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第6号 平成14年4月12日(金曜日)

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平成十四年四月十二日(金曜日)
    午前九時七分開議
 出席委員
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 阪上 善秀君
   理事 渡辺 具能君 理事 渡辺 博道君
   理事 野田 佳彦君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 工藤堅太郎君
      岩崎 忠夫君    小野 晋也君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      亀井 久興君    北村 直人君
      古賀 正浩君    実川 幸夫君
      谷川 和穗君    近岡理一郎君
      西川 公也君    松野 博一君
      望月 義夫君    五十嵐文彦君
      石毛えい子君    仙谷 由人君
      藤村  修君    前原 誠司君
      山花 郁夫君    横路 孝弘君
      太田 昭宏君    吉井 英勝君
      菅野 哲雄君    北川れん子君
    …………………………………
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   政府参考人
   (内閣官房道路関係四公団
   民営化推進委員会設立準備
   室長)          坂野 泰治君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 衞藤 英達君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 風岡 典之君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   参考人
   (本州四国連絡橋公団総裁
   )            藤川 寛之君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   参考人
   (日本道路公団理事)   小笠原常資君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十二日
 辞任         補欠選任
  谷本 龍哉君     松野 博一君
  西川 公也君     北村 直人君
  仙谷 由人君     五十嵐文彦君
  山元  勉君     前原 誠司君
  北川れん子君     菅野 哲雄君
同日
 辞任         補欠選任
  北村 直人君     西川 公也君
  松野 博一君     谷本 龍哉君
  五十嵐文彦君     仙谷 由人君
  前原 誠司君     山元  勉君
  菅野 哲雄君     北川れん子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房道路関係四公団民営化推進委員会設立準備室長坂野泰治君、総務省大臣官房審議官衞藤英達君、国土交通省大臣官房長風岡典之君及び国土交通省道路局長大石久和君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君、日本道路公団理事小笠原常資君及び本州四国連絡橋公団総裁藤川寛之君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤村修君。
藤村委員 おはようございます。民主党の藤村修でございます。
 きょうは、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案につきまして、私の時間は六十分でございますが、よろしくお願いをいたします。
 四月の四日から、本会議にかかり、本法案の審議がスタートし、多分一巡をしてきたかと存じます。いろいろな問題がさまざま取りざたされてきました。私はもう一度、この四月四日の本会議の私どもの同僚野田議員の質問の中で、ちょっと答弁が足りない点ということでお聞きをしたいと思います。
 四月四日本会議では、野田議員から、この法案には理念や目的が明記されていないということをただしたかと存じます。小泉首相は、特殊法人整理合理化計画に基づいて調査審議する旨を規定というお答えでありまして、ややお答えが足りないのではないかな、そんな気がしております。
 これは国会で審議する法案でございます。それが、内閣で閣議決定された整理合理化計画ということでこの法案を国会で審議するようになった。そもそもその整理合理化計画というのは法律なんでしょうか。この点をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 整理合理化計画は、閣議決定いたしました道路公団改革等を含む特殊法人改革の指針でございます。
藤村委員 つまり、この法案の理念や目的はその整理合理化計画にある、そして整理合理化計画というのは閣議決定である、こういうことだと思います。またしかし、その前提に、整理合理化計画を出したのは、特殊法人等改革基本法という平成十三年法律第五十八号で根拠がある、多分こういう御説明になるかと存じますが、私は、国会と内閣の関係ということで申しますと、これだけの重要広範とされた法律案です。そこにその法律の目的とか理念とかいうものが割にきちんと書かれるべきではないかな、そのように思います。
 どうも最近、これは内閣と国会という関係で、やや内閣の皆様に国会を軽視する姿勢がないではないと思うわけであります。これは、つい先日の財務大臣発言、閣議後の発言なんでしょうか、こんなに委員会を開会しないで野党は現場に行って話を吸い上げた方がよいと、やや国会軽視ではないかという発言もされて、内閣と国会という関係が、今少し私は内閣の方におごりがあるのではないかな、そんな気がしないでもない。
 この法案を審議するなら、それなら一生懸命、各四つの公団、この委員会が視察していかないといけなくなるわけであります。そういうことでなしに、政府側は、しかし、できるだけ短く、早く通してほしいというのならば、この財務大臣の発言にしても、あるいはそもそもこの法案のつくりにしても、閣議決定したということでそこに理念や目的が書いてありますというのは、ややおざなりではないかな。
 閣議決定が内閣の意思だとしても、今回の法案は国会で審議して決めるものであります。どうしてきちんと法案に理念や目的などを書き込まなかったのか、このことをお尋ねしたいと思います。
石原国務大臣 御同様な御質問はもう既にちょうだいしておりますが、もう委員御承知のことだと思いますが、道路公団を初めとする四公団の民営化の推進によりまして、コスト意識の徹底、あるいは民間でございますので採算性の重視というような事業運営が行われることによってメリットが生じられる、そのような観点に着目いたしまして、委員御指摘の特殊法人等改革基本法に基づいて閣議決定された整理合理化計画の中で、新たな組織は民営化を前提とする、国費を投入しないとの基本方針のもと、今御議論をいただいております本法律案の第三者機関において具体的な内容というものを検討するとさせていただいたところでございます。
 本法律案におきましては、この推進委員会はこの整理合理化計画に基づき調査審議する旨を規定しているところでございまして、先ほどお話ししましたように、計画で示された方向性に沿って御審議というものが進められる、こういう整理をさせていただいているところでございます。
藤村委員 ですから、重要広範な議案で、国会の意思をここで問うわけであります。しかし、その前提が内閣の閣議決定であるというところに私は不満を申し上げて、本当にそれで国会と内閣の関係がいいのかということを指摘しているわけであります。
 しかし、その上で、今、理念や目的が整理合理化計画の中にある、そこから持ってきているんだということであります。ひとつ、その前提が特殊法人等改革基本法であるということで、特殊法人等改革基本法は、目的としては、多分、基本理念を定めて、そして国の責務を明らかにし、計画の策定をするということと、それから特殊法人等改革推進本部を設置する、このくらいのことが目的に書かれているだろうと思います。
 しかし、これは特殊法人全部に関する話でありまして、この道路四公団というものは四公団のやはりそれなりの考え方が当然あってしかるべきではないか。だから、やや法案の出し方にクレームをつけているところでございます。
 整理合理化計画の中で、道路関係四公団について、「「第三者機関」において一体として検討」とあります。これは表にもなっていて、その閣議決定の合理化計画の別表になるんですか、二になるんですか、「各特殊法人等の事業及び組織形態について講ずべき措置」として、一番、特殊法人で、この四つの道路関係四公団のことが表になっても書かれております。その中に、今の「「第三者機関」において一体として検討し、」という文言があるわけであります。ここがちょっとわかりにくい。ここで明らかにしたいと思います。
 一体として検討というこの趣旨は、本法案で言うところの民営化推進委員会が、一つは、四つの公団を一括して検討するんだ、こういうことなのか、あるいは、四つの公団は廃止して、一つの四公団にかわる新しい組織をつくることを検討するのか、あるいは、四公団にかわる新たな組織で、これは何も一つではないというのか、あるいは全く白紙なのか。この辺はちょっとはっきりしていただきたいと存じます。
熊代副大臣 私の方から回答させていただきたいと思います。
 御指摘のように、内閣に置く第三者機関において一体として検討するということが書かれているわけでございます。私、当時、決定されたときに自由民主党の方の行政改革推進本部の事務局長をしておりまして、なかなかこれは、一体としてというのは万感の思いが込められているなと思ったわけでございます。
 先生御指摘のように、四公団にかわる新しい組織を四公団を統合してやる、一体にしてしまう、そういうような徹底的に一体化から、四つをそれぞれに検討するんだけれども、おのおのの考え方を一体的な基準でもってするということから、あるいは、最初は一体化するけれども地域分割を考えるとか、いろいろなことを含めて、少なくとも一体としてという言葉で考えられるすべての可能性を含めて道路関係四公団民営化推進委員会で御検討をお願いしたい、そういう趣旨だというふうに理解しております。
藤村委員 この整理合理化計画、閣議決定の文言の中で表になっているのは、今の「一体として検討し、その具体的内容を平成十四年中にまとめる。」とあって、それは、実は1、2、3というくくりになっています。この1が日本道路公団、2が首都高、阪高、そして3が本四。
 そうすると、この表を見ると、一体として検討するんだけれども、どうもこの1と2と3グループがあるよということを言っているんでしょうか。その辺、今の御説明からすると、いや、そこはまだ委員会に検討してもらうんだというふうにも受けとめられますが、確認したいと思います。
熊代副大臣 確かに、御指摘のように微妙に書き分けてはございますけれども、柱書きに一体として検討ということでございますから、いろいろな可能性を含めて一体としてという範囲内で、委員会において自由な立場で御検討をいただくということだというふうに思います。
藤村委員 委員会に任せる、あるいは委員会に投げたということになりはしないかなという気がいたしまして、ここでできる限りやはり議論を尽くして、国会の意思というものをはっきりこの法案に盛り込むべきではないか、そのように考えております。
 そこで、私は、きょうは藤川総裁も来ていただいておりまして、関西から来ていただきまして御苦労さまですが、少し本四についての質問を続けていきたいと思います。
 本四は、平成十一年五月に西瀬戸自動車道三本が供用となったことで、これで三ルートが一応完成を見たという考え方に立ってよろしいんでしょうか。つまり、本四については、いわば初期投資、基本的な事業を終了した、いよいよあとは三つのルートが供用をされていくんだ、平成十一年五月にその三本が完成したことでそうなったというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
藤川参考人 平成十一年五月に御指摘のようにしまなみ海道が開通いたしまして、いわゆる橋、架橋部分についてはこの西瀬戸自動車道の開通で完成をいたしました。まだ一部しまなみ海道の方で建設中のところがございますが、橋が完成いたしまして本四間というのは三ルートで完全に結ばれたということでございます。
藤村委員 平成十一年五月でありましたので、そうしますと、あと若干の工事があるとしても、いわば工事に対する投資が大体終わった、平成十二年度からはいわば供用が始まり、今後何十年の間で償還のことも考えていくんだと。
 そこで、本四公団の資料をいただいた中で料金認可における償還計画表、これは平成九年十二月という日付がございます。ここにあるのは、平成五十七年までの長期計画を立てられて、それで本四にかかった費用を償還していく、こういうふうに償還していくんだという計画でございます。
 この計画は平成九年十二月につくられております。それからもう十年、十一年、そして十二年度からいよいよ本格的に償還計画のまさに初年度ではないかと思うんですが、この平成十二年度はもう既に決算が出ていると思います。平成十二年度の決算を見た上で、この九年十二月につくった償還計画と大きな差異はないのかどうか、その辺お聞かせください。
藤川参考人 平成十二年度の決算が出ておりまして、私どもはこの十二年度の決算につきまして、最新の償還計画、平成九年に策定いたしました現行の償還計画と比較いたしますと、要償還額というのは償還計画で約四兆六千百億円でございましたが、実績は約四兆五千九百億円、うち有利子の借り入れにつきましては、計画で三兆八千六百億円余でございましたが、実績は三兆八千四百億円ということで、要償還額についてはほぼ計画どおりという形になっております。
 ただ、収入について見ますと、この償還計画では一千三百八億円というような収入を見込んでおったんですが、実際には八百六十九億円というようなことで、約四百四十億円計画を下回っております。
 それから一方、管理費とか金利などの支出でございますが、これにつきましては、私どもできるだけ節減しようということで努力もいたしましたし、また、幸い金利が非常に低金利だということもございまして、計画では一千八百五十七億円というのを見込んでいたんですが、実際には、実績は一千六百二十七億円というようなことで、これは約二百三十億円節減することができております。
 ただ、収入が大変大きく下回ったということで、平成十二年度において、いわゆる当期の損失金でございますが、これにつきましては七百五十八億円で、これは計画よりもおよそ二百十億円増加している形になっております。
 収入がやはり計画をかなり下回っているということと、それから、今後の利用交通量の大幅な増加というのはなかなか期待できないんじゃないかというところがございまして、いずれ今後、要償還額が、今はとんとんなんですが、この計画をかなり上回ることが予想されるということもございまして、平成十三年度の予算におきまして、私どもの経営の大変大きな負担になっております利息の負担、これを減らすためには、やはり有利子負債をできるだけ早期に縮減していくことが必要だということで、無利子貸し付けというのを措置していただくことになりまして、十三年度では約八百億円無利子貸し付けをいただいたところでございます。
 これによりまして経営の改善がかなり図られるんじゃないか、償還の確実性も今後かなり高まってくるだろうというふうに考えているところでございます。
藤村委員 事実を数字で挙げていただきました。その中で一番やはり問題点は、収入の見込み違いなのか、あるいは経済の問題なのかですが、本来、当初の平成九年の計画では、一千三百七億円ぐらいの収入を見込んだ上での償還計画であった。実際は八百六十九億円の収入で、これは何と三分の二ですね。三三%ぐらい足りない。かつ、平成九年の計画を見ると、平成十二年が一千三百七億、十三年は一千三百六十八億、十四年は一千四百三十二億というふうに、実は、平成四十四年まで右肩上がりでずっと計画しているわけです。
 しかし、わずか平成九年から十二年の三年間で、当初の右肩上がりの計画どころではない、三分の二しかない。このことは、この計画表自体が本当にこんなものでよかったのかという反省にもつながりはしないかと思うんですが、なぜこんなに収入減になったか、その理由を挙げていただきたい。
藤川参考人 今も御指摘いただきましたように、収入についてはかなり計画を下回っております。収入のベースになりますのは、実際にどのぐらいこの橋を利用していただくか、利用交通量がどの程度になるかというのが収入のベースになるわけでございますが、今の償還計画、平成九年度に策定された計画では、交通量の予測につきましては、当時政府として公表しております最新の経済フレーム、これは経済成長率については二・七五%という成長率を想定しておりましたが、それを前提といたしました。
 また、将来の人口等につきましても、政府の計画をベースにして、そういう前提条件のもとに推計しているわけですが、本四間の輸送量を想定いたしまして、そのうち道路でどの程度分担するかということから自動車交通量というのを予測したわけでございます。
 しかし、私どもとしてもできるだけ精度を高めるように努力はしているんですけれども、まだ橋ができていなかったというようなことで、どうしてもモデルのようなものをつくって想定せざるを得なかったということもございましたが、狂ってきた原因の一つは、やはり前提とした経済の成長率というのが、今マイナスになっておりますけれども、かなり低目になってきている、それによっていわゆる輸送需要というのがかなり落ち込んできているということが一つ。
 それからもう一つは、フェリーなど他の交通機関で分担するところを想定していたわけでございますけれども、フェリーが料金値下げ等をやりまして、私どもが想定していたような転換が進まなかったというようなところが主な要因でございまして、かなり食い違ってきているわけでございます。
 私どもとしては、今の償還計画そのものがかなり大きな収入増というのを見込んでおりますので、当然やはり下方修正しなきゃいけないだろうということで、現在検討を進めておりますし、いずれ、これから第三者機関でいろいろな具体的な検討が進められるというふうになっておりますので、そういう中で当然、できるだけ精度の高いこれから先の交通量の見込みを見直していかなきゃいけないというふうに考えております。
 御承知のとおり、最初にも御指摘ございましたが、平成十二年度にいわゆる三ルートがつながった最初の実績交通量というのが出てきているわけでございますので、その辺を分析しながらこれから将来の交通量がどうなるかというのを予測していけば、従来よりはかなり精度の高い交通量の需要予測というのが可能ではないかというふうに考えておりますが、何せ、将来の交通量というのはどうしても経済環境等によってかなり左右される、そういう問題点はいずれ残るだろうというふうに考えております。
藤村委員 本四は、有利子負債が今の御説明では三兆八千四百億円ですか。いわゆる利払いだけで年間千何百億ですか。つまり、料金収入が利払いにも満たない状況であります。
 債務は、確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体等の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討したい、これは石原大臣が本会議で答弁をされていることであります。国は、この負債を一体、今三つの手当てというふうにおっしゃったんですが、つまり、道路予算で手当てするのか、さらには関係地方公共団体に、二対一でですか、負担せよと言っているのか、あるいは道路料金の活用というのは一体何のことを言っているのか。この点について、これは石原大臣が本会議で答えられたのでお答え願いたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘し、また本会議で私が答弁をさせていただきましたものは、整理合理化計画に明記をさせていただいたものを引用したところでございます。
 その持つ意味についての御質問であったと思いますけれども、本四公団というものが国土の均衡ある発展と瀬戸内海という特定地域の振興に寄与することから、実は、もう委員が既に御指摘でございますが、国と関係地方公共団体が二対一の割合で出資をして事業を行っているというこの性格に着目をいたしまして、債務については、国の道路予算及び関係地方公共団体の負担において処理するほか、三点目といたしまして、本四架橋も全国の道路のネットワークでつながっての一つでございますから、高速道路の料金収入の活用も検討すべきであるという旨御答弁をさせていただいたところでございます。
 いずれにいたしましても、本四公団については、整理合理化計画に示した基本方針のもと、今御議論をいただいております民営化推進委員会において、今総裁の方からも経済状況あるいはフェリーの代替が思うように運ばなかったというような御答弁がございましたように、道路の交通需要の見通し、さらには金利の見通しなどを御検討いただきまして、新たな組織が債務を確実に償還できる方策につきまして御意見をちょうだいして政府として適切に処理をさせていただきたい、現段階ではこのように考えているところでございます。
藤村委員 役所答弁であったかと思います。つまり、先ほど藤川総裁もお答えになって、金利の動向、経済の成長率、人口、交通量とおっしゃって精度を高めたいとおっしゃったんですが、これは精度を論ずる段階ではないですね、三分の二しか収入なかったというんですから。精度というのは、九五%、九六%の辺でもうちょっと精度を高めるという言葉であって、六六%しか収入がないのは、これは精度を論ずる段階ではまだないと思うんですね。
 今、石原大臣の御答弁はきょうまでの答弁の繰り返しであったんですが、去年の十一月二十七日の閣議後の記者会見で石原大臣はこう発言されております。本四公団については、常識的に見れば、民間の感覚からいえば、今の本四の経営状態を関係者が冷静に認識することが第一歩だと思う、これも再三申し上げてきたが、収入で利息も払えない以上、民間の感覚からすると事実上破綻している、こういう発言がございます。
 さらに、これは何回か同じような発言をされているし、責任問題もおっしゃっておりますが、平成九年、この償還計画を立てたとき、それから平成十二年の、三分の二しか収入がない、この責任は一体だれがとるのか。言っていただきたいと思います。
石原国務大臣 先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、この本四公団というのは、国土の均衡ある発展と瀬戸内海という、しまなみ海道という橋を私も見てまいりましたけれども、離島をつないでいる、こういう特殊事情があって計画されてつくられた。
 責任問題を言うならば、当時、三本かけるというものが正しかったか正しくなかったか。その当時は正しいという判断のもとになされたわけであると思いますし、経済成長も、当時の状況を考えると、日本は右肩上がりでどこまでも経済拡大をしていくというふうに当時の人間が考えたということは、当時、私がその立場にあれば同じことを考えたかもしれないといったような問題ではないかと思っております。
 私が申し上げたいのは、そうはいっても現在の状態があって、今委員御指摘のとおり、精度というのであるならば、八割、九割で一割、二割の違いということはよく精度論で出てきますけれども、実態としては三分の二程度しかないということは、大きな問題がそこにある、計画段階、そしてまた再検討したところにもやはり何らかの問題があるのじゃないかということを申し述べたかったわけでございます。
 この債務の問題なんでございますけれども、やはり確実に償還を行っていかなければならない。負債に見合った資産として立派な橋が三カ所にかかっているわけでございますけれども、国の道路予算、あるいは、繰り返しになって恐縮でございますけれども、二対一の出資割合ということから考えても、関係地方公共団体の負担において処理をして、それでもままならないような事態があった場合には、道路料金の活用というものも、やはりネットワークという観点から検討していただかなければならない。
 いずれにいたしましても、この民営化の検討委員会、この法律案が御審議をいただいて成立した段階で、この委員会で、新たな組織が債務を確実に償還できる方策について大所高所から、委員御指摘のようなこの精度の問題、こういうところに最大のポイントを置いて御意見をちょうだいして政府として適切に対処していく以外に、この問題を解決する方法はないのではないかと考えております。
藤村委員 石原大臣は、いろいろな会見の場で、民営化することのメリットの面で、効率性だとか透明性だとかいう中で、やはり責任の所在をはっきりさせるというのもおっしゃっているわけです。
 今のお答えはそもそも三本つくったところにまでさかのぼられたけれども、いや、私が言っているのはそうじゃない。平成九年に償還見込みをつくったわけです。そのときの収入見積もりなるものが、何と平成十二年時点でもう三分の二しかなかったという、この責任のことを言っているわけです。最近の話です。これは責任とらないんですか。普通の会社が、来年のあるいは再来年の、これだけもうけるんだといって社長が方針を出し、それが達成されなきゃ、社長をやめないといけないですよね。本四総裁、やめないといけないんじゃないですか。いかがですか。
石原国務大臣 私は、やはり今委員御指摘のこの平成九年の見通しと現行にも大きな差異があったということは認めております。その問題についてどういう責任をとるべきかということは、担当者の方々がおのずの責任に応じてとられていくということになると思っております。
 その責任のとり方というものは、多々いろいろな、今委員御指摘の責任をとってやめるという方法もありますけれども、自分の責任において償還計画を完全なものにする、その後にやめるという選択もあるし、担当者の方が御判断をいただく問題である。
 くどいようですけれども、やはり、そういう事実があるということに着目していくならば、責任というものはこれから明確にしていかなければならないという意見を申し述べているところでございます。
藤村委員 先ほど藤川総裁は、平成十四年度については有利子負債を若干減らす、八百億円ですか、手当てしてもらうんだとおっしゃって、じゃ、この今の時点、平成十四年度、まだ初めですけれども、償還計画をつくっていらっしゃるんでしょうか。
藤川参考人 先ほども申し上げましたように、現在、償還計画を見直すべく今検討を進めているところでございます。平成十三年度から無利子貸し付けという制度を導入していただきまして、有利子負債につきましては平成十三年度で約九百億弱減らすことができます。それから、平成十四年度につきましても、無利子融資を一千八百億いただくことになっておりまして、これによりまして二千億余の有利子負債を減らすことができます。二年間で合わせて三千億ぐらい有利子負債が減っていく。
 この無利子融資を継続していただきますと、有利子負債というのはかなり前倒しして減っていくだろうというふうに考えておりまして、私どもとしては、利息の支払いをできるだけ早く減らす。それから一方で、利用交通量の伸びがこういう経済情勢ですからかなり厳しいところがあるわけでございますけれども、できるだけ利用交通量をふやす努力を関係する地域の方々と御一緒に努力することによって、何とか早く、一日でも早く単年度で黒字になるように転換するということが今一番重要なことだというふうに考えております。単年度で黒字になれば、公的助成なしでも有利子負債を返していけるというような状態になりますので、そういう形にできるだけ早く持っていきたいということで今努力しているところでございます。
藤村委員 今、十三年度と十四年度のことをおっしゃいました。しかし、返済は五十年ぐらい先にまでわたることでありまして、やはりそこまでを見通していただかないと、多分、今手当てをいただいたとおっしゃったのは、それは国の予算でやっているわけでしょう。でも、十三年度と十四年度だけはとにかく約三千億円ぐらい有利子負債を減らしてきたけれども、その先どうなるんですかという話は全然ないわけです。それはすなわちこの委員会にある意味ではゆだねる、こういうことになってしまって、きょうまでやってこられた方たちがやや無責任ではないかな、私はその感を否めないわけでございます。
 さて、石原大臣に少し、こういう関係のことでさまざまな御発言があるので、これは単刀直入に、細かい数字なんか必要ありませんから、教えていただきたい。
 オーストラリアやヨーロッパなどの高速道路を見てきたというふうなことを聞いております。帰国後に、日本の高速道路建設費は高いと。私もそう思います。率直な感想だと思うんです。これは、きちんと数字を比較されたかどうかは私も知りませんが、一般的に日本の建設費が割高ということが言われておるし、そんな感じもするし、石原大臣、その理由は何だ、最もここに理由があるんだということを、何かということを教えていただきたいと思います。
石原国務大臣 さまざまな理由があるのではないかなと思います。
 御承知のように、地震が大変多い国でございますので、耐震性ということで、建設中の高速道路なんかを拝見しますと、諸外国が一メートルぐらいのセメントコンクリートのところが三メートルぐらいになっていたり、その規格が日本全国同じであるといったような点が一つ見た感じではございますし、やはり太平洋プレートとフィリピンプレートが入っております地殻の関係で、特に湾岸沿いでございますけれども、軟弱地盤の上を高速道路が通っておりますと、補強するような部分にお金がかかっている。あるいは、阪神・淡路の大震災の後、首都高、阪高等は、委員ももう既に御承知のことだと思いますけれども、かなりの補強工事というものがされておりまして、こういうものはヨーロッパにはございません。
 あるいは、走ってみても、道がすごい曲がっておりますし、どの幹線、高速でも五キロといったような大きな長いトンネルがある。言ってみるならば、日本の独特の地形によってトンネル等の構造物の比率が高い。それと、やはり可住地面積が非常に小さいということで土地保有が細分化されていて、用地買収というものがかなり高い、そしてまた用地買収の方法もかなり高いものがあるというようなことも聞いております。
 あるいは、気候ということも、日本の気候という、四つの季節があって、特に、どんなところでも雪が降る。最近は暖冬で関東の方は降らないわけですけれども、それでも、雪に対する対策、そういうものもやっている。
 もろもろの理由によってこの高速道路の建設コストというものが高くなっているということが言えるんじゃないか。一番いい例は、アクアラインが、同一比較はできませんけれども、ヨーロッパのデンマークの方につながっているようなものの大体五倍ぐらいのコストがかかっている。
 こういうコストというものは、もちろん安全性ということはありますけれども、削減していく努力というものは、これから民間会社になれば、効率性、採算性ということがより重視されるわけでございますので、行われていく。莫大なお金を使ってすばらしいものをつくるというのも一つの考えですけれども、これからは採算性というものも重視していかなければならないという意味の発言をさせていただいているところでございます。
藤村委員 今の御説明は、地震国であったり土地代が高かったり気候の問題であったりとおっしゃって、最後の部分は私は非常にわからないんです。民営化したら土地代が安くなる、気候が変わる、地震国でなくなるわけではありません。民営化したら、採算性、効率性がよくなったら安くなるというのはどういう理由でありますか。全くわかりません。
石原国務大臣 工法についての細かい点は私はよくわかりませんけれども、一国民として建設現場を見ますと、例えば農地のところに高速道路をつくっている場所を見てきたんですけれども、ある地域ですけれども、そこを盛り土をして三メートルのセメントを引いて、同じような工法で高速道路がつくられている。
 もちろん、地震ということはあるにしても、そこは平面にして工事費を削減するということも可能ですし、用地の取得についてもいろいろな情報が寄せられているんです。かなり割高な用地の買収があるのではないか、そういうようなことも聞いておりますので、その点を民間会社であるならばより採算性を考慮するということでございますので、そういうものについても新たな知恵、新たな方法というものが見出されるのではないか、それが民間会社であるということに起因をして発言をさせていただいたところでございます。
藤村委員 高い理由に、やはりはっきりとおっしゃっていただいたらいいと思うんです。公共事業はやはり全般的に高いとみんな思っているわけですし、二割、三割高いと言われる。今、土地の取得についてもおっしゃった。ここがある、だから民営化だというところを言わないと、気候も変わらないし、地震国ではなくならないし、土地代は変わらないわけですから、民営化したって何も安くならないですよ。
 やはり、公共事業が二割、三割高いと言われている。土地取得もそうだと今おっしゃった。そのことをはっきり言わないと、私はこの委員会で民営化を目指しても意味ないと思うんですが、いかがですか。
石原国務大臣 私は、委員が今御指摘された全く同趣旨の発言を細かく述べさせていただいたと御理解いただいて結構でございますし、同じ考えでございます。
 ただ、さっき言いましたように、工法で幾ら差があるのかという細かいところまではわからないということを冒頭申させていただいたわけでございます。
藤村委員 民営化するということは、やはり、公共事業が割高であるということを、ある意味ではその裏返しをするということでありまして、だから、私どもは全然民営化に反対しているわけではないわけであります。
 それで、高速道路の建設の規格、これもお国が決める規格というのがあると思うんですが、今後、民営化委員会が検討されるんでしょうけれども、この規格というものにこだわるのか。首都高は路肩なんか狭いですよ。あれは多分高速道路規格ではないと思うんですが、この規格に今後こだわるのかどうか、国の姿勢をお聞かせください。
大石政府参考人 道路の構造基準、構造規格についてお尋ねでございます。私から御説明申し上げます。
 御承知のとおり、道路の構造基準につきましては、道路法の政令でございます道路構造令で、高速自動車国道や首都高速道路を初めとするすべての道路の規格が体系づけられております。
 この中で、道路は、道路が存する地域、それは都市部にあるのか地方部にあるのかといったようなことや、あるいは、その道路が高速自動車国道かあるいは自動車専用道路なのか、あるいは、その他アクセスが可能な道路の形態なのかといったようなことに応じて分類されてございます。それがそれぞれ道路の種類と計画交通量により複数の級に分類されまして、幅員でありますとかあるいは曲線半径等の具体的な基準が定められておるところでございます。
 お尋ねの首都高速道路と高速自動車国道についての違いでございますが、存する地域も異なるといったようなことから、首都高速道路につきましては高速自動車国道に比べてかなり緩い基準を使ってございます。例えば高速自動車国道の場合ですと、供用中の路線の九九%で見てみますると、一種三級あるいは二種一級以上の規格で幅員は三メーター五十、それから曲線半径も二百五十メーター以上。首都高速の場合は、幅員が三・二五から三・五、曲線半径は百五十メーター以上というような基準で、緩めてございます。
 今後、推進委員会において採算性その他の議論がなされるものと考えておりますが、私どもも規格の見直しについては積極的に考えていくべきだと考えてございまして、既に交通量の少ない区間については完成二車線といったような考え方もあり得るのではないかと、国土交通省の中で勉強をしておるところでございます。
藤村委員 結論だけちょっと教えていただきたい。民営化推進委員会がやはり規格を大きく見直すという仕事も行うかどうかです。
大石政府参考人 民営化推進委員会は、組織、採算性の確保を御議論いただくわけでございますから、その採算性の確保の中で規格の見直しについて言及されるということはあり得るのではないかというように考えてございますが、具体な議論につきましては私どもの方で行うことになると考えております。
藤村委員 石原大臣にもう一つだけお聞きしたいのですが、これはつい先日、先週ですね、四月五日、これも閣議後の記者会見ですか、「経営を効率化して責任を明確化して利用者のサービスを向上させて料金を下げていくというのが民営化だと思う。」こう発言されております。私も、JRの民営化というのは特にサービスの面が相当あるわけで、国民がその意味では利便あるいは快適性を増した。ただ、道路の場合は、道路から何かサービスを受けるという話は余りないので、ずばり言えば料金であります。首都高がワンコイン、五百円に下げたら、これは非常にインパクトがある、国民の利便性が高まるというかメリットがあると考えられますが、そのお考えはありませんか。
石原国務大臣 権限があれば、私もそういう問題、どういうふうにしたらできるかということを非常に検討してみたいと思うのですけれども、委員が御指摘されましたように、民営化されることによって何が変わるのか、やはり利用者のサイドに立って物事を考えていかなければならないのではないか。
 そこで、委員も御指摘されていますように、利用者の立場、高速道路を利用する立場からいえば、最大の関心はやはり料金である。この料金を下げる工夫というものがこれから大切になってくる。こんなような点も民営化推進委員会の皆様方も国民の皆さん方の立場に立ってお考えいただきたい、こんなふうに考えているところでございます。
藤村委員 これは、この前の本会議、野田委員の質問にもお答えをいただいて、その民営化の目的ですが、ユーザーである国民の皆さん方に利益が還元される、これを二つ目の大きな理由に定めたとおっしゃっていますから、これはぜひ委員会に反映していただいて、まさにこのことが国民にとって、本当に利益が戻ってくるんだ、還元されたんだという実感がないと、余り意味がない民営化推進ではないかと思います。
 さて、次の質問に参ります。
 大阪の邦栄産業という会社が道路公団関西支社発注の高速道路工事に絡み、競売入札妨害容疑で社長らが逮捕と、これは実は私の地元、隣でございますので、地元新聞がたくさん報じました。単に週刊誌が一つ書いたという話じゃなしに、いわゆる新聞、産経さんであったり朝日、日経などなど、全国紙が全部追っかけてこの記事を書いたというのが、後で聞きますが、この事件については、道路公団関西支社にかかわる競売入札妨害ですが、現状、どうなっているのでしょうか。
藤井参考人 御説明いたします。
 先生御承知のように、平成十一年度に日本道路公団関西支社が発注しました阪和自動車道来栖地区遮音壁工事の入札をめぐりまして邦栄産業株式会社が談合したということで、大阪地方検察庁がことしの一月四日、同社の社長とその妻と、同社の役員、長男と三名を競売入札妨害の疑いで逮捕したわけでございます。その後、二月二十五日で同社の役員の義則を、これはお子さんですが、略式起訴いたしまして、同じ日に略式命令が出され、即日納付されたというふうな経緯をたどっていることを私どもは聞いております。
 道路公団といたしましては、このような行為ということはまことに遺憾でございますし、逮捕後、ことしの一月八日、一月の四日に逮捕されましたが、一月の八日に指名停止をすぐ行いました。さらに、略式命令が出されたことを受けまして、ことしの三月十二日、競争参加資格の取り消し、言ってみればもう今後道路公団の仕事はできないという形の取り消しを行って現在に来ております。
 私ども、談合、不正、こういったものに対しては、談合マニュアルというものをつくって日ごろからいろいろと十分検討しているところでございますが、一層こういうことについては留意を深めてまいりたいと思っております。
藤村委員 石原大臣、小泉首相が公共事業に関係する業者から政治献金禁止などという大胆な御発言をされていて、私も当然だと思っております。
 今の件を取り上げたのは、この邦栄産業から、自民党建設部会長なども歴任された萩山議員が代表を務める党の支部や資金管理団体に政治献金を受けていたと。それは事実なんでしょう。全国紙がみんな報道して、しかし、こういう見出しになって「萩山議員側に献金 談合の疑いで逮捕の業者」などと書かれると、大変これは何か変なことをしているんじゃないかという疑いが抱かれるわけです。事実は、ちゃんと新聞社も取材していて、この事実は知らなかったということと、それから献金は返すということではあります。しかし、息子さんが道路公団に勤めていたとか報道されますと、まさにこれは李下に冠を正さずであります。
 石原大臣は、公共事業関連の団体から政治家が寄附を受けることというのは、小泉首相がおっしゃっているようなこれについて賛成か反対か、御意見があればおっしゃってください。
石原国務大臣 ただいまの事例として挙げられたような極端なケースは、少なくともそういうようなものは是正していかなければならないと思いますが、公共事業に関連する業者というものは、それこそ消しゴム一個や鉛筆一個、細かい紙、そういうものからすべてあるわけでございます。
 総理も先日のQT、国家基本政策委員会でおっしゃられておりましたけれども、国会でも議論が重ねられておりまして、この問題について、不祥事をなくすためにはどのような対策が必要かということについて、与党において協議をし、もう一歩現実より踏み込んだ対応が必要ではないかという段階で今議論を詰めているところであると発言されております。
 まさに私も総理と同じ考えでございますし、政治資金のあり方については、民主主義をどうやって維持していくのか、そのコストをどうやって負担していくのかという問題でございますので、踏み込んだ意見の議論というものが各会各派で行われることを私も望むし、李下に冠を正さずというような点については、まさに同意見でございます。
藤村委員 それについて私自身の考えを申しますと、私は基本的に企業・団体献金を禁止する考え方であります、それは将来のこととして。
 今、消しゴムや鉛筆やとおっしゃったのは、それはへ理屈です。年間で幾ら以上の公共事業を請け負っている会社からは一切受けないというのは、これは決めればいいわけであります。まさに、李下に冠を正さずということで、ここは私は、政治家としては、石原大臣にも、ぜひ今の私の考えについて今後も議論してそういう方向に持っていっていただきたいなと注文をしたいと思います。
 さて、一昨日、石井紘基同僚委員が質問をいたしました旧道路施設協会が出資していた会社の株式処分についてということでお尋ねしたいと思います。
 これは、旧道路施設協会は財団法人でいわゆる公益法人。この公益法人が民間会社の株式保有を禁じるということで、一体これはどこでどういうふうに決まって、その内容いかんということでありますが、短く答えてください。
衞藤政府参考人 簡単にお答えいたします。
 平成八年九月の閣議決定、公益法人の設立許可及び指導監督基準におきまして、公益法人は原則として営利企業の株式保有を行ってはならないというふうにしております。
 この考え方といたしましては、公益法人というものはそもそも、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とする非営利の法人でありますので、こういった公益法人が営利企業への設立に関与したり出資を行ったりすることは不適当であるといった考えに基づくものでございます。
 以上でございます。
藤村委員 それは閣議決定だったと思います。それで、そういうことから道路施設協会は、出資していた六十六社ですか、これは平成十三年六月時点では合併などあって五十九社とされておりますが、出資を取りやめたことになる、こういうことだと思いますが、全部、一覧を拝見いたしますと、日本高速通信株式会社への出資、これは十七億二千五百万円を出資しています。ほか三社について売却していません。今の閣議決定からいうと、これはいいのか悪いのか、そこをはっきりしてください。この団体は財団で、監督官庁が国土交通省ですので、国土交通省に監督官庁の立場で答えていただきたい。
大石政府参考人 KDDI、旧の日本高速通信でございますが、この株式につきましては、公益法人の設立許可及び指導監督基準において、上場株式による財産管理を目的としたポートフォリオ運用は認められているところでございまして、市場動向を踏まえつつ適宜処分することとしておるところでございます。
 残る三社の東北高速道路ターミナル株式会社、北陸高速道路ターミナル株式会社、関東ケーブルテレビジョン株式会社については、売却の交渉を行っているものの、これらの各社の財務状況がよくないことから売却先を選定することができず、つまり、引受先が決まらないという状況でございます。現在、なお引き続き売却先の選定に努めているところと聞いております。
藤村委員 六十六社でありますが、いわゆる道路施設協会が出資していた会社、たくさんあります。これをファミリー企業というんでしょうか。その中でも、九十何%という、あるいは一〇〇%もあります。株式会社ハイウェイレストサービス。一〇〇%出資ということは、まさに財団法人が会社をつくって、もうけていたかもうけていなかったかは知りませんが、やっている。このファミリー企業に、多分旧建設省とかあるいは道路公団から人が、我々は天下りと言います、人事交流なのかもしれません、相当数行っていると私は見ておりますが、それを報告していただきたいと思います。
大石政府参考人 現在の五十九社について申し上げますと、官報に掲載されました決算公告によりますと、五十九社の代表者のうち、三名が旧建設省の出身者、四十二名が日本道路公団の出身者でございます。また、役員総数に占めます旧建設省、道路公団出身者数につきましては、子会社、関連会社の役員についてデータを公表いたしております平成十二年度行政コスト計算書に基づき、五十五社につきまして集計いたしましたところ、全役員数四百八十名のうち、旧建設省出身者は十名、日本道路公団出身者は二百六十六名でございます。
藤村委員 相当数の方々が行っている。
 わずか三社が業務内容が悪くて株が売れなかったけれども、他はちゃんと株が売れた。それぞれそれなりに利益を上げていらっしゃる。そういう中で、一番もとのお国の方は大変な投資をし、本四の場合だと利払いもできない営業状況である。一方のファミリーの民間の会社は相当利益を上げているという、この何か逆転したところに私はファミリー企業というのは問題が大きいと思うんです。
 一昨日の民主党の同僚石井委員の質問で、株を保有してはいけないということで、公益法人は出資してはいけないということで整理されたわけですが、その出資を解消するために株式売却を行ったときに、一つの会社の株が引受先によって株価が違ったという説明がありました。しかし、株価の決め方というのは一つの基準であったという説明でもあったかと思います。
 そこで、だからわからないんです、どうして値段が違うのか。だから、もう一度その値決めの基準をはっきりしていただきたいということ、それから相手によって株価が違った理由を明確にしていただきたいと思います。
大石政府参考人 御説明申し上げます。
 株式の処分に当たりましては、会社の資産状況や配当性向等を踏まえた時価で処分することを原則といたしまして、公認会計士とも相談の上、株式の配当額を投資の利回りとするという考え方を参考にしながら売却先と相対の交渉を行ったと聞いております。交渉の結果、相対取引により合意した価格で株式を売却しておりまして、取引の結果によって売却単価が異なることがあったと聞いてございます。
藤村委員 これについては、石井委員から、どこに売った株が幾らであったか、何株であったかなど、詳細をこの委員会に報告するようお申し出がありまして、一昨日の話であります、理事会協議となっておりますが、委員長、この結果はどうなっておりましょうか。
大畠委員長 この結果については、きょうのお昼の理事会で資料の説明を求めて、理事会としてこの話をどうするかというのを決める予定であります。
藤村委員 その件、よろしくお願いします。
 といいますのは、私、この六十何社について、全部を片っ方にやって、また買った方の金を片っ方にやってコンピューターで作業しますと、実は、まさに持ち合い構図というのが非常にはっきりしている。つまり、A社がB社に株を売っているんですね。そのB社がまたA社に売っているんですよね。ということは、その中で株同士の交換をしているんじゃないか、だから、値段、株価を言えないんじゃないか、そういう疑いまで出てくるわけでございます。
 この点を、持ち合いがいけないとは言っておりませんが、やや不明朗な点があるということで、再度その点をよろしくお願いいたしまして、時間となりましたので終わります。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて藤村君の質疑は終了いたしました。
 次に、前原誠司君。
前原委員 民主党の前原でございます。
 まず簡単に事実関係を石原大臣、国土交通省にお伺いをしたいと思いますので、簡単で結構でございますのでお答えをいただきたいと思います。
 まず、今の整備計画の九千三百四十二キロメートルについては、これは整備をするという前提に立って政府として考えておられるのかどうか、その点についてお答えください。両方、お二人から御答弁ください。どちら側が先でも結構ですよ。
石原国務大臣 結論から申しますと、やるかやらないか、本委員会、民営化推進委員会の意見を踏まえて政府として最終的に決定することになります。
大石政府参考人 整備計画九千三百四十二キロは平成十一年十二月の国幹審で定められたものでございまして、具体的な計画として地域に提示しておるものでございます。どういう方法かは別として、この九千三百四十二キロは地域との約束となっているというように理解してございまして、整備を進めていく必要があるのではないかと理解いたしております。
前原委員 それで、第二東名、第二名神について、これは整備をするのかしないのか、このことについても石原大臣そして道路局長、それぞれお答えください。
石原国務大臣 第二東名・名神を含めた高速自動車国道の個別路線の整備についても、今御議論をいただいて設立されます民営化推進委員会の意見を踏まえて政府として最終的に決定することになります。
大石政府参考人 今、石原大臣からお話がございましたように、第二東名・名神道路を日本道路公団を引き継ぐ民営会社が整備するのかどうかにつきましては、道路関係四公団民営化推進委員会の意見を踏まえて国土交通省において検討していくこととなると思いますが、第二東名・名神という路線そのものが我が国にとって必要かどうか、整備を必要とするかどうかという認識につきましては、現在の東名・名神の状況等を考えますと、私どもとしては整備をしていく必要があるというように考えています。
前原委員 九千三百四十二キロメートルの整備計画に、例えば第二東名の海老名―東京間は含まれていませんよね。ということになると、今国土交通省がお答えになったことを前提とするのであれば、九千三百四十二キロは当然のことながらさらに整備を進めていかなくてはいけない、一一五二〇というものの整備を進めていくということになろうかというふうに思いますけれども、このことについても、まあ石原大臣は同じ答弁ばかりになるかと思いますけれども、両者にお答えをいただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員御指摘の第二東名の海老名―東京間は、用地の買収もまだ決まっていないという話は聞いております。そして、それが九三四二の中に入っていないということも承知しておりますが、個別路線の整備につきましては、この委員会の意見を踏まえて、政府で責任を持って最終的に決定をさせていただくと考えております。
大石政府参考人 今先生がお触れになりました予定路線一万一千五百二十キロメートルにつきましては国土開発幹線自動車道建設法に定められました法定路線でございまして、この路線につきましては、今後我が国が活力ある地域社会を形成していくために不可欠な根幹的施設であると理解いたしておりまして、その計画的な整備が必要だと考えてございます。
 ただ、これをどのような方法で整備するかにつきましては、今石原大臣からお答えになりましたように、四公団の民営化推進委員会の意見を踏まえて、国土交通大臣が国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て決定することとなると考えております。
前原委員 先日の私の質問で道路公団総裁がお答えになったのは、今の高速道路建設は国費投入がなくなった今となっては借入金によって賄っている、新たな建設については借入金によって賄っているということであります。
 今回の日本道路公団の改革方針というものは、国費は二〇〇二年度以降投入しない、こういう前提になっているわけでありまして、今の延長線上でいきますと借金でこれをつくるということになるわけでございます。その方向性というものはもちろん委員会で議論をされるということになると思いますけれども、実現可能性も含めて、特に国土交通省にお答えをいただきたいんですが、では、先ほどおっしゃった九千三百四十二プラスアルファの問題について、現状で、つまりは借金で行うということが可能なのかどうなのか、あるいは、そうでなければどういう方法でそれをやっていくということなのか。その点について、石原大臣そして国土交通省にお伺いをしたいと思います。
石原国務大臣 これはもう委員御承知のことだと思いますけれども、整理合理化計画の中にこのように書かせていただいております。「新たな組織により建設する路線は、直近の道路需要、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行い、優先順位を決定する。」そういう中で、この今御審議をいただいている委員会の意見を踏まえて、最終的には政府として決定すると御理解いただきたいと思います。
大石政府参考人 同じく、その整理合理化計画の中では、その他の路線の建設については、「例えば、直轄方式による建設は毎年度の予算編成で検討する。」このようにも書かれておりまして、これ以外の建設方法を予定しているといいますか、そのような文言のところがあるわけでございます。
 こういった手法でありますとか、あるいは建設のスピードを調節するだとかいうことによりまして、どの程度までこの新しい組織によって整備ができるのか、今後検討していくべき課題だと考えております。
前原委員 さて、今のようなお話があった中でいろいろちょっと詰めていきたいところがあるわけでありますけれども、一つは、石原大臣の御答弁は、基本的に行革担当大臣として、新たにつくるこの委員会において整備の進捗状況も決めていく、こういうことでありましたけれども、国土交通省は、これらの整備計画というものはもう決められているものである、これについてはやっていかなくてはいけないということで、おっしゃり方の内容については差異が生じているわけであります。また、その建設の手法にいたしましても、今は借金で日本道路公団が建設をしているということでありますけれども、今後は直轄事業等を含めて税金も入れる、国費も入れるという中でやっていこう、こういう話であります。
 私は何を申し上げたいのかというと、ここで民営化をどのような形でスタートさせるかという委員会の設置を議論しているわけでありますが、この委員会というのはもう既にかなり手足が縛られている委員会であって、例えば私が委員に選ばれても、相当予断を持ってこの委員会の議論をしなくてはいけない、つまりは、白紙からこの議論ができない部分が非常に多いのではないかという気がしてならないわけです。そのことの一つの大きな問題点の、この間質問をさせていただいた最後に私が指摘をした償還主義というものについて、もう一度議論をしたいと思います。
 償還主義というのは、何度もこの間からお話をしておりますけれども、決められた期限までに借入金を返済するように料金水準を決める原則というのが償還主義であります。償還主義を前提とするとどういう副作用が出てくるかというと、先ほど同僚の藤村委員から質問のありましたように、高速道路料金というのは高いまま、世界でも飛び抜けて高いというものを是正できないわけです。
 なぜかというと、いろいろ先ほどお話のありましたような建設費、地震が多い国であるということは、それはそのとおりでありますけれども、用地の買収費、工事費、修繕費、災害復旧、維持管理費、あるいは社債や借入金利息の返還、こういうものをすべて一定の期間内に返しますよということを前提にして料金を設定することになるわけです。
 これは、本当に民間会社にするのであれば、いかに鉄道、船、飛行機との競争性を高めるかという観点から議論をさせなければいけないのに、償還主義をとっているということ自体が、後で償還主義の別の問題点は指摘をいたしますけれども、料金が設定をされてしまって、民間会社としての裁量、つまりは競争性をいかに担保するかという視点が全く欠ける議論になってしまうわけです。
 だから、この間私が申し上げたように、この道路公団の民営化の方針の一つで極めて浮いた文言があるのが償還という言葉なんです。今申し上げた、あるいは先ほどの藤村委員とのやりとりを聞かせていただいていて、民間会社にするなら、競争は船それからほかの輸送、飛行機、鉄道、こういったものになるわけですよ。だから、そこで料金の高い水準というものが決まってしまうような償還主義をとること自体が私はおかしいと思うわけでありますが、大臣、もう一度この議論をさせていただきたいと思います。
石原国務大臣 この点は、前回の委員会で前原委員とかなり長時間にわたりまして御議論をさせていただきました。
 基本に戻って恐縮なんですけれども、道路というのは本当は無料で一般に、すなわち国民に開放され利用されるのがベストだと思うし、そうすべきであると思います。しかし、これも先日の議論で議論になったわけですけれども、委員も肯定されたわけですけれども、国にお金がなかった。それで、今委員が御説明された、有料道路収入を借入金の返済に充てて限られた期間内にできるという高速道路方式で日本の場合は高速道路を供給してきた。この償還主義の年限の過ぎた後は無料開放されるということが大原則に実はなっている。そして、初めて道路の本当のあるべき姿、無料で一般にだれでも通行できるという姿に戻る。
 そういう意味では、この償還主義は、委員は償還主義を否定されておりますけれども、この償還主義というものを前提に議論していかないと、そもそも、じゃ、借入金で道路をつくるものにどういう問題があったのかというところまでいってしまう、私はそういう問題をはらんでいるんだと思います。
 しかし、もうこれもこの委員会の中でずっと議論になってきますけれども、いわゆる需要見通しですね。過大な交通量の予測をもとに償還計画が立てられているんではないかといったような問題点が指摘されてきたわけであります。
 ですから、なおそういうことが今後起こらないために、言葉をかえますと、むだな投資に歯どめをかけた、採算性を確保する観点から、整理合理化計画で、現行の借入金と今後の投資を含めた債務について、償還期限を初めて五十年を上限としてその短縮を図る。これまでは要するに三十年であったものを、これも委員がこの間御指摘されましたけれども、延ばしてきた。それは縛りがないからですけれども、初めて閣議決定として、五十年を上限としてその短縮を図ると縛りをかけたわけであります。これによって、無制限に採算性を度外視して、あるいは交通需要を度外視してつくるということに歯どめがかかった。ですから、民営化の推進委員会においても一定期間内の債務償還を前提として議論がなされるものと考えております。
 もちろん、委員が御指摘されたような、もう少し広がった意見の交換というものを否定するものではございませんが、前提がそういう形で日本の道路行政が行われてきたということを私たちは是認して、ただ、今起こっている問題点や指摘に対してこたえていくべく仕組みを仕組ませていただいたというところでございます。
前原委員 幾つか矛盾、問題点が今の大臣の答弁にはあります。需要見通しの話は後でさせていただきたいと思いますが、まず、償還主義のコインの裏表に、償還が終わった後の無料開放というのはそのとおりです。でも、これは道路公団方式ということでやっていく中で無料開放ということでありますよね。となれば、民営化をした後に無料開放するというのは、これは民営化の自己矛盾になるわけです。
 確かに、償還が終わって、しかし維持管理費がかかります。じゃ、その部分だけを有料道路としてやるということはあり得ますよ。あり得ますけれども、先ほどおっしゃった、無料化するということが大前提になったということは、今後、日本道路公団方式でやっていたものを民営化という違う形でやるということになるから、その点を大前提で話をするのはおかしいわけで、そして、おかしいということは、コインの逆の裏表である償還主義を前提とすることもおかしいわけですよ。これが、まず私が申し上げたい一つ。
 それから二つ目には、むだな投資を抑えるために償還主義だということでありますけれども、今までむだな投資はいっぱい行われてきたじゃないですか。むだな投資だらけが行われてきた。
 これは会計検査院が出している資料でありますけれども、昭和五十六年を境に、昭和五十六年より以前につくられた道路は、減価償却とか除却とかそういうものを含まない道路公団方式でのいわゆる甘い収支率を例にとっても、昭和五十六年までは大体の道路が一〇〇以下。しかし、昭和五十六年以降は一〇〇以上のものがずっとつくられている。昭和五十六年といったらもう大分前ですよ。
 先ほどの大石道路局長の話にあったように、九千三百四十二、あるいはプラスアルファ、国費を投入してでもやりますということを言っているわけですよ。ということは、償還主義をとるからむだな投資を抑えるという効果が生まれますということは絶対あり得ないわけです、その話は。
 つまりは、今まで道路公団というのは、基本的に国費と借金で道路をつくり続けるということでやってきたわけです。そして、償還もいわゆるプール制と償還主義ということ、しかも、償還期限を三十年、四十年、五十年と延ばすという中でごまかしてきたわけですよ、言ってみれば。そのごまかしがもう通用しないということになってきたときに、例えば薄皮道路なんと言われているような、九割国費、上だけ道路公団というようなこそくな手段も使い始めた。そして、いよいよ民営化の議論だということで、逆に国土交通省は、税金を使ってやろうじゃないかということで堂々と言うような話になり始めているわけですよ。さっき、答弁聞かれてわかるでしょう、大臣。
 だから、償還主義がむだな投資を抑止するということは、今までの道路公団を見てもうそ。つまり、プール制と償還主義の引き延ばし、そして後で言う過大需要予測の見通しの中で、全然虚構の構図で来たわけです。それで、これからも、先ほど道路局長が御答弁をされたように、国費投入して九千三百にプラスアルファやるというんですよ。となると、民営化された道路公団にむだな投資が行われないということにはならないんじゃないですか。
 今の答弁、二つの点で矛盾していますよ。無料化の話と、それからむだな投資の話。
石原国務大臣 後段の方から議論をさせていただきたいと思うんですけれども、道路はどうあるべきか。国にお金があれば、無料で有料道路を間違いなくこの国はつくったと思います。ですから、償還主義の後に無料開放というものがくっついているんだと思います。そこを確認させていただきたい。
 ということは、私は償還主義が歯どめになると言っているんじゃないんです。償還主義の年数を五十年に限って、それの短縮を目指すということを初めて閣議決定したわけであります。委員が再三再四御指摘されておりますように、これまで三十年、四十年、五十年と延ばしてきた。これは、償還期間というものを何年にしてもいい。ですから、こういう議論がその一方にあるわけですね。償還期限を例えば百年、百二十年にしよう、そうすれば現行の倍ですから、料金が半額になるじゃないか、世代間の負担になるじゃないか。
 しかし、そうすると、今言ったように、むだなものもつくってしまうんじゃないかといって、償還主義を前提に、償還主義の年限で五十年から短縮を目指す。今までは上に延びていったものを下に延ばすということで、歯どめをかけた意味で、採算性を確保する観点からここに意義があるということを申したのであって、償還主義が私は絶対であるということではなくて、その仕組みにキャップをかぶせたところに一つのポイントがあるということを申したというのが第一点。
 第二点目は、多分委員のお考えは、株式会社であるならば、何年かたったらその物がとられちゃう、すなわち道路がとられちゃう、無料開放ですから、ツールがとられちゃう、それはおかしいんじゃないかというお話だと思うんですね、委員の御指摘というものは。
 でも、考えてみていただきたいんですけれども、株式会社というのは永遠じゃないんですよね。リスクを絶えず持っている。十年でつぶれちゃう株式会社もあるし、五年でつぶれちゃう会社もあるし、百年、二百年、未来永劫続いている株式会社もある。
 ですから、各国の道路の民営化の事例を見ますと、コンセッション契約あるいはリース契約といったような、年限を区切って、その後は国にあるいは地方団体に戻すという形で民営化を行っているものがあります。ですから、その五十年という期限で、しかも上限としてできるだけ短縮を目差すんですけれども、その五十年マイナスアルファの年限株式会社であるということは、株式マーケットにおいてその株式が売れるということですから、私は矛盾しないんじゃないかと考えております。
前原委員 二つの点とも論理的にはお答えになっておりません。
 一つは、今まで三十年、四十年、五十年という償還期限を延ばしてきた、プール制と償還主義で要はごまかし、そしてわからないような仕組みでやってきて、それが破綻をしかけている、こういうことで、しかし、五十年というキャップを決めて、今度は五十年をさらに短縮する方向で延ばすんじゃないかという話がありますけれども、それは全く違う議論なんですよ。
 なぜならば、先ほど国土交通省の道路局長がお答えになったように、国費投入してでも九千三百四十二はやると言っているんですよ。ということになれば、償還主義で、つまりは通行料金というものを大前提にしてきた。そしてまた借金で新たなものをつくって、借金も返すこともやってきた。その仕組みというものに大きな穴があくんですよ、国費という穴が。そうしたら、償還期限なんというのは何ぼでも短縮できますよ、税金投入するんだったら。だから、今までと違う仕組みにしないと九千三百四十二キロにならないんです。
 もっと言えば、国費がどれだけ投入されるかどうかによってこの民間会社というもののあり方が全く変わってくるわけですよ。だから、私の感覚で言えば、国費投入を前提にした民営化議論ならやめなさいという話ですよ。そんなもの民間会社じゃない、国費の額によって民間会社の行動基準が変わるんだから。上下分離方式の大きな問題点はまさしくそこなんですよ。だから、その穴があく話で、今までとの償還主義の形が変わるわけですから、だったら、償還主義をとるというのはおかしいじゃないですか。それが指摘したい一つ。
 もう一つの問題は、私が一番初めに申し上げたように、償還主義ということは通行料金が高コストになるということですよ。借金の返済、建設費、あるいは維持管理費、修繕費、災害復旧費、そういうものをトータルにまとめて償還期限を決めて通行料金を設定するということでしょう。もちろん、これは国費をどれだけ入れるかという話によってまた変わってくるけれども、結局、国民負担ということになると、広く薄く国民が負担するか、あるいは利用する人だけがその負担をするかという違いであって、国民負担については全然変わらない。つまりは、償還主義をとる以上、通行料金が高くなって、民間会社として極めて必要な競争力という観点が欠落をするんじゃないですか、こういう話をしているわけです。
 その二つ、もう一度御答弁ください。
石原国務大臣 先ほど私、ちょっと冒頭確認させていただいたのは、道路は本来無料で一般に供用されるものであるけれども、日本に財力がなくて有料道路のこの方式ができた。そこは委員も前回の議論の中でお認めになっていると思います。
 そうしますと、委員の言っていることに矛盾が出るのは、必要な道路を国費でつくるということは否定できないんですね、高速道路も含めて、必要であるならば。仮の話ですけれども、交通量は少ないけれども、山脈を隔てて南北を貫いて、緊急事態にそこをバイパスにしてそちらに避難するというような場所が仮にあったとしたら、それを交通量が少ないという名のもとに有料道路をつくらないという議論はないのではないかということをまず御指摘させていただきたいですし、先ほど大石局長が答弁いたしましたように、新たな組織によって建設する道路というものは、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行って優先順位を決める。その一方で、その他の直轄方式とかA'とか新しい方法が今もうできているわけです。それは国交省で決めることであって、毎年度の予算の中で編成して、それがむだであるかむだでないかということの与党のチェックは予算でチェックをいたしますし、行革の総キャップのところでもチェックをする。二重三重にチェックができるようになっていて、それはもちろん、今までのとおり幾らでも道路をつくろうという予算を幾ら国交省が出しても、国の予算を見ていただいて、五十兆円の税収で八十五兆円の歳出をやっているわけですから、そんなことがいつまでも通らないし、いつまでもそんな要望が国交省から出てくるとは私は思えません。
 それと、もう一つ御質問があったのは、償還主義を使う限り、料金設定が高くなるというんじゃなくて、料金設定に枠がかかるということは私は認めます。もちろん、償還主義がなければ、例えば、さっき言いましたように、期限がなくなれば、借りた金を百年で返す、二百年で返すと言えば料金は下げられる。そういう意味での料金の自由度というものは高まりますけれども、今回の原点は、延ばしてきた償還主義に歯どめをかけて限られた年限で返すことによってむだな投資を行わないというような切り口で整理をされていると御理解をいただきたいと思います。
前原委員 極めて矛盾が多いんです。これはしつこくこれから質問しますが、今の大臣の御答弁を聞いていると、そうしたら道路公団は民営化しなくていいじゃないですか。何で民営化しなきゃいけないんですか。その議論に突き当たるんですよ。国費でやりゃいいじゃないか、税金で。そんなことになったら何で民営化の議論をするんですか。どこにそのメリットがあるのかわからなくなるんですよ、今の答弁だったら。
 確かに、採算が合わないけれども絶対につくるという国家意思があっていい、あるいは地域の要望があっていい。地方分権が進んで、地域がそれは絶対つくるという前提に立っても、それは構いませんけれども、それを一たん認め出して、そしてどんどん投資が国費で行われるということになれば、この民営化された道路公団というのはどういう国との関係になり得るわけですか。
 つまりは、民営化と言いながらも、違うところではどんどん国が予算で道路予算をつけてつくるんだということを言い続けるならば、それは償還主義とかそういう問題とは別個にして、この道路公団を民営化する組織の意味がなくなるんじゃないですか。そこは、この民営化する議論のインセンティブは私は全く生まれないと思いますよ。それがお答えをいただきたい一つ。
 それから、償還主義の話です。
石原国務大臣 済みません。議論が集約しないで拡散しちゃいますので、一つ一つ。いいですか。(前原委員「どうぞ」と呼ぶ)
 委員の議論を突き詰めていくと、これからの道路は国でつくって、道路公団は廃止しろということですよね。両方でつくる必要がないというわけだから、予算でつくれという話をされているわけですから、それは一つの考えだと思うんですよ。ただ、道路公団という組織があって、道路公団がつくっている事業もあって、それを新たな組織によって徹底的な費用対効果分析と需要見通しをもう一回やって優先順位をやり直していく。これは民営化されなかったらできないわけですよね。ですから、そこに大きな意味があるんじゃないでしょうか。(前原委員「そんなことないじゃない。今までもやっていたよ。昔、むちゃくちゃな需要見通しやっていたじゃない」と呼ぶ)いやいや、それをおっしゃるならば、その需要見通しが悪いという批判があるから、第三者機関がやるということで組織を改革していくわけでございます。
前原委員 十分御理解をして答弁をいただきたいと思いますが、つまりは、民営化の議論をする、そして、民営化というのはコストパフォーマンスをどのようにしていくかということを求めていく、そして、先ほどおっしゃったようにむだな投資をなくしていく、こういう話だったわけです。しかし、今までは曲がりなりにも道路公団でやってきたのは、藤井総裁、国費、補助金とそれからいわゆる借入金、それで新線建設をやってきたということですよね。その中で償還主義というものをとって、しかし、それがつじつまが合わなくなってきたからどんどん償還期限を延ばし、そしてプール制で、ごまかしてきたと言ったら異論があるかもしれませんが、私からするとごまかしてきたわけですよ。
 しかし、それを国費投入をするということになれば、大きな穴があくことは事実なわけです。国費で絶対つくるなということを言っているわけではありません。ありませんけれども、国費投入の一定の約束というか、一定の規則というものをつくらなければ、今までは、国費も投入されないということだから借金だけにします、借金と通行料金で何とか、しかし通行料金は借金の返済に充てていたわけですから、これからの道路建設、国費が入るということになれば、先ほどの償還主義のところで答えられたむだな投資が抑えられるということにならないんですよ。そのことを私は言っているわけです。
石原国務大臣 道路公団並びにこれから新しくできる組織には国費を投入しないんです。
前原委員 組織には投入しないのはわかります。高速道路建設について話をしているんです。
石原国務大臣 もう既に高速道路を、さっき言いましたけれども、A'というような方法でつくっているわけですね、国費が入って。それは国交省の所管であって、今回の道路公団を民営化するという議論とは一つ離れているということを先ほどから申しているわけでございます。
前原委員 A'方式というものがもしこの議論の突破口になっているんだったら、国土交通省は極悪人だと思いますよ。つまりは、税金を使って高速道路をつくるという風穴をあけたから、今後も高速道路は、今までのものは別個に切り離して、今までのものはいわゆる民営化するところで管理維持しなさい、しかしつくるものについては税金でやりますよ、こういう話になれば、国全体の問題として、なぜ道路公団を今民営化しなきゃいけないのか。それは、まさしくさっき大臣がおっしゃったように、むだな高速道路がつくり続けられているということに歯どめをかけることにならないじゃないですか。
 昭和五十六年を境に、道路公団の収支でさえ、減価償却、除却が計上されていない収支率でさえ、昭和五十六年以降につくられたものは大体一〇〇をオーバーしているわけですよ。つくり続けたらどうなるか。どんどん累積借金が膨らんでいくわけですよ。その問題意識で民営化するんじゃないんですか。それを切り離してしまったら、全く民営化する意味がないんじゃないですか。今までの道路公団でも十分やれますよ。それはちょっと大臣の後に答えてください。切り離すんだったら簡単に今の道路公団でできる。何で民営化しなきゃいけないのか。
石原国務大臣 今の道路公団でどうしてもむだな道路をつくる方向にあるから、採算性、コスト、国民の皆さん方の目が行き届く、経営者の責任が明確化される民営化という手法をとるということで一つの歯どめをかけます。
 それと、先ほど来話しております直轄方式で、すなわち、本来、国にお金があれば、高速道路は道路公団なんかつくらないで税金でつくったわけですから、税金でこれからどれだけの道路をつくるかということは、国会という大きな監視機関があるわけで、予算という形で直接ここにどれだけの道路予算がつくかということで審議できるわけです。
 しかし、道路公団のこれまでどれだけの道路をどういうふうにつくるのかというような議論は、旧建設委員会等々でそんなに、私も議事録すべてを読んだわけではございませんけれども、どこの道路がけしからぬとかどこがむだだとかいう議論がなかなか行えなかった。やはりアウトソーシングされていて、一応独立した特殊法人がつくっていただけに目が行き届かなかった。それが、予算の中に入ってくる、あるいは、民間会社といって、経営者、株主が出て株主責任というものが出る中で、これからむだなものがつくられなくなるというのが今回のそもそもの改革の基本でございます。
藤井参考人 恐縮でございますけれども、ちょっと道路公団の経緯のところの一点だけ言わせてください。そうしないと、後を言えませんので。
 それは、高速道路を有料道路でつくったときに何で現在の矛盾が出たかといえば、国費の投入を今の高速道路の整備のときに極力抑えよう、それは国費負担を抑えよう。そうすると、料金で全部カバーしていた。ところが、料金も限界がきた。そこで、償還期間を延ばしてやってきた。その結果が、それでも無理がきたからA'手法というものが生まれてきた。これが簡単に言えば現在までの経緯なんでございます。
 そこで、道路公団、そういう中で、いわゆる供用の路線、ストックというのが七千キロできました。このストックというのは、これから投資しませんから、これからはどんどん収入を生む、言ってみれば原資になります。
 この既存の、もちろんそれの償還のための期間はありますけれども、それが小さい間は、例えば、百キロとか千キロの間の道路公団の経営の問題と七千キロまで来たときの経営の問題は、おのずから違ってきたんです。七千キロのストックを持ちながら、さらにこれからどういう路線をやっていくか、この問題は国全体としてお決めいただくわけですが、私どもとしての公団の立場で物を考えるとすれば、この前、石井先生に怒られましたけれども、ネットワークを結んだ結果、料金収入がふえる、黒字になってふえる、こういうような路線は、私どもから見れば、むしろやった方が経営という意味では得するんです。
 ところが、そうじゃなくて、やっても、プール制の中で、むしろプール制を利用しないとなかなかできないものもあるんです。そういうものについては、これをどうするかは国全体でお決めいただく。そういう中にこの民営化の一つのものがあります。これが一点。
 二点目は、最後に、関連事業と……(前原委員「質問に答えてください」と呼ぶ)はい。そういう意味で……(前原委員「新線建設をしないんだったら公団でもできるでしょう、今おっしゃったようにストックがあるんだったら」と呼ぶ)新線建設につきましては、これの考え方は二つあります。今、仕掛かり品があります。九千三百四十二キロというのは、言ってみれば、熟度はありますけれども、仕掛かり品です。この仕掛かり品をどうするかという問題が一つあります。やめるというのも。したがって、建設をやめろと先生がおっしゃる意味合いは、仕掛かり品までもやめるという概念と、仕掛かり品は工夫してでもやるというので考え方が変わってくるんです。その点だけ、ちょっと御理解いただきたいと思います。
前原委員 ちょっと、しっかり質問を聞いておいてくださいよ、時間の浪費ですから。
 私は九千三百四十二キロの話をしているわけじゃないんですよ。九千三百四十二キロを前提に今まで道路公団はやってきた。それで、おっしゃるように、なかなか難しくなってきたので、A'方式もあった、我々からいうと薄皮方式というものもやってきた。
 それで、私は何を言っているかというと、九千三百四十二まで、道路公団、やれと言っていない。今、大臣の話だと、本来は道路というのは国でつくるんだから税金でやったらいいですよという話をしているわけですよ。そういうことであれば、じゃ今までつくったものを一遍切り離して、その管理だけ。新たな建設は要りませんと。借金して、今お金は集まらないでしょう、財投機関債も。金融機関に頭を下げてようやく五年間で借りたそうじゃないですか、足りない部分を。そういうことをしなくても、新たなものをつくらなくて、そして今までのものを維持管理するんだったら、道路公団方式でできるでしょう。民営化する必要はあると思われますか。それだけを答えてください、その質問をしているんですから。
藤井参考人 国費がないという形でのこれからの運営については……(前原委員「いや、新線建設がない」と呼ぶ)もう一回言います。収入が約二兆円あります。それで、返すお金を引きますと約八千億ぐらいの余剰金が生まれます、言ってみれば余裕が。これでもって建設をしても採算がとれて償還できるという前提で物を考えていますので、そのときにもし新線建設をしないという判断をすると、この八千億という、償還を、残した後の料金収入の余裕、これの使途をどういうふうに使っていくのかという議論になります。これについては、私どもは、今まではそういう建設に充てますよということを申し上げてきたわけです。
 この八千億の余裕というものをどうするかというのは、これは国全体で最終的にお決めになられる問題だと思います。それも今度の第三者機関の議論だと思います。
 先生は、もう一切建設をやめるということは、その八千億は余裕として出てくるわけです。それを全部返す方に回すというのもあります。そこら辺の思想が統一されておりませんから、私どもはそれを建設費に充てるということで、むだなことはやりません。むだなことは一切しません。しかし、それだけの余力、八千億という建設費に回す余力については、私どもは今現在こう考えていますという御説明をしただけです。
前原委員 答弁内容がわかりませんので、資料を要求したいと思います。
 つまりは、私の質問したかったのは、新たな新線建設をやっていく、その前提が国費ということであれば、今までのつくったものの借金の返済、そして通行料収入、そういったもので、道路公団方式で十分やっていけるんじゃないかということなんです。その質問の答えを今総裁はされていません。
 つまりは、新線建設がなくなった場合の道路公団の、減価償却とかそういうものが入っていないいわゆる貸借対照表でいいですよ、それを御提出いただきたいと思います。
大畠委員長 この要求については、理事会で諮らせていただきます。
前原委員 大臣、先ほどから話がかみ合っていません。別の観点から質問したいと思いますが、小泉総理大臣が予算委員会で、九千三百四十二キロメートルなんてできっこない、こうおっしゃいました。あなたはどう思われますか。
石原国務大臣 これは前回の委員会でも御答弁させていただいたんですが、要するに、採算性の部分にやはりどうしてもかなり問題があるんじゃないかという指摘が数多く出されているんですね。採算性がとれるというような数字、すなわち、需要見通しが甘くて、現実になれば計画どおりできますけれども、その計画どおりにどうもできないんだろう。そしてまた、つくったら赤字、すなわち償還ですから、借りたお金でつくって、赤字になって返せなくなるんじゃないかというおそれがあるから、初めてこの道路公団の民営化という議論が出てきたと御理解をいただきたいと思います。
前原委員 私の質問に答弁していない。できると思いますかという……(石原国務大臣「できると思うからこういうことになったという今お話をしているんです」と呼ぶ)
 では、もう一度答弁してください。いや、イエスかノーでいいのですよ。九千三百四十二キロはできるんですね。
石原国務大臣 今のままではできるかどうかわかりませんけれども、私は、今のままのやり方ではできないと思います。
前原委員 民営化がどういう形になるのかわかりませんけれども、五十年償還期間、そちらの土俵に乗って話をして、それでできると思いますか。
石原国務大臣 先ほども議論をしておりますように、現行の道路公団がそのまま存続して、償還主義をとって、つくることはできるかもしれませんけれども、お金を返すことができなくなると思います。
前原委員 ここの問題が明らかになったのは、要は、国費を投入してつくり続けようというところが見え見えなんですよ。となると、民営化するという一つの大きな意味のむだな投資、これは石原大臣がおっしゃった言葉をそのまま使いますが、むだな投資が抑制されるという当初の目的とは乖離した話になるわけです。
 つまりは、国費を投入して仕組みを変える。そして、片や民営化という形は整えるけれども、結果的には、この間もお話ししましたけれども、五年間で七十八兆円の道路五カ年計画、道路特定財源、そして九千三百四十二、一万一千五百二十、その上の一万四千、そういうものが前提としてある以上、先ほど、五十兆の税収で八十五兆を歳出して、こんな国で道路がつくり続けられますかということでありますけれども、道路局の人たちは、そんなことは知ったことじゃない、そういう法律、整備計画がある以上は道路をつくり続けるんだ、こういう話になるわけですよ。
 結局、民営化の議論というのは、その前提が崩されない以上、国費で幾らでも道路をつくり続ける、当初目的であったむだな投資を抑止するということにはならないのですよ。この議論は水かけになりますけれども、私の議論をどう思われますか。その点についてお答えください。
石原国務大臣 前原委員の議論は、政府のつくる予算を否定しているところに始まっているからそのような議論になると思います。
 すなわち、国費で道路をつくる場合は、予算で厳正な審査というものがある、チェックがあるわけですね。しかも、先ほど言いましたように税収が五十兆円弱と限られたものであるならば、赤字国債を出さない限りはどんどんむだな道路がつくれるわけはないとお考えにはならないでしょうか。
前原委員 ということは、新たな仕組みになったとしても、今の日本の財政状況を考えれば、九千三百四十二キロは、どんな枠組みをつくってもできるかできないか、どう思われますか。
石原国務大臣 千年かかれば理論的にはできるんじゃないでしょうか。
前原委員 今まで議論したので一番いい答弁だ。だから、要はできないということなんですよ。できないということを、では、さっきの話だと、国土交通省は九千三百四十二キロをやる、第二東名、第二名神は必要だ、第二東名、海老名―東京間は九千三百四十二キロにも入っていない。全く矛盾しているじゃないですか、議論が。これは、国の中で行革担当大臣と国土交通省の道路の局長との答弁が食い違っていることになります。その点が精査されない限り、これ以上議論しても、この民営化の議論というのはできないのじゃないですか。委員長の御判断をいただきたいと思います。
大畠委員長 前原委員の質問のこれまでの経過等々を見ますと、政府といいますか、大臣の答弁の内容と前原委員が基本的に考えているものが非常に食い違っていることは、私自身もそう思います。
 したがって、そのところなんですけれども、委員長としては、その食い違っているものをより明らかにするように、前原委員がちょっとさらに内容を吟味して質疑を続けていただきたいと判断します。
前原委員 それでは、委員長の御発言でございますので、重く受けとめて、合同審査があるそうですので、国土交通大臣と行革担当大臣の発言が食い違えばその議論は前提として成り立たないということを留保した上で、質問を続行させていただきたいと思います。
 しつこいようですが、もう一度償還主義。これは償還主義である限りだめなんですよ、本当に。これは多分内容をわかってもらえると思う。償還主義でやる限りは、つまりは、民営化すれば何年で金を返すかどうかという話じゃなくて、とにかく、どうして競争力を保って、そしてどうして民間会社としてやるかという議論に立つわけですよ。償還主義に立てば、さっき申し上げたように、いろいろなコストを平準化する中で料金設定しなきゃいけないのです。私は、償還主義というのは民営化の議論と哲学として絶対に合わない。そう思われませんか。
石原国務大臣 前原委員の議論は、昭和三十一年、公団ができる前、このような場所があって議論をすれば、私もそちら側で、いろいろ償還主義の問題点、先ほど私の方からも問題点を指摘しましたけれども、議論になると思うのですが、もう現に公団という形で四十年動いてきて、そして償還期限をどんどん上にしていくような形で償還計画に矛盾が生じているというような指摘を受けるようになって、ですから今この改革に着手したということはぜひ御理解をいただきたいのですね。
 それとあわせて、この償還主義をやめるんだということになりますと、整理合理化計画で、実はそこに至る段階で今委員としたような議論は党の中でもなされたわけですけれども、償還主義を前提として、償還主義を一つのキャップにしてむだな道路をつくらない方法ということで対応してきたという経緯も、実は御理解いただきたいと思っております。
前原委員 今まで償還主義で来て、そして借金があるから償還主義を続けなきゃいけないという議論は、それはあり得ないのです、そういう議論は。
 では、実例を申し上げましょう。国鉄からJRになって、国鉄だって三十数兆円の借金があった。それをJR各社が持ったわけですけれども、JR各社は償還主義をとっていますか。償還主義をとっていないでしょう。つまりは、いつ借金を返すかじゃなくて、いかに民間会社として私鉄との競争に勝つか、あるいは高速道路との競争に勝つか、飛行機との競争に勝つか、船との競争に勝つか、そういうことにおいていろいろな料金設定や、あるいは投資をしたり、不採算分野をカットしたり、まさに民間会社としてやるべきことをやっているんじゃないですか。いつまでに借金を返すという前提に立ったときに、そういう競争力、本当に民間会社として生き残っていくための経営ができないじゃないですか。
石原国務大臣 委員の議論は、グッドとバッドにストックの資産を分けて、バッドの部分を棚上げして税で負担をすれば、償還主義はなくても自由な裁量で料金を設定するということができると思いますけれども、すべて借りたお金は償還主義の枠組みで返そう、そういうところにこの改革の原点がございますので、意見が食い違うんだと今理解いたしました。
前原委員 原点に置いていることが大きな間違いだと言っているわけですよ。
 今のJRの例を聞いておられて、償還主義をとらなきゃいけないと本当に思われますか。つまりは、民営化、民間会社にするということは、何年で借金を返すという前提ではなくて、ひょっとしたらうまくいったら早く返せるかもしれない、競争力をつけるまでは、借金を返すんじゃなくて利息だけ返すということに一生懸命で、そして何とかやりくりをしていこうということで経営資源を集中投資することもやるかもしれない。それがまさに民間会社としての創意工夫であり、いかに生き残っていくかという競争の話じゃないですか。その民間会社を前提としたときに、何で償還主義というものの足かせをかけてやるんですか。それを私は言っているんですよ。償還主義を原点だということ自体が間違っているということを申し上げているんです。
石原国務大臣 そもそも国鉄と道路公団が違うところは、先ほど総裁から御答弁がありましたように、二兆円からのキャッシュフローが入って、新路線をつくらなければ、八千億ですか六千億ですか、余剰金が発生する。国鉄の場合は走るたびに赤字ができていた。そこに大きな違いがございますので、償還主義という概念で物を返していこう、借りたお金は返していこうというのが原点にございます。
 競争力のある株式会社をどうやってつくるのかという原点よりも、今ある借金をどうやって返し終えるのか、本当に返し終えることが可能なのかというところに改革の原点があると御理解をいただきたいと思います。
前原委員 キャッシュフローは国鉄にもあったんですよ。しかも、この間お話ししたように、あの国鉄でさえ減価償却はしていたわけです、会計制度で。こっちはしていないわけですよ。だから、そういう前提に立つと、今までの答弁は私に言わせると全く無味乾燥、全然答弁になっていない。償還主義というものの前提がなぜあるのかというところのお答えになっていない。
 委員長にお願いをしたいと思いますが、なぜ民間会社化するこの道路公団の一つの前提として償還主義をとるのかという政府の統一見解をおまとめいただいて、出していただきたいと思います。お願いをいたします。
大畠委員長 理事会でお諮りいたします。
前原委員 時間が少なくなってきて、私がこの間質問をして理事会に出していただいた資料の質問ができなくなりましたが、ある程度の質問はさせていただきたいなというふうに思っております。
 委員会の資料、十日と、そしてきょうの朝の理事会で提出をしていただいたということでございますが、幾つかそれに対して私の意見並びに問題点を指摘させていただきたいと思います。
 まずは、全国の交通需要が現在と同一、あるいは少しふえる、一・二倍ですか、という二つ、されておりますけれども、私が聞いていたのは、今需要予測の七割でしかないじゃないですかということを聞いているわけです。まず、そこのいわゆる需要予測というものがなぜ間違っていたのかという一つの総括なしに、こういうもの、今の需要がこうだから一・二倍、現状でやりましたということでは私は納得できないわけです。つまりは、なぜ需要予測が間違ったのかというところの理由を示していただかなくてはいけない、これがまず一点であります。
 また、この表で幾つか問題点があるなと思いますのは、この予想というのは、対象延長が現行整備計画の九千三百四十二キロですから、新たに道路ができていくわけですよね。できていくにもかかわらず、交通量の増加が一・二倍ということ、二〇%しかふえないということになれば、この新線建設をしたメリットを道路公団自身が否定をされていることになりはしないかというところの問題点を私は指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 さらに、ここの問題点の一つとしては、建設費、管理費というものが「コスト縮減計画の実績を反映」というふうに書かれております。そこの下の「参考」というところに何が書かれているかというと、「平成八年度の標準的なコストと比較した平成十二年度の実績縮減率 建設コストで一一・四%、管理コストで一二・〇%」ということで書かれているけれども、実際、建設費が五年で、まさに平成八年からこの後の段階で実際に四割ふえているわけですよ。つまりは、コスト縮減計画の実績を反映してふえることはありませんという前提に立つということが資料としておかしいわけであります。
 つまりは、私が要求していた資料は、少なくとも二つの点で不十分だと言わざるを得ません。つまりは、新しい道路がさらに延びるはずであるにもかかわらず、その需要予測というものの細かな精査をしていない。それで、逃げで、現在の交通量が不変、そして一・二倍にふえたということでやっている。それだったら、今までの各線ごとの需要予測というのはまさにどんぶりでやっていたのか、そういうことにほかなりませんので、精緻な各路線の需要予測というもののトータルで将来交通量を積算してやり直してもらいたいのが一つ。
 それから、建設費、管理費というものがこの五年間で四割増になっているのは、これは周知の事実であるわけで、コスト縮減計画の実績を反映して大丈夫だという話は、これは現実と理念、理想と乖離していますので、この点というものも過小評価をし過ぎている。
 したがって、委員長にお願いしたいわけでありますが、私が求めていた償還計画の正しい分析になっていないという判断をしますので、少なくとも今の二点を、私がお願いしたような観点をしっかりと取り入れていただいての償還計画をもう一度出していただきたいとお願いしたいと思います。
大畠委員長 委員にちょっと質問しますが、今のは質問じゃなくて資料要求ということで受けとめてよろしいですか。
前原委員 はい。
大畠委員長 このことについては理事会でお諮りしたいと思います。
 なお、お手元に、前回の提出要求に対する回答ということで資料を理事会で決めましたので、それを委員に配付して、この際、ちょっと質問時間が来ておりますが、この資料に対する説明をさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。
前原委員 私は結構ですよ。
大畠委員長 それでは、大石道路局長。
大石政府参考人 提出させていただきました資料について、若干御説明を申し上げます。
 交通需要の予測と実績につきましてでございますが、これは、提出いたしました資料というよりは先生の御質問にお答えする部分になるんですが、交通需要の実績は、償還計画に用いた予測と同程度の実績を示しております。
 それから、環境影響評価で使いました交通量が七割じゃないかという新聞報道があったのは存じておりますが、環境影響評価における条件は、高規格幹線道路一万四千キロがフルネットで完成した条件のもとに、完成車線数で交通が最大に流れるという状態で、最も環境にとって危険な側で評価をいたしておりますが、償還計画におきます条件は一万四千キロじゃございませんで、整備計画九千三百四十二キロのネットワークであり、かつ暫定車線等が含まれております。したがいまして、需要を七割としたケースは、本日御提出いたしましたデータで申しますと、交通量の伸びなしケースにほぼ類似いたしております。
 建設費につきましてでございますが、提出資料は、交通需要、金利等の条件を変化させ、今後の建設投資可能額を試算したものでございまして、もし建設費が増加した場合には建設可能延長でアジャストする、このような考え方になるのではないかというように考えております。
 以上が説明でございます。
大畠委員長 それでは、よろしいですね。
前原委員 それでは、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。
 次に、五十嵐文彦君。
五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 私は、石原大臣と同様にかつて記者でありまして、長い間この永田町周辺におりますけれども、かつて日本の政治、諸悪の原因は自民党総裁選挙にある、こう言われました。
 確かに、派閥をつくらないと自民党の総裁そして総理大臣にはなれないということで、志のある政治家は派閥をつくろうとしたわけですね。派閥をつくるには、あるいは維持をするには相当なお金が要るということで無理をしたお金集めが行われ、それが今のような状況に至っている。すなわち、この国会で問題になっている鈴木宗男さん、派閥をつくろうとした人、そして加藤紘一さん、派閥をつくった人ということで、彼らも無理をしてお金集めをせざるを得なかったというところで問題が生じてきた、こういうことであります。
 そして、その政治家たちのお金つくりの大きな装置、道具として使われたのが高速道路建設であります。そういう観点から、今のような構図を変えなければいけない、これが道路公団改革の一つの大きな動機にならなければいけないはずだし、そうなんだろうというふうに私は思っております。
 あともう一つは、道路公団の中の赤字か赤字でないかという話が先行しているようですけれども、日本全体の経済にとって今のような高速道路がどう働いているのか。いわゆる日本の国際競争力という面で、その高コスト体質、国際競争力を弱めている原因の一つに、高速道路の高い通行料金が影響していないかというような観点、もっと幅広い観点から私はこの高速道路問題も考えていかなければならないと思うわけであります。
 そこで、予算委員会でも、ことし、この高速道路建設をめぐる不透明な問題を取り上げさせていただきました。十分な御回答をいただいたとは言えません。
 そこで、改めてここで確かめさせていただきたいんですが、その間、私の方にも、実はまじめな道路公団の方だろうと思います。改革派の方ですね。今のような道路公団のあり方ではいけない、あるいは政官のあり方ではいけないと思われる方々が、情報の提供をしてくださったりしております。新たな材料が私のところに入手をされております。同僚議員のところにもありまして、いろいろ調査をいたしました。改めて細かくお尋ねをいたしますけれども、お許しをいただきたいと思います。
 まず最初に、我が党にありました談合情報、これを確認させていただきたいんですが、いわゆる工事発注を中止した十三件、これが二月に再開をされました。その再開後の入札結果、どのようなことになりましたか、結果をお知らせいただきたいんです。特に仏経山トンネル西工事を含む中国支社分の入札の結果について、御公表をこの場でいただきたい。
    〔委員長退席、野田(佳)委員長代理着席〕
小笠原参考人 先生御指摘のとおり、十三件のうち、中国支社管内四件の工事をこの三月に発注いたしました。四件のうち二件は公募型の指名競争入札、残りの二件が指名競争入札でございます。
 公募型指名競争入札は、山陰自動車道仏経山トンネル西工事及び中国横断自動車道久見トンネル工事の二件でございまして、十四年二月一日に工事発注予告を行い、二月二十日に指名通知をし、三月十九日に入札を行ったわけでございます。その結果、仏経山トンネル西工事におきましては、飛島建設株式会社、小松建設工業株式会社の共同企業体が落札し、中国横断自動車道の久見トンネル工事につきましては、三菱建設株式会社、株式会社鴻治組の共同企業体が落札いたしました。
 指名競争入札につきましては、中国横断自動車道佐用ジャンクションDランプ第一橋PC上部工工事と中国横断自動車道総社高架橋南下部工工事の二件でございまして、平成十四年二月六日に指名通知をいたしまして、三月六日に入札を行いました。その結果、佐用ジャンクションDランプ工事につきましては株式会社大本組が落札し、総社高架橋南工事につきましては蜂谷工業株式会社が落札いたしました。
 以上でございます。
五十嵐委員 特に問題となりました仏経山トンネル西工事の落札価格は幾らになっておりますか。
小笠原参考人 仏経山西トンネルの落札率は九八・二%でございます。適正な競争入札の結果というふうに考えております。
 道路公団では、積算基準や予定価格、積算内訳の公表を行っておりまして、経験を踏まえた相応の積算能力があれば、だれでも入手できる物価資料等を参考にいたしますと、予定価格にほぼ近い金額を算出することができるわけでございます。
 この中国支社四件、仏経山トンネルについては落札率九八・二でございましたが、残りの三件につきましても九八・二、九八・四、九七・九ということで、仏経山トンネルが特に異常というふうには考えておりません。
五十嵐委員 今の仏経山トンネル、価格を問うたのに言われませんでしたけれども、予定価格が二十二億九千二百四十万円であったところ、落札価格は、飛島建設・小松建設工業JVですけれども、二十二億五千万円。私が事前に指摘をしていたとおり九八・二%でございますが、これを今当たり前だとおっしゃったけれども、よそも談合のおそれがあるんだろうと思いますが、普通の公共工事のあれからいうとかなり高率です。私は、上限に張りついていると言っていい価格だろうと思います。
 特に私どもが事前に指摘をしておいたのは、東亜建設工業と株式会社フクダのジョイントベンチャーだったわけであります。談合情報が民主党にありました。そして、これは両社とも青木幹雄参議院自民党幹事長の支持者といいますか、両方とも青木議員に献金をしている。これは青木さんの後援会ないし青木さんが主宰をする自民党支部、参議院島根県第一支部への献金が認められる企業でありました。そして、特に問題だったのは、株式会社フクダという会社は、県内十位。この二十二億というような大きな工事、この時期みんな欲しがったはずであります。なのに、県内十位前後の比較的上位とは言えないランクの業者が、しかもトンネル工事にほとんど実績がないという会社が一社だけ入札に応じてきたということは、事前にこれは話し合いが行われて談合があった、そして談合情報が寄せられたということで、非常に疑いが濃いということであったわけであります。
 ですから、事前に私どもは談合情報を公表いたしまして調べるようにというふうに要求をいたしたわけですが、これはお調べになりましたか。
小笠原参考人 当該工事は、入札、契約手続上は既に中止決定したものでございます。したがいまして、既定方針どおり、改めて入札の参加希望業者を公募した上で入札を行うこととしたことから、情報に対応する工事自体が存在していないということでございます。念のため、情報の取り扱いについて公正入札調査委員会で審議し、談合情報対応マニュアルに沿った手続を行わないという判断をしたわけでございます。
 なお、再発注の工事につきましては、新たな談合情報があった場合等については、談合情報マニュアルに従いましてこの情報が調査するに足るか否かを判断し、既に中止、入札、契約手続について民主党の調査団からあった情報提供も踏まえて、公正取引委員会への通報や入札参加者への事情聴取を必要に応じて行う等、厳正に対処するというふうに考えております。
    〔野田(佳)委員長代理退席、委員長着席〕
五十嵐委員 やり直しになってしまったから調べませんでしたというのが今のお答えでありますけれども、これは公表したから、騒ぎになったから、やはり切りかえられたと見る方が私は妥当だろうと思います。
 特に、かわりに落札をされました飛島建設というのは、実は青木幹雄議員と非常に深い関係のある建設会社であります。特に、現在の会長、元社長でありますけれども、石原昭一郎さんというのは業界では有名であります。みずから青木幹雄氏の秘書役をもって任じ、青木さんの意向を体して業界の中で行動するということで知れ渡っているというふうに聞いております。
 そういうことであれば、さきに談合情報があってやり直しになったケースの二社、そして今度落札をした飛島建設も、青木さんつながりということでは一緒じゃないですか。私は、こういう疑わしいものについてはやはり厳しく本来見るべきだと思いますが、全くこれについてはそういう観点からチェックをするということはしなかったんですね。
小笠原参考人 当該工事は、公募型の指名競争入札方式で発注しておりまして、指名に当たっては広く、応募した十社から提出された技術資料に基づきまして、技術審議会並びに競争参加資格の審査会等厳正に審査した結果、当該工事に指名されるための基準に十社すべてが合致していると判断して指名したわけでございます。
 青木先生と飛島建設株式会社との関係については私ども承知しておりませんが、飛島建設株式会社と小松建設工業株式会社の共同企業体が適正な入札の結果で落札したというふうに認識しております。
五十嵐委員 これは、この間の予算委員会でもかなり私、細かく追及をさせていただきましたけれども、そもそもがおかしい。普通のケースであれば、なぜ公団の工事中止についてあれほど青木議員が怒り狂わなければならないのかわからないと、自民党の議員の方々もみんな言っていたわけですよ。これは、やはり談合があって何らかの約束がもう既にされていたから、それがほごにされたということで怒り狂ったとしか思えないわけであります。
 そこで、その不自然な工事の中止と再開について、もう一度チェックをさせていただきたいと思うわけであります。
 藤井総裁にお尋ねをしなければならないわけでありますが、また、大石さんに特に聞かなければいけないんですが、私、実はメモを入手いたしました。かなり詳細なメモであります。これだけ詳細なメモということは、直接連絡を受けた、あるいはお話をした、電話をしたという人たちが直接これを書きとめるということをしなければほとんどわからないであろうという内容であります。
 昨年の十二月十九日午前のことであります。大石さんは、最初はそんなことはないと言っていましたけれども、谷口道路局企画課長が青木幹雄事務所で仏経山の件で怒られる、こう書いてあります。怒られたんでしょうね。
 そして、慌てて大石さんが飛んでいったんでしょうと私が質問をしたら、大石さんは、そんなことありませんと言ったんですよ。先に部下が怒られたから慌てて飛んでいったんでしょうと言ったら、そんなことありませんと言ったんですが、その後、前回の委員会でも大石さんは、いや、企画課長が行っておりましたということをすぐ認めたわけですが、午前中に谷口企画課長が青木事務所で怒られた後、午後飛んでいっていますね、大石道路局長は。そして、総裁と一緒に説明に行きたいと申し入れるけれども、返事がなかった。二十日に返事をする、こう言われているんですね。
 この十二月十九日の件はこのとおりですか、大石さん。
大石政府参考人 予算委員会でも御説明いたしましたように、谷口企画課長と高速国道課長が説明に行ったというのは承知いたしておりますが、その後、私が青木事務所に飛んでいったというようなことはございません。
五十嵐委員 では、このやりとりは電話であったわけですか。こういうことは全くなかったんですか。総裁と一緒に説明に行きたいというふうに青木さん御本人なり青木事務所にあなたは申し入れていませんか。
大石政府参考人 これも先に御説明申し上げたところでございますが、正確な日にちは記憶いたしておりませんけれども、十二月下旬に青木議員から、日本道路公団が入札手続中の十三件の工事の発注を延期したことについて、経緯等の問い合わせが私にもございました。道路公団総裁とは、当然のことながら常日ごろから連絡をとり合っておるところでございますが、こういう問い合わせを受けて、この事実につきましても公団総裁にお伝えしたところでございます。
五十嵐委員 はぐらかしていらっしゃいますけれども、これは午前と午後と、はっきりした話なんですよ。いつのことだかわからないけれども、説明するようにと言われた、青木さんから言ってきたというわけですけれども、十九日のことなんです。そして、部下がどなられたら、それはすぐアクションするでしょう、あなたの立場として。こんなところで否定をしてみたってしようがないわけです。
 そして、翌二十日です。二十日に、時間まで書いてありますよ。九時十五分、青木事務所から電話が公団にありました。そして、秘書と称するが青木さん本人の声だったというんですね。ですから、これは総裁に対する電話ですから、総裁の秘書役の方がとられて、すぐに総裁にかわったんだろうと思いますが、どちらか、総裁の秘書役の方か藤井総裁かどちらかが、ああこれは青木先生の声だというふうに認識したはずなんです。だから書いたんです。これはほかの人にはわからないですよ、青木さん本人の声だったと。
 そして、その要旨が書いてあります。公団に会う気はない。すなわち、大石さんが一緒に行ってくれと言っているから、それを伝え聞いているから青木さんは言っているわけです。公団に会う気はないというのが第一点。第二点、文書で理由を説明しろ。これは大石さんも認めているとおりであります。あるいは藤井総裁も前に認めているとおりであります。それがおくれるようであるなら、文書による理由説明がおくれるようであるなら議院調査権で正式に調べる。これはおどしであります。議院調査権で正式に調べるというのは何を指しているのか。承知しないぞという言葉のかわりに議院調査権で正式に調べるということを言っているわけですよ。そして四番目、この件では公団と戦う、こう宣戦布告をしているわけですから、明らかに時の権力者のお一人であります青木幹雄議員が怒り狂って宣戦布告をして威迫をしている、その証拠だと思います。
 九時十五分、この電話があったかどうか。余計なことを言わないで、藤井総裁、お答えいただきたい。
藤井参考人 青木先生からは私どもの事務所に電話がありまして、ちょうど私、出勤途中だったので、秘書と一緒でしたから、私に連絡がありまして、私どもの方からお電話をいたしました。そのときに、先生からその十三件についてそういういろいろな質問、いろいろなお話がございましたので、後日資料でお届けしますということでその電話は切りました。
五十嵐委員 そうすると、先日、藤井さんがお話しになりました出勤途中での車の中からの電話というのは、この十二月二十日の午前中の話ですか。もう一度確認だけしたいと思います。
藤井参考人 二十日かどうかはちょっと自分で手帳を見ないと確認できませんが、十二月の二十日だと思いますが、その朝の出勤途中の先生からのお電話、こういうことでございます。
五十嵐委員 そのときに、文書で理由を説明しろというのと、議院調査権で正式に調べるぞ、公団と戦うぞというお話はあったんですか。あったのかなかったのかだけお答えください。
藤井参考人 いろいろな内容のお話がございました。それで、電話は、実は、車の中ですから携帯電話でやりましたので、聞きにくいところもございましたけれども、十三件のことの理由をいろいろと私もしたんですけれども、そういう携帯電話での相対の電話ではよくわかりませんから、資料で届けるべく、そういう比較的厳し目のお話がございましたので、お届けしますということで切りました。
五十嵐委員 比較的厳し目のお話というお話でありました。先日は、詰問調であったのではないかという質問に、そうだったかもしれないような、そういうニュアンスのお話だったんですが、怒っていたんでしょう。怒っていたんですね、青木さんは。そして、詰問調、どうしてだということで厳しくお話しになったということでいいのかと思うんですが、もう一度、比較的厳し目なんというものではなくて、怒り狂って、烈火のごとく怒ってどなっていたんじゃないですか。
藤井参考人 そういう意味では、携帯電話で聞く雰囲気でございますから、厳しい雰囲気はございました。しかし、そこら辺はむしろ、後日、いろいろな新聞紙上等に出た記事が、それが正確かどうかわかりませんけれども、新聞紙上等で私どもが読んだことで、ああ、すごいんだということを、そういう理解を持ったわけでございます。
五十嵐委員 もう一回、しつこいようで恐縮なんですけれども、議院調査権という言葉というのは余り耳なれない言葉だから頭に残ると思うんですが、議院調査権で調べるというお話はあったんですか。
藤井参考人 そこまで詳しく、普通、国会調査権じゃないかと思うんですけれども、正式の名称は。ですから、議院調査権という表現をおとりになったかどうか、ちょっと定かでございませんが、国会調査権という言葉を使うのが普通だとは思います。ただ、要するに、要件が十三件も数多くありますから、それで、当然道路局と私どもは御相談してこれに対応するわけですけれども、早く、こういう意味でそういういろいろなことをおっしゃったんだろうと思います。
五十嵐委員 だめですよ、ごまかしていますよ。普通なら国会調査権というんだったら、国会調査権と言ったんですか。それとも、耳なれない議院調査権という言葉を使ったから頭に残っていてメモが残っているんですか。これはでっち上げではできない表現ですよね、耳なれない言葉だと言っているんですから。議院調査権という言葉を使ったんでしょう。耳なれない言葉だと言っているじゃないですか。だから残っているからメモに残っている。そうじゃないですか。もう一度。
藤井参考人 そういう携帯電話を通じてのいろいろなやりとりでございましたから、そういう意味で厳し目の御質問の中の内容ということで、正確に今申し上げる自信はございませんが、そういう雰囲気であったということでとどめさせていただきたいと思います。
五十嵐委員 何か怖いから言えないけれども、そういう雰囲気であったということでわかってちょうだいというお話でありますけれども、これは烈火のごとく怒っているんですよ。すぐ、青木さんは、これは青木さん本人の声だったと総裁はもう認めているわけです。十二月二十日の九時十五分が今の電話です。九時二十五分には大石局長のところへすぐ電話が行っているんです。
 ですから、かなり長い話を青木さんは藤井総裁とされて、その直後にそのまま、興奮したまま大石さんにすぐ電話しているんですよ。なぜおれのところなのかと言っている。文書にして理由を届けろ、このことは総裁にも伝えてあると。今伝えたばかりなんですね。もう極めて明快ですよ。なぜおれのところなのか、その理由を文書にして届けろ、このことは総裁にも伝えてあるというふうに青木事務所から、青木さんから大石さんに電話があったんじゃないですか、九時二十五分、十二月二十日。
大石政府参考人 先ほども申し上げました十二月下旬の青木議員からの問い合わせがそれに該当するものかどうかは、私記憶にございませんが、申し上げましたように、十三件の工事発注を延期したことについて、経緯等の問い合わせがあったのは事実でございます。
五十嵐委員 要するに、優しく経緯等じゃないんですね。ここでももう興奮が続いていて、なぜおれのところがという言葉を使っているんですよ。そして、そういう電話が両方にあったんですね。
 十時、その後ですね、公団から大石さんに電話があって、この問題はクールに淡々としましょうということで合意をした。大臣に説明しましょうというふうに言ったというんですね。
 それから、青木さんは、聞いていなかった、聞いていなかったということを盛んにあちこち言って、けしからぬということの理由だと言っているわけですが、実は、これも我々はこのメモによってここで初めて知ったんですが、発注延期については、実は十二月の上旬に、高速部長から青木幹雄さんの実弟である青木文雄さんに直接説明をして了解を得ているというじゃないですか。これは内部の人でなきゃわからぬですな。それはどうなんですか。青木文雄さんにこの発注延期問題について説明をしたことがあるのか、これが事実がどうなのか、確認してください。
小笠原参考人 十三件の延期、再発注の経緯の中で、中国支社長が青木議員の実弟に説明を行った経緯はございます。
 入札延期で、新聞報道もそうでしたが、私どもの本社並びに支社の方に、地元の市長あるいは町長から、すぐにでも工事の再開をしてほしいという強い陳情がございました。地元はちょうど当時、工事の凍結になるのではないか、そういうふうに曲解をした結果でございます。
 そういう中で、非常に地元の方々が心配されているということで、中国支社長が電話で青木先生の実弟の文雄さんに内容の御説明をしたというふうに聞いております。
五十嵐委員 それは、このメモにあるように高速部長からされたんですか、それとも中国支社長の佐々木さんからされたんですか。ちょっと確認したいんですが。
小笠原参考人 中国支社長でございます。
五十嵐委員 それは十二月十二日ですね、そうすると、中国支社長からの説明は。それは確認できませんか。(小笠原参考人「ちょっとそれは」と呼ぶ)私どもに入っている情報では、十二月十二日、中国支社長から青木文雄さんに説明があった。だから、知らなかったといって怒り狂っているのはうそなんですよ。知らなかったんじゃなくて、そのこと自体がけしからぬのです。ここでこれははっきりしているんですよ。
 そして、問題なのは、青木文雄さんというのは青木幹雄議員の秘書ですか。秘書じゃないんでしょう。秘書でも何でもない人に何で説明するんですか。これはおかしい話でしょう。いわゆるうちの有名な議員が言っているずぶずぶの関係に近いんじゃないんですか。なぜ、秘書でも何でもない一般民間人にこのようなことを御説明されるんですか。説明してください。
小笠原参考人 当然、中国支社長は、いろいろな工事の内容等につきまして地元の市町村とか県の方としょっちゅう連絡をとっているわけでございますが、その過程の中で青木先生の事務所にも行っている経緯がございます。それで、その後、事務所の中にたまたま青木先生の弟さんがいるということになれば、やはり事務所に、先生はなかなかお忙しいということで、説明といいますかお話をして帰っていくという経緯があったわけでございますので、今回、地元が非常に騒いで、すぐにでも工事を発注してほしいというような事態でございましたので、電話で、実は凍結ということではありませんよという御説明をしたというふうに聞いております。
五十嵐委員 青木さんの事務所に支社長が行ったら、佐々木さんが行ったら、たまたま文雄さんがいたから説明した、そんな話は通らないですよ。青木文雄さんという方は、故竹下元総理が亡くなられた後、この地域の建設談合を一手に仕切っているボスなんですよ。だから、ふだんからしょっちゅうこの佐々木支社長は行っているんです。たまたま行ったらいた、おられたから話をしたんじゃないんです。これは、おられることを確かめて行って話をしているんですよ。しょっちゅう行っているんだ。
 それで、この青木兄弟と佐々木支社長のずぶずぶの関係を知ったから、藤井総裁は叱責しているでしょう。やめろとまで言っているんじゃないんですか。佐々木支社長に、あなたは問責をしてやめなさいというようなことを言っているんじゃないですか。そこまで私どもはつかんでおります。どうですか、藤井さん。
藤井参考人 この十三件の問題は、工事の実施の問題でございましたので、公団全体の問題ではございますが、私から直接支社長に、というか、支社長が私の部屋に来たかどうか、怒るとすれば私の部屋に来なきゃ怒れませんし、電話でというのもあるんですが、いろいろなことでしょっちゅういろいろな支社長を怒ったりしているものですから、ちょっと、申しわけありません、少しそこら辺の記憶、はっきりまとめられません。
五十嵐委員 この佐々木という人は、実は、公団が青木議員から、半年でいいから中国支社長にしてやってくれと言われて支社長にしたんじゃないんですか。もともとがそうなんですよ。確認してください。
藤井参考人 佐々木君は、支社長になる前が中国支社の副支社長をしておりました。それで、その前は奥山君という、今総務の担当の理事がおりますが、この方は事務系の方でございます。それで、時に技術系が座ったり事務系が座ったりして、いろいろお互いに落ちのないような視点からの人事構成をするのがいい、こういうことが私どもの中にございましたので、そういう経緯の中から佐々木副支社長が支社長になったわけでございますが、後任、もともと支社長に予定している人の人事の、言ってみれば今後の、よくバランスというのがありますけれども、それから見て余り長いことするわけにはいきませんけれども、すぐするにはちょっと早過ぎる、こういうようなことから、副支社長が非常に現地に熟知して、かつ技術系でございますので、佐々木君がなったかと思います。
 何もこれは私が一人で決めるわけじゃなくて、私どもの人事当局が調整をいたしまして私のところに持ってきて私の承認を得る、こういう経緯の中で佐々木君は支社長となったわけでございます。
五十嵐委員 要するに、もともと青木さんと親しい方で青木さんに忠誠を誓った、そしていろいろな情報を伝えていた、こういう方なわけでありますね。ですから、話が行っているんですよ。ですから、知らなかったことが原因で怒り狂ったんではない。つまり、自分のところの工事を切ったことが怒りの原因である。それは、もう既に株式会社フクダと話ができていたから、株式会社フクダの長岡社長というのはかなり有力な青木さんの後援者であったという関係であります。
 そして、同じ十二月二十日、朝からずっと続いていて、時間が随分たちましたけれども、まだ午前中です。十一時半、菅原信二島根県土木部長、これは国交省から行った方が訪れまして、伝言を公団にしているんです。青木さんが、朝、朝食会があって、その席上でどういうことを言っていたかということを伝えに来たんです。今後、公団、道路局、国交省には一切頼まないから覚悟をしておけ、おれが倒れるかおまえらが倒れるかだと言っていたということを菅原さんが伝言してきた。
 これは、ゆゆしいことですよ。おれが倒れるかおまえらが倒れるか。青木さんは倒れる心配よりも倒す力の方があるでしょうから、おまえらを倒してやるんだという宣言ですよ、これは。これは、人事的に報復するぞというおどし以外の何物でもないですね。人事を動かす力があるんだから。佐々木さんを支社長にしちゃっているんだから。
 島根県土木部長が来訪して朝の青木さんの伝言を伝えている。今後、公団、道路局、国交省には一切頼まないから覚悟をしておけ、おれが倒れるかおまえらが倒れるかだと。これはおどしですよ、本当に。わいなあと言っているのと随分違って、怒ったときは大変怖いという人がわかると思うのですね。
 そして、その朝の朝食会ではこういうことを言っていたと菅原さんは言うのです。今後道路局にはやらせない、許さない旨のあいさつがあったということであります。この伝言は確かに伝えられたんでしょうね。藤井総裁、どうですか。
藤井参考人 菅原土木部長がお見えになったのは事実でございます。そのときにどう言ったかということでございますが、要するに朝食会の空気を、厳しい空気だったということを伝えたと思いますが、国土省にもこれから行くんだ、こう言っておりましたから、多分、私のところと国土省のどなたかにそういう空気を伝えに行ったんだろうと思います。
五十嵐委員 おれが倒れるかおまえらが倒れるかだということは言ったんですか。そういうふうに伝えられたんですか。そういう空気を伝えたというふうに言っていますけれども、もう少し具体的にお答えください。
藤井参考人 もう日にちもたっておりますから今呼び起こすことは難しゅうございますが、厳しい空気を二、三の言葉で言ったと記憶しております。
五十嵐委員 覚えているはずですね。何か恐れているか、もう既に手打ちをしてしまって仲よくなっちゃったから言えないのか、どちらかですね。
 四時四十分、十六時四十分、その日ですよ。まだ十二月二十日の話です。自民党の道路調査会長古賀誠氏から小笠原理事に電話がありました。電話の向こうでは大石さんもそばに同席していることがわかりました、こういうふうに書いてある。電話の向こうでは古賀誠さんだけじゃなくて大石局長も一緒にいたということは、声がしたからわかるのでしょう。
 そして古賀さんの言葉。十三本の工事を凍結するとはけしからぬ、おれは聞いていない、もし聞いていれば絶対にやめさせていた、おれは凍結はさせないと今まで言い続けてきた、公団はおれの顔を完全につぶしたことになる、資料を持って説明に来いと言ってがちゃんと切るということですね。
 だから、資料を持ってこいというのは、直接脅迫ととられないようなうまい言いかえなんですね。資料を持ってこいというのは謝りに来いということと同じなんですよ、これは。こういうことになれている方のいわば隠語ですね。
 こういう話があったんですか。おれの顔を完全につぶしたことになると。やくざじゃあるまいし、何で顔をつぶしたとかつぶさないとかいう話が政策の話で出てくるのかわかりませんが、こういう話があったんですね、小笠原さん。
小笠原参考人 十三件の先送りにつきましては、ちょうど当時の社会情勢の中から、それが凍結だというふうに受け取られて非常に問題化したところでございますが、事実はそうじゃなかったわけでございます。
 古賀先生は、当然ながら、自由民主党の道路調査会長でございますので、日ごろから高速道路のあり方について御指導をいただいているところでございます。十三件先送り問題につきまして、世間の方々が非常に誤解しているということで非常に心配されたことは事実でございますが、私どもといたしましては、できるだけ早く工事再開ができるよう、財投機関債、あるいは、当時は非常に外債も難しい時期、外債は結局できなかったわけでございますが、そういう資金需要の調達を図って早く工事の再開を図りたいというようなことを申したと記憶しております。
五十嵐委員 いや、同じことなんですよ。古賀さんも怒っていたんでしょう。そして、こういう強い調子であなたに対して叱責をしたというか、どなったという事実があったんでしょう。どうですか。
 それから、それとは別にちょっとお聞きしたいのですが、古賀さんの発言として、公団は首を洗って待っていなさいという言葉があったというのがある記事の中に紹介されていますが、この言葉は公団には伝わっておりましたか。承知していましたか。あるいは、このとき直接言われましたか。総裁と小笠原さんと両方、ちょっとお尋ねしたいと思います。
小笠原参考人 首を洗って待っていろというようなことは、私ども、全く聞いておりません。ただ、古賀先生、非常にジョークがお好きでございますので、いろいろ笑いながら非常に厳し目なことを時々言われることはございますが、私どもの高速道路については非常に御理解があるということで、今回の十三件の先送りについても非常に温かい気持ちでいろいろな御指導はいただいたことは事実でございます。
藤井参考人 新聞のコラム欄か何かだったと思いますけれども、何かそのような記事を読んだような気がいたします。
五十嵐委員 怖いですよね。実力者に、首を洗って待っていろと言われたんですものね。それは威迫を感じたんだと思いますよ。相当いろいろなことがあったと思いますね。
 あったものですから、時間も迫ってきましたから、これはまだまだ続くのですよ。今のはやっと二十日が終わったところですから、まだまだ続くのですが、こればかりもやっていられないのですが、いいですか、我々が考えてもこれは恫喝ですよ。特に、官僚の皆さんあるいは官僚に準ずる皆さんはこれは大変なことなんですよ、首にするぞという話は。悩んで自殺された方がいるわけでしょう。鈴木宗男さんに関連して報道された中でも、もうおれの将来はないと思って、エリートコースに乗っていたはずの農水省のお役人が、競馬監督課長が自殺されたというような報道もありました。お役人にとっては、自分のコースを閉ざされるというようなことは大変つらいことでありますから、これは大きな恫喝であります。
 そして、藤井さんも悩んだはずであります。個人的、あるいは総裁としてでもいいのですが、この青木さんからの圧力に関連して、検察関係者に相談したことがありますか、藤井さん。
藤井参考人 直接そのようなことはございません。
五十嵐委員 うそでしょう。検察の方が来てアドバイスしているんじゃないですか。そういう証拠が挙がっていますよ。検察の方が見えていますよね、公団に。どうですか。
藤井参考人 こちらからお伺いして何か相談するというようなことは全くありませんでしたけれども、何かのことでお見えになったことがあったかもしれません。
五十嵐委員 検察官が来るというのは大変なことですよ。覚えていないなんてことはあり得ないでしょう。検察官が、何にもなくて、こんにちは、ごきげんようと言って来るのですか。そんなことはないでしょう。あなたが相談したいことがあるというようなことを言うから、検察官が公団にお見えになったんでしょう。
 そして、そのときの準備、何かがあったときのためにメモをこのように用意したんですよ。こういうことがありました、こういうことがありました、こういう怖い目に遭いましたということの証拠が残るようにメモを残しているんですよ。だからこれだけまとまっているんじゃないですか。そうじゃないですか。
藤井参考人 私はそういう外に出すようなメモをつくったことはございません。
五十嵐委員 もちろん内部用ですよ。外に出すためにつくるはずがないんですよ。しかし、なぜか私の手元にはある。これは、こういうようなことがいつまでも続いちゃいけないと、心ある人が中にいるということの証拠だと思うんですね。だから、私はそうした良識派の人の側に立って、あなたはきちんと、今までのこのようなあり方、実はいっぱい来ているんですよ。内部から、今のあり方はおかしいと露骨に言われているんですよ。いいですか、私なんかも人がいい方だから、世の中の裏の裏の仕組みなんというのはよくわからないんですが、私のところに持ってこられた告発的な文書の中には、いわゆる道路利権というのは、政治家が、発注額の多い公団ファミリー企業トップに自分の息のかかった公団OBを据え、その下請に癒着したゼネコン業者を押し込んで、工事情報を公団から入手してゼネコン業者に教えるとともに、談合を仕切り、意図した業者に受注させてもうけを得る、こういうことは、今までの多くのゼネコン汚職や談合や今まで明るみに出た疑惑がこれを証明しているではありませんかという、こういうことをやっているんだ、こういう連鎖をもう断ち切りたいというまじめな公団職員からの悲痛な声が来ているんですよ。そういう側に立たなければ、これをやっていてもいつまでも同じことですよ。
 これが、なぜ公団を改革しなきゃいけないか。ひとり公団だけの問題じゃなくて、これは政と財と官、政財官、政官業、この三者の根深い日本の構造、ここに問題があるから、これを断ち切るような方向での改革をしなければ意味がない。単に公団を赤字にさせないとか赤字をつくらないとか、そういう問題ではないんだ。これが日本全体の経済をゆがめ、日本全体の国力を落としているという問題につながるんだということなのであります。
 その中で、悪いのはやはり魂を売る官僚なんですよ、大石さんと目が合っちゃったけれども。だめですよ、癒着しちゃ。
 あなたは、後でじっくり御質問いたしますけれども、あのときにも言いましたけれども、いろいろな官僚的なテクニックを使ってごまかそうとされる。今私が申し上げているのは、いわゆる諸井委員会の報告の改ざん問題を主に念頭に置いて言っているわけですけれども、官僚のテクニック、皆さんは頭がいいから。
 私も自社さ政権の大蔵省改革プロジェクトチームというのを六人でやったんですよ、相手は柳澤さんだったですね。六人で財金分離というのを決めたんです。あのときに、六人で頭を突き合わせて文章の一言一句読み上げてまで確認したんですよ。その後、当時の大蔵省の方が、修文しますからちょっと貸してくださいと言って修文して持ってきたら、全く違う文章になっているんだ。意味が全く変わっちゃうんですよ。それぐらいお役人というのは一言一句大事にするんです。そして、修文という形でごまかして自分たちの思う方向に誘導しようとする、これがお役人の常套手段、頭のいいお役人のですね。
 それを駆使されて、あなたは、あの諸井委員会の座長メモ、座長案を飛ばして、そして上下分離せずという言葉をわざわざ抜いたんです。確かに後には一体という言葉はありますよ。だからいいじゃないかと扇さんを丸め込んだけれども、私は丸め込まれません、そういうやり方を知っているから。
 わざわざもとの文章に上下分離せずと書いてあるわけですよ。それには重大な意味があるんです。だから上下分離をしちゃいけないんです。ところが、上下分離せずというのは、本格的な答申文から一切削除されている。ごまかした形で、一体という言葉があるからこれは上下も含んでいますよというふうなことをいいかげんに言っているわけですけれども、実際にはそうではありません。
 このことを後でも追及しますが、時間がちょっとだけありますから、どうですか、そういうごまかしをしたんではないか。正直に認められた方がいいですよ。
大石政府参考人 諸井委員会の中間報告を私どもが改ざんしたのではないかという御指摘ですが、そのような事実はございません。
 昨年の十一月二十二日に開催されましたいわゆる諸井委員会、高速自動車国道の整備のあり方検討委員会の第四回懇談会におきまして、中間取りまとめの骨格につきまして議論を行っていただきました。この懇談会に先立ちまして、諸井座長が、「民営化の利点を最大限に発揮させるため上下分離、地域分割せず一体のまま株式会社化する。」というメモを答申案の骨格として作成されました。このメモをもとに、当日、委員の皆様方の議論を踏まえまして、諸井座長の責任におきまして、「高速自動車国道の整備のあり方について」という資料を道路局と作成し、公表したところでございます。
 今御指摘の上下分離せずといった文言は、最終的にまとめました「整備のあり方について」という資料には含まれておりません。しかしながら、諸井委員長の趣旨は、日本道路公団は一体のまま民営化して株式会社化するとの表現、一体化にすべてあらわされていると考えております。
 上下分離という言葉は、上と下をどう定義するか、いろいろな考え方がございます。いろいろな幅のある御議論でございますので、この修文について、諸井座長の責任のもとで、道路局が事務局として作業を行ったものでございます。
五十嵐委員 うそです。諸井さんはほかのインタビューで、「東洋経済」のインタビューで、求められて仕方なく変わっちゃったんだということをはっきり言っているじゃないですか。みずから好んでこれでいいと言ったんじゃないですよ。あなたが強要して、これでとにかくのんでくださいと言ってのませたんじゃないですか。諸井さんははっきり告白していますよ。午後の部で、それも改めて指摘します。うそを言っちゃいけませんよ。
 それから、藤井総裁、午前の部の一番最後に、さっき、来たかもしれないみたいないいかげんなことを言いましたけれども、検察官は来たんでしょう。はっきり言ってください。
藤井参考人 今、技師長とちょっと話していまして、三月にコンプライアンス本部をうちが設立いたしました。そのコンプライアンス本部のことについて、昨年からいろいろと専門家、特に法務省関係の方にも御意見等々、お話を聞いていたことがございます。お見えになったとすれば、多分、直接私のところに来たというよりも、そういうことのための情報交換としてお見えになったというのが正確なところだと思います。
五十嵐委員 うそを言っています。そんな三月の話ではありません。この問題で責め立てられた最中に相談をし、検察官とお話をされているはずです。
 午後に譲ります。
大畠委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
大畠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま審査中の道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に対し、国土交通委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、委員長間で協議の上、公報をもってお知らせしますので、御了承願います。
    ―――――――――――――
大畠委員長 質疑を続行いたします。五十嵐文彦君。
五十嵐委員 午前中に続きまして質問をさせていただきます。
 この間に、青木さんから何か御連絡ありましたか。
藤井参考人 いや、食事をして帰ってきただけでございます。
五十嵐委員 いや、先ほど電話が入っていたようですから。失礼いたしました。
 スピード感を持ってお話をしていただきたいんですが、それがないものですから、メモに基づいてお話をした、十二月二十日の分までしか進んでおりませんが、私は優しいものですから、せっかくおいでいただきました安倍副長官に対して先に、質問をちょっと変えてお伺いをいたしたいと思います。
 この道路公団の問題については、バックに藤井総裁のポストの問題が実はあるんです。飯島首相政務秘書官、今有名な方ですけれども、私もよく昔から存じ上げていますが、実は、この間、随所で、三月いっぱい、この三月ですね、終わりました三月、三月いっぱいで藤井道路公団総裁の首を切って、後任は小野邦久さんにした方がいいとあちこちで述べているんですよ。小野邦久氏は私も存じ上げていますが、前国土交通省事務次官でいらっしゃいまして、かつては故竹下登元首相の秘蔵っ子と呼ばれていました。その後も、青木幹雄議員にべったりの方であります。
 そして、この飯島秘書官が何でそんなことを言うんだろうかと私も不思議なんですが、飯島さんに御次男がおられまして、この御次男の方、名前までわかっておりますが、この方は現在厚生省所管の業界の会社に勤務をしておられるんですが、その前は道路公団のファミリー企業に平成十年の三月まで勤務をされていたはずであります。この御次男の入社したときの公団総務部長が小野さんではなかったのかなということなんですが、確認できましたでしょうか。
    〔委員長退席、細野委員長代理着席〕
藤井参考人 小野邦久氏は、昭和六十二年七月一日から平成元年八月二十九日までの間、道路公団の総務部長の職にございました。
五十嵐委員 そうすると、この飯島秘書官の御次男の方と勤務は公団で重なっていますか。
藤井参考人 今先生がおっしゃった飯島政務秘書官のお子様が道路公団に……(五十嵐委員「道路公団のファミリー企業」と呼ぶ)道路公団には絶対おりません。それから、関連会社の社員としておられたかどうかというのは、その当時の人もほとんどおりませんし、それから、我々としてちょっと、個々の、これが社長とか何かならまだいいんですけれども、把握できる立場にないものですから、公団としては承知しておりません。
五十嵐委員 それでは、安倍副長官、わかりますか。
安倍内閣官房副長官 飯島総理秘書官にその点を確認したところ、御次男は自動車メーカーのカーデザイナーを務めていたということでございまして、いわゆる道路公団ファミリー企業ではないということであると私は承知をしております。
五十嵐委員 車の関係でいうと何らかの関係があるのか、ちょっとその辺の資本関係等がわかりませんけれども、私のところに入った情報では、実は小野さんの口ききでその企業に入社したのではないかという推測があるということなんですね。なぜかこの三月には飯島氏はその公団ファミリーの関係者に電話して、息子のことは外に言わないでくれ、こう口どめしているというんですよ。そういう情報が入っております。
 そういう経緯があるのであればなおさらなんですが、そもそも道路公団総裁人事に総理大臣の秘書官が口出しをするというのは常識に反すると思いますが、どのようにお考えですか。
安倍内閣官房副長官 今飯島総理秘書官は総理と同行して中国に行っておりますが、総理秘書官に電話で確認をしたわけでございますが、小野氏が総務部長のときから建設事務次官になっている在職中も含めて、電話で接触をしたことはないということでございます。そしてさらに、飯島秘書官が人事について小野さんがいいということを言ったということもないということでございます。
五十嵐委員 いや、全く火の気のないところに煙が立つということはないと思うんですね。これは、随所でということは、何人かそういう話を聞いたことがあるということなのであります。
 この三月いっぱいで藤井総裁を更迭するという動きはあったのではないかと推測されるものが幾つか出てきます。
 一つは、高橋大輔さんという元理事はいつからいつまで公団に在職しておられたか。その後は高速道路技術センターというところに行かれていると思うんですが、その略歴といいますか経緯を教えてください。
藤井参考人 今御指摘の高橋大輔、私どもの理事でかつ技師長をしていた者でございますが、平成十二年の六月に技師長になりまして、十三年の七月末に退任をいたしました。そして、JHの顧問を八月から八、九とやりまして、九月末に道路公団の顧問も退任をいたしております。その後、十月からは、財団高速道路技術センターの顧問をしておりましたが、この三月三十一日に退職をいたしまして、その後、本人からは、成和コンサルタントだと思いますが、へと行くことになったというふうに聞いております。
五十嵐委員 その成和コンサルタントというのは、大成建設グループでありますか。
藤井参考人 確認はしておりませんが、そのようなことだと思います。
 というのは、昔、大成建設が成和土木と言っていた時代がありますから、そういう意味合いで成和コンサルタントは大成系だと思います。
五十嵐委員 大成建設は、当然のことですが、関連の会社を幾つか持っていますが、大成グループは公団の受注企業でありますよね。
藤井参考人 そのとおりでございます。
五十嵐委員 要するに、一つの問題は、公団幹部から、大幹部からわずか半年足らずといった段階で大成建設に天下りをしている。しかも、公団の受注企業であるということで、こういう構図が談合や癒着といったものの温床になると私は考えます。これはやはり、途中で別の高速道路技術センターというものを挟んでいるからいいのだということに今の内規上なるのかもしれませんが、非常に不健全だと思います。
 また、この大成建設グループには、ほかにも公団幹部から天下りをされている方が役員でおられると思いますが、お調べになっておられますでしょうか。
藤井参考人 私どもの急いで調べたものとしては、北村照喜さんという方が昭和六十三年まで道路公団の理事をしておられまして、その後、大成建設にお入りになって役員として在職して、現在は顧問の職におつきになっているということは承知しております。
五十嵐委員 そうですね。私どもの調べでも北村さんは大成で専務になられているんですね。だから、受注企業である大成が、そのグループ会社も含めて公団幹部の天下り指定席を設けているんじゃないか、こう思われますが、ほかにも、このような複数、歴代ですね、時間はずれてもいいのですが、ゼネコンに天下っているというような例はありますか。そのようなゼネコンはありますか。
藤井参考人 まず先に、高橋大輔君は大成建設に入ったとは聞いておりません。その成和コンサルタントというのは、多分私のところの仕事をしているかどうか、小さな会社だと思いますので、ちょっとこれは今、確認ができません。
 それで、平成十四年の三月の東洋経済新報社の会社四季報によりまして、一部上場企業のうち、建設工事を主体とするゼネコン四十七社のうち、私どもJHの出身者と思われるのは二十二名でございます。
五十嵐委員 力があればいいということはあるんですけれども、やはり大手ゼネコンがファミリー企業化しているということなんですね。先ほど、将来を憂えている公団のまじめな改革派の方からそういう指摘があったということを申し上げましたけれども、本当に今二十二人も大手ゼネコンに天下りをしているということですが、先ほど言いましたように、公団OBをファミリー企業のトップに据える、そして情報を教えてもらってゼネコン業者にその情報を伝えて談合させ、受注させ、そこで利益を、バックを政治家が得るという構造が日本を悪くしているんです。こういうことは実際に起こっているんだなと、JHからゼネコンに天下りしている人が二十二人もいるということで裏書きをされてくるわけであります。
 石原大臣にお尋ねしますけれども、いわゆるファミリー企業というのは、時間がありませんから私の方から申し上げますけれども、公団の子会社、関連会社ですが、八十二社、そのうち六十八社は道路公団からの受注額が売り上げの五〇%を超えている。要するに、道路公団に頼って生きているファミリー企業が大部分である。そして、八十二社中六十社の社長は公団のOBである。役員は全役員の五四・五%、三百七十八人が公団のOBである。そしてその平均報酬は、社長が千七百万円、役員が千二百五十万円。公団で高い給与を得て、理事は千八百五十万円ですが、さらにそのファミリー企業のトップになり、そしてゼネコンにさらにそれから天下っていくという構図が見えてくるわけです。
 こういう連鎖を断ち切らないと、なかなかこの問題を解決していくというのは難しいのじゃないか。談合のほとんどは官製談合ですよ。どこかで談合だの汚職だのというのが起きてくるわけでありまして、この実態を変えるということが一つのキーポイントではないかと思いますが、石原大臣、どう思いますか。
石原国務大臣 ただいま五十嵐委員が御指摘されました点は、道路公団の改革を進めるに当たって、業務、財務の透明性や適正な競争原理を確保することとあわせて重要な課題の一つだと、私も議論を聞かせていただきまして考えているところでございます。
 それだからと言ってはなんでございますけれども、現在御検討いただいている本法案の審議終了後に確立されます道路公団の検討のための委員会においては、例えば関連会社が受注している維持管理コストとか、今はその仕事がある、実際その建設があるんじゃないかという御指摘でございますけれども、そのようなもののコスト削減をやはり図っていかなければなりませんから、そういう関連会社との関係についても採算性の確保に関する事項の中に含んで、いい提言をいただければと考えているところでございます。
    〔細野委員長代理退席、委員長着席〕
五十嵐委員 要するに、公団は半分親方日の丸なわけですね。子会社は営利企業ですから幾らでももうけてもいいということで、子会社にもうけさせて、自分のところは、本来ならば、子会社ですから、下請ですから、普通の企業だったら下請をコストダウンのために使って自分のところの利益を上げるようにするんですが、そういうインセンティブが働かないものですから、公団はなかなかもうからない体質になっていて、子会社だけ太る、子会社は監督がきかない、その監督がきかないもうかる子会社から政治家が利権を得る、こういう構図になっているわけで、だから、民営化するということは、経営責任を公団が負って、自分のところが普通の会社のように利益を得なければいけないという構図にするということが大事だということなんですね。民営化の意味というのはそこにあるんだと思うんですよ。
 今のこの構図を変えるために民営化が必要だということ。そのためにも、責任を持つためには一体でなければいけない。要するに、分離方式ですと、国から借りたり、あるいは国に責任がかかってくるので、国におんぶをする、責任をなすりつけるということがどうしても出てきて、建設と管理の分離をすると、今と同じような状態になってしまって、なかなか民間企業としてのインセンティブが働かないというところが問題なんであります。
 そこで、こういう構図を変えるために、鳩山我が党の代表が提案をし、公共事業の受注企業から献金は禁止すべきだと。これは、選挙期間中は禁止されているんですが、ふだんでも公共事業の受注企業からは献金を禁止すべきだということで野党で一致をしまして提案をしているわけですが、今の時点でどう思われますか。安倍副長官から伺いたいと思います。
安倍内閣官房副長官 いわゆる企業・団体の献金につきましては、最高裁の判断としては、憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つということでございますが、政治家の個人の資金管理団体につきましては、企業・団体献金が平成十二年の一月から禁止をされているところでございます。
 他方、今委員が御指摘になった公共事業受注企業でございますが、補助金をもらっている企業については禁止をされているわけでございますが、公共事業の受注企業につきましては、国の請負契約等の当事者ということになるわけでございますが、国から補助金を受けている法人とは異なりまして、国と私法上の契約関係にあるにすぎないということから、公選法においても、寄附は当該選挙に関する寄附に限って禁止をされているということでございます。
 しかし、現在いろいろと政官業の関係について指摘があるところでございまして、小泉総理も、何かやるべきことがあるかどうかという検討を今党に指示をしているということでございます。
五十嵐委員 ただの問題ではなくて、要するに、談合とかそういう問題と結びつけば、これは日本の公共事業の高コスト、むだ、汚職というものにつながっていくわけですから、公共事業受注企業からの献金というのは、たとえそれが政党支部であろうとも、あるいは政党の本体であろうとも禁止をすべきだと思いますので、前向きな検討をお願いしたいと思います。
 それでは、安倍副長官、結構でございます。
 そこで、今途中になりましたけれども、横へ入りましたが、高橋大輔さんの話です。
 高橋大輔さんの話をなぜ私が持ち出したかというと、三月に成和コンサルタント入りする予定だったようです。ところが、本人が、藤井総裁が三月でやめれば自分が副総裁でもう一度道路公団に戻るから、成和コンサルタント入りを一カ月ぐらい見送らせてくれないかというふうに周辺に述べている。これは、どうしてそういう動きになったのかというと、自民党の有力幹部の情報でこのような動きになった、こうされているんですが、いかがですか。
藤井参考人 私どもは、そのようなことに何らタッチできる立場ではございません。
五十嵐委員 要するに、うわさでも、藤井総裁を三月に交代させようという動きがあったということはお認めになるのかならないのか。
藤井参考人 本人のことに関しては、本人には入らないものでございます。
五十嵐委員 名答弁でございますが、しかし、これだけ言われれば、はっきり、対決してやるとか首を洗っておけとかいう話まであったわけですから、そういう動きがあったということはもうおわかりだったと思うんですね。
 なぜ藤井さんは道路族大幹部の、トップの古賀誠さんとか青木幹雄さんとかに嫌われているんですか。御自分はどういうふうにお考えですか。
藤井参考人 私は、そのように、嫌われているという認識は持っておりません。
 ただ、私は今総裁でございますから、立場上、昔はいろいろともっと気安くどんどん話をしておりますけれども、今は私はほとんど部屋にこもりきりというか、動かないで、不動の立場におりますので、誤解をされることがあるかとは思いますけれども、決してそんなことではございません。
五十嵐委員 自民党の他の有力幹部と親しいからということはございませんか。
藤井参考人 私が記憶にある限りにおいて、立場上、こちら側からいろいろな先生方のところにお伺いするというのは、特に行革問題で誤解をされるといけませんので、極めて強く慎んでおりますので、どなたともお会いしていないというのが実情でございます。
五十嵐委員 要するに、派閥争いがこの裏にあって、先ほど申しましたように、青木さんは、聞いていないことをやられたから怒ったのではなくて、これをチャンスに藤井さんの首をすげかえよう、こういう動きに出たんではないかと推測をされるわけです。
 先ほどの話に戻ります。
 二十日までやりましたけれども、十二月の二十一日です。午後一時、大石局長から藤井総裁に、三時までに青木先生のところへ資料を持っていってほしいというお話がありました。
 二時二十分、大石さんが青木さんのところに資料を持っていくけれども、総裁は局長の指示でおともするということでどうだろうか、資料は大石局長に渡して、取り扱いは任せるということでどうだろうかというような打ち合わせが公団と道路局との間であった。
 つまり、これはどういうことかというと、だれの責任でその資料を青木さんのところへ持っていくか、要するに、この問題の責任が大石局長にあるのか藤井総裁にあるのかというのをはっきりしろということなんですね。それで、あくまでも公団に持たせろ、公団の総裁なり理事に持たせろというのが青木さん側の要求なんです。それを体して、大石さんは、持っていってくれ持っていってくれと言うのですが、ここは正論で、藤井さんは、これは実は契約途中の話の問題だからそんなことはできない、道路局長から出すなら仕方ないけれども、いわゆる契約当事者であるこちら側からそうした資料を出すわけにはいかないというお話をしているんです。
 二十一日の十五時三十分、三時三十分、大石さんからの電話で、青木議員の秘書の波多野さんと調整した。公団理事が総裁の名刺を持って届けに行くという案ではどうか、その後、公団からと言ってほしい、資料を届けておいてから、これは公団からですよというふうに言ってほしいという提案をするんですが、藤井総裁は拒否をしています。
 ここで、問題なんです。よく聞いてください。藤井総裁のそのときの電話の言葉、そういうことなら資料は出さない、道路局長から出すならそれは仕方がない、司直から発注者として気をつけるように注意を受けた、資料は公開文書だから出すのはいいが、総裁が届けるのはおかしい。検察と相談しているじゃないですか。そして、大石さんが納得しないので、藤井総裁は、襟を正した方がいいよと忠告しているんですね。
 どうですか。ここではあなたは正義の人なんですよ。ここではね。答弁してください。今のことが事実かどうか。覚えているはずです。
藤井参考人 先ほども申し上げましたけれども、コンプライアンス本部を三月に立ち上げましたけれども、この作業は、実は昨年の夏からずっと勉強し、いろいろな人の御意見を聞いてやってまいりました。
 コンプライアンスというのは、先生方御承知のとおり、法令遵守でございます。したがって、その視点からどういうものをどういうふうに対応しなきゃいけないかということで、一月でもそういう関係者の方から御意見を聞いたりしたこともございますので、そういう視点からそういうふうなことを述べたのかなと。
 だけれども、ちょっと、そういう細かいことまで余り覚えておりませんけれども、姿勢はそういう姿勢、コンプライアンスの姿勢で臨んでいた、こういうことでございます。
五十嵐委員 覚えているじゃないですか。検察からそういう話があったのは、別の話かもしれないけれども、そういう話があったのでそういう話をしたよということを認めているじゃないですか。
 大石さんはどうですか。襟を正せと言われたんじゃないですか。
大石政府参考人 この問題は道路公団の発注にかかわる問題でございまして、道路公団の責任において処理すべきものという認識を持っておりましたので、公団総裁とのやりとり、いろいろあったかもわかりませんが、具体的にそのようなことを言われたという記憶は現在ございません。
五十嵐委員 あなたは本当にとぼけるのがお上手だから。
 この後、藤井総裁は高速道路課長にも電話しているんですよ。局長と話をした、司直のことも言った、道路局は発注者ではないからいいが、公団は発注者なのだからできない、高速道路課長が局長の指示ということで持っていってほしい、ロビーまでは公団理事が資料を持ってお供してもいいが、会うことも渡すこともできないというふうに言っているんですね。
 これはかなり厳しく司直と打ち合わせした上で、ここまで司直と細かく打ち合わせした上で、後で司直からあなたの方が逆に瑕疵があるじゃないかと言われないようにしておいてやっているということは、相談を細かくしたということなんですよ。これは、実力者の青木さんが怒りまくったことで、本当に萎縮して、最善の注意を払ってこういうことをしたということなんだろうと思いますよ。この高速道路課長に電話をした件は、藤井さん、覚えていますか。
藤井参考人 今そういうことは覚えておりません。しかし、さっき申し上げましたように、コンプライアンスの精神でもっていろいろなことを指示しておりますから、要するに、この資料をまとめて、電話でお約束したように十三本についての資料を持っていっていただくために、道路局と道路公団で、今道路局長も言いましたけれども、いろいろな視点からの議論は事務的になされました。その結果、結果的に道路局と道路公団が一緒に最終的には行った、こういう形になっております。
五十嵐委員 うそを言っちゃいけませんよ。こんな当たり前のことで司直のことも話したとか司直と相談したとか言う必要はないんだから。具体的なことで相談をしているからこういう話になったんでしょう。
 十二月二十五日、青木議員から道路局長を通じ高速道路課長に、発注を先送りした工事にかかわる経緯を詳しく文書で出せという指示がありました。その際に、個人名を全部書けという指示がありました。公団自体には青木事務所からは何の連絡もありませんでした。個人名を全部書けという指示があった。そうじゃないんですか、大石さん。
大石政府参考人 発注を延期するという判断、その経緯を問われているわけでございますから、その経緯、だれがどのような形でその議論に参画し、決定したのかということは、当然経緯の中には含まれると私は理解いたしておりましたので、そのようなことを申し上げたかもわかりません。ただ、すべての文章に責任者といいますか、判断者を書けというような指示をしたというような記憶はございません。
五十嵐委員 要するに、どうしてもこの問題の責任を公団に確定したいという気持ちで青木さんと大石さんは一致をしたということなんです。
 その日の夜、青木さんと野中広務さんと松谷蒼一郎さんが会食した際に、青木さんが、この工事延期問題について発言をし、公団はけしからぬ、責任を追及すると言い、松谷さんが、公団も反省し、いろいろ考えているようですととりなしているんですね。しかし、青木さんは、何をやっても許せない、いまだに怒りまくっていて、ほかの出席者は黙ってしまった。会談後、松谷さんから小笠原理事に電話があって、松谷さんは、二十六日の夜も青木さんに会うからとりなしておくよというふうに慰めてくれているんですが、そういうことはありましたか、小笠原さん。
小笠原参考人 松谷先生とはいろいろ、昔からよく知っておる先生でございましたので、すぐ青木先生の近くだということもあって、この件について松谷さんも心配されておりましたので、相談したことは事実でございます。
五十嵐委員 その日から翌日にかけて、大石さんは、まだ青木さんが怒り狂っているということを知って、各国会議員の間を回って、道路局は全く知らない、公団の責任だ、けしからぬと言って回ったということなんですが、そういう事実はありますか。
大石政府参考人 先ほども申しましたように、この問題は公団の発注にかかわる問題であり、公団の責任において処理されるべきものという認識を持っておりましたから、そういうことをある方に申し上げたかもわかりません。しかし、そのことを多くの方々に言って回ったといったようなことはございません。
五十嵐委員 多くというのはどれぐらいかわからないんですが、関係国会議員の間にはそういうふうに言って歩いた。要するに、責任のなすりつけ合いをしたということなんですね。
 二十六日の朝には、道路局に対して公団から、今我々はポストで仕事をしているので個人名なんか書けないんだという当たり前のお断りの電話を入れております。すると、大石局長からは、総裁の関与を明確にしないとまずいという指示があったというんですよ。ここはもうはっきりしていますね。総裁の関与を明確にしないとまずい、総裁の関与を明確にしろということを青木さんから言われていたんですね。すなわち、これが先ほど言いました、この事件をきっかけに藤井総裁の首とりにきた、それがここにあらわれているんですよ。そうじゃないですか。
大石政府参考人 この判断に至りますまでの間にだれがどのように決定に参画したかというのは、当然経緯の中に含まれるという認識でございます。しかしながら、総裁個人の責任を明らかにしなければならないとか、総裁の責任を明らかにするようだれかから指示を受けたといったようなことは全くございません。
五十嵐委員 いや、そうでなければこんな話は出てこないんですよ。あなたは明らかにとぼけておられる。
 そして、二十六日の朝の十一時、高速道路課長から、道路局は行けない。これは大石さんの指示を受けているからですね。道路局は行けない、公団として青木先生のところに届けてほしい。そして、公団側からは、道路局からの指示なので公団として持っていくことはできない、どうしてもと言うなら道路局の指示で持ってきたと発言するという押しつけ合いの回答をしているんですね。これは、もう構図が一貫しているんですよ。
 あなたがどんなに否定したって、あなたは青木議員の代理人のような立場になって、とにかく、公団の名前、藤井総裁の名前をこの問題の責任者として出させたい。ところが、公団の方は、実は、総裁から具体的な指示はどこにもなくて、十三本の名前もどこが対象だったかというのも、クレームが国会議員の方から来てから初めて知ったというのが実情でしょう、藤井さん。どうぞ。
藤井参考人 私は、公団の総責任者でございますから、部下のいろいろなことについてはこの場で申し上げません。私がすべての責任でございます。
五十嵐委員 でも、知らなかったんでしょうと私が今質問したとき、うなずいているんですよね。うなずいているんです。知らなかったんですよ。知らないのに、責任を押しつけられて首をとられそうになったから怒ったんですよ。怒ったから検察に相談したんです。
 二十一日に司直の話をしているでしょう。そして、二十六日にも検事が来ているんですよ。来ているじゃないですか。うそを言っちゃだめですよ。何度も相談をしているから、たびたび検事が来ているんですよ。十二月の二十六日、検事が公団を訪れていますね。
藤井参考人 先ほども申し上げましたが、検事として認識してお会いした方はおりません。
五十嵐委員 うそです。国会を侮辱するのか。
 このとき検事は、小笠原理事そして内田理事、一般有料道路関係、この二人から事情を聞いているじゃないですか。小笠原さん、うそを言わないで。国会でうそを言うと大変なことになりますよ。答えてください。
小笠原参考人 私は、今言われるように、検事とは会っておりません。いろいろと聞きに来た人はおりますが、検事とは会っておりません。
五十嵐委員 いろいろと聞きに来た人というのはだれですか。どういう関係で、何の関係で聞きに来たんですか。東京地検のどなたかの、役職を持った方ですか。全部答えてください。
小笠原参考人 東京地検とかそういう方ではございません。
 当時、いろいろと週刊誌等で騒がれておりましたので……(五十嵐委員「うそ」と呼ぶ)いや、本当です。具体的に言いますと、週刊ポストあたりでいろいろと出ておりましたので、そういうことを聞きたいという人がございました。検事としてどうこういうことは全くございません。
五十嵐委員 十二月二十六日ですよ。週刊ポスト、出ていましたか。出てないでしょう。その後の話でしょう。十二月二十六日ですよ。
小笠原参考人 二十六日、ポスト、出ていると思います。
五十嵐委員 この件で来ているんですよ。うそを言っちゃいけないんですよ。
 青木幹雄氏の件は契約行為にかかわるもので、厳正かつ客観的に対応するようにと注意を受けているんです。そうでしょう。
小笠原参考人 だれから注意というか、私は、特に外部の人及び総裁からそのような指示は受けておりません。
五十嵐委員 では、そのときに一体どなたに会ったんですか、今、よくわからないんだけれども。そのときに、あなたは記憶しているようですから、あなたの言葉によれば検事ではないことだけははっきりわかっているようですが、どなたに一体会ったんですか。言ってくださいよ。
小笠原参考人 当時、週刊ポスト、ずっと連載しておりまして、いろいろな方が会いに来られまして、その事実関係について、マスコミを含みまして随分来たというふうに思っています。
 二十六日どうこういうのは、ちょっと私、記憶が、特にどこでどうこうというのはございません。
    〔委員長退席、野田(佳)委員長代理着席〕
五十嵐委員 二十六日だけ、記憶が特にどうこうになっちゃったのですね。これはおかしな話なんですよ。
 総裁に伺いますけれども、道路公団の民営化問題は国全体にとって極めて重大な問題であります。これは総裁も小笠原さんもしらばっくれておられますけれども、こういうことを記録したメモの原本がどこかにあるはずなんですよ。これを調査していただきたいのですが、どうですか、メモはおありになるんでしょう。
藤井参考人 職員のいろいろなそういうメモにまで私、関与するつもりはございません。また、私どもは、外に出すような、そういうメモはつくっておりません。
 ただ、それぞれの段階で、可能な限り適切な判断をして、現在に来ております。
五十嵐委員 ちょっとその言葉の続きがわからなかったのですが、外に出すようなメモをつくってないけれども、事実関係を何かまとめたようなものはおつくりになったんですか。何かあるんですか、内部的には。今ちょっと言葉を濁されたのでよくわからない。もう一回。
藤井参考人 このことに関して、そういうメモをつくったという記憶はございません。
 ただ、要するに日程表のような感じで、次の週と今週のこういう表がございますから、そういうのに、何かこうちょっちょっと、例えばどこから呼ばれたとかどうだというのを入れるようなことは、時間調整上、先生方もそういうのをおやりになると思いますが、私どももそういうのは持っております。でも、もちろん今はございません。
五十嵐委員 今はございませんというのは、処分してしまったということですか。要するに備忘録があったということですね、今お認めになったのは。備忘録があって、日程表のようなものにちょこちょこっと、だれからどんな電話があったというようなことをメモしたものがあった、しかし今はないというのは、処分をしたということですか。
藤井参考人 処分をするとかしないとか大げさなものじゃございませんで、秘書が、きょう訪問する予定の人がこうこうだというような簡単な紙の一枚のがあるわけでございます。そういうのにちょこちょこっと書いたようなものはありましたけれども、何しろ、その都度その都度、その段階で適切な判断をしなければ私どもはやっていけませんから、そういう意味で、その都度その都度適切に判断してきたつもりでございます。
 ただ、たくさんの御批判を受けるかもしれませんが、私どもはそういうつもりでやってまいりました。
五十嵐委員 これは、私どもやその辺の人が勝手につくってできるものじゃないでしょう。今詳細に話が出てきていることから見てもわかると思うのです。当事者しかわからない、後ろで声がしているのは大石さんだとか、秘書と名乗っているけれども実際には青木議員自身の声だったということまで書いてあるわけですから、これはその当事者しかわからない話。重大な疑惑、公団、国の特殊法人、一機関の政策を無理やり力でねじ曲げるということが働いた、そしてそのトップが恫喝をされたという重大な疑惑であります。これはもっときちんと調べられてしかるべきですから、さらにこれを私どもは調査、追及をさせていただきたいと思います。
 実は、問題がまだほかにもたくさんあるんです。二月五日に突然、国土交通省内に、道路公団のあり方を考える検討会というのが副大臣をトップにつくられました。だれが何の目的でいつ、こういうような構想になったのか。風岡官房長、おられますか。
大石政府参考人 私から御説明申し上げます。
 今後設置されます第三者機関で行われる基本的な議論を受けまして、国土交通省といたしましても、さまざまな検討を行う必要があると認識はいたしておりました。また、特に、高速道路にかかわる用地取得やあるいは構造基準の問題等、公団が抱えております施行上の問題につきましても、道路関係四公団の改革の一環として国土交通省においても検討を行う必要があるため、副大臣をヘッドとする検討会を省内に設置することを検討いたしておったところでございます。
五十嵐委員 これは、二月五日早朝の自民党国土交通部会・道路調査会合同会議で、突然、古賀誠道路調査会長がこの件を持ち出して、これをつくれ、出席した大石道路局長が、はい、やりますとオウム返しに直ちに返事をして、そしてすぐにでき上がったということになっています。お役所の仕事というのは遅いということで有名なんですが、このときばかりは全く異例、超異例のスピードで、まるで下手なシナリオどおりに二人の役者がせりふを言い合ったという形でこれができ上がっているんですね。
 大石局長は、この件について事前に扇大臣に相談されましたか。
    〔野田(佳)委員長代理退席、委員長着席〕
大石政府参考人 これを設置することについて、扇大臣と事前にお話をしたり折衝をしたりしたことはございません。ただ、ふだんから、扇大臣からも、先ほど申し上げましたような公団の事業執行にかかわる問題等々について問題提起あるいは御意見がおありになって、我々としても検討しなければならないなと考えておったことは事実でございます。
五十嵐委員 扇大臣と事前に相談がなかった、ここだけは正直ですね。
 これは、実は昨年末に、第三者機関、第三者委員会がつぶれたとき、というよりつぶすつもりだったんですが、そのときの受け皿として扇大臣にないしょで、こっそり大石局長が事前にもう研究会をつくっていた、それを衣がえしただけだから、公然化しただけだからすぐにできたんじゃないですか。だから、超スピードだし、副大臣がトップだった。そうなんじゃないですか。
大石政府参考人 道路公団の業務といいますか事業執行につきまして、午前中に御説明しました諸井委員会を設置して、そのもとでいろいろな検討を進めておったことは事実でございますが、それ以外に省内に検討委員会を設けていたというようなことはございません。
五十嵐委員 なぜ、こんな重要な問題でトップが副大臣なんですか。なぜ扇大臣に事前の相談をしなかったんですか。諸井委員会にも失礼じゃないですか。諸井委員会の報告の結果を受けて、役所、国交省なり公団が動くというならわかるんですけれども、そうじゃなくて、独自にこういう問題をやっていくというのは、諸井委員会は何のためにやったか、あるいは、静かに諸井委員会にすべてげたを預けて意見を聞く立場をとるんだと言っていた扇大臣の方針と違うじゃないですか。これは失礼な話ですよ。
 二月五日の閣議後の記者会見の扇大臣の発言内容を見ますと、検討会設置のことをよくわかっていない様子で、いつですかという話を自分から記者団にしていますし、また、大石局長が合同部会で設置を表明したかどうかも知らなかった。それから、メンバーも知らないと言っていますね。これはおかしな話なんですよ。
 なぜ副大臣がトップなのか。副大臣は道路公団問題の専門家なんですか。道路公団問題は、省内では大臣に相談しなくてもいいような、その程度の問題だという認識、位置づけだったんですか。
 これらの点について、官房長、どうですか。
風岡政府参考人 国土交通省における道路四公団の検討会、今、大石局長から答弁がありましたとおりでありまして、これは、自民党の部会におきまして、そういった検討会みたいなのを設置もする方向で検討したいということで、具体的な中身ということではなくて、当然、これから改革を進めていくに当たりまして、第三者機関でいろいろ御審議いただくものとあわせて国土交通省は国土交通省の中で勉強していく、そんな観点から申し上げたわけでございます。
 私ども組織の対応としましては、昨年の十二月十九日の整理合理化計画が決まりましてから、道路公団問題ではなくて、いろいろなものを含めて、全体を含めてこれを進めるために、省内に、一月三十一日に、国土交通省の特殊法人等の改革推進本部というのをつくりました。これはあくまでも扇大臣が本部長であります。
 そのもとに、事務次官を長とする連絡調整会議等を設けまして、場合によると個別課題についてはいろいろなチーフを決めまして、そこで検討して、もちろん、その検討結果は、まとまるのであれば本部として決定する必要がありますので、本部にかける、そういうような形で、若干、項目によっては分担をするというようなことも考えておりました。
 ただ、御指摘の道路公団についての検討会につきましては、その後、扇大臣とも進め方を御相談をしました。その結果、大臣の御指示で、これは第三者委員会で今後いろいろ御議論があるわけですから、その推移を見ながら進めていくのが筋ではないかということでありますので、私どもとしては、それは具体的な発足というのは今は行っていなくて様子を見ている、こういうことでございます。
五十嵐委員 語るに落ちているじゃないですか。扇大臣は、そんなものは必要ない、諸井委員会、そして第三者機関の動きを見るべきであって、省内が先にそういうことを動くべきではないというお考えなんでしょう。事前に相談したら反対されるから、こっそりつくろうとしたということなんじゃないですか。
 要するに、この構図は、大臣は小泉総理寄りである、だから、族議員とは反対側に立っているから、大臣を飛ばして、直接役人がいわゆる族議員の皆さんと一緒になってうまくやってしまおうという話の構図なんですね。諸井委員会の報告の改ざん事件といい、このあり方を考える検討会といい、みんなそうなんです。そういう構図なんですよ。普通は大臣と役所が一体なんですが、そうではなくて、大臣と違ったところで役人が特定の議員と結びつく。どっかで見た構図ですよね。宗男さんと言われる方の話と、外務省の話と、全く鈴木議員の話と一緒な構図じゃないですか。
 まだほかにもあるんですよ。
 古い話でありますけれども、予算委員会でも言いましたが、昨年の十月四日午前、国土交通部会・道路調査会合同会議が開かれて、その終了後に、古賀誠議員、山本有二議員と大石局長がお会いになって、十月五日中に建設、管理の分離案を持ってこい、それを古賀案にするという指示があって、あなたは了承をしたのではありませんか。
 そして、十月五日に道路調査会幹部会議が開かれて、古賀誠議員、山本有二議員、大石局長らが出席をいたしまして、その席上でいろいろなお話があったと思うんですが、その席上で、この集まった方々の中でこういう話が出ているんですよ。
 この古賀案の発表はどうしてかというと、小泉総理、扇大臣主導の道路公団改革をひっくり返すためのアクションだ、表現はこういうずばりの表現ではないですけれども、要するに、小泉・扇路線をひっくり返すためのアクションとしてこれを持ち出したんだということが発言されているじゃないですか、その議員の間から。
 大石局長、どうですか。
大石政府参考人 道路調査会長でおられます古賀先生と、道路公団等の民営化について、総理の御意向も非常に強いということから、どのような民営化があり得るかということについて意見交換をしたことはございます。
 その際に、いろいろな民営化の議論、方向があり得るわけですが、今先生がおっしゃったような、建設と管理を分離する、これを上下分離の案として古賀案とするから、古賀案としてまとめて持ってこいといったような指示を受けたことは、これは予算委員会の席でもそういうことはなかったというように申し上げましたが、そのようなことはございませんでした。
五十嵐委員 お立場があるでしょうから、そういうことを言わざるを得ないのかもしれませんけれども、いろいろなところで指摘をされているんですね、この話は。
 まさに、一つだけじゃないんですよ、今までの情況証拠を積み重ねても、あなたと古賀さんとの関係を見ても、これは外務省と鈴木さんとの関係のように、一部議員と一部官僚が直接結びついて、しかも、重要問題ですよ、政府方針を変えようとする。これは非常に重要な問題で、いわば小泉改革、小泉政権に対する反乱なんですよ。これがずっと尾を引いて、一体かどうか、そして一体をさせないような動きを族議員がし、それに対してまた小泉さんがいろいろなことを考えるという今の構図に、そしてこの法案につながっている、こういうわかりやすい構図なわけですね。
 ですから、一体論者をこの第三者機関に入れないように、今から分離論者を潜り込ませるようにいろいろなことをしているんでしょう、国土交通省は。既に、国土交通省の中で昔からお味方だと思われているような学者、有識者を既存の国土交通省の審議会から外して押し込む用意をしているというふうに言われていますが、どうですか。
大石政府参考人 私どもがいろいろ御指導をいただいております道路関係の審議会の先生方の名前が新聞や週刊誌等で報道されているという事実はございます。しかしながら、それらの先生を我々の審議会から外してこの第三者機関に入れるためにいろいろな画策をしている、あるいは準備をしているといったような事実はございません。そのようなことは考えてもおりません。
五十嵐委員 いや、何人かの方が審議会からもう既に外れて待機をしているという話があるんですが、そういう事実はないんですか。
大石政府参考人 そういう事実はございません。
五十嵐委員 まあ、出てからあれだと思います。
 それから、どなたかも質問されておりましたけれども、もう既に事務局人事が、事務局長予定者は準備室長で、総務省から来られる坂野さんということはわかっているんですが、その下の事務局構成が大体もう決まっているんだという話を聞きました。その半数以上は国交省が押さえているというふうに聞きましたけれども、そういう事実はありますか。
坂野政府参考人 法律案が成立した後に事務局を発足させる必要があると考えておりまして、現在私ども内閣官房でございますが、今度の委員会が内閣府に設置されますので、内閣府に事務局を置くべき諸規定の準備などいろいろ進めつつあるわけでございますけれども、事務局の人事については、基本的には、厳しい定員事情の中で関係の省庁からもいろいろ出向していただかざるを得ないと思っておるわけでございますが、まだ確定的にいろいろ申し上げられる段階には来ていないということでございます。
五十嵐委員 ぜひ中立的な事務局にしてほしいというふうに思います。
 時間が来てしまいました。コンプライアンス体制、本部の話、それから財投機関債の話等、たくさん準備をしてただしたいと思っていたんですが、また別の機会に譲りたいと思います。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて五十嵐君の質疑は終了いたしました。
 次に、工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございます。
 きょう、午前中から先ほどまでの質疑をお聞きしておりまして感じますことは、何か相変わらずいろいろなことをやっているんだな、こういうようなことでありまして、先ほど来の質疑の内容が本当だといったようなことになりますと、前々から言われておりますように、政官業の癒着も本当にひどいものだ、これでは国益を損ねる、我々はそれぞれ、私も含めてですけれども、自分の胸に手を当てて、そして、これでいいのか、これで国家のためになっているのか、国民のためになっているのか、こんなことをしていていいのか、常にそういう思いを、自戒をしながら、一生懸命真摯に、まじめに国民のために頑張る、そういうことが最も大事なことである、私はつくづくそう思っておるところでございまして、そういう点でもひとつきちっとやっていただきたいものだ、このように思うわけでございます。
 私は、一昨日の質問に引き続きまして、この法案に対する基本的な問題について、きょうは五十分時間をちょうだいいたしておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 まず最初に、行政改革の成功事例としてよく旧国鉄改革が引き合いに出されるわけであります。改革の性格が異なりますから、旧国鉄改革と今回の道路公団等の改革を同一に論ずることは当然できないわけでありますが、改革が成就されるまでの経緯、経過を見てみるのもそれなりに意味合いがあるのではないかと思いますので、若干お伺いをさせていただきたいと存じます。
 初めに、旧国鉄改革について、第二次臨調の答申を受けて国鉄再建監理委員会を設置し、国鉄改革関連法案が成立するまでの経緯を簡単に時系列的に教えていただきたいと存じます。
坂野政府参考人 国鉄改革の経過は、第二臨調と言われておりますが、いわゆる土光臨調の答申から出発をするわけでございます。昭和五十七年の七月三十日に第二臨調第三次答申が出まして、国鉄改革の方向づけをここで出したということでございます。これを受けまして、五十八年の五月に国鉄再建推進法と言われております法律が成立をいたしました。そして、この法律によりまして、五十八年六月十日に国鉄再建監理委員会が発足をいたしたわけでございます。
 それで、この委員会は五十八年、五十九年と、国鉄改革のうち当面緊急に講ずべき経営改善措置などについての意見を数次にわたって提出いたしまして、五十八年から見ますと二年後、六十年の七月二十六日に国鉄改革に関する最終意見を出したということでございます。この最終意見を受けて、政府は、昭和六十一年三月に国鉄改革関連の八法案を提出いたしておるわけでございます。
 なお、この国鉄改革の関連八法案は、その後国会の解散等があって、若干経緯がございましたが、六十一年の十一月に成立をして、六十二年四月から改革が実施されたということでございます。
工藤委員 ただいまの御説明にありましたように、再建監理委員会を八条機関として設置するための臨時措置法が国会で成立するまでには相当の日数を要しておるわけであります。ただいまの御説明のとおりでありまして、さらに重要なことは、監理委員会が、先ほども御説明ありましたが、昭和五十八年六月十日に発足をして、六十年七月二十六日に総理大臣に「国鉄改革に関する意見」を提出するまで、二年以上の年月を要したということであります。
 今回の法案では推進委員会がその具体的内容を十四年中にまとめるとされておりますが、国鉄改革以上に困難さを伴うと指摘する向きもある中で、前回の質疑で私が申し上げましたように、政治主導体制でない状況下で、果たしてこのような短期間で国民が期待するような結論を得ることができるんだろうか、そういうことで心配をするわけでありますが、石原大臣の御見解を伺います。
石原国務大臣 工藤委員にお答え申し上げます。
 坂野室長の中に経緯があったわけでございますが、国鉄再建監理委員会は、分割・民営化というような大きなものを決めるという仕事とあわせて、実は、当時の経営状態が、一日電車を走らせれば幾ら赤字といったような、このまま赤字を垂れ流していったら破綻が来るというような迫るものがございまして、国鉄の緊急改善措置、銀行でいうなら早期改善措置みたいなものをとりあえずまとめるというようなことがございまして、二年間を要したと記憶しているところでございます。
 今御審議をいただいておりますこの道路公団等の民営化推進委員会は、もう既に廃止、民営化の基本方針が昨年政府として決まっておりますので、その整理合理化計画に沿って具体的な検討を図っていくものであり、委員の方々が任命される、すなわちこの法律案を通していただいた暁には、かなり濃密な議論をしていただいて、十四年中に的確な御意見をちょうだいできるものと確信をしているところでございます。
工藤委員 昨年六月に成立した特殊法人等改革基本法を受けて、その後いろいろな作業を経て今日に至っていることは十分承知をいたしております。
 それでも、これまでの議論でも明らかになったように、民営化の形態一つ取り上げてみましても、なかなか容易ではありません。御説明いただいた先ほどの国鉄改革の流れでは、監理委員会から意見が具申をされて、先ほどのお話にもありましたが、国会解散の影響もあったわけですけれども、国鉄改革関連法案が成立するまで一年半で実行に移されました。監理委員会の具申から実行までの間が思いのほか短期間に遂行されていると感じるわけであります。
 今回は、委員会の具申を年内に受け、新たな組織は十七年度までのできるだけ早期に発足をするとしているわけでありますが、国鉄改革のように、案の決定まではある程度時間を費やしても、決定したことは速やかに実行に移すという観点からいたしますと、短期間での委員会の検討結果が、果たしてその後の執行にこたえられるような立派な意見が出されるのか、逆に、解釈に幅のある意見が出されて、路線ごとの検討はしないというようなことと相まって政治の論議の対象になってしまうのか、いささか心配でありますが、重ねてそのことを大臣にお伺いいたしたいと思います。
石原国務大臣 先ほども、濃密な御議論をちょうだいして、十四年中に的確な意見をちょうだいできるものと期待していると御答弁させていただきましたが、厳密に言わせていただきますと、一昨年に行革大綱というものをつくらせていただきまして特殊法人改革の議論を始めております。これはもちろん、四公団だけにとらわれないわけでございますけれども、その期間、そしてまた小泉内閣が昨年の四月に誕生いたしましても、ことしの末までということで言うならば一年半。一年半の時間があれば、特に総理大臣が強いリーダーシップを持っておりますので、また、揺るぎない覚悟を持って事に当たると中国の方の内政懇でも話されているという記事を私も拝見いたしましたけれども、委員が御指摘されるような御懸念は心配ないのではないか、この十四年中にしっかりとしたものが出せるものではないかと今は考えている次第でございます。
工藤委員 心配ないというようなことでありますけれども、大臣のお考えは理解できるわけでありますが、それでも私は、年末の委員会の報告は極めて懐疑的に思っている一人であります。
 これまでの大臣の御答弁でも、先ほどもちょっと触れましたが、旧国鉄のように膨大な債務を抱えた状況下での今回の改革論議ではないのでというような観点からすれば、一見作業はスムーズに進みそうな感じがするわけでありますけれども、ただ、国鉄改革が叫ばれていた当時の状況を思い起こしてみますと、たび重なる経営計画の破綻、また、泥沼化した労使紛争などで、国民のいら立ちは頂点に達しておったんではないかと思うわけであります。監理委員会が発足をして具体的な作業に取りかかった途端、組織形態のあり方をめぐって議論が百出をして、全国一組織、あるいは東西二分割、不採算部門の貨物をどうするのかなど、極めて難渋したと当時の関係者は述懐をしております。それでも分割・民営化という確固たる指針を示し得たのは、二年有余の中で、さまざまな意見を国民の反応を確かめながら次第に収れんできたからだと話しておられたのを聞いたわけであります。
 鉄道は、民営化されれば、当然不採算部門を整理いたします。すなわち、地方ローカル線の線路を外してしまえばそれで終わりなわけであります。しかし、道路は、残りの整備路線の建設をどうするかが課題ですから、そこには鉄道以上に困難さを伴う面もあると考えるわけであります。そうした中で、委員会が本当に年末までの八カ月という短期間で、国民が賛成できるような、即法制化可能な案を出せるのかどうか、甚だ疑問に思うわけでありますが、大変しつこいようで恐縮でありますけれども、重ねて御意見をお伺いしたいと思います。
石原国務大臣 ただいま工藤委員が御指摘されました点は、まさに国鉄改革とこの道路公団改革との最大の相違点。すなわち、旧国鉄は、旧国鉄時代から、赤字ローカル線、もう新しいものはつくらない、つくらなければならないものとして整備新幹線があったわけですが、この整備新幹線の建設計画というものは、軌道に乗るまで凍結されたわけでございます。
 その一方で、この道路公団改革は、これは与野党問わないと思うんでございますが、地域に限定すればまだまだ高速道路建設の要望というものがある、そしてまた、九三四二という基本計画も現在はまだあるわけでございますので、委員が御心配される点はもっともな感じもいたしますけれども、当委員会、当委員会と申しますのはこの民営化推進委員会が発足をさせていただきまして、すぐれた見識、それにかつ、一党一派に属することなく、偏った利益を代弁しない立場に立って、国家的な見地から、必ずや私どもの期待にこたえてすばらしい御答申をいただけるものと確信をしている次第でございます。
工藤委員 国民に失望感を与えないよう最大限御努力をされるべきだ、このように存じます。
 次に、おとといの私の質問に関連しまして、委員の人選についてお尋ねをしたいんでありますが、大臣は、中立公正な立場で改革意欲に富んだ方をお願いしたいと話されました。しかし、どうも私は何か釈然としないんです。一般的に見て、中立公正な立場の方と改革意欲に富む方、ちょっと矛盾するところがあるのではないか、こう思ってしまうんですけれども、いかがでしょうか。
熊代副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 中立公正な立場と改革意欲に富むというのは矛盾するものではないかという委員のお尋ねでございますけれども、既にいろいろと御答弁申し上げているとおり、すぐれた識見を有する方々としまして、改革意欲に富み、国家国民的視点に立って、特定の分野及び利害に偏することなく公平な判断をなし得る方々というのを適切に選任すべきであるという方針になっているわけでございます。
 道路関係四公団の改革については、特殊法人等整理合理化計画に沿ってその的確な具体化を図るためのものでございまして、改革意欲に富むというのは、新たに変えていこうということでございますので、それから中立公正ということは、一定の前提ははめられておりますけれども、その中で非常にバランス感覚のある中立公正な判断ができる方ということでございますので、矛盾することはないというふうに考えているところでございます。
工藤委員 別に熊代副大臣の言葉じりをとらえて云々するつもりはないんでありますが、この場合、改革意欲に富むという以上、改革の前提が民営化を前提としてと具体的に規定されているわけでありますから、最初から、中立公正の立場でなく、民営化に賛成する方でそのあり方を検討するならば、国会の同意人事としなかったわけもわかりますけれども、そうでなければ小泉内閣の期待した報告が得られるとは到底思われないわけで、改めて、人選をどう考えるか、お伺いしておきたいと思います。
熊代副大臣 御指摘のように、特殊法人等整理合理化計画に沿っていけば民営化前提ということでございます。ですから、それに賛成の人のみという御指摘でございますけれども、やはり中立公正な人でございますから、その人の物の考え方というのはございます。しかし、与えられた閣議決定というものもある。そういうもとで、極めて広い立場から、閣議決定も勘案しつつ、中立公正な立場で御審議をいただけるということでございますから、繰り返しになりますけれども、改革意欲に富み、国家国民的視野に立って、特定の分野及び利害に偏することなく公平な判断をなし得る、そういうスケールの大きい方々をお選びすることができるのではないかと思っておるところでございます。
工藤委員 これはそのぐらいにいたしまして、改革の担い手となる委員の人選もさることながら、国民の理解を得つつ改革を進めてまいりますためには、委員会の議事録とか関係資料をできるだけオープンにして国民の関心を高めていくことが極めて大事なことだと思います。こうした情報開示をどのような手段で行っていくのか、現時点で考えられることがありましたら、具体的に御説明を願えればありがたいと思います。
坂野政府参考人 審議会等につきましては、中央省庁等改革基本法におきまして、会議または会議録は公開することを原則とするという規定が定められておるわけでございまして、今回御提案申し上げておりますこの委員会についても、この原則のもとに運営の透明性を確保していく必要があると考えているわけでございます。
 また、議事録や議事要旨などの公開を行うにつきましては、現在、他の審議会の例を見ますと、関係省庁の建物の中に閲覧の窓口などを設けて一般の方々に自由にごらんいただけるような措置をとるということを行ったり、また、インターネットで自由に見ていただけるような仕組みを設けていたり、いろいろなことをやっておるようでございます。
 私どもも、そういう例も参考にしながら、できるだけ一般の方々にきちんと見ていただけるような仕組みも考えなきゃならぬ、そんなように思っているわけでございます。
工藤委員 次に、道路公団改革に関してお伺いをいたします。
 合理化計画では、新たな組織により建設する路線については、直近の道路需要、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析をした上で優先順位を決定するとしておるわけでありますが、具体的な建設路線の決定は国土交通省で行うとされておりますけれども、この点を踏まえてお伺いをしたいんです。
 初めに、路線の優先順位を決定するとした規定に関してお尋ねをしますけれども、この規定の意味するところを率直に理解すれば、即、どの路線を建設するかに直結する基準ができ上がると思うのであります。個別の路線の選定に国土交通省が介入する必要性はないと考えるわけでありますが、どのように大臣はお考えになりますか。
熊代副大臣 私の方からお答えさせていただきたいと思いますが、「優先順位を決定する。」と確かに先生御指摘のように書いてございます。しかしそれは、「新たな組織により建設する路線は、直近の道路需要、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行い、」ということでございますので、この新しく設けられる委員会は、その原理原則を定める、どのように直近の道路需要を見るか、あるいは経済情勢を織り込んだ費用対効果分析の手法を見るか、そして優先順位の決定の手法をはっきりするということだというふうに思います。
 個々具体の路線につきましては、国土交通大臣が、国土開発幹線自動車道建設会議、国幹会議の議を経ましてその基準を具体的に適用して判断して、それを政府全体として最終的に決定するということでございますから、本委員会の方は原理原則をきっぱりと定める、それに従って具体的な個々の路線は国幹会議の方でやっていただく、そういう役割分担になっているということでございます。
工藤委員 ただいま御答弁いただいたんですが、ちょっとわかりにくいような感じがしたんですけれども、この直近の道路需要あるいは費用対効果分析を徹底して行う、こういうことになれば、採算性を何らかの手段で方程式化するか、一定の基準の算定方式を決めれば可能だろう、こう思うわけであります。
 もちろん、北海道とか九州あるいは関東では土地の価格とか建設費用等まちまちですから、費用対効果分析も簡単ではない、このようには思うわけでありますが、路線の優先順位を決定すると規定した以上、採算性について何らかの基準を策定するんでしょうから、少なくともある一定期間ぐらいは政治や地域の圧力によって路線が決定される事態を避ける工夫なくして新たな組織が十分に機能するのかどうか、疑わしく思うわけであります。もう一度、ひとつ御答弁をお願いします。
熊代副大臣 委員御承知のように、個々の路線というのは具体的にはたくさんございまして、それを一つ一つ決めていくというのは、法律の定めもございますし、国幹会議の方で、これは授権されておりますので決めていただくということでございます。個々の路線の採否を判断する基準となるもの、それをこの新しい委員会できっちりと定めるということですから、その基準に制約されるわけでございますので、かなり方向は出ると思いますけれども、その方向のもとにおいて一つ一つの路線はやはり法律の定めに従いまして国幹会議でお決めいただく、そしてそれを政府全体で決めるということだというふうに考えております。
工藤委員 また別の機会にいろいろお聞きをしてまいりたいと思いますが、次に、道路公団の資金調達に関して、特に財投機関債についてお尋ねをしてみたいと思います。
 昨年、千五百億円の調達を見込んでおられたわけですが、民営化の話や現下の経済状況もあって六百五十億円しか消化できなかったということであります。ことしは四千億円を予定しているようでありますが、予定どおり消化できるかどうか、今から危ぶまれているわけであります。昨年の実績を顧みて、最悪でも市中金利が極めて低水準にあるから大丈夫だなと安易な方策に走らず、どのような方法で取り組もうとしておられるのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
藤井参考人 御説明申し上げます。
 昨年はいろいろなことがございまして、十二月の末にやっと機関投資家の説明会に滑り込んで、六百五十億、一月にこれも発行できた、こういう厳しい経験を持っております。
 そこで、この経験をもとに、昨年度のうちにもさらに出そうというつもりでいろいろと努力してみましたけれども、いわゆる金利の上昇が非常に、社債マーケットの内部事情がかなり厳しゅうございまして、いろいろな会社がやはり社債が発行できないまま出たというような非常に特殊な事情が年度末はございましたと聞いております。
 そういうことから、私ども、そういう経験をもとに、今年度、一層積極的にお決めいただいた四千億という枠を確保すべく努力するわけでございますが、たまたま、これはどうしてこういうふうになっているのかわかりませんが、本日の日本経済新聞においても、云々というような記事が出ておりました。実は私ども、そういう意味で、早目に、今年度できるだけ財投機関債にチャレンジしたいという気持ちは持っておりますので、主幹事会社を決めて、今市場の動向を注視しております。
 政府関係機関でも、もう既に四月に発行したところもございます。そういうことで、主幹事社三グループ、みずほ、大和、野村という、従来は主幹事は一社なんですが、幅広くという意味で三社にお願いしてこれからいろいろな問題を詰めていく、そういうサウンディングをしなきゃいけない時期だろうと思っております。
 いずれにいたしましても、私どもは、こういう市場の実勢を踏まえた発行をしなければならないということでございますので、先生御指摘のとおり、安易に他のものに走るというのではなくて、まずお決めいただいた財投機関債を確保するということを前提として努力させていただこうと思っております。
工藤委員 本四公団の藤川総裁もおいでになっておりますので、一つお伺いをしたいんですけれども、本四公団の十二年度行政コスト計算書に基づいて簡単に収支状況を御説明いただきたいと思います。特に累積債務額が、三本の橋が完成をして営業に供した時点から今日までどのような推移をたどってきたのか、少なくとも今後五年間の需要予測をどうとらえておられるのか、あわせてお伺いをいたしたいと存じます。
藤川参考人 当公団の平成十二年度の決算上での収支状況でございますが、管理費が二百四十八億円で、収入がこれをかなり上回る八百六十九億円あるわけでございますが、利息の支払いが千三百七十九億円ということで収入をかなり超えている状況になっているために、当期の損失金というのが七百五十八億円発生しているという状況でございます。
 今御指摘がございました行政コスト計算書でいきますと、いわゆる費用の部にこれまで計上しておりませんでした減価償却費や除却費を乗っけるという形になります。ですから、費用の部にその減価償却費等と除却費等がプラスされますので、当期の損失金というのがかなり大きな額になりまして、減価償却等が五百四十億円ございますので、当期の損失金が一千三百七億円ということになっております。
 累積債務でございますが、三ルートが概成いたしました平成十一年度末の有利子負債でございますけれども、これは三兆八千三百億、平成十二年度末では三兆八千四百億ということで、約百億円の増ということになっております。
 それから、これからの需要予測でございますが、これまでも何回か御指摘をいただいたんですけれども、利用交通量というのが現在の償還計画で見込んでおりました利用交通量をかなり下回っているという状況にございます。これは、私どもが前提としておりました経済環境等がかなり変わってきたというようないろいろな条件があって、利用交通量がかなり計画を下回っているわけでございます。
 ですから、そういう実績を踏まえまして、現在、計画交通量、これから先の需要予測というのを、現在の経済状況とか実績の交通量が出ておりますので、そういうものを踏まえて見直していきたいというふうに考えております。
 今後、第三者機関におきまして具体的な御審議をいただくことになっておりますので、その中で具体的に明らかにさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
 ただ、こういう需要がかなり当初見込みよりも減ってきているということを踏まえまして、平成十三年度に国の無利子貸し付けという制度を導入していただきました。十三年度で八百億円いただきましたが、平成十四年度ではこれは一千億ふやしまして、無利子貸し付けを一千八百億いただいております。
 そういうことで、私どもの経営の最大の負担でありますのが利息の支払いでございますが、こういう無利子貸し付けをいただくことによって有利子負債が減ってまいりますので、できるだけ早く利息の支払いを減らしていこう、それが私どもの経営の安定につながりますし、また、非常に大きな債務でございますけれども、それを確実に償還していくことにつながっていくだろうというふうに考えているところでございます。
 いろいろな努力をこれからもやっていかなきゃいけないというふうに考えております。
工藤委員 理由はどうあれ、結果として目の前に膨大な債務が残って、これらをいかに処理していくかが今後委員会に問われることになるだろう、こう思うわけであります。
 この膨大な債務処理に、国の道路予算、関係地方公共団体の負担、さらに道路料金の活用をうたっているわけであります。国の予算とか道路料金を活用する、これは国民の納得が得られることだろうと思うのでありますが、ただ、関係地方公共団体に負担させる、負担してもらうといったようなこと、これを定めた根拠は何なんでしょうかということでありまして、関係という文言はどの程度までの地域、自治体を想定してこうした表現になったのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
熊代副大臣 本四連絡橋公団につきましては、本四橋が国土の均衡ある発展ということと瀬戸内海地域の特定地域の振興に寄与するということで、国と関係地方公共団体、これは私の選挙区の岡山県も含まれておりまして、二対一の割合で出資することになっているのは先生御承知のとおりでございます。
 ですから、この事業の性格を踏まえまして、整理合理化計画におきましても、「債務は、確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、」ということで、これまで御負担いただいた関係地方公共団体に同様の割合でということも一つの今後の方向としてはあり得る。それから、「道路料金の活用も検討する。」ということでございますから、この道路料金が本四架橋だけの道路料金か全体の道路料金かはいろいろ解釈の余地もあることでございますけれども、そういうことで御規定いただいているということでございます。
 具体的に全関係都道府県がどこどこかということはちょっと事務当局の方から答弁していただきますが、そういう考え方のもとに、これまで二対一の割合で協力していただいたところは二対一の割合で協力していただくこともあり得る、そういう方針でございます。
藤川参考人 関係する地方公共団体、現在出資をいただいている地方公共団体でございますが、架橋によって大変便益、要するに架橋の効果を受ける、特に強く受ける地域というのを対象にしておりまして、四国四県と、それから本州側は広島県、岡山県、それから兵庫県、大阪府、それから指定市として神戸市と大阪市、以上の十府県市からの地方の負担をいただいているところでございます。
工藤委員 今、四国四県とか、それからその対岸の大阪、兵庫とか広島とか岡山とか、いろいろ名前を出していただいたわけですけれども、国とか公団がどうのこうのするということは、これはしようがないというか当然だと思うんですが、勝手にと言えばなんですが、関係地方公共団体、ここに負担をしてもらうといったようなのを決められた日には、それぞれの地域はそれは大変なことだというように僕は思うんです。例えば需要の予測を誤ったり累積債務がどんどんふえていくような、そういう状態のものをつくっておいて、まあ、つくってくれということもあってつくったんでしょうが、それを解決するためにその地域のみんなで負担しろと言われても、なかなか釈然としないものがあるんじゃないか。
 私はそう思うものですから、この地方自治体の負担に関しては相当突っ込んだ議論が必要だというように思いますし、協力が得られるような万全の体制をしいて取りかかっていかなければならぬ問題だろうというような気がするわけでありますので、ひとつ一生懸命頑張っていただきたい、このように思います。
 次に、第二東名高速道路に関してお尋ねをしますが、初めに、進捗状況及び今年度の計画について簡単に御説明をいただきます。
藤井参考人 御説明させていただきます。
 第二東名高速道路、これは東海地震の危険地域の静岡県を通りまして、そして名古屋に至って東名阪自動車道という道路に至る間でございますが、やはり私どもが判断のときに真っ先に使いましたのが、今の第一東名、東海道新幹線、それから国道一号、全部由比の地すべり地帯の海側にございます。そして、中央道は諏訪から茅野のかなり上の方にございます。そういうことで、何か本当に地震が起きたときに東西の大動脈であるこの断面でえらいことになると大変だということから、そういう意味合いの静岡断面を大きな重点地区として考えました。
 それからもう一つは、名古屋における万博という国際的なお約束に対してこの地域の問題、それから、現在よく関ケ原とかここら辺でしょっちゅう名前が出るのは、積雪あるいは豪雪で東西の交通がここでとまってしまうというのがことしの冬もございました。
 こういった東西の大きな東名のネック、まずこれを解消するために役立てることがBバイCのためにも意味があるということで、ここを重点的にやっておりまして、十四年度には、伊勢湾岸道路が木曽三川から桑名まで今回延びましたけれども、豊田まで延ばすというようなことで、東名阪と第二東名・名神がつながります。そして十五年度に東名とつながりますから、第一東名から伊勢湾岸道路、第二東名を通りまして、関ケ原とか米原を使わないで名阪から松原に行く第二の選択肢が生まれます。
 これは大阪、関西圏、中京圏と北の県との経済圏を結ぶために非常に有効なBバイCを持った路線だと思っておりますし、こういうところを中心に今年度の予算もつけております。
工藤委員 かなり詳しく御説明をいただきましたが、また、総事業費とか用地買収の進捗状況、並びにキロ当たりの予算見積もりを簡単にひとつ。
藤井参考人 第二東名の総事業費、これは整備計画、施行命令が出ているのが二百五十二キロございます。その総事業費は五兆六千五百八十三億円でございます。
 用地買収の進捗状況はこの四月一日現在で約七割、キロ当たりの建設コストは約二百二十三億円でございます。これはちなみに、普通の、第二東名以外の他の道路の平均の建設コストが約四十兆円から四十五兆円でございますから、極めて、もう山岳地帯でトンネル構造物の連続でございます。環境との関係もありまして山に追い込みましたからほとんどがトンネル、そういうことで、したがって私ども、それでもコストをどうやって下げられるかということを今一生懸命考えながら事業を進めております。
工藤委員 再三論じられておりますように、現在の東名の需要予測と第二東名が完成したときの合算した需要予測には、今後の経済動向を加味しながらも疑問を呈している関係者はたくさんいるわけでありまして、私もその一人であります。恐らく未来永劫黒字にならぬじゃないかといった、そういう心配までしたくなるような感じを持っているわけでありますが、ただいまの御説明でも明らかなように、建設費用も予想を大きく上回ってくるとか、用地買収が七割だというふうに今おっしゃったわけです。私も、余りと言えばなんですが、深い関心を持っておらなかったときにぴょっと聞くと、もうそんなに進んでいるのかというような感じを一瞬持つわけです。
 この委員会では個別路線にはかかわらないというようにしているわけですけれども、このような状況、もう既に七割も用地買収が決まっている。それからずっと何年も先々のものまで決まっていて、何か枠にはめる、手足を縛ったというふうな状況で、個別路線にはかかわらないと言ってもこれはどういうものかといったような、そういう感じを持つんです。何らかの手だてを講ずる必要があるんじゃないかというようにも思うんですけれども、大臣、この点でいかがでしょうか。
大畠委員長 ちょっと待ってください。先ほどの答弁で何か単位がちょっと違っているところがあったと思いますので、ちょっと訂正をしてもらいます。
藤井参考人 済みません、先ほど一般の道路の建設コストで約四十兆から四十五兆と言ってしまいましたけれども、これはキロメートル当たりの億円でございます。失礼いたしました。
石原国務大臣 熊代副大臣の方からも先ほど御答弁させていただいたのでございますが、整理合理化計画の中で、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底的に行って優先順位を決定するという基本方針のもと、ただいま御審議をいただいております民営化推進委員会の意見を踏まえて政府として最終的な決定をいたします。そのとき、今委員が御懸念でありますような問題についての最終的な決断というものを政府で出していくということになると思います。
工藤委員 もうあと四分ぐらいしかなくなりましたので、大石局長にお尋ねをします。
 基本的なことですけれども、高速自動車道の予定路線一万一千五百二十キロというのはどのような背景のもとにどういう手段で決定されたのか。扇大臣は国土交通委員会で衆参の全会一致をもって決定されたと答弁しておられるようでありますけれども、この辺をわかりやすく簡単にひとつお願いします。
大石政府参考人 高速自動車国道の予定路線一万一千五百二十キロの決定経緯でございますが、これは、第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総でございますが、これが多極分散型国土の形成、それを支える交流ネットワーク構想、これで打ち立てられたわけでございますが、この際に、高規格幹線道路網一万四千キロ、これをもって交流ネットワーク構想としたところでございます。
 そのうち、国土を縦貫し、または横断する路線につきましては高速自動車国道として整備することといたしまして、従来の七千六百キロメートルに加えまして、新たに三千九百二十キロメートルを追加して一万一千五百二十キロメートルとする国土開発幹線自動車道建設法の一部改正を行ったわけでございます。これが、昭和六十二年八月でございますが、衆参の両議院において全会一致で可決成立いたしております。
 なお、予定路線につきましては、国土開発幹線自動車道建設法第三条の別表におきまして、一万一千五百二十キロメートルに相当する路線名、起終点及び主なる経過地が定められているところでございます。
工藤委員 もう時間が来てしまいましたが、簡単に申し上げますと、現下の最大の課題は、整備計画路線九千三百四十二キロの残り二千三百八十三キロをどう処理していくかにかかっていると思うのでありますが、不採算部分を放棄するにしても、まず整備計画路線はどのようにして決定をされてきたのか、この点をお伺いして終わりにしたいと思います。
大石政府参考人 先ほど申し上げましたように、国土開発幹線自動車道建設法に一万一千五百二十キロの予定路線が定められております。この予定路線のうち、建設を開始すべき路線につきまして概略的なルート等の調査を行った後、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て内閣総理大臣が基本計画を定めております。その延長が一万六百七キロメートルでございますが、このうち整備の緊急性の高い区間につきましては、さらなる調査を行いまして、いわゆる環境アセスメントでございますが、これを実施し、これは約二千五百分の一の程度の精度で行いますが、あわせて都市計画決定等も行うものがございます。これを国土開発幹線自動車道建設審議会にかけまして、建設、運輸両大臣、現在では国土交通大臣でございますが、整備計画を決定いたしておるものでございます。現在の九千三百四十二キロメートルは、平成十一年十二月の国幹審、当時は内閣総理大臣が会長でございますが、議を経て決定されておるものでございます。
工藤委員 ありがとうございました。
大畠委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 私、最初に石原大臣に伺っておきたいと思いますのは、四つの関連公団の改革に当たって何が必要か、何を最も重視して取り組むべきかという、この基本のところがやはり一番深めておかなきゃいけないところだと思うんです。
 四つほどあるんじゃないかと思うんですが、その一つは、せんだっても取り上げましたが、巨額の負債をつくった原因と責任を明確にしておく。それから二つ目には、高速道路計画については全面的に凍結をしてきちんと見直しをして、そして縮減するものは縮減するという方向をきちっと出していく。そして三つ目には、赤字のツケ、これは国民負担を求めるというやり方はしないで、どう解決するかということを考えていくということ。それから四つ目は、巨額の負債をつくる一方で、これは利権とも非常に結びつくという問題を生み出してきたものですから、利権をなくすために政官業癒着の構造を打ち破っていく。やはりそういう立場に立ってこの四公団の改革をどう進めるのかという根本的な議論、検討というものが一番大事な出発点だと思うんですが、この点についての石原大臣のお考えというものを最初に伺っておきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま四点の御指摘がございまして、負債というか多額の欠損金が発生しているこの現状をやはり特殊法人改革の中で私ども指摘させていただいたんですが、やはり、今委員御指摘されました経営責任の不明確性、天下った方が社長に当たる総裁、理事長をやられてかわられていく。また、事業運営の非効率性、また、情報公開も十分でございませんでしたので不透明性。そして、これが非常に問題だと思うんですけれども、特殊法人はつぶれませんし、親方日の丸でございますので、一度始めた事業をみずからの手でやめるということがなかなか難しい。そして、その裏返しであります自己増殖性と言っていいんでしょうか、そういうものがある。それとやはり財投。これまでは、昨年の三月三十一日までは財投計画の中でお金が入ってくる。財投改革がなされたわけですけれども、まだ七年間は経過期間があるということで自律性が欠如している、こんな問題があるのではないかと思っております。こんな問題の責任をどう考えるのか。
 そしてまた、九千三百四十二キロの問題につきましては、前回また今回も午前中等々と議論がかなり深まってきたわけでございますけれども、一体、有料道路でつくるのであるならば採算性をどういうふうに確保していくか、担保していくか、そして採算性が合わないとしてもつくらなければいけない道路はどういう形でつくっていけばいいのか、こういう問題があると思います。
 そして、三点目でございますが、全くの、まあ欠損金という言い方をさせていただきましたのは、使ったお金が有利子負債でありますけれども、それに見合ったストックというものも実は形成されているわけでございます。そのストックによって国民各位が利便性のある生活を行うことができた。これからは今入ってくる有料道路収入の範囲内でできる限り有償資金を限られた時間に返済していくということが一つ重要なポイントでありまして、新たな負担を国民の皆さん方に押しつけないように努力すべきであると私も考えております。
 それと四点目でございますが、これは大変奥の深い問題で、個々のケースについては私も詳細な情報、漠然とした意味で言えば今委員御指摘のような構造をかいま見ることはできますけれども、そこの詳細というものはやはり個々の積み上げになると思うんですけれども、国民の皆様方の目から見て疑義を抱かれないような関係、政治と、これは業者というんでしょうか、子会社というんでしょうか、特殊法人というんでしょうか、そことの関係の透明性を確保していくという点が必要であり、それはまた今回の情報公開に関する改革においてかなりの部分が担保されるようになったものと認識をしているところでございます。
吉井委員 私、前回も質問をし、今回もこういう角度から深めていきたいというふうに思うんです。なお、赤字のツケといってもストックで残っているものというお話もあるんですが、しかし、ストックは大規模改修の問題も同時に抱えてくる問題なので、これはそういったことを含めて、財政の問題の角度からもうんとよく吟味しなきゃいけない問題だというふうに思っております。
 そこで、高速道路の問題については、内閣府が昨年一月に発表した道路に関する世論調査、これを見てみますと、高速道路の拡充の必要があると答えた人が三七%で、必要ないという人が四七%と、実は必要ないという人が一〇ポイント上回ってきているんですね。注目すべきことは、六年前との比較でこの賛否が逆転してきているんですね。
 ですから、やはりこういう調査の結果、国民意識の変化というものをきちんと踏まえたこれからの高速道路についての考え方というものを、これは委員の皆さんに御検討いただくということ、推進委員会をつくって検討してもらうというふうな話じゃなくて、やはりここはどういう政策を進めていくかということは政治の舞台が考えていくべき大事な点だと思うんですが、こういう国民意識の変化、国民世論の調査を踏まえて、大臣としては、高速道路の建設の必要はないという考えの方が半分近くになってきたというここをどのように受けとめておられるか、伺いたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたのは、内閣府が昨年の一月に実施しました世論調査の中で、高速道路の拡充の必要性というような御質問をしてアンケート結果を得たものに起因されているわけでございますが、私もこれを昨年見まして、おやおやと。実は、地方なんかへ行った感覚からいくと五分五分、都会で四分六ぐらいな感じかなと思いましたら、一割、しかも六年前の調査と逆転している。それは、裏から見ますと、それだけ今かなりの部分で国民の皆さん方が利用する高速道路というものは整備されてきた、そういうことにこの意識の変化があるのではないかと思っております。
 国民の皆さん方の声というものはやはりこういう世論調査に示されておりますし、こういうものを、経営の効率性の向上や利用者サービスあるいは民営化のメリットを広く国民の皆さん方が享受できるような道路公団を初めとする四公団の改革の具体化に取り入れていかなければならないと改めて感じているところでございます。
吉井委員 この世論調査の中を見ておってもわかりますけれども、よく、高速道路の必要性について、自民党の皆さんなどの間からは、都市部ではもう必要ないかもしれないが、地方では必要だという声なんかも聞いたことがありますが、実は、この調査を見ると、町村でも、それから小都市、中都市すべてで、必要がないという方の方が必要があるを上回っているんですね。だから、このように大都市でも地方の都市でも余り差がないように、やはり今見直しという方向が世論の中では示されてきていると思うんです。
 これからの検討の中では、都市部ではもう終わったが、まだまだ地方へ行くと欠けているという発想から脱却して、全国を見渡しても、高速道路そのものについては環境問題も含めて今非常に厳しく見る時代になってきておりますが、やはり、そういうことも踏まえた検討というものが必要になってきておると思うんです。この点についても、大臣の考えをあわせて伺っておきたいと思います。
石原国務大臣 ただいまの委員の御指摘は、やはり、日本全体として本当に高速道路のこれからの建設はどうあるべきかということを国民各位が考えるべしというような意味を含んでいたのではないかと聞かせていただいたところでございます。
 すなわち、高速道路が都心部あるいは利用者の多いところから整備されてきたという事実はありますけれども、その事実はおいておいて、やはり、地方でも必要とするところを本当につくり、一般国道あるいは広域農道等が高速道路の代替をしているような部分ではむだな投資は行わない、そういう見地に立って、限られた財政の中でこれからの道路のあり方というものを考えていくべきではないかと考えているところでございます。
吉井委員 そこで、この道路関係四公団民営化推進委員会というものを見てみますと、さまざまな枠が設けられていると思うんです。償還期間の五十年上限、民営化の組織形態、採算性の確保についてのみ調査審議する委員会となっていて、これで、世論が求めるような、かなりむだと思われるような高速道路の計画についての見直しなどがきちんとできるものになっていくのか。
 つまり、世論の方向に沿った検討というのは政治がきちんと考えなきゃいけないものだと私は思っておりますから最初に伺ったんですが、同時に、こういう推進委員会をつくっても、世論の方向での検討というものがきちんとできるものになっていくのか、やはりそこが問われていると思うんですが、この点は今度の推進委員会はどうなんですか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたのは、所掌事務の点を読まれて御質問されているんだと思いますが、道路公団を初めとする四公団の廃止、民営化という大方針を昨年政府・与党で決定をさせていただいたわけでございます。そして、この法案の審議の後にできます民営化推進委員会で、民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保を中心に御審議をいただく。
 このような御審議の中で、委員が先ほど来御指摘されていますような国民の声を幅広く吸い上げるという意味から、委員の方々がその必要性を感じるのであるならば、地方での公聴会、あるいは各界各位の皆さん方の意見を幅広く聞いていくという形で、これからのあるべき高速道路の姿というものに対して御提言をいただけるものと確信をしているところでございます。
吉井委員 それで、この推進委員会などで本来枠を設けないでうんと検討を深めなきゃいけないと思っております問題について、次に幾つか順番に聞いていきたいと思うんですが、一つは、償還期間五十年ということについて伺いたいと思うんです。
 一本一本の路線ごとに償還を考えて建設と運営を行っていく、これは非常に意味のあることで、ですから、償還制度それ自体が間違っているというわけじゃないんですが、しかし、これまでの公団の償還主義というのが野方図な道路建設に利用されてきた、そういう面があります。
 償還期間は、高速道路の建設に取りかかったころは三十年だったわけですね。これを四十年にする、五十年にするというふうに引き延ばしてきたわけですが、そもそも、大体三十年を超える長期間の収入を変化の激しい経済情勢のもとで推測し、それを前提に償還計画を立てるということ自体がなかなかこれは大変なことだと思うんです。そのこと自体はかなり無理があるというふうに思うんですが、これについては政府参考人の方に伺っておきたいと思います。
大石政府参考人 有料道路の償還期間の考え方についてのお尋ねでございますが、償還期間につきましては、その期間が短い場合には現世代の一部に過度な負担を求めるということになるわけでありますから、当該道路を利用する各世代が等しく負担するという世代間負担の公平性の確保という観点も重要な視点だろうというように思います。
 また、具体的な償還期間につきましては、例えば高速自動車国道の場合、建設国債の償還期間が六十年とされていること、また、この委員会でも御説明いたしましたが、税法上適用されております耐用年数を各道路の諸施設に当てはめて算出いたします平均的な耐用年数がおおむね五十年であること、及び有利子資金を活用していること、余り長いと利子の発生期間が長くなるという意味でございますが、ということなどを勘案し、現在、五十年以内とさせていただいておるところでございます。このような考え方に照らせば、現在、整理合理化計画に示されております「償還期間は、五十年を上限として」とされていることは妥当なのではないかというように考えてございます。
 また、先ほど先生、三十年、四十年、五十年と延ばしてきた経緯があるではないかという御指摘でございますが、三十年の償還期間の場合には、償還すべき対象の延長は三千八百九十五キロでございます。また、四十年の償還期間の際は七千八百八十七キロ、現在は九千キロを超えているわけでございまして、このようなネットワークの償還を料金を著しく上げることなく負担していただくために、このような考え方で整理してきたということでございます。
吉井委員 それで、私、局長も聞いていただいているように、最初に申し上げたのは、一本一本だったら、見通しも立て、世代間の公平な負担とおっしゃったようなことも考えて計算の立てようがあるわけですね。しかし、これをどんぶり勘定でやっちゃう。そのときに、三十年という単位であっても、そもそも、経済の見通しというものをきちっと立ててそういう計画はつくれるのか。それはなかなか簡単なことじゃないですよ。一本一本の路線について計算したやつの積分値を出すのは、これはまだやりようがあると思うんですよ。
 償還期間が延長された契機というのは一九七二年のプール制の導入ですが、全国の高速道路全体を一本の路線とみなして収支計算をする、全国画一の料金水準を設定するという仕組みですね。その結果、何が出てきたか。新しく建設する路線の採算性が悪くても黒字路線からの補てんで建設を可能にしていくわけですから、そうすると、プール制自体が問題だと思わないんですが、それを契機に、やはり採算がとれない路線を無計画に建設していったり、あるいは、さらに償還期限を五十年に延長するという問題、ここはやはり大きな問題を持っていたんじゃないか。
 だから、プール制プラス償還期間の延長、長期化、これが採算性の悪化をさらに招き、しかも長くとるものですから、見通しそのものを、大体三十年でも大変なのに、五十年先の経済見通しなんて簡単な話じゃないんですよ。それがさらに見通しを狂わせる、採算性の悪化を招いた、こういう問題を抱えていると思うんです。その点は局長の方もきちっと見てはるやろなと思うんだけれども、どうですか。
大石政府参考人 先生が御指摘になりましたように、非常に長期にわたる場合の経済の見通し等々につきましては予測不可能な部分も多いではないか、その御指摘はまことにごもっともだというように思います。
 したがいまして、私たちは、有料道路を経営しながら、その都度、弾力的にいろいろな見直しを行っていくという仕組みをビルトインしているということは大切なことだろうというように思います。
 しかしながら、その議論と、プール制を導入してネットワークを一の道路として管理する、あるいは償還するという考え方との間には、いささか私との間では考え方の違いがあるわけでございます。例えば、建設時期の違いに起因いたします建設費や維持管理費の差異でございますね。私たちが高速道路を供用し始めてから何度も大きなインフレを経験いたしておりますが、その前後で大きな料金の格差を生じるというようなことがあって、同一のサービスを同一の価格で受けられないというようなことがいいのかどうかというような点もあるわけでございます。
 そういったことから、高速自動車国道などネットワークとして一体的に運用される道路につきましてはプール制を適用したところでございまして、これは、各国の考え方から見ても妥当な考え方であったのではないかなというように思っております。
吉井委員 やはり、償還期間を延長する、プラス、プール制ですね。だから、これで赤字であろうと何であろうとそれ行けどんどんでやっていく仕組みができちゃったんですよ。
 私なんか、三十数年前、自分で運転して走ったころの阪神高速道路、こんなもの、とっくの昔に償却済んでいるんですよ。だから、もう有料道路じゃなくて、ただにしていいものがどんどん十倍ぐらい料金がはね上がってしまう。そういうおかしなことがどんどん進んでいるわけですね。
 ですから、これは利用者からしてなかなか納得のいく話じゃない。もし本当に必要ならば、それは国道としてどう整備するかというのは、これはまた別な検討というものがあることになりますが、プール制プラス償還期限の次々の延長によってこういう事態を招いたということはやはりきちっと見ておかないと、プール制はまた別な話ですということにはいかないということを申し上げておきたいと思うんです。
 御存じのように、道路公団の建設財源というのは、五五%が政府や民間からの借入金ですが、債務償還期限を三十年にするか五十年にするかで道路建設計画は大きく変わりますね。昨年の秋まとめられた国土交通省の試算によれば、今後、国費を投入せずに三十年間の償還期間にした場合でも、これは幾つもの設定によって皆変わるわけですが、高速道路の残事業がほとんどできなくなるということにもなるし、五十年償還にすると計画の六、七割は達成可能になるという試算も生まれてくる。
 ですから、償還期限の延長という問題は、新たな道路建設を進めるという、プール制と延長によって次々とさらにこれからもこの計画を進めていく、それが五十年償還という問題だというふうに思うんですが、この点も伺っておきたいと思うんです。
大石政府参考人 五十年という償還年数が次々と新たな採算に合わない道路を建設することとなるというような考え方は、私は、いささか違うのではないかという気がいたしております。
 ただ、高速道路が無限にプールを抱えることができるかということになりますと、おのずから限度があると考えているわけでございまして、先ほど御説明いたしましたように、昭和六十二年に一万一千五百二十キロ、これを高速自動車国道タイプでできるというように考えたわけでございますが、振り返ってみますと、この昭和六十二年はバブルのピークの年でございました。現在では、我々は、九千三百四十二キロなら何とかやれるのではないかという考え方を持ったところでございますが、今回、国費不投入あるいは民営化という議論の中から、その中でどんな手法を考えていくべきなのかというようなことに絞られてきているわけでございまして、その中で、五十年という期間をとりながら、余り料金が高騰しないで多くの方々に均等に負担していただく、このような考え方で設定されている、このように理解いたしております。
吉井委員 そもそも、計画時点からの見通しの狂いというのは前回取り上げまして、アクアラインの例を見てもそうですし、本四連絡橋にしてもそうです。ですから、そもそも、長期間にわたるものでの見通しの狂いというのはあったわけですから、そういう見通しの狂いというのを、これからはない、精度を高めるといったって、そんな保証は全然ないわけです。
 それで、自民党道路調査会の幹部の方の話としては、五十年償還なら、建設コストを削減すれば高速道路整備計画のほとんどを建設できると言っておられることが紹介されておりますが、数字的に見て、国土交通省としては、コストをどれぐらい引き下げたらその可能性というものが出てくるとお考えなのか、これを次に伺っておきたいのです。
大石政府参考人 私どもが総理の御指示によりまして石原大臣の事務局に提出いたしました幾つかの償還可能性の比較がございます。それは、我々が考えておりました基本的な考え方が、五十年で国費を年間三千億ずつ投入していただければ残事業であります二十・六兆が一〇〇%完成するということを基本としながら、三十年の場合あるいは国費投入がゼロの場合を、それぞれ、金利条件や建設投資のペースを変えるごとに、あるいは交通需要の増加があるかどうかということをパラメーターとしながら計算したものでございます。
 それを一口で申し上げるのはあれでございますが、国費を投入しないこととして五十年ということになりますと、現在、二十・六兆円でフルネットワーク、九千三百四十二キロができるわけでございますから、この試算結果からよりますと、十一・一兆円しか投資できないケースあるいは十二・九兆円投資できるようなケースがございまして、それぞれ、半分ぐらいコスト縮減をやらなければフルネットにはならないというように考えます。
吉井委員 報道によると、自民党道路調査会は、国道や高規格道路の建設計画を見直して、浮かした道路特定財源を高速道路建設に投入した上に、五十年の債務償還期間を七十年から八十年に延長して高速道路の法定路線一万一千五百二十キロの完全整備を図る考えを固めたという、こういう紹介もあります。要するに、五十年で難しければコストを下げる方と、もう一つは、償還期限をさらに五十年、六十年、七十年というふうに延長することによってこれは可能となってくるというふうにも見れるわけです。
 償還期間をさらに延長するというこの考え方というものは生まれてくることもあるのじゃないかと思うのですが、償還期限五十年をさらに延ばすということはしないということは、国土交通省の方ではきちっと確認し合っていることなんですか。
大石政府参考人 諸外国では、確かに、先生がおっしゃいますように、償還期間を五十年を超えて有料道路を運営しているというケースが多々ございます。
 しかしながら、今回私どもに示されました特殊法人合理化計画の中で、五十年を上限としてさらにその縮減に努めるという方針のもとで考えていくわけでございますから、私どもといたしましても、有料道路の償還期間を五十年以上に延ばすというようなことは高速自動車国道について考えないということでございます。
 ただ、本四公団につきましては、先ほど御説明いたしましたように、国費投入をやりました場合に、有利子資金の償還年数とその他について少し延ばしたという経緯はございます。
吉井委員 大体そこではっきりしてきたことは、償還期限の延長とプール制の組み合わせ、この方式をとる限りはさらに償還期限を延長するという問題、それらによって、この高速道路の建設、それ行けどんどんでまだまだこれから進めていくことも可能ということです。
 ですから、やはり、今高速道路について見直しをしようという国民の世論が多数になってきているときですから、この大もとのところでの検討というものを本当に深めていく必要がある、このことを申し上げて、もう少し次の問題に入っていきたいと思うんです。
 民営化推進委員会、これは個別路線の整備やあるいは優先順位というのは検討しないというふうになっているように思うんですが、大臣、そういうことでいいんですね。
熊代副大臣 御指摘のとおりでございます。
 基本的な考え方をやりまして、その考え方を国幹審の方で適用していただくということで、先生御指摘のとおりでございます。
吉井委員 それで、個別路線の整備、優先順位等はここでは考えないということになっているんですが、それが、先ほども議論がありましたけれども、ことしの二月七日、与党の自民党幹事長など党五役と道路調査会長は、道路関係四公団民営化推進委員会設置についての確認というのをしております。個別路線の整備については、標記委員会の意見を踏まえて、国土交通省において国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て最終的に決定すると。これは翌日には、与党三党の幹事長は同じ内容を確認していますね。
 ですから、結局、この推進委員会では検討しない、しかし、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て最終決定ですから、そちらの方では決定する。これは、民営化推進委員会の委員を国会同意としないことと引きかえに、委員会に個別路線整備の決定権を与えないとの条件で折り合ったというふうに言われているわけですが、そういうことではないのか。ここは大臣に伺っておきたいと思います。
石原国務大臣 そのような報道があることは存じておりますが、そのような事実はございません。
吉井委員 しかし、三党と、与党のこの確認の文書が交わされていること自体は事実です。ですから、法律の体系は、個別路線の検討はしない、優先順位等は検討しない、しかし、与党の方では、国土交通省における国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て決定する、そういうことに仕組みはなっているわけです。
 そうすると、結局はこれは、いわゆるマスコミ等で紹介されましたように、道路族の皆さん方の今の力関係、体制のもとでは思いのままになっていくわけで、この法律というのは結局何だったのかということにならざるを得ないということを申し上げて、もう少し整備計画の問題に入っていきたいと思うんです。
 高速道路の延長計画の九千三百四十二キロについて次に伺いたいと思うんですが、計画時点と今日では客観情勢が全く変化していますね。現在の整備計画を決定したのは四年前ですが、もともとは一九八七年の国土開発幹線自動車道建設法、国幹法の改正に端を発していて、これによる高速道路の予定延長が、それまでの七千六百キロから一万一千五百二十キロに一挙に四千キロ近く引き上げられたということが背景にあるわけです。これは、多極分散型国土形成を目標に掲げた四全総で一万四千キロの高規格道路網の建設が明記されたというものを受けてのことであると思うんですが、まずこれを最初に確認しておきたいと思います。
大石政府参考人 確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、昭和六十二年六月に四全総が閣議決定されております。この中で、多極分散型の国土をつくっていくんだ、それを支えるためには交流ネットワークというものが必要なんだというようなことが決められたわけでございます。
 その中で、いろいろな考え方がございましたが、高速交通サービスの全国的な普及の話や、あるいは主要拠点間の連絡強化といったようなものを支えるために、高規格幹線道路網一万四千キロの計画が策定されました。この一万四千キロのうち、国土を縦貫し、または横断する路線については高速自動車国道として整備することといたしまして、従来七千六百キロという構想でございましたが、これに新たに三千九百二十キロメートルを追加して一万一千五百二十キロメートルとする国土開発幹線自動車道建設法の改正を行ったものでございます。
吉井委員 それで、当時は戦後最長のバブル景気の上り坂のときですね。日本の産業、経済構造なども今とは随分違ったわけで、そのころは、六〇年代から七〇年代の素材供給型コンビナート造成とそれを結びつける高速道路その他の時代からは変わってきて、テクノポリスだとかいろいろ変わっておった時代ですが、しかし、当時に比べて今日どうなっているかといったら、当時の水準からいうと約二倍ぐらいの円高という水準にありますし、それから、生産拠点の海外移転が進んで、素材供給型コンビナート建設やハイテク型テクノポリスなどの工業団地造成と高速道路を結びつけるというそういう時代から変わってきているんですね。
 何しろ、せっかく工業団地をつくっても、企業の方は海外へどんどん先に行ってしまって、これは、熊本空港であれ鹿児島空港であれ、空港近くを見ても、工場団地はつくったんだが企業が来ないので困ったなと思っておったら、結局一万年前の遺跡が見つかってそっちで助かったというのも鹿児島の方で、上野原遺跡でありますが、そういうふうに状況が全く変わってきている。
 わずか十数年のうちにもこれだけ経済環境が激変してきているわけです。しかも、海外からの開発輸入でどんどん入ってきて地方の経済もどんどん落ち込むという中で道路をつくっても、その道路を使う車そのものが伸びないどころか、今や貨物の方では停滞から減退へという方向に向かっているわけですから、やはり、当時決めた計画を前提にした議論じゃなくて、ここは計画自体の根本的、抜本的な見直し、検討を深めるということがまず今道路を考える上でも必要だと思うんです。
 この点については、大臣、その辺のところから考えていかはる必要があると思うんだけれども、あなたの方を伺ってから国土交通省に聞こうかと思うんですが、どうですか。
石原国務大臣 どのような長期計画にしても、議案を発議したときと経済状況の変化というものがあったときとでは、その場に合った、適した対応をとるということが行政に課せられた使命の一つであると考えております。
吉井委員 私もまさにそうだと思うんですよ。だから、状況が変わっているんですから。道路整備計画の前提となる自動車の交通量も大きく変わっていますね、今は。
 現在の第十二次道路整備五カ年計画では、GDPが二〇二〇年までは毎年一・九%伸びると見込んできたわけですね。そして、二〇二〇年度の交通量は九五年度の一・三倍多い九千四百三十億台キロと予測したわけですが、それを根拠にして九千三百四十二キロという高速道路整備計画を決めたわけですね。
 今どうなっているか。GDPの伸びは今マイナスですし、計画の前提は、さっき言ったように十数年のスパンで見ても大きく変わっているわけですね。今のGDPのマイナスということだけじゃなしに、交通量は二〇年度前後をピークに減り続けるという可能性が高くなってきたと思うんですが、この点の見通しの方はどうなんですか。
大石政府参考人 現在、交通量推計の見直しにつきましては、ちょうど我々道路整備の長期計画の改定の時期に来ておりまして、一昨年、大がかりな交通センサスという調査をやりまして、それをもとに今後のGDPの伸びでありますとかあるいは人口推移等を見ながら、総走行台キロがどうなるのか、機関分担がどうなるのか、分析をいたしておるところでございます。
 確かに、昭和六十二年のころに比べて大変経済情勢が変わってきているということは事実でございます。四全総で示された多極分散型というのはそのとおりではないのではないか、先生の御指摘、そのとおりだと思いますが、その後、新たに五全総というか新全総というのが定められましたが、その際は、東京一極集中から多極分散型という考え方から、地域、地域が連携していくんだという考え方が出されました。そのときにももう一度高速道路の計画がその中でノミネートされておるわけでございますが、その中でも四全総で示された計画は生きている、このような状況になっております。
吉井委員 昨年一月の調査では、戦後初めて貨物車の交通量は二年前の前回調査を七%以上も下回っている。整備計画の前提としていたものがかなり私は狂っていると思うのです。あなたの方は、狂っているという表現は嫌で、変わっているぐらいにとどめたいかもしれないけれども、現実の問題としてはそういう変化は起こっているのじゃないですか。
大石政府参考人 確かに、先生がおっしゃるような事実は幾つも発見されます。例えば、現在高速自動車国道が担っております、特に大型車の交通量なんぞを見てまいりますと、昨今の景気動向を受けまして伸びが著しく鈍化している、あるいはマイナスになっているといったような路線が散見されます。
吉井委員 それで次に、四公団の新規路線の交通量が予測より一〇%少ないとどのぐらいの減収になるのかということについて、昨年の十一月ですか、行革推進事務局が小泉総理に試算した数値等を示して説明をされたようですが、これは大体一〇%少ないとどれぐらいの減収になってきますか。
大石政府参考人 昨年、行革事務局が作成した資料によりますと、交通量の増加分の減少率、それをそれぞれ一〇%、二〇%、三〇%というように試算をいたしましたところ、日本道路公団の高速自動車国道で、償還期間を五十年として、一〇%減少になると減収額が四兆二千億ふえる、それから二〇%減少になると七兆円ふえる、三〇%減少になると九兆八千億ふえる、このようなことになりまして、これが減収額といったような試算が示されております。
吉井委員 それは、四公団で見れば約二十一兆千七百億円の減収ということも出しておられたようですが、要するに、借金の返済期間を通じて一〇%の減少で約五兆八千億円の減収となって返済が滞るおそれがあるということも指摘されておりますね。
 そこで、では、そういう大変な減収になって返済計画も狂うわけなんですが、それでも進めるとして、整備計画どおり九千三百四十二キロを建設して、そのときに、九千三百四十二キロの建設では、当初お考えになったものからすると、やはり虫食い的な未整備区間というのは残るわけですね。例えば、けさほどもありましたが、建設中の海老名から東京の間の整備計画は含まれていない。
 前回、藤井総裁は、高速道路のネットワークを建設すれば公団の経営が改善するという考えを示しておられました。実は、そのお考え方というのはあちこちで私もよく見せていただいておりますが、将来、高速道路のネットワークが完成すると収入も増加して料金徴収期間内では収支はとれるという考え方が基本にありますね。それをずっと繰り返してこられたわけですが、この完成を、つまり海老名―東京間などいわゆる未整備区間を整備していく、これをやらないと実はネットワークはうまくつながらない。ネットワークをちゃんと建設しようと思ったらこれをやらないといけない。つまり、ネットワークを全部やろうとすると、結局、整備計画の拡大というものは避けられないということになってくるんじゃないかと思うのですが、これは、総裁、どうですか。
藤井参考人 私どもJHとしての立場からのこの未整備区間の理解は二通りございます。
 一つは、高速道路は、有料でつくろうとつくるまいと、国民にとってどういうところがどのぐらい必要か、これが一つ別にあると思っております。
 その中で、道路公団が今までも引き受けてしまったもの、それからこれからもしかしたら引き受けることになるかもしれないもの、これをまず何らかの形で国全体で整理していただく、こういうことですが、今現在はそれが第三者委員会と国土省の国幹会議で決められている仕組みで議論されておられますので、それを待って私ども対処するわけですけれども、じゃ、その間どういうふうに持っていくのかといえば、条件によってころころ変わります。
 それは、先ほど先生がおっしゃったプール制の問題と償還期間というのは、実は、国費をなるべく入れたくない、国費を高速道路で負担したくない、これが前提にあった整備手法なんです。ですから、国費をどんどん入れてきていれば、この二つの償還期間とプール制の考え方は変わっておりました。しかし、トータルとして、そのおかげで市町村道でいろいろなところにお金が回れるようになった。実は、その仕組みの結果として、今、道路公団の五十年の償還期間と全国プール制と料金二十四円六十銭というのが厳然とした事実で残っています。
 そこへ、十四年度から国費ゼロという形になりました。そうなった場合に、私どもが優良の経営主体の責任者として考えるとすれば、三つぐらいしかございません。
 それは、まず料金の推計、収入の推計を安全内でとるといえば、要するに収入の伸びをゼロにしてみる。だけれども、ネットワークで完成していったときには必ずふえます。それは、プラスアルファで要するにとっておく。要するに、集計のところで最初から使わない。こういう議論が一つございます。
 それから、有利子の借金をふやさない。ということは、収入の範囲内で仕事をしていく、したときに、どんな形のこれからの建設計画なり整備計画というのがあり得るか。
 ここまでは原則論なんです。ただ、ここの後、次に途端にがらがらっと弱くなるのは、そうはいうけれども、来年万博があるじゃないか、例えばことしのワールドカップがあったじゃないか、来年何があるじゃないか。これに対しては、地域もみんな待っているわけですね。この待っているのに対してストップというのは事実上かけられません。そうなると、こういう緊急性のあるものについては、国、地域の御理解を得てこれだけはまずやる。
 この三つをベースに置いて、私どもは、この未整備区間の整備について、JHないしJHが将来また変わるであろうある整備主体が担える範囲内と国が今考えていただくいろいろな整備手法を組み合わせてやっているもの、この整理をしないとどうにも先の見通しが正直なところ立たないわけでございます。
 ところが、先生のおっしゃるように、金利の問題、交通需要の見通し、料金水準、いろいろな条件によってころころ変わります。
 ただ、先生に一つだけ申し上げられるのは、高速道路七千キロ大体できてきましたから、収入の実績が七千キロ分あるわけです。そうすると、九千三百四十二キロだと残り二千三百の予測なんですね。二千キロぐらいのときには七千キロの予測をしなきゃいけないのです、マクロ予測を、モデル計算で。ところが、七千キロの供用がありますと、実績交通量という収入があるわけですから、言ってみれば二千三百キロ分の予測をすればいいという、この予測部分の当たり外れが随分変わってまいります。
 そういう意味で、将来交通量の見込みについては今までよりかはもうちょっと安定性のある数字が出せるかな、これが私どもの立場での申し上げることでございます。
吉井委員 収入はあるというお話ですが、同時に巨額の負債もある、ここが頭の痛いところであるというところもちゃんと言っておいてもらわぬと。
 それでもう一つ、基本的な考え方で抜かしておられるのじゃないかと思うのは、未整備のところを進めていく上には、もう一つの考え方としては、やはり償還期間を、時期を六十年、七十年に延ばすという考え方もあるというのが、これは公団としての基本的な考えの一つだというのもつけ加えておかれた方が正確じゃないかと思うんですが、どうですか。
藤井参考人 それを償還期間としてとらえるか、投資の重心を後ろへ延ばす、元利払い、要するに、金利の払いのトータル額が後ろで利息のつくお金を払えば少なくなるのは当たり前ですから、要するに、投資パターンを考えていくということがその前にまずあるだろう。
 だから、そういうのを検討した上で、償還期間というのは、先ほど大臣や道路局長も再三先生方に申し上げたように、概念の整理が非常に、ある意味で明確であるけれども、要するに料金を取る期間という理解をすると、またこれは国民から見ると違った印象になります。そういう意味で、料金徴収期間というものの概念と投資分を回収する期間、ここについての議論が今度の第三者委員会の中で大いに議論されるんではなかろうかと私は思っております。
吉井委員 私、三十年余り前に高速道路を走っておった時代に比べますと、何しろ今は払っている料金が十倍ぐらいになっておりますから、これは、さらに料金を上げたり償還期間を延ばせばあなたの方の計算も成り立つのかなと思いながら聞かせていただきました。
 最後に大臣に伺っておきたいのですが、道路建設計画というのはほぼ五年ごとに五カ年計画を変えていって策定しているわけですが、公共投資基本計画に対応してずっと決められてきていますね。公共投資基本計画は、十三年間に六百三十兆という総額先にありき、こういう計画ですから、やはり公共事業最優先のむだと浪費の奨励計画になってしまうという問題があります。公共事業予算の中で、道路予算はその三割と突出しているわけですね。
 ですから、政府として、本年一月に発表した「構造改革と経済財政の中期展望」の中で「公共投資基本計画についてはこれを廃止する。」としているわけですが、公共投資基本計画を廃止するなら、事実上それに連動している第五次全国総合開発計画とか道路整備五カ年計画も抜本的に見直すとか廃止するとか、少なくともそうした計画を凍結して、残事業をどうするかということについての抜本的な見直しと縮小、そういう議論をしないことには、これは少し政府全体としての話のつじつまが合わないと思うんですね。ここのところを最後に大臣に伺って、時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。
石原国務大臣 ただいまの後段の部分は、合同審査がございますので、国交大臣から、所管しておりますので、意見を賜ればと存じますけれども、私はこういうことだと思います。
 やはり、これまで公共事業にこれだけウエートをかけてきたのは二つの大きな理由がございまして、社会インフラが未整備であるというのが第一点と、やはり経済波及効果、経済を大きくしていく上で公共事業がかなりのウエートを日本経済の中で持ってきた。しかし、時代の変遷とともに、公共事業の経済波及効果が低いということが明らかになってきて、また、委員御指摘のとおり、各公共事業についても、省庁間の縄張り争いから硬直化して、必要なところに必要なものが回っていないというような指摘がその一方でなされてきた。
 こういうものに対して、小泉内閣は、公共事業一〇%カットという形でキャップをまずかけたわけでございます。このキャップをかけた中で、これから、今、後段は国交大臣にお聞かせ願いたいと申しましたように、道路五計とか、それだけではない、そのほかの公共事業のものも含めて、所管大臣が所管省庁でまずどうあるべきかという姿を出して、内閣としての最終的な案を取りまとめていくのがベストではないかと考えております。
吉井委員 時間が参りましたので、きょうの質問はこれで終わります。
大畠委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅野哲雄君。
菅野委員 六時間半の委員会、九時から皆さん大変お疲れのところでございますけれども、あと若干おつき合い願いたいというふうに思っております。
 道路四公団民営化推進委員会を設置するに当たって、この間多くの議論がなされてまいりました。ただ、本当に、私みたいに一地方から出てきた地方の声というものがこの間の議論の中にどれくらい組み込まれていたんだろうなというふうに思ったときに、それは不十分ではないのかなというふうに思えてなりません。そしてもう一つ、一方では、国民に国が、政府が発するメッセージが本当に正しく伝わっているんだろうかという点も私は疑問を挟まざるを得ないというふうに思っています。
 それで、冒頭、石原大臣にお聞きしたいんですが、この道路四公団を民営化するというふうな方向が出されていますけれども、なぜ民営化なのか、そしてどのように改革していくのか、この方向性。そして、このことによって、民営化、改革する方向が具体的に明確になって、国民にとってのメリットは何なのか、この点がはっきりと国民に伝わっていないんじゃないのかなというふうに思えてならないんですね。
 最初に、何か構造改革することによって経済が回復するんだという視点から論点が始まっていって今日まで続いてきているというのが実情だというふうに思います。大臣、この点をはっきりと国民にメッセージを発していただきたいというふうに思うのです。
石原国務大臣 菅野委員の御質問にお答え申し上げたいと思います。
 非常に本質的な御質問であったと思います。特殊法人改革がスタートいたしましたのは、一昨年の行革大綱で、特殊法人というのを言葉を変えまして公共企業体、パブリックカンパニーと理解していただければわかりやすいと思うのですが、そこで行われている事業というものが時代の要請に合っていないものが出てきた、さらには民間でも同じような事業を行っている部分が出てきた、そういうものを、民間にゆだねられるものは民間に、地方に任せられることは地方にという小泉総理の改革哲学にのっとって、昨年の十二月に整理合理化計画をつくらせていただいたわけでございます。
 そこで、委員御指摘の、では、改革によって何が国民サイドにメリットとして出てくるのか、ここは一つ重要なポイントだと思います。道路公団に限って言いますと、端的に申せば、これももう申しましたことでございますけれども、道路利用者へのサービスの向上とコストの削減、すなわち有料道路料金の低減、こういうものが挙げられると思います。国民の皆さん方がメリットを享受して初めてその改革の成果というものを国民の皆さん方が実感することになる、こんなふうに考えております。
菅野委員 大臣、そのことは国民に正しく伝わっていないというふうに思っています。コスト削減という状況は、これは後でも議論しますけれども、民営化すればコスト削減につながっていくという保証は、これはだれもが先々を予想できませんから、一言では言えないというふうに思います。
 それから、サービスの向上と言っていますけれども、サービスの向上の中身は、高速道路料金を今より安くするという方向性が今度の民営化によってもたらされるんだということを今大臣答弁なされました。このことが本当に保証されているのかどうか、私は言葉だけの議論ではないのかなと言わざるを得ないというふうに思っています。
 先ほどから、きょうの九時から多くの議論がなされていました。首都高速を七百円から五百円にしたらという議論に対しても、大臣は、私は所管ではないですからそのことには言及できませんと言っているじゃないですか。そして、国民にとってのメリットを追求したときに、こういうごまかしの議論をやるから国民はますますこの問題に対して不信を抱くようになっていくんではないですか。民営化に当たっての国民にとってのメリットというのを具体的に項目として再度列記していただきたいと思います。
石原国務大臣 菅野委員にお答え申し上げます。
 冒頭、一部ちょっと御発言を訂正していただきたいんです。先ほど、五百円玉のワンコインという話がございまして、私は、所掌事務ではないと言ったのではなくて、所管している担当大臣ではないが、自分が所掌する大臣であるならば十分に検討に値する案ではないかという答弁をさせていただいたわけでございます。
 さらに言及をさせていただくならば、ETCというシステムが日本でも導入されておりますけれども、普及率は、首都高で見ても二%、全国で見ますと一%にも満たないわけでございますが、これを現在貸与するに当たりましては、大体コストが三万円から五万円かかっている。しかし、欧米の民営化されました高速道路では、これをデポジット方式でお金を取って、そのお金の限度額がある限りはその機械のユーズということに関しては無料であります。
 こういう機械が普及いたしますと、実は、首都高に限って話をさせていただくならば、環状線に入るまでの区間だけを利用するケースというものは非常にございます。距離が同じですけれども、首都高の場合はすべて均一料金になっておりますけれども、このエレクトロニクスな料金収受システムというものを民間会社になって普及すれば、実は、区間ごとの運賃というものを設定することができます。その結果、国民の皆さん方は、込んでいたら五百円も払わないでワン区画でおりる、こういうメリットを享受することができるようになります。
 これも今公団で努力をされておりますけれども、結果は二%しかございませんし、ハイウェイカードは割引がございますけれども、現在は特別な、三公団で一万円、一万円、一万円の三万円ということで、民間企業であるならば、やはりエレクトロニクスを利用したものに対しては恒常的な割引というものを考えるのが当然であります。すなわち、インセンティブがない限りそのものというものは普及しないというところに着目するからであります。
 今、一例をとらせていただきましたけれども、民間活力、そして民間の経営手法を導入することによりまして、国民の皆様方が享受するメリットというものは多くあると思います。もう既に一部で実施されておりますけれども、高速道路のパーキングエリアにしましても、民間開放が一部なされておりますけれども、これをもっと競争を激しくすることによってそこのグレードというものは上がる。これはもうどの社会でも当然だと思います。
 このように、民営化のメリットというものは列挙すればいとまがないものではないかと考えている次第でございます。
菅野委員 国民にとってのメリットというのが私はまだまだ発信されていないというふうに思っております。これから少し議論させていただきたいと思うんですが。
 石原大臣にお聞きしたいんですけれども、道路公団の役員の任命、承認権は国土交通大臣であり、また、多くの役員が官僚の天下りであったり、あるいは予算は国会の議決を必要とせず、そして高速道路の建設自体、総理大臣を長とする国土開発幹線自動車道建設会議の決定したことに基づき、国土交通大臣の施行命令に従って行われる、こういうことをずっと繰り返してきたわけですね。こういうことを繰り返してきたから今日の問題が生じたとは言いません。ただし、四月四日の代表質問で私どもの日森議員も総理に対して質問していたんですけれども、今日、こういうことを見過ごしてきた歴代の政権の政策破綻に陥っていると言わざるを得ないと思うんですけれども、このことに対して、石原大臣、どう思っていますか。
石原国務大臣 ただいまの委員の御指摘は、公団のさまざまな問題は公団自身が生み出したというよりも政治責任が大きいのではないかというような御質問の趣旨であったと思いますが、これも再三再四この委員会で議論されてまいりましたが、国の財力というものに限界があるときにこの有料道路方式で高速道路を早く整備していくということは、その当時、画期的なアイデアであり、今もう既に七千キロが供用されていることから見ても、一定の役割を果たしてきたと私は思います。
 しかし、先ほど、同僚議員の御質疑の中にございましたように、第五次、五全総というのでしょうか、そのときの一一五二〇というような整備計画を決めたのは昭和六十二年、まさにバブルの絶頂期である。こういうふうに内外情勢が大きく変化をしてきたとき、政策の見直しを不断に行うということは私は当然であると考えておりますし、そのとき、だれもが、日本経済が右肩上がりで揺るぎないものになっていくと、きっとその当時に生きた者は思ってまた当然である。
 しかしながら、時代の大きな変化の中で、特殊法人、パブリックカンパニーと先ほど申し述べさせていただきましたけれども、それは物事をわかりやすくするための例えでございますけれども、経営責任が非常に不明確である、あるいは事業運営の非効率、不透明性、そしてこれは最大の問題なんですけれども、時代の変化があったとしても、自己増殖をして、一度始めた仕事をなかなかみずからやめることができない。また、賃金にしましても、これまでは資金運用部からお金を借りてきたわけでございますので、そのボリュームが大きかったわけでございますので、経営の自律性が欠如している。
 こういうような問題点を改革していくために、今回、原則廃止、民営化、パブリックカンパニーはできる限り民営化して、その民営化のメリットというものは国民広く、言わせていただくならば、最終的に完全民営化されて優良企業に育っていれば、NTTあるいはJRと同じように国庫に大きな収益として還元される、国家財政に大きく寄与するということにあらわれるものと確信をしているところでございます。
菅野委員 これまで多く議論されてきましたけれども、私は、民営化によって、日本の高速交通体系が将来にわたってゼロ円になるという方向は否定されていくんだというふうに思っていますね。民間企業ですから、いずれどこからか収入を上げなきゃいけない、その収入を上げるというのは高速料金でしかあり得ないというふうに思っています。そういう意味では、この議論をするときに、アメリカやイギリス同様に、原則通行無料という方向を追求するための組織形態というのがどうあったらいいのかの議論も含めて行う必要があるんじゃないのかなというふうに私は思っています。
 今大臣が民営化のメリットというものを羅列されておりますけれども、ここの根本的なところがまだまだ議論されていないんじゃないのかなというふうに私は思うんですね。そういう意味では、私は、一番最初に民営化ありきじゃないというふうに議論として申し上げておきたいと思うんですが、大臣、将来にわたって高速道路網をゼロにするという方向性は消え去るんじゃないのかな。この点に対する見解をお聞きしておきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま菅野委員がお示しされました点は、非常に道路の根源に触れる問題だと思います。
 私も委員同様、やはり道路は本来無料で一般交通に供用するものがベストだと思います。しかし、先ほどもお話を申し述べさせていただきましたように、国力が乏しい中で、その中で急激なモータリゼーションの発展というものに対応するために、有料道路方式という中でこの整備というものがなされてきたわけでございます。公団等が借入金で道路を建設して、料金収入で管理費や金利を補いつつ建設費を償還する有料道路制度。そしてその料金というものは、一定の料金徴収期間のうちに料金収入で借入金をすべて償還できるように決定するいわゆる償還主義。その後は国や地方に移管されて無料開放されるということを前提としている。この哲学は、委員御指摘の、道路は本来無料であるべしという哲学に近づくべく設計はされているものだと思います。
 しかしながら、先ほど来議論が出ていますように、三十年で償還すると言っていたのが、先ほど私、五全総と言いましたが、一一五二〇は四全総でございますが、四千キロ、七千キロ、そして一一五二〇といったように計画が延びていくことによってこの償還期限が延びてしまった。そういうところに、国民の皆さん方、また委員が、本当に無料開放されるのかという疑義、あるいは本来あるべき姿があらわれていないんじゃないかというような批判が私は出るんだと思います。そんなところを私どもも考えまして、現行料金を前提とする償還期限は、五十年を上限としてコスト引き下げ効果などを反映させてその縮減を目指すという基本政策を示して、今回の案になっているところでございます。
 午前中の議論で償還主義というものの是非が議論されたわけでございますが、償還主義というものを前提に組み込まれている以上は、私どもとしては現在では、ともかく一番最初に、借りたお金は返す、どうやってちゃんと返すことができるのかということを念頭に置いていろいろ議論をしてこの結果になっているということでございます。
菅野委員 かなり大臣の見解はわかりました。
 国土交通省にお聞きしたいんです。この高速道路建設に当たって、先ほどからずっと議論されていますけれども、歴史的経過をたどって今日まで来ておりますが、逆に今言ったように将来的に、石原大臣は国力がないというふうに言われましたけれども、世界に冠たる経済大国で国力がないというのはどういう意味を持っているのか私にはわかりませんけれども、やはり公団方式をとるんじゃなくて、国土交通省として直接建設していってもいいのではないかという議論さえあるんですね。
 後で道路公団の方にもお聞きしますけれども、公団方式でやって今日に至っていますけれども、メリット、デメリット、このことをはっきりさせておく必要があるんではないのかなというふうに思うんです。国土交通省として、この公団方式のメリット、デメリットをどう考えているんですか、お聞きしておきたいと思います。
大石政府参考人 公団方式によりますメリット、デメリットでございますが、大臣からお話ございましたように、道路は本来、無料で一般交通の用に供するという基本原則、これをゆるがせにすると議論がいろいろ発散していくということになると思います。
 この原則のもとで、整備がおくれております道路、急にモータリゼーションの時代を迎えたものでございますから、都市内の道路整備やあるいは一般国道の整備とあわせて高速自動車国道を整備しなければならないということから、昭和三十一年に、無料公開の原則の例外として、日本道路公団が責任主体として高速自動車国道の建設、管理を行うというようにしてきたものでございます。昭和三十八年の七月以降、高速道路のネットが整備されてまいりまして、平成七年には青森と鹿児島が結ばれる、現在では約七千キロの供用になっているというように、我が国の経済成長に極めて大きな役割を果たしてきたというように考えております。
 これをもし仮に、公共事業方式で国費一〇〇%の道路として、これは法の原則がそうでございますから、そのように整備いたしましたとすると、公団に投入してまいりました出資金やあるいは利子補給金、すべて合わせても三兆七千億しか入っておりません。この三兆七千億で高速自動車国道を整備したとすれば、東名、名神のみが整備された、約七百キロぐらいが私たちのストックとして残ったということになるのではないかと考えてございまして、これだけのネットワークを急速に整備する手法として公団方式は極めて大きな意義があったというように考えてございます。
 では、そのデメリットは何かということでございますが、それは今、特殊法人等整理合理化計画に示された、改革すべき問題点と書かれたところがまさしくそのような認識になっているのではないかというように思っております。
菅野委員 道路公団総裁にお聞きしますけれども、今改革の俎上にのせられている道路公団として、みずからにどんな問題点があると考えているのか、そしてまた、今多くの議論がなされていますけれども、自己改革努力をこれまでどのようにしてきたのか、そしてこれからどうしていこうとしているのか。
 先ほどの答弁では、七千キロというものが整備されました、それで、ベースとしてその分を抱えることになったと。私は、千キロや二千キロのときとは、今の道路公団の持つ意味というのは全然違うようになってきているというふうに思っています。公団が四十年近くでもって物すごい巨大化してきたことに対して、改革が不十分だったのではないのかなと私自身は思っています。だから今この議論になっているというふうに思うんですが、藤井総裁、道路公団として問題点あるいは改革の方向性をどう考えているのか、答弁願いたいと思います。
藤井参考人 今先生から率直な御質問がございましたので二、三申し上げますけれども、基本的な姿勢は、やはり私どもはまないたの上のコイでございますから、要らぬことを言わないで黙ってじっとしていて、第三者委員会の方向を見据え、そして国幹会議の方向を踏まえてそれで対応する、これが私どもの基本的な立場なんでございます。しかし、そうは言うけれども、それを待ってどうのこうのじゃもう間に合いませんから、一緒にいろいろな考えられることは考えて準備をする、こういうことだろうと思います。
 そう見たときに、今七千キロまでやらせていただきましたが、では、今まだ残っている道路の中で本当にJHのような中でやる高速道路はないのかといえば、例えば北関東自動車道一つとっても、つながっていません。そうすると、水戸の港と小名浜港とを結べば群馬と栃木が非常に安価なネットワークができるといったような、いろいろな具体的な議論の積み重ねを国としてしていただければ、私どもが今の仕組み、今の仕組みというのは特殊法人という仕組みじゃなくて、要するに道路公団という一つの単体として、JHの単体として仕事をしていった方が、有利なネットワーク、プール制の中であると思います。そういうことを今後ぜひ国としてもお考えおきいただきたいし、我々もBバイCという概念を絶えず持ちながらこれからやっていかなきゃいけないと思っております。
 そのときに、やはり料金レベルの問題、例えばETCを今度全面的に夏を目標に準備をしておりますけれども、これは単にETCで自動走行でとまるだけじゃなくて、割引制度を定着させますので、全車にわたって、ETCの車載器さえつければ、別納だとかなんとかというのは抜きにそういう制度が入ります。ということは、料金割引をするのと同じことになります。
 というぐあいに、そういうやるべきことは全部やりながらこれからも対応したいと思っておりますけれども、今までのやってきたものの幾つかをちょっとだけ申し上げますと、例えば、この二月現在で東京の三つの管理局、東京第一、第二、第三というものを一局にまとめました。ということで、大体これで全国土、九州支社、東北支社というふうに幾つかあったものをみんな統廃合いたしました。そういう形で、人数も、今七千キロになりましたけれども、ほとんど人間をふやしておりません。二、三千キロのときと人間をほとんどふやさないで、生産性を上げてやれるような仕組みにいたしました。それから、コスト縮減につきましても、これは国と一緒になって私どもやるわけですが、今までは単品コストだったのですが、時間コストとかライフサイクルコストとか社会的なコストとかいろいろな切り口でコスト問題を扱わなければうまくいきませんので、そういう総合的なコスト縮減、これはもうベースにございます。
 それからあとは、いわゆる競争性といいますか、公平性に対して批判を受けておりますから、これはもうこれからもどんどん取り組んでいくというのと、実は一昨日でしたか、秋田県で初めてサービスエリアをオープン型のサービスエリアにしまして、言ってみれば活性化サービスエリアでございまして、町の温泉街と、そういう遊休施設とサービスエリアとが一体化するような方式でそういうものを、第一号をつくりました。こういったものを全国これからどんどん開いていこう、そしてそれをもっとやりやすくすることがそこの収益の還元として道路公団の収益にもなるじゃないか。こういう発想は民営化の方向で非常にやりやすくなるだろうと思います。
 こういったぐあいに、言えば切りがありませんので、そういったようなことを、いろいろなことを準備してきております。ですから、そういうことでこれからやろうと思っております。
菅野委員 総裁の意気込みはわかりました。ただ、先ほど言ったように、七千キロにも及ぶ道路を維持管理していっている、そして物すごい巨大化してきているという状況の中で、午前中からもずっと質疑がなされました。ここに利権を生む構造が生まれてきている、このことをどう改革していくのかという視点がない限り、私は総裁からその視点が返ってくるものと思っていたのですけれども、返ってきません。この視点がない限り、この道路公団問題というものが正常化していかないということだというふうに私は思っています。そういう視点でもって総裁のリーダーシップを発揮していただきたいということをここで申し上げておきたいというふうに思っています。
 それで、次に移りますが、一つ飛ばして、推進委員会の人事と任務について、石原大臣からお聞きしたいというふうに思っています。
 この間ずっと、推進委員会のこの問題について、民営化の形態に大きく影響すると考えられるのはこの人事ですよね。それで、総理大臣は、四日の衆議院の本会議の趣旨説明で、改革意欲に富み、国家国民的視点に立って、特定分野の利益に偏することなく公平な判断をなし得る人を選任したい。これはごく当然のことだというふうに思うんです。そして、このことを強調されているんですが、石原大臣、大臣が総理だとしてもこの原則を貫く決意ですか、お聞きしておきたいと思います。
石原国務大臣 今回の道路四公団民営化推進委員会の所掌大臣として、総理と同じ立場に立っていると御理解いただきたいと思います。
菅野委員 やはり、ここが大きな原則であると。ただし、日本語の言葉の持つ意味というのがいろいろな形にとられるんですね。私の申し上げたいのは、国家国民的視点というのが一本じゃないということなんですね。どの立場に立つかによってこの国家国民的視点が変わっていくということです。このことを間違えてしまうと、大きなこの推進委員会の任務、これからの進めていく方向性というのが違ってくるんじゃないのかな。
 それで、各県の知事が、人選に当たって地方の意見が十分反映されるよう、地方の声として緊急の要請を行っていますね。これも国家国民の声なんです。それを国家国民の視点に立って公平な判断をするということなんですけれども、その立場に立って各県知事が、公団の取り扱いについては危機意識がある、第三者機関に地方の代表を入れるよう働きかける必要があるとして要望していることに対して、大臣、どう思いますか。
熊代副大臣 私の方から答えさせていただきたいと思いますが、委員御指摘のように、国家国民の立場というのは非常に多様な、いろいろな立場があると思います。
 しかし、委員は七人以内ということでございますので、みずからの利害にとらわれないでいろいろな、多くの立場の人の意見をしっかりと理解してそれを公平に判断して発言できる、そういう方が必要でございまして、それを総理は、改革意欲に富み、国家国民的視点に立ち、特定の分野の利害に偏することのない公正な判断をなし得る方々を適正に選任すべきとおっしゃったわけでございますので、地方の知事の代表の人が入るかどうかというのは、これはこの法律を通していただいた暁に原理原則に従って判断をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
菅野委員 そういう意味では、この道路公団民営化推進委員会をつくるということの問題点というのもここにも存在する、七人で一つの方向性を決めていくという方向性が妥当なのかどうか、このことも大きな議論になっていかざるを得ないというふうに私は思っています。
 それで、国家国民的視点という立場に立って公平な判断をなし得る人というふうに言っていますけれども、公平な判断をなし得る前に、条件をつけているではないですか。昨年末に、公団への国費投入ゼロ、建設資金の償還五十年を条件とするという、これはこの推進委員会のこれからの議論の条件です。これから公平な立場に立って議論しようというときに、この条件というのは妥当なんでしょうか。大臣、お聞きしておきたいと思います。
石原国務大臣 一点ちょっと確認なんですが、総理は公正な判断をなし得る方々とたしかおっしゃっていて、公平な判断ではなかったような気がいたします。
 それはさておきまして、整理合理化計画においては、四公団は廃止して、四公団にかわる新たな組織及び採算性の確保については一つの、今委員が御指摘された、国費を投入しない、償還期限を五十年を上限として短縮を目指す等々基本方針を示して、その基本方針のもとに第三者機関において検討するというふうにしているわけでございます。
 この民営化推進委員会は、この基本方針のもとに議論がなされますけれども、その議論の枠というものを何ら制約するものではございません。
菅野委員 わかりました。その議論を制約するものではないということなんですが、それじゃ、国土交通省にお聞きします。
 この三十年それから五十年上限という部分が、資料をいただいていますから大体見当はつくのですが、国費投入ゼロで償還年数五十年という状況であると十一・一兆円というふうになっていますね。そして、これから整備をしていかざるを得ない二千三百八十三キロからすると五四%という数字が出ていますからわかるんですけれども、こういう状況で、公団を民営化していったときにこの枠というものが取り外されるんだろうと私は思うんですけれども、言っている意味は、民営化してもこれくらいしか、五四%しか整備されないという拘束がもたらされるんですかということをお聞きしたいのですね。国費ゼロで三十年から五十年に償還期限を延ばした場合に、供用量というのがどの程度になるのかということなんですね。この点をお聞きしておきたいと思います。
大石政府参考人 試算結果によりますと、今先生からも御指摘があったとおりでございまして、九千三百四十二キロを残事業をすべて整備しようといたしますと約二十・六兆ぐらいかかるのではないかということでございますが、将来の状況の見通しでございますので予測は難しいところでございますが、例えば国費がゼロで金利が三・五%まで上昇するといったような考え方、五十年償還の場合ですと投資可能額は十三兆円でございますから、二十・六兆円に対して七割弱程度しか整備できない、このようなことになるのではないかと考えます。
菅野委員 この道路整備というのは地域にもたらす影響というのが大きい、地域経済に対する影響も非常に大きいというのは、今日的に全員が理解できるというふうに思うんです。
 今大石道路局長が答弁したように、計画数量の九千三百四十二キロ、それで残数量二千三百八十三の大体半数、多くいっても六割という状況でございます。そういう意味では、先ほどから言っている、国民の要望に対してそれしかこたえられないという状況は、私は、道路整備計画の観点から言っても、国として責任を果たし得るとは思えないというふうに思うんですね。
 それで、石原大臣にお聞きしたいんですけれども、私は、民営化の方向でいってもそういう状況であるというときに、やはり国費をどう投入するかの議論というものを多くの方々と行った上で、道路整備計画をどうするのかから始めていかなきゃならないんじゃないでしょうか。それが、例えば年三千億投入して一〇〇%達成するのか、国費投入額をゼロにして五四%でおさまっていくのか、どこで合意形成が図られていくのか、その議論をこの道路整備に当たってとことん行う必要があるんじゃないのかな。
 先ほど言ったように、国費投入ゼロ、それで償還期限五十年という形で出発するということ自体に私はこの議論の矛盾点があるのではないのかなというふうに思うんですが、大臣、どうお考えですか。
石原国務大臣 これも何度も答弁させていただいているのでございますが、民営化される新たな組織によって建設される路線というものは、やはり採算性というものを重視していかなければなりませんので、直近の道路需要あるいは経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行って優先順位を決定することになります。
 しかし、その一方で、採算性あるいは交通量は大変少ないけれども、先ほども議論になっておりましたけれども、例えば、南北交通の、大きな山脈を貫くけれども、その地域が災害等が起こったときに孤立化しないためにどうしても必要なものというものもあるでしょうし、あとほんのわずか、数キロつなぐことによってネットワークが完成する、ただしそこに大きな大変難しい工事箇所を持っている、そんな場所も拾っていけば私もあると思います。
 そういうものについては、直轄方式による建設は毎年度の予算編成の中で検討するということを明記させていただいておりまして、そういういろいろなすべての問題を否定しているわけじゃございません。
 しかし、行政改革の観点からスタートしておりますので、やはり、有料道路でつくっていくならば、借りたお金が本当に返せるんだということを前提に整備計画というものを見直していただきたいですし、むだな、ほとんど道路はつくらないけれども待っているからつくるんだみたいな道路はつくらないようにしていかなければ、採算性の確保がままならなくなるのではないかと考えているところでございます。
菅野委員 わかりました。
 採算性、あるいは、これからの道路建設の方法として、一つは、国土交通省にお聞きしたいんですが、いわゆる上下分離方式、これまでもずっと検討してきたと思うんですけれども、それはどう考えているのか、端的にお聞きします、時間がなくなってきましたので。
 それから、もう一方で、国土交通省が三月五日に新しい道路整備五カ年計画の作成を社会資本整備審議会に諮問しています。この整備計画の見直しというのをどのように行われていくのか。
 この二点、端的にお答え願いたいと思います。
大石政府参考人 いわゆる上下分離か否かという議論でございますが、これはまさしく道路関係四公団民営化推進委員会において今後御審議いただけるものではないかというように考えてございます。
 新しい道路整備の長期計画でございますが、この三月五日に社会資本整備審議会道路分科会を開催いたしまして、国土交通大臣から、持続可能な経済社会の構築、安全で安心できる暮らしの実現など新しい課題に対応した道路政策のあり方について諮問をしていただいたところでございます。この夏の概算要求に反映させるために、これから、多くの地域の方々の御意見、多くの国民の各界各層の御意見をお聞きしたいと考えてございます。
 前回では、十三万人、延べ二百二十二回にわたる地域懇談会等を開催いたしております。今回も、それを上回る国民の多くの声を聞く機会をつくっていきたいと考えております。
菅野委員 わかりました。
 今後、大きな議論になるところだと思うんですが、料金の全国プール制の問題です。
 推進委員会の中で、国費ゼロそして償還は五十年というところはやっていますけれども、この料金の全国プール制は推進委員会の議論に任せるのかどうか、国の政策として一番重要なことをこの七人にゆだねてしまうのかという、私は非常に問題がある点だと思うんです。
 国としては、全国プール制を維持するんだという視点に立って議論するのと、これは今後の検討課題かということによっては、議論の仕方というのもまるっきり変わってくるんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、大臣、どう思いますか。
石原国務大臣 委員が御指摘のとおり、ここは実は非常に重要なポイントではないかと思います。
 先ほど大石局長の方から、プール制の果たしてきた役割、すなわち、建設時期の違いによって生じる建設費などの違いというものを料金に反映させないといったような面や、あるいは、全国、それこそ東名高速のように大変込んでいる高速道路あるいはすいている高速道路、あるわけですけれども、料金を高値でありますけれども適正水準に維持してきたというような面。
 しかしながら、その一方で、ここに来て、何でおれたちのところの道路収入でそんな人も車も利用しないような高速道路をつくるんだといったような批判、あるいは、プール制の範囲が拡大してきたことに伴いまして、委員が問題点として先ほどから指摘されております、償還期限が三十年からだんだん延長されてきたといって、何だ、ちっとも無料にならないじゃないかといったような弊害も指摘されているわけでございます。
 この点について、この委員会でやはり各界各層からの、先ほどもお話ししましたように公聴会等で幅広い意見を聞いて、もう一度立ちどまって、これまでプール制はいいんだというような議論が圧倒的でございましたけれども、今言ったような弊害も十分に踏まえて幅広く検討していただけるものと考えております。
菅野委員 プール制の問題は、高速道路の採算性、効率性という部分から今日まで議論になっているというふうに思っています。そういう意味では、今までは採算性が高いところから順次高速道路がつくられてきました。これからつくられてくるところは、本当に採算性からいって建設していいのかどうかという議論にさらされていく地域がこれからの地域だというふうに思っています。
 そういう意味では、私みたいに本当に地方の小都市から出てきた者が高速道路に対する期待というのが非常に高いというところがあって、採算性を度外視して、全国プール制を維持した上でやっていかなければうちの方には高速道路は来ないんだという危機感を持っている、こういう地方の声というのをしっかりと大臣、受けとめていただきたいというふうに思っています。それで、こういう声を推進委員会の中でどう議論されていくのかなというところが、私は非常に危惧をします。
 あと、時間がないですからまとめてしますけれども、地方においては、高速道路整備計画を前提に、道路や産業立地を初めさまざまな計画を立てています。一方的に国の都合で見直すと、都道府県、市町村は大きな影響を受けることになるというのも一方では存在するわけですね。それで、整備計画を見直す場合、関係自治体と十分な協議というものが必要だというふうに私は訴えなければならない。このことを委員会としてどのようにしていかれるつもりなのか、このことを聞いて、質疑を終わりたいと思います。答弁願います。
熊代副大臣 私も地方の人間でございますので、先生御指摘の地方の問題というのは大変関心が高いところでもございますし、公正な審議を確保する観点から、広くさまざまな御意見をお伺いすることは大変重要なことであるというふうに考えております。
 この法律を成立させていただきました暁には、委員会の運営について、委員会発足後に委員会御自身で御決定になることではございますけれども、例えば地域関係者のヒアリングや地方公聴会の開催など、必要があれば大いに考えていただくことになるのではないか。御指摘の地方の意見というのは十二分にこれに反映する、そういうことでやっていただけるのではないかというふうに期待しているところでございます。
菅野委員 終わりたいんですが、やはり、大都市と地方との関係をどう維持していくのか、そして、そこの中で一体となるような政治が進められなければならないというふうな基本を踏まえて推進委員会の議論を展開するよう強く要望して、質問を終わりたいというふうに思います。
大畠委員長 これにて菅野君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十三分散会


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