衆議院

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第21号 平成19年5月23日(水曜日)

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平成十九年五月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 河本 三郎君

   理事 木村  勉君 理事 後藤田正純君

   理事 戸井田とおる君 理事 西村 康稔君

   理事 平井たくや君 理事 泉  健太君

   理事 松原  仁君 理事 田端 正広君

      井脇ノブ子君    遠藤 宣彦君

      大塚  拓君    岡下 信子君

      嘉数 知賢君    木原 誠二君

      杉田 元司君    杉村 太蔵君

      平  将明君    谷本 龍哉君

      寺田  稔君    土井  亨君

      中森ふくよ君    橋本  岳君

      林田  彪君    松浪 健太君

      村上誠一郎君    市村浩一郎君

      小川 淳也君    北神 圭朗君

      佐々木隆博君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    渡辺  周君

      石井 啓一君    吉井 英勝君

    …………………………………

   議員           馬淵 澄夫君

   議員           武正 公一君

   議員           泉  健太君

   議員           鷲尾英一郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣         渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  株丹 達也君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  外山 秀行君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          吉田 耕三君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            出合  均君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮島 俊彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     江藤  隆君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁総務部長)  長岡 憲宗君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     杉田 元司君

  木原 誠二君     杉村 太蔵君

  土井  亨君     平  将明君

  小川 淳也君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     橋本  岳君

  杉村 太蔵君     木原 誠二君

  平  将明君     大塚  拓君

  北神 圭朗君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     土井  亨君

  橋本  岳君     井脇ノブ子君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     赤澤 亮正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)

 国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二七号)

 特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第二八号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外四名提出、衆法第三〇号)


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     ――――◇―――――

河本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに馬淵澄夫君外四名提出、国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案、特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る二十九日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官株丹達也君、内閣法制局第三部長外山秀行君、人事院事務総局職員福祉局長吉田耕三君、人材局長鈴木明裕君、給与局長出合均君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、財務省大臣官房長杉本和行君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮島俊彦君、国土交通省大臣官房長竹歳誠君、都市・地域整備局下水道部長江藤隆君、航空局長鈴木久泰君、防衛省人事教育局長増田好平君及び防衛施設庁総務部長長岡憲宗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端委員 おはようございます。公明党の田端でございます。

 早速ですが、今回の国家公務員制度の改革ということは、これは国の中枢の改革に当たる大変大事なテーマだと認識しております。そしてまた、国家公務員のことがそのまま地方自治体、地方公務員にも及んでいくという意味では、大変大きなテーマだというふうに認識します。公務員のあり方、そして、公務員と住民、国民との関係、そういった意味では、結果として公務員改革が国民に、住民に大変プラスになるような改革でなければならないという思いを強くしているものでございます。そういった観点から、きょうは基本的なことを踏まえて質問させていただきたいと考えております。

 昨今、報道の中には、参議院の選挙を控えているということで、今回の公務員制度改革が迷走しているかのごとき、そういう主張もあるわけでありますが、少なくとも私ども公明党としては、行政改革の一環として公務員改革があるべきだ、そういう視点に立って、行政改革推進本部を中心に、長年にわたって地道な検討、討議を重ねてまいりました。

 そして、今回政府の提出された法案にある能力・実績主義とかあるいは天下り規制、そういったことだけではなく、なお一層、公務員のあり方として、高い気概あるいは倫理観、使命感、そういった、公務員が国民から信頼されるようになるべきだということで、こういう人材を募って、そしてそれを育成していく、そういうことができるような改革でなければならないという視点で私どもは議論してきたわけであります。

 しかし、今のところ、報道等では天下りのことが先行といいますか、そういったことだけが派手に取り扱われていまして、基本的な公務員のあり方といったようなことはどうも何か飛んでいってしまっているというふうな感じがいたします。

 それで、国家公務員法の改正案を確定する閣議において、四月の二十四日だったと思いますが、公務員制度についてという閣議決定も同時にされているようでありまして、その中で、パッケージとしての改革、それを行うんだということをおっしゃっているようでありますが、そこのところがどうも見えにくくなっているといいますか、見えていない。私は、その点が非常に残念だと思うわけであります。そもそも、公務員制度の改革の議論というのは、そこのところ、本質的な、公務員のあるべき姿という公務員像、そこをめぐってすべきが基本ではないか、こういうことを思っております。

 したがって、四月二十四日の法案決定がされた閣議決定にあわせて扱われた「公務員制度改革について」と題するこの文書が閣議決定され、これは、実はその少し前の四月の十三日か何かだと思いますが、政府・与党合意文書、「公務員制度改革に関する政府・与党合意」というのが確認された、それが基本になってできた合意文書だ、こう認識しております。

 そこで、この合意文書の中には、単なる今回の法改正ということ以外に、採用から退職に至るまでの公務員人事全般についての討議、そういったことをきちっとすべきであるということ、そして、総合的な改革を推進するための基本方針を盛り込んだ法案、つまり、公務員制度改革基本法案と仮称言われておりますが、これを立案して提出する、それが大事だということが示されているわけでありまして、国家公務員法改正案の提出を急ぐ政府に対して、我々与党として、そういった意味で忌憚のない意見を申し述べさせていただいたところでもあります。

 したがって、改革の全体像を明らかに、きちっと整理して、そして今回の法案が提出されて、それが相まって生きてくる、こういうふうに私は認識し理解しているわけでありますが、公務員制度改革をパッケージとして行うという、そこの全体像のところが今回国会に提出されていないというのは、非常に残念だと思います。来年の通常国会に基本法というものを提出されるということでありますが、私は、今回なぜそうなったのかという点については非常に残念に思っております。

 したがって、定年延長を進めるということ、そしてまた公務員のあるべき姿、そういったことを基本的にきちっとした上で、天下り問題とか早期退職勧奨とか、こういうことと両輪といいますか、総合的にしなきゃ本当の意味の公務員改革にはならない。この基本法案、なぜ今回提出できなかったのか、おくれてしまったのか、この点について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 田端先生御案内のように、公務員制度改革は、安倍内閣において突然出てきたものではございません。橋本行革の時代から論じられてきたところでございます。小渕内閣においても、各省あっせんによる天下り問題から端を発した道路公団汚職事件や防衛庁の調達実施本部の不祥事件などがございまして、真剣に議論をされたわけでございます。

 小泉内閣においては、能力・実績主義を中心とする公務員制度改革の案が相当議論をされたわけでございますが、残念ながら、二回とも閣議決定には至らずに終わってしまっておりました。小泉内閣の最後になりまして、当時の中馬大臣がまとめられたいわゆる中馬プランというものも出てきました。そこにおいては、官民の垣根をできるだけ低くして、官民交流を進めていこうという趣旨のことがうたわれていたわけでございます。

 そうした経緯を踏まえて、安倍内閣においては、できるところからやっていくべきであるということで、既に私が着任をする前でございましたが、能力・実績主義と、中馬プランの修正でもあります再就職規制、この二点においてまず先行してやっていこうということが決められたわけでございます。

 御指摘のように、全体パッケージの中には、例えば、これも小泉内閣のときに決められたものでございますが、専門スタッフ職の実現とか、あるいは官民交流の抜本的な拡大、定年の延長、公募制の導入等々、採用から退職までの全般的な問題があるわけでございますが、その中で、なぜ能力・実績主義と再就職規制なのかということでございます。

 これはもう言うまでもなく、実力主義が言われて久しいにもかかわらず、相変わらず年功序列の人事が、法律のどこにも書いていないのに延々と行われてきた経緯がございます。結局、こうした実態が肩たたきという慣行を生み、天下りの弊害の根本になっている。したがって、まずこの年功序列に風穴をあけるという意味からも、実力主義、能力・実績主義の導入というのが一番の基本であろうということで、今回それが基本になった案が出されているわけでございます。

 一方において、中馬プランが官民の垣根を低くするという大変すばらしい案を出していたにもかかわらず批判されたのはどこにあったかというと、天下り規制がちょっと十分ではなかったのではないかという反省に基づきまして、天下り規制というものを入れたわけでございます。

 今回は、総理の指示によりまして、各省あっせんを全面的に禁止するという大変抜本的な改革案を盛り込んだわけでございまして、まさにこういうことによって、国民の信頼というものを公務員制度の中で回復していくきっかけになるという確信のもとに、この二つを先行して今国会に提案させていただいたところでございます。

田端委員 この議論の中で、我が党からも、基本法とは言っていませんがプログラム法というふうな形で、今まで一貫して我々は、そういったことを流れをきちっとつくった上でやるべきだという趣旨のことを申し上げてきました。

 つまり、さっきも申し上げたとおり、公務員制度というのは、国の中枢の仕組みであるだけに、今回の改革と相まった全体像というものを、パッケージ改革としてのそういったことをきちっとすべきだということを重ねて、ずっと一貫して言ってきたわけでありますが、今大臣のお話を聞いていても、私はまだそこのところは、そういう思いはなお持っているものでございます。

 つまり、どっちが急ぐかということはわかるんですが、しかし、全体像をきちっとしたということで、議論は慎重に、しかしやるときは英断を下してやる。そういうことをきちっとやっていけば、あとは、少し時間はかかっているようだけれども結果としてはいい流れになるのではないかという思いをするだけに、その点についてこだわっているわけであります。結果として、国民の生活に関連する、そして福祉、住民サービスが向上するような公務員改革であるべきだ、結果としてそうあるべきだと思うわけであります。

 再度お尋ねいたしますが、今回の政府案と基本法との関係、これをどうお考えになるのか。明快にお答えいただければ、こう思います。

渡辺国務大臣 御指摘のように、基本法といいますか、採用から退職までの公務員制度、人事全般の総合的、整合的な検討を進めていくことは言うまでもございません。その中で、専門スタッフ職の実現、公募制の導入、官民交流の抜本的拡大、定年延長を含むプログラム法案を次期通常国会に提出することにいたしておるわけでございます。

 公務員がやる気と情熱を持って、また能力を高めながら仕事に取り組むことができることは、国益あるいは国家の経営に当たって大変大事なことでございます。そのことが国民の信頼を得ることにもつながっていくと考えております。

 一方、現実を見ますと、先ほども申し上げましたように、年功序列人事が横行し、同期が横並びで昇進し、ほぼ同じ給料をもらって、やる気と情熱を持った優秀な公務員が若いうちから能力を発揮することが、残念ながら十分にはできていない状況にあると認識をしております。

 年功序列人事で、同期横並びの人事が行われる結果、課長クラスより上級になってポストが限られてまいりますと、各府省が人事の一環として天下り先をあっせんし、これが官製談合の温床とも残念ながらなってしまっております。また、各府省が人事の一環として天下りあっせんをすることにより、公務員の忠誠心が国家ではなく各役所に向いてしまうという縦割り主義の弊害ももたらしているところは、御案内のとおりでございます。これでは、公務員が能力を発揮することも国民の信頼を獲得することもできません。

 今回の法案で、能力・実績主義の導入と天下りの根絶に取り組む、ここから始めようという決断をいたしましたのは、年功序列と各省縦割り主義こそが、役所の岩盤のように横たわる最も根源的な実態的ルールだからでございます。こうした問題に最優先に取り組み、一刻も早く取り組む必要があるという点で、全体パッケージの中でこの二つの問題を先行して今回の法案を提出させていただいたところでございます。

田端委員 今のお話はよく理解するところでありますが、しかし、できるだけ総合的、パッケージ的な改革ということを念頭に置いて今後とも議論を進めさせていただきたい、こう考えております。

 そこで、行政改革という大義から見て、今回の公務員制度改革ということもまた大変大きな意義を持っている、こう考えております。能力・実績主義、このことは、つまり公務員一人一人が適材適所、そしてできるだけ少ない人数、最少の人数で最大の効果を上げる、こういうことになるのかと思いますが、この能力・実績主義がようやく民の世界だけではなく官の世界にも入ってきたな、こういう意味で、これはこれとして評価したい、こう考えております。

 しかし、私も今まで議員として、あるいは一国民として公務員と接してきた中で、日本の公務員というのは非常に勤勉でまじめで、そういった意味ではいいものを持っていると評価はしつつ、しかし、中には、休まずおくれず働かずといいますか、そういったことに見られるようなところもあるわけでありまして、そういう意味では、公務員に対する国民の審判というのは非常に厳しいものがあろうか、こう思います。

 特に、私の場合は大阪であり、馬淵さんも関西ですけれども、大阪市の職員の厚遇問題等がここ数年指摘されておりまして、大阪の市民の感覚からすると、公務員に対しての不満といいますか、そういったものが非常に強いということを肌身にしみて感じている一人でございます。そういう厳しい状況も一方にはある。しかし、だからこそ、能力・実績主義というものをどう徹底して実現していくかということが非常に大事だ、こう考えます。

 そこで、民主党の提案者にお尋ねしたいと思いますが、この能力・実績主義を徹底するということについては、少なくとも国家公務員法の本則の方の改正に入れるべきではないかと思っておりまして、少し不思議だなという感じがしておりますけれども、具体的な改正案を今回なぜお示ししなかったのかという点についてお尋ねしたいと思います。

 うがった見方をすれば、能力・実績主義ということについて消極的ではないか、附則にちょこっとだけ書き込んでというふうなことも、悪意を持って考えれば推測できるわけでありまして、その点、民主党はどういうお考えなんでしょうか。

馬淵議員 お答えいたします。

 今、民主党の能力・実績主義の徹底についてはどういう考え方なのかという御質問でございましたが、私、かねてからお伝えをしておりますように、能力・実績主義については、昨年国会に提出させていただきました行政改革推進法案、この中で本則に明確に記させていただいております。能力・実績主義をもって人材活性化を図っていく、この人事管理制度を行っていくということを明確に本則に記させていただいておりまして、また、それを受けて、今国家公務員法の改正におきましては附則に記したところであります。

 私どもは、具体的には国の事務事業、これはもう全国にわたる事務事業を見直して、これを行政刷新会議という形で権限を集中させたところで、その事務事業をNPOも含めたさまざまな機関に移譲する、あるいはその実績を反映させる形で国家公務員の皆さん方の能力を評価する、こうした進め方を考えておりまして、今御指摘の部分、能力・実績主義について私どもが消極的ではないかということの御指摘は、全く当たらないものと考えております。

 また一方で、今議員の御指摘がありましたパッケージで出していくことについての不安といいますか、これが果たして本当に天下り根絶という部分につながっていくのか、パッケージ論によってごまかされはしないかという御指摘、さらには基本法が必要ではないかという御指摘、先ほどの質問の中にもありましたが、まさに私たちもそのように考えておりまして、今法案では、天下りの根絶というものが最大の焦点であります。パッケージ論を取り立てることによって、全体像を示すということによって、本来正すべき焦点がぼやけてしまう。これを正すものであります。

 例えば、公明党の中では、私も拝見をさせていただく中で気がついたんですが、平成十五年の二月三日、この衆議院の本会議で、御党の神崎武法代表が代表質問でこのように述べられています。「いわゆる公務員の天下り問題についてであります。」ということで、「公明党は、天下りの背景にある早期退職慣行そのものが、特殊法人や公益法人のあり方も含めた公的な部門全体にかかわる種々の問題の根源にあると認識しており、これまで一貫してその是正を主張してきました。」まさに私たちが主張しているように、肩たたきこそ問題の根源にあるというのを御党の代表が代表質問で時の総理にしっかりと指摘をされているんですね。本当に私たちと同じ思いを持っていただいているんだなと改めて確認をしたわけであります。

 また、神崎代表は、その後の十五年二月十一日の夕刊フジでも、生活与党、「神崎武法の直球勝負」という中で、「早期退職慣行の是正についても提案しました。」ということで、御自身、記事を書かれています。この中でも、「民間や社会情勢などを踏まえれば、当然実現すべきだと思います。」というのは早期退職慣行の見直しの部分、このことについて、民間、社会情勢を考えれば正すのは当たり前だ、一番にこれを正さねばならないと御党はおっしゃっているわけですね。

 私どもは、このように、皆さん方がこうしてこの肩たたきこそが問題の最大の焦点なんだということを御認識いただいているんだということを踏まえて、国民の意見をしっかりと受けとめて今回の法案を提出させていただいたわけでありまして、能力・実績主義を排除するものでもなければ、問題の本質をあぶり出して、私たちが、天下りバンク法案ではない、民主党の天下り根絶法案こそが国民の望むものであるということをお伝えさせていただいておるものであります。

田端委員 馬淵さんは何か答弁者じゃなくて質問者に変わったんですか。そんな感じがしますよ。

 ちょっと私、伺いますけれども、それでは、今おっしゃった、昨年の通常国会、行政改革法案を民主党が出された、そこに行政刷新会議の設置ということがあり、そこで事務事業の見直しというお話がありました。そして、そこで能力・実績主義、これに取り組むというお考えのようだという御説明をいただきましたけれども、この行政改革法案は去年廃案になっているんじゃないですか。廃案になっていることをそういうふうに言われても、本則だと言われても、ちょっと私どうもひっかかるわけでありまして、日の目を見なかったということが前提にあるということで御答弁をお願いしたい、こう思うわけであります。

 今、神崎代表の説とかいろいろなことをおっしゃられたようでありますけれども、それはそれとして、そんなに感覚の違いはないんだろう、私はこう思っておりますけれども、行政改革という観点からしますと、この民主党案では、勧奨退職を禁止する、そしてまたあっせんを禁止する、あるいは再就職を禁止する、そして、公務員については、定年といいますか六十歳まで公務員、そのまま残る。そしてその分、しかし何年間か新規採用は抑制する。

 つまり、例えば、五十三、四で肩たたきになる、その肩たたきになるのをやめることによって、定年としますと、六十歳まで六年か七年、ここは単純に計算してそのままいくわけでありますから、私は人事は停滞すると思うんですよね、新規採用できないわけですから。そうしますと、これは民主党案は、移行する場合に、そこで六、七年間大変ブランク、空白が起こると思うんです。これは社会への影響は大変大きいし、とりわけ公務員を目指そうという若い人たちに悪影響を与える、こう思うわけであります。

 だから、総人件費も定員もふやさないで、新規採用も抑制しないで、なおかつ退職勧奨を行わないということが、私はそれはできるとは思えないんですけれども、そこのところはどういうふうにお考えなんでしょうか。

馬淵議員 民間でも定年まで勤めることができるわけですね。今回の問題点は、国家公務員法の中で定められていないのに慣行によって肩たたきが起きる、これによって天下りのあっせんが生じてしまうということで、私どもはこれを廃止せよという法案を出したわけであります。

 そのときに、人件費がふえるのではないかという御質問でありますが、これも前回お答えをさせていただいておりますように、これは新規採用の抑制等を考えております。これはおおむね三年程度。しかも、能力・実績主義に応じて、これは役職定年やあるいは昇給停止等々、これも民間の現在行われているようなさまざまな施策、これを我々は前提としています。そして、その中で、三年二割という、これは全国、地方の分権も含めた、さまざまな事務事業の分散も含めた形の中で、三年二割の総人件費の抑制、これも我々は打ち出しております。一方、定数のところで政府は減をおっしゃっておられますが、むしろこちらの方が、実際的な予算への反映というのが、これが真否が問われる部分であると思っております。

 私どもは、民間が通常行っているようなさまざまな施策の中で、人事の停滞などを起こさない形で大リストラを敢行されてきた民間と同じように、今回の公務員制度改革そのものが大リストラである、そのような位置づけの中で、新規採用の抑制、早期退職勧奨をなくすかわりに、能力・実績主義の中での役職定年等、総人件費の抑制を図る。

 これができない、天下りをしなければできないんだということ自体が、繰り返し申し上げますが、今の国家公務員のその組織にマネジメントが不在だとみずからが発しているのと同じ話なんですね。民間がこのような形で天下りを推進しているようなところは、現状ではほとんどの、中小企業、零細含めて、九九・七%の零細中小、これはあり得ないんですよ。その中でいかに活性化するかということが問われているわけでありまして、委員の御指摘は全く当たらないというように考えております。

田端委員 つまり、何かよくわからない形でリストラをやるということにしか私には聞こえなかったんですけれども。

 おっしゃるように、行政改革推進法案の中で、刷新会議を設置して、そして事務事業を見直して、三年間で二割削減する、こういうことだと思いますが、人件費というのは人数と単価、この両方を掛け合わせていくんだと思いますけれども、そのためには、公務員の場合は人事院勧告というのがあるわけでありますから、この人事院勧告を無視して人件費の単価を引き下げるというのは、どういうふうにするのかというのがよくわからない。そうでないとするならば、人を減らすしかないと思うんですが、二割の人数をどういう形で減らすのか。さっきも申し上げましたように、つまり、六十歳まで定年を勤め上げた上に三年間で二割を削減するというのは、これはどこにその法案で書かれているのかがよくわからないし、スケジュール的にどういうふうにされていくのかなという点はもう一つ不明なところだと思う。

 そういう意味で、なかなか私は、おっしゃることはわかるんですが、しかし、現実問題としてこれがどうなのかという点では非常に疑義を感じています。

馬淵議員 先ほど来申し上げていますように、私どもが掲げている行革推進、先ほど委員はこれはもう廃案になったとおっしゃいますが、私どもは、この行革推進法案、私どもの案として、我々が政権を担えば実現できるものとして、それを前提にお話をさせていただいているわけであります。

 その中で、具体が見えないとおっしゃいますが、現状の今の政府案であっても具体を何も示しているものではありません。ましてや、今回最も重要だと思われるような天下りバンクの部分についても、有識者懇にゆだねるなどという全くあいまいなままで政府案も出されているわけですね。むしろ私どもの方が明確に、総人件費の抑制という形で、定数ではないところで出しています。定数というのは、ある意味、独立行政法人化することによって減を図ることができる、ごまかしがきくんですね。私どもは予算という総枠で抑えている、こちらの方がむしろ現実的なものだと申し上げたいと思います。

 また、先ほど来、よくわかる、そのお気持ちはわかるんだという御指摘をいただいておりますが、これも、公明党さんの中では、魚住裕一郎参議院議員が公明新聞の昨年の三月四日付でおっしゃっておられますが、「公明党は、天下りの禁止期間を現行の二年から五年に引き上げるべきと主張しています。」このように新聞の中でも明確におっしゃっておられます。やはり、こうした御意見を伺いますと、我々の主張がよく理解できるという御意見をいただく上で、この今の政府法案というのが余りにもあいまいで、そして問題の本質をずらしているということをお考えなのではないか、そのように感じますし、ぜひ公明党の皆さん、御党の皆様方には私どもの提案に対して御賛同いただきたく、心からお願い申し上げたいと思います。

田端委員 申しわけないんだけれども、私の疑問点にはお答えいただいていなくて、何か、すれ違って私どものことについておっしゃっているようにしか受けとめられないんですが、申し上げた行政改革推進法案が廃案になってあれだったら、もう一回今国会に出せばよかったんですよ。そしてそこにちゃんと書いていれば、議論としてはかみ合うんですよ。それがなくておっしゃっても、それは私はやはりおかしいんじゃないかということだけは御指摘したいと思います。

 政府の方に総人件費のことについて伺いますが、各省庁のあっせんを全面的にやめて、そして天下りを大幅に規制するということでありますが、総人件費改革というのは、政府の方としては、それはどういうふうに取り組まれるのですか。十八年の六月でしたか、閣議決定で、五年で五・七%定員純減、こういう閣議決定がありますが、これはどういうスケジュールといいますか、どういう流れでここのところをやろうとされているのか、その辺をお尋ねしたいと思います。

渡辺国務大臣 安倍内閣においては、行政の無駄をなくす、簡素で効率的な筋肉質の政府をつくるというのが基本方針であります。

 総人件費改革においては、平成十八年度から五年間、国の行政機関の定員を五・七%純減をいたします。この目標は必ず達成をいたします。業務の大胆な、かつ構造的な見直しを行います。めり張りをつけながら真に必要な行政需要に適切に対応をいたします。定員の純減をこういうことによって実現をしていくわけであります。給与水準については、現在進めている給与構造改革の着実な推進を行ってまいります。それによって総人件費を可能な限り削減をしてまいります。

 今回の法案においては能力・実績主義を貫徹いたします。この考え方を退職後まで貫徹をし、人事当局が天下りポストを確保することはやめます。本人の能力と経験に応じて再就職をする仕組みに変えるということであります。したがって、天下りは根絶されるということでございます。

 実力主義を徹底してまいりますと、仕事のできない人、仕事をしない人はポストや給料が下がることがあります。場合によっては免職をいたします。ですから、これは総人件費改革とも整合的であるということが言えるわけであります。

 政府案においては、再就職を過度に抑制することではなく、官民の人材交流は進めます。一方、予算、権限を背景とした天下りは根絶をいたします。この点でも、役人をむやみと抱え込む案とは違って、総人件費改革と極めて整合的であるということが言えようかと思います。

田端委員 今大臣も力強くお話ございましたが、今回のこの法案は、官製談合とか税金の無駄遣い、その背景にある天下りを根絶する、あわせて、小さくて効率的、そして筋肉質の政府をつくる、能力・実績主義も導入する、簡単に言えばそういうことかと思います。

 中でも、天下りということについては、先ほど来申し上げているように、国民も大変に注視しておりますし、またこれは大事なテーマだと思いますが、この天下りに対しての対処、特に副大臣は非常に勉強されているということも伺っておりますので、ぜひ明確に、天下り問題についてどうあるべきかということについて御説明願いたいと思います。

林副大臣 お褒めにあずかりまして大変恐縮でございますが、先ほど委員が御質問されておられました、今大臣からも御答弁がありました単価と数字についても、我々ずっとやってまいりまして、どの部門を何人というのを具体的に決めさせていただいておりますということをちょっとまず天下りの前に申し上げたいと思いますのは、例えば、農林統計は二千四百、食糧管理は二千二百と、ずっと、どの部門の人をどれぐらいやるのかということを決めて五・七%というのを出している。

 また、給与構造の改革も、例えば、地場賃金を反映させるための地域間配分の見直しとか、年功的な給与上昇の抑制と職務、職責に応じた俸給構造への転換、単価についても、きちっと改革をして、これを人事の勧告に反映をさせている。

 そのことによって、実際に、数字として具体的に、先ほど大臣が御答弁になられましたことを裏づけして、それを閣議決定をきちっとしているという前提で、その上に立って今回の天下りの規制も出させていただいているということをまず申し上げさせていただきたい、こういうふうに思います。

 今お尋ねの件でございますけれども、今般の改正では、公益法人等の非営利法人へのあっせんも含めて、国民の目から見たときに押しつけ的と受けとめられかねない、各府省等の行う再就職のあっせんを全面的に禁止したということでございます。この非営利法人というのが実はあっせんの対象の大変大きな部分を占めておったわけでございまして、営利法人に加えて非営利法人というのを対象に掲げたというのが大きな前進であるというふうに我々は考えております。

 また、今までは、密接関連ということで、営利企業等に再就職した職員の働きかけ等というのは人事でやっておったわけでございますが、形式的に、もうすべて規制をするということ。そして、罰則を含めた厳しい行為規制というのを、在職中に自分の行き先を探したり、また、退職された方が親元に対して働きかけをする、こんなことを全部行為規制で縛るということを導入した、これが第二点でございます。

 さらに、外部監視機関、これは再就職等の監視委員会等でございますが、厳格な監視体制を構築したということでございまして、こういうことをきちっと手当てをしたということで、我々は、いわゆる押しつけ的なあっせんによる再就職が根絶される、こういうふうに考えておるところでございます。

田端委員 今御答弁いただきましたが、大変大事な点だと思います。また、私たちの考え方がそこに大変多く反映されていると思っております。

 今回、公益法人はもとより、非営利法人全体を営利企業同様に対象としているという点は、これは画期的といいますか、大変大事な点だ、こう思います。

 そして、関連企業への口きき、再就職等の禁止については、懲戒、過料にとどまらず、今回は罰則まで入れているという点も、我々が主張してきた点であって非常に大事な点だ、私はこう思っております。

 そしてまた、再就職情報を内閣で一元管理していくということを法定化していますが、こういう非常に大事な点を含んだ改革であるという点で、我々としても、これは私たちが長年言ってきたことと重なって、非常によかったと思っておりますが、民主党案でも、これはいずれも画期的なことなので、皆さんにも賛同いただけるのではないかということを私は勝手に推測いたしておりますけれども。

 そんなことで、そういう中でこの改革は非常に大事であるということを再度確認申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

河本委員長 次に、木原誠二君。

木原(誠)委員 おはようございます。自民党の木原誠二でございます。

 本日は、公務員天下り規制あるいはまた能力・実績主義の導入といったことで、四十五分間、政府案そしてまた民主党案について質問させていただきたい、このように思います。

 中央省庁の再編があり、そしてまたその後、特殊法人改革、郵政民営化、あるいはまた政策金融機関の改革と、小さな政府に向けての一連の改革、大臣のお言葉をかりれば、筋肉質の政府をつくっていくという改革がずっと進んできたわけでございます。自民党そしてまた公明党、与党、必死の思いでこの小さな政府づくりというのを進めてきたわけでございますけれども、そういう器の改革というところはこれからも続けていかなければいけないわけでございますけれども、いよいよ、では、この器を動かす人の改革、これが今度まさに進んでいく、大変重要な局面にかかっているな、こんなように思うわけでございます。

 私は、イギリスの役所で勤務をした経験がございます。まさにブレア政権が誕生し、しばらくたってからでございましたけれども、私が行ったときも、まさにイギリスも公務員の制度改革というのを進めておりました。さまざまな改革がその中でも取り組まれたわけでございますけれども、その中でやはり印象的だったことは、あるべき公務員像、公務員にこれから求められる資質は一体何なのかということが極めて明確であったな、こんなふうに思っております。

 その点、今回の我が国における公務員制度改革も、やはり今後、二十一世紀に求められる公務員像というのは一体何なのかということを考えていかなければいけないし、まず明示をした上での改革であっていただきたいな、こう思うんですが、まず冒頭、大臣から、今後のあるべき公務員の姿、求められる資質といったものについて御意見をいただければというふうに思います。

渡辺国務大臣 英国大蔵省という著書をお持ちの木原委員には釈迦に説法でございますが、今回の公務員制度改革に当たりまして我々が考えております国家公務員像というのは、高い志を持っている、気概を持っている、使命感、倫理観、そしてすぐれた企画立案能力、管理能力、こういったものをあわせ持っている人たちをイメージしております。また同時に、深い専門知識、経験を持ったスペシャリストとしての能力も必要になろうかと思います。今回の公務員制度改革が目指す公務員像というのはこうしたものであります。

 政府案においては、意欲ある優秀な人材がやる気と情熱を持って仕事ができる仕組みをつくろうとしております。官民の垣根を下げることにより、民間の世界に対する高い理解と専門能力を高められるようにしております。アンケート調査をやってみれば明らかでございますが、だれしも国家公務員を志望する若者は、非常に志が高い人が圧倒的に多いですよね。天下りあっせんを期待して国家公務員になろうという人は余りいないのではないか、ほとんどいないのではないかと思います。したがって、そういう高い志を全うできるような公務員制度改革を行っていく必要があろうかと考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございます。

 同様の点、民主党の提案者の方にもお伺いをしたいと思いますけれども、あるべき公務員像、どんな理念で今回の法案が出されているのか、お答えいただければというふうに思います。

鷲尾議員 お答えをいたします。

 あるべき公務員像ということで、先ほど渡辺大臣の御答弁をお聞きいたしておりまして、大変納得するところが多い。目指すべきところは一緒なんではないかというふうに合点がいったところではあります。公務員を志望する人たちというのは、当然高い志を持っていて、何も天下りを期待する人たちじゃない、私もそう信じたいですし、だからこそ大臣がそのようにおっしゃったんだというふうに思います。

 そういう考え方から申し上げますと、民主党案で今回提出させていただいておるのは、あるべき公務員像として、天下り、官製談合や口ききの温床となるものが現状横行してしまっている、けさほどの新聞でも緑資源機構の報道がございました、そういう横行しているものをしっかりと禁止していく。そのために、我々民主党としては、天下りを根絶するということで、委員も御存じのとおり、しっかりとした天下りに対する規制を設けるということでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 大臣が冒頭おっしゃっていただいたあるべき姿、共感をするんだということがございました。

 私は、今の大臣の御答弁の中に幾つかのキーワードがあったな、こんなように思います。志、これはもちろん大変重要だろうと思います。それと同時に、やはり高い企画立案能力が求められる、専門性が求められる、そしてまた幅広い経験がこれからは求められると。そういう意味では、まさにこれからの行政というのは、私も金融の世界にいましたけれども、金融分野なんか特にそうでございますけれども、本当の意味での専門性が求められますし、幅広い経験というのが求められるんだろう。この点については、民主党の提案者の方も今まさに共感をしていただいたんだろう、こんなふうに思います。

 にもかかわらず、現実には、国家公務員を目指す人の数というのは実は年々年々、減少してきております。国家公務員試験への応募者数、倍率もどんどん低下をしてきている。他方で、若い職員、二十代、三十代の職員のやめる数というのも非常にふえてきております。私の出身省庁であります財務省でもこの五年間で三十人近くやめておりますし、経産省も四十人を超える人たちがもう既にやめてしまっている。今まさに高い専門性、企画立案能力、そしてまた知識等々が公務員に求められる、そういう時代にあって、しかし公務員離れというのは確実に進んでいる。

 この原因を大臣あるいは政府側はどんなふうにごらんになっているか、御答弁いただければというふうに思います。

林副大臣 最近、いわゆる二十代、三十代でおやめになる方がふえている。私が今四十六歳でございますが、私の同期のころからどうもそういう傾向が見られるようになったな、こう実感をしておりますが、実際に数字で見ても、最近五年間と十年前の五年間、さらに二十年前の五年間を比べますと、明らかに、若い段階でおやめになる方がふえているというのがあるわけでございます。

 給与が低いとか国民から信頼が落ちている、こういったことが言われておるわけでございますけれども、私どもは、それに加えて、やはり年功序列の人事というものがありまして、民間の世界の中で能力・実績主義というのが入ってまいりますと、例えば、私の場合は商社でございましたけれども、当時は、十年ぐらいはいろいろやってみて、しかし課長ぐらいまではみんななるんだ、こういうことを言われておりましたが、もう年次も逆転するし、早い人と遅い人で何年も差がついていくというのが当たり前になってきております。

 一方、霞が関ではまだまだ年功序列で、例えば、私の同級生、多分、昭和五十九年入省ということになるんだと思いますけれども、どんな実績を上げても、どんな能力がある人でも、昭和五十八年に入省した方を逆転していかない、こういうような年功序列人事というのがあるわけでございます。これは、今から入っていく学生の皆様にも見えることでございますし、実際に中に入った方々の、若い職員のアンケートというのを、実は、お亡くなりになられました橋本行革担当大臣のときにもとっておりますけれども、そこにも如実にそういうことが若い現役の皆様の声として出ているわけでございます。

 そういった意味で、幾ら頑張っても、自分の能力に応じて、やる気のある、またチャレンジングな仕事についていけない、こういったような職場でありますと、そういうやる気のある方が入ってこない、また、やる気を持って、志を持って入ってこられた方が早くやめていく、こういう状況になっているのではないかというふうに考えておるところでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 私もほぼ一〇〇%、今の御答弁に賛同するところでございます。

 私自身は、実は、とりわけ若い公務員の皆さんにとっては三つの点が非常に重要だ、このように思っております。一つは給与、これは一つ大変大きな要素であろうというふうに思います。もう一つは、国民から信頼を得ているんだ、あるいは少なくとも尊敬をされる仕事であるということ。そしてまたもう一つは、やはりやりがいのある仕事である、仕事の中身という、この三点が大変重要だな、こんなように思っております。

 そういった中で、今申し上げた三点というのは、これはずっと変わらない、永遠に変わらない三点じゃないかな、こう思うんですけれども、私が役所に入ったのが九三年でございます。当時の状況と今の役所に入ろうとする若者の状況を比べますと、大きく異なってきているのは、やはり外資系の企業の存在だ、私はこういうふうに認識をしております。私が公務員を志した当時というのは、外資系企業はもちろんあったわけですけれども、まだまだ、いわば大臣のお言葉をおかりすれば日本企業の護送船団方式があって、なかなか外資系企業というのは存在感を示していなかった。今はこの外資系企業の存在感は非常に大きい。外資系企業の動きを見ていますと、そこには年功序列なんというのはまず存在をしない、そしてまた給与も、二十代、三十代の方がむしろ高い、こういったような状況もあるわけでございます。

 そういう中で、私自身は、公務員の世界が外資系の企業になればいい、こういうように思っているわけではございません。それはとても無理だろう、このように思いますけれども、他方で、今まさに副大臣がおっしゃっていただいた、年功序列を打破するというのは、これは非常に重要な論点じゃないかなというふうに思っております。

 私がイギリスの大蔵省に行って最初に接した大変に衝撃的なことは、課長が三十五歳だった、こういうことでございます。私は二十九歳で行きましたけれども、私の勤務した課の課長は三十五歳でありました。これはまさに衝撃的でありましたし、局長は四十六歳であったというふうに記憶をしております。四十の半ばだったというふうに記憶をしております。

 その前提になるものはやはり能力・実績主義だろう、このように私は正直思います。年功序列を打破する一つの大きなキーワードが、能力・実績主義というものを徹底していくということであろうというふうに思いますけれども、今回、政府案においては能力・実績主義をしっかり導入するということになっておるわけでございますけれども、ここで民主党の皆さんにお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほど、田端委員からもるる御指摘がございました。私は、先ほどの馬淵委員の御答弁を拝聴していてちょっと納得いかないものがある。やはり附則に書くということは、今回の法案、あるいは少なくとも公務員制度改革の中にあって、主たる論点ではない、従たる問題なんだという整理をされている、こういうことだろうというふうに思うんです。能力・実績主義を導入するということがやはり公務の世界を変えていく最大のキーワードになってくる、このように私は思いますけれども、もう一度、なぜ附則に書いているのかということを御説明いただきたい、このように思います。

 あわせて、先ほど田端委員の議論の中に、民主党が御提案をいただいた行革推進法はもう既に廃案になっている、廃案というよりも今回提出し直していない、そういう状況の中でなぜ附則なのかということについて明確な御答弁をいただきたい、このように思います。

鷲尾議員 お答えをいたしたいと思います。

 民主党案では、天下り根絶をさせていただきます。与党の先生方から、当然、組織として年功序列で今人事が来ている、実態としてはそうだという話の中で、それこそポストがないから人事が滞留するとか、いろいろなお話をいただいておるところであります。

 ただ、思いますのは、民主党は、先ほど行革推進法案は廃案になっておるという話をしましたが、行革推進法案の中で、総人件費を含めた改革を行うということを申し上げておるわけで、そしてまた、能力・実績主義の導入についても積極的にやっていく。

 逆に、今は事務次官が一人残るような、そういう人事になっておるわけです。ほかの方々は、同期であっても、事務次官一人残して、特殊法人含めて外郭団体の方もしくは関連営利企業に天下っていくというのが今慣行としてあるわけですけれども、そういうことをさせないということが民主党案なわけですね。そうしますと、当然、逆説的かもしれませんが、逆に、能力・実績主義をやっていかないとまずいという話になってくるわけです。そのインセンティブがより強く働くのではないかというふうに思うわけであります。

 もう一点、先生から御質問は、附則に置いてあるのはどうかという話をいただいておりますが、本則と附則の区別は、そもそも論としてはないというふうに認識しております。効力は一緒である。技術論的な話になりますけれども、本則は恒久措置であり、附則は暫定措置を書いたものである、技術論的にはそういう認識でよかろうと思いますけれども、我々は、能力主義についても数年間でしっかりと導入していきたい。期限を区切ってやるんだということを逆に附則であらわしている、決意のあらわれであるという格好で認識していただけたらというふうに思います。

木原(誠)委員 先ほどの答弁よりはちょっと前進かな、なぜ附則に書いたかということが述べてありましたから。

 しかし、私は、本則と附則、法効果的には差がない、これは全くの見当違いだろうと思いますし、附則は、私も何本か法律を起案してまいりましたけれども、通常は本則に書いてあることに付随して、例えば変更が必要になったことを附則で措置する、あるいは、まさに今御説明いただいたように、期限を定めて何かをやらなければいけない、ただしその場合は、何年までに、あるいは何年間ということを書くのが通常の世界であります。

 私は、今のお話を伺っていると、もし期限を定めてということでこれを書いたということであれば、むしろその期限内しか能力・実績主義はやらないんですよということをみずから明示したようなものである、そういう答弁かなというふうに拝聴したけれども、それはやはり本気度が少し足りないんじゃないかな、こんなように私は思います。

 もう一点、後で御答弁いただければいいと思いますけれども、私、さらに言わせていただければ、能力・実績主義というのは、既に実は別に法律に書かなくても本来できることであります。しかも、恐らく今の役所も、基本的には能力そしてまた実績主義で運用しているんです、こういうふうに言うんだろうと思います。能力と実績を反映しながら、どのポストにだれを充てるのか、そういう人事をやっていますというのが今の現状だろうというふうに思います。

 しかし、今回、あえて政府がこの能力・実績主義をしっかり本則に書いてきたというのは、まさに、採用年次とか採用試験にとらわれない、そういう能力・実績主義をやるんです、中身をしっかり規定して能力・実績主義をやるという決意、そしてまたその中身をしっかり明示した、こういうことだろうというふうに思います。

 私は、ただ単に能力・実績主義をやりますと言うだけでは何の前進にもならない、やはりどういう能力・実績主義をやっていくのかということを法律に書かなければいけないんだろうというふうに思います。そういう意味では、附則にしか書いていない、しかも附則には書いたけれども中身も何も書いていない、これではやる気がないととられても仕方ない、このように私は思いますけれども、いかがでしょうか。

鷲尾議員 当然、やる気がないわけではないわけでありまして、我が党案が、先ほども冒頭申し上げましたけれども、現行では、事務次官一人残してその他の人が全員天下る、同期入省した人が、トップになるのは一人だけ、その他はもう省庁にいないんだ、これは、年功序列とはまたちょっと違った意味で非常にゆがんでいるというふうに私は思うんです。そうじゃないと。

 民間で行われている年功序列というのはどういう話かというと、確かに、例えば同期入社の人たちは、ある程度まで年功でポストは行くかもしれない。その後は、それこそ複線型の人事ということで、いろいろな給与体系の違うスタッフとして採用されたりしていくわけです。これは当たり前の話としてやっているわけです。

 ですから、我が党案としても、当たり前のことをしっかりやっていくということを暫定措置に盛り込ませていただいたということでございますので、今の人事が逆にちょっと異常なのではないか。民間と同様に考えるのであれば、当然に、今の能力・実績主義の導入というのはこれからさらに厳格に導入していかなきゃならないということは、我々としても当然認識しておるところであります。

木原(誠)委員 わかったようなわからないような答弁でございまして、とりわけ、暫定措置ということは私はどうにも気にかかるな、このように思います。附則はまさに暫定措置でございますけれども、能力・実績主義を導入するということを暫定措置として書くということの理念を、もう一度しっかり御説明いただきたいと思います。

 それからもう一つ、中身をなぜ書かないのかということをもう一度しっかり御答弁いただきたい、このように思います。どういう能力・実績主義を導入していくのか、この点について御答弁いただきたい、このように思います。

馬淵議員 能力・実績主義を暫定的に行うというふうに申し上げているわけではなくて、本則というのは恒久措置、そして附則というのは暫定措置という技術論を今、鷲尾提出者が申し上げたわけであります。

 私どもは、行革推進法案の中で本則で能力・実績主義を書きました。そして、先ほど来御指摘ありますようにこれは廃案となったわけでありますが、行革推進法案の中での国家公務員法の改正部分について、私どもがその推進法案から該当部分について附則で書いたわけでありまして、能力・実績主義を実現していく期間、これは前にも申し上げましたが、例えば、おおむね三年程度の新規採用の抑制を行って早急に能力・実績主義の制度をつくっていく、行政刷新会議において国の事務事業を全国さまざまなものを見直していく、ある一定の期間においてこれを実現するという意味でありまして、能力・実績主義が、ある一時期であるというわけではありません。

 そして、中身についてという話でありますが、これも繰り返しでございますが、私どもが政権を担った場合に、それこそ全国の事務事業、すべてを一覧して、そして権限を強化してこれを見直すことが前提であります。その上で、具体的に、俸給制度を含め、さまざまな給与、あるいは職務分析も行った上での能力・実績主義を図っていくわけでありますから、その事細かなことについては、むしろ現行の政府案でも明確には記されていない。

 当然ながら、それは今後の業務の分析の中で、ジョブディスクリプション等明確に示して、そして、あるべき業務は何なのか、公務員として遂行すべき職務はどの部分なのかということを定めた上で、能力・実績主義という形での評価制度をつくっていくということであります。

木原(誠)委員 私は、法案の提案者としては、私どもが政権をとった場合にはというふうに答弁をされるのは自殺行為だというふうに思います。当然のことながら、政権をとろうがとるまいが、この法案はみずから今回必ず成立をさせるんだ、全員の同意を得て成立させるんだということを前提に議論していただかないと、政権与党になった場合にはこれこれこういうことをやろうと思っていますという答弁では議論にならない、このことは私はあらかじめ申し上げておきたいというふうに思います。

 ちょっと議論を次に動かしたいというふうに思います。また後で補足していただければいいと思います、時間も限られていますので先に進みたいと思いますけれども、今、なぜ附則に書くのか、そして、なぜ能力・実績主義を具体的に書かないのか、私は必ずしも十分な答弁ではなかった、このように思いますけれども、議論させていただいた中で、三年間の新規抑制をやっていく、こういう答弁がございました。

 三年間の新規抑制で足りるのかと、私は正直、疑問に思わざるを得ません。今回の民主党の御提案いただいている法案というのは、いわば公務員縛りつけ法案だ、私はこう思っていますので、一つの箱の中に公務員を押し込んで、ずっとそのまま公務員の身を保持する、そういう法案の中で、人件費の抑制あるいはまた定員削減というのを進めるために、三年間の新規採用の抑制で足りるのかどうか。私は新規採用を抑制すること自体も適切でない、こう思っておりますけれども、しかし、そこを百歩譲って、三年間の新規抑制、これで事が足りるというふうに試算をされて、あるいは考えていらっしゃる、その根拠をちょっとお示しいただきたい、このように思います。

馬淵議員 これも、おおむね三年間というふうに申し上げましたが、例えば、民間企業がさまざまなリストラを今日までやってこられました。これが、例えば十年、二十年かけてやっているのでは、リストラになりません。私どもは、まずこの問題の本質は肩たたきにあるんだということを申し上げている。だから、この法案では、肩たたきの禁止を掲げて、そしてあっせん、天下りの禁止をその次に、肩たたき禁止、天下り禁止、あっせん禁止、こういうふうに掲げたわけであります。

 ただ、その場合に、御指摘のように人件費が膨らんでしまうのではないかということについては、おおむねの三年間の抑制を図りながら、早期退職勧奨慣行制度をなくすということで、人件費がふえてはならないということでの役職定年、あるいは昇給停止、さまざまな職務の分析を行っていくということで抑えていくわけですね。

 繰り返しですが、このことで委員が、大きな政府になりはしないかということについては、私は全く論にならないと思っておりまして、民間が三年程度でというのは当然ながらの目標であって、これを十年、二十年かけてやっていたら、当然ながら市場では生きていけないんですね。このような形の目標を持たないで進めること自体が、私は大きな問題であると思いますし、今日においても、政府がさまざまな形で早期退職勧奨のこれを見直しせよと小泉政権の中でも進めてきたにもかかわらず、それは是正されてこなかった。そして、その是正できなかったことを、今度は天下りバンクという形で政府案は別に衣がえをしようとしている。このことの方が、繰り返しになりますが、私どもは、国民の目を全く違った方向にそらす論であると言わざるを得ないと思っております。

 私どもは、とにかく、繰り返しになりますが、肩たたき禁止、天下り禁止、あっせん禁止ということが法案の軸であり、それに伴ってリストラを三年間で行っていく。つまり、徹底的な公務員制度の見直しを図るんだということ、これ以上にシンプルな形はないと思っております。

 具体的なこととおっしゃいますが、現行の政府でもそれについては何ら触れておられない。我々は、三年で二割という、行革法案のときにも示したもの、事務事業の見直しを含めて、業務分析を含めて、地方分権を含めて、これを掲げておりますので、これと比較したときに政府案がまさるというのは、全く論にならないというふうに思っております。

木原(誠)委員 三年程度というのは目標値だ、こういうことだろうというふうに今拝聴いたしましたけれども、一言、その点、ちょっと私のコメントを申し上げておきますと、今、早期退職勧奨が行われるのは五十歳ぐらいからです。五十歳ぐらいの給与というのはどれぐらいか。一千万近く行っております、公務員の世界でも。入ってくる若い人たちの給与はどれぐらいか。私は、この半分以下ということだろうというふうに思っております。

 しかも、早期退職勧奨をやめてというよりも、頭ごなしに早期退職勧奨は一律にだめなんだということにしてしまって、ずっと囲い込んでおくということは、これは単年度のインパクトではありません。もし五十歳でやめる人がいたとすれば、その後六十歳まで十年間、このインパクトは残っていくということでございます。給与は、昇給をやめるといっても、一千万円程度で高どまりをするわけでございます。それを新規採用三年間の抑制だけでとてもカバーできないというふうに私は思っております。

 しからば、だからこそ組織の見直しをやっていくんだ、こういうことだろうというふうに思いますけれども、一体どこから手をつけていくのか、具体案というのはどこにあるのか、そして、今回なぜその具体案をしっかりとお示しいただいていないのか、この点についてもう一度御答弁いただければというふうに思います。簡潔によろしくお願いいたします。

鷲尾議員 木原委員にお答えいたします。

 先ほど来、公務員を縛りつける、押し込む、我々の案がそういうふうに見えるというふうにおっしゃっていただいておりますが、今木原委員が御質問あったように、要するに、能力、実績の人事制度を導入しないと、それこそ我々が附則に示して、これから能力主義、実績主義を導入して人事制度を変えていこうということは、当然実現できないわけであります。ですから、我々の案で天下りを逆にしっかりと否定することが、それこそ能力・実績主義につながっていくということなんだと思います。押し込むんではないんですよ。押し込むし、縛りつけるというわけではないんです。押し込むし、縛りつけるという案は、だから逆に、我々としては、能力・実績主義の導入の強いインセンティブになるというところだと思うんです。

 ですから、先ほど来馬淵委員も申し上げているとおり、行政刷新会議を含めて、地方の支分局の業務を含めて、しっかりとそれは見直していくという方向性は我々としては打ち出しておるわけでありまして、当然そこから手をつけるということになりますでしょうし、何よりも、そうしないと附則に書かれてあったことが絵にかいたもちになるわけですから、それは確固たる実行力を持って我々としてはやらなきゃいけないし、それこそ霞が関の皆さんの側にもそうせざるを得ないインセンティブが生じるということでお答えさせていただきたいと思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 能力・実績主義、やらざるを得ない。まさに民主党の案を実現するためには能力・実績主義は必要なんだと。そういう意味では、能力・実績主義は肝なんですよ、民主党の案をもしやろうとしたら。間違いなくやろうとしたら、しっかりやろうとしたら。にもかかわらず附則に書いてあるというのは、やはりこれは議論が全くかみ合っていないな、議論というよりも理屈がかみ合っていないなというふうに私は思います。まさに今お認めいただいたように、能力・実績主義は非常に重要なんですね。それをやはり本則に書くべきだったろう、この点はもう一度御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたが、まだ幾つかお伺いしたいことがありますので、余りいい言葉でないかもしれませんが、私が縛りつけ法案だというふうに申し上げた点をもう少し議論を深めたいな、こういうふうに思います。

 冒頭、大臣から、そしてまた提案者の方からも、賛同するということで、まさに専門性が必要だ、あるいは高い企画立案能力が必要だ、あるいは知識、経験も必要だと。私は、それを実現する最大の手は、やはり官民交流を活発化するということだろうというふうに思います。残念ながら、民主党の御提案いただいている案では、私は官民交流をしようにも、民から入ってくる人は、すき間が全くない、どうやって入ってくるのかな。これだけ箱の中にぎゅうぎゅうに詰め込んでしまって、どこに民の人を入れようとしているのか。その点、まずお伺いしたいというふうに思います。

 また同時に、やはり一番問題だな、こう思いますことは、例えば、ある銀行の方が、官民交流で期限つきで金融庁に来た、そして今度はまた戻っていく、そのときに、さまざまな規制が民主党の案の場合にかかってしまう。私は、官民交流が全く阻害されてしまう、そういう危惧を持っておりますけれども、この点について御見解をいただければというふうに思います。

馬淵議員 お答えさせていただきます。

 そもそも、ポストがあるなしで官民交流が妨げになるんじゃないかとか、ぎゅうぎゅうで官民交流ができなくなるのではないかという発想自体が、大変恐縮ですが、役所の中の発想であるとしか言いようがないなと私は感じるわけです。

 繰り返し申し上げますが、民間でもさまざまな形で交流がございます。ポストがあろうがなかろうが、適材適所なわけですよね。必要な方が来られれば、あるいは能力を発揮される方が来られれば、ポストがあろうがなかろうが、さまざまな形で仕事をしていただけるんですよ。それが今、余りにも、たった一人を頂点とするピラミッド組織の中で皆さん方ががんじがらめで仕事をされているから、ポストがないと人が来ても仕事がないんだとお感じになられるんじゃないかなと思います。委員も財務省におられたということですから、私などは十数年間、民間の場しか経験ございませんので、その辺は非常に違和感を感じるわけでありますが、ポストがないから妨げになるわけではない。

 かつ、私どもが訴えている法案の中では、現行の官民交流法に基づくものについては何ら規制をするものではございませんので、例えば、ある会社から任期を限って来られる、その方が戻ることについての制限をするものではありません。したがいまして、官民交流はむしろ、私どもの法案でも、より充実させていかねばならない、このように示しております。

 そして、先ほど来の議論あるいは前回の議論、きょうの、けさからの議論も踏まえて、私がどうも違和感を感じるのは、皆さん方が、公務員は優秀だと。私、優秀だということについて否定するものではありませんが、特別な優秀さを持った方々ばかりが集まっているということではない。いろいろな方がいらっしゃるわけですね。民間にも優秀な方はいらっしゃいます。それぞれの能力というものは千差万別ですから、その能力を発揮する部分、分野がちょうど適材適所であればいいんですが、そうでない方もいらっしゃるわけであります。

 すべての公務員が優秀だ、すべての公務員が高い専門性と知見と志を持っている、だからこの人たちを何とかしなければならないというのは、余りにも、国家公務員、キャリア官僚の方々を選ばれた人々との意識としてとらえられているのではないか。どうもこの委員会の議論の中で、政府の説明、あるいは与党の議員の皆さん方の質問を伺っていますと、国家公務員、キャリア官僚が特別なものだから何とかしろ、そのように民間の方々には聞こえるのではないかと思います。

 繰り返し申し上げますが、私どもは、職業選択の自由の中で公務員を選んでいただいた方ということはすばらしいと思いますよ。公のために働こうとしているわけですから。利益を得よう、あるいは自分がお金をもうけて何か実現しようということではない形で、人のために働こう、全体の奉仕者として働こうとする意識、これはすばらしいです。

 しかし一方で、そのような方々が、御自身が特別に選ばれた優秀な人だから何とかしなければならないという論で、今回の天下りバンクのような法案がさも当たり前だと言われると、これは違和感を感じるのは、一般の方々はそうなんじゃないんでしょうか。だからこそ、私どもは、イコールフッティングにしましょうよと申し上げているわけでして、官民交流も含めて、適材適所を図るという理念が私どもの案である、このように申し上げたいと思います。

木原(誠)委員 先ほども田端委員の方からありましたけれども、答弁だけしていただければ結構ですから。時間も限られていますので、ぜひお願いをいたしたい、このように思います。

 今、官民交流で来た人には規制をかけない、こういうことですけれども、事後規制についてはかかるんでしょうか。その点、御答弁いただければというふうに思います。

馬淵議員 事後規制はかかります。

木原(誠)委員 事後規制、期間は十年、こうなっているわけですね。

 私は、正直申し上げまして、官民交流でいらっしゃった方が、戻って十年間、経験を積んだ役所と、しかも今回の外部規制というのは、違法行為だけを禁じているわけじゃなくて、極めて外形的に、いわば接触を断ちなさい、こういうことになっているわけです。それを、十年間廃止を、施行を適用除外にしなければ、だれも官民交流で来る人はいない、あるいは企業も送り出さない、このように思いますけれども、いかがでしょうか。そういう意味では、官民交流をまさに促進しない、むしろ邪魔をすることになってしまうんじゃないか、このように認識をしておりますけれども、いかがですか。

馬淵議員 まさに、かつていた省庁に顔を出してよろしくではないですが、そこでの人間関係の中でさまざまな情報が得られたりすることが温床になってきたという事実があるわけですね。

 私どもは、この事後規制については、ここを一点正せばいいわけで、何も、その方が行けなくても、その会社が接触できないわけではないわけです。せっかく優秀な方が来ていただいた、それは交流の事実として残っているわけですよ。決してその会社が出入り禁止になっているわけでも何でもないんですね。官民交流の事実が重なっていって、ただし、そこに影響力を及ぼすかもしれないような方々の接触というものは厳に慎んでいくという基本的な考え方を我々は示しているわけでありまして、今のお話にあるように、そんなことをされたら寄りつかないというのは、むしろ、よっぽどそこで何か癒着につながるような話をしていたのが、あたかも既成事実のように聞こえてならないんですね。

 私は、むしろそのような形で襟を正すことの方が、民間の方々にとっては非常に安心できる交流の場だというふうに思いますし、事実、私どもも、私自身がおった民間の会社でもさまざまな形の人事交流というのもありました。役所とかかわってこられた方が戻ってこられた、しかし、そのときに、では、おまえよく知っているだろうから行ってこいだけではなく、会社として接触を図ることができる、ある意味、いろいろな情報を共有して産官学の連携を図るなどといった形ができる、積まれるわけでありまして、今御指摘のようなことは当たらないというふうに考えております。

木原(誠)委員 私は、今まさに御答弁いただいた中で感じたことは、官から出て行った人は何か必ず悪いことをするという前提に立った理屈の立て方だな、こう思うんですね。

 今申し上げたように、会社が官と接触すればいい、それは当然のことです。しかし、出ていく人にとっては、せっかく培った経験、そしてまた知識、それをむしろ発揮させてもらえない。そういう意味では、私は、交流しようとする職員の側に立ってみると、これは非常にインセンティブをそぐ中身だと言わざるを得ないな、こんなふうに思っております。

 時間がありませんので、もう一問だけお伺いをしたいというふうに思います。

 今、事後規制の話があったので、事後規制についてお伺いをしたいんですけれども、これまで民主党の皆さん、天下りの事前規制を五年間に延ばすという案については法案を提出していただいております。しかし、今までの案では、事後規制というのは全く入ってなかったんだろうというふうに思います。そういう意味では、私は、政府の案をまさにぱくって、ぱくっていただいたのはいいと思います。そういう意味ではぱくっていただいたんだと思うんですけれども、一つだけぱくっていないところがあるんですね。外部監視機関、これを倫理審査会にやらせる。この部分だけ導入をしていただいておりません。

 私は、外部監視機関を入れないというのは、まさに本気じゃない、これまた本気でない。ただ単に、政府の案をその部分つまみ食いをしてきたけれども、本気の部分はつまみ食いをしなかった、そういうことだろうというふうに思いますけれども、この点、御答弁いただきたいと思います。

 とりわけ、倫理審査会というのは、私も秘書課におりましたのでよくわかっておりますけれども、個人の倫理を問う、そういう問題であります。しかし、今この再就職規制で問題になるのは、組織としての関与であります。そういうときに、私は、やはり外部の、しっかりとした強烈な、強固な監視機関がぜひとも必要だというふうに思いますけれども、これを導入しない理由を簡潔に御答弁いただければというふうに思います。

鷲尾議員 お答えをいたします。

 本気でないという御批判というか御指摘ございましたが、民主党といたしましては、新たな機関をつくるということが、もう既にそれが天下りとセットになるのではないかという懸念も含めまして、いろいろな議論を重ねた結果、現行の公務員倫理審査会の機能を拡充することによって対応していく、そういう方針でございます。

 政府が新たに設置しようとしている再就職等監視委員会を見ましても、その組織機能は、現行の国家公務員倫理審査会に倣ったものになってあるわけでございますし、これは、実務的に、新たな機能を国家公務員倫理審査会にしっかりと担わせるということで対応させていただくんだということでございます。

木原(誠)委員 倫理審査会、基本的には事務局は役人の方がやっておられます。今回の外部監視機関については、大臣も何度も答弁をいただいておりますけれども、役人のOB等々は入れないんだ、こういうことでございます。

 今回の事後規制というのは、まさに今回わざわざ民主党の皆さんがこれまでのみずからの御提案の中身を変えて、この事後規制を政府から導入をしていただいた、しかしこの外部監視機関の部分だけ導入をしていないということについて、私は何か疑わざるを得ないな、このことを申し上げておきたいというふうに思います。

 ちょっと大臣に、余り御質問ができなかったので、最後に一言だけお伺いをいたしたいというふうに思います。

 私は、この政府案、一方で能力・実績主義を入れる、そういう意味では、公務員のやる気をしっかり引き出していくという意味で、まず一方の車輪が走っている。そしてまた、能力・実績主義を導入することによって、少しずつ早期退職勧奨制度も是正をしながら、しかし、やめていただく方、あるいはやめたいという方、あるいは官民交流で外でやりたいという方には、押しつけ的でない、あるいは予算や権限を背景にしない中立的な機関、公明正大な人材バンクで官民交流あるいは再就職をしっかりと支援していただく。そういう意味では、車の両輪がしっかりと動いたすばらしい案だな、こういうふうに思っているわけですけれども、一つの心配は、やはりこの人材バンクが本当に機能するのかということについて多くの心配があるというふうに思っております。

 私は、今の天下りの最大の問題は、天下り先、再就職先が極めて固定化されてしまっていることだろうというふうに思っております。そういう意味では、この再就職の支援というものを内閣に持ってくることによって、もう少し幅広い、本当の意味で公務員がその知見を発揮できる再就職先を開拓していただくことが必要になると思いますけれども、人材バンクのそういう意味での求人ということについての御決意をお伺いできればというふうに思います。

渡辺国務大臣 これは天下り根絶センターでありますから、今までの人事の一環として行われていたあっせんから再就職支援に劇的に転換をしていくものであります。したがって、当然のことでありますが、マッチングを図るには、今まで埋もれたニーズがあるとすれば、その掘り起こしをしなければなりません。求人開拓も積極的に行ってまいりますし、また、役人というのは予算と権限をとられちゃったら何にもできない人間なんだという俗論を排するためにも、キャリアコンサルティングをきちんとやっていくということを通じて、機能するセンター、機能するマッチングを図ってまいります。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

河本委員長 次に、戸井田とおる君。

戸井田委員 自由民主党の戸井田とおるです。

 先ほどから渡辺大臣が手持ちぶさたというか口ぶさたというか、黙って静かに聞いておられる姿を見ていて、私の方にはもう思う存分、喜美節を発揮していただいて結構でありますので。自民党も今回はみんな出てやれということで、私も三十分、時間をいただきました。

 今回の公務員制度改革について、四月二十四日の閣議決定で、「「美しい国」を創る担い手として、国民から信頼され、かつ「世界に誇れる公務員」をわが国に創っていくことを目指すものである。」というふうに書いてあるんですね。いろいろな意味で、それぞれどの国にもいろいろな制度があるわけですけれども、なかなか一〇〇%完璧という制度は見つからない。しかし、その中で悪いものは正し、そして改革をしていく、そういう中でよりよき制度を求めていくという、その過程に現在もあるんだろうというふうに思うわけであります。

 今回、官民を問わず適材適所で人材を配置し、政府を運営するというのは、小泉政権時代からの基本であると思うんですね。成功した事例の一つでもあると思いますし、安倍政権においてもこうした取り組みを踏まえて進めていこうということで、現在この公務員制度改革がなされている。

 問題は、今回の急ぎつくられた法案が本当にそうしたことを実現するものとなっているのかどうかということが問題なんだろうと思います。適材適所ということを言われておりますけれども、我が国が今後も国際社会の中で責任ある地位を占め、社会経済を発展させていく、国民生活を守っていくためには、官民を問わず適材適所の人材を配置していくことが重要と考えられるわけでありますけれども、このことに対して大臣の御見解をお願いいたします。

渡辺国務大臣 まず、今回の法案は、長年の議論の積み重ねの上につくられたものであります。小泉内閣のときから、官民交流、官と民の垣根を低くする、そういう議論をやってまいりました。一方において、官民癒着の防止ということも必要でございますので、今回は事前から事後にわたる行為規制も同時に導入をしたわけでございます。

 日本の今までの人材移動というのは、非常に少ない時代が長く続いてまいりました。学者は学者、経済人は経済人、役人は役人、マスコミ人はマスコミ人という形で、非常にそれぞれの世界に特有の発想を持っていたり、共通の進むべき方向性についての認識がなかったりしたのではないでしょうか。しかし、この十数年来続いている経済のグローバル化の中で、まさに今までのやり方では到底追いつけないような、そういう事態が生じてしまっているわけであります。

 やはり、人材というのは相当流動化をしていく必要があります。官から民へ、民から官へ、官から官、民から官から民という形で人材が流動化することによって、まさに日本が進むべき方向性についての認識を共有することができるようになるのではないでしょうか。

 こうした闊達な人材交流を行っていくことによって、役人の世界が極めて閉ざされた世界であるという事態から脱却をしていくものと思います。

戸井田委員 ありがとうございます。

 先般、東京証券取引所が、ことしの秋にできる自主規制法人の理事長に財務省の元事務次官を起用することを内定したとの報道もなされました。賛否両論あるようですけれども、このケースに限らず、企業は何を期待して公務員OBの人材を求めると考えているんでしょうか。そもそも、企業が公務員OBを求める理由としてはどのようなものがあると認識しているのか。

株丹政府参考人 企業の立場に立って考える必要がございまして、大変難しい御質問だというふうに思ってございます。

 企業が公務員であった者、公務員OBを求める理由というのは恐らくさまざまあって、一概にはなかなか言い尽くすことが難しいというふうに思いますけれども、大変極端に申し上げますと、一方で、公務で培った能力や経験その他、本人のさまざまなものが評価をされた結果としまして再就職がなされている場合というのがあると思います。それから、非常に極端に申し上げますけれども、いわば役所に顔がきく、もといた職場に対して何がしか働きかけができることだけを期待して受け入れている場合というのもこれまではあったのではないかというふうに思ってございます。

 今回、法案におきまして、公務員OBに対しましては働きかけ規制というものを導入してございまして、今申し上げましたような極端な、俗に言う口ききのような期待で受け入れるというようなことは当然なくなってまいりまして、本人の能力、経験に応じまして、企業がその方を求めていくということの場合に再就職等がなされるというふうに存じます。

戸井田委員 企業にしてみれば、それなりの給料を払って公務員OBを雇うのであれば、例えば語学能力にたけているとか、また、何らかの資格を持っているとか、そういった個人的な技能だけに着目するわけではないと思うんですね。もしそうなら、もっと若い、給与の安い人を雇う方が合理的であると思いますし、その公務員OBが公務員生活の中で培ってきた人的ネットワークや、それによる情報収集能力、調整能力、そういったものを評価しているからこそ雇おうというふうに思うんだと思うんですね。

 今回の法案でつくられる官民人材交流センターでは何を判断材料にして再就職のあっせんを行うのか、その辺のことをお聞かせいただきたい。専ら履歴書とかそういったものなんでしょうか。

株丹政府参考人 センターが行います再就職のあっせんにつきまして、特に具体的な制度設計につきましてはこれから検討という部分もございますけれども、単に履歴書に基づいて行うというものではないというふうに考えてございます。

 官民人材交流センターにおきましては、多くの企業などから多様な求人情報が得られる、そういう能動的な求職活動をしっかりと行いますよう、再就職のニーズに十分対応して、積極的な求人開拓営業もいたしますし、キャリアコンサルティングの実施なども行います。そして、あっせんの対象の職員に関しまして、必要なキャリアですとか人的情報の把握をするためには、センターの職員は人事当局等と必要に応じまして協力をするということにもなってございます。こういう原則に従いましてセンターの方ではあっせんを行っていくということでございますので、単に履歴書を書いてそれで終わりということではないというふうに理解をしてございます。

 いずれにしましても、今後官房長官のもとに置かれます有識者懇談会の意見を踏まえまして、具体の制度設計の中で検討してまいるということになってございます。

戸井田委員 履歴書ということだけであれば、いわゆる家電製品なんかの、車だとか、そういったもののカタログ上のスペックなんかと同じようなもので、形式的にはどんな人間かということはある程度わかっても、実際にその人の本当の能力であるとか、その人の持っている力というものを判断していくのはやはり難しいんだろうと思うんですね。そこらのところをいろいろ選別するのに苦労されるんだろうと思いますけれども。

 OB本人を知らない人間があっせんの業務を行おうとすると、過去の経験したポストを見て判断することになっていくんだろうと思うんですね。しかし、これは逆に、こういう権限がある部署で働いていたから、そうした権限と関係のある企業に再就職させるということを助長させることになるんじゃないだろうか。逆に、権限のある部署と無関係なところのみ再就職を認めるという極端なことをした場合には、人材を生かすことにはならないんだろう。適材適所とは離れてしまうし、実際、適材適所というのは本当に難しいなと。それを、毎年そういうことをきちっと行っていこうと思ったら、さらに困難が予想されるんだろうと思うんですね。

 そこで、適材適所で人材を活用するためには、やはり個人の人的ネットワークを含め、正しく能力を把握し、評価することが重要と考えるわけでありますけれども、官民人材交流センターではどのように実現しようとしているのか、もっと細かく、有識者会議というふうに言われるんだろうと思うんですけれども、もしわかるところがあれば聞かせていただきたいと思うんです。

株丹政府参考人 具体の適材適所の再就職のあっせんを行うというのが、まさしくこのセンターに課せられた使命だというふうに存じております。それだけに、どのような形でもって本人に対しましての評価がきちんとなされて、あっせんが行われるようになるかというのが大事だというふうに思ってございます。

 繰り返しになってしまいますけれども、先ほど申し上げましたように、センターの方では、あっせんの対象の職員に関しての必要なキャリアですとか人的情報の把握、このために、人事当局等とセンターの職員が必要に応じて協力するということになってございます。

 今回の法案の中、具体的な法案の中におきましても、官民人材交流センター長、これが責任者でございますけれども、このセンター長は、「官民人材交流センターの所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求め、又は意見を述べることができる。」ということにしてございます。必要なキャリアなり人的情報の把握を可能にするバックボーンとしての法規定というふうに理解をしてございます。

 こういった情報を通じまして、適材適所といいましょうか、受け入れる側にも情報を適宜に通じて正しく評価をされ、あっせんが行われるようにしていくというふうに理解してございます。

 ただ、いずれにしても、具体的なあっせんを含めましたセンターの具体の制度設計につきましては、今後、官房長官のもとに置かれます有識者懇談会の意見を踏まえて検討するということでございまして、現時点で考えておりますのは、ただいま申し上げたような状況のことでございます。

戸井田委員 一口に公務員といっても、いわゆるキャリア官僚だけでなく、2種、3種採用の職員もいるわけで、また、本省で退職する者に限らず、地方支分局などの出先機関で退職する人もいるわけです。公務員だけでも膨大な数になるわけですけれども、毎年退職する国家公務員というのは全体で何人ぐらいおられるんですか。

株丹政府参考人 お答え申し上げます。

 特定独法、国家公務員の身分を持って独法の方で勤務されている方というのがいらっしゃいますので、それを除いた数字と、その方が入った数字ということで、二通り申し上げたいと思います。

 直近三年間で傾向を申し上げたいと思いますけれども、まず、特定独立行政法人、それから、郵政公社もいずれ国家公務員ではなくなるということでございますので、日本郵政公社職員も除きまして、常勤の一般職の公務員の退職者数、一番データが新しいのが十七年度でございまして、一万一千五人。さかのぼりまして、十六年度が一万一千百十九人。それから、十五年度が二万五千百六十四人でございます。

 それから、特定独法を含めた、つまり日本郵政公社職員だけ除いて、同じく毎年退職する国家公務員ということで申し上げますと、十七年度が一万六千三百二十三人、十六年度が一万六千九百二十一人、十五年度が二万六千五十三人でございます。

 十五年度だけ若干数字が違ってございますが、国立大学の法人化等の影響というように承知をしてございます。

    〔委員長退席、平井委員長代理着席〕

戸井田委員 直近だけでも毎年一万人を超える規模で退職者が出てくるわけです。それを官民人材交流センターが適材適所の再就職の援助をするということになるわけですけれども、これはやはり大変難しいんじゃないかなと。単年度だけだったら何とか対応できるかもわからないけれども、毎年とかいうようなことになってくると、これは大変な困難が伴うような気がするんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 我々の目指すのは小さくて効率的な政府であります。したがって、役人の数がむやみやたらとふえ続けるような、そういう仕組みにはいたしません。

 退職管理に当たっては、どれぐらいの人たちが退職しているかというと、大体、一般職公務員の退職者一万人のうち、再就職ニーズが特に高いと思われるのはいわゆる勧奨退職者であります。この数が約四千人と言われています。これは推定でございますが、この四千人のうち、各府省等であっせんを行っているのはその半分に当たる約二千人程度であると言われております。したがって、そうしたあっせんを今度は全面的に禁止するわけでありますから、この部分は人材センターの方で一元的にいずれ行っていくことになるわけであります。

 先ほども申し上げましたように、積極的な求人開拓あるいは職員に対するキャリアコンサルティングを行うことによって、きちんとマッチングを図っていくことが可能だと考えております。

戸井田委員 どこでもそうなんですけれども、大体、優秀な人はさっささっさ決まっていくんだろうと思うんですね。結局、最後に残ってどうにもならない人が問題なんだろう。そういう者だけが残っていったら、ますます官は厳しいものになっていくんだろうと思うし、そういったところをきちっと流していく仕組みがあるということは、やはりある意味で重要なことだろうと思うんですね。

 そういう意味で、官の人事のことをかいま見ることもあるわけですけれども、そんなことを見ておりますと、役所でも企業でも、人事というのは、基本的には、だれかがやめるかポストを離れた場合に、そのポストを担う人間がだれかを考えるものだと思うわけですね。特に役所は、ポストが人件費の管理の観点からもしっかりと決まっていて簡単にはふやせない、だれがやめるのかはっきりしなければ人事はできないということになるわけですね。役所の人事課の人が、箱といって、電車みたいな絵をかいた書類を持っていて、そこに人の名前を当てはめていくわけですね。そういうのを見ていると、確かに人事というのは大変なものだなと思いながらそれを見ておりました。

 役所で、やめる人を先頭に玉突きのように人事を決めるわけですから、したがって、仮に官民人材交流センターが、例えば国会開会中に局長をあっせんで再就職させてしまうなど、まあそんなことはなかなかないんだろうとは思いますけれども、政治や役所の都合と無関係に行われたり、逆に再就職の必要な人がセンターの援助が不十分で再就職できなくなるというのでは、人事ができなくなってくる。公務員制度が不安定になるんじゃないか。また、もしセンターがあっせんできない場合に、人事をしたければやめさせればいいということだとすると、路頭にほうり出すことになる、ほったらかしになるということになるわけですね。そうした処遇はやはり許されないんだろう。

 官民人材交流センターにおいては、役所の人事が適材適所で適切に行われるよう各省庁の事情も踏まえて責任を持って行うことになるのか、最後まできちっとそれをけじめをつけるのか、その辺のところを大臣の見解をお伺いしたいと思います。

渡辺国務大臣 官民人材交流センターは、マッチングしない人が毎日お茶を飲んで給料をもらうなんということは絶対にあり得ないわけであります。公務員が仕事がなくなれば、これはやめていただくというだけのことでございまして、官民人材交流センターがそういう方々に給料を払うということは、一日たりともあり得ないことなんですね。

 したがって、再就職を何らかの理由で希望する、あるいはこの人は公務よりも民間の方で活躍した方がいいのではないかという方々がこのセンターを通じて民間に行かれる、あるいは民間から官に入ってくる人たちのゲートウエーにもなるということでございます。

 したがって、先ほども申し上げましたように、多くの企業等から多様な求人情報が得られる能動的な求職活動はしっかり行ってまいります。再就職ニーズに十分対応した求人開拓、キャリアコンサルティング、これをやることによってセンターの再就職支援機能が強化を図られていくということを考えているところでございます。

戸井田委員 先ほど申し上げたように、やはり優秀な人はもう自動的に決まっていく、ある意味ではあっせんする必要もないのかもわからないけれども。しかし、公務員全体の中でもって、それぞれ自分の人生を描いてきて、その中でもって最後でぷっつり切られてしまうということになると、その人の立場からすると、どうしてくれるんだという思いが多分強いんだろうと思うんですね。

 だけれども、現実に、その中でもって民間は非常に合理的にやっているという話になるわけですけれども、しかし、民間の中でも大手企業になると、官と同じように下請会社に天下りさせたり、そういうシステムというのは、これが今までの慣習なのかもわかりませんけれども、やはりある。それをきちっと厳しく合理的にやっていこうとすると、逆にニートだフリーターだというのがふえてくるようなことになってくるのかもわからない。全体を見て安定したシステムをつくっていくということは、やはり非常に難しい問題であるなということを改めて痛感いたしております。

 一方で、国家公務員ということになれば、一般の人は、やはり優秀な人に国家の中枢を担ってほしいと思う。ですから、東大を一番で卒業して、そして上級職を一番で、外交官試験も一番で、弁護士の司法試験も一番で通って三冠王だなんていう話を聞いたことがありますけれども、そんなうわさが流れてくると、ああ、やはりそういう優秀な人が役所の中枢におられるんだなというと、ねたみもあると同時に、一方、どこかで安心するところもある。そんな人たちが能力を遺憾なく発揮して、まさに適材適所でやってもらうということが大事なんだろう。

 それと、そんな優秀な人たちも、我が世の春でやっていても、やはりどこかで国民は見ているわけですね。国民の視線というものは、ある意味で怖いものがあると思っております。いろいろな事件になってきたものというのは、やはり国民のその視線を無視してきたところ、見なかったところに私は問題があるんだと思っております。それだけ優秀な人であれば、いいも悪いもわかっているわけですね。その中で、国民の目線というものを忘れずにやっていけるような、そして、そんな人たちが本当に十分な能力を発揮してもらえるような、そんな制度をしっかりとつくり上げていただきたい、そんなふうに思っております。

 もう時間もありませんので、最後に今の私のことに関して大臣の御見解をお聞かせいただいて、それで私の質問を終えたいと思います。よろしくお願いいたします。

渡辺国務大臣 やはり、国家公務員が高い志と気概を持って、その持てる能力を十分に発揮してもらうことが国民の利益にかなうことであろうと思います。また、そのことが国家経営にとっては極めて大事だと思います。国家公務員が安心して働けるという環境をつくっていくことは大事であると思います。

 来年の通常国会において、全体パッケージを考えたプログラム法案を出す予定になっております。そのための懇談会も設置をすることが決まっております。そうした中で、やはり公務員のやる気と情熱を喚起するには今までのやり方ではだめなのではないかという問題認識のもとに、今回、能力・実績主義の導入を図るわけであります。

 したがって、これが導入をされますと、キャリアとかノンキャリとか、そういった試験区分に基づく人事は行われなくなるわけであります。ノンキャリであっても、優秀な人は評価に基づいてポストと給料が決まってくるということになるわけでありますから、ノンキャリの本省局長が生まれるということは決して夢ではなくなるわけですね。また、民間に就職して、三十ぐらいで、公のために働きたいという人がいきなり課長補佐で入ってきて、非常にいい提案をする、能力が抜群だ、三十代で局長になるなんということだってあり得るでしょう。そういう人が、幾つかの役所を経験したり幾つかのポストを経験して、四十そこそこで事務次官になるなどという人も出てきたっておかしくはないわけでございます。

 やはり、今の時代に合った公務員制度をつくっていくことが国民の信頼を得るためにも大事なことではないでしょうか。

戸井田委員 最も乱れた社会に最も法律が多いわけでありますから、それぞれ官に勤める方々もみずからの立場をしっかりと自覚していただいて、そして同時に、その法律も、余り手足を縛って泳げ泳げ言われても、泳ぐ技術はあるかもわからないけれども、能力を十分に発揮できるかというとそうでなくなる部分もあるので、その辺のところをよく考えてやっていただきたいと思います。

 以上です。終わります。

平井委員長代理 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 前回に引き続いて二度目の質問をさせていただきまして、ありがとうございます。

 この法案、考えれば考えるほど、これは法案の名前を見ますと、政府も、国家公務員法等の一部を改正するということだし、民主党さんの案も、公務員改革全体の法案では何でもないんですよね、名前からしても。

 ただ、やはり考えれば考えるほど、立法趣旨というか立法事実から、後でこれもちょっと改めて聞きますけれども、いろいろな不正とかいろいろな天下り、天下りという言葉自体も、非正規雇用という言葉を使うように、僕はちょっと名前がおかしいなと思っているんだけれども。まあそれは別としましても、その一局面だけじゃなくて、行革の観点もそうですし、前回も申し上げましたけれども、中央省庁再編の議論も当然やらなきゃいけないし、今回、それぞれ、政府はあるけれども民主党さんはない、公務員のインセンティブをどう高めるかとか、能力主義とか。

 だから、これは複雑に物が絡んでいる話であって、本当は全体を腰を据えてやらなきゃいけないと思うんだけれども、緊急を要する部分を抽出して、政府も民主さんも提案されたと思うんですね。

 私も、党内で、いろいろなセット論という話も含めて、それに賛意を示しながら渡辺大臣ともいろいろ議論しましたけれども、ただ今回は、いつもおっしゃっている、まずは公務員の天下りを根絶する。天下りという言葉も、いい天下りと悪い天下り、あるのかどうかわかりませんよ、それもまたちょっと聞いていきますけれども。

 それに関連して民主党さんにまず聞きたいのは、今申し上げたように、この法律というのは、公務員全体の改革というのはやはり時間がかかる。これは通告していませんので基本的な考えで結構なんですけれども、時間がかかるので、先ほど来も行革を附則に書いているとか何とかと言っているけれども、法案を出してそれは廃案になったとかいろいろありますけれども、それは別にどうでもいいと思いますよ。ただ、いろいろなものをセットでやらなきゃいけない、だから結構時間がかかるんだよということは、そうですねと、こういう答えをいただきたいんですけれども、どうですか。

    〔平井委員長代理退席、委員長着席〕

馬淵議員 だからこそ私どもは、地方公務員法の改正案も出させていただいていまして、これを全体像としてとらえていくには大変な作業だということは十分認識しています。その中で、私たちは、最も問題である肩たたきと天下りあっせん禁止という非常にわかりやすい法案を提出させていただいたということです。

後藤田委員 地方公務員というものは政府は今回は出ていないんでしたっけ、まだ出ていないですね。

 ただ、そうはいっても、一つに集中してやった。民主党さんも、地方公務員のものも出したよと言いつつ、もし情報があればでいいんですけれども、では、民主党さんの法案の中には定年延長も含めて考えるということだけれども、それが財政に与える影響がどのくらいかというのは、当然、法律を考える上でやらなきゃいけない。総人件費で二割削減、これは結構メッセージとしてはわかるんだけれども、実際、省庁再編のさっきの問題だとか行革の問題だとか、それを詰めていかないと、法律の中身としては多分なかなか詰まっていかないんじゃないかなと思うんだけれども。

 今、馬淵先生がおっしゃったように、いや、地方の公務員の問題もやるよ、これは僕は当然だと思います、本当は。だけれども、政府としても、与党としてもこれからやっていく課題なので、余り議論を拡散させないためにやっていると思うんですけれども、そこの点、どうですか。

 僕は、本当に省庁再編、ちょうどきのう党内でやっていたんですよ。中央省庁再編というのは結局どうだったのかというのを、今もう一回ヒアリングしているんですよね、与党の方で。それで、いろいろな問題、評価する問題も評価しない問題もある。そして行革も、林さんいらっしゃらないけれども、大臣も大変熱心に取り組んでこられましたが、林さんも事務局長でずっとやられていました。

 要は、単純に考えると、例えば天下りでも、いわゆる公益法人とか、さっき大臣もおっしゃった予算、権限を背景にするような公益法人、外郭団体に行く、これはけしからぬという世の中の風潮があるんだけれども、では、そもそも、外に出さなくて、中に戻す。そこの何たら法人というのを、外に出して天下るから何か天下りはけしからぬというんだったら、単純に、もう一回政府の中に戻したらいいんですかと。天下りにならないですよね、中なら。ただ、それはやはり行革という観点で、政府から切り離して外に出して、そこでまた必要なものは必要、不要なものは不要ということでふるいをかけた上で、そしてなおかつ、そこで働く方も、多分コストもいろいろな意味で削減されていると思うんですよ。

 だから、全体的には、行革のパッケージでやった外出し、そしてまた独法を特殊法人にしたり、特殊法人をもっと民営化しろという意見も、まだまだこれから行革というのは、まだ道半ばだと思うんですけれども、それをやらないと、それを示さないと、民主党さんのおっしゃる、非常にいい提案だと思うんですよ、二割削減とか天下り根絶というのはわかるんですけれども、その全体像を示せないとなかなか無理。政府もまだそれを示せていないんですよ。ただ、それはやはり時間がかかるんですね。

 だから、その点で、こっちがいい、あっちはだめなんだということじゃなくて、全体のパッケージ論は、これからやはり政府・与党、また野党も含めて、一緒になって議論をしていかなきゃいけないと思うんですけれども、まず、行革についての感想だけで結構です。

 それと、それに含めて、わかればで結構です、さっき申し上げました、定年延長したときに、実際、コストというのはどれだけふえるのかなと。さっき言ったように、今まで政府というのは、それを外に出して、外郭団体にしたり公益法人にしたり特殊法人にしたり民営化したり、努力してきたんですよ。そこで、そこに天下るのはまたけしからぬというのも、ちょっと気の毒な話だなという気がするんですよね、もともと中にあったものを外に出したわけですから。

 だけれども、皆さんの案は、行革のその方向性は、もちろん、廃案になりましたけれども法案で示しましたよと。それは一体どこまで示したのかな。そして、中に置いておくんだというんですけれども、その定年延長によるコスト増というのはどれだけふえるのかな。そして、新人をしばらく採らないというんだけれども、これは普通の民間企業とちょっとわけが違うんだと思うんですね。ピラミッド形であるということはいろいろな意味で組織論としては有効だというのは、これはどの組織でも同じようなことなんですけれども、これは逆三角形になる可能性がありますよね、一時的に、組織論として。

 そこも含めて、行革の観点と、定年延長のコスト増の問題と、組織論、ピラミッド形が崩れるということについて、それで行政サービスが低下しないか、この三つについて、感想も含めて、また反論も含めてちょっと御意見をいただきたいと思います。

武正議員 後藤田委員の御質問なんですけれども、この後、馬淵委員からちゃんと補足というか、あろうかと思うんですが、二〇〇五年の七月一日現在で、非常勤の一般職国家公務員、これは特定独立行政法人を除くですが、約十三万四千人非常勤が働いていたんですけれども、その人件費は各省庁の庁費等から支出されて、実態は明らかでない。このいわゆる実態が明らかでないというところがたくさんあるわけなんですよ。今のコストという点については、もしかしたら与党もよくわからないところがたくさんあると思うんですね。

 ですから、やはりこういった意味での実態把握、あるいは非常勤の国家公務員人件費、勤務実態を含めても、そういった情報公開というものが前提でこうした立法府の議論というのはより深まるのではないのか。これはちょっと私、感想として申し上げておきます。

馬淵議員 お答えします。

 定年延長のコストということですが、定年延長というのは、これは民間でも、今ちょうど年金受給のすき間の部分について努力をされています。こうした民間の努力も、所与の状況をしっかりと見ながらこの定年延長については考えるとしている状況でありまして、現行では、定年延長を前提にした制度設計ということを言っていません。現行というのは、六十歳定年まで勤めることができるという、この本来のあり方を今回の法案で明確にしようということであります。

 そして、そうなったときに、組織の不活性、組織の活性化が阻害されるのではないかということでありますが、後藤田委員が今お話しされたように、逆三角形になってしまいやしないかということでありますが、先ほど来申し上げているように、おおむね三年程度の新規採用の抑制、これはゼロというわけではないかもしれませんが、新規採用の抑制を図りながらも、一方で、ピラミッド形になるというのはあくまで指揮命令系統の形であって、そうでないスタッフ制専門職の方々は残る。しかし、この方々の給与コストについては、昇給停止やあるいは役職定年等で下げていくということを前提にしていますので、決して、実態として、人員構成がピラミッド、一人を頂点とする形ではないかもしれないが、私どもは、十分組織として維持できる、活性化が阻害されるものではないと思っています。

 繰り返しになるんですけれども、では民間では肩たたきということが往々にしてあるかというと、これは本当にごく一部、かつてあっただけであり、今ほとんどの民間企業は、そんなことを押しつけ的にやったら、とてもじゃないが市場で生き残れない。だから、その中で、定年まで勤める人も中にはいるでしょう。でも、その方々には、申しわけないですけれども給与を七割にします、六割にしますと。ほとんどの方が残るんですね。またさらに何年かたったときに、これから先残っていただくのであれば、また七割、六割にしますよと。またここでも残っていかれる。

 しかし、そういう選択をされる方々も含めて、組織としていかに適材適所、能力を発揮していただくかということの努力をしていくのが経営者でありマネジメントである。その観点が今日までの行政の組織には欠けていた。また、それを放置してきたということにおいて、我々は、これは政府の責任もありますし、今回の法案で明確に一点、肩たたき、天下り禁止を定めることによって是正させていけるんじゃないかと思っています。

 行革に対しての考え方、後藤田委員がおっしゃるように全体パッケージなんです。そして、その全体パッケージを進めなければならない。でも、その全体パッケージという言葉が先走りして、今の天下りの仕組みを温存してしまっては何にもならない。だから我々は今回の法案を出した、そういう考え方に基づいています。

後藤田委員 おっしゃるように、民間のマネジメントに習うべき点というのは大変多いんですけれども、民間というのは必ずマーケティングをするんですよ。マーケティングをした上でマネジメントをやるわけです。

 もう一回聞きますけれども、実際、行革のこれからのあり方とか、さっきの繰り返しになりますけれども、定年延長によるコストの計算、そのマーケティングというのは、いわゆる立法におけるマーケティングというのは、立法事実があるかどうか。そもそも、立法趣旨があって立法事実があって、それで法律だと思うんですね。その点においてのマーケティングであるコスト計算というのはされましたか、されませんでしたか、定年延長に。

馬淵議員 これも先ほど武正提出者から説明がありましたように、まず実態把握そのものが、現行の政府でもできない。だからこそ私どもは、実態把握をすべきだと。今国会、まさにこの委員会の中で実態を明らかにしていただかねばならない。これが情報公開がなされていないからこそ、何となくうやむやにされている部分があるわけです。

 我々は、これをまず国会の中で審議していただかねばならないと思っていますし、目標として定めている三年二割、これが我々の大きな方針ですから、これをできる、できないというのはまさに机上の話になってしまいます。だから、我々は、情報公開をすべきである、それをこの委員会の中でも重ねて求めてきたわけであります。

後藤田委員 ということは、されていないということ、ただ、それは情報公開をしないからできないんだということでよろしいですか。

馬淵議員 繰り返しの求めでありますが、政府はなぜ隠すのか、なぜ明らかにしないのかであります。情報公開をしてこの委員会の中で明確に、皆さん方、与党の議員の方々も理解をしていただくような形で出していただければ、我々もそこで、今回提案している行政改革推進法案に述べた三年二割、地方にどんどん分権をしながら全体の行政事務を見直していくということもこれは掲げていますので、これがあれば、私どもも具体でさらに進めていくことができます。

 ただ、繰り返しになりますが、今国会のこの審議は、天下りを根絶できるか否かにかかっているんですね。そこで、むやみに時間を稼ぐような形で、結局は天下りバンクという公的あっせん機関を残す、あるいは創設させるようなことを許してしまっては、本来の目的から大きく外れてしまいます。後藤田委員が御指摘の部分、これはむしろ改革の中でしっかりと我々も議論をぶつけていきたいと思いますが、この委員会の中で、天下りが公的あっせん機関として天下りバンクで存続させられるようなことになってしまっては、国民が求める本来の姿とは全くかけ離れてしまうということを重ねて申し上げます。

後藤田委員 だから、私も繰り返しますけれども、結局、情報がないので立法事実としてはつかみにくいんだけれども、何となくあるねと、だから、それは問題だということ、それは、僕はある意味いいと思うんですよ。

 それは、政府も野党の皆さんに質問されていたように、では、わたりの十六人という人数というのは立法事実としてどうなのだと。大臣も、それは氷山の一角という御発言もされた。それを攻めるのと私が皆さんに質問をしているのと、同じだと思うんですね。だけれども、大臣も前回の委員会でおっしゃったように、言っても出してこないと。

 大臣、これは質問趣旨にはないんですけれども、感想でも結構ですけれども、改めて、これはやはり権限というのはないんですか。やはり官房長官にあるんですか。わたりが十六人というのは、私も、どう考えたって少ないと思うんですよね。一体、事務次官なのか局長、局長でも、あれ、あの人はわたりじゃないかなとか、社会保険庁の長官をやっていた人は、これは事務次官になれなかった人ぐらいがナンバーツーぐらいで渡っているんだけれども、これもいっぱいいたのになと思って、何か僕も腑に落ちないんですよね、十六人というのは。

 大臣、これはどうですか、感想としては。

渡辺国務大臣 毎度申し上げますように、十六人というのは余りにも少な過ぎるよなというのが私の感想でございます。ですから、その感想を氷山の一角と申し上げたわけでございます。

 一方、このわたりというのも、先ほど来議論が出ていますように、人事の一環ではめ込んでいくわけですね。ですから、玉突き現象になっていくわけですよ。後藤田先生からいただいた歴代社保長官がどういうところに行っているかというこの表を見ますと、全部が全部、人事の一環で行っているのかどうかはちょっと定かではありません。中には天滑りみたいな方もいらっしゃるんですね。

 ですから、そういう実態については、まさに法律に書いていない、人事慣行として行われているがゆえに、調べてみると、いや、資料が残っていませんでした、こういうことになるんだろうと思います。したがって、資料が残っていませんでしたというのを、もう一回調べて出せと言っても、多分また同じ答えが出てくるんだろうと思います。

 したがって、とにかく、わたりあっせんは官民人材交流センターにおいてはやらないということをもう決めたわけでございます。ですから、恐らく人事当局においては、今までOBの人事までやっていたところは、一元化後は全面禁止されるわけでありますから、中には、ああ、これで随分楽になったと思う人もいるんではないでしょうか。

後藤田委員 いや、私はちょっと違うのは、前回も申し上げたんだけれども、やはり三十年、四十年その行政に携わった専門家が、わたりという言葉とか天下りという言葉はちょっと悪いんですけれども、再就職するというのは、僕は丸なんですよ、私的には。正しいんですよ。それは国家の損失ですよ。それだけ税金を使って働いてもらった人を全く世の中に貢献してもらえないということは、僕は間違いだと思っています。

 ただ、社会保険庁というのは、今、厚生労働委員会でやっているけれども、グリーンピアだの何だのかんだのといって、林さんはすごくお詳しいと思いますけれども、あれだけの問題を起こした当時の長官経験者というのは、やはり能力的には残念ながらなかったということになっちゃうんですよね、結果論として。民間だったらあり得ませんよ。不祥事を起こした人がまた子会社の社長になるというのは、たまにレアケースであるようだけれども、何かどこかの涙を流した銀行の頭取がもう一回復活した、そんなニュースがあったけれども、このことについて、僕はおかしいと言っているわけなんですよ。

 だから、能力があって、社会的に影響力もあって、国民にとって利する人であればいいんですよ。だけれども、そうじゃなかった人なんですよ、この人たちは。それで、今現職の人間たちが困って、本当に頑張っている若い社保庁の人間、厚生労働省の諸君が頑張っているのに、のうのうとそのときのトップが天下っていること、また渡っていること自体が僕はおかしいと言っているわけなんですよ。だから、これは多分役人の方々は賛成すると思いますよ、おかしいと。若い人も。

 その点、きょうは厚生省さん来ているけれども、もう一回聞きます。

 今申し上げた社保庁長官経験者のわたりの数というのは、この十六人の中に入っているのか入っていないのか。もし、それが該当するにもかかわらず入っていなかったとしたら、この事実がわかって、そうしたら、これはだれが責任をとるんですか。この問題は、大臣が辞職するのかな。その点、今、大事な答弁ですから責任を持って回答して。この問題の発言というのは大変重要ですからね。もしくは、厚生大臣が責任をとるのか、それがもしうそだとわかったら。その点について、ちょっと審議官、教えてください。

宮島政府参考人 今の御質問でございますが、その十六人の中には、社会保険庁長官の経験者というものは入っておりません。

 今のお話ですと、わたりという言葉によるんですが、個々の社会保険庁長官の履歴を見ますと、関連団体を履歴の中では転職しているという事実は見受けられます。

 ただ、その事実に関して、その転職したことに関して、こちらの行政当局の方として関与していたのか、あるいは関与していなかったのかということがわからないということですので、その十六名の中には登録されていない、そういうことの整理になっているということでございます。

後藤田委員 大臣、先ほど、私が自分で調べて、こういうことだから大臣調べてくださいよと言って、恐らくお調べいただいたのが今お手元にあろうかと思うんですけれども、その資料を見て、いわゆるわたりだなと思う人を抽出していただいて、それぞれ三つ四つ、渡っているはずなんだけれども、それをちょっと読み上げていただけますか。

渡辺国務大臣 例えばこれは、実際にわたりあっせんが行われたかどうかというのはまた別の話でございますが、例えば、船員保険会会長から四年後に厚生年金基金連合会理事長になり、そのまた四年後に健康・体力づくり事業財団理事長になり、社会保険審査会委員長になりなどというケースは非常にわかりやすいかもしれませんね。

 わたりあっせんが行われたかどうかは確認しておりません。

後藤田委員 僕は、民間に行くのはいいと思うんですよ。資生堂さんとか、いろいろ行った方をよく聞いていますけれども、それはそれで、民間から求めがあれば行けばいいんですよ、能力があるだろうから。

 だけれども、今聞いた範囲では、あっせんはしていませんよ、関与していませんよと言いつつ、しかし、これは厚生省のいわゆる権限、予算、これは背景にしていないんですかね。どうなんですか。それは厚生省、答えられますか。

宮島政府参考人 ちょっとあれですが、あっせんしているかどうかがわからないから書いていないということで、あっせんは実際はやっていることもありますということを言っているわけなんですね。

 それから、関連のところということでありますと、今、社会保険庁長官のことの話で渡辺大臣の方からお答えになった中には、やはり予算的な補助をやっておりますところですとか、そういうところは入っておるわけでございます。

後藤田委員 もうこれ以上、私も与党なのであれですけれども、あとは馬淵さんに任せますよ。

 だけれども、それは違うんですよ。いいんですよ、わたりも能力があればいいと言っているんですよ、さっきから。やはりこれは社保庁の問題で、あれだけ国民に迷惑をかけて、そういう人たちが渡っているのは、僕は看過できないということなんですね。それを政府としてどうするんですかということなんだと思うんですよ。

 だから、民間だけじゃなく、さっき冒頭に言ったように、外郭団体、公益法人というもの、行革というものがしっかり済んだ上で、これは残る、残す必要がある、そういうところに行くのは僕は問題ないと思うんです、はっきり言って。みんな、天下り根絶、根絶と政府も野党も言うけれども、僕は、それはありだと思っているんですよ、はっきり言って。さっきから言っているように、三十年、四十年、国民の税金を使った専門家が、公益法人であろうが外郭であろうが、行革を徹底的にやった上、省庁再編を徹底的にやった上で、そこに行くのは僕は丸だと思っているんです。

 だから、そこの点で、政府案はやはり慎重だと思うんですよ、ある意味で。さっきから言っているのは、立法事実だとかそういう大きな、大くくりのものも含めて議論しなければ、そこまでの法律は出せない。これは先送りでもないと私は思っているんですよ。だから、これはやはり政府として、これからしっかりと、省庁再編の結果、行革というものが完全になされて、そういったものをしっかり早急に整備した上で、そこに行く再就職というのは、僕はぜひ許してあげていただきたい。

 そのことについて大臣、感想はいかがですか。

渡辺国務大臣 政府案においては、天下りは根絶いたしますが、再就職については、官民の垣根をできるだけ低くして、人材交流を進めようという設計になっております。したがって……(発言する者あり)これは苦しくも何ともなくて、我々の基本コンセプトでございます。官と民の垣根を必要以上に高くしてしまう、人材の流動化を阻害してしまう、役人は定年まで役人であり続けるべきだ、そういう立場には立たないわけでございます。

 大体、今の国家公務員法がつくられましたのが昭和二十二年。当時の日本男性の平均寿命は、約五十歳でございます。今、日本男性も八十近くまで長生きするような時代にあって、公務員は死ぬまで役人なんだ、こういう発想は時代錯誤としか言いようがございません。

 したがって、我々は、官と民の垣根を極力低くする、そして官民癒着の防止措置はきちんととる、その上で、再就職は、官から民へ、民から官へ、民から官から民へ、いろいろな人材流動化があってしかるべきだと考えております。

後藤田委員 では、最後にお伺いしますが、今度の新しい人材センターというのは、やはり人材をしっかり見て、いいところにはいい人間を求めに応じて出すということですよね。

 であるならば、例の社保庁問題で、そのときにしっかりと改革もできなかった、そのときの責任をだれも実は負っていないんですよ。局長一人やめていないからね、社保庁問題。僕に言わせれば、野党の追及は甘いんです、はっきり言って。そこで、では、この法案が施行されるときに、人材派遣センターがそれを判断して、公益法人に行っているわたり、いい人間だったらいいよ、だけれども、あの当時の社保庁問題を指導したトップがいる、これはだめだという判断はやりますか、やりませんか。最後にそれだけ質問したい。

渡辺国務大臣 これは、各省あっせんを全面禁止した上で、センターに一元化をするわけであります。このセンターが、例えば、補助金を交付していた業務をやっている人がその補助金交付先に再就職をするなんという話は、やはり常識的に難しいなと、これは有識者懇談会で決めるわけでございますが。

 社保庁長官をやっていた人がどういうところに再就職できるかという問題も、まさにこれは外部監視機関つきで制限規定を考えていくことになろうかと思います。

後藤田委員 では、終わります。

河本委員長 次に、寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田でございます。

 後藤田委員に続きまして、公務員制度改革、お聞きをしたいと思います。時間も限られておりますので、端的に御答弁をいただければと思います。

 今の後藤田委員の一番最後の論点、すなわち、官民の垣根を低くして、有為な人材、民から官もある、そして官から民もある、交流させていく。きちんとルールをつくって、あっせんはやめて、しかも、きちんとした行為規制をもって行っていくというふうなあり方。私も、ぜひともそういうふうなあり方による人材の有効活用、そしてまた能力・実績主義の徹底というふうなことを図ってまいらなければならないと思うわけです。

 そうした横並びとか、あるいは年功序列、あるいは肩たたき、これらを廃止する上で、能力・実績主義の導入というふうなこと、これは異論がないと思います。これは、与党案においても、そしてまた野党案においても、能力・実績主義の導入、そしてそれを定着させるというふうなことは午前中の審議でも確認がされたわけでございますが、では、具体的に一体どういうふうに能力・実績主義を導入していくのか。その具体の中身と手段が非常に重要になってまいります。

 まず大臣にお聞きをするわけですが、今回の公務員制度改革において、いかに能力・実績主義を具体的に取り入れていくのか、お伺いをいたしたいと思います。

渡辺国務大臣 公務員に、やる気を持って、また能力を高めながら役所で仕事をしてもらうことが大事であります。そのためには、能力・実績主義の貫徹が不可欠と考えます。

 いわゆる年功序列型システムで、同期が横並びで昇進し、同じ給料をもらうという実態がずっと続いてまいりました。こういうやり方がこれから先も続くとすると、やはり、やる気もあって能力もある若い人たちが役所に入ってくるということに対しては、非常に阻害要因になるのではないでしょうか。民間では当たり前の実力主義を公務員制度にも取り入れていくというところでございます。

 今回の政府案では、人事を行うに当たって、採用年次や試験区分にとらわれてはならず、能力と実績の評価に基づいて行われなければならないと明確に定めております。優秀な人材については、試験区分、キャリア、ノンキャリアを問わず、若いころから政策の企画立案等を担う機会が与えられることになります。逆に、仕事のできない人は、ポストや給料が下がったり、場合によっては免職もあり得るということでございます。

寺田(稔)委員 まさに、そういうふうな形で能力・実績主義を徹底していかなければならないわけですが、この点については、民主党案でも、現在、附則の中で能力・実績主義が盛り込まれているわけです。

 私も過去、財務省にいました。そして、総人件費改革、そしてまた給与制度改革、私も財務省の給与課長というポストを仰せつかっておりまして、実際にこの問題に取り組んできたわけですが、実は、ある県の総務部長にも出向していた。県の総務部長というのは、いわば組合と実際に交渉する人事担当者です。

 そのとき、組合の関係者の方から、ちょうど十年前、実は成績率が上がったんですよね。成績率が上がって、勤勉手当において、まさに能力と実績に応じて配分できるような仕組みになった。これは、一つの改革の前進が十年前あったわけです。ところが、当時の組合関係者は、そういうふうな能力・実績主義による配分はやめてほしいと。すなわち、上がった分は、上がった昇給額はすべて全員均一に、べたにばらまいてほしいというふうな主張、これは現実に組合交渉で出てきたわけです。

 今の民主党案からいくと、当然そのような組合主義からは決別をするというふうなことでよろしいかと思いますが、その点、確認をさせていただきたいと思います。

馬淵議員 能力・実績主義、先ほど来申し上げているように、まさにあるべき姿、そしてその中でのあるべき職務、業務、それに対して目標を設定して、それが実績として達成されたかどうか。そして、さらには、より現状の業務よりも高い目標を持っていく、それを実現できるかどうかという期待値も含めた能力、こうした形で人の評価をしていくわけでありますから、今おっしゃるような御指摘の部分、すべて改めて我々は考えていくという前提に立っています。

寺田(稔)委員 そうしますと、自治労がしているような、能力・実績主義に対して反対するような主張とは民主党は明確に決別をされる。すなわち、これからは真の意味で能力・実績主義を徹底して、組合の主張とは一線を画するというふうな理解でよろしいですね。確認の質問です。

馬淵議員 私どもは、政権を担うべく政党として今日政治活動を続けております。支持団体の主張と私ども政党が打ち出すその政策、これは基本的に我々政党として出しているものでありますから、支持団体のものとこれが完全一致をしなければならないということの方がむしろおかしなわけでありまして、我々は、あくまで支持団体の皆さん方のさまざまな御意見を伺う中で、そのあるべき姿に向けてのマニフェストなり政策インデックスをつくっているわけです。地方公務員法の改正も我々提出をしております。繰り返し申し上げておるように、三年二割の総人件費の削減も掲げている。

 我々は、あくまで国民の目線ですよ。生活者の基点に立った政策を出しているわけですから、御指摘のような部分は一切当たりませんし、殊さらにそのことを声を荒げて指摘される方々が与党の中にも多数いらっしゃるようでありますが、寺田委員におかれましては、財務省におられたということで、極めて冷静にかつ合理的な物の考え方をしていただける先生だ、政治家だ、私もそのように心得ておりますので、しっかりと合理的な議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 以上です。

寺田(稔)委員 今明確に馬淵委員の方からも、そういう組合主義から決別をする、すなわち、支持団体の意見とは一線を画すという明確な御答弁がありました。早速、私も地元に帰りまして、そういうふうな主張をされているというふうなことを組合関係者にも明確に伝達いたしたいと思います。これはもう非常に明確な答弁でしたので、次の議題に進ませていただきます。

 先ほど大臣も、四十代において事務次官が出る、これは非常にすばらしいことだと思います。本当に能力、実績のある人、有為な人材は、そういう早い段階で見出していく。実はアメリカがそういうシステムをやっているわけですね。いわゆる政治任用の世界にも入ってくるわけですけれども、ポリティカルアポインティーとして、アメリカにおいては、いわゆるメリットシステムでないスポイルズシステムを採用して、自由な官民の交流を図っております。そして、当然、一定の行為については厳格な刑罰のもとに行為規制をしいている、これがアメリカのシステムなんですね。

 大臣が言われるようなことは、実はよく考えるとアメリカのスポイルズシステムが一番実現できる可能性があるわけですが、アメリカの事情にもお詳しい林副大臣、実際アメリカのケネディ・スクールを出られ、そしてまた学位を取られ、さらに米議会のスタッフの一員として内側からもごらんになっておられますが、こういうアメリカ式のスポイルズシステムのメリット、デメリット、そして、我が国において、果たしてこれは、実際にできればこれは一つの姿たり得るわけですけれども、いかがお考えか、お伺いをいたします。

林副大臣 ケネディ・スクールの同窓の寺田委員からも御指摘をいただきまして、一瞬焦っておるところでございますが、アメリカにおきますスポイルズシステムというのは歴史の古いものでございまして、官僚主義というものから決別をしようという歴史的な伝統の中で、当時はイギリス等のヨーロッパではそういう弊害が指摘をされておっただろうと思うわけでございますが、出てきたものであろうかな、こういうふうに思っておりまして、任命者等が個人的なつながりや信頼関係、一緒に仕事をしてきた中での信頼関係というものに基づいて任用をしていくということで、御指摘のあったメリットシステム、成績主義とは一線を画するわけでございます。

 メリットとしては、いろいろあると思いますけれども、新しい発想、例えば、カーター大統領のときに、ジョージアからいろいろな人が来て新しい政府に息吹を吹き込んだとよく言われておりますけれども、また、大抵の場合は民間部門からいらっしゃいますので、民間部門での経験を政府の中に持ち込む。当然直近の民間の経験がございますので、住民また国民の政府に対する新しいニーズというのに即応して取り込んでいく。また、当然、各省の背番号というのはないわけでございますので、省益を超えた国益の観点というものから国政の形成がリードできる。また、任用というのは社会的なプレスティージが非常に高いものですから、重要で権限の大きい仕事を通じて、立派な仕事をしたという高い評判を得ることが、実はその後のその方のキャリアにとっても非常に有利になるということで、そのときの給与自体はさほど高くなくても非常に優秀な人材が集まってくる、こういうようなメリットがあるわけでございます。

 一方、デメリットもあるわけでございまして、委員も国際交渉に携わっておられたので百も御承知だと思いますけれども、たくさんホワイトハウスの人間がかわった直後の交渉というのは、なかなか事前の、前回こう言っていたではないか、いやそれは変わったんだということから始まりまして、行政の継続性や、また基本的な知識、経験の蓄積という面では、キャリアの官僚の方と比べて若干劣る面がある、こういうところは指摘をされておるところでございますし、先ほど、いいところで申し上げたような、すばらしい方が来るというメリットの反面、そうでない方も、縁故的な採用ということで来る可能性もある、こういうようなデメリットがあるわけでございますし、当然、民間から来るということは、特定の業界、業者等の部分利益と密接に関係を有している場合も考えられないわけではないわけでございますので、過去の歴史が示すように、そういうことから汚職といった問題が発生した例もある。こういうことでございまして、メリット、デメリット、両方あるわけでございます。

 一方、我が国は大統領制と違いまして議院内閣制をとっておるというような、いろいろな制度的な違いもあるわけでございますが、しかし、昨今、竹中大臣の例を引くまでもなく、いろいろな方に外から入ってきていただくというのは、現行制度でも行われているわけでございまして、大臣がおっしゃっておられますように、今後は、官民交流の一環として、ポスト公募をしていこう、これは民間からも公募をするということを打ち出しておりますけれども、そういうことを通じて、なるべく今申し上げたメリットの部分を強く取り入れて、そして、デメリットの部分をきちっと抑えていくというようなことが肝要か、こういうふうに考えているところでございます。

寺田(稔)委員 今メリット、デメリットそれぞれ御分析いただいたわけですが、民主党さんにもお伺いをしたいんですが、民主党案では、こういった点について特に触れておられないんですけれども、こういういわゆる政治任用、猟官制について、御見解があればお伺いをしたいと思います。

武正議員 前内閣、現内閣の某大臣が、いや、民間から人材をといっても、給料が安くてなかなかなり手がいないんだ、ある商社からある総領事、給料が半分になってしまったよと。あるいは、某省の独立行政法人から、そして財団法人、その事務局長、常務理事、専務理事すべて、それぞれ地方の局長なんですね。大臣、前大臣ですけれども、聞きましたら、いや、専門的知識はこの人たちなんだよと。そういうことを閣僚の方が言っておられます。

 我々は、やはり人材は、もうそれこそ全国各地あまねくいると。我々は、法律で公募を、今回独立行政法人の長は公募でとうたっておりますので、まず、このことではっきり明確にしていることをお答えさせていただきます。

 以上です。

寺田(稔)委員 こういった公務員制度改革と財政構造改革、これは当然両立をさせなければならない。午前中、先ほど来の審議でも、果たして人件費をふやさずしてこういった諸改革を進めていくような方途についても審議がなされたわけですけれども、この財政構造改革を進めながら、すなわち総人件費の抑制を図りながら能力主義というものを取り入れていく必要があるわけですね。そのとき、今の官民の交流拡大というのは、実は一つの視点たり得るわけです。

 官民の交流拡大については、与党案でも野党案でもここも合致をしているわけですけれども、いわゆる官民交流法の枠組みによる官から民への移転と、もう一つ、実は、官の身分を保持したままで民間で研修を行うというふうな類型もございます。これはいわゆる官の民研修というふうに言っております。

 実は、官民交流法によって官から民に行きますと、その間は官としての給与を払いません。したがって、その分は人件費は削減になるわけですね。ところが、いわゆる民研修の形態ですと、官としての一定の給与は払います。しかし、もちろん官の中で働いているのではありませんから、いわゆる官の中で働く給与よりは、さまざまな諸手当、あるいは例えば実際の給与の中身を見ても多少変わってくるわけなんですけれども、この民研修について、私はこれも大いに活用してふやす、そのことによって民間のいいノウハウも取り入れていくというふうなことが大変重要だと思いますけれども、政府側の方と民主党さんの方から、それぞれ一言ずつ御見解をお伺いしたいと思います。

 まず政府側の方からお願いいたします。

鈴木(明)政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘になりましたように、公務員の身分を持ったまま民間に研修に行くということで、本格的な長期の研修、そういう形で行きますのは、いわゆる交流派遣という形でございまして、国家公務員の身分を保持しながら、民間企業の従業員として企業から給与を得ながら、その企業の業務に従事、経験をさせることを通じまして、効率的な業務遂行を体得させるなどによって人材の育成を図る、そういう仕組みとして、官民人事交流法に基づく交流派遣という制度があるところでございます。

 これは人事院の意見の申し出に基づきまして設けられたものでございまして、制度が創設されました平成十二年三月以降現在までに、各省から六十四名の方が民間企業に派遣された実績があるところでございます。

 派遣の数は徐々に増加をしてきているところでございますけれども、人事院といたしましては、交流派遣について引き続きさらに推進をする必要があると考えておりまして、各府省に働きかけを行うとともに、日本経団連等の協力を得ながら、民間企業に対して説明会を開催するなどして、さらにその推進を図っていきたいと考えているところでございます。

馬淵議員 お答えいたします。

 先ほど来申し上げておりますように、官民交流を否定するものではございませんし、民研修についても、これを何ら規制するものではありません。

 ただし、この民研修、いわゆる研修の名をかりた人員削減という形での、ある意味、定数削減という形での一方通行出向というような形、これはあってはならない。私どもは、総人件費の抑制の中で明確に見える形でということを訴えておりますので、今日叫ばれる厳しい公務員へのさまざまなバッシングの中、とにかく定数削減という形で出向に名をかりたものということは、看過してはならないというふうに思っております。

寺田(稔)委員 一点、今の民主党さんの御答弁に対する確認ですけれども、本人の意思で民研修に出る、そして民に行ってさまざまな知識を習得し、そして本人の意思でとどまる、これについてはどうですか。簡潔にお答えください。

馬淵議員 今まで申し上げているように、退職前の五年間に重要な権限にかかわるものについては天下りは禁止ですから。ですから、これは、出向という形で行かれて、御自身が自身の判断で新たな人生の開拓をするということについて何ら規制をするものではありません。

 繰り返しですが、みずからの人生をみずからが決定するという当たり前のことを私どもは訴えているわけでして、これはまさに、先生御自身、委員御自身がこういう政治の場を選択されたことも、まさにそれと同意だと私は思っております。

 前回の質疑の中では、参議院の比例区に関しては、業界団体を抱えて省庁がまさに権益を守るためにつくっている、これは天下りと何ら変わらないじゃないですかと申し上げましたが、自身の人生を選択するということが大前提ですから、今申し上げたような、御質問のあった部分に関しては、何ら規制するものではないと考えています。

寺田(稔)委員 五年の行為規制がかかるのは当然のことでございます。

 それで、民主党さんにちょっと追加的にお伺いしたいのは、いわゆる級別定数。これは御承知のように、まさに今のピラミッド形の構造を維持している一つのコアのところが、実は各級ごとの人数を統制しているわけです。例えば、八級の人が何名、九級の人がより少ない数、十級の人がより少ない数、そして指定職ともなれば本当に全省庁合わせても約二千名と、非常にピラミッド形をこの級別定数という形で、これは予算書にも予算定数表として明記をされている。すなわち、予算統制であり、かつ人事システムの統制としてこの級別定数システムがあるわけですね。

 これはまさに、我々が今行おうとしている公務員制度改革から見ますと、例えば飛び越し人事もできないし、さまざまな点で弊害が出ているという指摘もあるわけですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

武正議員 いわゆる号級制でございますが、号が年齢、級がそういう意味でのキャリアというか、課長とか係長とかそういうのに当たるというふうに承知をしておりますが、これがやはり今、日本の公務員制度の根幹ですね。それはもう委員御指摘のとおりであります。

 我々が勧奨退職を何とかなくしていこうという中にこれをひとつ検討できないかなというふうに考えているのは、五十五歳から六十歳まで、それこそ、号でいえば年齢とともに号が上がっていく、こういった仕組みでありますが、ここをやはり何らかの形で検討を加えていかないと、与党が、皆さんが指摘されるような、人件費がまた増嵩してしまうのではないのか、こういったことになるわけですから、やはり検討事項ということになろうかと思うんですね。

 政府案にはこの号級制度の見直しがはっきりうたわれていないということについては、逆に、どのような御説明をされるのかなというふうにもお聞きしたいところでございます。

寺田(稔)委員 むしろ総人件費の管理からいうと、実は野党案の方が非常に大きな懸念があるんですよ。

 さっきの例の三年間の新規採用停止、これは明らかに一人当たり人件費はふえますね。当然、平均年齢が上がるわけですから、一人当たり人件費もふえる。しかも、人員の抱え込み、いわゆる複線型人事、専門職でもいいんですけれども、これはもう明らかにP掛けるQの両方ふえるわけです。すなわち、単価もふえるし人数もふえる。したがって、昇給停止の話が出ました、幾ら昇給停止を行おうと、これはもうかなりのスピードでもって総人件費が上っていく。幾ら二割減というふうに言われても、それはどうやって実現するんだろうなと、私も具体の実現可能性について非常に危惧を抱く者の一人なんです。

 この三年間の新規採用抑制によって、一人当たり給与は上がりますね。イエスかノーかで端的にお答えください。

馬淵議員 三年間の新規抑制によって当然ながら人数は減りますから、その部分においては平均給与が上がると言われれば、計算ではそのようになるかもしれませんが、私どもからの案では、総人件費を抑制する、三年二割というものについては、昇給停止や役職定年あるいは民間のさまざまな知見を用いて、マネジメントがこれを進めていくということです。今日においては、それすら一切できなかった。

 そして、人件費を抑制しなければならない、定員数を削減する目標があるからといって、天下りを前提にする天下りバンクをつくるということの方が本末転倒であるということを繰り返し申し上げておるわけでありまして、御指摘の部分というのは、結局は、政府案が今ある問題点を糊塗するもの以外に何もないということを繰り返しお伝えさせていただきます。

寺田(稔)委員 政府案は決して天下りバンク案ではなくして、これはまさに天下り根絶案である。民主党案はやはり抱え込み案ですよね。非常に人件費の増嵩も招き、財政構造改革にも反するような形になってしまっている、そういう危惧がどうもぬぐえない、その懸念がぬぐえないわけなんです。

 中央省庁の抱えるそういったようないろいろな問題の中で、やはり大きな問題として、この天下り問題ももちろんそうでございますけれども、今現在のシステムのもとで能力・実績主義がなかなか貫徹できない。したがって、なかなか形として今のピラミッド構造を崩せない。幾ら複線型人事を拡大したところで、それですべてが解決するとは到底思えないわけなんです。

 やはり、一番大事なことは、本当に質のいい公務を維持しながら、しかも目線が国民に向いている、すなわち、国民のサービス向上を図っていくというふうなことが明確に政策目標として規定をされなければなりません。今現在の政府・与党案では、そうした政策目標も設定をして、全体としてのサービスも向上させていく、そして、働く意欲と自信を持って、本当に、仕事をこなしていく中で能力と士気を高めていくというふうなことが明確な目標形で掲げられていますけれども、その点について、野党案、いかがでしょうか。

馬淵議員 私どもも、公務員制度改革というのは、あるべき公務員像、繰り返し申し上げておりますが、質の高い、また志を持った方々が、そこで本当にやりがいのある仕組みをつくっていくということが大前提であります。

 そのためにも、今、午前中の別の委員の質疑の中では、なぜこれほどまでに公務員を志望する方が減ったんだろうかというお話がありました。これはまさに、公務員バッシングのあらしの中で、公務員が誇れる仕事でない、そういう認識に至ったからじゃないんでしょうか。公務員が誇れる仕事であるためには、まず、国民が最も変えなければならないという天下りを根絶することが必要であり、私どもは、天下りバンクの創設というのは何らその一掃にはならない。肩たたきの禁止、天下りあっせんの禁止、非常にわかりやすい法案を示すことによって、国民の理解が得られるものと考えております。

寺田(稔)委員 まさに、そういう観点から見ると、いかに職員全体の高い資質と能力を維持しながら、士気を保って、本当に有為な人材を官民問わず確保していくかというふうなことになってまいろうと思います。

 そこで、もう時間がないわけですけれども、それぞれ、大臣そして民主党さんの方にお伺いしたいわけですけれども、そういう士気の高い公務員を確保していく具体の方策ですね。すなわち、いかにして有為な人材を確保していくか。恐らく、天下りも禁止になる、そしてさまざまな意味で今公務員バッシングも起こって厳しい状況の中、有為な人材の確保というのが最優先課題となってこようと思いますけれども、大臣の御所見をまずお伺いいたします。

渡辺国務大臣 今回の法案においては、やる気と情熱を持って、なおかつ高い志と気概を維持しながら仕事のできるシステムを導入しようとしております。そのために、民間ではもう常識になっております能力・実績主義を導入し、年功序列システム、スーパー護送船団方式を打破いたします。それによって、優秀な人材が集まり、活気ある国家公務員の職場ができるものと考えております。

馬淵議員 私どもは、有為な人材、これは当然ながら広く求めていかねばならないと思っておりますが、先ほど申し上げたように、公務員バッシング、天下りがあるから公務員になるのか、このように言われてしまうような魅力ない組織、あるいは誇りを持てない組織であってはなりません。だからこそ、天下りの根絶を明確に、肩たたきの禁止、天下りをさせない仕組みを事前規制でやるという、これは襟を正す姿なんですね。政府のように、事後規制で、天下りあっせんを公的機関で一つにまとめる。これでは、幾ら能力・実績主義だといっても、結局は、天下りがしたくて行ったんだろう、こう言われる国民の目線というのは変わりませんよ。

 私どもが訴えているのは、先ほど来申し上げているように、公務員バッシングのためにあらぬ疑いをかけられたり、国家公務員です、官僚ですということがはばかられるような状況になってしまった、その根本を正すために、事前規制、わかりやすく、私どもは一切できませんという仕組みをつくることによって、有為な人材がそれこそ誇りを持って働ける仕組みとなると思っています。

 午前中の木原委員の質問にもありましたが、私どもは、事後規制ということではなく事前規制を強化することによって、国民にわかりやすい姿勢が示せるものだと考えております。

 以上です。

寺田(稔)委員 時間が来ました。以上で終わります。

河本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

河本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。

 それでは、大変話題になっておりますこの官民人材交流、そして公務員の能力・実績主義の人事運用、これらに関する法案についてお尋ねを申し上げたいと思います。

 その前に、午前中、冒頭委員長からも御指摘いただきましたが、予算委員会で、きょうは政治と金に関する集中審議が行われました。その中でも、緑資源機構を中心とした天下りと談合、そして、そこからまた政治家にお金が還元していく、そういう構造問題について審議があった旨、そしてまた、松岡農林大臣はこの緑資源機構を初めとした関連団体に対して天下りの自粛というようなことを指示されたという御答弁がありましたことを、念のため御報告させていただきたいと思います。

 これらに関連してお尋ねを申し上げますが、大臣、率直に、この法律案、非常に取っ組みにくい法律案だなという印象を持っています。一体大臣が何を改善されたいのか、どこに命題設定を置かれて、どういう手段をとろうとしておられるのか、そこに私はいろいろなそごを感じるからであります。

 まず、冒頭お伺いします。

 渡辺大臣は、どんな天下りを根絶されたいのか、また、天下り問題の何を改善、解消されようとしているのか、その点、お聞きをいたします。

渡辺国務大臣 再三御説明申し上げておりますように、天下りというのは、各府省等の人事当局が人事の一環として行うあっせんによる再就職を指していることが多いんですね。したがって、そういった人事の一環として行われるあっせんは、まさに退職後も行われるわけでありますから、玉突きで二回目、三回目というケースが出てくるわけであります。再就職する職員の方も、これは人事の一環でありますから、本人の意思というよりは、人事当局の意向に従って天下りをするわけですね。これが国民から見ますと押しつけのように見えるわけでございまして、不信感を買っておる。二回目、三回目のいわゆるわたりなどは退職金も手にするわけでございます。したがって、こうした実態的な慣行がいろいろな弊害を生んでいる。

 例えば、私のやっている仕事、規制改革とか行政改革とか地域活性化とか、そういったことは各省横断的にやる仕事ばかりなんですね。しかし、内閣官房や内閣府に各府省等から優秀な人材を集めてきても、結局、彼らが退職するときには、本籍に戻って、そこで再就職の世話をしてもらうということになりますと、官邸主導で、総理官邸で行おうとしていることが、どうしても各省のいわゆる省益のしがらみが断ち切れなかったりする場合があったりすると、これは大変な問題になるわけでございます。したがって、この際、そういったこともまとめて解決をしていこう。

 受け入れる方の、受け皿からいたしますと、これは人事の一環でありますから、民間に例えれば一種の子会社あるいは関連会社的な存在になる。そうすると、天下りOBを養うために無駄な税金がそこに投入されているとすれば、これは大問題になるわけでございます。したがって、やはり問題の根本がどこにあるのかといったら、まさしく各省が人事の一環としてやっているあっせん、ここに問題があるわけでありますから、ここを全面禁止をするという大決断を行ったわけでございます。

小川(淳)委員 そうしますと、逆にお尋ねいたしますが、人事の一環でなければ、いかなる天下りの帰結を生み出そうとも、それは許容されるという理解でよろしいですか。

渡辺国務大臣 ですから、そういった問題を踏まえて、官民人材交流センターにおいては再就職支援に切りかえるということを行ったわけでございます。人事の一環から再就職支援への転換というのは、もうまさに天下り根絶になるわけであります。

小川(淳)委員 ちょっと、そこがまさに理解しづらいわけであります。

 今、各省であっせん行為をやっている、それはそのとおりだと思います。各省からあっせん行為、あっせん権限と言っていいのかどうかあれですが、それを剥奪する、私は、それは正しいことだと思います。それを内閣総理大臣に持ってくることで、大臣が目指している形になるんでしょうか。各省大臣が持っているあっせん権限を内閣総理大臣に統合することで、この天下り問題というのは解決するのですか。

渡辺国務大臣 解決いたします。

 この官民人材交流センターは中立的な機関であります。そこに出向する職員は、トンネル機関にしてはいけないという大原則がございまして、出身省庁のあっせんは禁じているわけであります。そういったもろもろの仕掛けがあって、まさしく再就職支援、すなわち求人開拓も行いますが、キャリアコンサルティングも行います。再就職をする職員が、まさに人事の一環ではなく、それぞれの能力と実績が正当に評価をされて再就職をしていくということでございますから、これは天下りの論理とは全く別のものでございます。

小川(淳)委員 大臣、今なぜ再就職が人事の一環としてやられているか。そこはまさに、大臣がよく用語としてお使いになりますが、予算や権限を背景にした押しつけ的な、あるいは人事の一環として行われるものと。予算や権限を背景にしているからこそ成り立っているわけであります。

 そうしますと、予算や権限を背景にしない形で、能力や実績をもとに、例えば公益法人にせよ特殊法人にせよ、あるいはその周りにいますファミリー企業等々、私は、これは成立しがたいと。予算や権限を背景にしていたからこそできたこと、それを予算や権限の背景を剥奪して、個人の資質、能力、経験、実績でこれを進めていくというのは、およそあり得ないことだというふうな気がしてなりません。そこが非常にこの法案の理解しがたいところ。一体何を目指しておられるのか。それはつまり、もう出るな、外に出るなということを意味するに近いんだろうな、もしこれが機能するとすれば、そういうことなんだろうという気がいたします。

 ちょっと関連することを、少し距離のあることかもわかりませんが、最近報道にもなりました事実関係、あるいはそれに対する問題点、対処等お聞きをしたいと思いますが、一つ目、今回、国家公務員の再就職問題全般を取り扱っているわけですが、現在の制度、現行制度の中で違反行為が認められたということについて、最近報道がございました、五月十日ですか。元金融庁の総務企画局長が、必要な人事院の承認を受けずに民間会社の社外取締役に就任していたということでございますが、まずこの事実関係、お尋ねを申し上げます。

大村副大臣 お答え申し上げます。

 今お尋ねになりました、元金融庁総務企画局長が人事院の承認を得ていなかったということでございますが、事実関係を申し上げますと、日本証券業協会の増井副会長、これは前金融庁の総務企画局長でございますが、昨年六月に、協会における職務の一環といたしまして、報酬はすべて実質的に協会に帰属させる形で株式会社証券保管振替機構の社外取締役に、これは非常勤でございますが、就任をいたしました。ただ、その際、就任に当たりまして、国家公務員法第百三条が求める人事院の承認を受けておらず、同条に抵触する形となっていたわけでございます。

 当庁といたしましては、四月の二十七日夕刻、日本証券業協会からの報告により国家公務員法に抵触している事態を認識し、一刻も早くそうした状態を解消する必要があるという旨を協会に伝えさせていただきました。増井副会長は同日付で証券保管振替機構の社外取締役を辞任したというふうに承知をいたしております。

 本件を受けまして、金融庁といたしましては、再発防止といたしまして、当庁課長、企画官相当職以上に対しまして、当庁を退職し、国家公務員法上の再就職制限期間内、退職後二年以内にある者に対しまして、改めて周知徹底のための文書を送付するとともに、法令に抵触する状況にないかどうかの聞き取り調査を実施し、問題ないことを確認しております。さらに、これ以外の再発防止策につきましても検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

小川(淳)委員 人事院にお尋ねいたします。

 今御報告いただいた事案ですが、これは初めてのケースですか。こういったケースは過去にございましたか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 我々もまだ報道で承知しているだけでございます。詳しくは、金融庁において調査をして、詳細の報告をしていただけるものというふうに思っております。

小川(淳)委員 少し制度論としてきちんと議論しておきたいんですが、なぜこういう事態になった、こういう事態になり得たと人事院としては考えておられますか、お尋ねいたします。

吉田政府参考人 事実関係が定かでないので、今ここで確たることは申し上げられませんが、退職をした公務員が退職後に再就職をしたケースでございますので、個人がどういう形で報告をするのか、あるいはその申請をするのかというところに一つ問題がある。それから、もちろん省庁としては、そういう民間企業につく場合には承認が必要になるケースがあるわけですから、そういったことを徹底しておく必要もあるというふうに考えております。

小川(淳)委員 この再就職承認制度ですが、申請者はだれになりますか。

吉田政府参考人 職につくのは退職した職員でございますが、人事院に承認を申し出るのは各省庁でございます。

小川(淳)委員 このケース、増井元総務企画局長さんは、退職した後の話であります。退職した職員を、なぜもとの雇い主であった金融庁が人事院に対して承認申請するんですか。なぜ、増井さん本人が承認申請をせずに、もとの雇い主である金融庁が承認申請をしなければならない制度になっているんですか。その趣旨をお尋ねします。

吉田政府参考人 今の国公法において、職員が所属した省庁が人事院に承認を申し出るということになっているわけですが、それは基本的に、例えば退職時点においては、省庁がその人がどこへ行くかというのをわかっているということがあると思いますし、退職後について、その職員がどこへ行くかということをどこまでフォローするかということはあると思いますが、要するに、二年間については各省庁においてその部分もフォローして、必要があれば申し出をするということが基本的な枠組みになっているというふうに考えております。

小川(淳)委員 これは、この承認制度、人事院の承認制度自体の趣旨とかかわると思うんですが、なぜ人事院の承認を求める制度になっているんですか。なぜですか。

吉田政府参考人 これは、再就職を通じて、官民の癒着といいましょうか、それによって行政がゆがめられることがないように、事前に職員が民間企業と何らかの関係をつくって、それによって再就職を有利に運ぶというようなことがないように、公務の公正性といいますか、行政の公正性を担保するという趣旨で設けられております。

小川(淳)委員 公務の公正性を担保するということのために、退職してしまった人間、既に公務員でない人間にまで規制を及ぼしているというのがこの制度なわけですね。

 渡辺大臣、今回のこの改正案、国家公務員法の改正案なんですが、退職した後の公務員、一たん公務員を退職された人間については、どういうあっせんなりあるいは規制なりということを及ぼし得るのか、今回の法案に関してお尋ねいたします。

渡辺国務大臣 退職した公務員、元職員についてかかる規制は、例えばその職員が古巣の人事当局のあっせんによって別のところに再就職をするというような場合には、これは現職の方に懲戒処分という規制がかかります。全面禁止でありますから、そういうことはできないということになります。また、この元職員が不正な口ききをすれば刑事罰がかかります。また、外部監視委員会のチェックも受けることになります。どうも現職の時代から求職のためにおかしなことをやっていたのではないかというような疑いがもし出てきたりいたしますと、これはまさしく、外部監視委員会の事情聴取を受けたり、あるいは立入検査を受けたりということになるわけでございます。

 したがって、今回の規制はかなり厳格なものであります。一概に事後チェックというわけではありません。現役の時代から求職活動の制限をかけておりますので、正しくは、事前から事後に至る行為規制というべきものがかかるわけであります。

小川(淳)委員 法案のみそといいますか、制度の骨格は、職員の離職に際しての就職支援ということだと思うんですが、退職した後の職員がみずからの就職活動によって再就職をしていくということに関しては、それは今大臣がおっしゃった監視委員会等で何らかの規制を及ぼせる仕組みになっているんですか。

渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、監視委員会が疑いを持つに至った場合には、まさに調査の端緒となるわけでございます。

小川(淳)委員 これまでは、もともと二年間の再就職規制があったわけでありまして、それが、猶予期間を過ぎればなくなる。それまで各省があっせんしたものが、内閣総理大臣のあっせんによってこれから再就職し始めるという、その経路を変えることで一体どういう効果が出てくるのか、何が変わるのか変わらないのか、非常にそこが大きな疑問で、これはなかなかぬぐい去れないわけであります。

 それでは、もう一つ、最近の事案で、政府サイド、官邸サイドとそれから各省との間で恐らく利害の不一致、利害の衝突があった案件だと私は思いますが、これに関してちょっとお尋ねを申し上げます。

 四月二十四日ですか、政府がまさにこの法案の閣議決定をされたその日、東京証券取引所が秋にも設置をします市場の自主規制部門ですね、この自主規制部門を担当する新法人の理事長に元財務次官を登用するという報道がなされたそうでありますが、この件について、あるいはそれ以降の経過について、財務省、御存じの範囲で結構です、お答えをいただきたいと思います。

杉本政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生御指摘の件につきましては、東京証券取引所は株式会社でございますが、東京証券取引所が株式会社として、みずからの御判断で、自主規制法人の理事長として適切な人物を選定されたものと存じ上げております。

 本件に関しまして、財務省として具体的な選定に関与したということはございません。

小川(淳)委員 官房長、お聞きしますが、これはお聞きになっておられましたか。事前に、報道される前にお聞きになっておられたかどうか、お聞きいたします。

杉本政府参考人 お答えいたします。

 本件は、東京証券取引所が株式会社として、みずからの御判断で、自主規制法人の理事長として適切な人物を選定されたものでございますので、その具体的な経過について財務省として何らかのことを申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思っております。

小川(淳)委員 官房長官にお越しいただいておりますが、これは報道された事実です。報道によりますと、この発表、四月二十四日の東証の発表に対しては、まあ、ある報道ですから、この表現等お許しをいただきたいと思いますが、財務省の挑戦と見た官邸サイドが同省に中止を求めた、東証が決めたことなので財務省は関与していないと、今まさに御答弁がありましたけれども、受け流された経緯があると報道されておりますが、これは事実でしょうか。

塩崎国務大臣 その報道は承知しておりません。

小川(淳)委員 報道を御存じかどうかお聞きしているのではなくて、報道された事実があったかなかったかをお聞きしています。

塩崎国務大臣 この人事は、東証が金融庁に届け出をするという人事で、官邸には何も関係はありません。

小川(淳)委員 そうしますと、ここで報道された事実は事実無根だということでよろしいですね。

塩崎国務大臣 今申し上げたとおりで、金融庁に届け出るという権限関係になっている人事でありますので、官邸として関与するだのというようなことは何もないということです。

小川(淳)委員 渡辺大臣、これが事実かどうか、もちろんなかなかお答えしにくい面もあるでしょう。しかし、私は、あり得ることだと思うんですよ。やはり、各省庁あるいはそれに関連した法人等々でOBが採用されていく、しかし、政府としては、こうした人事に対して、もちろんいろいろな構造的な問題もあるでしょうし、あるいはイメージ上の問題もあるでしょう、こういうことに対して政府が物を言っていくということは大いにあり得ることだと私は思うんです。

 今回のこの法案でいきますと、こうしたケース、例えば退職職員なのでもう関与していないとかいったことについては、やはり制度上物を言っていくすべがないんだと思うんですが、大臣、まず、東証の新設する自主規制法人の理事長に元財務次官が就任するというこの人事、これは大臣が目指される天下り根絶の範疇ですか、それとも範疇外ですか、いかがですか。

渡辺国務大臣 新法が施行されまして、きちんと全面的な改正法が動き出しましたときには、先ほど申し上げましたように、疑いがあるケース、つまり、どうも各省が絡んであっせんをやったのではないかというようなケースについては、外部監視委員会が事情聴取や立入検査を行うことができます。まさに調査の端緒があればそういう仕掛けが動き出すということでございますので、調査の端緒というのは、この前も申し上げましたように、例えば国会で問題になった、外部監視委員会が疑いを持つに至ったというようなケースでは、その後の手続、事後チェックの手続が動き始めるということであります。

小川(淳)委員 つまり、大臣の御見解ですと、これは、あっせんがあったかなかったかはやはり問題だと。

 もう一回申し上げます。東証が新設する自主規制法人の理事長に元財務次官が就任するということは、これはあっせんがなかったら問題ないというお答えでよろしいんでしょうか。

渡辺国務大臣 こういうケースは、かつて固定的なポストになっていた場合が多いわけですね。つまり、東証理事長とかそういった、営利企業ではないけれども非営利法人への天下りポストというのがあったわけでございます。

 したがって、疑いを持たれる場合が多いわけでございまして、新法施行後、外部監視委員会が疑いを持つに至った場合にはチェック対象になるということであります。

小川(淳)委員 まさに議論したいのはそこなんです。

 今回はこういう手続の整備に主眼が置かれているんだと思うんですが、要するに、あっせんさえなければいいんだと。きょうの予算委員会でもやっていました緑資源機構にせよ、その下の公益法人にせよ、あるいは先週の質疑ですと、庁舎の清掃等の財団法人に関する議論もありました。それから、きょう、今申し上げた東証の新しい理事長、そして、またお伺いしたいと思いますが、空港会社等々、これはあっせんがなければいいのか。私は、あっせんがあろうとなかろうと、こういう退職公務員が、あらゆる公的な法人、団体、そしてそれに関連した企業等々の主要な職を占めていくこと、その構造そのものが問題だと思うんですが、大臣、これは、あっせんがなければ、あっせんの有無さえ確認されれば、それでいいんでしょうか。

渡辺国務大臣 仮に、各省のあっせんが全くなかったとしても、在職中に、みずからの職務と利害関係を有する企業等に対して再就職の交渉や約束を行うことは禁止されています。企業から請われた場合も同じでございます。

 これは現職の場合でありますが、一般論としては、職員が、その知識や経験を評価され、営利企業等の要請を受けて再就職する行為は、官民の人材の交流という観点からは望ましいものでございます。

小川(淳)委員 馬淵委員、ちょっと提出者にお聞きしたいんですが、民主党案は、天下りそのものを、あっせんがあったとかなかったとかいうこととかかわりなく阻止しようとされているわけであります、私もやはり同じ問題意識を持つんですが。もちろん、再就職、官民の人材交流というのは、これは大事な価値観、大事な観点だと思います。しかし、あっせんルートがどこになろうと、あっせんルートが変わろうと変わるまいと、結果として、関連する特殊法人や公益法人、財団、そしてファミリー企業にたくさんの官庁出身者が再就職をするという事態は私は大いに改善していくべきだと思いますが、馬淵提出者、その辺の考え方をお聞きしたいと思います。

馬淵議員 午前中の与党の議員の方からの御質問にもありましたが、そもそも、我々民主党の案というものは、だからこそ事前規制を強化すべきものであるという考え方に基づいて提出をさせていただいております。

 当然ながら、事後規制でその行為規制というものを行っていくわけでありますが、事前規制の強化、それは、とりもなおさず、あっせん、天下りについては五年間の禁止、影響力を排除するための相当期間として五年間。現行二年のその期間があるにもかかわらず、今もって、委員御指摘のような談合等あるいはさまざまな事件等につながる温床となるような天下りが実際行われているわけですね。先ほど金融庁のお話にもありましたように、ざる法のように実態としては起こっている。これも、人事院への届け出、そこでの審査が必要なのに、それも行われずに会社の社長に、取締役についたという事実があるように、二年の規制がこれは緩いんですね。だから我々は、事前規制というものを五年間に強化する、これによって国民の不安を払拭することができると考えております。

 先ほど来、大臣の答弁やあるいは委員の質疑にありましたように、あっせん、これは禁止をすべきものなんですが、事後規制では実はその実効性、いわゆる効果が極めて薄くなってしまう。我々は、行為規制も考えておりますが、事前規制強化こそが問題の根本の解決だ、このように考えております。

小川(淳)委員 これはお互いに難しい問題をはらんでいることはそうだと思うんですが、政府案の、あっせんルートを変えるということが本当にどれほどの効果を持つのか持たないのか、私はやはり、そこに非常に取っ組みづらさといいますか、これは何年後か、本当によく見てみなきゃいかぬなと。この法案ができて二十年に立ち上げられて、実際に変わっていくのか変わっていかないのか、これはよほど大きな検証が必要だと思います。

 関連して、これはちょっと性格は異なると思いますが、同じように、やはり官邸サイドの意向と、それから現場の官庁の意向あるいは官庁の関連法人の意向で、成田空港会社の社長人事が最近話題になっております。きょう、何か新たな報道もあったということもお聞きをしておりますが、まず、国交省にお伺いいたします。

 成田空港会社の社長人事について、少し経過なり事実関係の御説明をいただきたいと思います。

鈴木(久)政府参考人 お答えいたします。

 成田国際空港株式会社の社長人事につきましていろいろな報道がなされておるということは私どもも承知しておりますけれども、現在手続中の事案でありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

小川(淳)委員 報道された事実に基づいて、少し事実関係だけ申し上げたいと思います。

 六月の下旬に、成田空港株式会社の社長の任期が切れるんだそうですね、六月の末に。そして、現社長は、元運輸省次官の黒野氏。そして、国交省、成田空港会社関係からは、この黒野社長の留任に対する声が強いと。報道された事実です。

 これに対して、これも報道された事実でありますが、官邸筋からは、そうした運輸省次官OB、官僚出身の黒野氏が今後の成田空港の運営を行っていくのは望ましくないという意思表示をされたということでありますが、官房長官、事実関係だけお聞きをしたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど航空局長からお答え申し上げたように、今、手続にかかっているものでございますので、コメントは差し控えたい、こう思います。

小川(淳)委員 官房長官、十七日の記者会見では、民営化を視野に検討している、完全民営化を視野に、この空港会社の形態が変わっていくことを視野に入れているわけで、それにふさわしい人がいいと述べたというようなことが報道に出ておりますが、これは事実じゃないんですか。

塩崎国務大臣 これは、代表権を持つ特殊会社のトップについては所管大臣が認可をするわけでありますけれども、同時に、閣議口頭了解という手続を経るわけであります。そういうことで、内閣において、これが閣議にかかるということでありまして、今、記者会見で私が申し上げたというふうに引用していただいた点については、基本的な一般論としての考え方を申し述べた、こういうことでございます。

小川(淳)委員 個別のことだからとか、あるいは調整中の案件だからということで、国会でなかなか具体的な御答弁を引き出せない、いただけないということはよくあることでありますが、せめて会見でおっしゃっていることぐらいは、この場で事実関係あるいはそのときにお考えになられたことをおっしゃっていただくのが筋道だと思いますが、官房長官、ぜひお願いしたいと思います。

 この件に関しては、きょうですか、新たな報道があったようですね。恐らく官邸の意向を得てということだと思いますが、報道があったことに関して、国交省、何かお答えいただけませんか、新しい展開。

鈴木(久)政府参考人 けさの報道で新社長の人事についての報道があったことは承知しておりますけれども、先ほどもお答えしましたとおり、手続中の事案でありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

小川(淳)委員 では、私の方から申し上げましょうか。元住友商事の森中副社長とおっしゃいましたか、今度、成田空港会社の社長人事でこの方のお名前が挙がっているということだそうです。

 まさに官房長官おっしゃったように、この成田空港会社については、今、株式会社にはなりましたが、株式の状態は、全部政府が保有しているということであります。しかも、社長人事については国交省の認可が必要だという制度になっているわけでありますから、これは当然、制度的に、法的に、政府としては一〇〇%支配力を及ぼすことができるということだと思います。しかし、これもまた完全民営化をしていく、いずれ株式を上場して完全に民営化をしていくという段になりますと、事はそう簡単ではないということだと思います。

 こうした際に、渡辺大臣、これも見方によっては天下りの一種、一環でありますが、今は完全に成田空港は国の子会社、国が株式を持った会社、しかし、民営化していったとはいえ、これから空港周辺とのいろいろな調整ですとか、そういったさまざまな難しい問題も抱えている。一方で、非常に世界に向けて開かれたオープンな空港にしていかなきゃいけないという命題も抱えている。こういう会社についての社長人事というのは非常に難しい要素が入り込むんだと思いますが、今の状況ですと、国交省の認可人事でありますから、やはり非常に国交省の影響力が強い。株式が公開された後もそうでしょう。

 こういうものに対して、渡辺大臣、これはやはり、内閣総理大臣主導のあっせん行為というもので人事を決めていく、あるいは人事に、働きかけ、影響を及ぼしていくということになるんでしょうか。民営化された後の成田空港会社について、政府としてのかかわりの仕方、これをお尋ねさせていただきたいと思います。

渡辺国務大臣 先ほども申し上げましたように、各省人事当局のあっせんというものは全面的に禁止をしております。したがって、それが二回目、三回目の再就職の際に行われるものであっても同じであります。もしそのような行為規制違反の疑いがありますと外部監視委員会が動き出す、こういうことになろうかと思います。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

小川(淳)委員 こういう国交省が認可を持っている法人ですらそうなんですか。こういう国交省が認可をする法人で、国交省があっせんしていく、あるいは人選する、人選にかかわるということは私は当然の流れじゃないかと思いますが、そういう意味では、この点に関しては、大臣、これもやはりだめなんですか。

渡辺国務大臣 各省のあっせんはアウトであります。

小川(淳)委員 ここも実は、私どもの立場から申しますと非常に言いにくいことではあるわけですが、こういう認可を持った法人、あるいは財団法人でも指定法人という制度があります。例えば、最近ですと、少しやりとりをしました、警察とそれから交通事故に関して情報分析をする分析機関、これなんかは、法律上この法人ということでもう指定されているわけですね。ここからあっせん、人選、働きかけの権限を奪うことは、極めて公益性の高いこうした人事案件においては逆にそごを来す可能性が高いと私は思いますが、その点、いかがですか。

渡辺国務大臣 そういう意見もございました。

 先ほど来申し上げていますように、政府案においては、官と民の垣根をできるだけ低くしよう、相互交流を大いに進めていこうという考えであります。一方において、官民交流を行っていけば、当然、官民癒着の防止措置というのが大事になるわけであります。そういう観点からも、各省のあっせんは全面禁止をし、厳格な行為規制を導入したところであります。

小川(淳)委員 本当に水かけ論というか、押し問答にならざるを得ない部分かもわかりませんが、各省から本当にあっせん権を奪わなければならないことと、一定の働きかけがむしろ必要なことと、いろいろ、その辺の区別なしにということに関しては、やはり、目が粗いというか、この制度設計が粗いんじゃないかと思うんですね。

 各大臣から内閣総理大臣に一元化すること、非常に象徴的な意味はあるんでしょうが、きめ細かく見ていくと、それで問題が解決するのか、あるいは新たな問題を来さないのか、そういうことに関しては非常に粗い制度設計だな、本当にその効果が見込めるのか、あるいは弊害を除去できるのか、これに関してはやはり相当大きな疑問を禁じ得ません。非常に大きな疑問を持っています。

 また、あわせて、少し観点を違えてお尋ねをいたしますが、今、厳格な行為規制という大臣のお話がございました。これは今までなかった制度だと思いますが、この行為規制について、大臣、概要だけまずお教えをいただきたいと思います。

林副大臣 行為規制の概要ということでございました。

 行為規制につきましては、先ほど来議論があるところでございますが、もともとここの役所にいた方が退職された後、そこに、おったところに働きかけをするというものを規制する、こういう内容でございます。

小川(淳)委員 何年とか、あるいはその事実関係、制度設計、お尋ねをいたします。

林副大臣 行為規制につきましては、もうかなり御議論もいただいたところでございますが、一応、退職職員の働きかけ規制ということで、退職後に営利企業等の地位についている退職職員が、離職後二年間、一定の国の機関の現職職員に、当該営利企業等またはその子法人が関係する契約または処分であって、離職前五年間に、これは課長レベル以上ではそのポストについていた間ということにしておりますが、担当していた職務、また、局長級以上については在職していた府省全体の所掌、こういうことにしておりますけれども、これに属するもの等に関して働きかけを行うことを規制する。

 また、さらに重い規制といたしまして、離職後に営利企業等の地位についている退職職員が、一定の国の機関の現職職員に、在職中にみずからが決定した契約または処分、これについては期限の定めなく規制をかけるということでございます。

小川(淳)委員 渡辺大臣、今御説明いただいたような退職後二年間の働きかけの禁止、これは非常に十分で厳格なものですか。

渡辺国務大臣 それだけがすべてではございませんので、いろいろな行為規制をパッケージで考えて我々としては二年間という時間をとった次第であります。

小川(淳)委員 例えば、この二年という期間の設定については、何か参照されたもの、あるいは研究材料、判断材料等、具体的にございましたらお教えいただきたいと思います。

渡辺国務大臣 この二年間というのは、現行制度で事前承認、クーリングオフ期間が二年とされていることを踏まえております。また、今回の働きかけ規制は、不正なものに限らず、元職員の現役に対する働きかけを外形的に禁止するものであります。したがって、既に民間人となっている元職員の職業選択の自由や勤労の権利に対する非常に強い規制となることから、規制期間については、必要かつ合理的な期間に限定をするという意味で二年としたわけでございます。

 さらに、官民の闊達な交流を促進し、例えば民間経験を積んだ方にも公務の世界に入っていただく必要があろうかと存じます。その後再び民間で働く場合に、必要以上に長期間の規制とすることは官民交流を阻害する要因となりますので、こういったことから考えても二年という期間は合理性があると考えます。

小川(淳)委員 人事院の承認に係る再就職規制が二年だということはそのとおりなんですが、それと、一たん外部に出てからの働きかけを規制すること、この二年という期間は性格が異なるものだと思いますが、その点、いかがですか。

林副大臣 確かに事後規制とそれから事前規制という違いはありますから、同じことを同じ年限でということはございませんで、むしろそれは、今回暫定措置として、先ほど委員がお話しになられましたように、やる場所は内閣府に移ってまいりましたけれども、事前規制を暫定的に残す、こちらがそちらに一番近いわけでございますが、今大臣から御答弁がありましたように、この影響力というものがどれぐらいの間に備わって、それでそのことが退職後どれぐらい持続するのか、こういったことを当然行為規制をする場合には考えるわけでございます。そういうことを考慮する中で、こういうものは今までやっていたところで、そういうことを考えながらやってきたということも参考にしてこの二年間ということを決めた、こういうことであろうかと思います。

小川(淳)委員 この影響力、まさにそういうことだと思うんですが、どのくらい持続するのかと。

 これは、具体的な研究材料は何かありましたか。

林副大臣 これは具体的に、数値的に、定量的にというのではなくて、今申し上げましたように、人事院が今までそういう規制を二年間ということで定めていたものを一つの参考にした、こういうことでございます。

小川(淳)委員 それだけですと、性格が違いますでしょう、事前規制と事後規制で。何か、再就職後どういう働きがあったとかなかったとかいうことについて、具体的な研究をぜひすべきですし、したはずだと思いますが、そこはいかがですか、材料はありませんか。

林副大臣 もちろん、これは事後規制でございますから、今までなかったことを今度は新しくやる、こういうことでございますので、今申し上げました影響力という観点から、人事院の規制、現行の規制を参考にいたしましたのと、強いて言えば、諸外国でどういう規制をされておられるのかなということも検討の過程では議論に上がっていた、こういうふうに記憶をしておるところでございます。

小川(淳)委員 例えば、私自身の感覚ですと、先輩は五年たっても十年たっても二十年たっても先輩なんですよね、役所の人事の文化といいますか、そういうものからいきますと。具体的に、こういう事案というのは、言うまでもないぐらい最近大きな出来事が続いているわけでありますから、ぜひ目を通されて、あるいは研究材料にすべきだと思います。

 きょう、あえて防衛省にお越しをいただきました。防衛省さんは、今まさに、防衛施設庁の解体を前提にした設置法の改正案等々に取り組まれているわけでありますが、昨年には大変大きな談合事件に見舞われて、それに対するさまざまな内部の調査結果、非常に赤裸々な報告だと私も興味深く拝読をさせていただきました。

 防衛省さんにお伺いいたします。直接の非常に大きな反省材料となりましたこの官製談合事案について、今大臣、副大臣と議論させていただきましたが、一体その影響力というのは何年ぐらい持続しているのか、継続しているのか、この具体的な事案から少し御説明なりいただけたらと思います。

増田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今、渡辺大臣、林副大臣から、今回の国家公務員法改正案における働きかけ規制についての内容、趣旨について御答弁ございましたけれども、私どももまさに、そういう職員であった者の職業選択の自由等々とのバランス等を考慮して、こういう規制の期間というのは必要かつ合理的なものとするという考え方に立ってこういう制度がなされたというふうに理解をしております。

 今先生から、防衛施設庁の談合事案についての影響力の問題がございましたが、施設庁の談合事件と申しますのは、そもそも役所の中で官製的に職員がその談合を主導していたということに大きな問題点があったものと理解をしておりまして、単純に職員であった者がもといた職場に働きかけをするということとの関連において、比較して論じるということとして直に考えるということはどうなのかなと思っております。

小川(淳)委員 渡辺大臣、そういうことでよろしいですか。積極的な働きかけをしなければ、ましてや、これはあってはならないことですが、官庁の側から働きがあってそれに応じたというのは、これは行為規制の対象にならないと考えてよろしいですか、大臣、今の御答弁。

林副大臣 ちょっと御質問の趣旨が明確にわかりませんでしたが、今の防衛庁の方の働きかけがこの構成要件に当たるかという御質問でしょうか。

小川(淳)委員 その前に事実関係をはっきりさせたいと思いますが、昨年、大変大きな問題になりました防衛施設庁の談合事案については、三宿の病院に係る設備投資、平成十六年の事案だと言われています。携わったのは、防衛庁側が生沢当時の技術審議官、そして受注側にOBとして天下った甲さん。実名は出ていません、甲さん。この方は平成十年の退職であります。そうしますと、このケースでいきますと、平成十年に退職して平成十六年の談合事案にかかわるまで六年間のブランクがある。

 もう一つ、岩国基地に関連した談合事件もありました。これにかかわった受注側の丙さんについては、平成三年に防衛省を退職しておられる。そして、この岩国基地に関連した事件の起きた時点、これも平成十五年から十六年にかけて、つまり退職後十三年後であります。

 今、防衛省の御担当から御答弁いただきましたが、受注側は、これは積極的に防衛省に対して働きかけをしてくれとは言わなかったからいい、応じただけだ、防衛省、防衛庁の意向に応じて対応しただけだという御答弁だったと思いますが、もし違っていたら、どうぞ。

増田政府参考人 言葉足らずで失礼をいたしました。

 私、何も応じただけだからいいということを申し上げたつもりはなくて、そもそも役所の中でこの種の割り振り行為をしたりすることは、それがそもそも犯罪でございますということを申し上げたつもりでございます。

小川(淳)委員 退職してから一方は六年後、一方は十二年、十三年後ですね。あうんの呼吸でそこはできるわけですよ、退職した後の職員と。これは問題でしょう、大臣。いかがですか。

林副大臣 委員長に御指名をいただきましたので。

 今防衛省からお話がありましたように、今のケースにつきましては、一般の刑法等でやっていただくものがあるわけでございますので、この規制は、影響力と先ほど申し上げましたけれども、そもそもそういう公正な行政が行われるということを損なう可能性があるということと、それから、大臣からも御答弁がありますように、官民の垣根を低くしてきちっと官民交流をやる、これは民主党の答弁者からも先ほどお話があったところでございまして、そのバランスの中でこういう年限になっておりますが、この規制がかからなくなったからといって、今防衛省の方から答弁がありましたように、一般の刑法に触れるようなことが免責をされる、これではないわけでございます。

 ちなみに、民主党さんの案でもたしか十年間という御規制だったというふうに承知をしておりますので、そこは、このケースについては同じ対応ということになろうかと思います。

小川(淳)委員 二年間の行為規制そのものは、私は本当に、そんなに意味を持たない。人間関係というのは、そんなに一年や二年で切れません。本当に、五年、十年、二十年、幾らでもこれは働きかけ、影響力あるいは人間関係は継続するわけでありまして、この事案一つとっても、退職から十三年、一方は退職から六年、こういう事案が出ているわけでありますから、二年という行為規制をもって十分だとか厳格だとかいうのは非常に甘いお考えではないかな、そんな気がいたします。この点、この行為規制についても、アメリカでも基本的に五年、それから民主党案でも十年、こういう点をぜひ頭に置いていただきたいと思います。

 それからもう一つ、私、これは本当に何年も検証する必要があると思いますが、とにかくこういう制度を入れて、一体その先どうなっていくか、これは本当に興味深いことだと思いますが、一つあり得ることは、今までと変わらない姿でうまくあっせんがすり抜けられていく、これはざる法だとかいう指摘をする我々の立場からいえば、そうであります。

 一方で、滞る、完全に滞る。各省のあっせんが、これはもともと予算と権限を背景にやっているわけですから、そこと切り離されたあっせんで実現するわけがない、滞るということがもう一つあり得るわけであります。

 こうなってきますと、まさにそこからが本当の公務員制度改革だと思いますが、能力・実績主義という考えが取り入れられてきたのは平成十二年、十三年であります。行政改革大綱あるいは公務員制度改革大綱、これらをきっかけに、公務員の人事に対して能力や実績を十分に反映していこうという考え方が示されたわけであります。それから六年、行政改革大綱から七年、公務員制度改革大綱から六年、もう同じようなことを言われているわけですね、今回法案化されたことが。

 一体この公務員の世界に、ボーナスとか昇給、昇進に関して能力や実績主義が取り入れられてきた実績はあるのかどうか、これは人事院にお聞きをしたいと思います。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

出合政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十二年の行政改革大綱で、成果主義、実績主義に基づく信賞必罰の人事制度という言葉が出てきております。人事院も、かねてより給与における成績主義の推進について指針を出し、その指針に基づく運用の実態について各省庁とヒアリングをしながら状況の把握に努めてきております。その中で、昇給あるいはボーナス、このあたりについて、成績主義の実行をお願いしてきております。

 これらの経過を踏まえまして、平成十七年に、給与勧告におきまして、職務、職責に応じた俸給構造への転換、勤務実績の給与への反映を盛り込んだ給与構造改革を勧告し、現在、実施に移しております。

 具体的に申し上げますと、例えば昇給については、勤務成績を反映しやすくするために、以前の一号俸を四分割させていただきまして、普通昇給、特別昇給と言っておりましたものを一本化して、極めて良好な成績の者から良好でない者まで五段階に分けまして、その成績上位者の分布率を設けて実施をお願いしております。さらに、勤勉手当についても同様に、特に優秀を五%以上、優秀という部分を二五%以上の分布率を定めまして、それを措置するようにお願いしているところでございます。

 これらにつきましては、今後またヒアリング等を通じて、実行の有無については一つずつ確認をしていこうと思っております。今後とも、この勤務実績の給与への反映につきましては一層推進をしていきたいと考えております。

小川(淳)委員 実績は把握していないということでよろしいですね、この六年間。今進めようとしておられることはわかりました。どのくらい実績が出ているかということに関しては把握していないということでよろしいですね。

出合政府参考人 今申し上げましたように、ヒアリングをしながら各省庁の実態を、成績主義の推進を進めておりますので、そのヒアリングの関係では、把握をしながらやっております。

小川(淳)委員 把握しておられるんだったら、教えてください、実績を、どのくらいこれは進んだのか。

出合政府参考人 例えば勤勉手当について申し上げますと、勤勉手当は、成績に応じて、いわゆるボーナスですから、差をつけるという形になっております。

 最初の段階でやりましたことによって、特に優秀と言われる部分、百分の七十が標準ですけれども、それを百四十から九十五、いわゆる余計に出す部分については一・二%の職員、それから優秀、九十五から八十の部分については二二・七%の職員が対象になって支給をされているということがございます。

小川(淳)委員 私、六年前からこういう考え方が取り入れられてはいるわけですが、ボーナスにある程度の差をつけていく、しかし一方で、例えば年次を逆転した、局長より次官の方が年次が低いとか、そんな話聞いたことがありません。

 私は、これは、人事が本当に機能させればさせるほどとまっていくことだと思いますが、その受け皿は当然、年次とかあるいは試験採用の区分を外すとかいうことをおっしゃっていますが、そういう本当に流動的な人事、自在の人事ができるかどうか、これこそが本当に役所文化を変えていくに当たっては大きな突破口だと思います。しかし、こういうことが言われてから六年、七年、ほとんど動いていないのが実態でありまして、これを本当にやっていくと、いかに難しいことかということだと思います。

 私、これが成立したら本当に次官と局長の人事が逆転するのかどうか、本当に公益法人や特殊法人の関係天下り先への再就職は減っていくのかどうか、あるいは民間から来るのかどうか、こういうことはよくよく検証していきたいと思いますし、やはり、押しつけかどうかではなくて、これは共存共栄を図ってきた構造癒着ですから、押しつけだとかなんとかでなくて、予算と権限を背景に進んできた構造癒着ですから、共存共栄の文化ですから、ぜひそういう本質的な問題意識で取り組んでいただきたい、そのことをお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河本委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、せんだって、前回の時間切れになった問題から始めたいと思いますが、この間は、官業癒着の防止ということであれば天下り規制の強化をやらないと実現できない、一方、官民交流の促進というと、これは天下りも天上がりも両方とも進めましょうということになりますから、天上がりも天下りも両方進めるという立場だったら天下りは根絶できないではないかというところを前回の終わりにやったわけですね。これに対して、官民交流を図りながら官民癒着の防止に持っていくというのが大臣の答弁でした。

 官民人事交流法では、これは、三年以内、派遣元企業と密接な関係がある官職にはつけないなどの規制がありますが、こうした規制、つまり、官民の垣根が設けられている理由がやはりあるわけですね。それは、官と民との癒着の防止、公務の公正中立を守るためというのがこの意味なんですね。この垣根を低くして天上がり、天下りを活発にするということになれば、これは、腐敗が起きたり、公務をゆがめたりする問題につながってくるというふうに思うわけです。

 つまり、官民交流と天下りの問題というのは裏腹の関係ですから、天上がりも天下りも両方進めるという立場だったら、これは結局、天下りはなくならないというのは当然のことだと思うんですが、まず、このことから大臣に伺っていきたいと思うんです。

渡辺国務大臣 我々の認識では、今回の政府案で天下りは根絶されます。法律用語ではありませんけれども、私の説明の中では、天下りということと公務員の再就職ということは、それぞれ別の意味で使っております。

 天下りというのは、各省が人事の一環として行うあっせんによる再就職のことを示す場合が多いんですね。ですから、今回は、各省のあっせんを全面的に禁止をしております。したがって、そういった予算、権限、背景なしの中立的な再就職支援機関である官民人材交流センターにあっせん機能が一元化されるわけでありますから、これはもうまさしく、それぞれの職員の能力と実績が正しく評価されて再就職していくということになるわけであります。

 一方、官民交流というのは、これは一方的に官から民へということではございません。民から官へというルートもございます。官民交流法で今委員が御指摘された問題も、まさしく官民交流をしながら官民癒着の防止を図っていこうということを目指しているわけでございます。したがって、相反するかのように見える問題を同時に実現していくのが、これが政治家のわざというものでございまして、何ら矛盾することではなかろうと考えております。

吉井委員 要するに、各省の押しつけの天下りがいかぬということを言っているだけだとこの前からずっとあなたは言っているわけですよね。一方、天下りと官民交流は裏腹だということも言ってきているわけですよ、あなたは。

 昨年十二月末の大臣就任記者会見の文章を改めて読ませていただきました。「天下りに関して、二年間の時限規制の撤廃をどうするかということになっておりますけれども、どうお考えでしょうか。」記者からのこの質問に対してあなたは、「これはまさに官民の人事交流をどれだけ進めるかということと裏腹の関係の問題だと思うんですね。国家公務員法百三条の待命期間、人事交流も徹底して進めていく場合には、むしろ天下り奨励、天上がり奨励、」だと、ここまで言っているわけです。

 あなた自身がこの天上がりという言葉を使って、天上がり奨励、天下り奨励だと言っていたわけですから、これはつまり、百三条の撤廃というのは、天上がりも天下りも奨励する措置なんだというふうに受けとめていいんですね。

渡辺国務大臣 私が大臣に就任した直後の記者会見の速記録を手にとられて揚げ足をとられたわけでございますが、私がそういうわかりやすい言葉でPRしてきたことと、大臣になってこの法案を国会に提出して申し上げていることとは違いがございます。

 先ほども申し上げましたように、私が大臣になった時点では、今回の国家公務員法改正案はまだできていませんでした。その後、この案をつくる過程で、やはり天下りというのは、各省の人事の一環として行われるあっせんが基本にあるんだということがわかってきたわけでございまして、私の立場としては、説明の際には、天下りという言葉と公務員の再就職というのは分けて考えているわけであります。

 したがって、今回の法案では、まさしく公務員の再就職支援はやりますが、天下り奨励はやりませんということであります。

吉井委員 揚げ足取りみたいなつまらぬことは全く考えていないからね。人間というのは、大臣に就任して、そのときうれしかったかどうかは知りませんが、就任したときであれ今であれ一貫しているのが当たり前であって、それが急に豹変するようじゃ、あなたの人間性が問われてくるわけですよ。私は、そのことをはっきり言っておかなきゃいかぬと思うんです。

 前回のこの委員会で、これこそ揚げ足取りするわけじゃないけれども、あなたは、私が天上がりと言ったら、さげすむ呼び方だと言っていたんだけれども、あなた自身が就任時に実は天上がりという言葉を使っているんですよ。だから、人間というのは、言葉はよく考えて使わないかぬと思うんです。

 その天上がりの方なんですが、官民人事交流と国公法百三条の撤廃は裏腹の関係にある、だから、天上がり奨励、天下り奨励で進めると。つまり、官民の垣根を低くする百三条二項の撤廃というのは、今度の撤廃は、天上がり奨励、天下り奨励になるというものだと思うんですが、これは、そうはならないという発想ですか。

渡辺国務大臣 官民交流を促進する際に、かつてのいわゆる中馬プランにおいては百三条の撤廃を盛り込んでいたわけであります。非常にいい案だったのでございますが、この部分だけ、すなわち百三条の撤廃というところだけ取り上げられまして、天下り奨励法などとやゆされた経緯がございます。

 したがって、今回の国家公務員法改正を企画立案するプロセスの中で、まさしくこの百三条の扱いをどうするかということに相当議論をしてまいりました。官民交流人材センターにあっせん機能が一元化されるまでの間は百三条の待命期間は残すという形で決着を見たところであります。

吉井委員 もともと、官業癒着の防止という問題と官民交流の促進という、文字どおり、あなたの言葉で言えば裏腹の関係なんですね。矛盾したものなんです。それを両方一遍に進めようという発想は、もともと無理があるんです。

 次に、大臣が百三条を撤廃した理由とするこの官民交流の実態について、これは政府参考人に確認しておきたいと思うんですが、この前大臣答弁で、今の時代にあって、民間の経験を活用しなければ行政が成り立たないと証券監視委員会での弁護士さんや公認会計士さんの例を出して、専門知識が必要だ、だから官民の垣根を低くする必要があると、これがあなたの強調したところでした。

 それで、総務省に伺いますが、ことし一月に「民間から国への職員の受入状況」というのを発表していますね。それによると、一定期間国家公務員に受け入れている者の中で、民間企業等からは千五十八人、八二%、弁護士、公認会計士等あるいは大学教授等は二百二十九人で一八%というのが一月の数字であったと思いますが、確認しておきます。

戸谷政府参考人 一月の数字でございます。一月の数字、平成十八年八月十五日現在で、民間から各省へ来た数字でございます。総数で二千三百九十三名、民間企業につきましては、常勤五百三十一、非常勤二百九十八、八百二十九、弁護士、公認会計士等は百七十二、大学教授等五十七という数字でございます。民間企業のパーセントについては、ちょっと私どもの方では計算しておりません。

吉井委員 今言うてはったのは、単純計算ですから、これはもう八二%と一八%となるわけです。つまり、民間企業等から八二%なんですよ。官民交流で来ている職員の派遣元は、民間企業からの八二%が圧倒的なんですね。企業名も発表しているが、ほとんど超々大企業ですよ。大臣が事例に挙げた弁護士や公認会計士からはわずか一八%。公務の中立性、公正性、官業癒着で問題なのは、利潤の追求を目的としている民間企業なんですよね。それを、弁護士の事例を出して官民交流を説くのはそもそも話のすりかえということを言っておかなきゃいけませんが、大臣は、民間企業から派遣されている職員を、派遣元の企業がその人の能力を生かして官で働くために送り出している、こういう考えですか。

渡辺国務大臣 我々の発想では、共産党とは違うのだと思います。世界がグローバル化して久しいわけであります。一九九〇年代の半ばに、IT革命の影響などもあって、それまでの世界とはがらっと変わってしまったわけであります。そういう時代の変化に迅速かつ的確に対応した効率的な行政をどうやって進めていったらいいかというのは、大変重い課題ではないでしょうか。

 我々は、官民の人事交流を抜本的に拡大していく必要があると考えております。特に、無駄のない筋肉質の政府を実現していく上では、公務の特性というものを踏まえながら、民間の効率的、機動的な手法や意識を適切に取り入れて行政の能率的運営を推進していくことが重要だと我々は考えております。公務の中立性、公正性等の確保は当然図っていかなければなりません。官民の人事交流は、積極的に進めていくのが政府の方針であります。

吉井委員 実は総務省が、この問題についても、企業と受け入れ元の官庁のアンケート調査をやっているんですよ。その調査では、民間企業に、どういう動機で職員を官庁に送っているかという質問があるんですね。官庁から要請があったからというのが八二%なんです。一方、民間企業では、国の職員の受け入れについては、官庁から要請があったからだという回答が九四%です。送り出すのも受け入れるのも、企業の側は受け身的で、それで消極的、幹部の派遣交渉に至っては、官も民も双方とも消極的というのははっきりあらわれております。

 その中で、企業側は、企業のニーズ、つまり企業の利潤追求に役立てば派遣をやろうという考え方が見えてきます。これは、企業としては、ある意味では当然だと思うんです。官庁に派遣して何を期待しているかといえば、人脈だとアンケートにも出ています。専門知識を生かすというより、人脈づくりや研修のつもりで送っているのが実態です。また、派遣した結果として、行政機関の考え方や事情を知ることにより、復帰後の企業戦略の企画立案などに役立てるというのが回答の中で大きな位置を占めています。

 ですから、企業は、公務やその人の能力を考えて派遣しているというわけじゃなくて、一〇〇%そういうのはないというふうに言い切るわけじゃありませんが、企業戦略として派遣している。これが民間企業からの派遣の実態であるということは、実は政府のアンケートで出ているんですが、その部分は、あなたは、そこは認めますよね。

渡辺国務大臣 そのアンケート調査は今初めてお聞きをいたしましたけれども、一方、政府の側のニーズとしては、先ほども申し上げましたように、民間の効率的あるいは機動的手法や意識を適切に取り入れて行政の能率的運営を推進していきたい、こういうニーズがあるわけですね。したがって、民間人を役所の中に入れますと、今まで気がつかなかった行政の無駄というものが指摘をされたりするのではないでしょうか。決して悪いことだとは思いません。

吉井委員 官房長官の時間が迫っているので、官房長官の質問を今からいたします。

 官房長官に伺っておきたいのは、天下りというのは、官庁にとっては人事の一環でもあり、受け入れる企業にとってもメリットがあるから受け入れるということですが、企業も、本人の能力よりも役所の見返りを期待しているというのが大きいところで、だから、天下り受け入れ人数に応じて受注額は高くなってくるというのを実績として数値で見ることができます。

 これは、緑資源機構の林道の受注状況、国交省の水門工事の受注などで明白ですが、防衛省の関係で、防衛省の装備品などの調達の実態というのを見ました。

 防衛省から受注している企業上位九十四社で、これの受注している総額は一兆四千六百四十二億九千万円と非常に大きな額ですが、この九十四社に天下りしている、再就職という表現にしても、天下りしている公務員は何人かといったら千五百七十六人ということなんです。中でもこの上位五社を見ますと、第一位の三菱重工は防衛省から二千九百九十三億八千五百万円で公務員の天下り数六十二人、二位の川崎重工は千六百三億九千七百万円で四十九人、三位の三菱電機は千三百二十七億五千五百万円で九十八人、四位の日本電気は千百七十一億九千五百万円で四十人、五番目の石播で千三十二億二千九百万円で三十四人。つまり、受注額の多いところと天下り受け入れ数の多いところとは非常に大きなかかわりがあるわけです。

 官房長官に伺っておきたいのは、安倍内閣としては、やはりこうした実態をなくさなければいけない、こういう考えを持っているのかどうか。これは、従来から言われてきた官業癒着の問題とか、一人一人はどう就職したかどうかということだけじゃなしに、具体的な数字で、全体として今私が挙げたような数字を見ることができるんです。そのときに、安倍内閣として、こうした実態をなくさなければいけないという考えを持っているのかどうか、これを伺います。

塩崎国務大臣 安倍総理は、予算、権限を背景とした押しつけ的あっせんを根絶するんだということを繰り返し言ってまいりました。今御指摘のようなことは、本当に残念で、寂しいような実態だと思います。当然、こういうものはなくさなきゃいけないということであるわけであります。

 一方で、先生、やはり官というのは、民のためにあるわけであって、国民のためにあるわけであります。また、能力の高いやる気に満ちた人たちにばりばり働いてもらうということは、民や国民のためにプラスになることであります。そこをどう考えていくのかということであり、また、官という世界に閉じ込めておくあるいは閉じこもらざるを得ないというようなことが本当に国民経済的にもいいのかどうか、我々はいろいろな議論を渡辺大臣を中心にしてきた結果、今回こういうような形で、官と民との間での行き来というものは、罰則つきの厳しい行為規制であるけれども、そういう行き来をできるようにするということを考えたわけで、先生今おっしゃったように、予算、権限を背景とした、見返りがあるような、お土産つきのようなものは根絶するというのは、当然のこととして総理も明確にしてきて、我々もその問題意識を持って渡辺大臣を中心に今回の案をまとめた、こういうことでございます。

吉井委員 それで、出られる前に、最後に一問私が伺っておきたいのは、今回の政府案で、今私は防衛省の受注額やら受け入れ実績のお話をしましたけれども、こういう実態は安倍内閣として問題意識を持っておられるという今の答弁ですが、この法案でなくなるのかどうかということ、これを伺っておきたいと思うんです。

 なお、民とおっしゃったけれども、官から民へとよく言いますが、民の民は、国民の民の場合と民間大企業の民とはまた違いますから、そこを混同すると話が非常にややこしくなってくるということだけは申し上げておきたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の新人材バンクというか交流センター、これの最大のポイントは、各省がダイレクトに再就職先企業、団体などと接触をしないというところが最大のポイントであって、それが実は、今申し上げたような、先生御指摘のような、権限、予算を背景とした再就職につながるような仕組みを根絶する、絶つということであります。したがって、人事制度として今回考えている公務員制度のもとで、今おっしゃったようなことが起きないようにするということは、当然我々はそれをねらってのこの法案であります。

 ただ、一方で、いろいろな問題というのがどんなときでもあるわけであって、例えば、政府調達の公正性確保については、これはこれでやらなきゃいけないし、また、官製談合とかそういう問題は、法律をまた改正していただきましたけれども、もちろん、これはこれとしてしっかりと見張っていかなければならないし、悪いものは摘発していくというのは当然のことであって、それはそれとしてまたやらなきゃいけませんが、我々としては、今おっしゃったように、官製談合とかいわゆる天下りというのは根絶されるということだと思います。

 一方で、先ほど、民というのは民間大企業だというお話でありましたが、それは、お客様として来る今までの官民交流等の場合はそういうようなことが結構あったりして、期待を持って来るというようなことがありますけれども、我々が今言っているのは、もっと大きな形で日本の社会全体をどうするんだという中で、官と民の間の移動を、できる限りモビリティーを高めていこうということを言っているので、少し異質の問題かなというふうに思いました。

吉井委員 予定の時間になりましたので、残念ですが、次の機会にまたよろしく。

 それで、今おっしゃった民間も、民間中小企業の方は入っておりませんから、民間大企業でやっているから、民と言っても問題が出てくるわけです。

 次に、国土交通省と水資源機構発注の河川やダムの水門建設工事談合の問題で、国土交通省は、談合入札を行った違反事業者二十三社に国土交通省OBがどれだけ在職していたかというのを公表しました。

 それを見ると、二十三社に六十七人のOBが在職しているということですが、調べてわかった限りですが、そのうち十四人について見ると、例えば、三井造船に天下った二人の顧問は、一人は一九九七年七月に船舶技術研究所次長で退職し、その直後に社団法人日本造船研究協会技術顧問、幾つか渡って、二〇〇五年四月に三井造船に就職。もう一人の方は、海上保安庁警備救難監という身分で退職されて、直後に独立行政法人海上災害防止センター理事、そして二〇〇五年六月に就職。ほかの十二人の方も、石川島播磨重工、川崎重工などの違反企業に天下りする前に、別の企業や公益法人などを渡り歩いているわけです。道路公団の理事、日本長期信用銀行の顧問、社団法人日本建設機械化協会など、国土交通省所管の公益法人の理事に天下りしているわけです。いわゆる渡り鳥なんですね。

 そこで、大臣に伺いますが、今回の法案では、天下りそして渡り鳥、これを、渡り鳥をなくすことができるのかどうか。

渡辺国務大臣 今回の政府案では、各省のあっせんを全面的に禁止いたしておりますので、これは一回目であろうが二回目であろうが三回目であろうが、全部だめでございます。

吉井委員 これまで、人材センターでのあっせんは一回だけと言ってきたわけです。しかし、渡り鳥そのものを法律で禁止していないんですよね。だから、監視するといっても、監視するとかいろいろな話がありましたけれども、結果として渡り鳥が起きているというのは、これは事実の問題として否定できない。だから、渡り鳥というのはなくならないということになるんじゃないですか。

渡辺国務大臣 一般的に渡り鳥と言われる行為は、各省の人事当局があっせんをして二回目、三回目の人事をやっているんですね、退職した後ですよ。ですから、そういうことを全部禁止するわけであります。もしそういうことをやったりしたら、あるいは共謀して行ったということになれば、これは懲戒処分になるわけでありますから、相当厳しい規制がかかっているということであります。

吉井委員 本気で渡り鳥を禁止しようというのであれば、なくそうというのであれば、禁止規定を置くということを考えたらいいんですね。禁止規定を置く、これは全く考えにはないんですか。

渡辺国務大臣 ですから、再三申し上げますように、渡り鳥というのは、人事当局が人事の一環で行っている行為なんです。今回は、その各省の人事のあっせんというものを全面禁止するわけでありますから、当然、こういう行為はなくなっていくのが当たり前ではないでしょうか。

吉井委員 天下りや天上がりを自由にしておいて、天下りはとめられないし、天下って渡り鳥についても禁止条項はないのではとめられない、今回の法律ではそれはできないということを言っておかなきゃいかぬと思います。

 国民の皆さんは新人材バンクなどについてどう見ているかというのが、例えばインターネットのヤフーの意識調査を見ると、「新人材バンクの設置で、官製談合といった天下りの弊害はなくなると思いますか?」との質問に、八九%の方がなくならないと思うと回答していますね。

 その理由を見ると、企業の出向、天下りは、親会社と子会社間の結束を固めるもので、政略結婚のようなもの、官と民が結束を固めてどうするのかというものがありますし、押しつけをなくすというが、天下り先で彼らを雇うことでいろいろ得することが多いので、仕事をしなくても官庁や団体関係の調整役で十分採算がとれるだろうという意見もあります。これは国民の方々の見方です。

 一方、企業の方はどう見ているかというと、帝国データバンクが行った、全国二万社、有効回答九千六百五十社の調査がありますが、新人材バンクは官製談合の抑制につながるかとの質問に、抑制につながると思わないという社が五四・三%、抑制につながると思うが一二・九%です。

 これは、国民も企業も新人材バンクでは官製談合はなくならないと見ている見方が圧倒的ということを言わなきゃいけないと思うんですが、大臣はこの点についてどう見ているか、伺います。

渡辺国務大臣 これは、我々の真意がよくわかっていただけていない、PR不足である、こう思います。

 したがって、今回の政府案において、天下りや官製談合の根本的な原因となっている各省の人事の一環としてのあっせん、これを全面的に禁止するということがまさに問題解決の一番大切なところであって、そういう話を聞いていただければ、官製談合も天下りも根絶されるということがよくおわかりいただけるのではないでしょうか。

吉井委員 法案十八条の七の五項で、センター長の方が各省の人事の長に対して意見を求めたり資料を求めたりいろいろできると、わざわざこれを入れたわけですから、幾らセンターに一本化したからといっても、それではとても解決することにはならない、天下りや官業癒着を断ち切ることにはならない、このことを重ねて申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

河本委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 民主党の提案者にも質問をするということで座っていただいておりますが、まず、これまでも議論をされてまいりました中で、各論に入ります前に、私自身、ちょっと天下りの問題点ということにつきまして、これまで国会に議席を得て、そして、その以前には地方議会の議員をやっておりましたので、その中で自分が見聞きしてきた幾つかの例を参考にしながら、天下りということがなぜ問題かということについて、冒頭、ちょっと触れさせていただきたいと思います。

 私は、三つあると思っているんです。

 一つは、今回の委員会でも指摘をされ続けておりますが、防衛施設庁あるいは緑資源機構などの例に見られるような、官民の癒着によって官製談合の温床となる、これは今までも一貫して指摘されてきたところでございます。言うまでもありませんけれども、受け入れる人数によって発注額、業者側からすると受注額が違う、一番露骨だったのがたしか防衛施設庁だったと思いますけれども、こういうことが言われて、ある意味では、これは当たり前のようにされてきた問題。

 我々も地元に帰りますと、支援者がおりまして、その中には、建設会社、建築会社から設備会社等々のいろいろな支援者がおります。実際、そういう話をするわけですね。当たり前ですけれども、役所の仕事はおいしいと。役所の仕事はおいしいから、当然、役所の仕事は手放したくない。一番手っ取り早いのは、役所の人間を入れること。地方の中堅の建設会社ですとか、あるいはコンサルタントや測量関係の会社なんかですと、大体、地方の、県のOBなんかが来る。

 一つ例を挙げますと、私は、一度、県議会議員になりたてのころ、びっくりしたんですけれども、立派な封筒に入ってあいさつ状が来るんです。それで、あけてみますと、右側に、このたび三月三十一日をもって土木事務所の所長を退任しました、長年にわたりましてお世話になりまして、ありがとうございます。見開きです。左側を見ると、このたび地元の何々建設の顧問に就任いたしました、四月一日付からと書いてあるんですよ。

 退任のあいさつと就任のあいさつを一緒に送ってきたという、ある意味では、右と左を見て、発注者が受注者になる、こういうことを私なんかは見てきました。四月一日の午前零時を境に発注者が受注者側になるわけです。事実、こういうことがありました。今も多分どこかであるんでしょう。これはもうかなり昔の、十五年以上前の話でございます。

 つまり、官民が癒着をすることによって官製談合の温床になる。実際、地元でそういう仕事をしている人間に聞きますと、だって談合というのは、官の方から情報がなかったら談合できないんだから、官製談合なんて当たり前じゃないかと。

 そのやり方についても聞いたんですよ。小さな田舎の役場の話です。どことは言えませんけれども、担当者が喫茶店かどこかで新聞を読んでいる、そうすると、業者が行って、そこの横に座って、さりげない野球の結果の話とかなんかしているわけですよ。そうすると、幾つか数字を挙げて、指で上だとか下だとかと指す。一億一千万だったらそれより上だ、一億二千だったらそれより下だ、そうすると一億一千五百ぐらいかなという、あうんの呼吸で話をして、情報を持ち帰って、そこで今度の何々の発注額はこれぐらいだということを、これは業者でやっているわけですね。

 そんな話を幾つも聞いていますから、多分ここにいらっしゃる皆さん方も、そういうものが世の中に当たり前のようにあるということを認識の上で、この天下りの問題というのは当然議論をしてきているんでしょう。

 まさに、談合が行われることによって、もっと少ない発注額でできたはずなのに、あえてそれが高値になることによって、国家の、あるいは地方においてもそうですけれども、発注額が高いものになる。つまり、高値安定することによって、本来もう少し安いコストでできたはずのものが、その額でできることによって、やはりそこには損失が生まれるということが一つ。

 そして、二つ目を言いますと、それがアンフェアな競争格差になるわけですね。当たり前ですけれども、受け入れているところと受け入れていないところでは、ちょっと出どころを忘れましたけれども、OBを受け入れた業者の平均受注額というのが、これはどこかの役所でした、ちょっと出典は忘れましたけれども、二〇〇〇年から二〇〇四年の間に二百五億円、受け入れていない業者の平均は五十一億円、大体四倍ぐらい違うんだというようなデータを見ました。また次回質問に立つ機会があったら出典を調べてまいりますけれども、実際こういうのがあった。

 これまた長くなりまして恐縮ですけれども、一つの例を挙げます。

 以前、私の選挙区でした静岡県の御殿場市というところに防音工事の仕事がございました。これは防衛施設庁の仕事です。あそこは東富士演習場がある。来られた方も多いと思います。それから、自衛隊の駐屯地が三つ、四つあります。その周辺で大砲の、火力の演習なんかをするものですから、防音工事を行うために、地元にそういう話が来た。それによって地元の建設関係の業者さんたちが、まずそこで営業をかけるわけですが、来年度ここの地域が今度防音工事の対象ですということで地元の建設会社の方々がその地域に営業に行ったら、もう既に隣の神奈川県から厚木の業者さんが来ていると。厚木の業者さんたちが先に来て、お宅の防音工事をやらせてもらえたら、お宅のその雨どいも直しましょう、ガレージも直しましょうと、つまり、おまけつきで工事をやるんです。地元の業者にしてみると、そんな情報はさっき初めて知ったのに、もう既に、天下りを受け入れている厚木基地の周辺にあるそれ専門の業者さんは先に営業に来ているんです。そういうことが実際あるんです。

 これは、一度私はどこかの委員会でも取り上げたことがありますけれども、つまり、天下りを受け入れたことによって、受け入れた側と受け入れた側でないところでは情報のスピードが全然違う。結果としてアンフェアな競争が生まれるということ。

 三つ目を申し上げますけれども、きょう資料を配付しましたけれども、膨大な数の公益法人が天下りを引き受けているわけでありまして、この膨大な数の公益法人がどんどんふえることによって、社会のコスト、生活のコストが下がらないということなんですね。それによって、多重な組織ができることによって、非効率な社会構造、あるいは業者さんの負担がふえるということなんです。私は、これが天下りの根本的な問題だというふうに思いまして、順次伺っていくわけでございます。

 まず最初に、今回の議論の中で、人材バンクの制度設計についていろいろ言われていますが、これから、来年にはバンクをつくって三年後に運用するんだということでございますが、今も人材バンクはあるんですよね、大臣。その点については、いかがですか。

渡辺国務大臣 今の人材バンクは、私より総務省から答えた方がいいのかもしれませんが、たしか、小渕内閣のときに道路公団汚職事件や防衛庁の調達実施本部の不祥事件があって議論が開始され、七年前ぐらいにできたものと記憶しております。

渡辺(周)委員 二〇〇〇年に発足したんです、今から七年前。この人材バンクがそもそも発足した、今ちょっと触れられましたけれども、そういう社会的背景があった。たしかあのときは、防衛調達本部ですかね、あの事件があった。それがあってできたということでございますけれども、この人材バンクが今日まで来ていて、その当初の背景にあったものを解消する目的としてつくったにもかかわらず、相変わらず談合を初めとする官と民の問題が起きる。結局は、この人材バンクは何か役に立ったんでしょうか。いかがですか。

渡辺国務大臣 この七年間にマッチングした件数が一件ということでありますから、役に立ったとは到底言いがたい代物だと思います。

 では、なぜ機能しなかったのかという議論をさせていただきますと、実は、小渕内閣のときにできました懇談会の中で相当議論が行われたようでございます。

 つまり、各省のあっせんを残していたらまずいということだったんですね。ところが、結果として、恐らく各省からの猛反対に遭ったのだと思いますが、各省あっせんを残すということを決めてやったわけでございますから、各省あっせんが残っていたらみんなそっちへ行っちゃうに決まっているのであって、全く機能しなかったというのが一番大きな理由ではないでしょうか。

 それと同時に、総務省の方からは、求人開拓が十分でなく求人件数が伸び悩んでいたこと、あるいは、登録者を本省在勤の課長以上に限定していたことから、勤務地、年収面での条件の不一致が生じる例が多かったこと、第三には、企業が求める条件に登録している職員の経歴、能力等が完全に一致しないと情報提供が行われないことなどが挙げられております。

渡辺(周)委員 二〇〇〇年の、今の人材バンクの話、今では官民交流センターという大変美しい名前に変わっていますが、実は人材バンクというのは今もあるんですね。私は、多分これを、今回の、公務員改革の名のもとに、新たなセンターをつくるヒントにしたんだと思います。

 総務省の人事・恩給局長もお見えでございますが、実際これをつくったときの今の話、まず、求人関係が伸び悩んだ、それで、対象者が本省の課長以上職に限られていたということ、それから、企業の求める能力やあるいは給与の面でミスマッチであったというような話ですけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。

戸谷政府参考人 繰り返しになりますが、やはり、私どもとして、人材バンクの求人登録件数がなかなか思わしくなかった、それから、求人が各府省等に直接行われる例が多かった、あるいは、職員と求人者との間で求人内容の条件面でなかなか一致が見られなかったというような要件があろうかと思っております。

渡辺(周)委員 後で聞こうと思ったんですけれども、今大臣からお話ありましたように、つまり、人材バンクから再就職したのは、私立大学の客員教授になった方がお一人。実際は、登録者が七百名いて、七年間で求人は九十九人というふうに報道には書いてあるわけですけれども、実際そのうちで決まったのは一人であります。

 としますと、人材バンクというものをつくったのはいいけれども、結果的には、人材バンクとして求めたら、正直言って、七年間で一件しかまとまらなかった。というのは、それは、さっきおっしゃったように、各省のあっせんを残したから。あっせんがあるものなら受け入れてもいいけれども、ない、ある意味で、こういう人材バンク的なものを通して再就職、希望する人材を見つけたい、あるいは行くというのは、早い話が、うまみがないということじゃないでしょうかね。

 つまり、あっせんをしてくれるところがあるから受け入れるだけのお土産があるわけであって、ある意味では、こうした公のバンクを通した場合には、要はうまみがない、だから求人もなかったということじゃないですか。その点についてはどうですか。

渡辺国務大臣 我々が目指している今回の改正案の趣旨は、各省の人事の一環としてはめ込み的に行われる天下りではなくて、本人、職員の能力や実績が正当に評価されて再就職をすることなんですね。したがって、そのために積極的な求人開拓も行いますし、職員のキャリアコンサルティングも行います。ですから、今までのやり方とは全然違ったやり方になります。

 当然のことながら、各省のあっせん機能はいずれ全面的に禁止をされますので、各省あっせんという人事の一環から、人材交流センターへの再就職支援へという大転換が行われるのは当然のことと考えます。

渡辺(周)委員 私が言っているのは、つまり、今の人材バンクで各省の天下りを引き受けるうまみがないから求人も少ないわけですよ。だから今度だって、今度のセンターでいえば、あっせんではなくて、このセンターに一元化をしたら、やはりほとんどの方は再就職できないんじゃないのかなというふうに思わざるを得ないわけですね。

 そこで伺いますけれども、今大臣おっしゃった天下りということと再就職の定義の違いはどういうことですか。

渡辺国務大臣 これは法律用語ではありません。私が説明の際に使っている表現で申し上げますと、天下りというのは、各省が人事の一環として行うあっせんによる再就職のことを言っているケースが多いんですね。ですから、今回は、そういった各省あっせんを全面的に禁止いたします。中立的な機関である官民人材交流センターにあっせん機能を一元化し、まさにここが再就職の支援を行う。

 再就職支援というのは、まさしく本人の能力や実績を正当に評価していただく、言ってみれば市場価格で民間に再就職をしていくということになろうかと思います。

渡辺(周)委員 今、市場価格とおっしゃいましたけれども、やはり企業の求める能力とか給料と合わなかったから、今の人材バンクではその一件しかなかったわけであります。

 今、市場価格と言いますけれども、では何をもって市場価格とおっしゃるんですか。

渡辺国務大臣 まさに本人の能力と実績が正当に評価をされ、需要と供給の一致が行われたところに市場価格というのは存在をするんだろうと思います。

渡辺(周)委員 いや、それは、マーケティングではそんなことはわかっていますけれども、そのおっしゃる正当な能力の評価というのは、では、だれがどういうふうにするんですか。そこのところはどう考えていますか。

渡辺国務大臣 これは天下りではありませんので、まさしく受け皿の方が正当に評価をするということになろうと思います。

 また、官民人材交流センターは、そのための支援をやるということでございます。

渡辺(周)委員 この問題でもう二十分以上やっちゃっているんです。

 今ある人材バンクが機能していない理由に、先ほどありました、繰り返しになりますけれども、各省のあっせんを残したまま、まさに市場価格の中で人材としているかどうかといったら、民間の方からはいなかった。やはり役所からあっせんされた方が、貸しをつくった方が、それの見返りがあるからと思ってみんな引き受けたということであります。

 ちょっとこの問題、そろそろけりをつけなきゃいけないです。

 そうしますと、再就職に有利な役所、これは出ていましたけれども、例えば国際金融だとかあるいは国際法務を担当するような部署の方が企業としては非常に使いやすいわけですよね、即戦力として。そういうところに希望者が偏りませんかね、役所あるいは部署によっては。どうお考えですか、大臣。

渡辺国務大臣 それは、民間のニーズは多様にあると思いますよ。今、景気のいい地域や企業というのは世界経済とつながっているところが多いですね。そういたしますと、例えば、今は中小企業だけれども、この際世界経済とつながっちゃおうという決断のもとに海外展開を図ろうとしているところなどが、人材が不足をしている、では、この際、官民人材交流センターに申し込んで、海外のことをよく知っている人に来てもらおうなんという話が来るかもしれませんね。

 今は、国家公務員というと、かなり敷居が高くて、どうやって来てもらうか全然わからないなんという企業も世の中にはたくさんあるのではないでしょうか。

 また、今、NPO活動や非営利法人の活動が非常に盛んになってきています。そういう中には、ぜひそういった方面に明るく、志のある人が欲しいなどというところだって大いにあると思うんですね。

 また、地方に行けば、地方において人材が欲しいというところは大いにあるでしょう。一方、地方から東京に出てきて、そのまま国家公務員になって、退職後は地方にもう一回戻りたいという人だってたくさんいるかもしれませんね。

 ですから、そういうことを考えれば、まさにマッチングは大いにあり得るし、また、図っていかなければならないと考えております。

渡辺(周)委員 私が聞いているのは、やはり再就職に有利な部署に希望者が集中するのじゃないだろうかということをお聞きしたんです。それをもう一回お答えいただきたいと思います。

 それから、先ほど市場価格とおっしゃいましたけれども、受け入れ側が、お試し期間、要は使ってみた、ところが、ちょっと最初聞いていた情報と違うな、そんな大した人じゃないな、悪いけれどもやめてくれということだって当然あるんですからね。お試し期間というのか、しばらく、悪いけれども三カ月間、適性を見るので来てくださいということで、例えば人材センターに、役所の方、経歴だけ見て、面接もしてみた、だけれども、使わせると、どうも実社会に出てやるにはちょっと無理だ、今おっしゃったけれども、やはり昔、敷居の高い向こう側にいたらしくて、どうもとてもこの人は会社の組織と合わないなんということになったときには、悪いけれどもおやめになってくださいということや、あるいはお試し期間として、悪いけれども、出身省庁には、今までだったら、たとえ、言いにくいことですけれども、余り欲しい人材じゃないけれども、まあしようがない、この人じゃなくてこの人のもとの肩書が欲しいのであってうちは採ったんだなどという人にしてみると、お断りできなかったんですが、今度の場合、例えばそんなこともできるというふうに考えてよろしいんでしょうか、制度的には。

林副大臣 大変大事なところでありまして、我々も中で議論するときに、そういう議論もあったわけでございます。詳細は官房長官のところで懇談会を開いて詰めてまいりますけれども、実は、大事なポイントと申し上げましたのは、いわゆるつぶしがきく、外で使いやすいというようなところに人気が集中するのではないかということの御議論も実際あったわけでございます。

 ここで何度も御議論になっていますように、そもそも公務を志望して入ってくる若い方は、最初からどこか行き先を探そうということで、そのためのノウハウを身につけるために入ってくるということではなくて、先ほどからいろいろ新しい方のお話がありましたけれども、やはり、そういう公務に大志を持って入ってくる。そしてまた、能力・実績主義を入れてまいりますので、そういういわば市場価格、括弧つきであえて申し上げますれば、そういうことでない仕事にもきちっと意欲を持って取り組むという者は、中の評価によって、能力、実績できちっと評価をされていく。こういうことも相まってやっていく必要があるのではないかというふうに我々は思っておるところでございます。

 また、お試し期間というお話でございましたが、これも詳細は今から詰めていくわけでございますけれども、まさにそういうことが今までなくて、一遍あっせんで来た方はなかなか断りづらいと、まさに委員の御指摘のような事実があったんだろうと我々も推測をしておるわけでございます。そういうことをなくすために、この仮称人材バンク、正式名称は官民人材交流センターということでございますけれども、ここを通して、きちっとそういう条件も詰めて今後やっていってもらう、そういうことであります。

 大臣が市場価格とおっしゃったのは、こういう方をこういう条件で欲しいということをおっしゃってくるというのが向こう側の登録でございますので、そこもきちっと公表の対象になっていくということも検討されるわけでございますから、まさに委員が御指摘のように、そういうことも含めて、嫌々肩書だけでというのではなくて、その方の能力をきちっと活用したいというところに行っていただくというのがこの制度の趣旨であるというふうに考えておるところでございます。

渡辺(周)委員 この議論をしていくと必ず、官房長官のもとにつくる有識者会議の中でこれから制度設計を詰めていくんだという話でいつも逃げられてしまうわけであります。

 先ほど私申し上げたんですが、利益誘導を期待するという求人というか入社依頼、それと、いわゆるキャリアを重視した求人活動、この境目というのはどうなんでしょうか。

 つまり、あうんの呼吸で、民間の求人する受け入れ側、つまり、役所から言わせると、求人側にしてみると、みずからの意思と言いながら、官庁の意思をそんたくして、わかっていますよ、大丈夫ですよというふうに、当然、言葉には出さないけれども、利益誘導を期待してアイコンタクトしながら求人依頼をした場合、それは残念ながら、押しつけでもあっせんでも何でもなく、あくまでも民間側の求人の意思にマッチしたんだということになってしまいますよね。

 ここのところはどういうふうに我々は判断をしたらいいんでしょうか、実際のところ。

渡辺国務大臣 押しつけではなくて請われて行くケースという想定を今お述べになられたのかと存じます。

 仮に、押しつけでなくて請われて行くケースにおいて、その当該職員が在職中に求職活動をしていたりすると、これはアウトになります。また、不正が行われて、何かお土産の約束をしていたとかいう場合も、これもアウトになります。また、あうんの呼吸で随契を受けていたなどという場合は、まさしく口きき規制の対象として、外部監視委員会が疑いを持つに至った場合には調査の対象、すなわち、事情聴取や立入検査の対象となるということでございますから、まさしくそのあたりの規制は厳格にかけられているわけでございます。

渡辺(周)委員 非常に歯切れが悪いんですね。多分、このことは答えられないんじゃないか。つまり、いや、私たちは自発的に求人したんです、そこにたまたま来たから、マッチングしたからその方にうちは来ていただいているんですと言われてしまうと、もうだれもわからないわけですよ。

 結局、今まで、例えば国土交通省の人間があるゼネコンにずっと来ていた、それが先ほど申し上げたような談合の温床になっているんじゃないか、受注額を見れば一目瞭然じゃないかといういろいろな事例がある中で、いや、そうではなくて、私はこういう方が欲しいなということで、ダム建設に明るい方あるいは河川行政に明るい方に来ていただきたいと思って自発的な意思で求人センターに申し込んでおいたら、ちょうどそういう方がいらっしゃった、だから来ていただいているんだ、役所から何一つ言われたわけでも見返りを期待したわけでもございませんと言われてしまえば、それは正当な契約行為としてセンターから行くことになる。例えばの話ですよ。

 それは、前のところが何年という話は我々と政府案では違いますけれども、実際はそういうことになるわけですよね。そういうことで理解してよろしいんでしょうか。

渡辺国務大臣 二つの側面があると思うんですね。一つは、天下り、行為規制で解決できる問題、もう一つは、公共調達などの制度改正によって解決すべき問題であります。委員が御指摘になられた入札などのケースは、まさに後者の例であろうかと思います。

 今までの入札制度というのは、発注者側に技術能力があるという前提でつくられていた制度であります。したがって、発注者側が業者の能力ランキングづけを行って、そこから一部を切り取って出すというところから談合が行われ、官がかかわって官製談合に至るというケースだったわけでありますから、こういうのは、入札制度を同時に、例えば一般競争入札に変える、そして人の面から天下り規制をかける、こういう両面から行っていくことにおいて解決可能ではないでしょうか。

渡辺(周)委員 いや、答えていないんですよ。いいですか、つまり、早い話が、民間側からこういう方が欲しいと言われたら、それでもう決まりということですよね、押しつけでもあっせんでもなくて。そういうことが幾らでもできる。つまり、民間の方から、おたくの省庁の方が人材交流センターに名前を連ねていただければ、うちの会社は必ず採りますよというふうにあうんの呼吸でできていたら、再就職はできるということですよね。そこだけお答えください。

渡辺国務大臣 再就職はできても、口きき規制がかかります。したがって、この口きき規制に違反をすればアウトになります。

 また、あうんの呼吸といっても、仮に、在職していた役所に対する影響力というものが評価されて再就職しているのであれば、これは官民交流という本来の趣旨にはそぐわないものでございます。したがって、これに対しては、今回、罰則まで含めた働きかけ規制を導入し、あわせて監視体制の整備をやっているわけであります。いわゆる影響力の行使に該当するような働きかけがあれば、行為規制違反となります。

渡辺(周)委員 それは、さかのぼって何年間という話でありまして、例えば、ある省庁に入った、それが国土交通省のある部門にずっといた、ところが、再就職の時期がそろそろ見えてきたので、外務省に出向して、どこかの在外公館の書記官でいた。そうすると、消えてしまうわけですよね、前年にさかのぼって何年ということが。つまり、ある意味でそういう人事の裏わざというのはできるんじゃないかなと、うがった考え方もするわけです。

 私が聞きたいのは、入札に対する影響力云々じゃなくて、求人側が我々の意思でこの人が欲しいと思いましたからこの人と契約しましたと言えば再就職できるということだけ確認したいんです。そういうことですね。

渡辺国務大臣 いずれにしても、そのようなケースで当該職員が利害関係のある企業に求職活動をやっていたという事実が判明いたしますと、これはアウトになります。その疑いが出ただけで外部監視委員会のチェックを受けることになります。

渡辺(周)委員 いや、そうじゃなくて、求職活動をその人がしていようがしていまいが、だって、その方の経歴で、ある程度幹部だったら、経歴を見たらもうインターネットで出てくるわけですよ、何畑、何年入省でどんな仕事をしていて、どこに出向して。そうすれば、そんなものはどうせ受け入れる側だってわかっているわけですから、この人に来ていただいたら、この分野の専門家だし、こういうところの同期はだれがいて、今例えばこういうところで、純粋な意味で何らかの企業の利益になるのか、それとも、やはり今までどおりにお上とおつき合いをできるようにしておくためにも採っておいた方がいいのか、いろいろその意図はどうあれ、再就職できるということなんですね。イエスかノーかだけでいいんです。

渡辺国務大臣 当該職員の能力と実績が正当に評価されて再就職する場合はできます。

渡辺(周)委員 つまり、バンクにいる人は求職活動をしていない、求人側も何らかの見返りを求めていない、建前上は。だけれども、そのセンターで、いらっしゃれば、そこのところは上手にマッチングすることはできるということです。

 そうしますと、これはかねてから指摘されているとおりに、どのような意図があろうと、このままいきますと、あくまでも企業側、受け入れ側のみずからの意思であるということについては、この問題というのは相変わらずあいまいなままだというふうに判断せざるを得ないわけであります。そういうことは、やはりお上の仕事はおいしいから、お上とおつき合いをしておいた方が絶対得だからということで天下りというものが今日まで来ているわけでありまして、このバンクにおいても、結果としてどうあれ、やはりそのまま残ってしまうということの結論になろうかと思います。

 さてそこで、この問題の最後に聞きたいんですけれども、このセンターの経費あるいは職員数、あるいは法案の中では地方に支所をつくるということも書かれておりますけれども、実際はどれぐらいのコストがかかると算定できますか。

渡辺国務大臣 これはまだ算定はいたしておりません。

渡辺(周)委員 今の人材バンクは、二〇〇〇年に発足して、どれぐらいの経費がかかって、何名の職員がいらっしゃいますか。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 平成十二年度創設で、十八年度までに、運営費として約七千万円でございます。また、人材バンクの運営している専任職員は二名という状況にございます。

渡辺(周)委員 七年間で七千万という運営費がかかっていて、その職員という方は、専属の職員さんはどこから来られている方ですか。

河本委員長 戸谷局長、大きな声で言ってください。

戸谷政府参考人 これは、我が人事・恩給局の職員でございます。総務省の職員でございます。

渡辺(周)委員 もう一回確認します。

 総務省の人事・恩給局の方がこの人材バンク専属でこの事務にかかわっていらっしゃる、担当していらっしゃるということですか。

戸谷政府参考人 そのとおりでございます。

渡辺(周)委員 七年間でこういうお仕事をしていて七千万円ですから、年間一千万円の経費がかかっている。実際、今は七百名の方が登録をされていて、七年間で求人が九十九人ということは先ほど申し上げました。

 今は、人材バンクに登録された方はどうなっているんでしょう。つまり、マッチングを待っている方、いまだにそのままプールされたままなのかということと、そして、今の数から、計算から、年間の、登録者七百人に対して、七年間で求人が九十九人、二名の職員の方ということから計算をしていきますと、もし人材交流センターをつくるとなるとこれぐらいの経費がかかりそうだなということをある程度計算できると思うんですけれども、いかがですか。だれかお答えできる方はいますか。

戸谷政府参考人 現在の私どもの人材バンクでございますが、登録者をふやすとか、あるいは求人開拓について新しい工夫を考えようということで、現在取り組みを行っておるところでございます。

渡辺(周)委員 いやいや、つまり、今の人材バンクが、今もまだ登録者がいて、その方々のためにまだ活動しているということで理解してよろしいんですか。

戸谷政府参考人 現在の人材バンクでございますが、今年度、登録人数をふやす、あるいは求人開拓について民間の知見も得られるようなことを考えて、今動かしておるところでございます。

渡辺(周)委員 では、今現在、登録者七百名でいいんでしょうか。決まっていない人たちはずっとこのまま登録したままなんですか。

戸谷政府参考人 現在の登録者数は二千二百名余でございます。それから、求人件数は、この四月一日現在では百一件ということでございます。

 以上でございます。

渡辺(周)委員 ということは、まだ求人は一件、先ほど大臣が答弁されましたけれども、これだけやって一件ということで、まだ今も年間一千万円近い予算をかけて二名の専従職員の方が人材バンクにいらっしゃるということで考えますと、新しい人材交流センターを来年立ち上げるとなると、大体どれぐらいの予算がかかりそうか、どれぐらいの人員が要るかということはわかるんじゃないんですか。どうですか。

渡辺国務大臣 今回、政府の案をお認めいただければ、直ちに詳細な制度設計にかかります。それによって、有識者懇談会の中で、センターの役職員数、職員の構成、組織、支所の数、経費等といった具体的な体制を決めていくことになります。

渡辺(周)委員 いや、有識者の懇談会を開くまでもなく、大体わかるじゃないですか。だって、今もう既にあるんだから、人材バンクが。ここで二千二百人の人間が登録していて、これだけの人間をある意味ではデータバンクに置いている、求人が百一件ある、それで大体年間一千万円で、人が二人かかっていれば、大体どれぐらいかというのはもう、ある程度でも、どうですか。これぐらいの予算がかかりそうだということはわからない、それもまだ全然できていないで、ただひたすら一生懸命この法案だけはいろいろ言いますけれども、制度設計になると、有識者懇談会でこれからやるんだという話にみんななってしまう。

 でも、本当は、大臣、ある程度わかっているんでしょう、これぐらいかかりそうだとか。その辺ぐらい答えられないですか。

渡辺国務大臣 午前中の質疑でもお答えしたことでございますが、大体、退職する方が一万人、そのうち早期勧奨退職者がおおよそ四千人、その中で、これは総務省の推定でございますが、各省であっせんを行っているのはその半分の二千人と言われております。

 今現在、自衛隊には人材バンクのようなものがございます。ここでは、年間、数字は正確ではないかもしれませんが、退職者一万四千人ぐらいのうち七千人から八千人のあっせんを行っていると聞いております。したがって、そういったものの中には、マッチングに、何回もお見合いをするケースがあるようでございまして、自衛隊の場合には、御案内のように若年退職制度がございますから、こういったものも参考にはなろうかと思います。

渡辺(周)委員 だから、どれぐらいかかりそうだということは、だって、既に法案を出して、ある程度もうわかるわけじゃないですか、来年の話ですから。その辺はどうなんですか。やはりお答えできないんですか。大体これぐらい、そこら辺のところまでいかないと、全然センターのイメージがわかないんですよ。その辺は、それでも答えられないんですか。

渡辺国務大臣 再就職あっせんをする人が現在二千人ぐらいいると言われています。では、仮に二千人として、一人で二十人受け持つという場合には百人必要になりますね。一人で四十人受け持つという場合には五十人になります。ですから、そういった詳細な制度設計を国会の審議も踏まえて行っていくということであります。

渡辺(周)委員 そうすると、この人材センター、今の話、まあ一人が二十人担当するのかどうかわかりませんけれども、内閣府の中に膨大な数の新しいセクションができるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

渡辺国務大臣 膨大な数のセクションができるとは思っておりません。なぜならば、新しく人をかき集めてきてつくるわけではなくて、今現にやっている機能を、これは役所の予算権限と切り離して一元化をしてしまおうということでございますから。まあ、一元化までの工程は何年間かかかりますよ。官民人材センターをつくって三年後に一元化をするということでございますから、最初は小さくつくるんでしょうね。それで、三年後に一元化をするに当たってはフルスペックでやっていくということになるわけであって、仮に二千人を、一人で四十人受け持つ場合には五十人で済むわけですからね。ですから、そんな膨大な費用がかかるということはあり得ません。

渡辺(周)委員 いや、ちょっと待ってください。そうしますと、各省庁のどのセクションから大体来るんですか。つまり、各省の官房人事の方が来られてつくるのか、そうである人は来ないのか。つまり、今あちこちから集めてくるわけじゃないと言いましたけれども、ここは各省庁から来るんじゃないんですか。内閣府がやるんですか。

渡辺国務大臣 各省の人事担当者である必要は全くございません。(発言する者あり)いやいや、人事担当者である必要はないんですよ。もしさっきそう答えたとすれば、訂正をいたします。

 ですから、これはもう詳細な制度設計の中で、今の各省あっせんの禁止にかわるものであって、今の各省あっせんのトンネル機関にさせないことだけは確かでございます。

渡辺(周)委員 今のお話をもうちょっと整理すると、各省のどの部署の方が来るのかということはまだ決まっていない。では、内閣府の責任で内閣府の方がやるんですか。ちょっともう一回整理して答えていただけますでしょうか。

渡辺国務大臣 センター職員の人選については、各省から出向者を転任等で受け入れる場合は、国家公務員法の規定に基づき、必要となる標準職務遂行能力や適性を有すると認められる者の中から行うことになります。

 この場合であっても、官民人材交流センターにおいては、センター職員は出身府省職員の再就職あっせんを行わないとすることなど、各府省等からの中立性を徹底するとともに、業務の透明性を確保することとしております。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

渡辺(周)委員 ちょっと時間がないので、次回、続きを、この問題をもうちょっと詰めてやりたい。別の質問を用意してきて、聞きたいところがほかにあるのに、二十分になっちゃったので。

 ただ、この問題をやると、残念ながら逃げられるんですね。これから官房長官のもとにつくる有識者の懇談会の中で詳細を詰めていくんだと。だけれども、ここまで法案ができて、ここまで政府の責任でやるんだと言っておきながら、聞かれると、まだわからない、これからだと。これはもう皆さん方が言っています。だから、我々が質問をしていてイメージがわかないんですよ。

 この点については、また再度、質問の日はまだあるんでしょうから、この問題は改めてやりたいと思います。

 残り二十分になっちゃいました。公益法人への天下りについて伺いたいんです。

 きょうは、これだけ資料を持ってまいりました。内閣委員会配布資料とありますが、これは、ちょっと一つ文字が抜けていまして、下水道部水道企画課ではなくて下水道部下水道企画課なんです。これは国土交通省のホームページより作成しております。

 これは、例えば下水道企画課というところで十あるんです。それが、国土交通省の関係公益法人要覧というこの分厚い電話帳みたいな本にございまして、これを見ると膨大な数の公益法人が載っております。ここにある十個の中にそれぞれ、活動内容についてはもう一つ一つ聞く時間はございませんけれども、この団体の中に官庁の天下りは何人いらっしゃるのか、ぜひお答えをいただきたい。そしてまた、今までこういう公益法人に役所から行っていましたけれども、今回は、人材センターができるとこういう公益法人に対するいわゆる天下りはどうなるのか。その点についてお答えください。

江藤政府参考人 今お尋ねの法人につきまして、国家公務員から法人の方の役員ということで現在おりますのが、下水道協会の方が四名、それから水道工業団体連合会が一名、それから下水道施設業協会一名、上下水道コンサルタント協会二名、下水道管渠推進技術協会一名、下水道処理施設管理業協会一名、下水道新技術推進機構二名、下水道光ファイバー協会一名。業務管理センターと管路管理業協会の方には行っておりません。

渡辺(周)委員 今聞いただけでも、私の暗算があれでしたら十の団体で十三人いるんですね。この方々は今までどういう形で役所の方から行かれていたのか、簡潔にお答えいただきたい。そして、このセンターができると、こうしたセンターへ行くには、当然この官民交流センターを通さないと行けないということですか、行革大臣。

渡辺国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、各省があっせんをしてはめ込むということをやりますと、アウトになります。

渡辺(周)委員 つまり、この下水道に関係する公益法人が人材センターの方に人が欲しいというふうに応募をしてきた場合に、例えば役所の方が来る分に関してはオーケーなんですか。

渡辺国務大臣 当然のことでございますが、これからつくる詳細制度設計の中で、どの範囲で再就職ができるかの基準はつくることになります。

渡辺(周)委員 いや、いいですか。下水道のセクション、当然、ここの公益法人には、都市・地域整備局の下水道部の方はここには行かれないということになるんでしょうか、センターができれば。

渡辺国務大臣 ですから、いろいろなケースを想定して、どこからどこまでできるかできないかをこれから決めます。

渡辺(周)委員 こうした団体は、やはり国の方の仕事の受託をするわけですね。ということは、当然密接な関係がありますから受けられないと思うんですけれども、それはどうなっていますか、センターができた場合。

渡辺国務大臣 ですから、国会の議論も踏まえながら、できる範囲、できない範囲を決めます。

渡辺(周)委員 ということは、こういう公益法人への役所の天下りについては全くこれからというふうな今の答弁なんですけれども、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

渡辺国務大臣 今までは営利法人だけ規制されていたわけですね。今回は非営利法人を含んで規制の網をかけるわけでありますから、これは大変なことですよ。今まで全くノーチェックだったところをチェックをかけるということであります。だから大変な反対が起きたわけであって、我々はその反対をはねのけてこの国会提出まで至ったわけであります。

 詳細な制度設計は、国会の議論も踏まえながらつくってまいります。

渡辺(周)委員 では、ちょっと言いますけれども、資料で渡したのは上から十個あります。多分見ても違いはわからないと思うんですよ。私も見ていて混乱しました。

 一番右が事業の内容です。真ん中の、ちょうど水道企画課の下のところが目的です。みんな、健全な発展と円滑な執行なり産業の発展と書いてあるんです。一九六五年からずっと、一つずつ、どんどんどんどん、大体三十三年の間にふえていって十個になった。みんな東京の一等地にオフィスを構えています。今お話ありましたように、大方の団体に天下った方々がいる。

 例えば、ここの人たちが人材センターに登録して幾つか複数応募をした、そうしたら、言ってはなんですけれども、下水道の技術推進機構にマッチする人なのか業務管理センターにマッチする人なのかなんて、何の違いもないんですよ、はっきり言って。もっと言うと、公益法人というものを整理統合していかないと、センターに登録した役人の数だけ相変わらずふえていく、もしくは数が減らない。

 見ておかしいと思いませんか。副大臣うなずいていらっしゃいますが、見て、これは違いがわかりますか。

林副大臣 まさに委員御指摘のように、そもそも公益法人の改革も、今法律は通していただきましたので運用に向けてやっておりますが、まず、民法三十四条に規定する民間の法人であるという原則がございます。ですから、こういう社団法人、財団法人も公益法人でございますが、よく市村委員とは深い議論をいつもさせていただいておりますけれども、民であるわけでございまして、例えば交響楽団のようなものも公益法人ですから、この公益法人をつくるかつくらないかということは、まさにつくられる方の、民の御判断と。

 ですから、まさに委員が御指摘になっておられますように、問題がどこにあるかというと、こういう公益法人が国から何らかの委託や仕事の受注を受けて、それがきちっとした競争条件のもとに行われていないために税金が無駄に使われている、こういうことがもしあったとすれば、それは問題であろう。そういう意味で、我々は行政委託型公益法人の改革というのを既にやってきたわけでございます。

 ですから、これを見ると確かに、委員がおっしゃるように、何かいろいろ下水道関係のがいっぱいあるなという感じがいたしますけれども、例えば、せっかく出していただいたので、一番上を見ますと、「下水道用器財・用品の規格についての研究を行うこと」と。

 まじめにこういうことをやっていらっしゃるという前提で申し上げれば、こういう規格について大変な知見をお持ちの公務員のOBの方が、向こうの提示した条件によって人材バンクを通って行くというケースもあるかもしれない、そういうケースや、今まさに委員が御指摘になろうとしているような、ここの人が行ったために、さっきの、肩書だけで行っているからそういう税金を無駄に使われているようなことが起こっている、そういうことのきちっとした線引きというものも含めて懇談会で検討してまいらなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。

渡辺(周)委員 いや、別に無駄だとは言っていないんです。全部が無駄だとは私も言っていません。ただ、これだけ見ると、新しくつくっていく割には、事業内容が大して変わっていないのに何でふえていくんだろうといったら、当たり前のことですけれども、天下りの方々のための受け皿としてつくっていったというふうに考えるのが妥当だと思います。

 これは、下水道部の下水道企画課の所管だけですよ。これだけ厚いんですよ。それで、下水道企画課って何人いるんですかと聞いたら、十六人だと言うんですよ。十六人の企画課が所管しているところで、十のこれだけでかい公益法人がある。どう考えてもこれは整理統合できるんだろうなというふうに思わざるを得ません。

 そして、なぜこれが問題かというと、税金の投入だけではなくて、これは行革の特別委員会でも私はやりましたけれども、会員という形でここにいろいろな、業者さんたちが、会員になり会費を払って、機関誌を出して、そこに広告を載っけるんですね。その中には、講習会だとか研修会だとかと、いろいろあるんです。そういうものを、当然、任意だというところもあるし、技能検定や技能講習を義務づけられているところもあるでしょう。やはり、そうした方々の負担になるんです、当然、金銭的にも時間的にも。

 こういうことが結果として社会構造を複雑にしていると私は思いますし、それによってやはり社会コストが上がっている。それに対して私たちは、整理統合することがやはり急務だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。そして、できれば民主党提案者にも伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 先ほど林副大臣も申し上げたように、公益法人の改革は既に行ってきております。公益認定委員会もつくっております。また、行政委託型の公益法人については、さらに、補助金漬け、委託費漬けになっているところの改革を進めていくことを、私の方から指示を出しております。

 そういうプロセスを通じて、人の面とお金の面、両面から改革は進めていくつもりであります。

林副大臣 多分、問題意識は我々と大変共有していただいていると思っておりますが、まさに大臣がおっしゃったように、今から行政委託型の深掘りをいたしますとともに、まさに所管というのがございます。十六人の課が幾つも公益法人を所管しているというこの所管自体が、既に新しく通していただいた法律で、なくなるということでございます。

 従来は、各省が、もしくは地方の場合は地方公共団体が設立の許可をするという仕組みになっておりましたのを、今度の公益法人改革で、そもそもそれをやめて、法人格自体は認証で取っていただいて、そして公益性を認定する。それも、各省ではなくて、公益認定委員会、私どものところにありますが、そこが一元的にやるということをさせていただいた。こういうことも補足させていただきます。

馬淵議員 先ほどの議論をお聞きしておりまして、渡辺大臣は、公益法人等についての、これは公的あっせんという形で、天下りバンクから人材交流ということで述べられておりましたが、そこについては国会の議論を通して有識者懇で決めていくというお話でありましたが、結局は、ここに対しては何ら規制はかかっていない、あくまで事後規制の話をずっとされておられるんですね。

 委員の御指摘のように、こうした法人に対しての大変緩い形での規制が今日まで続いてきた。今、林副大臣から、これも見直すんだというお話でありましたが、現行を見れば、今まで手をこまねいていて、何ら効果のあることをしてこなかったという事実がございます。こうした事実を踏まえれば、私どもが申し上げているように、事前規制こそが最も有効であるということが、渡辺大臣、林副大臣の御答弁の中から国民の皆様方にはうかがい知れるのではないかというふうに思っております。

渡辺(周)委員 林副大臣、私が言ったのは、下水道企画課、所管課というものがなくなるんだということじゃなくて、つまり、都市・地域整備局下水道部という中の下水道企画課という、十六人のところでやっている、役所では一つの課がやっている事業を、十の団体が、それぞれ目的を細分化し、事業内容を細分化して、十の地域においてやっているということなんです。ですから、これは一つになることはなるんじゃないだろうかということを言いたいんですね。だって、役所に行ったら窓口が一つしかないのに、十の団体が東京の一等地でそれぞれオフィスを構えてやっているということ自体が、一体これを非効率的、非合理的と言わずして何と言おうというふうな意味で言ったわけでございます。

 ちなみに、この本は、国土交通省の公益法人だけでこれだけなんです。恐らくこれは、出ているかどうか探しているんですけれども、農林水産省や経済産業省や厚生労働省といったら、多分かなりのボリュームになるんだろうと思います。

 つまり、こうしたところに天下るということは、キャリア組の出世コースに負けた方々がやはりどこかの何かにならなきゃいけないし、また、その後もどこかに行くというわたりをつくるためにとにかくふえていったというのが私の考え方でありますし、皆さんもそういう認識だろうと思いますけれども、もう時間がありませんので、またの機会に聞きたいと思います。

 最後に、いわゆる先ほど来指摘されているわたり、これについては、この法案で、どういう形でこのわたりというものの実態が明るみに出て、規制されることになるのかどうか。できないならできない、できるならできるということ、政府側と、そして提案者にぜひ伺いたいと思います。

渡辺国務大臣 わたりあっせんについては、当然のことながら、一回目も二回目も三回目も全面禁止をいたします。官民人材交流センターがわたりあっせんをすることはございません。

馬淵議員 きょうの午前中の与党議員の質疑にもありましたように、立法事実を把握しようとしていない。現行でも、わたりは十六人、これは確認できたものだけという、このような状況で、立法事実をしっかりと把握しないままでの現行法案では、全くこれらの規制、事後規制では何ら変わることはない、このように感じております。

渡辺(周)委員 大臣、私はかつて質問主意書を出したんですけれども、質問主意書の中で、このわたりについての実態はどうだと言ったら、膨大過ぎて、もう何か、数が把握できない、時間的にもお答えできないという返事でした。

 やはり、この法案を出す以上は、このわたりの実態というのがどれぐらいあるかということを把握すべきだと思いますけれども、大臣、どうお考えですか。また、提案者にも聞いて、終わりにしたいと思います。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺国務大臣 この調査を行革本部事務局の方で各府省等にお願いをして行った結果については、御案内のとおりであります。

 再三申し上げますように、これは氷山の一角と思われますが、逆に、それだけしか出してこないというわけでありますから、官民人材交流センターがわたりあっせんをする必要性も全くないということであります。

渡辺(周)委員 いや、だから、氷山の一角だという認識を持っているんならば、やはりこれは調べるべきじゃないでしょうか。いかがですか。それをもう一回聞かせてください。

渡辺国務大臣 調べた結果、確認されたのは十六件でしたという答えでございますから、もう一回調べても多分同じことが出てくるんだろうと思います。もし虚偽の回答をしていたというのであれば、それぞれの役所において責任をとってもらうということになろうかと思います。

馬淵議員 当委員会でも、細野委員から御指摘がありました、理事会の協議という形で、この十六名については、これはおかしいという大臣の答弁を受けて、次官以上のそれの調査について理事会に諮られておられるように、立法事実の確認というのはこの国会での最大のポイントだというふうに考えておりまして、だからこそ、私どもの対案は事前規制であると、この事前規制をすることによって天下り根絶が図られると、この本質の部分を国民の皆様方にお伝えをしてきました。

 国民の皆様方には、こうしたことで何が今求められているかということを、はっきりとこの審議を通じて、この委員会の中での調査結果も踏まえて審議していただくことを心から望んでおります。

渡辺(周)委員 ありがとうございました。

 もう時間が来ましたので終わりますけれども、ぜひこのわたりの実態について、やはり当委員会で明らかにしていただくように政府側にぜひとも責任を持って対応していただきたい、そのことを理事にお願いをして、ぜひ理事会でお諮りいただきたいと思います。

河本委員長 理事会で協議いたします。

渡辺(周)委員 終わります。

河本委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党、市村でございます。

 一時間十分という長い時間をいただきまして、これから質問、また議論をさせていただきたいと存じます。

 まず、渡辺大臣、この委員会のいろいろな議論を通じて私が今思っておりますことは、恐らく政府案も民主党案も目的とするところはそう変わらないといいますか同じだろう、やはりこの国をよくしたい、国民のために何かしたい、そのために公務員制度も考え直さなくちゃいけないところがある、こういうことだろうと思います。目的が同様でありながらなぜこれだけの議論かというと、やはり手段のところでどっちがよりよいかというところになっているかと思います。

 それで、政府案としては、天下りはやめるけれども再就職支援はするということなんですが、これは大臣、それから民主党の提案者にも、馬淵さん済みません、ちょっと聞きたいんですけれども、公務員の再就職支援というのはやはり必要でしょうか。大臣と提案者にお聞きしたいと思います。

渡辺国務大臣 我々は、公務員が死ぬまで公務員でなければならないという立場には立ちません。公務員であった人が民間人になって活躍をする、あるいは民間人が公務員になって活躍をする、双方向の人材流動化が必要だという立場に立っておりますので、まさしく双方向の官民ゲートウエーとして官民人材交流センターをつくる提案をしているところであります。

馬淵議員 公務員である方が再就職支援をしていただける。すなわち、公務員になれば、ある意味、人生をある一定の年限まで保障してもらうことができる。これこそ、公務員であることが最大の喜び、あるいは公務員であることが最も有効な働き口であるということを示している、しかも税金を使ってですね。私は、これはおかしいと思っています。再就職、何度も申し上げていますが、みずからの人生をみずからで切り開く、これは一般では多くの方々がやられていることですから、官民のイコールフッティングを考えれば、税金を使ってなぜそのようなことをするのか、これが最も疑問に思われる点であります。

市村委員 大臣、今の大臣の御答弁は、官民人材交流をするんだということ、それは私、すごく賛成なんです。アメリカを見ても、あるときは官僚だったり、弁護士に戻ったり、また民間に勤めたりとかやっているわけですね、回転ドアというふうにも言われていますけれども。だから、やはり日本においても人材の流動性を高めるということは僕も大変賛成なんです。

 その部分と、さっきの私の質問の趣旨は、民主党の提案者の方からは明確に、再就職を支援することがなぜ公務員だけ必要なのかということの御答弁がありましたが、政府案としては、私がお聞きしていましたら、いや、今回天下りはやめるけれども再就職支援はするんだとさっき大臣がおっしゃっていますから、もう一度確認で、やはり政府としては公務員の皆さんのための特別な再就職支援が必要だというふうにお考えですかということを、ちょっともう一度確認をさせてください。

渡辺国務大臣 今までは各省が人事の一環として天下りあっせんというのをやってきているわけであります。それが、先ほど来の御議論のように、大変な弊害を生んでしまっているという反省に立って、各省のあっせんを全面禁止をし、官民人材交流センターに一元化をするという提案を出したところであります。もしこういうあっせんも全くやらないということになりますと、恐らく相当数の人たちが官の中にとどまっていくということになるかと思います。

 先ほど申し上げたように、推定でございますが、年間大体二千名ほどの勧奨退職者をあっせんしているということが行われているとすれば、年間二千名ずつ国家公務員がふえていくということになるわけでありますから、これは非常に、我々の目指す簡素で効率的な政府という立場からはよくないことであると考えて、こうした官民人材交流センターを、当面そういった機能の中で使っていくことを考えているわけであります。

市村委員 提案者、今大臣の方から、毎年二千名ずつふえていって、これは大変、簡素な政府を目指すにはそぐわないと。民主党は、早期退職勧奨をやめさせて、定年まで働けるようにすると。特に、政府も、定年延長も考えているということは政府案、政府の指針も出ているぐらい、閣議決定されていますよね。

 ということは、ではそこで提案者にお聞きしたいんですが、そうなるんでしょうか。本当に二千名ずつふえる、そんな大きな政府になって効率性が損なわれるとお考えでしょうか。

馬淵議員 政府案は、現行の国の事務事業、これを現行のまま考えているから、大きな政府になってしまうという御答弁があるかと思うんですが、私どもは、これは徹底的な事務事業の見直しを図っていく。特に地方分権の観点から、今国が所管すべき事業なのかどうか、地方支分部局も含めて、すべてこれは見直しを図るわけです。さらに、役職定年制やあるいは昇給停止等々、またさらには新規採用の抑制を含めて総人件費二割の削減ということを目標に定めていますので、これは決してその人件費あるいは大きな政府になることはないと考えておりますし、むしろ、何度も申し上げるように、各省庁縦割りの弊害があるから一元化して公的あっせんをするんだというのは、全く本末転倒、国民からすれば理解ができないはずです。

 とにかく、あっせん、天下りということが温床であるんだから、これをまず廃止することが大前提である。その上で、それぞれ個人の皆さん方自身で自分の人生を切り開いていただくという、ごく当たり前のことを私どもは申し上げているだけであります。

 そして、公務員として国家の機関に縛りつけるなどということは一言も申し上げていない。当然ながらに、定年でやめられるまで残る方もいらっしゃれば、途中で志を持ってやめられる方もいらっしゃるわけですから、それぞれが御自身の人生を描いていただく。

 どうもこの議論を、私もきょうも朝言いましたが、お話を聞いておりますと、国家公務員というもの、キャリア官僚というものは特別な能力を持っている、これだけ立派な能力を持っているんだからという、上から物を見ている、上から物を言っているという態度に終始しているように見えるんですね。そうではありません。さまざまな能力の方々がいらっしゃる、そのさまざまな能力の方々がさまざまなフィールドで働いていくのはみずからの判断ですよ。それを国がやらなければならないというのは、本末転倒以外の何物もない、このように申し上げます。

市村委員 あと、先ほどの議論を聞いておりますと、大臣、例えば、民主党案がもし通ったとすると人件費が結局ふえるではないかとさっき御答弁されていましたが、それはやはりそういう認識でいらっしゃいますでしょうか。

林副大臣 午前中もいろいろ御議論があったところでございまして、これはあくまで、民主党さんの法案が通ったらと、またいろいろな仮定の話が含まれるところでございますので、その前提でということでございますが、先ほどの馬淵先生の御答弁の中で、定昇をやめるというようなことがございました、また、役職定年を設ける、こういうことがございました。その辺の仕組み方にもよろうか、こういうふうに思いますが、新人で入ってこられる方の平均の給与は大体二百万とか三百万とかそういうことでございまして、実際にやめておられます方々の平均の給与は七百万から八百万、こういうことでございますので、新規採用を抑制して定数が変わらない、こういうふうにいたしますと、その差額掛ける人数分が毎年入れかわっていく、こういう計算にもなりますので、ざっと百億オーダーの人件費の増というのがあるわけでございます。

 一方、我々も、人件費の人事院の勧告を踏まえて、給与の計算の仕方、P掛けるQという話もございましてやってまいりましたときにも考えましたのは、では、その人事院の勧告を凍結すればいいではないか、こういう議論も中ではございました。しかし、過去の例を見ましても、人事院の勧告を凍結した例は全く皆無ではございませんけれども、その後大きな問題になりまして、結局、その答申を踏まえたような形にその後引き上げが行われているということで、このことは大変難しいことではないかな、こういうふうにも思うわけでございまして、そういうことをよく検討する必要があるというふうに考えておるところでございます。

市村委員 それで、例えば今、そのまま残ると六百、七百万、新しい人だったら二、三百万ということで、その差が結局負担になるという話でしたが、多分、オーダーとすると何百億のオーダーですよね。

 そこで、提案者にお聞きしたいんですが、今、民主党は、調査をしまして、年間において公益法人に対して幾らぐらい政府から出ているという資料がございますでしょうか。

馬淵議員 まず、お答えの前に、先ほど林副大臣の御答弁にオーダーの数字がありましたが、繰り返し申し上げますが、私ども、徹底的な国の事務事業の見直しを図るわけです。その上で、今回、新規採用抑制を含め、あるいは昇給停止を含めという措置を図るということですから、事務事業の徹底的な見直しを図ることによって、当然ながらこれは構成が変わってきます。さらには、人事院勧告の見直しの官民比較のベースも変わってくるわけですから、ここは大きく前提が違うということを申し上げなければなりません。

 そして、今委員の御質問の部分でありますが、私どもの調査というのは予備的調査のことだと思いますが、現行では、予備的調査で行ったものにつきましては、国家公務員の天下りの実態ということで、平成十八年の四月時点、上半期に交付されたものに関しまして、これは四千五百七十六法人に対して約五兆九千二百億円の金銭の交付があるという報告を受けております。なお、この四千五百七十六法人には二万七千八百八十二名が天下っているという事実がございます。

市村委員 先ほど渡辺委員も御議論されていましたが、私もこの場で公益法人のことを非営利法人という絡みで大分議論させていただきました。

 結局、莫大なお金が年間にフローで公益法人に行っている。ではこれがすべて無駄かというふうな議論はきょうはしません。しかしながら、多分に、先ほどの議論もありましたように、つまり、OBの再就職先をつくらんがために、公益法人制度、つまり民法三十四条が悪用されたというふうなことは言えると私は思っているんです。だから、さっき議論があったような、同じような団体が幾つも出てくるんです。すなわち、何とかしてOBの天下り先をつくらなくちゃいけないと。

 これは以前、大分前ですけれども、ある若手官僚と話をしていて、市村さん、私たちは日々何をしていると思いますか、結局OBの再就職先をつくっているんです、天下り先をつくっているんです、本当にやってられません、こんなことを言う若手官僚の方もいらっしゃったんですね。もう大分前の話です、これは十年ぐらい前の話ですよ。そういう話をしたことを今思い出します。

 すなわち、たとえこれで数百億、数年間の間、まあ暫定期間がありますから、多少ふえたとしても、民主党の提案者がおっしゃるように、きちっと今の無駄遣いを徹底すると、もっとすごいオーダーでお金の無駄遣いが正されるということになりまして、結局、これまでの議論を通じて、いや、民主党案だともっとお金が、人件費がふえるぞという議論は、私はこれはちょっと当たらないのではないかなと思うんです。

 だから、そういったところで、私は別に政府案がそれで全然だめだと言っているわけじゃなくて、冒頭で申し上げたように、目的は同じなんです。それで、せっかく議論をしている。議論をしたら、何が何でも変えないという姿勢ではなくて、だから私は民主党案の方にも、何か附則に入っているという議論をされていましたけれども、本則に入れればいいと思いますよ。別に修正したらいいと思います、そんなものは。本質的な議論じゃありません、全く。いい提案が出たら変えればいいわけでありますから。

 だから私は、この議論は、せっかく今議論しているのであれば、政府案の中でも、ああ、これは民主党案の方がいいなと思ったらそれはぜひとも取り入れていただきたいな、こういう思いがありますが、では林副大臣、手を挙げていただいたので、どうぞお願いします。

林副大臣 大変思いを共有させていただいております。

 まさに行政委託型の公益法人の改革に我々が取り組んでまいりましたのは、実は、特殊法人を新しくつくってはいけないという中曽根行革の決定がございまして、数字では、新規の公益法人の設立というのがそれ以降大変にふえているというマクロの数字がございます。委員はそういうところに着目されて今御発言をされて、我々も、そういう視点もあわせ持ちながら、与党時代に、党におったときにそういう視点でやらせていただいておりました。

 例えば、一公益法人を指定して、そこでしか仕事ができないということはもうだめにしよう、そして、そこの公益法人の要件も外して、民間の株式会社であれ公益法人であれ、きちっと仕事をしてもらう人に対しては、登録なり一般競争入札なりで入ってきてもらって、一番いい仕事を一番安いコストでやってもらおうという改革を今までもやってまいったわけでございます。

 網の目が全く完全であったかという御議論もまだまだあるところでございますけれども、そういった上で、先ほど大臣からもありましたように、何年かたっておりますから、さらに深掘りの公益法人の改革をやっていく。一般的な公益法人の制度は、先ほど渡辺委員との御議論の中で申し上げましたように、所管というものがなくなっていって、設立そのものは簡単にできて準則主義になっていくというのは、もう市村委員御存じのとおりでございます。

 それから、せっかくでございますので、もう一点。

 今、我が方の案についてのコメントがございましたけれども、我々の方は、午前中も申し上げましたけれども、総人件費改革で、例えば、農林統計関係では五千、それから食糧管理関係では七千四百という定員の中で、それぞれ純減を二千四百、二千二百というふうに、個別具体的に、部門別に決めまして、これを減らしていくということを既に決めておるわけでございまして、その上で今回のことを御提案しているということをぜひ御理解いただいたらというふうに思うわけでございます。

市村委員 今、林副大臣がおっしゃった点は、政府の方ではかなり数字まで明確にしているということだと思います。

 ただ、では、これを野党の民主党に、おまえたちも明確にしろというのは、それは一生懸命やりますけれども、政府はちゃんと身近に膨大なスタッフを抱えていらっしゃるということと、やはり野党に同じことを求めるといっても、なかなかそれは難しいんだろうと思います。だから、余りそういう数字の議論ではなくて、やはり大枠の議論をここで堂々と闘わせなくてはならないと私は思っております。

 それで、ちょっと話は戻りますが、今、市場化テスト法案というのが、この内閣委員会でもやっています。あのときに、ハローワークのことを議論しているときに、結局、ハローワークは民営化できないんです。なぜならば、ILO条約があって、国がやらなくちゃいけないというふうになっているんですね。だから、実はハローワークというのは極めて官なんです。ハローワークの一部業務は民間に委託できますが、官なんですね。ある意味でいえば、やはり官の組織なんですよ、ハローワークというのは。つまり、ILO条約によると、民間に出しちゃだめだ、一元的にやらなきゃいかぬということになっているわけですね。

 だから、やはり民主党でも、ハローワークをもっと利用すればいいじゃないか、こういう話もあるんですが、大臣は、ハローワークではだめなんでしょうか。人材の再就職あっせんをするとして、ハローワークを利用するということではやはりだめなんでしょうか。

渡辺国務大臣 今回の政府案においては、国家公務員の現職時代の求職活動というものを制限いたしております。在職中は、公務の公正さとか、あるいは公務の中立性とかについて国民から疑いの目で見られないようにという趣旨で、そのような規制をかけているわけであります。

 したがって、そのような制約の中で、再就職に当たり、何の支援も行わなくていい、ハローワークを使えばいいじゃないかとした場合には、御案内のように、公務員というのは身分保障というものが国家公務員法の中で定められていますので、この身分保障を盾に職にしがみつくという人が非常にふえると思うんですね。ですから、そのために行政の減量化や効率化がはかどらないということになりますと、これまた問題になってくるわけでございます。したがって、官民人材交流センターという透明な仕組みの中で再就職支援を行うことにしたものであります。

市村委員 でも、今回、官民人材交流センターというのは、ある意味でハローワークのような役目を果たすわけですよね。情報をとって再就職の支援、あっせんをしていただける。

 では、ハローワークではだめで、人材交流センターでいいという理由はどこにあるんでしょうか。

林副大臣 まさに大臣が今御答弁されたことの繰り返しになるかもしれませんが、一般のハローワークを御利用いただいている皆様には、公務員の在職中の求職活動の規制というのがないわけでございますね。ですから、例えば私が三井物産におったときにハローワークにこっそり行っても、それは会社の上司との関係ではいろいろまずいことがあっても、規制とか法律上は何も問題がない。一方で、今回の我々が御提案をさせていただいている法案は、そういう規制もかけております。

 一方で、例えばハローワークに行ったといたしますと、個人情報ということもありまして、どこにどういうふうに行かれたのかということが、大臣が透明性というふうにおっしゃったとおり、交流センターの方でやればきちっと透明性が確保されるわけでございますけれども、そういったこともどうなるのか、こういう問題もあろうか。

 こういうこともございまして、きちっと、官房長官がセンター長になって、透明性が確保された中で正々堂々と行っていただくという意味で、官民人材交流センターということになったということであろうかと思っております。

市村委員 さっきの大臣の御答弁の中に、結局、公務員の方が最後にしがみつくという御表現がありましたけれども、しかし、六十歳まで、定年まで働くというのは、ある意味では民間でも、本人が希望すれば、ちゃんと頑張っていれば、別に六十歳定年までは行けるわけですよね。では、それをしがみつくと表現を民間でするのかというと、しないと私は思います。

 だから、なぜ公務員の方だけが、定年まで行くとしがみつくという表現になってしまうのか。やはり政府の方でも検討事項に定年延長まで書いているわけですから、政府の閣議決定した中に、資料の中に。だから、それこそガバナンスの問題、マネジメントの問題でしっかりと、一遍公務員になられた方が定年まで働けるような、気持ちよく働けるような仕組みをつくるということで、それでいいんじゃないか。

 かつ、その中で、さらにまた定年後就職をしたい、再就職したいという場合は、まさに官の組織であるハローワークが情報をもっとそれに、ハローワークで集めている情報は、別に公務員の方だけをぜひとも限定ということはないと思うんですね。前職は公務員だろうが、民間にお勤めだった方だろうが、とにかくその条件に合えば、ぜひともうちに欲しいという情報が集まってくるわけですから、それで結局何がおかしいのかなというふうに思うんですが、大臣、いかがでございますか。

林副大臣 大臣にも御答弁いただこうと思いますけれども、今の委員の御指摘の中で、先ほどから議論を聞いておりまして、政府の位置づけなんでございますが、行政を行うという位置づけの政府と、それから、働いていただいている若い職員を初めとした職員にとっては、使用者としての政府という立場がやはりあろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。

 民間企業におきましても、例えば高齢者雇用安定法というのがございまして、雇用する高年齢者等が解雇等により離職する場合に、再就職を希望する場合には開拓等、再就職の援助に関し必要な措置を講ずるよう努力義務が課されている、こういうものがございますけれども、使用者としての立場で、公務員が在職中は安んじて職務に精励して、そして全うしたときに、定年まで行くかその手前かはいろいろあると思いますけれども、こういう仕組みも活用していただいて、いろいろなところにさらに自分の能力を活用していけるという状況をつくっておくことが非常に望ましいのではないかというふうに思うわけでございます。

渡辺国務大臣 定年まで勤められるようにとの御指摘は、我々も、既に小泉内閣のときに、退職年齢の引き上げやスタッフ職制の導入といったところで考えてきたところであります。専門スタッフ職の導入については、昨年の十月でありますが、既に閣議決定をして、人事院に検討を依頼しております。

 こうした点を含めて、採用から退職まで、公務員の人事制度全般の課題について総合的、整合的な検討を進めていくことになっております。

市村委員 私の今の質問だけじゃなくて、この議論を通じて、公務員はある種どこか特別だというところがやはりあるように思うんですね。

 提案者はどうでしょうか。今の議論を通じて、やはり公務員は特別なんでしょうか、どうでしょうか。民主党の考え方。

馬淵議員 私どもの提案は、あくまで官民のイコールフッティングである。当然ながら職業の選択の自由があって、民間に行かれる方、国家公務員あるいは地方公務員を選ばれる方、それぞれの人生設計の中で選んで行かれた、そして、それぞれの人生設計の中でまた転職を考えられる。これは民間に勤めようが国家公務員になろうが同じなんですね。人生設計において、どこでどのようなタイミングでかわられるかというのは自身が決めることですから。それを公的あっせんの形で行うというのは余りにも屋上屋である、こう申し上げているわけでありまして、今市村委員が御指摘のように、公務員が特別だという意識は、やはり国民の皆さん方に透けて見えるのではないかというふうに思います。

 そして、答弁を求められましたが、先ほどの林副大臣の御答弁の中に、定数削減のことについてお話ございました。細かい数値を挙げられておりましたが、これも昨年の七月の一日時点で、非常勤の一般職の国家公務員、約十三万四千人の方が働いていた人件費は各省庁の庁費から出ているということで、いわゆる定数削減というのは、まさに全体のコストから見るとこれはごまかしなんですね。だから、幾ら細かい数字を積み上げられても、現実には、独立行政法人への運営費交付金名目でお渡ししたり、何らコスト削減にはつながっていないということを私の方からはお伝えしたいと思います。

 また、先ほど渡辺大臣はセンターで把握するんだとおっしゃいましたが、私どもは、これは十年の報告義務を課しておりますので、センターが把握しなくても、私どもの提案のように十年間の報告義務をしっかり課せば、どこにどのような形で就職をされているかというのをつかむことができるんです。公的あっせん機関をつくって、天下りバンクですべて集中管理だというのは、これは委員が御指摘のように、国家公務員を特別扱いしているにほかならない。また税金の無駄遣いを生む温床になりかねないと思っております。

市村委員 大臣、今の民主党案の提案者の御意見を聞いていかがでございますか。やはり国家公務員は特別でございますでしょうか。大臣、お願いします。

渡辺国務大臣 民間人と公務員の違いというのは幾つかあろうかと思います。

 例えば、その中の一つに身分保障というのがあるんですね。これは法律上定められています。では、身分保障があるから職を失うことが全くないかといったら、そうではありません。今回の改正案においては分限規定というものを明確に定めております。また、今回、能力・実績主義を導入いたします。そういたしますと、実力がないのにそのまま公務員であり続ける、つまり、求められる能力がないという場合には、公務の外に転出する方が望ましいという人もいるわけであります。そういう人を政府の中に抱え込むという道を我々はとりません。

 したがって、だれもが定年まで勤められるようにするということではないわけであって、官民人材交流センターというのはそういったリストラのお手伝いもする機関であるということであります。

市村委員 素朴な疑問なんですが、今の言葉を下世話な言葉で申し上げると、公務員として使い物にならなかった人をどうするかという話だと思うんですね。では、そういう人を民間が、はい、うちで受け入れます、そういう民間というのはどこにあるんでしょうか。

渡辺国務大臣 これは適性の違いであって、公務には向かないけれども民間には向くという場合は大いにあり得るんですね。ですから、公務員は予算と権限を剥奪しちゃったら、みんな無能な存在になるんだなどという立場は我々はとりません。したがって、公務以外のところで第二の人生を始めるというケースは大いにあり得ることではないんでしょうか。

市村委員 今の大臣のお言葉だと、まず、予算と権限がある人間は公務員ということになるのかもしれませんが、果たして、今公務員として働いていらっしゃる方が予算と権限を持っているから、みんながそれで尊敬し優秀だと思っているかというと、そうじゃないですね。やはり人間として、常識人であるとか礼儀があるとか謙虚であるとか、そうしたことが対人間関係においては評価。いや、この方は権限と予算を持っているから、公務員さんだから、では、私たちは頭を下げて、ありがとうございますと言わなくちゃいけない、そうじゃないですよね。やはり人として相対しているわけです。たまたまその立場があって、ある種、ある場合の予算と権限も与えられている場合もある、そうじゃない場合もあるということですよね。だから、大切なのは、やはり人としての素養だと思います。

 だから、大臣がさっきおっしゃった部分は、ひょっとしたら、人としての素養がないと。分限にかかわるとか。そうした場合に、人としての素養がない方をよりシビアな民間が、はい、では、うちで引き受けますとなるとは、素直に考えてそうは思えないんですね。

 すなわち、そうであればそうじゃないように、そういう人を公務員としているけれども、それは民間もそうですよ、民間企業だってそういう人を、面接のときにはわかりませんよね、試験のときにはわかりません。だから受け入れちゃう場合もあるわけですよ。それで、長い間に、どうもこれはおかしいなということがあった場合に、その人を、はい、さようならということもあるでしょう、今民間のシビアな世界では。しかし、公務員の世界ではなるべくこれを抱え込んでいくということが、公務員のある種特別なところかもしれません。

 そこで、それを官民人材交流センターを通じて、ちょっとこれ頼むなということよりも、やはり抱えた以上、公務員としてなかなか難しいのであればそれを何とかするように、しかし、何とかしてもどうにもならない場合は仕方ないですよね。これは、こちらもせっかく考えているのに、それ以上、それに対してちゃんとならないのであれば、それは仕方ない部分はあるというふうに考えるのが普通かなと思うんですが。

 いかがですかね、大臣。やはり、そういう公務員の方をどこが受け入れてくれるのかなと思うのですが。つまり、権限や財源じゃない、その人としての問題があるというふうになった場合に、一体どこが、多分、官民かかわらずそういう人は問題がある。だから、それはもっと別の視点で、その方が例えば何かキャリアを、いわゆるスキルアップするとか、人間的な部分で、もっと人間性を高めるような努力をするとか、そういう視点の話が今度は必要になってくるのであって、それは恐らく官民人材交流センターの仕事じゃないと私は思いますけれども、ちょっと大臣にお願いします。

渡辺国務大臣 官民人材交流センターは、まさしく再就職の支援をする機関でありますから、これはキャリアコンサルティングもやりますし、本人の埋もれた能力を引き出す、そういうお手伝いはやるわけであります。したがって、これは今やっております人事の一環としての天下りあっせんとは全然違うということでございます。

 一方、受け皿になる方は、今現在は、恐らく人事の一環としての受け皿でありますから、なかなか断りにくいということがあるでしょう。しかし、人材センターのあっせんというのは、全く予算や権限を背景にしない中立的なあっせんでありますから、受ける方もお断りしやすくなるということではないでしょうか。

 いずれにいたしましても、職員の能力や実績が正当に評価されて再就職をしていくということは、何ら悪い話ではなかろうと思います。

市村委員 そうなりますと、早期退職勧奨のことを議論しなくちゃいけないんですけれども、結局、大臣の頭の中にあるのは、今のお話は、早期退職を勧奨しなくてはならない方を多分想定しておっしゃっているような気がしてなりません。やはりそれがあるから、やめてもらうためには。

 しかし、それは今までの慣行を温存するという前提ですね。すなわち、同期入省はポストがだんだん減ってくるから、この人が次官になったら、あとはやめてもらわないかぬ。これを前提とした場合、この方たちはそれなりに有能、優秀だという前提を置いて、そして、その方たちをしかるべきところに当てはめていかなくちゃいけない。しかも、その方たちが納得するところに当てはめていかないといかぬぞというところで、やはり、いわゆる官民人材交流センターというのが一つの役割として想定されているんだと思います。

 民主党の案ではそれをいわゆる肩たたきと称して、肩たたきはいかぬ、これが問題なんだ、こうなんですが、しかし、大臣の頭の中には、いわゆる肩たたき、早期退職勧奨については、やはりあるべきだと。それがやはり、それこそ大臣の言葉をかりると、ぴちぴちの組織なわけですね。ぴちぴちの組織を維持しなくちゃいけないということらしいんですけれども、やはりどうしても必要でしょうか、早期退職勧奨。この流れ、慣行は変えないという前提でございますか。

渡辺国務大臣 我々は、早期勧奨退職がなぜ起きるのかに着目をしているんです。つまり、これは年功序列人事システムがあるから起きるんですね。ですから、能力・実績主義の導入によって年功序列を打破しようというところからスタートをしているのが政府案なのです。ですから、早期肩たたきシステムを禁止すれば問題が全部解決するんだという立場には立たないんですよ。もっと根本的なところから改革をしようということを私たちは目指しているんです。

 ですから、そういうことをやれば、当然のことながら、後輩から追い抜かれる先輩がどんどん出てくるわけですよ。そうすると、後輩には絶対追い抜かれてはならないという今のカルチャーは崩れていくわけであります。一方において、スタッフ職制のような、定年まで働ける、そういう制度を創設するわけでありますから、早期勧奨退職という法律に書いていない慣行は、いずれ消滅をすると私は申し上げているじゃありませんか。

 ですから、では、民間においてこういう制度が全くないかといったら、あるじゃありませんか。早い話が、民間企業がやっていることは、要するに子会社に出向させるとか、あるいは関連会社に出しちゃうとか、そういうことを民間会社はやっているわけです。どっちが先に始まったかはわかりませんけれども、早い話が、税金を払って子会社をつくり、関連会社をつくっている民間だったら、もうからなければそういうところはどんどんつぶしていくわけですね。しかし、税金をもらって子会社みたいなものをつくる、関連会社みたいなものをつくって、そこに天下りではめ込んでいくということになると、先ほど来たくさん事例があるように、なかなかこれが減らないという問題があるから、我々は、その根本原因である各省のあっせんを全面的に禁止しようということをやっているわけでございます。

 したがって、我々の案はトータルのパッケージで考えているのであって、肩たたきさえやめさせればすべて問題が解決するんだという立場には立たないと言っているだけです。

市村委員 年功序列がいかぬということなんですが、提案者、本当にそうでしょうか。

馬淵議員 私どもの案も、能力・実績主義というのを掲げております。

 渡辺大臣の御答弁の中で、私、何度も何度もお聞きしても違和感を感じるのは、年功序列型の制度という中で、先ほど来、私、申し上げていますが、たった一人しか残らないという同期入省、これは会社に置きかえれば同期入社ですよ、たった一人しか残らない仕組みというのがそもそもおかしいのであって、年功序列は能力・実績主義に変えればそれでいいんです。

 そして、一人しか残さないがためにやめさせていくという制度があるから、そこであっせんが行われ、さらには癒着が生まれるということですから、私どもは、能力・実績主義の中で、一人しか残さないという形はまずとめましょうと申し上げているわけですよ。この、まずとめるということができずして、センター、天下りバンクをつくってあっせんする。単にエスカレーター型の組織をつくるということにほかならないんですね。

 これは、一般の方々から見れば、先ほど、いや、民間企業はあるじゃないですかと。これは一部ですよ。九九・七%の中小企業、零細企業は、そんな天下りできるような関連企業なんか持ちません。そこで、定年まで一生懸命残るかもしれない人もいるけれども、組織をどうやって活性化するかということに最大の知恵を絞るんです。

 例えば、職務分析、業務分析を行って、無駄な業務はないのか、あるいは、商品を売るならば商品を売るという目的のために、今やっているさまざまな営業の仕組みの中で無駄なものはないのか。単にコスト削減で、一つ一つの職務を縮めていこう、リードタイムを縮めていこうというだけではなくて、そもそもこのアプローチをやめてしまおう、これがビジネス・プロセス・リエンジニアリングと呼ばれる経営のトップが本来行うべき手腕なんですよ。

 なぜそれを今の行政の長は行わないのか。それを放棄してきて、今日、単に天下りバンクをつくって、エスカレーター型で組織の肥大化を防ぐというのは、これはみずからの職務を放棄しているのと同じであります。

市村委員 大臣、今この議論で、やはり目的は同じだと思います。何とかしよう、国のためによくしよう、政府案も民主党の案も。そのために公務員制度改革が必要だ。そして、大臣がおっしゃるように、別に民主党だって、パッケージといいますか、大きな流れの中でも考えていることだと私は思っています。だから、決して民主党も与党の皆さんも、さっきから申し上げているように、そんなに目的は変わらないと私は思っています。

 ただ、その手段なんですね、やはり手段。そのときに、公務員は特別か、こういうところが非常に私は、公務員は特別なんだから、やはり特別に何か用意してあげよう、しかも公務員の出世街道というか昇進システムも特別だ、早期退職慣行があって、一人を残してあとやめるということがあった、だから特別だ、だからそのためにもやってあげよう、こういうこと。

 そうじゃなくて、根本的に、要するに一人残すということをやめて、定年まで働いてもらえる。働いてもらったときには、まさに大臣も副大臣も御指摘のように、一時的にはいろいろな弊害が出てくるだろう。しかし、それについては、きちっとまた、もっと効率的な政府を考えていく中でそれを吸収していこう、こういう議論なわけですよね。

 だから、そうしたところとどっちがいいのかという話になると思うんですね。そのときに、公務員は特別かというところが、やはり非常に重要なポイントだと私は思っているところであります。

 それで、議論をちょっと緩やかにさせていただいて戻すと、早期退職勧奨とずっと言っておりますけれども、これは一体どのような形で行われているのか。今現在、現状。これは政府委員で構いませんので、おっしゃってください。今現在、早期退職勧奨というのは、どんな形で、どのようにして行われるか、ちょっとそれを教えていただけますでしょうか。

株丹政府参考人 早期退職慣行と呼ばれますものは、各省庁において現実に行われているものかと存じますが、私ども行革事務局が個別によく承知をしているものではございません。

 一般的なものとして申し上げれば、新陳代謝を通じまして、組織の活性化を図る等の観点から行われているというふうに認識をしてございます。

市村委員 だから私は、早期退職勧奨のことがいろいろ問題になっていますから、具体的にどのような形で、どうなっているのかということを、具体的な例を挙げていただいてもいいんですけれども、教えていただければということなんですが。

株丹政府参考人 退職勧奨自体は任命権者の人事当局において行われておるというふうに思ってございまして、個別具体的にこういう感じでというのは、なかなか人事当局以外の者からいたしますと御説明というのは難しいわけでございますけれども、これまで、各省庁に対しまして、これは総務省で御確認をされたというふうに承知をしてございますけれども、過去三年間、十六年から十八年において、再就職の問題についてはあっせんを行ったというようなことを確認した、千九百六十八人というような確認をしたというのがございます。

市村委員 もう少し具体的にお聞きしますと、具体的に、例えば人事当局は企業とどういう話をして、この人を受け入れてくれ、こういう話になるんでしょうか。どういう基準で、どういうふうに言って、どのようにして企業に、受け入れてくれ、このようにお願いしていくんでしょうか。また、財団法人でも社団法人でも公益法人でも構いません。

株丹政府参考人 退職勧奨あるいは再就職のあっせんも含めてのお尋ねというふうに存じますけれども、個別具体の事例につきましては、各省庁の人事当局において行われているものでございます。そういう意味で、具体的な方法につきましては、私の方ではつまびらかに承知をしてございませんけれども、一般的に聞いておりますものといたしましては、企業なり団体などの要請に基づきまして、人事当局が人事の一環といたしまして、職員にそれぞれ要請をされた企業なり団体等について再就職の先として紹介するなどを行っているというふうに聞いてございます。

市村委員 委員長、できれば、こうしたことも資料をもらえたらもっと、早期退職勧奨のことがこれだけ議論されながら、今お聞きしたように、お聞きしても具体的なところは出てこないんです。やはり具体的に、どのようなあり方が早期退職勧奨なのかについて、できたら、もうちょっと具体的事例を踏まえて、資料を政府に提出していただければと思いますが、よろしくお願いします。

河本委員長 理事会で協議します。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、大臣、では何で企業は公務員を受け入れるのか。企業が受け入れる理由は何だと思われますか。なぜ企業は公務員の方を受け入れるんでしょうか。

渡辺国務大臣 企業が受け入れる理由はさまざまだと思います。例えば、公務で培った能力や経験その他のいろいろなものが評価をされた結果として再就職がされているというケースもあると思います。一方、役所に顔がきくという観点から、こういうことを期待して受け入れているケースもないとは言えませんね。

 そうすると、今回の法改正によってどうなるか。後者のように、役所に顔がきくからという期待で受け入れている場合には、さまざまな規制がかかってまいります、例えば口ききをするとアウトになってしまうとか。ですから、こういうケースはなくなっていくと考えます。

 いずれにしても、本人の能力や経験が正当に評価されて再就職をしていくケースは残ります。

市村委員 今大臣が最後におっしゃった、正当に評価されて受け入れられる、これはいいと思いますし、今でも多分そうだと思います。

 今でも公務員の方が、きょうもさっき林副大臣が午前中に、あれは林副大臣じゃないですか、財務省から四十人やめたとかおっしゃったのは副大臣ですね。経産省から五十人やめられているという話もありましたけれども、恐らく今でも、実は、本当は公務員の方は職務期間中に再就職の新しい職探しをやってはいけないということでしょうけれども、今だっていらっしゃるわけですよね。そうやって、また政治の世界に転じられた方もいらっしゃるという形で、ある意味では、自分でやろうと思えばできるわけですよね。本当にそれだけの企業が求めるのであれば、うちに来ませんかと多分話があると思うんです。そのときには、別に役所に顔がきくとかいうよりも、やはりその人の持っている能力がいい、欲しい、こういう能力が欲しいなということで行っているはずであります。

 つまり、何の制度もなくたって、行く人は行くんですよね。あとは自分で決断すればいいわけですから。自分は公務員としてやろうと思って入ったけれども、やはりどうも公務員よりも民間でちょっとやってみたいというふうに思ったときには行くんですよね。もう実際行っているし、何もなくたって。ということは、何で特別な人材バンクというのが必要なのかというのが、やはりそこで疑問になってくるんですよ。

 ということは、さっき実は戸井田委員の何か発言の中に、私もえらいまた率直な話だと思ったんですけれども、つまり、どうにもならない人を流していく仕組みが必要だ、こういうふうな御発言もあったわけでして、やはり実際そういうことが目的になってしまうのかなと思うところなんですけれども、大臣、いかがでございますか。

渡辺国務大臣 要するに、今各省が人事の一環として大量の人たちの天下りあっせんをやっているわけです。このことを全面的に禁止するんですよ。そうすると、あっせんを受けられなくなった場合には、当然この人たちはその職にとどまる。今のような年功序列型システムが続いていたら、まさしく上司高齢化という、組織にとっては老朽化の原因になっていくわけであります。

 我々は、繰り返し申し上げるように、実力主義を導入していこう、年功序列を打破しようと。一方において、いきなり全員定年までというわけにいかないという実態もございます。したがって、過渡期のそういった早期退職者のあっせんは人材センターで行う。先ほども申し上げましたように、能力・実績主義が徹底してまいりますと、これは年功序列がなくなっちゃうわけでありますから、早期肩たたきの必要性が薄れていくわけですね。ですから、そういうときには、まさにリストラ型の支援を人材センターがやっていくということになるわけであります。

市村委員 あと、これも議論がありましたけれども、すなわち、押しつけ的なあっせんはしないんですけれども、請われた、つまり、この企業がどうしてもこの人を欲しいといった場合は、これはいいんですよね。まず、ちょっとそれを。

渡辺国務大臣 各省あっせんもなく、請われて再就職をする場合のお尋ねであります。

 仮に各省あっせんが全くなかったとしても、在職中に自分の職務と利害関係を有する企業等に再就職の交渉や約束をすることは禁止いたしております、今回の法案では。企業から請われた場合も同様であります。

 一般論としては、先ほど来申し上げるように、職員が知識、経験を評価されて再就職する行為は、官民の人材交流という観点からは望ましいものであります。しかし、職員の知識や経験というよりも、むしろ在職していた役所に対する影響力というものが評価されて再就職していくのでは、この趣旨にそぐわないということになります。これに対しては、今回、罰則まで含めた厳しい働きかけ規制を導入し、外部監視体制まで整備をいたします。したがって、いわゆる影響力の行使に該当するような働きかけがあれば、行為規制違反になると考えられます。

市村委員 では、今おっしゃった行為規制違反には、例えば、今回の官民人材交流センターは、さっきの議論を聞きますと、すなわち各省庁から集まったスタッフが行う、自分の省庁の方のあっせんはしないということなんですね。でも、身近に見ていれば、どこの企業が受け入れてどこの企業が受け入れなかったという情報は大体見えてきますよね。あそこは受け入れたけれども、こっちは受け入れなかったなとか。そうすると、翌年、ある企業からあったものに対して、ちょっと、この前受け入れていなかったから、要するに、オール官という観点からすると、受け入れなかったぞ、だからいじめてやろうかな、こういうことで無言の圧力をかけることができるんです。だから、行為規制に入るかどうかお聞きしたいんです。

 そのときに、請われた形にすれば、無言の圧力というのは怖いですね、つまり、こうやってくれと言わなくても、こういうふうにやらないとまずいぞと思わせるということなんですね。こういうふうにやらないとどうもまずいぞ、露骨に、役所に行ったら何か冷たい態度をとられるぞとなると、たとえおたくちょっと受け入れてと言わなくたって、こっち側はそんたくするんです。待てよ、こういうことをやるといかぬのだな、こういう場合は、やはり受け入れと。

 だから、あっちから頼まれてはいかぬけれども、こっちから頼む分はいいのだなとなると、結果としては請われて行くわけですから、これをもって、ではこういうことも行為規制として当たるかと。また、行為規制に当たるためにかなりの証拠を出さないかぬですね、実際に。だって、具体的にこれを受け入れてくれと言うわけじゃないんですから。無言にやるわけですから、無言の圧力をかけるわけですから。

 これはどういうふうにして防げばいいのかということを、大臣、教えていただけますでしょうか。

渡辺国務大臣 要するに、無言の圧力の場合には因果関係が証明できないではないかという疑念を述べられたものと思います。

 しかし、明らかにいじめみたいなことが起こっている、どうもその背景には共謀がありそうだということになれば、疑いを持つに至った外部監視機関が出動するということになるわけでありますから、全面禁止をしている中でそんなばかなことをやったらどうなるかぐらいはわかるはずであって、そういうことは抑止される仕組みになっております。

市村委員 本当に抑止されるなら、私はそれでいいと思います。

 ただ、今現状でも、いろいろ市井の声を聞けば、やはり役所に行くと冷たくされる場合もあれば、優しく迎えられる人たちもいる。何せ国家予算だけで八十兆円もあると、多分、我々政治家の目が行き届かないところでいろいろなことが行われているのは間違いないと思います、いろいろな声を聞けば。

 だから、幾ら専門スタッフを擁しても、実はなかなか、多分全部把握できないんですね。明確に、おい、これを受け入れないと来年からあんたのところに回していた仕事をやらないぞ、こういうことがあったら明確なんです、こいつは許せないとなりますけれども、先ほどから申し上げているように、無言の圧力というのが今でもありますよね。だから、そういうものがあっても、今でも我々の目は残念ながら全部にはなかなか行き届かないわけです。そういうことでいじめられている業者もいろいろいるわけです、地方自治体も含めて。いろいろこういう声を聞くわけですよ。行っても冷たくあしらわれたとかいうことがあるわけじゃないですか。

 だから、やはりそういう実態を踏まえたときに、本当にこの人材交流センターの機能が、いや、僕は大臣の思いはよくわかるんです。岩盤を打ち崩そうという気持ちも、この内閣委員会の質問を通して僕は大臣の気持ちは物すごく応援しているつもりなんです。ただ、この法律の人材交流センターについては、本当にこれはうまくいくかなとすごく思うところがあるんですね。やはり早期退職勧奨を残したまま、あっせんしてあげなくちゃいけない、再就職支援をしてあげなくちゃいけないという大臣の思いやりはすごくよくわかるんですが、大臣が思っているように、天下り根絶と大臣がおっしゃるように本当になればいいんですけれども、どうも何か、またぞろ、負けたふりしてまた勝つというのが官僚の皆さんのうまいところでありますから、そうなるんじゃないかという懸念が私はすごくあるんです。

 大臣、いかがですか。官民交流人材センターは本当にうまくいきますでしょうか。

林副大臣 まさに、働きかけ行為そのものが全くない、無言の圧力であって、行為規制違反には該当しないではないかと。確かに大事な論点であろうか、こういうふうに思いますし、我々もこれをつくるに当たってそういう議論もしたわけでございまして、こういう国会の議論があったわけですから、まさにそこは懇談会でもいろいろな角度からさらに詳細を詰めていかなければいけない、こういうふうに思っております。

 その上で、今委員が念頭に置かれておっしゃっておられるのは、多分、公共調達や仕事を出すというようなところの問題が主に念頭にあられるのではないかというふうに聞いておりましたけれども、そちらの方のきちっとした対応、随契の見直しで一般競争入札をやる、こういうこともやはり同時にやってまいらなければならないと我々は思っておりまして、随契の見直しについては、もう昨年から財務省中心にかなり詳細にやっていただいておるわけでございます。

 むしろ、人材交流センターを通して、今おっしゃったような無言の圧力でだれかが行って、そこだけが公共調達で受注をしているということは、これは公開の対象になるわけでございますから、逆に言うとそういうことはしづらくなるというふうに全体的な制度をしていく、このことがやはり本来の行政改革であろうかと考えておるわけでございます。

市村委員 民主党提案者にお聞きしたいんですけれども、調達であろうが何であろうが、やはりこれは天下りというものを根源的になくすという方策を考えないと、抜け道というのは絶対あるものでありまして、そもそものそういう早期退職勧奨をなくして、定年まで働いていただけると。でも、ある意味では、公務員はその分特別なんですよ、身分保障されるんですから。民間はされませんよ。あなただめと言われたら、もっと言えば、会社がつぶれたらみんな一斉に無職になるわけですから。だから、その分では非常に公務員はある種特別な存在なんです、それだけでも。定年まで働ける。国がなくなることはそう想定されないということですから。

 そういった意味では、根源的には、なくすという形をとった方がいいじゃないか。その意味で、別に私が民主党だから言うわけじゃありませんが、公平に見て、民主党案の方が根源的なことを考えているんじゃないかという印象は持つのですが、提案者、お願いします。

馬淵議員 先ほど来の渡辺大臣の答弁の中にも、いわゆる天下りバンクについては過渡期的なものでというお話もありました。大臣の御答弁を聞いていると、私もこれで丸二日間答弁をお聞きしていると、大臣の中にもじくじたる思いがあるのではないかというのが十分伝わってくるんですね。過渡期的なものであれば、それこそサンセット法でこうしたいわゆる天下りバンクは時限的にすればいいわけであり、では、なぜそれをしないのか。エスカレーター型の組織にしてしまうその根源は、やはり官僚の抵抗と族議員の抵抗で、大臣頑張っておられるけれども、あっという間にその波に押されて後退してしまっているという現状があるんじゃないでしょうか。

 だからこそ私どもは、天下りを徹底して根絶するためには、何度も申し上げているように、肩たたき禁止、この部分が重要なのだと申し上げているわけでして、それをもってして役所に縛るなど、全くそんなことは申し上げていない。能力・実績主義のもとに、当然ながら、働き手として人事管理の中で、これは十分でないなという方々に対しては厳しい管理制度の中で、時には分限免職も出てくるでしょう、昇給停止のみならず減俸減額ということが繰り返されるでしょう。

 このように考えれば、活性化ある組織をつくるためにはまず何をすべきかを考えたときに、真っ先に経営マネジメントとして判断すべきは、問題の本質を一遍に根絶できるところをまず行っていくということが重要であって、いわゆる天下りバンクを創設するなどというのは、結局はお茶を濁していることにほかならない、このように考えます。

市村委員 民主党提案者にもう一点お聞きしますが、私は、この議論を通じて民主党のもう少し説明を要するところは、民間からの受け入れ、民間からいわゆる公務員への受け入れの方について、やはりまだ弱いような印象を持っていますが、これについて、もう少し詳しく御説明ください。

馬淵議員 官民の交流については、何らこれは妨げるものではありません。現行の官民交流法も含めて、今民間の方々が役所に来られる、そしてともに知見をぶつけ合ってさまざまな生産的な活動をしていくことについては、これは妨げるものではありません。

 ただ、これは当然守秘義務にもかかわってくるでしょうけれども、そこで発生するさまざまな権限等々、あるいは知り得た知識というものをもって、それがまたこの国に大きく資する国益から反するようなことをされてはいかぬ。これはもちろん官民交流法の中での規定で定められていることであります。

 我々は、天下り根絶の中で官民交流を一切阻害することのない形で、天下り根絶、肩たたき禁止、あっせん禁止という形で進めていける、そのように考えております。

市村委員 大臣、最後になりますが、先ほど、民間も官庁のような早期勧奨制度をやっているという御発言がありましたけれども、これについてはちょっと、さっき馬淵さんからもありましたけれども、九九%はそうじゃないわけでありまして、民間もやっているんだから官もやっていいんだぞというようなことになってしまうと、やはりこれは問題があるかなと思いますので、最後にこの点についてもう一度ちょっと説明を加えていただけませんでしょうか。民間もやっているからいいじゃないかということではないと思いますので。

渡辺国務大臣 今回の改正案の議論をしているときに、民間、特に大手企業が子会社、関連会社をつくって、そこで人事の一環としてやっていることと同じではないかという議論が霞が関サイドからよく出されたのを御紹介しただけでございます。

市村委員 これについては、また改めてさせてください。

 済みません、時間が来ましたので終わります。ありがとうございます。

河本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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