衆議院

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第7号 平成14年4月17日(水曜日)

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平成十四年四月十七日(水曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 阪上 善秀君
   理事 渡辺 具能君 理事 渡辺 博道君
   理事 野田 佳彦君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 工藤堅太郎君
      岩崎 忠夫君    小野 晋也君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      亀井 久興君    古賀 正浩君
      高木  毅君    谷川 和穗君
      近岡理一郎君    西川 公也君
      福井  照君    望月 義夫君
      山本 明彦君    石井 紘基君
      石毛えい子君    鮫島 宗明君
      永田 寿康君    藤村  修君
      山花 郁夫君    山元  勉君
      横路 孝弘君    太田 昭宏君
      吉井 英勝君    北川れん子君
    …………………………………
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   政府参考人
   (内閣官房道路関係四公団
   民営化推進委員会設立準備
   室長)          坂野 泰治君
   政府参考人
   (総務省自治税務局長)  瀧野 欣彌君
   政府参考人
   (財務省理財局次長)   竹内  洋君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 林  延泰君
   参考人
   (本州四国連絡橋公団総裁
   )            藤川 寛之君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   参考人
   (首都高速道路公団理事長
   )            瀬田悌三郎君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
 辞任         補欠選任
  小野 晋也君     高木  毅君
  谷本 龍哉君     福井  照君
  石毛えい子君     鮫島 宗明君
  仙谷 由人君     永田 寿康君
  山元  勉君     石井 紘基君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     小野 晋也君
  福井  照君     山本 明彦君
  石井 紘基君     山元  勉君
  鮫島 宗明君     石毛えい子君
  永田 寿康君     仙谷 由人君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     谷本 龍哉君
    ―――――――――――――
四月十七日
 障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五五号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房道路関係四公団民営化推進委員会設立準備室長坂野泰治君、総務省自治税務局長瀧野欣彌君、財務省理財局次長竹内洋君、国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君、国土交通省道路局長大石久和君及び国土交通省北海道局長林延泰君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君、首都高速道路公団理事長瀬田悌三郎君及び本州四国連絡橋公団総裁藤川寛之君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阪上善秀君。
阪上委員 おはようございます。自由民主党の阪上善秀でございます。
 この四公団の質問の機会をいただきまして、私は十七年前のことを思い出しました。お手元に届けた資料でございます。案内状はいただいておらなかったんですが、どうしてもテープカットに参加したいということで、普通の県会議員はこれぐらいのバラの花やったんですが、大きなバラの花も用意しまして、白い手袋をして、二分ほどおくれてテープカットの場に行きました。途中、本四公団の、東大を出たような賢い人が腕章をして、おたくどちらはんですかと聞きに来ましたので、だれや思うとるねん言うてどなり上げたんですが、やっと行ったところで、バラと手袋は用意したんですが、はさみを用意するのを忘れていまして、手ばさみで参加したことを思い出しました。
 この写真は兵庫県からいただいた写真なんでございますが、藤川総裁、本四公団にはこのような写真とかテープが残っておりますでしょうか。
藤川参考人 当然のことでございますけれども、この写真は私どもの三十年史の中に入っておりますし、それからビデオテープも残っております。拝見させていただきました。
 とにかく、海とはいえ瀬戸内海は大変厳しいところもございまして、安全で円滑な交流というのが妨げられていた。それで、これが地域の本当に大きなハンディキャップになっていたわけでございまして、そういう中で、何とか橋をかけて自由に好きなときに行き来したい、そういう思いというのがまさに強くて、地域の悲願だったというふうに考えているところでございます。
 また、本当に建設ができるんだろうかというようなお話もございまして、夢のかけ橋なんて言われていたわけでございますが、そういう本当に厳しい、本当にできるんだろうかという橋だっただけに、阪上先生、いろいろなところでこの実現に大変尽力されたんだろうというふうに考えます。これの第一歩となる大鳴門橋が開通したということで、先生の感慨もひとしおのものがあったんだろうというふうに拝察いたしました。
阪上委員 私の恩師の元衆議院議長の原健三郎さんが、戦後五十四年、夢のかけ橋ということを掲げられてまいりました。やはり、政治というものは、国民に夢と希望を与えるのが政治ではないかなと思っておるところでございます。
 それでは、本来の質問に入りたいと思います。
 私は、道路というものは、公共用の財産でありますから、本来、国民や住民がひとしく自由に、しかも無料で通行できるということが原則ではないかなと思っておるところでございます。
 御承知のように、我が国の高速道路の一部の道路は、道路整備特別措置法等により、利用者の負担においてその建設、維持管理がなされておりますが、私は、どちらかといいますと、フリーウエーを主張する者でございます。メリットは、流通面におけるコストダウン、あるいはまた住宅、通勤手段、あるいは観光政策にも大変なメリットを与えるのではないかなと思っておるところでございます。
 大変な多角的なメリットがあると考えますが、道路というものは本来どうあるべきとお考えか、石原大臣にお伺いをいたします。
石原国務大臣 阪上委員にお答え申し上げたいと思います。
 阪上委員が御指摘されましたように、私も、本来、道路はフリーウエー、すなわち無料で一般の交通に供されるものであると考えております。
 しかしながら、これも当委員会で再三再四御議論されてきた点でもございますけれども、厳しい財政制約の中で、モータリゼーションの急速な発展に伴って早期に高速道路網を整備する必要があるということで、無料が原則でありますけれども、例外として、日本道路公団、あるいは本四架橋も同じだと思うんですけれども、借入金で道路を建設して、料金収入で管理費や金利を補いつつ建設費を償還するという有料道路制度が設けられたことは言うまでもございません。
 その料金は、一定の料金徴収期間内の料金収入で借入金をすべて償還できるように決定しており、償還期間後は国等に移管され、ただいま阪上委員が御指摘されましたフリーウエー、すなわち無料開放することを前提としているわけでございます。
 そんな大前提のもとに、昨年決定いたしました整理合理化計画においては、現行の料金を前提とする償還期限は、五十年を上限としてコスト引き下げ効果などを反映させ、その短縮を目指すという方針を示し、今御審議をいただいております民営化検討委員会においては、一定期間内の償還というものを前提として、これからのあるべき道路の姿というものについて大所高所から御意見をちょうだいするものと考えておるところでございます。
阪上委員 今回、特殊法人等整理合理化計画において、道路四公団は廃止することとし、その後の四公団の新しい組織は民営化を前提とするということが閣議決定をされておりますが、民営化という意味には幅があるように思います。
 もちろん、この民営化の中身は、内閣府に置かれる第三者機関において一体として検討がなされることとなっておりますが、この一体としてというものの意味はどのようなことを指すのか。
 並びに、民営の意味ですが、一言で民営化と言いましても、株式会社があり、そのうちにも、いわゆる政府が株式の全部あるいはその一部を保有する形態の特殊会社というものもありますし、政府が一切株式を保有しない完全民営会社というものもあるように思いますが、当初考えられる新たな組織とはこのうちのどれに当たるのか、石原大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。もちろん、これからそれを第三者機関が調査審議するのだということはわかっておりますが、大臣の今の考え方をお伺いいたしたいと思います。
 また、民営化の検討を進めるに当たっても、道路三公団と本四公団とをセットで考えるのは無理であるのではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。あわせてお伺いいたします。
石原国務大臣 三点ほど御質問がございましたが、私の方からは、新たな組織というものが、民営化、委員は広い概念があるんじゃないかということを御指摘されましたので、その点について御答弁をさせていただければと思っております。
 委員が御指摘のように、今御検討いただいている民営化検討委員会で調査すべきことは、四公団にかわる民営化を前提とした新たな組織に関する事項でございます。
 そして、民営化をどういうふうに整理させていただいたかということを、改めて整理をして申し述べさせていただきますと、整理合理化計画の中で民営化の形態というものを四つほどお示しさせていただきました。その一つは、今委員が御指摘されました特殊会社化、そして民間法人化、株式等を完全に民間に売却する完全民営化と地方共同法人の四つでございます。
 民営化を前提とした新たな組織の具体的な内容というものを、今四つのものを羅列させていただきましたけれども、このどれを採用していくのかということについては、新たな組織をこの推進委員会でお決めいただくというふうに整理をさせていただいております。
 そのほか二点ほど質問がございましたが、そちらは熊代副大臣から御答弁をさせていただければと思います。
熊代副大臣 それでは、私の方からも答弁をさせていただきます。
 一体としてという閣議決定もあるけれども、本四はそれを取り込むには無理があるのじゃないかという先生の御指摘でございます。これは御承知のように委員会で御検討いただくことでございますけれども、一体としてというのは、恐らくいろいろな思いが込められておりまして、原理原則が一体である、四つ別々に考えるけれども原理原則は一体であるというのと、四公団すべて一つの株式会社のもとに一体としてやろうというのも恐らく右の極端にあるのだと思うのですね。
 先生の御指摘、無理じゃないかということでございますが、最後のところに、道路料金も活用してというふうに本四公団の方にもございますので、四公団一体も恐らく委員会の中で御検討いただくのじゃないか。
 その場合に、どういう道路建設に将来なるのかということとか、いろいろな考え方がございますから、例えば、道路は必ず五十年で無料にしなければいけないというのか、減価償却費だけならば永久でもいいんじゃないかという考えもありましょうし、いろいろな考え方ですね。それから、民営化すれば思い切って今の料金をプライスキャップにして値下げすることもできる、思い切って値下げして経済を活性化しつつ将来は低額でもいただこうとか、そういうものもございますので、先生の御指摘の御心配はわかりますけれども、それも含めましていろいろと御検討いただけることと考えております。
阪上委員 民営化推進委員会の意見と国土開発幹線自動車道建設会議の意見との関係についてお伺いいたしたいと思います。
 この法律による民営化推進委員会は、内閣府に置かれることになっております。そして、この内閣府に置かれる民営化推進委員会の役割は、民営化後の道路整備について、採算性を軸にその基準を示すことにとどまり、民営化後の高速道路整備計画の見直しは、国土交通省に置かれる国土開発幹線自動車道建設会議、すなわち、通称国幹会議の議を経て国土交通大臣が決定する方向と伺っております。
 石原大臣は、さきの委員会審議において、道路建設は、民営化推進委員会の意見を踏まえて、国幹会議の議を経て国土交通大臣が決定する旨の答弁をなされておりますが、この民営化推進委員会の意見を踏まえるということは、どの程度国幹会議の方に影響力、拘束力を及ぼすことになるのか、この点が必ずしも法律上はっきりしていないように思うのであります。
 すなわち、民営化推進委員会の意見はどの程度国幹会議の審議に当たり尊重されるのか。
 従来ですと、この種の第三者機関の意見は、答申を受けた所管大臣、今回の場合では内閣総理大臣が第三者機関から出された答申というものを尊重する義務が課されるのが普通であり、事実、廃止された国鉄再建監理委員会の場合には、第六条に明文の規定が置かれておったのであります。
 ところが、今回提出された法律案にはこの種の規定が置かれておりません。置かれていないけれども、この民営化推進委員会の意見を尊重するのは当然でありますから、この委員会の意見を踏まえてと言っているのだとおっしゃるかもしれませんが、それならば、この委員会の意見を踏まえるということと意見を尊重するということは同じ意味であるということなのでしょうか。
 そして、この委員会の意見というものが国幹会議の議決に対しても相当量の拘束力、影響力を持つというように考える方が正しいのか。あるいは、この民営化推進委員会の意見は単なる国幹会議の議決に際しての参考意見程度にしかならない、この民営化推進委員会の意見というものはその程度のものであるのか。
 したがって、民営化推進委員会の意見の出し方によりますけれども、例えば、民営化推進委員会の意見が、ある路線の建設は採算性の観点からその建設は望ましくないという方向性を示す意見を出したとします。そして、その旨を内閣総理大臣に対し答申をした。当然、内閣総理大臣はその答申を尊重する義務があると思います。
 ところが一方で、国幹会議の方の意見はこの逆の意見で、当該路線は建設するべしという意見を従来どおり国土交通大臣に対し意見具申をした。国幹会議は、今回の民営化推進委員会の意見を尊重する義務は少なくとも法律上はありませんから、民営化推進委員会の意見に拘束されない。したがって、逆の意見ということもあり得るのであります。当然のことながら、国土交通大臣は、国幹会議の意見が出れば、この国幹会議の意見というものを尊重する、その義務があります。あくまでも法律上は道路建設の決定権は国土交通大臣にあるわけですから、国土交通大臣としては国幹会議の議決の方にどちらかといえば縛られるのが当然であると思います。
 こういうように考えられますが、この考え方について、国土交通省は内閣総理大臣よりも国土交通大臣の方の意見が正しいとされるのか、お伺いをいたします。
大石政府参考人 先生御指摘の、個別路線について民営化推進委員会と国幹会議の意見が相違した場合という御質問でございますが、私どもといたしましては、個別路線について、この推進委員会の方から具体的な御意見が出されるということは想定いたしておりません。
 石原大臣もたびたび御答弁しておられますように、今回の推進委員会は、特殊法人整理合理化計画に示されました、日本道路公団に国費を投入しない、償還期間を五十年を上限として短縮を目指すという方針のもとで、道路交通需要の見通しや金利の見通し、費用対効果分析等の考え方について御検討いただき、新たな組織による高速自動車国道の整備の前提となる採算性の確保の方策、基準等について御意見をいただくものでありまして、それを受けて個別路線について国幹会議が議論をする、答えを出していくということでございますので、個別路線について両者が意見を異にするという事態は想定できないのではないかと考えております。
阪上委員 次に、上下分離方式、民営化以外の改革手段についてお伺いいたしたいと思います。
 今回の法律案において、道路関係四公団民営化推進委員会は、特殊法人等整理合理化計画に基づき、民営化を前提とした新たな組織について審議することとされております。
 道路四公団の廃止後の新たな組織のあり方については、a、民営化以外の方法も選択肢としてあり得たと思われます。特殊法人等整理合理化計画において決定がなされたように、民営化が果たして最善の方法であったと言えるのかという点についてはいろいろな意見があると思われますが、これは既に決まったことでありますので、ここでは議論はいたしませんが、いわゆる上下分離方式という考え方もありますので、整理合理化計画で言う民営化とは、建設部門と管理運営部門とを分け、そのいずれかを民営化し、他の一方は民営化以外の方式をとるという場合も考えられないではないと思います。すなわち、特殊法人等整理合理化計画で言うところの民営化とは、このような考え方も否定するものではないということでよろしいのでしょうか。お伺いをいたします。
 bとしまして、あるいは、整理合理化計画に言う民営化とは上下一体方式を念頭に置いているのだという考え方もあろうかと思いますが、あわせてお伺いをいたします。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました、いわゆる新たな組織の組織形態の中で、上下一体、すなわち、上物と下物を一つの会社がそのまま運営管理するという方法、あるいは、上下を分離いたしまして、下物は国やあるいは地方公共団体が管理し、上物の経営と管理、維持を別会社が行うというようなもの、これが上下一体、上下分離論だと思いますが、そのどちらにするかということを含めて、この民営化推進委員会で御検討をされるものと考えております。
 私も海外の事例を見てまいりましたけれども、イタリアの民営化されていましたアウトストラーデ社は、コンセッション契約、すなわち契約形態なんですけれども、それは上下一体で民営化されておりました。また、他の国を回りますと、同じコンセッション契約でも上下分離されているものも発見いたしましたし、このほか、ある国の首都高に当たるものは、リース方式で上下分離で運営されておりました。
 以上のように、内外の事例も参考にさせていただきながら、道路管理権限一体、先ほどのフリーウエーの話に戻るのでございますけれども、道路管理権限の所在、あるいは、完全民営化されますと、次は固定資産税等々、税の問題が出てまいります。公租公課の問題、あるいは資金調達も、完全一体民営化でありますと、財投の方からお金を借りるというようなところに問題が生じるといったような問題、あるいは経営責任、効率性やサービスの観点からそれぞれメリット、デメリットがございますので、こういうものを、今御議論をいただいているこの法案が成立させていただいた曉に誕生いたします民営化推進委員会において幅広く議論される、そういうふうに考えているところでございます。
阪上委員 道路四公団にかわる民営会社を設立いたしたとしても、現在、道路四公団が抱えておる債務の継承額によっては、民営会社の設立当初からその経営に多大なリスクを負わせることとなり、事業運営の早期健全化は望めなくなるのではないかと思います。
 そこで、道路四公団が抱える債務をどのような割合で国、地方、民営会社に負担させるのが適当と考えられるのか、石原大臣にお伺いをいたします。
熊代副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 今御検討いただいております委員会においては、特殊法人等整理合理化計画に示された基本方針のもとで御検討いただくという制約があると思いますが、債務を確実に償還するための方策も含めて、新たな組織の採算性の確保等々、いろいろと多方面から御検討いただいて御意見をいただくということになっているところでございます。
 整理合理化計画は、先生御指摘のようにいろいろ書き分けてございまして、首都高速道路公団と阪神高速道路公団は国と地方でそれぞれやっておりますので、「役割分担の下、適切な費用負担を行う。」とか、それから、本四連絡橋公団については、「債務は、確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、」となっておりまして、「道路料金の活用も検討する。」非常に微妙に書き分けてもございます。
 採算性、大丈夫だろうかというお話もございますが、これが本委員会の基本的検討事項でございますので、先ほども申し上げましたように、いろいろな料金の徴収方法もあると思います。五十年後に必ず無料といえばかなり厳しい面もあるし、うんと安くして減価償却だけはずっといただこうというような考えもあるでしょうし、そういうことも含めまして、民営化された場合の経営の安全性というものも一番の大きな課題として御検討いただけるのではないかと考えているところでございます。
阪上委員 道路四公団を一括して民営化するか否かが今の段階では明らかではございませんが、本州四国連絡橋公団は巨額の負債を抱えており、このまま単体で民営化することはできないのではないかと考えております。この債務をすべて国の道路予算と関係地方自治体だけで肩がわりさせるということで大丈夫なのか、大変心配をいたしております。
 そこで、現在の債務を、他の三公団にも債務の一部を分担させるとか、今決定している以外の方法も考えるべきではないかと思いますが、石原大臣の見解をお伺いいたします。
熊代副大臣 これも私の方から答弁をさせていただきたいと思います。
 本四連絡橋公団につきましては、今申し上げましたように閣議決定がございまして、それについて確実に償還できる方策について委員会から御意見をいただくということでございますが、御指摘のように四つの公団を、例えばの話でございます、例えば一つのものとして考えれば、恐らく、全部足し算しますと、減価償却前でしょうけれども、キャッシュフローで八千億から七千億円のプラスのキャッシュフローがあるというようなことにもなりますし、一体的も一つの選択肢に入っておりましょうから、本四連絡橋公団だけを道路予算できっぱり整理して、それから一体にするとか、あるいは独立させるとか、いろいろなやり方があると思いますが、御指摘のような、本四連絡橋公団だけが、それの新しい民営化組織だけが極めて難しい、そういう状況にならないような御検討を必ずやいただけるのではないかと考えているところでございます。
阪上委員 最後に、民営化した会社の法人税、固定資産税などの減免を考慮すべきではないかということについて質問いたしたいと思います。
 現在、道路公団のキャッシュフローは八千億円だと言われております。これが民営化されますと、固定資産税が約四千から五千億円かかり、残る約三千億もその半分は法人税で、結局、最終利益は一千億程度になると言われております。このようにぎりぎりで採算がとれるような経営状態では、市場は簡単に資金調達に応じないと思います。
 民営化後の新たな組織が市場から受け入れられるようにするためには、思い切って法人税や固定資産税などの減免をすることを考えるべきだと思いますが、そのためにはどのような方策が必要とお考えか、お伺いをいたします。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました税の問題がどうなるかによって、実は組織形態もいろいろ変わってくるという要素をはらんでおります。
 国は、委員の御指摘のとおりフリーウエーというものが原則でありますけれども、今回、道路公団という公団を使って、あるいは本四架橋公団という公団を使ってつくってきた道路、高速道路、橋、さらにはこの組織形態を民営化するという新たな事態が発生したわけでございますので、その点も今御審議をいただいております民営化推進委員会の非常に重要な御審議のポイントになる、こんなふうに今段階では考えております。
阪上委員 終わります。
大畠委員長 これにて阪上君の質疑は終了いたしました。
 次に、福井照君。
福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。
 本日、私の方からは、今般の民営化につきまして、五十年後、百年後、この議事録を振り返ってみて、その目的、課題認識、必要性が明確に何人でも理解できるように、それを目的に御質問申し上げたいというふうに思います。
 といいますのは、私ども、帝国議会の議事録でこの日本のまちづくりの運命を学習することができたわけでございます。制度設計の最初の刷り込みで、我が国の行く末とか国民生活のありようとかが五十年後でも百年後でも規定されてしまうということでございます。
 例えば、帝国議会の最初の方で、明治の最初の方で、まちづくりを商工会議所が中心となってやるのか、あるいは市町村が中心となってやるのかということについて真剣に議論がなされました。結局、市町村が中心となってまちづくりをやっていこうということになりまして、長く長く産業政策とまちづくりとの連携に我が国は苦しむことになるわけであります。そして、明治二十二年になりまして、東京市区改正条例の議論になったときに、道路、河川、橋梁は根本である、もとなり、そして家屋、公園、下水道は末なりということで、そのスコープ・オブ・ワークでまちづくりをしたものですから、今でも住宅問題に苦しんでいる、今でも国民生活環境が劣悪であるということになっておるわけでございます。
 歴史は筋書きのないドラマというふうに言われておりますけれども、いや、そうじゃないんだ、筋書きから外れるドラマだと言う方が正しいという意見もございます。
 今、我が国の問題は、筋書きを書く人がいない、そして、筋書きから外れたときにそのリスクマネジメントをする人もいない、そして、そのリスクマネジメントを内包するシステムデザインをする人もいないというのが我が国の課題だということになります。今私たちは何をしているのかというと、この道路四公団の制度設計をしている。
 しかし、その制度設計というのはそういうことだと思います、筋書きを書かなければならない、そして、シナリオから外れたときにリスクマネジメントのシステムをその制度設計の中にあらかじめ組み入れておかなければならない、そういうことが肝要と考えますけれども、私の方から見まして、一方的かもしれませんが、この今般の議論は余りにもスタティックな分析に終始しまして、そして、そのためにスコープ・オブ・ワークがあいまいであるように思えてなりません。
 それで、石原大臣に、今般のこの五十年ぶりの制度設計において、その基本的な理念、考え方についてお伺いをしたいと思います。
 民営化ありきから議論が始まっておりますので、なぜ民営化しなければならないのか、従前の公団のどこがどういうふうに悪かったのか、組織やサービスの内容、道路のつくり方についてどこをどういうふうに修正しようとしているのか。五十年、百年、持続可能な制度を設けようとしている今、制度設計に当たっては、より一貫した論理性であるとか、あるいは透徹なる理念、理想であるとかがどうしても必要となると思いますけれども、その民営化に当たっての論理をお伺いしたいと思います。
 あいまいな論理で設計された制度というのは破壊されやすいですし、内部矛盾を生みますし、そして、何よりも時代をミスリードするということになりますので、改めて、何回も同じような質問があったかと思いますけれども、大臣から、今般のこのスコープ・オブ・ワークについて正確に御教示を賜りたいと思います。
石原国務大臣 福井委員にお答え申し上げたいと思います。
 大変示唆に富んだ御指摘であったと、まず率直に感想を持たせていただきました。すなわち、最初の制度設計が悪いと、また、大改革を行うその改革の方向性が悪いと、リスクが発生したときにそれを補強する、あるいはリスクをヘッジすることができない、そういうことがこの特殊法人改革、なかんずく道路公団等の改革で起こってはいけないということを痛感させていただいたところでございます。
 委員も民営化ありきというようなお話をされたわけでございますが、今般の特殊法人改革は、一昨年の行革大綱にのっとりまして議論がスタートいたしました。すなわち、道路公団も含めてでございますが、特殊法人というものの抱える問題点がどこにあるのか、そして時代の要請になぜこたえられなくなってきているのかというところにまず着目をしたわけでございます。
 これもこの委員会で再三再四御答弁させていただいておりますが、確認のために申しますと、やはり経営責任の不明確性あるいは事業運営の非効率性、不透明性、そして時代が変化しても組織、業務を自己増殖していくといったようなパブリックカンパニーの特殊性、また経営の自律性の欠如等々の問題点が指摘されてきたところでもあるわけでございます。
 特に道路公団につきましては、当委員会でかなり御議論になってまいりましたように、過大な交通量予測のもと償還計画を立てているのではないか、あるいは、将来の交通量、経済発展がこれからどれだけあるかによって左右されるんですけれども、本当に償還できるのかといったような問題点が指摘されてきたわけでございます。
 このような問題点を踏まえまして、特殊法人改革では、委員は先にありきだとおっしゃいましたけれども、小泉哲学は、民間に任せられることは民間に、地方にゆだねられることは地方にという原則に基づきまして、昨年の十二月に事務事業の徹底した見直しを行い、組織形態を変えるものは組織形態を変える、廃止が十七、民営化が四十五といったようなものを決めさせていただいたところでございます。
 さて、道路四公団については、何がでは変わるのかということでございますが、これらの改革が推進されることによりましてコスト意識の徹底というものが図られるということは言うまでもございませんし、それによって採算性を重視した事業経営が行われる等のメリットが考えられることはもう委員も御承知のことだと思います。ですから、道路公団は民営化を前提とし、国費を投入しないなどの基本方針のもと、新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について、実は現在議論をいただいておりますこの民営化推進委員会において検討して、具体的内容を平成十四年中にまとめるというようなことを決めさせていただいたわけでございます。
 この方針を踏まえまして、これからの新たなる組織は、経営の効率性や、そして忘れてならない利用者の利便性の向上、サービスの向上、これによりまして国民の皆様方がメリットを広く享受できるようにすることによりまして、本委員会におきまして、本委員会というのは民営化推進委員会でございますけれども、そこにおいて、ただいま委員が御指摘されました大変重要な、五十年ぶりというお話でございますけれども、この制度設計に当たり、新たな組織が採算性を確保し、債務を確実に償還できる方策について御意見をいただき、その意見を踏まえて政府として改革の具体化というものに取り組んでまいる、こんなふうに考えております。
福井委員 大変ありがとうございました。
 そして、一方、いわば被告席側といいましょうか、道路局長様から御教示をいただきたいと思いますけれども、今般のこの道路不要論、そして高速道路不要論に至ってしまったその理由について、みずからどのように総括し、反省されているかということについてお伺いしたいと思います。
 昭和二十九年から道路五カ年でずっとやってきたわけですけれども、まさに国民国家のためにやってきた自負があろうかと思いますけれども、なぜこのような事態に立ち至ってしまったのか。しかも、ガソリン税でありながら、車道だけじゃなくて、歩道も含むというふうにまず進化をして、そして駐車場まで道路特会でつくれるようにして、駅前広場も都市モノレールも新交通も、そして路面電車までその整備の対象が進化してきたのにもかかわらず、なぜこのような非難を浴びなければならないのか。みずからどのように総括されているか、まずお伺いをしたいと思います。
大石政府参考人 先生からは大変難しい御質問でございまして、どのようにお答えすればいいのか、なかなかわかりにくいというか、自分でも理解できないところがあるわけでございますが、一言で申しまして、私たちの陸上輸送といいますか道路交通というのを振り返ってみますと、正直、戦前戦後、それも高度経済成長が始まるまでは、我々の国はほとんど陸上輸送手段を持っていなかったと言っても過言ではないほどだったと思います。
 それが、昭和三十年代の経済成長に伴いましてモータリゼーションの爆発が起こると同時に、陸上輸送に人や物の輸送を頼る、そういう輸送形態が私たちの国も他の先進国並みに入ってきたということがあると思います。例えば、昭和二十年には十四万台でありました自動車保有台数は、三十年に九十万台、四十年に七百万台、五十年には二千万台を超える、そういう爆発があったわけでございます。
 このモータリゼーションの爆発に対応するための道路整備が非常に急がれるということになったわけでございますが、先ほど申しましたように、車両交通時代を全く経験していなかった私たちの国が、都市や国土の装置として道路というイクイップメントというものを全く持っていなかったということが背景にございます。そのために、道路特定財源制度や有料道路制度を導入いたしまして道路整備を着実に進めてきたところでございますが、一つの反省といたしましては、その後、今日に至りますまで、道路整備を進めてきましたその重点の移り変わりというものが国民の皆様方には大変わかりにくくなっているのではないか。昭和三十年ごろから今日に至るまで、四十年を経過してなお道路整備が最重点だというのはどういうことなんだというような御疑問があるんだろうと思います。
 しかしそれは、例えば、昭和三十年代、四十年代には全く車が入ってこなかった道路空間に車が入ってくることによって、ほこりが上がったりわだち掘れができたりしてどうしようもない、舗装を早くしてくれということで、舗装率というもので道路整備を図るという時代がございました。その後に、大型車がすれ違えないではないかというようなことで、道路がどの程度改良されたかということで、改良率で道路整備の指標を見るというような時代もございました。しかし、混雑しておったのではどうしようもないじゃないかということで、混雑の概念を入れて、整備率というような考え方で説明してきたわけであります。
 その都度その都度、時代の要請に応じて道路の重点的な整備の目標というのは変わってきたんですが、それがなかなか多くの方々に御理解いただけておらず、ただ三十年ごろから今日に至りますまで道路をつくり続けているといったような御批判になっているのではないかというように思います。
 しかし、今日、トンベースで申しまして物流の九〇%を車が担う、そういう状況になりましたから、今後は、それぞれのところの交通渋滞やあるいは交通安全といったような隘路打開という考え方から、都市の基本構造を規定する、例えば東京で申しますと三環状といったようなことを言っておりますが、それぞれの交通渋滞箇所を解消するのではなくて、東京なら東京という町を、災害や大事故からリダンダンシーやあるいはフレキシビリティーに富んだ都市構造に変えていく。これは他の地方都市等でも同じでありますが、そういったようなことや、国土を縦貫する道路を補完する形で横断道路を入れるというようなことで、国土全体が非常に使いやすくなるといったような、国土の装置といいますか、あるいは都市の装置といいますか、そういう基本構造を規定する道路というものに重点を移してきたわけであります。
 そういったことを御理解いただく、その手段として有料道路を使っているんだということ、あるいは高速道路がその最も最強最大のツールであるといったようなことを御理解いただくための努力が十分であったかという反省はあるわけでございます。
 したがって、今日そういう努力が、例えば地方部の交通量が少ない区間で道路をつくり続けているのではないかとか、あるいは道路に効率性の概念、透明性の概念というのが不足しているのではないだろうかとか、あるいは有料道路の料金というのが高過ぎるのではないかといったようなこと等々に批判が寄せられているのではないかというように承知いたしておりまして、今後も道路の重点を、国民のニーズや利用者のニーズを的確に反映しながら、日本経済の活力の増進という観点から、それぞれ必要な道路を重点的かつ効率的に進めていくことが必要だなと考えているところでございます。
福井委員 ありがとうございました。
 私も、初めて選挙をやらせていただいたときに、道路づくり、まちづくり、あるいは補助金というのが国民に広く一般的に、ポジティブに受け入れられているものと思い込んでおりましたけれども、これは全く逆でございまして、びっくりしたような経験もありますので、国民への受け入れということでPIもやっておるわけでございますけれども、さらにまた大きな御努力をお願い申し上げたいと思います。
 今、今後の展望の方向もちょっと御答弁いただきましたので、次に藤井総裁から、同じ質問で、従来の道路行政、そして道路公団自体もいろいろ言われているということで、道路公団を引っ張っておられるお立場として、どのように今までの非難、いわれなき批判を総括し、反省をされているかということについてお伺いしたいと思います。
 特に、CS経営ということで、カスタマー、お客様意識ということも、行政機関でございますけれども職員に徹底されておられましたのに、何でお客様意識だとか民営化だとか言われなければならないのか。それはサービスエリアかあるいはゲートに限られるものなのか、それとも組織全体なのか。今、あらゆる会社で、レーヤーといいましょうか、現場からトップまでの層の数をどんどん減らそうとしていて、今までは判こを二十個ぐらい押さなければならなかった組織を、もう二、三個でトップまで行くというような組織に変えようとしている。そういうIT社会下における組織にひょっとしたらマッチしていなかったのではないか。
 いろいろな論点があろうかと思いますけれども、総合的に、今までの総括と、そして今後の展望をお聞かせいただきたいと思います。
藤井参考人 御説明いたします。
 昨日で、道路公団、四十六年目を迎えました。四十六周年でございます。
 御承知のように、昭和三十年代は道路そのものが非常に悪うございました。その時代に年間の道路投資総額が約七百億円、そして昭和三十一年で特定財源が三百四十億円の時代でございました。そのときに、東名、名神の計画を国が立てましたが、これが約四千二百億円。地方を含めて、国のすべての道路投資が七百億円の時代に四千四百億円の東名、名神の計画を立てた。これは、諸外国からのいろいろな指摘もありました。
 そういう状態の中で、かつ、その当時の道路というのは国が全部直轄でつくっておりました。ですから、直轄事業しかありません。直営事業でございます。その時代に、請負方式を前提として高速道路を思い切ってつくっていく。法律としても、国から、こういう公団法等々をつくり、特別措置法をつくって違った主体にやらせる。恐らく、昭和三十一年は革命的、画期的方策だったと思います。言ってみれば、現代流に言えばPFIといったような思想がその当時の道路公団だったと思います。
 そのときに、名神が栗東―尼崎間が開通したときに料金が九・五円でございました。現在二十四円六十銭、こういうことでございます。私ども、今は七千キロに及び、保有台数も七千三百万台ぐらいということで、四百二万台が現在一年間に高速道路を使っていただいております。
 こういう状態の中で、ちょうど四十五、六年もたちますといろいろな意味でのあかがたまってまいります。今までは、どちらかというと供給する側の論理で、足りないからつくってあげるんだ、提供するんだ、こういうような視点からの組織の運営や事業の運営がなされてきたと思います。しかしこの数年では、つくる側の論理じゃなくて使う側からの論理、使う側からの物の見方で見直さなきゃいけない、こういうことになっておりまして、私どもも、内部に経営改善委員会というのを平成六年からつくっております。
 この中で幅広く議論をしておりまして、例えば、現時点でいいますと、関連法人であるとかいわゆる子会社と言われているような、いろいろなアウトソーシングした結果生み出されているものも、この委員会で、つい先週行いましたけれども、集中的に部会をつくって自主的に見直しをしよう、こういう動きになってきております。というぐあいに、目線を利用者、国民に移した形の事業に今一生懸命展開を始めているところでございます。
 そういう意味で、我々は、順番がまず東京―大阪間というところから始まって、東北道、そして九州道と展開してきたわけですが、我が国の人口の配分状況から見てもまだまだ考えなきゃいけない地域がございます。そういうものを、国費の少ない中でどのように道路公団という有料道路制度を活用するか、そういう視点は今後とも弱まることはないと思っておりますので、大いに私どもとしても努めてまいりたい、かように思っております。
福井委員 ありがとうございました。
 今、道路局長あるいは藤井総裁から、道路づくりを通して国民生活が向上するように、そして、百年後の子供や孫のための仕事をしているという高い志の御紹介があったわけです。今のような御答弁を聞かれまして、熊代副大臣から改めまして、冒頭石原大臣からスコープ・オブ・ワークについて御紹介をいただいたわけでございますけれども、何点かに分けて御紹介をいただきたいと思います。いわば被告席側がそのような改革の途上にあったということ、そして高い志を持っていたということを踏まえて、以下の点について教えていただきたいと思います。
 まず、今度の委員会の委員の方を選ぶときの人選の基準とでもいいましょうか、クライテリアとでもいいましょうか、そういったもの。そして、その委員会の審議を進めていく上で、地方の住民の声を含めて国民の声がどのように総合的に反映されるのか。そして、改めまして、質問のグレードは低いですけれども、個別の路線をつくるつくらないということは今回の委員会の議論の範疇に含まれないと思いますけれども、それで正しいのかどうか。以上三点について、簡単にお伺いをしたいと思います。
熊代副大臣 日本の高速道路が大変高い志で整備されてきたという御答弁がございまして、私も全くそのとおりだと思います。大変に利便を向上させたというふうに思います。今、その方式をさらによりよいものにできないかということで見直しているところだというふうに思います。それをお願いするのがこの委員会だということでございます。
 委員の人選の基準については、本委員会でも何度も御答弁がございましたけれども、民営化ということを前提としておりますから、すぐれた識見を有す方々を選ぶわけでございますけれども、改革意欲に富む、国家国民的視点に立って、特定分野及び利害に偏することなく公正な判断を得る方々ということでございますので、これまで大変に成果を上げてきたシステムをさらによりよいものにしようということでございますから、本当に広い視野と柔軟な物の考え方ができる方々を選任すべきではないかというふうに考えているところでございます。
 それから、第三点でございます。個別路線についてのお話でございますが、個別路線をどうするかというのは、これは御承知のように、国幹審で御検討いただきまして、国交大臣がそれを勘案しつつ、政府一体で定めるということでございます。本委員会の方は、採算のあり方とか基本的な、いろいろな新しい形態のあり方がございましょうから、そのあり方の原理原則を定めていただきまして、その原理原則に従って国幹審の方は御検討いただくということだと思いますので、個々具体的な路線というのは国幹審、そして国交大臣、そして政府一体としての決定、そういうことになろうかというふうに考えているところでございます。
福井委員 ありがとうございました。
 もう一問、熊代副大臣から教えていただきたいと思います。
 国費の投入でございますが、今般、道路公団に国費はなしにするということでございますけれども、しかし、首都高、阪高についてもそうかというと、そうじゃなくて、やはり地域も含めて自己資本が注入されているわけです。なぜ道路公団だけなのかということについて、冒頭石原大臣から御答弁がありましたような、その論理性がどうしてもわからないのです。
 今は、右か左か、左翼か右翼かという時代の対立軸じゃなくて、個別か総合か、あるいは個別か全体か、そういう時代の対立軸かというふうに私自身は認識しておりますけれども、この道路公団国費注入ゼロというのは、ありていに言えば、どうしても財務省主計局の個別の論理ではないかというような気がしてしようがないんです。道路公団だけ国費ゼロという、その理由について熊代副大臣から御紹介いただきたいと思います。
熊代副大臣 これはもう先生大変にお詳しく、よく御存じの上での御質問でございますから、なかなかお答えするのも難しいわけでございますけれども、日本道路公団だけが地方の出資がない、国のみが単独でやっているということでございますから、直ちにこの段階で三千億円出しておりましたのを切ることが可能であるということが一つの理由ではないかというふうに思います。現在の状況でも八千億のプラスのキャッシュフローもございますので、これを新しい形態のもとで考えていけば、新しい形態に国庫がなくてやっていけるのではないかという判断があったのではないか、これはあくまで推測でございますけれども、私の方はそのように理解させていただいております。
 それから、首都高速道路公団とか阪神高速道路公団は、これも御承知のとおり、国と地方が一対一で出資しているということでございますので、国の一存で即断できるというものではないだろうということでございます。建設工事が終了しまして供用される段階で、実際にかかった建設費を回収する形で償還計画を立てて、その上で料金収入等を設定している、そういうスキームの差がありまして、この瞬間に閣議決定するというんじゃなくて、国と地方との協力関係というものを総合的に考えながらこの委員会でスキームを考えていただきたい、そういう趣旨で書き分けてあるんだというふうに理解しているところでございます。
福井委員 同じことを道路局長から国土交通省の見解をお伺いしたいのと、ちょっと時間が迫っておりますので、その質問ともう一問、二問について最後にお答えをいただきたいと思います。
 第二東名が矢面に立っておりまして、一キロ当たり高いじゃないかということですけれども、私がまだぺいぺいのときに藤井局長とか藤井事務次官から聞いたときは、第二東名というのは、橋梁、トンネルで絶対に渋滞が起こらないように、一般部と同じような空間を道路橋梁もトンネルも用意するんだ、絶対に渋滞が起こらないのだ。あるいは新物流システム、自動運転システムのトラックで物流をさせるんだ、あるいは乗用車においても、もうハンドルを放して自動誘導システムになるんだということで、まさに夢の交通システム、夢の交通手段としての第二東名というのがこの日本に提起されて、そして私たちは、ファンタスティックだ、まさに将来の生活像はファンタジーだというふうに思ったわけですけれども、なぜか今般の議論はブルーな議論なので、閉じ込められるような議論が多いものですから、そういった新しい、夢のあるような技術、特に、ETCはもう始まっておりますし、IT社会における人と車と道路とが一体となって三位一体の進化を遂げようとしていることも何か忘れられようとしている。国民の議論にはのらなくなっている。というようなことで、小泉構造改革の向こうにある望ましい社会像とか人生像とか国民生活像を現実とするためには、どうしても道路というのは必要なインフラストラクチャーである、生活のインフラストラクチャーであるという志を私たちは持っていたはずなんですけれども、今はそういう議論がなされませんので、もう一度、私たちのこの委員会の共通認識として持つために、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
 最初の問いは今の道路公団の国費問題ということで、二問、共通してお答えをいただきたいと思います。
大石政府参考人 道路公団の国費不投入の理由、考え方につきましては、私どもも先ほど熊代副大臣から御答弁されましたような認識と同じでございます。
 後段の方、ITS技術等、将来への夢のある技術開発についてのお尋ねでございます。
 ITSは、御承知のとおり、我が国とヨーロッパとアメリカとが大技術競争をやっております。これは、ITSの導入によりまして自動車のつくり方が変わってしまう、車の概念が変わるといったような技術でございまして、これのデファクトスタンダードのようなものをどの国がとるのかというのが極めて重要でございます。間違えますと私たちの国の自動車戦略が大きく変わってくるというような大きな背景もあると思います。
 現に、ETCは世界で最も進んだ技術を導入いたしましたが、このETCで用いられております通信システムは、我が国のスタンダードが世界のスタンダードに採用されることになりました。これは実証フィールドが私たちの世界にあったからできたわけでございまして、ただ机上の、実験室の研究だけですと、これが世界のスタンダードになるということはなかったというように思います。このような部分がこのITS技術の中には多く含まれておりまして、そういった観点から、私たちが第二東名等を実証フィールドとしながら、我が国の中で、車のつくり方、道路のつくり方が変わっていく技術を、世界のスタンダードとして採用される意味でも急ぐ必要があると考えてございます。
 もう一つは、かねがね思っておるわけでございますが、欧米の道路事情を見ますと、例えばアメリカの高速道路は、片側四車線、六車線といったような道路が走ってございますが、我が国は、国土の制約上、そのような高速道路は絶対と言っていいほどできません。私たちが持っております高速道路は最大で片側三車線でございます。
 そうなりますと、この空間をより効率的に、高度に、高いデンシティーで使わなければならないという条件があるわけでございます。そうなりますと、AHSといいますような安全を支援する走行支援道路システムといったようなものを導入することによって、たとえ車間距離が短くても安全に運転できるとか、あるいは環境問題を起こさないといったような技術の導入はどうしても必要でございます。そのような技術を導入する意味でも、ITSの研究開発あるいは実証実験、あるいは具体の導入を急ぐ必要があると考えてございまして、これによりまして、より環境に優しい、より安全で多くの方々が道路を利用しやすい、そういう道路交通環境が実現するのではと考えているところでございます。
福井委員 以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
大畠委員長 これにて福井君の質疑は終了いたしました。
 次に、永田寿康君。
永田委員 おはようございます。民主党の永田寿康でございます。
 まず、大きな柱から石原大臣にお伺いをしたいと思います。
 ぜひ初心に返っていただきたいんです。去年の今ごろ誕生した小泉内閣発足以来、構造改革、構造改革と内閣全員のメンバーが呪文のようにお唱えになってまいりましたが、一向にこれは進まない。そして、今回の道路関係四法人の民営化についても、小泉総理みずから最重要項目と位置づけ、力を入れてやっているにもかかわらず、その実が上がるとはとても思えないこの第三者機関の設置、私は大変悲しい思いがあります。私個人も最初は、石原大臣の行政改革に対する意気込みを見ながら、大変期待をしておりました。しかし、残念ながら事ここに至って、もう一度、鳩山代表が小泉総理に申し上げたように、私も言わなければなりません。ぜひ初心にお返りいただいて、そして行政改革をみずからの手で断行していただきたい、このように思う次第であります。
 その思いで、一つ最初に御質問申し上げます。
 この最重要項目であるところの道路関係四法人の民営化、この第三者機関の設置ですね、なぜこれを第三者機関に丸投げをしたのか。小泉内閣みずからやるのではなく、第三者機関に丸投げをしたその意味はどういうところにあるのか、教えてください。
石原国務大臣 冒頭、辛口の御指摘をちょうだいしたわけでございますが、行政改革、特殊法人改革に返る初心というものに、私も総理同様、何ら変化というものはございません。
 そして、ただいま委員は第三者機関への丸投げという御表現を使われたわけでございますが、なぜ第三者機関をつくるのかということをぜひ御理解いただきたい。
 すなわち、道路公団の改革においては、民営化を前提として国費を投入しない、三千億円の国費です、そして償還期限を五十年を上限として短縮を目指すという基本方針を決めて、この基本方針のもとに、だれが見ても公正、公平、そして的確に物事を具体化していくために客観的、合理的な判断をしていただくということで、第三者の機関というもの、すなわち、ただいま御議論をいただいております道路関係四公団民営化推進委員会を設置するということを決めさせていただいたわけでございます。
 この民営化推進委員会が設立された後には、さまざまな角度から御議論をいただいて、国民のために資する提言というものをいただき、それを政府としては最大限尊重して道路四公団の改革の具体化にこれからも取り組んでまいりたい、その取り組みの結果、今委員が御疑念を抱いているようなものにお答えさせていただきたいと考えているところでございます。
永田委員 要約をいたしますれば、内閣みずからこの改革をすることなくなぜ第三者機関に丸投げをするのかという私からの質問に対して、ポイントとしては、客観的、合理的な提言をいただいて、そして国民の利益に資する改革を進めるためだ、このような答弁だったと思います。
 ということは、内閣みずからやったら、客観的、合理的な改革はできずに、そして国民の利益に資する改革はできない、このようにお認めになるわけですね。御感想をお願いします。
石原国務大臣 人間でございますので、思っていることを自分の言葉で話すわけでございます。その言葉をどういうふうにとらえるかというのも、また人間である永田委員がお感じになるということに尽きるのではないかと感想を持っております。
永田委員 もう一度お伺いしますが、内閣みずからやったのでは、客観的、合理的意見をもって国民の利益に資する改革はできないんですか、それともできるんですか。
石原国務大臣 もう既に御答弁をさせていただきましたように、道路公団は民営化をするということを内閣で決定をいたしました。そして、国費を投入しない、償還期限についても五十年を上限としてその短縮を示すというこれまでだれもが考えなかったような大方針を内閣で決めたということにおいては、内閣において物事が決まるということを証左しているのではないかと考えております。
永田委員 これまでだれにも考えつかなかったような方針を決定した、民営化と三千億円の国費投入の停止、これが内閣のなし得る最大限のことであって、そこから先のことは客観的にも合理的にもまともなことは言えない、そして国民の利益に資するようなこともできない、このようにお認めいただいているんですか。ちゃんとこれは答えてください。委員長も、ぜひ、ちゃんと質問に答えているかどうか、注意をしながら大臣の答弁を見てください。
石原国務大臣 委員にも御理解をいただきたいのは、これだけのことを内閣で決めて、第三者から見て、第三者というのは国民ですね、国民から見ていかに客観的そして合理的、そしてさっき国民の利便に資するという表現を使わせていただきましたけれども、そういうものを決めるには、第三者機関において審議をいただくということがベストであると内閣で決めたことでございます。
永田委員 二つのことを申し上げなければなりません。
 内閣みずからがやるときよりも第三者機関がやる方がよりベストである、こういうお答えですから、これは内閣の機能というものを随分疑わなければならない、こういうような感想を私は持ちます。
 もう一つは、やはり国民の目から見て満足のいく改革ができるかどうか、国民の目から見て国民の利益に資するものになっているかどうか、これを決めるのは、つまり国民だと思います。それで、国民の代表というのはだれでしょうか。憲法に書いてありますね。国会議員ではありませんか。なぜ国会で議論することなく、特に今回の委員会の人事は、国会の同意人事になっていません。やはり私は、こういう大改革をする、そして国民の利益に資するということを第一になさるのであれば、まずもって改革そのものを国会で議論するべきだと思うんですが、なぜ今回第三者機関を設置したのか、改めてこの観点からの御答弁をお願いします。
石原国務大臣 お答えいたします。
 国会で議論をするということにおいては、もう既に永田委員と私のところで議論がなされておりますように、国会で議論をされているのだと思います。また、このほかの委員会でも、この点につきましては、さまざまなところで御議論がなされているものと考えております。
 そして、先ほど来の御指摘でございますが、なぜ第三者機関にゆだねたのかということでございますが、先ほど来の御答弁を繰り返して恐縮でございますが、より客観的に、具体的に政策を具体化していく上で、この第三者機関というものを採用する方法に利点があると考えたからでございます。
 その点について、委員と考えに差異があるということは認めざるを得ません。
永田委員 私たちは国民の代表です。国民の利益と意見を代弁しています。ですから、私の意見と大臣の意見に差があるならば、ぜひ大臣の座をおりていただきたい。私たちが国民の代表としてもう一回大臣と内閣を選びますから、ぜひおやめいただきたい。
 そして、先ほどから繰り返し御答弁なさっていますが、客観性、合理性というものを大変重要視していらっしゃるようですが、では、逆の観点から見てみましょう。なぜ第三者機関にゆだねると客観性、合理性がほかの手段に比べてより高く保たれるんですか。それはなぜですか。
石原国務大臣 これは、現在御議論をいただいておりますこの法律案、すなわち民営化推進委員会が策定されて、総理のお言葉をかりますと改革意欲に富んだ方々、一党一派に属することなく国民の利益を追求されるという方々が御判断をいただくからということに資するのではないかと考えております。
 そして、委員は第三者機関そのものを否定されているようでございますが、この第三者機関というものの利点はこれまでも実証されておりますし、これからも活用するということはあるのではないかと私は考えているところでございます。
永田委員 このような答弁が、今までの自民党政権と何ら変わらぬ意思決定過程、そして行政システムを認めているということを如実にあらわしているわけであります。
 いいですか、大臣、よく聞いてください。大臣はよくタウンミーティングなさいましたね。全国各地で開かれたタウンミーティングで国民の意見を吸い上げる、このようなことをやっていました。冗談じゃありません。国民の代表は国会議員です。まず国会議員の意見を聞いてください。
 国民の意見を聞くのは結構ですよ。だけれども、重要なことはまず国会で話し合いをしてください。そして、そういう国会とは離れた世界で、あるいはやみに隠れた、議事録も果たして公開されるかどうかもわからないような第三者機関の設置、ここで議論されていることが行政の判断に重要な影響を与える、このようなことが国民から政治を遠ざけているんです。国民が、政治って遠いものだなと感じてしまうその原因になっているのがまさにこのシステムなんですよ。
 最近、問題になっているのは、事前審査制ですね、与党の法案、予算等の事前審査制。これだって、事前審査というのは部会の中で、自民党、与党の中で、どんな議論がなされるかわかりませんけれども、そういうことはぜひ国会でやっていただきたいです。議事録もない、公開でもない、憲法上の位置づけもあいまいなこの第三者機関あるいはこの事前審査制における部会の議論、タウンミーティング、何でこんなものに政府の政策が左右されて国会議員の意見を聞くことができないのか、僕には全然理解できないのです。そういうところが国民の目から見て政治を遠いものと感じさせる一つの大きな原因になっている。これはお認めになった方がいいと思います。
 それで、この第三者機関の設置、これをこれからも続けていくというふうにお話しになるのであれば、これからもそういうやみに隠れたところで勝手に重要なことが決まっていく、この政治システムをこれからも続けていく、このように宣言なさっているのと同様だと思いますが、この小泉内閣の聖域なき構造改革の中には、その政治システムを変えるという行政改革ということは含まれないのですか。お答えいただきたいと思います。
石原国務大臣 先ほどから永田委員の御議論を聞かせていただきまして、どうも私が永田委員の御主張をこういうふうに理解せざるを得ないのは、野党の私たちの意見が国民の意見を代表しているので我々の言うことを聞けと委員の発言は聞こえてならないわけでございます。
 私は、第三者機関というものは、やはり総理が申しておりますように、その人選において、まだ委員会が通っておりませんのでどういう方が委員になられるかはわかりませんけれども、この第三者機関が持つメリットというものは今回のような改革では非常に意味があるのではないかと私は考えているところでございます。
永田委員 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 私の質問は、国会で重要なことを議論してくださいというふうに申し上げているのは、それは野党の意見を聞けと言っているんじゃないのです。与党の部会の中で話し合われていることも国会の中でやってください、このように言っているわけであって、結果として与党と野党の意見をちゃんと聞いて政府がその政策に反映させていけば何も構わないのですよ。別に僕らの意見を反映させてくれというふうに言っているわけじゃないのです。だから、そこのところは正確に理解をしてください。
 そして、なおかつ、石原大臣、ちゃんと私の目を見てお話を聞いていただきたいのですが、国会の存在というものを正確に理解してください。国会というのは野党のためにあるんです。なぜだかわかりますか。それは、与党の動きというか政府の動きをチェックするための機関として国会というのがあるのであって、たとえ、日本の議院内閣制を前提として、与党が国会の過半数を占めている現状で内閣を構成している場合であっても、それであっても野党の意見をわざわざ聞くために国会というのは開かれるんです。
 与党が過半数を占めているから、だから野党の意見など聞く必要はないのだという態度をとるのであれば、国会なんて要らないのです。首班指名が終わった瞬間に内閣を組閣して、その後ずっと国会を開かずに全部与党と政府で物事を決めていけば済んでしまうんですよ。わざわざそうならないように国会というシステムを、国会を開いて与党それから政府の動きをチェックするという制度をとっているというのは、これは三権分立の考え方に基づいているわけであって、当然野党の意見をちゃんと聞くということにあるわけですよ。ですから、国会というのは、むしろ与党よりは野党のためにあるんです。しかし、それだけではなくて、やはり与党の意見もしっかり議事録に残して、公開の場でやっていただきたい。そのような思いで、私は、ぜひ事前審査制もやめていただきたいし、第三者機関というような国会とは離れた存在というものをこれからは余り活用せずに、しっかり国会で活発な議論を行うことによって行政改革を進めていただきたい、このように思っているわけでありまして、ぜひ石原大臣には私の意見を正確に理解していただきたい、このように思うわけであります。
 どうぞ、御意見があればおっしゃってください。
石原国務大臣 永田委員の意見は、国会は野党のためにある、そして与党の事前承認制を廃止しろという二点に尽きていると思うんですが、政府、内閣が決めるものに対しての監視または意見具申というものは与党の役割にもあるわけでございます。そしてまた、第三者でありますメディアというものも、この内閣の決定、権力を持っているわけでございますので、権力の横暴というものを許さないということでメディアが存在する。
 どうも委員の議論を聞いておりますと、野党がすべてであるというふうに聞こえてならないわけでございます。これは私の感想でございますので、委員の御見解とに相違があるということはいたし方ないものではないかと考えているところでございます。
永田委員 国会は野党が与党をチェックするためにあるんだという、このポイントだけぜひ理解していただきたいということで、これ以上の話はとりあえずとめておきます。
 一方で、この第三者機関、これからどういう高速道路の路線を引いていくか、あるいはどれを停止するか、こういうことも決定する権限があるようでございます。果たして、この第三者機関の提言と国土交通大臣の意見が異なった場合には、どちらを優先するんですか。お答えいただきたいと思います。
大畠委員長 先ほど、永田委員の御質問の言葉の中に不適当な箇所があるんじゃないかということが、与党の筆頭理事から委員長にお話がありました。野党の理事ともお話ししましたが、速記録を調べて、理事会においてこのことについては協議の上、処置することとしたいと思います。
 なお、委員におかれましては、いろいろと政策問題について論議することは大変重要だと思いますが、ひとつ冷静に、言葉を選びながら、ここは委員会の場でございますので、そういうことを踏まえて御質疑を続けていただきたいと思います。
永田委員 委員長、今のお話について、一つ委員長に申し上げたいことがございます。
 私の言葉遣いに不適切な部分があれば、理事会でどのように議事録を修正していただいても構いません。それはお任せします。
 しかし、今、言葉遣いを選んでというふうに委員長おっしゃいましたけれども、国会議員の発言というものは、国会の外では一切その内容を犯罪に問われない、一切責任を問われないという憲法上の位置づけもあるぐらい、自由な発言が許されているんです。ですから、委員長が私に、あるいは、最近は大臣とかあるいは一部の議員があのような質問はするべきではないというような話をすることが多々見られますけれども、国会議員の発言というものは極めて自由なものですから、ぜひそのような制限は加えないように、今後はそのような指摘がないようにお願いします。
 ただし、理事会があの発言は不適当だったというふうにおっしゃるんであれば、それは、国会のお話ですから、理事会にお任せをいたします。
 以上です。
 大臣、先ほどの質問に対して答弁をお願いします。
大畠委員長 それでは議事を続けますが、これはどなたに質問ですか、先ほどのは。
永田委員 先ほどの、第三者機関の意見と国土交通省の大臣の意見が異なった場合にはどちらを優先するのかという質問に対して、答弁をお願いします。
熊代副大臣 私の方から答弁をさせていただきたいと思います。
 繰り返し本委員会で答弁申し上げていることでございますけれども、今御提案を申し上げている委員会の方は、採算性とか組織形態のあり方とか、今後どういうふうにしていくかということについての、非常にある意味で哲学的でもございましょうし、ある意味で大きな枠組みを決めるものでございましょうし、その原理原則に従って国幹審の方は個別具体的な道路を御審議いただく、その建設をするかしないかですね、そういうことでございますので、原理原則を提示するこの委員会とそれから国幹審、そしてそれを受けての国交大臣の御決定も、それは総理も含めまして政府全体で決定するわけでございますので、論理的にも矛盾する決定があるというふうには考えていないところでございます。
大畠委員長 ちょっと永田委員、質問の前に。
 先ほど永田委員の方から、委員会では委員というのは自由に発言していいんだということでありますが、基本的にはそうだと思うんですが、国会法の百十九条において、「各議院において、無礼の言を用い、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」という規定もございますので、そういうことを踏まえて御質問をお願いします。
永田委員 法律に従った発言に気をつけたいと思います。
 さて、副大臣、それはおかしな発言だったと思いますよ。
 やはり今回の委員会というのは、内閣総理大臣または内閣総理大臣を通じて各行政府の長に対して意見を勧告することができる、このような話になっていますね。意見を勧告するわけですよ。
 そこは、第三者機関ですから、公平、中立、客観性というものを考えれば、当然さまざまな意見が出てくる可能性がある。いろいろな意見が出てくる可能性があるわけですよ。そこで国土交通省の意見と異なる可能性は十分にあるわけですよ。それは、内閣全体としてという話ではなくて、第三者機関というのは、これは内閣の一部を形成するものではありますが、中立性、公平性、客観性を極めて重視した存在でありますから、当然国土交通省の意見と話が違うことがあり得るわけですよ。その場合にどうするんですかというお話をしているんです。
 ぜひお答えをいただきたいと思います。理論的にはあり得る話ですからね、これは。
熊代副大臣 先ほど国幹審と申し上げたんですが、国幹会議でございますので、訂正させていただきたいと思います。
 申し上げましたように、この御提案申し上げている委員会の方は原理原則を定めるわけでございまして、それで意見を言うということでございますので、原理原則に従わないで国幹会議の方が別の結論を出す、それはオーバーラップしておりませんので、原理原則と個別路線の決定ですから。しかし、実際に原理原則を適用してみれば、その個別の路線の決定は間違っていたというのは理論的には可能性としてあり得ることでございますけれども、当然この委員会の提言を尊重して国幹会議の方も御審議いただきますでしょうし、そしてまた、国交大臣、総理大臣も含めて政府全体での決定でございましょうから、基本的にはそういう事態には、理論的可能性はございますが、実際にはないのだろうというふうに考えるところでございます。
永田委員 これはまたおかしなことをおっしゃる。
 これは法の要綱ですけれども、「委員会は、一の意見」、つまり例の意見、提言ですね、「一の意見を受けて講ぜられる施策の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣等に勧告するものとする」と。
 結局、施策の実施状況を監視して、それがうまくいっていないときには、つまり、国土交通大臣等の関係行政機関の長がその勧告をちゃんと尊重していない、あるいは実施していないというふうに認められるときには、これは「内閣総理大臣等に勧告するものとすること。」と書いてあるじゃないですか。つまり、理論的には、国土交通大臣がこの勧告に従わなかったり、あるいはサボタージュをしてその勧告どおりに実施をしなかったりということは認めているわけですよ、この法律は。そのときにどうするんですかというお話をしているんです。
 ぜひそのことを踏まえて、もしも本当に内閣全体として委員会が決めた原理原則を当然国土交通省は実施していくものと期待しているのであれば、この条文は要らないんですよ。そごを来すことがないということですから、この条文は要らないんです。何でこんな文章が入っているんですか。ぜひその観点からお答えをお願いします。
熊代副大臣 御答弁申し上げたことは、理論的可能性として、それはそごすることはあり得るだろうということですから、現実問題としては、政府が全体として決めることであるから、基本的にはそういうことはないだろうということでございますが、確かに、監視機能といいますか、いろいろグレーゾーンもありましょうから、それからまた、本当に理論的可能性を、それは普通は考えられないことですが、ずばり違うように定めるということもありましょうから、それと、それからグレーゾーンのこともございますので、今後にわたってこの委員会はこれを監視していく、こういう機能を付与されているということだというふうに理解しております。
永田委員 石原大臣、どうですか、お聞きになっていて。僕は、どうも国土交通省というのは石原大臣がお考えになっているようなこととは大分違うことをお考えになっているような気がするんですよ。
 すなわち、石原大臣は、この第三者機関の設置、委員会の設置というものについて、客観性、効率性、そして国民の利便に資するという視点を重要視しておられるというお話ですが、それは要するに、内閣でやったのではできないから、内閣でやるよりも第三者機関を設置した方が、客観性、効率性、国民への利便に資する観点からよりよい提言ができるから、こういう理由だったと思います。
 しかし、今の副大臣のお話では、その提言を受けて、国土交通省はちゃんとその原理原則に従った決定を、あるいは行動をとるべきである、とるはずであるということを期待している、このようなお話であります。であるならば、そもそも第三者機関なんか設置せずに、国土交通省がみずから単独で、客観性、合理性を持って国民の利便に資する形で交通ネットワークの形成に尽力すればいいんですよ。
 なぜそれができないのかということを考えたときに、第三者機関の設置だったわけでしょう。だから、それを考えると、国土交通大臣はどうも第三者機関の位置づけというものを少し誤解しているように思われるんですが、大臣、いかがですか。
石原国務大臣 熊代副大臣は内閣府の副大臣でございますので、国交副大臣としての御答弁ではございません。
 くどいようなんですけれども、高速自動車国道の個別路線の整備というものは、今御審議をいただいています民営化推進委員会の意見を踏まえて、意見を踏まえるということは、先ほども議論になりましたが、尊重して、高速自動車国道法に基づいて国土交通大臣が国幹会議にかけて議を経る、これは道路の法律で決まっておりますので、政府として最終的に決定するわけですね。
 政府というときに、内閣府、総理大臣の意思というものが大きく部分を占めるわけでございますので、今委員が御指摘されたような事態は調整されて、委員が御指摘されたような御懸念は発生しないと考えております。
永田委員 そうですね。熊代さんはたしか内閣府の副大臣ですね。
 では、佐藤副大臣にお伺いしましょう。
 今までのお話でよろしいわけですか。つまり、国土交通大臣とこの委員会の意見が異なるということは基本的にはあり得ないというお話ですが、仮に異なった場合にはどうなるのかということは、国土交通省としてはどういうふうに理解していますか。
佐藤副大臣 国土交通省といたしましては、第三者機関、推進委員会の決められたこと、決められた基本に沿って、私どもは国幹会議の議を経て着実に推進をしていく、そういう役割であります。ですから、与えられた意見に着実に、誠実に守っていきたい、そう思っております。
永田委員 与えられた意見に誠実に、着実に守っていきたい、こういうことですよね。僕も、きのう国土交通省の課長補佐の方がお越しになったときにこの質問をしてみましたけれども、やはり現場のお役人さんもそうですよ、お考えになっています。この第三者機関の意見には誠実に従うのである、こういうふうなお話をしています。
 ちょっと待ってください。第三者機関というのはいつから大臣になったんですか。第三者機関が間違った判断をしたときに、それに対してだれが政治的責任をとるんですか。つまり、第三者機関が決定したことに、その原理原則、方針に国土交通省は原則として従うんだ、こういうお話です。その結果何か悪いことが起こったときに、国土交通省は、いや、おれは知らないよ、あれは第三者機関が決めたんだ、おれたちのせいじゃないよ、こう言うでしょう。第三者機関は言うでしょう、私は大臣でもないんだから責任なんかとる必要ないですよと。
 どっちが責任とるんですか。お答えをお願いします。
佐藤副大臣 第三者機関は道路の基本的なことを決めてくるんだと思います。ですから、細かな路線だとか何かは我々が責任を持ってやることになるんだと思います。
 ですから、その基本的な決められたこと、それはしっかり守ってやるということだと思います。
熊代副大臣 もう一つ、御承知のように第三者委員会は、調査審議、その結果を内閣総理大臣に意見を述べるわけでございますので、内閣総理大臣がそのとおりだということで御判断になった暁の話でございますので、委員会そのものが物事を決定するということではない、先生御承知のとおりでございます。
永田委員 まず佐藤副大臣のお話については、基本的なことを決めるから、より重要なんですよ。基本的なことを決めた結果、国民の利益に余り資さない、あるいはベストな答えが出てこなかったときにだれが責任をとるのかという話をしているんです。政治的責任はこの委員会にはあるんですか。だれかお答えできる人はお答えしてください。
 客観性、中立性を持っているということは、内閣総理大臣がわざわざ客観性、中立性を重視して、それでこの委員会にある種の諮問というか意見を伺いたいということを請うわけですから、当然内閣とは違う意見が出てくる可能性もある。それは内閣総理大臣個人かもしれないし、国土交通大臣個人かもしれない。そういう人たちと異なる意見が出てきた場合であっても、内閣総理大臣はこの勧告を重視し尊重し、そして国土交通大臣はこれに従う、こういうお話を答弁でなさっているわけですから、であるならば、この第三者機関の権限というのは絶大なわけですよ。この権限に対して、表裏一体をなす責任というものはどこにあるのか、彼らに政治責任はあるのかという質問をしているんです。
 だれかお答えできる方、教えてください。
石原国務大臣 システムにつきましては事務方から答弁させますが、最終的な責任は内閣にあります。
坂野政府参考人 今回御提案を申し上げておりますこの委員会は、いわゆる八条機関に相当する機関でございます。したがいまして、各府省の責任者、すなわち大臣あるいは内閣が最終的に責任を持って決定するに際し、それまでのプロセスの一つとしてこの合議制機関が意見をその責任ある者に述べる、そういう役割を負うものでございます。
 したがって、御指摘の政治的責任の意味によると思いますけれども、この委員会は設置法に定められた範囲で責任を負う、そういうことだと思っております。
永田委員 ですから、この第三者機関、確かに委員は総理大臣が任命するんですよ。だから、かなり内閣の一部という色合いが強いと思いますよ。しかし、あくまで第三者機関という位置づけでしかないものに対して内閣が責任を負うんですか。これはたまげましたね。
 僕は、内閣というのは、まず第一に国会に対して責任を負うべきだと思います。これは憲法に書いてある話です。ですから、第三者機関じゃなくて国会で話し合いをするべきだ、このように申し上げているんですけれども、なぜこのような第三者機関という、はっきり言って国会議員よりもはるかに憲法上の位置づけの弱い存在に対して内閣が責任を負わなければならないのか、僕には全然わからないんですけれども、説明をお願いします。
石原国務大臣 内閣が責任を負うのは、政府の八条機関である以上は内閣が責任を負うということだ、そういう意味で御答弁を申し述べさせていただいたわけでございます。
永田委員 しっかり内閣の責任においてやっていただきたいと思います。
 さて、委員会人事の話に移りたいと思います。
 メンバーの人事ですね。今回、国会の同意人事になりませんでした。だれがメンバーになるのか、大変私も国民も注目をしておるところでございますが、聞くところによると、与党と内閣の間で公平な人事を行うということが話し合われて、一部約束も交わされたという話もあるのですが、これは事実でしょうか。御答弁をお願いします。
石原国務大臣 そういう事実はございません。
永田委員 では、ちまたの報道はうそだ、間違っている、このようにお考えになっているのか、改めてお願いします。
石原国務大臣 この点につきましては、たしか当委員会で総理大臣に確認するようにとのお話が私の方にございまして、私も総理に確認をさせていただきましたが、そのような事実はないと総理も申されておりました。
永田委員 ところで、そうはいっても、委員会人事を行うときに公平な人事を行うということはある意味当然というか、かなり重要なファクターになると思うんですけれども、公平性が重要視されるのかどうか、それからそのほかどのようなファクターにポイントを置いて人選をなさるのか、お考えをお伺いしたいと思います。
熊代副大臣 この委員会は、御承知のように、特殊法人整理合理化計画に沿いましてその的確な具体化を図るということで、客観的な合理的な調査審議をお願いする委員会でございます。
 したがいまして、すぐれた識見を有する方々ということで、これは民営化ということが前提になっていますので、改革意欲に富み、国家国民的視点に立って、特定の分野及び利害に偏することがない、七人ということでございますから、それぞれの利害に偏する人ではだめだということですね。そういう意味で、非常に広い立場で柔軟な判断ができる、これまでの伝統的な考え方にもとらわれないで思い切った判断のできる方々を御選任いただけるというように考えております。
永田委員 人事については予断をするものではないというのは百も承知ですが、あえてお伺いしたいんです。
 これは、納税者とかあるいは道路を利用する人たち、運送業者に限りません、一般のサンデードライバーの人たちもいるわけですから、こういう人たちもきちんとメンバーに加えて、決定権を持つ立場でテーブルに着かせてあげることが大切なことだと思いますけれども、人事についてそのようなお考えをお持ちになるつもりはありませんか。
熊代副大臣 御指摘のように、納税者そして道路を利用される方々、いわば消費者的な立場にある方々の御意見は当然大切なものでございまして、十二分に参考にさせていただくということですから、参考にすることは、委員のメンバーとして入っていただくというのも一つでございましょうし、それから、参考人として御意見を聞くとか、広くいろいろな機会に御意見を聞くということも一つでございましょう。委員会でお決めいただくことでございますけれども、そういう幅広い観点で、納税者、消費者としての道路の活用者という方の御意見も十二分に尊重していただけると考えているところでございます。
永田委員 技術的な問題ですが、委員会の討議は議事録を公開なさるんですか。
坂野政府参考人 政府の方針として、いわゆる審議会等につきましては会議または議事録を公開することを原則とするという方針を既に政府として定めておるわけでございます。したがいまして、具体的な方法等については、発足した後、委員会においてお決めいただくことになると思いますが、この原則の上で御検討いただけるものと考えております。
永田委員 いや、公開するかどうかは委員会で決めることじゃないと僕は思いますよ。原則があるのは立派なことだと思います。ぜひその原則に従ってやっていただきたいんですが、これはあくまで国民の利便に資するために設置される委員会、国民の利便に資する改革をするために設置される委員会ですから、公開されて何ら困ることはあるはずないんですよ。
 ですから、これは委員会が、いや、おれの発言は公開されたら困るんだよというようなことを言う人はぜひ委員会のメンバーから外れていただいて、きちっと公開の場で議論ができるような人ばかりを、そういうようなことをするというのも重要な資質だと思うんですけれども、ぜひ公開を拒まない人を委員会に入れていただくという観点で人選もしていただきたいんですが、これに対する大臣の御意見はいかがですか。
坂野政府参考人 ちょっと補足をさせていただきます。
 先ほど私が申し上げたのは、政府の公開をするというその原則、その上で具体的にどのような形でいろいろなことをするのか、その具体的な方法について委員会で御検討いただくということを申し上げたわけでございます。
永田委員 ぜひ速やかに公開を、議事録が整ったら、国会の速記録並みとは言いませんが、速やかに公開されることを望みます。
 さて今度は、法案とその委員会の形態だけではなくて、さらに一歩進んで、民営化することによるメリットがどういうものになるのかということを、もう一回というか、深く掘り下げていきたいと思います。
 先ほど与党の方の質問にもありましたけれども、何ゆえ道路行政が、あるいは税金を使った、あるいはプール制も含んだこの行政が行き詰まってしまったのか、民営化するとどうしてそれが解消されるのか、ぜひ明確に御答弁をお願いしたいと思います。
熊代副大臣 民営化のメリットでございますけれども、いろいろ考えられると思います。一つは、従来の方式を再検討することができるということになりまして、例えば独立の特殊会社になった場合に、やはり採算性を考えなければいけない。採算性を判断して新しい道路を建設するかどうかということも考えるでございましょうし、それから、五十年ないしは五十年以下で償還をするというのは、これはもう閣議決定されているわけですから、その年度内にこの料金でやらなければいけない、交通量はこれだけと。今、極めて硬直的な道路料金の決定がございますけれども、償還するのは償還の計画がありましょうけれども、道路料金そのものは、例えば価格弾力性というのが物すごくありますから、高ければ少ない人しか通らないし、安ければ多くの人が通るだろう。そうなりますと、最多収入で料金を定める。これは委員会の御検討をいただくことでございますけれども、そういう極めて弾力的な、現実に国民の要望にしっかり合ったようなことが定められるということでございます。
 現在、必ずしも行き詰まっているというふうには私自身は理解しておりません。総体で八千億円のキャッシュフローがございます。しかし、やはり公団方式では柔軟な対応、よりよい将来に向けての対応ができないだろうということで、柔軟な対応のできる民営化方式にいくということが最適なんじゃないかということで、委員会で御判断をいただくということになるんじゃないかと思います。
永田委員 佐藤副大臣と石原大臣にそれぞれお伺いしたいと思います。
 道路関係で、今回小泉内閣は、道路四公団民営化というのは大変大きなポイントを占めているわけです。あるいは、三千億円の国費投入を停止したということもございました。高速道路、まあ赤字の路線もたくさんあるということは大臣もお認めになっているところですが、果たして高速道路をつくっているのは一体だれでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
石原国務大臣 委員の、つくっているという、建設主体を指しているのか、あるいは……(永田委員「つくるという判断をしている人はだれでしょうか」と呼ぶ)つくる判断をしているのは、国幹会議だと思います。
佐藤副大臣 大臣からお話あったとおり、国幹会議で決めてやるものだと思っています。
永田委員 その辺が国民から大分政治が遠いと感じられる一つの理由になっているんですよ。
 国幹会議というのも、これまた一つの客観性を持って審議をする場所だったというふうに私は記憶をしておりますけれども、しかしながら、そこがお話をして路線の決定などしておったということ、これがここまで赤字路線を引き続け、そして開発という名の破壊を全国に広め、コンクリートだらけの町をつくってきた、国をつくってきた、その一つの原因になっているわけですよ。
 しかし、考えてみれば、今回、第三者機関をつくり、そしてより効率性の高い法人に衣がえをしようとも、やはり客観性というものを重視していることは、あるいは採算性というものを重視しているということは、それは国幹会議の場合とそう変わらないと思うんです。そこの一番大もとの判断をなし得る人たちの形態が僕にはそう変わるようには見えないんですけれども、どういうふうにお考えですか。どうしてこれで道路行政が変わるんですか。だれでもいいですよ。お答えできる人。どちらかの方はお答えできるでしょう。行政改革の観点からでもいいですし、国土交通省の所管のお話としてでも構いません。
石原国務大臣 行政改革の観点から申しますと、現行のまま進んでいくということに大きな疑義が生じた、そして、この疑義に対処していくにはどうしたらいいかということで、事務事業の見直しと組織形態の見直しということに着目をしたわけであります。その結果、特殊法人である道路公団を初めとする道路四公団については廃止、民営化をすると内閣で決めた、こういうふうに御理解をしていただきたいと思います。
永田委員 問題意識がその程度なのかなというふうにちょっと思っちゃいます。
 やはり国民の目から見ると、あるいは国会議員の目から見ると、道路をつくっているのは、道路をつくる判断をしているのは、形式的には国幹会議かもしれませんけれども、違うんです。道路をつくっているのは、道路公団でもなければ、道路特定財源でもないんです。自民党なんですよ。
 なぜ、去年の年末に道路公団が発注をする工事をとめたときに、青木参院幹事長があんなに激怒してそれを再開させるように圧力をかけたのか。あるいは、ここに議事録が残っていますけれども、大石道路局長は帰られちゃいましたけれども、しばらく前の予算委員会で大石道路局長は、「与党自由民主党の道路調査会長でいらっしゃいますので、」古賀さんですね、「道路局長としては、よく御指導をいただいておるところでございます。」このように答弁しています。道路調査会長と道路局長が密接に連絡をとりながら仕事をしているということを考えると、やはり与党自民党の影響というものは決して小さくないというふうに考えざるを得ない。これがもし仮に与党自民党の影響を排除して、客観性、合理性を持って国幹会議がすべてを決定しているならば、道路局長と道路調査会長が密接に連携をする必要は全くないんです。なぜこのようなことが起こっているのかということを考えれば、当然そこに与党自民党の圧力がそれなりに働いているというふうに考えるのが普通なんです。
 いいですか。道路をつくっているのは、道路特定財源でもなければ道路公団でもないんです。自民党なんですよ。そこに手を入れなければ何も始まらないんですよ。形だけ変えても何も始まらないんです。そういう意味でいえば、行政改革は全然こんなことじゃ進まないと思うんですけれども、改めてその観点からの御答弁をお願いします。
佐藤副大臣 もともと高速道路というのは法に決められているんですね、一万一千五百二十キロというのは。国土開発幹線自動車道建設法という法で決められているわけですね。その法で決められているのを、今度、国幹会議を経て予定路線として決められている、それを基本計画をつくって整備路線として決めていく。ですから、法で決められているのであって、決してこれは一部の議員や政党が決めているわけではございません。ただ、それを推進していく上で、それぞれいろいろな御意見もあるでしょうけれども、そういう意見を聞くというだけであって、決して勝手に決めるわけにはいかない、法で決められたものであるということを御理解いただきたいと思います。
永田委員 法律というものはもちろん、国会で多数をとっている方々が賛成票を投じて成立するものですから、民主主義の根幹もなす、そして憲法にも書かれている重要な位置づけを持つ社会的インフラでありますから、ですから、法律を重視するのは当たり前で、これが一つのポイントになっているのを僕は否定しません。
 しかし、法に賛成票を投じているのは一体だれでしょうか。そして、その法案作成において、部会で事前に審査をして、内閣が法案を出すときに、そのときに意見を申して強い権限を持っているのは一体だれでしょうか。それは与党じゃないですか。自民党じゃないですか。野党の意見がそこに反映されていますか。野党はみんな反対しているんですよ。ということを考えると、だれかというふうな話をすれば、それは自民党かそうじゃないかと言われれば、やはり自民党の意見が相当程度反映されているというふうに考えるのが自然だと思うんですけれども、これでもまだまだ、法と国幹審のもとに行われている話であって、自民党に責任はないというふうにおっしゃいますか。
佐藤副大臣 法できちっと決められている。それはもう、それに対してねじ曲げることはできないわけであります。だれが、国会議員が何と言おうと、ねじ曲げることはできません。それに対して着々と進めていく。ただ、今回、それが非常に厳しいだろうということになって、道路というものをもう一回見直してみようとなって第三者機関ができる、そして基本的なものを決めていただく、我々はそれに従ってしていく、そういうことだと思います。
永田委員 なぜ私がこのようなことを申しているかというと、結局、今、副大臣も自民党の方ですよね。皆さん、ぜひわかっていただきたいのは、委員の方々にもわかっていただきたいんですけれども、法律、あるいは国会を通す、国幹審でどういうような話が出てくる、これは手続の話なんですよ。確かに手続は整ってなきゃいけないんです。しかし、手続だけを通していれば何をやってもいいという話でもないんですよ。
 ですから、要するに、法律に定められている、憲法以下の明文のルールに定められている手続というものは、これを破ったらもはや民主主義とは言えないというような最低限のルールがそこに定められているにすぎないんですよ。最低限のルールですから、それを超える厳しいルールを憲法に書いてもよかったんでしょうけれども、そうしなかった。そこまで書くことは余りにも大人げないというような話があったんでしょう。どこの憲法を見ても、そんなに細かいことまで書いてませんよ。そういう憲法に書いてある手続だけを踏んで、これでおれたちは正当な手続を踏んだから正しいことをやっているんだというふうにお考えになるのは、これは民主主義のレベルとして余り上質ではありません。やはり、政策の中身をしっかりと上質なものにしていかなければならない。
 つまり、手続をどう踏んでいるかが問題なのではなくて、手続を踏んだ上で、さらにもう一歩進めて、どういうような法に従って高速道路の整備計画をつくっていくのか、どういうような内容の高速道路整備計画をつくっていくのか、そこに踏み込まなければならないんですよ。しかし、どのような内容の整備計画をつくっていくか、この部分に今回の法案というものは全く触れていません。これでは行政改革は進まないと僕は思いますよ。
 僕が恐れているのは、今明らかに道路行政というものが行き詰まっている、今までのやり方を続けていくことはできない、こういうことはだれしも認めざるを得ないということで、内閣も自信を持ってこの法案を提出されたんだと思いますけれども、しかし、これは道路行政の行き詰まりというものを道路公団の民営化というものに矮小化させて、全く実効性のない、改革にならないような改革もどきをやっていくことになりはしないかという懸念を持っているんですよ。
 ですから、何とかこの道路整備計画の中身にも突っ込めるような改革を与党の責任者としてもぜひ進めていただきたいと思うんですが、そこはどういうふうに進めたらいいとお考えですか。
佐藤副大臣 永田議員、先ほど、国民の代表は国会議員だというお話がありましたけれども、国土開発幹線自動車道建設法が一万一千五百二十キロを決めたとき、これは昭和六十二年の八月でありましたけれども、これは衆参両院とも全会一致で可決をされております。その基本に基づいて進めてきているわけであります。今、お話ありましたこの整備計画は、その基本に基づいて平成十一年十二月に九三四二という整備計画が決定をしております。これは、国幹審に基づいて、総理大臣が議長として決められたものであります。
永田委員 そこまで正しいものであれば直す必要もないんじゃないのかなという気がしますけれども、なぜこのような法案が提出されたのか、さっぱり私にはわかりません。
 さて、時間がなくなってきたので、最後に一個指摘をしたいと思います。
 贈与等報告書のお話、通告をしてあるのでさせていただきたいんですけれども、国土交通副大臣、公開文書でありますこの贈与等報告書、例を挙げると、平成十三年の八月二十二日に高野さんという当時の道路工事課長が贈与等報告書を提出しております。これは公開されています。そこに、「土木構造物基礎工の施工と積算」という原稿を執筆したということで、建設物価調査会の出版本部長宮西さんから、この建設物価調査会というのは国土交通省認可の外郭団体だということですが、原稿を執筆したことによって、この高野さんは百四十四万四千円の謝金を受け取っています。これはどういうような原稿を書かれたのか、お調べになっていると思いますので、教えてください。
佐藤副大臣 職員の執筆料につきましては、私的な立場で勤務時間以外に行った作業ということで対価として受け取っているわけでありますけれども、国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程に基づきまして、届け出が必要な場合には適正に贈与等報告書を提出させることといたしております。
 御指摘の百万を超える執筆料につきましては、当該執筆を求められた内容が高度の専門性を有し、特別な知識や経験を必要とするものであるから、それらを有する特定の職員に対して執筆が依頼されて、その執筆料も高額になったものと推察されます。
 しかしながら、一般的には、特定の職員が多額の執筆料を受け取ることはいかがかということがあると思います。私も、百万というのは多過ぎる、そう思います。そういう意見を踏まえて、今後、届け出の機会などに十分にどういうものであるかということを調べてしなければならぬ、そう思っております。より一層適切にそういう面で対処していきたい、そう思っております。
永田委員 今私も聞こうと思っていたんですが、これは何ページぐらい、どういうようなものをどういうふうにお書きになったのか、調べていただくように僕は通告をしてあるんですけれども、具体的に何を何ページぐらい書いて、どういうものに対する対価だったのか、教えてください。
佐藤副大臣 御指摘の「土木構造物基礎工の施工と積算」という原稿ですけれども、相手が財団法人の建設物価調査会、百四十四万四千円いただいております。これは、土木構造物の中でも最重要部門である基礎工に関する積算についてでありますけれども、今までこういう本がなくて、こういう研究がなされてなくて、彼が非常にそういうことに豊富な知識を持っている、実務経験がある、そんなことで依頼されたものであります。何ページであるかということは、私も、今ここでちょっとわかりません。
永田委員 これは、ちゃんと何ページかということも調べてください、どういうものをどういうふうに書いたのかということを調べてくださいというふうに申し上げているので、それはお答えいただかないと困りますよ。
 では、お調べいただいている間に別のことをお伺いしたいんですが、この財団法人に対して何らかの形で国民の税金等の補助金が流れていますか、いませんか。
佐藤副大臣 補助金は入っておりません。
永田委員 しかし、この建設物価調査会、ほかにも、平成十三年八月二十三日には、同じく提出された小椋さんという方、「土木構造物基礎工の施工と積算」、同じものですね、原稿料六十九万三千五百円。それから、これはほかにもあるんですよ。同じく「土木構造物基礎工の施工と積算」、これは関東地方整備局の副所長の渡邉さんという方あてに、原稿料七十一万二千五百円。それから、同じく「土木構造物基礎工の施工と積算」の原稿執筆、これは相手は吉田さん、三十一万六千三百五十円。
 何ですか、これは一体。国土交通省は、いつから文筆家を雇うようになったんですか。全部合わせると、これは一年間に三千万円ぐらいになるんですよ、この原稿料とかスピーチとか。税金が流れている財団法人で明らかに出版されている本に対しても執筆料が支払われています。おかしいと思いませんか。ぜひ、行政改革の観点からも、石原大臣、今の話をお聞きになってどう思われますか。所感をお願いします。
石原国務大臣 利害関係があるのかないのか、また、委員が御質問されましたように、百枚、二百枚の執筆に数カ月かかるものに対しての対価としてはそういうものもあるのかなと思いますが、そのボリュームがわかりませんので、仮にこれが雑誌の一ページ、二ページ、三ページといったようなものであるならば明らかに高額でありますし、ちなみに、昨年、私が本を出版したときの印税は七十二万でございましたので、それから考えましてもかなり高いのではないか、三万部出して七十二万でございましたので、かなり高額だというような印象を持ちました。
永田委員 この手のかなり専門的な本を書いたところで、三万部も売れるというのは相当なものです、仮にあれば。ですから、出版部数もそんな百万部なんということはあり得ないわけであって、大したことはないと思いますよ。
 それに対して、果たしてこのような対価が正しいものかどうかということを考えますと、例えば、石原大臣、今の、三万部売れて七十二万円の印税が入った本をお書きになるのに、やはり二カ月ぐらいはかかりましたか。二カ月ぐらいかかって、大臣の仕事もしながら……(石原国務大臣「その前です」と呼ぶ)その前ですか。ということは、国会議員はかなりお忙しい仕事ではありますけれども、今よりも多少は時間があったかもしれません。そんな中で二カ月も三カ月もかかって書いている。
 一方、私も国土交通省というか運輸省におりましたけれども、当時の勤務形態から考えると、とてもとても片手間に本なんか書ける状況じゃないんですよ。恐らく、土曜、日曜を充てたんでしょう。土日を充てて、一日に例えば二万円分の原稿を書いたところで七十日かかる話なんですよ。つまり三十五週間、ほとんど一年かかっちゃう話なんですね。こんなことをやっていて果たして本業に影響が出ないのかというと、僕は甚だ疑問だし、それから、果たして税務申告をきちっとしているのかという問題もあるし、また、今政策秘書が兼業をやっていたということについては非常に大きな問題になっています。特別職の公務員であっても、兼業をやっていた場合には大変な問題になっている。それが、一般職の公務員で、こんなにも多額の報酬をもらいながら原稿を書くということが果たして正しいことかどうか、もう一度、この指摘に対してお答えをいただきたいんですが、どうやらどういうものかということがわかったらしいので、それも含めてお話しをいただきたいと思います。
佐藤副大臣 先ほどのページ数でありますけれども、六百四十六ページでありまして、二十五万八千四百字だったそうです。
 やはり、本当にその職員が専門性を有して、その人間でないとどうしてもだめなのかどうなのか、そんなこともしっかりと考えてしなくてはならぬ、そう思っております。そうでないと、御指摘のような、何か仕事中にやったんではないかとかいろいろなことが言われますし、また、多額な執筆料をもらっておりますと、それは非常にいわゆる疑惑を招くわけでありますから、これからは相当しっかりと、その人間が必要なのかどうなのか、その人間以外にいないのかどうなのか、そういうことを十分に考えながら出していただきたいと思っています。
永田委員 まあ驚くべき、二十五万文字とおっしゃいましたか。二十五万文字ということは、この本だけで今見ただけでも恐らく二百万円を超える謝礼がトータルで払われていますから、一文字当たり八円ですか。すごい話ですよね。一文字八円だったら、僕、毎日毎日本を書いていたいなというふうに思うんですけれども。
 とにかく、これは何を言っているかというと、石原大臣、ぜひ聞いてください。財団法人です。財団法人は、公益に資するために国から特別の位置づけを与えられた法人です。しかし、民間法人ですよね。民間法人であってもこのようなわけのわからないことをやっているんですよ。国家公務員とぐるになって、正直言って、わけがわからないと思います。僕は、これは国民の視点から見てとてもとても美しい話とは思えない。ですから、僕が恐れているのは、道路関係の四法人が民営化されたときにさらに変なことが起こらないのかということが心配なんですよ。
 石原大臣は、僕が個人的に相談を申し上げたときに前向きの話をされていました、NHKの子会社の問題。NHKは子会社を使っていっぱい悪いことをやっているわけですよ。道路公団は子会社の数だけでいったらはるかにNHKよりもたくさんの子会社を持っているんです。
 今ポイントになっているのは、附帯業務、これを本体ではなくて子会社にやらせるケースはたくさんあるんです。しかし、附帯業務以外の全く本体業務と関係のない業務を子会社が勝手にやって、これは自主事業だと言い張る、民間企業がやっている自主事業だと言い張る、こういう話なんです。それは筋が通らないんですよ。
 例えば、道路公団と取引関係があって、民営化された後であっても取引関係があって、そこで料金収入が取引の対価として子会社に渡って、その子会社が今度は、いいんですよ。附帯業務なりなんなりをするのも構いませんよ。だけれども、それ以外の自主事業で出た赤字をこの利益で埋めるようなことがあれば、最終的にはこの料金収入がよからぬことに使われたという結果を招くのであって、それは国民にとって決していい話じゃないんです。
 だから、僕が恐れているのは、財団法人みたいな、要するに子会社がいっぱいある場合には、そこに対する監視をきちっとしていかないと、民営化するとさらにさらに悪いことになりかねないんです。もっと付言すれば、これは制度の改革の問題じゃないんですよ。それを行っている人たちの問題であって、特殊法人であっても立派な仕事を美しくやっている人たちもいっぱいいるんです。だけれども、悪さをやっている人もいて、行政が行き詰まっている場合もあるんです。それは、実際に実行している人間がちゃんとした考え方に基づいてちゃんとした仕事をしているかどうかというところにかかっているんですよ。これを制度改革に矮小化しては国民は浮かばれないので、ぜひ今後はそういうような観点で、人の問題に切り込みながら仕事をしていただきたいと思います。
 時間が来ましたので、これで終わりにします。また続けてやりますので、よろしくお願いします。
大畠委員長 これにて永田君の質疑は終了いたしました。
 次に、山花郁夫君。
山花委員 民主党の山花郁夫でございます。
 本日は、この道路関係四公団民営化推進委員会の設置法案ということで、既に三人の委員の方が質問されました。二巡してこれで三巡目ということですので、いろいろと石原大臣の御議論などもお聞かせいただいたわけであります。
 それをずっと拝聴いたしておりまして、この委員会なんでありますが、八条委員会ではなくて、やはり三条委員会でやった方がベターなのではないかという思いが、議論を聞いておりましてもするわけでありまして、そういった観点から少し質問をさせていただきたいと思います。議論の組み立て上、少々質問項目がダブることもあろうかと思いますけれども、御容赦をいただきたいと思います。
 まず、この法案の条文から見ていきますと、第一条ということで、「内閣府に、道路関係四公団民営化推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。」という形で始まっておりまして、その後の法文を拝見いたしましても、これも随分議論が出てきていることでありますが、委員についての国会の同意ということが規定されていないわけでありまして、いわゆる国家行政組織法上の八条委員会ということなんだと思います。
 これから議論させていただくに当たりまして、改めまして、八条委員会という形で国会同意人事としないという趣旨について大臣にお伺いしたいと思います。
熊代副大臣 私の方から答弁をさせていただきたいと思います。
 先生御承知のとおり、三条委員会というのは基本的には国会人事が主流であるということでございますが、八条委員会につきましては、国会同意のあるものとないものとあるということでございまして、国会同意のあるものは、特に政治の基盤に関するもの、そういうことで選挙の区画策定委員会とか、そういったものと国民の権利義務に直ちに影響があるもの、そういうことでございます。
 今回は、既に民営化という方針がはっきり示されている、その中で、具体的な閣議決定のもとでの新しいアイデアと新しい組織のあり方、そして費用対効果とか、そういった観点からのものでございますので、これまでの先例を見れば、国会の御承認をいただかなくてもいい法案ではないかということで法案を作成させていただいているところであります。
山花委員 今のような御答弁を先日石原大臣の方もされているんですよね。八条委員会には、もちろん同意があるものもありますし、ないものもあるわけですけれども、まず一つ、その八条委員会の中身に注目して、ちょっと通告しているあれではないかもしれませんが、今の熊代副大臣の御答弁に関連して申し上げますと、政治基盤に関するものということで、今、選挙区割りの審議会の話だと思いますが、国民の権利義務に影響を及ぼすものというものも一つ例として挙げられました。それだけではなくて、例えば原子力に関するものであるとか、非常に専門的とか技術的な知識に基づく基準をつくるような、こういったものもあるわけですが、これは内容に関してでありまして、私は思いますに、同意を要するものの中でも、非常に専門性があるということでつくられたものもあります。この道路関係についても非常に専門性を有するものではないかという思いがあるわけですが、これはまず、内容のことであります。
 内容については、これはもう当委員会で随分と御議論があったと思いますので、ここでいろいろとやっても多分すれ違いになってしまうような思いがあるので、ちょっと違った観点から質問をさせていただきたいと思います。
 中身だけではなくて、少し手続的な話で、八条委員会にする、それはなぜかといえば、例えば準司法的権能を有しないからであるとか、あるいは行政決定権限を有しないからであるとか、そういった権限に着目をして、そういった御答弁も、かつてこの委員会、あるいは本会議でも石原大臣はされております。
 確かに、今副大臣から御答弁がありましたように、もう民営化ということで決まっているじゃないか、その中身についてという話だったんですけれども、ただ、そのこととは別に、この委員会の権限というものを見ていきますと、例えば、先ほども議論がありました第二条を見ますと、「委員会は、」ということで、特殊法人等改革基本法に定められたから始まりまして、この権限ですけれども、最後のところ、「民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べる。」であるとか、第二項でありますが、「関係行政機関の長に勧告するもの」というふうに、勧告したり、あるいは二項で、ちょっと今読みませんでしたけれども、監視するというような権限、監視権とか勧告権、比較的強い権限があるように見えるわけであります。
 また、第六条を拝見いたしますと、「委員会は、」ということで、「その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関及び日本道路公団等に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」という形で一項を定めておりますし、また、二項、三項で協力権あるいは調査権などが規定されているわけであります。
 このように、他人に対してこういう調査とか協力の依頼ができたり、内閣総理大臣に対して意見を述べたり、あるいは監視権を持って、さらには勧告権というものまで持っているわけでありますから、比較的、権限としては八条委員会とするにしては少し強いもののような色彩があるわけでありまして、こういった権限の観点からいたしますと、やはり人事について国会の方からのコントロールがないというのは少し問題ではないかと思うんですが、この点、いかがお考えでしょうか。
坂野政府参考人 いわゆる八条機関の中には、委員御指摘のとおり、資料の提出あるいは意見の陳述等についての協力要請権、あるいは実地の調査権などを持っておるものがございます。これは、それぞれの機関の任務に照らして、必要な範囲でそういう権限を付与しておるということでございます。ただ、特別にそういう権限を与える場合は、多くのケースは、設置法という法律の形式によりそういう機関にそういう権限を与えておるということであると考えております。
 また、こういう権限を与えることと委員の任命について国会同意を与えるかということとは、これまでの実例にかんがみますと、必ずしもリンクはしていない。先ほど副大臣から御答弁申し上げたように、その機関の任務の性質に照らして、例えば、先ほど申し上げた政治的な基盤云々でございます。
 それで、先ほど御指摘の、専門的な調査、検査というようなものについて国会同意を求めている八条機関の例があるではないかという御指摘でございますが、その専門的な例というのは、例えば証券取引等監視委員会のように、司法的機能と非常に近い関係に置かれて、かつ個別に実態的な調査を行って、場合によれば行政処分に結びつく前提となるような行為を行う、あるいは、航空事故調査のように、そういう事故の原因を究明して今後の再発防止を行うと同時に、その資料がまたさまざまな法的判断の基礎として使われる、そういう性質のものが現在国会同意になっておるということでございます。
山花委員 まだ少し納得できていないところがあるんです。
 例えば、私も先ほど指摘をさせていただきましたし、今御答弁があったように、八条委員会の中でも同意人事になっているものとなっていないものがあるわけでありまして、八条委員会という形で組織をつくるからといって国会同意人事というものをやっちゃいけないという話にはならないわけで、やってもいいわけですよ。
 今の御答弁ですと、権限というよりも中身の方で仕分けをするんだということだったんですけれども、八条委員会とはいえ、先ほども御議論がありましたけれども、ここで余り空中戦のような憲法論議をするつもりはないですが、憲法六十五条で「行政権は、内閣に属する。」とあって、その内閣とは一定程度距離がある第三者機関がいわば行政的な権能を行使して、調査権だとか一定程度強い権限を持っているわけですから、これは、民主的なコントロールという観点からすれば、やはり国会のコントロールというものが必要ではないか、そういうことなんですけれども、この点、もう一度御答弁いただけないでしょうか。
坂野政府参考人 委員よく御承知のことを申し上げることになるかと思いますけれども、この八条機関というのは、行政組織の内部組織の一つとして置かれるものでございます。したがいまして、内部組織は、現在の組織法上の原則に従えば、その内部組織を設ける全体の組織の長に任命権を置くというのがやはり原則であるし、通例であるというふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、その原則と異なる例外を特に設ける必要がある場合は、これは必ず法律をもってやらなければなりませんし、かつそれだけの実質的な理由が必要である、そういう形でこれまで各種審議会の委員の任免についての規定が設けられてきたというふうに考えておるわけでございます。
 それで、この現在の組織法上の原則というのは、先生御指摘の憲法上の原則に照らし組織法がつくられ、その組織法に基づいてこのような運営が行われておるというように私どもは理解をしておるわけでございます。
山花委員 八条委員会ですから行政の内部組織なんだというお話ですが、ちょっと後でそのことと関連して議論させていただきたいと思います。
 二条の方にちょっと移っていきたいと思います。二条の方にといいますか、この法律なんですけれども、一条に設置のことがあって、二条に所掌事務という形でいきなり始まるんですが、これももう既に議論があったことかと思いますが、目的規定であるとかあるいは方針についての規定というものをこの法律では設けておりません。
 これはもう何度も御答弁がありましたから、恐らく、平成十三年の十二月十九日閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画の線に沿ってというような御答弁になろうかと思いますけれども、だったら、これは法律に書けばいいと思うんですよ、法形式が全く別のものでありますから。これは先日藤村委員からも議論がありました、別に特殊法人等整理合理化計画というのは法律じゃないですよねという形で。法律じゃないものと、これは別個の方式なんですから、書くべきだと私は思うんです。
 改めて質問をさせていただきますが、この法律のそもそもの理念であるとかあるいは目的というものは一体何なんでしょうか。そして改めて、先ほども御議論ありましたけれども、何でこれは民営化するんだという話になっているのかということを確認させていただきたいと思います。
石原国務大臣 山花委員御指摘の前段については、閣議決定しているので本法律案に書かないでいいのではないかという、べき論で処理をさせていただいたということは先回も御答弁をさせていただきました。
 また、理念につきましても、先ほど同僚議員の中で御答弁をさせていただいておりますし、熊代副大臣からもるる説明させていただいておりますが、やはり根本は、民営化の推進によってコスト意識の徹底と採算性を重視した経営が現行の経営形態よりもより進化するのではないか、それによって国民におけるメリット、すなわちサービスの質の向上あるいは料金の問題等々メリットがあると考えられることから、整理合理化計画で基本方針を定めたわけであります。
 そして、この道路関係の四公団にかわる組織やその採算性の確保については、今御議論をいただいています民営化推進委員会の意見を尊重して、経営の効率性の向上、そして冒頭申しました利用者、ユーザーのサービスの向上等々、民営化によってのメリット、この民営化のメリットというものは、過去の事例が示しておりますとおり、また、ヨーロッパの国々で国営企業群の多い国々が民営化をしているということからも、そのメリットというものを国民の皆さん方が享受する。もう一つ付言させていただくならば、完全民営化することによって株式を売買することによって国家の財政が潤うといったようなメリットがあるということで、今回この四公団の民営化ということを決めさせていただいたところでございます。
山花委員 同じような御答弁なんですが、要するに、特殊法人という形で置いておいたりすると問題があって、例えば、今回の採算性の確保ということでいえば、私は別に民営化を否定しているわけではないですが、考え方として、今までの公団というやり方ではまずかったと、組織として反省があるということですよね。つまり、公団の総裁、トップを初めとして、その中に全部、例えば民間人を入れるとか、そういうやり方だって一つは、考え方として、選択肢としてはあり得たんだと思うんです。
 恐らく今の、はっきりとはおっしゃらないですけれども、例えば、これももう指摘があったことかと思います、道路公団の子会社とか関連会社というのは全体で八十二社ありまして、また関連の公益法人というのが五つあります。財産が約六百五十億円に達しているわけですけれども、この道路公団の出身者が代表者に就任している、こういった子会社、関連会社が約九割ですね。関連法人についても大体八割ぐらいあって、つまりは、道路公団本体はもう真っ赤な赤字なのに、それにぶら下がっているような関連企業というのが利益を上げている。言ってみれば、公団というのがスケープゴートにされていて、その裏で何かもうかっているような、よくわからない、よくわからないと言ったらいけないのかもしれませんけれども、そういった構造ができ上がってしまっている。
 これは、やはり公団という形をとっていると、採算なんかは度外視してそういうところに業務を発注してしまうんだ、そういうことだと理解してよろしいでしょうか。つまり、民営化ということで、例えば採算性の確保だとか経営責任がという御答弁があるというのは、もっと言えばそういうことだという話として理解してよろしいでしょうか。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました問題点については、御同僚の議員からかなり突っ込んだ御議論があったと承知をしております。
 すなわち、子会社、孫会社等々が内部留保を蓄積して、その一方で本体である経営に大きな問題が生じるのではないかといったような、具現させていただきますと、償還計画のとおり償還ができないんじゃないかといったような指摘がなされている事態を招いた、そういうものに対してこの子会社があるべきことをどう考えていくのか。
 一例を出させていただきますと、子会社に補強あるいは補修業務を依存しているとしますと、そこには随意契約であるならば競争原理が働きませんので、維持管理費、コストが高くなっていく。そして、一般に比べても高い委託費によりまして子会社、孫会社が潤う。これはある意味では所得の移転が合法的になされているというような御懸念であると委員の御質問を聞いておりまして感じたんでございます。
 そういうことのないようにするためにも、完全民営化を目指していって、民間会社が存在していく上ではコストをできる限り削減するということがその企業が優良企業である必要条件になってまいりますので、さまざまな利点というものが現行制度よりも明らかになってくるのではないかという理念のもとに、現在この改革に取り組ませていただいているところでございます。
山花委員 そこの部分は多分はっきりされているんだと思うんですよ。民営化ということであるとか、これもその特殊法人等整理合理化計画にありますけれども、償還制というのがいいかどうかというのはまた別の話ですが、償還制を採用して五十年という上限、キャップをはめるというようなことは割とはっきり言われるんですが、私は思いますに、そういったことをはっきり言うだけじゃなくて、上下一体にするのか、あるいは上下分離するのかということ、これは本当に非常に重要な問題ですから方向性を示されるべきではないか。これは何度も議論があったわけですけれども、この点、御認識は変わりないんでしょうか。
 つまり、民間の方がいいという話をされるわけですけれども、この点、民営化後の新たな組織形態について、例えば高速道路の建設部分と管理部分を分けるかどうかということについてまで委員会でお決めいただくという再三再四の御答弁なんです。ただ、いわゆる上下分離方式というのは、片一方はいわば公的セクターで片一方は株式会社というような形になることが想定されるわけであって、それだったら今の道路公団とファミリー企業の関係と何ら変わりがないではないかという思いがあるわけです。言ってみれば、厳しい言い方かもしれないですけれども、部分民営化にすぎないと考えられるわけです。
 経営という観点から見れば私は上下一体の方がよいと考えられるんですけれども、今までいろいろ議論されてまいりましたけれども、この点については大臣としては方針は示されないんでしょうか。この点、御意見をお願いいたします。
石原国務大臣 この点につきましては、山花委員が御指摘のとおり、非常に重要なポイントではないかと思っております。
 その問題を委員は、昨年の整理合理化計画の中で示すべきではなかったのか、そういう御指摘でございますが、私も各国を見てまいりまして、あるいは専門家の意見を聞きまして、昨年の段階で、また今の段階で、どちらが本当に日本の国情に合っているかという最終的な結論には達しておりません。すなわち、委員御指摘のように、さまざまな面でメリット、デメリットが存在するわけでございます。
 もう委員御指摘でございますので重複は避けさせていただきたいんですけれども、いわゆる上下一体での国との協定、すなわちコンセッション契約というものもイタリアで拝見することができましたが、その一方で、公的主体との協定によるリース方式として、オーストラリアのメルボルンで、環状線、日本の首都高速に当たるものは上下分離でこのコンセッション方式のリースというものを採用していました。両方とも、その国々でユーザー、施行者あるいは運営会社等の話を聞いて、うまくいっております。そういうメリット、デメリット。
 あるいは最大の焦点は、やはり税が、上下一体で民営化したときに減免措置が組めるのか組めないのか。この税の減免というものが組めないと、上下一体論はやはりかなり経営として厳しくなってくる。
 そしてもう一つは、これからますます実態が明らかになってくると思いますが、キャッシュフローで七千億とも八千億とも言われる利益があるということでございます。これが仮に、バーチャルでございますが、財務省と御協力をして作成させていただきましたいわゆる仮定のBS、PL、すなわち、民間企業であったとしたならばどういう経営実態になっているのかというものに照らし合わせたときに、実態として、民営化された後は民間企業でございますので、この財務諸表のあり方も変わってまいります。その財務諸表を読んで、これからも存続し得る企業として生まれ変わることができるのかできないのかといったような問題に、実はこの上下一体、上下分離というものは関係してまいりますので、くどいようでございますけれども、専門家、有識者から成るこの第三者機関であります民営化推進委員会でもう少し深い御審議をいただいて答申を総理に賜ればと考えているのが現状の見識でございます。
山花委員 今、上下分離・一体についてもデメリット、メリット、両方あるんだという話がございました。
 恐らくおっしゃるとおり税の問題があるということはよく承知いたしておりますが、今の段階で石原大臣が、どちらもメリット、デメリットがあるんだなということで、どちらというはっきりとした確信はまだお持ちでないというような御答弁かと思いますが、今の段階でということは、これは委員会が設置された後、議論が始まった後に方向性を出すということはあるんでしょうか。
 そのことと、この第二条の委員会所掌事務について、これももう再三再四議論があったことですけれども、私は、これは個別路線建設の優先順位ということも対象とすべきではないか、このように考えているわけであります。第二東名・名神についても、これも再三再四議論が出てまいりましたのでこれについて改めて申し上げませんけれども、例えば、こういったメリットとかデメリット、いろいろあるんだということだからこそこの方向で議論してほしいというふうなことを、先ほど、要するに八条委員会というのは内部組織なんだからという話がありましたけれども、やはり大臣の方から示される必要があるんじゃないですか。どうですか。
石原国務大臣 私がこの道路公団等道路関係四公団の民営化に着手をしてまいりましたのは、行政改革の観点から、効率よく、むだな投資が行われず、国民の利便性が向上し、さらに莫大な債務が後世代に先送りされることのないようにという観点から取り組んでまいりましたので、私は道路の専門家ではございません。その点につきましては、私も勉強は重ねてきておりますけれども、さらに踏み込んだ議論を、見識のある、改革意欲に富んだ専門家の皆様方が今議論されている角度以外の角度も御議論されるものと期待をしているところでございます。
山花委員 少し条文に沿って話を進めてまいりたいと思いますが、この第二条の第三項では、委員会が意見を述べる期間というものが切られております。平成十四年の十二月三十一日までに述べると書いてあるわけですけれども、これについて私は、本当に意見集約がこの時点までできない可能性というのも指摘せざるを得ないと思います。
 と申しますのは、今大臣が言われたように、メリット、デメリット、両方あるわけですよ。恐らくこの中でも議論になりましょう。そうだとすれば、改めて申し上げたいと思うのは、やはりこれは方向性を示すべきだと思いますし、個別路線の優先順位についてもはっきりとしてもらわないと、これは、こういう法律を出しました、国会同意ありません、審議については先ほどの御答弁ですとどこまで公開されるのかよくわからない、こういった形でちょっと賛成はしづらいなという思いがあるのです。
 例えば、国鉄再建臨時措置法というのは、国鉄再建委員会の所掌事務として、「企画し、審議し、及び決定し、」という、「決定し、」という文言が入っていたわけです。本委員会は、本委員会と申しますのはこの四公団の委員会ですけれども、決定というところまで言っていないわけですから、そうすると、可能性としては、これは、例えば今の上下一体か分離かということについて両論併記の形で上がってきてしまう可能性だってあるわけじゃないですか。そういうことも許容されるこの趣旨なんでしょうか。
坂野政府参考人 この委員会が発足後、検討を行って、その結果、どういう形で意見をまとめるかという点についてのお尋ねかと存じますが、今の御指摘の点も含め、かつそれ以外の点も含めて、一般論として申し上げさせていただきたいと思いますけれども、最終的にはこの委員会の方々が討議の結果としてどのような形におまとめになるか、それはこの委員会がみずから決定されることだというふうに考えておりますけれども、私どもの通常の想定あるいは期待ということを申し上げれば、他の多くの審議会と同様、意見として集約していただけるんではないか、そんなふうに思っておるわけでございます。
山花委員 ですから、担保がやはりないじゃないですか。
 もうちょっと、ちょっと技術的なことを聞きますけれども、室長、お願いします。
 第二条の第一項によりますと、「内閣総理大臣に意見を述べる。」と書いてあります。第二条の第一項は、調査審議した結果について「内閣総理大臣に意見を述べる。」第二項の方は、実施状況を監視して、「内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告するものとする。」
 この「意見を述べる。」ということと「勧告するものとする。」この違いというのは一体何なんですか。
    〔委員長退席、野田(佳)委員長代理着席〕
坂野政府参考人 意見と勧告、この両者につきましては、委員会として意思を表示するという点では同一であると考えておるわけでございます。
 ただ、勧告は、これもやや国語辞典的な言い方になりますけれども、ある事柄を申し出てその申し出に沿う行動をとるように勧め、促す。したがいまして、意見という言葉に比べますと、相手方に対してより一層その申し出に沿うよう強く要請する意味を込める用語として用いられておる、そんなふうに考えておるわけでございます。
 ほかのこれまでの八条機関に相当する審議会等でも、この意見、勧告ということを両方用いている例がございます。例えば、もう既に解散しましたが、地方分権推進委員会という機関が設けられておりましたが、ここでもやはり意見、勧告という言葉は両方用いておるわけでございますが、今申し上げたのと同様の意味でやはり使い分けておるということでございます。
山花委員 意見、勧告、意見よりも勧告の方がニュアンスとしてやや強いのかなという印象を受けました。ただ、それにしても、勧告というのは、これも一般論になりますけれども、法的な拘束力というのはないものですね。これは、従わないというケースもあり得るわけです。
 少し議論を整理いたしますと、先ほど私は、委員会の意見がまとまらない可能性があるんじゃないか、両論併記だという話をしましたが、ちょっとそれはおいてもらって、もし、先ほど言われましたように、意見が一致したものが出たとします。先ほど永田委員も、もしそれにちゃんと従ってくれるんだったらこんな条文要らないじゃないかみたいな話をしていましたけれども、勧告ということの拘束力についてはどの程度のものだというふうにお考えなんでしょうか。
坂野政府参考人 勧告を受けた相手方は、それを尊重すべき義務を負うというふうに考えております。
山花委員 それはそのとおりなんだと思いますけれども、要するに、これで改めてよくわかることは、八条委員会ですからそれぐらいの権限だということなんだと思うのです。つまり、委員会の権限というものはそもそもそんなに強いものではなくて、先ほど私は、強いものだから国会同意人事とすべきではないかと申し上げましたけれども、今までのお話を伺ったところで言いますと、そういう強いものじゃないんだという話になってくるんじゃないかと思うのですね、政府側の認識としては。
 例えば、同意人事とする必要がないのが一つがそういった理由であるとすると、にもかかわらず、今まで石原大臣の御答弁というのは、方向性、例えば個別路線の話であるとか、あるいは上下一体か分離か、私はこれは重要な問題だと本当に思うのですけれども、ここについてもそこでの議論に任せるというふうに言われているのです。そうすると、そもそも、下手をすれば両論併記で上がってくるかもしれないような委員会の方にこういったものを全部任せてしまうというのは、それこそ、だからこそ私どもは丸投げじゃないかというような表現になってくるわけですよ、これは何のための委員会なのかと。
 繰り返して申し上げますけれども、例えば委員会の中で、上下分離がいいんじゃないか、一体がいいんじゃないか、税のことはどうするんだということで、やはり議論が錯綜する可能性があるじゃないですか、この十四年の十二月三十一日まで。
 改めて質問させていただきますけれども、大臣、やはり方向性を示すべきじゃないですか。
石原国務大臣 お答え申し上げます。
 民営化を前提に国費の投入をゼロ、さらに償還期限は五十年を上限にコスト削減等々で短縮を目指すというような大方針を整理合理化計画でお示しをさせていただきました。
 ここから先は、新しい組織をどういうふうにつくっていくのか、そんな中で上下一体、上下分離というものが一つ大きなテーマになってまいります。それを御審議いただくには、専門性を有し、改革意欲に富んだ、公正中立、しかも総理が任命されますし、この八条委員会は国交省ではなくて総理のおひざ元の内閣府に設置するわけでございます。総理のリーダーシップというもの、総理のお考えというもの、十分に御議論もなされていく中で十二月三十一日までに結論が出るものと私は確信を申しているところでございます。
山花委員 確信を持っておられるということですが、では、もう一つ観点を変えて質問をさせていただきたいと思います。
 これも室長あるいは副大臣でお願いできればと思いますが、第五条の委員長ですけれども、「委員会に、委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。」とあります。
 なぜこれは互選とされているのでしょうか。その趣旨についてお伺いいたします。
熊代副大臣 御指摘のように、委員長は委員の互選ということで定められておりますけれども、これは合議体でございますので、合議体の自立性を重視しまして委員の互選にするということにしているわけでございます。
 そういうことで、あるいはその委員長だけを国会同意人事でというような話もあるかもしれませんけれども、それは、委員長も委員の一員でもございますし、同じ委員として任命をする、そして委員の中で、民主的な手続が互選でございますから、それを活用して選んでいただくということで提案をさせていただいているところでございます。
山花委員 今、少し先に、せめて委員長はという話が出てきたようですけれども、そうなんです。「委員会に、委員長を置き、」ということですが、この委員会として意見を述べるのが平成十四年の十二月三十一日までという期間が切られております。そう長い期間ではないと思います。これから五十年先、物によっては百年先を見通した上でそういう計画を立てることについてどうあるべきか、あり方を論ずるのについていつまでもだらだらとやっていられない、それはもちろんですが、そう長い期間ではないわけですよね。
 そうだとすると、私としては、委員長というのは、これは互選なんということをやらなくてもいいんじゃないかと思うのが一つと、先ほど来るる申し上げておりますように、内部で意見が対立したような場合、委員長というのはある程度リーダーシップをとって、七人のメンバーですから、リーダーシップをとって議論をまとめていく。これは条文にもちゃんと「委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。」とありますよね。これは、十二月三十一日までの間、例えば委員長がかわって意見が変わっちゃうなんということだってあり得るわけじゃないですか、制度として。もちろん、まとまるように期待されますという、それはお立場として期待されるのは当然だと思いますよ。当然だと思いますが、制度としてそれについての担保がないということを申し上げたいわけであります。
 ベストは私は三条委員会だと思っておりますが、ただ、八条委員会だとしても、せめて委員長は国会同意人事とすべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
熊代副大臣 十二月三十一日までということでございますが、短いといえば短いわけですけれども、しかし、三月ぐらいで決めるべきだと思えば長いわけでありまして、これはある程度の妥当な期間だというふうに思います。その中で、委員長を互選で民主的手続で選んでいただきまして、十二月三十一日までに結論を出していただくということでございます。
 そういうことはないと思いますが、万々が一にも両論併記ということになりますれば、それは総理大臣に意見具申が出されるわけでございますので、総理大臣及び内閣がそれに基づいてどう判断するかということもございます。
 いずれにしましても、スピードが大切でありますし、そしてまた、民主的手続が大切ということで、委員長も委員の中の互選ということにさせていただきたいという御提案を申し上げているところでございます。
    〔野田(佳)委員長代理退席、委員長着席〕
山花委員 必ずしもその点はちょっと意見が合わないようであります。
 そういたしますと、石原大臣、改めてもう一回御意見をお願いしたいんです。
 これは可能性の問題ですけれども、今ずっと随分こだわって話をさせていただきましたけれども、委員会の中で議論が分かれる、例えば三対三にはならないかもしれないです、四対二なりなんなりで議論が分かれる可能性があります。今の時点では、上下一体か分離かということについては専門家の御意見を聞いてというふうな御答弁でしたけれども、議論の進捗状況によっては、場合によっては大臣の方からこちらの方で議論をまとめてほしいという指示を出されてもいいんじゃないかと思います。つまり、これは組織論として言ったときに、八条委員会というのは、先ほど室長からもお話がございましたけれども、内閣の中に置かれるものだということになっているわけですから、この点について、一定のところでそこはやはり政治家がリーダーシップを発揮しなきゃいけないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
石原国務大臣 山花委員の御議論を拝聴させていただいてまいりまして、私も可能性として委員が御指摘されましたようなケースを排除するものではありませんが、この法律案を仕組むときは、十二月三十一日までにあるべき姿を答申していただくためにこの組織をセットしているという大前提がございます。
 そしてまた、今委員が御指摘のとおり、行政改革担当大臣としての見解をというようなことをこの委員会が求めるような機会があればお話をさせていただくこともあるかもしれませんが、これも、あくまで可能性を排除することはないというような域を今の段階では出ていないということを御理解賜ればと存じます。
山花委員 どうもやはり、今まで議論をしてきて、もともと我々は三条委員会がいいと思っているところから始まっておりますので、少しかみ合わないのかなという気はいたします。
 そういたしますと、ちょっと全然色の違った話をさせていただきたいと思います。
 第三条「委員会は、委員七人以内をもって組織する。」と書いてありますが、この点について、委員長、本委員会は男女共同参画に関するものも委員会の所轄事項となっておりますよね。
大畠委員長 内閣委員会は、男女共同参画社会の問題についても委員会の所掌範囲であります。
山花委員 熊代副大臣、内閣府の副大臣でありますから、もちろんこの問題は非常に重要なことであると御認識いただいているものと思っております。当委員会のメンバーの方もそういう方々がそろっているのだと信じておりますが、この三条ですけれども、委員会、七人の委員のうち、これはジェンダーバランスを図るべきではないかと思うんです、法文上、これを書くか書かないかは全く別の話ですけれども。本来であれば、例えば、男性(女性)は三名を下らないものとするとか、そういう形で書いてもいいんではないかと思いますが、書いていないわけです。
 この点について、何が言いたいかといいますと、もちろん質問のテーマとしてはそういった観点で考えていただきたいということなんですが、やはりこういう問題については、例えば政府の委員会とか審議会、そういうところから変えていかないと日本の社会は変わっていかないと思いますよ。ぜひこの点、検討していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
熊代副大臣 男女共同参画問題につきましては、所掌そのものは松下副大臣の方が所掌でございますが、御承知のとおり、十二年の八月十五日には男女共同参画推進本部決定がございまして、現在二〇%比率を達成しているということでございまして、平成十七年度末までのできるだけ早い期間に三〇%を達成するようにという、本部決定でございますから閣議決定に準ずるようなものでございまして、また、十二月十二日には閣議決定がございまして、ほぼ同様の趣旨の決定がございます。
 そういうものを踏まえまして女性の比率を決めるということだというふうに思いますが、七人の委員でございますから、二〇%ですと二、七の十四、その場合は四捨五入して一人かと、三〇%なら三、七、二十一でこれは二人かと、そういうことでございます。
 いずれにしましても、委員御指摘の女性の参加ということについては重視して委員の決定をしていただけるものというふうに考えているところでございます。
山花委員 任命権者は総理ですから、総理の判断ということになるんでしょうけれども、ぜひこの点は、本当に、今の御答弁の線で副大臣からも御努力いただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 今、三条に来ましたけれども、四条のところに移りたいと思います。
 これは、「委員は、優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」とありますけれども、この「優れた識見を有する者」については、またいろいろとここでも議論がありました。
 私の意見として申し上げれば、例えば、整備計画が決定している九三四二をどんどんつくれなんていう人が入るべきではない、このように思うわけでありますが、そういったこととは別に、これを制度として見たときに、例えばほかの八条委員会なんかを見たときに、委員は国会議員を除くとか、そういった規定が書いてあることがあるわけですけれども、例えば国会議員を除くというような形で委員の選任がされるケースが、一つは、先ほどサンプルとして出てまいりました選挙制度の区割りなんかの審議会がそれに当たるわけですけれども、恐らく、選挙ということになれば自分自身が当事者となるという趣旨で省かれているんだと思うんです。
 ですけれども、道路のことも、やはりどうしても地元のなんという話になると、当事者そのものではなくてもかなり、議員というのは重大な利害関係を持つケースが多々あるわけでありまして、これは法文には書いてないんですけれども、私は国会議員を入れるべきではないと考えているんですけれども、この点はいかがでしょうか。本来であれば法文に明記すべきではないかと思いますけれども、答弁で担保させていただきたいと思います。
熊代副大臣 審議会の委員につきましては、行政への民意の反映という観点から、原則として民間有識者から選ぶこととされておりまして、国会議員については、当該審議会の不可欠の構成要素である、そういう場合を除きまして委員としない方針でございまして、本委員会におきましても国会議員が任命されることはないというふうに理解しております。
 ちなみに、国会法第三十九条では、別に法律で定める場合にだけ国会議員を委員に任命するということでございます。本委員会設置法案では国会議員を任命すると規定がございませんので、国会議員は任命することはないというふうに理解しております。
山花委員 入らないということでよろしいかと思います。
 ちょっと時間が押してまいりましたので、六条の関係で少し伺いたいんです。委員会の権限なんですが、先ほども少し申し上げましたが、「資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」など、いろいろ権限が定められているんですけれども、この権限というのはどういう形で担保されるんでしょうか。つまり、調査ということである以上、強制力を有しないわけで、これも先日、前原委員から、まともな資料が出てこなかったらどうするんだなんという議論がありましたけれども、この点について、例えば国交省、道路局長おいでいただいておりますけれども、これはちゃんと協力はしていただけるということで間違いないですね。
大石政府参考人 国土交通省といたしましては、道路局が道路の専門的な知識を持っておる担当局でございますが、こういった知識を活用していただきたいと考えてございまして、法律の規定に基づき、求めに応じ、民営化推進委員会が業務を遂行する上で必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
 なお、公団につきましても、求めに応じ、必要な協力をすることになるものと理解いたしております。
山花委員 そこで、この委員会のということではないですが、当内閣委員会の方でいろいろ議論がございました本四であるとか東京湾アクアラインの需要予測、余りにもひどかったんじゃないかという議論がありましたけれども、あの需要予測について、何でこれほどまでに失敗したのか、どういう総括をされているんでしょうか。原因についてお伺いしたいと思います。
大石政府参考人 これも何度か御答弁させていただきました。我々もアクアラインあるいは本四の交通実態につきまして、相当な反省がございます。
 例えば、アクアラインで申しますと、供用当初、平成九年度の平均で一万一千九百台でございましたから、当時の償還計画、これは平成九年十一月の事業許可でございますが、見込んでおりました二万五千五百台の約五割程度ということでございます。
 利用低迷の要因はいろいろあるわけでございますが、例えば、経済がマイナス成長に陥ってしまうほどの戦後最大の不況が反映されているだとか、あるいは、供用前からそんなことわかっていたじゃないかと御指摘があるかもわかりませんが、料金の割高感の問題、あるいは関連道路網の整備のおくれ、これは川崎側も千葉側も、残念ながら、予定しておりますネットワークが整備されておりません。あるいは、特に房総半島側でございますが、周辺地域の開発のおくれ等によりまして、これにより計画と実績の乖離が生じたというように考えてございます。
 本四につきましても、平成十二年度の三ルートの県境断面の合計、三万六千台でございますが、これは償還計画、平成九年十二月認可で見込んでおりました五万三百台の七割程度でございます。
 同様の背景があるわけでございますが、景気低迷の影響のほか、フェリーの料金値下げでフェリーが対抗してきたといったようなことで、フェリーが競争力をつけ、相対的に本四の魅力が薄れたといったようなことも背景にあるというふうに考えております。
山花委員 いろいろとそういった説明はされるんですけれども、例えばアクアの例でいいますと、今後の需要見通しについて、私は、これも前原委員もやっておりましたけれども、ちょっとにわかには信じられないんです。説明されればいろいろとおっしゃるんでしょうけれども、例えば、ずっとこれまで需要予測を下回っていて、計画変更されて少し合ってきたじゃないかということもあるんでしょうけれども、九年で一万一千台、十年で一万台、十一年で九千六百台と減ってきて、これが少し上向くだろうと予想されているようですが、にもかかわらず、二十二年で三万五千、三十二年で四万一千という形になっているんですね。
 それが一つと、これは新聞でも大きく取り上げられましたので、この委員会のメンバーの方でもごらんになった方はいらっしゃると思います。これは厚生省の国立社会保障・人口問題研究所が出したものですが、合計特殊出生率というものが当初の見込みより落ちていますよね。二〇五〇年までで一・六一だったのが一・三九になっている。前回、中位推計では、出生実数が八十一万人だったのが六十七万人に減っている。現在、出生実数は百二十万人ですから、半分ぐらいになるわけですね。
 見通しが変わった原因というのを担当の方に聞きましたら、要するに、子供がすごく減っているそうですね。お年寄りの方がすごく多くなっていて、人口全体で見るとそんなに変わらないんだけれども、将来人口推計という形で見ると、年齢のところで見るとそういう形になっていると言われるんです。
 そうだとすると、長い目で見たときに、要するに、車に乗る人というのはどんどん減っていくんじゃないか。お年寄りなんて、八十歳以上の人がすごくふえたからといって、そんな運転しないですよ。こういったことというのはどこで見通し、例えば需要の見通しのところで反映されるんですか。
大石政府参考人 将来、特に長期的な交通量を見通す際、GDPの見通しでありますとか、あるいはそれぞれの地域の発展計画等々も重要な要素でございますが、人口推計は極めて大きな要素の一つでございます。したがいまして、私どもも、それぞれの時点で、償還計画を練り直すごとに、将来人口も考慮に入れながら推計のやり直しをいたしておるところでございます。特に、最近の人口問題研究所の人口予測につきましては、これは中位推計のピークが前回の二〇〇七年から二〇〇六年に修正されたというように、将来人口の動向については従前よりも下方に修正されたということはよく理解いたしておるところでございます。
 したがいまして、現在、我々、新たな長期計画の研究といいますか、勉強を続けておるところでございますが、そういった勉強にあわせまして、GDP等の将来の経済社会フレームにつきまして調整をしておるところでございます。新たな長期計画の要求とあわせて、我々も新たな将来推計を公表していきたいというように考えてございます。
 ただ、今私が申し上げましたのは長期的な見通しでございまして、短期的な見通しで申しますと、例えば人口が減少いたしましても車を利用する機会がふえていっているというような状況がございます。例えば、一つの県の例で恐縮でございますが、秋田県では、一九八〇年から二〇〇〇年の間にかけて人口が百二十六万人から百十九万人へと約六%減少いたしておりますが、十二時間交通量は、この同時期に八百九十八万台キロから一千五百十一万台キロへと増加いたしております。これは六八%の増でございます。これは諸外国でも似たような例がございます。
 そういうことになりますと、車への依存といいますか、そういう転換が進んでいっている、あるいは、高齢者、特に女性の方々のドライブする機会がふえているといったようなことで、必ずしも、短期的には交通量の減少に直ちにリンクしないというようなこともございますが、長期的に大きな影響を受けることは当然のことでございますので、そういった推計をやりながら、その都度修正をしていきたいと考えております。
山花委員 今ざっと説明をされただけでは、私が道路のそういう専門家ではないからよくわからないのかもしれないですが、すっとは落ちないところがあるんです。恐らくいろいろな計算をされているんでありましょう、GDPがどうだとか、人口も一つの要素で。
 それこそ、これは最後にもう一回申し上げたいと思いますけれども、本当に専門的な話でありまして、先ほど来、原子力とかなんとか、原子力だと科学的にある程度、自然法則で結論が出るのかもしれないですけれども、かなり専門的なことを検討する委員会なんだと思いますよ。別に御答弁は結構ですけれども、やはり三条委員会の方でやった方がいいんじゃないかということを申し上げたいと思います。
 ちょっと時間が参りましたので、これは、もう予算は通ってしまっておりますから、今さらいろいろ注文をつけるという話でもないのかもしれませんけれども、例えばこの第七条で、事務局に所要の職員を置いたりということがありますけれども、これも今までの議論の中で、要するに、出向とかそういう形でいろいろな役所から出てくるんだ、改めて事務局のために新たな人材を採るわけじゃないという話があったりするわけですし、また、委員も、これは第四条の二項によると非常勤ですよね。非常勤ということは、年俸なりなんなり、そういうものを払っているわけではないわけであります。
 ところで、平成十四年度の一般会計予算に、道路関係四公団民営化推進委員会に必要な経費として一億九千二百五十四万五千円、要するに約二億円もの経費が計上されているんですけれども、何でこんなにお金がかかるんですか。その積算の根拠をお示しいただきたいと思います。
坂野政府参考人 平成十四年度予算におきまして、この委員会経費として約一億九千万円計上しておりますことは御指摘のとおりでございます。
 主な支出項目といたしましては、委員手当として約一千万円、それから委員等旅費など旅費関連の経費として約一千四百万円、それから庁費、庁費というのは、例えば委員会の運営に当たるいろいろな印刷とか消耗品とかそういうものでございます。あるいは事務局の経費、消耗品とか通信費とかそういうような経費、この庁費として委員会、事務局関係合わせて約八千万、それから情報処理業務庁費といいまして、これはパソコンのレンタル代などでございますが、約三千万円、それから土地建物借料でございますが、約五千万円でございます。その他もろもろ含めて約一億九千万円の計上をいたしております。
 これらの経費につきましては、当時、年末に予算を政府として策定するというその時点の状況を踏まえて、通常必要とされるものを想定して計上したというものでございまして、今後、委員会発足後、その執行に当たりましては、効率的かつ必要な範囲内のものとしてむだのないように支出をしていくということは当然だと考えております。
山花委員 道路公団の話と一緒だと思うんです。二億円、これは予算ですから、予算として計上されているというだけで、使わなきゃいけないというものじゃないですから、ぜひむだのないようにお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて山花君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
大畠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。鮫島宗明君。
鮫島委員 鮫島宗明です。
 二週間ほど前に、東京の杉並区に、首都圏で初めて小学校の校庭をきれいに芝生にしましたという和泉小学校というのがあって、杉並区の方でバスを仕立ててくれたものですから、超党派の校庭緑化推進議員連盟で見学に行かせていただきました。多分、大臣の選挙区だと思います。
 ところが、霞が関に入った途端に渋滞しまして、杉並まで行くのに随分かかってしまったんですが、きょうは東京にちょっと焦点を当てて、首都高にまつわる問題について質問をさせていただきたいと思います。
 少し外側の方から質問させていただきますけれども、最近、ETC、エレクトロニック・トール・コレクション、日本語では有料道路自動料金収受システムというのがつけられて、これは、ゲートのときの渋滞の解消、自動的にこれをつけていれば通れますという鳴り物入りで発足したわけですが、ほとんど日本では普及しない。現在、まだ一%程度というふうに言われています。
 理由が幾つか指摘されていますが、まず値段が高い。取りつけ料を含めて四万円近くしているわけですけれども、アメリカのテキサス州では全部で三十ドル、今四〇%まで普及しました。それから、ニューヨークはほとんどただ同然、今六〇%普及しています。
 それから、日本は、東名や何かの大きなゲートでETCが使えるゲートが少ないものですから、そこに入っていくのが大変だというようなこともあって非常に普及が滞っているようですが、どういうふうに普及させようとお考えでしょうか。それで、渋滞の解消にこのことがどうきいてくるのかということを御説明いただきたいと思います。
大石政府参考人 ETCの普及状況、その促進策についてのお尋ねでございます。
 ETCにつきましては、昨年の十一月に全国展開したということでございますので、現在まだ緒についたばかりという状況だろうというように思います。
 車載器のセットアップ数はその後着実に増加いたしておりまして、四月十日現在で約二十五万台、一日約千四百台ずつ増加しているという状況でございます。利用状況につきましては、全国展開の当初、十二月では一日五万台、利用率にして〇・九%程度でございましたが、その後四カ月間で一日約十万五千台、利用率にしておおむね一・七%と、おおむね倍増しているような状況でございます。
 先生御指摘のように、ETCは、個々の利用者がノンストップ、キャッシュレスで御利用がいただけるというメリットのほか、料金所を起点とする渋滞の解消に大きく寄与するシステムでもありますし、また、これが普及すれば多様な料金政策が可能であるということから、早期普及がぜひ必要だと考えてございます。
 ちなみに、普及率が五〇%になれば現在の料金所渋滞はほぼ解消するといったような試算も持っております。
 そのため、普及促進策といたしまして、具体的には、まず、昨年十二月の全国展開に合わせまして、期間限定の特別割引を導入いたしました。これは、各公団ごとに、一万円をキャップといたしまして、一回の利用ごとに二〇%を割り引くというものでございまして、もし首都高と道路公団を両方お使いの方ですと二万円まで割り引かれる、あるいは、阪神もお使いですと、トータル三万円まで一回の利用ごとに二〇%割り引かれるというものでございます。
 また、ETCの専用レーンの拡充、まだまだ不十分じゃないかと御指摘を受けておりますが、行ってまいりました。
 また、ことしの夏には、現行のハイウェイカード等の割引率を考慮いたしましたETCの前納割引の導入を図るべく、現在プログラム開発中でございまして、できれば夏休み前に御利用いただけるような、そんなスピードで考えたいというように思っております。
 さらに、今後、ETCの車載器の価格抵抗感を少しでも緩和していく観点から、ETCならではのきめ細かな料金サービスを企画、実施していきたいと考えてございまして、近い将来我々が考えております施策の一つを御紹介いたしますと、例えば、都市高速道路における渋滞回避のための乗り継ぎ割引といったようなものをやりやすくするだとか、あるいは、特定の短区間利用者の割引等を実施したいと考えてございます。
 なお、我々が全国展開を開始いたしまして以降、車載器メーカーやあるいは販売店によります価格競争等が本格化してきてございまして、今後、普及拡大の観点からも期待いたしておるところでございます。一部の車載器販売店によりますキャッシュバックキャンペーンでありますとか、あるいは一部メーカーによる取りつけ、セットアップ料込みの低価格販売等が行われております。また、一部のカーディーラーでは、車載器半額セールも実施されているというように聞いてございます。
 いずれにせよ、国土交通省といたしましては、ETCの普及促進に効果のあるきめ細かなサービスにつきまして、公団とともにいろいろ検討し、積極的に導入してまいりたいと考えております。
鮫島委員 ぜひETCの普及に御尽力いただいて、渋滞の解消に役立てていただきたいと思います。少し宣伝され過ぎたような気がいたしますが。
 今のことと多少関係しますけれども、高速道路利用者への課税の問題についてお伺いします。
 ガソリン税が消費税との関係で二重課税じゃないかという質問は時々出ていると思いますが、高速道路を走っている車もガソリン税がかかっている。しかし、このガソリン税は、道路特会の方に行って一般道の整備にしか使わない。
 きょう何度も御答弁がありましたけれども、これから道路公団は民営化の方針、国費は一銭も入れませんというふうになりますと、高速道路を走っているときもガソリンを消費するわけですが、リッター十キロ走るとして、税金でいいますと今リッター五十四円かかっていますから、大体、高速道路を一キロ走るごとに五円ずつ道路の税金が取られるんですが、これはしかし、高速道路には使われずに一般の道路に使われる。そうすると、なぜ高速道路を走っている人がその税金を払わなくちゃいかぬのか。これは、税の世界で昔から問題になっている話だと思います。
 高速道路が今一キロ二十五円、それに対して五円必然的に取られる。これについては何らかの形で還付を行うべきじゃないかという議論は前からあったわけです。実際、アメリカ、フランス等では、年に二回ぐらい、高速道路の領収書を全部持っていくと、それに応じて燃費を計算してガソリン税分が戻ってくるというようなことも行われていると聞いておりますが、この二重課税の今の問題はどういうふうにお考えになっておられるんでしょうか。
大石政府参考人 高速自動車国道の建設は、建設、管理に要する費用を借入金で調達し、利用者からの料金収入により金利、管理費を賄いながら償う有料道路制度ということでございます。
 今先生の御指摘の、この道路を使う方々もガソリン税等の税金を払っているわけだから、それに該当する税の還付があっていいのではないか、出資金やその他で応援していいのではないかということでございますが、従前、我々もそれに近い考え方で国費の投入等を行ってきたこともございます。高速自動車国道あるいは道路公団に国費を投入しないということになった観点から、そのような問題がより先鋭化するということもあるのかもわかりません。交通工学者の中には、高速自動車国道の利用者によるガソリン税収入見合いの国費を高速自動車国道に充当することは利用者負担の原則に基づくものであり、認められるべきだ、こう言う学者もいらっしゃいます。
 現に、高速自動車国道に関して私たちの試算を行いますと、高速自動車国道を走行する車の台キロのシェアをはかりますと、平成十一年の実績で八・二%ぐらいでございますから、例えば揮発油税、これは国税でいただいている分だけでございますが、二兆八千四百億というような数字で申しますと、これの八・二%シェアということになりますと二千三百三十二億、これが当然投入されていいのではないか、このような御議論もあることは私たちもよく承知いたしております。
 しかしながら、ガソリン税等の特定財源収入は、受益者負担、損傷者負担の考え方に基づき、道路の主たる利用者であります自動車利用者に道路の整備費を負担していただいて賄っておるものでございまして、これは、考え方といたしましては、全体の収入で全体の道路整備費を賄う、こういう制度であるというように理解をいたしておるところでございます。
 なお、高速自動車国道の料金は、個々の利用者に対しましては、他の交通機関の運賃や利用者の支払い能力等を考慮いたしまして、社会的に公正で妥当な負担を求めているものであり、我々は公正妥当主義という言い方をしておりますが、こういった考え方で料金水準を定めているものでございまして、特に利用者の負担が過度なものになっているものではないのではないかというように考えております。
鮫島委員 料金の考え方というよりも、今の税金の問題に限って、ガソリン税の還付を高速道路を走っている分については何らかの形でする必要があるのではないか。一般的に考えて一番簡単なやり方は、料金をちょっと安くするというのが多分一番ストレートな還付の仕方だろうと思いますが、少しお知恵を出していただいて、例えば、高速道路のサービスエリアにあるガソリンスタンドのガソリンにはガソリン税をかけないとか。余りかたい方式、多分、確定申告のときに年間の領収書をみんな持ってこいというのはなかなか難しいやり方で、その辺は、やはり税法の基本的な考え方からいうとここはおかしいというのは理論的にもあると思いますので、何らかの形で利用者に還付する制度をこれからもお考えいただきたいし、今度できる推進委員会の中でも、ぜひそういうこともテーマにしていただきたいというふうに思います。
 その高速道路の料金のことですが、東名高速道路が全線開通したのが昭和四十三年、ちょうど私が大学を出たころですが、そのときに償還期間は二十三年というふうに発表されましたので、その当時だとすると、もう十年前に本当は償還は終わって無料開放されたはずでありますけれども、途中から料金プール制度が導入されて、政府の約束はほごにされたといいますか、有料のまま続いている。
 この料金プール制度と全国一律料金、キロ当たり二十五円強というのは必ずしも一対一で結びつく必要はなくて、東名高速道路のように償還済み区間とまだ償還が始まったばかりの区間とで何らかの料金の違いがあってもいいのではないか。特に、東名高速道路のような、非常に利用率の高い道路でもう償還が終わってドル箱みたいになっているところも全部ほかの道路と値段が同じですよというのは、ユーザー感覚からいって若干そごを感じるものですから、こういう全国一律料金というのとプール制度とを必ずしも一対一に結びつけなくて、償還済み区間の料金を引き下げるというようなことも今度の推進委員会の議題ではないかと思いますが、国土交通省の方ではどんなふうにお考えでしょうか。
大石政府参考人 今の先生の御指摘が第三者委員会のテーマそのものなのかどうかにつきましては、私としては、そうであるとも言えないしそうでないとも言えない、こういう立場であろうと思います。しかし、御指摘になりました料金プール制と一律料金というのが必ず一対一に対応しているものかどうかということにつきましては、私も完全に一対一に対応しているということを言い切る自信がございません。
 しかし、全国民が同一の価格で同一のサービスを受けるというこの考え方に基づいていることは事実でございまして、これは、多くの他の財やサービス、電気でありますとかガスでありますとか、一般の商品などと同様の考え方になるのではないかというように考えてございます。
 このような制度が、全路線が一体的な交通網として機能している、事業実施時期の違いにより、早い時期には低コストで建設された路線に比べ、後で建設された路線は、建設がおくれた上、高い料金を負担しなければならないといった地域間の不公平感、こういったものを解消する必要があることから、御指摘のように、昭和四十七年に採用したものでございます。
 また、最近の内閣府による世論調査等によりましても、全国均一の料金水準を肯定する国民の皆様方が五三%を占めるという状況でございまして、この考え方は国民の間に定着しているものではないかという認識をいたしております。
 しかし、高速自動車国道の料金について弾力的な料金制度、これを拡充していけという御指摘があることはよく理解いたしております。全国の道路全体が採算性が確保されるということは極めて重要でございますが、その採算性の確保をいたしながら、多くの方々に御利用いただいております料金を弾力的に考えていくということは重要な事柄だと考えておりまして、現在、道路局におきましても、今後の料金制度のあり方について検討をいたしたところでございます。
鮫島委員 それは、多分、一律にした方がいいという人が半分より多いのは当然だと思いますよ。特に東京都民は、首都高でも、いつも渋滞しているのに随分高いお金を短い距離で取られているし、東名も、ただになるはずだったのがまだ高い料金を取られているし、何となく高速道路に関しては過重負担感が非常に強いということも御理解いただきたいと思います。
 特に、首都高速道路の話に入りますが、ちょうど一九五九年の建設委員会の大昔の議事録などがありますが、もともとあの首都高速道路を考えたときには、環状網の整備、つまりドーナツ状に、どう移動をスムーズにするかというのが最初の設計であったようですし、これは、戦後のマッカーサーがつくった図面も多分そんなふうになっていたと思います。環状八号というのは当時から輪になっていまして、じゃ、環状三号とか環状四号とか見たことあるのかというと、だれもわからないというのが東京都民の感情でして、ドーナツ状の移動の部分が非常におくれている。そのために、首都高速道路をつくるというのが当初の理念にありましたし、首都高速道路という名前は首都につくるという話だったのが、その後どうなったかといいますと、環状の整備は二の次になって、放射状の整備ばかりが進んで各方面に星形に延びていった、相変わらず環状の移動はまだ外環すらできていないというふうに、非常にそごを来しているわけです。
 おまけに、たくさん放射状につないだものですから、車の移動が、通過車両が大変多くなって、今首都高全体で約六割五分ぐらいが通過車両。それで首都高の環状線がほとんど大きなロータリーみたいな感じになっていて、どうも最初の設計した思想、都民の交通の利便性に資するというのがどこかから飛んじゃっているんじゃないか。それで、料金は高い、いつも渋滞している。料金が高過ぎるんじゃないかと文句を言ったら、あなたはそれを通行料だと思っているから高いと感じるんでしょうけれども、駐車料金だと思えば安いものだという悪い冗談もあります。
 こういうふうに、首都高が本来の目的から外れて、環状の移動をスムーズにするはずが放射状になっちゃってという、当初の姿より大分変わったという認識を国土交通省もお持ちなのかどうか、改めて、首都の範囲というのをまずどう考えておられるのかをお伺いしたいと思います。
大石政府参考人 首都高速道路がその範囲を超えて整備されているのではないかという御指摘でございます。
 確かに、首都高速道路公団は、その法の目的、この道路を整備する目的の中に、「東京都の区の存する区域及びその周辺の地域において、その通行について料金を徴収することができる自動車専用道路の新設、改築、」云々とございます。昭和三十四年に設立されました公団法第一条の目的ではこのように書かれているわけでございます。
 しかしながら、現在の首都高速道路が整備いたしております路線は、その後逐次改定してまいりました首都圏整備計画にノミネートされた路線の中から基本計画を指示する、このような考え方になってきてございまして、現在では、東京の都心部分のみならず、首都圏の交通の円滑化に資する路線として多くの方々に利用されている、こういう状況であると認識いたしております。
 都心の環状線に放射状の道路がぶら下がった結果、都民が大変な迷惑あるいは損失をこうむっているのではないかという御指摘でございますが、確かに都心環状線は常に渋滞の頭でございまして、したがいまして、放射状の道路の交通渋滞の状況を見てまいりますと、下りは円滑に流れますが上りが常に渋滞している、このような御迷惑をかけていることも事実でございます。先生おっしゃいましたように、都心環状の交通量四十七万台の六割の二十九万台が都心部を通過する交通ということでございますから、大変大きな渋滞を巻き起こしておるわけでございます。
 しかしながら、これは逆に考えますと、都心環状にODを持たない交通、つまり遠距離の交通を処理する交通が首都高を通っているということでもございまして、この都心環状を中心にかなり広域的な交通をさばいているという状況にもございます。現に、首都高は、でき上がった当初は一台当たりの平均走行距離が十一・三キロでございましたが、現在首都高を利用される方の平均走行距離は二十・九キロということになっておりまして、大分足の長い交通もこの首都高速道路が分担しているという状況でございます。
 したがいまして、我々は、王子線でありますとかあるいは新宿線といったような、都心環状をフォローする副都心環状とでもいうべき現在の中央環状線を整備中でございまして、近々に供用が始まる、このような状況になってございます。
鮫島委員 昔の、一九五九年のこの委員会では、なかなか先見の明があって、もしかしたら首都高速道路という名前でどんどん他県とつながっていく、延ばしたいという願望が途中で働くんじゃないか、しかし、そういうふうになったら、それは首都高速道路ではなくて首都圏高速道路公団と名前を変えるべきだという話が既に論議されていて、なかなか昔の方も先見の明があったなというふうに思います。
 今や、首都高速道路は、東は大宮まで、西は横浜の先の八景島シーパラダイスの近くまでどんどんどんどん延びていまして、東京都民的にいえば、この四方八方にどんどん延びることをやめないためにいつまでたっても七百円のお金を払わなくちゃいけない。東京都民のための交通の利便性というよりも、機能的に見れば他県の交通網整備に流用されている、そういう実態になっていることに非常に強い不満を持っていることをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
 現在法案として提案されている中身が、この推進委員会でこういう問題の解消も含めて検討をされるんだと思いますが、いろいろな人がきょうも朝から大臣に随分質問していると思います。まあ、委員会にお任せする以上は余り予断を与えるようなことはしたくないという大臣のお気持ちはよくわかりますが、少なくとも、なぜこういう委員会をつくって検討するのか、なぜ民営化するのかというその大前提には、やはりなるべく債務を圧縮するということと同時に、利用者、ユーザーに対する負担を下げていく、つまり料金を安くしていくということぐらいは議論の背景としてあるというふうに認識していいんでしょうか。つまり、債務の圧縮とユーザー負担の軽減、この二つ。
石原国務大臣 これまでの鮫島委員の御議論を聞いておりまして、やはり国民的な視点、関心のある点は委員が御指摘の点に尽きるのではないかというような印象を持ちました。
 当然のこと、改革意欲に富み、一党一派に属することなく、公正、公平な判断をいただく委員の方が選任された暁には、償還計画の妥当性あるいは将来金利の動向あるいは需要見通し等々議論をされる中で、今委員御指摘のように、この交通料金がどうあるべきかということもなされていくものと信じております。
鮫島委員 首都高速道路が余り機能的な道路ではないという指摘をさせていただきました。そういうユーザーの不満を解消する視点も含めて、推進委員会の中であり方そのものを検討していただけるとは思いますが、それが八条委員会でいいかどうかという問題はもちろんあります。
 ところが、これから道路公団の民営化について議論しましょうと言っているさなかに、首都高速道路、平成十四年度、つまり今年度、また百円上げるという話が実は出ておりまして、これは既に平成十二年の東京線基本計画変更協議に際して、「都道首都高速板橋足立線の供用が予定されている平成十四年度において、百円程度の値上げが必要と見込まれる」、これを首都高速道路公団が国土交通省、当時の建設省に値上げ申請をしたところ、東京都とも協議をして、オーケー、結構ですという返事がどうも出ているらしい。
 そうすると、この委員会の発足がいつになるかわかりませんが、まあ順調にいけば五月末ぐらいになるんですかね。それで十二月三十一日までに民営化のあり方についての結論を出す。そもそも高速道路の経営はどうあるべきかという基本論をやっているときに、勝手に首都高速道路が、先ほど言ったように非常に都民にとっては使い勝手が悪くてしょっちゅう渋滞している、これがまた百円上がるということは都民感情としては何とも許せないし、逆に言うと、委員会を軽視しているということになるんではないかと思います。これはだれに聞けばいいのか、国土交通省。
大石政府参考人 首都高速道路東京線の料金改定が予定されているのではないか、こういう御指摘でございます。
 現在の首都高速道路の償還の仕組みでございますが、現在、普通車で七百円いただいておりますが、これは現在供用中の路線の建設費及び管理費を賄うために設定されているものでございます。したがいまして、新規路線の供用に当たりましては、建設中の路線のうち、供用のめどが明らかになり、かつ事業費が確定できる路線の建設に要した費用と供用による需要の増加を勘案して償還計画の見直しを行い、料金を決定する必要がございます。
 今御指摘になりました、今年度、中央環状線の王子線、昔、板橋戸田線と言った路線でございますが、この路線の供用が予定されておりますが、首都高速道路公団は、その供用時点において、中央環状王子線、中央環状新宿線及び晴海線の三路線の整備に要する事業費等を償還対象に加えることにより百円程度料金の値上げが必要との見通しを平成十二年六月に公表いたしております。
 ただ、首都高速道路公団におきましては、現下の厳しい経済情勢を踏まえて料金改定のスケジュールを検討することと聞いておりまして、国土交通省といたしましては、公団から料金改定の申請を受けて適切に判断をしていく、こういうことになろうと考えております。
鮫島委員 ちょっとよくわからないところがあるんですが、少なくともこの委員会が設置されて、開かれて、道路公団の経営のあり方そのものを根底から議論している間、つまりことしの十二月三十一日までは、勝手に首都高速道路の百円の値上げはしないという約束はできないでしょうか。
大石政府参考人 ただいまも申し上げましたように、現在建設いたしまして、平成十四年に供用しようと考えてございます王子線の建設費用は、料金による償還対象費用に入っておりません。したがいまして、これを供用する時点で償還対象経費に計上することが必要でございます。これが定められた手続でございます。
 もしこれを償還対象の中に入れるということになりまして現在の料金でこの償還が賄えないという見通しになりましたら、これの料金改定を行うか、あるいは完成いたしましたこの王子線の供用ができないか、どちらかということになるわけでございます。なるほど、厳しい状況でもございますし、また、委員会が動いている中でこういった議論が行われること自身がどうかという御指摘は、それはそれとして理解できるところでございますが、国土交通省といたしましては、公団からの料金申請がございましたら、適切な判断を行わざるを得ないのではないかと考えております。
鮫島委員 これは大臣にお伺いしたいんですけれども、今言ったような償還できるかできないか、そういうことも含めて、あるいは償還の仕方そのもの、道路公団の経営のあり方そのものをこれから委員会で議論するわけですから、その委員会の審議あるいは結論を待たずに、それとは全く別世界のような感覚で、例えば十月なら十月にぽんと首都高を百円上げたら、非常に国民は不思議な感じといいますか、何かペテンにかけられたような印象を受けるし、あるいは、この委員会というのはいかに権威がない委員会だなという印象を与えかねないというふうに思います。
 例えば、公務員の給料を決めるのに、人事院がベースアップを幾らにしようかと協議している間に、その協議の結果を待たずに勝手に役所の方で値上げをしてしまうというのと同じような印象を与えるわけで、ここはぜひひとつ大臣の良識で、この委員会で根本議論をしている間はこういう勝手にぽんと百円上げるようなことはしない、特に首都高に関してということをこの場でお約束していただけると、大変私も質問のしがいがあるんですが、いかがでしょうか。
石原国務大臣 鮫島委員の御質問に前向きに私も権限があればそうしますと答えさせていただきたいところでございますが、いずれにいたしましても、この法案の審議が終わりまして民営化推進委員会ができて、その時期は、委員御指摘のとおりに、検討している最中にそのようなものが起こってきたら、国土交通省として私は適切に判断をしていただけると。私の適切は委員の考える適切と同じ考えですし、過去の例を見ましても、横浜線でございますか、あのときも扇大臣が値上げ申請に対してはっきりとノーと言われたことを参照にさせていただければと思っております。
鮫島委員 ぜひ扇大臣にもこのような状況をお伝えいただいて、それから、かつて短かったですが、羽田総理のときも公共料金の値上げを三カ月間ぴたっと抑えたこともありますし、この委員会がもしできるとしたら、これを権威あらしめるためにも、この途中の駆け込み値上げみたいなものはさせないような御指導をぜひしていただきたいというふうに思います。
 ちょっと戻りますけれども、今の計画で、首都高そのものが首都を越えてさらにどんどん四方八方に延びていくという計画は、今の段階ではどこまで、北はどこ、東はどこ、西はどこという、端っこはどの辺になるんでしょうか。
大石政府参考人 首都高速の事業を計画いたしております対象路線は、今先生が北はどこまでかというのでお答え申し上げますと、北は大宮線、これはさいたま市から戸田市までの区間、これが現在対象の北限でございます。それから、横浜の方向で申しますと、もう湾岸五期が既に供用いたしましたが、湾岸五期まででございます。川崎は川崎縦貫線まででございます。それから、横浜環状線、これは一部事業化されましたが、これの環状線。環状機能をどこまで首都高にやらせるかにつきましては今後の議論でございますが、そういったあたりまでかなというように考えております。
鮫島委員 首都高については今の値上げ問題が私は一番の焦点だったもので、首都高について予定していた質問は終わりますが、ちょっと未通告で、高速道路というインフラの使い方について幾つか御質問したいんです。
 例えば、光ファイバー網を今後整備していくというときに、高速道路の持っている独特の堅固な空間といいますか、不定型かもしれませんが、その空間はただ車が走るためというだけではなくて、いろいろな使い方ができるんじゃないかと思いますが、そういう場合に、やはり縦割りの壁なんかがあってやりにくい。
 今、高速道路のけた下沿いにそういう情報ネットワークを走らせるというようなお話というのは検討されたことはあるんでしょうか。
大石政府参考人 首都高速道路も日本道路公団が管理いたしております高速自動車国道も、ほとんどの路線につきまして光ファイバーネットワークを併設してございます。それによりましていろいろな多様なサービスも開始しているところでございます。
鮫島委員 多分、次の日本の国家的インフラという話になると、あしたから実は地球温暖化防止推進法案が本会議にかかり始めますけれども、この地球温暖化問題に対応してエネルギーの質的転換を図らなければいけないというときに、日本が非常に世界から見ておくれているのが天然ガスパイプラインの整備だろうと思います。
 今既に、サハリンの天然ガス油田開発にシェルとエクソンが取り組んでいまして、これが、日本が手を挙げなければ大陸の方につないじゃいますよと。日本が手を挙げれば真っすぐ北海道におろしてくる。この一、二年の間に、日本としては、ある種のエネルギー問題での意思決定を迫られると私は思います。
 そのときに、では、サハリンから引くパイプラインはできたとしても、そこから国内にデリバリーする、それから、LNGの基地は今日本に二十四カ所ぐらいありますが、それとのネットワークも含めて、どういうエネルギーセキュリティーのための天然ガスネットワークをつくるかというのが、私は次の国家的な非常に大事なインフラだと思います。
 これはある種、高速道路の高規格道路を整備していくのと似たような発想が必要になってきますし、多分、形も同じ、ラインも同じような形になってくる。そのときに、今の高速道路の独特の堅固な空間がこのパイプラインの敷設と一体化して使えれば非常にコストは安くなるだろうというふうに専門家の間で計算されている。
 それで、今、日本のパイプラインの建設コストは海外の約六倍から八倍、つまり、キロ当たり十億と言われておりまして、ヨーロッパでもキロ当たり二億から三億ですから、大変日本が高い。だけれども、もし高速道路の空間を上手に使えれば二億から三億でいける、つまり、ヨーロッパ並みの価格でいけるんじゃないかという話もあります。
 これは多分、こういう話をすると、経済産業省が、いや、それはうちの話だということになるかもしれませんが、昔でいえば、建設省が道路をつくって、上を走っている自動車は運輸省だったわけですから、別にパイプを国土交通省がつくって、中のガスが経済産業省のガスが動こうが、それは余り関係ないんじゃないかと思いますが、その辺は、こういうパイプラインの話なんかは国土交通省の発想の中に少しはあるんでしょうか。
大石政府参考人 今先生からお話がございましたように、私たちの国の物流、何が担っているかを見てみますると、走行台キロあるいはトン数で見まして、自動車が担っている部分ももちろん多いのでございますが、内航海運が非常に多いというのが特徴でございます。
 一方、ヨーロッパやアメリカの国々の特徴は、水運以外にパイプラインによる物流の分担率が非常に高いというのが特徴でございまして、私たちの国はその部分が非常に少ない、そういう問題がございます。これに対してどうするのかというのが一つのテーマだというように思います。
 それから、一方、私たちの国のエネルギーの消費を見てみますると、天然ガスの消費量が非常に少ないというのが、これも世界的に見まして極めて大きな特徴でございまして、環境の面でいうと、一次エネルギーとして天然ガスというのは非常に環境に優しいということから、これのウエートをどうやって高めるのかというのが国家的な一つの課題だろうというように思います。
 それに対して、道路局といいますか、国土交通省としてその空間をどう考えるかでございますが、私たちは、単に道路の空間をそういったものに占用させるという概念を超えて、そういうものを収用していく、そういうものを提供していくサービスそのものが道路のサービスと考えていいのではないかといったような勉強もいたしておりまして、具体的には、北海道におきます天然ガスパイプラインでありますとかあるいは国土縦貫パイプラインのあり方について、経済産業省との間で、我々との間で勉強も続けておりまして、天然ガスへの転換、地球環境に優しいエネルギーとしてこれを普及させるために、我々も、道路サイドといたしましても、応分の努力、いえばそれ以上の努力をしたいというように考えておりまして、ともに研究をしておるところでございます。
鮫島委員 どうも大変前向きな御答弁をいただきまして、日本の官僚はなかなか優秀な方もいるんだなというふうに思いますが、今局長が言ったように、ぜひ大臣も、高速道路の採算性なり経営のあり方を考えるときに、ただ車を走らせるだけの躯体ではなくて、今のグラスファイバーにしろ、あるいはパイプラインにしろ、ああいう独特の非常にハードな構造はいろいろな使い道ができるんだぞという意味で、先ほど言ったように、債務を圧縮し、ユーザーの負担が少なくなることを大前提にして上手な御商売を考えるように、この委員会に大臣からもそういう意向を伝えていただきたいというふうに思います。
 つまり、高速道路のとらえ方をもうちょっと深く、広くとらえて議論をしていただければ実りも多いのではないかと思います。
 以上で、少し時間が早いのですが、次の人が大分時間を欲しがっているので、譲ります。
大畠委員長 これにて鮫島君の質疑は終了いたしました。
 次に、石井紘基君。
石井(紘)委員 石井紘基でございます。
 まず、石原大臣、先日の民営化についての議論を若干最初に続けさせていただきたいと思うのですが、これは、将来の日本の行政、経済を大きく左右する問題でもあるし、また、石原大臣という有望な政治家の将来にもかかわる問題でございますから、ここは十分やはり慎重に、腹を据えて検討をしていただきたい、そういう思いから申し上げるわけでございます。
 まず、民営化ということについて、先日はどうもはっきりしない、政府が株を保有するところの特殊会社というのも民営化であるということのようでございましたが、そこでまず、先日の速記録を見ますと、大臣の答弁は、民営化というのは、特殊会社であっても株主が存在するんだから、そのもとで採算性とか効率性ということを加味した事業運営が行われるんだ、その結果、事業採択に当たっては収益面での的確な判断が可能となるんだというふうに言われているわけであります。
 そこで、これは重要な答弁でございますから、確認をしておかなきゃならないことが幾つかございます。
 一つ、最初の質問は、それでは、高速道路事業というものは、今後は、名実ともに民間の事業、つまり営利事業として行うということであるのかどうなのか、そこのお考えを伺いたいと思います。
石原国務大臣 石井委員にお答え申し上げたいと思います。
 先般の委員会で委員と議論をさせていただきましたが、当方の考え方、すなわち整理合理化計画で示させていただいた民営化の中には、ただいま委員が御指摘されましたような特殊会社化というものも入っておりますし、地方共同法人化、完全民営化、民間法人化というものも入っているという説明をさせていただきました。
 委員の御指摘はごもっともでございますが、こういうような整理をさせていただきましたのは、過去の国鉄の分割・民営化後の組織形態、民営化という中で特殊会社化を含ませていただきましたし、先般の議論の中で電発の話も委員の方から御指摘がされましたように、電発も一応民営化というカテゴリーの中に入れさせていただいております。
 しかし、いろいろ私も調べてみましたら、民営化の概念をそのようにとらえていない国もございます。オーストラリアでは、民営化というのは、完全株式を放出する、政府の持ち分はあるにしても放出するものを民営化と指し、特殊会社化は、公社から変わったものでも、コーポラタイゼーションというような形で整理をしている、そういう整理も世界の中にはあるということでございます。
石井(紘)委員 従来の電発、電源開発というものは、これは民営化だとおっしゃったけれども、そうだとすると、特殊法人の廃止、民営化といううたい文句と矛盾してくるわけですね。やはり、特殊法人を廃止、民営化するということは、現在の特殊法人が民間じゃないから出てくる言葉なのでありまして、非常にこれは矛盾しておるということを申し上げたいと思います。
 それから、株式会社ということで民間企業でやっていくということになりますと、先ほど申し上げましたように、株式会社というのは、当然営利企業、営利を目的とするものでございます。そういう意味では、そうすると、長い先の将来には高速道路の無料化というものはないということになってまいりますね。営利企業というものは、基本的には絶えずどこまでも営利を目的として成り立つのが株式会社であり、民間企業であるわけでありますから、そういたしますと高速道路の無料化というものは永久になくなる、そういうことになりますが、いかがですか。
石原国務大臣 この点につきましては、きょう午前中の同僚の阪上委員との議論の中でも出てまいりました。道路はどうあるべきか、これはやはり一元的には無料化して供用されるものである。その一つの例外として、モータリゼーションの急速な発展に対応していくために有料道路方式というものが昭和三十年代にとられたということでございます。そして、その帰結するところは、償還後、すなわち有利子で借りたお金を返済した後には無料開放するということが大前提になっておりますし、今度の整理合理化計画でも、償還期限は五十年を上限として、コスト削減等によりその短縮を目指すと明示させていただいたわけでございます。
 そこで、委員の御質問でございますところの、そのようなことと民営化が相入れないのではないかという御指摘でございますが、世界各国の例を紹介するまでもなく、事業主体、すなわち民間会社との協定方式として、民間会社がそれまで道路を所有している者との協定方式において、いわゆる上下分離、上下一体、両方ございますけれども、コンセッション方式あるいはリース方式という形で協定を結んで営利事業を営んでいるケースがございますので、民営化が即有料道路の無料開放につながらないという御指摘は必ずしも正しくないのではないかと考えております。
石井(紘)委員 株式会社というのは、株主を中心に、自分のところの企業で経営方針を立てて、予算をつくって、そして事業の収益を上げる、利益を上げるという、本質的にそういうものなんですから、将来無料化にするということを前提にすると、論理的にはほとんど成り立たなくなっていくんですね。それと同時に、五十年を償還期限にした、これも全く無責任な話で、ここにいる人はだれも五十年後には、だれもというかほとんど、石原さんは生きていらっしゃるかもしれないけれども、ほとんど生きていないわけですが、そういう無責任なことにした。そういうことから見ても、これは無料化ということはないんだということを率直にお認めになったらどうかなと思うわけですね。
 それから、特殊会社であれば株主が存在する、したがって、自分のところの事業方針だとか工事契約だとか資金調達だとか、予算やその他のもろもろの経営というものが自主的に、自律してできるんだ、だから効率性、採算性の面でいいんだというお話でありますけれども、果たして今、現状は、日本道路公団だけで二十七兆円の借金を抱えている。そういう中でもし経営形態を改めるとしたら、完全民営化ということはあり得ないわけですから、現状ではそんなものを買い取って事業として成り立つものはないわけですから、それは特殊会社化しかないわけですよ。
 そうすると、この特殊会社というものの株は、まず最初は一〇〇%、あるいはそれに限りなく近い比率で政府が保有するということになるでしょう。そうすると、株主、これは政府ということに基本的になります。政府が株主になって経営方針や事業計画というものを自主的に決められるということはあるでしょうか。
 それからまた、その経理内容等については、基本的にはもう国会から、あるいは政府から離れてしまうわけですね、民間会社ということですから。そうなりますと、これは今までどおりの、効率的でない、採算のとれない、借金がどんどんたまっていく、そういう経営をしても、もう基本的にはチェックが非常に難しいということにもなってくるでしょう。
 それから、多額な借金、四公団合わせれば四十兆円近いようなこういう借金というものは、先ほど、特殊会社である、前回も言われましたけれども、国鉄だとかあるいは電発だとかいうことを例に出されたけれども、国鉄のように清算事業団という形をとるか、あるいは、そういう特殊法人でだめであれば、政府の借金、要するにその借金を政府が名実ともに、今までももちろん国民の負担ということに結果的にはなるような、そういう無責任な借金の扱いでしたけれども、今度はまさに名実ともに国家の財政上の借金ということにつけかえなきゃならぬということにもなってくるわけですね。そうしたことしか考えられないわけです。
 そうしたら、それが本当に、先日言われたように、ステップアップの、一歩純粋な民間会社に近づくような、そういう民営化ということになり得るかどうか。今いろいろ申し上げましたけれども、御感想をお聞かせください。
石原国務大臣 もう委員は道路の専門家であられますので、私が申すまでもございませんが、世界各国の例をとるまでもなく、民営化して株式をマーケットに放出して、国庫の利益、国民の利益としてそれが還元されているというケースは、日本でもNTTの例を見るまでもなく、各国にあるわけでございます。
 ただ、道路というものは、鉄道が有料を前提にしているのと違いまして、日本の場合は原則無料。しかしながら、その例外として、有料道路の法律をつくりまして、急速なモータリゼーションの発展というものに対応すべく、有料道路方式で道路を建設してきた。その償還期限というものを、今度の整理合理化計画の中では、償還期間を五十年を上限とすると初めて縛りをかけまして、コスト削減努力によってその短縮を目指すという縛りをこの民営化される組織体にかけたわけでございます。これによりまして、これまでのように償還期限を延長していくということはできなくなりました。
 ということは、採算性の確保あるいはコスト意識というものに対して、新しい組織形態がどのようになるかはこの民営化推進委員会が御議論いただくことになりますけれども、そこのところを十分に念頭に置いて御議論をされますので、委員の御懸念のような事態は回避できる。
 現状のままでは、委員御指摘のとおり二十七兆円の有利子負債がございまして、キャッシュフローで見るならば今でもプライマリーバランスが黒字で、七千億か八千億かというようなキャッシュフローの余裕があるわけでございますが、その余裕を、新規道路、これまでどおり道路の計画を拡充するのか、あるいは、御同僚の鮫島委員の議論の中にございましたように、料金の値下げという方向に活用するのか、そういうこともこれからは議論の対象になってくる。それは、民間企業だからこそユーザーのことを最念頭に置いて判断をされるということをメリットとして考えさせていただいたところでございます。
石井(紘)委員 株式会社にしても、その株が圧倒的に政府保有ということの中で、それは、今までと格段に違う民間経営というものが想定できるわけはないわけであります。償還期限が五十年といったって、相変わらず政府の会社なわけですから、これまで同様に、最初は三十年だった、それが三十五年になり四十年になってどんどん延ばしてきて、今度は五十年が上限だというふうに延ばしてきた。そんなことは、ちっとも今回の改革の何か評価されるべき点にはならないわけですよ。
 そういうお考えを聞いていますと、果たして、これは民営化というけれども、相当ごまかしの、あいまいな、いいかげんな法案だとやはり言わざるを得ない。民営化ということについて、私は、この法案では一歩も前進していないというふうに言わざるを得ないと思うんです。
 また、では、民営化というものが現時点でいいのか悪いのかといったら、私にはここは到底想定できないんです。今、この先数年の間にこの道路公団というものが純粋な民間の企業になり得るなんていうはずはないんですよ、あり得ないんですよ。先ほどNTTなんかの例も言われましたけれども、NTTのようなものは、これは事業の内容として民間の事業ですから。しかし、道路とかというものは、これは基本的な国のインフラでして、民間にしても、競争相手というものは基本的には同じエリアではできないんですよね。
 そういうものでありまして、私は、この改革の唯一の方向があるとすれば、それは、基本的に新規事業をストップして、そして今のこの借金返済、大体三兆円前後は毎年借金返済にかかるわけですから、それに匹敵する金額を新たに借りてくる。一方では、一兆円の新規道路建設をやっているから、その分がどんどん借金が積み重なっていくわけですからね。ですから、この新規の建設を、これは借り入れてつくるわけですから、やればやるほど借入残高がふえる、そういう傾向になっているわけです。ですから、新規建設、しかも効率の悪い建設はやめて借金返済に専念する。
 それでも、やはり新たな借入金というのがなければ返済もできませんよ。それは、一定の国庫の負担も必要になるかもしれませんよ。だから、当面、民営化なんということは言わない方がいい。そして、十五年か二十年先まで新規建設をとりあえずストップしておいて、そして借金の返済のめどがつけば、そのときは民営化するにしても株の評価がつくようになりますから、そうすれば民営化もできるわけです。今民営化したって、株の評価も何もつかないものが民営化と言えるわけがないじゃないですか。
 そういうことを私は申し上げて、これについての答弁といってもなかなか大変でしょうから答弁を求めませんが、一応、こうした重要な法案の審議に当たって、将来のことがありますから、そういうことは申し上げておかなきゃなりません。それをあえて、こういうあいまいな法案を通して進めようとされるということになりますと、当然、それを推進した方々の責任というものは将来生じてくるということも認識していただかなきゃならぬだろうと思いますよ。
 さて、そこで、道路建設がいかに利権に利用されているのか、いかにおっしゃるような採算性がとれて、そして将来それが償却されるというようなものではないんだということの端的な例を一つだけお示しをしたいと思うんです。
 例えば、北海道にムネオ道路と言われる道路があるんです。これは、高規格幹線道路の、国交省が進めているものですね、釧路外環状道路。もう一つは、同じく、釧路中標津道路という地域高規格道路であります。これについて資料を配付させていただいているかと思いますが、最近五年間の工事発注先のリスト、発注金額、そして受注企業を載せてございます。釧路外環状道路については、平成十年度からでありますので四年間でございます。
 そこで、釧路外環状道路について申し上げます。この表もお配りしてあると思いますが、表に沿って申し上げますと、平成十年度、工事件数が三件、したがって、受注企業は、JVがありますから三件、JVを解体した受注企業数というのは七件、その受注企業者数に対応するところの鈴木宗男氏への献金業者数は三件ですね。ですから、三件とも一〇〇%献金企業である。献金業者であるというふうに言った方がいいでしょうか。企業というのと業者というのを分けて、ちょっと便宜的に申し上げます。その次は献金企業数であります。これはJVを分けて数えますと七社でございます。これもまたすべて献金業者であります。
 ちなみに、十一年度も、一番最後の献金企業について申し上げますと、八社で一〇〇%、十二年度は十二社で七〇・六%、十三年度は十二社で七五%、合計三十九社で八一%というふうになっております。
 それからまた、釧路中標津道路について、これも同様にして、全体で鈴木宗男氏への献金企業は四十三社、全体の企業数が五十九社、そのうちの四十三社でありまして、七三%を占めている、こういうことになっております。
 鈴木宗男氏は多少飛び抜けているかもしれませんが、いわゆる道路族とかあるいは道路建設に何らかの形でかかわる国会議員というものは非常に数が多いわけでございます。そして、こうした道路関係の企業あるいはファミリー企業から献金を受けている方というのも非常に多いわけです。こういうような中で、一般的に、道路建設というものがいかに、本来のユーザーのため、あるいは国民のためではなくて、利権のために使われているかということがここでは明らかになると思うんですね。そういう意味も含めて、ひとつ道路建設、これは高規格道路のことを今申し上げましたけれども、高速道路についてもほとんど似たり寄ったりでございます。高速道路の建設というものは、先ほど私が、新規事業、新規建設はやめるべきだ。石原大臣も当初はかなり明確にそういうふうに言っておられたと思うんです。
 さて、今の時点で、高速道路ないし高規格道路というものの新規建設というものは、どうせこれは借り入れをして、投資事業という形で行って採算をとって返そうというわけですから、これは行政がやっているわけですから、到底、将来これが採算が合うとかもうかるとか、そんなようなことになるわけがないんですね。ですから、新規道路についてはストップしなければ返済もできないんですよということを今おっしゃることはできませんか、大臣。
石原国務大臣 私が今回の改革で所管をさせていただいておりますのは道路四公団を初めとする特殊法人でございます。特殊法人、とりわけ日本道路公団等々がつくります有料道路については、採算性のとれないものはつくらないべきであると考えておりますが、このような高規格道路等々につきましては、行政権限を国交省が持っておりますので、国交省で適切に判断をされるものと信じております。
石井(紘)委員 採算をとれないものはつくるべきでないと言われますけれども、今までずっとつくられてきたのは、採算がとれるんだということでつくられてきたんですよ。ですから、同じことを繰り返しおっしゃっても、これは説得力がないわけですよ。そういうことを申し上げておきます。
 さてそこで、では国交省に伺いますけれども、私が今お示しした北海道の一部の高規格道路についての政官の癒着、こういうことが全国にやはりあると私は思うんです。ひとつ、道路建設とそうした政治との癒着、口きき、こういったものについて、改めて本格的に調査をするという気はありませんか。
大石政府参考人 道路の計画あるいは道路の整備あるいは事業の執行等々につきまして、いろいろな局面で私どもも国会の先生方から御指導をいただいたりすることはございます。しかしながら、我々が所管しております事業の中で、今先生が御指摘になりましたようないわゆる癒着でありますとかそういった事態は生じていないと考えておりまして、そのために、改めて調査をする考えはございません。
石井(紘)委員 あなたは何を聞いているんだよ。癒着は生じていないと。では、あなたは否定するんですか、今私が出した北海道の高規格道路については。これは違うというんですか。
大石政府参考人 今先生がお示しになりました、受注企業がそういう先生に献金をしていたのではないかということでございますが、私はそれを確認する方法はございませんが、そのようなデータが提出され、今先生がそのように御説明あったということは御理解できます。
石井(紘)委員 木で鼻をくくったような答弁をするんじゃないよ。
 鈴木宗男さんの地元では集会のテープもあるんだよ。ある場所で彼は、私が国土交通省の出したプランに筆を入れればなるんだ、私が筆を入れるか入れないかにかかっているんだということを言っているんだ。これは、国土交通省が前提で、国土交通省の道路建設計画というものについて言われているんだよ。あなたはそういうものは頭からないと言ったって、あるじゃないですか。
 では、この二つの高規格道路について調べてください。調べなさいよ。それは、筆を入れたか入れないか、彼の口ききがあったかないか、説明に行ったか行かないか。絶対説明に行っていないというんだったら、今、首をかけてあなたは答弁しなさい。絶対説明に行ったこともない、話をしたこともないというんだったらば、そう言いなさい。もしそういうことがあったら、あなたは辞職だ。どうぞ答弁してください。
大石政府参考人 北海道局長が来ておりますので、具体的に北海道局長からも答弁する部分があると思いますが、今先生の御指摘の道路について、私が特定の国会議員からいろいろ御指摘を受けたり、あるいは行政が不当にゆがめられたといったようなことはございません。
林政府参考人 答弁させていただきます。
 北海道、まだ百三十年程度の歴史の中で、基盤整備は大変おくれてございます。したがいまして、私どもは、北海道の基盤整備にいろいろと施策を展開してございますが、それはやはり、一つには政府としての重点施策、あるいは省としての重点施策、そして北海道総合開発計画の中でどう推進するかということを考え合わせながらやっております。
 特に北海道は広域分散型という地域特性を有しております。したがいまして、集落が分散してございますので、時間距離の短縮というのが最大のテーマでございます。そういう中で、私どもは、高規格幹線道路を初め、高速ネットワークの整備というものが喫緊の課題でございます。したがいまして、そういう整備論から私どもとしては計画を立て、進めているわけでございまして、そういう政治家等のことによって……(石井(紘)委員「あるのかないのか、一言言えばいいんだよ」と呼ぶ)それはございません。それは、私どもとしては、計画論として事務的にきちっと計画を立てた上でやってございます。
石井(紘)委員 そういうことは一切なかったと責任持ちますね。いいよ、あなたがそう言ったんだから。それでは、それは今時間がないから、今度改めてそれを私が証明しますから。いいですか。あったら、あなたは職を辞してくださいよ。私だってこうやって政治生命をかけながらやっているんだから、こういうことは。いいですか。今、ちょっとほかのことをやりたいので、時間がなくなったから。
 この間言った、道路施設協会の売却先のリストというのを、出してきたんだかこないんだか知らないけれども、これは総額しか書いていないんですね。これは各社ごとのものを書かないと、例えばある会社、例えば北海道ハイウェイ・サービスなら北海道ハイウェイ・サービスが、一株当たりの売却価格が千三百円から二千五百円の間であった。随分これは開きがある。倍の開きがあるんじゃないですか。これは同じ時期で売ったんですよ。こんなにまちまちの売り方をして、しかもこれが千三百円から二千五百円の間だと。ほかのところについても千五百円から二千円の間だとか、極めて大ざっぱ過ぎる。私が求めたのは、各社ごとの、どこへ幾らで売ったかということの数字を求めたわけですから、これを出してください。
大石政府参考人 これは、先生、前の委員会でも御説明させていただいたところでございますが、株式の処分に当たりましては、株式の配当額を投資の利回りにするという考え方を参考にしながら、売却先と相対取引交渉を行って処理したものと聞いてございます。
 したがいまして、交渉の結果、相対取引により合意した価格で株式を売却したと聞いておりまして、取引の結果によりまして売却価格が異なることがあったと聞いてございます。これは、恐らく各社の経営判断により、例えば短期処分を考えるかあるいは長期保有を考えるかによって購入価格あるいは成立した価格が異なったものだというように私どもは理解をいたしております。
 なお、売却先ごとに株式数や売却額を公表することは、これは先にも申し上げたところでございますが、各社の保有株や株式取引内容を公表することになり、各企業のプライバシーに関係することとなるから、公表を差し控えるべきものと考えてございます。
 いずれにいたしましても、副大臣からも御答弁申し上げましたように、株式の売却につきましても、国民の不信や誤解を招かないよう、必要な情報公開を行うことは重要と考えております。
石井(紘)委員 情報公開を行うことは重要だけれども出さないという、これはどういうわけなんだ。あなたのところは、これは秘密なんだということなんでしょう、要するに。これを出すといろいろ法的な問題になってくるから出せないんだと、この間もそのようなことを言いましたね。訴えられたりするということなんでしょう。訴えられたりするから出さないということは、詐欺をやっているんですか。法的にいろいろ問題になってくるから出さないということは、違法行為をやっているんですか。そうでしょう。
 相手先の企業というのは、これはみんなファミリー企業ですよ。みんな、もともと施設協会がつくった企業ですよ。民間企業でも何でもないですよ。だってこれは一体のものじゃないですか、道路ファミリーで、道路公団のファミリー企業なんだから。自分たちでつくったものなんだから。
 そのプライバシーというのは何ですか。そのプライバシーというのは、国交省であり道路公団のことでしょう。ほとんどそういう意味でしょう。そんな言いわけは成り立たないですよ。だめですよ、あなた。裁判所では自分の不利益になることは言わなくていいというけれども、あなた、違法行為を国会では言わなきゃだめですよ、それは。
 大体これは百八十五倍、資産評価でいけば平均百八十五倍となる。これは、道路施設協会の担当理事が私のところに説明に来たんです、こういうふうに。そうすると幾らになるかというと、六千四百七十五億円になるんです。それを六十億円で売った。百分の一じゃないですか。これは、国に対して重大な国損を生じさせているじゃありませんか。結局は、私が言うとおり、これは、資産を分解して清算をして、施設協会をまた廃止することによって国に来るんですよ、国に来るお金なんですよ。これは重大な国損を与えている。
 どうですか、責任を感じませんか。どういうふうにしたらいいですか、これは。あなた方、違法行為をやったということを暗に認めているんです、これをばらすと訴えられるというようなことですから。どうですか。答弁してください。
大石政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、この売却はそれぞれの売却先と相対で交渉を行って、交渉した結果、合意に達した価格で成立した売買でございます。したがいまして、この価格で販売したことが不正に当たるだとか、あるいは国損を与えたとかいうような認識に立つものではございません。この価格で購入者が合意し、我々も売却することに合意したわけでございます。結果として先生がおっしゃったような数字で売却ができたというものでございます。
石井(紘)委員 それじゃ公表しておかしくないじゃないですか。ちっとも差し支えないじゃないですか。そういうでたらめな答弁をしているから矛盾してくるでしょう。公表できない理由はあるじゃありませんか。それは、六千五百億円の、まあそれから六十億円引いても六千五百億円近い国損を与えている。背任罪だ、これは。そういうことですよ。どうしますか。私に訴えろというんですか、裁判所に。
 委員長、これは大変重大な問題です。暗に違法行為を行ったことを認めたような答弁を先日来しているわけですから、これは、引き続きこれについての特別の審査をするか、あるいはしかるべき調査機関を設けて調査するということが必要だろうと思いますが、どうですか。
 では、委員長、そう言っても困るでしょうから、国土交通省、これをちょっと調査してください。どうですか。
大石政府参考人 経緯は、先生、先ほどから申し上げているとおりでございまして、私たちは、簿価十五億八千万円の株式を六十四億六千万円で処分した、それが相対の関係で成立した価格でそれぞれ売却できたということでございます。したがいまして、ここには不正もなければ国損もないと先ほど申し上げたとおりでございまして、そういうことから、私どもとして改めて調査する考えはございません。
石井(紘)委員 では、この委員会として引き続きこの問題を取り上げていただくと同時に、正確な資料を再度要求していただきたいと思いますので、委員長にその旨お願いしておきます。
大畠委員長 石井委員の今の要求については、理事会にお諮りしたいと考えます。
石井(紘)委員 最後に、若干時間がございますので、首都高速道路公団、これは先日の答弁では、取り締まり機の設置、設置してあるけれども取り締まりの権限はないという答弁をされました。それは当然、取り締まりの権限なんかないんです。
 そこで、そうだとすれば、少なくともこうした機械のための予算、これはどのぐらいありますか。首都高だけで幾らぐらいこれに使っているんですか。そのことを聞きたい。これはメンテナンスもありますから相当の金額が出ているわけですね。金額はどうせ言ってもちゃんとした数字は出さないでしょうからいいんですが、一台三千万、四千万、五千万というふうにかかる。そういうものを大量につけているわけですね。これは撤去するのか、あるいはその設置の費用を警察からもらうか、つけさせるためのその設置料ももらうか、何かしないと、この間の料金通行のETCですか、あれだって莫大な金を使って、利用は一・七%しかないわけでしょう。
 そういう、道路公団が民営化したら効率的になるとかなんとか言っているけれども、金を使い放題なんですよね。それがみんな業者に行くんですよ。業者はごっそり献金しているわけですよ。その取り締まり機についても、このままでおくわけにはいかないですよ。首都高なら首都高がお金を出してこれを設置し、取り締まる。これは目的外ですから、目的に沿っていないわけですから。どういうふうに解決をしますか。この間からもう大分時間が、一週間ぐらいありましたから、検討されたんでしょうか。どうですか。
大畠委員長 予定の時間が来ていますので、答弁は簡潔にお願いします。
瀬田参考人 設置目的については先日いろいろ御説明申し上げました。この装置によりまして通行車両の速度や車種の判定等を行いまして道路管理のための必要な情報を収集することが可能でありますとともに、その設置によりまして一定の速度抑制効果が期待できる、そういうふうに認識しております。
 そういうことでございますので、首都高にとっても必要な施設、道路の附属施設であるということでございますので、従前の考え方を御答弁申し上げたいと存じます。
石井(紘)委員 それでは到底国民にも納得されないし、つじつまも合わない。私は、これは引き続き、もっと声を大にして追及していくということを申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。
 次に、工藤堅太郎君。
工藤委員 先日の質疑に引き続いて質問させていただきます。
 まず最初に大石道路局長に単刀直入にお伺いをしたいんでありますけれども、今回の道路公団の民営化を前提とした改革、率直に、大石局長、うまくいくとお考えでしょうか、どうでしょう。
大石政府参考人 御説明申し上げます。
 先ほどの委員の御質問にもお答えしたところでございますが、このたび道路関係四公団の民営化推進委員会が設置されて、四公団にかわる民営化組織が議論されるわけでございます。私どもといたしましては、国における唯一の道路の専門家集団といたしまして、必要な対応、積極的な御協力を行っていきたいと考えてございまして、今回の改革が国民にとって真にメリットのあるものとなるよう協力し努力する、そういう責務を負っているというように考えてございます。そのように努力いたしたいと考えています。
工藤委員 民営化の前提条件に償還期間が五十年と規定されたわけでありまして、建設工法や管理面での工夫によって、整備計画九千三百四十二キロの残りを、二千三百八十三キロのほとんどが建設可能だというように与党の一部で話をしておられるのをお聞きになっているんだろうと思います。しかし、先般の提出資料を見る限りでは、国費の投入がない今日、状況はかなり厳しいと思うわけでありますけれども、局長の忌憚のない御意見を賜っておきたいと思います。
大石政府参考人 高速自動車国道は、現在、整備計画が九千三百四十二キロでございますが、供用延長との差、未供用の延長が約二千三百八十キロ強ございます。この整備をどうやって行っていくのかということでございますが、昨年十月に総理から、償還期間あるいは国費の問題等で、これをパラメーターとしたシミュレーションをしてみよという検討指示がございまして、るる計算をいたしまして御報告をさせ、公表したところでございます。
 この結果によりますと、現行整備計画九千三百四十二キロの残事業費、これは約二十・六兆円でございますが、これを、償還年数五十年、国費ゼロ、これが今の議論の前提でございますが、これを前提といたしまして、例えば将来金利が三・五%で、当然金利が余り上がらないわけですから交通需要も伸びないという事態が想定されるわけですが、この交通需要が伸びないという状況のもとでは、投資可能額は最大で十三・二兆円。したがいまして、これは二十・六兆円に対して六四・一%でございます。
 それから、将来金利が五%。これも、これぐらい金利が上がるんであれば交通需要が伸びるという想定を置いてもいいのですが、厳し目にこの場合でも交通需要が伸びないという状況を想定いたしますと、投資可能額は六・八兆ということになります。三三・〇%しかこの二十・六兆円に対する投資が可能ではないということになるわけでございます。
 平均単価が同じだとすると、この二千三百八十三キロの未供用延長に今の比率を掛けますと、その残余のところはこの方式では整備できないということになるわけでございます。
 今回の特殊法人等整理合理化計画では、道路公団の欄に「新たな組織により建設する路線は、」という部分と「その他の路線」というのとを書き分けておられまして、したがいまして、こういった多様な手法を用いて高速道路を全体として整備するという考え方が示されているのではないかというように思っているところでございます。
 個別の路線につきましては、いずれにせよ、国幹会議の議を経て国土交通大臣が決定していくことになると考えてございます。
工藤委員 先般、税制改革について経済財政諮問会議が、論点整理という形で検討項目の大要を発表したわけであります。道路建設に係る道路特定財源の原資であります自動車関係諸税についてどのような検討を進めるのか定かではありませんけれども、当面、恐らく現行制度を維持するもの、このように思うわけであります。
 そこで、道路行政を推進する立場であられる大石道路局長にお尋ねをしたいんでありますが、現行の道路特定財源の維持を前提として、道路公団の民営化が、一、一〇〇%政府持ち株の特殊会社、二、いわゆる上下分離方式、三、完全民営化、これら三通りのケースでそれぞれ整備計画路線九千三百四十二キロを建設すると仮定した場合に、一般予算の高速道路建設費への投入が恐らく必要になる、そういうケースが出てくるんだろう、こう思うわけでありますが、それぞれどのような形が考えられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
大石政府参考人 今御質問の事項につきましては、石原大臣がたびたび御答弁されているところでございますが、まさしくそのことが、新たにできる、本委員会で今御議論いただいております民営化推進委員会で御検討される内容であろうと考えているところでございます。したがいまして、現在私どもは、それぞれ、今先生が御提示になりましたような諸条件のもとでどれだけの投資規模になるかということについては試算もいたしておりませんし、これは、委員会が設立されて後、その御指示等に基づきながら、私どもも試算のお手伝いをさせていただきたいと考えてございます。
 民営化後の新たな組織による投資可能額といいますものは、将来金利や交通需要の伸び等の設定の仕方、あるいは法人税や固定資産税等の公租公課のあり方、配当の扱いによって大きく異なるものと想定はされるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後、高速自動車国道の整備は、新たな整備を含め、さまざまな方法を活用して進めてまいることといたしておりますが、それは、この委員会で御議論いただいております推進委員会が成立後、種々の検討がなされた後、全体の方針が定まり、それを踏まえた国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、国土交通大臣のもとで個々の議論につきましては検討、決定していくこととなるものと考えています。
工藤委員 先ほど言われました現在の国土開発幹線自動車道建設会議、昨年一月の省庁再編に伴っていわゆる国幹審を衣がえしたものでありますけれども、国幹審とこの建設会議の組織上及び役割の相違点、簡単で結構ですから御説明をいただきます。
大石政府参考人 いわゆる国幹審、旧の国幹審でございますが、これは、昭和三十二年に議員立法で整備されました国土開発幹線自動車道建設法に基づき設置されたものでございます。内閣総理大臣を会長とし、十名の閣僚、十三名の衆参両院が指名する国会議員と学識経験者等で構成されるものでございました。それを、平成十一年の中央省庁等改革推進本部におきまして、中央省庁等改革に係る大綱の中で、審議会の整理合理化の観点からこの審議会につきましても種々議論がなされまして、新たに、高速自動車国道の整備計画に対する審議会といたしまして現在の国幹会議が設立されたものでございます。
 これの特徴は、会長が互選であること、それから、二十名以内の委員のうち十名が衆参両院の指名する国会議員ということで、閣僚の参加は見送られました。また、新たにできました審議会は、旧の国幹審が持っておりました国幹道の建設に関する資金の調達、国幹道に接続する主要な道路等の整備、建設、国幹道の沿道の新都市の整備、建設その他の事項について審議することは削除されたものでございまして、新たな国幹会議は、こういったものを審議するものではなくて、高速自動車国道の基本計画、整備計画等の指定、整備について御審議されるものと変わったものでございます。
工藤委員 ただいま御説明いただきましたように、国幹審では関係大臣がメンバーとして名を連ねておったわけですね、建設会議には大臣が入っていないという今の御説明なわけでありますが、現在の基本計画及び整備計画、これは国幹審時代に総理みずからが会長としてその都度決定してきたものでありまして、極めて政治的色合いが強い、こう言っていいわけであります。
 ここまで政治が関与して決めたものなら、今回の整備計画の見直しに直結する第三者機関の設置に関しても、これまでの計画変更を迫るものだけに、その前提条件を含めて、事前に建設会議にその旨諮るのが当然の策だと考えるわけでありますが、いかがなものでしょうか。
大石政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、新たに設置されました国幹会議は、具体の個別路線について議論をする、そういう会議に改正されたわけでございます。
 したがいまして、民営化推進委員会と国幹会議の関係といたしましては、高速自動車国道の整備計画について、推進委員会における検討を踏まえて、国土交通省が国幹会議の議を経て具体の路線等を決定していく、こういうことになる関係だというように考えておりまして、今先生が御指摘されましたように、この第三者機関の設置に関して、その前提条件を含め、あらかじめ建設会議にその旨を諮るべきではないかということにはならないのではないかというように考えておるところでございます。
工藤委員 今御説明をいただきましたように、今後設置される推進委員会、個別の路線の選定には関与をしない、基準づくりをするだけということなわけであります。個別の路線の選定、これは国土交通省が作成をして建設会議の議を経て決定されることになるわけでありますが、これまでの国幹審時代のいきさつを検証してみますと、果たして建設会議が十分に道路選定に関しての機能を発揮できるのかどうか、いささか不安に思うわけであります。
 国幹法が昭和三十二年に施行されてほぼ半世紀、従来の手法を踏襲するだけでなく、国民の皆さんの目に見える形での路線決定、どうすればいいのか、建設会議と路線決定のあり方についてもお伺いをしておきたいと思います。
大石政府参考人 先生御指摘の点は、国幹会議にかかるテーマに応じて異なる部分があるのではないかとも考えております。例えば、基本計画を御審議いただく場合と整備計画を御審議いただく場合とおのずからその方法も変わってくるということはあろうかと思います。
 例えば整備計画ですと、全線を環境アセスメントの対象にいたしておりますし、過去の経緯で申しますと、整備計画延長の約六割が都市計画決定をなされるということでございます。そうなりますと、二千五百分の一で地元の皆様方に御説明している、それを前提として整備計画を上げるということでございますので、二千五百分の一ですと、一軒一軒の家がわかるという精度の地図で地元に御説明した後に整備計画にかかるということでございますから、そういうことでもかなりのアカウンタビリティーというのは果たせているのではないかというように考えてございます。
 しかしながら、今後ますます国幹会議が国民の目に見える形で審議を行うということは極めて重要だと考えておりまして、事務局を務めます国土交通省といたしましても、委員の方々が自由濶達に御議論を交わしていただけるよう配慮しながら、運営の一層の透明化の確保に努めてまいる、そのように考えております。
工藤委員 次に、ことしの三月時点での未開通整備計画路線、二千三百八十三キロでありますけれども、この取り扱いについてお尋ねをいたします。
 改めて整備計画路線の進捗状況を見てみますと、先日お尋ねした第二東名を初め、昨年十二月に道路公団が発注を一たん見送って、再度発注して物議を醸した十三件の路線を含めて、工事中の区間は相当な距離に上るものと思われるわけであります。
 そこで、平成十四年度から、集中改革期間の最終年度、十七年度末までの整備計画の完成キロ数及び工事中のキロ数を、年次ごとに、推計で結構ですから、お示しをいただきたいと思います。
大石政府参考人 平成十四年度につきましては、予算もお認めいただきましたところでございますから、具体的な路線がかなり明らかになってございます。今年度中に、全国で十九カ所、二百四十一キロが供用予定となってございます。しかしながら、今後の、平成十五年度以降の供用につきましては、今回の推進委員会の意見を踏まえてそれぞれの路線について議論をしていくことが必要になると考えてございまして、若干不透明な状況にあるのかなというように考えてございます。
 いずれにいたしましても、十五年度以降の高速自動車国道の整備につきましても、事業効果が早期に発揮できるよう効率的な事業執行に努めてまいる所存でございますが、推進委員会における検討や事業の進捗状況、あるいは関連する事業の状況も踏まえる必要がございまして、現在の段階で、答弁の形で明確に具体的な供用予定を申し上げる段階ではございません。事務的に整理したものは幾つかございますが、今私が責任を持ってこういう供用予定になりますということが申し上げられる段階にないことを御理解いただきたいと思います。
工藤委員 計画どおりに推移をしてまいりますと十七年度末の進捗率は相当高くなる。さらに、工事中の区間を加えるとかなりの進捗状況になると思うわけであります。そうなれば、ますます工事の中断がしにくくなるのではないかと推測をするわけでありますが、いかがでしょうか。
 これらの路線が、交通量の予測では見解の相違があったとしても、大半が難しい状況になると思うわけでありまして、民営化を前提とした新たな組織に負担をかける結果となることは避けられないと思うわけであります。工事凍結の主張もある中で、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。
石原国務大臣 ただいまの大石局長のお話で、平成十四年中は十九路線、二百四十一キロを整備する、ここの部分は現在、予算がついたものでございますので、これをやめろというのはなかなか現実論としては無理だと思いますが、一方、今御審議をいただいておりますこの法案が成立後に設立いたします民営化検討委員会は、費用対効果分析を徹底して行って優先順位を決定するなどの基本方針を十四年中にまとめていただきます。
 そうしますと、本委員会で新たな組織の採算性の確保などについて御検討を深めていただくものと、十五年というものが、四カ月、三カ月ぐらいの予算の決定の前後はあるにしても、タイムがあるわけでございますので、十五年度以降は、本委員会の意見を踏まえて政府として適切に対処して委員の御懸念にこたえてまいりたいと考えております。
工藤委員 工事区間によってはまさに虫食い状態になってしまうんじゃないかといったようなことも危惧をされますので、一言申し上げておきたいと思います。
 次に、先日、旧国鉄改革の経緯を検証しつつ若干質問した件と関連して、再度、国鉄再建監理委員会と本法案の民営化推進委員会との法律上の規定について、二点お伺いをしておきたいと思います。
 私は、本法案で、特殊法人等改革基本法の第五条第一項の規定により定められました特殊法人等整理合理化計画に基づいて、四公団にかわる民営化を前提とした新たな組織云々という文言は、もう既に民営化の中心部分を制約しているのではないか、推進委員会の広範な論議の手足を縛るもので極めて問題である、このように指摘を申し上げたわけであります。
 国鉄再建監理委員会の設置を規定した臨時措置法では、第五条に、所掌事務として、審議、決定する基本的な事項を第一号及び第二号として定めておりまして、これに基づいて総理大臣に意見を述べるとされておりました点を考えれば、いかに抱える問題の背景が異なるとはいいましても、本法案の前提条件は推進委員会の重荷になるのではないかというように懸念をするわけでありますが、改めて、これは大臣に御所見を伺っておきたいと思います。
坂野政府参考人 ただいまの御指摘でございますが、既に大臣からも何度も御答弁を申し上げておりますとおり、今回御提案申し上げておりますこの委員会設置法は、昨年決定をいたしました特殊法人等整理合理化計画に基づいて具体的な検討を行っていただくために設置をするというものでございます。
 この特殊法人等整理合理化計画におきましては、ただいま御指摘のように、民営化の方針など基本的な方針をこの計画の中で定めておりまして、その的確な具体化を図る、まさにこれが現在御提案を申し上げております委員会の設置理由、存在理由ということになるわけでございます。
 国鉄改革の場合とこの点は御指摘のように非常に大きく異なるということはそのとおりだと思っております。国鉄の場合は、やはり経営形態のあり方そのもの自体から再建監理委員会に御論議をいただいたわけでございますが、今回の御提案申し上げております委員会は、民営化を行う、その他の基本方針は既に合理化計画において決定済みである、そういう差異があるということでございまして、これは性質上そういう差異があるものとして私ども提案をさせていただいているというふうに御理解をいただきたいと思います。
工藤委員 国鉄再建監理委員会の意見、そして臨時措置法の六条で、内閣総理大臣は委員会の意見を尊重しなければならないと尊重義務を規定しておりました。さらに第七条では、委員会の意見を受けて講ぜられる施策、措置等について、必要に応じ委員会に通知をする旨の規定も設けられておりました。
 これらの点については今回の法案では何ら規定がありません。委員会の審議の充実を図る意味合いや、さらには意見の実効性を尊重する観点から考えると、これらの点は極めて重要な要素ではないかと思うわけでありまして、条文の修正を含めてもう一度お尋ねをいたします。
坂野政府参考人 今回御提案を申し上げております法律案においては、御指摘のとおり、尊重義務規定というものを置いておりません。
 これは、先般の中央省庁等改革の中で、その一環として審議会等についても種々整理、見直しが行われたわけでございますけれども、その際、尊重義務規定の取り扱いについては、政府として審議会等の意見を尊重することは当然のことであるということから、それぞれの設置法等において尊重義務規定を個別に設ける必要はないという判断から、当時、現に存在していた尊重義務規定についても一律に削除をしたという経緯がございます。
 今回御提案を申し上げております法律案におきましては、このような経緯を前提にいたしまして、意見の尊重義務があることは当然のこととして、改めて尊重義務規定を設ける必要はない、そういう判断でこの立案をいたしたものでございます。
工藤委員 次に、石原大臣にお伺いをいたしますが、これまでも高速料金の引き下げについて再三質問がなされてまいりました。その都度、大臣の御答弁をお聞きしておりますと、物流コストを引き下げる効果は大きい、現在の経済状況に照らしてもできればといったような、そういうような答弁に終始してきたように思うわけであります。政府がやろうとすればできることでも、いろいろな理由を挙げて今日まで何ら対策を講じて引き下げをしてこなかったといったような状況であろうと思います。
 そこで、私の地元の状況を具体的に挙げてみたいと思うんであります。
 東北自動車道で九戸インターというところがあります。その九戸インターから盛岡インターまで八十九・四キロございます。料金は二千四百五十円です。利用者はどういう傾向にあるかといいますと、九戸インターから一区間の一戸インターというところがありますが、ここまでの料金が四百五十円です。この間だけ高速道路を利用するんですよ。後はすぐ国道四号線につながっているわけでありまして、これを利用しますから、この国道四号線で盛岡へ出るといったようなことで、時間的に見てどのぐらいの時間がかかるかといいますと、約十五分程度といったようなことでありますから、余計利用する人が少ないというようなことになるわけですね。
 この高速道路をそのまま利用した方が便利なことは確かです。ただ、この不況下で高い料金を払ってまで高速道路を利用する気になれない、これもまた十分理解ができるところでありまして、もしこれが半分程度の料金であれば何倍も利用するだろう、このように見ているわけであります。経営のやり方によっては、私にやらせれば、その高速道路の料金、半分でも十分経営が立派にできるだろうといったような気持ちもあります、本当に。それだけやり方によってはできる。
 料金を引き下げるという問題、これまでもういろいろな方々が何回も大臣に御質問をして答弁されてこられたわけであります。ですから、恐らく道路公団側だって、大石局長はもちろん、石原大臣なんかは最も、どうすれば料金が半分程度になるかやり方を知っているはずだと私は思うんですよね。
 要するに、民間企業のようにシビアにこれに対応してきちっとやっていけば、日本じゅうの高速道路の料金を引き下げをして、半分以下でもっともっとこれを利用してもらえるようなそういう状態になるだろう、私はそういうふうに思っているわけでありますけれども、話の上ではわかった、しかし、全く実行しないといったようなこと、今までの政府の姿勢をそういうふうに感じるわけであります。これではどうかと思いますけれども、大臣、率直に御答弁をお願いいたします。
石原国務大臣 ただいま工藤委員から大変具体的なお話を聞かせていただきまして、九十キロを二千四百五十円払って行けば十五分間時間が短縮される。ということは、言葉をかえますと、四百五十円は払うそうでございますから、二千円で十五分を買う方がいない。それは、経済状況からしてまさにそのとおりだなという感じがいたしました。
 そこで、委員の御提言は、これを半分ぐらいにしたら利用する方がふえて、十五分間を買って、高速道路の料金収入もふえるんじゃないか。これはどういう計算になるか。単純でございますが、料金を半分にして今の収入を得るとするならば倍の交通量があればいいということでございます。
 それともう一つ、民間会社になれば、コストの削減というものに努力をいたします。むだな人件費を減らす、あるいは、過剰なまでのデコレーションがあったとしたらそのデコレーションをやめる、そういう努力を民間会社は競ってやるわけであります。と申しますのは、通ってもらわなかったら民間会社は利益が上がらない。そこに今回の民営化のメリットがあるんだと私は思います。
 同僚議員からよくアクアラインの話が出るのです。アクアラインは、四千円を三千円に値下げしまして通行量が二、三千台ふえたからとんとんだという話が出るのですけれども、あれを思い切って半分にして、交通量はふえないかもしれませんけれども、だれも通らないで飾っておくより、莫大な資金を使ってつくった社会インフラが多くの方々から喜ばれるといったような、利用者のメリットあるいは利用者の視点というものが今回は非常に大きなポイントになりますし、これまでの道路行政では、利用者の視点というものが非常に欠落していたような気がいたします。
工藤委員 最後に、これまでの質疑でも再三、工事発注に絡む談合とか道路公団のファミリー企業に絡む天下り問題等が取り上げられてまいりました。
 これらは、時代が大きく変わっているのに、相変わらず古い体質、政治体質といいますか、国民の言葉をかりれば、税金を私する体質と言ってもいいと思いますし、また、権力をかさに着て、そして自分個人の利益を、立場をよくするとか、いろいろなしたい放題のことをやる体質と言ってもいいと思うんでありますが、そういう体質から脱却できないところにあるんだろう、このように思うわけでありまして、これからも国民の目線に立ってさらに厳しくチェックしていかなければならない、また、自戒しながら取り組んでいかなければならない、それぞれの立場でやっていかなければならない問題だ、私はそのように考えているわけであります。
 さらに、これまでの道路関係四公団の改革に関する小泉総理の言動を振り返ってみて、昨年の五月以来、国土交通大臣に対する指示だとか、その後の与党幹部とのやりとり、あるいは、この国会での私は道路の専門家ではないなんという発言等々が、常識では考えられないほど、この四公団に関しては民営化発言がぶれてきている、ぶれてきたというふうに私は思っております。
 果たして、小泉総理はこれまでの道路行政をどこまで理解された上で改革を唱え始めたのか、ただ大きな組織だからターゲットにして国民の歓心を買おうとしただけのことじゃないだろうか、そんなことまで考えてしまうような、そういう気持ちにもなるわけであります。
 以上、私の感想を申し上げて、まだちょっと早いですが、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 私は、きょうは、これまでもいろいろな角度から皆さんから議論がありましたが、天下り、高額給与、退職金問題などについて最初に質問していきたいと思います。
 道路四公団の改革で重要なのは、やはり利権によるひずみ、その背景にある政官業の癒着にどのようにメスを入れるか、こういう問題が一つあると思います。
 公共事業に絡む政官業癒着に厳しい批判があることはだれもが知っているところだと思いますが、その一つが、企業・団体献金の名で企業から政党や政治家に金が渡されるということ、またもう一つが、高級官僚の企業への直接あるいは間接の天下り問題です。そして、企業が天下りを受け入れるのは、見返りがあるからです。また、企業の方は、政治家経由、官僚に働きかける、あるいは、企業に天下りした幹部が後輩の官僚への働きかけで仕事をとるという構造ですね。ですから、改革というのなら、この政官業癒着の構造を本当に断ち切っていく、そういう改革というものを今やらなきゃいかぬと思うのです。
 そこで、最初に、道路四公団の天下り役員は今何人いるのか、また何%になるのかを政府参考人から伺っておきたいと思います。
大石政府参考人 道路関係四公団における公務員出身者の役員でございます。
 四公団合わせまして、旧建設省出身者が十二名、旧運輸省出身者が二名、旧大蔵省出身者が二名、旧自治省出身者が一名、警察庁出身者が二名、地方自治体出身者が四名となってございます。
 これは、全体の数が合計三十一名でございまして、それぞれその比率になるわけでございます。
 申しわけございません。パーセンテージにつきましては、今すぐに計算いたします。トータルで七四%でございます。
吉井委員 今お話ありましたように、役員の天下り、四公団合わせて、〇一年で三十一名中二十三名、七四%を占めている、こういうことですが、九〇年代以降で見てみますと、常に天下りが七割から八割、役員の中で占めるわけですね。しかも、公団のポストというのは、例えば日本道路公団総裁は建設省の事務次官、これは藤井さんの前の鈴木さんもそうでしたし、途中に二年ほど別な方が、衆議院事務総長でしたか、入っておられるのは私もわかっておりますが、それから首都高速道路公団も阪神道路公団も本州四国連絡橋公団も、四公団の総裁、理事長の全部が基本的に官僚の天下りというふうに、天下り先のポストというのは高級官僚の指定席となっているのが実態ではないかと思うのですが、これも政府参考人に続いて伺っておきたいと思います。
大石政府参考人 今先生から、道路公団の総裁、首都公団、阪神公団の理事長、本四公団の総裁について、それぞれそういう経験者の人間がトップを占めているのではないかという御指摘でございましたが、そのとおりでございます。
 それから、先ほどお話がございました、全体の役員に占める公務員出身者も、平成九年から平成十四年度までの経緯を持ってございますが、平成九年に二十九名であったものが、平成十四年には二十三名となってございますが、それぐらいの比率で占めてきている、そういう経緯があるのも事実でございます。
吉井委員 次に、給与の面で伺っておきたいんですが、ことし四月から若干下がっても、総裁で百二十六万円を超えるほどなんですね。これは大体原研の理事長クラスなんです。年収が二千四百二十万円、一期四年務めますと退職金が千七百万円ということになってきますが、二十五兆円を超える巨額の負債を生み出した責任を結局だれもとらない。同じポストをずっと、そのことに本来かかわりのある建設省の偉い方が天下りをしていかれる、そして年収は二千四百二十万円、退職するときには千七百万円の退職金、これはとても国民の納得は得られないことになってくるんじゃないか。大赤字の企業だからせめて国家公務員並みにすべきではないか。今民営化だ、民間だとおっしゃるが、こういうことじゃなかなか民間の感覚からは合わないんじゃないかと思うんですが、まず、総裁は率直にどんなふうにお感じになりますか。
藤井参考人 私もその天下りの一人ということになるわけでございますが、仕事からいいますと、私も建設省をやめて少しほかの方で仕事をしておりましたけれども、公団の総裁を任命されて来まして、非常にしんどい、物すごく大変な仕事だということを実感はいたしております。
 ただ、処遇につきましては、これは国全体としてお決めになることなので、それについてのコメントは差し控えさせていただきます。
吉井委員 これは私は率直に、既に若い時代の現役のときの活動を退かれて、それから後の話なんですが、これは一般の国民の感覚からすると余りにも外れているわけです。確かに決めるのはあなたのおっしゃったように国の方で規定に基づいて決めるんだからということになるんですが、やはりこのあり方というものについては、しかも、巨額の負債を生み出しているところへだれも責任をとらないところで一番の責任者としてなる方がこういうことでは、とてもじゃないが、幾ら改革を言ったって納得の得られるものじゃないということを言っておかなきゃならぬと思うんです。
 現行の天下り規制法というのは、これは有名なざる法です。東京商工リサーチが一昨年九月に発表したところでは、東京証券取引所上場大手建設会社五十七社の役員総数千四百四十七人のうち、いわゆる天下り役員は二百二十五人で、一社平均三・九人を抱えています。出身別では、旧建設省が五十四人でトップ、次が道路公団で四十人、三番目が旧運輸省で二十四人、四位が農水省の二十人。この報告では、特に公共事業受け入れなどで官公庁とのパイプ役としての期待が大きいと言っているんです。こういうことが政官業癒着の構造になる。やはりそこは、この天下りについては本当に考えなきゃならぬと思うんですが、これは石原大臣、考え直さなきゃいけないんじゃないですか。
石原国務大臣 この点につきましては、当内閣委員会以外の委員会でも御議論があるところであると承知をしております。
 私も吉井委員と同じような問題意識を持ちまして、昨年取りまとめました特殊法人整理合理化計画並びに公務員制度改革大綱によりまして、特殊法人への天下りにつきましては、役員退職金の大幅削減と給与の削減、内閣が役員の人事及び処遇のあり方について客観的なルールを定めて公表する、監督府省が監督体制を強化する、さらに、同僚議員の議論の中で問題になりましたいわゆる子会社等への再就職を含め、再就職状況に関する情報公開を徹底するなど、厳しい措置を定めたところでございます。
 これに対しましては、まだまだ不十分だという声があることは十分承知しておりますが、内閣といたしましては、先月でございますが、役員給与を一割カット、また退職金についても三割カットということを閣議決定したところでございます。
 ここから先は、ますます厳しく、国民の皆さん方の批判にこたえるように努力をしていかなければならないところではございますが、特殊法人に勤める方の側でも、自分の会社の実績というものに照らして自分の給与あるいは退職金というものが適正か適正じゃないかということを世間に対して物を申す、そのぐらいの気概を持って経営に当たっていただきたいと考えております。
吉井委員 それで、高級官僚が直接民間企業へ天下るという場合、これは大臣も御承知のように、離職後二年間というのは人事院の審査、申請して承認が必要ですね。ところが、特殊法人にはフリーパスなんです。そして、フリーパスで天下りできるんですが、ここで二年間経過しますと、この部分はおもしろい話で、特殊法人は民間企業という扱いになっていますから、後は民間企業に天下るときには全く人事院への申請、承認など、審査というのはないんです。
 結局、民間企業への天下りのトンネルになっているという形になっていますから、この点では改めて、特殊法人への天下りという問題についてはきちんとした規制をやるべきだと思うんですが、これも大臣に伺っておきたいと思います。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました点は、わたりの構造の中でそのようなことがあるということを私も承知しております。また、その先がございまして、特殊法人から特殊法人へのわたりは禁止しているんでございますけれども、民間法人を仲介してまた特殊法人にというケースもなくはないということも承知しております。
 再就職についての国民の信頼を確保するというような観点から、引き続き厳しく対応してまいりたいと考えております。
吉井委員 そこで、この天下り問題で藤井総裁に伺っておきたいんですが、建設発注工事の汚職事件で受託収賄罪で逮捕された中尾栄一元建設相の事件、これにかかわっておられたことが、私も検察の方の冒頭陳述を読みまして、その中で指摘されていますね。
 事件当時、藤井総裁は建設省事務次官を退官されて顧問になっていかれる時期だったと思うんですが、当時の中尾建設大臣から、若築建設は建設省が発注している工事の受注を伸ばしたいと考えていて、そのために建設省からしかるべき人をもらいたいと頼んでいるので応援してやってくれ、天下りを受け入れる早道等を教えてやってくれ、建設省発注の工事の受注を伸ばす方法についても知恵を出してやってくれなどと言われたということになっているんですが、天下りの問題というのがこの政官業癒着の構造の中で最もきちんとしなきゃいけない、まさにそのことにかかわっての事件であったから、それだけに、当時の中尾さんの方から天下りを受け入れる早道等を教えてやってくれと言われた、その辺の経過、そのときあなたはどんなふうに考えていらっしゃったか、ちょっとそこを伺っておきたいと思うんです。
藤井参考人 私は、先生今御説明のように、ちょうど七月にやめました。建設省の顧問ということで、建設省の顧問というのは有償じゃなくて無償の顧問でございますから、普通の民間の方も顧問になる、こういう性格のポストでございました。したがって、言ってみれば何を行動してもいいのかもしれませんけれども、やはりそれはちゃんと身を慎むべきだったという気持ちでおりました。
 それで、お仕えした中尾大臣から、そのようなことについて何か知恵があるかなということを言われたのは事実でございます。それに対して、いや、そういうことは現役の方々に聞いてください、私はやめたんですから、それについては特に申し上げることはありませんが、一般的にこういう考え方というのは毎年少しずつ変わってくるわけでございます、いろいろな物の考え方、処理の考え方等、時代の空気とともに変わってまいりますので、私がやめた以後のことがどういうふうになっているか、私も、特に事務次官の段階になりますともうそういう個別のことはわからなくなりますので、そういう担当に聞いてください、担当に聞かれていろいろなそういう情報をお聞きになるのが一番先決ですよと。
 これは、どの会社でも、どういう方でもそういうふうに申し上げておりますし、また、いろいろな方々が、どうやったら人材登用のためにOBをもらえるかなというのは関心を持っている会社も結構ございますので、どなたに対してもそういうことだったと思います。
 そういう中で、例えば、今先生がおっしゃったように、二年たった人とか、あるいはこういう方ならば人事院協議をした上でやるとか、そういったようないわゆるオープンにされている情報でああっても、民間のお立場の場合にはそれすら知らない場合もございますので、そういったことをサジェスチョンしたことはございます。
吉井委員 私も昔サラリーマンをやっておったことがありますが、普通は、そのまま勤め上げたら、自分の将来の問題というのは自分で考えなきゃいけないわけですよ。
 あなたに改めて伺っておきたいんですが、建設省から人をもらうためには、建設官僚の再就職あっせんをしている建設技監等に、どのくらいの報酬を出すからなどと具体的に伝えて相談しないと検討してもらえないよと言ってはりますね。これは冒陳の中に出てきますが、つまり、やはり建設省として天下りの、再就職あっせんのシステムというものがあって、そういう点では建設技監等にきちんと条件を提示して教えてもらいなさいというふうに、この点ではいわば天下りそのものの仕組みを含めて教えておられたと思うんですが、この点はどうですか。
藤井参考人 天下りのあっせんを国がするという仕組みにはなっておりません。ただ、どういう人がいるか、おやめになった人でそういう希望している人がいるかとかいったような一般的な情報はお伝えしていると思います。これは今どうなっているかわかりません。
 そうしますと、そういう人のところに今度は会社の人が出向いていって、言ってみれば口説くわけですね、自分のところはこういう会社だからぜひ来ないかと。そういう際にやはり関心になるのは、例えば、研究所長のような部門であなたの力をおかりしたいんだという場合もあるでしょうし、あるいはもっと、重役のような形で活用したいからという場合もあるでしょう。要するに、欲しい方とそれに応じてオーケーする側の話題の内容についてはちゃんと整理しておいて、そしてお話をなさった方がいい、こういうようなことだろうと思います。
 そういうことで、誤解を招くといけませんから、建設省が直接Aさんに、あなたどこどことか、こういったようなことはしていませんで、あくまでも情報、こういう人がおやめになっていますよとかいうことは、これはもう別に隠すべきことではございませんから、お伝えしていると思います。
 そういうことをおやりになるのが官房でございますし、事務系ですと、官房の人事課とか官房長のところがそういう人事関係の実態をお持ちのところですし、それから技術系ですと、技監とか技術審議官のところがそういうデータを、どういう方がおやめになっているか、そういう一般的なデータをお持ちでございますから、そういうところにまず行って、いわゆる母集団、おやめになった方の母集団がどういう方がいるのかというのをお聞きになるのが通常の情報収集のまず第一歩じゃないか、こういうふうに理解をいたしておりました。
吉井委員 このほかにも、入札で指名を受けるためには専門技術者をふやすのが有効など、いろいろなアドバイスをしておられた、そういう問題もあるんですが、それはまた別な機会に伺うとしても、当時の中尾建設大臣があなたに相談した、若築建設の受注をふやすためには天下り官僚を受け入れることが効果的だという話になったわけですが、あなたがそういうふうに思われた理由、つまり、若築建設が受注をふやすには天下り官僚を受け入れることが効果的だと思われたその理由はどこにあったのかということを伺いたいと思うんです。
藤井参考人 お言葉ですけれども、当時、若築建設にはいわゆる行政を経験した人が一人行っておりましたから、新たに入れるということの方が私は非常に不思議に思っておりました。もう既におりました。
吉井委員 引き続いて、この冒陳メモにかかわるところで伺っておきたいんですが、九六年七月四日に次官を退任されて、次の伴次官と新旧交代というところでの向島で宴席が設けられ、若築の社長も同席していたということとか、それから、九六年のその後九月から十二月、藤井さんの銀行口座に毎月百五十万円、合計六百万円が若築側から振り込まれたことについて、藤井さん自身はそれを認められて、四カ月ほどしてから返却をしたというお話もありますが、この辺は一体どういうことであったのかということもあわせて伺っておきたいと思います。
藤井参考人 これは、その当時、大臣に直接資料として提出を求められまして、御報告をいたしております。
 正直言いまして、そういうお金が銀行の口座に入ったのを私は非常に憤慨いたしました。そして、だれだかわからない人から入ったということは非常に気持ちが悪うございました。
 そこで、これを返すのにどうしたらいいかということから、当時、こういった状態が起きるのは、大臣がいろいろなことを私に言っていたこともあったものですから、あるいはそういう関係かもしれないと思いまして、当時の政務秘書官に御相談して、こういう方を知っておられますかと言いましたら、ふだん知っていると。では、すぐ返しますので、要するに相手側の口座を教えてほしい、そうしたら即刻返しますからと。お金というのは、銀行からおろして、そして返せば、一たんはおろした瞬間に私のものに、私有物になってしまいますからということで、当時専門の弁護士さんにも御相談いたしまして、一切手を触れるな、そして、そういう公的な立場の方に御相談して、その方を通じてやるのが客観的に見てもきちっと証拠が残るからいいんだ、こういうサジェスチョンを受けましたので、当時、すぐに法務省の方に供託しようかとも思ったんですけれども、そのような措置をとったわけです。それがたまたま、何か選挙だったと思いますけれども、いろいろなことがあって、私が何回か催促したわけですけれども、結果として、十二月に銀行口座を教えていただいて、それで、そこに、いただいたその日にすぐほうり込んだ、こういう経緯をとっております。
吉井委員 この事件のころ各紙が報道した中で、中尾大臣が、若築に力かしてやれ、次官に強く指示、次官の方から天下り受け入れ方法指南、技監が省内調整を指示し、そして自粛の天下り復活というふうに、ずっと読売その他の記事でも紹介されましたが、この一件はその後、イトマン事件の被告人許永中の問題が浮き彫りになってきて、若築建設の背後で許が暗躍しているという報道が出たために、結局、建設省の方もこれは危ないということで実施はされなかったわけです。
 しかし、それは実施されなかったからよかったというものではなくて、私は、中尾元建設大臣の汚職事件の裁判の冒陳が示している中に、やはり業者の側からすると、建設省発注工事の受注を伸ばすには天下り官僚を引き受けることが有利だ、逆に建設省からすると、引き受けをさせるという非常にいい、プールといいますかそういうところはあるわけですから、だから、先ほどのデータバンクの資料によっても、これはもう天下りの比率が非常に高いわけですね。商工リサーチのデータで、大手建設会社五十七社の役員総数千四百四十七人中二百二十五人、旧建設省が五十四人でトップ。こういう形になってくるというのは、私は、今回の事件の中から考えなきゃいけない本当に深刻な問題だと思っているんです。
 大臣、私、具体の例としてこれを大臣にお聞きいただいたのは、この天下りという問題、本当に改革をしようというときに、政官業癒着、中尾さんの事件というのは文字どおり政官業癒着そのものの事件なんですが、やはりそれを断ち切るということに本当にメスを入れなかったら、幾ら言葉で改革、改革と言ったって改革にならないということ、私は、その点を大臣に改めてお伺いもし、大臣としてどう正していくかということ、そこを聞いておきたいと思うんです。
石原国務大臣 この天下りの問題、すなわち公務員の方々の再就職の問題については、国民の皆様方から大変厳しい指摘あるいは見方というものがあることは、私も重々承知しているところでございます。
 こんな中、公務員制度改革の中におきまして、押しつけ型の、すなわち、いわゆるお土産を持っていく、権限を持っていくといったような民間企業への押しつけ型の天下りというものは禁止という形をとらせていただいておりますし、またさらに、後輩に電話をかけて便宜を図っていただくようなことが発覚した場合には、刑事訴追の対象となる、刑事罰も現在検討させていただいておりまして、それも導入することを決めております。
 それでも不十分な部分も多々あると思いますが、そんな中、先ほど委員が御指摘されましたように、民間企業に再就職する際には二年間のクーリングオフの期間があるわけでございますが、この二年間という期間が適正なのか適正でないのか、そこの期間が延びることによって弊害を除去することができるのかできないのか、そのような観点からも、さらなる厳正な対処というものを検討してまいりたいと考えております。
吉井委員 実は、類似の件が防衛庁の調達実施本部の事件だったというふうに思います。
 背任、収賄で本部長、副本部長が有罪判決を受けた事件が三年前にありました。この判決では、天下りをわいろとしているんですね。贈賄側の元NEC幹部二人に対して、判決は、職務行為の不正行為謝礼の趣旨で顧問料名目のもとにわいろを供与したと認定したわけですが、このとき、上野防衛庁調達実施本部の副本部長は、減額の後、NECの関連会社シー・キューブ社、そこへの天下りを行っていく。
 実は、事前にいろいろな話し合いが行われておって、このNECの子会社シー・キューブ社の専務取締役に就任させるために、ここの取締役の総数を増員しようじゃないか、役員の数をふやして天下りのポストをちゃんとつくっておこう、こういうことがNECの方にも話しかけが事前に行われて進められたということで問題になったわけです。
 天下り受け入れ企業側が見返りを期待するのは当然なんですね。見返りなくお金を渡しますと、言ってみれば株主からすると背任ですから、これは当然といえば当然なんですが、結局、天下りという問題は、いわゆる汚職のような事件が起こったときに、直接金を渡したらすぐ汚職になりますから、しない。しかし、将来ちゃんと我が社へ天下ってもらいますよという形をとりますと、これは言ってみれば汚職の先物取引なんですね。
 ですから、天下りというのは、文字どおり汚職の先物取引ということになってきますから、そのとき金をもらわなきゃどうもないんだという発想でやっておってはとんでもないことですから、やはりこの問題については、天下りというものについては、これは本当に断ち切る。
 そのために、今大臣おっしゃったけれども、年数をどうするかとか、それから、その間に特殊法人へ天下ると、この二年間は人事院の方のチェックは入らないが、二年たったら、そこは国の機関とみなされないために人事院はノーチェックで民間へ天下りできるとか、こういう仕組みについて根本的な解決を図らないと、政官業癒着というものを本当に断ち切るということはできないというふうに思います。
 それで、四公団改革を言うのなら、民営化推進委員などを決めてその委員の方に相談するまでもなく、政府がきちんと厳しい規制をする。それは、天下り禁止の法律によって行うという手法もあれば、これまでの政府の取り決めている規則そのものをもっと実態に見合った厳しいものにして、本当に政官業癒着を断ち切るものにしていくという、手法はいろいろあると思うんですが、私には私の考えがありますが、もう一度、この問題での最後に、石原大臣に、これを本格的に断ち切るという立場からの考えを伺っておきたいと思うんです。
石原国務大臣 特殊法人等の組織形態の変更によりまして特殊法人という組織形態をとるものは極めて限定したものになってまいります。
 それ以外の組織が民営化された暁には、民間企業への再就職と同じような対応をとるようになることは言うまでもございませんが、それ以外にも、国民の皆様方からこの点につきまして大変厳しい御指摘があるという点、あるいは、今委員がるる御指摘されましたような疑惑を発議されかねないような事態は、公務員制度の健全性を確保していく上からも改めていかなければならない点であると考えておりますので、政府といたしましても、これからも引き続き厳正に対処をしていきたいと考えております。
吉井委員 これも、民営化した道路公団をイメージしておられるわけだけれども、しかし、その場合も、他の特殊法人経由ですと、結局ほとんど形が変わらずに続くわけですから、だから、本当に抜本的な対策、あり方を変えるということをやらないとこれは解決しないということを重ねて申し上げておきたいと思うんです。
 次に、高速道路の延長計画九千三百四十二キロについて伺っておきたいんですが、計画時点と十年、二十年たちますと必ず客観情勢は変わってくるわけですが、もしこういう試算をやっておられればということで伺っておきたいんです。
 例えば、五二年に道路整備特別措置法が制定されたときに、十年後、二十年後の予測交通量、計画交通量、実際にそれから十年、二十年たったときの実績値はどうなったか。あるいは、五六年に日本道路公団を設立したわけですが、その五六年から十年後、二十年後に、計画交通量幾らとその時点で見積もって、実際に事業が進んで十年、二十年たったときに実績値はどうなったか。
 これは、五九年の首都高速道路公団設立時、六二年の阪神高速の設立時、七〇年の本四公団設立時、八七年の四全総策定のときとか、九三年の十一次五カ年計画のときとか、そのときそのときに必ず計画交通量予測を、十年先はどうなる、二十年先はどうなる、三十年先はというのをきちっと立てて、法案を制定するにしろ公団を設立するにしろ、きちんとそういうものをまず予測値を立てて、そして実際に十年、二十年たったときの実績値というものをきちんと測定するということをやってきておられるはずなんです。
 まず、そういうデータがあれば、台キロという単位で本来出るわけですが、最近のデータですと、大体実測値に合わせて下方修正した予測値になっていますから余り意味がないので、そういう数値をきちっと持っておられるならばそのデータをお聞きしておきたいと思うんですが、ありますか。
大石政府参考人 先生が御指摘になりましたように、それぞれ償還計画を認可する際に、かなり長期にわたる交通量のシミュレーションでありますとか、それを収入に置きかえた形で収入の計画等をつくるものでございます。
 しかしながら、今までの実績で申し上げますと、例えば昭和四十七年に償還計画を立てましたが、これは昭和五十年にその認可の償還計画を変更いたしております。過去に何度も変更しながら、その都度新たな計画をつくってきたわけでございまして、したがいまして、高速道路にとりまして収入の見通しあるいは交通量の見通しはいわば命みたいなものでございますから、これは償還計画を練り直すごとに、その都度新たな計画をつくり、その時点での修正を加えてリニューアルしていく、こういうことをしておるものでございます。
 それとの比較で申しますと、今先生からは、億台キロというような数字で見たらどうかというお話がございましたが、少し古い年次から整理いたしますと、収入の見通しと実績というものを今手元に持ってございますので、それで申し上げますと、例えば昭和四十七年の償還計画ですと、昭和四十七年時点では計画と実績の見込みが九一・四%でございます。これは計画を下回ったという意味でございます。同じ時期に四十八年、四十九年を見通してございますが、それを実績として評価いたしますと、それぞれ九七%、八〇%というように計画と実績の対比ができる、このようになってございます。しかし、これは五十年にその計画をやり直しておりまして、では今度、五十年の償還計画、認可計画と五十年の実績がどうか、こんなような比較になるわけで、これをるる、ずうっと続けてきておりまして現在まで来ておるわけでございます。
 一番最近の償還計画、十一年認可でございますが、これで申しますと、十一年度は計画と実績が、これは収入比でございますが、一〇〇・一%、十二年度では九八・八%、このような精度で推移してきております。
吉井委員 それは、最初に道路計画を立てたときに、十年先がどうなる、二十年先はどうなるということで計画交通量というのを見ているわけですよね。それが、実績値がどうなっているかということでいきますと随分乖離が出るものだから、ですから、その償還計画に合わせて、実は実績値を見ながら計画交通量というのを下方修正、下方修正してきているわけですよ。だから、数字が大体九十何%かぐらいになってくるのは当たり前の話であって、しかし、現実はどうなのか。
 昨年九月三十日に毎日新聞社が、ある一つの手法でもって最近二十年間に整備計画決定された高速道路の交通量と実績値を出しておりますが、これを見ると、随分乖離が大きいんですね。採算性のいい大都市部の関西空港自動車道の泉佐野ジャンクションから上之郷の間で五二%、上之郷から泉佐野で七一%、山陽自動車道の神戸ジャンクションと神戸北の間で七八%、神戸北と三木東間で八一%、三木東と三木小野間で七九%、三木ジャンクションと神戸西間で三一%、三木小野と加古川北間で八〇%、加古川北と山陽姫路東間で九三%という状態で、これは実際に非常に乖離が大きいわけですよ。これは大都市部でもこういう状態で、地方の状態を見ると、例えば、秋田自動車道の場合大体六〇%台、磐越自動車道の磐梯以西の路線で見れば大体三〇%台から六〇%台など、非常に厳しくなってくるわけですね。
 ですから、例えば一九六〇年代に立てた計画、十年後、二十年後にその六〇年代に立てた計画交通量に対して実績値はどうなっているかというのを見ていくと、非常に乖離が大きい。そのことを事実の問題としてはまず見なきゃいけないと思うんです。そういう上に立って、これからの計画というものを考えていくときにも、償還計画に合わせて、実績交通量に合わせてと、できるだけ計画交通量も実績値と矛盾が少ないようにというその手法が、まあそれは一つの手法ではありますけれども、本当に当初の計画と実績との乖離という現実の姿を示すことにはならないんじゃないか。私はやはり、そういうところはきちんとしたデータを公開して、みんなでそのことも含めて議論をするということが必要だと思うんですが、これは政府参考人の方にその点について伺っておきたいと思うんです。
大畠委員長 予定された時間が来ていますので、簡潔に答弁をお願いします。
大石政府参考人 今先生がおっしゃった認識は、私どもも同様の認識を持ってございます。であるからこそ、短い時間に見直していって、より精度の高いものに仕上げていくということが重要だということを申し上げているわけでございます。
 路線ごとにいろいろな数字をおっしゃっていただきましたが、我々といたしましては、高速自動車国道でいいますとこれが一の路線でございますので、全体として実績交通量と計画交通量が合うのかどうかというのが極めて重要だと考えてございまして、先ほども申しましたように、平成十年までは実績交通量が計画交通量を上回っておりました。それ以降、平成十二年まではおおむね一致している、こういう状況でございます。
 毎日新聞の記事の御紹介をされましたが、これにつきましては、アセスメントに使った交通量と、それからその都度償還計画に用いた交通量との比較でございますので、私どもとしては、七〇%というこの対比でかなり乖離があるという記事の概要は無理がある主張なのではないかというように理解しています。
吉井委員 もう終わりにしたいと思いますけれども、資料をいただいたんです。私、これを見ておって非常に不思議に思ったんですよ。大体、この計画交通量と実績値がほとんど変わらないんですよ。何でかと思ったら、それは後でどんどん下方修正して合うようにしているんだから、合うのは当たり前なんですよ。本当は、計画というのは十年、二十年、三十年先を見通して道路計画を立てるわけですから、そのときの計画交通量というのは、まさにおっしゃった環境アセスメントのときの数字を皆さんの方は言っているわけなんだから、その計画交通量に対して実績値がどうなっているかということを見ない限り、きちんとした議論の素材にはならない、このことを申し上げて、また次の機会に質問することにして、きょうは質問を終わりたいと思います。
大畠委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子さん。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。よろしくお願いします。
 きょうは、ことしの四月二日に「「東京都心における首都高速道路のあり方」についての提言」というのが出ています。これをもとに少しお伺いをしたいと思います。
 この中に、開通してからほぼ四十年が経過したので、将来更新の時期を迎えるという、更新という言葉が出てきています。そして後の方には、維持、更新が必要ということで、維持というのは補修、メンテナンスということでわかるんですが、この更新という意味はどういうことなんでしょうか。教えていただけますでしょうか。
大石政府参考人 四月二日に発表いたしました「「東京都心における首都高速道路のあり方」についての提言」の中で、更新の時期が来る、そういう表現も使ってございます。
 首都高速道路は、時間的、財政的に制約の非常に厳しかった時期に緊急に整備されまして、最初の供用から四十年以上が経過いたしております。また、大型車を含む大量の交通を処理するなど、過酷な条件下で使われてきたということがございます。機能面及び構造物の耐久面から今後本格的な更新の時期を迎える、このような認識を示したものでございます。
 更新の意味でございますが、通常、我々の構造物は、良好なメンテナンスをやっておればかなり長期的に使用に耐えるというようなものでございますが、中にはどうしても、つくりかえる、リニューアルをしなければならないような部分が出てくるものもございます。そういったことを含めまして首都高速道路がやがて更新の時代を迎えるのではないか、このような認識を示されたというように理解いたしております。
北川委員 更新というのはつくりかえということで、先日もお伺いしましたが、阪神高速道路の倒壊等々見ていると、壊れるんだといった意味で新線をつくるという意味に近い。例えば日本橋の件とかが例としてこの報告書の中にも挙がっておりましたけれども、新たにつくるというようなイメージの方がどちらかというと強いというふうになれば、更新といいながら、新たに道路を既存のものから形を変えて、車線をふやすとか、地下化するとか、もっと深い地下化するとか、いろいろな手法をとられるんだなということがわかりますと、これは更新というよりは新線がつくられていくんだという意味にとると、九六年に日野の市長さんが言っていらっしゃった永久有料化議論というのがあるようなんですが、永久に無料化しないんだったらば現行税法で固定資産税をぜひ取ってもらいたい、こういうことを明言されたというふうに聞き及んでいるんですけれども、私もどちらかというと、次々新しい委員会をつくられて提言が出てくると、どうしてもそういうふうにしか読めなくなるんです。
 今回、これを聞くに当たりまして、道路四公団の資産の登記というものについてお伺いしましたら、道路は公団名義、道路構造物は登記することにはなっていない、なぜならば売買を想定していないからだというふうに言われていました。
 道路というものが公団名義ということで、民間になるんだったら民間会社のものというふうになりますが、固定資産税を民営化とともにどういうふうにされて、どういうふうにというか、多分かかるんだろうなと私などは思うんですね。JRの在来線等々が百年前につくられたという状況とは違うわけで、特に高速道路は戦後つくったわけですね。
 ということで、この固定資産税に関して、どういうふうに民営化になるとやっていこうと今思っていらっしゃるのか。そしてまた、この永久有料化議論、これに対しての反論というものをお持ちであれば教えていただきたいのですが。
瀧野政府参考人 固定資産税についてのお尋ねにお答えいたします。
 固定資産税におきましては、公共の用に供する道路について非課税措置という措置が講じられておりまして、公共の用に供する道路とは、固定資産の所有者において何らの制約を設けずに広く不特定多数の人の利用に供するものというふうにされているわけでございます。
 日本道路公団などの所有いたします有料道路に対します固定資産税につきましては、料金徴収の期間が定められまして、その期間が過ぎれば当然無料になるということなどにかんがみまして、民間の有料道路と異なりまして、従来から、公共の用に供する道路として非課税と解されておるところでございます。
 今後の日本道路公団等の民営化の内容につきましては、道路関係の四公団民営化推進委員会が設置されますれば、その委員会におきまして検討をされるということになるわけでございまして、固定資産税など地方税の取り扱いにつきましては、新会社の経営形態なり、あるいは料金徴収の考え方、あるいは市町村間の受益と負担など、こういったものを踏まえて検討すべき問題であるというふうに考えております。
大石政府参考人 永久有料という考え方についてどうかというお尋ねでございますが、本委員会におきましてもたびたび議論がございました。
 現在、我々が前提条件として与えられております要件が、整理合理化計画における償還期間は五十年を上限として短縮を図るという前提条件のもとで議論をするわけでございますので、私どもが、今、高速道路を中心として永久有料、有料道路の永久化という考え方に立っているものではないということを申し上げたいと思います。
北川委員 ただ、きょうのお言葉の中にもありましたけれども、道路が、お金がないときにつくったということと、今過酷な状況で、重たいものがどんどん通っていくので予想もしなかった劣化があるとか、言葉ではそういうふうに言われているわけで、これは、三十年、四十年、五十年と延ばしたことを見ても、永久に有料化であるんだということと何ら変わりがないというのは、まあ、中学生でも結構わかるんじゃないかなと思います。
 私などは、地方、尼崎というところで、三千億円ぐらい毎年お金が足らないわけですね。どこからかお金をもらいたいと思った場合、車両にかけるのか、道路の固定資産税として入るのかといえば、車両にかける場合は、一人一人文句を言いますわね。文句といいますか、自分たちは高速料金も払っている上に尼崎を通過するときだけまた払わなきゃいけないというふうになると、それは起こってくると思うんですね。だけれども、道路というものに固定資産税というものが、特に民営化するときにそうなっていくんだということになれば、地方として生きる者にすればとてもありがたいことなんですね。
 この点などは、だれの責任でもないということですので、設置委員会が決めると明言されたわけでもなかったし、公共だから、すると国ということになるのかなというふうにも思いましたし、地方公共団体も考えてくれるだろうというようなお言葉なんですが、はっきり言いまして、不特定多数とおっしゃいましたが、料金を払っているわけですから、不特定多数ではないわけですね。
 それから、ETCを義務化しようという動きも首都高速でお持ちだということなんですが、ETCも、きょうのほかの委員の議論の中では渋滞の解消ということですが、大体普通の人は、五万円ほど自分もお金を出さないといけないということもありまして、そうなると、五%安くなるからこれは常時料金の低減化に寄与するんだというふうにおっしゃいましたけれども、料金所を通行するときだけが多少スムーズに動くだろうということで、料金所と料金所の間は渋滞しているということは往々にして予測できるわけですね。ですから、何か机上の空論をずっと言っていたように思うわけです。
 それで、きょう、キロ数はよく言われるんですが、この道路四公団別の道路としての面積、登記されているということなので、平方キロメートル当たり、どれぐらい皆さんが、四公団それぞれお持ちなのか調べていただけるということでしたので、一応それを詳しく言っていただきまして、財務省の方で、もし固定資産として認可した場合はこれぐらいお金がかかる、資産税として国に入る、地方団体に入るというふうに試算できているんでしたら教えてください。
大石政府参考人 先生の方から最近になりまして、四公団の道路資産、管理資産の面積がどれぐらいあるかということのお尋ねがございました。それぞれ登記がございますという御説明をさせていたようでございますが、その登記全体の用地面積を本社ベースで集計するということは行っておりませんでしたので、今ここで正確な数字として申し上げるのは、申しわけございませんが差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、概算値で申しますと、例えば日本道路公団でございますと、道路資産として四億三千八百万平方メートルというような資産を管理いたしております。
瀧野政府参考人 固定資産税の税額というお尋ねでございますが、固定資産税は市町村長の評価に基づきまして決定されます固定資産の価格に税率を乗じて課税額を決定する、こういうシステムになってございます。
 現在、日本道路公団の有料道路につきましては、固定資産税が非課税という取り扱いでございまして、こういう評価された固定資産の価格というものが把握されておりませんので、仮に固定資産税を課税した場合の税額というものは現段階では算出できないということでございます。
北川委員 きょう私が聞いたので、委員長の方にお願いしたいんですが、登記をしてあるということで、時間がかかって調べれば出るということなので、この後国土交通省等々でもまた議論がされると思いますので、この四公団を別にしたら、とりあえず、今は計算していないからわからないということであったので、資料として出していただけるようにお願いしたいんです。
大畠委員長 理事会で協議いたします。
北川委員 それと、先ほどの総務省の御答弁では評価額がわからないということなんですね。確かに、北から南、いろいろありますので、評価額はどういうふうになるのかわからないということなんですが、この辺も落ちつく線というのが大体専門家が見るとわかると思いますので、その資料が出てからまた詳しく分析をしてもらうということにしたいと思います。
 それと、最近は、ディスクロージャーというか、国民への説明責任と情報公開ということが言われています。それで、私も、先日は財務省と総務省の方に来ていただいて、この道路四公団について何か勧告を出されたことはありますかというふうにお伺いしましたら、財務省はもう既に出していて、企業会計ベースできっちりと表記するようにと。それが、まだ言ってもできていないということで、システムアップの問題を指摘されていました。
 総務省の方は、過去二回調査に入って、一回目は提言をして、中途半端な答えが返ってきたと。それで二回目提言しているんだけれども、まだそれに対しては答えが出てきていないので、ことしの五月ごろに督促しようかなと思っていますというふうなお考えだったんですよ。それも、きょう言ってあした出しなさいと言ったわけではなくて、大体緩やかな、二年間ぐらいの期間を与えてやっているということなんです。
 きょう来ていただいているのは道路公団と本四公団のトップの皆さんでいらっしゃると思うんですが、この五月までに督促しようと思っているとおっしゃっているんですが、この行政監察結果に対してきっちりした御答弁というのをされようと思っているのかどうか、ぜひお伺いしたいと思います。
藤川参考人 平成十二年の八月に、総務庁の方から行政監察結果に基づく勧告というのがなされております。
 その内容というのは、日本道路公団と、それから私ども本州四国連絡橋公団に関しまして、有料道路事業について、償還計画の達成状況の検証や計画交通量の推計精度の向上、透明性の向上、採算性の確保を行うこと、それから業務委託経費の節減、組織・要員の合理化等の業務の合理化、効率化を行うことという勧告でございます。
 私どもといたしましても、この勧告に基づきまして、例えば透明性の向上であるとかあるいは採算性の確保、それからいわゆる業務の合理化等について具体的にいろいろ努力しておりまして、今のお話ですと回答がないというようなお話であったような気がするんですけれども、私どももそれなりに、この勧告に基づいて具体的な対応を実行しているつもりでございます。
北川委員 本四の藤川総裁に今お言葉をいただいたんですけれども、ごめんなさい、道路公団の方をイメージしてもしかしたら総務省の方は言われていたのかなという気もしないではないわけです。
 具体的にやっているというのは、私も読ませていただいたんですが、大体リストラか競争入札を導入するというか、そういうことぐらいしか改善のしようがない。先ほども藤井総裁もおっしゃっていましたけれども、とてもしんどいんだと。確かにこのシステムの中で、さあ利益を上げてやりなさいと言われて、そしてある時期から建設費の償還も含めて会計の方も出してきてさあやれと言われても確かにしんどいだろうなというのは、私はシステムの方に問題があるのではないかという気がしているんです。
 それで、本四総裁の方にお伺いしたいんです。料金水準というのが償還計画に大きな影響を与えるというのはこの間の議論でもよくわかったんですが、二割引きの特別料金というのが来年の三月で切れると聞いています。そうすると、予定どおりに値上げをされるおつもりなのか。今のところ、きょうも首都高速の七百円から八百円アップのことをお聞きになった議員もいらっしゃったんですが、この辺の料金水準に対して今政府に何か言いたいことはおありにならないのか。
 本四、もともと見込みとして大変だろう、こんなに見込むほど人が来るわけじゃないというようなことも含めて、今どういうふうにされようとしているのか。あと一年余りを切りましたが、いかがでしょうか。御答弁いただきたいんですが。
藤川参考人 今もお話がございましたように、現在の本四道路の料金につきましては平成九年に認可されたものでございまして、御指摘がございましたように、認可後の五年間につきましては基本料金の二割引きという特別料金が採用されているところでございます。現在の償還計画では、この特別料金というのは五年後に正規の基本料金に戻す、そういうことが前提で償還計画をつくっております。
 ただ、私どものこの料金につきましては、非常に高い、もっと利用しやすい料金にしてほしいという声が大変強うございます。その辺について私どもも十分認識しているところでございまして、御指摘のように、今の特別割引をどうするかという問題も含めまして、今後、本四道路の料金のあり方については、やはり特別料金を継続いたしますと採算にいろいろな面で影響してくるおそれもございます。そういうところも見きわめながら検討をしていく必要があるというふうに考えております。
 今後、新たに設置されます第三者委員会、そちらの方で当公団につきましても採算性の確保という視点でいろいろな議論がなされることになっております。その中で、この料金の問題につきましても、料金のあり方ということでその方向が当然この御議論の中で示されてくるんではないかというふうに考えておりまして、その辺も踏まえまして、私どもとしても料金の水準について具体的に検討していきたいというふうに考えているところでございます。
北川委員 民営化推進委員会というのは、料金の価格の設定とかそういう細かいことまでをやるつもりで、委員七名ということで、どの七名かみんなが楽しみに待っているという状況なんですけれども、そういうのを検討する委員会なのかどうか。
 申しわけないんですが、大臣か副大臣、料金の設定までをも決定するような権限のある委員会なんでしょうか。
熊代副大臣 組織の形態のあり方とか採算性のあり方でございますから、例えば現在の料金というのは、通行量を予測して、それで返すべき金額、元利合計を計算して、通行量で元利合計を割れば幾らの料金ということになってしまうわけですね。ですから、極めて硬直的な料金の決め方になっていますので、しかしそれなりにこれも合理性がある。
 このままでいいのか、あるいは思い切って、民営化されたら、それは最高の料金、プライスキャップであるけれども、あとは最多収入領域を目指して、民間ですから、値下げしてうんともうかることもあるわけですね、例のユニクロ精神で。そういうこともありますので、それは、料金そのものをいかに考えるか、料金の体系をいかに考えるか、そういうことも含めて御検討いただきますので、確かに、今本四の総裁からお話もございましたけれども、重大なる関心事項の一つとして御審議いただけるのではないだろうかというふうに考えているところでございます。
北川委員 そうすると、その委員会というのはすごい荷が重いというか、料金まで考えて、料金の幅まで決められまして、それでさらに民営化したときに引き受けてくださる会社があるのかなと。
 そして、一応五十年償還論で、いずれは無料ということです。私たちが生きて死んだ後も有料なんですよね。生きて死んだ後も有料というのは永久有料化論とかなり近いと私は思いますし、先ほど副大臣がユニクロを出してくださったので、何かもう開く前から危ういなという感じがしないでもない。
 それと、これは一つの事例としてなんですけれども、今造幣局の民営化というのがあったときに、話を聞いていると、日本銀行というところに納入するわけですが、日本銀行がその納入の価格を半額にしろとかいって迫ってこられて大変だとおっしゃっていました。民営化になった途端、ハゲタカのような人たちにさらされるわけですね。だから、片や市民に向けては、無料に、安くなりますよ、民営化は、吉野家の安い食べ物のように、マクドナルドやほかのハンバーガーのように安くなりますよと。
 安くなることがさらにどういう危険を生むかということと、公共性が、おっしゃっていますのであると思うのですが、そうなると、だれが民営化で引き受けようと思う人がいるのかなというのがさらに私などは心配になるわけですね。そこまで手かせ足かせ、口かせまでしちゃって、だれが引き受けてくれるのかというところなんです。
 ここに、高速道路に関する行政監察結果の九八年の八月三日の要旨というのがあるのですね。ここに、明言してあると言われてもいいぐらいばちっと書いてあるわけですよ。建設省に対して勧告をしています。この時点で一キロ当たりの建設費が、首都公団では、昔、七〇年代では三十一億二千万円、それが四百七十三億八千万円で十五・二倍になっている。それで、収入の方は一・五倍だ。阪神高速公団もそうですね。一キロ当たりの建設費が七倍になって、徴収料は一・六倍。これはもう破綻しているということが数字であらわされているというふうに思うのですね。
 そして、この中にきっちり書いてあるのですよ。九八年時点で総務省の方はこう言っているわけですよ。「償還計画の収入には損益計算書の収益にない借入金等が、また、支出には損益計算書の費用にない建設費等が含まれているなど、償還計画の収入・支出の構成は、損益計算書の収益・費用の構成と相違しているため、損益計算書上の収益と費用の差である償還準備金繰入額等を償還計画上の収支差(償還金)と直ちに対比し、評価することが困難。」と書いてあるんですね。困難なんだけれども、道路四公団には、その困難さを財務ベースで、財務省の貸借表できっちりと明確化するようにしなさいと。
 ここでは、困難だ。政策評価の中では困難なんですよ。これを明言しながら民営化を推進するという。これは、さらにお伺いしたいのですが、どういう意味があるのですか、民営化に対して。民営化する意味ですね。
石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されましたのは、現行の公団が現行のまま存続していくことがかなり厳しいというような行政評価がなされたということでございます。
 それでは、なぜ民営化するのかということでございますが、小泉改革、また一昨年の年末に決定いたしました行政改革大綱では、特殊法人の事務事業を徹底的に見直して、経営形態についても見直すとしたところでございます。その手法として民営化というものが出てまいりまして、小泉総理に昨年の四月にかわられましても、民間にゆだねることができるものは民間に、また地方に任せることは地方にとの基本原則のもと、民営化のメリットというものを追求してきたところでございます。
 道路公団を初めとする道路関連四公団については、採算性の確保、コスト意識あるいは消費者へのサービスの向上、こういうものが民営化によって期待できる、現行のままで朽ち果てる前に何らかの大きな、抜本的な手術をしなければならないということでこの民営化というものが出てきたということでございます。
北川委員 私は、はっきり言って、国もお手上げ、民間もお手上げ、空中ぶらんこでだれかとってくださいと叫んでいるような感じがするのですけれども、この中にも書いてあるのですね、「自力での資金調達に努めること」と。
 民営化になった場合、財政投融資、これはつぎ込まれないでしょうね。
石原国務大臣 これは民営化の組織形態によって大きく異なると思いますが、上下一体の民営化組織に財政投融資から資金が流れるということは、一般論からいって難しいのではないかと考えております。
 詳細につきましては、理財局の方にお聞き願いたいと思います。
竹内政府参考人 お答えいたします。
 今お話がございました道路四公団にかわる民営化を前提とした新しい組織の具体内容でございますが、今後、御議論になっております道路関係四公団民営化推進委員会において検討をされると承知しているところでございます。
 私ども財政投融資当局といたしましては、その検討結果を踏まえた上で、現行の財政融資資金法第十条におきまして財政融資資金の運用対象となる法人については法的に決まっておるところでございまして、委員会の検討結果を踏まえ、その後の財政投融資の対応について検討してまいりたいと考えているところでございます。
北川委員 では、自力の資金調達という点も委員会にお任せという感じにも聞こえたのですが、郵貯と簡保も公社、民営化というのが出ています。何かすべてがばあっと、だれも持たない、責任がないといった中で、お金がないといったことにつながるんだろうと思うのです。
 これを見せていただくと、談合それから癒着の点に関しては私もすごく感じるところはあるわけなんですが、ここの中で、人員削減、本当に切り詰めてやっていらっしゃるのですよ。労働者の人たち、この間大変だったろうなということは私は見えました、中の皆さんが出していらっしゃる資料で、何人何人減らしました、何人減らしましたと書いてあるのを見ると。
 そこは結局は労働者、労働者というのは、あるときは国民であり、あるときは市民であり、あるときは有権者であり、あるときは道路を使う利用者であるといういろいろな面を持ったのが一人の労働者だろうと思うのですが、その労働者の悲哀は見えたのですけれども、さて、責任の所在をどこに一番落ちつけたらいいのかなということでの今の議論だろうと思うのです。
 本四公団の現行の償還計画というのは八度目の改定版と聞くのですけれども、これまでの計画の達成度、御自身で達成度をはかられたら何%ぐらいだというふうに思っていらっしゃいますでしょうか。
藤川参考人 現在の私どもの本四道路の償還計画につきましては、平成九年度に策定したものでございます。
 平成十二年度の決算でこの償還計画とどういうふうに乖離しているかというのをチェックいたしますと、要償還額、借金、借入金等を含めたこれから償還していかなきゃいけない額、これにつきましては償還計画とほぼ同じぐらいな額になっておりまして、乖離はしていないわけでございます。
 ただ、中身でかなり乖離が生じておりまして、収入につきましては、計画で千三百八億というふうに考えていたのですが、実績は八百六十九億ということで、およそ四百四十億円下回っております。
 一方、費用の方でございますが、これは管理費とか金利の支払いでございますけれども、この費用の方につきましては、計画額が千八百五十七億だったのですが、管理費の節減等かなり努力いたしましたし、金利が当初想定していたよりもかなり低くなったということもございまして支払い利息が減っておりまして、実績が千六百二十七億ということで、約二百三十億円下回っているところでございます。
 この収入、支出の差し引きでございますが、当期の損失金でございますけれども、平成十二年度の決算で七百五十八億ということで、これは計画よりも二百十億円ふえているところでございます。
 今後、とにかくかなり収入が減ってきているというのがこれから先の経営にかなり厳しいリスクを高める形できいてくるだろうというふうに考えておりまして、できるだけ早くこの利息の負担を減らすことが必要だということで、実は平成十三年度に無利子貸し付けという制度を導入していただきました。これは平成十三年度で八百億でございますが、平成十四年度の予算では千八百億という無利子融資をいただくことになっておりますけれども、この無利子融資をいただくことによって早急に有利子の負債を軽減いたしまして、この利息の支払いが減ってまいりますと経営的にかなり楽になりますので、できるだけ早く有利子の負債を低減して、できるだけ早い時期に黒字転換というのを、単年度で黒字になるように持っていきたい。
 そういうことで、黒字になりますともう償還の確実性というのが出てまいりますので、できるだけ早い時期にそういう方向で努力したいというふうに考えております。
北川委員 ありがとうございました。
 何%という形で言ってくださるのかなと思うと、まあいろいろ多方面の数字を言ってくださいまして、阪神・淡路大震災のときの災害復旧、道路とか橋とかいうのには保険がないということも聞きましたので、なかなか想定される災害に対しての準備というのはされていなかっただろうと思いますし、大変だなと思いますから、無利子ということをこれから強く政府に求められるということだろうと思うんですが、頑張ってください。
 それで、もう一つお伺いしたいのは、今回の首都高速道路のあり方についての提言の中で、少しこっけいだなと私が思いましたのは、道路ができることで、特に橋上化の高速道路ができることで景観が変わる、自分が愛着を持って住んでいた町がそういうふうになるということで強い反対運動等々も、尼崎でも現実に四十三号線、二号線の問題ではあったわけです。しかしながら、公共に用するということですべてそういう声というのは小さい声になっていって、その後、一九八八年に尼崎大気汚染公害訴訟原告の皆さんが訴訟されて十二年目の二〇〇〇年の一月三十一日に完全勝利、和解ということが出てきて、NOxの件、それからSOxの件とかが出ていくわけです。
 きょうここに私がカードを持ってきたのは、古くなったから貸してあげると言われたんですが、日本喘息患者会連絡会作成という救急救命カードなんですね。「私は気管支喘息患者です」という、ここにひもを通していつもぶら下げて、もし緊急で病院に入ったらこういうのを私はいつも処方されているので、皮下注射もしくはステロイド、点滴はこうしてくださいというのが書いてある。
 私たちのこの尼崎という町には、これは二〇〇〇年度の数字なんですが、一万一千二百八名という認定患者の方がいらっしゃって暮らしていらっしゃるわけです。そして、新たな公害患者というのは認めないというふうに厚生労働省の方が言ってきましたので、この数字は少ないわけではなくて、赤ん坊でも今でもぜんそくになる赤ん坊というのは私たちの町にはいます。けれども、公害患者としての認定というのはされていないわけですから、今ちょっと数字的にはわからないんですが。
 こういう町であるという中で、私は東京に来させていただいて、景観が悪い、今あるのが、高速道路が見苦しい、だから地下化しようという話が出ているようなんですが、地下化で一番私が心配しているのが、十ミクロン以下の超微粒浮遊物質PM二・五というのがありますよね。これ等々も体への影響等々は昨今言われていますが、地下化した場合、煙突というのを結局つくっていかれるんだろうと思うんですね。
 道路周辺というのは、オフィス街、特に東京に来てびっくりしたのが、大体オフィス街ということで、余り煙突ができても気にしないというか、反対運動も起こらないんだろうなという気がしたんですが、景観が悪くなって、今あるのを壊して地下化にして、煙突をつくって、超ミクロのPM二・五とかというフィルターにかからないようなものをどんどん外に地下から送っていくというのはどうなんでしょうか。景観がよくなるけれども、その周辺、沿線住民もしくはドライバーが、体の問題という面から見た場合に、どういうふうに皆さん方は、景観に即してこのあり方委員会というのは提言していて、私は、景観が悪くなるのは当たり前でつくってきたものを、いざここに来て、四十年たったら、景観が悪いから地下化かビルを突き抜けて何か立体道路をつくろうとかという案になるというのがどうも納得がいかないんですね。
 この辺で、地下化することと体や環境への影響、これなどはどういうふうに今考えていらっしゃるのか、少し教えてください。
大石政府参考人 先生が御指摘になりました首都高の日本橋の上空部分の改築と申しますか、将来的な計画の議論がなされたわけでございますが、ここの部分では地下鉄がかなり深いところを通っておりまして、もし日本橋が上をあけるとしても、地下に入れるのは非常に困難というような考え方を我々持っています。したがいまして、日本橋の再開発とあわせてビルの中空を道路が抜くといったようなそういう考え方で整備できないかというような提言がここでなされたわけでございます。
 現実に、もう既に日本のいろいろなところで建築物とそれから道路と一体的に整備するというようなことが行われておりまして、一番早い例が、先生がいらっしゃるところの近くで恐縮でございますが、阪神高速と朝日新聞社、朝日新聞社の真ん中を阪神高速が抜いているというような例がございます。これは立体道路制度ができる前の事例でございますが、その後、道路を立体的につくる、再開発ビルなんかと一体的につくるという事業手法が入ってまいりましたので、そういうことを使いながらこんなことが考えられないかなという検討を行っているわけでございます。
 これは景観をよくするためといったようなものでやるのではございませんで、それだけだとすると、投資規模が大きくなり過ぎて費用対効果の面でいかがかということになると思うんですが、日本橋という我が国の象徴的な場所をあけるとともに日本橋の再開発というものが行われるとすれば、首都高速をそのような位置に置くことによって双方に利益が受けられる形で事業が進められるのではないか、そういう御提言をいただいたもの、そのように理解いたしております。
 それから、地下の議論につきましては、最近の首都高速につきましては、特に東京都下の部分では、地上部分で高速道路をつくることは非常に困難になってきております。したがいまして、今首都高速の副都心環状とでもいうべき新宿線は、環状六号を広げながらその下に道路を入れているわけでございます。こういったところの排気ガス、SPMの問題につきましては、電気集じんをやるとかいうような工夫をしながら、外にそのようなばい煙とかを出さない、そんな機械装置を道路の中に仕組む、装置するといったような考え方で整備を進めております。
北川委員 私は、それがまだ技術的に未成熟で開発できていないといった点でお伺いして先ほどの御答弁だということは、余り環境アセスとか人間の体への配慮というものは考えていらっしゃらない道路行政をまさにやろうとしている中で民間へと行くことは、押しつけ以外の何物でもないのではないかという気がしましたし、ビルを突っ切る道路というのはまさにハリウッド映画だなと思いましたので、私は、伝統的な景観とおっしゃっているんですから、日本古来のその景観というものに関して思いを、皇居だけではなくて、多くの人が住んでいる場所で達成していただきたいということを申し述べて、きょうの質疑は終わります。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて北川さんの質疑は終了いたしました。
 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十九分散会


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