衆議院

メインへスキップ



第5号 平成18年11月8日(水曜日)

会議録本文へ
平成十八年十一月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    石崎  岳君

      岡下 信子君    木原 誠二君

      篠田 陽介君    谷本 龍哉君

      寺田  稔君    土井  亨君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      馳   浩君    林田  彪君

      松浪 健太君    村上誠一郎君

      山本ともひろ君    市村浩一郎君

      枝野 幸男君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    小宮山洋子君

      佐々木隆博君    仲野 博子君

      森本 哲生君    横光 克彦君

      渡辺  周君    丸谷 佳織君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         佐田玄一郎君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   総務副大臣        大野 松茂君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門山 泰明君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房タウンミーティング担当室長)   谷口 隆司君

   政府参考人

   (内閣府「道州制特区」推進担当室長)       山崎 史郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           御園慎一郎君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  遠藤 宣彦君     西本 勝子君

  嘉数 知賢君     馳   浩君

  木原 誠二君     山本ともひろ君

  土井  亨君     石崎  岳君

  市村浩一郎君     仲野 博子君

  小宮山洋子君     枝野 幸男君

  石井 啓一君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     遠藤 宣彦君

  馳   浩君     篠田 陽介君

  山本ともひろ君    木原 誠二君

  枝野 幸男君     逢坂 誠二君

  仲野 博子君     市村浩一郎君

  丸谷 佳織君     石井 啓一君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     嘉数 知賢君

  逢坂 誠二君     森本 哲生君

同日

 辞任         補欠選任

  森本 哲生君     小宮山洋子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第九〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、内閣提出、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十日金曜日午前十時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査の参考に資するため、来る十三日月曜日、北海道に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官門山泰明君、内閣府大臣官房タウンミーティング担当室長谷口隆司君、「道州制特区」推進担当室長山崎史郎君、総務省自治行政局長藤井昭夫君及び厚生労働省大臣官房審議官御園慎一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日、当内閣委員会におきまして、本法案について質疑のお時間をちょうだいいたしましたことを心から感謝申し上げます。

 質疑に入る前に、冒頭、昨日、北海道佐呂間町で発生をいたしました竜巻の被害によりまして亡くなられました九名の方とその御家族に対しまして心より哀悼の意を表すとともに、重軽傷を負われていらっしゃいます二十三名の皆様の一日も早い御回復を心より御祈念させていただきたいと思います。

 政府として、昨日、早速、溝手防災担当大臣を団長にしまして現地調査団を派遣していただいておりますし、関係省庁とともに迅速な対応に当たっていただいているところでございますけれども、今後も政府一丸となりました強力な支援を行うように、佐田大臣にも、改めて政府の一員にお願いをさせていただきたいと思います。

 さて、本法案でございますけれども、先日行われました当委員会での質疑の議事録もしっかり読ませていただきました。もう論点も明確になっているものというふうに思います。

 本日質問させていただく内容、若干先日の内容と重なるところがあるかもしれませんけれども、公明党としましても確認をさせていただきたい点がございますので、御答弁のほどをよろしくお願い申し上げます。

 我が党としましては、昨年、党内に道州制に関しますプロジェクトチームを設置いたしまして以来、この法案の審議、提案に至るまで慎重な議論を重ねてまいりました。

 本法案は、特に北海道をモデルとして設定をされております。そのほか一定の要件を満たす広域地域となっておりますけれども、特に北海道ということを考えますと、この北海道の自立的な発展に資する第一歩になる法案としまして、高く評価するとともに、早期の成立を願っているところでございます。

 少子高齢化によりまして、地方の過疎化、また大都市への人口集中化が進んでいる我が国において、各地域が特徴を十分に生かして、そして力強い発展を遂げていくためには、中央が全国を平均化して予算配分をしたりあるいは政策を決めていくというやり方ではなく、地域発のアイデアを十分に評価し実現できるという地域主権システムが大事であると考えております。

 北海道の現状を申し上げさせていただきますと、人口減少が加速的に進んでおります。平成十二年の国勢調査ですと五百六十八万三千六十二人の人口でございましたが、平成十七年の調査では五百六十二万七千四百二十二人と、五年間で約一%の人口の減少でございます。今後、二十五年後を考えてみますと、四百七十七万人という、実に八十六万人の減少を見込んでいる地域でございますし、また道経済は、大臣も御存じのとおり、いまだ停滞しているという状況の中で、本法案がこれからの北海道の発展に与える影響、期待値というのは高いものがございます。

 大臣御自身は、北の学びやで、北海道大学で四年間を過ごされたというふうにお伺いしております。北海道の現状を十分に御存じだと思われますけれども、この法案、特に北海道に与える影響について大臣はどのように御所見を持っていらっしゃるか、この点からお伺いをさせていただきます。

佐田国務大臣 答弁に際しまして、今もお話がありましたように、私もびっくりいたしましたけれども、きのう、佐呂間町の大変な竜巻の中におきましてお亡くなりになった方々、心から御冥福を申し上げるとともに、けがをされた方々に対しましては、早い御治癒を心から願うものでございます。

 内閣府といたしましても、担当大臣にすぐに行っていただき、これからの対応をしっかりとやっていきたい、かように思っているわけでございます。

 さて、答弁をさせていただくわけでありますけれども、丸谷先生言われましたように、産業が停滞をし、そしてまた人口減少が進んでおるということは、私も、北海道を愛する者の一人として、また、昔、道民の皆様方に大変お世話になったということもかんがみて、大変寂しく感じておるわけでございます。

 そういう中におきまして、市町村の合併やら、都道府県を越えて広域的な取り組みをなしていくということが非常に重視をされておるわけでございます。

 このような状況の中で、我が国が引き続き発展するためには、さまざまな機能や資源を有している広域の地方ごとのそれらを有効かつ適切に組み合わせて一体的に活用するということにより、各地方が自立的発展をしていくということが重要になってくるわけでありまして、このために、現行の都道府県制を前提としつつ、将来の道州制導入に対する国民的議論の深まりやその検討に資するために、北海道地方または自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる一体とした地域の区域をその区域に含む都道府県を特定広域団体と位置づけ、その区域において広域行政を推進することにより、地方分権の推進と行政の効率化に資するとともに、地方の自立的発展に寄与することが本法案の意義でありまして、これを伸ばすことによって今後の効率のいい行政改革、地方分権を行っていきたい、かように思っております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 大臣今御答弁いただきましたように、各広域特定地域ということで、北海道は、そのモデルケースとしてはこの法案の実施に当たっては当然非常に最適の場所でございます。この法律が成立をすることによって、北海道の独自性をつくり出すための大きな一歩を踏み出すことができるというふうに考えておりますし、特に、北海道という一つのブロックにおける経済戦略あるいは国際戦略というものを非常に練りやすくなっていくのではないかというふうに考えております。

 北海道というところでは、やはり北方圏の玄関であるという部分も非常に大きいことから、ロシアそれから中国、また、先日は日中韓観光担当大臣会議が北海道で行われましたけれども、こういった北海道ならではの特色を生かすために、ぜひ、この法律の一日も早い成立を望むところでございます。

 続きまして、そもそも論になってしまって恐縮でございますけれども、道州制の議論を進めていく中におきまして、広域自治体の役割というのを政府はどのように考えていらっしゃるのか、この点をお伺いしたいと思います。

 基礎自治体を包括します広域自治体の役割について、国との関係、権限というのは現時点でどのようにお考えになっているのか、この点はいかがでしょうか。

佐田国務大臣 先生が今言われたように、北海道というのは非常に特殊で、オホーツク海があり、国際性が豊かですし、そういう意味においては、自然を愛して、非常に北海道の特殊性、昔、内村鑑三という方がおられまして、御存じですか、国際的なかけ橋になってキリスト教を中心にやられた方、この方が北海道を去るときに、私は学問に育てられたのではなくて北海道の自然に育てられた、それほどまでに特殊性があり、代表的な地域であるというふうに思っております。

 道州制の導入に当たりましては、国、地方の双方の政府のあり方が再構築されまして、国の役割を本来果たすべきものに重点化して、内政に関しては広く地方公共団体が担うことを基本とする新しい政府像が確立されるものと考えておるところであります。

 その際に、広域自治体である道州は、まず、圏域を単位とする主要な社会資本形成の計画及び実施ということをやりまして、広域的な見地から行うべき環境保全または管理を行う、また、人や企業の活動圏や経済圏に応じた地域経済政策及び雇用政策などの広域事務を行っていく、これ以上にもいろいろあるわけでありますけれども、この法案を通して広く広げていきたい、かように思っております。

丸谷委員 内村鑑三は、私も授業でしっかり習いまして覚えております。

 本当に自然が人を育てる北海道でございますけれども、そういった意味においても、今回の北海道をモデルとしました本法案を審議するに当たって、いろいろな、賛否両論あるのも承知しております。マスコミ報道によりまして賛否両論の意見も聞いておりますし、これは北海道だけの法案なので余り興味がないという声も聞いておりますが、私はそうではないというふうに考えております。

 一つ、本法案の定義の中に、北海道または自然とか経済とか一定の結びつきの強い地域、地方、三つ以上の県の地域という形で本法案が適用される地域を定義されているところでございますけれども、北海道以外でこういった特措法のできたことによって適用を考えている地域というのが今あるのかどうか、どういった声が上がってきているのか、この点についてお伺いをさせていただきます。

林副大臣 ありがとうございます。

 北海道以外でどういう動きがあるのかということでございますが、まずは現時点で北海道が道州制特別区域の対象になると思いますけれども、例えば九州ですとか、私の下関のすぐ近くでございますが、九州府構想というのが九州市長会から既に出ておりまして、十年をめどに道州制実現を目指すというような報告書を出されておるところでございますし、また、中部でもいろいろな報告書を経済団体の方が出されていらっしゃる。関西でもあるというお声もあるようでございますし、それぞれのところでいろいろな御検討はされておられるわけでございまして、こういうことも受けて、将来的には道州制の特別区域という法律に書いておりますものの要件を満たす地域が出てくるということを考えております。

 新しい特定広域団体となり得る都道府県が出てきた場合には、その都道府県の要請に基づきまして、この法案に定めた要件に該当するかどうかというのを判断いたしまして政令で指定をしていく、こういうことになると考えております。

丸谷委員 その際には、例えば、実際には北海道で行ってみて、その様子を見ながら、特区というのは非常に我が地域にとって資するものがあるといった際に、今いろいろな声が上がっている地域において前向きな検討がされるとします。そうした場合、その声を国に上げていただくというシステムになるんでしょうか。どこがどのように受けとめ、推進本部で検討されるということになって認定をされるという手続を踏むんでしょうか。そういった各地域の今後の声を受けとめる仕組みというのはどういうふうになりますか。

林副大臣 ちょっとはしょりましたけれども、先生おっしゃるように、ほかの地域から出てくる場合というのは、この法律に従って特定広域団体というものになっていただくわけでございます。それで、申請があれば、条件を満たされていれば、北海道に続いて政令で追加の指定をしていく、こういう流れになりますし、冒頭でちょっとおっしゃった、北海道でいろいろやって出てきた知見というのは、今度は、北海道は既にこの法律を通していただきますと道州制の対象になりますので、そこからの変更提案というのは別途の手続で、ここからこういうことをやっていただきたいというのが出てくる、こういう流れになっております。

丸谷委員 報道をいろいろ読んでみますと、先ほど副大臣もおっしゃいました、今後の道州制についていろいろと検討している地域の中で北東北三県、こういうところがあるようでございますけれども、岩手県の増田知事の御発言でございますが、本法案については、権限移譲の中身によっては三県合併の誘因になる可能性はあるという御発言もされているようでございます。

 また、関西州の実現を目指していらっしゃいます、特に経済団体の皆様からは、北海道が本法案によって継続的に権限移譲をどのように積み重ねていくことができるのか、これを目に見える形で具体的な成果を出してほしいということについて、この法案が北海道の独立的、自立的発展に実際にどう寄与していったのか、地域の声がどのように反映されていったのか、この結果を早く見たいという声が非常に大きいと思います。

 その意味において、今後、この法案の中にもございます、特定広域団体は、市町村の意見を聞いた上で、議会の議決を経て、内閣総理大臣に対し基本方針の変更についての提案をすることができるという条文がございますけれども、道からの権限移譲、制度への変更提案に対して、今まで以上に積極的に真摯に政府に対応していただきたいというふうに考えております。

 今後の道からの提案に対する政府の対応方針、こういった提案が出た場合に当然前向きなお取り組みをしていただけるものと思いますが、この点を確認させていただきます。

林副大臣 先生のおっしゃること、大変大事な点であるというふうに我々も認識しておりまして、御指摘の提案については、法案の六条で、特定広域団体は、広域行政の推進に関して、内閣総理大臣に対し、この計画の実施を通じて得られた知見に基づき、変更についての提案をすることができるというふうに定めておるところでございまして、基本方針の変更という形で内閣総理大臣にこの条文に基づいて提案をするという仕組みになっておるわけでございます。

 この変更の提案につきましては、内閣総理大臣を本部長といたしまして、すべての国務大臣に本部員になっていただきます道州制特別区域推進本部について検討するというふうになっておりまして、大臣からも前回御答弁があったように、この趣旨を十分に尊重して前向きに提案を生かしていきたいというふうに考えておるところでございます。

丸谷委員 先ほど、賛否両論あるようでございますということも申し上げましたけれども、しっかりとこの法案の内容を知っていただいて賛成か反対かということが非常に重要なんですが、一般紙のアンケートの結果を見てみますと、よくわからないという声も非常に多いんですね。よくわからないことによる意見を出せないという状況では、これはいけないんだと思います。

 ただ、そこに至るまでにいろいろな努力も当然されているんだというふうに承知をしておりますので、次にお伺いをいたしますが、今回の法案は、国と広域団体、特に北海道との権限移譲ですとか規制緩和を行えばよいという法案ではなく、地域の特性を踏まえた住民サービスを行っていこうということが本法案の大前提としてあるんだと思います。

 その目標を達成するためには、地域住民とともにつくり上げていくという魂が重要でございまして、道民意思の把握、集約というのが非常に重要だと思いますが、今まで政府はどのように取り組まれ、今後取り組んでいかれようとするのか、この点はいかがでしょうか。

佐田国務大臣 先生、今までにあらゆる、北海道からも、知事からも、または市長会の会長さん、これは登別の方ですけれども、登別の市長さん、それと議長会の会長さん、これは札幌市の議長、大越さんという方、または乙部町の町長さんも町村会長ということで来られております。由仁町の川股議長さんも議長会の会長ということで来られております。また、それだけではなくて、私のところには東北そしてまた関西、九州の知事会の会長も来られておりますし、そういう意味におきましては、地方自治体並びに経済界の方々が相当に関心を持たれて、そしてそれにこたえて施行説明をさせていただいております。

 また、今先生が言われたことは非常に重要なことで、あえてお答えをさせていただくんですけれども、まず政府が推進本部で基本方針をつくるときには、とりあえず今回は北海道知事さんに参与として関与していただいて、北海道に合った基本方針をつくらせていただきます。それを北海道に行った場合には推進計画として実施する、その実施の方向性については本部にまた報告をいたします。

 要するに、その実施計画については、市町村の意見を聞く、そして道民の意見を聞きます。そして、最終的には議会の同意を得ます。そして、それを実施して、これはいい、これは悪いということが決まった時点で、もう一度基本方針の変更を行います。

 この変更というのは、具体的に申し上げますと、もっといろいろな規制緩和をした方がいいんじゃないか、もっと税源、財源の移譲をした方がいいんじゃないか、こういう提案がなされたときには、またいろいろな道民の皆さん方の意見を聞いたり、市町村の意見を聞いたり、最終的には議会で議決をして、そして道民のいろいろな意見を聞きながら変更をしていく。こういうことですから、言うなれば、本当に道民の皆さん方の意見を中心として、規制改革、そしてまた税源移譲、権限移譲、こういうことを行っていくということですので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

丸谷委員 ぜひそのようにお願いいたします。

 よくわからないという答えが多いのはよくないというふうに申し上げましたけれども、これが当然すべて政府の責任だと私は考えません。

 やはり知ろうとする努力も当然道民に求められるものというふうに考えておりますし、また、市町村会あるいは道議会の中でも真摯な議論はされているようでございますけれども、各地域レベルでの道民への注意喚起とか議論の提起というものも今後なされるように、私も北海道の一員として各団体の皆様と連携をとりながら進めてまいりたいというふうに考えております。

 今、大臣の方から、そういった道民、国民の声をしっかりとこの法案の実施に当たって反映させていくために、推進本部の役割についてお話をいただきましたので、推進本部の運営について次に質問をさせていただきたいと思います。

 この道州制特区推進本部は、内閣総理大臣が本部長になられまして、すべての国務大臣が本部員でございます。政令によって参与を置くことができまして、それは北海道知事ということ、参画するというふうになっておりますけれども、現在の北海道知事以外にも参与となられる方について検討をされている状況なのでしょうか。この点はいかがでしょうか。

佐田国務大臣 それは本部を開くことによってまた検討を進めていきたいと思いますけれども、例えば先ほど副大臣の方から答弁をさせていただきましたけれども、新たな、例えば三県以上が合併をして、申請して国会で承認をされた場合は、これは特定広域団体に新たになるわけですから、そういう中におきましては、これはまた政令で定められまして、本部においてはその意思が反映できるような方を、どういう立場になるかわかりませんけれども、入れていく、そして意見が反映できるようにしていく、こういうことでございます。

丸谷委員 全国知事会の代表の方も参与として参加したい旨の御発言もあるようですけれども、では、この点について今どのようにお考えになっているでしょうか。全国知事会との具体的な協議等をしていく御予定がおありなのかどうか、この点についてお伺いします。

佐田国務大臣 全国知事会のそういうお話も聞いております。それだけやはりこの道州制に対して、私もびっくりしたんですけれども、非常に皆さん関心があって、そして研究をもう既にされておる、こういうことであります。

 それともう一つは、先ほども申し上げましたとおり、この法案の一番の重要なところというのは、地方の意見を聞いていくということなんです。

 そして、最終的に、例えば北海道には北海道の地方分権、言うなれば権限移譲、こういうものをした方がいいとか、例えば予算ではこういうふうにした方がいいとか、いろいろな意見があると思うんですね。それを一番知っておるのはやはり道民の皆さん方でありますから、そういう意味におきましては、近畿地方ではこういうふうな税源、財源の移譲をしてほしいとか、権限の移譲をしてほしいとか、九州ではこういうふうにしてほしいとか、全部違うわけでありますから、そういう中において収れんをして、そのためにはやはりそういう方々を入れる検討は進めていかなくてはいけない、こういうことです。

丸谷委員 どうもありがとうございました。

 本日、大臣の御答弁をお伺いして、改めて、本法案の早期成立を目指し、一日も早く北海道で本法案を適用し、自立的な発展のために、次にどのような提案を政府にしていくかということを煮詰めてまいりたいという思いを強くしたわけでございます。

 反対があるというふうに先ほども申し上げておりますけれども、北海道議会の方では全会一致で早期成立に向けての意見書というのが提出をされているところでございますし、その北海道の声を受けとめるということでは、同様にこの国会の場でも、やはり多くの皆様の御賛同をいただいた中で成立させていくべきではないかというふうに考えております。

 しかしながら、不安の声もありまして、主なところでは、国から道へ移譲される事務がごく一部に限られている点が不満である、あるいは、道が国に権限移譲に関して要望することになっているが、その後、きちんと国が実行するかどうかまでは担保がされていないということに対する反対理由、また、道民議論が十分ではなく、道民の合意が得られていないといった点を指摘し、反対をされる方がいらっしゃるわけです。

 例えば、最初の反対意見の国から道へ移譲される事務がごく一部に限られているという点につきましては、大臣も先日の審議の中で御発言をされていましたが、本法案というのは廃藩置県以来の大改革であるということを考えますと、ゼロか一〇〇の結果を求めてはいけない部分もあると私は思います。ゼロか一〇〇を求めてはいけない、一歩でも二歩でも前に進んでいって結果を出そうということが結局は大きな改革につながるものというふうに私は確信をしております。

 また、道民議論が十分ではないということに関しては、先ほど大臣の御答弁にもございましたので、今後も改めてこういった議論を深めていく努力を国また地方そして道民ともどもにしてまいらなければいけません。

 道の要望を国が実行してくれるのかどうか担保されていないということに関しても、大臣の御答弁の中で、しっかりと対応していきますという御答弁をいただいている以上、私は、反対する理由は一つもないというふうな考えを改めて申し上げまして、賛成の意を表し、本日の質問を終わらせていただきます。

 以上でございます。どうもありがとうございました。

河本委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 民主党の枝野でございます。

 まず、本題に入ります前に、ちょっと一点、苦言を呈して見解をお尋ねしておきたいと思うんです。

 きのう、きょうのこの質問についての通告を、内閣府と総務省の官僚の方に事務所に来ていただいて、主務大臣が佐田大臣ですから佐田大臣は御出席されるんでしょうが、総務省に対するお尋ね部分については、お答えされるのが総務省なのか内閣官房なのかはそちらの御判断ですが、政府参考人はだめですよ、ただ、大臣、副大臣、政務官等であれば、政治家であればどなたでも結構ですよということを申し上げて、お帰りになられましたら、土屋政務官が答弁をされますということでうちの事務所の方に御連絡がその後あったんです。

 それは結構なんですが、それを委員部の方にうちから言ってくれというふうに私の事務所は言われました。

 それはおかしいんじゃないのと。こちらは、基本的には総務大臣出てきてくださいという話でありますが、副大臣や政務官でも結構ですということで、では政務官を出させていただきますということなので、ですから、質問者の方の了解も得て政務官が出ますということは総務省の責任で委員部の方にお伝えをするというのが、私は筋というか当然のことだと思っておりました。

 うちの事務所の秘書もその旨をきちっと申し上げて、それは筋が違うんじゃないですかということを申し上げたんですが、いや、そうなっているんだからそっちからやってくれと言うので、やむなくうちから委員部の方に連絡をいたしました。

 筋が明らかに違うと思うんですが、これぐらいのこと、特に国会との担当をされている役所の方に徹底をされていないとはどういうことなんですか。

佐田国務大臣 事情を知らない私が答えるのは大変申しわけないんだけれども、確かに、先生がそういうふうな形で総務省の方を出してくれ、そういうことになってくると、質問通告をしていっていくということになると、先生、多分、国会議員同士の議論をしよう、これは平成十一年に政府委員制度が廃止になったとき以来の当然のことなんですけれども、そういう中で、確かに役所の方が連絡をするというのも基本なんですけれども、実は政務官の方が連絡をするというのもこれは自然なんですよね、政務官は要するに政府と国会との連絡も一つの役目ですから。

 私の言うことが間違っておったら、またよく質問してください。

枝野委員 質問取りを政務官がすべきじゃないかという議論は国対的にいろいろある。その話じゃないんです。質問取りを役所の方がされたのは構わないんです。

 つまり、答弁者がだれであるのか。大臣なのか、副大臣なのか、政務官なのか、政府参考人なのか。政府参考人については、建前として、質問者が政府参考人に来ていただくことをお願いする。だから、政府参考人、これこれこういう局長に来てほしいということを質問者が委員部に通知をする。これは理屈なんですが、大臣なのか、副大臣なのか、政務官なのかということについては、質問者のサイドとしては基本的には大臣なんだけれども、役所の都合で申しわけないけれども政務官です、それは全然構いませんよ、少なくとも今回は構いませんよと。

 こっちは役所の都合で大臣じゃなくて政務官にしてくれというのを頼まれる側が、何でこちらから委員部に、私の質問に対する答弁者は総務省は政務官ですと何でうちが連絡しなきゃいけないんですか。(発言する者あり)ですよね。このことが、少なくとも総務省、徹底されていなかった、理解されていなかったんですよ。ちょっとおかしくありませんか。

土屋大臣政務官 どうも私の所管事項のようでございますので、僣越ながら。

 今までの経緯その他があろうと思いますので、よく御意見として承り、本来の趣旨に合うように取り扱いさせていただきたい。きょうは、この程度でよろしくどうぞ。

枝野委員 後ろに確認していただけばわかると思うんですが、あるいは委員部と確認していただけば。経緯とかなんとかじゃなくて、私の言ったとおりでしょうという答えをしていただかないと、ちょっと先へ進めませんよ。私の言ったとおりじゃないですか。

 繰り返しますよ。政府参考人は、国会のルール、理屈として、これだって本当は役所の側が大臣じゃなくて政府参考人で勘弁してくれと頼まれて、しようがないなとやることが多いんですが、建前として、こちら、国会の側が政府参考人来てくださいとお願いをするんだから、答えを要求する質問者の側が委員部に対して、答弁者として、政府参考人として何々局長を登録してくれとお伝えをするというのが筋です。

 ところが、それと混乱をしたのかどうか知りませんが、私の質問に対する総務省の答弁者は土屋政務官ですという話を、こちらは総務省から御連絡を受けて、わかりましたと言う側の立場なのであって、それを何で私の事務所が委員部に伝えなきゃいけないんですか。

 そのことを総務省の方とかなりやり合ったんですよ、うちの事務所、その筋をちゃんと申し上げて。そんな電話一本するだけの話だからそれはしますけれども、理屈が全然違うじゃないですかと言ったら、結構激しく抵抗されて、納得されなかったんですよ。

 それはおかしくありませんか。それは徹底してくださいよ。そういう答弁をいただけないと、ちょっと話にならないですよ。

土屋大臣政務官 おっしゃっていることはごもっともだと思います。ただ、過去の経緯とかその他は私よく存じ上げませんので、若干留保つきながら、おっしゃっている趣旨を筋を通しながらやっていきたいと思います。よろしくどうぞ。

枝野委員 政府参考人の制度とか、政務官、副大臣という制度をつくって政治家同士の議論をちゃんとやりましょうということがいろいろなところできちっと徹底されないということに、若干私は問題意識をいろいろな意味で持っていまして、そのことが、少なくとも総務省の中の、一部の方でしょうけれども、何か勘違いをしておられたという、まさに徹底されていない象徴でありましたので、あえて苦言を呈させていただきましたので、よろしくお願いをいたします。

 実は、私は衆議院の憲法調査特別委員会の野党の筆頭理事を務めておりまして、ぜひこの法案は憲法調査特別委員会でも議論をさせていただきたい、できれば内閣委員会と合同審査のような形ができないだろうかというようなことで要請をしてまいりました。

 憲法調査特別委員会の方では、この法案について特別委員会で取り上げることについてはやぶさかではないという与党の側の御返事もいただいたのでありますが、残念ながら、合同審査とかそういう形にはなりませんでした。

 憲法九十五条、あえて違反とは言いません、少なくとも潜脱的なやり方をされているのではないかという問題意識を持っております。

 憲法調査特別委員会は、国民投票法の法案審査だけのための委員会ではありませんで、憲法に関する広範な議論、調査を行う委員会でありまして、憲法九十五条に潜脱するような提案の仕方が許される、あるいはそれがまかり通ってどこでもチェックをされないという現状は立憲主義の観点から大いに問題であるというふうに思っておりますので、きょうは、その観点を中心にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず、先ほどの丸谷さんの質問の中でも、北海道が主に対象になっているということで、私も九月まで党の分権調査会長をやっておりましたので、この法案、常会の途中以来、法案の説明を役所からいただいて、それも聞いてきておりますが、北海道の皆さんからいろいろと意見を聞きながらやってまいりましたという御報告を多々受けております。

 詳細、具体的に、北海道、それは道庁なのか、議会なのか、道民の皆さんなのか、いろいろなケースがあるんでしょうが、この法案をつくっていくに当たって、北海道の皆さんとどういうふうにどういう議論をされてきたのかということについて、まず御報告ください。

佐田国務大臣 これの作成に当たりましては、現時点で特定広域団体となり得る北海道の知事の提案を踏まえるとともに、北海道議会からの意見書の内容も反映したものでありまして、さらに、本年十月二十日には道内の地方六団体による法案の早期成立を求める決議が行われたところであります。また、北海道だけではなく、先ほども申し上げましたように、全国知事会からも本法案の早期成立の要請がなされているところであります。

 先ほども申し上げましたように、緊急決議が北海道知事そして北海道の議長、市長会会長、北海道の議長会会長、そしてまた町村会会長、北海道町村議会議長会会長の方からも上がっておるわけでありまして、そのような北海道の道民の皆さん方の意見もしっかりと踏まえながら議論をしていきたい、かように思っております。

枝野委員 北海道のいろいろな組織から要望が上がっていることはよくわかっています。また、知事からの要望がスタート、あるいはそれに近いところであったということも理解しております。

 法案作成に当たって北海道の意見を十分聞いたというふうな説明をこれまで、少なくとも事務方から私ども聞いておりますので、では、例えば知事さんと何回ぐらいこういうふうにやりとりしたんですとか、知事さんからは、あるいは道議会なら道議会なのかわかりませんが、これこれこういうふうに要望を受けて、それについてはこういうふうに検討して、こういうふうに協議をした、そういうやりとりはどれぐらいどうあったのかということをお尋ねしたい。

佐田国務大臣 この法律自体が、例えば特区推進本部から基本方針を出すわけでありますけれども、この点につきましても北海道の意見を入れていただきたいという御要望がありましたので、これは国の組織でありますけれども、本部長は総理大臣でありますけれども、北海道の意見を入れるためにも、知事に参与になっていただき、意見を入れていく。

 そしてまた、北海道に、これを実行するための計画、要するに推進計画ができるときも、これは北海道の意見を入れていただきたいということで、市町村並びに最終的にはその特定広域団体の議会の議決をいただく。そしてまた、要するに知見を得られた時点でその知見を持っていき、またはその変更、つまり変更とは基本方針の変更でありますけれども、もっと税源、財源、そしてまた権限の移譲をするべきだというふうな意見もこれは広く承って、道民の皆さん方の意見をいただき、そしてまた、繰り返しではありますけれども、その特定広域団体の議決をいただき、そして最終的にまた戻してやっていくということでありまして、何度も何度も道民の方々の意見を聞いていくというふうなシステムにしてある、また、そういうふうな御相談も受けておった、こういうことでございます。

枝野委員 この法案が通ったら北海道とどういうふうにやりとりするかではなくて、この法案をつくっていくプロセスで、どういうふうに意見の聴取を行い、どう反映されたのか。今、どう反映されたのかということについての一部はお答えいただいたかと思うんですが、どのように意見聴取を行い、これは通告で、紙で出した部分にきちっと書いてありますので、御準備されていると思うんですけれども。

佐田国務大臣 要するに、地方分権のモデル的な取り組みとして、いわゆる道州制特区については、平成十五年十二月に経済財政諮問会議において北海道高橋知事からアイデアの紹介がありまして、平成十六年には、具体的な提案があったことを踏まえまして、北海道からの提案に基づいて政府として検討を進めてきたところであります。

 本年二月以降は、与党を中心に、道州制特区の推進にかかわる法案の基本的な考え方についての検討が進められたところでありまして、政府内部の調整を経た上で、その素案について与党の了承を得たところであります。

 その後に、素案につきまして法案化作業を鋭意進め、さきの通常国会において法案を提出することになったわけでありまして、その中身等につきましても議論をしてきたわけであります。

枝野委員 よくわかっていらっしゃって、後の質問の答えと矛盾しないように、普通は、こんなに一生懸命北海道の皆さんと具体的に議論しました、何回もやりました、何回やりました、何月何日にやりましたとかお答えになるのかなと思ったんですが、意識的なのか何なのか、非常にさらっとお答えになっていますが、北海道高橋知事からまず提起があって、当然、検討するプロセスにおいては、北海道知事からも例えばこういうものを特区法の中で道の権限にしてくれとかという話を具体的に投げられて、それについていろいろやりとりをされていたんじゃないんですか。

 私も、そのプロセスにおいては、党の分権調査会長として、北海道はこういうことを道州制特区でやらせてほしいんだということを政府と話をしているんだというような趣旨のことを聞いていますよ。これこれこういうものを上げているんだけれども、実際にはその中の一部しか今回取り上げられていない。それはそれで、それをどう評価するかは北海道知事の御判断ですから、それについてどうこう言うつもりはありませんが、少なくとも、もっといろいろなことを分権してくれとか、いろいろな話が北海道知事からはあって、それは相当やりとりしたんじゃないですか。その具体的なことをお聞かせくださいと申し上げています。

林副大臣 今、大臣から御答弁ありましたように、いろいろなやりとりがあって、委員が御指摘のように、項目についてもやりとりがあったということで、北海道からは十六年の八月に第一回の提案ということでいただいておりまして、何項目かにわたるいろいろなことを権限を移譲してもらいたいというのをいただいた上で、今委員の御指摘がありましたように、いろいろなやりとりをしたということでございます。

 それに加えて、北海道の議会からも、先ほどちょっと、知事や議会というお話がありましたけれども、議会としての御要望というのをことしの四月にはいただいておりまして、特に財政措置等につきまして、北海道特例見合い分を含めて、国が要していた金額を一括交付金化するというようなことにつきまして何項目か御提案をいただきまして、それもいろいろな折衝を経てこの法案に盛り込まれているということでございます。

枝野委員 北海道以外の知事さんや議会に対して、今度道州制の特区についての制度を考えているので、あなたのところはやりたいですか、やりたくないですか、やるんだったらこういう条件でとか、やるんだったらこういう権限は欲しいのか、欲しくないのかとか、北海道とやりとりしたような話を他の知事や議会に対して、今検討しているんだからということで、今のようなやりとりはありましたか。どれぐらいありましたか。

林副大臣 ほかのところということでございましたので、例えば、十七年の十月三十一日付ですが、全国知事会の道州制特別委員会というところがございまして、ここからは緊急アピールというものをいただいております。

 まず、要望の一点目は、北海道道州制特区推進法を、この法案のことであると思いますが、早期に制定すること。

 そして、推進法においては、道州制特区を地方分権のモデル的取り組みとして推進するという基本理念や、国からの移譲対象となる権限の基準、移譲に当たっての財政的措置や手続、国と地方が参画しての推進役割の設置などを明記すること。

 そして三番目に、これまでの経緯から、北海道以外の都府県であっても、国からの権限移譲を希望し、移譲対象となる権限の性質や都府県同士の広域的連携等の体制整備により条件が整っている場合には、これを広く対象地域として支援できる法整備についても検討すること。

 ですから、こういう全体の枠組みについての御要望はいただいているということで、これは法案に盛り込めるものは盛り込んだということでございますが、委員が今御指摘のあったように、それでは例えば山口県について、山口県の知事とこれこれこういう条項についてやったということまではまだ至っていないというふうに認識をしております。

枝野委員 そうなんですね。今の全国知事会の要望も、北海道でモデル的にやるということは進めてくれ、それから、将来的にはそれをほかのところでもやれるようにという枠組みにしてくれと。では、それぞれの都道府県などが、具体的に北海道のように道州制特区においてこういうことにしてくれという話は、北海道としかやっていないわけですよね。

 そういう前提でお尋ねをしますが、本来、北海道に対して、これはだれがどう見たって、道州制特区というのを当面想定できる短期の未来において北海道以外のところで、例えば先ほど丸谷さんの質問と答弁の中では、九州とか北東北とかいろいろなビジョンが挙がっている、それはよく知っています。よく知っていますけれども、少なくとも現状で、具体的に道州制特区というのは北海道を対象にして行う、後で細かいところもやっていきますけれども、みんなが、ほとんどの人が、受けとめる人も北海道の特区法なんだとみんな受けとめています。

 だから、国会議員の中でも、幸か不幸か、不幸なんですけれども、北海道選出の議員さんは与野党を超えて大変強い関心を持っておりますが、私もたまたま党の分権調査会長という分権に絡む仕事を九月までやっておりましたので、ああ、こういう法律があるんだ、説明を聞くと、あれ、憲法九十五条との絡みはどうなっているんだということに気がつきましたが、例えば私の埼玉県で、この法案について関心を持って議論をしている人なんて、率直に言ってほとんどいらっしゃらないでしょう。

 だとすると、憲法九十五条にあります「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」先ほど言ったとおり、これに違反をしていると今の時点で言うつもりはありませんが、北海道道州制特区法という形で、少なくともこの法案に書かれているかなりの部分はそういう形にして、北海道の皆さん、こういうふうにあなたのところをモデルにしてやろうと思っているんですが、これでよろしいでしょうかという住民投票を求めるのがむしろ自然であるし、筋ではないかというふうに思うんですが、なぜそうしなかったんですか。

佐田国務大臣 憲法第九十五条に規定いたしている「一の地方公共団体のみに適用される特別法」とは、特定の地方公共団体の組織、運営及び権能について、ほかの地方公共団体とは異なる特例を定める法律をいうものと理解されておるところであります。

 本法案におきましては、特定の地方公共団体のみに適用されるものではありませんで、本法案に規定している特定広域団体の要件に該当することとなれば、政令で定めることによっていずれの都道府県にもこの法律の定める特例の措置の適用があり得るものでありまして、憲法第九十五条に基づく住民投票の要否は、最終的には国会が判断されるものでありますけれども、政府としては、本法案は一般的に適用されるものでありまして、憲法第九十五条に規定する「一の地方公共団体のみに適用される特別法」には該当しないというふうに考えているところであります。

 これは一般法ということで、三つ以上の県が合併をして、国会が承認された場合には、これは特定広域団体となり得るということでありますので、ぜひその辺は、地方特別法ではないということを御理解いただきたい、かように思っております。

枝野委員 先ほど来繰り返し申し上げているとおり、九十五条違反だとは今の段階で申し上げていない。つまり、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」であるではないかと今お尋ねをしているんじゃないんです。

 この法律の中のある部分は、確かに他の都府県でも適用の対象になり得る、そういう仕組みの形にはなっています、形式的には。ですから、形式的に九十五条に当たらないというのは、法形式論としては一つの説明にはなっているんだろうと思いますが、実質的には、北海道の皆さん、あなたのところをモデルにしますよ、あなたのところでやってみて、それでほかのところの道州制をどうしましょうか、こういう法案だというのは、政治的、社会的にはほとんどみんな共通の前提になっているじゃないですか。そのことなのにもかかわらず、住民投票をわざと避けるかのような法形式で出してきているということについてお尋ねをしていきたいんですよ。

 これは、政務官の方がわざわざ来ていただいているということは、総務省がお答えになるのかと思いますが、憲法九十五条の、ここで言う「法律の定めるところにより、」というのは、国会法の六十七条、そして地方自治法の二百六十一条に具現化をされているんだと思います。地方自治法の所管が総務省だから、多分これを政府として答えるのは総務省になってしまうんだろうと思うんですが、過去に、現行の地方自治法二百六十一条に基づき、さらに言えば憲法九十五条に基づき住民投票が行われたいわゆる特別立法というのはどういうケースがあるのかをお答えください。

土屋大臣政務官 お答え申し上げます。

 憲法第九十五条に基づく住民投票は、一般的には、他の地方公共団体と異なる定めをする場合に特に必要とされるものでありまして、これまで、横須賀市等の平和産業港湾都市に転換することを想定した旧軍港市転換法等について、法律で十五本、住民投票で十八回行われております。

枝野委員 例えば、今の旧軍港市転換法という法律は、一の地方公共団体ではなくて四の地方公共団体に適用される法律として一九五〇年に制定されたと理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

土屋大臣政務官 一つの法律の中で四つの港湾を特定しているわけであります。

枝野委員 まさに、それで住民投票を行ったのは憲法論的にも正しいと思います。「一の地方公共団体のみに適用される」と憲法の文理上は書いてありますけれども、特定の地方公共団体だけに適用されるということが大きいのであって、たまたま旧軍港市が四つある、だから、一つの法律で四つの市について特別に定める、そこだけに適用される法律が一本の法律であったとしても、憲法九十五条の「一の地方公共団体のみに適用される特別法」に該当する、だからこそ、地方自治法に基づいて住民投票を行ったのは正しいと思います。

 もう一つ、今、十五件十八例ですか、私が調べた限りにおいては、いずれもいわゆる議員立法で、政府、内閣提出ではないのではないかと聞いておるんですが、何しろ古い話でございまして私が生まれる十五年も前の話でございますので、そういうことでよろしいんでしょうか。

土屋大臣政務官 大変失礼いたしました。現段階では、閣法か議員立法か、ちょっと確認しておりませんので、早速確認させていただきます。

枝野委員 これは具体的に細かく通告していたわけじゃないので、それは結構です。

 では、こういうお尋ねの仕方をしましょう。

 国会が内閣に通知をして住民投票が行われるわけですけれども、いずれにしても、そこで住民投票の施行をしたのは内閣、実施をしたのは内閣でありますので、どうしてこれらの法律は住民投票が必要であるという国会からの通知を受け入れて、そして住民投票を行ったんでしょうか。

 もちろん、そこで内閣の方が、いや、これは住民投票が要らないんだといって拒否できるかどうかというのは、これまた地方自治法、国会法との関係の非常に複雑な法律問題になりますが、そこはそこで置いておいて、いずれにしても実施をされているわけですから、それはそうだよねということをその時点での多分自治省なんでしょうか自治庁なんでしょうかが判断をされた。あるいは、それが前例として、少なくとも今の総務省に、こういうケースだから住民投票を行うなどという形で何らかの指針等があってしかるべきかと思いますけれども、それは何かありますでしょうか。

土屋大臣政務官 それこそ戦後すぐの話でございますので、当時どのようないきさつがあったかという細かいことについてはつまびらかにできる立場ではございませんけれども、少なくとも法律上、これは憲法第九十二条において、一つの地方公共団体の組織及び運営に関することという前提があって、それを受けて九十五条があるわけでございますので、したがって、直接的に地方公共団体の組織、運営に関する、こういったような事柄について該当する場合、この軍港の場合には都市計画法上の該当があったわけでございますが、こういったことに基づいてやったわけであります。

 したがって、これを整理して申し上げますれば、憲法九十五条の地方特別法に該当するか否かは国会の御判断によるべきものだと思っておりますが、憲法九十五条に該当する場合には現に住民投票が実施されてきて、九十五条に該当しないものとしては、住民投票が行われなかった例としては北海道開発法等があるわけでございます。

枝野委員 先ほど来、国会が御判断するということでという御答弁が内閣からあるわけですが、ということは、今回の法律も、これはどういう手続でどういう仕組みでどうするのかよくわかりません。後議の院である参議院議長が勝手にできるわけではないんだと思いますが、国会が決定をすれば、場合によっては住民投票にかけるということもあり得るというのが、先ほど来、国会の御判断することですがという御答弁が繰り返されていますので、そういう理解でよろしいですか。

佐田国務大臣 非常に難しい質問なんですけれども、今、枝野委員が言われたとおり、最終決定された、いわゆる議長が内閣に申請をし、内閣から総務大臣の方に、総務大臣が住民投票をするということでありますから、議長が基本的に判断をしている、こういうふうに考えております。

枝野委員 では、まず総務省に御要望しておきます。

 もし参議院議長から通知があったら、住民投票はしていただけますね。よろしくお願いします。

土屋大臣政務官 政府の一員としてお答え申し上げますが、政府の見解としては、今回の法律は、北海道をもちろん念頭に置きつつ、なおかつ、一般法でありますので、現段階におきましては住民投票の必要がないものと考えております。

 ただ、枝野議員の御質問は、もし参議院議長がそのような措置をとった場合にどうするか、こういうことでございますので、それはまた第一義的には内閣が判断すべきもの、このように考えております。

枝野委員 済みません、最初の話と絡むかもしれませんが、内閣の一員で総務大臣にかわって出てきているわけですから、なおかつ多分主務官庁は総務省なんですから、内閣がというのは、政務官がなんですよ。よろしくお願いをします。

 今の前提の上で、そうすると、これはむしろ国会の見識が問われる話だというふうに、与野党委員の皆さんにぜひともここからの議論をきちっと聞いて、政府は、住民投票は面倒くさいし金もかかるから余りやりたくないと考えるのはようわかる。だけれども、国会の見識が問われている話だと私は思っています。

 その上で、もう一度この法案の中身に入っていきたいというふうに思いますが、この法律の中には、いわゆるスキームの部分、つまり、こういうふうに手を挙げたら道州制特区に認めますよ、そのための手続、あるいは、特区に認められたら何か本部の中に参与で入れるとか入れないとか、こういう枠組みの話、手続法の話と、それから、実際に特区として指定をされると、こういう権限、普通の都道府県よりも大きな権限認められますよという実体法的な部分と二つに分けられております。

 どちらからお尋ねしましょうか、七条二項四号に、「特定広域団体が道である場合にあっては、」ということで、砂防法、森林法、道路法、河川法について、国ではなくて道がみずからできるという、実体的、実質的に権限が中央政府なのか道なのかということについての特例措置を設けています。この部分は、少なくともこの法律に基づいては、北海道以外のところには適用されませんね。

佐田国務大臣 今回の場合は、特定広域団体として政令として指定されておるわけでありますから、今回のそういう交付金としてのスキームは北海道だけということであります。

枝野委員 そうですね。少なくとも、そうすると、この法律の七条二項四号については、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」でないんですか。

佐田国務大臣 交付金ということで、財政上の援助ということでありますけれども、この件につきましては、先ほど来から申し上げているように、九十五条におきます組織、運営、権能の中に、いわゆる財政上の特例の援助というものは入っていないというふうに解しております。

枝野委員 憲法九十五条のどこからそんなことが読めるんですか。

佐田国務大臣 解釈として、要するに憲法九十五条の中で、いわゆる組織、運営、そして権能におきまして、他の地方公共団体と違うということにおいてこの九十五条が適用されるわけでありますから、そういう意味におきましては、この交付金というものは、いわゆる国の財政上の特例ということで、この中には入っていないというふうに解釈しているということです。

枝野委員 だから、そんなことがどうしてそういう解釈になるのか、そういう解釈が導き出される理論的説明をしてくださいと申し上げているんです。

佐田国務大臣 ですから、要するに、私が先ほどから申し上げているとおり、組織、運営、権能の中にこれが入っていないということです、何度言ってもこれは同じことですから。

枝野委員 憲法九十五条に組織、運営、権能なんてどこにも書いてないんですよ。「一の地方公共団体のみに適用される特別法」と書いてあるだけであって、一の地方公共団体のみの組織、運営、権能についての特別法と書いてあるなら今の御答弁でいいんです。しかし、文理上は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」と書いてあるだけで、組織、運営、権能だなんて一言も書いてないにもかかわらず、解釈でそういった余計な要件がついてくるのは、きちっとした論理的、理論的な根拠がなければそんな解釈できないはずですから、そのことを説明してくださいと申し上げているんです。

佐田国務大臣 ですから、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」ということでありますから、要するにそれの解釈として、組織、運営、そして過去においてのそれは解釈でありますから、それが確立しているというふうに判断しております。

枝野委員 最高裁判例でもあるんですか。

佐田国務大臣 先般の法制局長官の判断でありますから、そういうことで御理解いただきたいと思います。

枝野委員 ですから、法制局長官が言っているというのは内閣の判断なんで、その内閣がそう判断した根拠を示してくださいと言っているんです。一つの解釈としてそういう解釈が学説としてあるのは存じております。だから、どうしてそういう解釈になるのか、そういう解釈をとった根拠を示してくださいと言っているんですよ。

佐田国務大臣 だから、枝野先生、先ほども申し上げましたように、これが抵触するかどうかにつきましては、国会並びに、これは内閣がやるわけですけれども、国会の御判断をいただく。その中におきましてそういう判断が、この間法制局長官の方から御判断をいただいたということでありますから、最終的には国会が判断するわけでありますから、それは御理解いただきたいと思います。

枝野委員 先ほど、国会の見識が問われると皆さんに申し上げたのもこういうことなんですよ。逃げるんですよ。つまり、自分たちで、これは適用にならない法律だと。それは、自分たちの内輪である内閣法制局長官の解釈がこうであるからということを言って、実質的な御答弁をされないんですよ。

 皆さんがこれは九十五条に該当しないと本当に堂々と考えておられるなら、私たちはこれこれこういう理由で九十五条に当たらないんだ、九十五条に当たらないというのは、九十五条で言う特別法というのは、今の組織、権能云々ということにかかわる法だけなんだ、それはどうして条文にないのにそういった解釈になるのかということについて、堂々と説明してくださいよ。その説明を聞かないと話にならないじゃないですか。

佐田国務大臣 これに基づく事業に対して特別な助成を行う制度としては、沖縄振興特別措置法や小笠原諸島振興開発特別措置法などがありまして、いずれも憲法第九十五条の規定による住民投票の対象とはされていない、そういう実績があるということを踏まえてまた解釈をさせていただいたということです。

枝野委員 それはひきょうな答えだというのはわかっていますか。

 いいですか、私は、皆さんが、つまり政府が、これこれこういう解釈です、つまり組織、権能云々という要件が、文理上、条文上ないけれどもくっつくんですと、その実質的な根拠を示してください。何らかの理由がある、これこれこういう理由でこういうふうに解釈するんですという根拠があるから、そういう解釈なんでしょう。

 それは実績があります。国会については、少なくとも昨年の総選挙より前の話は我々拘束されませんからね。その理屈はわかりますね。内閣は内閣としての連続性はあるかもしれないけれども、議会の方は、過去の議会が憲法違反のものをスルーしてしまったということがあったとしても、選挙によって構成が変わった以上、それに我々拘束されません。過去の議会は憲法違反をスルーしたけれども、我々は、憲法違反があるとすれば、憲法違反の疑いがあるとすれば、それをきちっとチェックする。これは、選挙で構成が変わったら前の議会に拘束されませんから、我々はその過去の例には拘束されません。

 皆さんが法案提出者として、これは九十五条の特別法に当たらないんだということでまず提案をされているんですから、人に責任を投げる前に、みずから、特別法に当たらないんだ、その第一段の理由はわかりました。つまり、その組織、権能云々ということでこの特別法は狭く解釈するんだ、そう狭く解釈する理由を説明してください。

佐田国務大臣 ですから、繰り返しになりますけれども、それと、今申し上げましたように、政府は継続性がありますから、法制局長官の答弁というのは重いわけであります。

 先ほど来から申し上げているように、組織、運営、そして権能につきましては、これは法制局長官の見解でありまして、その前提になりますのは、今も申し上げましたように、沖縄振興特別措置法や小笠原諸島振興開発特別法があるからこそ、その中で解釈をされたわけであります。

 基本的には、今、枝野委員の言われたとおり、一の地方公共団体ということでありますから、そういうふうに御理解をいただきたい。そしてまた、そういう解釈があったという、これは政府の方でありますから、継続性はあるということであります。

枝野委員 だから、それを聞いているんですよ、政府が九十五条の特別法を狭く解釈すると言うんだったら、その実質的根拠を示してくださいと。法制局長官が言っただなんて理由にならないですよ。法制局長官というのは内閣じゃないですからね。

 内閣というのは、佐田大臣を初めとする大臣が内閣なんであって、そこが行政権を持っているので、その内閣の一下請機関の長が言っているだけであって、内閣法制局長官の解釈なんじゃなくて、内閣の見解として狭く解釈する。内閣の一員である大臣なり、あるいは地方自治法の所管省庁である総務省の大臣にかわる政務官かどちらかが、なぜ、内閣法制局長官が言っているように内閣としては狭く解するのか、実質的な理由を説明してくれないと、説明なしに、いや、昔こう言ったからこうなんです、はいわかりました、そんなばかな話あるわけないじゃないですか。我々はこれこれこういう理由で条文上書いていない要件をつけて狭く解釈するんです、その理由を説明してください。

佐田国務大臣 ですから、要するに、九十五条の場合は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」ということでありますから、それの一つの解釈として先ほど来例があったわけでありまして、それでそういうふうな解釈をさせていただいたということであります。

枝野委員 委員長も御理解いただいていると思いますが、答えていないんですよ。だから、そう解釈していることの根拠を示してください。理由を説明してください。

 これが、最高裁判所がこういう判決を出していますというんだったら、それは最高裁判所の判決には内閣も国会も拘束されますから、理由は最高裁に聞いてくださいでいいんですよ。最高裁判例を我々が読めばいいだけです。だけれども、あなた方、あなた自身がなんですよ、あなたは内閣の一員なんです。あなた自身が、内閣はこれこれこういうふうに狭く解釈します、なぜかと聞かれたら、昔そうやって解釈したからです、そんなばかな答えがありますか。

 では、なぜ昔そうやって狭く解釈したのか、その理由を説明してくれと。答えてもらえないんだったら質問できません。時計とめてください。

佐田国務大臣 だから、先ほどから申し上げましたように、二百六十一条においても、要するに、最終的には国会が判断して、九十五条に抵触するかどうかということを決めるわけでありますから、そういう意味におきましては、法制局長官の先般の答弁、そしてまたその前の例に基づいて解釈をしているということでありますから、最終的には国会が判断するわけでありますから、それは御理解いただきたいと思います。

枝野委員 いいですか、この法案の問題点は、少なくとも文理上、一の地方公共団体のみに適用されるこの七条二項四号という条文が、一般法とごちゃごちゃになって一つの法律で出てきている。出してきたのは皆さんなんです。

 本来であれば、一の地方公共団体に対して適用されるこの四号の部分、砂防法と森林法と道路法と河川法については、別法で出してくるんだったら、さあ国会としてその別法部分はどうしましょうかと判断ができるんですが、皆さんがごっちゃにして出してきた。ごっちゃにしてきた前提として、皆さんが、いや理解してくださいと言っているんだから、これは九十五条の特別法に当たらないという解釈をして出してきたんでしょう。それで、ではどういう実質的根拠があるんですかと聞いたら、繰り返し、過去にそういう解釈をしたから。そんな話ありますか。

 我々は、これこれこういう理由で一の特別法といったときには、その権能云々という、条文に書いてない、憲法にないだけじゃないですからね、念のため言いますけれども。憲法は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」、ところが法律では、さっき言ったような限定がついていますというんだったら、地方自治法そのものの立法の問題としてまた判断は違いますが、地方自治法にだって、一の地方公共団体のみに適用される特別法がと書いてあるだけで、今内閣としておっしゃった解釈による限定だなんて、条文上、法律レベルまでおりたって何にも書いてないんですよ。こんな話ありますか。少なくとも実質的な理由を説明してくれないと、話は先に進みません。

佐田国務大臣 第九十五条「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」これですよね、当然。

 だから、それに基づいて、先ほど来から言われた第七条二項の四号につきましての国の財政における措置につきましては、要するにこれには当たらないということを判断しているということですから、私は、これからだってそれを説得するために、では、これ以外に何かありますかと。これを根拠として説明するということになれば、過去の例と法制局長官の判断、こういうことも含めてこれは政府の判断でありますから、そういうふうに御理解いただきたいと思います。(発言する者あり)

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こしてください。

佐田国務大臣 枝野先生の、どうしてだというふうに言われると説明のしようがないんですけれども、もう一度申し上げますと、第九十五条の……(発言する者あり)ちょっと聞いてくださいね、皆さん。「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」これは二百六十一条も絡んでおるわけでありまして、基本的に国会が判断をすることでありまして、先ほどのお話にもありましたように、過去において沖縄振興特別措置法や小笠原諸島振興開発特別措置法は、この九十五条の対象にはならなかったわけでありまして、それを受けまして、政府としましては、その根拠として、組織、運営、権能に、いわゆる国の財政上の特別の援助については抵触しないということを判断させていただいたということでございます。

枝野委員 今の御答弁をそのまま受け取ると、国会が九十五条に該当しないということでスルーしたことが法制局長官の解釈の根拠としか聞こえないんですが、そんなばかな話ありますか。

 先ほど言ったとおり、議会は選挙によって構成員がかわったら、つまり衆議院の解散・総選挙や参議院の通常選挙を越えたら、前の議会に拘束されませんから、我々は今白紙です、だから根拠は消えました。

 では、説明してください。

佐田国務大臣 だから、私が申し上げましたとおり、先ほども申し上げましたけれども、要するに、内閣の発言は、これは継続しておるわけであります。政府の発言としては、いわゆる先ほど言った、財政上の援助につきましては、組織、運営、権能に当たらない、こういうふうな判断はこれは続いている、こういうことであります。

枝野委員 だから、なぜ財政上の援助は当たらないという解釈をしたのかと根拠を聞いているんです。どういう理由でこれこれこういう解釈をしたのか、必ず理由、根拠があるわけですよ。

 例えば、憲法九条で、自衛権は否定されていない。それなのに、自衛隊があるじゃないか。憲法九条二項に、前項の目的を達成するためと書いてある。前項の目的というのは、侵略戦争をしない。だから、侵略戦争以外のことのための軍事的な装備、自衛隊については憲法違反じゃない。これが、普通、憲法九条の自衛隊は合憲であるということの根拠であるという説明がされるのであって、法制局長官が言っているからそれが解釈になるんじゃないんですよ。

 今のように、例えば、この条文の趣旨はこういうことであるから、その趣旨にかんがみ、これこれこういうふうに解釈するのが適法であるとか、あるいは、別のところにこういう条文があるから、そことあわせて読むとこういうふうに解釈すべきであるとか、法の解釈というのはそういうものであって、だれかが言ったからそれが解釈です、根拠です、そんなの解釈の理由に何にもなりません。

 具体的に、なぜ九十五条が今のような解釈になるのか、その論理的な説明をしてください。

 皆さんの解釈なんですから、私は違う解釈をしているので、そのどちらの解釈が合理性を持つのかという議論をしたいのであって、だから、皆さんの解釈はどういう理論的根拠に基づいてそういう解釈をされるのか説明していただけないと、だれかが言ったからそれが解釈です、だれかが言ってそれが解釈になるのは最高裁判所だけですから。それ以外の人が何と言おうが、そんなものは解釈の根拠にはなりません、あとはそれぞれの理論的な説明があって解釈の根拠になるんですから。その解釈の根拠を説明していただかない限り、質問のしようがありません。

佐田国務大臣 今も申し上げましたように、確かに、国会が閉じたらば継続性がないというふうなことを今言われましたけれども、いわゆる沖縄振興特別措置法や小笠原諸島振興開発特別措置法のときにも憲法はあったわけでありますから、憲法九十五条の解釈に当たりましては、要するにそういう判断がされたわけですから、そういう意味におきましては、私はそういう考え方の継続性はあるということで、そしてまた、その中におきましての政府の見解としては、組織、運営、権能、これには含まれないということを今我々は政府としてもう判断しておるわけでありますから、政府としてそういうふうに判断しているということであります。(発言する者あり)

河本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、平井委員長代理着席〕

    〔平井委員長代理退席、委員長着席〕

河本委員長 速記を起こしてください。

林副大臣 参議院本会議で採決がございまして、失礼いたしました。

 ちょっと、全部やりとりを聞いておりませんでしたけれども、今お聞きをしておりまして、九十五条には、一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票によって過半数がとれなければ、国会は、これを制定することができないとしか書いていないわけでございまして、よく御案内のとおりでございますから、しからば、この「一の地方公共団体のみに適用される特別法」というものの定義は何かということになろうか、こういうふうに思います。

 そのときに、この文理解釈として出てくるものは何かというお尋ねであったのではないかというふうに思いますが、この文章からは、「一の公共団体のみに適用される」というところをどう読むかということになろうかと思いますので、その適用されるという意味は、先ほど来大臣が御答弁されておられるように、組織や権能に関することでありまして、今回のこの法律については、今御指摘のところは、財政上の措置であるからそれは含まないという解釈をずっと政府としては引き続きやってきたということでありまして、そこをどう読むのかということを従来からの積み重ねでやってきて、その結果、法律もそういうふうに今まで運用されてまいった、こういうことであろうかと思います。

枝野委員 もう一回整理をしていただいたのはいいんですが、その「一の地方公共団体のみに適用される」ということの解釈を政府がそういう解釈をされているというのはよくわかっているんです。昔からそういう解釈をされているとよくわかっているんです。でも、文理上はそう読めない。文理上よりも狭く解釈しているわけですから、何らかの理由があるわけなんです。

 なぜそういうふうに狭く解釈しているのかというのは、先ほど九条の話もしましたが、九条の二項だったら自衛隊は違憲に読めるけれども、あそこには、前項の目的を達成するためと二項の頭に書いてあるわけで、前項の目的は、侵略戦争はしない、だから、侵略戦争ではなくて自衛のことについては二項のところの縛りは直接にはかからない、だから自衛隊は合憲なんですというふうに根拠があるんですよ、必ず何らかの。あるいは、別のところにこういう条文があります、これと照らし合わせて読むとこういうふうに読めますと。

 あるいは、この言葉についてはこういう解釈から、例えば私学助成金が、八十九条でしょうか、文理上ストレートに読むと憲法違反のようにちょっと読める。私は、憲法学者としてはそれでも違憲だと思いますが、一応政府はそれなりにもっともらしい理論的な根拠を、公の支配ということの趣旨は、国がいろいろなところに、教育とか福祉とかに介入し過ぎるといけないから、お金がじゃぶじゃぶに使われちゃうといけないから、お金のところだけある程度きちっと公が支配をしていれば構わないんだということで、だから私学助成金は合憲なんだということで、昔からそういう解釈をしていますだけじゃなくて、それなりに何らかの根拠をちゃんと説明してきているんです。

 今回のこの憲法九十五条の「一の地方公共団体のみに適用される」ということを狭く解釈される、文理と違う解釈をされるというときには、どういう理由、どういう根拠なんですか、そこのところを説明してくださいということを先ほど来申し上げている。

 そこで、皆さんはこれこれこういう根拠でこう狭く解釈するんだというお答えがないと、いや、それは考え方、こう違うんじゃないですかと議論にならない。昔からそうでしたと言われちゃうと、それ以外何にもやりようがない話なわけで、昔からそうでしたでは法の解釈ができないので、何らかの理論的な根拠があるんですよ。それをお答えくださいと言っているんです。だから、法制局と相談してくださいと言っているんです。

林副大臣 狭く文理解釈をしているかどうかというのは見解が分かれるところではないかと思います。この文章を読んで、すべてのこと、今議論になっております組織、権能に加えて、国がやる財政上の措置まで含まれるかどうかというのは、読み方によっていろいろありますので、そもそも文理解釈上一番広い概念はそこが含まれていて、それを殊さらに狭く解釈しているというかどうかについては、ちょっと概念が分かれるところであろうかというふうに思います。

 ですから、そういう意味では、この文章を読んだ場合に、文理解釈としてこういう解釈をしているということになるわけでございまして、今ちょっと聞きましたら、これについて判例はないということでございますので、今まさに委員が御指摘のように、内閣としてはそういう解釈を従来よりしてきて、それに基づいていろいろな法律をやってまいったということであるということでございます。

枝野委員 だけれども、「一の地方公共団体のみに適用される」と書いてある、その「一の地方公共団体のみに」というのが、何で財政的援助が入らないのかということは、どう考えたって、この条文を読んだら入ると思うのが普通であって、入らないというんだったら、なぜ入らないかと説明してもらわないと、どうにもならないですよ。

 これ、先ほど非公式発言で申し上げましたが、きのう、質問通告のときに役所の皆さんが来られました。来られるときに、内閣法制局も質問取りに行ってよろしいでしょうかとわざわざ連絡が来たんです。

 そうなんです、内閣法制局が、従来どういう根拠でこういう解釈をしてきたのかということの事務方は内閣法制局なんです。政府としてはわかっていらっしゃるわけです、つまり私が何を聞きたいかということを。

 どうぞ来ていただいて結構ですよ、ただし、副大臣制度などを導入した趣旨から考えて、御答弁は政治家だから法制局長官はだめですよということを申し上げたんです。

 ですから、当然内閣法制局が、どちらかの大臣か政務官か、どちらか、あるいはどなたでもこれは結構ですよ、内閣としての憲法の解釈についてどなたが所管してお答えになるのか、この法律の主務大臣である大臣なのか、総務省なのか内閣官房なのか、どなたでも結構ですよということもきのう申し上げました。その上で今のような御答弁では、とても話は前に進みません。

 一たん休憩して、内閣法制局とよく御相談をされて、そして内閣法制局に答弁メモをつくっていただいて、それを持って再開をしてください。

林副大臣 何度も繰り返しになるのでございますが、法制局長官の答弁というのも、実は委員は多分御存じでおっしゃっておられるんだろうと思うんですね。一番の今問題になっております、例えば小笠原復興法のときにも、内閣法制局の答弁でございますが、「その地方公共団体の組織、運営または権能に関するものではない」ということでその前の例を引かれて答弁をしておられますから、繰り返しになりますけれども、これが法制局長官も含めた政府としての見解ということで統一をずっとされておられますから、そういうことを今から内閣法制局長官と改めてこの意見の交換をすると、新たにそういう文理解釈上の何か新しいものが出てくるということではないのではないかというふうに思っております。(発言する者あり)

河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

河本委員長 速記を起こしてください。

林副大臣 九十五条は先ほどお読みしたとおりでありますが、「国会は、これを制定することができない。」ということで、国会の権能であります立法権に重大な制約を加える規定になっております。

 先ほど申し上げましたように、この最初の「一の地方公共団体のみに適用される」という条文からどういうふうに文理解釈をするかということを考えるときに、憲法全体の中で国権の最高機関と位置づけられているこの立法府の権限を制約するということは当然その背景に入っているわけでございまして、文理解釈上、先ほど委員が言われるように、広い、狭いという議論をするときに、その広いというふうにいく要請は多分地方自治の本旨ということだと思いますが、一方、国会というものの権限を制約するという意味から、これを限定的に解釈しなければならないという要請もある、そういうバランスの中で今の解釈が生まれてきている、こういうことであろうかと思っております。

枝野委員 そこまでは私も認めます。私も同じ解釈をします、九十五条について。つまり、唯一の立法機関という国会の権能を制約する条項ですから、いたずらに広く解釈してはいけない。九十五条の目指すところの趣旨にかんがみて、必要最小限の範囲で解釈をするべきである、私もそう思います。

 では、なぜその必要最小限が今の三つなのか。ここの根拠が必ず法制局の一番最初にどこかで答弁する前のところでつくってあるはずですから、そうじゃないと、その三つを挙げるということはできないはずですから。

 できるだけ狭くといったときでも、どういう方向で、どっちの方向で狭くなのか、いろいろな可能性があるわけです。そのときにその三つを挙げているわけですね、先ほど来の内閣法制局は。そういうふうなところに絞った、今のような根拠があるんですよ。組織、運営、権能に絞った根拠が、その当時、だれも国会で突っ込んでいないから答弁は記録に残っていないかもしれないけれども、突っ込まれたらというための答弁はつくってあるはずですから。つくってなかったとしたら余りにも、でも、最近は危ないけれども、昔の法制局はしっかりしていましたから、必ずやっているはずです。

 それをきちっと調べて、それで検討して、レクチャーを受けて、それでその解釈の部分が本当に正しいのか、実はこれ、どう答えるか私もわからない。なぜかといったら、過去の記録がないんですから、どう答えるかわからないんです。

 それで、ここについてはいろいろな学説があるんですよ。どういう根拠に基づいてそういう解釈をされているのかと言っていただかないと、その解釈でいいのかどうかという議論に進んでいかないんです。ですから、どういう立場に立ってその三つに限定したのかというお答えをいただきたいということです。

林副大臣 素直に考えまして、地方公共団体のことを考える場合に、まず、組織、運営、権能というものが最初に出てくるというのは当然のことではないか、こういうふうに思います。

 ほかに七つも八つも十個もあって、その中からなぜこの組織、運営、権能というものだけが選ばれたのかということではなくて、地方公共団体、地方自治の本旨を考えますと、まず最も重要なことということで組織、運営、権能というものが出てきて、それで、それよりは、先ほど広い、狭いの議論をさせていただきまして、大家であられます委員にも御了承いただいた広狭の議論でございますが、その三つと比べますと、財政上の措置というのは国が一方的にやっていくということであるから、この三つの基本的なことと比べると、広い、狭いの議論の中では広義の方にいくのではないか、こういうことであろうかというふうに思います。

枝野委員 今のは微妙なんですけれども、では、こういう聞き方をしましょう。

 先ほど来申し上げております、正確に言うと七条二項四号は、本当に財政上の措置だけなんですか。権能にかかわっておりませんか。権能にもかかわっているんじゃないですか。本来国がやるような、国の権能である部分の一部分を道はやっていいけれども、そのときに財政上の措置もやりますということがパッケージで砂防法や森林法や道路法や河川法の権限についてなされているのではないんですか。

林副大臣 ちょっと質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、ほかの権能と七条二項四号の財政上の措置がパッケージになっているということでございますか。

枝野委員 いいですか、もう一回聞きます。

 今回の法律のところからの切り口で聞いていきますが、今回の法律で、特定広域団体が道である場合に限っては、砂防法、森林法、道路法、河川法の一部について財政上の措置を認めることも入っているかもしれないけれども、道である場合に限って、砂防法や森林法や道路法や河川法で、国の権能であるものの一部が道の権能になっていませんかということを聞いているんです。権能は入っているじゃないですか。

林副大臣 七条二項四号は交付金という国の行為について規定をしておりますので、そこは必ずしもリンクをするものではないというふうに思いますが、そういうことでよろしゅうございましょうか、ちょっと質問の趣旨を取り違えているかもしれませんが。

枝野委員 逆に言うと、この法律ができても、砂防法や森林法や道路法や河川法、つまり、砂防工事、それから森林法に基づく保安施設事業、道道について、二級河川について、北海道がやれる権限は拡大はしません、こういうことでいいんですね。

林副大臣 はい、おっしゃるとおりだと思います。

枝野委員 いや、思いがけず、違う方向ですごい答弁を引き出してしまいましたが、結局、権限はここはふえていないわけなんですね。

 もう一回確認しますよ。砂防法、森林法、道路法、河川法について、この法律が通っても、北海道の権限、権能は拡大しない、間違いないですね。

林副大臣 失礼いたしました。

 今、十九条の御質問がありましたので、十九条に交付金を交付することができるという条文になってございますが、これは国が交付することができるということでありまして、その部分について、十九条関連で道の権能が変わることはないということを申し上げたかったわけでございます。

枝野委員 この法律は複雑なつくり方をしているので、私もよくわからないところがあるんですが、そうなんです、交付金の話は十九条で、僕は七条をスタートラインに聞いているんですよ。

 七条を引用して十九条はあるわけですけれども、何だか知らないけれども、七条二項四号を読む限りでは、砂防法や森林法や道路法や河川法について、北海道に限って権限、分権されるんだというようなイメージの条文になっているんです。

 十九条に限らないで、この法律全体で、砂防法や森林法や道路法や河川法に関連して、北海道の道の権限は拡大しないんですね。

佐田国務大臣 今回の場合につきまして、それが権能になるかどうかということはありますけれども、基本的には、交付金制度にして見合いの部分の交付金化をするということで、年度内の融通であるとか、そういう使い勝手がよくなるということであります。

 それともう一点は、これは北海道でありますけれども、この後に例えば特定広域団体ができた場合には、これも同じような形になる可能性は十分にあるわけであります。

枝野委員 今の後段の答弁はだめですよ。だって、法律に「道である場合にあっては、」と道に限定しちゃっているんです、ここは。

 最初の話、ほかの部分のところは、現実的には当分ないだろうと思うけれども、三つ以上の都府県が一緒になって、おれたちも権限をくれ、認定してくれ、指定してくれといったら指定されるかもしれないから、少なくとも憲法九十五条の文理には反しない。それ自体が僕はひきょうだと思いますけれども、その話もしたいんですが、少なくとも砂防法と森林法と道路法と河川法に関する、一つには交付金の話もあるけれども、これは「道である場合にあっては、」と道に限定されているんです。一の地方公共団体に限定されているんです。

 それで、ここで先ほどの憲法九十五条のるる述べられた解釈を前提にすると、これは交付金の話だけであって、道の権限、権能が変わるわけではないという答弁でよろしいんですね。

林副大臣 法律的に言いますと、委員のおっしゃることでいいのではないかと思います。

 交付金になるわけですから、交付金というのはあくまで国が定めて交付金を交付するわけでございますが、今の状態よりも、この法律を通していただいた後になって交付金になるわけですから、一層この場合は道の自由度が増す、こういうことでありまして、事実上はそういうことになるわけですが、法律上はあくまで交付金ですから、そういう意味でお尋ねということであれば、そういうことであろうかと思います。

枝野委員 どういう意味かは別として、皆さんの方が組織、権能云々に当たらなければいいんだという解釈ですと、その答えはまだ納得しているわけじゃありませんが、とりあえず一応の説明をされたから、もしそのことを前提とするならば、要するに、「道である場合にあっては、」と北海道だけに適用される四つの法律に絡む部分のところは権能にかかわらない話ですね、論理必然的にそうなりますから、どういう趣旨の質問であるかにかかわらず、北海道の道の権限、権能は拡大をしない、こういう答えにしかなり得ないと思うんですがということをお尋ねしているんです。

佐田国務大臣 ですから、そういうことで、今枝野委員が言われたように、拡大はこれはしないということであります。

 それともう一点は、平成二十七年にはこれもまた全体に見直していくということでありますけれども、今北海道に限られておるというふうな、確かに政令によってこれは定めるわけでありますけれども、他に三県以上がこれは手を挙げるようなことになれば、これもまたそのような税源移譲、そして、なおかつ使い勝手のいいような交付金に同じようになる可能性は十分にあるということです。

枝野委員 大臣、後段の話は全然違う話でしょう。今、この法律でこの四つの法律、砂防法、森林法、道路法、河川法は道にしか適用しないという法律をあなたが出しているんですから。これについても、ほかの三つ以上のところも適用される可能性があるというんだったら、何でこの条文は、道である場合にはなんて余計な限定をつけているんですか。提案している趣旨と全然答弁が違うじゃないですか。

林副大臣 今の委員の御指摘のように、七条二項四号で、道が計画に工事または事業の内容を定めるということを要件として交付金を交付するということですから、いわゆる法律上の権能というものではなくて、交付金ですから国の行為ということでありますから、ここに議論になっております法律上の権能という意味では動かないということで、委員の御指摘であろうかと思います。

枝野委員 今、交付金だからいいじゃないかという話の前提で先ほどの林副大臣のお話以降やってきたんですが、本当にいいんですかという話なんです。

 つまり、交付金で使い勝手がよくなる。使い勝手がよくなるということは、一般的には地方の裁量の余地が広がるわけですから、分権を進めていくということからは大変望ましいことだと思います。私もそう思います。

 しかし同時に、道の裁量の余地が大きくなるということは、道の責任も大きくなるわけです。自己責任になるわけです。こういうことですよね。まず、この点まで、いいでしょうか。

林副大臣 今ちょっと申し上げましたように、七条二項四号で、交付するための要件に、道が作成する道州制特別区域計画というものに一定の工事または事業の内容を定めるということに規定しておりまして、その計画に基づいて、その計画が委員御懸念のように余りに好き勝手に何かやるというようなことであればともかく、もともとの法律の趣旨に基づいて、この計画に定めていただいた中身について自由度を増すということについては、この法律に規定があるように交付金化されるわけですから、その趣旨に基づいてやる、こういうことになろうかと思います。

枝野委員 この法律の本質に結局つながっていくんですけれども、今のお話でよくわからないのは、結局、何とか計画をつくって、何とか計画は最終的には内閣が承認するのかな、本部が承認するんですよね。だから、国がそこで一定のコントロールをする、そんなのは分権なんですかという話になっちゃうんですよ。

 つまり、少なくともこの四つについて、権能は移りません、権能は変わりません、何か財政上の措置で交付金化します。普通、交付金化しますといったら、道の自由度が増す、自由にできる。一般的に交付金化といったら、そういう方向でみんな、分権に資する、歓迎だという話になるんですが、だとしたら、道の自己責任の部分も大きくなる。ならないとおかしいですよね。自由に使えるんだったら、そのかわり、自己責任も大きくなる。失敗して余計な、つまらないところに使ってしまっても道民と道の責任ですという法律なのかと思ったら、どうも違う。どっちなんですか。

林副大臣 どっちなんですかということはなかなかお答えしにくいと思いますが、どっちでもあるということだと思いますね。

 今よりも自由度が実際上増すのかどうかというお答えならば、当然、交付金になるわけですから、先ほどから御答弁しているように、増すわけです。ただ、全く権能まで動かして、例えば税源を移譲してやるということに比べれば、それは当然、今委員の御指摘のように、責任もありますし、国の交付金ですから計画に基づいてやっていただくという制限はかかるということですから、先ほど丸谷委員の御質問でもあったように、一か一〇〇、一かゼロというお話もありましたけれども、一〇〇ではないかもしれないけれども、できることをやっていこうというような御評価をいただいたところでございます。

 そういうことであれば、今の委員の御指摘に答えれば、全く自由度のある権能まで移譲したというものではありませんけれども、現状に比べて事実上の自由度が増す、こういうことであろうかと思います。

枝野委員 二つ申し上げたいんですが、権能は移らないんだけれども自由度は増すという話自体が、言葉としてなかなか、結局、法治国家なんですから、どこが権限、つまり裁量権を持つのかというのは法に基づいてどこかが持つ話なので、自由度が増すということは権能が広がる。それがまさに一かゼロではなくて、〇・五かもしれないけれども権能が増すではないのかなというのが普通の物の考え方だと私は思いますので、まずその点を指摘しておきたい。だから、それはおかしいんじゃないか。

 もう一つ、権能は増さないけれども自由度は部分的に増すということを百歩譲って認めた場合でも、自由度を増す部分については自己責任も増す、これはいいですか。

林副大臣 百歩譲っていただきましてまことにありがとうございました。

 おっしゃるとおりでありまして、自由度が増す部分について全く野方図というわけにいかないという観点もあって、この計画を定めていただく、それで一定の工事または事業の内容を定めるということを法律に定めて、それを計画に入れてくださいよという仕組みになっているということでありますし、それから、言わずもがなでありますけれども、これは、計画が行って公表されて認定されてということで、皆さんが見ていらっしゃるところでこのプロセスが進むわけでありますから、当然、その計画にいろいろ書いたことが、道民の皆さんの目から見て、また、広い意味で国民の皆さんから見て、余りにおかしいではないかということがあれば、当然、そういう政治プロセスでも責任を果たしていかなければならないということになるのではないかと思っております。

枝野委員 一応、自由度が増す以上はその責任も増すということは認めていただいたように聞こえますので、そうでないとおかしいわけです。

 そこで、憲法九十五条に戻ります。

 なぜ憲法九十五条が、一の地方公共団体のみに適用される法律は住民投票が要るのかといえば、まさにそのことによって、一部の人たちだけ国が勝手につくった法律で他の地域に住んでいる人たちよりも不利益を受けることになっては困る。だから、一部の人たちだけにしわ寄せがいく可能性があることについては、そこの地域の人たちの別途の承認をもらわないといけない。これが憲法九十五条の趣旨ですよ、一般的に言って。ここまでは、僕は内閣の解釈は間違っていると思いますが、内閣法制局も含めて共通だろうと思います。

 そこで、私は分権を推進すべき立場であります。ですから、国と都道府県とどっちが信用できるか、今住民の皆さんがどう思っているかにかかわらず、どんどん国から都道府県に、都道府県から市町村へと分権を進めていくのが国の役割だと思っています。

 いや、国も国会も内閣も信用できないけれども、市役所よりましだとかと思っている住民の方もいるかもしれない。いや、現にたくさんいらっしゃるんだと思う。だけれども、分権を進めていって、地域に身近なところにできるだけ権限をおろしていった方がいいと私は思っています。私は思っていますが、国会が思ったり内閣が思ったからといって、住民の皆さんが認めないといけないわけです。

 先ほど来、少なくとも、財政上の措置で財政的な自由度を増す、自由度を増すということは、その自由度の増す程度に応じて自己責任も増すわけです、北海道の皆さんだけ。日本全国みんな、いや、都道府県と国とどっちが信用できるかということで意見が分かれるかもしれないけれども、もうこれは都道府県の自己責任ですよというのを国が決めるのは勝手です。勝手というか、やるべきなんです。

 しかし、何で北海道の人だけ、いや、おれは道庁よりも内閣の方がまだ信用できるかなと思っているかもしれない人がいるのに、道の方の自己責任の部分が広がるということを勝手に国会だけで決めていいんですか。

 九十五条の趣旨からすれば、北海道民の皆さんに、皆さんのところだけ、国、政府、内閣や国会よりも、道庁や道議会の方の責任が重くなります。そのことによっての自己責任の程度も重くなります。大なり小なりというか、小なりといえどもそのことはお認めになったんですから、それでいいですねという了解をとるのが九十五条の趣旨じゃないですか。そして皆さんが、これはいいことなんだ、道民の皆さんにも理解されているんだとずっとおっしゃっているんだから、住民投票をやっても何の問題もないわけです。

 だから、九十五条の趣旨にかんがみて、少なくとも、今ぎりぎりお認めになった、自由度が増す、自由度が増す以上は責任も増すんだから、その責任が増すことを道庁に任せて、北海道に限って道庁に任せる。東京は都庁に任せるわけではない、埼玉県も県庁に任せるわけではないのに、北海道の人たちだけ国よりも道庁に任せるということについては、道民の皆さんの最終的な意思を確認する、これは必要じゃないですか。

林副大臣 憲法の解釈の議論と、今委員が御指摘なさった、ある意味で政治的な要請というものは、厳密に言うと分けて考える必要があるんではないかと思いますし、その趣旨でずっと御議論いただいて、そして今の御質問になったというふうに承知をしております。

 おっしゃるように、私もその議論は、いつもいろいろな人とやるときに、やってみなきゃわからないじゃないか、やってみないままで今の例えば市役所に任せられるかという議論をしても、それは市役所が気の毒じゃないかという意見もありますし、私も個人的にはどちらかというとそういうものに近いわけでございますけれども、そうであるからこそ、きょうの冒頭の先生の御質問にもありましたように、また、前の先生方の御質問の中にもあって御答弁もしてきたところでございますが、このプロセスですね、知事からもお話があり、道議会からも御要請があって、また、道内でも法案の説明会等やってきたということでございますから、そういう中で道民の皆様にも、この自由度が増すということは当然責任が伴ってくるんだということは御理解をいただいているというふうに考えておるところでございます。

枝野委員 その御理解をいただいているかどうかの確認をとる手段が住民投票じゃないですか。つまり、自由度が増すと財政上の措置にとどまるというのは、一見その地方にとってはプラスのことばかりのように見えるから、それは別にその地域の住民にとって、ほかの地域より優遇されるんだからいいじゃないかというのが、財政上の措置は住民投票は要らないということの根拠なわけですよ、従来は。

 だけれども、まさに分権の中で財政的自由度を増すということは、分権の中でそこだけ自己責任度合いが高まるわけです。そうですよね。少なくとも、この四つの法律の財政上の措置で交付金化される部分については、ほかの都府県よりも北海道の方が自由度が増す分だけ責任が重くなるわけです。北海道の人たちだけ、いや、道庁よりも国の方が信用できるんだけれどもなと思っている人がいるかもしれない、世の中いてもおかしくないですよ、今おっしゃったとおり。私は意見は違いますが、いや、道庁でやってもらった方がいいんですよと思いますが、だけれども、そう思っている人はいるかもしれない。不利益的法に北海道民だけ、つまり、やってみなきゃわからないというリスクを北海道民だけとらされるという法律なんですよ。

 北海道の人たちだけ、やってみなきゃわからないリスクをとらされる法律なんだから、その人たちの了解をとって、まずはあなた方のところ、やってみたらうまくいくかもしれないんだからやってみましょうよということで住民投票を求めるという、憲法九十五条の趣旨に照らして、むしろ積極的に憲法九十五条の住民投票をしてくださいよと求めるのが、この法律に自信を持っている立場からは僕は当然だと思うんですけれども、もしそれが消極的であるとしたら、唯一の理由は財政上のことだけだけれども、幸い、近々知事選挙か何か行われるらしいですから、そのときにでも一緒に住民投票をやったらいいんですよ。そうしたら財政的にはそんなにかからない。

 確かに、理論的にはこれはマイナスもあるかもしれない。道庁も責任が重くなってマイナスもあるかもしれないけれども、だけれども、まさにモデルとしてうまくいくかもしれない。そうしたら、道民の皆さん、ほかの地域よりもハッピーなんだからということを自信を持っておっしゃるんだったら、こんな九十五条の解釈でごちゃごちゃ潜脱的なことをやるよりも、堂々と住民投票におかけになるのが、自信を持っているんだったら僕は筋だと思うんですけれども、どうですか。

林副大臣 大変ごもっともな御意見であろうとは思います。

 ただ、先ほど申し上げましたように、法律上のこの条文なり法案が九十五条に対してどういうふうになるかという議論と、今委員がおっしゃるように、政治的にこういうことであって、自信を持って、あるんならやったらどうかという議論は、ちょっと切り離して考えなければならないと思っておりますし、先ほど申し上げましたように、この計画をつくるときには、いろいろな手続でいろいろなプロセスがあるわけですね。そこできちっといろいろな合意を得るということになっておりますから、そういう仕組みはきちっと入っているということであります。

 繰り返しになりますが、この法案そのものの広報や、それから、要望を受けた段階で、知事さんや議会とのお話の中で当然そういうことは入っておるわけでございますので、改めて、その住民投票をやるかやらないかということにつきましては、先ほど来の議論で、憲法上の要請はない、こういうことになろうかと思います。

枝野委員 しょせん内閣法制局長官が国会答弁したにすぎない解釈なんですから、その趣旨は私の申し上げた趣旨とそんなに変わっていないと思うんです、つまり、その地域だけ不利益なことになる可能性のあることはその地域の住民の了解をとらなきゃいけないよねと。

 従来は、財政的措置だなんというのは、その地域にとってプラスしかないと思っていたものだけれども、まさに、分権とセットで財政的な措置をやるということは、自己責任もふえてマイナスかもしれないという側面はあるんだから、従来の解釈を内閣としても変更して全然構わない。

 さらに言うと、この法律全体としては、もう一回時間をもらった方がいいのか、それともきょうでやめた方がいいのか、個人的には迷うんですが、実は、ほかの部分のところも九十五条の潜脱だと思うんですが、少なくとも、先ほど言った砂防法、森林法、道路法等の部分のところについては九十五条にかけますというようなかけ方も、別にこれは憲法と国会法と地方自治法しかないんですから、国会でみんなで整理すればできるわけで、では、その部分に限っての施行についてだけ住民投票かけましょう、ほかの部分は施行しましょうとかというやり方、幾らでも応用はきくわけなんです。

 時間が来てしまいましたので、私は、本当にこの法律が道民から歓迎をされ、支持され、道民にとっていい法律だというふうに思われるのであれば、住民投票におかけになるべきだと思うし、逆に言ったら、いろいろな理屈をつけてそれを逃れるということであるとすると、いや、道議会とか知事さんとかはいいと言っているのかもしれないけれども、住民の理解は本当は得られないんじゃないかと不安を持っていらっしゃると受けとめられて当然ではないかということを申し上げて……(発言する者あり)もうちょっとやれと言ってもいただいていますが、私の質問は以上にさせていただきます。

 ありがとうございました。

土屋大臣政務官 枝野議員から先ほど御質問いただいた件で、答弁を留保していたことがございます。

 地方の特別議決をした案件ですが、十五本の法律すべて議員立法ということが確認されましたので、答弁をいたします。

枝野委員 つまり、政府は一回も、内閣は一回も九十五条の適用になるような法律を出していないんです。つまり、逃げているんです。

 僕は、逃げるべきではない、自信を持って、これはあなたの地域だけの法律なんです、だから皆さんの住民投票にかけますが、皆さんの地域がよくなるんだから、ほかの地域からそんな法律なんかつくらないでくださいよとむしろ不満の声が上がるようなことをやっていくのが、分権というのは、全体としての分権も進めるべきだと思いますが、まさに、北海道のようなところを特区的に先行実施するだなんというのは、本来は本当にいいことなわけですから、自信があるんだったらそういう形でお進めになったらいいんじゃないでしょうかと申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党、市村でございます。

 一時間いただきまして質問しますが、多少短くいたします。

 まず、今回のこの法律は道州制特区というものでございますが、道州制の定義を教えてください。

林副大臣 道州制の定義というものは何であるかという御質問でございましたけれども、二十八次の地制調、地方制度調査会で、道州制のあり方に関する答申というのをいただいておりますが、広域自治体として、現在の都道府県にかえて道州を置くものというふうに位置づけております。広域自治体という位置づけをしているというのが道州制であります。

 少し補足いたしますと、国と地方の双方の政府のあり方を再構築し、国の役割を本来果たすべき役割に重点化する、内政に関しては広く地方公共団体が担うという我が国の新しい政府像を確立しようというふうに認識をしておるところでございます。

市村委員 それでは、地方分権推進法というのがありますが、この中で広域自治体についてはどのように取り扱われていますでしょうか。

佐田国務大臣 地方分権推進法は、新たな地方分権改革の推進体制の整備等を定めるものでありまして、道州制担当大臣のもとで道州制ビジョンの策定を進めるということであります。

 また、地方分権改革推進法案は、もっと詳しく申し上げますと、新たな地方分権改革の推進体制の整備等を定めるものでありまして、三年の期限を限って集中的に改革を進めようとするものでありまして、こうした地方分権改革の着実な実施が将来の道州制の本格的な導入につながるものであります。

 地方分権改革推進委員会においては、権限移譲や義務づけ、そして枠づけの見直し、関与の整理合理化等が主要課題となるものと見込んでおりますけれども、道州制について、直接に調査審議の対象とすることは想定していないところであります。

市村委員 地方分権推進と道州制の関係は、では、今のお話だと分離して議論すべきものというふうに御解釈をされているんでしょうか。

佐田国務大臣 道州制は、基本的には、現在の基礎的自治体と都道府県を対象ではなくて、道州の関係でありまして、そういう意味におきましては、地方分権推進法案もこれは地方分権を進めるものでありますけれども、道州制もこれは権限、財源、そしてまた税源の移譲ということでありますから、地方分権の一助になるということであります。関連性はあると思います。

市村委員 最初に林副大臣から、道州制の定義の中では広域自治体だという話でありました。今の大臣のお話だと、だから私は将来的に道州制は賛成なんですが、やはり本来であれば道州制の議論というのは、国のあり方を変える大変なことでありますから、もっと熱を帯びて議論をしなくちゃいけない話でありますよね。ところが、広域自治体と今定義では限定しながら、地方分権推進の中で自治体のあり方を考えていくというのに、これは別の問題だとなっておりますよ、今の話を素直に聞くと。

 何でこれ、あれですか、私は当然、地方分権を考えるときに、その受け皿として、一つのあり方として道州制をしっかりと議論すべきだと思いますから、地方分権推進と道州制の問題は、当然、一体として考えていく問題だと私は思っておりますが、大臣、御見解いかがでしょうか。

佐田国務大臣 決して分離するものであるとは言っておりませんで、委員が言われるように、道州制につきましては、非常にこれは重要なことです。したがって、今回の、今提出されている法案もありますけれども、これは都道府県を単位として、いわゆる慎重に、かつ、これは重要な法案でありますから、各地域のいろいろな特性等もかんがみながら慎重に進めていかなくてはいけないということであります。

 今回のいわゆる道州制特区推進法案につきましては、先ほど来からのいろいろな御議論の中にもありますように、今回、北海道ですけれども、政令で定められた北海道において、いろいろな議論をいただきながら、税源、財源、そして権限を移譲していくわけでありますけれども、それにつきましても、先ほど来から申し上げていますとおり、いろいろな道の方の意見を聞きながら、そして収れんをしながら、それを進める中でビジョンを確立し、将来は道州制につなげていくという方向を今模索している、こういうことでございます。

市村委員 いろいろ論点が出てきたんです。ちょっと意地悪な質問をさせていただくと、もし広域自治体について道州制のことを考えるのであれば、北海道というのはそれにそぐうんですかね。

 今、もう実際に一つの自治体となっている北海道であるところにモデルケースをやろうとしているわけですね。では、モデルケースをするのであれば、例えば、さっき九州の話が出ていましたけれども、九州とかの方がいいんじゃないですかね。三つ以上の都道府県があって、いわゆるいろいろな広域自治体のことを考えていくといったモデルケースとしては、九州であるべきことがいいのであって、北海道は既にもう一つの自治体なんですから、何かモデルケースとして北海道を選ぶというのは、私は今のを素直にお聞きしているとちょっと違うかなと思いますが、いかがでしょうか。

林副大臣 前回の委員会で、ちょっとお名前は忘れましたけれども、北海道が先行モデルとしていい理由というのを委員の御指摘がありまして、私もなるほどなと思って聞いておりましたが、実は、北海道には既に、委員がおっしゃるように、道自体が非常に道州に該当するぐらいの規模がある。そこの規模で道としてもなり得るところに、実は道庁という組織が既にあって、国の出先と道庁というものがそこにあるということであります。例えば先ほどの九州でございますと、今から九州庁みたいなものをあらかじめつくってということをやらないと、道庁でできるモデルというのはできなくなるということでありますから、そういうメリットもあるのではないか。

 ですから、ほかのところが全くそういうメリットがないということではなくて、北海道であるとするとそういうメリットがあるのではないかなというふうに考えておるところでございます。

市村委員 ちょっと意地悪な質問だったとは思っていますが、なぜこれをお聞きしたかといいますと、つまり、広域自治体だということを前提に道州制を定義されているから、私はこれをお聞きしているんです。私は、なぜ連邦制は議論に入らないのか、なぜ道州制の定義の中に連邦制というものもしっかりと踏まえた上で議論がされないのかということを非常に疑問に思っているんです。

 だから、北海道でやるのならば、例えば、権限も財源ももう一挙に北海道に移譲するからどんなことが起こるかやってみてください、それならば、北海道でやるという意味もわからないでもないんですよ。

 でも、最初の最初の定義で、広域自治体を前提としているとおっしゃったから、ならば、北海道は既にもう一つの自治体なんですから、むしろ九州とかの方が、モデル、実験と今大臣はおっしゃいましたから、そういうことをやったらモデルケースでいろいろな問題が起きてくるでしょう。それならば、それを見ながら、ほかの地域でやるときはやはりここを気をつけないかぬね、考えておかないかぬねということで、モデルならわかるんですよ。でも、広域自治体を道州制に考えているという前提から考えると、北海道は果たして本当にモデルでいいのかというのが私は一番の疑問なんです。

佐田国務大臣 先生、先生の言われるのも確かに非常に理があると思うんです。例えば、本当に独立した州みたいな形にした場合に、法律も全部変えてやっていいのかどうかということもあります。その独立性をどこまで保つのがいいのかということもあります。

 それで、今回の場合は、北海道の道民のいろいろな意見を聞いて、その中から、別に試験的にやるということではなくて、手を挙げられたわけでありまして、手を挙げられたわけですから、それが地方分権においてどのような形になっていくか、これの一つの収れんになってくると思うんですね。

 例えば、今回の法律において、先ほど来からも、推進本部であるとか、計画、要するに推進計画であるとか、そして基本方針の見直しであるとか、こういうことでかなりの中身が見直されるようになっているんですね。

 ですから、したがって、委員の言われるように、例えば北海道においてはこういう権限、財源、そして税源を移譲した方がいいのか、これは勝手に決めるんじゃなくて、もちろん市町村そして住民の皆さん方の意見を聞きながらそれを進めていって、例えば九州でもそうですね。九州がもしもこれを、地方自治法によって手を挙げられて特定広域団体になった場合には、どういうものがいいかということは基本計画の中で策定していくわけですから、それをどんどん、例えば九州の特定広域団体、北海道の特定広域団体、同じとは限らないです、はっきり言って。それは、地域、歴史、文化、いろいろなものが違うわけですから、その中で、確かに本来ならばぼんと移譲した方がいいかもしれません。ただ、それはやはり住民の皆さん方の意見を聞きながらしっかりと確実にやっていきたい、こういうことでございます。

    〔委員長退席、後藤田委員長代理着席〕

市村委員 ならば、まさに地方分権の議論なんですよ、これ。道州制の議論じゃないんだと思うんですよ、今のお話をお聞きしていると。

 それならば、地方分権推進法で今まで十数年やってきた歴史があるわけですから、この中で、まず地方分権の流れの中で議論をしていく。その中の受け皿として、もちろん道州制も見込みながら、しかも、道州制については連邦制も含めて幅広い議論をしていくということが必要じゃないんでしょうか。

佐田国務大臣 先生の言われるとおりです。要するに、我々としてはこれで終わらせるつもりもありませんし、そういうことによって、今回は北海道ですけれども、北海道のいろいろな意見をお聞きしながら、そして、それをいろいろな税源、財源、そして権限の移譲を行いながら進んでいくわけですね。これは、基本方針の見直しを大体年に一回、一年半に一回ぐらいになろうかと思います。

 そういう中において、我々としては、北海道のありようをしっかりと議論すると同時に、また道州制に結びつける。何が一番ベターなのか、日本のそういうふうな形によってどういうふうな形になって、将来、例えばそのビジョンの中で、委員の言われるような本当に分離したような形になる可能性もありますし、それは、地方分権も踏まえて、しっかりその中で議論をしていきたい、こういうふうに思っています。

市村委員 いや、ならば、今回道州制特区と名づけられていますけれども、道州制というのを今ここで使うのは、私はいかがなものかというふうに思います。

 もしそうだったら、地方分権の中でそういう議論をしていく。つまり、定義もあいまい、あいまいというか、ある意味でいえば、はっきりと明確に広域自治体ということで定義されちゃったんですね。となると、このままいくと、道州制というのは広域自治体の範囲を抜け出ないことになるんですね。

 一遍定義しちゃって、しかも、それこそさっきの議論じゃないですけれども、国権の最高機関がそういう議論をしてしまったら、それは、さっきの枝野さんの議論であれば、一回選挙が終わればいいんだということかもしれないんですけれども、やはり私は道州制という言葉をここで使っているのはいかがかなというのは思うんですね、もしそういう議論であれば。いかがですか。

林副大臣 先ほど定義をお答えしましたので、これは地制調の、審議会の答申ということでございますが、直近にはそれしかないわけですね。

 それで、まさに委員が御指摘のように、広域の自治体ということでありますから、前回の委員会でも御議論がありましたけれども、我々の議論としては連邦制はとらないという方向性がその二十八次、二十七次にも出ておりますし、自民党の方の御議論でもそういうふうになっておられるということで、広域自治体という定義は、まさにそういう意味も含まれておるわけでございます。

 まさに、広域自治体ということになりますと、先ほど申し上げましたように、九州は例えば幾つか県がありますけれども、まだ広域自治体には残念ながらなっていないということでございますので、そういう意味も含めて、モデルとしては、たまたま大きな、国土の五分の一もあって、非常に文化圏的なまとまりのある、いわゆる一般的な観念で道州にふさわしいものが今そこに自治体として存在をしておるということが、モデルに対して非常に適するのではないかという意味で申し上げたところでございます。

 ある意味では、これをモデルとして、まだ非常に、一、一〇〇の議論がありましたけれども、一〇〇のスタートだと言えないかもしれませんけれども、そこから得られた知見を、先ほど大臣が御答弁しておりますような地方分権全体の議論にも資するようにしていく、こういう方向性だろうというふうに思っております。

市村委員 自民党さんでもう連邦制はとらないという御決定をされた上での定義だというふうにお聞きしたんですが、さっきも申し上げましたように、この道州制という議論は、地方分権の一つの受け皿として、やはりもっと熱を帯びて議論すべきことだと私は思うんですね。何かこんな淡々と議論していくことじゃない、だって、次、これからの国のあり方を論ずることですから。そのときに、あえて今は連邦制をとらないとなぜ自民党さんがもう既にこの段階で御判断されているのか、私はまた別個に聞きたいと思います。

 私としては、この構想を含めて、やはりそういうもっと壮大なこともこの道州制という議論はすべきことでありまして、だから安倍総理大臣は、まさに三年かけていわゆる道州制ビジョンを考えていらっしゃるわけですね。ならば、道州制ビジョンの中でやはりもっと壮大にやっていただきたいと、私は一人の国民として、国会議員として思うわけです。

 だから、ここで、道州制特区だ、こんな矮小化されたところでの道州制を使ってこういう議論というのは、せっかく熱を帯びるべきものが、何かこんな淡々とじゃ、しかも憲法論議に入っていくようでは、違うんじゃないかなと私は思うんですが、いかがですか。

佐田国務大臣 先生が相当推進論者であるというのは話を聞いていてよくわかりました。北海道は、今度、一応政令で定められましたけれども、中には、要するに、権限、税源、財源も、こんなのではちょっとシャビーじゃないか、こういう意見も確かにあります。ただ、これは先生も御存じのとおり、非常に画期的な法律であることは事実ですね、はっきり言って。というのは、この受け皿のスキームというのは、意外と画期的な受け皿なんです。

 というように申し上げるのは、先ほど、安倍総理も三年でビジョンをつくっていく、こういうお話がありましたけれども、やはりその辺がちょっと、例えば、先ほど枝野委員の話もありましたように、北海道の道民の、道民というか、特定広域団体の意見を聞いていないんじゃないの、こういう意見がたくさんありました。

 その辺を我々は非常に気にしておりまして、できる限り意見を聞いていこう、こういうことで、いろいろな、例えば、今度の基本方針が少なくても、これを計画にやって実施し、それによって収れんしたものを変更する場合も、いろいろな道民の意見を聞いて、それをまた回しながら、今回八のいろいろな分権に対して、来年になったら百ぐらいにふえて、再来年になったら何百となる可能性があります。それによって、要するにビジョンができてくる。

 その中におきまして、我々としてもしっかりとして、地域のそういう、例えば九州の方だとか関西の方だとか、非常に見識の深い方もいらっしゃいますから、その方々の御意見も聞きながら、全体的に日本の地方分権、道州制はどうあるべきかということもあわせて議論をしていきたい、こういうふうに思っています。

市村委員 だから、いろいろな議論をしていこう、ビジョンを持って議論していこう、それはもう大賛成なんです。特にもっと熱を帯びなくちゃいけません、これからの国の形ですから。

 ただ、私は、今回の法律がなぜ道州制特区などという、定義もあいまい、あいまいじゃないけれども、広域自治体ということで定義されているんですけれども、なぜここで道州制という言葉が突然出てくるのかが、残念なんです。残念なんです。もっとこれは熱を帯びてやりたいんですよ、私は議論を。

 ところが、こんなところでぽんと出てきてすごく矮小化された。やはり、お聞きしていると、道のことなんですね、道なんですよ。しかも、モデルケースでもない。道から提言があったからそれを受けとめたい、それでもいいと思います。ならば、地方分権の中で知事さんが求めているんですから、知事さんは道民から選ばれた方なんですから、それは理論的には道の意思ということだと思いますけれども、では、道の中でこういうことで独自にやっていきたいから、そういったことでやらせてくれないかということでいいんじゃないですかね。

 しかも、三十三項目のうち、既に二十九項目はもうやれたり、やろうとしているということでしょう。ということは、法律をつくらなくても、三十三、ある意味では、一番最初に提案するということは最もやりたいことなんですよ。違いますか。最もやりたいことですら、三十三のうち二十九はもう法律をつくらなくてもやれちゃうということは、別に法律をつくらなくてもやれるということにもなりませんか。いかがでしょうか。

佐田国務大臣 法律の中で、省令、政令でやれるもの、やれないものもあります。そして、これからまた周知徹底をしていって、先生が言われるように、実はこれは意外とダイナミックにやっていきたいと私は思っています。

 例えば、北海道の方で政令に定められてこれをやっていきますけれども、先ほど来から答弁させていただいているとおり、知事だけということじゃなくて、いろいろな地方自治体だとかそういう方々、それだけじゃなくて、例えば九州の経済界、地方自治体、関西の同じような団体、東北の方々、みんな来ています、はっきり言って。そういう方々も本当に今北海道を注視している。

 そしてその中で、この法律が通ったときに、これから最初の基本方針が本部で策定をされて北海道に行ったときに、いろいろな議論をいただこうと思っています。市町村にしろ、道民の皆様方のいろいろ意見を聞いていきたい。

 そして、これじゃ法律をつくらなきゃ無理だねというような税源、財源、そしてまたは権限の移譲等についても、どんどん議論をしていって、そういうふうなビジョンができてくるように全力で努力をし、そしてまた、そういうものを見て関西、九州の方々が、ではうちもやりたいね、そういうことになれば、これはやはり政令によってまた同じく特定広域団体に指定をして、そして御希望を聞いていく、こういうことです。

市村委員 ですから、私は今の大臣の発言は、お言葉はそれでいいんです。だから、北海道に限ってこれからいろいろな意見を聞いていこう、地方自治の、国が押しつけるんじゃなくて道民の意見を聞いて、それを聞きながら将来を考えていこうというのは、それはいいんですよ。

 ただ、なぜこれは道州制特区ということなのか、素直に考えて、なぜ道州制なのかというのがわからないんですね。だって、地方分権推進法があって、地方分権という枠組みの中で、例えばいわゆる構造改革特区もあるわけですね。では、例えば、これはある意味で一つの規制緩和であれば、北海道全体をいわゆる構造改革特区として認定して、いろいろな意味での規制緩和を進めていきましょうということでも今の話は十分。それで、その流れの中で道民の皆さんの意見を、特に道民の皆さんですね、北海道に行って道民の皆さんの意見を聞いていきましょうということでも十分やれることじゃないか。わざわざ法律を用意することかなというふうに思うんですが、いかがですか。

佐田国務大臣 ダイナミックに進めるという意味においては、今回、道州制と道州制特区推進法というのは違うじゃないの、そういうふうな意味合いもあろうかと思います。

 確かにこれは道州制特区推進法ということで進めておりますけれども、これは、先ほどの答弁にもありましたように、ビジョンをつくっていこうと思っています、はっきり言って。日本にとっての、要するに道州制はどうあるべきかとか、将来的には道州制につなげていきたい、そういうふうな形でダイナミックにやっていることでありまして、先生の言われた構造改革特区、これもありますし、地域再生の問題もありますけれども、これは独自に、別に地区地区でいろいろな意見をいただきながら、これもまたいろいろな意味で地方の意見を聞きながらやっておる。別にこれは、道州制特区の場合は、この推進法は将来の道州制を見据えた形で進めさせていただきたい、こういうふうに思っています。

市村委員 ですから、道州制を見据えてやりたい、ビジョンを持ってやりたい、本当にそれはもうぜひともそうしていただきたいんです。いや、そうしなくちゃいけないと思っています。やらにゃいかぬと思います。

 それと、さっきから私が申し上げているのは、だから、この法律は決して道州制とうたわなくても別にいいのではないかな、もしくはこういう法律を用意しなくたって、既存の法律でも十分今の思いは達せられるんじゃないかな、今の状況でも。

 逆に、構造改革特区もある上にまた道州制特区とかを持ってきて、普通聞いたらよくわからないですよ。あれ、では構造改革特区というのは何だったの、規制緩和だった、うん、なるほど。では、この道州制特区は何なの、規制緩和に限らず権限移譲ですと。ところが、権能は増さないという議論がさっきありましたよね。私、権限移譲だと思っていたんですけれども、さっき何か議論では権能は増さないというお話が議論になったので、ではこの構造改革特区というのは一体何なんだろうというのが、これはやはり素直に思っているんですよ。いかがですか、これは。

佐田国務大臣 要するに、構造改革特区の場合は、これは地域も狭いということがあります。そしてまた、その地域地域のいろいろな意見を出して、これは規制改革が中心になっているんですね。規制改革、例えばどぶろくの解禁だとか、地域のいろいろな知恵を使ってワインをつくったり、本当に生活に根差した、そういうふうな規制改革を中心でやらせていただいております。

 ただ、この道州制の方は、先生も御案内のとおり、もうかなり全国的にこの言葉自体が根づいておりまして、はっきり申し上げまして、先生言われるように、道州制という言葉は根づいているんですけれども、九州、関西からいろいろな方々がお見えになりますけれども、確かにちょっと誤解している場合もあります。

 したがって、これをしっかりとした形で北海道でまず政令指定させていただいてやっていただき、早くビジョンづくりをしていけば、これは将来に向けての本格的な、先生言われているダイナミックな地方分権、そして税源移譲、こういうことが行われてきて、全体が本来の道州制に近づいていく、こういうふうに思っているわけです。

市村委員 ですから、今もちょっとおっしゃったように、やはり権限とか財源の移譲が伴わないような道州制の議論というのはあり得ないと私は思うんですね。さっきの議論だと、権能は増さない、つまり権限ですよね、違いますか。ちょっと私の誤解かもしれません。では、林副大臣、ちょっとお願いします。

林副大臣 済みません、確認でございますが、先ほどちょっと枝野議員と御議論させていただいたのは補助金にかかわるところでございまして、実はそれ以外に、理容師、美容師ですとか公費負担の指定医療機関の件ですとか、そこのところは権限の移譲ということでございます。これは北海道以外の特定広域団体というものも同等に扱うということになっておりますから、そこは法律上も権限を移譲するということになっているところであるということでございます。

市村委員 先ほどの枝野さんとの議論でもありましたように、では何で十九条だけ、道だけというのは、これは本当にそういう議論をし始めるとそうなってくるんですね。でも、私は、まあ、そういうのは枝野さんにちょっと任せて、もっと、やはり道州制という大きな流れなんですよ。

 だから、そういった意味では、さっき申し上げたんですけれども、この法律だと、いわゆる枝野さんの御指摘はそのとおりなんですよ。やはり原理原則は大切ですから、ああいう議論は絶対必要です。あれを避けては通れないと思います。しかし、ああいうふうな議論をせざるを得ないような組み立ての法律をもってして、それで道州制だと言われるとそれもまた寂しいな、道州制というのはそんなことなのかというふうにやはり思ってしまうんですね。思わざるを得ないんですよ。

 だから、やはりこだわるのは、申しわけないけれども、何でこれは道州制なんですかということなんですね。北海道で地方分権の一つの実験、権限移譲の実験をやりたいということなんですね。だから、それをはっきりさせた方がいいと思うんですよ。それをしないと、九十五条の関係で、いや、三つの県以上のものだったらということで九十五条逃れみたいなことの議論になってくるわけですね。

 何かもうちょっと、もっと前向きに大きなビジョンを立てた上で、まさにやろうとしているんですから、まさに大臣もおっしゃっているんですから、その上で道州制というのは考えていただくべきことであって、今ここで北海道のことについてならば、また別の考え方、または別の法律立てがあるのではないかなと私は思うんですが、どうですか。

佐田国務大臣 確かに、先生のような手法も私はあると思います。もっとダイナミックに、最初からわっと権限移譲したり税源移譲していってやったらどうか、こういう意見もありますけれども、今回の場合は、道州制特区推進法、この法律においては、やはり北海道民の意見を基本的にしっかりと聞いて、聞く中で、予算であるとか、そしてまた権限の移譲を行っていく。

 ただ、内容については毎年毎年物すごくこれはふえていくんです。基本方針の、要するに総理が三年と言ったのは、三年で三回ぐらい、三回以上の見直しをするわけですね。だから、相当な権限、税源、財源の移譲が行われるんです。その中で最終的にビジョンをつくっていく。そのビジョンは先生の言われるようなダイナミックな道州制になることがやはり好ましい、こういうふうに思っている。

 ただ、この予算措置の問題、先ほどから議論がありましたけれども、この予算措置につきましても、平成二十七年にはしっかりと、本当に、根本的にどういうスキームがいいのか、これも見直すつもりで附則に入っている、こういうことでございます。

市村委員 ここでまた改めて、ちょっと整理させていただきたいのは、今回の安倍総理大臣が言っているいわゆる道州制ビジョンと、地方分権推進法と、この道州制特区法と、この三つの関係をちょっとここで整理していただけませんでしょうか、この三つの関係はどうなっているのか。

大野副大臣 道州制についての議論がこうして正式に国会で始まったということ、それは、私は率直に言って画期的なことだと思っております。しかも、そのことについて将来に向けての大きなビジョンも、当然のこととして大きな広がりを私ども期待しているところでございますが、特に、今、国会に提案いたしております地方分権改革推進法案、これは、新たな地方分権改革の推進に対しての整備を定めまして、しかも、三年に期限を限って集中的に改革を進めよう、こうしております。この進め方の中には、当然、地方分権改革の着実な実施が望まれるわけでありますから、将来的な課題としての道州制の本格的な導入につながるもの、こう思っているところであります。

 今回、こうして北海道という一つの、現に北海道から強い要望があってこの法案の提出につながったわけでありますけれども、こうした地方から道州制へという具体的な提言、しかもまた、それに取り組みたいという決意があったということはこれから地方分権を進める上では極めて重要なことでありまして、どこの県とどこの県が合併をして道をつくるというその以前の問題として、北海道は現実に、今日までのこの百年の歩みの中で、こうした形で権限を移譲してほしい、その中で今までの県とは違った形の行政をぜひ展開したいという決意を北海道が示したものだと私は思っております。この法律の中でもそのことを十分踏まえながら提案をしているということであります。

 この地方分権改革推進法という法律の議論も既にいただいているところでございますが、その中で、この三年の中で具体的な地方分権の改革を進める手だてをお決めいただくと同時に、また、内閣において道州制担当の大臣を置かれたということはそれなりに将来に向かって大きな前進でありますし、この道州制ビジョンをしっかりとお示しをいただくことの中で地方分権改革がさらに具体的な展開を示してくださるもの、こう思っているところであります。

市村委員 報道によりますと、地方分権推進法から道州制検討を削除したということが出ているんですね。何で削除したんでしょうか。

大野副大臣 特に削除をしたとかそういうことではないと思います。今まで議論を重ねておりますから、その中で、さらに強力な形で、この道州制については、担当大臣も置かれるということはさらに強い決意を政府が示したことでありまして、特にこの分権改革推進法の中でそのことを特別外したとかそういうことではありませんで、広い見地で地方分権についての議論をこの法案の中ではしていただきたいという願いでございます。

市村委員 ただ、法案には当初、都道府県の区域を越える広域自治体のあり方についての検討を行うと、まさに冒頭、林副大臣が道州制の定義としておっしゃったようなことをですね、だから、道州制なんですよ。検討を行うと明記された、最初この地方分権推進法には。しかし、これがなくなったということなんですが、なぜですか。

大野副大臣 今この法律の中で示しておりますことは、道州制の導入に向けた施策を各府や省を横断して総合的、一体的に進める見地から道州制担当大臣を置かれてこの法案につながっているわけでありますから、特にこの法案の中で私どもが外したとかどうだとか、そういう事実ではございません。

市村委員 だから、外したといっても、もとの明記されていたのがなくなったということなんですよね。なくなったんですよ、広域自治体のあり方についての検討を行うと地方分権改革推進法の中で明記されていたものがなくなったということなんですけれども、なぜわざわざなくさなくちゃいけないんですかね、これを。

大野副大臣 この地方分権改革推進法というのは、三年の時限の中でこの方向を示していこうという決意でございます。道州制の議論そのものがもう長きにわたっていろいろな形で議論されておりますけれども、法として提案されたのは初めて、しかもまた、そのことについて広い広がりがありますことを私どもも期待しているわけでありますから、三年の中で、この法は地方分権を具体的に進めていこうということを、さらに強力に推進していこうということをこの分権法の中では願っておりますので、その意味で、三年という形の中でさらに強力な進展をさせようということでありますから、そのために道州制については道州制担当大臣のもとで準備をしていただきたいという願いであります。

市村委員 だから、ただ、さっきからの話だと、これはやはりこの国のあり方を考えるものですから、切っても切れないものだと思うんですよ。この今までの地方分権推進の議論とこれからの道州制の議論というのは、切っても切れないものなんですよ。だから、地方分権推進法にこれを残したって別に構わないですよね、大臣。これは、残したら大臣のそれこそ権能が何か奪われるということになるんでしょうか。

佐田国務大臣 別に権能とかそういうことではなくて、私は、地方分権一括法はやはり包括する法律だと思いますね。例えば、道州制も同じことだと思います。道州制は、要するに、今の都道府県を基準にするのではなくて、非常にダイナミックな形を想定しております。また、地方分権は、要するに税源、財源、そして権限の移譲をダイナミックに考えておるわけですね。それは結果的には、では国と、都道府県、市町村、基礎自治体、こういうものがどういうふうな役割分担でやっていくか、こういうことをダイナミックに、基本的な考えとして地方分権一括法は議論をしてまいりました、今までも。

 その中におきまして、私どもが今度法律としてやらせていただいております道州制特区推進法、これはやはり基本的に、上だけで決めることではなくて、本当に、先ほど来から申し上げているように、北海道のいわゆる地方分権、北海道だっていろいろなところがありますよね。委員も御存じのとおり、北海道には道庁もあり、開発局もあり、例えば石狩支庁があって、いろいろな組織があるわけですね。出先機関もあるわけです。そういうことを考えたときに、やはりその辺のところをどういうふうにしっかりと役割分担をしていくか、それをまず道の皆さん方に聞いてみようよ、そういうビジョンを法律の中でつくっていくということなんです。

 だから、九州で、今度これを政令によって特定広域団体に指定したら、先生、また全然違ってくる可能性がありますね。九州においては、こういうふうな役割分担が必要なんだ。関西は、これもかなり都会ですけれども、こういう役割分担が必要だ。関東に来たら東京がありますから、どういう役割分担になってくるか、これも非常に難しい状況になってくると思います。

 こういうことをやはり今回は法律によって進めていく、こういうことでありますから、決して私、全然違うとは言いませんけれども、地方分権において本当に適切なあり方がどうなのかということを、今議論をこの法律でさせていただいているということです。

市村委員 大臣の思い入れについては、これは私の質問のときだけじゃなくて、いろいろな機会でそれは思うんです。だから、それはぜひとも熱を帯びて、これはぜひとも道州制をやっていただきたいんですが、今私がお聞きしているのは、やはりこれは法律、ここでは法律の議論をしているわけですから。

 だから、先ほどから私がこだわっているのは、なぜこれが道州制という名前を冠する法律になっちゃっているのかというのがわからないわけでありますし、地方分権推進の流れでやってきて、まさにやってきたんですよ。それなのに、なぜこうなったのか。なぜ今回なくなっちゃったのかという話もありますし、また、大臣の今の御答弁の中では、市町村とかいう枠組みを取っ払って道州制をやりたいとおっしゃっているけれども、定義では、広域自治体なんだという定義をこの道州制に付されているということで、やはり、ここの今の話を聞いただけでも、だんだん疑問がわいてくるんですね、やはり理論的に整理されていない。

 さっき私がお尋ねしていたのは、安倍総理大臣のいわゆる道州制ビジョンと今回の道州制特区なるものと地方改革推進法なるものがどういう関係なのかということを実はさっきからお尋ねしているんですけれども、まだ見えてこないんですよね。見えてこないんです、この三つの関係が。素直に考えて、実はこれは不可分だと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 地方分権推進一括法は、この後に、私も概要しかわかりませんから、副大臣の方から御発言をいただきたいと思います。

 ただ、今回のこの道州制特区推進法、何で道州制とつけるんだよ、今こういうお話がありますけれども、役所的に答えれば、道州制というのは都道府県を単位としていませんと。今度の法律は、一応、都府県においては三県以上、道は一つということで要するに特定広域団体になり得る、こういうことで定義をされておるわけでありますね。

 ですから、先ほども申し上げましたように、例えば北海道でこれで法律を通させていただきましたら、北海道の皆さん方の意見を聞きながら、何百という権限、財源、税源の移譲が行われます。そうするとどういうふうになっていくかというのは、安倍総理は三年でビジョンをつくる、こういうふうに言われていますけれども、私は、それはビジョンはできると思いますけれども、これがどのような形になってくるかというのはまだ判然としていないと思うんですね。

 やはり、それはあくまでも、先ほどから申し上げているとおり、各地域地域の独自性、その中において、要するに将来は道州制を見ながら法案を行っておるわけでありますから、やはり道州制というふうにつけた方がわかりやすい、こういうことを考えております。

 くどいようですけれども、道州制を視野に入れてこの道州制特区推進法を今議論させていただいている、こういうことです。

林副大臣 今大臣が御答弁になられたとおりでございますが、地方分権改革推進法案の中には、これが成立いたしますと、地方分権改革の推進体制ということで、地方分権改革推進委員会というものを置くということでございます。

 委員御指摘のように、これはかなり密接に関連することでもありますので、この推進委員会は内閣府、我々の方に置くということで、道州制ではこういう議論があるけれども、地方分権改革推進委員会では全く違ったようなこととならないように、統一的に議論をしていくということで、そういうことになっておるわけでございます。

 それからちょっと一つだけ、先ほど私、調理師と申し上げるべきところを理容師、美容師と。理容師、美容師、調理師の中の調理師ができるということだけ訂正させていただきます。

市村委員 わかりました。道州制を目指すということだということですね。それとあと、地方分権推進委員会については、推進委員会を内閣府に置くということです。

 だから、不可分なんですよ。だから、不可分でなきゃならないものを、では、私がもう一遍お答えいただきたいのは、なぜわざわざ地方分権推進法から広域自治体のあり方についての検討を行うを削ったのか、削る必要はないと思うんですが、最後にもう一回だけお願いします。

大野副大臣 私どもが願っておりますことは、現実に四十七の都道府県があって、本年度中に千八百八の市町村になるわけでございますけれども、この形の中でいかに地方分権を進めるかということがまず第一義であります。

 その中で、権限の移譲であるとか義務づけだとか枠づけだとか、こうしたことを見直すということと同時に、それに関与しているところの整理合理化、こうしたことが課題になるということを思っておりまして、そのために、この三年という時限の中で私たちはやろうとしているわけです。

 ですから、決してこちらの法案と分けるわけではありませんで、車の両輪として、地方分権の形として道州制というのは極めて大きい期待を私は持っているものです。ですから、私たちはこの改革推進法の中で、こうした、今すぐできること、そのことを三年間の中でさらに地方分権を具体的なものに千八百八の市町村が、あるいは四十七の都道府県がどうできるかということをまず置いて、次なる大きな展望としての道州制につなげていきたいという願いでございます。どうぞ御理解いただきたいと思います。

市村委員 よくわかったというか、私なりに希望的観測で理解をすると、将来は連邦制も含めて道州制を検討するから広域自治体に関しては削った、こういうふうに私は解釈をさせていただきたいと存じますので、道州制というのはそれだけ大きなことなんだということで、担当大臣でいらっしゃいますから、佐田大臣にはぜひとも頑張っていただきたい。ただ、道でいいのかどうか、これはやはり私はもっと大きな検討があるべきだと思います。

 それで、もうちょっとだけ時間を下さい。

 きょう、厚生労働省さんに来ていただいたようなんですが、済みません、ちょっと議論できそうにないので、申しわけないです。

 それで、最後にちょっと一点だけ。

 さっき憲法九十五条の議論がありました。僕もこれはすべきことじゃないかと思いますが、ただ、ちょっといろいろ議論を聞いて、やはり原理原則はちゃんとしておかないかぬと思うんですね。

 憲法九十五条の趣旨というのは何なのでしょうか。憲法九十五条の趣旨に照らして今回のこの法律は住民投票を要しないということだと思うんですが、憲法九十五条の趣旨というのを教えていただけますでしょうか。

佐田国務大臣 枝野先生が言われたことについては、後ほどしっかりとまた、その当時の趣旨を踏まえて調べさせていただきたいと思います。それは、今先生が言われたような憲法九十五条の趣旨だと思います。

 それは、先ほど枝野委員が言われたように、特定な地方公共団体において、要するにその住民に特定なことが決められたときには、特別法が設置されるときには、その特別法によって住民が不利益にならないように、これはやはり住民投票をするということは基本だと思います。

 しかし、だから、その中におきまして、特別法かどうかという決定をする、先ほど言った組織、運営、そして権能ということ、これが要するに財政上の措置に当たらないということがどうしてそう決まったかということについては、当時のそれは調べさせていただきたい、しっかりとそれはまた今度答弁をさせていただきたいと思います。

 そして、先生の今言われた趣旨は、そういうことであろうと思います。

市村委員 今まさにおっしゃったこと、ぜひともそれは枝野さんに、調べて、また委員会で御披露いただきたいと思いますが、いろいろ学説もありますので、またそういうのもお調べいただき、まあ、ここであえて申し上げません。

 最後の最後に、きょう実は議論したかったのは、なぜ厚生労働省さんに来ていただいたかといいますと、道州制ということで北海道が一つの実験とした場合、私は介護のことを今すごく心配しておりまして、では介護の状況はどうなるのかということで、きょうは実は厚生労働省さんに来ていただいておりました。

 だから、これはぜひとも、国から地方へ権限を移譲するというのは、もちろん流れとしては賛成なんですが、しかし、やはり国でやるべきことというのもあるだろうということもあります。だから、国の役割と地方の役割というものをしっかりと定めていくということがこの道州制の議論の根本になくちゃいけないわけでありまして、それでちょっと実は介護のことを議論したかったので来ていただいておったんですが、時間がなくなりましたので、ここで私の質問は終わります。

 どうもありがとうございました。

後藤田委員長代理 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 今回提案されております道州制特区法案につきまして、佐田大臣を初め関係者の皆様とちょっと議論をしたいなというふうに思います。

 お聞きしますと、佐田大臣、北海道にお住まいになっていたことがある。それは北海道の事情もよくおわかりかなと思って、心強い限りであります。

 北海道は、御承知のとおり、一つの大きな島、日本全体の二〇%ぐらいですか国土面積があるという島でありますから、川にしても道路にしても、ほかの県とは違って一体的な管理がされている。あるいはまた、行政組織も、他の都府県とはちょっと違ったところもあるのかなというふうに思っております。

 本題に入る前に、佐田大臣、北海道にお住まいになっておられたということで、北海道に対する、行政だとかそういうものに対する感想というのは、何か、どんなことか、お持ちになっていることはございますか。ちょっと共通認識を持ちながら、これから議論をスタートしたいと思います。

佐田国務大臣 逢坂委員も、ニセコで地方自治をされておって、首長をやられた。大変立派な、ボーイズ・ビー・アンビシャス的な、そういう意思を持ってやられておる。そういうことを考えますと、やはりあそこで育てられて育ったということは、私も前にニセコに行ったことがあります、昔、副大臣のときに、地方分権の話なんかで行ったことがありますけれども、本当にすばらしい、山紫水明の地であり、ニセコは逢坂委員が首長になられてから大変伸びたという話も、そしてまた、工夫をされて、いろいろな工夫を地域から出されているというお話も聞いております。そして、逢坂委員が大変な人気者であるということもよく承っております。

 ですから、北海道は、この間も、去年北海道に行ったときに、やはりこの道州制を説明させていただいたときに、私は、本当に道民を愛し、昔は北海道の道民の皆さんに大変世話になって今があるんだから、絶対悪いようにはしません、こういうふうに申し上げたんです。中には、そうだ、そうだと言う人もいましたし、本当にそうなのかと言う方もいました。

 ですから、これはしっかりと議論をして、逢坂委員もやはり北海道に育てられた方ですから、私も大変世話になった人間として、どうかお互いに北海道のためになるように、そして、ひいては、この議論を通して、将来の道州制に向けて日本全体が無駄なく、そして行政改革がしっかりとできるような形にしていきたい、こういうふうに思っております。

逢坂委員 きちっと北海道のためになるように、それが最終的に全国のためになるようにという考えは、私もまさに同感でございますね。やはり、新たなチャレンジというものをしない限りは変化に対応していけませんので、いろいろなことをやっていくというのは大事なことかなというふうに思います。

 ただ、私自身は、今回のこの法案を見ていて感ずることが幾つかありまして、それはやはり、道州制というのは、どうも意味合いとしては広域行政というのが一つ念頭にあるだろう。もう一つは、意味合いとして分権というのも念頭にあるのかなというふうに思っております。

 その一方で、分権改革推進法というのが別枠で進められている。それから、道州制に関しても、またビジョンというものをつくるというようなこともあって、なぜあえて北海道だけで先行させるのかという意味合いがどうもよくわからないところもないわけではありません。

 これについては、きょうの議論の中で、もし後に深められれば、またいろいろと聞いていきたいなというふうに思います。

 それと、もう一点でございますけれども、モデルと言えばこれは聞こえがいいわけでありますけれども、北海道の土地を舞台にして、試しにいろいろやってみる、結果、うまくいけば全国にも展開するというふうにもとれなくもないわけでありまして、なぜその地に北海道が選ばれるのか。ある種、そのリスクも負うという側面も否定はできないのだろうと思うわけでありまして、そこのあたりの議論というのは、推進する側としては、バラ色の夢ばかりが語られる傾向が多い。だから、その点についても若干危惧を抱いている、これは私の率直な感想であります。

 それで、あらかじめ何点かきょうお聞きしたいことをお知らせしておりますので、それに沿った形で話をさせていただきますが、まず最初に、この今回の道州制、いわゆる特区構想をめぐる議論のこれまでの経過、それをまずちょっと事務方の方から教えていただければ。

 それでは、お願いします。林副大臣にじきじきお出ましいただいて大変恐縮です。

林副大臣 逢坂委員にはもう何度も勉強会でいろいろな討論をさせていただいてきまして、きょうは質問と答弁という形でこうやって御議論させていただくことができますことを大変うれしく思っておる次第でございます。

 今お尋ねのありました議論の発端、問題意識を最初におっしゃられましたけれども、まさに北海道がなぜ最初のモデルなのかというところにもかかわってくるわけでございますが、まさに地方発のアイデアであるということが端的にあらわれておりますのがこの経過でございまして、まず、北海道の高橋知事が、十五年の十二月に経済財政諮問会議にお見えになったときに、アイデアとして紹介をされた。このことからスタートしておるという経過で、御案内のとおりであろうと思います。

 それを踏まえて、十六年には、さらに具体的な提案がありまして、北海道からの提案に基づいて政府として検討を進めてきたというところでございます。

 ことしの二月以降は、与党を中心にいたしまして、道州制特区の推進にかかわる法案の基本的な考え方についての検討を進めてまいりまして、政府部内で調整を経て、この案につきまして与党の了承を得た、こういう経緯になっておるところでございます。

逢坂委員 今、林副大臣の方から、北海道発、地方発のアイデアであるという話がありましたけれども、私の認識は、どうもそうではなくて、その前に一つプロセスがあったのではないか。十五年の八月に小泉総理からの提案によって、提案、要請、それは言葉はどういうことか、私、ちょっときょうここで詳しく聞いてみたいんですけれども、それが最初にあったのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 今御質問の件でございますけれども、十五年八月に総理が高橋知事と面談されておりますけれども、いわゆるこの道州制特区に関しまして、いわば本当に公式といいましょうか、いろいろな議論が始まりましたのは、今申し上げましたとおり、十二月十九日の第二十九回経済財政諮問会議におきまして知事の方から北海道のアイデアを紹介いただいた、そこからまさに議論が始まっていった、このように承知している次第でございます。

逢坂委員 ちょっとこれは私は大事なポイントだと思うんですけれども、北海道の方から議論が始まったといって今山崎室長の方から話がございましたけれども、総理から言われたことは、これは八月にはなかったわけでしょうか。

林副大臣 大事な事実関係でございますので、平成十五年の八月二十六日だったと思いますが、総理と高橋北海道知事が面談をされておられるということでございます。

逢坂委員 その面談の中身というのは、今ここでお知らせいただくことはできますでしょうか、経過として非常に重要なことだと思いますので。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 事実としまして、八月二十六日に総理が知事と面談されているということは私も承知しておりますけれども、内容については、私ども、今手元に持っていないわけでございます。

逢坂委員 これは非常に重要なことだと思うんですね。この議論の根幹をなす、いろいろな幾つかのこの道州制特区法案に関しての議論の柱というのはあると思うんですが、地方発だという議論があるわけですが、果たしてそうなのかなというふうに私は思うわけですね。

 これは、たまたま衆議院の調査局で出している資料によれば、十五年の八月二十六日、小泉内閣総理大臣と高橋北海道知事が会談という、道州制特区構想をめぐる主な動きということが書いてあるわけですね。そして、首相から、北海道知事に対して、北海道における道州制のモデル的、先行的な取り組みについて云々というふうに書いてあるわけですが、この事実を皆さんは認識していないという今の発言なんでしょうか。どうでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答え申し上げましたとおり、事実として、当時の小泉総理が高橋知事と面談されたということは承知してございますが、何度も申し上げますが、道州制特区に関しますまさに議論が始まったと私どもが認識しておりますのは、十二月十九日の第二十九回経済財政諮問会議におきまして知事から北海道のアイデアをいただいた、これから議論が始まっていった、このように承知をさせていただいております。

逢坂委員 公式の会議の場で議論が始まったのは十二月十九日かもしれませんが、私が聞いているのは発端を聞いているわけですね。突然北海道知事が十二月十九日の経済財政諮問会議に行きたいから発言をさせてくれといって行けるものなんでしょうか。そうじゃないというふうに思うんですね。それにやはり前段の取り組みというものがあるわけで、私はその経過を聞いているんです。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 いろいろな面で、議論というのは当然いろいろな背景もあるわけでございますが、道州制自体、道州制特区に関しましては、平成十五年段階におきましても、例えば自民党の政権公約におきましてこういったものも記載されてございます。

 ある面、当然議論はあるわけでございますが、これがまさに政府における一つの、公式といいましょうか、俎上にのって議論が始まったという意味でいきますと、先ほど申し上げましたように、十二月の十九日の経済財政諮問会議におきます知事からの御提案、これからまさに始まっていった、このように認識させていただいております。

逢坂委員 これは私どうも理解できないんですけれども、経済財政諮問会議で公式に議論が始まったということは、私もそれは理解をいたしますけれども、それは全く何の前ぶれもなく始まるものなのですかと私は聞いているわけですよね。それで、特に何にも事前の話し合いもなくして、北海道の知事であれどこの知事であれ、経済財政諮問会議に行って話ができるものなんですか。どうですか、その辺。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、当然議論の前にいろいろ、例えばそれぞれの立場で、いろいろな面で考えがあるわけでございますので、それ自体否定するわけではございませんが、何度も申し上げますけれども、政府におきまして議論が始まったのは、まさに知事からの北海道に関する御紹介があったというところから始まったわけでございます。

 もちろん北海道におきましても、例えばその前に道州制の推進会議が置かれたとか、さまざまな面で、これは北海道もあるでしょうし、また与党側におきましてもいろいろなそういう政権公約の中で記載されてございますので、それぞれで当然議論はあったわけでございますが、それは、いわば公式といいましょうか、まさに議論として本当の意味で始まったというのはこの十二月十九日の会議ではないか、こういうふうに考えている次第でございます。

逢坂委員 いや、何回も同じことを聞いて恐縮なんですけれども、何でこんなこと答えられないんですかね。ちょっと私理解できないんだけれども、私もこだわり出したらこだわっちゃう方なんで、まあ、山崎室長も北海道にいたことがあるから余り冷たくはないんですがね。

 だって、何回も同じことを言わせてもらいますけれども、経済財政諮問会議なんというのは、何の準備もなく、どちらからとも何の申し合わせもなく行って発言できるものではないというふうに私は一般的に解しているんですが、このあたりはどうなんですか。

林副大臣 逢坂委員御指摘のとおり、経済財政諮問会議は内閣府の会議で、いろいろ手続があって、北海道知事はレギュラーの委員ではございませんから、来られるというのはいろいろな前段階があったというふうに思いますが、ちょっと今手元に詳細な資料がございませんので、引き取らせていただきまして調べさせていきたいと思います。

逢坂委員 これは、実は北海道でも大きく報道されておりまして、手元に私も今、こんなことで議論がつまずくと思わなかったものですから、資料も持ってこなかったんですけれども、十五年の八月に総理から言われてこれがスタートしたということはもう周知の事実なんじゃないんですか、そうじゃないんですか。

 私、それで、きょう聞きたかったのは、そこでどんな話がされたのかということを聞きたいなと思っていたんですけれども、ここはお認めにならないんですか、どうですか。大臣、いかがですか。

山崎政府参考人 先ほどお答え申し上げましたが、総理が高橋北海道知事と面談されたということについては私も承知してございます。その事実についてはもちろん承知している次第でございます。

 ただ、内容につきましては、今手元に持ってございませんので、私どもとして今お答えできないということでございます。

逢坂委員 それでは、ちょっと質問の方向を変えますけれども、八月に面談した、中身は現時点では何を話したかはまだわからない。もしかすると後で資料が出てきて、こんなことを話したかもしれないということはわかるかもしれないし、後で私も部屋へ戻って報道なんかを調べれば、報道によればという言い方でこんなことが言えるということはあるかもしれないんですが、では、十二月十九日以前どんなやりとりがあったか、教えていただけますか。

 これは、私はきのう、今回の質問に当たって、これまでの経過を聞きたい、北海道のやりとりも聞きたいということをお願いしてありますので、当然用意されているかと思いますが。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘の十二月十九日以前でございますけれども、私どもとして、今手元に、それ自体がどういう具体的なやりとりがあったかということについては資料を持ち合わせてございません。

 先生の御質問では、まさに北海道とやりとりということで、私ども準備しておりますのが、もしくは今持っておりますのは、まさに十二月十九日以降のそれぞれのやりとりについては承知してございますけれども、十二月十九日以前につきましては、今申し上げましたとおり、まさしくこの二十九回の諮問会議で議論が始まったというところで承知しているという状況でございます。

逢坂委員 これは多くの皆さんは余り重要ではないというふうに感ずるかもしれませんが、やはり物事のスタートの地点というのは極めて大事なことだというふうに思います。特に、今回の議論は、冒頭にありましたとおり、地方からのアイデア、地域からのアイデアという発言がありましたけれども、本当にそうなのかどうなのか、このあたりについてはやはり明らかにしておかなければいけないと思うんですね。

 例えば、これはちょっと日にちは忘れましたけれども、道州制を担当しておりました前の副大臣、櫻田副大臣が北海道へ説明に来られたときに、ちょっと文言は正確ではありませんが、趣旨としては、北海道の皆さん、今これをつかまなかったらもう次のチャンスはありませんよ、こういう話をしているわけですよね。

 ですから、これは地域発のアイデアというよりも、私にしてみると、何か道州制というものをちらつかせながら、早くこれイエスと言った方がいいですよ、そうしないともう北海道に次のチャンスはないんですからねというふうに言われているような感じが当時会場でいたしまして、だから、これは発端というのは非常に大事だと思うんですけれども、そこのところ、今の私の話を聞いて、本当に純粋に地域発だったのかというあたりについて、もう一回どうですか、大臣。

佐田国務大臣 私もその辺の事情は、お会いになったという話は聞いておりますけれども、その内容がどういう内容であったか、また十二月の経済財政諮問会議において知事から北海道のアイデアを紹介された、やはり当然その経緯からすれば、これは公式に面談をしておるわけでありますから、その中で、それならば経済財政諮問会議でアイデアを披露した方がいいんじゃないかということはあったかもしれませんね、私はそれは断定はできませんけれども。

 それともう一点、櫻田前副大臣の問題ですけれども、それは道州制について語ったのか、道州制特区推進法について語ったのかわかりませんけれども、私は、あくまでもこれは地元の意見を中心として議論をしなくてはいけない、こういうふうに思っております。

逢坂委員 ぜひお願いしたいんですけれども、今のその発端のところですね。八月二十六日と今は思われておりますが、平成十五年の八月二十六日から十二月十九日に至るまでの経過、これについて整理をして、資料を準備していただけますでしょうか、これは非常に大事なポイントだと私は思うんですけれども。

佐田国務大臣 そういう御指摘がありましたので、確かにそれは、どういう経緯で経済財政諮問会議で知事からアイデアがあったかということについては調べさせていただきます。

 どこまで調べられるか、それはまだわかりません。どういうことをそのときにしゃべったかとか、細かくそれを調べるということは、どこまで調べられるかわかりませんけれども、もう一つは、大事なところは、委員が言われるように、本当に北海道からその意見が真に、知事だけではなくて意見が出てきたかということがポイントだと思いますので、その辺は聞いてみたいと思います。

逢坂委員 これは、正確な資料に基づいた話ではないんですけれども、私の感覚からいたしますと、北海道知事、今はわかりませんよ、発端のところは、やはり総理に話をされたということが非常に大きいというふうに思うわけですね。

 これは、たまたま衆議院調査局のつくった資料ですから、正確かどうかというのは検証を後でしなきゃいけませんが、この資料によると、八月二十六日に先行的な取り組みについて要請という言葉が入っているんですね。これは、首相から要請というふうになっているんですよ。

 すなわち、これは、発端は、どう見ても、この資料を読む限りにおいては、やはり国主導で、総理主導というふうに言っていいんでしょうかね、そういうことがされている。だから、地域からのアイデアというのは、皆さん、少し議論が違うのではないかという印象を私は持っております。

 したがいまして、この点について十分やはりお考えいただきたい。そうして、当時の北海道の雰囲気というものもどんな形の中で生まれてきたのかということも十分踏まえた上で、やはり今の議論をしなければいけないのではないかなというふうに思うわけですね。

 御承知のとおり、私、先ほど大臣から町長時代の話をしていただきましたけれども、余りいい町長でもなかったんですね。余り評判のよくないところもありまして、首長をやっていれば大体そんなものなのでありますけれども。

 そのときの感覚からすれば、いや、これは、総理にあんなことを言われちゃって、まあまあ、北海道も大変だべな。本当に、あれは、おまえ、道州制というけれども、道州制の中身だってよく決まっていないのに、いやいや、道州制、道州制と。でも、おれがもし北海道知事で、総理に言われたら、嫌と言えねえべなというような話を実は地元でも、これは赤ちょうちんレベルの話でありますけれども、そんな話もしていたのを私もよく記憶しております。

 したがいまして、発端というのは、これは非常に大事だと思いますので、十分にこの点、明らかにしていただきたいと思います。それなしに、道民の総意だとか、道民がこぞって推進しているとか言われても、いかがなものかなという気がするわけですね。

 この点、よろしくお願いいたします。いかがですか。

佐田国務大臣 記録によりますと、総理が高橋北海道知事と面談した、これは事実でありまして、この中で、先行的に試みたらどうだというふうに言われたかどうかというのは、これは何とも言えませんけれども、物事というのは、言い方はいろいろあろうかと思いますけれども、やはりそれは、道民の皆さん方を無視して先行的にやるなんということはまず不可能ですし、私は、まずそういうことは言わないんじゃないかと思います。

 ただ、発端というのは、先生の言われるように非常に重要なことでありますから、これはそれなりに調べさせていただきたい、かように思います。

逢坂委員 それでは、その点よろしくお願いいたします。

 そういうところが明らかになれば、いかにも、あたかもといいましょうか、道民がこぞってこれを推進したいと思っているのかどうかというところについても、いろいろな考え方が理解していただけるのではないかなというふうに思います。

 それでは、その次、ちょっとお聞きしたいんですけれども、これは山崎室長の方にお伺いしたいんです。

 先ほどいろいろなやりとりがあるという話をしましたが、十五年の十二月から、ことしの冒頭、この法案ができるまでのやりとりについて、多少長くなるかもしれませんけれども、若干説明していただけますか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほど申し上げましたように、平成十五年の十二月の経済財政諮問会議におきまして、北海道知事の方からアイデアの御紹介があったわけでございます。

 その後でございますが、さまざまなやりとりがございますけれども、まず、大きなポイントと申し上げますのは、平成十六年の八月十日でございますが、これは、むしろ経済財政諮問会議の要請を受けまして、北海道から国に対して提案がなされてございます。これは、先ほど来いろいろございます三十三項目と言われるものでございます。権限移譲項目として三十三の項目の提案がございました。

 この三十三項目をめぐりまして、まさしく関係省庁、踏まえ、これをやりとりといいましょうか、いろいろな面で議論させていただいたわけでございますが、最終的には、三十三項目のうち二十項目はいわゆる法令の改正を必要としない項目でございました。例えば、国と北海道は事業を共同実施するとか、窓口を一元化するといった事業でございます。したがいまして、これは法令改正が必要ないという中ですべての分野について対応している、こういう状況でございます。

 そして、その上で、残りました三十三のうちの十三でございますが、これはいずれも法令改正が必要な項目でございました。これに関しましてもずっと議論が続いたわけでございますが、今回の特区推進法案及びそれ以外の法令の改正も実はございまして、十三項目のうち九項目についてはこれを実現している、こういう状況でございます。この議論というのは、実はかなり長い間続いてきた、こういう経緯でございます。

 その上で、次でございますけれども、大きなポイントとしましては、平成十八年、これは本年になりますけれども、四月六日に北海道議会の方から、財政措置に関しまして意見書が出されてございます。これは、先ほどちょっと御紹介させていただきましたが、いわゆる北海道に関します交付金等の財政面でございます。

 これに関しまして、実は三項目の意見書が北海道議会の議長からこちらへ出されてございまして、例えば、財政措置に当たりまして、北海道の裁量が発揮できる仕組みとすることとか、もしくは、北海道特例を初めとする北海道開発の枠組みを堅持すること、もしくは、この移譲に関しまして最大限知事の要請を尊重できるような、そういう仕組みにしてほしい、こういう形の意見書を十八年の四月六日にいただいてございます。

 それを踏まえた上で、今回この法案が、さきの通常国会でございますが、五月十九日に国会に提出されている、こういう状況でございます。

 そして、直近でございますが、十八年十月の二十日に、これは北海道の六団体の方と聞いておりますが、緊急決議ということで、この特区法についても早期成立を求めるという形の決議が行われた、このように聞いている次第でございます。

 以上でございます。

逢坂委員 細かく説明をいただきまして、ありがとうございます。

 北海道から提案のあった権限がなぜ今回少なくなったのかというところについても、これは時間があれば、きょうでなくても、また後日もあるようですから、そこでまた伺いたいとは思うんです。

 室長に一つお伺いしたいのは、今回の法案の前にこういうものが内閣府で検討されていましたよね。北海道道州制特別区域推進法案の基本的考え方、要するに、今回のは道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案ですけれども、その前に検討されていたのは、北海道道州制特別区域推進法案というものを検討されていた。これを内閣府で検討していたという事実は、室長、ございますでしょうか。

山崎政府参考人 今回の法案の検討の過程でございますけれども、これはあくまで仮称でございますが、そういう北海道道州制に関するものということで検討した途中の経緯もございます。

 しかし、最終的には、北海道以外のいわば一体性のある地域におきましても、特定広域団体という形のもので当然入り得るということで、今回の道州制に関する特区の推進法案、こういう形になった次第でございます。

逢坂委員 以前に検討されていた、仮称で、北海道という冠がついた北海道道州制特別区域推進法案と今回の法案の大きな違いというのは何でしょうか。もう一度お願いいたします。

山崎政府参考人 これはあくまでも検討途中ということで、素案という形で検討していたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、まさに道州制特区の対象をどこにするかというところにつきまして、北海道地方以外の一定の、まさに広域性のある、そういう特定広域団体としてふさわしいものについてはこれを対象にしていくという形のもので、最終的にまとめた次第でございまして、その中でまさに現在の法案という形になっていった、このように思うのでございます。

逢坂委員 この前のいわゆる検討のプロセスの中の北海道道州制特別区域推進法案に関しても北海道といろいろやりとりをしていますね。北海道からもいろいろな意見が来ているかと思うんですが、このプロセスの中で北海道以外の地域に広げるべきというような意見があったんでしょうか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 北海道との間は、いろいろな事務の関係、具体的にどういったものを移譲していくかという議論はずっと続いてございます。

 その一方で、この道州制特区法案に関しましては、北海道以外に、例えば全国知事会等もまさに道州制に関します小委員会がございますので、その中で、今ございましたように、まさにこれを全国的な展開といいましょうか、そういったものを考えていったらどうか、こういう御指摘もございました。そういう中で最終的には今のような形のものになっていった、このように思うのでございます。

逢坂委員 余り難しく答えないで、北海道から全国展開すべきという、北海道からですよ、意見があったのかと私は聞いているんです、手元で、先ほど山崎室長から紹介してもらったことしの四月六日の北海道議会議長からの意見書によると、そこには少なくとも載っていないように私は読み取れるんですけれども。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 北海道とのやりとりは膨大になりますので、具体的な項目としてどうかというのはちょっと調べさせていただきたいと思いますが、基本的には、北海道は北海道との関係で議論があったんじゃないかと思っています。

 一方で、北海道以外のものにつきましては、むしろ全国知事会といいましょうか、そちらの方の御議論といいましょうか、いろいろな面で、意見書もあって、最終的にはこの法案全体はそういう形でつくられていったといいましょうか、まとまっていった、こういうふうに認識している次第でございます。

逢坂委員 北海道からは全国展開してほしいという意見は必ずしもなかったように今のお話からは聞こえましたが、全国知事会などからそういう話もあった。では、その時間的経過をきちんと整理できますでしょうか。

 前は北海道だけのいわゆる限定的な法案として、素案として考えていた、だけれども、いついつ知事会からこんな話があった、それを含めて全国展開をする法案にしたんだということで、これは時間の整合性をきちんととれるんでしょうかね。そのあたり、どうですか、室長。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと今手元に全国知事会の日にちが書いてございませんので、これはすぐ調べさせていただきたいと思います。

 基本的には、申し上げたと思いますが、法案の段階におきましては、北海道もございますが、その他の知事会を含めたそういう団体からの御意見等も踏まえた上でこれはつくっていくものでございますので、最終的にはそういうことを踏まえながらつくっていった、このように認識している次第でございます。

逢坂委員 事ほどさようにという言葉が世の中にありますけれども、私が思うところ、発端もどうも明確じゃないんですよね。地元発だということをよくおっしゃられているんだけれども、どうもそこもちょっと疑義がある。

 それから、法案の中身に関してもいろいろやりとりがあった。だけれども、全国展開するかしないかについても、これは必ずしもだれがどこで言い出したのかがよくわからない。わからないというよりも、確かに今になってみれば知事会などからもいろいろな意見が出ているかもしれないけれども、まさに現在我々が議論しようとしている法案、これはなぜ全国展開されるようになったのかというそこのところの明確なものというのは、どうも我々にはわからないんですね。

 ですから、いろいろな話を今になってされているんですけれども、どうも不思議だなというふうに思えて仕方がないのでありますけれども、このあたりの時間的整合性を踏まえて、佐田大臣、ちゃんと説明できますでしょうか。

佐田国務大臣 今、山崎室長の方からありましたけれども、全国展開をするかどうか、その辺の根拠等についても、これは先ほどの九十五条にもかかわってくることですけれども、特定な地方自治体か全体にわたるものか、これはだから、今逢坂委員が言われたように、どこが発端だったのかということは重要なことでありますから、先ほどの御質問とともにまた調べさせていただきます。

逢坂委員 分権の時代だ、地域発でいろいろなものが出てくることも大事だ、私もそれは十分承知をいたしますが、今回のこの道州制もしくは道州制特区に関する議論、特にこの北海道に限定して言わせていただきますと、どうも必ずしも北海道発だったのではないのではないかという印象を私は持っているわけであります。もちろん、今になったらもうそんなことは関係者としても言えないかもしれないけれども、でも、根っこのところは違っていたぞというようなところはよく考えてみる必要があるんじゃないか。

 それからもう一つが全国展開するかしないか、これはだれの意図で、なぜこういうことになったのかというところは整理をしなければいけないのではないかなというふうに思うわけですが、この点、室長何かございますか。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 全国知事会の道州制特別委員会からの緊急アピールというのが平成十七年十月三十一日に、昨年の十月でございますが、出てございまして、その中で、内容でございますけれども、「北海道以外の都府県であっても、国からの権限移譲を希望し、移譲対象となる権限の性質や都府県同士の広域的連携等の体制整備により条件が整っている場合においては、これを広く対象地域として支援できる法整備についても検討すること。」そういう緊急アピールも実はいただいているわけでございまして、そういったことも踏まえた上で今回こういう形の法案を作成した、こういうことでございます。

逢坂委員 ですよね。ですよねというのは、十七年の十月にそういうものが出ているんですよ。十七年の十月に出ているんだったら、最初に出てきた素案の段階のときになぜ入れていないんですか。

 最初の素案が出てきたのは十八年ですね。たまたま私の手元にある内閣府の資料によれば、これは十八年の四月なんですよ。十八年の四月から十八年の五月、今回のいわゆる道州制特別区域にと、今我々がまさに議論しているこの法案が出るまでの間の一カ月にこれが変わっているんじゃないですか。だから、私はそこを聞きたいんですよ。

 だから、前から実は言われていたのに、それまでは入れていなかった。四月の頭の段階では、入れない素案をつくっていた。だけれども、五月にはそれを入れることになった。その理由は何なんだというところなんですね。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 法案でございますのでさまざまな、特に今回の道州制特区に関しましては、最初の提案から実は二年半かかっているわけでございます。いろいろな議論の積み重ねがございます。その中で、当然、実はこれに関しましても、さまざまな試案といいましょうか、途中の素案も大分用意されて、その中で議論が進んだというふうに承知してございます。

 したがいまして、最終的には、今申し上げましたように、全国知事会等を踏まえた上で、まさにこの道州制、全体にわたりまして、北海道以外の地域も含めた可能性があるものとして法案をまとめていったというものでございます。それぞれの経過といいましょうか論点がございますので、最終的にはさまざまな要素を踏まえながらこういう形で法案をまとめていった、このように理解をいただきたいと思います。

逢坂委員 まったりとした議論が続いておりますのであれですが、さまざまな議論があったということは私も理解するんですよ。先ほど私が前の素案の段階と今回の法律では大きく変わっているのはどこですかと聞いたら、いわゆる全国展開するかしないかだ、北海道限定的な法にしたか、そうじゃない法にしたかが一番大きな違いだと言ったんですから、さまざまな議論のことを私は聞いているんじゃなくて、そこはなぜ変わったのかというところを聞いているんですよ。

山崎政府参考人 最終的な考え方と申し上げましたが、先ほど申し上げましたように、北海道地方以外におきましても、これは一応一定の条件が必要でございますが、先ほど、全国知事会の方でもアピールがございましたように、一定の条件が整っているケースにおきましては、これを対象にしないということも合理的でないということから、こういう形で現在の法律規定、これをまとめていった、このような次第でございます。

 必ずしもそれを排除する必要がないということがまさしく今回の法案の一番の部分でございまして、当然、北海道以外の地域におきましても、条件が整えばこういう格好で政令で追加できる形にしたということでございます。

逢坂委員 ちょっとその辺がよくわからないんですが、十七年の十月に知事会から出されていた、それから、十七年の十月から次の年の四月までの間はそのことについては余り議論されずに、北海道限定的なことを考えていた。だけれども、四月から五月までの、我々が今まさに議論する法案の段階になって、突然全国展開というふうになっているということについて、そこの大きく変わったところについて、私はなぜなんですかと。

 しかも、なぜ私がこんなことを聞くかというと、午前の議論でもありましたとおり、それが憲法九十五条に絡んで重要な視点ではないかというふうに多くの方が指摘をしているからお伺いしたいなと思ったわけであります。これについては、また後ほどちょっとお伺いをします。

 さて、そこで、今回、北海道だけではない、ほかの都府県が三つ合併すれば新しい道州制の今回の法律の対象になるということでありますけれども、まず、都道府県合併の現在の手順について、これはどなたに聞けばいいんでしょうか。それでは、済みません、よろしくお願いします。

大野副大臣 お尋ねの手順でございますが、地方自治法の第六条の二に定める都道府県の自主的合併にかかわる具体的な手続といたしましては、一つには、総務大臣への関係都道府県の申請に基づいて、内閣が都道府県の合併を決定するということ、二つには、内閣は、その決定を行う際に国会の承認を経なければならないということ、三つ目には、関係都道府県は、合併の申請に際してはそれぞれの議会の議決を経なければならないこと、四つ目には、合併の処分は総務大臣が行う告示により効力を生ずる、こう規定されているところでございます。

逢坂委員 大野総務副大臣、今おっしゃられたことでありますけれども、それは大体、総務省の予定としてはどれぐらいの期間を要するというふうに考えておられますか。もちろん、それは地元都府県での議論というものが合併をしようというふうに固まってからということになろうかと思いますが、それが固まる前は総務省としても何も言えないと思いますが、固まってから大体どれぐらいの期間を要して合併に至るものというふうに考えられますか。

大野副大臣 この手続によって都道府県合併が実現するまでの期間でございますけれども、御案内のように、この制度が平成十六年の改正によって設けられたところでございまして、これまでにはまだ例がございません。今この時点で、どのくらいの期間が必要かということについても、まだ我々も承知していないところであります。

逢坂委員 それと、あわせてもう一つお伺いをしますが、現在、具体的に都府県の合併というものを検討している地域は、いろいろな構想とか道州制のプランみたいなものを出しているところがあるというのは私も承知をしておりますけれども、そうではなくて、具体的に、もう我々はやることを前提にして準備をしているとか、市町村合併でいうならば法定協議会一歩手前みたいな、そういう段階になっている地域というのはあるんでしょうか。

大野副大臣 今お話しのとおり、具体的に一つの協議会をつくってという形ではありませんで、複数の都道府県で連携して、環境の規制の問題だとか、あるいは交通条件の整備であるとか、観光の振興であるとか、こうしたことについて共通の課題として取り組んでいる例は見られるわけでございますが、それがそのまま都道府県合併にいくかどうかということについては、まだ具体的なものとしては承知しておりません。

逢坂委員 ここで佐田大臣にお伺いをしたいんですけれども、今回の法案、確かに北海道を一つのスタートとして全国に展開をしていくという規定になっているわけですが、全国に展開していくような現時点での見通しといいましょうか、目といいましょうか、現時点でですよ、都道府県合併という手続、プロセスも経なければいけませんので、それを考えると、私は、可能性はないとは言いませんが、相当にこれは時間を要するといいましょうか、よほどのステップを踏まなきゃいけないものじゃないかなという気がするわけでありますけれども、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 先生が言われたように、現在、いわゆる合併の法定協議会のような状況まで来ているというところはないわけでありまして、ただ、非常に積極的に議論をしているところは多いですね。

 例えば、一つの例で言うと九州、この間も知事会の会長の麻生知事さんがお見えになりました。非常に熱弁を振るって、九州が一つになればオーストラリアと同じGDPになるんだ、こういうことでいろいろ御議論をされておりました。また、関西の経済界の方々もお見えになったり、九州ももちろん経済界の方々、そしてまた東北の方の地方自治体、経済界の皆さん方も非常に興味を持っています。

 ただ、非常に情熱は持っているんですけれども、具体的に、ではどうしたらいいんだ、合併はどうしたらいいのか。今先生言われたように、合併の手続論の問題やら、そしてまた、では私は群馬県ですけれども、群馬と栃木と茨城がいいのか、群馬と埼玉と新潟がいいのか、これは本当に、非常に難しい部分があろうかと思います。そして、だからこそ私は、そういう意味におきまして、やりたいという気持ちはたくさんあるんです、物すごく。やりたいという気持ちはあるんですけれども、話をずっと続けていくと、不安な部分も大きくあるんです。

 そういう中において、今回の法案で北海道にいろいろな権限、財源、税源が移譲されて、先ほどの枝野委員のときのお話にもありましたように、権限を与えれば責任も来る、こういうふうなリスクもあるわけであります。

 ただ、それを毎年毎年見直しながら、本当に北海道にとってはどういうことがいいのか、こういうふうな形で、どういう地方分権がいいのかというのがだんだん収れんされてくると思うんですね。そのころには九州の方も、やはりあの勢いですとかなりの進み方を見せるのではないか、こういうふうに信じておるところであります。

逢坂委員 まさに今、佐田大臣おっしゃられたように、全国でいろいろな議論はある、だけれども、具体的、現実に進んでいくような状況かといえば、必ずしもそうでもない。やはり北海道での取り組みの結果をある種踏まえて、ほかの県も、もしそれがいいということであるならば進んでいく可能性が、それはあるかもしれないという話だと思うんですね。となると、やはりこの法律というのは、全国一律、同じ条件の法律というふうには私には思えないんですね。

 要するに、確かに北海道はモデルですから、先導してやれということなのかもしれませんけれども、北海道だけが場合によっては物すごいアドバンテージ、よい、有利な点をつかむことができるかもしれないけれども、北海道だけが場合によっては物すごいリスクを負うという可能性だって、まさに今、大臣のお言葉からもリスクという言葉がありましたけれども、否定できないのじゃないかと思うんですが、このあたり、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 したがって、この法律には本当に、最初はもちろん推進本部で基本方針を立てます。これも北海道の方々に相談をしながら基本方針を立てていくわけでありますけれども、これをやはり基本計画として北海道で推進をして、それを収れんさせることによってまた変更していく、こういう中で地方分権、言うなれば税源、財源、そして権限を移譲していく、地方分権を進めていく。それには、確かに先生の言われるようにリスクも伴うし、私もそう思います。しかしながら、今の現状をかんがみた場合に、少しでもやはり行政のぜい肉を取っていくというか、効率化を進めていく、これはどうしても必要なことなんですよ。

 ですから、余りリスクがあって、これは道民にとってよくないな、こういうものは省いて、本当の意味で道民のためになる税源、財源、そして権限の移譲なるものを残しながら、その中で道州制のビジョンに近づけていく、こういうことがあろうかと思います。

 それと、先生が今言われた、それでは北海道だけになっちゃう可能性もあるじゃないか、こういうお話がありますけれども、私は、日本全国で、やはり各県、うちの県もそうですけれども、はっきり言って財源は非常に厳しいです。それで本当にそういう意味におきましては、行政改革、そしてしっかりと国の税源、財源、三位一体も進んでおるわけでありますから、実質的な税源の移譲等で行政改革を行っていかなくちゃいけないというのはどこの県も私は一緒だと思うんです。そういう意味において、九州の方が積極的に進んでおるというのは、やはりそういうお考えをお持ちである、私はこの間お話を聞いてそういうふうに感じたわけであります。

逢坂委員 何かキツネにつままれたような気持ちもするわけでありますけれども、今の話を聞いていると、北海道だけが特別にぜい肉がついているような感じにも聞こえなくもないし、行財政改革については九州の方が一生懸命特にやっていて、北海道の方はちょっとそうでもなさそうなニュアンスにも聞こえなくもないんですけれども、これは少し行間、裏読みし過ぎでしょうか。

佐田国務大臣 そういう意味じゃ全くありませんで、先生が、北海道を今回の政令で定めてそのまま行って、北海道だけで、リスクもあるんだから必ずしも利益ばかりじゃないじゃないか、果たして進むのか、こういう疑問を呈しておられたので、うちの県も、そしてまた九州の方々も、やはり財政については非常に厳しい、厳しいからこそ行政改革は進めなくちゃいけないとみんな思われているということなんです。

 つまり、だから、どこの県でも財政は厳しく、行政改革、余分なところをそぎ落としていかなくちゃいけないという気持ちはみんな持っていますから、私のこれは私見ですけれども、これは私はかなり将来に向けて進んでくるんじゃないかと思います。

 わけても、多分一年もしくは一年半ぐらいで見直しはどんどん進めていきますから、その中で、私は何も全部がビジョンが確立する前に、ほかのところも、うちだってかなり行政改革しなくちゃいけないじゃないかと例えば県民の声がわいてきて、そして文化であるとか歴史であるとか、いろいろな諸情勢が一緒になった場合には、三県が一緒になって、国会承認を受けて、そして特定広域団体になる可能性はある、こういうふうに申し上げているんです。

逢坂委員 財政の厳しさは私も痛いほどよくわかっております。きのうも総務委員会でしゃべったんですけれども、小渕内閣のころに私の町の一般会計の予算、五十億を超えておりまして、ことし、どうも来年の予算を聞くと三十億ぐらいだ。私が町長のときにつくった長期財政計画によれば、それを二十億台にしないとニセコの財政、将来もたないというようなそんな予測を我々現場ではしておりました。だから、もう財政の厳しさなんというものは本当に口にも出したくないぐらい、胸が張り裂けるぐらいの現状に今自治体はあるということは、私も痛感をしております。

 だから、行財政改革なんというのは、北海道に限らずいろいろなところでやらなきゃいけないんですよ。北海道だけが先行してやればいいという性格のものではないんですね。これはもう皆さんそう思ってくださると思います。

 だけれども、それではなぜ、先ほど行財政改革に絡めて今回の道州制特区推進の話をされましたけれども、なぜ北海道が先行なんですか。

佐田国務大臣 そうすると、またそもそも論になるんですけれども、先ほど来から、この法律ができた経緯については調べさせていただきますけれども、やはりこの法律の中において、こう言うとまた御異論あろうかと思いますけれども、一般法として、道もしくはそれ以外の都府県については三つ以上が合併するならばいつでも特定広域団体になれる、こういうことでありますので、それは先生、私もこの経緯について、北海道から始まった経緯というのは、先ほど、八月に総理と知事がお会いになった、そしてその後に経済財政諮問会議で提案を出された、この経緯についても調べさせていただきますので、御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 よその都府県も、三つ合併すればそれはできるんだとおっしゃいました。だけれども、先ほどの答弁では、現実的にはそれはすぐ実現はしないんだ。やはり事実上、北海道がやってみた結果を踏まえて、これを法案の中ではもしかすると知見などという言葉で表現しているかもしれませんが、そういうものを踏まえてやっていくんだというのが今の現実なわけでありますよね。

 だから、そういう点からしてみますと、私は、やるんだったら全国で全部同じようにできる条件をつくった方がいいんじゃないですか、今のようにあえて北海道だけ先行ということが、どうもやはり理由がよくわからないんですよね。その北海道先行の理由をもう一度、ちょっと明確に言ってもらえますか。

佐田国務大臣 ですから、別に、北海道が一番やりやすいからとかそういうことではなくて、この法律自体が、北海道並びにそれ以外の都府県、こういうことになっておりまして、特に最初に手を挙げられた北海道の方から政令によって特定広域団体に指定をされる方向になっておる、こういうことであります。

 先生、もう一点は、やはり全体でやればいいじゃないか、こういうお話でありますけれども、私は、意外と、今の財政的なことを考えて、今先生もありましたけれども、もう遠い未来じゃなく、そういう現状になる可能性はなきにしもあらずだとは思います、はっきり言って。そんなに、それはレベルの問題ですけれども、ずっと先とか、そういうことは私はないと思うんです。

 なぜかというと、先生も御存じのとおり、当初、市町村合併のときも、三千三百あった地方自治体が、私は合併なんかそう簡単にできないと思っていたんです、はっきり言って、私もほとんどできないんじゃないのと。それはやはり各市町村には議員もいるし、首長もいるし、そしてそういうふうないろいろなエゴもあるわけでありますけれども、やってみたら、うちの群馬県はほとんど郡が消えるほどに合併してしまいました。一つの発端が合併したら、では、うちも、うちも、うちもと、そういうふうになったんですよ。

 それは、よく聞いてみますと、その地域の町民、村民の問題もありますけれども、やはり財政的な問題が非常に絡んでくる、こういうことでありまして、私は、そういう意味におきましては、そんなに長期的に、先に行って特定広域団体ができるということじゃないと思うんですよね。

 ただ、なぜ、では北海道が一番最初なのという議論に対しましては、繰り返しになって恐縮ですけれども、高橋・総理、そしてまた経済財政諮問会議の提案の経過等については、またしっかり調べさせていただきます。

逢坂委員 少し議論をかえたいと思うんですけれども、今回の道州制特区であれ、道州制そのものであれ、いわゆる道州制というものを目指す目的、理由、それによって何が実現されるんですか。

佐田国務大臣 今、道州制と言われましたけれども、基本的には、道州制特区推進法をつくることによって、それは基本的には、今回の法案にもありますように、交付金にして、先ほどの議論にありましたような使い勝手がよくする。それともう一つは、年度を越えた配分であるとか、同じような工事に対する割り振りであるとか、例えば河川だとか砂防であるとかそういうもの、似たようなところですね、同じ川だとか。そういうものにやる、使い勝手がいいという言い方はありますけれども、それだけそういう権限を使い勝手がいいような形で地方に移譲していく。

 または、今回八項目でありますけれども、いろいろな意味でこれはもう地方でやれるじゃないの、こういうふうな権限等についてはできる限り地方に移譲していく。それで、都道府県に移譲したものは今度は市町村にも移譲していく。そうなると一直線になっていきますから、そういう意味におきましては、非常に行政が効率化されて、そして、国の方も小さな政府になってくる。

 それともう一つは、都道府県の国民の皆さん方の意見が反映をされた形で道州制のビジョンが確立されてくる、こういうふうに思っておるわけであります。

逢坂委員 今の大臣の言葉をおかりして整理させていただきますと、一つは、権限を渡すという意味での分権がありますでしょうということですね。

 それからもう一つは、一体的に、総合的に、使い勝手よくという話がございましたが、それは例えば河川なんかも県ごとに分かれて管理するんじゃなくて、一つの河川だったら上流から下流までこれは一体的に管理した方がいいでしょうというようなことがある、いわゆる広域行政ということもあろうかと思いますね。

 あわせて、行財政改革というような目的も多分、本当の意味での道州制というのが実現されれば、これは私は達成できるかもしれない、あるいは、それを目指して新たな自治のあり方というのを今この国で議論しているんだと思うんですね。

 三つ、分権、行財政改革、それと広域行政、この三つが目的だとするならば、なぜ北海道なんですか。この三つ以外に何か北海道が先行実施する理由があるんじゃないですか、それを私はお伺いしたいんです。

    〔委員長退席、後藤田委員長代理着席〕

林副大臣 まさに今委員がまとめていただいたように、道州制全般にはおっしゃったようなメリットがございます。

 なぜ北海道なのかということは、経緯のお話は先ほどちょっと議論があったところでございますが、まず、北海道は日本の全体の五分の一なんですね。非常に広い地域である、広域であるということがまずあると思います。

 それから、もうこれは委員や佐田大臣には釈迦に説法でありましょうけれども、自然や経済、社会、文化等で独自の地方を形成されて一体感があるということと、先ほど答弁させていただきましたけれども、国の出先、いろいろなものが出ておりますが、この管轄区域と今ある道というのがまさに一定の施策を同時に行っている、こういうところが実はほかには余りないのでございますね。

 ですから、そういった意味では、将来の全体的な道州制の検討をやる場合に、いろいろなふさわしい検討ができるのではないか、そういうことがあったというふうに認識しております。

逢坂委員 今の林副大臣の答弁から、私はやはり余り積極的な理由というのを感じられないんですね、分権と広域行政と行財政改革という観点でいいますと。分権と広域行政と行財政改革という観点でいったら、それはもう全国がやらなきゃいけないことだろう。北海道に限らず、九州、どこでもやらなきゃいけないことだ。

 それからもう一つ、これは私の考えが違っているのかもしれないんですけれども、広域行政を考える上で、今、河川などについて、他府県に比べて総合的に管理ができているのは、実は逆に北海道の方ではないかという気がするんですね。そうでもないでしょうかね。

 北海道以外の四十六都府県の方が、実は土地だとか河川だとかの管理というのはある種分断をされているところがあるのかなという気もしないでもないんですけれども、広域行政という観点で考えてみたら、北海道の方が一歩先行しているんじゃないか。先行しているのにさらにそこがモデル実施だというのは私は理解ができなくて、本当にそれを実施したいんだったらほかの府県でやるのが実は道州制の一歩の入り口なんじゃないか。

 だから、逆に言うと、北海道の今の現状、北海道は国土の面積の五分の一だ、広いところで実はほかにない行政をやっている、それがもしかすると将来の道州制にある種近いものかもしれないと言うんなら、そこをさらに推し進めるんじゃなくて、現状の問題点とか課題を踏まえた上で、それを他の四十六府県にどう展開していけるかと考えることの方が私は合理的だと思うんですが、そうじゃないんでしょうか。

林副大臣 まさに委員がおっしゃるように、北海道は、今三つ目に申し上げましたように、ブロック機関の管轄区域と一致しておるということの裏側になると思いますけれども、広域が道の中でできておる、そのことはおっしゃるとおりだと思います。

 であればこそ、実は、複数の都府県にまたがる管轄区域を持った国の出先の場合はそれを調整するという業務が残っている、こういうことでありますが、北海道の出先の場合は、そういうことは道でやっておられるんなら、本当にほかの地域と比べて業務の必要性が出てくるのか、こういう議論も出てくるわけでございますね、国の出先については。ですから、まさにそれが先進であるということであればこそ、北海道にモデル的な意味がある、こういうことも言えるのではないかというふうに考えておるところでございます。

逢坂委員 国の出先について業務の必要性があるのかどうかというお話がございましたけれども、ということになると、それは、言葉は選ばなきゃいけませんけれども、もしかすると二重行政というような意味合いでおっしゃっているんでしょうか。その点はいかがでしょうか。

林副大臣 出先の機関の仕事というのは、その管轄区域の中の調整を行うということがあると思いますけれども、今委員が御指摘になったように、北海道は道庁の方でそれがかなりできているということであれば、まさにその同じことを、全く同じことを国の出先の方でやる必要があるのかということは当然出てくると思いますけれども、それは、今からこれをやってみて、どういうふうになってくるのかということになってくるのではないかと思っております。

逢坂委員 とすれば、分権の観点は全国展開がやはり必要ですよ。あるいは行財政改革だって、これは何も北海道に限ったことじゃない、全国必要ですよ。では、北海道がよそと違う要素、要因というのは、今の道州制を目指すということの中で何なのかというところなんです。

 もうちょっとはっきり具体的に議論をして深めていきたいと思うんですけれども、どうもそこが見えないんですね。

 私からすれば、北海道がまさにある種広域行政をしているんではないか、他府県に比べて。であるならば、その北海道の、仕組みをそのまま持ち込むかどうかはいろいろ議論のあるところで、北海道のような広域行政を、例えば、青森や秋田や岩手を一つにして地域の管理を一体化しましょうという議論の方が実は本当の意味で目的にかなうことなんじゃないですかという問題意識なんですが、どうでしょうか。

林副大臣 同じことを逆の方から見て言っているのかなというふうに思いながら委員の御指摘を聞かせていただいておりましたが、ほかの地区を考えてみますと、複数の県が一つの管轄区域になっているところを考えますと、先ほど言ったように合併がすぐにはできないという状況の中で、例えば五つある県の中で、本当にその調整業務が五つの県にお任せしてできるのかということは現実の問題としてあると思うんですね。

 一方、北海道では、まさに委員が御指摘のように、道庁でそれをやっておられるということが既にあるわけですから、そのあるという前提のもとで、しからば、国の出先機関と比較してどういうことになっているのかというのは北海道なら今すぐにでもできるんではないか、こういうことが一つあるということを御説明しておるわけでございます。

逢坂委員 となれば、分権的な視点からも行財政改革的な視点からも、北海道をモデル的にやるメリットというのは、今の話の中からは聞こえてこないわけですね。

 道庁が総合的に行政をやっているのではないか、それがもしやられているというのであれば、国の出先とのやりとりみたいなものについて検討する余地もあるのではないかという話がある種積極的に例として話されたわけですが、ということであれば、これは国の出先機関と道庁の整理統合法案ということになるのではないでしょうか。その点はいかがでしょうか。

林副大臣 大臣が御答弁された幾つかの中で、補足をして今三つ申し上げた中のその三番目についてお尋ねがあったので詳しく申し上げたわけでございまして、当然それ以外にも、先ほどから大臣が御答弁されておられるような理由がたくさんあるわけでございます。

 もう一つ今ので申し上げますと、先ほど御質問があったように、いろいろな権限を移譲するということも、広域でやっておられるから、移譲される主体がもうそこにあるということでございまして、国の出先との比較対照をするということ以外にも、この三番目の理由から権限の移譲がすぐにできることもあるということもつけ加えさせていただきたいと思います。

逢坂委員 今の議論を聞いていて、これは多分道民の皆さんもいろいろなところできょうの議論を聞いてくれると思うんですが、やはり将来の姿が必ずしも描けないというような気が私はしますね。私の聞き方が十分ではない部分もあろうかと思いますが、どうも説明を聞いていても理解できないところがありますね。

 さて、それで次の話にちょっと移らせていただきたいんですが、分権という観点からこの道州制問題を議論するときに、今、地方分権改革推進法が総務委員会で議論をされている最中ですね。それで、こちらは道州制の、いわゆる道州制特区法案が議論されているんですが、分権という観点でいうと、大野総務副大臣、これはどう違うんでしょうか。

大野副大臣 ただいま、地方分権改革推進法、この議論もしていただいております。

 この中で、私どもは、現実に四十七の県があって、本年度末には千八百八の市町村になるわけでございますが、それにいかに権限を持ってもらうか、まさに地方分権をさらに推進することによって、それぞれの地域や意欲的に取り組んでいる行政をさらに支援したい、そのことのために、三年という時限を切って、これから計画を立てていただき、具体的な展開をぜひ願いたい、そう思っております。

 その中で、道州制につきましても、当然のこととして私は議論はあってしかるべきでありますし、その中で、人によりますと、道州制というのは願うところの地方分権の究極の姿だ、こうおっしゃる方もおります。あるいはまた一方で、先生御指摘されておりますように、行政改革の究極の姿だということはありますが、私は、そういうすべてが相まって地方分権というものは進むはずだと思っておりますし、また、地方の期待というものもそういうところにあるのではないかというふうに感じているところでございます。

逢坂委員 これは佐田大臣にお伺いした方がいいかと思うんですが、分権改革推進法も地方の意見を聞きながらいろいろと進めていくということ、それからこちらの道州制も、例えば今ですと、北海道の知事が参与に入って、本部に来て、いろいろ議論をしてやっていくというような法律の仕組みづくりになっているわけですが、このときに、地元からよく出されているのは、地域の声がうまく反映されないじゃないか、あるいはまた中央省庁、官僚の抵抗が強いじゃないかという声があるわけですね。

 だから、それにこれまでの分権改革もいろいろと苦慮をしてきたわけでありますけれども、それをある種押し込める、その抵抗に打ちかっていくための工夫というのがこの法案でされているかと思うんですけれども、それについて改めてちょっと御説明いただけますか。

佐田国務大臣 先生の言われること、それがもうこの法律の根本であるべきところでありますよね。それはやはり、先ほど来から総理と北海道知事の話にも始まりまして、私は、これも調べさせていただきますけれども、それはあくまでも、総理がただ進めるということよりも、法律のこの体系を見たときに、これはやはりできる限りまず道民の発想でこの法律を進めるべきである、こういうふうに議論が進んできたんじゃないかと思っております。

 それは、結果として、このスキームがそうなっておるわけでありまして、ただ、だから特区推進本部の中で知事が参与に入っている、これは果たしてこれだけでいいのか、こういう議論もあろうかと思います。

 それについては、もしも修正すべきところは修正しますし、基本方針をつくるときにいろいろな意見を聞いていく、北海道の意見を聞いていく。そして、その中でそれを、北海道の基本計画に上げていく、実施していく。このときも、地域の市町村、そしてまた最終的には、これは議会の議決といっても、それが道民の意思を反映しないじゃないかと言われればそれまでですけれども、その議決を行っていく。

 それを行う段階、要するに行った時点において、またその基本方針の変更、つまりいわゆる道民の皆さん方の、これはもう具体的に言えば、市町村の意見を聞くということになれば、それはいろいろな意味で、本当に地域のいろいろなコミュニティーを利用して、今回のこういう地方分権のあり方、またはこういうことについて税源、財源移譲、これでいいのか、こういう議論が出てくると思うんですね。その中で、いや、もっとこういうふうにすべきだよ、この権限は国に残すべきだよ、いや、この権限はこっちに持ってくるべきだよ、そういうことが北海道の道民の中で議論をされると私は思っております。また、そうならなければいけませんし、そういうシステムをつくっていくべきだ。

 そして、最終的に、これは行政の中で議決をして、そしてそれをまた本部の方へ戻ってくるわけでありますけれども、では、本部は国だから、何も、全然道民不在じゃないか、北海道不在じゃないかということを言われる方がいらっしゃいますけれども、これはあくまでも、戻ってきた基本方針の変更についてはしっかりと優先をしていきたい、そしてまた、要するにその中においてもできる限り北海道の方々の意見を入れて、それを評価していきたい、こういうふうに思っています。

逢坂委員 道州制特区法案の方と分権改革推進法を比べると、その推進のエンジンといいましょうか、道具立てといいましょうか、随分差があるんですね。これは何か道州制の方だけが妙にこぶしが入って、知事の意見を聞くとか、参与だとか、しっかり意見を聞くんだ、地元の議論がと言っているんですが、何か随分、同じ分権とか行政改革とかそういうことを目指す割には、これは違うんですけれどもね。

 まず、大野副大臣にお伺いするんですが、随分道具立てが違っていると思いませんか、推進の道具立てが。御感想いかがですか。

大野副大臣 地方分権改革推進法という法律、これは御案内のとおり、今までの地方分権一括法を受けて、今日までの時間の経過の中での取り組みがあります。

 その中で、なおかつ、例えば具体的な展開として、市町村合併というものを具体的な形で展開されて、地方は地方なりにもっと大きな権限を欲しいという切なる願いをそれぞれ首長さんも、あるいはまたそれぞれの住民の皆さん方もお持ちでございます。そのことにあわせて、権限も財源も、まさに自己決定できる、その力を与えてほしいということが、ずっとこの間に、具体的なものとして時間の経過はあったと思うんです。それを受けまして今度の地方分権改革推進法でございますので、その強い期待にこたえる中で、三年間でこの形を示そうとしているわけです。

 もちろん、その中では、道州制というものも当然のこととして将来的な展開があるだろうということを期待いたしております。

 この道州制につきましても、今まで国民の声としてはいろいろなところで語られてまいりましたけれども、初めて国会の場に道州制という法律として出てきたわけでありますから、これもまた、新しい大臣を置かれて、そして道州制ビジョンをお立てになるということ、それはともに私は連携していることだと思っておりますし、必ずしもどちらが先走っているとか、どちらが遅いとか、そういうことではないと思っております。

逢坂委員 どっちが先走っているとかというよりも、私の問題意識は、それを推進するエンジンの部分ですね。それから、地元との関係ですね。あるいは、地方分権改革推進法にも、例えば知事会などからは、地方の人間も入って議論できる会議体をつくってくれよというような要望もあった、だけれども、分権改革推進法にはそれは入れなかったわけですよね。

 だけれども、片や、こっちの道州制特区推進法の方には、本部の正式なメンバーではないけれども、知事の話を聞くとか、あるいは地元の議決まで得るようなものを持ち込んでくるんだから、それは相当な重きを持って考えようというようなことになっているわけです。

 私は、推進の道具立てとして随分、この道州制特区推進法案の方がエンジンが強力なんじゃないか。分権改革推進法を車のエンジンにすれば、軽四のエンジンぐらいかクラウンのエンジンかわかりませんけれども、エンジンだと。道州制特区推進法案の方は、何かジェットエンジンのような感じがするわけでありますけれども、なぜジェットエンジンを積んだんですか。この差というのは一体どういうことなんでしょうか。

 佐田大臣、お願いします。

佐田国務大臣 ジェットエンジンまではいかないとは思いますけれども、それほどまでに一生懸命やっているという表現だと私は思うんです。

 地方分権推進法の方も、今、大野副大臣がおられますが、もう以前からこれはやられておって、これは基本的にはやはり、もうくどいようですけれども、国、地方の役割分担をしっかり規定していこう。これも、いずれにいたしましても、議論の中ではやはり地方の意見も聞いていかなくてはいけないんじゃないか、こういうふうに思っております。

 また、この委員会でやっておる道州制特区推進法については、これは確かにエンジンは強力にしておりますけれども、強力過ぎてひとりですっ飛ばないようにしていかなくてはいけない、こういうふうに私は思っています。

 その辺はどういうことかといったら、これは繰り返しになりますけれども、やはり道民の意見を聞いて、できる限り、余り先走ることなく、しっかりと地域に根差した法案に、そして行財政改革に資するような、地方分権に資するような方向で、余りすっ飛び過ぎないでちゃんと方向を制御しながら行きたい、こういうふうに思っています。

逢坂委員 先ほど道州制に関して、道州制というのはある種分権の究極の形だという議論がある、そんなところもあるという話がありました。

 私も、究極の形かどうかはわからないけれども、道州制というのは分権のある種の発展形態である、ある種の、一つの発展形態なんだろうなという印象を私自身も持っているんですが、今、日本の社会では分権がやはり大事だというふうに言われている、そしてまさに一般法として分権改革推進法があるのであれば、私は分権改革推進法の方に本来ジェットエンジンを積むべきだというふうに思うんですね。

 国家全体の分権をどうするかという大きな議論、そちらをしっかりすることが実は大事なことであって、何か、先ほど聞いていると、なぜ北海道が先行なんですかというところについても必ずしも十分な説明がなされていない、あるいは発端に関しても必ずしも十分な説明がなされない、あるいはまた北海道限定法の予定だったのを全国展開にしたというところについても必ずしも十分な説明がなされない。にもかかわらず、そっちにはジェットエンジンを積んだというのは、これはあべこべじゃないかなというふうに私は思うんですが、どうでしょうか、佐田大臣。

 それではまず大野副大臣の方から、大野副大臣、ぜひ分権改革推進法にジェットエンジンを積んだ方がいいですよ、国民に喜ばれますから。

大野副大臣 これは総務省の名誉にかけても申し上げなきゃいけないことなんですが、決してエンジンの大きさが違うわけでもありませんし、我々、今日まで新しい時代にふさわしい対応をしようということで地方六団体が取り組んできた真摯な姿勢、これはやはり高く評価すべきだと思うんです。私ども、それと一体になってやっているわけであります。

 ですから、そのパワーというのは、今おっしゃるようなジェットエンジンに負けないような、実は強力エンジンを積んで推進しているつもりでございまして、これからも地方分権、まさに時代の要請でありますので、そのことをしっかり受けとめながら、そして私どももできるだけ、六団体はもとよりなんですが、地方に出向いてしっかりと地方で取り組んでいる厳しい姿と同時に、また厳しい要請もあるわけですから、それもこの改革法の中で具体的な進展をさせたいと思っておりますので、ぜひ、エンジンは負けないことを御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 エンジンの大きさについて、先ほど佐田大臣はこっちの方が大きい、飛び過ぎないようにという話がありましたが、いかがですか。

 私は客観的に見て、道具立てはやはり道州制特区推進法の方がいろいろなターボがついていたりするんじゃないかなという気がするんですが、どうですか。

佐田国務大臣 私は地方分権推進法の方がエンジンが小さいとは言っていないんですけれども、こういうことは、やはり非常に関連は確かにあります。

 例えば、今回のスキームが、法案をもしも通していただければ、かなりの地方分権もこれから進んできますし、そしてまたビジョンもできてくる、そういう中におきまして、全体枠として地方分権推進法も同じような、一緒に飛行するような、そういうところがありますから、一緒にお互いに両方とも大きいエンジンの中で、そして協調をしながらしっかりと進めていきたい、こういうふうに思っています。

逢坂委員 それではエンジンの大きさの議論はこれぐらいにしまして、きょう、法制局から宮崎長官にもお越しいただいているんですけれども、先ほど来の議論を聞いていただいていたかと思うんですが、実は今回の法案の出る前に、内閣府では素案、要するに北海道に限定した法の素案をつくっていたわけですね。そして、今回五月にこのような形になったわけですが、前の法案のときは憲法九十五条に該当するような内容だったというふうに思われますでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 ただいまの御質問につきましては、前の案の中身というのが正式に私どもの組織として受けとめておりませんものですから、その九十五条の問題があるぞという問題意識はございましたということだけは申し上げられますが、それについての結論めいたことはまず出ていなかったと思いますし、ちょっとそこの確定的なお答えはしかねるところでございます。

逢坂委員 これは十一月一日の内閣委員会での質疑の中で宮崎長官がしゃべっていることですが、この九十五条問題に関して、政令で北海道しか今回の法律の該当になっていないんだ、だけれども、法律の形として、あくまでも具体的な都道府県を特定していないから、一定の要件を備えた都道府県であれば、一般に適用があるという考えをとっている、したがいまして、憲法九十五条の規定による住民投票を要する地方特別法には該当しないと考えておりますということを自民党の石崎委員に答えているんですね。

 先ほど私が言った四月上旬時点の素案と今回の法案の違いというのは、日本全体を対象にするか、あるいは北海道だけを対象にするか、まさにここで言っている一定の要件を備えた都道府県が入っているか入っていないかの違いなんですよ。

 だから、先般の十一月一日の答弁からすれば、これは私の推測ですが、前の、要するに北海道だけ限定している法であれば九十五条に該当するというふうに類推できるんですけれども、いかがでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 先ほど申しましたように、どういう制度を仕組むかということにつきまして、一つは今回出しております法律に則して申し上げれば、国の権限を幾つか移譲するという部分もありますし、それから北海道、道に関しては、道である広域の団体につきまして交付金という制度をこしらえるという部分もあって、複数中身があり得るわけでございます。

 それで、従来からの九十五条に関する政府の問題意識というか、整理の仕方は、九十五条の趣旨といいますのは、一の地方公共団体のみに適用される特別法というものは特別の手続が必要だということでございまして、団体というものに着目している。それで、かねがね御議論がありますように、団体に適用されるというのは、後で必要があれば御説明を申し上げたいと思いますけれども、団体の組織、運営、権能に関するものというふうに限定して考えるべきだというふうに考えておりますので、それの特例になるかどうかというところまでなかなか確定的な案が私のところに届いておらなかったと思いますので、今確定的なお答えはできないわけでございます。

逢坂委員 それでは、確定的な案が届いていないというのはなかなかあれですね、国の仕事というのはゆったりしておるんですね、素案をいろいろ議論している段階で確定的な案が届いていないからしゃべれないとかということもないと思うんですが。

 先般の、やはり十一月一日の石崎委員への質疑を見ると、宮崎法制局長官の見解、これは私の感じでありますけれども、対象となっている団体が一定の要件を備えた全国の都道府県であるからこの九十五条に該当しないというふうにおっしゃったように感じるんですけれども、これはそうじゃないんですか。それ以外の要件で該当しないとこのときはしゃべったんでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 そのときに私が申し上げましたのは、この法案におきまして、「北海道地方又は自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方のいずれかの地方の区域の全部をその区域に含む都道府県であって政令で定めるもの」というふうになっているのを前提といたしまして、「又は」以下のところというのは、確かに現在は現実にございませんけれども、地方自治法によりますれば、都道府県の廃置分合ということにつきましても予定がされているということを踏まえて、将来そういうものが広域行政の趨勢の中で出てくる可能性があるだろうということで、それに対する対応も織り込んだ法律だということにかんがみれば、それは一般性のある法律であろうということを申し上げたつもりでございます。

逢坂委員 あともう一つ、何か理事の方から聞きますと、後にもまだ私の質疑の時間をいっぱいとってくれているらしいので、そのときにもまたお伺いしたいと思いますけれども、最後に、法制局長官にお伺いしたいんです。

 法制局長官は、このときこうも言っているんですよね。特定の地方公共団体の組織、運営、または権能について特別の定めをするものではないから、九十五条に該当しない。

 これは、午前中もちょっと議論があったようなんですが、憲法九十五条には、組織、運営、権能ということはどこにも書いてないですよね、憲法九十五条の条文には。組織、運営、権能というのは、これはどこから導き出されたものなんでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 先ほど来議論がありますので、若干時間がかかるかもしれませんが、これは政府としての提案を申し上げている心づもりということでございまして、最初に申し上げましたように、地方自治法の手続規定からすると、最終的には国会のお決めになることであるということはまず留保申し上げたいわけです。

 三つほど考えるべき点があると思います。

 一つは、憲法九十五条の文言と、それに関係します学説の大勢ということでございます。

 それにつきましては、憲法九十五条は、何度も申しますように、特定の地域ということでなくて、「一の地方公共団体に適用される」というふうに言っておりまして、当然のことながら、地方公共団体というものの自律性、自主性というものに着目をして、それを尊重すべきであり、そのための手続も置くべきであるというふうに規定しているというものだと思います。

 それで、重立った学説を一つ二つ申し上げますと、例えば、佐藤功教授の有斐閣のポケットコンメンタールというものを見ますと、この「一の地方公共団体のみに適用されるというのは、その法律が特定の地方公共団体そのものを対象として、すなわち、地方公共団体たる性質に着目して、規律するものであることを意味する」、中略しますが、「その地方公共団体そのものの組織、権能、運営を規律するものではない法律は、ここに言う特別法ではない」というふうに言っており、もう一つ申し上げると、例えば、樋口陽一先生ほかの共著であります「注釈日本国憲法」によりますと、「特定の地方公共団体の地域を対象とする法律であっても、国の事務や組織について規定し、地方公共団体の組織、運営、権能に関係のないものは本条の地方自治特別法には該当しないと解される」というふうに解説しておりまして、このようなものは十分参考にするというか、尊重して考えていかなければならないと思っております。

 二つ目は、何と申しましても、これまでの国会における立法の際にどのような扱いが行われてきたかということの蓄積でございます。

 これもるるは申し上げませんが、昭和二十四年から二十六年にかけましては十五ほどの法律ができまして、それについては現に住民投票がなされたという実績がございます。

 それについては、子細に見ますと、それぞれ特定の地方公共団体が特別の都市計画事項を定めることができる、あるいはそれについて拡充をするということを内容として含んでおりまして、それらはやはり他の地方公共団体とは違う権能を定められているというふうに理解されるわけでございます。

 他方、その後はいろいろ特定の地方公共団体に言及した法律がたくさん出ておりますけれども、例えば、最近の沖縄振興特別措置法でありますとか小笠原諸島振興開発特別措置法などを見ますと、これらにつきましては、振興計画などが定められまして、これに基づく事業に対して国が助成を行うものでございますけれども、それらについては九十五条に基づく住民投票というのは行われていない。

 というのはなぜかと考えますと、それは、いろいろな間接的な影響はもちろんあると思いますけれども、地方公共団体の組織、運営、権能について、ほかの団体と違う差別的な、プラスであろうとマイナスであろうと、定めをするものに当たらないだろうというふうに考えているからではないかというふうに理解されるところであります。

 三つ目は、これも先ほどの御議論にありましたように、これは国会の立法権の例外をなすということでございますので、その点につきましては、やはり憲法の、国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会の立法権を制約する特別の例外規定であるという観点からしまして、それに対する制約というのは、憲法の地方自治の本旨というものを踏まえつつ、その合理性及び必要性が認められるものに限局して認めていくべきではないだろうかという立場に立つべきだと考えておりまして、そのような観点から、従来、地方公共団体の組織、運営、権能にほかの団体とは違う差別的な取り扱いをするものがここで言う地方特別法だというふうに我々としては理解しているわけでございます。

    〔後藤田委員長代理退席、委員長着席〕

逢坂委員 法制局長官の話は理解はしませんでしたけれども、話としては承りまして、また少し勉強させていただきたいなというふうに思います。

 さてそこで、最後でありますけれども、この道州制特区法案を議論する上において、地元発だという話があったり、地元の十分な理解というものが大事だということがよく言われております。これまでの内閣委員会の議論でも、地元から十分に推進してくれというような声があるというふうにこの場ではどうも聞こえるのでありますけれども、果たしてそうなのかなというところについて、最後に御見解だけ伺って、きょうの質問を終わりたいと思うんです。

 昨年、実は、私ども民主党北海道で、道内の市町村長百八十人にアンケートを送付しまして、七七・二%の回答率だったんですが、この道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律について、市町村や道民の意見が反映されていると思いますかと聞いたんですね。反映されていると思った方、どの程度いらっしゃると思いますか。首長さんでございます、一般の道民ではありません。何と、四名であります。回答したのは百三十九人でありますけれども、そのうち、反映されていると思うと答えた首長は四名なんですよ。これは一般の道民でないんですよ。四名ということは二・九%であります。

 それから、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案は北海道の自立的発展に向けた道州制の実現に寄与すると思いますかと聞いたんですね。そうしたら、何と、思うと答えた方は二二・五%しかいないんですね。思わないとどちらとも言えないという方が合わせて七七・五%いるわけですね。これは、道民じゃなくて首長というのは結構この問題に対して関心のある方々でありますから、こういう実態があるということを踏まえていただきたいんですね。

 実は、私、さまざまな地域に行ってお話をさせていただく機会があります。今回も、五月から六月、七月にかけて、道内各地で道州制の勉強会に呼ばれて、私、道州制を教えてくれといって、いろいろなところへ行って話をするんですが、ほとんどの方が道州制をやはり理解できない。これは一体何なの、しかも、一体この北海道をどうするつもりなのというところが、皆さんにとって、もやっとしているわけですね。だから、理解という点では、私は全然議論が足りないんじゃないか。

 それよりも分権と言った方がわかりやすいし、広域行政と言った方がわかりやすいし、行財政改革と言った方が極めてよくわかるわけですね。あえてそこに本来の目的を、仮に三つあるとすれば、それをわからなくするような冠をかぶせるという理由が私にはやはりよくわからないんですね。

 それから、その後、これも五月、七月、八月、十月にかけて、地域道政懇話会というのを民主党北海道でやっているんですが、これも道内の相当の地域を回りました、二十カ所ぐらい回っているんでしょうか。このものにも私はついていったんですが、そこでも首長さんと直接議論をしています。やはり、そこで出される意見も、道州制はわからないと。まあ、逢坂さん、もとのおれたちの仲間だから、よくわかるべ、よくわかっていないことはよくわかるべということなわけですね。だから、そういう実態があるということも御理解をいただきたいと思います。

 それから、これも先般、ある種、地域の声だというふうに皆さんが引用される十月二十日の北海道における地方分権推進大会の決議でありますね。これは、私はこの現場に実際いたんですが、これはやはり総意というふうに私には思えないんだな。

 といいますのは、分権改革を一層推進して進めようという項目が大きく一つありまして、その最後に、また、道州制特区推進法案の早期成立を図ることということを、別項目じゃなくて一緒に抱き合わせで入れているわけですね。これはだれも反対なんかできないですよ、こんなもの。しかも、千人も首長や議長さんたちを集めて、皆さん、これは賛成ですか反対ですか、そんなときに反対なんて言えるはずがないんですよ。しかも、その下には、地方交付税も守るなんていうことが書いてあって、これはここだけ異論を唱えるなんてわけにはいかないわけですから。こういうものを見て、やはり地域の総意だというのは、私はおかしいのではないかというふうに思うわけですね。

 この大会の後、私、首長さんたちともやはりまた同じように懇談をさせていただきましたが、いや、道州制は、まあ、あそこが入っているからそれは賛成せざるを得ないけれども、やはりわからないぞ、逢坂さん、もっと国会でよくわかるように説明してくれるように言ってくれやというような話もございましたので、きょうの質疑はこれで終わりたいと思いますけれども、最後に大臣の方から何かあればお伺いしたいと思います。

佐田国務大臣 先生に北海道で道州制特区推進法の啓蒙活動もしていただいて、大変ありがたいと思います。

 我々もそういう意味では、委員が言われるように、この周知徹底、うちの方には、先ほども申し上げましたように、道議会であるとか市町村の首長の方々とか、そういうところから陳情で、早く通してくれということは来ていますけれども、それとは別に、北海道の方々に、どうなんだ、これによって本当に行財政改革ができるのか、または地方分権がちゃんと進むのか、北海道のためにいいのか、こういうことについて、やはりもっとしっかりとわかっていただくために、我々もしっかり努力をしていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。

 また、今現在ある税財源の移譲の問題または権限の移譲の問題は、はっきり申し上げて、まだ少ないわけですけれども、これをどんどん広げて、少しでもやはり北海道、そして広くは日本全体のためになるように、しっかり、そして周知徹底できるように努力をしていきたい、かように思っております。

逢坂委員 きょうは長い時間にわたりまして、ありがとうございました。以上で終わりたいと思います。

河本委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 民主党の仲野博子でございます。

 本日は、朝九時から、北海道の道州制特区推進法案にかかわって精力的に質疑が行われておりまして、今、同僚議員からも、さまざまな視点で大臣に質疑をさせていただいているわけでございます。

 私も、北海道出身でもありまして、以前は十年間ほど地元で自治体議員をしておりました経験だとか、あるいは自治体の現場の声を踏まえて、何点かこの法案にかかわって質問させていただきたいな、そのように思っております。

 お聞きしますところ、大臣は北海道の大学を卒業されておりまして、北海道のさまざまな風土あるいは気候、自然等に触れられて、恐らく北海道はすばらしい土地だなということを感じられて、北海道を応援してくれているのかな、そのように思って、きょうは、本当の、あるべき道州制の姿というものをしっかりとお答えをいただければな、そのように思っているわけでございます。

 身近な行政サービスにかかわる権限や財源を国から、国民にとって一番身近な自治体に分けていく、そしてまた同時に、国、政府の機能をスリム化していくべきだという流れやそのための議論については、国民の多くも、そして各政党の方たちも賛同していると思います。

 しかし、現在、政府・与党が進めている地方分権論議の大きな問題点は、その視点が相も変わらず上から下への流れであるということだと思います。今般の道州制特区推進法案も、その発端、その論議の経過を見れば、明らかに国が主導する形で進んでおります。

 さらにもう一つ加えると、地方分権の方向性が財政危機の観点を中心にしか語られていないということであります。それは、三位一体改革の経過を見ても、中央省庁は権限も財源も抱え込んだままで、地方にはささやかなものしか渡されていないというのが実態でございます。今般の道州制特区推進法案も、そうした中から提案されていると言わざるを得ません。

 大臣、そろそろ、もう地方自治体は来月に入りますと、次年度の予算編成にかかわる時期になります。(発言する者あり)もう入っておりますね。この時期になりますと、どこの首長さんも、そして財政を担当する職員の皆さんも、胃がきりきりしてくる、大変な状況にあるということは、もちろん大臣も承知されていると思います。

 そういった中で、この地方分権にかかわる課題を国が一方的に決定し、そして地方に押しつける姿は、私は、そもそも分権になじまないものではないのかな、そのように思っております。その議論の作法といいましょうか、つくり方、形成の過程自体に問題があるのではないかと思っております。

 北海道内の百八十近くある市町村や、その中にあるコミュニティーとの意見交換から、少なくとも議論が始まっておりません。その結果、北海道においては、道州制特区推進法案に対する住民の評価も市町村長の評価も、先ほど逢坂委員からも言われましたとおり、極めて低い実態にあるというわけであります。

 このことについて、まず佐田大臣に御所見を求めたいと思います。

佐田国務大臣 先生、私も北海道を大変愛しておりまして、向こうに友達がおりますから、毎年必ず一回は行って一杯やって、そしてまた自然に親しみ、そして北海道の心に触れて、またリフレッシュして帰ってまいります。

 それほど北海道というのはすばらしいところで、人柄も大変すばらしく、自然も、何というのかな、やはり大きい。内地というんですけれども、内地にいるとほとんど見たことのないような景色が北海道では、もうずうっと電柱も何もないようなところがあって、これを見ると、ストレスはいつもないと思っているんだけれども、本当に楽になるな、こういうふうに思っています。

 そういうところでお育ちになっている先生ですから、また地方を大事にする気持ちというのは人一倍あると私も信じております。私も、そういう意味におきましては、もう形式的なことは申し上げません。先ほど来から逢坂委員の方からもありましたけれども、ちゃんと地方の意見を聞いているのか、最初の発端はどうして、どういうのだ。それにつきましては、知事と総理が話した内容等につきまして、どこまで調べられるかわかりませんけれども、それもしっかりと調べさせていただきます。

 ただ、道内の地方六団体からは随分といろいろ陳情もいただいて、早く通してくれと言われております。それが先生の言われるように、本当に道民が望んでいるのか、確かにこういうこともあろうかと思います。ただ、私としては、先ほど一番最初に言ったように、北海道を本当に私は好きですから、それは道民のためにならないようなことはしたくないですし、できる限り道民の意見を聞いて、そして、確かに権限、財源、税源を移譲すれば、そのリスクはあるかもしれませんけれども、要するに地方分権、行財政改革、こういうことのやはり一つの先導役に今回はなったわけでありますから、そういう意味におきましては、先ほども言ったけれども、地方の意見をまず中心に、このスキームもしっかり収れんしていかなくちゃいけない、こういうふうに思っています。

 ですから、本部で基本方針をつくるときは、知事さんに参与になってもらいますけれども、もちろんそのときには、本部長は総理大臣ですけれども、勝手に決めるんじゃなくて、本当に北海道の道民の皆さん方の意見を集約して基本方針を決めていく。そして、基本方針が北海道に行って基本計画になったときも、これは道民の皆さん方、市町村、そして最終的にはその議決をいただくわけですけれども、その時点でも、本部からの意見交換はさせていただく。

 そしてまた、なおかつ、それを運用したときに、いや、この地方分権は北海道に向かないよ、これはどうしても北海道は欲しいよ、こういうものをしたいよ、こういう財源はもう任せてくれよ、こういうことがあった場合には、それを優先的に提案していただき、それをまた本部に戻して、本部は最優先でそれを閣議決定して、そして、ぐるぐる回すことによって、百、二百の税財源の移譲、そして権限の移譲をもって、これは北海道のためになるように全力でやっていきたい。

 くどいようですけれども、北海道の意見が、北海道の道民の皆さん方の意見が反映できるようなこれからも収れんをしていかなくちゃいけない、こう思っています。

仲野委員 大臣はさすが、北海道に少し住まわれて、本当に北海道を愛して、お友達とお酒を酌み交わしてリフレッシュをする、私も北海道を愛する一人だと今言っていただきました。そして、この法案に対しては十分道民の、地方の意見を聞き、集約をしていきたいと言われました。

 しかし、どうしてこの道州制の議論が、道内の首長さんあるいは多くの方たちから本当に理解されていないということであるのかと思います。これは非常に大事なことだと思います。これからの日本の自治のあり方、あるいは国と地方との役割分担など、国民生活そのものにかかわるものだと私は認識しております。

 にもかかわらず、北海道ばかりではなくて、国内のほとんどの方たちは、その方向性やあるいは議論の経過に参加しておりません。大臣の選挙区でも私の選挙区でもそれは同じ状態にあります。

 不十分な内容であっても、理解されなくてもいいから、とりあえずつくって、その後に直していけばいいというのであるならば、それは地方分権議論の耐震偽装問題になってしまいます。時間が多少かかっても、手続や議論に手間がかかるのが民主主義の原点のはずであります。その民主主義の学校が地方自治と言われているわけでありますから、私は、今回のこの大事な法案、国民議論がないままの法案審議は非常に危険だと思っております。改めて大臣のお考え方を求めたいと思います。

佐田国務大臣 本当に先生の言われることはごもっとものことで、議論をしていくということは大事なことであって、そしてまた、我々も周知徹底、啓蒙活動もしていくということは重要なことだと思います。

 今、先生のお話で、別に反論じゃありませんけれども、今のところ、北海道の知事さんだとか道議会の議長さんだとか市長会会長さん、市議会議長会会長さん、町村会会長、町村議会議長会会長、こういう人たちから陳情が来ておりますけれども、私は、今度の法律は、全体的に、北海道だけじゃないですから、いろいろなところの意見も聞いていかなくちゃいけないと思うんです。

 ただ、先生、意外と、先ほども逢坂先生に申し上げましたけれども、九州だとか関西、そして私の住んでいる関東、東北、これは非常に道州制について興味を持っています。だけれども、今度の法律になって、今の財政厳しいから道州制にもう移行していくんだろうなと思っている人はたくさんいますけれども、そういう意味においては、やはりこの法案の意義というものは周知徹底していかなくちゃいけないなと思っています。

 今、もうこの審議に入っておりますけれども、この中においてもいろいろと議論をする。そしてまた、これも新聞に載ろうかと思います。新聞に載ったらいろいろなところで議論されようかと思います。そして、もしもこの法律を通していただければ、これはまた全力で、北海道だけじゃなくて日本全国に周知徹底をしていかなくちゃいけない、そして御理解をいただいていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。

仲野委員 そもそもこの道州制というのは、将来的に全国をどのようなブロックやくくりに分けようと考えているのかということ以上に、私が先ほど冒頭申し上げたように、道州制の姿そのものの基本的な定義にかかわる議論や認識自体すらが未成熟な状態にある。

 道州制というものが、権限あるいは税財源も大幅に移譲された、より大きな地方自治体の形成なのか、さらには、連邦制をも見通した地方自治政府というべきものなのか、または、形を変えた新たな中央集権というべき単なる国の出先の統合なのか、こうした最も基本的な視点、イメージすらが全く未整理なまま、現在の法案の論議が進行しているように思うんです。

 このことについて、また、大臣の御見解をお聞かせください。

佐田国務大臣 道州制の場合は、広域行政なのでありますけれども、都道府県の単位ではない、基礎的自治体の単位ではないということでありまして、今度の道州制特区推進法につきましては、あくまでも、例えば三県が一緒になったとき、三県が一緒になってもこれは都道府県になるんですね。

 それで、その中で、ビジョンがないじゃないかという先生の御指摘でありますけれども、これから受け皿的につくって、今、例えば推進本部であるとか、その中の推進基本方針、基本計画、それの基本方針の変更等に移行することによって、北海道におけるいわゆる税財源の移譲、権限の移譲、そういうことによって北海道がどういうふうな形になるか。また、これから一年、二年で大体それが一周しますから、そうしたらまた百、二百の税財源の移譲であるとか権限の移譲が行われてくる、こういうふうに思います。

 そうなってくるとどうなってくるか。やはり必要なもの、北海道的な、要するに税財源の移譲または地方分権、こういうことが進んできたような形に収れんされていくと思うんです。

 それとまた、北海道だけではなくて、安倍総理も言っておりますけれども、三年たったら、そういう形の中でいろいろなところが手を挙げるかもしれませんけれども、要するに、道州制ビジョンをつくって、九州は九州でいろいろな要素を出して、もしも九州が手を挙げるならば、特定広域団体になって、これは新しい広域団体になっていくわけですから、それを踏まえてビジョンをつくり、そして将来に向けて、道州制を見据えてそれをつくっていく、こういうことでありまして、必ずしも、本当にアメリカみたいな、州みたいな形になるかどうかは、それはわかりません。

仲野委員 大臣、もっと基本的なことを言わせていただけば、政府は、国と基礎的自治体たる市町村との間の役割分担を不明確にしたまま、どうしてその中間に位置する都道府県の改編イコール道州制の検討を先行させようとしているのか理解できないんです。

 基本的なことですが、改めて大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

佐田国務大臣 結局、基礎的自治体につきまして、関係を不明確にしているということではなくて、今回の法律において、権限、税源、財源を移譲して、北海道で言わせていただくと、北海道的な地方分権を行っていくわけでありますけれども、それはあくまでも最初は道に行うわけですけれども、道で終わるわけじゃないんですね。道から今度は権限、税源、財源を市町村、基礎的自治体に移譲していく、こういうふうなことを進めなかったらばこれは意味がないわけですから、それはしっかりとそういう形で進めていきたい、こういうふうに思っています。

仲野委員 本法律案の中の第十九条において、権限移譲に伴う財源について、事業別の交付金で充てることにされております。これについて、政府は、補助金と比較して道の自由度を高めるものとしているようであります。今お答えもいただきました。

 この方式だと、事業分野をまたいで予算を融通することができず、十分な財源移譲とは到底言うことができない。なぜ事業をまたいで使うことのできる一括交付金に、そういった方式にしなかったのか。

 この法律案の附則の第三条において、施行された後の八年を経過した場合において、「交付金に関する制度その他の広域行政の推進に関する制度について検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるもの」としておりますけれども、この交付金制度に関しては、八年を待たずに、必要に応じて見直していくことが必要であると思われます。

 その見直し時期の施行後八年とした根拠も含めて、これは大事なことですから、お聞きしてまいりたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 交付金の対象が四事業ございます。これに関しましては、それぞれの事業の実施目的が異なりまして、また、事業の実施箇所が一定の区域に限定されておりまして、それぞれ他の事業とは明確に切り分けられているということ、さらに、事業を移譲する時期も異なっているということがございまして、全体をまとめた一括交付金ではなく、事業の種類ごとの個別交付金という形にしてございます。

 ただ、交付金でございますので、先ほど来御説明申し上げておりますが、いろいろな施設間の予算の融通でありますとか年間の事業量の変更等が可能になるわけでございまして、その面で、補助金に比べまして道の裁量が従来よりかなり高まるというふうに考えている次第でございます。

 そして、これに関しまして今後の見直しはどうかということでございますが、これも今後の、まさに北海道といいましょうか、特定広域団体からの提案といったものも踏まえながら、さらに追加して移譲する事務事業内容がどうなるか等、御指摘ありました平成二十七年度に行われます制度全体の評価、検討、この全体を踏まえながら今後さらに検討していく、こういうことになろうかというふうに考えている次第でございます。

 以上でございます。

仲野委員 本来でありますと、本当の地方分権というのは地域主権ということだと思うんです。それで、国の役割だとかあるいは都道府県の役割だとか各自治体の役割、それぞれあると思います。本当に地方分権で地域を活性化させていくとなれば、私はやはり、この役割分担の明確化、国の役割をもっともっと大きく、例えば外交、防衛、金融あるいは生活保護、大規模災害対策などのナショナルミニマムに限定して、さらにその上で地域でできることは地域でという、そういった分権型社会が本来の姿でないのかな、その上に立って道州制をどう進めていくのかなということが大事だと思っております。大臣、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 委員の言われるとおりでありまして、これは私もそのように感じております。

 どういう権限、財源、税源を移譲すべきか、これは基本的には、北海道についてお話しさせていただければ、北海道の道民が提案をしていくべきものだ、こういうふうに思っています。

 最終的には、小さな政府ということを考えれば、例えば今言われたような防衛、外交だとかメーンの社会保障であるとか、そういうものについてはやはり国がやらなくちゃいけないのかもしれないけれども、北海道においては、これはちゃんと移譲してもらわなくちゃ困るよ、これは国でやってもらいたいな、こういうことをやはり議論して、そしてこれが何年か進むうちに相当な地方分権が進んでくる、こういうふうに確信しております。

仲野委員 宮城県の浅野前知事が、三位一体改革が道半ばの時期に道州制導入を安易に言い出すことは、本当に危険性も認識すべきだ、そもそも政府の言い出す道州制案が、国と地方との関係で国に不利になるはずがないともおっしゃっておりました。

 今、格差社会と言われる中で、今や本当に地方の不安だとか不満が、国や政府に対する疑心というか疑念というか不信感に変わってきている。道州制ありきの形から入るのではなくして、くどいようでありますけれども、まず国と地方の役割分担を明確にした上で道州制を含む自治のあり方を議論することが、国民や地方からの信頼と納得を得る出発点でないのかな、近道でないのかなと私は思います。

 そのことについてまた聞きたいし、もう一つ、実際に今、九から十三のブロックに将来の道州制がイメージされるとしたら、区分けの仕方によっても多少違いはあるのでないのか。どのように区切っても、それぞれのブロックごとに都道府県民の所得の格差というのが本当に歴然としております。国と地方の税源を一対一にしたとしても、おのずから不均衡が生じてしまいます。道州制における税制度や財源の議論もどのようになっているのか、もう一度詳しくお聞きしたいし、さらに地域間格差については、大臣、どのようにお考えになっているのか、改めて御所見を求めたいと思います。

佐田国務大臣 道州制につきましては、都道府県が基本にはなっていないわけでありますけれども、将来に向けては、この法律を通していただければ、そのビジョンのもとにやっていかなくてはいけない。また、地方自治法に基づいて、都府県の三県以上が合併をして、申請をすれば国会で承認をされて特定広域団体になるわけでありますけれども、そのときにはやはり、委員、それは各県が伝統、文化、歴史、いろいろなことを加味して、この県とこの県とこの県、またはこの地域の全体と全体の県、そういうことを御判断されてやってくるのではないか、こういうふうに思っておりますから、それはあくまでも地方の県民の方々、地域の方々の意思で決定していくことであります。

 もう一点は、浅野知事さんの話ですけれども、浅野知事さんはお役人出身だから、中央に対する不信は多少あろうかと思いますけれども、決して今回の法律については、国が、発端がどうであったかというのは、繰り返しになりますけれども、今度また調べさせていただきますけれども、いずれにしろ、このスキームについては、国がああせいこうせいと言うのではなくて、やはり地方が、こういう分権、こういう行財政改革をしなさい、こういう権限をよこしなさい、こういう権限は要りません、こういうものは税財源で欲しいんだ、こういうふうなことを選択していただく。

 そういう中において、北海道は北海道の地方分権が行われ、これから将来、例えば特定広域団体がふえた場合、つまり、例えば九州の方だとか関西の方でふえた場合は、そちらの方も、独自にそちらの方の県民の方々に御意見を賜りながら、税財源の移譲、権限の移譲をして、そういうふうな形で特色のある将来に向けての道州制を確立していきたい、こういうふうに思っております。

仲野委員 今回、同僚議員からも本当に指摘されてきております。やはり今回の法案がつくられてきた議論経過を見ると、私も先ほどから何回も言っているんですが、住民や市町村が蚊帳の外に置かれて、内容も知らされず、当然理解も納得も得られていないまま、いわゆる構想なるものが内閣府と道庁との間でやりとりされて、その構想に対する北海道庁からの要請すら値切り倒された形で今回の法案になっていると言っても私は過言でないと思っております。

 北海道においては、住民の評価も市町村長の評価も極めて低い実態にある中で、地方分権の姿を根本から変えようとする道州制の論議にもかかわらず、変化の具体像が見えない形で進められて、本来の主役である住民や市町村との共同作業や議論を全く欠落させた形でこの法案が提案されていること自体が問題でないのかなと思います。いかがでしょうか。

佐田国務大臣 先生も選挙をやられているから、自分の名前を覚えさせるというのは非常に難しいんですよね。私も一度、昔、そういうふうにすごく誤解を招いたときに、それを弁解するのにいかに努力が要るかというのを痛感したことがあります。

 我々としては全力でこの道州制特区推進法を説明しているつもりなんですけれども、完全に広がって、ああ、わかったよ、いい法律だね、こういうふうな、先ほど逢坂先生の方からも御指摘があったように、なかなか周知徹底するというのは難しい部分があります。

 しかしながら、これからも、そういう意味におきましては、北海道の道民の皆さん方とあらゆるいろいろな場を設けて、御理解をいただき、そして御意見を賜っていきたい、こういうふうに思っています。

仲野委員 お聞きしますけれども、これは政府が出された法案でありますけれども、これまでどれくらい北海道民とひざを突き合わせて、この趣旨、説明をなされてきたんでしょうか。

林副大臣 回数のお尋ねがございました。

 我々が承知しておりますところによりますと、北海道におきましては、道庁などが、平成十六年から十七年、十八年度にわたりまして、この道州制特区に関する意見交換会というのをおやりになっているようでございまして、延べで四百回を超えるものであったというふうに聞いております。

 また、今御指摘のあった道議会、こちらにおきましても活発な議論が行われておられるようでございまして、それを踏まえて、十七年の十二月と十八年の四月、計二回でございますけれども、道州制特区の推進に関する法律の早期制定等を求める意見書が政府に対して提出された、こういうことでございます。

仲野委員 延べ四百回と回数を重ねてきたようですけれども、北海道は百八十市町村の自治体がございます。百八十市町村、細かく回られて御説明されたんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 詳細について私どもは完全に把握してございませんが、開催に当たっては、市町村別でありますとか、開催地も相当いろいろなところを選んでされているというふうに聞いている次第でございます。

 先ほどのケースで申し上げますと、延べ四百回にわたってさまざまな地域において、道内でございますけれども、意見交換会等が開催されている、こういうふうに聞いている次第でございます。

仲野委員 室長、市町村はいかがですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 その中で、主催者という面で市町村が主催したものは、平成十六年度で七十回、十七年度が三十一回、それから十八年度が九回というふうに聞いている次第でございます。

仲野委員 私の知り得る情報の中では、百八十市町村の、私の選挙区であります市町村においても、そういった説明がなされなかったということを聞いております。

 何を申し上げたいのかといいますと、今、本当に北海道が大変財政状況が厳しい中で、この道州制が決められたら一体どうなるんだろうかという不安と不満がある中で、しかも、本当に税の客体の少ない市町村が頑張って自治体運営をされている中で、そういった小さい市町村にこそ、やはり親切に道州制とはこうだよということをしっかり教えてあげることが、国の、あなた方のお仕事じゃないでしょうか。いかがでしょうか、大臣。

佐田国務大臣 本当に先生の言うとおりです。

 四百回やったという今副大臣からの答弁がありましたけれども、各市町村、そして、こういうことというのは、私も思うんだけれども、先ほどの話ですけれども、一回やったからいいというものじゃないですからね。何度も何度もくどいぐらいにやって、ああ、そうかという形だから、やはりそれは我々も、これだけ、四百回やったからいいじゃないかというんじゃなくて、しっかりとこれからも周知徹底を図っていきたい、かように思っています。

仲野委員 この道州制の今回の法案でありますけれども、主役はだれであるんでしょうかと考えたときに、大臣もやはり私と同じだと思います。何といったって、やはりそこに住む住民であると思います。そして、その中で、やはり地方の声を十分に踏まえて議論を進めていかなければならない課題であります。

 そして、現状の法案は、その形成過程から何かすれ違いを起こしている。あるいは、北海道内の市町村長からは、もうさっぱりわからない、何を国が進めてしようとしているのか、道州制というのは一体何だろうか、いまだにわからないと言っているんです。わからないということは、やはりこの自治体運営、一体どうなるんだろうかという不安がもう募っていくばかりなんです。そういったことのすれ違いを起こしている中で、私はそれは指摘せざるを得ない。

 今回、朝から答弁を聞いておりましても、北海道内の自治体や住民の理解を得ることが困難であることが、私自身、きょう十分わかりました。だけれども、今大臣が四百回回数を重ねればいいというものではないと、やはり納得のいく形でやっていかなきゃならないと大臣も改めて認識をされたようであります。

 私は、やはりこの法案を一たん撤回していただき、地方六団体や北海道内の市町村などを巻き込んだ真摯な議論を与野党一緒になって再度組み立てることを要望したいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 撤回と言われると困るんですけれども、やはりこの法律自体がきちっとした受け皿をつくっていくということですから、その受け皿の中で、例えば本部、基本方針を立てるところ、そして変更するところ、これも全部道民の皆さん方、市町村、そして議会が最終的に議決をしていくということでありますから、そういう中でぜひ御議論をいただいていきたい。

 要するに、受け皿ですから、この中身がいい、悪いということになってくるわけですからね。それをぜひ御理解いただき、この法案を通すことによって、これから北海道にとって一番いい、例えば地方分権、大まかに言うと地方分権ですけれども、税源、財源、そして権限の移譲、こういうことをどのようにしていくのがいいか。

 これは、はっきり言って、主役は道民なんですから、道民の人たちがじっくりと、しっかりと議論をして、それで最終的に議決をしていく、そして、それを最優先にして本部で閣議決定をしていく、そういう内容ですから、先生、これは受け皿ですから、ぜひその辺は御理解いただきたいと思います。

仲野委員 そうなんです。道民から、これはいいものである、逆に、本当に北海道から国に対して、新たな国の姿、自治体の姿を大胆に提案したいんです。だけれども、何かもやもやっとした、周知されないような法案を出されても、説明されてもわからないといった、先ほどのアンケートをとった結果でも、本当に賛成できないということに対して、私は、もう一度議論をしっかりと進めていただき、今回急いでこの法案を通さなくても、やはりもう一度十分議論を、この道州制を進めるに当たっては、北海道ばかりじゃなくて、日本全国の方たちが本当に納得のいく形で十分議論する時間を与えるべきでないのかなということを申し上げて、この質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

河本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時五十三分開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。森本哲生君。

森本委員 民主党の森本哲生でございます。

 それでは、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律案、道州制特区法案に関連して、それを広げる形で政府の道州制への取り組みについても幾つか質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 既にこれまで同僚議員が質問をいたしておりまして、重なる部分はなるべくくどくならないように質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、この法案の位置づけについてお聞きしたいと存じます。

 政府が本法案の説明資料としてつくられた概要によりますと、本法案は将来の道州制導入の検討に資するためのものであると明記されております。将来の道州制導入の検討に資するためということは、この法案は政府が考える道州制の先行モデルでなければならないはずであります。

 さて、この法案では、現行の都道府県制を前提として、北海道または三以上の都府県の合併が行われた場合を特定広域団体と規定していますが、その特定広域団体というのが道州だと理解をさせていただいてよろしいですか。

佐田国務大臣 将来の道州制導入に対する国民的な議論の深まりやその検討に資するために、北海道地方または自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方の区域をその区域に含む都道府県を特定広域団体と位置づけ、その区域において広域行政を推進するものでありまして、現行の都道府県制を前提としている。したがって、特定広域団体は道州制の道州とは異なるものであります。

 言いかえるならば、道州制は都道府県を基準にするのではなくて、要するに、道州制は都道府県を単位とするものではないということでございます。

森本委員 ありがとうございます。

 その点につきましては、また後で少し触れさせていただきたいと思います。

 それと、今回の法案では、自然、経済、社会、文化などにおいて密接な関係が相当程度認められる三都府県以上が合併し、政令で特定広域団体に指定されれば、地元議会の議決を前提に、それぞれの地域事情に応じて優先的に国に権限移譲を申し入れることができることとなったわけであります。

 そもそもどうして三なのか、二ではなぜいけないのか、よろしくお願いします。

林副大臣 この特定広域団体の要件でございますが、今委員が御指摘のように、三以上の都府県、こういうふうにしておるところでございまして、二つではどうしてだめなのかということでございます。

 北海道がまず先行例としてあるわけでございますけれども、これに準ずる地方、地域ということで考えますと、ほかの北海道以外のところに行きますと、まず、一つ二つの都府県の区域程度の広さということになりますと、北海道は日本全体の五分の一でございますので、そのような一定規模以上の広域というものがないということ、そしてまた、県を越えた広域的な行政を行う国の主なブロック機関、休憩前の質疑でもございましたけれども、これがほぼ大体最小単位が三県になっていること、こういうことを考慮いたしました。

 また、北海道が明治十九年に札幌、函館、根室三県が実は合併して成立した、こういうことも昔をひもとけば出てくるかな、こういうふうに考えておるところでございます。

森本委員 今のお答えですと、五分の一といいますと、大体、道州制の議論が十一からたしか十三とかそういう例示が出されておったと思うんですが、それとかなりかけ離れたものになるんではないかという気持ちがするんですが、いかがですか。

林副大臣 ちょっと言葉が走ったかもしれませんが、今、北海道は五分の一ぐらい大きなところでありますので、それと同等にならなければならないという意味ではないのでございます。それと、一定規模ということを考えますと、北海道、最初の例が五分の一の大きな区域でございますから、これに比べて余りにもこの区域が小さいということでは困る、こういう意味で申し上げたところでございます。

森本委員 それでは、例えば東京都は巨大な自治体でありますが、単独ではこの法案で言う特定広域団体にはなれないということでございましょうか。

 ちなみに、ことしの二月二十八日に出されました地方制度調査会の答申では、東京都の区域のみをもって一つの道州とすることも考えられるとしておるわけですが、その点についていかがでございますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今副大臣の方からお話し申し上げましたとおり、三以上の都府県の合併ということを条件にしておりますので、東京都は単独ではこの道州制特区法における特定広域団体の対象にはならないということになるわけでございます。

森本委員 それでは、この制度会の答申については、無視するという言い方はなんですけれども、そこではもうはっきりそうでないという区切りを打っておくということで、例えば東京のような、面積のことを先ほど副大臣も言われましたので、そのことについてはあえて議論をいたしませんが、経済的な大きさ、面積、そういう面で東京について、こうしたところを道州とすることは将来とも考えられないという解釈で、くどいですけれども、よろしいですね。

林副大臣 先ほど大臣が最初にお答えした問いにかかわることだ、こう思いますけれども、将来、今からこれをやってビジョンをつくって道州制ができるときの道とか州というのは、一応広域自治体であるという答申が既に出ておりますけれども、これと今の都道府県、道、北海道というのがあるので非常に紛らわしいのでございますが、それは違うものであるということでございます。

 将来、道州制全般の議論が出てきたときに、何がその道州制における道州になり得るのか、広域自治体になり得るのかというのは、その道州制の議論の中で出てくる議論でございますので、今回の法案で特定広域団体になれないということと将来の道州制にならないということは別のものである、こういう御理解をいただければと思います。

森本委員 この問題については、将来のビジョンと後から出てくる問題とが、少し私の質問の中にも、ふつり合いと申しますか不都合な質問も出てくると思うんですが、冒頭申し上げましたように、全体の中で議論をさせていただきますので、その点は御了承をいただきたいと存じます。

 逢坂議員も少し触れられたんじゃないかと思うんですが、まあ全体にも触れられておりますが、この自然、経済、社会、文化などにおいて密接な関係が相当程度認められるための要件とは、具体的に何を指すのでございますか、また、その手続についてはどうなっておるのか、お願いします。

佐田国務大臣 先生、今回の道州制特区推進法における特定広域団体、これにつきましては、先ほど来副大臣の方から御発言がありましたように、北海道以外の都府県では三つ以上ということでありまして、これは、例えば文化であるとか歴史、自然、そういうことで、私は群馬県出身なんですけれども、先生は三重県、関西の方ですけれども、先生もそうだと思いますけれども、昔からやはり非常に近い県というのがあるんですね。

 うちもそうなんですけれども、うちは新潟県から来るという、みんな新潟県の出身、昔、二代三代前は新潟県だったという人も結構いるんです。また、栃木県の方も結構あるんですね。ところが、同じ県で接していても、福島県は尾瀬が途中にあって、国道もない、こういうこともあるわけでありまして、その中でお互いに理解をして、財政上の問題やら交通の問題等を踏まえるとやはりこの三県が一緒になるべきだなというふうなことを県民の合意に基づいてやっていただき、その後に地方自治法にのっとりまして申請をしていただき、国会で了承が得られればこれは合併ができるわけですから、その中で政令によって特定広域団体に指定をしていただいて、そしてこの法案に適合していただく、こういう手続になろうかと思います。

森本委員 そのお話はよくわかるんです。例えば三重にいたしましても、伊賀の方は大阪圏、あと名古屋圏の東海圏というところがありますから、この問題については県だけでもなかなか、大阪なら大阪、愛知県なら愛知県と組めるかどうかというような問題は、今後も非常に難しい問題だというふうに思っておるんですが、そのことにつきましてはさておきまして、次に移らせていただきます。

 国から道へ移管される事業は、これまで北海道だけが国の仕事にしてきた主要道や二級河川の維持管理など、わずか八項目でございます。また、国の出先機関なども残ることから、道州制にふさわしい事業とはほど遠いのではないかという気がいたしております。ある知事の方では、この程度の中身なら道州制の名前をつけないでほしいとか、高橋北海道知事さえ、小粒で不満という不満を漏らされたというふうに、これは確かな情報では、申したということは申し上げませんが、そういう情報も聞いておりますので、そうしたこと。

 また、財源となる交付金が、道路や河川などの事業分野ごとに道の裁量で使い方、着工順や工法を決められる事項別交付金を導入しておられる。裁量の余地が高まったことについては、評価をさせていただきます。しかし、事業分野をまたいで予算を融通できないなど、まだまだ自由度の点で問題が非常にあるというふうに思います。

 都府県が合併に向けて動くかどうかは国から道州への権限移譲の中身次第だというふうに私は思っておりますので、その点で、今回の法案での権限移譲の中身は少し貧弱ではないかということを私自身は思うんですが、その点についてどうお考えでございますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回移譲される事務事業でございますが、これは、現時点におきまして特定広域団体となられる北海道の提案をベースに盛り込んだものでございますが、本法案では、今後、特定広域団体からの新たな提案を受けまして移譲する事務事業を追加する仕組みになってございます。

 そういった形におきまして、特定広域団体への事務事業の移譲がさらに進んでいく、そういう中で、そのメリットといいましょうか、それを関係者もしくは国民が実感し、そういった面でのインセンティブとなっていくということを期待している、こういう状況でございます。

森本委員 その事業が移管された中に、私は、こういう面には非常に評価できると思うんです、直轄通常砂防事業と民有林の直轄治山事業、これらは、ある意味で縦割り行政でやるよりも一緒にやった方がいい。

 しかも、これは一つ要望として申し上げたいんですが、例えば、治山事業そして砂防事業、この中にコンクリートの擁壁等で実際やる事業と、間伐促進、山林の施業に使っていく事業。これは通告がありませんので申しわけないんですが、これらは恐らく今まで国の中では縦割りでほとんどやられておる。むしろ、コンクリートの一億円の事業よりも、その一億円を森林に入れての方が有効に活用できるというような判断は、これまでなかなか、縦割り行政の中で国自体も県自体もできないんですね。ある面では、そういったところをしっかりと追っ払えるのか、そこまでの自由枠は与えられるのかどうか。

 これは中身の非常に細かい質問なんですが、答えていただかなくても結構ですけれども、私自身は、そういう裁量を持たせないと、やはり縦割りの中でこういう事業が北海道へ移っても従来型になるんじゃないかという気がしておるんですけれども、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

佐田国務大臣 先生がそういうことに大変詳しいことは存じ上げていますけれども、確かに言われるとおりでありまして、予算のいわゆる使い勝手がいいということでありますけれども、今回のこの法案におきまして、交付金にする、そしてまた、今のところは二級河川であるとか、今先生の言われた治山そして林野、こういう事業になっておるわけでありますけれども、この中で、今回の場合ははっきり言って一括じゃありませんから、例えば治山事業のときには砂防堰堤であるとか、それをつなげて、こっちは災害があった、そのときにすぐそれが去年の予算でまたやれるとか、そういうことができるんですね。それをまた林野事業にやるということになると、今度は、またこれはちょっと、交付金ではありますけれども、種類が違うと、これは難しいということがあるんです。

 だけれども、本当に先生が言われるような形になるならば、全部にすると、公共事業以外まで使われるとまた困りますから、その辺の融通の仕方というのは、この法律の中で、交付金がどんどんふえてくると思うんです。今のところ、二級河川だとか、そういうふうにやっていますが、もっとふえてくると思います。その中で、平成二十七年に、先生の言われるようなことも含めて見直しをして、もっと使い勝手がいい、そして、もっとこういうふうにしてほしいという道なり特定広域団体からの要請があるならばそういうふうにしていかなくちゃいけない、こう思っています。

森本委員 これは直接ほかの委員会でも議論をさせていただかないといけない部分でございますが、やはり力関係によって、コンクリートを使ってみえるところが力があればそちらの方へ予算の配分が多くなるとか、山の方の関係は、同じ治山事業でも砂防事業でも、力が足らないところには予算が配分されないとか、そういう政治的な面もあるんですが、やはりそういったところもぜひ議論をしていただいて分権型の道州制の議論にしていただきたい、そのことは要望として申し上げておきます。

 そしてもう一つ、私の思いですが、今までの議論を聞かせていただいておりますと、そもそも道州制についてはさまざまな課題もあります、中長期的に検討しなければならない問題もあるはずでありまして、単に北海道に他府県並みの権限を付与する法案にすぎないのではないかという気がいたします。それならば、法案の名称を、道州制特別区域法案ではなく、北海道特別区域法案とした方がよかったのではないかというような気がするんですけれども、ちょっとうがった見方かもわかりませんが、その点について御意見をお伺いしたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 今回移譲される事務事業の内容でございますが、先ほど来申し上げましたように、北海道の提案を一つのベースにしまして、他の府県では国の権限とされています事務事業について移譲するというものを含んでいるものでございます。

 加えて、今御指摘ございましたが、北海道が当面の対象でございますが、それ以外の、三府県合併したものについても政令において定め得るという形でございまして、そういったこと全体を踏まえまして、今回は道州制特区の推進法案という形で整理させていただいたというところでございます。

森本委員 道州ということに非常にこだわられたなというようなことを、これは、総理が本会議等でこの検討を、しかも佐田大臣が特命というようなことで、この文言を取ってしまうといかぬのかな、そんな思いもするのでございます。

 もう少し、きょうの議論、ドラスチックとかジェットエンジンとかいう話も飛び出しておったのでございますけれども、どう考えてもスタートの時点にはまだ、本当にプロペラ機ぐらいのことしかならぬのじゃないかという気が、非常に意地悪い質問で申しわけないんですが、初歩の段階が非常に、私自身は、各県の皆さんがそれほど飛びつく道州制議論になるのかどうかということを少し心配しております。

 三重県の例をちょっと。議会で実は質問が出ておるんですね。九月の二十七日の定例会で三谷議員が、新総理となる安倍氏の地方政策では、三年で道州制に道筋をつけるとされておる。住む人の幸せにつながるよう、道州制について地方から明確なメッセージを出すべきというふうに質問しておるんです。

 それに対して知事が、一部割愛しますが、安倍新政権において道州制の道筋をつけるのであれば、まずは国みずからが責任を持って、この議論はきょうもあったと思うんですが、その方向を明確にしていただきたいと考えます。一方、道州制によって地域がどう変わるのか、住民の暮らしの向上につながるのかなど、地域住民の視点から考えていく必要があります。加えて、道州制について、いわゆる三位一体の改革と同様に、国の財政再建の手段として利用されるのではないかとの危惧もあります。道州制については、決して国任せにするのではなく、県民、地域の視点を十分に反映させるため、全国知事会などを通じて、地方の意見として国に対して発言をしていく必要があります。以下もありますが、このように知事は述べております。

 その知事のこうした危惧の念に対して、大臣はどのようにお考えでございますか。

佐田国務大臣 先生、先ほど北海道の話が出てまいりまして、四百カ所でいろいろ周知徹底を図ったんですけれども、なかなかまだ足りない部分がある。私も当初はどのぐらいの周知徹底が行われているのかと思いましたけれども、本当に、この内閣に入って、先生がいらっしゃる関西の方からも、財界、地方自治体、それで、特に九州はもう随分前から、経済界を中心としてこの道州制に大変興味を持って、議論しております。

 今度の法案は道州制特区推進法でありますけれども、この法律においてぜひ御理解いただきたいのは、先ほども申し上げたとおり、この法律によって意見を出していただくのは、例えば今回は北海道の方にいろいろな意見をやって、最終的には特定広域団体、今度は北海道ですけれども、特定広域団体の議会の議決をいただいて、税源、財源、そして権限もどんどん移譲をしていくんですね。相当な数の移譲になってくるんです。

 そういう中において、各県がそれを意識しながら、自分たちが今考えている道州制も含めて、では我々のところはどういう形にしていこうかというビジョンが出てきますし、私どもの方も、この法案を通していただければ、道州制に向けてのビジョンづくりをしっかりとやって、そしてまた、かつ、北海道だけではなくて、全国に対して周知徹底を図っていきたい、こういうふうに思っております。

森本委員 非常に大臣は前向きに、積極的に発言をいただいております。ただ、これまでの市町村合併の問題とか今回の三位一体改革、これについては、かなり地方は、進んで合併はしたというものの、いろいろな面で国に対しての不信感というのが結構あるということは、私自身も肌に感じておるんです。

 そんな中で、「地方分権の推進及び行政の効率化に資するとともに、北海道地方その他の各地方の自立的発展に寄与することを目的とする。」というふうに掲げられておるんですけれども、その意味では、八項目の広域的施策で一体どのような行政効率を図っていくのか。これは、きょうの答弁でも三年間で、一年ずつやられるというような回答もいただいておりましたが、このことについて、もう一度決意をお伺いしたい。

 ただ、現行の都道府県のままでも十分対応できるのではないか、そういう思いもありますので、くどい質問になるかもわかりませんが、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

佐田国務大臣 本当に先生はもう地方自治のプロですから、おわかりであろうかと思いますけれども、今のところ、この法律における北海道の税財源の移譲、そしてまた権限の移譲は八項目ということになっておりますけれども、これをこのまま、北海道と話をして、本部で基本方針を決めさせていただいた、その基本方針です。ですから、それを今度北海道で、この法案を通していただいたら実施するわけですけれども、これを実施したらこれはよかった、先ほど先生言われた、この予算は余り使い勝手がよくなかったね、こういうふうにすべきだね、そういう提案を北海道の方にどんどん出していただき、毎年毎年そういうふうな地方分権を行っていく。

 つまり、税財源の移譲、権限の移譲を毎年どんどんふやして、私どもとしては、もう何百とこれを提案していただいて、そして北海道は北海道なりの地方分権の形、特定広域団体の形をつくっていきたい、こういうふうに思っておりまして、それを一つのビジョンとして、並行して、九州だとか関西だとか東北だとか、そういうところは、では、うちはこういう地方分権をしたいんだ、こういう権限が欲しいんだ、こういう財源が欲しいんだ、こういうことをどんどんどんどん、やはり特定の人だけじゃなくて、本当に県民なり地域の方々にいろいろな意見を聞きながら、それをふやして、そして合併ができるなら合併をしていく、こういうふうなことでありますので、ぜひその辺は御理解いただきたいと思います。

森本委員 今、基本方針についても少しお話をしていただきましたので、このことについても入っていきたいというふうに思います。

 それで、今回、八項目以外にも道州制にふさわしい新たな措置が定められることに、もうすぐになるのか、とりあえずこれでいくのかという話。もしそうだとすればその具体的な内容。これは一年ごとということを言われているので、一年でいいんでしょうか。それもあるし、もうそれでいいということでしたら結構でございます。

 それから、その基本方針が、安倍総理の言われる道州制ビジョンと同じものなのか、それとも違うものなのか、その関係についてお教えいただきたい。

佐田国務大臣 とりあえずこの八項目で基本方針として北海道にお渡しし、これももちろん北海道と話をしていたわけでありますけれども、この後に北海道の方で道州制特区の計画を立てさせて、これは簡単に言うと実施計画ですね、それを実施した段階において、これはいい、これは悪い、こういうことが、知見が出てくるわけです。

 それについて、では、もっとこっちはこれをやるべきだ、あれはやるべきだと。そういう中において、それを優先して、要するに、また本部に戻して、来たものを優先的に閣議決定していく。だから、来年になったらまたふえるわけですね。相当にふえていくわけです。

 そういう中において、どういうものがやはり一番実質的に地方分権に向いているかということを、我々としてもビジョンを、要するに道州制ビジョンを一応つくるような会を構築していき、そしてその中で道州制に向けて検討していく。

 安倍総理の言っているビジョンは、だから、三年もやったらかなりのこういう考え方ができてくるんじゃないか、しっかりとした地方分権の考え方ができてくるんじゃないか、そういう考えのもとにビジョンをつくるというふうに言われているんだと思います。

森本委員 三年で大きなビジョンがつくられる。むしろビジョンがつくられてから道州制に入った方が本当はすっきりするとは思うんですが、これはとりあえず北海道を中心に走る、そういう理解で、これからビジョンとともに、北海道、この道州制、まあ道州というのか、これ、道州制ですけれども、今の広域自治体という考え方なんですけれども、そういう方向は、鶏が先か卵が先かという議論になりますが、そういうお考えで、きょうもかなりその議論はあったと思うんですけれども、それでよろしいんですか。ビジョンと同時に並行させていくというふうな考え方になるんですね。

佐田国務大臣 先生の言われるとおりでありまして、これは道州制、要するに今回は北海道が特定広域団体として政令で定められると思います。したがって、これを進めていくわけでありますけれども、その中で、他の特定広域団体がある、簡単に言えば三県以上が集まって、うちもこれはもうやりますよ、こういうことになれば、またこれは別であります。

 したがって、そういうふうな方向でやるわけですけれども、先生、一つ御理解いただきたいのは、将来に向けての道州制を我々はきちっと視野に入れてやっていますけれども、道州制の場合は、今、現時点では、要するに都道府県を単位としていないんですね。しかし、この道州制特区推進法については、基本的には三県以上であるとか都道府県を要するに基準にして考えておりますから、それが、三年、四年たってきたときにもうどんどん手が挙がってきて、先ほど言った、例えば自然、歴史、環境、いろいろなものを加味して、そういう形で広域地域ができてきた場合には、これは道州制を意識して道州制の方に移行していく、こういうことになっていこうかと思います。

森本委員 そうなりますと、先ほども前段で触れたんですけれども、地方制度調査会、ここがことしの二月に道州制のあり方に関する答申を総理大臣あてに提出しています。しかし、この法案は、答申の関係とどう、今も議論がありましたけれども、非常にこの答申は重いというふうに私は思っておるんです。ですから、その割には今回の法案の中身が少し薄いのは時間が足らなかったのかということをお伺いしたいんですが、そもそも政府は道州制をどのように認識しておられるのかということは、今のお話をお聞きして私なりには理解ができるわけでございますが、都道府県と先ほども言われた道州の違いは、今の言われたことでよろしいんですね。

 そうすると、きょうも前段でも質問があったと思うんですが、連邦制と道州制との違いという、その辺の基本的認識も簡単に少し触れていただけませんですか、余分なところは結構でございますので。たしか、うちの仲野議員のときにもいろいろ議論していただいていますよね。

林副大臣 連邦制と道州制の違いについては、仲野先生、それからその前にも御議論をいただいたというふうに思っておりますが、連邦制は、憲法において、今我々が議論している地方分権は行政権でございますが、立法権やさらには司法権までもが国と州みたいなところで分割されている国家形態というふうに考えておりまして、これについて導入したらいいじゃないかと、たしか市村先生も先ほどそういう御議論をいただいたと思います。

 そういう御議論があるということは御承知申し上げた上で、この二十八次の前の二十七次の、今御指摘のあった地方制度調査会では、「我が国の成り立ちや国民意識の現状から見ると、連邦制を制度改革の選択肢とすることは適当ではない」というふうにされておるところでございまして、二十八次もこの二十七次の答申を踏襲しておる、こういうことでございます。

森本委員 憲法の話が出たんですが、そうしますと、現在の憲法、地方公共団体について、広域的団体と基礎自治体の二層制を前提としているとの理解が一般的だと思います。

 そうだとするならば、道州は都道府県にかわる新たな広域団体とはなり得ないということで、同じでいいということですね、都道府県と同じ。ですから三層制にはならないという解釈でいいのか。それと、その法案が現行の都道府県制を前提とするのは、そうであるならば、二層制でするということは問題が出てきますから、その点について少しお触れいただけますか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 道州が憲法上の地方公共団体なのかということでございますけれども、それはどのような道州制を想定するかということにかかわってくるわけでございますけれども、第二十八次の地方制度調査会の道州制のあり方に関する答申におきましては、広域自治体として、現在の都道府県にかえて道州制を置く、こういうふうに位置づけているわけでございます。

 憲法上の地方公共団体が何なのか、また、憲法が現在の都道府県と市町村による二層制を保障しているのかどうかということにつきましては、学説も一致していないという現状かと思っております。

 ただ、地方制度調査会におきましては、この点につきましても相当御議論があったわけでございますが、都道府県を廃止して道州を置くということも憲法に反するものではないというこれまでの政府の見解を踏まえつつ、現在の都道府県にかえて道州を置くことは可能である、こういう基本的な考え方のもとに調査審議がなされたというふうに理解いたしております。

森本委員 そうしますと、市町村合併については明確な法的な措置があったということですね。

 ちょっとこれはまた今の通告には多分ないと思うんです。ですから、都道府県が三つ合併する場合に、手続、措置は、これは明確な決めというんですか規則、法律というのか、そのあたりを教えていただけませんか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法におきまして、都道府県の自主的な合併手続というものは、改正によりまして規定されております。

森本委員 ありがとうございました。自主的な、手続上は問題が簡単にいくということ、ありがとうございます。

 もう一つ、最高裁が、昭和三十八年三月二十七日、大法廷での判決が挙げる二つの要件によりますと、地方公共団体とは、住民の共同体意識等の社会的基盤を備えた団体、二つ目が、沿革的、現実的に相当程度の地方自治の基本的権能を付与された団体となっております。

 それを踏まえれば、そもそも道州は地方公共団体というような考えができるのかどうなのか、広くなった道州がそれをカバーしていくのかということでお伺いしたいんですが。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま引用されました最高裁判所の判決でございますが、これは、特別区の区長選挙にかかわりまして争われた事件に関する判決というふうに承知いたしております。

 この最高裁の判決は、当時、東京都の特別区の区長が公選ではなかったものでございますから、公選であることがどうかということが争われまして、今おっしゃられました要件に東京都の特別区というものが当たるのか当たらないのかという判断をして、その際には、当たらないという判断が判示されたという内容かと思います。

 この点につきましても、地方制度調査会でもこの判決を含めて議論があったわけでございますが、この判決は、都道府県がこれに入るのか入らないのか、この要件に当たる、当たらないといった問題、広域自治体の問題に直接触れるものではないんだろうという理解がほぼ共通の認識だったというふうに考えております。

森本委員 そうすると、道州は地方公共団体と言える、言えない。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 憲法上の地方公共団体に道州が当たるか否かという問題は、まさに道州をどういう形でつくるかということにかかわってくる問題でございますけれども、逆に申しますと、憲法上の地方公共団体であるということになりますと、その法律上の効果というのは、まず、長と議会が直接の公選でなきゃならない、あるいは組織、運営については法律で定めなければならないという憲法の規定が適用される、こういうことになってくるわけでございまして、この点については、今の都道府県につきましても、先ほど申し上げましたように、学説は分かれているというところがございます。

 ただ、この二点が大きな要素だということにかんがみますと、二十八次地方制度調査会で示されましたこの道州制の内容というものは、今の憲法の規定に適合する内容の答申になっているものというふうに考えております。

森本委員 そうすると、今回の北海道は一つにまとまっておりますから、今言う一の、住民の共同体意識等社会的基盤を備えた団体ということに当てはまるということでよろしいんですね。

 それと、例えばこの一の事項で非常に私が危惧いたしますのは、北海道の合併というのは、例えば、三重県が六十九が二十九です、かなり大きくなっています。北海道の場合、二百十二が百八十。そうしますと、かなりばらばら感というんですか、そこで一気に道州がこの一の事項に当てはまっていくのかなという心配をするんですけれども、ここは議論が、この法律を盾にとって、これをいいか悪いかということははっきりまだ出ていないということですから、答えられないということですか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、道州が憲法上の地方公共団体であるかということについては議論があるところということが現状かと思っております。

森本委員 次にちょっと質問を移らせていただきますが、道州制の導入については、単なる都道府県の見直しにとどまらず、国と地方の双方の政府のあり方を再構築するものだとすれば、この法案の審議において、もう少し広範な検討課題を十分に審議する必要があるというふうに考えます。

 地方制度調査会にこだわりますが、自民党の道州制の調査会などからもさまざまな論点が示されておるというふうに聞いておるんですが、政府としては、どのような論点がこれまで提示されたのか、どのように認識されておるのか、その点についてお聞かせください。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 第二十八次の地方制度調査会の答申におきましては、道州制の導入についての検討課題というのが最後の章でございます。そこにおきましては、国の政治行政制度のあり方、国と地方の行政組織のあり方、国と地方を通じた行政改革の推進との関連、こういったものが一つのジャンルとして出ております。あわせまして、これまで長きにわたって存続してまいりました都道府県というものを廃止することについて、国民生活にどういう影響が出るか、こういうことも課題であるという指摘がされたところでございます。

 また、自由民主党の道州制調査会の中間報告でございますが、これを拝見いたしますと、道州制について、国民の意向を最大限尊重し、国会との関係、内閣との関係、国会議員の選挙制度との関係などを総合的に検討する必要がある、こういう指摘がされているところでございます。

森本委員 そうしますと、資料がこちらには今ちょっとすぐに見当たらないんですけれども、北海道のアンケートでは、非常に認識が低い、それを何度も説明するんだけれども、これはどんどんどんどんという大臣のお答えをいただきましたが、そういう点については、自民党の調査会からも指摘されておりながら、あえてそこを踏み込んでいかなければならなかった。

 データ的に、アンケートでは、非常に道州制に対する意識が低いということが出ておるんですが、その点については、くどいようですが、もう一度お答えいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案でございますが、先ほど来から申し上げていることでございますが、北海道知事の提案を踏まえてございますし、また、北海道議会からの意見書の内容も反映しているものでございます。加えまして、先ほど申し上げましたが、四百回にわたる、これは道でございますけれども、道内におけるいろいろな意見交換会も行っているということでございまして、今後、さらにこの法案の周知徹底にも、これは道とも一緒になりまして、国としても努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

森本委員 それでは、少し道州制の特別区域の推進本部についてお伺いをしたいと思います。

 これは、きょうも議論されておりましたが、大臣以下すべての国務大臣をもって構成されるということになっておるわけでございますが、地方分権の推進のためには、推進本部の意思決定過程に特定広域団体の知事やあるいは全国知事会の代表者などの参画が必要であると思われます。そのあたりのことは本法案には規定されてはおりませんが、必要によっては入れるというようなお話もありましたが、政府としてどのような参画の仕組みを考えていただいておるのか、お伺いをします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 特定広域団体の提案の趣旨が本部の検討に適切に反映されますように、特定広域団体であります北海道知事が参与という形でこの本部における議論に参加して意見が述べられるようなことをしたいと考えている次第でございます。

 また、それ以外に全国知事会の方からこの参画に関しての要望がございますので、それについても前向きに検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。

森本委員 それともう一つ、くどいようでございますが、とにかく北海道は合併が進んでおらない。その中で、道州制のこの今回の法案については住民との距離が広がってしまわないかという気持ちが、三重県の人間が北海道を心配するなということを言われるかもわかりませんですけれども、この合併の状況を見ておって、もう少し落ちついた、市町村合併というのは今、北海道の場合はたまたま案外少ないですが、非常に地域がまだ落ちついておらない中、分権ビジョンはあと三年かけてやられますから、それは順次乗っていくんだという議論もあるとも思うんですよ。

 そういったことについては住民の皆さんが非常に心配されておりますし、今決して、私ども合併をしましたけれども、周辺の住民にとってはいろいろな意味でいいことがないんですね。しかし、合併した以上、後ろ向きの議論をするばかりでなしに何とか前へ進もう、そういう積極的な方のリードのもとで今町づくりがされようとしておるんですが、このあたりは、非常に小さくまとまったところへ道州制の議論は、私は、北海道の皆さんにとっては非常に不安が多い議論になるんじゃないかという気がしておりますが、くどいようですが、そのことにつきましてお伺いします。

佐田国務大臣 先ほど来から、周知徹底のために四百回に上る意見集約を行ったり、また道議会やら知事さんやらという話がありました。

 今先生が言われるように、確かに、市町村合併が進んでいない、そういうことを考えたときにこの辺の意見の集約がきちっとできるのかどうか、こういうこともあろうかと思います。ただ、御理解いただきたいのは、この法律の一番のメーンは、最初から私も申し上げているとおり、特定広域団体に住んでいる方々の意見をきちっと聞いていくということがこれから重要なんですね。そしてまた、なおかつ、この法律を通していただいた後でもいろいろな税財源、権限の移譲についても相談をするわけですから、その辺のシステムもしっかりつくっていかなくちゃいけないと思っています。

 この質問の前の先生の質問、道州制特区本部がちゃんと北海道のことを理解しているのか、それで、今答弁で、北海道の知事を参与にしました、じゃ、果たしてそれだけで北海道の意見が集約できるかという不安も当然あります。であるからこそ、常にやはりその辺のことについては御助言も賜りながら、本当の意味で、今回は北海道でありますけれども、本部で基本方針を立てるときも、やはり北海道の方々の意見を聞きながら、そして、知事さんが参与であるならば参与としてしっかり責任を持ってその辺で閣議決定をしてもらう、それをまた北海道の方々にいろいろ練っていただく、収れんしていただく、こういう場をつくっていくということもこれからの課題であろう、こういうふうに思っています。

森本委員 ありがとうございました。

 道州制の道民の合意についてはもう何回も枝野議員が憲法九十五条に触れられましたので、この質問についてはもう触れないでおきますので、次に進ませていただきます。

 道州制のあり方について政府が議論していく際に、道州単位をどうするかによって、道州間で経済規模や人口規模によって相当大きな財政の格差が発生すると思われます。例えば、東京は一人当たりの税収額が百五万で、最低は沖縄の三十六万。北海道はちょうど中をとって五十万なんですけれども、そういう現状があります。そうなった場合、これはよく言われておるのですけれども、何らかの形で財政調整の仕組みが必要になってくると思われますが、その点について、そして、地方制度調査会の答申でも適切な財政調整を検討するとありますが、その後の検討状況がどうなっているのか、お伺いをさせていただきます。

門山政府参考人 お答えいたします。

 地方制度調査会の二月に出されました答申では、税財政制度の具体像につきまして、道州の区域あるいは国から移譲される事務、道州と市町村の事務配分、こういった問題に関します検討の進展に合わせて検討すべきであるという指摘がございまして、それを前提に道州制を導入する場合の税財政面の基本的な改革方針というものを示しております。

 具体的には、一つには、国からの事務移譲に伴う適切な税源移譲を実施するということ、二つ目には、偏在度の低い税目を中心とした地方税の充実、そして三つ目に、今御指摘がございました、税源と財政需要に応じた適切な財政調整制度の検討、この三つを基本的な改革の方針として示しているところでございます。

 したがいまして、答申にございます適切な財政調整制度というものにつきましても、今後、道州制の制度設計に関する検討が深められるのに合わせまして、より具体的に検討すべきものというふうに考えております。

森本委員 ありがとうございました。

 それでは次に、これも非常に心配をされることなんでございますが、政治的な面で大きな権限が道州に行くと、公選された首長は相当大きな権限を持たれる、それに伴う問題というものはどのようにお考えをしていただいておるのか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 第二十八次地方制度調査会の答申でございますが、答申におきましては、道州制を導入する場合には、まず都道府県から市町村へ、それから国から道州への大幅な権限移譲を行うことが重要だとしているわけでございます。そうしました上で、広域的な自治体であります道州が、選挙によって選ばれた長ですとか議会というものを持ち、民主的なプロセスを通じた住民のコンセンサス形成の仕組みを備えることによって、地域において政策の形成過程に住民の参画が広がる、あるいは深まるということとともに、行政に対します住民の評価や監視が実効のあるものになって、自己決定、自己責任を基本とした地域社会が実現されるものが期待される、こういうふうにしているところでございます。

 その上で、答申では、道州制の基本的な制度設計として、道州が広域の圏域において果たす役割が大きいということにかんがみまして、道州の長については多選禁止というものをあらかじめビルトインする、そしてまた、特に必要な場合には各大臣が道州に対して監査を求めることができる仕組みを導入する、こういったことによりまして適正な事務事業の実施の確保を図る、こういう考え方も示されているところでございます。

森本委員 時間もあとわずかになってきましたので、それでは、例えば、今回の公務員の配置なんですが、一般行政職の国家公務の三十三万人のうち、二十二万人が地方出先機関に配置をされておるようでございます。道州制や地方分権によってこの二十二万人がどのような扱いになっていくのか、また、中央政府が現在有している機能の多くを道州に移譲すれば不要となる省庁が出てくると思いますが、その職員の皆さんの取り扱いについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

林副大臣 三十三万人の国家公務員のうち、いわゆる地方支分部局、約二十二万人という御指摘でございました。

 これは、まさに佐田大臣は私のところで国、地方の行革も同時に担当させていただいておりますから、道州制を導入する場合に、今おっしゃったように、国と地方を通じた組織や職員、行政経費の削減というものも効率的な行政を追求していく上で図られているものと考えておるところでございますが、委員は地方の御専門で、御経験があるわけでございまして、どういう具体的な事務配分の見直しに応じてやっていくかということや、また、今御指摘がありましたように、国と地方の行政組織のあり方そのもの、また、国、地方を通じた行政改革の推進ということをよく見ながら、幅広く検討していくというふうに考えております。

森本委員 ありがとうございました。

 もうこれで、あと一問で終わらせていただきます。

 大臣、やはりいろいろなことを言われましても、非常に、言葉と書いたものでは、しっかり国の方はこれまでやられてこられた。

 ただ、合併のことも、くどいようですが、先ほど申し上げましたように、例えば合併特例債というようなことで合併がありましたね。これが呼び水になった。本当にお金の切れ目が縁の切れ目のような格好で、つった、これはちょっと訂正しますが、お金でやはり強引に首を絞めたというところもあると思うんですよ。この特例債はほんまか、うそやったというような話ですよ。

 地域総合整備事業債なんて、どんどん借金を地方はさせていただいて、そのおかげで地方は非常にぜいたくをしておるというお話、こういう議論は全くおかしな議論。ですから、今回の三位一体でも、知事はだまされたという知事が多い。

 ですから、こういう国の方針の中で、大臣は非常に、きょうはテレビでも拝見させていただいておりまして、前向きに元気よく答弁していただいておる。それをどうぞ実行にきっちり移していただいて、一年ごとでしっかり権限を移譲していくような、そのことを特にお願いして終わりますが、最後に気合いを入れて答弁をよろしくお願いします。

佐田国務大臣 先生の言われるとおりでありまして、いいことばかり言って、つって、合併を促進してきた、そういうことが、一概には言えないですけれども、結果論として、何かいいことなかったなというふうな町村も聞くことはあります。

 先生、先ほど答えさせていただきましたけれども、今回の場合は、まず大事なことは、地方が中心となって、何の税源、財源、そして権限を移譲するのか、どうしたら行財政改革ができるのか、それを地方にしっかりと考えてもらって、その機構をそういうふうにつくっていく、こういうことが最も私は大事なことであって、ただ、ちょっと言いづらいんですけれども、先ほども申し上げましたとおり、税源、財源、権限を移譲するということは、それなりの責任も担うということがあるわけでありまして、そういうことも踏まえてしっかりと地方で議論をしていただき、そして国としてもしっかりと助言をして、後になってこんなはずじゃなかったなんということのないように、しっかりと議論を進めていきたい、かように思っています。

森本委員 どうもありがとうございました。終わります。

河本委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木隆博でございます。

 大分この論議を、先般からいたしますと九人目ぐらいになっておりますので、かなり重複をする部分が出てくることはお許しをいただきたいというふうに思います。

 私自身も、私どもも、道州制そのものは推進すべきだというふうに思っております。そこははっきり申し上げておきたいと思います。

 しかし、先ほど来の論議もずっとそうなんですけれども、時々、論議が道州制の方に行ってみたり、道州制特区の方に行ってみたり、ずっと聞いていると、いつの間にか特区の話だったのが道州制の話になってみたりということで、論議が行ったり来たりするんですね。目指しているんですから、それはそれでいいんですけれども、ある意味ではっきりと違うものなんですよね、法律も違うわけですから。そこのところをやはりもう一度しっかりと大臣と論議をさせていただきたいということであります。

 けさ大臣もおっしゃっておられましたけれども、私どもの北海道佐呂間町で、竜巻と断定されたのでしょうか、竜巻と言われるものの被害で多くの方が亡くなられた、あるいは災害を受けられたということで、お悔やみ、お見舞い申し上げなければいけないと思いますが、そういう災害の復旧復興というものも、地方分権というのがもっと進んでいて、道州制というものがもっと進んでいれば、本当は、一々国まで持ってきて認定を受けて、そしてそれからもう一回事業を組んでもらってと、大体災害の場合は幾つかセオリーはありますけれども、そういうことがない、素早い対応ができるというのが、本来、分権とか道州制が目指すものだと私は思うんですね。

 そこでまず、ここはちょっと重複するんですが、地方制度調査会の道州制の答申というのが出ておりますけれども、新しい国の形を確立することを目指す、新しい国の形をつくるんだというふうに調査会の答申は言っているんです。しかし、新しい国を目指すとは言っているものの、全くその先が、私どものイメージができないわけですが、この点について、もう一度ちょっと、どういうものなのか教えていただきたいと思います。

佐田国務大臣 先ほど先生言われたように、今回の佐呂間町のような、大変な竜巻でお亡くなりになった人、本当にお悔やみ申し上げると同時に、けがをされた方の早い治癒をお祈りする次第であります。

 こういうことになったときに、それだけじゃなくて、いろいろな使い勝手のいい予算または予備費等で、これは最優先でありますから、そういうことをやれるような体制を国と地方で役割分担していくということが非常に重要なことだと思います。

 今先生の言われた、道州制と道州制特区推進法が何かごちゃごちゃだねなんて言われましたけれども、道州制の導入につきましては、国と地方の双方の政府のあり方を再構築しまして、国の役割を本来果たすべき役割に重点化しまして、内政に関しては広く地方公共団体が担うという我が国の新しい政府像を確立しようとするものと私は思っておるわけであります。

 道州制の導入によりまして、地方分権の推進及び地方自治の充実強化、または自立的、活力ある地域の実現、そしてまた国と地方を通じ効率的な行政システムの構築が可能になると考えてこれを議論しておるわけでありまして、これは先ほどのお話にもありましたように、要するに今の都道府県を単位としておりませんで、そういう他の広域行政の中でやっていくということでございます。

佐々木(隆)委員 ここは後で論議をさせていただきたいと思うんですが、今大臣言われたように、道州制のところで、地方分権を推進して地方自治を充実するということと、自立的で活力ある圏域をつくる、効率的な行政システムをつくる、実は道州制特区でも同じことを言っているんですけれども、ちょっと順番が微妙に違うんですけれども、それは後ほど論議をさせていただきたいというふうに思います。

 今のお話はそのとおりだと思うんですが、今のお話を聞いて国民の皆さん方が具体的なイメージができるかというと、それはなかなかできないと思うんですよね。形の話は先ほど来ずっとありますけれども、単一国家という国家の中での枠内で権限を分けるのか、あるいは全く違うもう一つのものをつくっていくのか、いわゆる連邦型と言われる全く別なものをつくっていくというのと、これはアメリカやドイツの方式ですが、例えばイギリスのスコットランドのように、一国多制度みたいな制度をつくっているところもあるわけです。

 そのときに、大臣はこの前からずっと日本型を目指すんだと言っておられるんですが、その日本型というもののイメージを、例えばどういうものなのかということをもう少しお聞かせいただきたいというふうに思います。

佐田国務大臣 地方制度調査会の答申に示された道州制が全国において同時に導入することを原則としているのに対しまして、道州制特区は、一定の条件を満たす特定広域団体のみにおいて実施されるとともに、当該団体の提案に応じて法令の特例措置の範囲を拡大することができることが特徴であると考えております。

 また、私は、このような意欲のある地方公共団体がみずからの発意によって制度の適用を受けることができ、さらに制度の改善や拡大を提案することもできる仕組みを設けることが、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現する上で有効であると考えておるわけでございます。

 今後、道州制に対しまして意欲的な諸地域において、道州制特区の活用も含め、本格的な道州制の導入に向けた取り組みが一層進められることを期待しているところでございます。

佐々木(隆)委員 私は北海道民ですから、道民として、この種のものの先行導入をしていただくわけですから、ある意味で非常に誇りたいと思っているんですが、どうも、モデルと言われると、表現されていると、ある意味で実験台なのかという、これは非常に微妙なんですが、どうも何か実験台なのではないのかという思いも道民としては抱くところもあるわけです。

 そういう点で、この間、地方の声を十分に聞いてきたというんですが、その点について、先ほど四百回とかいうお話があったんですが、少し具体的にお知らせいただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に関しましては、例えば北海道におきまして、いろいろな道民の方でありますとか、市町村等に対しまして、延べ四百回を超えるようなそういう意見交換会等を行っているということ。さらには、本法案自体は、北海道の知事の提案を踏まえ、さらに北海道議会のいろいろな面の意見書も踏まえたものであるという形で、さまざまな形で北海道の御意向を聞きながらこういう形でまとめていった、こういうものでございます。

 今後とも制度の周知等について十分図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。

佐々木(隆)委員 今のにかかわって、二つお伺いしたいと思うんですが、一つは、ついこの間要望を出した道議会に私もいた人間なんですが、そのときはもういなかったわけですけれども、あれは、推進の意見書ではなくて、慎重にやってくれというような要望が入っているわけで、推進のというふうに一くくりにされると、知事会のは確かに推進なんです。ところが、ほかは、こういう制度をちゃんと入れてくださいという意見書ですから、必ずしも、推進という言葉はタイトルにも入っておりませんし、余り一くくりで言われると少し正確でないというところがあります。

 それと、四百回というお話が今ありましたけれども、その四百回というのは北海道がやった回数ですよね、今言われたのは。私は国がどの程度説明をしたのかということを今お伺いしているのであって、国の説明はどの程度きちっとやられてきたのかということをお伺いしたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに四百回というのは、道の方で、実際に道もしくは市町村の方で、道でやったものでございます。国自体は、直接に北海道の方で何か説明会等は行ってございません。

 確かに、この法案でございますけれども、いろいろな面で私どもPR等に努めているところでございますが、当然、この法案が通った時点におきまして、この制度の周知徹底について、国としても北海道とともに周知徹底を十分図ってまいりたいと考えている次第でございます。

 なお、先ほどの御指摘の点でございますが、ちょっと訂正させていただきますと、十八年四月六日の北海道議会の意見書でございますが、確かに推進という形ではございませんで、意見書という形でいただいているわけでございまして、三点、特に財政措置に関しましての要請書という形でございます。それを踏まえて今回、法案についても取りまとめたというものでございます。

 以上でございます。

佐々木(隆)委員 国はやっておられないということですか、タウンミーティングとかそういうのをやっておられたような記憶もあるんですが。

山崎政府参考人 道州制に関しますタウンミーティング、これは確かに稚内において主催してございます。そういった形において、もちろん特区についてもいろいろな面がございますが、特区自体を特定してといいましょうか、そういう形で国の方が直接赴いたという形の説明会というのはございませんので、これはまさに法案が通った時点において、私どもとしては北海道とともにそういう周知徹底を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。

佐々木(隆)委員 どちらが先に要請したか、手を挙げたかというのは、先ほどの論議に戻りますので、そこはお伺いしませんが、これは少なくとも国が法律をつくって進めようとしているものですから、それは法律が通った後でという話ではなくて、本来であればやはりこれまでも一定程度、私は北海道だけでいいとは思っていないんですが、とりわけ今一番先に対象になる北海道において説明をちゃんとするべきだったというふうに思うわけであります。

 先ほど来大臣も、九州とか関西とかで多くの希望があったというお話も答弁の中でされていたんですが、それは特区の話なのか、道州制の話なのか、どちらなんでしょう。

佐田国務大臣 それは道州制の話です。

 ただ、道州制をうちの方もやはり将来はやりたいと、九州、関西そして東北の方々でありますけれども。そして、私が今回の道州制特区推進法、これを説明して、これは三つ以上なんですよ、そして、これをこういうふうな形でどんどん権限、財源、税源を移譲していきます、そういうふうなシステムでこういう法律でやって、ビジョンをつくり、将来は道州制につないでいきたいんだ、こういうふうに申し上げましたら、やはり同じ考えで、ぜひそれは進めて、我々もやりたいと。だから、そういう一つの発端になるんだな、こういうふうな御理解をしていただいた、こういうことです。

佐々木(隆)委員 実はそこだと思うんですね。ここの一番、この課題を進めていくときに、我々は道民という立場で申し上げさせていただければ、道州制というものは進めていきたい、分権も進めていきたい、あるいは規制緩和も進めていきたい、そのために道州制。

 しかし、特区という話ではなくて、その特区は、北海道の状況を見てから考えましょう、こういうことに結果つながっていくわけで、だから我々は、モデルなのか実験台なのかというのは、そこに道民としては、思いが、少しストレートにこの話がのみ込めないところがあるわけであります。

 この特区が、平成二十七年という期限を切っていますが、二十七年ですからこれから九年間ですか、道州制というものの論議もそのころまでにはでき上がるということが想定されているからこの平成二十七年という話が出てきたんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の平成二十七年度の検討というのは、これは、実は先ほどの交付金に関する事項でございます。公共事業に関しまして今回交付金制度ということを導入してございますが、そもそもこの交付金についてどう考えるかということを施行後に見てみようということでございまして、実はこの交付金自体が十九年度から逐次移譲されますけれども、ちょうど一番最後、二十二年度に実はこれは移譲されるものもございます。そうしますと、施行後大体五年をめどにその実施状況を見て検討していこうということで、一応二十七年度を全体の交付金等に関します見直し規定として置いている、こういうものでございます。

佐々木(隆)委員 私どもも、ぜひ、これを実施するのであれば、ほかの府県に行って自慢のできるようなものにしていただかなければならないわけで、そういった意味で、少し論議をさらにさせていただきたいというふうに思います。

 普通、この種の、特区ですから、特区をやるということは、特別にそのことをやって、それのかかわる事業なり団体なりが、あるいはこの場合は区域ですが、どういうメリットがあるのかということだと思うんですね。もっと言えば、道民、住民の生活がこれによってどう変わって、どういうところがすごく便利になったというようなことが実感できるかということが特区の本来的な導入のメリットだと思うんですが、その点もまだ今の段階で必ずしも私は見えているというふうには思えないんですが、その点について、いかがでしょうか。

林副大臣 先ほど来から数字の議論を、三十幾つやって二十幾つだったという議論をずっとやってきたところでございますが、まさに今回の法案のメリットということで、なかなか見えにくいという御指摘でありましたけれども、中心になりますのは、この事務事業の移譲というのが進む、それから、先ほどの交付金の話もありましたけれども、自由度が増すということで、道民お一人お一人の立場に立ったときに、では、自分の生活がどうなるんですかと、こう端的に言われたときに、こうですというイメージがなかなか隔靴掻痒の感があるかと思いますけれども、北海道の地域としての自立性、自由度というのが高まる、また権限もふえるということが今度は道民の皆様にどうつながっていくかということをやはりきちっとビジョンとしてつくっていく必要がある、こういうふうに思っておりますが、まずはその権限の移譲、また交付金化ということがメリットだというふうに考えておるところでございます。

佐々木(隆)委員 実は、自由度、交付金、まあ、おっしゃっていることは補助金が交付金に変わることによる自由度だと思うんですが、それは実は行政ベースの話であって、道民一人一人にとっては余り実感できる話ではないわけですよね。

 実は、この道州制特区というものをスタートさせるに当たって、私は、後ほどちょっとまだ論議させていただきたいんですが、そういうものをちゃんと盛り込んでスタートさせるべきだと思うんです。もっと言えば、先ほど来言われているように、今のこの中身であれば、あえて新しい法律をつくらなくてもできるような中身が多いわけで、今言われた中で唯一あるのは、補助金を交付金に変えるという部分が四本ぐらいあるんでしょうか、というのがあるだけであって、道民、そこに住んでいる住民という視点で見たときに、その点は何かあるんでしょうか、今度の特区の中に。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のまさに移譲される事務事業の内容でございますが、先ほど来ございますような、そういう公共事業関係の交付金化というのが一つございますが、それ以外の項目としまして四項目ございます。先ほど申しました、調理師養成施設の指定でありますとか医療機関に関する指定等でございます。

 確かに、最初の段階におきましては、北海道の方からの提案を踏まえまして、こういう形で事務の事項は決めているわけでございますが、当然、実際に移された後に、いろいろな形で住民生活の方でこれがメリットと感じられるようにという形になればと期待しているわけでございますが、むしろ、それ以上に、今後、北海道の方で関係市町村の御意見もしくは道議会の議決を踏まえてさらに追加するといいましょうか、事業としてもっと移譲の対象にする、そういった形の追加があって、それを踏まえた上で、さらに、この事務もしくは事業の移譲が、現実のそれぞれの生活においてこういったものを実感する、こうやってだんだん進んでいくのではないかという形で私ども期待しているというところでございます。

佐々木(隆)委員 期待は私もしたいんですけれども、期待だけではなかなか、ちょっとその点については、これは道州制特区の部分にかかわりますので、後でちょっとまとめて論議をさせていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、先ほども少し論議になっておりましたけれども、地方分権を進めていく上で、最終目標は、やはり基礎自治体にどれだけ権限をずっと移していくかということで、そのプロセスとしてこの道州制というものが出てきたんだというふうに私は解釈していますけれども、実は三層構造になるわけですね、国と道州、現在でいえば都道府県ですけれども、それと基礎自治体。その三層の真ん中にある都道府県のところの論議を先に進めるという意味が私にはよく理解できないんですね。

 要するに、地方制度調査会でも言っているように、新しい国の形をつくらなければいけない、そのための道州制だ、こう言っているんですが、国の新しい形をつくるという論議の中に道州制という話が出てくるべきもの、あるいは基礎自治体を改編していくというプロセスの中で出ていくものだと思うんですが、三層構造の真ん中の道州だけを先に改革を進めていく、これで後々そごを来さないのかという懸念がやはり起きてくると思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

佐田国務大臣 道州制の導入につきましては、都道府県制度の見直しにとどまりませんで、行政全体の新たなグランドデザインの一環として位置づけております。地方制度調査会の答申でも、道州制は、広域自治体改革を通じて国と地方の双方の政府のあり方を再構築して、国の役割を本来果たすべき役割に重点化して、内政に関しては広く地方公共団体が担うという我が国の新しい政府像を確立しようとするものと位置づけるものであります。

 したがって、道州制の本格的な導入に向けては、国、都道府県及び基礎自治体の役割分担や、国の地方の行政組織のあり方といった広範な課題についても検討を深める必要があるということでありまして、言いかえるならば、都道府県に税財源、地方分権を進めて、それにとどまることはなく、都道府県の方からも基礎自治体の方に権限、税財源を移譲していく、こういうふうな形で行財政のスリム化を図っていく、こういうことでございます。

佐々木(隆)委員 同時並行で行われるべきものだというふうに思うんですが、ここで道州制の特区という話が出てきたので、そこだけがどうしても先行していく形になってしまうのではないかという懸念はやはり残るわけですね。

 だから、地方制度調査会が言っている道州制の論議とちゃんとリンクしていないと、結局、道州制というイメージもまだよく見えない、そこに、とりあえず特区という形で、道もたくさんあるし、向こうの方はまだ明るくないけれども道を歩いてみろと言われても、これはちょっと、歩く方は大変なわけでありまして、そういった意味では、道が三本か四本に決まっているわけでもなし、向こう側はまだ明るいわけでもないという今の状況の中で、しかも道州制というものだけが先に走っていく、論議が先に走っていくということについては、やはり総体としてちゃんと整合がとれていないというところの不安というのは我々には残っていくわけで、そこはぜひそういうことのないようにお願いをしたいというふうに思います。

 少し中身に入っていきたいというふうに思うんです。

 先ほど来言われているように、特区で、北海道以外で予定されているところは今のところないわけですよね。それと、先ほど逢坂議員も言っていましたように、市町村長さんもまだ十分にわかっていないというような状況の中で、前の案、北海道道州制特区推進法案、これはいわゆる素案と俗に言われていますが、ここは自民党の道州制調査会で了承されたものなんですが、それから一カ月後にこの法案が出てきたわけであります。

 これはやはり、どう考えても、何でこの一カ月の間にそこのところが変わったのというところが、しかも第一条のところだけが変わったわけですが、ここのところは我々どうもまだ理解ができないんですが、その点についてお伺いします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案でございますが、北海道につきましては当初からいろいろな面で議論の対象ということで検討してきたわけでございますが、この法案の作成過程におきまして、法制面でございますけれども、北海道以外の都府県であっても、北海道と同等の条件を満たした場合に、本法案による国の事務事業の移譲等の対象外とするという合理的な理由は見出せないということで、今回のような形で、北海道以外の都府県におきましても一定の要件を満たした場合については対象とするという形で、最終的には、法案の名称も含めまして、道州制特区推進法案という形で今回作成したということでございます。

 今申し上げましたように、北海道以外の都府県であっても、同じような条件であれば、対象外とすることについては合理的な理由は見出せないじゃないかということでこういう形にしたというものでございます。

    〔委員長退席、平井委員長代理着席〕

佐々木(隆)委員 先ほど大臣からもいろいろお話をいただきましたが、例えば九州とか関西とかというところから希望があるというお話もありましたが、それはほとんどが道州制の話なんですね。道州制特区に手を挙げるというところは、現状ほとんど考えられないわけですよ。

 道州制のモデルとして、先行導入としてこの特区が、だから初めから北海道だけでよかったんだと僕は思うんですよ。道州制という本来の姿があるわけですから、そこに行くプロセスとしてこの特区が出てきたんですから、だから特区は北海道でよかったものを、それをあえてわざわざ第一条を広げていくという意味がよくわからないんですが、もう一度。

佐田国務大臣 先生、要するに、この法案を通していただければ、政令指定して、北海道の方で、いろいろな税財源の移譲そして権限の移譲、これは先生も地方議会におられてよく御存じのとおりだと思いますけれども、では、北海道にとってどういうことが権限移譲していただきたいのか、税財源はどういうものが欲しいのか、そして、そのためには税財源、権限を基礎自治体に対してどういうふうに移譲していくのか、それはもう先生の頭の中にあろうかと思います。

 そういうことを検討しながら、新たな道州制の中で、きちっと道州制というものを先に見据えながら、要するに、日本全体のグランドデザインと先ほど申し上げましたけれども、では私のところはこういう形でやっていきたいとか、また地域によって税財源そしてまた権限が、希望するものが違うわけですね、うちはこういうものがやりたいんだと。そういう中において、進捗状況等も踏まえて、やはり、先生のところはこういうふうにやっている、北海道はこうやっている。

 例えば、逆にまた、先ほども申し上げましたけれども、市町村合併も、最初は本当に進むのかと思いましたけれども、うちの県なんか、はっきり言って、本当に二分の一ぐらいになりました。それはやはり財政の問題もありますけれども、本当に町民、村民のために身を切ってでもやろう、こういうふうな動きが結構出てくるもので、私もびっくりしております。

 そういうことを考えたときに、やはり選択肢を広げておいて、その中で日本全体の、例えば九州にしろ、そしてまた関西にしろ、そしてうちの関東、東北にしろ、そういうところが同じ選択肢の中で、うちはこういうふうにしたい、うちはこういうふうにしたいというものをつくっていきながら、将来のビジョンをつくり、将来的には道州制につなげていく。こういうことなのでありまして、ぜひそれは北海道だけとかそういうことではなくて、もう本当に、先生、例えば、これを始めて一年ぐらいでかなり調子がいいよ、そうしたらすぐに、ではうちの方もまたちょっと検討に入ろうよと。

 この間、九州の財界の方また地方自治体の方が来られて、私は最初三県以上かなと思っておったら、うちは、九州はやるときは全部だよと。このぐらいに、やはりみんな積極的に考えられておりますので、その辺は私もびっくりしたんですけれども、そういう考えもあって、ぜひしっかりと並行して議論を進めていきたい、かように思っておりますので、よろしくお願いします。

佐々木(隆)委員 お願いされても、私は知事ではありませんので、なかなか。

 ですから、今大臣がお答えいただきましたけれども、それはほとんど道州制というものをイメージしているんだと思うんですよ。だから、特区をイメージしているわけではないと思うんですよ。

 特区というのは、保育所と幼稚園の特区から始まって産業特区からいろいろあるわけですが、北海道の特区としてこれがスタートしていて、例えば、九州でそういう話が出てきた場合には九州の特区をつくればいい話なんだと思うんですよ。何で北海道の特区だったものをここでわざわざ一般のものにしなきゃいけなくなった、かえってわかりづらくしたのではないのかというふうに私は思うんですが、いかがですか。

林副大臣 先ほど御指摘のあった九州のお話でございますが、大臣が御答弁しましたように、これは枠組みをつくる法案でございまして、せっかくつくるのなら、いわゆる構造改革特区も同じ条件を満たせば全国どこでも特区になれるという一般法の形をとっておりますので、これも実はすぐにあした出てくるところがないというのは先ほどあったとおりでございますが、今から出てくるものについて、ないだろうから可能性を閉じるというよりも、あらかじめそこは広げておこう、こういう考え方でございます。

 例えば、今お話のありました九州は、こういう九州府の構想というのが市長会から出ております。これには、国には早く道州制をやってくれという要望をする、それから、市の上の県には特区へ申請をしろということを要望するということを実は構想で既にまとめておりまして、特区ができた暁にはやはりそういう特区を利用していこうということが既に市長会の構想でも出てきておりますので、やはり、そういう動きを後押しするためにも、ほかのところもそういう可能性があるという道を開いた方がいいのではないかという判断をしておるところでございます。

佐々木(隆)委員 それも一つの考え方としてあるのかもしれないんですが、今提案されている特区法も、けさほど枝野議員の論議にもあったように、道に限定しているところもたくさん入っているわけですよ。結局、この法律だって、そういうふうになってくれば、あの部分は直さなきゃいけないわけですよ、道はと書いてあるんですから。

 だから、それと同じことだと思うんですね。これは、北海道の特例としてこういうことをやってみませんかという法律で、それで論議をすればいいし、今言われるように、幅を広げているんだとはいっても、あの中の法律は、北海道でこの四つの事業についてと書いてあるところは直していかなきゃいけない法律になるわけで、結局同じことだと思うんですよね。出てきたところから一つ一つ、九州なら九州の特区をつくってやるという方法の方が私は正しいやり方だったのではないか。

 これは、答弁はこれ以上求めませんが、どうしても九十五条にやはりひっかかってくるわけですね、その論議をしていくと。戦後あって以来、ほとんど行われていないというんですが、今国民投票法でも、我々は、憲法だけでなくて、ほかのものについても国政上の重要な課題については国民投票ができるようにすべきではないかという論議をさせていただいているところですが、間接民主主義の国ですが、直接民主主義の手法を装置として持って、それを取り入れるということは非常に重要なことだと私は思うんですね。いわゆる、私どもがやっていることが本当に国民の意思に合っているか合っていないかというのは、やはりそういう装置を持っていることがみずからの戒めにもなるし、あるいは時としてその装置を使うということも必要なことだと思うんですね。

 そういった意味では、私は今回のこの特区法についてはやはり本来的には住民投票をやるべきだったのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 国民投票のシステム、これは今、憲法調査会の方で御論議いただいております。要するに、やり方等について、どうしたらいいのか、こういうことでやっておるわけであります。

 今回の法律で、先ほど交付金等について、組織、運営、権能、こういうことについて、財政支援が果たしてこれは当てはまるかどうか、当てはまらないということを言っておったことについての根拠というのはこれからやらせていただきます。これは調べさせていただきます。

 それともう一点は、今回の道州制特区推進法につきましては、これは今先生も申し上げましたように、特定広域団体に政令で指定された場合、例えば北海道。九州も手を挙げて、合併をして申請すれば特定広域団体に指定されるわけでありますから、それはその辺の自由度があり、そして、日本全体にかかわることでありますから、そういう意味におきましては、特別法というよりは一般法というふうに理解をしておりますので、九十五条には当たらない、こういうことを解釈しておるところであります。

佐々木(隆)委員 そこは私とは解釈の違うところで、これは本来、最初に出てきた北海道道州制特別区域推進法というものからわざわざこの法律に変わったところで、かえってわかりづらくしたのではないかというふうに私は思っています。

 ちょっと次の論議に移らせていただきたいんですが、今、組織、運営、権能という話がありましたが、権能、いわゆる道州制特区について少し論議をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほどもちょっと局長からお話がありましたが、当初、道の案は三十三項目だったわけであります。そのときまでは私は地方にいました。その協議の結果、ここの席に座らせていただいたら、いつの間にか十三項目となって、最終的には六項目になったわけでありますが、その理由をもう一度確認させていただきたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の北海道からの提案は、平成十六年八月でございます。このときに三十三項目ほど、これは事業もしくは事務の移譲の提案が北海道から国の方になされてございます。

 まずその内容でございますが、非常に多岐にわたっているわけでございますが、これに関しまして、国と道の間でいろいろな議論があったわけでございますが、まず三十三項目のうちの二十項目について、これは実は議論している中で、法令の改正は特に必要ないという項目であるということを両方で認識したわけでございまして、例えば国と北海道が事業を一緒にやっていくような共同実施でありますとか、いろいろな手続の一元化といったような、そういういわば事実上の対応において可能なものがございました。したがいまして、これに関しましては、逐次この二十項目については実現をしている、こういう状況でございます。

 残りました三十三項目のうちの十三項目は、これは確かに法令改正が必要でございます。法律であったりもしくは政令であったり告示であったりするわけでございますが、この十三項目についてもいろいろな議論を重ねているわけでございますが、今回の法案プラス他の法案がございまして、他の法令の措置によって十三項目のうち九項目は、今回の法案を通させていただきますとこれも実現されるということでございます。

 したがいまして、当初からございました三十三項目のうちの二十は実現されてございますし、プラス法令改正が必要な九項目、つまり二十九項目はこういう格好で対応させていただいている、こういう状況でございまして、決して提案の数が減ったというわけではございません。むしろ、そのうち二十九項目については、法令もしくはそれ以外の対応において実現、対応している、こういうところでございます。

佐々木(隆)委員 今最終的に私は六項目と言ったんですが、実質的には八項目ですよね。八項目なんですが、これは三十三項目を提案したところから見ると、六項目なんですよ。プラス二項目は、国の方からこれもやったらどうだと逆提案を受けたものが二項目あって、全部で八項目になったということですよね。

 実は、これも正確に言うと、先ほどちょっと、副大臣でしたか、理容、美容、調理師という、九項目はという話があったんですが、実はその中から少しずつ削られているんですよね。全部、北海道が提案したものが丸々通ったわけではなくて、その部分、一部分削られたのか一部分通ったのかわかりませんが、それを称して、これだけはやったという話をしているんですが、そういう意味では、必ずしも北海道の提案がストレートに、言われた部分が通ったというわけではないということだと思います。

 それほど抵抗がそれぞれ省庁に、何かやりとりをずっと僕も聞いていたんですが、やはり省庁の抵抗というのは相当なものがあるようで、結局項目だけ何とか残そうよみたいな攻防があったようでありまして、そこはそこで御努力をいただいたのではないかというふうに思っております。

 先ほど来お話がありますが、北海道がこの後関与をしていくのは方針変更の提案ということになっているんですが、論議への知事の参加については法案の中には位置づけられていないんですが、先ほど来言われている大臣の熱意と、知事のこの法案の中における位置づけというものについては少し違うのではないかなというふうに思うんですが、いかがですか。

山崎政府参考人 御指摘の点でございますが、今回、私ども考えております推進本部でございますが、これは法律上は内閣総理大臣を本部長に、すべての国務大臣を本部員という形でございます。その上で、特定広域団体の、まさしく提案の趣旨を十分尊重する、その議論に反映させるという趣旨において、この推進本部に関します政令がございますが、政令の中で参与という形でございますがこの議論に参加していただくという形の道を考えてまいりたい、このように考えている次第でございます。

佐々木(隆)委員 今回の特区では、道州制の地方制度調査会の話を先ほど大臣の答弁でいただきましたが、そこでは地方分権、自立と活力、そして行財政システム、こういう三つのことを挙げられているんですが、この特区になると、地方分権及び行政の効率化、そして自立、こうなっているんですね。なぜか自立が一番最後に来ているんですね。これはそれほどの深い意味があるのかないのかわかりませんが、順番が入れかわっているのは私にとっては少し気になっているところなんです。

 結局、地方分権の推進と行政の効率ということが中心になっていて、そういった意味で少し違うのではないかというのと、今の知事の参加も、政令でというふうに言われたんですが、政令ではなくてどうして法律で定めなかったのかということについて、もう一度答弁いただきたいと思います。

    〔平井委員長代理退席、委員長着席〕

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の推進本部でございますけれども、この推進本部というのは、私ども、この法案におきましては、内閣総理大臣のリーダーシップのもとで、変更提案の対象となり得る国の府省にかかわる事務事業の移譲にかかわる方針を決めていくということを目的としているわけでございまして、そういう観点から、実はすべての国務大臣をまさに本部員としている、こういう状況でございます。

 なお、ほかにも、内閣総理大臣を本部長として内閣に設置する本部もございますが、通例でございますけれども、国務大臣を本部員にしているということになっているというふうに認識している次第でございます。

佐々木(隆)委員 聞いていることはそういうことではなくて、本部員のメンバーがどうではなくて、道州制の特区なんですから、そこの知事の占めるウエートというのは非常に大きいと思うんですよ。その知事の参加が政令によってという説明だったから、どうして法律の中できちっと知事の参加というものを位置づけていないのかということを私は聞いたんですが、どうですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになるかもしれませんが、推進本部という性格でございますが、これはいわば内閣総理大臣のもとで、まさにこの事務事業、これはいろいろな各府省がかかわってございます。今回の提案でもほとんどの役所が関係したわけでございますけれども、まさに国務大臣をメンバーにしてこの移譲というものを決めていく、こういう本部という形に位置づけているわけでございます。

 実は、こういう形の、内閣にこういう本部を置くという形式がほかにもございますが、基本的には、例外もございますけれども、通例は、まさに内閣でございますので、国務大臣を本部員にするという形で整理しているというのが多くございます。

 したがいまして、知事も、先ほど申し上げましたように、特定広域団体の代表としていろいろな議論に参加していただくということは当然必要でございますので、本部員という形ではございませんけれども、参与という形で議論の参画については前向きに検討させていただきたい、このように考えている次第でございます。

佐々木(隆)委員 時間がなくなってきましたのでこれ以上やりません。この点はこの程度にしますが、参与でもいいんです。本当はフルメンバーが一番いいんですが、参与でもいいんですけれども、政令で定めるのではなくて法律で、ちゃんと参与なら参与として参加をさせるというふうにすべきではなかったのかというふうに私は思いますので、その点は申し上げておきたいと思います。

 実はこの特区法は、地方分権の推進、行政の効率化、地方の自立、この三つが大きな柱になっているというふうに思うんです。道州制も同じですが、この特区も同じだと思うんです。

 実は、私は大変気になっているんですが、市町村合併とかあるいは地方自治に大変詳しい、関西学院大学だと思ったんですが、小西砂千夫さんという方は、行政は町づくりの欠くことのできないわき役だと言っているんですね。私はそのとおりだと思うんです。

 これはちょっと横道にそれてしまいますが、ふだん私どもがいろいろな会合に出ていて、私は非常に気になっていることがあるんですが、例えば、大臣のかわりにどなたか役所の方が出席されるような会合がよくありますよね。それは福祉の団体であったり、あるいは林業の団体であったりいろいろするわけですが、そこへ行ってあいさつされるときに、日ごろ、我々という言葉まで使うかどうかわかりませんが、福祉行政の推進に御協力をいただいております皆さん方に心から感謝を申し上げます、あるいはありがとうございます、こう必ず言うんですよ。どの団体へ行っても必ず言うんです。

 いろいろな団体というのは、行政の推進に協力するためにあるわけじゃないんですよ。いろいろな団体のために協力するために行政があるのであって、これはまさに本末転倒だと思うんですね。

 ほとんどの団体のお祝いだとかいろいろなところへ行ったら、必ず、行政の方が来てあいさつされるときに、日ごろ何々行政の推進に御協力いただきましてありがとうございますとあいさつするんです。これはぜひやめるべきだと思うんですが、大臣、閣議のときにでもぜひそのことを検討いただきたいというふうに思います。これは横道に少しそれてしまいましたが。

 私が一番大事だと思うのは、地方分権の推進と行政の効率化と自立的発展、この自立的発展のところが今回のこの十三項目の中からネグられた分なんですよ。行政の効率化とかそんなのは行政同士の話ですから、そこに住んでいる住民が窓口が変わるだけの話であって、本当は一番大切な自立的発展を支える分野の、十三項目のうちの何項目かあるわけですね。そこが、例えばHACCPの認証とか、中小小売商業の活性化に関する機能とか、雇用創出関係助成金の機能とか、これはやりとりを見ますと、いわゆる一律的行政を行わなければならないという観点から対象外になっている、ほとんどそういう内容なんですよ、ネグって言えば。

 この経済活動のところをやはりちゃんと分権をしていかなければ、地方の自立ということはあり得ないし、地方で本当に権限をもらったという意識にもならないと思うんですよ。経済活動を活性化させていくという大事な法律の権限、それにしてもそんなに大きな権限ではないんですが、そこのところがほとんど今回抜け落ちちゃったんですね。このことについてどうお考えでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点は、先ほどの三十三項目に実は関係する部分でございまして、先ほど来、三十三項目のうち二十九項目が対応している、逆に言いますと、四項目が今回見送られている項目でございます。

 その中に、例えば、御指摘ございました食品衛生法に基づく、いわゆる食品製造施設におけるHACCPと呼ばれる製造管理に関する規制の権限を移譲したらどうかという御提案もございました。これに関しましても関係省庁といろいろな議論があったわけでございますが、今回の制度におきましては、一応この対象というのが実際の食品製造施設でございますけれども、そのつくる食品はいわば北海道以外の全国に流通する、そういうケースが非常に多いといったような問題、もしくは、例えばアメリカにおきましても一応州でなく連邦で一元的に実は管理している、そういう規制でございまして、そういう観点からした場合、今回の移譲の対象から一応外れているという形になっているわけでございます。

 それ以外、三項目またございますが、いずれにいたしましても、今回の制度としてはこういう形で整理させていただいたというところでございます。

 なお、この項目、さらにはそれ以外もあるかもしれませんが、今後さらにいろいろな面での提案がまたなされるわけでございまして、それを踏まえながら、またこれは基本方針の変更をどうするかということになってまいりますけれども、さらに検討を進めていく、こういうことになろうかというふうに思っている次第でございます。

佐々木(隆)委員 命にかかわるようなものの場合には一定の国の規制と基準というのが必要だというふうに思うんですが、本当の、小売商業の活動とか雇用とか、しかも緊急を要する、あるいは、先ほど来大臣が答弁いただいているように、地域によってそれぞれ違うわけですから、そこはこういうところに重点的にやりたいとか早目にやりたいとかというものについて、そこのところを今回ネグってしまったがゆえに、今度の特区というものが行政同士の話し合いでしかなくなってしまったという、非常に残念なことだと私は思うんですね。そこのところがもう少し進んでいれば、我々ももっといろいろな論議をすることができた。

 例えば、これはありませんけれども、医師の必置定数とかそういったものは別に全国一律でなけりゃどうしてもいけないのかというようなことについては、やはりもう考えるときに来ていると思うんですね。そういったところがほとんどなくて、言ってみれば、道路、河川、砂防といったような事業のところに、どうしてもそっちの方だけにウエートが行ってしまったという意味では、非常に私は残念だというふうに思っています。

 もう一つ、特区でやらなければいけないことに、司法、立法、行政というふうに言いますが、司法の権限までいくというふうにはだれも将来的に思っていないというふうに思うんですが、もう一つは立法だと思うんですね、権限という意味でいえば。

 いわゆる上書き権というものについて、今回どこかに保障はされているんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の上書き権というのは、これは北海道の方で提案いただいた法令面での地域主権ということで、いわば条例で北海道の方が独自に基準を設けていく、一般的にそういう全体の権限を与えてほしい、こういう実は提案でございました。

 これに関しましては、いわば無条件で一律的に条例ですべて独自基準を定めるということに関しましては、法律によって、そういうことについてなじまないという法律もございます。したがいまして、一律にそういう形で独自基準を定める権限を与えるということはなかなか困難ではないか、こう考えている次第でございます。

 そこで、むしろ本法案では、個別法でございますけれども、具体的にこの法律についてこういう形で変えてほしいという形の提案を受け取るという形に実は対応しているわけでございまして、この変更提案の中には、これは法令の特例措置と呼んでございますが、今申し上げましたような、条例で例えば政令のかわりに定めるといったような特例措置も含むことになってございますので、一般的に無条件に条例で認めるというわけにまいりませんけれども、個別法を指定していただいた上で条例により基準を定めるといった提案も可能でございますので、それを踏まえた上で、またさらに検討していくということになろうかというふうに考えている次第でございます。

佐々木(隆)委員 ぜひそうしてほしいんですが、地域の中で、この特区をせっかくつくろうという動きの中で、権限とか自由度とかそういったものが保障されるということやら、あるいはまた、経済活動についてもっとスムーズに何かができるとか、目に見える形で特区というものが生かされてこないと、将来の道州制の論議につなぐとしても、これは余りにも小さな話になり過ぎてしまってモデルになり得ないわけですので、ぜひそこのところの論議をお願いしたいというふうに思います。

 もう一つは、これは何度か答弁の中で出てきているんですが、小さく産んで大きく育てるんだというお話がよく出てくるんですね、この話のときに。その小さく産んでという意味がよくわからない。なぜ小さく産まなけりゃいけないのかということが、要するに、これは何か早くつくろうという意味でおっしゃったのかなというふうに思うんですが、何度か答弁に出てきていたと思うんですが、小さく産んでという意味が私にはよく理解できない。

 要するに、小さく産むということは、結局、法そのものも小さくなってしまうということなんです。だから、ちゃんと育ててしっかり産めばその分ちゃんとした法律になるわけで、小さく産めば法律もその分小さくなってしまう。もっと言えば、小さく産んでしまってというか法律を小さくしてしまうことは、政令や省令にほとんどゆだねるということになってしまうわけです。

 今、政令や省令にできるだけゆだねないで、できるだけ法律できちっとみんなの共有のものにしようよという時代ですから、そういったときに、政令、省令にゆだねるということは、行政の裁量権の方にほとんどゆだねていくということになっていくわけで、そういった意味では、もっとしっかり論議をすべきだというふうに私は思うんですが、この点、いかがでしょうか。

佐田国務大臣 小さく産んで大きく育てる、私はちょっと聞いていないんですけれども。

 先生、今回の法律というのは、一つの受け皿というものが非常に大きなものであって、そしてまた、先生も今御指摘ありましたように、政省令に任せるのであるならば、それは行政の判断じゃないか、こう言われておりますけれども、今回は八項目というふうな形で権限移譲ということになっております。

 要するに、この受け皿なんですけれども、本部の方にも、先ほど答弁をさせていただきましたけれども、北海道知事が政令で閣議決定をされて中に参与で入るということはありますけれども、特定広域団体でありますから、要するに、ほかのところが指定された場合には、またその関係の方々にも入っていただくということになってくると思うんです。

 そしてまた、その中で大事なことは、基本的スキームというのは、今回、今北海道の話をさせていただきますけれども、北海道の方々の意見をできるだけ吸収していく。この本部においても、勝手に本部がやるのではなくて、北海道が計画を立てるときには、ちゃんと本部の方も互いに話し合いをしながらやっていく。そしてまた、北海道の方々に、いろいろこれから基本方針の変更、つまり、言いかえるならば、いろいろな税源移譲やらまたは権限移譲の御提案があったときには、真摯にこれを議論して、そして本部においてもまた、北海道との議論を踏まえて最優先で閣議決定も行っていく。

 そういうことを考えますと、今までかつてないような、このもの自体が非常に重要で、また大きな法律じゃないかな、今のところは受け皿になっておりますけれども、いろいろな配慮を持ってつくっておりますし、不備な点については、それを手直ししていける要素を持っている法律である、こういうふうに私は思っております。

林副大臣 あるいは、私がそのたぐいのことを申し上げたかもしれませんが、小さく殊さらに産もうとしているんだということではなくて、先ほど委員の御指摘がありましたように、委員がまだおられたころには項目がたくさんあったのが、委員がこっちに来られたので少なくなっちゃったというお話がありましたけれども、かなりこれは、各省といろいろな折衝をやるときに、御存じのような厳しい折衝をやったわけでございます。

 一般的に特区をやりますとわかるのでございますが、向こうは向こうでいろいろな理屈があって、こっちはできるんだと。刺し違えになってしまって、なかなか結論が出ないということがありまして、とりあえず特区で穴をあけてやってみて、やはりできたではないか、言われていたような副作用はなかったではないかということで、全国展開を規制改革の場合はしていくというプロセスがございますが、まさにこの場合も、今回、対応困難になったものでも、ほかのことで対応してもらったことはきちっとできたではないかという実績を持ってまたやっていただく。

 そして今度は、道の方は、いろいろなことをやってみたら、実は今回応募していなかったこういうこともさらに応募していけるのではないかというプロセスでふやしていこう、こういうことを考えておるわけでございまして、そのために基本方針の変更提案という制度を、知事さんにも参与として入ってもらって、ビルトインしている。今までは外でいろいろなことをやらなきゃできなかったのが、どんどんふやしていくシステムが内蔵された、そういうふうに御理解いただけたらというふうに考えております。

佐々木(隆)委員 そのシステムは僕も非常に評価できると思うんです。幾つか今論議をさせていただいた中でも、必ずしも、北海道民あるいは全国もそうですが、このことについてまだすっきりしていない部分がたくさんあって、それで、今そういう部分を十分に、例えば北海道以外のところの希望がある、あるいは北海道以外のところも対象にしているのであれば、北海道以外のところも含めてどういった説明会を開くのかとか、そういった全国的な論議というものも必要でしょうし、今急いでこれをスタートしなければならないという緊急性が私はあるというふうには思えない。

 これは、やるのであれば、しっかり論議をしてしっかりと進める、あるいは、公聴会などをやってその意見も聞いて、もう一回論議をしてでも、決してそんな、一月おくれたからといって大変だという趣旨のものではないと思うんですね。そういった意味では、まだまだ論議を私はすべきだというふうに思っていますし、今後もまだまだ論議をさせていただきたいというふうに思っています。

 時間になりましたので、きょうのところはこれで終わらせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

河本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 今度の道州制特区ですけれども、午前中からもいろいろな議論がありました。北海道だけだったら憲法九十五条の問題が出てくるということもあって、何かほかの地域をくっつけて、それをクリアしようとしているような印象が非常に強いとか、要するに、どれだけ住民的な議論を政府としてもされて出てきたかという点が余りよく見えてこない、非常に生煮えという感じがするんです。

 そこで、最初に、タウンミーティングというのをよくやっておられるんですが、これにかかわって質問しておきたいと思うんです。

 タウンミーティングというのは小泉内閣のときから始まったわけですが、全国でこれまで何回行って何人が参加されたのか、そのうちで、この法律にかかわってくる道州制のタウンミーティング、何か三回ぐらいやったようなお話ですが、何回おやりになって何人参加されたのか、ここを政府参考人の方にまず伺っておきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えをいたします。

 タウンミーティングにつきましては、ただいま御指摘のとおりでございまして、平成十三年六月の開始以来、当初半年で全都道府県を一巡、その後は、政策テーマ別に、あるいはこれは政府が主催するものでございますけれども、国民との共催という形をとる、あるいはタウンミーティング週間という形を設けるというような多様な形によります開催を重ねてきているというところでございまして、これまでに全国各地で百七十四回開催をいたしまして、六万八千人の国民の参加を得ているところでございます。

 次に、道州制のタウンミーティングについてでございますが、これもただいま御指摘のとおり、三回開催をいたしておるところでございます。道州制の議論が盛んになってきているということを踏まえまして、国民的な議論を深める、意見交換をするという目的のもとに、全国三カ所で、福岡、大阪、稚内でございますが、本年になりまして順次開催をしてきているところでございます。

 会場からは、道州制の仕組みあるいはその必要性、地方への権限移譲の問題、道州制の導入時期などについての御意見が出されまして、活発な対話が展開をされたという状況でございました。これら三回の参加者は、合計で千三百十四名に上っているところでございます。

吉井委員 三カ所でされて、今度出てきている道州制特区にかかわってくる、特に北海道、ここは一回ということですよね。それで、先ほどのお話でも、法案を中心にして四百回ぐらい説明をしたとかいろいろなお話があったんですけれども、タウンミーティングとしては、北海道にかかわっては一回だけということが今のお話でわかりました。

 次に、タウンミーティングを行うに当たって、質問者の発言のきっかけのために、円滑に対話を進めるためという理由で、依頼発言者の登録というのを関係自治体や関係団体に求めてやっているということがありますが、こうしたやり方は、問題になった八戸に限らず、一連のタウンミーティングでも行っているのではないかと思うんですが、これはどういうふうに進めていますか。

谷口政府参考人 まず、ただいま御指摘のありました、依頼発言の登録と先生おっしゃいましたが、その点について申し上げます。

 これの趣旨でございますけれども、全国各地でタウンミーティングを開催する、対話をするというような形で実施をいたしておりますので、例えば、皆いずれも大臣と対話をしようというような意欲で参加される方ばかりでございますけれども、初めて参加されるという方が多いというようなこともございますから、対話を活発化する、具体的には、開会した冒頭に、挙手を求めるわけでございますけれども、手が挙がるであろうか、あるいは対話を進めていった途中の段階で対話がふっと途切れたりすることがないであろうかというふうな観点から、各自の御自身の御発言ではあるんですが、タイミングの問題としまして、そのような必要があると思われる場合には発言をお願いしておく、こういう趣旨のものでございます。

 ただいま申し上げましたのが、依頼発言の登録と委員がおっしゃいました点についての一般的な説明でございます。

 タウンミーティングにつきましては、現在、私ども、教育改革のタウンミーティングにつきまして全力を挙げて調査をしている最中ということでございまして、まずその取りまとめに全力を注入したい、このように思っている、そんな状況にございます。

吉井委員 それで、今のお話を伺っていますと、百七十四回のすべてで依頼発言のお願いをしている、こういうことでいいんですね。

谷口政府参考人 お答えをいたします。

 一般的に申し上げますと、先ほど申し上げましたような趣旨、つまり、対話がどういうぐあいになるであろうかというふうな見通しのもとに、必要と思われる場合にということでございます。これが発言を依頼する趣旨の一般的な御説明でございます。

 しからば、どういう状況になっておったかという点は、ただいま進めておる調査に関するお尋ねということになろうかと思いますが、その点につきましては、先ほど申し上げました点の繰り返しで恐縮でございますが、現在、私ども、教育改革タウンミーティングにつきまして、全力を挙げましてその調査に当たっておるところでございます。その取りまとめに向けまして全力を挙げたい、このように思っておるところでございます。

吉井委員 調べるのに全力を挙げはるのはいいんですけれども、要するに、今のお話だったら、百七十四回すべてで依頼発言を求めていたというふうに先ほどの答弁で聞こえるんですが、けさの毎日新聞の報道を見ていますと、幸田参事官の話では、百七十四回の半分ぐらいでやらせがあったという話で、夜の文書で、いや、それは根拠はなかったんだということもお出しになったんだけれども、しかし、大体半分ぐらいのやらせという可能性も否定できないということなんです。

 先ほどのお話を伺っていると、百七十四回の半分どころか、何かすべて依頼発言を組織してということになってこようかと思うんですが、要するに、これはどないなっていますの。

谷口政府参考人 お答えをいたします。

 先ほども申し上げましたように、必要に応じて適宜ということでございます。

 それから二点目、これも先生御指摘のとおりでございますが、現在作業に忙殺されておる中で、私どもの方から御提供します情報が錯綜しておりまして大変失礼をいたしましたが、後ほど、当初のブリーフの後、訂正を申し上げましたとおり、教育改革のタウンミーティングについての調査に当たっている最中ということでございまして、その辺については全く根拠なく申し上げた旨の御訂正を申し上げたところでございます。恐縮でございます。

吉井委員 必要に応じてといっても、何が必要なのかさっぱりわからないままのお話ですから、これは大臣、やはり法案を審議していこうというときに、何だ、法案をつくる過程でやらせがあったのかということでは、道州制の方ですよ、教育は教育で、別なところでやってもらっているんですが。

 やはり、八戸で行った教育改革のタウンミーティングでの発言のやらせというのは内閣府も認めていらっしゃるわけですから、要するにそのきっかけになった依頼発言者の登録というやり方、そしてその中で、こういう発言をというふうなところまで言ったのかどうか、そういうこともあるんですが、これは道州制のタウンミーティングでやっていたということもあり得るわけで、今のお話じゃさっぱりよくわからぬわけです。

 ですから、道州制のタウンミーティングを三回やっているんですが、このタウンミーティングでやらせがあったのかなかったのか。三回ぐらいですから調査は簡単です。三回ですからね、道州制の方のタウンミーティングは。この調査をきちんとやって、やはり法案審議するときに、やらせの中で出てきた法案というのでは余り感心するものじゃありませんから、まずこれはきちんと調べて明らかにすることがこの法案そのものを考えていく上でも私は大事な問題だと思いますので、これはまず大臣の方から指示して、きちっと調査をさせるということで臨まれますね。

佐田国務大臣 いろいろ、タウンミーティングだけではなくて、周知徹底を図ったり、そういうときに、議論をするときに、確かにどなたが発言がありますかとか聞くことはあろうかと思いますけれども、どういうことを発言してくれという、これは厳に慎まなくてはいけない、私もそういうふうに思っております。

 そういう自然な疑問、発想の中からいろいろな意見を酌み取っていく、こういうことが大事でありますから、これはしっかりと、そういうことはないように、これからもきちっと徹底をさせていただきたい、かように思っています。

吉井委員 徹底させていただきたい、要するに、質問項目案をつくったりしてやったようなことはあったのかないのかとか、そこをきちんと大臣の方で調査するように指示をしてもらいたい、答えていただきたい、こういうことなんです。

佐田国務大臣 これからは、タウンミーティングに限らず、それは、今までの三つのタウンミーティング、先生が言われた三つのタウンミーティングにおいては、もちろんこれは、例えばこの間の八戸のような、要するにあってはいけないことでありますけれども、ああいうふうに、こういうふうな発言をしてくれなんということがあったのかどうか、これはもちろん調べさせていただきます。それと同時に、今後、議論は大事でありますけれども、そういうふうな誘導のことが絶対にないようにしっかりと指示をしていきたい、かように思っています。

吉井委員 次に、法案に関してですが、大臣は就任時のインタビューで、道州制特区推進法案を臨時国会で絶対に成立させる、そしてこの法律を通じて規制緩和をどんどん進める、法改正を繰り返しながら道州制の骨格となるビジョンをまとめ上げ、将来の全国実施につなげたいという趣旨の発言をしておられましたが、法案には大臣の権限を知事に移譲するという内容が含まれてくるわけですが、しかしそれは権限が大臣から知事に移るということであって、権限がなくなるわけじゃないわけですよね。

 大臣はこの法律を通じて規制緩和をどんどん進めると言っているんですが、この法律をどういうふうに読んだら規制緩和を進めることになるのか、ここのところを最初に伺います。

佐田国務大臣 本法案においては、広域行政を推進するために、特定広域団体の提案を踏まえまして、国から特定広域団体の事務事業の移譲がふえていく仕組みとなっておるわけでありまして、これにより特定広域団体が地域の特性に応じて地域の自立的発展に資するための規制緩和を進めるものと考えておるところでありまして、先ほど来から申し上げているとおり、規制緩和、これは規制緩和でありますけれども、今度、財源の移譲もそうではありますけれども、そういういろいろな提案を地方からしていただいて、それによって、それを基本方針として変更することによって規制改革を進めていく、こういうことでございます。

吉井委員 権限や財源を地方に移すという方は、地方自治の拡充、地方分権という方であって、規制緩和の話とは違う話じゃないかというふうに思います。

 もう一つ、大臣は、道州制は人員削減の面からも霞が関などの相当厳しい抵抗が予想されますが決然と断行しますと言っておられましたが、これは道州制一般についてのことなのか、今度の法律について言っておられることなのか、これも少し伺っておきたいと思います。

佐田国務大臣 そのときのことをつらつら思い出してみますと、これは要するに行財政改革、地方分権という観点で私は言ったのではないか、こういうふうに思っております。

 そういう中において、無駄な部分を削減していく、先生も御案内のとおり、前回の法律では行政改革推進法が通りまして、そういう中において五年で、法律では五%でありますけれども、閣議決定で五・七%の実質削減をしていくとか、そういうふうなことも行われておるわけでありまして、全体として、行政改革推進法も含めまして、今回の道州制特区推進法案、これも含めて、行政改革という観点からスリム化を進めていきたい、こういうふうに言ったと記憶しております。

吉井委員 スリム化を進めるということで、この法案が要するに人員削減に寄与するということを頭に置いての発言であったのかなと思うんですが、そういうことでもあるわけですね。そういうことなんですね。

佐田国務大臣 直接的にこの法案で申し上げたわけではないのでありますけれども、行政改革というふうな観点からいうならば、その意味合いもあろうかと思います。

吉井委員 それで、この法案の提出の経過を少し見ておきますと、経緯からしても、人員削減と国の出先機関の統廃合、これがねらいであったということは経過を見れば大体わかると思うんですが、北海道道州制特区は最初に小泉前首相が言い出して、そのことは国会会議録を見ても何度も出てきます。

 道州制特区が議題となった二〇〇三年十二月十九日の経済財政諮問会議で小泉さんが、「北海道はやってみたらどうかって私が言い出した。何で北海道が言い出さないのか、私が言い出さないで、むしろ北海道の議員なり、北海道の知事が言い出すべきだと、待っていた。ようやく来たからよかったと思う。」こう小泉さんは言っているわけです。

 その小泉前首相に後押しされた高橋知事が、同じ日の経済財政諮問会議で「道州制を展望した北海道からの提案」というのを説明していますが、その中には、国から道への権限と財源の移譲とあわせて、国の出先機関との一元化ということが盛り込まれています。

 知事はこういうふうに言っているんですね。「北海道の場合には、その道の行政区域と多くの国の出先機関の所管区域が一致しているので、この地方支分部局との事務事業の一元化をモデル的・段階的に実施をしたいと考えている。」

 この説明を聞いて小泉さんの方が「何で二重の行政があるのか。」「通産省出身でも通産局だって必要ない。北海道庁に吸収できる。自分の出身の役所からまずやる。そして開発局もちゃんとやる。そういうことをはっきりさせた方がいい。応援するから。」と一元化論を励まして言いはったわけです。

 また、二〇〇四年五月の経済財政諮問会議の方を見ますと、高橋知事の方から、最初の五年間でまず北海道にある国の出先機関を統合する、その後の五年間で統合された国の出先機関と北海道庁を統合する案を説明した。

 この説明を聞いた小泉さんが「知事の言った統合、これはいい。」と評価して、「中央の役所の出先をまず統合して、北海道はこうやりたいという案をちゃんとぶつけてください。」「外務省は五千人しかいないのに、何で北海道開発局に六千五百人要るんだ。こういうことも含めて、本省と労働問題を怖がらずに大胆にやってください。応援する」、こういう発言、読んでおれば書いてありますが、大臣はこういうやりとりというのは御存じですね。

佐田国務大臣 いや、先ほども申し上げたとおり、先ほど逢坂先生の方からそういう話が八月にあったんではないかと聞かれましたけれども、調べるということでありまして、私はあずかり知らないところでございます。

吉井委員 経済財政諮問会議の会議録に出てきますから、ですから、知らないと言われたら知らないということなんでしょうけれども、経過としてはこういう経過の中で出てきたものだということがやはり今度の法案の大きな根底にあるということを見なきゃいかぬと思うんです。

 小泉前首相の思いは、国の出先機関と北海道庁の統合、とりわけ北海道開発局を道庁と統合することというところにあったわけですが、大臣の、先ほど、行革あるいはスリム化という、要するに人員削減云々の発言なんですが、こういう考え方が当然この法案には反映されているというふうに思うんですが、大臣、この点はどうですか。

佐田国務大臣 これから受け皿をつくり、そして規制改革、または税財源の移譲、そしてまたはいろいろな行政の効率化の問題、こういうことが道民の方から上がってきて、それを基本方針として変更し、閣議決定をしていくというプロセスの中でそういう話が出てくれば、直ちにそういうことになるとは限りませんけれども、そういう話が出てくれば検討する可能性はあると思います。

吉井委員 道民の方からというお話なんですけれども、この法律そのものを読むと、第四条一項の「国及び特定広域団体は、」「道州制特別区域における広域行政を総合的かつ効果的に推進する」、また、第二項の方では、「国及び特定広域団体は、広域行政の推進につき、相互に協力するとともに、それらの行政を効率化する」。この条文を読んでみると、法案提出の経過からしても、経済財政諮問会議での議論とかやりとりはいろいろあったわけですが、国の出先機関と北海道庁の将来的な統合を想定したものというふうに読めるんですが、それは、大臣、将来的な国の出先機関と北海道庁との統合を想定してこの法律というのを考えておられるのか、いや、法律上、四条一項、二項はあるにしても、そういうことはもう全くないんですよということなのか、その点はどうですか。

林副大臣 四条の一項の規定の御指摘がございました。

 委員御指摘のように、「広域行政を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならない。」というふうに規定をしておるところでございますが、これは、具体的には、まず国の方とそれから特定広域団体、この場合は北海道になりますが、二つについて規定ということになります。

 まず国については、まさに縦割りの弊害を排除して総合的に取り組むということ、そしてもう一つ目が、広域行政の推進に関する施策の立案、実施、検証を通じて効果的に施策を講ずるということを書かせていただいておるわけでございます。

 一方、この特定広域団体の方につきましては、広域行政の推進は、総合的な行政主体である特定広域団体により取り組まれるべきものである、そして、広域行政の推進は、地域における住民の福祉の向上並びに経済及び社会の発展につながるよう、効果的に進めるべきであるというふうに規定したわけでございます。

 ということでございますので、この規定は国の出先と北海道庁の将来的な統合というものを想定しているというわけではございません。ございませんが、事務事業の移譲が進むという結果として、今の目的で読みますと、地方支分部局のスリム化につながるということは十分あるというふうに理解をしておるところでございます。

吉井委員 だから、今おっしゃったように、直ちにということはないけれども、方向としてはそれをお考えだ。つまり、法案が国の出先機関の道庁への統合、このことを想定したものだということは、私はこれは言わなきゃならぬと思うんです。

 知事の統廃合の提案されているのを見ますと、十年間のスパンで提案されているんですが、初めから出先機関の統廃合の案は出しようがないといいますか、出てきようがないものですから、あからさまな小泉さんの一元化の発言に対するやはり道民の皆さんの反発もありますから、だから北海道からの提案はその点にかなり配慮されて出てきたものだなという印象を受けました。

 櫻田内閣府副大臣が、道開発局と北海道特例は現状のままだが、五年後に再度協議する、北海道開発局と財政の特例措置については見直すということをことし三月四日の自民党道州制タウンミーティングで発言しておられるのも、やはり直ちにではなくても、それを念頭に置いておられるんだなという印象を強く受けました。それから、内閣府が道に示した文書には、道州制特区は、北海道が国の地方支分部局と管轄の範囲が同じであるという地域特性にかんがみ、二重行政の改善に向けた取り組みを進めようとするもの、そういうくだりもあるわけですね。

 だから、伺っておきたいんですが、全国に構造改革特区を展開するもとになったもともとの構造改革特別区域法には、行政機関の効率化、そういうことがもともとの特区法にはないわけですよね。この法案の目的にはなぜ行政機関の効率化に資するという規定が入ってきているのかというのは、これはもともとの特区法とはそこが随分違うものですから、これは大臣に聞こうと思っているんですが。

林副大臣 委員御指摘のもともとの特区法というのは構造改革特区法という御指摘だと思いますが、あれは規制緩和を推進するために一部の地域を指定して、そこだけで先行的にやってみるという法律でございますので、そもそも地方分権、道州制というものとちょっと趣を異にするところでございます。

 今回のこちらの方の法案は、まさに今御指摘がありましたように、国と地方、地方も二重にあるわけでございますけれども、そことの関係をどうするかということによって、もし二重行政というものがそこにあるとすれば、そこは効率的にやっていくということを規定をしたというところでありますから、構造改革特区の規制改革の特区とはちょっと違うというふうに御理解いただければと思います。

吉井委員 いや、私が言っていますのは、要するに、行政機関の効率化というのはもともとの特区法の考え方の中にはなかったわけですよ。今度は効率化ということがこの目的の中に、行政機関の効率化に資する、そういうことが出てきているということを指摘をしておるんです。

 ところで、広域行政を実施する特定広域団体というのは、内閣総理大臣に対して、道州制特別区域基本方針の変更についての提案ができるということになっていますね。これに関連して、北海道のホームページでは、「北海道からの提案は、総理を本部長とし全閣僚で構成する道州制特区推進本部で、北海道知事も参画して議論されます。」というふうになっているんですね。これは、このホームページに書かれているように、参画するということになっていくのか。今度の条文の中ではそういうふうにはなかなか読めないんじゃないかと思うのですが、ここはどうでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この点でございますが、先ほど来申し上げていますように、特定広域団体の知事に関しましては、本部員という形ではございませんが、本部におきまして参与という形で意見を述べていただくということを私どもとして考えている次第でございまして、そういう考え方を踏まえて、こういう形で北海道でも受けとめている、このような形じゃないかと思っている次第でございます。

吉井委員 質疑時間が終了いたしましたから、続きはまた次の機会にしたいと思います。

 終わります。

河本委員長 次回は、来る十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.