし、例えば今回の道路特定財源の問題については、ある方がおっしゃっていますが、こんなもの、自民党の総務会八割が反対だから通るわけないと言っているわけですね。この与党事前承認の慣行というのは一体いつからあるのかと調べてみました。特に総務会。総務会が自民党全会一致だという話でありました。調べてみましたら、昭和三十七年二月二十三日に、「総務会の法案審議について」というのが官房長官に出ているのです。自由民主党総務会長赤城宗徳さん。私、三十三年生まれですから、四歳のときであります。

 「法案審議について」で、「一月二十三日の総務会に於て法案審議に関し下記の通り再確認致したので御了承を願い度い。」と自民党総務会長から出ています。「各法案提出の場合は閣議決定に先だつて総務会に御連絡を願い度い。」どうしてこういうことができるのかわかりませんが、「尚政府提出の各法案については総務会に於て修正することもあり得るにつき御了承を願い度い。」という文書があって、それからそうなっているんだそうであります。

 こういう拘束力の強さは、同じ議院内閣制をとるほかの国を見ましても例がありません。私は、本当に改革を断行しようとするならば、これは慣習だと思いますから、内閣官房長官に来ているんだから、これに対して見解でも出されて、この慣行の廃止をすると与党に通告し、内閣の責任において新しい行政需要に対応した政策を迅速に遂行するというような方法でやって、初めて改革というのは実行できるんですよ。改革をやる、やると熱意だけ言って、こうやって手ぶり身ぶりでやっているけれども、実際聞いてみると本当に作戦がないんですよ、戦略、戦術レベルの具体的なことが。急転直下あるでしょう、総務会は八割反対だと言っている、道路特定財源の一般財源化について。我々も大変な議論があったけれども、民主党の方はきちんとまとめていきました。それを本当にクリアする具体的なことを考えるために私は申し上げた。発議権を使ったらどうか、閣議を多数決制とったらどうか。

 最後に、与党との関係が一番大変だと思いますが、「総務会の法案審議について」という官房長官に出してあるこの取り扱い、ぜひとも、これは慣習だからこの慣行は廃止する、そういう旨、通告されたらどうですか。

福田国務大臣 四十年前に出された文書を取り上げられたわけでございますけれども、私は、基本的には、議院内閣制という制度を採用している我が国において政府と与党が一体となって政策決定を進めていくということは、これは当然のことでございます。ですから、国会において審議をお願いするというような法律案がございますと、政府としての意思決定をするに当たって、それが同時なのか前なのか、いずれにしても、あらかじめ与党と調整した方がスムーズにいくということであれば、そういうことをした方がいいんじゃないかというように私は思っております。

 何か与党の方に回しますと、趣旨がゆがめられておかしくなってしまうとかいうようなことを御心配してくだすっているんじゃないか、こう思いますけれども、そういうようにならないように十分な連絡をとる。何も総務会だけでない、いろいろな部会とかございますけれども、そういうところの議論も大いに参考にする、そして間違いない法案を提出したい、そういうことでよりよいものをつくるための手続である、こういうふうにお考えいただきたいと思います。その方向で努力をしてまいりたいと思います。

島委員 本日申し上げて、すぐに、はい、そうしますという答弁が返ってくるとは思っていませんが、こういう手法がある。私たち民主党の方で政権運営委員会というのをつくっていまして、要するに、我々が政権をとったときにどのようにしていくかということを研究した過程において出てきたやり方なんです。竹中大臣が、新しいビジネスモデルで政治も実行しなくちゃいけない、そうしなければ改革ができないという話でございますので、新しいビジネスモデルを提示しましたから、いざというときにぜひ使っていただきたいというふうに思う次第でございます。

 次に、村井国家公安委員長にお越しいただいております。遅くなりましたが、大臣御就任おめでとうございます。前党のときにはいろいろとお世話になったこともございますので、改めて申し上げます。

 前回の委員会のときに、不正アクセス防止法と刑法との関係について質問を申し上げました。そのときにも使った同じカードをお見せしますと言いたいんですが、これは同じカードじゃないんです。実は、私があるときこのカードを持っていたんですが、急遽電話がかかってきまして、島さんのカードが偽造され、そして使われている可能性があると言われたんです。電話を受けたんですが、そのときにはっと財布を見ましたら、カードがそこにありました。前の不正アクセス防止法のときの質問は、クレジットカードが盗まれたら刑法ですよね。ところが、不正アクセスでパスワードとかそれだけ盗まれたら、不正アクセス防止法じゃどうも違うんじゃないか、どうも不正アクセス防止法の方が軽いんじゃないかという質問をしたわけですが、今回は実は私は情報だけ盗まれまして、スキミングでやられたそうでありますが、カードが偽造されていて、私自身、盗まれたこともわかっていないんです、ここに持っているから。ここに持っていたんです。電話で、ここで見ながらカード番号を話しているわけです、持っていて。盗まれていることもわかっていないんです。つまり、これは情報だけ盗まれたら偽造ができてしまうわけです。物はここにある。

 聞くところによると、何か村井公安委員長も同じ被害に遭ったというお話でございますが、これは不思議なことです。そのときに聞いたんです、これはすぐ被害届はどこへ出すんだと。そうしたら、被害届というのは、これが使われて何か物が動いたときに使った人間とお店の方とに詐欺罪は発生するけれども、何か私の今の場合は被害届も出せないみたいなことを言われておりました。

 こういうような状況は非常に不思議だと思うわけでありますが、どのように対策を立てるお考えですか。

村井国務大臣 島委員、大変よく御理解の上でのお尋ねでございますけれども、私自身も実は全く心当たりのない状況の中で自分のカード情報を他人にとられたようでございまして、カード会社からの連絡で、あなたはこういうところでこういう買い物をしたかという問い合わせがございまして、全く心当たりのないことでございましたし、私が使っていますカードの通常使う範囲と全く違うところでございましただけに、カード会社の方で不審に思ったのでございましょう、問い合わせをしてまいりました。そんなことで、未然に私自身は何の被害もなく終わったわけでございますけれども、そういう犯罪があることも承知をいたしております。

 今お尋ねのクレジットカードに記録されている磁気情報を盗み取る行為そのもの、これはどうかというお尋ねでございますが、これは確かに処罰の対象にはなっておりませんから、したがいまして、それだけでは犯罪の被害届の対象にはならないというふうにお答えせざるを得ないわけでございます。

 ただ、こういう時代でございまして、カードは大変いろいろな形で通常の生活の中で使われているわけでございますし、また、そういう事犯がいろいろ出てきていることも私どもよく承知しております。それで、カード犯罪の現状を踏まえまして、今国会におきまして、磁気情報を含む偽造カードの作成、それから所持、それからスキミング行為等を処罰の対象とする刑法の一部改正法案が今提案されて御審議をちょうだいしている。たしか参議院先議で、衆議院はまだつるされているのではないかと思いますが、他委員会の話でございますが、一刻も早くひとつ御審議いただけましたら、私どもとしましては対応ができる環境が整うのではないか、こんなふうに考えているところでございます。

島委員 事前に、警察が認知しているクレジットカード犯罪の件数及び被害額並びに検挙件数の推移というのをいただきました。被害額が五億八千五百十八万円というふうに私のところでは見ております。

 ただ、ちょっとクレジットカード会社に聞きましたら、そういう形で、スキミングで、保険という形で払われているのが百数十億あるというようなことも聞きました。ということは、その差額というのがいわゆる犯罪組織の方に行っているわけでございますので、これは十分に対応をしていっていただきたいという希望を申し上げておきたいと思います。よろしくお願いします。

 官房長官にお尋ねします。

 前回、いわゆる皇室典範の問題についてお聞きをしました。きょうお聞きさせていただくのは、まず第一問、皇統というものに関するものでございますが、皇室典範の第一条で、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」というふうにあります。質問は、皇室典範第一条に言う「皇統」というのは、男系であり、女系であり、それは含むという解釈でいいのかということでございます。

 皇室典範、いろいろと調べてみました。明治憲法の前に皇室制規というのがあります。そのときは女帝、女系帝を認めていたわけでありますが、猛烈な反対論を展開したのが、井上毅という官僚だったようであります。井上は「謹具意見」という伊藤あての意見書の中で、「女帝の夫が源という姓なら、生まれくる子は源の家の子であり、天皇家の人間ではない。だから、女系には皇位継承は認められない」ということを発言しております。

 これは、読みようによっては、女帝の子は女帝の夫の姓を継ぐものでありますから、皇統が他に移ってしまう、そういう判断になってくるわけであります。これはちょっと、非常に無理な感覚だと思いますので、皇統とは男系と女系を含むという解釈でいいのかどうか、お尋ねいたします。

福田国務大臣 皇室典範一条が定める「皇統」とは、天皇に連なる血統のことであり、男系及び女系の両方の系統を含むものと考えるということです。

島委員 それから、福田国務大臣に、憲法を改正しなくても皇室典範の改正はできますねとお聞きしたところ、大丈夫ですとおっしゃったわけでありますが、これを確認します。

 いわゆる、かつての加藤紘一官房長官の時代にこういう答弁をしています。憲法第二条は、皇統に属する男系の男子が皇位を継承するという伝統を背景として制定されたものなので、二条は皇位継承者を男系の男子に限るという制度を許容していると考える。これは、憲法違反じゃないかということに対してどうかということについての答弁ですから、そのままでいいと思うのですが、世襲は伝統である、伝統というのは男系男子の継承である、憲法上の世襲には男系男子の継承が読み込まれているということであるという解釈をしている学者その他もたくさんございます。

 だから、本当にやるなら憲法二条の改正が必要という意見もありますし、素直に加藤さんの答弁を見ますと、どうもそのように読めないこともない。だから、福田大臣が憲法の規定の範囲で変更できるだろうとおっしゃったということは、今までのいわゆる憲法解釈が変わったというふうにとらえていいわけでしょうか。

福田国務大臣 憲法第二条ですね。これは、皇位を世襲であることのみを定めて、それ以外の皇位継承にかかわる事柄については、すべて法律である皇室典範に譲っているところである。女性の天皇を可能にするために憲法を改正する必要はないということは、これは前にも申し上げたと思うのです。

 ただいま御指摘の加藤内閣官房長官の答弁、皇室典範において皇位継承者を男系の男子に限っていることが、法のもとの平等を保障した憲法十四条との関係で問題を生じるものではないということを加藤官房長官の答弁では述べているものでございまして、皇位継承者を男系の男子に限ることが憲法上の要請である旨を加藤官房長官がお答えしたものではないということですね。加藤官房長官は憲法上の要請である旨をお答えしたものではないということで私は承知をいたしております。

島委員 加藤官房長官の話、要するに今、そういうものではない、そういうことでよろしいですね。憲法解釈の変更でもないと。(福田国務大臣「違います」と呼ぶ)違いますね。わかりました。

 では、最後にお尋ねしますが、この皇室典範の問題については、小泉総理の女性の天皇陛下でもいいんじゃないかというような発言から出てきたというか、もちろん、その前に山崎幹事長もおっしゃってございますけれども、いろいろな議題になってきたことというふうに考えております。

 小泉内閣におきまして、皇室典範の改正について、小泉総理もそうおっしゃっているわけですから、取り組むお考えがあるかどうかについてお尋ねしたいと思います。

福田国務大臣 皇室典範と申しますか、皇位継承制度の問題ですね。これは、皇室の歴史とか伝統、また国民の皇室に対する気持ちというようないろいろな背景があって現在の形になっているということでございますので、この典範の改正ということは、幅広い観点から時間をかけて慎重に対応すべき問題であるというように思っております。当面は、いろいろな御意見等がございますので、そういう御意見、また議論の推移を見守っていきたいというように思っております。

島委員 ということは、当面はやらない、そういう話ですか。

福田国務大臣 やるかやらないかの前に、いろいろと議論をしていかなければいけないと思っております。

島委員 小泉内閣もいろいろな改革をどんどん打ち上げられています。問題は、本当にこれを実行できるかどうかという話になってきていると私は思っています。

 前回の党首討論でも、一票の格差問題をやります、そして道路特定財源の一般化もやりますと言われた。きのう、地方交付税の問題について、全国市長会の多くの議論が出ているようであります。ハンセン病の控訴断念のように、いろいろな深謀遠慮、さらにある意味の戦略レベルも考えてやっておられるのかもしれませんから、それはあえて申し上げることじゃありませんが、本当にやるためには、政治というのはシステムですから、システムをきちんと研究していただいて、それでやっていかないと、単に熱意だけで終わってしまうのです。

 熱意だけだったらだれでもやれるわけでありまして、言うだけだったら、俎上にのせるだけですごい進歩だなんて、とんでもない話だと私は思っています。俎上にのせて、それをどう実行していくかが一番のポイントであって、それを実行していくために知恵を出すのが内閣府であり、それを実践させるのが官房であり、そしてそれをきちんとしたレールに乗せるのが官房長官の仕事だと思っていますので、実際的な、現実的な方法論を考えられて、きょう私が申し上げた三点は、首相発議権を使ったらどうですか、それから閣議の多数決原理というのも導入されたらどうですか、ぜひとも、憲法解釈がそうだというふうに言わずに、これは検討していきたいと私は思っています。

 それから、最後、もうぎりぎりまで来たら、本当に総務会の問題について、議院内閣制で政府・与党一体というのは当然でありますから、これは現実問題としてかなり厳しいと思いますから、それもぜひ検討して、きちんと実行していただくことをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

横路委員長 大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏であります。

 私は、原子力の安全というものを中心としながら、原子力政策全体についてもいろいろとお伺いをさせていただきたいと思います。

 尾身大臣、大変御苦労さまでございます。いろいろと各方面にわたって御活躍でありますが、尾身大臣におかれましては、原子力安全委員会と原子力委員会というものを所轄されておられますが、原子力の安全問題については、ここのところが大変重要なポジションだと思います。

 私自身も省庁の改編問題につきましてはいろいろと勉強させていただきました。原子力安全委員会と原子力委員会という二つの委員会、この委員会は、何となく、両方聞くとどっちがどっちなのかという感じもするのですが、原子力安全委員会の方はどちらかというと規制委員会、原子力委員会の方は推進委員会、こういうことになっておりまして、その目的が非常に異なるものが本当に同じところにあっていいのかという、そんな論議もあったところでありますが、残念ながら、いろいろと国民の皆さんの原子力に対する安全性に関しての信頼というものが非常に今落ちてきてしまっておりまして、これは事実なのだろうと思うのです。そういうふうな状況に至ってきていまして、原子力政策そのものが何となく揺らいでいるというのも実態だろうと思うのです。

 振り返ってみますと、原子力が非常に脚光を浴び始めましたのは、皆様方御存じのとおりオイルショックというものがございました。第一次オイルショックが一九七四年、第二次オイルショックが一九八〇年ころだと思いましたけれども、そういうものをきっかけとして原子力政策というものが非常に注目をされ、期待もされました。現実問題、原子力というものが、いわゆるオイルショック以降、日本のエネルギーの供給という意味で大変大きな役割を担ったことは御存じのとおりでございます。

 そういう形で推移をしてきたのですが、ここのところ、幾つか情報が入ってくるのを見ますと、余りいい情報が来ない。特に、私自身非常にショックを受けましたけれども、MOX燃料の利用をめぐる住民投票というのが新潟県で行われまして、この結果がMOX燃料の使用に対しては非常に否定的な意見が多くなったということでございました。この問題はいろいろなものが積み重なってきてしまったのだと思うのですね。

 なぜこうなってしまったのだろうかということを考えますと、原因というものは一つだけではないのでありますけれども、ここら辺、原子力安全委員会、そして原子力委員会というものを管轄されています尾身大臣とされましては、この状況に対してどのような感じといいますか、感想をお持ちなのか、最初にお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 新潟県の刈羽村の住民投票におきまして、いわゆるプルサーマルについての賛成が少なかったということについて、私ども大変残念な結果だというふうに考えております。それにもかかわらずといいますか、私どもとしては、原子力政策を進めていくことが、資源が乏しい、特に石油についての依存度が一〇〇%近く輸入依存度になっているという現状を考えれば、エネルギーの安定供給という点からも原子力を進めていかなければならない。それから、公害対策、CO2の関係等から見ても原子力発電を推進していかなければならないという中で、まだ我々の考え方を御理解いただけなかったことは大変残念だと思っております。

 残念だと思っておりますと同時に、やはり我々が安全性やそれから必要性について説明を十分してきたかというふうに、私は投票の前にも非常に心配しておりましたが、今思いますとやはりまだまだ努力が足らなかったという思いでございまして、これからも安全の確保に絶対に間違いのないようにしていく。それから同時に、プルサーマルという、ウラン238をプルトニウムにして、その形でまた活用するということが原子力政策にとって非常に大事だ、別の言い方をすれば核燃料サイクルの確立ということが原子力が本当の意味で実用化するための基本的な条件である、そういうふうに考えているわけでございまして、今後とも不断の努力を続け、その必要性また安全性についてのPRをし、同時に安全性については、PRということだけではなしに、どんなことがあっても事故を起こさないというかたい決意を持って対応していきたいと考えている次第でございます。

大畠委員 きょうは古屋経済産業副大臣にもおいでいただいております。今尾身大臣からもお話がございましたけれども、考えてみますと、原子力関係者というのは非常に一生懸命安全性の確立とか何かには全力を尽くしてきたのですよね。全力を尽くしてきたのですが、スタートのころは、イギリスの燃料加工会社のいろいろな経緯から手抜きの検査があったということで、これが一つの不信のスタートになってしまって、そこら辺からおかしくなってきたのです。

 それから、考えてみると、刈羽村の件については、例のラピカといいましたか、そこで十二万ぐらいの畳が実際は五千とか一万円ぐらいの畳になってしまった。こういうことも非常に住民にとっては不信感につながってしまっているのですね。

 どうもここら辺が積もり積もって、私自身、テレビ報道を見ていまして、一つの非常に衝撃を受けた映像があったのです。ある方がこの問題について説明に行こうとしたら、入り口のところで、奥から出てきたお父さんが、だめだめ、またうそつくのだから、こういうふうな話で追い返されてしまったのですね。なぜああなってしまったのか。要するに不信感なのですね。

 ですから、確かに原子力というものは非常にたくさんの技術で成り立っているものですから、一概にこれがこうで安全なのですと言ってもなかなかおわかりいただけないのですが、一番わかりやすいのは、さっき言った畳なんかを含めて、うまくごまかしているということが何か全体の不信につながってきてしまって、私は、ここら辺、要するに原子力政策をだれが責任を持ってタクトを振るっているのかというのがよくわからない。

 科学技術庁というのがありましたけれども、これが今文部科学省の方に移ってしまって、技術開発の方は遠山大臣が所管しますね。それから、安全委員会と原子力委員会の方は尾身大臣、そして商業炉関係は経済産業大臣というのですが、では、トータルした原子力の政策の責任者はだれなのかというところがよくわからないわけですよ。

 だから、今回も住民投票の結果、尾身大臣からお話ありましたが、では、日本ではトータルとした原子力政策の責任者というのはだれなのだろうか。ここら辺、副大臣にお伺いするのはあれでありますが、経済産業省あたりももうちょっとしっかりとした姿勢を示すことが必要だと思うのです。副大臣、いかがですか。

古屋副大臣 お答えさせていただく前に、まず冒頭、大畠委員におかれましては、原子力政策並びに一連のエネルギー政策に対しまして大変深い御理解と造詣をお持ちであるということに対して、心から敬意を表したいと思っております。昨年一緒に視察をさせていただいたときも、その造詣の深さというものを認識させていただきました。

 今御質問のあったことでございますけれども、やはりこの一連の、例えばMOX燃料の改ざん事件が発生したりとか、あるいは委員御地元のジェー・シー・オーの臨界事故が発生したりとか、あるいは先ほども御指摘のありました電源特会の交付金を活用した生涯学習センターのラピカの事件で、これはもう原子力政策とは基本的に全く違う次元、違う分野の話で不信感を抱いてしまっている。私ども、これは非常に残念に思っております。そういうことが複合的に作用した結果、今回の刈羽村のいわゆる住民投票がああいう形になってしまったというふうに思っております。

 しかし、住民投票がこういう形にはなりましたけれども、委員御指摘のように、このプルサーマル計画というのは、我が国の核燃料サイクルの重要な柱を占めているということについては全く変わりがございませんで、やはりこの投票結果について、いろいろな要因がありますけれども、今申し上げましたように、例えば原子力に対する漠然たる不安であるとか、あるいは一生懸命国も責任を持って説明をしてきたけれども、それが不十分であったとか、いろいろな要因があったと思います。今後はこういうことがしっかりと住民に正しく理解していただけるように、政府はもちろんのこと、やはり電力事業者に対してもしっかり働きかけをしていく、こういう必要があると思います。

 その一環として、過日、プルサーマル連絡協議会を設立させていただきました。これは、古川事務の官房副長官がキャップで、関係省庁の局長クラスで構成をされております。六月五日に第一回が開会をされましたけれども、地元の取り組みへの理解を深めていくこと、あるいは、各省庁がしっかり綿密な連携をとって、そして今後のこのプルサーマル計画が着実な推進に向けて取り組んでいけるよう、この組織等を通じまして全力で努力をしていきたい、このように思っている次第でございます。

大畠委員 今の古屋副大臣からもお話がありましたが、政府内部でも、要するに、原子力政策の責任というのはどうなんだ、だれが責任を持ってやるんだ、もうちょっと全体的に整理してもらうことが必要じゃないかと私は思うんですね。分担になっちゃって、結局だれも責任者が出てこないんですね。原子力政策の責任者は私ですという人がどうも見当たらないんですよ、分散しちゃって。ここら辺は、ぜひ政府内部でも責任ある体制が組めるように再検討いただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 続きまして、先ほども古屋副大臣からもお話がありましたが、ジェー・シー・オーの事故で大変東海村の住民が被害に遭いまして、とうとい命も、お二人の方が亡くなられたという事故が起こりました。そういう問題も含めて、これは尾身大臣にも一生懸命頑張っていただかなきゃならないんですが、その中で、きょうは文部科学大臣政務官、水島さんが来ておられますが、サイクル機構内の高レベル液体廃棄物というのはどうするのか。これは、何回聞いても多分明確な答えは出てこないと思うんですが、注意を喚起するために私は質問するんですよ。これは今後どうするのか。大体、計画はできましたか。

水島大臣政務官 先ほど尾身大臣からもおっしゃいましたように、環境にしろ、安全性、経済性、そういうことを考えても、やはり原子力エネルギーを文部科学省としても推進する……(大畠委員「液体廃棄物の処理計画はできているのかどうか」と呼ぶ)これだけでよろしゅうございますか。

 これは、最終的には、御存じのように、地下にステンレス、鉛、それからコンクリートということで埋めるんですけれども、その前段階としましては、ステンレスの水槽に、まず安全性のところにしばらく置きまして、それから、その次がガラス固化をする……(大畠委員「理屈じゃなくて、具体的な処理計画をお聞きしているんです」と呼ぶ)処理計画は、ですから、最初は……(大畠委員「四百八十立米ぐらいあるでしょう、液体廃棄物が。それをどうするのか」と呼ぶ)そういう順番でやっていくということのお答えじゃだめですか。(大畠委員「だめですよ」と呼ぶ)

横路委員長 委員長の許可を得てから発言してください。

大畠委員 仕組みじゃなくて、実際にある高レベル液体廃棄物を何年間にこういう形でやって、どこどこにそのガラス固化体は保管しますとか、その計画が全然見えないんですよ。その話なんです。

水島大臣政務官 方法はそうでございますけれども、一応、十三年度以降、当面は約四十トン、毎年四十トンを四十本のガラス固化で処理していくという方法でございます。

大畠委員 毎年四十トンぐらい処理できますか。ガラス固化体、できましたか、今。

水島大臣政務官 私も事務局から聞いた話でございますけれども、できるという話でございます。

大畠委員 それは、処理した後はどこに保管する予定ですか。

水島大臣政務官 ガラス固化技術開発施設、TVFと言っておりますけれども、そこにおいて安定な形で固化して、同施設への保管を進めているところでございます。

大畠委員 今ちょっとお話がありましたが、そこら辺が非常にまだ明確じゃないところでありまして、住民の方のさまざまな原子力に対する不安感、不信感というものを払拭するためには、そういうものを一つ一つ、不透明なもの、不明確なものを明確にしていくことが、最終的には信頼を得ることになると思うんですね。

 だから、これは古屋経済産業副大臣とは所掌が違うのかもしれませんが、所掌なんかどうでもいいですから、原子力全体の国民の信頼を得るために、文部科学省なんかともよく調整しながら、この問題についてはぜひ古屋さんの方でも関心を持っていただきたい。それで、この高レベル液体廃棄物については、こういう形で処理し、こうやって最終的にはここに置くんですよという全体計画を早くまとめてもらうように要望しておきたいと思います。

 続きまして、原子力の安全対策ということでありますが、アジアの原子力発電所等々に対しても、日本としても関心を持っていかなければならないと思っております。日本の原子力の安全性だけ確保しても、アジアの原子力が何か万が一大きな事故があった場合には、もうもろに日本も被害を受けるわけでありますから、ここら辺、日本としてはどういう形でアジア全体の原子力に対する安全性の確立に努めているのかということを尾身大臣にお伺いしたいと思います。

尾身国務大臣 現在、アジアの各国におきましても、例えば韓国、中国、台湾など、原子力の発電施設が今動いているという状況でございます。これについての安全確保というのはもちろん極めて大事でございまして、私ども、日本の安全確保の基準、安全基準というのは世界的に最も厳しい安全基準を持っているというふうに考えておりますが、やはり国際的な共通の安全基準というものを設けていく必要がある。

 そのためには、私どもの安全基準についての考え方について、いろいろと情報交換をしながら、アジアの方々にも理解をしていただき、でき得れば日本の厳しい安全基準でアジアの国々も安全確保を図っていただくような国際的な標準的な安全基準というものをつくり上げていきたい。そして、それによって世界全体が原子力について安全性の確保を人類共通の課題としてやっていけるような体制をつくっていきたいと考えております。

大畠委員 ここら辺、日本という国はどうも日本国内のことにとらわれがちなんですが、このことについては、ぜひアジア全体の安全性の確立についても積極的に、尾身大臣の個性を大いに発揮していただいて、幅広い形の展開をお願いしたいと思います。

 それから、先ほど言いましたように、オイルショック以降、原子力も大変大きな役割を果たしましたが、同時に、自然エネルギーの利用と太陽光等々、大変大きな役割を果たしてきました。古屋副大臣の方に、自然エネルギーの利用の拡大に向けた取り組みについては今どういうふうにやっておられるのかということについてお伺いしたいと思います。

古屋副大臣 委員御指摘のように、自然エネルギーは、やはり環境という観点から極めて重要であるというふうに認識をいたしております。その中でも、太陽光発電であるとか風力発電の新エネルギーは、やはり地球環境問題への対応という観点からも、積極的に今その開発あるいは導入を進めているところであります。

 一方、こういった新しいエネルギーは、今のエネルギーと比べますと残念ながらまだコストが高いです。また、太陽光であるとか風力発電は、ある意味で気象条件に非常に左右をされるということがあります。そういった面での安定供給という観点からすると多少問題がある。参考までに、コストは、住宅用の太陽光については一キロワット当たり大体四十二円から七十円ぐらいであります。それから、風力発電が十円から二十四円ということで、大体二、三倍しているというのが実態であります。

 しかし、これをいかにコストを下げていくかということが重要でありまして、そのために、高性能化への技術開発であるとか、新エネルギーを設置した場合に補助を通じてこの導入を促進していこう、こういう政策に今積極的に取り組んでおります。特に家庭用につきましては、例えば一キロワット当たり十二万円というような補助をして一軒でも多くの方に太陽光発電を活用していただく、そんな政策も進めておるわけでありまして、結果として、太陽光につきましては、発電設備容量ベースでは現在世界一の導入実績を誇るというところまで来ております。

 総合資源エネルギー調査会の場でも長期エネルギーの需給見通しというものを今検討いたしておりますけれども、二〇一〇年という導入目標で見てみますと、原油換算で約千九百十万キロリットル、一次エネルギー供給の約三・二%程度をこの新エネルギーで供給したいという目標を掲げております。また、そのほかにも、地熱だとか水力を加えたいわゆる再生可能エネルギー、これで見てみますと、二〇一〇年までにそれをトータルいたしますと大体一次エネルギー供給量の六・六%程度ぐらいにはなるだろう、こういうふうに思っております。

 今後とも、この数値をいかにして上げていくかということが大切だと思いますので、一層の新エネルギーの導入促進につきまして積極的に経済産業省としても取り組んでいきたい、このように思っている次第でございます。

大畠委員 ぜひそれはそういう方針でお願いしたいんですが、私は質問させていただきましたけれども、国民の原子力に対する信頼感を高める上でも、自然エネルギーの利用を最大限やるということは大変重要なんですね。国民の中の不信の一つに、何か自然エネルギーはそこそこにして原子力だけでやっているんじゃないかという不信感もあるんですね。したがって、風力発電でも太陽光発電でも、やれることは全部やる、そういうことが結局は国民の原子力に対する不信感を払拭するといいますか、信頼を回復する一つの道にもなりますので、今お話がありましたように、太陽光発電を一九九六年に比べて二〇一〇年には大体九十倍ぐらいにするとか、あるいは風力発電についても、一九九六年ベースでいいますと二〇一〇年では二十倍にするとか、いろいろ政府の方でも基本的な考え方を持っておられるようですが、さらに加速してもらいたい、このことについては私は強く要望しておきたいと思います。

 それから、原子力政策については、時間の関係上、以上にさせていただきますが、これから天然ガスの利用等々も大変重要でありますし、ここら辺にも力を注いでいただきたいと思うんです。

 最後に申し上げますが、何分にも、水島文部科学政務官も高レベル液体廃棄物の処分問題についてもうちょっと関心を持ってもらいたい。突然文部科学省の方にこれが入ってきて大変かもしれないけれども、非常にここがかなめなんですよ。だから、ぜひ関心を持っていただいて、全体的な計画を、尾身大臣とか何かの協力をいただきながら、どこの省庁が担当なんというのは私は関係ないんです。原子力の安全性を確立し、国民の信頼を回復するためにどうしたらいいかということを、省庁の壁なんか関係ありませんから、一つ一つつぶしていただきますように、これは強く要請をしておきたいと思います。

 それから、尾身大臣に理工系の教育改革についてお伺いをしようと思いますが、ちょっと時間がなくなってきてしまいましたので、大変恐縮です。

 科学技術の教育というのは何となく今揺らいでいるんですね。文部科学政務官もおられますが、パイイコール三なんということをやっておるようじゃだめですね、正直言って。何となく教える量を減らそう減らそうといってやっていますし、それから実験なんかも大分削っちゃっていますね。ペットボトルロケットなんか、あれは非常におもしろかったですよ。ああいうものを削っちゃって、何をベースに文部科学省が改革をやっているのかわかりませんが、科学担当大臣として、ここら辺、もうちょっとしゃきっと文部省にも物申して、理工系の教育問題についても少し力を入れていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

尾身国務大臣 私も大畠委員と全く同じ考え方を持っておりまして、やはり、家庭で教えられるようなことは家庭でやっていただき、学校でしかできない、基礎的な理科系あるいは数学とかそういうものをしっかり学校でやるように、いわゆるゆとり教育という名のもとにふわっとしたことを教えることがいいということは、必ずしもそういうことではないと思っております。

 それから、私どもは、実は科学技術基本計画第二期におきまして、今後五十年間にノーベル賞学者三十人を出すという目標を立てております。今までの五十五年間というのは、日本は六人しか自然科学系はおりません。アメリカが百八十人、イギリス四十四人、ドイツ二十七人、フランス十人。今までの過去五十五年の戦後の実績を考えますと、日本の力をもってすれば三十人くらいは今後五十年間にノーベル賞学者が出るはずでございまして、そういう目標を国として掲げております。

 そして、山を高くすることが大事、それによってまたみんなが夢を持って理科系に進む、それによってすそ野が広くなってくる、そのことによって科学技術創造立国が実現できるというふうに考えておりまして、山を高くするのと同時に、教育の面におきましてもすそ野を広くする、そして産学官の共同研究も進めるという、いろいろなことをこれからやっていかなきゃならないと考えておりまして、ぜひ御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。

大畠委員 さっきも渡辺委員からお話がありましたが、官庁の中でも技官を冷遇するなんというのはもってのほかでありまして、大学のときも勉強も大変苦労しながら、もちろん文系の人も大変だと思いますが、やってきたんですよ。だから、ぜひそういうのは、平等にといいますか大事にしてもらいたいと私は思いますね。

尾身国務大臣 これはおっしゃるとおりでございまして、科学技術庁時代に技官という名前がついていた人物を、文部科学省になりましたら全部事務官という名前に切りかえちゃった。したがって、ほかの役所には技官というのがいますが、文部科学省の前の科学技術庁時代にいた技官は事務官という名前に変えられちゃっておりまして、私はこれを聞いて愕然といたしまして、一体そういうことでいいのかという思いを持っているわけでございます。ぜひ御理解をいただきたいと思います。

大畠委員 ぜひそこら辺は、処遇改善といいますか、やる気が起こるように対応を考えてもらいたいと思います。

 最後の質問ですが、警察に関する改革問題についてお伺いしたいと思います。

 最近、警察の方も第一線で一生懸命頑張ってはいただいていますが、全体的にどうも警察に対する国民の不信というのが高まってきているようなんですね。そこで、警察の不信にどう対処するかというのを村井国家公安委員長にお伺いしたいんです。

 要するに、警察に何かおかしいんじゃないかと物申すと、かえってやられちゃうんじゃないかということで、なかなか警察に物申せない。片っ方の方は捕まえる権利があるんですが、こっちは捕まえる権利がないですから、そこら辺で国家公安委員会がもうちょっと頑張ってもらいたいという感じがするんですが、ここら辺、どういうふうに感じておられるのか、お伺いしたいと思います。

村井国務大臣 警察と申しますのは、何と申しましても一番国民に身近な、しかし、今大畠委員御指摘のように、強制力を持った国家機関と申しましょうか権力機関でございまして、これに対しまして善良な市民が不信感を持つというようなことになっちゃいかぬわけでございまして、やはり善良な市民の味方ということで認識をされなきゃいかぬと思っております。

 しかし、そのために私どもとしましては、捜査は、個人の基本的人権の保障を全うしつつ、事案の真相を明らかにして事件を解決することを目的とするものだということで、刑罰法令に触れる行為があればきちんと法と証拠に基づいて厳正に対処することが基本だ、このように考えているわけでございますが、現実に、私も国家公安委員長という立場になりましていろいろ見ておりますと、例えばメールとか投書とかで参りますいろいろな情報がございます。こういうものを見ておりましても、いろいろな形で国民の皆様に警察に対する不満でございますとか不信でございますとかそういうものがありますことは、私もよくわかるところでございます。

 そのあたりに対応しますために、先般、警察法の改正をしていただいたわけでございまして、当委員会等々でいろいろ御努力いただいたわけでございますが、御案内のとおり、六月一日から警察署協議会というものを各警察署ごとにつくることにいたしましてスタートいたしました。かなり反響もよろしいようでございまして、いろいろな形で警察に住民の皆様、近隣の皆様のお声を反映させていくことができるのではないか。

 それからもう一つ、各都道府県にございます公安委員会に対しまして苦情申し立ての仕組みというもの、これも警察法の改正、六月一日から施行ということでございますが、きちんと文書でお申し立てをいただくような仕組みをこしらえ、そういう苦情がうやむやにならないような体制をつくった。私は、このあたりのところは非常に大きな前進ではないかと思っております。

 私も毎週国家公安委員会の会合にも出させていただいておりますが、大変活発な御議論もちょうだいしながら、今大畠委員御指摘のような、国民に懸念を持たれることのないような、そして国民の信頼を再びきちんとちょうだいできるような、そういう警察をつくるために、警察庁とともに一層努力をしてまいる決意でございます。

大畠委員 ぜひそういうふうな形でやっていただきたいのですが、最近、警察を訴える裁判も随分出てきているような感じがするのです。一言で言えば、どうも身内には甘い。警察の内部が絡んだようなものに対しては割と甘い形になって、他人に厳しく自分に甘い、そんなイメージが警察に対する不信につながっているんだと思うのですね。

 そこで、警察庁長官にお伺いしたいのですが、こういう流れの中で、例えば、世間の風をもっと入れたらどうか。どうも世間とちょっと異なるような感じとか、あるいは世界の改革の事例をもうちょっと取り入れて改革するとか、あるいは、警察もたくさん犯罪がふえてきて大変なのかもしれません、だから、人数は足りているのかとか、あるいは、この間も一人の方がナイフか包丁で刺されて亡くなられましたね、その警察の方の補償の問題とか、さまざまなものがあると思うのですが、ここら辺を含めて、警察の信頼回復と現場で働いている方が誇りを持ってやれるような環境を整えるためにどういうふうな対策をとろうとしているのか、お伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましても、従来から、今お話しのようにいろいろな事案がございまして、国民の信頼を回復するために大変な努力を重ねてまいりました。

 その大きな柱といたしまして、先ほど村井大臣の方から御答弁申し上げましたように、警察法の改正もお願いいたしまして、警察署協議会あるいは公安委員会に対する苦情制度も定めていただきましたので、この制度を有効に活用してまいりたいと思います。また、世間の風といいますか、いろいろお話がございましたけれども、協議会というのもそういう一般の声を反映させる場としてこれから有効にさせていきたいと思いますし、また、警察安全相談というのも大変活発に行われておりまして、一般の方の意見を一般の方の目線で我々は受けとめるというふうなことで努力をしてまいりたい、かように考えております。

 お話しのように、我々の仕事は透明性ということが大事でございますので、例えば、警察官あるいは警察官の関係者が関与していたからといって、それが公正に行われていないのではないかというような不満を持たれないように努力をすべきであると思っております。

 また、人員体制が十分なのかどうかというお話がございました。これは私ども、はっきり申し上げまして、最近の治安情勢は大変厳しゅうございまして、人員体制につきましては、委員会の御理解も得ながら、体制の強化あるいは増員についても努力していかなければいけないというふうに思っております。

 さらに、第一線で仕事をしております警察官の処遇につきましては、特に、先ほど埼玉県の殉職事案に絡みましてのお話がございました。私ども、殉職事案あるいは受傷事故防止につきましては大変な努力をしておりますけれども、残念ながらああいうような事態が発生いたしました。

 この補償と申しますか、今回のケースにつきましてまだ具体的に数字等を出しておりませんけれども、従来から国家公務員災害補償法とかあるいは地公災とかいうことでいろいろな措置も講じられておりますので、この制度を十分に生かしてまいりたい、また、さらにこの充実強化をお願いしてまいりたいと思っております。

 また、御遺族に対しましては、できる限りのケアと申しますか、そういうものもしなければいけませんし、またその後におきましても、いろいろな形での第一線の職員の士気が高まるような努力を重ねてまいりたい、かように考えておるところでございます。

大畠委員 ありがとうございました。

横路委員長 石毛えい子さん。

石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。

 本日は、五月三十一日に経済財政諮問会議から出されました今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、目次案として示されたわけですけれども、そこに含まれております社会保障の部分に関連して、女性と社会保障という観点を主にしまして、男女共同参画担当大臣でいらっしゃいます官房長官に質問をしたいと思います。

 その前に、以下基本方針と呼ばせていただきますけれども、基本方針が目次案として示されておりまして、六月末までに骨太の方針という、何だか骨太という言葉の響きが強く出てきておりますけれども、いつごろまでにどういう見通しをもって固められていくのかということが必ずしも明瞭ではないと思います。

 そしてまた、もう一方では、三月三十日の日付だったと思いますけれども、政府・与党から社会保障の改革大綱というものが出されておりまして、この大綱の内容と基本方針目次案の内容が必ずしもすべてにわたって照応関係にあるわけでもないというようなことも気になるところでございます。

 社会保障だけではなくて、内閣と与党との関係というのは、先ほど島委員からも質問が出されておりましたけれども、このあたりの整合性もこれからどういうふうにとられていくのかということも大変気になるところでございます。何をどう受けとめてどう判断していくべきかというところでは大変重要なところだと思いますが、差し当たりまして、基本方針の目次案に示されたこの中身が、どのような見通しといいましょうか、パースペクティブでまとめられていくのか。

 そしてまたもう一点、この中で触れられております社会保障制度に関して、もうそろそろ予算の編成期でございますけれども、来年度の予算編成では、盛られている社会保障の中でどういうことが先行して着手されていくのか、そのあたりをまず副大臣にお示しいただきたいと思います。

松下副大臣 今後の経済財政運営それから経済社会の構造改革に関する基本方針、今先生おっしゃいましたけれども骨太の方針と言っていますが、経済財政諮問会議でずっと勉強会を続け、議論をしているところでございますけれども、特定のスパンといいますか、期間を前提としたものではありません。構造改革の内容、青写真といいますか、それを国民にわかりやすく示すメッセージとして伝えたい、そして具体的かつ実現可能性のある政策を示すものにしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

 構造改革と申しますと、二十一世紀の社会に必ずしもふさわしくなくなってきた経済社会の仕組みを変えていくことにあるというふうに考えておりまして、それを実現していくために必要となる政策の中には、この前発表しましたけれども、緊急経済対策のように速やかに実行に移していかなければならないものもございますし、抜本的な改革を進めるためにも、国民との対話を通じて問題意識を共有しながら理解を進めていかなきゃならないというふうにも考えておりまして、構造改革に要するスパンも、それに応じてそれぞれ異なるものではないかなというふうに思っております。

 前回、七つの改革プログラムを含む基本方針を目次としてお示しいたしましたけれども、その中に社会保障制度等も入っておるわけでございます。大変これも重要な課題でございまして、熱心な議論が続けられております。総理の施政方針にもありましたけれども、あれは、国民の安心と生活の安定を支えるものであるということと、自助と自律を基本としていくということで、お互いが支え合う、将来にわたり持続可能な、安心できる制度を再構築していかなきゃならないというふうに考えておりまして、基本方針においてこの観点から改革の方向性を示していきたいということで、今勉強を続けているところでございます。

石毛委員 御答弁の中に、期間を前提としていないという表現をなさったと思いますけれども、来年までにとか再来年までにというような、そういう期間の限定ではなくても、総理は全体として緊急構造改革という取り組みをなさっているんだと了解しております。それほど長い期間ではないと思いますので、三年ぐらいなのか五年ぐらいなのかというようなことはお示しいただきたかったというふうに思います。

 それから、自助と自律を基本としたというのは、これは、価値判断は別にしまして、基本的な視点と申しましょうか理念に関する部分で、政策そのものではございませんので、予算編成に着手していくときに優先項目として置いているのは何なんでしょうかというふうにお尋ねしたことに関して、明快な御答弁をいただけなかったのが残念ですけれども、時間もありますので、男女共同参画大臣にお願いいたします。

 この基本方針案の中には、「社会保障全体に共通する課題」としまして、「少子化・高齢化の進行を踏まえた女性、高齢者の社会参画の拡大、就労形態の多様化への対応」という部分がございます。社会保障全般をお尋ねしたいところですが、本日は女性と社会保障というような観点からということで、この部分に対しまして、大臣、どのように内容をお受けとめになっておられますでしょうか。その確認をさせてください。

福田国務大臣 ただいまお話ございました経済財政諮問会議、これは今月中をめどと言っております、事実上今月中に骨太の方針、これは骨太は何か、こういうお話がありましたけれども、大方針、基本方針というようにお考えいただいたらよろしいかと思います。これを取りまとめまして、ただいまお話ございました男女共同参画社会実現の関係の諸問題についても検討をいたしております。例えば、女性、高齢者の社会参画の拡大とか就労形態の多様化への対応といったようなものでございます。

 私の立場、男女共同参画担当として申し上げれば、女性の社会参画の拡大、それから仕事と子育ての両立支援、これは男女共同参画社会を実現していく上で極めて重要な課題でございますので、政府一体となって取り組んでいきたい、こう思っております。総理が所信表明で述べておりますような、保育所の待機児童ゼロ作戦とか放課後児童の受け入れ体制の整備、こんなふうなことも諮問会議の方でもって検討していこうというように考えておるところです。

石毛委員 もう少しお尋ねさせていただきたいと思いますけれども、この男女共同参画基本計画の社会制度、慣行の見直し、意識の改革という部分に、「個人のライフスタイルの選択に中立的な社会制度の検討」というふうにございます。ここの中に、「税制、社会保障制度、賃金制度等、女性の就業を始めとするライフスタイルの選択に大きなかかわりを持つ諸制度・慣行について」等々、こういう記述がございます。

 そして、先ほどちょっと触れました政府・与党の社会保障改革大綱の中には、やはり女性の就労形態とかかわりまして社会保障制度の見直しが必要というようなことが二カ所にわたって触れられていると思います。「就労形態の多様化や女性の生活形態の変化などに対応し、個人の生き方の選択によって不合理な取扱いが生じない公正な社会保障制度を目指す。」ということですとか、あるいは「パートタイマー等雇用形態の多様化に対応した制度の見直し、女性の就労など個人の選択に中立的な制度への見直しを」図るというような指摘がこの改革大綱の方に触れられております。

 そこで、これらを総合的に勘案してみますと、男女共同参画の基本計画に即しまして、税制、社会保障制度、賃金制度等々につきまして、もうそろそろ具体的な検討の方向性あるいは検討の項目などについて踏み込まれている時期に来ているのではないかと私は受けとめているところです。

 先ほどの御答弁では、保育あるいは仕事と家庭の両立支援というようなことで御答弁いただきましたけれども、医療保険制度ですとか年金保険制度ですとか、今女性が大変関心を持っておりますそういう分野に関しまして、実際に男女共同参画社会の会議としまして、どの程度のところまで踏み込んで考え方がまとめられ、あるいは作業が進展しているのかということをお示しいただきたいと思います。

福田国務大臣 社会保障改革大綱、これの進行状況ですね。

石毛委員 この改革大綱は三月三十日付で発表されておりまして、その後にワーキングチームも出てきておりまして、そのワーキングチームとそれから内閣府に置かれております男女共同参画社会の会議は組織的には違うものだと思いますので、男女共同参画、内閣府の方としてどういうお取り組みの状況にあるかということをお示しくださいということを申し上げたのです。

福田国務大臣 ですから、政府・与党の社会保障の改革協議会ですか、これが大綱を決めたわけでございますけれども、その具体案について専門の委員会をつくって今作業を進めているところでございます。ですから、その具体案がいつできるかということになりますけれども、もう少し時間がかかりますので、それを待っておるところでございます。

 その大綱も、先ほどの財政諮問会議、この中に取り入れていこうというようなことで、相互連携をとるということになっておるところでございまして、もちろん、この中で男女共同参画の部分と関係するようなところについては、相互に連絡し合うということに当然なると思います。もちろん、男女共同参画は、経済財政諮問会議の方でも考え方は取り入れて、連携を密にしてやっているというところでございます。

坂東政府参考人 男女共同参画会議のもとに影響調査専門調査会を設置いたしまして、社会保障制度ですとか税制ですとか社会的な制度、慣行が女性のライフスタイルの選択に影響をどの程度及ぼすのかということについて御研究をいただくことにしておりまして、きょうも実は三時から第二回の会合を予定しております。

石毛委員 そうしますと、確認でございますが、大臣が御答弁くださいました中の委員会という表現は、今局長が御答弁いただきました影響……(福田国務大臣「それとは別です」と呼ぶ)別ですか。もう一度そこのあたりを、それでは、委員会というのはどこにつくられているのですか。

福田国務大臣 ちょっと、いろいろな検討の場を申し上げたので誤解をされてしまいましたけれども、委員会というのは、これは社会保障関係の大綱に基づいてこのもとに委員会をつくる、こういうことでございまして、それはそれで今いろいろな議論を始めたところだと思います。

石毛委員 局長に御答弁をいただいてもよろしいかと思いますが、それでは、大綱に基づいた委員会の中で、例えばパートタイマーという働き方と社会保障のあり方というようなことが検討課題に上っているのかどうか。それから、今局長が御答弁いただきました。正式な名称は影響調査専門調査会ですね。そこでこれから御討議いただくという御答弁だったと思いますが、もう少し、柱組みのようなことはお考えになっていらっしゃると思いますので、私は、委員会の方でこのテーマが上がっているかどうかということと、それから影響調査会の方でこれから取り組むということがどういうふうにリンクして、いつごろまでにどういう像が描かれていって、それが国民の前に示されて大きな議論に参画していくことができるようになるのかという、そこのあたりの見通しを知りたいんですけれども。

坂東政府参考人 お答え申し上げます。

 専門調査会の議論は、今立ち上がったところでございますので、具体的にどういうテーマについて意見をまとめていただくかということについてはまだ正確な結論が出ておりませんが、例えばヒアリングの中で、雇用形態、先生が今御指摘いただきましたようないろいろな働き方、就労形態の選択が例えば税制や社会保障制度とどういうふうにリンクしていくのかとか、いろいろな社会保障の制度が就労形態に影響をするのではないかといったようなことについて研究し、また、できればいろいろな形態のものについてシミュレーションをしていただいて、中立的かどうかといったようなことについて御研究をいただくというふうな予定にしておりまして、恐らく、ことしじゅうに中間的な意見が出していただけるかどうかというような状況ではないかと思います。

石毛委員 そうしますと、大臣と局長の御答弁、勘案させていただきますと、就労形態の多様化と社会保障、とりわけ社会保険との関係が重要かと思いますけれども、それにつきましては二年か三年は要するというふうにきょうのところは理解をいたしましたけれども、大臣、今首を横に振られておりましたので、御答弁をお願いしたいと思います。

福田国務大臣 今、専門的に社会保障関係で検討を進めております。どういうようにその結果がなるのか、いつごろ結果が出るのか、これはなるべく早く結論を出さなきゃいけない。そして、でき得れば、採用できるものは来年度の予算編成のときに間に合うように、そこに反映させるようにというように考えております。すべて一斉にでき上がるというものかどうか、これは申し上げられませんけれども、なるべく急ぎたい。二、三年ということでなくて、遅くとももっと早くというように考えております。

石毛委員 委員会の方向性を出す内容について、すべて来年度の予算編成に間に合うかどうかというような御答弁でしたので、必ずしも最終的な確認をさせていただくということにはならないかと思いますが、今のお二方の御発言ですと、もしかしたら影響調査会の方の作業がタイムスケジュールとすればおくれてしまうのではないかという不安も、私は今御答弁を伺って思いましたので、そのあたりはぜひとも局長には頑張っていただきたいと思いますので、申し上げたいと思います。

 次の質問でございますけれども、女性と社会保障のあり方を考えていく場合に、今まで、社会保障の中でもとりわけ社会保険といいますのは、就労、雇用、所得等とかかわってプログラムされてまいりましたけれども、今、社会保障の世帯単位から個人単位へということが考え方の基本に据えられるようになっている。これは、村山内閣のときの社会保障制度審議会の答申か意見具申か、どちらかに盛られていた中身だったと思いますけれども、そうしたことを考えますと、いわゆる年金の第三号被保険者と言われるような方、あるいは医療保険の、扶養家族になっている、妻と言われる方たちの保険のあり方等々、これも大きな一つの検討課題になっているわけです。

 そのことの政策的な方向性を考えていくために、私は、やはり基本計画の中に盛られております、これも影響調査の非常に大きな重要なテーマだと思いますけれども、「無償労働の数量的把握の推進」という事項がございます。このことに関しましてどのように今進んでいるのか、その点について御答弁をお願いいたします。

坂東政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、男女共同参画基本計画におきまして無償労働の数量的把握の推進を盛り込んでおりますが、五年ごとに行われます社会生活基本調査におきまして、一日当たりの男女の家事、育児、介護等の活動に要する時間を把握しようと努めているところでございます。特に、アンペイドワーク研究会という研究会を開催しまして、例えば、国際動向を踏まえて概念、定義、把握方法等々についても研究をしていただくということで、次回の社会生活基本調査に活用しようとしているところでございます。

石毛委員 もう時間もありませんので、もう一度要請になりますけれども、少しタイムラグになるのではないかという不安と懸念とがございますので、そのことだけ申し上げます。

 大臣にぜひお伺いしたいことでございますけれども、貧困の女性化というようなことが昨今注目されるようになってきているわけですけれども、大臣は、貧困の女性化ということについて、どのようなお受けとめ方をなさいますでしょうか。

福田国務大臣 これは、社会が変化してきているということの一つのあらわれなんだろうと思いますけれども、貧困の女性化、特に貧困に陥る危険性が高いのは男性よりも女性である、こういうことはいろいろと指摘されているわけですね。例えば、経済力の男女不平等、そして格差とともに社会的につくり上げられた男女の役割の硬直性などの要因、それから社会福祉制度が継続的な有償雇用の原則に基づいている場合、特に高齢者ではそういう現象があるというようなことでございます。

 ですから、この貧困の女性化のない男女共同参画社会の実現を図ることは大変大事なことであるということでございますので、この男女共同参画基本計画におきましても取り上げているところでございます。雇用などの分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進、高齢期の所得保障、それとともに政府の施策が女性と男性に実質的にどのような影響を与えるか調査をするなど、男女共同参画の視点に立った社会制度、慣行の見直しなどをこの計画の中に盛り込んでおるところでございます。

石毛委員 きょうは厚生労働省から雇用均等・児童家庭局長においでいただきましたので、関連した質問をさせていただきます。

 私は、貧困の女性化というようなことと関連しまして、やはり、女性の就労そして労働条件がどれだけ安定的に確保されるかということが、関連する社会保障制度の女性にとっての安定性を保つ上で大変重要だというふうに思っております。

 そうした観点も踏まえまして、この間女性の就労を見ますと、もう女性の就労は、一般の女性就労の三七・四%、四割近くがパートタイム就労ということでございます。もう一方、賃金ということになりますと、賃金格差は拡大をしている。例えば、これは政府の発表しているデータですけれども、一九七八年ですと、一般労働者を一〇〇としまして、パートタイム労働者の賃金水準は七八・四、約八割の水準を実現していた。ところが、今は六八・四のところまで落ちてきている。こういう格差が趨勢的に拡大している状況で、むしろ女性の就労は不安定化している。

 それに、就労形態も、例えば派遣労働等々大変多様化しているという状況ですので、今、きちっと女性の働き方を制度的に確立するその支えをつくっていかないと、社会保障に関しても、制度の適用者にはなるかもしれないけれども、給付の実態から見れば、不安定な社会保障受給者をたくさんつくり出す、あるいは社会保障からドロップアウトさせてしまいかねないという問題がこれから起こってくるのではないか、そういうことと絡んで貧困の女性化というようなことも私は受けとめております。

 そういうことで、岩田局長にお尋ねしたいのですが、一九九四年に国連でパートタイム労働に関する条約が採択されておりますが、日本ではどのようにこのことがただいままで検討されてこられたのか、そのことをお尋ねいたします。

岩田政府参考人 ILO百七十五号条約が採択されましたときに、日本国政府といたしましては、条約の規定している内容についておおむね理解はできるものの、将来の批准ということを考えましたときに、国内法制との乖離が相当程度ございまして、それは困難ではないかということで、採択の時点では投票態度として棄権をいたしたわけでございます。そういった国内法制との整合性を図ることの難しさは依然残ってございまして、現在でも同様の理由で批准は困難であるというふうに思っております。

 一方、先生御指摘のパートタイム労働者と通常の労働者の格差問題、これは大変重要な課題であるというふうに認識いたしておりまして、パートタイム労働法の中でも、事業主はパートタイム労働者の雇用管理改善を図る努力義務がございまして、その際、通常の労働者との均衡を考慮するように、そういう規定がございます。これに基づいて処遇の改善に向けた援助、支援をやっているところでございますが、現状認識は先生と同じでございまして、このままでいいというふうに思っているわけではございません。この通常の労働者との均衡処遇のあり方の問題も含めまして、現在、パートタイム労働研究会を設置いたしておりまして、その中で今後の対策のあり方を検討しているところでございます。

石毛委員 その研究会の結論はいつごろ出されて、政策的にはどういう整理の方向性をとっていくのかということをお示しいただけますでしょうか。

岩田政府参考人 この研究会はことしの三月から検討を始めておりまして、まだ確定的なスケジュールは申し上げにくいわけでございますけれども、あと一年程度は御議論いただくことになるのかというふうに思っております。

 議論が始まったばかりでございますので、検討の方向、結論の予測はできませんけれども、今話題になっておりますのは、一つは、さっき申し上げましたように、正社員との均衡処遇をどういう形で図っていくかということ、あるいは正社員とパートタイム労働者の行き来をしやすいような仕組みをどういう形で図っていくか、その中で例えば正社員パートというような就業形態を普及できないかといったようなことが議論されているのが現状でございます。

石毛委員 構造改革の必要性に対する認識が急展開しているからだと思いますけれども、従前、厚生労働省では女性と年金についての検討会がつくられ、今、パートタイムの労働に関する研究会がつくられ、また、内閣府では男女共同参画の影響調査会が進められており、そしてまた、政府・与党の方では委員会ということで、それがどういうふうにきちっとかみ合って、情報が随時公開されながら国民がこの議論にきちっと参画していって、自分たちに必要な制度にどういうふうに参画できていくかということが今大変わかりにくい状況になっているというふうに思います。国民の多くは大変な関心を持って注視しているというそのことを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

横路委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五分開議

横路委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。村井国家公安委員会委員長。

村井国務大臣 本日午前十時二十分ごろ、大阪府池田市内の小学校に刃物を持って男が押し入り、児童など二十九名を刺して負傷を負わせ、うち現在までに七名が死亡するという、常識では考えられないまことに痛ましい事件が発生いたしました。

 白昼、小学校において、とうとい生命が多数奪われましたが、被害者や御家族の無念、お悲しみを思いますと、犯人に対する強い憤りを禁じ得ません。改めて、亡くなられた方々の御冥福とけがをされた方々の一日も早い回復をお祈り申し上げたいと存じます。

 犯人は逮捕されておりますが、この種の事件は国民に大きな不安感を与えるものであり、事件の全容解明のために大阪府警察におきまして徹底した捜査を行うものと私も承知をいたしております。私といたしましては、全容解明の上は、この種事件の発生の防止のため、政府、関係者力を合わせ、一体となりまして、あらゆる検討をすることが必要だろうと考えております。

    ―――――――――――――

横路委員長 質疑を続行いたします。塩田晋君。

塩田委員 自由党の塩田晋でございます。

 ただいまは、大阪池田市で起こりました不幸な事件について御報告がございました。亡くなられました犠牲者の方に哀悼の意を表したいと存じます。

 また、先般、埼玉県におきましても警察官が刺殺をされるといった事件がありました。大臣も直ちにお通夜に行かれたようにお聞きしております。また、先ほど私が言及いたしました現職の警察官あるいは消防団の殉職者を祭る廟が、弥生廟というのがありますが、そこへ早速大臣はお参りになったということを聞きまして、大臣の誠心誠意、みずからの職務に対して責任を感じ、誠意を示しておられることに敬意を表したいと存じます。

 私は、きょうは北朝鮮の拉致問題につきましてお伺いをいたします。

 これはいわゆる拉致問題と言われておりますが、政府が認められたものは七件十人、これが国のテロとして今なお継続して人権が侵されているという状態でございますね。言うまでもなく、国民の生命財産、人権を守る、これは安全、防衛の問題とともに、やはり国内の治安、一番身近な国民の生活に直結した権力として治安の維持に当たっておられる警察官の皆さん、にもかかわらず、平穏に暮らしている国民がある日突然外国の権力によって連れ去られる、そして今なお拘束されている、こういう事態が続いておるわけでございまして、十名のみならず、そのほかにも数十名いるという情報もあるわけでございます。

 こういった異常な事態、国民にとって、国家として放置できない問題につきまして、一番責任を持っておられる警察行政の国家公安委員長といたしましてどのようにお考えか、お伺いいたします。

村井国務大臣 塩田議員御指摘のとおり、日本人の拉致疑惑事案というのは、我が国の治安を考えます上で本当に容易ならざる事案であると私ども認識しております。

 警察といたしまして、いわゆる拉致容疑事案、このように認識をいたしましたものは御指摘のように七件十人、こういうことでございまして、たしか昭和五十五年当時までで、その後そういうふうに明確に認識しているものはないわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、これがいずれも解決していない、非常に深刻な問題でございます。

 私どもといたしましては、外交当局その他とも連携を十分に密にいたしまして、あらゆる情報に耳をそばだて、そしてまたいろいろな手段を用いましてこの事案の解決のために精いっぱいの努力をしてまいる、そういうことが私どもの任務であると考えております。

塩田委員 この拉致事件を政府が、最初六件九人ということでございましたけれども、その後追加して七件十人ということになりました。これのきっかけになりましたのは、起こった事件は大体昭和五十二年、三年に集中しておるわけですけれども、これが表に出て政府が認められたのは平成九年五月となっております。姓名が明らかにされた人たちは、家族を含めて、大変な悲しみの中でいろいろな苦難を越えて救出運動に立ち上がっておられるわけでございます。いろいろな問題があったにもかかわらず、勇気を持って名乗り出て運動を続けておられます。

 国家による重大なるテロ犯罪、これがなお続いているということ、二十数年続いているということ、これについて国として、一番関係の深い警察としてどのように責任を感じ、どのように最大限の努力をしておられるか、これについてお伺いいたします。

漆間政府参考人 お答えいたします。

 今議員御指摘の七件十名の拉致容疑事案につきまして、いまだに解決ができないというのは私どもとして大変残念に思っております。関係当局あるいは関係の外国の機関、いろいろなところの情報についてお互いに交換しながら、また国内でもいろいろな情報もありますので、そういうものを踏まえまして、何とか解決すべく、今関係の警察において懸命な努力をしているというのが現実でございます。

塩田委員 警察当局としても精いっぱい努力をしておられることと思いますが、十名について、発表になった以降、新たな情報というものがあるかどうか。また、横田めぐみさんの場合は、安明進という北朝鮮の工作兵、情報員が亡命をしてきて、それで何名かが明らかになってきたということもありますし、いずれにいたしましても情報なんですね。情報については警察当局はかなり、不審船が日本近海に近づく、あるいは国内にいる工作員との連絡をとり合っている、あるいはいろいろな遺失物がある、いろいろな情報を手に入れておると思うのですが、その後この種の新たな情報というものがあれば説明をしていただきたいと思います。

漆間政府参考人 ただいまの御質問の中で新たな情報という意味が、七件十名の事案に関しての新たな情報という意味でありますと、これは個別的な、具体的な事件についての話になりますので、その辺につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

 それ以外の話で、一般的には、関係の各機関とか外国の当局とかそういうものと連携しながら、全体の、この七件十名についての全容解明、そのほかの関連の事案についてそれが本当に拉致という可能性もあるのか、そういうことを含めて、現在全力を挙げて解明に努めているところであります。

塩田委員 一名が加わって十名になった、そのときも、参議院の委員会で政府が答弁して初めてそれが明らかになったという例があります。それ以降数年を経ておるわけですが、それ以降にいろいろな情報が入っておると思うのですけれども、その情報の一端について御説明を願いたいと思います。

 我々のところはいろいろな情報が入ってくるのです。北京からも入ってきますし、ソウルからも入ってくる、またアメリカからも入ってくる。そういう中で、それがガセネタなのか本当の真実の情報なのかわからないけれども、いろいろな情報が飛び交っている。しかも、十名以外に数十名、これも具体的に名前まで出ているデータがあるわけですね。そういった中で、当局はもちろん調べておられると思いますけれども、その辺はもう少し詳しくデータによって説明をしていただきたいと思います。

漆間政府参考人 七件十名のほかにも拉致の可能性があるという意味で、いろいろなところの情報機関の中で、この七件十名以外にも幾つかあるというふうに我々は考えておりまして、それに重大な関心を持っております。また、あの七件十名に関連しまして、いろいろな情報を関係の機関ともきちっとやっております。

 いずれにしても、この七件十名については、具体的な個々の事件の話になりますので、どういう情報が入ったとかどういう進展があったということについては、大変申しわけありませんが、お答えを差し控えさせていただきます。

塩田委員 具体的な情報についてここでは述べられないということでございますが、情報が入っている、そしてまた情報を集めているということについては、平成九年のこの時点における情報よりはもっと情報収集されておるということはよろしいですか。

漆間政府参考人 平成九年以降におきましても情報の収集はしておりますので、いろいろな情報を集めていることは間違いありませんし、またそれを踏まえて、それが正しいのか正しくないのか、こういう確認もしなければいけませんので、そういう作業もしておるところでございます。

塩田委員 わかりました。かなりの情報をその後も収集しておられる、また分析をしておられると。

 ある時点においてこれは国民に明らかにすべきものだという判断をされたら、勇気を持ってやはり国民に知らせてもらいたい。既に十名は公表しておられるわけですからね。そのほかにも相当なデータを我々は持っているわけですが、それについての真偽を、やはり政府として認めるかどうかという、そのことをある一定の時期が来ましたら公表していただきたい。そしてなお、その救出のために、情報を集め、また外交ルートを通じての努力を最大限やっていただきたいと存じます。また、関係各省庁との連携を密にして、情報収集なり、救出のための、事件解決のための努力を一層続けていただきたい。

 拉致された家族は、本当に毎日大変な悩みの中で、苦しみの中で二十数年、まだこれからいつ解決するかわからないという状況の中で、また生死のほどもわからないという中で、大変な苦痛を日夜嘆いておられるわけですから、ひとつこの問題については責任を持って解決の方向に努力をしていただきたいと希望いたします。

 それから、この問題に関連いたしまして、警察は拉致事件が再発しないようにどのような手を打っておられるか、こういう不幸な事件が起こったわけですから、これに対して、その経験からどういう手を打って再発防止に努めておられるか、お聞きいたします。

漆間政府参考人 七件十名の拉致容疑事案のケースから判断いたしますと、その大半は日本の沿岸部で発生しているわけであります。その再発を防止するという観点から考えますと、警察としましては、海上保安庁等関係機関との連携を図るとともに、沿岸住民の方々の御協力も得ながら、沿岸部におけるパトロールや検問等、各種の対策を実施して、ともかく拉致事案が再発しないように今一生懸命努力しているところであります。

塩田委員 今から恐らく二十年ぐらい前に宮崎で不審船が高速で逃げたという事件が起こって、その前後でしたか、鹿児島で誘拐された、あるいはアベックが二人とも拉致されたという事件が新潟、福井、富山ですか、等で連続して起こったわけですね。そのころもかなり私は委員会でも取り上げてやったのですけれども、確認できないとかなんとかというようなことで来ておったのですが、やはりそういう事件が続発していったということですね。

 これほど本当に国家の一番の治安、国民生活に直結した、また身近な問題ですから、いつどこでだれがそうされるかわからない、まだそういう状況にあるとすれば重大なことですから、ぜひとも万全を期してその問題解決のために頑張っていただきたいと思います。

 それから次に、せんだって金正男と見られる男が我が国に不法入国をいたしまして、いろいろあったようですけれども、四日間で、ほとんど国賓待遇で中国に送り返した。国民は、これに対して、これは何だという本当にやりきれない気持ちであのテレビを眺めておったと思うのです。

 これにつきまして、当時の新聞報道によりますと、法務省、外務省そして警察庁、官邸、四者で高官が協議をした、そしてばたばたと結論を出して帰した、こういうことでございますが、その間に、警察当局も高官が参加された、そして、その協議の内容については事細かく聞くことはできないと思いますけれども、当時報ぜられた新聞では、警察当局は猛烈に反対した、だけれども外務省なりに押し切られてそういう結果になった、こう言われております。

 警察がもし反対するとすればどういう観点から反対であったか、どういう要素をいろいろ考えておられるのか。今の時点に立ってでもいいですから、どういう事態が起こる、それに対してどう、そういう御判断がどのようにあったのか、お聞かせいただきたいと思います。

漆間政府参考人 当時、不法入国事案につきましては、警察に捜査権限があるということなどの理由から、官邸に招致されていろいろな検討がなされたというふうに承知しておりますが、その検討の中で警察が反対したのか反対していないのかとかいうことにつきましては、これはもう具体的な捜査の内容になりますので、これについてはお答えすることはできません。基本的に、どういうふうに解決すべきかということについてはいろいろな解決の仕方があろうかと思いますが、最終的に、警察庁と法務省ともいろいろな意見交換をいたしましたが、法務省が退去強制手続をとるということに決まったというふうに承知しております。

塩田委員 そのときの協議につきましては発表できない、一々協議の議論の内容を公表するわけにはいかぬ、これはわかります。

 このときも、治安のみならず、防衛上の問題あるいはミサイルが飛んでくるかもわからぬ、こんなことが言われておりましたが、防衛庁が呼ばれていないのですね、この高官の会議には。これは、私も安全保障委員会でその点については追及しました。まことに残念であったと防衛庁長官も言われましたが。

 警察として、このような事件が今起こった場合に、やはり早く帰せというふうに主張されるか、いや、やはり徹底的に調べて、勾留期間を含めれば八十三日間は置けるのだから、よく調べた結果、告訴すべきものはするようにという判断に立たれるか。この種の事件が同じパスポートで四回起こっているわけですね。三回は捕まえることができなかった。同じことがまた今後も起こる可能性がある。そういった場合にどのような措置をすべきだと思われますか、お伺いいたします。

漆間政府参考人 ただいまの議員の御指摘は仮定の問題に対する私に対する答弁を求めておられますので、仮定の質問にはお答えはできませんけれども、一般論として申し上げますと、先ほど申し上げましたように、警察にも捜査権限があるわけでございますので、同種の事案が起こったときに、告発を受けて証拠資料を入手して、そしてきちっと対応するということもできることになっておりますし、また、それ以外の方法でやるということになる、いろいろな選択肢があるわけでありまして、それはその時々の情勢に応じて決まるものと考えております。

塩田委員 警察当局は世界に冠たる警察だと私は信じておりますが、それだけにまた、いろいろな情報を収集して分析能力も高い。しかしまた、それが一部の左翼グループに情報を乗っ取られているということも明らかになった事実があります。大変な情報の時代に入っておるなということを感じますが、いろいろな情報をこれに関しまして警察は集めておられると思うんです。

 この間入ってきた金正男と見られる人だけではなくして、前の事案、前の件についても、警察は現地に入ってかなり細かく情報を収集しておられるという情報があります。赤坂へ行った、あるいは六本木へ行って飲んだ、騒いだ、そのとき会った人はこうだ、また、それの裏づけをとっているというような話も聞こえてくるわけです。それだけ一生懸命、以前のことであっても調べておられると思うんですが、そういう情報については、持っていてもここでは言えないとおっしゃるんだと思います。

 しかし、さっきの拉致問題にしましても、拉致家族がアメリカへ行ってそれぞれの当局の責任者に当たったところ、我々が日本で得ている情報よりももっと詳しいものをアメリカが握っているというふうに感じざるを得ない印象を受けたというんです。これは、そういう印象ですから確たるものはありませんけれども、かなりの情報をアメリカは持っている、こういった印象で帰ってきているわけです。

 私も知っておりますけれども、警察は本当に苦労していろいろな情報を集めておられる。それは知っているんです。こういうことを言ってはあれかもわかりませんが、それはもう、身分を隠し、また変装というか、しかし、なり切ってしまって警官がある地域の内偵に入っておられるというようなことも、それはもちろんちょっと言えないでしょうけれども、もうとにかく大変な苦労をして情報収集なり治安の維持のために身を挺してやっておられるということを私も知っておりますので、情報を集めて分析をして、これというときにはやはり国民に知らせてもらいたいということを特に希望いたします。いかがですか。

漆間政府参考人 議員御指摘のとおり、警察も、公共の安全と秩序の維持のために各種情報を収集しておるわけであります。これは国内の関係機関だけではなく、国外の関係当局ともいろいろな情報交換をしております。その過程でいろいろな情報を入手しておりますが、先ほど議員の御指摘もありましたように、どんな情報を入手しているということになりますと、関係国の当局との今後の意見交換に支障を生ずるという事態にもなりますので、大変申しわけありませんが内容は申し上げることはできません。ただ、いずれにつきましても、警察としても、議員おっしゃるとおり、各種情報を極力集められるようにいろいろな形で情報交換を続けております。

 それから、先ほどのケースで、アメリカの方が拉致の問題について詳しいような印象を持ったようではないかというようなお話もございました。アメリカの当局がこの拉致容疑事案についてどの程度の情報を持っておられるかということは、私としてはお答えする立場にはございませんが、いずれにしても、基本的に、関係国当局あるいは国内の関係機関、そういうものと今後とも情報交換を進めながら、ぜひ全容を解明できるような情報入手ができるように、また、情報入手ができたら、できることであればそれを事件化することによって国民の前に明らかにできるようにしたいというふうに考えております。

塩田委員 アメリカでそういう情報は独自に集めておられると思うし、また日本から行っている場合もあると思いますが、先ほどの金正男らしき人が入国するということは、英国だとかあるいは他の外国の情報機関から日本政府に対して通告があった、こう言われております。日本もそういう情報はつかんでおったかもわかりませんが、外国の情報機関はそういうことをちゃんとつかんでおる、日本にも知らせてくれた、こういうことです。余り、情報を集めて隠すだけじゃなしに、一定の時期が来て、これという国益上必要なときにはやはり出すべきだと思います。

 それから、先ほど、きのうの新聞ですか、教科書問題で政府に批判的な立場の政治集会に北朝鮮の高官を三名招く、ビザの申請があったというようなことでいろいろございました。これは結果的には入国を認めないということになったように新聞報道で出ておりますが、その際もやはり治安上の問題があるので慎重にというような判断からそういう措置が講ぜられたと言われておりますが、この点についてはいかがですか。

漆間政府参考人 議員御指摘の件につきましては、警察庁に意見照会があり、治安上の観点から所要の意見を述べたということは事実でございます。その具体的内容については答弁は差し控えます。また、それをもとにどう決定されたかということについては、警察は決定機関ではございませんので、その辺についてもこちらとして意見を述べる立場にはございません。

塩田委員 最後に村井大臣にお伺いいたしますが、以上、拉致問題、そして金正男らしき人の問題、そして北朝鮮からの高官の入国の問題等々を見まして、これはもう外交問題と非常に関連はしていると思いますけれども、国内の治安そして日本国民の生命財産、人権を守るという一番の、第一義的な責任を持っておられる警察関係大臣といたしまして、この問題についてどのように考え、どのように今後対処していくか、御決意をお伺いいたします。

村井国務大臣 私は、冷戦が終わりましてから十年余りということではございましょうが、しかし、なおこの極東アジアの情勢というものは必ずしも十分に安定した状態だとは思っておりませんし、そういうことの影響を受けまして、いろいろな意味で国内の治安というものは国際的ないろいろな絡みとも、当然のことでございますけれども、関連をしてまいる。したがいまして、そのあたりを踏まえまして、私どもとしましては、関連機関等々とも十分な連携をとりながら、私どもの職責分野におきましてしっかり日本国内の治安を守るように精いっぱいの努力を警察当局にさせていきたい、このように考えているところでございます。

塩田委員 国民が安心して生活できるように、そして人権が守られるように、そういうしっかりした国としてやはり警察は大きな役割を果たしていただきたいと思います。これからの一層の御健闘をお祈りいたしまして、終わります。ありがとうございました。

横路委員長 松本善明君。

松本(善)委員 官房長官、報償費の問題で、もう報償費はいいかげんやめてくれとこの間言っておられましたけれども、午前中の答弁を聞いていたのでは、これはやはりしばらく続けざるを得ない、縁がなかなか切れないなということです。

 五月十八日の委員会で、予算委員会での塩川財務大臣の発言を私取り上げました。十二年前のことをテレビでリアルに話しているのに、四カ月たったらすっかり忘れてしまったということです。官房長官は、塩川さんは人格高潔な人でインチキをやっているとは思わないと、擁護の発言をされましたけれども、その後、予算委員会それから財務金融委員会、それからテレビにも出られて、いわば二転、三転、四転、五転と、何が本当なのかわからない。

 きわめつけは、今資料としてお配りしております、一番最後にありますおとといの「ニュースステーション」などでは、いや、あれは、財務金融委員会で追及されたのは正式のインタビューじゃないんだ、私は書斎で着物を着ていたんだと。ところが、ちゃんと背広を着ている、それでインタビューに応じている写真が出ていて、これでは本当にぼろぼろになっている。小泉内閣の閣僚としてはそれで通るのかどうか知りませんけれども、私は、新たな政治不信の原因になるんじゃないかと思うぐらいです。

 それはそれとして、官房長官にお聞きしたいのは、前の委員会で、予算委員会で官房長官が塩川氏に盛んに耳打ちされていたのは何を言っていたんだと。官房長官は、自分がやったというんじゃなくて、たくさん出ていた新聞などの記事を紹介したと言っていたから、そう言ったらどうかと言ったんだ、こういうふうに言われました。五月二十八日の予算委員会で再び質問された塩川財務大臣は、いわば官房長官に耳打ちされたとおりの趣旨の答弁をされているのですね。質問者の穀田さんは、六回もマスコミに話したと。このお配りし、また官房長官にも事前にお渡ししてありますのは、塩川さんのマスコミに登場したときの発言であります。その後につけてあるのは、その後の「ニュースステーション」のものでありますけれども。

 改めて読んでみますと、なかなかリアルですよ。例えば読売新聞の二月二十三日のを読んでみますと、例の本委員会でも盛んに問題になりました古川メモ。古川さんとの話については、この使い方について、要するに古川さんに出費の仕方を聞いた、そうすると、それはいつも出しているとか、いや初めてだと教えてくれたと。こんなことは新聞や雑誌を読んで知ることではないです。

 これは、このことを聞かれて塩川さんがもう支離滅裂になって、錯覚だったという答弁をしたわけですけれども、今お配りした資料、官房長官にお伺いしたいのは、官房長官、塩川財務大臣は、あなたが耳打ちされたように、作り話をこういうふうにマスコミに広めていたと今でも思っていらっしゃいますか、お聞きします。

福田国務大臣 いろいろ思い出さなければいかぬような質問をたくさんされるので、私も思い出すのに時間がかかりますよ。だけれども、今、塩川財務大臣に耳打ちをした云々、それは私は、その話は塩川大臣から聞いたことがあると委員会で答弁したでしょう。忘れたのですか。(松本(善)委員「いやいや、そのとおり聞いています」と呼ぶ)だったらそんなことを聞かないで、今でもそう思っていますよ。私はそのとおりだと思っていますからね。

松本(善)委員 だから、そのとおりだとすると、改めてこの資料をお読みいただきましたか、六回もそのときまでにリアルにこう言っているわけです。これ全部作り話でやっているとしたら大変なことですよ。それで、塩川さん自身もそれを穀田さんに聞かれて、いや、それは忘れていた、錯覚もあって、こういう答弁になったんですよ。

 それで、官房長官に聞きたいのは、あなたが塩川さんから聞いて耳打ちされたんですよ、それは。私もちゃんと知っています。だけれども、それを言ったところがもう支離滅裂になってしまったわけですよ。あなたは、このお配りした資料を改めてごらんになったかどうかわかりませんけれども、六回も作り話をマスコミに広めていた、そういう人だと思っているのかどうか。このことを今何と思っていらっしゃいますか。そのことを聞きたいんですよ。今でも同じように思っていらっしゃるか、やはり雑誌や新聞で聞いたことを塩川さんはしゃべっているのだと思っていらっしゃるのか、もう一回ちょっと確認したいと思います。

福田国務大臣 私がそう思っているかどうかといえば、そうです。(松本(善)委員「思っているかどうか」と呼ぶ)というのであれば、そうです。

松本(善)委員 穀田質問のその日に、五月二十八日の夜、テレビ朝日の「ニュースステーション」で塩川氏のインタビューがまた放映されました。塩川氏の、野党対策に使っていることは事実ですというテレビの発言と、中身のことを忘れてしまったということでございましてという十五日の答弁のどっちが真実だという世論調査をして、テレビの野党対策に使ったという発言が真実だと思う国民が七二%、忘れたという答弁を信じた人が一三%という結果を示して塩川さんに聞いているんですね。

 そして、官房長官は、塩川さんの、野党対策に使っていることは事実ですというテレビの発言と、中身のことを忘れてしまったということでございましてという、これはあなたの言うのではどっちでもないんですね。新聞や雑誌で読んだことをしゃべっているというのですが、この事実をもう一回お示しをしてお聞きするのですが、本当に忘れてしまったのでしょうかね。それとも野党対策に使っているのは事実だという、これが本当なんじゃないでしょうか。いかがお考えになりますか。変わりませんか。

福田国務大臣 塩川財務大臣が忘れたとかどういうことをしたかということは、私は正直言ってわかりません。ですから、お答えすることはできません。

松本(善)委員 では、今度はこういうことを聞きましょう。

 塩川さんはこれを示されて、こう答えられたんですよ。僕は政府の一員になったんで一切言えません、役職についたらそういうものに対する責任感が、別の責任がある、そういうこととまじって一切言わぬことにしとんねんと、大阪弁で言われたわけですよ。これも配付した資料のとおりでございます。

 ところが、六月五日の財務金融委員会、つい最近ですよ、我が党の佐々木憲昭議員がこれを質問したところが、そんなもの覚えがない、そんなインタビューをした覚えもないと。それで委員会が紛糾しまして、それで改めてテレビのインタビューを見て、翌日の六月六日、一昨日再答弁することになった。そうしたらば、事実を半ば認めて、大臣になったらそんなことは言わぬものだよという感じがする、大臣になると特別の守秘義務があると言う。そうすると、これは、大臣になる前の発言は認めるけれども、大臣になったから言えないということなんです。

 私は、これはここが本当だなというふうに、小泉内閣というのは報償費問題の真実を隠すということを方針にしているんだと思います。私は、官房長官のいろいろ言われたことを結構塩川さんは遵守しているんだと思いますよ。報償費問題については本当のことは言わない、これが小泉内閣の方針と違いますか。

福田国務大臣 報償費というのは、委員よく御承知のとおり、その使途は言わないということになっているんですね。ただ、目的は、外交、内政を円滑に進めるために機動的に使用する、その都度の判断でもって使用する、こういうことでありますので、ですから、隠すとは何事か、こういうふうに私は申し上げたい。

 そもそも、財務大臣が官房長官をやったのは十二年前とおっしゃいましたね。十二年前、それも二カ月ですよ。私は本当に、半年前私が何をやっていたか、よく覚えていません。そのぐらい忙しい仕事であり、そんな正確な記憶なんかあるはずがないと私は思っております、財務大臣といえどもね。

松本(善)委員 国民が判断しますけれども、この問題は、やはり今官房もそれから外務省も、報償費の減額問題と言い出したでしょう。それで、やはり非常に重大な政治問題の一つだと思います。

 私、それに関連をして、非常に重要な記事を発見いたしました。六月七日の朝日新聞です。「「権力の裏ガネ」放さず 外務省改革 機密費「上納」にフタ」。これは署名入りですが、官房機密費と外交機密費について、正式には報償費ですね、「二つの機密費は名前こそ違え「一つの財布」なのだ。巨額の機密費が首相官邸と外務省のどちらに管理責任があるかあいまいなまま支出される――。一官僚が五億円近い機密費を詐取できた事件の温床は、そこにあった。」公になったのは五億円ですけれども、報道では十一億ぐらい、まだまだあるんだと。これは大変なことですよ。

 そして、記事を続けますと、「だからこそ、上納はタブーであり続ける。」ここからが大事。「あるキャリア外交官が言う。「機密費事件の責任は我々が背負った。」」これは要するに外務省がしょったというんですね。「今度は、官邸が外相が狙う川島裕事務次官の更迭を阻止する番だ。もし官邸の腰が砕けるなら、上納の証拠書類をリークする、と言ってもいい」、証拠書類があると言うんですよ。これは署名入りの記事ですよ。だから、私は相当覚悟を決めてこの記事を書いていると思います。

 外務副大臣、これは外務省にとっては重大なことですよ。もし官邸が川島さんを守らなければ上納の証拠を出すぞと言って、いわば福田さんをおどしているんですよ。あなたの、福田さんの答弁はうそだということの証拠を出すぞと。私は、これは重大な問題なので本当は田中外務大臣に聞きたいところですけれども、こういうことは内閣委員会で問題になった、この上納問題について、田中外務大臣は一たん調査すると言ったけれども、こういう問題が出てきたらもう一回調査しなきゃいかぬじゃないかと私は思います。このことをちゃんと外務大臣に報告して調査をすべきだと思いますが、答弁を求めます。

杉浦副大臣 世間では、外務省の報償費の問題と内閣の報償費の問題と混同されているところがあると思うんです。(松本(善)委員「いや、聞いたことに答えてください。あなたの言いたいことを勝手に言うんじゃなくて」と呼ぶ)いや、言いたいことを言ってからお答え申し上げていいんじゃないですか。

 外務省の報償費については福田長官も今申されたし、外務大臣も、それから前の大臣、それから福田先生はまたそのときも官房長官でいらっしゃいましたが、国会で外務省の報償費を官邸に上納させたということはないと再三再四申されておりますし、田中外務大臣も関係者の話をし、内閣官房に上納されているということはないと確認したということを再三再四申しておられるところでございまして、それはないと認識しておる次第であります。

松本(善)委員 私は、これは非常に重大だと思います。この記者は私、面識もなければ、どういう立場の人かもわかりません。しかし、この記事には迫力と正義感を感じます。

 私は委員長に今まで、古川メモの筆跡鑑定とか、それから古川氏の証人喚問とか、この問題を解明することはこの内閣委員会にとってはその存在意義を問われるような問題だということでいろいろお願いをしておりましたが、あわせて、恵村順一郎さんという政治部の記者、御本人の都合も聞いていませんけれども、差し支えなければ参考人として出てきて、しゃべれることを参考に聞かせていただきたいと思うのですが、このことを検討していただきたいと思います。

横路委員長 ただいまのお申し出の点は、理事会で協議いたします。

松本(善)委員 外務省が六日に発表した改革要綱は、上納問題に一切触れていないんです。田中外務大臣は就任直後、できるだけ早く調査すると。間もなくあっさり、事務方も過去の首相や官房長官も上納はないという結論に達している以上ないと言わなければならぬ、総理大臣と官房長官がそう言っているからないんだというような趣旨ですよね。後退した。

 私は、これと塩川さんの発言と両方合わせますと、やはり官房長官、小泉内閣は上納問題を含めて報償費については国民から隠すんだ、本当のことは言わぬのだという方針をとっているのははっきりしているんじゃないかと思いますが、改めて官房長官にお聞きしようと思います。

福田国務大臣 同じことを何度も繰り返していますけれども、そういうものはないということをもう一回申し上げます。

松本(善)委員 官房長官に前に裸の王様だということを言ったことがあると思いますけれども、そういう答弁は国民から絶対信用されないですよ。これは、午前中以来の答弁、森内閣のときの官房長官の答弁と何ら変わりない。このことに関して言うならば、森内閣と小泉内閣は同じだ。

 この問題はそんな小さなものじゃない。各紙の社説が取り上げております。外務省の改革要綱が発表されました翌朝六月七日は、毎日新聞と東京新聞が取り上げています。

 毎日新聞は、「機密費 これも税金、公開が当然だ」という見出しで、塩川財務大臣、田中外務大臣の言動に触れながら、「首相官邸が外交機密費を上納させ、国会対策に使ったという疑惑も、やぶの中だ。」いわばそういう趣旨の社説です。

 東京新聞は、詐欺事件で詐取されたのは内閣官房の機密費だ、その管理体制の見直しは残された課題だ、それなのに塩川財務大臣は、官房機密費を野党対策に使ったと明言したにもかかわらず、国会審議で使途に関する答弁を二転三転させて事実をうやむやにさせてしまった。また、外務省からの上納について、田中外相が調査に前向きの答弁をしたのを翻したことに触れて、解明を求めております。

 朝日新聞は、六月二日の社説であります。「足元を忘れてませんか」という表題で、「機密費流用事件で使われたのはすべて官房機密費だ。」「にもかかわらず、国会では責任は外務省にあり、首相官邸は単なる被害者だ、という言い分がまかり通っている。」「小泉首相がこれまでの政治のあり方を否定し、改革を断行しようとするなら、自らの足元にも目を向けてほしい。過去の支出内容を詳細に調査し、少なくとも野党対策やせんべつなど、国会がらみの問題があるものは公表すべきだ。そのうえで、使い道について明確な基準をつくる。減額は、そうした作業を経て、初めて意味を持つ。」と言っています。なかなか的確であります。

 この問題は、いわゆる小泉内閣の改革が本物かどうかということのいわば試金石です。これは総理大臣がやれと言えば全部明らかになることです。そして、国民のもやもやは全部吹っ飛びます。それを求めているのですよ。これは、小泉内閣がすぐやれることをやる、そうでなければ、改革改革と言っているけれども、看板倒れだということは明白だと思うのです。世論の動向、それを代表して社説がいろいろ言われていますけれども、やはり世論はこれを明らかにしろということを求めているのですよ。

 重ねて、この問題、使途は言わないということを改めて、真相を明らかにして、それでむだなものはやめます、そして必要なものはこういうものだから必要ですと正々堂々と国民に言ったらどうですか。それが本当の政治ではありませんか。官房長官にお聞きしたい。官邸の問題なのです。

福田国務大臣 報償費の意味はよく御存じでしょう。要するに、内政、外交、これを円滑に進めていくために必要な経費であって、その使途は言わないということは、これはもう何度も何度も申し上げているではないですか。それを一々説明しろと言わんがごときことを言われてもちょっと困るのですね。確かに説明しにくい問題です。ですからそこは、言いたい放題のことをおっしゃられるけれども、それはこちらの立場だって考えてください。

松本(善)委員 それは、官房長官の立場を考えるというわけにいかないですよ。だって、国民の立場から議論をしているのです。国民はみんな、ちゃんとしてくれ、おれの税金が何で五億円も膨大に松尾室長が使うのだ、そんなことが何で許されているのだ、なぜこんなことが起こったのだということを真剣に求めているのですよ。

 官房長官、ハンセンの国会決議をしましたよね。九十年にわたってこういうことが行われてきた。これについて国会は全会一致で責任を認めたわけです。何でこんなことが起こってきたか。今からこれは検証が始まりますけれども。この官房の機密費、機密費という言葉自体がもう違うでしょう。あなた方も報償費と全部言う。機密費だったら、それは機密が本来のものだ。何で報償費が本来そういう言わないという性質になるのですか。そんなことはあり得ない。戦前とは違うのですよ。

 これを私は改めて、五億近いものを詐取できたというのがなぜ起こったのか。これは、裁判所や検察庁は松尾個人の問題しか調べられません。やはり国会とか政府は、なぜこれが起こったのか、上納問題が原因ではないか、それから使途について明らかにしないということが問題ではないか、そういうような問題について徹底的に調べる、そして国民の前に明らかにするというのが政治の責任と違いますか。官房長官、伺いたい。

福田国務大臣 説明のしにくい問題であるということは、これも今申し上げましたけれども、過去のこの職にあった官房長官が、その都度適正なる判断をし、厳正に報償費の使用に心がけてきたというように私は思っております。もちろん、私もそういうようにやっておりますのですけれどもね。

 ですから、そういうことで、委員にはひとつ理解していただくしかないのです。これを適正かどうかということになれば、一つ一つを説明しなければいけない。そんなことはできないものだというふうにまずお考えいただきたいと思うのです、そういう性質のものだというふうに。おわかりでしょう、それは、そういうものが必要な部分があるということについて。

 ですから、そういうことはほかの国においても認められているわけで、検査も全然受けないというものもあるのですよ。日本も同じようなことがありますけれども、しかし、そういうことについても、こういう事件が起こったということを反省して、これはもう二年以上前の話でございます、事件でございますけれども、そういうことを反省して、そういうことが絶対に起こってはいけないということで、さらに気を引き締めて今実行しているということでございます。

松本(善)委員 また重大な発言が出ているよ。やめるわけにはいかない。

 検査を受けないものもあるのですとまた言われた。前にもそういう趣旨のことを言われて……(福田国務大臣「会計検査」と呼ぶ)会計検査でしょう。(福田国務大臣「会計検査、受けていますよ」と呼ぶ)受けていると言って、訂正されました。しかし、今の言葉はそうです。そういうものもあるのですと。そういうものを理解してもらわないと困るという……(福田国務大臣「外国の話をしているのですよ」と呼ぶ)外国の話と言われたのだけれども、外国にもあるから日本だってそうなのだという趣旨で答弁されたのですよ。何で外国のことを持ってくる必要がありますか、この報償費の問題で。

 それで、ついでに聞いておきますが、今外務省もそれから官房も、報償費の来年度減額の問題が問題になっているでしょう、減額すると。午前中問題になった。節約するのだと言う。だけれども、減額すると言うのなら、何がむだだったのか、そこをはっきりさせなければおかしいでしょう。ただ節約するのだったら、何だって節約するのが当たり前なのだ。どこがおかしかったのか、その認識なしにそういうことは言えないはずだ。国会議員のせんべつはどうなんだ、野党の対策費はどうなんだ、それは必要だったのか、もうさんざん、私だけではなくて皆さんが議論をされています。野党の皆さん方、自分たちが与党のときのことも含めまして、堂々と言われている方もありますよ。それをやって、やはりこれは真剣に解明しなければならぬ問題だということなのだ。何で減額するんですか。不適切なものがあったからでしょう。それは何なのですか。言ってもらいたい。

福田国務大臣 使用に当たっては、いろいろな項目があるでしょう。その緊急度とか必要度とか、そういうものをどういうふうに判断するかということはその都度決めていかなければいけないわけですよ。ですから、そういう緊急度とか重要度とかいうものについて従来よりもさらに厳しく見ていく、こういうことでございます。

松本(善)委員 そんなのではやはり国民はだれも納得しないですよ。もう世間では、みんなこの問題がいっぱい報道されているのです。社説でも公然と上納問題、野党対策費と。これは、あいまいだったらそんなことを社説に書きませんよ。それは実際にそうだと思っているから書いているのですよ。それを耳をふさいでやっていくというような政治ではだめだ。

 会計検査院。これは会計検査院もやはり相当考えないといけない。これは前にもやったけれども、五億の金を詐取したと。これから横領になっていくかどうかわかりません。捜査中だからわかりませんが、報道では、指摘しているのは、いや、もっとあるのだと。いや、十一億くらいだというのもある。それは本当かどうかわかりませんが、こういうことが生まれてきたのはなぜかということをやはり会計検査院は真剣に反省しなければいかぬ。少なくもこの問題について、一回も不適切だということの指摘を会計検査院はしたことがない。それがこういうことをもたらしている温床にもなっているのですよ。

 会計検査院、この問題について私が質問してからしばらくたっています。松尾氏の問題も進んでいます。いろいろな議論が起こっている。どういう反省をしているのか、そして今後どういう会計検査の方針をとるのか、お答えください。

石野会計検査院当局者 今お話に出ました松尾事件といいますか、本件の事態につきまして、現在もなお会計検査の観点から、報償費の管理体制を含めまして、その執行状況という事実関係を十分調査を続けておるところでございます。そして、本件問題の発生原因というものを究明し、さらには、再発防止のためにどのような方策が必要かについて検討を続けているところでございまして、今お話しの会計検査のあり方ということにつきましても、この検査の過程において明らかにしていけるものと考えております。

 今後でございますけれども、今そこへ出てきました点を十分踏まえまして、報償費の適正な執行を確保するための内部コントロール等の仕組みが十分に機能しているのかどうかというふうな点に留意して検査を行ってまいりたいというふうに考えております。

松本(善)委員 前に、あれは予算の分科会だったと思うけれども、会計検査院に、いわゆる古川メモ、これを聞いたら、参考資料にするという趣旨の答弁がありました。この問題については何か進展がありますか。言えることがあったら言ってください。

石野会計検査院当局者 検査院が検査を行ってまいりますに際しましては、さまざまな資料とか情報といったものがございます。それらを十分見きわめながら事実関係の把握をし、検査をするということで行ってきているところでございまして、お示しの文書につきましても、そういう形で対応してまいりたいというふうに思っております。

松本(善)委員 官房長官、余り嫌な顔をしないでお答えいただきたい、国民は非常に大きな関心を持っている問題ですから。

 塩川さんのお話に戻りますけれども、塩川さんは、テレビ番組で、すべてを国会で明らかにして機密費の問題をしっかり解決したらどうだと聞かれて、いや、それはそんなことをしたら国会が紛糾してどうにも動かなくなっちゃうと。これはまた本音だな。ここがやはり本当だと思う。だけれども、やはりこれをやらなければならぬところへ来ているのですよ。国会が紛糾するとかなんとかいったって、明らかにすれば終わりますよ、それは。そして、やはり改革をするというのはそういうことですよ。

 官房長官、実際、塩川さんと同じように考えているのと違いますか。

福田国務大臣 塩川財務大臣は、私は大変人格高潔な立派な方だと思っています。ですから、できるだけ塩川財務大臣のけいがいに接しよう、こういうことで努めてまいっているわけでございまして、塩川財務大臣をどのようにお考えになっているか知らないけれども、私はそういうことで、信じております。

松本(善)委員 私はきょうのやりとりを聞いていて、塩じいをいじめているとか眞紀姉をいじめているとかなんとかいうのがあるらしいですね。いじめているのは官房長官だ、官房長官と小泉さんだ。これを隠すという方針だから困っているのですよ、二人とも。それで支離滅裂なことを言ってみたり、それからあの元気のいい田中さんがすぐ後退してみたり、そうなっているのですよ。助けてやったらどうですか。私は、この問題は、真相を隠す方針をとっているということが明白だと思いますよ。

 私が言いたいのは、これは昔からあることです。尾崎咢堂が、戦前の機密費自体を問題にした。私は、やはり尾崎さんだけのことはある。詳細に軍事機密費を調べて、そして根拠を挙げて、飲み食いに使っているじゃないか。この問題で、そんなことはないんだと言うのは素人だと言っています。私は、やはり尾崎さんの伝統を受け継がなきゃいかぬ。これは国会、国民の前に全部明らかにしなければならない。この問題を明らかにしなければ、政治改革だ何か言っても、これは本当に口先だけ、格好よくやっているだけの話で、実行は何にもないということになるんだということを厳しく指摘し、官房長官に最後に答弁を求めて、終わろうと思います。――では終わります。答弁ができなかった、こういうことで確認しておきます。

横路委員長 重野安正君。

重野委員 社会民主党・市民連合の重野です。

 きょうは、公務員制度の問題について、関係大臣並びに人事院総裁にお伺いいたしたいと思います。

 まず、公務員問題についてでありますが、先日の本委員会で、石原大臣は、国家公務員において実際に採用する人数の倍の合格者を出していることに関して、ジャーナリズムの世界でも採用試験をして成績順にすると女性に偏る傾向があるなどと発言しておられました。ということは、成績だけでは女性ばかりになってしまうから、合格者数を水増しして各省が男性を採れるようにしている、そういうふうに大臣は理解をされているというふうに受けとめるのですが、これはちょっと問題があると思います。

 今の公務員試験は、すべての国民に対して平等の条件で公開で行うということになっております。採用は、受験成績その他の能力の実証に基づいて行うこととなっております。国家公務員法にはそのように書いてあります。

 大臣は公務員制度改革を担当されておりますが、もちろん国家公務員法は十分読まれていると思います。公務員の採用を、コネなどではなく、客観的能力に基づいて行いなさいというメリットシステムは、近代公務員制度の大原則であります。これを正しく理解していないということになると、大臣、問題だと思います。

 大臣は、二十一世紀の日本と世界のあり方を見ますと、成績がよいからといって女性を公務員に採用することは適当でないというようなこともおっしゃったやに聞いておるのでありますが、これは先ほどの問題以上にちょっと疑われる発言だと言わなければなりません。

 グローバルな二十一世紀の社会で、女性は公務員にふさわしくないというふうに言われるのでしょうか。今まさに二十一世紀の国づくりを進める中で、社会のあらゆる分野における男女共同参画、とりわけ国の政策形成過程に女性の参加を求めていこうと政府全体で取り組んでいるのではありませんか。公務員にふさわしくないという発想の持ち主の方が、よほど二十一世紀のリーダーとしてはふさわしくないと私は断ぜざるを得ないのでありますが、まず、行革担当大臣としての見解をお聞かせください。

石原国務大臣 重野委員にお答えいたしますが、私の発言のどのくだりをどのように誤解されているのか、ちょっと理解できないのでありますが、私は、女性を軽視するようなことは決してございませんし、私の経験で、ジャーナリズムの世界で、私の採用はもう二十年以上前でございますけれども、採用のときに人事の方が、採用を試験だけに限るとどうしても女性の方ばかりが上位になってしまうという経験をお話ししただけでございます。

重野委員 大臣の発言は、私が聞いたことは大臣の真意ではない、私が示した今日的な状況に立脚をして公務員像を語るんだということを申したと受けとめておきたいと思います。

 次に、公務員制度改革の経緯と今後の問題について質問をいたします。

 昨年十二月の行革大綱、三月二十七日の「公務員制度改革の大枠」を経まして、政府は六月に制度改革の基本設計を策定するというふうに言っております。私は、この問題に対する国会論議が十分なされたかといいますと、決してそうではない。今後の基本的制度設計について国会の議論も十分踏まえて策定するという点について、官房長官、行革担当大臣の見解、約束をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

石原国務大臣 重野委員にお答えさせていただきたいと思います。

 公務員制度は過去のこの内閣委員会の御質疑の中でも議論をされてきていることでございますし、また、私も制度設計についてはお話をさせていただいておりますが、働く職員の方がやる気を持って働いていただけないことにはこの行政というものは機能いたしません。そういう点に十分留意をして新しい姿について取り組ませていただきたいというふうに認識をさせていただいているところでございます。

福田国務大臣 石原担当大臣のおっしゃられたのと同じでございます。

重野委員 この問題、すべてが法改正として国会に提案されるわけではないわけです。国会で議論する機会というものも、そういう意味では制約されます。法律以外に政令やあるいは人事院規則で決められるものも相当あるはずです。となれば、今後、この場も含めて国会の審議は極めて重要であるし、また、いろいろな角度からいろいろな意見を聴取しながら、それを踏まえて設計していかなきゃならぬというふうに考えます。

 したがって、そういう点については今後積極的に受けとめていくという気持ちを持っておられるかどうか、行革大臣、再度答弁ください。

石原国務大臣 重野委員にお答え申し上げます。

 先ほども申しましたように、もう当委員会でもこの問題は一週間で二回議論されておりますし、私も、何度も申しておりますように、そこで働く方々が本当に自信と誇りを持って働いていける二十一世紀に見合った公務員像を模索しながら、この公務員の新しい制度について先生方と十分に議論をさせていただきながらつくっていくものが本当の姿であるという認識にいささかの変わりもないと申し述べさせていただきたいと思います。

重野委員 よろしくお願いをいたします。

 そこで、今回のこの制度改革について、大臣は労働団体と意見交換するとしか答弁していないようであります。しかし、この問題は今後恐らくILOでも取り上げられる問題となるでありましょう。その際、国際的に認知されている労働組合との関係について、これまでの大臣の答弁にあるような意見交換というふうな言葉はおよそ国際的には通用しないんではないか、このように思います。したがって、そういう感覚で話し合いをするんではなくて、本当にその意見を受けとめられる、権威ある話し合いというものを私は強く期待しておきたいと思います。

 三月二十七日決定の「公務員制度改革の大枠」の中で、給与管理についての人事院の事前の基準設定機能、すなわち級別定数設定機能の廃止が記されております。これは、労働基本権制約にかかわる人事院の代償機能を一部廃止することを意味することになると私は受けとめました。この点、十分理解しておられるかどうか。もし理解した上でこうした記述がなされているとすれば、その限りにおいて労働三権の一部について回復するのは当然ではないか。どうしてそれをこの「大枠」の中に記さなかったのか。これはスト権を含む労働三権の回復要求という基本問題とは次元の異なる問題です。大臣の見解を伺います。

石原国務大臣 委員にお答えいたしますが、私と労働側との意見交換が意味がないと言われますと、会ってお話しするということもできなくなりますので、意味があると両方が思っているからこそ榎本委員長ともお会いをさせていただいておるんでございまして、その点は委員のお考えをお改めいただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、ただいま委員御指摘の点は、私どもの政府の方でつくりました行革大綱の「中央人事行政機関等による事前規制型組織・人事管理システムの抜本的転換」という項目の中で、「中央人事行政機関等が、事前かつ個別・詳細に各組織の定数(給与)、機構・定員をチェックする仕組みを見直し、各行政機関ごとに総人件費・総定員の枠内で各主任大臣が組織・人事制度を設計・運用するシステムとする。 中央人事行政機関等は、あらかじめ明確な基準を設定するとともに、その遵守をチェックすることとする。」というようなくだりを指されて御質問されているということでございますが、この公務員制度全体の枠組みの中で労働基本権を含む問題は検討をさせていただきたいと再三御答弁させていただいている点でございます。

重野委員 今の大臣の答弁では、私が期待をした答弁にはなっていないんであります。問題の本質に沿って誠実に答えていただきたい。

 私は、労働三権回復という基本問題について質問しているのではありません。代償機能の一部廃止が記されているから、その記されている範囲内に限って労働三権の一部に関し回復または強化について言及されてしかるべきだと指摘しているんですね。そういう私の思いでありますが、その私の指摘に対して真っ正面から答えていただきたい。

 同時に、人事院総裁、この問題についてどのように考えておられるのか、後でお聞かせいただきたいと思います。

石原国務大臣 委員会でございますが、なかなか意思の疎通しない部分もありますが、いわゆる労働基本権のどの部分について、重野委員の方は私に、どういう立場をとって、また、どういうものがどうであるからどうなのだということをお聞きになっているのか、ちょっと私よく理解できませんので、その点、もう少し詳しく御質問いただければと存じます。

中島政府特別補佐人 今の御質問を聞いておりましてちょっと思い出すのは、六月五日でしたか、公務員制度調査会で議論があったように思います。そこで学者先生から提起されたというか、指摘されたということですが、労働三権という基本的な権利の回復ということとは別に、代償機能というものを制限する、そして制限したものを当局側が実施する、そういうことになれば労使間に新たな手当てが必要だというようなお話があったというふうに思います。その新たな手当てというものをどういうふうに考えていくかということの詰めが必要になっておるということじゃないか、端的に申し上げますとそういうことじゃないかと思います。

重野委員 今、人事院総裁の答弁だろうと思うんですが、大臣、級別定数設定機能の廃止という問題は、これは明らかに労働基本権制約にかかわる人事院の代償機能を一部停止するということを意味していると私は受けとめるんです。そうじゃありませんか。そうなると、それに対してしかるべき措置、労働三権を剥脱されたその代償機能としての一部であるとするならば、当然それについて、労働三権の一部について回復するというものが同時に出されてこないと片落ちではないですか、こういうふうに私は申しているんです。

石原国務大臣 重野委員にお答えいたしますが、六月の末を目途に、現在、新しい公務員制度の姿の方向性を示す指針みたいなものを議論している最中でございます。公務員制度の給与等も含めまして具体的な姿がつまびらかになってくる段階で、今委員御指摘の代替措置としての人事院の存在、労働基本権の問題につきまして、明快な御答弁ができるようになるのではないかと認識をしております。

重野委員 今私が申し上げたことを十分踏まえていただいて積極的に議論をしていただきたいと思います。

 人事院総裁、今の説明、もう少し詳しく説明していただけませんか。

中島政府特別補佐人 先生がおっしゃいましたように、人事院が級別定数を決めておるというのは、勤務条件である事項を、労働三権が制限されておる職員側というか、労働団体にかわって決めておるということでございます。したがって、その機能を廃止する、あるいは縮小するということになりますと、労使間のバランスが崩れる。したがって、そこに新たな労使間の手当てが必要だ。その手当てはどういう手当てかというと、学者といいますか、労働法学者のかなりの人が、労働協約を締結する団体交渉権というものの回復まではいかない、その一歩手前の書面による約束の交換といいますか、そういうようなあり方についても議論を深めていくべきだということを言っておりますので、そういうところがこれからの議論のポイントになってくるのかなというふうに思います。

 そういうことを新たな労使間における手当てというふうに申し上げたわけでございますが、そういうことでおわかりいただけたかというふうに思います。

重野委員 そういうことであれば、当然、今議論されておりますこの基本設計の中にそういう背景を書き込んでいただきたいと思います。これは強く要請しておきます。

 それから、大臣に言いたいことは、公務員制度の改革はその影響する範囲が非常に広いんです。すなわち、当局側の裁量権を拡大すれば、その反面、一般職員の利益を保護するシステムをどうするかということを当然考えなければなりません。人事院総裁にも強く要望しておきますが、人事院は、労使双方に中立的な立場から手抜かりのないよう意見を表明すべきだと思います。このことは強く要求しておきます。同時に、行革担当大臣に、今の人事院総裁答弁が持つ意味というものも十分理解してもらいたい、そして今後の基本設計の土台とするよう重ねて要求しておきます。

 そこで、級別定数設定機能の廃止に関してもう一点聞きますが、「大枠」の期すところでは、それぞれの省庁が給与決定できるよう改革するとしております。それぞれの省庁が給与決定できるよう改革するとしていますが、そうなると、総人件費の枠いかんが重要な意味を持つことになります。つまり、人件費総額を抑制する意味において、あるいはまた適正な給与処遇を確保するためにも、重要な意味を持つことになる。

 そこで、総人件費の枠設定についての労働団体との話し合いをするポジションはどこなのか、行革担当大臣の明確な見解をお聞かせください。

石原国務大臣 重野委員にお答え申し上げますが、先ほど来申しておりますが、級別定数の問題も含めまして、そしてまた給与の総額等について、どこで交渉の窓口になるかといったような基本設計をこの六月の末に出させていただきたい、そういう中で議論をしているというふうに御理解をいただければと存じます。

重野委員 労働組合との交渉をどこがするかという問題と基本設計という問題、これはちょっと別の問題だと思うんです。基本的なルールの問題として、こういうことがあろうとなかろうと、当然、今日までもそういう交渉というのはされてきたわけです。そのルールが変わる、そういう受けとめを我々はしていませんから、だから、それをどこで話し合いをするのか、その窓口はやはりきちっと決めておかないと、きょうはどこ、あすはどこということではいけません。その点をひとつ確認しておきたいと思うんです。

石原国務大臣 その点につきましての先生の御言及は、「公務員制度改革の大枠」の中のこのくだりだと思うんですが、公務員制度改革への今後の取り組み、新たな制度の基本設計に向けて、基本設計というのが先ほど来私がお話をさせていただいている六月に出る方向性を示すものでございますけれども、公務員制度改革の基本的方向に沿って今後具体化に向けた検討を行っていくこととするが、現行の職務給原則を廃止し、能力、業績等が反映される新たな給与制度を確立すること、大臣を人事管理権者として位置づけること、こういうふうに御理解をいただいて、この設計をつくるべく今鋭意努力をしているところでございますので、この「大枠」の後の基本設計が明らかになった段階で、先生が御疑問の点あるいは御指摘の点も御議論の対象になってくると認識をしております。

重野委員 今の説明を聞いておると、例えば、今各省庁がありますね、その省庁の職員が各省庁の大臣と個々にやるようになるんですか。そんなことはちょっと考えられないんですけれども、今の説明は何かそういうふうな感じがしたんですが、違いますか。

石原国務大臣 どこに責任があるかということを申し述べさせていただいて、この「大枠」の中で示したことを今意見として改めて申し述べさせていただいておるのでありまして、大臣を人事管理権者として位置づけること、そして人事院の役割を見直すことなどが今回の改革の中で不可欠である、国家公務員法の改正を行うこととする、また、公務員制度全般にわたる抜本的な改革の検討を進める中で、先ほど来お話をさせていただいております交渉権の問題を含めて、労働基本権の制約のあり方等も十分検討すると。今、その議論の途上の中にございまして、与党三党の側とも先週初めて議論を持った、そのような段階でございます。

重野委員 今言った大臣とはどの部分を指すのですか。

石原国務大臣 大臣は、各大臣を指すものと認識しております。

重野委員 そうすると、労働団体と各省の大臣がそれぞれやるんですか。

石原国務大臣 交渉でございますので、大臣、委員長の交渉があるかないかはわかりませんけれども、どんな交渉でも、課長レベル、部長レベル、局長レベル、こういうふうに交渉のレベルというのは上がっていくわけでございますから、そのような範囲の中で、全体の枠組み、すなわち基本設計ができる段階までにある程度の方向性を示すべく、今鋭意検討をさせていただいていると御理解をいただきたいと思います。

重野委員 その程度にとどめておきます。ちょっと時間がもうないようですから、私はちょっとまだ納得しませんが、今後の課題にしておきます。大いに議論していかなきゃならぬと思っております。

 次に、特殊法人や天下り問題について伺います。

 特殊法人問題でありますが、特殊法人の総裁や理事長の報酬は少しばかり引き下げたやに承知をいたしておりますが、一般の役員報酬をどうするのかという点については、どうもいまいち明らかになっていないようであります。我々は、当然引き下げるものと理解をしておりますが、その点について具体的にどういう検討がされておるのか、官房長官、大臣、それぞれ聞かせてください。

石原国務大臣 委員の御質問にお答えいたしますが、委員今御指摘の点は、国民の各界各層に共通する問題認識であると私も考えております。そんな中で、先般、特殊法人等の理事長、総裁等の給与というものが、今は特殊法人が各省庁ごとに分かれておりますので、各省庁の次官よりも給与が高いということで、次官並みというふうに引き下げさせていただいたところでございますが、委員の御指摘の点は、総裁、理事長の給与は下げて次官並みになったけれども、しかし、副理事長あるいは理事というような給与が動いていないのではないかという問題の認識だと理解させていただきました。

 そこはまさに、私、同じような問題の認識を持たせていただいておりまして、これをどういうふうに調整することができるのか。今、特殊法人の全事業の見直し、そして全事業の見直しの後には組織形態論に踏み込んで今年度中に整理合理化計画をつくるという段取りになっておりますので、その中でこの問題を処理させていただきたい。御趣旨はまさに同感と申し述べさせていただきたいと思います。

重野委員 同様に、退職金の問題についてもいろいろな指摘がなされております。これについても同様に検討していただきたい。そのように受けとめていいですか。

石原国務大臣 重野委員の御質問にお答えいたします。

 重野委員の問題の認識は、特殊法人の方々の退職金の額が、民間と比べても、あるいは他の役所の退職金と比べても高くて、また複数の法人を動くことによってそれが大変ふえていくというような問題認識と理解させていただきましたが、まさにその点につきましても、委員御指摘のとおり、そのような観点を十分踏まえて見直させていただきたいと検討しているところでございます。

重野委員 そういう方向でひとつ努力していただきたいと思います。

 次に、民間企業に対する天下り問題でありますが、所管大臣が承認すれば可能とする制度へ変更するのかという点です。

 現在、一年間で、営利企業に八百人、また特殊法人や公益法人などに三百人、それぞれいわゆる天下っております。この実態に対し、合計しますと千百人という大変な数でありますが、それぞれの大臣が、一体一省に何百人、何十人おるのかわかりませんが、厳正に審査できるのかどうなのかというのを私は甚だ疑問に思うわけです。結局大臣は官僚に助けられてということになるのではないか。そういうことを考えますと、大臣承認制とはいうものの、実態は官僚が承認するのと同義語ではないかというふうに私は思うのですね。結局、こうして見れば、天下りが緩和されることになるのではないか、そういう点をどういうふうに実態論として受けとめておるか、それを聞きたいと思うのです。

 非常にこの問題についての世論というのは厳しいものがあります。なのに、第三者機関による承認制を廃止して大臣承認制とすることは、私は、時代に逆行しているんじゃないか、このように思うのですが、それに対する大臣の認識をお聞かせください。

石原国務大臣 御質問にお答えをさせていただきますが、今のままの制度、今のままの天下りのシステムではやはりいけないというところでは、重野委員と私どもの認識は共通ではないかというような気がいたします。

 委員御指摘の点は、これまで人事院の方で認めていたものを、今回の「大枠」でお示しさせていただきましたものは、大臣の直接承認にする、そういう点でお手盛りになるんじゃないかとか、あるいは、官僚が大臣をサポートしている以上は官僚の言うことを大臣が聞かざるを得なくて、かえってめくら判を押してこの批判の多い天下りがふえるのじゃないかという御懸念に立脚をした御質問ではないかと今理解させていただいたのですが、大臣が承認するということは、そこに大臣の責任が発生するんだと私は思います。

 大臣というものも議員である以上は、そのようなものを認めたら、選挙民の方がそれを認めるのか認めないのかというフィルターがかかってくると私は思いますし、また、明確かつ厳格な承認基準というものを公にさせていただきます。それで今委員が危惧されました点についてはカバーできるのではないか。そして、承認された案件については、出身府庁と企業との関係等の情報をディスクロージャーする。そして、ディスクロージャーをすることによりまして国民の皆さん方の監視のもとにこのルールにのっとった再就職というものがなされていくように制度を改めていきたいということを申し述べさせていただいているところでございます。

重野委員 今、この国の大臣、何年間大臣のポストにおられるかという点を考えると、人の問題、人の身分にかかわる問題、非常に重要だと私は思うのですね。私はやはり、そういう点を考えてそういう方向が議論されているのかどうなのかということを冷静につかまえていかなきゃならぬと思いますよ。結果として無責任なというそしりが出るようなことでは私は問題だ、その点をひとつ今後の議論の中で十分考慮して議論をしていただきたい、このように考えております。

 以上、時間が来ましたので、私の質問を終わります。

横路委員長 中沢健次君。

中沢委員 民主党の中沢でございます。

 午前中も官房長官といわゆる機密費問題でいろいろ議論をいたしました。一日に二回質問に立つというのはやや異例ですが、あと三十分間、与野党含めて辛抱していただいて、じっくりこれからの議論、参考になるかどうかは別にして、ぜひ聞いていただきたいと思います。

 まず最初に、竹中大臣、初めてこの委員会で議論をすることになりました。当初四問予定をしておりましたが、結果的に、午前中の日程が変わりまして、しかも三十分しか時間がありませんから、きょうは一問だけにして、残る三問は来週の水曜日、十三日にまたやりますので、請う御期待、こういうことでお願いしたいと思います。

 それで、たまたまきょうはイギリスの総選挙の開票がありまして、まだ最終確定の数字は見ておりませんが、四年前、イギリスのブレアが率いる労働党の歴史的な大勝利、今回もほぼ匹敵をするような内容で労働党が圧勝する、これはもう間違いがないようです。私は、もともと社会党からずっと今民主党に来ている人間ですから、やはりイギリスの労働党に対しましていろいろな意味で思いを持っています。残念ながら、ブレアさんには直接お目にかかっていません。

 そこで、大臣、大臣は学者としては一流だと大変な評価が定まっていると思うのですね。しかし、政治家として初めて、非常に難しいポジションで仕事をされる。私の期待は、学者もそうだけれども、政治家としても一流であった、こういう評価が定まるようにひとつ頑張っていただきたい。私は野党ですが、この委員会の筆頭理事という立場で、やはり改革の中身によっては積極的に後押しをしたい。しかし、その中身によっては断固だめだ、こういうふうに立ちふさがっていかざるを得ないと思うのです。

 それは別にいたしまして、今のブレア政権が圧勝する、これはやはり、私もいろいろ勉強は少ししていますが、彼はさまざまな構造改革をやっている。中でも雇用政策でいうと、福祉政策とのリンクの関係で、今まではどちらかというと福祉のための福祉であった、しかし、働くための福祉という非常に新しい発想で、この四年間、失業者も百万人も減る。これは驚異的なことだと思うんですね。

 これから恐らく竹中大臣は、経済財政諮問会議の中で日本全体の構造改革、既に方針が示されました。雇用についてもそれなりに触れられております。ますます雇用問題が政府全体の重要な政策のテーマにいや応なしになる。そうすると、今の日本、今までの雇用政策の延長線で本当にいいのだろうか。私はこれではやはりだめだと思います。ですから、イギリスのやっている働くための福祉という表題の内容について、恐らく勉強されているとは思いますけれども、さらに学者としても政治家としても勉強していただいて、ぜひそれをあなたの責任でこれからの政策に生かしていただきたい。

 なお参考までに、ついこの間、NHKで「クローズアップ現代」という番組、たまたま私は最後しか見ておりませんでしたので、後で全部見てみました。大変参考になると思います。ビデオはお渡ししましたからしっかり見ていただいて、頑張っていただきたいと思います。

 そこで、最後に質問。前書きはこのぐらいにいたしますが、大臣としては、やはりああいうイギリスの学ぶべき労働政策はしっかり学んで、日本的にも、ぜひ重要な参考としてお使いをされたらどうでしょう。こういうことについてはいかがでしょうか。

竹中国務大臣 この間のNHKの「クローズアップ現代」、たまたまその日、私は家に帰りましたら、きょうは大変おもしろい番組があったというふうに家内から言われました。実は、それがまさに御指摘の番組だったわけです。けさビデオをいただきまして、感謝申し上げます。実は、時間がなくてまだ拝見しておりませんけれども、家内等々から教えてもらったことも含めて、大変重要なポイントだというふうに考えています。

 経済政策の範囲はたくさんありますけれども、日本における雇用政策の重要性、これはもう間違いなく最もプライオリティーの高い問題であるというふうに思います。改革を進めれば進めるほど、その重要性はますます高まってくる。ブレア政権等々の学ぶべきこと、私は本当にたくさんあるのだと思います。

 その中で紹介されていたものを私なりに整理させていただくと、例えば失業保険で、どんなに長い間失業保険をもらっていても、やはりそれでは幸せではないわけであります。あの番組で紹介されていたのは、失業保険を長くもらうのではなくて、むしろ短くして、それで働く場を設けていく、まさに働くインセンティブというのをその雇用政策全体が持っているようなシステム。

 具体的には、あそこの中で紹介されていたのは、たまたま、あっせんとかトレーニングもやってある失業者のケアをするわけですね。徹底的に面倒を見て、コンサルティングをやって、その人をうまく就職させたならば、就職させることができた人、会社は、本来長期に失業していたら受けたであろう給付の何割かをインセンティブとしてもらうことができる。

 これは一種の労働の仲介、あっせんのビジネスである、ビジネスチャンスであると同時に、何といっても働く人間にとっては大変幸せな結果をもたらす。もちろん、働く人間の立場というのはある面で弱い面もありますから、それに対する何らかの考慮は必要なのだと私は思いますけれども、働く方もそれをあっせんする方もインセンティブが大変重要なのだという点について、私は、まさに学ぶべきものが多いというふうに考えています。

 そういう発想を取り入れたのがやはり私は真の改革だというふうに思っておりますし、ぜひそういう改革の方向を日本型にアレンジしてその改革の中に取り入れて、同時にそれがまた人々のセーフティーネットになるというような政策を目指したいというふうに考えております。

中沢委員 ありがとうございます。あと大臣、結構ですから。

 それでは、石原大臣にこの後いろいろお尋ねをしたいと思います。

 質問の通告は、例えば特殊法人のこともありましたが、もう時間がありませんし、しかも関係法案の審議で少しくやっておりますし、しかも、附帯決議の中にも私どもの思いはかなり文章的にも整理されて入っておりますから、これは割愛をして、早速、今社民党の重野さんも指摘をされた、あるいは、かつて私どもの山元委員も石原大臣といろいろ議論をされている。私は石原大臣ときょう初めてですが、この問題については三月に、当時の橋本大臣と二回にわたっていろいろ議論をしています。ただ、正直言いまして、いよいよ六月第四週に公務員制度の基本設計をまとめるというかなり緊迫した場面に今日立っている。したがって、私の質問もやや総論的な内容になりますけれども、ぜひ政治家石原大臣として大事なポイントについては、あるいは事務局から答弁メモがあるかもしれませんが、そんなことは関係なしにと言ったら官僚否定になるから言わないけれども、そういう思いでぜひ議論をしてみたいと思うんですよ。

 きょうは、連合の官公労部会あるいは公務員共闘の関係者のごく中枢部分の方々が非常に注目をして、わずかの時間ですけれども傍聴に来られております。

 そこで、まず第一に聞いておきたいのは、大臣自身は、日本型の公務員の一つの仕組みとして、労働基本権は基本的には法的には保障されていない、その代償機関が第三者機関の人事院である、こういう事実、それから、世界的に見てこういう日本的な仕組みは極めて特異なケースだ、欧米諸国、アメリカ、開発途上国は若干違いますけれども、ほとんどは法的にも公務員労働者にも基本権はきちっと保障されて、そして公務員制度が現在あるわけなんですよ。そういう事実はもう間違いなくお持ちだと思うんです。

 もっとついでに言うと、与党の今行革本部長は太田さんです。特殊法人の提案者の責任者。私も、個人的に知っていますからいろいろ話もしています。五月の十八日に連合主催のシンポジウムで、太田本部長もいろいろ発言をされている。いろいろ私も資料をいただきました、どういう発言をされたのかなということにいい意味でいうと関心がありますから。太田さんはいろいろ言っていますが、やはり、公務部門の制度の改革をする場合は労働基本権、労働三権も回復は辞さない、そういう思いでこれからもやりたい、ただ、いろいろあって表に出る文章その他はやや玉虫色だ、こういう話もされている。

 それから、私はあえて人事院の総裁の同席を求めなかったのは、今の段階で人事院総裁が来ますと非常に専門的なやりとりになっちゃうんですね。私はまた十三日にやろうと思っていますけれども、きょうはそうじゃなくて、もっと大臣といろいろな議論を基本的な問題でやりたい、こう思って呼んでいないんです。別に私は人事院を無視しているつもりはない。

 やはり人事院というのは第三者機関で、人事院勧告を出す、さまざまな各論にわたっての第三者機関としての役割はずっと果たしてきた。したがって、人事院もそれなりに、やはり大臣、例えば総裁と話をしたりあるいは所管の局長と話をしたり、そういうことが率直に言って今までは余りなかったと思うんです。けれども、これからの作業としてはそういうことも必要だ。

 まず、労働団体の問題を別にして、今の私の言ったようなことについての基本的な認識、どうでしょう。

石原国務大臣 中沢委員の御質問にお答えしたいと思うんですが、中沢委員の御質問の趣旨というか認識をただしてきた点は、いわゆる労働基本権の問題を議論せずに公務員制度の新しい改革はないんじゃないかというような視点が第一点。そして、これまで、準司法的という言葉が適切か適切じゃないかは別として、第三者機関、ジャッジメントもするというような意味を持って、また専門のテクノクラート集団、人事に関するテクノクラート集団としての人事院のあるべき姿、そしてまた、この制度設計をしていく上で人事院との関係のあり方。要約しますと、今の二点につきましてどう考えるかという御質問だったと思うんです。

 私も、第一点目、労働基本権の問題は素通りはしちゃいけないと事務局に言っております。これまで、行革事務局の幹部の方も、どちらかといえばマネジメントに当たる側であるわけですから、この問題はこの問題として素通りをしていきたいという傾向があったんじゃないか。そんなことに我が党の太田本部長は、そうじゃないだろう、そういうこともどこまでいけるかわからないけれども問題意識を我々も持っているんだということを五月十八日のシンポジウムで御表明されたのではないか、詳細については存じておりませんけれども、そういうふうに私は理解をしておりますし、私も、この問題を今回またそのまま何にも議論せずに通り過ぎれるほど簡単な問題ではないし、重要な問題だという認識を持っております。

 それともう一点、人事院との関係でございますけれども、もう私も既に総裁ともお話をさせていただきましたし、また、何といいましても、昭和二十三年にできて、日本独特のこの制度のノウハウと蓄積は、私の生まれる前からの組織でございますので、はかり知れないものがある。そして、準司法的な機関といえども、これまで公務員、官公労の労使の間に入りましてさまざまな役目を担ってきた、経験もある。これからもこういうものを使わない手は、これは言葉が適切かどうかは別といたしまして、知恵をかりない手はないな、こんなふうに認識しています。

中沢委員 基本的な現状の認識、しかも今度の公務員制度ということについての事態の重要性、それは制度をどうやって改革するかはこれから本格的な作業、しかし一方では、労働基本権問題は、言葉としては素通りなんかはしませんよと。

 私は、橋本さんとやったときにも、車の両輪だ、メダルでいえば表と裏だ、両方がしっかりと結合する、リンクする関係だから、絶対切り離してやってはだめだと。橋本さんも、そうだ、しかし、中沢さん、労働基本権問題だけ先行するといろいろと支障があるから、それはできません、一緒にやります、こういうことですから、その辺の認識は、つまり基本認識でいうと私と合致すると思うんです。

 さて、問題は、二つ目の質問に入りますが、今大臣は、はしなくもという表現がいいかどうかは別にして、事務方はどちらかというと制度改正ということで、労働基本権問題は余りさわりたくないんじゃないかと。私も率直にそう思いますよ。今までも随分、もっと言うと、私の経歴を知っていると思いますが、夕張の片田舎の市役所の出身で、もう若いときやめましたけれども、公務員の経験を持っているし、組合でいえば自治労の出身です。ですから、そういう人方のつき合いは今でもずっと続いています。

 今回の問題でいえば、確かに、推進事務局がまずでき上がった、行革全体。それはいろいろな省庁からのある意味で優秀な人たちばかりだと思いますが、そういう寄り合い世帯であって、橋本さんは大臣のリーダーシップで具体的に作業をやる、こういうことなんですよ。

 そこで、質問の二番目は、六月第四週に制度の基本設計をまとめようということ、私はそのことは否定しません。しかし問題は、作業を急ぐ余り、結局、大臣主導、政治家主導のそういうリーダーシップが完全に発揮されないままに、事務方がどんどん作業を進めちゃって、結果的に制度だけは切り込む、基本権問題はどこかに飛んでしまう、こういうことを私は率直に恐れていますよ。

 恐らく、そのことは、私以上に現場で仕事をやっている現職の皆さん、家族あるいはOBの皆さん、国家公務員、地方公務員、これは、国家公務員の制度改正とはいいながら、全部、地方公務員は国公準拠なわけです。ですから、数からいうと国民の一割ぐらいが、非常に今不安感を持ってこの問題を注視している。

 こういうことなどを政治家としてもしっかり受けとめていただいて、基本設計をつくるときに、事務方に対してのそういうきちっとしたリーダーシップを持ってもらいたいということと、一番最後にも申し上げたいと思いますが、担当大臣として話し合いに応ずる、それはもちろん結構。ただ、私は、話し合いというのは単なる話し合いであって、制度を完全に一〇〇%変えるかどうかは別にして、これはやはり労使の決定的な制度の改革になるわけだから、民間でいえば大変な問題なんですよ。労働協約、時によっては何カ月もかかって新しいものをつくり上げる。そうなると、少なくとも主務大臣は使用者側のチャンピオンですから、いいですか、ここのところをしっかりわきまえてほしいのですよ。

 別に、そのことを含めて総理大臣から言われていないかもしらぬけれども、この問題でいえば、いや応なしにあなたは使用者側の、会社でいえば社長なんですよ。そこのところをわきまえていただいて、単に、話があったから話だけは聞きましょう、いろいろ誠意を持って当たりましょうという程度じゃなくて、大変な問題を六月の第四週、もっといえばそれから先の方が僕はもっともっと大事だと思う。そういう場面において政治家として、つまり使用者側の最高責任者として、もっといえば労使交渉の理事者側のチャンピオンとして、しっかりそのことを受けとめて事務局を指示する、労働者側と誠心誠意話し合い、交渉や協議という名にふさわしいような、中身のある、そういうことをまずは六月の第四週に向けてやるべきだ。こういうことについてはどうですか。

石原国務大臣 中沢委員にお答えしたいと思います。

 私は、昭和二十三年に人事院ができて、どちらかというとこれまで公務員制度は大幅な制度変更というものがなくやってきた。しかし、日本の経済、社会をとってみましても、これまでよかったものではもう今の時代にはよくないという認識は、私も、働いている1種、2種、3種、若手の方々の話を聞いた限りで、若い方はこのままじゃもうだめだ、今のままじゃだめだという認識を持っていらっしゃると思います。

 そんな中でこの制度を変えるということで、使用者側も労働者側も、労使という両側が、大丈夫だろうか、本当にこんなに大改革を今やって大丈夫なのかと。ましてや前は橋本大臣という総理まで経験した方がリーダーシップをやっていて、今度は若い大臣でありますので、あいつに本当に任せておけるのか、こんな思いをお持ちの方もいらっしゃると思います。

 私もジャーナリズムの世界で、十年足らずではございますが、いろいろな面から社会を見てまいりましたし、経済も見てまいりましたので、その点については、先ほど申しましたように、この労働基本権の問題も、皆さん方の主張も、実は榎本委員長から個別にも聞かせていただいたりしておりますし、信頼関係をつくって――信頼関係ができなくて、いや、今のままなんだ、何にも変えないんだ、そういう方とは話し合っても議論になりませんけれども、私が数少ない経験の中で榎本委員長ほか皆様と話した感じでは、やはり組合のトップも大変苦しい、自分たちはこう考えるけれども、末端にいけば今のままがいいんだという人も多いということも事実だ、そういう忌憚のない意見交換もさせていただいておりますので、そこは御信頼をいただいて、そして委員御指摘のとおり、私は六月から先の方が大変だと思います。同じ考えを持っています。

 いよいよ具体化、先ほども御答弁させていただいたのですが、今、いわゆる給与制度みたいなところのたたき台みたいなものをやっと与党の側と議論を始めた。これを急ピッチでやっていくわけでございますから、六月以降がまさにこの問題は正念場でありますし、臨時国会も開かれますし、秋の臨時国会、来年の通常国会と、専門家であられる中沢委員を初め皆様方と議論を深めていいものをつくっていくという、改革をともにやろうという意思をお持ちの方々であるならば、私はとことんおつき合いさせていただきたいと思っております。

中沢委員 とことんおつき合いをするという、非常に勇気のあるというか、決意を含めて聞かせていただきました。

 私はもともと労働組合の出身ですけれども、今度の関係でいうと、いわゆる労働団体も、公務員制度は今の現状ではだめだと言っているのですよ。もう既に一回会われているから、いろいろ聞いていると思います。したがって、制度をどうやって今の時代に合わせていくか、国民のためになるような公務員制度はかくあるべきだと。しかし一方では、くどいようだけれども、やはり労働基本権問題を置き去りにしたら絶対だめですから、そこのところはひとつよくわきまえていただきたい。

 最後の質問にしたいと思いますが、今ちょうどILOの総会がジュネーブで、これは政府側の代表、使用者側の代表、労働者側の代表と、日本の場合、これは各国そうですが、三名、総会のメンバーがいるわけですよ。私の今聞いている話によると、例えば連合の鷲尾会長も、正式なILOの日本の代表メンバーではないけれども、連合の会長として現地に行かれている。労働者側の委員も、それぞれ関係委員も現地に行かれている。鷲尾会長は、もし資料がなければ後でお渡ししますが、ジュネーブで非常に重要なポイントの談話も発表されています。これはひとつぜひ大臣、重く受けとめていただきたい。これが一つ。

 それからもう一つは、ILOの場で、実は労働者側の方から、率直に言って、現状ではなかなか政府側がしっかりした協議の相手として責任を持って対応をしていないと。何回も回数たくさん会えばいいというものでは私はないと思う。問題は中身だと思います。したがって、労働者側のアピールとしては、このままずっといったら大変なことになる。ILOの八十七号条約というのがありまして、この条約に関係する委員会に具体的な問題を持ち込んで、そしてILOの場で事態の解決も図る必要がある。今、そういう準備をしている最中なんですよ。

 僕の経験からいうと、僕だけじゃなくて、恐らく労働団体は共通の思いだと思う、あるいは、かつての労働省も同じ思いだと思うけれども、やはりILOというのは非常にバランス感覚がよくて、今の日本の、スト権がなく、基本権が保障されず、人事院という何だかわからない、というのは私が言っているわけじゃないよ、そういう第三者機関でずっと何十年もやってきたこと自体が、やはり異常に映るんですよね。制度改正、しかも労働基本権がどこかに飛んでしまうような状態で話をされて、仮に話が決裂しようがまとまろうが、ILOとしてはこれは見過ごすわけにはいかない。これは国際機関としては当たり前だと思います。

 ですから、大臣も直接あるいは間接に、今やっているジュネーブのILOの舞台裏の情報も含めてしっかりとっていただきたい。私の方も、舞台裏という言葉はよくないかもしらぬけれども、関係者の動きがどういうことになっているか、よくまた情報を入れまして、そして六月第四週に向けては、まだ来週十三日に質問をやりますから、私は三十分やることになっていますから、また事態の推移を見ながら、今のような議論の延長線でやらせていただきたいと思います。

 ILOの関係について、よく、的確な、客観的な情報をキャッチする、こういう努力をぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。

石原国務大臣 鷲尾会長がILOでどういう御提言、また会見をされているかというような情報については、私どもも外務省を通じて情報を収集しているところでございますが、これはもう委員の方が情報が早いわけでございますので、わかりましたら教えていただきたい。

 ILOというのは、私が申すまでもなく、労働条件の改善を通じて社会正義を基礎とする世界の恒久平和の確立に寄与すること、完全雇用、労使協調、社会保障の推進等を目的に設立された国際連合の専門機関の一つである。ILOは、国際機関として唯一の政労使の三者構成機関であるということは、私も認識をしております。

 私、ちょっと不十分な情報で恐縮なんでございますが、今回の公務員制度改革について、職員団体との話し合いが、数は多いけれども不十分だ、人事院の権限を縮小するのであれば労働基本権を付与すべきであるということ、大ざっぱではございますけれども、そのような論点で御主張されているということも認識しております。

 ただ、先ほど来お話をさせていただいておるように、いよいよ基本設計の後がこの公務員制度改革の具体的な姿をつくっていく上で重要な時期でもあり、またポイントでもあるわけでございますので、今の段階で、どういう御趣旨で、なぜ、もういきなり、先ほど言いましたように、唯一の政労使の三者が構成する機関に言われているのか。そうしますと、昭和になって大きな制度設計をしていないから、やはり漠たる不安というものがあるのかな、そういうふうに理解をしているところでございます。

 そして、先ほど、十分つき合うというお話をさせていただきましたのは、あくまで、改革をともにやるんだ、そういう前提があればとことんおつき合いをさせていただくと改めて申し述べさせていただきたいと思います。

中沢委員 もう時間が来ておりますが、私の聞くところによりますと、六月十四日に大臣が労働団体の代表の皆さんとまたお会いをするという話を私は聞いています。やはり、回数ももちろん、たくさん会うということと、内容で言えば、平たく言えば陳情会じゃありませんので、これは大事ですよ、陳情会じゃありませんから、やはり公務員制度がどういうふうに変わるかというのは、これは死活問題ですから、もっと言えば、それは国家としても大事な問題ですから、それをまたしっかりわきまえてそれぞれ取り組んでいただきたい、そのことを指摘して、終わります。

     ――――◇―――――

横路委員長 次に、内閣提出、参議院送付、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。村井国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

村井国務大臣 ただいま議題となりました風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、最近における風俗環境の変化にかんがみ、店舗型電話異性紹介営業等を営む者に対する必要な規制を行うとともに、映像送信型性風俗特殊営業を営む者が児童ポルノ映像を送信することを防止するための規定及び特定性風俗物品販売等営業を営む者に対する営業停止命令に関する規定の整備を行うほか、風俗営業の許可の欠格事由の見直しのための規定の整備を行うこと等をその内容としております。

 以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業、いわゆるテレホンクラブ営業の規制に関する規定の整備についてであります。

 その一は、これらの営業を営む者について、公安委員会に対する届け出を義務づけるとともに、広告宣伝の方法等に関し、現行の性風俗特殊営業を営む者に対するものと同様の規制を行うこととするものであります。

 その二は、これらの営業を営む者に対し、利用者が十八歳以上であることの確認措置を義務づけるものであります。

 その三は、これらの営業を営む者に対する公安委員会の行政処分についての規定を整備するものであります。

 なお、現行の性風俗特殊営業という名称を性風俗関連特殊営業に改め、これに店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業を加えることとしております。

 第二は、映像送信型性風俗特殊営業を営む者が児童ポルノ映像を送信することを防止するための規定の整備についてであります。

 これは、映像送信型性風俗特殊営業、すなわち、ポルノ映像をインターネット等を用いて客に伝達する営業を営む者が児童ポルノ映像を送信することを防止するため、いわゆるプロバイダーの側に送信防止措置努力義務が生じる場合として、現行の映像送信型性風俗特殊営業を営む者がわいせつな映像を記録したことを知ったときに、児童ポルノ映像を記録したことを知ったときを加えることとするものであります。

 第三は、特定性風俗物品販売等営業を営む者に対する営業停止命令に関する規定の整備についてであります。

 これは、特定性風俗物品販売等営業、すなわち、店舗を設けて性的好奇心をそそる物品を販売等する営業で、この法律の規制対象に該当しないものを営む者等がわいせつ物頒布等の罪を犯した場合に、公安委員会が営業停止処分を命ずることができることとするものであります。

 その他、風俗営業の許可等の欠格事由から精神病者を削除するための規定の整備等所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律の施行日は、風俗営業の許可等の欠格事由から精神病者を削除するための規定の整備については公布の日から起算して一月を経過した日とし、映像送信型性風俗特殊営業を営む者が児童ポルノ映像を送信することを防止するための規定及び特定性風俗物品販売等営業を営む者に対する営業停止命令に関する規定の整備については公布の日から起算して三月を経過した日とし、その他の部分については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。

横路委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十八分散会




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