衆議院

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第7号 平成18年1月19日(木曜日)

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平成十八年一月十九日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 佐藤 剛男君

   理事 木村  勉君 理事 戸井田 徹君

   理事 西村 康稔君 理事 林田  彪君

   理事 山本  拓君 理事 泉  健太君

   理事 大島  敦君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    遠藤 宣彦君

      大野 松茂君    岡下 信子君

      木原 誠二君    後藤田正純君

      薗浦健太郎君    土屋 品子君

      土井  亨君    中森ふくよ君

      平井たくや君    松本 洋平君

      村上誠一郎君    村田 吉隆君

      大畠 章宏君    川内 博史君

      小宮山洋子君    園田 康博君

      鉢呂 吉雄君    柚木 道義君

      太田 昭宏君    石井 郁子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 沓掛 哲男君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  荻野  徹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幹雄君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            須田 和博君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小貫 芳信君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西川 泰藏君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

平成十七年十一月二日

 辞任         補欠選任

  河本 三郎君     後藤田正純君

  桜井 郁三君     平井たくや君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  江渡 聡徳君     村上誠一郎君

  佐藤  錬君     下村 博文君

  宮澤 洋一君     福井  照君

  吉川 貴盛君     林田  彪君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  下村 博文君     大野 松茂君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  福井  照君     村田 吉隆君

平成十八年一月十八日

 辞任         補欠選任

  吉井 英勝君     石井 郁子君

同月十九日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     薗浦健太郎君

  小渕 優子君     岡下 信子君

  木原 誠二君     松本 洋平君

  市村浩一郎君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 信子君     小渕 優子君

  薗浦健太郎君     小野 次郎君

  松本 洋平君     木原 誠二君

  柚木 道義君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  園田 康博君     市村浩一郎君

同日

 理事河本三郎君平成十七年十一月二日委員辞任につき、その補欠として木村勉君が理事に当選した。

同日

 理事吉川貴盛君平成十七年十一月二十四日委員辞任につき、その補欠として林田彪君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

平成十七年十一月一日

 一、人身取引等の防止及び人身取引等の被害者の保護に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第六号)

 二、道路交通法の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外三名提出、衆法第一二号)

 三、内閣の重要政策に関する件

 四、栄典及び公式制度に関する件

 五、男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 六、国民生活の安定及び向上に関する件

 七、警察に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件及び警察に関する件(子どもの安全対策について)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      木村  勉君 及び 林田  彪君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 内閣の重要政策に関する件及び警察に関する件、特に子どもの安全対策について調査を進めます。

 この際、政府より報告を求めます。安倍内閣官房長官。

安倍国務大臣 犯罪から子どもを守るための対策について御報告を申し上げます。

 昨年十一月末以降、広島及び栃木における下校時の児童をねらった事件や、京都における学習塾内での児童を被害者とする事件など、子供を被害者とする痛ましい事件が連続して発生いたしました。

 このような事件の発生を踏まえ、政府では、昨年十二月二十日に関係省庁連絡会議により、犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめ、さらにこれを、内閣総理大臣が主宰し、全閣僚が構成員である犯罪対策閣僚会議に報告し、登下校時の児童の安全確保を初めとする諸対策の着実な推進を政府全体として確認したところであります。

 この対策においては、まず、現在の喫緊の課題である登下校時の児童の安全確保のための緊急対策として、六項目を掲げています。

 このうち、通学路の緊急安全点検や防犯教室の緊急開催及び地域における情報共有体制の緊急立ち上げは、いずれも、すべての地域において、すべての子供の安全を守るため、ことし三月までと時期を区切って、関係者の総力を結集しようとするものであります。また、学校安全ボランティアの充実を迅速に実施するとともに、路線バスをスクールバスとして活用する方策についても環境整備を図ることとしております。

 以上の緊急対策に加え、犯罪から子どもを守るための総合対策として、学校における対策や地域における対策、さらには再犯防止などの犯罪対策を盛り込んでおります。

 国民の安全、安心の確保は政府の基本的な役割であります。子供たちを犯罪から守るため、政府としても総力を挙げて取り組んでまいります。委員各位の御理解、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

佐藤委員長 次に、沓掛国家公安委員会委員長。

沓掛国務大臣 国家公安委員会委員長として、御報告申し上げます。

 昨年の十一月以降、児童が殺害されるというまことに痛ましい事件が続発し、国民に大きな不安感を与えているところであり、改めて、亡くなられた児童の御冥福を心からお祈りいたします。

 特に、栃木県の女子児童が殺害された事件は、現在まで被疑者を検挙するには至らず、警察では、事件の解決に向け、徹底した捜査を行っているところであります。

 私は、昨年の十二月、女子児童が殺害される事件が発生した広島県に赴き、ボランティアの方々から、登下校中の子供が事件等に巻き込まれないように行っておられる警戒活動について直接お話を伺うことができました。国家公安委員会委員長として、幼い子供が事件の犠牲になるという悲劇を繰り返してはならないと決意を新たにしたところであります。

 警察庁では、文部科学省と連携して、通学路等における子供の犯罪被害を防止するための対策として、不審者情報を迅速かつ正確に把握し、この情報を学校等と共有すること、学校等と連携して、通学路における危険箇所を点検し、地域安全マップを作成すること、子供に対する被害防止教育を確実に実施することなどを進めるよう、都道府県警察に対し指示しております。これを受け、都道府県警察では、子供の犯罪被害防止を図るため、ホームページや電子メールを活用するなどして不審者情報を共有するなど、具体的な対策を講じているところであります。

 また、昨年の十二月に開催されました犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁連絡会議及び犯罪対策閣僚会議において決定及び報告がなされた犯罪から子どもを守るための対策として、すべての地域において警察と学校等との情報共有体制の構築を行うほか、防犯ボランティア団体の活動拠点となる地域安全安心ステーションや学校等における児童の安全確保等を担わせるスクールサポーター制度をさらに拡充するなどの取り組みを進めることとしております。

 治安回復のためには、単に警察の活動にとどまらず、このような官民連携した取り組みも進めていくことが不可欠であります。今後とも、こうした取り組みのさらなる推進を図るため、委員長初め委員の皆様の一層の御協力をお願いいたします。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、猪口内閣府特命担当大臣。

猪口国務大臣 少子化・男女共同参画担当の内閣府特命大臣、猪口邦子でございます。

 子供の安全につきましては、昨年、学校からの下校中や通っている学習塾の中で子供が殺害されるという大変痛ましい事件が発生しましたことにより、子供を抱える保護者の方々も不安を抱いておられることと思います。子供の命と安全を守ることは、大人社会の責務であり、政府が最優先で取り組むべき課題であります。また、少子化対策の観点からも、子供が安全に育つ環境の確保は不可欠であります。私といたしましても、保護者や子供が安心できるよう万全の措置をとっていく必要があると考えております。

 政府におきましては、子供の安全確保のため、従来から、青少年育成施策大綱に青少年の被害防止、保護のための取り組みを盛り込み、学校や通学路の安全対策、地域防犯対策、再犯防止対策等の取り組みを推進してきたところでございます。

 さらに、今般の事件を受けて、昨年十二月に、犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁連絡会議において、犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめました。この中で内閣府としては、各種政府広報を活用して、家庭、学校、地域などのすべての関係者の防犯意識を高め、子供の安全確保の取り組みへの積極的な参加を呼びかけるとともに、青少年にかかわる各種団体、関係者等に対しても、地域の取り組みに積極的に参加するよう呼びかけていくこととしております。

 今後とも、家庭、学校、地域などの関係者と連携して、子供の安全確保が図られるよう取り組みを一層推進してまいる所存でございます。

佐藤委員長 次に、馳文部科学副大臣。

馳副大臣 文部科学副大臣として、一言御説明を申し上げます。

 昨年末、小学校の女子児童が殺害されるという大変痛ましく決してあってはならない事件が連続して発生したところであり、犠牲となられた被害者の方に対して心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対し心から哀悼の意を表します。

 児童生徒等が安心して教育を受けることができるよう、家庭や地域の関係団体、機関等と連携しつつ学校における安全管理の推進を図ることは、極めて重要なことであると考えております。

 このため、文部科学省では、学校安全の充実に総合的に取り組む子ども安心プロジェクトを平成十四年度から推進し、防犯教室の開催の支援や地域ぐるみで学校安全の確保に取り組む体制を整備する事業等を行ってきております。

 また、今回の事件の発生を受け、文部科学省では、登下校時の安全確保のため、一、早急かつ迅速に通学路の要注意箇所の把握を行うこと、二、登下校時の児童生徒等を極力一人にしないという観点から、学校の状況を踏まえた安全な登下校方策の策定等を実施すること、三、実践的な安全教育を進めることなどを早急に進めるよう各教育委員会等に対し要請したところであります。

 加えて、平成十八年度予算案においても、各学校を巡回して学校安全ボランティア(スクールガード)の方々に警備のポイントなどの指導を行うスクールガードリーダーの増員や、小学校低学年の児童を高学年の児童と一緒に集団下校させるための子供待機スペースの確保など、子ども安心プロジェクトを拡充することとしております。

 さらに、政府全体で、児童生徒等の安全対策を推進するために、昨年十二月に取りまとめた犯罪から子どもを守るための対策には、さまざまな施策が盛り込まれており、緊急対策として、全通学路の緊急安全点検、すべての学校における防犯教室の緊急開催、学校安全ボランティアの充実などに早急に対応するほか、学校や地域の安全対策に重点的に取り組むこととしています。

 地域では、学校安全ボランティアの活動だけでなく、登下校時に散歩や運動などで大人が外へ出て児童生徒を見守る運動など地域全体で学校の安全に取り組む動きも進んできております。文部科学省といたしましては、地域や関係団体の方々に御協力をお願いし、このような地域全体で子供の安全を見守る取り組みをより一層進めてまいりたいと考えております。

 文部科学省としては、今後とも関係府省庁と連携して、児童生徒等の安全確保に関する施策を推進してまいります。

佐藤委員長 以上で政府の報告は終わりました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官荻野徹君、内閣府大臣官房審議官松山健士君、政策統括官林幹雄君、警察庁長官官房長安藤隆春君、生活安全局長竹花豊君、刑事局長縄田修君、総務省総合通信基盤局長須田和博君、法務省矯正局長小貫芳信君、入国管理局長三浦正晴君、文部科学省スポーツ・青少年局長素川富司君及び経済産業省大臣官房審議官西川泰藏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 子供の安全を守るためには、本当にあらゆる知恵を出しまして、あらゆる手だてを尽くさなければいけないというふうに思っております。内閣委員会でも、閉会中としては本日ぎりぎりでございますが、きょうこの審議が与野党の合意で開かれることは大変意味があると思っておりまして、青少年問題特別委員会も昨年十二月にやはり衆議院で子供の安全で閉会中審査を行いましたが、通常国会が始まりましても、ぜひこの内閣委員会でも、積極的に、これは与野党力を合わせて取り組んでいく最重要課題だと思っておりますので、その取り組みをしていきたいというふうに思っております。

 まず最初にですが、昨年相次いで起きた小学生の女の子が殺害をされた事件、特に十二月二日に起きました栃木県の小学一年生のケースは、先日四十九日も過ぎましたが、犯人はまだ捕まっていません。最初に白い車の情報とか、いろいろ振り回されたという点などもあったかと思うんですが、最近大きな事件があって報道もほとんどこのことについてされておりませんで、地元の皆様は、やはり犯人が捕まっていないという大きな不安を抱えたまま年を越されたと思っています。

 この捜査の状況がどうなっているのか、まず伺いたいと思います。

縄田政府参考人 お尋ねの事件の捜査状況でございますけれども、昨年の十二月二日、残念ながら遺体が発見されたということで、殺人死体遺棄事件として栃木県警察及び茨城県警察におきまして合同捜査本部を設置いたしております。栃木県警察本部の刑事部長を長として、栃木県の場合は今市警察署、茨城県の場合は大宮警察署に拠点を置きまして、捜査を開始いたしております。

 捜査の内容でございますけれども、所在不明となりました現場、あるいは遺体が発見された現場周辺での聞き込み捜査、これは当然でございますけれども、捜査員による情報収集、これを努めておるほか、当然鑑識活動も行っておりますし、周辺の検索等もかなり大がかりにやりました。

 そのほか、これは県民の方々から情報をしっかりいただかなきゃいかぬということで、チラシ等の配布、これはチラシ、ポスターで五万枚ほど配布をいたしております。さらに、フリーダイヤルで情報を求めるという窓口もつくったりもいたしております。そういったことで、広く情報の提供も求めながら、今全力で捜査をいたしておるところでございます。

 現在まで被疑者の検挙に至っておりませんが、合同捜査本部といたしましては、一日も早い検挙を目指して努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

小宮山(洋)委員 この栃木のケースも、防犯ブザーを持っていたのに使えなかった、いろいろ通学路の問題、さまざまな問題があると思いますが、まずその犯人をとにかく捕まえてもらわないと安心できませんので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 きょうは二十分ほどでございますので、その全体的な取り組み、とにかく省庁を挙げての取り組みが必要だというところにポイントを置いて質問をさせていただきたいと思います。

 とにかく命を守らなければいけない、安全を守らなければいけない子供というのは、生身の一人の人間でありますけれども、政府の取り組みとしては、どうしても省庁縦割りになりがちなんだと思います。民主党でも、私が今子ども政策調査会の責任者をしておりますので中心になりまして、関係するところが集まって、十二月に子どもの安全合同会議というものを立ち上げました。

 今の御説明のように、政府の方でも当然取り組みをされているわけですけれども、学校の場合は文部科学省、そして保育所、障害児施設、児童館、あるいは、こうした事件が起きた後本当にニーズが高まっている学童保育などを所管しているのが厚生労働省、そして学習塾は経済産業省、また、性犯罪者の再犯防止は法務省というふうに、やはり各部門でばらばらになってしまっているわけですね。

 ですから、政府の取り組みも、縦割りでなくということを本当に実質的にやっていただかなきゃいけないと思いますが、内閣官房でその責任に当たられています官房長官に、そのあたりの、縦割りでない取り組みの状況を御説明いただきたいと思います。

安倍国務大臣 国民の生命と財産を守る、特に子供たちを犯罪から守るのは、国、政府の基本的な極めて重要な使命である、このように考えています。それを果たす上において、各省庁が勝手にばらばらに連携なしに対応をしているがためにそうした犯罪にストップがかからないということになっては大変でありますので、確かに先生の御指摘のとおりだというふうに思います。

 その上で、その観点から、私が指示をいたしまして、昨年、局長級の関係省庁連絡会議を開催いたしまして、十二月の二十日に犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめるなど、総合的な対策を進める努力をしているところであります。

 さらに、個別の施策につきましても、例えば学習塾に通う子供の安全対策につきましては内閣府、警察、文部科学省及び経済産業省の四省庁が連携をし、また、路線バスを活用した通学路の安全確保については警察庁、総務省、文部科学省及び国土交通省の四省がそれぞれ共同して検討をする場を設けるなど、関係省庁で連携を図っているところであります。

 今後とも、関係省庁がお互いに情報を共有していないがためにいろいろなそごが生じる、あるいは、それぞればらばらに同じような施策をやっているということが決してないように、それぞれがお互いに連携することによって、さらに犯罪防止の力を高めるような努力をしていきたい、各省庁の縦割りを排して政府を挙げて取り組んでいきたい、このように思っております。

小宮山(洋)委員 関係省庁の連絡会議というのは実務者の方々、各省庁の責任者の方々がされていて、それが全閣僚による閣僚会議に報告をされるということで、当然、各省庁のトップである政治家の皆さんがそのあたりを取りまとめられると思うんですけれども、そのあたりの連携というのはうまくいくんでしょうか、なかなか、皆さんそれぞれの専任の分野を持っていらっしゃるので、常に子供のことというのがこれまで後回しになりがちだったという心配があるんですが。

安倍国務大臣 まず、閣僚会議がございますので、この閣僚会議によって、全閣僚がしっかりとこの問題については取り組んでいくという、責任の所在をはっきりいたしております。

 その上で、事務的に、現場において連絡のそごがないように、またお互いの連携のそごがないように、また各省庁が各省庁のみで施策を実行することによってその効果が薄まることがないように、六項目の項目を取りまとめたわけでありますが、それぞれの項目においてしっかりと各省庁が連携をする、そのための局長級の連絡会議であります。

 また、各閣僚もしっかりと、自分たちも責任を持っているということも当然である、このように思います。

小宮山(洋)委員 ぜひまた、その取り組みについても、この内閣委員会でいろいろ一緒に検討させていただきたいというふうに思います。

 それで、三月までにこれをやるというようなこともいろいろ述べられているようですけれども、やるにはやはり財政的な裏打ちが必要ですよね。私どもの党大会のときの緊急アピールの中でも、耐震偽装とかアスベスト、豪雪、こうしたもので補正予算が組まれるようになっておりますが、子供の安全についても補正予算を組む必要があるのではないかというふうに私どもは考えておりますが、その点について伺いたいと思うんですね。

 例えば、通学路の安全のためのスクールバス、路線バスの転換ということが出ていますが、それだけでは足りない。学校からは、特に過疎地などでは、スクールバスがぜひ必要という非常に強い声がございます。それからあと、街灯などの設置ですとか、犯罪防止のための安全教育、また地域ぐるみの学校安全体制の整備、こういうことにつきましてもさまざまなバックアップが必要だと思っていますので、その財源の手当てが早急に必要ですから、せっかく補正予算を組まれるのでしたら、この子供のことも後回しにせずにぜひ入れていただきたいと思いますが、官房長官、いかがでしょう。

安倍国務大臣 子供の安全対策は、我々、極めて重要な課題であるということで、十八年度予算の編成に当たりましても、しっかりと対策のための予算をつけているところであります。当然、もう既にこれは平成十七年度予算にも盛り込んでいるわけでありますが、その十七年度の予算に加えまして、必要なものにおきましては、十八年度予算案において計上しているというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたように、昨年の十二月の二十日に、犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめました。この対策の中には、登下校時の児童の安全確保のための緊急対策六項目を掲げているわけでありますが、そうした予算もしっかりと入れ込んでいるわけであります。

 この施策の中には、例えば地方警察官の増員については、予算を十八年度は大幅にふやしております。特に、ミニパトをふやしまして、きめ細かな犯罪抑止を図っているところでありますし、またスクールガード事業についても、ほぼ予算を倍にしております。また、IT等を活用した情報の効率的な共有、また全国のネットワークシステムの構築等は新しい施策でありまして、この分野には初めて予算をつけたところであります。

小宮山(洋)委員 十八年度予算の前に、やはりすぐできることをしなければいけないわけですから、民主党としては、子供の安全のことも補正予算にぜひ盛り込むべきだというふうに主張をしていきたいと思っております。

 今、警察官の増員、これも確かに必要ですけれども、全部警察官で守るということはできないわけですから、一方で、その財源的な裏打ちに加えて、あとは地域の皆さんたちの力をどういうふうに結集するかという、地域の皆さんが愛情あるまなざしでしっかりと守っていくということが第一なんだというふうに思います。

 子供の安全を守るためには、さまざまな取り組みが各地で既になされておりますし、報道もさまざまなされております。私の地元でございます東京世田谷の砧でも、愛犬家によります地域巡回活動のわんわんパトロールというものが二〇〇三年から行われておりますが、今回、子供のことについて、さらに重点的にそれをやろう、愛犬家の方は朝晩散歩をさせているわけですから、地域で回っているときに子供たちに目配りをしようというようなことをしております。

 また、埼玉県の和光市では、学校、保護者、行政、PTA、自治会などによるネットワーク組織をつくりまして、子供による犯罪マップづくりとか町内点検をしているというようなこともございますし、愛知県の犬山市では、郵便配達員とか保険の外交員など、外を回る仕事、外勤をしている最中にパトロールをしたりステッカーを張ったりというようなことを依頼している。

 こうした取り組みが各地で行われるということは大変必要なことだと思っていますが、これをどういうふうに政府としては応援していく、支援していくのか、そのあたりのお考えがありましたら、官房長官、伺いたいと思います。

安倍国務大臣 委員御指摘のとおり、警察力また警察官の増員だけでは十分ではない、このように考えております。地域住民や民間団体等の活動が必要不可欠でございます。

 そのため、政府といたしましては、平成十七年六月二十八日、犯罪対策閣僚会議において、安全・安心なまちづくり全国展開プランを決定するなどして、防犯ボランティアの活動を支援しているところであります。

 具体的には、地域安全ステーションモデル事業の拡充、そしてまた警察による地域安全情報の提供や、各種講習、また訓練の実施も行っています。また、警察官との合同パトロールも、住民の皆さん、またそうした市民団体の御協力をいただいて実施しているところであります。また、自主防犯ボランティア活動を支援するウエブサイトも立ち上げております。

 そうした施策によりまして、防犯ボランティアへの参加を地域住民に促すとともに、防犯ボランティア団体の組織化や警察との連携の促進を図っているところでございます。

 政府としては、今後とも、地域住民による自主的な防犯活動が全国的に一層活発となるよう支援、充実強化していくとともに、こうした活動と警察、学校等との連携を深めることにより、犯罪に強い社会が実現されるように努力をしてまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 自主的にされていることをどう政府がバックアップするかということはなかなか難しい面もあるかと思いますが、おっしゃったように、いろいろ、そういうちゃんと情報の集まる場所の提供とか情報の提供、また各地で行っているさまざまな事例を全国的に紹介していくというようなことも必要かというふうに思っております。

 政府の犯罪対策閣僚会議でも、学校安全ボランティアの充実を迅速に実施するとされているんですが、これはどのような取り組みで、どういうふうな成果が上がってきているんでしょうか。

馳副大臣 児童生徒の通学路を守る、また先進的な取り組みでは、学校内に常駐をして学校への侵入者への対策をとるという事例もございまして、基本的には、文部科学省でも一月中を目途に、まずそういったすばらしい事例をホームページ等で報告して、参考にしていただきたいと思っております。

 平成十七年度から、スクールガードリーダー、これは九百名を予算化しておりまして、お一人当たり十校担当していただいて、ボランティアとして活動するにおいての情報を共有していただいたり、また指導をいただいたり、講習会を開いていただくということで効果が上がっております。より一層、地域の一人一人が子供たちに目をかける、こういう活動に参加することによって教育的な効果を上げようということもあります。

 平成十八年度の予算では二千四百名の予算化をしておりまして、一人十校という計算をしておりますので、そうすると、二万四千といえば、全国の小学校を網羅できるのではないか。

 先ほど先生がおっしゃったように、また安倍長官が答弁されたように、地域の防犯プラス通学路を守るということは、子供の視線というのはまた違うものですし、子供が通う通学路の安心、安全、これは時間帯にもよりますし、そういったことを総合的に連携し合いながら対応していきたいと思っております。

小宮山(洋)委員 そのように文部科学省が率先して仕組みをつくってやられるもの、それから地域が自発的にやっていくもの、両方へのバックアップというのが必要だと思います。それで特に、例えばスクールバスにしましても、最後は一人になってしまうんですね、うちに行くまでの短い距離かもしれませんけれども。そこのところをどうするかというようなきめ細かいフォローも必要かと思っております。

 そして、猪口大臣に伺いたいんですが、おっしゃったように、少子化対策、今官民挙げて取り組んでいらっしゃる、そのリーダーシップをとっていらっしゃるわけですけれども、安全ということはその基本の一つだと思います。

 そういう意味では、最優先の課題として少子化への対応の中でも取り組んでいっていただきたいと思うんですが、先ほど申し上げたように、縦割りにならないように、子供の担当大臣でいらっしゃるので、ぜひそこのリーダーシップをとっていただきたいと思いますが、そのあたりの決意といいましょうか、取り組みへの気持ちを伺いたいと思います。

猪口国務大臣 先生御指摘のとおり、少子化の観点からも、子供の安全確保は大変重要であります。やはり、安心して子供を生み育てることができる社会をつくるということが少子化対策の非常に重要な柱と考えております。

 そのことにつきまして、例えば、昨年の夏、小泉内閣のメールマガジンというところでアンケートをしました。

 その中で、少子化に歯どめをかけるためにはどういう政策ニーズがあるのかと聞きましたところ、ちょっとここに持ってきたんですけれども、非常に、安心して生み育てられる生活環境の整備、六四%の方々が挙げておられまして、改めて高いニーズがあるということが確認されております。

 政府といたしましては、これまでも、御存じのとおりなんですけれども、子ども・子育て応援プランにおきまして、子供の安全確保を図るためのさまざまな施策を盛り込んでございます。その中で、子供を犯罪等の被害から守るための取り組みというところを実施している最初の年度の中に今ございます。加えまして、既に指摘がありますとおり、昨年十二月、犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁連絡会議におきまして、犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめたところでございます。

 さまざまなこのような取り組みを総合しながら、私としても、各省と連携を強化して積極的に取り組みを進めてまいりたいと決意しているところでございます。

小宮山(洋)委員 先ほど冒頭に御説明があった中でも、各種団体や関係者などに対して、地域の取り組みに積極的に参加するよう呼びかけていくとございますが、どのようにそれをするかということがなかなか難しいんだと思います。

 そういう意味で、本当に国民的な活動として、取り組みとしてできるように、先ほどから申し上げているように、さまざまなバックアップを、縦割りでなく、ぜひ官房長官と力を合わせていただいて、子供政策の担当大臣としてリーダーシップをとっていただきますように、これは与野党を超えて知恵を出していく問題だと思いますので、ぜひ一緒にこの内閣委員会でも青少年特でも取り組んでいきたいと思います。

 以上で終わります。

佐藤委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太です。

 まず、私も、時間がちょっときょうは二つに分かれてしまいましたので、短い時間ですが、官房長官に質問させていただきたいというふうに思います。

 先ほど、予算、補正予算の話がございました。私も、これは、見てびっくりしたんですね。緊急対策六項目ということで緊急六項目を掲げながら、補正予算に全く子供の安全の予算が入っていない。

 やはり、私たちは、子供の安全について政府としてのメッセージを送る場でもあると思うんですね、補正予算というのは。そういう意味からも、そのメッセージ性が感じられないということが一つありますし、現に防犯教室というものを私は実際に見に行ったこともありますけれども、全国のすべての学校の全児童生徒が平成十八年三月までに防犯教室を受講できるよう開催を要請する、かなりの手間と時間がかかることだと思うんですね。ほかにも、路線バスの活用等々も含めて、これはまさに、官房長官の発言要旨というところを見せていただいていても、二ページ目に、現在の喫緊の課題である、そして緊急対策として、緊急安全対策、緊急開催、緊急立ち上げ、ことし三月までと。これだけ緊急緊急ということが入っていながら、これは本当に六項目、予算、必要ありませんか。

安倍国務大臣 先ほど答弁させていただきましたように、既に平成十七年度予算において子供の安全対策についての予算は盛り込んでいるわけでありまして、その中で必要な施策については実施、予算の執行をしてきたところであります。

 それに加えて、十八年度の予算にさらに加えているわけでありますが、先ほど申し上げました六項目等については、必ずしもすべて予算を必要とするものではなくて、できることからまずしっかりとやっていきたい、こう考えています。

泉委員 そうしますと、今予算を必要としないものということで挙げられたということで、これは本当に予算を必要としないんでしょうか。

 十七年度に予算が組まれていました。そのときは、まさか栃木や広島や京都の事件を予想されていたわけじゃないですよね。そんなこと、まさか予想されるわけがない。でも、私たちで全力を尽くして対策を打ってきても、こういった形で児童生徒の被害が起こっている。状況が変わったということでいえば、これは新たな対策が必要だということで今問題になっているんじゃないですか。

 だとすれば、補正予算で予算をしっかりと獲得する、つけていくことが、これは国民に対してのメッセージになると私は思いますし、事実、メッセージだけではなくて、ことし三月までと時期を区切って関係者の総力を結集しようとしているのに、三月以降の予算にはお金はつけるけれども、あとは速度を変えずに、十七年度は十七年度のもともと決められた中だけでやります、これはやはり私はおかしいんじゃないのかなと思うんですね。

 今からでも私は遅くないと思っていますが、少しばかりでも予算をつけようというお気持ちはございませんか。

安倍国務大臣 先ほど私が申し上げました六項目の中の重点的に推進する項目においては、例えば学校の安全管理対策、登下校時の安全確保に関する先進的な実践事例を提供していく、そうした先進事例でうまくいっているところを各地域においてやっていただく。あるいは防犯教育の推進。

 また、地域における対策の中で、例えば犯罪を起こしにくい環境整備。子ども緊急通報装置等の整備や防犯まちづくりの推進。また、子供を守るための諸活動をさらに充実していく等々のものがあります。

 また、犯罪の取り締まりをしっかりと強化していく。また、再犯防止をしっかりとやっていく。再犯防止対策、出所情報の共有等々は、これはまさにすぐできる対策でありますから、こうしたことはちゃんとやってまいります。

 他方、警察官の増員等については、これは増員計画、また、増員しても訓練等々をしなければならないということも当然あるんだろうと思います。

泉委員 そこが私は与党と野党の違いなのかなというか、民主党と自民党の考え方の違いなのかなと。私たちは、今回、財政厳しい折ではありますけれども、予算をこういうときには子供の安全のためにつけるべきだという考え方を党として持っておるわけでして、与党の方はお金のかからない範囲で安全に取り組もうという姿勢だということがわかったということになると思います。

 もう一つお伺いをしたいんですが、先ほど、私が指示をして犯罪から子どもを守るための対策についての関係省庁連絡会議というふうにおっしゃられました。ここに再犯の防止という項目もあるわけですが、これを見ますと、法務省からは刑事局長だけが入っておられます。この理由をお聞かせください。

安倍国務大臣 今御指摘の点でありますが、刑事局長は、刑事局の所管事項のみならず、これらすべての事項につきまして、法務省全体を代表して報告を行い、意見を述べる立場で会議に参加しているというふうに私は承知をしております。

泉委員 そうしますと、これはほかの省庁からも大体一名ずつということから考えても、そういった意味で、各省庁を代表して集まっているメンバーだということで認識してよろしいですね。

安倍国務大臣 他の省庁も同じ認識であります。

泉委員 ここでなぜ刑事局長を入れたのかということもあると思うんですが、再犯の防止ということからいうと、私は、より、特に性犯罪なんかでは最近よく言われていますように再犯率の問題がありますので、矯正局ですとか保護局の局長さんということも考えられたのではないのかなというふうに思いますが、刑事局長を入れられた理由というのは、その中でもこの刑事局長という理由についてはどういったことになるんでしょうか。

安倍国務大臣 犯罪対策においては、法務省において刑事局、刑事局長が中心になって当たっているということでございまして、省を代表して参加をしている、こういうことでございます。

泉委員 そして、公安委員長にもちょっとお伺いをしたいと思っております。

 先ほど公安委員長の報告の中で、これまた私ちょっとびっくりしたんですが、結局、最後まで塾が出てきていないと思うんですね。文部科学省と連携をして、通学路における子供の犯罪を防止する対策ということについて書いていただいているんですが、私は、警察庁というのは、経済産業省や文部科学省やあるいは厚生労働省、いろいろなところがある、だけれども、どの子供たちが、どんな場でもその子供たちの安全を守るというのが公安委員長、警察庁の仕事であるということを考えておりまして、そこからいうと、非常にこれは数分の一しかあらわしていない報告ではないのかなというふうに思わざるを得ません。

 塾との連携、経済産業省との連携、あるいは児童館、厚生労働省との連携、そういったものについて一言も言及がない、この理由をお聞かせください。

沓掛国務大臣 警察といたしましては、すべての防犯についての責任を持っておるところでもございます。今言われましたような、塾その他についても当然責任を持って対応していくということでございまして、いろいろな会議等におきましても、警察庁の方から、生活安全局長が担当している部門でございますが、そういう局長会議、あるいは経済産業省においてのいろいろな四省庁会議等にも出ていただいて、今言われたようなことについても対応しているところでございまして、ここにいろいろ、全般的なことでございますので、代表的な意味でのことを書かせていただいたので、そういう塾その他についても非常に重要な課題だというふうに認識いたしております。

泉委員 全般的ならばなおのこと、これは入れなきゃならないですよ。京都でのこの塾の事件というのは大変大きな事件です。しかもまた、こうして今学校の教育の中におけるというか、子供たちにおける塾のお金と時間の使い方というのはどんどんふえているわけですから、こういった報告を出される意味をよく考えていただきたいと思います。

 塾との連携もしっかりとこの文章の中に入れていただきたいということを私は要望して、まずの、第一弾の質問を終わらせていただきたいと思います。

佐藤委員長 次に、土井亨君。

土井(亨)委員 自由民主党の土井亨でございます。

 きょうが初質問で、多少緊張しておりますが、また要領も得ない質問になるかと思いますが、ぜひよろしくお願いをさせていただきたいと存じます。

 冒頭でありますけれども、先ほど官房長官から、安全対策、各省しっかりと連携をとりながら推し進めている、その対策もしっかりと構築をしているという御報告がございまして、私もその資料を拝見させていただきました。

 きめ細やかに、本当に子供の安全をしっかり、地域、社会また学校含めて連携をとりながら何とか守っていこうという意気込み、そういうものを感じさせていただいております。

 あとは、今議論になっておりましたように、財政措置やスピードアップをして、しっかりとその施策を効果的に活用していく、そういうことが必要になるんだろうというふうに思います。

 そういうことも踏まえながら、ぜひ、質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、国家公安委員長、大変恐縮でありますけれども、先ほどの御報告の中で、広島にみずから出向かれて、いろいろなボランティアの方々とお話をされたという御報告をいただきました。そのことについての所感をお伺いさせていただきたいと思いますし、地域の中で今一生懸命取り組まれている、また、ある意味地域の中でしかわからない問題点というものもお話しされたんだろうというふうに思いますが、そういうものをどのようにとらえながらこれからの対策に活用していくか、そういうものも踏まえてお話をいただければというふうに思います。

沓掛国務大臣 今お話のありました、広島の小学校一年生の幼児がペルー人によって、十一月の二十二日にこの犯罪が起こり、そして検挙されたのが十一月三十日でございました。

 私、十二月の十四日に現地へ行きまして、いろいろな対応、その実情等を聞かせていただきました。本当に不幸な出来事で、本当に運の悪いことが幾つも重なった、そういうことだったというふうに思っております。

 そして、前にはちゃんと普通の家があり、その犯罪のあった場所の家の左右にもみんな家がある。広島市という町の中においてどうしてこんなことが起きたのかなという非常に残念な思いで、本当に悲しみと、また、なぜこんな幼児を、この鉄の階段を一段一段上りながらその犯罪者の家に連れていった、周囲の家がみんなあるのにどうしてそれが目にとまらなかったのかというような、そういう憤りというか残念な思い、それと、やはりこんな幼女をなぜみんなで救えなかったのかという大変無念な思いがいたしました。

 皆さん方も非常にいろいろこの地域でも防犯関係のことをしておられたんですけれども、普通、二時―四時が下校で、その際には警察も街頭活動をしていたんですが、たまたまこの日が十二時に下校したとか、あるいはまた、いつも二人で帰るのが、この日、早まったこともあったのでしょう、一人で帰ったとか、防犯ベルについてもいろいろなことがございました。本当に残念な思いでございました。

 しかし、地域的には、防犯ボランティアも全国的には今一万四千団体ができておりますし、また、この広島の地域ではタクシー関係も、タクシーの車自体に子供を犯罪から守ろうと書いて、そういうタクシーをしたらお客さん乗らないかと思ったら、かえってそれを呼んでくださるとか、そういう形で地域の皆様にいろいろお聞きしてきました。

 しかし、本当にこの犯罪というのは、先ほどもいろいろお話がありましたように、メーンのところではいろいろいるけれども、最後は、自分の家へ行くときは一人になる、そのときがやはり相手側としてはねらう場所だなということも感じました。

 そういう点で、やはりそういうものを、犯罪をなくしていくためには、まず一人一人が自分で守っていくという自助、そしてそれを地域全体で、防犯ボランティア、学校あるいは警察その他でみんなで守っていくという強化、さらに、今度は警察が主体になるでしょう、そういう公的な立場での犯罪をなくしていくというような、この三つが一体として連携しながら、一元的にこういう犯罪をなくするために全力を挙げていくことが必要だなというふうな思いで私は帰ってまいりました。

 それからも私なりに一生懸命いろいろやっているというのが現状でございます。これからもこういう方々のないように全力を尽くしていきたい、皆様方のまた御指導もいただきながら頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

土井(亨)委員 ありがとうございます。

 ただいま委員長からいろいろお話をいただきました。まさに生の声だというふうに思います。こういう委員会の場でいろいろ議論をしたり、また関係省庁も一緒に一生懸命御努力されているんだろうというふうに思いますが、やはり、地域によってはいろいろ事情も違う、地域によってそのいろいろな違う事情をしっかりと把握しながら、適切にしっかり対応をとっていくという姿勢も私は必要だと思いますので、できる限り現場に赴いて地域の実情をしっかりとらえながら、これから対策を進めていっていただきたいというふうに思います。

 そして、今委員長から、なぜ救えなかったのか、地域社会がそのことに目配りしながらなぜ助けることができなかったのか、私もそう思います。

 私の出身の仙台も、正月早々、生まれて十一日目の赤ちゃんが、ましてお母さんのすぐそばから、また考えられないような病院の中から誘拐される。もうどこが安全でどこが危険か、今まで安全だと思われていたようなところがもう危険だ、今そういう社会現象にあるというふうに思います。

 そういう中で一点、大きな意味でちょっとお伺いをさせていただきたいと思いますが、なぜこういう日本の社会になったんだろうかというふうに私は常に考えております。

 私の子供のころは、遠く離れた親戚より隣のおばちゃん、おじちゃん、また地域の中で、いろいろな形の中で、子供をしっかり巻き込んで活動しながら、ともに子供を育てていこう、そういう日本でありました。現実に、子供は国の宝、また、次世代を担う子供をみんなでしっかりと育てていこうという地域社会があったというふうに思います。

 高度経済成長またバブル、人の心の豊かさ、また共同社会というものが崩れて、個人主義、物の豊かさ、また、ある意味で金満主義、お金だけがすべてだ、お金があれば裕福な生活ができるからそれでいいんだ、そういう社会に変貌していったのだというふうに私は思いますし、また、バブル崩壊後の長期の経済低迷、これはやはり、リストラを含めて、人間の心をむしばんできたんだというふうに思います。

 そういう意味で、その長期の低迷、また心の豊かさから物の豊かさへ、個人主義へということで、何といいますか、地域社会の共同意識も壊れ、また、社会のセーフティーネットと言われるようなものも崩壊していった、だから今セーフティーネットが必要なんだ。やはり、再チャレンジ、再挑戦できるような社会を、セーフティーネットをもう一度つくり直さなければ、この国は本当にどうしようもない国になってしまう、そういう危険性を感じております。そのようなことを議論もしておりますし、今、早急に取り組まなければならない大切なことだというふうに私は思います。

 そういう基本的な社会のあり方、経済の仕組み、日本社会のいいものを取り戻すことによって、私は、子供を大切に育てられる社会がまた復活といいますか訪れる、安心して子供を育てられるような社会になるんだ、そこも大切だ、そこを基本に置かなければならないと常々思っております。

 政府として、社会のセーフティーネット、そういうものをやはり今しっかりと再構築しなければなりませんが、どのような考えでおられるのか、どう取り組まれようとしているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

松山政府参考人 ただいま委員御指摘の点でございますけれども、委員が御指摘のとおり、国民一人一人、それから企業、地域が主役となりまして、努力が報われ、安心して再挑戦できる社会の実現、これは極めて重要なものだと考えております。政府が取り組んでおります構造改革も、そうした社会の実現を目指して取り組んでおるわけでございます。

 具体的には、雇用や中小企業につきまして、御指摘のようにセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、新規起業の促進策、都市再生、地域再生など、地域の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策などに取り組んできております。また、持続可能な制度とすることなどを通じまして、国民が真に安心できる社会保障制度の構築、そうしたものにも取り組んできているわけでございます。

 こうした中、我が国経済は、御案内のとおりでございますが、企業部門の好調さが家計部門に波及してまいりまして、十七年度には、実質二・七%程度の成長が見込まれる、また民需中心の持続的な回復軌道をたどっているという状況でございます。他方、若年層の失業率が高い状況が続いているとか、それから景気回復には地域によってばらつきが見られる、そういったことも事実でございます。

 政府といたしましては、引き続き改革を進めまして、地域や国民の潜在的な力が発揮されて、活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組んでいくことが重要である、そのように考えているわけでございます。

土井(亨)委員 私も構造改革推進は大変大切で大賛成でありますが、同時に、そういう社会のセーフティーネットというものも同じようにしっかりと取り組まれる、そしてまた、そのことで本当に日本社会がまた安心して暮らせるんだというような社会をまずぜひつくっていただく、その努力をしていただくことが子供の安全につながっていくというふうに私は確信しておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、IT推進ということで、国は国家戦略として取り進めております。学校教育の中にも取り入れて今盛んに行われておりますけれども、しかし一方で、インターネットを含めた問題点がやはりあらわれてきているというふうに思います。

 佐世保の事件もチャットの交換が犯罪の動機の一つにもなりましたし、集団自殺、こういうものもチャットでのいろいろな意見交換の中で、じゃ、集団自殺しようかと。まあ、しようかというのも変ですが、そういう中での悪影響というのも出てきております。

 まして、子供たちに対しての有害な画像や、またゲームによるバーチャルな世界が本当に現実と重なって、まるでバーチャルの世界が現実の社会のような錯覚を起こす。やはり子供たちの発達過程、人間形成過程には大変重要な悪影響を及ぼしているんだろうというふうに私は思います。

 一方で推進しなければいけない、一方でそういう問題をしっかりととらえながらその解決に、対策に努めなければならない。大変難しいことでありますが、インターネットによるそういう有害なものやゲームというものもしっかりと対策を講じていかなければいけません。その辺はどのような対策を行い、考えておられるのか、お伺いいたします。

馳副大臣 まず認識、そして対応ということを考えなければいけないと思っております。

 我々、こうして人と会話するときでも、目を見て話をする、顔色をうかがいながら話をする、ちゃんと人の話を聞いてから受け答えをする、そういった、その場の空気をしっかりととらえながら的確に自分の考えていることを伝える。これは、やはり教育的に青少年に対しても必要な指導であるし、当然、我々社会人として身につけておかなければいけない素養だと思っております。

 そういうことを考えると、余りにも、情報通信機器またインターネット社会が便利でようございますし、非常に経済的でもあるということは皆さん御承知のとおりであります。こういう認識を持ちながらも、それが青少年の発達に、とりわけ心身の健康に、時には阻害することもあり得るということをまず十分認識することが必要であると思っております。

 二つの観点で文部科学省として申し上げれば、まず基本的に、事業者の皆さんとか経済団体の皆さんに対して、やはり経済的な利益だけを求めて、どうぞというふうに商品開発をしたり売買をするということについては、一定の自主規制があってしかるべきだと思っております。

 私、数年前に出会い系サイト規制法案というものを担当しましたとき、そのときは委員でございましたが、事業者にこういう提案をしたんですね。そもそも出会い系サイトというものの認定ができるのであるならば、契約書の中に、相手が未成年の場合に、最初からそういったものにはつなぐことができないようにしてやったらどうなんですか、どうしても出会い系サイトにつなぎたいならばそこに丸をすると。当時はこうなっていたんです、ほっておけば契約上、出会い系サイトに自動的につながるようになっているんです。必要じゃない場合にそこに丸をしてくださいという契約書の用紙になっているんです。これはおかしいんじゃないか。

 そもそも相手が未成年の場合には、基本的には出会い系サイトにはつなげない、けれども、どうしてもつなぎたいということであるならば丸をしたらどうか、こういう書式にしたらどうですかという提案をいたしましたが、やはり事業者の方々は、営業権の問題もあり等々で、検討しますというふうなことでございました。

 文部科学省としては、そういうことを含めても、やはり事業者の皆さんに自主規制を求めていくということもありますし、また、これまでも青少年と保護者がインターネット等を使うということに関するモデル事業も展開してきております。今後、小学校、中学校でも、当然、学校の中ではやはり一定の規制というのはあるわけですけれども、家に帰ればそういったものにさらされるわけでありますから、一定の社会的な制約があってしかるべきではないかという考えで、モデル事業もやってきておりますから、これはやはりモデル事業がより一層関係者に理解されるように努めていきたいというふうに考えております。

須田政府参考人 情報通信政策を担当いたします総務省の立場から、具体的などのような取り組みをしているのかを一言ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

 基本的に、こうした問題は非常に重要な問題と認識しておりまして、また、政府全体としましても、IT安心会議のもとで関係省庁と連絡をとりながら行っているところでございます。

 その中で、総務省といたしましては、大きく分けて三つの視点から対策を講じているところでございます。

 一つ目は、まず、プロバイダーなどによる対応の問題でございます。

 この点につきましては、まず、喫緊の課題でございました自殺関連サイトへの対応ということで、この点につきましては、警察庁と連携いたしまして、通信業界の自主的なガイドライン策定に協力いたしまして、これは昨年十月から運用が開始されているところでございます。

 また、そのほかの問題もございますので、昨年八月より、専門家などから成ります研究会を開催しまして、プロバイダーあるいは電子掲示板の管理者などによる違法・有害情報の削除が適切に行われるようにするための方策等につきまして、法的側面あるいは技術的側面を含めまして検討しているところでございます。この点につきましては、本年七月を目途に成果を取りまとめたいと思っております。

 二つ目は、フィルタリングの問題でございます。

 こうした問題は、受信者側で情報の取捨選択を可能とするフィルタリングというのは非常に重要だと思っておりますので、この点につきまして、まずパソコン向けのフィルタリングでございますけれども、これはもう技術的に十分でき上がっておりますので、この点はフィルタリングソフト事業者に対しまして、フィルタリングの対象範囲を拡大していただくよう要請したり、あるいはその他普及促進に努めてきているところでございます。

 他方、携帯電話からもいろいろなサイトに入ります。携帯電話向けのフィルタリングにつきましては、まだ十分な研究開発が進んでおりませんでしたものですから、総務省といたしましてもこの研究開発を支援いたしまして、そうした成果をもとに、昨年から携帯電話事業者の方からフィルタリングサービスの提供も開始しているところでございます。

 三つ目でございますけれども、やはり有害な情報に対する子供さんあるいは保護者の方の対応能力を向上させる、こういった人材面ということが非常に重要だと考えておりまして、このため、昨年十一月から、通信業界の方々が、いわゆるCSR活動として、あるいは社会貢献活動として、自主的な取り組みを行おうということになりましたものですから、それに対しまして私ども、文部科学省さんと連携しながら一体となりまして、インターネットの安心、安全な利用に関する講習会に対しまして通信事業者の方から専門家を派遣していただくというような、我々はこれをe―ネットキャラバンと呼んでおりますけれども、こうしたプロジェクトについても取り組んでいるところでございます。

 今後、私どもとしましては、青少年を含みますどなたもがICTのメリットを最大限に享受できるような、そうしたよいユビキタスネットワーク社会を実現してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

土井(亨)委員 ぜひ、なお一層の取り組みを御期待申し上げるところでございます。

 次に、やはり犯罪を未然に防ぐ、また再犯を防止する、これも一つずつしっかりつぶしていかなければならないというふうに考えております。

 そういう中で、子供が被害者になり得る性犯罪の再犯防止策として、十八年度から新しい処遇プログラムを展開するというか実施をするということで、昨年十二月に取りまとめていらっしゃいますが、この新しい再犯防止処遇プログラム、以前のプログラムとどう違うのか、また、それによっての効果をどのように考えていられるのか、お伺いをいたします。

 あわせて、その処遇プログラムで得たノウハウというのは、私は貴重なノウハウだというふうに思います。そういうノウハウをしっかり児童相談所や子供たち、親御さんが、また犯罪を犯すような、ようなというのは変ですけれども、そういう児童相談所などで指導する側がしっかりと参考にできるようなシステムというか、そういうことも取り組まれればなお一層効果が上がるのではないかと思いますが、その点についてお伺いをいたします。

小貫政府参考人 これまで刑務所等の行刑施設あるいは保護観察所における性犯罪者に対する指導プログラムは、必ずしもいずれにおいても統一的なあるいは標準的なものは存在しておりませんでした。仮にやっているところがあっても効果検証も必ずしも十分でなかった、こう評価せざるを得なかったというふうに思います。さらには、行刑施設においては、受講を強力に働きかける、こういった法的根拠がございませんでしたので、十分とは言いがたいところがあった、こう認識しております。

 そこで、法務省におきましては、昨年の四月になりますが、精神医学、心理学等の専門家を構成員としまして、性犯罪者処遇プログラム研究会を開催して、矯正処遇と保護観察が連携した標準的なプログラムを策定しまして、委員御指摘のとおり、十八年度から実施する予定にしているところでございます。

 このプログラムは、認知行動療法を基礎としたものでありまして、対象者の性に関する認知のゆがみを是正して、なおかつ自己統制力を付与することを中心として構成されております。

 既に実施されております諸外国、カナダ、イギリス等においては、再犯防止に効果があった、こういう報告がありますし、さらに、本年五月実施予定の刑事施設及び受刑者の処遇に関する法律のもとでは、このプログラムが必要とされる受刑者に対して受講を義務づけることができるようになりました。さらに、保護観察の対象者につきましても、受講を遵守事項に定めまして指導することにしておりまして、より効果を上げていくことが可能になるもの、こう考えているところでございます。

 さらに、このプログラムにつきましては、その効果の科学的検証を継続してまいりたい、こう考えておりますけれども、このプログラムの実施やその効果検証の結果明らかになったスキルあるいは知見等につきましては、先生御指摘のとおり、関係機関で積極的に共有して役立ててまいりたい、このように考えている次第でございます。

土井(亨)委員 ぜひ、情報の共有、そういう蓄積が、やはり経験ということが一番問題解決の一つの基礎となるというふうに思っておりますので、関係機関と情報の共有をしながら前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。

 もう時間もありませんので飛ばしていただいて、最後に、やはり子供自身がどうやって自分の身を守るか、こういう防犯教育というのも大変重要だというふうに思います。

 私の地元の仙台の中央警察署というところは、地元の小学四年生を少年防犯マンということで任命しまして、地域の子供たちの防犯に対する意識のリーダー役になっていただいている。私は大変いいことだなというふうに思います。

 まして、学校の教室の中で防犯教室をやるということではなくて、やはり警察署の中で、会議室を使って、子供たちが警察署というのを身近に感じられるような、警察署に常に、常にというか行けるような、そんな気持ちになってもらいたい。そういう中で、少年防犯マンというのは、みずからの自宅の家庭の戸締まりをしっかりやろう、また、子供たちの中でいろいろな防犯意識を話し合おうということでは、大変私は有意義な防犯教育になるんだろうというふうに思います。

 先ほどの国家公安委員長の御報告でも、防犯教育というものをしっかり力を入れていくというふうな御報告もございましたが、そういう意味で、ぜひ、学校施設内ということではなくて、そういう警察署の中でいろいろな勉強をする、自分から、自分みずから、子供たちみずから守るような、そんな教育を、現実的な教育をされたらよろしいのではないかと思いますが、そういう全国の警察署を使った中での、活用した中での子供の防犯教室というものをどのようにお考えになっているか、お伺いをさせていただきたいと思います。

竹花政府参考人 宮城県警の報告によりますと、学校の教育の一環といたしまして警察署を訪問する機会をとらえまして、小学校四年生に対して犯罪被害の教育をあわせて行うというふうに取り組んでいる、その際の一つの工夫として、防犯マンとしてみずからもそういう社会の中で役割を果たすんだというような気持ちを持ってもらうということを方策として取り組んでいる。これは大変いい試みだと私どもも思っております。

 こうした取り組みを全国にも紹介いたしまして、条件のあるところでやっていければというふうに存じております。

土井(亨)委員 私も、先ほど申しましたとおり、やはり、学校の中でやるとどうしても集中力が続かないということもありますし、そういう違う環境の中でいろいろな事例やいろいろな方のお話を聞く、これは子供たちの集中力をしっかり高めることになりますし、何よりも、みずから身を守るということを真剣に子供たちが考えるということで大変好評であったということもお伝えをさせていただきながら、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 昨年、この委員会で私は治安対策の強化ということを、特に大阪における街頭犯罪が大変ふえているということでここで問題提起させていただいたところ、昨年暮れ、委員長の御判断で早速、では大阪を視察しようということで私の地元の西成・あいりん地域を視察していただきまして、ありがとうございました。国会議員が視察に来るというので二、三日前から町がきれいになりまして、私もびっくりしましたが、地域の皆さんが一生懸命やっていただいてそういうふうになったわけですが、その後、年が明けてもきれいなままが続いておりまして、きれいになるということ自体がやはりいいんだ、こう思うわけでありまして、非常にそういった意味でも効果があったといいますか、成果が出ているといいますか、よかったと思っております。ありがとうございました。

 さて、子供の安全の問題については大変大事な問題だと思いますが、冒頭、猪口少子化担当大臣にお伺いしたいと思います。

 大臣も心を痛めていられるんじゃないかと思いますし、また社会的な影響というのが大変大きいものがあるわけでありまして、そういった意味で、いかに子供を守っていくか、安心、安全な社会をどうつくっていくかというのは政府、国家の責任だ、こう思いますが、どうぞ、そういった意味で大臣の御決意、御所感をお願いしたいと思います。

猪口国務大臣 先生おっしゃいますとおり、非常に重要な課題の一つとして、子供を犯罪から守る、そして安全で安心な子育てができる社会をつくっていくということがございます。私は、少子化担当大臣として、さまざまな施策の検討に当たっても、常に子供の立場から考えていきたいと考えております。

 私たち皆そうでありますけれども、最近の相次ぐ児童をねらった痛ましい事件について、本当に心を痛めております。先ほどもお伝えしたんですけれども、小泉内閣のメールマガジンのところで、少子化に対する対策で国民が最も求めているものは何かということをいろいろと調べましたところ、「安心して生み育てられる生活環境の整備」ということが非常に高く出てきております。全体の六四%に当たる方々がこの項目を挙げておられますので、改めて、国民のニーズがそこにあるということは明らかであります。

 政府といたしましても、これまで、先生よく御存じのとおり、子ども・子育て応援プランにおきまして子供の安全確保を図るための施策をさまざまと盛り込んできております。犯罪からあるいは犯罪等から子供を守る、これは最優先の課題の一つとして既に応援プランの中に掲げておりまして、それを着実に実施している中に今ございます。

 加えまして、十二月に、犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁の連絡会議におきまして、犯罪から子どもを守るための対策を取りまとめたところでございます。その中で、緊急六項目、国民に対する協力の呼びかけということも含めて、総合的にまとめたところでございます。

 私の決意といたしまして、今後とも、各省との連携を強化しながら、力を合わせて、そして国民各界の協力も得て、常に子供の視点からその健やかな成長ということに大人社会の責任として全力を傾けてまいりたいと考えております。

田端委員 大臣お話ありましたとおり、子供の視点というのは大変大事だと思いますので、どうぞ、そういった意味で政策を遂行していただきたい、こう思います。

 それで、私は、この子供の安全ということにおいては、一つは学校における安全をきちっと守るということ、そして通学路途上、登下校時における安全をどう確保するかという、この二つがやはり大きな問題提起じゃないか、こう思っております。

 それで、昨年来子供の安全にかかわる事件が相次いで起こっているわけでありますが、私も公明党の子供の安全そして治安対策PTの責任者として、昨年三月に、大阪の寝屋川市立中央小学校で先生が刺殺されるという事件が起こったときに、我々としては、現地調査をし、そして直ちにPTを立ち上げ、そして関係省庁いろいろなところから御意見を伺い、我々の対策をまとめて小泉総理に緊急対策を申し入れさせていただきました。

 そのときに、総理に申し入れたときに特に強調したことは、私たちが提案してできたスクールガード、学校安全ボランティアの仕組みをさらに強化していただくためにリーダーが必要である、スクールガードリーダーをぜひ拡充していただきたい、それについては、ちょうどことしから、団塊の世代の警察官OBの方が、定年で毎年一万人、五年間続いて退職される、こういう時期でもあるので、総理に、このOB警察官の活用という、人的資源は大変大事だと思うのでぜひお願いしたいということを申し上げたら、総理も、それはいい話だと。

 そういうことで、昨年十七年度は九百人だったリーダーの予算が十八年度予算で二千四百人につけていただいたと思っておりますが、先ほども御説明があったように、二千四百人のリーダーが一人十校面倒を見ていただくと、二万四千ということになりますから全小学校が網羅できるという形になるんだろうと思いますが、仕組みはこれでできると思いますので、あとは、地域の協力そして保護者の協力、そういった方々との一体的な体制というものが大事なんだろう、こう思います。

 それで、まず、このスクールガード、ぜひ強化していただく、充実させていただくために、こういう形でリーダーを育成する、あるいはどうやってこれを進めていくのかについて国家公安委員長にお伺いしたいと思います。そして、小学校だけじゃなくて、幼稚園とか保育所とか中学校とか障害児施設とか、いろいろなところがあると思うんですね。どういうところまで視野に入れて今後やられていくのか、そういったことで、スクールガードについての総合的な御方針をぜひお聞かせいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 ただいま委員の御指摘のありました、警察官のOBを防犯関係、特に子供の通学あるいは学校における安全の確保のために生かしていってはどうか、そういう御指摘だったというふうに思いますが、まさにそのとおりだというふうに思っております。

 そこで、警察庁におきましては、各都道府県警察に対しまして、教育委員会等から要請があれば、警察官OB等に対する当該事業の紹介等を行うよう指示いたしております。

 また、警察では、学校における生徒指導の支援や子供の安全確保等を担う警察官OB等の非常勤職員でありますが、一応警察の職員としてスクールサポーターの制度もございます。

 このスクールサポーターとスクールガードリーダーとはどう違うのかということですが、身分について言えば、今、先生のおっしゃられましたスクールガードリーダーというのは教育委員会の委嘱によるものでございますし、もう一つのスクールサポーターの方は非常勤でありますが警察庁の職員という身分で、業務内容については、スクールガードリーダーの方は警備員のような形で学校の中の子供たちの安全を守る、そういうふうな、通学路も含めて全体的に守るということですし、スクールサポーターの方は学校と警察との間の連携をいろいろ図っていくというようなことでございまして、警察官OBの活用としては、私は、この二つの面から子供たちへの安全を守るために大変有効な形で活用していただけるのではないかなというふうに思っております。

 これからどういうふうにこのスクールガードリーダーをふやしていくかということでございますが、身分行為といたしましては各教育委員会の委嘱によるものでございますので、まず、それぞれの委員会等においてどういうふうにしていくかを、地域地域によってまたいろいろな対応の仕方があると思いますので、そういう形を決めていただければ、それに応じて警察といたしましても、OB関係者のそういう形での紹介などを進めて、全体として子供の安全を守る、学童の安全を守ることに全力を尽くしたいというふうに考えております。

田端委員 そこで私は、学校と警察との連携というのは非常に大事だと。今まで、どちらかというとその辺の視点が少し弱かったんではないかと思っております。

 例えば、寝屋川中央小学校の場合も、事件が起こったときに、学校と消防署とはホットラインがあるんです、緊急連絡網があるんです。だけれども、警察とはないんですね。だから、学校で地震とか火災とか何かあったときの、そういう今までの緊急連絡網はあったんですが、犯罪が起こるという発想がなかったと私は思います。

 したがって、あの事件以降全国的に、東京なんかも学校と警察との緊急連絡網を相当つくっていただいたというふうに伺っておりますが、ぜひ、そういった意味で警察と学校の連携ということをお願いしたいと思いますし、一度調べていただきたいことは、県とか市の教育委員会と公安委員会あるいは警察署との合同会議がやっているようなんですが、学校警察協議会というのが設置されて大変全国的に網羅されているようですが、実際、年に四回以上会議をやっているところというのはもう三分の一ぐらいだというふうに聞いております。したがって、形はあるんだけれども実質的にはなっていないというふうに思いますので、これはぜひしっかりと詰めていただいて、連絡協議会が実のあるものになるようにしていただきたい、こういうふうに思います。

 それで、実は栃木県の大沢小学校の事件なんかを見てみますと、昨年十二月一日に事件が起こっているんですが、三日前に不審な男がいたという情報があった。それが隣の小学校に教育委員会から緊急連絡として十一月三十日に入っていた。だから、この隣の小学校は一日の正午ごろに保護者に呼びかけて、注意してくださいということは言えたというんですね。ところが、事件の起こったこの大沢小学校にその情報が入ったのは一日の午後二時ごろで、亡くなった吉田有希ちゃんが帰り支度をしていたときに情報が入ったために、盲点になっていて緊急対策がとれなかったということが後でわかった。それから、スクールガードをここの小学校でもことし三月からやろうということになっていた直前に起こってしまったということ。それから、駆け込める家、子ども一一〇番の家というのがありますが、その家のはるか手前でこの事件が発生してしまった。こういう不幸が幾つにも重なっているというのが、この現実、後でわかりました。

 そういった意味で、いろいろな意味で対策は立てているけれども、しかし、そういう意味では、事件というのはそういうすき間をついて起こるんだなということを感じるわけです。

 広島の安芸区の事件の場合も、外国人のこの容疑者が通学路でじろじろ子供たちを見ているところ、事前に不審者情報としてあったわけですね。これもそういう情報が後になってわかった。そういう意味では、もう少し早くもっと注意していたらというそのちょっとしたことがおくれてしまったというふうなことを感じるわけでありますが、警察庁はその辺のところをどういうふうに分析されているんでしょうか。

竹花政府参考人 御指摘の栃木、広島の事件は大変残念な事件でございますけれども、いずれの県におきましても、御指摘の不審者情報が警察にもたらされましたのは学校、教育委員会よりも少し後ということでございまして、私どもといたしましては、やはりどのような地域におきましても、この種の不審者情報が、地域からも学校からも、また、警察が早目に知ったものは私どもからも、相互に共通の双方向のパイプがしっかりしたものとして確立されることが大変大切だというふうに考えております。

 このような不審者情報を従来から学校とも教育委員会ともそれなりの連携を持ってやってきているわけでありますけれども、適切な対応が全国どの地域にでも行われるように、今後とも都道府県警察を指導してまいりたいと存じます。

田端委員 文科省副大臣お見えいただいておりますので、さっき警察官OBのことを申し上げましたが、先生のOBの活用というのも私大事じゃないかと思っています。

 それで、学校で集団下校する場合に、ある一定の時間何らかの形でだれかがいて、そしてこの時間を調整するとか、そういうことも必要だと思いますし、登下校におけるそういった意味で先生のOBの方の協力ということも考えられると思いますので、このOBの活用についてぜひ御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

馳副大臣 スクールガードリーダーという方々に期待されるのは、やはり防犯とか警備の専門的な知識を持っておられる方ということであります。しかしながら、教員OBの方々も、子供の行動様式とか子供の視線でこういったところに危険が潜んでいるとか、それを事前に察知して守る、こういったことについては、ある意味でいえば非常に専門的な知見を持っていらっしゃいますので、十分検討させていただいて、教員もいよいよ大量退職の時代に入っておりますので、意欲のある方々にお願いをして、現場に出てきてもらえるようにまた検討したいと思います。

田端委員 先日、私、大阪の吹田市立古江台中学校というところを視察させていただきました。ここは、ITを活用して子供の、学童の安全ということを実証実験としてやっている非常にすぐれた、先駆的役割を果たしていただいていると思っております。

 この学校は三百人の中学生ですが、希望者を募ったところ、百六十六人にICタグを持たせている。そして、学校に着いた場合、出た場合というのが、学校に着きました、出ましたというのが保護者の方にメールが自動的に、登録されたメールに入ることになっています。それで、この学校は甲子園球場よりも広いぐらいの、四万三千平米とか言っておりましたが、大変な大きな校舎、運動場もありまして、そのために、学校の中で何かあった場合にボタンを押しますと、全員提げていますから、ボタンを押しますとどこで何が起こったということがわかる仕掛けになっていて、教員室のモニターにその場所が明示されますので、教師が直ちに飛んでいく、こういう仕組みになっておりました。

 そういった意味では、IT技術というのは非常にすぐれた面を持っているなということを見させていただきましたが、保護者の方、先生方も、四月からは全員に持っていただくようにして学校の安全、通学路の安全、そういったものをきちっとやっていきたい、こういうことでございましたので、そういう意味では、私は、インターネットといいますか、IT技術を活用した安全を担保するということは今後大変大事なことだなと思いましたが、お金のかかることでございます。しかし、これは大事なことなので、ぜひこの問題については文科省において積極的に御協力いただいて、総務省と連携をとっていただいてやっていく価値があるのではないかと思っておりますが、副大臣、いかがでございますか。

馳副大臣 子供の安全についての情報を共有し合うというのは極めて重要な課題であると思っておりますし、平成十八年度予算につきましても、全国四十七地域でインターネット、携帯等、またパソコンを利用してこういった事業を展開しようと、二億八百万円ほどの予算をつけております。

 たまたま、きのう目黒区の駒場小学校に視察に行ってまいりましたら、目黒区でもことしの六月ぐらいを目途にこういった事業を検討しているそうですが、校長先生から一つ懸念をいただきまして、最近、やはり個人情報保護という観念が大きいんでしょうか、保護者でも、メルアドとか携帯や自宅の電話番号すら出したくない、こうおっしゃる方がいらっしゃるんです。

 なるほど、そういう世の中になってきたのかなと思いますが、事は、やはり子供の安全に関する情報を共有し合う。つまり、いつどこでどういうふうな不審者とか変質者がいたのか、これはやはり緊急に知らせるものは知らせる、迅速性と正確性を持って共有し合うということが未然に犯罪を防止するということにつながりますから、個人情報保護という観点はやはり抜きには考えられませんが、ぜひこういったことについての理解を得られるようにモデル事業を推進してまいりたいと考えております。

田端委員 それはもちろんそうであって、だから、最初は百六十六人から始まって二年目には全校生徒、こういうふうに、皆さんが理解をして、そういう意味で最初は希望者だけだったわけであります。しかし、この技術を活用することが大事ですから、そこのところはしっかりと踏まえていただきたい、こう思います。

 官房長官がお見えになりましたので、よろしくお願いしたいと思いますが、去年、総理の所信のときに、世界一安全な国日本を復活させるんだということを決意として総理は申されましたけれども、しかし、残念なことに、犯罪が大変ふえております。そして、刑法犯の検挙率も二六・一%という形で、つまり四件に一件の検挙率、こういう非常に残念なことになっているわけであります。

 そういう意味では、私は、日本における安心、安全、これをどう確保するかということは大変、何にも増して優先すべき重要な施策だと思いますが、政府の中に犯罪対策閣僚会議というのがあります。そして、そのもとに犯罪から子供を守るための関係省庁連絡会議があるんだと思いますが、昨年私、総理にも何回かそのことで申し上げたこともあるんですが、犯罪対策閣僚会議そのものを格上げして総合的な治安対策本部に立ち上げて、総理ないしは官房長官が本部長につかれて、そして犯罪対策に取り組んでいく、そういう姿勢がまず必要ではないかというふうにかねがね思っておりますが、官房長官、いかがでしょうか。

安倍国務大臣 ただいま委員が御指摘をされました、治安対策及び子供の安全対策については政府を挙げて取り組んでいくべきではないか、まさに私も全く同感でございますし、総理もそうであります。

 政府としては、世界一安全な国日本の復活を目指して有効、適切な対策を総合的かつ積極的に推進するために、内閣総理大臣が主宰をし全閣僚を構成メンバーとする犯罪対策閣僚会議を随時開催しております。

 そして、先ほど来申し上げておりますように、十二月の二十日にも、犯罪から子供を守るための取り組みを主要な議題の一つとして犯罪対策閣僚会議が開催をされました。そこでは、関係省庁連絡会議の取りまとめた犯罪から子どもを守るための対策が報告をされ、その着実な推進が政府全体として確認されたのみならず、総理ほか関係閣僚による活発な論議も行われました。さらに、これを受けまして、学校の放課後における児童生徒の居場所の問題や、あるいはまた学習塾に通う子供の安全対策について、関係省庁の連携協力の場が直ちに設けられたところでございます。

 このように、犯罪対策閣僚会議のもと、その時々の課題に応じた関係省庁による取り組みを内閣官房のリーダーシップにより機動的に立ち上げる現在の体制により、省庁の垣根を越えた政府全体としての取り組みが十分担保されているというふうに現時点では考えております。

 今後とも、委員御指摘の点には十分に留意をしながら、子供の安全を守るため政府の総力を挙げて取り組んでいきたい、こう思います。

田端委員 官房長官の御説明はよくわかった上で私申し上げたつもりだったんですが、官房長官、次の重要なお一人だと思いますが、もしそういう立場に立たれたときには、ぜひ治安対策総合本部みたいなものを立ち上げていただいて、本当に世界一安全な日本を復活させるという意思表明を明確にしていただいて政策にお取り組みいただければと思いますので、きょうはそのことを希望として申し上げておきたい、こう思います。

 それで、官房長官、さっきちょっと、いらっしゃらないときにも議論させていただいたんですが、警察官OBを活用していただくという方向が、このスクールガードリーダーのところに今度二千四百人分の予算をいただきましたが、これはもう大変大事なことだと思いますので、ぜひこれを充実させていただきたいと思います。それから、今申し上げたんですが、学校の先生、教員のOBの活用によって、子供の目線から子供の安全、学校の安全というものにぜひ取り組む。ちょうど団塊の世代が退職されるこれから五年間が始まるものですから、大変人材がそういうところにいらっしゃるわけですから、そういう意味での人の活用ということをぜひ総合対策の中にお願いしたい、こう思います。それが一つでございます。

 それからもう一点は、IT技術を使った安全を確保するということとか、スクールバスを配置して、あるいは路線バスを活用してとか、そういう集団的な登下校ということを、これはそういう意味ではどちらも経費がかかる、お金がかかる、そういったことになるんだろうと思います。

 しかし、これからIT技術を使って、ICタグをそれぞれ子供が持って、いろいろな形で保護者に自動的に緊急連絡が入っていくようなシステムをつくるとか、スクールバスによって行き帰りが、通学路の安全が担保されるとか、これはお金のかかることともいえ、しかし、幾らお金をかけても大事ではないか、そういう思いがいたしますので、官房長官として、その犯罪対策閣僚連絡会議において、そういったことも含めて、ぜひ、お金をかけてでも安心、安全を担保する、こういう方向を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍国務大臣 ただいま田端先生から御指摘がございました。

 まず、警察官OBあるいは教員OBを活用せよ、こういうことでございますが、犯罪から子どもを守るための対策の中には、警察官のOB等の活用ということが入っております。その中にまた教員のOBの必要があるかどうかということも含めて、しっかりと当然検討していかなければいけない、こう考えております。

 また、路線バスをスクールバスとして活用するための環境整備や、また、先ほど先生が御指摘をされましたICタグなどのIT技術の活用など、多岐にわたる対策がこの犯罪から子どもを守るための対策の中には入っているわけでございますが、これらを実現していく上では、各地域における人材の確保や、関係機関や事業者との調整、技術開発、さらには予算措置など、種々の課題があることは事実でありますが、各省庁と意欲的に取り組んでいるところであります。内閣官房としても、これを督励し、犯罪から子どもを守るための対策推進につき政府の総力を挙げて取り組んでいきたい、このように思うわけでございます。

 この緊急対策六項目につきましても予算措置をしているところであり、当然、我々は予算の投入も含めて全力で対応していきたい、こう思っています。

田端委員 重ねて全政府が挙げて取り組むことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、泉健太君。

泉委員 本日二度目という形になるんでしょうか、質問をまたさせていただきたいと思います。

 官房長官にはお越しをいただいているんですが、この十五分間の間では官房長官に対する質問はございません。申しわけございません。主に公安委員長の方に質問させていただきたいというふうに思っております。

 きょうは子供の安全という質疑になるわけですけれども、その中で、警察官の皆さんは、日夜本当に努力をされております。新聞の記事にならない日常の警備あるいは警察活動の中で、さまざまな人命を救助したり、そういった事例は枚挙にいとまがないわけですし、そういった警察官の皆様には大変敬意を表したいというふうに私は思っておるわけですが、一方で、きょう取り上げますのは、皆さんにもぜひ聞いていただきたい事例の一つであります。

 実は昨年の後半、さまざまな事件、事故がございまして、福岡県の豊前市というところで交通事故がございました。このときに、実は警察官が現場にいち早く到着をしたわけなんですが、その警察官が、その被害者というか負傷者の意識を確認し、かつ脈を調べたけれども、その後に、本来、救急救命では基礎の基礎とされる気道の確保ということをしないまま、現場の整理あるいは加害者の身柄の確保、これまた確かに重要なんですが、そちらの方に力を注いでしまった。結果と言っていいのかどうかわかりませんが、この事故では交通死亡事故という形になりまして、救助をしたことによって人命が救われたかどうかはわからないというところはつくわけですが、しかし、警察官の救急救命能力ということについて、あるいは危機管理対応ということについて、実は地元でも大きく報じられていた、そういう事態がございました。

 そしてまた、同じく北九州市の方では、七十歳の男性が自宅で倒れ意識不明になっているのを妻が発見した、とっさに一一〇番をしたが、到着した警察官は、妻への事情聴取と救急車の出動要請をしたのみで、人工呼吸や心臓マッサージなど救命措置は一切しなかった、これまたこういった事例がございまして、残念ながら、救急車が到着するまで六分以上かかり、男性は病院に搬送されたが死亡したという結果になっております。

 よく、心停止から何も処置を施さなければ三分間で半数は死に至ってしまうというふうにも言われているわけでして、そういった意味では、現場にいる一般市民も含めて、現場に到着した者、現場に存在する者がいち早くその被害者、負傷者を救命する、処置をする、対応するということが大変重要だということは、これはだれの目から見ても私は明らかだというふうに思っておりますし、その中でも、やはり職務としてこういった立場にある警察官、現場の、まさにその被害者にも近寄って、交通整理も含めて現場の整理をできる警察官にはこういった能力は求められている、不可欠なものだと私は思っておりますが、そういった中で、今、この警察官の救急救命ということについてどうも余り力が入れられていないんじゃないのかなということを感じざるを得ません。

 公安委員長、警察における救急救命の能力の育成、これについて、どうなっているか現状をお答えいただきたいと思います。

沓掛国務大臣 被害者の救命措置というのは、一刻を争う大変重要なことでもございます。そこで、警察官がどの程度の救命的な技術、そういうものを持っているかということも大変重要なことではございますが、まず、警察官は、その職務の性質上、事件、事故の現場に最初に駆けつける機会が多いことでもあり、当然、一義的な救命措置を講じることができるように、警察学校において基礎的な救急法の教育、約四十時間でございますが、教育を実施しているものと承知しております。

 また、各都道府県警察におきましては、警察学校を卒業した警察官に対して、勤務しているその所属等の場所において、救急法に関する部内の検定に合格した指導者やあるいは部外の専門家による講習も行っているところであります。

 そういうふうにしながら警察官の救命措置に関する教育を継続実施しているというのが現状でございます。

泉委員 そういう現状があるんですが、この事故を機会に、ある新聞社が全国の都道府県警に調査をいたしました。そうしますと、いろいろな御回答があったわけです。確かに、今委員長おっしゃったような取り組みをされているところがほとんどなんですが、実は、それでは足りないという認識を私は持っております。

 どんな答えがあったかというと、まず、警察官の任務の第一は事件、事故の被害拡大を防ぐことにある、人命救助の訓練はしているが、組織として救急法の取得を徹底するのはおかしいとした県警本部もあった。救急法の取得というのは資格、赤十字ですとか消防から資格を取得するというところまで徹底はできないというようなお答えだったり、あるいは、警察学校で当初はやるけれども、一度警察官になってしまえば、基本的にはそれは各署、各都道府県警に完全にゆだねられていて、どこでいつどんな研修を受けたかということについてはそれ以降全く報告する義務もないという県警がほとんど、もうほぼ半数以上ですね、八割方そういった状況になっているという状況でございます。

 こういった状況でありますと、その資質というものが、当初は学校の方でしっかりと学んでも、もちろん知識ですからどんどんこれは忘れるわけですね、そしてまた現場で役に立たなくなってしまうケースもあるということで、まず一つお伺いをしたいのは、警察官の職務、責務の中において、この人命救助というものは一義的なものだ、それとも、やはり警察官の第一の任務は、事件、事故の被害拡大を防ぐ、あるいは捜査をする、そういったことが一番なのか、それをぜひ、委員長、お聞かせください。

沓掛国務大臣 何としても警察官の第一の任務は、国民の生命、身体、財産を守ることがこれは一番でございます。そういう中で、犯罪、そういうものを防止していくということが警察官の基本的な職務というふうに考えております。

泉委員 そうしますと、先ほど福岡の交通事故の件を言いましたが、こういった場合においては、やはり人命救助を第一優先をし、かつ、事件の捜査に資するために行動するということが警察官のスタンスという考えでよろしいでしょうか。

沓掛国務大臣 まず、今も御指摘のありましたように、警察官としては、そういう人命、財産を守るための、特に生命を守るためには、ある程度そういう被害者に対する対応をするための技術が必要でございますが、これは警察官二十四万人いるわけでございまして、今申しましたように、一応四十時間という基本的な教育はしておりますが、全体としての水準というのは必ずしもそんなに高いわけではございませんし、救急救命士の資格を取るようなためには、これは二年ほど教育を受け、さらにいろいろな研修なども必要で、その上で国家試験に合格するというようなかなりの高い技術を要求するものでもございます。

 そこで、警察官としては、まず、そういう場合においては一一九番に通報いたしまして、救急隊の派遣を要請し、そこにおいて救急救命士等の資格のある方に対応していただくというのがまず一つの方法であり、十分そこに、どういう状態であるかにも非常によるんだと思いますが、生命に関するようなことでありますと、また何かを間違ったというか、反対のことをすればまたいろいろな問題もあるので、そういう状況も勘案しながら、一番最善の方法は何かを考えながら対応しているものというふうに承知いたしております。

泉委員 どうですかね、これはちょっとまずいんじゃないのかなというふうに私は思いますよ。委員長、ここは今回初めて指摘する問題でしょうから、ぜひ勉強していただきたいんですが、まず一つ、私はまだ救急救命士の話はしておりません、この後にしようと思っていた話ですが。

 そうではなくても、今おっしゃったように、もし、救急隊に要請をする、それはいいでしょう、それは当たり前のことです。しかし、それを待っているような状況であれば、やはり人の生命というのは、特に何か事態の変化、状況の変化が起こってからすぐに対応することというのが、これは人命救助あるいは後遺症を残さないために非常に重要なんですね。そう考えると、待ってはおられないんです。もしも、今おっしゃったように、何か間違いが起こったら困るから警察官がやらないなんということだったら、これは警察官の職務として私は大間違いだと思います。そこはぜひ今言ったことを改めていただきたいと思います。

 時間がありませんから具体的なことを話しますけれども、例えば警察官の訓令というのがございます。昭和二十九年にこの警察官の訓令というのがあるわけですけれども、「逮捕術、けん銃操法及び救急法は、警察官の職務を適正に遂行するために必要な技能であり、」ということが書いてあります。

 ですから、逮捕術、けん銃操法と同等にこの救急法というものが本来並んでいて扱われているわけですね。それは、先ほどおっしゃられたように、警察法の二条で、警察官はまず個人の生命財産を保護するというところからこれがきているわけです。

 では、委員長にお伺いしたいんですが、剣道大会、けん銃大会、これは全国都道府県警やっていますね。救助大会、救助技能大会、これは聞いたことございますか。

沓掛国務大臣 災害救助対策の中でいろいろな訓練等もやっているということでございます。

 確かに、先ほど申し上げましたのは、先ほど実例をお挙げになりましたので、そのことで申し上げたんですが、警察官自体がいろいろな現場で人命救助のために貢献したという例はたくさんあるわけでございまして、私の石川県のところにおきましても、ある程度意識を失っている、そういう状態の人に対して警察官が対応するとか、いろいろなことはもちろんやっているので、先ほど申し上げた例は、先ほどの委員の例が挙げられましたので、それに対するところを申し上げたわけです。

 以上でございます。

泉委員 ぜひ全国の都道府県で、やはりこうして本来救急というのは同列の扱いを受けているにもかかわらず、ほとんどこの技能の再教育というものが行われておりません。

 私がなぜこういうことを言うかといいますと、私は、実は赤十字の救急員の養成講習を受けて、一時期指導員の資格もいただいておりました。しかし、これは三年間の有効期限がございます。なぜかといえば、当然それを引き続き訓練を行っていかなければ、最新の技術もわからないし、知識はどんどん失われていく一方なんですね。だからこそ三年間という期限がある。

 しかし、残念ながら、警察学校の方は一度学べば基本的にはそこで終わりという警察官がほとんどでございます。ですから、例えば、現場で警らをしていた、何か事件、事故が起こった、そのときには、もう対応しようにも受けたのは何十年前だし、そんな現場の警察官の方がたくさんおられるというのが現実なんです。やはりこれは私は変えられる話だなというふうに思うわけですね。

 ですから、今、各都道府県で独自に取り組みをされておられると思いますということで推測の域を脱し得ないような状況では、実際に助けられている事例を私もたくさん知っているんですよ、ですから、一番最初に申し上げた、そういう方々には敬意を表したいけれども、やはり、警察官の責務として一番最初に出てくるのが救急救命、これも同列であり、そして、またその技能は全国の警察官がいつどこでも発揮できるような状況でなければならない、これが私の提案であり要望でございます。

 ですから、ぜひこの講習については、特に外部との交流ということも大切だと思いますので、消防庁やあるいは赤十字と連携をして、各都道府県の訓練についてさらに徹底をしていただきたいというふうに思っております。そしてまた、一度だけの教育ではなく、二度、三度とこの教育をしていただけるようにお願いをしたいと思います。

 最後になりますが、ちょうど国会が閉会をしてしまいましたので、その直後でしたけれども、京都でサミットが行われまして、約五千八百人の警察官の皆さんが近隣からも含めて集まって警備をされました。その警備も本当に滞りなく終わりまして、非常に一生懸命、京都府警並びに近隣都道府県警の皆さんが頑張ってくださいました。そういった皆さんが、やはり一度、二度大きな問題があって信頼を落としてしまったりすることがあるかもしれないと考えると、私はやはり胸が痛む思いです。

 そういった意味からも、やはり目の前で救助ができないというような警察官がいれば、それは警察官にもとる行為だというぐらいの認識を持って、ぜひこの救急救命についてはこれから取り組んでいただきたいということを要望して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 幼い子供が誘拐、殺害されるという重大事件が相次ぎました。再びこうした痛ましい事件を起こさないために、地域、住民それぞれが必死に取り組んでおられるところでございますけれども、私は、行政がやはり本腰を入れなければならないというふうに思います。

 まず最初に、栃木県今市市の大沢小学校一年生の吉田有希ちゃん殺害事件が起きて一カ月半以上が経過しました。警察は正月も返上で捜査に当たっているようでございますけれども、先ほど捜査状況についてはお伺いいたしましたが、ぜひ、犯人逮捕に向けて、国家公安委員長として、特にどういう決意で取り組んでいかれるかという御決意を伺っておきたいと思います。

沓掛国務大臣 ただいま委員から御指摘のありました今市市の女児殺害事件は、昨年の十二月一日に発生したものでございまして、それ以来、栃木県及び遺体が発見されました茨城県両県におきまして、合わせて約三百名の合同捜査本部を設置いたしまして、全力を挙げて捜査しているところでもございます。何としても検挙をすべく、今、警察としても最大の課題として取り組んでおるところでございます。

石井(郁)委員 極めて残忍な事件でございました。子供も、また保護者も、そして地域の方々も不安の中で新年を迎えられたというふうに思うんですね。早期逮捕に向けて、本当に全力を挙げて取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 さて、その安全確保でございますけれども、その今市市では、今市市の児童生徒の安全確保対策本部、十二月十四日につくられた今市市児童生徒の安全確保のための対応ということで、二十一項目、安全策が発表されております。安全安心パトロールの組織の拡大等々ございますけれども、ここでも、これまで議論になっておりますように、スクールガードリーダーの設置にも力を入れている、百六十九の中学校区のうち四十校区設置されている、あと百二十九校区の設置も目指していると。また、学校安全ボランティアの方々もふえているというふうにも伺っています。

 私は、これはこれで大事なことだというふうに思うんですが、今聞いていることの一つには、スクールガードあるいはボランティアでの対応というのは、安全確保は緊急のときには対応できても、長期的、恒常的に行うのはやはり大変だ、このままでいけるのかという声も上がっているようでございます。地域によっては、本当に人材、いろいろ不足しているところもあるでしょうし、また、ボランティアの方々というのはやはり高齢の方が多くなっていらっしゃるということもございます。また、家庭に女性がいるとは限らないということもございます。だから、地域の協力というだけでは、やはり私は恒常的にやっていくのは難しいんじゃないかというふうに思うわけですね。

 ですから、スクールガード、ボランティアなどで対応できないというところについては、先ほど来出ておりますスクールバス、こういう運行というのはやはり考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思うわけです。スクールバスの運行、配置ということを検討すべきだと思いますが、これは文部省、いかがでございますか。

馳副大臣 児童生徒の登下校時においてスクールバスを活用するということは、安全を確保する上で極めて有効な手段であることも理解しておりますし、昨年十二月の緊急対策時に、その一つとして検討すべしということで、今も関係省庁と連絡しております。

 基本的なスクールバスは、設置者である市町村が自主的に判断して導入するかどうか、また、文部科学省としては、僻地等で導入についての国としての補助を行っているところでありますので、こういう現状を踏まえながら、また、自主的に地方自治体の方で対応いただくということが必要かと思っております。

石井(郁)委員 大変前向きに御答弁いただきました。

 しかし、これは政府の方での犯罪から子どもを守るための対策、これも先ほど来出ておりますけれども、昨年末、十二月二十日にまとめられましたけれども、そこには路線バスの活用という形で考えられているということが出ているんですね。今、馳副大臣の御答弁というのは、その路線バスの活用以外にも、いわばスクールバスということで自治体が導入することもあっていいというふうにお考えでしょうか。

 そうですね、官房ですから、ぜひお願いします。

安倍国務大臣 スクールバスの認識については今馳副大臣から答弁させていただいたとおりであります。しっかりとこのスクールバスを導入していく、それは基本的には各地方自治体が判断するものでございます。僻地においては国が購入費の補助を行っているということでございます。

 昨年十二月に政府が取りまとめました犯罪から子どもを守るための対策において、現在の喫緊の課題として、登下校時の児童の安全確保のための緊急対策六項目の一つに、路線バスを活用した通学時の安全確保を掲げております。現在、地域の路線バスを登下校時にスクールバスとして活用する方策について、各省庁がその実現のため検討を進めているところでありまして、このような新しい方策を提示することによって、各自治体のスクールバスの導入についての積極的な取り組みを推進していきたい、こういうことでございますが、この路線バスを活用することだけということではなくて、より選択肢をふやしていく、いろいろな方法があるという中の一つとしてこの路線バスの活用、こういうことでございます。

石井(郁)委員 私は、そういう御答弁を伺って、やはり政府として選択肢を広げて取り組んでいらっしゃるということで、大変心強く思いました。犯罪から子どもを守るための対策、この言葉だけを見ておりますと、路線バスの活用というだけが出ておりますから、何かそれに限定されるんじゃないかという心配があったものですから、そうではないということの確認だと思うんですね。

 だから、今までは僻地のスクールバスだったけれども、安全確保のためのスクールバスということを、やはり購入してもいい、自治体が取り組んでもいいと。ただ問題は、そのためには、僻地で取り組まれているスクールバスと同様に、やはり国としての補助、予算措置をするということはいかがでございますか。

安倍国務大臣 最初に申し上げましたように、基本的には地方自治体で取り組んでいくということでございまして、僻地について補助をする、こういう仕組みになっている中において、この路線バスも活用できるというアイデアを出したところでございますが、しかし、この子供を守ることにおいてスクールバスが極めて有用という観点から、しっかりと自治体にも検討してもらいたい、こう考えているところであります。

石井(郁)委員 しかし、自治体で既に導入している、運行されているというところもありますが、今のところはやはり自治体負担になるわけでしょう。それから、当然それがまた保護者負担にもなるということでありますので、これはやはり、安全確保のために新たな保護者負担になる、保護者に負担をかけるということであってはいけないと思うんですね。

 私は、自治体が導入するのはよろしいというところまではあるんですが、問題は、やはりそれは大変お金のかかることですから、そのためにも国としての補助ということは一定考えます、積極的に取り組みますという姿勢は、この際、そこまで踏み切られたわけですから、ぜひお示しいただきたいと思いますが、再度、官房長官、いかがでございますか。

安倍国務大臣 私どもといたしましても、しっかりと子供たちを犯罪から守りたい、その強い意思を持って対策を立てているところでありまして、その中で、このスクールバスについては、これは効果があるのではないか、こういうことでありまして、その観点から、しっかりと地方自治体にも取り組んでいただく。また、この仕組み自体が、基本的には地方自治体が責任を持って取り組んでいく、僻地においては補助をしていく、こういう中で、なるべく導入しやすいような仕組みとして路線バスの活用ということを提案させていただいているところでございますが、いずれにいたしましても、しっかりと地方自治体等々と連携を図りながら、協力をして、子供たちを、児童を犯罪から守っていきたい、こう考えています。

石井(郁)委員 私は、僻地で行われているスクールバスと同様に、やはり政府としての予算措置をすべきだというふうに強く、これは要望というかしておきたいと思います。

 次の問題なんですが、やはり学校の周辺で、あるいは学校内外で事件が起きる。つまり、学校がねらわれているということがあるわけですね。だから、学校として安全対策を講じるためには、例えば警備員なんかをふやさなきゃいけないということで取り組んでいる自治体もあると思うんです。

 私は、いろいろ監視カメラ等々の機器もありますけれども、やはり人に見守られて、人の目で子供たちが守られていくということが大事だと思うんですね。そういう意味で、警備員の配置などというのは大変にやはりこれも大事な施策だというふうに思うんです。

 そこで、ちょっと文科省に伺いたいんですけれども、大阪府やさいたま市などでは、これを実施して大変喜ばれている。大阪では寝屋川のああいう事件などもございましたので、喜ばれていると聞いていますけれども、自治体単独でこれはどのぐらい配置されているんでしょうか。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年公表いたしました学校の安全管理の取り組み状況に関する調査によりますと、これは平成十六年三月でございますけれども、小学校におきましては五・九%、中学校においては八・四%の学校で警備員、これは夜間警備とかボランティアを除いておりますけれども、このような配置を行っているところでございます。

 ここ一年以内に、先生お話しのように、市全体、区全体で取り組みというものが進められたところがあるわけでございますので、この数字は現時点ではまた上がっていると思いますけれども、この調査につきましては、現在、また集計しているところでございます。

石井(郁)委員 私は、こうした配置も、自治体あるいは各学校での要望が大変強い部分だというふうに思います。ですから、この点でも国の補助ということはないわけですよね、予算措置が。私は、ぜひ予算措置を警備員の配置についても行うべきだというふうに思います。

 この点ではどうですか。副大臣の御決意、いかがでございましょうか。副大臣に伺いたいと思います。

馳副大臣 極めて重要な指摘であると思います。やはり教職員が授業に専念したい、また、学校の、いわゆるクラス経営とか所管することについての職務に専念したいといったときに、あれもこれも教職員がやれ、これはやはり確かに大変なんですよ。

 そうしたとき、自治体の方であるいは地域の方で校舎内に常駐して子供たちを見守っている例もありますし、また、今局長から答弁しましたように、警備員が常駐しているということもありますし、また、折に触れて地域の警察官に見守りをしていただいてと、いろいろな事例があります。

 そんな中で、よりよい、よりベストな、子供たちにとっての警備のあり方、学校内、周辺の安全の守り方、あるいは不審者への対応ということを考えた上での最終的な一つの選択肢になるんじゃないかなというふうに思っております。今後の一つの課題として検討させていただきたいと思います。

石井(郁)委員 もう時間が参りましたけれども、子供の命を守る、子供の安全確保という点では、政府、私たちも一体となって、あらゆる知恵を傾けて取り組まなければいけないと思いますが、その点で、私はきょうは本当に限られた質問しかできませんでした、スクールバスや警備員の話しかできませんでしたけれども、ぜひ子供の安全対策予算を大幅にふやして、やはり政府の姿勢として、この問題に真剣に、また喫緊の課題として取り組んでいるということを示していただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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