衆議院

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第7号 平成16年4月14日(水曜日)

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平成十六年四月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 今津  寛君 理事 大村 秀章君

   理事 河本 三郎君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 鎌田さゆり君

   理事 中山 義活君 理事 大口 善徳君

      岩屋  毅君    江崎洋一郎君

      河井 克行君    西川 公也君

      西村 康稔君    葉梨 康弘君

      早川 忠孝君    平田 耕一君

      平沼 赳夫君    宮腰 光寛君

      村上誠一郎君    石毛えい子君

      泉  健太君    市村浩一郎君

      稲見 哲男君    大畠 章宏君

      島田  久君    中井  洽君

      鉢呂 吉雄君    原口 一博君

      山内おさむ君    横路 孝弘君

      太田 昭宏君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     宮腰 光寛君

   会計検査院事務総局第一局長            石野 秀世君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          関戸 秀明君

   政府参考人

   (警察庁次長)      漆間  巌君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 河村  博君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    西江  章君

   内閣委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  石毛えい子君     稲見 哲男君

  泉  健太君     鉢呂 吉雄君

  山内おさむ君     中井  洽君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     石毛えい子君

  中井  洽君     山内おさむ君

  鉢呂 吉雄君     泉  健太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 警察に関する件について調査を進めます。

 この際、三月二十九日、札幌市において実施いたしました警察に関する実情調査につきまして、その概要を御報告申し上げます。

 参加委員は、今津寛君、大村秀章君、山本拓君、宇佐美登君、中山義活君、大口善徳君、吉井英勝君、そして私、山本公一の八名でありました。

 実情調査においては、北海道警察の捜査用報償費問題等について、原田宏二君、北海道警察本部長芦刈勝治君及び北海道公安委員会委員長佐野文男君の三名に対し、個別に意見聴取及び質疑応答を行いました。

 まず、原田君から、

  組織的な裏金システムの存在とその使い道

  上層部の関与

  警察内部の風潮、会計検査の形骸化、公安委員会の形骸化等裏金を生み出した背景

  現場警察の実態に見合った予算措置の必要性

  使う側から見た捜査用報償費の使用基準の策定の必要性等

北海道警察の捜査用報償費問題等について意見を聴取いたしました。

 これに対し、各委員から、

  裏金がつくられた原因及びその改善策

  原田氏保有の未公開データを公開する可能性及びその条件

  捜査用報償費に関する会計決裁の新たな基準の実効性

  北海道警察による内部調査等の評価

等について質疑が行われました。

 これに対して、原田君から、

  裏金については、倫理観の問題もあるが、捜査の現場で自由に使える費用が不足していたことも一因である。また、使う側から見た捜査用報償費の使用基準を策定する必要がある。

  未公開データについては、内容が具体的で、守秘義務、名誉毀損等の問題も生じる可能性がある。百条委員会等、免責される場なら提出してもよい。

  会計決裁の新たな基準の内容を把握していないが、その効果は疑問である。

  北海道警察による内部調査は不要である。

等の答弁が行われました。

 次に、芦刈君から、

  旭川中央警察署問題への対応の経緯

  北海道警察予算執行調査委員会の設置の概要

  旭川中央警察署問題、元幹部警察官発言問題及び弟子屈警察署問題等についての調査状況

  北海道公安委員会による監察の指示に基づく特別調査等の実施方針の概要等

北海道警察における捜査用報償費問題等に対する取り組み状況について説明を聴取いたしました。

 これに対して、各委員から、

  旭川中央署問題等について、早期に調査し、逐次報告すべき必要性

  北海道警察の特別調査の目的

  捜査用報償費を現金振り込み、クレジット決済方式で支払うことに対する見解

  公益通報者保護制度についての見解

  北見方面本部に係る不適正事案への対応状況

等について質疑が行われました。

 これに対して、芦刈君から、

  旭川中央署問題等については、調査範囲が広範囲であるなど厳しい面もあるが、可能な限り早期に調査し、逐次報告する方向で努力する。

  特別調査の目的は、会計経理における手続等の調査であり、私的流用を前提としたものではない。

  捜査用報償費の現金振り込み等の決済方式について、難しい面もあろうが、検討する。

  特別調査等の事情聴取に際し、陳述者に対して不利益な取り扱いをしないこととしている。

  北見方面本部問題への今後の対応は、調査結果を踏まえて検討する。

等の答弁が行われました。

 最後に、佐野君から、

  旭川中央警察署問題等の対応への考え方

  疑惑報道に対する指示、予算執行検討調査会に対する指導等の公安委員会の対応経過

  北海道警察の事務に関する「監察の指示」の発出

  監察の履行状況の点検等

北海道警察の捜査用報償費問題等に関する北海道公安委員会の対応について説明を聴取いたしました。

 これに対し、各委員から、

  公安委員会の役割の重大性についての認識

  公安委員会における議題の設定の実情

  公安委員会独自の事務局の必要性

  捜査用報償費に関する会計決裁の新たな基準についての認識

  旭川中央警察署問題が報道された際の認識

等について質疑が行われました。

 これに対し、佐野君から、

  公安委員会の第三者的機関としての役割は重大であり、道警の調査が厳正、公正なものとなるよう指導していきたい。

  公安委員会における議題については、通常は道警が提案するが、公安委員会から提示することもある。

  公安委員会独自の事務局については、今後の検討課題である。

  会計決裁の新たな基準については、適切なものと思う。

  旭川中央警察署問題に関して、疑惑を持たれたこと自体が問題であると判断し、疑惑の払拭に努めるよう指示した。

等の答弁が行われました。

 なお、今回の実情調査に当たりまして、御協力いただきました方々にお礼を申し上げ、御報告といたします。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長関戸秀明君、警察庁次長漆間巌君、警察庁長官官房長吉村博人君、法務省大臣官房審議官河村博君、法務省刑事局長樋渡利秋君、財務省主計局次長杉本和行君及び国税庁課税部長西江章君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 どうもおはようございます。自由民主党の葉梨康弘でございます。

 本日は、公安委員長、集中質疑、御苦労さまでございます。

 冒頭、イラクでもう大変非人道的な事件が起こっております。これについて強い憤りを発するとともに、また、現在内閣でその衝に当たっていらっしゃいます危機管理監、それから内閣の情報官、いずれも警察の出身でございます。警察庁あるいは国家公安委員会は危機管理の専門の省庁である。その中で、政府の中で、まさに政府が一体となってこの事件に対処して、そしてぶれないで対応をしていくためにも、ぜひとも警察の持っている知恵それから英知をその中に結集していただきたい、そのことを御要望申し上げたいというふうに思います。

 それでは、質問に移らせていただきたいと思います。

 今現在、委員長の報告にもありました捜査費の流用疑惑の問題、いろいろと問題になっております。その中で、私自身は、この問題に対処していくためには、もちろん警察の自浄作用というのも大変必要ではあるけれども、北海道であるあるいは国家公安委員会である公安委員会として、国民の常識を代弁する立場として、いかに主体的に公安委員会がこの問題に対処していくかが極めて大事なポイントだというふうに考えています。

 その中で、特に小野公安委員長にきょうは御質問申し上げたいと思うんですけれども、まず公安委員長、公安委員長になられてまだ一年弱でございますが、いろいろと仕事をされていて、警察の部内の常識とそれから世間の常識、これがずれているんじゃないかと感じられたことはございますでしょうか。簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

小野国務大臣 昨年の九月に国家公安委員長に就任させていただきましたが、それまでは一度だけ委員会の代替要員として参加したことがございましたけれども、それ以外はどちらかといえば教育、厚生労働、環境関係が主体でございましたので、中に入って勉強させていただきましたが、いわゆる捜査あるいは警備といった他の省庁にはない分野がございまして、極めて専門的と申しましょうか、秘密を要する事柄というものが大変多うございます。ということは、いわばプライバシーの問題に関しては非常に丁寧に扱っている役所であるという認識は持たせていただいたところでございます。

 しかし、特殊性は十分理解いたしますものの、何よりも国民の皆様方の理解をいただくということがとても大事なことでございまして、そういった観点からは、いわば警察部内の常識が世間の常識と異なるということがあってはならないことでございますので、まずは、日夜治安活動のために頑張っている警察職員が、そういった国民の信頼を受けて、自信を持って活動ができるようにしなければならないという点と、そしてそれが国家公安委員会に課せられた一つの任務であるという認識を持ちながら取り組ませていただいているところでございます。

葉梨委員 ありがとうございました。

 それで、今の質問についてなんですが、今委員長、非常に秘密を要する役所でプライバシーを大事にしているということが、国民から見て非常に閉鎖的かどうか、本来閉鎖的なのかどうか、本質的にそうなのかどうかというのはちょっと私も後で申し上げますけれども、非常に閉鎖的に見える。そういうような面があるということについてはどうお考えになられるでしょうか。

小野国務大臣 最終的結論が出るまでは途中経過というものを話すことがなかなか難しゅうございます。そういった意味においては秘密主義と言われる分野がどうしてもございますけれども、しかし、事案が解明いたしますればそれはきちんと対応できるわけでございますので、途中における経過が全く口を閉ざしていかなければならない、そのあたりが、何か警察というのは秘密主義ではないか、そんな印象を持たれるところではないかと思っております。

葉梨委員 秘密主義ではないかというふうな印象を持たれるという今お話がございましたけれども、それをある程度払拭するために、ある程度、国民にもっともっと理解できる、わかりやすくしていくために、やはり公安委員会としてもいろいろ頑張っていただかなきゃいけない、そういうふうに思うんですけれども、そこについて一言コメントをお願いしたいと思います。

小野国務大臣 公安委員長といたしましては、警察法第五条第三項におきまして、「国家公安委員会は、法律の規定に基づきその権限に属させられた事務をつかさどる。」とされておりまして、したがいまして、このような事務については、御指摘のとおり、国家公安委員会がみずから活動を行い、権限を果たすものとなっておりまして、警察庁を管理するだけではなくて、いわゆる国民の負託にこたえて、いい意味での国民に対するオープンというものを今後も一層高めていかなければならない、そんな認識を持たせていただいているところでございます。

葉梨委員 前段ではなくて後段の答えの方がまさにそこで、そこのところをぜひとも腹の中におさめていただきたい。つまり、やはり非常に秘密主義に見えるようなところがあるわけなんです、現実として。ただし、それが必要な場合もあれば、ただし、余り度が過ぎてしまう、そういう場合には、やはり公安委員会としても国民にオープンにそれを説明する。説明できない部分もあればできる部分もある、そこのところをよく見ていただく。その意味での主体性というのは極めて必要じゃないかなというような感じを持ちます。

 といいますのは、委員の一部の方も御存じとも思うんですが、私も十七年間警察で飯を食っておりまして、それからやめまして五年間部外で飯を食いました。そうしますと、中にいたときでは見えないことがやはり外に参りますと見えてきます。そして、中にいると結構、一家意識で非常になあなあと優しい人も、やはり警察官、職務の関係もあるんでしょう、外にいると、たとえ途中でやめたOBではあっても非常にかたくなってしまったり、あるいは私から見ても閉鎖的に見えるというところはどうしてもある。

 それが必要なもの、それから度が過ぎないかということを、常にある程度緊張関係を持って見ていただくということは大事なことで、今の答弁の特に後段の部分、秘密主義に見えるようなところについてはオープンに、ただし、その秘密主義といったって理由がある場合もあるわけですから、そこのところをよく見きわめてということをまたお願いしたいと思います。

 そしてまた、今の答弁の前段の部分にかかわります。よく、国家公安委員会というのは、今回の国会だけではなくて今までの答弁の中でも、警察庁を管理する、だから具体的な指揮監督は行わないんだというようなことをいろいろな形の答弁で言われておりました。もう既に答弁いただきましたので、私の方からそれについて補足的な、質問に対する補足というのも変なんですけれども、申し上げたいと思います。

 実は、警察法の中で、そこの部分は五条二項というところでございます。ただし、警察法の五条三項というのがありまして、いろいろな法律によって公安委員会のやるべきこと、事務に属させられたものについては公安委員会みずからがつかさどるというようなことが書かれています。

 そこで御質問なんですが、大臣は警察庁を非常に大事にされる、あるいは公安委員会の委員長の立場としては警察庁を大事にされる、あるいは青少年の担当の特命大臣の立場としてはそれぞれ各役所を大事にされる。非常にそこのところは私もすばらしいなと思っているところもあるんですが、よく使われる言葉で、私も青少年特別委員の公式の会合で二回、この内閣委員会の公式の会合で一回、つかさつかさということを聞いたことがあるんですが、やはり公安委員会自身がつかさなんですよね。

 ですから、そこのところをもう一度、先ほどの前段の答弁になるわけですけれども、公安委員会自体がみずから活動を行ってその権限を果たし得る部分というのは結構あるんだということをもう一度御答弁願いたいと思います。

小野国務大臣 先生今おっしゃってくださったわけですけれども、警察法第五条三項におきましては、国家公安委員会は、法律の規定に基づきましてその権限に属させられた事務をつかさどるとされております。したがいまして、このような事務につきましては、御指摘のとおり、国家公安委員会がみずから活動を行い、権限を果たすこととなっております。

 また、警察法第十七条では、警察庁はこのような事務について「国家公安委員会を補佐する。」とされておりますけれども、御指摘のとおり、このようなことによって国家公安委員会の主体性が減殺されるものではないと考えております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 それでは、本件の関係でまた一つ事実関係というか法律関係を押さえておきたいと思うんですけれども、国家公安委員会の事務として法令によって属させられたものの中に、地方警務官の任免権というのがございます。都道府県警察に所属する警視正以上の警察官、これについての任免権者はどなたでございましょうか。

小野国務大臣 都道府県の警視正以上の階級にあります警察官につきましては、国家公安委員会が都道府県の公安委員会の同意を得て任免することといたしております。

葉梨委員 いずれにしても、国家公安委員会であるということでございます。

 そこで、人事院の方にお尋ねいたします。

 国家公務員、これは地方警務官のことを今言っているわけですけれども、それが懲戒事由に当たる行為を行った場合、当然のこととは思いますけれども、懲戒権者は任免権者、国家公安委員会にあるというふうに考えられますけれども、そのとおりでしょうか。

関戸政府参考人 一般職の国家公務員につきましては、国家公務員法で懲戒処分は任命権者が行うということにされております。おっしゃるとおりでございます。

葉梨委員 懲戒処分自体は任免権者が行う。もちろん、懲戒処分の前提としては、いろいろな各種の調査ということも必要になります。例えば、国家公務員である地方警務官、警視正以上の警察官が公費の横領といった非行を犯した場合に、その懲戒の前提としての調査の責任はどなたにございますでしょうか。

関戸政府参考人 懲戒処分を行おうとする場合、当然、先生御指摘のとおり、事実関係などについての調査が必要なわけでございます。その調査は、懲戒処分を行おうとする任命権者の責任において行われるものと考えております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 今の人事院の方の答弁でも明らかなように、今回の事案について、国家公安委員会が、いろいろな意味で、つまり国民の常識に近づけて、もちろんすべてのことをオープンにというか公開することが警察活動の中で妥当であるというふうには私自身思わないわけですけれども、いかにわかりやすく国民に語りかけていくのか。

 そしてさらには、今現在問題となっております、これはもうやめてしまった方ですけれども、原田宏二さん。あの方は、中央警察署長というのは警視正以上の国家公務員なんです。ですから、当時の原田宏二旭川中央署長を任命したのは国家公安委員会。それから、例えば、都道府県の警察本部長が都道府県の公安委員会に対して虚偽の報告を行った、これは当然懲戒事由にもなってくるわけですけれども、それについてちゃんと監督をしていくのも国家公安委員会。

 ですから、その意味で、国家公安委員会というのはその責めを逃げることができない。事務も持っているし、実際に任免もしているということをこの場で明らかにしていきたいと思います。

 ただし、私自身は、そこまで申し上げたけれども、今現在の国家公安委員会が何もやっていないということを言っているわけではありません。この数年の警察改革の中で、実はこの数年、わっと公安委員会が前に出てきて、いろいろな改革がなされていた。そのときには私はもう部外の立場にいたわけですけれども、部外から見ていても相当一生懸命やっているなというような感じを、印象を受けております。

 そこで、一点、今度は捜査費の問題に関して伺いたいんですけれども、実は、従前の捜査費の執行のやり方というのは、私もちょっと執行してみて幾つか問題があったんです。

 というのは、私個人の経験からしますと、昭和六十年から六十三年まで、それから平成元年から平成三年まで、それぞれ岩手県と兵庫県で捜査二課長というのをやっていました。

 大体、国費の捜査費が主なんですけれども、これはどういう形で来るかというと、今までの執行のやり方は、事件が上がってから捜査費が来ます。そうすると何が起こるかというと、前の事件で来た捜査費を次の事件の内偵のために使うということが起こってきます。コンスタントに事件が上がればいいんですけれども、必ずしも事件というのはコンスタントに上がらない。そうすると、時によってたくさん来る時期があったり、減った時期もある。もちろん、その捜査費の使途というのは、協力者謝礼もあれば、あるいは捜査員の督励という形で使うこともできるわけで、ある程度フレキシブルな形ではあるんですけれども、やはりいかがいかにも、私自身考えましたのも、当時も思いましたのは、いかにも使いづらい、一つには使いづらい。

 それから、もう一つは、こういう仕組みになりますと、例えば不心得な方が出てきたときに、後でのチェックが非常にしづらい仕組みである、そういうことは当時も感じました。

 それが、私が在外公館から戻ってきたら、もう既に旅費については、それぞれの捜査員の個人口座への振り込みというのが始まった。そして、警察改革の流れの中で、あのときは公安委員会が大分前面に出て、捜査費の執行ということだけじゃなくて、もっと警察をオープンにしようということでいろいろな話し合いがなされた時期だというふうに思っているんですけれども、その中で捜査費についても、いわゆる諸雑費制度という形で、これは大分いろいろな改善が行われたのかなというような感じを持っています。

 この一連の警察刷新の改善について、今申し上げた評価でよろしいのかどうかということをちょっとお答え願いたいと思います。

小野国務大臣 葉梨先生の方から詳しくお話をいただいたようで大変恐縮でございますけれども、従前は、捜査員が例えば追尾等のためのタクシーを利用いたしました場合に、捜査員が立てかえ払いをし、後に精算する制度であったために、手続が煩雑となりまして、場合によっては捜査員が自己負担をするというふうなことがあったかもしれないと承知をいたしておるわけでございます。

 このために、平成十三年度から捜査諸雑費制度を導入いたしまして、捜査員にあらかじめ一定の額の現金を交付し、後日精算する制度を設けまして、捜査員が捜査費を柔軟かつ機動的に執行できるようにしたところでございます。これが一点でございます。

 また、最近の改善策といたしましては、平成十六年度から、本人名義の領収書を捜査協力者から徴収することができない場合に、捜査協力者への支払い事実を証明するために、現金を支払った捜査員本人が新たに支払い報告書を証拠書類として作成することとし、捜査費を支払った日時、場所、理由、状況等について、可能な限り具体的に記載することといたしているわけでございます。

 作成されました支払い報告書につきましては、所属長に加えまして、捜査を具体的に指揮をしております上司が支払い事実を確認することといたしておりまして、その際に、確認者本人がより自覚を持って確認することとなるように、みずから署名を行うことといたしているわけでございます。

 こうした措置によりまして不正を防ぐことができると考えておりますけれども、あわせましてさらに、会計検査院によります検査や、監査委員によります監査に際しまして、支払い報告書等に基づいて説明責任を十分に果たすよう、指導を強化しているところでございます。

 さらに、捜査費は、現場のさまざまな捜査活動に充てられる経費でございますから、現場の捜査員はその使用方法や使途について熟知している必要があるわけでございますが、その捜査員がいかなる場合に捜査費を執行できるのか、その具体的使途を執行資料を作成するなどをいたしまして明らかにし、いわゆるわかりやすくしてございますけれども、その第一線捜査員に必ずしも周知できていなかったのではないかという反省もございまして、警察庁といたしましては、第一線で勤務をいたします捜査員が捜査費を効果的かつ適正に執行できるように、第一線捜査員に対する執行資料を作成し、いわば教養の充実を図っていると承知をいたしているところでございます。

葉梨委員 大臣、そういうことを聞いているんじゃないんですよ、特に後段のことは。私は、前段のことは、評価のことを聞いているんだけれども、この質問は何かというと、警察庁が何やっているということじゃなくて、公安委員会が何やったということを聞いているんですよ。流れで、一番冒頭言いましたから。

 だから、余り細かく警察庁がやったことを言われなくても結構です。それはもう今までの質疑の中でたくさん出ています。そうではなくて、実際に公安委員会として、例えば官房長通達でもどういう意見をやってやらせたとか、規則をつくったとかということ、その主体性について全体の流れで聞いているわけです。

 もう一度御質問いたします。それでは、今回の一連の捜査費の疑惑の中で、公安委員会自体が主体性を発揮してやられた施策というのはあるんでしょうか。そのことをお聞きしたいと思います。

小野国務大臣 各種の疑惑への対処と、第一線の警察活動への配慮、このバランスを保ちつつ、国家公安委員会が主体的に何をしたかというのが先生の御質問であろうかと思います。(葉梨委員「いや、違います。主体的にやったことがあるかどうかと聞いているんです」と呼ぶ)ああ、具体的にですね。失礼いたしました。

 二月十九日の国家公安委員会におきましては、都道府県警察による監査委員への対応のあり方について、よりよい形に見直す方法で検討するように警察庁に指示をいたしまして、二月の二十六日に、これを受けて発出されました官房長通達によりまして、できる限り監査に協力すべきであるという要請と、現場の事象に対応しなければならない要請との調和を図る上での基本的な考え方が明らかとなり、既に各都道府県警察におきまして、その趣旨に基づきまして適正に対応されているものと承知をしているわけでございます。

葉梨委員 そのことなんです。それで、それについて一言、それは国家公安委員会のイニシアチブで行われたものと理解してよろしいですね。

小野国務大臣 そのように私どもは認識をいたしております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 そこのところをしっかりと、というのは、国家公安委員長というのは大臣がお一人なんですけれども、ほかに五人の委員の方がいる。実は、その五人の委員の方の方が、ちょっと私もいろいろと話を聞いてみたんですけれども、公安委員長よりも何年か長くやっている。大分、警察のことも御存じで、最近の国家公安委員会というのは、相当、いろいろなうるさ型がいろいろなことを言われている。

 ですから、そういうようなうるさ型がどんどんどんどん言っているんだということを、やはりこの国会の委員会の場でもどんどん宣伝していただきたいんですよ、私は。警察庁が何を、細かなことをやったとかなんとかというのは、もう既に野党の方がたくさん質問されているから、私、耳にたこができるぐらいわかっている。ですから、先に進ませていただきます、向こうからちょっと笑われていますので。

 ただ、さはさりながら、そこのところをしっかり持っていただきたいと思うんですが、私は、公安委員会制度というのが、全部全部、国民にわかりやすくわかりやすくということで、警察で秘密を保たなければいけないことまで全部オープンにしてしまう制度だというふうに思っているわけではありません。

 また、捜査費の使い方というのも、先般の委員会の中でも幾つか出てきはしましたけれども、例えば原田さんの陳述にもあります、上限を限って使用基準。そんなこと言ったって、現場はなかなかそんなわけにはいかない。実際に、苦しい事件をやるときは、何万円も持っていって情報をもらうということだってあるわけです。ですから、そこのところはやはりケース・バイ・ケースで考えていかなきゃいけない。

 ですから、やはり一番大きな問題というのは、国民にわかりやすく、だけれども、ここの部分は出せないんだよ、現場というのはなかなか大変なんだよ、そこのところをしっかりバランスをとっていただく。そのためにも、やはり国家公安委員会の役割というのは大きいんじゃなかろうかというような気がしています。

 その点について一つ言うと、先般この委員会でも野党の方から質問があったんですけれども、実は、では全国の警察について、もう一度帳簿をひっくり返して、全部ひっくり返してやるべきだという、ちょっと私自身懸念するのは警察官の士気に対する影響なんです。

 というのは、先ほどの質問でも申し上げたとおり、今回の一連の疑惑について、公安委員会が主導して二月に官房長通達を出させた。それから、四月には国家公安委員会規則をつくった。結構いいことを書いてあります、私もいただきましたが。その前の段階でも、いろいろな形で、捜査諸雑費制度の導入、あるいは旅費を直接振り込むといった改善が行われている。今幾つか問題として噴出している、旭川の事件についても、あるいは静岡の事件についても、福岡の事件についても、そういった一連の改善の前の話なんです。ですから、そこのところはやはり私たちはよく考えなきゃいけない。

 そしてさらに、昔は確かに、先ほども大臣も御同意されたように、使いづらい制度である、それから、もしもそういうような変なことが起こったときに後からチェックしづらい制度である、そういった反省に基づいていろいろ直している。その前の段階の話を、おまえたちはみんな泥棒なんだ、警察官はみんな泥棒なんだ、だから、もう一度帳簿をひっくり返して、全国の警察で昔の帳簿を全部ひっくり返せというのは、ちょっとかわいそうかなというような印象を私は個人的には持っております。

 そこで、そのような警察官性悪説に立って、全警察を挙げて帳簿をひっくり返す、ちょっと非現実じゃないか。ただし、やはり、問題が指摘された事案だとか、あるいは部外の会計監査に対する協力、これはできるだけやっていくんだ、そういうような姿勢が必要だと思いますけれども、公安委員長としての御所見を伺いたいと思います。

小野国務大臣 私自身も、今回の事案に関しまして、すべての警察官がこのことによりまして士気を失うことがあってはならないということは一つ気持ちの中に置きながら、この問題に真剣に取り組ませていただいているところでございますけれども、いわゆる不正事案や疑惑に対しましては、とにかく関係道県におきまして、公安委員会の指示を受けて、それぞれが鋭意調査を進めているものと承知をいたしているところでございます。調査の結果、不適正な部分が判明いたしますれば、それは厳正な対処をするものと認識をいたしているところでございます。

 あわせまして、まず、県費の捜査費執行に対する監査への対応のあり方については、国家公安委員会の指示を受けまして、監査委員から捜査員に対する聞き取り調査の要求が行われたときには特段の支障がない限りこれに応じるように、そのように配慮すべきである旨の通達は各都道府県にいたしました。ですから、その辺は、きちんとやっていただける限り対応してもらいたい。

 さらに、国家公安委員会では、警察庁が都道府県警察に対しまして実施をいたします監査の充実強化を図る一環といたしまして、監査に関する権限を明確化するとともに、国家公安委員会に対しまして監査結果を報告させること等を定め、会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定したところでございます。

 警察庁では、これを受けて、今後、都道府県警察に対しまして計画的に監査を実施するものと承知をいたしておりますので、一律にということではありませんけれども、必ずや、そのような報告がなされるようになったということを申し上げたいと思います。

葉梨委員 それでは、問題の指摘があった事案については適正に対処するとともに、特に外部の監査について、監査委員それから会計検査院ということになりますけれども、捜査の現場の実情を踏まえながらできるだけ協力する、そういう理解でよろしいでしょうか。

小野国務大臣 そのように考えております。

葉梨委員 時間も最後になりました。

 今、ずっとこの質問でも申し上げておりますけれども、公安委員会の役割というのは、警察に対する信頼を高める、それだけではなくて、やはり、現下の厳しい治安情勢にいかに対処していくか、これがすごく大切な役割だと思います。

 途中で申し上げましたけれども、しっかりとしたバランス感覚を持って、公安委員会が主体性を持って、そして国民の常識、これの代弁者として、そしてさらには一線の警察官の士気をいかがいかでも阻喪することがないように、そういうことを考えて、そうなりますと、やはりどうしても個々の対応というのは、ケース・バイ・ケースにならざるを得ない場合というのは出てくるだろうと思います。

 その決意を大臣から伺えれば、本当に伺いたい。もしその決意がちょっと消極的だなというと、後で野党の皆さんが大分手ぐすねを引いていらっしゃるようですから、ぜひともしっかりと決意を伺いたいと思います。

小野国務大臣 国家公安委員会といたしましては、事案の早期解決と、そして会計経理の一層の適正化という方針のもとに、警察庁に対しまして必要な指導監督を行い、先ほど申し上げましたような施策を講じているところでございますが、一方で、全国警察官が一体となって本来の警察活動に邁進をし、国民の方々の良好な治安に寄せる強い願いにおこたえしていくこともまことに重要なことであると考えております。そのようなことから、全国の警察職員がその持てる力を十分に発揮いたしまして、国民の期待と信頼にこたえることができるように、不断の努力を重ねてまいりたいと思っております。

葉梨委員 ぜひ期待しております。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 次に、鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 おはようございます。民主党の鉢呂吉雄です。

 まず最初に、国家公安委員長にお伺いをいたします。

 私が最初に質問したのは、二月の十二日、予算委員会で、テレビも入った中で、最初の質問をさせていただきました。委員長も御案内のとおり、昨年の十一月の下旬に、北海道警察に端を発して、コピーされた裏金疑惑メモというものが流出をし、そして原田元警視長の御発言があって、私が質問に立ったわけであります。そして、三回の予算委員会の質問、また、前回の内閣委員会で二時間十分にわたって質問をさせていただきました。きょう、二時間半という大変長時間でありますけれども。

 この二月十二日から今日まで、例えば旭川中央署、これは最初の十一月下旬のメモでございました。すべて裏金化がされておった。捜査費あるいは県費の捜査報償費、これらが架空の協力者のもとで裏金化をされておったと。先般、弟子屈署、これも北海道でありますけれども、弟子屈署の裏金疑惑についても、十二年度についてはすべて架空の協力者。捜査員に事情聴取をして、八名の方すべてが、協力者は実在しておらないと言う中で、裏金化をされておったということ。

 当初は委員長も、各県警の調査状況というものを様子見するような発言が多かったわけでありますけれども、二月の十二日、私の質問以来ちょうど二カ月を経ようとしているわけであります。この時点において、この警察にかかわる裏金疑惑問題についてどのような認識をしておりますか。この点をまず最初にお伺いいたします。

小野国務大臣 鉢呂委員とのやりとりは大変長きにわたっております。中間報告がなされたことでございますけれども、現実にそのようなことがあったということに関しましては、まことに遺憾であると承知をいたしております。

鉢呂委員 遺憾であるという一言でありますが、もう少し、この間の推移についてどのような、遺憾というのも使いやすい日本語の一つでありますけれども、もう少し具体的な、委員長としての考えを含めて、この間の調査に基づく経緯を含めて、大臣のお考えを御披瀝ください。

小野国務大臣 それぞれの、例えば旭川あるいは弟子屈の状況は、それぞれ内容が違っておりますので一概に申し上げることは困難ではございますけれども、それぞれの公安委員会の指示を受けながら対応し、そして中間報告がなされているところでございまして、それを受けながら、私どもは、今後その結果においてどのように対処していくかというふうな形の中で拝見をさせていただいているところでございます。

鉢呂委員 私は、何回も当初から言っておりますけれども、平成十二年の警察のさまざまな不祥事にかかわって、警察法の改正がございました。警察刷新会議の答申も得まして、警察の管理に関してもっと国家公安委員会が積極的にかかわっていく、積極的に監察の指示を与える、いわゆる警察法十二条二の指示権の発動について警察法の改正がなされたわけであります。

 そういう中で、前回、三月十九日の当内閣委員会で、十二条二に基づく個別具体的な指示について、委員長として発動する考えがあると受けとめてよろしいんでしょうかという私の質問に対して、「具体的に当たる監察について指示を発することができるようにしたところでございますから、」これは平成十二年の法改正のことを言っていらっしゃるんだと思います「できるようにしたところでございますから、」この力を「十分に行ってまいりたいということでございます。」こういう答弁をされて、ほぼ一カ月たとうとしておるわけでありますけれども、この発動についての考え方。私はもう既に発動するような段階だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 国家公安委員会は、今回の問題に関しましては、警察法第十二条の二に基づく監察の指示は行っておりません。

 三月十九日の内閣委員会におきます鉢呂議員の質問に対する私の答弁の趣旨というのは、警察法が改正をされ、公安委員会が監察の指示を発することができるようになった、そしてこの趣旨を踏まえて、会計経理の問題に関しましては、国家公安委員会として厳正に対処していく上において、監察の指示についても必要に応じ十分に活用してまいりたいというものでございます。

 国家公安委員会におきましても、監察の指示につきましては、関係道県警察あるいは警察庁におきます調査検討状況や各種施策の実施状況を踏まえつつ十分に議論をし、検討した上で対処していくこととしているところでございまして、必要があれば当然にこれを行うものとの前提にございますけれども、現時点ではこれを行う判断に至っていないものであり、この点については、私の認識あるいは答弁と何ら異なるものではございません。

鉢呂委員 私は、二回質問をしました。当然、二回目は、発動をするということを委員長は考えて、この力を十分に行ってまいりたいということでございますというふうに答弁されたわけでありますけれども、今、お聞きをいたしますと、従来どおりの、監察に対して指示はしておりますけれどもあくまでも口頭でというような考えで、これは、十二条二の精神、あるいは法が改正されたときの考えとは全く違いまして、委員長も御案内のとおり、十二条二はきちんと文書に基づいて、御案内のとおりです、行うわけでありますから。

 そうしますと、なぜ今この段階に至っても十二条二の適用をしないんですか。

小野国務大臣 この件に関しましては、北海道の公安委員会が既に監察を評定いたしまして行っているわけでございますので、国家公安委員会といたしましては、それを見守っているというところでございます。

鉢呂委員 北海道だけではなくて、今や静岡県警あるいは福岡県警、熊本県警、長崎県警、さまざまな、もっとありますね、宮城県警の問題も、総務課の食糧費の問題でありますけれども、出ております。私は強く言っておりますけれども、警視庁の銃器対策課の問題もそのとおりでありまして。私は、北海道警察のことだけであれば長官の言うことはわかります。(小野国務大臣「委員長」と呼ぶ)長官じゃなくて委員長ですね、大臣ですね。

 そのところは、きちんと認識を改めて、前回答弁したわけですから、あのときの答弁は全く違うことになりますよ。どういうことだったんですか。

小野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、監察の指示を発することができるようになったということは、これは事実でございます。監察の指示をするかどうかということは、状況の中で私どもがきちんと議論をした上でそれを発するということになるわけでございますので。

 監察の指示を行うかどうかにつきましては、各都道府県の公安委員会における、都道府県警察における調査対応状況、あるいは警察庁における対応状況を踏まえつつ、いわゆる委員会の立場で、委員会の場で十分に議論検討をしてそれに適切に対応していくべきもの、そのように認識をいたしているところでございます。

鉢呂委員 私は、二月の十九日に、これは予算委員会で同じように答弁を求めたら、大臣はこういうふうに言っております。「具体的な事実関係とか根拠が明らかにならなければ調査を行うことは困難である」「そうしたきちんとした事実関係あるいは根拠が明らかになっていないということを御理解いただきたい」こういうふうに答弁をされました。

 私は、この十二条二を改正する際の議事録を全部見させていただきました。当時の西田国家公安委員長、そのときのさまざまな要件の中で、こういった事実が明らかでなくても、国民のさまざまな疑問点、国民のそのような要望、そういったものがこの十二条二に発動できるということさえ言っておるわけであります。そのこともその当時言いました。

 しかし、今の時点で、長官が言われた、当時二月十九日……(発言する者あり)長官じゃなくて委員長です。きょうはちょっと寝不足で、今、頑張っておるところでありますけれども。確かに状況は変わって、まだ二つ三つでありますけれども、さっき言いましたように、もう警察が認めざるを得ない、事実として認めざるを得ないという状況になっておるわけであります。

 判断の根拠は一体何だったんですか。あのとき、一カ月前に、その力を十分行ってまいりたいと。大臣がああいう答弁、私もびっくりしたわけですね。これは、いよいよやるんだ。今までの答弁とは全く違うわけです。今まで私、三回全部質問しておりますけれども、十二条二に基づく指示権発動というのは、一切、大臣は、やる段階ではないと。

 今、北海道警察、北海道公安委員会がやっている、これは別の、警察法の四十三条に基づいてやっているわけですから、都道府県の公安委員会は都道府県の公安委員会としてあるわけでありますから、それをもって国家公安委員会がやらないとかいうことではありません。まさか、静岡県とかあるいは福岡県等々といったような問題に北海道公安委員会がかかわれるわけではありませんから、やっぱり国家公安委員会として、二月の十九日からずっと、質問に対する答弁からいけば、私は、今回これを発動する段階に来ておる。しかも、先月の十九日にそういった国家公安委員長の答弁をしておるわけでありますから。

 どういった判断基準が出てくれば適用するということなんですか。私は、あのとき当然、発動する、そういった条件になっておる、基準になっておるというふうに見たわけであります。

小野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、監察の指示というのは、要するに、今後の推移を見きわめつつということでございまして、さらに、北海道は北海道の公安委員会が監察の指示を出したわけでございますし、静岡は静岡県の公安委員会がございますし、そして福岡県は福岡県の公安委員会がございますから、それぞれが、つかさつかさという言葉を使わせていただいておりますけれども、その中において監察の指示が出されておる場合に、国家公安委員会といたしましては、その推移を見させていただいている、そういう立場でございます。

鉢呂委員 内閣委員長にお尋ねをしたいわけでありますけれども、前回、三月十九日の警察法の改正をされた附帯決議、この二番目に、「国家公安委員会の管理の下、警察内部の会計処理全般について全国的・計画的に監査を実施し、その結果を国家公安委員会に報告するなど会計経理の一層の適正を期すること。」こういう決議がなされたわけであります。

 これは、まさに十二条二の監察の指示、いわゆる全国的、計画的ということに当たると思うのでありまして、そういう観点から、大臣はこの二の、附帯決議というものの重みを、あるいはこの附帯決議の趣旨についてどのように、後ろの方は黙っておいてください、どのように感じておるのか。

小野国務大臣 二月十九日の国家公安委員会におきまして、監察の指示について、今後の推移を見きわめたいという、適切に処置していく方針を決めておるわけでございます。

 現在、警察庁における予算執行検討委員会の検討も進みまして、監査委員への対応のあり方や捜査協力者から徴取する領収書のあり方等の施策が打ち出されております。また、会計監査を強化するための、会計の監査に関する国家公安委員会規則を定めまして、警察庁においては、これに基づいて、都道府県警察における会計監査を順次計画的に実施することとなっております。

 また、北海道におきましても、三月の十二日に公安委員会から、先ほどから申し上げておりますように監察の指示が出され、それに基づく道警の内部調査も鋭意行われているところでございます。

 このように、警察庁及び関係道県における調査検討が進んでおりまして、監察の指示については、これらの結果を見て検討すべきであって、現時点においてこれを行うという判断には至っていないということでございます。

鉢呂委員 もう少し発動の判断基準を示してください。

小野国務大臣 監察の指示を出すための条件は何であるかという御質問だろうと思います。

 監察の指示を出すための具体的条件というものは、特に定められたものはございませんけれども、強いて言えば、先般の予算委員会におきましても答弁いたしましたとおり、監察の指示の運用につきましては、平成十三年三月に国家公安委員会による申し合わせにより、監察の指示は、警察運営の実態、不祥事案の発生状況その他の事情を踏まえ、警察庁の監察の実施状況等について説明を徴する等して発出の必要性を判断することとする、こうなっております。

鉢呂委員 まさに、それに照らせば、今の状況は、その発動の指示をするということになると私は確信をしております。

 あの平成十二年の前後の不祥事からいけば、今このときこそ、あの十二条二、その精神に基づいて、十二条の二で国会公安委員会の機能強化を図った、これを発動せざるをして、今回以外はないと私は思います。どうですか。

小野国務大臣 平成十六年の二月十九日に開催されました国家公安委員会におきまして、監察の指示に関して検討が行われました。

 委員の皆さんからは、監察の指示についても視野に入れるが、まずは警察庁と北海道警察が始めた調査検討についてしっかりと把握していくべきである、こういう御意見がございまして、国会公安委員会といたしましては、監察の指示については、今後の推移を見きわめたい、適切に対応していくことといたしているわけでございます。

鉢呂委員 しっかりと把握をしていかなければならないと。

 十二条二は、具体的文書で、全国あるいはその当該する警察に文書で指示を発して、それは具体的、個別的ですから、今さまざまな県警でも見ておりますけれども、いつまでにこの調査を行うべしとか、どういったもの、例えば捜査費、捜査報償費等々のものを具体的に挙げて、さらに、その履行状況を見て国家公安委員の中から委員を指名して、そして事務局も特別につくり上げて行う。私はまさに、しっかり把握をするということは、その時点に来ておるというふうに思います。

 大臣自体は、ずっと私全部言ってもいいんですけれども、個別的に節目節目で確認をしていくというようなことを言って、一カ月前に、三月十九日にああいうふうにはっきり言われたわけであります。この十二条二を、十分に行ってまいりたいということでございますと。そうしたら、あの答弁は一体どういうことを言っておったわけですか。

    〔委員長退席、河本委員長代理着席〕

小野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、国家公安委員会委員長の個人的発議でこれは行われるわけでございませんので、国家公安委員会といたしましても議論をさせていただいたということは申し上げておりますし、そして、各都道府県の、都道府県のというよりは、事案がありました方の北海道の公安委員会でもって既に監察を出しているわけでございます。

 国家公安委員会が監察の指示を出す場合には、その内容について、監察の対象とすべき事務の内容あるいは当該事務に関する警察庁としての対応状況その他の事情を踏まえつつ、公安委員会において個々具体的に検討の上決定されるものと考えておりまして、したがいまして、以前の段階において、それがどのようなものになるかについては申し上げることはできないわけでございます。

 なお、先生さっきおっしゃいましたように、監察の指示は書面において出されることになっておりまして、その指示の適正確実な履行を確保するために必要と認めるときは、その履行状況を点検する者を国家公安委員会の中から指名することにまでなっておりますけれども、まだそこに至っていないということを先ほどから申し上げているわけでございます。

鉢呂委員 私は全く経過なしで言っているわけでなくて、以前に三回質問をして、これについてはまだ時期尚早ということであったにもかかわらず、前回、三月十九日には大きく踏み出したわけであります。もちろん国家公安委員会というものがありますけれども、その状況も踏まえて、国会という正式の厳粛な場で、行ってまいりたいというふうに述べたわけでありまして、私は、何もそれを意図的に言っておるわけではありません。大臣の答弁を詳細に順次精査しながら、きょうここで立っておるわけでありまして、私は非常に遺憾であります、それこそ。何のための国会の質疑であるのか。大臣の重みというものは、やはり責任制のもとで御答弁をしていただかなければなりません。

 一体、三月十九日から今日まで、こういうふうに戻るということについて、大臣はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。

小野国務大臣 私は別に、戻ったとは考えておりません。その権利がある、監察を行うことができるということは、これは事実でございますけれども、北海道の方の公安委員会の監察の指示が出ておるわけでございますし、その対応を見きわめた上で必要があるのであれば、そこで私どもが監察ということに入ることになるわけでございますけれども、その状況ではないということを申し上げているわけでございます。

鉢呂委員 もう一度戻りますけれども、法の改正の附帯決議、国会のこの場で全会一致で決議をされた、いわゆる「国家公安委員会の管理の下」で「全国的・計画的に監査」、全国的にですよ、北海道警察のことを言っておるわけではありません。あるいはそういう場合もあるとかということでなくて、今や「全国的・計画的に監査を実施し、その結果を国家公安委員会に報告する」、これはまさに十二条二のことではないですか。

 この決議の重みというのは、その言葉はどうでもいいですけれども、これを何というふうに考えているんですか。

小野国務大臣 ですから、先ほどから申し上げておりますとおり、全国を一律にということではございません。事案があることにおいて、つかさつかさにおいてやっていくわけでございますから、そこをぜひ御理解を賜りたいと思います。

鉢呂委員 全国的にとまで国会で言っておるわけであります。しかも、どうも単に旭川中央署や弟子屈署や静岡県警や福岡県警だけにとどまらない、警察という組織の状況を考えればかなり全国的だというふうに想定せざるを得ないわけであります。まだ個別的だというような段階でないだけにこういう附帯決議も出されたわけでありまして、私は、そういった重みを十分認識してやらなければこれは大変なことになる。

 何か過去のことは余りほじくり返すなというような枠域の議論ではなくて、やはりここはきちっと、全国的にあるのであれば速やかに、だって小泉総理でさえ、いち早く、私への予算委員会の答弁で、一北海道警察の問題でない、全国の警察にかかわるというふうに認識しておると言っておるではありませんか。大臣にもそういうふうに指示を出されたと大臣から聞いていますよ、全国の警察にかかわる共通のものであるというふうに認識しておると。

 全国にかかわる問題じゃないんですか。小泉総理のあの答弁は何だったんですか。

小野国務大臣 総理の御答弁というのは、この事案が全国にかかわるということではなくて、国民の信頼を得ることの必要性と、それから、こうしたことが、あの当時は不正事案ということのほかに例えば事件、事故等々も重なったときでございまして、警察に対する不信というものに対する、これは国民全部のいわゆる一つの認識であるというふうなことで、不正事案が全国に至っているということではないと私は承知をいたしております。

鉢呂委員 そういうのは随分、私から今議事録で示せますが、北海道警察の事案にとどまらず、全国の警察にかかわるというふうに認識しておりますという答弁をしておりますよ。国民がそういうふうに受けとめているとかというのは、大臣、何を考えているんですか。

小野国務大臣 総理が、さきの衆議院の予算委員会において、日本警察全体の問題であると言われましたのは、北海道警察における予算の不適正執行の問題や、それから現職の福岡県警察官によります未成年者略取事案の不祥事を受けて、ひとり北海道警察や福岡県警察だけではなく警察全体に対する国民の信頼が揺らいでいると、私が先ほど申し上げことの言葉が浅かったんですけれども、これは総理がおっしゃったことでございます。日本警察全体として国民の信頼回復に向けてしっかりと取り組むべきものだとの認識を示されたものでございまして、この予算の不適正執行の問題がすべての県にまたがるということではないと私はこの状況から理解をしているところでございます。

鉢呂委員 これは、大臣は、全国的な問題でないというふうに、今もそういうふうに思っているんですか。これではこの問題を早期に、迅速に、厳正に対応するという形にならないのではないですか。

小野国務大臣 事案が起こりましたことにつきましては適正に調査、対処していかなければならないという認識は、これは鉢呂議員と何ら変わるものではございませんが、そういう事案が今現在ないものに関しても、すべて事案があるかのように一律にということは私は考えていないということでございます。

鉢呂委員 旭川中央署でもすべてが協力者を架空、弟子屈もこれは捜査員に聞いて全部架空。後から質問しますけれども、福岡についても詳細な下書き用の支払い精算書のメモを私は持って質問をしたわけでありますけれども、静岡県も総務部の話でありますけれども、もうすべて架空化をして、裏金化をして、そこから、出しやすいからというような形で使う。あるいは、昔は、一九九九年に、警視庁の銃器対策課、民事で最高裁まで行って警視庁は敗訴しておるではありませんか。

 まさに、この間のものを見ますと、この領収書の扱いも、左右に同じものをつくって、下書き用と本書きというようなこの様式まで、全国あちこち出ているものは全部同じじゃないですか。これでも、全国的なものでない、個別に出てきたものずつ解決していくというような基本的な姿勢に立つということであれば……。

 私は何も無理なことを言っているわけじゃないんですよ。速やかに、早くこういうものは決着をして、警察官の士気も高めるためにはというふうに思っているわけで、そのために、十二条二のあのときのつくった精神、与野党が苦労して、十二条二でやっていきましょうと。事務局の独立権限とかそういうものを論議はありました、対案も出ましたけれども、十二条二をやはり速やかにこういう事態では使うんだ、そして実を上げるんだという形なんですよ。

 国家公安委員会は、まさに国民の立場で、警察の閉鎖性、秘密性をやはり早く打破してこういった問題を解決していこうということでありますから、私は、国家公安委員長としてこの十二条二というものを速やかに適用する段階になっておる、こういうふうに思うのでありますが。

小野国務大臣 現在、警察庁における予算執行検討委員会の検討も進みまして、監査委員への対応のあり方や捜査協力者から徴取する領収書のあり方等、施策が打ち出されておりますし、また、会計監査を強化するための、会計の監査に関する国家公安委員会規則を定めまして、警察庁において、これに基づいて都道府県警察に対する会計監査を順次計画的に実施することとなっておりまして、現在はこのように進めているわけでございます。

 先生がおっしゃられた事案は、いわば不適正の会計経理があったということの現実に基づきまして私どもは対応させていただくということでございますので、十二条の二というお話でございますけれども、それをもって全国を一律にということは考えていないということでございます。

鉢呂委員 国家公安委員会の監察に対する監督といいますか、このことが質的に違ってくるわけです。まさに大臣は、どういう形になっていますか、今現状、十一、二名の国家公安委員会所属の事務局があると思いますけれども、それだけでやっておるわけでありますから、どうしても警察庁の意向がかなり色濃く映える。むしろ、専任の公安委員を置きまして独立の事務局をつくり、ですから、この体制が大幅に強化をされるわけであります。

 ですから、そういったものをもって、私は、何も全国四十七都道府県の警察全部やらなくても、あるいは原田さんも言っているように、末端の調査を幾らやってもこれは大変しんどい話であって、むしろ上層部がきちっと、組織ぐるみであるとすれば、もう捕まえておるわけですから、ほとんど平成十二年までは捜査費を裏金化して、架空の協力者で全部裏金化しておるというのはもう全国共通の形のようなふうでありますから、ぜひそういった面で、効率的に、また強力に、国家公安委員会のもとでこの調査を解明し尽くすという点で、私は、十二条二というものを発動する意味合いが大きいのではないか、こういうことを述べておるわけであります。

 大臣が前回あのような発言をした、その責任の重大性というものについて私はまだ答弁を聞いていないんですけれども、やはりああいう考えに至ったわけでありますから、それまでの考えと全く違う答弁だったでしょう。だから私は二回聞いたんですよ。そういった意味で、私は、十二条二というものを速やかに発動すべきである、こういうふうに今考えるところでございます。

 これだけでもう三十分以上経過いたしましたから、次に移らせていただきます。

 前回、内閣委員会で、この福岡県警の裏金問題、私は資料を持って委員長に質問をさせていただきました。三日前に調査資料を出したということで、そのときは調査中ということで十分解明されませんでした。きょうはその調査結果をお聞きいたしたいというふうに思いますから、順次質問をさせていただきますので、答えていただきたいと思います。

 まず最初に、福岡県警の、平成十一年六月二十八日に支払い精算書、これはその支払い精算書の鉛筆書きのもとになる、書き写しをするものという支払い精算書を私は入手いたしまして、示させていただきました。同じこれを書き写したと思われるものが福岡県警の銃器対策課に存在をしているかどうか、これについて御答弁を願いたいと思います。

小野国務大臣 現在、福岡県警察におきまして、証拠書類の精査と当時の銃器対策課職員からの事情聴取を順次行っておりますけれども、一般論として申し上げれば、支払い精算書等の捜査証拠書類を公にすれば、捜査活動の実態が明らかになりまして、捜査対象者に対抗手段を講じられるなど捜査上多大の支障を生ずるおそれがあるために、どのような書類が存在をし、それをかつまた明らかにすることはできないとの報告を受けているところでございます。

 なお、調査の結果、証拠書類に記載されていた捜査協力者に捜査費が支払われていないことが明らかになった場合には、その部分については、プライバシー等に配慮しつつ、個別に検討し対応していくものと承知をいたしております。

鉢呂委員 これは、国家公安委員長、前回の答弁で、当初はそういうふうに言っておりました。この問題について私が求めましたら、最初は、お尋ねの文書は、捜査上重大な支障を来すおそれがあるため、その内容はお答えできませんと言っておりましたけれども、私が再三質問をして、最終的には、「福岡県警におきまして関係者から聴取するなどいたしまして、調査をさせていただきます。」という答弁をすることで、山本委員長は今おりませんけれども、山本委員長も同席の中でそういう答弁をされたんですよ。今同じように、捜査に重大な秘密があるからと。

 あるかないかということは、私は、非常に重要だ。ですから、私の調査では、この警部補の河野雅高さんも今残念ながら亡くなっております。それから、協力者の深町雄典さんも実は架空の人物です。そういうこともあのとき言いながら、やはりこういうものが、その下書きに基づいてきちっと本書きされたものが福岡県警に残っておれば、これはまさに協力者が架空の中で裏金化をしておる、そういった証拠書類になるということで私はお話をさせていただきまして、大臣も、「調査をさせていただきます。」と私の方に言ったんですよ。ちゃんと答えてください。

小野国務大臣 福岡県警察におきましては、報道直後から、総務部長を長といたします調査報告チームを設置いたしまして、調査を開始いたしております。

 調査では、疑惑が持たれている平成十年以降の証拠書類の精査と当時の銃器対策課職員からの事情聴取を行っておりますが、詳細については、現在調査中のことであり、答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、とにかく事案の早期解決を図るように警察を督励してまいりたい、そのように考えております。

鉢呂委員 今、捜査に重大な支障があるからにかわって、今調査中だからというふうに最後段言いましたけれども、私は膨大な資料を持っていることはあのときも大臣にお示しをしたわけでありますけれども、その中から一つを取り出して、もう一カ月たつわけでありますけれども、私がコピーを大臣にも見せたその六月二十八日の支払い精算書が福岡の県警にあるかどうか、それがそんなに、調査中ということで、そんなに調査にかかるんでしょうか。

小野国務大臣 現在、福岡県警察におきまして、証拠書類のいわば精査と当時の銃器対策課長からの事情聴取を順次行っているというこの現実はまだ続いているわけでございます。ですから、一般論として申し上げますれば、支出伺等の捜査費、証拠書類を公にいたしますれば、捜査活動の実態が明らかになりまして、いわゆる捜査対象者に対抗手段を講じられるなど捜査上多大の支障を生じるおそれがあるために、それをお示しすることはできない、こう報告を受けているところでございます。

 なお、調査の結果、証拠書類に記載されていた捜査協力者に捜査費が支払われていないことが明らかになった場合には、その部分について、プライバシー等に配慮しつつ、個別に検討いたしまして対応していくものと承知をいたしております。

鉢呂委員 もう一カ月たって、個別の一つだけ、しかも私が冒頭から言っているように、協力者というのは架空の人物だという中で調査を依頼し、そのことが裏金の重要な事実関係になるということで、これは大臣もそのことを、福岡県警はいろいろなことを言っていますけれども、調査中というのは失礼な話で、ここは何のためなんですか、そうすると。

 一体、捜査に重大な支障があるから出せないのか、調査中だから出せないのか、架空の人物だとわかったら出すのか。いろいろ大臣は言われましたけれども、もっと国家公安委員会が指導性を発揮してやはりやるべきだ。何か後ろについている警察庁の皆さんが非常に消極的だ。単なるそれに乗っているからこそ、私は先ほども十二条二の国家公安委員会の積極的な指示を出すべきだということを言っているんですよ。どういう考えなんですか。

小野国務大臣 福岡県警察におきましては、県の公安委員会の方から指示を受けまして、事案の全容解明のための調査が行われているわけでございますけれども、一部に不適正な経理が行われた疑いがあるために、現在調査を急いでいるところと承知をいたしております。

 なお、福岡県警察におきましては、調査経過を四月の二十日に開催されます福岡県議会警察常任委員会に報告するものと聞いておりまして、国家公安委員会におきましては、既に会計経理をめぐる不適正事案の早期解明について警察庁に指示しているところでございますが、本件事案についても、その全容が明らかになった段階で厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。

鉢呂委員 もちろん福岡県の公安委員会が公安委員会としてやることは問題ないと思います。ただし、やはり国家公安委員会として、全国的な視点に立って、それが必要だと。

 国会でも、私は、何も全容を示せというようなことは言っておりません。一つ一つ具体的に、我々も現地に調査に行ったりして、かなり一生懸命やっておるわけでありまして、やはり国家公安委員会としてこの現状、きちっと事実を把握するということが大切ですからやっておるわけでありまして、私が前回質問したものに対して、調査をします、させていただきますと言ったからには、やはり提出をしてもらわなかったら、何のためにこの重大な集中審議をやっておるのかわからなくなるんですよ。

 こんなもの一時間あればわかるんですよ。国家公安委員長が、向こうの県警本部長に、どうなっているんだというふうに言えばすぐわかることじゃないですか。一時間も要らないですよ、これ。正規の書類なんですよ。

    〔河本委員長代理退席、委員長着席〕

小野国務大臣 先ほどから申し上げているとおりでございまして、福岡県警察におきまして、とにかく調査経過を四月二十日に福岡県の県議会警察常任委員会に報告するということで、ただいまそれを整理しているものと承知をいたしておりますので、現在私の手元にはその内容に関しましては報告がないということを申し上げたいと思います。

鉢呂委員 重要な点だけ私は質問をさせていただきますけれども、三月十九日にも、捜査費等の現金受領簿、これは要するに裏金関係で、あの朱肉、判こを押していた、お示しをした分でございます。これは銃器対策課の課長が決裁をして、全容は、県警本部から入金するごとに記載をして、そして年度末の金額も示された、あの受領簿でありますけれども、これについても、その当時の三人の課長、伊東健之介課長、島崎憲五課長、中島豊志課長、とりわけ島崎課長と中島課長は現職の警察官、島崎さんは九州管区の警察学校の指導部長ですから、悪いことをやってはならぬ、指導すべき立場の部長ですから、この三人に、こういった裏金受領簿というのが存在したのかどうか、これを確認していただきたいということでありましたけれども、確認をされたでしょうか。

小野国務大臣 三月の二十三日に、県会議員を通じまして、元庶務係長が所持をしておりました資料を入手したことから、現在、資料分析も含めて調査を進めているとの報告を受けているところでございますが、捜査費等受領簿という名称の帳簿は福岡県警察には存在していないとの報告を受けているところでございます。

 また、福岡県警察におきましては、現在、証拠書類の精査と当時の銃器対策課職員からの事情聴取を順次行っておりますけれども、その過程で、銃器対策課長経験者であります伊東氏や中島氏からも事情を聞いているものと承知をいたしているところでございます。

 詳細につきましては、現在調査中のことでもあり、答弁を差し控えさせていただきますけれども、とにかく事案の早期解明を図るように警察庁を督励してまいりたい、そのように考えております。

鉢呂委員 今、帳簿がないということだったんですけれども、あのときお話ししたように、その裏帳簿に押されておる、あのときは皆さんにもお示ししましたけれども、例えば中島さんという印鑑が押されております。そして、私は正規の指示書なりの中島さんの印影も承知をさせていただきまして、まさに中島さんや島崎さんの印影はその正規のものと酷似しておるということもお話をさせていただきました。

 この印影についても、確認をすれば大臣にも、コピーしたものでありますけれども、中島さんなり島崎さんの印鑑というものは、特に中島さんは「中」という右下に点を打ってあるという非常に特殊な字体にしておりますから、私は、これは確認できると。

 そういう中から、中島さんにこの裏金の受領簿をお見せすれば、これは裏金ですから福岡県警には今ないかもわかりませんけれども、こういう裏金に印鑑を押したり、あるいはまたそういったものの存在が、あったということが示されるわけでありまして、こういう点からどうですか。

小野国務大臣 福岡県警察におきましては、報道直後から、総務部長を長といたします調査チームを設置いたしまして、調査を開始しているところでございます。

 調査では、疑惑が持たれております平成十年度以降の証拠書類の精査と当時の銃器対策課職員からの事情聴取を順次行っているところでございますけれども、その過程について、印影について照合、いわゆる鑑定に着手しているものと承知しておりますけれども、現段階では結果が判明するまでに至っていないものと承知をいたしております。

 できるだけ早い解明を図るように、私から警察庁を督励してまいりたい、そのような考えでおるわけでございます。

鉢呂委員 普通の捜査では間に合わないような事件になってしまうんですけれども、もう一カ月以上、むしろもっと前にこういうメモが出たわけでありますから、まさに何かこの事実関係にふたをするという姿しか見えないんじゃないですか。印影を鑑定するのにそんな何週間もかかるんですか。今の警察は印鑑の印影を照合するぐらい、科学警察であればすぐできるんじゃないですか。どこか別の警察以外のところに委託しているんですか。そんなあいまいなことで許されませんよ。

小野国務大臣 印影につきましては、照合、鑑定に着手していると承知をしておりますけれども、いまだにその結果が出てこないということでございますので、できるだけ早い段階で出すように、私の方からも督励させていただきたいと思います。

鉢呂委員 見ただけでもきちっと符合するんですよ。こんなもの、中島さんの点なんか普通つけないですからね。九五%は符合する、同一だというふうに見て、あとは科学的にこれが同一なのかどうか見れば、この裏金で中島さんが押した、あるいはだれか押されたかもわかりませんけれども、同じ印鑑かどうかはまだ鑑定中なんといったらどんな事件も解決しないですよ。

小野国務大臣 福岡県警察におきまして、四月の二十日の福岡県県議会に対する調査の途中経過報告に向けて現在調査を継続中でありますので、事実関係について確定的なことを公表できる段階に現在はないことを答弁とさせていただきますけれども、とにかく鋭意早く進めさせていただくようにしたいと思っております。

鉢呂委員 これは、私の質問はそうしたら一体どういう感じで。皆さんの方から、この私の示した、全部は示せませんでした、だけれども、きちっと、今はカラーコピーですから、まさにそのものを示した。これはどういうふうに福岡県警の方に持っていっているんですか。きちっと私の質問に対応した福岡県警に対する調査をやっているんですか、どうなんですか。今お話を聞いたら、そうには見えない。

小野国務大臣 福岡県警察の方で資料を入手いたしましたのが三月二十三日でございますので、それ以降、鋭意調査をさせていただいているということでございます。

鉢呂委員 私は、三月の十九日、その三日前にやっているわけでありまして、そうすると、私の資料はどうなったんですか。何も向こうに行かないで、福岡県警か何か、どこかから見たもので、まだその全容が終わらないから示せないと言っているんですか。

 私は、あれだけ調査をしてほしいと、じゃ調査をしますと、あなたは重大な支障があるからと当初言っていましたけれども、ちゃんと調査しますというふうに私に言っているんですよ。委員長も、じゃ委員会に報告をしてくださいと言ったら、わかりましたと、そこまで、「はい。」と言ってくれたんですよ。内閣委員会は何のためにあるんですか、そうすると。

小野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、三月の二十三日、県議会を通じまして、元庶務係長が所持しておりました資料を入手いたしましたことから、現在資料分析も含めて調査を進めているとの報告を受けておりますけれども、捜査費等受領簿という名称の帳簿は福岡県警察には存在していないとの報告を受けているところでございます。先ほどこれは申し上げた点でございます。

鉢呂委員 明確にしてほしいのは、先ほど言った支払い精算書、警察官は河野さん、あるいは今回の現金受領簿、その物は私の質問に基づいて福岡県警に示したんですか。今聞いていると、福岡県議会が何か、三月二十三日に出てきたもので、それに基づいて今全容調査をしている、そんな話はだれもしていませんよ。

 私の実際の資料、これは全部あのときの資料ですよ、今ありますけれども。これを全部、委員長に説明をして、三日前に言ってあるけれども、この資料自体は大変重大だからその当日示したのでありますけれども、じゃ全部調査をしますと。最初は重大な支障があると言っていましたけれども、私は、架空の協力者だから、あるかないかだけ、写したわけですから、それと同じようなものが存在することだけは言っていいのである、ほかのこと全部は聞かないからという形で、この委員会で貴重な時間をいただいてやっておるのに、その調査、私が示したものが一切福岡県警に行っていないのでは、何のためにやっているかどうかわからなくなってしまうんですよ。

 三月十九日の答弁で、大臣は、平成十一年の三月一日の国費の捜査費六十万と県費三十六万については銃器対策課に交付されたと、そのことについては認めました。これは唯一の私に対して認めてくれたことでありました。もう御記憶ないかもわかりませんけれども、平成十一年の三月一日に、私は一つを示して言ったんですけれども、それは、実際福岡県警で確認をしましたということで、信憑性が極めて高いというふうに私も思いました。

 しかし、その六十万円と県費三十六万円、この二つについて、実はそのとおり金が行かなくて、実際の交付は、会計課調整という名目と基本経費分というものを除いたものを交付されておる。その二つがピンはね分だということを私の方から提起をさせていただきました。この部分については調査結果ありましたか。

小野国務大臣 福岡県警察におきましては、現在のところ、四月の二十日に、いわゆる福岡県議会に対する調査の途中経過に向けて調査を継続しており、その事実関係について、確定的なことを公表できる段階ではない。

 きょうが十四日ですからあと六日後になるわけでございますけれども、途中段階での個別具体的な調査内容の公表というのは、今後の調査対象の意思に少なからぬ影響を及ぼし、真実を語れなくなるなど、以後の調査に悪影響を及ぼすおそれがあると思われますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

鉢呂委員 まだ重要なことも質問したいんですけれども、今の大臣の御答弁は、何か、この内閣委員会での、私は、調査をしますということでありましたし、そういう中で、何もこれは膨大な全容を把握するなんということでなくて、個別具体的にいく必要もありますから、そこで信憑性を推定するということで、言ったことに対してほとんど一切調査をしていない。これは、私にとっても本当に、きょうはまた何のためにやるのかわからないようなことでありまして。

 重要な、重大なことだけしか聞いておらないんです。例えば、あのときも、平成十年度の、ですから十一年の三月末の残高、この裏帳簿ですけれども、千五百六十五万四百円の処理について、当時の課長であった島崎課長に、この方は現職九州管区の指導部長ですからこれに聞いてくださいと。大臣は、「できる限りの調査をさせていただきます」こういうふうに答えてあるんですけれども、また、山本委員長は、この内閣委員会にその報告をしていただけるように御配慮願いますということに対して、「はい。」と御答弁をいただいたわけでありますから。あるいは、この七年度末、八年度末、九年度末、それぞれの残高についても三課長に確認をされたと思いますが、これはどのようになっていますか。

小野国務大臣 調査では、疑惑が持たれている平成十年度以降の証拠書類の精査と、当時の銃器対策課職員からの事情聴取を順次行っておりますが、その過程で、銃器対策課長経験者にも事情を聞いているものと承知をいたしております。

 調査については、何度も申し上げておりますけれども、現在調査中のことであり、答弁を差し控えさせていただきますけれども、福岡県警におきまして現在調査を進めているわけでございますので、県議会に報告する前に、私の方で、国会の方でどうこう言うことは、これはできかねることだと御理解いただきたいと思います。

鉢呂委員 私が一カ月前にこの調査を示して、そしてまた、この質問もいろいろな問題があって、年金問題、あるいはいろいろなことがありまして、きょうまでずれ込んだわけでありまして、私が事務局の方にこの問題を質問するというのはもう既に一週間以上前に通告をしておるわけでありまして、こういうことからいけば、今大臣の言われたのは福岡県警の全容の話でありまして、あなたがこの委員会で、「調査をさせていただきます」と、私の個別の問題について調査をさせていただきますということを言っているのに、それは逃げ込みにすぎないんじゃないですか。

 あなたは調査する気はあるんですか、具体的、個別的な問題一つ一つについて。

小野国務大臣 調査をするに当たりましては、まずは福岡県の調査を基本としてやるわけでございますから、その調査が上がってくる前に、私どもが屋上屋を重ねることはあり得ないことだと思います。

鉢呂委員 屋上屋を重ねると言いましたけれども、例えば先ほどの支払い精算書、ああいった問題は即刻出る話で、しかし、やはり事実関係をきちっとするためには、我々は、それで推定をするということからいけば非常に重要だと思いますし、大臣もそういった意味で「調査をさせていただきます」と言ったわけでありまして、それは出るんですか。意図的に隠していると思わざるを得ないじゃないですか。

小野国務大臣 鉢呂委員からいただきました資料は、福岡県警の方に三月にお渡ししたということでございますので、私どもの方でそれを持ち合わせているということではなくて、向こうにきちんとお渡しをしたということでございます。(鉢呂委員「三月いつですか」と呼ぶ)失礼いたしました。これは二十二日ということでございます。

鉢呂委員 いや、私は非常に不満でありまして、やはりそういった私どもの国会での質問で、しかも調査をすると言って答弁されたものについては、我々の委員会も、それは二十日以降に開かれればいいですけれども、やはりこの委員会での質問なり答弁というものを重要視した対応というのが私は求められておると思いまして、非常に不満ですね。

 委員長、どうですか。山本委員長に。

山本委員長 鉢呂委員の御指摘に対しましては、理事会で協議をさせていただきたいと思います。

鉢呂委員 山本委員長の強い指揮、指導というものを理事会ということでなくてお願いをせんかったら、こんなもの、何十時間も開くような話になっちゃって、何のための委員会かわからなくなってしまうわけでありまして、国家公安委員会のやはり熱意というものが疑われると思うんですね。

 その後、この元警部の使途についての証言もあったところでありまして、前回は裏金のつくり方についての問題でしたけれども、その裏金の管理は銃器対策課の次席が行っており、またこの使途も、裏金を使う分についても次席が記録をし、残しておったということでありますから、これも大臣、きちんと今後調査をしていただきたい。

 しかも、銃器対策課の課長は月十五万から二十万の現金を受け取っておった、次席は五万円の手当という形で受け取っておったと。これについては把握しておりますか、もう既に新聞報道でも出ておることでありますが。

小野国務大臣 調査中でございます。

鉢呂委員 そんなに横を向いて鼻をくくったような答弁しないで、もう少し、もうこれは新聞報道されておるんですから。

 例えば、九七年から、生活安全部長に対して銃器対策課から毎月九万五千円上納されておったということで、ピンはね、前回もお話ししました基本経費でピンはねという実態が書類上残っておりますけれども、部長というのは数十万、銃器対策課で九万五千円ですから、数十万になっておるのではないかというふうに推定されるわけでありまして、課長の先ほど言った現金の手当も、当初は十五万であったものが、課長側の要求で二十万にこの間引き上げをされたというようなことについては、大臣として把握をされているでしょうか。

小野国務大臣 調査中でございます。

鉢呂委員 会計検査院が御出席と思いますけれども、今、私が福岡県警についての指摘をさせていただきましたけれども、会計検査院として、前回と今回、私の指摘に対してどういった感想を持っていらっしゃるか、あるいはまた、会計検査院としてどういった対応をしていくのか、御答弁願いたいと思います。

石野会計検査院当局者 お答えします。

 北海道警、あるいは今お話しの福岡県警初め、さまざまなところでさまざまな問題点が投げかけられておるということは十分承知しております。したがいまして、そういった問題のある警察本部については、今、県警の本部等で内部調査等が行われているものというふうに承知しており、一部については、その結果も報告されたということでございます。

 したがいまして、我々といたしましては、その内容について、検査院としまして十分検証する必要があろうというふうに考えておりまして、その結果によりまして、その検証の状況によりまして、どういった検査を行っていくかということを考え、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

鉢呂委員 大臣、まだ読んでいないかもわかりませんけれども、これは、古い書物であれですけれども、福岡県警の警備部長をされました松橋忠光さんという方が本を出していまして、「わが罪はつねにわが前にあり」ということで、この方は警視監ということで、警視総監というのが一番最高階級だというふうになっていますけれども、その次にランクする方であります。

 この方の本によれば、福岡県警、これは昭和三十七年、三十八年のことですから、もう四十年前のことになるんですけれども、当時で、この警備部長は、五十万の裏金が出ておった、現金で五十万支給されておったということで、当時と今と、もう四十年経ても、原田さんも言っておりますけれども、福岡県警においてはこの裏金が延々として続いておったということであります。

 特に、会計検査院がきょう来ていますから、相変わらず院長が来られないわけでありますけれども、当時も会計検査にひっかかったということで、もうまさに会計検査院の担当官が、二重帳簿が明らかになった。これは、日付を書いていくうちに、出張している課長が判こを押したとか、そういう形で二重帳簿の存在が明らかになって、来た検査官は、非常にこの問題を大きく取り上げようと、これも当時の公安課長が訂正をしなければわからなかったかもわからないんですけれども、この公安課長は、非常に松橋さんは高く評価しているんですけれども、その検査官に対して訂正の発言をされたんだそうです。

 それでわかったんですが、しかし、最終的には、これだけのミスを不問に付させる本庁、警察庁の実力に改めて驚嘆を覚えたということで、どういうわけか、会計検査院がこれだけ現地では上げたにもかかわらず、警察庁本体との関係で、これが何の指摘もなされず終わってしまったという事案であります。

 会計検査院、四十年前のこのことについては承知しておると思いますけれども、今、私の発言から聞いて、どんな感じをしておりますか。抽象的な、適正に検査をするとかということでなくて、もっと、まさにこういうものが続いておるのであれば会計検査院としてどういう対応をするのか、明確に答えてください。

石野会計検査院当局者 今お示しの事案は、かなり古い年次のものでありますので、具体的にどういう状況でその後至ったのかということについての詳細はちょっとわかりかねるところでございますけれども、現在行う検査といたしましては、あらゆる考えられる書類の提出を求め、あるいは説明を求めるということで、会計経理の妥当性というものをきちっと検証してまいる所存であります。

 ただ、具体的にどういったことを行うのかということにつきましては、これはまさに検査の手法にかかわることでございますので、具体的なお話はちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、さらに一層そのやり方なりを工夫しまして、厳正な検査に当たってまいりたいというふうに考えております。

鉢呂委員 古いからといって、まさに問題は新しく、何ら変わっていない。平成十二年のあの教訓も、現状ではきちんと国家公安委員会のものになっておらない。

 そこで、順番は変わりますけれども、道警の北見方面本部、これが、国費捜査費の不正流用された事件として報道されております。

 国家公安委員長、この道警北見方面本部、会計検査との対応でこのことが出ておるわけでありますけれども、この事件といいますか、不正流用事案の内容について御説明ください。

小野国務大臣 お尋ねの件につきましては、平成十五年七月に会計検査院が実施をいたしました北海道北見方面本部警備課に対する実地検査におきまして、捜査費の関係書類として、実在しない店舗の領収書が添付されていた疑いがありまして、北海道警察におきましては、平成十五年末から調査チームによります調査を行っているものと承知をいたしております。

 北海道警察におきましては、事案解明のために引き続き調査を進めていくものと承知をしておりますけれども、不正があれば厳正に対処してまいりたいと考えております。

鉢呂委員 会計検査院は、どういった検査で、どういった事案であったんですか。

石野会計検査院当局者 昨年七月に北見方面本部の検査を実施してございます。この中で、さまざまなやりとりがあったというふうに思います。ただ、その中で、関係書類の提示や説明を受けるなど、検査を行ったところでございます。ただ、実地検査終了時点におきまして、その事態すべてを明らかにするということには至らなかったものということでございまして、その後の調査を続行するようにということで依頼をして、実地検査を終えたというふうに承知しております。

 その後、警察庁当局の方から、実地検査時の説明や提示された書類に疑問があるというふうな説明もございましたので、今後さらに、調査報告を聞き、我々としての検査も行い、事態を解明する必要があるものと考えております。

鉢呂委員 大臣、もう少し事実関係を明確にしてほしいんですけれども、先ほど十四年というような言い方をしましたけれども、平成十五年の七月の会計検査、この七月に会計検査院が北見方面本部に入るということで対応をなされたそうであります。しかし、実際には、前の年の平成十四年に、警備課の課長が、捜査費の不正流用をした疑いが浮上したというような部署であったということでございまして、その後、この七月の会計検査に対応するべく、別の幹部が会計関連書類を偽造して、捜査費流用を隠ぺいする工作をした。こういうふうに私聞いておりますけれども、いかがでしょうか、ここのところまでは。

小野国務大臣 現在、経理処理、北海道の方で調査中であるということを承知いたしております、十四年のでございますけれども。

鉢呂委員 調査中ということで御答弁がないんですけれども、皆さん、今そういうふうにお話をさせていただきますけれども、そして会計検査の際に、検査実施者といいますか検査官が、協力者の慰労名義で二千数百円の支出、その領収書先、飲食店が既に存在をしておらないのではないか、これはどうも、北見市内の地図帳から、その飲食店がないということの資料を持って突きつけたということで、そういう指摘を先ほど会計検査院がなされたようなことであったということであります。

 しかし、問題はここからでありまして、その実在しない飲食店名を逆にあったかのように偽装するために、地図帳を改ざんして、この飲食店のテナント、ビルの中に入居しているテナント名だったんですけれども、印刷業者を通じて地図帳にその店名を入れさせた。地図の巻末に、テナント名ですから全部多く入りますから、地図帳の一番後ろの方にその店名を入れて改ざんをしたというふうに私は聞いておりますけれども、これは事実でしょうか。

小野国務大臣 お尋ねの件につきましては、平成十五年の七月、会計検査院が実施をいたしました北見方面本部の警備課に対する実地検査について、捜査費の関係書類として実在しない店舗の領収書が添付された上、後日、事実と異なる広告物を会計検査院に対して示した疑いがありまして、北海道警察におきまして平成十五年末から調査チームによる調査を行っているものと承知をいたしておるところでございます。

鉢呂委員 もう一つ問題になるのは、先ほど会計検査院は検査を続行しておるというような言い方をされたわけでありますけれども、本当にそのときはそうだったんですか。その改ざんされた地図等の証拠書類をもって調査は一たん打ち切られたのではないですか。

石野会計検査院当局者 先ほども申し上げましたとおり、実地検査の終了時点で事態の全容の解明ということには至らなかったという経過のものでございまして、その後の報告を求めるということで実地検査を終えたものでございまして、その後の調査報告ということを行い、今後もやっていきたいというふうに考えているところでございます。

鉢呂委員 私が聞いているのはその後でありまして、実地検査の後に報告を求めて、その改ざんされた書類が出てきたのではないですか。

石野会計検査院当局者 今、我々としましても、その北見の事態につきまして検査を行っておる、検査中であるという認識でございます。

 したがいまして、個々に、どの段階でどういうものが提示され、どうだったのかということについての詳細についての答弁は控えたいというふうに思います。

鉢呂委員 一枚の領収書でそんなにかかるわけがありません。私も、何回も会計検査を受けて大変苦しんでおりますから。次の日は飛んでいって、次の日の場所でその証拠書類を示すとかというのは何回もやるわけでありまして。

 私は、その改ざんされたもので済ましてしまったと。まさに、大臣、会計検査院の検査さえ、改ざんした書類をつくる。もっと迅速にこの捜査をやっていただきたい。これは全くの偽造工作ですから、単なる調査ではありません。まさに刑事事件です。会計検査院のそういったまさに指摘をするようなものに対して、さらにうそをつく。

 ところがこれは、実際は昨年の十二月になってある人からそういった情報が道警本部にあって初めてこれがわかって報道機関が報道したというものであって、決して会計検査院の指摘によってこういうものが今あるということではないんです。

 大臣、どうですか。こういった悪質なものについて、調査調査では私はいけないと思うんですね。これは北見方面本部の本部長とかそういった部分にもかかわるかもわからない事案で、いつまでもこういったことを繰り返しておる。十二月から今まで、四月まで、何カ月経過しているんですか。

 法務省、来ておりますか。法務省はこの問題についてどういう対応をするんですか。

河村政府参考人 御説明申し上げます。

 お尋ねの点は、具体的事案におきます検察当局の活動について御質問になるものでございまして、法務当局としてお答えいたしかねるものでございますけれども、一般論として申し上げますれば、検察当局におきましては、厳正公平、不偏不党の立場から、法と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適宜適切に対処しているものと承知しております。

鉢呂委員 会計検査院はどういう対応をしようとしているんですか。さっきも聞いたらあいまいに終始していますけれども、この北見方面本部の問題については警察の方の調査を待つという段階なんですか。きちっと答えてください。

石野会計検査院当局者 我々としましても、さらに検査を行って事態を解明する必要があるというふうに申し上げたのは、先ほど申し上げたとおりでございます。それに当たりましては、やはり、現在行われている道警北見方面本部の内部調査といいますか、その調査の状況というものも十分踏まえた上で適切な対応をしてまいりたいというふうに思います。

鉢呂委員 そんな、警察内部の調査を待つという段階ですか。十二月に別の方からわかって、今日まで何をやっていたんですか。何か警察に対して指示を与えた経過はありますか。あなた方の検査で初めてこういうものが、前代未聞の警察の裏金づくりで会計検査が指摘したのはこの一件だけになりかかったのに、しかもみずからふたをしたような関係で、十二月以来何をやっていたんですか、答えてください。

石野会計検査院当局者 決してこれはそのままにしていたということではございませんで、それなりの説明を求めるというふうなことで対応したところでございます。それで、先ほど申し上げましたように、実地検査時の説明や提出された資料に疑問があるというふうな説明も受けたところでございますので、それをさらに調査を続行する、そして、その状況によりまして、我々の検査をどう行っていくかということで、適切な検査の仕方というものを行っていきたいというふうに考えております。

鉢呂委員 会計検査院、私は、院長が出席しないから無理やり言っているわけでなくて、やはりこれだけの問題が出てきて、会計検査院が有効な機関たり得なかった。どれだけこれまでありましたか。

 前回は大臣が、国家公安委員長が、一九九九年のあの警視庁の銃器対策課の案件は会計検査院も入って何もなかったから何もなかったんだと。会計検査院が、不正経理を暴くどころか、ふたをするその道具立てに使われておるんですよ。あんな内閣委員会の答弁がありますか。

 警視庁の銃器対策課の問題についても、平成十一年の七月の問題ですけれども、その直後に皆さんが会計検査に入りましたね。どういう結果だったんですか。どういう内容だったんですか。国家公安委員長が、会計検査院が入っても何もなかったんだからあの問題はもう再調査する必要はないと、そのための理由づけに使われておるんですよ。どういう調査をしたのか、お答えください。

石野会計検査院当局者 今お話しの警視庁の銃器対策課の件でございますけれども、これにつきましては、平成十一年に、当時雑誌で報道され、また、国会でのいろいろな御議論もあったということでございますので、特に捜査費につきましては、銃器対策課の捜査費の経理に重点を置いて厳正に検査を実施したところでございます。

 検査に当たりましては、捜査活動の内容というものの聴取を行いますとともに、個々の捜査費につきましては、いつ、どういう目的で支出し、どういう状況であったのかというふうなことの状況を直接捜査員から聴取し、その聴取した内容と会計書類あるいは捜査関係の書類などで確認するという方法で検査を実施したところでございます。

 その限りにおきましては、特に矛盾点はなく、捜査費の使途として特に不当であるというふうに指摘する事態は見受けられなかったものであるというふうに承知をしております。

鉢呂委員 国家公安委員長にお聞きしますが、先般、福岡県警の北九州市警に当たって、捜査資料を改ざんしたという事件があったと思いますが、その全容について簡単にお答えをいただきたいと思います。

小野国務大臣 お尋ねの件は、福岡県警察の警察官が、平成十三年の五月から平成十五年の五月までの二年間にわたりまして、虚偽の事件引き継ぎ書を作成いたしまして、上司に対し提出をした疑いが持たれている事案と承知をいたしております。

 事案内容につきましては、福岡県警察におきまして、当該警察官が取り扱った事件引き継ぎ書の精査、それから関係している職員からの聴取等の調査及び捜査を行っているとの報告を受けておりますけれども、この事案が虚偽公文書作成罪に当たるか否かについては、福岡県警察におけます調査、捜査の結果に基づいて判断されるべきものと承知をいたしております。

 また、虚偽の内容の支払い精算書等の会計書類を作成して裏金をつくる行為が虚偽公文書作成罪に当たるか否かにつきましても、個別具体的な事実関係に基づいて判断されるものと考えておるところでございます。

鉢呂委員 いや、私は、後段の方は、私質問していないものを先取りして言われたらちょっと困るんですが。(小野国務大臣「ごめんなさい」と呼ぶ)

 いわゆる、福岡県警で捜査資料、これを二年、十数件、捜査書類を改ざんしたというだけでと言ってはおかしいんですけれども、これも重大なことですけれども、その公文書偽造などの容疑で福岡県警は事情聴取を警部補からしておるわけであります。

 私は、大臣、ここから、先般明らかになった弟子屈署の問題について、少し移らせていただきます。

 道警の弟子屈署、これも、当時の次長から、裏金操作をしたということでお話がございました。先般道警は中間報告を出しまして、平成十二年ですけれども、四十二名の捜査協力者、協力者全部が架空であると。捜査員八名から聞いたところでは、全員が架空であるということが出されてきたわけであります。

 これについて、先ほどとの関係で、大臣は先取りして答えられましたけれども、こういった裏金化というのは明確な虚偽公文書の作成、行使、あるいは公文書の偽造と言ってもいいんですけれども、それに当たるのではないですか。

小野国務大臣 お尋ねの事案に関しましては、北海道警察が犯罪調査を実施しているものと承知をいたしておりまして、虚偽公文書作成罪に当たるか否かについては、調査の結果を待ちまして明らかになるものと思います。その事実に基づきまして判断されるものと承知をいたしております。

鉢呂委員 今は、道警は調査ですか、捜査ですか、どちらなんですか。

小野国務大臣 調査でございます。

鉢呂委員 調査が捜査に切りかわるということもあろうかと思いますけれども、私は、中間報告で明確にこの捜査員八名は、もちろん捜査協力者に聞くべきだろうと思いますが、捜査員が虚偽の領収書、支払い精算書、支払い伺い等をつくったというふうに言っておるわけでありますから、北九州市警のことを想定すれば、これはもう全く、捜査をして、いわゆる公文書偽造、虚偽公文書の行使等になっていくのではないですか。

小野国務大臣 繰り返しになりますけれども、調査の結果明らかになった事実に基づきまして判断をされるべきものと考えております。

鉢呂委員 中間報告で出たんですよ。まだ何かこの件に関しては八名の供述に疑いがあるということなんですか。明確に答えてください。

小野国務大臣 まだ全体がすべて解決されていないという状況でございますので、現段階では申し上げることができません。

鉢呂委員 道警本部長の説明では、平成十二年度については二人の署長さんがおったということでありますけれども、この裏金づくりについては明確にわかっておったと認めておる、こういうことでよろしいですか。

小野国務大臣 当時の署長二名からは執行実態について確認したところであり、経理に関する事務を次長に任せていたこと、あるいは日常の捜査活動に要する経費については捜査員が使いやすいようにあらかじめ交付をしていたこと、これら以外にも署員の激励などに支出をし、不適正な予算の執行が行われていたことを認識いたしておりまして、みずからの責任を認めているところでございますけれども、現時点までの調査では、これ以外に関与した事実は確認されていないとの報告を受けているところでございます。

鉢呂委員 道警本部長は記者会見で、署長については、今大臣が言われましたように、経理に関する事務には関与せずというような言い方で、監督上の責任というような言い方をしておるんですけれども、私は明確に違うと思うんですね。

 この斎藤さんという当時の次長は、署長に決裁ももらった、裏金について決裁をもらったというふうに言っています。ところが、署長が経理に関与せず、監督上の責任だという言い方で、この告発をした斎藤さんという次長に責任を負わせる中間報告になっております。

 そして、十三年、十四年、十五年は全く不正がない。では、なぜ、十年、十一年、証拠書類のある十年、十一年について調べないのか。まさにそこに大きく食い違いがあるわけでありまして、大臣としてどのように受けとめていますか。

小野国務大臣 私の手元にあります今回の弟子屈警察署の捜査用報償費等問題に関する調査途中経過報告というのは、住民監査請求の対象となっている平成十二年度の調査を最優先しつつ、十三年以降平成十五年分まで、さらに平成十年度及び平成十一年度の執行状況について調査を進めておりまして、現段階でまとまった範囲での調査状況の途中経過を報告したものでございまして、引き続き調査を進めていくものと聞いております。

鉢呂委員 十二年の四月にこの斎藤次長は着任をして、ちょうど一年しか在任しておらなかったわけです。佐藤親人という署長は、その前から署長としているわけであります。そこで、斎藤さんが供述をしております、十二年の四月一日に裏金で十万四千三百四十円というのが繰り越しをして、残金として、次長、当時のかわっていく次長からこれを受けとったというふうに言っておるわけでありまして、この残金については道警として把握をしているのかどうか。事前に言ってありますので、この御答弁を願います。

小野国務大臣 現時点までの調査におきましては、事実関係を特定する十分ないわゆる聴取内容が得られていないので、引き続きまして必要な調査を進めていくものと報告を受けているところでございます。

鉢呂委員 私は、十二年のものを出すのであれば、やはり残金について、残高ですね、繰越残高についてどのようになっておったのか。これは一方では明確に答えています。そして、自分が退任する十三年三月末には六万一千六百八十七円残金を置いていくという形を、彼は書面において告発しておるわけでありますけれども、そういったものについて明確にこの中間報告書は答えておりません。

 さらに、三十三万程度未解明な部分がある、こういうふうになっております。斎藤さんの報告によれば、平成十二年の四月から七月まで佐藤親人署長がいたんですけれども、四月五日に四万円、それから五月二日に四万円、六月の二日に六万円、七月の五日に四万円、こういうふうに、署長に現金で、署長手当といいますか、これを配付したと。合わせて十八万円であります。

 これについても事前に聞いておりますが、警察庁の方で、これはどういった金として解明されておるんですか。

小野国務大臣 当時の署長二名は毎月定額を受領していたことを否定しているとの報告を受けております。

 いずれにいたしましても、北海道警察におきまして、事案の全容解明のための調査が進められているものと承知をいたしております。

鉢呂委員 これは、否定しておるということで、中間報告でも、記者会見等しておりますけれども、三十三万のうち十八万というのは一番大きな部分で、未解明の部分であります。やはり、この部分をきちんと解明せずして、私は、中間報告にも何もならない。八十数万の裏金のうち三十三万が未解明部分なんです。

 例えば、次に来た作田署長さん、作田忠男署長は斎藤次長に、私はこういったものは要らない、現金交際費なんというのは要らないから署員に還元すればいいということで受け取らなかったというふうに、そう署長が次長に言ったということで、まさにこの裏金メモには、この作田署長には現金は行っておらないのでありますけれども、こういったものについては確認をしておるんでしょうか。

小野国務大臣 元次長本人から話を聞く機会が全く得られないので事実関係は明らかになっておりませんけれども、当時の署長二名は毎月定額を受領していたことを否定しているとの報告を、先ほども申し上げましたけれども、承知いたしております。

鉢呂委員 これは、作田署長がもらわないんだという事実は出ておるというふうに思います。

 先ほど言いましたように、十三年の三月にこの裏金残高は六万一千六百八十七円になっております。これについては確認をしておるんですか。どのような形になっておるんですか。十三年は全く不正がないというふうに言っているだけに、ここはやはりしっかり確認をしておくべきだと思いますが、どうでしょうか。

小野国務大臣 現在調査中でございますので、申し上げることができません。

鉢呂委員 非常に残念なわけですけれども、やはり、十三年、十四年が、全く不適正な経理処理がなかった、こういうふうになっていますが、これは何によって確認したんでしょうか。

小野国務大臣 北海道警察によります調査では、支出関係書類を確認するとともに、支出関係書類を示しながら、捜査用報償費の執行をした捜査員や当時の署長等関係職員からの事情聴取を行いまして、予算執行の状況を確認したものと承知をいたしております。

 その結果、平成十三年度以降の執行状況につきましては、当時の署長等関係者から、不適正な経理手続は一切しておらず、捜査用報償費等は適正に執行されていたとの説明があったものと承知をいたしております。

 また、すべての捜査員からも、捜査用報償費等を受領し、捜査協力者にも謝礼等を支払っているとの説明があり、その内容も、事件名、接触状況、あるいは謝礼等の交付状況などが具体的なものであったと報告を受けております。

 このため、過日発表されました途中経過報告では、平成十三年度以降については、現時点までの調査では不適正な執行は認められないと北海道警察におきまして判断したものと承知をいたしておりますが、現在も事案の全容解明のために引き続き調査が進められているものと承知をいたしております。

鉢呂委員 事前に私はお尋ねしておりますが、十三年が全く不適正な処理がなかったとすれば、十二年が、すべてが捜査協力費を裏金化するという操作が行われ、ですから表向き処理は全部協力者に払ったということになるわけですけれども、十三年以降は、十三、十四、十五と別に答えていただきたいんですけれども、そういった捜査協力金としてはどのぐらいの金額になるのか。あるいは、捜査費として使用する、例えば接触費ですとか捜査用のいろんな費用というものについて、個別に出していただくように言ってあるんですけれども、ちょっとお答え願いたいと思います。

 今の大臣のお話では、全部協力者に渡って、捜査等の心証から見ればそれが事実だというような表現だったんですけれども、私は、捜査協力金というのは十三、十四、十五でそれほど支払われているとは思わないわけでありまして、お答え願いたいと思います。

小野国務大臣 弟子屈署の捜査費、捜査報償費の年度別金額を示せということでございます。

 平成十三年度、捜査費の年度別の支出額は、弟子屈署でございますけれども、二十四万円、十四年度は四十一万円、十五年度が三十五万円であり、捜査報償費の年度別の支出額というのは、平成十三年度が二十二万円、十四年度が二十五万円、平成十五年度が十九万円であると報告を受けております。

鉢呂委員 いや、そういうことじゃなくて、それは前に聞いてありますから、その内訳です。最低限、協力者に対する協力金、謝金はこのうち幾らであったのか、これをお答え願いたいと思います。

小野国務大臣 弟子屈警察署におきます平成十三年度以降の捜査費の使途は、犯罪の捜査等に従事する職員の活動のための諸経費の、捜査等に関する情報提供者それから協力者に対する諸経費でありまして、具体的に協力者等に対する物品、謝礼やあるいは接触費等であると聞いておりまして、個々の内容に関しましてということにつきましては、その額については把握されておりません。

 御案内のとおり、コーヒー店に入れば、そこで打ち合わせればコーヒー代ですとか、タクシーに乗ればタクシー代ですとか、具体的に事案によって全部違うわけですので、そういった意味での具体的な内容というものについては、ここでは申し上げることができません。

鉢呂委員 いや、ですから、そういうタクシー代とかということは別として、協力者に支払った謝金。物品も除いて、いわゆる支払い精算書において払ったものというのは把握していらっしゃるんですか。

小野国務大臣 把握いたしておりません。

鉢呂委員 やはり私は、今聞いた限りは非常に問題があって、本当に胸を張って十三年以降は何もなしというふうには言えないなと感じ入りました。先ほど言いました残高についても、処理が全く言えません。

 そして、道警の警務部長は、捜査員が協力者について具体的に説明をし、その心証がとれたと。心証を根拠として、先ほど大臣もそれらしい話をしたわけでありますけれども、大臣、これは、もうだれでも言っておるんですけれども、協力者の存在あるいは金銭授受の確認というものは、最低限、その協力者に事実確認あるいは捜査員の証言と突き合わせる。こういう会計資料の真偽の裏づけをするには、やはり協力者から最低限証言を得るということなくして信用できない。私はそういうふうに考えるんですけれども、大臣、いかがですか。

小野国務大臣 北海道警察の内部調査におきましては、一般的には、捜査協力者に自分の存在が公になるのではないかという疑念や不安を抱かせ、その後の協力を受けることができなくなるなどのおそれがあるために、捜査協力者に対する事情聴取を実施していないものと承知をいたしておりますけれども、調査の結果、証拠書類に記載されている捜査協力者に対する捜査用報償費の支払い事実がないと判明した場合には、それ以上の調査をする必要はないものと承知をいたしております。

 なお、弟子屈警察署の事案に関しましては、北海道警察の内部調査におきまして同様の理由で捜査協力者に対する事情聴取は実施いたしておりませんけれども、このたび、捜査員に対する事情聴取から、平成十二年度の道費捜査用報償費の証拠書類に記載されていた捜査協力者に対する支払い事実はないと認められたことから、北海道警察におきましてはこれ以上の調査をする必要がないとの判断をしたものと承知いたしております。

鉢呂委員 捜査に重大な支障があるということで協力者に対する直接聴取というものを避けてきたわけでありますけれども、しかし、それが先ほど、四十年前の事案もそういうことで、会計検査院もそのことからタッチできないということがずっと今日まで来ております。

 先ほども、警察というのは秘密性が高い、閉鎖性が高いというようなところがありました。捜査に重大な支障があるということだけで、その一番の大きな現金の支給、給付についてきちっと確認する手段を持たない。そのことが、今日まで、全部が裏金化をする。一転、十三年から全く何もないと言っておりますけれども、そのチェックの方法も、大臣、私の今聞いている範囲では今までと全く違わない。どこが、チェック、変わったのか。それで本当に裏金化は一つもなかった、こういうふうに言えるのかどうか。十二年以降もそういう裏金化の事実を言う方も随分いらっしゃいます。しかし、そのチェックの方法はいまだきちんとしておらないのではないですか。

小野国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、これが警察の他の役所との違う独特の分野ではないかと思います。

 自分の存在が公になるということに対する協力者の不安というものは、私などちょっと想像できない部分でございますけれども、捜査に協力をしたことによって事情聴取をした場合に、自分の名前が知られるということは、家族の問題やら、今後そういう捜査に協力はもうしない、できない、そういうふうなことで、警察そのものがいわゆる犯人逮捕に対してどれだけの情報網を持っているかということが捜査に対しても大変大きなこと。これは釈迦に説法で、今さら私から申し上げることもないと思いますけれども。

 そういう特異な中で、調査の結果、書類等に記載されている協力者に対する捜査用報償費の支払いということの事実が判明した場合に、今後、警察はそうだ、全部名前を明かすのであればもう協力はできないということの、常々協力をしてくださる方に対する一つの不安状況というものを与えることにもなる。これが他の役所との大きな違いではないかと思います。

 それによって裏金がどうこうということになってはいけませんので、警察庁におきましては、本人名のもの以外は受けないという形にさせていただきましたし、本人名以外でも、どうしても自分の名前を……(鉢呂委員「それは後から聞きますから」と呼ぶ)後からですか。はい。

鉢呂委員 今の当該する事案について、十三年度の確認、この方法について、このままでよろしいんですか、こういう形で確認がとれたということが言えるんですか、そのことについてのみ答えてください。

 あなたが、捜査に重大な支障があると。いろいろ我々にとっては言いわけ的に聞こえるんです。本当に、後から、十三年度、裏金として出てきたということになりかねないような調査ではないですか。それに対してきちっとやる方法というのは、やはり国家公安委員会がきちっと指示をしなければならない。そう思いませんか。

小野国務大臣 平成十三年度以降につきましては、現時点までの調査では不適正な執行は認められないと北海道警察におきましても判断をいたしたものと承知をいたしておりますけれども、現在も事案の全容解明のためには引き続き調査が進められているものと承知をいたしているところでございます。

鉢呂委員 先ほど言いましたように、署長は具体的な経理にタッチしておらないと、あたかも次長が独断でその十二年だけやったかのような感じでの中間報告であります。

 ところで、この裏金づくりについて、釧路方面本部は関与していましたか。

小野国務大臣 そのような事実は把握をいたしておりません。

鉢呂委員 私の調べたところでは、この裏金帳簿で、平成十三年の三月八日、これは小さい金額ですけれども、昼食代ということで六千円が裏金から支出をされております。これが、斎藤次長さんの証言によれば、不正が発覚しないように釧路方面本部の会計課が二、三カ月ごとに来て指導する、その際の昼食代だ、こういうふうに言っていらっしゃるんでありますけれども、この点については確認できますか。

小野国務大臣 ここにある点だろうと思いますけれども、確認はできません。確認できません。(鉢呂委員「ここにあるというのは何ですか」と呼ぶ)十三年の三月八日の日でしょうか。(鉢呂委員「それは何になっているんですか、皆さんの方では」と呼ぶ)昼食になっています。(鉢呂委員「何の昼食ですか」と呼ぶ)知りません。昼食だけです。六千円という、このことではないかと思います。

鉢呂委員 やはりちゃんと、どういう昼食であるのか。私が言ったように、上層部の釧路方面本部が二、三カ月ごとに裏金の、裏金を適切なというのはおかしいので、裏金をばれないようにするチェックをしに来る。これはほかのところでも聞いていますね、福岡県警でも三カ月ごとぐらいに来ておるというような話もあって。

 まさに、国家公安委員長、警察庁の会計課の監査室とか県警のそういう会計課というのは、そういった形で裏金をばれないようにするための会計検査対応とか、それを不断にやらなければ、先ほど福岡県警の四十年前の話のように、ばれたら大変なことになると。ですから、全部、署長以下、警察署員の行程表をつくって、休みはどう、出張を実際はしている等、そういった行程表をつくって、それに当てはめて、全く問題ないようにつくりかえる。膨大な事務量なわけですけれども、そういったことをほとんどのところでやっておる。

 静岡県警がそういう例でしょう。大臣は首をかしげて、私のことを何かおかしなことを言っているように言っていますけれども、静岡県警の例はそうじゃないですか。ですから、一年間のうちに二百日近くも東京等に出張するというような架空の出張命令、旅費の支出というのがなされておったわけでありますよ。

 そういった、やはりきちんとした把握をすることをせずして、私は、ならぬと思います。ですから、昼食代の一つもわからないというのは普通かもわかりませんけれども、斎藤元次長はそういうふうにこのことを述べておるわけであります。どういった方と食べたのか、これはわかるはずでありますから、明確に調査をしていただきたいと思います。

小野国務大臣 今お尋ねのメモの内容につきましては、元次長の斎藤氏本人が、私の手控えメモとして作成したもの、こう述べておられるように、本人にその内容を確認しないとお答えのしようがないところでございますので、当該メモにつきましては、本人の記憶に基づいて作成されたものでありますことから、記載されている事実関係については、本人から客観的な証拠を示してもらわない限り、説明を聴取し明らかにしていくことができないわけでございますので、ぜひ、そのような必要を感じ、本人が明らかにしていただきたいものと思っております。

鉢呂委員 本人は、きちんと証人の証言が守られる、例えば百条委員会ですとか証言法に基づく委員会等でなければならない、警察は私の言っていることをすべてわかっている、末端組織のことを調査するよりも、警察上層部が、もう一瞬のことでこの中身はわかる、こうまで述べておるわけであります。

 そこで、先ほど言った約八十八万の支出について、本来捜査費から支出をしていいものが約二十四万円、そして費用外の目的のものが三十一万円という形で出されておるわけであります。

 そこで、少し質問をはしょりましてその後に行きますけれども、まず最初に、先ほども言いましたけれども、不適正な会計処理。大臣は、不適切な会計処理で個人的な流用がなかったかのような記者会見も当時しまして、これは旭川中央署の問題でありました、私から厳しく指摘をさせていただきました。この裏金づくりのためのいわゆる形は、先ほど言いましたように、明確に、これは調査でなくて捜査の対象にして、偽造公文書、虚偽公文書の偽造、行使というものになってきておる。

 このことについて再確認しますけれども、この弟子屈の問題も、十二年については全部裏金化をした、捜査費、国費、県費とも裏金化をした、その行為は虚偽公文書の行使になっているというふうに理解をしていいですね。

小野国務大臣 調査の結果明らかになった点において対処させていただくべきものと考えております。

鉢呂委員 例えば静岡県警、これは、不正な分は返還をする、返金をするというようなことが言われておりますが、私は、警察内部のことであるだけに、やはり旭川中央署、弟子屈署、静岡県警、こういった問題についてはきちんと、法令上過ちがあったのであれば起訴すべき問題だ、こういうふうに考えますが、いかがですか。

小野国務大臣 起訴ということにというお話でございますけれども、それは警察の立場ではございません。

鉢呂委員 それでは、法務省が来ていらっしゃると思いますが、今の、まず裏金化をするその行為、これ自体は虚偽公文書の行使、公文書の偽造ということに私は当たると思いますから、やはりそういうことを踏まえて捜査、起訴をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

河村政府参考人 お尋ねの点につきましては、捜査機関の活動の有無、内容にかかわる事柄でございますのでお答えいたしかねるわけではございますが、一般論として申し上げますと、検察当局におきまして刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき、適宜適切、厳正に対処するものと承知いたしております。

鉢呂委員 そして、裏金をどのように使ったかということについても、大きな法令上の問題になるというふうに思います。業務上横領罪、刑法の二百五十三条、これについて法務省から説明を下さい。

河村政府参考人 横領罪の成否につきましても、これは一般論ということではございますけれども、業務上、つまり社会生活上の地位に基づきまして反復継続して行われる事務として他人の財物を占有いたしております者が、その業務の遂行として占有しております他人のものを不法に領得するということによりまして業務上横領罪が成立するものと承知いたしております。

鉢呂委員 不法に領得をするということで、いわゆる目的外にこれを費消した場合、これは当然、業務上横領罪になろうかと思います。

 例えば、いろいろの判例が出ておりまして、農水省の現地の出張所長が、事務の円滑化を図る目的で、その保管に係る人夫賃を所長や所員の出張旅費や接待費に流用した場合、本罪は成立するということで、最高裁の昭和三十年のこの判例にもなっておるわけでありまして、そういったふうに受けとめてよろしいですか。

河村政府参考人 先生御指摘になりました、最高裁、昭和三十年十二月九日の判例につきましては承知いたしてはおります。

 ただ、こういった判例と申しますのは、あくまで、収集されました証拠に基づいて認定されます個別の具体的事実関係を前提として判断を示したものでございますので、一定の状況を前提といたしまして、過去の裁判例との比較から、個別に犯罪の成否についてお答えをするということにつきましては、法務当局といたしましてはいたしかねるところでございます。

鉢呂委員 個人の直接的な利益でなくても、先ほど言いましたように、出張旅費とか接待費とか、いわゆる予算の目的外という使用についても業務上の横領罪の疑いが非常に濃いということで、弟子屈署でいきますと、八十八万のうち、いわゆる捜査費として、捜査活動経費として、八十八万のうち二十四万はこれに当たるが、今解明された分のうち、接待費ですとか交際費、激励経費、食糧費等は、これが三十一万になるんですけれども、これはいわゆる業務上横領罪のおそれが非常に強いということが言えるわけでありまして、それらを含めて、私は、きちんとした、調査でなくて、もう捜査の部分に入ってきておる。

 先ほど言った未解明部分三十三万というのは何か、私はわかりませんけれども、その主要な、大きなところは、署長に対する現金の署長交際費、現金で毎月四万とか六万という形で渡されるものがそれになっている可能性が強い。また、これは弟子屈署ですから、北海道の中でも一番小さい方の署ですからこの程度でありますけれども、最初に申し上げました福岡県警本部の銃器対策課等は、三年間で六千六百万円。旅費と捜査費合わせてでありますけれども。

 先ほど言いましたように、まあ大臣、そう私の方をにらまなくてもいいですから。そういうふうに一方で証言されている方がいらっしゃるから言うんですけれども、課長には毎月二十万程度、部長は各課から行っていますからわかりませんけれども、当時の、四十年前でも五十万程度というようなことが言われて、原田証言によっても、それは公的、個別の違いがない、入ってしまえばいろいろな接待やあるいはまた自分の個人的なものに使っておったというふうに、正直にお話をされておるわけであります。

 そういう中で、目的外使用についても業務上横領罪の疑いが大変強いということで、警察であればこそ、単なる返還とかそういうことで済まされない。ほとんどの署員が、警察官が領収書を切らされただけに、全員が虚偽公文書に手を染めておると言っても過言でないわけでありますけれども、しかし、その使い道、使途は、上層部の懐に入っておるというふうに見ておるわけであります。

 そういった中で、北海道の道民の皆さんや全国民の皆さんは、どうも警察は、悪いことをしてはならぬ警察が、どうも大変な間違いをしているようだ、しかも、それが速やかに迅速に解明するという方向になっていないと。この北海道の二警察署のものを見ても、道民のほとんどの皆さんは、北海道警察は、当該するところだけで、いわゆる不正経理がない、使い方について使い勝手がいいような形でしたというような言い逃れで済まそうとしておるのではないかと。

 問題のある、いわゆる法令、刑法に照らして違反になるようなものについては一切なかったような形で、大臣も、個人的なものはなかったというような記者会見をするような形で済まそうとしておるようでありますけれども、私は、実態はそういった問題でないし、国民もそういった受けとめ方をしておらないだけに、警察の信頼を一日も早く回復するには、そういった意味からいっても、国家公安委員長の指導性が発揮されなければならないというふうに考えております。

 この法令違反に関して、大臣としてどのように受けとめていらっしゃるか。法務省の見解も今聞いたわけでありますけれども、業務上横領罪等の疑いについても踏まえて、御答弁をいただきたいと思います。

小野国務大臣 事案の全容が明らかになった段階におきまして、この調査結果を踏まえて厳正に対処すべきもの、そのように承知をいたしております。

鉢呂委員 もう少し市民の立場に立って、これは北海道のある新聞の記事ですけれども、「巷の声」ということで、「道警の報償費問題など警察に対する不信感が一段と強まっています。犯罪を取り締まる側が長年にわたって、せっせと税金で裏金をつくっていたと言うのだから全く呆れ果てます。警察は事件性がなければなかなか動いてくれない。しかし、スピード違反や駐車禁止には情け容赦なく切符を切る。警察に対してはそんな感情しか抱いていない人が少なくないのではないでしょうか。警察組織自体に自浄能力がないとすれば、警察を取り締まる警察が必要だとあながち冗談で片付けられないのが現状だと思います」こういうふうに述べております。

 警察を取り締まる警察ということになりますと、やっぱり国家公安委員会が十全の働きをすることが大事だというふうに私は思うわけでありまして、何とか、周りは全部警察署に囲まれていると思いますけれども、まさに国家公安委員会で、先ほどの十二条二のようなものを積極的に出して、本当に、警察庁の幹部はみんな県警に行っているんですから。

 私は、私どもの大畠国家公安委員長が北海道警の本部長に向かって、あなたは本当に裏金について聞いたり見たりさわったりしたことはないのかというふうに言ったら、そのナンバーツーの総務部長は、一瞬どころか一分間ぐらい答えられませんでした。そして、大畠委員長は、芦刈道警本部長に対して、あなたがここで決断をしてこの裏金についてきちっと行うということは、上に対して、警察庁本体に対しても決然とした思いでやることになるんだ、そのことが今の警察庁に色濃く出ておる疑惑を解消するんだというようなことをおっしゃっていただいたわけであります。

 まさにそういった公安委員長の考えがなければ、この問題はトカゲのしっぽ切りになって、四十年同じことをやっているんですから、会計検査院でさえさっぱりこのことをつかまえられないんです。いろんなことを言っていますけれども、実態として現実に何もやれないのでありまして、何もやれないでそのまま済ますようなことで、これは、国民が許すはずはありません。

 警察が本当の警察能力を高めるには、やっぱり国民の皆さんの自発的な協力がなきゃならないんでしょう。今だったら、だれも警察は信用していません。そんな協力金の二十万、五十万を払う金があれば、本当の意味で今、警察の自助努力で、自浄作用を働かせて、本当の意味で再出発するときにあるのではないかというふうに思いますけれども、大臣のお考えを聞かせてください。

小野国務大臣 鉢呂議員のおっしゃいますことは十分に理解できるものでございまして、警察官というのは、国民の信頼と、そして生活の安全、安定、そして財産の確保のために、深夜を問わず働くのが警察職員のモットーでございまして、お互いの理解が、このたびのような事案におきまして、つながらないと申しますか、理解が得られない状況にあるということは、まことに遺憾にたえないところでございます。

 国家公安委員会におきましても、今回の件に関しましてはいろいろと議論をさせていただいておりまして、早急に解決すべきことは、具体的な点で、先ほどからも申し上げておりますように、警察が最も信頼をいただけるような立場にするためには何をどうしたらいいのか。今回のような不正経理の問題に関しましては、それをきちんと予算化することにおいて、警察独特の支出があるということであれば、それが国民の理解をいただくようにしていくことが最も大切なことではないか。そのような理解の上に立ち、一つ一つの分野においても検討を進め、具体的なものに対しても発言をさせていただいているところでございます。

 ですから、このたびのさまざまな事案に対しましては、今後こういうことが絶対に起きないように、今回を一つの起点といたしまして、本当に改めるべきところは、どういうところをどのようにしていったらいいのか、また、使い勝手がよくしていくためには、捜査費あるいは捜査協力費というものをどのように予算化していったらいいのかなどなど、本当に現場で汗して働く警察職員が一生懸命誇りを持って仕事ができるようにするために我々国家公安委員会並びに警察庁がどのようにしていったらいいかということは、本当に心を込めて対応していかなければならないことと認識をさせていただいております。

 ぜひともそういった意味での国民の信頼を得られるように、今後とも督励してまいりたいと思いますし、私ども国家公安委員会におきましても、これまで以上に協力をし合いながら意見を出し合い、そして、警察の新たな出発への道筋のために労力を惜しまないで協力をさせていただきたい、そのように考えているものでございます。

鉢呂委員 その再出発の方向ではなくて、やっぱりこれまでのこの裏金づくりの実態についてきちんと明らかにして、刑事法的な法令の違反があれば厳しく対応する、警察だからこそ厳しく対応するということを抜きにして国民の信頼は生まれない。警察内部から、内部しかわからないような事例がどんどんこの間出てきておるわけです。こういったものは、ふたをするような形で、それは、警察の士気が低下をするからとか、いろんな事案に有効に対応するバランスが必要だとか、そういうのが国家公安委員会で語られるのでは私は非常に悲観的にならざるを得ない。

 これで幕引きをするような形であれば、また次から次に出てくる。それは上層部が甘い汁を吸っておるのではないかというような感じが、またぞろそういった形で上の者が引いてしまう。端的に言えば、一番末端のところで刑事的な事件になるのかもわかりません。しかし、そういった形での幕引きであればこの問題は終わらない。またいつの日か出てくるし、今回もこれでは終わらないというふうに私は思いますから、まずは、これまでの問題について、幕引きでなくて、全容を明らかにして、そこから出発するという精神がなければならない。

 私は、小泉内閣、小泉総理はそういった意味で言っておるし、十二条二について、これを、大臣があのような答弁をしながら、きょうこういうような御答弁を聞くとは思いませんでした。私はその真意をいぶかるところでありますけれども、なお一層、実態把握、そしてその全容をきちんと国民の皆さんに明らかにすることがまず最初であるということを言っておきたいと思います。

 しかし、その中で、「捜査費経理の手引き」というものが出されました。先ほど大臣は、捜査協力者本人以外の名義による領収書は徴取しないと言ったのが三月十一日のこの通告でした。しかし、後の三月二十二日に、どういった形でこれが追加的に出てきたのか私はわかりませんが、この例外を認めてしまったのであります。

 きょうは、財務省の主計局の杉本次長が来ていらっしゃると思いますが、会計法上、領収書を徴さない、そういった規定になっておるんでしょうか。

杉本政府参考人 お答えさせていただきます。

 会計法は国費の支出に係る一連の手続を定めたものでございまして、会計法令上、捜査費に関しましては、支出官、これは会計機関でございますが、これから資金前渡官吏を通じまして、取扱責任者、これは本件の捜査費の場合には道府県の本部長になると思いますが、その本部長に資金を交付した段階で、会計法上は支出が行われたということになります。

 先生今出されました話、警察庁から出された通達「捜査費執行における領収書の徴取の在り方について」でございますが、これが定めている内容につきましては、この取扱責任者たる本部長に支出された後の捜査費の管理、使用に係る執行の問題でございまして、会計法の適用が直接に及ぶものではございません。ということでございますので、会計法の規定との関係という話の外側にある問題と考えております。

 ただし、今申し上げましたように、会計法令上の手続の規定の適用はございませんが、取扱責任者たる本部長において支出されたものは国がその目的を達するために支出した公金という性格を失わないものでございますので、そうしたものである以上、予算執行に責任を負う各執行官庁において、当該資金の管理、使用をその使途に照らして最も妥当と認められる方法によって行うべきものであるというふうに考えております。

鉢呂委員 今財務省からお話があったとおり、例えば、都道府県の本部まで入る段階が国の会計法上の規定を受ける、しかし、その後、取扱責任者、例えば各警察署に行く段階は会計法上ではないけれども同じ公金としての扱いを受けるということでありますが、支出官事務規程とか出納官吏事務規程というのがあるというふうに聞いておりますが、この規程はどういったものであり、その中ではどういったふうに規定をされているのか、お答えできますか。

杉本政府参考人 支出官事務規程についてのお尋ねでございますが、支出官事務規程、これは大蔵省令でございますが、十三条におきまして、支出官は、受取人に小切手を交付し支払いを終わったときは、領収証書を徴取しなければならないと規定してございます。

 それから、出納官吏事務規程というのがございまして、これも大蔵省令でございますが、資金前渡官吏は、債権者から支払いの請求を受けたときは、その請求は正当であるか、資金交付を受けた目的に違うことがないかを調査し、その支払いをし、領収証書を徴取しなければならないと規定されてございます。

鉢呂委員 大臣、例外規定はないわけでありますけれども、今回の手引の五、会計課長の通達では、領収書を徴取できない場合ということで、所属長、署長や課長の確認をとると。言えば、現金の領収書の提出がなくても支給できる。これは、今ある組織ぐるみのチェック体制と全く変わっていません。一人が二人になる、あるいは、判こを押すのをサインをするというだけの話でありまして、今回のこういった裏金づくりがもう認められたわけでありますけれども、これには全くのチェック機能も働くことができません。これはどういう形でこういうものをつくったんでしょうか。

小野国務大臣 基本的には、先ほどから申し上げておりますとおりに、本人の氏名をきちんと書かないものは受け取らないという基本姿勢をまず一番に持ってまいりました。

 さはさりながら、先ほどからも申し上げておりますように、暴力団関係ですとかさまざまな凶悪犯罪等における協力者に関しましては、その名前が出ることにおいて御本人はもとより家族にまで危険が及ぶというふうなことの疑念が持たれるような場合におきましてはどうしても書けない、そのような場合が警察のこうした捜査の中におきましてはあり得ることだと私も理解をいたしております。

 そのような場合には、書けないということと、場所と時間等細々とした点を明記しながら、その内容の理解を、本人、捜査員と同時に上司並びにもう一つ署長のサインをもってそれを説明し、了承をもらうことにおいて、名前を書かないということを了承してもらうという、二重三重にわたってのチェックをさせていただくということでございますから、それほど多くの事案ということにはならないかと思いますけれども、これがいわゆる警察の刑事関係におきましてはあり得ることであり、これも全部オープンにしてしまうことによりまして協力者の協力が得られなくなるということに対する不安というものが私は決して簡単なことではない、そのように認識をさせていただいているところでございます。

鉢呂委員 今までこの裏金づくりをチェックできなかったそのチェック体制だということは、きちっと把握をしていただきたい。

 まさに、この内閣委員会が現地調査をした段階で、クレジット決済方式については、道警本部長も、検討に値すると。あるいは、現金報償費については、経理担当者から、このラインの捜査担当者でなくて経理担当者から支払うことに関して質問をしておることに対して、一つの対策として検討したいと、ここまで現地は言っていらっしゃるわけであります。こういったものが全然生かされないで、従来と全く変わりないじゃないですか。前だって署長と、一人が二人になっただけでありまして、そういったことが私には何とも情けないんですけれども。

 きちっとしてください。こんなことで今までの組織ぐるみがチェックできるはずがないじゃないですか。

 あるいは、支払い報告書を書くというふうになっています。またぞろ大変な事務量を捜査員に押しつけるわけでありますけれども、しかし、この支払い報告書も、場合によっては協力者の名前とか住所を書かないで別のものにしておく、こういうふうに今考えていまして、会計検査院はこれにどういうふうに対応するんですか。はっきり言いまして、協力者の名前をきちっと把握しないから今日までこのまま来ているんです。これはもうだれが見たって、協力者にきちんと直接聴取をして把握すればこんな問題は起きないんです。

 会計検査院は、この問題について、警察庁は会計検査院にも了解をもらったようなことを言っていますけれども、皆さんはどういう対応をしたんですか、ちゃんと答えてください。

石野会計検査院当局者 今お話しの支払い報告書における記載事項に関しましては、そこにどういう実際の記載内容があるかということを十分確認しますとともに、その取り扱いに係る会計経理が適正なものかということにつきましては、その書類だけではなくて、さまざまなほかの関係の書類、あるいは説明を受けるということで判断をしていくものというふうに考えております。

鉢呂委員 会計検査院がまだそんなことを言っているのでは、この問題はまずなくなりません。そんな、捜査上のさまざまな問題を聞いて把握するなんて、今までやって、この問題に一回も対応できなかったじゃないですか。なぜ協力者からきちっと聴取をするということを明確に打ち出して対応できないんですか。

 それから、激励慰労費の問題です。

 大臣、北海道では道庁が、この激励慰労費は認めないと。こういった、捜査にかかわって、長期にわたる重要事件だから慰労するというようなものは前近代的で、もしくは、そういうことであれば、必要な経費があるんであれば、聞き込みや張り込み等の経費がかかるとか、交通費あるいは超過勤務手当、そういったものをきちっと支払うことによってそういった激励慰労費というものはなくするべきだ、都道府県でさえこういうふうに言っているんですよ。これをまたぞろ、この手引では大々的に書いたぐらいにして、こういったものが不明朗な経理になってしまう。これは、どういうふうに感じていますか。

小野国務大臣 激励慰労費という件でございますけれども、例えば、捜査期間が長引いたり、御案内のとおりさまざまな事案があろうかと思いますけれども、捜査が困難で、そしてまた重要事件の捜査に従事した捜査員や、長期にわたりかつ大規模な態勢で取り組むような警備実施に従事した警察職員というのは、職務の特殊性から、昼夜をいとわず、休日を返上いたしまして、その過酷な勤務を強いられておるわけでございますから、こうした捜査員やあるいは警察職員に対して士気を鼓舞し労をねぎらうということは、私は、これをやめるという必要はないと。

 と申しますのは、ただいわゆる三千円という費用の中で、どうでしょう、ビールとおすしと乾き物程度だろうと思います。ただそれを食べるということだけではなくて、その捜査に当たったみんながそこに一堂に会することにおいて、つかさつかさで全部仕事の内容が違うわけですから、そういう中において、お互いの事案の中でのコミュニケーションなり、何がどうしてどうだったのかということをお互いに知り合うという大変いい情報の交換の場所にもつながってくるわけですから、ただそこで慰労費ということで飲み食いをするだけではないプラスアルファが、そこに私は大きなものがあろうかと思います。

 ですから、そういった意味におきましては、労をねぎらうと同時に、捜査員や警察職員が捜査状況について反省、教訓を共有する、こういうふうなものでございまして、今後とも私は警備実施の円滑な推進に役に立っていくものと、そのように理解をいたしておるところでございます。

 ですから、激励慰労費の執行につきましては、国民の皆様の御理解をいただくことが必要であり、都道府県警察におきましては、警察庁が示しました基準に従い、簡素に行いながら、しかし引き続き適正な執行に努めるように、国家公安委員会といたしましても警察庁を指導、督励してまいりたい、そのように考えております。

鉢呂委員 現状の公務員のこういったたぐいの支出について、もう時代は変わっておるんです。北海道はさまざまな形がありまして、この北海道庁も、こういう公金から、税金からこういうものを使う時代でないというのは警察も変わらないというふうに私は思いますから。これはこのまま、例えば、ワールドカップがあって、サッカーの国際試合があって、二千万とも三千万とも、この短期間でこういう激励慰労費ということで使われたわけでありますが、これはどういうたぐいのものであるのか。

 本当に、超過勤務手当のような形であったのであれば、あるいは旅費であったというのであれば、そういったものを支払うという形でやらなければ、警察官の御苦労をこういった形でしか報わないということ自体が、そういう意図があるからこういうものを残しておくということが起きてきておるのではないかということで、やはりこのままの激励慰労費という扱いは、私は存続し得ないものだというふうに思います。

 最後に、あと五分ですので、きょうの福岡関係の、マスコミで、現職の警察官が、今福岡県の監査がなされておりますけれども、その調査に対して、全部の署で裏金づくりが行われておると。しかも、彼は現職ですけれども、私が入った数十年前から全部の署で行われ、現在所属する警察署でも疑惑発覚直前までこの裏金づくりは続いておった、こういうふうに監査委員に証言をしております。転勤の課長がせんべつと称して、その裏金の残額を私がもらっていいやろということでもらっていく、幹部に対しての不信があらわだという表現で出ておるわけであります。

 当然、委員長はこの問題についても掌握していらっしゃると思いますが、私は、そんな簡単な、十三年から警察庁の刷新があって、暗に、あの当時から全くないんだというようなことをまことしやかに国家公安委員がしゃべっておるわけでありますけれども、そんな根の浅いものではない。今まで続いておる、こういうふうに現職の警察官が、まさに自分が首を切られるかもわからない中で、ふんまんやる方ないということで証言しているんですよ。あの銃器対策課に在籍した人だということですよ。

 私があのとき出した書類はもう少しきちんと調査をして、この内閣委員会に報告をしてもらいたい。この委員会が、こういう集中審議はやるかどうかわかりませんが、ちゃんと委員長を初め理事会にその報告書を提出して、私の分の、その特定した資料に基づいた分についてもきちんと報告をしていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。今の新聞報道と、私の質問したものについての報告でございます。

小野国務大臣 お尋ねの報道があったことは承知しておりますけれども、現在行われております県の監査委員によります監査にかかわることでありまして、警察といたしましてはそのような事実は把握していないと聞いておりますけれども、今後、福岡県警で調査していくものと承知をいたしております。

 先生お話ありましたとおり、不適正事案や疑惑に対しましては、既に関係道県警察におきまして、公安委員会の指示を受けて鋭意調査を進めているものと承知をいたしておりますし、調査の結果不適正なものが判明いたしますれば、厳正な対処をしていくものと認識をいたしております。

 従来以上に監査の実施頻度を高めたり、あるいは捜査費を執行いたしました捜査員に対する対面調査というものの機会をふやすなど、監査の充実強化を図ってまいりながら、警察庁におきましては、都道府県警察に対しまして計画的に監査を実施するものと承知をしておりまして、都道府県警察は厳正に監査を実施していくよう、私ども国家公安委員会といたしましても督励してまいりたい、そのように考えております。

鉢呂委員 あなたは都道府県警察が厳正に調査をしてなんて言いましたけれども、この警部補は、県警の調査チームについては全く自浄能力がない、こういうふうに批判をし、予算を懐に入れていた幹部の意識は全く変わっていないと。銃対課、銃器対策課だけのトカゲのしっぽ切りで済ましても、世論は納得しないし、警察内部の不満はおさまらず今後も内部告発は続く、県警全体のうみを徹底的に出すべきだ、こういうふうに監査委員の調査に対して報告をし、まさに県警の調査チーム、これに対して不信をあらわにしておるわけです。

 大臣は、またそういう、県警を信頼してというのは、信頼をするのはいいですけれども、もっとあなた方が本当にぎりぎりの指導性を発揮することなくして、全くこの問題は解決しませんよ。十二条二ぐらいきちっとなぜ交渉しないんですか、大臣の答弁に基づいて。

 このことをお伝えして、私の質問を終わります。

山本委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十四分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 きょうは警察の不正経理疑惑に関する集中審議をするということで、私も質問をさせていただきます。

 午前中、鉢呂委員と小野国家公安委員長とのやりとりを十分に拝聴させていただきました。私自身、そのやりとりをお伺いしながら、非常に、このような雰囲気で内閣委員会の中での不正経理疑惑の審議ということが進んでいるんですが、こういうことでいいんだろうかという感じもいたしました。

 それは、北海道の原田さん、あるいは福岡でも告発をされました。そして先ほど鉢呂さんからもお話がありましたが、福岡では、福岡県の監査委員の調査に対して裏金づくりを認める回答をしているということで、いろいろ私も関係者の話を伺っていますが、そういう方々に対する警察の関係者の、OBの方かわかりませんけれども、大変な圧力がかかっているということなんですね。

 小野国家公安委員長もスポーツ界で大活躍をされ、まさに日本の国の第一人者として行動されてこられましたから、スポーツマンシップというのは十分心得ておられますし、私も学生時代剣道をやっておりまして、そういう意味で、スポーツ界の厳しさ、そんな中での心を共有する仲間内の団結力というのはよくわかっているんです。しかし、そういうきずながありながらも、ここはやはり、国家国民のために、このまま黙っていたのでは日本の国のためにならないという決意を持って事実を告発され始めた方々に対して、この内閣委員会のこのやりとり、これでいいんだろうか、そんな感じすらいたします。

 私は前にも御質問させていただきましたが、福岡県警の警察官募集の張り紙に、「プライドを持つ、そんな生き方がある 警察官募集!」まさにこの一言に尽きるんですね。にもかかわらず、内部でそのようなことが一部であったとすれば、まさに心に曇りがあれば小野大臣、わざが決まらないんですよ。わざを決めるときには心の中に曇りがあっちゃいけないんです。私たち、剣道もそうですが、なぜ正座をし、心を整えてからけいこを始めるか。剣道の前にお互いに礼をします。礼をするのは、お互いに相手をきちっと認めて、そして正々堂々と戦いをしようという始まりの言葉なんですね。

 ですからそういう意味で、今警察に対して、いわゆる治安の悪化というものが背景にありますが、国民の期待は大変高まっている。にもかかわらず、こういうことについて、内閣委員会で警察の不正経理疑惑問題について集中審議をしなければならない。この声は警察関係者の皆さん、また不正経理に携わったことがある皆さんにも届いていると思うんですが、まさに恥ずかしくないですかということを私は言いたいんです。このままじゃ、国民の信頼なんか回復できませんよ。

 そこで、最初に小野国家公安委員長に御質問させていただきますが、国家公安委員長は、警察庁の立場に立つんですか、それとも国民の立場に立つんですか。どちらかというのをまず明らかにしていただきたい。

小野国務大臣 私も一国民でございます。ですから、国民としての立場と、今置かれております国家公安委員長の立場と、両方あわせ持ちながら、きちっとした対応をしてまいりたい、そのように考えております。

大畠委員 そういうことと思いますが、ただし、先ほどから御答弁の姿を見ていますと、どうもそうとも思えない。次々と警察庁の係官からのメモを見られて御答弁される。まさに何か私は、国家公安委員長というよりも警察庁長官として御答弁されているような感じすらするんです。

 国家公安委員長とは何か。法律に基づいてやりますと国家公安委員長は言っておられましたね。国家公安委員会は、国の公安に係る警察運営をつかさどる云々の話がもちろん法律に書いてございます。それから「警察に関する制度の企画及び立案に関すること。」これもございますね。

 そういう意味からしますと、午前中の鉢呂委員に対する公安委員長の御発言というのは、どうも私は合点がいかないんです。この問題については、捜査上の秘密ですから、現在各県警本部で調査中ですからここでお話をすることはできません。では公安委員長としてどんな姿勢でこの問題に取り組むのかということについても、明確なお話はございませんでしたが、最後のところに、公安委員長が係官のメモを見ないでお話なさったことが二つございます。

 一つは、「ですから、先ほどから申し上げておりますとおり、全国を一律にということではございません。事案があることにおいて、つかさつかさにおいてやっていくわけでございますから、」この肉声がございました。

 もう一つの言葉は何かといいますと、一番最後の質問に対して答えられたものですが、「警察官というのは、国民の信頼と、そして生活の安全、安定、そして財産の確保のために、深夜を問わず働くのが警察職員のモットーでございまして、お互いの理解が、このたびのような事案におきまして、つながらないと申しますか、理解が得られない状況にあるということは、まことに遺憾にたえないところでございます。」

 この二つの肉声を私はお伺いしました。

 最初の肉声は全く理解ができません。国家公安委員長としての御見解とは思われないんですね。「全国を一律にということではございません。事案があることにおいて、つかさつかさにおいてやっていくわけでございますから、」というんですが、これでは国家公安委員会なんか要らないじゃないですか。全国の自治体の中でやっていればいいという話でしょう。これは、公安委員長としての御発言とは全く到底思えないような発言が一つ。

 二番目のものは、小野国家公安委員長、小野議員、参議院議員の本心がここに出ていると思うんです。「理解が得られない状況にあるということは、まことに遺憾にたえないところでございます。」この心情を中心に国家公安委員長としてやっていただきたいんです。後ろのメモなんかどうでもいいですよ。

 私は、国家公安委員長という政治家としての立場から、ぜひこれからの質疑に対する御発言といいますか御意見を賜りたいということをまずお願いをしておきます。

 さて、そういうことで、国家公安委員長として、質問に入る前に、四十七都道府県に公安委員会がございます。この公安委員会とはどういう連携をとり、そしてまた、疑いがあるという北海道、福岡、それから長崎、そして静岡、また四国でも高知の方からもありますね、こういうところの公安委員会とは何か連絡をとり合ったことはあるでしょうか。

 これは後ろのメモはいいです。メモなんか必要ないでしょう。公安委員長がわかっていることを答えてください。

小野国務大臣 恐縮でございます。

 国家公安委員会、かつ都道府県公安委員会と密接な連携を保つこととされておりまして、先生今お話ありましたように、今回の件に関しましても、例えば北海道の公安委員会がどのような方針で北海道警察の管理に当たっているか、道議会への対応や広報はどのように行われているか等を把握するために、警察庁の国家公安委員会会務官に指示をいたしまして、道警の公安委員会補佐室と必要な連絡をとらせていただいているところでございます。

 先ほどから先生お話ございますけれども、やはり、事案があって、そこの公安委員会というものがそのために存在しているわけでございますから、公安委員会と道県とが、都道府県ですね、その県とが密接な関係の中に、まさに警察官が安心、安全、安定した中に警察業務が遂行されるように存在しているわけでございますから、そういう意味におきます私たち国家公安委員会と同様に、各地域の公安委員会というものの存在というものは、私は大事にしていかなければならないものと承知をいたしております。

大畠委員 私が質問させていただいたのは、今、事案として上がっているといいますか、北海道、福岡、長崎、そして静岡、また四国の方でもそうなんです、まあ新聞報道かもしれませんが、どうしていますか、各公安委員会ではどんな動きをしていますか。

 国民の一人と先ほどおっしゃいましたね。であるのであれば、そういう疑念を持たれたこと自体に対して、大変不名誉なことなんです、これは。ですから、その当該の地の公安委員会とまさに法律に基づいて密接な連携をとられていますかという質問なんです。

小野国務大臣 会務官を通しまして連絡を密にいたしているところでございます。

大畠委員 会務官じゃなくて、公安委員会委員長でしょう、当地の公安委員会に何で係官なんか通して話しているんですか。まさに私たちが頼るべきは国家公安委員長しかいないんですよ、今。

 実は、北海道にこの委員会として行かれましたね。そして、北海道で質疑をされました。議事録を見させていただきましたが、公安委員会としての機能は十分だと思いますかというので、これでは不十分でしょうねという答えが返ってきているんですよ。これは御存じですか。

小野国務大臣 言葉としてそういうものを読んだことはございます。

大畠委員 委員会の調査記録というのは、ぜひ公安委員長も読んでおいてください。これは、公安委員長といえども、委員会の中できちっと決まった方針に従ってやってもらうというのが委員会なんですからね。委員会で公式に北海道に調査に行ったんです。その調査の中で、公安委員長が、現在の体制では不十分ですということを言っているんです。

 ですから私は、この問題、いわゆる公安委員長としてじかに、全国の公安委員長を例えば集めて、あるいは、法律でも「国家公安委員会は、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。」と法律に書いてあるわけですよ。書いてあるのであれば、公安委員長として当然やらなきゃだめでしょう。

 であれば、係官を通してじゃなくて公安委員長みずからが、私だったら公安委員長として担当の公安委員長を集めますよ。そして、こういう報道がある、あるいは、こういうことが事実としてわかった、まことに恥ずかしいことだ、我々公安委員会の名誉にかけてもこの問題の事実解明を図ろうじゃないかぐらいの、そういう指示を出してもいいんじゃないですか。係官を通してじゃなくて、小野参議院議員といいますか、議員、そこは、係官を通してやっていましたからという事務的な話じゃ済まないと思いますよ、これは。

小野国務大臣 先生のおっしゃることはそのとおりと申し上げてよろしいかと思いますけれども、現実に、向こうの方も会議、会議であり、招集がかかり、連日大変な状況でございますので、私どもの方から特段の、今回の件に関しまして出かけるなりなんなりというふうなことや、あるいは来ていただくことなどの状況にはなっていない、そのように理解をいたしておりますし、また、公安委員会の集まりというものも年にございますし、また、地域の公安委員会に対する、国家公安委員会がそちらの方に出向いて意見を交換するという機会もございますので、それはそういった折々において行われるものと承知をいたしております。

大畠委員 今、公安委員長から一つの御発言がございました。連日、公安委員会の方々は忙しいと。

 これは理事会で諮っていただきたいんですが、ぜひ、今申し上げた北海道、静岡、福岡そして長崎、その公安委員会が連日委員会を開いているのかどうか、これを事実を調べて委員会に報告していただきたいと思いますし、今警察庁の方でそういう事実をつかまえているんだったら、きょうは警察庁が参考人としてどうしても出席したいと言っていましたね。漆間次長、今のお話なんですが、公安委員会は連日開いているんですか。

漆間政府参考人 お答えいたします。

 都道府県の公安委員会は、基本的に非常勤でございますから、定例日は週一回ということになっております。

 ただ、当該問題が起きた場合には臨時の公安委員会を開くとか、そういう措置をとっておりますので、連日のようにやっているかどうかということについては私は定かに存じておりませんけれども、普通よりも頻度を多くやっている。特に、今問題が起きているところはそういう状態にあるだろうというふうに思っております。

大畠委員 それが一般論でありますが、これはぜひ理事会で諮っていただいて、この一カ月間に、当該の都道府県本部に関する公安委員会が、どういう委員会を開いて何をやっているのか、それを調査するようなことを委員会の中で諮っていただきたい。そして、委員会に提出していただきたい。これは大臣の発言なんですからね。ニュースで解説を聞いているわけじゃないんですから。連日公安委員会等々開いていますから忙しいと言っているんですから。

 これはぜひ理事会で諮っていただきたいと思いますが、どうでしょうか。

山本委員長 理事会で協議をいたします。

大畠委員 それでは、次に進ませていただきます。

 実は、公安委員長、内部からの話が幾つか出てまいりました。福岡県警の内部でも、先ほどお話ししたようですが、裏金づくりは警察で長年続いてきており、みずから修正できるとは思えないという証言。あるいは、調査チームに弁護士やオンブズマンなど第三者を入れるべきだと主張する声も出てきています。

 それから、福岡県警の捜査費の不正流用疑惑で、同県の監査委員会事務局が、一月から捜査協力者に支払われる報償費の使途を領収書で確認するなど、監査を強化していたことが八日わかった。しかし、捜査上の秘密を理由に県警側は領収書の提出も拒否していただけに、同事務局は大きな前進と言うが、支払い相手の氏名や事件名は引き続き明らかにされず、十分なチェックができるかは不透明。

 それから、一九九八年度の捜査費に比べて九九年は七一%にダウンしている、三二%のダウン。その前までは九九%の予算の執行率という話。

 それから、市民オンブズマン。きょう公開請求ということで市民オンブズマンが動き出しまして、全国の市民オンブズマンに向けて、各都道府県の捜査費、旅費等々の会計を情報公開法に基づいて請求してほしいという要請が出されました。

 先ほど小野大臣は、私も国民の一人ですから、市民の一人ですからという話がありましたが、オンブズマンが行動し始めたんです。私はそこのところが、小野大臣、政治家として何か間違えていませんかということを申し上げたいんです、これは。

 小野大臣は先ほどから何遍も何遍も、これはつかさつかさで、事案があることにおいて、つかさつかさにおいてやっているわけでございますと言うんでしょう。これは警察庁から言われた話かどうかわかりませんが、そんな姿勢では国家公安委員長は務まらないんじゃないですか。もしも、オンブズマンが全国でこの警察の関係の資料を請求して、その中から次々と新たな事実が出てきたときには、公安委員長、どうされますか。

 公安委員会というのは何のためにあるのか。公安委員会というのは、どこかでだれかが問題点を摘発してくれたら、それを公安委員会に上げて、それで小野大臣が議長役で、この問題どうしますかという、それだけなんですか。私は、そんな公安委員会だったら何にも役立たないんではないかと思うんですよ。

 全国の国民の疑惑、私もかつて原子力の仕事をしておりましたが、疑惑を持たれるということは本当に大変なことなんです、疑惑を持たれるということは。その疑惑を今度は払拭するというのは大変なことなんです。今、全国で、北海道も、先ほど言いましたように福岡とか、何かあるんですから、そんな、国家公安委員長のいすに座って、みんなから案件が上がってきたらさばいてやるという姿勢じゃだめですよ。

 私は、先ほどお伺いしたのはそういうことで、国家公安委員長は警察庁の立場に立つんですか、国民の立場に立つんですかということをまず冒頭に聞いたんです。公安委員長は国民の立場に立ちますと言いましたよね、まあ両方の立場と言ったかな。しかし、それだとすれば、何のための公安委員会なのかわからなくなるじゃないですか。

 これから公安委員長として、この問題について座して報告を待つというんじゃなくて、行動する公安委員長になってくださいよ。あのオリンピックのときにも前向きに前向きにやったんじゃないですか。ところが、前に出なくて、座っていて、なぜ公安委員長の仕事が務まるんですか。これは具体的な例ではありませんが、私は、政治家としての姿勢を問うているんです。

 もう一度、国家公安委員長としての、そのメモを見ないで、ぜひ公安委員長としての御見解をお伺いしたい。

小野国務大臣 先ほどの私の答弁で、毎日が忙しいということで、委員の方から、毎日委員会が開かれているというふうな誤解をいただいたことは大変残念でございます。

 毎日開かれているわけではございませんですけれども、しかし、非常勤の皆様方が今回は従前にも増して御活躍をいただいているというふうな意味で申し上げたわけでございますが、私の言葉が、毎日というふうな言葉を使ってしまいましたことに誤解をいただいたことを、おわび申し上げたいと思います。

 それから、ただいまは、じっとしているのではなく飛び回れというのでございますけれども、飛び回るほど私に今与えられた時間が現実にはございません。

 とにかく、警察庁を中心にいたしながら、例えば北海道警察及び静岡県警察、あるいは不適正な予算執行が判明したことはまことにざんきにたえないわけでございますけれども、とにかく、元福岡県警察本部銃器対策課員が匿名で、本人が在職中の平成七年から十一年までの間の裏金を使っていた問題等々が判明いたしました。

 ですから、この判明いたしましたことにおきましては、それぞれの道県におきます公安委員の方々の指示を受けながら事案の解明に努めていかなければならないということが、まずはそれぞれの地域で行われなければならないことと認識をいたしておりますし、そうした意味におきまして、結果が出た段階においては厳正に対処していくもの、私自身もそのような気持ちでおります。

大畠委員 先ほどの御発言を訂正されましたが、地域の公安委員会はそんなに連日ではないという話であります。ならば、警察法第二章の第五条の中に、「国家公安委員会は、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。」というんですよ。いや、たまたま集まることもありますから、そんなときもあります、来てもらうこともありますからと。

 私は、今これだけの問題というのは、まさに非常事態だと思いますよ、警察にとっては。二十四万の警察官が、プライドを持つ、そんな生き方もある、そんな思いで入ってきたんですよ。ところが、どうも一部の幹部が裏金をつくって、それをどうやら、まあ、大臣は否定されておりますが、遊興費といいますか、私的にも利用していた、こんな疑惑が出てきているんですよ。

 このときに、公安委員長が、全国のといいますか、最低でもいいですよ、当該する県の公安委員長ぐらいは集めて、この問題についてしっかりやってもらいたいという、そのぐらいの話をしなければ、緊張感も何にもないじゃないですか。定期的に集めと、今は非常時でも何でもないんですか。日常、通常と同じというふうに御認識ですか。公安委員長。

小野国務大臣 国家公安委員長としての機能が不十分ではないか、そのような御質問だろうと思いますけれども、現行の警察制度というのは、警察事務の執行……(大畠委員「委員長の御認識を聞いているんです、現在のこういう問題になっていることの御認識を」と呼ぶ)

 ですからそれは、会務官を通しながら、情報を提供してもらいながら、そして、私どもは国家公安委員会といたしましてどのように対処していくべきかということを、木曜日の定例会議その他の期日を使いまして話し合いを進めているところでございますから、私があっちへ飛びこっちへ飛びということは……(大畠委員「集めろと言っているんですよ、私は」と呼ぶ)それにいたしましても、急遽、そのような状況にまだ至っていないというのは事実でございますので、今後どうするかということは、今後の検討にゆだねるところでございます。

大畠委員 もう一つお伺いします。

 国家公安委員会の議題というのはどうやって決めるんですか。委員長が決めるんですか、それとも警察庁が準備した資料なんですか。どっちでしょう。

小野国務大臣 例えば、今回、警察法が四本出るわけでございますけれども、そういったものに対する説明なり、国家公安委員会の事務担当の方から出されました問題、あるいはさまざまな報告事象、そういうものがまずは報告あるいは議論の題に上りまして、その後に各委員からの提案、問題というものが各自また出されていきますから、そういうところにおいてさまざまな議論が繰り返されていくわけでございます。

大畠委員 私が御質問させていただいたのは、議題というのはだれが決めるんですかということを申し上げたんです。公安委員会で議論する議題というのはだれが決めるんですか。

小野国務大臣 一応、基本的には会務官の方から提出されたものを使います。

大畠委員 会務官というのはどういう立場の人ですか。

小野国務大臣 国家公安委員会を担当する会務官でございます。

大畠委員 その方は警察庁の方ではないですか。

小野国務大臣 そのとおりでございます。

大畠委員 そうすると、結局は、警察庁が議題を決め、そして公安委員会でその中身を論議するというだけですね。例えば、こういう問題について、委員長がこの議題にしようとか何かという御発言は全くないんですか。

小野国務大臣 そのようなことはございません。

大畠委員 そうしたら、警察庁のシナリオに基づいて国家公安委員会がやっているというだけじゃないですか。それでは大臣、さっき警察庁と国民の立場、両方の立場ですと言ったけれども、警察庁の立場だけしかやっていないんじゃないですか。

小野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、議題として出されますけれども、その他我々の意見も俎上に上ってくるということはさっき申し上げました。(発言する者あり)国家公安委員会でございます。ですから、それだけではないということでございまして、事前に警察庁からセットされたものに限られていないということをまず申し上げたいと思います。委員からの指示によりまして案件として上がってくるものもありますし、指定された議案以外にも、会議の委員からの質問や報告の要求がなされることもあります。これは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 国家公安委員会は、定例の会議以外にも委員同士の意見交換や協議を行ったりしておりまして、木曜日が定例でございますけれども、各自、随時自分の部屋に、それぞれ時間のつく限りお出かけいただいておりますし、委員同士の協議もさせていただいているところでございます。

 委員の求めに応じまして議題とさせていただいた例といたしましては、道路交通法改正試案に対する意見の募集結果につきまして、学校の安全対策につきまして、あるいは尖閣諸島をめぐる情勢と警察の対応について、あるいは来日ブラジル人に関する諸問題への対策の推進状況についてなどなど、これは平成十六年の二月、一月、それから平成十五年の十月、平成十四年の十二月等々と、こういうものが提示されているわけでございます。

大畠委員 非常に、ちょっと残念ですね。

 先ほど、自由民主党の葉梨委員からも、御自分の体験を踏まえてお話、質問がございました。葉梨委員からも、公安委員会というものがどうも閉鎖的に見える、あるいは秘密主義に見える、要するに、ここのところを克服しなければ国民の信頼を得られないんじゃないかという御質問がございました。

 私は、今の委員長のお話だけでは、とてもじゃないけれども国民は納得しません。何のために公安委員長をやっているかというと、私がもう申し上げる必要はないかもしれませんが、私も警察庁のパンフレットとかいろいろ見させていただきました。つかさつかさと言うけれども、すべてこの警察組織を束ねているのが国家公安委員長なんですよ。ほかにいないんですよ、残念ながら。それだけの、大変重いいすに公安委員長は今座られているんです。そして、あちこちに火がつき始めているんですよ、すそ野に。北海道でもこういう事件になりました、福岡でもこういう事件になりました、静岡でもなりました。

 今オンブズマンが、税金のむだ遣いがあるんじゃないか。先ほど公安委員長から、といったって、疲れているときにみんなで税金の中から予算をとって飲み会やってもいいじゃないかと言ったけれども、それは鉢呂さんがはっきり否定していましたが、今、自治体、県庁でも市町村でもそんなことやっていませんよ。税金を使って飲み会なんかやっていないんですよ。小野委員長は御存じないかもしれません、かつてはそういうものがあったという事実は私も見聞きしていますが、今はやっていません。国民の理解が得られない。タックスペイヤーがそんなことを許しませんよ。もしもやるのであれば、自分たちで割り勘でやろうという話になっているんじゃないですか。それは国会議員もそうでしょう。

 そういう意味では、小野委員長の御認識は非常に何か、十年ぐらいおくれているんじゃないかと私は思うんです。国家公安委員長、今これだけあちこちで火がすそ野に広がっているときに、そんな御認識では非常に困りますね。もう一度、往年のころの小野さんの心に戻ってくださいよ、スポーツマンの精神に。そんなことを許せますか。それをいいんだと言い切る国家公安委員長が、どうも私は御認識がお間違いじゃないかと感ずるんです。

 それで、葉梨議員から御指摘がございました。これも非常に重要な御指摘だと私は思ったんです。事件が上がってから予算をとるというのはなかなか難しい、だから前の事件のときの予算で新しく起こった事件をやるんだと。これは後で葉梨委員に詳しく聞いてもらってもいいと思うんですが、それは多分、実際問題そういうことが背景にあるんだと思うんですよ。非常に使い勝手が悪い。よく官房長は、一人頭五千円か一万円渡していますから、それでやってもらっているんですと言うけれども、先ほどの葉梨委員の話によると、情報提供した人には数万円ぐらい報償費として渡すこともある。五千円とか一万円しかみんなに配っていないで、それで捜査をやれといったって、これはなかなか難しい。

 ですから、さっき鉢呂さんとの話の中に、一年間の捜査費二十四万、四十一万、三十五万。一年間の捜査費が署で二十四万とか四十一万とか三十五万、これが正式に処理されたお金だというんですが、小野大臣の事務所でどのくらいの経費を使っていますか、一年間に。二十四万の経費とか四十一万の経費とか三十五万の経費じゃ済まないでしょう。これを、国家公安委員長として、ああそうか、一つの警察署では二十四万の経費、四十一万の経費、三十五万ぐらいでやっているんだなと思うこと自体が、公安委員長、間違えているんですよ。そんな経費で捜査ができるわけがないじゃないですか。

 ですから、先ほど葉梨委員がおっしゃっていましたが、前の捜査でお金が出たものを次の捜査に使う、そして次の捜査のときはまたその出たお金で使う、背景的にはそういう連鎖になっているんですよ。私は、それが高じてこのようないわゆる不正経理といいますか裏金づくりが始まってしまったんだと思うんです。

 そのところに、公安委員長、あなたはメスを入れる責任があるんですよ。というのは、なぜ言うかというと、法律に基づいてとおっしゃっていましたね。公安委員会の役割、任務の中に「警察に関する制度の企画及び立案に関すること。」今申し上げたことは、警察庁から上がってこないんです、ないことになっているんですから。そんな、前の捜査のお金でもって新しい捜査をする、そして出てきたもので次の捜査をするなんということは、法律上も実態上も言えるわけないんだから。表面的には、何もつじつまがおかしくなっておりません。

 ですから、先ほど言ったように、一つの署でですよ、一年間の捜査費が二十四万とか四十一万とかなっちゃっている。ここのところにメスを入れるのが国家公安委員長の仕事じゃないですか。これは法律に書いてありますよ。

吉村政府参考人 ただいま委員の方から五千円、一万円の話が出ましたので、私から説明をさせていただきたいと思いますが、月初めに五千円あるいは一万円を渡してというのは、これはいわゆる捜査諸雑費制度ということでの運用でありますから、それとは別に、例えば、この人に一万円を渡そう、あるいは、この人の情報をいただいて協力をいただいたので三万渡そうということは、これは五千円、一万円の諸雑費の話とは全く別であります。

 それと、捜査費の中で、当然、レンタカーの借り上げでありますとか、あるいは張り込みの際に家屋、ホテル等を借り上げるというような、実費で払わなきゃいかぬ部分もあると思います。

 葉梨委員がどういうあれでおっしゃったかはわかりませんけれども、前の事件の経費を次の事件の経費に充てるということはあり得ませんで、普通、署単位で考えた場合には、四半期ごとに捜査費が、国費分、県費分が流れるわけでありますから、その中で、事件が起きたときに捜査費を今申し上げましたような費目に執行しているという実態でありますから、それが、当該警察署におきまして非常に事件が当初見込みより多くなった、たくさん捜査費を執行しなければならなくなったということになりますと、それは当該県警の中におきまして追加配賦でその所属にお金が回っていくということでありますから、必ずしも今委員がおっしゃっているような問題意識とは私どもは認識をしていないところでございます。(発言する者あり)

大畠委員 今、違うなという声もどこからか聞こえましたけれども、今のような答弁をしているから、結局、経理問題に関する根本的な解決ができないんです。みんなつじつまが合うように、つじつまが合うように、つじつまが合うように。実際は別なんですよ。そこが二重帳簿というものが存在する原因じゃないんですか。官房長、そういうことを言っているから、結局、実態解明が進まないままに三十年、四十年あるんですよ。

 官房長、もう一回答弁求めますよ。官房長、あなたの心の中はプライドで詰まっていますか、正義感で詰まっていますか、国民に本当にそういう意味で言えますか、二重帳簿がない、葉梨議員の話は全くうそである……(発言する者あり)いや、二重帳簿の話じゃないんですが、前の捜査で得たお金でもって次の捜査をする、そんなことはあり得ませんとおっしゃいましたけれども、それを本当に、神に誓ってといいますか、国民に誓って言い切れますか、もう一回。

吉村政府参考人 ある所属に配賦になったお金を使うということを、それを前の捜査に配ったものから出すという意味合いで葉梨委員がおっしゃったのだったら、そういう意味だろうとは思います。

 十三年から捜査諸雑費制度を導入いたしまして、少しでも捜査員が捜査費を使いやすくする、自腹を切ることがないようにしていこうということで制度を改めたわけでありますし、二重帳簿というものが現に存在するとは私は思っておりません。

大畠委員 葉梨委員の名誉のために申し上げますが、私は二重帳簿の話を葉梨委員がしたということでは言っておりません。葉梨委員は、前の捜査で得たお金で次の捜査、次の捜査で得たお金で次のまた事件、そういう形をやらざるを得なかったんだということを言っておられましたので、それは葉梨委員の名誉のために、裏帳簿があるとか、二重帳簿だということは一切言っておりませんから、それだけは明確にしておきたいと思います。

 そこで、私は、今の国家公安委員長と官房長のその姿勢が、結局、この事件の真実を明らかになかなかさせない、しないという、体質的に阻害要因になっているんじゃないかと思うんですよ。

 いずれにしても、これから国家公安委員長が、私は小野先生を尊敬しながら申し上げているんですからね、これは。ただ、国家公安委員長という立場に立たれたから私は申し上げているんですが、いずれにしても、国家公安委員長、この問題は、先ほど一番最後にお話をされましたが、あの心でやってくださいよ。「理解が得られない状況にあるということは、まことに遺憾にたえないところでございます。」まさに、ここが小野先生の政治家としての心情が出ていると思うんです。ですから、余り警察庁に振り回されずに、私はさっきから何か二人羽織をやっているような感じがしてしようがないんです。そういうことじゃなくて、まず国家公安委員長、自立をして、御自分の言葉で、御自分の考えで、政治家として行動していただきたい、それがまさに国民の求めるところですよ。

 私たちが小野国家公安委員長に期待するのは、まさに、スポーツマン精神にのっとって、正々堂々、一点の曇りもない、そんな警察体制にするんですと。一部の警察官が、中間管理職だかわかりませんが裏金をつくって、それで何か知らぬけれども私的に流用したとかなんかという、こういう新聞ざたになること自体が、国家公安委員長、恥ずかしいことなんですよ、これは。ですから、そういうことで、公安委員長にはぜひスポーツマン精神を発揮していただいて頑張っていただきたいということで、私は応援の意味で今質問をしているわけなんです。

 そこで、公安委員長に、最後になりますけれども、国家公安委員会の機能そのものが、私は先ほどから伺っていますと、どうも不十分ではないか。委員長も一年されていまして、毎回毎回、国家公安委員会の議事次第が出てくる。それで、それに従ってずっと、これは、法律はいいですか悪いですか、ではその他の項、皆さん御意見ありませんか、いや警察が新聞ざたになって困っている、何とかみんなで警察の信頼を回復するためにやろうじゃないか、そうですね、ではそうしましょう。そういう形で、私も議事録を読ませていただいていますよ。確かに、その他の方でいろいろ、あの事件はどうした、何で警察が女の子を誘拐したりなんかするんだ、そういう意見は出ますよ。それはその他の方で出るんですが、やはり公安委員長が、次回の公安委員会の議事次第を持ってきなさい、これが抜けているんじゃないの、これを追加しなさい、これをどうしなさい。あるいは、国家公安委員会の一番最後に、次回の公安委員会ではこういう議題をやろうとしていますが、公安委員の皆さんから特に追加する議題はございますか、こういうことをやりますかと。

 そういうやはり委員長が指導するような形の国家公安委員会にしてもらわなければ、だれが警察のこの問題を解決するんですか。公安委員長としてもう一度、本心で、要するに議員として、国民の立場に少し、五二%ぐらい国民の立場に立って、答えてください。

小野国務大臣 ありがとうございます。お励ましをいただいたと思って、本当にありがたいことだと思います。

 国家公安委員会が見えない、そういうお話でございましたけれども、ホームページの方に委員会の内容に関しましては全部出させていただいておりますので、ページを開いていただきましたらそれは全部見ていただけるようになってございますし、また、委員会におけます事案に関しましても、大方、私どもがこれはぜひ載せたいと思うことは全部載っかってまいりますので、そういった意味におきましては、その他、あと個別の委員からの不足分に関しましては、その都度の委員会の中で提案がなされたりしているところでございます。

 しかしながら、本年二月の北海道旭川中央警察署の捜査用報償費に関するいわゆる住民監査請求の監査結果や、元北海道警察釧路方面本部長の発言を重く受けとめまして、警察庁は、国家公安委員会の指導のもとに、庁内に予算執行検討委員会を設立いたしたわけでございます。そうした中で、関係道県と連携をいたしまして、実際に行かなくちゃだめだとおしかりをいただいたわけですけれども、事案の解明と会計経理につきましての一層の適正化を推進してまいるというのが現状の状況でございます。

 しかし、国家公安委員会におきましては、警察庁からの報告を受けながら、国民の視点から十分に議論を行いますとともに、必要な指示などをするなど、警察庁を管理あるいは指導、督励しているところでありまして、監査委員による監査への対応のやり方、あるいは捜査を執行した領収書の徴取のあり方等、先ほどからいろいろお話がございますけれども、具体的な監査の事案強化など種々の施策を講じているところでございます。

 私自身も、先生おっしゃるまでもなく、本当に恥ずかしい、正直申しましてそう思います。ですから、警察官であるからこそ、こういう事案は何としてもなくしていただきたい、そういう気持ちで取り組んでおりますことは、しょっちゅう、中におきましては、何人もの者が説明に来ましたりいろいろございますけれども、そのたびに申し上げておりまして、それが見えないと言われてしまえばそうかもしれませんけれども。

 ですから、予算執行に関しましても、予算化してきちんと国民に納得いくようにすれば裏金などということだって出てくる必要はなくなるわけですから、その場合に、さっきお話がございましたように、例えば浅間山荘事件とかああいうことがあったときに、では何もしないで終わりかといえば、やはり御苦労さんくらい三千円の費用ですることが、労をねぎらうということにもつながると思いますので、私は、その辺は他と違って大事にしていかなきゃならない分野であると思います。

 そういうことがきちんと予算化されて、必要なときには出す。しかし、不必要なものが、それを勝手に、内容と食い違いのあるものに関しては、それは厳正に対応していくべきものである。ですから、今回の事案に関しましても、事案が最終決定をいたしましたところにおきましては、厳正に対処してまいりたい、そのような気持ちでおりますことをお伝えさせていただきたいと思います。

大畠委員 厳正に対処するというのは、これは当たり前であります。そんなのは、国家公安委員長、何回も言わなくたっていいんですよ。具体的に言わなきゃだめだ。

 例えば、今のお話の中で、前半の部分はよくわかります。国家公安委員長の気持ちもわかりますが、ただ、具体的に葉梨議員から指摘された、要するに、なかなか捜査費をぱさっと受け取れないんで、前の捜査費で出てきたお金を次の捜査費に使う。その捜査費でそうやって、次の捜査にはまたその出たもので使う、そういう形が実態なんですと。それを現場としては直してほしいと言っているんですよ。

 官房長に聞いたって、そんなことはありませんと。だれもそんなこと言わないよ、そんなこと言ったら大変なことになるから。しかし、実態としてそういうことにありながらも、一生懸命前線の警察官はやっているわけですよ。ですから、国家公安委員長も目を開いて、事実に対して目を開いて、つぶらないで、その問題をどうするかと具体的にやらなければ。

 それも、私が申し上げているのは、法律に基づいて、公安委員会は「警察に関する制度の企画及び立案に関すること。」警察庁がやるんじゃないですからね。警察庁がいろいろな材料を持ってきて、今度こうしましょう、ああしましょうというので、それを加工するのが公安委員会だと思ったら大間違い。

 だから私は、そういう意味では、公安委員会が警察庁の関係者に取り巻かれて、事務方も全部警察庁、その体制が問題ではないですか、公安委員長として何か御不自由なことがないですかと。本来は、やはり公安委員会の事務局は、警察庁から独立して百人から二百人の規模の事務体制をつくって、それで警察庁を監査するというのが、国民から見たときには、公安委員会、ああ、やはりみんなの視点でやっているんだと。

 先ほど、警察庁の立場が半分と言いましたが、私は、それはそれかもしれないけれども、通常の経産大臣とか農林水産大臣とかそういう各省庁の大臣とは違いまして、この国家公安委員会というのは警察庁から独立しているところですからね。そこのところがどうも私は、公安委員長として御認識が大分ずれておられるんじゃないか。

 周りからメモが回ると、どんどんどんどんずれちゃうんです。今もメモが来ましたね。メモで公安委員長を取り巻いちゃって、全部警察庁の言うとおりに発言させようというそういう態勢が、公安委員長、どうも公安委員会というものの独立性に私はクエスチョンマークがついて、今回の事案についても、鉢呂さんから何回も質問が出ましたけれども、公安委員長の御発言はメモを見ると後ろ向きになる。まあ各県でやっていますから、やっていますから。その報告が上がってから。それでは国民の期待に十分こたえることになっていないんじゃないかと思うんですよ。

 ですからそういう意味で、公安委員会というのが、一年やってみて今の体制で十分とは思わないんじゃないですかということを聞いたんですが、どうもそれについては真っすぐに答えていただけませんでした。

 再度、本当にそういうメモ漬け、警察庁からのシナリオ漬けの公安委員会でよろしいんでしょうか。

小野国務大臣 そういう御意見も多々これまでもいただいておりますけれども、結局、警察の事情に全く関知しない者で構成した場合に、起きてくる事案というのは警察関係の事案ばかりでございますから、これがどういうふうになっているかについて説明をする能力がない事務方がいる場合に、じゃどうするのかということも一つ考えてみる必要があるのではないか、そんなふうに考えております。

 ですから、屋上屋を重ねるようなことになってはしようがありませんので、事務の重複により余分な人員が必要ともなりますし、私ども国家公安委員会の場合におきましても、相当な勢いで事務方と国家公安委員会のメンバー一人一人がやり合っております。ですから、そのことに関しましては、事務方の言いなりになっているということは、私は当たらないと思います。

 それぞれが意見を持った先生たちの集まりでございますから、警察が話す内容と委員になっている者との意見が衝突をすることももう本当に多々ございますから、そういった意味で、何でも言いなりである、そういうことは当たらないと私自身も中に入らせていただいて認識しているところでございます。

大畠委員 まあ、いろいろ大臣としての言いたいこともわからないわけじゃないんですが、ただ、どんなに自分でそう思っていても、周りからはそう見られていませんよ。その事実は、国家公安委員長として、やはり私が最初に聞いた、警察庁の立場なんですか、それとも国民の立場ですかと言ったら、半々ですと言ったけれども、やはりそれは間違いですね。公安委員会は国民の立場に一〇〇%立たなきゃならないんですよ。半分警察庁と言ったら、それは警察庁長官の話になっちゃうじゃないですか。

 やはり、何のために選挙に出て、何のために当選をして、何のために国会に来ているのか。まさに国民の立場に立つわけですよ。通常の経産大臣とか農林水産大臣とかあるいは厚生大臣とかと違うんですね、国家公安委員長というのは。独立した機関なんですよ。したがって、警察庁の立場に立つ必要はないんです。国民の立場に立てばいいんです。国民の立場に立って警察庁から物を聞けばいいんです。

 ですから、警察庁の係官じゃないと事務方ができないんですというその御認識も、私はおかしいんじゃないかと思いますね。

 それで、行動するといっても、あちこち行けと言っているんじゃなくて、公安委員長を一度お呼びになったらどうですかということを言っているんですよ。このことについて、もう一度、答弁、御見解をお伺いします。

小野国務大臣 検討させていただきたいと思います。

大畠委員 次に、会計検査院の方に移ります。本当は三十分ぐらいやりたかったんですが、ちょっと時間がなくなってきましたけれども。

 私は、先ほど鉢呂さんとのやりとりを見ていましたよ。会計検査院も悪いね。この問題を三十年間、四十年間放置させたのは会計検査院の責任だよ。

 そこで、ちょっと再度、きょうは警察庁の人も来ていますから、その前でお伺いしますが、まず、検査のやり方。

 私、この間聞いたからそれを申し上げますが、まず、一カ月前にどこどこの県警に入りますということを通知しますね。そして、一カ月後、調査に入る。調査に入ったら、約一時間、その各都道府県の県警本部の方から会計のあらましについて話を聞く。そして、その後退席をしていただいて、三十分で、どこの何を調べるかということを決める。そして、三十分過ぎたら、その指定をして、そこに当該の警察署の車で調査に入る。そういうお話をされておられましたね。

 そして、その調査に入ったところには、なぜか知らぬけれども、警察庁の幹部といいますか、係官も立ち会いながら約半日間の調査をする。そして、問題がなければ帰ってくる。

 大体こういうパターンで検査をされているかどうか、まずお伺いします。

石野会計検査院当局者 個々具体的な場面においては多少の違いはあろうかと思いますが、今お話しのとおり、おおむね、最初に警察本部に入りまして、そこの管内の状況というものを予算の執行状況等含めましてお聞きしまして、その中から個別の警察本部の各部各課あるいは各警察署を選定しまして検査をするということで対処しておるところでございます。

大畠委員 そうすると、調査をする対象の警察庁というのは、調査する一日前までわからないということですね。

石野会計検査院当局者 今申し上げた手順をとっておりますので、その前日といいますか、警察本部に入った時点からわかるということになろうかと思います。

大畠委員 過日、吉井委員の質問に官房長が答えておられましたが、私たちはその調査をする対象の警察署がなれていないから事前に行ってその調査のための準備をさせるんです、そして、その検査にも立ち会いますというお話がありましたが、どうもつじつまが合わない。なぜ警察庁はその会計検査院が調査をする対象の警察署を事前に察知しているんですか、官房長。

吉村政府参考人 会計検査院の検査の前に警察庁の会計当局が赴くというのは、これは当該都道府県警に対して会計検査が実施をされるということがわかりますので、赴いていたということは事実であります。

 ただ、それはいろいろと御批判もありますし、きちんとした形で都道府県警は会計検査に応ずるのが筋であろうということでもございますので、今年度からそのような事前に行くということはやめております。

 会計検査の当日に警察庁の職員は立ち会っておりますけれども、これも以前申し上げましたが、都道府県警の会計機関が執行する予算につきましては、国費でありますとか県費でありますとか補助金等がありますから、それをきちんと説明し切るためには、当該県警本部だけではなくて警察庁がいた方が理解をしていただけるということで立ち会っておるわけであります。

大畠委員 会計検査院に伺いますが、ことしからやめたと言うんだよ。前はなぜ警察庁の方に行くべきところがわかっているんですか。話が合わないじゃないの。ことしからはやめましたと言うんだね。それまでは、ちゃんと事前に指導に行っているんだよ、検査に入る警察署の会計の指導に。

 会計検査院は、先ほどは、そんなことはありません、前日にきちっと決めるんですから、調査する対象の警察署がわかるわけありませんと言うんだけれども、話が合わないじゃないですか。

吉村政府参考人 ただいま私が申し上げましたのは、ある県警本部に会計検査が行くというのは、おおむね、たしか一カ月ぐらい前にわかりますので、その時点で警察庁が赴いていたということでありまして、当該警察本部に行かれた上で警察署に赴くというのは、私どもではそれは到底その時点まではわかりません。

大畠委員 今のところは原田さんが話しているのとは随分違いますよ。これはいずれ事実が明らかになりますからね。私が言いましたね、心に一点の曇りもないですかと。本当に今言い切ったことでいいんですね。

吉村政府参考人 私の承知している限りでは、当該都道府県警本部に会計検査院が赴く日取りは一カ月ぐらい前にわかります。その時点で、どこそこ警察署に会計検査院が行かれるということはわかりません。それは当日じゃないとわかりません。

大畠委員 もう一つ会計検査院に伺いますが、一カ月も前に宣告をして、そして警察本部に調査に入って、なぜ一時間なんですか。たった一時間の話を聞くためだったら、何も各都道府県に一カ月前に連絡する必要なんか全くないんじゃないですか。

 一時間でしょう、都道府県本部に行って話を聞くのはたった一時間。あとは出先の警察署とかそういうところへ入るわけですよね。だとすれば、なぜ一カ月の猶予期間を与えるんですか。たった一時間の、口頭での説明とか資料があるかもしれないけれども、何か私はそこら辺がどうもよくわからないんです。もう一度会計検査院に、なぜ一カ月前に通告をするのか教えてください。

石野会計検査院当局者 冒頭、一時間の説明というお話がありましたのは、警察本部におきます管内の全体の状況というものを聞くというのが主体の場面であろうと思います。それによって個々具体的な会計経理を選定して検査をするということでございます。

 それで、検査に当たりましては、この費目だけを見るというふうに最初からあらかじめ限定しているものではございませんで、警察におきまする物品調達でありますとか役務の調達の契約でありますとか、さまざまな契約等がございますので、その中からどれを選ぶかというのは今申し上げたように直前に決めておるわけでございますけれども、全体としてはかなりの会計経理のボリュームということになりますので、やはりそれなりの準備期間を置いて検査に当たっております。

大畠委員 最後になりますけれども、三十年、四十年会計検査して、この経理問題について、不正問題がこのお金問題で発見されましたか。最後にその結果を聞きます。

石野会計検査院当局者 捜査費につきましても、当然重点を置いてこれまでも検査してきておるところでございます。その場面場面に応じましてはそれなりの意見を申し上げてきたということはあろうかと思いますけれども、検査報告という形で掲記したものはございません。

大畠委員 いろいろ質疑しましたが、どうも腑に落ちないところがたくさんございます。ここは小野国家公安委員長にぜひリーダーシップを発揮していただいて、二十四万の警察官が全部、全員、まさにプライドを持つ、そんな生き方がある、その心で仕事ができるように。中間の管理職の方々のいろんなものはあるかもしれないけれども、そういう矛盾をえぐり出して、それを解決するのが国家公安委員長のお仕事だと思いますので、ぜひ御奮闘を期待して、質問を終わります。

山本委員長 次に、泉健太君。

泉(健)委員 もうこの問題でこうして質問をさせていただくことが数回にわたっております。大変残念なことだというふうに思っております。

 本来、こういう不祥事が起こっていなければ、もっと内閣委員会の審議というものは前向きに建設的に、国の治安に対して、あるいは今回のイラクの人質事件に対して、さまざまな機能を私たちは発揮することができたんじゃないのかなというふうに思っております。そういった意味からも、こうして警察問題でこれだけの時間をとらなければならない、大変残念なことかと思います。

 しかし、やはりこの機会にすべてをきれいにして、もう一度スタートを切り直す。我々、大畠議員やほかの議員からも話がありましたけれども、とにかくそれが必要だというふうに思って、与野党を超えてこうしてこの委員会で発言をしているところです。どうか誠意のある回答をお願いしたいというふうに思います。

 まず最初、大畠議員から話がありました、公安委員会の役割についてというところでございます。今も私、議論を聞いていまして、大変残念だなというか、警察法の十五条には、委員長、何と書いてあるか御存じでしょうか。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

小野国務大臣 「国家公安委員会に、警察庁を置く。」と書いてございます。

泉(健)委員 恐らく今国民は、だれもが、警察庁に国家公安委員会が置かれていると思っているんじゃないでしょうかね。今の議論を見ていても、どうやらそうとしか思えないという状況なんだと思います。だから我々は、独自の事務局をつくるべきではないか、それは屋上屋という話じゃないと思います。

 小野大臣が、内部で一生懸命やり合う必要が出てこなきゃならない。ということは、それだけ事務局に今いる方々が警察の意向を聞いていられるということになってしまうわけじゃないですか。本来、国家公安委員会事務局というものがちゃんと機能していれば、委員長の指導のもとに、中でやり合うなんていう手間を必要としないはずですよね。委員長、今内部でやり合っているという事態に対して、どう思われますか。

小野国務大臣 国家公安委員会の事務局というものを警察本部より独立させた方がよろしいのではないか、そういう御意見だと思いますけれども、事務局と警察庁というのは、都道府県警察本部の二重構造が生じますし、また、屋上屋を架す結果となってしまうことから適当ではないということを先ほどから申し上げさせていただいているところでございます。事務の重複によりまして余分な人員もやはりもっと必要になってくるということも一点挙げられますし、治安情勢が厳しい中で、そのような非効率な状況は許されないものと考えております。

 また、公安委員会は国民の良識を代表することが期待されているわけでございますから、警察業務の専門家であり得ませんので、警察の管理の実効を期するためには、警察業務に精通した事務職員がどうしても必要になるということは当然だろうと思います。そういったことにおけますと、まず警察業務に精通いたしました事務局職員というものが必要になってくることから、独立の事務局において採用いたしましても極めて育成していく上では困難ではないか、そのような認識を持たせていただいているところでございます。

泉(健)委員 育成をしていくことが困難だというのは、それは私見なのか公式な見解なのかよくわかりませんが、そんなことは決してないと思いますよ。独立の事務局を、何も一から新規の大学生を採用して育てなさいと、だれもそんなこと言ってないわけじゃないですか。当然、警察にいた人間もその中に含まれていていいんじゃないですか。それが独立の事務局として今後組織が切り離され、運営をされていく方法だってあるはずですよ。それを、なぜそういう言い方をされて否定をされるのか。

 そこに何があるのか私はわかりませんが、先ほど質問をしたことに答えていませんので、もう一回聞きますけれども、内部で対立をしている非効率、事務方とやり合うなんていう話をさっきおっしゃいましたね。それは非効率な話ですね。屋上屋と余り変わらないような非効率のような気もしますけれども、そこはどっちがどっちなんていう話はむだかもしれません。しかし、私は、内部でふだんから警察の業務に精通をしているけれども、逆に言うと、警察の意向もかなりの部分どうしても反映させている現在の事務局体制と、国家公安委員会の意向をしっかりと反映させる国家公安委員会の事務局、このことに対しては、やはり真剣に考えなければならないのではないかなというふうに思います。

 委員長、これは予算執行検討委員会で話し合いをしてもだめな問題ですから、では、ぜひ一度、国家公安委員会のまさに議事の中にのせてください、この件は。警察が上げてくる議案だけじゃないと先ほどおっしゃられたわけですから、ぜひとも、来月か再来月、こういう委員会での提案があった、それを踏まえて、国家公安委員会の議論の中に、まさにホームページの議事録に載る形で上げていただけませんか。

小野国務大臣 平成十二年の八月に取りまとめました――国家公安委員会会務官を新設いたしまして、補佐体制を五人から十三人に増員をさせていただいたという体制の強化というものもやりましたし、これが、都道府県の公安委員会におきましては百十七名から二百三十三名という体制をとりました。

 委員がおっしゃるように、それが警察の人間であるのか、全く警察外の人間であるというのか、これは、警察の人間であるということを申し述べさせていただきます。

泉(健)委員 国家公安委員会のトップとして、国家公安委員会のホームページに載るような議事録、あると思います、先ほどおっしゃいました。それに、委員長の提案としてぜひ、事務局を独立させるかどうかということについて議論をしようじゃないか、何も私の命令でやりなさいというのではなくして、こういった議論がかなり今委員会でも出てきています、ぜひ議論をしようじゃないですかと言っていただけませんか。

小野国務大臣 国家公安委員会の補佐体制が不十分であるとは現実には私は考えておりません。しかし、御提案があったことは、私ども、委員の中で話し合いの俎上にのせることは可能かと思います。

泉(健)委員 ここがやはり使い分けをされているなという気がするんですが、都道府県の公安委員会についてもそうなんです。議事録に載るものは、すべて警察の方が出してきた議案であります。ですから、先ほど前段でおっしゃったように、我々は意見交換をしています、雑談の中で話し合いをしています、あるいは警察の議題に基づいていろいろと意見交換をしています、しかし、これは残念ながら載らないんですね、大半が。我々が求めているのは、議題として、公安委員会が主導になるということが、これは公安委員会改革、警察改革の一つでもあると私は思いますから、この件、ぜひまたお願いをしたいというふうに思います。

 それで、もう一つお話をしたいんですが、官房長にお伺いをしてもいいのかもしれません。警察庁長官がなかなかこの内閣委員会に来られないのは、なぜなんでしょうか。

吉村政府参考人 それは、政府参考人たる私の立場で今答えるべきものかどうかちょっとわかりかねますので、答弁いたしかねます。

泉(健)委員 公安委員長、警察庁長官が来ない。ただ単にお呼びしていないから来られないということでよろしいんでしょうか。

小野国務大臣 私の立場でも、ちょっと、お答えする立場ではないということでございます。

泉(健)委員 これは、どの立場だと答えられるんでしょう。だれも答弁をできないという場合はどうしたらいいんでしょうか。

大村委員長代理 理事会で協議してあれしているんですよね、たしか。

泉(健)委員 では、理事会でその件、警察庁長官がこの委員会に来られないというそのことを聞いたんですが、だれも答えられないので、理事会で協議をする中に入れていただいていいですか。

大村委員長代理 理事会で今まで協議してそうやって参考人を決めておりますので、またそれは、その都度また協議したいと思います。

泉(健)委員 というのは、私は、もちろん機構上、それは国家公安委員長の方がトップだというふうに認識をしております。そういう中で、官房長も来られているわけですね。何回かレクをいただいた中で、長官はなかなか来られないですというようなお話もお伺いしておりまして、済みません、新人なものですから、そこにどんな決まりがあるのかわかりませんが、形として、姿として、それはどうも解せない部分があります。まあ、それぐらいにしておきたいというふうに思います。

 ことしの一月、警視庁の警察官が偽造領収書を作成したことについての裁判の判決が出ました。これについて、上告を棄却するということで、都と警視庁の敗訴が確定をしたわけです。これは、ある意味、初めて公金支出に対して警察が領収書を偽造していたと認められたケースかと思います。

 この敗訴した警視庁について、特に警察官が領収書を偽造したという事実について、官房長そして国家公安委員長の見解をお伺いしたいと思います。

吉村政府参考人 お尋ねの関係でありますが、警視庁では、平成十一年の四月九日に写真週刊誌の記事で現金出納簿等とされるものの写真が掲載されたことを受けまして、同月の初旬から下旬にかけて事情聴取をしたわけでありますが、調査の結果、結論としまして、記事にあるような不正は認められなかったことが確認をされたという報告が、警視庁から警察庁あてになされているところであります。

 今委員がおっしゃいましたように、お尋ねの訴訟の当事者はあくまで東京都、警視庁でありますので、私どもの立場でコメントする立場にはないと考えておりますが、既に、本人以外の名義による領収書の徴取につきましては、今年度から、本人名義による領収書に限りこれを徴取して、本人以外の名義による領収書についてはこれを徴取しないということで運用を開始しているところであります。

小野国務大臣 お尋ねの訴訟の当事者は警視庁でございますから、立場といたしましては、国家公安委員長としてのコメントはする立場にないと考えておりますけれども、本件訴訟におきましては、捜査費支出の状況を記録しております帳簿等の内容を明らかにすることになりまして、その帳簿に記載されております捜査員や捜査に協力いただいた方の氏名を明らかにすることにつながりまして、捜査活動に支障を来すおそれがあるために、どのような捜査費関係書類等があるのか、そこに何が書いてあるのか等について明らかにしなかったとの報告を受けておりまして、結果として、このような判決に至ったものと承知をいたしております。

泉(健)委員 恐らく、今のお話だと、警察庁としても、国家公安委員長としても、この件については謝るものではないということになっているんでしょうね、多分。そういう言葉がなかったわけですから。警視庁のやったことだからということなんですね。何のために皆さんは、都道府県人事交流等々をしたり、常に広域捜査などもあるから全国ネットワークを強化していかなければならないというようなことをおっしゃられているのか、少し今耳を疑った次第でございます。

 全国警察なんという言われ方もする中で、あるいは各都道府県の不祥事に対してもこれまで誠意ある答弁をされてきた委員長が、なぜこの件については警視庁だからということになってしまうのかが解せません。もう一回お答えをいただけますでしょうか。

小野国務大臣 本件訴訟におきましては、捜査費の支出の状況を記録している帳簿の内容を明らかにするということ、その帳簿に記載されている捜査員や捜査に協力いただいた方の氏名等を明らかにすることにつながるという点、そうした意味におきまして、捜査活動に支障を来すおそれがあるというふうな点から、どのような捜査費関係書類があるのか、またそこに何が書いてあるのかについては明らかにしなかったとの報告を、先ほどと同じことになりますけれども、しかしながら、警察庁が実施いたしました調査では、警察官が領収書を偽造した事実は認められない旨の報告を警視庁から受けているところでございます。

泉(健)委員 司法というのは何のためにあるわけですか。皆さんは、犯罪者を捕まえてきて司法にかけるわけですね。何のためにこの司法の判断というのがあるわけですか。警察庁の調べでも事実が確認できなかった。逆に言ったら、そのことも含めて申しわけありませんでしたという言葉があってしかるべきじゃないですか。全くそういった謝罪の気持ちはございませんか。

小野国務大臣 直ちに内部調査を実施しておりまして、その結果、不正が認められれば、認められなかった旨当時警視庁から警察庁の方に報告がされているわけでございます。(泉(健)委員「裁判の結果は出ていますから、ここに」と呼ぶ)ええ、ですから、不正が認められなかったものに関して私が謝罪をするということはあり得ないということでございます。

泉(健)委員 では、この判決にはもちろん、判決が出ても到底納得をされていないというふうでよろしいですね。

小野国務大臣 おっしゃったことでよろしいかと思いますけれども、いわゆる捜査活動に支障を来すといいますか、捜査関係書類等があるのか、またそこに何が書いてあるのかについて明らかにしなかったとの報告を受けておりますから、結果としてこのような判決になったということでございまして、御理解をいただきたいと思います。

泉(健)委員 ちょっと済みません。予定ではこんなところで詰まる話じゃなかったんですけれども、まさかそんな思いだというふうに、ちょっとびっくりしまして。

 判決で、一部ですが、「真実であれば、捜査情報として意味のあるものとは考え難く、」これはその支出された用途についての文章ですけれども、判決文ですね。「公金から謝礼を支払うこと自体の相当性に疑問があり、そのような利用価値に疑問のある情報の提供に対しては、そもそも謝礼を支払うこと自体が想定し難い。」ということも書いてあるわけです。あるいは、「実在する他人の氏名を利用するのを許容することは、当該他人を、身に覚えがなく、防御しようのない危険に晒すことにほかならない。」ということも含めて書いてあるわけですね。

 もう、これについて謝罪がないと言われる、反省もないというふうになってしまうと、いかがなものかなという気がいたしますね。

 では皆さん、犯罪者の方々は刑務所に入りますけれども、刑務所に入った方々にも多分反省を求めるような教育をしていないというようなことになってしまうんでしょうかね。刑務所は法務省ですから関係ないとおっしゃられる答弁になるのでやめておきますけれども、それは非常に残念なことだなという気がしております。

 もう一回、これは今後、非常に重たい判決だと私は思っております。この件について、やはり私は皆さん正義感の塊だと思っております。後ろにおられる方々も正義感の塊でここまでお仕事をされてきている方々ですから、であるならば、認めるべきは認めるべきだ。私たちの調査で見つからなかったから、どんな判決が出ようともそんなことは知ったこっちゃないというのは、非常にそれは態度として疑いを持つものであります。

 これは、また……(発言する者あり)本当にびっくりしましたけれども。では、ちょっと答えますか、官房長。

吉村政府参考人 先ほども申し上げましたように、この判決は、当事者は警視庁であります。それで、平成十一年の五月に男性の方二人から、東京地裁に対しまして、損害賠償請求が起こされたわけでありまして、先ほども申し上げましたように、警視庁におきましては、この段階では、その直前、四月に所要の調査を終えて、問題はなかったという旨の結論を出したということを、私どもも報告を受けておりましたこともあって、訴訟を提起した時点では改めて調査は実施をしなかったわけであります。

 その後、平成十二年の三月の第一審判決では、これは都がこの時点では勝訴をしているわけであります。

 おっしゃったように、十五年の三月に控訴審判決が出ました。ことし、十六年一月には上告受理の申し立てを不受理とする結果になりまして、控訴審判決が確定をしたものでありますので、警視庁では、改めて、それまで累次の調査で把握した事実関係以上の内容を把握するために調査をする必要はないと。これは警視庁の判断でございますので、私どもとしては、その事実関係を今申し上げているところでございます。

    〔大村委員長代理退席、委員長着席〕

泉(健)委員 事実関係はわかりました。では、もう一回官房長と国家公安委員長に聞きますよ。その事実を踏まえて、今どういう見解を持たれているんですか。

吉村政府参考人 これは個別案件でございますので、事実関係、今申し上げたとおりでありますが、私ども警察庁の立場では、全国の警察において、他人名義の領収書をとることがこういうことにもしもつながっているとすれば問題でございますから、そういうものは今年度から運用をやめたということで、改善をしていきたいと思っております。

小野国務大臣 同じでございます。

泉(健)委員 大臣は、三月三十日、参議院内閣委員会の答弁で、警察事務は国家的性格と地方的性格をあわせ持っているという特殊性がある、全国警察としての一体性を確保するためには警察庁職員の出向配置が行われている、広域捜査、全国事案に適切に対応していくために、全国的視野に立った警察行政を推進していく上で全国的な人的ネットワークを今後とも強化していくことが重要と、これは人事交流についておっしゃられているわけですね。

 これだけ全国警察を強調し、また、これは東京だけではない、こういった領収書偽造ということに関して言えば、北海道や福岡や静岡や、こうやって各県で起こっている状況で、いつになったらこれは全国事案に認めるわけですか。全部個別事案なんですか。もしかして、四十六都道府県まで出てきても、あと一県出ていないから全国事案じゃありません、まさかそういうふうにおっしゃるんでしょうか、委員長。

小野国務大臣 四十七都道府県のうち一県でも出なければ全国事案ではないということでございますけれども、そのことと、今、少し前の質問とどうつながるのか、ちょっと理解ができません。

泉(健)委員 今、官房長は、個別事案だから我々はコメントする必要はないとおっしゃったんです。これでわかりますか。

小野国務大臣 これは警視庁がかかわった事案であるということだと思います。

泉(健)委員 北海道、静岡、福岡、あるいは新聞報道では高知等々出ております。恐らく御存じだと思っております。こういう同種のことには、同種という認識を持たれていない。それぞれ全く個別、その本人だけがやっていたことだというふうに今思われているということですか。

小野国務大臣 現行の警察制度というのは、警察の事務の執行を原則として都道府県警察にゆだねているということが一点でございます。

 ですから、国費でありましても、各都道府県警察がその責任において予算執行をしているわけでございますし、したがいまして、北海道警察等において国費の例えば捜査費等の執行に関し不適正な事案が認められれば、これをもって全国の警察でも不適正な執行が行われたということにはならないものと考えているわけでございます。

泉(健)委員 その使い分けはどこでされているんでしょうかね。先ほども委員長自身が答弁でおっしゃられているじゃないですか、全国警察だと。そのために人事交流もしている。

 時には、これは都道府県の問題だから我々は知りませんと。しかし、時には、全国だから、警察庁から全国の都道府県にどんどんどんどん出向で、警務部長とかになってもらっていますと。それは全く矛盾している話であって、どういう使い分けをされているのかなという気がしてなりません。

 ごめんなさい、もうこれ以上はいいです。謝罪していただけるものかなと思っていたんで、それが意外だったということです。

 次の問題に行きたいと思いますけれども、また大変残念ですが、週刊誌の方で、マニュアルがつくられているんじゃないかなという話が出てきました。

 要は、会計検査院が地方に検査に行く際に、マニュアルを警察が用意をしていたと。そのマニュアルの設問数、二千四百六十二問。検査日、実施県、検査員の名前まで書いてあって、事細かにその検査の中身について書いてあるマニュアルがあるそうですね。

 検査院、このマニュアルについてはその存在を知っておりますか。

石野会計検査院当局者 我々としては、そういうマニュアル等、見たことはございませんので、どういったものなのかということは承知しておりません。

泉(健)委員 警察庁はどうでしょうか。

吉村政府参考人 委員お尋ねの件につきましては、月刊現代に取り上げられた記事であれば私も読んでおりますが、私自身、マニュアルなるものを見たことはありませんし、そのようなものをつくる必要もありませんので、そういうのはないものと承知をしております。

泉(健)委員 官房長お一方の御経験の中では多分難しい部分もありますので、確認はされましたか、官房長。

吉村政府参考人 ないことの確認は非常に難しゅうございますし、私も経験で全く見たこともありませんので、ないと申し上げております。

泉(健)委員 会計検査院が地方の検査をするときに、警察庁長官官房会計監査室は同席をされているんですね、官房長。

吉村政府参考人 警察庁の会計の職員が会計検査院の検査時に同席をしております。

泉(健)委員 この人は、先ほどの説明ですと、さまざまなアドバイスをしたりするためにいるというような話を聞きましたが、この方は警察庁に戻られて、さまざま指摘を受けた事項について報告をされているということでよろしいんでしょうか。

吉村政府参考人 少なくとも、私のところまでは、紙の形で、こういう指摘がありましたとか、あるいはこういうやりとりがありましたということは上がってきておりませんし、口頭でも私自身は聞いたことはありません。

泉(健)委員 一応きのう質問の通告をさせていただいて、恐らく会計監査室に聞いてみればこれはわかることだと思うんですが、聞かれましたか。

吉村政府参考人 私は聞いておりません。

泉(健)委員 そのことは残念ですね。ぜひ聞いていただきたいと思います。いずれまたこの委員会でその結果を教えていただきたいというふうに思っております。

 要は、こういったことで二千四百六十二問にも上る質問がもうマニュアル化をされているということが出てきているわけですね。私は、これは非常に検査の緊張感をなくすことであると思いますし、逆に言えば検査員のやる気を失わせることにつながってくると思います。もしこれが事実であれば、非常に問題があるというふうに思っております。

 今後、この原本が出てくる可能性もあるかもしれません。そのことも踏まえて、官房長、これは、こういった組織にはないというふうでよろしいですか。

吉村政府参考人 委員お尋ねのマニュアルというのは、どこが作成したものでしょうか。

泉(健)委員 質問をしていただいたみたいですね、珍しいことかもしれませんが。

 警察庁の方がつくられた、会計の方がつくられたというふうに出ていますね。

吉村政府参考人 警察庁内においてそういうものをつくったことはございません。

泉(健)委員 それは今後またあれをしていきたいというふうに思います。

 私たち、捜査費のことについてはこれまでも指摘をしてきましたけれども、最後にちょっと国税の方にお伺いをしたいんです。

 この捜査費、これは普通、国税、所得税法でいきますと、二十万円を超える所得に関しては申告というものが制度として多分当然あると思うんですけれども、仮に、捜査費で、特定の方が、特定の一人物が二十万を超える所得を得た場合、これは申告の義務がある、あるいは、それを支出した警察庁としてあるいは都道府県警として、支払い調書というものを提出する必要があるかどうか、これをお願いいたします。

西江政府参考人 お答えさせていただきます。

 御質問は、情報提供者または協力者に対する謝礼の課税関係についてのお尋ねかと思いますけれども、一般論として申し上げれば、情報提供者等が警察当局から捜査費用を受領した場合には、情報提供者等の雑所得として所得税の課税の対象になります。ただし、例えば給与所得者が情報提供した場合には、捜査費の受領による所得など給与所得及び退職所得以外の所得が年間二十万円以下であれば、原則として確定申告を要しないわけでございます。

 それから、もう一点、お尋ねの法定調書の件でございますけれども、法定調書の提出は所得税法などの規定で義務づけられておりますけれども、情報提供者等に対する捜査費の支払いについては、法定調書としての提出は義務づけられていないわけでございます。

泉(健)委員 最後に……

山本委員長 申し合わせの時間は既に過ぎておりますので。

泉(健)委員 はい。

山本委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口でございます。

 まず、会計検査院にお話を聞きたいと思います。

 これまで捜査費について指摘したことがない、これは、今大畠議員の方からもありましたが、一カ月前に検査を通知し、そしてまた警察本部の担当者が事前に準備をしたり、また末端の職員に対する面接調査などをしなかった、こういうことが原因で捜査費について指摘事項がないということなんでしょうか。その原因、お伺いしたいと思います。

石野会計検査院当局者 警察の各都道府県に対する会計実地検査は、その予算規模等に応じて毎年または数年に一回実施しているというところでございます。検査に当たりましては、物品購入、役務購入のほかにも、捜査費につきましても重点を置いて検査してきているところでございます。

 今お話に出ましたように、実地検査の事前通告というのはおおむね一月前に行っているところでございますけれども、その中でも具体的に検査対象とする箇所等の選定につきましては、検査の初日あるいは前日に行うというふうなことで工夫もしております。

 また、捜査員につきましても、必要なものにつきましてはその支出状況を聴取するというふうなことで、その聴取した内容と会計書類あるいはその他の捜査関係書類などを確認するなどして厳正かつ慎重な検査を実施してきたということで、さまざま工夫をしてきたところでございます。

 ただ、結果的に、御指摘のとおり、指摘しているものがないということは事実でございます。今後とも、そういった今までやってきました検査手法をさらに工夫いたしまして、適正な会計経理が行われているのかの検査を十分行ってまいりたいというふうに考えております。

大口委員 末端の職員に面接等はやっていないんですか。

石野会計検査院当局者 末端の職員と言われますのは、どういう……(大口委員「警察の」と呼ぶ)すべてではございませんが、検査に当たりまして必要となった分については、その担当の捜査員の話を聞くというふうなことで対処してまいったものもございます。

大口委員 いずれにしましても、捜査費また捜査報償費の問題、それからまた静岡県におきましても旅費の問題等がありました。そういう点で、今後、捜査費あるいは旅費等の検査について、平成十六年次の検査についての方針あるいは実施の予定についてお伺いしたいと思います。

石野会計検査院当局者 今、さまざまな警察本部での疑惑といいますか、一部、内部調査等も行われておるということでございますので、まずは、そういった結果報告を受けまして、その内容をきっちりと我々の目で検証するということで、まずはそういう検査を実施したいと考えております。

 それから、今後行われる内部調査の結果についても同様に、その内容を検証し、当該都道府県の検査を具体的にいつどうやって実施していくかということを十分考えながら対処してまいりたいと思います。

 それから、内部調査が行われていない箇所につきましても、やはり従来以上に工夫した形での検査を行うということで取り組んでまいりたいと思いますし、一部、既に警察庁が各都道府県警察に指示されました改善の事項というのもあるというふうに伺っておりますので、そういった取り組み状況、あるいはそれが有効に機能しているのかどうかということもあわせて検討するなどして検査してまいりたいと考えております。

大口委員 平成十五年の七月に、北見方面本部警備課に対して会計検査院は実地検査をした。その捜査費の関係書類として、実在しない店舗の領収書が添付された、こういうことがあるわけですね。これについて、会計検査院としても非常に憤慨していると思いますよ、実在しない店舗の領収書が添付されたということは。そして、こういうことを考えますと、やはり捜査員に対していろいろと検査をするだけじゃなくて、捜査協力者に対してもある程度事情聴取をするということも考えなきゃいけないんじゃないか。

 捜査協力者についてはいろいろな場合があります。捜査に支障を来す場合とか命に及ぶ場合もあると思いますが、ただ、協力者にはいろいろ幅があるんですね。ですから、その協力者の状況に応じて、やはりこれは踏み込んで、こういうところにも事情聴取をするというふうなことを考えていいんじゃないでしょうか。

石野会計検査院当局者 捜査費の検査に当たりましては、従来から、その経費の性格を考えまして、検査方法にはさまざまな工夫を凝らすということで取り組んできたところでございます。

 ただ、今御指摘のように、情報提供者といいますか協力者に直接当たるということにつきましては、協力者にもさまざまな態様があろうかというふうにも考えますので、どういった場合が可能でどういった方法がとれるのかということにつきまして、その方法をいま少し探ってみたいと思いますし、それが少しでも有効なチェックにつながるということになれば、どういう方法がとれるのか検討してまいりたいと考えております。

大口委員 今、捜査協力者に対して可能な場合検討するというかなり前向きな発言があったと私は思います。これは、国家公安委員長もちょっと認識しておいてください。

 今、イラクの人質問題で、国家公安委員長も非常に努力をされている、また警察庁におきましても国際テロ緊急展開チームを派遣して、いろいろな会議が連日行われている。非常にその苦労に対して敬意を表したいと思いますし、一日も早く三名の人質の方が救出されることを祈りたいと思います。

 そこで、小野国家公安委員長にお伺いをします。

 今回のことについて、「捜査費経理の手引き」というものが平成十三年に文書化された、それまではそういう文書さえもなかった、こういうことです。それから、捜査諸雑費、こういうものも用意して事前に前渡しをするという制度も設けられたと聞いております。そして、領収書をとれない場合についての書式もこの手引にはある、こういうことでございます。

 ただ、この前、原田元釧路方面本部長の話によりますと、会計の知識について幹部もよく知らない、知識不足である、こういうお話をされておりました。ですから、こういう手引をつくったわけですから、やはり、幹部でありますとかあるいは警察職員に対してこの手引の周知徹底を図る、わかりやすいパンフレットも出す。それから、今、警察の皆さんは、昇任試験といいますか、試験で大変のようですが、こういうところに試験の課題としてこういうものの出題もすべきである。

 こういう形で会計についての知識を徹底させることが必要であると思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

小野国務大臣 御質問の「捜査費経理の手引き」の件でございますけれども、警察庁が警察職員に対しまして捜査費の使途あるいは決済方法、捜査費が不足した場合の申請の方法等を周知させることを目的に作成したものでございます。警察庁内及び都道府県警察に配付したものでございまして、効率的に活用しているものと承知をいたしております。先生おっしゃいましたように、捜査員や捜査費の経理に携わる職員はもとよりでございますけれども、捜査費の執行に責任を負ういわゆる幹部職員に対しましても捜査費経理の手続を理解させることは極めて重要なことである、そのような認識をしております。

 試験の方に入れる、昇任試験の問題にしてはどうかというお話がございました。実務上の知識やあるいは判断力、応用力を的確に示すものが試験でございますので、昇任試験に何を出題するかはこうした観点から各都道府県において判断されるべきものだと思いますけれども、一般論といたしまして、実務上の基本的知識の一環といたしまして昇任試験の対象となり得るもの、そのように認識をいたしております。

大口委員 今、前向きな答弁でございましたけれども、しっかりと改革していきたい、こういうふうに思っております。

 そして、捜査協力者からの領収書について、今回からはもう本人名義による領収書に限る、それで、領収書を徴取できない場合は支払い報告書というものをきちっと書く、これは所属長そして上司の署名、本人の署名をやる、こういう答弁であったわけですが、ただ、領収書がないわけですから、協力者にそのお金が本当に行っているかどうかということを、これは署長だとかあるいは上司だとか本人を信じなさいということもあるんですが、今信じられないような状況になってきているわけですね。

 そういうことで、私は信じたいわけでありますが、できるだけ、さらにこれに参考資料を工夫してつけていく、添付していく。例えば拇印と数字だとか、いろいろ工夫していくべきではないか、こういうふうに考えていますが、いかがでございましょうか。

小野国務大臣 ありがとうございます。

 一般論を申し上げますと、捜査協力者に対しましては、警察に協力をしている事実を漏らさないという前提で協力をしていただいていることから、監査において捜査協力者に対する直接の調査がされたときには、警察と捜査協力者との信頼関係に……(大口委員「済みません、ちょっとそれは官房長ですよ、まず私の今の質問に対しては官房長が答弁してください。その後です」と呼ぶ)そうでございますか。拇印の方……(大口委員「いや、拇印の方じゃなくて。拇印の方はやっていくわけですね。じゃ、お願いします」と呼ぶ)

 失礼いたしました。

 平成十六年度から、捜査費を執行した際に領収書を徴取することができなかった場合に、いわゆる捜査費を執行いたしました捜査員がその支払い事実を証明するための支払い報告書を作成いたしまして、捜査幹部がこれを確認することとしております。

 支払い報告書には支払いの状況につきまして具体的に記載することとしておりますけれども、あわせまして、支払い事実に関する書類を添付することもできることといたしておりまして、これは先生がさっきおっしゃってくだすったとおりでございます。

 御指摘のような書類を入手した場合には、当該書類を参考資料として支払い報告書に添付することもあり得ると認識をいたしております。

大口委員 僕が説明した部分は繰り返さないで結構でございます。聞きたいことだけ答弁していただければと思います。

 それで、道議会の予算特別委員会の議事録を見ておりますと、やはり県の監査委員が、これからしっかりと調査していきたい、こういうことで、県知事の特別監査の実施に当たって、捜査員への事情聴取、これも今回警察庁から通達がありました、認められました。それに加えてさらに、支払い先などに対する関係人調査が重要である、こういうふうに代表監査委員が言っておりまして、これらを円滑に行うためには道警察の協力が何より必要でありますということを言っています。それから、定期監査室長も、捜査員に対する事情聴取を求めることとし、なお、十分な心証が得られない場合は、協力者等関係人調査の実施について道警察に対し協力を求めていきたいと考えているところでありますと。

 あるいは、芦刈道警本部長もこの前北海道でお話ししていましたが、例外的な場合を除いて、可能な限り捜査員からの聴取にしてほしいということですが、ある一定の場合は捜査協力者に対しても事情聴取を認める余地があるというふうに私はそのときに思ったわけであります。

 このように、捜査協力者に対する秘匿性の必要性ということはいろいろあります。ただ、いろいろな段階があるわけで、捜査協力者から一切聞き取り調査ができないというのは余りにも硬直した対応ではないか、私はこう思っております。

 そういうことで、捜査協力者に対する聞き取り調査、これは会計検査院もここで、踏み込んでいきます、こういう答弁をしておるわけですが、国家公安委員長として、このことについて前向きな答弁をお願いしたいと思います。

小野国務大臣 一般論で申し上げますれば、協力者に対しましては、警察に協力している事実を漏らさないと先ほども申し上げたとおりでございまして、警察と捜査協力者との信頼関係というものに支障を来さないように、そしてまた情報を提供しようとする者に萎縮効果を与えないようにするということが大事であろうかと思います。こうした理由から、警察では、捜査協力者に対する調査を実施しておらず、または捜査の際には、このような調査には応じることはできない旨の説明をし御理解をいただくようお願いしておりまして、捜査幹部や捜査員が説明を行い心証を得ていただくように努めているものと承知をいたしております。

大口委員 ただ、会計検査院も検討すると言っているんですね。協力者にはいろいろ幅があると。だから、そういう、支障がない場合についてはいいだろうし、協力者といってもいろいろな場合があるわけですね。そこら辺は、やはり委員長としても御検討いただきたいというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

小野国務大臣 そのように考えているところでございます。

大口委員 この前、それこそ理事で北海道の調査に行ってまいりました。そこで、北海道公安委員会委員長佐野文男さんから率直なお話を聞きました。

 例えば、今回の旭川中央警察署問題に関する道警の報告は、結果として適切なものでなかった、こういうことをはっきりと言っておりました。それから、情報についてですが、事後の情報のみでなく先取りした情報が必要とされており、情報収集能力の強化が必要となっているということで、情報収集能力の強化、これが必要だと。ただ、現在のシステムで情報収集能力の強化は可能かという質問に対しては、不可能だ、こういうふうに思う、こうおっしゃっておるんですね。そして、公安委員会の形骸化については、日常的な場合については問題ないが、何かあった場合の体制としては十分とは言えず応援体制が必要と思われる、こういうことで、独自の事務局に関しては今後の課題である、こういう話でございました。

 やはり、この北海道の公安委員会について、率直な委員長の、これだけ大変な問題を抱えているということで非常に問題意識が高いわけです、非常に示唆に富むお話であったわけです。

 私は、小野大臣に、この佐野文男委員長のお話についてどうお考えになっているのかということを聞きたいことと、やはり地方で公安委員会の委員あるいは委員長にいろいろと話を聞いて、そしていろいろ改革すべきは改革していくべきだ、こういうふうに考えておるわけでございます。

 三十八条の六項に、緊密な連絡をとらなきゃいけない、こういうことでありますので、葉梨委員もおっしゃっていましたけれども、電話でもいいんじゃないか。電話でもいいから、まずは北海道の公安委員会の方々、あるいは静岡の公安委員会の方々、福岡等々、今現場で非常に苦労されている方がどういう問題意識を持っておられるのかということを、これは聞いていただいて、国家公安委員長として、今回の問題について本当に危機感を持って対応していただきたいと思いますが、この点について、いかがでございましょうか。

小野国務大臣 まず第一点目の、道警の報告は結果として適切なものではなかったという点につきましては、昨年十一月に旭川中央警察署の捜査用報償費に関する報道がなされた当初は、北海道警察は、北海道公安委員会に対しまして、不適正ないわゆる経理の事実はないとの報告をしたものですけれども、その後の調査状況の報告によりまして、旭川中央警察署の捜査用報償費に関して不適正な予算執行が明らかになったところでございまして、この点については、同報告に先立ちます三月二日に、北海道警察本部長が、北海道道議会におきまして、さらに調査を行う必要があることを見通せず道民の疑惑を増幅させた、警察に対する信頼を低下させたと謝罪をしたところでもございます。

 また、二点目の、先取りした情報が必要となっており、情報収集能力の強化が必要という点につきましては、経営、警備などあらかじめ予定されたものについては公安委員会に対して事前に情報が入るものの、そうではない事案については事前の情報が入りにくいために、先取りした情報収集が重要であるという趣旨で御発言されたものと認識しておりますし、この点に関しましては、公安委員会の独立の事務局を設けることについては、事務局と都道府県警察本部の二重構造が生じてくるということにおいて、私どもは余り賛成をしていないところでもございます。

 三点目は、公安委員会におきましては、日常的な場合については問題ないけれどもと先生のお話があったとおりでございまして、とにかく、平成十二年一月には百十七人であったものが平成十五年十二月には二百三十三人と、公安委員会の方も人員を補正したりして一生懸命努力をさせていただいておりますけれども、そういった県におきましては公安委員会の管理能力も今後充実していかなければ、そんな気持ちでおります。

大口委員 要するに、電話でもいいから現場の公安委員長や委員会の人と話し合うということはどうですかと聞いているんですが。

小野国務大臣 そのようにさせていただきます。

大口委員 今、前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 国家公安委員会というのは、警察法五条で警察庁を管理、あるいは、三十八条の三項で都道府県警察を管理ということで、管理という言葉を使っていますね。刷新会議の緊急提言によりますと、その管理の意味については、「「監督」又は「所轄」と対比して、下位の行政機関に対する上位の行政機関の指揮監督が、内部部局に対する場合と大差ない位に立ち入って行われることを示す」こういうことですね。かなり立ち入って管理をしていく、こういうことです。

 そのためには、やはり管理機能の強化をしていかなきゃいけないと思うんです。そして、管理機能を強化するには、もちろん事務局体制等もありますが、まず公安委員、国家公安委員あるいは地方の公安委員がどういう人なのか、これも非常に大事だと思うんです。年齢だとか、あるいは職業だとか能力だとか、そういうことも大事でしょう。

 それから、やはり今いろいろと法律にかかわることがありますから、例えば法律の専門家、あるいは会計についてのいろいろな問題がありますので会計の専門家、こういう専門家というものも、公安委員に入っている方もいらっしゃいます、別に入っていなくても、例えば、今応援体制が必要だという佐野委員長の話もありましたが、こういう専門家を、顧問ですとかあるいは専門委員ですとか、専門家のサポート体制、今回公安委員会の改革ということを考えるとこういうものもやはり導入すべきじゃないか。あるいは、いろいろな問題に対して対応するには今の公安委員という人的な要素で対応できないんじゃないかな、こう思っておるんですが、いかがでございましょうか。

小野国務大臣 先生おっしゃっていただきました点は抜かしていただきますけれども、国家公安委員会に期待されている機能が、職務執行の専門的能力ではなくて、国民の良識を代表する民主的管理にあるとまずは承知をしているわけでございます。

 一連の不祥事を契機といたしまして、平成十二年には、警察刷新に関する緊急提言及び警察改革要綱におきまして、公安委員会の警察に対する管理が適正なものとなるように、管理概念の明確化が盛り込まれたところでございまして、これを受けまして、国家公安委員会の運営規則を改正いたしまして、運営の大綱方針を定められることを明らかにしたものでございます。

 さらに、十二年の警察法改正によりまして、警察法第十二条の二の規定が追加されまして、国家公安委員会は監察について必要があれば認める等々のことがございますけれども、現実に国家公安委員会も、官界から一人、マスコミから一人、それから財界から一人、学界から一人、法曹界から一人、このような形になっておりますが、国家公安委員会の場合には五名の委員でございますが、地方に至っては三名というところもありますので、今先生がおっしゃってくださいました、特段のことがあった場合に、顧問という立場がいいのか、そういうことも今後考えられることではないか、そう思っております。

大口委員 では、私の提案を検討していただけるということでよろしいですね。

 それで、今委員長もおっしゃいましたように、十二条の二で監察指示権、こういうものが備わったわけでございます。ところが、国家公安委員会でまだこの監察指示権は、最近できたということもあって、平成十三年ですから、一回も行使をされていない。それで、地方におきましても、神奈川とか奈良県とか、今回北海道がこういう行使をされている。もっと私は積極的に活用すべきじゃないかな、こう思うんです。

 ただ、それを積極的に活用する場合も、情報収集能力、これが必要なんですね、情報収集能力をどうやって得ていくか。

 私は、一つは、苦情申し出制度というものは、いろいろ末端の情報が苦情としてある、それを中枢に吸い上げていく、こういうものからいろいろ情報が入ってくるわけですね。国家公安委員会あるいは地方の公安委員会に吸い上がっていく。

 それともう一つは、警察職員が内部通報、こういう制度もきちっと、これは公益通報者保護法ができますと内部通報制度というのをちゃんとすべての組織が大体つくるわけですよね。そういう点で、内部通報制度ということもしっかりと整えて、それと監察指示権というものを組み合わせていったらかなりのことができるんじゃないか、こう思っています。

 その中で、内部監察につきまして、抜き打ち監察、こういうことも私は、二〇〇〇年の四月、総務庁による行政監察でもそういうことを指摘されているわけですから、やるべきじゃないかと思います。

 簡潔にこの二点についてお答え願いたいと思います。

小野国務大臣 最後の内部監察につきましては今後検討させていただきますけれども、公安委員会に関する苦情申し立て制度については、委員御案内のとおり、Eメールあるいはファクス等による……(大口委員「それはまた後で」と呼ぶ)よろしいですか。文書をもって申し出るというふうなことでございますので。警察の中からも外の者からも自由に警察に対しましては苦情申し立てはできる。これがまず最初の質問ではなかったかと思います。

 それから、ホームページに苦情申し立てに関する手続を掲載するなど広報にも努めているというのが現状でもございます。

 こうした苦情申し出制度というものが警察職員の職務執行の適正化に資する形で運用が図られるようになり、また御指摘のような国民が利用しやすい苦情申し立て制度となるように検討してまいりたい、そのように考えているところでございます。

大口委員 苦情申し立て制度につきましては、今大臣お話をしていただきましたが、大体、平成十四年中に四百五十六件、三・二八%なんですね。全体が一万三千八百八十六のうち、わずか四百五十六件なんです。ですから、せっかく平成十三年につくっていただいたわけですが、なかなかこの苦情申し出制度というのが活用されていない。これは公安委員会あての文書による苦情申し出ということです。

 ところが、それ以外の警察になされた文書による苦情申し出、あるいは電話などの文書によらない警察あての苦情申し出、それから、警察になされた公安委員会あての文書によらない苦情の申し出、こういうものは九六・七%ある、こういうことなんですね。警察の不祥事というものは、従来、国民の警察に対する苦情が末端で処理されていて、これが中枢に集まってこないということが一因だということでこの苦情申し出制度ができたわけであります。

 私は、提案なんですが、この文書という中にはEメールだとかファクシミリが含まれていない、これは入れるべきだと思います。それから、山形県の公安委員会は苦情申し出のひな形を作成しています。こうやって利用しやすいようにしたり、それから、口頭での苦情申し出であっても警察署の窓口において警察職員が文書作成を支援していく、そういう制度を通達できちっとやるべきである、こういうふうに思います。この提案について。

 それと、もう一度言いますが、公安委員会に対して警察職員が内部通報する、ヘルプラインのような、こういう仕組みをつくる。だれでも安心して警察職員がここに通報する。それに対しては、そのことによって不利益を得ることもないし、もっと風通しをよくするためにもこういう制度を設ける。こういうことについてぜひとも大臣の御答弁をいただきたいということと、それから、内部監察については、抜き打ち監察、これをすべきである。前も質問しましたが、漏れておりましたので、お伺いしたいと思います。

小野国務大臣 都道府県警察及び管区警察におきましては、監察実施対象部署に事前連絡を行わない監察を、例えば早朝、深夜、通常の勤務時間以外を含めて、実施しているところでございます。

 また、警察庁の監察におきましては、限られた時間の中で最大限の効果を得る目的から、事前連絡を行わないいわゆる抜き打ち、先生おっしゃってくだすったような監察まで通常実施していないが、監察を実施する旨の通知は実施前の一週間以内に行うこととしており、また、監察の手法についても、その場で都度必要な資料の提出及び担当者からの説明を求めるなどの工夫をしているところでございますので、今後とも、抜き打ち的な監察を行うことを含め、真に実効性のある監察の推進に努めてまいりたいと思っております。

 それから、Eメールやファクスによるものは警察法に規定される苦情以外のものでありますけれども、このような苦情につきましても、これを受理いたしまして、所要の調査を行うなど誠実に処理をし、申し出者が確認できる場合には、その処理結果を申し出者に通知しているものと承知をさせていただいております。

 それから、口頭による苦情の申し出につきましても、国家公安委員会規則で、苦情の申出の手続に関する規則によりまして、「苦情申出書の受理に関する事務を行う警察職員は、申出者が苦情申出書を作成することが困難であると認める場合には、当該申出者の口頭による陳述を聴取し、苦情申出書を代書するものとする。」と規定をしているところでございます。

 このような形の中で、できるだけ皆さんの声を十分に取り入れて、そしてまたホームページに苦情申し出に対する手続等を掲載するなど広報にも努めているところでございます。

 それから、ヘルプラインのお話がございましたけれども、警察法第七十八条二の規定によりまして、都道府県警察の職員の職務について苦情がある者は、都道府県公安委員会に対して苦情の申し出をすることができるとされておりますが、申し出がある者があればだれでも、すなわち警察職員であっても、同規定による苦情の申し出をすることができるということになっております。

 このように、現在運用を行っております苦情申し出制度は、委員御指摘の警察職員が通報できるヘルプラインのような仕組みとして機能する由もあるものと認識しておりまして、警察改革以降、公安委員会を補佐する体制を充実させ、公安委員会に対する各種意見、苦情、要望等については警察から速やかに公安委員会に報告され、公安委員会が内容に応じて適切に対処しているものと承知をいたしております。

大口委員 時間が来ました。

 いずれにしましても、過去の負の遺産を清算して、現在と将来の警察の信頼回復のためにしっかりと改革していくべきことを小野国家公安委員長に御期待申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょう、私、最初に公安委員長に、まず、これまでの一連のいろいろな出来事がありました。私も予算委員会、内閣委員会を通じて取り上げてまいりましたけれども、その中で、この間の不正を認めた警察の側の発表とか報告を少し整理してみますと、静岡県警の空出張を認めた記者会見もありましたし、それから旭川中央署の中間報告も出ました。弟子屈署の途中経過報告も先日ありました。福岡県警は四月二十日に中間報告をすると言われておりますが、よく見てみますと、共通した特徴があるんですね。

 その一つというのは、不正を認めたものは、資料が既に提示されていて、絶対にこれはもう逃げられない、どうしようもないものは認めているんですよ。

 それから二つ目は、幹部のやみ手当など、使途について私的流用があったということは、これはもう認めようとしない。証言された方は皆、私的流用を言っているんですよ。だけれどもこれは認めないんですね。

 三つ目は、裏金づくりなど不正の責任というのは下部の職員や警察官に押しつけるというのが特徴です。弟子屈の場合は告発された斎藤次長さん、とにかくあの人がいわば悪いんだ、あとは知らないよと。

 この三つのことが、やはり今回よく見てみますと特徴的なことなんですね。私は、今まさに国民の皆さんが、こういうことでいいのだろうか、ここを一番見ているときだと思うんです。

 そこで、冒頭に国家公安委員長に、私が今指摘しましたこの三つの特徴について、国家公安委員長としてはどのようにお考えになっておられるか、伺っておきたいと思います。

小野国務大臣 今御指摘をいただきました三点につきましては、まだ中間報告という段階であると承知をいたしております。先生おっしゃいますようなことが、最終結論に至りましたときにどういう形でこれが終結していくものか、その辺を十分に見定めさせていただきながら、不適正なものがあればそれに対応した処置をさせていただきたい、そのような決意で取り組んでいるところでございます。

吉井委員 中間報告といいながら、大体これまでから多いのは、大体いつも中間報告というのは最終報告になって、いつ出るんですかといったらいつの間にか最終報告は出ないんですね。これはお役所の報告のたぐいの通例なんですが。

 ただ、中間報告の段階であっても、今私が指摘したような三つの特徴を見ることができます。こういうのを見ていますと、大体全国的に、そういう報告書作成に当たって、警察庁なりそういったどこからかにしても、何か統一した、大体こういうふうな、つまり不正を認めるのはあくまで資料が出た分だけですよとか、その使途については私的流用はないということにしなさいとか、裏金づくりの不正は下の方がやったんだと、いわばそういう統一した指導やガイドラインとでもいうべきものがあるのかなとうかがわせるものになっております。これでは本当の意味での事実究明、解明どころか、あべこべに真相隠しということになってしまうと思うんですね。

 私は、こういうところこそ、これは警察庁と独立した機関であるはずなんですから、国家公安委員長としてきちっと監督指導をなさる、そのことが必要だと思うんです。この点だけ決意を伺っておきます。

小野国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、最終結論にできるだけ早急に導いていくように、そしてまた督励してまいりたいと思いますし、結論が出た段階におきましては、その結果に基づきまして私どもきちんとした対応をさせてまいりたい、そのように考えております。

吉井委員 その結論の中で、不正を認めるのは事実の出た分だけというふうな結論に導いたら大変だからこそ私言っているんですよ。

 だから、少なくともこの三つの特徴というのを私今、私だけじゃないですね、多くの方が大体感じ取っているところですよ。こういうことでいいのかということをみんなが言っているときなんですから。そこは、中間から最終に向かって導いていかれるにしても、そんなところに導いたら大変なんですよね。そういうところはきちんと解明されるように努力するとか指示をするんだとか、そこのところだけやはりちゃんとした姿勢を示してもらわぬといかぬと思うんです。

小野国務大臣 各それぞれの警察のところにございます公安委員会というものが十分にそれを私は発揮するものと信じて、その結論を待ちたい、そのように考えております。

吉井委員 発揮することを期待されているようですから、まず発揮するように、これは国家公安委員会そしてそれぞれの地方の公安委員会ともそういう角度で取り組むようにやってもらいたいと思います。

 次に、吉村参考人に伺います。

 三月二十九日に北海道警察の芦刈本部長に、旭川中央署の九五年五月と九七年九月の二カ月分だけ裏金づくりの不正で、ほかの月には不正はないと判断しているのかと質問したことも、この間の質疑のときに取り上げました。そのとき芦刈本部長は、それ以外の月も不適切だったと推認できると答えたわけですが、四月九日に、このことで警察庁の方も二カ月分以外の月も不適切だったと推認できると考えているんですねと質問しまして、吉村官房長は、要するに、それ以外の月も不適切だったと推認できると承知しているという答弁でありました。

 そこで官房長に伺うんですが、ではそれ以外の月も不適切だと推認する根拠、吉村参考人の方はどの辺を根拠として推認しておられるかを伺っておきます。

吉村政府参考人 今大臣から御答弁ありましたように、旭川中央署の案件につきましても、まだ最終的にこのような調査結果が出たというわけではありませんで、まず、去年の十一月に、まず事柄の発端でもありますから、当初、北海道警において出所不明というようなことで対応した、結果としては非常にまずいこともありました。そういうこともあり、旭川中央署の案件について、事案の詳細な全貌がどれぐらい解明できるかということについては、これは相当の日にちがかかるであろうということを踏まえた上で、ただ、一体どうなのかということについて、七年の五月と九年の九月分について、あくまで道警で、その二月については当時担当の職員等からいろいろヒアリングもやりまして、ほぼこのような形ではないかということで既に公表しておるわけであります。

 したがって、それ以外の月がどうだったのかということについて、これはあくまで北海道の本部長として、七年の五月と九年の九月だけが不適正な執行があって、それ以外のものは全くないとは、これは恐らく言えないであろう。人的に、旭川中央署の構成も、私は詳しくは存じませんけれども、変わっていないのかもしれませんし、同じような人間が同じようなことをしているかもしれないということで推認という言葉を使ったものと思われるわけでありまして、そうであれば私どももそう考えざるを得ないなということであります。

 ただ、あくまで、平成七年五月と九年九月の書類については、これは会計書類とおぼしきものが残っておったわけでありますから、これに基づいての調査がこれからもできると思うんでありますが、一つには、十年近く前のことであるということが一つあります。それから、きちんとした形で会計帳簿が残っておりますのは平成十年度以降ということでありますので、ちょっとまだ全貌解明には時間がかかるのかなという印象を持っております。

吉井委員 この間も吉村官房長は、要するに、平成七年、九五年の五月と九七年の九月の二カ月だけが不適正なことがあって、それ以外は真っ白だということは普通は考えられないと。これは芦刈本部長も、その間不正があったと推認されるということを、私たちが行ったときにきちんと答えておられるんですよね。あなたも、推認されるということを私たちも承知しているということで認めるとともに、あなた御自身も、それ以外真っ白だったということは普通考えられないと言っているわけですから、だから、考えられないという、推認できる根拠は何ですかということをお聞きした。非常に簡単な話なんです。

 前段の長い部分はいいですから、真っ白だったと普通は考えられないとお考えになった根拠だけ簡潔にお答えください。

吉村政府参考人 それはまさに推認でありますので、先ほど申しましたように、担当者がかわっていなかったりした場合には同じようなことがその当時少なくとも毎月行われていたのではないかということを普通考えるのは、一般常識にかんがえて自然だと思いますので、そう申し上げているわけでありますから、それ以外に根拠を示せと言われても、なかなか手持ちのものは持ち合わせていないのが実態であります。

吉井委員 人は次々とかわっていくわけですから、署長もかわるわけですからね、二年半という、その前もそうですし、後もそうなんですから。ですから、これは単に個人の問題ではない、やはり組織的な問題も含めて考えなきゃいけないということも、判断材料あるいは判断の根拠にそれを含んでお考えなんですね。

吉村政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、今、七年の五月と九年の九月について、それから十年度以降については書類が少なくともありますので、それに基づいて調査をしておりますから、最終的な調査結果が出た段階で、今お尋ねの七年の五月の近辺、九年九月の近辺はどうだったのかということについての道警としての結論は出すものと思います。

吉井委員 道警の方は四月六日に弟子屈警察署の途中経過報告を発表したわけですが、その際、芦刈本部長は、二〇〇〇年に執行された国費の捜査費と道警の捜査用報償費のすべてが不正だったということを認めています。これは、四十二名の捜査協力者全員が受け取っていなかったとか、不正の事実を認めたわけですね。同時に、不正は告発した斎藤さんが在任中の二〇〇〇年度だけで、二〇〇一年度以降は不正は認められないとしているんです。

 官房長も前回の委員会で同じように、現時点では、要するに捜査員その他関係職員に聴取した結果として、現時点における調査の範囲では不適正は認められない、こういう答えであったんですが、判断する根拠というのは、まさにこういう場合に非常に大事になってくると私思います。

 これは、まず、二〇〇〇年の前の、例えば九七年、九八年、九九年とか、二〇〇〇年の後の〇一、〇二、〇三、それぞれに、まさに旭川中央署の二カ月分の資料が明らかになったように、捜査協力者の名前がきちんと提示されて、北海道なら北海道の監査委員の方が面接やアンケートなどをされると、それによって、本当に言われたように不正がなかったということになるのやら、あるいは同様の問題が弟子屈でもあったということになるやら、それでこそ、判断して、そして不正は認められなかったというふうになるのか、あるいはやはり問題があったということになるか、というふうになるわけですね。

 それを、二〇〇一年度以降は不正は認められないとしている。そういうふうに判断した根拠というのは一体何なんですか。きちんと協力者を明らかにし、協力者に道の監査委員の方がアンケートをしたり面接して明らかにした結果、そうなったという意味ですか。

吉村政府参考人 弟子屈署におけます平成十三年度以降でございますが、まず弟子屈署については、北海道知事から、要するに十二年度、弟子屈署については監査委員の監査が実施をされたということもありますので、まず弟子屈署については十二年度分にポイントを当てて公表しようという結果がせんだっての発表であったわけであります。したがって、十年度、十一年度は現在調査を北海道警においてしておりますし、それから十三年度以降もしております。最終的にはまだ断定はできないわけでありますが、十二年度分を発表するに当たりまして、十二、十三、十四、十五と、近時に至るまで調査を、ざっとした調査だと思いますけれども、やったわけでありますが、当時の署長等の関係者から、平成十三年度以降の執行状況については、捜査用報償費は、あるいは捜査費は、適正に執行されていたとの説明があったものであります。

 すべての捜査員、これは八人の捜査員になろうかと思いますけれども、八人の捜査員から事情を聞きまして、捜査用報償費等を受領し、捜査協力者に謝礼等を支払っているとの説明があったようでありまして、その内容につきましても、当該十三年度以降の弟子屈署における扱った事件、個別の事件名、それから捜査協力者との接触の具体的な状況、あるいは謝礼等の交付状況などが具体的であるということで、心証としては恐らく捜査員は本当のことを言っているのであろうということでの報告を受けておるところでございます。

 このため、過日発表されました途中の経過報告では、十三年度以降については不適正な執行は認められないと、これはあくまでその発表時点での調査結果でございますので、現在も事案の全容解明のために引き続き調査を進めているところと承知をしております。

吉井委員 要するに、これは二〇〇〇年度分だけ監査して、不正と。あとは要するに捜査する側の話。お話はいろいろ伺われて心証としてということであって、実際に捜査協力者となった方、その方に監査委員の方が面接したりアンケートをとって、それで証明されたというものではないと。だから、これはまだ問題なかったということにはならないということが、今の答えではっきりしたと思います。

 旭川中央署の場合、九五年五月から九七年九月までの二年四カ月の間、その前後を含めればもっと長いわけですが、少なくともその間は不正があったと推認したわけですね。こうした判断から見れば、弟子屈署であっても、二〇〇〇年度を挟んだその前後に不正があったと推認することが、普通で言ったら自然な判断なんですね。

 全く同じようなケースで、二〇〇〇年はクロとなっているんですが、片方はクロで片方はシロだというのは余りにも不自然な話だと思うんですが、この点については参考人はどういうふうに考えておられるわけですか。

吉村政府参考人 先ほども申し上げましたように、旭川中央署におきましては、平成七年の五月と平成九年の九月、その間の書類は現時点では、ございません。したがって、実際にこれから、その間どのような状況だったのかということについては、捜査員なりいろいろの関係の者から、これからどの程度事実が詰まるかどうかわかりませんけれども、鋭意やっていかなければならないと思います。

 反面、弟子屈署のケースについては、平成十二年の調査をやったわけでありまして、先ほども申し上げましたように、十年度以降の書類が残っておりますから、その書類に即して判断をして、旭川中央署と弟子屈署で差が出てきたということであります。

吉井委員 いや、弟子屈でやっても、二〇〇〇年度はクロなんですよね。二〇〇一年度は、心証としてシロと思ったという話であって、まだ証明していないわけですよね。ですから、ここからこっちはクロで、ここからこっちはシロだとそう言うことは、余りにも不自然じゃないですかということを今言っているんです。

 では、二〇〇〇年度以降に、弟子屈署に対して不正予算執行を是正するように指示した文書なり通達を出して、不正経理を一掃するような改善措置というのはとっているんですか。

吉村政府参考人 北海道警のことでありますからにわかにはお答えいたしかねるところでありますが、恐らく、普通はそのようなことは考えられないのではないかと思います。

吉井委員 ですから、具体的な措置がないわけなんです。それで、斎藤次長に責任を何かすべてかぶせようとするようなやり方で真相隠しになっていくことは、絶対これは許されることじゃないというふうに思います。

 三月十九日の委員会で、私は、県警や警察署が会計検査院の検査を受ける前に警察庁から出張した職員が指導していた問題を取り上げて、警察庁の関与の問題を質問しました。

 これに関連して、吉村官房長は、県警でも国費についての会計検査院の検査には警察庁が会計検査院の質問に答えるために出張させていた、誤解を受けるから出張させるのはやめるという答弁でした。誤解ではなくて、問題があったからやめるのではないかと思うんですよね。誤解があったからやめるんじゃなくて、誤解はなくて、問題があったからやめるということだと思うんです。

 確認しておきますが、警察庁が中止するというのは、一つは、この検査の事前の出張指導だけ中止するのか。それとも二つ目に、検査当日の同席のこと、これを中止するのか。三つ目に、その両方とも中止するのか。要するに、出張を中止するというのは、どの部分を中止するのか、それはいつから実施するのか、伺います。

吉村政府参考人 これまで警察庁で会計検査院の検査の前に出張に赴いておったわけでありますが、これの用務は、国の会計事務あるいは会計検査にふなれな部局に対しまして、会計検査を受ける前に、必要かつ十分な検査を短期間で効率的に受けることができるように指導、連絡に赴きまして、その際に、その機会を利用して監査をも実施しているということでありまして、そのこと自体について、私どもの判断として、不適切なことがあったというふうには承知をしてございません。

 ただ、会計検査院の検査を実施するということがわかって、いわば予備監査という言葉を使われたこともございましたが、そのようなものとしてとらえられるのは私どもとしても問題であろうということで、会計検査院の検査の前に当該都道府県警に赴くということは今年度からやめたということでございます。

 会計検査院の検査の際に警察庁の職員が立ち会うということにつきましては、以前も申し上げましたが、都道府県警察の会計機関が執行する予算につきましては、国庫支弁経費と、都道府県が支弁するいわゆる純県費と、都道府県に補助される経費の三本立てになっておるわけでありまして、警察庁の立場で、当該会計検査の実地の現場におきまして会計検査院からいろんなお尋ねがあったときに、警察庁において調達をしておりまして各部局に配付しております物品、中央調達物品と呼んでおりますが、これらについては警察庁において整備数量、配分先を決めて購入に関する契約手続を行っておりますし、警察署や交通安全施設などの補助対象の事業については警察庁で補助金の算定あるいはその交付決定に関する事務も行っております等々の事情で、会計検査における都道府県警察の説明に対して警察庁が補足説明をする必要があるということで、これまでも警察庁の職員が立ち会っているものでございますので、この立ち会いはこれからも続けていくつもりでおります。

吉井委員 事前に出張させるのはやめるというお話ですが、これはけさほどもありましたけれども、まさに私が予算委員会で取り上げました、松橋忠光さんの「わが罪はつねにわが前にあり」、福岡県警での事前の会計処理の指導について指摘されたとおり、やっぱりそれが問題だったからやめることになった、これは当然のことだと思います。

 ここで、会計検査院の方に伺っておきますが、昨年七月、北見方面本部の会計検査院の検査のときにも、警察庁の職員の方が、ですから今お話があったように同席していたと。昨日もレクチャーで伺いました。念のために会計検査院に伺っておきますが、警察庁の職員が同席していたわけですね。

石野会計検査院当局者 お話のとおり、昨年七月の北見方面本部の検査時にも警察庁からの立ち会いがあったものというふうに承知しております。

吉井委員 それで、今度は警察庁に確認しますが、昨年七月、北見方面本部の会計検査院の検査のときにも、警察庁から事前の指導のために職員を出張させていたのか。検査当日も警察庁から担当の職員を出張させているというわけですが、事前に指導のために出張させて、当日も行っていた。だから、それは警察庁のどの部署の職員の方を出張させていたのか、事前の指導に行った職員の方と当日同席した職員は同じ職員であったのかどうか。この点を伺いたいと思います。

吉村政府参考人 会計検査院からお話がありましたように、昨年の七月に北見方面本部に対して実施をされました会計検査院による検査におきまして、警察庁からは、当時の会計課の監査室のメンバー三名と承知をしておりますが、立ち会いを行っております。

 その前の段階でも北見方面本部に赴いていると思いますけれども、ちょっと突然の御質問でありますので、同一の人間かどうかはわかりかねます。

吉井委員 これは後ほど同一かどうか確認してお聞かせをいただきたいと思います。

 それで、出張命令をこういう場合出される方はだれになるんですか。

吉村政府参考人 警察庁の会計課長であります。

吉井委員 次に、昨年七月の会計検査院が行った北見方面本部の検査のときに、幹部が協力者の氏名のでっち上げと協力者宅の地図の捏造を行ったということで、芦刈本部長は、経理上の不正の疑いまではまだ持っている段階ではないが、書類の存否、会計検査院に出した書類については不正なものだったということを、私たちがこの間札幌に行ったときに認められました。

 また、元幹部と現職幹部の詐欺や虚偽公文書作成の可能性もあるとして調査しているのかと聞きますと、芦刈本部長は、調査して結果を踏まえて結論を出すというお答えだったんですが、吉村官房長もこの委員会で先日、捜査費の関係書類として実在してしない店の領収書が添付されていた疑いがあるもの、不正があれば厳正に対処するというお答えでした。

 つまりこれは、犯罪の可能性が高い事案ですね。そこを警察庁が指導していたということは、私は非常に重大だと思うんです。警察庁の職員が協力者名やその地図を書きかえるなどにどのようにかかわっていたのかとか、事前に行かれたということですから、同一人物かどうかはともかくとして、事前に行ったということですから、どのようにかかわっていたのか調査されましたか。

吉村政府参考人 現在、北見方面本部の警備課におきまして、今委員お尋ねのように、その実地検査の際に捜査費の関係書類として実在しない店舗の領収書が添付をされた、後日、事実と異なる広告物を会計検査院に対して示した疑いがあるということで、現在は北海道警において調査を行っているわけでありますが、その中でおのずと明らかになってこようかと思いますので、私から確定的には現時点でお答えすることは差し控えたいと思いますが、少なくとも、実在しない店舗の領収書云々の話に警察庁の職員が関与をしていたということは、これはないものと思っております。

吉井委員 幹部の方としてそう思いたくない気持ちはよくわかるんですよ。しかし、松橋さんの書かれたものを、福岡県警のかつての、やはり事前に警察庁の方から指導してという、こういうものを見ておりますと、私は、今回の問題についても、事前に行っているわけですから、そこを警察庁が指導してやっていたのかどうかの解明、もし指導していて、協力者の氏名の捏造やあるいは協力者宅の地図の捏造を行っていたとしたら、これは本当に大問題なんです。

 だから、私は前回も公安委員長に、これはどうも、もとより国の方もそうですけれども、やっぱり公安委員長として徹底的にこれをまず知らなきゃいかぬと言ったのはそういう意味なんですよ。

 きょうは、次長に来ていただいたのも、国費捜査費について会計検査院ににせの書類や地図をつくってだましたという問題になっているわけですから、しかも、会計検査院の検査のときには警察庁の会計課員も立ち会って事前指導をやっているわけですね、警察庁。警察庁の指導というのは、私は逃れられないことになっていくと思うんですよ。だから本当は私、前回も警察庁長官に出てもらってということを求めたわけですが、きょうは警察庁の中でトップの方としてこの責任をどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。

漆間政府参考人 北見方面のこの関係につきましては、現在、道警の方で調査を続けているわけであります。それで、疑いとして、確かに本物でない店舗の領収書が添付されていたとか、あるいはそれが存在するかのような広告物がつくられて、それが会計検査院に示されたというような疑いがあるというので今調べてはおります。

 それから、あわせて、当然、そのときにもし警察庁の担当者が同席しているとかいう状況であれば、少なくともそういう警察庁の関係者がそれに関与していたかどうか、これも含めて道警は調べているはずであります。ただ、私が今聞いている限りでは、警察庁が関与しているとか、あるいはそういうような状況になっているという話は聞いておりません。

 ただ、いずれにしても、これは基本的に、まさに会計検査院に対して不誠実な対応をした、場合によるとこれはもう犯罪になる、したがって、そういうことで重大視しながら、今北海道警の方で調査を続けているということでございます。

吉井委員 私、大体、次長さんにも全体をお聞きいただきながらおわかりいただいたと思うんですが、道警が今調査しているということですね。それは当然、調査するのは当たり前だと思います。

 同時に、事前調査という問題は、事前指導に行っていて、見つけて、これは問題だよと是正を指導したのに相手が言うことを聞かなかったのか、それとも見つけられなかったのか。

 あるいは逆に、じゃ、これは、こういう協力者名をつくりなさい、ああ地図も、困ったから印刷所も頼んで、さっき大畠さんやらはったかいな、地図の上でも、こういう人が、協力者が住んでおったことで印刷を新しくして出しなさい、地図まで捏造する。これは事前指導の中でやっておったらやっておったでまた大問題なんです。

 わかっていて見逃しても大変だし、よう見つけなかったら、これも何しに行ったかというようになるし、まして捏造にかかわったらほんまに大問題なんです。

 私は、こういう点で、道警の調査も当然ですが、これは警察庁として非常に深刻な問題だと思うんです。私はそれだけの、こういう深刻な問題なんだという自覚を、警察庁のトップとしてやっぱり持ってもらいたいと思います。

 最後に、時間が参りましたから、国家公安委員長。そういう問題なんです、私が言っているのは。だから、冒頭に私が三つの整理をしましたけれども、そういうあいまい決着にしちゃだめなんです。

 やっぱり、国家公安委員長は、徹底した取り組み、そして、それぞれの地方の監査委員会が取り組むときは、捜査協力者という名前を示して、監査委員会が調べるなりなんなり、調べられるなりなんなりの協力をやっぱり徹底してやって、今こそ本当に徹底して解明することこそが、原田さんにしても、決して警察が憎くてやってはるんじゃないんですよ。私もあの痛切な思いというものを聞きました。

 そういうお気持ち、一人一人の善意が、現場で苦労している人たちのお気持ちが本当に生かされるようにするには、やっぱり、私が最後に取り上げた問題にしても、これは国家公安委員長としてきちんとやり抜く、調査をしてやり抜く、これが必要だと思います。伺います。

小野国務大臣 国家公安委員会といたしましては、今先生からるるお話がございましたけれども、いわゆる関係道県と連携をいたしまして、事案を早期に解明し、不適正なものが判明いたしますれば、おっしゃいますとおりに厳正に対処するように心から警察庁を督励してまいりたい、そのような決意でありますことを申し述べさせていただきます。

吉井委員 終わります。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十七分散会


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