衆議院

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第6号 平成16年11月12日(金曜日)

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平成十六年十一月十二日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 松下 忠洋君

   理事 木村 隆秀君 理事 増田 敏男君

   理事 山本  拓君 理事 宇佐美 登君

   理事 須藤  浩君 理事 玉置 一弥君

   理事 田端 正広君

      大村 秀章君    川上 義博君

      木村  勉君    佐藤 剛男君

      桜井 郁三君    土屋 品子君

      西村 康稔君    早川 忠孝君

      宮澤 洋一君    渡辺 博道君

      石毛えい子君    泉  房穂君

      市村浩一郎君    小宮山洋子君

      今野  東君    島田  久君

      藤田 一枝君    牧野 聖修君

      太田 昭宏君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)     村上誠一郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   棚橋 泰文君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   会計検査院事務総局第一局長            石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  西  達男君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  鈴木 基久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 土肥原 洋君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幸秀君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田口 義明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         知念 良博君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 山下  進君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            坂田 東一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 金子 順一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   内閣委員会専門員     高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  萩野 浩基君     渡辺 博道君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 博道君     萩野 浩基君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

松下委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官西達男君、堀内文隆君、内閣参事官鈴木基久君、内閣府大臣官房審議官原田正司君、土肥原洋君、政策統括官林幸秀君、国民生活局長田口義明君、警察庁長官官房長安藤隆春君、生活安全局長伊藤哲朗君、刑事局長岡田薫君、組織犯罪対策部長知念良博君、交通局長矢代隆義君、防衛庁運用局長大古和雄君、法務省大臣官房審議官山下進君、民事局長房村精一君、文部科学省研究開発局長坂田東一君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長金子順一君及び国土交通省道路局長谷口博昭君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田一枝君。

藤田(一)委員 おはようございます。民主党の藤田一枝でございます。

 内閣委員会では初めての質問でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 早速質問に入らせていただきますけれども、まず初めに、婚外子の戸籍表記改正についてお尋ねをしたいと思います。

 この問題は、二十一世紀の国の最重要課題、つまり男女共同参画社会形成のためにも大変重要な課題でございますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 残念ながら、本日は、大臣、副大臣ともに御出席いただけないということでございまして、房村民事局長には、どうぞわかりやすい、そして前向きの御答弁をお願い申し上げたいと思います。

 御承知のように、本年三月二日に、婚外子の戸籍の続柄表記について、現行の戸籍の続柄欄の記載は、戸籍制度の目的との関連で必要性の程度を超えており、プライバシー権を侵害しているとの判決が東京地裁において出されました。

 これを受けて、法務省も、一九四七年以来大変問題となってまいりましたこの続柄記載について、戸籍法施行規則を改正し、十一月一日から実施に移された。このことは、婚外子の差別をなくしていく上で一歩前進と評価はするものでございます。

 しかし、その内容については、申し出により、嫡出子の続柄表記であるいわゆる長男・長女型に改めるというもので、残念ながら、多くの問題点を含んでいると言わざるを得ないというふうに思っております。

 戸籍の続柄記載の問題は、単なる表記の問題ではなくて、根強く残る婚外子差別をなくすことが目的のはずであります。親が婚姻届を出しているかどうかによって、生まれてきた子供が違う取り扱いをされる、人生の処遇や権利に大きな違いが生じるというのは、やはり差別と言わざるを得ません。

 だからこそ、国連の各人権委員会、自由権規約委員会、子どもの権利委員会、社会権規約委員会、そして女性差別撤廃委員会からも、再三にわたって勧告が出されてきたわけであります。

 どのような境遇で生まれても、差別されることなく、一人の人間としての人格が尊重され、平等に生きられる権利を保障する責任が社会にはあろうかと思います。その差別をなくす第一歩がこの表記の是正であると考えますけれども、まず、いかがお考えでございましょうか、お伺いをいたしたいと思います。

房村政府参考人 非嫡出子の親との続柄欄の記載の問題でございますが、御指摘のように、従来の戸籍法施行規則におきましては、嫡出子と非嫡出子とが相続分など法律上違う地位に置かれていることから、これを戸籍面でも明らかにする、こういう趣旨で、非嫡出子につきまして、続柄欄には男、女の記載をするということで、嫡出子が長男、長女、二男、二女というような形の記載をするのとは異なった記載の仕方をしておりました。

 これにつきまして、御指摘の本年三月二日の東京地裁判決で問題点が指摘をされましたし、また、非嫡出子の続柄欄の記載が異なっている点を同一のものとしてほしいという要望も寄せられておりました。

 そのようなことから、この判決をきっかけといたしまして、法務省内で検討いたしましたが、これは、戸籍の身分事項欄その他の記載を総合すれば相続分の割合は正確に判断できるということでありまして、あえて続柄欄の記載にまでその違いを及ぼす必要はないであろう、こういう判断に達しまして、本年の十一月一日から非嫡出子の続柄欄につきましても嫡出子と同様の記載の仕方にするということとしたものでございます。

藤田(一)委員 表記の改正の理由というのでしょうか考え方ということは今御答弁をいただいたことであろうと思いますけれども、この国連の各委員会、人権関連委員会から出されていた勧告というのは、ただ表記を変えるということだけではなくて、婚外子差別そのものを指摘してきた、相続差別、そうした問題についてきちっと指摘をしてきたというふうに思うんですね。

 今も局長みずからおっしゃいましたけれども、戸籍で区別しなければならない根拠ということは、要するに、今回の判決でも出てきているんですけれども、民法上異なる法律効果が期待されている中身ということでございますよね。それは何かといえば、民法九百条の子の相続の問題になってくるということであります。

 この問題については、先日、最高裁においても、二人の裁判官の方が法のもとの平等に反するという違憲の見解というものを表明されています。そしてまた、九六年には、大分古い話になってしまいますけれども、法制審議会で撤廃の答申も出ているわけですね。

 今回のこの判決が出た後に、マスコミにおいても、やはり婚外子差別はやめよう、平等に生きられる権利を、差別撤廃は時代の流れだ、そういう論評が大変続きました。そして、民法改正論議の契機にという期待が寄せられていました。

 また、今大変少子化ということが問題になっていますけれども、この少子化対策基本法の参議院における附帯決議においても、「婚外子がいかなる差別も受けることのないように十分配慮する」ということが記載されているわけです。

 このことからも、戸籍の表記改正ということにとどまらずに、やはり婚外子差別解消に向けた検討ということを、今回のこの判決を受けて、あえて表記を変えているわけですから、そこまで踏み込んでいく、そういう検討が必要ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

房村政府参考人 この非嫡出子の相続分の問題につきましては、ただいま御指摘の平成八年の法制審議会の答申等を踏まえまして、法務省においても検討してきたところでありますが、この問題は、婚姻制度や家族のあり方と関連する重要な問題でありまして、国民各層や関係各方面でさまざまな議論があると承知しております。

 そういう問題でありますので、大方の国民の御理解を得ることができるような状況で見直しが行われることが相当であるというぐあいに考えているところでございます。

藤田(一)委員 たしか、さきの通常国会のときの御答弁もそういう枠組みの中での御答弁だったというふうに記憶をいたしておりますけれども、それでは、いわゆる相続差別を残している国というのが、よその国がほかにあるのでしょうか。どこの国が相続差別というようなものをまだ残しているのか、もしおわかりだったら教えていただきたいと思います。

房村政府参考人 すべての国を承知しているわけではございませんが、我が国でよく知られております代表的な英国、米国、ドイツ、フランスという国と比較しますと、今申し上げた四カ国においては、いずれも相続分の差異はございません。

藤田(一)委員 国際的な流れは、みんな、全部もう改正をしてきているわけですね。ですから、日本のこの制度というものは、本当に、国連の各人権委員会から指摘されるまでもなく、大変な大きな問題になっているわけでして、ここに踏み込まない限り、やはり本当の意味での差別をなくしていくということにはならない。表記をただ変えるということだけでは済まされない問題になってくる。特に、今回表記を変えたわけですから、次は、残るのはここになるわけですね。

 そういった意味で、きちっとやはりこの問題について踏み込んでいただかないと、いつまでたっても日本は勧告を受け続ける、そういう国になってしまうというふうに思います。ぜひ、この点についてはしっかりと検討をしていただきたい、このように思います。

 それでは、今回改正の具体的な内容についてお尋ねをしてまいりたいと思うんですけれども、先ほど、長男・長女型に統一をしたというお話をいただきました。なぜ、今回のこの改正に当たって長男・長女型にしたのか、その理由について改めてお聞きしたいと思います。

房村政府参考人 先ほど申し上げた地裁判決におきましての指摘は、非嫡出子の続柄欄の記載が異なっているという点に問題がある、こういう御指摘でございました。

 さらに踏み込んで、嫡出子の長男・長女型の記載の仕方に問題があるというような指摘は現在まで特段受けておりませんし、また、現実に戸籍を訂正するということを考えた場合に、現在の非嫡出子の割合は二%以下だと思います。したがいまして、嫡出子の方の記載を訂正することとなりますと、九八%を超える戸籍、ほとんどの戸籍を直していかなければならない。その事務負担量というのは相当なものがありますので、そういうことを総合いたしまして、非嫡出子の記載の仕方を嫡出子に合わせる、こういう内容としたものでございます。

藤田(一)委員 作業量、事務量が膨大になる、こういうことでされたという話ですけれども、住民票のときは全部是正しているんですよね。変えていらっしゃるわけです。本当に作業量の問題なんだろうかということを私はやはり疑問に思うわけです。

 今回のこの記載方法の変更に当たってパブリックコメントを求められていたというふうに思うんですけれども、その内容、寄せられた意見というものはどのようなものだったんでしょうか。

房村政府参考人 まず、作業量の点でございますが、住民票の記載については変更した当時でも電算処理が相当広く普及しておりましたが、戸籍につきましては、現在、コンピューター処理をしているところは約半数にとどまっておりますので、そういう意味では、作業量的に非常に大きな違いがあるだろうと思っております。

 それから、パブリックコメントでございますけれども、このパブリックコメントにつきまして、寄せられた意見が全部で百五十八件でございます。

 それで、父母との続柄欄の記載を改善することについては、百三十八件が賛成、八件が反対ということでございます。

 それから、具体的な記載の仕方につきましては、法務省案に賛成が十件で反対が百二十五件。その反対の主な内容は、続柄欄の記載については子とすべきである、あるいは、男、女、男子、女子、そういうような記載とすべきであるということが多かったように思っております。

藤田(一)委員 法務省案に賛成が十件。十件でなさったわけですか。これはどういうことなんでしょうか。もう一度お願いいたします。

房村政府参考人 もちろん、パブリックコメントの結果を参考にはさせていただいておりますが、現実的に、先ほども申し上げましたように、一億何千万という日本国民の戸籍の九八%以上を直さなければならないというのは、その事務負担量を考えれば余りにも膨大なものになる。しかも、嫡出子の記載そのものに直接の問題があるということではなくて、嫡出子と非嫡出子の記載の仕方が違う、すなわち戸籍の記載を見ただけで非嫡出子であることがわかるということが問題だという御指摘でございますので、この違いをなくす方法として、我々としては、やはり実際の事務負担量を考えて、非嫡出子を嫡出子に合わせる方が妥当である、こういうぐあいに判断したわけでございます。

藤田(一)委員 パブリックコメントには、この表記の仕方、つまり生まれ順にするのかとかいうことについての意見も求めていらっしゃったんですよね。初めからそうであれば、そんなこと求めなければいいじゃないですか。初めからそういうふうなお考えでやられているんだったら、そして、十件以外はみんな、百二十五件が反対だということであったら、これはちょっと、パブリックコメント、意見募集をするということの根本にかかわる問題だと私は思うんですね。

 そういうことをやられている、お役所がやられるパブリックコメントというのはみんなこんなものなのか、幾ら意見を書いたって、その意見がたくさんあったって、いや、ちゃんと自分たちの考え方がこういうものなんだから、そのことを判決で指摘されているわけでもないんだから、これでいいんだなんという話でやられるのであれば、パブリックコメントなんてやらない方がいいというふうに私は思いますね。非常にそれは問題がある。

 この百二十五件、たった十件しか、半々だったとか、それならわかりますけれども、十件というこの少ない数字の中で、しかし、それはもう関係ないんだというふうにおっしゃってしまう、その姿勢は、私はちょっと、非常に納得しがたいものがございます。

 ほかに、それは、いろいろな実際に戸籍事務を扱う自治体の窓口の意見というようなものも入っていたんでしょうか。それとも、全く個人の方々からの意見だったんでしょうか。その辺はいかがですか。

房村政府参考人 これは、パブリックコメントの今申し上げた百五十八件は、電子メール、郵送またはファクシミリ等で寄せられた意見でございますが、そのほとんどは個人だと思います。

藤田(一)委員 それでは、そういった実際に戸籍事務を扱う自治体の意見ということについては求められなかったんでしょうか。

房村政府参考人 今回の改正を行うに当たりまして、各法務局に自治体の意見も踏まえて各問題点の指摘をしてもらうということで、意見を求めております。

藤田(一)委員 どういう問題点がそこでは上がってまいりましたんでしょうか。

房村政府参考人 これはさまざまな問題点があるわけですけれども、例えば、一番、心配としては、嫡出子と非嫡出子の記載が同一となった場合に、その記載から嫡出子か非嫡出子かを判断できないケースが発生するのではないかというような心配が出されたり、それから、非嫡出子の記載を長男・長女型にする場合に、その資料をどうするのか、こういう疑問であるとか、出生届の際に続柄確認のために前婚の有無などを確認する必要があり、市町村の負担が増加するのではないか、そのようなさまざまな具体的な今回の扱いの変更についての疑問であるとか、そのほか、こうしたいという意見とか、そういったものが寄せられております。

藤田(一)委員 今のそれぞれの疑問、意見というのは、心配の向きというのは、当然のことであろうというふうに思うんですね。

 今回、あえて長男・長女型、いわゆる生まれ順にしたということによって、非常に認定の仕方が複雑になるということだろうと思うんです。それはまさに窓口の皆さんが心配をしているとおりであって、同一戸籍に長男が二人できたり、年下の長男ができたりするんじゃないかなんという話もあるわけですけれども、婚内子は婚内子の出生順、婚外子は婚外子の出生順ということで判断をするということでよろしいんですか。

房村政府参考人 嫡出の子につきましては、同一の父母の間の子供について、その出生の順による。したがいまして、再婚をした場合には、嫡出子同士の間でも、長男が二人という事例も生ずるわけでございます。

 そういうことで、嫡出子については、その父母を共同にする間で出生の順による、非嫡出子については、母を基準といたしまして出生の順による、こういうことが順番でございます。

藤田(一)委員 要するに、婚内子の場合には父母との続柄で、婚外子の場合には母との続柄を基準として決定をする。

 ということになりますと、戸籍法十三条の四号では、「実父母の氏名及び実父母との続柄」ということを記載するようにしているわけですよね。当然、婚外子もこれに従って同じ記載をするわけです。しかも、父が認知をするというようなことになれば、実父がいることになるわけですよね。決定基準が異なってくる、これ自体、制度として非常に一貫性が欠けて、そういった意味では、新たな婚外子差別を生み出すということになるんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

房村政府参考人 現行の戸籍の扱いにおきましては、嫡出子につきましては父母と同じ戸籍に入る、こうしております。氏も父母と同じ氏を称して、父母と同じ戸籍に入る。非嫡出子につきましては、認知の有無にかかわらず、母の氏を称して母の戸籍に入るとされております。

 そのようなことから、戸籍の記載の続柄の基準といたしまして、非嫡出子については母を基準とし、嫡出子については父母を基準とする、こうしたものでございます。

藤田(一)委員 今の御説明、なかなか理解しがたいところがあるんですけれども。要するに、婚外子の責任はすべて母に押しつける、こういう感覚なんでしょうかね。

 要するに、今回、先ほど自治体の皆さんのところの心配ということで上がってきたように、母との続柄で判断をする、証明をする書類というものを添付する。非常に複雑になってきているわけですよ。大変なわけですね。

 このことだけとっても、申請者に非常に大きな負担をかけているというふうに思いますし、婚内子と婚外子に法的手続の相違が出てしまうということなんです。それは非常におかしいというふうに思いませんか。差別をなくしていく、つまり、表記を変えるということだけでは問題は解決しないわけであって、すべての取り扱い手続において同一にならなければならないということなんですよね。

 この戸籍の問題、表記の問題だけをとっても、同一の取り扱いが行われなければならないわけですけれども、法的手続においても相違が出てしまうというのが現実にこうして出てきているわけです。いかがですか。

房村政府参考人 嫡出子と非嫡出子の相続分の問題は先ほど申し上げたとおりでありますが、手続的に申し上げると、実父母が婚姻状態にあるのか、それとも、そういう婚姻状態にないのかということは、相続分の平等化とはまた別の問題でありまして、実父母が婚姻状態にある場合と、実父母が婚姻状態にない、そういう場合とで、手続にある程度の差が出てくるのは、これは事柄の性質上やむを得ないのではないか、それは別に差別という問題ではないだろうと思っております。

 先ほどから申し上げておりますように、戸籍の場合には、実父母が婚姻をしている嫡出子の場合には、同じ氏を称して同じ戸籍に入りますので、それを単位に数えるということになりますし、非嫡出子の場合には、母親の戸籍に入りますので、母親を基準とする。そういう差は出てきますが、それは別に差別ではなくて、両親の法律的状態が違うがゆえに手続が違ってくるというだけ、結果の記載については、少なくとも記載面からは差がない扱いにいたしているわけでございます。

藤田(一)委員 しかし、長男・長女型にするがゆえに、そういう非常に複雑な問題も出てきているということがあるんじゃないですか。要するに手続の問題、ちょっと伺いますけれども、市町村の戸籍窓口で判断できないようなケースというのは、これからいろいろ出てくるのであろうと思います。想定するケース、いろいろなケースが考えられるんじゃないでしょうか。これから、この書類が整っていないとか、これが不備だとかということを、いろいろ本人は求められるということがあるんじゃないでしょうか。そういうことは全くないとは言い切れないと思いますけれども、いかがですか。

房村政府参考人 今回の変更に当たりまして、当事者の負担を余り重いものにしたくないということで、例えば続柄の認定に当たりましても、申し出書に簡単な事実関係を記載して確認するという程度で、申し出人に過度な負担をかけることのないような配慮をしているところでございます。

 また、出生届ということであれば、母であれば、その子が何人目の子供であるかということは容易にわかっているわけでございますし、婚姻をしたかどうかということも御自分で十分わかっていることでございますので、その判断に迷うとか、そういうことはないのではないかと思っております。

藤田(一)委員 そんなに単純なんですかね。それだったら、市町村の戸籍の窓口の皆さんも余り心配する必要はないということになるんですよね。いろいろな御心配があるということは、いろいろなケースが想定されるということだと思いますけれども。

房村政府参考人 戸籍担当の方々、非常にまじめなものですから、すべての関係を書類できちんと確認をしないといけないのではないかということを心配されたわけです。そういうことになりますと、例えば、この子が何番目の子供であるかということを確認しようと思いますと、母親の過去の戸籍全部を取り寄せないとわからない、そこまでやると大変ではないか、そういうことで、いろいろな疑問が寄せられたわけであります。

 その点について、私どもとしては、基本的に、例えば出生届の場合であれば、自分の子供が何番目であるかということは母親が一番よくわかっているので、基本的に、その方に事実関係を言っていただければ、それ以上に詳細な過去の戸籍をすべて取り寄せて確認する、そこまでの必要はないということを申し上げて、申し出人に過度な負担をかけないようにということとしているわけでございます。

藤田(一)委員 今の御答弁、大変重要でございまして、そのことは確認してよろしいわけですね。

 今回の規則の改正については、やはり証明書の添付とかということを具体的にいろいろと出していらっしゃるんですよね。指示していらっしゃる。だからそういう問題が起きているわけでして、今の御答弁はそれで間違いないわけですね。本人の申し出を認めるんだということですね。

房村政府参考人 先ほど申し上げたように、原則として、申し出書に簡単な事実関係を記載して確認をする、こういうこととしております。

藤田(一)委員 では、それはしっかり確認をさせていただきたいと思いますし、ぜひ、そのことを各市町村の担当の方などにもきちっと周知徹底をしていただきたいと思います。そして、申請をされた方に余計な負担、苦痛というものを与えることのないように、ぜひ、取り扱いについては十分配慮をしていただきたい、こういうふうに思います。

 もう一つお尋ねをしたいと思いますけれども、今回のこの記載の訂正については、本人の、本人というか、申し出によるということになりますね。先ほど、婚外子約一・九%、二%以下だ、九八%は訂正する必要がないのであって、この二%を動かした方が早いんだ、こういうふうな御説明でありましたけれども、この二%、本人の申し出ということは、全員が申し出るとは限らないわけですよね。そうなってくれば、当然、いわゆる婚外子の続柄記載というものが戸籍に残ってしまうという問題があろうかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

房村政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、全体の量を考えた場合には、非嫡出子の記載を嫡出子に合わせるということが現実的であるということでこうしたわけでございますが、逆に、今度は、非嫡出子の記載を嫡出子と同じようにした場合に、長男であるのか二男であるのかということを判断しなければならない。

 これは、当事者から申し出ていただく場合には、事情をよく知っている方からの申し出でございますので、その申し出書に事実関係を簡単に記載していただいて、それで確認ができるということとなりますが、もし、職権でやろうとなりますと、先ほど申し上げたように、その関係者の過去の戸籍をすべて調査するということになります。これは作業量も相当ふえるということもありますし、また、そういう過去の戸籍を職権でこちらが調べることが果たして妥当かどうかという問題もあります。それと、やはり、まずは、違う戸籍で困るという方々からの要請でもございますので、申し出のあるものをまず直していくという形で今回の措置をしたものでございます。

藤田(一)委員 そういたしますと、やはり申し出をしなかった人の分は残るわけですね。それは、今回の戸籍の表記の改正の趣旨という意味、つまり、何度も言いますけれども、ただ記号を変えるということではないわけでして、これはやはり婚外子差別をなくしていくその第一歩、一つなわけですね。その観点からいえば、現実に残ってしまうということは差別がそのまま残るということじゃないですか。

房村政府参考人 先ほども申し上げましたように、職権で直すということになりますと、その方の過去の戸籍まですべて調査していかなければならない、そういうことが果たして妥当なのかどうかということもあるわけでございますし、差別の問題として、こういう記載を残したくないということであれば当然申し出をしていただけるのではないか、申し出があれば速やかにこちらは直すという体制は整えているわけでございます。

藤田(一)委員 やはり、すべて長男・長女型にするということでそういうことが起きてくるんですね。そのことをやはり御理解いただきたいというふうに思うんです。

 今回、パブリックコメントの中で百二十五件が反対だった。子という表記に統一すべきか、あるいは男・女型にすべきだという意見が多かったというのは、全部ここに由来するわけですよ。

 私はやはり、今回の判決がプライバシーの権利の侵害というふうに指定したわけですから、権利を侵害した方が是正をするというのが本来の姿であろうと思うんですね。侵害された側が申請をして訂正をする、そうすれば、申請するかしないかということはそれはもう御本人のという話になるわけですから、本人に負担させるということの考え方そのものがやはりおかしいんだと思うんですね。それが、あえて長男・長女型にするから、生まれ順を特定しなければいけないから、過去の戸籍にもさかのぼるようなことはできないとかという話になってくる。

 今回、この長男・長女型に表記を変えたというところに私はやはり大きな問題点を感じるわけですけれども、その点、もう一度いかがでしょうか。

房村政府参考人 続柄欄一般の問題としてどういう記載の仕方がいいのかという、それはそういう御議論はあり得るだろうと思います。

 ただ、先ほど来繰り返し申し上げておりますが、今回の問題は、非嫡出子と嫡出子との間で続柄欄の記載が異なっている、その差異を解消するということが今回の改正の主眼目でありまして、その場合の作業量を考えますと、嫡出子の続柄の記載を変えるというのは余りにも作業量が膨大になる、そういうことから非嫡出子の記載の仕方を嫡出子に合わせる、こうしたものでございます。

藤田(一)委員 なかなかその辺はかみ合わないというか、基本的な問題なのかなと。

 ただ、長男・長女型というのは、要するに、実務上の問題ではないという気がするんですね、この判断というのは。その点は多分おわかりになっていらっしゃるんではないかと思います。

 作業量が膨大だといっても、何か九八%、国民全部というふうに考えれば膨大かもしれませんけれども、それぞれ自治体ごとに管理をしているわけですから、そこはやりようはあるはずなんです。変えるということは、やる気さえあればそれはできる。しかも、半分は既にコンピューター化されているわけですから、簡単に変更ができる。そしてまた、そうじゃない部分についても、シールを張っていくとか方法はいろいろあるんですよ。そのことを検討していただくということがやはり大事なことなんだろうと思います。

 戸籍の父母との続柄欄というものが設けられたというのは、私、今回いろいろ資料を見ていましたら、一八九八年にさかのぼるということですね。当時は、家制度というものが大変頑強にあったわけですから、当然そのことは必要であったということも理解をするわけでありますけれども、そのことは一九四七年に既に廃止になっているわけです。家督相続の関係の序列の確認というものは必要なくなってしまっている。にもかかわらず、戸籍法改正のときにこの続柄欄というのが残ってしまった。

 いろいろ資料を見ていますと、その改正のときの議論で、これはもうなくしていいんじゃないかという議論があったという記載も出てまいります。にもかかわらず、残って、夫婦単位で記載をされるようになったというのが今日の経過でありますね。

 やはり、今続柄が持つ意味というのは、父母を同じくする兄弟姉妹の序列を確認する、そして婚内子、婚外子の区別をする、そして性別であるという、三つぐらいの要素をこの続柄というところに持たせてきた。しかし、兄弟の序列というのは生年月日を見ればわかることでありますし、それから婚内子、婚外子の区別というのも、一番冒頭におっしゃっていたように、身分事項欄を見ればこれもすぐわかるわけです。

 問題はもうなくなっているわけですね。にもかかわらず、ここにこだわって、繰り返しになりますけれども、長男・長女型にしたということ、パブリックコメントの大半も反対だというにもかかわらず、十件しか賛成がないのに長男・長女型に持っていったというこの判断、この判断がやはり私は非常に問題だというふうに思うんですね。

 せっかくここまで来ているわけですから、なぜ、もう一歩そこを変えようとしなかったのか。本人の申し出ですから、やはり残るんですよ。女・男表記というのが戸籍から消えるかといえば、消えませんよ、絶対に。わずか二%だとおっしゃるけれども、二%の人が全員本当に申請するかどうか。その方のところに訪ねていって、どうぞとおっしゃるわけじゃないじゃないですか。絶対残りますよ。それはやはり差別是正にはならないんです。

 もう一回、この長男・長女型ということについて、男・女表記に統一すれば事は簡単なんですよ。できるんですよ。やろうと思ったらできる話じゃないですか。何で男女別に生まれ順表記にするのかというその合理性、私は絶対にないというふうに思いますけれども、もう一度お答えいただきたいと思います。

房村政府参考人 先ほども申し上げましたように、続柄欄の記載の仕方そのものについては、当然いろいろなお考えもあり得るところだと思っています。したがいまして、続柄欄の記載として、男・女の記載が絶対不可能だと申し上げているわけではございません。

 ただ、何度も申し上げますが、今回の問題は、嫡出子と非嫡出子の続柄の記載が差がある、そのことによって非嫡出子の人たちが戸籍の記載で明らかにわかるということから差別を受けやすいんだ、こういう指摘を受けて、私どもとして表記について同一のものにするということを考えたわけであります。

 理論的には、非嫡出子の記載の方に嫡出子を合わせるということももちろんあり得るわけですが、その点は、先ほど来何度も申し上げておりますが、絶対的な作業量の差があるわけでございますので、やはり行政を扱う者として、その作業量というのは最終的には税金の形で国民の負担になるわけですから、それは作業量のより少ない方で同一の目的が達するのであればそちらを選ぶということは合理的だ、こう考えて非嫡出子の方の記載の仕方を嫡出子に合わせる、こうしたものでございます。

藤田(一)委員 いやいや、税金の話まで持ち出されるというのは大変問題だと私は逆に思いますね。差をなくすことが指摘をされて、差別をなくす、差をなくすということでやられたということですね。何度もおっしゃっていらっしゃいますね。ということでも、差はなくならないじゃないですか。本当に差が一〇〇%なくなりますか。さっきから言っているように、戸籍の表記が全部同じになりますか、長男・長女型に全部一〇〇%なるというふうに断言できますか。

房村政府参考人 何度も申し上げますが、記載の仕方によって差別を受けるという御指摘を受けて、直すような体制を整えているわけでございますので、その関係の方から申し出があれば、その記載を訂正していくということになっております。

藤田(一)委員 なかなか水かけ論のような話になって申しわけないんですけれども、冒頭に私が、婚外子差別そのものをなくすというか、差別解消をしていくということに踏み込んでいただきたいというお尋ねをしたときに、婚姻制度のあり方とか家族観であるとかという御答弁がありましたけれども、まさに、この表記の問題もそこに私は由来していくんではないかな、起因していくんではないかなというふうな感じを持っています。

 現行戸籍の続柄が持つ意味について、今回はいろいろな判断の中でというか、便宜的にと言うと変ですけれども、長男・長女型にされたわけですけれども、本来であれば、やはり続柄が持つ意味についてきちっと検討をしていくということが、私は法務省に求められていたのではないかというふうに思うんですね。それは、今回のこの婚外子の取り扱いの問題だけではなくて、先日から性同一性障害の方の問題、変更審判を受けた人の続柄記載を変更するときに、単独の戸籍をつくるという形になりましたですよね。これも非常におかしな話なんですね。非常に無理をしているという部分がやはりあると思うんです。

 この続柄が持っている意味によって非常に無理が出ているところがあるのではないか。やはり、続柄記載欄の持っている意味というもの、存在の持つ意義というものをもう一度見直すということを私はぜひ改めてきちっと検討をしていただきたい、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

房村政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、今回とりました措置は、嫡出子と非嫡出子の差異をなくす、そういう目的のためにとっているものでございまして、続柄欄の記載の仕方が基本的に全体としてどうあるべきかというのはまた別の問題だろうと思っています。

藤田(一)委員 ですから、別の問題だとおっしゃって、このことを契機にその別の問題についてもやはり検討をしなければ問題が残るということを私は先ほどから指摘しているんですね。そのことは御理解いただけるんではないかというふうに思うんです。

 見解が違うということはあったとしても、問題が残って、やはり続柄が持っている存在意義というか意味というものが変わってきているわけですから、変わってきている状態に合わせていくということが求められているのではないかということを私は申し上げているんです。ぜひ、その辺をもう一度、本当に検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

房村政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、続柄欄の記載そのものについていろいろな御意見があることは私どもも承知しておりますし、今後の戸籍のあり方について、当然そういう意見も踏まえて適切な戸籍の運営に努めていきたい、こう思っております。

藤田(一)委員 今回、長男・長女型ではなくて女とか男とかという記載になっていればもう少し事はわかりやすいことであったというふうに思いますし、あるいは、申し出制ということではなくて、きちっと全部を是正していくという形で事が進められれば、もうちょっとすっきりした形でこの戸籍の表記の改正というものも歓迎されたということであろうと思うんです。

 今回のこの裁判を起こされていた原告の皆さんにしても、やはり、今回のこの表記の是正をするということ自体は評価はしても、その中身については大変失望しているということが、これは新聞報道でもずっと報道されているとおりであります。その点はしっかりと踏まえていただきたい。既にいろいろな専門家の方々であるとか学者の方々からもその点は指摘をされているとおりだろうと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 特に、今、事実婚であるとかシングルマザーであるとかということも定着をしてきています。結婚観であるとか社会状況というものも多様化してきて、婚外子という存在そのものがそんなに例外的な存在ではなくなっているんですね。そのことをやはり踏まえた上で対応していただく。要するに、続柄になっているのでなかなかそこの役割が難しくなってくるわけですから、むしろ性別欄に変えてしまうとか、そんなふうに検討していった方がはるかにいいのではないかというふうに私は思います。

 せっかくの改正が必ずしも改正にならないという、是正時の混乱だとか、あるいは家制度に根差した古い考え方に沿った、長男だとか長女だとかということが残ってしまうということは、今いろいろな少子化の中で本当に家族が力を合わせていく、こういう時代に、逆に長男だ長女だということを強調するような話にもなってしまうのではないかな。一番初めに申し上げましたように、男女共同参画社会の実現という観点からいっても、それは私は趣旨に反することではないかなというふうに思っています。

 そういうことをぜひ踏まえていただいて、改めて、この続柄を見直すということについて、現実に作業を進めていかれる過程の中でいろいろな問題が多分出てくるだろうというふうに思います。あるいは、一年ぐらいたって、どのぐらいの方が申請をされたのかということも当然把握をすることができるだろうと思います。そういった、この表記の改正後のいろいろな動きというものをしっかりとつかんで、実態を把握していただいて、いろいろな角度から見直しをしていただきたいというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。

房村政府参考人 今回のとりました措置につきましては、今後も、その状況を見ながら、さらに対応が必要であれば適切に対応していきたい、こう思っております。

藤田(一)委員 対応が必要であればではなくて、ぜひ、実態を把握していただいて、きちっと対応をしていただくということを強く要望して、この質問については終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

 もう一点通告をしておりましたので、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 林田副大臣には冒頭から御出席をいただきましてありがとうございました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私は、国家公務員における女性の登用ということについてきょうはお尋ねをしたいというふうに思っております。

 ぜひ副大臣に御感想を伺いたいと思っているんですけれども、先日、内閣府の男女共同参画局が発表いたしました「女性の政策・方針決定参画状況調べ」というものがございました。

 私は、それを見ておりまして、大変驚いたわけでございます。何に驚いたかと申しますと、その中に、「行政への女性の参画」という項がございまして、二〇〇三年一月十五日現在、国家公務員の女性管理職比率が一・三%ということが記載をされていたわけでございます。これは余りにも低過ぎる数字ではないかなというふうに思ったわけでございますけれども、副大臣はどんな御感想をお持ちでございましょうか。

林田副大臣 一言で言えば、少な過ぎるという感想でございますけれども、それでは答弁にならないと思いますので。

 まず、国家公務員に占める女性そのものの数が少しずつ上がってきておりますけれども、十四年現在で一七・四%ぐらいまでになっているというふうにたしか伺っております。

 そういう中で、平成十二年、話題になっております男女共同参画基本計画が、いわゆる各省庁が総合的に計画的に取り組むということでなされたわけでございまして、女性国家公務員の採用、登用の促進に政府全体として取り組んできたところという表現にはなっておりますけれども、現在、今おっしゃいましたように、我が国の国家公務員の管理職割合、管理職というのが聞きますとこれは九等級以上ということでございますので、恐らく入所後十五、六年以上かかるのではなかろうかと思います。そういう中で、今おっしゃいましたように、我が国では一・三%。

 ちなみに、アメリカがよく比較されますけれども、アメリカでは国家公務員に占める割合が二三・一%というふうになっております。しかし、これはすべて社会全体で、日本も、国家公務員は一・三%ですけれども、大体一割弱と言われていますので、数字で見ますとこれが九・七%。逆に、アメリカは四五・九%、約半分近く、もう既に社会の中で女性の占める管理職というのはそこまで高まってきておるということでございます。

 このため、政府は、実はこれは昨年六月に閣議決定したんですけれども、二〇二〇年までに、社会のあらゆる分野において、指導的地位に女性が占める割合を少なくとも三〇%という目標で、ことし四月に、内閣総理大臣を本部長として、全閣僚で、男女共同参画推進本部を設けまして、そして今おっしゃいました女性国家公務員の採用、登用の拡大について決定したところでございますので、これには内閣府としても率先垂範して取り組んでまいりたいというふうに思っております。

藤田(一)委員 御決意が最後出てまいりましたけれども、私は、この一・三%という数字を見た後に、その後いろいろ資料を見ておりましたら、一九八五年当時は〇・五%だったんですね。それから十年たった一九九五年でやっと一・〇%。〇・五ポイントしかそこで上がっていないんです。十年間で〇・五ポイント。

 しかも、この十年間というのは、非常にいわゆるその当時の女性問題解決にとって大変大きな動きのあった十年間なんです。

 副大臣も御承知であろうというふうに思いますけれども、八五年は国連女性の十年の最終年であります。ナイロビで第三回の世界女性会議も開催されまして、私も参加をいたしましたけれども、ナイロビ将来戦略というものが採択をされた。そして、日本もやっとこのときに女子差別撤廃条約を批准したんですね。参加から参画へ大きく動いていったときでありまして、政府もあらゆる分野への女性の参画を呼びかけて、そして九九年には基本法の制定に至ったということなんです。

 こうした動きを受けて、民間でもハッパをかけられて一生懸命努力をした。民間を単純に比較すると、これはなかなか難しいんですけれども、数字だけで見ては意味がないんですけれども、それでもこの一・三%というのは、民間の部長相当職というふうにして出されている数、一・八%よりも低いというわけです。地方公務員、自治体においても、政令指定都市では平均で六・四%、都道府県でも四・九%。これは全部、この間のいろいろな行動計画の中で、女性の参画ということをそれぞれみんな努力をしようということでやってきた結果なんですね。

 ところが、肝心の国が二〇〇三年で一・三%、基本法が制定されて基本計画が策定をされてきたにもかかわらず一・三ということは、これはちょっときつい言い方になりますけれども、私は、計画的な取り組みというものを何もしてこなかったということではないかというふうに思うんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。

林田副大臣 今おっしゃいましたような数字は現実の数字だと思いますけれども、そういうことで、我々政府といたしましても、先ほど申し上げましたように、二〇二〇年度までに三〇%を何とか実現したいということで、具体的には、先ほど申しました全閣僚が参画した推進本部でもってこういうことをやっております。

 まず、採用そのものをふやそうじゃないか。そのためには、やはり、女性のための、どういう業務内容ですよという説明会を開くとかいうことですね。したがいまして、二十二年、先ほど言いましたように、一種事務系区分、これは行政、法律、経済に該当するそうでございますけれども、これを、何遍も言っていますように、三〇%確保したいということでございます。

 それから、採用したら、それを、先ほど言いましたように、管理職になるまでには年月が必要でございますので、登用をいかにしていくかということもこれは非常に大事な問題だと思います。

 従来であればなかなか女性がつきにくかった職域といいますか、そういう分野にいかに登用していくかという方策もあろうかと思いますし、どうしても、その間には、それぞれ人生、結婚等があろうかと思いますので、いわゆる勤務環境の改善、こういうものになってきますと、育児、介護とか、あるいは超勤の縮減と申しますか、そういう対応も、いずれにしましても職場環境がよくないことにはこれは実現不可能だと思います。

 そういうことを考えておりまして、ただ、考えているだけではこれは物ができ上がりませんので、今きつい御指摘ございましたように、これらを毎年一回実施状況をフォローアップして、そしてその結果を公表するという体制で臨んでいるところでございます。

 したがいまして、内閣府としては、政府全体の旗振り役としてこれらを積極的に取り組んでおりますし、平成十七年度、来年度、予定でございますけれども、今言いました、いわゆる一種採用に占める割合は三三%となっておりますので、あと十数年かかるかのなと思いながらも、この三〇%をぜひ達成したいという思いでございます。

 したがいまして、これを実現するためには、単純に今内閣府として表現しましたけれども、これはやはり政府全体として取り組む必要がございますものですから、内閣官房、総務省、人事院、関係機関とも連携をとりまして、推進本部決定等の着実な推進に努めるとともに、引き続き女性職員の採用、登用に率先して取り組んでまいりたいと思っております。

藤田(一)委員 具体的な御決意と方向性もお答えをいただいたんですけれども、私は別に揚げ足をとったり重箱の隅をつつくようなことをするつもりは全然ないんですけれども、そういう形で今後計画的に進めていくということをおやりになろうとしているのであれば、少し、この間の実態についてもきちっと見ておかなければやはりいけないんではないかというふうに思います。

 そういう観点で少しお尋ねをしてみたいというふうに思うんですけれども、平成十三年の五月に人事院が女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針というのを策定して、それを踏まえて各省庁が女性職員の採用・登用拡大計画というものをつくって取り組んでいるということが、これは男女共同参画局の資料にちゃんと記載をされているんですね。大変立派な、すばらしい冊子ができておりますけれども、この中にそういうことが書かれているわけであります。

 書かれているんですけれども、二〇〇一年から二〇〇三年といえば、まだわずか、そこには二年足らずの、二年、三年しかないわけですから、一気に効果が上がるというふうには私も思いませんけれども、しかし、そういうことをやっていながら、二〇〇三年一月十五日の人事院のデータを見ますと、女性管理職比率が一番高いのが外務省で三・四%、次が厚労省と公正取引委員会、三・二%と出てくるんですね。内閣府、一・八%です。何と、ゼロのところが七つあるんですね、七つ。七つもゼロのところがあるわけです。人事院の指針あるいはそれを受けて各省庁がいろいろ計画を立てられたということなんですけれども、一体それはどんな計画だったんだろうか、どうやってそのことを実行させようとしたんだろうか。どうも私は、あえてここにちゃんと書いて、やっていますよというふうにおっしゃるものですから、余計気になるわけでございまして、ぜひ、その辺、お聞かせをいただきたいと思います。

土肥原政府参考人 政府の取り組みについてでございますけれども、先生御指摘のように、ナイロビの将来戦略を受けまして、これは一九九〇年でございますが、国連の経済社会理事会におきましてナイロビ将来戦略勧告が採択されまして、一九九五年までに指導的地位につく女性の割合を少なくとも三〇%までふやすこととされたところでございます。

 こういったものを踏まえまして、我が国におきましても、平成三年、一九九一年でございますけれども、西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画第一次改定、それから平成八年、一九九六年でございますが、男女共同参画二〇〇〇年プラン、こういったものを策定いたしまして、女性国家公務員の採用、登用等の推進、促進を図ってきたところでございます。

 しかしながら、先生御指摘のように、確かに国家公務員の女性管理職割合が国際的に見ましても低い水準にとどまっておりますことから、これは現行の基本計画でございますが、平成十二年、二〇〇〇年に策定されました男女共同参画基本計画を踏まえまして、これも先生御指摘の、平成十三年に人事院におきまして女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針が作成されたところでございます。

 この指針は、基本的な考え方といたしまして、政策決定過程への参画の推進は、男女共同参画社会の実現の基盤をなすものでありまして、国は女性国家公務員の採用、登用の拡大に率先して取り組む必要があるというようなことで、各府省、二〇〇五年度までに目標達成に向けての具体的取り組み等を定めるというような内容でございますが、各府省におきましては、この指針を踏まえた女性職員の採用、登用の拡大に関する計画的な取り組みが進められているところでございます。

 そういったこともございまして、国家公務員一種職員の採用者に占める女性の割合が、十六年度でございますが、二割近くに達するなど、採用の拡大については着実な進展が見られるところではございます。

藤田(一)委員 確かに、新規採用の方については、たしか二〇一〇年ですか、に向けての目標も設定されているようですし、既にその目標に向けては動かれているということは十分私も承知をしておりますけれども、先ほど副大臣もおっしゃったように、その層が上がっていくのを待つとまた随分の時間がかかってしまいますから、そこは、いろいろな実際の登用割合をふやすための具体的な数値目標であるとか方法であるとかということを検討していただかないと、なかなかクリアできないんではないかなと思います。今の状態でいえば、やはり二〇二〇年までに三〇%というのはちょっときついんではないかな、実態とのギャップというのが余りにも大きいわけです。

 先ほど副大臣の方から、登用するためにクリアしなければいけない問題があって、それも検討していくということもおっしゃっていただいています。そういうことをしっかり把握していただいて、働き方であるとか職場環境ということも見直していただいて、やはりモデルを示していただく。

 一番大事なことは、先ほど私が全然何もやってきていないに等しいんじゃないかと申し上げたように、計画的に目標をきちっと定めて進めるということがないとやはりだめだということでございます。一年ごとに公表していくというお話もありましたので、ぜひ、その辺をきちっと、計画倒れに終わらないように取り組んでいただきたいというふうに思います。

 既に基本計画の見直し作業にも入っているわけでありまして、その点は非常に大事で、やはり、国がどういう姿勢を示すかということを周りは見ているわけですから、国の姿勢がもたもたしていれば、まあ、その程度でいいのかなということになってしまいます。ぜひ、率先垂範していただきたい。

 お隣の韓国では、なかなか韓国というのも、非常に男尊女卑の世界があると昔から言われていたような国でありますけれども、今は随分大きく変わって、政治参加あるいは政策決定過程への参加が進んでいます。日本よりはるかに進んでいます。それはやはり制度をつくっていっているんですね。そのためのきちっとした制度、仕組みをつくって実践をされているということでありまして、よその国で、北欧の例を見るまでもなく、やろうと思えばできるわけですので、ぜひ、そのことをしっかりと取り組んでいただきたい、このことを強くお願い申し上げまして、また、次の機会にいろいろとお尋ねをしてまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。

松下委員長 次に、宇佐美登君。

宇佐美委員 官房長官、お疲れさまでございます。

 官房長官、おうちを持っていらっしゃいますよね。家の中にだれか入ってきたら出ていけと言いませんか。

細田国務大臣 当然、申します。

宇佐美委員 それも何日か前から家の周りをうろうろしているんですよ。家の庭を横切って歩いていく。三時間も自分のうちの周り、自分のうちの中ですよ、歩いていったら、それは家を持っている方だけじゃなくて、その家族の人たちも含めて、どうなっているんだろうと心配になるのは当たり前ですよね。

 今回、今、国が不明だと言っている潜水艦の話、この一両日、各委員会でも議論があったかと思いますけれども、まさに国家、国境、国民、こういったものが家族、家、そして家と家の境というふうに考えたときに、家の中に無断で、それも地下を通りながら、見えないかもしれないと。でも、その前からその家族の人たちはわかっていた。

 そういった状況の中で、今回の潜水艦の問題というのは、本当に、国として、政府として、また、我々議会人は国民の代表として、真正面から徹底的な真相の究明と対応が必要だというふうに思っております。

 そんな中で質問をさせていただきたいと思います。

 今回の潜水艦のことを時系列に少しわかりやすく御説明いただきたいと思います。

大古政府参考人 お答えさせていただきます。

 十一月十日の早朝から国籍不明の潜水艦が先島諸島周辺海域の我が国領海内を潜水航行しているのを海上自衛隊の対潜哨戒機が確認いたしました。その後、いろいろ関係省庁と種々の調整を経て、最終的には防衛庁長官から内閣総理大臣に要請いたしまして、八時四十五分に海上警備行動が発令されたという経緯がございます。領海侵犯したのは二時間弱でございますけれども、その詳しい時間については、事柄の性格上、差し控えたいと思っております。

宇佐美委員 今の局長の答弁の中で、防衛庁がきのう出したペーパーと同じように、早朝から、十一月十日早朝から国籍不明の潜水艦がと言っているんですけれども、その後、八時四十五分に内閣総理大臣の承認を得てというところで、これは時刻がはっきりしているんですけれども、これは早朝というのは何時のことを言っているんですか。新聞報道ではいろいろな報道をされています。大体何時なのか。時刻を追って、数字で今の時系列のものをもう一度おっしゃってください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 早朝というのは朝早いということで申し上げておりますけれども、早朝に我が国の領海を潜水艦が潜没したまま侵犯しているということを発見いたしました。その時間については、先ほど申しましたように、潜水艦探知という非常に機微なオペレーションの関係の問題でもございますので、具体的な時間については答弁を差し控えたいと思います。

宇佐美委員 官房長官、官房長官も何時なのかというのはわからないんですか。わかっているんだったら答えてください。

細田国務大臣 やはり早朝からということで、当然ながら、職務上、やや詳細に報告は受けておりますが、ここで詳細な時刻を申し上げることは控えたいと思っております。

宇佐美委員 といって、一方で、新聞では五時四十分ごろ領海侵入があってというように、漏れているんですよ、官房長官。だったら、どこの報道でも早朝なんですよ。それが各マスコミでは、大体五時四十分ごろとか五時五十分ごろ、微妙なずれはあったとしても、数字で流れているものを、国民の代表である我々議員に対してそれは言えませんというのは話が通じませんよ。官房長官、もう一度答弁をお願いします。

細田国務大臣 マスコミの方からさまざまな推測等によって記事が出たことは承知しております。しかしながら、ほとんどの記事や放送で、三時間以上領海を通過したというような報道もありましたね。これは事実に反するわけでございますので、したがって、そういうことも考えますと、大体このぐらいだろう、八時何分だから五時ごろからだろうというような推測が大分出たと思いますが、相当違った面もございます。しかしながら、私どもとして、何時何分から何時何分までということは、我々のいわば防衛能力等との問題もございますので、そこは公表を差し控えているわけでございます。

宇佐美委員 今、官房長官は大切なことをおっしゃいましたよ。防衛問題、防衛能力の問題という、問題というのはプロブレムというだけではなくて、いわゆるそういった能力を問われるという意味でおっしゃったんだとよく理解したとしても、何時ごろかという話ですよ。何時何分何秒まで言えなんて私は申し上げていません。大体、何時ごろか。

 つまり、官房長官、先ほど冒頭申し上げたように、御自宅にだれかが入ってきましたというときに、それは時計なんか見ている暇はないかもしれませんよ。でも、防衛庁の仕事上、何時何分にそれを発見した、何時何分何秒まで、北緯何々とか、そういうところが出てきているはずなんですね。それを大体でいいから、早朝という言葉では大体過ぎるんですよ、大まか過ぎる。

 もう少し時間をちゃんとはっきりと言っていただかないと、その中で皆さん方が例えば、おっしゃったように、領海内から出た後に海上警備行動、いわゆる海警行動の発令に至っているとしているわけでありますから、それが大体何時から何時までいて、どういった形で判断をしたのかというのはまさに危機管理体制。

 この危機管理体制というのは、官房長官は当日の記者会見の中で、久しぶりなのでマニュアルどおり進まなかったというような趣旨の発言をしていますけれども、こんなのは許されない話なんですよ。それも、何日か前からこの潜水艦が近くにいたというようなことがあったはずなんです。にもかかわらず、久しぶりなのでと。その一日、二日の間に準備は万全に尽くしていたはずですよ。官房長官、いかがですか。

細田国務大臣 会見におけるその発言は、与党の連絡が記者会見の後になった、与党の幹部の皆さん方が非常にお怒りだということだが、どういうことかということについて、与党の連絡マニュアルをそのとおり実行していなかったということを申し上げたわけでございます。

 したがって、危機対応という、追尾とかあるいは海上警備行動の発令とか、そういう点では特に問題はないと承知しております。

宇佐美委員 危機管理というときに、情報管理というのも当然入ってきます。与党の議員、野党の議員を問わず、国会議員というのは選挙を通して国民の皆さんから選ばれた人間であり、いわば国民であります。先ほどで申し上げれば、家でとらえれば家族です。そして、家族の代表で来ている方々なわけですから、それが、危機管理という意味では問題がないというのではなくて、与野党を問わず、国会に対して適切なスピードで報告をするのは当たり前だと思います。

 それが、与党の幹部の方が怒っていたかどうかは別にして、報告がしっかり行かないということも、やはり国民に対して、つまり家族に対して、その情報を、つまり、そこは何が問題かというと、戦略的におくらせたのかということなんです。戦略的ではなくて、先ほどから御自身でも言われているように、久しぶりなのでマニュアルどおりいかなかったと。与党の皆さん、どうですか。全然連絡が来なかったでしょう。

 この久しぶりなので何々できなかったということが、情報管理も含めて危機管理という中でやはり問題があるというのを認めるべきだと思います。いかがですか。

細田国務大臣 連絡マニュアルのとおりいかなかったことは事実でございます。私は与党の皆様方にもその点は謝っておるわけでございますけれども、私どもとしては、海上警備行動を八時四十五分に発令し、最も早い会見において、その事実を国民の皆様方に向けて発表したわけでございます。

宇佐美委員 最も早い記者会見というのがまた問題になってきますね。発令をしたのが、先ほどの答弁のように八時四十五分ですね。それで、記者会見で発表されたのが、それから約二時間を経ているわけでございます。

 こういったときに、いかがでしょうか、結果として発令から二時間以上経過しているということは、今、官房長官は午前、午後と記者会見をされているわけですけれども、発生時間によってはもっと時間がかかることも考えられますね。例えば夜中に海警発令をされたとして、次の記者会見まで待つということなのか。もっと速やかに公表すべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。

細田国務大臣 事柄の内容その他、十分検討した上で、そういったことをいつ発表するかということはそれぞれ検討しております。さまざまな危機管理の問題が発生したときに、その対応に応じてしっかりと国民の皆様方にもそれを公表していくということが大切であると思っております。

宇佐美委員 今後、時間によっては定例記者会見ではなくて速やかに公表するということを明言してください。

細田国務大臣 今回の全体の事柄については十分、まだ進行中でございますけれども、かつ追尾中でございますけれども、全体的によくレビューをして、より適切な対応をとってまいりたいと思っております。

宇佐美委員 今も、この前の発言と同じように、対応と公表が遅かったのか総合的にレビューする、今も総合的にレビューすると言われておりますけれども、確かにまだ追尾の最中、この件は、ある意味ずっと続いている話であります。

 しかしながら、そのレビューというのは、では追尾をやめた時点から何時間以内にやるとか、そういったものの話があるはずなんですね。そうしないと、いつまでたってもレビューはされないというようなことになりますから、官房長官、めどを言ってください。

細田国務大臣 具体的にいつまでということは申し上げられませんけれども、一連のこの問題について、この潜水艦追尾というものもいつまでもやっておるわけではございませんので、さまざまな判断もこれから出てくるかと思います。そういったことが終了して、そして、全体的にこの問題について、どのように今後対応するのかということをよく検討していきたいと思います。

宇佐美委員 できる限り早くレビューをするということで理解をいたしますが、今回、官房長官は、報道によると、六時半に第一報が入ったという、これは渡辺周議員に対して防衛庁長官の答弁が、防衛庁長官が八時前ということでございますね。それで、総理に八時ごろに伝えられたということでありますが、伝えられるようにこれは八日から追跡したというならば、連絡がやはり遅くないかと通常思いますよね。

 先ほど申し上げたように、家の周りをうろうろしていて、家の中に入ってきたら、即座に出ていけと言うのは当たり前のことです。そして、それがだれかわからなかったら、おまえはだれだ、国旗を示せと言うのも私は当たり前のことだと思うんですね。

 そういった中で、かねて追跡していたのに事実確認、情報分析に多くの時間がかかっているとしたらば、今回の対応、つまり、能力そして体制に問題がある。そうではなくて、各省折衝に時間がかかっていたとするならば、どこの省庁、だれがどういった形でこの毅然とした対応に難色を示したか。ここが非常に大事だと思います。官房長官の御見解をお願いします。

細田国務大臣 そういった支障があってそうなったというわけではございません。十分、海中を潜航して動く潜水艦、そしてそれをP3C初め、時間とともに交代をしながら追尾するという非常に難しい行動、そしてそれの連絡、そういったことを絶えずフィードバックしながら判断を決めていくわけでございますから、技術的にもなかなか難しい側面もあったことは事実のようでございます。

 しかしながら、私どもとしては、非常に早期の体制でこれを、もちろん確認をしておったわけでございますが、対応したと考えております。

宇佐美委員 今回は、この潜水艦のコース、例えば領海をちょっとかすってまた出ていったという話ではないですよね。島と島の間、それも両方とももちろん日本の所有している島と島の間をコースとして行ったというふうに報道されておりますけれども、そのコースはいかがでしょうか。

大古政府参考人 領海侵犯につきましては、先島諸島の周辺海域で起きまして、南側から北に突き抜く形で約二時間弱行われました。

 ただ、具体的にどの島ということについては、先ほどから申し上げていますように、潜水艦探知にかかわる機微の話なので、具体的にお話しするのは差し控えたいと思います。

宇佐美委員 とすると、局長、続けて質問させていただきますけれども、今、南から北に抜けていったという話ですから、東側にも西側にも日本の国土としての島があるのか、そして、そこに日本国民の方が住んでいる島なのかどうか、ここまで答えられると思います。お願いします。

大古政府参考人 お答えいたします。

 先島諸島、いろいろ無人島もございますし、宮古島とか人口のあるところもございますけれども、その点も含めてちょっとお答えを差し控えたいと思います。

宇佐美委員 今、宮古島というのを意図的に言ったのかどうかわかりませんけれども、宮古島の近海、西側を行ったのではないかと言われて、その南側、南西に当たるところには石垣島もあるわけであります。

 とすると、先ほどの、いつも家族の話に戻しますけれども、細田官房長官も大きいおうちでしょう、きっと。離れがありました。離れと離れにあなたの家族が住んでいます。その間を通り抜けているんですよ。潜水艦だから、家の中にいたら、官房長官のうちは池もあるかもしれませんから、わからないですけれども、その庭をぐじゅぐじゅ行っている。大体わかっている。なぜなら、その前からその家の近くを何かぐじゅぐじゅ動いているやつがいるとしたときに、やはり今回の海警発令は、それから、出てからやっているわけですよ。これはいかんとも遅いというふうに、自分の、御自身の御家庭、御家族の中で考えたときに、思うと私は考えるんですけれども、官房長官いかがですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 八時四十五分に海上警備行動が発令された時点では、当該潜水艦については領海外にあったことは事実でございます。ただ、いろいろ複雑な動きを見せている中で、再侵犯のおそれもございましたし、あと、国籍の確認等も必要ということもございました。そういうことで、今も警戒監視を続けているところでございます。

宇佐美委員 局長、もう一度、何と何の確認のためにその時間になったとおっしゃいましたか。一つは国籍とおっしゃいましたが、もう一つ、その前に何とおっしゃいましたか。

松下委員長 大古運用局長、明確に。

大古政府参考人 再び領海を再侵犯する可能性があるということでお答えいたしました。

宇佐美委員 再び、再侵犯は再びに決まっているんですけれども、侵犯をする可能性と国籍。いまだに国籍はわからないんでしょう。では、国籍がわかるまでやらないという方針だったんですか。そんなことは決してないと思います。

 家にだれかが入ってきたら、官房長官が最初に言ったように、まず出ていけと言うんですよ。日本語がわかるかどうか、わからなくても出ていけと言うんですよ。それがもしかしたら通じないかもしれなくても、まず、出ていけ、だれだ、おまえと言うのがごく一般的な話ですよ。何でそれをすぐにできないのか。それも、繰り返し申し上げますけれども、何日か前からわかっていたわけですよ、近くにいると。そうしたら、中に入ってきたときにはどうしようと即座に決めているのが当たり前。これを危機管理体制というんですよ。

 慎重にというときに、何を慎重に対処するのか。まずは、日本国民の安全を守るというのを一番最初に考えるべきじゃないですか。その上で、出ていけと言ったら、ごめんなさい、間違えましたということは、今回は自分たちの領海内なんですから、あり得ないんですよ。もしも、それが日本の船だった、よくわからない船、あり得るのかあり得ないのかもわからないけれども、それでも、それをすぐに、出ていけ、おまえはだれだと問い詰めるのが仕事じゃありませんか。何で、出ていってから、おまえ、だれだとか、そういう話になるんですか。全く考えられない。

 恐らく、というか間違いなく、関係の皆さんは、当日もしくはその前の情報から、ほぼ一睡もできないような状態で今も御努力をされていることには心から敬意を表します。しかしながら、事一億二千万人の国民の生命財産がかかっているこの問題ですから、私はどうしても厳しく追及せざるを得ない。もっと早く発令をすべきだと思いますけれども、官房長官、いかがですか。

細田国務大臣 そういうお考えもあると思いますし、今回のことについてはよくレビューをいたしてまいりたいと思っております。

 潜水艦が海面下を走っておるということで、今住宅との関係で言われましたけれども、もし海面上に出て旗を出して通るのは、領海でも、これは無害通航権でそれはいいのでございます。したがって、家の場合は、どんな人でも旗を立てて通ったからといって、これはいけないんです、住居侵入でございます。潜っておるのは、これはいけない、そして、それは指示ができる。こういうことで多少ニュアンスの違いはありますが、いずれにしても、これはけしからぬことでありますから、早期に対応すべきでございますし、よく今後ともレビューをしてまいりたいと思っております。

宇佐美委員 しかしながら、今、家の例えとの違いをおっしゃいましたけれども、もうこの数年前に、北朝鮮と思われる船が日本海側で怪しい行動をして、そのときに初めて海警発令をしているわけですよ。そのときだって、別に国旗を、例えばあれはたしか漁船を装っていたと理解しておりますけれども、本当にそうなのかというのを問いただすのは当たり前の話ですよ。

 今回の問題でいえば、もうこれ以上言いませんけれども、潜っていたとはいえ、何日か前から追尾していたわけですよ。にもかかわらず発令がおくれたということ。慎重に対処して、おくれたんじゃない、この時間なんだ、これがベストな時間なんだと私はやはり言い切れないと思いますよ、なぜなら、領海から出ていっているんですから。

 再侵犯する可能性もあるから発令できなかったというのはどういうことですか。再侵犯したらもう一回発令するんですか。では、前の二時間弱というのはどうでもよかったんですか。そんなわけはないですよね。入ってきた時点で、出ていけ、おまえはだれだと言うのが当たり前だと私は思いますが、局長、いかがでしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 まず、潜水艦の探知につきましては、相手方が自分の位置を秘匿するために潜っておりまして、探知自体に技術的にも一定の確認の時間が必要でございます。それから、領海につきましても、確実に領海内に入ったかどうか、この点についても一定の時間が必要でございます。それから、海上保安庁で対応できないということに制度上なっていますので、その確認も必要でございます。

 それから、潜水艦が領海を潜没して航行しただけでは直ちに自衛隊の海上警備行動になるわけではなくて、治安の維持上必要がある場合ということになっております。

 そういうことを総合的に連絡調整も行いまして、必要な手順を踏んだ上で、八時四十五分に海上警備行動が発令されたという経緯がございます。

宇佐美委員 また、大事なことをおっしゃいました。つまり、治安維持上必要かどうかという判断があったと。ということは、この船は攻めてくる可能性がないというふうに理解したんですか。でなかったら、即座に、平成八年十二月二十四日の閣議決定で、「防衛庁は、我が国の領海及び内水で潜没航行する外国潜水艦を発見次第速やかに外務省及び海上保安庁にこの旨を通報し、」速やかに通報ですよ。私どもの考えるのに、速やかにというのは、目の前を通っていたら、おい、おまえと言うんですよ。

 この通報を含めて、次の海警発令の話になりますけれども、海警発令のとき、局長は、治安上を意識してと言っているんですけれども、では、出ていってからあなたはそれを認識するんですか。出ていってから、あなたは、危なかったか、おまえはだれだという話ですよ、今のは。説明ください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 一点目として、外務省、海上保安庁等に対する関係省庁の連絡は早い段階でやっております。通報という意味では、やっております。

 それから、海上警備行動が領海外に出ていったときに必ずやるものという認識はもちろん持っておりませんで、ただ、御理解いただきたいのは、例えば、間違ってちょっとだけ領海をかすめたという場合に、それは直ちに海上警備行動になるかということについてはいろいろあるかと思っております。

宇佐美委員 そういう答えがあるかもしれないと思って、先ほどコースを聞いているんですよ。

 別に、島と島の間ですよ、今言われているコースは、有人島の。間違って入ってという話じゃないですよ。それも、今言われているのは原子力潜水艦。今、自分がどこにいるかって、軍艦ですよ、軍隊の船が今どこにいるかわからないなんてことはあり得ないですよ。それは漁船とかが間違って入ってくるとかだったらわかりますよ。潜水艦持っている民間の、そういった何か楽しもうなんというのは、通常あり得ない大きさですよね、この潜水艦。

 それをもって、二時間弱、領海内にいたときに発令できないというのは、局長、局長も多分、今回、発令出すに当たって、くだらないことを言う周りの役人に困ったんじゃないかと私は思って言っているんですよ。

 一刻も早く、速やかに発令をするというのが今後絶対にとられるべき方針だと思いますが、官房長官、いかがですか。

細田国務大臣 私も心穏やかならざるところがあるのは宇佐美議員と同じでございます。

 つまり、これはある程度ずっと追尾を続けている、どのぐらい前からかとか、そういうことは申しませんけれども。そのことは、P3Cがちゃんとソナーなどを落として、あなた、これは追尾していますよということは相手にわかっているはずなんです。わかっているにもかかわらず、勝手な行動をしているわけですから。それは、したがって、これからも、まだ追尾中でございますので、しかるべきことを、対応、レビューも含めて考えなきゃいけない。

 そういった点において、宇佐美議員からも強いお励ましの言葉をいただいたというふうに思って、しっかりと対応してまいりたいと思います。

宇佐美委員 一億円もらったことを覚えてもいないような議員が、元総理大臣だからといって今中国の要人と会って、何かにやにやしながら握手をしている風景を見て、日本国民は、多分与党の先生方もそうでしょう、許せますか、あんなの。なぜ、元総理という、一億円もらったことも覚えられないやつが、やつがというのはちょっと訂正しましょう、方が、にやにやとしながら、ほぼ間違いなく中国だと言われている中で、その原潜をつい今も追尾中であるという状況の中にもかかわらず、にやにやしながら笑って握手をしながら、これ、どうなっていますか。

 中国は何と言ったかといったら、鋭意調べていくとか、うちの船かどうかわかりませんとかいうような話ですよね。こんなのは言語道断ですよ。

 次で政権交代するから我々が責任を持ってやっていこうと思うけれども、昔の大自民党さんだったら、こんなこと許せますか。今回の元総理の行動に対しては怒りを覚えています。環境政策ではずっと一緒にさせていただいておりますけれども、事この時期に中国の要人と会いながら、あの発言は何ですか。

 私は、これは政府の方に言っても答えようがないですから、ぜひ、我々議員がしっかりと中国に対しての考え方、もちろん、これ、原潜、中国じゃない可能性もある。わかっているけれども、中国だと我々が今大まかに、いや、すべてと言ってもいいぐらい考えている中で、我々は、きちっとした対応をしていこうということを申し述べまして、次の問題に移らせていただきたいと思います。

 官房長官、引き続き、今度は、いっぱい仕事されています障害者問題、特に、今私が問題にしたいのは、障害者雇用対策ということなんですね。

 今、障害者雇用率制度というのが行われていて、民間企業は、五十六人以上の従業員のあるところは一・八%。これはなぜ五十六人以上かというと、掛ける一・八%やって一を超えるのが五十六人ですから、五十六人以上ということになっているんです。

 もっともっとやはり障害者の方に社会に出ていって仕事をしてもらいたい、これはすべての皆さん共通だと思います。そんな中で、この障害者政策、特に雇用問題を中心なんですけれども、その推進についての官房長官の認識、お願いいたします。

細田国務大臣 もちろん、我が国全般に雇用の問題というのは非常に大切でございます。しかし、その中で特に障害者対策、これも、もちろん、雇用に限らず、さまざまな問題で国がしっかりと対応していかなきゃならない、地方公共団体やNPOの皆さん、一緒になって対応しなければならないと思っております。

 平成十四年十二月に閣議決定いたしました障害者基本計画に基づきまして、総合的、計画的に推進しております。内閣総理大臣を本部長とする障害者施策推進本部を中心といたしまして、関係行政機関の緊密な連携のもとに、雇用対策、生活支援など、各般の施策の着実かつ効果的な推進に努めてまいりたいと思います。

 また、いろいろな御提案がありましたら、ぜひまたお寄せいただきたいと思います。

宇佐美委員 ありがとうございます。

 この障害者雇用の促進を図るために、今、派遣労働の活用を図ることが私はとても有益なんだと思います。というのも、今、IT化して、例えば足が不自由な方も、パソコンでの仕事で非常に優秀な能力を発している方がたくさんいらっしゃいます。今、NGOの中では、障害者の方だけを集めたこういったコンピューターソフトウエアの会社をつくっているところもあるわけです。

 そういった中で、障害者雇用率制度の見直しを含めて、この派遣労働者、障害を持っている方も派遣労働者としてより社会に参画できるような形を対応すべきだというふうに考えますけれども、対策部長、いかがですか。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、障害者の雇用を進める上で、障害者の方につきましても、御本人の特性だとか希望に応じまして、いろいろな形態で就業できるということを進めていくことが大変大切なことだというふうに考えております。

 派遣労働への障害者雇用率の適用につきましては、現在、派遣元の企業にだけ算定されるということになっておりまして、こうしたことにつきまして、関係の方面からも、改善できないのかという御指摘もいただいていることは承知をしているところでございます。

 ただ、いろいろ意見もございまして、派遣労働というのは派遣契約期間を決めて雇用されることの多い形態でございますので、職場適応に健常者の方に比べて比較的時間のかかります障害者の方にとって合った働き方なのかどうかということについて、よく慎重に検討する必要があるんじゃないかという御意見もございます。

 いずれにいたしましても、現在、障害者の雇用に関しましては、制度見直しに関しまして、労働政策審議会の方で検討をお願いしております。その中で、検討項目の一つとして、例えば在宅就業の方に対する御支援ができないかとか、それから今先生から御指摘いただきました派遣労働の活用といったようなことにつきましても、検討項目として取り上げておりまして、御検討をお願いしているところでございます。

 いろいろな御意見がございますので、今後とも、派遣労働における障害者雇用の実態や障害者のニーズを把握した上で、こうした関係審議会での御議論も踏まえて検討を進めていきたいと思っております。

宇佐美委員 今、部長の言われたように、障害者を派遣で登録をして雇用した場合は、すべて派遣元の方にカウントをされるんですね。ですから、例えば内勤スタッフが千人いる会社、派遣会社として五千人を派遣しているとすると、六千人全部の中で一・八%ですから、最低一・八%以上という数字になってくるわけですけれども、それを、まず、言われたように、派遣先にもカウントをするようにする。つまり、今多くの会社が派遣社員を採っているわけですね。その会社は、その中に例えば障害者の方も、派遣を受けた会社が、つまり実際働いている場所の会社ですよ、その会社の、そこで障害者の方が働いていただいているんだったら、それもカウントしてくれと言っているわけです。

 それはやはり、できたら私は両方に一人、一人でカウントをすべきだと思いますけれども、それが無理だとしても、例えば派遣元が〇・五、派遣先が〇・五という形でカウントをしてあげたら、派遣会社としては物すごいインセンティブになるんですね。派遣を受ける会社としても、つまり、常用雇用である派遣社員という限定をつけるとしても、もっと受ける形になっていくはずです。

 ぜひ、対策部長、審議会といったって、日本の審議会というのは、大体役所がある程度方向を示しているわけですよ。ここの審議会は一生懸命やられているようですし、つい最近の分科会でも、まさにこの派遣労働者に関する、障害を持っている方の審議をされているようでございますけれども、ぜひ、今申し上げたような形で、でき得るならば派遣元も派遣先も一ずつカウントしてあげる。それぐらいで、現実的に、今、平成十五年十一月現在で、身体障害者の方が三百十七万七千人のうち、働いている方が三十六万九千人、知的障害者、四十五万六千人のうち十一万四千人、精神障害者は、本当にかわいそうな、大変少ない数字なんです、二百四万人のうち一万三千人しか働けないという状況である。

 こういった状況を二歩も三歩も進めさせるために、そしてこの十年間の社会の進捗状況、つまり、派遣というあり方が、もう進んでいるわけです。これはとめることはできない。トレンドとしては確実にふえていく中で、ぜひ、インセンティブを働かせる形での審議、議論をしていただきたいと思いますが、局長、短く答弁ください。

金子政府参考人 御指摘いただきました点も含めまして、障害者雇用率制度、これが的確に機能するよう、制度につきまして検討を加えてまいりたいと思っております。

宇佐美委員 ありがとうございます。ぜひ、その方向で進んでいっていただきたいと思います。

 続きまして、次の問題です。

 内閣委員会は六大臣抱えているということで、問題が幅広いわけでございますけれども、私が交通安全特別委員会の委員であった十一年前からずっと続けております高速道路におけるオートバイの二人乗りの問題、さきの通常国会におきまして、法案として通過をしました。一年以内の施行ということでありますから、遅くても来年の六月から、高速道路においてオートバイの二人乗りが可能になるわけでございます。

 六月九日に公布をしたにもかかわらず、東京都の、警視庁交通部発行のこの「安全運転のしおり」というのがあります。これは、免許の更新のときとか、もしくは免許をとったときに渡されるものでありますけれども、ここに米印つきで、「首都高速道路については、年齢や免許年数を問わず二人乗りは認めない予定です。」と書いてあります。

 これはどういうことでしょうか。六月に公布したもの、それからいろいろな検討をするというならばわかります。それが、まだ議論が進捗しているとは思われない中で、既に十五万部これを配付しているそうです。

 私は、こういったものが配られていると先週の金曜日に聞きまして、そのまま品川にあります鮫洲の運転免許試験場に行って、今配付をされているもの全部下さいと言った中に入ってきたのがこれですよ。

 発行は財団法人東京交通安全協会、監修は警視庁交通部であります。編集、発行のこの財団法人東京交通安全協会というのはどういうような団体ですか。役員構成、職員数、天下り状況、基本資産、趣意書等について、済みません、あと二十分くらいで私二十問ぐらい質問するので、短くお答えください。

松下委員長 簡潔にお願いします。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 財団法人東京交通安全協会は、昭和二十一年に設立された公益法人でございまして、交通の安全と円滑を図るための調査研究等の事業を行うものでございます。

 職員数は、平成十六年十一月一日現在で千二百九十八名と承知しております。そのうち役員は四十二名で、元警視庁職員は三名と承知しております。基本財産は、十八億円でございます。

宇佐美委員 今申し上げましたように、この「安全運転のしおり」、先ほど申し上げたような内容が記載されていることは確認されているのか、このしおりはいつだれが監修したものか、決裁者はだれか、御答弁ください。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 議員からの御指摘によりまして、そのしおりに、首都高速道路については年齢や免許年数を問わずに二人乗りは認めない予定ですという記載があることは確認済みでございます。

 このしおりは、お話しのように、編集、発行が都の安協、監修が警視庁交通部でございます。これの監修の決裁権者は、警視庁の交通部長でございます。それから、発行部数等でございますが、作成部数は二十五万部、そのうち十五万部を配付したものと承知しております。

宇佐美委員 これは、いつ監修をして、いつ印刷をして、いつ配付を始めたか、端的に答えてください。

松下委員長 簡潔にお願いします。

矢代政府参考人 監修は、本年の、平成十六年九月上旬でございます。それから、発行ですが、その後、東京交通安全協会の担当者が印刷を業者に依頼したのが九月の二十四日、印刷終了が九月二十八日、安全協会への納入が十月一日でございます。

宇佐美委員 九月二十四日に印刷を安協が依頼しているということは、金曜日なんですよ。二十五、二十六、土日で、火曜日にはもう印刷終了しているんですね。それぐらい、週刊誌並みの印刷のスピードですよ。これは、なぜ十月一日に間に合わせなきゃいけなかったのか。

 それも含めて、十月一日に納入で、もう配付を開始しています。しかしながら、印刷終了した二十八日から、配付、納入まで二日間あります。普通は、新しく、これはふやしている部分ですね、三十七ページ以降になるわけですけれども、改正道路交通法について、新しいページですから、そこに誤字、脱字、誤植などなど含めて、ないかというのをチェックするのは当たり前だと思います。

 私の知り合いの印刷屋、何社か聞いても、例えば追加で印刷をするときに、今ファクスやメールがあります、必ずどういったものか事前に確認をしていただいている、電話だけのやりとりではわからないというふうなことが印刷屋さんからも言われています。

 というのも、今回このことについて、じゃ、だれがこういった間違いに至ったのかと警察庁に伺ったところ、返ってきたのが、作成業者、印刷業者ですね、前株の立花書房さん、これとの電話のやりとりをしていたら、こういった記載を立花書房さんが勝手に書いてしまったと言っているわけです。

 そんなことは、我々もいろいろ有権者に対しての新聞とかつくりますから、そのときに、できてきたもの、印刷する前のもの、ゲラを見ないなんてことはないんですよ。ゲラを見ないで、言葉だけで、電話だけでやったから間違えましたと。百歩譲ってゲラを見なかったとしても、印刷が刷り上がってきて新しいページのところを見るのは当たり前じゃないですか。これを一つもやっていないんですか。

 端的に、局長、答えてください。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 時期の問題ですが、このしおりは、いろいろ事故の数字、あるいは法改正の内容が入っておりますが、変わりますごとにバージョンアップをしているものでございます。

 そこで、このたび、十一月一日からは携帯電話等の直罰規定なども入っておりますが、それらも含めて改正内容を入れまして、バージョンアップしているものでございます。

 それで、このような記載がなされた事のてんまつでございますが、私ども把握しているところでは、本件監修の段階で、この原稿が持ち込まれていますが、警視庁の交通部の担当者が首都高速道路の一部について規制が残る見込みであるということを伝えておりまして、その最終稿の段階で印刷業者と編集発行者である都安協との間で当該記載部分の加筆がなされまして、それがそのまま発行、配付されてしまったというてんまつでございました。

宇佐美委員 規制が残る予定であると、その警視庁の担当は何を根拠に言っているんですか。

 というのも、今回の二人乗り禁止規制の実施基準というのは、警察庁にあるかと問うたところ、警察庁においては自動二輪車の二人乗り禁止規制の実施基準は出していない、つまり、ガイドラインは出していないと言っています。

 一方で、東京都公安委員会の、この六月九日以降、つまり公布されて以降の公安委員会のホームページなどで公開されております議事録を見たところ、十月一日に初めて、高速道路における自動二輪車の二人乗り規制に関する検討状況についてということが報告はされているんですよ。これ十月一日ですよ。つくっているのは九月上旬ですよ。どういうことですか、これは。

 というのも、公安委員会のあり方の議論、この前も市村議員が言われたように、公安委員会に警察は置かれているんですよ。公安委員会の議論も検討もないのに、交通部長一人の認識でこういったものが発行され、その意向を受けた担当の現場の人間が、ペーパーを見もしないでこういったことを記載させる、結果として記載させているんですよ。これはどういうことですか。

 加えて言えば、「警察庁長官は、これら警察庁の所掌事務について、都道府県警察を指揮監督している。」これは、ことしの警察白書の国の警察組織という中で説明しているように、もちろん、これらの所掌事務ということで議論はあるにしても、基本的には、これは警察庁が把握して当たり前のことだと私は理解しています。

 同時に、運転試験場では、警察庁交通局が配付を依頼しております「改正道路交通法のあらまし」というパンフレットが置かれています。これには、もちろん、首都高速道路における二人乗り規制が解除されない、つまり、二人乗りはできませんよなんということは一文字も書いていない。越権行為も甚だしいじゃないですか。もしもこの状況が続くとするならば、警視庁交通部長にここに来てしゃべってもらわないといけないですよ。局長どうですか。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 まず、そのところが誤りのもとであったわけでございますが、この担当者は、改正段階からの国会の審議内容や、あるいは、その後、各都道府県から警視庁内部でさまざまな検討がなされていることを承知しておりまして、それで、そのような判断をしてしまったということでございました。

 最終的な結論に至っていないにもかかわらず、既に首都高速道路におきます規制を実施することが決定しているかのような誤解を招く表現となっていることを、まことに遺憾であるという回答を警視庁からいただいてございます。

宇佐美委員 いや、その交通担当者は、国会の審議をちゃんと見ていたら、前局長は、高速道路のネットワーク性を最大限維持するようにすると言っているじゃないですか。首都高速道路を走れないといったら、これはあれですよ、ちなみに、首都高速道路というのは、東京都内だけじゃなくて、神奈川、埼玉、千葉に、全部わたっているんでしょう。何で、東京都の警視庁の人間が、他県にわたることが言えるんですか。その一つをとっても、この記載は許されない話ですよ。

 済みません。もう、この話については、私が申し上げた翌日に差しとめをしたということでありますので、今後、絶対こういうことがないようにしていただきたい。

 ネックは、大切なのは、この印刷の話よりも、東京都が、では、そういう方向で、警視庁が、もしくは東京都公安委員会が首都高速を走らせないというような方向で動いているというような話なのが問題なんです。

 それで、行きます。「各都道府県警察は、個別路線毎に交通事故発生状況、道路構造等点検の上、」この「等」には、交通量、渋滞規制状況などが入るわけですけれども、「自動二輪車の安全対策を推進し、上記安全対策を講じても、なお自動二輪車等の安全が確保できないと認められる場合に、都道府県公安委員会による二人乗り禁止規制について検討することとなる。」となっています。

 順番に行きますね。個別路線ごとに、事故発生状況、道路構造等、東京都は点検をしているんですね。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 そのように承知をしております。

宇佐美委員 とすると、その状況を、まず、今度、報告書を下さい。

 次に行きます。「自動二輪車の安全対策を推進し、」と書いてあります。首都高速道路において、この六月九日からきょう現在まで、自動二輪車に対しての安全対策の何を推進してというんでしょうか、もしくは推進していないのか。お答えください。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 この交通対策の考え方ですが、例えばカーブでありますれば視線誘導のための矢印ですとか、そういうものを含めました交通安全施設の整備が中心となります。警視庁において、それぞれの具体的な場所についてどのような対応をしておるかについては、私も詳細を承知しておりません。

宇佐美委員 それでは、その内容を、委員会そして私の方に報告をいただきたいと思います。よろしいですか。

 よろしいですか。いやいや、そこで答えて。いいですね。しっかりと安全対策を、つまり六月九日の公布から何をやったかということを、首都高全般において何をやったかということ、つまり、自動二輪車の安全対策として何をしたかということを御報告いただきたいと思います。

 そしてなお、「上記安全対策を講じても、なお自動二輪車等の安全が確保できないと認められる場合に、」「規制について検討する」ということでありますから、「自動二輪車等の安全が確保できない」、その対策を講じても、その場において何らかの事故が発生しているとか、安全が確保できないというふうに認められたという証拠があるならば、出していただきたいと思います。

 以上、いかがですか。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員からお話がございました、交通安全対策を講じてもなおということでございますが、これは、判断していくときのいわゆる手順、考え方でございまして、したがいまして、場所によりまして交通安全対策を講ずることができるところと、それから、交通安全対策を、もうこれまでもやってきていますので、これ以上は無理であるというところ、そういう場所はございます。

 事故は、ずっと以前からさまざまなものがございますので、既に交通安全対策を打っているところもあるわけでございます。したがいまして、そういうものを踏まえて、それではこの場所はどうであろうかということを判断する、こういう手順でございます。

宇佐美委員 よろしいですか。今回の法律改正で、高速道路におけるオートバイのことについて、二人乗りの禁止をなくすという話ですよ。としたならば、今、その首都高速の安全対策を講じたとしていますよ。二人乗りをして実験しているんですか。二人乗りで事故が起きるなんというのは、まだやっていないんだから、わからないですよ。

 なぜ、実行する前に、「確保できないと認められる」可能性があるとして、こういった記述に至るような議論が、警視庁内もしくは、公安委員会で議論されていませんから、警視庁交通部が勝手に議論をできるんですか。あり得ないじゃないですか。

矢代政府参考人 検討のやり方でございますが、実験の結果で、二人乗りは一人乗りに比べますと、加減速の所要時間や距離、あるいは制動距離、あるいは車線乗り移りなどについて差異が生ずるということでございますので、これらが現実の走行において影響の出てまいります急なカーブですとか、あるいはアプローチ距離の短い分合流部分あるいは急な縦断勾配でございますか、そういうものの道路構造と、それから、実際の自動二輪のこれまでの事故実態とを勘案して、総合的に判断する、こういう作業でございます。

宇佐美委員 局長、話を聞いていると、あなた、この高速道路のオートバイの二人乗りに反対なんですか。前局長は、しっかりとネットワークを維持することを前提とすると言っているんですよ。今、私の質問とのやりとりの中でそういう答えになったと信じておりますけれども、原則というよりも基本、絶対にと私は言いたいぐらい、オートバイが高速道路へ、つまり、来年の六月に施行されますよ、六月の九日公布ですから八日までに。

 北海道のラベンダーを夫婦で見に行きたい、リタイアをして大きなバイクに乗ってラベンダー畑に行きたいというときに、今まで高速道路に乗れないで困っていた。首都高速、東京から出て、もしくは神奈川から首都高速に乗って、関越を抜けて新潟からフェリーに乗っていく、もしくは東北自動車道を走っていく、もちろん皆さんの好き好きですよ。

 そういった中で、首都高速を走れない部分が出てくるということはあってはならないことなんですよ。もしも、カーブがとかいうんだったら、それは一人乗りのオートバイでも四輪車でも同じように危ないんですよ。構造上のまさに問題点になって、二人乗りだから危ないという話じゃないですよ。

 いかがですか。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 この二人乗り禁止規制の見直しにつきましては、私も、法改正の事務作業で参画いたしまして取り組んでまいった者でございます。

 ただ、この見直しに当たりましては、各方面からかなり反対の意見も多うございました。世論もそうでございました。その中での改正でございましたので、安全の確保を十分にしつつ、この見直しを進めていくんだということも必要でございます。

 そういうことで、ネットワーク性その他についての重要性は各都道府県にも十分示達した上でこの見直しを進めていただいているところでございます。

宇佐美委員 よろしいですか、局長。今、局長は気軽に世論も反対が多くあったと言いましたけれども、国会の中で賛成多数でできているんですよ。パブリックコメントの中、パブリックコメントもまたあれですよ、一部もうないというような状況を、この二人乗りについて、ないというような発言を以前聞いたこともありますけれども、もちろん、安全性について、これまで高速道路で二人乗りで走っているところを見たことないんですから、わからないんですよ。やはり安全だという話に世界的にはなっているわけですよ。

 そういった状況の中で、最初から走らせないんではなくて、制御するという考え方でいえば、フィードフォワード、フィードバックコントロール、両方あります、私の大学時代の専門分野ですよ。このことについては、全くやっていないんですから、まず二人乗りを首都高速全部させていただいて、もちろん事故がないように最大限の安全対策を講じながら、しかしながらという場合においては見直しも検討があり得ると思います。しかし、見直しでなくて最初からやらないという話じゃないんですよ。

 大臣、済みません、ずっとお待ちいただいていて。

 大臣はオートバイに乗られるかどうかを私存じませんけれども、自民党の先生方にもオートバイでツーリングを楽しんでいる方もたくさんいらっしゃいます。我々もいます。そして、議員だけではなくて、十年前に大型自動二輪の免許が教習所で取れるようになってから、六十歳、さっき申し上げたように、リタイアしてから取っている方もたくさんいらっしゃる。

 さらには、聞いたところによると、来年の六月以降、オートバイのオートマ免許というのができるんですか、教習所に確認したら来年からできるそうです。つまり、ビッグスクーターというものですね。ビッグスクーター、二百五十cc、四百cc、こういったものに乗って、ある意味簡易な形で、これは二人乗りで、夫婦であったり親子であったりカップルであったり、出かけられるようになるわけですよ。

 このときに、大臣、ぜひ日本全国どこでも高速道路で行けるようにしようじゃありませんか。御見解をお願いします。

村田国務大臣 この問題について、宇佐美委員もこれまでこの委員会でも御審議をいただいてきたということは私も存じているわけでございます。

 手続的には、国家公安委員会ではなくて、仮に首都高で二人乗り二輪を禁止するということであるならば東京都の公安委員会で決める、こういうことが道交法の建前になっているわけでございまして、そして幹線道路等においては国家公安委員会が指示をすることができる、こういう道交法の建前になっているようでございます。

 二人乗りの二輪を高速道路等で解禁するという法律改正をやるに当たりまして、国家公安委員会でもいろいろな意見がありました。私が聞くところによりますと、否定的な意見が強かったということを聞いておりますし、それから、たしか四月の参議院の内閣委員会で私の前任の小野公安委員長が、やはりいろいろな問題がある、だから警察庁を、高速道路では、首都高では引き続き禁止するということで指導してまいりたいという答弁をされたということも聞いております。

 そういう経緯が実はあったと私は思うわけでございまして、そういう中で、要するにパブコメをしたり、あるいは、とりあえずそういうケースも考えて標識についてのパブコメもやっている、こういう状況にあるのではないか、こういうふうに思っております。

 いずれにしましても、これを首都高で禁止するか否かの法律上の権限というものは東京都の公安委員会にございますので、私どもとしては、都の公安委員会がどういう判断をするか、その検討を待っていかなければいけないというふうに思っております。

 先ほど指摘をされました警視庁の交通部が監修した教本について、本当に誤解を招きかねない記述があるということは全くお粗末なことでございまして、私もまことに遺憾に存ずる次第でございまして、今後こういうことが起きないように警察を指導してまいりたいと考えております。

宇佐美委員 もう時間でございますので……

松下委員長 質疑時間を大幅に超過しています。終了です。

宇佐美委員 質問を終わらせていただきます。

 駐車規制の見直しを警察庁が今熱心に全国でやっていることなど、大変評価すべきこともございます。

 また、留置場における家族面会の拡充などについて、局長、来ていただいていたのに済みません、また引き続きやらせていただきます。

 ぜひ、国家公安委員長、前公安委員長の発言は法案提出者として分裂発言です。そんなもの参考にしないで、オートバイユーザーの方の身になって考えていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

松下委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 午前と午後にわたりましてきょうは質問をさせていただきます。

 私、きょうのテーマは二つありますが、後半には防災のことについてのお話をしますが、それまでの間、約五十分ぐらいかけて、日本に非営利法人制度をつくっていく、非営利組織制度をつくっていく、そうした仕組みをつくっていく、その観点からの質問をさせていただきたいと思っています。

 これは大変重要な問題だと私は取り組んでおりまして、十五年来、もう本当にこのことをずっと言い続けてきているわけでございます。やはり何といいましても、二十一世紀の社会、多様な価値観をしっかりと日本が大切にしていく、そうしたものをきちっと行動に、多様な価値観を大切にしながら、そうしたものを守っていくための行動とか、また、さまざまな活動があるわけでございますけれども、そうしたことをもっとこの国で定着させ、活性化させていくということを考えていかなければならない、このように思っています。

 その意味でも、私は、やはりNPOとかNGOというものは非常に重要な役割を負ったものであるというふうに思っています。また、NPO、NGOということじゃなくても、言い方を変えれば、民間の公益活動、民間における非営利活動、そうしたものが大変重要な役割を担う社会になっていくだろう。こういうことで、私は、そうしたものをしっかりと制度化していく、このことが大切だという思いでおります。

 以前、通常国会の冒頭にもこの内閣委員会で質問させていただいた際に、私としては、どうした社会の仕組みをつくっていくべきかということでこの場でもお話をさせていただきました。

 またきょうも、このフリップなんですが、これはぜひとも大臣の皆さんにも聞いていただきたいんですが、やはり何といいましても、今、日本の場合は二つのセクターで動いているような状況があると思っています。

 それは一つは、官が公益を独占して、税金を使ってサービスを提供するセクターがある。そして民だと、営利法人が株式を発行したり、または銀行から間接的に資金を調達したりとかして、さまざまな財・サービスを提供するセクターがある。特に戦後、日本は、高度経済成長期以降、この二つのセクターによって日本の財・サービスの提供を行ってきたというところが基本であったかと思います。

 しかし、これだと、社会に必要なサービスをすべて提供できるかというと、そうではないわけでございます。例えば公益活動でありますと、官はどうしても、やはり公平性の原則とか不特定多数の幸福を願うとか、そういうものに縛られてまいります。そうすると、少数だけれども非常に重要な、少数の人が、例えば難病問題もそうなんですが、エイズの問題だってそうですよね。もともとは、最初は少数の発見だったのが、何でエイズがアメリカであんなに大きな問題になっていったかというと、NPOが非常にそのことを頑張ってくれて、どんどん社会に問題提起をして、これは大変問題であるということで、国家的な、また全世界的な問題になっていく過程があったんですが、その最初にNPOがそうした問題提起をしていくんですね。なかなか官では拾えない部分があるんです。しかし、そういったものを小まめに拾って問題提起をし、組織的に動いて頑張っていく、それがNPOの役割であるわけですね。

 ところが、日本の場合、そうしたセクターが、特に戦後、高度経済成長期以降、特に税収がどんどん伸びたものですから、行政が何でも、国民や住民の意見を反映できるような時期が一時期あったわけです。そのときは、行政が何でもやろうと思えばできたんです。そういう時期もなきにしもあらずだったんです。だから、そのときは、別にNPOとかが頑張らなくたって行政がやれたんです。ところが、こういう状況になってきた。財政的にも厳しい。また、価値観も多様化してきて、単に公平性の原則だけでははかれない、そうしたニーズが出てきている。

 そうしたときに、日本のこの二十一世紀の社会においても、やはり民で、民間で公益を担う存在というのが非常に重要な役割を担っていくということが、これからの社会の仕組みとして、システムとしては考えておかなければならない重要なテーマだと私は思っているわけです。

 その観点から私は実はNPOという言葉を使っておりました。そうした観点からNPOという言葉を使っておりました。

 さて、そうした観点で私はNPOという言葉を使っていたんですが、今現在、世間ではNPOというのはどういうことを言われているのか、竹中大臣、NPOを世間がどう思っているかということをちょっと一言お答えいただけますでしょうか。

竹中国務大臣 市村委員がおっしゃる多様な価値観、公益に関する多様な価値観を社会の中に反映させなければいけない、にもかかわらず、戦後一貫して公益に関するものはすべて官が、官のセクターが独占してきた、それに対してやはり非常に強い問題意識を我々は持つべきである、全くそのとおりだと思っております。

 NPO、確かに日本でNPO、前回御指摘がございましたけれども、アメリカでNPOと言っても余りわからない。ただし、ノンプロフィットオーガニゼーションという言葉はしょっちゅう皆さん使う。その意味では、概念が、日本ではいろいろな意味で未成熟といいますか、若干バイアスがかかっている部分があるのかもしれません。

 日本でNPOという場合、通常、これは私が法律を所管しておりますところの特定非営利活動法人、非常に狭い範囲で限定されて語られる場合が一般には多いというふうに思っております。ノンプロフィットオーガニゼーションというふうに言うと、わかる方にはわかっていただけるんですが、社会の概念としては、いわゆるNPOの特定法人に限定されて語られる場合が多いというのが現状であろうかと思っております。

市村委員 竹中大臣、その状況を見て、大臣御本人としては、それをいいと思っていらっしゃいますでしょうか。

 NPOというのは、非営利法人のことを指す。まさにノンプロフィットオーガニゼーションを指すわけですね。この間も申し上げたように、実は村上大臣の所管されている公益法人をも含む概念なんです、本来であれば。それが、日本においては、含む概念と思われていない。特定非営利活動法人というものが何かNPOかのようにとらえられている。

 これについて、お二人の大臣、もう一度改めて、これでいいと思っていらっしゃるのか、ちょっとお考えをお聞きしたいと思いますが、では、村上大臣の方からお願いします。

村上国務大臣 市村委員はこの問題に対するエキスパートでいらっしゃって、委員が常におっしゃっておられるのは、やはり公益性の有無にかかわらないで新たな非営利法人制度を一日も早くつくられて、公益法人が非営利法人全体ではなくて、非営利法人であっても、その中でやはり公益法人が含まれる概念を持って、そのために民法三十四条を変えていく、そういうことを常におっしゃっているんじゃないかなと私は理解しているんです。

 それも非常に重要な観点でありまして、ただ、我々は、その後、やはり税やいろいろなことがありますので、トータル的にどういうふうなおさめ方をしたらいいのか、それを今鋭意検討させていただいているわけであります。

竹中国務大臣 制度そのものの御担当は村上大臣でいらっしゃいますので、私は、あくまでも国民生活にかかわる限りにおいてこの特定非営利活動法人に関連しているという、そういうキャパシティーでの御答弁でありますので、その点は留保賜りたいと思いますが、私が持っております認識というのは、基本的には、まさに委員がおっしゃるところのノンプロフィットオーガニゼーションというのが非常にここのところ急速に形を変えて、いろいろな形で私たちの前に出現しているんだと思います。中間法人的なものというのがその中で制度化された。さらには、先ほどの特定NPO法人というのも制度化された。

 委員の御懸念は、基本的に、その全体を統括するアンブレラのようなものがなくて、個別にぽっぽっとつまみ食い的に今法制化が進んでいるのではないか、私は、その御認識は正しいといいますか共通するものがございます。

 同時に、私自身が懸念いたしますのは、例えば今、やはりここ一、二年私が大変注目をしているのは、ソーシャルベンチャーという概念でございます。これはもう御承知のように、アメリカ等々では大変注目をされている。そういうものが、一体その中でどういう位置に入ってくるのだろうか。非常に営利的な部分もあるけれども、やはり公益もある。そうすると、まだ全体が見えない中で、なかなかアンブレラ全体を法制として描くのは難しいという面もあるのかなと思うんです。

 個人情報保護法の場合は、まずアンブレラをつくって、それで個別をぶら下げていく。これは一つの正当な方法だと思いますが、非常に新しい分野で、その分野そのものが非常にイノベーションが進んでいる中で、とりあえず急ぐものを、特定NPO法人等々を制度化する。そういう中で今事態が進んでいるのかな、もう少し成熟するのを待って、委員がおっしゃるようなアンブレラの議論というのがあわせて進んでいくのではないかなというふうに思っております。

市村委員 まさにいろいろソーシャルベンチャーなり社会貢献組織とか法人とかいう言葉が日本でも出てきておりますが、実は、今の話はなぜここが点線になっているかなんですね。まさにそのことを私が申し上げたいのが点線なんです。

 すなわち、民の世界で公と私というのが実はあいまいになってくる可能性が高いということで、だから、別に営利の世界でも、ある種、公を意識せざるを得ないような状況も出てくるだろう。いや、むしろ、日本の大企業というのは単にもうけだけでなかったわけですね。株主重視じゃなかったわけです。従業員の雇用を大切にするとか、消費者を大切にするとか、そういう観点がありましたから、それは単に私利を追求しただけの存在じゃなかったわけです。そういった意味では、もともと日本の会社というのはそうした公益性もかなり強く持っていた企業が多かったんではないかなと思います。

 だから、そういった意味では別に新しいことでもないんですけれども、特にこれからはこの垣根が薄くなってくる可能性があるという意味で、これは実は点線にしているわけです。だから、まさに今竹中大臣御指摘の点、重々これから流れとして考えておかなきゃならないということで、私もそう思うんです。

 ただ、では、今現在、私はなぜ用語にこだわるかというと、言葉というのは実は非常に大切だと思っています。やはり、社会一般でどうなのかというと、NPOというのは公益法人とは別の概念であるというようなものが言われる。例えば、わざわざ私はNPO、NGOと分けていますけれども、これは本当は同じものですね。同じものだと僕は思います。同じものをこっちから見たら、特に非営利というものを強調したらNPOだし、非政府と強調したらNGOだし、実は本質的には同じものを言っているというふうに思います。

 ただ、そう思いながらなぜあえてこれをNPO、NGOとしているかというと、世間ではNPOとNGOはまた違うものだというふうにとらえられるわけです。だから、世間にはNPOがありNGOがあり公益法人がありという、何か個別にばらばらなものがあるんだろうというふうにとらえられているんですが、さにあらず、実はみんな、本質的には民間で公益サービスを提供する、もしくは民間で非営利的活動を行う団体なんです、全部。

 すなわち、官でもない、いわゆる営利企業でもない、そういう存在として一くくりにされ、かつ、非常に重要なものとして認識されなければならないものだということで、そういう認識が実は深まらなければならないはずなんです。そうしないと、これは幾ら議論したって、私たちはNGOだから関係ありませんよ、NPOは関係ないですよ、公益法人はまた別ですからねという話をもし、いや、世間でそうなっているわけです、世間では。そういう議論をしているといつまでたっても本質的な議論ができないんです、これは。

 だから、やはり、そうじゃないんだ、大切なのは、私も再三ここで申し上げているように、民間で公益サービスを提供する主体であったり民間で非営利活動をする主体というものが大切なんだということがまず認識され、それをたまたまNPOと呼ぶか社会貢献団体と呼ぶか社会ベンチャーと呼ぶか、いろいろ、呼び方はどうでもいいわけです。別にそこになると用語はいいんです。ただ、本質が理解されないときに言葉だけがひとり歩きして、さあ、私たちはNPOです、私たちはNGOです、私たちは公益法人ですとやられると、全く本質的な議論がないまま物事が進んでしまう。これが一番今の現状で、悲しいことなんです、情けないことなんです。

 この話というのは、例えば法律をつくります、では、法律をつくったからといってあしたからすぐに物事が動き始めるかというと、そうじゃないですよね。こんなもの、二十年も三十年も、下手すると五十年、百年かかって、日本の中での非営利法人制度、非営利組織制度というものが熟成していくわけです。ところが、熟成させる以前の段階なんですよ、今まだ。

 ある意味では、ワインをつくるときに、ブドウの木すらまだ植えていない状況で、ワインはできないんですよ。やはり、まず、いいブドウの実をつくろう、そこから始まるわけじゃないですか。そのためにはまず木を植えなくちゃいけないんです。

 そうすると、木を植える作業がまだできていないわけです、日本は。ワインはブドウじゃなくて、ひょっとしたらナシでもできるかもしれませんねとかカキでもできるかもしれませんね。いや、できるかもしれませんね、ひょっとしたら、自分で醸造させれば。そういう議論をしているわけです。

 私は、そうじゃない、私はブドウのワインをつくりたいんだけれども、いや、違います、違いますというような、材料はもっといろいろなものがありますよといって、私は違いますよというようなことではちょっと違うかな。やはり、そこの入り口のところで今まだこんがらがった状況にあるのではないかというふうに私は認識をしているんです。

 ですから、特定非営利活動法人、私は、これはこれでNPOの一つの類型としては今の段階ではいいと思います。ただ、あくまでもNPOの一つの類型としてこの特定非営利活動法人があるんだということがちゃんと認識されない限り、今のまま、マスコミもNPO法人だとかNPO法に基づくNPO法人だとかいって流すわけですよ。一方では、マスコミはNGOというのもまた書くわけです、使うわけです。一方では公益法人という用語も使うわけです。

 そうすると、読者はどう思うかというと、別物だろう、当然素直に考えればそう思いますよ。私もここまでやっていなかったら、素直に新聞を何も知らずに読んでいたら、ああ、そうか、日本にはNPO、NGO、公益法人といろいろあるんだな、このような認識しかしないですよ、これは。だから、僕はこの間も申し上げたように、用語は大切なんだ、その意味では。

 だから、竹中大臣にお願いしたいのは、僕は、世間一般ではそうなってしまっていますけれども、やはりここは、議論を本質的な議論に戻すためにも、特定非営利活動法人というのは、これはNPOという概念でとらえるといけない、あくまでもNPOの一種である、NPOの中でも特定な非営利活動を行う法人として今のところ位置づけられているものだ、そういうふうに大臣が率先して言っていただかないと、やはり世間は、そのままずっとNPO法人だということになって、世の中にはNPO、NGO、公益法人云々かんぬんとなってしまうんです。そこはどうでしょうか。

竹中国務大臣 市村委員の思いは、私も本当に共通して持つところがたくさんございます。

 私自身、こういう活動に直接関心を持ち、携わるようになりましたのは、もう十年ぐらい前でありましたと思いますが、雨宮教授がいらっしゃいますね、恐らく大変お親しいのではないかと思いますが、なるほど、そういう概念なのか。余り、当時はまだ、もちろんNPOという言葉もそんなにありませんし、社団法人と財団法人ぐらいしか我々の頭になかったんだけれども、なるほど、もっと広い概念があり得るのか。そのころに比べると、しかし、やはり時代はまさに動いているということなんだと思うんですね。

 私自身は、機会あるごとに委員おっしゃったような形で説明はしているつもりでございます。また、現実に、公益法人に関しては今内閣官房においていろいろな観点から制度設計そのものについての議論が進んでいるというふうに承知をしております。

 内閣の一員としては、そういう中でしっかりと、より全体が正しく国民に伝わるように、そして、今後さらにこの分野はイノベーションを続けていくと思いますけれども、そういう中で我々が今の時点では考えもしないような新しいタイプのまさにNPOが出てくると私は思いますので、ぜひ、そういうものにたえられるような制度設計に私も努力をしたいと思います。

市村委員 私も、政府の動きについては、ぜひともやってほしいということをずっと申し上げています。決して方向性は間違いでないと私は思っています、公益法人の制度改革の流れは。だから早くやってほしい。

 先ほど申し上げたように、こういうのは、つくったからといって、あしたからどうにかなるものじゃないんです。つくって、いろいろ試行錯誤しながら、それはいろいろな問題も起きてくると思います。そうしたものを踏まえて、十年、二十年、五十年、百年かけてやっと一つの日本らしい、日本におけるそうした非営利法人、非営利組織制度のあり方が熟成していくわけです。だから、こういうようなものを早くつくってほしいのです。

 別に、つくったからといってそれを今後一切変えないということじゃないんですよ。やはり試行錯誤の中で変えればいいわけですから、こういうようなものは。幾らでも、問題があったら変えていけばいいわけです。しかし、まず木を植えていただかないと、ブドウは実がなりませんし、ワインはつくれないんです。まず木を植える作業をしていく、それは急いでいただきたい。

 どういう木を植えたら一番おいしいワインができるかというのは大体わかってきているわけです。もう十年間、私は十五年ぐらいやっているわけです。この十年ぐらい、立法府においてもいろいろな議論が進められてきているわけですから、大体、ああ、この木ならおいしい実がなってこういうちょっといいワインができるかなとわかっているはずなんですから、ぜひともやっていただきたいという思いでございます。

 それで、ちょっと午前中しか竹中大臣いられませんので、最後にもう一点だけ大臣と議論させていただきたいのは、特定非営利活動法人にせよ、含むNPOが発展していくために、頑張るためには、やはり何といってもファイナンス、お金なんです。

 まさに、ここに書いていますように、行政は税でファイナンスできるわけです。営利企業は株式や、先ほど申し上げたように間接金融の世界でファイナンスできるわけです。

 では、NPOの世界は一体どうやってファイナンスをすればいいか、前金融担当大臣でもありますから、ぜひとも教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 まさに委員がおっしゃる広い意味でのNPOがしっかりとした活動をできるためには、まず法人格が与えられて、いろいろな法律行為が主体としてできるようになるということが最低限の条件でありますが、それを、実態を保障するのは、何といってもやはり財政的な側面である、全くそのとおりであろうかと思います。

 その場合に重要なのは、まさにNPOというのは、公益に多様な価値観を持ち込むということにあると思います。政府が決める公益というのは一つの価値観でありますから、時代がこれまでこう対応する中で、政府は文化の保存から、これが公益で大事だと思うと。しかし、そうではない、これも大事だ、あれも大事だと、さまざまな価値観が世間にはあるわけで、そこはやはり活用しようというところでありますから、逆に政府が非常に安易な形でそういったところの財政に介入しないということがNPOにとっては極めて重要である。

 そうしますと、やはり財政面では、出てくる答えというのは、これは世界共通でありますけれども、私はある意味で一つに集約されると思います。それは税制である、寄附税制である。納税者としては、国に税金を納めるのか、NPOにしかるべき資金を出すのか、そのチョイスが与えられるべきである。NPOと政府の間での健全なその意味での競争関係ができてこそ、成熟した市民社会である。

 我々は、その意味では、ほとんど毎年のように、私が担当している特定NPO法人については、寄附税制の拡大、自由化というものを要求し続けているわけですけれども、全体のバランスの中で、我々としてもなかなかじくじたる思いがございます。

 一方で、それに呼応するような形で、いろいろなファンドとかNPOに支援するための財団法人というようなものもできているというふうに伺っておりますので、そういうところに関しては、これは官民協力して、私も民間の方々と一緒になっていろいろな呼びかけを行いたいと思いますし、ベースとしての税制の改革は、これは担当の大臣として、引き続きしっかりと税務当局に要求をしていきたいと思っております。

市村委員 まさに税制、大切なんです。ぜひとも竹中大臣が今おっしゃっていたことも、これも早急にやってください。アメリカなどというのは、税制優遇措置を受けた団体、百万団体以上あります。しかも、年間十七、八兆円のお金が個人寄附で流れるという社会があるわけです。だからこそ、NPOはその資金争奪戦をやっているわけですね。

 ファンドレージングという言葉があります。日本はレーズするファンドがないんですよね。民間でないんです。今どうやっているか。この特定非営利活動法人は何をやっているかというと、結局、行政の何か請負をやってその委託費を受けるとか、行政からの補助金を受けているとか、それでやっているわけです。

 それじゃないですよね。それがNPOではないですよ。そんなのだったら、また行政の下請機関なんです、こんなのでは。やはりこれは違うんです。民間、非営利、独立というのが大切な概念なんです。NPOは、民間であり、非営利であり、かつ、独立というのが非常に大きな要件であります。

 では、独立したくても、今どこにファイナンスするか。つまり、レーズするファンドがないのに、ファンドレージングできないわけです。だから、まずそのファンドをつくらないかぬわけです。資本主義だって資本の原資的蓄積ってやるわけですよね。そうでしょう。ところが、今のNPO、NGOに何がありますか。どこにお金があるんでしょうか。一体どこに行けばお金をレーズできるんでしょうか。

 そういうことで、だから私は十五年前から、NPOは大切なんだ、しかしながら、それを成り立たせるためにはまず資金でしょうと。NPOだって行政だって営利企業だって、何で成り立っているかというと、事業をやるわけですよ。事業をやって成り立つわけです。NPOだからって成り立つわけじゃないです。NPOがどういう事業をやるかによって評価されるわけです。

 では、その事業のためには、当然事業資金が要るというのは当たり前の話なんですね。その当たり前の議論がこの十五年間されないんですよ。されていないんですよ。それでどうやってNPO、NGO頑張ってくれと言えますか。

 当たり前の議論、まともな議論がされていない。だから、私はぜひとも、やはり民間で、NPOの活動を支える民間の資金をつくるということに私たちは知恵を出し合わないかぬ、こう思います。それがなくしてNPO頑張ってくれなんといっても、頑張れないんです。レーズするファンドがなければ、ファンドレージングもできないです。だから、結局は行政のぶら下がり機関というふうになってしまう問題だと思います。

 これについては、今後、実はこの特定非営利活動法人がプチ天下り先になっていないかという非常に強い懸念を僕は持っています。年間何億円というお金がいわゆる特定非営利活動法人に入っているケースも聞いておりますし、これは改めてまたこれからやらせていただこうと思っていますが、こんなのではだめなんですね。

 やはり、本当に必要なものですから、これはそんなものに使われるんじゃなくて、本当に日本の国で、民間で民間の知恵や迅速性を生かした、そうしたところで公益サービス、非営利サービスを提供する、共益サービスといってもいいですね、公益、共益サービスを提供する主体をつくるということで、ぜひとも僕は、竹中さん、村上大臣、大変期待しておりますので、よろしくお願いします。

 この後の議論は、午後一時から村上大臣と今度は公益法人の議論についてさせていただきたいと思いますので、これにて午前中の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

松下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。市村浩一郎君。

市村委員 では、引き続き質問をさせていただきます。

 午後は、民法三十四条に焦点を当てて、しばらくの間、議論をさせていただきたいと思います。

 この民法三十四条が、いかなる社会、日本社会をつくり上げているか、世界をつくり上げているのか、このことについて、ここで明らかにしていきたいと思いますし、また、政府の御意見、大臣の御意見含めまして、お聞きしたいと思っております。

 民法三十四条に何が書いてあるか。これは私の方から申し上げますと、かいつまんで申し上げますと、この国で法人格をとって公益活動をしたいならば主務官庁の許可を得なさいというふうに書いております。

 きょうは、法務省の房村民事局長いらっしゃっていますが、許可とはどういうことでしょうか。許可の意味、お願いします。

房村政府参考人 この民法三十四条では、公益法人を設立する場合に主務官庁の許可を要する、こうなっております。これは、主務官庁の自由裁量によりまして、その公益性の有無を判断した上で、法人の設立を認めるか認めないかを決する、こういう趣旨でございます。

市村委員 そこに原則禁止という意味は含まれておりますでしょうか。

房村政府参考人 原則禁止というのは、いわゆる講学上の、行政法で言う許可に当たるかどうか、こういう趣旨かと思いますが、基本的に、主務官庁の許可がなければ公益法人を設立できない、こういう意味では、許可なしにはできないという意味の禁止が含まれているということであります。

市村委員 今、官の自由裁量でという言葉、民事局長からもありました。この国で公益活動を法人格をとってやろうとすると、官の自由裁量の中での許可、これは許可がなければできないわけですから、結局、自由にはできないわけです。そういうことが民法三十四条、明治三十一年でしたか、施行されたというかできました、この民法三十四条には書かれているわけです。その後、この民法はずっと生き残っておりまして、今日まで生きているということでございます。

 では、この民法がどういう社会をつくったのか、つくってしまったのかが大変重要なわけでございます。

 結局、先ほどからの議論の中で申し上げておりますように、公益法人というのは非営利法人の一類型であります。一類型なんです。

 非営利法人の中には、公益法人もあれば、大きくくくれば共益法人、例えば同窓会とか、生協もそうでしょう、労働組合もそうでしょう、共益、メンバーシップですね。会費を出し合って組織目的を達成しようとする組織のこと、法人のことを含みますが、そうした、本来であれば非営利法人の一類型である公益法人なわけです。その公益法人は主務官庁の許可なくしてできない、自由にできないという流れの中で何が起こってきたかなんですね。

 結局、戦後、高度経済成長期だと思います、特にそこからが顕著になってきたとは思いますが、官が、これが自由裁量でつくれるということになりますと、どんどん税収が伸びていきますとどうなってくるかといいますと、結局、それによって、例えば公害問題等がある、住民、国民のさまざまなニーズが出てきた。本来であれば、NPOがしっかりと発達した社会であれば、そこがある程度の役割を負って、先ほどから申し上げているように、官の公平性とかにこだわらず、迅速に民の知恵を生かしてできるはずだったんですね。

 ところが、この国ではどうなっているかといいますと、税収は伸びている。それで、民法三十四条に何があるか。官がどんどん公益法人をつくれるわけですね。官だったらつくれるんです、簡単に、オールマイティーですから、自由裁量ですから。官がいいと言えばいいんです、別に。

 そういうふうな中で、もちろん、取り決めもあったと思いますよ。取り決めというのはあったと思いますよ。でも、結局は、法律的にはそういうことになっているんです、この法律によって、この民法によって。

 もちろん、省庁間の取り決めがあるというのも重々承知をしています。しかしながら、やはり、現実を見ますと、何か民間が、では、財団法人や社団法人をつくりたいといっても、これはなかなか許可されない。もう何年もたなざらしされたまま。ところが、官がつくろうと思うと、結構、数カ月でできるケースだって、これはあったんですね。あるんですね。

 そこで、この間からも指摘をしていますが、例えば、予算案にしても、予算関連法案の中にどんどん、公益法人何たら、財団法人何たらをつくりましょう、社団法人何たらをつくりましょうということで、紛れ込ませてきた歴史もある。そうして、結局それでどうなるかというと、官が自分たちの天下り先をつくるとか、こういうことにこの民法三十四条が非常に利用されてしまったというふうなことになってしまっているわけです。

 今日、天下り問題があります。公益法人の天下り問題あります。そしてまた、例えば予算の流用問題もあります。結局、官がオールマイティーでできる、このことを残してしまった、残した、このことによって今日のさまざまな官にまつわる問題が発生している、その根拠の一つになっているのがこの民法三十四条だということなんです。

 ここをやはり私たちはしっかりと踏まえた上で、今後の社会をつくっていく際に考えなくちゃならない。特に、先ほどから私がずっと主張しておりますように、非営利制度、非営利組織制度、非営利法人制度をつくっていくというこの大きな目的に即しても、この民法三十四条を何としてでも見直していかなくちゃいけない、あるべき姿に戻さなくちゃいけないと私は思っています。

 では、あるべき姿は何なのか。それは、民法三十三条に法人が規定されています。三十五条に営利法人が規定されています。本来であれば、民法三十四条には何が規定されなければならなかったかといいますと、非営利法人が規定されなくちゃいけなかったんです。ところが、非営利法人の一類型である公益法人を規定し、そして、それを許可制度にかかわらせたんですね。ここが大きな問題なんです。

 ここの反省なくして、これからの社会の、いや、非営利法人、頑張ってくれといったところで、ここの部分で大きな制度的ネックになっている。いまだに、これがあるために、官僚は、官の世界では、どんどんつくれるわけです、自分たちの都合のいいように。そこまで言っちゃ申しわけないけれども、ある意味でいえば、そこまで言ってもいいぐらいの状況に実はなっていると私は思っています。

 そのような状況になって、官ならば、官僚ならば、それこそ法律に潜り込ませたりして、いつの間にかできてしまっている。何でこんなものできたんだろうというものができて、今や、この公益法人の実態を見れば、それこそ皆さんの先輩方とかが天下っていくような状況で今推移している。

 本来であれば、公益法人はNPOの一種なんです。ところが、さっきの、きょう午前中使ったフリップの示しますとおり、結局、官が、申しわけないけれども、私利を追求しちゃだめなんだけれども、私利とまで本当は言いたくないけれども、結局、自分たちの天下り先に利用するような状況になってはいないか、ここに今の民法三十四条が持っている問題があると私は思います。

 村上大臣、私のこの話を聞いて、いかに思われますでしょうか。

村上国務大臣 市村委員のお考えは、やはり民法第三十四条というのは、本来、公益法人の根拠ではなくて包括的な非営利法人の根拠となるべきであり、民法三十四条を改正すべきじゃないかなというお考えだと思うんですね。

 我々も、そういう考え方もあるわけでして、今般の公益法人の制度改革においては、民法典を改正し、一般的に非営利法人制度の新たな制度を設ける方向で私ども検討しております。

 それで、その際、一般的な非営利法人制度に関する規定を民法典の中にどう盛り込むかについては、今後、具体的な立案作業については、さらに委員の考え方も勘案しながらやっていきたいな、そういうふうに考えています。

市村委員 大変前向きな御答弁だと僕は思うんですが、これも通常国会でも申し上げたんですが、例えばこれも政府部内でも御検討いただいていることは承知をしておりますし、それは再三申し上げているとおり、私としては方向性としては大変賛同するものであります。

 ところが、やはりスピードなんですね、スピード。また、はい、年末までにこうです、それが終わると、税制についてまた一年かけてやりましょうとか、このスピード感のなさというのに私は非常に情けない思いをしているわけであります。

 もうこの議論も、少なくとも私がNPOという言葉を立法府に持ち込んだのが十年前です。少なくとも、十年かかったら、やることは大体見えているはずですから、審議会とかじゃなくて、もう皆さんは重々、何が問題点で、どうすべきかということはわかっていらっしゃると思います。

 だから、ぜひとも大臣、これは大臣率先して、この問題、実はプライオリティーが高いと私は思いますので、村上大臣の仕事のプライオリティーのナンバーワンぐらいに置いていただいて、この話はもう、そんな一年、二年とかじゃなくて、やれるところからどんどんやっていく、通常国会にもどんどん提案をしていくというぐらいのお気持ちで私はこの問題に取り組んでいただきたい。いや、それぐらいの重要なテーマであるし、村上大臣としての、これは大臣のときの非常に大きな働き、仕事になろうと私は思っていますが、いかがでしょうか、大臣。

村上国務大臣 市村委員のようにこの問題に鋭意取り組まれた方からすると、切歯扼腕と申しましょうか、本当に遅々として、本当にお気持ちよくわかります。

 御承知のように、私のもとで公益法人制度を改革する有識者の会が十一月で大体取りまとめします。また、御高承のように、十六年中にそういうことをまたして、近く報告を取りまとめる予定でありまして、この報告を踏まえて、政府として一生懸命やっていきたい、そのように考えています。

 特に先生の座右銘は、おもしろきこともなき世をおもしろく住みなすものは心なりけりと、まさに高杉晋作先生のお考えであると思うので、私も先生のそういう座右の銘に一歩でも近づくように一生懸命努力したいと思っております。

市村委員 ぜひとも本当に、どうせこの世はしょせんおもしろくないということなんですが、できる限りおもしろくしていこうということだと思います。

 だから、そのためにも、せっかく大臣をやられているんですから、この任期、一生懸命やっていただいて、これをやっていただきたい。これは与党、野党関係ないんです。本当に日本のためになるんだったら、与党、野党関係なく、政治家としてやるべきこと。特に大臣は権限を持っていらっしゃるんですから、ぜひともやっていただきたいと思うわけでございますし、特に民法三十四条改正、ぜひとも、これはそういう方向性があるのであれば、即座に検討を指示していただいて、法務省とも話をしていただいて、これはやらなきゃだめなんです。

 これは、先ほどから何回も申し上げたように、では、変えたからといって、あしたから変わるものじゃないんです、こんなものは。何十年もかかるんです、こんなものやったところで。だから、そういうところをしっかりとぜひともスピードアップしていただきたい。これは本当に心からの願いなわけでございます。

 それができますと、先ほどからの議論の特定非営利活動法人にも当然影響しますし、公益法人にも影響します。その他、中間法人と現在呼ばれているもの、本来であれば、こういうものが共益法人として呼ばれて、非営利法人、つまりNPOの一類型として定義づけられなければならないわけです。

 だから、そうした「民法改正の試案」というのを私も以前、論文も書いてホームページに載せてありますけれども、ぜひとも見ていただきまして、これはカリフォルニア州の非営利法人体系を一つ参考にしています。だから、それを参考にしつつ、僕は日本の社会にふさわしいものでもいいと思いますが、そういうものも参考にしていただきたいと思います。

 それで、私が今ぜひともやりたいと思っているのは、先ほど財政面の話がありました、活動資金の面ですね。もちろん税制は大切なんです。ただ、一つ私が強調しておきたいのは、特に大切なものの一つとして、やはりファウンデーション、ファンド、すなわち財団、今でいえば財団ですけれども、基金というものの役割というのは非常に重要でございます。

 なぜ重要かといいますと、NPOがやる事業というのは結構先駆的な事業なんです。先駆的ということは、なかなか理解されないんです。なかなか理解されないということはどうなのかというと、お金が出てこないんです、リスクを負いますから。やってみてだめだったらどうするんだという、大体、行政やっている人、そうですよね。こんなものやってどうなるんですか、失敗したらどうなるんですか、だれが責任とるんですかという話になるわけです。でも、やってみないとわからないこと、たくさんあるわけですね。(発言する者あり)そうですね。オートバイの二人乗りもそうだと思いますが、やってみないとわからないこと、たくさんあるんです。

 では、そのリスクをだれが負うかなんですね。では、NPOにおいてだれがリスクを負うかというと、結構財団が負うんです、財団が。ファウンデーションが負うんですね。

 結局、ファウンデーションが、おもしろいからやってみなさい、じゃ、三年ぐらいお金を出しましょう、だめだったら、それはしようがないでしょうと。一応、一年ごとに区切ってもちろん評価はしますけれども、一応三年間はあなたの事業に対してサポートしましょう、これぐらいの額でサポートしましょうとやるんです。そして、だめだったら三年間でその事業はやめればいいことなんです。

 しかし、その中に、千に三つといいますけれども、千に三つぐらい、これはすばらしい事業に発展するものだってあるんです。それが大きな事業になって、社会のために大きく尽くすことになる事業だってあるんです。では、そのリスクをだれが負うのか。千に、では、九百九十七失敗することもあるんです。しかし、そのリスクを負うのが実は財団の役割なんですね。財団の役割です。

 私は、その中で、コミュニティー財団というのを論文にも書いていますけれども、ずっと提唱していますし、今、議員立法でつくっています。ぜひとも、こういうものも私は皆さんのお力添えをいただきたいと思います。コミュニティー財団とかですね。

 あと、NPOの類型として、やはりシンクタンクというのは大切なんですね、シンクタンクというのが。もちろん、官の皆さんが今いろいろな意味でシンクタンクの機能を果たしている。日本で唯一最大のシンクタンクといいますか、もう唯一ですね、唯一無二のシンクタンクと言っていいと思います。

 しかし、それだけではやはりだめなんですね。政策代替案というもの、ポリシーオルタナティブ、これを考える機能というのも絶対必要なんです。それをアメリカで負っているのはNPOなんですね。有名なブルッキングス研究所、アメリカン・エンタープライズ、CSIS、すべてNPOなんです。類型ではNPOなんです。非営利法人なんです。

 だから、こうしたシンクタンクがないと、やはり政策議論でもなかなかこれはかみ合ったものにならないし、科学的なものにならないわけですね。科学的なものにならない。情緒に流された政策議論しか行われなくなる。であればこそ、こうしたシンクタンクというものをしっかりと見据えていく。

 だから、NPOというのは、実は、私なんかが考えるときには、やはりそういう財団の機能とかシンクタンクの機能とか常に頭の中に入っているんですね。ただ、先ほどからの議論も聞いていただいていてわかるとおり、今のNPOは特定非営利活動法人だというふうになっていますから、何となく私がいろいろ話をしていてもかみ合わないんです、これでは。だから、用語にこだわっております。

 だから、そういうこともありますので、村上大臣、今の私の思い、提言をぜひともまた頭の中に入れていただきたいと思っていますが、最後にちょっとよろしくお願いします。

村上国務大臣 私も委員と同じで、いろいろアメリカを見ていますと、今言われたように、アジア財団だとかヘリテージ財団とか、本当にすごいなと、正直言って私はびっくりしました。そういう意味で、ああいう活動ができるなら、本当に日本でも税や寄附のもの、そういうものができたらいいなと私自身も個人的にはそう思っています。

 ただ、御承知のように、私も宮澤先生と塩川先生の下で初代財務副大臣をやりまして、御高承のように、非常に今歳入欠陥の構造がありますので、その是正のときには、ひとつ市村先生にもなお一層の御支援と御指導を賜りたいと思いますと同時に、そういうことを是正しながら、やはり非営利法人に関する税制上の取り扱いについては、今後新たな非営利法人制度の基本的な枠組みを具体化した上で、所管省において専門的に検討される予定でありますけれども、市村委員の気持ちというか考えを一生懸命そんたくして考えていきたいな、そういうふうに考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 最後にちょっと、最後の今、村上大臣がおっしゃっている中で、この財政厳しき折という意味でも、僕はこれは大切だと思っているんです。

 なぜか。これは新しい法人を生み出します。新しい法人を生み出せば、新しい事業を生み出します。新しい事業が生まれれば、新しい雇用を生み出します。新しい雇用を生み出せば、新しい給与所得者を生み出します。給与所得者は、当然所得税を払ってくれます。新しい法人は法人税も払ってくれます。

 だから、私は、これはプラスマイナスすれば決してマイナスになるとは思っていません。必ずちゃんと、これが、こういう制度がきちっと整えば、プラスに働く、歳入面においてもプラスに働くと私は信じていますし、その点からもこれはぜひとも推進していただきたいと思っておりますので、これについては議論を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。

 残りたった十分間でございますけれども、災害対策のことについて御議論をさせていただきたいと存じております。

 まず、二点、きょうございまして、まず一点目は、自衛隊の役割についてちょっと御質問したいと思っています。

 私、今回、地震二日目から小千谷市役所の災害対策本部に入っておりまして、既にそのときには自衛隊の皆さんがもう市役所の災害対策本部に入って、陣取って、救援活動、救命救助活動、本当に御尽力いただいている姿を見ています。本当に心から感謝をするところであります。それだけ頑張っていただいて、あと、物資の運搬とか、物資の運び出しとか運び込み、自衛隊の皆さんの御努力については、私は本当に心から感激をし感謝をしているところでございます。

 ところが、この震災後、二週間以上たって、つい数日間で出ている声はどういう声かといいますと、目の前で瓦れきを片づけているのに、自衛隊の皆さんにちょっと手伝ってくれと言っても手伝ってくれなかったとか、道が寸断されてヘリコプターで運ばれて避難所に行っていらっしゃる方が、道がちょっと開けたので、ぜひとも自分の家に一時戻りたいと言って、そのときに、ボランティア団体が自衛隊の皆さんにちょっと運んでくださいませんかとお願いしたけれども断られた、結局、危険を冒してボランティア団体の皆さんが行っている、こういう状況でございます。

 もちろん、自衛隊の役割というのはあると思います。ただ、結構まだ自衛隊の皆さん、たくさん残っていらっしゃいますし、例えば、ずっと手伝ってくれということを言っているわけじゃないわけですね。

 これも多分、どうしてこうなったかというと、やはり上官の命令、自衛隊の組織は上官の命令なくして動かないわけですから。だから、上官の命令が、例えばそういうときは柔軟に対応しろ、こういうことを話していれば、私は多分、自衛隊の隊員本人は、目の前でやっているんだから手伝いたいと思っていらっしゃると思います。ああ、できれば、危険を冒してボランティアの皆さんに行ってもらうよりは自分が行った方がいいだろうというふうに思われると思います。ただ、やはり上官の命令がないがために、これがなかなかできないということがあります。

 だから、私としては、上官の命令として、こうしたことに柔軟に対応するようにぜひとも図っていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございますが、きょうは、防衛庁の大古運用局長、いらっしゃっています。いかがでしょうか。

大古政府参考人 防衛庁の方からお答えをさせていただきます。

 今の委員御指摘のあったきめ細かいニーズについては、自衛隊といたしましても、能力の範囲内でできるだけ対応したいとは思っております。

 ただ、基本的に、どういうところにどういう支援をするかについては、一義的に、全般状況を掌握している県当局と調整してやっておりますので、そういうニーズに対しては、県との調整で、市町村のニーズにもこたえ、個別の住民のニーズにもこたえるということでやっておりますので、必ずしも上官がそれを縛っているということではございません。

市村委員 柔軟な対応をお願いしたいということでございます。

 目の前でやっていて、多分それはやはり自衛隊員としての自覚でそういうふうに断らざるを得ないということだと思いますけれども、そんな別にずっとやってはないわけですから、人として当たり前のことを当たり前にやってほしい、これだけの話でございます。

 もちろん、時間がないのに、ほかの指揮命令下にあるのにこれをやれということではないわけです。やはり、人として、義を見てせざるは勇なきなりということでございます。そういうことをやってほしいということでございます。

 それから最後に、きょうは、この間も議論させていただきましたが、ダブルローンのことについてちょっとお話をさせていただきます。

 これは、なぜ私がここまでこだわるかといいますと、私は、阪神・淡路大震災の復興関連事業に三年間携わっておりました。その中で、本当に被災を受けた方々の声も一番多く聞いた人間の一人だと思っています。

 その中で、このダブルローンの話というのは、そう簡単には皆さんおっしゃらないんです。信頼関係を築いて、そして、ある日突然、一緒にお酒飲んだり話をしているとき、ねえ、市村君、何がつらいかって、本当にこのダブルローンなんだ、こういうことをおっしゃるんです。

 だから結局、皆さん、その方たちの気持ちを代弁すると、阪神・淡路大震災では本当に多くの人が被害を受けた、自分だけじゃない、だから、みんな苦しい思いをしているんだ、その中で自分だけが不満を言えないと。多分、だからこそ言えないわけですよ。普通の生活の中で、おれはダブルローンを抱えて大変なんやと言えないんですよ。でも、ふとしたときに、信頼できる人間には、大変なんだということを、自分の気持ちを素直に吐露されるわけです。

 それで、皆さんも、御自分がそういう目に遭ったらどうでしょうか。ローンを組んだ家がつぶれた、もう住む家がない。やはり家は建て直さないかぬ、また新たに三十五年ローンを組んだ。しかし、住む家のなくなったローンの残りまで払い続けなくちゃならない。もしこういう状況になったらどうなるかということを、僕は、特にこの災害対策にかかわっていらっしゃるみんながしっかりと踏んまえた上で、他人事じゃないわけです、いつこの災害国日本においては我が身に降りかかってくるかもしれないわけです。

 こういうときに、別に新しい家のローンまでチャラにしろと言っているわけじゃないんです。またさらに三十五年ローンを組まないかぬわけです、これ、またさらにですね。ただ、新しい家のローンは、もう当然大変なわけです、それだけでも。その上に、前の、しかも、なくなった家ですよ。なくなった家のローンを払うというのはいかがなものかと私は思っています。

 この点で、きょうは村田防災大臣がいらっしゃっています。非常災害対策本部があります。この中で、このダブルローンのことをぜひとも議論に入れていただければと思っておりますが、大臣、いかがでございましょうか。

村田国務大臣 市村先生が、仮に、ダブルローンになったら大変気の毒ではないか、それを何か救ってあげないか、そういう御質問でございました。

 調べてみますと、阪神大震災のときにも、国の措置としてはそういうことが行われなかったというふうに聞いております。ただ、県が基金事業としてその一部について補助をした、そういう話は、情報は私も持っているわけでございます。国の措置としては、事情において大変お察し申し上げる、そういうところがございますけれども、なかなか、端的に申しまして難しいのではないかなというふうに考えております。

 ただ、住宅公庫におきまして災害貸し付けというのがありまして、融資条件を、償還期間を延長したり、据置期間を設けたり、あるいは据置期間の間の金利を下げたり、そういうことをやる措置がございますものですから、できる限りそういうのを御利用になっていただきたいというふうに思っております。

 それで、市村先生からの質問があるということで、公庫でも、地元はもちろんですが、住宅金融公庫の北関東支店というところに特設窓口も設けておりまして、公庫にかかわる御相談がどれくらいあるかなと聞いてみましたら、昨日の時点で大体五百件ぐらいあって、既往の公庫の貸し付けにかかわるものはその大体五%ぐらいかなという数字を承った次第でございます。

 一生懸命、そうした公庫の窓口、特設窓口等から、どういう意見が出てくるのか、どういう御相談が寄せられるのかということについて、非常災害対策本部でも注視してまいりたい、こういうふうに考えております。

市村委員 この住宅再建というのが、やはり何といってもコミュニティー再建の第一番でありますし、また災害復興の第一番だと思います。阪神大震災でも、結局、それができなかったがためにコミュニティーが崩壊し、またお屋敷街が分筆され、プレハブ住宅の展示場みたいになってしまっている。日本全体の資産形成からいっても、これはゆゆしき問題だというふうに思います。

 ですから、いろいろ難しいことはあると思います。ただ、私としては、非常災害対策本部の中の議論の一つに上げていただきたいというお願いでございますので、議論してだめならだめでいいんですが、議論もしないでだめだということではなくて、ぜひともダブルローンのことを議論に上げていただきたいということを再度お願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

松下委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは最初に、警察の裏金問題、ずっとことしに入ってから何度もこの委員会で取り上げてきておりますが、質問をしたいと思います。

 警察庁の方に最初伺っておきますが、幾つかの都道府県で、不正支出について、県や国に返還したりあるいは返還する意向を示しているというところが出ておりますね。これまで都道府県が国や県に返還あるいは返還の意向を示した、その都道府県と返還額はどういうふうになっているかを伺います。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 警察の会計経理をめぐり、個別具体的に疑惑の指摘されました関係警察におきましては、それぞれの公安委員会の指示を受けながら、みずから調査し、既に調査の途中経過を報告するなどしておりまして、その結果、不適正なものが判明した北海道警察、福岡県警察及び静岡県警察では既に一部を返還し、また返還に関する方針を示しているところであります。

 個別に御説明申し上げますと、北海道警察では、北海道警察弟子屈警察署の平成十二年度の捜査用報償費のうち、本年四月二十八日の住民監査請求に対する北海道監査委員の……(吉井委員「簡潔で結構ですから。数字だけで結構です」と呼ぶ)はい。勧告において示された判断基準に基づきまして、十三万六千百四十三円を北海道に返還しております。

 また、福岡県警察では、平成十年度から十二年度の銃器対策課の捜査費等のうち、支払い事実が確認できなかったものなど総額四千八百十万円を返還することを明らかにしておりますし、このうち、住民監査請求の監査結果に基づきまして、三百九十万九千二百三十六円を既に福岡県に返還しております。

 最後に、静岡県警察でありますが、これは、県警察本部総務課におきます不適正な旅費の執行及び食糧費の執行が認められた件につきまして、合わせまして、平成七年度及び平成十年度から十二年度までの不適正支出等の総額、これは今申し上げましたのは全部法定利息を加えたものですが、静岡の場合、合計二千三百三十七万七千十円を静岡に返還しております。

 以上でございます。

吉井委員 最近、岩手県警が激励慰労費三十万円を県に返還するという通知をしたということも伺っております。

 それで、今回、会計検査院の検査報告の中でも、この報告書の中で、激励慰労費、その支払い対象が飲食に関する経費となっているということで、再検討する必要があると。

 そこで、会計検査院に伺っておきますが、要するに、これは飲食に使われるというので、ぐあいが悪いものだから、見直してやめるべきだ、そういう趣旨で報告を出されたと思いますが、確認をしておきます。

石野会計検査院当局者 今お尋ねの激励慰労費の件でございますけれども、これにつきましても、直近の十四、十五両年度において、慰労費の実績のあった都道府県警察における執行内容を確認したところでございますが、一部の都道府県警察で、必ずしも警察庁の指導に適合しない形態で執行されていたということでございますので、仮に執行するとしましても、真に必要なもの等に限定するなど、その予算の執行について再検討する必要があるのではないかということを述べております。

吉井委員 ここで大臣に伺っておきたいんですけれども、要するに、会計検査院の報告書の中でも、再検討する、こういうまずいものは出さないということをきちっと指摘しているわけですから、この報告書の立場で警察庁を指導していかれますね。

村田国務大臣 会計検査院の決算検査報告でございますが、それによって指摘された事項、各都道府県警のもとで、国家公安委員会の指導を受けながら、問題事案については引き続き調査を要すれば進めていく、その結果、問題が出れば処分を行い、必要とあらば返還をする、そういう形で厳正に対処してまいりたいというふうに考えておりまして、そうした形で警察を指導してまいりたいと考えております。

吉井委員 次に、北海道警の方、中間報告に関連して、裏金十一億円のうち、六億七千万円が捜査活動以外に使われたか使途不明だったとして、それで道や国への返還対象だと道議会で答えております。この額は概算の額のようなんですね。一定の算定根拠はやはりあるはずなんですね。

 六億七千万円の算定根拠、根拠は一体何なのかということを伺います。

安藤政府参考人 九月十三日の北海道警察による報告では、平成十年度から十二年度の捜査用報償費及び捜査費約十四億二百万のうち、約七億三千百万は捜査活動に要する経費として支出し、それ以外の約六億七千百万はその他の経費として支出したものと承知しておりますが、捜査活動に要する経費の使途というのは、御案内のとおり、協力者への情報提供者料とか協力者との接触費、あるいは追尾中のタクシー代などであります。

 今委員がお尋ねの、その他の経費、すなわち捜査活動に要する経費以外の経費の使途につきましては、主に交際経費や激励経費でありまして、調査に際しましては、所属長などからの聴取に加えまして、交際費につきましては、これは、相手側の会議開催案内等、これを確認したり、あるいは激励経費につきましては、激励会開催文、過去のものでありますが、そういうものを確認しながら積み上げていったものと承知しております。

吉井委員 実は、この根拠がかなりあいまいなんですね。

 道警の島根さんという警務部長さんは、裏金の支出内容を示す領収書をとったケースはほとんどないということなんですね。支出の内容について直接の物証がない。それを捜査以外に使われたとか使途不明だと区分けしているわけですが、いつ、だれが、どこで、目的外使用をしたのかとか、使途不明金は、いつ、どこの部署で支出したのかとか、やはり具体的資料できちっと説明しなきゃいけないと思うんですが、それができないという状態なんですね。

 ですから、これは報道の中でもありますが、北海道の知事が、捜査員らの聴取による心証で適正とした道警の裏金返還基準については、道警は捜査する立場、裁判などで客観的に認められる証拠がどういうものか、当然認識はあろうと指摘していますね。

 やはり何か丸い数字で六億七千万円返しますという話じゃなくて、返すからには、きちんとした物証なり、きちんとした客観的根拠を示すということが必要だと思うんですが、それなしに、この話は丸い数字としての六億七千万円ですか。

安藤政府参考人 まず、捜査活動に要する経費以外というものの算定根拠をちょっとより詳しく申し上げる前に、中間報告でありますが、捜査活動に要する経費をどういうふうに北海道警が積み上げたか、算定をしたかといいますと、これは、例えば、捜査員に支払い精算書などの支出関係書類を示しまして、捜査員しか知り得ない協力者の人物像とか協力内容とか事件内容あるいは接触状況など、そういうものを聴取いたしておりますし、さらには、こういう聴取のほかに、協力内容が記載されました文書とか、事件概要の記録されました捜査報告書、あるいは捜査員、同僚等の関係者の備忘録とかメモ等の照合、さらには複数の捜査員等の説明を突き合わせながら、一層具体的、詳細に調査を行った結果、その上で確証の得られたものを捜査活動に要する経費として積み上げたということであります。

 それで、その捜査活動に要する経費以外につきましても、先ほども申し上げましたような、会議開催といいますか、あるいは激励会開催文等、こういうもので確認をしたということでありますが、よりもう少し具体的に言いますと、交際費につきましては、関係団体等の懇親会費とか部内会議の懇親会費、あるいは職員に対する慶弔費、物証がないということでございますが、そういうものは、警察の部内の中でいろいろ聞き取りをしながら確認をしていったということであります。

 ただ、この報告書、九月十三日の報告は、あくまでも中間報告でございますので、北海道警といたしましては、さらに精査をして金額を確定するものと思われます。

吉井委員 要するに、積み上げをしたというお話なんですが、物証がなくても、心証によるもので適正としての積み上げなどなんですね。

 ですから、道警幹部の発言などについて、報道を見ていますと、こういうふうに言っていますね。知事の判断も待たずに、道警は一方的に裏金を返そうとしているということを指摘して、複数の関係者によると、道警は十一月下旬にも最終報告を行い、関係者の処分と裏金返還を行うことを検討している。つまり、調査は調査なんですが、確認監査を経て返還額は確定するということからになると思うんですが、ところが、そうなると年明けになっていく、警察庁が示した年内決着に間に合わないためだから、こういうことになっているということも伝えられております。

 私、確認しておきますが、数字の根拠が、確認監査を経て根拠を確定すると思うんですけれども、その根拠をはっきりしないまま、調査を年内で終わらせて幕引き、そういうことはありませんね。

安藤政府参考人 今委員御指摘の十一月下旬というのは、これまで、もう半年以上、全所属、過去五年間の捜査費、捜査用報償費について所属の調査をした結果、最終といいますか、道警としての最終的な結果を、それを目途に今鋭意精査しているということでありまして、その上で、額を確定した上で、返還という話もありましょうし、それから関係者の責任の所在というものも明らかにしなければいけませんが、いずれにいたしましても、あくまでも真相解明、そして、その結果に基づいて責任の所在を明らかにし、返還すべきものは返還する、そういう姿勢でございますので、委員の御懸念のようなことではなくて、積極的に今調査を続行しているということであります。

吉井委員 裁判などで客観的に認められる証拠をきちっと固めてというのは、皆さんの捜査のイロハですよね。ですから、調べて、同時に、それはどこかで根拠をはっきりさせて、確定していかなきゃいけませんね。だから、その点では、確認監査をきちっと経て、それからになると思うんですが、そこがあいまいなままに、とにかくもう返しました、あるいは終わりということになってはとんでもないことですから、この点では、さっきの会計検査院の報告の中でも、所見の中で、警察庁における事態の全容解明と原因究明、さらにこれらを踏まえた上での再発防止ということがあります。

 ですから、この問題の最後に大臣に伺っておきますが、やはり、裏金問題の徹底的な全容解明の立場できちんと臨んでいく、これは、マスコミ等で幕引き云々の話が言われたりするときだけに、大臣の姿勢としても、徹底解明、この立場で臨むということが大事だと思いますので、この点を伺っておきます。

村田国務大臣 国家公安委員長の立場としては、こうした警察の会計経理をめぐる不祥事がこのように国会でいつまでも議論されるということは、警察の信頼をとにかく回復するという意味からいうと、まことに不幸なことでありますので、私の立場としては、できるだけ早く解明を済ませて、それで真相を公表して、厳正な処分に臨むというのが望ましいことだ、こういうふうに思います。

 一方において、委員がおっしゃるように、やはりしっかりとした厳正な調査がその前提であるということでございます。まさにそこはそのとおりでございますので、私どもも、各都道府県警におきまして、問題があったところにつきましては厳正な調査を今も行っている、こういうふうに考えておるわけでございます。

吉井委員 では、徹底解明の立場で取り組んでいただきたいということで、もう結構ですから、次のテーマに移りますので。

 次に、ITER誘致に関する国際協議について伺いたいと思うんです。

 二〇〇一年六月のモスクワ会合でITER候補地としてカナダのクラリントンの提案があったりとか、それからずっと協議が続いてきているんですが、三年半たつんですけれども、要するに、この間マスコミ報道で、何か今度また話し合いがあるとか、いろいろ報道はあるんですけれども、結局どうなっているのか、国会にはさっぱり知らされないまま国際協議というのが進んでいっております。

 簡潔に一言で、今どういうことなのか、答えていただきたいと思います。

坂田政府参考人 先生お尋ねのITERの交渉の状況でございますが、この間の交渉の経緯につきましては、国会においてもいろいろと御質問を賜りまして、累次審議が行われてきております。

 現状を申し上げれば、最近の状況だけ申し上げますと、ITERの交渉、とりわけサイトをどちらにするか、日本の場合は六ケ所村が候補地でございますし、ヨーロッパはフランスのカダラッシュというところが候補地でございます。この交渉が本格化いたしましたのは昨年の六月からでございまして、昨年の十二月には閣僚会議もいたしました。この間、実は六回の次官級会議もやっております。現時点においては、結論が得られておりません。

 それで、一番新しい状況といたしましては、私ども、このどちらかがホスト国になり、いずれかが非ホスト国になるわけでございますけれども、お互いの役割をどうするかということをしっかり議論することがまず何よりも大事であろうという観点から、この九月にホスト国と非ホスト国の役割分担にかかわります日本なりの新しい提案を出させていただきました。

 もちろん、どちらがホストになるかという点につきましては、ホスト国としてどれだけの資金負担をするかというのは非常に重要な要素ではございますが、その資金負担にかかわらず、今申し上げましたとおり、どういった役割をお互いになし得るかという提案をいたしました。

 ヨーロッパ側からも、十月には一種の対案というものが示されまして、実は、今週の九日でございますけれども、火曜日でございますが、六回目の次官級会議、これは六極でやりました。日米韓欧中ロでございますけれども、ウィーンで行いました。

 お互いの提案を述べ合い、また他の四極からもそれぞれ意見をちょうだいいたしましたが、残念ながら、合意というところにいきませんで、六極の一つのコンセンサスといたしましては、日欧でさらに議論を深めてもらいたいということでございますので、私どもそういうことで、いましばらく日欧間でしっかり議論していきたい、こう思っております。

吉井委員 私は、ITERの問題というのは、ITERの工学設計、これに取り組んできて、いよいよこれが物になるかどうかということになりますと、大事な問題の一つは、やはり炉材料が既にきちんと開発が終わっているのかどうかという問題とか、あるいは、ITERからさらにずっと将来の核融合による動力炉を展望しておるわけですから、その時代を展望した炉材料の見通しがついてくるものなのかどうかということがきちっとないと、何かそういうところを抜きに、どこへ誘致するかばかりの議論をしても、これは余り意味のあるものにならないと思っているんです。

 文部科学省のITER安全規制検討会の報告書では、やはりその中でも、核融合炉のブランケットというのは、燃料であるトリチウムの生産と回収、エネルギーの転換、中性子遮へいなど複合的機能を果たさなければならないということを示して、高熱負荷、高中性子負荷に耐えられる材料の開発、必要ということを言ってきたわけですね。

 それで、技術開発が可能なのか、それはいつごろのことになるのかなど、やはり見通しを持たないと、実はITERがプラズマ物理の実験施設というふうに割り切れば、それはそれで一つの考え方ですが、これまで言ってきているような、将来の動力炉を展望してとなりますと、そこがないと次につながらないわけですよ、将来に。

 そこで、ITERから実用炉のブランケット開発の可能性を見通した高速中性子実験施設というのは、きちんとあるのかどうか、伺います。

坂田政府参考人 先生御指摘のとおり、核融合を実用化しようといたしますと、材料の開発というのは非常に大事でございます。

 御指摘のとおり、高いエネルギーを持ちました中性子に耐え得る材料、とりわけブランケットに使う材料というものをしっかり開発いたしませんと、実用化に向けての課題は克服できないと認識しております。

 ただ、まず、ITERに使う材料のことから申し上げますと、ITERに使いますこのブランケットの材料あるいは炉壁の材料、これにつきましては、既にこの間の関係各国によります研究開発の結果、十分信頼性のあるものができておりまして、ITERを建設する上では材料の問題は十分対応できるというのが関係六カ国のコンセンサスでございます。

 一方、さらに先の実用化までをにらんだ際には、先生も御指摘がございましたように、ITERで使う材料、そこで使われる中性子のエネルギーよりもさらに十倍以上強い中性子の照射に耐えられるような、そういったブランケットの材料を開発する必要がございます。この点につきましては、関係六カ国の考え方は、まずITERをつくり、そこで核融合によってエネルギーをきちんと生産する、それを一つの課題としてしっかりやる、並行的にこのような材料の開発を別途進めていく。

 現実に、実用化のための材料の候補といたしましては、低放射化フェライト鋼、あるいはバナジウム合金、セラミック複合材料、こういったものが検討されております。研究も積み重ねておられまして、徐々にではございますけれども、実用化に耐えられる、それに向けての研究蓄積も図られております。

 最後に先生がお尋ねの高速中性子の実験施設の問題でございますけれども、現在、日本、EU、ロシア、そして米国、この専門家が集まりまして、非常に高いエネルギーの中性子を照射する実験施設を将来つくるべく、概念設計、また、その要素の技術確証、こういったことが行われております。いずれ、関係各国間におきましても、この高速中性子関係の材料の実験施設をどのように実現するか、どこで、どういう時期に実現するか、これは検討していかなければいけない課題であると考えております。

吉井委員 実のところ、これはITERで、一億度水準の高い温度のプラズマの閉じ込めとか、強い高速中性子による格子欠陥とか材料脆化の問題などで、今おっしゃったけれども、ITERの段階でも、これまで出てきたデータをプロットしたものを外挿して多分大丈夫だろうという話であって、まだ、これがきちんと確立されたわけのものでもありませんし、原型炉を展望すると炉材料はないし、実証炉を考えるとさらに厳しいというのが現実の問題だということを見ておかなきゃいけないと思います。

 次に、仮にITERの規模のものでいけたとしても、それを実際の、例えば今の軽水炉原発のように、電力を取り出すとなると、電気に転換する施設などを加えなきゃいけませんから、昨日もレクに来られたときに伺っておりましても、大体今のITERの建設費五千億のさらに三倍ぐらいのコストを見なきゃいけないんじゃないかというお話もありましたが、ITERで熱出力で五十万キロワットなんですよ。原発で考えますと、電気出力でいったら大体十五万キロワットぐらいなんですね。

 今、百万とか百五十万キロワットの時代ですから、十五万キロワットぐらいのものですと大体建設費で二千億円ぐらい。仮に、ITER水準の熱出力のものをつくっても、これは電気として取り出すことを考えると、その三倍の一兆五千億ということでいきますと、七、八倍ぐらい今の原発より高い発電コストになってくるわけですね。専門家の間でも、これは軽水炉などをやってきた人でも、出力当たりのコストでいえば大体四倍から六倍ぐらいになるだろうという見通しもあります。

 つまり、ITERを、プラズマ物理の実験炉という点での意味合いはあるにしても、本当に将来につなげたものを考えていくとすると、今のところでは、これは動力炉としてのコストの面からいったら、とても引き合うものにはまだ見通しが立っていないというのが現実じゃないかと思いますが、この点はどう見ておられますか。

坂田政府参考人 核融合炉が発電をした際のコストの問題でございますけれども、先生もよく御存じのとおり、現時点では、核融合は世界的にはまだ科学実験装置でございます。それから、ITERはもちろん実験炉ということでございます。これは工学実験装置というぐあいに言ってもよろしいかと存じます。

 つまり、技術の発展過程ということを考えてみますと、もちろん、実用化までにはまだまだ克服すべき課題がたくさんございます。そういう意味では、今の現状の技術の水準をもとにして、将来の発電コストを確実なものといいますか、確たる見通しを推察すること自体が非常に難しいかと思います。

 そういう意味で、今私どもとして申し上げられることは、この核融合というのは、日本だけではなくて、世界の最先端の国が集まって、人類のためにぜひ実用化していこう、そのために重要なステップ、どうしてもくぐり抜けなければいけないITERというものをつくり上げようということでございますので、こういう努力を積み重ねて、しっかりと実用化できるような技術の財産というものをきちんと将来につなげていきたいと思います。

 ちなみに、もちろん、現在の専門家がいろいろ将来のコスト見通しについて計算したようなスタディーはございます。先生がおっしゃったようなものも一つかもしれません。

 しかし、例えば核融合の実用化のために、非常に理想的なといいますか、今目標としているのができ上がれば……(吉井委員「次の質問がありますので」と呼ぶ)済みません。経済性のあるものがちゃんとできるということを言っている専門家もございますので、御理解を賜りたいと思います。

吉井委員 実は私、見通しを持って巨大科学に当たらなきゃいけないと思いますのは、原子力船「むつ」ですね、六十億で始まって、二十倍の一千億円をはるかに超える金を使って、結局失敗してもう廃船となったんですね。

 だから、やはりそういうことを考えたときに、私は、核融合の研究そのものは賛成ですし、大事だと思っているんです。ただ、そのときに、いろいろなタイプのものがあって、基礎的な研究もあれば、炉材料を初めとする技術を進めていくこととか、汎用技術と結びついたものの活用、あるいは汎用技術につながるものとか、全体を見通したことをやらないと、そこが抜けてしまって、いや、カダラッシュか六ケ所かというとり合いみたいな話になってしまっていたんじゃ、私はそんな水準でITERというものを考えておったんじゃとてもだめなんじゃないかと思うんです。

 そこで、最後に大臣に伺いますが、実は六ケ所については、六ケ所再処理工場運転の理由にも、地元との関係をつくってきた苦労を考えよとか、工場運転をやめたら地元雇用や経済は大変だとかいって、だから再処理路線の変更はできないとする主張も今現にあるわけですよ。むつ小川原開発という巨大プロジェクト、大型開発破綻の後始末に、六ケ所の再処理工場建設と運転問題が出てきて、さらにITERの誘致というふうに続いてくるとなると、これはエネルギー政策でもなければ科学技術政策でもない。政策破綻の後始末のための科学技術をかぶせた巨大公共事業を持ってくるという発想ということにもなりかねないんです。

 かつて、町村文部科学大臣と議論したときも、町村さんも、新しい町おこしじゃないか、こういう発言もありましたが、私は、そういうようなことになってはならないという立場を踏まえた科学技術政策というものをこれからは考え、進めていかなきゃならぬと思うんです。そのことについてだけ大臣に伺って、終わりにしたいと思います。

棚橋国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 先生御指摘の観点から、特に科学技術政策全般の予算、基礎研究も含めてでしょうけれども、きちんとバランスをとって確保することというような多分御趣旨かなと思っております。

 ちなみにITERにつきましては、平成十四年の五月の二十九日の総合科学技術会議におきまして、「ITER計画については、政府全体でその推進に取り組むとともに、所要経費については、第二期科学技術基本計画を踏まえつつ、他の科学技術上の重要政策に影響を及ぼすことがないよう、既存の施策の重点化、効率化を図り、」というふうにしておりますので、そういう観点から着実に進めてまいりたいと思っています。

吉井委員 時間が参りましたので、これで終わります。

松下委員長 次に、田端正広君。

田端委員 きょうは、私は、いわゆるおれおれ詐欺事件に関することでお伺いしたいと思います。

 近年、この種のたぐいの事件が大変急増しておりまして、国民の中にも大変な被害に遭った方もたくさんおられるということで、これは、国としても、政府としても、また我々議員としても、そのままにしておくわけにいかない、そんな思いで、きょうは短時間ですけれども質問させていただきます。

 まず、二つのタイプといいますか、パターンがあるんだろうと思いますが、いわゆる、ばあちゃん、おれだよ、そういうたぐいの次元から起こったおれおれ詐欺事件。それが今非常に巧妙化して、私、いろいろな方にも伺いましたが、意外と近辺に、被害に遭った、あるいは被害未遂であった、未遂といいますか、事件にならなかったけれども危なかったという人が意外と近いところにいるわけで、それは、相手が警察官に成り済ましたり弁護士に成り済ましたり、いろいろな形で、あなたの息子、今事故を起こしたからすぐ示談にした方がいいよ、こういう形で、電話を受けた方がおっと思ってすぐ乗ってしまうといいますか、非常に巧妙になってきているということであります。

 近年、とんでもないと思ったのは、この間、NHKが新潟の地震で、安否情報の確認でテロップを通してずっと流しました。例えば、埼玉県のだれだれから新潟どこのだれだれさん、元気でやっていますか。そうすると、こちら側から、出した人のところにこの種のたぐいのものが、新潟中越地震支援のための義援金を募集しているから、何ぼでもいいから、幾らでもいいからすぐにここここに振り込んでくれと、こういうことがあったという新聞ニュースもあるわけであります。本当にもう人の不幸につけ込んでとんでもない、こう思うわけでありますが、NHKも、やったことが逆手にとられて、そういう事件のきっかけになってしまっているということも非常に残念だと思います。

 それから、もう一つのたぐいは、つまり架空請求事件でありまして、我々の携帯にもいろいろなわからない接触があるわけですが、時々私にだって、返信したところ、とんでもないところであったということもあるわけでありますが、そういうのが、変なサイトに接触したために後になって請求が来る、こういうことだろうと思います。

 あるいは、郵便物、はがきやメールで、こうこうこうだから十万円どこどこへ振り込んでくれ、こういうことなんだろうと思うんです。この種のたぐいも大変手が込んでいて、非常に法律用語を使って、あたかも本当に、知らない人が見ると、一般の国民が見ると信用してしまいそうな文面になっているケースがたくさんあるわけであります。

 しかし、その発信人の業者のところを確認しますと、例えば、神田債権管理センターというのは、千代田区霞が関一の十六の七神田ビル、こうなっているわけですが、その番地にはそういうものは存在していないわけであります。

 あるいはまた、これもそうですが、電話番号が携帯の電話番号になっているわけでありまして、そういう意味では非常に、架空請求の電話番号がもし携帯になっているというのであれば、これはもう一番怪しいわけでありまして、そういうものを受け取ったときに、ぜひそういう意味の確認をすべきだと思うんですが、文面だけ見てしまうとこれは大変だということで、ついついひっかかってしまうというケースがあるんだろうと思います。

 それで、まず、これらの被害が今どういう状況にあるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

岡田政府参考人 おれおれ詐欺等についての被害状況についてのお尋ねでございますが、平成十六年、ことしの一月から九月までのいわゆるおれおれ詐欺事件に係る被害の認知は一万一千件余りでございまして、被害金額にして約百三十億円でございます。

 それから、同時期、同期間の架空請求詐欺事件に係る被害の認知件数は三千六百件余り、被害総額は三十六億円余りでございます。

 それから、御質問にはございませんでしたが、同じようなというか、詐欺の一つの大きな手口として融資保証金詐欺事件もございますが、これが約三千五百件、被害総額二十二億円ぐらいでございます。

田端委員 それで、まずこれは、そういう事件に関係してしまうといいますか、そういうことになった場合に、国民の皆さん一人一人がやはりしっかりと意識を持つことが大事だろう、こう思うわけであります。

 今、国民生活センター及び消費者センターに大変な問い合わせが殺到していると思うんですが、どのぐらいの件数、特におれおれのたぐいの事件についてはどのぐらい来られているでしょうか、件数があったでしょうか。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 国民生活センターでは、各地の消費生活センターをオンラインで結ぶいわゆるPIO―NETを運営しておりまして、消費生活に関する各種の苦情相談情報を収集しております。

 このPIO―NETによりますと、架空請求に関する苦情相談件数は、平成十二年度が約一万五千件、十三年度が約一万七千件、十四年度が約七万六千件でございましたのに対し、平成十五年度は約四十七万四千件ということで大変急増しております。また、今年度も十月末現在で既に二十八万件を超えております。

田端委員 今もお話があったとおり、ことしになってもう急増しているわけでありまして、いかにこういうトラブルが多いかということだと思います。

 それで、実はこれらの事件の大きなポイントになる点が二つあると思うんですが、一つは、これこれに振り込めという銀行口座が偽名といいますか架空といいますか、そういう銀行口座に指定される。この銀行口座をきちっとそういう架空や偽名の銀行口座でないものにするようにすることが法的な整備に必要だと思います。

 それからもう一点は、これを使っているのはほとんどプリペイド式の携帯電話でありまして、本人確認がされていないという意味で、だれから電話がかかっているかということが最終的には確定できないために犯罪として検挙ができない、そういう事態になっている、こう思うわけであります。

 このプリペイド式携帯電話をこれからどうするかということ、それから銀行口座をどうするかということ、この問題が大きなことでありまして、今、与党の方でもこれらの問題についてPTを立ち上げて、急ぎ検討しておりますが、銀行口座についてはもう立法化のめどはついているんですが、プリペイドの方はこれからなおもう少し時間をかけてやりたい、こういうことでございます。

 例えば、これらの口座が三万円、あるいは携帯が三万円、口座と携帯セットでならば五万円、こういうものがインターネット上で取引されているところに、非常に今の現状、難しいということが言えるんではないか、こう思います。

 それで、私きょう申し上げたいことは、ぜひ、政府を挙げてこの問題に対して取り組んで、そしてそのことを国民の皆さんに意識を喚起するような大キャンペーンをやっていただきたい、こう思っております。

 一応、一応といいますか、事前にお伺いしたところ、大変頑張っていただいて、そういう方向が今出てきたということで、ポスターをつくっていただくということで、こんなポスター、さっきいただいたんです。

 これはバツをかいて、なかなかいいんですけれども、「身に覚えのない請求には応じない!!」というこのポスター、内閣府、警察庁、金融庁、総務省、法務省、国民生活センター、こういうことでキャンペーンをやっていただくということです。

 これは私は大変いいと思うんですが、身に覚えのない請求には応じないというのはいわゆる架空請求事件の方でありまして、いわゆるおれおれの方のことはちょっとはまらないんじゃないかなという感じもします。

 だから、そっちの方のこともひとつまた大至急検討していただいて、両方相まってやっていただきたいんです。ポスターだけではなく、例えば中づり広告とか新聞広告とか、あるいはテレビのコマーシャル、政府広報でいろいろやっているわけですから、そういうものを活用していただいて、もっと大々的にやっていただきたいと思うんですが、この点について御答弁をお願いしたいと思います。

田口政府参考人 御指摘の架空請求等に関します消費者トラブルに関しましては、ことしの九月に総理を会長とする消費者政策会議におきまして対応策を決定いたしましたが、この中で、「消費者に対する広報・啓発活動を強化する。」ということにいたしております。

 内閣府におきましては、この決定に基づきまして、今御紹介のございましたように、関係省庁と連携して架空請求への注意を呼びかけるポスターあるいはリーフレットを作成いたしまして、現在、金融機関でありますとか駅、携帯ショップなど多くの場所で幅広い配布、掲示を進めているということでございます。また、各都道府県等におきましても、広報誌でありますとかテレビ、ラジオ等を通じまして、架空請求に関する広報啓発に積極的に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、さらに、若い方々あるいは学生の方々も含めまして、幅広い消費者への広報啓発に力を入れてまいりたいと考えております。

田端委員 法律というのは施行するまで時間がかかります。だから、そういう意味では、その前にぜひキャンペーンを展開して、マスコミの皆さんにも協力いただいて、国民の皆さんにこういう事件にかかわりがないようにぜひ注意をしていただくよう、よろしく訴えていけるようにしていただきたいと思います。

 それで、プリペイド式携帯電話というのは、昔から悪の温床というふうに言われておりまして、実は、私は大阪の西成区に住んでおりますが、私の近所はあいりん地区というのがありまして、ここは日本でも覚せい剤の取引の一番大きな拠点とも言われているところでもあります。早い話が私が歩いても私に売りに来る、こういうことでありまして、大変なことでありますが、覚せい剤、薬物の取引の温床になっているのがやはり携帯で取引をする、こういうことであります。

 つまり、金と物とを対で取り交わすのではなく、どこどこに金を置きなさい、どこどこに、そこから百メートル先のカキの木の下のところに置いておく、そんなことを電話でやりとりしながらやるという意味では、携帯電話というものの存在というのは非常に根の深いものだということは、もう私十年来訴えてきているんですが、一向に事件は減っていないと思います。この西成の覚せい剤に関する事件の件数とか現状はどうなっているでしょうか。

知念政府参考人 いわゆるあいりん地区を管轄する大阪府西成警察署の本年上半期における薬物事犯の検挙状況でございますが、件数百二十五件、人員にして九十三名であると承知しております。西成警察署では、薬物事犯の取り締まり強化に強く取り組んでおるというふうに承知しておるところでございます。

田端委員 大阪府警本部が一生懸命やっていただいているのは私もよくわかっているんですが、しかし、例えば十年前と比べて減ったかというと、減っていないと思うので、そういう意味で、ぜひこれは、こういう組織的な犯罪に対してはもっと本腰を入れてキャンペーンを張っていただいて、そして例えばもっと厳罰化をしていただかないと、すぐ出てくるというのではまた繰り返しになるわけでありまして、どうぞ、そういった意味でもぜひ本質的なことを考えていただきたいということで、携帯電話の対応と同時にお願いしておきたいと思います。

 ちょっと話がかわりますが、自転車の事故についてお伺いしたいと思います。

 自転車の事故というのは意外と多いんでありまして、交通事故、車の事故についてはいろいろな形で警察にも御努力いただいているわけでありますが、自転車事故というのは意外と今まで余りにも議論されていなかったんではないか、こういうふうに思います。

 例えば、同じく携帯電話を、今携帯をかけながら片手運転しながらやっているというのが非常に多いわけでありまして、車の場合は今月から罰則が強化されましたが、自転車の場合も意外とそういう事件、事故になっていることと思います。

 例えば、ひったくり事件なんというのは、携帯をかけながら自転車で走っている人というのは、もう私は大阪ではそういう人は一番ねらわれるタイプだろうと思いますが、携帯電話というのは、そういう意味でも非常に大きな問題提起になっているんではないかと思います。

 自転車の事故は非常に多くなっているんですが、しかし、これは車社会になり過ぎたから、逆にこれから自転車を使えるような社会というものも町づくりの中では大事なことだと思っておりまして、歩いて暮らせる町づくりというのは国土交通省でも今一生懸命力を入れていただいているわけですが、歩いて暮らせるということは、ちょっと自転車に乗って、そういうことだと思います。

 そういう意味で、自転車の使える社会、そういうインフラ整備、基盤整備というものをもう少し力を入れていただきたいな、駐輪場あるいは車道と歩行者の区別、そして自転車が通れる、そういう道ができれば一番いいと思うんですが、そういったこともぜひお考えいただきたいと思います。

 それともう一つ、ママチャリといういわゆるお母さん方が小さいお子さんを補助いすに乗せて幼稚園の送り迎えをやる、この事故が近年大変多いわけであります。乳幼児の死傷事故というのは私が調べたところでも二〇〇三年で二千三百二十九人という被害届が出ているというふうに伺っておりますが、例えば、都内の幼稚園の保護者の九七%は補助いすを使っている、そのうちの三三%の人が、つまり三人に一人、自分の子供にけがをさせた経験がある、こういうことを言っているわけであります。

 そういう意味では、ママチャリというのは大変便利なんですが、お母さん方にとっては必需品なんですが、しかし事故も多い。これはぜひ政府を挙げてお取り組みいただきたいと思いますが、ママチャリのときに、例えば、子供を乗せたりおろしたりするのは、一番後で子供を乗せる、おろすときは最初に子供をおろす。あるいは、雨の日は傘を差して乗るということはとても無理ですから、そういうときはこれは使わない。それから、子供を乗せているときは携帯は絶対使わせない、使わない。あるいは、できたらヘルメットを着用するとか、スタンドを幅広の安定したスタンドにするとか、こういういろいろなことをキャンペーンを張っていただいて、ぜひ事故防止に立ち上がっていただきたいと思うんですが、これについての御答弁をお願いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えします。

 自転車は通勤通学等身近な交通手段として幅広く利用され、自転車の走行空間につきましては、これまで自転車歩行者道の整備を中心に約七万六千キロメートルを整備してきているところでございます。

 委員御指摘のとおり、近年は排気ガスや騒音を出さず環境負荷の少ない交通手段としても注目されており、自転車の安全で円滑な走行空間の確保や放置自転車対策は、歩行者の安全のみならず、地球温暖化対策にとっても重要な課題と認識をしておるところでございます。

 国土交通省では、平成十三年四月に道路構造令を改正し、自転車の交通量が多い幹線道路においては自転車道を車道や歩道から独立して設置することとし、平成十五年四月現在の設置延長は約一千百八十キロメートルとなっているところでございます。

 また、道路管理者による駐輪場の整備につきましては、これまでに七千五百七十カ所、約二百四十万台分の整備を行い、昭和五十六年度に過去最悪だった放置自転車台数約九十五万台が、平成十五年度には約四十四万台と半分以下に減少したところでございます。

 今後とも、自転車が都市における安全で地球環境に優しい重要な交通手段として適切に利用されるよう、道路交通環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 確かに交通事故によります自転車乗車中の事故、それから、そのほかにも、自転車が停車、駐輪しておりまして転倒して子供が負傷するという事故が相当多いように推測されております。

 これにつきましては、これまでも研究者のさまざまな調査結果がございまして、危険性が指摘されておりますので、警察といたしましても、自転車教室その他の機会をとらえて、保護者に事故の危険性を認識してもらうための広報啓発活動を行うことが重要であると考えております。

 ことし七月には、各都道府県警察に対しまして通達を発しまして、保護者に対し事故実態の周知、事故防止上の留意事項等について指導を行うよう指示しましたほか、警察庁のホームページにこれらの内容を盛り込んだ広報文書も掲載し、また関係府省、団体にも、保護者への効果的な周知について協力を依頼したところでございます。

 今後とも、この問題につきまして、関係機関、団体と協力いたしまして、広報啓発を図ってまいりたいと考えております。

田端委員 これは親の不注意というのが一番大きな問題なんだろうと思いますが、私自身も、今から何十年か前、子供が二歳のときに乗せて、それで車に足が巻きついてしまったということで、けがをさせた経験がありますが、どうぞこれは、今おっしゃったことをもう少し具体的に、例えばパンフレットをつくるとか、そしてそれを幼稚園とか保育所とかそういうところにも大量にばらまいていただいて意識喚起を促すとか、そういう努力をもう少し具体的にやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それから、もう一つ警察の関係でちょっとお尋ねいたしますが、SIDSという、乳幼児突然死症候群というのがありまして、これは、例えば平成十四年でも三千五百人ぐらいの方が亡くなっているわけでありますが、原因不明で、どうしてそうなるのかということがまだ医学的にもはっきりしていないようであります。例えば、うつ伏せのまま赤ちゃんが亡くなるとか、こういうこと、保育園とか幼稚園とかでそういうこともあり得るわけであります。

 それで、実は、そのときの対応が非常に大事なんだと思います。突然かわいい子供さんが、一番かわいい盛りのときにこういう突然死になるわけでありますから、親御さんは動転してもう大変だと思います。ところが、その遺族に対しての現場での対応、いろいろな方が対応されるわけです。関係者はたくさん、お医者さんを初め幼稚園の関係者とかいろいろいると思いますが、その中で、警察官の方の対応が非常に冷たいというのが現場の率直な声です。

 それはなぜかといいますと、検視といいますか、司法解剖、病理解剖をしなきゃならないということにそういうときは事件ですからなると思いますが、保険を掛けていたのかとか、こういう露骨な質問をしたり、あるいは、そういう病理解剖しなきゃならないということもわからない人がいるわけですから、そこを、早く書類を書けとか、そういうことを言っても、これは気が動転しているわけですから、そこはもう少し温かい配慮があっていいのではないか。

 これは実は、NPOですが、SIDS家族の会というのがありまして、そこがいろいろな全国集計、被害者が集まって統計をとった結果、そういう今申し上げたようなことで、警察に対して非常に、もう少し温かい配慮にはならないのかという現場からの声が上がっています。

 そういう意味では、ぜひ、ガイドラインとかマニュアルというのをつくれれば一番いいと思いますが、しかし、そういうお子さんが突然亡くなったという現場ですから、もう少し、物の言い方といいますか対応の仕方といいますか、人間的なことをすべきではないか、こう思います。

 どうぞ、そういう人たち、こういう遺族会の人たちが納得といいますか、むしろ励ましながら、そういう人たちを激励しながら対応していただくということが大事だと思うんですが、この問題についてお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 子供さんが亡くなられまして、その原因が明確でない場合に、警察としてその原因究明のために最善の努力をすべきということは当然でありますけれども、御指摘にございましたように、突然に子供さんを失うということの重さといいますか、お話の中にもありましたけれども、そうした対応で、私どもとしては、当然そうした御両親あるいは御親族の方々の心情というものを十分配慮して、言葉だけではないと思いますけれども、言葉も当然のことながら、その手続についての説明とか、そうしたことに当たっていくようにすべきだと思っております。

 そうした意味から、警察庁におきましても、御指摘を踏まえて、そうした説明が十分なされるよう、都道府県警察を指導してまいりたいと思います。

田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。

松下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十八分散会


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