衆議院

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第2号 平成17年2月23日(水曜日)

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平成十七年二月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松下 忠洋君

   理事 木村 隆秀君 理事 河本 三郎君

   理事 増田 敏男君 理事 山本  拓君

   理事 宇佐美 登君 理事 須藤  浩君

   理事 玉置 一弥君 理事 田端 正広君

      江渡 聡徳君    大村 秀章君

      川上 義博君    木村  勉君

      佐藤 剛男君    桜井 郁三君

      土屋 品子君    西村 康稔君

      萩野 浩基君    早川 忠孝君

      宮澤 洋一君    石毛えい子君

      市村浩一郎君    小宮山洋子君

      今野  東君    島田  久君

      藤田 一枝君    藤田 幸久君

      牧野 聖修君    太田 昭宏君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (青少年育成及び少子化対策担当)         南野知惠子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (産業再生機構担当)   村上誠一郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     棚橋 泰文君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      山本  保君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  千代 幹也君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  西  達男君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  下川眞樹太君

   政府参考人

   (内閣官房構造改革特区推進室長)

   (内閣官房地域再生推進室長)           滑川 雅士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中村 吉夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          林  幹雄君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            名取はにわ君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         知念 良博君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            大藤 俊行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 河村  博君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    鹿取 克章君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           木谷 雅人君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          尾山眞之助君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           北井久美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   内閣委員会専門員     高木 孝雄君

    ―――――――――――――

二月二十三日

 ILO勧告に沿った公務員制度の確立に関する請願(原口一博君紹介)(第一八一号)

 憲法改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四一号)

 同(石井郁子君紹介)(第二四二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四七号)

 同(山口富男君紹介)(第二四八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二四九号)

 憲法の改悪反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第二五一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二五三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五六号)

 同(山口富男君紹介)(第二五七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

松下委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官千代幹也君、西達男君、内閣参事官下川眞樹太君、構造改革特区推進室長、地域再生推進室長滑川雅士君、内閣府大臣官房審議官中村吉夫君、政府広報室長林幹雄君、政策統括官柴田高博君、山本信一郎君、男女共同参画局長名取はにわ君、警察庁長官官房長安藤隆春君、生活安全局長伊藤哲朗君、刑事局組織犯罪対策部長知念良博君、交通局長矢代隆義君、金融庁総務企画局参事官大藤俊行君、総務省自治行政局公務員部長須田和博君、法務省大臣官房審議官河村博君、民事局長寺田逸郎君、入国管理局長三浦正晴君、外務省大臣官房審議官西宮伸一君、領事局長鹿取克章君、文部科学省大臣官房審議官木谷雅人君、スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官尾山眞之助君、厚生労働省大臣官房審議官北井久美子君、中島正治君、医政局長岩尾總一郎君及び国土交通省道路局長谷口博昭君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長諸澤治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田久君。

島田委員 民主党・無所属クラブの島田久でございます。おはようございます。よろしくお願いします。

 まず最初に、官房長官に質問をさせていただきたいと思います。

 私は、ことしは戦後六十年という大きな節目の年でありますし、戦後の処理問題等について、特に国立追悼施設問題を中心にして、官房長官に質問させていただきたいと思うわけであります。

 やはり、六十年というと、年でいえば還暦に当たる年でありますし、戦後の処理問題を真剣に考えれば考えるほど、何か新しいスタートの年として真剣に考えていかなきゃならない、ことしは重要な年であるというふうに思うわけであります。

 特に、戦後処理問題を考える場合に、まだ大きな多くの課題があるのではないだろうか、そんな思いをしているところであります。特に、今まで課題となっている戦後処理問題というのは、一つの負の遺産というものを未来に向かって切り開いていかなきゃならない意味においても、重要な問題があるような気がいたしております。

 そういう面で、日本のアジアにおける信頼を取り戻す上においても、戦後処理問題として解決しなければならない問題があると思うんですけれども、ことしの節目の年として、その辺のことについて官房長官にまず最初に所見をお伺いできれば幸いであります。

細田国務大臣 島田議員おっしゃいますように、昭和二十年に終戦を迎えて、それ以来六十年間、我が日本民族もいろいろな意味で一生懸命頑張ってきたわけでございますが、その陰には、小泉総理も常々おっしゃっておられますように、とうとい犠牲者の方が数多くおられた。空襲で亡くなられた方もありますし、あるいは戦地でお亡くなりになられた方もありますし、戦後の混乱の中で栄養失調や病気で亡くなられた方、もう被害者は数限りなく多いわけでございます。

 そういった中で、戦後二十年、三十年あるいは五十年というふうに、これまでもその節目にいろいろなことに対応してきたことは事実でございます。

 ことしは、いよいよ六十年であるということで、また、当時の状況を御存じの方がだんだん少なくなってもきているわけでございます。平和国家として、過去のことに思いをいたしながら今後の平和問題を考えるという意味でも、おっしゃることは非常に大切なことだと思っております。

 追悼施設等の問題、これは後で御質問があろうかと思いますが、それも含めまして、政府としては、この六十年を迎えまして、またさまざまな予算等はとっておるわけでございますが、五十年の節目というのが非常に大きくて、いろいろ村山内閣のときにされたのでございますが、それと同じぐらいというわけにいきませんけれども、必要な予算等も確保しておる、こういうことでございます。

島田委員 今御答弁のように、五十年の村山談話によって一つの歴史としての方向性というものを定められたと思うわけでありますし、特にことしは日韓国交正常化四十周年でもあるわけでありますし、これらの歴史的なけじめをつける上においても、戦後六十年のことしにおいて、先ほどもお話がありましたように、戦争世代とあるいは戦後の世代というものが、だんだん戦争を知っている世代というものが少なくなってくるというこの状況の中で、経済問題としてはある程度その方向性が定まるという中で、戦後処理問題というのはある程度の方向性というものは出てきていると思うのですけれども、戦後処理問題としてまだまだ解決をしていかなきゃならない問題がたくさんあると思うのです。

 それらの問題について、一般論として、何か具体的な問題を挙げて、工程表などを定めながら、計画的に戦後処理問題というものは解決していかなきゃならぬ具体的な問題があると思うのです。それらの問題等について、ことしは、そういう面で、戦後の五十年で一つの方向として歴史に対する方向性は定まったと思うのですけれども、よりこれを具体的に解決するということについては、なかなかいろいろな利害が絡み重要な問題があると思うのですけれども、ことし具体的に政府として取り組むとしたらどんなお考えを持っておるのかをお聞かせ願いたいと思います。

細田国務大臣 五十年のときに、約十年の計画でさまざまなことに取り組んでまいりました。今年度が最終年度であるものもありますし、当然ながら、本来必要であるとして継続するものもあるわけでございます。ことしは六十年でありますが、今のところ、政府全体といたしまして新たに工程表とか行動計画を策定して、また十年間こういうことをやろうという計画は、目下持っておりません。

島田委員 それでは、幾分具体的な問題に少し絞って質問させていただきたいと思うんです。

 先日、新聞で見たんですけれども、戦後六十年、今、十万人以上が亡くなった三月十日の東京大空襲から六十年を迎えることし、落語家の故林家三平さんの未亡人でエッセイストであります海老名香葉子さんが、東京大空襲の悲劇を後世に伝える慰霊碑を東京の上野のお山に建立するという報道がありました。

 その慰霊碑そのものは、東京空襲の前日、三月九日に除幕式を行うという報道がありましたけれども、本当にこれらのことを心温まる問題として、民間の人たちが、この前も質問したときに、官房長官は、国民の世論そのものが二分化しているから、もっと国民世論が高まっていかなければ、これらの、例えば国立追悼施設をつくる上においても、やはりそういう面では世論の動向が大切だというような御答弁がありました。

 このように、戦後六十年という中で具体的なこれらの問題等も取り組まれておるわけでありますけれども、近年、小泉内閣のもとでも、福田前官房長官の時代で、追悼施設をつくるという方向の報告書が提案されたと思うんです。その報告書そのものは現在でも生きているというふうに思うんですけれども、その辺の見解をお聞かせくださいますでしょうか。

細田国務大臣 平成十四年末に、福田官房長官の要請で懇談会が設立されて、そこで提言を受けて、そして、国立の無宗教の恒久的施設が必要との考え方が示され、同時に、国民的な議論を踏まえまして、最終的には政府の責任において判断されるべき重要な事柄であるということが提言されておりますので、これは当然今もなお生きておりますし、今後、世論の動向を見定めてまいりたいと思います。

 この問題については、テレビ局あるいは新聞等が折に触れて世論調査をしていますけれども、あるテレビでは、調査をしましたところ、そういった無宗教の国立追悼施設の設置について、つくるべきであるといった賛成論が四八・八%、反対だという声が二四・八%あったとか、あるいは、ある新聞が調査したら、これはやや賛成が多くて、五八%、男性は六一%、女性は五五%と多少差がありますが。反対だといったものが二七%。男性の反対が三〇%、女性の反対が二二%、こういうような結果が出ております。

 もちろん、かなりの税金を使って大きな土地を、これは国有地の場合もありますけれども、確保して、そこにお金をかけて施設をつくるというわけですから、税金の中から出すというときに、そして、そこでいろいろな催し物をやったり、お参りしやすくするというようなこともあるでしょうから、そういうことに踏み切るには、まだもうちょっと世論の高まりを待った方がいいのではないか。約半分前後の人が賛成だけれども、あとは、意見を言わない方、あるいは反対の方が半分おられるという状況なものですから、その状況をなお見守っている、いろいろなことが国際的にも今動きがあることは御承知のとおりでございますが、そういう段階であります。

島田委員 それで、この前質問したときに、世論の高まりが問題だということで、私は、千鳥ケ淵の戦没者墓苑に行ってみました。そして、そこに資料としてありました、戦没者は二百四十万人、そして納骨された数が一四・六%、三十五万という数字が出ておりました。

 これらのことを考えてみますと、海外に、亡くなられてそのままになっておられるところがまだまだ相当あるのではないだろうか。若い人たちに聞いてみると、大体二十歳前後の人ですね、日本に帰りたいんではないかというような、やはり日本に帰してあげるべきだというような意見というものが若い青年層にも僕は大分あると思うんですね。

 そういう点で、六十周年という節目の中で、例えば、今官房長官はお金がかかり過ぎると言われましたけれども、千鳥ケ淵そのものを、やはり今ある程度、財団をつくって運営されているようでありますけれども、そういう中に、先ほど海老名さんが上野の山にと言われたように、ある一面では、六十周年の一つの節目として、追悼碑とか、そういう何らかの形というものは、日本として、国として意思表示をする、ことしは重要な年だと思うんです。

 そんなにお金がかかるわけじゃありませんから、そして、あそこには、千鳥ケ淵という、国の一部として、あるいは管理をされて、財団として運営されているわけでありますから、その辺のことについて、国立の追悼碑というのは一つの段階として考えてもいいんではないかと思うんですけれども、その辺の官房長官の御所見をお聞かせください。

細田国務大臣 貴重な御意見でございますので、私どもも、政府としても、いろいろな意味で検討をしてまいりたいと思います。

 そして、先ほどの報告書が、だれからも、いいものができたな、そこで、追悼施設にお参りしようというお気持ちに大多数の、まあ大多数といってもどのぐらいの多数かにもよりますけれども、今よりもかなり高い率の方が喜んで賛成するというような状況のもとでつくるということが望ましいと思っております。

 東京大空襲のこの林家三平夫人も大変御苦労になったようですが、私も実は、アメリカに滞在しているときに、日本の戦後、昭和二十年代の日本のカラー写真を米兵が撮ったものを数千枚集めることをしまして本に出したんですが、そのうちの数枚を私の官房長官室に置きまして、これは東京大空襲の跡が一目瞭然に見える航空写真です、米兵、米軍が撮った写真ですけれども。

 千鳥ケ淵から見ると、皇居の向こう側は全部更地になっているんですね。丸の内だけはビルが残っているんです。丸の内は、なぜかというと、占領後、利用しようと思ってビルが残っている。千鳥ケ淵のこっちは、英国大使館以外はほとんど全部爆撃されているんですね。東の方は全部焼夷弾で焼けている。それで、一夜にして十万人以上の方が亡くなるというある意味では広島原爆に匹敵するほどの被害を東京も受けていますし、林家三平夫人もその被害者の一人であるかと思います。

 そういう思いを何らかの形で我々はきっちりと残していき、これはまた平和主義にもつながるわけですから、そういったことは大切であるということは私も承知して、戦時中の生まれでございますものですから、もうちょっと議員は先輩であられまして、終戦時は小学生だったんじゃないかと思いますけれども、当時は国民学校ですかね、同じ思いはしておりますが、やはり祝福されて、みんなが喜んでできるということが大事だと思っております。

島田委員 ぜひ、官房長官の思いと私どもも一致をするわけでありますので、私どもも、一生懸命、そういう面で世論を高めるために努力をしていきたいと考えておりますので、ぜひ前向きに取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。

 それでは続きまして、日本の二十一世紀ビジョンに関連をして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。特に竹中大臣、よろしくお願いします。

 昨年の七月に、竹中経済財政担当大臣が経済諮問会議に提出した、「検討の方向性」というペーパーが出たわけでありますけれども、一に「人口減少時代の到来をどう乗り切るか」、二つ目として「経済全体のシナリオをどう描くか」など、五項目が課題として挙げられているわけであります。

 現在の議論の途中の経過で見ますと、専門調査会を設けて策定に当たっているようですが、何度か会議を積み上げられて、ある程度の方向性は整理ができているというようなことが感じられるんですね。

 ただ、まだ具体的にどうだということが公表されていませんので、具体的な議論をする上で、私どもとしても、やはり重要な時期、さっきも言ったように六十年という節目の年と関連して、日本の将来、これは二〇三〇年に向けての方向性を定めるということでもありますから、これらの人口減少社会の中でどういうビジョンを今描いていくのか、その方向性を具体的に見ながら定めていくということが重要だと思うんですけれども、その辺の御見解をまず最初にお聞かせ願いたいと思います。

竹中国務大臣 島田委員、戦後六十年の、まさに今御質問されました総括を踏まえまして、この先をどう読むか。我々は、やはり四半世紀ぐらいということで、二十五年というようなことになりますと、今からいいますと二〇三〇年ころを一つの目標に置いて、どういう大きな絵が描けるかということを今諮問会議の下部組織でいろいろと検討してもらっているところでございます。

 言うまでもありませんけれども、人口が減少していくわけでありますから、人口減少社会にあって、そもそも日本の成長率がどうなっていくんだろうかというようなことは重要な検討項目でございますし、高齢化が進む中で貯蓄率がどうなっていくのか。そうすると、貯蓄と投資のバランスが変わりますと、経常収支の動向とか経済のマクロ的な姿が大きく変わるものですから、それがどのような方向で描けるのかというようなこと、それにあわせて、貯蓄の動向によって一体社会資本というのをどのぐらいつくっていく力が私たちの社会にあるのか、そういうことも大きなテーマになります。

 そして、何よりも、一方で中国が非常に高い成長を続けて、そしてアメリカもニューエコノミーと言われる中で非常に強い経済を持っている。そういう中で、国際経済環境として、日本はどういう立場に置かれるのであろうか、そういうような点も大きな一つの項目になっているところでございます。

 我々としては、ことしの春ごろを目途に経済財政諮問会議において取りまとめたいというふうに思いまして、具体的に、昨年の九月以来、専門調査会を置きまして、さらにその専門調査会の下に四つのワーキンググループを置きまして、これは民間のまさに専門家に集まっていただく、そして各省庁からも各省庁の委員を出していただきまして、まさに官民合わせて、今精力的に取りまとめをいただいて、御尽力をいただいているところでございます。

 方向性としては、これは今申し上げた五つぐらいのことを、なかなか簡単に言葉で示すことはできないのでございますけれども、いずれにしても、人口が減少する、国際的な環境が大きく変化する、そういう中で、日本がさらに健全に国民生活を豊かにできるような絵をしっかりと描きたいというふうに思っております。

島田委員 それで、ちょっと時間がなくなりまして、はしょらせていただきたいと思うんです。

 今の日本の経済状況というものが踊り場だ、その踊り場であるということ、現在において先の方向性を定めるということについて、一つ今大きな岐路に立っているような気がするんですけれども、その辺について大臣は、将来の方向性を、三〇年というビジョンを描こうとしている状況の中で、現在の踊り場状況というものがどういう方向で、何が中心として引き上げていくのか、その辺のことをどうお考えでしょうか。

竹中国務大臣 これは、ビジョンの中身にもかかわる大変難しい問題があるわけでございますけれども、小泉内閣ができて以来、約四年間、バブル等々で生じたいわゆる負の遺産をまず解消しようということで努力をしてまいりました。負の遺産の象徴が不良債権でございますけれども、これがようやく今問題が収束の方に向かっている。先般のOECDの対日報告では、日本経済は過去十年間で一番よい状況になったというような御評価もいただきました。

 しかし、負の遺産はなくなったけれども、改めて、国際環境が大きく変化する中で、日本をさらにプラスに向かわしめるような改革をさらに続けなければいけない、そうすることが現状の踊り場的な状況を脱して、さらに経済を高めていく唯一の方法であろうというふうに思っております。

 したがって、その方向ということになりますと、やはり民間でできることは民間で、規制改革等々、民営化等々も含めまして、さらに民間の活力、市場の中での活力を発揮していただけるような方向をしっかりと模索していくこと、しかし同時に、個人は弱いものでございますから、また中小企業は決して強い基盤を持っているわけではありませんから、そうした社会的弱者に対するセーフティーネットのようなものはしっかりと整備をしていくこと、そういうことで自助自立の原則を立てながら、まさにそれぞれの個人、企業がしっかりと潜在的な力を発揮できるような環境をつくっていく、それが唯一の方法であろうかと思っております。

 現状の、当面の経済政策もそうしたことを目指しておりますし、また、中長期的なビジョンの方向も、当然のことながら、そういうような方向で大きな絵を描くということになろうかと思っております。

島田委員 その次に財政問題を聞こうと思いましたが、これは時間の関係で後に送らせていただきます。

 ことしの暮れに、実は、通常ですと、中小企業であると最後にお金を銀行が集めに来られて、みんな余っているお金はほとんど銀行に行ったんですね。交番に行って、ことしはどういう動きが暮れの三が日含めてありましたかと聞いたら、郵便局にみんな行ったというんですね。それはなぜかというと、やはり四月からペイオフが実施される。庶民の気持ちとして、安全なところにということで郵便局に行った。

 庶民が積んでいった郵貯なり簡保なり、そういうお金というものが、今までは一つの金融の方向というよりも、国民のセーフティーネットとして重要な機関であったということは、これを見ても僕はわかるような気がするんですね。ですから、今度の郵政民営化という問題も、その辺の問題について相当、ただ単に民営化すればいいんだという考えだけでは解決できない、日本の全体の財政状況からいっても、基本的に考えなければならない重要な問題があるというふうに思われてならない。

 実は、竹中大臣が就任のときに、経済成長は重要視をするけれども、景気ということについては重きを置かないんだというような意味の、これは間違っているかも知れません、記者会見をされたような気がしたんですね。

 そのことはやはりここにあらわれたように、政治というものは、景気がどうあったか、庶民の気持ちがどういう方向で動いているのかということについて政策提言を、この二十一世紀ビジョンの中でもそういう点は明確に方向性を定めていかなきゃならない。そういう面では、小泉改革の重要な欠けている面というものが集中的に今出てきているような、それが郵政民営化というところにあらわれているような気がして、人が動いている、国民が動いている動向の中から判断しても、その辺のことが僕は重要であるような気がしてならないんですね。

 ですから、大臣が二十一世紀ビジョンを示して、国民にそういう議論を徹底的にしながら、この踊り場であるというところの方向性を定めるには、ペイオフが四月から実施、中小企業の人間は、日本の場合は、どちらかといったら計画性があって、意識改革はしていかなきゃならない。信用という形で今まではもっていた側面がある、地域性の中に。だから、そういう点から考えてみると、やはり郵貯の問題に代表されるように、将来の二十一世紀ビジョンの中には相当明確性がなきゃいけないんじゃないか。

 経済は人、物、金という、そのことが有効性ある連動性がなきゃいけない。それを竹中経済運営は、工程表という形で、時間によってそのことを決めるような気がしてならない。それは国の、もう一つは時間、ただ工程表をつくるというときに、そこには国の力というものが作用している、そういう中で、経済というものが運営されていく。そこにはリスクがあり、今の時代から変化を、構造改革をしていかなきゃならないということはよくわかるんですけれども、やはりその辺のことについて明確な指針が出されないと、本当にせっかく日本の和の精神として築かれた、そういう社会構造そのものが崩壊していくのではないか、そんな気がしてならない。

 それがいろいろな教育問題から、そういう社会的な心理状況にあらわれているような気がして、ぜひその辺のことについて、工程表という形のものは大事ですけれども、時間によって経済運営を縛って、そうではないと思いますけれども、それによって経済を運営する、ある面では計画経済と同じではないかというような気がしてならない。

 時間の関係で申しわけないんですけれども、さらにゆっくり、その辺のことについて思いをぜひ理解していただきたい。

 特に、二十一世紀ビジョンについて、これらの問題を真剣に議論していかなきゃならない。景気という問題については私ども政治家の責任だ、それをどうするか。すぐ何か抵抗勢力だとかといって、それは関係ないと思いますけれども、景気という言葉について、それを使うと、何か今までの政治が悪いんだというような思いでとられるということは、政治としての方向性を見誤ってならないような気がしてならないものですから、その辺、もし感想でもあられたら、お願いをします。

竹中国務大臣 島田委員の御指摘は大変重要な御指摘だと本当に思います。しっかりと受けとめて、経済運営に当たりたいと思っております。

 人が重要だというのは、これはもうまさにそのとおりだと思います。ぜひ御理解を賜りたいんですが、工程表のお話等々もございましたけれども、これは、工程表というのは、やはりどうしても改革しようとするといろいろな問題が先送りになりますので、先送りさせないという意味で、工程表が果たす役割というのは大きいのだと思います。

 ただ同時に、例えば金融のときも、これは大手の銀行に対しては、しっかりと工程表もつくって管理しよう、しかし、地域の金融機関、中小の金融機関については、まさに人の顔をしっかりと見て、そういう工程表をつくるということはやめようというふうにして、私たちはつくらなかったわけです。むしろこの間も、海外の国際機関等々からは、そういうところについてもしっかりと工程表をつくれというような声もあったわけですが、我々はそういうことはしないんだということを私自身も言ってきたつもりでございます。

 そこはまさに、政治の役割はそういうところにあるという委員の指摘はそのとおりであろうかと思いますので、しっかりと経済運営にも、またビジョンの中にも御趣旨を反映させたいと思います。

島田委員 時間になりましたので、特に、一つは、今まで私は、経済運営の中に、工程表というものを中心にした経済運営なり政策提言なり、そういうことというのはどうもなかったような気がして、ただ、時代の大きな変化だから、そのことも必要かと思いますけれども、その辺のことについて、今後の経済運営のあり方としてこれは根本的な問題があるような気がしますので、今後とも議論を深めさせていただきたい。

 同時に、二十一世紀ビジョンが本当の意味で国民の中でどうあるべきかという議論が進むことを、ぜひ積極的に政府としても提言を、でき上がる前に国民の議論が沸き上がるような方向性も考えていただくということを特にお願いしまして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

松下委員長 次に、宇佐美登君。

宇佐美委員 おはようございます。民主党の宇佐美登でございます。

 内閣委員会は六人の大臣を抱えておりますので、各大臣に御質問させていただきますので、質問がいろいろと多岐にわたりますけれども、御了承をいただければと思います。

 まずは、少子化対策について南野大臣にお伺いしたいと思いますけれども、勉強すればするほど、担当大臣とはいえ、やれることが本当に少ないなというのを感じるんですね。

 これまでもずっと特命大臣、少子化対策、前回は公安委員長の小野先生がやっていらっしゃいましたけれども、これは片手間にやっていくにはどう考えても無理だと思うんですよ。きょうも、法務委員会と内閣委員会が重なっているので、法務委員会が十時からだから、内閣委員会のこの時間に、一番最初に南野大臣にお伺いするということで、少子化対策を議論しようとしても、内閣委員会でやるときも法務委員会のことを気にしないとできないんですね。

 それで、もうこの少子化の問題というのは、本当にこの国の未来がかかっている、ある意味、一番大きな問題と言ってもいいと思います。高齢化社会を迎える中で、私も老人会の新年会とか、ことしたくさん出させていただきましたけれども、私は、老人会でもごあいさつさせていただいているのは、やはりこれからは少子化対策を徹底的にやっていきたいし、私のライフワーク、ライフテーマであるというようなことを申し上げると大拍手なんですよ、一方で、年金の問題も心配だから何とかしてねと言われるわけでございますけれども。

 この少子化対策問題、南野大臣、いろいろ御質問させていただこうと、きのうも担当の役所の人と話していると、それは厚生労働省ですとか、そういうことばかりなんですが、総合調整の仕事も必要ですけれども、やはり担当特命大臣ですから、リーダーシップがすごく大切なんだと思うんですよ。それで、それを前提にして、大臣、質問させていただきますので、御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、出生率、今一・二九と言われているわけでございますけれども、これは今後どうなると思われているのか。私は、もう直観的にというか、私の選挙区である大田区だともう一を切っておりますし、中央三区と言われる中央区、千代田区、港区ですか、そこはもう〇・五までいくんじゃないかというぐらい、すごく小さな数字なんですね。

 これをずっと見ていくと、少子化対策をされて、何とか一・二九を維持したいとかいろいろなことを、坂口前厚生労働大臣も年金議論のときに言われていましたけれども、そういった答弁を政府がしている限り、国民の感覚と全くずれているんですね。そうすると、年金も信用できないけれども、少子化対策の政策も信用されない、これからどうなっていくのかわからないということになっていくんです。

 ですから、南野大臣には、厚労省とかの意見なんかどうでもいいので、御本人の、かつ、お仕事柄、過去、出産にも携わってきたと伺っております。出生率の今後の動向は、担当大臣、どうなると思われていますか。

南野国務大臣 本当に先生の熱っぽいお話、少子化対策、これはもう本当に根幹のものであるというふうに思っております。

 そういう意味で、いろいろ先生お話しになられましたが、私の今までの歩き方の中から、少子という問題について考えていきたい。それはもう閣僚懇でも閣僚会議でもいろいろお話をしながら、そのために、このたびは、新エンゼルプランということじゃなく、子ども・子育て応援プランということを立てながら、それをどう実施していくのか。

 おなかの中にいるときから、生まれて、それから小学校に入る、また大人になるまで、切れ間のない環境整備というものが必要ではないかというところに、我々、集中して今考えを持っていこうと思っていますので、このたびの予算が通れば具体的にそれを展開するということでございますので、何も片手間でやっているというふうに御理解されると、これは大変な立場になってくるというふうに思います。

 それで、一・二九をどう考えるかというお話でございますが、一・二九、何人生まれていると思われますか、実際。一・二九という合計特殊出生率の中からは百十二万人生まれているんです。その百十二万人の方をどのようにすてきな大人に仕上げていくかというのが、我々現在の大人の役割だと思います。

 そういう意味で、法務省とも関連すると言われましたが、当然、児童虐待、そういうものについてどうやっていくのか。だけれども、少子社会の部分では、親業をどうするのか、家庭のきずなをどうするのか、では、学校の教育のあり方をどうするのか、そういったものが全部これに含まれてくると思いますが、おっしゃっておられる百十二万人、これは維持するのが難しいのではないかな、今の現状ですよ、来年のことを考えたら、それほど急に上がるわけでもない。今、子供を産みたくても産めない人もいる。または、結婚という問題についてどう考えるかというところの問題点もあります。

 これを言うとまたひんしゅくを買うかもわかりませんが、できちゃった婚が多いです。子供に対してどう考えていこうかということの話し合いがないまま、つき合っている間に生まれちゃったから結婚しなきゃならないね。そして、赤ちゃんが生まれるまでは、カップル、仲がいいです。でも、赤ちゃんが生まれちゃえば、生まれちゃった離婚になっているじゃないですか。そこら辺をどのように環境整備をしていくのか。道を歩いている子供たちにお声かけしているか、または、妊婦さんたちを見かけたら、電車の席を譲っているか、そういうことも社会生活の中でのポイントになってくると思います。

 以上です。

宇佐美委員 法務委員会のときの答弁とは打って変わって非常に元気な答弁であり、前臨時国会での予算委員会の答弁のときと違って非常に熱のこもった、ですから、もう法務大臣なんかやめちゃって、少子化対策だけでやってもらう。ほかの大臣がどうのというよりも、もう現実的に、幾ら南野大臣が優秀だとしても、二十四時間、三百六十五日しかなくて、もうこれは命がけでやっていくという姿勢が、残念ながら、少なくともこの大臣配置の中では見られないんですよ。今度、予算委員会でも小泉さんにも聞いてみたいと思いますけれども、やはりこれは、少子化対策を本気でやるときには特命で、単独でやってもらわないと無理だと私は思います。(発言する者あり)

 その中で、現実的に、これまでずっと特命大臣でやってきて、片手間でやってきて、出生率は上がっていないんですよ。これはもう結論なんです。結果ですよ。政治は結果責任と小泉さんも時に言われるけれども、まさに、これは上がっていないから、今、大丈夫だという議員からの発言もありましたけれども、大丈夫じゃない状態になっているんですよ、今。これはじっくりわかっていただかないと、先に進まないですよ。

 それで、今、出生率の今後の動向について、これから上がっていくというようなことは見られないとおっしゃいました。そのとおりだと思います。

 私も、個人的な話ですけれども、去年、三人目の赤ちゃんが生まれました。前担当大臣の小野さんの家はうちのすぐ近くですけれども、四人のお子さんがいて、少子化担当大臣としてみずから率先されていたなというところもあるんですけれども、近くのお母さん方と話していても、一人目生まれて、子供が幼稚園、小学校へ入っていくと、やはりすごいお金がかかるんですよ。二人目、三人目というのはやはり悩んじゃう。私も、七年間落選していたので、その間ずっと赤ちゃんはいなくて、十歳、八歳、今度三カ月ですよ、今。ちょうど七年間あいているんです。つまり、生活が、やはり先が心配だから、赤ちゃんをつくれないという方もたくさんいる。

 一方で、赤ちゃんが欲しいけれども一人も生まれないでいるという、非常に悲しい例が、つまり不妊ですね、その方が、よく言われるように十組に一組ぐらいですか、私の実感的にはその倍ぐらいありますね。同級生のレベルでいうと十組中二組ぐらい赤ちゃんができなくて、私、今三十八歳ですけれども、二十代後半で結婚して、ちょうど、例えば不妊治療十年目。ここで一年間に百万から二百万かかるんですよ。もっとかかっている方もいらっしゃるかもしれない。多くの場合が女性がこの不妊治療を受けていらっしゃるようでございますけれども、物すごい痛みなんだそうです。

 自民党の野田先生もおっしゃっていらっしゃったように、この不妊治療に対して、今四十六万人から七万人ぐらいの治療を受けているというような数字もあるわけでございますが、産みたいのに産めない状態が精神的にも肉体的にもあるのかもしれません。そういった中で、やはりこれは健康保険で不妊治療を見てあげた方が私はいいと思うんですね。これは大臣、いかがですか。

南野国務大臣 本当に、先生おっしゃるように、産みたい方にはどんどん産んでいただける環境をつくっていかなきゃならない、そのように思うわけで、でも、生まれないという問題点については生物的な問題もございます。

 というのは、結婚には適齢期がないんです。もうどんな年代になっても、皆さん結婚はできるわけでございます、私もその候補者の一人だと思いますが。出産については適齢期があるんです。そのこともしっかりと考えて、どういう適齢期かどうかということと、それから、子供が生まれてくる健全ということが一つ大きなポイントであります。今、不妊のいろいろな段階がありますけれども、子宮の不育症というのもあります。それも一つの課題でありますので、そこら辺も検討していかなければならない。

 医療関係においては、適当な段階に応じて、適当なあれについては、ホルモン療法だけだったらというような保険の適用の段階は有能なドクターはしっかり考えてくれておりますので、そこら辺はお任せしていいのではないかな。でも、保険が使えるものには使ってくださっていると私は思っております。

 そういう意味で、今痛みを感じているのは、先生がおっしゃるように女性でありますので、どうぞ男性は女性をいたわってあげていただきたい、それが大きなポイントになってくると思います。

宇佐美委員 南野大臣はこの問題については非常に詳しいので、わかっていらっしゃって、しかしながらそういう答えしかできないと思うんですが、つまり、健康保険のどこまで付与するかという問題は、もっとしてくださいというのが声なわけですね。

 ある程度まで、もちろんドクターが、うまいドクターという表現がいいのかわからないですけれども、健康保険が適用できるようにやっていくところもあるんですけれども、ある程度以上になると実際は健康保険は適用できていないわけですね。

 ですから、わかっていてそういう答えになっていると思うんですけれども、より、さらに、四十六万九千人でしたか、四十七万人で、この数字には出ていなくて、受けたいけれども、金銭的に受けられないという方もいらっしゃると思うんですね、現実的に。

 ですから、これは政府として、やはり、もっともっと出産してもらえるようにということで、幾つもある政策のうちの一つですけれども、この不妊治療に対して、私は健康保険を付与していくべきだというふうに思っておりますので、特命担当大臣として、今後とも厚労省、財務省にどんどんリーダーシップを持って、私は、南野大臣だからこそできる一つの政策だと思って、期待をしたいと思います。

 続いて、地方自治体の政策が幾つか、この少子化対策とか出てきております。ほかの質問との関係で、これは、具体的に幾つか申し上げたかったんですけれども、なかなか申し上げている時間もないので、一言で言うと、地方政策の中で、少子化対策、幾つもある。

 もちろん、不妊治療もそうですけれども、さっきおっしゃったように、親業をどうやって応援していくかとか、子供がどうやって安心して学校に行けるかとか、そして今一番お子さんたちの親御さんたちが悩んでいるのは、例えば自分の子供たちが被害者であると同時にというか、加害者になってしまう可能性を非常に恐れているお父さん、お母さん方も結構いるんですね。

 いろいろあるんですけれども、地方自治体がそれぞれ少子化対策の政策を出そうとするときに、やはり今予算が足りないんですよ。お金がない。地方分権をしていくことは積極的にすべきですけれども、少子化対策については、少なくともお金の部分については国からもっともっと予算をどんどんつけていってあげるべきだと思うんです。これは、年金とかと同じように、国が主導してあげないと、今地方自治体は非常に疲弊していますから。こういった中で、もっともっと、予算も含めて、地方自治体にも回していくべきと考えているのか。

 あとは、もう一つは、最後の質問として南野さんに聞きますけれども、がん治療の方、西洋薬を飲んだりコバルト療法をやったり、いろいろあるんですけれども、食事療法もされて、プロポリスを飲んだりアガリクスを飲んだり、どれが効いたかわからないと大体言うんですね、全部やっているから。

 これ、少子化対策もフランスとかスウェーデンが取り上げられますけれども、この前の夏も内閣委員会の視察で、少子化対策、スウェーデンとかノルウェーとかお邪魔して聞いても、どれで上がったかはわからないというんですね。つまり、やれることは全部やっていくしかないんだと思うんですよ。

 ここを、担当大臣として、予算の裏づけと、そしてやれることは全部やっていくんだということをどの程度決意を持っていらっしゃるのか。先ほどから非常に熱い答えをしていただいておりますけれども、その決意をいただきたいと思います。

南野国務大臣 何かしようと思えば、すぐお金という課題になってまいりますが、といって、パパのお小遣いは幾らですかとお聞きしたときに、自分はこういうことをやりたいからこれだけお小遣いが欲しいとママに言っても、ママはそれだけ増額してくれないと思います。そういう意味では、あれもしたいこれもしたいと思いながら、それは自分の範疇の中で整理して、使いたいものを使いたいことに使うということにしかならないと思います。

 我が国の財政を考えた場合、それをどのようにするのかということで、政府を挙げて、三位一体とかいろいろな工夫をしながらやってきているのが現状であろうかなと思っておりますが、予算の内訳をどうするかということにつきましては、地方の取り組みに国が補助金などによる助成の方法がいいのか、また、あるいは地方税または交付税といったような形で一般財源を充実した方がいいのか、地方自治体の財政の基盤をしっかりする方がいいのか。

 それは、都会ではこうがいいよ、田舎ではこうがいいよ、農村地帯または山村地帯、いろいろあります。そういうところで、その首長がしっかりやろうという配慮のもとに展開されることが一番いいことだというふうに思いますが、そういうことについて我々は応援していかなければならない、国は応援しなければならないというふうに思っております。

 それから少子化対策の立場として、これからやれるものは何でもやれというお言葉でございますけれども、先ほど申しました子ども・子育て応援プラン、これを推進していくというのは私の大きな名分でございますので、片手間でやっているとは思わないでいただきたい。一生懸命やっているというふうに思っていただきたいと思います。

 それも、関係省庁一体となってやっておりますので、比較的、子育ての形、厚生労働または文科省の大臣たちと一緒にやっておりますし、それを裏づけするのは財政であり、谷垣大臣であり、竹中大臣であり、もういろいろの方たちが応援してくださっているわけであります。子供が安心して学校に行けるのは、村田大臣がおられますし、そこら辺のサポートもいただきながらしておりますので、政府を挙げた少子化対策、それの総合的な推進に取り組んでまいりたいと思っております。

 さらに、少子化対策は極めて重要な認識に立っておりますので、今後ともやるべきことはぜひやっていく。何でもやるというのではなく、やるべきことはやっていくということでございますので、先生、お子さん三人、しっかりとお育ていただいて、いい日本につなげていっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

宇佐美委員 法務委員会が十時から待っておりますので、ここで南野大臣への質問は私としては終わらせていただきますけれども、午後、小宮山議員の方からもいろいろ細かく質問させていただくと思いますので、よろしくお願いします。

 続いて、細田官房長官に質問させていただきたいと思います。

 まず、皇位継承問題。皇室典範の議論を含めて質問させていただきたいと思いますけれども、まず、今皇室典範の議論がどうなっているのかの全体をお話しいただきたいと思います。

細田国務大臣 皇位継承問題を含む皇室典範の問題は非常に大きな国民的関心事でもございますし、我々が将来に向かって、どうしても考えていく時期が来た。昨年後半来、検討しておりましたが、いよいよ進め方についての合意を政府部内で見まして、十人の先生方に皇室典範に関する有識者会議のメンバーになっていただきまして、その第一回会合を一月二十五日に開き、第二回を二月十八日に開いておるわけでございます。

 当初は、月に一遍ほどと言っておりましたが、やはり非常に奥が深くて、歴史の問題もありますし、さまざまな制度の問題もございますので、先般は、吉川元東大総長が座長でいらっしゃいますけれども、座長からもお話があって、もうちょっと頻繁に、月に二、三遍、精力的にいろいろな問題を詰めていこうじゃないかということでございます。

 したがって、私どもとしては、できれば秋口あたりまでに明確な意見が出てくることを期待しておるところでございますけれども、何分、いろいろな問題がございますので、これはこの有識者会議の議論をよく見守り、かつ、私自身もそうでございますが、関係大臣も出席しておりますので、議論を深めてまいりたいと思っております。

宇佐美委員 そういった議論が始まったのが一月二十五日なんですけれども、二月十八日に会議があって、きょうは二月二十三日ですけれども、つい先般、一部のマスコミで、政府筋によるということで、女性天皇を認めるというようなことが報道されました。

 議論が始まったばかりなんだと思います。そういった中で、これは、政府筋というのはマスコミの使う言葉なんで、大体政治家はだれなんだろうというのが何となくわかっておりますけれども、官房長官として、だれがどんなことを言ったのか、お答えいただきたいと思います。

細田国務大臣 これは多少、いろいろ調べてみましたが、全く誤解に基づくものでありまして、某紙の記者からも、甚だ申しわけないと。一種の、これは通信社の情報として、そういうことをだれかが言ったというような通信が流れて、それを新聞社が取り上げて、一社だけ記事にしておるんですが、これはまことに、現在、懇談会で進めているんだから、当然そんなことが決まっているはずがないのに記事になったということは、申しわけないというようなことを聞いております。

宇佐美委員 その後、会議が行われていないので、正式な会議の中での議論にはなっていないと思いますけれども、ほかのこの有識者会議に出ているメンバーから、何か、この新聞報道で反応があったと思いますけれども、いかがですか。

細田国務大臣 これは全く無意味な報道でございまして、つまり、全く決まっていないわけですから。しかも、世に言われている、いわゆる女帝問題といっても、歴史上、何人かの方がおられますけれども、いろいろな条件のもとで出られたことがある。しかし、いわゆる男系といいますか、これはいろいろな専門的な言葉を最近覚えたばかりでございますが、その系統で継承するのかしないのか、あるいは順位はどうするのかということは、極めて歴史的にも、また論理的にも深みのある議論で、一概に言えないということはだれもが承知しております。

 その中でこれから議論を整理していこうという段階でございますので、そのような何か方針が決まるような段階ではない、言ってみると、全く卵の段階であって、これからそれを論理的に整理していく段階でございますので、そういった委員からの御発言も特にございません。

宇佐美委員 秋口ということですから、一方で言われているのが、やはり来年の通常国会に間に合うならばというようなことも聞こえてきているわけでございますので、これまで月一回の予定だったということ自体がちょっと考え方が甘かったんだと思います。

 座長の言われるように、月二、三回というか週一回ぐらい議論をいただいて、歴史ある話なわけですから、本当に密に議論をしていただいて、その中で大切なのはやはり国民の皆さんの納得、理解だと思います。間違ったこういった情報がニュースなどで報道されないように、官房長官としても、今後とも、非常に注意を払いながらやっていただければというふうに思っております。

 続いて、中国が五日から始まる人民大会議で予定をされているという法案が、反国家分裂法というのがございます。

 これは、きのう中国の政府の比較的高いポジションの方が外務省に来られて、外務事務次官にこの法案の説明というか理解、納得を求めたようでありますけれども、私は、この中身がまだ条文として出てきていないので明言はできないというのもわかるんですけれども、やはり今言われているのは、非平和的な手段も含めた形で、一言で言えば台湾との関係ですね、台湾に対して軍事攻撃ができるような法案になっていると聞いているところでございます。

 台湾にも中国にも、本当に目の前にある国として、日本政府として、この反国家分裂法、説明があったようですけれども、私は、ぜひ中国に対して、こういった法案を成立させないようにということで、やり過ぎると内政干渉だとか、向こうはいつでも内政干渉するようなことばかり言っているんですから、日本政府としてきちっと態度表明をしてもらった方がいいと思います。

 スポークスマンとして、官房長官の意見をお願いします。

細田国務大臣 おっしゃいましたように、昨日、訪日しております中国国務院の台湾事務弁公室、つまり北京の政府の方でございますが、孫亜夫という副主任が谷内外務事務次官を訪れまして、御指摘の反国家分裂法案について事前説明がありました。

 中国側からは、法案は両岸問題の平和的解決を目指すことを主内容とするものである、非平和的手段の行使も排除しないが、それを目的とする武力攻撃法のようなものではなく、中国側としては、平和的解決のための対話の再開に向けた努力を最大限に行う旨の説明があったわけでございます、これは向こうのそういう説明でございますが。

 我が方からは、谷内外務事務次官からは、同法案については強い関心を有しており、両岸関係の影響への懸念を有している旨述べた。また、台湾をめぐる問題の当事者間の対話による平和的解決、そのための対話の早期再開を改めて強く求めたわけでございますが、当然ながら、相互に対立を深めていけば、極東の平和、安全に極めて大きな影響があり、我が日本国にも大きな影響がありますので、平和裏によくお互いに話し合いを進める。

 それで、最近の、春節のときにチャーター便を飛ばして直接本土と台湾の間の交流を進めたというふうな雪解けの方向もあるわけですから、むしろそちらの方をどんどん進めていただきたい、こう願っております。

宇佐美委員 前回の内閣委員会で質問させていただいたとき、ちょうど中国らしき原子力潜水艦が航行しているということで、その後、中国ということで政府が確定をしたわけでございますけれども、そういった、日本国内、人が住んでいる島と島の間を潜航しているような国でありますから、本当に、今回の反国家分裂法についてもしゃくし定規な説明はまあまあと聞いておいて、本音の部分で言えば、台湾に対してと同時に、日本に対してのこれは軍事的圧力ですよ。だから、やはりもう一歩踏み込んだ形で、もっと強い意思を日本政府としても表明していただきたいというふうに私は思っております。

 今後とも、小泉政権として、この対中国問題、私も十二月の中旬に温家宝首相とトウカセン前外務大臣とお会いしてまいりましたけれども、この原子力潜水艦問題をトウカセンさんに言っても、それはもう終わった話だと一言ですよ。我々は終わっていません。最近、日本政府の姿勢を見ていても、この原潜問題はもう触れないような話で、きのうの会議の中でも、違う話で来ているからとはいえ、私は憂慮をしっかりと伝えるべきだと思っております。政府の毅然とした姿勢を求めていきたいと思います。

 続いて、政府広報についてさせていただきたいと思います。

 幾つか分野があるんですけれども、一つはまず、「郵政民営化の基本方針」というこのパンフレット、いろいろな委員会で議論にされているところですし、与野党ともに、これはおかしいだろうと言っています。

 先日の予算委員会のうちの同僚の松野議員からの質問に対しても、竹中担当大臣は、最近では司法制度改革においても同じように政府の広報が行われている、政府が説明不足であるという指摘があることを踏まえてこういったものを示しているんだと言うけれども、最終的に、立法府を含めた国としての方針が決まっているというような誤解が国民に生じないように、十分に配慮して行っているところでございますと。

 行っていくと言っているんじゃないんですよ、行っているところでございますと言っているんですが、このパンフレットのどこを見ても、これは閣議で、政府としては決まった方針で、今後、国会審議で内容が変わっていくかもしれないというようなことを一つも書いていないですよ。

 あと、普通の印刷物だと、大体いつ印刷したかとか、パンフレットでも大体わかるんですね。これは全然、いつ印刷したかもわからないんですね。

 郵政民営化に関してのアイデアを募集しておりますって、これは電話番号も書いていないんですよ、ファクスも書いていない。あるのは官房の準備室のホームページアドレスだけですよ。これは、インターネットができない人はどうやって意見を言えばいいんですか。

 などなど、この内容、郵政民営化についての考え方はそれぞれあると思います。私は、今言われているようなものについては賛成はしない立場でありますけれども、それにしても、連絡先もわからない、いつ印刷したかもわからない、そして何よりも、国会審議で変わるかもしれないというようなことも書かれていないというのは、やはり政府広報のあり方としては間違っていると思います。竹中大臣の見解を教えてください。

竹中国務大臣 御指摘のように、我々はこれまで、政府の説明不足である、説明責任を果たせというような御指摘を受けてまいりまして、その中で、説明責任を果たさなければいけないということでさまざまな努力を行っているところでございます。

 同時に、これまた今委員が引用くださいましたけれども、先般の国会答弁でも申し上げましたように、これはあくまで政府としての今の方針でありますから、立法府を含めた国全体としての方針が決まったという誤解を国民に生じさせないようにしなければいけないというふうに思っているところでございます。

 これは政府広報全体でぜひ御理解をいただきたいと思うんですが、先般も新聞等々に、郵政民営化についての御意見をお聞かせいただきたい、政府では、現在、郵政民営化のための法律案を検討しております、現段階での政府の考え方を御説明するため、さまざまな形で広報を行っておりますので、皆様の御質問、御提案をお寄せください、このようなかなり広範な政府広報を行っているところでございます。

 パンフレットにホームページアドレスしかないというのは、確かに不十分であるかもしれません。さまざまな形での意見を今お聞かせいただいておりますし、実際、郵送で送られてくるものも多数ございますので、引き続きそうした御指摘の点にも十分に配意をしながら、しっかりと説明責任を果たしていきたいと思っております。

宇佐美委員 答弁漏れがあります。つまり、国会の審議でこれから変わっていくんだということが書かれていませんけれども、このパンフレット、これからも増刷される予定があるように伺っておりますけれども、その点つけ加える気はありますか。

竹中国務大臣 今、パンフレットに関してはそういう点があるという御指摘をいただきましたので、先ほど申し上げましたような政府の広報の趣旨に、より配意をして、改良すべきところはぜひ改良をしていきたいと思っております。

 ただ同時に、先ほども申し上げましたように、一方で、全体としては、政府では、現在、郵政民営化のための法律案を検討しております、現段階での政府の考え方を御説明するため、さまざまな形で広報を行っています、民営化についての御意見をお聞かせください、そのような形での別途の広報もしっかりと行っておりますので、そうした点、委員御指摘のように、誤解を生じさせないように、改良すべき点はぜひ改良してまいりたいと思います。

宇佐美委員 いや、今答弁になっていませんね。

 今言われた、二月十五日から二十日にかけて、四大紙プラス地方紙で六十六紙ぐらいですか、各新聞に一回ずつ、政府広報で、今おっしゃったような、御意見を聞かせてくださいというんですけれども、これも郵便とホームページアドレスしかないんですよ。

 何を恐れているのかよくわからないんですけれども、何で電話とかファクスとか、せめてファクスを受け取るようにするなんて当たり前ですね。全然意見してくれない方がいいと思っているんじゃないんですか。だって、郵送といったら、五十円か八十円か、かかる話ですね。今、どう考えても、後ほど棚橋大臣にも聞きますけれども、インターネットがこれだけ、非常に普及したとはいえ、多分ファクスつきの電話の方が普及台数は上だと思いますよ。

 そうしたら、ファクスで受けるとか、そういった本当に幅広に意見を聞くような体制をつくっていくのが仕事だと私は思いますし、もう一度聞きます、このパンフレットについて、現在国会で議論されている、そして変わる可能性もあるということを明記するつもりがありますか。二つ、お願いします。

竹中国務大臣 まず、いろいろ建設的な御提案をいただいておりますので、今委員の御指摘については改善をするように努力をいたします。

 この段階では、ファクスの台数が十分でないとか、そういうこともあって、ここでは書いておりませんですけれども、幅広く意見を受け付けるべきだという委員の御指摘はまことにごもっともだと思いますので、ぜひその方向で改善をさせていただきたいと思います。

 ちなみに、現時点で、郵送だけでございますけれども、一万以上のいろいろな御意見はいただいておりますので、さらにそれが広がるようにしっかりと努力をいたします。

宇佐美委員 これは、政府広報全体は官房長官の担当でございますので、今言われたように、中身について基本的には、例えば郵政民営化については準備室ですから竹中大臣なのかもしれないんですけれども、全体として、政府広報の話でいえば、広報すべきことは当然していただかないと困るんですけれども、今、私と竹中大臣のやりとりの中で見ていただいたように、まだ法案が通ってもいないものをこういうような形で広報していることについて、与野党を超えて非常に問題視しているわけですね。

 担当大臣として、細田官房長官、私は、先ほど申し上げたように、ここにしっかりとこれから議論をしていくんだということを明記してほしいと思っていますが、大臣、いかがですか。

細田国務大臣 第一点は、法案も提出されていないのにどうかということについて申しますと、いろいろな世論調査をいたしますと、郵政民営化は何のためにやるんだということの理解、御理解が国民の皆様から見て余りにも低い。それなりの大きな意味があるわけでございますが、そういった点についての理解がどうも、全く不十分であるということで、これは、与党も野党も、しばしば国会等においても御指摘をいただいて、これはしっかりとそういった必要性等についてはPRをしなきゃいけない。

 しかし、その結果、世論の支持も得ながら、国会で法案は御審議をいただくわけですから、これは支持率がどうだから国会においては要らないというんじゃなくて、国会こそがまさにこの法案を御審議いただく主体でございますので、その点ははっきりと分けながら、しかし、消費税のときや構造改革特区等、法案の審議中にも広報を行った例はございますので、その点は私どもとしては必要と判断したわけでございます。

 それに対して、第二の問題ですが、これはただ配っておって、意見をちゃんととれるようになっておるのかという点については、これは竹中大臣も申しましたように、より改善をしていかなきゃならないと思っております。

竹中国務大臣 申しわけありません。先ほど、今、国民の皆さんからいただいている御意見の数でございますけれども、三千強ということでございますので、ちょっと訂正をさせていただきます。

宇佐美委員 三千ということは、どう考えても多くないですね。少ないですね。消費税のときももっと多くのはがきを受け取っていたように思いますし、政府広報をしていることそのものを私は批判しているのではなくて、その表現が正しくないということを申し上げているんですね。ですから、審議をしているということをきっちりと出していただきたいです。

 続いて、政府広報関係で質問をさせていただきます。

 今、政府広報のウエブサイトの運営は、平成十五年四月一日からこの三月三十一日までで、何と六千五百万円を超える金額で社団法人日本広報協会と契約をしていらっしゃいます。

 これは、一番最初、ホームページをつくるとき、首相官邸のホームページもなくて、私が一年生議員のときに、官邸のホームページをつけろということで、当時、私が自社さの内閣部会の責任座長をやらせていただいていたので、最初に予算をつけるという仕事をさせていただいたんですけれども、ふだんの運営で六千五百万もホームページを維持するのにかかるというのは、通常考えられないんですね。

 それは、社内の中の人件費も含めてとかいうんだったらまだあり得ますけれども、例えば、六千五百万ということは、三百六十五日、毎日更新しているとして、一日に約十五万から二十万円ぐらいかかっているというんですけれども、ホームページの運営は、民間企業は高いところで十万円ぐらい。普通は、社内でどんどん、リアルタイムで、各部署で変えていきますから、予算計上がとてもしづらいんですね。

 でも、これは運営委託で六千五百万というのは、どう考えても異常な金額だと思いますけれども、かつ、この契約の方式は随意契約になっていますね。これだけの金額のものを随意契約、これは、ホームページをつくっている会社もしくは運営維持する会社だったら、もう本当によだれが出るような仕事ですよ。これは何でコンペでやっていないんでしょうか。この二点、お願いします。

林政府参考人 今の先生の御質問の、二点ほどあると思いますが、まず運営を随意契約でやっておる点でございますけれども、これは、日本広報協会というところが、地方公共団体等のホームページのコンサルティングもやっておりまして、広報の手法その他の広報全体に関します専門的な知識、経験を有しているということで、同協会と随意契約を結んでおります。

 それでもう一つ、値段が高いということでございます。

 これにつきましては、そもそも、このウエブサイトでございますけれども、これは重要施策の内容とか各府省の情報をわかりやすく提供するということで、平成十四年から開設しておるところでございまして、十五年度からは、ブロードバンド化が世の中に広く行き渡りつつありますので、動画の配信も始めておるわけでございます。

 それで、扱っております範囲でございますけれども、構造改革関連の施策、これが非常に広うございますし、イラクの復興支援、こういうこともございまして、そういうものに対して最新の情報を国民の皆様に提供するということで、各種のコンテンツにつきましては頻繁に制作、更新をいたしておるところでございます。

 ただ、こうした作業に非常に経費がかかっておるということでございますので、効率的に使うというためには、今後とも不断の見直しを行いつつやっていきたいと思います。

 それからもう一点、先生がおっしゃった中で、結局民間のいろいろなところもやりたいんじゃないかということ、御指摘がございました。確かに、そういうことでは、今後のことでございますけれども、このウエブサイトの運営につきまして、どういう部分が価格の、いわゆる競争入札でございますか、そういうことができる部分があるのか、また、それから、日本広報協会という今委託しておりますところのほかに、複数の団体の間で何らかの形で競争を行った上で業務委託を依頼する、そういうような方法がとれるかどうか、そういうことも今後は検討いたしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

宇佐美委員 今の答弁で、間違っているというかずれている部分は、動画コンテンツもあるからと言いますけれども、動画コンテンツの制作は、また別予算で三千万ですよ。さらには、政府広報実施に係るシステム運用及び動画配信システム運用で千三百万。合わせて、今、決算額、一億九百二十五万六百十円。だから、六千五百万円でも高いと言っているのに、さらにこの動画コンテンツの制作で三千万ですよ。どうですか皆さん。

 私の質問は、もう一つ、地方公共団体のホームページのコンサルティングもやっているからと言うけれども、地方公共団体は、政府がここに随意契約しているような団体だからやると言っているんですよ。わかりますか。順番違うんじゃないですか。

 その上、ここの天下りしている人を見ていったら、会長が石原信雄さん、理事長がウルグアイ国の全権大使の方ですね。さらに理事で自治省の給与課給与指導官の人がいて、この人は無給ですから、有給なのは理事長の石和田さんですけれども、報酬月額百二十八万三千円、これボーナスまで入れたら多分二千万近くいくんじゃないですか。

 信じられないような、社団法人に、ここにさっき言ったとおり一年間で一億突っ込んでいるんですよ。ごめんなさい、一つは、動画配信の千三百万は違う会社ですから、それでも九千五百万突っ込んでいます。だから、もう一度正確にちゃんと答弁をしていただいて、この金額はやはり異常だし、ちゃんとコンペをすべきだ、競争入札をすべきだと思いますけれども、いかがですか。

林政府参考人 ただいまお話がありましたように、確かに、私どもとしては、限られた予算を効率的に使うという意味で努力はしているつもりでございますけれども、今後は、各種団体との競争の中でやっていく方向を検討していきたいと思っております。

宇佐美委員 何かまたうそをついていますね。限られた予算で効率的にって、効率的じゃないでしょう。

 では、次、テレビ特別番組行きますよ。

 テレビの制作費、うちは小宮山議員もテレビ出身だからわかると思いますけれども、制作費というのは、一つ一つの番組をつくるときによって値段が違いますよね、だって、ロケ撮りに行ったり、人をだれか呼んだりとか。

 ところが、平成十五年に契約されたものの中で、二十三本、平成十五年四月から十六年三月三十一日まで、ですから約二年分の中であるんですけれども、そのうち、二十三本のテレビ番組のうち五本が全部同じ制作費ですよ。それも三千四百五十六万円。同じ金額、もう一つは三千二十四万。

 これはあれですよ、委託している会社が、例えば、一つは財団法人日本経済教育センター、これで年金制度改革についてで三千四百五十六万。それで、片方は「地球漫歩計」百歳を生きる、医療制度改革について、財団法人日本広報センター、あのウエブと同じ会社ですよ。ここに三千四百五十六万。

 さらには、日本ASEAN交流年二〇〇三に関して、タイ感動紀行、これ三千万。次に、今度は、「がんばれ青少年!熱き応援歌をつくろう」薬物乱用防止で三千二十四万。タイに行ったもの、タイに行った話の内容で、恐らくロケもあったと思われます、見ていないからわからないけれども。片方は薬物乱用防止で基本的に国内で撮っているでしょう。これ、同じ金額ですよ、制作費。あり得ますか。

 これは、民放とか広告代理店にいる知り合いに聞きました。あり得ないと言っていますよ。一つ一つ制作費をきちっと見積もっていって、予算はそうだとしても決算は絶対変わってくると言っていますよ。

 これ、NHKの問題も今いろいろ出てきていますけれども、この政府広報がずぶずぶでしょう。どうですか、広報室長。

林政府参考人 御説明いたします。

 制作費の件につきましては、番組の内容いかんで非常に予算が膨らむということがございます。そういうことがないように、限られた予算の範囲内で効果的な広報にするというように努めた結果、同額となっている場合がございます。

宇佐美委員 いや、ちょっと唖然とする答えですね。

 それで、いいですか、例えば、テレビ東京さんに小泉内閣タウンミーティングの番組、三十分番組ですけれども、これを頼んだときには制作費二千四百二十八万六千四百円で、次、今度は京都放送に頼んだら五百三十万なんですね、制作費。やはり各テレビ局で違うんですよ。

 ところが、財団法人日本広報センター、財団法人日本経済教育センター、これらに頼んだときだけ、金額が三千四百五十六万か三千二十四万で同額なんです。ぱっと見て、どう考えてもおかしいでしょう。異常じゃないですか。

 各テレビ局がつくるときには制作費がきちっと計上されていると見ておかしくないと思います、テレビ局によって値段が違うんだから。この天下りしている財団と社団に頼んだときだけ金額が一緒じゃないですか。どうですか、広報室長。

林政府参考人 ただいま申し上げましたように、それぞれ確かに内容が変わってございますけれども、今言いましたように、ロケとかをふやすことによって際限なく膨らむということがないようにということで話しておりまして、その結果として同額となっているような場合があるということでございます。(発言する者あり)

宇佐美委員 今まさに玉置委員が言われたように、これ、明細書を全部出してください。だって、出さなきゃわからないでしょう。

 それで、いいですか、日本広報センターには理事として元内閣府大臣官房参事官が天下っています。これ、内閣府が政府広報費をつかさどっているんですよね。それが天下っているじゃないですか。そこに金額が安定しているような一定のものが行っているでしょう。

 もう一度事実確認しますけれども、制作費は、予算であり、これで決算を終えていますか、例えば三千四百五十六万で。全部同じ金額ですか。答えてください。

林政府参考人 今御指摘の件でございますけれども、今の金額は決算の金額と私は認識しております。

宇佐美委員 どうですか、委員の皆さん。これはやはり異常ですよね、全部同じ決算なんて。

 これは、入札の方法はどうなっていますか。

林政府参考人 これにつきましても、随意契約ということでやっております。

 ただ、これにつきましても、これからいろいろなところとの、能力のあるところ、どういうところがあるかということについては検討していきたいと思っております。(発言する者あり)

宇佐美委員 これ、何年やっているのかと玉置先生がおっしゃるとおり、私が与党の内閣部会のときに同じことを言っていますよ。当時、随意契約だったから、おかしいから、当時の室長さんが説明に来たときに、これは競争入札にすべきでしょうと言ったら、これからしていきたいと思いますって、変わっていないじゃないですか。私が、あの当時、自社さのときですから九五年か九六年、丸十年たっています。変わっていないじゃないですか。いつやりますか。

林政府参考人 今御指摘ございました件につきましては、できる限り早く、早急にやりたいと思っております。

宇佐美委員 この政府広報費というのは、なかなか、今申し上げたように細かく言わないと、そのまま素通りしていくようなもので、かつ大きな金額です。官房長官におかれましては、きっちりここを精査していただきたいと思いますが、御答弁お願いします。

細田国務大臣 御指摘の点を踏まえまして、きっちりと調査をいたしていきたいと思います。

宇佐美委員 ぜひ、委員長におかれましては、この点について調査を官房長官はされると言っていただいておりますので、委員長の方に調査をいただくようにお願いしたいと思います。

松下委員長 引き続き理事会で協議して、御指摘のとおりにしたいと思います。

宇佐美委員 それでは官房長官、結構でございます。ありがとうございました。

 続いて、棚橋大臣に幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私、三十六分までなので、ごめんなさい、警察の方、多分行かないと思います。喜んでいるか悲しんでいるかわからないですけれども、申しわけございません。

 まず、棚橋大臣、e―Japanについてでございます。

 ブロードバンド普及率で世界一になったことについて、私は一定の評価をしているわけでございますけれども、残念ながら、今ごろ評価の指標をつくろうとか、そういっていることについてはちょっと残念なところもe―Japan計画についてはあるんです。

 そういった中で、世界最先端のIT国家になるということが一つの大きな目標だと思いますけれども、棚橋大臣はいろいろ造詣が深いので、これらのことについての思いなり考えなりを述べていただきたいのと、個人的には、これからどうやってこの国を引っ張っていくかというときに、やはり大きな産業が必要なんだと思います。特にIT、パソコンとかコンピューターの分野の中では、アジアの国々に急迫されている、もしくは、一部の分野、例えばソフトウエアにおけるインドなんかは日本を凌駕している部分もあります。

 そんな中で、スーパーコンピューター、地球環境シミュレーターとかそういった分野であったり、これから物すごく集積化したコンピューター、分子レベルコンピューターとかそういった分野ができると、私も大学時代、人工心臓の研究室におりましたけれども、物ができても、最後、制御するときに、二十年ぐらい前だとやはりでき切れないんですね。

 集積化を引き続きして、まあ超超LSIとかいうレベルではなくて、今のスーパーコンピューターではないですけれども、大型コンピューターが本当に手の人さし指の第一関節ぐらい、あの大きさぐらいになったときに初めて、例えば人工心臓も永久型で埋め込みで各状況に応じて制御ができたり、もしくは、視力が、目が見えなくて、見えないといっているけれども、実はデータとして脳に送り込んであげたら、それが画像として、CG、コンピューターグラフィックなんですけれども、それを脳で意識してそれが見えるということになるというような可能性もあるんですね。

 ですから、この分子レベルコンピューターについて開発をどんどんしていくことが、実は世界の中で、ITというかコンピューター、もしくは産業政策で世界一になれるチャンスなんだと私は思っております。

 この二点について、大臣もしくは政府委員から御答弁いただきたいと思います。

棚橋国務大臣 お答えをいたします。

 宇佐美委員御指摘のとおり、この分野は我が国の活力を大きく引き出すと同時に、今まさに委員の御質問の中にあったように、国民の目線から見ても非常に国民生活を豊かにする、さらには人生の質を豊かにする、一番大事な分野だと思っております。

 大ざっぱな話をさせていただきますと、これまた先生御指摘のように、三年ないし四年前はそもそもインターネット自体が普及の割合が弱い、あるいは料金が高いというお話もございましたが、御承知のように、政府としては、二〇〇五年、世界最先端のIT国家の実現ということを目指して、例えばこの分野ですと、今まさに先生が御指摘をいただいたように、基本的には世界一速く、そして安くアクセスできるようになったんではないかと思っております。

 しかし、より重要なのは、まず、このITの分野について言うならば、まさに先生の御質問の中に出ておりましたし私も全く共感なんですが、利用者、国民の目線に立っていかに利用しやすいかという視点ではないかと思います。まず、そういう観点からさらにこのIT政策を進めていきたいと思っております。

 その中で、一方で、産業としてやはり他国の追い上げもあるんではないか、あるいは得意な分野をさらに進めていくべきではないかという話でして、少なくとも研究開発という観点からすると、情報家電とかデバイスの分野は今でも世界でトップレベルの地位を確保していると思いますが、一方で他国の追い上げも非常に激しゅうございますので、この部分の研究開発、常に世界をリードするような形での革新的な技術開発にチャレンジしてまいりたいと思っておりまして、例えばe―Japan重点計画二〇〇四におきましては、モバイルとか無線インターネット、光デバイスあるいは情報家電等の研究開発を進めるというふうにしております。

 今先生から具体的に特に御指摘がございました分子レベルのコンピューター、要は集積度を上げてというお話ではないかと思います。これも大変有望なところでございまして、最先端の研究開発について国として取り組む必要があるものについては戦略的に推進していきたいと思っておりまして、これはどうしても今の予測では十年から二十年先の次世代高度情報通信社会というような形での想定になると思いますが、高速高集積そして低消費電力のデバイス、この開発の観点から、ナノテクなんかを活用いたしまして、新原理素子についての基礎研究についての取り組みをやっております。これが多分、先生の御指摘の点にお答えする形になると思います。

宇佐美委員 時間でございますので、もう御答弁いただかなくて結構でございますけれども、ぜひこの分子レベルコンピューターの推進をしていただきたいのと、あした発射予定だったH2Aロケット、何か二十六日以降に延期されたということでございます。

 これも、昨日の読売新聞でも「宇宙開発 政府ちぐはぐ」と指摘されておりますけれども、どんどんやはり数を打たないと進んでいかないんですね。ロシアも千回以上発射しているというようなデータもありますし、ことし予定されているのが、今のところ、この二月と、あって八月、九月の二回ぐらいだということでございます。

 ぜひ、年間予算を引き上げて打ち上げ回数をどんどんふやしていただいて、科学技術の振興の、一つはさっき言ったような分子レベルコンピューターとかもあるんですが、やはり宇宙というのは夢がありますよ。私も大学、機械工学科を選んだ一つの理由は、宇宙戦艦ヤマトをつくりたいなとか空飛ぶじゅうたんをつくりたいなというような思いもあって入りました。やはり夢がある一つの大きなわかりやすい例として、ロケット、宇宙というのはあるんだと思います。

 H2Aロケットを初めとして、宇宙開発についてどんどんと政府にやっていただくことを要望させていただくと同時に、委員長、最後に、先ほど少子化対策の議論を熱くさせていただきましたけれども、これについて、今後、集中審議、もしくは小委員会の設置も含めて、ぜひ委員会として検討いただければということを要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

松下委員長 次に、河本三郎君。

河本委員 各大臣、予算委員会で大変お疲れさまでございます。

 きょうは、所信に対する質疑ということで、まず最初に竹中大臣にお尋ねをいたします。

 今、宇佐美さんの方からも質問がありましたけれども、郵政の民営化、これは改革の本丸と位置づけられて、小泉内閣の目玉でもある、こういうことでありますけれども、きのうも先週もそうですけれども、自民党の本部で合同部会、園田座長のものですね、合同部会をやっておるんです。僕も積極的に参加して議論を聞いておるんですけれども、政府の案と自民党の考えは全く平行線のままであります。技術的な細かい、金融の根幹を崩すものだとか、まあ、これは反対派が集合している部会ですからそういう議論になっていくんだと思います。

 竹中大臣、この際、いろいろなところで御説明されていると思うんですけれども、郵政民営化の目的、そして国民生活にどういい影響があるのか、思いのたけをここでちょっと説明していただければと思います。ゆっくり丁寧にやってくださいね、これは大事なところですから。

竹中国務大臣 重要な問題につきまして答弁の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 何のためにやるのか、どうして民営化なのかというそもそも論がやはりまず大変重要であると思います。そもそも論の原点でぜひ申し上げなければいけないのは、民間でできることは民間でやるということが、私たちの経済を活性化するために、さらには社会の根本的な原理として、大変重要でしょうということであろうかと思います。

 民間でできることを国でやってもよいではないかという考え方もあり得るかもしれませんが、私は、やはりそれは、市場経済でこの経済を、この社会を支えていくという自由、自助、自立の形とは違うのではないかと思うんです。その意味では、民間でできることは民間でやる。その意味では、細かい説明は省きますが、郵政が行っている事業というのは、しっかりした工夫さえ行えばやはり民間でできることだろうというふうに考えるわけでございます。その意味では、民間でできることは民間でやる。

 もう一つ、郵政の民営化を今やらなければいけない重要な一つの背景があるというふうに認識をしております。それは郵便の事業。

 この郵便の事業というのは、今毎年二%から二・五%というようなペースで取扱量が減っております。確かに、我々の生活を見ましても、かつてほど郵便に頼らなくなっている。Eメール等を活用するようになっておりますし、いろいろなファクス、電話、そういう手段が大変ふえていると思います。

 そうしますと、二%、二・五%、いや、これがもっと加速するかもしれないということになりますと、十年たつとこの郵便の量というのは二割、三割減っているということが懸念されるわけでございます。

 これは、実は日本だけではなくて世界じゅうが、世界じゅうの郵政、郵便が大変な危機感を持ってこの十年間そういう中での改革を行ってきたというふうに認識をしております。その中で、ヨーロッパの国々等々は、こういう二割、三割、もっとふえるかもしれない中では、やはり民間の活力、そして経営の自由度を持ってもらってそういう改革をしていくことが必要だ。私は、先ほど申し上げた、だからこそ民間でできることは民間でということを実現することが大変重要であるというふうに思っているところでございます。

 委員のお尋ねの前半の御質問についてはそういうことかと思いますが、後半の、では国民の生活はどうなるんだということでございます。

 重要な点は、例えば郵便というようなものは、一種の社会的な機能は当然有しているわけでございますから、世界的に見ても、いわゆるユニバーサルサービス義務、一律に全国に物が届くようにするという義務は果たさなければなりません。日本もその条約に入っているわけでございますし、そのことは民営化された後も法律の中でしっかりと義務づけて、そうした役割を果たしていこうというふうに思います。

 その上で、民営化することによってそれ以外のメリットを最大限引き出したいと思うわけでございます。

 今、郵貯、簡保合わせて三百五十兆円というお金を郵政が持っております。これは国が集めているお金でございますし、国が集めているお金だからこそ運用先が安全資産に限定されて、結果的に国債等々に行く仕組みになっている。この郵政の民営化を通して、三百五十兆円がより経済の活性化に利用できるような流れをつくっていきたい、お金の流れを変えて経済を元気にするというのが、やはり国民生活の一つの大きな利点であろうかと思います。

 二番目は、今二万四千を超える郵便局のネットワークがございます。このネットワーク、これはコンビニに例えるということの是非はあろうかもしれませんけれども、ローソンやセブンイレブンの二・五倍から三倍のチェーン店だというふうに考えればいいわけでございますが、これが今国の機関であるがゆえに、取り扱える商品が郵便と郵貯と簡保という基本的な三つの商品でございます。これを民営化すれば、さらにいろいろな創意工夫で、この二万四千を超える郵便局チェーンを利用して多様なサービスが利用可能になる、地域に貢献できることもいろいろできるようになるということでありますから、まさに利用者、国民の利便に資するものになっていけるというふうに考えるところでございます。

 三番目は、さらに、これもちょっと表現の仕方に関してはいろいろと御議論があるところではございますけれども、今国家公務員がそこで働いておられますが、民営化されれば非公務員化するであろう、そうすると国家公務員の数は三〇%減るということになります。もちろん、今税金を投入しているわけではございませんから、そこの趣旨は、意味はしっかりと理解をしなければいけませんが、しかし、やはり民間でできることは民間で、そして国家公務員の数を減らせるのであるならば減らすということは、これは小さな政府に向けた一つの重要な流れであろうかというふうに思っているところでございます。

 そのような国民生活についても三つの大きな利点があるというふうに考えているところでございます。

河本委員 大臣、今の政府案だと、特に過疎地方の郵便局が、イメージとしては田舎と言った方がいいでしょう、そういうところの郵便局がなくなる、なくなれば、では、今言われたユニバーサルサービスをきちっと担保できるのかという疑問があります。

 それと、最後の局長たちの身分のことですけれども、局長さんたちは、自分たちの身分はどうでもいいんだ、とにかくきちっとこれまでのサービスが行き届くようなものであれば別状ないんだということなんですよ。ですから、身分の話はこちらへ置いておいても、そのサービスがこれまでと同じようにきちっと担保できるのか、そこを大臣、今答えられる、大丈夫ですか。(竹中国務大臣「はい」と呼ぶ)では、ちょっとお願いします。

竹中国務大臣 地方の問題、これは大変重要であると思っております。私自身、和歌山の出身でございまして、高校の同級生が特定局長を確かに田舎でやっておりまして、彼らともよく話をするところでございます。

 まず、いわゆるユニバーサルサービスについて申し上げると、私の出した郵便物を例えば和歌山に届ける、兵庫に届ける、これはいわゆる郵便の事業でございますから、先ほど申し上げましたように法律で、国際的な条約もありますから、ユニバーサルのサービスを義務づけるということを民営化された後も続けます。現実に、民営化されたヨーロッパの郵政でもそのような義務づけが行われております。

 これを賄うのは、信書等々の部分でそれなりの利益を、独占的な利益をある程度得ていただいて、その範囲で地方についてもユニバーサルのサービスをするリザーブエリアというのがあるわけでございますから、引き続きこういうものは民営化された後も持っていくわけでございますから、郵便事業そのものは今黒字でもございますし、郵便事業のユニバーサルサービスは、法律でも義務づけ、それを支える仕組みもあるということでしっかりと続く、これがまず第一のポイントでございます。

 もう一つは、郵便局はどうなるのか。郵便局、普通の我々がイメージする特定局というのは、郵便の配達等々をするわけではございませんから、郵便のユニバーサルサービス義務とは違う。しかし、郵便局が極めて大事であるというのは、これはもうみんな実感しているところでございます。

 今これについては、我々はしっかりと郵便局の設置基準をまずつくる。設置基準は今もございますけれども、今と遜色のない設置基準をつくって、しっかりと設置するように努力することを義務づける、努力義務を課するということをまず考えております。

 その上で、設置基準に関しては、とりわけ過疎については今の設置基準と同じような内容にしたい。過疎について同じようにしたいということの趣旨は、過疎地については今四千数百の郵便局がございますけれども、これについては現状を基本的には維持できるような趣旨を盛り込んでしっかりと書きたい。過疎についてはとりわけ十分配慮するということは基本方針でも決めておりますので、郵便局についても設置基準をつくって努力義務を課して、そして過疎については現状が基本的には維持されるような中身にしていきたい。そういう形で、国民の、特に地方の地域の利便が損なわれないように万全を期したいというふうに思っております。

河本委員 大臣、ちょっとくどいんですけれども、いや、僕の質問がくどいんですけれども、では、過疎の郵便局は残るんですね。

 ちょっと待ってください。それと、もう続けて質問します。

 三百五十兆円の流れを変える云々で、国民生活にどういう影響が出るのかということがよく理解できません。

 この二点をもう一度お答えください。

竹中国務大臣 まず、非常に重要な問題としては、過疎地の郵便局は残るのか。これについては、過疎地については、現状の水準がおおむね維持できるような形、そういう趣旨の設置基準をぜひつくりたいと思っておりますので、過疎地についての不便が生じないようにしたいと思います。これが第一の点でございます。

 三百五十兆円の流れがどうなるのかというのは、これは実は郵政だけの問題ではございませんで、ほかの経済活性化とか、そういう問題と絡んで、しっかりと改革をしていかなければいけない問題でございますが、基本的な視点は、今は政府保証をつけて、国が集めています。国が集めているお金ですから、その使い道は安全資産に限定されます。安全資産というのは国債、今までで言うと財投機関というふうに限定されるわけでございますけれども、これは、今度は民間機関としての郵政が集めたお金ということになりますと、その限定がなくなります。

 したがって、これは企業努力も必要ですし、経済のマクロ的な構造がさらに変わっていくことも必要でございますけれども、民間にお金が流れていくような道が開けていく。それをぜひ、これはすぐにはできませんが、時間をかけて、経営のノウハウもしっかりと持っていって、金融機関としてのノウハウも持っていただいて、そういう道を開いていきたい、それによって経済を活性化したい、そのように思っているわけでございます。

河本委員 大臣、また別の機会にお願いします。

 それで、十七年度の本予算に、借金の返済計画をどういう角度から盛り込んでおるのか、その辺はお答えできますか。

竹中国務大臣 財政の健全化を進めなければいけない、そのために、「改革と展望」の道筋に沿って、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復させなければいけない、そういうシナリオを持っているわけでございます。

 委員のお尋ねは、それが平成十七年度予算にどのようにあらわれているかというお尋ねでございますけれども、まず、歳出改革路線を堅持、強化するということで、歳出に対しては徹底した見直しを行って、歳出面で言うと、平成十四年度以来三年ぶりに、一般歳出について前年度の水準以下に抑制するということ、この抑制が第一のポイントでございます。結果的に、新規国債発行額については四年ぶりに減額という結果を導く、その結果、いわゆる基礎的財政収支についても昨年度に引き続き改善をしていく、今申し上げた予算の結果として、そのような基礎的財政収支が改善できるというシナリオを描いております。

 これは、マクロといいますか、国と地方を合わせた数字で申し上げますと、我々の「改革と展望」の試算によりますと、以前は五・五%ぐらいあった基礎的財政収支の赤字、GDPに対する比率が数年前は五・五%あったものが今四・四ぐらいまで縮まっていると考えられますが、これがさらに、十七年度予算を通して四・〇%ぐらいまで下がっていく。そして、二〇一〇年代の初頭に基礎的財政収支を黒字化させる、それに向けて動けるような予算になっているところでございます。

河本委員 ありがとうございました。

 では、村上大臣、構造改革特区が導入されて、地方の方も随分活気を呈しているところ、あるいは、もうやはり規制緩和撤廃だけじゃどうもならぬぜ、財政支援もついてこないとやりにくい、さらには、あの評価委員会が小じゅうとみたいなことをよく言う、一年たったら全国展開をしなさいと。いや、こういう声は大したことないんだよということを言う方もおられるけれども、かなり厳しいことを言う委員会だということも仄聞しておるんです。

 私の選挙区のことになりますけれども、構造改革特区のうち、科学技術特区、先端光科学特区というんですけれども、そしてグリーンツーリズム特区、さらにはもう一つは、姫路の方には環境・リサイクル特区といって、古いタイヤを燃やすことが認められたということなんですけれども、少しいろいろなニュースを集計して整理すると、曲がり角に来ているんではないかという危惧が出ておるんです。

 大臣のそういうこれからの特区に取り組む決意を、地域再生については後で聞きますから、まず特区のことをお願いします。

村上国務大臣 今、特区については、委員から御指摘がありますように、兵庫県の二十二を含め、全国で四百七十五、かなり目に見える形でできております。

 そういう中で、私自身思うのは、いろいろ曲がり角に来ているというけれども、全国の例示を見ていますと、その地域の特性やいろいろなものを引っ張り出してかなりの成果もあるし、これからもまだまだアイデアがどんどん出てくる可能性はあるように、私は肌身で感じています。

河本委員 大臣、ありがとうございます。

 それで、さっき申し上げました規制緩和と撤廃だけではちょっと土台が緩いということで、今回、地域再生法という法律がこの委員会に提出される予定になっています。

 その地域再生法の趣旨を説明してくれと言っていいのかどうか、あれですけれども、それは財政支援を伴うというよりも、イコールですけれども、優遇税制措置があるということだと聞いております。その辺の、特区と今回出される地域再生法がかちっと歯車が合えば、さらにうまくいくんだというイメージを持っておるんです。そこのつながりをちょっと御説明いただきたいと思います。

村上国務大臣 まさに河本委員の御指摘のとおりでありまして、特区というのはそれぞれの地域の特性を出す。しかし、なかなかそれだけではちょっと、車の両輪で言えば、片っ方だけだ。そういうことの中で、いろいろな地方の皆さん方、特に市町村さんのお話を聞きますと、やはり補助金の整理統合化とか、予算の関連を含めたいろいろな提案が出てきたわけです。そういう中で、より強力に地域再生を推進していくために、今般、地域再生法案を出させていただきます。

 それで、大きく、柱は三つあります。

 一つは、地方公共団体の使い勝手をよくするために、各省の横断的な交付金制度を創設したこと。それから第二に、地域の再生に役立つ事業を行う企業の民間資金は、収益性が低いからなかなか誘導しにくかったんですけれども、税制上の特例措置をつくって資金を集めやすくする。それから三番目に、五十年前につくった補助金適正化法の特例として、補助金対象施設の転用手続を簡素化するということであります。

 特に、最初の各省横断的な交付金制度は、例えば、今までですと、下水道は国交省、集落排水は農水省、それから浄化槽については環境省と各省庁にまたがっていたんですが、戦後初めて、各省庁にまたがる一括した補助金の計上化を行ったということです。

 それから、二番目の税制上の特例措置は、収益性は低いけれども、地域再生の観点からは有意義な事業に対する投資について、投資額を控除する課税の特例措置を設けることで、こうした事業に民間の資金が集まりやすくしたということ。

 最後に、補助金適正化法の特例の創設は、廃校になった校舎のように、補助金で整備したものは今まで転用が難しかったんですが、当初の補助金目的以外の転用に資する際の手続を簡素化することにして、既存施設の有効活用を進める。それが大きな柱です。

 我々のねらいとしては、そういう地域再生法に基づく支援措置と特区とを両方絡めて、はっきり言えば、今まで財政が潤沢なときはいろいろできたんですが、こういうふうに財政が逼迫しているときには、それぞれの地域の特性、それから特徴、力というものを特区や地域再生で引き出して、そうして、はっきり言えば、地域のアイデア合戦で経済の活性化やそれぞれの地域の雇用の創出を図っていくということをねらっているということであります。

 以上であります。

河本委員 村上大臣、また竹中大臣ともよく連係プレーをしていただいて、構造改革特区構想というのは、これは大変いいものだと思います、地域の特性を引き出しそれに光を当てるということで。

 全国の失業率が改善されたと言っても、それは近畿二府四県はまだ大分悪いんです。青森なんか最低なんです。ですから、全国同じ一律のメニューで失業対策、雇用対策を打ち出しても、これは都市部と郡部ではさらに格差が出るんですよ。ですから、ぜひそういう特区構想をどんどん進めて、そして、この地域再生がうまいこと成立すればいいんですけれども、させますけれども、御協力をいただいてさせていただきますけれども、そういう財政支援が伴うような、優遇税制措置が伴うようなものをもっともっとお考えいただきたいと思います。

 棚橋大臣、さっきから宇佐美さんの質問の中にITの横文字を随分並べておられた、それはそれで結構なんですけれども、高度情報通信社会という言葉を聞いて久しいんですけれども、日本の国土というのは中山間、森林、原野が七割、八割を占めておるわけであります。そういうところは難視聴区域が多いんです。つまり、電波不感地帯ですよ。携帯電話もAMもFMも入らないというところがたくさんある。まず、そういうところの基盤整備をしていくのがあなたの、大臣の責任ではないかと私は思うんです。

 高速道路も、そういうところの地形ですから、トンネルが多いんですよ。そこでは電波が一切通らないということになりますので、こういう環境整備をあなたが就任の折にずっと進めていただきたい、そういう決意を聞かせてほしいんです。

棚橋国務大臣 お答えをいたします。

 先生おっしゃるとおりで、高度情報通信社会といっても、そのメリットを国民の皆様方一人一人が享受できなければ意味がないわけでございまして、特に携帯電話につきまして今御指摘がございましたが、この問題の解消について一生懸命努めてまいりたいと思っています。

 ちなみに、ちょっと数値があれでございますが、平成十四年度の調べでは、人口でいうと全国レベルでは九九%まで携帯電話サービスエリア内になりましたが、先生おっしゃるように、過疎地域においては約九〇%、逆に言うと、まだ、平成十四年度の調べでは一〇%の過疎地域の方が携帯電話のメリットを享受できていないというところもございます。

 そこで、平成十六年度予算額では約十七億円を、それから今回、補正で防災の観点も含めて約三・三億円の予算を計上しておりますが、さらに、先生の御指摘を含めて、スピードを上げていきたいと思っております。

河本委員 終わります。ありがとうございました。

松下委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 きょうは、私、治安問題に集中してお尋ねしたいと思います。

 今、日本にとって喫緊の課題は、安心、安全な日本の社会をどう築いていくかということが、災害等も含めて大変大事なことだと思っております。大臣の先日の所信の中にも、日本は世界一治安がすぐれた国である、その復活を目指すという御決意がありましたし、また先日、小泉総理の所信表明演説の中にも、冒頭、その旨のことがお話ございました。

 そういう意味で、ぜひ、日本が世界の中でも本当に安心、安全な国なんだということが実質的に実感できるような、そういう御努力をひとつお願いしたいということをまず冒頭申し上げたいと思います。

 それで、実は非常に残念なことに、二月の十四日に大阪の寝屋川市で、中央小学校というところで三人の先生の死傷事件があったわけでございますが、大変神聖であるべき学校でこういう事件が起こったということを非常に残念に思っております。

 それで、私は公明党の治安・学校安全プロジェクトチームの座長をしておりまして、そんなことから、また大阪の人間でもあるものですから、二十日の日曜日の日に寝屋川に行ってまいりました。

 ちょうど、折から亡くなられた鴨崎先生のお別れ会がございまして、私も献花させていただきましたが、たくさんの思い出ありがとうと書かれた黒板そのものを公民館のところに持ってこられて、そして、たくさんの子供たちが参列、献花されておりましたけれども、泣き崩れる人たちが大変多くて、本当に胸の詰まるような光景が続きました。

 鴨崎先生というのは、鴨やんと言われて非常に親しまれて子供たちに慕われていた、こういうことであって、そういう人であっただけに、非常に残念な事件であったと思います。

 実はここは門が三つありまして、正門と通用門と、それから南門、こうあります。容疑者は、正門がかぎがかかっていたので南門の方に行ったんですね。ちょうど、午後三時ごろですから、低学年の子供さんが帰られるときである、だから門が開いていた、その帰っていく子供さんたちの中を縫って中に入った、こういうことでありまして、そこのところのチェックは全く何もなかった。

 それで、後でずっと見せていただいたんですが、学校の中には防犯カメラがありまして、正門と通用門のところにはカメラがあって出入りはきちっと掌握されているんですけれども、もう一つの南門のところはカメラが設置されていないために全くマークされていなかった、こういう不幸が重なった。しかも、この容疑者というのは卒業生ですから、中のことはわかっているわけですから、そういった意味では非常に悪い面が重なって起こった事件だな、こんな思いがいたします。

 それで、犯人が校庭を突っ切って校舎に入って、そして校舎の中に入ったところで鴨崎先生と会っているんですが、しかし、やはりそこのところで鴨崎先生は何かを感じたと思うんですね。感じたがゆえに、言われているところの声かけ運動、大阪の池田事件でマニュアルができて、危機管理ということで、何か不審者が来た場合は必ず声をかけるというのが教職員に大きな一つのテーマになっているわけでありますが、きちっとそういう対応をされているわけです。

 そして、声をかけた結果、やはりおかしいなということを直観されたんだと思うんですが、そのためにもう一度外に、校庭の方へ引っ張り出そうというふうな、誘導しようとされたような雰囲気があるわけですが、そこのところで後ろから刺された、こういうことでありまして、そこのところは今警察の方で調べられているし、また、鴨崎先生が亡くなられているから、当事者がいない分だけもう一つはっきりしない点もたくさんあると思うんですけれども、そういう意味では全く不幸な出来事であった、こう思います。

 それで、問題なのは、そういう神聖な場所であるべき学校に不審者を入れないということがまず第一のテーマだと思いますし、そこを、どう安全を守っていくかということがやはり学校関係者及び警察に課せられた大きなテーマだと思いますが、まず、この問題について大臣の御所見を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、増田委員長代理着席〕

村田国務大臣 今回の事件でございますけれども、大変痛ましい事件でございまして、警察といたしましては、再犯を極力防止しなきゃいけない、こういう観点から、その事実関係について大阪府警が今一生懸命捜査を継続している、こういうふうに考えているわけです。

 こうした犯罪ですけれども、ひとり警察だけの努力では必ずしも再犯を防止することはなかなか難しいわけでございまして、地域の問題、学校の問題あるいは個々の保護者の問題等々ございまして、そうした協力の上で再犯防止策を図っていかなければいけない、こういうふうに考えているわけです。

 この種の事件の再犯防止策として、私どもといたしましては、直ちに関係省庁が集まりまして、こうした事件の再犯防止策について今関係省庁が話し合っていろいろ情報を共有しているところでございますが、これまで警察としてやってきたことを御披露いたしますと、次のようなことであったかというふうに思います。

 一つは、パトロールを強化いたしまして、警察のOBを学校等に派遣するということ、それから子供を対象とした犯罪についての情報を地域社会とか学校に提供すること、それから不審者侵入時の防犯訓練、それから子供への防犯教室、こういうものもやってきております。それから、学校と警察との緊急通報システムを導入する、それから通学路等の安全確保のための子供の緊急通報装置を整備していく、これもやってきました。それから、自主防犯パトロール、これは町内会等でやっていただいている、あるいは保護者がやっていただいていることでございますが、そういうこととか、子ども一一〇番、看板が出ていまして子供が何かあったときに逃げ込むおうちをつくってもらう等々、子供を守る取り組みをやってきたというふうに考えております。

 なお一層、今回の事件の反省に立って、関係者とも協力し合って再犯防止に努めていきたいと考えております。

田端委員 今、具体的に、大臣の方からるるとられている政策についてお話がございました。

 大臣、いろいろなことが必要だと思いますが、まず、学校そのものに変な者を入れない、変な人を入れないという、そこをどうするかというのが最大のポイントです。

 それで、実はこの事件の直後から、各学校の先生方、関係者、PTA、もう大変な大きな波及、不安感といいますか、そういう意味で議論になっています。

 それで、例えば東京都でもいろいろなことをやっているようでもあり、いろいろなお願いをしているようでもありますが、江東区の教育委員会とか江戸川区の方では、ぜひ警官を小中学校にパトロールしてほしい、こういう要請があったようでもありますし、大田区の田園調布小学校なんかは、自分たちで年間五千円、全父兄がお金を出して、みずから民間の警備員を雇って門のところでチェックしてもらうというふうにしようとか、あるいは、杉並区の方では、先生以外の事務の職員の方々も総動員して、全小学校四十四校事務員でPTAの力もかりてみずからも警備していこうとか、そういう、警察にお願いする、だけれども、もうそれを待っていられない、だからみずからお金を出してでもこういうふうにやっていこう、今いろいろなところで、こういういろいろな動きが出ています。

 それで私は、大阪府が即座に府下全小学校に民間の警備会社と契約して警備員をつけるということの予算をとるということで発表された、これは大変よかったと思いますが、例えば、この寝屋川なんかでも、この中央小学校は事件のあったところ、周りの小学校も大変ぴりぴりしている。こういうことで、非常にこの問題、どうしたらいいんだということで皆さん悩んでいるわけですので、ここは、さっき大臣がおっしゃったようなこともいろいろあろうと思いますが、もっとこの点に絞ってひとつぜひ議論を進めて、いい政策をとっていただきたい、こう思います。

 その一つに、今年度予算に七億五千万のスクールガードの予算が、私たち公明党としてこれをお願いして入れていただきました。つまり、警察官のOBを中心にして、そういうリーダーをつくって、そのリーダーがまたいろいろな人に教えていって、協力してもらって、一つの学校から広がっていって、円形に広げていってこのスクールガード制度というものをやっていこう、こういうことでございますが、これとてもまだ人数的にも千二百人程度でございますし、恐らく全国的にはまだまだ足らないというふうに思います。

 それから、通学路をどうするかということで、緊急通報システムというのを大臣先ほどおっしゃいましたけれども、これもまだモデル地域で六十地域でやっているだけでありまして、これとてもまだまだ大変な足らない点ではないか、こう思うわけであります。

 どうか、そういう意味で、子供さんが、児童が学校の行き帰り、そして学校に入ってからのこと、そういったことに対して、これは文科省ともきちっと連携をとっていただいて、本格的なそういうプロジェクトチームをつくっていただいて、そしてそこで議論して、ではこういうことをやっていこうということをしていかないと、ばらばらにやっていたのではとても総合的な対策がとれないんじゃないか、こう思いますので、ぜひそういう意味で、このプロジェクトチームの強化ということで、そしてそこで早急な決断を出していただけるよう、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

伊藤政府参考人 学校の安全のための文部科学省との連携でございますけれども、既に先般、内閣官房の方で、各関係省庁集まりましての学校の安全対策についての再発防止という形での会議が開かれたところでありますが、これを受けまして、警察庁といたしましても、文部科学省とともに、学校の安全対策についての協議を開始したところであります。

 具体的にはこれからさらに詳細を詰めていくことになると思いますけれども、こうした中央での警察庁及び文部科学省との連携、さらには都道府県におきます都道府県警察と教育委員会、そして、現場におきましては警察署や市の教育委員会、さらには学校との連携を強めながら、個々具体的な連携を強めて、さらに安全のために尽くしていきたいというふうに考えております。

村田国務大臣 今、局長が答えましたように、私ども、関係省庁と連携をとりまして一生懸命やっていきたいと思っております。

 一つは、門の施錠とかあるいはカメラとか、そういう防犯のための設備ですね。今、先生が侵入を抑えろ、こういうお話でしたんですが、そういう防犯のための施設整備が一つ。

 それから、今度はマンパワー。このマンパワーについては、大阪府等のああいう民間の警備員を導入してくれるというところもあるし、それから御指摘の警察のOBも、退職者がだんだんふえてきますものですから、もう既にやっていることでございますが、そういう警察のOBを活用していただくということがマンパワーの点でも有用であろうか。

 それから三つ目は、とはいえ、やはり、それじゃ、不幸にして入ってきちゃった場合にどう対応するかという、その訓練ですよね。そういうものが両々相まって、三つが組み合わさってそういう実効性が上がるということだと思います。

 ほかに、やはり各公共団体、あるいは教育委員会、あるいは学校、父兄、それぞれが認識を高めていただかないと、我々がいろいろやってきたことが受けとめる方で結構ばらばらになっているわけでございまして、どうか、これは政府だけじゃなくて、学校サイドあるいは教育委員会等も含めまして、こういうことについて、再び起こさないように、一生懸命そういう認識を持って努力をしていただきたいということも呼びかけたいと私自身は考えているわけでございます。

田端委員 ぜひ、そういう意味では、一つ提案があるんです。

 文部科学省にきょう来ていただいておりますが、文科省でもいいんですが、総点検を一回していただいて、例えば大臣は今、そういう施設、施錠とかカメラとかがあるかどうか、そういう人的、マンパワーでチェックできているかどうかとか、それから、もし何かあった場合の教員の訓練とか、そういうことがどうなっているか、こういう三つおっしゃいましたが、総点検していただいて、大至急やっていただいて、そして、それに基づいて、では、この点が弱いからこうしようという緊急マニュアルを作成していただいて徹底すべきだ、こう思います。

 そうしたプロジェクトチームの中で、文科省だけじゃなくて、省庁横断的に、関係省庁入っていただいて、文科省、警察庁が軸になっていただいて、ぜひ学校の安全ということを担保できるように早急な対応をお願いしたい、こう思います。

 それからもう一点、大臣、これは文科省にもなるかもわかりませんが、スクールガード、例えば警察官OBがこれからどんどんふえていく、団塊の世代でどんどん退職者がふえる。だから、これはもう大至急手当てしていただくということが大事なんですが、特に、事件のあった学校とかその周辺の学校とかに、スクールガードの予算を割いて、直接今回のことに対しての対応をするとか、そういったこともぜひ、事件のあったところにはやはりきちっとやっていただくということが大事だと思います。

 この場合、池田小学校というのもやはり大阪で起こった、それの教訓に基づいて声かけ運動をやったその人が犠牲になった、こういう非常に重なった不幸になっているわけでありますので、ぜひ、その辺のところも含んでいただいて、よろしくお願いしたいと思いますが、その点についてどうでしょうか。

村田国務大臣 特に、近隣の学校を含めまして、学校の先生あるいは父兄、地域の住民も大変脅威を感じているというふうに思いますので、事実関係をしっかり捜査した上で、対応できるところは対応していかなければいけないと考えております。

田端委員 それからもう一つ、ことしに入って不幸な事件は、奈良市の女子誘拐殺人事件というのが大変なショックを与えたわけでありますが、実はこの容疑者が過去二回強制わいせつ罪で逮捕されている、こういうこともわかりました。

 そして、これがきっかけになって、法務省と警察庁との間で、性犯罪に関する前歴のある容疑者に関しての居住情報というものを警察にも提供するということが法務省で決められたようでありますけれども、そういうことを議論している間に、つい先日、愛知県の安城市での乳幼児の刺殺事件があったわけでありますが、この容疑者もまた、保護観察中の仮出所している人間であった、こういうこともわかったわけであります。

 それで、こういう性犯罪とか、あるいは放火とか薬物とか、あるいは暴力犯とか、何というんですか、人間の習性として繰り返す、そういう犯罪というのがあろうかと思います。こういうことについて、プライバシーの問題もあることはあるんですが、しかし、やはりその後のこともきちっとフォローしていくという、そこのところはもう大変大事な問題だと思うんですけれども、この点については、今どういうふうにお考えになっているんでしょうか。

村田国務大臣 その問題についても、先生が御指摘になられたような再犯の可能性の高いものも含めまして、今先生が御指摘になった犯罪のほかに、常習窃盗というのもつけ加えられるかと思いますが、そういうことについて、法務省等も含めまして、犯罪者の人権問題とか社会復帰についての影響等も考えつつ、今、相談をしているところでございます。

 特に、性犯罪者のうち、子供に対する性犯罪者の問題につきましては、これが議論が先行いたしましたので、ほぼ法務省とまとまりつつあるというふうに考えておりますが、出所情報、あるいは居所の情報について、今の体制、法律の体系の中でもできる情報について、可能な限り警察としてもフォローしていきたい、こういうふうに考えております。

 なお、それ以外の犯罪につきましては、警察の犯罪捜査あるいは再犯の防止、そうした犯罪の未然防止に有益であるかどうかということを踏まえつつ、今後とも協議をしていきたいと考えております。

    〔増田委員長代理退席、委員長着席〕

田端委員 先日の予算委員会で、銀行のキャッシュカードのスキミングの問題について質問させていただきまして、昨日、その一つの調査結果として、金融庁の方でいろいろ御努力いただいて、本人確認の導入について積極的に安全対策をとっていく、そういったこととか、ATMの引き出しの限度額を抑えるとか、こういう措置がとられたようでありまして、銀行協会の方も金融界の方も、それに対応するような趣旨のことをいろいろ答弁されているということで、非常によかったなと思っております。

 これは、被害者の補償ということはまだ時間がかかるかわかりませんが、ぜひ御努力の方をお願いしたいと思います。

 それで、実は、つい先日、私自身の体験で申し上げますが、クレジットカード会社から電話がかかってきまして、カード持っていますかと。持っています、調べたらありますよ。あなたのカードを、ここ二、三日、四、五日の間、使いましたかと言うから、使っていませんと。

 そうしたら、そのカードの番号がどこかでスキミングされて、インターネット上で何かのサイトにアクセスされて、今使われようとしています、どうも不審なので確認させていただきましたと。

 では、どこからそういう番号が漏れたんでしょうかねと言ったら、それでは、この一年、どこか海外旅行しましたか。いや、あちこち行きました。どこに行きましたか、ドイツに行きましたか。ああ、ドイツに行きました。何か買い物しましたか。しました。では、そのときだと思います、そのときに、カードを使ったときに、そのカードを持って、中に入って伝票の処理をしませんでしたかと言うから、いや、そこまで覚えていないと言ったら、中に入ったときというのはもう絶対怪しいんだと思ってください、こうカード会社が言う。

 それで、実はあなたと同じような人が今、日本でたくさんいます、こういうことなんですね。それで、すぐに、今使っているカードを破棄しましょう、番号変えましょうと。すぐ新しい番号で、きょう手続してすぐにというので、もう今新しいのを持っていますが、取りかえていただくことになりまして、被害には至っていないんです。

 つまり、よくわかりませんが、インターネット上の犯罪で、クレジットカードを使って、しかも国際的なルートで今やろうとなっている、こういうことがわかりました。クレジットカード会社も、大変、これについては非常に敏感に、しかも緊急な対応をされた、こう思っておりますが、こういうことが起こってきますと、今のやり方では、もう防ぎようがないと思いますね。

 だから、キャッシュカードもそうですが、クレジットカードまでがそういうふうになってきたとなれば、これはぜひこの対応を本腰入れてやっていただかないと、いろいろなところでいろいろな被害が、大体海外に行くときに、現金を持たないでカードで海外旅行するというのは普通ですから、それがもう使えなくなるとなると大変なことになります。

 どうぞ、そういう意味では、省庁間の連携をとっていただいて、至急に協議していただいて、このキャッシュカード、今金融庁がやっていただいておりますが、次はネット上のクレジットカードの問題にもぜひ御努力いただきたい、そんなことで問題提起をしたいと思いますので、大臣、いかがでございますか。

村田国務大臣 最終的に預金口座がかかわってくる犯罪というのは、大変被害額が大きくなりますので、私も、かねてから、銀行のキャッシュカードだけではなくて、クレジットカードも含めまして問題意識を持っておりました。

 銀行のATMのキャッシュカードにつきましては、要するに海外ではなかなか扱われにくいというところが一つあろうかというふうに思います。一部の銀行で、例えばシティなんかのカードですと、外国で使われる可能性が、そういうようになっていますので使われるわけですけれども、一番外国で使われるのは、要するに、今先生の被害に遭われそうになったクレジットカードのケースだというふうに思います。

 そのクレジットカードについては、被害があった場合にはクレジット会社が一定の場合にその被害額の補てんをするという、保険がかかっているケースが多いものですから、クレジット会社もかなり前から対策を講じてきているということがあろうかというふうに思います。

 しかしながら、どういう手口でやるかということなんですが、先生もどこかで、海外で買い物されたときにその暗証をスキミングされた、こういうことじゃないかと思いますが、まずプラスチックに磁気テープがついたものを、日本のケースだと、外国で、安いところでつくって、それを輸入してくる、それにスキミングされた情報を入れて、それで使う、こういう形になっているようなんだそうです。

 したがいまして、国内での対策としましては、そうした税関等との関係で、そうした生のカードですね、何も情報が入っていない、これからスキミングされた情報を入れ込むという前の生カードというものの輸入を阻止する、そういうことを税関等とタイアップしてやらなきゃいけないということが一つ。

 それから、今度は、要するに防止策でございますが、できるだけスキミングされにくいICチップのカードを普及してもらうように業界にお願いしていくということがあろうかというふうに思います。

 特に、要するにクレジットのカードにつきましては、国際的に使われますので、そうした生のカードをつくる外国等のケースも含めまして、国際的な協力関係というものも打ち立てなきゃいけない、そういうことでございますので、不幸にして犯罪が起こった場合には、ICPOルートを通じて捜査を依頼する、あるいは情報交換をするということもやっていかなきゃいけないということであるかというふうに思います。

 もう一つは、最近、フィッシングという、これはアメリカでは非常に被害額が多額に上っておるんですが、これもインターネットのホームページを使ってIDとかパスを詐取しまして、これでお金をとったり物を買ったりする、そういう犯罪もこれから日本に来そうでございますので、これも関係省庁と連絡して、対策に努めたいというふうに考えております。

田端委員 要するに、今私たちの社会はカード社会ですね。もう皆さん、我々だって何枚もカードを持っているわけですから、このカードが安全でない、スキミングされるということになれば、経済活動、社会活動そのものがおかしくなると思いますから、ぜひ、そういった点で、よろしくお願いします。

 そしてまた、今国際的な犯罪に広がっているわけですから、そういう意味の国際協調、協力関係もぜひ確立していただいて、対策をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

松下委員長 次に、須藤浩君。

須藤委員 民主党の須藤浩でございます。

 きょうは、前回質問をしたことの継続の問題もありますが、多少重複するところもあろうかと思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。

 最初に、交通事故防止対策についてお伺いいたします。

 先般もバイクの危険走行についてお伺いしました。車の、いわゆるバイクも含めてですが、交通事故がとにかく一万人を減らして、現在も切っていると思いますけれども、どんどん減らすという対策で行われていますけれども、バイクについて、私も車を運転していて、本当に危ないなということを毎日のように感じております。

 特に、車が渋滞しているときは、当然動かないわけですから、その間隙を縫って、路側帯かあるいは車と車の間をバイクが猛スピードで走っていく。車が動き出したときに、普通、渋滞をしていますと、運転手も動き出したらすっと出ていきますが、その動き出している瞬間に、恐らくバイクが通り過ぎていく。ハンドルは、スピードが出ていませんから、車の方は切るということはないんでしょうけれども、それでも不用意に車のハンドルを切ることは十分考えられるし、あり得る状況ですね。そこにバイクが猛スピードで後ろから通過をしていく、これでよく私は毎日いろいろなところで事故が起きないなと思うぐらいなんですね。

 よく見ていますと、多いのが、いわゆる業者が行っているバイクの、バイク便というんですか、そういった方々が多いわけですね。その人たちは、恐らく、時間をなるべく短縮で、当然即配をしたいわけですから、猛スピードで走っていくということになると思うんです。ところが、走っている方は、後ろからスピードを上げていきますから、あいているところをさっと通り抜けるということで、余り感じていないのか、あるいはそれをもうわかっていながら、なるべく速く行きたいということで猛スピードを上げていくのかわかりませんけれども、車の運転をしている側から見ると、本当に冷やっとすることが随所であります。

 そこで、まず最初にお聞きしたいのは、今どれぐらい事故が起きているのか、そして死傷者数というようなものはどれぐらいあるのか、まず最初にお聞きしたいと思います。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年中の二輪車が第一当事者となりました交通事故の件数ですが、六万一千五十五件で、このうちの死亡事故は八百六十三件でございます。また、二輪車乗車中の死傷者の数は十七万四千八百七十六人で、このうち死者は一千三百十三人でございます。

須藤委員 これは、どうなんですか。事故の発生件数としては多い数というような認識をしているのか、それとも、相対的には、全体としてはそれほど多くないというような見方をしているのか、どちらでしょうか。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 多いか少ないかということでありますと、この件数及び死者数は、いずれも昨年よりは減少はしております。例えば死者の数でありますと、一千三百十三人と申し上げましたが、対前年でマイナス四十人でございます。ただ、オートバイ、自動二輪の場合には、保有台数当たりで見ますと交通事故が多いわけでございますので、そういう意味では、多いというふうに理解しております。

須藤委員 大きな事故に至る要因、原因はどのような傾向があるといいますか、分析をされているんでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 保有台数当たりに対しまして交通事故の多いという原因でございますが、一つには、二輪車は比較的若年者が運転するケースが多いわけでございますので、そういう意味で、交通事故に至る場合が多いと思います。

 それからもう一つには、二輪車はやはり相対的に四輪車に比べまして不安定でございますので、そういう意味で、単独事故も含めまして事故になりやすい。

 それから最後に、事故に遭った場合には、これは生身のライダーでございますので、比較的大きな傷害に至りやすい、こういうことだと思っています。

須藤委員 二輪車ですから、当然非常に不安定だということで、とまればひっくり返るわけですよね。車の場合は、とまっても四輪ですから動かない。

 恐らく、若年ということを言われましたけれども、バイク運転になれていない方は交通事故率がある意味で高くなるんだろうというふうに想定をされますけれども、いわゆるナナハンとかあるいはヨンゴーとか言われるような大きなバイクで、重量が相当あって加速がついてくると、そう簡単にはひっくり返らないし、あるいはそういう大きなものに乗る運転手は、かなりなれているというか技術的にも上手だろう。だから事故にはつながらないのかなというふうに私も素人ながら考えるんですけれども、やはりバイクは、今言われたような形での危険性というのは非常に大きい。

 ただ、先般、道交法が改正されて二人乗りがよくなりましたけれども、交通法規を守って、そしてバイクを楽しむ、あるいは通勤の足として使うとか、さまざまな利用方法はあると思いますけれども、そういった方々が安全に乗るということは大いに推奨されるべきであって、そうではない部分での非常に危険な走行、これは別に暴走族とかそういうわけではなくて、通常、高速道路やあるいは一般道でも危険な走行をしている部分は大変多く私は感じるんですけれども、その辺に対する認識といいますか、そういったものはどうでしょうか。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 今ほど若年者ということを申し上げましたが、やはりこれは経験年数ということでもございます。そこで、運転経験が短い場合あるいは若年者の場合には比較的交通事故を起こしやすいということでございますので、したがいまして、免許を取得する段階で、安全知識、危険回避も含めてでございますが、十分に教育するということと、それから、やはり交通の現場では乱暴な運転をするライダーもおりますので、これに対しましては取り締まりをやっていく、こういうことであろうと考えております。

須藤委員 その中で、具体的にお伺いをしたいんですが、先ほどお話しした、いわゆる事業者ですよね。そういった事業者といいますか、事業者に所属をしている、実際にバイクを運転する方々への取り締まりというのか指導というのか、啓発も含めてですが、そういった対応は今具体的にどういうことをされているか、お伺いします。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 バイクを利用しまして運送などを行う事業者への対策でございますが、いわゆるバイク便等によります事故に着目いたしまして、一昨年、平成十五年の三月に、各都道府県に対しまして、バイク便事業者等に係る交通安全対策の推進を指示したところでございます。

 これを受けまして、各都道府県警察におきましては、安全運転管理者等の選任、これは一定数のバイクを保有しているところで安全運転管理者を選任するということなんです。及び、安全運転管理者による的確な業務の実施、それから無事故無違反コンテスト等への積極的な参加など、交通の安全に関する自主的な取り組みの促進など、各事業者に指導しているところでございます。

 これによりまして、バイク便等の運転者が第一当事者、主な原因となったということでございますが、第一当事者となる業務中の交通事故につきましては、発生件数、死傷者数ともに前年より下回っておる状況でございます。

 また、運転者の速度違反などでございますが、それに対しまして、下命、容認するなどの悪質なバイク便事業者もございます。これにつきましては、その背後責任を追及いたしまして指導、取り締まりを徹底するようにしております。

須藤委員 平成十五年の三月にやられたということですが、そうすると、これまでは特別何も対策を打っていなかったということなのか、それがまず一点ですね。

 それから、悪質なというようなことを今言われましたけれども、具体的な成果を生むくらいに指導ないし追及といいますか、そういったことが今なされているんでしょうか。

矢代政府参考人 この平成十五年に指導しましたいきさつでございますが、それより以前に、警視庁管下におきましてバイク便の事業者の活動が随分目立ってまいりまして、これに伴いまして事故も多いという状況が出てまいりました。このような報告を警視庁から受けまして、それで、これは東京、警視庁だけの問題ではないということで、ほかの県に対しても指示をしたという状況でございます。

 これを受けまして、先ほど申し上げましたような対策を打っておるわけですが、埼玉その他の県におきましても、その背後責任の追及、責任追及でございますか、これも実際に行っておるところでございます。

須藤委員 いずれにしても、車を運転する人なら一度や二度、そういう危険に対して非常に困ったなという思いをしたことがあるかと思いますので、とにかくさまざまな方法で対処をぜひしていただきたいと思います。

 一点、これは道交法の問題になるんでしょうけれども、お聞きしたいのは、例えばそういう渋滞とかのろのろ運転のときにバイクがその間を走行する、路側帯よりも車と車の間でしょうけれども、走っていく。走行中ですからドアをあけるということはほとんどないんでしょうけれども、ハンドルをちょっと切ったりして、そこにバイクが追突をして事故になった、下手をしたら死亡したというようなときは、その責任というのはどちらが責任を負うようなことになるのか、教えていただきたいんです。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 事故の責任追及でございますが、これはまことにさまざまな形態がございますので、一概にどちらの責任ということは困難ではございますが、ただ、今お話しのバイクの運転手が負傷し、あるいは死亡したというようなことを考えますと、これに対する業務上の過失致死傷罪が相手方の運転者に立つかどうか、こういうことになります。

 この過失が立つかどうかにつきましても、注意義務違反が認められるかどうかということを具体的に検討して認定してまいりますので、その過失がどうなるかということについて申し上げますことは、ちょっと一般論としても困難でございます。

須藤委員 具体的に事故が起きて過失責任みたいな話になるのは当然のことだと思うんですが、今のバイク走行の状況を見ますと、車と車の間を猛スピードで走る、これはもう道交法違反ですよね。そういったときに、事故が起きて人命がなくなるという結果が出たときに、それは運転手の責任だ、あるいはバイクが悪いからバイクの責任だということにならないように、実はバイクの走行についてもう少ししっかりとした対応をすべきじゃないかというふうに私は思います。

 現実に猛スピードで来るバイクはわからないですね、運転をしていて。本当にわからないところからいきなり出てくるような状況です。ですから、ハンドルをちょっと切ってバイクの運転手が飛んでしまうような場面が想定されるような場面がたくさんありますので、その辺についてはぜひきちっとした対応をしていただきたいというふうに思います。

 それから次に、これは道路の整備についてなんですが、高速道路や、あるいは一般道でもそうですけれども、よく合流地点で、交通安全施設といいますか、ゼブラゾーンになっていたり、あるいはコーン、あるいは棒みたいなものを植え込んであったりしている場所がたくさんあります。

 既設の道路に対して、危険箇所ということで標示といいますか、そういうものを置いたりするのはある意味である程度仕方がないかなということを私も感じるんですが、新設道路でも、大きな道路をつくって、カーブやそういう合流地点を、ガードレールを立てたりあるいはゼブラゾーンをつくってわざと狭くして何か通れないような、あるいはスピードを落とすような形をつくっているようなところもたくさん見かけるんですけれども、これはどうしてそうなるのか。何か交通事故を逆に誘発してしまうようなそういった危険箇所がかなり見受けられるんですけれども、この辺が今どうなっているか、簡単で結構ですので、お伺いしたいんです。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 路面標示は、道路標識とともに、道路交通に関する規制や指示等の情報を道路利用者に適切に与え、交通の安全と円滑を図るための重要な手段と考えております。道路標識、区画線及び道路標示に関する命令、通称標識令と呼んでおりますが、この規定に基づき、道路管理者または都道府県公安委員会が設置しているものでございます。

 このうち、今委員御指摘のいわゆるゼブラゾーン、標識令では導流帯と呼んでおりますが、これにつきましては、車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある箇所に設置するもので、車両の走行位置を明確化し、交通の流れを整え、交通のふくそうや交通事故の回避等を図るものでございます。

 例えば高速道路で申し上げますと、二車線同士の道路が合流して二車線になる場合には、互いの車線を導流帯によってあらかじめ一車線ずつ絞ることで、合流地点における交通のふくそうを防ぎ、スムーズで安全な合流を可能としているものでございます。

 一般道路につきましては、交差点におきまして右折車線を設ける場合には、導流帯によって車線誘導を行うことで、直進車両が過って右折車線へ進入することを防ぎ、あわせて、右折車両の走行速度の抑制等の効果もあるわけでございます。

 以上のとおりでございまして、導流帯等の路面標示につきましては、交通の流れを整え、交通の安全と円滑を図るために必要な施設と考えておりまして、今後とも現地の交通の実態に合わせて適切な設置を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

須藤委員 答弁のとおり、当然至極もっともなことで、実際に科学的に、例えば何十キロであれば制動距離がどれくらいだとかいろいろ出てくるんでしょうけれども、運転する感覚からいうと、本当にこういったものが必要であるのかとか、あるいはここには設けた方がいいんじゃないかという箇所がかなりあると私は感じています。この点については、またおいおい実際の場所も示させていただきながら、交通事故のないようにお願いしたいと思います。

 次に、これは前々からさまざまなところで問題になっておりますけれども、警察官の不祥事についてということで、これはきょう官房長官にも実はお尋ねしたいなと考えているんです。

 当然、警察庁の中で、こういった不祥事に対して対策を行う、あるいは不祥事が起きた原因を追及して対策を行っていくということが常時やられていると思うんですね。国会でもいろいろなところで質疑がされたり、あるいは皆さん方が答弁をしたり、頑張りますというような意思表示をされるんですけれども、どうもそういったことと実際に不祥事が起きていることとがかみ合ってこないといいますか、全く関係ないような形で再三繰り返されると感じています。

 どうしてそうなってしまうのか、それがわかれば原因がわかって対策が打てるんでしょうけれども、この点について、個々の何をしたということではなくて、こういう状況について公安委員長は今どういう考え方をお持ちでいられるか、伺います。

村田国務大臣 先生に御指摘をされましたけれども、私どもも当然、警察官が時折不祥事を起こすということに対しては大変私自身も心を痛め、まことに遺憾に感じております。

 国家公安委員会といたしましても、監察官から、そうした事態が生ずるたびに警察庁から詳しくその状況について報告を求め、例えば処分が行われる場合についても、その処分の適否について私どもが意見を申し述べるというようなことをやっておりまして、その中で、改善、再発防止のために我々が指摘すべきことがあれば逐次我々も指摘させていただいている、こういうことでございます。

 問題は、個々の警察官の職業倫理の意識について、これが十分あったかどうかということでございます。これは一つ一つ、機会を見て、できる限りそうした倫理教育を徹底していく、繰り返し繰り返しそうした教育をするということが欠かせない、私どもはこういうふうに考えているわけであります。

 それから、もう一つは、職場における上司の指揮監督がどうであったか、あるいは業務における監督がどうであったかということが問題になろうかというふうに思います。

 この点につきましても、監督者としての意識というものを常に改めさせていただかなければいけないというふうに考えておりまして、こうした意味でも、監督者の教育も怠ることがないようにしなければいけないというふうに思っております。

 そもそも、警察官を採用するに当たりましても、知識のテストだけではなくて、面接等の試験を充実することによりまして、できるだけ倫理性の高い、警察官にふさわしい人材を我々としても極力採用したいということで、そうしたシステム、体制の強化ということにも心がけさせているところでございます。

須藤委員 今御答弁ありましたが、そういった中でも不祥事が繰り返される、下手をするとこれからも出てくるということが現状だと思うんですね。

 これは資質の問題も大きくかかわると私は思いますが、もう一つは、政府というか政治といいますか、どうもその辺の、きちっと抑えるという意味でのたがが少し緩んでしまっているんじゃないかなという気がしてならないんですね。

 新年度では三千五百人ですか、増員を盛り込んでいる。下手をするとそのうちの、あり得ないでしょうけれども、何%の確率で不祥事が発生してしまうとか、あるいは全体の中で数%出てしまう。恐らく不祥事を起こしてしまっている方は、今委員長が言われたような状況はほとんど関係ないといいますか、無視をするかわかりませんけれども、そういう感覚ではないかと思うんですね。

 やはり警察が不祥事を起こされるというのは大変なことで、しかも、市民の安全を守る、いわゆる武器といいますかけん銃も持っている、何かあれば当然、お巡りさんを見たら、駆け寄って助けてくださいと信頼される立場の人が、逆に悪いことをしてしまう、これは通常の人間関係における信頼とかそういったものをはるかに超えた大きな問題だと私は思うんです。

 そういう意味では、たがが緩んでいるんじゃないかと私は申し上げましたけれども、政府として、その辺の考え方といいますか、所見、官房長官、どう思われているか、お伺いします。

細田国務大臣 警察庁も含めまして、警察の関係者、二十五万人いるそうでございますが、その中でさまざまな形での不祥事が起こり、かつ処分等を受けております。その中には、酔っぱらい運転をしたとか、いろいろな悪い行為をしたという者もおりますし、あるいは組織的な問題も若干ある、こういうことで、全体として見ますと、非常に遺憾なことでございます。

 個々の職務倫理意識の欠如とか、あるいはいわゆる指揮監督、業務管理が不足をしているということもございますし、きのうは閣僚懇談会でも、総理が、犯人を捕らえようとしたんですが、犯人が向かってきたら、ちょっと背を向けて一時逃げたと、これもおかしいじゃないかというようなこともありまして、全体的に国の治安をしっかり守るという姿勢に欠けるところも若干あるんじゃないか。

 これは、警察官は今ふやさなきゃいけない、治安の維持、国民の安心、安全が大事だということで言っておりますので、政府としては、村田国家公安委員会委員長を先頭に、さらにしっかりとした対応をとってまいりたい、そのために政府としても努力してまいりたいと思います。

須藤委員 これは、警察官に限らず、公務員制度改革という問題で取り組んでいると思われますが、その他行政職の中でも、厚労省の問題を出すまでもなく、本当にこれは目を覆いたくなる状況だと私は思います。心ある人、あるいは中で一生懸命働いている人は、こういった状況をなくそうと思えば、限りなくゼロに、なくせるんじゃないかと私は思っていますので、ひとつ気合いを入れてやっていただきたいというふうに思います。

 それから次の、緊急事態への対処についてということで、大自然災害について、これは実は官房長官が所信の中で述べられていますので、これと国づくりのことについて質問しようかと思ったんですけれども、内容的にかなり深くなりそうなので、今回、ちょっと省かせていただきます。別の機会に、ぜひじっくりお聞きしたいと思います。

 最後に、IT担当大臣にお伺いしますが、先般、e―文書法案が通りまして、四月から施行ということで、この準備期間のうちに、何らかの問題あるいは課題がかいま見えてきているのか、あるいは準備状況がどうなっているのかをお伺いして、終わりにしたいと思います。

棚橋国務大臣 お答えをいたします。

 e―文書法の成立におきまして、先生には大変御尽力、御指導をいただきまして、ありがとうございました。

 現在、まず法律の規定に基づきまして、同法の対象外となる犯則事件に関する手続、それから電磁的方法による交付についての承諾方法、これを定める政令を一月十七日に閣議決定いたしまして、一月二十日に公布いたしました。

 各府省で決めます主務省令につきましては、昨年の十二月に、内閣官房の方から主務省令のひな形を提示いたしまして、これに沿いまして、現在、各府省において、電子化の対象となる書類の範囲、それから電子化を認める要件、これを規定する主務省令を策定中でございまして、三月中にはすべての府省で主務省令を公布できる予定でございます。

 また、特に課題として御指摘をいただいております周知徹底につきましては、全国九カ所におきまして、民間事業者等について説明会を開催いたしました。それから、何よりも関係団体への説明、さらにインターネットを通じた国民への周知徹底等を行っているところでございます。

須藤委員 以上で終わりにいたします。

松下委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十一分開議

松下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 一時間、質問の時間をいただいておりますので、前半は、少子化対応、子育て支援について南野大臣にたっぷりお答えいただきたいと思っておりますし、その後は、人身売買禁止について、またスマトラ沖大地震での邦人の支援、救助のことについて伺っていきたいと思います。

 まず、少子化対応、子育て支援でございます。

 代表質問でも聞かせていただきましたが、総理から十分な御答弁がいただけず、細かいことは委員会でやれという仰せでございましたので、本日はしっかり聞かせていただきたいと思います。ただ、南野大臣が兼務でいらっしゃるので五十五分までという制限時間がございますので、ぜひ思っていらっしゃることを御自分の言葉で簡潔明瞭にお答えいただくようお願いを最初にしておきます。

 日本の合計特殊出生率、ほぼ一貫して下がり続けていることは皆さん御承知のとおりだと思います。二〇〇三年が一・二九。その中で、東京は〇・九九。

 少子化への対応、子育て支援というのは、民主党では最重要課題だと考えておりまして、民主党の予算案でも政府の四倍の予算をつけているところでございます。日本の若い人たちは実は子供が欲しいと思っているので、これはしっかりとした政策をとれば、結果として出生率は上がってくるのだと思います。

 ところが、一・五七ショックと言われた一九八九年からもうことしで十六年になりますが、その当時から政府は関係省庁連絡会議をつくられて、私は解説委員で取材をしておりましたけれども、必要な項目はもうそのときから出ていました。それにもかかわらず、このように下がり続けているということは、必要な政策がつくられてこなかったからではないかというふうに思いますが、内閣のかなめでいらっしゃる官房長官はどのようにお考えでしょうか。

細田国務大臣 大分前の一九八九年に一・五七ショックと言われたときから、確かに十六年も経過をしておるわけでございます。

 私は、内閣の対応についていろいろ御批判もあると思いますが、この世の中あるいは日本じゅうの問題意識の欠如というとあれですが、これは責任で言っているわけじゃありませんが、そこまで深刻に考えなかった結果が今急に現象として噴き出てきている。つまり、もう男性の数がことしで減り始める、来年は男女ともに人口が減る。ここで皆改めて、今までわかっていたことでありますけれども、びっくりしたような面もあって、これは必ずやらなきゃいけない。

 私は、予算委員会でもお答えしましたけれども、国民挙げての課題としてどなたも認識いただいておりますので、政府も挙げて対策を取り組み、そして企業等の体制が、働きながらお子様を持つ、持って育てるということにいろいろな障害、社会的な障害も含めて、あるいは個人的ないろいろな見解もあって障害になってきたことは事実でございますが、すべての発想を逆転して、子供を生み育てるということが我々自身の、日本の社会をこれから維持し、発展させるために、そしてあらゆるシステムを維持していくためにも必要である、そのためにはどんな努力でもするというふうに発想を転換しなければならないと考えております。

小宮山(洋)委員 やはり、午前中の質疑で宇佐美委員も申し上げましたけれども、縦割りで責任を持つ部署がないところが総合的な政策ができない原因ではないかというふうに思います。

 私たち民主党は、子ども家庭省という責任ある部署をつくることをマニフェストにも盛り込んで提言をしております。ノルウェーでは、一九九〇年に、就学前の子供にかかわるすべての事柄を総合的に担当して扱うという子ども家庭省をつくりまして、その後、出生率は一・六五から一・八に回復をしています。

 責任を持って総合的に取り組むところ、それがぜひ必要だと思いますが、この点は官房長官はどのようにお考えですか。

細田国務大臣 そのような気持ちで取り組まなければならない。ただ、組織論として、具体的に言いますと、それぞれの分野が厳然としてこれまでも仕事をしていることも事実ですから、省をつくるのか、専門の担当大臣をつくるのか、あるいは今のように兼務ではあるけれども担当大臣をつくってやるかということは、いずれにしても省庁の調整も必要なことであります、今ある省庁でいうと厚生労働省であったり、文部科学省であったり、その他経済産業省とか。

 いずれにしても、すべてを調整しながら、考え方を変えなければならないという意味では同様でございますので、基本的なお考えについては私も賛同するものであります。したがって、南野大臣、特命大臣として、まさに少子問題の担当でございますから、馬力を大いにかけていただきたいと思いますし、内閣を挙げて支援してまいりたいと思います。

小宮山(洋)委員 ぜひ官房長官としても積極的にお取り組みいただきたいと思いますが、先ほどびっくりしたとおっしゃいましたけれども、女性たちは別にびっくりしていません。政府の皆さんがそこに気づかずびっくりされただけだと思いますので、その点は申し上げておきたいと思います。

 それでは、南野大臣にも同じことを伺いたいと思っています。

 先ほど宇佐美議員も伺いましたけれども、子供担当大臣というのはいつも兼務であって、南野大臣は現在大変お忙しい法務大臣と兼務をされていますけれども、十分な働きができておいでだとお思いですか。大体どれぐらいの割合で法務と少子化担当をなさっているでしょうか。

南野国務大臣 小宮山先生、私が仕事していないように見えるようでございますが、私は、内閣府の特命担当大臣として少子化対策のほかに、法務大臣という任命もいただいております。また、青少年育成を担当するということも、万々、できる範囲内でやっていることでございますが、私は、それぞれの所管行政におきまして、さまざまな課題があるというふうに思います。その時々の状況に応じて、その課題に全力集中するというような取り組みで進んでおります。

 執務時間についてお尋ねでございますが、ここで何分、ここで何分というような切れ目はつくれない、どこにおってもその役割が頭の中にあるということでございますので、大変厳しい自分との闘いであろうかなと思っております。そういう意味で、職務の執行に当たっております。

 少子化対策につきましては、広範な分野にわたるものであります。一つの省庁ができたからそこで満足ではなく、関連省庁というものが協力しなければやっていけない課題がいっぱいあるだろうと思っております。将来の我が国のあり方にかかわる重要な課題として認識いたしております。年金の問題も、これはすべてそこに関連してまいります。

 今後とも、少子化対策の特命大臣といたしまして、与えられた職務を精いっぱい頑張るのが私の役割だと思っております。

小宮山(洋)委員 十分に働けているという御答弁だと思いますので、残り時間少ないですけれども、十分な御答弁をいただきたいと思います。

 南野大臣は助産婦さんでいらして、子供のことは専門分野でいらっしゃるはずですので、私としては、ぜひそこに全力投球をしていただきたいという思いです。

 まず、経済的負担。これが欲しい子供を持てない理由に多く挙げられますけれども、社会保障給付費の中で、割合が高齢者七〇対子供四というすごい格差がありますね。この格差を是正することがぜひ必要だと考えます。

 総理は代表質問の御答弁で、高齢者給付を見直して、将来世代の負担増を抑えるということしか答弁をされませんでした。南野大臣のこの点についての御見解を伺いたいと思います。

南野国務大臣 我が国の平成十四年度の社会保障の給付費で見てみますと、御指摘のとおり、高齢者関係費用が約七割を占めておるのに反しまして、児童、家庭関係の費用は三・八%、おっしゃるとおりでございます。

 それをどのようにしていくかというのがまたもう一つの課題であろうかと思いますが、GDP比で見ましても、我が国の家族関係支出は〇・六%であり、欧州諸国と比べると低い水準にある、それはもうおっしゃるとおりだというふうに思います。

 このような状況は、我が国の高齢社会の進展に対応して、年金受給者の増大、まだまだふえていっております。老人医療費や介護給付の増大、それも一つの大きな原因をもたらしていると思います。このような高齢者の関係経費が大きくなってきているということもやむを得ない事情ではありますけれども、それに偏り過ぎてはいけないというのは先生と同じ意見ではないかな、そのようにも思っております。

 そういう意味では、子ども・子育て応援プランというものをこのたび展開し、今、予算の審議をお願いいたしておりますけれども、その検討課題として、現在の社会保障給付においては大きな比重を占める高齢者関係給付を見直し、次世代育成支援の推進を図るということにいたしており、このような観点から真剣な論議が必要であろうと思っておりますので、先生の大切な御意見をいただきたいと思っております。

小宮山(洋)委員 できれば先生と呼ばないでいただきたいのでございます。

 見直していくというお話はありますが、私は、この国は子供については余りに注意を払わな過ぎたんだと思います、母親が育てていればいいということで。確かに年金の問題もありますけれども、もう少し子供のことにしっかりと本腰を入れて、各省庁挙げて取り組むべきだったんだと思います。

 私が聞いている範囲でも、各省庁に電話をいたしまして、今関係省庁の会議をつくっていらっしゃいますが、担当課はどこですかと言うと、わからないという省庁がございます。こういうことではなかなか難しいので、それで、責任を持って担当する部署が必要じゃないかということを申し上げているわけです。

 経済的な保障ということについて重ねて伺いますけれども、今、日本の児童手当は、第一子、第二子が月額五千円、これは先進国の中では非常に低いわけです。先進国では大体一万数千円から二万円ぐらいを出しています。

 私たち民主党は、今の税の複雑な控除を解消して社会保障の給付に変えていく、それを子供に充てるという、きちんと財源を伴って、今、一人月額一万六千円の子ども手当ということを提案しておりますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。

南野国務大臣 児童手当につきましては、御承知のとおり、平成十六年度から支給対象を小学三年生までに引き上げていくということが一つございます。また、子ども・子育て応援プランにも触れておりましたように、児童手当等の経済的支援のあり方についても幅広く検討する必要があるということで考えております。少子化対策は重要なものと認識しておりますので、ぜひやっていかなければならないことはやっていくというふうに自分で思っております。

 そこで、今お話がありました子ども手当、月額一万六千円を所得制限なしに義務教育終了まで支給するとの御提案がなされておりますが、そのためには約三兆円の追加財源が必要になる、我々ちょっと試算させていただいたわけですが、財源をどのように確保するのかという点がまた大きな課題になってくると思います。

 また、財源のために扶養控除や配偶者控除、それらの廃止を提案されるのかどうかわかりませんが、そうされるとすると、税制上の控除と手当をどのように組み合わせたらいいのかというような課題も一つ残ってくるのかなと思います。

 または、高校生以上の子供を持つ家庭や子供がいない家庭の場合の負担がふえてくる、これもまたいろいろな理由がつけられるとは思いますが、その点をどのようにして理解していただくのか。そのような観点から議論が必要になってくると思いますので、いい議論が展開できればと思います。

小宮山(洋)委員 今言われたとおり、私どもは、ちゃんと財源を確保した上で、先ほど申し上げたように、税とそれから今の社会保障のサービス給付を変えていくという、ちゃんと根っこの議論をした上でそういう提言をしておりますので、その点についてどうかとお尋ねしたんですけれども、またこの点は場を改めてしっかりと議論をしていきたいというふうに思います。

 私どもはしっかりとしたそういう根っこの議論をした上で、税の構造と社会保障サービス給付の割合を変えよう、そこで子供に重点を置いていこうということを提言しておりますので、ぜひそのあたりをしっかりと認識していただきまして、また議論を深めていきたいと思っています。

 また、出産費用のことでありますけれども、これは平均四十八万二千円かかるという調査がございます。現在は、医療給付外の現金給付として原則三十万円の出産一時金が出ていますが、民主党としては、この増額、さらに二十万増額をして、ほぼ負担がないようにするということを提案しております。その増額をするか、あるいは保険の適用をという声もございますけれども、この点については何か政府としては検討されていますか。

南野国務大臣 出産費用の負担については、大体一件当たり出産育児一時金三十万が支給されている。これは、三十万円というのは病院でお産した場合ということですが、片方、助産院というのもあるということも平均、トータルして考えていくことも必要かなと思っております。妊婦健診や正常な出産自体は疾病ではないという形の中から保険を適用しておりませんが、多くの方は、これは病気の問題と絡み合わせながら保険が適用される場合もあります。それも一つの医療費との絡み合わせの中にありますので、それもお知りおきいただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、出産費用と医療保険の関係につきましては、予算委員会で尾辻厚生労働大臣が答弁されましたように、十八年度の医療制度改革全体の中で検討していくものというふうに承知しておりますので、ぜひ適切な検討がなされるべきものというふうに思っております。

小宮山(洋)委員 だから、それをなさるのに、せっかく助産婦さんの経験もおありになる大臣が担当していらっしゃるんですから、医療制度改革の中でリーダーシップを持ってそういう方向で検討していただきたいんですが、いかがですか。

南野国務大臣 できるだけの問題点についてはリーダーシップをとっていきたいというふうに思っておりますが、厚生問題の関係であれば、やはりそこで話し合って、お互いそれをどうするかという観点がございますので、私一人があれもこれもということではないというふうに思っております。

小宮山(洋)委員 少子化問題担当大臣というものの役割がどういうことかということで、その面では一番トップにあって、各省庁がいろいろ言っても、そこをきちんとリーダーシップを持ってある方向に持っていかれるのがその担当大臣のお役目なのではないんですか。

南野国務大臣 おっしゃるとおりでございますので、その問題につきましては、厚生関係、いろいろな閣僚がおられます。その閣僚と問題点、問題点をネゴシエーションしていかなければ、私独自の形になるということは、これは思っていても事が成らないということになると思いますので、その点、御了解いただきたい。やるところではやっております。

小宮山(洋)委員 とにかく、やれないかもしれないと言ったらできませんので、ぜひ、ネゴシエーションが必要なことはもちろんわかっています。でも、方向性についてはリーダーシップをとっていただきたいとエールを送っておりますので、ぜひ受けとめていただきたいと思います。

 それで、ちょっときょうは時間が少ないので駆け足でございますけれども、育児休業についても伺いたいと思います。

 現在、取得率は、女性が六四%、男性が〇・三三%という数字が言われておりますけれども、女性の六四%もこれは非常にまやかしがございまして、第一子を産むとやめる女性が七割いるわけです。残りの三割のうちの六四%ということは、女性でも二割しかとっていないわけです。こんなことでいいんでしょうか。

 政府は、大綱の実施計画である子ども・子育て応援プランで、男性一〇%、女性八〇%を目標にしているとおっしゃっていますが、これをどうやって具体的に実現をするのか、お答えいただきたいと思います。

南野国務大臣 子ども・子育て応援プランにつきましては、働き方の見直し、各分野におけるさまざまな施策を掲げておりますが、お話しの育児休業につきましても、法的な制度もなされ、内容も充実してきていますが、なかなか利用が進まない実態があります。やはり企業の取り組みということも、これはひとつ前に進めていただかなければいけない。育児休業をとりたい人がだれでもとれる状況に持っていきたい。

 そのような観点から、例えば、育児休業制度を就業規則に規定している企業の割合を調べてみますと、六一・四%であります。これを五年後に一〇〇%にしたいというふうに我々は考えているところでございまして、事業主による行動計画の策定、実施の支援、ファミリー・フレンドリー企業の普及促進、職場の意識改革を進めるための啓発活動など、施策を推進していくことによりまして、育児休業取得率の目標を達成していこうというふうに考えております。

 育児休業制度の定着というものも一つの項目の中に入れてありますので、そういう規則を制定していけば、今、六一・四%も限りなく一〇〇に近づいていくんじゃないかな、これは、殿方、男性が協力してくれないとどうしようもないということもあろうかなと思っております。

小宮山(洋)委員 企業に取り組みを進めてもらいたい、それは当たり前なんですけれども、そういうことを言っているだけで進むんだったら、こんなに出生率は下がっていないんですよ。それでも下がっているということは、企業が取り組んでいない、それに対する政府の指導並びにサポートが足りないということなんだと思いますので、今のような答弁書を読まれたようなことでは、私はこの目標は達成できないと思っています。

 ですから、具体的に、私たちが提案しているような、例えばパパクオータの制度を入れるとか、あるいは、今私どもは検討しようとしているんですが、新しい所得保障の制度をきちんと整えるとか、あるいは、女性のM字型カーブが、まだまだ子育て期の女性は仕事をやめてしまう、そこを是正するためにどうしたらいいか。男性の働き過ぎ、過労死の問題まであるような働き過ぎをどうするか。もっといろいろなことを考えなきゃいけないので、企業に何か計画をつくらせたから進むという話ではない。具体的に、これもリーダーシップを持って、新しい提案をされなきゃいけないと思いますが、いかがですか。

南野国務大臣 いろいろな試みが必要だと思いますし、そこに向かって働きかけをする、そして、その状態がそのような方向になるというような、そういう論法で進めていかなければならない、そのように思っております。

 パパクオータ、今おっしゃったようなことは、法的に割り当てることも一つの方法だと思いますが、やはり自主的にそれをどのように醸成していくか、機運の醸成、そういったものに取り組んでいくのも重要であろうかなというふうに思っております。また、地方自治体や事業主が策定する行動計画も大きな推進材料になるというふうにも思っております。

 また、育児休業に係る給付、それにつきましては、雇用保険特別会計の財源で対応しているところでありますけれども、平成十三年に二五%から四〇%、大幅に引き上げたところでございます。育児休業期間中は年金等の保険料が免除されていることを勘案すれば、育児休業給付金の給付水準は、実質的には五〇%を超える水準となっているということも留意する必要があると思っております。

小宮山(洋)委員 間もなく制限時間はあと二分でございますけれども、今のような御答弁では私は納得いたしません。もっと強いリーダーシップをとって新たな提案をされなければ、いろいろなところの調整とか、企業の自主性に任せるのだったら、こんなことになっていないんですよ、みんな子供欲しいと言っているんですから。ぜひ、その辺のリーダーシップをとっていただきたいと思います。

 最後に一つ、選択的夫婦別姓の問題も、これは多様な選択肢を用意するということで、非嫡出子の今のような状況の中で、法律婚でない人たちは子供を産むことをためらう、このことも少子化の要因の一つでもあると思います。

 これは、法務省の答弁書ではなくて、南野大臣個人のお考えとして、選択的夫婦別姓についてどうお考えになるのか、伺いたいと思います。

南野国務大臣 選択的夫婦別姓につきまして、それにかかわる民法改正ということについてお尋ねであろうというふうに思っております。

 これも長年討論されてきていることでございますが、選択的夫婦別氏と我々は言っております。選択的夫婦別氏制度の導入の問題につきましては、法務省としてお答えしなければならない課題でございますので、これをちょっと読ませていただきます。

 平成八年の法制審議会の答申の内容を踏まえつつ、少しでも多くの方の御理解が得られるように努力していくというところで続けてきたところでありますが、この問題は、婚姻制度や家族のあり方と関連する重要な問題であります。国民各層や関係各方面でさまざまな議論があると承知いたしております。

 また、選択的夫婦別氏に係る民法改正につきましては、これらの議論を踏まえて、与野党間で適切に御協議いただければというふうに思っております。

小宮山(洋)委員 もう時間でございますので、御退席いただいて結構ですが、今の御答弁は御自身の御答弁ではございませんので、また改めて伺いたいと思います。

 森山大臣のときは、森山大臣は、女性の大臣としてリーダーシップをとられました。せっかく法務と兼務していらっしゃるんですから、そういう意味では、そこでのリーダーシップに期待を申し上げまして、どうぞ、法務委員会にいらしてください。

 それでは、この問題の締めくくりに、改めて、随分伺えない項目がたくさんございましたけれども、官房長官に、やはり総合的な取り組みが必要だと思っておりまして、その点では、総合的な取り組みが必要だということと同時に、ノルウェーの先ほど申し上げました子ども家庭省も、その主な目的の中に、男女平等の完全実施ということが入っております。これは、男女共同参画社会が実現するということと軌を一にしている問題だと少子化対応の問題は思いますので、男女共同参画担当大臣としての総合的な取り組みへの決意を官房長官に伺いたいと思います。

細田国務大臣 先ほどゆっくりと申しましたが、社会的に、いろいろな企業の人、産業の人と話しても、心から、これはいかぬということに今なりつつあります。実態を見れば、企業内では女性にある程度の差別があったり、職場復帰が阻害されていたり、いろいろな実態があるわけですね。ですから、革命的な、コペルニクス的転回を今しなきゃならないという運動を始めなければならないと思います。

 それは、一人でも子供が生まれたら、それはもう大変すばらしいことだ、二人目、三人目、特に二人を超えたら、あなたはすばらしいといって、ちゃんと顕彰するぐらいじゃなきゃいけませんし、あらゆる労働条件において配慮すべきでありますし、また、小宮山議員もおっしゃった、いろいろな手当、控除、政府なりにいろいろちびちびとやってきましたが、私は率直に言って、これまでそれは全然きかなかった。

 なぜきかないかといえば、子供を一人生み育てるには、大人一人と同じコストがかかるわけですね。ここからは、小宮山議員のよく言われる個人的な見解にちょっと移りますけれども、子供一人生み育てるのに大人と同じコストがかかるのに、たかが数万円とか一万五千円とか、そんな手当を払ったから子供がふえるだろう、こう思うことが間違いなんですね。

 一人ふえればそれだけコストがかかるから、どうしたらいいだろうか。私は、個人的には、フランス型の税制をもっと拡充して適用するとか、企業において、さらに子供を持つ人に対する優遇をするとか、いわば社会改革をしなければ、何年も前から大変だ大変だ、今、本当にこれはもうどうしようもないな、人口が本当に減っていくぞ、また、産業界にとっても大変だという実感がわいたこのときに、革命的転回をしなければ、今までの延長線で、ちょっとおいしいお金を渡したり、ちょっといろいろな医療費の改善をすれば、子供を産まない人が産むだろうと思うような事態ではないんじゃないかなと私は思っています。

 島根県は、特殊出生率は高いんですよ。それは、皆さんは、出生問題を地方と中央の関係で考えられたことは余りありませんが、我々は、大変な高齢県で子供が少ない、そして、出生率は高いんです。なぜなら、ふるさとへ帰って子供を産もうと思う人は、帰ってきて結婚をして子供を産むんですよ。そうでない人は、都会に出て仕事をして、結婚をしないんですよ、基本的に。結婚をされた方でも、余りお子さんを持とうとしない。

 つまり、東京都とか大都会の異常な出生率の低さと、それから、沖縄にしても島根にしても、そういうところの出生率の高さの不均衡というのは、そういう社会問題からも発生しておりまして、こういう地域性の問題、本当にどう思っているのか。

 島根県は、全部共働きですよ。もう共働き比率は日本一高いほど共働きです。そして、保育施設もみんな充実しているんですよ。そして、結婚をする人は、帰ってきて結婚をするんです、もともといる人もいますけれどもね。そして、そうでない人は、都会に出て独身のまま、あるいは一人しか子供を持たないというふうになって、非常に社会が分断されているんですね。

 その問題に真剣に取り組まなきゃならないというのが私の哲学ですので、ちょっとお尋ねですので、そういった方向でどうしたらいいか、南野大臣を督励しまして、私は革命的にやらなきゃいけないと常々、小泉総理にも言っております。

小宮山(洋)委員 革命的に取り組んでいただくというのはいいんですが、一点だけ今おっしゃった中で賛同しかねるのは、子供を何人も産んだ人を顕彰するというのは、これは子供を産めない人とか産まない選択をした人等のこともありますので、そこのところはかなりデリケートな問題ですから、いろいろ、やり方は考えた上で、ぜひ革命的なお取り組みをいただくようお願い申し上げます。

 それで、けさの、午前中の質疑でも宇佐美委員も申し上げましたけれども、これでは余りに質疑時間が足りな過ぎるんですよ、現状として兼務をされているために。ですから、ぜひ少子化対策の集中審議あるいは小委員会を設置すること、そのことを理事会で検討していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょう。

松下委員長 理事会で検討します。

小宮山(洋)委員 それでは、次の、人身売買禁止について伺いたいと思います。

 人身売買の禁止につきましては、九三年の国連総会での女性に対する暴力撤廃宣言、また九五年の北京女性会議での行動綱領などで、根絶すべき課題と認識されてまいりました。

 ところが、日本では、自分には関係ない外国人の問題といった意識などから取り組みが非常におくれておりました。御承知のとおり、アメリカ国務省の報告書で、日本は人身売買を防ぐための法整備や被害者保護が最低の基準を満たしていないという監視対象国とされたことなどもありまして、ようやく政府でも取り組みが進められているのだと思います。

 政府は、この国会に、国際組織犯罪防止条約人身取引補足議定書、そしてまた加害者処罰のための刑法改正、さらに入管難民法改正、風営法改正、これを提出する予定ですが、国際的に求められている被害者の保護、支援については、法律ではなく行動計画で行おうとしています。これで十分な保護や支援ができるのか。これは内閣府の方で全体を取りまとめていらっしゃいますので、官房長官に伺いたいと思います。

細田国務大臣 人身取引の問題というのは、本当に深刻な、しかも日本の海外における評価にかかわる問題であると同時に、当然ながらその被害者にとっては大きな人権侵害であります。

 昨年十二月に、政府全体として策定されました行動計画にのっとりまして、一体的な政策展開を進めておりまして、現在、各種法律、入管法の改正等についてお諮りするということになっておりますし、さまざまなそういった被害者の方々を保護する体制についても進めようとしておるところでございます。

小宮山(洋)委員 国連人権高等弁務官の報告書としまして、二〇〇二年の経済社会理事会に、人身売買の被害者の人権確保が最重要であるという認識のもとに、人権を考慮した人身売買の防止、根絶及び被害者支援のための指針、ガイドラインが出されております。この水準での被害者の救済、保護、支援、これを保障することなしに加害者の検挙、処罰というのはあり得ないのではないかと考えています。

 なぜならば、被害女性の多くは、不法滞在のために犯罪者として扱われて強制送還をされてきました。被害者として保護できないと、証言を得て加害者の訴追につなげることができないのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

河村政府参考人 御説明申し上げます。

 人身取引の被害者につきましては、人身取引対策行動計画に基づきまして、関係省庁が連携いたしまして、在留特別許可の付与、安全確保等の各種保護施策に取り組んでいるところでございますが、刑事手続の場面におきましても、今の在留特別許可の付与以外の点でございますけれども、人身取引の被害者の立場や心情に十分配慮いたしまして、被害者等通知制度による情報の提供、被害者支援員等による法廷への付き添い等を行いますとともに、公判手続におけるビデオリンク方式による証人尋問などにより、その保護や二次的被害の防止、心理的負担の軽減等を図ることとされておりまして、検察当局において、その実現に努めているものと承知いたしております。

小宮山(洋)委員 また、今在留特別許可のお話もありましたけれども、入管難民法を改正しても、現在の難民の場合を見ましても、取り締まりと保護を同じ部署が行っているために、国際基準に比べて人権が守られない状況というのが続いているわけです。

 難民については、別の制度をこの間改正で一応つくりましたけれども、その人身売買の被害者であることをどのようにして判定して保護していくのか、具体的にお答えいただきたいと思います。というのは、だれが被害者であるかというのは、被害者のおそれのある人まで含めて、そこのところを判断していかないと、実際のことには役立たないと思うんですが、いかがでしょう。

三浦政府参考人 御説明申し上げます。

 人身取引の被害者の方に対しましては、さまざまな場面で保護する必要があろうかと思っておるわけでございますが、入管行政上の保護という観点から御説明いたしますと、被害者であるかどうかの認定につきましては入管の職員が判断するということになるわけでございますけれども、被害者の可能性がある方がどういう形で判明するかということ、これまたさまざまなケースがあろうかと思います。

 例えば、警察等の捜査機関でございますとか、被害者保護に御熱心に取り組んでおられるNGO、また御本人の出身国の在日公館等がその存在を認知するというケースがございます。こういったケースにつきましても、入管といたしましては、それら関係機関が集められた情報の提供を受けまして、そうした情報も踏まえまして、また入管独自で御本人から事情を聞く等いたしまして、人身取引の被害者であるかどうかの判断を行うということで、現在も実施をしておるところでございます。また、そうではなく、被害者の可能性のある方が直接入国管理局に出頭されるというケースもございます。

 こういうケースを想定いたしますと、当然入管として独自にいろいろな調査をすることはもとよりでございますけれども、先ほど申し上げました種々の関係機関に対しまして、入管といたしまして情報提供を行いまして、必要があればこれらの関係機関の方にもいろいろな事情を調査等をしていただきまして、それらの結果も踏まえまして、入管行政上、被害者として保護すべきかどうかということを判断するということになろうかと思っております。

 被害者と認定された場合の保護措置でございますが、入管の立場からいたしますと、被害者の方が早期に本国に帰りたいという御意向の場合にはこれを尊重いたしまして、関係機関、在日公館でございますとかNGOの方々と連絡、協力をいたしまして、可能な限り早く帰国できるような措置を現在もとっておるところでございますし、また、場合によっては、被害者の方が引き続き我が国に在留したいという御希望を持っているケースもございます。また、加害者の刑事訴追等のために証人等としていろいろ御協力をいただくというケースもございますので、そういうケースにつきましては、やはり関係機関と連携をとりまして、在留特別許可の運用を弾力的に行うということで、現在対処しておるわけでございます。

 このたび、今国会に提出を予定しております入管法の改正につきましては、現在の運用取り扱いにつきまして、これを明確に法律上明文化いたしまして、適切に対処したいというふうに考えておるところでございます。

小宮山(洋)委員 私は、それだけでは今の入管の現状からいって無理だとは思いますけれども、本日はちょっと時間の関係上、次へ行きたいと思います。

 被害者の保護につきましては、婦人相談所、民間シェルターで行うということを行動計画で決めておいでになりますけれども、平成十六年度、婦人相談所では全体で十九人の人身売買被害者の女性を一時保護しています。また、民間では、外国人の女性のシェルターはHELPとサーラー、この二カ所のみで、最近の一年間で、それぞれ二十五人と十人保護をしていると聞いておりますけれども、保護をするための被害者の把握、そして受け入れの施設などはこれで十分だとお考えなんでしょうか。

北井政府参考人 婦人相談所の一時保護の入所状況の現状でございますけれども、確かに大都市部におきましては非常に入所率が高いところもございますけれども、必ずしも地方部の保護所がいっぱいではなくて、比較的余裕がございます。また、人身取引被害者の保護実績を見ますと、必ずしも大都市部に集中しているわけではなく、日本全国、各地にわたっております。現実には、これまでの保護を希望された被害者につきましても全員を保護しているところでございます。

 さらに、平成十七年度より新たに民間シェルター等に一時保護を委託する制度を実施することといたしておりまして、こうした制度も積極的に活用することによって、人身取引被害者の保護に遺漏がないように万全を期していきたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 時間が短いので官房長官には全部御理解いただくのは難しいかと思うんですけれども、私が申し上げたいのは、もちろん加害者を処罰するための刑法改正などは必要だと思いますけれども、全体として、例えば人権高等弁務官がガイドラインで言っているような、非常に強調している部分が被害者の救済とか保護なんですね。そこについて法整備をしないということは、私は、なかなかうまくいかないのではないか、やはり総合的な法整備が必要なのではないかと思っているんですが、どのようにお考えでしょうか。

細田国務大臣 私は、各国からの指摘もあって非常に積極的にこの問題に取り組ませていただいております。対策を省庁横断的につくろうということを言ったのはかく言う私でございまして、その中で、そういう保護、支援のための総合的な法整備が必要ではないかということについても、今後の実態に応じていろいろ検討すべきことは多いと思います。

 官庁答弁的に言うと現行法体系の中でもできるということなんですが、実は実態の幅広さがわかっておりません。フィリピンと、いわゆるダンサーとかそういうものを交渉しますと、逆に先方政府から、いや、もうこっちで証明を出しているんだからそんなに労働を制限しないでくださいということを言われるわけですが、いや、そうはいかないんだ、実際は人身取引の実態がたくさんあって我々は困っているんだからと言って先方政府を説得して、資格を制限するというような実態もある。それに対して、駆け込みがどんどん続いて、もう大使館から次から次へと苦情があるケースもあります。

 これから取り締まり等を強化していくと、いろいろな例があらわれてくることは必至であろうと私どもは思っておりますし、それに応じた政策展開は必要であると思っております。

小宮山(洋)委員 官房長官がそれを奨励されているという大変心強い御答弁をいただきました。民主党では、今、総合的な法律をつくる作業を進めておりますので、またぜひ協力をしながら、いい形のものができればと思っております。

 多少これとも関係がございますが、スマトラ沖大地震、インド洋大津波の被害者の支援について伺いたいと思います。

 被災地では親を亡くした子供や女性が人身売買の危険にさらされていて、タイやインドネシアなどでは国としても警戒を強めていると報道されていますが、その実態と、それに対する日本の援助はどうなっているのか、お答えください。

西宮政府参考人 今般の地震・津波被害の被災国におけます子供、女性の人身取引の実態につきましては、さまざまな報道はなされておりますけれども、その実態をとらえることは極めて難しい現状でございます。報道では、例えば数万人単位の子供たちが親を失ったとも言われておりますけれども、人身取引の被害に遭った子供や女性の数ということ自体、その実態を正確に把握することは、犯罪として秘密裏に行われているという事情もございますので、なかなか難しい点がございます。

 こうした子供たちのケアについてのお尋ねかと思いますけれども、政府といたしましては、このたびの災害の最大の被害者とも言える子供たちを支援するために、各種の国際機関に拠出いたしました緊急人道支援を活用いたしまして、津波被災子ども支援プランという名前をつけまして、こういった活動をしております。その一環といたしまして、子供の人身取引防止対策、離散家族の再会促進支援などのプロジェクトを実施しておるところでございます。

 こうした取り組みを含めまして、今後、被災国に対する支援を実施していくに当たりましても、人身取引の被害者を含みます社会的弱者に十分配慮してまいりたいというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 このインド洋大津波によっては日本人の被災者も多く出ているわけですが、その支援のあり方につきまして大変大きな問題があると思っております。残りの時間、そのことを伺いたいと思います。

 日本人の被害者は、亡くなった方が二十九名、そして行方不明者は十六名というのが現在の数字だと思います。その身元の確認を日本で待っていらっしゃる方々の御心痛いかばかりかと推察をするわけですが、御遺体の傷みが進んで、確認作業はさらに時間がかかるものと思われます。もっと早い段階での確認が本当は可能だったのではないかというふうに思うわけです。

 国民の保護というのは国内の問題だけではなくて、海外で今日本人はたくさんいろいろなところにいるわけですから、このような災害に遭ったとき、邦人保護がどのように行われるべきなのか、どんな問題が生じているのか、今回の災害をしっかりと踏まえまして取り組む必要があると思っております。

 まず、細田官房長官に伺いたいんですが、今回の災害における邦人保護に関する内閣としての評価、どのように考えていらっしゃるのか伺いたいと思いますが、その前に、ちょっと聞いていただきたいものがあります。

 タイ南部で御家族が被災され、亡くなった方の日記からなんですけれども、朝九時、遺骨を抱いてプーケットから、バンコクのドンムアン空港に着く。国内線の到着ゲートでは、各国の係員が、自分の国の名前を大きな声で叫びながら、被災地から帰ってくる自分の国の人たちを出迎えていた。韓国、イギリス、イタリア、ドイツ、オーストラリアなど、たくさんの国旗や国の名前を書いた紙を手にしている。しかし、日本のデスクはなかった。係の人もいなかった。タイのデスクに行き、日本はと尋ねると、日本はないと告げられた。津波でお金も荷物もなくした人、けがをした人、英語もタイ語も話せない遺族、そんな日本人たちはどうしたのだろう。私の国は私たちを助けようとしないのだ。これから私は、日本大使館の領事部へ行き、遺骨証明や死亡確認の書類をつくらなければならない。でも、大使館の住所もわからない。他の遺族はどうやって行ったのだろうかと思うというのを寄せていただいております。

 こうした対応につきまして、官房長官、どのようにお考えですか。

細田国務大臣 私ども、外務省を通じて調査をいたしましたが、十二月の二十七日未明には、実は大使館員が被災地のプーケットに入って、そこに支援活動の拠点を設けてしまったわけでございます。そこで、バンコクのドンムアン国内線空港内には相談窓口を設けなかったということは事実のようでございます。

 なお、その後、空港に館員を派遣して支援体制をしく必要があるかどうかという検討を行いましたが、プーケットを中心とする支援体制の継続が適当と判断した。つまり、プーケットにおいて支援をしようということが外務省の在バンコク大使館の判断であったということを聞いております。

 もちろん、そこから命からがら逃げられた方とか、あるいは遺骨を抱いてこの空港まで駆けつけた方から、どこにも日本の大使館の人はいなかったという御批判があったことは承っておりますが、どうもそういう体制をとったということで、これは大きな教訓であると思っております。

 それから、クリスマス休暇の最中だったということで、欧米が今現在見ますと我が国の十倍以上の死者、行方不明者を持っておりますので、非常にヨーロッパ諸国がより重厚な体制をしいたということは聞いておりますが、いろいろな反省点に立ちながら今後も対応していく必要があると痛感しております。

小宮山(洋)委員 これは数の問題じゃないと思いますので、ぜひ、おっしゃったように反省をして次の体制をとっていただきたいと思うんですね。

 この遺族の方は、この後、証明書類をつくって、その代金や、大使館からあっせんされた葬儀屋への、これもかなり高額の火葬代などを領事部で支払って帰国をされました。その後、二月になってから外務省から、証明書類の代金を返金する、そういう文書が届いています。

 その中には、「その後、被災状況の詳細が一層明らかになったことに伴い、外務省として被害者の方々のご遺体にかかわる証明書類の手数料を免除するとの判断に至りました。」そして「請求に基づきこれをお返しさせていただきます」とあるわけなんですね。

 請求すれば返してあげましょうというわけなんですが、こういう被災のときに紙代まで、そういうものを取ったということ、そして批判を受けてこれを免除するという、このあたりの、新たにわかった被災状況の詳細とは何なのか、今さら、請求すればそれを返すよという、これはどういうことの経緯でこういうことになったのか、お答えいただきたいと思います。

鹿取政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害の際に、被害状況に応じて今御指摘の書類の領事手数料を減免できる手続というのは、実は既にございました。しかし、私どもがこの減免手続をとるに当たっては、やはり一定の基準というものをつくっております。そして、その基準というのは、これは我々が運用するときに使っている基準でございますけれども、災害の規模であるとか、その災害において邦人がどういうかかわり、どのような犠牲が出ているかとか、そういう一つの基準をつくっております。したがって、ある程度この推移を見きわめてから決定をするという仕組みにはそもそもなっていたわけでございます。

 他方、そういう仕組みであるからこそ、決定をした際にはその効果を遡及させるという仕組みもそれに導入してございました。そして、実は一月七日の段階で、このような手数料、すなわち遺体の手数料であるとか、遺骨の証明の手数料というものは減免するということを決めました。そして、それを一月七日に決めましたので、それまでにお支払いがなされた方々に対しては、手紙を出して、この手数料をお返ししたい、こういうことを今お願いしているところでございます。

 もちろん、もう少し早くそういう決定をすればよかったんではないかという御指摘はあるかと思いますけれども、今我々の持っている制度というのは、常に必ず減免するということではなくて、その規模、あるいは邦人のかかわり方、そういうものをある程度基準に照らしてみて判断するということになっておりますので、そういうことになりました。

小宮山(洋)委員 今のような答弁をお聞きになって、皆さん、どう思われるでしょうか。確かに、規則どおり現地の方はされたのだと思いますけれども、被災者の方から紙一枚の代金まで全部取る。大きな災害であるということはもう直後にわかったはずですのに、一月七日になってから、その後被災状況が新たになったので、しかも、何というんでしょうね、とにかく心が通っていないということを言いたいわけですよ。あなたが請求すればこの代金返すよと一枚の紙を遺族に対して送るという、この神経が信じられないという感じがいたします。

 そもそもの初動のことも伺いたいと思います。

 津波発生直後から、多くの問い合わせが外務省に殺到したのだと思います。その中に、もしかしたらという不確かなレベルのものもあったと思います。でも、中では確実なものもあったはずです。生き残った人が日本の家族に知らせて、それを外務省に伝えてきたケースもあったはずです。被災者の情報も被災地もきちんと伝えたものもありました。ところが、その人たちに的確な情報やアドバイスは与えられているんでしょうか。

 例えば、タイの日本大使館の電話は、翌日二十七日の十一時まで休日用のテープだけが回っていました。外務省に問い合わせをしたある方は、こちらではわからないので現地に聞いてくれと言われた。かけたら、現地の大使館は休日用のテープが回っていたというんですよ。そういうことですとか、それから、十二月二十六日夜の取材に対しまして、二十一時四十分現在、邦人の被害の報告は入っていないと外務省は言っていますが、二十時台前半に行方不明の報告をしている遺族があります。

 初動の現場対応にはどんな指示が与えられていたんでしょうか。さまざまなレベルの情報はどのように仕分けされていたんでしょうか。本省の領事局、そして在外公館、現場の連携は十分とられていたんでしょうか。お答えください。

鹿取政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のように、二十六日にこの津波の災害が起こりまして、まず、多くの方からやはり安否の照会というのがございました。外務本省におきましても、二十六日から省員が二十四時間体制をしきまして、外務省の領事局には十八本の回線を安否照会のために当てて、いろいろな安否照会を受けました。

 今御指摘があったタイの方でございますけれども、タイの方も二十六日から二十四時間体制をしいております。また、タイの方の領事部も安否照会を受ける体制を整えました。勤務時間中、すなわち八時半から十七時半まではオペレーターがおります。オペレーターがいるときは、オペレーターがつなぎます。また、こういう大きな災害であったので、その後、オペレーターの配属も長期化いたしましたけれども、もしもオペレーターがいない場合、御指摘のように夜の場合、あるいは祭日の場合どうなるかということですが、そのときは、御指摘のとおりテープレコーダーがございます。

 大使館に電話しますとテープレコーダーが鳴りまして、例えば、領事部に御用の方はこのボタンを押してください、六番なら六番のボタンを押してください、こういう仕組みになっております。そして、実はタイの場合は、大使館と領事部が三キロ……(小宮山(洋)委員「もう弁解はいいです、ちょっと時間がないので」と呼ぶ)離れているんですが、夜、大使館に電話しますとテープが回りますけれども、六番を押せば領事部につながるようになっておりますし……(小宮山(洋)委員「わかりました、結構です」と呼ぶ)領事部では、館員はずっとおります。

 ただ、済みません、回線は八本ございますが、八本以上になりますと、八本以上の方は、瞬間的に八本以上は通らないので待たなくてはならない、そういう仕組みになっております。

小宮山(洋)委員 とにかく、それぞれの場所の方が一生懸命仕事をしなかったと言っているのではないんですよ。そこの連携がうまくとられていないし、人間的に心の通った対応がとられていないということを申し上げたいということなんです。

 現地でのコーディネーションもなかなかうまくいっていなかった。多数の職員がいたにもかかわらず、指揮系統ができていないため、スムーズに業務が運んでいなかったということもありますし、遺体安置所では、職員はいたけれども、デスクが設置されていなかった。捜しに来た家族をガイドして、捜し方の手順などの情報が伝えられていなかった。いきなり何百体もの遺体の中を歩き回って捜すというのは想像を超えるものがあるわけです。

 それで、タイ側は、収容された遺体の写真を撮って、それをデータベース化してコンピューターで検索できるように準備をしていまして、それを見てから遺体を確認するように勧めていたと聞いています。実際に、海外の救助隊の協力でそのデータベースを見せてもらって、早い時期に見つけ出した日本人もいます。

 遺体の中を歩いて遺族が捜す、このことに対してもほとんど日本の場合は配慮がされていなかったということなんですが、もう遺体は腐乱していってしまいますから、初動の態勢がとれていなかったんじゃないかということを申し上げたいんですけれども、その点はいかがですか。

松下委員長 鹿取領事局長、簡潔に、明瞭に。

鹿取政府参考人 今申し上げましたように、二十七日の早朝には、プーケットにおきまして領事担当者が配属されまして、御家族等の御支援を二十七日から開始しております。もちろん、すべての遺体の確認、あるいは遺体の安置所に同行できたかは、そこはそういうわけにはまいらなかったと思いますけれども、館員も可能な限り同行する等、積極的に、できる限り遺体の確認あるいは捜索の活動には努力してまいったつもりでございます。

小宮山(洋)委員 今も、最初に申し上げたように、十六名の行方不明者の方がいらっしゃるわけです。海外で起きた災害のときに、邦人保護のために国は何をしなければいけないのかという、そのことを今回のことからしっかりつくっていただきたいんですね。当然、今待っていらっしゃる方への対応というのがまず早急に必要だと思いますし、それぞれの職員の方は一生懸命されると思いますけれども、捜索、救助、医療、鑑定、コーディネーション、そしてカウンセリング、これは省庁を横断したさまざまな分野の専門家を集めたチーム、これで迅速に対応する体制が必要なんだと思います。

 それぞれの災害の規模とか状況によっても変わってくると思いますが、中でも申し上げたいのは、とにかく心のある対応をしてくださいということなんですよ。日本の官僚の方はまじめだから、規則にあるから料金も紙一枚まで取るとか、そういうことではなくて、やはりもう少しきちんとした人間としての対応をしていただきたい。

 この津波の災害、今のような話、ごく一部でございますけれども、御紹介をした中から、官房長官はどういうことを感じられて、何が必要だと思われているか、今後への取り組みの方向も含めてお答えいただきたいと思います。

細田国務大臣 いろいろ現地で御体験になった方が、こういうことがあったぞというお話は、痛いほどわかるわけでございます。

 私は、毎日、朝晩、記者会見をしながら、三千三百ぐらいと最初言われた安否不明の方が何十人かずつ毎日毎日減っていくんですね。それはどこかほかの国で見つかる場合もあるし、タイで見つかる場合もあるし、安全が確認される場合もあるし、これの対応自体も本当に大変だったろうなと思うわけで、その三千三百が今や十六名まで減少してきた。

 タイにおいては十八人の方が亡くなって、残りの十六人の中の半数以上はタイじゃないかなということがあることは事実だと思いますが、タイの大使館の方もこの被害に遭われてお亡くなりになっていますし、私は、タイの大使館の人が、それほど大変な災害で、日本人も当然いる中で、基本は、サボって、どうでもいいというような対応をしたとはとても思えません。不眠不休の対応をした上で、いろいろな急な、未経験な面もあるので、対応が悪かった面もあるし、組織的な対応が不十分であった面もあると思います。

 したがいまして、こういう点も十分反省しながら次回に生かす。そして、まだ十六名が未確認でございますので、この未確認の方に対する対応を必死にまた継続することが大事であると思っております。

小宮山(洋)委員 今おっしゃいましたように、とにかく今の方への対応をまずしていただいた上で、今後本当に世界にたくさんの日本人がいるわけですから、もちろん国際貢献でそれを海外の方のためにすることも大切ですけれども、日本人のいろいろな被害に遭った被害者を守るためのしっかりしたシステムを、ぜひ日本の政府としてつくっていただくことを強くお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

松下委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。三十分いただきまして、質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、村上大臣、今お越しになられました、村上大臣の所信表明の中でちょっと一点まずお聞きしたいんですが、せっかく所信表明されていますので、質問ですが、村上大臣の所信表明の中で混合診療を解禁すると断定的におっしゃっているんですが、このことをもう少し具体的に教えてください。

村上国務大臣 市村委員御承知のように、我々が一番考えましたのは、がんの末期患者が、欧米で認められている薬で日本で認められていない薬を使った途端に、例えば三〇%負担が一〇〇%負担で、一月に百万円以上になる。それからもう一つは、東大病院、阪大病院、京都大の病院の先生のように、最新鋭の治療をしたいというときに、なかなかそれが使えないというニーズがあったわけですね。

 それで、我々はそういう患者の皆さん方の安全性を配慮しながら、実は、例えば国内未承認薬については、確実な治験の実施につながり、制度的に切れ目なく保険診療との併用が可能な体制を確立して、特に今申し上げたように、欧米主要国で承認された薬については自動的に治験につながるための検証の対象とするとともに、患者から要望のあるものは三カ月以内に結論を出すものとしたわけです。

 それからもう一つ、医療技術につきましては、医療技術ごとにその医療機関に求められる一定水準の要件を事前に設定して、該当する医療機関は届け出により保険診療との併用が可能になる。それで、もしそれを使っちゃいけないということになれば厚生省側が立証する、そういう仕組みにしたわけです。

 そういうことによって、今申し上げたように、末期がんの人たちや、また東大病院の先生方のニーズを、安全面を十分配慮しながらやった。

 それで、あのときも尾辻厚生大臣が申し上げたように、実は、規制改革委員会から出された要望は十五項目あったんです。そのうちの十四項目、最後の十五項目が何かというと、付き添い看護婦ですから、実はメーンの問題じゃなかったんです。ですから、十四項目のうち十四項目が要望が達成できるという形にしたわけですから、私としては、ディフィニションというか、患者と病院の先生方のニーズをほぼパーフェクトに実施することにできて、そういう面では国民のニーズにこたえられたんじゃないかということで、実質的な混合診療解禁、そういうふうに申し上げたわけであります。

 以上であります。

市村委員 ありがとうございました。

 これについては、きょうの主たる質問ではありませんので、また今お聞きしたので、今度ぜひともまたゆっくりと議論させていただきたいと思います。(村上国務大臣「遠慮なく言ってください」と呼ぶ)ありがとうございます。

 それと、もう一点なんですが、私、前回もちょっと指摘を申し上げておりましたけれども、行政改革の中にこの公益法人改革というのは、やはりちょっとおかしいんじゃないかというふうに思います。これは指摘だけさせていただきますので、やはり実態上そうなってしまっているということに対しての疑問だけは、政府また大臣、ぜひとも持っていただきたいということだけ指摘させていただきたいと思っております。

 それでは、竹中大臣、ちょっとしばらく特定非営利活動法人について議論をさせていただきたいと思います。

 言うまでもなく、一つの法人を継続していく、維持していく、そのためには事業を行うということになってきますが、しかし、事業を行うには資金が要るということでございます。特定非営利活動法人、私はこれからの質問の中では特活法人と呼ばせていただきますが、特活法人の資金調達がどうなっているのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

竹中国務大臣 市村委員には、特定非営利活動法人について、いろいろ御質問をこれまでもいただいております。

 御承知のように、この六年間で実は認証件数は二万件を超えました。六年でありますから、それなりに普及、定着してきたという評価をしておりますけれども、問題はその数だけではなくて中身、質だということで、特に財務的な内容というのは大変重要な問題だと思います。

 内閣府は、昨年の七月にアンケート調査を行っております。この特定非営利活動法人におきましては、事業規模が一千万円未満の団体が六割強を占めるということでございます。規模が大変零細なものが多くて、その資金基盤の強化が課題であるというふうに思っているところでございます。

 規模、財務的な中身につきましては、今申し上げましたように零細であるということで、これはさまざまな形で私としてはやはり強化をしていきたいというふうに思っております。

市村委員 もう少し具体的に、今のは大きなアンケート調査に基づいたお話だったと思いますけれども、私があなたにお聞きしたいことは、結局、二万団体ぐらいの特活法人が出てきて、それなりにその活動をしていくためには、やはり、たとえ一個一個は少額とはいえ、少額といっても何百万、五百万とか六百万、一千万とかなってくると少額とは言えないと思いますが、それが掛け二万ともなるとかなりの金額なんですが、そうした資金はどこからどうやって特定非営利活動法人は調達しているのかということについてのお尋ねをさせていただいております。

竹中国務大臣 より具体的な数字でございますけれども、二千二十三法人を対象にした平均の額で御報告をさせていただきたいと思っております。基本的な収入の合計額としましては千八百二十一万円程度というふうに承知をしております。そのうち、会費によるもの、寄附金によるもの、補助金、助成金によるもの、そして事業による収入というふうに分けることができるというふうに思っておりますけれども、事業による収入が一番大きくて、比率でいいますと七〇%になります。そして補助金、助成金が一三・九%、寄附金が八・九%、会費が七%、それぞれのウエートであるというふうに承知をしております。

市村委員 そこの中で、事業費というのは具体的にどういうものが多いかというのは把握されていますでしょうか。

竹中国務大臣 事業による収入を大きく分けまして、定款上の特定非営利活動事業による収入と定款上のその他の事業による収入というふうに分けて聞いておりますけれども、先ほど全体の七割がこの事業による収入だというふうに申し上げましたが、内数としては、定款上の特定非営利活動事業による収入が六二%、そして定款上のその他の事業によるものが八%、合計七〇%でございます。

市村委員 もう少し具体的に聞きますが、定款上の特定非営利活動というもののうち、特に目立つものというのはありますでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 特定非営利活動法人の分野別の活動の状況でございますが、一番多いものは保健、医療、福祉ということで五六・六%、それから、社会教育が四七・一、町づくりが三九・六というような状況になっております。あるいは、子供の健全育成というのが三八・九ということになっております。重複しておりますのでトータルは一〇〇%になりません。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、今、保健、医療、福祉というものがかなり大きいということですが、恐らく多分これは介護保険を適用した団体の事業収入が多いというふうに思っています。そして、その他事業収入はそうなんですが、寄附、会費は大変少ないということでありまして、あと、今、竹中大臣がおっしゃる中に補助金、助成金というのもあります。

 これで、実は私が持っている資料、多分竹中大臣も同じ資料を見られていると思うんですが、年間一千万円以上、国や地方自治体等からの補助金、助成金がある法人が四十八あるんですね。五千万以上も十法人あるんです。

 私がなぜこれをお聞きしたいかといいますと、特定非営利活動法人というものが社会にどれだけの有益なものであるかということなんですね。私たちはやはり、特定非営利活動法人すなわち非営利法人というのは民間という認識を持っているわけです。ところが、どうもいろいろと調べていきますと、この特定非営利活動法人制度が発足した後に、恐らくですが、省庁主導でこの特定非営利活動法人をつくられて、かつ、そこに相対的に多くの補助金や助成金が出ているケースが見られてきているんですね。

 先ほど、午前中、宇佐美さんからも一つの例、財団法人日本広報センターの例もありました。まさに財団法人がどのような扱われ方をしてきたかということはこの場でも私何回も指摘しておりますが、ひょっとしたら、この特定非営利活動法人までが省庁主導でつくられて、そこに相対的に多額の大きな、まだ公益法人ほど大きくないかもしれませんが、五千万というのはかなり大きいですね。先ほど一億円という話もありましたけれども、五千万を超える法人がもう十あるということで、ひょっとしたら公益法人のようにこの特定非営利活動法人までがそのような使い方をされ始めているのではないかという、非常に懸念、疑いが私はあるんです。

 そうなってしまうと、せっかくこの非営利法人というもの、いわゆるNPOですね、そういうものの大切さということが議論されて、そして、一生懸命特活法人として頑張っていらっしゃる方もいらっしゃるにもかかわらず、結局またそうした団体がどんどんふえていく。

 逆に言えば、そういう団体ばかりがもしふえていったとしたら、またこれは公益法人の二の舞になるということで、前回も私はプチ天下り先になっていないかとかいう表現でも申し上げたのですが、それにつきまして、竹中大臣、いかがでしょうか。

 つまり、私は何回もここで指摘申し上げているように、やはり民間で支えていく資金をつくっていかなければ、要するに、ファンドレージングしたくてもレーズするファンドがないのに、どんどん数だけふえていって、そしてそれを支える資金はないわけです。どこにあるかといえば税金しかないのです。

 それから、さっき、事業型の特活法人についても、やはり介護、つまり、これは税金じゃないけれども保険料ですね。日本において、これは、介護保険というのは別に積み立てでも何でもないわけですから、はっきり言って税金と同じようなものです。右のポケットから出すのか左のポケットから出すのかであって、これは税金と言ってもいいと思います。

 すなわち、やはり今の実態上、特活法人はかなり税金、保険料に頼った資金調達をしているのではないか。それが結果として、また、省庁がそれを利用して自分たちのプチ天下り先にこれを用いようとしているのではないか、私はこういう疑問、懸念を持っております。

 これについては竹中大臣の御所見をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 広義の、広い意味でのNPO活動を考える上で、今、委員の御指摘というのは大変重要であると思います。

 そもそもが、政府が一律にその公益性について価値を定めるのではなくて、民間の多様な価値、価値観に基づいて、それぞれの活動をしてもらおうというのが、まさにこの広い意味でのNPOで、この中での特定非営利活動法人の趣旨でございますから、それに対して、実は、政府が資金をつけるというのは、ある意味で非常におかしなといいますか、矛盾する面が出てくるわけでございます。

 そんなことをするんだったら政府がやればいいじゃないかという議論にもともとなるわけでございますから、そこは御指摘のような形で、ましてやプチ天下り先のようなことにはならないように、しっかりとやはり予算の査定はしていかなければいけないし、査定当局は当然そういう視点から査定を行っているものというふうに思っております。

 私自身、NPOの方にお目にかかることが多いですけれども、NPOの方御自身が、こんなにいいことをしているんだから政府もお金を出してくれないかというような御意見にどうしても傾きがちだと思うのですね。

 しかし、そこはやはり、まさに民間の自主性を発揮していただきたい。政策として重要なのは、そういうようなものを支える寄附文化というようなものをいかにつくっていくか、そこが基準であろうかと思います。

 当面、我々としては、その団体の運営とか活動の透明性をしっかりと高めて、それと、団体と行政とのパートナーシップを構築していく、やはり広義の寄附文化を高めていく、築いていくような方向にぜひ政策を持っていきたいと思っております。(発言する者あり)

市村委員 いや、ぜひとも、今、河本委員からもありましたけれども、本当にそうしていただきたいんですね。

 それで、NPOの方が、できたら、こんないいことをしているんだから、ぜひとも国も支援してほしい、僕は、この気持ちはいいと思います。ただ、支援のあり方があると思います。

 やはり、いい事業に対して国や地方公共団体が一緒にパートナーシップを組んでやるということは、当然アメリカでもどこでも、NPOと行政のパートナーシップというのは見受けられますし、これはぜひともいいと思いますが、ただ、NPOの人たちが言うことも僕は一部理解できるのは、すなわち、では、ほかにどこに行ったらお金があるんですかということなんですね。

 では、NPOを維持していくための活動資金をどこで調達すればいいんですかと言われたときに、結局、私もよく尋ねられます、だから、今は仕方ありません、税金しかありませんと私ははっきり申し上げています。私は、それはすごくじくじたる思いで言っていますが、しかし、そこしかないんです。現実的になると、ほかにないんですから、結局、行政に行って、済みませんが補助金下さい、助成金下さい、あと、研究委託費でもつけてくださいと言うしか今ないんですよね。あと、介護保険の保険料で、介護事業をやって、もらうしかないわけです。

 だから、現実にそうなっているということですから、やはりぜひとも、民間でNPOを支える民間の資金というものをつくっていくための、もちろん税制改革は当然のこととして、私は、今度、民主党の方ではコミュニティー財団法案というのを今検討しております。こうしたいわゆる助成財団の役割というのもしっかりとこれから議論していくということは、これは政府、また国会も一緒になって協力して、必要なものだということでやっていきたい、やっていけるだろうと思っております。(発言する者あり)ありがとうございます。

 そして、以上の観点から見ましても、去年十一月十九日にこの報告書が出ていますが、この中で、三十ページですね、特定非営利活動法人との関係ということで、結局、今回の公益法人改革にこの特定非営利活動法人は必ずしも包含される関係にないと言っていらっしゃる。この報告書はというか、この有識者会議は言っていらっしゃるのですが、私、大変これは疑問に思います。

 この特定非営利活動法人も含めて、この公益法人改革、すなわち、いわゆる一般的な非営利法人ですね、これを目指すに当たりましては、それは当然含めた議論をすべきだと私は思っておりますが、村上大臣、どうでしょうか。

村上国務大臣 委員の考え方も一つの論理というかロジックだと思うのですね。

 ただ、今回、今御指摘のように、昨年の十一月の公益法人制度改革に関する有識者会議の報告書においては、御高承のように、特定非営利活動法人の制度は、今回の一般的な非営利法人制度とそのもとで公益性を判断する制度からなる新たな仕組みに必ずしも包含される関係にない、そして、平成十年の制度発足以来、現在も、法人数が大幅増加傾向で、たしかことしの一月で二万三百五十あるんですね、そういうことで、増加傾向にあって、抜本的に見直すべきという社会的要請も乏しい、こういったことから、特定非営利活動法人制度を引き続き存置する必要があるとの考え方が示されたわけです。

 そういうことを前提に、昨年の十二月の閣議決定で、今後の行政改革の方針において、特定非営利活動法人制度については、引き続き存置することとしたものであるということにしたわけです。

 委員のように、概念をもうちょっと広げるべきだという考え方は、やはり一つの考え方だと思うんですけれども、今の法律上においては、今の状態ではやむを得ないかなというふうに考えています。

市村委員 もうちょっと議論したいと思いますが、もうきょうはここでストップさせていただきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。またぜひともお時間をいただきたいと思っております。これについては、きょうはここまでとさせていただきたいと存じます。

 きょうはずっと村田公安委員長、さっきから何かお待ちで、一度も警察に関して質問されていないんですが、これからちょっと警察について質問させていただきたいと思っています。

 これは、もう御存じのように、愛媛県警で現職の巡査部長さんが実名を出して、警察の今の不正経理に関する実態をお話しされています。私も、さっき、きょう午前中質問された宇佐美筆頭理事も含めて愛媛県警本部まで行かせていただいて、告発された御本人にもお目にかかって、本当に二時間以上にわたるインタビューをさせていただいた次第でございます。

 こうしたことは、結局、去年の北海道の例、また、いろいろ去年は福岡にも行きましたし、静岡にも参りましたし、やはりこれは一県警本部や一署、または一部、また、ある平成何年度とかの捜査費だけじゃなくて、また旅費だけじゃなくて、恐らくこれは全国にわたる、しかも、支出項目に関係なく、架空経費といいますか、にせ領収書をつくり、そしてそれを裏金化するというのは、私は、広範にそれが実態として行われていたのではないか、今も行われているかもしれないということは、やはり疑いがぬぐい去れないです。ますます、時がたてばたつほど、やはりそうかなというふうに思わざるを得ないんですね。

 やはり、国家公安委員長として、警察というものを指導監督する立場として、単に、この年度の問題が出たところだけじゃなくて、本当に過去、そうした領収書を書かされ、そして裏金化されていたんじゃないかということにつきまして、ぜひとも僕は国家公安委員長名で全国的に調査をするということをやっていただきたいと思っているんですが、それにつきまして、国家公安委員長、いかが御見解を持っていらっしゃいますでしょうか。

村田国務大臣 本来、国民から信頼をいただかなければいけない警察において、今委員が御指摘のような、予算の執行にわたる問題で不適正な事例があちこちで出ているということについては、国家公安委員長としても、まことに残念に思っております。

 そういうこともございまして、今委員から、国家公安委員会が全国に調査をすべきではないかという御指摘が、御意見がございました。

 基本的には、今の警察の体制というのは、都道府県がそれぞれに警察の本部を置きまして、その各都道府県に公安委員会というものを設けておるわけでございまして、そういう中でございますので、基本的には、まずは問題が出てきた都道府県において警察本部が調査をする、それを同じく都道府県の公安委員会が管理権を発揮して、適正にそうした不適正な事例について国民の疑いを晴らしていく、これが建前でございます。

 しかしながら、昨年におきまして、全国でそうした事例が出ておりましたゆえに、国家公安委員会としても、会計の監査に関する国家公安委員会規則というものをつくりまして、昨年から、各都道府県の警察におきます会計の執行状態について監査を今行っているところでございまして、まだ全容をお示しできる段階にはございませんが、私どもも、適時、いろいろな問題が出てくるたびに公安委員会としてもいろいろな指示をしながら、できるだけ国民の信頼をこの面においても確保したい、こういうふうに考えているところでございます。

 まずは、昨年つくりました国家公安規則に基づきます会計の監査を全国レベルにおいてやっているということを御報告申し上げたいと思います。

市村委員 もちろん、ぜひとも会計監査につきましては特別監査を全国的にやっていただきたいと思います。

 ただ、先ほど申し上げたように、例えば、平成十何年度だけのある特定の費用項目だけとかではなくて、やはり過去にさかのぼって、私たちが指摘しているのは、資金を架空の領収書をつくって、にせの領収書をつくってそれを裏金化していたんじゃないかという疑いは、全くそれは晴れないんですね。ですから、そういう慣習がよもや、まさか今日現在残っているとは思いたくないんですが、過去においてはかなりそういうことが広範に行われていたかもしれないという疑いがあるわけですから、ぜひともそうしたこと。

 かつ、それが結局、現場の警察官の士気低下にかなりつながっていると私は思っています。やはり、人間やましいことを心に持っていると、しかもこれだけ問題になっていると、それだけで、どうしようかな、自分も書いちゃったんだけれどもな、しかし、今言えないしな、こういうことになってくると思う。

 ただ、私は、過去をある種寛大に、問わないということを含めて、やはり言ってほしい。しかし、これからはそうしない。過去は問われるべき人はいると思います。しかし、ほとんどの方は、恐らく言われてわからないうちに書いてしまったかもしれない。だから、過去は問わないぐらいの寛大な気持ちで国家公安委員長が言って、そして、過去はそう問わないから言ってくれと。そして、そのかわりこれからはそういうことはなしということで、警察も、捜査のために必要なものはどんどん言ってくれ、こういうようなことをやらないと、恐らくまたこれは、モグラたたきどころじゃありません。今、逃げるどころじゃなくて、出たまま引っ込められずにどんどん頭をたたかれて、本当に一つの警察に対する信用がどんどん失われていくという状況になっていると思います。

 ぜひとも国家公安委員長のお力、これを発揮していただきたいと思う次第であります。

村田国務大臣 他方、これまでの警察庁におきます会計の監査が割合総花的だったがゆえに問題点を把握できなかったという反省もございますものですから、今、お言葉を返すようでございますが、我々としては、一方においてまた重点的にやっていかなければいけないということで、今私が申しました国家公安委員会の定めた規則に基づきます会計の監査につきましては、対象をかなり絞っていく。

 例えば、今御指摘があったような愛媛の事例につきましても、大洲警察署というところでそういうものが出たということでございまして、かつまた、領収書のつくりかえといいますか、そういうもので問題点が指摘されたところなものですから、そういう重点的にやっている、あるいは、幹部だけやっていたのを、実際にそういう予算の執行に当たる捜査員までレベルをおりて、それから、調査する人間も、まさに捜査に当たるような専門家を加えてやるというふうなぐあいで、私どもも、いろいろな手法を変えて徹底的に調査をしてきたということでございますので、お言葉を返すようでございますが、いろいろ反省をしつつ、我々も徹底的に監査を進めているということの御了承、御理解をいただきたいと思います。

市村委員 済みません。時間がなくなりましたので、またこれは多分集中審議をぜひとも求めてまいりたいと思います。

 ちょっと、きょう規制速度についてお聞かせいただきたかった、あと二分ありますね、では一点だけ、もう簡単に。

 前からこの委員会で、私は、実態に合った速度規制をやってほしいということを、特に私の地元に近い阪神国道七号線を一つの例として申し上げておりましたが、これは、ただ阪神国道七号線だけじゃなくて全国的に実勢速度というものを調査していただいて、全国的な道路なんですけれども、特に高速道路、高速といっても、六十キロとかではなくて、本当に実勢で八十キロ出ているのであれば速度規制を八十キロでするとか、やはり阪神国道七号線だけじゃなくて全国的な見直しをぜひとも進めていただきたいということを議論したかったんですが、交通局長さん、最後にちょっと一言だけ、そのことについて御見解をいただきたいと思います。

矢代政府参考人 御説明いたします。

 実勢速度のみでというわけにはなかなかまいらないと思いますが、それも含めまして、全体の諸状況を勘案して適切な交通規制になるべきだ、こう考えておりますので、今後とも引き続き、合理的な、かつ適正な交通規制となるよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

市村委員 駐車違反も全国的には見直しているわけですから、速度規制の方もぜひともよろしくお願いします。

 本当にありがとうございました。

松下委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 初めに、官房長官に伺いますが、今、官庁の裏金問題というのは、警察だけじゃなしに、社会保険庁、厚労省労働基準局など各所で見られます。裏金問題は、最近だけの問題じゃなくて、以前からずっとあるわけですね。

 例えば、一九七九年から八〇年にかけて、ちょうど官房長官はそのころまだお役所におられたころかもしれませんが、通産省、鉄建公団などのいわゆる空出張などによる裏金づくりの問題などが大きな問題になりました。

 当時、大平内閣は、この問題の対策として、政府統一見解を当時の伊東正義官房長官が示しております。各省庁に徹底を図ったというはずでありますが、そこで、官房長官に、どういう内容の見解を示したものなのかを最初に伺います。

細田国務大臣 大平内閣のときの伊東官房長官が、昭和五十五年三月七日の予算委員会におきまして、法務省、総理府など関係省庁と協議をして取りまとめた見解といたしまして、当時問題となっておりました空出張等の不正経理、これはわかりやすく言うと、出張していない人が出張したかのようにいったり、短い出張であったのに長い出張であったりして、文書をいわばつくって、このような形での不正経理があったということで、これに随伴して、公務員がその職務に関し虚偽の内容の公文書を作成してこれを行使した場合には、虚偽公文書作成同行使罪が成立し得るという答弁をしたということを承知しております。

 一般論といたしまして、公務員がその職務に関し虚偽の内容の公文書を作成しこれを行使した場合は、虚偽公文書作成同行使罪が成立し得るということについては御質問のとおりでございます。

吉井委員 このときに、あわせて、伊東官房長官の方からは、また、公務員の告発義務の問題につきましては、刑事訴訟法第二百三十九条はその第二項において、官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならないということなので、右の要件を満たす場合には、原則として公務員の告発義務が課せられていると言えますというふうにも示していると思うんですが、そのとおりですね。

細田国務大臣 先ほど申しましたときと同時に、伊東官房長官は、刑事訴訟法第二百三十九条第二項において「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めており、この要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられる旨答弁したということを承知しておりまして、一般論として、そのとおりであると考えております。

吉井委員 それで、この大平内閣の統一見解を小泉内閣が撤回したとか変更したというふうには私は伺っておりませんが、この統一見解の立場というのは小泉内閣としても継承している、こういうふうに理解していいですね。

細田国務大臣 これは法律の解釈の問題でもありますし、そのとおりでございます。

吉井委員 なぜ当時こうした政府見解を出したかといいますと、通産省、鉄建公団などの裏金が繰り返しはびこっていた、起こっていた。ですから、公務員が虚偽の公文書をつくることは犯罪である、虚偽公文書をつくるように命ぜられたら公務員はこれを告発する権利と義務を持っている、こういう見解を内閣が明らかにして、こういうことが繰り返されないように、この事実を知ったら告発するということを内閣としても示すことによって、抑制的にといいますか、こういうことを起こらないようにしていこうという考え方があったのではないかというふうに思うわけです。

 こういう見解を内閣は明らかにして、各省と公務員に、空出張とか不正経理、また虚偽の公文書をつくらないように徹底する、これが根本の考え方だったと思うんですが、念のために伺っておきます。

細田国務大臣 おっしゃるとおりであると考えております。

吉井委員 ですから、当然これは今も生きているわけですから、警察庁に対してもこの統一見解の立場を求めているということは当然のことと思いますが、官房長官に重ねて伺っておきます。

細田国務大臣 告発義務を行った公務員に対する制裁論も含む御議論だと思います。

 こういった告発義務違反に対して刑罰は設けられておりませんが、一般論として言えば、懲戒処分の理由となり得るわけでございますが、具体的には、当該公務員の任命権者において個別に判断をすべきものと考えております。

吉井委員 いや、余りややこしいことを聞いているんじゃないんです。この統一見解というのは、これは、今の小泉内閣のもとでもこの立場をとっておられるんだから、それぞれの、各省もあれば、警察庁もあれば、どこであっても、この統一見解の立場を求めていくということですねということですから、一言で結構です。

細田国務大臣 それは先ほど御答弁申し上げたとおり、そのとおりでございます。

吉井委員 ところが、そうした政府の立場が徹底されていないから裏金問題というのが相次いで起こってきているというふうに思うわけです。

 昨年十二月に、愛媛県議会で、日本共産党の佐々木県会議員が質問したのに対して、粟野県警本部長は、電話帳から抽出した氏名を用いる場合があったと初めてにせ領収書の事実を認めました。

 こうした中で、一月二十日に、愛媛県警の仙波敏郎さんという巡査部長さんが、現職警察官として初めて実名を明かして裏金づくりを告発しました。

 仙波さんは、記者会見をした動機を次のように言っています。現場の良識ある警察官は裏金づくりの根絶を願っている、志を持って警察官を拝命する若い人が思う存分活躍できる警察にしたい。また、この時期に会見したことについては、大洲警察署の裏金づくりの調査結果が余りにも実態からかけ離れ、県警総務室長の県議会答弁が全く事実に反している、この特別監査が終わると警察の再生の機会が失われてしまう、そういうふうに考えて告発に踏み切ったというふうに語っておられます。

 仙波さんの告発というのは、裏金づくりをやめてほしいというまじめな現場で働いている多くの警察官の叫びを代表しているものだと思うんです。昨年の北海道警OBの原田さんもそういう趣旨で告発をされました。

 そこで、国家公安委員長に伺いますが、あなたはこの現職警察官の叫びをどのように受けとめておられるか、伺います。

村田国務大臣 愛媛県警におきます現職警察官のそうした事実の発表につきましては、事実関係を愛媛県警本部においてきちんと調査するということがまず必要であると考えております。

吉井委員 事実関係を調べるのは当然としても、相次いでいるんですね。北海道警の原田さんもそうでした。結局それは事実だったということで、今返還まで行われていますね。

 こういう問題を現職の方が訴えられたときに、事実を調べるのは調べるとしても、やはりこういう本当に裏金づくりはやめてほしい、そんなことやっておったら現場でまじめに働いている多くの警察官はやっちゃおれないよ、何とかしてほしいというこの悲痛な叫びというものは、公安委員長としてきちっと受けとめるということが大事だと思うんですね。

 だから、調べることとは別に、これまでこの問題、一連の問題が起こっていますから、それをしっかり受けとめるという、ここのところは大臣にちゃんと伺っておきたいと思いますが、受けとめる気持ちはあるんでしょう。

村田国務大臣 委員が裏金づくりとおっしゃったものですから、私としては、予算の不適正執行についての調査がございまして、そうした事実、調査された事実に基づきまして、処分を行うべきは処分をし、それから返還すべきは返還する。それから、再発防止策についてはきちんとこれを行う。

 そういうことでございまして、まさにそうした予算の不適正な執行が明らかになったということはまことに遺憾に存じている次第でございます。

吉井委員 仙波さんは、警察官として三十八年間、実際に体験したこととして、にせ領収書づくりと裏金の使途について語っております。

 一九七三年から九五年にかけて、県内七つの警察署で、にせ領収書、にせの名前の領収書を作成するように上司から依頼された。領収書の金額は三千円から一万円、年に二回ほど、一回につき三枚の作成を依頼されたという話です。

 仙波さんは、にせ領収書の依頼について、ほかのことは協力しますが、犯罪はしたくありませんと拒否したというんですね。また、捜査員が協力者に謝礼を払ったということも聞いたことがない。会計課員の話として、捜査費制度は裏金づくりのためのシステムと言っていたということも述べておられます。

 裏金は、ほとんどが管理職の飲み食いなどプライベートに使われた。どれだけの額をつくるかは次長の腕次第。八幡浜署では、当時の署長が一年に五百万円使い、副署長が苦労していたと言われていますが、公務員が職務に関連して裏金づくりのためににせ領収書をつくることは、虚偽公文書作成罪、これを行使すれば同行使罪、公金を幹部が私的に流用すれば、背任、横領罪に当たると思うんです。法務省に伺っておきます。

河村政府参考人 犯罪の成否につきましては、収集された証拠に基づきまして、個々の具体的事案に即して判断されるべきものでございますが、あくまで一般論として申し上げますと、公務員が作成すべき公文書につきましては、公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書を作成する、あるいはそれを行使いたしますと、虚偽公文書作成罪、あるいはその行使罪。それ以外の文書にございましては、行使の目的で、権利、義務、事実証明に関する文書を偽造いたしますと、私文書偽造罪等々が成立するということが一般論としては申し上げることができます。(発言する者あり)

吉井委員 はっきり大きい声でお願いしたいと思います。

 虚偽公文書作成同行使罪というのは、刑法百五十六条違反で、一年以上十年以下の懲役刑ということになります。これは明白な犯罪であるわけであります。

 法務省に引き継いで聞きますが、既に先ほどもお話ありました、御答弁ありました伊東官房長官の八〇年答弁の中でも、公務員には告発義務が課せられているということですが、犯罪を知ったら告発する義務がある、その立場で法務省は臨んでおられると思うんですが、そういうことですね。

松下委員長 法務省河村審議官、大きな声で発言願います。

河村政府参考人 一般論として……(発言する者あり)申しわけありません。地声でありまして、申しわけございません。

松下委員長 マイクに近づいてください。

河村政府参考人 一般論として……(発言する者あり)済みません。申しわけございません。よろしゅうございますか。

 一般論として申し上げますと、刑事訴訟法第二百三十九条第二項は、公務員がその職務を行うことにより合理的根拠に基づき犯罪があると思料する場合には、告発しなければならないという、公務員の一般的な告発義務を定めているものと理解いたしております。

吉井委員 犯罪事実があり、告発しなければいけない義務がある。

 刑事訴訟法二百三十九条二項の規定というのは、公務員に対する義務規定があり、公務員がこの告発を怠った場合には、国家公務員なら国公法第八十二条一項二号、地方公務員なら地公法二十九条一項二号による「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」に該当して、懲戒処分の対象になってしまうんじゃないかと思うんですが、総務省に伺います。

須田政府参考人 地方公務員の懲戒処分についてのお尋ねでございますが、一般的に、職員に非違行為があった場合には、任命権者は、その非違行為の性質、内容、その他の事情を考慮し、個別案件ごとに懲戒処分の対象となるか否か判断するものでございます。

 一般論として申し上げさせていただきますと、正当な理由なく刑事訴訟法第二百三十九条第二項の規定に違反した場合には、懲戒処分の対象となり得るものと考えております。

吉井委員 ですから、やはりそういう重たいものなのですから、ぜひ、こういう事実を知った人は告発をして正すということで頑張っていただきたいというのが国民の期待であるというふうに思うわけです。

 仙波さんは犯罪への協力を拒否してきたわけですが、その仙波さんに対して、警察は昇任ストップという攻撃を加えてきました。

 八〇年七月の警部補昇任試験をめぐって、仙波さんは宇和島警察署次長とのやりとりがあったというふうに記者会見などで語っておられます。

 次長の方からは、試験を受けた後、試験どうだったと聞かれて、学科試験はよくできていると言われましたから、合格すると思っています。そうしたら、次長の方は、君は通らぬよと。どうしてですかと聞くと、君は領収書を書いていないだろう。私はマル特ですか。そういうことだ。それでは、今後も試験は通らないんですね。いやいや、君が領収書さえ書けば、来年の昇任試験には間に合うよと、こういう状態なんですね。

 にせ領収書を書かなければ昇任させないということは、これは地公法第十三条平等取り扱いの原則に違反し、同十五条の任用根本基準の規定、職員の任用は、受験成績、勤務成績その他能力の実証に基づいて行われなければならないという規定に反していると思うんですが、総務省、どうですか。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のケースにつきましては、具体的に私ども把握しておりませんので、お答えしかねるところでございますが、あくまで一般論として申し上げさせていただきますれば、明らかに適法性を欠く職務命令が発せられたと認められる場合において、これに従わなかったことを理由として、不平等な取り扱いを受けたり、能力に欠けるという判断を下されたりすることは、地方公務員法第十三条あるいは第十五条の考え方と相入れないものと考えております。

吉井委員 実際にそういうことなんですね。

 これは、まず、にせの領収書をつくるということは、虚偽公文書の作成に当たりますから、犯罪なんです。その犯罪の事実を知ったら、本来は、荷担するんじゃなくて、共犯関係になるんじゃなくて、犯罪を知ったら告発する義務があるんですね。その義務を果たさないときには懲戒処分までかかってくるぐらいですから、本当はそれをやっていくというのが普通なんです。だから、仙波さんがされたことが普通であって、これは国民の普通の感覚だと思うんですね。

 その告発する人に対して、いきなり告発しているんじゃないですね、内部告発されたんじゃなしに、まず次長の方などから領収書を書くようにと言われて、この方は七回転勤されて、もう行った先々でも言われて、毎回断っておられるわけですね。それは、そういうにせの領収書を書くというふうな、それに荷担したくないという思い、それに荷担するということは、次々と、連鎖反応的に広げるわけですから、そういうことをやっちゃならないという思いで拒否されたんですね。

 そうしたら、昇任試験のときには、君は通らぬよと。普通のことをやったら試験に通らない、これはどう考えても異常なことだと私は思うんですね。それは国民的な常識というものじゃないかというふうに思います。

 仙波さんは記者会見で、要するに、にせ領収書づくりに協力することは共犯者づくりに協力することだ、こういうふうに言っていますが、全くそのとおりで、にせ領収書づくりに協力しない警官を徹底的に異端者扱いするこういう警察の体質というのがやはり異常だと私は思うんです。

 警察は、犯罪をつくるところではなくて、犯罪を防ぐところなんです。内部でいささかなりとも異常なことが起こらないようにするべきところなんですね。そのことがちゃんとやられていないということが、昨年の北海道警の問題で、この内閣委員会を初めとして随分取り上げてきましたけれども、そういうことなんですよ。

 そこで、国家公安委員長に伺いますが、昇任試験がにせ領収書に協力しなければ合格させないようにするなんというようなことはあってはならないことだと思うんです、普通の感覚でいったら。どうですか。

村田国務大臣 本人が記者会見で、先生が今言われたようなことを発言したということでございますので、今愛媛県警において、本人を含めて事実関係を調査しているもの、こういうふうに聞いております。

 なおかつ、昇任試験でございますが、昇任試験につきましては、厳正かつ公正になされなければいけないものだと私自身存じております。

吉井委員 厳正かつ公正に行われなければならないのが当然なんです。だけれども、学科試験はよくできていると言われたんだけれども、君は通らぬよ、にせ領収書を書いていないからだと、これはどう考えても普通じゃないというふうに思うんです。

 実は、それだけじゃないんですね。ことし一月十三日に、どうも、仙波さんが内部で正すようにやってこられたけれども、なかなかそういかないということで、それでオンブズマンの方たちとこの問題を明らかにするような動きがあるということで、それを察知した上司の方から声がかかっているんですね。

 一月十三日に、上司の生活安全部地域生活課長から仙波さんに、内部告発するらしいがやめてくれと総務室長から電話で要請されたと。そのとき、周りの人たちから、証言したら愛媛県警は一年間は立ち上がれなくなる、これに対して仙波さんの方は、うみを出し切らないと警察はずっと立ち上がれない、警察にあしたはないというふうに言っておられるんです。

 一月二十日の記者会見をされる直前にも、またこの地域生活課長の方から、春の定期異動のヒアリングでも、おまえを鉄道警察隊に残すことにしたんだから、記者会見をやめてくれというふうに声がかかり、それでも結局記者会見で明らかにされたんですが、そうしたら、一月二十四日には、もう四日後に異動の内示が来て、おまえを鉄道警察隊に残すと言ったばかりなのに、鉄道警察隊には残さないで、地域通信指令室企画主任の方に移すという内示が行く。二十六日に、もう二日後には異動が発令され、異動発令されたんだが、異動した先でどこへ行くかというポストがまだつくられていない。異動発令の翌日に異動先のポストを新設する。

 これまた、公安委員長、どう考えてもこれは普通のことではないと思うんですね。法律上は、そもそも、にせ領収書をつくらないというのは当たり前です。にせ領収書を書くようにと言われて、これはおもしろい話ですが、北海道警に高知県警の話もしましたが、この愛媛でも、既に何年か前、愛媛の場合七年前ですか、亡くなった方のお名前まで持ってきて、書けという話がありましたね。どうも警察の方はにせ領収書をつくるときに亡くなった方のお名前が好きらしいんですけれども、死んだ人の領収書は死んだ人が書けるわけがない、そういうものを書くような話までありました。

 そういうにせの領収書を書くとか、虚偽公文書作成は犯罪ですから、これを拒否する。その事実を知ったら内部告発、本当は告発するのが当たり前のことなんですが、それをやらなかったら懲戒の対象になりますよというぐらい厳しいものであるはずなのに、それを逆に理由にして、昇格も認められない、それから報復の人事異動まで急にやられる。これはどう考えても普通のことじゃないと思うんですが、公安委員長、どうですか。

村田国務大臣 先生の御指摘のありました件も含めまして、愛媛県警におきまして事実関係を現在引き続き調査しているものと私は承知しているわけでございます。

吉井委員 愛媛県警が調査するといっても、私は、本当は、国家公安委員長として第三者機関、そういうものをきちんと設けて調査しないと、調査される対象になる人が幹部の人たちでしょう。にせ領収書づくりに警察に入ったときから手を染めないと大体昇格していかないんですよ。昇格して、調査をするという人がにせ領収書にみずから手を染めておったら、この事態をどうして解明できるんですか。

 だから、これは、そもそも調査する人が本来調査されなきゃいけない人なんですから、質問している私の方が頭がこんがらがってくるぐらいの話ですから、これはやはり第三者機関なり、きちんとした組織機構をつくって、そして調査すべきところから資料は当然とらないと、わからないですよ。

 私、これ、幾つか、もうちょっと具体的に調べようと思って質問したり資料をお願いしたら、白抜き資料というのが出てくるんですね。黒抜き資料というのは知っていましたけれども、都合の悪いところを黒で塗りつぶした黒抜き資料。もうそれもやめちゃって、全部真っ白にした白抜き資料というのまで出てきて、私たちも、調べようと思ってもさっぱりわからないですね。

 そういうふうな白抜き資料や黒抜き資料を相手にやっておったんじゃ、これは調査できないんです。やはり、第三者的にきちんと調査できる機関を設けて、そして、これは公安委員長として、これだけ北海道からずっと続いているわけですから、きちんとこれは徹底してやり抜く、現場任せじゃない、こういうことをやってもらわぬといかぬと思います。

村田国務大臣 愛媛県警の例の件につきましては、本人からも不服申し立て並びに裁判も提起されておりますので、その過程でまた事実関係が明らかになると私は考えております。

吉井委員 事実関係云々の裁判の話じゃないんですね。それだったら公安委員会なんかもう要らないに等しいですよ。

 公安委員会というのは、警察がきちんと役割を果たすように見ていくわけでしょう。今回の現職警官の実名告発を客観的に見れば、裏金づくりというのは、これは、ここだけの特殊な問題じゃなしに、北海道警、静岡県警、福岡県警、昨年来、あちこち、私たち取り上げていますが、全国の警察に蔓延しているということを改めてこれは示したんですよ。そして、警察幹部が行っている調査というものが、結局内部にいる警察官から見ても、内部の実態を示さないものだということを告発しているんです。

 そもそも仙波さんは、もともと、昨年来問題になって、ようやく十二月、県議会では初めて認めたりされたものがあるんです。電話帳から抽出した氏名を用いた場合があったと、初めてにせ領収書の事実を県警本部長が認めるところがあったんですけれども、しかし、大洲警察署の問題など、きちんとした解明がされていない。だから、このままでは、一年間立ち上がれないような話じゃない、こんなことをやっておったら愛媛県警にあしたがないという思いで告発に立ち上がるということになったわけですから、この点では、今も現場でまじめに働いている警察官の方は、裏金づくりやめてほしいというのが切実に思っておられることなんです。

 裏金づくりが現場警察官の誇りややる気を奪ってしまっているんですから、私は、この点では、国家公安委員長として、この問題を徹底解明しないと警察は再生できないということを申し上げたいと思います。

 重ねて、あなたに徹底解明するつもりがあるのかどうか、これを伺って、質問を終わりにしたいと思います。

村田国務大臣 まずは、関係の都道府県公安委員会がその管理権を発揮いたしまして、こうした問題につきまして徹底的な解明をすべきもの、こういうふうに考えておりますが、国家公安委員会としましても、昨年、国家公安委員会が会計の監査に関します規則をつくりまして、それに伴って全国的に監査を進めているところでございまして、私ども国家公安委員会はもとよりでございますが、各都道府県の公安委員会におきましても適正に管理権を行使していくものと考えておるわけでございます。

吉井委員 どういうふうに監査しなさいとか基準を定めて指導したりとかやっても、やっているしりからこの問題は出てきているんですから、これは現場の警察任せじゃなしに、やはり国家公安委員長、きちんと責任を持って徹底的にこれを解明していく、そして二度とこういうことが起こらないように、現場の苦労している警察官の皆さんのやる気を失わしめるような、そんなことがないように取り組んでいただきたいと申し上げまして、質問を終わります。

松下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十四分散会


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