衆議院

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第16号 平成20年5月16日(金曜日)

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平成二十年五月十六日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 中野  清君

   理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君

   理事 櫻田 義孝君 理事 高市 早苗君

   理事 村田 吉隆君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    遠藤 宣彦君

      大塚  拓君    加藤 勝信君

      木原 誠二君    河本 三郎君

      戸井田とおる君    土井  亨君

      中森ふくよ君    西村 明宏君

      萩生田光一君    藤井 勇治君

      市村浩一郎君    吉良 州司君

      楠田 大蔵君    佐々木隆博君

      西村智奈美君    馬淵 澄夫君

      石井 啓一君    吉井 英勝君

    …………………………………

   国務大臣         大田 弘子君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   総務大臣政務官      二之湯 智君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   藤岡 文七君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  西  達男君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        戸塚  誠君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            三村  亨君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 津曲 俊英君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 榮畑  潤君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           瀬戸比呂志君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            長尾 尚人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           菊川  滋君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           川本正一郎君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     野田 佳彦君

  石井 啓一君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  野田 佳彦君     市村浩一郎君

  西  博義君     石井 啓一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社地域力再生機構法案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社地域力再生機構法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官藤岡文七君、国民生活局長西達男君、公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、金融庁総務企画局参事官三村亨君、総務省大臣官房審議官津曲俊英君、榮畑潤君、経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、大臣官房審議官瀬戸比呂志君、中小企業庁経営支援部長長尾尚人君、国土交通省大臣官房審議官菊川滋君、川本正一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。自由民主党の赤澤亮正でございます。本日は、質疑の時間を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 本日、地元から若手応援団、といっても一人でありますけれども、来ておりますので、張り切って、株式会社地域力再生機構法案について、関連していろいろとお尋ねをしたいと思います。

 私の地元の鳥取県を初め、地方経済には現在非常に大きな暗雲が垂れ込めております。地方経済の状況は急速に悪化していると言ってよい状況だろうと思います。

 というのも、しばらく前までは、非常に長期にわたる景気回復が続いて、主に都市部などでは、ビル建設ラッシュなど空前の活況を呈しているという状況もございました。地方はそれを横目で見ながら、景気回復の波がなかなか地方には来ないなと感じていたところでございます。鳥取県の場合であれば、県全体で有効求人倍率が〇・七前後、一向に一・〇には近づかないといった状況で、似たような経済の低迷を経験している道県が全国に多数あるという状況でございました。そのうち景気回復の波がこれらの地方にも来るとの説がまことしやかに語られ、地方もこの説に希望を見出して、できる限りの努力をしてきたところでございます。

 しかしながら、その後実際に起こったことは、委員の皆様御案内のとおり、米国におけるサブプライムローン問題の発生でありますとか、原油、穀物など原材料価格の高騰、あるいは国内的に見ても、建築確認の厳格化による経済の混乱など、さまざまな要因によって、今や国全体の経済の先行きにも黄色信号がともっているんじゃないかというような状況になっております。地方のはかない希望も打ち砕かれかねないような状況であると言っていいということでございます。

 かかる状況認識のもとで、結論から申し上げれば、私は、本日当委員会が審議を行っている地域力再生機構法案、この目的に掲げられている、雇用の安定などに配慮をしながら地域経済の再建や地域の信用秩序の基盤強化、こういったものの必要性は非常に高い、かつ、そのために地域力再生機構を設立し、同機構が、これは法案の条文、目的、第一条をそのまま読みますけれども、「金融機関、地方公共団体等と連携しつつ、地域経済において重要な役割を果たしていながら過大な債務を負っている事業者に対し、当該事業者に対して金融機関等が有する債権の買取りその他の業務を通じてその事業の再生を支援する」、これは非常に有効であると考えます。地元鳥取県の関係者の間でもこのような仕組みを求める声は強いです。

 そこで、以下、地域力再生機構設立の必要性やその有効性といったものを明らかにするために、順次質問をさせていただきます。

 地域力再生機構そのものの質問に入る前に、その前身と言っていいかわかりませんけれども、大いに参考になると思われる産業再生機構についてお尋ねをしたいと思います。同機構の活動については、一部では、期待したほど大物を取り上げなかったとか、いろいろな評価も見られたところでありますが、私は非常に高く評価をしております。政府がこれから地域力再生機構を設立するに当たり、大きな自信になると確信をするところでございます。そこで、まずこの点についてお伺いをしたいと思います。

 平成十五年から昨年まで存在をし、産業の再生と信用秩序の維持という二つの法目的を担って、幾つもの企業再生を実施した産業再生機構の活動実績について、具体的な数字なども挙げて、どのような評価をしておられるか、教えていただきたいと思います。

大田国務大臣 事業再生というのは本来は民間がやるべきことですので、正直なところ、産業再生機構ができると聞いたときは、私も、そこに官が介入していいんだろうかということは思いました。

 しかし、その後の産業再生機構の実績、活動というものを見ますと、債権者の関係が複雑に入り組んでいるところに、スキームをつくってその調整を大きく進めていく枠組みというものは、有効に機能したというふうに考えております。全体で四十一案件の支援をして産業再生を行いました。そのまま放置すればさらに劣化したであろう経営資源というものを立て直して、不良債権の処理の促進それから信用秩序の維持というものを果たしたというふうに考えております。何より、それによって失われたかもしれない雇用をしっかりと確保していったという点は、私は大きい成果であったというふうに考えております。

赤澤委員 ありがとうございました。私も全く同感です。

 個別の支援対象について見ても、全部で十四都道府県にわたる四十一件の案件のうち、その後破綻したものというのは島根県のかわら屋さん一個だけでありまして、例えば、工作機械のメーカーのミヤノなどは、その後東証二部上場を果たしております。三井鉱山に至っては、コークス炉を新設するというリスクを伴う判断も果敢に行って、現在の原材料価格の世界的な高騰の波に見事に乗ったということでございます。大成功だ。産業再生機構は、そういう意味で本当に見事な成果を上げたと思いますし、また、国庫にも一定の貢献をしたということでございます。

 さらにお伺いをしたいのは、産業再生機構が残したプラスの遺産でございます。昨年機構は解散しましたけれども、こうした機能を持った機関の設立は日本では初めてでございまして、なおかつ、これまでにないプラスの遺産が生み出されたと私は考えます。それは、言うまでもなく人材ということかと思うんですが、ちょっと二つあわせて伺いますけれども、事業再生のノウハウや実績を積み重ねて訓練をされた人材が今どういったところでまた活躍をしているのか、その辺も含めて、産業再生機構が残したプラスの遺産についてお伺いをしたいと思います。

大田国務大臣 産業再生機構は、その副産物として幾つかの功績がございました。

 一つは、事業再生の分野で手法をしっかりと確立させていったということがございます。プロラタ原則と呼ばれる原則を貫いて、メーンバンクだけではなく非メーンバンクまで含めて、全体で再生するという手法を確立した、それから、企業価値の算定の方法としてディスカウントキャッシュフロー法という仕組みも確立させたというような、事業再生の分野で、先生おっしゃるように、そういう分野が日本では育っていなかったんですけれども、大きく一歩進めたと言えます。

 それから、人材の面で、この事業再生の分野の人材を生み出すきっかけになりました。一番多いときで二百二十人余りのスタッフが産業再生機構におりました。ここで貴重な経験を積んだことで、例えば、それ以外の、今どんどん出てきている民間のファンドで活躍したり、さまざまな形で今事業再生の分野で活躍しております。

 そういう意味で功績があったと考えております。

赤澤委員 産業再生機構で働いた多くの有為な人材が、民間レベルから見れば安い給料とはいえ、最高のオン・ザ・ジョブ・トレーニング、成功体験を積んだ、いわば給料をもらいながらビジネススクールで学んだかのごとく、今後の日本経済の発展や安定に大きな力を発揮することは間違いないというふうに思います。そしてまた、一たびしっかりと公共精神を発揮して国のために働いてくださった皆様でありますので、今後の地域の経済再生に当たっても、必ずや一肌脱いでくださるというふうに期待されるところでございます。

 それでは、本日の主題の地域力再生機構についてお伺いをいたします。設立目的から始めたいと思います。

 再生機構の事業再生手法、これは産業再生機構のそれと同様と聞いておりますけれども、地域力再生機構の目的、機能について、産業再生機構との比較においてわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

大田国務大臣 地域力再生機構は、産業再生機構地方版として構想を練ったものではありません。

 先生が最初におっしゃいましたように、地域経済の立て直しというのは本当に急がれる課題である、本格的に地域経済を浮揚させるために何が欠けているんだろうかということを私も一生懸命考えました。いろいろな方にお話も伺いました。そのとき、二つの点が浮かび上がってまいりました。

 一つは、人材が必要であるということです。事業を再生させる人材、あるいは商店街のようなものをプランをつくって再生させていく人材、人材が必要であるというのが共通した声でした。何とか都市から地方へ、あるいは大企業から中小企業へ人材を還流する仕組みができないだろうか、これが最初のスタートです。

 それからもう一つ、共通して出てきましたのは、地域の中核的な企業で、本来雇用を生み出す力を持っているのに、過大な債務を抱えてしこったままになっている、再生が先送りされているものがあるということです。これが二つ目の共通事項ですけれども、ここで産業再生機構のノウハウを生かせるのではないかと考えました次第です。

 したがって、人材を派遣し、そして再生のノウハウとしては産業再生機構が残したノウハウを使いながら、地域経済をスピーディーに、短期集中的に再生させていくスキームということで創設を検討しましたのが地域力再生機構です。

赤澤委員 ありがとうございます。

 大変的確にお話をいただいたので、ちょっといろいろ説明しようかと思っていましたが、そこを少しはしょりながらいきたいと思います。端的に申し上げて、地域力再生機構は産業再生機構の地方版では決してないという御説明ではありましたけれども、そのノウハウはしっかり活用するんだ、私はそのとおりのことだと思います。

 両機構の違いでいえば、実は産業再生機構は地方公共団体からは出資を求める仕組みを持たず、地方公共団体からは連携とか協力といったことも求めないという陣立てになっていたわけで、今回の地域力再生機構は、そこは本当に大きく違うわけでありますけれども、違いは明確に認識した上で、やはり基本的な発想は似ていると私は思います。

 というのは、関係者がインセンティブを持たずに、破綻させずにずるずるいってしまうという事業の類型というのは典型的にあるわけであります。わかりやすく言えば、日銭商売でありあるいは固定費型の商売であって、キャッシュフローが毎日入ってくればこれはなかなか倒れない、あるいは、日々キャッシュが出ていかないような業態であればなかなか倒れない。こういったものについては、いわば適宜足らず前を補てんしたりしながら、事業の価値自体は全く改善されず、そのまま実は税金の無駄遣いなりを続けてしまうといったことが非常に起きやすいんです。これはもう営利企業であろうと、あるいは補助金をもらいながら事業を続けている営利企業、バス事業といったようなものを加えて、三セクも全く同じような状況だろうと私は思います。

 そういった意味で、こういった、類型的になかなか事業の破綻をしづらい、しかも関係者がそれを破綻させるインセンティブがなかなか働かないといった業態についてしっかりと手を入れていくという仕組みをつくることについては非常に重要であって、発想は共通しているということを私は感じるものでございます。

 引き続きまして、地域力再生機構設立の具体的な効果、同機構のすぐれている点、あるいは現存の他の仕組みでは実現できないポイント、手続の妥当性といったものについて順次お伺いをしたいと思います。

 地域力再生機構の目的には、地域経済の再建を図るということがございます。私は、端的に言えば、その成果として有効求人倍率が一に近づくことを目指していただきたい、数値目標も欲しいななどと思うことでありますけれども、そういったことがもし難しいのであれば、地域経済がどのような状況になることを目指しているのか、簡潔に教えていただきたいと思います。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 地域力再生機構でございますが、地域経済の中核となる中規模企業、第三セクターの事業再生を、民の経済をベースといたしまして支援するということによりまして地域の経済の再建を図るものでございます。

 この地域経済の再建、活性化と申しますのは、申し上げるまでもなく、この機構の活動のみによって実現されるものではあり得ません。他の地域活性化策でありますとか地域の主体的な取り組み、あるいは個々の企業の自主的な努力によって実現されるものと考えてございます。したがいまして、この地域力再生機構による支援の成果として具体的な数値指標等を実現するという性格のものではございません。この機構による事業再生の支援を初めといたしまして、また種々の地域活性化への取り組みを推進することにより、活性化を図ることを目指しておるものでございます。

赤澤委員 非常に抽象的な説明をいただきまして、聞かなきゃよかったかなとちょっと思ったんですけれども。

 次に続けさせていただきたいんですが、地域力再生機構の支援対象企業の選定の基準はどのようなものか、支援決定に当たっての手続の公平性、透明性についてお伺いをしたいと思います。

大田国務大臣 対象企業を公明公正に選ぶというのがまさに地域力再生機構の命綱になるようなものです。ここは公平公正な選定が行われるということが必要で、支援基準は主務大臣が告示して定めることになっております。

 今考えておりますのは、支援基準の中で、対象企業に三つの条件が必要です。一つは、地域経済で重要な役割を果たしていること、二番目に、過大な債務を負っていること、三番目に、三年以内に事業再生が行われるということです。このうち、事業再生が見込まれるということについては、主要な債権者の同意が必要です。それから、地域力再生機構として買い取った債権の処分が可能であるということです。それから、事業内容、財務内容の改善が大きく見込まれるということが必要であります。

 こういう、支援決定するかどうかは、社外取締役が中心になっている、中立的な機関である地域力再生委員会が決めることになっております。対象事業者の名前などは公表して、公明性、公正性を保っていきたいと考えております。

赤澤委員 基本的な考え方は産業再生機構と同じであるというふうに思いますけれども、ぜひそうしていただきたいし、私はこの点は非常に大事な点であるというので強調したいんですが、支援対象の決定は、将来にわたり当該事業が持続的に成り立つかなどの観点から、極めて専門的な判断で、いわゆるプロフェッショナルジャッジメントと呼ぶべきものであります。そういう意味では、支援対象の決定について、告示で定める客観的な基準は当たり前の基準、本当にそれを満たさなきゃ絶対持続的な存続はできないというような最低限の基準だけ定めた上で、あとは再生委員会の専門家の判断にゆだねるのが正しい制度のたてつけであるというふうに思います。

 そういう意味では、再生委員会の人選、委員の人選に当たって、一流のプロフェッショナルであるとともに政治的な圧力から無縁な委員をしっかりと選んで、中央でおか目八目の判断をできるようにということをしっかりやっていかなきゃいけないということだろうと思います。

 私の中学、高校からの同級生であった冨山和彦元産業再生機構代表取締役専務、COOを初めとする関係者からのお話を総合的に承れば、個人的には存じ上げておりませんけれども、委員長をやっておられた高木新二郎先生など最適任であると受けとめておりますし、これは余談でありますけれども、しっかりとした人選をぜひお願いしたいというふうに思います。

 それから、地域力再生機構の設立の効果についてのお話を続けたいと思いますが、三セクの経営状況は非常に厳しいということで、手元の資料では、平成十九年の調査で、全体の法人数七千七百五十六のうち、負債が資産を上回っている法人数が四百三十六ということでございます。

 今後、いろいろな制度改定に従って、新たな指標のもとで、地方公共団体の財政の健全化に関する法律などのもとで、三セクの厳しい実態というのがだれの目にも明らかになってくると思いますけれども、この三セクについて、地域力再生機構を積極的に活用して再生を図っていくべきというふうに考えますけれども、その点いかがお考えか伺いたいと思います。これも簡潔にお願いします。

榮畑政府参考人 第三セクターにつきましては、ただいま御指摘ございましたけれども、大変厳しい状況でございます。三三%が赤字というふうな状況でもございます。

 そういう中で、昨年の六月に地方公共団体の財政健全化法が成立いたしまして、今後、第三セクターも勘案しまして、地方財政に関するさまざまな指標、数値等々の算定、公表が進められていくところでございます。

 こういう中で、私どもといたしましても、第三セクター改革というのはぜひともやはり進めていかなければならないところだろうと思っておりまして、その際には、今回の地域力再生機構も活用していくことが必要なことだろうと思っております。今後、総務省といたしましても、第三セクターの改革を積極的に進めていく中で、地域力再生機構ともよく連携しつつ、必要な改革の諸取り組みを進めていきたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

赤澤委員 きょう、金融庁からも来ていただいておりましたが、ちょっと申しわけないんですが、これは指摘にとどめさせていただきたいと思います。

 先ほど大臣から御指摘のあったプロラタ原則、大変有効だと思います。地域においては、メーンバンクが、つき合っている企業、非常に大事な企業だが負債がかさんでいるな、何とかせにゃいかぬなと思いながら、自分から再生をやりたいと言うと、メーンバンクだから多く債権放棄しろ、ほとんどメーンバンクがかぶれみたいな議論の中で、どうも言い出しづらいな、こういう状況は確かにあるのでございます。そういったことについて、債権額に案分して対応していく、それも迅速にやるという方向は非常に有効だと思います。そういう意味でも、地域の金融機関からも強く求められる仕組みになっていると私は確信をするものでございます。

 引き続きまして、中小企業については、再生支援協議会というのが地域に置かれております。この再生支援協議会、これでは対応ができないような問題について、地域力再生機構はではどのように対応していくことができるのかをお伺いしたいと思います。私は、大まかなイメージとして、地域力再生機構は、地域経済全体に影響を与えかねないような中規模な企業を対象、中小企業再生支援協議会は小規模の企業を対象という感じかなというイメージも持っておりますけれども、あわせて簡単にコメントをいただければありがたいと思います。

瀬戸政府参考人 中小企業再生支援協議会は、事業の再構築、経営指導や相談など、中小企業者の規模や状況に応じたきめ細かな事業再生を支援しております。ただ、中小企業再生支援協議会は、地域力再生機構が行いますような債権の買い取りや出資、経営人材の派遣は行いません。

 地域力再生機構には、これらの機能を最大限発揮して、主として中規模企業、第三セクターなどの再生について先導的役割を果たすことを期待しております。

 いずれにせよ、中小企業再生支援協議会と地域力再生機構が連携して地域経済の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。

赤澤委員 今の点、よくわかりました。

 そして、もう一つ地域力再生機構のメリットを指摘してみたいと思います。

 それは、中小企業再生支援協議会が地域に置かれるのに対して、地域力再生機構は中央に置かれるという点であります。この点は、第三者の目、おか目八目といったメリットだけではなくて、地方にとっては非常に大きなメリットがあります。

 それは、いわばしがらみの問題であります。しがらみがあるために地域の関係者だけではどうしても頑張り切れなくなるという状態が多く想定されるということは、本当に、地元の金融関係者あるいは経済界の人間と話していても、よく指摘を受ける点でございます。だからこそ、第三者の目で、第三者の手で、中央に置かれた地域力再生機構がしっかりと調整をし、再生を図ってくれたらなという希望が出てきているのだと思います。この点においても本法案は地元の要望にこたえるものだということを強調しておきたいと思います。

 地域企業や第三セクターにとって再生を図ることは喫緊の課題でございまして、ましてや都市と地方の格差の是正が国家の最重要課題の一つと位置づけられている現在、地域力再生機構に期待される役割は非常に大きいことは間違いがございません。

 そこで、最後の質問になりますけれども、今後、地域力再生機構を通じて都市と地方の格差を是正し、必ずや日本経済全体を活力あるものにしていきたいという大臣の御決意を伺いたいと思います。

大田国務大臣 地域経済が本当の意味で浮揚しませんと、日本経済の成長はありません。その地域経済の中で重要な役割を持っていながら、今雇用を生み出し得る能力を失っているところ、過大な債務を抱えているところを、今、本当の意味で再生させていくということは大変重要な課題だと思っております。これなくして地域間の格差というものも是正されていかないと考えております。この地域力再生機構の活動を通して日本経済全体の活力をしっかりと底から上げていくということに取り組みたいと思いますので、今後とも御協力、御支援をどうぞよろしくお願いいたします。

赤澤委員 ありがとうございます。

 ぜひ、この仕組みをしっかりと確立して、今大臣が御決意を披露されましたとおり、地域力の再生を図っていただきたい。

 ただ、私としては一点指摘をしておきたいと思うのは、例えば中小の建設業などを見ても、実は、今やめられる方たちというのは、比較的元気があって早目の決断ができる状態の方、本当に状況が悪い企業については、もうやめる決断すらなかなかできないということがございます。この地域力再生機構に引きつけて言えば、まだまだこれは、手を挙げて支援決定をもらおうということで勇躍機構に名乗りを上げてくるような企業というのは、それでも元気がある方じゃないかと私は思うんです。

 いろいろな意味で鳥取県などは、いろいろな財政力を見ても全国の中でも本当に一番弱い、弱小な経済の県と言えると思いますが、そういう県の地域経済を支えている企業についても温かい目を注いでいただいて、支援決定の際にも、規定の中に、企業の規模で決して不利益取り扱いはしないということがあったと思いますけれども、日を当てて温かい目で見ていっていただきたいと思います。

 それをお願いした上で、本日これまでの質疑の中で明らかになったことは、関係者の努力だけではなかなか解決が困難な地域の企業再生の分野において、地域経済の要望にしっかりとこたえる形で、産業再生機構で培った人材、知識、経験、ノウハウを投入し、解決を図る必要性は極めて高い、その有効性は間違いのないものであるということでございます。以上から、私は本法案の速やかな成立を強く希望するものであります。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

中野委員長 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 本法案は、地域経済の立て直しのために、地域経済を支えている企業を再生していこうということでございます。この目的は私も大いに賛同するところでございます。その上で、幾つか確認をいたしたいと存じます。

 今ほどの質問にもございましたけれども、類似の企業再生の仕組みがございます。

 まず、経済産業省さんが主導されてやっています中小企業再生支援協議会、これはもう実績もございます。この企業再生実績について、その件数や、あるいは、支援対象企業の規模がどういった規模の企業を対象にされているのか確認をいたしたいと思います。

 あわせて、地域金融機関みずからが、自分の抱える取引先の再生をしているという事例もたくさんございます。地域金融機関の企業再生支援の取り組みということにつきましても確認をしておきたいと思います。

 それぞれ、経済産業省、金融庁からお願いいたします。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、多様な中小企業の事業再生を支援するために、平成十五年から、都道府県ごとに中小企業再生支援協議会を設置しているところでございます。そこで相談から再生計画の策定まで、きめ細かく常駐専門家が対応しているところでございます。

 平成十九年十二月末までに一万三千五百社程度の企業から相談を受けておりまして、相談企業の約半数の五千九百八十二社は、経営改善や資金繰りに関するアドバイス、適切な関係機関の紹介等により課題が解決しているところでございます。また、千六百五十社の再生計画の策定を完了しておりまして、その結果、約十万人を超える雇用が確保されているというふうに理解しております。

 また、再生計画の策定を完了した中小企業の従業員規模で見てまいりますと、従業員数二十一名以上百人以下の企業の割合が五七%と一番多うございまして、二十名以下の小規模企業も二六・五%というような状況になっております。

三村政府参考人 地域金融機関の取り組みについてお答えをいたします。

 金融庁では、従来より、地域密着型金融の枠組みの中で、借り手企業の事業再生についても取り組みを促してまいったところでございます。各地域金融機関においては、さまざまな手法を活用した取り組みを行っているものと認識しております。

 地域金融機関におきます事業再生に向けた取り組みにつきまして、地域密着型金融のフォローアップの中で金融庁として把握をしているケースを申し上げますと、平成十八年度の一年間におきまして、例えば、中小企業再生支援協議会の協力のもと事業再生計画を策定した先が三百九十一先、二千八百三億円。再建対象企業に対する債権を株式化、劣後ローン化することで過剰債務の解消を目指したケースが八十五件、約四百二十二億円。企業再生ファンドへ出資した金額が百六十二億円となってございます。

石井(啓)委員 こういった中小企業再生支援協議会あるいは地域金融機関みずからの企業再生支援、あと、加えまして、民間の再生ファンドもございますね。民間再生ファンドの実績を聞こうと思いましたけれども、何か把握している役所がないということなので聞けなかったんですが。

 そういった多様な企業再生支援の仕組みがあることに加えて今回この地域力再生機構を設立する必要性について確認しておきたいと思います。言いかえれば、既存の企業再生支援と地域力再生機構との役割分担がどうなっていくのか、この点について確認をいたしたいと思います。

大田国務大臣 事業再生には多様な枠組みが必要です。中小企業は業種、業態によってかなり異なりますので、多様な枠組みが必要ですが、これまでになかったもの、これまでになかったという点が二つございます。

 一つは、債権者が複雑に絡んでいて、例えば地域外の銀行も絡んでいる、あるいは公的、政府系金融機関が絡んでいるといったような形で債権者調整が複雑なもの、ここについてメスが入っておりませんでした。それからもう一つは、債権放棄を伴うようなややハードな再生、これは中小企業再生支援協議会ではできておりませんでした。

 したがって、債権放棄を伴うような事業再生、そして債権者が非常に複雑に入り組んでいるまましこっているもの、ここに対して今回取り組もうというのが地域力再生機構です。

石井(啓)委員 その点についてもう少し確認したいんですが、債権放棄といいますと、いわば民事再生という手法もございますよね。民事再生に行かないで、手前でこの今回の地域力再生機構を活用する、そこのメリットというのはどういうことがあるんでしょうか。

大田国務大臣 民事再生は法的整理になります。これは、民事再生の場合ですと、例えば売り掛け債権のような取引債権まですぐ弁済の対象になってしまいますので、企業価値がそこで大きく毀損してしまうということがございます。

 一方で、私的に、地域力再生機構のような形をとりますと、取引債権はそのまま保全されますので、企業価値を維持したまま再生するということができます。ただ、ここで難しいのは、債権者の調整、全員の合意がとれないと私的整理にはなりませんので、そこで長くしこってきたということです。それを今度取り組むということになります。

石井(啓)委員 確かに、民事再生の場合は、全員ではないですけれども、ある程度の割合が確保できれば再建できるということなんですが、おっしゃるように、倒産に近いイメージダウンがありますからなかなか踏み出しにくいところがあります。そういうところで、多様な再生手段を設けるということは意義があろうと思います。

 ただ、大臣おっしゃるように、関係者間の調整をやるというのもなかなか大変なところで、そこら辺にノウハウが必要なところがあると思います。

 ところで、今回、法案第一条で、機構の目的、地域経済に重要な役割を果たしているところを対象にするんだ、そういう事業者を支援するんだというふうになっていますけれども、地域経済に重要な役割を果たしている、この意味合いはどういう意味合いなのか。非常に幅広い定義になると思いますね。先ほどの大臣の答弁に、支援企業の支援基準の一つにもなっているようですけれども、この条件といいますか意味合いがどういうことなのか、確認をいたしたいと思います。

大田国務大臣 地域にとって重要な役割を果たすというのは、地域によっても違いますし、業種、業態によっても異なりますので、数字で定められるというものではありませんけれども、やはり、役割を果たすというからには、地域の雇用確保にとって重要である、そこが再生すると一定の雇用を生み出し得るということ。それから、関連事業者にも広く関係している、波及効果が大きいという点です。それから、地域経済や住民生活へのインフラになっている。例えば交通網などがございます。こういったものが基準に、一つの目安になると考えております。

石井(啓)委員 ところで、今回この地域力再生機構をつくろうとすると、そもそも潜在的な支援のニーズというのがどの程度あるのか、それはどういうふうに把握をされているのかというのを確認したいと思うんです。つくっても要請がされなければ、つくったかいがないということがございます。

 仮に、逆に、今度ニーズがたくさん出てきた場合、ではそれを受けとめられるのか。機構の方の支援のキャパシティーといいますか可能件数というのはどうなっているのか。この点、確認をいたしたいと思います。

藤岡政府参考人 機構への具体的なニーズでございますが、現在、我々、いろいろな金融機関及び地方公共団体と話をさせていただいております。その中で、今、例えばこれは一つの調査でございますが、全体の八割強の金融機関が機構の機能の活用に関心がある、あるいは、地方公共団体におかれましても、まさに地方へのこの機構を活用することに関心があるというような声をお聞きしてございます。

 まさに、この機構、そういう、内容面でも地域経済に重要な役割を持つ事業者、過剰債務を抱えている事業者ということでございます。そういうことで、そういう条件のもとで、二番目の御質問なんでございますが、機構が今支援する件数の想定ということでございます。今、全体で二百件程度は支援できる体制を当面考えてございます。

石井(啓)委員 その二百件というのは、今回面的な支援というのもありますよね。例えば、一つの温泉街だったら温泉街を支援する、あるいは商店街だったら商店街を支援する。それは、温泉街で一件、商店街で一件なんでしょうか、それとも、そこの中にある企業を全部加えて、一件ずつカウントして二百件ということなんでしょうか。

藤岡政府参考人 現在、地域力再生機構で面的支援と申し上げていますのは、まさに産業再生機構の経験でも、地域の事業再生というものは、単なるその事業体一つだけではなくて、例えば旅館なりバス会社であれば、それぞれ、まさにその周辺のこともあわせて地方公共団体あるいは公的な支援を得ながらやっていかないと事業の再生が図れないという意味でございますので、そう申し上げている面では一件は一件ということでございます。

石井(啓)委員 ところで、今回のこの機構の特徴は、第三セクターを支援対象にしているということでありますけれども、まず、第三セクターは地方自治体が主導してつくっているわけでありますけれども、自治体の責任というのをどこまで求めるのか、支援するに当たって。言いかえれば、これは自治体の公的な支援をどこまで求めるのかということになりますけれども、その点どうお考えになっているのか。

 また、三セクの場合、自治体が損失補償をしているケースも多々あると思うんですね。そういう場合の債権の扱いはどうなるのか。この点について確認をいたしたいと思います。

大田国務大臣 地域力再生機構では、債権の放棄を求めますので、経営者であるとか株主の責任というのは当然問わなくてはいけません。第三セクターの場合は、経営者は当然退陣していただくことになります。それから、自治体が株式を保有している、つまり出資をしている場合は、この株主権の消却というのが当然求められます。

 その上で、自治体によって損失補償をしている場合の扱い、これについては、それぞれの個別の事情に即して判断するということになってまいります。

石井(啓)委員 ただ、これは、再生という意味では金融機関に何とか協力していただきたいということはあると思うんだけれども、一方で、金融機関の方にとってみれば、それは自治体が損失補償しているから貸したんじゃないの、それはどうなんだという、両面ありますよね。そこはちょっとバランスを考えなきゃいけないので、ケース・バイ・ケースなんですが、一律には言えないと思うんですけれども、そこはどういうふうにしんしゃくしていけばよろしいんでしょうか。難しいケースなのでなかなか一律なお答えはできにくいかもしれませんけれども、確認をいたしたいと思います。

大田国務大臣 金融機関からいたしますと、今この再生機構のスキームに乗ったときの弁済率と、それから、このまま資産が劣化していったときの状態とを比較考量するということになると思います。金融機関は、それを選択するということになってまいります。

 例えば、これまでにも、芦別にありますカナディアンワールドを北洋銀行が、十九年間分割返済というようなスキームが一つできましたけれども、そういう成功事例を一つ一つつくっていくということも、全国規模で地域力再生機構が運営することの一つの役割になってくると考えております。

石井(啓)委員 これは大変チャレンジングな挑戦だと思いますので、ぜひ成功していただきたいと思います。

 それでは、今回、地域力再生機構では、地方三公社は支援対象外になっておりますね。道路公社、住宅供給公社、土地開発公社、その三公社の再生支援というのはどうなっているのか。これは、それぞれ国土交通省、総務省に確認をしておきたいと思います。

川本政府参考人 まず、私の方から、住宅供給公社につきましてお答えを申し上げます。

 御案内のとおり、地方住宅供給公社、都道府県あるいは政令指定市などを設立主体としまして五十七公社ございます。地方公共団体の住宅政策の実施機関として、賃貸住宅の供給や分譲住宅の供給というものを行ってきたわけでございますが、バブル崩壊後、地価が下落、低迷するといったようなこともありまして、特に宅地開発事業を行ってきた公社などにおきましては経営状況が悪化をしてきたということがございまして、これまでも、設立団体による、地方公共団体が中心となりまして、場合によっては特定調停に持ち込まれるというような格好で、経営の再建策が講じられてまいったわけでございます。

 私ども国土交通省においても、例えば外部監査を導入していただきたいとか、あるいは減損会計の導入をするなどによって業務運営の透明性を高めてくださいといったような要請をしまして、設立団体である公共団体で状況をしっかり把握して指導監督をしていただくようお願いをいたしているところでございます。

 また、もともとこの公社、民間ディベロッパーが未成熟だというようなこともあって住宅不足の著しい地域において住宅を供給するということで設立をされたということがございます。民間の成長というようなこともございまして、状況はかなり、地域によっては変わってきておりますので、平成十七年には公社法を改正しまして、設立団体がそれぞれの判断で自主解散できるようにいたしました。今年度末までに四団体が恐らく公社を廃止するというような方向を表明しているという状況にもございます。

 私ども、基本的にはこれは設立団体でいろいろ御検討いただく話ではございますが、当然、地域ごとの状況等も踏まえて、公共団体の要請にこたえまして御相談に乗り、必要なアドバイスをするというようなことで適切に対応していきたいというふうに考えております。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 地方道路公社でございますが、地方公共団体の出資金、国の無利子貸付金、それから民間の借入金などによりまして資金を調達いたしまして、有料道路を建設して、その料金収入でこれを償還しておりますけれども、景気の低迷、あるいは最近の、接続する道路の整備のおくれといったことから、計画どおりの償還が進んでいない路線がございます。

 国土交通省といたしましては、この償還が順調に進みますように、設立団体であります地方公共団体と連携をいたしまして、必要に応じて、地方道路公社に対しまして、利用促進などの指導助言を行っております。引き続き、これらの取り組みを行ってまいります。

 なお、地方道路公社が資金調達をする際には、地方自治法などの規定に基づきまして、地方公共団体が議会の議決を経た上で、出資金の予算措置や民間借入金等の債務保証を行いまして、道路公社が出資金の受け入れ、債務保証をもとにした借り入れ等を行っております。

 こういうことから、有料道路の料金徴収満了日において借入金の返済が残る場合には、まず、道路公社が予期しない損失に備えて積み立てております事業損失補てん引当金、これを取り崩します。それでも足りない場合には、地方公共団体からの出資金の返済免除や、地方公共団体による債務引き受けなどにより、その債務を処理いたしております。

津曲政府参考人 土地開発公社につきまして申し上げます。

 総務省では、平成十二年度以降、保有土地の縮減等を通じた土地開発公社経営健全化のための対策を講じてきております。

 具体的には、平成十二年七月に経営健全化対策を策定いたしまして、地方公共団体が計画的に土地開発公社の抜本的な経営健全化に取り組む場合には、その推進を支援する上から、地方債措置などの地方財政措置を講ずることとしたところでございます。

 さらに、平成十六年十二月には新たな経営健全化対策を策定いたしまして、計画的に保有土地の処分を推進する地方公共団体を幅広く対象とすることとしたところでございまして、現在、二百九団体が、この対策に基づき経営健全化に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、土地開発公社の経営健全化に向けた取り組みに対しましては積極的に支援をしてまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 続いて、法案の第二十五条の第五項でございますけれども、「事業者の企業規模が小さいことのみを理由として不利益な取扱いをしてはならない。」ということで、これは中小企業に対する配慮ということかと思います。

 ただ、私、先ほどの質問で聞きましたように、法案の第一条の方ではそもそも、地域経済において重要な役割を果たしている、こういうのが対象になっている、あるいは、既存の中小企業再生支援協議会で中小企業を扱うようになっているということからすると、そもそも余り中小零細というのは対象にはお考えになってはいないと思うんですけれども、ここはどういうふうに頭の整理をすればいいのか、確認をいたしたいと思います。

藤岡政府参考人 法案の第二十五条でございますが、地域において重要な役割を果たしている事業者との関係でございます。

 この点につきましては、地域の雇用確保でありますとか関連事業者の経営、あるいは地域経済や住民生活のインフラなどに与える影響といった要素から重要な役割というものを判断してございます。

 そのため、例えば資本金規模が、地域が大きいか小さいかは問いませんので、その地域によって異なりますし、また事業体によっても異なります。そういうことで、資本金の規模が相対的に小さいものでありましても、地域において重要な役割を果たしていると判断されるケースにおいて十分対応するということを想定いたしておるものでございます。

石井(啓)委員 もう一つ、今の質問に関連しまして、それぞれの企業は小さいんだけれども、まとめて考えると大きな役割を果たしているというケースもありますね。そういうところはどういうふうに考えればいいんですか。

藤岡政府参考人 お答え申し上げます。

 産業再生機構においても、地域においてまとまったケースがございました。その点につきましては、地域力再生機構内に設置する地域力再生委員会がございまして、そこで御判断いただくということになろうかと思います。

石井(啓)委員 それでは、最後の質問にいたしたいと思いますけれども、支援対象企業の経営者が個人保証をしているケースが多いというか、中小企業の場合はほとんどですよね。基本的には、それは当然その経営者の責任としてでき得る限りの保証をしてもらわなければいけないんでしょうが、ただ、身ぐるみはいで保証するということになると経営者自身が立ち行かなくなってしまう。場合によっては、やはり経営者に引き続いて経営してもらうことが再生に資するというケースもございますよね。

 経営者の個人保証をした債権の取り扱いというのはどういうふうに考えたらいいのか、この点について、最後、確認いたしたいと思います。

大田国務大臣 地域の中核的な企業ということからいいますと、個人保証をしているケースというのはそれほど多くはないというふうに想定はしておりますが、仮に個人保証している場合、一般的に申し上げますと、金融機関が債権放棄をいたします、そうしますと本来の債務が減りますので、保証している債務も減っていくということになります。

 いずれにしましても、具体的に、事業の内容あるいは再生計画の内容によって、個人保証の取り扱いというのはケース・バイ・ケースで判断していくということになると考えております。

石井(啓)委員 では、時間が参りましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵です。

 本日は、民主党の中で最初のバッターでもありますので、まず概括的な話をお聞かせいただき、後の仲間の質問につなげていきたいと思いますが、既にそれぞれ与党の質問もあったところであります。重なりもあるかもしれませんが、聞いてまいりたいと思います。

 さて、地域力再生機構を本法案で成立させようということで、今回出てきたわけであります。何よりも我々は、こうしたタイミングであるとか、公的関与の必要であるとか、この有効性でありますが、そうした観点からさまざま、時間をしっかりかけて慎重審議をしていきたいという考えであります。

 まずは、先ほど申したこのスキームのそもそもの有効性、また公的関与の必要性、またこの時期に行うタイミングなどの観点から、この新機構を設立させる意義、必要性をお答えいただけますでしょうか。

大田国務大臣 地域経済を立て直す上で何が必要かということを、いろいろお聞きしたりして検討いたしました。

 そのとき、一つは、人材が必要である、事業再生を行う人材、あるいは商店街の立て直しのプランをつくって再生させていく人材、人材が必要だという意見がありまして、何とか、都市から地方、あるいは大企業から中小企業に、全国規模で人材を還流する仕組みができないかということが一つございました。

 それから、今、地域の事業再生の枠組みの中で欠けているものとして、債権者が複雑に入り組んでいて、なかなか調整ができないまま先送りされている、こういう中核的な企業あるいは三セクというものがございました。ここに、民間だけではなかなか再生が進まないところに公的なフレームで関与することによって集中的にその調整を進めていく、こういうことが必要ではないかということを考えました。

 この二つの目的で地域力再生機構の創設を考えて、スキームをつくってきた次第です。

 では、なぜ今なのかということですけれども、一つは、全国的な金融システム不安は落ちついてきております。メガバンクの金融不安は落ちついてきているということです。それからもう一つ、三セクに関しましては、財政健全化法が今年度から施行ということになります。そうしますと、これまで三セクはかなり処理が先送りされてきました、しかし、いよいよ自治体もここに本格的に取り組まねばならないという時期を迎えております。

 そういう意味で、全国の金融システム不安は落ちついている、そこで、地域で不良債権でしこっているもの、ここをじっくりと、残すべきは残していくということ、三セクについても、残した方が地域にとってプラスになり雇用を生むものであれば、そこで落ちついてそれは再生して残していくということで、タイミングとしては今しかない、今ならできるということでこの機構を御提案いたしました次第です。

楠田委員 まず、このようなスキームというのは民間でも行えるのではないかという思いがありますと同時に、景気回復が長期間持続しているという発表が続いているわけで、不良債権も、メガだけではなくて地方においても数字の上でも格段に減少している。そうした考えからしますと、産業再生機構ができたころとは環境としては大分異なってきているんではないか。

 また、何よりも、政府によって事業者や金融機関が逆に延命をされるということも考えられるわけでありまして、政府関与の必要性というのをもっと詰めてこの後るる聞いてまいりたいと思います。

 そもそも、先ほどの答えの、バックグラウンドにあります地域間の中で人材の活用、都市から地方へという話もありましたが、地域間の景気回復のばらつき、各種発表でも既にお認めのことだと思いますが、やはりそうした解消が進まない原因を改めて分析するということも必要だと考えております。その分析と、本法律で本当に解消する自信があられるのかどうか、それについても改めてお聞きしたいと思います。

大田国務大臣 今回の景気回復では、地域間のばらつきが大きいというのは一つの特徴になっております。公共事業で支えた景気回復ではなくて、民間需要で牽引した景気回復であるだけに、例えば、製造業があるところは回復しているけれども強い製造業がないところは回復しないということがございます。特に、公共事業への依存度が高かったところほど厳しいという状況がございます。

 したがいまして、今地域にとって必要なのは、公共事業にかわる民間需要、本当の意味で民間企業を強くしていくということが必要なことだと考えております。

 そして、地域を見ますと、影響力が大きく重要な企業というのはあります。ありますけれども、そこが過大な債務を抱えて、しかも債権者間の調整がおくれて先送りされているというケースがございます。そこに対して再生させていこうというのが地域力再生機構です。

 もちろん、この地域力再生機構だけで地域経済が全面的によくなって、すべての地域で地域間の景気回復が進むというようなことは考えておりません。しかし、これまでなかった、地域経済立て直しの選択肢として欠けていたツールをここでしっかりとつくるというのが地域力再生機構の趣旨です。

楠田委員 熱心にお答えいただいておりますが、まず、民間需要というものをつくり出す上で、そういう観点からすれば、むしろ民間の金融機関等の事業再生ファンド等に任せることで、政府関与のパターナリスティック的な考えを今こそ捨てることで、本物の民間需要というのが出てくるのではないかという思いがいたします。

 また、そもそも三セクに関しましても、国の旗振りで呼応して地方が行ってきた、景気回復の際に浮揚策としてさまざまな事業を行わされてきた。そういうことで地方が苦しんでいながら、今なお国の主導でこうしたことを行うこと自体が時代にそぐわないのではないかということも非常に強く感じているわけであります。

 こうした議論は今回だけではないと思いますが、やはり地方に独自性を与えていく、真の地方分権を行っていくという我々の考え自体を取り入れていただきたいという思いであります。まず、この機構、名前も地域力再生機構と余りにも大がかりな名前でもありまして、これが誕生すればすべてバラ色というような名前にもなっているわけですから、先ほど大臣は率直に、これだけでは直らないとおっしゃりましたが、そうした名前の面からしても、この中身というものをもう一度問い直していきたいと思います。

 従来の地域再生の取り組みもこれまでされてきたわけであります。そうしたことに対する総括や責任というものは今まで問われることはなかったわけでありまして、そうした観点から、先ほど、タイミングは今しかない、今やらなければ手おくれになるという話もありましたが、では、まず地域金融機関との関係をお聞かせいただきたいと思います。

 先ほど申しましたように、不良債権も大分減ってきた。リスクをとれるようになってきた。また、金融庁さんを中心に、リレーションバンキング、いわゆるリレバンと言われていますが、そういう機能の強化であるとか、地域密着型の金融の機能強化、相談に乗りながら地域全体を再生させていこうということが、政府の方針もあり、また意識づけもされながら、民間の中でこれまで行われてきた。先ほど件数も具体的に与党質問の中で出ておりました。

 そうした中で、本当に政府関与でこの機構が行う必要があるのか、役割は重ならないのかということを、改めてもう一度詳しくお答えいただけますでしょうか。

大田国務大臣 御指摘のように、事業再生というのは基本的には民間の役割だというふうに考えております。地域金融機関がみずから再生させていくということは必要だというふうに考えております。

 ただ、なかなか債権者が複雑であって、メーンバンク、非メーンバンクが複雑に絡んでいる場合、地域外の銀行も関与している場合、政府系金融機関も関与している場合、その調整が進まないまま塩漬けにされてきた、処理が先送りされてきたというのは事実でございます。そして、いまだに不良債権比率は、減ってはきましたけれども、地銀、第二地銀で四%ございます。信用金庫で六・五%、信用組合ですと一〇%を超しております。まだここはこのおもしを取り除いていくということは必要なんだろうと思います。

 これまでも再生の枠組みがございますけれども、民事再生のような法的整理に入りますと、売り掛け債権のような取引債権がすべて弁済の対象になりますので、企業価値がそこで倒産に等しいぐらい劣化してしまう。一方で、私的整理になりますと債権者全員が合意しなきゃいけませんのでなかなか進まないというのがこれまでの現状でした。

 したがって、公的関与の趣旨ですけれども、ここで公的なセクターが入ることによって、関係者の合意をしっかりとつくって、債権放棄を受けて、事業再生のプランも出して、事業再生の人材も出して、この五年間の間に集中的におもしを取り除くということが重要だと判断いたしまして、この機構を企画したという次第です。

楠田委員 例えば、政府系金融の改革の中で、そのとき私も財務金融委員会におりましたが、政投銀を民営化していくという話もありました。これに対して、民営化後も政府保証をつけるであるとか、そういう意見も強かったわけでありますが、あえて政府保証をつけずに完全な民営化のもとで新しく出発をするという決定をしたわけであります。

 政府保証については後ほどお聞きをしたいと思いますが、そうしたケースが今、日本全体の中では主流となっている中で、さまざま理由を言われましたけれども、それでもなお公的に関与していくということ、これによって市場がゆがめられることになるのではないか、また、これも後ほどお聞きしますが、救われたところと救わなかったところのゆがみも出てくるのではないか、そうしたさまざまな不安もあるわけであります。

 そうした観点からちょっとさらに進めさせていただきたいと思いますが、先ほどもありました中小企業再生支援協議会というのも、各都道府県に既に設置をされて五年余りがたつわけであります。先ほども数字がありました、千六百五十社の再生計画策定支援を完了した、十万人以上の雇用を確保したということもありましたが、改めてもう一度、この点、こうした機構がありながら、それでもなおもう一回この新機構をつくる理由もお聞かせいただけますか。

大田国務大臣 中小企業再生支援協議会は、相談から経営指導、経営の相談そして再生まで幅広く中小企業全般を手がけて再生の仕事をしてきております。ここで、中小企業再生支援協議会にこれまでできなかったことは、金融機関に債権放棄を要請するような、いわばハードな再生手段というものがこれまでなかったということがございます。

 地域を見ますと、中小企業全般というよりも、地域の中で中核的な重要な役割を担っているところ、ここは重要な役割を持っていますから、その再生に対しては、ある規模も持っているわけですけれども、そこに対して、債権放棄まで伴う形で、そこをピックアップして、これは再生できるところだけですけれどもピックアップして、そこに焦点を当てて再生していく、これが地域力再生機構です。

 つまり、中小企業再生支援協議会で持っていなかった機能を持つということ、それから、地域の中で重要な役割を担い、なおかつ過大な債務を背負っているところ、そして事業再生できるということ、この三つの条件を対象にするもの、これが地域力再生機構でございます。

楠田委員 それでは、第三セクター改革というのも既に始まっている、地方自治体財政健全化法の成立であるとか、中間報告の時点かもしれませんが、第三セクター等の資金調達に関する損失補償のあり方についての取りまとめもなされている、こうした取り組みがあったわけでありますが、こうした取り組みがやはり不十分であったとお認めになられるということでしょうか。

大田国務大臣 三セクについては、御指摘のように改革に向けての取り組みは始まってはおりますけれども、なかなか責任の所在があいまいであったということもありまして、先送りされている部分もございます。

 現在、資産を債務の方が上回っている第三セクターは三百七十五ございます。この中で、ここで再生した方が地元にとってはしっかりと経済を支え雇用も生み出すもの、それについては、出口として、一つの第三セクター処理の選択肢として地域力再生機構というものがあることによって再生への道筋が開けていくと考えております。

楠田委員 あわせて、地域再生、都市再生、中心市街地活性化等の地域活性化施策も既になされてきた、地方再生戦略も取りまとめられている、こうした諸施策がありながら本機構が必要となるということももう一度改めてお聞かせいただけますでしょうか。

大田国務大臣 地域再生には、さまざまな手法を組み合わせ、さまざまな政策を講じることが大事だと考えております。

 地域再生、都市再生、中心市街地活性化、こういうものはこれまで取り組んでまいりました。しかし、これまで欠けていたものとして、中核企業が過大な債務を抱えて先送りされているということ、三セクも、重要な役割を担っている三セクについても改革が先送りされていたということ、この点が地域力再生機構の役割です。

 したがいまして、これまでの手法がだめだから地域力ではなくて、これまでの手法でカバーしていなかった部分が地域力再生機構の役割ですし、都市再生や中心市街地活性化と連携をとりながら、その一つの手法として地域力再生機構は位置づけられていきます。

楠田委員 今まで確認の意味でそういう必要性を問うてきたわけでありますが、それでは、本事業で、本機構ができて、最終的な目標というものはどのような想定をされているのかということをお聞きしたいと思います。

 特に、取り扱う案件の数であるとか、努力規定でありますが五年間の期限を切っておられますので、この五年の間の進め方であるとか、最終的な採算性であるとか、こうした観点からお答えをいただけますでしょうか。

大田国務大臣 この再生機構の目標ですけれども、三つの要件を満たしていること、つまり、地域にとって重要な役割を果たし、過大な債務を抱え、そして三つ目に、三年以内に事業再生できるものを再生していくということになります。

 その案件につきましては、この基準を満たすものをそれぞれ申し出を受けて決定することになりますので、今の時点で幾つということを申し上げることはできませんけれども、全国で二百件程度を目安にしております。これぐらいのものが処理できるような枠組みを整えたいと思っております。

 先ほどから先生が御指摘のことで一点だけ補足いたしますと、延命措置は決していたしません。赤字垂れ流しのような三セクを救う気はありませんし、再生できない企業をゾンビのように救うことは決してやりません。再生できるものということが重要であります。

 機構の設置期限については、おおむね二年間で支援の決定をして、三年間で再生させていくということで、全体五年間を想定しております。産業再生機構の場合もそうでしたけれども、五年間の期限を切ることによって集中的に再生できる。むしろ、その期限が切られることで、自治体にしても金融機関にしても案件をしっかりと提出していくということもございますので、五年間での再生を予定しております。

楠田委員 今、最後、お答えありませんでしたが、採算性については。

大田国務大臣 失礼いたしました。

 事業再生できるものだけを再生するというのが地域力再生機構の趣旨です。企業価値を高めるというところが地域力再生機構のまさに使命でありますので、採算がとれるものだけを扱っていくということになります。

楠田委員 産業再生機構においては、五百五億円の資本金で九百四十億円ほどの残余財産が残って、株主への配分等を抜かして四百三十二億円余りの国庫納付を実現したわけであります。

 なぜここにこだわるかといいますと、当然、政府保証があり、そして三百億の出資をまずされるということでありますから、その具体的な、この五年の間に二百社という話もありました、延命措置はしない、再生可能かどうかを判断して、それだけを扱うということでありましたが、逆に言えば、再生可能かどうかの判断をここがすること自体が本当に許されるのか、必要なのかということを聞きたいわけであります。

 そうしたことを今の時点で漠然と言われても、どうなのかな、本当に三百億円出資を応じていただけるのかな、そして、最終的に国民負担がないのかということを知りたいわけでありますが、そうした観点からもう一度、採算性についても具体的に想定がありましたらお答えください。

大田国務大臣 支援対象にするかどうかというところが最も重要な判断であります。これについては、社外取締役が中心になりました再生委員会が入念な資産査定、デューデリジェンスを行いまして、徹底したDD、デューデリジェンスのもとで再生の見込みを判断いたします。これにつきましては、産業再生機構の経験の中でも、企業価値の算定方法として、現在の資産、時価ではなくて、将来のキャッシュフローをもとにしたディスカウントキャッシュフロー法というような手法も定着してきたというふうに思いますし、ここがしっかりと再生する、これは客観的な手法で再生していくということになってまいります。

 それから、支援基準の中でも、例えば十年間のキャッシュフローで返済できることとか、幾つかの基準を明確に定めてまいります。客観的な数字も定めてまいりますので、それを満たしたものだけを対象にするということでございます。

楠田委員 後ほどの選定基準についても少しお触れいただいているわけでありますが、先ほど与党質問の中でもありました、地域力再生委員会なるものに要は任せる、しっかりしているんだからそこを信用して任せるというお答えが主であるんじゃないかなと思っているわけであります。しかし、本当にこの再生委員会なるものに人材が集まってくるのか、そして、さまざまな国税も使っている中で、今の時点で明らかではないけれども、その判断を任せるということが果たしてできるのかということなんですね。

 そうした観点から、ちょっと順番を飛ばしますが、この人材確保の方法と人選、特に役員の人選基準、また、ふさわしい人物像等、人数の規模であるとか、そうしたものはどうでしょうか。これは順番でいうと最後の質問です。

加藤大臣政務官 御指摘のとおり、この地域力再生機構においても、優秀な人材を確保していくというのは非常に重要な問題であるというふうに思っております。こうした機構での業務の広さ、そして専門性ということを含めて、幅広い人材を確保していく。再生機構を念頭に置きながらも、基本的にはまず広く公募を行って、いろいろなところから声を出していただく。また、これまでも再生機構初めいろいろな関係先がございますから、そういうところにも声をかけていって、まさに必要な人材をしっかり確保させていただきたいというふうに思っております。

 また、特に役員が、全体の流れをつくっていく意味では重要でございます。当然、識見が高くて、経験があって、また能力があるということも重要でありますけれども、やはり、今回の地域力再生機構の趣旨を踏まえて、高い志を持って、熱意を持って取り組んでいただける方にお願いをしていきたいというふうに考えております。

楠田委員 極めて漠然でありまして、要は、民間の間でも人材確保というのは非常に難しいという中で、高い志という話もありましたが、実際に、その処遇等々、これがどうであるのかということも非常に重要だと思うわけであります。そうした観点から、もう少し具体的にお答えいただけませんでしょうか。

加藤大臣政務官 基本的には再生機構を念頭に置きながら、これから議論させていただくことになると思います。規模も大体そのぐらいを念頭に置くのかなと。また、処遇の面も、著しく高いというわけにもいかないと思います。ただ、おっしゃるように、それだけ能力のある人に来ていただかなきゃいけない。その辺もやはり再生機構の事例を一つ念頭に置きながら考えていきたいというふうに思っております。

楠田委員 産業再生機構と地域力再生機構、先ほど話がありましたように、地方の中で、特に三セクというものに関してはさまざま地域の事情もある中で、その再生が難しいからこれを取り入れるということでありながら、再生機構と同じような観点ですべて行っていくという漠然とした観点からしかお答えがないわけでありまして、そうした答えからしますと、やはり非常に不安も大きいなということを改めて感じているわけであります。

 また、そうした中で、出資、拠出の見込みということも改めてお聞かせいただきたいわけであります。

 現時点での報道等では、国百億、都道府県で百億、そして民間の金融機関で百億というふうに出ておりますが、民間金融機関の中にもさまざまあるわけでありまして、そうした現時点での想定と、これは任意ということでありますが、応じない場合、実際に強制性やペナルティーのようなもの、いわば、応じないところの案件には取り組まないであるとか、そうしたことを想定されているのか。この点はどうでしょうか。

加藤大臣政務官 機構の立ち上げの段階から業務を円滑に進めていくためにも、一定規模の資本金の確保が必要だというふうに考えております。いずれこの法案を成立させていただいた後に、二十年度の早い段階でスタートできるように、内閣府といたしましては、国、都道府県、そして金融機関、それぞれ百億円、合計三百億円程度の資本金を確保していきたいというふうに考えております。

 現時点でも、都道府県、また金融機関に対しましても、この地域力再生機構の趣旨、また、成立をさせていただいた後の出資の協力、こういうことをお願いさせていただいておりまして、それぞれ、知事会におかれてもその趣旨は理解をしていただく、また、金融機関の中からは前向きな検討という感触も受けさせていただいているところでございます。そして、特に金融機関は、今回、いわゆるメガバンク、全銀協だけではなくて、地銀協、第二地銀協等々にも幅広く要請を行わさせていただきたいというふうに考えております。

 また、都道府県につきましても、個別の判断ではありますけれども、一つの目安としては、大体一団体二億円程度、大きい東京都等は四億円程度お願いできればなというふうに考えております。

 また、ペナルティーのお話がございましたけれども、やはり基本的には、それぞれ自主的な判断をお願いし、この機構の必要性、そういったものをしっかり御説明していく。こんなペナルティーがあるからというむちということではなくて、まず、それをしっかり御説明させていただいて、御協力いただけるよう全力を傾けていく、それに専念をしていくというふうに考えております。

楠田委員 時間も参りましたので、最後述べさせていただきますが、やはり極めてスキームが漠然としているなという思いがありますのと、あと、やはり根本的には地方に、そして民間に任せるということが重要ではないかなという思いがあります。

 例えば、スキームの中で、事前にお示しいただいた温泉旅館のケースであるとか、これを見ておりますと、政策投資銀行の民営化後のビジネスモデルとほとんど一緒なんですね。そっくりなんです。そういうところから使い回ししているのかもしれませんが、完全にこうした政府系金融機関を民営化した後のモデルと重なってくるということもあると思いますので、今までの中で食い合いをするような図も非常に考えられるんじゃないかなと思っておりますので、そうした観点からもっともっとこの議論を深めていく必要があるのではないかと思います。

 そうした思いを披瀝しまして終わらせていただきます。ありがとうございました。

中野委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党、市村でございます。四十五分いただきまして、いろいろ議論させていただきたいと思います。

 今回のこの再生機構案、私は、これは対症療法としては、そのスキームとしてはありかとは思っています。ただ、なぜこのような法律が必要になってしまったのか、このことをしっかりと解明しておかないと次につながらない。対症療法としてはいいけれども、ではこれからの日本社会をどうしていくかというときに、次につながっていかないということもありますので、きょうはそのことについてさまざま議論をさせていただきたいのですが、まず、何でこれは民間じゃだめなのか、改めて大臣の御見解をいただきたい。

 というのも、例えば人材を確保する、先ほど大臣は、人材が大切だ、人が大切だとおっしゃいました。しかし、このいわゆる地域力再生機構にそれだけの人材が本当に集められるのかどうか。民間の有能な人材を集めるんだったら、そもそも民間でやればいいじゃないかという考え方も成り立つ、こう思います。なぜ民間じゃだめなのか、改めて教えてください。

大田国務大臣 人材をプールして人材派遣を行っているものは地域にもございます。しかし、重要なのは、地域の圏域を越えて人材を還流させていくことだというふうに考えております。その仕組みが今不足しております。特に、事業再生、地域再生の人材を全国ベースで還流させていく仕組みというのが欠けております。したがって、こういう地域力再生機構というものを人材という点で考えたということでございます。

 それから、事業再生については、民間だけではどうしても複雑に絡み合って一歩前に進むことができないというところに対して、地域力という枠組みをつくって進めていくということでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、大臣、きょうは私は、地域力再生機構が対象としているのは、一つには民間の中小規模の、特に中規模でしょうか、その営利企業だと思いますが、一つは三セクと言われるものですが、そもそもこの三セクというのはどういうものと大臣はお考えになられていますでしょうか。

大田国務大臣 三セクそのものは、まさに第三セクターですから、官と民の中間領域ということになるんだと思いますけれども、もともとは、地域経済活性化のために、官が民間の手法を活用することによって経済活性化を興そうとしてつくったものである。もともとはそういうものであるというふうに考えております。

市村委員 そもそもこの三セクという言葉はどうやって生まれたかというのは、大臣は御存じでしょうか。

大田国務大臣 詳しくございませんので、ぜひお教えいただきたいと存じますが、まさに、第三セクターでございますので、官ではないパブリック、あるいは民でありながらパブリック、こういうセクターをカバーするのがサードセクターであるというふうに認識しております。

市村委員 例えば、アメリカではこの第三セクターはもちろんあるんですが、これは日本と同じものだというふうにお考えになられていますか。どうでしょうか。

大田国務大臣 申しわけありません、よく存じませんので、ぜひお教えいただきたく存じます。

市村委員 実は、この第三セクターこそが、私もこの委員会で何度も議論させていただいているNPOセクターなんですね。そもそもNPOセクターのことを第三セクターというんです。今大臣がおっしゃっていただいたように、まさにパブリックなるものなんですね。ガバメントじゃないものもパブリック、つまり政府じゃなくてもパブリックを行うというセクターのことを指して第三セクターと。まさに今議論が進められていますけれども、民間の公益活動、民の公なんですね。そもそもそうだったんです。

 ところが、日本ではこれがいつの間にか、つまり、ここでも何度も申し上げているように、このいわゆる民の公のセクターがしっかりと確立していないものだから、結局、あったものといえば営利企業と行政しかないので、しかしこれだけじゃどうも財・サービスの提供は賄えないだろうという中で、結局ジョイントベンチャーの形で三セクをつくってきたというか、つくることができたということがまずこの社会システムの背景に私はあるというふうに思っていますね。

 そのことが、結局、地方自治体の中で、最初は緊張感を持ってこれも取り組んでいたんでしょうけれども、そのうちに国がやってきまして、まあ使いなさいよ、こういう補助金があるからどうですか、使ってみたらいかがでしょうかということをやり始めて、これは使えるなというふうになったんだと思います。結局、それが使えるものだから、特に国も、いや大丈夫大丈夫、私たちがちゃんと債務保証しますから、どうぞやったらどうですかと。結局、その典型は夕張ですよね。夕張市の破綻はその典型です。

 そういう社会の仕組みそのものを温存したままいかなる対応をとっても、結局また同じことが起こるということだと私は思っています。だから、その根本からやはりきちっと議論をしなくちゃいけないと私は思っております。

 そのときに、この三セクとは何ぞやということもやはり根本から私は議論すべきだと思いますが、ということを大臣、お聞きになられて、どういう御感想をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。

大田国務大臣 ありがとうございました。勉強になりました。先生のお考えを伺っていて、やはりアメリカの場合NPOだということでした。パブリックというのは官だけでは担えませんので、この官で担えないパブリックに出てくる民ということで生まれてきているんだというふうに、今伺っていて思いました。

 ただ、日本の場合は、経済活性化、地域経済を活性化させるためというような目的が割と早い時点で出てきたのかなというふうに思いました。地域経済がなかなか民だけで活性化しないところで、官が入っていって第三セクターをつくることで、何か施設をつくったりして経済活性化に役立てようかということで、比較的収益性が前面に出てきたのかなというふうに、今お話を伺っていて感じました。

 しかし、だんだん日本でもNPO、NGOが少しずつ育ってきて、官ではないパブリックというものが少しずつ理解されてきたように思いますので、そういう意味で言うと、今、第三セクター、先生がおっしゃる本当の意味の第三セクターが生まれるような状況になってきているんだろうかということを感じました。

市村委員 まさに、今おっしゃっていた、まず、官では担えないものがあって、また営利企業でも担えないものがあったということが大切なんですよね、ここで大切なことは。

 それで、さっき公社のこと、今回、三公社が入るという話がありました。

 これは御存じだと思いますけれども、例えば公社という考え方自体は、アメリカではオーソリティーとかという言い方をしますけれども、クワジガバメントという英語ですが、要するに疑似政府ということで、実はNPOじゃないんですね。これは政府の機関として、しかし政府そのものじゃないけれども政府に近いものとして、民の知恵とか力を取り入れる可能性を持ったものとしてオーソリティーをつくっていく、公社です、これがまさに公社なんですね、それでやっております。

 しかし、これはあくまでも民の公のセクターじゃないところで、政府としてなんです。だからやはりここは切り分けが必要だと思っていまして、つまり、第三セクターというとやはりこれはNPOセクターですから、そうじゃなくて、そもそも民間とか言わなくていいんですね、これは政府なんだ。しかし、政府そのもので、本体でやると大変いろいろ硬直的であるから、ちょっと政府とは離れたところに政府に近いものをつくっていくという考え方だと私は思っているんですね。だから、結局そういうものの概念が整理されていないがために、民間民間、けれども営利企業じゃないよ、だから何がいいかな、いや三セクだ、こういうふうになってきたんだと私は思っています。

 だから、やはりもうちょっとしっかりとした概念整理をして、一体政府の役割は何なのか、NPOの役割は何なのか、営利企業の役割は何なのか。また、政府という本体ではなかなかこれが難しいのであれば、政府の近くにそういう民間との関係も少し柔軟に取り入れられるようなものをまたつくっていくとか、そういうしっかりとした概念整理をしてそういう組織をつくっていった上で、役割をしっかり分担していく。

 こうやっていかない限り、結局、今、何度も繰り返しますが、きょうはお手元の資料で「これからの社会のしくみ」、こういうふうに書いていますけれども、実はこれは、これからの社会の仕組みじゃなくて、これまでもあった社会の仕組みなんです、日本は。何回も申し上げておりますが、戦後たまたまこういう仕組み、たまたまいわゆる営利企業と行政だけで何とかやってこられた時代が六十年ぐらい続いてきたんですね。しかし、そもそもは、日本だって、江戸時代を考えれば、民の公のセクターが一番多かったんです。

 だから、ちょっと一瞬、六十年ぐらい忘れ去られていますけれども、これからの社会の仕組みとしてやはりこういうものをしっかりと、私は社会の三権分立というふうに呼んでおりますけれども、こういう三本柱をしっかり打ち立てた上で、概念整理をして、そして役割分担を考えていく。こういう発想に立たない限りまた同じことを繰り返すだろう、私はこう思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

大田国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 これまで、三セク、うまくいっているものもありますが、うまくいっていないものもある。そのうまくいっていない背景というのを今先生のお話を伺いながら感じますと、官が民の資金といいますか経営ノウハウを使おうと、一時民活という言葉がありましたが、一方的に使おうという形でつくられたもの、そういうものはやはりうまくいっていないように思います。つまり、両者の責任が極めてあいまいになってしまったということだと思います。

 今の先生のお話を伺っていますと、そこでないとカバーできない領域、パブリックの中でNPO、NGOでないとカバーできない領域を第三セクターがやるということでないとうまくいかないということかなというふうに思います。

市村委員 例えば、今で言う三セクですね。今回、これで地域力再生機構の中で再生されていくとした場合、もともと、例えば公社などというものは、いわゆる民、市場で成り立つ、マーケットメカニズムで成り立つのであれば、これはそもそも株式会社にしておけばよかったわけですね。しかし、なかなかそれじゃ難しい、だから税金も入れなくちゃいけないというところでつくられてきているわけですから。

 しかし、今回地域力再生機構に求められるのは、いわゆる経営基盤をしっかりしろということですね。株式会社であれば、ある種、黒字というか、しっかりと利益を出していけという話に、再生するのであればこれまでの赤字はだめだよ、こうなるわけですね。しかし、さっき申し上げたように、そもそも公社というのは、オーソリティーは、なかなか民間じゃ難しいぞというものをやってきたわけでして、ここだと、結局そういうところにいわゆる利益を求めろというのは実はおかしな話になってくるんだと思います。これについてはどういうふうにお考えでしょうか。

大田国務大臣 地域力再生機構は、公社は対象といたしておりません。公社は一〇〇%政府といいますか自治体ですので、公社については事業という範疇ではございませんので、公社は対象としておりません。対象とするのは第三セクターまででございます。

市村委員 さっきの議論で何か三つの公社を対象というふうに私聞こえたんですけれども、あれは私の誤解でしょうか。

 わかりました。済みません、失礼しました。

 公社を対象にしないというのはわかりましたが、ただ、三セクの中には、なぜ三セクになったかというと、基本的には、やはり民間の営利企業だけじゃ無理だし、行政だけじゃ無理だというものであって、どちらかというと行政に近い、つまり税金で行った方がいいものに近いところ、しかし、さっきから申し上げているように、本体でやるよりは多少民間に近いところでやった方がいいという感じで、いわゆる三セクという形態でやっているものもあるように私は思うんです。

 では、今度、地域力再生機構で再生させるためにはこれまでみたいにはだめよというふうになったときに、利益を本当に上げられるのかということになってくるんですが、多分三セクというのはそういうのが多いと思うんですが、そういうものに対してはどういうふうな対処をされようとしていますか。

大田国務大臣 まさに事業として再生し、収益を生み、雇用を生んでいくというものは、地域力再生機構の対象として支援対象になります。

 それ以外に、今先生がおっしゃった、完全に民間になったときは再生できない、収益を上げられないけれども地域にとって極めて重要である、例えば鉄道であるとかそういうものについて、これはどうしても必要だから自治体が一定の支援を行う。一定の支援を恒常的にしっかりと組み込んでいくことによって再生するというもの、これについても対象にいたします。ただし、その場合は、支援の目的、根拠、金額というものが透明であって、つまり、それだけの支援が得られるならば住民にとって重要なものとして存続するという場合は支援の対象にいたします。

市村委員 そうですね、例えば、鉄道の例を挙げていただきましたけれども、もともと鉄道も、今はJRと言っていますけれども、国鉄ですね、現業。結局、国がやらないとああいうものはなかなかできないんです、簡単には。道路とか鉄道、公共インフラというものは、やはり最初は国がしっかりやっていかないといけなかった。例えば地域でも、地域の鉄道のインフラにあっては、やはり民間に最初からやれといってもなかなかこれは難しい。だからこそ、いわゆる三セクを使ってやってきたと思っています。

 これは極めて、例えばこれからも、地域主権ということになってくれば、地域が求めていくものになりますよね。だから、いやどうしても必要だというならやるべきだということになってくると思います。そのときは税金を入れるという話になってくるんでしょう。

 ただ、そういうときに、これを三セクということじゃなくて、やはり地域、自治体がみずからの意思で、これは必要だ、これは地域にとって不可欠なものだから税金を使う価値があるんだというふうな判断でやれるような方向に持っていかないといけない、前提がそうじゃないといけないと思います。

 何でもかんでも民間でやりなさいよ、国鉄だってJRになったんだから、民間なんだからと。しかし、それは歴史があった上で最後にJRになったわけであって、最初はやはり運賃とか税金を入れていったわけだと思います。

 きょうは二之湯政務官がいらっしゃっていますが、今の議論をお聞きになられて、総務政務官としての御見解をいただきたいと思います。

二之湯大臣政務官 いわゆる第三セクターの定義というのは必ずしも特定ができておらないわけでございますけれども、総務省における第三セクターの指針によりますと、第三セクターとは、地方公共団体が出資、出捐している民法法人あるいは商法法人、こういうことでございますけれども、地方公共団体の出資割合が二五%以上のそういう法人を一応第三セクターと。それと、二五%以下であっても、いわゆる地方公共団体が最終的な財政支援を行っている、こういう法人を第三セクター、こう言っているんじゃないかと思います。

市村委員 今こうした議論も聞いていただいておりますように、やはり総務省としても、これから、基本的にこの話は、まずベースは地方自治体だと思うんです。ただ、さっきからの議論がありますように、地域だけでやると、それこそしがらみからなかなか逃れられないようなこともあって、これはやはり中央でやるべきことだと思うんです。

 やはり各自治体の中で、私は、これからしっかり、さっきも申しました概念整理をして、これは地方自治体でやるべきこと、あとはマーケットメカニズムに任せること、あとは民の公であるNPOに任せることという大きな柱を三本まずしっかり立てた上で、しかし、それだけでもなかなか難しい、ちょっとニッチがあるんですね。これはどうしてもすき間が出てくるんです。そういう場合は、例えばオーソリティーとか公社とかというようなことでやっていくという。こういうしっかりとしたスキームを立てた上で、柱を立てた上で役割分担をやっていくということが私はこれから必要だ。

 特に、地域主権の時代になってきて、やはりこれから、地域が自分たちでやっていかないと、格差がどんどん生まれてくる。競争が激しくなれば格差も当然生まれてきます。いいところはちゃんと発展するけれども、だめなところはだめとなってきます。しかし、そのときにしっかりとした考え方を透徹しないといけないと私は思います。

 だから、そのためには総務省も、三セクというのはそもそも何だったのかということをもう一度原点に戻って考えていただいて、今、地方自治体のいろいろなことに対してアドバイスを与えていただいていると思うんですが、政務官の方から一言またいただけますでしょうか。

二之湯大臣政務官 第三セクターの損失が非常に大きいということで、地方の財政を非常に圧迫しておることは、私も地方議員の一人としてよくわかっておるわけでございまして、なかなか今まで議会も、第三セクターの財政状況というのは、資産状況というのはよく把握できなかった。

 こういうことで、新しい法律もできましたもので、ぜひとも地方議会においても、第三セクターの実態というものを十分監視するような、そんな方向で進んでもらえば、そういう、後で第三セクターが大変な財政状況であったということもないのではないか、このように思ったりするわけでございます。

市村委員 今政務官からありましたように、結局、三セクをしっかりやらないと、いわゆる自治体財政健全化法をまともに適用したら大変なことになるだろう、パンドラの箱をあけることだというふうにも言われているわけで、だからこそ、今急がないかぬということだと思います。

 日本が置かれた状況は厳しいなということでありますが、だからこそ、対症療法的でもとにかくやらないかぬ、私はそういうふうに理解をしているところです。ただ、何度も繰り返しになりますが、やはり根本的なところをしっかりと踏まえて考えていかないといけないと思います。

 それで、せっかくですから法案の中身を少し議論させていただきたいと思いますが、この地域力再生機構ですけれども、何でこれは株式会社、これ自体が株式会社であることの意味をまた教えていただきたいと思います。

大田国務大臣 事業再生そのものは民間が担うべきものだというふうに考えております。つまり、経済合理性に基づいて、再生できるもの、できないものを判断していく、この点は重要な点だと考えております。ただし、先ほどお答え申し上げましたように、ここで公的関与の意義があると判断するものについて地域力再生機構が入っていきます。

 したがいまして、公的な関与を行うものではありますけれども、組織形態としては株式会社ということで、あくまで民間の論理でそこは判定していくということで株式会社にしております。産業再生機構も株式会社という組織でございました。

市村委員 結局、ここがやはり、まだ日本が市場と政府しかないというところ、営利企業、政府しか主体がないというところに起因することだと思うんですね。まさにこれこそ三セクと言ってもいいようなものですね。

 本来であれば、もっと政府に信用があれば、いわゆる独立行政法人、昔は特殊法人、今は独立行政法人、これももちろん、これはこれでいろいろ批判があるところであって、それをもろ手を挙げていいと思っているわけじゃないんですが、しかし、やはりそういうものというのは必要だと私は思っています。政府に近いものとして民間的な立場があるというもの、例えば、昔は特殊法人も最初はそうだったんでしょう。恐らく独立行政法人もそうなんでしょう。

 ところが、今余りにも政府に信用がないものだから、もう政府に近いものはあかん、だめだとなってきて、結局、営利企業ならいいんじゃないか、こういう話なんです。しかし、私の友人たち、営利企業に勤めている人はたくさんいますが、市村、営利企業もそんな立派なものじゃないぞ、こういう話でありますね。

 ですから、今問われているのは、やはり政府がだめだとかマーケットならいいとかという話じゃなくて、もうちょっとしっかりと、これからの社会の仕組みとして一体どういうものが必要なのか。結局、これまで、日本だけじゃありません、諸外国もいろいろ実験をしてきたわけですね。共産主義もあった、社会主義国家もあった、資本主義国家もあった。いろいろな失敗をしてきて、いろいろなことが今知見としてわかってきているわけです。こうしたらうまくいかない。結局、民営化だってなかなかうまくいかない、いい部分はあったけれども、うまくいかない部分というのもわかってきているわけです。

 例えば郵政民営化にしても、諸外国で実際にやったところはいろいろ失敗の事例もあったわけですね。うまくいかなかった事例もあって、まだもっているところもあるというようなことを含めて。だから、あのときの郵政民営化の議論のときも、何で失敗に学ぶのかなと。二十年前だったら、もろ手を挙げて民営化と、一緒にやっていればよかったんです、あのレーガノミックスとかサッチャーイズムのときに。日本も一緒に民営化だともろ手を挙げてやっていたら、同じようにいろいろ経験して、ああ、これはいかぬかったな、こう思ってよかったんでしょうけれども、失敗したところがあって、それをわかっていながら、なぜ、あえてそれに突き進むのかというのが本当にわからないんですね。失敗に学ぶほど愚かなことはないんですね。

 だから、やはり日本も、これだけ有能な官僚の皆さんもいらっしゃって、これだけの立派な国会もあるわけですから、しっかりと議論して、失敗にもちゃんと学んで、では、我々日本は独自にこうやっていこうということをやらないといかぬはずなんですね。

 そこで、今回、これは株式会社なんですね。しかし、株式会社になれば、当然、いわゆる利益を上げなくちゃいけない。地域力再生機構も利益を上げることが目的じゃないんでしょうけれども、でも、利益を上げることが目的でない株式会社というのは何ぞやということにこれはまたなってくるんですが、どうなんでしょうか。やはり利益を上げることを従業員に求めないのか。いわゆるこのスタッフになっていただく方、多分、かなり有能な方が来ないと、先ほどから議論があるように、うまく回らないと思いますけれども、それなりの給与も払い、処遇もしということが必要だと思います。しかし、その中で、では、この場合の利益というのは何なのかということを含めて、ちょっとまた御見解をいただきたいと思います。

大田国務大臣 民だけでできないものを公的に関与していくという意味では、先生がおっしゃる、やはりサードセクター的な趣旨を持っている組織でございますけれども、何ゆえNPOでないかというと、NPOですと出資を受けることができないわけですね。

 地域力再生機構は、債権を金融機関から買い取り、事業を再生して、それを売ることで回収していくということがございます。したがいまして、債権放棄を受けて、それを買い取る段階で安定的な経営基盤を必要とします。したがって、今三百億円を想定しておりますけれども、一定の安定的な出資の基盤が必要であるというところで、株式会社形態をとっている一つの理由がございます。

 では、収益は何かというと、債権を買い取って事業再生を行い、その債権の価値を高める、つまり企業の価値を高める、この高めた部分が収益ということになります。逆に言いますと、高めなければ地域力再生機構は役割を果たしていないわけで、地域にとって役割を高める価値がある企業を支援対象として高めるということがまさに本来の役割でございます。

 したがって、収益というのはそういう意味であって、企業価値を高めるということになります。

市村委員 もちろん、目的としては企業価値を高める、地域のためにそれがあるということだと思います。

 しかし、株式会社は日本の場合はほとんど上場していないわけですから、株式会社の仕組みそのものが結構NPO的だという指摘もあるぐらいでありまして、上場を目指さない株式会社というのは何ぞやということ、これも根本的な問題としてあるんですね。

 あと、決して、この地域力再生機構はNPOであるべきだということは私は全然主張しておりません。先ほども申し上げた、これはクアジガバメント、いわゆる疑似政府としてあるべきもの、つまり、政府だけれども政府本体じゃない、民間的なものも要素に取り入れたところだというふうな立場であるべきだという考え方であります。NPOとは違います。だから、そういうものとして本来あった方が本当はいいのかな。つまり、結局、株式会社そのものも、一体何ぞや、この日本の国でもう一遍問われていかなくちゃならないことだというふうに思っているんです。

 それから、自治体の支援をどこまで求めるかということがやはりあるわけですね。この地域力再生機構が一生懸命旗を振っても、自治体が何か人ごとのようになってしまっていて、例えば三セク処理なんかはその最たるものですけれども、まず自治体が真剣に、これはまずい、財政健全化する中でこれは抱えたままではまずい、このままいくと本当に財政破綻してしまう、再建団体になってしまう、やはりこの思いの中でやっていただかないかぬ、こう思っているわけでございますけれども、この自治体の支援というものについて、どこまでしっかりと求めていかれるのか、また大臣の御見解をいただきたいと思います。

大田国務大臣 自治体の支援というよりも、支援ではなくて、自治体が、先生がおっしゃったように、三セクをどうするのかということを判定して、だめなものはだめです、つぶさなきゃいけない、これは自治体としてそういう判断をなさると思います。しかし、いい経営人材が入って、いいスキームの中で再生すれば地元にとって貴重な資源になると思うものを私どもの地域力再生機構に持ってくる。それをこちらは事業再生できるかどうかをプロの目で厳正に資産査定をして、支援対象にするかどうかを決めていくということでございます。

 したがって、支援というよりは、自治体が判断し、その一つの改革の出口として地域力再生機構があるということです。

 財政健全化法が施行されましたので、そういう意味で、自治体も今本格的にその改革に取り組もうとしているところだと考えています。

市村委員 これは二之湯政務官にお聞きしたいんですが、私が今いろいろ私の地元の市役所の方とかと接しているときに、実は国のこういう議論が必ずしもいわゆる地方自治体レベルに私は伝わっていないような気がするんですね。ああ、そういうことがあるんですかという感じの議論でして、やはりこういう国会で真剣な議論が行われている、これはもう国家の危機だという観点から行われていることが、どうもその肝心の地方自治体の中で何か意識が共有されていないような雰囲気が私はあるような気がしてならないんですが、その点、政務官の御見解、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

二之湯大臣政務官 たびたび予定にない御質問をいただきまして。

 私も地方の出身の一人として中央に参りまして、もちろん、中央のこういう議論が地方の自治体及び議会議員に共有されていないということ、さらにまた、法律が実際成立しても、それが、地域の自治体がこれをこなす場合に実態と合っていない、乖離している。特に今回の高齢者医療制度なんかはそういうことをよく言われるわけでございまして、その辺は、お互いが、これは地方の場合も、国でどのような議論が行われているか、あるいは国の方においても、こういう法律、あるいはこういう我々の熱心な議論が、実際、地方の自治体に移された場合にどのような影響を与えるのか、効果が生まれるのかということもよく精査しないといかぬ、こう思います。

 いずれにいたしましても、これはお互い、我が党も、そしてまた民主党の方も、地方の議員と国会が意思の疎通を図って、そしてお互いが、国も地方も風通しのいいそういう政治あるいは行政をしていかなきゃいかぬな、このように思ったりするわけです。

市村委員 ぜひとも、総務省としても、地方自治体に、やはり今大変な状況なんだろうということは当然もう議論されていると思いますが、こういうスキームが今考えられているぞ、これは通るかどうかはわかりませんけれども、そういうことも、通る通らないは別にして、やはりしっかりとされていかないかぬと私は思うわけであります。

 それで、例えば、赤字法人の三セクが今法人数として二千四百四十八あるわけでありますが、新聞記事によりますと、今いろいろ調査したところ、百十二の三セクが検討している。つまり、第三セクター、法人数は全部で六千七百六、これはさっき債務超過法人の数字が変わっていましたので、だから、ひょっとしたら少し古いデータかもしれません。例えば債務超過法人がこの資料では三百六十八、さっきの大臣の答弁で三百七十五でしたので、ひょっとしたら今の数字は正確じゃないかもしれません。

 しかし、いずれにしましても、六千七百六あって、そのうち赤字法人が二千四百四十八。しかも、債務超過法人が三百七十五あるにもかかわらず、実際に検討、やるというのじゃなくて、検討しているのが百十二しかない。こうなると、残りの、例えば債務超過法人なんかを見ても、あと二百数十あるわけですね。一体この人たちはどうなるのか。つまり、このスキームは利用しない、けれども、利用しない場合、ではどうやって再建できるのか、こういう話になるわけです。だから、それがさっきの議論なんです。

 つまり、できたとした場合、ちゃんとこれは説明されて、いや、これは使わないと大変なことになりますよということをちゃんと地域で共有されていないと、結局、そんなのがあったんですかということになりますし、かつ、あったということがわかっていても、こんなの使わないぞ、こういうふうにひょっとしたら思っているのかもしれませんけれども、そういうことでは結局はうまくいかない。せっかくスキームをつくってやっても、使う人がいなければうまくいかないということが懸念されるわけでありますけれども、このいわゆる新聞のアンケート調査に対する御見解を大臣からお伺いしたいと思います。

大田国務大臣 各自治体が三セクについては調査して、債務超過のものについて、経営改革委員会というのをつくって、それぞれ改革プランを平成二十一年度までにつくることになっております。その中で、今先生がお挙げになった数字それぞれについて考えていくことになるんだろうと思います。

 どうしても見込みがないものはつぶしていく。そして、少し手を入れることで再生できるものは、自治体みずからそれをするかもしれません。今まではそのどちらかしか選択肢がなかったわけですね。だけれども、今回、地域力再生機構ができることによって、より厳格な資産査定を専門家の目で見て行って、再生可能性を判断して、そして人材も使って再生に導くという一つの選択肢ができたということでございます。したがって、改革プランをつくるときに一つの重要な再生への選択肢ができたということが地域力再生機構の趣旨です。

 それから、自治体が改革プランをつくるときも、機構から資産査定のノウハウ、あるいは機構を活用するノウハウといったものを持ってアドバイスに入るという機能も持っておりますので、三セク全体の改革に役立つものだと考えております。

市村委員 これには都道府県とかいわゆる金融機関が出資することになりますよね、この地域力再生機構に。これは前向きでございますか。前向きですか、皆さんは。

大田国務大臣 自治体も必要性を十分に感じておられますので、前向きの判断でございます。

 しかし、一つ一つの自治体それぞれの判断にお任せしておりますので、恐らくこの審議状況も見ながら御検討いただいているものと思います。

 三セクを改革するというのは自治体にとってもつらいことでして、当然、経営者の責任は問われます。退陣に追い込まれます。それから、自治体が持っている株主権も消却されます。したがいまして、つらい判断ではありますが、財政健全化法の中で先送りせずに改革しようということになっておりますので、前向きに受けとめていただいています。

 それから、金融機関にとっても債権放棄というのはそうたやすい判断ではございません。厳しい判断を伴いますけれども、やはりここでしっかりと再生させようという機運は出てきておりますので、こちらも全銀協、地銀協、第二地銀協、私もそれぞれお話しいたしましたけれども、前向きの感触を得ております。

市村委員 前向きであればいいんですが、もし、地方自治体で、また都道府県で、うちは嫌だと言った場合、例えば、ほかが出資していて、そこは出資しないとなった場合、例えば、いわゆる都道府県の三セクがあったとして、そこの地方自治体の市議会か何かから、出資していないんだから、おたく、それはだめですよ、こういう話にはならないという理解でよろしいでしょうか。

大田国務大臣 出資していないから使えないということは全くございません。そして、出資していただくかどうかはそれぞれの自治体の判断です。ただ、出資しているところといないところについて何らか適切な形で、合理的な形でメリットというものは考えたいと思っています。

 全国の中で成功事例をつくっていくというのが地域力再生機構の大きい役割ですので、しっかりと再生していく成功事例が出てくる中で、自治体もさらに前向きに御検討いただけるものと考えています。

市村委員 例えば、平成二十年度、今年度、今予算が一兆六千億。先ほどの議論にもありましたように、約二百の支援を想定しているということになるんですが、ということは、単純計算でいくと、一件につき八十億円なんですね。こういう規模というのは、例えばどういう地域企業を想定しているのかということと、一兆六千億となった根拠を教えていただきたいと思います。

大田国務大臣 一兆六千億は債務保証の枠です。この八十億円というのは、産業再生機構の事例の中で平均的に八十億円であったということを仮置きしてございます。そして、二百件を目安にしておりますので、一年間で百件と考えたときに、平均的な借入期間が半年、したがいまして、借入頻度は一年間ですと二回になります。そういうわけで、八十掛ける百掛ける二ということで一兆六千億円という枠を設定しております。

市村委員 多分、大きな枠だと思います。つまり、産業再生機構が対象とする企業というのはかなり大企業でしたから、今回は中小及び三セクということであれば、それをもとにするということは、今の対象とする企業にとってみればかなり大きな規模だということです。ということは、これは、枠があるんだから、一応二百ぐらいを想定しているけれども、二百にこだわらず、これがもしどんどん来た場合は四百でもいいぞというお考えもあるということでしょうか。

大田国務大臣 地域にとって重要であり、過大な債務を抱え、事業再生できるというこの基準を満たすものであれば、二百が三百になってもお受けいたします。当然、その予定にしております。もちろん、経営者の責任も問う話ですので、これはそんなにうまい話といいますか、どんどん来るというものではないと思いますけれども、本当に再生を希望し、支援基準を満たすものはお受けするということになっております。

市村委員 もちろん、今大臣がおっしゃったように、いい話じゃないですからなかなか踏み切るところも少ないとは思うんですが、しかし、そこは踏み切ってもらわないと、今のこの状況を打開していかない限り、どんどん財政破綻団体が、そして再建団体が生まれてきてしまっては元も子もない。

 こういうところからの危機感からこういう話になっていると私は思っていますので、先ほどから申し上げておりますように、やはりこうしたスキームを使ってもらわないと、結局、ちゃんと理解して使ってもらえるスキームじゃない限り、やってどうするのという話になります。だから、今の日本が置かれた状況は厳しいよというところがまず共有されないといけない。

 多分自治体の方もそうだとは思うんですけれども、何となくまだ危機感が薄いんじゃないかというふうに私は認識をしているんですね。だから、この機構に限らず、やはり今、日本が置かれている状況は厳しいんだということを、この法案だけじゃなくて、もっと、特に総務省の方、地方自治体の皆さんと議論をしていただいて、これまでのスキームじゃない、これまでの延長線上に未来はないぞと。

 大体、やっていることというのは過去の清算の話ばかりやっていまして、未来をどう形づくるかという議論がなかなかなされないのが残念なんですね。だから、次のこれからを担っていく若者たちも、今どういう状況になっているか、希望がないんです、はっきり言って。将来に対して希望がないものだから、どうしたらいいかわからないんですね。それで、悲惨な事件が起こったり自殺がふえたりとか、アルコール依存また薬物依存とかふえてきているというような悲惨な状況であります。恐らくこういう状況で子供を産み育てようなんて気持ちにならないですよね。

 だから、やはりその意味では、過去の清算ももちろん必要なんですが、未来に向けて、私たちはこうするんだということをしっかりと国会が打ち出していく役目があると思います。そのときに、最後に、また改めて最初の議論に戻りますが、やはりもう一回概念整理をすべきだということだと思います。

 だから、何回も繰り返しになりますが、まず、政府そして営利企業そしてNPOという三本柱を立てながら、それぞれの役割はどうあるべきかという議論をしていくことが今私は求められていると思いますので、最後に改めて大臣の御見解をお聞きしたいと思います。それで終わります。

大田国務大臣 バブルが崩壊して、長い間かかってようやく国の金融システム不安はなくなってきた。そして、地方の中にはまだ過大債務でしこっているところが残っています。これも、過去の清算から脱却して、未来に向けて、その地域の貴重な資源を今ここで再生させて雇用の場をつくっていくということが地域力再生機構の趣旨ですので、ぜひ先生がおっしゃるようなものになるよう、私どもも全力を尽くしたいと思います。

 あわせて、自治体においても、自治体の役割、民の役割、そして自治体が支援する場合はどの部分にどういう支援が必要かということを三セクの改革を通して改めて考えることになると期待しております。

市村委員 終わります。

中野委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 楠田委員の質問でも、市村委員の質問でも、この地域力再生機構法案について二委員の疑問は晴れてはいないようですし、私も、伺っていて、やはりなぜこれを株式会社でやらなければならないのか、そしてまた、そのスキームもいろいろ伺っていかなければならないところがあるなというふうに感じております。

 質問が重ならないように気をつけながらというふうに思いますけれども、まず一点、この法案提出時の趣旨説明で、地域経済の立て直しがこの立法の目的であるというふうに大臣から御説明があったかと思うんです。しかし、政府からいただいた資料、何種類か見させていただきましたが、再生の見込みのないものは支援対象としないというふうに一方では説明をされていらっしゃるわけです。

 これもいただいた資料ですけれども、支援対象となる中規模企業、中規模企業という言葉は私も初めて聞きました、中規模企業のイメージとか三セクのイメージという図があったんです。それを見ましても極めて限られた範囲しか対象になっていないということなんですけれども、これで本当に地域経済の立て直しにつながるのだというふうに大臣はお考えですか。

大田国務大臣 地域力再生機構だけで地域経済の立て直しをすることはできないと思っております。地域経済立て直しのためには、幾つかの政策を組み合わせていくことが必要です。中小企業再生支援協議会というものもスタートし、拡充されてきております。

 私どもが感じましたのは、今ないスキームがある。それは、人材を全国的に還流させていく仕組みであり、それから、地域の中の重要な企業でありながら過大な債務を抱えて再生が先送りされているというもの、つまり、地域の中で波及効果が大きい、ここがうまく再生すれば雇用を生み出せるという部分について、これまでの地域再生の仕組みの中で抜けておりました。ここについてやっていこうというのが地域力再生機構の趣旨でございます。

西村(智)委員 これだけでは地域力というものの再生はできないということになりますと、それでは、法案に「地域力再生機構」とついているのは、これはいささか過大広告に過ぎるのではないかというふうに思いますけれども、この名称はどうしてこういうふうになったんですか。それは改めるべきだと大臣はお考えになりませんか。

大田国務大臣 地域力というのは地域の総合的な経済力をあらわします。地域力再生機構は、この地域力を上げるための必要条件だと考えております。しかし、十分条件ではありません。これだけで再生できるほど地域経済というものは小さくはありませんけれども、今この地域力再生機構ができなければ、本当の意味の総合的な経済力の浮揚はない。

 なぜかといいますと、地域の中で本当に影響力の大きい重要なところ、ここが再生すれば雇用を生むであろうところが不良債権を抱えたまま先送りされている。これは地域の中核的な企業ですから、これが再生されなければ地域力の浮揚はありません。そういう意味で不可欠であるということで、地域力再生のための不可欠な機構としてこの機構を提案している次第です。

西村(智)委員 詭弁だと思います。

 今のお話を私は素直に聞きまして、地域力を再生したい機構とかいうことであればわかるんですけれども、これで本当に地域力が再生するかのような、先ほど楠田委員でしたか、質問の中で述べておられましたけれども、これが通るとバラ色の未来が見えてくるような、何かそういう誤解を与える名称だと思うのですね。

 ですから、私は、法案のスキームもさることながら、まずこの名称について大変大きな疑問を持っているということでございまして、大臣はこれを改めるおつもりはないということですけれども、やはりこの法律は、いろいろなものをごっちゃにして一つの法律として成立をさせたいというがために、いろいろな無理が生じている部分があるのではないかと思うんです。その点については後で質問させていただきたいと思います。

 もう一つ質問は、地域間格差の問題が先ほども出ていました。

 今回の法案は、言ってみれば手挙げ方式、手を挙げたところ、地域金融機関なり自治体なりが手を挙げた、そこに対してデューデリを行って、事業再生計画をつくって、それでスタートしましょうということなんですけれども、産業再生機構のときもそうでしたが、ある地域では非常にその対象となる企業なりが集中しているんですけれども、ほかの地域では全く対象となるところがなかったというような、全国的なばらつきといいますか、そういうものがあるわけなんです。地域力再生のために不可欠だと大臣がおっしゃったこの機構でも、そういうある程度のばらつきは出てくるのではないかと私は考えています。

 地域間格差が一方で解決しなければならない課題としてありながら、手を挙げたところが偏ってしまったとか、本当はここに手を挙げてほしかったのに手が挙がらなかったとか、そういうことで結果的に新たな地域間格差を生むことになりやしないかということを懸念しているんですけれども、これが生じたときに、機構としてはどう道義的な責任をとることになるのか、あるいは立法者として大臣はどう責任をお感じになるのか、それを聞きたいと思います。

大田国務大臣 過大な債務というおもしが取れることの経営への影響というのは大きいと私は考えております。このおもしを取っていくというのが地域力再生機構の役割です。

 地域の中で、地域にとって重要で、なおかつ過大な債務を抱えているところが全くない、そういう三セクも全くないということであれば、それはそれでいいんだというふうに思います。もしそういうのを抱えていて、今までその出口がなかったんですね、過大な債務を抱えて、再生すれば雇用を生むんだけれども、そこをどういう枠組みで再生していくのか、債権者の利害が複雑に絡んでいて一歩先に進めない状況、そこに対して選択肢を設けるというのが地域力再生機構ですから、全体としてこのおもしになっているところを底上げしていくというのが地域力再生機構の役割です。

西村(智)委員 答弁を伺って私が感じますのは、大臣はこの法案をつくって世に送り出すところまでは一生懸命やられるけれども、これは株式会社ですから、経営委員会ですか、そこのところに任せるということになってしまって、そこから先は大臣の手を離れてしまうわけですよね。仮にそこで地域間格差が新たに生じたとしても、もう政府の方は責任を負えないということになってしまうわけなんです。ところが、今回の株式会社には政府の出資もありますし、政府保証もあるということから、本当にこれは慎重に審議をしていかなければならない。そういう目でこの法案を見ますと、ちょっとずさんだなということが幾つかあるのではないかというふうに考えております。

 次のお伺いは、支援の対象としているものの種別についてです。

 中規模企業という初めて聞く言葉……(大田国務大臣「中核」と呼ぶ)中核企業ですか。資料の方には中規模企業と書いてあるんですよ。いろいろな言葉を乱造しないでほしいと思うんですけれども、中核企業とそれから三セクが対象としてイメージされているということなんですけれども、これは先ほどの市村委員の質問にもありましたが、三セクというのは利潤性、利益性だけではない。これはちょっとまた後で私も委員の御高説を聞かなくちゃいけないと思うんですけれども、言ってみれば、三セクというのは公益性などというものもあるということだったり、三セクといいますのは結局自治体絡みですから、その先にある議会とか納税者とか地域住民とか、いろいろな利害関係者がいるわけですよね。こういうふうに考えると、企業と三セクというのは異質なものだと私は思うんです。

 これを二つ並べて対象にしたその理由について伺いたいと思います。

大田国務大臣 企業と三セクは、設立の形態、設立の趣旨、設立の経緯も違います。

 違いますけれども、事業の再生という点で見たときに、支援対象となる三つの基準、つまり、地域にとって重要であること、二番目に過大な債務を抱えていること、三番目に三年以内の事業再生が可能であること、事業再生という観点から見たときにこの三つの共通点がございます。それから、再生の手法として見ましたときにも、債権放棄という形での財務の再構築、それから再生のための人材を派遣して再生させていくという事業再構築の手法、この手法としても共通しております。

 したがいまして、企業と三セクはそれぞれ設立形態は違いますけれども、事業再生という面で見たときに共通点があるということです。

 ただ、もちろん、三セクについては、先生がおっしゃいましたように、地方議会の判断あるいは住民への説明、そういったものは自治体として当然負うということになります。しかし、地域力再生機構に再生案件というものを持ち込まれて、そこで支援するかどうかの判断、そして支援するときの手法、それについては共通点があるということです。

西村(智)委員 共通点は確かにあると思います。大臣の御認識は、三セクで危なくなっているところは、地域力、地域経済の足を引っ張っているという前提に立たれているわけですよね。そこのところでは共通点はあると思うんですよ。ですが、やはり決定的な違いは、組織の生い立ちとか利害関係者の数とか多様性であると思っています。

 私は、ここはもっとすっきりと、要するに、企業を再生させたいのか、三セクを再生させたいのか、どちらの方にウエートがあるのか、そこは伺いませんけれども、私からすると三セクの方なんですね。三セクの再生をするために、営利企業の方は、民間の取り組みが随分なされておりますから、経産省の方の中小企業の委員会など、RCCなどもありますし、そちらの方にもう少しやっていただく、あるいは民間ファンドを活用するということで切り離した方がもっとすっきりしたんじゃないかなというふうに思うんですね。

 そこで、続いて幾つか聞いていきたいと思うんです。

 ここは順番どおりに、通告したとおりにやらせていただきますが、債権放棄するという点については共通するというふうに大臣はおっしゃいました。三セクについても債権放棄もあり得るということなんですが、一般的に、債権放棄を受けるというときには企業の経営者は退陣いたしますよね。先ほど大臣は、当然三セクの経営者も退陣してもらうんだというふうにおっしゃいました。そこは確認させていただいてよろしいですか。

大田国務大臣 三セクの経営者は退陣することになります。

西村(智)委員 きのうのレクの段階では、そこはあいまいだったんですよ。それは法案成立後に、あるいは経営委員会のつくる事業再生計画の中でケース・バイ・ケースですというようなお話だったんですけれども、では、そこは確認させていただいたということです。

 なぜならば、昨年末の経済財政諮問会議でそういった議論がなされておりまして、当然三セクの経営者も退陣すべきだというようなお話があった、議長もそれを確認されたというふうに聞いております。

 そこで、お伺いは二つです。

 この法案の中には、そういったいわゆる経営者の責任論というようなものが一行も、一条文も書かれておりません。どこで担保するんでしょうか。

大田国務大臣 経営者の責任というのは当然厳しく問われなくてはなりません。

 ただ、中小企業の場合に、この経営者だから企業がもっているというものはあると思います。特に地域においては、その人がやっていることによって企業価値が保全されるというものはあると思います。したがいまして、ここは画一的、硬直的であってはいけない。

 恐らく事務方が御説明したのは、もしかするとそこがごっちゃになっていたのかもしれませんけれども、中小企業の経営者の場合は必ず退陣ということではなく、退陣した場合に企業価値が下がるような場合には、画一的、硬直的ではなく、そのケースで責任のとり方を判断していくということになります。

 ただし、三セクの場合は特定の経営者だから企業価値が維持されるということはございませんので、三セクに関しては退陣するということになります。その具体的な再生のあり方については、まず再生計画の中で示され、それを再生委員会が判定するということになります。

西村(智)委員 大臣、御存じだと思うんですが、三セクの経営者の何割かは自治体からの出向などの役員によって占められております。総務省が毎年詳細な三セク等に関する調査結果を出しておりますけれども、それを見ても明らかです。

 三セクというのは今非常に大きな赤字で苦しんでいると言われますけれども、ふえたのは、バブル経済のはじけた後といいますか、バブル経済の前後ですね。いわゆる政府の景気対策が後押しをするような格好で、この時期につくられた三セクというのは非常に多いわけです。このときに甘い見通しで三セクがつくられて、そして、自治体も損失補償を契約したりして、それで、どんどんと自治体の方も赤字がふえていくし、三セクの方も債務超過が大変ふえるということです。

 要するに、今の経営者は道義的な責任はやはりとっていただかないとならないと思いますけれども、しかし、本当の経営責任というのは、さかのぼって、もとの経営者になってくるんだろうと思うんですね。あるいは、そのときにかかわっていた利害関係者。ここはだれとは申しません。そこは、突き詰めて考えれば、情報を得ることができなかった納税者にも、それは責任は負わせることはできないんですけれども、やはり情報開示が徹底的に行われていなかったことについては行政の責任は当然のことあるわけですし、それを開示してこなかった議会の責任もあると思います。

 ですので、ここのところは、現時点での経営者が退陣していただく、それは判断だと思いますので、私はそれについては今の時点では申し上げることはないんですけれども、トータルでの責任をだれがどう分担して、そしてこの三セクを再建するのですということをどこかで明らかにしていただかないと。夕張の事例を御存じですよね。再生計画で、残っている住民の方々が非常に質の下がった行政サービスの中で本当に苦労して、今再生計画を実施しているわけです。ああいう方々の思いを考えたときに、私は、ここのところは最低限やはり法律の中でしっかりと明らかにしてもらわないと、三セクの再生なりには協力はいただけないのではないかというふうに思うんですけれども、この点はどういうふうにお考えですか。

藤岡政府参考人 若干技術的な問題でございますので、お答えを申し上げます。

 地域力再生機構の処理と申しますのは、いわゆる事業再生における私的整理の世界でございます。私的整理と申しますのは、いわゆる法的整理と違いまして、関係者が全員の合意のもとで事業再生計画をつくって、債権放棄なりを考えるということでございます。

 大臣から申し上げましたのは、これはこの研究会の中でも議論になりました。三セクの実態を考えるに、まさに委員がおっしゃいますように、さまざまな事情はあるんですが、ただ、やはり債務超過に陥っているような状況であれば基本的には経営者は責任を問われるだろうなということで……(西村(智)委員「そこは私はいいんですよ」と呼ぶ)ここなんですが、おっしゃるように、原則としてやはり退陣ということ、これが基本だということでございます。ですからそういうことを申し上げたわけで、委員がおっしゃいますように、例えば、さまざまな事情がありますねと、関係者の中でもしそういうような合意が得られれば、また違う結論も出てくる可能性があるということでございます。

 ただ、今まで、ファクツといたしまして、そういうような原則を外すような事態というのが専門家の中では余り考えられなかったということから、まさに経営者は退陣となると申し上げたわけでございます。

 片や、今度、個人企業の場合でございます。個人企業の関係は、これは産業再生機構でも多々例を見てございます。この場合は、基本は、やはり債務超過で債権放棄をお願いするわけですから、これは経営者責任というものは問われるわけでございます。ただ、問われるにしても、例えば法的整理、民事再生あるいは会社更生のような、いわゆる経営者の責任を問われる、そういうわけではございませんで、これもやはり、関係者の中で合意を得られるのであれば、その範囲内で対応をするということになるわけです。

 もちろん経営者責任はございます。ございますが、実例を見ますと、その中では、例えば旅館の経営者で非常に有為な人材におきましては、そういう旅館の業務に携わっていただいているという事実、これは事実としてございますので、そういう意味で、単純に、一律に経営責任なら退陣という結論にはならないということでございます。

西村(智)委員 いや、ちょっと勘違いしておられるんです。私が申し上げたいのは三セクのことなんですよ。三セクのそれまでの放漫経営の責任を一言も問わないうちにこの再生計画がスタートするというのは、地域住民にとってはやりきれないのではないですか。

大田国務大臣 地域力再生機構の中では、まさに私的整理の観点から、債権放棄をした人に対してしっかりと責任をとらなきゃいけないということで、経営者の退陣、それから、自治体が株式を持っている場合はその株主権の消却をいたします。これは当然、自治体にとっては不利益になります。

 したがって、その責任がどこにあるのか、先生がおっしゃるようにさかのぼって、あのときの首長にあるのではないか、あるいはあのときの経営者にあるのではないか、これは地域力再生機構の枠を超えて、地方議会の中で判断されることになると思います。それを含めて、今、三セクの改革というのに自治体が取り組んでいるということでございます。

西村(智)委員 地方議会の中でそういった問題が議論されるのではないか、あるいは経営計画の中でそういったことも議論されるのではないかと。されるのではないかという言い方では、納税者の思いを本当に酌み取っていないのではないかというふうに考えるんですよ。もう大臣としてのお答えはいただきましたけれども、私は、三セクは特に利害関係者が多いわけですから、そこのところはもう少し丁寧にやるべきだというふうに思っています。

 質問を続けさせていただきます。

 私は、先ほど来三セク、三セクと繰り返し申し上げておりますけれども、問題は三セクばかりではないのです。自治体が出資している三セク以外にも、三公社それから公益法人、地方法人ですか、そういったところでの債務の問題がこれまた非常に大きいわけでして、例えば損失補償の契約残高などを見ますと、三セクの合計で二兆円。二兆円という額でもこれはかなり大きいなと思うんですけれども、何と、地方三公社の方で合計しますと六兆五百五十五億円なんですよ。三公社の方がばかでかい債務残高があるわけなんです。

 つまり、自治体にとってみれば、秋ですか、財政健全化法の指標が示されるということで、いよいよこれからというところで、三セクもさることながら、この三公社、法人、これをどうするかというそのトータルの考えがあってしかるべきだろう。地域力再生機構で救えるところは救う、再生できるところは再生できるということですけれども、それ以外に、もう本当にどうしたらいいのかわからないような三セクや公社、これをどうするのかという、そのトータルの姿を示していただきたいというふうに考えているんですけれども、総務省の方は、これからこの問題にどういうふうに取り組んでいくつもりなんでしょうか。

二之湯大臣政務官 お答えいたします。

 第三セクター及び地方公社等の経営状況は、御質問のとおり非常に厳しい状況が続いておると認識をしておるわけでございます。第三セクター及び地方公社等の経営が個別の地方公共団体の財政や地域経済に大変大きな影響を及ぼしかねないということは、否定できない事実であるわけでございます。

 このため、第三セクター及び地方公社に関しましては、一つは、統廃合や完全な民営化あるいは経営改善等について積極的に取り組んでいくこと、二つ目には、問題を先送りすることなく抜本的な経営改善策の検討を行って、必要に応じ法的整理の実施等も含めた抜本的な見直しを検討することを、第三セクターに関する指針、集中改革プラン等で重ねて要請したところでございます。

 また、今般発表いたしました健全化法の損失補償債務等の負担見込み額や地方公社の債務の算定基準等は、地方公共団体に対する影響を明らかにし、その存続も含めたあり方の検討を促すことになるものであります。

 さらにまた、今後経営が著しく悪化し、特に改革が必要と判断する第三セクター等に関し、年限を区切って集中的な取り組みを地方公共団体に行ってもらうために、新たなガイドラインを策定することを検討いたしております。

 債務調整等に関する調査研究会の中間まとめも踏まえ、地域力再生機構の活用はもとより、第三セクターや地方公社の改革についてどのような措置が必要かについて、総務省としても今後鋭意検討してまいりたい、このように思っております。

西村(智)委員 総務省には、第三セクターの債務残高を増嵩させてきたことの責任はきっちりととっていただきたいと思います。

 元来、財政援助制限法によりまして自治体の三セクへの債務保証はできなかったとされていたのが、これはもう随分昔の話になるんだと思うんですが、一九五四年に自治省が通達を出して、損失補償は財政援助制限法の規制するところではないという解釈を出して、そこからでしょう、損失補償が安易に契約されるようになったのは。

 そういう赤字をふやしてきたことの責任を総務省の方はどういうふうにお考えになっておられるのか。ちょっと質問の順番が変わって、質問を一つ削りましたが、どうでしょうか。

二之湯大臣政務官 第三セクター等に対する損失補償の件でございますけれども、これは、当面財政負担を伴わないメリットがあるということ、さらにまた、経営破綻時の巨額の債務、財政負担を負うリスクもありますけれども、地方自治法上、地方公共団体の自主的な判断で債務負担行為に関する議会の議決を経て設定される、こういうことで、基本的には地方公共団体の判断とリスクで行われてきたものと認識しておるわけでございます。

 総務省といたしましては、損失補償が当面の財政負担を伴わない一方で大きなリスクがあるということも踏まえ、平成十一年の第三セクターに関する指針、平成十五年の同指針の改定を初め、繰り返し、リスクを踏まえて厳しく評価し慎重な検討を行うよう求めてきたところでございます。

 ただ、第三セクターの経営の悪化には、バブル崩壊以降の評価の著しい下落等の我が国経済全体の問題が影響している面もございますし、第三セクターや損失補償を活用した地域振興につきましては、一つは、プラザ合意以後の内需拡大の必要性や日米構造改革協議に基づく公共投資基本計画やリゾート法の制定等の政府の政策、また、バブル崩壊後の政府の景気対策など、経済全体の問題の一環という面も否定できないと考えております。

 いずれにいたしましても、第三セクター等の損失補償のあり方が地方財政や地域経済さらには地域金融システムに与える影響なども踏まえて、地域力再生機構の活用等、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 政務官、そろそろ建前の議論は私もやめにしたいと思うんですけれども、政務官は全国市議会議長会の会長でいらっしゃいましたよね。京都で長く市議会の議員と議長までもお務めになった。私も、短い間ですけれども地元の県議会で議員をさせていただきました。

 率直に申し上げて、私自身も、要するに地方財政にかかわっていた一人として責任は感じております。ですけれども、そういうふうに中央の方から、政府の側からこうすれば使えるお金がふえますよということで、それはもうさんざっぱらやられてきたわけじゃないですか。私たち、自分自身の責任はそれはそれとして感じながらも、非常に巧妙に赤字が膨らませられてきたという思いはあるわけですよ。ここのところをお互いに認めてからでないと、そこからでないと、この三セクや公社の問題というのはスタートしないと思うんですね。本当にそういう決意がおありなのか。

 また、大臣にもそこはぜひ言っていただきたい、聞いていただきたいと思うんですけれども、本当にこの問題をどうしようとしているのか。

 この地域力再生機構では、残念ながら、三セクの再生、一部ではできるかもしれません、でも、手を挙げたところしかデューデリは行われないんです。本来であったらすべての三セクとか公社とかにデューデリを行って、現状を把握した上でどうするのかということを検討しなくちゃならないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

二之湯大臣政務官 大変厳しい御意見をいただきまして、私も地方議会の出身者といたしまして、地方の非常に厳しい財政状況は認識しているわけでございます。

 今先生おっしゃいましたようなことで、地方経済が再生するか、あるいは三セク初め地方のいろいろな公益法人がそれによって再生するかということについては、大変厳しい見方をいたしておるわけでございます。これにつきまして、本当に地方の声を聞きながら、この地域力再生機構が地方の経済の再生に十分機能するようにひとつ私ども真剣に考えていかなきゃならぬ、このように思っておりますので、その旨は増田総務大臣によく伝えておきたいと思います。

西村(智)委員 まず情報開示だと思います。わかりやすい形での情報開示。今まで自治体からの、あるいは三セク側からの情報公開というのは、住民にわかりにくく、わからせないように提供している節が結構あった。それは別に地方自治体だけじゃなくて、政府もそうですからね。

 ですので、まず自治体に情報開示を行わせる、これは徹底的にやってもらう、そういう強大な権限を与えるべきでないかというふうに考えますけれども、この点については御検討いただけますか。

二之湯大臣政務官 今の、いわゆる第三セクターに情報開示を議会なりにはっきりとさせるということですね。また、今まで地方議会においても第三セクターがいわゆる審議の対象外にあったということは余りよくないということですね。出資比率が二五%以下であっても、債務保証をしている以上、地方自治体にとってはそれは無視できない問題でございますから、当然、委員おっしゃるように、でき得る限りの情報開示をして、地方議会の監視機能の対象にするような、そういうことにしていかなきゃいかぬ、このように思っております。

西村(智)委員 財政健全化法の指標がことしの秋に公表されます。ですので、ここはスピーディーにやっていくべきことだと思いますので、どうぞよろしく、ここは強く要請をいたします。

 次、機構のあり方にようやく入りたいと思うんですが、時間が迫ってきました。

 大田大臣、先ほどから、会社の出資金それから拠出金の話、政府から百億、都道府県から百億、金融機関から百億という話が出ておりますけれども、これは本当に集まるのか。先ほどからの答弁ですと、つくってからまたさらに努力をして、皆さんから理解を得ていきたいということなんですけれども、現時点では余り芳しくないんですね。

 これは、現状、どういう見込みで、また、ちょっと質問を圧縮します、最低どのくらいの資本金で株式会社をスタートさせるのか。それから、先ほどもありましたけれども、出資しなかった都道府県が出資している第三セクターとかそこにある事業所などが手を挙げたときには一体どういうことになるのか、この点について伺いたいと思います。

大田国務大臣 出資金につきましては、国が百億、地方自治体が百億、それから金融機関が百億ということで、合計三百億を想定しております。

 まず、金融機関につきましては、全銀協、地銀協、第二地銀協、その他ですけれども、前向きの感触を得ております。私も直接会ってお話しいたしましたが、前向きの感触を得ております。

 それから地方自治体につきましても、それぞれの県が判断していく。四十七都道府県、一県につき二億円、そして大きい東京、大阪、愛知のようなところは四億円をお願いしておりますが、これはそれぞれの自治体の判断でございます。それぞれ前向きに、知事会でも、前向きに検討する、ただ拠出についてはそれぞれの自治体の判断だということで回答をいただいております。拠出するかどうかは、地方議会の議決も必要ですので、この法案審議の様子を見ながら御検討いただいているものと思います。

西村(智)委員 最低どのくらいの資本でスタートさせるのか、ちょっとわからないということですかね。最低は三百億ということですか。そうしますと、法案にこれは三百億と書いてあるんでしょうかね。書いてないですか。法案には書いてない。だから、三百億に満たなくても株式会社は設立をされるということですね。

 それで、現時点で、私も幾つかの都道府県に聞いてみたんですけれども、やはり様子見というところがかなりある。増田大臣が、昨年末に、そういう状況を恐らく受けてなんだろうと思うんですけれども、都道府県が出資した際に、その出資金の九〇%を地方債で賄うことを認める方針を明らかにしたということなんですね。これはいかがなものか。中央集権にまた輪をかけて集権的で、これは出資を強制しているものではありませんよという総務省の方からの御説明だったんですけれども、少なくとも出資を促しているわけです。この点については、本当にこれは妥当だというふうにお考えでしょうか。

榮畑政府参考人 現行の地方財政法の規定では、地方公共団体の出資金につきまして、地方債でその財源とすることが可能でございます。そしてまた、現実に政府関係機関等への出資金についてもこれまで地方債が充てられてきたところでございます。したがいまして、今回の地域力再生機構に対する出資につきましても、これまでと同様に地方債の活用というのが考えられるところでございます。

 したがいまして、今般の地域力再生機構への出資自体につきましては地方公共団体ごとに御判断されることになるところでございますが、そういうふうな出資をされるようなときにはこの地方債の活用というのが考えられるというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

西村(智)委員 いや、今、制度のそういうことでできますという仕組みを説明してくださいと私は申し上げたのではなくて、出資金を出したときに、それを地方債で九〇%まで賄えるというのは、これは少なくとも出資を促していることにはなりますよね。国が株式会社をつくるときに、地方から出資してもらうのに、地方債で起債オーケーですよということをわざわざ裏づけして出してもらうのは、これはやはり地方自治の趣旨からいうとなじまないのではないですかという質問なんです。

榮畑政府参考人 出資するかどうかというのは、あくまでその地方公共団体ごとに自主的に御判断されて決められるわけでございまして、出資をされるようなときに、では当面の財源として地方債を充てるかどうかということになるわけでございますから、出資自体についての地方公共団体の判断というのをどうのこうのしているところではないというふうに考えております。

西村(智)委員 先ほど楠田委員と市村委員の質問の中で大田大臣は、この会社をつくったときには、経営委員会という名前で正しかったでしたか、その委員会にお任せをして、赤字が出ないようにやっていただけるものと思っている、こういうことでした。

 実際に産業再生機構は四百何十億ですか、黒が出たということなんですけれども、そのときから比べると、もうこれは何度もどなたもが指摘していることですが、産業再生機構ができた当時と今の状況は異なります。また、今回の想定している件数もその当時と比べると非常に少ないし、規模も非常に小さい。

 赤字が出ないようにやるというのは、それは株式会社としては当然のことなんですけれども、万が一にも赤字が出たときにどうなるのか。これは赤字が出ないようにやる。それはだれだってやりますよ。だけれども、もし本当に出ちゃったときにはどうするのかということまで含めてお考えになって総務大臣はこういうふうにおっしゃったのか。政務官、どうでしょうか。

二之湯大臣政務官 私も総務大臣ではありませんのでどう思われたかわかりませんけれども、今先生おっしゃいましたように、先ほどの出資のことも、一方で地方自治体の自由だといいながら、お金を用意しますからということはやや強制的ではないか、そのときに赤字が出たらどうするんだ、こういうこと。こういう問題につきましても、赤字は出ないという想定のもとでこういう経営委員会を運営するわけでございますから、これには相当厳しい経営責任ということを経営者の皆さん方に持っていただいて運営していただく、こういうことになると思いますけれども、これにつきましても、私の方から増田大臣によく申し伝えておきます。

西村(智)委員 時間ですので終わりますが、やはり責任体制というのが非常に不明確で、採算性について具体的なスキームは何も法律に書かれていないという疑問が残念ながらさらに深まったということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、この法案について、やはり、皆さんからもお話ありましたように、もともと、地域中小企業の資金繰りを応援するとかそういう法律としての再生法であれば、これは経済産業省で検討してきたものがあるわけですね。それから、自治体出資の第三セクターの破綻処理での再生であれば、これは総務省でつくった自治体財政健全化法により、今、三セク等のことを含めた特別会計の処理を急ぐ中で、いろいろな問題が出てきているときですから、これは総務省が考える問題なんですね。実際には担当省庁が事実上ない内閣委員会に持ってくる、この法案のつくり方が非常に筋が悪いものだと言わなきゃならぬというふうに私は思うわけです。

 そこで、その上で、三セク問題から私も質問したいと思うんです。

 三セク処理にかかわって伺いますと、例えば夕張市のレースイリゾート開発をやったというのは、あれは松下興産で、銀行が出資して、事業失敗したわけですね。そうしたら、それを夕張市土地開発公社に押しつけて、松下は逃げ出してしまう。銀行は債権放棄をしないで、北海道庁に全部債権つけかえをやって回収していく。夕張市民が北海道庁に毎年多額の借金払いをさせられている。

 そこで、こういうのがいっぱいあるんですけれども、全部聞いていますとそれだけできょう時間がとても足りませんから、夕張観光開発、夕張観光公社などの夕張の三セクの場合と、それから宮崎県のフェニックスリゾートも破綻しましたけれども、あのフェニックスリゾート株式会社の破綻前のこと、それから大阪のWTCの場合、それぞれ出資比率、それから金融機関等の債権の比率、どういうふうになっているかを政府参考人の方から伺っておきます。

    〔委員長退席、櫻田委員長代理着席〕

榮畑政府参考人 まず、北海道夕張市関係の第三セクターでございますが、三社ございまして、自治体の出資比率がそれぞれ三四%、五〇%、八三・三%、また、最後の段階での債務総額のうちの自治体の関係部分が四六%、七〇%、九九%になっているところでございます。

 それからまた、フェニックスリゾートでございますが、これにつきましては、関係自治体の出資分が五〇%で、会社更生法の適用申請を行ったときの自治体の債務分が一%強というふうに聞いております。

 それから、WTCでございますが、同じく二六・六%と二〇・四%というふうに聞いております。

吉井委員 そこで、大臣、そういう形でかなり自治体も出しておったんだけれども、銀行等が一緒に、銀行、ゼネコン等が出資してつくったのが大体三セクなんですね。それで破綻ということなんですが、全国で破綻した三セクはいっぱいあるわけですね。今度の法案で全部の三セクの再生に取り組もうという法案ですか。

大田国務大臣 それぞれの自治体で抱えている三セクをどうしていくのかというのは自治体の判断です。自治体がそれぞれの三セクの経営状況を見て、経営改革委員会、経営再生委員会でしたかをつくる、そして改革プランを二十一年度までにつくることになっております。その中で、事業再生できるものについて地域力再生機構に持ってくるということになります。私どもは、それが事業再生できるかどうかを厳密な資産査定で、再生できるものを地域のために再生していくというスキームになります。

 したがいまして、御質問に対しては、全部を再生させるものではありません。

吉井委員 筋悪と言いましたように、三セクまで入れてやろうというんだけれども、非常に厳しい状況にある三セクをすべて、全部再生できるものばかりじゃない、そこは私も思いますけれども、別にそれを、最初から全部を考えて、三セクをどうするかということをやっていくものじゃないということが非常にはっきりしたというふうに思うんです。

 新しい機構では、三セクの話はあるんですが、地方の住宅供給公社とか道路公社、土地開発公社などは対象になるんですか。

大田国務大臣 三公社につきましては、これは自治体一〇〇%です。つまり、地域力再生機構が経営権を掌握するという形にはなっておりません。一〇〇%これは政府の組織でございますので、あくまで地域力再生機構は事業を再生するというところですので、三公社は対象にしておりません。

吉井委員 地方道路公社の中には、有料道路をつくっておいて、でき上がったら無料にするというふうなところもあるわけですが、要するにそういうのは相手にしないということがはっきりしたと思うんです。

 かつて、日経地域情報というので、全国のリゾート地域の調査を行ってレポートを出しました。この中に、先ほどのフェニックスリゾート株式会社、シーガイアの破綻、三千二百六十一億円の債務を出して破綻したというものですが、紹介されました。

 この中で書いてあることですけれども、ゼネコン、銀行、コンサルタントの責任は大きい、ゼネコンは工事の受注をふやせばよい、銀行は貸し出しをふやせばよい、コンサルタントは自分の夢が実現できればよいといったぐあいで真剣に検討したところは少なかった。こういうふうにした上で、第三セクターにゼネコンや銀行が若干の出資をし、株主となってしまうのである、株主となったゼネコンが受注し、資金は株主である銀行が貸し出すという事業構造ができ上がる、リスクは筆頭株主である事業者、すなわち自治体が負うことになる。ということを、これはずっと以前に指摘しておりました。もう十年前から、リゾート開発など三セク破綻はわかっていたわけですね。

 これは民間活力活用をスローガンにした民活法がもたらした結果ですよ。それらについての総括、そういうのはもう全然知りませんよと。普通だったら、おいしいところ食いしていっただけの銀行やゼネコンやコンサルは物すごい責任とらなきゃいけないわけですね。自治体ということは、結局、ツケが回ってきたら住民の税金での負担ですからね。何で住民だけが負担をしなければならないのか。

 このことについてはどのようにきちんと整理した上で三セクの再生ということをこの法案でうたっておられるのかを伺いたいと思います。

大田国務大臣 三セクが抱える問題、これについては、それぞれの地方自治体、地方議会、真剣に向き合わなくてはならないと考えております。だからこそ総務省も、ガイドラインをつくり、三セクの改革に着手しているところだと思います。

 地域力再生機構の役割は、地域の観点に立って、その三セクが再生された場合に事業を生み出し、付加価値を生み出し、雇用を生み出すというものについて、地域力再生機構で専門家が入って、人材が入って再生していくということでございます。

 これは債権の放棄をもたらしますし、自治体に対しては当然株主権の消却を生みますので、まさにそれをやるかどうかは自治体が判断して持ってくるということです。そして、債権放棄に伴って、私的整理の枠組みの中で責任は当然に追及する、経営者に退陣を要求し、自治体に株主権の消却を求めるということになります。

吉井委員 何か全部自治体、自治体と言うてはるけれども、これは、さまざまな民活法に基づく補助制度をつくって、国も、おいしい話ありますよと言って飛びつかせる。これは何も、コンサルだけが自分の夢を実現しようとしたとか、銀行が利息でしっかりもうけようとしたとか、それだけじゃないんですね。政策投資銀行も随分使っているんですよ。だから国の責任というものは物すごいあるわけですよ。そういう中で、余り、何か自治体が独自にお考えになるというふうな気楽なことを考えての法案づくりは、私は、やはりそれじゃだめだと思うんですよ。

 新機構が問題視する五十社リストというのが、これは日経ビジネスでも最近紹介されました。事業を分類すると大体三つぐらいの類型になるんですね。リゾート開発型の三セク、それから、JRが切り捨ててしまって、地方の暮らしのために必要な交通機関運営の三セク、それから、大阪のWTCのような、賃貸施設など箱物型の三セクですね。これら三つが、民間の知恵と活力を活用したらうまいこといくんやと言うて、民活法でわあわああおって、国自身が誘導して、あるときにはFAZ法をつくって誘導したりとかやってきたわけですよ。

 その中で、要するに、計画を進めて利益を上げた銀行など金融機関が、本来ならば債権放棄をするか、それとも金利を限りなくゼロに近づけて、返済をうんと長期にして再生が可能になるように応援をするとか、そういう努力をするのが当たり前で、少なくとも、国民や住民に税金という形でツケ回しして、債権処理のために、国や自治体、要するに国民、市民ということになりますが、そこに、金融機関は後始末の過程で債務保証をさせて、その破綻処理もうまくいかないときは、おまえさん、債務保証しとるじゃないかと言うて自治体を責め立てる、つまり住民や国民を責め立てて、税金で何とかしろと。

 一体、そういうふうなやり方というのは、これまでの三セクの経緯から見たら筋違いじゃないか、ちょっとおかし過ぎるんじゃないかと思うんですね。大臣はこれをどういうふうにお考えですか。

    〔櫻田委員長代理退席、委員長着席〕

大田国務大臣 まず、五十社リストというものは作成しておりません。私も記者会見で、どういう取材で書いているのかわからないということは明確に申し上げております。

 それから、三セクが、責任があいまいなまま問題解決が先送りされてきたというのは確かにあると思います。もちろん、すべての三セクではありませんが、そういう問題があるのは事実だと思います。

 地域力再生機構は、三セク問題すべてを解決しようとか、そこに介入していくというものではございません。三セクの中で、あくまで地域の経済の立場に立って、今再生したならば地域で雇用を生み出し、付加価値を生み出すものになるというところに再生手法を提供するのが地域力再生機構の役割です。だからこそ内閣委員会で御審議いただいているんだと私は考えております。

吉井委員 三セク関係だったら、私は、本来総務省の方で法律を考えて、どういうものになるかわかりませんが、やはりそこで議論を深めないと、こういう、内閣委員会へ持ってきて半端な議論をするというのは余りいいやり方じゃないと思うんです。

 先ほどもありましたが、第一回地域力再生機構研究会で、元産業再生委員長であった高木座長代理が、産業再生機構がエグジットできたのはなぜかというと、景気が上向きのときだった、こういう景気の状態が長く続くうちにできるだけ早くエグジットすることが必要だと。今は景気下降局面、産業再生機構と同じようにうまくいくといったらそれは勘違いだとこの研究会で言っておられますね。

 大臣に伺っておきたいのは、高木発言というのはこのとおりだったと思うんですが、そうですね。

大田国務大臣 詳細に記憶しておりませんが、議事録の中にそう書かれているのだとすればそのとおりでございます。

吉井委員 詳細に記憶しておいてほしいんですよ。ここは大事なところなんです。産業再生機構と同じようには今の局面じゃうまくいかないんだ、うまくいくと思ったら勘違いだということを元産業再生委員長だった高木さん自身が、増田さんが座長から大臣に移ってですか、座長代理という形だけれども、言っているぐらいですから、そういうことは詳細に、瑣末なことと言ったら変だけれども、細かいことまでみんな人間覚えられるわけないんです。物理的に、頭に記憶容量というのがありますから、それは無理なんですよ。だけれども、こういう大事なところはちゃんと覚えておいてもらわぬと困るんですよ。そうしたら、何でこういう変なものが出てくるのかということになってくると思うわけです。

 次に伺いますが、金融機関が不良債権処理で身軽になる、それを応援するためにこれをつくるわけですが、機構に対する政府の出資、債務保証はどういう予定なのか、これは先に政府参考人から伺っておきます。

藤岡政府参考人 地域力再生機構に対します政府出資でございますが、財政投融資特別会計に百億円を確保いたしてございます。また、機構による資金調達に係る政府保証枠一・六兆円でございます。

吉井委員 ほかに、金融機関百億、都道府県、自治体百億あるでしょう。

藤岡政府参考人 それにつきましては、まさに政府といたしまして金融機関に百億円、それから地方自治体に百億円を要請中ということでございます。

吉井委員 先ほど来議論もありましたけれども、出資というのは、必ずしもイコールじゃないけれども、考え方を変えて言えば、株を買うのと一緒ですよ。昔は銀行が銀行業務と別にいろいろなことを、証券の売買とか生命保険を売るとか、これはやらさないということで、ファイアウオールをしっかりやっておくということだったんですね。今度の場合は出資ということで、言ってみれば、銀行が株を売りますが、その株に必要な資金は、地方債と称する、要するに融資で面倒を見てあげましょうと。

 大体地方債の扱いというのは、起債を立てた場合、国の言い分というのは、最後、返すころになったら、困っておったら地方交付税で面倒を見てあげる、そういう例がこれまでいっぱいありましたよ。しかし、地方交付税というのは国の金じゃないんですね、これは自治体の自主財源なんです。

 だから、そういうふうな問題なのに、さっきの自治体百億というふうな気楽なお話がありましたけれども、やはりもともと、民活だ、うまい話ですよと言ってあおっておいて、そして自治体に出資させ、まあ銀行やらゼネコンなどもおいしいところを食べていきましたけれども、それでつくった三セクが破綻したら、今度はまた国民の税金、市民の負担によって、要するに、税金による負担が出資金の三分の二ですね。国が百億、都道府県が百億ですから、金融機関が百億ですから、三分の二は税金で負担するわけですよ。政府の債務保証枠一兆六千億ということですけれども、債務保証も行う。

 機構が損失を出した場合、これは出資した税金が失われる。出資したものが毀損するわけですから税金が失われ、債務保証をつけておった場合に、機構が損失を出したら、債務保証した分は結局税金で金融機関に払うことがあってもまた新たな負担というものが国民の側に回ってくるということになるんじゃないですか。

大田国務大臣 まず、この地域力再生機構の役割は、地域の中で事業再生が見込めるものを再生いたします。企業価値を上げるのが目的です。したがいまして、政府保証というのは、枠として、五年間の時限措置、時限組織である地域力再生機構が低利で融資を受けるための保証としてその枠は設けますけれども、そもそも事業再生を行って企業価値を高めるのが目的ですので、損失というものは生み出さない。それが機構の役割です。

吉井委員 役割のお話はされたにしても、実際に損失が出たときには、これは税金の方で負担というのが出てくるんでしょうということを伺っています。

大田国務大臣 出資や融資した資金は、いずれ債権の回収、株式の売却ということで回収いたします。どうしても欠損が出たら、平等に株主で負担いたします。

 いたしますけれども、そもそも、くどいようですけれども、今ある企業価値を高める、つまり、債権や株式の価値を高めるというところに地域力再生機構のまさに本来の役割があるということを申し上げておきます。

吉井委員 だから、それは、一生懸命努力する、努力するというお話だけなんですよ。だけれども、努力する話は努力するとして、実際に機構が損失を出した場合には、これは税金が失われていくことになるということは結局否定することはできないお話だというふうに思います。

 業務の流れは、支援決定、それから買い取り決定、実行、債権譲渡というふうになっていきますが、再建計画をつくって、各債権者が債権放棄を行って調整ができた場合、うまくいった場合、では、その場合は機構が債権を買い取る必要がないということになりますが、そういう場合もあるということでいいですか。

藤岡政府参考人 恐縮でございます。技術的な問題でございますので、お答え申し上げます。

 機構が資金を要しますのは、債権者が非常に、例えば金融機関が多きにわたりまして、一部の金融機関のスポンサーシップのもとに残りの債権を買い取る場合に、機構が厳格なデューデリジェンスのもとに時価でもってその債権を一たん買い取りまして、まさに経営権を一たん機構が取得するという機能のために必要だということでございます。

吉井委員 機構の業務内容として、対象事業者に対して金融機関が有する債権の買い取りについて、債権買い取りや調整の対象となる金融機関の範囲についてはこう書いていますね、地銀以外の地域に展開しているメガバンク等が機構を活用することを排除しないとうたっていますね。事業再生に向けた支援業務として、プレデューデリジェンスの段階から再生計画に対する債権者の合意を得る段階までの間にスポンサーを見つけると。

 結局、これはメガバンク、大銀行の債権処理の支援ということになってくるんじゃないですか。

藤岡政府参考人 技術的な問題で、恐縮でございます。

 基本的に、スポンサーと申しますのは、産業再生機構の例に見ましても、例えば中小の場合、地元のいわゆるいろいろなファンドでありますとか地元の企業もございます。一概に大銀行ということではございませんでした。

吉井委員 機構が債権を買い取る場合は適正な価格で買い取る、こういうふうに言っていますね。これも政府参考人に伺っておきますが、適正な価格ということは、その債権を回収できる額、当然、一定期間の利息分も見なきゃいけませんが、そういうものだと見ていいんですか。

藤岡政府参考人 まさに委員おっしゃいますように、事業再生計画に基づくわけでございますが、まさに時価評価の、買い取る額におきましては、適正な手数料とコストが入った金額でございます。

吉井委員 別な見方をしますと、そういう適正な時価でその債権に見合うリターンが入ってくると見込まれるということなんですよね、今のお話は。そういうものだったら、債権を持っている金融機関がそのまま持ち続けたり、他の金融機関が買い取ったりすることができるはずなんですが、なぜそれを機構が買い取る必要があるのか、どうなんですか。

大田国務大臣 債権放棄を行うということに対しては金融機関は抵抗がございます。メーンバンク、非メーンバンク、すべての債権者の調整を行わなくてはいけない、そのときに抵抗を持つ銀行もありますけれども、なぜ機構が買い取るかというと、買い取りに応じても応じなくてもいいという選択肢を金融機関に提供することになります。金融機関としては、ここで機構が提案する適正な時価というものに応じて債権放棄するのがいいのか、あるいは、じっと持っていて、その場合資産が劣化するかもしれません、そして法的整理になる場合と、どちらが弁済率が高いかということを判断するということになります。

吉井委員 私、だからこそ、三セクなんかについて、こういう法律を考える前に徹底した総括、検証が必要だというふうに思うんですよ。

 だって、三セクの場合は、さっきの例でも、二五%出資とか五〇%出資、自治体とかいろいろありましたけれども、WTCで見れば、あれも大阪府、市などで大体五〇%ぐらいですが、フェニックスリゾートでいえば、宮崎県二五%、宮崎市二五%。いずれにしろ、市や県は出しているけれども、しかし、銀行とかゼネコンとかコンサル会社というのは出資はわずか、比率はわずかで、何か責任が軽いような顔をしておって、しかし、しっかりもうけているわけなんですね、事業全体を通じては。

 それで、おいしいところだけはいただいておいて、自分も首を突っ込んでやったんだけれども、しかし、いざそれが破綻したとなれば、そうしたら、本来金融機関は債権放棄、相当なことを考えてやらなきゃいけないのに、さっきの質問に対して、何か金融機関は相当抵抗するだろうというお話ですけれども、だからこそ私は、三セク問題なんかは徹底した総括が必要だと思うんですよ。おまはん、大体抵抗できるような資格はあるのかいと、それぐらいのことをきちんとやるぐらいの総括からやっていかないと、私は、そんな、機構が買い取ってやって、メガバンク等が機構を活用することも排除しないというふうなことを言ってみたり、余りにもおいし過ぎる話じゃちょっとおかしいと思うんです。

 いろいろ言いましたけれども、回収ができなくなるリスクの肩がわりを求めているのではないかということ、私はここが非常に大事なところじゃないかと思うんです。事業再構築計画に従って、その後事業が再建するとの合意で、それぞれ債権放棄額を決めれば債権者間の調整はそれで終わりなんです。債権者が機構に買い取りを求めるということは、リスクがあると思っていることではないんですか。金融機関が引き受けずに買い取りを求めてくるということは、リスクを引き受けられない、つまりリスクは機構に求める。金融機関としては、三セク破綻でいえば、本来みずから責任をとらなきゃいけない部分はできるだけ回避して、リスクの部分については機構に求める。

 それは、そういう仕組みをつくるということについては相当やはりきちんとした検討が必要だと思うんですよ。どうなんですか。

大田国務大臣 三セクにつきましては、自治体との間で損失補償ですとかそういう契約が結ばれておりますので、これは個々のケースで考えていかなくてはいけません。

 企業のケースで申し上げますと、まず、時価から企業の価値を引いたものが債権放棄額になります。必要放棄額、債権を放棄してもらわなきゃならない金額が出てまいります。この中で担保で保全されていないものを、それぞれの銀行が持っている担保で保全されていない債権の額で割り振って、それぞれの銀行に債権放棄額を求めるということになります。

 これは、銀行にとってはそれほどうれしい話ではありませんで、ここでしっかりと損切りをしていくわけですから、銀行にとっても大きい決断になります。

 そのときに、今ここでその債権放棄に応じた方がいいのか、あるいは抱え続けていって、その企業価値が劣化して法的整理に持ち込まれた方がいいのか、あるいは独自に再建させていった方がいいのか。それは、銀行がそれぞれの経営判断として厳密に考えることになります。

吉井委員 ですから、三セクをちょっと避けられて、今度は産業の方に移っているわけですけれども、それだったらそれは経済産業省の方で考えていらっしゃったわけですから。

 過大な債務を負う中堅企業数というものを見込んで、では、その中で事業再生対象の中堅企業数というのはどれぐらいのものかとか、きちんとした見通しを立てながらそれをやっているのかといったら、相当数の、過大な債務を負う、幾らやったかな、一万五千ぐらいですか、中堅企業の方で。しかし、物理的容量で、対応できるのは年間百件か、多くて二百件ぐらいという話ですから、では、経済の方で考えてみても結局それは中途半端なものになるのではないかということを申し上げて御質問しようと思っておりましたら、時間が来たからやめろと今参りましたから、次の機会に質問を続けたいと思います。

 以上で終わります。

中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十三分散会


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