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第8号 平成14年4月19日(金曜日)

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平成十四年四月十九日(金曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 阪上 善秀君
   理事 渡辺 具能君 理事 渡辺 博道君
   理事 野田 佳彦君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 工藤堅太郎君
      岩崎 忠夫君    小此木八郎君
      小野 晋也君    奥山 茂彦君
      嘉数 知賢君    亀井 久興君
      北村 直人君    古賀 正浩君
      実川 幸夫君    田中 和徳君
      谷川 和穗君    近岡理一郎君
      西川 京子君    西川 公也君
      松島みどり君    松野 博一君
      三ッ林隆志君    宮澤 洋一君
      望月 義夫君    石毛えい子君
      金田 誠一君    楢崎 欣弥君
      藤村  修君    前原 誠司君
      山花 郁夫君    山元  勉君
      横路 孝弘君    井上 義久君
      太田 昭宏君    吉井 英勝君
      北川れん子君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   政府参考人
   (内閣官房道路関係四公団
   民営化推進委員会設立準備
   室長)          坂野 泰治君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   参考人
   (創価大学経済学部教授) 岡野 行秀君
   参考人
   (構想日本代表)     加藤 秀樹君
   参考人
   (奈良女子大学大学院助教
   授)           中山  徹君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  谷本 龍哉君     梶山 弘志君
同日
 辞任         補欠選任
  梶山 弘志君     谷本 龍哉君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  小野 晋也君     小此木八郎君
  嘉数 知賢君     松野 博一君
  古賀 正浩君     北村 直人君
  谷本 龍哉君     三ッ林隆志君
  西川 公也君     西川 京子君
  望月 義夫君     田中 和徳君
  石毛えい子君     金田 誠一君
  仙谷 由人君     前原 誠司君
  太田 昭宏君     井上 義久君
同日
 辞任         補欠選任
  小此木八郎君     小野 晋也君
  北村 直人君     古賀 正浩君
  田中 和徳君     宮澤 洋一君
  西川 京子君     西川 公也君
  松野 博一君     嘉数 知賢君
  三ッ林隆志君     松島みどり君
  金田 誠一君     楢崎 欣弥君
  前原 誠司君     仙谷 由人君
  井上 義久君     太田 昭宏君
同日
 辞任         補欠選任
  松島みどり君     谷本 龍哉君
  宮澤 洋一君     望月 義夫君
  楢崎 欣弥君     石毛えい子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を議題といたします。
 本案審査のため、本日、参考人として、創価大学経済学部教授岡野行秀君、構想日本代表加藤秀樹君、奈良女子大学大学院助教授中山徹君、以上三名の方々に御意見を賜ることにいたしております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 岡野参考人、加藤参考人、中山参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないこととなっておりますので、御了承願います。
 それでは、岡野参考人にお願いいたします。
岡野参考人 ただいま御紹介にあずかりました岡野でございます。
 道路関係四公団民営化推進委員会の設置法案につきまして、私の意見を申し上げたいと思います。
 私自身、偶然ですけれども、東大を昭和三十一年に卒業しまして、その三十一年に道路公団ができました。私、たまたま交通経済学を専攻いたしましたものですから、それ以来ずっと道路公団とのつき合いはあったわけでございます。考えてみますと、今まで有料道路制度によって日本の道路整備は非常に進んだということは皆さんよくわかっておりますけれども、私自身は、昔のことを知っているものですから、それだけ非常に感慨深いものがございます。
 昭和三十三年か四年ぐらいだったと思いますが、当時、現在の中央道と、それから赤石山脈を真っすぐにトンネルでぶち抜くいわゆる弾丸道路というのがあったんですが、その案が両方対立していまして、どちらにするかということがもめていた時代でございました。私はちょうど、私の前任者でありました今野源八郎先生そのほかと現場を視察に参りました。まだ新幹線が通っていないものですから、名古屋まで特急で行きまして、名古屋からハイヤーに分乗して中津川まで国道で行きました。何と、国道、それから先へ行くのに、中津川で全員ジープに乗りかえまして行ったわけでございます。それで、雨の中、大変な苦労をした覚えがございますが、現在、そういうことを全く忘れるような高速道路のネットワークが概成したわけでございます。
 現在でもまだ残っている例えば東北の日本海側とかあるいは九州の東側とか、そういうところへ伺ってみますと、私自身としては、なかなかこれは採算上は大変だろうとは思いますけれども、現場の皆さんの意見を伺うと、できればつくってあげたい、つくってあげたいといいますか、整備できたらいいんじゃないかなという気はするわけでございます。
 道路は、何といっても最もベーシックな交通施設であって、鉄道を使うにしても、家を一歩出ればまず、細い道ですけれども道路から始まるわけでありまして、そういう意味では、鉄道がなくても済みますけれども、道路はなくては済まない。例えば、ネパールには鉄道はございません。道路だけしかありません。そういうぐあいですから、最もベーシックな交通施設であります。
 したがって、ローマの道はもちろんですが、アダム・スミス以来、国がやはりその整備に責任を持つということが続いてきたわけでありまして、世界各国とも国が責任を持ってやっております。アメリカのように州の自治性が強いところでも、連邦州際道路というのがございまして、これもやはり、防衛という名前がついていますけれども、国がそれを面倒を見なければならないというものであるわけであります。
 御存じのように、有料道路制度は、日本の道路の整備に当たって、おくれている道路整備を少しでも早くしよう、そのためにはお金がない、お金を工面するには、負担してもらっても有料道路の形をとればそれだけ早くできるだろうということから始まったわけであります。そういう意味では、財政制約があったわけでございます。
 こうして、一九六三年七月にまず尼崎―栗東の間が開通しました。それから四十年代半ばになりまして東名が完成して東名と結んだわけであります。現在、約七千キロが供用されております。
 ところが、有料道路の制度について現在いろいろ問題が、起きたというよりも問題が予想されるというふうに言った方がいいと思うんですが、社会経済情勢が変化しまして、経済は低成長であります。それから、人口も最近ではふえなくなりました。少子高齢化が進展しております。何よりも低成長と景気の悪さが交通量の見込みを下げておりまして、見込みどおりの交通量ではなく、実際には、大体変わらない程度の交通量しかございません。料金が割高だという話は盛んに聞かされるわけですが、私は、それは余り気にいたしません、コストがかかるものは負担しなきゃならないというのが基本的な原則でありますから。
 したがって、海外と比較しても、アメリカのようなところで、たまたま一九六〇年に留学したときに、アメリカでは当時州際道路の建設をやっておりましたけれども、あそこで建設しているのと比べたら、いかに日本で建設するのは大変かということはすぐわかるわけであります。
 ほかの諸外国の例を見ましても、高速道路のネットワークにつきましては国が責任を持っているのが原則であります。そして、有料道路を導入しております国は、現在では、イタリア、フランス、それにアメリカは現在はごく一部、地域的には新しいものをつくっていますけれども、ほかは道路信託基金ができる前の、大体六〇年代前にできたものであります。したがって、有料道路は、大体シカゴから東にしかございません。シカゴから東に参りますと、インディアナ・ターンパイクがあり、それからオハイオ・ターンパイクがあって、ペンシルベニア・ターンパイクがあって、それからニュージャージー・ターンパイク、そうやってニューヨークまで行くわけですが、私も実際に車を運転して一九六二年に行ったことがありますが、現在でも有料制をとっております。このように、やはり有料道路というのは役割があります。
 もう一つの役割は、やはり有料道路にしておかなきゃまずいという点は、質の違いです。もし一般道路と同じように無料にしてしまったら、有料道路に殺到することは間違いないわけでありまして、質の上でプレミアムがあるようなサービスについてはそれ相応の負担をかけないと、交通量の配分がうまくできないわけであります。
 今回の設置法案の考え方としましては、小泉総理が常々おっしゃっているように、民間にできることは民間にゆだねるという原則に基づいて特殊法人等の整理合理化を進めよう、そういうことが基本的な目標であって、そして道路四公団につきましては、民営化によってコスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した事業経営と利用者サービスの向上が図られる、そういうメリットがあると考えられるので、組織の民営化を前提としてこの点について検討しようというのがこの法案であります。
 ちょうど、今申しましたように、有料道路を取り巻く状況というものが変わってきておりますから、この際、今改めてその検討をするというのはいい時期でもありますし、やるべきときかと存じます。したがって、こういう民営化推進委員会を設置する法案をつくってそれを出発させようということについては、私は適当だろうというふうに考えております。
 あと、幾つかのことを申し上げようと思いますが、この法案につきましては極めて細かいところまでは決められておりませんので、したがって、その内容について私が細かい意見を申し上げるということはないと思いますけれども、この推進委員会がよい案を出して、それが後の有料道路の体系の整備と維持に貢献してくれることを期待しております。
 ただ、問題は幾つかございます。民営化といっても、どういう民営化かというのが第一の問題だろうと思いますが、例えば、外国、特にヨーロッパの人たちと話をしますと、民営化というとオーナーシップが完全に民間にならないと民営化だとは言わないわけであります。ニュージーランドの改革の場合でも、国営の事業を民営化する過程において、簡単に民営化できるものはしましたけれども、そうでないものは、一たん公社化するような形でやって、その後にさらに二段階おいて完全な民営化に進める、あるいは進めないでそのまま残すというものもあります。
 どうしたら本当に採算性を確保しながら道路利用者に対してサービスを向上できるか、そのためには民営化といってもどのような経営形態が一番いいのかということについては、いろいろな問題があるかと存じます。
 それから、少し先取りして申し上げますと、全部の、四つの公団を一つにするということについては、まず非現実的だろうというふうに思います。本四連絡橋公団はかつての国鉄みたいな状態に今あるわけですから、これを全部一緒にするというのは余り適当ではないのではないか。それから、阪神高速道路公団と首都高速の二つにつきましては、やはり地域の高速道路のネットワークですから、これも一緒にするというのは本来適当ではないのじゃないか。したがって、首都高速と阪神高速はそれぞれ独立させ、本四については別途扱うという形で、残りをさらに地域分割する必要があるかどうかはかなり問題があるところであります。例えば、地域分割をすれば会社が違うから料金も違ってもいいということになるのか、それとも、やはり料金は同じでなければいけないということになるのか。このように、どのように扱うかによってその形態がうまくいくかいかないかが決まってきますので、この点については十分な注意が必要であろうというふうに思います。
 それから、その他、後ほど御質問が多分あるのだと思いますが、上下分離か上下一体か、この議論もここでは今はごく簡単に触れておきますけれども、上下といっても何が上で何が下であるかというのがまだはっきり、いろいろな説があります。また、いろいろなことが考えられるわけでありまして、したがって、これを上下一体かあるいは上下分離かという形で、ただそれだけを議論するのは的外れでありますし、そもそも、メリット、デメリットがあるということもわかっているわけですけれども、だれにとってのメリット、デメリットであるか。私は、常に、最終的には国民にとってメリットがあるかデメリットがあるかということであって、それぞれの事業体にとってのメリット、デメリットであるかどうとかということは二の次でなければならない、そのように考えております。
 与えられた時間がそろそろ終わりになりましたので、差し当たっては以上の意見を申し上げます。(拍手)
大畠委員長 どうもありがとうございました。
 次に、加藤参考人にお願いいたします。
加藤参考人 加藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 もう委員の皆様方にはこんなことは先刻御承知かと思いますが、道路公団の何が問題なのかということからさっとおさらいをしておきたいと思います。
 ちょっとページ数が多かったんですが、まあきょうの委員会だけじゃなくて、こういう資料をどこかで御利用いただければと思いまして、少し多目に、数字も含めてつけておきました。
 一ページ目からざあっと申し上げていきたいと思います。
 まず、道路公団の何が問題かということです。これはもう言うまでもないことですけれども、まず、赤字事業の理由というのは簡単なことなんですね。一つは過大な需要見通し、もう一つがコストの過小見通し、これが続けば、会社であれば毎年毎年赤字がかさむのは当たり前の話なんです。まさにそういうことが現に起こっている。いい例が、例えばアクアラインであり、あるいは第二東名であるということだと思います。
 二番目が、ではなぜその事業が続けられるのか。当然、企業であれば続かないんですね。ところがなぜ続けられるのか。それがそこの(1)から(3)までです。
 まず、不十分な情報開示。あえて粉飾というような、道路公団にとっては申しわけないような言葉を使ったんですが、粉飾を可能にするような財務諸表がつくられているということ。それから、需要見通しの根拠が明確にされていないということ。それから、後で申し上げますが、やはり償還主義とプール制、これは両方ともどんぶり勘定と言っていいんですが、こういう仕組みがとられていて、毎年毎年の収支、あるいは個々の事業ごとの収支計算がわからない。加えて、本来は官と民のいいとこ取りの仕組みだったものが悪いとこ取りになっている、国会のチェックも受けないし、市場のチェックも受けないというような。その結果、責任の所在が明確でない。いえいえ、公団は言われたことをやるだけなんですというようなことになっている。大まかに言ってこんなところです。
 今の財務諸表について、次の二ページ目に、ごく簡単に構想日本で試算したものをつけてあります。これは、平成十二年度の決算、道路公団発表の数字に基づいたものです。
 償還準備金方式で発表されているものが、道路公団、首都高以下四公団、それからその合計を並べてありますけれども、左側の二列です。いわゆる損益計算書と貸借対照表に当たるものです。それは、企業会計方式で洗い直しますと、合計が九千四百億の利益があるものがマイナスの三百三十二億になりますし、十兆円ほどの資産があるはずのものが一兆五千億円の欠損金になっている。さらに、けさも、日経でしたかのトップページに、減損会計を二〇〇五年に導入という記事がありました。時価会計というのはもう世界的な流れですけれども、これは時価会計ではありません。時価に直していくと、これはもう相当に悪い数字になると思います。
 ですから、この数字の洗い直し、どういうスタイルが民営化としていいかというのはいろいろ議論があるんだと思います。それは大いに議論すべきだと思いますが、すべての前提がきちんとした数字の洗い直しにあるんだと思います。
 構想日本は、とにかく、公表された数字を山のように積んで、それを専門家に分析させてこういう数字を出してみました。ですから、いや、そんなことはない、破綻することはないということであれば、ぜひ、その破綻しないんだということの立証をしていただきたい。これは私は、道路公団あるいは国土交通省の最低限の責務であると思います。まさに、そういうことをチェックしていただくのが、この委員会、あるいは広い意味での国会の場の役割だと私は期待しております。
 ちなみに、これはいいかげんな計算をしたのではありませんで、例えばその下の注にありますように、減価償却は大蔵省令に基づいてやればこうなるといったような、今でも、箱根ターンパイクほか、日本にはたくさんの私営の、企業としてやっている有料道があるわけですね。それは、まさにこういう企業会計方式でやっている、それと同じことを適用しただけであります。
 次のページに参ります。
 先ほど、二つのどんぶり勘定と申し上げました。償還主義、プール制という二つの言葉がよく出てきます。償還主義というのは、企業であれば毎年毎年の、毎期毎期の収益を出すわけですけれども、これが、三十年あるいは五十年で返せばいいではないか、だから、ことし、毎期毎期の収支はそんなに厳密に出さなくていいという前提なわけですね。ところが、毎期毎期で出すと、これはとんでもないことになっているということ。プール制というのは、企業であれば一つ一つの工場単位あるいは事業ごとに収支を出すわけですけれども、いやいや、全国一本の道路なんだ、それはネットワークということでつながっているんだ、だから全部でどうなるか。ところが、次の四ページ、五ページの絵にかいておりますように、五十年で帳じりが合えばいい、あるいは全部まとめて帳じりが合えばいいということを言っていると、どんどん計画がその間に延びていくわけですから、いつまでたってもその帳じりが合うときが来ない。
 そこで、先ほど申し上げました、最初は名神、東名に始まって、最初は大変に採算性のいい道路だったわけですけれども、どんどん悪くなってくると、悪くなったものは本当はマイナス、赤字がかさんでいるわけですけれども、それがすっぽりとその全体の中にはまって見えてこない。これを絵にしたのが四ページから五ページ目の表でして、これは、いや、採算は悪いけれども、全部でひっくるめて見るとちゃんと採算はいずれ合うんだというかなり無理やりの説明を可能にしてしまうというところに問題があるんだと思います。
 六ページ目に参ります。
 では、道路公団の民営化の意義はどこにあるのかということですけれども、これももう言うまでもありません。まずは、野方図な高速道路建設を見直すこと。何も、今後一切、道路建設をやめる必要はないと思うんですね。ただ、とにかく幾らでも高速道路をどんどんつくってしまうことを見直すということになります。それからもう一つは、債務を国民負担なしに返済することです。
 もともと、まず民営化ありき、それが目的ではないわけなんですけれども、今の道路公団の状況、あるいは今までの道路公団、国土交通省、あるいはそれに関する旧国幹審、あるいは国会の建設委員会あるいは国土交通委員会におけるチェックでは、むだな建設がとめられるという保証がない。実際には十分その機能を果たしてこなかったのはやはり厳然とした事実としてあるわけですから、そこに対して、市場のチェックを受けるという仕組みでもって、こういうむだな道路がとにかくつくられないようにしていこうじゃないか、あるいは、その結果としての債務が税金投入、国民負担なしに返済されるということにしていこうじゃないか、それがまずは道路公団民営化の意義だと思います。
 四月十二日に石原大臣が答弁されている。なかなかおもしろく私は拝見いたしました。行ったり来たりでよくわからない部分が実は多かったんですが、おもしろかったのは、償還主義というのは、返す計画があるんだけれども、だけれども返せない仕組みだ、こうおっしゃっているところで、石原大臣、なかなか正直な方だな、こんなに思いながら読みました。償還主義というのは何年、何十年たったら返すんだという仕組みなんですが、しかし、それが実際に返せないだろうということは大臣も認められているわけで、そうであれば、返せない償還主義というのはもう今や成立しないわけですね。
 返せないとなると、ではどうなるのか。それは、例えば五十年たった時点で税金投入、結局、いや、実は五十兆円残っちゃいました、返すはずだったんですが返せなくなりましたので、それは税金で面倒を見るしかないですね、こういう仕組みなんだと思います。
 五十年というのは、私ももう百歳を超えますし、恐らく、今この部屋におられる方で八十以下の方は余りいらっしゃらないんじゃないかと思うんですが、いずれにしても、やはり次、あるいはさらにその次の世代ですから、そのあたりのことは知らないねというふうには我々は言えないということではないかと思います。これについても、大丈夫だと言うのであれば、その大丈夫だということの論拠、数字でもってきちっと担当官庁は示すことからスタートすると思います。
 さらにつけ加えて、今申し上げたこととちょっとダブりますけれども、七ページが、民営化する際の基本的な考え方です。
 これは、まず高速道路建設を一たんストップする、これも、全く全部やめるということではなくて、毎日毎日建設を続けているとその分赤字がかさむのは間違いないわけですから、とりあえず一たんストップした上で、償還主義というものをやめて、毎期の収益を明確にするということ。
 それから、先ほど岡野参考人のお話にもありましたけれども、上下一体方式。上下分離、上の道路の管理だけを民営化するというのは私は民営化というものではないと思います。これは、企業経営に携わった方であれば、ほとんど十人が十人同じことをおっしゃると思いますし、JRのときにもその同じ議論が繰り返されて、土光さんはそれを退けたわけですし、さらにさかのぼれば、戦後間もなく行われました電力民営化のときに、松永安左エ門氏がやはり同じような分離策を退けて、そういうものは民営化と言わないということで今のような形になった。これは有名な話です。実際に、上下分離をすると、英国国鉄のように破綻を来してしまったという例があるわけです。
 上下分離というのを違う言い方で言いますと、資産と負債を別々の会社にしてしまうということなんですね。ですから、資産を持っている会社と負債だけを抱えてそれの返済だけをする上側の会社に分けるということですから、これではどう考えても、きちんとした企業経営に対するインセンティブもあるいは経営判断もできないということになります。
 ちなみに、もう一つ、よく無料化ということが言われますが、無料の道路というのは、あえて言いますと、これは全くうそなんですね。道路というのは、もちろん、このあたりの有料道路でないところも毎年の維持管理に大変なコストがかかっているわけですし、高速道路に限って言いましても、道路公団が担当している道路では、年間六千億円の維持改良費が払われているわけです。ですから、これをだれが負担するのか。有料で取らないのであれば、それは国民が広く税金で負担するというだけの話なんです。ですから、無料というとちょっとよさそうに聞こえるわけですけれども、全くのただではないということはよく考えておかないといけない。
 あるいは、道路についても、私の知り得る限りでは、アメリカでもヨーロッパでも、受益者負担の考え方をもっと取り入れていこうではないか、日本でも、道路に限らず、今まで政府あるいは政府に属する機関が担っていた公的なサービスあるいは提供するものについても受益者負担を入れていこうというのが流れですから、私は、あえてここで無料化というのは違うのではないかという感じがしております。
 八ページ目は、加えて、実はここが非常に大事なわけですけれども、むしろ政府を支えている与党の方々にもここはぜひお考えいただきたい。過去の清算がもちろん第一のターゲットですけれども、それに加えて、きちんとした民営化をすれば、いいかげんな民営化を言っているわけではありません、きちんとした民営化をすれば、これは日本経済に対する非常に大きいカンフル剤になるわけです。
 これは、ことしの文芸春秋の一月号に、HSBC証券の山田晴信氏が分析をされております。これによりますと、大体二十年間で配当と納税額を含めて九兆円余りの収入が国家に入ってくる。もう一つは、次の九ページ目の絵にもかいておりますが、売上高が二兆円、時価総額三兆円、これは、規模でいきますと、少し後の十一ページにありますけれども、JR東海とJR西日本を合わせたぐらいの規模の会社です。それが突如出現するわけですから、このことの経済効果は非常に大きい。
 さらにもう一つ、これは意外と見過ごされていることですが、国の機関が例えば二十兆円借金を持っていれば、それは必ず二十兆円返さないといけない。ところが、民間企業というのは、どんな優良企業でも借金を背負って事業をしているわけですね。ですから、二十兆円のうちの十一兆円返して、あとの九兆円ぐらいは持っていけるわけなんですね。
 ですから、これはトリックでも何でもないわけですけれども、きちんとした民営化にすれば、二十兆円の借金を、民営化した瞬間に返す金額は十一兆円に減っちゃうというような、なかなかおもしろい、これはうそでも何でもありません。東京電力と同じぐらいの比率の借金を抱えていいという前提でやると、九兆円ほどは持っていけるわけですね。この点の経済効果、この点の民営化メリットというのは、私はぜひお考えいただきたい。
 ただし、これはすべて、今のアクアラインを持っている湾岸道路のような、あるいは関空のようないいかげんな民営会社ではなくて、市場がきちんと評価するという前提があるということも申し添えたいと思います。
 九ページは、民営化する、こういう仕組みでというようなものですし、十ページ目は、八ページ目で申し上げました山田晴信氏の分析の表をここに引用したものです。十二年目で過大な部分の負債が返済されて、十八年目からはプラスに転じるというものです。
 ですから、償還主義で三十年だ、五十年だという議論がありましたけれども、これは、きちんとしたいい経営をしていけば、早ければ十二年で返せる、もし、いやいや、返すよりも料金を下げることを先にやれ、これは認可業種として公益性の高い料金ということで、通行料は政府がコントロールすることは全然民営化と反しないことですから、そこにキャップをつけてやる、あるいは条件をつけて、返済するよりも料金を下げることを優先しろということであれば、それは、この十二年を少し延ばしていけば料金はどんどん下げることができるということだと思います。
 十二ページ目に参りたいと思います。
 では、今後の建設をどうするかということですけれども、これは、きちんとした民営化をすれば、むしろ、今後の建設に結びつける手だてが随分広くなる、選択肢が広くなるんだと思います。今までは、高速道路イコール利用者負担イコール有料イコール道路公団、公団という図式でした。一方で、一般国道イコール税金負担イコール無料イコール国が行う。その二つにあれかこれかというルールを変えるということになるんだと思います。
 したがって、道路整備特別措置法等の見直しも必要ですし、それをむしろやる時期に来ているのではないか。その下に書いてありますように、国による直轄、あるいは地方公共団体による整備、これも、必ずしも国とか地方公共団体がやるからといって無料にする必要はない、若干の有料制にしてもいい部分もあると思いますし、今の新幹線と同じように、官民連携による整備ということも行われていいわけです。
 十三ページは、これはつけ足しですが、実は、ことしからこれをやめるということになっていますけれども、従来は毎年、道路公団ですと、道路公団に投入されている補助金が三千億円ほどありました。それから、A'道路、いわゆる薄皮有料と言われているものについては、実質的に八百億円から九百億円の資金、したがって、四千億円近くの税金がこれまでも高速道路建設に使われてきていました。第二東名・名神というのはいかにも筋が悪いわけですけれども、これを除いた残りの事業費は十兆七千億円。この十兆七千億円を四千億円弱で割りますと二十九年なんですね。ですから、今までと同じだけの税金投入をやっていけば、二十九年で実は九千三百四十二キロ全部建設することすら可能なわけです。
 こういう数字も意外ときちんと分析されていないんですが、そういうことを考えると、私は、むしろ、きちんとした民営化をすれば、経済効果も含めて、あるいは借金全部返さないというようなことも含めて、あるいは今後の建設の手法も含めて、随分選択肢が広がるということだと思います。
 時間が過ぎましたのでそろそろやめますが、最後のページに、では、今何が必要かということを、これも余計なことながら書いておきました。
 まずは、やはり公開の場での議論です。国会でこれはきちっと議論していただきたい。何よりもそれが一番大事だと思いますし、それに加えて、もちろん民営化推進委員会での議論、それから、最初に申し上げましたように、その議論のための正確な資料、これはこの法案の第六条にもそういうことが明記されております。財務諸表等をきちんと出して、それから、必要に応じて金融関係の人、これは民営化する場合には必ず必要ですから、あるいは、旧国鉄、JRの民営化の御経験のある方などから意見を聞きながら進めていっていただきたい、こんなふうに思っています。(拍手)
大畠委員長 加藤参考人、ありがとうございました。
 次に、中山参考人にお願いいたします。
中山参考人 御紹介いただきました中山です。
 私自身専門は都市計画をやっておりますので、きょうは、どちらかというとそういう社会資本整備、都市計画という点から、この道路関係四公団について意見を述べさせていただきます。
 道路関係四公団の改革が必要だというのは、これは今さら私が意見を述べるまでもなく、国民的に見ても当然必要なことというふうに議論されているかと思います。例えば本四公団では、公団の存続そのものがどうなるのか、また自治体の財政負担が一体どうなっていくのか、そういったことも含めて問題になっていますし、道路公団については、言葉が適切かどうかはあれですけれども、このままほっておくと第二の国鉄のようになるのではないかといった議論がされているわけで、こういった道路関係四公団の改革の必要性、これは議論の余地のないことだと思います。
 ただ、こういう公団の改革というのを進める場合、何を最も中心的なところに据えるべきかということなんですが、私自身は、ただ単に組織形態とか採算性の見直しではなくて、道路関係四公団の背後にあります日本の公共事業政策、そこまで踏み込んだ見直しをしなければならないのではないかなというふうに考えています。
 では、日本の公共事業をめぐる大きな問題が一体どこにあるのかということなんですが、大きくきょうは二点ぐらいに整理しようかなと思っています。
 まず一つ目は、今さら言うまでもないかもしれませんが、日本の公共事業費の多さです。
 御存じのように、日本の公共事業費は他の欧米諸国と比べても各段に大きくなっています。公共事業についてはいろいろな指標のとり方がありますけれども、公共投資の総額で見ますと、欧米諸国、OECDの加盟国が行っている公共投資の総額とほぼ同じぐらいの公共投資を日本の国は毎年しているわけです。
 また、最近はやや円安基調にはなっていますけれども、円高のときの状況で比べますと、例えば、東京都内で一年間で行っている公共事業費の総額というのは、大体ほかの国で見ますと、イギリスが一年間で行っている公共投資にほぼ等しくなるわけですね。私が住んでいるのは大阪ですけれども、大阪府下で一年間で行っている公共投資というのは、大体ほかの国で見ますと、オーストラリアが一年間で行っている公共投資にほぼ等しい額なんです。私が住んでいる大阪も東京も非常に狭いところなんですが、一体どこでそれだけの公共投資をやっているのかなと思いますけれども、単純に為替レートで比較するとそうなってしまうんですね。
 こういった公共投資の多さというのがいろいろな問題を引き起こしています。この間ずっと議論されている財政危機の問題もこの最たるものだと思います。
 また、御承知のように、日本の国は、産業構造の中で建設業界の占める比重が非常に高くなっています。本来、日本の国のように発達した先進国においては、通常はこういった建設業界の占める比重が徐々に下がっていくものなんですが、日本の国の場合は、非常に建設投資に依存するような、非常に産業構造上はいびつな構造になっているのではないかなと思います。
 また、公共事業の問題というのは、ただ単に事業費の多さだけではなくて、公共事業の内容の問題も含んでいると思います。
 御承知のように日本では非常に多くの公共事業がされていますけれども、その一方では、こういう公共事業が要るのかというようなむだがあちらこちらで指摘されています。道路もその例外ではないと思います。どう考えてもなかなか説明のつきにくいような公共事業が日本の国土の各地で行われているのではないかなと思います。
 その一方で、これだけ莫大な公共事業を日本の国は長年行っています。日本の公共事業が他の国と比べて格段に大きいというのはこの一、二年の出来事ではなくて、統計上で見ますと、大体この三十年ぐらい、日本の公共投資の多さというのは際立っています。
 通常、三十年間もこれだけ他の欧米諸国に比べて膨大な公共事業をやっておれば、さぞかしすばらしい社会資本が整備されているのだろうというふうに考えがちなんですが、残念ながら、下水道や公園、また道路をとりましても、他の欧米諸国と比べて非常にすばらしい社会資本の状況になっているかというと、肝心なところでは整備が進んでいない、そういう困ったことも起きているのではないかなと思います。要するに、非常に多額の公共事業費をかけてきているが、一方では非常にむだが指摘される、他方では本当に必要なものがなかなかそろっていかない、日本の公共事業にはそういった大きな問題があると思うんです。
 本来、道路関係四公団の改革を考える場合、この改革が、今述べましたように日本の公共事業の抱えている大きな本質的な問題、この問題にどこまで寄与できるかというのが、この道路関係四公団の改革にとってそれを評価する上では非常に重要な視点になると思うんです。
 ところが、私自身が今回のこの改革を見ていますと、例えば法案の第二のところで、この名前自身が民営化推進委員会設置法となっておりますのでかなり限定された内容ではありますが、ただ、例えばこの第二条を見ましても、そういった公団にかわる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査し、というふうになっています。要するに、今議論の争点はその組織形態とか採算性というところにあるのではないかなと思います。
 ただ、それが果たしていいのかどうかということなんですが、その前提となっている事業についてはどうなっているかというと、昨年の十一月に「先行七法人の改革の方向性について」というのが発表されています。御承知だと思いますけれども、例えばその中では、国費は十四年以降投入しないとか、採算性を見直す、償還期間を五十年を上限にするというような調整は図られていますが、その大もととなっている事業計画については、基本的には維持していこうという方向で進んでいるのではないかなと思います。
 そうなってきますと、今回の道路関係四公団のこの見直しというのが、事業内容については微調整にして、その事業内容を実施するために組織形態や財務内容を見直していこうというような、そういう改革になっているのではないかなという気がします。これは残念ながら、本来の特殊法人改革の趣旨、本来といいますか、多くの国民が求める特殊法人改革の趣旨から見ますと、逆立ちした議論になっているのではないかな、そう言わざるを得ません。
 本来でしたら、特殊法人改革を通じて、国民の納めている税金の使い道、公共投資のあり方、もしくは基本的な社会資本整備のあり方、そういった点を議論しなければならないんですが、むしろ、事業内容については微調整に済ませて、そういった事業を実施するための組織形態の見直しという、そこにどうも議論が終始しているような感じがします。
 そこで、私が懸念に感じますのは、事業内容を微調整にして果たして財務体質の改善が図れるのかということです。そこは民間に任せればそれが可能だ、要するに民間は採算性を重視するから民間に任せれば可能だというふうな議論になるかと思います。
 今回事前にいただいた資料を見ましても、国鉄の例が出ています。ただ、国鉄と道路はかなり違うと思います。国鉄の場合は、民営化後はほとんど新たな新線の計画というのは進めていません。また反対に不採算路線の廃止というのを行って、その結果、財務体質の改善を図っているわけです。
 もちろん、その方法がよかったかどうかについては議論の余地があるかと思いますけれども、ただ、道路関係四公団に関しては、むしろ今後も新線建設を進めていくということが大きな方向性になっていますので、国鉄でうまくいったから道路関係四公団でも民営化すればうまいこといくというのでは、ちょっと話が合わないのではないかなと思います。
 むしろ私が懸念いたしますのは、こういった採算性を厳密にして、それで民間が果たして道路計画を進めていくのか。むしろ、そういった計画を前提に民間に任せていくとなると、国費は投入しないものの、例えば、一体債務をだれが保証するのか、また、行政なりが無利子の融資をしないと済まない、いろいろな問題が起こってくると思います。私が考えますのは、今の事業計画を大枠のままで民間にゆだねていくとすれば、国鉄のような形というよりも、むしろ今全国で破綻が深刻になっています第三セクターの大きな二の舞になっていく危険性すら出てくるのではないかなと。
 道路公団とかそういったことでしたら、このような国会の場でも、公の場で議論できますけれども、民間が進めていくとなると、なかなかそういったチェック機能も働きにくいと思います。当然、採算性を重視する民間が新たな新線建設を行政との関係抜きでどんどん進めていくということは考えられません。気がついたときには非常に深刻な問題が起こっている、そういったことが十分懸念されるのではないかなと思います。むしろ、道路関係四公団の見直し、それは、公共事業の見直しも含めて、本来の趣旨に立ち返って考えるべきではないかなと思います。
 まず最初に考えなければならないのは、そもそも、道路計画を今後どうしていくのか、そこをもっと議論する必要があるのではないかなと思います。道路というのは、とりわけ国土の幹線になるような道路、これは国民にとって非常に重要な社会資本です。そういった社会資本を日本の国でどのような形で整備していくのか、それをもっと国会のような場で、国民の周知のもとで徹底的に議論していただきたい。
 そもそも、日本の国土の幹線となる交通網を一体どうやって計画していくのか。その場合は、当然採算性だけでは議論ができないと思います。採算性にはなかなか及ばないけれども、国民生活の向上や国土の環境、均衡ある国土の発展ということを考えると必要な道路もあるはずです。また、五年ほど前に阪神・淡路大震災がありましたが、国土の安全性などを考えると、採算的にはなかなかとれないけれども必要な幹線道路というのもあるわけです。ですから、採算性を第一義とするのではなくて、国民生活の向上や日本の国土の均衡ある発展、そういった視点から一体どういう道路計画がそもそも必要なのか、また、日本の今の財政状況の中で一体高速道路網計画をどう考えていったらいいのか、そういったことをやはり国が責任を持って、事業計画に立ち返って、国会などで中心になって徹底的な議論をしていただきたいというのがまず一点目です。
 同時に、今の道路関係四公団にかわる組織形態の見直しも必要だと思います。
 ただ、今の組織形態の見直しというのは、どちらかというと、民間に任せれば何とかなるんではないか、民間は当然採算性を重視しますから、採算性に合わない事業は進めないから、民間にゆだねていくのがいいのではないかということになるかと思います。でも、別に民間がすべてだめだとは思いません、服や車や、そういったものは民間にゆだねていけばいいんですが、道路、とりわけ国土の幹線となるような道路というのは、やはり国にとっての基幹的な社会資本です。そういった社会資本については、基本的に、民間サイドで進めるのではなくて、やはり国が建設、維持管理にあくまでも責任をとるというのが僕は最も重要な視点ではないかなと思います。
 ただ、その視点からいいますと、今の道路関係四公団の組織形態は見直す必要があると思います。むしろ、国が責任を持ってそういうものの建設を図る、維持管理を進めていく、そのためには、今の公団の透明性、国民の意見の反映性、科学性、そういったものを一層高めていけるような、そういった組織形態の見直しが必要ではないかなと思います。
 私も都市計画をやっていますから、いろいろな調査、資料集め等します。最近では自治体でも情報公開条例等が進んでおりまして、いろいろな資料が出るようになってきています。でも、そういったことと比べますと、残念ながら、公団など、もしくはそういった団体は非常にまだ透明性がおくれていると思います。また、実際、国のいろいろな事業また自治体の事業では、その時々の国会なり議会で議論されます。でも実際、では、公団の事業が、公共性はあるものの、国会や国や自治体と同じように国民や市民の意見が反映されているかというと、なかなかそれは難しいかと思います。
 むしろ僕は、そういった社会資本、基本的な社会資本である以上、あくまでも国が責任を持って建設、維持管理を進めるべきですが、そこにもっと透明性を高める、国民の意見を反映させる、そういう形で組織形態の見直しを図っていくことが、公団などそういった組織の見直しにとっては今最も重要なことではないかなと思っています。
 以上です。(拍手)
大畠委員長 中山参考人、ありがとうございました。
 以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。
田中(和)委員 おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。
 参考人の三先生におかれましては、御多忙の中をお出ましいただきまして、まことにありがとうございました。また、今は大変貴重なお話をいただきまして、大変勉強になった次第でございます。二十分という限られた時間内でございますけれども、質問させていただきますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 道路関係の四団体については、参考人の各先生方よりもお話がございましたように、公団の債務や交通量の見通しなど事業の採算性に関する批判、あるいは工事発注やファミリー企業など事業の透明性に関する批判、あるいは高い料金やプール制に関する批判など、各方面より厳しい意見が寄せられております。このような状況に対応して道路関係四公団を改革していくことは、公共事業の規模が極めて大きいだけに、聖域なき構造改革を進める小泉内閣の目玉の政策にもなっております。
 まず最初に、高速自動車国道のネットワークの整備の責任について、三先生にお伺いをいたします。
 高速自動車国道は国の最も根幹的な公共の施設であることは言うまでもありません。岡野先生からもお話ありましたし、ただいま中山先生からもお話ありましたけれども、諸外国の例を見ても、必要なネットワークについての決定とかその整備は国が責任を負っている、こういうことがスタンダードではなかろうかと思います。我が国においても、公団が民営化されるか否かにかかわらず、必要な高速自動車国道のネットワークの決定及びその整備は国の責任だと私も思いますけれども、各先生方のお考えをもう一度絞ってお聞かせいただきたいと思っております。
 以上です。
岡野参考人 今御指摘ございましたように、ネットワークの責任については、基本的には国にあるというふうに考えます。
 ただ、具体的にだれがどういうふうにつくるかというふうな話になりますと、これはいろいろあり得ると思います。最近では余り人気がありませんけれども、私は、国土計画というとちょっと問題がありますが、国土をどういうふうにしていくかということについて国がやはり責任を持っているわけでありまして、その中の道路というのはやはり非常に重要な社会資本でありますから、ほかのものとも同時に考えなきゃならないとはいいながら、そのネットワークについては、どういうネットワークをつくり上げるか、いつまでつくるかとか、そういう話はまたお金の問題がありますから、なってきますけれども、少なくとも、どこにつくる、どのようにどのぐらいつくるかということについては、それから、どこまで有料道路でやり、どこまで通常の、料金を取らない道路でやるかというようなことについても、もちろん、いろいろバラエティーはありますけれども、責任を持たなきゃならないというのは国である。
 これはやはり、非常に長い間社会に寄与するものでありまして、現在のヨーロッパの地図とローマの道とを重ね合わせますと、幹線はほとんど一致しております。そのぐらい、ちゃんとしたネットワークというものは長い期間にわたって人類に貢献するわけでありますから、それはやはり国が責任を持つべきだ、はっきりそういうふうに申し上げたいと思います。
加藤参考人 今のネットワーク論、あるいは国が責任を持つべきである、私は両方とも全くそのとおりだと思います。ただ、ネットワークと国の責任ということについて二つ申し上げたいと思います。
 一つは、では、ネットワークというのはいつになったら完成したということになるのかということです。
 これは、いわゆるナショナルミニマム論と同じでありまして、今やその議論というのはもう破綻を来している、私はこう思います。切りがないわけでありますし、そのことがまさに問題になっている。どうしてもまだ必要な部分、あるいはネットワーク上ここは必要なんだということであれば、先ほど申し上げましたように、それは今の制度を変えることによってもっと効率よくつくることができる。
 ちなみに、もう御承知のことだと思いますが、今、日本人の九四%が一時間以内に高速道路に到達できるところに既に住んでおります。あと六%を、残りを一〇〇%にすることがネットワークを完成することになるとは私は思いません。さらに言えば、可住地面積当たりの日本の高速道路の延長あるいは密度、これはほぼ、私の記憶している限り世界一だったのではないかと思います。
 もう一つは、国の責任ということです。
 これは、国が何らかの責任を負うことは当然必要だと思います。ただ、これは法的に申し上げましたら、今までは、国土交通省が持っていくということで、道路法上、国が責任を持つということでしたけれども、民営化にするというのは、ここに全く国が関与しないということでは全くなくて、事業法上の監督者になる、こういうことの違いだと思います。
 同じことは既に国鉄についても起こっております。国鉄以前に既に私鉄というのがあって、鉄道についても、これはやはり貨物輸送も含めて大いに国が、あるいは行政が関与するところですし、現に料金体系を含めて関与しております。さらにさかのぼれば、銀行でも、当初できたころはこれは国営だったわけですね。
 ですから、国の関与の度合いというのはその時代によって大いに変わってくる、公益性の度合いも変わってくる、それに応じて公益性に関する行政のかかわり方も変わってくる、こういうことではないかと考えております。
中山参考人 高速道路網の整備は国の責任かということですが、これはもう当然だと思います。問題はその中身、責任の中身ですね。
 今、国民が国に対して求めているのは、もちろん高速道路網の整備もあるかと思いますが、それ以外にも、高齢化対策をどう進めるのか、少子化対策をどう進めるのか、地域経済をどう発展させていくのか、また、財政の立て直しをどうするのか、環境の改善をどう進めていくのか、さまざまな要望が国民から出されてきているわけです。当然、そういった要望の中には対立する要望もありますし、もちろんお金もかかります。そういったさまざまな要望を限られた財源の中でどうトータルに実行していくのか、それをどう調整し実行していくのか、それが国に課せられた課題だと思うんですね。
 ですから、高速道路網の整備ということに限定して言いますと、それは当然、その国の責任ですけれども、それらをさまざまな国民からの要望の中でどのような形で実行していくのか、そういったところを具体的な中身として検討していくのが国の責務ではないかなというふうに考えております。
田中(和)委員 ただいま三先生のお話を聞きまして、ニュアンスは違いますけれども、国の責任そのものは十分ネットワークづくりにある、こういうお話でありました。
 岡野先生に引き続きお尋ねを申し上げたいと思いますけれども、これからの高速道路の整備を効率的に進めていくには、まずどのような手法が一番適切であるか、このようにまずお伺いをしたいと思います。
 さらに、全国の高速道路については、既に着工されている箇所も数ありますし、また、事業の凍結ということになれば、現場では当然混乱が起きるわけであります。国全体を考えるときに、一方では採算に合わないと思われる地方の意見なども当然聞いていかなければならないわけでございますけれども、こういうもの全体をどのように整理をしていくべきだろうかと思っておられるのか、ぜひお聞きをいたしたいと思います。
岡野参考人 効率的な整備とおっしゃるのは、多分できるだけ低いコストで整備するということだろうと思いますが、よろしいでしょうか。
 私は率直に言いまして、現在の道路公団がコストをミニマムでやっているとはひとつも考えてはおりません。実際に、技術者というのは一般にそういう傾向があるんですけれども、いいものをつくりたいという傾向が非常に強くございます。確かに、でき上がりますといいものができて、長もちすればいいわけですからいいんですけれども、コストも非常にかかるという問題があります。今やっているのは、実際に道路公団は自分で全部職員を抱えてやっているわけではなくて発注してやっているわけですから、したがって、どのような設計をし、そしてどのように管理をするか、それによってコストを少なくすることは、節約することはできると思います。
 それから、事業の凍結ですが、これは大変悩ましい問題でありまして、実際上、地図を見ても、前回加わった路線、今整備の対象になっている路線は、多くが間をつなぐといいますか、今まで一部できているものを間をつないでいくようなところであって、したがって、今までやったものを前提としますと、そうするとそれをつながないのはどうかという感じはもちろんするわけであります。ただ、いずれにしても、昔に比べれば採算性の悪いところが多くなっていることは事実であります。
 ただ、採算性ということについて言いますと、私もどちらかといえば政府が特別に税金をこれにどんどん投入しろという考え方は持っていないわけであります。できるだけ、特に有料道路の場合には自己完結するように採算性がとれる方がいいとは思いますけれども、ただ、費用対効果といったときに、民間の場合には費用対効果の効果は利益であります。
 ただし、公的なものといいますか、あるいは我々から考えると、本当に望ましいのは、費用対効果の効果は社会的なものであって、必ずしも料金収入にあらわれないものがあるわけであります。経済学的な言葉を使いますと、消費者余剰に当たる分がそれであるわけでして、したがって、この事業を進めるに当たって、例えば地方について、これは高速道路、高規格幹線道路の中でも地方に負担を求めたというのは、やはり採算性が悪いものについては地元も協力すべきではないかという考えがあってそういう提案があったわけであります。
 もちろん、道路公団の事業は、先ほどの加藤参考人とは私は少し違いますけれども、明らかに道路公団が破綻するような格好で進めるということについてはもちろん賛成できないわけでありまして、その場合には事業凍結、凍結ということは、やらないということを意味するのか、それとも時間的な点で先へ少し延ばしながら少しずつやっていくということもその中に含められるとすれば、余裕のある範囲の中で順次それを進めていけば、そうすれば事業の凍結の問題もその程度の妥協で解決がつくのではないか、そのように思います。
田中(和)委員 加藤先生にお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほどのお話の中で、上下の一体方式ということが原則であると同時に、将来は国、地方自治体が直轄でこれらの事業に取り組んでいくべきである、このようなお話だったと思いますし、さらに、既に我が国の高速道路のネットワークはそれなりにもうでき上がっているんじゃないか、このようなお話もございました。
 確かに、際限なくつくっていくということになれば、これも本当に大変な話でありまして、ある点では意味もわかるわけでございますけれども、大勢としてというか、相当な分野で言われているのは、まだまだ日本の高速道路は整備過渡期にあって十分でない、特に先進国の中ではまだ不十分なんだ、このようなお話もあることは事実でございます。
 そういうことで、今の高速道路の状況は我が国に十分なのかどうかということをもう一度お話を聞かせていただきたいと思いますし、採算性を重要視して、あるいは需要に見合った整備をしてということが強調されておるわけでございますけれども、このような意見について、いろいろと今の話とは相反する問題が出てまいります。ぜひその点もお聞かせをいただきたいと思います。
 重ねてお尋ねをして恐縮なんでございますけれども、先生のチャート、構想日本のチャートをちょっと拝見させていただきました。そうすると、凍結という問題が、まあ、時間はどの程度かわかりませんが、出てくるようでございますけれども、例えば、東京外郭環状道路、環状線などの凍結だとか、あるいは愛知万博の支援のための高速道路の整備がおくれるとか、そういうようなことも起こってくるのかな、このように思っております。こういうことが私たち心配される点でもあるわけでございますけれども、どういうお考えなのか。
 さらには、今、岡野先生からお話しいただいたんですが、はっきり言うと採算に合いそうにない地域の高速道路の緊急性かつ重要性というものについてどういうふうに思っていらっしゃるのか。
 あわせてたくさん質問いたしましたけれども、お答えをいただきたいと思います。
加藤参考人 まずは最初の点でありますけれども、私は、先ほどの岡野先生のお話にありましたように、費用対効果といった場合の効果、これは社会的なものである、そこは私も全く同意見であります。ですから、先ほども申し上げましたが、まず民営化ありき、あるいはまず採算ありきではありません。
 ただし、道路は必要なものなんだ、いずれそれは返せるんだということで、それで、五十年たったら、あるいはその前に二十年ぐらいで、あるいはもう十年以内にその破綻が必ず見えてくると私は思いますが、仮に三十年たったら、あるいは五十年たったら返せるんだということで、その時点で、いや、結局返せませんでしたということで税金投入しないといけなくなるというのは、私は、これは国民に対する信義にもとるものだ、それがすべてのスタートだということを申し上げているわけです。
 それから、さらに言えば、よく不良資産、不良債権という言葉が使われますけれども、道路は資産なんだから、それに見合う借金があってもいいではないかといいます。しかし、その資産がきちんとしたいい資産たるに値するものであれば、これは将来にツケが残ってもいいんでしょうけれども、いい資産でなければ、その資産というのは、持った瞬間に維持コストもかかります。さらにはその返済のお金もかかる。それをすべて、我々の前の世代たちはこんなものをつくってくれた、それでこんなに借金で、増税でぼんと返さないといけないのかと次の世代に言わせることはやはり避けないといけない。これは、私は、委員の皆さん、政治家の方々にとっては、やはり最低限の責務ではないのかと思います。
 それから、先ほど、大勢として高速道路は不十分であるという声が大きいと言いました。私の周りでは、寡聞にして、それが大勢であるという話は聞きません。往々にして、まあ、人はだれでもそうですけれども、自分の周りにどういう人がいるかということでその大勢が決まってくるものですから、そこは私は、国会議員の方はもちろん選挙区で大勢住民、国民の方とお会いになっているわけですけれども、しかし、その方々の声が全くフェアで中立的なものでは必ずしもないのではないのかなと。
 先ほど申し上げましたように、私は、可住地面積の日本の高速道路の密度、あるいは九四%が一時間以内に行けるとデータを示してお話をしているわけでありまして、それはいずれも世界最高レベルなんですね。ですから、まあ、ここは御判断はいろいろあると思いますが、私の感触であります。
 それから、ちょっと長くなって恐縮ですが、例えば、環状道路のようなことを含めて凍結。私は、先ほども申し上げましたけれども、一たん凍結して、とりあえずきちっとチェックをするまで、どんどんつくり続けていると、つくり続けている間にもどんどん状況が悪くなっている可能性が高いわけですね。ですから、一たん凍結して考えましょうと。
 それで、きちっとした民営化をすれば、借金全部返さなくてもいいとか、いろいろなメリットがあるわけですから、そうなるとむしろ可能性がふえてくる。今までのような、まあ、いわば十分ではないデータを道路公団の中だけで一方的に発表するということではなくて、これは、例えば国費投入であればきちんと予算が組まれて国会で審議していただくわけですから、きちっとしたデータを出させた上で御議論いただいて、その上でどうしても必要だという分についてはつくればいいんじゃないかな、こんなに思っております。
田中(和)委員 時間が参りましたので終わらせていただきたいと思いますが、本当にありがとうございました。どうぞ今後ともよろしく御指導のほどお願いいたします。
大畠委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。
 次に、野田佳彦君。
野田(佳)委員 民主党の野田佳彦でございます。
 三人の参考人の皆様方におかれましては、大変お忙しい中を当委員会にお運びいただきまして、まずは冒頭、心から感謝申し上げたいと思います。
 私ども民主党は、本当に実のある民営化をぜひしたいという立場でございまして、その意味では、加藤参考人のお立場は非常に近いものがあるというふうに思っています。そういう視点から、きょうは、詳細な資料をお示しいただきました加藤参考人中心にまずお尋ねをしていきたいと思います。
 一ページ目の第一に、「赤字事業の理由」、「過大な需要見通し」、「コストの過小見通し」という極めて本質的な指摘があると思います。東京湾アクアラインとか第二東名についても触れられました。私も恐らくそうだろうというふうに思っていました。
 特に、将来予測にかかわる問題は、いろいろ不確実な要素がありますので十分検証できる話ではありませんが、過去についてはそういう印象を持っておりましたのですが、当委員会での議論を通じて公団からのいろいろな御答弁を聞いていますと、実際は、交通需要の実績というのは償還計画に用いた予測を上回ってきている、または同程度というような言い方で答弁をされていました。その資料も提示をされました。おかしいなと、新聞報道等で聞くのと随分違う印象を持ったんですが、その新聞報道で出てくるのは環境影響評価に基づく予測であって、それとは確かに大きな乖離があるけれども、償還計画の予測とはそんな乖離はないし、むしろ実績は上回っているという答弁がありました。
 そういうような認識が示されたものですから、この過大な需要見通し、コストの過小見通しということについて、改めて加藤参考人の御認識をお尋ねしたいと思います。
加藤参考人 ただいま、私の構想日本で試算いたしましたデータを実は持ってまいりませんでした。ですから、申しわけございません、数字に基づいて今ここでお答えすることができませんが、過大な需要見通し、コストの過小見通しについては、これは、先ほど申しました例えばアクアラインというのは、需要見通しが、当初の見込みあるいは開通時、その後、数次にわたって改定されております。その上でさらに料金引き下げが行われて、ようやく少し持ち直したという状況にあります。これは典型的な例ですけれども、唯一の例ということでは全くありません。
 それともう一つは、この過大な需要見通しについては、コストの過小見通しとセットですけれども、個々の高速道路ごとのデータというのが、実は道路公団からは全く出されていないというところが問題なんだと思います。
 もう一つのコストの過小見通しについては、典型的には、先ほど申し上げましたように、第二東名、これはもうかなり建設が進んでおります。それで、第二東名の建設コストの増加状況については、これはもう既に何回か国会で質問されて、そこの答弁の中にも出てきております。
 その需要見通しと過小見通し、この二つが相まって、個々の、いわば企業でいえば事業ごとの収支というものが出てくるわけですけれども、それについて試算したものの大まかなものが先ほどの資料の十四ページから十五ページ、これは御説明いたしませんでしたが、ここに書いております。
 十四ページはどういうことをしたかといいますと、ある種のすごろくみたいなことをやってみたんです。まず、上のスタートがあります。いろいろな費用があるわけです。まず、管理費が賄えるか。これは日常的な管理費であります。ですから、例えば、台風が来るときちんと電光掲示板で示して最高速度を落とすようにといったようなことも含めて、あるいは料金を徴収するといったようなことです。それから、改良費、減価償却費、固定資産税、それから金利が賄えるか、それぞれに分けてイエス、ノーでやっていきました。
 管理費も賄えないもの、これがCと分類いたしました。これはもう、本当は、民間企業であれば直ちに閉めないといけないわけです。それが払えるものは、では次に、改良費が賄えるかということで、C、B4、B3、B2、B1、全部払えるものをA、こうやって分類していって、その分類されたものが次の十五ページであります。ここで、A、B1からB4、Cまで、これは大きく分けたものだけですけれども、載せてあります。こういうことについて、この作業を構想日本ではすべてのジャンクションごとに一つ一つやりました。これは、企業でいえば、工場単位あるいは事業所単位で採算計算をやり直したということであります。
 これについて、もし、いや、そうではない、きちっと採算が合っているんだということであれば、逆に、道路公団なりあるいは国土交通省はそういう数字で出して示していただきたいな。いやいや、そんな過大な需要見通しじゃないんだ、あるいは過小な経費ではないんだ、むしろ大体予想どおりにいっているんだということであればそれを示していただいて、もし本当に公表されていないデータでそれがきちっと証明されるのであれば、こんなに国民にとっていいことはないわけでして、もう民営化なんか議論するのをやめて、道路公団そのままでいった方がよっぽどいいことになるわけです。
 ですから、それは大変喜ばしい話なんですから、そういうことを数字でぜひ示していただきたい。この委員会が始まれば、そういうデータをまず最初に出して議論していただきたいな、こんなに思っております。
野田(佳)委員 限られた時間でございまして、各ページごとに質問したいことがあるんですが、できれば簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。
 二枚目の資料です。「企業会計に組替えると四公団の財務はどうなるか」。大変、数字を踏まえた確かな分析をされていることを評価したいと思いますけれども、ここに出てくる各公団、この委員会でも、例えば、JH、首都高、本四については個別にいろいろな議論がございましたが、なぜか阪神高速は余り取り上げられていません。
 しかし、この分析表を見てみますと、企業会計方式でやると当期損失も大きいし、欠損金も大きい。本四が事実上の経営破綻状況であるということは、これはもうだれもが認めるところですが、阪神高速道路公団も非常に深刻な状況であるということがこれを見るとよくわかるというふうに思います。ちょうど、先月ですか、「論座」の三月号でも、道路公団OBの方が書いている論文を見ると、阪神高速道路公団をどうするかというのは大事なポイントだというふうに書いてありました。
 加藤参考人は、この阪神高速をどうしたらいいという改革方針をお持ちでございますか。
加藤参考人 正直なところ申し上げまして、道路公団以外の三公団についてはこれ以上詳細な分析はしておりません。しかし、両方ともマイナスであるということは、仮に民営企業の形をとったとしても、それは上場もできないわけですし、市場は受け入れないわけです。ですから、今の時点で、ともかく、負債の部分を何とか公的に処理する以外にはないのではないか、その点に関しては本四もほぼ同様ではないか、こんなに考えております。
野田(佳)委員 では、少し飛ばしまして、六ページも聞きたいんですが、その次の七ページをお尋ねしたいと思います。
 「高速道路建設を一旦ストップしたうえで、」という前提、私はこれも賛成なんですけれども、「「償還主義」をやめ、毎期の収益を明確にする。」それによって初めてひとり立ちできる会社にするという条件を設定されております。
 ところが、今回の第三者機関の設置法案の前提となっている特殊法人の整理合理化計画は、これは参考人もよく御存じのことだと思いますけれども、償還期間は、五十年を上限とし、その短縮を目指すと記されている、その枠組みの中で民営化なんです。償還主義と民営化というのが、本当はこれはなじむものかという議論がこの委員会でもございましたけれども、償還主義をやめ、毎期の収益を明確にするということが民営化のまさに基本的な条件とお考えの加藤参考人は、この第三者機関の今回の設置法案についての評価は、直接まだ言及されていないように思いますけれども、どのようなお考えでございますか。
加藤参考人 全く、今、委員の御指摘のとおりだと思います。
 償還主義というのは、これは何年かけて返すという考え方ということだと考えます。そうだとすれば、民間企業に、おまえのところは五十年で借金返せよということを、だれかほかの人間があらかじめ言うことは考えられないわけでして、そのときの営業状況によって借金をどれぐらいの時間で返していくという計画は後から決まってくる。そういう意味では、償還主義を入れているということ自体がまともな民営化ということではないということのあらわれになるのかもわかりません。
 しかし、私は、もう少しそこは積極的に考えてもいいのではないかな。償還期限五十年、そういうことでとりあえず枠は設定した、だけれども、それよりもっとよくなる方法があるのであれば、それはこの委員会で大いに議論してもらえればいいではないか、そう積極的に解釈した方がいいのではないかな、こんなに考えております。
野田(佳)委員 では、今度、その下にあります「「上下一体」方式による民営化」。
 私はこの立場は賛成なんです。ただ、上下一体か上下分離かというまさに大方針について棚上げをしたまま、今回の民営化推進委員会の設置法案が出てきているわけです。大方針を決めずにしてその大方針を第三者機関に丸投げをするというやり方は、私はいかがなものかというふうに思っているんですが、これについてはこの委員会でも随分いろいろな方が取り上げました。
 聞いておりますと、私は、扇国土交通大臣は上下一体のお立場であるというふうに、きのうの連合審査で改めてわかりました。一方で、石原担当大臣は割と慎重なんです。この資料を見ると、上下分離方式による幾つかの懸念される点が出ていますね。英国国鉄の破綻とか、いろいろな事例が出ていますけれども、でも、石原さんの場合は、例えばイタリアとかオーストラリアとかを取り上げられて、リース方式とかコンセッション方式とかで成功している分離案があるということを踏まえて、だから慎重な発言をされていました。というよりも、むしろ、そちらを望ましいというふうに言いたげに私は聞こえたのであります。
 改めて、上下一体の方がなぜ上下分離より望ましいのか、上下一体のことについては、石原さんは、税の問題についての御心配をされていましたけれども、このことについて加藤参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
加藤参考人 私は、この点についても、この新しくできる委員会がフェアな人選できちんとした議論をしていただければ、世の中で言われている民営化の定義から逆算していきますと、おのずと上下一体という選択しか本当はあり得ないと考えております。
 上下分離といいますのは、下の方は国が持って、国がつくっていくよということですから、それは国がやる。上は、今あるファミリー企業を一つにまとめて単なる運行管理をやるということだけですから、それは、私は、今なぜ民営化するかというところに戻って考えると、全然目的を達成する形にはなっていないんだと思います。
 それから、国土交通大臣と行革担当大臣の御意見が食い違うということ自体が、まだそこは議論がまとまっていないということですから、まさにこの委員会で御議論いただくことだと思います。
 それから、私も石原大臣の御答弁は読みました。大変聡明だと自他ともに認めておられる大臣だと私も思いますが、大分あっちに行ったりこっちに行ったりという部分があるような、少なくとも私の理解能力ではなかなか理解できない部分がかなりありました。
 そこで、イタリーとかフランスの例も含めて、公物をどう扱うかという説明もあったようですが、これはかねてより国土交通省が説明している、あるいは集めたものをそのまま御答弁されているなというのが私の率直なものです。そもそも、公物について、例えばフランスにおける公物とかパブリックというものについての、あるいは国有の土地というものについての考え方が全く違う。そこを捨象した上での議論というのは私は成立しないと思いますし、イタリーの場合には、上下分離だとはいっても、しかし、下の、そもそも道路をつくるあるいは改修するということを含めて、日本で言われている上の部分、借りている方がやっているわけですね。
 ですから、恐らく石原大臣が頭の中に置かれているのとイタリー、フランスの上下分離自体がずれていますし、公物管理という概念自体もずれている、そこをもう少し明確にしないといけないと考えております。
野田(佳)委員 私の持ち時間はあともう恐らく三、四分だというふうに思いますので、最後に三人の参考人に端的にお聞きしたいと思います。
 いずれにしても、この改革の成否を握っているのは今回の委員会のメンバーをどうするかということだと思います。総理初め、改革意欲に富んだという抽象的なお答えを聞くのでありますけれども、それぞれの参考人は、どういう人が具体的にイメージとして選ばれるべきか、人選されるべきか、お考えでしょうか。お尋ねをしたいと思います。
大畠委員長 それでは順番を変えて、いつも最後でございますので、中山参考人から今回はお願いします。
中山参考人 私自身、先ほど述べましたように、今回のこの民営化推進委員会を設置するということが果たして日本の道路計画という点から見た場合に望ましいのかといいますと、基本的には、先ほど申しましたように、民営化はなじまないというのが私の考えです。
 ですから、そういう意味では、ここの趣旨では、民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保について調査審議するということですが、それも含めて、むしろ道路のあり方全般を議論するような、そういう人選をされた方が望ましいのではないかなと考えます。
加藤参考人 先ほども繰り返して申し上げましたけれども、まだこの民営化の中身について意見が全くまとまっていない。ですから、償還主義ですとか今の上下一体、分離方式も含めて、とにかくオープンなところで、きちんとしたデータを関係者が、役所なり公団が出して議論していく、そのために障害のあるような人選は避けないといけないということだと思います。
岡野参考人 私は率直に言って、国鉄再建監理委員会のことを頭に入れたんですが、今度は八条委員会ですから性格が違いますけれども、国鉄再建監理委員会のときには、私も、何回か意見を聞きたいから来いといって伺ったことがあるんです。
 そうやって虚心坦懐、外からの意見を聞ける状態にある人、ということは、逆に言いますと、今まで余り旗幟鮮明に自分の意見がある人は排除した方がいいだろう。その方たちは、今度自分で曲げて結論が出るということについては非常に大きな抵抗、逆の意味の抵抗勢力になりかねないと思いますので、むしろ、学識のちゃんとあり、経験のある人が虚心坦懐に、これは可能性としてはかなり広くあるものですから、その範囲について、初めから自分の結論を持って行動するのではなくて、広く意見を聞きながらやっていくような方を委員にしていただいた方がいいのではないか。
 もちろん、私はそういう意味では、同じように一つの、一番最初に申しました、私自身もどちらかといったら結論が決まっている方ですから適任じゃないと思いますけれども、そのように考えます。
野田(佳)委員 ちょうど時間となったようでございますので、終わりたいと思います。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上義久君。
井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
 参考人の先生方におきましては、本日、御多忙にもかかわらず当委員会にお越しをいただきまして、大変貴重な御意見を賜りまして、心から御礼申し上げる次第でございます。
 まず初めに、岡野参考人と加藤参考人にお伺いしたいわけでございますけれども、私は今回の特殊法人改革の議論について大変危惧していることがあるわけです。
 それは、特殊法人というのは、いわゆる政策目的があって、その政策目的を遂行するために法律をつくって設立をしたわけでございます。ところが、今回の特殊法人改革の議論は、どうもその政策目的というところがきちっと議論されないで、例えば今回のこの道路四公団の問題にしても、初めに民営化ありきというか、道路公団のあり方をどうするかというところから議論が出発しているんじゃないかということで、では、肝心のいわゆる高速交通体系、高速交通網をつくっていくというこの政策目的のところは本当にどうなったのかと。
 例えば、私なんかは東北から選出されているわけですけれども、例えば東北で言いますと、東北縦貫自動車道という背骨はある。だから、先ほど岡野先生からも御指摘がありましたように、例えば常磐、三陸というような太平洋岸、あるいは日本海側、この整備が非常に進んでいなくて、高速交通のネットワークとしては極めて脆弱になっているわけでございまして、こういった整備はどうしてもしなきゃいけないんじゃないか、私なんかはこう思っているわけです。そういう高速交通網をどこまでつくるのか、またどういうやり方で、道路公団のやり方がまずければ、ではどういう形で整備するのかというそこの議論がどうもきちっとされていないような、そういう思いを非常に強くしておるわけでございまして、この点につきまして、岡野先生、加藤先生の御意見を賜りたいと思います。
岡野参考人 初めに、ちょっと訂正申し上げます。
 国鉄再建監理委員会が三条委員会だと、私の間違いで、あれも八条委員会だったそうです。訂正させていただきます。
 今のお話ですが、大変難しいんですね。ネットワークがどうあるべきかということについて言いますと、いろいろな指標があります。先ほど加藤さんがおっしゃった可住地面積当たりの高速道路、これは実は高速道路がいかに多いかということを表現するためにつくった尺度でありまして、かつてある学者がこれを使い始めた。初め、国土面積当たり、単位面積当たりとやっていたんですが、それでは余り多くないものですから、そこで可住地面積にするとぐっと減ります。ところが、中央道にしても何にしても、みんな走っているのは可住地じゃないところを走っているわけです。したがって、どういう指標でどういうふうに考えたらいいかということについては、もちろん、もう一遍練る必要があると思います。
 それから、今の道路公団のままでもいいのではないかというようなお話がございましたけれども、私は、民営化された場合でも多少の危惧を持っているわけです。それは、ですから民営化の形がどうなるかに依存しますけれども、例えば道路公団の場合には、やはり何といっても公団であって、節約し、民間の企業だったら収入を上げるといいますか、それを一生懸命やろうという努力に欠けることはインセンティブが欠けているわけでありまして、例えば、彼らが一生懸命人よりか余計働いてコストを下げ、人よりも余計働いて料金収入をふやそうと、方々へ行って使ってくれといって行動したとしても、彼らの給与やボーナスが上がるわけではないわけであります。そうすると、ついては、公団であれば、やはり公団としてでもそういうインセンティブが与えられるようなシステムがちゃんと中になきゃいけないということになります。
 その点についていいますと、民間の方は利益を上げることでありますから、もちろん、利益を上げることについては、コストを下げ、そして利用者をふやすという努力はすると思います。民営化されたとき、どのような民営化であっても民営化であれば、我々が直接利用するときの感じだとか、料金徴収所はなくなっているかもしれませんけれども、料金徴収所での対応だとか、そういう点ではサービスが多分よくなるだろうというふうに思います。
 ただ、問題は、高速道路は一般の道路と完全に代替的ではありません。というのは、高速道路はちょっとぐらい料金を上げても、しようがないな、高くなったけれどもというので使わなきゃならないだろう。そういうことになりますと、利益を上げるためには、実は料金を上げれば簡単に解決がつくわけであります。そうしますと、今度はそういうことを認めないということになりますと、企業に対して制約がかかるわけで、民間企業に対して制限しなければなりません。
 そういう規制が入ってきますと、もともと民間の企業が持っているインセンティブといいますか、そのインセンティブが働いていい結果が出るというメカニズムがだんだん壊れていくわけでありまして、この場合にそれをいかにうまくインペリメントすることができるかどうかというのが民営化についての私は問題点だと考えております。
加藤参考人 政策目的を明確にする、全くそのとおりだと私も思います。
 私は、特殊法人改革というのは、一般的に申し上げて、従来とってきた政策が正しいかどうかもう一度チェックして、必要ならば政策変更をしよう、突き詰めるとそういうことではないか。ですから、例えば、政府系の金融機関であれば、政府がその金融を行うということ、特定のものについて金融を行うものについての是非でありますし、道路公団であれば、道路を引き続きこういう形で、公団という形でつくっていくことがどうかということを問うということだと思います。
 そういう意味で、私は、先ほど委員のお話にありました、東北ではまだまだ不十分、そういう声は至るところであるんだと思います。ただ、それは、例えば東北に住んでおられる方が、まだこっちは不十分だ、もっと必要だ、確かにそうお思いだと思います。一方で、中国地方に住んでいる方は、いやいや、こっちには必要だ、北海道とか東北には何か通らない道路があるんではないかとか、国民全員がやはり自分のことを中心に考えてしまうわけですから、全員がそういうことを言っているとなかなかとまらないということなんではないかな。
 ですから、私は、一たんとりあえずここでストップをしてよく懐ぐあいを見てみませんか、その上で必要な情報もちゃんと提供させてチェックした上で、その上で採算には合わないけれども国益上どうしても必要なものは、国会できちっと議論をした上で国の経費でつくりましょう。あるいは、地域の利便性の上でどうしても必要なものは、これはまたいっぱいあるんだと思います。それは国がある程度出す、あるいはその地域の人たちがある程度負担をするというようなことを含めて考えればいいんではないか。さらに、その選択肢の一つとして、新幹線方式のような、民営化すれば、健全な会社になればそこがある程度負担するという選択肢も開けてくるわけですから、むしろ選択肢が広がるんではないか。
 同時に、先ほどの資料の十二ページで書いておりました、今までは全く高速道路と一般道路を分けていたわけですね。高速道路イコール利用者負担イコール有料でこれは公団が行う、一方で一般国道は国が負担をするという分け方を変えていけばさらにその選択肢もふえていく、そういうことではないかと考えております。
井上(義)委員 加藤参考人に再度お伺いをしますけれども、要するに、整備計画区間九千三百四十二キロというのが国の方針としてあるわけですね。これはある意味で国民に対する約束で、地域もそれに合わせてさまざまな計画を組んでいるわけです。
 そうすると、まず凍結をして、こうおっしゃるんですけれども、私は九千三百四十二キロすべてこれを今の道路公団がやらなければならぬというふうには考えていません。先ほど加藤参考人がおっしゃったように、直轄の整備もあるでしょうし、あるいは公共団体が有料方式という方式も、これは当然ありますし、それから新幹線の整備方式、私も新幹線にかかわっていますけれども、極めてすぐれた、いわゆる社会基盤整備のやり方としては私は有効な手段だ、こう思っておるわけでございまして、そうすると、九千三百四十二キロというものをまずどう考えるのか。
 そのプレーヤーとして道路公団が今の組織形態のままでふさわしくないとすれば、じゃ、そこは民営化しましょう。では、そのほかのところについては、例えば直轄でやるのかあるいはほかの方式が考えられるのかという、そういう議論の筋道が私は本来のやり方じゃないか、こう思うわけでございまして、まず、プレーヤーとしての道路公団だけれども、民営化だけ先に決めちゃいましょうというのは、ある意味で、地域でさまざまな計画を立てていろいろな事業をやろうとしている人たち、それから国民全体にとっても、ちょっと乱暴なやり方じゃないかなということを私は率直に思っているわけでございます。その点について、再度、加藤参考人に御意見をお伺いしたいと思います。
加藤参考人 これも先ほどの繰り返しになると思います。
 確かに、まず組織論ありき、まず民営化ありきでは全くないと思います。ただ、それほど選択肢が多くないのも事実だと思うんですね。今のままでやるのか、あるいは国が全部引き取ってやるのか、国が引き取るということは、今の負債も全部税金でまずは面倒を見るということです。あるいは民営化のようなものを考えるか。そうやって一つ一つつぶしていきますと、私は民営化というのは結局残る。
 ですから、この民営化議論のプロセスにおいて、必ずしも、例えば国会等の場においての民営化することの是非の議論が十分ではなかったという可能性はあるわけですけれども、結論としての民営化論というのは、少なくとも私は個人的には正しい選択肢ではないか。ただし、その際の民営化といいますのは、たびたび、くどく申し上げますけれども、市場が評価するという意味での民営化なんですね。官庁が、いやいやこれは民営会社なんだという民営化、それは私は本当の定義としての民営化ではない。まさに民営企業、民の立場の人たちがこれはちゃんとした民営化だというふうに評価されるかどうか、次の問題はそこにあるんだと思います。
 それから、九千三百四十二キロについては、あと二千四百キロほどあるわけですけれども、それは、まずこれをどうするかということを決めるということが私は先にあるのではないと思います。民営化の目的自体は、コストをどうするか、あるいは今後どういう道路の建設計画あるいは維持の仕方を考えるかということに直結している、今後の道路政策そのものの話と直結しているわけですから、その過程の中で、残りの二千四百キロはこれはちょっとつくれないんじゃないかとか、あるいはこれぐらいならつくれるんではないか、あるいは民営化すれば、工夫をすれば二千四百キロのものというのは時間をかければつくっていけるんではないか、それの一つの例を先ほど私もこの資料の中の十三ページでお示ししたわけですけれども、そういう議論、さらに幅の広い選択肢がそのプロセスで出てくるんではないか、こんなふうに思っております。
 むしろ、今の時点で二千四百キロのことを先に決めようとすると、逆に選択肢が狭まってしまうんではないかな、こんなふうに考えております。
井上(義)委員 二千四百キロが今の道路公団をプレーヤーと想定して立てられた計画なんで、そこを変えるときはこの二千四百キロというものもやはりきちっともう一回議論をした上でやるべきじゃないかなというのが私の考えなんですけれども、加藤先生のお考えは大体わかりました。
 岡野先生、この九千三百四十二キロということについては先生はどういうふうに評価されていますか。
岡野参考人 実は、私はこれに責任があるものですから。
 少なくとも国が約束したということについてはそのとおりであるわけです。ただ、いつ、どの順番で、どういうふうにやっていくかということについてはもう少しフレキシブルに考えた方がいいだろう。現在の状況、あるいは将来を少し考えて、そして、もし手をつけるとすれば、今欠けている部分でそれを結べば交通量がふえるところ、そういうような場所を選びながらやっていくほかないわけでして、九千三百四十二についていいか悪いかということについては、私は過去にそれを決めることについて責任があったものですから、ここではそれ以上申し上げません。
井上(義)委員 それから、加藤参考人、もう一つちょっと確認したいんですが、償還主義、プール制の問題点はいろいろ御指摘があった。私もそのとおりだと思うんですけれども、ただ、これがあって今日まで高速道路の整備が進んできた。これは厳密に検証しなければわかりませんけれども、特に不採算の地域でもある程度交通体系として整備されてきたということがあるわけでございまして、私は、一定の役割があったし、また、あるんじゃないかと思います。
 先生がおっしゃるような、例えば新幹線方式ですよね。これも一種のプール制じゃないかな、利益の上がるところから新たな路線をつくっていくということになるわけですから。先生のおっしゃっているような新幹線方式というのはちょっとニュアンスが違うのかな。そこをちょっと確認したいんですけれども。
加藤参考人 私自身も、今委員おっしゃったように、プール制と償還主義自体、制度そのものが悪いとは全く思っておりません。これは今まで大きい役割を果たしてきた。プール制があったからこそ、いわゆる採算性というものがとれないところだってつくれて、しかもかなり短期間で整備できてきた。そのことにおけるプール制、償還主義、あるいはそれを実行してきた道路公団の役割は私は高く評価しないといけない。まずそこは大事なところだと思います。
 ただし、制度というのは常に完璧なものはないわけですから、プール制とか償還主義というのは一定の使命を遂行するためには非常にいい制度だった。その使命といいますのは、これこれの、これだけの高速道路をとにかく整備するんだという使命ですね。そこで欠けていましたのは、これこれのというところなんですね。それを最初の時点で、例えば七千キロにするのか八千キロにするのかという議論が全く行われていなかった。使命を持った制度、あるいはその制度を実行していく組織というのは、使命に関する期限を、あるいは達成のターゲットを置いて、達成されたときにはその制度とそれを実行する組織は解散するんだ、やめるんだということを本当は最初に決めないといけないわけですね。
 そこが実はないものですから、それで今のような、逆にプール制と償還主義というものを悪く使って、どんどん、いやいや、まだ大丈夫だということになっているということだろうと考えております。
井上(義)委員 岡野先生に最後にお伺いしますけれども、要するに、委員の選任というのが、先ほども出ていましたけれども、すぐれた見識を有する者のうちからとなっていますけれども、これが一番のポイントなんだろうと思うわけです。
 全国知事会から、地方公共団体の代表を委員にする等、地方の意見が十分に反映されるよう特段の配慮を行ってもらいたい、こういう要望が出されているわけでございまして、私は、地方の人たちの意見をよく反映してもらいたい、こう思っているわけですけれども、この委員の選任ということについて、岡野先生の御意見をお伺いしておきたいと思います。
岡野参考人 できればできるだけ中立的な方の方がいいのであって、地方から出てこられれば全部地方をバックにしょってくるわけですから、やはり地方にたくさんできるような、何といいますか、解決策をお考えになるだろうと思うのですね。その点ではちょっとどうかなという気がいたします。
 先ほど私が申し上げたことですけれども、実は国鉄再建監理委員会のときに私も何回か呼ばれて行ったわけですが、例えば三島の持参金方式というのがあるのですけれども、あれは実は私がそのときに提案したものであります。よく聞いてくださって、あと何回かまた、それに対して、こんなことが本当にできるのかできないのかと質問されましたけれども、やはり、委員になる限りにおいては、出す結論について自分は全面的に責任を持つ、後であれは自分はそうは思わなかったとかそういうようなことを言うようなものであってはならないと思うんですね。最近、学者の方も、学商なんという言葉をつけられて、何か商売するために学問をやっているみたいな人がいるというふうに言われていますけれども、そういうことを避けていかなければいけないだろうというふうに思います。
 以上でございます。
井上(義)委員 どうもありがとうございました。
大畠委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。
 次に、工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございます。
 参考人の先生方には、本日はお忙しい中を大変ありがとうございました。
 私ども自由党は、これまで、我が国の現状を打破するために、経済、金融、財政、税制、社会保障等々、あらゆる分野で徹底した見直しを行うとともに、特に行政改革の一環として、特殊法人及び公益法人のあり方には思い切ったメスを入れるべきだと主張してまいりました。そうした観点から申しますと、今回提案されております四公団改革のための第三者機関の設置については、いかにも中途半端な結果しか得られないのではと危惧をいたすところであります。
 そこで、まず、民営化に積極的な御提言をされておられます加藤参考人にお伺いをしたいのでありますが、民営化の組織形態について、いわゆる管理、建設部門を一体とした組織にするべきだというお考えなわけでございますが、一気に完全民間会社として衣がえすることは可能かどうか。また、四公団を統合した単体か、それとも統合した上で幾つかに分割するのか、現時点で考えられる最も具体性のある組織形態についてお伺いをしたいと思います。
加藤参考人 まず最初の御質問でありますが、一気にやれるかどうかということについては、これは一気にやらないといけないのだと思います。もう既に時間がない。日々道路建設は行われているわけですから、どんどん赤字がかさんでいっている。ですから、これをまた一たん違う形にしてその次だということになると、法律の中にも当分の間という言葉がよくあるのですが、戦後間もなく当分の間と言われて五十年たってしまっているということも多いわけですね。ですから、やはりここは一気にやらないといけない、こう思っております。
 しかも、それはやれることを今度の新設されます委員会できちっと議論して、これが妥当だということであれば、そんなに段階を踏む必要は全くなくてやれる、どこの国でもやってきているわけですし、日本であっても、JRの例を引くまでもなく、やれる話だと思います。
 それから、統合、分割の話ですけれども、残念ながら、四公団を統合すると、まさに市場がそれは民営会社とは受け入れられなくなってしまうと思います。先ほども出ましたけれども、やはり阪神高速もそうですし、ましてや本四公団はもう民営化できる状況にはないわけですね。ですから、残念ながらこれはまとめてというのは難しいのではないか。まとめてやるとすれば、相当あらかじめ悪い部分を切り離してかからないといけない。ですから、何らかのまさに税金投入があらかじめ必要になってくる。
 それから、分割ですけれども、分割というのは私は二次的なことではないかと思います。全体をひっくるめてどういう形で民営化できるかということがきちんと議論されて、それが適切な形であれば、あとはそれを国民の利便性も含めて、例えば二つあるいは三つ、なかなか三つ以上というのは難しいと思いますけれども、二つに分けて地域的な競争をさせる。その場合の二つというのは、やはり分け方をどうするかというのは、路線ごとの収支がありますから、余り乱暴にぼんと分けるということはできないのではないか。ただ、全体がきちっと明確になれば、分け方というのもおのずと出てくるのではないかと私は考えております。
工藤委員 続いて加藤参考人に伺うわけですが、償還主義及び料金のプール制について、これまでの効用を認めつつも、弊害が顕著になってきたとの御指摘をされてまいっておられます。
 今回の第三者機関の設置に際して、整理合理化計画の中に五十年償還の規定がありまして、これが民営化の前提条件になっておりますだけに、自由濶達な論議を縛りはしないか、この点についての御意見を伺いたいと思います。
加藤参考人 ここはむしろ、自由濶達な議論を縛らないような枠組みをこの委員会で、こちらの内閣委員会で法律を通すときにそういう議論をしていただきたいなと思っておりますし、設置法自体は、これはそんなに細かいことを書いているわけでないわけですから、ここの議論を通して、こんなことについてやはり議論すべきだということの御議論自体をやっておいていただきたいな。
 先ほど私は石原大臣の言葉を引用いたしましたが、その石原大臣の御答弁の中にも、今までは償還をどんどん延ばしてきた、ところが五十年というのはそこにキャップをつけたんだという言い方があったと思います。この言い方もいろいろなふうに解釈することができる言い方だとは思いますけれども、むしろ、どんなに悪くたってそこなんだよ、もっとよくする手だてがあれば、それはいろいろな可能性を考えればいいではないか、その証拠に、償還主義が絶対だとは必ずしも思っていないという御答弁もありました。
 ですから、それ以上悪くしないということは、よくする方法があれば幾らでもいいわけですから、償還主義を前提にしない、できるだけ効率のいい形の組織にしていこうという議論をやっていただける余地はいっぱいあるんではないか。むしろ、その際の問題というのは、もう一つは人選にあるのではないかな。
 ですから、さっきの岡野先生のお話にもありましたけれども、今までの道路政策の意思決定にかかわってこられた方は、やはりかなり固まったお立場の方が多いと思いますから、なるべくむしろそういう方を避けて、JRの国鉄民営化の御経験、あるいは民間の市場、企業経営、証券・金融市場、そういう目から見られる方に多く入っていただくのがいいのではないかと私は考えております。
工藤委員 もう一点、加藤参考人に、本来、通行料金は償還期間が終了すると同時に無料となるはずだったわけでありますが、民営化された場合、どのような料金システムが最良と思われるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
加藤参考人 民営化するということは通行料で商売を賄っていかないといけないということですから、最終的に無料にするということにはならないと思います。
 ただ、これもくどく申し上げますけれども、無料という言葉のわなといいますか、本当に国民全員にとってただの道路というのはないわけです。現在でも六千億かかっている。ですから、道路の維持管理に、あるいは改良にかかるコストをどう負担するかということの話だと思います。
 先ほど、HSBCの山田氏のシミュレーションを載せておきました。これはかなり楽観的なシミュレーションであると思いますし、もっと厳しく見積もらないといけないとは思います。しかし、とりあえず、ほかに類似のシミュレーションはないわけですから、これにのっとってお話をいたしますと、十二年で過大な部分の負債を返せるとすれば、そこに幾つかの選択の余地が出てくるのではないか。まず、借金はとにかく早く返して、そこから先、余裕が出てきたら料金をまけさせるという手もあると思いますし、あるいは、借金は十二年で返せるのであれば、それはもっと先でもいい、二十年ぐらいかかってもいいではないか、その分料金を安くすることを先に優先しろというやり方もあると思います。
 そこの料金設定の仕方については、これはまさに公益性の高い事業ということで、料金の認可制度を含めて行政がコントロールできる。まさにそこに事業法としての道路の監督者の立場というのが官の側にある、そこで決めていく話ではないかと考えております。
工藤委員 次に、岡野参考人にお尋ねをいたします。
 以前、先生は国土開発幹線自動車道建設審議会の委員として活動されておられたわけでありますが、いわゆる国幹審の役割をどのようにとらえておられたのか、率直に御意見をお伺いさせていただきます。
岡野参考人 国幹審のような、ああいう国の最高のレベルのところで最後の最後の全体を決めるということの必要性は私ははっきり認めております。
 私は最後の二回しか実は関係ございませんで、特に最後のときには熱を出してしまって休んだものですから、その前の一回しか出ていないわけですが、何しろ委員の方が、国会議員の方がたくさんいらっしゃいますので、それから大臣もいらっしゃいますから、とても長い時間、そこで議論するというわけにいきません。したがって、あらかじめ事務局を通じて、かなり詳しい説明がございました。そこで意見は申し上げて、大体その意見が調整がついたところで審議会が開かれるものですから、割合簡単な議論しかそこでは行われません。
 それでも、私が出たときでも、委員の国会議員の方から、請願インターチェンジなんていうものは一々国幹審にかけてやらなきゃならないというのはおかしいじゃないか、地元の負担があるならば、地元が負担してもいいと言うならば、例えば持ち回りとかあるいは事後承認でも場合によってはいいじゃないかというような提案がありましたように、やはり皆さん、もう少しお時間があればいい議論ができる場であろうというふうに私は思います。
 ただ、どういう形にしても、どこかで最終的に責任を持って決めるところがないと話は進まないんじゃないかと思います。
工藤委員 岡野参考人は「道路建設」の中で、現在の道路公団に対するマスコミ等の論調を道路公団バッシングとして、いたずらに政治的理由によって建設もしくは引き受けさせられた不採算路線だけを取り上げてあげつらうのは不公平だ、このように言われているわけであります。その上で、制度、組織の見直しは当然だけれども、要は制度、組織に携わる人々の意識の問題ではないか、このように話されておられたわけでありますが、そうした観点から、今回の第三者機関が民営化を前提として改革論議をする是非について御意見を承りたいと思います。
岡野参考人 私が道路公団バッシングというふうな話を書いたり、あるいはしたことがございますけれども、例えば北海道の例の十勝清水と池田の間ですが、ああいうところだけできて、あそこにクマしか通っていないとかそういうのを持ってきますと、あたかも全部そういう道路をつくっているんじゃないか、そういう印象を国民に与えるわけであります。たまたま私が何か新聞で一回出たときにも、すぐ一般の、全然知らない方から投書がありまして、こうこうこういう状態なのに、おまえ、そんなことを言うのはけしからぬ、たしか道路特定財源を守れといった私の記事だったと思いますけれども、そういうように、何かインフォメーションが非常に違っているわけです。
 北海道では、本当のことを申し上げますと、私は北海道開発審議会の基盤整備部会の臨時委員でもおりましたので、北海道で高速道路はそんなに要らぬだろう、そのかわり、国道の改修をやったらどうか。国道の改修をして路肩を広くして、除雪が簡単にできる。それから、場所によっては二車線じゃなくて三車線にして追い越し車線を設ける。どうせ交通量はそんなに多くないんだから、アメリカなんかにそういうのはありますけれども、ところどころで三車線化して、そこで追い越し車線を設けて追い越しができるようにしてやれば、もしできれば、北海道の場合には町と町との間の距離が長いですから、途中で道路から出るということも余りないわけですから、そうしますと、簡単な中央分離帯をつくる等のことをやれば、速度も相当な速度でできるわけです。現に、雪の日には警察がやかましいものですから、高速道路の速度制限の方が一般国道よりも厳しいというような事態が北海道で起きているわけですから、そういう形でやればいいわけです。
 私は何も、決められたものを今高速道路で全部やった方がいいというような考え方ではなくて、先ほど加藤参考人からもありましたけれども、やはり、一般の道路と高速道路でつくるものの仕分けをしながら、そして両方が相まってネットワークとしてどういう形にするのがいいかというふうに考えるべきだと考えております。
工藤委員 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
大畠委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 きょうは、三人の参考人の先生方には、大変お忙しいところ、ありがとうございます。
 順に伺っていきたいと思いますが、最初に岡野参考人の方に、巨額の負債を生み出した原因ですね。日本道路公団でいいますと、負債総額は二十五兆円を超えていて、料金収入に対して十一・六倍ぐらいになりますから、もちろん料金収入が全部負債の償還に回せるわけはないわけで、これは大変な事態ですし、首都高速でも四兆円を超えて十四・三倍とか、阪神高速では三兆円をはるかに超えていて四兆円近いもので、料金収入の十九・一倍とか、本四連絡橋で、四兆七千億ほどの負債に対して、これは料金収入の六十三・九倍というふうになりますから、本当に巨額の負債を生み出しておりますが、この原因がどこにあるとお考えかをまず最初に伺っておきたいと思います。
岡野参考人 巨額といっても、今の額がいいというわけじゃありませんが、もともと途中では巨額の債務ができるのが当然のことであって、これをもっとコスト節約によって債務の分が少なくて済むようにすることは可能であったと思いますけれども、今の仕組みからいいますと、何もないところから建設を始めるわけであります。民間の企業のように何か初めに資本金を募って、資本金を持って事業を始める場合と違いますから、すべて借金でやるわけですから、当然、借金でつくった道路が利用されて収入があるまでは、全く債務だけがふえていくという格好になります。しかも、道路をつくり始めますと結構時間がかかりますので、十年、十五年ぐらいかかることはざらですから、そうするとその間の利子もたまっていくわけです。
 加藤参考人は道路公団大危機だとおっしゃいましたけれども、私は必ずしも大危機だと思わないんですね。これから先無理に、さらにどんどん、赤字になることが明らかであるような線を入れていって建設すれば、そうなるだろう。ですけれども、そういうことをしなければ、現在でとめなくてもいいと思います。
 というのは、赤字であるか黒字であるかというのは、実は、一般の企業と違うわけでありますから。一般の企業であれば、どんな企業でも五十年使えるものだけで商売するというところはないわけでありますから。したがって、今の場合でも、料金収入がありまして、収入で維持管理費プラス借入金の利子を払って、さらに残りがある状態を続けていけば、必ず最後に残っている部分が、長期にかかるかもしれませんけれども借金を返すのに使える、元本を返すのに使えるわけですから、その状態が保てる条件を失ってはいけないというのが私の考え方であります。
 多くなったのはそうですし、本四架橋の場合には、これは収入が及びませんので、したがって収入で不足した分はそのまま残りまして、残った分返せませんから、返せない部分についての金利が膨らんでいく。現在のところでは金利が安くなっているものですから、ちょうど満期になって借りかえた分の金利が下がっている分だけ少しよくなっていますけれども、それでも、本四の場合であっても、大体六百億ぐらいは、収入から当期の維持管理費を引いて余りがあるわけです。もっとも、その六百億ではとても負債の利子を返すにはできないという状態でありますから、したがって、それを軽減すれば何とか返していくことは不可能でないわけであります。
 ですから、もともと途中で、建設段階で、整備が進んでいる段階で負債の額が非常に大きくなるというのはこの事業であれば当然のことであって、その点では国鉄の債務がふえていったのとは少し条件が違うということだけ申し上げておきたいと思います。
吉井委員 ただ、同時に、抜本的改修の時期もやってくるわけで、そのことを見通して、やはり大変な巨額の負債と見通し自体が大変だという、そこが今問題になっているところだと思うんです。
 次に、加藤参考人と中山参考人のお二人に伺っておきたいんですが、非常に私不思議に思いますのは、普通ですと見直しをもっと早い時期に考えていくんじゃないかと思うんですが、それが、必ずしも緊急の建設の必要性があるのかないのかということなども十分な検討がないままにどんどん進めて事業を続けてきたこと自体が、やはり今日、危機的な状況を招いているんじゃないかと思うんです。なぜここまで、早い時期に見直しをやらないで、再検討をやらないできてしまったのかという、その原因はどこにあるというふうに考えていらっしゃるかを、加藤、中山両参考人から伺いたいと思います。
加藤参考人 最初に申し上げました、お配りいたしました資料の一ページ目のところ、「赤字事業の理由」それから「赤字事業が続けられる理由」、ここの続けられる理由のところに整理しておいたことに尽きるだろうと私は考えております。
 情報開示が十分ではないこと。財務諸表の中にコストとされるべき部分が本当は十分に入っていない。これは具体的には減価償却費及びいわゆる取りかえ除却費であります。それが入っていないためにその本当の懐ぐあいがわかっていないこと。
 もう一つは、償還主義とプール制ということで、いやいやまだ途中なんだ、ちゃんと完成に近づけばどんどんよくなってくると、先ほどの岡野先生のお話ではありましたけれども、そこは私は見解がやはり違うところでありまして、もし、いやいや大丈夫だということであれば、せめて各ジャンクションごと、会社であれば事業ごとになるわけですね、各ジャンクションごとに、例えば名神、東名のように、建設が終わって供用が始まってから三十年もたって、そこの部分の建設費はもう返して随分もうけているというところもあるわけですね。ですから、ここはそうですということを個々のジャンクションごとに出入りをきちっと示した上で、だから大丈夫なんだということであれば私も大いに安心できるんですが、そこがそうなっていない。だからこそ、償還主義、プール制ということを見直していかないといけない、こういうことだと考えております。
中山参考人 今の点ですけれども、例えば日本には各種の公共事業に関する長期計画等がありますけれども、道路整備の長期計画も含めましてそういう長期計画が、例えばこういう国会の場とかもしくは自治体の場で、公開の場できちっと議論されているかというと、残念ながらそういうことがほとんどされていないと思うんですね。ですから、こういった国の基幹的な社会資本整備にかかわる長期計画については、その計画そのものをきちっと国会なりの場で議論をする、またそれを国民とともに考えていく、そういうことがやはり必要ではないかなと思います。
 また、たとえそういう長期計画を立てても、経済情勢の変化、財政的な変化もあります。そういう場合はそういう見直しがきちっと行われるようなチェックシステム、そういったものが日本に十分備わってきているかというと、そういうのも不十分であったのではなかったかなと思います。
 ですから、そういうことを考えますと、そういった公共事業の整備に地元自治体や国民の意見がきちっと反映されるようなシステムがあったのかどうか、そこが見直しがおくれた非常に大きな原因ではないかなと思います。
吉井委員 いずれにしても、巨額の負債、あるいは個々に見たときの赤字路線というのがあるのが現実の姿ではありますし、この点で、加藤参考人は、民営化というときには巨額の負債と赤字路線をどう扱うべきか、この点についてどのようにお考えかを伺っておきたいと思います。
加藤参考人 これも、先ほどの資料の中に書いてあることと同じでありますけれども、今度できる第三者機関、推進委員会ですか、ここでの検討対象としては四公団ということになっております。私は、その中で道路公団についてのみ詳細な分析を行っております。ですから、全部については必ずしも十分な材料は持っておりませんが、道路公団について申し上げますと、今の負債というのは、市場で評価される形のきちんとした上場をしていけば必ず返していける。ただし、これは時価評価をした上での財務分析をまだ行ってない、それ以前のものですから、時価に直すと、ひょっとしたらそれすらも大ピンチになってしまうかなという心配はあります。
 ただ、これも繰り返しになりますけれども、国が借りた借金というのは必ず、二十五兆なら二十五兆、きっちり返さないといけないわけですけれども、民間企業というのは、言葉がどうかわかりませんが、転がしていけるわけですね。ある程度の借金をした上でそれを転がしていける。ですから、仮に二十兆円だとすれば、それが民間企業であれば、十一、二兆返せばよくて、後は、ある程度債務をしょった上でビジネスを健全にできるという状況ですから、私は、そういう意味で、少なくとも道路公団について、簿価で見る限り、返す体力はまだ残っている。
 あとは、どうも本四公団は公的な面倒を見ざるを得ない状況になっていると思いますし、阪神もそれに次ぐ状況かな。首都高はその中間ということですから、ある程度のどうしてもだめな部分はまず公的に面倒を見た上で、その残りをどうするか、民営化するかどうするかという議論に結局はなるのかなと考えております。
吉井委員 現実に巨額の負債があり、赤字路線もあるという中で、今お話ありましたように、民営化ということを考えても、ある程度採算のめどのとれるところは民営化するにしても、非常に難しいところについては結局国が面倒を見るという形をとらざるを得ない、そういうことですが、中山参考人にも同様に、現実に発生した巨額の負債と赤字路線をどう扱っていくべきかということについてのお考えを伺っておきたいと思います。
中山参考人 何らかの形で今の財務体質の見直し、もしくは赤字路線の見直しが要るのは当然なんですけれども、ただ、その場合、狭い視点と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、高速道路網だけの見直しに限定するのは余り望ましくないのではないかな。とりわけ、今の日本の地域経済、特に地方経済は非常に悲惨でして、諸外国と比べましても、例えば農林漁業では食べていけない、商店街ももう疲弊している、製造業の空洞化がどんどん進んでいっている。そういう中では、やむを得ず公共事業に頼る、もしくは最後の命綱として社会資本整備に頼る、そういう状況が起こっていると思うんですね。
 ですから、不採算路線の見直し等は当然必要ですが、あくまでもその大前提として、高速道路や新幹線に頼らなくても地域経済の振興が図れるような、そういう地域経済全体の立て直しを考えていく必要があると思うんです。もし、そういうことをせずに、不採算路線の切り捨て、もしくはそういうことだけを議論しますと、当然地方としては納得できないということになると思うんです。
 ですから、先ほども、国の責任とは何かというところで、トータルに見るのが国の責任だというお話をしましたけれども、あくまでも高速道路網の整備、もしくは今抱えている赤字路線の問題、それも、地域経済全体をどう再生していくのか、その中で位置づけて考えていく必要があるのであって、高速道路網だけで限定して議論をすると非常に難しい議論になるのではないかなと思います。
吉井委員 今のお話ともかかわるのですが、例えば、かつて工業団地づくりを地方にも随分やりまして、コンビナートの時代があればテクノポリスの時代もありました。私はこの前も委員会でお話ししたことがあるのですが、鹿児島空港をおりますと、タクシーで二十分ぐらい行ったところに工業団地造成をやっておったんですが、もう企業がみんな海外へ行く時代ですから全然さっぱり売れない。たまたま上野原遺跡が見つかって、一万年前の遺跡ですから、国から天下りで行った役人の方も大変喜んでおられるような状況です。
 ですから、そういうふうな時代にあって、地域経済とか地域産業をどうするかとか、そこに人が住んで経済活動をする、その中での道路の必要性とか採算性ということを全体として考えた日本の国土の計画とか都市計画というものを考えていかないと、道路の問題はなかなか難しいなということを最近思っているんですが、中山参考人の方からも、今もそうですが、冒頭にもお話しいただきましたが、どういう配慮なりどういう観点からの検討を深めることが道路というものを見たときに必要なのか、この点についてのお考えというものを伺っておきたいと思います。
中山参考人 冒頭でも述べましたように、道路計画というのは、今御質問にもあったように、ただ単に採算性だけでは当然議論ができるものではないと思います。
 例えば、民間に任せますと当然採算性が優先するんですが、でも、採算がとれなくても必要な道路があるわけです。そうしたら、そういう道路は一体どうするのか。例えば、道路関係四公団の話でしますと、今の事業計画を前提に民間に任せて、そうしたら、採算性を重視したらもうこの新設はやめるとかということを民間企業が言い出した場合は一体どうするのかとか、いや、もう不採算部門は切り捨てるということを民間企業が言い出した場合は一体どうするのか、いろいろな問題が起こってくると思うのです。
 ですから、道路計画を考える場合は、ただ単に採算性だけではなくて、やはり地域経済の発展、国民生活の向上、環境の改善、また財政的な問題、そういうのをトータルに含めて一体どう考えていくのかというのが非常に重要だと思うのです。
 ただ、きょうの議論は高速道路網が中心になると思いますが、高速道路網の話で考えますと、全体計画そのものを長期的に見直していくことが重要だと思うのです。とりわけ、今後の日本の人口の推移がどうなるのか。例えば、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口予測なんかを見ましても、例えば、五十年後に日本の人口が一体どうなるのかを見ますと、恐らく、車を運転する年齢層だけを見ましても、今の三分の二から半分ぐらいに減るという予測をしていますね。ですから、そういうことを考えますと、高速道路網計画に限定しますと、かなり長期的な計画はやはり見直しをしていく必要があるのではないかなと思います。
 いずれにせよ、採算性というよりも、道路計画というのは、あくまでももっと地域全体のこと、国民生活全体を考えて、その中で路線計画を慎重に検討していくべきではないかなと思います。
吉井委員 それで、現在の計画路線をどう扱うか、この問題を次に伺いたいと思うのです。
 岡野参考人の場合はその決定にかかわってこられたということでお答えにくいかなと思うのですが、加藤参考人と中山参考人のお二人には、現在の高速道路網、この計画路線をどう扱うべきかということで、建設を続けていくのか、凍結を考えるのか、あるいは縮減を考えていくのか。国土幹線ということでどういう角度から今考えるべきか。この辺のことを伺いたいと思います。
加藤参考人 これも先ほどの繰り返しになりますが、私は、それを現時点で一概に決めることはできないし、また決めることが適切でもないんじゃないか、こんなに考えております。ただ、この決着のつき方、結論からいうと、残りの二千四百キロが全部あるいはそれ以上につくられるということは、私はないのではないのかなと。結局は、そうしない方が、今と、あとは将来の日本国民にとっていい結果ではないか、こんなに思っております。
 そのつくり方、決め方については、まさにきちんと回る形の民営化にした上で、今の新幹線方式のような、では国がやるのか、あるいは自治体がやるのか、自治体が国なりとある程度負担を分かち合いながらやるのかとか、それから重要性がどうであるかというようなことを、実は余り議論されていないわけですね。国幹審というのは、実は開かれた委員会ではないわけですから、先ほど岡野先生もおっしゃっていましたけれども、まずこれだけつくるんだというような結論があって、ではいいかというようなことで来ているのが事実ですから、もう一度そこは議論をし直す。議論をし直す前に、議論の選択肢をふやすためにこそいい形の民営化をやるべきだ、こんなに考えております。
中山参考人 端的に述べますと、一たん凍結して、それからもう一度検討すべきではないかなと思います。
 やはり、ずるずるこのまま進めていきますと、通常は、事態は悪化する一方だと思います。とりあえずきっぱりと一たんとめて、その上できちっともう一度、あくまでも国土の幹線ですから、国会が中心となってそういうことを議論し、もう一度考え直すべきではないかなと思います。
吉井委員 時間が参りましたので、本日は、三人の参考人の皆さん、どうもありがとうございました。終わります。
大畠委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子さん。
北川委員 こんにちは。社民党・市民連合の北川れん子といいます。
 きょうは、遠いところから三人の参考人には当委員会にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。やはり、きっちりした意見をいろいろ言っていただいたということで、頭がだんだんすっきりしてまいりました。
 実は、私は尼崎というところが立候補地だったんですが、先ほどの御意見の中にも、阪神高速はだめだね、本四はだめだねという、西の方に住む者にしてはちょっと寂しく、そしてまた悔しい感じがします。その悔しさというのは何かといえば、では、それを建設しようという計画が持ち上がったときに、反対の声というものがどれほど反映されたのかなという気がいたしまして、少し悔しい気がしているわけです。
 中山参考人におかれましては、都市計画を御専攻だというふうに先ほど御紹介いただきました。敗戦からこちらはいわば戦災からの復興だったと思うんですが、特に七〇年代以降の都市計画を参考人はどういうふうに見詰めてこられて、そして何を感じていらっしゃるのか、その辺からまずお伺いしたいと思います。
中山参考人 非常に大きなテーマで、ちょっと短時間でお答えするのはなかなか難しいんですが、七〇年代、とりわけ一九六〇年代の高度経済成長期というのは、やはり、日本をどう大きくしていくかという時期だったと思うんです。そのときは、例えば尼崎もそうですが、大阪の大都市圏というのは、いかに効率的に人口や産業を受けとめていくか、これが都市計画の中心であったと思うんですね。
 ところが、現状は、もう大分状況が変わってきています。これからの時代はどういう都市計画かというと、日本全体でももう人口が減ると思います。また、今後、かつてのような産業、高度経済成長があり得るかというと、あり得ないと思います。むしろ、そういう時代に、これからの都市計画は、かつての非常に厳しい環境、例えば尼崎なんかその典型だと思いますが、過去のそういった高度経済成長のときにつくられた環境の悪化、それを今後の時代にどう回復していくのか。また、これから人口や産業が仮に減っていくとしても、そういう中で国民生活や地域経済の安定をどう図っていくのか。そういった七〇年代型のような常に開発、大きくなっていく時代から、場合によったら小さくなるけれども国民生活が低下しない、そういう枠組みの中で新たな都市計画を考える時代にそろそろ差しかかっているんではないかな、そういうふうに考えております。
北川委員 そういう時代に入って、この国会という場、また、先生たちのそれぞれの御専門の分野での役割というのは大きいなと、改めて今の御意見をお伺いして思うんです。
 確かに尼崎というのは、栗東―尼崎間に名神高速道路ができた時代からすれば十万人も人口が減って、なおかつ、阪神・淡路大震災以降は、唯一人口が減り続けている都市なんですね。なぜかといえば、やはり尼崎と聞くと住みにくい、いや、住むの嫌やな、あそこ、いや、車うるさいで、そういう感じのイメージというのは払拭できないわけですね。三十年間で刷り込まれたイメージというものは、工場型の公害それから道路による公害によって払拭できない。
 先ほどの中山参考人のお話の中にもありましたけれども、私は尼崎生まれではないし、育ちでもないんですね。そういう中で、尼崎を古くから知っている方は、この川で泳いだ、海で泳いだ、そして四十三号線、二号線が通る前の町の姿はこうであったという愛着を持った形で風景を見る、景観を見るということで、とても躍動的な時代の尼崎を話してくださるわけです。
 もう一度中山参考人にお伺いしたいんですが、大補修、更新、それから大改造といいますか、そういう時代に高速道路も入りましたが、その時点における都市計画においてのありよう、何か御提言があればお伺いしたいんです。
中山参考人 今、尼崎の話が大分出ているので、ある程度その辺を念頭に置きながら紹介しますと、きょうの話題になっている道路四公団も関係しますが、日本はちょっと別としましても、アメリカもそうですが、今の大きな国際的流れ、とりわけヨーロッパの先進国を中心につくられている大きな流れというのは、自動車交通に依存しないような町をどうつくっていくのか、これがやはり一つの大きなテーマになっていると思います。それからもう一つは、かつて、高度経済成長期、そういったところで受けた地域のダメージをどう回復していくのか、そういったことがヨーロッパでも非常に大きな都市計画上のテーマになっているわけです。
 そういうことを考えますと、これからの時代、尼崎のような地域というのは、非常に小さな地域で高密度に人々が暮らしていますから、むしろ車に依存しないような町づくりを進めていくと、非常に町づくりがやりやすいような地域ではないかな。また、非常に歴史もありますし、高密度に町が形成されていますから、そういう意味では、人々が触れ合えるような町づくりを仮に進めようとするならば、尼崎のような地域というのは非常にいい事例になっていくんではないかな。また、今ヨーロッパでも各地で取り組まれていますが、そういう環境の悪化した地域をどう回復していくのか、そういったところをきちっと取り組んでいけば、むしろそういうのに熱心な町として、やはりかなり評価も高まるんではないかな。
 ですから、そういう意味では、高速道路の整備の話の中で言うのもなんですが、むしろ、余り車に頼らないような町づくりをどう進めていくのか、そういったところがとりわけ尼崎なんかの地域にとっては重要ではないかな、そのように感じています。
北川委員 どうも、本当に何度も私たちの町の名前を出していただいてありがとうございます。
 私自身は、尼崎というのは平たんな町で坂が少ないものですから、リヤカーで行商というのを六、七年やったことがある経験上、やはり愛着を感じているんですね。生まれた場所ではないけれども、愛着をとても感じている町なのです。ですから、ここの町をどういうふうにして人が今後住みやすく、住んでよかったなという町にしていけるかということでお伺いをしてみました。
 それで、三人の参考人に次にお伺いしたいんですが、私たちの国というのは、百年後こういうふうになるから、今ここにいるからこれを我慢してください、これは受け入れましょうという、そういう百年後の特に映像としての都市ですね、地方都市でもいいと思います、それがないという気がするんですが、皆さんがもし百年後、自分はこういう国に住んでみたいとか、こういうふうにしたいと思って今この仕事を請け負っているとか、何かそういう映像的に御紹介していただけるものがあれば、お一言ずつお伺いしたいと思います。
岡野参考人 百年先、とても映像的にお話しすることはできないと思いますが、ただ、昨年、ちょうどあるところの三十周年記念で二十世紀の交通を振り返ってみました。
 一九一〇年のロンドンの写真がありました。一九一〇年のピカデリーサーカスでは、三分の二が馬車のバスです。その一年後はかなり自動車のバスが入ってきますけれども、そういう状態です。それから、一九〇二年にニューヨークで地下鉄が通りました。そのとき、ニューヨークの市民は何を楽しみにしていたかといいますと、これで一万五千頭の馬の死骸がなくなる、それから馬の排せつ物がなくなる、衛生上非常にいい都市になると。
 ですから、我々は、百年という単位で考えますと、どのぐらい変化するかということについて、現在の延長をただたどっていくだけですととても到達できないと思います。その間に技術の発展がありまして、二十世紀は、多分、鉄道と自動車の覇権争いで自動車が勝った世紀であると思います。二十一世紀は必ずしもそうじゃないと思いますが、しかし自動車がなくなると私は思わないわけですね。ただし、多分燃料は非常に変わって、これからもう二十年もたつと、多分、私は生きているかどうかわかりませんけれども、燃料電池を使うような、そういう排気ガスの公害はない車が走っているだろう。そういうように考えていって、やはり今抱えている問題を長期的にどう直すかというふうに考えるべきだと。
 どうしてもやはり目先的に何かしたいということを考えるんですが、かなり長期に変化していきます。それぞれ刻々変化していくところを見ますと非常に大きな変化に見えますけれども、実はそれは大きな変化の流れの中の一こまにすぎないのであって、私も百年先と言われるととても映像的にもお話しすることができませんけれども、大きな変化はあるだろうというふうに思います。ただ、交通については、私は、二十一世紀はもう余り変化はないだろうというふうに思います。
加藤参考人 私は想像力は余り豊かじゃないものですから、百年後と言われてもどうなるのかなというのが正直な感想です。
 ただ、私は、すべての基本、政治の基本だとも思うんですが、そこに住んでいる人が幸せであるかどうかということがすべての原点だと思うんですね。そこから考えると、例えば、きょうのテーマである道路とか、それをどうやって運営していくかといったようなこと、そういう組織自体は大きく変わったとしても、人間の基本的なところは余り変わっていないのではないか。ですから、まあ、あれこれ、世の中の建物だとか交通だとか、そんなものがどうだとかということは、そんなに実は重要視はむしろしない方がいいんじゃないかなというのが基本であります。
 その上で一つだけ申し上げますと、集中と分散ということとグローバルとローカル、この二つがキーワードではないかな。
 過去百数十年あるいは戦後の五十年を見ると、いろいろなものがやはり東京に集中、あるいは、国あるいは中央政府の行政ということに集中してきた歴史だと思うんですね。私はこれが今逆の方向に動いていると。ですから、ローカルな生活のレベルを上げる、ローカルな生活を重視する、ローカルな食べ物とか、ローカルなそこでできるものとか風土とかというものをもっと大事にしていこうという感覚が私はむしろ逆に強まるのではないか。それが逆に今度はグローバルなところと結びついて、何でも一遍東京に出てこないと、東京経由でないといけないというところは大きく変わるんでないかな。
 そうなると、結果的には交通のあり方というのも変わるわけですから、今のままで続けていきますと、償還主義をそのまま維持しますと、五十年どころか、それこそ百年か百五十年か続いてやってしまわざるを得ないみたいなことですから、むしろそうならないようにやはりこの辺で変えないといけないんじゃないかな、こんなに思っております。
中山参考人 具体的な町のイメージというのは、これは地域によって違うと思うんです。東京と大阪では違いますし、ヨーロッパと日本、アメリカでは全部違うと思うんです。
 でも、将来的に僕がこうなればいいなというのは、むしろ地域を支える人が一体だれなのか。
 かつて、地域の町、空間というのは、だれがそれをつくり、維持管理してきたかというと、その地域に住んでいる人、その地域で働いて、農業をされている方だったんですね。ところが、残念ながら現代の町では、そういう地域に暮らしている人、地域で住んでいる人たちが町づくりや維持管理に携わっているかというと、なかなかそうはなっていないと思うんですね。ですから、なぜ私の町なのに、なぜ私たちが払っている税金なのにということが起こっていると思うんです。
 地域の具体的なあり方というのは各地域によって違うと思いますけれども、でも、そこで共通することは、その地域に住んでいる人、その地域で働いている人、その地域で学んでいる人たちが町をつくっていくその主人公になれるかどうかで、ここはすべての町に共通してこれから求められていくことだと思うんです。ですから、具体的な町のイメージは違いますけれども、その主人公がだれなのか、そこをぜひ僕は町づくりの中心に据えたいなと思っています。
 一般的に都市計画というと、物的な、ハードなものをつくるようにイメージされがちです。もちろん、直接的にはそうなんです。でも、我々都市計画をやっている者が心がけているのは、そういう町づくりを通じて地域のことを考える人をどうつくっていくのか、そこがやはり最大のポイントだと思うんですね。物づくりを通じてその地域のことを考えていく、地域のことを自分のように考えていけるような人をつくれるかどうかなんです。
 我々は、都市計画、町づくりは人づくりだというふうに考えているんですが、やはりそういう視点がこれからの社会で重要だし、百年後になるのか、できればそれよりもっと早い時代にそうしたいんですが、そういうことを考えています。
北川委員 ありがとうございました。それぞれ本当に、皆さんの分野でのお言葉ということで、すごく興味深く聞かせていただきました。
 それで、次に加藤参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど言ってくださっていた中で、私がちょっとあれっと思いましたのは、最初の方にお話しになった件で、有料高速道路、無料でもみんな税金で何らかの形で市民や納税者というのは払っているんだよというお話があって、それにプラス有料というのとは似ているようでどこか似ていないというふうにおっしゃったんですが、その意見と、もう一つあれっと思ったのが、民間というふうになれば借金が半分ぐらい解消されて借金経営で回していくということが、民間企業経営になれば有効にそれが機能するんだというような御意見。ちょっと私が経済の方が疎いのでそういうふうに聞いてしまったんですが、それを言われたときに、私はどうしてもダイエーという存在を思い出してしまうんですね。
 そのときに、町で暮らしていて、ダイエーが便利だなと思っていたときから、はっと気づくと、流通をこれだけ変えて、形態を変えて、これだけ町の人たちのそですり合う縁みたいなものが遠ざけられていく、あれが端緒だったんだと思わざるを得ないところが私などは少しあったものですから、どこかで、これは便利だなという段階と、市民の感覚で、そこまでやらなくてもいいんじゃない、ダイエーさんという場合とがあったんですね。ダイエーも関西が発祥の地だったので、私は思います。
 それで、加藤参考人は多分これからの二十一世紀を言葉でリーダーシップをとっていくお仕事についていらっしゃるから、念のためにお伺いしたいんですけれども、有料高速道路のことで私が何が言いたかったかというと、やはり社会的に優先されている人は有料道路を経済的に使える立場にあるということを言いたいわけですね。そのときには、公平性というものの中に、無料道路というものをみんなで共有してやりましょう、その人の今の稼げる状況の中で、ここはあなたが生きるために糧として使っていいんだよということの大きく言った公共性という意味ですね、国とかの概念ではない。そういう形とは、私などは有料高速道路はやはり優位な人たちが使い得るべきものだというふうに見てしまうのですが、その辺を少し整理して、加藤参考人のお話を詰めてお伺いしたいと思います。
加藤参考人 まず、有料制、無料制のことについてですけれども、全くただの道路はないと言ったのは、この周辺の道路も含めて、道路というのは維持管理にかなり高いコストがかかっている。現実に、今の高速道路、道路公団が受け持っております道路についても、維持それから改良費に年間六千億かかっているわけですね。ですから、その六千億を一億二千万人で単純に割ったとしても、一人五千円ということですね。ですから、そういう意味において、道路であれ何であれすべて、一遍つくったらもう後はただだということにはならない。ですから、後は負担の仕方になるということを申し上げたかったわけです。
 ですから、私は、今の御質問の趣旨からすると、逆に、子供とかお年寄りとかも含めて、十年で自分では全然運転しない、あるいは十年間で五回ぐらい乗ったかなという方も含めて、全員に税金という形で維持管理、改良費を負担させる仕組みが本当にいいのかなということを申し上げたいんです。むしろ逆に、そちらの方が逆進的な効果を持つ可能性も大いにあるということです。
 ですから、それと同時に、有料道路、高速道路のみならず、一般道路も大抵のところにあるわけですから、お金を払いたくない人は、あるいは時間のある人は下の道路を使うという選択肢はあるわけです。ですから、私は、有料道路にすることがお金を持っている人に有利だということには必ずしもならないと考えております。
 それともう一つは、もっと現実的な問題として、では、無料化することが今のような道路公団の懐ぐあいから本当に可能なんですか。可能なのであればそれは大変いいかもわからないけれども、残念ながら私は可能だとは思わないということです。
 もう一つの、借金経営という言葉をお使いになられたわけですけれども、借金経営というとちょっと何となく聞こえがよくないですし、日本じゅうの企業で本当に数えるぐらいの会社しか無借金経営というのはやっていないのですね、トヨタとか。だからこそそれが例として出てくるわけでして、それが全部倒れているかというと、そんなことはないわけでして、ダイエーの場合には、不良な資産を余りにたくさん持ち過ぎたというのが最大の問題であったと思います。
 ですから、企業というのはゴーイングコンサーンなんですね。ですから、やっている事業の中身は変わるにしても、ずっと継続して商売をするんだ。継続する分、継続できるような仕組みをつくっておきましょう。それが、事業ごとにちゃんと財務内容を明らかにする、あるいは、毎期毎期、期間を区切って財務内容を明らかにするということなんですね。
 それに対して、国営の企業あるいは道路公団のような特殊法人というのはゴーイングコンサーンではない、一定の使命を持った団体なんです。使命を達したらそれは終わりなんですというのが前提。だからこそ、毎期毎期きちっとやらなくても、三十年とか五十年で帳じりが合えばいいのです。それが償還主義ですけれども、そういうことで違うわけです。
 今の問題というのは、使命を果たしたらそれで終わりだったはずの、永続するはずでなかった組織が、あたかも永続するかのごとく事業を続けているという矛盾なんです。
北川委員 本当は、最後に、首相から委員になってくださいと頼まれたら引き受けられますかというのを聞きたかったのですが、それは次の機会にいたしまして、きょうは、本当にどうもありがとうございました。
大畠委員長 これにて北川さんの質疑は終了いたしました。
 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆さんには、貴重な御意見を長時間にわたりましていただきまして、大変ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 この際、休憩いたします。
    午前十一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時開議
大畠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き、内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房道路関係四公団民営化推進委員会設立準備室長坂野泰治君及び国土交通省道路局長大石久和君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。
細野委員 総理、石原大臣、長時間の本会議の後の委員会の質疑、大変御苦労さまでございます。時間がございませんので、早速、本法案の私の質問に入らせていただきたいと思います。
 この法案の質疑に関しましては、もう随分長い間、この委員会の中でやってまいりました。その中で、ぜひ今回総理に登場していただいて伺いたいと思っております第一のことは、この法案の理念であります。
 この法律案の中身を幾ら見ましても、一体この委員会が何をするものなのかというところが明らかになってこない。総理は、本会議での質問に対しまして、これは整理合理化計画にあるからいいんだという御答弁をされておりますけれども、閣議決定された整理合理化計画よりも法律が上位に位置することは、これは言うまでもないことでございまして、ミッションの不明確な委員会が実効性のある意見を具申することは、私は非常に難しいと思っております。
 ここで改正案について今求めることはいたしませんが、少なくとも、制定者の意思として、総理大臣が今どういう理念を持ってこの法案を通そうとされているのか、まずそのことをお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この民営化の推進委員会におきましては、特殊法人等整理合理化計画において、新たな組織は民営化を前提とする、国費を投入しない、そういう基本方針のもとに第三者機関において具体的な内容を検討する、そういうことでありまして、民営化の推進によって、コスト意識、採算重視、そして、いかにその道路が必要か、必要性、むだな道路はつくらない、必要な道路をつくる、そういうことがこれからの国土の計画においてもあるいは税金の有効な使途においても必要だと思いまして、私は、道路公団の民営化につきましては、独断専行を排すために第三者機関において検討していただきたいと。
 今言いました前提に従って、しっかりとした具体策が提示されるということを期待しております。
細野委員 コスト意識等のお話がございましたけれども、一点やはり確認をさせていただきたいと思いますのは、なぜ、この法案に今総理がおっしゃったような理念を書き込まなかったのか。簡潔で結構ですので、御答弁いただけますでしょうか。
小泉内閣総理大臣 今言った理念のもとに議論をしていただくわけですから、私は、大枠は法案で設定されていると。むしろ、見識のある方々にいろいろな方の意見を聞いて議論をしていただく方が、より国民に理解される民営化が実現されるのではないかと思っております。
細野委員 法案には示されていないと我々は考えております。加えて言いますと、今おっしゃった、それは委員の方々にやっていただきたい、それは余りに総理、無責任じゃないでしょうか。やはりきちっと理念を示して、こういうことを委員にやってもらうんだ。政治的にやはり指導力があってこそこの委員会は私は生きてくると考えます。
 この点は水かけ論になりますので、これ以上申しませんが、今総理がおっしゃった新しくできる委員会、残念ながら理念が示されておりません。総理は、この委員会が出してくる意見がどの程度の効力を有するものというふうにお考えになっているのか、これも委員会の質疑の中では余り明らかになってまいりませんでした。
 今出てきておりますこの委員会は、私どもが求めております三条委員会という強い権限を持つものではなくて、八条委員会という、あくまで審議会としての意見を具申するという組織として位置づけられておりますが、改めて総理、この委員会の意見の効果について、総理のお考えになるところを御答弁いただけますでしょうか。
小泉内閣総理大臣 この委員会の意見を尊重して具体化を図るということであります。
細野委員 何度か答弁をいただいて、そのまま、どなたが書かれたのかは知りませんが、御答弁をいただきました。もう少し具体的に聞いてまいりたいというふうに思います。
 この委員会は、もちろん、道路関係四公団の民営化について議論することになっております。しかし、最終的には道路公団というのは、これは名前のとおり道路をつくる公団でありましたわけですから、そこの組織がこれからどういう道路をつくっていくのかというのが最大の国民の関心事であるのは、これも恐らく総理もお認めになるところだというふうに思います。実際に、国土交通省の所管になっております国土開発幹線自動車道建設会議、いわゆる国幹会議ですけれども、こちらとのいわゆる力の関係ですね、それがこれからどうなっていくのかというのが極めて重要な点になってくると私どもは考えております。
 調べてみますと、国幹会議は委員が約三十名、大臣もそして国会議員も入っている。一方で新しくできる委員会は、どなたが委員になられるかわかりませんが、委員は七名。同じく八条委員会ですけれども、実績からいっても格からいっても今の時点では大きな差があるということは、これは明らかであります。国幹会議の方は事務局は道路局、その名前のとおり、国土開発のために幹線自動車道を建設するための会議と私は解釈をしておりまして、まさにどんどん道路をつくってきた実績もあるわけですね。
 法的な拘束力がない、先ほど総理も御答弁をいただきました、参考にしてということでありましたけれども、それでは、政治的にこの国幹会議に対して新しくできます委員会がどの程度の拘束力を持つべきと総理は意思を持たれているか、その点を確認したいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、この第三者委員会が個別路線まで決定するというのは無理だろう。それは、専門家、国土開発幹線自動車道建設会議というのがありますから、個別路線の整備については、その会議におきましてこの第三者委員会の意見を踏まえて決めていけばいい。客観的な採算性とかあるいはコスト等、いろいろな指標、数字が出されて、どれが必要か不必要かというのは、その中で私は明らかになってくると思いますので、特別に公平な客観的な意見を逸脱するような個別路線が設定されるとは思えません。
細野委員 この委員会の中でも何度も、新しくできる第三者委員会と国幹会議はそごが生じないんだという話がありました。何度か我が党の委員の方からも疑問を呈してまいりました。今の総理もそういう趣旨の発言がございましたけれども、私は、これは極めて疑問があるというふうに思っております。
 例えば、先日前原委員の方から質問がございましたものに対して国土交通省の方が出してきた資料、これは総理、手元にお持ちでしょうか、事前に言っておったんですが。これを見ますと、いろいろな試算がされているんですが、国費投入がゼロから三千億の間で、償還期限が三十年、四十年、五十年でそれぞれ試算がされております。これによりますと、そもそも、既に総理は十四年度以降は国費投入ゼロという試算を出されているんですね。それを今ごろ、四月十日になって国土交通省の、これは道路局の方だと思いますけれども、国費投入一千億、二千億、三千億の試算を出してきていること自体、閣議の方針に反するわけですので、私は明らかにおかしいだろうというふうに思っております。
 ここではそれは問いませんけれども、この数字の中でやはり注目したいのは、では、国費投入ゼロを前提とすると、総理がもう一つの前提とされている償還年数を五十年とすると、一番甘い試算でも、これは十三・二兆円しかこれから道路へ投資することができない、整備計画の九三四二のうちの六四%しか建設できないことになっているんですね。これは、今までの国土交通省の見解と明らかに反します。
 仮に新しくできる組織でこの九三四二を全部つくるとすると、当然この国費投入の部分を動かさなきゃならない。この前提が大きく変わってくるわけです。道路局長も、そして昨日の国土交通大臣の答弁でも、九三四二はあくまでつくるんだとおっしゃる。個別の路線は確かに言及しないとしても、仮に新しくできる組織の採算性を考慮するんであれば、この九三四二自体は、当然新しい委員会の方で考え直すような意見が出てくると私は考えますが、総理、この点はどうお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 まだ第三者機関は設置されておりませんが、いろいろな意見が出てくると思います。しかしながら、基本方針、特に特殊法人等整理合理化計画に基づいて議論するんですから、その中でどういう意見が出るか、それをしっかり見きわめていく必要があると思います。
細野委員 端的にお伺いしますが、新しくできる組織で九三四二ができる可能性が総理はあるとお考えなんでしょうか。国土交通省の試算には、それができないということになっています。お答えください。
小泉内閣総理大臣 それは、今後、第三者機関の中でいろいろな議論が出てくるでしょう。事業費がどうなのか、これからの状況によってコストも下がってくるのか、あるいは道路も今までの規格でいいのか、もっと小さいものでいいか、いろいろな前提によって変わってくると思います。
細野委員 そこまで総理がこの委員会に丸投げされているとは私は思いませんでした。
 昨日、国土交通委員会との連合審査の中で、国土交通大臣が非常に興味深いことをおっしゃっていました。同じ八条委員会の国幹会議は、これは先発電車だ、今度できる第三者委員会は、これは後発電車だ。同じ路線を通っている電車が、先発電車がいて後発電車がいたら、これを追い越すことはできないわけですね。すなわち、この九三四二もそして予定路線の一一五二〇も、これはもう既存の政府方針として変わらない。その前提としてこれを議論すると、これは全然違うことになってくるんですね。
 私は、総理が、この部分はきちっとイニシアチブをとって、弾力的に、当然修正もあり得るという姿勢で委員会を発足させるべきだと思いますが、改めて小泉総理大臣にこの点をお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、国費を投入しない、民営化を目指す、そして償還の上限は五十年、そういう中ですぐれた見識を持った委員を人選するつもりでありますので、その中の意見を尊重して決めていきたいと思います。当然、道路公団が民営化になれば、将来上場を目指すでしょうし、そうなれば、よりしっかりと何が必要か、的確な判断をされると思います。
 要は、特殊法人等整理合理化計画に基づいてこの第三者委員会は検討する、民営化を目指すからには上場を目指す、これが私は筋だと思っております。
細野委員 石原大臣はこういう答弁をされています。先日のこの内閣委員会の中で、九三四二が変化する可能性は私は否定するものではございません。石原大臣、この認識はよろしいですか。
石原国務大臣 総理から御答弁をされましたように、建設コストの問題、規格の問題、調達コストの問題等々、さまざまな要素の変化によって今委員御指摘の点は変化をしていくものだと今も認識しております。
細野委員 この法案が、この九三四二の部分も含めていかに今まで変質をしてきたかということを、やはりこの委員会で明らかにしていく必要があると私は思っております。
 きょう、皆さんに資料をお配りしております。それを総理にもぜひごらんいただきたい。
 一枚目、二枚目が、これは自由民主党の政務調査会の中の道路調査会長など三名の連名になっておりまして、道路関係四公団を含むさまざまな公団の改革に関する決議となっております。日付は昨年の十二月の五日となっております。この四番のところ、私、横に線を引かせていただいているんですが、昨年の十二月の五日の時点で、「路線毎の整備手法の適用については、国土交通省において責任を持って検討」すると書かれております。
 そしてもう一つ、同じような決議案が実は保守党から出ております。それは次の日、昨年の十二月の六日ということになっておりまして、三枚目をごらんいただきたいんですが、同じく線を引かせていただいております。「路線毎の採算性の分析及び整備手法の決定に当たっては、国土交通省において責任を持って検討」と、これはほぼ同じ文面が書かれております。
 十二月の前半に出されたこの二つの決議といいますか意思表明、それに対しまして、私が注目をしたいのは、十二月十九日の時点で出てきた特殊法人の整理合理化計画は、これに対してある程度抵抗の姿勢が私は見えているというふうに思うんです。この紙も五ページへつけておりますので、ぜひ皆さんごらんください。上の部分で、下線を引かせていただいております、「以下の基本方針の下、内閣に置く「第三者機関」において一体として検討し、」と書かれております。
 「以下の基本方針」の中に何があるか、「事業」の中に幾つか書いてあるんです。第一点は、「国費は、平成十四年度以降、投入しない。」これは大前提として何回も議論されているところです。そして三つ目、償還期限は五十年を上限にする、これも方針として書いてある。
 しかし、もう一つ、やはり注目しなければならないのは、「新たな組織により建設する路線は、直近の道路需要、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行い、優先順位を決定する。」これも基本方針の中に入っているんです、この時点では。第三者機関において検討すると書いてある。
 この整理合理化計画、十二月の十九日に出てきたものと、今回出てきているこの法案には、私は大きな乖離があると思うんです。優先順位に対する記述が全くなくなっている。個別路線の最終的な判断までいかないまでも、どこの道路が採算性がいいのか悪いのか、この判断をこの整理合理化計画ではやると書いてある。にもかかわらず、今回の法案は書いておりません。
 その背景に何があるのかというのが、最後のページをごらんください。「「道路関係四公団民営化推進委員会」設置についての確認」、これが私はだめ押しだったと思っております。三番目のところで、自民党、公明党の幹事長、幹事長代理の方がそれぞれ連名になっておりますけれども、「個別路線の整備については、標記委員会の意見を踏まえて国土交通省において、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て、最終的に決定する。」こう書かれているんですね。
 この法案が閣議決定をされたのは二月十五日。整理合理化計画が昨年十二月に立てられて、そして今回の法案が閣議決定される二月十五日の間に、この与党三党の合意が出てきたことによって、この委員会が一体何をするのか、何を決めるのか、それが全くわからなくなってしまっている。
 私は、総理が、昨年の時点から徐々に徐々に、ここに書かれておりますさまざまな与党サイドの動きによって撤退してきた歴史が今回の法案だと思っているんですが、総理の御見解をお伺いします。
小泉内閣総理大臣 疑ってみれば切りがないんですよ。いかに抵抗が強かったかわかるでしょう。それを乗り越えてやってきたんです。ようやくここまでこぎつけたんじゃないですか。特殊法人等整理合理化計画に基づいて第三者委員会を設置する、民営化するからには上場を目指す、これで十分だと思います。結果を見ていただきたい。
細野委員 ここまで苦労があったというのは、私も認めます。しかし、結果を見てくださいというところに関しては、もう既に多くの疑義がある。
 整理合理化計画の中では、一体として検討するとある。でも、それも今総理はおっしゃらなくなりました。さらに言うと、五十年という償還期限自体、どうなんですか。民間企業でいえば、五十年先に借金返します。さっきも構想日本の加藤参考人の話がありましたけれども、この中で生きている人、いないですよ。私、三十歳ですので、もしかしたら辛うじて生きているかもしれませんけれども、それぐらい先に償還期限を延ばしてしまっている。このこと自体、もう既にある部分で結果が出てしまっている。
 私は、総理にこの時点でしっかり決断をしていただきたいと思うんです。何を決断していただきたいかというと、この法案、まさに与党の事前審査で徐々に徐々に後退をしてきた。法案が出てくるときには、こんな、私から言うともう見るも無残な法案になってしまっているんですね。
 今、自民党内でも国家戦略本部の方で、もう事前審査やめよう、政府の基本的な方針が出れば、それを国会で議論すればいいじゃないかという話が出てきているんですが、総理、この時点でそういう決断をして、総理自身の指導力でこれから法案をつくり、そして政府の方針を出し、この委員会の検討にしよう、そういう決断をされたらいかがですか。それができない限り、非常にこれからますます難しくなると私は考えます。
小泉内閣総理大臣 ここまで審議が進んできたじゃないですか。見方が全く違う。妥協に妥協を重ねた、どこを言うんですか。ここまで抵抗を乗り越えてやってきたんじゃないですか。順調に進んでいるじゃないですか。疑えば切りがありませんよ。いろいろな見方があります。それを乗り越えてやってきた。何ら心配する必要はない。
細野委員 まあ、心配していないのは、総理御自身と、自民党の中のこういう紙を一生懸命おつくりになった方だけかもしれない。国民はみんな心配しています。それをまず申し上げて、先の質問に行きたいと思うんです。
 今度の委員会、不十分ながらできます。我々としては大変不満のある委員会ですけれども、できます。できるからには、それはいい意見が出てきてほしい、そう考えます。しかし、それも非常に怪しいと言わざるを得ない。
 もう一度、先ほどの与党三党の合意文書を皆さんごらんいただきたい。総理もごらんください。
 一番目です。「標記委員会の委員については、国家・国民的視点に立ち、特定の分野及び利害に偏することなく、公正な判断をなし得る者を選定し、政府において任命する。」これは、前半の主語は何でしょうか。御丁寧に任命するところだけ主語が書いてある。「政府において任命する。」と書いてあるけれども、その前の「公正な判断をなし得る者を選定し、」というところは主語がないんですよ。我々はということでしょう。
 与党三党はこういう人物を選定する、選定した者を、総理、任命してくださいよ、これはそういう文章なんですよ。総理自身で本当に決められるんですか。この文章についての総理の御見解をお伺いします。
小泉内閣総理大臣 随分ひねくれた見方しますね。これは三党の幹事長でしょう。三党の幹事長が何で決められるんですか。「政府において任命する。」政府において任命するんですよ。三党の幹事長が決めるんじゃないんですよ。もっと素直に見てください。
細野委員 素直に見ると、選定するのところに主語がないんですよ。「政府において任命する。」任命するところは確かに総理かもしれないけれども、選定するところでは、総理御自身も言っているじゃないですか、いろいろな方の話を聞くと。その中に当然こういう方も入っているんでしょうということを私は申し上げているんです。御答弁をお願いします。
小泉内閣総理大臣 前から言っているでしょう、独断専行は排すると。いろいろな方の意見を聞く、当然ですよ。
細野委員 独断専行、これは指導力と裏腹。国民が今何を総理に期待してきたのかということを考えると、総理の姿勢というのはいかがなものか。同意人事については、それは総理、委員会ができてから決めるとお話しなわけですね。それについては深く伺いませんが、では、一点だけ確認させていただきます。
 公団のOBや国会議員、これは委員会の委員には選ばないという話は、諸々答弁がございました。それでは、例えば国土交通省の所管の国土審議会や交通政策審議会など、いろいろ過去、道路政策について言ってきた審議会がございます。そういうところの委員もしくは経験者から委員を選定する可能性というのはあるんでしょうか。総理にお伺いします。
小泉内閣総理大臣 委員の人選については、改革意欲に富んだ、すぐれた見識を持つ人を選任したいと思います。
細野委員 今の点もお答えできない。こういうところから選ばないということすら、総理、言えないんですか。
小泉内閣総理大臣 今の私の答弁で十分だと思います。
細野委員 総理、どういう委員を選ぶか全く言わない。おまけに、それを国民の皆さんに示すような国会同意というのもやらない。それはやはり通らないですよ。どういう人選をしたいんだという意思を示して、この法案は委員が命なんですから、それを国会で示すということは、国民にこれを発表するということですよ。それをやられないんですか、総理。
小泉内閣総理大臣 改革意欲に富んだ、すぐれた見識のある人を人選すると言っているんじゃないですか。答弁が気に食わないといったってしようがないでしょう。これしか答弁しようがないでしょう。
細野委員 時間もなくなってまいりましたので、今の答弁、委員が選ばれたときに、どういうことにしたのかというのを我々も知るし、国民も知るということだと思います。それ以上申し上げません。
 最後に、国会同意についてお伺いをしたいと思います。
 国会同意が必要ない理由について、総理はこう答弁をされています。政治の基盤に関することを扱うもの、国民の権利義務に直接かかわるもの、こういうものに関しては同じ八条委員会でも国会同意が必要なんだ。逆に言うと、この委員会は国民の権利義務に直接かかわるものではないという御判断を総理は本会議で示されました。
 改めて指摘するまでもありませんけれども、道路関係四公団は、道路公団だけで二十数兆円の借金、全体で四十兆円。みんなもっと国民負担されるんじゃないかと心配しているわけですよ。まさに国民の権利義務に直接かかわるもの、だからこそ国会の同意が必要なんじゃないですか。
 総理はなぜ、この委員会で委員の選定において国会同意が必要ないとお考えになっているのか、改めてお伺いします。
小泉内閣総理大臣 既に、この第三者委員会というのはどういうものかというのは、特殊法人等整理合理化計画に沿ってという大枠がはめられています。しかも、国民負担といいますけれども、公団から民営化することによって国民負担は軽減されるということは、見る人が見ればわかるじゃないですか。公団のままだったら、このままどこまで国民負担が続くかわからないからこそ民営化するんでしょう。その前提がある限り、公団のままよりも、この特殊法人等整理合理化計画に沿って民営化することによっていかに国民負担を軽減するか。大枠がはめられておりますし、そういう委員会ならば国会同意は必要としないだろうと。
細野委員 今の答弁でわかった方はだれもいないと思います。整理合理化計画に書かれているから委員会をつくるのはいいんですよ。でも、委員会の人選をどうするかは、全く別次元の問題として国会の同意が必要だと我々言っているんです。政府の答弁聞いて、これは全然わからないんですね。
 例を挙げますと、八条委員会の中でも、宇宙開発委員会という委員会があって、何をするのかといったら、宇宙開発事業団の人事と業務に関する諮問に対する答申をする。これは国会同意なんですよ。八条委員会でも、ある程度の国民の関心のあるものは今まで国会同意にしてきたんですよ。
 何が重要かというと、要するに、国民に対してきちっと説明をするのか、国会同意という国会での議論を通じて国民にそれを問いかけるのか。それとも、総理が今やられているように、国民からできるだけ見えないところで、抵抗勢力でやりっこして、最終的に委員だけぼこっと出してくるのか。
 総理は、総理大臣になった当初、さまざまな形で情報公開をされるとおっしゃった。その一点、私は物すごく評価をしておったんです。総理の姿勢は徐々に徐々に撤退してきて、最後には、本来は国会同意しなければならないものまで抵抗勢力と手を結んで委員を決めようとなさっている。この姿勢については、私の方から最後に、非常に危険であるということを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 以上です。
大畠委員長 これにて細野君の質疑は終了いたしました。
 次に、前原誠司君。
前原委員 民主党の前原でございます。
 時間がそれほどありませんので、簡単にポイントを絞って、主に総理にお伺いをしたいと思います。
 この特殊法人等整理合理化計画の中に、道路公団あるいは首都高、阪神、本四に関する方針が書かれております。例えば、「国費は、平成十四年度以降、投入しない。」「事業コストは、規格の見直し、競争の導入などにより引下げを図る。」そして、次がこの文章で浮いているところなんですが、「現行料金を前提とする償還期間は、五十年を上限としてコスト引下げ効果などを反映させ、その短縮を目指す。」と。私、石原大臣とは、この点、かなり議論させていただきましたけれども、議論がかみ合わなかった。やはり、最終的には、責任者である総理とこの点について議論をさせていただきたいと思います。
 なぜ償還主義ということを前提として民営化を議論させるのか。償還主義というのはどういうことかというと、これは釈迦に説法かもしれませんが、決められた期限までに借入金を返済するように料金水準を定める原則をいう。これをやるとどういう弊害が出てくるかというと、一つには、例えば、高速道路の新設、改築のための建設費、修繕、災害復旧、維持管理費、あるいは借入金の返済等々、すべてひっくるめて例えば五十年ということに決めるんであれば、それで料金体系決めるわけですよ。これは、かなり他の国よりは日本の高速料金が高い水準になっている大きな要因になっています。
 これを本当に民営化させるんであれば、償還主義というその前提をかませないで自由にやらせたらいいのに、なぜここだけは民営化推進委員会に決めさせないで、償還主義をとらせる、五十年の上限、こういうことを決めているんですか。そのことについて御答弁をいただきたいと思います。
 いやいや、大臣に。もう石原さんとは何度も議論しています。
小泉内閣総理大臣 上限ですから、短くしてもいいんですよ。そして、民営化を目指すということと矛盾すると言いますけれども、民営化になった段階でも、これが採算を重視して必要度を考えながらやっていける。別に私は矛盾すると思っていませんが。
前原委員 五十年の問題はおっしゃるとおりでいいと思います。五十年は上限ですから、短くなっていい。私の言っているのは償還主義の話なんです。
 つまりは、今の総理大臣の御答弁は、償還主義をとらなくても、民営化推進委員会で、当面スタートをするのにやりやすい方向で決めることも含めて考えればいいということで、償還主義を絶対の前提としなくていい、そういう御答弁ですか。もう一度お返事をいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、償還五十年を上限として、そして国費を投入しない、採算を重視する、そのときの情勢、金利も変動があるでしょう、そういう中で議論をすることによってこれは解決できる問題だと思っています。
前原委員 違う観点でこの点を言いますと、民間会社というのは、借金を持ちながら経営することは可能なわけですよ。つまりは、ある程度の借金を持ちながら、しかし、金融機関とうまくやり、もうけがある程度あれば、借金をゼロにしなくても民間の企業が経営を営々と続けていくことは可能なわけです。しかし、これには償還主義という、つまりは借金をゼロにします、そういう前提で通行料金を決めるという、この文章からするとこの部分だけ異常に浮いた、あるいは特定した文言が入っているわけです。私はそれを申し上げているんですよ。
 ですから、総理大臣、釈迦に説法だと思いますが、返済を言っているんじゃない。償還という言葉は、つまりは、五十年を前提、短ければそれでいいとおっしゃいました。しかし、償還主義というのは、その償還期限を終えたらゼロになるんですよ。そうすると、民間企業はその時点までにもろもろの計算をして通行料金を設定しなきゃいけないということになれば、高くなる。そのことによって、例えば、高速道路が船、飛行機と比べて競争力がなくなるかもしれない。これは民間会社にとって不利じゃないですか。ですから、償還ということを民間会社にのませるということ自体が民間会社の非常に大きな足かせになる、私はそれを申し上げているわけです。
 ですから、もう一度御答弁いただきたいんですが、償還主義というものをとらなくても、民間会社が本当に競争力を持って、総理がおっしゃるような国費のむだな投入をなくするようなものになるんであればいいというふうにお考えなんですか。つまり、償還主義は絶対だとおっしゃるんですか。どちらですか。
小泉内閣総理大臣 私は、そういう技術的な問題よりも、民営化になった場合に、大枠、前提を示していますから、そして、経営者は上場を目指すという中でそれは解決されるべき問題だと思っています。
前原委員 ということは、今おっしゃったような経営者の努力の中で上場を目指すという選択をすれば、償還主義、何度も申し上げますよ、ある時点が来ればゼロにするわけです。借金等をすべてゼロにする。その償還主義はとらなくてもいい、それが決して前提でないということをおっしゃるということですねということをお聞きしているわけです。
小泉内閣総理大臣 これは民営化になった段階で経営者の創意工夫が生かされるべきだと思います。
前原委員 これは大事な発言ですよ。つまりは、償還主義は前提としないということを今総理がおっしゃった。私は、これであれば、今総理がおっしゃったことを前提にすれば、民間会社の議論をするフリーハンドを与えたことになると思います。今おっしゃったことは、償還主義を前提としなくてもいいということは、この枠組みそのものが変わるということだと私は思います。その点、今の御発言には責任を持っていただきたい。ここは私は大きなポイントだということを指摘しておきたいと思います。したがって、民営化の議論の中では償還主義を前提としないという今の総理の御答弁というのは、私はきっちりとテークノートしておきたいと思います。
 それで、次に移りたいと思うんですが、きょうは総理、初めて御出席をいただきましたけれども、今まで、実はこの質問の前に三時間、主に石原大臣あるいは国土交通省と質疑をさせていただきました。その中で食い違った答弁があります。
 先ほど同僚の細野議員が質問をしたことにもかかわってくるんですけれども、石原大臣は、今の日本の財政状況というものを考えたときに、仮に国費投入をやって民間会社と役割分担をしたとしても、九千三百四十二キロつくるのには千年かかるでしょう、千年かかればできると思います、こういう話をされました。翻って、国土交通省道路局長は、九千三百四十二はつくる、しかも九千三百四十二キロには第二東名の海老名―東京間は入っていない。じゃ、これはどうするんだと言ったら、いや、それも必要ですからということで、一万一千五百二十キロまでやる、国費を使ってでもやる、だからこそ今A'方式という国費を投入しての高速道路もやっているんだ、こういう答弁がありました。
 先ほど細野議員に対する答弁を聞いていると、できるだけむだな投資をしない、そのために民営化をするんだということをおっしゃいましたけれども、このままだと、今までのものは民営化して切り離して、新たな道路建設は国費でやるという抜け道を逆につくりかねないような状況になっています。これを封じ込めないと、小泉総理が一番初めにおっしゃった、むだな道路がつくり続けられる、それをなくすために民間の経営手法というものを取り入れるんだということがいわゆるしり抜けになるんですね。
 ここで総理大臣にお尋ねしたいわけでありますけれども、つまりは、民間会社にして、そして道路建設ができない、新たな資金調達もなかなかできない、そのときに国土交通省が、いや、国費でやりますというところでどんどんどんどん九千三百四十二キロもやる、一万一千五百二十キロもやるということになれば、総理が民営化を目指された趣旨とは大きく異なってくるというふうに思われませんか。その点について御答弁をください。
小泉内閣総理大臣 そう思ってはおりません。
 どうしても必要な道路だったらば、国としては税金を投入してもつくらなきゃならない道路も出てくるでしょう。将来、先のことはわかりませんよ。それは、財政状況、必要度を勘案してつくるべきものだ。
前原委員 では、そもそも論に返って質問をいたしますが、道路公団方式で国幹審が決めたことを整備していかなくてはいけなかった。その中で総理は、民営化しないとむだな道路がつくられる、むだな投資が続けられる、こういうお話をされていたと思うんですね。
 その部分、国費を投入するものについては構わないということでありますけれども、それだったら民営化する意味がないんじゃないですか。道路公団方式でもいいんですよ。道路公団方式でやって、そして国の補助金は、これは総理の英断でとめられた。構わない。道路特定財源、道路五カ年計画、そういうものを見直して道路に対する予算をなくしていけば、別に民営化する必要は何もないんですよ、そこでチェックがかかるわけですから。そうしたら、この民営化の議論そのものが、今の御答弁だと、民営化するという目的そのものが希薄、目的が乖離してしまうわけですよ、最初おっしゃったのと。違いますか。御答弁ください。
小泉内閣総理大臣 違います。道路公団民営化しなかったら、既存の計画どおり進んでいますよ。幾ら税金が投入されるかわからない。幾ら負担がかかるかわからない。それが、民営化することによって違ってきたんでしょう。明らかに違います。
前原委員 そこまでおっしゃるんでしたら、私は、小泉総理の戦略に穴がある、これを申し上げたい。
 つまりは、同じ方向性で多分議論ができていると私は思うんです。日本の国家財政を考えたときには、道路をつくり続けるという仕組みはおかしい。また、道路公団方式であれば、今総理が御答弁をされたように、これからも道路をつくり続けるでしょう。そういう懸念があるのはそのとおりです。
 ただし、民営化をしても、総理は御出席されていませんでしたけれども、国土交通省は、道路はつくり続けます、九千三百四十二キロ、これでは足りない、一万一千五百二十キロまでやると。しかし、石原大臣は、今の日本の財政状況を考えたら千年たてばできるかもしれない、こういう話なんですね。
 確かに、我々国会議員が一年一年予算を国会の中で議論します。しかし、そこで、先ほど戦略で穴のあいている部分があると申し上げたのは、道路特定財源、またその道路特定財源に裏打ちをされた道路五カ年計画、これが結局は予算の担保を与えてしまっているわけです。
 つまりは、小泉総理が初め出てこられたときの一番大きな目的である道路特定財源の一般財源化ということをもう少し広げていって、そして、来年、道路五カ年計画の見直しの年なんです。多分、来年の通常国会に新たな五カ年計画が出されます。そこで、道路特定財源を全くなくせ、そういう極端な議論はしませんけれども、民主党が政権とれば多分そういう議論にすると思いますけれども、道路特定財源をより一般財源化していく。それと同時に、五カ年計画を大幅に道路に対して縮小する。五カ年で幾らあるか、総理、御存じですか、五カ年計画。七十八兆円あるんですよ。これは大き過ぎますよ、何が何でも。
 ですから、そこの改革をしっかりやった上で、国費投入というもののしり抜けをなくして、そして、民営化すると同時に、国費でどんどん、国の借金が大きくなっていっても道路の財源だけは守られ、道路がつくり続けられるというその特定財源の問題と五カ年計画の見直しというものをしっかりやらないと、総理の意思は反映されないと思いますよ。それに対して御答弁ください。
小泉内閣総理大臣 民営化する前に五カ年計画を見直せだとか今までの幹線道路の必要性を見直せというのがいいのか、民営化が先か。私は、民営化の議論が出てきたからこそ、今までの計画を見直すという議論が促進されると思っています。それは見方の違いであります。
前原委員 それは全く詭弁ですよ。
 つまりは、先ほど、道路公団方式でも私は改革ができるというふうに思っていますということを申し上げた。なぜかというと、道路特定財源を一般財源化して道路にお金がかからないようにする。あるいは、五カ年計画、五年間で七十八兆円、この大部分が特定財源に裏打ちされているわけです。だから、そういうものを縮小して、そして道路に対しての国費というものが投入されないようにしていけば、民間会社にするということ以外にも、道路へのむだな投資というものを防ぐということは十分できると私は思いますよ。
 だから、総理のおっしゃることとは、私は観点が全く違います。先か後かの議論はどうでもいいんです。どうでもいいというのは失礼かもしれない、答弁されたんだから。
 では、それは横に置いておいて、今申し上げたところで御理解をいただいていると思いますけれども、先か後かの議論ではなくて、本当に小泉総理が、むだな道路の投資はやらない、必要なものは国費でもつくったらいい。私もその同じ考えです。間のあいているところとかあるわけですから、そこはつながらないと意味のない高速道路もある。だから、ゼロにしろなんということは私も言っていない。
 しかし、むだな道路投資というものを今後しり抜けにせずに、しっかりと本当に必要なものというものにしていくためには、道路特定財源のより一般財源化と五カ年計画。七十八兆円もあって、来年ちょうど見直しなんですよ。小泉内閣の構造改革、本物であるということになれば、より広範囲な一般財源化と五カ年計画の見直しというのは必要じゃないですか。
小泉内閣総理大臣 私は、就任以来、それを言っているでしょう。道路財源の見直し、五カ年計画の見直し、民営化に一緒になってやろうと。民営化やらないでそれをやるよりも、民営化を一緒にやった方がはるかに進むでしょう。
 皆さんは私のことを口だけだと言っているけれども、これだけ現実に進んできているじゃないですか。見方が違えばこうも違うか。私は、あきれる面もあるんですけれども、じっと我慢して言っていますけれども、着実にこれだけ進んでいるんですよ。どうぞ、その点はよく御理解いただきたいと思います。
前原委員 総理、お言葉を返すようですけれども、総理の御発言、真剣さというものは感じるものがありますよ。あるけれども、余りにも漠然とし過ぎているんですよ。内容がない。内容がないと言ったら失礼かな。内容が乏しい。それも失礼かもしれないな。
 つまりは、道路特定財源の一般財源化、されましたよ。だけれども、主要な道路特定財源の一般財源化、されましたか。揮発油税、できていないですよ。そこの聖域に手をつけられていないですよ。もしそこに手をつけられたんだったら、大きな顔をして、道路特定財源の一般財源化、おれはやっているんだと言ってもらっても結構ですよ。今回の予算の一部の特定財源の一般財源化では、全然不十分ですよ。
 それと同時に、五カ年計画、五年で七十八兆円、どのぐらい縮小しますというようなことまで言わないと、見直しますと言ったら、そんな、どの程度見直すかなんてよくわからないじゃないですか。一%見直すんだったら、そんなものは見直したうちに入らない。
 そこが小泉内閣の、いわゆる姿勢の問題はある程度評価できたとしても、内容が見えてこない。そこまで突っ込んで言ってもらわないと我々としては納得できない。だから、もう一度聞きます。
 道路特定財源の一般財源化というのは、本丸の揮発油税まで踏み込むんですか。あるいは、五カ年計画、見直すというのは、どのぐらいの縮小というものを考えて初めて見直すというのか。そのことをおっしゃらないと信用しろと言われてもできないんですよ。そのことについてお答えください。
小泉内閣総理大臣 これは、今、税制改革議論を政府内におきましても自民党内においてもしておりますが、特定財源も税制改革の対象であります。その中で道路財源問題がどういう議論をされて結論を出すか。これを意見を踏まえて十五年度予算に反映させていこうということで、今議論が進められようとしております。
 基本方向につきましては、まだ時間がかかりますが、六月ごろにはある程度の基本方向を示して、そして十月、十一月、議論が煮詰まってくるでしょう。その結論を見て、それでは、今言った揮発油税を初め道路特定財源はどのようなものになるかということを今後詰めていきたい。
 そして、私は、個別道路とか計画、専門家ではありません。五カ年計画の見直し、これは今後、財政状況あるいは道路公団の民営化の方針等絡んでくる問題でありますので、より専門家の方々の意見を聞いて対処していくのが筋ではないかと思っております。
前原委員 だから、こういう具体論になると途端に慎重になられるじゃないですか。ですから、私はためにする議論をしているわけじゃないし、小泉内閣の本気さというもの、あるいは総理の意識というものをだめだと言っているわけじゃないんです。
 つまりは、特定財源の問題にしたって、議論を任せるんじゃなくて、総理が、すべて一般財源化してその中で道路をつくってもいい、そういう方向性を示されるのが本当の改革じゃないんですか。そこまでやられるんだったら、さっきおっしゃったような威勢のいい答弁をしてもいいと私は思いますけれども、具体論に入ったら今の話。五カ年計画にしたって、密接に結びつく話だから、具体的な縮減の割合というものを答弁されない。それだったら、国民に幾ら信用しろと言われてもできない。それは、総論は出ているけれども、各論に入ると具体的な中身がない、まさに今小泉改革で問われている、そこじゃないですか。
 つまりは、ボトムアップの議論ではなくて、当初の小泉改革に求められたのは、リーダーシップ、自民党をぶっつぶす、与党審査なんか通さない。それというのは、小泉総理御自身が、道路特定財源の問題にしても道路五カ年計画の問題にしても、おれはこうしたいんだ、こうしてくれ、そのことを与党・政府の組織におっしゃることが、小泉改革というか、小泉総理のスタイルだったんじゃないですか。それが、各論に入ると、さっき申し上げたように、途端にボトムアップの、今やってもらっていますという話になる。そこで信用しろと言われても、見方が変わるとそうも言われるのかというふうな愚痴を言われても、やはり私は全然信用できない。
 だからこそ、もう一度聞きますけれども、特定財源の見直しは自分としてはこう考える、道路五カ年計画、五年間に七十八兆円も使われるものについては、どのぐらいは少なくとも縮減しないとほかのものに回っていかないだろう、そういう御方針は総理自身でお持ちになるべきじゃないですか。それが見えないから、小泉内閣というものに対しての信憑性が疑われていると私は思いますよ。御答弁ください。
小泉内閣総理大臣 そこの辺は意見が違いますね。漠然たるものがいい場合があるんです。あいまいなままの方がいい場合があるんです。最初から具体論を出したら、ぶっつぶれますよ。そこは政治的技術の問題です。経験の問題です。今、前原議員の言ったことだったら、最初からできるものもできないです。ここまで一年間苦労して持ってきて、総理というのは方針を示せばいいんです。個別の技術論まで言うべきじゃない。私はそう思っています。全く意見が違う。漠然たる、大まかな内容だから意味があるんです。
前原委員 そういう問題を言われると、郵政の問題とか個別の問題でははっきりおっしゃっているので皮肉を言いたくなりますし、道路特定財源の問題とかあるいは五カ年計画の見直しというのは、技術論じゃありません。本質論です。この高速道路を議論するときに、そこを議論せずして、あるいはそこの改革をしっかりと示さずして、民営化だけして国費を入れてやりますということになったら、もっと採算の悪いところを大手を振って道路がつくられる状況というものが温存される、民営化がむしろあだになる、だから言っているわけで、技術論じゃありませんよ。そのことだけ指摘をしておきたいと思います。
 時間がなくなってきましたので、もっと幾つか質問したいわけでありますが、もう一つ、ぜひともこだわっておかなければいけない問題がありますので、その点について総理の見解をお聞きしたいと思います。
 ゆめゆめ、民営化推進委員会で議論をするという言い方をしないでいただきたいと思います。これは、上下分離かあるいは上下一体かという問題なんです。
 これはなぜ総理御自身に伺わなくてはいけないかということは、先ほどの、むだな道路をつくらせないというところの議論にかかわってくる問題だから私は申し上げるわけです。
 つまりは、一体方式になると、地べたを管理するところも、あるいは運営をするところも、新たな建設をするところも、基本的にはそこが責任を持つということになりますので、かなり採算性を重視した議論あるいは運営というものを行っていかれると思いますが、上下分離方式になりますと、下は大体の部分が公の機関。そうすると、さっきの話に、もとに戻りますけれども、国費を投入してもどんどんつくり続けて、民営化された上の機関はその維持管理に終始をしますから、民営化としてはうまくやれるんでしょう。しかし、そもそも論に戻りますけれども、上下分離ということを採択してしまえば、先ほどの国費によって道路がつくり続けられる懸念というものが払拭できません。
 総理は、もちろん民営化推進委員会で議論をされる本質的な問題だと思いますけれども、御自身のお考えとしてはどちらが望ましいと思っておられるのか。これは石原大臣にも伺いました。藤井道路公団総裁にも伺いました。総理にもこの点、御自身のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、それは第三者委員会で議論して決めていただければいいと思っています。本質的な問題とは思っていません。民営化する、特殊法人等整理合理化計画に沿って民営化、後は上場を目指すという議論でそれは解決されるべき問題だと思います。
前原委員 生意気な言い方ですけれども、技術論は任せればいいということをさっき特定財源や五カ年計画でおっしゃいましたけれども、余りにも細かなところまでに関心がなさ過ぎますよ、総理、失礼ですけれども。つまりは、上下分離か一体かというのはこの問題の本質的な議論なんです。
 私は、石原大臣と議論をさせていただいたときに、今までのケースを幾つか申し上げました。電力、これも上下分離方式というものを模索されたけれども、地域分割案が採用された。国鉄の民営化にしても、当時の運輸省は、自分たちの権限を温存しようとして上下分離方式を、そのときの運輸大臣の名前をとって小坂私案ということで出してきた。しかし、本当に民営化するためには何が必要かというところで、結果的には一体にしたわけです。地域分割一体化にしたわけです。
 これは、具体的な方向性というものを持っていないと全くしり抜けになってしまう、本質的な問題だというふうに私は思っています。決して、技術的な問題、任せればいい問題だというふうに思わないでいただきたい。まずはその認識を改めていただきたいと思います。
 その上で、もう一度伺います。
 なぜこれが本質的な議論かというと、上下分離にしてしまうと、下を管理する国あるいは公の組織というものが国費を投入する中で道路をつくり続けてしまうわけです。ということになれば、先ほどまさしく総理がおっしゃった、むだな投資はさせない、今のままでいくとどんどんむだな高速道路ができてしまうというところが温存されたまま、上だけが民間の会社になってしまう。その上は、総理がおっしゃったように上場できると思いますよ。簡単ですよ、維持管理会社になるんだったら。そうではなくて、やはり民営化という趣旨のむだな投資はしないという観点に立てば、上下一体方式でしか選択肢はないと私は思いますよ。
 もう一度、総理、その辺は、民営化推進委員会に丸投げすることなく、ぜひ自分としてはこう思うということがあれば、なければ結構ですが、あればお答えをいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私よりはるかに専門的な見識を持った人を選任したい、その第三者委員会に任せたいと思います。
前原委員 では、お伺いしますが、その第三者委員会、新聞等の報道では、与党あるいは道路調査会の会長、我々風に言わせてもらえれば道路族とも話をして事前調整するということがちまたで言われていますが、そうされるんですか。それとも、総理が七名をみずから、この人が自分の改革をするにふさわしいメンバーだということでお選びになるんですか。そのことについて、最後、御答弁をいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 いろいろな方々の意見を聞きながら、改革意欲に富んだ、すぐれた見識のある人を私自身選任したいと思います。
前原委員 すれ違いもありますし、時間も終わりましたので、これでやめさせていただきますが、この人選、そしてその中で議論されて出てきた結果、これが小泉改革が本当に本物であるかどうか、それが問われる。これだけみんな真剣に議論してきて、技術的なことまで国民の前に明らかにしたことですから、国民の目はだませませんよ。ぜひ、本当にそういう思いを持っておられるなら、いい人を選んでいい結論を出すように、そこは、信じているとは言いませんが、期待をしておりますので、そのことを申し上げて、質問を終わります。
大畠委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。
 次に、工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございます。
 小泉総理が誕生してもうすぐ一年になります。華々しいデビューを飾った内閣だったわけでありますけれども、肝心の構造改革も思ったほど進んでおられない、また、種々の要因によって内外ともに不支持が増しつつあるように思えてなりません。
 そこで、まず最初に、小泉総理が総理に就任される前から郵政三事業の民営化を唱えてこられたわけでありますが、この民営化の先兵の役を果たすと思われた信書便法案が自民党の総務部会で立ち往生にある、このように聞いているわけでありますが、総理の郵政民営化に対する今後の進め方について、まず民営化という観点からお尋ねをさせていただきます。
小泉内閣総理大臣 現在、郵政公社化法案と、郵便事業に民間企業が参入できるような信書便法案、これを早く国会に提出できるよう手続を進めておりますが、現状、率直に申し上げますと、自民党の部会でなかなか審議いただけないといいますか、民間参入に対する反対論が強いということで、難航しているようであります。
 しかし、私は、この公社化法案と信書便法案、民間参入を促すこの法案は、一緒に出すように片山大臣にも指示しておりますし、自民党の部会が圧倒的に反対だということは聞いておりますが、あくまでも部会であって、自民党議員多数がこの信書便法案に、民間参入を促す法案に反対とは思っておりません。でありますので、これは政府としては一緒に出す方針で今準備を進めております。
工藤委員 部会が圧倒的に反対でも、全体的にはそんなことはないと思うといったようなお考えのようでありますが、普通はそういう考えにはなかなかなれないと思うのであります。
 次に、総理の特殊法人に対する民営化の定義なり概念をお聞かせください。
小泉内閣総理大臣 これは、たびたび申し上げてありますが、民間でできることは民間でやってもらおうということでそれぞれ特殊法人を見直しているわけでありまして、今まで道路公団も、民営化なんかできるわけないだろうと言っていたものが、大体民営化には大方の賛成を得てきた。今回も、今御指摘いただきました郵便事業にしましても、いまだに民間なんか参入させないという意見がある中を、これは民間でもできるんだということで今調整を進めていますし、私は、よく考えていただきたい。法案を出して、本当に民間でできないのか、役所じゃなきゃできないのか、役人じゃなきゃできないのか、民間人ではできないのかということを、よく国会議員の皆さん、与野党を通じて議論していただきたい。そういう観点から、民間でできることは民間にやってもらうというのが特殊法人改革の原点であります。
工藤委員 本法案で、民営化を前提として道路関係四公団を新たな組織に変えるとしているわけでありますが、この場合の民営化とはいかなる形態を想定しておられるんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 民営化についてもいろいろな形態があると思いますが、特殊会社などというのも民間でありますから、特殊会社という民営化もあると思います。あるいは民間法人化、完全民営化、あるいは地方共同法人化、いろいろな民営化の形態があると思いますが、私は、民営化を前提とした新たな組織ということについて、特に今道路公団の民営化を考える場合には、最終的には上場を目指すべきだ、これが筋だと思っております。
工藤委員 最終的にはというようなことになれば、どの辺が最終的な、時間的なものでありますけれども、その間にいろいろなものをやって形をどんどん変えていって最終的といったような、例えば政府が全株を持つ特殊会社、今特殊会社と言われましたから申し上げるのでありますが、そういうのも今の段階から想定をしておられるんだろうかというようなことを疑問に思ったりもするわけでありまして、最終的にはというのは、総理は先ほど来、余り疑うな、もう任せておけと言わんばかりのことをおっしゃっているわけでありますけれども、そういう点で非常に心配というか、本当にちゃんとできるんだろうか。
 例えば郵政の問題等も、いわゆる抵抗勢力というのが強い中で、果たしてきちっとしたものができるんだろうか、そういう心配で今いろいろなことを申し上げてお聞きをしているわけでありますので、短絡的に、任せておけといったようなぐあいで考えても、これはどうも本当に心配だといったようなことなものですから、その点はひとつ御理解をいただきながらやっていただきたいと思います。
 また、第三者機関を設置して民営化を検討するとしているわけでありますが、閣議決定した整理合理化計画に基づくことが前提となっております。その中で償還期間を五十年と規定しているわけでありますので、民営化の論議をするに当たって五十年を念頭に置いて論議をされるということになるわけでありますが、民営化の論議に足かせになるのではないかというような気がするわけでありますけれども、いかがなものでしょう。
小泉内閣総理大臣 御心配いただくのはありがたいんですが、五十年後、上限なんですよ。短くして結構なんですよ。
 それは私は、民営化して上場を目指すという方針の中で、よき経営者、これも大事だと思いますね。私は、この第三者委員会の人選も大事ですし、結論も大事です、同時に、それが民営化された場合の経営者にどういう人を持っていくか、これも大変重要だと思っております。
 要は、民営化するからには上場を目指す、これが私は目指すべき筋道だと思っております。その方向に持っていきたいと思います。
工藤委員 五十年が上限。確かに、今の時点でそうだと思います。しかし私は、借金を返すのに三十年とか四十年とか、どんどんと五十年にもなった。何が上限か。これは、今後のこの民営化のときの五十年ですから、これまでのとは違うと言えばそれまでですけれども、そういう点でも、何か行き詰まれば年数をふやせば何とかかんとかなるといったような、そういう今までのやり方をどうも心配というか疑問に思っている一人でありますが、これからの質問も、また、これまでもそうですけれども、いわゆる前の質問者と大分重複する点があると思いますけれども、お聞きをしてまいります。
 新たな組織によって建設する路線は、直近の道路需要、今後の経済情勢を織り込んだ費用対効果分析を行い優先順位を決定するとしながら、個々の路線の建設については国土交通省に決定権があるという点、極めて不可解でありまして、この点で御答弁をお願いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、いかにすぐれた見識を持った委員の方でも、個別路線までは、そこまではなかなか決定できるには難しいと思うのです。ですから、大枠、前提をもとに、個別路線においては、その意見を踏まえて国土交通省が決めていくということが適切ではないかなと思っております。
工藤委員 まだまだ質問申し上げたかったのですが、終了という紙が来ましたので、この辺で質問をやめさせていただきます。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 道路四公団の改革というのなら、本州四国連絡橋公団の巨額の赤字と返済のめどが立たない事実など、巨額の赤字をつくった原因と責任を明らかにすることが大事だということをこの委員会でも言ってまいりました。
 総理は本会議で、大規模プロジェクトのあり方や過去の反省に立った改革であると答弁され、海峡横断道路プロジェクトについては、その必要性を含め慎重に検討するという答弁をされました。この六大架橋の調査費は九四年度から九年間に四十五億六千八百万円を超えておりますが、見直すというのであれば、まず計画それ自体を凍結し、予算も凍結すべきではないかと思うのですが、その考えは持ってはりますか。
小泉内閣総理大臣 今後、財源の状況が厳しい中で、海峡横断プロジェクトの問題につきましても、その必要性とかあるいはコスト、そういう点を慎重に見きわめる必要があると思っております。
吉井委員 やはり、まず、見直すということであれば、予算の凍結、そういうところから始めていくというのが出発だと思います。
 次に、総理は、今度の民営化推進委員会の設置で、高速道路建設はこれまでの計画どおりには進まない、むだな道路はつくらないという趣旨のことを言っておられますが、国土交通省の試算では、先ほど来議論がありましたが、上限が五十年償還なら計画の大体六、七割はできる、コスト削減すればほぼ計画どおりできるということになってきますが、個別路線の方は国土交通省の国土開発幹線自動車道建設会議が決めるということを、与党三党幹事長の確認文書でもそうですし、この確認文書の前日の自民党三役と道路調査会長らの確認文書案でも明らかにされております。
 ですから、結局、この計画道路の建設はこれまでとほとんど何も変わらないということになるのじゃないかと思いますが、この点を次に伺っておきたいと思うのです。
小泉内閣総理大臣 結論から言えば、今までどおりというわけにはいかないと思います。いろいろな、採算重視あるいは財政状況、財源状況を見れば、今までの公団を前提にした計画、これがそのとおり進むとは私は思っていません。
 要は、新たな民営化形態になって、道路財源も限られた中で、必要性等、あるいは今後の発展可能性、道路交通事情、需要もあると思いますけれども、金利等、いろいろな観点から基準を示せば、その基準から外れたような道路建設は政府としてもとり得ないんじゃないか。でありますから、今までの既定方針というもののとおりいくとは思っておりません。
吉井委員 総理はそう思っていないということですが、しかし同時に、国土交通省の試算の中では、計画の六、七割、コスト削減で大体計画どおりという試算も出されておりますし、どの路線を個別に決めるかとなりますと、確認文書等でも示されておりますから、そうなるとは思わないとおっしゃるが、しかし、結局この流れの中ではこれまでどおりでほとんど何も変わらないということになってくるだろうと思うのです。
 次に、民営化問題を伺いたいと思うのですが、民営化は採算がとれることが条件になっていますが、本会議答弁などでも、新たな組織は民営化を前提とすると答弁をされました。そうすると、道路四公団の約四十兆円のこの巨額の負債、あるいは赤字路線でなかなか民営化に乗らないものですね。けさの参考人質疑の中で、やはり民営化ということであれば、採算に乗るものを選ばなければいけませんから、巨額の負債とか赤字路線については、これは結局は国鉄の清算事業団などをイメージしたようなもの、つまり、そういうことでないと民営化ということにはなかなかつながっていかないというふうに思うのですが、では、この巨額の負債と赤字路線、これらの扱いはどうしていくお考えなのか、これを次に伺いたいと思うのです。
小泉内閣総理大臣 これは、今後、第三者の委員会においても大変重要な議論の対象になると思います。赤字路線をどうするか、赤字路線を税金を投入してまでつくる必要があるのか、採算はどうなのかということは、当然大きな議論の対象になると思っています。私は、そういう委員会の意見を踏まえて、それでは国として、政府としてはこの道路をどうするかという議論が持ち上がってくるのでありまして、国民の方も、そこまで税金を投入してつくる必要があるかどうかという点は、いろいろな委員会でも議論の対象になってくる。要は、客観的な基準といいますか、それを示すことによって、その意見を踏まえて国としては道路の建設のあり方ということを考えていくべきではないかと思っております。
吉井委員 今総理おっしゃったのは、これから赤字のものの話なんですよ。現に約四十兆円の巨額の負債が生まれていて、先日も委員会で議論しましたが、現に赤字路線、実際には計画に対して実績値が三〇%、四〇%台だとか、こういう道路はあるわけです。それが民営化となったところで、今度は、総理が以前から言っておられる民営化は採算性がとれることが条件ということですから、これは採算に乗らないわけですから。そうすると、この四公団の巨額の負債の多くの部分、それから赤字路線の扱いをどうするのか、現にあるものについて伺っておきたい。それが今の質問です。
小泉内閣総理大臣 これは、具体的な議論の中で、特殊法人等整理合理化計画にも明記して、例えば本州四国連絡橋公団について、「日本道路公団と同時に民営化する。なお、債務は、確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理することとし、道路料金の活用も検討する。」と。
 ですから、当然、第三者委員会においても、こういう赤字路線についてはこの整理合理化計画に沿って議論しますから、具体的な赤字路線については、先ほど申し上げましたように、採算性も重視しますが、必要度あるいは財政状況、そういう点も勘案しながら結論は出てくるのではないかと思います。
吉井委員 結局、そうなりますと、もともと採算のとれないものについて、それはもう税金負担、国民負担になってくるということになる、これが今のお話でわかりました。
 四公団の質疑でこれまで明らかになってきたことは、別な角度からいいますと、やはり改革を言うのならば、政官業癒着など腐敗の温床を一掃することだという議論もこの委員会で随分なされました。少なくとも、公共事業を請け負う業者からの政治献金禁止は当然ですし、総理の本会議答弁でも、法整備を含め、もう一段踏み込んだ仕組みを考えることが必要だという答弁がありました。
 そこで、この国会で公共事業を請け負う業者からの政治献金禁止は実現する、そういう決意を持っていらっしゃるかどうか、そのことを伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 いろいろと、政治家と公共事業受注に関する問題が国民の不信を招いている面もありますので、私は、現状でいいとは思っておりません。もう一段踏み込んだ対応が必要ではないかということで、今、与党でも検討を指示しておりますし、今国会中にもう一段の改善策を講じたいと思っております。
吉井委員 それでは最後に、総理は、疑惑を持たれた者はみずから説明せよといつも口にしておられますが、それなら、みずからに疑惑が呈せられたときにはきちんと説明されるかどうか、このことを最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、いつも答弁席に立たされていますから、いつでも説明責任を持っているのですよ。みずからの疑惑はみずからがきちんと説明します。
吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
大畠委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子さん。
北川委員 社民党の北川れん子といいます。
 まず初めにお伺いしたいのですが、この百五十四国会も、あと残すところ二カ月となりました。また、多くの法案が閣議決定されていますが、今首相の頭を占めている法案、例えば、言いかえていくと、今この法案が成立したら楽しいなと心を占めている法案ですね、どれか、もしありましたら教えてください。
小泉内閣総理大臣 今この委員会に出ていますから、今考えていることはこの道路公団の民営化法案であり、その前は本会議で健保法の法案が審議されましたし、いろいろな法案が頭を占めております。どれも真剣に対応しなければなりませんし、できるだけ今国会中で、皆さんの御同意を得て成立させたいと思っております。
北川委員 数の上からいけば、多数決でやる国会の中で御同意はすべて受けていけるということは、もう首相のお心の中にはあるのかなという気がするのですけれども、私が拝見していて、例えば、本会議場でペーパーを持った形で御答弁されるのを見ていまして、首相はいつも同じ答えが返ってくるなと思っていたのですね。きょう、初めて一時間半、委員会で質疑をされている様子を見させていただいて、ペーパーなしでも同じ答えで返ってくるというのを感じました。これは首相にとっての防衛ですか。
小泉内閣総理大臣 質問が違えば答弁も違いますよ。質問が同じで答弁が違ったらおかしいでしょう。同じ質問をされれば同じ答弁しかできようがありません。そう思いませんか。
北川委員 私は、きょうの他の四委員の質問というのは、いろいろな角度から言っていらっしゃったと思います。同じところに到達点はあるにせよ、いろいろな角度の、三百六十度の言い方をもってされていた質問に対しての答えが、同じ帰結の言葉、例えば、当初でしたら小泉首相はいつも、やってみなければわからないとおっしゃった。きょうも、第三者委員会が決めることだとおっしゃる。そういうことをあらわして言ったのですが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 それは、やってみなければわからない時点もあるでしょう。やってみてわかるという場合もあるのですよ。
 今、どういう質問か、私はちょっと理解しがたい面もあるのですが、現時点で明らかにできるものとできないものがあると思います、それぞれの法案について、考え方について。そういう点について、私は率直に答弁しているつもりなのです。わかる点ははっきりとわかる、あるいは明らかにできる点は明らかにしている。明らかにしない方がいいものはしない方がいい。やってみなければわからないものは、やってみなければわからない。
 私は率直に答弁しているつもりなのです。それをどうとるかは御自由ですけれども、私としては誠心誠意、わかるものについてもわからないものについても、率直に答弁しているつもりであります。
北川委員 私は、それをある意味で、議論を重ねるのが国会、言論というもので、いろいろな数値や分析をしながら、社会現象の予見性も含めてやっていくときに、深まらないといったことをお伝えしたくて今の前段で使わせていただいたのです。
 例えば、今おっしゃる民営化形態、まさにこの法案なのですけれども、第三者機関にゆだねるという形でこの法案を提案されました。これというのは、報道では妥協だというふうに報道する面もありますが、小泉首相にとってはこの設置法案というのは何だったのでしょうか。
小泉内閣総理大臣 どこが妥協だというのかはわかりませんが、この一年間、ようやく民営化法案が国会で審議され、きょう委員会で採決する運びになったんですね。着実に進んでいる、私はそう受けとめております。
 第一、私が総理に就任する前、道路公団民営化なんという議論が国会でありましたか。法案を出せるという状況になると思った人たち、いましたか。いなかったでしょう。着実に、一年間たって、方針が形になってあらわれているんですよ。
 第三者委員会がわからないわからないと。人選を見ればわかりますから。今、明らかにしない方がいい場合もあるのです。
北川委員 ということは、自信を持った、もう七人の委員をお決めになっているのだということをあえておっしゃったと思うのですけれども、ここに「小泉語録」という、去年の九月に出ている本があるのです。九二年の郵政大臣の折に、今まさにおっしゃった、民間ができるところは民間にやればいいというのは昔からのお考えであったということを、これを読んでいるとよくわかったのです。
 その中に、終着点は半官半民という言葉も出てきて紹介されているのですが、きょうの議論を聞いておりまして、どこかで危うげだなというふうに思いました。目指すは株式上場とおっしゃるのですが、お心の中に半官半民というのがあるのじゃないですか。
小泉内閣総理大臣 私は、今まで答弁しているように、民営化するからには上場を目指すべきだ。上場会社が半官半民ということはないと思いますけれども、また、半官半民というのはどういう形態か、私は、委員がどういう形態を想定しているのか今わかりませんが、民営化するからには上場を目指すべきだ、私はそう思います。
北川委員 何か、こうおっしゃっていたらしいのですよ。「特殊法人はまず半官半民の会社にし、トップ官僚を総裁に据えれば両方の理解を得られよう。」というような話もされていたというのが載っていたものですから、それでちょっと聞かせていただきたかったのです。
 政治を長くやっていらっしゃってトップに行かれた首相が最も悲願とされていると言われている有事法制、日本国土を戦時体制に変えていくという関連法案を三法、十七日に提出されたわけですけれども、こういう戦時体制の時代に入りまして、株式会社、特に負債を抱える株式会社に手を出そうという、そういうような企業家がいると思われますか。
小泉内閣総理大臣 民間にはできないと思っていたから、今まで特殊法人の必要性が叫ばれていたわけでしょう。特殊法人も民営化できるという人の声を尊重しようということで小泉内閣は進めているんです。
 役所がやった方がいいという人も今でもいます。民間よりも役所の方が信用できるという方もいます。しかし、現実の姿を見ると、むしろ民間人でもできるものは民間にやらせた方が国民のプラスになると思っているからこそ、今役所が経営、運営している特殊法人も、民間でできるんだったら民間にやってもらおうということで今やっているわけです。
 見方はいろいろなんですが、今、有事法制を戦争準備法案と言いましたけれども、これはまた見方が偏っているんじゃないですか。備えあれば憂いなしと私は思っているんですが、備えあると憂いがあると思う人も中にはいるんだなと、最近、ちょっと感じてきましたけれども、それは我々がとる方針ではありません。
 やはり、人にとっては、いろいろな法案の見方、角度によっては随分意見の違い、とり方の違いがあると思うんですが、それだけに、意見を聞いて集約していくというのも政治の面では大変大事なことではないか。一〇〇%全部が賛成するのは難しいと思いますが、できるだけ意見の違いを議論の中で闘わせながら大方の賛成を得る努力も必要ではないかと思っております。
北川委員 今どこかで笑い声が聞こえてきたんですけれども、有事法制というのは戦時体制をつくるということですよ、明らかに。法案にそうなっていますよ。ですから、それは辞書で引いてもそうなわけで、有事法制というのは戦時体制にする中でという限定で。
 ですから、私が言ったのは、日本国憲法の前文と九条のすき間ができた段階で、道路というのは国営の方がいいんじゃないんですか。
大畠委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので、今のことについて……。
小泉内閣総理大臣 急に有事法制と道路になりましたけれども、戦時体制をつくるというんじゃないんです。非常時になった場合どういう対応をするかということを考えるのが有事法制の基本的な考えでありまして、この道路の場合は、有事法制と今どういう関係があるのかと言われてもちょっと、どうやって答弁するのか、質問者の意図について私としても正確に把握しがたい点がありますので、答弁は差し控えたいと思います。
北川委員 どうもありがとうございました。
大畠委員長 これにて北川さんの質疑は終了いたしました。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 この際、本案に対し、細野豪志君外三名から修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。細野豪志君。
    ―――――――――――――
 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
細野委員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となっております道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に対する修正案について、その提案理由と概要を御説明申し上げます。
 まず、誤解を受けないようにこれだけは特に申し上げたいのですが、民主党は、道路関係四公団の民営化に賛成であります。そもそも、政府の特殊法人による高速道路整備は、需要は常に過大に、費用は過小に見積もられ、財投等から借り入れることで何十年か先につじつまが合う形をつくり、結果的に次の世代にツケを回すシステムであります。これにメスを入れることは、政治家として当然の義務であります。
 では、なぜ今回、原案に反対するのかと申し上げますと、もはや小泉首相の改革に対する姿勢に信頼を置くことができないからであります。小泉首相は、抵抗勢力の象徴である自民党道路族の圧力により、日本道路公団における償還期限を三十年から五十年に延長するなど、民営化を骨抜きにしております。このような後退の姿勢では、本法案により設置される委員会の実効性にも期待は持てません。
 本法案の内容についても、先送りのための単なる委員会設置法にすぎず、目的や理念が明確でありません。また、高速道路建設の内容についても、「整理合理化計画に基づき、」という表現だけで、非常に不明確であります。
 我々は、内閣委員会の質疑、答弁を通じて、政府が個別路線建設について縛りをかける基準を作成できるかどうかなどを見きわめようといたしました。しかし、政府が本気でこれらの改革に取り組もうとする意思はないと判断せざるを得ませんでした。よって、民主党は、修正案を提出することで真の改革、民営化を目指します。
 以下、修正案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、委員会の目的を新たに明記しております。修正案によって設置される委員会は、経営の効率化、経営責任の明確化、採算性の確保及びサービスの向上を図ることを基本としております。これらを前提とすることで初めて、日本道路公団等に対する大胆な民営化の推進が期待できるのであります。
 第二に、委員会を、単なる諮問機関である審議会、すなわち八条委員会ではなく、国家行政組織法上のいわゆる三条委員会と位置づけております。独立性の強い行政機関とすることで、道路の建設に対して公正中立な審議が期待でき、委員会の意見に拘束力が生まれます。
 第三に、委員会で基準のみを策定し、その後の作業を国土開発幹線自動車道建設会議に丸投げするという仕組みでは、実質的な決定権を国幹会議にゆだねることになってしまいます。国幹会議の前身である旧国幹審のばらまき体質への逆戻りを防ぐためにも、基準のみならず、個別路線建設の優先順位についても審議対象とすることを明記しております。
 第四に、委員会は、国民の権利義務にとって非常に重要なかかわりを持つ組織であります。にもかかわらず、委員の任命に国会同意を不要とすることは不適切であります。国民に対する説明責任を確保する意味から、国会同意を求めることを明記しております。
 以上が、修正案の提案理由と概要であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をいただき、成立が図られますようお願い申し上げます。
大畠委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。阪上善秀君。
阪上委員 自由民主党の阪上善秀でございます。
 私は、自由民主党、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、修正案に反対し、原案に賛成の立場から討論を行うものであります。
 高速道路は、全国的な自動車交通網の枢要をなす根幹的なインフラであり、そのネットワークの整備は、我が国経済の発展、国民生活の利便性の向上を図る上で極めて重要であり、今後とも必要なネットワークについては、着実かつ効率的に整備を図っていく必要がございます。
 これまで、日本道路公団を初めとする道路関係四公団は、我が国の自動車交通需要の増大に対応し、有料道路制度を活用し、高速道路ネットワークの整備に大きな役割を果たしてきたことは論をまたないところでございます。しかしながら、右肩上がりの経済成長が終わりを迎え、有料道路の一部に、採算性の確保が困難と思われるものや、償還の見通しが厳しいと思われるものが見受けられるようになってきており、今後、これまでのような交通需要の大きな伸びが期待できない状況を踏まえると、高速道路建設にとりまして、採算性の確保が大きな課題となってきているのも事実であります。
 このような状況認識のもと、道路関係四公団については、民営化の推進によってコスト意識の徹底が図られ、採算性を重視した事業経営が行われる等のメリットが生じると考えるところから、昨年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画においては、新しい組織は民営化を前提とする、国費を投入しない等の基本方針のもと、この具体的な内容については第三者機関において検討することとされたところであります。
 本法律案は、その第三者機関として、四公団にかわる新たな組織及びその採算性の確保について検討する道路関係四公団民営化推進委員会を設置するという、まことに時宜にかなった法律案であり、その成立を強く望むものであります。
 また、この法律案においては、委員会はこの整理合理化計画に沿って調査審議を行う旨が規定されており、極めて明快な理念、目的のもとに今後調査審議が進められるものと考え、賛成を表するところであります。
 また、この委員会は、内閣府に設置され、内閣総理大臣に意見を述べることとしており、内閣総理大臣のリーダーシップのもと、政府を挙げて道路四公団の改革に取り組む姿勢を明確に示すとともに、既存の仕組みとの関係においても、屋上屋を架すことのないよう注意深く整理されたものであり、いたずらに行政機関を増加させないという行政改革の観点からも高く評価する次第であります。
 以上申し上げた点にかんがみれば、提出された修正案については、全くの無用のものであることは明らかであります。
 最後に、この道路関係四公団民営化推進委員会において、小泉総理によって選任されたすぐれた識見を有する方々の英知を結集して、四公団の民営化によって得られるさまざまなメリットを国民一人一人が享受できるよう、そして活力ある地域社会の形成に不可欠な高速道路が今後よりよい形で整備されますよう強く期待いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
大畠委員長 次に、野田佳彦君。
野田(佳)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提案の道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に反対し、民主党提案の同修正案に賛成の立場から討論を行います。
 まずは、民主党・無所属クラブが、道路関係四公団については実のある民営化をすべきであるという基本的な方針であることを明確にしておきたいと思います。
 しかし、政府原案は、自民党・道路族との妥協の産物とも言える特殊法人等整理合理化計画という玉虫色の政治文書に基づく、改革先送りための単なる委員会設置法にすぎません。加えて、内閣委員会でのロングランとなった質疑、答弁を通じて、残念ながら、小泉内閣の改革意欲はみじんも感じられませんでした。そのことを強く指摘させていただいた上で、以下、政府案の主な問題点を挙げさせていただきたいと思います。
 第一に、理念や目的についての規定が存在しません。だから、民営化の本質にかかわる上下一体か上下分離かという組織形態の大方針まで委員会に丸投げせざるを得ない状況となっています。
 第二に、委員会を国家行政組織法第八条の機関と位置づけており、独立性に欠けます。
 第三に、委員会の所掌事務の範囲について、個別路線の建設計画の見直しは求めず、判断材料となる基準の作成にとどめています。
 第四に、委員の任命に係る国会同意を不要としています。
 これに対する民主党の修正案は、第一に、道路関係四公団の経営の効率化、経営責任の明確化、採算性の確保、サービスの向上など、冒頭に理念や目的規定を盛り込んでいます。
 第二に、委員会を国家行政組織法第三条に基づく機関と位置づけ、それが単なる諮問機関である審議会ではなく、独立した行政機関であるということを国民に対して明確に示しています。
 第三に、所掌事務の範囲について、基準のみならず、個別路線の優先順位についても審議対象としています。
 第四に、委員の任命については、堂々と国会同意を求めることとしています。
 以上の点から、私は、政府原案に反対し、民主党修正案に賛成の意見を表明して、討論を終わります。(拍手)
大畠委員長 次に、工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございます。
 私は、ただいまの議題に対し、政府原案に反対、民主党提出の修正案に賛成の立場から討論をいたします。
 我が党は、現下の経済社会の状況に照らし、徹底した行政改革を進め、小さな政府の構築を目指しております。そのためには、国民の目線に立って、政治主導で改革を迅速に行うことが何よりも大切であると主張してまいりました。
 小泉総理は、就任早々、大統領的リーダーシップを持って構造改革に取り組む姿勢を見せました。しかし、今回の法案提出に見られますように、第三者機関で審議、検討という従来の政治手法から一歩も抜け出せず、その結果に期待することはできません。
 さらに、政府原案は、法律としての骨格を形成する理念や目的を明記せず、所掌事務に関しても極めてあいまいな規定になっております。
 同時に、民営化に関して、あらゆる観点から第三者機関での検討にゆだねるならまだしも、幾つかの前提条件を付して論議に制約を課しており、到底国民の期待にこたえられる意見が出されるとは思われません。
 民主党の修正案は、これらの点を明確にして、法律要件も立派に満たしております。よって、政府原案に反対、修正案に賛成の立場を明確にして、討論を終わります。(拍手)
大畠委員長 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 私は、日本共産党を代表して、政府提出の道路関係四公団民営化推進委員会設置法案に反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、民営化推進委員会には、むだな高速道路建設をやめさせるという権限も保証もないことです。
 個別路線の決定権は国土交通省の国土開発幹線自動車道建設会議に譲り、高速道路建設の重要なポイントとなる借金返済期間を五十年上限とするなど、残る計画の実施を可能にする条件をつくりました。一方、推進委員会の所掌事務は民営化した四公団の採算性の確保に限定しており、これではむだな道路建設の中止を求める国民の期待にこたえることはできません。
 第二は、破綻が明らかなこれまでの道路計画に政府が固執し、従来の計画を根本的に見直そうとしていないことです。
 今日の高速道路建設計画はバブル景気の上り坂にあった時期につくられ、当時の経済見通しと今の経済状況は大きく変わっており、国民世論も変化しています。国の財政は危機的状況にあり、国内総生産、交通量、料金収入は大幅に落ち込み、そのために巨額の借金ができました。現行の高速道路計画の合理的根拠は失われています。高速道路計画を一たん凍結して抜本的に縮減するべきであります。
 第三は、政府の民営化方針は、四公団の巨額の借金と赤字路線の負担を国民と地方自治体に押しつけることになるからです。
 政府の民営化の考え方は、採算性が高いところだけを民営化するもので、民営化した企業が採算の高い道路で大きなもうけを上げる一方、四公団の巨額の借金と採算のとれない赤字路線の負担を国民と自治体に押しつけるものとなります。
 第四は、政官業の癒着と利権構造に抜本的メスを入れていないことです。
 道路関係四公団の役員の七割以上を天下り官僚が占め、道路公団の子会社の役員を建設省、道路公団出身者が占め、その企業が道路関係の仕事を独占する、こうした癒着と利権構造は断ち切られていません。また、公共事業受注企業からの献金禁止についても、一向に進展が見られません。
 なお、民主党の修正案については、考え方に違いがあり、反対することを述べて、討論を終わります。
大畠委員長 次に、北川れん子さん。
北川委員 私は、社民党・市民連合を代表いたしまして、政府提出の道路関係四公団民営化推進委員会設置法案及び民主党提出の修正案につきまして、いずれも反対の立場から討論を行います。
 政府案に反対の第一の理由は、特殊法人改革の進め方の問題です。
 小泉政権の進めている特殊法人改革は、特殊法人が担っている事業、業務が国民にとって必要かどうか、廃止、縮小が本当によいのかといった政策的な精査がほとんどなされないまま、組織論、経営形態論をどうするのかに終始しました。
 本来改革すべきは、特殊法人等の経営破綻や行き詰まりを生み出した温床である政官業癒着と自民党族議員、特権官僚の支配構造であり、子会社、ファミリー企業の問題や天下りなどに大胆なメスを入れなければならなかったはずです。しかし、政治家、官僚、財界内の利権、権益の争奪戦を改革派対抵抗勢力という構図として演出し、すべての責任を特殊法人とそこで働く労働者や利用者、国民に押しつける小泉改革は、国民の望む改革の名に値するものとは言えないと考えます。
 反対の第二の理由は、公団のさまざまな問題点を改革するのになぜ民営化でなければならないのかという問題です。
 委員会は、民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査審議するものとされているだけであり、かえっていいとこ取りされるおそれが多分にあります。経営形態以前に、もともとの道路整備計画のあり方や必要性等を見直すべきであり、新たな組織についても、採算面からだけではなく、地域振興や格差の是正、環境、総合交通政策の観点からの議論がなくてはならないと考えます。
 反対の第三の理由は、民営化推進委員会の人事の問題です。
 委員については、当初は与党からも国会同意人事とすべきと主張されていましたが、法案では国会の同意は不要とされ、総理に一任されています。しかし、小泉改革の大きな目玉が道路公団の改革であり、しかも公正中立な人選をすると総理が言っておられるのであれば、なおさら国会の同意人事とすべきであると考えます。委員の人選も含め、政府の第三者機関に白紙委任するやり方は問題であると考えます。
 なお、民主党提出の修正案は、委員を国会同意人事とするなど、政府案に比べた改善は評価されますが、民営化推進の方向性を変えるものではないことから、賛同できません。
 民営化すればバラ色の未来というのではなく、諸外国の規制緩和の負の経験に学ぶべき点も多いということを最後に申し上げ、反対討論を終わります。
大畠委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、細野豪志君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大畠委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大畠委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
大畠委員長 この際、先刻の理事会の協議に基づき、委員長から一言申し上げます。
 本委員会における質疑の中で、質疑者から政府に対し、何点かの資料の提出を求める議論があったことを踏まえ、道路関係四公団民営化推進委員会に対して、この議論の経緯を伝えると同時に、同推進委員会の検討状況に応じ、本委員会における資料要求については努力するよう、委員長から、政府に対し要望いたします。
 以上であります。
 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石原国務大臣。
石原国務大臣 道路関係四公団民営化推進委員会設置法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。
 ただいま委員長からの御要望については、誠意を持って適切に対処いたしたいと存じます。
 ここに改めまして委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
大畠委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十五分散会


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