衆議院

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第10号 平成14年4月26日(金曜日)

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平成十四年四月二十六日(金曜日)
    午前九時八分開議
 出席委員
   委員長 大畠 章宏君
   理事 逢沢 一郎君 理事 阪上 善秀君
   理事 渡辺 具能君 理事 渡辺 博道君
   理事 野田 佳彦君 理事 細野 豪志君
   理事 河合 正智君 理事 工藤堅太郎君
      岩崎 忠夫君    小野 晋也君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      亀井 久興君    小西  理君
      実川 幸夫君    谷川 和穗君
      近岡理一郎君    西川 公也君
      原田 義昭君    望月 義夫君
      吉川 貴盛君    石毛えい子君
      仙谷 由人君    藤村  修君
      山花 郁夫君    山元  勉君
      横路 孝弘君    太田 昭宏君
      桝屋 敬悟君    吉井 英勝君
      北川れん子君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣         竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   内閣府大臣政務官     奥山 茂彦君
   内閣府大臣政務官     嘉数 知賢君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   江崎 芳雄君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    属  憲夫君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           清水  潔君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           瀬山 賢治君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局高
   齢・障害者雇用対策部長) 上村 隆史君
   政府参考人
   (農林水産省生産局畜産部
   長)           梅津 準士君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          太田信一郎君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房技術
   審議官)         白取 健治君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局次
   長)           伊藤 鎭樹君
   政府参考人
   (国土交通省海事局船員部
   長)           金子賢太郎君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十六日
 辞任         補欠選任
  古賀 正浩君     原田 義昭君
  阪上 善秀君     小島 敏男君
  谷本 龍哉君     小西  理君
  西川 公也君     吉川 貴盛君
  太田 昭宏君     桝屋 敬悟君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     谷本 龍哉君
  原田 義昭君     古賀 正浩君
  吉川 貴盛君     西川 公也君
  桝屋 敬悟君     太田 昭宏君
    ―――――――――――――
四月二十五日
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七〇号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七一号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出第七二号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五五号)(参議院送付)
 個人情報の保護に関する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第九〇号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七〇号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七一号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出第七二号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――
大畠委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官江崎芳雄君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁交通局長属憲夫君、法務省入国管理局長中尾巧君、文部科学省大臣官房審議官清水潔君、文部科学省大臣官房審議官瀬山賢治君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長上村隆史君、農林水産省生産局畜産部長梅津準士君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、国土交通省大臣官房技術審議官白取健治君、国土交通省総合政策局次長伊藤鎭樹君及び国土交通省海事局船員部長金子賢太郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございますが、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、今国会でまだ提案されていない欠格条項の見直し対象法の今後の取り扱いについてお伺いをしておきたいと思います。
 今国会で、平成十四年度までに障害者に係る欠格条項の見直しの対象とされた六十三の制度のうち、本法案関連並びに他の法案の形で六十の制度について見直しが行われることになるわけであります。残り、六十三引く六十ですから三制度なわけでありますが、省令と政令がありますから、残りの一法令、すなわち法務省所管の出入国管理及び難民認定法に係る欠格事由の見直しについてのみ取り残された形になっているわけでありますが、どういう理由でこれだけ残しているのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、その辺をお伺いしておきたいと存じます。
中尾政府参考人 お答え申し上げます。
 法務省におきましても、障害者施策推進本部決定を受けまして、入管法の精神障害者の上陸拒否に係ります見直しを検討してまいりました。入管法に係ります欠格事由につきましては、今回の一括法の対象となっております各種欠格事由等々とは、その趣旨及び見直しの観点が異なることから、今回の法案と同時期に提出することができなかったものでありますが、本部決定を踏まえまして、最近におきます犯罪を犯した触法精神障害者に関する世論の状況等をも考慮しながら、精神障害者のうち上陸拒否の対象とする者の範囲を真に必要かつ合理的なものに限定する方向で案文の検討を行っておるところでございます。
 平成十四年度中に入管法の改正を実現すべく、引き続き全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
工藤委員 次に、欠格条項の見直しで障害のある方がその能力によって免許の取得が可能となることは、就労の機会が広がることを意味するわけでありますから、まさにノーマライゼーションの理念を具現化する大切な方法である、このように思うわけであります。
 しかしながら、いかに制度上の見直しが行われましても、実際に免許を取得するに当たっての知識や技術の習得、あるいは職場において障害のある方が不利にならないように手当てが講じられて初めて障害者の社会参加が進むことになると思うわけであります。
 また、こういうものは障害者に限らず、バリアフリーといいますか、お年寄りとか、それから子供さんとか体が弱いとか、そういう方々に対するいろいろな施設の配慮、これは何度かヨーロッパとかそういうところに行って、つくづく進んでいるな、そういう感慨を持ったことがございますけれども、そういうものにもあわせていろいろな意味で手を加えていくべきだろう、そのように思うのでありますが、これらの施設を内閣府はどのように考えておられるのか、福田長官にお伺いをしておきたいと思います。
福田国務大臣 工藤委員の御指摘のとおりでございまして、大事なことであります。障害のある人が不利とならないように教育や雇用などの環境整備をあわせて進める必要があると考えております。
 そこで、政府におきましては、障害者施策推進本部、これは内閣総理大臣が本部長でございますけれども、ここでもっていろいろ議論いたしております。手話通訳、それから介助者の配置、職場のバリアフリー化というような、教育、就業環境などの整備に努めておりますし、また、関係団体に対しましても協力を要請するということを昨年の六月に申し合わせを行っております。
 また、この申し合わせに沿って、例えば今国会では、民間企業などに課します障害者の雇用義務につきまして、軽減、除外率の一律一〇%削減、引き下げということを予定していることなどを内容とします障害者雇用促進法の改正が行われたところでございます。
 いずれにいたしましても、欠格条項の見直しによりまして障害のある人の資格取得等の機会が実質的に確保されるためには、障害のある人が不利とならないようにという配慮が大変大事なことであると思っております。
 なお、あわせて御指摘ありました、高齢者とか、それから障害のある方の施設のバリアフリー、このことにつきましても、この小泉内閣におきます重要施策の一つとして取り上げて、予算的にも十分な配慮をしておるところでございます。
工藤委員 わかりました。一生懸命頑張ってやっていただきたいと思います。
 次に、文部科学省から出席をお願いしておりますのでお尋ねをしますが、障害者が大学や専門学校等でさらに勉学に励むことができるようにするためには、ハード、ソフトの両面でそれなりの環境整備が必要だと思われますが、障害者が安心して学べる環境整備の充実施策について、お答えをいただきたいと思います。
清水政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、障害者の学生が安心して円滑な学生生活を送れるように支援体制、環境整備を図ることは、極めて重要な課題であるというふうに考えております。
 ハード面で申し上げますと、例えば国立大学におけるエレベーター、スロープ、トイレ等々の整備はもとよりでございますけれども、公私立学校関係につきましては、例えば施設のバリアフリー化を推進するための補助、あるいは設備の補助等を行っているところであります。また、専門学校につきましては、これは都道府県所管でございますが、私立学校振興・共済事業団を通じまして、障害者の利用のための施設設備の改修工事を行うための費用の融資事業を行っております。
 さらに、ソフト面についてでございますが、教材の点字翻訳でありますとかノートテーカーでありますとか、教育上の特別の配慮を行うための所要の予算措置を国立大学について講じ、公私立大学についても同様の配慮を行うための補助金の増額措置を行っております。
 なお、この際申し上げさせていただきたいのでございますけれども、聴覚、視覚障害者を対象として三年制の国立の短期大学を設けております筑波技術短期大学でございますが、ここでは、各大学に対しまして、学生の障害の状況の把握、あるいは受け入れについての各大学に対する相談支援活動というものを展開しているというふうな状況でございます。
 以上のような措置を通じまして、今後とも学生に対する支援というものに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
工藤委員 次に、厚生労働省及び経済産業省の所管かと思いますが、ただいまの質問にも関連した問題としてお尋ねをいたします。
 職場においても、車いす等での移動が可能となるようなスペースの確保、あるいはエレベーターや自動ドアの設置などのハード面での環境整備は当然でありますが、コンピューターを使用するに際して、キーボードなどの周辺機器を整備するなど、障害のある方が補助具等の開発、充実によってさらに就労可能の機会がふえることは申し上げるまでもないことだと思うわけであります。
 そこで、昨今の技術の進歩を受けて、さまざまな器具の開発にどのような支援策を講じておられるのか、その辺もお尋ねをいたします。
上村政府参考人 ただいま先生からお話のありました就労支援機器の開発でございますけれども、障害者職業総合センターというところで実際に研究開発等を行っております。
 例えば、今先生からのお話もございましたが、上肢障害者用の特殊キーボードの開発ですとか、あるいはパソコンを通じて点字パターンや片仮名などを振動によって指先に伝えることによりコミュニケーションを支援する機器といったようなものの開発を行ってきたところでございます。
 それから、こうした研究開発の成果につきましては、民間で活用できますように広く公開をすることとしておりまして、また、研究発表会等で積極的に発表を行っているところでございます。
 それから、国立身体障害者リハビリテーションセンター、そこで障害者のための福祉機器等の研究開発も行っておりまして、平成十四年度からは、障害者の雇用を促進するための就労面、生活面でのサポート機器の研究開発にも着手するということにしております。
 それから、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律というものに基づきまして、こういった福祉用具の研究開発を行う民間事業者に対し、財団法人のテクノエイド協会というところを通じまして、助成金も交付しているというところでございます。
 以上でございます。
太田政府参考人 経済産業省におきましては、障害者の方々が使いやすいITの普及を促進するため、障害者の方々等が容易に使用できるような情報処理機器の基本仕様などを盛り込んだ情報処理機器アクセシビリティー指針を平成二年に策定いたしました。その後、技術も日進月歩でございますので、平成十二年六月にも改訂を実施したところでございます。本指針につきましては、私どもの省、それから関係業界団体のホームページへの掲載等々を通じて、その周知を図っているところでございます。
 また、平成十二年度からは、情報バリアフリー事業を推進しておりまして、障害者、高齢者等が使いやすいIT機器の開発支援を実施しております。さらに、さきにも述べましたアクセシビリティー指針の各種機能を標準化する、これは大変重要なことだと思っておりますが、標準化、それから障害者、高齢者等を支援する方への研修カリキュラムの策定等の施策も推進しております。
 こういうような施策を通じて、今後とも、障害者の方々がITを活用して社会経済に参画することが促進されるような施策を積極的に推進してまいりたいと考えておるところでございます。
工藤委員 次に、今回審議の対象となっている関係法案の中で、二つの点についてお伺いをしたいと思います。
 まず、農水省にお聞きをいたしますけれども、家畜改良増殖法において、家畜人工授精師免許、これについてでありますが、「心身の障害により」「業務を適正に行うことができない者として省令で定めるもの」には「免許を与えないことができる。」とされているわけでありますが、この心身の障害により業務が適正に行えない者の判断はどのようにするんでしょうか。
 また、一度免許を取得した後に心身障害で業務を適正に行えない状況になった場合、免許を持っている本人が、私は心身の障害があり、業務が適正に行えない状況にありますと果たして申告をしてくるんだろうか。くるかもしれませんが、なかなかそういうこともないんだろうと思うのでありますが、どのような方法で免許の取り消しを行うおつもりなのか、その辺もあわせてお伺いします。
梅津政府参考人 お答え申し上げます。
 家畜改良増殖法における家畜人工授精師免許の交付につきましては、都道府県知事が個々の事案ごとに、今先生が御指摘の心身の障害により家畜人工授精師の業務を適正に行うことができないか否かの判断を行うわけでございますけれども、その場合、医師の診断書等が申請時に提出されますので、そういったものを判断して行うことになります。
 具体的には、農水省令で知事の判断の目安を定めることにしておりまして、御承知のように、人工授精師は家畜の人工授精、受精卵移植といった業務を行っておりますけれども、そういった業務を適正に行う上で必要となる認知、判断、意思疎通を適正に行えるかどうか、そういったことを省令で規定したいと思っております。
 それから、二点目でございますけれども、一たん免許を受けた者がどのような場合に取り消しているかということでございますけれども、御承知のように、家畜人工授精師は日常的に、農家からの委託を受けて人工授精業務あるいは受精卵の移植の業務を行っておりますので、そうした業務を依頼した農家からの情報提供を受けて、都道府県知事がその事実関係の確認の調査を行うというような契機が考えられると思います。
工藤委員 これは、恐らく、家畜人工授精師免許ばかりじゃなくて、いろいろな方面に考えられる同じような問題を含んでいるんだろう、そう思うのでありますが、今の都道府県のといったような話がありますけれども、そういうことで免許を取り上げるというか、取り消しを行うということはなかなか面倒なことだろうな。その相手が、何しろ、心身に障害があって業務が適正に行えない状況であると、本人はその自覚をしていない場合もあるいはあるだろうと思いますので、申告をしないということはそういうことだろうと思いますので、そういうときに、仕事を通じてそこにしょっちゅう出入りをしているからといって、果たして取り上げることがスムーズにできるものかどうか、僕は甚だ疑問に思うんです。その辺、人格を傷つけないといいますか、いろいろな配慮が必要だろうというように思いますので、その辺をきちっと、相当考えながらやっていただきたいというような気がいたします。
 次に、国交省に、通訳案内業法というのが出ているわけでありますが、これについてお伺いをいたします。
 通訳案内業の免許を取得するためには、合格率が一〇%しかないというくらいかなり厳しい、難しい国家試験を突破しなければならない、このように聞いているわけであります。それにもかかわらず、通訳案内業法では、障害者についての欠格条項の緩和が図られているというように聞いているわけでありますが、ただし、この欠格条項そのものは規定されているわけであります。厳しい国家試験が実施されていることを考えると、こうした条項が必要なんだろうかというようにも思うわけでありますが、その辺を教えてください。
伊藤政府参考人 まず、試験の欠格条項の前に、国際観光の意義でございます。
 これは、国際観光振興会の一つの調査でございますけれども、我が国にお越しになる前に外国人の観光客の方々が我が国の印象として一番抱いている、九割以上の方が抱いているのが、工業化が進んで効率的な国という印象でございますが、我が国に来て観光等をされて帰るときの印象で一番高いランクになってくるのが、人々が思ったより親切で大変親しみが持てる、こういうあたりになってくるわけでございます。
 そういう意味で、国際観光というのは、単に経済的な側面だけでなくて、ある意味で、日本を正しく外国の方々に理解していただく意味で大変重要であり、そういう意味で受け入れ体制の整備を図っていかなきゃいけない、私どもはそう思っておるわけでございますが、まさにこの通訳案内業はその大変重要な一環をなしているわけでございます。
 そのために、この通訳案内業の免許につきましては、まず、国家試験によりまして、語学やそれから日本地理、歴史、文化とか、そういう試験で一定の水準を見るということになっておるわけでございますが、あわせて、やはり通訳ガイド等の実務上欠かすことのできない能力というのが、コミュニケーション能力といいますか、いわゆる外客接遇を円滑に行っていく、そういう能力というのが大変大事でございまして、その意味で、最小限の形での欠格条項というものはどうしてもやはり必要だとは思っております。
 ただ、それを従来は、精神病ということで一律に見ていただく、そういう仕組みでございましたけれども、この点につきましては、実際に、心身の障害により業務を適正に行うことができるかどうかという個別のケースを見ながら判断していく、そういう仕組みにさせていただいて、障害者の方々の社会参加という点にも十分留意しながらやっていきたいというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。
工藤委員 それでは、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。
 午前十一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前九時三十分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時開議
大畠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 障害者等に係る欠格事由の適正化法案というのは、障害者施策推進本部の「障害者に係る欠格条項の見直しについて」に基づいて検討され、そして欠格条項が障害者の社会参加の阻害要因とならないように、現在の医学、技術水準などを考えてこの欠格条項を再検討し、必要の薄いものについては欠格条項を廃止し、真に必要と認められる場合は、対処の方向としてということで四つにまとめて進んできたわけですが、今回の法改正では、必要性の薄いものについて欠格条項を廃止するというこの大前提となる方針がありながら、具体化されたものが見当たらないわけですが、これはどういう理由からかというのをまず最初に伺っておきたいと思います。――発言表の中にお名前が出ていない方の御答弁じゃないかと思うんですが、私は、これは基本的なことなので、細かい話はもう通告しておきましたので、各省の政府参考人の方から伺おうと思っているんですが、基本的なところだけは、提案していらっしゃるわけですから、まず大臣に伺って、その上でというふうに思っていたんです。それで、発言表にない人が発言するというのはルール違反だということだけ申し上げて、余りそのことに時間をとってもあれですから、きょうのところは優しく進んでおきます。
 それじゃ、具体的に各法ごとに聞いておきたいと思います。船員法関係、これは欠格制限等の対象の厳密な規定への改正だとしているわけですが、これまでの施行規則第五十五条には、具体的な病名や障害名が記載されているわけですね。こちらはどういう扱いにするのか。もう一つは、今回の改正で障害者、とりわけ精神障害者にとってどのような可能性が開けてくるのか。この辺、国土交通省の方でどういうふうに見ておられるかをまず伺っておきたいと思うんです。
金子政府参考人 お答えいたします。
 現在の規定は、精神障害の程度いかんにかかわりませず、精神病にかかった人はすべて海上航行船舶に乗り組んで船員として作業に従事することを禁止しておるわけでございますが、ここに個別の、ケース・バイ・ケースの医師の判断に依拠するということを入れたような、そういう制度に変えることを想定しております。
 具体的に申しますと、精神の機能の障害を有する船員につきまして、障害の程度、従事しようとする職務内容、それから海上経歴などを総合的に勘案して業務を適正に行うことができるかどうか、そこがポイントでございまして、そうできるというふうに医師が認める船員につきましては、これまでと違いまして就業が可能ということになるわけでございます。
 さらに具体的に申し上げますと、船舶の航行の安全に直接かかわる業務に携わるような場合や船内で危険な作業に従事する場合、それから船内での事務などを行う場合とでは、これはおのずとその職務の性質、内容を異にするところであります。したがいまして、前者には就業できない船員でありましても、後者には就業可能となるという場合が出てくるものと考えております。
大畠委員長 ちょっと待ってください。
 先ほど、内閣府の江崎政策統括官の答弁をいただきましたけれども、これは吉井委員から要求されておりませんので、後ほど、この答弁については理事会で協議いたします。
 それじゃ、質問を続けてください。
吉井委員 ということは、どうなりますか。もう一遍同じ質問をせにゃまずいですか。
大畠委員長 そうですね。それじゃ、先ほどの質問をもう一度、恐れ入りますが、吉井委員から質問していただきます。
吉井委員 これは、私、一番最後にまた改めて担当の大臣に伺おうと思っていたんですが、提案されたときのお話の中にもかかわってくるので、そんな込み入った話じゃなくて、大臣に経過的に聞いておきたいと思ったから伺ったんです。先ほどの質問と時間、記録が消滅するというわけですから、改めて大臣に、簡単な話ですから伺っておきますね。
 障害者等に係る欠格事由の適正化法案、これは障害者施策推進本部の「障害者に係る欠格条項の見直しについて」に基づいて検討されて、欠格条項が障害者の社会参加の阻害要因とならないように、現在の医学、技術水準などを考えて欠格条項を再検討し、必要性の薄いものについては欠格条項を廃止し、真に必要と認められる場合は、対処の方向としてということで四つの方向を検討して上げてこられたわけですよね。そこは大臣が担当しておられたので、よく御存じのところです。
 今回の法改正では、必要性の薄いものについて欠格条項を廃止するという大前提の方針があったんだけれども、具体化されたものがない。それはどういう理由によるのかという簡単なお話だけまず最初に伺っておいて、あと細かいことは政府参考人ということで始めさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
福田国務大臣 今回、欠格条項の見直しということを提案しているわけでございますけれども、もとより、障害のある人が不利にならないように、また、働く場の環境整備をあわせて行う、こういうこともあるのでありますけれども、前回改正をいたしております。今回また、その改正していない部分についてお諮りをしている、こういうことでございまして、なお、さらに進めなければいけない部分もあります。これは、もう早急に対応しなければいけないと考えております。
吉井委員 各省庁で慎重にいろいろ御検討されて、しかし、今回はノーというところなんでしょうが、そういう点では、今お話ありましたように、さらに今後進めていくということでやっていただきたいと思います。
 船員法の関係を伺いましたが、あわせて、今度農水関係で伺っておきたいのは、獣医師法について病名を特定せず、厳密な規定に改めたということなんですが、これまでも相対的欠格条項になっているわけですね。これは具体的にどう変わっていくのか、この点をごく簡潔に伺っておきたいと思います。
梅津政府参考人 お答えを申し上げます。
 今御指摘のとおり、獣医師法におきましては、現行法においても、障害に係る欠格事由は相対的欠格事由となっておりまして、その適用に当たりましては、個々の事例ごとに慎重に判断されるべきものでございますので、その範囲の基本的な部分については、これまでと大きく変わることはないというふうに考えております。ただし、例えば、障害者の機能を補完する新たな機器の開発ですとか、そういったことに伴いまして、今後、免許を与えることが適当であると思われる者の範囲が広がっていくことも考えられます。
 今後、欠格事由の適用に当たりましては、こうした事情を考慮すべきという旨を省令で明確化したいというふうに考えております。
吉井委員 大体、獣医師の資格を持っていらっしゃる方の多くの職場といいますと、これまでは国、自治体が多かったと思うのですね。家畜市場なりあるいは屠場ですね、公の方が主にそこで働いてこられたと思うのですが、今回の改正によって、実際に職場が広がっていくとかそういうことがないと、せっかくこの法律を改正しても、社会参加の中でも非常に大きな分野というのは雇用の面がかかわってくると思うのですが、実際に資格を取られて雇用が進む、こういうことになっていくのかどうか、その点、どういう検討をしておられるかを伺っておきたい。
梅津政府参考人 先生御指摘のとおり、獣医師の職業分野は、いわゆる産業獣医師あるいは港頭の動物検疫所における動物検疫、あるいは屠畜場における食肉の検査、そういった業務でございます。あわせて、特に最近は、小動物の診療、都市におけるペットの診療に携わる者もふえております。
 今申し上げましたように、基本的な欠格事由の適用に当たりましては、個々の事例ごとの判断でございますけれども、先ほど申しましたように、障害者の方の機能を補う新たな機器の開発、例えば補聴器ですとか車いすですとか、そういった認知、判断をする、その機能を補う機器の開発等によって、今後、免許を与え得る範囲が広がっていくことは考えられると思います。そういった事情を必ず考慮するようにということを省令で明確化したいというふうに思っております。
吉井委員 それで、時間の関係もありますから、ここで中間的に、もう一遍大臣に伺っておきたいのです。
 この欠格事由の適正化とともに、やはり治療とかリハビリとか回復のための取り組み、とりわけ、この分野での医学の発達を促していくこととか、障害及び障害者の機能を補完する機器を開発するとか、いろいろな角度から、医学とか薬学とか、あるいはそういうリハビリにかかわってくる機器の分野など、科学技術の発展のために相当な研究予算をきちっとつけていくということが大事だと思うのです。
 それからもう一つは、就労の機会を拡大するという点で大事だと思うのですが、この法律を通しただけじゃなかなか変わってきませんから、政府として、科学技術分野での研究予算、こういう分野での研究予算をふやしていく取り組みとか、そういう点でのお考えというものを伺っておきたいと思います。
 広い角度でのお考えを最初に伺っておいて、細かいのはまた後で伺っていきますから。
福田国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、障害のある人に対して環境整備を整えなければいけないというのは、これはもう当然のことでございますので、そのことについてはこれから十分な配慮をしていかなければいけないと思っております。
 なお、今御指摘のような技術的な問題、医療の問題とかそういうようなことについても、障害者施策推進本部、これは昨年の六月に申し合わせをしたことの中にも、「障害及び障害者の機能を補完する機器の研究開発の促進」とか、こんなふうなことも申し合わせいたしておりまして、いろいろな多角的な面から障害者の環境整備に努めるということで、これからも十分な配慮をしてまいりたいと思っております。
吉井委員 私、大臣に伺いましたのは、厚生労働省の分野とか、こういう分野での研究予算をきちっと充実させて取り組むというのは、かなり広い省庁にかかわってきますから、文部科学省にかかわる分野とか、そういう点で伺ったわけです。
 次に、今度は、障害者の皆さんが社会参加していく上で、これは国土交通省の分野になるかと思いますが、移動の自由と安全確保ということが不可欠になってきます。我が党も、これまでから、かつての運輸委員会などでバリアフリーに関する法律の制定について提案したりもしましたが、これは障害者団体や高齢者団体など多くの国民の皆さん、いろいろな議員の皆さんからも提起があったり、粘り強い運動があって、一昨年の十一月に、いわゆる交通バリアフリー法が実現できたわけです。この審議の際に、参考人質疑などで、事業者である民鉄協会の代表も、バリアフリー化は鉄道が公共交通機関として二十一世紀に使命を果たすために不可欠なものだという発言がありました。
 このいわゆる交通バリアフリー法で、二つの面から、これは、交通事業者が旅客施設を新設、大改良する際は基準への適合を義務づけるということと、もう一つは、既存の施設についても基準への適合を努力義務とするということにしているわけですが、既存施設の適合という点で見ていきますと、これは二〇一〇年までの目標を立てて取り組むわけですが、現在、対象施設は、一日乗降客数五千人以上の施設ということですから、二千七百七十五駅あるかと思いますが、その中で、現在既に移動円滑化基準に適合している駅の数は幾つあるのか、これを政府参考人の方に最初に伺っておきます。
白取政府参考人 従来から、バリアフリーにつきましては、我が方としても推進してきたところであります。
 特に、足の不自由な方のための段差の解消、これは、五千人以上の乗降客で五メーター以上の段差がある駅につきましては、積極的にエレベーター、エスカレーターをつけてまいりました。その結果、現在、この対象駅は約二千駅あるわけでありますけれども、これはちょっと時点が古いのですが、十三年三月末現在で、八百九駅にエレベーター、そして千二百六十一駅にエスカレーター、パーセントでいうと、エレベーターが四〇%、エスカレーターが六三%ということになっておりまして、現在では、さらにそれが進んでおります。
 また、今先生のお尋ねのバリアフリー基準をすべて満たしている駅につきましては、これは非常に広範囲にきめ細かく基準を決めておりまして、例えば、身障者用のトイレでありますとか案内の設備等も非常に細かく決めておりますので、これをすべて満たしている駅は、現在のところ、数駅にとどまっております。これは、今後、二〇一〇年までには一〇〇%これを満たす目標でやっておりますので、順次ふえていくものと思われます。
吉井委員 数駅というお話ですが、二千七百七十五駅の中で六駅しかまだできていないのですね。ですから、ほとんどできていない。これは相当な取り組みをしないとなかなか進まないのですね。ですから、法律はつくるんだけれども、このときの法律もつくったんだが、なかなか進まない。今度の、きょう審議しております法律も、やはり法律をつくったら本当に進むということをどう考えていくかということをあわせて考えないと、立法の意味がなくなってきますから、引き続いて駅のことでもう少し伺っていきます。
 障害者の方が駅のホームから転落する事故というのが後を絶ちませんが、障害者団体の調査によりますと、障害者の半数以上がホームからの転落を経験しているということです。転落した際に列車にはねられたり、ホーム上で列車と接触するなどの事故で、毎年、障害者の方が亡くなっておられたり、あるいはけがをしておられます。
 障害者の皆さんは、転落を防止するためのホームドアとかホームさくなどの設置を望んでおられるわけです。私も、腎臓病が重くなって透析をしておられる患者の皆さん、これは全腎協だとか、大阪には大阪の腎臓病の患者の方たちの会がありますが、そういう方たちからいろいろな要望を伺っておる中にも、病状が進行して、弱視、さらには視力障害、視覚障害が本当に進行していくと、今までは目が見えたから余り思わなかったんだけれども、本当に怖い、そういう話を特に伺います。ですから、視覚障害者の皆さんにとっては、ホームドアやホームさくのないホームというのは断崖絶壁を歩くようなものだ、小さいときからの視覚障害者の方はもちろんそうなんですけれども、つい最近までよく見えた人にとってさらに怖いというお話なんかも伺っております。
 そこで、新交通システムとかモノレールの駅では既にホームさくなどが設置されておりますし、営団地下鉄の南北線、京都の東西線などはホームドアが設置されていますし、東急の目黒線、都営三田線でも可動式ホームさくは設置されていますが、全国の鉄道駅約一万ほど、九千五百十八で、新幹線を除いてホームさくなどが設置されている駅というのは、現在どれぐらいあるんですか。
白取政府参考人 十四年二月末現在でございますけれども、在来線におきましては、ホームドアが設置されておる駅が九路線で百七駅、可動式ホームさくが五路線で六十五駅でございます。それから、いわゆる固定式ホームさく、常に開口部はそのままというのが七路線で六十二駅設置されております。
吉井委員 それで、ちょうど合わせると二百三十四駅ぐらいなんでしょうが、これも進めていくのに相当テンポを上げないとうまくいかないわけですね。
 では、どれぐらい費用がかかるのかということについては、例えば、一日平均乗降客数の多い目黒線の目黒駅で十二万人とか、三田線の神保町駅で十一万人とか、実際に乗降客の多い駅がたくさんあって、そこは特にラッシュ時危ないわけですよね、視覚障害の方たちにとって。三田線は朝のラッシュ時には三分の間隔で運行されておりますし、山手線、中央線、総武線も皆大体それぐらいの間隔なんですが、乗降客数から見ても、列車の運行間隔から見ても、設置可能だし設置しなきゃいけないという駅が本当に多いわけですから、そういうところからどんどんやっていかなきゃいかぬと思うんです。既存の駅で大規模な工事が必要ということもよく言われるんですが、三田線は、既存駅への設置で、二十四駅すべてに可動式ホームさくを設置しているわけですね。工事費は約六十億円だ。だから、やる気になればやれるということが本当に示されていると思うんですね。
 そこで、これはやはり事業者任せにしないで、国としてもそれを進めるという積極的な取り組みの姿勢というものが今一番求められていると思うんですが、この点について伺っておきたいと思います。
白取政府参考人 現在、国土交通省の鉄道局におきまして、昨年の九月でありますけれども、ホーム柵設置促進に関する検討会、これは学識経験者でありますとか身障者の代表の方でありますとか、あるいは鉄道事業者、これらを集めまして検討を行っておりまして、技術的な課題もかなりありますので、もちろん費用の問題もあります。これらのことについて、例えば、いろいろな種類の車両が通過する駅でありますと扉の位置が違うという問題、あるいは、さくをつくると車掌からの見通しが悪くなる問題、あるいは、ホームが若干狭くなるので流動が妨げられるという問題、こういった問題をどう解決したらいいかということを検討しておりまして、既に四回会合を開いております。ことし中には、これらの検討を経た上でいわゆるガイドライン的なもの、これを作成するという予定にしております。
吉井委員 今回の欠格条項の問題での法律改正をやって、資格を取得する、そういう面での社会参加が広がっていく、今度、国土交通省の方で本当にバリアフリー化というものを、特に交通分野を中心として進めていただくと、自分の家庭から企業への出勤、そういう面での社会参加の領域がさらに広がるわけですね。
 その上で、何が今度必要かとなってきますと、やはり、障害者の資格取得など社会参加の条件は広がってきた中で、資格を得て就職しようというときに、障害者雇用を拡大する、この問題が大事な課題となってくるわけですね。
 障害者雇用を拡大する法定雇用率、これが、五人以上の常雇用の民間企業だったら幾らとか、特殊法人だったら幾らとか定められてきたわけですが、これを幾らに設定して、現在どういう状況で、どういう計画を立ててその体制をとって進めていこうとしておるのかというところを、厚生労働省の方から伺っておきたいと思います。
上村政府参考人 障害者雇用率の問題でございますけれども、現在、民間と国、地方等で数字が違っておりますが、一般の民間企業について言いますと、一・八%でございます。したがいまして、一・八%を掛けて一人が立ちます企業といいますと五十六人以上の規模の企業になります。それから、特殊法人等につきましては二・一%、国、地方公共団体につきましては二・一というような数字になっておりまして、現在、毎年六月一日で調査をしておりますが、民間企業の一・八%に対応します実雇用率が一・四九%でございます。およそ半分の企業では未達成ということになっております。
 それから、雇用対策をどう進めるかということでございますけれども、雇用率未達成企業に対しましては、雇い入れ計画の作成命令等を出しまして、その後それをフォローする格好で指導を行い、最終的には企業名の公表も視野に入れて施策を行っております。
 また、今般、過日成立させていただきましたが、障害者の雇用促進法、雇用率の根拠となっております法律でございますが、この法改正によりまして、除外率制度等の見直しを内容とするような改正も行いましたし、また、きめ細かな対策を講ずるということで、この改正におきまして、ジョブコーチ事業ですとか、ちょっと詳細は省略させていただきますが、障害者就業・生活支援センターというような事業ですとか、そういった事業を創設させていただいておりまして、障害者の職域の拡大それから雇用の促進に引き続き全力を挙げて取り組みたいというふうに思っております。
吉井委員 今、民間で法定雇用率一・八%に対して、実態は一・四九というお話なんですが、実はこれは重度の方の場合のダブルカウントの方式などを入れての数字なんですよね。ですから、実数としてはもっと低いわけで、これは実際にデータを見てみますと、障害者雇用者数、雇用の障害者数という実数で見ていきますと、大体、一九九三年から横ばいが十年間続いていますね。これは実数で見れば約二十五万人のままで、全然ふえていない。
 しかも、中身を見てみますと、今の民間の方もそういう状況なんですが、特殊法人の場合ですと、二・一%の法定雇用率が一・九七%で、前年より〇・一一%低下してきておる。だから、特殊法人で国のかかわっているところが逆に減ってきているというのが実態で、そういう中で欠格条項に係るこの法案が通ることによって、さっきも獣医さんのお話とか船員の方のお話とか、時間がないから余り具体の例を幾つも見ていくということができなかったのは残念なんですが、この領域が広がるはずなんですね、資格を得たり。ところが、現実にはそういうふうにはなっていない。
 だから、やはり、厚生労働省として、これを拡大するためにどうするのかというこの基本的な考え方をきちっと示していただかないと、法律は通ったが、それは建前の話で実態はいかないということになると思うんですね。どうなんですか。
上村政府参考人 先ほども申し上げましたが、雇用率の未達成の事業所等につきましては、達成していただくような指導を強力に展開するということにしておりますし、また、雇い入れ等に伴って、当然、職場環境等の改善等が必要になりますので、そこら辺に対する助成等の施策も推進しながら雇用の促進には努めたいというふうに思っております。
吉井委員 私、かつて、もう大分前ですが、あれは予算委員会であったかと思うんですけれども、大口の企業の未達成の状況を幾つか紹介したことがありますが、そうしたら、それが何か大きな問題かのようになってしまって、本当は、未達成で法律をちゃんと守っていないんだから、法定雇用率を守るようにきちんとさせる、何ぼ指導しても、言うても聞かぬところは公表するというところまで踏み切らないと進まないと思うんですが、私は、そういう点でやはり本当に姿勢が甘いんじゃないかと思うんです。
 最後に、官房長官に、きょうこの議論を聞いていただいて、やはり障害者の雇用や就業というものを、この法律によって社会参画を広げようというその取り組みは私もよくわかっているんですが、実際、雇用や就業を大幅に拡大するための推進方策を、その環境整備というものを具体的にどう進めるかという、ここが一番のかぎになってきていると思うんです。この点について、最後に官房長官の決意あるいは具体的なお考えというものを伺っておきたいと思います。
福田国務大臣 ただいまの趣旨に沿うように、政府におきましては、障害者施策推進本部、これは総理大臣が本部長でございます、そこにおきまして、職場への適応を援助する人の配置とか、また職場のバリアフリー化といった職場環境の整備に努めるということとともに、関係団体、諸団体に対しましてもいろいろな協力を要請するということに努めておるところでございまして、このことは、昨年六月に申し合わせを行ったところでございます。
 その申し合わせに従って、例えば、今国会では、その軽減、除外率の一〇%、こういうような引き下げですね、このことも内容とする障害者雇用促進法の改正も行われているところでございまして、また、平成十五年度からは現行プランにかわりまして新しい障害者プランを作成いたしまして、そして、バリアフリーを重点課題として取り上げて、できるだけ具体的な数値目標を設定しながら社会全体のバリアフリー化を図ってまいりたい、このように考えております。
吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
大畠委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 続いて、北川れん子さん。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。
 きょう提案になりました障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案についてお伺いをいたします。
 私、「欠格」というのを辞書で引きましたら、必要な資格を欠くというふうにありました。そして、今回のこの法案自身が、選択肢が広がるということでもあり、一歩前進ということになるので、賛成をせざるを得ないということになります。
 しかしながら、私自身は何かすっきりしないものが残っているわけでして、それというのは何なのかというのをこの間ずっと考えていたんですが、それは、社会における障害者差別や病者差別というものが解消されていないからなんだというふうに自分で思い当たりました。ある国の方はこう言っていました。私の国では障害者に対して差別はない、だから保護もないと。例えば、マスコミで脚光を浴びました「五体不満足」の乙武さんも、障害を持って生まれたことは何ら苦ではないが、生きにくくしている社会の差別や壁が問題であると発言をしていました。
 病が固定された段階で一級から六級の段階がつけられ、障害者となるわけですが、だから、私の言葉の中に障害者差別、病者差別というふうにあえて言わせていただいておりますが、現実社会でこの差別の解消、先ほど吉井議員の方からも、具体的な実効性はどう担保できているのかとお伺いをされていましたが、政府はどれほどこの差別の解消に向けて胸を張ってきたような施策をやってきたのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
江崎政府参考人 今回、障害者の欠格事由に係り一括条項を御提案申し上げておるわけでございますが、その前にも、現在の障害者にかかわる新長期計画、それから障害者プラン、これはちょうどことしが終期を迎えるわけでございますが、ございます。その中でも、障害者の方が差別を受けずに広く社会参加をされるという考えをもろもろ盛り込んでございまして、そういう考えに沿って政府としても努力を重ねてきたというところでございます。
北川委員 努力を重ねてこられていて、だけれども、その努力が追いつかないほど社会生活の中では、殊に差別と偏見というものは、世の中が暮らしにくくなると、自分がカテゴリーとしてその差別や偏見の中にみずから入りたいという人はいないわけで、殊に、できるだけそこから逃れたいとするのが世の常だろうと思います。だから、努力はしている分が、世に住む、暮らしをしている人たちのところまで行っていないということが、いろいろな検証例で、実例としてもこの委員会でもいろいろな議員の方々が言われてきたと思うんです。
 私は、自分のみずからの経験なんですが、二十数年前、企業に入社して生活をしたことがあるわけですが、いわゆるサラリーマン法というのはないわけですね。じゃ、サラリーマンに資格があるのかといえば、何ら法的な資格という形でのものはなくて、多分それが入社試験にかわっていたんだろうと思います。
 偶然にも私はある企業に勤めるということになるわけですが、自分自身は採用されたということが自分にとって有益なわけですから、不利益な人たちの存在というものに思いをいたせなかったわけですね、私自身が。ですから、なぜ私が採用されたのかということも深く受けとめませんでした。自分にとって有益な部分だけしか見てこなかった時代があったわけです。
 でも、今この法案を実質審議する自分をひもといてみますと、もし私があの二十数年前、障害を抱えた段階で入社試験を受けたならば採用されていたのかどうかなと考えた場合、多分、採用されていなかっただろうと思うんです。なぜならば、私が入社した会社はハンディキャップを持った方々というのはいなかったからです。当時の私は、やはり、それを当たり前だというふうに考えていました。受験資格のところで既に自分が備えている身体的な、また精神的な、そして病的な部分というのが資格基準に合っていたということに関して、それほどの思いをいたせなかったということにあるんだろうと思います。
 そこで、私は、それは疑うということをしなかった自分に対しての未熟さといいますか、そういうものをこの間ずっと考えてきているわけですが、しかし、この間、二十数年間で、当事者、ハンディキャップを抱えた方々の声や運動や活動が社会の方を変えていきました。
 そこで、次にお伺いしたいわけですが、この船員法や獣医師法、そしてほかの通訳法とかいろいろ、七つの法律が職域において資格の段階で適正化が図られるということですが、過去の試験において、今回のカテゴリーの七つの中で、私は受けたいとした、ハンディキャップを持たれた方々が申し出られたというケースがあったのでしょうか。もしあったならば、多分その人はその時点では受けられなかったと思うんですが、そういう事例を何か省庁等、各省庁、きょう来ていただいていると思うんですが、御存じでしたら教えていただきたい。もし知らないのであれば、知らなかったというふうにお答えいただければ幸いです。
大畠委員長 北川さん、これは各省庁に一人一人聞きますか。
北川委員 きょう、各省庁に来ていただいて、私の質問の中で、今回の改定で見直しをしてもなおかつ免許等の取得が困難だというケースはどういうケースを想定しているかという質問を、経済産業省を除いてお伺いするというふうにしておりましたので、それとあわせてでも結構ですが、各省庁、お答えいただくときに、何らかの形で、以前あったんですよ、こういうふうに我慢してくださいと言ったケースもありましたということがあれば、あわせてお答えいただければ幸いです。
金子政府参考人 お答えを申し上げます。
 船員の場合は雇い入れの段階でチェックがなされることになっておりますが、その時点で、希望したにもかかわらず船員になることができなかったがというような事例がどの程度あるのかということについてはちょっとデータがございませんが、乗船中に発病をなされますと、船舶所有者の責任において下船をさせなければならないというふうになってございまして、これは年間で十件前後発生をしておるというふうに承知をしております。
 次に、今回の改正で欠格条項が見直されるわけでございますが、なおかつ船員として作業に従事できないようなケースは一体どういうケースがあるのか、こういうお尋ねでございます。
 要はケース・バイ・ケースの判断ということになるわけでございますけれども、船員として作業に従事できない場合としては、例えば、精神の機能の障害の程度から見まして、船舶運航にかかわる業務を行うとした場合、当該船舶の航行の安全そのものに支障が生じる可能性があると医師が判断する場合でありますとか、あるいは、船内で危険物を取り扱う作業を行う際に、自分自身やそれから船舶の安全を確保する措置を十分にとることができないおそれがあるとこれまた医師が判断をする場合が想定されます。
梅津政府参考人 獣医師と家畜人工授精師につきましてお答え申し上げます。
 獣医師でございますけれども、今回の欠格条項の見直しによってもなおかつ免許の取得が困難なケースでございますけれども、御承知のように、個々のケースごとに慎重に判断いたしますので、一概に申し上げることは困難と考えております。
 しかしながら、免許交付の是非に係る具体的判断基準につきましては、これは飼育動物の診療を初めとする獣医師としての業務を適正に行う上で必要な認知、判断あるいは意思疎通、これを適正に行えるかどうかを、申請時に提出される医師の診断書、これらに照らしまして判断することになります。
 なお、獣医師免許を申請した者が欠格事由に該当する障害者である場合には、獣医事審議会の意見を聞いて免許を与えるかどうかを決定することにしておりまして、これによって行政の恣意の排除になるというふうに考えております。
 それから、御質問の、過去にそうした事例があったかということでございますけれども、精神上の障害のある者につきましては、現在までそのような申請はございません。それから、身体上の障害のある者につきまして、平成十三年度実施の獣医師国家試験につきまして、二名ございました。一つは、下半身不随で車いすを使用されている方、いま一つは、心臓に人工弁を装着されている方でございまして、いずれも、医師の診断書等を参考に、獣医事審議会で免許を与えるというふうにされております。
 もう一点、家畜改良増殖法の点でございますけれども、御承知のように、家畜人工授精師は、精液の採取ですとか受精卵の移植等、診療動物の生命に直接影響を与える業務を行うわけでございます。これも獣医師と同様に、この業務を適正に行う上で必要な認知、判断、意思疎通を適正に行えるかどうか、そうしたことを医師の診断書等に照らして判断することになります。
 ただ、これにつきましても、相対的欠格事由の該当を理由にして免許を与えないとする場合には、都道府県知事が、その職員がその者から意見を聴取することという手続を置くことにしておりますので、これによって恣意的な判断にならないようにしてまいりたいと思っております。
伊藤政府参考人 通訳案内業関係についてお答え申し上げます。
 私ども、これまでの法律の制度では、精神病にかかっておられる方は一律に欠格事由に該当するという形でございましたけれども、今回の見直しによりまして、実務面の業務遂行能力があるかどうかという観点から見ていくという形にさせていただきます。
 また、それを実際上、行っていく場合にも、省令におきまして、判断要素といたしまして、業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断、意思疎通に係る能力ということを判断要素として規定していきたいと思っておりますし、またあわせて、考慮事項といたしまして、現に受けている治療等により障害の程度が軽減している状況等も判断、考慮すべきであるという形で、社会参加という視点にできる限り沿うような、そういう制度改正、見直しを行おうとしているところでございます。
 したがいまして、どのような方が免許を受け、また、どのような方が受けられないかというのは、これはその障害の程度についての個別の判断ということになりますが、少なくとも、精神病にかかっていても、医師等が治療の状況とかそういうことで業務遂行上の能力があるという判断をされる場合には、免許を取得する、そういうことが可能になると思っております。
 それで、過去国家試験等に合格したんだけれども欠格条項で免許を与えなかった事例があるかどうかという点については、私どもデータを持ち合わせておりませんが、ちょっと御参考のデータとして申し上げますと、実は、免許を取得している方でも、精神病にかかった場合には、取り消しあるいは営業の停止というような事由に該当することがあるわけでございますので、過去五年間そういうことがあったかどうかということで調べてみましたところ、過去五年間にそういう、免許を受けている方が精神病にかかって取り消されたとか、あるいは営業の停止を受けたというような事例はございませんでした。そういうことで、把握していない数字にかえさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
大畠委員長 質疑者は具体的な事例について聞いていますので、これから文部科学省にも警察庁にも伺いますが、よくわかるように答弁してください。
 文部科学省瀬山官房審議官。
瀬山政府参考人 お答え申し上げます。
 放射線障害防止法の改正案でございますけれども、法律におきましては、「心身の障害により放射線障害の防止のために必要な措置を適切に講ずることができない者」としてございますけれども、具体的な規定は文部科学省令で定めることにしてございます。
 省令におきましては、欠格事由になり得る障害が身体の機能ではなくて精神の機能にかかわる障害であること、また、要求される能力が適切な業務遂行に必要な認知、判断、意思疎通の能力であること、これを明確化して規定する予定でございます。
 先生御質問の、改正後もこれら欠格条項に該当する事例ということで、例えばでございますけれども、放射性同位元素を取り扱うに当たりましては、距離を保つというのが基本でございます。したがいまして、器具等を用いて適切な距離をとることができるかどうか、もしくは、放射性同位元素を保管するに当たって適切な遮へい、遮へい容器等を用いて遮へいができるかどうか、精神機能障害によりそういった放射線の潜在的な危険性を認識できず、的確な判断、意思疎通ができない方がいらっしゃれば許可を出せないということだと思います。
 それから、これまで放射性同位元素等の使用許可に関しまして、精神障害にかかわる欠格を適用した事例はございません。
 以上でございます。
黒澤政府参考人 改正後の銃砲刀剣類所持等取締法では、判断能力の著しい低下をもたらす結果、銃砲、刀剣類を使用して、自身を傷つけたり、他人に害を及ぼしたり、銃砲、刀剣類の保管、携帯あるいは運搬を適切に行うことができないなど、適正な取り扱いを行うことができないおそれがある病気にかかっている者につきまして、銃砲、刀剣類の所持を許可しないこととするものでございます。
 過去に、躁うつ病でありますとか精神分裂病ということで許可を受けることができなかったり、あるいは取り消された事例がございます。
北川委員 各省庁お答えいただきまして、どうもありがとうございました。
 私自身はこれから高齢者になるわけでして、それとまた、中途障害者になる可能性というのはとても高いなというふうに自分では感じていますので、やはり今までいろいろ頑張ってこられた、当事者性を抱えた方々が生きやすい社会というのも、省庁のあり方によって随分変わってきますので、ぜひ御努力の方をよろしくお願いしたいと思います。
 そして、私自身なども、やはり女だからということであきらめるということで、私もいろいろなことをあきらめてきましたので、やはりあきらめている人たちが、今までそんなにもめたケースとか記憶に残るほどの事象がなかったということ自身、あきらめているんであろうと。まさか自分がこういう資格を取れるとは思わないということで、初めからあきらめていらっしゃるというケースも多いんだろうと思いましたので、あきらめさせない社会というのが必要だということで、次の質問に移りたいと思います。
 ここに、「日本の人権二十一世紀への課題」として、「ジュネーブ一九九八国際人権(自由権)規約第四回日本政府報告書審査の記録」というのが日弁連の関係で本になっているわけなんですが、これを読んでいるとすごくおもしろい事象、日本政府がどういうことを言っているかというのではとてもおもしろい事象が出てきます。
 例えば、ここの中で、日本国憲法の公共の福祉の概念と合理的差別の概念というのが取り上げられているわけですね。委員会では、憲法十四条などで許容されている合理的な差別の概念があいまいに適用されているというふうにも懸念を表明されています。日本政府代表は、例えば死刑については、世論は死刑はやむを得ないとしている、婚外子差別をする民法改正については、世論が分かれているために法案提出には至っていないと報告したりして、国連に対してそういうふうな政府としての見解を持っているわけですが、イスラエルのクレッツマー委員には、人権は世論調査によって決められるものではない、日本政府が主張するように、多数の人が支持しているやり方だからという説明は、受け入れることはできないと言下に否定をされています。
 そこでお伺いしたいんですが、この障害者や病者への差別、偏見というものに対しての日本の世論を政府はどういうふうに今受けとめていらっしゃるか。世論は今差別の根幹的な問題に関してどういうふうな見解を持っているというふうにお認めになっているのか。その辺をちょっとお伺いしてみたいと思います。
江崎政府参考人 世論一般ということでございますとなかなか広うございますので、私どもそれほどの知見はございませんが、今回の障害者欠格事由の改正に係ります一括法案の審議の過程で、パブリックコメントでございますとか、それから障害者並びに障害関係の団体の方からいろいろ御意見をお伺いするという機会を得ております。
 そういう場でも、やはり障害を持っておられる方もそうでない方と同じように社会参加をするということが極めて重要であるという御意見が随分寄せられてございますし、この法案にかかわっております各省も含めまして、我々もそういう認識でおります。
北川委員 世論を成熟させるための政府のありようというのをぜひ問題追及に向かっていただきたいと思うんですが、例えば病気とか障害というものに関してこういうデータがあるんですね。
 例えば、血友病だったら一万人に一人、ダウン症だったら千人に一人、デュシェンヌ型筋ジストロフィーだったら一万人に二人、悪性腫瘍だったら一万人に二十四人と、ある大きなマスの集団での統計でいうと、どうしてもその事象をかぶらざるを得ない人たちがいらっしゃるというのが数字的にも出てくるわけです。それは私かもしれないし、皆さんかもしれないというのがあります。
 そこで、最近、医学というのはとても政治的であると。政治的であるというのは、切り捨ての論理がどう働くかということだろうと思うんですが、互恵的ネットワークという思想もぼつぼつ医学の面でも出てきています。これは犠牲者非難イデオロギー対代理苦イデオロギーといいます。乙武さん流に言えば、障害を持ったことは苦ではないと言っていらっしゃいますから、そうなんだろうと思います。でも、苦を持ってくれる方がいるので、今私が生きやすいならば、その人の苦を代理しないといけないのではないか、代理で請け負うべきではないかという考え方も出てきたりしています。
 そしてまた、なぜハンセン病があんなに過去九十年間も隔離と廃絶の中に押し込められたかというと、やはりこれも差別と偏見で、どういうカテゴリーが集まれば差別と偏見が助長されるかというのも統計学では出されてきています。そこでいろいろあるわけですね。肉体的に能力が劣っていると思われる疾患、精神的に能力が劣っていると思われる疾患、死亡率の高い疾患、難治性あるいは慢性の疾患、遺伝疾患とか外見上の脱落、変形とか、十ぐらいのカテゴリーがあって、ハンセン病の場合は、本当に残念ながら八つぐらいのカテゴリーまで入った。だから差別と偏見が蔓延することを助長したわけです。
 政府は助長しないようにする立場でいらっしゃると思いますので、最後に官房長官にお伺いしますが、障害者施策推進本部として、真の障害者の自立支援、社会参加等、すべての国民が安心して心豊かに暮らせる社会にするため、欠格事由の適正化のみならず、今後、これだけではなくて、どのように対処されるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
福田国務大臣 政府は、これまで障害のある人が障害のない人と同じように地域において安心して生活できるようにするというノーマライゼーションを理念として雇用、医療、福祉などの各種施策を推進してまいりました。
 そしてまた、障害者の施策推進本部で、本年二月に、平成十五年度からの新しい障害者基本計画とか障害者プランを策定することを決定いたしましたけれども、新しい計画づくりに当たりましては、ハード、ソフト両面にわたります社会のバリアフリー化を重要課題として取り上げまして、障害のある人も社会の一員としてその能力を十分発揮し、地域で安心して生活が送れる環境づくりを進めたいというように考えておるところでございます。
北川委員 では、これで終わります。どうもありがとうございました。
大畠委員長 これにて北川さんの質疑は終了いたしました。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大畠委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
大畠委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、逢沢一郎君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石毛えい子さん。
石毛委員 私は、ただいま可決されました障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に向け万全を期すべきである。
 一、本法の施行に伴う政省令等の策定に当たっては、障害者関係団体はもとより医療関係者など幅広い分野からの意見聴取等を図り、障害者欠格条項見直しの本来の趣旨を損なうことのないよう努めること。
 二、本法の施行に伴う政省令等の改正に当たっては、障害者の社会への参加と統合が真に促進されるものとなるよう配意すること。
 三、本法の施行後においても、公共施設における障害者の利用制限、公営住宅への障害者の入居制限などの欠格事由等についてさらに検討を進め、その是正に努めること。なお、成年被後見人及び被保佐人を欠格事由とする制度の存続の是非については、さらに慎重な検討を行うこと。
 四、本法の施行後における医療技術の向上、補助手段の開発、人的支援の拡充等、障害者を取り巻く環境の改善を適切に法令に反映させるため、欠格条項の在り方について五年を目途として検討を行い結論を得ること。
 五、障害者対策に関する新長期計画の目標期間の終了後も、ノーマライゼーションの理念の普及を含め、障害者施策の一層の拡充に努めること。
  右決議する。
以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
大畠委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
大畠委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。福田内閣官房長官。
福田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をしてまいります。
    ―――――――――――――
大畠委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大畠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
大畠委員長 暫時休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時十七分開議
大畠委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 第百五十一回国会、内閣提出、個人情報の保護に関する法律案並びに内閣提出、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 これより各案について順次趣旨の説明を聴取いたします。竹中国務大臣。
    ―――――――――――――
 個人情報の保護に関する法律案
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
竹中国務大臣 ただいま議題となりました個人情報の保護に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 高度情報通信社会の進展のもと、情報通信技術の活用による大量かつ多様な個人情報の利用が、事業活動等の面でも国民生活の面でも欠かせないものとなっております。その一方で、個人情報は個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきものであり、個人の権利利益と密接にかかわるものであることから、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益の保護を図るための仕組みを整備することが急務であります。
 このため、平成十一年七月以来、高度情報通信社会推進本部及び同本部改組後の情報通信技術戦略本部のもと、有識者から成る検討の場において、個人情報保護に関する基本法制のあり方を中心に専門的かつ広範な調査審議を重ねていただきました。その結果、十二年十月に、内閣総理大臣に対し、個人情報保護基本法制に関する大綱が提出されたところであります。これを受けて、政府においては、同大綱に沿って、本法律案を取りまとめ、提出したものであります。
 次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、個人情報の適正な取り扱いに関し、基本原則、施策の基本となる事項、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務を定めること等により、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としております。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一に、個人情報を取り扱う際の基本原則として、利用目的による制限、適正な取得、正確性の確保、安全性の確保、透明性の確保という五つの原則を定めることとしております。
 第二に、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、関係施策の総合的かつ一体的な推進を図るため政府が基本方針を作成することとするとともに、国及び地方公共団体の施策等について規定しております。
 第三に、個人情報データベース等を事業の用に供している一定の事業者が個人情報を取り扱う際に遵守すべき義務として、個人データの第三者提供の制限や、本人の求めに応じた開示、訂正等の義務を定めることといたしております。同時に、義務に違反した場合における主務大臣による勧告及び命令、命令に従わない場合の罰則等も規定しております。
 第四に、民間団体による個人情報の保護を推進する観点から、苦情の処理等の業務を行う団体に関して、主務大臣が認定を行うこと等を規定しております。
 なお、報道、学術研究、宗教、政治の四分野については、事業者の義務等に関する規定の適用を除外する一方、基本原則を適用するとともに、個人情報の適正な取り扱いのため必要な措置をみずから講じ、かつ、その内容を公表するよう努めなければならないこととしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
大畠委員長 次に、片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいま議題となりました行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案等四法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 行政機関の保有する個人情報に関しましては、総務大臣政務官主宰の行政機関等個人情報保護法制研究会において、専門的かつ広範な調査審議を重ねていただき、その結果、昨年十月に、同研究会の報告が提出されたところであります。これを受けて、政府は、同報告に沿って、このたび、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案その他三法案を取りまとめ、御提案することとなったものであります。
 初めに、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、行政機関において個人情報の利用が拡大していることにかんがみ、行政機関における個人情報の取り扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護する措置を講ずるものであります。
 この法律案の要点は、第一に、行政機関は、個人情報を保有しようとするときは、その利用目的をできる限り特定するとともに、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならないこととし、行政機関の長は、当該行政機関の保有する個人情報について、利用目的の変更制限、正確性の確保、安全確保、利用・提供の制限等を講ずるものとしております。
 第二に、行政機関が電子計算機処理に係る個人情報ファイルを保有しようとするときは、原則として、あらかじめ、総務大臣に対し、所定の事項を通知しなければならないものとし、さらに、個人情報ファイルについて、原則として、所定の事項を記載した帳簿を作成し、公表しなければならないものとしております。
 第三に、何人も、行政機関の長に対し、当該行政機関が保有する自己に関する個人情報の開示を請求することができる権利を定め、開示を受けた個人情報の内容が事実でないときは、その内容の訂正を請求することができる権利を、また、開示を受けた個人情報が適法に取得されたものでない等のときは、利用停止の請求をすることができることを定めております。また、行政機関の長は、開示、訂正または利用停止の決定等について不服申し立てがあったときは、情報公開・個人情報保護審査会に諮問するものとしております。
 引き続きまして、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、公的部門における一体的な個人情報保護の措置を講ずるため、独立行政法人等の百四十三法人について、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案に準じた措置を講ずるものであります。
 この法律案の要点は、第一に、対象法人については、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の対象法人の考え方を基本とし、行政機関と同様に扱うことが必要な法人としております。
 第二に、行政機関と同様に、個人情報の適正な取り扱い、個人情報ファイル簿、開示、訂正、利用停止、不服申し立て、苦情処理等について定めております。ただし、独立行政法人等は国とは別の法人格を有することにかんがみ、個人情報の適正な取得に関する規定を設ける、不開示情報について独立行政法人等にふさわしい規定とする、開示請求に係る手数料は行政機関の手数料を参酌して各独立行政法人等が定めるなど、行政機関とは異なる規定を置いております。
 引き続きまして、情報公開・個人情報保護審査設置法案について御説明申し上げます。
 行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づき内閣府に設置されている情報公開審査会は、同法及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の規定による不服申し立てについて調査審議することとされておりますが、この法律案は、同審査会において、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案及び独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案の規定による不服申し立てについても調査審議することとし、情報公開審査会を改組して情報公開・個人情報保護審査会とするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 この法律案は、情報公開・個人情報保護審査会の設置及び組織並びに調査審議の手続等について定めるものであります。
 この法律案の要点は、第一に、委員は、すぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとし、あわせて、委員の定数、任期、守秘義務等について定めております。
 第二に、同審査会は、諮問庁に対し行政文書等または保有個人情報の提示を求めるいわゆるインカメラ審査を行うことができること等、同審査会の調査審議の手続について定めております。
 最後に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律及び情報公開・個人情報保護審査会設置法の施行に伴い、関係法律の規定の整備等を行うものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 第一に、情報公開審査会の情報公開・個人情報保護審査会への改組等に伴う関係法律の所要の規定の整備を行うこととしております。
 第二に、登記簿、特許原簿、訴訟に関する書類等、開示または訂正等について独自の手続が定められている文書に記録されている保有個人情報については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第四章または独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律第四章の規定の適用を除外することとしております。
 第三に、統計法等、独自の個人情報保護の制度が定められている法律について、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律または独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の規定の適用を除外することとしております。
 以上が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案等四法案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
大畠委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十八分散会


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