衆議院

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第9号 平成20年4月11日(金曜日)

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平成二十年四月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中野  清君

   理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君

   理事 櫻田 義孝君 理事 萩生田光一君

   理事 村田 吉隆君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    遠藤 武彦君

      遠藤 宣彦君    大塚  拓君

      加藤 勝信君    木原 誠二君

      河本 三郎君    高市 早苗君

      戸井田とおる君    土井  亨君

      中森ふくよ君    西村 明宏君

      藤井 勇治君    御法川信英君

      武藤 容治君    吉良 州司君

      楠田 大蔵君    佐々木隆博君

      篠原  孝君    下条 みつ君

      園田 康博君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    石井 啓一君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣

   (国民生活担当)     岸田 文雄君

   内閣府副大臣       中川 義雄君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室長)            小島愛之助君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  西  達男君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          大藤 俊行君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    荒井 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 薄井 康紀君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           谷口  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橘高 公久君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事)       島野  康君

   参考人

   (全国消費者団体連絡会事務局長)         神田 敏子君

   参考人

   (静岡県中部県民生活センター所長)        望月みつ子君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  河本 三郎君     御法川信英君

  土井  亨君     武藤 容治君

  市村浩一郎君     園田 康博君

  佐々木隆博君     福田 昭夫君

  馬淵 澄夫君     下条 みつ君

同日

 辞任         補欠選任

  御法川信英君     河本 三郎君

  武藤 容治君     土井  亨君

  下条 みつ君     馬淵 澄夫君

  園田 康博君     篠原  孝君

  福田 昭夫君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  孝君     市村浩一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)

 消費者契約法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び消費者契約法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、独立行政法人国民生活センター理事島野康君、全国消費者団体連絡会事務局長神田敏子君、静岡県中部県民生活センター所長望月みつ子君、以上三名の方々から御意見を承ることにいたしております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。両案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、島野参考人から国民生活センターの消費生活相談業務等の現状についての説明をいただき、次いで、神田参考人、望月参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただきます。その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、島野参考人にお願いをいたします。

島野参考人 国民生活センターの島野でございます。おはようございます。

 本日は、このような機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 国民生活センター法改正案に関連しまして、消費者相談を中心とした国民生活センターの業務の概要について申し上げたいというふうに思います。

 私ども国民生活センターは、各地の消費生活センター、この消費生活センターというのは各自治体が附置する機関でございまして、国民生活センターと組織的な、直接の関連はございませんが、同じような仕事をしているということで、仲間内といいますか、各地の消費生活センターと協力、連携をしながら、悪徳、悪質商法や製品事故による消費者被害を防ぐために業務をやっているところでございます。

 一つは、消費者相談、二つ目には、相談情報の収集、分析、それから提供というような格好です。それから、商品テストを行っております。四番目は、消費生活相談員等の研修ということをやっております。

 昭和四十年に兵庫県の神戸生活科学センターというのが消費生活センターの第一号でありますが、そのころはまだぽつぽつしかございませんでしたが、現在、全国に五百以上、消費生活センターがございます。そこには年間百十万件、百万件を超える苦情相談が寄せられております。これは二〇〇〇年度と比べても約二倍の水準となっております。件数だけではなくて、内容も複雑で多様、また、悪質なものが見られるのが一つの特徴かというふうに思っております。

 こうした中で、国民生活センターは、全国の消費生活センターなど消費者問題の現場、第一線、それにかかわる業務の中核的機関として役割を果たしておる次第でございます。

 国民生活センターが実施しております消費者相談について、まず御説明申し上げます。

 国民生活センターの相談業務は、消費者から苦情相談を直接受ける直接相談というのと、各地の消費生活センターでは解決が困難といいますか、やや難しい、そういう相談について、それらの消費生活センターを経由して受け付ける経由相談という二つに分かれます。いずれの相談も、消費者問題に関する専門家といいますか、専門の消費生活相談員が対応しているわけでございます。

 当センターにおいては、これまで政府の御方針に基づいていろいろ決定されました整理合理化計画でございますが、各地の消費生活センターの中核機能を強化するということがございまして、直接相談というのは段階的に縮小し、経由相談の強化を進めてまいりました。年間の処理件数としては、直接、経由がそれぞれ四千件程度で、合計八千から九千件という程度の相談対応であります。

 これらの相談については、多くは助言、助言というと簡単なように聞こえますが、いろいろ資料を読み込んだりしていますので、助言もやや時間がかかるのでありますが、そういう助言。ただ、自主的に解決がなかなか困難だというようなときはあっせんを行っているわけであります。事業者と消費者の間に立ってあっせんを行っているということであります。

 ですが、そういう処理、紛争解決の仕組みについては、現在の国民生活センター法では明確に規定されていないわけでございます。このため、消費者トラブルを解決しようと思いましても、かなり限界がございまして、交渉の入り口で、事業者に電話しても、当センターからの電話だともう出ない、全く交渉には応じないというようなものもありますし、交渉過程においては、いろいろ資料の提出をお願いしても提出を拒むというようなこと、あるいは、合意が成立したとしても、確実にそれが履行されるというようなことがなかなかないような部分もなくはない。

 こうした中、今般提案されております国民生活センター法改正案において、裁判によらないで簡易迅速に解決するための仕組みを導入するということは、その前の段階に多くの相談がございます、苦情がございます、それを解決するのにより一層実効性があるものというところの効果も持つものというふうに考えております。

 第二に、相談情報の収集、分析、提供でありますが、全国各地の消費生活センターにおいて受け付け、処理した消費者相談は、全国消費生活相談情報ネットワークシステム、いわゆるPIO―NETと称しますが、PIO―NETシステムにより国民生活センターに集約されます。これらの情報を整理、分析した上で、消費者や行政機関に対して情報提供、あるいは行政機関には特にですけれども、いろいろな要望をしているところでございます。

 これらについて、消費者被害の未然防止、拡大防止の観点から、報道機関に公表するとともに、みずからホームページやら、出版物やら、リーフレットで情報提供を行っているところであります。

 第三に、商品テストでありますが、各地の消費生活センターから製品事故等の原因を究明してほしいというようなことで、原因究明テストも行っております。それから、事故の未然防止、拡大防止というようなことで、複数の銘柄を対象とした問題提起型のテスト、コンニャクゼリーなんという、A社だけじゃなくて、A社、B社、C社、D社の製品を一緒にテストするというのが問題提起型テストですが、これらはマスコミ等を通じて公表するというようなことをしているのと、先ほどと同じように、行政機関とか業界団体に対して、制度や規格、基準の改善を要望しているところです。

 最後になりますが、消費生活相談員に対する研修でございますが、消費生活相談員や消費者行政職員などを対象とした研修を行っています。その研修の結果を相談員や行政職員が日ごろの業務に生かしていただいているということであります。

 また、消費生活相談員の資質向上と能力の向上、人材の確保を図るために、消費生活専門相談員という資格認定制度も平成三年度から実施しておるところであります。

 ちょっと簡単ではございますが、国民生活センターの業務の概要に関する説明とさせていただきます。ありがとうございました。

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、神田参考人にお願いいたします。

神田参考人 おはようございます。全国消費者団体連絡会の神田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、この二つの法案の一部改正に関しまして、消費者の立場から意見を申し上げたいというふうに思います。

 まず最初に、国民生活センター法の一部改正案に関することから申し上げたいと思います。

 消費者をめぐる状況についてですけれども、消費者被害は非常に多くなっています。その手口が悪質化、巧妙化しておりますし、特に、御存じのように、高齢者をねらった悪質な商法というものが目立っております。今後、高齢化社会に向けて非常に心配な状況だと私は思っております。

 それから、新手の商法が次々登場しておりまして、消費者被害、トラブルの相談というのは多くなっておりますし、絶えることがない、そんな状況にあると思います。それから、商品やサービスは非常に多様化している、国際化も進んでおりまして、このままですと、今後もますます消費者被害の発生は高まっていくのではないかというふうに思われます。

 それから、消費者被害の特徴は、額が比較的少額で広範囲に起こっているという特徴がございます。被害額が比較的少ないために、被害に遭っても、手間とか費用等を考えますと、訴訟に踏み切ることはほとんどできません。多くの人は泣き寝入りをしている状態である、何の救済も受けずに泣き寝入りをしている状態ではないかというふうに思います。こうしたことは、悪質事業者のやり得につながっていると私は思っております。消費者被害がなくならないどころか、むしろふえる原因にもなっているのではないかというふうに思っています。

 ですので、裁判に訴えるのは難しいですから、簡易で迅速かつ廉価に紛争解決が図られる、そういった手段が整備される必要があるのではないかというふうに思っています。

 消費者基本法では、国民生活センターの役割を、苦情処理のあっせん等において中核的機関として積極的な役割を果たすことというふうにしております。それから、今も御紹介がありましたけれども、国民生活センターは全国の消費生活センターとPIO―NETで結ばれておりまして、情報が集まってくる、全国の状況がつかめる状況にあります。そういったことが一つと、一つの事案の解決あるいはそういった経験が各地の消費生活センターに伝わって、同じような問題の被害を防ぐことができる、そういった立場にもあります。また、国民生活センターは非常に知名度もありますし、消費者からの信頼度も高いのではないかというふうに思っております。ですので、こういった迅速で簡易でかつ廉価な紛争解決の手段をこの国民生活センターのところで整備していただきたいというふうに思っています。

 そのためには、国民生活センターも今のままではちょっと不十分かなというふうに思っております。ぜひ、迅速な情報収集や適切に問題整理、分析を行うことができるような、そういった能力も身につけていただきたいなというふうに思っているところです。そういった情報収集が遅くなれば被害も広がってしまいますし、分析能力がなければ問題を見落としてしまう、それから、適切な対処ができないということにもつながると思います。ですので、システムの改善ですとか人的体制の強化が必要だというふうに思っております。

 それから、あわせまして、消費生活センターの機能強化と、国民生活センターと消費生活センターの連携が必要であるというふうに思っております。

 私ども全国消団連では、七年前より都道府県の消費者行政調査というのを毎年行っておりますけれども、そこから見えますことは、地方の消費者行政の例えば職員数あるいは予算、ともに年々減少してきています。それから、例えば相談員について申し上げますと、一週間当たりの配置人数というのは、実は二〇〇六年までは少しずつふえ続けてはいますけれども、二〇〇七年には減少してきています。そういった状況もある中で、電話をしてもなかなかつながらないとか、そういった消費者の声も寄せられています。

 また、もう一方で、消費者問題が非常に高度化してきている中で、相談員に無資格者を含む県というものが二十八県にも及んでおりまして、中には半数以上が無資格者の県も幾つか見受けられます。相談員の資質の問題も浮かび上がってきているというような状況です。このあたりからも、相談現場が十分でない状況がうかがえるというふうに思います。

 それから、苦情処理委員会というのがほとんどの県に設置されているわけですけれども、この委員会に、〇五年度のデータですけれども、付託されたのは七都道府県にとどまっております。十一案件にすぎないということです。ですので、案件ゼロというのが四十県ということになります。ほとんどの自治体で活用されていない状況にあると思います。

 もし国センのところにADR機能というものが備わった場合には、解決の事例ですとか新規事案というものがこういったところに共有化が図られまして、こういった委員会の活性化にもつながるのではないかというふうにも思っています。

 消費者はまず近くの消費生活センターに相談するわけです。しかし、そこで十分な対応ができなければ、PIO―NETで国民生活センターに情報が集まったとしましても、その消費者被害の状況を正しく把握することはできないのではないかというふうに思っています。

 消費者被害の発生防止あるいは拡大防止のためには、国民生活センターはもちろんですけれども、地方の消費者行政の充実と消費生活センターの機能強化を図る必要があると思います。そして、それを実現させるためには財政的な措置がきちんととられなければならないというふうに思っておりますので、そういったことも含めて整備をしていく必要があると思います。消費者被害が生じた場合に的確迅速に救済する、そういった役割を国民生活センターが果たせるような、そういった法的な整備が必要だというふうに思っております。

 それからもう一つ、消費者契約法に関連することですけれども、こちらは、私ども、景表法それから特商法への消費者団体訴訟制度の導入は、消費者被害の未然防止、拡大防止の点から望んでいたことであります。ですから、今通常国会での成立を強く期待していたところです。

 適格消費者団体の認定それから更新、監督について、消費者契約法に一本化されることは非常によかったなと評価しているところです。事務的な問題ですとかコストの軽減などの面から見ましてもよかったというふうに思っております。

 ただ、一つだけ、消費者団体訴訟制度に課題として残されていると思いますのは、損害賠償や不当利得の吐き出し、そういったことをさせる制度を早く創設していただきたいというふうに思っています。消費者被害の救済を容易にすることとあわせまして、不当利得を事業者から剥奪することで被害の未然防止、拡大防止につながると考えておりますし、やり得を許さないということにもつながると思いますので、今後の課題であろうかと思いますが、この点についても検討していただければというふうに思っております。

 どうもありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、望月参考人にお願いいたします。

望月参考人 皆さん、おはようございます。静岡県中部県民生活センター所長の望月でございます。

 このような機会を与えていただきましたので、国民生活センター法の改正案に関連いたしまして、地方の消費生活センターの現状と、また意見を述べさせていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最初に、当中部県民生活センターの業務の概要を若干御説明させていただこうと思います。

 当センターは、地域におけます県民サービスの提供拠点といたしまして、消費生活センター機能のほか、パスポートセンター、あるいはジョブカフェ、当県におきましてはヤングジョブステーションと名称をつけておりますけれども、そのほか、交通事故相談所とか中小企業労働相談所等の機能を持っておりまして、県民の暮らしと仕事に関連の深い各種の相談業務を一元化して行うとともに、国民生活センターを初めといたしまして、関係市町、関係機関あるいは関係団体と連携をとりながら、県民の皆さんがみずから問題を解決できるようなお手伝いをさせていただいております。

 また、先ほど来御説明ありましたように多様化、深刻化しております悪質商法等によります消費者被害に加えまして、食品の偽装表示あるいは製品事故、また多重債務等の問題が次々と多発している中で、本県では、事業者の法令違反の未然防止と、また潜在的な被害を救済し消費者の利益を守るために、特商法や静岡県消費生活条例に基づきます不当取引事業者に対する指導の強化に努めております。

 次に、当センターの苦情処理の状況について御説明いたします。

 当センターの消費生活相談件数は、平成十六年度をピークに減少してまいりましたけれども、平成十九年度につきましては、前年度に比べて約二割増加をしております。

 その相談の内容を見てみますと、依然として架空請求に関します相談が多いわけですけれども、そのほか増加したものといたしまして、多重債務など金融サービスに関連いたします相談や、あるいは学習教材等の契約に関する相談が大変増加したというのが特徴でございます。

 相談のうち、相談者の自主交渉による解決が困難な事案につきましては、国民生活センターの資格認定を受けております消費生活専門相談員等の資格を持つ五名の消費生活相談員が、事業者から事情聴取を行ったり、必要に応じましてPIO―NETによる相談事例等を検索いたしまして、また、場合によっては、国民生活センターなど他機関の意見を参考にしながら解決の合意点を探るなど、事業者とのあっせん交渉を行っております。

 相談件数はふえてまいりましたけれども、このあっせん解決件数は、昨年度は前年度に比べて約三割減少いたしました。そして、あっせん不調や事業者の倒産、あるいは事業者との連絡がとれなくなってしまったといったような、処理不能とするような案件が増加をしてきているということで、あっせん解決が困難な事案が大変ふえてきているというのが特徴であるかと思います。

 消費者からの苦情処理の申し出があった場合、本県では、県の消費生活条例に基づきまして、消費生活審議会のもとに苦情処理部会を設置し、消費者からの苦情のあっせん、調停を付託することになっております。

 この苦情処理部会への付託要件といたしましては、センターであっせん不調になっていること、また審議会のあっせん、調停が適当と認められるもの等の要件がございますし、また、手続といたしまして、消費者、事業者の参加の意向の確認を行うといったような七項目の規定が定められております。過去四件の事案を付託いたしましたけれども、昭和六十二年以降、部会は開催されていないというのが実情でございます。

 その理由といたしまして、消費者からの申し出がないということも一つですけれども、審議会の開催回数そのものが年二回という状況の中で迅速な処理対応ができないということ、また、あっせん解決不調な事案であるために消費者あるいは事業者からの合意が大変難しいという実態がありまして、なかなか実効性に問題があるかなと思っております。他県におきましても、このような苦情処理委員会が設置され、また必要性、重要性はそれぞれ各センターともに思っておりますけれども、有効に機能しているところは少ないという悩みを持っているのが実態であります。

 また、当センターでは、あっせんによります解決が困難なケースにつきましては少額訴訟制度あるいは民事扶助制度の活用を助言しておりますけれども、裁判手続に要します時間あるいは費用等の問題も多く、司法制度の活用をちゅうちょする消費者の方が大変多いということで、実態として余り利用されておりません。

 なお、余談ではありますけれども、相談員によるあっせん交渉の場において、和解案の提示に難色を示していた事業者が、この苦情処理部会への付託を考えているということを説明したところ、あっせん解決に簡単に応じていただいたといったような事例も発生しております。

 いずれにいたしましても、全国展開をする事業者がふえるとともに、あっせん不調が増加する中、消費者の被害を救済していくためには、多様な紛争解決手段を提供するなど、消費者にとって選択肢を多く提供していくということが大変望ましいことだと考えております。本県においても、苦情処理部会が機能するよう、実効性の観点から検討をしていく必要があると考えております。

 そこで、国民生活センターが行います紛争解決についての意見を述べさせていただきます。

 紛争解決機能が整備されることは、本県を初めといたしまして地方自治体が行っております苦情処理委員会の機能の強化に、これはなかなか手続上機能していないので、結果の公表をすることなどによりまして機能の強化につながるという波及効果が大変大きいのではないかと期待をしております。

 特に、紛争解決指針を提示していただくことや、また、結果概要を公表していただくことによって、相談員のあっせん交渉時にモデル事例として活用させていただくことも可能となりますことから、あっせん解決率の向上にも寄与するものと期待をしております。

 また、紛争解決制度の実効性を高めていくためには、和解内容等の義務が履行されない場合の委員会勧告に加えまして、事業者名の公表など、軽い罰則規定のようなものを設けることも大変効果的ではないかと考えております。

 さらに、国民生活センターを会場といたしまして紛争委員会が和解の仲介及び仲裁を実施される場合、当事者の出席が制限されますことから、要望といたしまして、地方においても実施を可能としていただくなどの御配慮をお願いしたいと思います。

 最後に、地方の消費生活センターは、国民生活センターとの連携、協働によって成り立っております。国民生活センターの機能強化は地方の消費生活センターの機能強化につながり、国民生活センターの機能低下は地方の消費生活センターの機能低下につながるものと考えておりますので、紛争解決機能の強化に加えまして、消費生活相談員や行政職員を対象といたしました教育研修事業あるいは商品テスト事業等の事業全体の強化が図られますことを期待いたしまして、私からの意見を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚拓君。

大塚(拓)委員 本日は、お忙しい中、お三方においでいただきまして、大変ありがとうございます。

 基本的に、国民生活センター法の改正と消費者契約法等の改正に関する法律案に関しての参考人質疑ということで幾つかお伺いしたいと思いますが、まず初めに、島野参考人にちょっとお伺いしたいと思うんです。

 紛争解決委員会、ADRを国民生活センターの中にこのたび新たに設けるということになっているわけです。お話の中にもいろいろ出ておりましたように、類似の機能として従来から各地方自治体に苦情処理委員会が設けられている、余り機能していないところが多い、こういう話もございましたけれども、こういうものが既に存在をしておるわけでございます。さらには、ADRではないけれども、各地の消費生活センターのあっせんというものが似たような機能を提供しているという状況にあるわけです。

 こういう機能がある中で、国民生活センターのADRというものがどういう役割を担っていくべきなのか、各地の苦情処理委員会、消費生活センター等とどういう連携をしていくべきだと思われるのかについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

島野参考人 国民生活センターと消費生活センターの関係もありますけれども、国民生活センターの中における委員会は、やはり重要な消費者紛争を扱うのではないかというふうに思います。

 相当、地域に広がりを持った、多数の者に被害が及んでいるとか、またそのおそれのあるもの、あるいは製品の事故でもかなり重篤な事故、シュレッダーの事故を初め、ここのところかなり大きい事故が幾つかございますが、そういう事故、またそのおそれのあるもの。それから新規性といいますか、各地のセンターにまだぽつぽつしかない、そういうようなもの、あるいは専門性を要するものとか、先ほどの、非常に多様になってきて複雑化された、こういうふうに言いますけれども、そういうような紛争を取り扱うようになるのではないかというふうに考えております。

大塚(拓)委員 そうすると、地域的な広がりがあったり重篤であったり専門性を要する、そういう案件について、基本的には直接消費者が申請をしてくるということが前提になっていると思うんですが、なかなかそれだけだと案件の収集も難しいというところがあると思いますので、そういうところで各地の消費生活センターとの連携というのが重要になってくるのかな、こういうふうに思っておるんです。

 そのあたりをどういうふうに、消費生活センターに集まってきている情報と国民生活センターのADR、紛争解決委員会の情報の連携を図っていくのか、あるいは解決に向けて連携を図っていくのかということを、島野参考人と、あと神田参考人、望月参考人、おのおの、どういうことが望まれるかということについてちょっとお伺いをしたいと思います。

島野参考人 各消費生活センターであっせんが不調になる、先ほど不調のお話がありましたけれども、十八年度ですと約五千件ぐらいが不調になっているわけですね。その中で、やはりADRの機能が整備されたりいろいろなことをすると、望月参考人からも、こういうあっせんの場で被害救済委員会に付託するぞと言ったら解決したというようなお話もありましたが、ADRの機能があるよというようなことになると、その前の段階で解決するのもかなりあるのではないかということで、半分程度はそういうことで解決するのではないかなというふうに思っているわけです。

 あとの半分、センターが取り扱う重要消費者紛争というのは、サンプル調査で一つ一つ見ますと、多分一〇%あるかないかぐらいだと思うんですが、そうすると、国民生活センターでは二百件ぐらいを年間扱うのかなというふうに今は検討しているところであります。

 そのあとの部分、重要紛争じゃないものは、では、ほっておくのかということでは全くいけないわけでございまして、国民生活センターがやや活性化すると各地の消費生活センターの救済委員会も活性化するのではないかというようなこともなくはないと思いますので、それはそちらの方でやっていただくということで、両者連携しながら、少額のものも泣き寝入りのないように、神田先生のお話のように、泣き寝入りがないような形で解決が図れるのではないか。もちろん全部解決できるわけではありません、非常に確信犯的な悪質業者とかいうようなことはなかなか難しいかと思いますが、そういうふうに効果が上がるのじゃないかというふうに思っています。

望月参考人 先ほど冒頭のところでも御説明を申し上げましたけれども、最近の事業者の方々は、一県内で事業者活動を行うというよりも、全国展開をするところが大変多くなっております。例えば、特商法等の違反をいたします悪質な事業者に対しては、一県だけで行政処分を行うのではなくて、各県連携をとりながら行政処分を行っているといったようなことで大変効果が上がってきております。

 そして、当センターの中で苦情処理をあっせんして、これが不調に終わったりしたものにつきましては、やはり他県においても、恐らくそういう案件が、同じような悩みを抱えているところが大変多かろうと思います。そういう案件を国民生活センターの方に集約することによって、苦情処理委員会の方で解決ができるのではないかと思っております。

神田参考人 ただいまのようなことに加えまして、消費者の方から見ますと、やはり国民生活センターのところにできるだけ多くの情報が集まるようなシステムをさらに改善する必要があるというふうに思っています。

 例えば、消費生活センター全部がPIO―NETにつながっているわけではないということもありますので、そういったネットワークの強化ということが必要だというふうに思っておりますし、先ほども申し上げましたけれども、消費者は消費生活センターに相談することが多いわけです。実は相談件数が百十万件という形で、昨年度でしたでしょうか、集計されているようですけれども、こういった消費生活センター等に相談するのは、国民生活センターの調査ですけれども、四%程度というふうに言われているんですね。

 それはなぜかというと、私どもも分析しているわけではありませんけれども、電話してもかかりにくかったりとか、あるいはかけてもなかなか相談員さんも忙しいので十分対応ができなかったりというような、そういった事情もあるのではないかというふうに思っております。ですから、そういった情報を収集するという意味でも、消費生活センターの相談窓口の充実ということも非常に重要ではないかというふうに思っております。それと、もちろん分析力ということも必要ですので、専門家をきちっと配置していくということも必要ではないかというふうに思っております。

 以上です。

大塚(拓)委員 消費生活センターでPIO―NETにつながっていないところがあるというのは、ちょっと不明にして存じ上げなかったわけですけれども。そうすると、PIO―NETのつながっていないところとの連携をどうするかということも一つの課題なのかな、こんなふうに思いながらお伺いをしたわけです。

 そのことも含めてですけれども、国民生活センター、いずれにしろ、ADRをスタートするに当たって、体制を今のままよりは拡充していく必要が間違いなくあるんだろうというふうに考えております。今、年間大体二百件ぐらいを想定しているという中で、どういった体制の整備、強化が必要なのか、めどを教えていただければ、こういうふうに思います。

島野参考人 これは、財政当局その他、この法案を御審議いただいて、ぜひいろいろな形でお助け願いたいというか、そういうふうに実際思うわけですけれども、ADRの法律ができたとか、いろいろなことが例えばできたとしても、それを運用する人もなければ金もつかないということですと、何をやっているのかということになります。

 この二百件なりなんなりというのを、できるだけ本当は多くやりたいところだと思いますけれども、人が今、国民生活センターというのは全員で百十七名でございます。それから、これをプラスしますと相当な人手が要るというふうに考えますし、またその資質が問われる。つまり、例えば韓国なんかを聞きますと、弁護士資格を持った人とか、そういった方がかなり事務局にもおられるというようなことも聞きますので、最低でも二十人ぐらいは必要なのではないか。

 それから、例えば二百件を試算してみますと、先生方、特別委員だとかそういう先生方、あっせんをしたり調停をしたり、あるいは事によれば仲裁というようなことになるかもしれませんが、そういったときには委員の方々にわずかながらも謝金とかいう形になると思いますが、そういうことでも多分三千万ぐらいは要るのではないか、最低でもそのぐらい要る。

 だから、それは手当てしていただかないと実際なかなか、法律はできたけれども何をやっているんだと、また先生方からしかられるというようなことになりますので、ぜひその辺もよろしくお願いしたいというふうに思っております。

大塚(拓)委員 極力この委員会でもサポートしていきたいというふうに思っております。

 最後、時間が少し短くなってまいりましたが、団体訴訟の方で神田参考人と望月参考人にお伺いをしたいんです。

 今回の改正については評価をされているという中で、一方で幾つか積み残しもあるんだろうと思うんですね。不当収益の剥奪というのを先ほど触れられていたと思いますけれども、ほかにも、例えば不当約款の推奨行為であるとか、独禁法の不公正取引がまだ対象に含まれていないとか、あるいは、特商法の行政命令対象行為のうちの多くが今回対象になっていない、そういうところがあると思うんですが、そういった積み残しについてどういった御見解か、お伺いできればと思います。

神田参考人 積み残しの部分は確かに先ほど申し上げなかったんですけれども、再勧誘の禁止違反ですとか特商法の行政命令対象行為、そういったことが積み残しになっておりますので、いろいろな法的な問題で難しい点はあるんでしょうけれども、ぜひ、少なくとも附帯決議の中に加えていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

望月参考人 大変申しわけないんですけれども、本日、この席に出席をさせていただくのに当たりまして、国民生活センター法案の関連について意見をということでしたので、消費者契約法の法改正につきまして、私、意見を控えさせていただきます。

大塚(拓)委員 最後にちょっとだけお伺いしたいんですけれども、消費者団体が適格認定をとろうと思ったときに、結構参入障壁が高いという意見をよく消費者団体の方から聞くわけでございます。財政面であったりとか事務手続、もろもろ煩雑なところがあってなかなか参入できない、参入しても結構大変だ、こういう話を聞くわけですけれども、そのあたりについて、もし御意見があればお伺いをして、終わりたいと思います。

神田参考人 確かにそういった面がありますので、あることは確かです。ただ、こういった団体訴訟をするという非常に責任の重い役割を果たすわけですから、一定の要件があるのは仕方がないだろうというふうに思っております。

 今、全国的にもそういった適格消費者団体を目指していろいろな準備段階のところもございますので、現在できています適格消費者団体と連携をしながらいろいろな役割を、まあそれなりの役割があります、情報収集の役割であったりとか情報提供の役割であったりとかということも含めていろいろな活動が起きておりますので、そういった形で、できるだけいろいろな適格団体ができるようなサポートも現在の団体がしていくのではないかと思っておりますので、そういった、いろいろな要件のところでは難しい面もありますけれども、消費者団体のところでは頑張っているところです。

 ありがとうございました。

大塚(拓)委員 時間ですので、終わります。どうもありがとうございました。

中野委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日は、島野先生そして神田事務局長また望月所長、お忙しい中、ありがとうございます。

 私も皆様の御意見に基づきまして御質問させていただきたいと思いますが、お三方の中からも、表現はいろいろとありますけれども、私は、一つ、情報というキーワードが出てきたのかなというふうに思っております。これは、国民生活センターに直接寄せられる情報、そしてまた消費生活センター、各地域ごとの情報、また、消費者団体に寄せられる情報、さまざまな形があると思います。

 ただ、消費者の側からすれば、これは恐らく、何とかどこかに渡りをつけたい、つなぎたい、つながりたい、そういう助けを求めるメッセージが、必ずしもそこが一番だというところではないかもしれないけれども届く、そしてそれをキャッチして、後は皆さんがどう処理されるかというところが問題かと思うわけです。

 一つお伺いしたいのは、このPIO―NETの活用なんでございます。

 これが、特に、例えば消費者団体においてどのように有効活用されているのか。もっと言えば、逆に言うと、例えば個人情報にまつわる部分というのはなかなか出にくいということもお伺いをしておりますが、消費者団体として、例えば現在のPIO―NET、あるいは国民生活センターあるいは消費生活センターからの情報ということについてはどのくらい満足をされているか、あるいは具体的な、こういったことも何とかならないだろうかというところも含めて、もしあれば、神田さん、まずお願いしたいと思います。

神田参考人 直接そういった情報をもらえるということではありませんし、今御指摘のように個人情報もございますので、そういった形でいただいているということはありません。

 ただ、消費者団体訴訟制度ができまして、そういった適格団体のところには、早く情報がキャッチされるわけですから、ぜひそういった団体訴権に活用できるような情報というのは出していただきたいというふうに思っております。

 その出し方も、何も細かいことは出す必要はないわけですから、そういったことがわからない状態でも結構ですので、消費者団体訴訟制度が活用できるような、制度ができましても、そういった情報が来ませんとなかなかその活用がうまくいきませんので、ぜひそういった形で活用させていただきたいというふうには思っています。なかなか難しいようですけれども。

泉委員 そうしましたら、情報を持つ側になりますけれども、島野理事、消費者団体からの要望、要請と、そしてまた現状の情報提供のあり方、この辺についての御認識はいかがでしょうか。

島野参考人 情報が大切だというのはもとよりでありますが、我々は、苦情は社会の公共財であるというふうに認識しております。

 ということで、PIO―NET、PIO―NETというふうにかなり名前が知られるようになりましたが、もともとはそんなに大きいシステムでございませんで、消費生活センターの相談員が、よそのセンターではどんな処理をしているのかなとか、あるいは今どんなものが多くなってきたんだろうと、いわゆる大数的に観察するとか、そういう程度だったのでありますが、今は、かなり大きいデータバンク的なものになっております。

 そうしますと、これは先ほど申し上げましたように、国民生活センターだけで持っているというのはとんでもないことでございまして、消費者団体ももちろんそうなんですけれども、中央省庁、いろいろな形で法律を所管しておりますので、その中央省庁との接続も今考えて、現在、十六だったかな、九省庁一独立行政法人に設置済みであります。それから、三省一独立行政法人と今調整中というような格好でしております。

 消費者団体には、今まだなかなか、先生御指摘のように、個人情報、本当の名前が入ったり何だりはPIO―NETにはしていませんけれども、非常に特異な事例などといいますと、その人の名前というか、特定されるようなこともなくはないということで、その辺は非常にセンシティブな情報も入っておりますので、非常にしっかりした形で提供しないといけないというようなことで、消費者団体さんとは、こういうもので国民生活センターに来ていますかというような依頼をいただいて、それに対して提供していくということであります。

 特に、適格消費者団体が五団体だったでしょうか、そういうことで、敷金の問題でこれこれどうだとか、そういう形で幾つか、十九年度で十六ですか、事案といいますかそれの請求が来て、それに対応しているところであります。

泉委員 続いて、望月所長にもお伺いしたいんです。

 県民生活センター、県内に二、三カ所あるんでしょうか、わかりませんけれども、例えばさまざまな暮らしの相談、仕事の相談ということで、総合的にさまざまな機能を持ったセンターが入られている。確かに、地方における消費者の窓口の一元化というのは大変すばらしいことだというふうに思うわけですが、一方で、とはいえ、建物は一緒でも、やはり縦割りの部分というのはどうしても残る部分もあるでしょう。

 その辺、今この県民生活センターの方は十個ほど機能がありますが、さまざまな機能の違う相談所なりセンター同士の相互の情報交換ですとか、例えば、実は交通事故相談から消費生活相談に至ったケースがあるとか、今まで何かそういうものが、どういう連携の中で行われているのかというのを、もし御経験があればお伺いしたいと思います。

望月参考人 静岡県では、平成十七年度から各相談業務を一元化しておりますけれども、相談員さんたちは、消費生活専門相談員であったり、交通事故相談員であったり、あるいは労働相談ですと社会保険労務士さんであったり、それから就職相談ですとキャリアコンサルタントの方、あるいは臨床心理士の方々、資格をお持ちのいろいろな方々が相談業務を同じフロアで行っております。

 そして、例えば交通事故に遭われた方が職を失ってしまったという場合には、即、交通事故の損害賠償の御相談とあわせて就職の御相談も対応できるといったようなことがありますし、また、多重債務のような場合でも、多重債務者の方で消費生活相談に来られた方が、就職のこと、そして暮らしの全体のこと、家族の問題、こういった就職相談あるいは県民相談、消費生活相談と、相談員さんたちがそれぞれ連携をとりながら、その方の一人一人の問題をそれぞれの立場から助言、アドバイスができるということで、相談者の方には大変喜んでいただいております。

泉委員 それは非常に頼りがいのある機能を今持たれているなというふうに思います。やはり地方の消費生活センター、自治体ごとに置いた場合でも、例えば利用件数の面でもなかなか難しいというところもあると思いますが、そういった総合的な窓口ということになれば、さまざまな形で多角的な支援が消費者に対して行われるのかなということもきょう勉強させていただきました。

 続いて、神田事務局長の方にまた改めてお伺いをしたいんですが、契約法の方にちょっと移ります。

 積み残しになっております損害賠償なり、あるいは不当利得の吐き出しということがございます。これは我々も何とか今後実現に向けて頑張っていきたいなと思っていますが、一つは、その吐き出させた収益についてどうしていくのかということが問題であると思いますね。国に、国庫に納めるのか、あるいは被害者に分割して返還していくのか、あるいは基金をつくって、消費者団体がさらに公益のために使用していくのか、いろいろな考え方があると思いますが、神田さんはいかがお考えでしょうか。

神田参考人 不当利得の吐き出しということは非常に重要だということで、やり得を許さない、それから、こういった悪徳事業者をなくしていくということにおいて、そのことが重要であるということまでは非常に共通の認識として私どももしているんですが、その後の、それをどういうふうにするのかというところまではまだ細かく詰め切っているわけではありません。でも、重要なのは、それをきちっと吐き出させるということが重要なわけですね。

 ですから、その後は、いろいろな方々と知恵を絞りながら、いい方法があるのではないかと思いますが、ただ、国の方に入るというのはちょっと違うかなと思いましたり、被害者に届けるのも非常に事務的に難しいかなというふうになってきますと、よけていきますと、基金的なもので消費者団体がまたこういったことに使えるようにするとか、いろいろな方法があるとは思いますが、そこまで詰め切っているわけではありません。そういった吐き出しをさせることが重要であるということで押さえているところでございます。

泉委員 本当に御指摘のとおり、やり得を許してはいけないということで、そのお金の行き先についても、確かに、今後さらに検討を進めていかなくてはならないのかなということも今考えているところでございます。

 時間が迫ってまいりましたので、もう一度国センの方に戻りますが、一つは、やはり、消費生活相談員の皆さんが大変頑張られているという中での、その方々の労働状況、労働環境でございます。

 その辺は、例えば先日も、全国消費生活相談員協会が行った調査で、生活相談と相談員の実態ということがございましたが、年収も大変低い状況でございます。そういった状況について、国民生活センターの方でもあるいは現場でも既にさまざま要望なり提言は出されているかと思うんですが、生活相談員について、国民生活センターとしては、何かさらに支援というか、この待遇の改善についてどのように考えられているのか。

 そして、望月所長の方には、今現場で、例えば相談員の方というのは何名ぐらいおられて、そして県民生活センターの方は一日当たり何名ぐらい相談業務に当たられているのかというようなあたりを、ぜひ実態をお伺いできたらと思います。

島野参考人 全く先生が御指摘のとおり、我々も非常に低いのではないかというふうに思っています。所によると本当にスズメの涙みたいなことで、仕事の内容とその報酬と、十分なというところまでなかなか至っていないわけであります。

 国民生活センターのことを申し上げますと、相談員の方がいないと本当に国民生活センターの相談は全く機能しないんですね。彼らによるところが大きいわけです。

 ただ、加藤新太郎判事、非常に有名な方でありますが、相談員の集会に先生が呼ばれまして、いろいろな話を聞いて、その上で、裁判官と相談員の仕事は、どこかからいろいろ評価されるんじゃない、我々の仕事の勲章は我が胸のうちにありと言ってエンカレッジしてくれたということがあります。

 いろいろな相談、何が来るかわからない。ある事業者であれば、その事業者の関係するものしかない。そのかわりに、また非常に資質向上といいますか、千七百八十本今法律が施行されているようでありますが、消費者保護法、あるいは本来的消費者法と機能的消費者法というのがあると思いますけれども、そういう法律がどんどん改正されたりする、そういう勉強もする。

 ですから、私たちでどうこうできるというのはなかなかありませんが、国民生活センターでやっているのは、事業費の中から相談員さんに謝金といいますか、お支払いしているということになりますと、独立行政法人というのは事業費を毎年、前年度比一%ずつ削っていけよ、こういうようなことになっていますので、なかなか、やりたいのはやまやまなんですが、そういったことで、働きやすい環境をなるべくつくっていきたいというふうに思っている。

 それと、地方は地方のいろいろな状況がありますので、地方に対してはこれからでしょうけれども、こんなことを私が言っていいのかわかりませんけれども、政府の方でいろいろな手当てをしていただくというような形も考えていいのではないかというふうに考えております。

望月参考人 静岡県では、東、中、西の三カ所の県民生活センターに、それぞれ五名の消費生活相談員を配置しております。そして、この消費生活相談員は、毎日朝九時から四時までということで週三十時間の勤務をしております。県の非常勤嘱託職員として働いております。

泉委員 終わります。

中野委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。どうぞよろしくお願いします。

 私も、消費者問題には大変、皆さん方ともいろいろな機会がありまして勉強させていただいておりますが、先般、国民生活センターも拝見させていただき、また、静岡はよう行かなかったんですが、東京都の方も勉強してまいりました。

 それで、正直、実感として感じることは、一生懸命やっていただいて、頑張っていただいているんですが、人的な資源といいますか、非常に財政的な問題とかかわると思うんですが、正規の職員ではない消費者センターあるいは国民生活センターの相談員の方々、さっき百十七名とおっしゃっておりましたが、相談員は三、四十人だろうと思うんですけれども、そうしますと、年間百万件を超える全国のいろいろな相談に対して、非常に対応が難しいなということをまず感じております。

 まず、国民生活センターの方から、ちょっとその辺のところについてお伺いしたいと思います。

島野参考人 全国で消費生活相談員さんは三千五、六百人いらっしゃるわけですね。国民生活センター自身は、先ほど冒頭に御説明しました、経由相談には八人、それで直接相談には六人。しかし、その六人とか八人というのは、固有名詞が六人いて八人いるということだけでありまして、非常勤さんでありまして、一カ月に十四日間という、私どもの国民生活センターのことですが。そうすると、一日に三、四名の方がそこにいるというような格好でありまして、一つの電話にはかなり長くかかる。特に国民生活センターは難しい事案が来ますので、そうすると、いっぱいいっぱいでという状況があります。

 これは各地の消費生活センターも、先ほど申し上げましたように、二〇〇〇年のときから約二倍に件数がふえております。十年前からだと約三倍になっております。ということから、そういう件数の増加に比例して、なかなか相談員さんがいらっしゃらないものですから、雇用していただいていませんので、相当きつい、ハードな仕事をなさっているという認識はございます。

望月参考人 当センターでは、平成十六年度に相談件数、特に架空請求等が大変急激にふえたことがありまして、平成十七年度に、それぞれ各県民生活センター、三カ所ですけれども、相談員を一人増加しております。現在は、先ほども申し上げましたように、五名の相談員が毎日、週五日間、週三十時間の勤務体制で相談に応じていただいております。

田端委員 今、両方からお答えいただきましたけれども、大変大事な仕事でありながら、しかし、非常にきつい状況の中で頑張っていただいている、こういうことでございます。

 それで、その他、例えば国民生活センターでは、商品テストとかいろいろなこともされていまして、そしてまた全国のコンピューターのネットワーク化で、コンピューター装置そのものも大変大事な機能を果たしているんだろうと思いますが、少し時代の古いコンピューターだというふうに伺いました。

 それで、全国のこういう消費者問題にどういうふうに対応していくかということについて、実は福田総理は、消費者行政の一元化と強い意思を持っておっしゃっておりますし、また、権限を持った新組織、こういうことまでおっしゃっているわけでありますが、私はその辺のところ、総理が思っていることに、果たしてどういうふうに体制としてこたえられるんだろうな、こういうふうに感じております。

 島野参考人の方で、もしこれについての率直な御意見があればと思います。

島野参考人 国民生活センターは、やや、まないたのコイでありまして、コイは余りその辺についてはなかなかお話はできないと思いますが、与党内あるいは民主党さん、あるいは官邸内でも消費者行政推進会議というようなのが設けられて、さまざまな角度から検討されているということですので、我々はその検討結果を見守っていきたいというふうに思っております。

田端委員 消費者行政を一元化する場合、これは国民生活センターと消費者センターという現場が、やはり私はどうしてもベースにならざるを得ないと思うんですよね。そういう意味では、ここまで築いてきていただいた体制、仕組み、そして経験、また人的な財産、こういうものを、ぜひもっともっと大きく育てていく必要がある、こういうふうに思います。

 その上で、しかし、なかなか難しい問題もたくさんあろうかと思いますし、特に消費者行政といってもさまざまなことがあって、例えば金融問題とか、あるいは医療にかかわる問題とか食の安全とか、これはなかなか省庁からいきますと横断的に大変なことになっていくんだと思いますが、神田参考人にその辺のところを、ずっと一貫して消費者行政を見てこられたわけですが、この消費者行政の一元化、そして多岐にわたるいろいろな問題、これはどういうふうに今お感じになっていらっしゃいますでしょうか。

神田参考人 消費者行政の一元化については、今いろいろ議論をされておりますけれども、私どもとしましては、消費者問題に関連する各省庁、いろいろ省庁ございますけれども、そこにやはり消費者問題に携わる専門セクションをきちんと置く、既にあるところもございますけれども、まだなかったり手薄であったりするところがありますから、それぞれのところが消費者から意見を聞きながらそういった仕事をしてほしい、それがベースになった上で、トータルを見られるような一元的な組織があるのがいいのではないか、今のところ私どもはそのように考えております。

 そういった中で、専門的な、医療の問題ですとか食の安全とか製品安全の問題だというふうに思いますが、そういったものを全部一緒にしてしまう、そういった一元化をしてしまうのがいいのかどうかということにつきましては少し疑問も持っておりまして、例えば食品の安全問題であれば、食品安全行政につきましてはもう五年前に行政の組織を新しくしてきたという経過もございます。そういった角度からももう一度見直した上で、本当に一元化の中に一緒にしていくのがいいのかどうかということをきちっと検証した上で決めていかないといけないのではないかというふうに思っております。

田端委員 ありがとうございます。

 それで、今回のこのADRとの関係で申し上げますと、ちょっとひっかかっていることは、行政型ADRと独法にADRということはちょっとニュアンスが違うかな、こう思います。しかし、消費者行政を一元化して将来強い機能を持ってそういうふうにやっていこうという政府の意思からしますとこういうことも必要なのだろうと思いますが、逆に言うと、私は、逆といいますか、消費者行政一元化がもっとはっきり出た上でこのADR機能ということが必要だったんだろうと思います。ちょっと逆転したんじゃないかな、国民生活のこの機能についてはそう思っていますけれども。

 それはともかくとして、独法がADRを持つことに対して多少懸念する意見もあると思いますが、その点について島野参考人の御意見を伺いたいと思います。

島野参考人 国民生活センターとか消費生活センターですけれども、国民からどのくらい知られているかというと、八六%の方がどちらかは知っている。いろいろなマスコミの力をいただいて、いろいろな形で報道されているというようなことで名前も知られて、だから、国民から割合親しまれているというか、そういう部分がなくはないと思うんですね。

 それで、消費者紛争についても、あるいは消費者苦情ですが、それについてずっと今までもう長い間、国民生活センター、消費生活センターではやってまいりました。

 今、独法のお話ですので国民生活センターにしますと、国でまた何か実施するとすると、また何か新たな組織というか、そういうものが必要になってくるのではないか。消費者基本法を議員立法でつくられて、また改正されたわけですけれども、その消費者基本法においても、中核的な機関で国民生活センターということで位置づけられたわけですので、国民生活センターがADRを担うということ、独法が担うということは最適なのではないかと国民生活センターとしては考えております。

田端委員 つまり、私の申し上げているのは、和解の仲介、あっせんということはある種裁判官的な権限を持つわけですから、そこのところはぜひ公平公正ということが担保されないといけないと思いますので、そういったことも意識していただいてよろしくお願いしたいということでありますので、どうぞそういう御理解をお願いしたいと思います。

 それで、神田参考人、今回の改正で適格消費者団体がまた一歩前進しました、権限を持つことができましたが、これで次のステップといいますか今後の課題、先ほどからもございますが、損害賠償のところまで、今度は次のステップとしてそういうことも考えなきゃならないんだろう、こういうふうに思っています。今回の、悪質商法をさらに厳格に損害賠償請求まで行くということになれば、これはなかなか充実した消費者行政になるなと思いますが、少しいろいろ時間がかかると思いますけれども、その辺の点について御意見があればおっしゃっていただきたいと思います。

神田参考人 消費者団体訴訟制度のあるべき姿は、やはりそこまで含めて、不当な利得の吐き出し、損害賠償等も含めたところまで行って、この制度がきちっとできたというふうに思っております。今御指摘のように、それを導入するには非常に検討しなければならないこともたくさんありますし、もしかしたら消費者団体の要件というものももう少しきちっとしなければならない側面があるかもしれませんので、非常に難しいことはあると思いますけれども、そこまで行かなければ、根本的にこういった問題をなくすとか、団体訴訟制度ができた意味がまだ少し欠けるのではないかというふうに思っております。

田端委員 どちらにいたしましても、消費者問題の現場で頑張っていただいている先生方、そしてまた行政の立場にある行政機関あるいはまた我々立法関係者でここのところはやはり絶えず意見交換し、理解を深めてやっていくことが大事だ、こう思います。

 私は、消費者行政の一元化という総理の方針というのは、これは大変大事な視点であり、そしてまた今まで日本の行政の中にそこが欠けていた一番の大きな問題だ、こう思っています。そういう意味では、国民生活センターあるいは消費者センターという現場が軸になっていただいて、また消費者団体の皆さんが現場を知る立場からぜひ頑張っていただいて、我々はこの新しい一元化の、そして国民生活には、消費者問題でのトラブルができるだけ解決できるような、そういう流れをここでつくっていく。そういう意味では、大変大事なときに今来ているんだ、こう思います。またいろいろと意見交換しながら頑張っていきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

中野委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、三人の参考人の皆さんには、大変お忙しいところをありがとうございます。

 最初に、島野参考人と神田参考人の方にお伺いしたいと思います。

 最初の消費者契約法をつくったときにはまだ団体訴権が入っていなかったときで、やはり、皆さんの頑張りなどもあって、当時から団体訴権を入れるべきだということでなかなか大変だったんですけれども、これも入ってきて前進が始まっていると思うんです。まだ団体訴権が入る前の段階でちょうど島野参考人は、二〇〇二年六月の「国民生活」の中でお書きになった論文の中でも、消費者契約法四条四項には該当しない不実告知ということで、消火器販売の例だとか、それから、プッシュホンにやるから電話機回収だとか、偽りのことを言って契約を結んでやっていくようなものについて、なかなか大変なんだけれども、しかし、消費者契約法の精神から、こういう不実告知というのはだめなんですよということで現実的に解決をしてきたというお話がありました。

 そういうふうな、法律によってきちっとあるものと、しかし、その法律の精神を生かして解決するという取り組みというものは、特に消費者被害の解決の中では大事なことになっているんではないかと思うんですが、その点について島野参考人にお伺いします。

 あわせて、これに関連して、神田参考人の方には、今度、国民生活センターの方で、団体訴権を入れたことによる、消費者問題の解決にうんと役立っていくという点で大事なことが実現できる道がつくられていると思うんですが、今度のADR機能について、今までだったら、消費者の方からの相談に乗られた方がいろいろな法律の精神を駆使して解決ということに行ったんだけれども、悪徳業者の方が、いや、それは国民生活センターの方のADRの方でやるんだ、あなたたちは法的根拠はないじゃないかというふうに開き直ったりやってくるような者がおると、せっかくこの法律を一歩一歩前進させていこうというときに、逆にやりにくいようなことが起こってきたりすると少し心配なことも生まれるかもしれないなというふうな点を懸念しているんですが、最初に、お二人からこうしたことについて伺っておきたいと思います。

島野参考人 相談の現場というのは、法律に照らしてこれが違法か適法かと、それだけで判断するということではありません。いろいろな面で、このおばあちゃんがこれこれこうだとか、この事業者はこういうことで虚偽の説明をしたじゃないかとか、いろいろありますけれども、何とかひとつ、裁判に行くのはなかなか大変だしということで、法律は法律として、シャドー・オブ・ローというか、後ろには法律あるいは判例はありますけれども、それを頭に入れながら、消費者にとっていかに有利なといいますか、利益を擁護するかという観点でやるのが消費者相談だと思っております。

 消費者相談だけではなくて商品テストも国民生活センターはやっておりますが、ただ、これがよく聞こえるよ、どうのこうのということではなくて、生活実態に合わせて、消費者がどういうふうに使ったらどういうふうになるよ、法律、JISやら何やらではこうなっているけれども、いや、普通はもっとこういうふうに使うんだよ、そういうの等、通暁していると思うんですね。だから、テストなんか、我々国民生活センターがやるのは、生活実態に合わせてテストをする。法定されたものだけでオーケー、オーケー、これはあなたの誤使用だよ、それではセンターのレーゾンデートルはないと思いますので、そういった形で相談に当たりましょうというようなことをその文章では書いたのかもしれません。もう自分でしっかり覚えていませんのですが、そういう形で、消費者の視点ということは一番大切にしているところであります。

神田参考人 もしかしたら御指摘のような心配もあるのかもしれませんけれども、新しい制度をつくったりするときに完璧なものはないわけでして、なぜ必要かということを考えますと、今消費者が置かれている状況は非常に泣き寝入り状態である。少額の被害ということを先ほどお話しいたしましたけれども、そういった状況の中で、やはりこういった制度が必要であろうということが優先されるのではないかというふうに思っております。

吉井委員 自治体によって、消費者の方の苦情にかなり行政命令をしっかり発出したりして取り組むところもあれば、相談員の方も非常勤中心で交代交代、その上、正職員がいないところが多いんですけれども、いらっしゃっても兼務とかなってくると、自治体によって対応にばらつきというものはやはり出てきますから、そうすると、悪徳業者の方は弱い自治体をねらって乗り込んでいく。

 そういう自治体で被害や苦情が見つかったときに、早くその被害拡大を防止するという点では、やはり団体訴権というのは非常に大事なことで、そういう点では、適格者団体がもう少し地域的にも広がっていくように、もちろんPIO―NETなどを使って連携をとりながらやってはるわけですけれども、しかし同時に、相談者からすると、身近なところでそういう情報が入って、それをそれぞれの相談に乗った地域で素早くやっていくということができるということが大事じゃないかなと思うんです。その点についての、地域的にもっと適格者団体を広げていくといいますか、地域的に充実するような方向について、神田参考人の方にお考えを伺いたいと思います。

神田参考人 もちろん、身近なところにそういった団体が満遍なくできていくことが理想だというふうに思っております。先ほども少し申し上げましたけれども、今幾つかできております、大都市のところが多かったりするわけですけれども。北海道から南までこういった意識は非常に広がっておりまして、ただ、そうはいっても、こういった適格団体になれないというところでありますけれども、今、いろいろな学習をしたりだとか、あるいはちょっと情報関係でかかわったりとかということで動きがございますので、私たちもぜひ、そういった満遍なくできるような形で願っているところですけれども、今そういった状況にあります。

吉井委員 もう一度島野参考人に伺っておきたいんですけれども、やはり皆さんからも出ておりましたけれども、さっきのお話にあったように、複雑化、高度化してくる中で、要は体制をどうするかという、これはやはり、結局この問題というのは、機械がやってくれるわけじゃないので、マンパワーの大事な世界だと思いますし、それから、経験の蓄積と継承ですね。それは確かに、インターネットで引けばいいじゃないかという発想もあり得る面もありますけれども、しかし、実際には、先輩の方が相談に乗っている実務を学びながら、実務経験の蓄積とか、そういうことでは、やはりマンパワーの拡充という面で相当力を入れていく必要があるんじゃないか。

 先ほども、八人で、実際、非常勤が六人で常勤が二人ですか、正職員が二人ですか、そういうお話を国生センターの方で伺いましたけれども、これを強めていかないと、相談業務とともに研修業務その他いろいろなことを抱えての中ですから、それは、ばらばらの話じゃなくて、相談に乗って得たことが直ちにまた研修の方に生きてくるわけですし、その辺の拡充というものをどういうふうにやっていくべきか、この点についてのお考えを伺いたいと思います。

島野参考人 先ほどの、直接相談は六人で、固有名詞が六人いると。それで、経由相談は八人いて、毎日ではないので、その方々が三、四人いるということです。相談部にしてみますと、職員は十四名、正職員は別におります。

 ということで、おっしゃるとおり、マンパワーといいますか、先生御指摘のように、人がいるだけでいいわけではありません。経験とか資質だとか、柳田邦男先生に「事実を見る眼」という本がありますけれども、そういうことで、事実をどういうふうに見ていくか、この裏にはどういうことが隠されているかというようなこともあると思うんですね。ですから、そういった形での研修だとか、そういうのも必要だというふうに思います。

 ただ、現場感覚といいますか、事実、そういういろいろな紛争とか製品事故に当たってどのくらい経験するか、そういうことも非常に大切なのではないかというふうに思っています。

 私たちも独立行政法人であるがゆえに、先ほど申し上げましたように、三十億ちょっとでございますが、毎年毎年、前年度比一%カット、あるいは管理費は三%カットというような形でずっといきますと、かなり厳しく、そういう中でも、早目に情報を提供していかなくちゃいけないということで一応頑張っているつもりではありますが、ぜひ先生方の御支援をお願いしたいというふうに思っております。

吉井委員 最後に、望月参考人の方にお伺いしたいと思います。

 やはり国と地方で、実際に現場と直結したところでどれだけ具体的な、また難しい相談に乗りながら解決するか、その情報がどれだけ交流されるかということとともに、実務に当たられる方たちの研修がどれだけ深められるような体制を保障されるか、そこが非常に大事だと思うんです。

 どうも自治体の方でも大変御苦労していらっしゃるのは私も実感しておりまして、まず、消費生活センターの数が減ったり、面積が縮小されたり、それから商品テストが縮小されていったりとか、それが現実の問題として、私もかつて大阪の方の地方の市で、それがどんどん縮小していく実態とか見ておりまして、それを実感しております。

 静岡の方で、たしか、県と自治体合わせて八十人ぐらい相談員の方がいらっしゃったと思うんですが、その中で正職員はゼロだというふうにいただいている資料ではあるんですけれども、そうすると、予算とか人員とか、そして商品テストなどの取り組みというものがこの間どういうふうに推移してきているか、この辺のことを静岡県の例でお話を聞かせていただけたらなというふうに思います。

望月参考人 静岡県におきましては、県が消費者行政を行うとともに、県内の四十一の市町におきましても、すべての市町におきまして消費生活相談窓口というものを設置しております。

 ところが、先生が御指摘いただきましたように、実際には、すべてが相談窓口に相談員を配置しているところばかりではありませんで、職員が兼務をしながら窓口相談に当たっているというところも、特に町レベルになりますと大変多くなっております。また、相談員の身分も、正規の職員が相談業務に当たるというよりは、非常勤の相談員が業務に当たっております。

 そういう中で、私どもは、少しでも相談に当たる方々が、やはり相談業務の内容が年々、法令等に基づきました、つまり契約に関連いたしますトラブルというのが大変多くなってきておりますから、特商法あるいは各法の専門的な知識等を相談員が習得していなければ、的確な対応を図ることはできません。そういう意味で、県が研修の場を提供いたしまして、地方の、地域の市町の相談員さんたちを対象といたしました研修会等を随時行っております。

 そして、何よりも、国民生活センターの方で毎年計画をしていただいております、相談員を対象といたしました研修会に相談員ができるだけ多くの回数を参加できるような配慮を私ども、県もしておりますし、また市町の中でも、すべての市町というわけにはいきませんけれども、できるだけ相談員を送っていただくような働きかけを県の方としてもさせていただいております。

 ところが、現状は、本県においては、相談員が特に減少をしてきているということはありませんけれども、ただ、商品テスト部門等につきましては、市町で対応が難しくなり、また、私どもの県民生活センターにおきましても商品テストは実質的にはやっておりませんで、県の組織の中にあります環境衛生科学研究所、ここに商品テスト等を実施していただくように、同研究所の職員と兼務をかけておりまして、連携をとりながら当たっているのが実態でございます。

吉井委員 三人の参考人の皆さん、どうもありがとうございました。

 やはりこの問題は、現場力をどう強めるかということが非常に大事な問題になっていると思いますので、私たちも頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

中野委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 参考人の皆様は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

中野委員長 引き続き議事を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府規制改革推進室長小島愛之助君、国民生活局長西達男君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長鵜瀞恵子君、金融庁総務企画局総括審議官大藤俊行君、国税庁課税部長荒井英夫君、厚生労働省政策統括官薄井康紀君、農林水産省大臣官房審議官谷口隆君、経済産業省大臣官房審議官橘高公久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚拓君。

    〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕

大塚(拓)委員 自由民主党の大塚拓でございます。

 本日は、国民生活センター法の一部を改正する法律案並びに消費者契約法等の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきたいと思います。

 福田内閣になりましてから、消費者行政、生活者、消費者の視点に立った政治、行政の大転換ということが掲げられておりまして、今、消費者行政の一元化に向けた議論というものが政府・与党で活発に行われている、こういうところでございます。

 確かに、従来、行政というものはどうしても、個別の業界を見ている官庁、そこに寄った行政、その視点に偏った行政ということになっていたことによって、消費者が本来得られたであろう利益というものが得られていなかった、そのことによって国民経済全体が最適化をしていなかった。ちょっと経済学的な言い方をすると、そういう問題意識にもなるのかなと思っておりますけれども、そういう中で、消費者の視点というものを強化していって、国民経済全体が経済厚生が改善していく、こういう方向に行政、政治のかじを切ったのかな、こういうふうに理解をしております。

 そういう中で、今回は、これまで消費者行政の核となっていた国民生活センター、それから消費者団体訴訟制度、これの枠組みを強化して、消費者と事業者の間でトラブルが起きたときに、これを円滑に解決できるようにしていこう、こういうのが法改正の目的だろう、こういうふうに理解をしているわけでございます。

 まず初めに、国民生活センター法の改正についてお伺いをしたいと思うわけでございますが、今回の法改正で、独立行政法人である国民生活センターの中に、いわゆるADR、裁判によらない紛争解決手段として紛争解決委員会というものが設置をされるわけであります。

 従来、類似の機能として、各地方、都道府県に苦情処理委員会というものがあったと思います。東京でいえば消費者被害救済委員会、各都道府県で呼び方がさまざまであるということでございますが、そういうものがありました。それから、ADR機能ではないわけですけれども、全国各地にある消費生活センターにおいて、相談員によるあっせんというようなことが行われてきたわけでございます。

 こうした機能が従来あるわけですけれども、先ほどの参考人質疑の中でも、なかなか地方の苦情処理委員会というものは機能していない、四十七個あるうち四十個は全く動いていない状況である、こういう指摘もあったわけですが、こういう従前の機能の中で、国民生活センターに新たに設けられる紛争解決委員会というものがどういう機能を担うことが期待されているのか、どういう役割を担うことが期待されているのか。従前のこれらの機能との関係を含めてお伺いできればと思っております。

岸田国務大臣 委員から御指摘がありましたように、従来、国民生活センターあるいは消費生活センターにおいて相談員があっせん業務を行っておりましたし、苦情処理委員会、こうした仕掛けもあったわけですが、例えばあっせんの処理につきましても、この十年間を見ますと、あっせん不調数というものが十年間で二倍に膨れ上がる等、なかなかあっせんも難航するケースがふえているということであります。あっせん不調率も高くなっているということが指摘をされています。そして、今委員みずから御指摘になられましたように、苦情処理委員会の現状も、なかなか処理件数が多いとは言えない、こういった状況にあります。

 こういった中で、最終的な紛争解決手段としては訴訟手続というものがあるわけですが、消費者行政の実態を考えてみますと、消費者と事業者、情報ですとかあるいは交渉力ですとか、さらには経済力ですとか、こういった点において格差が存在いたします。また、消費者紛争は一般的には少額を争うケースが多いものですから、訴訟によって紛争解決をすることにおいて限界があるということも指摘をされていました。

 ですから、裁判手続、これも大切なわけですが、それだけではなくして、こうした当事者間の格差を調整しつつ、迅速、廉価に紛争を解決できるシステムが必要だという指摘がされてきました。

 また、従来、国民生活センターあるいは消費生活センター、こういった相談員はあっせんの仕事をしてきたわけですが、現実を見ますと、事業者の中には、法的根拠が明確ではないと、事実このあっせんというのは法的な根拠が明確ではないわけですが、これを理由にしてこうしたあっせんに応じないというようなケースもある、なかなか難航しているというようなことも報じられています。

 こういったことから、ぜひ法的な根拠、ADR機能を今回の法改正の中で法的にしっかりと明確に位置づけるという形で、紛争解決に資する体制をつくっていこうということになったわけであります。

 ぜひ、相談やあっせんの解決率が高まること、あるいは、そもそも消費者紛争の発生件数自体が減少していくことをこうした法改正によって期待したいというふうに考えております。

大塚(拓)委員 今大臣からも、解決率を向上させなければいけない、不調数が過去十年で二倍になったという御指摘があったわけですけれども、平成十八年度の数字を見ますと、全国の消費生活センターであっせんした案件数が六万二千二百八十三件、そのうち、九割以上は解決がされておるわけですけれども、一割弱の四千七百九十三件が不調に終わっている、こういう状況だというふうに聞いております。

 その中で、この国民生活センターの紛争解決委員会が扱う案件というのが、目標が今、年間二百件を目標にしている。これは、要件が三つあるということで、地域的な広がりを持っている案件、生命身体等にかかわる重篤な案件、あるいは法律的に難しいとか専門性を要する、そういう案件を扱うのであるということになっておるわけですけれども、一割弱の不調に終わっている約五千件、このうち、これは先ほど参考人質疑の中で国民生活センターの方から御説明があったわけですが、不調に終わっている中で、それ掛ける二分の一、大体半分ぐらいは、国民生活センターのADRができることで、それが抑止力となって順調に解決がされるのではないかということで、重要消費者紛争、三要件に該当するもの、二百件というものが目標になっているということでございますけれども、この二百件というキャパシティー、これが十分なものなのかどうか。

 例えば、重要消費者紛争に該当しないものが四千数百件あるわけでございます。あるいは不調に終わったものが五千件である、こういうふうに言っているわけですけれども、不調に終わる前に各地の消費生活センターで重複して扱っている案件等もあると思いますので、こういったところを考えると、こういうところをどこに面倒を見てもらうのかなと。

 先ほど来のお話で、なかなか地方の苦情処理委員会というものが現状ではワークしていないわけですけれども、二百件というキャパシティーが十分なのかどうかという点と、また、これを国民生活センターで扱うに際して体制を拡充していく必要があると思うんですが、どの程度のキャパシティーが必要なのか。先ほどの国民生活センターの質疑の中では、事務局二十名ぐらい、それから謝金として三千万ぐらいは必要だというお話だったんですけれども、こういうものを確保するめどがあるのかどうかという点について、ちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が御指摘のとおり、新しい委員会ができましたときの年間の処理件数は大体二百件程度ということで考えておりまして、これは、現在あっせん不調となっておりますのが国民生活センター及び消費生活センターで大体五千件弱ということをベースとして算定をしたものでございます。

 そういうことで、全体でそういう五千件弱のあれがございますので、紛争解決委員会ですべてを解決するということは考えておりません。こうしたADR機能が整備されることによって、副次的な効果として、国民生活センターとか消費生活センターの相談員が行う相談やあっせんの解決率が高まってくるということで、消費者紛争の発生件数自体が少なくなってくるのではないかということを期待しております。

 それから、そのほかにも、地方公共団体の取り組み、これを活性化していただくことによって、我が国全体としてのそういう消費者紛争の解決機能を強化するということもまた期待しているところでございまして、こうした全体の活性化の中で、国民生活センターとしては、こういった二百件程度を役割分担として果たすことを考えているところでございます。

 また、その体制につきましても、こうした法律の改正をお認めいただいた際には、国民生活センターの機能の強化のための体制の整備、確保について努めていきたいというふうに考えております。

大塚(拓)委員 体制がしっかりしないと幾ら法律をつくっても動かないということですから、これは私どももしっかり応援をしていかなければいけない、こう思っておるわけでございます。

 二百件というところで、もうちょっと深掘りして聞いてみたいと思っておるわけですが、その扱う二百件というのが、どういう方法でその案件を決めていくのかということですね。重要消費者紛争案件二百件、どうやって決めるか。

 お伺いしている話では、基本的には消費者が直接申請をする。しかしながら、消費者が自分で申請してくださいといってもなかなか難しいところがあるので、各地の消費生活センターが扱っている案件の中で、相談員が、不調に終わった案件とかあるいはPIO―NETなどを見ながら、全国的な広がりをどうも持っていそうな案件だと思った案件について、相談に来られている方に、これは国民生活センターの方に上げてみてはいかがでしょうかという感じでお勧めをしてみて、書類の作成なんかもお手伝いをする、そういう形で国民生活センターの方に案件を集約することを考えておられるということをお伺いしております。

 しかしながら、なかなかこれだけだと十分ではないのかなという思いがございます。先ほども指摘しましたが、不調に終わる前に各地で重複してやっている案件というのが全国的な広がりを持っている場合、多々あると思うわけでございます。こういう案件について、これは相談員がそれに気づくのかどうか、自発的にこれを国民生活センターに上げようと思うかどうかというところに依存する、期待をかけているわけですけれども、なかなかこれは、やはりその相談員ごとに判断も変わってくると思いますし、先ほどの参考人質疑でこれは明らかになったわけですが、PIO―NETに未接続の消費生活センターもあるということでございます。そういうところでは、相談員がこれは全国的な広がりを持っているかどうかということを把握する方法がないわけでございます。

 こういうことに関して、全国各地で重複してやっていると、相談員のリソースも限られている中で非効率であることに加えて、事業者側も同じ案件をあっちこっちで対処しなきゃいけないということで、無駄が多いなというふうに思っておりまして、こういう全国的な広がりを持っているということを例えば国民生活センターがPIO―NETを見て把握したようなものは、国民生活センターの側から、各地の消費生活センターで同種の案件を扱っている相談員に対してアプローチをして、これは国民生活センターで扱っておりますから上げていただいてはどうでしょうかということをするべきなのではないのかな、こういうふうに思っておりますが、その点についてお聞かせください。

西村大臣政務官 今御指摘の重要消費者解決手続につきましては、当事者の相互の率直な意見交換、また交渉といったものを行うことが本旨でございまして、通常、非公開でこれを行うということが原則となっております。このため、手続が開始されていることを外部に周知、公表するということは大変難しいのではないかなと承知しております。特に、この手続に関しましては、一方の当事者からの申請がございましたならば開始されるということでございますので、手続開始の時点では真実性の担保が不十分な事案もあることを勘案するならば、その事情はなおさらではないかと思います。

 しかしながら、このPIO―NETの情報は地方の消費生活センターの相談員も共有できるものであることから、こうした情報をもとにして相談員が、持ち込まれた事案が重要消費者紛争に当たる可能性があるものとして手続の申請を勧めることも十分に考えられるものでございまして、実際に手続が申請された場合には、同一事業者にかかわる同種紛争について事案を併合して手続が実施されることも十分に考えられると承知しております。

大塚(拓)委員 その併合するに当たって、国民生活センターからアプローチをするということに関しては、公表の問題、それから真実性の担保の問題ということを御指摘になられたわけですけれども、基本的に、相談員も同じPIO―NETの情報を見ている、あるいは個別の相談員にアプローチをする場合は、その相談員自身は同じ案件、同じ事業者のものをもう既に扱っておりますので、その真実性、公表の問題は、個別の相談員にアプローチをすることに関して問題はないのではないかなと考えておりますけれども、また御検討いただければ、こういうふうに思っております。

 続きまして、手続というものが非公開であるという一方、結果の概要については今回、公表するということになっておるわけでございます。これについては参考人からも、相談員の間での情報共有、ナレッジの共有ができて効果的ではないかというような期待の表明もあったわけでございます。あるいは国民への情報提供、こういう機能も果たすことが期待されていると思いますが、その情報の公開についてはもう一つ、望月参考人も指摘しておりましたけれども、名前を公表することによって、軽い罰則というような表現を使っておられましたけれども、抑止力とか強制力とか、そういったものを担保するという効果もあるんだと思います。

 一方で、今回、ADRで委員会の方で和解とか仲裁判断をやって、その和解とか仲裁判断が履行されたかどうか、その事業者が履行したかどうかについては、実は公表できないのかな、そういう法律の書き方になっているわけでございますけれども、ここについても、やはり仲裁をしたからにはちゃんと履行してもらわなきゃいけないわけであって、法的な強制力がない中、この履行の有無というのを公表することによって一定の強制力になるというふうに考えられますけれども、これは今後の検討課題かもしれませんが、公表対象とするべきではないのかと思いますが、その点についてお聞かせください。

西村大臣政務官 今大塚先生の御指摘がありましたように、結果の公表というものと、その勧告を履行しなかった場合、これはやはり現状では分けて考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。

 消費者被害というものは、現代社会におきましては、大量の商品または役務といったものが一定の勧誘行為や契約条項を通して販売される、こういった事情から、同じような被害が拡散的に多発するという傾向がございます。紛争解決委員会で扱う事案は、その解決が全国的に重要な事案であるために、その事情は殊さらであると思います。

 こうしたために、委員会で紛争解決を行います重要消費者紛争の背後には同種の紛争が多数存在しておりまして、当該紛争の解決を図るということは、すなわち、それを契機とした他の同種紛争の救済が図られるという面で多分に公益性を有していると考えられます。

 こうした公益性を十分に発揮させるためには、紛争解決手続によってなされた解決の結果の概要を公表できるようにしておくということが適当であるために、委員会は、結果の概要を公表できるようにしたものでございます。

 一方、御指摘のありました義務履行の勧告につきましては、先ほど大臣の答弁にもございましたように、消費者紛争における係争額が比較的少額であることが多いことを考えますと、事業者が義務を任意に履行しない場合に、消費者が事業者に対して訴訟を提起したり、また強制執行手続をとるということを期待することが費用対効果の面から困難であることから、任意の履行を促すために設けたものでございます。

 このように、同種事案の解決、未然防止という公益的観点から行われる公表というものと、個別事案における義務の任意の履行を促す勧告というのは、その制度の目的が異なっておりますので、勧告に従わない場合は公表の対象にしていないというふうにいたしたものでございます。

    〔江崎(洋)委員長代理退席、岡下委員長代理着席〕

大塚(拓)委員 今回初めてつくる制度でございますから、少し運用を見てという部分もあるかと思いますけれども、今後の検討対象にしていただければな、こういうふうに考えております。

 続きまして、消費者契約法等の一部を改正する法律案に移りたいと思います。

 今回の改正によって、これまで適格消費者団体というものは消費者契約に基づく差しとめ請求しかできなかったものが、景品表示法、特定商取引法による差しとめ請求もできるようになる、こういうことでございます。あわせて、適格消費者団体の認定、監督手続が内閣府に一本化をされる。消費者行政一元化の先取りとなるような改正かなと思っておりますけれども、消費者団体のさまざまな手間とか行政コストの効率化につながるものとして、高く評価できるであろうというふうに考えておるわけでございます。

 こうした改正は、消費者団体側からも高く評価をされておるわけですけれども、一方で、幾つかの積み残しになっているような案件もあるのかなと思います。

 一つは、不当な約款等の推奨行為でございます。これは平成十八年の法改正時に附帯決議でついておるわけですが、例えば、マンションのオーナーが高齢で契約に明るくないような場合は、約款みたいなものは管理会社から勧められたものを多分そのまま使ってしまう。こういうときに、ビルのオーナーの高齢者に対して直接差しとめ請求をしても、そのもととなる約款をつくっている事業者なり団体なり、これが野放しのままではなかなか実効性が上がらないのではないか、こういうことだと思いますが、これについては今回の検討ではどのようなことになったのかを教えていただきたいと思います。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、不当な契約条項に関して、モデル、ひな形となるような契約書式とかあるいは約款、これを推薦したり提案したりする行為、いわゆる推奨行為につきましては、その推奨の概念が不明確なまま差しとめ請求の対象としますと、事業者団体による自主的なルールづくりまで萎縮をさせてしまうおそれがあるということ、それから、推奨された不当な契約条項を使用する事業者に対しては差しとめ請求が可能である、また、差しとめ判決が出されれば、それを広く周知、公表することによって事実上、同様の契約条項が使用されなくなることが期待できる、そういったこと等を踏まえまして、前回の法案改正の際には差しとめ請求の対象としないこととされております。

 ただし、この問題につきましては、前回の改正の際の衆参の附帯決議におきまして検討事項とされておりまして、この制度の施行状況を踏まえながら、さらに検討してまいりたいというふうに存じます。

大塚(拓)委員 本件は、恐らく推奨という言葉の定義がはっきりしないというところに問題があるんだと思いますので、推奨とは何かということをしっかり検討していただきたいというふうに思っております。

 それから、ちょっと指摘にとどめさせていただきますが、ほかにも、特商法の行政命令対象行為のうちの多くが差しとめ対象になっていないわけでございます。例えば書面交付義務違反とか指示事項違反、再勧誘の禁止違反等々、これも今後検討をしていただければ、このように思っているわけでございます。

 時間の関係で少し飛ばさせていただきたいと思うわけですが、今回の改正で対象法が拡大されたことによって運用面では非常にやりやすくなるだろう、こういうことが言えると思いますが、一方で、適格消費者団体というものはなかなか財政基盤が脆弱だ、こういう問題がございます。五団体あるわけですけれども、これまで訴訟に至ったのが、ついせんだって一件ふえて、ようやく二件ということでございますが、なかなか件数が伸びないことの一つには財政的な脆弱さというのもあるのかなと思っております。

 団体にもよると思いますけれども、大体年間一千万から二千万という収入の中で、三人とか五人の常勤の事務員を雇ったり、あるいは派遣で来て、無料で来ていただいたりとかしながらやると、どうも訴訟費用というものは年間一件分ぐらいしか確保できていない、こういうことのようでございますので、訴訟費用を例えば年間一件二百万として、五団体で一千万、それぐらいの公的な財政支援をすることは検討できないものだろうかとちょっと思っておりますが、その点について御見解をお伺いしたいと思います。

中川副大臣 ただいま委員の御指摘につきましては、この法律が通るとき、両院において活動資金の支援についての決議もなされておることは十分承知しております。

 ただ、問題は、この団体を円滑に運営していくためには、一つは、いろいろな手続面だとか情報面でどのような支援ができるかという問題、活動資金以外のいろいろな手続を簡略化するとか。今回の改正も、手続の簡略化という意味では非常に大きな役割を果たしていると思うんです。

 もう一方は、やはり、総理が言う自助から共助へという共助社会において、この団体の役割というのはまた大きいものであります。共助社会といいますと、一つは会費によってみずから運営するという方法。しかし、こういう団体で会費が円滑に本当に集まるかどうかというのには問題があると思います。もう一つは寄附金という問題がありますが、企業からの寄附金ということになると、これは若干、大きな問題も出てくる可能性があるということになると思うんです。

 ですから、最終的には共助の、最後は財政的な支援でこれを見るかということになると思うんですが、今その点をよく見ながら、活動が円滑にいくために、財政資金も含めて積極的に検討してまいりたいと思っております。

大塚(拓)委員 この種の団体、余り寄附を集め過ぎるのがいいかどうかというのもありますので、ぜひ積極的に検討をお願いしたいというふうに思っています。

 最後に、消費者行政新組織についてお伺いをしたいわけです。

 どういう形の組織がいいかということについては今いろいろ議論がなされているところでございます。庁がいいのか独立行政委員会がいいのか、あるいは省か。いろいろあるにしろ、これについては強い権限を持たせるべきだろう、行政への是正勧告権のようなものも含めて強い権限を持たせて、企画立案機能も持たせていく、こういうことについてはほぼコンセンサスがあるのかなというふうに思っておるわけですが、一つ懸念しておりますのが、この新組織、強い権限を与える新組織をつくるときに、そのよって立つ原理原則、プリンシプルというようなものがはっきりしていないのではないのかな。例えば公正取引委員会であれば、公正な競争環境を確保することで市場の効率性を担保するんだ、これがそのよって立つ原理原則になってきているんだと思います。

 こうしたものが、この消費者行政新組織にとって何であるのかということを明らかにしておいた方がいいのではないか。強大な権限を与えると、やり過ぎという懸念が生まれます。あるいは、他省庁との交渉の中でいろいろ押し込まれて腰が引けてしまう、そういうこともあるかと思います。この原則を守っている限り、絶対、他省庁に対しても強く言い切れるんだ、こういうものが必要なのではないかと思っているわけです。

 一つの考え方として、冒頭も申し上げましたけれども、国民経済全体の経済厚生を改善させる限りにおいてこの新組織は介入ができる、例えば、だれかの取り分がもしかしたら少し減ってしまうかもしれないけれども、この介入によって国民経済全体のパイは広がるというような基準というのは考えられるのかな。カルドア、ヒックスの基準というものでございますけれども、いろいろ、経済最適からパレート最適とあると思いますけれども、パレート最適の場合は、人の取り分が減ってはいけない、こういう基準になるわけですが、全体の厚生が改善する限りにおいて構わない、例えばこういう基準を設けるということも一つ考えられるかと思います。

 いずれにしろ、その新組織の立ち上げに合わせて、こうした原理原則というものをはっきりさせる必要があるのではないかということに関して、御見解をお伺いできればと思います。

岸田国務大臣 まず、日本の行政組織につきましては、明治以来、生産者あるいはサービスの提供者の立場を起点に行政組織がつくられてきたという指摘があります。こうした指摘に対して、やはり消費者、生活者の視点というものをしっかり重視していかなければいけないのではないか、こういったことで、今、消費者行政の組織、システムについても見直しが行われているところですが、その中にあって、産業振興という視点と消費者利益の保護という視点、これはしっかりバランスをとっていかなければいけない。その中にあって新しい組織というのは、消費者利益の擁護のために消費者行政の司令塔としての役割を果たしていかなければいけない、こういった位置づけだというふうに考えています。

 そして、消費者行政を進めるに当たって、もちろん消費者、生活者の視点を大切にする組織でなければならないわけですが、経済全体ということを考えますと、やはりこうした新しい組織が動き出すことによって、例えば、日本の経済の市場の信頼性をしっかりと確保するという考え方も大切だというふうに思っています。悪徳事業者等が市場から淘汰されることによって消費者の信頼を市場がしっかりと回復する、そのことによって市場が活性化する、こういったことは考えていかなければいけないのではないか。

 従来、消費者問題が発生しますと、例えば、市場不信不況と言われるような状況、今回の中国ギョーザ事案でもそうですが、市場が不信を買うことによって、消費者も思い切って購入をしない、あるいは事業者も思い切って投資をしない、こういったことによって経済全体が萎縮してしまうという現象が見られます。こういったことがあってはならない、だからこそ市場の信頼が大切だという考え方で、市場の信頼を確保するという視点も新しい組織においては大切なのではないか。

 いずれにしましても、事業者と消費者、この共存共栄をしていかなければ、現在における消費者問題は根本的には解決できないと考えております。こうした共存共栄、いわゆるウイン・ウインの関係が現出できるような日本の経済をつくっていかなければいけない、こんなことも考えなければいけないのではないか、そんなふうに思っています。

大塚(拓)委員 時間ですので終わりますが、市場の信頼を確保するようなことをしながら、最近、建築基準法の改正ですとか食品安全の基準とか、やり過ぎかなと思うような案件もあったりします。そういうものを防ぎながら、本当に必要な行政介入、立法措置については断固絶対できる、こういう強い組織となるためのよって立つ原理原則というものをぜひ確立していければと思っておりまして、政府でも御検討いただければ、こういうふうに思っています。

 ありがとうございました。

岡下委員長代理 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 本日は、独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案と消費者契約法等の一部を改正する法律案について、民主党では三時間半いただいておりますので、そのトップバッターということで、まず概括的に、全体について質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、最後の方にも少し触れておられたかもしれませんが、今、非常に市場の信頼というのが揺らいでいる中で、福田総理がさきの臨時国会で、まずその所信の中で、「真に消費者や生活者の視点に立った行政」というふうに述べられております。また、今国会の所信でも、「生活者や消費者が主役となる社会へ」というふうに述べられました。

 こうした言葉というのは、なかなか、その具体的な中身というのはこれから先の問題かもしれませんが、具体的に見えてこないところもありますので、岸田大臣として、御自身のお言葉で、どのような社会なり行政なりをお考えであるか、これをまずお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず一つは、今もちょっと、一端に触れさせていただきましたが、日本の行政というものが、従来、生産者あるいはサービスの提供者の視点を起点に組織がつくられてきたということが指摘をされています。そして、この消費者行政というのはもちろん今までも重視をされてきたわけですが、産業振興官庁の一部として、要は間接的に、事業者を監督することによって間接的に消費者は保護されるというような形になっていた、結果として各省庁に分散されているというのが日本の消費者行政の組織のありようであります。

 こういった事態に対して、やはり消費者、生活者の視点、こうした立場をしっかりと位置づけて擁護していかなければいけない、こうした新しい組織をつくっていかなければいけないのではないか、こういった発想から今この行政改革も進めているわけであります。

 また、これは日本のみならず欧米でも、こうした消費者社会に対する考え方が今どんどんと新しくなってきまして、消費者というものが、みずからの利益を図る、安く購入するとか節約するといったみずからの利益を図るだけではなくして、環境問題ですとかあるいは地球規模のさまざまな課題等、こうした大きな課題に消費者活動を通じて参画する、こうした自立した存在として社会にかかわっていく、こうした消費者市民社会という考え方、これは欧米社会でどんどんと広がっているというふうに聞いておりますが、こうした主体的な消費者活動というものを日本の社会の中に取り入れていかなければいけないのではないか、こんなことも考えなければいけないと思っています。

 このように、従来の日本の行政のあり方、あるいは世界の消費者社会に対する考え方の変化、こういったものもしっかり取り入れていく、これが、今総理が述べておられます真に消費者や生活者の視点に立った行政、あるいは生活者や消費者が主役となる社会、こういった議論の中で重要だというふうに私は考えております。

楠田委員 そういう方向性自体は私どもも当然、否定しないというか、共有していくわけでありますが、後々触れてまいりたいと思いますが、さらに、消費者保護官制度であるとか、そうした全体的な制度を我が党としても考えているところでございます。

 先ほどお話しの方向の中で今の状況を改めて考えますと、昨年をあらわす一字が偽という字であったという中で、比内地鶏や赤福等々の食品偽装が後を絶たなかった。最近でも、エコ偽装であるとか、今なおダイエット食品の不当表示であるとか、こうしたものは相変わらず起こっている状況です。

 国民生活センターの中でも、平成十九年に行った調査で、この一年間に購入した商品や利用したサービスについて、何か不満を持ったり、経済的または身体的被害を受けたことのある人が四三・三%、また、苦情を相談したり伝えたりした人の中で三六%の人が納得いかない処理であったという回答をされているということであります。

 私も思い起こすと、学生時代なんかにひとり暮らしを始めたときに、最初は見ばえがいいわけですが、突然、上の人が洗濯機を回すと雨漏りになってきたり、お湯が出にくかったりとか、そういう状況がありながら、一人でいると、東京に出てきて大家さんとか不動産業者の人がやはり怖く見えますので、そういう相談もなかなかできない、そういう思いがあったことを思い出したりもいたします。

 やはり、そうしたところで、システム的にそうした相談ができるところがあれば、また、先ほども少し述べられましたけれども、生産者中心の体制から、考え方自体、概念自体を転換する。悪いことをすることに負荷がかかるといいますか、課徴金をかけるであるとか、そうしたことを事業者自体も根っこの問題として考えていけるような、そうした社会をつくり上げていかなければならない。そのためにも、産業振興の省庁から分離することは是が非でも必要であるという観点から質問を続けてまいりたいと思います。

 まず、今回の国民生活センター法の改正に関する件でありますが、今回の法改正の意義と経緯を、民主党の初めとして、まずはお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 今回の法改正に至る経緯ですが、昨今、消費者問題をめぐるさまざまなトラブル、消費者紛争と言われるものの、まず相談件数も十年間で三倍に膨れ上がっていますし、また、あっせん不調件数も十年間で二倍に膨らんでいる等々、本当に多くの相談が寄せられ、そしていろいろな紛争が発生をしています。

 こうした状況の中で、最終的には訴訟手続に訴えなければいけないということになるのでありましょうが、消費者問題の特性ということを考えますと、金額が少額であるとか、あるいは、事業者、消費者の間に、情報、交渉力あるいは経済力、こういったさまざまな格差が存在する。こういったことを考えると、消費者問題の解決は訴訟手続だけではやはり限界があるということは言えるのではないかというふうに思っています。

 そして、現実、消費者問題にかかわっておられる多くの相談員の皆様方、国民生活センター、消費生活センターにおける多くの相談員の皆さんは、あっせんの仕事に努めておられるわけですが、あっせんも法的な根拠がないということで、事業者があっせんに応じないというような現場の声も聞きます。

 こういった中で、やはり訴訟手続によらずして、なおかつ法的根拠を明示したADR機能を国民生活センターの中にしっかりと位置づける、こういった法改正が必要なのではないかという議論を経て、今回、法改正をお願いしているということでございます。

楠田委員 朝方の参考人質疑でも出ていたと思いますが、そうした裁判になかなか持ち込みにくい、経済力の問題、コスト的な問題と、そして例えばネットの販売の中で非常に巧妙化している、そういう状況で、あっせん自体が難しくなっている状況。

 私も一時期銀行に勤めていたときもありましたが、金融商品なんかを考えますと、やはり情報力の差というのはまさにおびただしいものがありまして、ちょっと大分飛びますけれどもサブプライムローンの話、そうした技術的なものというのは、もう正直、買う人にとっては、ほとんどわからない中で、むしろ手を出さない方がいいということもかなり多くなってきているんじゃないか。

 しかし、そうした中でも、より自由な市場の便利さを共有する上では、それを保護する状況というのがまず重要になってくる、そういうことであろうなと思っています。

 そうした中で、今回の法改正の最大の論点でもあるとは思っていますが、今回、消費者の側にそもそも利益の擁護、増進を図るということが至上命題であった国民生活センターの中に、独立して紛争解決委員会を置くということになっております。そして、中立かつ公正な立場において紛争を解決していく。

 この消費者利益を擁護、増進するという立場と、そして中立かつ公正な立場というところで、矛盾といいますか、非常に独立性が問われるところがあると思うんですが、この点に関してどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 まず、国民生活センターというのは、センター法の三条におきまして、国民生活の安定及び向上に寄与することを目的として、情報力、交渉力において事業者と格差のある消費者利益の擁護、増進を図る機関、このように位置づけられています。ですから、その中に設けられます紛争解決委員会も、重要消費者紛争の解決を通じて、情報力、交渉力において事業者と格差のある消費者利益の擁護、増進を図ることを目的にしている、これは間違いないところであります。

 そして、そうしたことですので、仲介委員、仲裁委員は、まず、情報力や交渉力の格差があることを踏まえて消費者のために積極的に後見的な役割を果たす。情報力、交渉力の格差を是正する等、こうしたことには努めなければならないというふうに思っています。

 一方、本法案第二十条第四項、そして第三十条五項、「中立かつ公正な立場において、」というふうに明記されているわけですが、これは、まずは指名された委員は、いかなる出身、経歴であっても法と事実に基づいて手続を実施すべきであるということ、こうでなければ事業者の方も和解、仲裁に応じることは考えにくいわけですから、こうした中立性、公正性はしっかりと確保しなければいけないわけです。こういった趣旨をここに述べているわけですが、これとて、やはり仲介委員、仲裁委員が、必要に応じて消費者のために、先ほど言いました積極的に後見的役割を果たす、これが前提になっているというふうに考えています。

 こうした前提のもとに中立かつ公正な立場において職務を行う、こういったことでありますので、こうした二つの考え方は両立できるものだというふうに考えております。

楠田委員 両立といいますか、両立させるしかないと思いますが、後見的役割というのを前提にして紛争解決をしていく、しかも事業者の方の納得も得られなければいけない、非常に難しいバランスの上で行うということではあると思いますが、それでもなお一歩前進であることは間違いないとは思っています。

 そういう中で、やはり委員の人選というのも、これがまさに中身の問題で重要になってくると思います。委員会の委員として「法律又は商品若しくは役務の取引に関する専門的な知識経験を有する者」、そのような言葉で、正直、具体的にどういう方かというのはなかなかわかりにくいわけですが、具体的にはどのような方を想定しているのか、お答えください。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 委員会は、ADRを行う機関として公正、中立性を確保するということ、あるいは個々の委員が公正、中立に職務を遂行すること、それから委員の構成についても多様性に配慮する必要があるということ、他方、消費者関連法とか消費者問題に関する専門的な知識など豊富な学識経験を持つ者であることが要請されると考えております。

 こうした事情を踏まえまして、委員の候補としては、学者、弁護士、司法書士、それから消費生活専門相談員、あるいは消費者団体や事業者団体の役員などが考えられるところでございまして、委員の候補者は必ずしもこれらのものに限定されるわけではございませんけれども、おおむね今のような方々からバランスを重視して人選を行うことになるものと考えております。

 他方、特別委員でございますけれども、特別委員は、その紛争の内容に応じて特殊な専門的分野での判断が要求されることもあるものと考えられるところから、専門的な知見を有する者が関与できるようにということで置かれるものでございます。したがいまして、商品あるいはサービスの専門的な知識を有する者を中心に任命されることとなるものと考えております。

 ただし、これは法律に関する専門知識を有する者を排除するというものではなくて、処理件数が多くなった場合は、そうした者の任命も、特別委員として任命することが十分に考えられるところでございます。

    〔岡下委員長代理退席、委員長着席〕

楠田委員 公正中立な立場というのは非常に難しいと思います。例えば、その公正の中で、消費者団体、事業者団体双方も加えるのか、加えるのかといいますか、割合的に消費者団体、消費者利益の擁護をするような方を多目にするのであるとか、そうしたことについては何か基準のようなものはありますでしょうか。

西政府参考人 現段階ではまだ明確な基準はございません。

楠田委員 どちらも入れるということになってくると、なかなか手続として、裁判に似たような形になってくるのか、そういうところもこれから論点だと思いますが、そうしたことも含めてこれから検討していただきたいと思います。

 対象の中で、重要消費者紛争という言葉でありますが、これも先ほどと重なるかもしれませんが、この重要消費者紛争というのは、地方が取り組むべき問題との境目がどのようなものであるか。そうしたこともこの言葉の定義では少しあいまいなところがありますが、この点についてはどのような定義がされていますでしょうか。

西政府参考人 お答えを申し上げます。

 このセンターの委員会が行います重要消費者紛争と申しますのは、地方公共団体が行う紛争解決手続を前提として、その役割分担のもと、全国的な視点に立って解決を図るべき重要な問題に係る紛争について解決を図るということを考えておりまして、具体的には大きく三つの類型を考えております。

 一つには、現に複数都道府県で同種の被害が生じているなど、相当の地域的広がりを持って、相当多数の者に被害を及ぼしているような事件に係る紛争でございます。

 それから二つ目には、必ずしも被害の広域性、多数性はないものの、要するに、製品による死亡や重傷等の重篤事故の発生あるいは深刻な財産的被害の発生など、生命、身体または財産に著しい影響を及ぼして、または及ぼすおそれがある事件にかかわる紛争。

 それから三番目には、新製品による事故とかあるいは最近のインターネットによるトラブルなど専門的な知識が必要となる消費者紛争など、紛争の新規性あるいは専門性から当事者の主張が多岐にわたって争点が複雑、多様性を有する場合など、センターにおいて争点を整理して一定の解決指針を示す必要がある事件にかかわる紛争、そうした紛争を取り扱うものというふうに考えております。

楠田委員 そうした分類にかかわるものというのはやはり氷山の一角でもありまして、最終的には、国民生活センターというのは東京と神奈川の二カ所しかない、センターが扱わない事例を消費者生活センターや地方公共団体がいかにやっていくかということが、本来全体的な大きな問題だろうと思っています。

 そうした中で、地方公共団体に少し聞いてみますと、例えば東京の苦情処理委員会でさえ四回の付託しか以前になかった等聞いていますし、それ以前に、内閣府でもこの実態を余り把握できていないということを改めて知りました、さまざまお聞きする中で。

 そういう状況である中で、地方公共団体の消費者行政をいかに活性化させていくか、この点に関してはどのようにお考えでしょうか。

西政府参考人 身近な消費者問題の解決を図る地方の消費者行政というのは、地方公共団体が処理する自治事務ではございますけれども、その推進は非常に重要というふうに認識してございます。

 しかしながら、近年、地方におきましては、厳しい財政事情を背景に、消費者行政の予算、人員は減少傾向にございます。他方、そのあっせん件数は、近年、年間六万件程度で推移しておりまして、この十年で約二倍に増加しているという状況にございます。

 そういった状況の中で、地方公共団体の苦情処理委員会に付託して処理した件数はここ五年間で平均七・六件程度にとどまっているという状況にございまして、そうした現状にかんがみますと、さらなる活性化が必要であるというふうに認識はしております。

 この点に関しては、国民生活審議会でもその活性化についてはかなり御議論をいただいておりますし、他方、消費者行政推進会議でも、苦情処理委員会の活動の活性化を図るべく議論を行っていただいているところでございまして、そうした議論の動向を踏まえながら、今後その方策を検討していきたいというふうに考えております。

楠田委員 議論のスタートに立ったということであったと思います。

 これはもう総理自身が、消費者の立場に立ってということをはっきりと二度にわたって所信でも述べられているわけでありますから、その地方の予算の厳しさというのは理由にならないと思っていまして、そういう状況であるけれども、この予算づけ等を優先的に行っていくということは国の姿勢の中で出てくることだと思っておりますし、また、相談員の待遇といいますか、相談員自体が実際に環境面でなかなか活動しにくいということもあるようでございますので、まずそうした現状把握から始めていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。

 また、先ほどの参考人質疑の中でも、無資格者を含む県が二十八あるという少し驚く数字もありましたけれども、こういう複雑化する消費者トラブルの中では、相談員の能力の向上というのが不可欠であると思っています。さきの我が党の視察の中でも、相談員の登録が五人しかいないというような話もあったと聞いておりますが、そういう相談員を育てる研修制度について、現状をお聞かせいただけますか。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国民生活センターで行っております消費生活相談員を対象とした研修制度、主なものは三つございます。

 一つは、地方公共団体において新たに相談業務に従事する人材の養成を目的とした研修、それから、現場の相談員を対象にしまして、相談を適切かつ迅速に解決するために必要な専門知識、技法の習得を目的とした研修、さらには、三番目でございますけれども、主に地方の小規模な消費生活センターに勤務する相談員の基礎知識や技法の習得のために各地に赴いて行う研修などを用意しておりまして、これは、平成二十年度現在、三十九コースを用意しておりますけれども、そうした消費生活相談員の養成及び資質向上に積極的に貢献をしているという状況でございます。

楠田委員 そういうお答えでありましたけれども、相談員の希望の方がなかなか満足に研修を受けられないという話もあるようでありますし、先ほどのように、無資格者がこれだけ多いということも話としてあったわけでありますから、この点についてはさらなる充実を要求させていただきたいと思います。

 国民生活センターについて今までお聞きしてまいりましたが、先ほど来、国の姿勢として、消費者重視の、消費者が主役の国づくり、社会づくりをしていくというわけでありますから、まだ今回具体的になっておりませんけれども、行政が消費者にかわって損害賠償請求を行う父権訴訟であるとか、悪質な業者の資産を凍結して利益を返還させる違法収益の剥奪制度であるとか、こうした導入というのもこれから考えていかなければならないし、今我が党でも意見を詰めているところですが、消費者保護官、オンブズパーソン制度というものも考えていかなければならないと思っております。

 これから議論がそれぞれ続いていくと思いますから、そうした観点からもこれからも私も質問させていただきたいと思います。

 残された時間、わずかでありますが、消費者契約法の改正の方も少し触れさせていただきたいと思います。

 近年、行政処分の件数というのも、排除命令、業務停止命令も数として大分増加傾向にあるということでありますが、そうした中で、一つ、消費者団体の訴訟制度というのは非常に画期的な制度であったということを認識はしております。

 実際にこの導入後、具体的にどのような改善が見られたかということを教えていただけますか。

西政府参考人 現在、適格消費者団体、これまで五団体が認定をされておりますけれども、その適格消費者団体からの報告により把握している状況では、訴えの提起を行ったものが二件というふうに聞いております。また、訴えの提起には至っていないけれども、裁判外で差しとめ請求がされたものが五件あるというふうに報告を受けております。

 訴えの提起がされたのはいずれも最近のことであり、まだ判決が得られたわけではございませんけれども、裁判外の差しとめ請求がされた中には、交渉によって事業者が自主的に改善をしたとして報告がされたものもございまして、徐々にではございますが効果があらわれ始めているというふうに認識しております。

楠田委員 今、五団体で、もう一つ申請中のところもあると聞いておりますが、今後の認定の見通し、また、例えば私は福岡ですが、九州ではこうしたネットワークは認められていないということです。適格団体は存在していない。こうしたことで、地域的なものとしてさらにバランスをとっていくのかとか、適正な数であるとか、そうしたことを、ちょっと時間も参りましたので最後にお聞かせいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、適格消費者団体につきましては五団体が認定されているわけですが、その五団体も、当初は東京、大阪中心でしたが、京都、広島、こうした地方都市においても消費者団体が認定されるようになりました。

 そして、今、新たに認定を受けるべくさまざまな団体が行動を起こされているわけですが、そうした団体の皆様方のバランスということを考えますと、ぜひ全国的にバランスのとれた認定が行われることを期待したいと思いますし、数におきましても、今のこの五団体というのはまだ足りないと思っています。数においてももっとふえていくことを期待したいというふうに考えております。

楠田委員 時間も参りました。今回の改正というのはまだごく一部の話だと思っておりますので、これからの消費者行政について意見を述べてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日、楠田議員に続いて、消費者契約法そして国民生活センター法ですが、私は主に消費者契約法の方を重点的にしながら、その中でも法案の中身というか、実際に十九年、昨年の六月七日からいよいよ団体訴訟の制度がスタートをして、適格消費者団体も、認定を受ける団体が現在五団体という状況になってございます。そういう中で、この適格消費者団体が一方で抱えている厳しい現状について、この委員会質疑を通じながら、大臣にも、また副大臣、政務官にも御理解をいただいて、ぜひ、今こういったことが現状なんだという認識を持っていただければというふうに思っております。

 この消費者団体訴訟制度において、適格消費者団体がなければその訴訟を行う団体というものが存在しないわけですから、その意味では大変重要な役割を担っております。

 ちなみに、大臣御自身は、これまでこの五団体のいずれか、あるいはその役員、そういった方々と意見交換というのはなされたことがございますでしょうか。

岸田国務大臣 私自身、関係者の皆様方との意見交換ですが、私もかつて自民党のプロジェクトチームの座長を長年務めておりましたので、この適格消費者団体制度、導入に当たって、導入前の段階で多くの関係者の皆様方からヒアリングを随分重ねさせていただきました。そして、十八年、消費者契約法の改正前ですが、消費者団体訴訟制度の早期成立に向けた意見交換会、この交換会では講師も務めさせていただきました。また、ことしに入ってからも、広島市で、今認定を受けた適格団体全団体の皆様方に御参加いただきまして講演会を開かせていただきましたが、その講演会でも講師を務めさせていただきました。

 そして、認定の際には私がその通知書を交付させていただいておりますので、そのたびに団体の皆様方と意見交換をさせていただいております。

 いろいろな場で意見交換はさせていただいているところでございます。

泉委員 当時、この消費者団体訴訟制度、私も本会議で質問に立たせていただきましたけれども、そのときにも、例えば消費経済新聞ですとかそういったところには自民党の法案審議の様子が載っておりまして、岸田大臣が当時プロジェクトチームの座長として活躍をされている記事は何度も目にしております。

 一方で、この消費者団体訴訟制度を実際に行使されるというか、この適格消費者団体については現在五団体ということで、申請中一団体ございますけれども、それそのものをどのように御認識されているのか。今、前者の質問の中では、今後も数がふえていくというようなお話もございましたけれども、先ほどの質問にあったように、例えば寄附あるいは会員、こういったものの状況を見ても、一つ一つの団体が必ずしも十分な体制を構築できるにまでは至っていない。

 それは、国民全般の消費者団体、消費者支援という考え方に対する意識がまだ不足をしているというようなことかもしれませんし、もっと言えば、寄附文化というか、そういったものそのものの問題かもしれませんが、やはりまだまだ適格消費者団体についても財政的には状況はそう楽ではない、むしろ苦しいと率直に言った方がいいという状況でございます。

 今後の団体の数ということも含めて、これは大臣が適正か適正でないかということを言う問題ではないというふうに思いますが、そういったことも踏まえた上での発言で結構でございますので、今後こういった適格消費者団体というものは大体全国にどういった形で展開をされるのが望ましいと考えていますでしょうか。

岸田国務大臣 実際には、各団体の皆様方、関係者の皆様方の御努力によるところが大きいわけですが、やはり日本全体の消費者問題に対する取り組み、全国の取り組みのバランスということを考えますと、とりあえずは、日本全国、ブロックごとにこうした団体は存在しなければいけないのではないか。そして、将来の理想ではありますが、やはり各県にこうした団体があるというようなことも考えていかなければいけないのではないか。私見ではありますが、そういった姿を目指すべきではないかと私は考えております。

泉委員 昨日もこの五団体のうちの幾つかの団体の方々と意見交換をさせていただきました。まさに現在、それぞれの適格消費者団体の財政規模が、大体年間千五百万円前後ぐらいの収支ということになっております。そういったことからも、駄じゃれのような話ですが、千五百万円をイチゴ、イチゴと私はついつい呼んでしまうんですが、今はまだイチゴのような小ささからこの適格消費者団体の活動がスタートをしているというような感じすらいたすわけです。

 そういう中で、やはり団体からの寄附を集めるところ、あるいは賛助会員という形で企業にも入っていただくところもあれば、中には一切企業には入っていただかない形をあえてとっておりますというような団体もございます。そういった中でこういった団体が、先ほど言ったように、収入が大体年間千五百万円というような形でございますので、人件費の方もそのうちの六分の一ですとか七分の一、本当に百万、二百万というような形で一人当たり計上して、何とかそれでも、ほとんど手弁当あるいは持ち出しで、さまざまな専門家の方には旅費やあるいは謝金というものを本当に持ち出しでやっていただいているような形で現在は運営をされているということでございます。

 そういったものに対して、では、国や地方公共団体はどのような支援を行っているのかということについて、国の分だけで結構かもしれませんが、大臣、お答えください。

岸田国務大臣 この各団体の皆様方が大変御苦労されておられるということ、その中で、特に財政的な面で大変厳しい状況にあるということ、私もいろいろなお話を聞いて認識をしております。

 支援として何をしているかということですが、現状は、この制度の周知、普及、こういった適格消費者団体の活動の紹介ですとか、あるいはさまざまな情報提供とか、こういった点で環境整備、お手伝いをしているというのが現状のありようであります。

 財政ということにつきましては、この消費者契約法第十三条三項第六号で、十分な経理的基盤を有することが必要と明記されておりますので、まずはこの自主的な取り組みが第一ではありますが、こうした財政の厳しい状況はしっかりと頭に入れながら、今後、こういった消費者団体訴訟制度の実績あるいは社会的評価、こういったものも見ながら、さらに何ができるのか、国としても考えていかなければいけないのではないかと認識をしております。

泉委員 私は、岸田大臣が消費者担当である、あるいは国民生活担当であるうちに、ぜひとも進展をしていただきたいということを期待しておるわけです。

 その中で、実は朝、冒頭の参考人の皆様との質疑の中でも触れされていただいたんですが、一つは、損害賠償ですとか、あるいは違法利得の吐き出しというものについての検討もぜひ今後進めていくということであると思うんですが、そこで不当な事業者から得たお金、これをどうしていくのかということもまた一つあるわけですね。

 これを、ある専門家の方は、できれば基金というようなものをつくっていただいて、そしてそれをまた適格消費者団体の活動に分配をする、より公益的な消費者の権利の保護に資する活動に分配をしていただくような形がとれないだろうか、こういう提言をされている方もおられます。もちろん、個々の被害者にお戻しできれば、それは本来の姿なのでしょうけれども、経費の面ですとかも含めて、あるいは事務手続の煩雑さも含めて、それはなかなか難しいところもあるだろう。あるいは、国庫に納めるというようなこともちょっと筋が違うのかなということで考えますと、そういった損害賠償やあるいは不当利得の吐き出しということについては、そういった基金のことも今考えられているわけですね。

 一方で、適格消費者団体そのものへの助成というような形について、これも、例えば消費者支援基金というものが現在ございますけれども、国から助成ということを行う場合、それぞれの団体の財政状況がしっかりと確立をされてからというようなお話もございましたけれども、私は、これはもうなるべく早いうちに行っていただきたいというふうに考えます。

 国からの助成については、基金をつくる、つくらないを問わず、両方の可能性があり得るというか、国から直接助成をしていただくというようなことで、今、今後検討されるというふうにおっしゃいましたけれども、そういうふうな考えでよろしいんでしょうか。

岸田国務大臣 財政的な支援につきましては、今現在、この適格消費者団体、五団体であります。そして、訴訟の実績、今のところ二件ということであります。この実績、今後積み上げていくことになると思いますが、この実績等をしっかりと確認して、そして社会においてこうした活動がどう評価されるのか、こういったあたりをしっかり踏まえた上で、国としての支援ということを考えていかなければいけないと思っていますが、支援の方法としては、御指摘のように、いろいろな形が考えられるのではないかと思っています。

泉委員 さらに、適格消費者団体の方からは、認定NPOのような形で寄附税制、優遇税制をぜひ受けたいんだというような声もございます。

 きょうは国税庁の方にも来ていただいておりますけれども、これまで国税庁の方は適格消費者団体から認定NPOの申請というものを受けたことがございますでしょうか。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 適格消費者団体が認定NPO法人の認定申請を出したかどうかにつきましては、個別にわたる事柄になりますので、お答えを差し控えさせていただきたいと考えております。

 なお、国税庁が認定しています認定NPO法人の中には、適格消費者団体は含まれておりません。

泉委員 多分そういう御答弁かなというふうには思っておりましたけれども、適格消費者団体の方からは、実は認定NPOの取得も考えるということで、正式な申請に至ったかどうかは私もちょっと存じ上げないんですが、その可能性を模索している事例というのは幾つかあるというふうに私は認識をしております。

 そういう中で、せっかく千枚近い書類を書いて、適格消費者団体、もう公益性を十分に審査をしていただいて、さまざまな消費者団体の中でも適格消費者団体というのは十分にその活動が証明をされたというような団体であるというふうに考えているにもかかわらず、とはいえ、認定NPOの方は枠組みが違うからもう一回新たに申請をしなければならないというのが、制度上はこれはもうしようがないことかもしれませんが、現状でございます。その意味では、これも適格消費者団体の方々の声でありますが、ここまで大変な思いをして適格消費者団体の資格を取ったのであれば、認定NPOということについても、どうか、審査を簡便にするとか、そういったことも考えていただけないだろうかというような要望があるということを、ぜひまず御認識いただきたいというふうに思うわけです。

 その中で、これまた細かい話ですが一つ心配をされていることがございます。今後予想される心配ですので、現在は具体的な事例がありませんというふうに答えられるかもしれませんが、この認定NPO法人の要件の中で、認定を受けるための要件という中で、「活動の対象について」というのがございまして、「実績判定期間における事業活動のうち、次に掲げる活動の占める割合が五〇%未満であること。」ということで、例えば「会員等に対する資産の譲渡等及び会員等が対象である活動」「特定の範囲の者に便益が及ぶ活動」「特定の著作物又は特定の者に関する活動」、そういった形で、より公益的な活動をやっているかどうかというのがこの認定NPOの一つの要件であるわけです。

 一方で、適格消費者団体はさまざまな事業者に対して差しとめ請求を行うことができるような仕組みになっているわけですね。この特定事業者に対する差しとめ請求というものが、恐らく、内閣府側としてはこれは十分な公益活動ですよというような認識だというふうに思うんです。

 ぜひちょっと国税庁に確認したいんですが、特定事業者に対する差しとめ請求というものは公益活動というような考え方でいいのかどうか、これを確認したいと思います。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 国税庁といたしましては、認定申請のあったNPO法人が法令に定められた要件を満たしているかどうかを判断しているものでございまして、適格消費者団体が行う活動が公益活動に該当するかどうかについてはお答えする立場にないことを御理解いただきたいと思います。

泉委員 そうしますと、それが公益活動かどうかというのは国税庁としては内閣府に照会をする、そういうような形で考えてよろしいのでしょうか。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたように、国税庁としては、認定申請があった者が認定NPOとして法令で定められた要件に該当するかどうかという点について判断をしているところでございます。ですから、先生のおっしゃったような適格消費者団体が行う活動が公益法人に当たるかどうかということについて、直接お答えする立場にはないということでございます。

 いずれにしても、認定NPO法人に該当するかどうかにつきましては、政令等に細かく規定されておりまして、その内容について該当するかどうかを判断しているということでございます。

泉委員 ですから、まさにその認定を受けるための要件、これはたしか国税庁の資料だと思うんですが、「活動の対象について」というところがございまして、そこにイ、ロ、ハ、ニという形で項目が書いてあるわけですね。心配をしているのは、適格消費者団体が行う特定事業者に対する差しとめ請求がこのイ、ロ、ハ、ニの中に入るか入らないか、これは、しかし判断はどこかではなされるわけですよね。どこかではなされるわけです。まさか国税庁さんで、もし申請があって認定をするかどうかのときに、この特定事業者に対する差しとめ請求というものがどちらなんだということをほったらかしにするわけじゃないと思うんですね。

 国税庁さんとしてはそれは自分たちがその判断を行うということで、もう一回ちょっと確認をしたいと思います。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御説明しましたように、認定NPO法人に該当するかどうかにつきましては、政令等で細かく規定しております。先生おっしゃるように、特定の範囲の者に便益が及ぶ活動につきましても、事業活動のうち五〇%未満であることなどが要件になっているところでございまして、その要件に該当するかどうかについては判断するということでございます。

泉委員 ですから、個々個別のケースということではなくて、適格消費者団体の活動の中に特定事業者に対する差しとめ請求という活動があるんです。それが果たして特定の範囲に便益が及ぶ活動という解釈をなされるのか、それとも、それはそうではない解釈をなされるのか。

 もう時間がありませんので、もう少しはっきり言えば、私としましては、これはもう消費者契約法の中の三十四条ですか、認定の取り消しがあるかというふうに思います。適格消費者団体の認定の取り消しがある。差しとめ請求が不当なものであれば、それは認定の取り消しということにもつながっていくわけでして、そういう中で、それ以外の差しとめ請求というものは公益性が高いというような中で行われている活動だというふうに私は思うんですね。

 そういう意味では、ぜひ国税庁の方にお願いをしたいのは、今後ですが、認定NPO法人の申請があった場合に、認定の取り消しがあるような場合を除いて、認定の取り消しがない場合、これはもう公益活動であるというふうに解釈をすべきではないかというふうに私は思うわけです。

 その点について、もう一度御見解をお聞かせください。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来お答えしていますように、我々は、認定NPO法人に該当するかどうかについて、政令などに細かく規定されている規定に該当するかどうかについて判断を引き続きしていきたいと考えているところでございます。

泉委員 ちょっと平行線の議論になってしまいました。

 大臣、こういったところもちょっと懸念が今あるということをぜひ御認識いただきたいというふうに思います。

 そして、消費者訴訟費用の貸し付け、これは今全国各地で条例で随分と制度を持たれているところが多いわけですが、都道府県の数で結構ですが、現在どれぐらいの都道府県がこういった制度を持たれているか、お答えいただけますでしょうか。

西政府参考人 先生御指摘のとおり、地方自治体において訴訟費用の貸し付けあるいは資料の提供等、訴訟活動に必要な援助を行うことができる制度を設けている団体につきましては、都道府県では現在四十五団体というふうに把握しております。それから、政令指定都市においても、十七政令市の中で十五政令市が設けておる。そのほかの市でも一部設けているところがあるみたいでございますけれども、詳しくは承知しておりません。

 以上でございます。

泉委員 大臣、今聞いていただいたとおり、大半の自治体、主要な自治体では、こういった消費者の訴訟費用貸し付けというものの制度が既に存在をしているということなんですね。これだけ全国的に条例で規定をされている制度であれば、やはりそろそろ国の制度として、格上げというか、これは十分検討されていいのじゃないのかなというふうに私は思うわけです。大臣、ぜひその点についての御見解をいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、適格消費者団体に対する支援、社会への定着度合いとか社会的な評価、こういったものを見ながら、ぜひしっかりと検討していかなければいけないと思っています。

 現状は、制度の周知徹底ですとか情報等の環境面での支援ですが、事務処理負担等の軽減も図らなければいけないということで、今回も法改正をお願いして負担の軽減に努めているわけでありますし、加えて財政的な支援ということにつきましても、御指摘の点等も踏まえながら、ぜひ検討していきたいと思います。

 いずれにせよ、ちょっと実績がまだ少ないようですので、もう少し実績を見定めた上でしっかりと判断をしたいというふうに思っています。

泉委員 続きまして、消費生活相談員の実態について、これは主に国民生活センターにかかわる部分ですが、最後に質問をしたいというふうに思います。

 先日、消費生活相談員協会が相談窓口と相談員の実態という調査結果を発表いたしました。これは大臣にもぜひ一度この調査結果を見ていただきたいんですが、私がその中で特にきょうお伝えしたいのは、例えば年間収入、これが二百万円未満の方が六七・二%なんですね。今回調査をしたのは全国消費生活相談員協会でございます。ここの調査で約千二百名の回答があったわけですけれども、全国の協会の会員千八百八十五名に調査をして、千二百名近くの方々から回答が来ているわけですが、その中で二百万円未満の年間収入という方が六七・二%。

 これは、恐らく今ワーキングプアというものの日本の中でのいわゆる定義でいうと、年収二百万円以下というようなことをワーキングプアと指すんですね。そういうことを考えても、消費生活相談員というのは、これは今大変な待遇に置かれているのではないかということを私は懸念しておるわけです。

 一方で、では一日の勤務時間はどうかといいますと、八一%が六時間以上というふうにお答えになられているわけですね。そしてまた、雇用期間はどうなっているかというと、ほとんどの方が一年で更新、更新という形になっているということで、大変不安定かつ非常に安いお給料で働かざるを得ない。しかも、相談件数は急増をしている。

 こういった現状を踏まえて、ぜひ大臣に最後に一言お願いしたいんですが、この消費生活相談員の待遇改善、これは私は急務だというふうに思います。そのことについて、もし具体的な考えがあれば具体的なことも含めて、御決意をいただきたいというふうに思います。

岸田国務大臣 相談員の待遇につきましては、例えば地方の消費生活センターの相談員の皆さんの待遇は、地方の自治事務でありますので、地方公共団体が自主的に決める事項ではありますが、ただ、国民生活センターの相談員も含めて、相談員の役割というのは大変重要だというふうに認識をしております。やはり相談員の皆さんの対応が、その後、情報の集約ですとか、また、今新しい組織について議論をしておりますが、こうした組織の活動にも大きく影響してくる大変重要な役割を担っておられるというふうに思っています。

 ですから、相談員の数も大切ですし、そして相談員の皆さん方の質も大切だというふうに思っています。こうした数、質をしっかりと確保するために、国としてどういった支援ができるのか、地方の窓口も含めて国として何ができるのか、これは消費者行政推進会議の中でも今議論が行われています。ぜひ、こうした議論の行方も見据えながら、しっかり検討していきたいというふうに思っています。

泉委員 終わります。

中野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。園田康博君。

園田(康)委員 民主党の園田康博でございます。

 午前中に引き続きまして、国民生活センターの一部を改正する法律案、そして消費者契約法の改正案ということで、しかしながら、私は主に国民生活センターの改正案、これに関連して質問をさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。

 急遽ということで、委員長を初め与党の皆様方の御協力をいただきまして、私、通常は他委員会の所属でございますけれども、今、民主党の中では人権・消費者調査会というものが設置をされておりまして、そこの事務局長をさせていただいている関係もあります。そういった観点で、消費者行政というものをしっかりとこれから担っていかなければいけない、そういう立場で党内でも議論をさせていただいていたところでございます。

 今般、政府から提出をされておりますこの国民生活センターの一部改正法律案、これが消費者にとってどのように有益になっていくものであるか、それをしっかりと審議をさせていただいて、私どもも、この消費者行政全般の底上げといいますか、引き上げをしっかりと行ってまいりたい。これは与野党を問わずの話だろうというふうに思っておりますので、どうぞその点、お力添えを賜りたいというふうに思っております。

 そこで、今般、この国民生活センターでありますけれども、一部では、いっとき、この存在意義というものが大変問われた。独立行政法人に移管をされたときに、その内容もいろいろな議論があったというふうに私も伺わせていただいております。しかしながら、いわば、これは消費者、国民にとっては大変身近なものになっていたのではないか。同時に、午前中は全国の消団連の皆様方からも御意見を聞かれていたというところでございますけれども、これが都道府県の消費生活センターと連携をしながら、国民生活センターというものが中核的な位置づけをもって運営されていたというところからすれば、やはりこれからもっともっとこの役割の重要性というものは私は見直されていくんだろう、重要性があるんだという方向で見直されていかなくてはならないのではないかなというふうに思っておる次第でございます。

 そういったところで、ひょっとしたら午前中の議論でも出ていたかもしれませんが、再度、私はきょうここの場で初めて質問させていただきますので、その状況、国民生活センターの現状を踏まえて、少し現状をお聞かせいただきたいというふうに思っております。

 内閣府からいただきました資料でいきますと、消費者紛争をめぐる事情といたしまして、相談件数が年々増加をしてきている、近年急増している、内容も複雑多様化をしているというようなお話でございました。

 そこで、国民生活センターや都道府県の消費生活センターでの相談件数、あるいは、うちあっせん件数という形で、平成十八年におきましては、相談件数が百十万件、うちあっせん件数については六万件という数字をいただいているわけでございますけれども、これの内訳を少し教えていただきたいと思います。すなわち、この百十万件のうち、国民生活センターが何件で消費生活センターが何件、相談件数を受けておられるのかという点を教えていただきたいと思います。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年度に寄せられました苦情相談件数、約百十一万件ございますけれども、その内訳は、国民生活センターに寄せられたものが約一万件、正確には八千五百件でございますが、一万件弱。それから、各地の消費生活センターに寄せられたものが約百十万件となっております。

 それから、これらの苦情相談のうちのあっせん件数でございますけれども、全体約六万件のうち三百十一件、三百件強が国民生活センターによるあっせんでございまして、残りが各地の消費生活センターによるあっせんというふうになっております。

 以上でございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。

 国民生活センター、二〇〇六年、平成十八年では、百十万件のうち八千五百件、約一万件弱が国民生活センターで受けておられる。残りはほとんどがいわば消費生活センターで相談を受けていらっしゃるというのがまず現状であろうというふうに思うわけでございます。

 後ほど、この消費生活センターについては、その現状もあわせてお伺いをいたしますので、先に国民生活センター、先般、我が党でも視察に行かせていただいていたわけでありますけれども、この相談員の今の現状、国民生活センターの相談員の数であるとか、身分あるいは資格というものは一体どのようになっているのか、教えていただきたいと思います。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国民生活センターには全部で二十名の消費生活相談員が従事しております。その業務の内訳でございますけれども、まず直接相談業務に五名、それから経由相談業務に七名、それから個人情報相談業務に四名、その他業務に四名ということで、全部で二十名の消費生活相談員が勤務しております。この勤務する消費生活相談員、これはすべて非常勤職員でございます。

 この消費生活相談員の資格でございますけれども、国民生活センターで勤務するためには、まず消費生活専門相談員の有資格者、または消費生活相談員の養成講座の修了者のいずれかの条件が必要ということになっております。

園田(康)委員 そうしますと、相談員数でいきますと、直接、経由相談で十二名、そして個人相談で四名、その他業務で四名ということで、全部で二十名ということでございましたけれども、しかしながら、年間一万件にもならんとする、あるいは、これから都道府県、各地域との連携を図っていくということでは、少し、私はこれはお粗末な組織ではないのかな、十分な相談を受ける体制と果たして言えるのかなというふうな疑問を抱かせていただいているわけであります。

 そうしますと、今回の法改正の一つの理由でもありますけれども、簡易迅速な事業者と消費者とのいわばあっせんを行って、なるべく早く解決をしてさしあげたいというところがあるわけでございます。ところが、あっせんが不調に終わって、なかなかそれがうまいこといかなかった、そうなると、いわゆる裁判所における係争という形になっていくわけでございます。そうなりますと、御案内のとおり、これはいただいた資料でいきますと、やはり民事裁判の、これは今、裁判の迅速化というような形も言われているわけでありますけれども、ここでいきますと、平均的な審理期間、第一次訴訟で申し上げますと、やはり審理月数でいきますと大体七カ月から八カ月、最低でもかかってしまっているという現状があります。

 そうなりますと、早くこれを解決に至らしめて、そして、いわば不利益な形をこうむった消費者の方々に、それを原状回復してさしあげるということの本来の趣旨からいくと、これだけ長く裁判でかかってしまうと、結論が出てくるまでには、十分な、七カ月、八カ月、それ以上かかってしまうと、もう当初の思いがそこでなくなってしまう、その間にさっさと事業者から逃げられたりしてしまったら、もとのもくあみという形になってしまうわけでございます。

 したがって、この国民生活センターの位置づけ、あるいは、今回、ADR的な手法をとらまえて、導入をしていって、そして、そこで簡易迅速な第三者的なそういうあっせんといいますか、処理を図っていこうという位置づけになってくるのかなというわけでございます。

 したがって、私の質問でいきますと、国センで、国民生活センターで今回このシステムを導入するという形でいけば、大体どれぐらいの迅速化が図られていくであろうということを見込んでいらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 最近五年間の国民生活センターにおきますあっせんの平均処理期間というのは約五十九日、二カ月弱でございますけれども、となっております。

 委員会においても同様に二カ月程度を目途に解決をしたいというふうに考えておるところでございますけれども、ただし、この委員会の手続の場合、担当委員の指名でありますとかあるいは当事者への通知などにより、慎重な手続とする必要がございます。極めて簡易な方法であるセンターにおけるあっせんと比べれば、若干時間がかかる場合が多くなると思われまして、そこで、原則として、最長でもその二倍の期間である四カ月以内で解決を図ることを目標として、紛争の迅速な解決を図ってまいりたいというふうに考えております。

 なお、このことを前提といたしまして、訴訟手続を中止できる期間というのも四カ月以内としているものでございます。

園田(康)委員 ありがとうございます。そうしますと、やはり、裁判過程でいくよりは、ここでなるべく解決を図るという手法に重点を置いていけば、迅速性というものは担保されていくんだろうというところかなと思っております。

 ただし、実際にさまざまな案件、これはあっせんという状況で二カ月ちょっとというところが今まで図られてきたわけでございますので、今回は、いわば少し正式なルートといいますか手続にのっとって行われる紛争処理でありますので、そうしますと、その手続、委員の選任等々で少し時間がかかってしまうというのは確かにいたし方のないところではありますけれども、なるべく、今までのあっせんの手法、あるいはそのノウハウはやはり国センの皆様方がしっかりと持っていただいているところでありますので、そういう点では、やはりもっともっと現場の皆様方のノウハウというものをこの中に生かしていくことを考えていただきたい。そうすれば、さらにこの期間を短縮させることができ、あるいは、そういう形になれば、消費者の皆様方からすれば、有益な機関としていく形になっていくのではないかという期待を持たせていただいているところでございます。

 そうしますと、では体制、先ほど件数をおっしゃっていただいたわけであります。今、国民生活センターでは約一万件弱、残りのほとんどは都道府県の消費生活センターがその相談を担っているというところでありますけれども、これが簡易迅速に、しかも第三者的に中立性を持った形でしっかりと紛争処理をしていただけるという信頼性が高まってくると、やはりそこに相談がさらに集まってくるんではないかというところは私は思っておるんですね。あるいはまた、そういうふうにしていかなければいけないのかなと。いわば国民の使い勝手のいいというか、消費者にとってプラスになる組織形態でなければいけないということからかんがみれば、おのずと国民生活センターに対する相談件数も同時に引き上がってくる。

 であるならば、今の人員体制で果たして的確な状況であるのかというところが、私は少しこれからの課題として心配をされるところではないかなというふうに思っておるところでございます。

 ちなみに、ひょっとしたらこれはもう御議論では出ていたかもしれませんけれども、国民生活センターの今までのピーク時の予算と、それから今現在の、今年度の予算額、ちょっとそれの比較をさせていただきたいんですが、どのようになっていたでしょうか。

西政府参考人 お答えいたします。

 国民生活センターの予算は、平成十七年度に、地方消費生活センターに設置されるPIO―NET端末に係る運営経費が内閣府から移管をされまして、それに伴いまして約三十二億円という予算を計上しておりますが、その時点でピークとなっております。今年度の予算額は約三十億円でございまして、平成十七年度のピーク時よりも約二億円ほど減少しているという状況にございます。

園田(康)委員 済みません、移管をされる前でいきますと、同じ体制で、国民生活センターそのもの、独立行政法人に移管される前の状況から比べてみて、どのようになっていらっしゃるでしょうか。

西政府参考人 移管される前ですと、いわゆるPIO―NET端末の運営経費が計上されておりませんので、むしろ移管される前は現在よりも予算は低いということで、二十六億とか七億とか、そこら辺がピーク時以前の予算になっております。

園田(康)委員 済みません、ちょっと私が伺っていたのと違う数字が出てきてしまっているんですが。

 ちなみに、平成七年度でいきますと、私が伺っていたのは、約七十億円ぐらいはこの国民生活センター全体で予算が配分されていたというふうに伺っていたんですが、その数字は違いますか。

西政府参考人 その七十億という数字がちょっと定かではありませんけれども、多分、それは全国の地方の消費生活センターなり、あるいは地方消費者行政の予算ではないかというふうに思われます。

 ちなみに、地方の消費者行政予算の場合は、やはりピーク時に比べますと半分近くにまで減少しているというふうに聞いております。

園田(康)委員 ありがとうございます。納得をいたしました。恐らく、そういう形で私どもは伝えられていたんだろうなというふうに思っております。

 相談そのものでいきますと、後ほどまた申し上げるつもりではあったんですが、国民生活センターとそれから各地域の都道府県の消費生活センター、これが今回PIO―NETという形で連携する。パソコン上でもその相談のあり方を常に見て情報交換をすることができるという状況になってきたわけでありますけれども、そういう形、やはり連携をとることによって、さらにさらに消費者に使い勝手のいい形に変わっていくのではないかなというふうに思っておるところでございます。

 そういった意味で、ピーク時で三十二億円から三十億円であるというところでありますので、そんなに変わっていないという言い方なのかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、だからこそ、逆に言うならば、これだけの人員とこれだけの予算しかついていないものだから、これだけの体制しかとれていない、対応しかとれていないのではないか。そうなると、必然的に、やはり中央の国民生活センターに相談を持ってこられても、ごく一部のものしか扱うことができない。ほかは、そのまま積み残しになるか、あるいは各都道府県でやってくれというような形に、押し返してしまう可能性も出てきてしまうのではないかという心配は、私は持たせていただいております。

 したがって、これからの消費者行政を引き上げていくということをかんがみて、福田総理もおっしゃっておられるわけでございますけれども、消費者重視の政策、行政を行っていかなければいけないということをせっかくおっしゃっていただいているわけでございますので、ぜひ大臣、これからはこの国民生活センターも含めて、消費者行政に対する予算の配分というものはしっかりと意を用いて行っていただきたい、これも要望として申し上げておきたいというふうに思っております。

 そうしますと、全国にある地方の消費生活センター、こことの連携を強めていくといっても、では、本当に地方の消費生活センターそのものが、その体制が果たしてとれているんだろうか。本当に数字だけでいきますと、先ほどおっしゃっていただいたように、百十万件を超える相談件数の処理をしていただいているわけでございますけれども、果たして万全な体制でそれが行われているのか。あるいは、そこの相談員として働いていらっしゃる皆様方が、果たしてしっかりとした相談を受ける体制に、労働条件も含めて、なっているのかどうかというところを少し見ていかなければいけないのではないかというふうに思っております。

 そこで、今般の国民生活センターの見直し論議の中で、一緒にこの都道府県の消費生活センターの見直し、あるいはどのようになっているかということの論議はされていたのかどうか。

 あるいはまた、消費生活センターが、法的な枠組み、今般は独立行政法人の法案でありますけれども、この都道府県のは、法律としてきちっと位置づけられた根拠のあるセンターであるのかどうか。それから、消費生活センターそのものを、国としては、政府としてはどのように評価されていらっしゃるのか。

 ちょっと一緒に、あわせて質問させていただきますので、お答えをいただきたいと思います。

西政府参考人 先般、国民生活審議会で、「国民生活センターのあり方」という御意見、報告書が出されまして、そこにおきましては、国民生活センターと消費生活センターの両者が一体となって機能強化を図ることが必要である、その際、消費生活センターについては例えば法律上の位置づけを与える等、そういった連携強化の担保措置をとるべきではないかといった提言をいただいております。

 苦情相談への対応を初めとして、身近な消費者問題の解決を図る地方消費者行政というのは、地方公共団体が処理する自治事務でございますけれども、その推進は国にとっても非常に重要というふうに認識をしております。

 消費生活センター、それぞれ各自治体の条例それから要綱、規則等によって設置されておりまして、法的根拠はそれぞれ各自治体によって異なってまいりますけれども、消費者問題の現場対応を最前線で担っているというのが消費生活センターでございまして、その衰退というのは我が国における消費者行政の大きな停滞につながりかねないという認識を持っております。

 こういう観点から、今回の総点検の際も、地方も含めて消費者行政を改革することが大変重要であるという認識をいただいているところでございます。

園田(康)委員 そうしますと、大変重要な位置づけとして見ていただいているということでございますけれども、見るだけであって、やはり措置をしていかなければいけないのではないか。

 国として、ただ単に国は国民生活センターだけ措置をしていればいいんだ、見ていればいいんだ、それも独立行政法人という形ではありますけれども、それを見ていればいいんだということではなくて、やはり都道府県に設置されている消費生活センター、これもしっかりと見ていきながら、それはそれで各都道府県の条例に任せるんだというふうに言い切ってしまうよりは、私はどうしても、地方分権に反するのではないかという御意見もひょっとしたら出てくるかもしれませんけれども、しかしながら、これは全国一律に、やはり都道府県でばらばらになって、これも格差という形で、対応がばらばらになってはいけない。

 予算があるところの都道府県は、ちゃんと人員を置いて、そして相談をしっかりと受けることができる。しかしながら、余り重要視をしない都道府県からすれば、そこに余りお金をかけなくてもいいよ、相談員一人を置いて、何とか窓口だけあけていればいいよと。あるいは、毎日あいているわけでもないという実態があるんですね。ちょっと後で大臣にもそのことを知っていただきたいなというふうに思うわけでありますけれども。

 そういった観点からいけば、連携がとれるというだけではなくて、都道府県のあり方まで国としてはしっかりと目を向けて、ちゃんとやっているかどうかというところも、しかもそれを言う限りにおいては、私はやはり何らかの予算措置というものも将来的には考えるべきではないかというふうに思っているところでありますけれども、これは後の議論としてとっておきたいというふうに思っております。

 では、国民生活センターと消費生活センター、一体、関連性という形でいけば、どのような関連があるのか。PIO―NETだけではなくて、ほかに何かしっかりと関連づけて運用がなされているのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活センターと国民生活センターの連携でございますけれども、基本的に、消費者への情報提供、苦情処理、それから商品テスト、こういった分野において、消費者行政の実施で連携をとって、そして先ほど申し上げたPIO―NETを通じまして、オンラインで苦情相談の情報収集、提供を行っているというところでございます。

 一方、国民生活センターにおいては、消費生活センターの相談員の研修でありますとか、それからPIO―NETを通じて積極的にいろいろな情報提供、特にいろいろな警告情報を含めて情報提供を実施するというふうな形で、各地の消費生活センターの機能充実に寄与をしてきているという状況にございます。

園田(康)委員 さらに、その相談員の身分でありますけれども、さまざま聞いている、先ほど、国民生活センターでもほとんどが非常勤という扱いの職員であるわけでございますけれども、この消費生活センターにおける職員の身分あるいは資格はどのようになっているんでしょうか。

西政府参考人 先ほども申し上げましたが、国民生活センターで勤務する消費生活相談員は、これは全員が非常勤でございます。一方、地方の消費生活センターで勤務する消費生活相談員、これもやはり九五%以上が非常勤職員というふうになっておりまして、正規職員はわずかであるというふうに聞いております。

 消費生活相談員の多くは、国民生活センターが実施している資格試験に合格した消費生活専門相談員等の資格を有しているというふうに聞いております。また、各地の消費生活センターにおきましては、そういった消費生活専門相談員や、あるいは消費生活アドバイザー、そういった資格に加えて、行政書士あるいは司法書士、それから宅地建物取引主任者、あるいはファイナンシャル・プランニング技能士、あるいは介護福祉士といった専門的分野の資格を有する者も相談員として活躍しておる旨聞いております。

園田(康)委員 さらに、先ほど少し私も申し上げましたけれども、では、窓口が毎日あいているのかというと、必ずしもそのようになっていないというところがあるようでございます。

 ひょっとしたら、内閣府でお持ちの数字と違うかもしれませんが、一応、私の数字を申し上げておきますと、これは先ほど午前中にいらっしゃいました全国消費生活相談員協会からいただいた資料でありますけれども、そこで、回答率にもあるんですが、その会員千八百八十五人のうち、回答してくださった方が六三・五%でありました。そのうち、相談員はほとんどが、九八%がまず女性の方なんですね。そして、有資格の方が、これはもうほとんど有資格の方でありますけれども、いらっしゃる。今教えていただきました相談員の資格あるいはアドバイザー、これは経済産業省所管でありますけれども、コンサルタントという形になってくるわけでございます。

 私、ちょっと注目したのは、この方々の勤務体制なんですが、これでいきますと、一日当たりの配置相談員数というものがありまして、これがもう全く一人であるというのが百五十五人もいらっしゃった。全体でいきますと一六・八%、二割に近い方でありましたけれども、一人でまず勤務をされておられるという方々がいらっしゃる。二人で勤務をされていらっしゃるというのが二〇%、あわせて、ここで約半数まではいきませんけれども、一、二、三人体制でほとんど賄われている。

 一人体制では、やはり残念ながら、ずっと一人でいるわけですから、いわばお手洗いにも行けない。次から次へと電話がかかってくる、あるいは相談者の方がお見えになるという形で、そうなってくると、もうほとんど一人で、しかも、先ほどの国民生活センターとの連携の中で、PIO―NETを見ながら、こういう事例はどうだろうか、ああいう事例はどうだろうかというような形でやらなければいけない。となると、相談を受けても、事業者とのしっかりとしたあっせん業務に、相談を受けるだけではだめですから、今度はあっせんを事業者の方に行かなければいけない。あるいは連絡をとって、向こうの事業者の話も聞かなければいけない。そういうようなことをやろうにも、一人だと、外に出てしまったら、その窓口を閉めざるを得なくなってくるわけなんですよね。

 そういう状況にあるのではないかというふうに思うわけでございますけれども、その点、内閣府としてはどこまで把握をされていらっしゃるでしょうか。もし数字的なものがあれば教えていただきたいと思うんですが。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活相談員というのは、全国で延べ約三千五百人が年間百万件の相談業務に従事しているという状況になっておりますが、消費生活センターにおいて一人体制の勤務体制をとっているかどうか、その体制の詳しい実情については、実は正確には把握していないという状況にございます。

 ただし、私どもとしても、そういった消費生活センターにおける消費生活相談員の果たす役割というのは非常に重要であると考えておりまして、常勤の職員との連携体制とか、しっかりした体制をとっていただきたいというふうに考えておりまして、今後とも、より詳細な実態を把握できるよう努めていきたいというふうに考えております。

園田(康)委員 ぜひその点は、これは先ほど、連携をとっていかなければいけないというふうにおっしゃっていただいているわけでありますので、国民生活センターだけ見ていればいいということではありません。大臣、先ほど私も申し上げたように、全部で百十万件の相談件数があって、ほとんどは都道府県の消費生活センターで受けているという実態なんですね。

 そうしますと、国民生活センターは、それの位置づけとしては中核的な役割を示して、それが全国の消費生活センターとのいわばパイプ役、あるいは、何か重要案件については、それを率先して国民生活センターが担っていくということでありますので、私は、ただ単に国民生活センターだけはいいんだということではない、むしろこれから注目して見ていかなければいけないとなると、それはやはり都道府県の消費生活センター、しかもそこで働いていらっしゃる方々、相談員、この待遇と環境、そして窓口の充実化、これをいかにして図っていくかということではないのかなと。

 やはり、先ほどおっしゃっていただいたように、これはほとんどが皆さん非常勤なんですね。しかも、有期雇用であります。昔は二年から三年ごとで、これは都道府県によって条例で決められているわけでありますので、いわば都道府県で、はい、三年でだめよと言ったら、もうそこで首を切られてしまう。せっかく仕事になれてきて、資格も取って、そして大体体制がわかってきて、どのような相談が来たらこういう形で解決に向けてというノウハウがどんどん蓄積されてくる。そうなってくると、私は、いわば三年から、さらにこれが本当の意味で消費者の皆さんの、国民の皆さんの有益な相談者として働けるのではないかということなんですね。

 そうなったときに、ばんとここで、では有期だからといってはまた新しい体制に変わってしまう。これはなぜかなというふうに考えたときに、ひょっとしたら、やはりいわばそこに大方の予算というものが決められていて、そしてこの予算の範囲内で、はい、やりなさいよというふうに渡してしまうものですから。

 行政としてはわかりますよ、これだけの予算の中でやるわけですから、一般の企業と違って。そのスキルによってどんどん賃上げをしていく、あるいはその人の勤続年数によって、さらにその人の重要なポストという形になっていくわけですから、それに基づいて、ある面でどんどん給料が上がっていく、キャリアアップをしていくという形の労働環境があるわけでありますけれども、こういった場面は、もう総額が決まっているものだから、その中でいかにその予算を配分していくかという形になってしまうものですから、どうしても給料、人件費にかかるお金というものは、そういう形で、キャリアアップをさせるために労働環境を保全していく、あるいは進展をさせていくというところにお金をかけることができないんですね。だから、有期雇用にして、三年来たら、はい、新しい人。新しい人には、そんなにお金をかける必要はありませんから、また十数万のお金から始めてもらえばいいという形になってくるわけです。

 この点をやはりちゃんと見ていただいて、注意を払っていただいて、国民生活センター、国と地方がしっかりと連携をとって、この部分を、相談体制というものを充実させていく。そこに重きを置いていただきたいというふうに私は要望をさせていただきたいと思うわけでございます。

 したがって、今回のこの法律案につきまして、大臣にちょっとお尋ねをさせていただきたいんですが、先ほど一番最初に申し上げましたように、福田総理も含めて岸田大臣も、この消費者行政というものに対する取り組みは、私は前向きに取り組んでいらっしゃるというふうに受けとめております。

 したがって、私どもも、昨年からではありませんけれども、やはり国民生活が第一ということを選挙に掲げながら、そういったものをよりクローズアップさせていくという形をとらせていただいているわけでありますけれども、その点ではやはり共有させていただいているというふうに思います。

 したがって、大臣の名のもとに今、生活安心プロジェクトというものが行われているわけでございますけれども、この生活安心プロジェクトの中の消費者行政一元化、この流れと、それから今回のこの国民生活センターの一部改正案、これがどのような形で関連をし、そして、国民生活センターがどのような形でこの消費者行政一元化の中で役割を果たしていくんだろうかという、何か大臣からの御所見があれば、ちょっと飛ばしましたけれども、まずお聞かせをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 消費者行政の一元化につきましては、今、消費者行政推進会議を初めいろいろな有識者会議等を通じまして御議論いただいているさなかではありますが、やはり消費者行政、今までの日本の国の消費者行政を体制から見直して、国民から見てわかりやすい形に改めなければいけない。そして、そうした国民の声を受ける新しい組織をつくらなければいけない。この組織においては、強い権限を持って、そして消費者行政の司令塔としての役割を果たさなければいけない。こんな議論の中で、今さまざまな場での議論が進んでいるわけですが、やはりその最大の目的は、消費者利益の擁護、増進を図るということだというふうに思っています。

 今回の国民生活センター法の改正、ADR機能を法的に明記するということで、消費者紛争の処理の迅速化を図ろうとしているわけですが、これは間違いなく、消費者利益の擁護、増進を図るという目的のためにこうした新しい仕掛けをつくろうというふうに考えているところであります。

 今、消費者行政全体の見直しの議論、一元化の議論等、そして国民生活センター法の改正の動き、ともに消費者利益を擁護、増進するという目的においては一致するというふうに考えております。行政全体の議論の中で、国民生活センター自身も大変重要な役割を果たしてもらわなければいけないと考えております。

 具体的には、今議論の最中でありますので、どんな形になるかはまだ結論が出ていませんが、いずれにしましても、今回の法改正と今の行政改革の議論、同じ目標に向かって努力しているものであり、ともに密接に関連しているんだということであると思っています。

園田(康)委員 そうですね。やはり消費者の利益増進というものを、権利も擁護しながら図っていくというその方向性、それは私も同じでございます。

 したがって、その手法が恐らく、今の福田総理も含めて大臣のもとで行っている、新しい機関を、消費者行政の一元化を図っていくというものが一方にはあるんだろうというふうに思うわけでありますけれども、また一方で、これが本当に単なる各省庁の縦割りを少し、何というか、各省庁から一つ一つ部局を持ってきてというような形の寄せ集めにならないように考えていかなければいけないのではないかなというふうに私は思っているんですね。

 したがって、私どもの立場から言わせると、内部の改革は内部の改革、それからもう一つ、外からの改革というものを考えなければいけないというふうに思っております。

 そこで、それはちょっとまた別の議論でございますので、また今後、大臣とも機会があればやらせていただきたいと思っているんですが、今般のこの法律改正の目的。

 まず、センターの目的からいきますと、今大臣もおっしゃっていただいたように、国民生活センターは、「国民生活の安定及び向上に寄与するため、」というふうにまず目的がきちっとここで書かれてあるんですね。このセンターの目的というのは、「国民生活の安定及び向上に寄与するため、」と。

 しかしながら、今般のこの改正案の二十条、仲介委員というものが選出をされます。及び、三十条においても委員が選出をされるわけでございますけれども、これは仲裁委員という。この仲介委員と仲裁委員、この立場が、独立、中立という立場で物事を、職務を担うんだというふうにうたわれているわけですね、この二十条の第四項と、それから三十条の第五項。

 すなわち、本来ならば、国民生活センターというのは、先ほどから私もずっと議論を大臣とさせていただいておりますけれども、消費者の立場に立って物事の解決を図るというのがまず国民生活センターの位置づけであり、そしてそれを推進していくというのが私どもの立場ではないか。

 しかしながら、この仲裁委員と仲介委員におきましては、独立してその職務を担うというふうに、中立的に担うということになりますと、事業者と消費者、中立というのはどちらの立場にも立たない第三者というふうになってしまうんですね。

 そうすると、今まで国民生活センターに駆け込んでくる、相談をされる方々というのは、消費者として私を助けてもらえるんだと思って国民生活センターに駆け込むわけです、相談をしに来るわけです。ところが、駆け込んで相談をしていた人が、急に、ではあっせんをしましょうという形でこの委員会の中に入った途端に、私は中立ですよ、あなたとあるいは事業者との間では中立ですよ、独立していますからねというふうに突き放されるという印象を、私はこの法文から受けたわけでございますけれども、そういった心配がないのかどうか。その点について矛盾はないのかどうか、そのことをきちっと明記していただきたいと思うわけでございます。

岸田国務大臣 御指摘のように、この三条におきまして国民生活センターの目的、「国民生活の安定及び向上に寄与する」という目的が掲げられ、消費者利益の擁護、増進を図る機関として位置づけられておるわけです。

 ですから、国民生活センターの中に設けられます紛争解決委員会も、重要消費者紛争の解決を通じて、情報力、交渉力において事業者と格差がある消費者の利益の擁護、増進を図ることを目的としていること、これは間違いないというふうに思っています。

 ですから、この委員会の仲介委員ですとか仲裁委員、これは職務を行うに当たって、情報力や交渉力に格差がある消費者の立場を踏まえて、必要に応じて消費者のために積極的に後見的役割を果たすことが期待をされています。後見的役割とは、すなわち、交渉力あるいは情報力、こういった格差を是正する等の後見的な役割を果たすということだと思いますが、こういったことが期待されています。

 そして一方、今御指摘のように、法律の中では第二十条四項、そして第三十条五項、ここに「中立かつ公正な立場において、」と記されております。この趣旨でありますが、指名された仲介委員あるいは仲裁委員、これは、いかなる出身、経歴であるかを問わず、法と事実に基づいて手続を実施すべきであるということを趣旨として述べているわけですが、これは、まず基本としてこの立場は踏まえておかなければ、そもそも事業者がこの制度を利用しないということになってしまいますので、この立場はしっかりまず踏まえておかなければいけないと思っています。

 ただ、その際も、仲介委員それから仲裁委員は、必要に応じて消費者のために積極的に、先ほど申し上げました後見的な役割を果たすということ、これは大前提だというふうに思っています。この前提のもとに、御指摘の二十条四項、三十条五項に記されております「中立かつ公正な立場」、これをしっかりと守るということであるということでございます。

 ですから、中立かつ公正な立場において仲介委員、仲裁委員が職務を行うということは、消費者利益の擁護あるいは増進を図る機関としての国民生活センターの趣旨に反するものではないというふうに考えております。

園田(康)委員 ぜひ国民生活の権利の擁護とそして増進というものにしっかりと取り組んでいただくことを期待を申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょう、私は、主に国民生活センター法の改正案について質問させていただこうと思っていますけれども、それに関連して、せっかくの機会でありますので岸田大臣の御所見を伺いたいと思っております。

 消費者行政が、やはり視点が今まで弱かったということは私も感じているところでありまして、それは、例えばこのところの農薬入りのギョーザの問題ですとかBSE、それからいろいろな電気製品、あとガスの湯沸かし器の事故など、振り返ってみても、やはり消費者視点という行政が弱かったのでこういった問題がここまで大きくなってしまったし、また大変たくさん発生するようになってしまったということを感じるわけなんです。

 そういった中で、総理大臣がいわゆる消費者庁というものを発言されておられるようでございます。当初は消費者行政の一元化ということだったんですが、自民党の方の調査会でしょうか、こちらの方からの報告書でも消費者庁ということが提案されたこともあって、総理は非常にこの点について前向きな発言をされておられるようなんですけれども、私、考えまして、一体この消費者庁というのは、そもそもまず本当につくることができるんだろうかと正直言って疑問を持ちました。

 つまり、消費者に関係する法律というのは、もう本当に手で数えられないほどたくさんあるわけですね。先ほどのBSEの話などにしても、JAS法から始まって、製品の安全を確保するための経産省の法律。それから、内閣府が所管する法律でも消費者契約法というのがありますし、最近問題になっております割賦販売法なども関係してくる法律、貸金業法もそうだと思うんです。

 こういったところを全部取りまとめて消費者庁をつくるというのは一体どういうイメージで考えておられるのか、各省庁の行政から消費者というところを切り分けて消費者庁に全部持ってくるということが本当にできるのか、岸田大臣はどうお考えでしょうか。

岸田国務大臣 まず、日本の行政のあり方、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、生産者あるいはサービスの提供者の視点から組織の形がつくられてきたということは指摘をされています。そういった中で、昨今、消費者問題に対する対応は大変重要だという指摘を受けてきました。

 こういった状況や指摘を受けて、決して消費者問題について各省庁とも取り組んでこなかったというわけではなくして、それぞれの省庁において、それぞれの守備範囲において消費者行政に努めるというような形で消費者行政組織がまた見直されてきたわけです。結果としまして、それぞれ産業振興官庁に消費者行政組織が分散するという形ができ上がってしまったというのが現状だと考えています。

 ですから、この消費者行政組織が分散するということにおいて、情報の集約化ですとか情報の共有化ですとか、あるいは対応においてもすき間事案にどう対応するのかとか、そうしたさまざまな問題が指摘をされるようになったというのが昨今の状況だというふうに思っています。

 ですから、こうした指摘を受けて、ぜひ消費者行政組織の一元化も考えなければいけないという議論になったんだと思うんですが、その際に、やはり一番大切な考え方は、国民から見てわかりやすい行政組織をつくらなければいけないということで、国民が寄せた苦情とか相談が一元化、集約されなければいけない、この仕掛けをどうつくっていくのか。そして、集約された情報にどう対応するか、その対応する組織をどのように設けるのか、そしてこの新しい組織にどのような権限を与えるのか、こういったことを考えていかなければいけないと思っています。

 そして、その権限と組織の形という点において大変重要なのが、今委員御指摘になられました法律の問題でありまして、法律を本当に集約できるのかということが大切になってきます。そして、その点につきましては、まず各産業振興官庁が持っている業法、業界に対する監督を目的とする法律、これまで全部抱え込むというのは非現実的だと思っています。しかし一方で、今消費者行政というのは事前監督から事後チェックへと大きな流れをつくっています。この事後チェックにかかわるような法律、分野横断的に事後チェックにかかわるような法律についてはできるだけ新しい組織に集約する必要があるのではないか、このように感じています。消費者契約法、PL法、こういった法律が一つの例になりますが、こういった種類の法律はぜひ集約化して新しい組織に集め、権限を行使していきたい、こんなことを考えています。

西村(智)委員 組織体制についてのお考えはいただきましたけれども、やはり、これまでの経過といいますか、これまでの行政のあり方をしっかり反省することなくして消費者中心の新しい行政というのは生まれてこないと思うんですね。

 午前中にも何人かの方から指摘がありましたけれども、やはりこれまで我が国の行政というのは、戦後復興からスタートしたのでいたし方ない部分はあったんでしょうけれども、産業振興とか生産者中心の考え方で進んできた。それが今までずっと来ていて、なかなか消費者視点という行政に、言ってみれば霞が関全体の体質が変わってこれなかったことが昨今の消費者に関するさまざまな問題の元凶だというふうに私は考えているんです。

 体制を変えたところで、中身、霞が関の視点が変わっていなければ、これは幾ら箱をつくっても魂が入っていかない。独立行政法人、ここのところまた行政改革担当大臣がお一人で孤軍奮闘されておられますけれども、仮に魂の入らない仕組みを消費者庁という形でつくったところで中身が伴っていかなければ、これはまたどうにもならない話ではないかというふうに考えているんですけれども、なぜこの組織論が先行してきたんでしょうか。中身の、霞が関の体質変換ということがもっともっと議論をされて、しかる後に体制、組織のあり方、これが議論されて当然だというふうに私は考えているんですけれども、この点について大臣はどう考えますか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、形ではなくして機能が大切だということ、これは大変重要な御指摘だというふうに思っています。

 消費者行政につきましては、さまざまな消費者問題に対応するためにまず何をすべきなのか、現状の組織の中でそれぞれ努力をしてきたわけです。それぞれの産業振興官庁にある消費者行政部門、大変今重要視され、それぞれ努力をしてきたわけですが、しかし、今の消費者問題の現状を見ますと、これだけ複雑多岐にわたり、そして多発している状況を見ますと、従来の体制の中でどれだけ頑張ってもやはり限界があるのではないか。やはり、縦割り行政の中での消費者行政ということになってきますと、すき間事案への対応とか情報の共有において限界もあるのではないか。

 そういったことから消費者行政の見直しという議論も起こっているんだと思いますし、また一方で、産業振興官庁と消費者行政担当部局が同居しているということが、この事業振興と消費者利益の擁護というバランスにおいていかがかというような議論もあるんではないか、こんなふうに思います。

 こうした消費者問題に対する認識、昨今大変深まっているわけですが、こうした現状での努力ではどうしても限界がある、やはり組織まで踏み込まなければいけないということでこうした議論になったというふうに思っています。

 そして、認識を改めるということにつきましては、今、公務員改革におきましてもさまざまな改革の議論が行われています。公務員の評価というような点も論点になっているようでありますが、こうした消費者行政に対する取り組みというのも公務員の評価においてしっかり評価される等々、さまざまな仕掛けを積み重ねることによって、日本の行政全体も、取り組み、組織等々、さまざまな変化をもたらすことになるのではないか、そんなふうに思っています。

西村(智)委員 結局、いわゆるサプライサイドではなくてディマンドサイドに立つ行政の必要性というのは、振り返ってみるとかなり前から議論はあったと思うんですよね。そういった発想の転換が、組織がないからできてこなかったのか。私は決してそうじゃないと思うんです。組織があってもなくても、それは政府の考え方一つで方針は変えられるわけですので、そこのところはちょっと大臣とは私は認識が違うというふうに今確認をいたしました。

 先ほど、大臣、一つの行政府の中に産業振興というセクションとそれから消費者行政のセクションが同居しているというようなこともおっしゃいましたので、せっかくですのでそちらの質問に移りたいと思うんですが、規制改革との関係についてです。

 これは先月、三月二十七日に国民生活審議会総合企画部会で取りまとめられた生活安心プロジェクトの取りまとめでありますけれども、ここにおいて、ちょっと抜粋して、読む必要もないと思うんですけれども、部分的にこういうふうに書かれております。官、特に国は、ぶらぶらぶらと書いてあって、特に消費者、生活者一人一人を重視するような、そういった役割を果たす必要があるが、現状ではそれが不十分であると。消費者や生活者を主役とする行政へパラダイム転換していく必要があるというふうに書かれております。

 一方、この取りまとめがされる二日前に、規制改革推進会議が、新しい、規制改革推進のための三カ年計画を改定されました。ここにおいては、これとちょっと向いている方向が逆なのかなという記述が何カ所かありまして、やはりここでは、官から民へなんですね。つまり、どういうふうに書かれているかといいますと、「我が国の経済社会を官主導のシステムから脱却し、自由と規律に支えられたシステムへ移行する」ですとか、「経済社会の構造改革を一層加速すること」が必要だというふうに書かれているんです。

 岸田大臣、これはどちらの会議も担当の所管だと思うんですけれども、大臣はこれはどちらの立場に立っておられるのでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の二つは、別に相対する位置づけにはないというふうに思っています。まず、福田内閣において生活安心プロジェクトというものを進めて、その一環としまして、国民生活審議会において御議論をいただき、この間、意見を総理に提出していただいたわけですが、その中において、消費者、生活者を主役とした行政への転換ということが盛り込まれています。そして、この消費者、生活者を主役とする行政においても、行政のスリム化とか効率化を進めるという姿勢は同じく重要だというふうに思っています。しかし、そこにこの消費者、生活者の視点から見た実効性を加えていかなければいけないということでありますので、この二つは方向性が別だというふうには認識をしておりません。

 ぜひ、今後とも、官と民の適切な役割分担というものを考えていかなければいけない。消費者行政においても、適切なバランス、役割分担を考えていきたい、そのように思っています。

西村(智)委員 行政のスリム化については生活安心プロジェクトの中でも共通している考え方だということだったんですけれども、それではちょっとお伺いしたいんですが、ここは申しわけありませんが通告してありませんので。民間登録機関等の問題についてであります。

 このところ、認定、評価、検査などを行う、関与する民間登録機関が増加してきているわけなんですけれども、では、この点は一体どういうふうにこれから処理、対応されていかれるのでしょうか。つまり、民間登録機関の専門性が十分に発揮されなかったということで、消費者、生活者の信頼を裏切る事象がたくさん発生しているということは、これは生活安心プロジェクトの中でも記載されておりまして、耐震偽装ですとか有機JASマークの偽装などいろいろあったわけですけれども、ここのところで、この民間登録機関に対する検査や監督をもっと強化していかなくちゃならないというふうに書かれているんですよ、後段の部分で。「行政庁自らも民間登録機関等の業務が適正に行われているか、また、専門性や公正性、中立性が確保されているか、検査、監督を強化する必要がある。」こういうふうに書いてあるわけなんです。一たん官から民へといって民に任せたものが、結局耐震偽装などで不十分だったということで、またこれは規制を強化しろというふうに書いてあるわけなんですね。ここのところは一体どういうふうに整理をされるのか。

 あわせて、ここのところでは、同じ項目なんですけれども、所管府省庁の出身者が一定基準を超えて当該機関の役員等に就任してはならないというようなことも書かれていまして、いわゆる天下りの問題ですね。そういったことも指摘されておりますので、相反しないと先ほど大臣おっしゃったし、どちらも行政のスリム化という点では共通しているとおっしゃったんだけれども、私は決してそんなことはないと思います。

 ここは通告をしておりませんでしたので質問いたしませんが、通告していた質問として二つ伺いたいと思います。

 規制改革三カ年計画では、消費者という言葉は、見ましたら、三カ所出てきました。というか、三カ所しか出てきませんでした。すべてが情報公開についての項目だったんですね。つまり、消費者に十分な情報公開を行う、それを徹底するというふうに書かれているんですけれども、政府が言う消費者や生活者を主役とする行政というのは、消費者に対する情報公開をしていれば果たして実現できるというものなのでしょうか。

岸田国務大臣 まず最初の民間認定機関の話につきましては、やはり民間認定機関の存在というのは、民間の立場から大変大きな役割を果たすものだというふうに思っています。しかし、その民間認定機関、これは信頼性がなければその役割を果たしてもらうことはできないわけですので、その信頼性を確保するために官として何かやることがあるのではないか、こういった指摘だというふうに思っています。民間認定機関そのものを否定したものではないということだというふうに認識をしております。

 ですから、民間認定機関の役割をしっかり尊重した上で、しかし、やはり信頼性がなければ役割を果たすことはできない、その信頼性を確保するために何をするのか、こういった指摘だというふうに思っています。

 それから、規制改革推進会議三カ年計画につきましては、ことしの三月二十五日に改定をされたわけでありますが、この中で、消費者が正しい情報に基づき適切に判断できるための情報提供の推進などが盛り込まれたところであります。

 この規制改革推進計画につきましては、引き続きまして規制改革推進会議において議論を行い、そしてこの計画、適宜改正をしていかなければいけないというふうに思っていますが、いずれにしましても、この消費者行政のあり方全体の姿とか絵は、規制改革での議論だけで完結するわけではなくして、規制改革推進会議での議論、規制改革推進三カ年計画の中身、こういったものもまた踏まえながら、消費者行政全体は別の仕掛けでしっかりと見ていかなければいけないのではないか、そのように思っています。

西村(智)委員 答弁はいただけなかったようです。

 生活安心プロジェクトではこういうふうに書かれています。規制改革においても「消費者・生活者に資する改革という視点をより明確にしていく必要がある。」、これは取りまとめの七ページでございます。そうしますと、今後、規制改革推進のための三カ年計画、これを大臣は見直していくことになるというふうにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 規制改革推進のための三カ年計画、これは直近でも、昨年十二月に規制改革推進会議の二次答申を受けて、そして、ことしの三月に改定を行うという改定作業を行っております。そして、ことしも規制改革推進会議においては議論を行うことになっておりますので、その成果を踏まえてさらなる改定をするということは考えていかなければいけないのではないかと思っています。

西村(智)委員 それでは、次の質問はいよいよ法案の中身に入っていきたいと思うんですけれども、中身に入りたいんですが、まだその前に幾つか確認をさせていただかなければならないことがあります。

 一つは、国民生活センターのあり方。これも国民生活審議会の消費者政策部会の方で取りまとめられたものでしょうか、こちらの方で今後のセンターのあり方についていろいろな議論がなされているわけです。当然のこと、冒頭質問いたしました消費者庁をつくるかどうか、どういうものにするかということに関して、消費者行政推進会議、これが議論している最中であるということは、これは私は踏まえた上でお伺いをしているんですけれども、今回の法改正というのは、こういうふうに「国民生活センターのあり方」というのが取りまとめられている中でも指摘されていますが、「消費者行政推進会議における消費者行政の一元化のための新組織に関する議論も踏まえて、所要の見直しを図るべきである。」というふうに書かれています。

 今、結局、消費者行政のあり方については議論している最中だという中での今回のこの国民生活センター法の改正というのは、これは一体どういうふうに位置づけたらよろしいのでしょうか。これは審議の前提に立つための大事な議論だと思いますので、ぜひ答えてください。

岸田国務大臣 今回の国民生活センター法の改正、要は、このADR機能を法律の中に明記するということは、迅速に消費者紛争を解決するという点において、消費者利益の擁護という点で大変重要な内容だというふうに認識をしております。

 国の行政組織全体については、よりよいものをしっかりと吟味しなければいけないと思いますが、こうしたADR機能、この機能につきましては、これはこの消費者行政にとって大変大切な機能だというふうに認識しておりまして、ぜひ今回この法律改正をお認めいただきまして、その機能をしっかりと法律の上で明記をしていただければというふうに思っています。

 全体の議論の中でこの機能の取り扱いの議論ももちろん出てくるわけでありますが、どういった形であれ、このADR機能、今法改正をお願いしている機能は消費者行政にとって重要な機能だということで、この御審議をお願いしているところでございます。

西村(智)委員 ADR機能が重要だということは理解をいたしました。

 では、「国民生活センターのあり方」というこの報告書を受けて、今後、この国民生活センター法の改正に向けては大臣はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

岸田国務大臣 この国民生活審議会の消費者政策部会の報告書を受けてということですが、この報告書の中に、御指摘にありましたように、消費者行政推進会議の議論も踏まえて見直すべきだというような内容を盛り込んでいただいているところであります。ですから、この消費者行政推進会議の議論は一応五月末をめどに今議論を進めていますが、まだこの内容は固まっていない、結論は見えていないというところであります。

 この議論の結果いかんでは、またさまざまな法改正が必要になることも想定はされますが、しかし、現状ではまだ議論が固まっていないということですので、その結論が出てから先、どんな法改正が必要なのか、どんな対応が必要なのか、これは今の段階ではちょっと申し上げることは難しいと思っています。

西村(智)委員 それでは確認ですけれども、国民生活センター法が、消費者行政推進会議の結論次第では近々に改正される可能性もあるということですか。

岸田国務大臣 この消費者行政推進会議の議論につきましては、まだ今の段階では何も申し上げられませんが、やはり国民生活センターの今の機能というのは大変重要だという認識は間違いないというふうに思っております。

 こうした議論の中で、例えば、より国民生活センターを強化するというような結論になることもないとも言えませんので、そうしたならば、改正の可能性を全く今の段階で否定することはできないのではないか、そのように思っています。

西村(智)委員 ADRの結果の公表についてでありますけれども、私は、これはできる限り国民の皆さんに、消費者の紛争、これを予防するという点から、積極的に公開、公表をすべきだというふうに考えておりますけれども、どういう基準で、どういう手続でこの公開を行うお考えなのか。

 聞くところによりますと、これは内閣府令でということなんですけれども、大変重要なポイントだと思いますので、内閣府令というのは本来やはり法案の審議と一緒に出していただきたいと思っています。ですので、ぜひここでできる限りの考え方を示していただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 この結果の概要の公表につきましては、おっしゃるように、基準、手続は内閣府令あるいは紛争解決委員会の定める業務規定にゆだねているところであります。

 ですから、特に独立した職権を行う委員会で定める業務規定について予断を持ってお答えするのは少し控えなければいけないかもしれませんが、ただ、手続としては、事前に当事者の意見を聴取することが適当であるというふうに考えておりますし、また、その公表が消費者被害の予防、拡散防止を目的に国民に対する情報提供として行われるものであるということを考えたならば、類似の事例を除いて原則として公表されること、これを基本として運用されることが望ましいというふうに考えています。

西村(智)委員 事業者の聴取をやってから公表だというふうな考え方が示されたかと思うんですけれども、そもそも、私も国民生活センターの方へ視察に行かせていただきましたが、そこであっせんが不調な理由は、やはり事業者があっせんに対して非常に非協力的であるということもあるわけですので、そうした実際の現場の状況をぜひ踏まえていただいて、これはきちんと、だれにでもわかりやすい基準をつくっていただきたいと思います。

 いずれにしても、消費者の意見は大変重要だと思いますので、ぜひ議論の場に消費者の立場を加えていただきたい。

 あわせてこれは質問しようと思っていたんですけれども、今、国などが設置している審議会等で消費者や生活者の占める割合が極めて低いです。これはプロジェクトの報告書にも出ていましたので、ざっと見ましたけれども、消費者や生活者が審議会の委員に占める割合がゼロ%のところが半数以上です。これは、幾ら消費者行政を一生懸命やります、消費者庁をつくりますといって旗を振ったところで、中身が全く伴っていない。これは形骸化するおそれ大と言わなければなりません。

 こういったところで、できるところからの改革をしていただきたい。重要法案をつくるときにはその審議会には消費者を一定の割合で入れること、それは大臣が今できることだと思いますので、ぜひ強い指導力を発揮してくださるようにお願いして、私の質問を終わります。

中野委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 民主党の吉良州司でございます。

 きょうは、主に岸田大臣に、今の西村委員に続いて、一つは、ある意味での消費者保護の観点に立った行政の哲学についてと、それから国センのあり方、その体制についての各論と、この二つについてお聞きをしたいというふうに思っています。

 今の西村委員の指摘と重なるところでありますけれども、私の認識としても、これまでの政府は、もう大臣がみずからおっしゃったように、供給者の論理に立った政治であった。これは西村委員も指摘したように、本当に食べるもののなかったあの戦後復興から考えれば、一刻も早く産業を興して、雇用の場をつくり、そして所得を上げて経済全体を上げる、それも、欧米諸国に追いつけ、追い越せと。供給者の論理に立った政治そしてまた政府、これは時代の要請であったというふうに私自身は理解をしております。また、今の自民党さんは、その戦後復興、またその後の高度成長を引っ張った政党だというふうに思っています。

 ただ、やはり先進国、ある程度豊かになって衣食住足りてくれば、当然、人生観も違い、要求、欲求も違いという中で、当然ながら、生活者、消費者の意見を最大限聞くのが政府の役割だというふうに思っております。

 そういう意味では、発展途上国時代は供給者の論理でいいけれども、先進国になってきたならば、その軸足をまずは生活者へ、そしてその次に大臣もおっしゃった産業振興、供給者のことも考える。優先順位が逆転するんだ、私はこのように思っております。

 そういう意味で、福田総理大臣が、この二回の、去年の所信、施政方針演説の中で、最初は、真に消費者や生活者の視点に立った行政に発想を転換し、悪徳商法の根絶に向けた制度の整備など、消費者保護のための行政機能の強化に取り組む、こういうふうに発言されております。まさに本法案の真意はそこにあるというふうに思っていますが、今国会の冒頭で言われたそれは、もうちょっと幅を広げたというふうに私は思っていまして、そこには、生活者や消費者が主役となる社会へ向けたスタートの年と位置づける、こういうふうに言っております。

 今言いましたように、その前段の、消費者、生活者の視点に立って悪徳商法を駆逐する等のことは、この法案にのっとったことで大事なことでありますけれども、より大事なことは、今言いました、これまでの発展途上国の時代から先進国に移った中で、生活者が主役の政治へというふうに転換する、そのスタートなんだということの方がより大事だというふうに思っています。

 そういう中で、まず、哲学的な話になりますけれども、岸田大臣が考える生活者の論理に立った、生活者の視点に立った政治というものはどういうものだとお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

岸田国務大臣 生活者、消費者が主役の行政、政治ということを考えますと、先ほど来申し上げました産業振興との関係ももちろんあるんですが、やはり消費者、生活者にとって行政というものが自分たちにわかりやすい形を示しているというのがまず第一だというふうに思っています。自分たちが寄せた情報や苦情、相談、こういったものがどのように取り扱われるのか、ちゃんと一元化して、そして対応が図られるのか、こういったものが見えるような組織をつくっていかなければいけない。そして、しっかりとした対応が図られる、こういったものも実感できるような政治を行わなければいけない、こういったことが一つあるというふうに思っています。

 一方、消費者の立場、存在というものも、近年、随分と変化しているのではないかというふうに思っています。

 日本の国においても、平成十六年に消費者基本法が改正をされました。それまで法律の名称は消費者保護基本法でありましたが、平成十六年に消費者基本法という法律に改正をされました。

 このポイントは、消費者という存在は保護される弱い立場という考え方がそれまでの主流だったわけですが、法改正以後は、やはり消費者というものも自立した一つの存在であると。ただ、交渉力、情報力、経済力において事業者とのさまざまなハンディを負っている、こういったものを補いながらも自立した存在として立って、社会の中で活躍していただきたい、こういった哲学の転換が法律の中でも行われたわけであります。

 また、国際的に見ても、今、消費者というのは、安いものを買いたい、あるいは倹約をするといったみずからの利益を図るだけじゃなくして、やはりエネルギー問題とか環境問題とか税制とか、いろいろな社会的な課題も含めて、いろいろなテーマに消費者もみずから、消費者の立場からどうかかわれるのか、こういったものを考えて積極的にかかわっていくべきだ。これは消費者市民社会という考え方なんだそうですが、欧米の社会においてはこういった考え方も広まっています。

 消費者の存在あるいは消費者に対する見方も、随分と今、世界的に変化をしています。こういった変化もしっかり踏まえた上で、我が国において消費者、生活者というものをどのように位置づけていくのか、主役というにはどういったものがふさわしいのか、今、大きな時代の変化の中でこれを考えていかなければいけない、そのように思っています。

吉良委員 さすが、本当にみずから取り組んでおられる大臣だけあって、まさに生活者という、生活の観点から、今、大きく分ければ三点ほどの答弁をいただいたと思っていますし、その点については私自身も全く同感であります。

 一方、そのことを私なりに、政治といいますか、行政という立場から見たときに私はどう考えているかということを、私は、よく地元で自分の有権者と向き合うときに、供給者の論理と生活者の論理がどう違うかというのは、例えば、航空会社に多少申しわけないんですけれども、航空行政を持ち出して、こういうようなことを言っています。

 供給者の論理に立った政治、政府というのは、例えば飛行機、私は大分ですから、東京―大分間は今三万四千八百円もするんですけれども、今までの政府は、悪いですけれども、航空会社さんの言い分を聞いて、できるだけ高く料金を設定してほしい、それが過度な競争に陥らないように、新規参入者をできたら抑えてほしいと。といっても、新規参入者がだめだと言えないから、もろもろ、参入者が入れないような高いハードルを持った規制を設けて、実質的には新規参入を排除して、その航空会社が望むような料金設定ができる、これを聞く。

 大変申しわけないけれども、これまでの政府・自民党というのは、それぞれの政調会の部会というのが全部業界対応になっていて、大体、聞くのはそういう業界からの意見を聞くんだ、それで、その業界が望む法、規制、仕組みをつくる、これが今までの仕組みだった。

 私がつけ加えて言うのは、さっき言いました戦後復興、ある程度経済が豊かになるまではそれでも仕方なかったんだ、雇用の場をつくり、産業振興をしなければ、国全体の国力は富まないから。だけれども、今はどうですか。皆さん、お孫さんに会いたい、子供に会いに東京に行きたいときに、片道三万四千円も払えますか。一万円がいいでしょう、五千円がいいでしょう。今度は飛行機に乗る人の立場に立って、できるだけ安く、でも安全は確保しなきゃいけない、そのことを考えていくのがこれからの生活者の視点に立った政治なんですということをまず言っています。

 では、それをやるにはどうすればいいのか。一つは、安全でかつ安くサービスと財を購入できる、これは当たり前の話ですけれども、市場原理を徹底させるしかないんですね。ただ、市場原理に任せてはいけない分野もある。医療なんかは私はそう思っていますし、それは経済政策と社会政策できちっと区分けをするんだ。経済政策においては、経済政策における生活者の視点に立った政治、行政というのは、今言った競争原理を徹底させること。

 ただ、その際に大事なことは、今大臣も、苦情とか要望が見えるようにしなければということでありましたけれども、同時に、ルールを明確にして、それをすべての国民がわかりやすく理解するということを徹底することがやはり市場原理を貫く際にまず大事なこと。それと同時に、事後チェック。そして、チェックした結果、まさに悪徳商法その他が出てきているような場合には、厳罰に処すことを含めた罰則をきちっと盛り込む、徹底させる。こういうことなんだろうというふうに思っています。

 ちょっと一度ここで切って、私の今申し上げた観点からの生活者の論理の政治ということについて大臣はどのようにお考えか、見解をいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 今、吉良委員が御指摘になられました市場原理あるいはルールの大切さ、そして事後チェックの大切さ、大変重要な御指摘だというふうに思っています。

 やはり、そういったさまざまなポイントをしっかり押さえていかなければいけないというふうに思っていますし、さらに、その前におっしゃった事業者と消費者との関係につきましても、やはり、今まではおっしゃったような点があった。少しこれを是正しなければいけないのではないか、そんなことは考えていかなければいけないというふうに思っています。

 そして、その上でさらに申し上げるならば、これからは、事業者と消費者というのは対立する存在ではないというふうに思っています。現代における消費者問題における事業者と消費者は、やはり共存共栄していかなければいけない時代が来ているというふうに思っています。

 先ほど市場原理のお話をされました。この市場の大切さ、おっしゃるとおりなんですが、市場の信頼を得ているということが何よりも市場にとっては大切だというふうに思っています。

 例えば、最近、中国のギョーザの事件でもそうでしたが、市場不信不況と言われるような現象がたびたび見られます。過去の英会話教室の授業料の問題においてもありました。市場にこうした悪徳な事業者等が存在する、そのことによって市場全体が信頼を失う、そのことによって消費者は思い切って物を買わない、あるいは事業者も思い切って投資をしない、こういったことで市場不信不況というような現象が起こっているというふうに思っています。ですから、やはりこうした悪徳な事業者を排除するということは、事業者にとっても消費者にとっても、ともに大切なことだと思っています。

 また、事業者にとっても、日本の消費者の信頼を得たならば、それが国際ブランドにもなるというような現象。中国において日本の高級果物が日本では考えられないような値段で取引されている、これは評価の大変厳しい日本の消費者に評価された日本の商品が国際ブランドとして通用している一つの例だと思うんですが、これも、事業者と消費者が共存共栄する、要はウイン・ウインの関係をつくっていっている一つのいい例だと思います。

 これからの時代、こういった形で、やはり事業者と消費者というのは、決して対立する存在ではなくして、ともに共存共栄、ウイン・ウインの関係をつくれる、それぞれの存在でなければならないというふうに考えています。

吉良委員 ありがとうございます。私も、そういう意味では、市場原理の中で事業者と消費者がウイン・ウインの関係をつくる、こういうことについて賛成の立場であります。

 私ども民主党は、先ほど来言っていますけれども、いきなり今から申し上げることに振って恐縮なんですが、自民党はこれまで、戦後初期、傷んでいた国を復興させるのに大貢献した政党で、おかげで、ある程度きょうあす困らない国にしていただいたので、我々は、これから先進国を担う政党として、民主党が生活者の論理に立ち、そして一方で分権ということを進める立場に立って、私は、持論なんですけれども、同じ土俵で、ボクシングでぼこぼこぶち当てるんじゃなくて、自民さんが発展途上国時代の日本を見事に第一走者で走ってきてくれたので、我々は第二走者としてバトンを受け取って、これからの時代を担いたいというふうに思っているところなんです。

 それで、今私は、あえて分権ということも生活者の論理につけ加えさせてもらいましたが、今度、国民生活センターのこの改正案、目的、にしきの御旗として反対するつもりは全くありません。生活者の論理に立った消費者、生活者保護ということで、方向については賛成をするものなんであります。

 そして同時に、これからの分権社会を迎えるに当たって、国民生活センターという中央の組織があって、かつ、地域地域に消費生活センターというものがあって、これが必ずしも上下関係ではなくて役割分担という関係だということ、それから、各地域地域で寄せられたもろもろの苦情、紛争例を中央で集めて、それをまたフィードバックしていくというこのあり方は、これからの分権社会における生活者中心の政治ということで、ある意味ではモデルケースになるのではないか、そういうふうに一方では前向きにとらえております。これは、今の形態、形式がそういう形式になっている、非常にいい形なんだというふうに思っています。

 ただ、一方、これからちょっと各論にも入っていかせていただきますが、実態を見たときに、その形式やよし、ただし、その目的を達するような体制、組織に果たしてなっているんだろうかという問題意識を持っております。

 けさほどの参考人からの説明、それから同僚議員からの質問に対する回答でもございましたが、相談員の人数それから体制、待遇、ここは大いに問題だというふうに思っているんです。

 けさほどからの説明でもありました。国民生活センターに相談員が少ないというのは、もともとは多かったんだけれども、いわゆる窓口としては各地の消費生活センターということで、そこで間口を広げれば中央の国センはそんなに多くなくてもいい。言っていましたけれども、いわば経由相談、この辺に力を入れればいいんだと。こういうお話でありましたが、けさほどの説明でも、国センでも直接相談をやっている人が六人しかいない。しかも、一カ月十四日で、一日にしたら二人、三人しかいない。経由相談も八人ぐらいしかいない。それも臨時職員だということなんですね。

 この国民生活センターというのは、職員は、この前聞いたら、理事を除いて百十七人おられます。非常勤で、一日当たりでしたら二、三人が直接相談に応じている。この前視察に行ったときも、経由相談も五人ぐらいだったと思います。現場、第一線におられるのが、直接で二、三人、経由相談で四、五人。この第一線に対して、いわゆる管理部門、間接部門が百人ぶら下がっているという組織なんです。

 これで果たして本当に、先ほど一番最初に生活者の視点の政治とは何ですかと大臣にお伺いしたときに、苦情だとか要望だとか、そういうものがきちっと目に見えるような形で提示されることが大事だとおっしゃっていましたけれども、果たしてそういう体制になっているのかという問題意識を持つわけですけれども、この辺についていかがでしょうか。

岸田国務大臣 確かに、国民生活センターの相談機能を初め、果たしている役割、大変重要だと考えておりますし、それに見合うだけの組織体制がとれているのかという点につきましては、私も就任しまして、九月に相模原の施設を見させていただきましたし、ことし二月は品川の方の施設も見させていただきました。直接話を皆さんから聞かせていただきながら、改めて深く考えさせられたところであります。こうした機能の充実も図るわけですから、それを支える体制がどうあるべきなのか、それはしっかり考えていかなければいけないと思っています。

 また、今、吉良委員の方から管理部門の御指摘がありました。管理部門のありようにつきましては、それ以外とのバランスにおいて、私もちょっとまだ十分把握していない部分がありますので、一度把握させていただいて、これについても考えてみたいと思っています。

吉良委員 組織の方は、それこそ審議役、総務部、経理部、広報部、情報部、そして相談部、商品テスト部、研修部。確かに、研修それから情報、広報、どれもその機能として入っていることですから必要なんでしょうけれども、先ほど言いました相談員の数、体制、余りにも少な過ぎる。

 そして、けさほど同僚の泉議員からありましたが、年間収入二百万円以下が六七・二%だということなんですね。一方、国センの職員の給与水準というのはどんなものかといいますと、四十二・九歳で年収八百二十万。ちょっと正確な数字でいうと八百二十五万ですか、平均なんですけれども。しかも、この水準が国家公務員の行政職に対して一二二%、そして他の独立行政法人に対して一一三・九%、こうなっているわけですね。

 なぜ高いのかという理由について、当センターでは、相談、調査研究及び商品テスト等の業務を行っているが、これらの業務を達成するためには、高度で専門的な知識が要求されており、専門的研究職としての色彩が強い職員を採用する必要がある、したがって、人材確保の観点から、国家公務員より高目の給与水準となっていると。これは、大臣も天を仰いでおられますけれども、やはりおかしいと思っておられると思います。

 私が言いたいのは、先ほど同僚の西村議員からもありましたが、政府がその気になって、かつ政府、職員、要は国家公務員、一体になって生活者の政治へと変える意識が本当にあれば、極端に言えば、新しい法をつくらなくたってできる。これはあらゆる組織に言えることなんです。

 ということであるならば、私に言わせれば、国家公務員もしかりですし、この国民生活センターの人たちも、相談は臨時で二百万円で雇った人でやってください、私たちはより高い給料だけれども、あなたたちを管理する立場なんだ、広報の仕事が大事なんです、研修の仕事が大事なんです、そんなこと言わず、この国センに採用するときは、全員相談員になる。いや、未来永劫相談員でいい、ローテーションでもいいんです。この国センという組織の成り立ちから考えたら、全員が相談員になる。全員が各地の消費センターに出かけていって、ただただ電話ではなくて、みずからいろいろ指導もしていくし、全員が相談員体制となるべきではないんでしょうか。そして、その方々が実際に直接電話を受けて苦情処理に当たる。そういう中で初めて事実を自分の耳で確認でき、目で確認でき、そして具体的な対応策というものが、職員一人一人が具体的なイメージを持ち得るというふうに私は思っているんです。

 そういう意味で、この国センのあり方、申しわけないですけれども、かつての特殊法人の、私もちょっと見ただけと資料を調べただけで断言するには恐縮でありますけれども、これを見て調べる限りは、まだまだ生ぬるいと言わざるを得ない。

 まず、今、実際行われている専門員の待遇をぐっと上げること。だって書いているわけですから。職員にはこれだけ高度な専門知識が要る、相談員は専門職だと書いていて、それならば、その第一線に立っている方々の待遇改善を図るべきだということと、繰り返しますが、職員全員が相談に応じられる体制をつくっていくべきだというふうに考えますが、その辺についていかがでしょうか。

岸田国務大臣 従来のこの組織体制の中でもまだまだやれることがあるのではないかという御指摘、これは御指摘のとおりだというふうに思います。そういった視点で絶えず現状を見詰め直していくことは大変重要なことだというふうに思っています。

 そして、この国民生活センターも、例えば独立行政法人改革の議論の中で、日本の国にある、数ある独立行政法人の中でたった一つだけ消費者行政を担当する独立行政法人ということで、私はこの存在意義を関係大臣にしっかり訴えたところでありますが、結果、前回の見直しにおいては、今の形での存続が決定されたということであります。であるからして、なおさらこの今の現状についてもしっかりと見直す努力はしていかなければいけないのではないかと考えております。

 体制、待遇、いろいろな面で、現状におきましてもしっかり見直していきたいと思いますが、一方で、やはりこの大きな時代の変化の中で、制度、機能、あるいは組織も今見直していかないとなかなか対応し切れない、限界があるという指摘もあって、今、法改正ですとか、あるいは組織の改正の議論をお願いしているところであります。こうした改正もしっかりと議論を進めながら現状を見詰め直す、ともにこれは重要な課題だということで進めていかなければいけないんではないか、そのように思っています。

吉良委員 体制についても十分検討するという答弁だというふうに受け取りましたので、その点、再度現場を見ていただいて、徹底していただくようにお願いをいたします。

 本当は、仲裁センターの立場についてとか、昨今は外国人自体が日本の国内において消費者になることも多くて、OECDの理事会勧告にもありましたので、そういう外国人対応、また国境を越えた対応についてもお聞きしたかったのでありますが、もう時間が終了となってしまいました。

 私の方から、要望として、今言った、確かに公正中立ということを委員会が貫かなければいけない、それは了解しておりますけれども、もともとの成り立ちが消費者の立場に立った仲裁というか、先ほど消費者保護から消費者と事業者が共存共栄の関係に移ってきたという大臣の御指摘がございましたけれども、さはさりながら、この法律の改正案の趣旨も、まだまだ情報において、交渉力において消費者の力が弱いということに立って紛争解決委員会というのをつくっておるわけですから、ここの立場は、あくまでも消費者の立場に立つということを徹底していただきたいということが一点。

 それから、今言いました、国境を越えた、また国内にも外国人が多くなったということに関して、外国人対応の組織もそれぞれの消費生活センターまたは国民生活センターの中で充実させていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

萩生田委員長代理 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 二法案について質問をさせていただきます。

 なお、今回、消費者行政について、力を入れてより強化するという方向については私自身も賛成するところであります。ただ、最近の事例をいろいろ見ていますと、日本国内でなぜこんなことが起こるのかというような事件、事案が大変ふえているのは私にとっては不本意でございまして、もともと日本人は正直を旨とする。人をだます、うそをつくことは泥棒の始まり、このくらいの話でありましたから、それが、うそをついても見つからなければいいという社会になり始めています。

 後ほど、どうしてこんな社会になってしまったのかということについては改めて大臣にお伺いしますが、昨年を振り返っての一文字であらわすのは偽り、偽という字であった。これも非常に私としては残念な社会傾向ですね。

 それも、食品の偽装ですとか賞味期限の偽装、それから安全であるべき器具の不正改造による死亡事故、金銭的にはオレンジ共済とかおれおれ詐欺とか振り込め詐欺、つい最近では中国の毒ギョーザによる事件が起こったり、福祉機器等に起因する死亡事故、産地偽装、もう挙げたら切りがない。いつからこういう日本になってしまったのか、嘆かわしい状況でございますけれども。

 それはそれとしながら、最近の消費者被害あるいは紛争発生件数の状況について、資料はいただいているわけでありますが、これを見ると、平成八年と平成十八年のを比べると、相談件数は三十五万件から百十万件と三倍、あっせん件数も三万八千件から六万件と約二倍ということでしょうか、とにかくこういう傾向にあるわけでございます。

 大臣、想定問答には入っていないかもしれませんが、この日本の国の現状、こういう状況に至っている背景というのに何があるか。ここについては大臣というよりも政治家として、岸田代議士、代議士というのはおかしいですね、政治家としての御所見がありましたら、御開陳をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 大畠委員御指摘のように、昨今の日本の社会を見ておりますと、本当に多くの事件や事案が発生をしております。いわゆる消費者問題という一言でくくられる問題だけ見ても、本当に、食品の表示の偽装、中国のギョーザ問題を初めとする食の安全の問題、あるいは製品につきましても、シュレッダーや瞬間湯沸かし器、エレベーター、ジェットコースターを初めとするそうした製品の安全の問題、あるいは振り込め詐欺を初めとする取引の安全の問題、本当にさまざまな消費者問題にかかわる事件や事案が発生をしています。

 こういった背景には何があるのかということですが、これは、まずは日本の社会のありようというものがあるんだとは思っています。日本の国民の考え方、教育も含めて、社会に対してどうかかわっていくのか、そういった考え方、こういったものがあるのではないかなというふうに思いますし、日本人の社会生活のありようというものの変化もかかわってくるのではないかと思いますし、また、事業者、経済界側の対応というのもいろいろとかかわってくるのではないかなというふうに思います。

 さらに、国民生活担当大臣として一つかかわっている部分で申し上げるならば、日本の国に公益通報者保護法という法律が成立をしました。やはり、今回いろいろな事案が表に出てきますが、内部通報という形で表に出てくるケースが多いようであります。

 公益通報者保護制度、公益のためにこうした情報を提供した人間は不利益をこうむってはならないという考えのもとに保護するという内容の法律でありますが、こういった法律が日本の国において数年前成立をしています。私益を図るために通報をするというのはいわゆる垂れ込みという言葉になってしまうんでしょうが、公益のために通報する方々をしっかりと支える、こういった法律が成立をしています。

 内部通報ということについては、こういった法律が直接かかわったケースはどれだけあるかは把握しておりませんが、こうした法律が日本の国に成立をした、こういったことも、いろいろな情報が表に出てくる一つの要因になったのではないか、こんなことも考えております。

大畠委員 そういう背景もあるかもしれませんが、私は、やはり日本において、日本も二千年の歴史を持つ国でありますし、商売というのはお客様のことを考えて行う、信用が第一なんだという考え方がずっとあったんですが、今は、もうければいい、ばれなければ、やり得だという風潮も起こってしまったんじゃないかと思うんですね。

 このことについては、いろいろな御意見もあると思うんですが、やはり小泉さんの責任は重いと思いますよ。市場原理主義、我に従わなければ切り捨てる。これは、確かに江戸時代、戦国時代はあったかもしれないけれども、やはり武士の情けというのもあったんですよね。何でもかんでもおれの意見に従わなければ切り捨てるなんという話じゃなくて、お互いに助け合うとか、そういう社会的な風潮もあったんです。

 それが何か、たまたまかもしれませんが、一変しちゃって、勝てばいい、手段は選ばずという、あれはなかなか格好いいじゃないか、確かにそういうのも一つだなというので、そういう社会風潮になってしまって、とにかく偽装して安く売れ、一円でも安く売れ、赤い色が足りなかったら何でもいいから赤い色を入れてとにかく新鮮そうに見せて売っちゃえばいいという、何かそういうものにみんな突き動かされてきたような感じがするんですよ。

 私は、福田政権が誕生というのは、まさに、そういう社会風潮を戒めて、小泉政権時代の負の遺産を一掃しようという動きかなと思ったんですが、どうもまだそこまでは踏み切れていないようですが、この問題については踏み切った、消費者保護、それを強化しようと。

 私も、この法案、いろいろ調べてみたりいたしましたけれども、一時、この消費者行政は、どんどん合理化しろ、民間にできるものは民間で、できるだけセンターは小さくしろというような流れが、新聞記事なんかを見ると、ここ三、四年顕著になっていましたね。そして市民の方も、まあ、しようがないのかな、非常に残念だなというので、弁護士会とか消費者団体もいろいろ声は上げるけれども、なかなか取り入れてもらえなかった。

 ところが、福田総理が誕生して、消費者庁をつくるぞ、その一言で随分姿勢が変わってきた。ここについては私は評価したいと思うんですね。

 そこで、お伺いするのでありますけれども、福田総理が消費者庁設立構想というものを打ち出しました。まあ、総理はいろいろ打ち上げるんです。道路特定財源の一般財源化というのを打ち上げたけれども、きのう一応、四、五人で集まって、ほぼそれでやろうじゃないかというような話になったらしいんですが、具体的な話になると、いや、もちろんいろいろ問題がありますよというので、よくわからない。

 この消費者庁設立構想というのは、一体、福田内閣のまさに担当大臣として、どういうふうに受けとめて、どうやろうとしているのか、まずお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 福田総理の消費者行政一元化に向けての取り組みでありますが、先ほど大畠委員御指摘のように、さまざまな消費者問題にかかわる事案や事件が発生しています。こうした事態を受けて、行政としても、政府としても全力でこの対応をしなければいけないわけでありますが、そういった中で、改めて日本の行政の仕組み自体も、縦割り行政によって、どうも谷間事案が発生したのではないか、横の情報の共有が不十分だったのではないか、あるいは国民からの情報も速やかに一元化できなかったのではないか、こんな行政のあり方につきましてもさまざまな問題点が指摘をされたところであります。

 そういった中で、ぜひ、日本の行政のあり方も、消費者、生活者の視点からいま一度総点検をするべきではないかということで、生活安心プロジェクトというプロジェクトが立ち上がって、議論が進められるようになったわけですが、その中で、今、中国のギョーザ問題が特に大きなきっかけではありましたが、消費者行政推進会議という有識者会議を新たに立ち上げて、そこが中心になって、この行政の一元化の議論は進められています。

 その中で、まだ議論は五月へと続いていきますので、結論はまだ先ではありますが、やはり、生活者、消費者の視点から見直すということであるならば、消費者、生活者にとってわかりやすい行政をつくらなければいけない、消費者、生活者から寄せられた情報がしっかりと集約される、集約された情報にしっかりと対応する、そして、対応するための権限をしっかり持っている、こういった新しい組織をつくっていこうという議論が、大きくは今、進められているというふうに感じています。

 ぜひ、そういった新組織をつくることによって、こうした総理の思いを形にしたいというふうに思いまして、担当大臣として今努力をしているところであります。

大畠委員 私は、福田総理、いろいろ御苦労されていると思うんです、本音ではどういうふうに考えているのかよくわかりませんけれどもね。やはり小泉政権時代の、あの市場原理主義一辺倒の社会をつくれば日本はよみがえるという一つの暗示というものが日本人にかけられたんですけれども、その結果、日本の国の、特にふるさと関係は非常に疲弊して、国民生活もみんな疲れています。

 ですから、この被害者を救済するという手段を強化すると同時に、被害者が出ないようにすることも大事なんですよ。被害者を救済すると同時に、被害とかそういう事件が起こらない社会をつくることも政治の責任だと私は思うんですね。

 ですから、岸田大臣には、福田内閣の一員として、いわゆる行き過ぎた市場原理主義の弊害というものを是正しようという一つのメッセージを、福田総理にかわって、福田さんも割と謙虚な方ですから、少しそこら辺をサポートしてメッセージを出し始めるということが今国民のために大事だと私は思いますので、その点については御努力をさらに一層お願いしたいと思います。

 そこで、先ほど、私どもの同僚の園田議員、西村議員、吉良議員からいろいろお話がございました。新しい構想も大事だけれども、それを進めると同時に、既存の機関が十分に機能していない、ここが一番問題ではないかという御指摘がございました。

 そういう中にあって、私が見るところ、経済産業省、金融庁、農水省、厚生労働省、それぞれがこれまで努力をしてきたんですが、私が挙げた順序は大体成績のいい順序だったかもしれませんが、まず、経済産業省、金融庁、農水省、厚生労働省、それぞれこの消費者問題に対して現在どういう取り組みをしているのか、そして、福田総理の一元化構想に対してどのような対応を考えているのか。特に各省庁がばらばらではないかというような指摘も受けているところでありますが、それぞれ省庁も苦労していると思うんですが、そのことについて、各省庁の現状と現在の対応策についてお伺いしたいと思います。

橘高政府参考人 お答え申し上げます。

 今お示しがありましたように、国民の安全、安心の確保、消費者対策、これは内閣全体の重要な政策課題でございます。産業政策の観点からも重要でございまして、経済産業省といたしましても、消費者保護の観点から、積極的に施策の立案、実施に取り組んでまいっておるところでございます。

 制度改正を中心に具体的な取り組みの例を御説明申し上げますと、まず、製品安全の対策につきましては、一昨年また昨年と、続けて消費生活用製品安全法などの改正をさせていただきまして、製品事故情報の報告、公表制度、あるいは長期使用製品の安全点検制度などを創設させていただきました。

 また、いわゆる悪質商法対策につきましては、まさに本日このような形で御審議をいただいております消費者団体訴訟関係に加えまして、訪問販売などによる高齢者の方の被害の深刻化に対応するため、特定商取引法及び割賦販売法の抜本的改正案を現在提出させていただいているところでございます。

 また、法の執行でございますが、特定商取引法に基づく悪質事業者の取り締まりにつきまして、積極的に取り組みを強化しておるところでございます。平成十九年度では、国と都道府県と合わせて、対前年度比で二倍以上の百八十件の行政処分を行ったところでございます。

 今後とも、関係省庁と密接に協力をしながら、消費者保護の取り組みに省を挙げて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 また、消費者行政を推進するための新組織のあり方につきましてでございますが、現在、大臣から御答弁ありましたように、官邸の消費者行政推進会議の場において検討が進められておるところでございます。私ども経済産業省といたしましては、消費者にかかわる幅広い政策分野がございますので、いかにそれぞれの政策分野における実効性というものを上げていくか、また、それにふさわしい組織のあり方というものについて、そういう観点から御議論をいただければと考えておるところでございます。

大藤政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、金融システムの安定や透明、公正で活力のある市場の確立と並びまして、利用者保護、利用者利便の向上を三つの行政目的の一つとして掲げているところでございます。

 例えば、最近では、保険金不払いの問題や外為証拠金取引業者への対応、貸金業法等の改正など、利用者保護の徹底を図るための制度整備や厳正な検査監督対応に努めるとともに、苦情相談についても、利用者の目線に立った相談苦情処理体制の充実に努めてきたところでございます。

 苦情相談処理体制につきまして若干申し上げますと、平成十七年の七月に金融サービス利用者相談室というものを開設いたしまして、金融サービス等に関する利用者からの質問、相談、意見等に一元的に対応することによりまして、金融サービス利用者の利便性の向上、アクセスがしやすいようにということを図っているところでございますし、そこに寄せられた情報を金融行政に有効に活用しているところでございます。また、PIO―NET端末を設置するなど、国民生活センターが収集した苦情相談情報の有効な活用にも努めているところでございます。

 現在、消費者行政推進会議の場等で消費者行政を統一的、一元的に推進するための新組織のあり方について検討がなされていると承知しております。金融庁といたしましては、新組織が政府のさまざまな分野で担っている消費者行政の統一的、一元的な推進や質の向上に有効に機能するとともに、金融行政との連携が効率的に行われることを期待しているところでございます。

 また、苦情相談対応につきましても、その中で消費者にとってわかりやすい窓口の設置が検討されているものと承知しておりまして、金融庁としては、こうした窓口と適切な連携を図り、金融サービスの利用者保護、利用者利便の一層の向上が図られるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。

谷口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、消費者の方々への対応でございますけれども、農林水産省では、本省それから地方農政局等の全国四十七カ所でございますが、消費者の部屋というものを設置いたしまして、消費者の方々からの農林水産行政全般、また食料の生産、流通それから消費、さらに食生活などに関します相談や問い合わせを広く受け付けておるところでございます。

 平成十九年度の相談件数につきましては、食品の偽装表示問題でございますとか中国産冷凍ギョーザの事案等もございました関係で、約三万五千件に上る相談、問い合わせを受け付けたところでございます。相談の内容も、食品の表示方法や安全衛生に関する相談はもとより、食品の調理方法などの商品知識の話でございますとか、それから農産物の栽培方法、こういった幅広いお問い合わせにつきましてもお受けをしておるというところでございます。

 こうした消費者の皆様方からの多様な相談、問い合わせに対しまして、できるだけ一つ一つ丁寧にお答えをさせていただいているところでございますけれども、とりわけ健康被害情報等、他の機関にも関係する相談につきましては、関係機関と情報をとにかく共有いたしまして、谷間に落ちないように一体的に対応するよう努めておるところでございます。今後、こういったことをさらに肝に銘じまして、一層消費者の方々への対応を丁寧に図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 次に、消費者庁問題でございますけれども、この点につきましては、先ほどから大臣の話もございましたけれども、消費者の方々、生活者の方々の視点というものに立脚をいたしまして、消費者行政を統一的、一元的に推進をするための強い権限を持つ新組織のあり方というものがまさに推進会議の方で検討されておるということを私ども認識いたしております。

 農水省の所掌する分野というのが、国民生活関連分野という形で分けられておりますけれども、この分野につきましては、食品表示のほか、悪徳商法それから金融商品等、非常に広い範囲に及びますことから、消費者の方々から見て本当にわかりやすい行政というものの機能を、どうあるべきかということについて、これはぜひ政府全体としてきちんと検討するというところが大切ではないかというふうに認識をしておるところでございます。

薄井政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働行政の目的、これは国民生活の保障、向上を図るということでございまして、食品、医薬品、医療機器といったようなもの、あるいは医療、福祉といったサービス、いずれも消費者、生活者と非常に密接に関連をしてくるものでございます。消費者、利用者への情報提供であるとか安心、安全の確保というのは常に意識して仕事を進めていかなければいけないと考えているところでございます。

 厚生労働行政の分野では、実際の事務の執行は地方自治体にお願いしている部分が多いわけでございまして、消費者からの相談なり苦情といったものも、例えば食品であれば保健所とか、こういった形で地方自治体の方で受け付けることも多いわけでございます。

 また、直接厚生労働省に相談なり御苦情をいただくケースもございますが、厚生労働行政の相談室というものを設けておりまして、そちらで受け付ける、あるいは直接担当の課や部屋にそういうふうなものがあるということもございますが、いずれにいたしましても、その内容に応じまして必要な対応をするべく努力をいたしているところでございます。

 それから、国民生活センターとの連携ということも我々意識をしなければいけないと考えておりまして、政策提言等がありましたら、それに対して必要な対応をする。先般、PIO―NETの端末も設置をさせていただきましたけれども、国民生活センターの方で集められた情報も活用させていただくということで取り組んでまいりたいと思っております。

 それから、消費者行政を一元的に推進するための新しい組織でございますが、先ほど大臣からございましたように、今、消費者行政推進会議で御議論が進められているところでございますけれども、厚生労働省といたしましても、国民生活の保障、向上を図るというこの任務を果たし、本当に消費者あるいは国民の立場に立った施策の展開ができるように、協力して施策の実施に当たってまいる必要があると考えているところでございます。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

大畠委員 ただいまそれぞれから取り組み状況について御報告をいただいたわけですが、それぞれは努力しているんですよね。努力しているんだけれどもまだまだ、先ほど相談件数が三倍で百十万件というところにまで入っていますから、それぞれのところにもいろいろな形があると思うんですが、そこのところを一つにするというのも大変大事なことです。

 午前中の参考人質疑のときも、静岡県中部県民生活センター所長の望月さんの方から、もう既に一つのフロアに弁護士さんとか電話相談とか何かが一つに集まってやっているから、電話を受けたときに、これはどうするというので、すぐ対応をまとめて、結構消費者のところに情報を提供することができると。

 ですから、経済産業省も農水省も金融庁も厚生労働省も、そういうところがワンフロアに集まって、電話とか問い合わせが来たときに、その場でばたばたしながら対応すれば、随分私は即効性があると思うんですね。ですから、まず、現在の機能をどう強化するかということも大変私は大事だと思うんです。

 それじゃ、四省庁の皆さん、御退室していただいて結構でございます。ありがとうございました。

 そこで、大臣、今、各省庁はそういうふうに努力はしています。ただ、残念ながら、濃淡はあります、力の入れようによって。ここのところをどう束ねてやっていくかなんですよ。

 ですから、新しい構想を展開すると同時に、今やっているところをどうやって強化するかというのが、両方必要なんですね。新しい建物をつくったり、新しい組織をつくれば、それでパーフェクトな対策がとれるというものじゃなくて、同僚議員からもお話があったように、どうも、この十年というか、この五、六年、徐々に徐々に予算が削られてきた。特に、午前中の参考人の方から、一%ずつ毎年予算を削りなさいと言われていると。これがきいているんですよね。

 それで、お伺いしたいのは、国民生活センターという国の機関と消費生活センターのこの十年間の予算規模等々があらわしていると思うので、参考資料をお配りさせていただきました。吉井委員からもわかりやすい資料がございますが、私のは一覧表でございますけれども。

 まず、一覧表のものを見ると、平成七年のときが大体ピークですね。それから、十九年というのが今のところ最低新記録になっていますね。予算は半分。ですから、この間、いかに消費者行政というものに政府の方が力を抜いてきたかというのは、予算で大体わかるんですね。

 それから、もう一つの紙、これは日本消費経済新聞という新聞がまとめていただいたものですが、この出典のデータは内閣府が出された資料で、平成二十年の一月に、内閣府国民生活局の消費者調整課というところが、平成十九年の地方消費者行政に関する調査結果の概要というデータから一覧表にしたんですが、この表を見ると、現在の組織のいろいろ問題点というものも浮かび上がってきています。

 左側の方に全国の「一般会計予算の増減」というのがあるんですが、これが全国平均でマイナス三一・七%、これがいわゆる三位一体改革の結果ですよ。それから、その次、「消費者行政本課予算の増減」というのもマイナス四〇。

 一覧表がありますか、大きい紙の一番下の方なんですが、「全国平均」というのが下にあります。上の方に、ちょっと見づらくて恐縮ですが、左側の方から「一般会計予算の増減」、二番目が「消費者行政本課予算の増減」。

 これを見ると、一般会計予算がマイナス三一・七%、消費者行政本課予算の増減というのがマイナス四五%。それから、センター予算というのは一〇%、一生懸命頑張って予算をつけているようですね。

 それから、この表のおもしろいというか興味があるところは、一番右側の「特定商取引法行政処分件数」というところがありまして、その備考欄、「処分実績のない理由」というところを見ると、上の方からいくと、処分相当の悪質な事案がないというのがあったんですが、山形県の例は、専任担当者がいない、それから群馬県も、処分した経験がないためにやりにくい、それから富山県、処分した経験がないためにやりにくい、それから三重県、処分した経験がないためにやりにくい、鳥取県、専任の担当者がいない、徳島県も専任の担当者がいない、福岡県もいない、長崎県もいない、鹿児島県もいない、沖縄は、処分した経験がないためにやりにくい。

 ちょうど今読んだのは、一番右側の「処分実績のない理由」というところにアンケートで来たものなんですが、私は、これを見る限り、とにかく消費者行政というものはどんどん力を抜いて、予算でいえば半分になってしまった、これが実態。そして、訴え件数は三倍になった。そこで、これからどうするかというので、一元化というのを福田総理が打ち出されたわけでありまして、それについては何の異論もございません。

 そこで、予算がこれだけ減って、それから、なぜ一%予算を削減するという、地方自治体が三位一体改革で困ってやっているんですが、ここのところに歯どめをかけない限り、どんな一元化をうたったって、実際のセンサーは地域にあるわけですから、そこのところがどんどん衰退したら、立派なお城を中央につけても実効ないと私は思うんですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、消費者行政、特に地方の消費者行政における予算というのは激減しております。

 今、消費者行政を考える際に、やはり国の消費者行政組織も見直さなければいけませんが、これは地方の行政組織と一体となって成果が上がるものだというふうに思っていますので、国と地方の連携、一体となったその改革、大変重要だというふうに思っています。

 消費者行政推進会議、有識者会議においても、この点、第三回の会議で国と地方というテーマを特別に取り上げてこの問題を議論していただいていますが、地方の重要性につきましては認識が深まっているところであります。

 地方の消費者行政というのは自治事務でありますので、具体的にどういった予算を割くのか、どういった対応をするのか、これは地方自治体の自治にかかわる問題ではありますが、やはり消費者行政全体として成果を上げるということであるならば、国民の接点であります地方の消費者行政あるいは地方の窓口、これは大変重要だという認識のもと、国としましても、地方のありようにつきまして、地方自治に反しない範囲内でぜひしっかりと支援等を考えていかなければいけないのではないか、そんな認識を持っています。

大畠委員 それから、商品テストというものについては、一段とと言うのはおかしいんだけれども、激減もいいところですね。

 私がいただいた資料によりますと、平成九年度には、商品テスト職員、これはちょっと資料は配っておりませんけれども、二百十三人おられたんですが、平成十九年度は八十人、二分の一以下ですよ。国民生活センターの方でも、商品テストのところはどんどん力を抜いているというふうに私は見ました。

 先日、国民生活センターの品川の事務所に行きましたけれども、非常に元気がないんですね。それはやはり、一生懸命頑張っているんだけれども、それが政府に評価されていないわけですよ。そして、予算が半減されて、自治体の方も一%ずつ、何か無理矢理、例えば多少おなかの回りに余分な脂肪があればそれは削ってもいいかもしれないけれども、心臓の皮まで削っちゃったんでは意味がないわけですよ。

 ところが、地方のやり方は、もう背に腹はかえられないと言って、あなたのところ二%削ってくれと言うと嫌だと言うから、では全員一%削るといって、必要なものも全部そぎ落とし始めているんですね。

 ですから、私は、この商品テストなんかは、特にこれだけ諸外国からたくさんの商品が入ってくるし、また、厚生労働に、薬だとか何かも入ってくるから、商品テストのところはどこがやるかといったら、やはり国の方が力を入れてやらなければ、やるところがないので、地方の商品テスト、あるいは国の国民生活センターの方でも商品テストというのはしっかりやるべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 国民生活センターの役割の中でも、この商品テストというのは、専門性の確保という意味から大変重要だというふうに思っていますし、その他、情報提供という意味でも大変重要だというふうに思っています。

 この商品テストの部門につきましてもしっかりと充実させていかなければいけないと思いますが、加えて、これは他の省庁所管の独立行政法人の中にも、この商品テストにおいて大変すぐれた能力を持った独立行政法人があります。昨年末、独立行政法人改革の議論の中で、ぜひこうした他の独立行政法人の専門能力をしっかり活用する形で、こうした国民の期待にこたえることを考えるべきではないか、こんな議論を行ったわけですが、ぜひ、こういった体制も工夫することによって、国のレベルでの商品テストの充実に努めていきたいと考えております。

大畠委員 それから、一番先端で頑張っていただいています相談員なんですが、いろいろ資料を見ると、一年ごとにしか契約してもらえない、あるいは三年で雇いどめ、五年で雇いどめ。辛うじて、一年ごとの更新だけれども二十年間働いてきた人もいるようですが、先ほどからお話があるように、給料が非常に安い。なぜ、相談員というのは非常勤で正社員じゃない形になってしまっているのか、ここについての大臣の御認識を伺いたい。

岸田国務大臣 相談員の待遇につきましても、御指摘のように大変厳しい状況にあるというふうに認識をしています。

 どうしてこうなったかということにつきましては、やはり厳しい財政状況の中で、各地方自治体がそれぞれいろいろな工夫をする中で、こうしたことになったのではないかと想像はいたしますが、各相談員の役割の大きさということを考え、また、あるべき姿、しっかりと検討していかなければいけないと考えています。

大畠委員 例えば、データ処理するのはだれでもできるんですよ、一言で言えば。電話を受けて生の声を聞いて、本当にこの人は困っているのか、ひょっとしたら自殺するんじゃないか、それがわかるのが電話口ですよ、相談口ですよ。そこを非正社員にしておいて、中でその受けたメモを見たり、ちょろちょろやるのが正社員というのは、何か私は本末転倒なんじゃないかと。

 データ処理とか何かは、それはある程度、正社員が望ましいんだけれども、あるいはデータ処理にたけた人でもいいかもしれない。でも、電話口で生の声を聞く、消費者の声を聞く、その一番大事な部分をほとんど非正社員にしているという、消費者行政の姿勢の象徴的なものじゃないかと私は思うんですよ。大臣、ここのところを私は改めてもらいたい。

 それからもう一つ、弁護士それから行政書士、町の中に結構いますよ。そういう専門家に電話口でやってもらう、こういうことも根本解決に必要なんじゃないですか。総理みずから、消費者行政を改める、そして力を入れていくと言ったんですから、日本の国の総理大臣が言ったんですから、せめて電話口のところに弁護士とか行政書士とかベテランの正職員を配置するぐらいの改革があって初めて、消費行政に福田内閣はメスを入れたということになるんじゃないかと私は思うんです。決して消費者庁というものをつくったとか削ったとかという話じゃないと私は思うんです。

 もう一度、これについての大臣としての熱意ある温かい答弁をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 大畠委員御指摘のとおり、相談員の役割というのは私も大変重要だと思っています。

 相談員の資質あるいは対応能力、専門能力、こういったものによって、処理の効率も変わってくるんでしょうし、紛争の解決、結果も変わってくるというふうに思っていますし、また、今、消費者行政の議論をしていますが、情報の一元化、集約ということにおいても、窓口、相談員の対応によって随分と結果が変わってくるのではないか、こういった点で大変重要だというふうに思っています。

 具体的にどういった人材を集めるかということについては一度検討してみたいと思いますが、相談員の重要性、これはしっかりと頭に置いておかなければいけないと思っています。(発言する者あり)

大畠委員 私が担当大臣だったら即、まあ予算の方はどうするんだというけれども、やはりやりくりすれば、今も裏の方からお話がありましたが、職員の人と交代するとか、職員を電話相談に教育してやってもらうとか、そういうことが必要だし、今ちょっとお話がありましたが、道路特定財源を一般財源化してそっちの方に充てるなんというのも、今のままじゃできないんですから。

 やはり、そういう意味でも、もうちょっと工夫を、福田内閣総理大臣が号令をかけたんですから、ぜひ岸田大臣の力量を発揮していただきたい。

 それから、最後になりましたけれども、先ほど岸田大臣の方から、紛争解決委員会の仲介委員、仲裁委員は、消費者のために積極的に後見的役割を果たすことが期待されている、あるいは、必要に応じて消費者のために積極的に後見的役割を果たすことが前提となっている、あるいは、中立かつ公正な立場においてその職務を行うことは消費者利益の擁護、増進を図る機関としての国民生活センターの趣旨に反するものではないという趣旨の御答弁もいただきましたので、民主党としてこの二法案には賛成するということを申し上げて、質問を終わります。

中野委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 最初に、政府参考人の方に伺っておきたいと思いますが、近年、消費者紛争の件数は増加傾向にあり、内容も複雑多様化していて、国民生活センターや都道府県の消費生活センターに寄せられる相談件数というのは、午前中来ずっとこれまで議論がありましたように、年間三十五万件から百十万件へと約三倍、その中で業者側に取り次いだあっせん件数は約三万八千件から六万件へと増加し、うち、あっせんが不調に終わったものが約二千四百件から四千八百件へとこれも二倍になっているわけですね。

 こうしたときこそ、消費者相談員の方々が全国で消費者被害の解決のために努力してこられたことを、さらに国や地方自治体が後押しをする、応援をするということが今一層強く求められているときだと思います。

 国民生活センターの業務に、和解の仲介や仲裁によって裁判外紛争解決手段を強化するということは、これは消費者紛争の適正で迅速な解決を促進するということにつながるものというふうに考えております。

 ところで、消費者基本法の理念には、消費者被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利と明示されているんですが、国民生活センター法には消費者の紛争解決処理について定めた具体的な明文規定がこれまでなかったということで、また、他の法律にも消費者紛争について解決の手段を規定したものがないという中で、法の穴を埋めていくというものになり得るものだというふうに考えているものです。

 そこで、法案について、改正案に出てくる重要消費者紛争に該当すると想定される紛争件数、そしてその類型はどういうものかということを最初に伺っておきます。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 これから新しい委員会が重要消費者紛争として処理するであろうと想定しております件数については、大体二百件程度ということを想定しております。

吉井委員 類型の方は、複数の県で被害が起こり得るものとか、製品により死亡など重篤なものに結びつくと考えられるものとか、新手の手口で、おれおれ詐欺など、そういうふうに一地域から全国的に広がり得るものなどを大体考えてやっていくということですね。うなずいておられるということで、時間とりますから、確認したということにしておきますが。

 民間にはADRを行っているところがあって、弁護士会、財団法人日本消費者協会、それから社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、家電製品PLセンター、消費生活用品PLセンターなどありますが、この民間ADR機関との連携がうまくいってこそ、消費者問題の解決に結びつく上で大きな力が出てくると思うんですね。

 これら民間ADR機関との連携、情報交換はどういうふうにとっていくのかということを次に伺っておきます。

岸田国務大臣 吉井委員御指摘のように、官民のADR機関の連携というのは大変重要だというふうに認識をしております。

 民間の機関がその特徴を生かしながら消費者紛争の解決を図っていく、これはもちろん重要なことでありますが、しかしながら消費者紛争の特徴ということを考えますと、少額の紛争であることが多いという点があります。そういったことから、当事者、民間のADRにしても、十分な手数料収入が見込めないというようなケースも想定をされます。

 そういったことになりますと、機関の運営のために他の財源を確保する必要が出てくるということで、結局、事業者団体が主導の民間ADRというものも多くなってくるということも考えられます。もちろん、こういった民間ADRも大変重要なわけでありますが、こうした事業者主体の民間ADRということになりますと、アウトサイダーですとか、事業者団体が存在しない事業者ですとか、複数事業会にまたがる紛争の対応ですとか、こういった限界があります。事業者主体ということになりますと、得意の分野においてはしっかりと力を発揮するのでありましょうが、結果としまして、対応する範囲が限定されるというようなことも考えられるのではないかというふうに思います。

 ですから、こうした民間ADRのありように対して、官のADRがしっかりと補っていかなければいけない。消費者問題の多様性にかんがみて、特定の業種や分野に偏らないとか、さまざまな工夫によって公正、中立性を保っていく、それから、全国あまねく供給されるように努力するとか、こういった役割を官の方のADRは担っていかなければいけない、そのように思っています。

 このように、民のADRと官のADR、ぜひしっかりとした役割分担のもとに連携していくということが大切な点だというふうに考えています。

吉井委員 これまで、消費生活相談員の方が法律を駆使して、被害者救済あるいは被害者利益の実現を図るために随分頑張ってこられたわけです。もちろん国民生活センターの方でも相談員の方は随分頑張ってこられたんですが、センターにADR機能が入ることによって、これまで相談員が解決できたのに、国民センター法改正以降、悪徳業者の方が、消費生活相談員の方たちには法的根拠がないじゃないかと開き直ったりとか、あるいは言いがかりをつけてくるようなことになってくると、消費生活相談員の努力にこたえようとしないようなことが出たりすると、逆にこれまでの裁判外解決が減少することもあり得るわけです。

 この点は少し懸念されるところでもありますから、そういうことにならないようにどう取り組んでいくかということも、大臣に伺っておきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のような点が発生しないように注意はしていかなければいけないと思っています。

 ですから、例えば民間の機関の方がより機動的、迅速に対応することができるとか、専門能力が高いということになれば、国民生活センターのADR組織が逆に民間のADRの機関を紹介するというようなことも考えていかなければいけないのではないか。そういうことで、それぞれの特徴を生かして、これだけ膨大な消費者紛争件数があるわけですから、しっかりとそれぞれの役割を果たしながら、分担しながら対応していくことが大切だというふうに思っています。

吉井委員 次に、政府参考人に少し伺っておきますが、今も大臣からありました、これだけ膨大な案件があるわけです。そうすると、消費者行政の予算と体制の問題。これも午前中からずっと議論されてきたところですが、国民生活センターに寄せられる消費者問題の件数は十年間で三倍にふえています。これに対応する予算は、二〇〇一年度の消費者行政の推進に必要な経費約十二億六千七百万円だったのが、国民生活センター運営費交付金とか国民生活センター施設整備費補助金というのを除いた消費者行政推進に必要な経費として計上した予算、これが二〇〇八年度には幾らになっているか、伺います。

西政府参考人 二〇〇八年度の予算につきましては、国民生活センターの予算は、運営費交付金で大体約三十億となっております。

 そのお答えでよろしかったでしょうか。

吉井委員 運営費交付金じゃなくて、消費者行政の推進に必要な経費として上げていますね、計上していますね。その分です。

西政府参考人 ちょっと今、即答できません。調べさせてください。

吉井委員 いや、それはあなたのところからいただいているんですが、これは要するに二億六千三百万円ですね。

 つまり、さっき大臣は大畠議員の質問のときに、地方のいろいろな相談、地方の方は自治事務だ、だから地方で予算が減っておってもなかなか手をつけにくいみたいなお話に受けとめられたんですけれども、実は国の方も、これは消費者行政の推進に必要な経費というので見れば、二〇〇一年度十二億六千七百万円だったのが、二〇〇八年度予算では二億六千三百万円なんですね。ですから、約五分の一ぐらいに減ってしまっているんですよ。これは交付金の方を入れたとしても、さっき交付金のトータルで言うてはったけれども、これでも当初の、二〇〇一年の三十九億六千二百万円ぐらいから約一割減っているんですね。ですから、国も地方も本当に消費者行政の予算というのが減ってしまって深刻だということを見ておくことが必要だと思うんです。

 実は、人的な側面ではどうかという点では、内閣府が出した国民生活センターの消費生活相談員の数に関する資料を見てみて本当に驚いたんですけれども、九七年には八人、二〇〇七年度になってわずか十四人、すべて非常勤。さらに、消費生活相談員の方は、応募条件として、つまり資格としては、消費生活専門相談員の有資格者または消費生活相談員の養成講座修了者ということが必要なんですね。だれでもできるわけじゃない専門性が求められているわけですし、日々新しい情報を入れて研修に励む必要があるんですね。

 ところが、国民生活センターの職員の年収は、交通費込みで最高で約三百万円、最低で約二百二十万円、平均で約二百五十万円。ですから、交通費で実費がかかる分を取れば、本当に国民生活センターの方で頑張っていたただいている方でも、年収二百万円を実質的には切ってくるワーキングプア状態、こういうことになってくるわけですね。

 すべて非常勤で、この年収で、これでこの機能が回っていくだろうか。これはやはり少なくとも望ましいあり方ではないというふうには大臣も思われると思うんですが、どうですか。

岸田国務大臣 御指摘のように、相談員の待遇は大変厳しいものがあるというふうに認識をしています。一方で、相談員の役割の大きさは消費者行政の現状の中で大変大きいものがあるというふうに思っています。

 今、消費者行政の見直し、そして今も、国民生活センターの機能も拡充しようという法律をお願いしているわけでありますので、こうした法律の改正ですとかあるいは組織の見直しの中で、待遇面におきましても、いま一度考えてみる必要があるのではないか、そのように思っています。

吉井委員 マスコミの方でも、政府が消費者行政を一元的に扱う新組織を検討しているが、しかし、実際には消費者トラブルなどの情報を吸い上げている地方の消費者行政の弱体化が著しいということを指摘されていて、先ほど大畠議員の方から資料として表が配られました。私がお配りしたのは、それをちょうどグラフ化しておりましたので、絵で見ればこんなふうに下がっているということがよくおわかりいただけるものです。

 九五年度の約百九十九億九千二百万円だったのが二〇〇七年度で百八億三千万円ですから、約二分の一に減っているわけですね。これは、下はゼロからいっていませんから、上の変化の部分だけですから、グラフとしては、本当はちょっと波線を入れて切っておかなきゃおかしいということになりますが。

 それで、地方の消費生活相談員の方の資料をもらっていますので、この十年間の相談員の一人当たりの相談件数というのがどうなっているかということについても私、思うんですが、この点では、政府参考人の方に伺っておきますが、一人当たりの相談件数の方はどうなっていますか。

西政府参考人 消費生活センターの相談員で申し上げますと、大体三百件程度というふうになっております。

吉井委員 一人当たりの相談件数でいうと、これは今二倍になってきているでしょう。

 それで、相談員は、二〇〇六年度までふえたんですが、二〇〇七年度からは減少に転じていて、さらに中身が問題で、これは資料の二の方、二枚目の方をごらんいただきたいんですが、ふえたのは非常勤職員なんですね、全国で。正規職員は逆に減っております。

 地方の消費生活相談員の実情を見ますと、これは九八年度には常勤職員五・五%、これ自体少ないんですが、二〇〇七年度になると二・四%。非常勤が、九八年度の九四・五%だったのが二〇〇七年度は九八%なんですね。だから、九八%といったらほとんど一〇〇%なんですよ。国も、国民生活センターの方の相談員の方、非常勤で頑張ってもらっているんですが、地方も、九八%ですからほとんど一〇〇%、ほとんどは非常勤の方に頼っているというのが実情です。

 さらに驚くのは、正規職員をそもそも置いていない自治体、これは正規職員と非正規とを数字であらわした表がありますから、これで読み取っていくと、何と正規職員を置いていない都道府県が、かつて十六だったのが二十九県へと倍増しているんですね。

 苦情相談件数は約三倍にふえ、相談員の増加がこれに追いついていない。一人当たり相談件数は百七十一件から、先ほど約三百件とおっしゃった、二百九十七件へ二倍近く伸びている。これでは、ふえ続けている消費者トラブルの解決に本当に追いつかないんですよ。サービス残業で頑張ってもらっているんですよ、非常勤の相談員の方は。だから、消費者の立場に立った行政を進める体制をとっているとは、とてもじゃないが言えないというふうに、まず非常に厳しいとらえ方をして、それからどうするかということに移っていくということが大事だと思うんです。

 まず、その厳しい受けとめは大臣と私と変わりはないと思うんですが、どうですか。

岸田国務大臣 窓口における相談業務は、消費者、国民との接点という意味で大変重要だと認識をしております。しかし、その待遇につきましては大変厳しい状況にあるということ、委員御指摘のとおりだと思います。

吉井委員 これは三月十九日のこの委員会でも御紹介もし、大臣にも聞いてもらいましたけれども、全国消費生活相談員協会が発表した調査、相談員の実態をあのとき取り上げました。要するに、本当に年収二百万円以下の方が六七・二%という、そもそも地方でほとんど一〇〇%近い方が非常勤で、その方の六七・二%ですから、約七割がワーキングプア状態だ。雇いどめがあり、さあ帰ろうと思って相談電話がかかってきたら一時間ぐらいかかったりしますから、全部サービス残業なんです。

 そういうふうな深刻な状態に置かれているという、まずこの実態の方を、これは全国の消費生活相談員協会の方のまとめで私は三月十九日にも取り上げましたけれども、やはり国としても、大臣の方でぜひこの実情をきちんと把握する、そういう調査をしていただいて、そしてどこから手をつけてどのように解決していくのか。まず出発はやはり調査することから始まると思うんですが、大臣、どうですか。

岸田国務大臣 地方の消費生活センターの相談員の重要性にかんがみて、国としましても従来から、さまざまな情報提供ですとかあるいは研修の実施ですとか、こういったことで支援をしてきたわけでありますが、御指摘のように、実態の把握は大変重要だと思っています。ぜひ実態の把握に努めたいと思っています。

吉井委員 まず実態把握をしていただいて、これらの報告書の中でも、まずは消費者に最も近いところにいる相談員の待遇を確かなものにしてほしいという要望とかありますけれども、これはこの方たちの熱意にだけ頼っているのでは、やはり、経験を蓄積し前進していくということを図らないと消費者行政全体が進んでいくことになりませんから、まず調査の上で、具体的に体制をどう強化するかということをまたお考えいただきたい。

 きょうは、最初質問を予定していましたけれども、まず調査から始まりますから、それをやっていただいた後、また次の機会に、別な機会に体制強化をどう進めるかということを伺うようにしたいと思います。

 次に、団体訴権に関して少し伺っておきたいと思うんですが、悪徳業者の方は大体、消費生活相談員の少ない自治体をねらうとか、あるいは正職員がゼロの自治体で、どうも、少々むちゃをやっても行政命令なんか打ってこないな、そういうすき間を縫ってちょろちょろするということもあるようであります。

 まず、正職員ゼロの自治体、一番新しいデータを私、数え上げてみて二十九とさっき言ったんですが、全国で二十九都府県になっているということで間違いないかどうか確認をしておきます。

西政府参考人 ちょっと、行政的に私どもの方で正確に調査をしておりませんので、実態の数字は把握していないところでございます。恐縮でございます。けれども、その程度かなというふうには考えます。

吉井委員 だから、大臣もちょうど今お聞きいただいたように、調査、入り口から大事だというのは、要するに、今の答弁を聞いていただいても、実はこれは、内閣府の方から各都道府県別の状況を集めているものをいただいて、それで私、各都道府県の実情はどうかということを取り上げたわけです。

 それで、常勤、非常勤の話は私の方、大畠議員の方も先ほど全国の都道府県別の実情を示されたように、これはもともとそういうことがあるわけですから、まず、そういう調査からきちっと進めていくようにしてもらいたいというふうに思います。

 それで、都道府県には、特定商取引法により、不実告知とか書面交付義務違反などの業者には業務停止命令など行政命令がかけられると思うんですが、権限があっても処分しない自治体が多い。悪徳業者は、そういう自治体をねらって次々と連鎖販売や催眠商法などを拡大していると思うんですが、特商法に基づく行政処分の実態というのは全国的にどうなっているのか、伺っておきます。

橘高政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの法執行に当たりましては、経済産業省本省並びに地方局として取り扱っておりますものと、都道府県がみずから取り扱うものがございます。

 平成十九年度について申し上げますれば、経済産業省並びに局が処分を行いましたものが四十件、都道府県が処分を行いましたものが百四十件、合計で百八十件でございます。ちなみに、これは平成十八年度の合計八十四件、あるいは平成十七年度の合計八十件から見ますと、私ども、できる限り取り組みの強化ということに努めておるということでございます。

吉井委員 そういうふうに少しふえてきたりということはあるんですけれども、しかし、本来あるこの権限が十分発揮できていない。先ほど大畠さんの資料にも載っていたように、要するに、人がいなかったり使い方がわからないとか、いろいろなことがあるわけです。それが地方の実態なんですね。だから、法律はあっても必ずしも生きてこない、生かされてこないというのが現実の問題だと思うんです。

 そこで、消費者契約法に、あれは二〇〇六年でしたかね、改正したのは。団体訴権を入れたとき。施行が二〇〇七年ですね。改正がその前年だったかな。だから、改正は〇六年ということで団体訴権が追加されたんですが、これを特商法、景表法にも消費者被害の未然防止、拡大防止を可能とすることで消費者全体の利益を擁護しようというものなんですが、せっかく改正を図りながら、しかし、例えばそのときに附帯決議にうたっていた中の独禁法部分、これは今度まだ入っていないわけですね。抱き合わせ販売とか独禁法違反、あるいは独禁法に抵触するものとか、そういうものについてはまだ今度入っていないわけであります。

 それから、訪問販売などについても、特商法三条関係の氏名を明示しないものとか、四条、五条関係ですか、書面不交付にかかわるものとか、六条四項の、要するに公衆のいないところでの勧誘という事実上の威迫困惑行為に近いもの、あるいは七条関係の迷惑勧誘、判断力不足者に便乗するような行為とか、これらは本来、この面で行政命令を求める差しとめ訴訟をやって当たり前だと思うんですが、まだ必ずしも今度の法改正でそれが及ばないものがあるわけです。

 やはり長い間の消費者被害との取り組みからすると、団体訴権の及ぶ範囲をもっと拡大して、広く、悪い連中はどこかで被害が起こったら拡散しないように早目に差しとめができるようにする、そのことを通じて消費者利益の実現を図っていくということが大事だと思うわけです。

 ですから、今回の法律には必ずしもまだ載っていなくても、そういうものについて、この団体訴権の及ぶ範囲の拡大について一層の検討や拡大努力というものが必要だというふうに思いますので、大体あと一分ぐらいになってきましたから、最後に大臣にその改善充実へのお考えを伺って、質問を終わるようにしたいと思っています。

岸田国務大臣 今、委員からの御指摘もありましたように、特商法、景表法につきましては、行政処分、行政執行は行われているわけですが、それだけでは不十分だという認識のもとに、今回、景表法、特商法においても団体訴訟制度を導入して差しとめを可能にしたということでありまして、消費者利益を擁護する観点から、大変重要だというふうに思っております。

 また、今、消費者行政の一元化の議論をしておりますが、この消費者契約法に適格消費者団体の認定、監督手続を一元化するというのは、こうした行政の一元化の方向性とも一致しているというふうに考えております。

 そして御指摘の、見送った行為類型あるいは法律、これにつきましても、今後、関係省庁の対応とか検討状況も見ながらぜひ適切に対応を考えていかなければいけない、検討していきたいと考えています。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

中野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、櫻田義孝君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。泉健太君。

泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 国民生活センターの消費生活相談業務については、消費者契約をめぐるトラブルが急増・多様化している現状にかんがみ、これら消費者相談について的確・迅速な対応が可能となるよう、窓口や相談員の確保など体制強化を図ること。また、全国の消費生活センターをはじめ地方公共団体との連携強化・情報共有に努めること。

 二 紛争解決委員会の仲介委員・仲裁委員が職務を行うに当たっては、消費者の利益の擁護・増進を図るという国民生活センターの本来趣旨にかんがみ、消費者と事業者の情報力や交渉力に格差があることを踏まえつつ、必要に応じて、消費者のために積極的に後見的役割を果たすこと。

 三 和解仲介手続及び仲裁の手続の整備に当たっては、消費者をはじめとした当事者にとって負担の少ない手続とすること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。岸田国務大臣。

岸田国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。

    ―――――――――――――

中野委員長 次に、内閣提出、消費者契約法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、櫻田義孝君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。泉健太君。

泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    消費者契約法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

 一 特定商取引法及び景品表示法への消費者団体訴訟制度の導入の意義を踏まえ、適格消費者団体と関係行政機関との連携や制度の適切かつ効率的な運用に留意すること。

 二 消費者被害の救済の実効性を確保するため、適格消費者団体が損害賠償等を請求する制度の導入について、引き続き検討すること。

 三 適格消費者団体による差止請求の対象行為については、特定商取引法において本法案の対象とならなかった条項(政省令事項を含む)にかかる行為や、詐欺・強迫行為を伴う勧誘行為、民法の公序良俗に違反する条項を含む消費者契約の意思表示、不当な契約条項を含む消費者契約の意思表示を行うことを推薦し提案する行為(いわゆる推奨行為)等をはじめとして、その範囲の拡大について引き続き検討を進めること。また、独占禁止法等の消費者関連諸法についても、消費者団体訴訟制度の導入について検討を進めること。

 四 国及び地方公共団体は、適格消費者団体の活動が促進されるよう、円滑な資金の確保や情報提供など環境整備に努めること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。岸田国務大臣。

岸田国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。

    ―――――――――――――

中野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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