衆議院

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第20号 平成20年5月28日(水曜日)

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平成二十年五月二十八日(水曜日)

    午後三時二十分開議

 出席委員

   委員長 中野  清君

   理事 江崎洋一郎君 理事 岡下 信子君

   理事 櫻田 義孝君 理事 高市 早苗君

   理事 村田 吉隆君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      赤澤 亮正君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    大塚  拓君

      加藤 勝信君    鍵田忠兵衛君

      河本 三郎君   戸井田とおる君

      土井  亨君    西村 明宏君

      萩生田光一君    藤井 勇治君

      増原 義剛君    宮澤 洋一君

      市村浩一郎君    吉良 州司君

      佐々木隆博君    西村智奈美君

      馬淵 澄夫君    松本 剛明君

      上田  勇君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           菅野 哲雄君

   国務大臣         渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  株丹 達也君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            寺崎  明君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  遠藤 武彦君     石田 真敏君

  木原 誠二君     宮澤 洋一君

  土井  亨君     鍵田忠兵衛君

  中森ふくよ君     増原 義剛君

  楠田 大蔵君     松本 剛明君

  石井 啓一君     上田  勇君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     遠藤 武彦君

  鍵田忠兵衛君     土井  亨君

  増原 義剛君     中森ふくよ君

  宮澤 洋一君     木原 誠二君

  松本 剛明君     楠田 大蔵君

  上田  勇君     石井 啓一君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 スパイ防止法制定に関する請願(大塚高司君紹介)(第三二一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員制度改革基本法案(内閣提出第七五号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員制度改革基本法案を議題といたします。

 この際、本案に対し、村田吉隆君外九名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大畠章宏君。

    ―――――――――――――

 国家公務員制度改革基本法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大畠委員 ただいま議題となりました国家公務員制度改革基本法案に対する修正案について、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明いたします。

 第一に、基本理念に関する事項についての修正であります。

 国家公務員制度改革の基本理念として、男女共同参画社会の形成に資することを追加することとしております。

 第二に、政治主導の強化を図る観点からの修正であります。

 議院内閣制のもとでの国家公務員の役割に関し、政治主導を強化する旨を明記するとともに、国家戦略スタッフ及び政務スタッフを特別職の国家公務員とするものとしております。

 第三に、幹部職員等の人事管理の内閣による一元化に関する事項について、政府案の趣旨を明確化する等の観点からの修正であります。

 すなわち、縦割り行政の弊害を排除するため、内閣の人事管理機能を強化し、並びに多様な人材の登用及び弾力的な人事管理を行えるよう、幹部職員または管理職員を対象とした新たな制度をそれぞれ設けるものとすること、幹部職員の任用については、その適格性の審査及び候補者名簿の作成を内閣官房長官が行うこととし、各大臣が人事を行うに当たって、任免については、内閣総理大臣等と協議した上で行うものとすること、幹部職員等については、国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用に努めること並びにその処遇を弾力的なものとするための措置を講ずることとしております。

 第四に、政府案において、職員の育成及び活用を府省横断的に行うとともに、幹部職員等について、適切な人事管理を徹底するため、一元的に行うこととされている事務について、次のような修正を行っております。

 すなわち、政府案にある総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整を行う旨の規定等を削除するとともに、幹部職員等に係る各府省ごとの定数の設定及び改定、管理職員を任用する場合の選考に関する統一的な基準の作成及び運用の管理並びに幹部職員等以外の職員の府省横断的な配置に関する指針の作成に関する規定を追加することとしております。

 第五に、政官関係の透明化を含めた政策の立案等の責任の明確化等に関する事項についての修正であります。

 まず、政府案における、政務専門官を置く旨の規定及びその他の職員の国会議員への接触制限に関する規定を削除することとし、修正案では、政官関係の透明化を含め、政策の立案等の各段階における責任の所在を明確化し、国民の的確な理解と批判のもとにある公正で民主的な行政の推進に資するための措置を講ずるものとしております。

 すなわち、職員の国会議員との接触に関する記録の作成等及びその情報の適切な公開のために必要な措置を講ずるものとし、この場合において、当該接触が個別の事務事業の決定等に係るものであるときは、その記録の適正な管理及びその情報の公開の徹底に特に留意するものとすることとしております。また、これに加え、各般の行政過程に係る記録の作成、保存その他の管理が適切に行われるようにするための措置等を講ずるものとしております。

 第六に、定年の引き上げに関する事項についての修正であります。

 定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討することとし、その際に検討すべき給与制度の例示として、高年齢である職員の給与の抑制を可能とする制度を規定することとしております。

 第七に、内閣人事局の設置に関する事項についての修正であります。

 内閣人事庁にかえて、内閣官房の新たな事務を行わせるため、内閣官房に内閣人事局を置くこととしております。

 第八に、労働基本権に関する事項についての修正であります。

 労働基本権に関する規定を次のように改めることとしております。

 政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとすること。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中野委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官株丹達也君、総務省総合通信基盤局長寺崎明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 きょうは本当に、記念すべきといいますか、我が国における歴史的な第一歩である、こういうふうに思っております。今回の与野党修正協議というものが合意された、相調ったということについては、本当に私も喜んでいる一人であり、また、関係の皆さん方、努力されたこの提案者の皆さんには大変敬意を表したいと、心から喜んでいる次第でございます。私は、政治力というものがここで発揮された一つの大きな実績だ、そういう意味で、今回の修正協議というものを国民の一人として喜んでいきたい、こう思っているわけであります。

 そこで、なお、確認だけ何点かさせていただきたい、こう思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 国家公務員改革の基本法ということでありますから、そういった意味では、今後ずっとまた日本の国政にも、あるいはまた総合的にも大変大きな影響力を持つことになるわけでありますけれども、私は、公務員の中立公正ということが何といっても一番基本だろう、こう思っています。

 その中で、今回の法案の第一条にも、公務員が国民全体の奉仕者であるという規定があるわけでありまして、これこそまさに、これが守られていけば公務員というものは本当に国民の皆様の奉仕者として喜んでいただけるんだと思いますが、ここがいろいろ問題があるところは改革しなければならない大きな問題点になっているんだ、こう思うわけであります。

 したがって、この公務員の中立公正を今後どう担保するかということにおいて、内閣が今度人事の一元化ということで大きく前進しましたけれども、例えば、人事院がいろいろな意味で今まで努力されました。そうした人事院と内閣の一元化とのバランスといいますか役割分担といいますか、その辺の責任はどういうことに今後なっていくのかについて、よろしくお願いしたいと思います。提案者の方にお願いしたいと思います。

上田委員 お答えいたします。

 今御質問にあったとおり、公務員の中立性、公正性というのは公務員制度のまさに根幹をなすものでありまして、これまで中央人事機関としての人事院がそれに果たしてきた役割というのは十分認識をいたしております。

 また一方で、公務員制度においては使用者としての内閣の責任というのが極めて重要でありまして、今後とも、内閣と人事院それぞれの立場で、公務員が中立公正性が担保できるように機能していくものだというふうに理解をいたしております。

 なお、それぞれの職務の範囲、あるいは、どういう機能を具体的に果たしていくかというのは、これからの制度の詳細設計の中で議論を詰めていきたいというふうに考えております。

田端委員 次に、政官接触のところも政府案とは大きく変わったわけでありますが、これについてもお尋ねしたいと思います。

 今回の修正案でいきますと、「国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存その他の管理をし、及びその情報を適切に公開するため」云々、こうなっているわけでありまして、そういった意味では、記録を作成し、そしてそれを公開するという原理は今までなかったことでありますし、また、これが情報公開という意味でも、非常に一歩進んだ形になるなというふうに思います。

 私は、前回の政府案の質問のときにも申し上げましたが、逆に、余り政官接触を厳しく規制してしまうと、議員活動そのものにも大きな影響が来るのではないかということを懸念していたわけであります。今回の修正で、記録をとどめる、その記録の中身を、どの程度までするのか、何月何日、だれと会って、こういうことについて話したということでいくのか、もっと突っ込んで中身についていろいろ記録することになるのか、その辺のところがちょっとまだこれだけでは不明でありますけれども、どちらにしても、国会における議員活動というもの、我々の立場からすると、そこはもう少しやはりフリーハンドがあった方がいい、こう思うわけであります。

 自然な形での記録ということを私は期待したいと思いますが、提案者の御意見を伺いたいと思います。

上田委員 お答えいたします。

 政官接触に関する今回の修正というのは、情報公開の徹底、透明化を図ることによりまして政官接触の公正性を担保することが可能である、そういう考えによるものでございます。

 この委員会の審議の中でも、今、田端委員がお話しになりましたように、議員活動への影響等、さまざまな問題提起もございました。ただ、やはり、大臣の指揮のもとでそういう議員との接触というのが必要であろうということから、それを記録に残して大臣に報告をするということをルール化することによって、官僚が大臣の意に反するような行動を起こすということは不可能になるだろうということで、こういう修正を加えたわけでございます。

 なお、今お話にありましたように、すべてのそういう接触について詳細な記録を残していくということになりますと、これは確かに記録を残すことが仕事になってしまうようなことにもなりますし、また、大臣も記録を全部読むということも大変なことになってくるんだろうというふうには思います。そういう意味で、記録は残して、大臣がしっかりと掌握できるということを担保する一方で、仕事に支障が出るというようなことであっては、これはまた元も子もありませんので、そういう記録の作成や情報公開といった詳細な記述というのは今後、具体的に定めていく必要があるというふうに考えております。

田端委員 続いて、キャリア制度について確認をさせていただきます。

 政府の原案では、「総合職試験の合格者からの採用及びこれに伴う各府省への配置の調整」、こういう項目があったわけでありますが、この項目が今回なくなっています。総合職試験の合格者からの採用、配置がなくなったということは、内閣人事庁の、今度は内閣人事局ですが、この人事の一元化、そことのバランスで果たしてどうなんだろう。では、採用のときに、私はどこどこの省に行きたいということが、趣旨として、採用者がそういうことになるとなれば、縦割りのものは、弊害と言われてきたものがなお残っていくんではないかという懸念があります。

 そういう意味で、キャリア制度の廃止を目指すという当初の目的と、そこのところはどういうふうになっていくのかなという多少の懸念があるんですが、その点についていかがでしょうか。

上田委員 お答えいたします。

 公務員の意欲を引き出すためには、今まで硬直的とも言われていたキャリア制度を抜本的に見直していこうということは、今回の公務員制度改革の中でも大きな柱でございます。これは、修正案においてもその趣旨は同じでございます。

 ただ、原案にあった、内閣人事庁が一括採用するという方法については、これは新たにまた特別なそういう区分を設けることにもなりかねないんではないか、あるいは、そういう誤解を生みかねないというような意見もございまして、修正案の形で合意がされたところであります。

 キャリア制度を廃止するための今度の法案に盛り込まれている措置といたしましては、現行の採用試験の種類、その内容も抜本的に見直していくことも含まれておりますし、また、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程の整備を行うということも含まれております。

 また、今委員から御指摘をいただきました縦割りの弊害ということについても、縦割り行政の弊害排除という点については、試験の種類により採用の差異を設けることはやめるということ、あるいは幹部職員等を対象とした新たな制度を設ける等の措置も講じておりますし、また、内閣人事局が幹部登用に至るまでの人事管理において適切に関与するということ、政府全体の立場に立った、視野を持った職務を遂行する職員の育成、活用を図っていくということなどを通じまして、縦割り行政の弊害は排除できるんではないかというふうに考えております。

田端委員 渡辺大臣がずっとおっしゃってきた能力・実績主義ということがどうぞ生かされるようにひとつ、あるいは、官民交流によってさらに活力が出てくる、こういうことも大変大事なことだと思いますから、ぜひその辺のところもよろしくお願い申し上げたいと思います。

 もう一点お伺いします。

 定年制について、今回、「定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討すること。」こう表記されましたけれども、六十五歳、そんな一遍になかなかいかないんだろうと私は思います。今でもなかなか進んでいないことをどうするか、これは、ある程度のプログラムといいますか、計画性を持ったものでなければならない、こう思うわけでありますが、しかし、これが明確に記されたということについては、私は大変評価したい。特に、天下りの問題との形でいきますと、早期退職勧奨、つまり肩たたきと天下りとはセットで解決しなければならないことだということを私は一貫して思ってまいりましたが、だからこそ、今回定年を延長されるということについては高く評価していきたい、こう思います。

 そういった意味で、公務員の方も生活があり、また公務員のプライド、あるいは職場におけるやりがいといいますか、働きがいといいますか、そういったことを胸を張ってやっていただくためにも、やはり安心して定年ということが、段階的に引き上げていただくことが大事だ、こう思うわけでありますが、これは、そういった意味で大変大きな修正であったと思います。ぜひこれがスムーズにいくように、今、現実はなかなか、口では言っていますが、六十歳までも行っていないわけでありまして、大変な状況かと思いますが、ぜひ、ここのところは大事なポイントとして、そしてまた天下りを規制する大きな要素になっているという意味においても実行していただきたい、こう思います。

 提案者の御回答をお願いします。

上田委員 今質問の中で御指摘いただいたように、国民の今の公務員制度に対する不信感の中の大きな要素が不透明な天下り問題にあるというふうに私たちも考えております。こうした天下りの要因が、今質問にもありましたけれども、定年前に退職する早期勧奨退職の慣行にあるとかという指摘もこれまで多く行われております。

 まずは、原案にもありますけれども、定年までちゃんと勤められるような、そういう仕組みをつくっていこうということが重要だというふうに考えております。加えて、定年の年齢の引き上げについて、原案においてもそういう趣旨は規定をされておりましたけれども、今回、修正案においてはより具体的に規定を設けたわけでございます。これは、こうした改善が行われることによりまして、無理に再就職先を見つけなきゃいけないというような必要性も少なくなってまいりますので、不透明な天下りの解消にも寄与していくものだというふうに考えております。

 また、今委員が御指摘になったように、目標は立てたものの、いかにしてこれを実行に移していくのかということでありますが、これはまた引き続き、政府に対しても、実効性のある対策について我々としても求めていきたいというふうに考えているところでございます。

田端委員 いずれにしても、国民から見て、今のままの公務員でいいのかという、公務員に対する大変な強い懸念というものを持っているわけでありますから、今回のこの修正案によって、国民の皆さんの疑念が払拭できるような、そういう流れをつくっていく大きな第一歩にしていきたいと思います。

 今後とも、また我々も努力していきたいと思いますが、提案者の皆さんにもさらにまたよろしくお願い申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 次に、高市早苗君。

高市委員 自由民主党の高市早苗でございます。

 昨年の四月二十四日に、安倍内閣が、パッケージとしての公務員制度改革を行うために法整備をするということで閣議決定をいたしました。福田内閣になりましても、引き続き渡辺大臣が大変な御苦労をされて、ついに法律案の形にされました。粘り強い御努力にまずは心から敬意を表します。お疲れさまでございました。

 それから、本委員会での熱心な御議論を受けまして修正案をおまとめいただきました与野党の提案者にも感謝を申し上げます。お疲れさまでございました。

 議院内閣制の我が国では、選挙で国民の負託を受けた主権者の代表である国会議員が、最も重いと言われます首班指名の一票を行使して内閣をつくるわけでございます。よって、公僕として国民に忠誠を誓うべき国家公務員は、政権党がどの党になろうが、時の内閣が示した国家経営理念を実現するために必要な職務を総理大臣や閣僚の指示に忠実に従って行うことが必要であるということは言うまでもございません。

 そこで必要になるのが、国家公務員が省益ではなくて国益、国民益のために働ける人事システムの構築、それから総理大臣や閣僚がマネジメント能力を発揮できる制度の構築でありまして、今回の法律案提出に至ったものだと私は理解いたしております。

 先週までの公明党の田端委員や民主党の泉委員の質疑に対しまして、渡辺大臣は、政務専門官制度の主目的は、官僚主導体制の転換、国家公務員が大臣の意向はさておきといってロビーイング活動をすることを規制することだと答弁をされました。主権者の代表である政治家が政策上のリーダーシップを確保する上で、大変重要な視点だと思っております。

 そこで、きょう、参考人でお願いをいたしております総務省の総合通信基盤局長に事実関係の確認をしたいと思います。

 ことしに入りましてからきょうまでで、局長御自身または総務省職員が、特定の議員立法に関する件で、与党議員や与党幹部と接触し、議員立法案への反対を依頼したり、議員立法案の内容の問題点を伝えたりしたということはありましたでしょうか、なかったでしょうか。一言で御答弁をお願いいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 議員立法は立法府たる国会における責任において策定されるものでございまして、主に法令に基づき政策を実施し、行政執行する立場にある私ども行政官が、その是非について主体的に論じる立場にはないものと認識しております。したがいまして、議員立法法案への反対を依頼したりしたことはございません。

 ただし、政策論につきまして、国会議員からの求めがあった場合や部会等への出席の要請があった場合に、副大臣もしくは大臣の示された方針に沿って、電気通信行政の観点から制度の現状、考え方を御説明させていただくことは多々ございます。

高市委員 つまり、自分たちの方から国会議員に何らかの働きかけをしたり説明をしたことはなかったということで、その答弁で間違いなければ、局長には御退席いただいて結構でございます。お忙しい中、ありがとうございました。

 委員の皆様には、私がなぜ冒頭からこんな質問をしたのか、御疑問もあるかと思います。

 理由を簡単に説明いたします。

 昨年秋の内閣府の世論調査で、九割の国民がインターネット上の有害情報を規制する必要があると答えております。また、地方議会からも青少年をインターネット上の有害情報から守るための法規制を求める意見書というのが衆議院に提出されておりますし、また、今月に入りましてからは、教育関係団体ですとか保護者団体から実効性のある法規制を求める請願書といったものが提出されております。

 このような国民世論がございますので、自民党の青少年特別委員会では、実効性のある、インターネット上の有害情報を規制する、青少年をここから守るための法律案を条文化いたしました。昨年十二月のことです。その後、業界団体等の意見も聞きまして、修正を重ねまして、自民党内閣部会で審査中でございました。

 ところが、伝聞ではございますけれども、実効性を重視した議員立法案というものは総務省が所管しますインターネット業界の利益に合わないとして、この法案をつぶすために、または骨抜きにするために総務省の職員が国会議員への働きかけに奔走されたといったことも聞きましたし、また、局長御自身が、法律案に書かれている審議会というものは総務省には設置させないといった趣旨の発言をされたといったことも漏れ聞きました。

 それはあり得ないことだと思いましたので、今、局長に伺いましたら、ないということでございますので、事実確認までということでございます。

 私は、閣法の審議におきましても、国家公務員が、大臣の意向、示す方向性に反して、国会議員にそれと違う働きかけを、つまり大臣の方針と違う働きかけをする、いわゆるロビーイングをするということはよくないと思っておりますし、ましてや、都合の悪い議員立法について、これを阻止するために国会議員に働きかけるということは立法府への冒涜だと考えております。

 もしも何らかの法案に対して、特に議員立法の案について都合が悪いということであれば、大臣の指示に従って副大臣や政務官が政治家同士の話をしに来られる、これならいいんだろうと思っております。

 そこで修正案の提案者に伺いますが、この修正案で国家公務員のロビーイング活動は実効的に制限できるんでしょうか。先ほど上田議員の答弁を伺いました。ロビーイングをしても、その公務員が大臣に報告をせずに記録をつくらなかった場合はどうなるんだろうか、そんな疑念を持ちましたので、実効性があるのかどうか、お伺いします。

宮澤委員 先ほど上田議員から答弁をした流れでございますけれども、まず、今度の法案では、政府案にあります、いわゆる政官接触の禁止、政務専門官の設置というところは削除しておりますが、一方で、透明性を高める、公開性を高めるという規定を設けております。

 そして、その結果、上田議員から御説明がありましたように、政治家がチェックできるシステム、また国民がチェックできるシステムをつくるということで条文を規定しておりますけれども、これをまさに先生がおっしゃるような実効性のあるものにするように、政府においてきっちりしたものをつくっていただきたい、そういうふうに思っております。

高市委員 今、情報の公開性という話が出ました。私も、規律ある政官接触は必要だと思っております。

 現在でも、政策レクチャーのときの会話ですとか、また国会議員から役所への要望、これに対応した内容というのは各官庁内で記録をされておりまして、行政文書は情報公開の対象となっております。ところが、多くの議員がそうだと思うんですが、政策レクチャー中のメモというのは役所側が一方的にとっておられて、私ども、確認をしたことがございません。つまり、記録担当者の文章力や理解力によって、議員が意図しない内容になっている可能性もございます。

 また、私自身が大臣であったとき、こういうことがございました。

 当時、ある現職閣僚の事務所から、私の所掌事務に関しまして、これは認可案件だったんですけれども、口ききがあったのではないかというようなことが報じられました。私は大臣として、役所内に残された過去の陳情記録を調べることになったわけですね。過去数年間にわたって、その当該認可事項については、与党議員からも野党議員からも多くの問い合わせの記録が残っておりました。担当職員に面談して、どういう問い合わせ内容だったのか詳細を確認いたしましたところ、すべて、認可事務に要する期間は何カ月かかるのかとかいった事務的なことでございまして、全く倫理的な問題はございませんでした。

 ところが、その担当課では、そういった案件が全部、○○議員事務所よりよろしく電話がありという記録の仕方になっていて、期間が何カ月かかるんですかとかいうようなことを聞いても、全部、よろしく電話という表現になってしまっておりました。それが習慣になっていたということです。もしもこのよろしく電話などという表現で記録をされて情報公開をされますと、これは議員側が何か認可事務をねじ曲げるお願いをしたようなイメージになってしまいますので、当時は、その担当者、つまり役所全体に対してですが、正確に議員との会話内容を記録するように指示をしたところでございます。

 そこで、修正案の提案者に伺いますけれども、この政官接触記録につきましては、当事者である国会議員と官僚、双方が記録を確認した上で保存して公開されるようなルールをつくるとか、それから、議員からの接触だけではなくて、公務員側からのロビーイング活動についても公平に記録が残されるべきだと考えますけれども、この公平性を担保するために、どのような記録方法を想定されていますか。

宮澤委員 まさに先生のおっしゃるとおりでありまして、今回は、記録をきっちり残す、そして公開するということで、透明性を高めるということが条文の趣旨でありまして、一方で、記録のとり方が下手だ、また故意に変えるということすらあるかもしれないという中で、やはり政治家側の発言というものをきっちりチェックするシステムも恐らく必要なんだろうと思います。そういうものを含めて、政府において、今回初めて法律の形でつくるわけでありますので、しっかり受けとめて、今言ったようなことがないような制度にしていただきたいと思っております。

高市委員 ぜひとも法制化の段階で、大臣にもお願いをしておきたいんですけれども、当事者双方が記録を確認できるように、また、ロビーイングの記録も残すのであればしっかり残していただきますようにお願いを申し上げます。

 次に、いわゆる労働基本権と言われるものと行革の関係について伺います。

 私自身が食品安全担当大臣だったときに、食品安全の問題が随分出てきておりました。当時、食品安全行政の一元化ですとか、また賞味期限と消費期限といった表示のあり方について改善が必要なんじゃないかという考え方を持っておりました。抜本的な制度改正の検討に入ろうと考えまして、大臣の企画立案事務に内閣府の食品安全担当室を使おうと考えたんですね。ところが、人手不足から、当時の食品安全担当室はバーチャル室と化しておりまして、そこの室長はほかの職務と兼務でありましたし、全く手足となる職員がいないという状況でございました。人員確保のための要求をしたんですけれども、国家公務員の削減計画がございますので、最後まで人手は確保できませんでした。

 それで、第十二条なのでございますけれども、修正案の提案者に幾つか伺います。

 まず、この十二条には争議権は含まれず協約締結権について規定されたものと理解していますけれども、それで正しいのかどうかということ。また、協約締結権の交渉事項に給与というのは含まれるのかどうか。

 そして、もしも含まれるとしましたら、交渉結果によりまして人件費が膨れ上がることになります。だから、トータルの人件費をふやさないためには国家公務員の数の削減幅をふやすしかなくなっちゃうんですけれども、その場合ますます大臣の企画立案に携われる人手がなくなってしまうというようなことも心配されますので、この十二条の目指すものと、国家公務員削減計画など行革との関係も含めて、以上お伺いいたします。

宮澤委員 今、労働基本権に係る範囲についてのお尋ねがあったわけでございますけれども、各党でいろいろ相談をし、そして条文をつくったわけでありますが、まず、基本になっておりますのは、昨年の十月に出されました行政改革推進本部専門調査会の報告というのがございます。その報告書に、公務員の労働基本権のあり方については、「現行のシステムは、非現業職員について、その協約締結権を制約し、一方で使用者を、基本権制約の代償措置である第三者機関の勧告により拘束する。このように労使双方の権限を制約するシステムでは、労使による自律的な決定は望めない。」ということが書かれております。

 第十二条は、このような現状の問題にかんがみ、自律的労使関係制度を措置することを政府に求めているものであります。実際のところ法十二条はこのような趣旨であって、その趣旨のもとで今後各般の方面から政府において検討されるということだと理解をしております。

 次に、給与についてのお尋ねがございました。今後、例えば協約締結権につきまして、協約締結権を付与する職員の範囲とか、また人事院勧告の制度のあり方等とあわせて、給与につきましても、交渉事項、協約事項の範囲等々につきまして政府において検討されるということで条文をつくっております。

 また、トータルの国家公務員の削減についてと行革推進法との関係の御質問がございましたけれども、国家公務員の削減計画自体は五年計画で今やっている話でございまして、これはしっかり政府において進めていただくということになろうかと思います。

 お尋ねの趣旨が若干わかりにくいところがあるのでございますけれども、削減計画はしっかり進めていく中で、給与については、今後、その範囲、給与自体の交渉が入るのか入らないかも含めて、政府の中で検討し措置していただく、こういうことでございます。

高市委員 まだ具体的にはこれからさまざま決まっていくという理解でいいかと思います。

 最後に、渡辺大臣、本当にお疲れさまでございました。国家戦略スタッフについては大変すばらしい考え方だと思います。国家戦略スタッフに、例えば現職の制服自衛官というのは就任できるんでしょうか。

渡辺国務大臣 国家戦略スタッフというのは、まさに総理官邸の裏方でございます。戦略的かつ機動的な政策判断や、迅速な意思決定の必要性をサポートするものであります。まさに国家的に重要な政策に係る企画立案に関して内閣総理大臣を補佐する職として設置をいたします。

 この任用については、公募を活用するなど、国の行政機関の内外から人材を機動的に登用できることにいたしております。具体的な制度の中身については、基本法成立後に検討されることになります。

高市委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中野委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 急転直下と申したらよいのかわかりませんが、修正協議がまとまり、本日、修正案が提出をされたということで、私も、今ここに、委員会の質問に立たせていただき、この修正案に質問を申し上げるのも、何となく半信半疑のところはあるんですけれども、修正案に対して幾つか確認的に質問を申し上げたいことがございますので、その点について、そしてまた、時には大臣の御意見なども伺いたいと思います。

 公務員制度改革は、今、本当に多様化する、そして高度化する、人口減少の日本の社会の中で喫緊の課題だと思われます。もちろん、さまざまな不祥事に端を発して失われた国民の信頼を回復するということ、これが公務員制度改革の中では何よりも重視をされなければいけないことだと思いますし、また、省あって国なしと言われるようなこの体質をどう変えていけるのか。また一方で、やはり意欲や能力のある公務員の方々がきちんとその能力を発揮して働いていただける環境整備ということも、またこれは必要なことだと思っております。

 今後、この公務員制度改革法案、ぜひ適切な形で運用されていくように心から願っているところでございますけれども、具体論について幾つか質問を申し上げたいと思います。

 まず一つ目でございますが、第五条の第二項の関係です。第一号になりますでしょうか、ここにおいて、新たな制度を設けると。すなわち、「事務次官、局長、部長その他の幹部職員を対象とした新たな制度を設けるものとすること。」と記載をされております。

 これは具体的にどういう趣旨なのでしょうか。

馬淵委員 お答えをさせていただきます。

 私も、この審議で代表質問をさせていただきながら、きょうこうして答弁席にいるということで、言葉にあらわせない気持ちでおります。

 今、質問にありました五条二項についてでございますが、そもそも、この理念にあります縦割り行政の弊害の排除、また、多様な人材の登用、そして弾力的な人事管理、こうした理念に基づいて、幹部職員並びに管理職員については、一般の職員とは異なる任免や人事評価などの新たな制度を設けることが必要であると考えております。

 この修正案の第五条の二項一号及び二号の趣旨でございますが、これはその基本的な方向性を示すものでございまして、質問にあります、具体的にはどういうことを示しているのかということでありますが、具体には、修正案の五条の二項三号そして五号までの措置を予定しております。

 すなわち、幹部職員の任用は、内閣官房長官がその適格性を審査する、そしてその候補者名簿の作成を行い、また、各大臣が人事を行うに当たっては、任免について内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で行うものとするとしております。

 さらに、幹部職員等の任用に当たっては、「国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用に努める」、幹部職員等の任用、給与その他の処遇については、「その職務の特性並びに能力及び実績に応じた弾力的なものとするための措置を講ずる」、これらはそれぞれ四号と五号に示しております。

 その他、幹部職員等の各府省ごとの定数の設定あるいは管理職員任用の場合の選考に関する統一的な基準の作成、これらも内閣官房において行うこととしておりまして、こうした具体的な新たな制度、措置によりまして、先ほど申し上げたように、縦割り行政の弊害の排除、そして多様な人材の登用並びに弾力的な人事管理というものが実現できる、そのように考えております。

西村(智)委員 縦割り行政の弊害を排除する、この突破口になることを強く期待しております。

 続いての質問は、先ほど御説明をいただいた第五条第二項第三号についてでございます。

 この第三号において「各大臣が人事を行うに当たって、任免については、内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で行うものとする」というふうに記載をされておりますが、例えば局長を次官に昇任させるという場合に、その都度と申しますか改めてと申しますか、各大臣は総理大臣及び官房長官と協議することになるというふうにこの条文を読んで理解するのですが、提案者の見解を伺いたいと思います。

馬淵委員 お答え申し上げます。

 御指摘のように、府省において局長を次官に昇任させるという場合でも、これにつきましては職の任命ということでございますので、改めて各大臣は内閣総理大臣及び官房長官と協議をした上で行うというふうに考えておりまして、局長を次官に昇任させるということは新たな内閣全体の人事であるということから、これは改めて協議が必要だというふうに考えております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 続いて、今回の修正を通して、各大臣が内部の人材そしてまた外部の有識者、こういった方々を幹部職員に登用する場合には、具体的にはどういう手続を経ることになるのでしょうか。

馬淵委員 お答えをさせていただきます。

 内部の人材あるいは外部の有識者、これらを幹部に登用しようとする場合は、その人材並びに有識者を内閣官房長官に推薦し、さらに適格性の審査の上、名簿に登載ということになります。各大臣は、この名簿に登載された人材、有識者について、総理大臣並びに内閣官房長官と協議した上で任命をするということになります。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 続いて、政官接触の関係について伺いたいと思います。

 委員会でもたびたび議論になってきたところでありますけれども、政府案では、官から政への接触を政務専門官を通じて行うことで制限するということで、これはかなり問題があるのではないかと私たちの方からも指摘をさせていただいておりました。これに対して民主党の提案は、いわゆる情報公開、透明化を図ることによってこれを適正にしていこうという提案をしていたけれども、今回の修正によって、政官接触における政務専門官の設置は削除をされております。

 これにかえて第五条第三項の規定が設けられておりますが、この趣旨について伺います。

吉良委員 お答えいたします。

 委員御指摘のように、接触制限に対する規定は削除させていただきました。そして、この三項によって、やはり御指摘のとおり、情報公開の徹底ということと透明化を図るということで、これまでの議論でも出てまいりました政と官の不適切な接触、交渉を排す。

 それから、参考人陳述でもございましたけれども、一方では、大臣の意向に反して官の側が、大臣はああおっしゃっていますけれども我々官はですね、という接触が実際問題としてあるというような指摘が、参考人陳述の中でございました。一方では、よく言われるように、一種の利益誘導といいますか口ききによって政が官に圧力を加える、働きかけをする。このようなことを避けることが目的であって、接触自体が問題ということではない。やはりこれまでの議論にも出てまいりましたように、お互い情報交換をし、意見交換をしていく、議論をしていくことは、ある意味ではより効率的な政策立案に資するというふうに思っています。

 大事なことは、今言いました大臣の意に反した官の行動、また口ききと言われるような政の官に対する圧力、これを排する。それは、今申し上げました透明性の確保、そしてそのための情報公開の徹底ということで図れる、この趣旨でこの三項を設けております。

 以上です。

西村(智)委員 透明化を図るということはよいことだというふうに考えるんですけれども、しかし、その具体的な中身についてはまだ見えないというようなところがあるかと思います。

 すなわち、個別行政の要請といいますか、問題になっておりますいわゆる口ききと言われるものですね、こういったものも対象になるのか。あるいは、接触の仕方によっても、先ほど、よろしく電話などという言葉が出てまいりましたけれども、電話というのが接触に当たるのか、また電子メールなどはどうするのか。また、こういった記録を全部行うことは事務が煩雑化するのではないかという指摘があります。

 こういった点を提案者は現時点でどういうふうにお考えになり、今後どういうふうにこの仕組みが進められるべきだと考えておられるでしょうか。

吉良委員 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、透明性を高め、情報公開を徹底するということの手段として、記録を作成し、それを公開するというふうにしておりますけれども、先ほどの公明党の田端委員の質問、それから上田提案者の答弁にもありましたように、事務をいたずらに膨大化させて本来の趣旨を損ねるということは避けなければいけないというふうに思っております。

 本法案とそれから修正案はまさに基本法でありますので、先ほど申し上げました、やってはならないことを避けるということを確認する、そして、その手段について合意できれば、各論については今後この基本法の趣旨にのっとって詰めていくことになろうかというふうに思っています。

 ですから、今委員から御指摘のあった、よろしく電話をどうするだとか携帯メールをどうするか、これについては、この基本法の趣旨にのっとって細部は詰めてまいりたいと思っております。

 以上です。

西村(智)委員 次に、内閣人事局というものが第十一条で設置をされるということになったんでしょうか、内閣人事庁の規定が修正案では内閣人事局というふうに変わっておりますけれども、この理由は何でしょうか。

吉良委員 お答えいたします。

 もともとの政府案には内閣人事庁ということでありましたが、今回の修正によって、人事庁ではなく、内局としての内閣人事局を置くということで提案をさせてもらいました。

 この点につきましては、これはもう党派を超えて、官のいたずらな肥大というものについてはだれもが納得をしないということで、庁にすると行政の肥大化を招くおそれがある、そういう観点から、内局にすることによって、あり得る弊害を事前に防ごうとしたものであります。

 以上です。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 続いて、条文的には少し戻るんですけれども、第五条第二項になります。内閣人事庁が総合職を一括採用し、各府省へ配置するという政府案ではあった内容が、今回の修正案では削除されております。

 この理由について伺います。

佐々木(隆)委員 お答えさせていただきます。

 政府原案には総合職試験というものがあったわけでありますが、総合職試験の合格者の中から採用された者だけに他の採用者と異なるルールを適用するというのは、採用試験に基づいて幹部候補を事実上固定化する、いわゆるキャリアシステムの維持につながるおそれがあるというようなことから、このようなルールを維持したままではキャリア制の廃止とならず、総合職がスーパーキャリアとなってしまうおそれがあるので削除をしたものであります。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 続きまして、条文的には第十二条について伺いたいと思います。

 率直に申し上げて、ややわかりにくい規定だなというふうに思うのでありますが、この第十二条の「自律的労使関係制度を措置する」というのは、具体的にどういうことを意図しておられるのでしょうか。

松本(剛)委員 西村議員にお答えを申し上げたいと思います。

 この労働基本権の問題については、これまでもいろいろな場面で、また長いこと議論をされてきたところでございますけれども、政府の原案では、第十二条、「政府は、国家公務員の労働基本権の在り方については、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であることを勘案して検討する。」このようになっていたものでありますが、その後の委員会の審議、そして与野党の協議を経まして、御案内のとおり、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」このような規定になりました。

 御案内のとおり、先ほども宮澤議員からも御答弁を申し上げたところと重複する点がありますが、昨年の十月の政府の行政改革推進本部専門調査会報告「公務員の労働基本権のあり方について」、この報告において「現行のシステムは、非現業職員について、その協約締結権を制約し、一方で使用者を、基本権制約の代償措置である第三者機関の勧告により拘束する。このように労使双方の権限を制約するシステムでは、労使による自律的な決定は望めない。」このようにされているところでありまして、本条第十二条は、このような現状の問題にかんがみて、自律的労使関係制度を措置することを政府に求めているものでありまして、本法がこの修正案を含めて成立をした後には、本条に従って措置されるものと期待をしているところでございます。

西村(智)委員 続いて、ここは与野党の間の大きな相違点かと思いますが、いわゆる天下り問題、再就職のあっせん禁止について伺いたいと思います。

 私たち民主党は、天下りというのは禁止すべきだということで、昨年の官民人材交流センターのときも、押しつけ的なあっせんだけではなくて、天下りそのものをやはりやめなければならない、それが税金の無駄遣いをとめることにもつながるし、国民の信頼回復にも資するということで議論をさせていただいておりましたが、今回の修正案にも、残念ながら、私たち民主党が求めてまいりました再就職あっせんの禁止に関する規定というものは言及がございませんでした。

 この理由について伺いたいと思います。

松本(剛)委員 西村議員にお答えを申し上げたいと思います。

 天下りの問題というのは、ここ数年国会でも大きく取り上げられ、この根絶が必要であるという認識については国会の中でも共通の認識ができた中で議論がされてきているだろうというふうに思いますが、私どもとしては、天下りについては大変対策が必要である、こういう認識でこれまでも強く求めてまいりました。昨年の通常国会においても、再就職のあっせんの禁止を要求してまいりました。天下りが巨額の税金の無駄遣いの温床となっていることからも、民主党として、天下り、再就職あっせんの禁止が必要という考え方は変わっておりません。

 今回の協議について、私どもとしては、これも修正に加えていくべきではないかということで民主党案は当初策定をしたものでありますけれども、残念ながら、今回の協議の中では、政府案ではもともと、この天下りについては既に昨年の改正において官民人材交流センターを設置するなど対応しているという認識の中で、基本的な認識が一致をすることがありませんでしたので、この点を条文として取り上げることについて合意を見ることができなかったために取り上げないこととなったということでございます。

 私どもとしては、引き続き、再就職あっせんの禁止が必要であるという姿勢は変わりなく、別途必要な措置を行うべきであるということを国会でも求めていきたい、このように考えているところでございます。

西村(智)委員 ありがとうございます。ぜひその方向で国会での議論全体もまとまっていくことを私も期待しております。

 さて、次に、男女共同参画の推進について、今回、修正の中で理念として盛り込まれたと承知をしております。

 男女共同参画社会の推進といいますのは、平成十七年に改定をされました基本計画の中でも、二〇二〇年までに、国家公務員の中で女性の比率を高めるべし、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度になるようにという、そういう計画でございまして、特に政府は民間に先行して積極的に女性の登用等に取り組むべきだというふうに記載をされております。

 そのほかにも、いわゆるワーク・ライフ・バランスの推進、女性も男性も育児休業の取得の促進、こういった課題がいろいろあるわけでございますけれども、この点について、修正案ではどういった形で、どういった考え方で盛り込まれたのか、ここを伺いたいと思います。

佐々木(隆)委員 お答えいたします。

 ただいま西村議員から御指摘がありましたが、当初、民主党案では、男女共同参画の推進及び仕事と生活の調和ということで盛り込んでいたわけでありますが、先ほどの天下りのところで御答弁申し上げたと同じように、政府原案にこのテーマがなかったというようなことから、男女共同参画の推進については、今お話がありましたように、第二条第六号の基本理念に「男女共同参画社会の形成に資する」ということを文言で追加させていただいたところであります。

 公務員制度改革の推進に当たっては、この基本理念の文言を基本として行われるというふうに考えているところでありますし、同時に、民主党の求めていた男女共同参画基本計画に規定する政策決定過程への女性の参画の拡大については、今御指摘があったところでありますが、男女共同参画社会基本法に規定する男女共同参画基本計画においてしかるべき対応をされるべきというふうに期待を申し上げているところであります。

西村(智)委員 ありがとうございました。

 大臣、恐縮ですが、ぜひ大臣のお考えを伺いたいと思いますので、答弁をお願いしたいと思います。

 先ほど私は、修正案の第五条第二項第三号の関係で、「各大臣が人事を行うに当たって、任免については、内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で行うものとする」とあるわけですけれども、ここで、例えば局長を次官に昇任させるという場合に、これは新たな内閣全体の人事であるので改めて協議が必要だ、そういう提案者からの御答弁をいただきました。大臣の考えはこれと同様だということでよろしいでしょうか。

渡辺国務大臣 修正前の政府案でございますが、ここにも適格性の審査の制度を設けております。一たん幹部職員になったらもう二度とやらなくていいんだという考えは、政府案においてもとっておりませんでした。

 修正案の枠組みのもとでは、先ほど提案者から御答弁がありましたように、ポストがかわるごとに、改めて総理、官房長官と協議をするというお答えだったかと思います。大変適切なお考えであろうかと思います。

西村(智)委員 では、もう一点確認をさせていただきたいと思います。

 その次の質問で、各大臣が、内部の人材あるいは外部の有識者、こういった方々を幹部職員として登用しようとする場合、具体的にどういう手続なのか、私が質問させていただいたら、提案者の方からは、その人材や有識者を内閣官房長官に推薦して、適格性を審査した上で名簿に登載をして、そして、その名簿に登載された人材、有識者について、内閣総理大臣そして内閣官房長官と協議した上で任命をすることになるという答弁だったかと思います。これについても、大臣のお考えは同様であるというふうに考えてよろしいでしょうか。

渡辺国務大臣 もともとの政府案では、現状のいわゆる大臣の人事権という名のもとに各省において事務方の仲間内人事が行われる、そういう人事を大臣が追認せざるを得ないような実態が指摘されておりました。こういったことを改めるために、内閣人事庁でも候補者名簿を提示するという仕組みを提案したわけでございます。

 修正案では、この問題認識は共有されていると思います。その上で、官房長官が一元的に候補者名簿を作成するとしたわけですし、内閣一元管理をより強化したということが言えようかと思います。

 こういう原点に立ち返れば、御質問のように、大臣のイニシアチブをもって特定の人材を幹部に登用しようとすることを排除する必要は全くないと思います。提案者から御答弁のあったような手続のもとで認められてしかるべきと考えております。

西村(智)委員 ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わりますが、申し上げたように、まだ積み残しの課題、天下りの問題もございますので、ぜひ今後とも、国会の中で、オープンなところで議論をし、本当の意味での改革を進めていきたい、そのことを皆さんで力を合わせてやっていきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 渡辺大臣と修正案の提出者に質問をさせていただきます。

 まず最初に、労働基本権に関連して提出者の方に伺います。

 修正案で、十二条では、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」とあります。

 そこでお伺いしますが、ここでも重ねて質問のあった点ですけれども、この「国民に開かれた自律的労使関係制度」とは何を意味するのか、この点についてお答えください。

松本(剛)委員 この委員会でも質疑が行われているところでございますが、公務員の労使関係については、やはり国民の目というものもあるということで、特に最近、残念なことも発生をしている中で、これまでも議論してきた中で透明性が大変重要なポイントであろうというふうに私どもも認識をいたしまして、そこで、ここに「国民に開かれた」ということを一つ大きなポイントとして記載させていただいたところでございます。

 自律的な労使関係制度を措置するということにつきましては、先ほども御答弁を申し上げましたが、昨年の十月の政府の行政改革推進本部専門調査会報告において、現行のシステムが「非現業職員について、その協約締結権を制約し、一方で使用者を、基本権制約の代償措置である第三者機関の勧告により拘束する。このように労使双方の権限を制約するシステムでは、労使による自律的な決定は望めない。」このような現状の認識を示している。このことを踏まえまして、修正をされました本第十二条においては、この現状の問題にかんがみて自律的労使関係を措置することを政府に求めているものである、このように申し上げているところでございます。

 本法が成立をいたしました暁には、法律に従って措置されるものと私ども提案者としては期待をしているところでございます。

塩川委員 非常にわかりにくいんですけれども、読み上げたところはそのとおりなわけですが、現状認識にかんがみてということなんですが、要するに、「自律的労使関係制度を措置する」という場合に、協約締結権を付与するということなんでしょうか。

松本(剛)委員 政府の原案は、「国家公務員の労働基本権の在り方については、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う」、以下省略をいたしますけれども、そのように議論しておりますし、また、今回の修正案でも「協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、」となっておりますので、その趣旨から今の回答をお読み取りいただけたらというふうに提案者としてはお願いを申し上げたいと思います。

塩川委員 専門調査会の報告でしたら、今読み上げていただいた後の部分を引用していただければもっとはっきりすると思うんです。読み上げていただいた部分は「協約締結権を制約し、」という文言でありますけれども、その後のところでは、「一定の非現業職員について、協約締結権を新たに付与する」と書かれているわけです。引用するのであれば、ここの部分であればまだしも、その前段で書かれているということを見ましても、協約締結権の付与というのが明確にされていない。本来、労働基本権は憲法で保障されてきた権利でありますし、協約締結権を付与すると明記しなければ担保にならないと率直に申し上げたいと思います。

 その上で、今お聞きしました「自律的労使関係制度を措置するものとする。」という前の部分に「その理解のもとに、」とあり、国民の理解のもとにという趣旨で受けとめているわけですが、これは何を指すものなんでしょうか。

松本(剛)委員 お答え申し上げたいと思います。

 今、もう塩川委員がおっしゃったとおりでございます。国民の理解のもとにということで、特に公務員の場合はやはり国民の税金のもとに成り立っているということを考えますと、国民の理解が必要であるということで、私どもとしては国民の理解のもとにというふうに記載をさせていただいたわけでございます。

 おっしゃったように、労働基本権も労働者、働く者にとっては大変重要な権利であるということでございますので、労働基本権は本来確保されるべきものであるということでありますけれども、これと今回の国民の理解というものとをあわせて、国民の理解のもとに自律的労使関係制度を措置するものとして本条を規定したということでございます。

 なお、先生がおっしゃった専門調査会、これは位置づけとしては政府の調査会の報告でございますから、この報告は調査会としての御報告だと思いますが、私どもが引用させていただいたところの後、これは全部読むと長くなりますからあれですが、「よって、一定の非現業職員について、協約締結権を新たに付与するとともに」ということで記載がありますが、その後にもずっと文章が続いておりますので、全体としてどのようにこの報告を解釈するかということについては、またしっかりと受けとめていかなければいけないところではないかなというふうに思っております。

塩川委員 松本委員の質疑を拝見しておりましても、労働基本権を付与する、特に協約締結権を付与すべしというお考えということはよくわかりますから、そういう趣旨で書かれるべきものだということを改めて申し上げておくものです。その上で、「その理解のもとに、」ということですけれども、国民の理解を得ることは、これまで労働基本権の回復を先送りしてきた政府の責務でありますので、何らか前提条件をつけるようなことではないということを申し上げておくものであります。

 次に、渡辺大臣に伺いますが、労働条件の変更に係る規定というのが今回の法文上にも何点か挙げられているところであります。

 七条の三号のところの「給与、退職手当、年金その他の処遇を見直し、必要な措置を講ずること。」とか、第十条のところでも、「優秀な人材の国の行政機関への確保を図るため、職員の初任給の引上げ、職員の能力及び実績に応じた処遇の徹底を目的とした給与及び退職手当の見直しその他の措置を講ずること。」とか、定年まで勤務できる環境の整備及び定年の引き上げの検討に際し、これらに対応した給与制度のあり方等について検討することとあります。

 労働基本権の代償措置である人事院の関与なしに、いわば一方的に労働条件の変更を明記するようなあり方というのは不当だと率直に考えますが、大臣はいかがでしょうか。

株丹政府参考人 御答弁申し上げます。

 ここの場での御議論でもたびたび出てまいってございますが、基本法案でございます。基本法案につきまして、今御指摘がございましたところについては、勤務条件等政策的な方向性につきまして、国会におきまして法律により定めようというものでございます。

 例えば、勤務条件の中でも、給与改定という個別具体の話になりますれば、人事院勧告を経ずしてやるというのはいかがなものかというのは当然御指摘のとおりだと思いますけれども、基本法案の性質上、政策的な方向性につきまして法律で定めようということでございますので、その趣旨で御理解をいただければと存じます。

塩川委員 労働条件の変更ということでは不利益になるような場合も当然起こるわけで、その点は、一方的に明記されているという点が問題だと申し上げておきます。

 この点に関連して、修正案の提出者に伺います。

 修正案の中に「高年齢である職員の給与の抑制を可能とする制度」とありますけれども、この「高年齢」とは何歳以上を対象とし、この「制度」というのは、この文脈から見ますと、いわば賃下げも含めて可能とする制度ということをお考えなのか、お聞かせください。

松本(剛)委員 塩川委員に御回答申し上げたいと思いますが、その前に、先ほど労働基本権のことで国民の理解のお話について御指摘がありました。私が申し上げましたのも、やはり、公務員に限らず、政治全般にも常に国民の理解を広く得ることが大変重要であるということで申し上げた趣旨でございますので、その趣旨を御理解賜りたいと思っております。

 それで、御指摘の事項でございますが、これについては、定年を段階的に六十五歳に引き上げることを検討するという規定でございます。これは、天下りの問題にも関連をするところでございますが、政府案についても定年の延長について記載がありましたものを、「六十五歳に引き上げる」ということで具体化、修正をさせていただいたものでございます。

 この規定の導入に伴って、しかし国民的な視点からは、厳しい財政状況のもとにあるということもかんがみて、人件費の増大の抑制を図るためにこの規定を導入したものでありますが、具体的に高年齢の範囲をどのようにとらえるかということについては、今後の制度設計の具体化の段階で検討をしていくべきものというふうに思料しているところでございます。

塩川委員 重ねて伺いますが、六十五歳の定年延長との関係でというお話でしたけれども、ここの法文上では、その部分と、定年まで勤務できる環境の整備ということがあります。ですから、定年の六十までの前の人、五十代の方も、ここで言う「給与の抑制を可能とする制度」の対象としては排除されていないのではないかと考えます。「職員の給与の抑制を可能とする制度」の対象として、定年まで勤務できる環境の整備ということも書かれているわけですから、六十前の方も含むということになるのではありませんか。

松本(剛)委員 ただいま御回答させていただいたように、定年を段階的に引き上げるということの規定の導入に伴ってこの規定も設置をされた、その趣旨にかんがみて、具体的に今後、制度の設計が行われる中で規定をされるものというふうに理解をしておるというところでございます。

塩川委員 条文上では含めて書かれていますから、あわせて制度懇の中でも、定年まで勤務できる環境の議論の際に、人件費抑制のため、高齢公務員の賃下げ、昇給ストップも議論されていたものですから、これを具体化したものではないかと考えます。一方的な労働条件の変更は認められないわけで、だからこそ労働基本権こそ回復せよという声が上がるのだ、この点を求めておくものです。

 次に、キャリア制度に関連して大臣に伺います。

 大臣は、キャリア制度について、採用試験の段階で幹部候補者が事実上固定化され、その後も同期が横並びで昇進していくような人事運用が身分制的だと批判されていると答弁しています。

 キャリア制度には法的根拠はなく、運用で行われてきたわけですが、今回の法案で六条三項三号に、「管理職員に求められる政策の企画立案及び業務の管理に係る能力の育成を目的とした研修を行うものとすること。」とあります。つまり、管理職員には企画立案及び業務の管理の能力が必要だ、それを目的とする研修を行うということですから、幹部職である管理職員の能力として企画立案能力が求められているということはよろしいですね。

渡辺国務大臣 今回の政府案第六条において総合職試験というものを定めております。「政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうかを重視して行う試験」ということでございます。

 今回の基本法案では、現行の採用試験の種類を大幅に見直しをいたしております。今申し上げた総合職試験のほかに、一般職試験、専門職試験を設けております。人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とする幹部候補育成課程を整備するという規定も設けているところでございます。こうしたことによって、御指摘の身分固定的な人事慣行は根本的に改められると考えます。

 さきの国家公務員法改正において、能力・実績主義の徹底が規定されました。今回の改正とあわせて、現行のキャリア制度は廃止され、根本的に異なる仕組みができるものと考えております。

塩川委員 大臣の答弁で、総合職試験とは「政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうかを重視して行う試験」とあります。私が指摘をした六条三項三号のところには、管理職員に求められる、管理職員に対する研修として「政策の企画立案」ということが含まれているわけですね。つまり、管理職員には政策立案能力を求めるとなっているわけです。それと対応するように、総合職試験では政策の企画立案に係る能力を重視した試験を行うとなっているわけです。一方、一般職の試験や専門職の試験は、この政策の企画立案に係る高い能力ということを重視するとはうたわれておりません。

 ですから、そういう点では、まさに専門職の試験の合格者、採用者というのが管理職と直結をする、そういう能力を持つ者ということを認められる、そういう中身になっていると思うんですが、その点いかがでしょうか。

渡辺国務大臣 今回の幹部候補育成課程の考え方は、人事評価に基づく厳格な選抜と絞り込みを根本原則とするものでございます。したがって、一般職試験合格者あるいは専門職試験合格者であっても、まさにこうした厳格な選抜と絞り込みの過程の中で管理職員に求められる政策の企画立案及び業務の管理に係る能力を認められる場合には、当然、管理職員として任用されることがあるわけでございます。

塩川委員 試験のみで企画立案能力の判定が全部できるわけではありませんけれども、企画立案能力を重視する総合職試験に合格してきたということになれば、幹部に求められる企画立案能力が見込まれるということになるわけです。

 一方、今回の法案では、一般職試験、専門職試験では政策の企画立案能力が重視をされておりません。現行の1種、2種では、幹部職の能力を見る試験、そういう趣旨になっておりませんので、いわば今回の試験制度によって、今までは幹部職候補と結びつける法文上の規定がなかったものが今回の法案では法文上明記をされるということになるという点では、これまで運用で行われてきたキャリア制度に法的根拠を与えるものだと言わざるを得ません。

 最後に、幹部職員の内閣一元管理の問題についてお聞きしますが、内閣人事庁が内閣人事局に変わるということもありますけれども、いずれにせよ、官房長官のもとで幹部の適格性の審査が行われます。

 そこで、大臣に伺いますが、各専門分野ごとでそれぞれ発揮をされている、各省で仕事をしている幹部職員の適格性というのが、当然、企画立案能力とか管理能力とかが問われるわけですけれども、これは、内閣人事局は所管の府省より的確に判断する立場にあるんでしょうか。官房長官のもとで的確に判断するということができるんでしょうか。

株丹政府参考人 政府の原案におきまして、当時の政府の原案では内閣人事庁でございますけれども、人事庁におきまして、的確に、人事評価の情報を含めまして、人事情報を得るようにしてございます。そういったものに基づきまして、適格性の審査、すなわち候補者の能力、適性というものをきちんと把握して、その上で判断をしてまいるという考え方でございます。

塩川委員 そういう言い方では従来と変わらないわけですけれども、しかし、今度は官房長官のもとで適格性の審査が行われるということになれば、やはりそこは政権への近さが人物評価で重きを置かれるようになる、政権党の意向に沿った官僚が生み出される懸念というのがあるということを申し上げて、質問を終わります。

中野委員長 この際、議員菅野哲雄君から委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 菅野哲雄君。

菅野議員 社会民主党の菅野哲雄です。

 再びこのような形で質問に立たせていただき、委員各位の御配慮に重ねて感謝申し上げる次第であります。

 さて、これから能力・実績主義が本格的に導入されていくわけですが、例えば懇談会報告では、勤続二十年を超える年功昇給はほぼ停止するとされています。このような職員の大幅な労働条件の変更が今後検討されていくのだろうと思います。だとすれば、能力・実績主義の本格的導入の前に、ぜひとも協約締結権の拡大が速やかに実現されるよう、最初に政府に強く要望しておきます。

 さて、専門調査会報告では、協約締結権を新たに付与した場合、第三者機関の勧告制度を廃止すべきとされております。そうすると、人事院の存廃も含め、あり方が問われていくものと思いますが、今後どのように検討されていくのでしょうか。また、大臣御自身は人事院の今後についてどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。

渡辺国務大臣 これは私がお答えすべきことではないかもしれませんが、今回の修正案におきましては、政府は、協約締結権を付与する職員の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする、こういう規定でございます。

 政府案におきましても、十二条に基づき協約締結権のあり方について検討する際には、人事院勧告制度や人事院のあり方についてもあわせて検討がなされると考えておりました。

 今回の修正案におきましても、そのことは政府案と同じであろうかと推察をいたします。

菅野議員 大臣、私は、人事院のあり方、このことが今回の公務員制度改革において問われているんだ、そうであるならば、大臣として人事院のあり方をどう考えているのですかという質問なわけです。だから、現在考えている大臣の考え方についてただしておきたいというふうに思うんですが、いかがですか。再度答弁願いたいと思います。

渡辺国務大臣 政府案の第十一条でございますが、政府案では内閣人事庁と言っておりますが、この設置に当たっては、その担う機能を実効的に発揮する観点から、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能について、必要な範囲で移管すると規定をしているところでございます。

菅野議員 今後、職員団体も含めた関係者とよく協議して、人事院のあり方について検討していただきたいというふうに思います。

 次に、この専門調査会報告では、消防職員や刑事施設職員への団結権の付与、さらに公務員への争議権の付与について意見が分かれたとされています。そういう中で、今回の修正協議では「自律的労使関係制度を措置する」という修正がなされたわけであります。

 これについての具体的中身について、修正案提出者のお考えをお聞かせ願いたいというふうに思います。

松本(剛)委員 この十二条については、先ほどもお答えをさせていただきましたが、現行のシステムが労使双方の権限を制約するシステムであり、労使による自律的な決定は望めないという専門調査会の報告、その現状を踏まえて、自律的労使関係制度を措置すること、このことが必要であるということで、政府にこのことを求める条文とさせていただきました。

 これを措置されるに当たっての具体的な内容については、さらに具体的に措置される際に定まっていくものというふうに理解をいたしております。

菅野議員 先ほどの質疑と同じ答弁なんですが、私は、この専門調査会報告の議論をしっかりと受けとめるべきだということをしっかりと申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、労使間の交渉で協約締結に至らない場合が想定されます。専門調査会報告では、交渉不調の場合の調整の仕組みを検討すべきとされていますが、協約締結権の付与とセットで民間の労働委員会に当たる仲裁機関を設置するお考えがあるかどうか、大臣にお尋ねしておきたいと思います。

渡辺国務大臣 基本法の成立後、第十二条に基づき協約締結権のあり方について検討する際には、交渉が不調になった場合の調停、仲裁のあり方についてもあわせて検討が行われるものと考えております。

菅野議員 最後になりますが、修正案では、定年を段階的に六十五歳に引き上げることを検討するとしております。大変評価できる内容です。一方、民間では、高年齢者雇用安定法が改正されたものの、定年延長あるいは定年制廃止企業は一四%程度にとどまっていると承知します。

 六十五歳定年延長に向け、民間との整合性あるいは民間企業の定年延長をどう促していくべきなのか、修正案提出者のお考えをお聞きしたいと思います。

松本(剛)委員 天下りの問題の解決のためにも国家公務員の定年の延長は必要である、こういう認識に立ちまして、政府案においても定年の引き上げについて規定をされていたところでございますけれども、私どもといたしましては、最近における民間の企業の状況等も踏まえ、六十五歳定年といったものも、これは評価がさまざまあると思いますけれども、六十五歳定年というのが行われるようになってきている、そういった状況も踏まえて、趣旨を明確にするために、「定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討する」、こういう旨の修正を行ったところでございます。

 民間の企業における働き方についてはさまざまな課題があるという認識の中で、今御指摘の事項も踏まえて、私ども民主党としても、まだまだ議論をし、また対応をとるべきものがある、このようには認識をしていることを申し添えたいと思っております。

菅野議員 まだまだ国主導でという形にしていかなければならないというふうに思いますが、民間の実態とどう整合性をとっていくのか、あるいは、私は、民間を引き上げていく方向性というものはしっかりと追求していかなければならない課題だということを申し上げておきたいというふうに思います。

 基本法を踏まえて、これからしっかりとした公務員制度を確立していかなければならないと私どもも考えております。政府としてもしっかりと取り組んでいただきたい、このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました国家公務員制度改革基本法案及び同法修正案につきまして、賛成の立場から討論を行います。

 そもそも、公務員制度改革の目的は、縦割りかつ閉鎖的な官僚組織を透明で効率的なものへと改め、多様、有能な人材を大いに活用することによって、真に国民の利益となる行政組織につくりかえることにあります。同時に、そのことは、従来指摘されてきた政と官のいびつな関係を見直し、官僚が国会と内閣をコントロールする官僚主導内閣制から、国民の信託を受けた政治家が内閣と官僚をコントロールする政治主導内閣、本来の意味での議院内閣制へと改める霞が関改革を抜きにしては実現できません。

 これらの趣旨にかんがみれば、当初提示された政府原案については不十分な点が多々見られました。

 民主党では、これら公務員制度改革の趣旨及び改革すべき具体的方策について、党内で幾度にもわたる議論を重ね、霞が関改革・国家公務員制度等改革重点事項を取りまとめつつ、また、本法律案については、一歩でも改革を前進させるべく、内閣委員会質疑及び与野党修正協議の場において、修正すべき点について主張を重ねてまいりました。

 その結果、民主党の主張する意見も取り入れられ、ここに、自民、民主、公明三党の共同修正案が提出されるに至りました。

 具体的には、内閣人事局を設置するとともに、幹部職人事の名簿作成については内閣官房長官にて一元的に作成されること、政治による行政組織の監督をより有効、適切なものとするために、情報遮断のおそれのある政官接触制限を設けるのではなく、接触に関する情報公開によって透明化を図ること、公務員の協約締結権について国民の理解のもとに自律的労使関係制度が措置されることが明記されること、公務員が本来の職場で自己の能力を最大限発揮できるよう定年延長を検討する旨が明記されることなど、いずれも民主党が主張してきた趣旨が修正案において取り入れられており、本法案並びに修正案に賛成することが妥当であると考えます。

 なお、かねてより民主党が強く主張してきました再就職あっせん、天下りの禁止については、残念ながら修正案には盛り込まれませんでした。残された今後の重要な改革課題として、民主党は熱意を持って引き続き取り組むことを申し添えておきます。

 今後は、修正された基本法に基づいてしっかりと制度設計が進められ、国民の期待にこたえる公務員制度改革が実現するよう強く求め、私の賛成討論といたします。(拍手)

中野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の国家公務員制度改革基本法案及び自民党、民主党、公明党提出の修正案について反対の討論を行います。

 我が国の国家公務員制度は、戦後、日本国憲法のもとで、国民全体の奉仕者として公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的としてきました。ところが、歴代自民党政権のもとでこうした理念は実現されず、公務員の労働基本権を制限し、政官財癒着の行政を行ってきました。キャリアと呼ばれる特権官僚は、国民のために奉仕するのではなく、与党政治家や財界、業界に奉仕し、その見返りとして天下りなどみずからの利権を拡大してきたのであります。そして、その害悪は、薬害や官製談合の腐敗汚職など、今日も噴出し続けているのであります。

 こうした政官財癒着内閣制ともいうべき構造にメスを入れる公務員制度改革が求められているにもかかわらず、今回の法案は、反対に、政官財癒着体制を一層強化するものとなっており、憲法に基づく公務員制度の理念をも変質させるものにほかなりません。

 反対の第一の理由は、官民人事交流の規制緩和によって、官業、官財の癒着をさらに深めるものだからです。

 官業の癒着の温床である天下りは、昨年の国公法の改悪で二年間の規制さえ取り払い自由化されましたが、今回の官民人事交流の規制緩和は、民間企業が営利を目的として行政に入り込むことを進めるものであります。

 第二の理由は、キャリアと呼ばれる特権官僚制度を固定化し、より強固にするものだからです。

 現在のキャリア制度は、法律に基づくものではなく、恣意的な人事運用によってつくられてきたものですが、新たに導入される総合職試験は、幹部候補制度と結びついており、現行のキャリア制度に法律上の根拠を与えるものです。また、縦割り行政の弊害の是正を口実として、幹部職員の内閣一元管理の強化を強調していますが、これは、国民への奉仕ではなく、政権党の意向に沿った官僚組織を生み出す懸念があります。

 第三の理由は、労働基本権の回復を明記していないことです。

 既にILOから三度の勧告を受け、政府の専門調査会でさえ、労働基本権の一部である協約締結権を付与すべきであると指摘したにもかかわらず、それすら明記されていません。また、その一方で、年齢による賃金引き下げを想定した給与制度の変更など、労働条件の改悪をもたらす規定を盛り込んでいるものです。

 最後に、今回の国家公務員制度改革の柱立てが、貧困と格差の拡大を進めた構造改革路線をさらに推進するための財界の政府改革方針に基づくものであり、修正案はこの方向をさらに進めるものとなっていることを厳しく指摘して、反対の討論を終わります。

中野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国家公務員制度改革基本法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、村田吉隆君外九名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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