衆議院

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第9号 平成21年4月15日(水曜日)

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平成二十一年四月十五日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 加藤 勝信君 理事 渡海紀三朗君

   理事 西村 明宏君 理事 平井たくや君

   理事 平田 耕一君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      あかま二郎君    安次富 修君

      赤澤 亮正君    宇野  治君

      江渡 聡徳君    遠藤 武彦君

      遠藤 宣彦君    小野 次郎君

      大塚  拓君    岡本 芳郎君

      木原 誠二君    河本 三郎君

      佐藤  錬君    徳田  毅君

      中森ふくよ君    中山 成彬君

      長島 忠美君    並木 正芳君

      馬渡 龍治君    松浪 健太君

      村田 吉隆君    市村浩一郎君

      吉良 州司君    楠田 大蔵君

      佐々木隆博君    西村智奈美君

      平岡 秀夫君    山田 正彦君

      笠  浩史君    池坊 保子君

      高木美智代君    吉井 英勝君

      重野 安正君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松田 敏明君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           長田  太君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     安次富 修君

  河本 三郎君     江渡 聡徳君

  篠田 陽介君     小野 次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     木原 誠二君

  江渡 聡徳君     河本 三郎君

  小野 次郎君     篠田 陽介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官松田敏明君、警察庁交通局長東川一君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、国土交通省総合政策局次長長田太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。

木原(誠)委員 おはようございます。自民党の木原誠二でございます。

 きょうは、道路交通法の改正ということで、三十分お時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 高齢社会、そしてまた自動車社会というのが二つのキーワードであろうかというふうに思います。日本は世界一、二を争う自動車社会でございますし、そしてまた世界一の長寿社会、こういうことでございますので、きょうのこの改正案の中で、高齢者の皆様にも優しい自動車社会をどうやってつくっていくかということがまた一つの大きなテーマになっております。順次お伺いをしていきたいと思っております。

 実は、私の地元は東京の西の外れでありますけれども、私の地元には、東京でありながら駅が一つもない市というのがございます。バスも小さなミニバスが走っているだけ、こういう状況でございまして、そこはもう完全に自動車社会、こういうことになっております。高齢者の皆様も、どこに行くにも自動車を二台、三台使って移動されている、こういうことでありますので、きょうの審議を通じて、どうやって我々が高齢者に優しい自動車社会をつくっていけるかということを議論させていただければと思っております。

 その前提として、少し統計的な数字をいただければと思います。

 まず、かつて交通死亡事故が一万件を切れるか切れないかというような時代があった。最近では、もう既にそれが五千件近くまで減ってきている、こういうふうに認識をしておりますけれども、警察庁として、その主因、アルコールの問題、飲酒運転撲滅の問題、交通安全教育、いろいろあると思いますけれども、その現状、要因の分析、そして、その中で、減ってきている中で、高齢者の皆様の交通事故、どういう状況になっているのかということについて、まず御答弁いただきたいと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年の交通事故死者数、これは五千百五十五人で、過去最高でありました昭和四十五年の一万六千七百六十五人の三分の一以下になっております。また、負傷者数も九十四万五千五百四人と、十年ぶりに百万人を下回っております。

 減少の原因といたしましては、交通安全教育の推進、交通安全施設等の整備充実、交通指導取り締まりその他街頭活動等の対策が効果を上げているほか、道路交通環境の整備あるいは車両の安全性の向上、救急医療体制等の整備等を総合的に推進してきた結果と認識しております。

 また、近年の交通事故死者数減少の要因としては、シートベルト着用者率の向上、事故直前の車両速度の低下、あるいは飲酒運転等悪質、危険性の高い事故の減少などが考えられます。

 一方、平成二十年中の交通事故によります死亡者のうち六十五歳以上の高齢者が占める割合、これは四八・五%、二千四百九十九人と、五割近くになっているという現状であります。平成十年の三四・五%と比較しても、近年その割合は増加する傾向にあります。また、高齢者の交通事故による死亡者のうち、歩行中と自転車乗用中の合計で全体の六六・三%を占めておる状況でございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 交通死亡事故全体として、まさにハード、ソフト両面でいろいろ御努力をいただいて、ピーク時の三分の一になってきた。他方で、高齢者の皆さんに関して言うと、これは、どうしても高齢人口はふえておりますから、自然増というところもあるんだろうというふうに思います。ただ、全体としてはふえてきているという御答弁だったか、こう思っております。

 そういう中で、きょうはこれから少し法律の改正事項について伺っていきたいと思いますけれども、まず、もみじマークの件についてちょっと伺っていきたい、こう思っております。

 いろいろこれも議論がございまして、実は、私の両親もことしで七十五、こういうことでありまして、まだ運転をしております。聞いてみますと、一律の規制はやはり嫌だな、自分はまだ大丈夫だという思いも強いようであります。他方で、同時にまた、これをつけることによって、逆にむしろ差別を受ける、あるいは、むしろいろいろな悪質な運転行為の対象になる可能性もあるといったようなおそれもある。

 いろいろな論点があるんだろうと思いますが、いずれにしても、このもみじマークというのは高齢者の皆さんを保護するためのものであるんだろうというふうに思います。そういう中で、そういう保護すべきものを、むしろ罰則をつけて義務規定にしたというのは若干行き過ぎだったのかな、そういう反省に立って、迅速に今回法律を改正していただいたんだろうというふうに思います。

 ただ、一点お伺いしておきたいのは、なぜ附則の改正になっているのか。附則の改正というのは、法律的には非常に不安定な位置づけになるんだろうというふうに思います。なぜストレートに本則の改正ではなくて附則の改正でこれを手当てしたのかということについて、明確に御答弁いただければと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 七十五歳以上の運転者に対します高齢運転者標識の表示を義務づける規定、これにつきましては、十九年の道路交通法の改正、それから、施行されたのが昨年の六月一日ということで、まだ一年も経過していないという状況でございます。それらの状況を踏まえまして、当分の間、高齢運転者標識の普及状況あるいは交通事故の状況等の推移を見守ることが適当であるというふうに考えたことから、附則による改正としたものでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今おっしゃったことは、我々も十九年の改正で関与した一人でありますので、そういう意味でいうと、朝令暮改的にすぐということがなかなか難しいということも理解をいたします。同時に、法律の安定性ということも考慮してのことだろうというふうに思いますが、ただやはり、本則と附則の関係ということでいうと、どこまで行ってもこれは本則が基本的には原則の考え方であるということであろうと思います。

 この附則の改正をもってしてもなお、基本的な原則は、やはりこれは義務規定なんだということを維持しているというのは、私は、この際、今回は一年間ということであるので仕方ないとしても、将来的にはやはり本則改正というのをやっていただきたいな、こう思いますけれども、将来そういう可能性があるのかどうか、再度御答弁いただければと思います。

東川政府参考人 今回の附則の改正によって、適用せずということにしたわけでございますので、これを変更するということになりますと、当然法律改正ということでありますので、そのことにつきましては、またその改正のときの国会の審議の方で御判断いただくということになろうかと思います。

木原(誠)委員 大臣、いかがですか、この件。将来的にはやはり努力義務に恒久的にしていただくということがいいかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤国務大臣 今局長が申し上げましたように、いろいろな推移を見、そういう観点からよく考えさせていただいて、そのケース等々を判断しながら対応してまいりたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 わかりました。ありがとうございました。

 いずれにしても、「当分の間、」こうなっておりますので、いずれかの時点で何らかの判断をしなきゃいけないんだろうと思います。そのときは、ぜひ当事者の皆さんの御意見もよく聞いた中で御判断いただければ、こう思っております。

 このもみじマークですけれども、やはりこれが効果を持つためには、一方で高齢者の皆さんにつけていただく、努力義務といえ、つけていただく。しかし同時に、これをつけていらっしゃる車あるいは高齢運転者の皆さんに対して、周りのドライバーがかなりの配慮をするということが、これは二重に、両側で行われないと意味をなさないんだろうというふうに思います。とりわけ、もみじマークをつけるということの法的効果が明確に出てくる必要があると私は思います。

 今回、車両の運転距離というのでしょうか、車間距離というのでしょうか、あおり行為を高速道路上でやった場合には少し罰則を強化するといったような改正が入っております。私は、こういう行為、特に高齢者の皆さんに仮に後ろからあおり行為をやった場合には、大変な危険を伴うんだろう。高齢者の皆さんの一番の弱点は、やはり反応速度が遅くなってくる、少しずつ遅くなってくる、こういうことであろうと思います。

 今回の、あおり行為、あるいは車間距離をしっかり保ちなさいよということについての罰則強化、なぜ一般的な規定になっているのか。私は、高齢者の皆さんに対するあおり行為というものをもう少し峻別して、分けて、しっかりと罰則を強化すべきではないか、こう認識しておりますが、今回一般的な規定になったことについて御答弁いただきたいと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 あおり行為を初めといたします車間距離保持義務違反、これが高速自動車国道等で行われた場合には、当然のことでありますが、一般道路と比較いたしまして通常多くの車両が高速度で走行しているために、追突時の被害が重大なものになる、また、一たび追突事故が発生しますと、これを回避できない後続車両がさらに追突する危険性が高いというようなことから、これらの行為の抑止を図る必要性が高いというふうに考えたところでございます。

 また、警察庁におきまして昨年実施したアンケート調査におきましては、高齢運転者だけではなくて、その他の運転者についても、あおり行為を受け安全運転に支障が生じたというふうな回答をいただいております。

 こうしたことを踏まえまして、本改正案におきましては、運転者が高齢者であるか否かを問わず、すべての車両に対する高速自動車国道等における車間距離保持義務違反について罰則を引き上げることとしたところでございます。

木原(誠)委員 局長、ありがとうございました。

 高速道路上での車間距離違反による交通事故というのは減少傾向にあるというふうに私は伺っておりますし、同時に、きのう実はレクをいただいたときに、大変勉強不足で恐縮ですけれども、初めて、高齢者の皆さんあるいは障害者の皆さんに対して幅寄せをしたり割り込みをしたりということについては、罰則というか、厳しくなっている、そういう条文があるんだというふうに伺いました。であれば、このあおり行為ということについてもその部分に類型として入れて、高齢者の皆さんに対するあおり行為というものをもう少し強くするということが考えられてもよかったのではないかなというふうに思います。

 そうでないと、もみじマークをつけることの意義というのが実は余りないんだと思うんですね。一方でつけてくださいといいながら、であれば、もみじマークをつけている人に対する非常に悪質な運転については罰則を強化する、両面の動きがないと意味がないんだろうと思うんです。その条文が何条かというのを私ちゃんと正確にきのう聞かなかったんですが、そこになぜ入れなかったのかということについて再度御答弁いただければと思います。

東川政府参考人 今おっしゃられましたのは道路交通法の七十一条の五号の四ということで、表示をしている車に対して、やむを得ない場合を除き、進行している表示自動車の側方に幅寄せし、または、進路を変更した場合、その変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる、要するにいわゆる割り込みですね、それが禁止されているということでございます。

 御指摘のように、ここに、高速道路等、いわゆる高齢者に対する追い上げ行為というのを規定したらどうかという御意見だと思いますが、先ほど申し上げましたように、あおり行為を含めまして車間距離保持義務違反それ自体重大な事項ということでありますので、それは、高齢者に限らず、一般の運転者にとっても非常に危険がある行為だというふうに思っております。結果とすれば、そういうことがなくなることによって、当然のことながら、高齢者の安全通行の確保ということにもつながるというふうに考えております。

木原(誠)委員 きょうの御答弁としては私はそれで結構だと思いますが、ただ、将来的にはそこのところの改正というのもぜひ考えていただきたいな。というのは、努力義務とはいえ、もみじマークをつけなさいという規定を入れている。であるとすれば、そのもみじマークをつけていることによってやはり守られているということを実感できないといけないんだろうというふうに私は思います。

 したがって、これからさまざまな危険運転の類型というのが出てくるんだろうと思いますが、その中で、高齢者にとりわけ危険だと思うものについては、今七十一条というのをおっしゃったかと思いますけれども、その条文の中でしっかり対応していただきたいな、こんなふうに思っております。

 同じような観点から申し上げたいと思いますが、実は、もみじマークをつけている皆さんに危険な運転をしてはいけないんだよということを、あるいはちゃんと保護した、優しい運転をしなきゃいけないんだよということを他のドライバーにどうやって周知徹底をしていくのか。単につけさせただけでは意味がないんだろうというふうに私は思いますので、さまざまな講習等々、免許書きかえ時の講習等々あると思いますが、今どの程度もみじマークについて周知徹底がされているのかということについて御答弁いただければと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございましたように、高齢運転者以外の運転者に、この標識を表示した車両に対する配慮、これについて指導あるいは啓発を行うということは重要であるというふうに考えております。

 現在どのようなことを実施しているかと申しますと、免許取得の際の学科教習、あるいは免許の更新の際に行う更新時講習等におきましてこうした配慮事項について指導を行っておりますが、さらに今後ともその充実に努めていく必要があるというふうに考えております。

木原(誠)委員 免許書きかえ時の講習、私の率直な感触として、実はそれほどまだ十分に徹底されていないなという気がいたします。ですから、ぜひ、これからで結構ですから、やはり周りの人に、何が問題なのか、何が高齢者の運転者の皆さんにとって一番危険なことなのかということをしっかり周知徹底をしていただきたいな。

 私も、おやじの車に乗って、かつては非常に車をよく運転していまして、車の運転のうまい方だと思いましたけれども、非常に安全運転になっております。曲がるときも、左右を何度も確認をして、ゆっくりゆっくり曲がっていく。そういうときに後ろからクラクションを鳴らされたりすると非常に焦るというようなところを体感しました。多くの若い運転者の皆さんがなかなか高齢者が運転する車に同乗するという機会はないんだろうと思いますから、ぜひそこは徹底をしていただければというふうに思います。

 高齢者の皆さんのもう一つ大きな課題として、ここは今のもみじマークの話とちょっと離れますけれども、高齢者御自身の運転能力ということについてもやはり配慮をしていく必要があるというふうに思います。これから認知機能検査なんかも入ってくる、こういうことでありますけれども、私はむしろ、高齢者の皆さんの大きな特性として、自分が気づかないうちに、割と速い速度で身体能力が落ちてくる。したがって、三年に一度の講習ということではなくて、やはり毎年毎年、自分が望めば、いつでも講習を受けて、そしてまた自分の運転能力等々が検証できるようになっていないと、三年待っているうちにはかなり劣ってきてしまうということがあるんだろうと思います。

 ぜひ警察庁の方で、毎年の任意の講習なり、御自身の任意の検査といったものが準備できないか御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

東川政府参考人 現在でも、高齢運転者の希望によりまして、安全運転のための講習を受ける任意の制度が教習所で実施されておりますが、ただ、残念ながら、全国的には積極的には活用されていないという状況でございます。

 ただ、一部の市町村においては、その市町村が講習費用の全額を負担するなど、積極的に取り組んでいるところもございますので、我々としては、今後、こうした取り組みを積極的に各県に紹介してまいりたいと考えております。

 また、関係団体におきましても、高齢者を対象といたしましたシニアドライバーズスクールということで、これはかなり料金が安く設定されておりますが、さまざまな参加・体験型の講習が開催されているということでありまして、これらの講習につきましても、さらにそれぞれのところで充実されるように、関係団体と連携をしていきたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございます。

 今、一部の市町村ではかなり広く実施をされているということでありましたけれども、警察庁として、全国的にこれができるように、何らかの財源手当てあるいは周知徹底ということを公式にやられるおつもりはこれからあるかどうか、もう一回御答弁いただければと思います。

東川政府参考人 先ほど答弁申し上げましたように、これは基本的に市町村が高齢者の対策という形で、高齢者の安全確保という観点から費用を負担して地域住民のために実施しているということでありますので、警察庁が直接ということは、今のところちょっと検討はしてございません。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、高齢者の皆さんが、一律でない規制の中で、御自身の判断で、安全に運転できるかどうかということが確認できるように、ぜひ警察庁としても取り組んでいただきたいな、このように思っております。

 それでは、ちょっと高齢者の運転自体からは離れて、今回、高齢運転者等専用駐車区域を設けるということについて何点か御質問させていただきたい、こう思っております。きのうちょっと正確に通告していないかもしれないので、もし通告漏れであればお許しをいただきたい、こう思います。

 今回、専用駐車区域を設ける、これも両面必要だと思います。一方で標章を受ける方がいる、その方々がしっかり使えるように専用の駐車区域をそれなりの数確保していくということが両面で相まって初めて意味をなすんだろうと思います。高齢運転者等、こういうことでありますので、ボリュームとしてはかなりの方、新しい標章を受けられる方、マークを受けられる方が潜在的にはいらっしゃるんだろうと思います。

 その際に、一方で専用駐車区間そのものの指定が十分でないと、かえって混乱を来す、かえって交通の便を悪くする、あるいはかえって交通事故をふやすということにもなりかねないんだろうと思いますが、どの程度の計画で、どういうプロセスでこの専用駐車区間というのを設けていくおつもりか、見通し等あれば教えていただきたいと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 今回の高齢者等の専用駐車区間の設定につきましては、高齢者等の支援という形で、新たに今回制度を導入するということでございます。これにつきましては、駐車需要、周辺の駐車場の整備とか、当然、道路につくりますので、交通状況であるとかそういうものが非常に判断要素になると思います。

 それらは、都道府県の公安委員会が、地域の実情、あるいはいろいろな地域の方々の御意見を聞きながら設定していくものというふうに考えておりますので、現在、どの程度というのは一律には申し上げることはちょっとございませんけれども、これからこの法案が成立した後、それぞれの各都道府県において設置場所についての検討が行われるものというふうに承知しております。

木原(誠)委員 ありがとうございます。

 お聞きしているところによると、病院とか公共施設の周辺、まさに、高齢者等あるいは障害者の皆さんが御利用されると思われるところを中心に整備をしていこう、こういうことであろうかと思いますが、高齢者の皆さんが活用するいろいろな場所というのはそこらだけに限らないんだろうと思います。いろいろな可能性がある、あるいは地域事情もある、このように思いますので、余り限定せずに、幅広く地域の皆さん、地域の高齢運転者の皆さんに実情を聞いていただいて、そして着実に計画を立てて整備をしていっていただきたいなというふうに思っております。その点、ぜひお願いをしておきたい、こう思います。

 同時に、実は、私も海外で何年か生活をさせていただいて、海外に行きますと、高齢者の方あるいは障害者の方、とりわけ障害者の方の専用駐車スペースに車をとめたりすると、即座に捕まって、かなり高い違反金を支払わされるという実態があります。私は、これは非常にいいことだというふうに思います。

 今回、専用駐車区間というのを設けるに当たっても、ここがやはり不正利用されないようにするということは私は非常に大切なことだと思いますが、仮に不正にあるいは悪用されるような方がいらっしゃった場合の違反金、罰金、こういったものは強化されるのかということについてお伺いしておきたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 高齢運転者等専用駐車区間制度というのは、先生おっしゃられるように、高齢者等を積極的に支援することを目的としておりまして、その目的というものを達成するためにも、専用区間における違法駐車を抑止することが極めて重要ということになると思います。

 今回の改正では、専用区間の駐車違反の罰則につきましてはほかの駐車違反の場合と同等のものとしておりますが、その設置趣旨にかんがみて、反則金の額については通常の駐車違反よりも高い額を設定する方向で今後検討してまいりたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 やはり結局不利益をこうむるのは高齢運転者等の皆さんであろう、こう思いますので、今大臣からそのように御答弁いただきましたので、ぜひそういう方向で御準備いただければ、このように思います。

 きのうのレクの中で、警察庁からはなかなかお答えしにくい、こういうことでありましたので、きょうは特段答弁を求めませんが、路上については今そういうことで御準備をいただいているわけでありますが、実は、駐車スペースというのはかなり多くの路外のスペースがございます。いろいろなショッピングセンター等々へ行っても、バリアフリー法というもの、きのうもそのことを教えていただいたわけですが、障害者の皆さんあるいは高齢者の皆さんへの専用の駐車スペースを設けていただいているところもあります。しかし、じっと見ていると、結構悪用されている、不正に利用されているところもある。

 ここは路外ということですから、警察庁がすぐに何かできるということではないわけであります。しかし他方で、今回、ある程度税金を使って高齢運転者等についての新しいマークをつくる、こういうことでありますので、こういう路外の駐車場についてもこれが活用できないのかどうか、ぜひ御検討いただきたいな。これは今、御要望だけにさせていただきたいと思っております。

 あと、もう一点。この高齢運転者等専用駐車区間は一体どういう方が利用できるのか。高齢者、障害者の方、そしてまた妊婦の方というところまでは法定されているというふうに認識をしますが、「その他の」と言われるところの政令で定めるところは一体どういう方々を想定されているのか、御答弁いただければと思います。

東川政府参考人 先生御指摘のように、高齢者あるいは障害者以外の運転者につきましては政令で定めることということにしておりまして、現在、妊婦の方が出ておりますが、あと、産後間もない方も同様であろうというふうに考えておりますし、その他、身体機能の制限があることからその運転への影響に配慮する必要がある方を規定していこうというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、その規定に当たっては、いろいろな方の御意見を伺いながら定めていきたいというふうに考えております。

木原(誠)委員 今回のこの制度というのは、交通弱者というような方々にやはり広く利用していただこう、多分こういう趣旨であろうというふうに思います。今、妊婦そして産後間もない方というところまではお話をいただいたわけでありますけれども、余り限定せずに、もちろん、専用駐車区間をどの程度設けられるかというボリュームの問題は一方で考えなければいけないけれども、利用できる方については、やはり、運転に障害がある、あるいは駐車機能等々に障害があるといったような方はなるべく幅広く受け入れていただきたいな、私はこう思っております。

 そういう観点でいいますと、一点だけ具体的にお聞きしておきたいと思いますが、例えば、今、産後間もない方というお話がありましたけれども、他方で、一歳児、二歳児といった本当に小さなお子様を多数抱えて運転をされているような方、この方々も多々おられると思いますけれども、こういう方々がこの対象になり得るのか、なり得ないのか。ぜひなり得る方向で御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

東川政府参考人 今回の対象につきましては、先ほども御説明いたしましたが、身体機能に制限があり運転に影響があるという方のために、その支援を図ろうという制度でございます。ですから、今先生がおっしゃられました、単に子供を連れているというだけでは今回の対象にはならないというふうに考えております。

木原(誠)委員 ならない、こういうことでありましたけれども、身体機能というところが一つの制限になっているのかな、このように認識をいたします。

 ところで、やはりこの条文の趣旨は、こういう交通社会の中で、交通弱者と言われる方々、こういう方々にできる限り幅広く安全な駐車スペースを確保してあげる、こういうことであろうというように思いますから、いずれにしても、これからのニーズ等々を踏まえて前広に御検討いただきますようお願い申し上げておきたい、このように思います。

 きょうは、最後に大臣、一言だけ。これからの高齢社会を迎えて、どういう観点から道路交通法の改正等々を進めていかれるつもりか、最後に総括的に御答弁いただければと思います。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられましたように、超高齢化社会となっていくというのは周知のとおりでございまして、高齢運転者の数が増加するということと、交通事故も増加する可能性があるということは御承知のとおりだと思います。

 高齢者といっても、身体能力が衰えた方もおられる一方、まだまだ元気な高齢者もおられるということでございまして、地域によっては自動車が高齢者の生活に不可欠なところもございます。そういう現状を踏まえて、高齢運転者に関する対策といたしましては、基本的に、高齢運転者が安全に自動車を運転し続けることができるような支援を行いまして、周りのドライバーも高齢運転者に配慮するような教育を行っていくということが必要だというふうに考えております。

 それでも運転に不安のある高齢運転者にとっては、免許を返納しやすい施策等々を進めてまいりたいと思いますし、例えば、運転免許証更新期間満了前以外の期間における運転チェックと日常的な支援、そして、今後とも個々の高齢運転者の状況に応じたきめ細やかな安全対策を推進してまいりたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。終わります。

渡辺委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 おはようございます。民主党の吉良でございます。

 きょうは、道路交通法の改正について、確認を中心に質問させていただきたいと思っております。

 まず、昨年六月一日から施行されました、いわゆるもみじマークの義務化、当面一年間は取り締まらないという最終結論に至っておるのは承知しておるんですが、この高齢者のもみじマークをつけさせることによって、具体的に事故件数または傷害件数が減っているのかどうなのか、その辺についての事実関係についてお聞きできればと思っています。

東川政府参考人 お答えいたします。

 七十五歳以上の運転者に高齢運転者標識の表示を義務づける規定が施行されましたのは、先生が御指摘のように昨年の六月一日でございます。昨年六月一日から十二月までの間に発生いたしました七十五歳以上の運転者に係る交通事故件数、これを免許保有者十万人当たりで見てみますと、前年同期と比べましてマイナス、六・〇%の減少となっております。同様に、七十五歳以上の運転者の死傷者数についてもマイナス、一〇・一%の減少というふうになってございます。

 しかしながら、この期間の交通事故件数あるいは死傷者数、これは他の年代におきましても前年同期と比較して減少しておるということでございます。ですから、七十五歳以上の運転者に係る交通事故件数あるいは死傷者数の減少が、高齢運転者標識の義務化の効果であるとまでは言い切れないというふうに思っております。

 今後は、高齢運転者標識制度の趣旨の広報啓発を積極的に推進しまして、この制度が高齢者を守る制度であることについて高齢者が納得、理解して、自発的に表示をしていただくということを期していきたいというふうに考えております。

吉良委員 必ずしもこの標章を義務化したから減ったとは言い切れないけれども、事実としては全体的に減っているということでありました。

 その意味で、もみじマークを強制的につけられることに対する高齢者の抵抗があった中で、当面取り締まりについて見送るという結論を最終的に出した、こう理解をしておりますけれども、今回、これを努力義務に変えることによってより多くの高齢者に標章をつけてもらうという意図を持っているというふうに思っておりますが、この周知徹底、そして標章をつけてもらうということについて、具体的にどのような方法で、今言った周知徹底、そして実際につけてもらうことを考えているのか、その辺についてお聞きしたいと思います。

東川政府参考人 この高齢者の標識制度、いわゆるもみじマークの制度でございますが、これは平成九年から実施しております。

 この効果につきましては、一つは高齢者の方が御自覚をいただくということと、それから他の自動車に対して、一定の配慮をするということがその効果としてなっております。この制度自体につきましては、我々も非常にいいことだというふうに思っておりますので、特に高齢者講習の機会でありますとか、いろいろな形でその装着についてお願いしていきたいというふうに思っておりますし、あわせて、先ほど御質問にございましたけれども、それについて、その他の一般のドライバーについても、ちゃんとそういうマークをつけている人に対する配慮すべきようなことを、先ほども申し上げましたけれども、いろいろな機会に周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。

吉良委員 先ほども木原委員から違った観点で、標識の不正使用についての質問がありましたけれども、これまで身体障害者等専用駐車スペース等があったわけですけれども、例えば、身体障害者の標章についての不正使用というのが過去どれぐらいあったのか。ちょっとこれは明確にきのう質問通告していないんですけれども、もしその辺についてのデータがあればお聞きしたいと思いますし、なければ結構ですけれども、もしあればお聞きしたいと思います。

東川政府参考人 先生の御質問は、いわゆる駐車の除外標章、いわゆる身体障害者等に交付されて駐車禁止の除外の対象としている、その交付を受けている人の違反、不正規使用ということだろうと思いますが、ちょっと手元にございません。ただ、統計的にあるかどうかもちょっと、それを明確に分けてとっているかどうかわかりませんので、現時点ではちょっと持ち合わせをしておりません。

吉良委員 次に、車間距離保持義務違反ということについての規定、法定刑の引き上げということが今回の改正に盛り込まれているわけでありますけれども、一番大きな目的は、特に高齢者また交通弱者に対するあおり行為、それを防ぐという目的が大きいと思うんです。法定刑を引き上げるということによって未然防止をするということもわかるわけですけれども、実際にそういうあおり行為をやっている人たちを取り締まる場合、今回の法定刑引き上げ以外に、あおり行為を具体的に防ぐ手だてを何かお考えなのかどうか、その辺についてお聞きできればと思います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 車間距離保持義務違反につきましては、これは個々の運転者がそのルールを守っていただくということが大切でありますので、年間約一万件を超えるような取り締まりをしておりますが、それ以外に特別に車間距離保持義務をさせるための方策というのは、先ほど申しました一般的な更新時におけるいろいろな交通ルールの徹底とか、そういうこと以外は特にないというふうに思っております。

吉良委員 特にやっていないということではありますけれども、言い方をかえれば、今回の刑の引き上げによってその抑止効果がある、そういうふうにお考えだというふうに了解してよろしいんでしょうか。

東川政府参考人 罰則の引き上げによりまして、その抑止効果というのは高まるというふうに考えております。これは他の、例えば酒気帯びとか酒酔いとか、そういうものに対する運転の罰則強化というのがその種の交通事故の減少につながっているというのは事実でございますので、こういう罰則の引き上げによって運転者がその遵守を図っていただくということによって、その効果が期待できるというふうに考えております。

吉良委員 それから、これも先ほどの木原委員の質問と若干重複するんですけれども、今回、高齢運転者等に対する専用駐車区間を設けるということであります。

 この中で、一つの要件として、高齢者等が運転しており、かつ公安委員会が交付する標章を掲示した自動車に限り駐車可ということでありますけれども、先ほど出ていない質問として、実際、病院なら病院のそばでこういう区間が設けられているときに、その家族が緊急を要する病態の高齢者を連れてくるときにその標章をつけている、ふだんであればその高齢者が運転をしている、たまたま緊急を要するために病院に連れていった、そのときはその息子さんなり娘さんなりというか家族の方が運転をしている、このような場合はどういう対応をされるんでしょうか。

東川政府参考人 お答えいたします。

 今回の制度は、そういう高齢者等身体の機能の低下によって運転に支障がある方ということを対象にしておりますので、その方以外の方が利用されるという場合は、この対象にならないというふうに思っています。

 ただ、今おっしゃられましたような個別具体的なケースについては、例えば緊急避難であるとか、やむを得ない事情があるという場合には、そもそも駐車違反に当たらないという場合もあるというふうに思います。

吉良委員 私は今の答弁を多とするものでありますけれども、交通違反に対する取り締まりの現場における裁量について少しお伺いしたいというふうに思っております。

 具体的には、ネズミ取りについて、少し私自身の思いを警察幹部の方、また佐藤大臣にお聞きもしていただきたいのでこの問題を取り上げさせていただきたいと思うんですが、まず、何を目的としていわゆるネズミ取りをやられているのか、その辺についてお聞きしたいと思います。

佐藤国務大臣 しゃくし定規で大変恐縮でございますけれども、速度違反の取り締まりを初めとする交通取り締まりということで交通の秩序を確立いたしまして、安全で円滑な交通環境を実現するために行っているというふうに承知をしております。

吉良委員 今のお話ですと、ネズミ取りの場合は、結果的に違反をした人を捕まえて切符を切って罰金を徴収するわけですけれども、それが目的ではないという了解でよろしいでしょうか。

佐藤国務大臣 御説のとおりだというふうに思いますし、決してそれを目的としたという観点でやっているというふうには承知しておりません。

吉良委員 自分自身の経験で若干俗っぽい話をさせてもらうんですが、私自身がある町で、全くなじみのない町で、隣に、助手席にナビゲーターをやってもらう人がいながら、ある会場を目指しておりました。踏切があって、踏切手前からその会場が見えました。右側に見えました。その踏切を渡ってすぐのところに道路がありましたので、そこを右折しました。それは、隣では地図を一生懸命見ながら、あそこだ、あったということで、踏切を渡って右折をしました。

 そうしたら、そこにパトカーが待っておりまして、はいはい、いらっしゃい、いらっしゃい、あなた、ここは右折違反ですよ、わかりませんでしたかと言うから、えっ、全く見えませんというか、わかりませんでしたと。また、初めての土地で、地図を見ながら、そしてその場所を探しながら来ていたので、正直言ってそれも気づきませんでした、どこにあったんでしょうかと。そうしたら、踏切を渡ってすぐのところにあった、こういうことであったんですけれども。

 実は私、そのときに言ったのは、そこにいたわけです、ずっと待っていたので、いつも皆さん違反されているんじゃないですかと。そうです、ここは違反する人が多いんですと。私が言ったのは、違反する人が多いのであれば、ここにずっと待っている時間があるのであれば、その右折禁止のところにいて、警察が立って、右折しちゃだめだ、だめだ、こうやるのが本来の筋である。

 いつもいつも違反するのがわかっていながら、わざわざそこで待っておくというような、こんなこそくなことをすると、それこそ、これからは治安維持だ何だ含めて、警察に対する信頼、信頼という以上に警察に好意を持ってもらうことが大事な時期に、本当に、今言った秩序を保つとか安全維持のために、いつもいつもそこにいる人なら別ですよ、悪意の人は別ですけれども、初めてのところであちこち見ながら、全く善意の人を捕まえる、これが本来の姿なのか。

 そんな時間があったら、今言ったように、もっと事故の多いところに行って、それを防ぐ手だてをやるべきであるし、または大きな標識で、違反が多いところであればあるほど、違反をしないように、これでもか、これでもかというように五メートル置きぐらいに標識を出すべきじゃないか、こういうふうに思うんです。

 今言ったことを私は経験して、これはある意味では罰金を、ある月間、それこそ罰金強化週間というようなことでも設けてやっているとしか思えなかったんですね。やはり、警察の信頼、警察に対する好意、国民の信頼をかち得ながら、先ほどおっしゃった秩序それから安全を確保していく、これが大事じゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃる趣旨はよく理解をさせていただきます。決して私も、そういう経験がなかったかというと、なきにしもあらずでございまして、そういうことを考える場面に遭遇したことはございますので、よくわかります。

 ただ、警察としては、やはり、やったことに関しての取り締まりというのはしなければいけないということも一方あるわけでございまして、それをすべてということではありませんし、先生のおっしゃられる、違反をする前に指導するということももちろん大切なことだというふうに思いますし、私個人としては、そういうことに重点を置くことが大切ではないかなというふうに思いますし、ぜひ警察庁ないし警察を指導してまいりたいというふうに思っております。

吉良委員 非常に前向きな答弁をいただきまして、ぜひ、今申し上げましたように、決して見逃してくれと、そこで裁量の余地を認め過ぎると、また裁量が強過ぎることによるあらぬ弊害が出てくると思いますので、それはそれでしようがないかもしれませんけれども、今言いましたように、危険度が非常に少ない、かつ善意の人が違反することが多いような場所でわざわざ待ち構えていて、はい、いらっしゃい、いらっしゃい、このようなことがないように、その辺はぜひ全国県警に対する徹底をお願いしたいと思っております。

 いま一度、前向きな答弁をお願いします。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられる点も踏まえて、不愉快になるような取り締まりをやっていいという話ではありませんと私も思いますし、それを未然に防止できるのでしたら、未然に防止する措置をとるべきだというふうに私も思いますので、全国の都道府県警に対しましても徹底をするように指導してまいりたいというふうに思っております。

吉良委員 再度前向きな御答弁ありがとうございます。ぜひ徹底させていただきたいと思っております。

 次に、これは必ずしも警察庁にお願いすることではないのかもしれませんけれども、先ほど高齢運転者の方の専用駐車区間を設けるということに関して、今後ぜひ国土交通省との調整なり、またはその部分については警察庁が主導権を持ってやってほしいということについての指摘をさせていただきたいと思っております。

 それは、今回、ある区間を設けて駐車を許可するということでありますけれども、恐らくその区間を設ける際には、その地域全体の交通渋滞なり事故につながらない地域、区間という場所を選定してくるんだろうというふうに思っております。

 私自身も実は今でも都内を自分で運転したりすることがよくあるんですけれども、いつも疑問に思うことが、例えば片道二車線の区間があります。ところが、路肩はほとんどいわゆる溝に当たる部分しかなくて、必ず車がとまっているんですね。左端に車がとまっているんです。もちろん、駐停車禁止の区間であります。けれども、ほとんどのと言ってもいいぐらいだと思いますけれども、二車線区間で必ず車がとまっている。それは、荷おろしだったり、一時的にだれかをおろしてだったり、場合によっては公衆トイレがあるところの横であったり。

 いつも思うのは、そこに車が、例えば百メートルなり二百メートルのところに一台、二台とまっているがために、一車線全部ふさぐんですよ。だから、二車線のスペースを確保していても、実際左側の車線というのはほとんど使えないというのが都市部、市街地での今の実態だろうというふうに思っていまして、実はこのことが渋滞を招き、また事故を招いているのではないかと私自身は思っておるんです。

 そういう意味で、一つの問題提起として、少なくとも新しくつくる道路については、例えば二車線であっても、一番左側に、路肩に当たるところに、車全部の幅を覆うような、そこまでのスペースはなかなか土地の高い都市部では難しいかもしれませんけれども、それでも一車線を丸々ふさぐことのないようなある程度の路肩を確保していくべきではないかというふうに思っております。

 加えて、ちょっときのうレクを受けたときに、道路構造令によって、二車線なら二車線の場合の、また三車線なら三車線の場合の一レーンの幅が決まっている、こういうことであったんですけれども、実際問題、二車線でずっといっている際に、四つ角の交差点になった場合に、右折車線も設けて、少し右折車線は広がっていますけれども、実際ほんの少し広げるだけでそこの交差点については三車線になる、二車線が三車線になる交差点というのが数多くあります。

 であるならば、今言いましたように、今現在二車線ある道路についても、その一車線の幅を少し小さくすることによって少し路肩スペースを広げて、そして駐車していても残りの二車線については全く影響がないようにしていく、このような方策が必要じゃないかというふうに思っているんです。

 その際、前もって言わせていただくと、恐らく政府側というか、役所側としては、これは駐停車禁止なんだから駐停車を取り締まっていきますという回答になろうかというふうに思うんです。ところが、幾らしちゃいけないんだ、すべきではないということを言っても、現実問題として、先ほど言いましたように、近くに店があったり、駐車スペースのない、または狭いコンビニがあったりすれば必ずとまっているわけです。

 ということであれば、とまるということをある程度前提にした道路をつくっていく、またはその上の交通行政をやっていく必要があろうかというふうに思っておるんですが、この点について大臣の御見解はいかがでしょうか。

佐藤国務大臣 警察庁として答えるべき話ではないかと思いますけれども、一般論として、先生がおっしゃる趣旨はよく理解をさせていただきます。

 ただ、私は栃木の出身で、私どもの道路を見ても、そういう渋滞が、おっしゃられるように、少しでも三車線をとれるようなところについては曲がるスペースを設けたりというのは積極的になされているのではないかなというふうに私どもは承知しております。

 それと、今おっしゃられているように、電線の地中化を今積極的に進めている経緯がありまして、そのときに駐車帯を設ける自治体なんかもふえてきておりまして、各土木事務所によってケース・バイ・ケースで、例えば歩道を二メーター五十とらなければいけないところを一メーター駐車帯として設けたりなんというところは最近積極的に見られるというふうに思いますし、よく私ども各省と連絡を密にして、そういうところをよく把握しているという面では警察が一番把握をしているというふうに思いますので、積極的に協議をしてまいりたいというふうに思っております。

吉良委員 これも前向きな答弁ありがとうございます。

 確かに道路をつくることは国交省の所管でありましょう。けれども、交通渋滞を減少させる、そして事故を減少させるというのは警察庁マターだというふうに思っております。

 特に、先日、警察庁の新事業についての予算のヒアリングを受けた際も、CO2削減、地球に優しい社会を実現するために、交通渋滞についてのモニタリングとその標識、表示機器を設けるというような新事業が出ておりました。もちろん、そういう形での対応も必要かと思いますけれども、そもそも道路の問題にかかわって、今言いましたように、実際、駐停車することによって渋滞が起こり、場合によってそれを避けるために事故が起こっているということは事実でありますので、そこは、最終的につくるのは、また車線をどう変更するというのは国交省の役割であったとしても、それを警察側からの必要ということで、ぜひ国交省に対して強い指導をお願いしたいと思います。

 いま一度大臣の答弁をお願いしたいと思います。

佐藤国務大臣 いずれにいたしましても、駐車違反の解消を含めて、安全で快適な道路交通環境の実現に向けて積極的に関係省庁と連絡をしてまいりますし、国交省も、これだというところまで私は聞いておりませんけれども、その道路等々で柔軟に対応して、歩道を少なくしてみたりということは対応していただけるものと承知しておりますので、今先生がおっしゃられた趣旨も含めて、今申し上げましたように、関係省庁と連携をしてまいりたいというふうに思っております。

吉良委員 前向きな答弁ということで受けとめさせていただきますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、もう一度、この法案の趣旨といいますか目的とするところについての質問を一つ出したいと思います。

 今回、高齢者に対して適性検査等を実施することによって、ある意味では、安全な運転をしていくのに支障がある方についてはやんわりと運転をやめていただく、または衰えを感じた方々についてはできるだけ免許証を返納してもらうということも方針の一つだというふうに了解をしております。

 高齢者の中には、もちろん会社も退職し、それ以降、いわば名刺に書くようなものがない、一種の身分証明書がないというような方が非常に多くなるわけですけれども、運転免許証が銀行に行った際、また何か登録をする際の身分証明書であったというような方々が多くいらっしゃると思うんです。

 そういう自主的な返納を求めるということと、一方、これまで果たしてきた運転免許証の身分証明書的な役割、これについてどのように考えているのか、大臣でも事務方でも結構ですけれども、答弁いただければと思っております。

東川政府参考人 お答えします。

 その前に、先ほど、駐車禁止の除外標章の不正使用に係る件数でございましたが、平成二十年中、四百五十二件ございます。取り締まりを実施しているということでございます。

 それで、今の御質問でございますけれども、現在、返納した方に運転経歴証明書をお渡ししておりますけれども、これは有効期限の定めがないということで、いわゆる金融機関等において本人確認書類として利用できるのは、発行後六カ月ということになっております。

 我々としても、この身分証明書機能の充実は非常に重要な課題であると認識しておりまして、先般実施しました高齢者の支援に関する検討委員会におきましても、身分証明書としての機能、これを実効あらしめるようにということでございますので、この制度の充実についていろいろ検討して、身分証明書機能の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。

吉良委員 いずれにしても、この法案の趣旨が高齢者を中心とする交通弱者に対する安全の確保ということでございますので、警察組織挙げて徹底していただくようにお願いをしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 実は、一昨年二月六日に、警察庁交通局長名で「駐車規制及び駐車許可制度の運用の見直しについて」と、交通規制課長、交通指導課長連名で「駐車規制及び駐車許可制度の運用の見直しにおける留意点について」という二つの通達が出されておりますが、これによって、実は、身体障害者に対する駐車禁止区間における除外基準については、障害の区分が四級から三級に変わったために、障害の度合いによってはこの駐車除外措置の対象にならない人が生まれているという現実があります。

 それで、私のところへも、実は、三重県の身体障害者の方から、使用期限の更新に最寄りの警察署に行ったところ、あなたの障害の程度では次回の更新時には交付できないと言われた、こういう訴え、相談がありました。

 これは野田特命担当大臣が、昨年の十一月の国会では、駐車禁止除外措置については、現在、警察庁とか都道府県警において関係団体の皆さんからいろいろな意見の聴取が行われているということを聞いているので、引き続きその動きを障害者施策の立場から注視していきたいという答弁がありました。

 画一的な規則の改正で駐車禁止除外措置を本当に必要としている人が対象外となるようなことがあっちゃならないと思うんです。野田大臣答弁に沿った対処が全国でとられているはずだと思うんですが、改めて改善措置の内容を確認しておきたいと思います。

東川政府参考人 駐車禁止の除外の対象となる下肢障害の範囲のことだろうというふうに思っておりますけれども、これにつきましては、先ほどの以降、関係団体と意見交換をさらに進めまして、昨年十二月、下肢障害の等級につきましては、三の1までとしていた基準を四級まで、これに変更しまして、各都道府県警察にその旨を通達したところでございます。

 これを受けまして、現在、各都道府県警察で公安規則の改正、これを実施しているというふうに承知しております。

吉井委員 やっているはずなんですが、四月一日現在で十五県で変更されていないというのが実態ではありませんか。

東川政府参考人 本年の四月一日現在で、この四級までとしている都道府県、これは三十二でございます。その他の県においてもこれの見直しが進められておりまして、おおむね六月中にはすべての県においてこの見直しが行われるものというふうに承知しております。

吉井委員 昨年十二月に通知を出されて、いまだにまだ徹底されていないところが十五県ですか、あるわけですから、やはりこれは、この通知が徹底するように警察庁としても取り組んでいただきたいと思います。

 次に、国土交通省の参考人の方に伺っておきますが、高齢者の免許証の自主返納運動が今進んでいますね。その結果として、しかし、これは地方ではこの返納の割合は低いわけですよ。それは、高齢者になっても車がないと暮らしていけないという、限界集落の問題とか、いろいろな問題があるわけです。

 高齢者が車に頼らざるを得ない要因の一つに、実は、そのこととともに、相次ぐ公共路線バスの撤退もあるわけですね。病院へ行こうと思っても、まずバスがなくなってしまったとか。

 路線バスの実は需給調整規制廃止が、つまり規制緩和が行われて、それまでの免許申請による認可制から届け出による許可制に変わってしまった。このために、新規事業者の参入が容易になる一方、届け出から六カ月後には事業者の意思で撤退が可能となってしまったわけですね。ですから、各地のバス会社は、収益性の高い高速バス、貸し切りバスで利益を上げておいて、赤字になったり採算性の余りうまくない路線バスを補てんする、こういうことで今まで維持してきたわけです。ところが、新規参入が相次いだために複数事業者の乱立となって、高速バス等の長距離の乱売合戦みたいな形で、結局利益が減って赤字路線が維持できなくなってきた。この結果、公共交通の空白地帯が生み出されていますね。

 私は、この規制緩和万能でやった結果、本当に惨たんたる事態が地域で出ていますから、どのようにこの問題の解決をしていくのかということについて、国土交通省としてもきちんとした考えを持たなきゃならぬと思うんですが、お考えを伺っておきます。

長田政府参考人 今委員御指摘のように、地域の公共交通をめぐる環境は非常に厳しい状況にございまして、特に高齢者の方々を含めまして、地域の住民の方々の自立した日常生活を確保するという意味では、この公共輸送サービスを維持、確保していくということが極めて重要であろうかなというふうに思っております。

 そういう状況で、平成十九年十月に地域公共交通活性化再生法というものを施行いただきまして、さらに、平成二十年度より、地域公共交通の新たな支援制度として、市町村を中心に地域の関係者が、例えば鉄道でありますとかバス、乗り合いタクシー、旅客船等についての利便性の向上とかあるいは路線の維持という取り組みを行う場合に国が支援する制度を開始いたしました。

 これは、委員御指摘のように、バスが免許制度が変わりましてなかなか維持をすることが難しい、そういうことの対応も含めてそういう制度をつくりました。現在まで全国二百四十九の地域でそういう地域の足を守る取り組みを推進しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地域の公共交通の活性化、再生、維持、こういうことに向けました地域の主体的な取り組みを今後とも積極的に支援してまいりたいと思っております。

吉井委員 今回の法律で、もみじマークの規制を、強制的に張りつけたりしなくてもいいということもあるわけですけれども、しかし、実際には自主返納運動なども進められております。それだけに、地域の公共交通機関、これをやはりきちんとしなかったならば、実際に限界集落と言われるようなところに住んでいる高齢者の皆さんは、車なしには暮らしていけない、そういう事態に置かれているということを重く受けとめていかなきゃならぬと思います。

 次に、昨年六月五日、公取は「自動車の保管場所標章の製造業者らに係る独占禁止法違反被疑事件の処理について」というのを公表しました。あらましは、都道府県警が発注する自動車の保管場所標章を、製造者である凸版印刷と国立印刷局が、二〇〇〇年度まで随意契約により、それ以降は随意契約と指名見積もり合わせで、だから、実質的には随契がずっと続いてきたわけですね、独占的に受注してきたと。

 警察庁は、標章の発注開始に先立つ九一年三月ころ、凸版印刷と印刷局に対し、三十一の都道府県警が発注するものについては凸版印刷がやりなさい、十六の都道府県警が発注するものについては印刷局を、それぞれ契約の相手方になるよう選んだということで伝えているということですが、同じころに警察庁の方は、都道府県警にその旨を説明したわけですね。

 ですから、これは言ってみれば、業者がそれをやっておれば談合罪に当たるわけでしょう。あるいは独禁法違反ということになってくるわけですが、公取がこういう文書を公表する前に、警察としては捜査するなりあるいは調査をするなりされたのかを伺います。

東川政府参考人 平成十九年の十月に、保管場所標章の調達に関する報道がなされたのを受けまして、警察庁におきましては、保管場所標章のあり方等について検討を進めまして、昨年の二月、新たな標準仕様、これを制定するとともに、都道府県警察に対して、より競争性のある契約手続の実施を指導してきたところでございます。各都道府県におきましては、順次新仕様書に基づきまして保管場所標章の調達を進め、平成二十年度中には四十五都道府県において一般競争入札を実施しておると承知しております。

 年度が終了したことを踏まえまして、現在、各都道府県警察につきましては、保管場所標章調達のより詳細な状況について今調査を行っているところでございます。

吉井委員 いや、私がお聞きしていますのは、新聞報道等があれば、当然、やるのは当たり前なんですよね。それまでにわかっておったわけですね。警察庁所管の公益法人である財団法人日本交通管理技術協会、いわゆる管技協は、一九九二年から二〇〇七年度まで十五年間も、都道府県警発注の標章については毎年秋に警察庁から次の年度の発注予定数量の報告を受けていたと。管技協は、三十一の都道府県警発注予定分と十六の都道府県警発注予定分を、それぞれ一覧表にして凸版印刷と印刷局に配付していたわけですね。

 これは、凸版印刷と印刷局とが業者間の談合をやっておったのか、あるいは独禁法違反に当たるのか、いずれにしても非常に不適切な問題ですから、そういうことについて、警察庁が予定数量の報告を出したりしておったわけですから、警察庁として自分のところの問題を捜査したのか、調査しておったのかということなんです。

東川政府参考人 予定数量を公表していたということは、警察庁としてございません。

 問題発覚当時、どのような調査ということでございますが、標章制度の導入当初の職員等を中心に話を聞いてございます。十九年十月の発覚以降ですね。その結果、当時、技術的な観点から、標章を製造できるというのは凸版印刷と印刷局の二者のみであったということ。それから、平成三年の全国担当者会議等の場で警察庁の担当者から、都道府県警察が確実に発注できる業者、これが二者であるということを伝えた。それから、標章の偽変造の防止あるいは不正流通防止の観点から、標章の製造、流通などに関する管理を警察庁が管理技術協会に依頼した。管理技術協会が管理業務の一環として、各都道府県警察が翌年度に必要とする需要数量を調査し、その結果を二者の求めに応じて伝えてきた、これらの事実関係について、おおむね把握してございます。

吉井委員 これは、公取の要請した後、この文書を公表した後、二〇〇七年度の自動車の保管場所標章の印刷に関する契約単価は、一枚当たり八十円前後だったものが、翌年には五十円台から七十円台に低下しているわけですね。警察と管技協、凸版印刷、国立印刷局の行為によって、結果として税金で非常に高い負担をすることになるというか高い価格で支出されていた、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、そういう認識はお持ちですか。

東川政府参考人 先ほど申し上げましたように、保管場所標章の制定当時の状況につきましては、その二者しかなかったということでございますし、それが続いたということでありますが、昨年六月に公正取引委員会から警察庁に対しまして、都道府県警察において競争的な発注が行われるよう指導すること、これを要請されておりますので、警察庁におきましては、先ほども御説明いたしましたけれども、新たな標準仕様、これを制定するとともに、都道府県警察に対して、より競争性のある契約手続の実施、これを指導してきたところであります。そういう結果、先ほど先生がおっしゃられたような結果になったものというふうに思っております。

吉井委員 まず、どれぐらい難しい話でその二者しかないのかということですね。そんな精緻な技術がないとできないというようなものでもなく、これは二者しかできないというふうに決めつけて、そして単価の方は八十円ぐらいにして、しかし、公取から指摘を受けて、手がけたら、一遍に二十円ぐらい下がってしまうわけですね。しかも、今度はちゃんと競争入札に付していこうというわけですが、そういうことであれば、最初からちゃんとしておればこういうことはもともとないわけですよね。

 何でこんなおかしなことになってしまったのかということで、私、実はこの問題を取り上げようと思って、警察庁に対して、公正取引委員会の発表を裏づける資料の提出を行うよう求めました。具体的には、発注元と発注先の名称、再発注がある場合は再発注先、契約形態、それから契約金額、発行枚数、競争入札の場合は入札調書の写し、警察庁が凸版印刷と印刷局に対して契約の相手方となるよう伝えた資料、管技協が凸版印刷と印刷局に配付した発注予定表などを求めたんですが、資料を保有していないとか調査する必要があるので時間がかかるということで提出拒否なんですね。

 普通こういうことは、警察の場合だったら、証拠隠滅にならないようにいろいろ手を打たれるわけですよ、実際に捜査の場合であれば。しかし、身内の問題になれば、この程度のことまでが、資料を保有していないとか調査する必要があるから時間がかかるとか。これはやはりだれが考えてもおかしいわけで、一言でいいですから、直ちに是正して、そういうものは明らかにするというふうにされるべきだと思うんですが、伺っておきます。

東川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、二十年度が終わりましたので、それについては現在調査を実施しておりますので、当然、その調査ができれば、それはできると思います。ただ、現在ないものは、当然、保管していないものはありませんので、それはどうしようもないというふうに思います。

吉井委員 最後に、佐藤大臣に伺っておきます。

 二〇〇七年十月以降の朝日の報道によりますと、標章制度を導入した九一年度以降、凸版印刷に警察庁OBを顧問として受け入れ、つまり、凸版印刷には警察庁OBが顧問で入っていっているわけですね。独占受注の割り振り表を作成していた管技協には、役員十四人中警察庁OBが六人なんですね。天下りを背景とした談合の疑いが非常に強いものであるわけです。

 これまで、国交省などのゼネコン談合だとか、いろいろ私たちは国会でもやってきましたけれども、警察庁は、私の求めに対して、ことし三月末現在で一般競争が四十五都道府県と言っているんですが、うち一件は不落随契なんですね。それから、指名競争が一件、随意契約は一件というふうに回答しているんですが、随意契約はまだ残っているわけです。

 公取の要請が守られていないのではないかというふうに思うわけです。一般競争が原則ですし、とりわけ、官公需法とか中小企業への分離分割発注とか、今取り組んでいるときなんですから、やはりこういうところはきちんとすべきだ。とりわけ、偽装一般競争入札というものも各所でありますから、一般競争にしたといっても、事実上の偽装一般競争入札というものがありますから、私は、やはりこういう点では、大臣としてきちんとさせるということを明らかにされたいと思います。

佐藤国務大臣 先生の御意見も含めて、今局長が答弁申し上げましたとおり、四十五都道府県において一般競争入札を実施したとの報告を受けております。

 今後とも、引き続き、会計法規にのっとりまして、競争性の高い契約手続を実施するように警察庁を指導してまいりたいというふうに思いますし、都道府県警にも指導してまいりたいというふうに思います。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

渡辺委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、知的障害者の運転免許取得の意味について、大臣の答弁を求めたいと思います。

 本日は、道路交通法の改正ということでありますが、高齢者のもみじマークの着用に関する罰則については朝令暮改のそしりを免れない、こういう感想を持っています。事前に十分に国民の声を聞くことを強く要望しておきたいと思います。その上で、道交法に関連しまして、知的障害者の免許取得を中心に質問をいたします。

 本日の高齢者への支援でも出ておりましたけれども、公共交通機関が非常に発達をした東京都心など一部の大都市を除いて、自動車があるなしでは生活の豊かさは大きく変わります。これは障害者も全く同様でありまして、二〇〇一年の道交法の改正で欠格事由がなくなり、知的障害を持つ方も免許取得が可能になりました。これはいいことだと思います。また、障害者の就労が自立を大いに助けますけれども、その際、免許の有無が採用条件になることもしばしばであるということについては、御案内のとおりであります。

 そこで、知的障害者にとっての運転免許の意味、欠格事由でなくなったことの意義についてどのように考えておられるか、大臣に伺います。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられたように、平成十三年の道路交通法改正によりまして、知的障害者であることを事由に一律に運転免許を取得することができないこととする規定が廃止をされました。この改正によりまして、知的障害のある方については、運転免許試験に合格することによりまして運転免許の取得が可能となりました。社会参加の拡大という観点から大きな意味があったものと認識をしております。

重野委員 そこで、警察庁に聞きますが、知的障害者への運転免許取得支援は現在どのようになっておるか、伺います。

東川政府参考人 お答えいたします。

 自動車教習所におきましては、学科教習で用いる教材の漢字に振り仮名をつけたり、あるいは用語についてわかりやすい解説をした資料を用意しております。また、一部の教習所におきましては、受講者の理解度に応じて、補習あるいは個別指導を行っているというふうに聞いております。

 また、警察におきましては、学科試験問題のすべての漢字に振り仮名をつけるなどの配慮を行うように指導しているところでございます。

重野委員 そこで、具体的な事例を挙げて、認識、見解を伺いたいんですが、これは山口県での話であります。

 山口市にあります県立山口養護学校で行われている運転免許取得のための無料講座、これが開設されております。開設以来三年目を迎えているわけですが、この無料講座に対する、労働者福祉協議会という協議会があるんですが、ここが支援をして、湯田自動車学校の、これが社会貢献になる、こういう認識に立っての協力で、その学校の教官を派遣していただいている。通常十時間で終わるところを二十時間の無料公開講座が行われているそうであります。私は、これは先進的な取り組みだなと思っているんですが、生徒も、それから保護者の方も非常に喜んでおられると聞いております。

 この講座では、自動車学校で免許が取れるかどうかの判断を自動車学校の教官の方に見きわめてもらって、可能であるとされれば、その後自動車学校に通い、卒業、免許センターの試験を受けて免許を取得する、こういう形をとっております。講座は、免許取得の最初の重要な段階を担うと同時に、適性の判断を時間をかけて行っているわけであります。

 こうした取り組みの結果、免許取得者が既に二けたに乗ったということでありまして、免許取得によって大手の運送会社に就職された方もいるということであります。

 大臣、こうした取り組みが現に地方においてされているわけですけれども、この取り組みについて、どういう感想と認識をお持ちでしょうか。

佐藤国務大臣 正直言いまして、今回の質疑に当たりまして先生からの御指摘をいただいて、山口県における積極的な取り組みを伺いました。そして、私はもとより、警察庁においても、こうした取り組みについてのお話を初めて伺ったというふうに承知しております。

 先生御指摘の取り組みについては、知的障害者が指定自動車教習所に入校する前に運転免許取得のための特別講座を開催し、その免許取得を支援するものというふうに、今先生がおっしゃられたとおりだと承知をしております。

 この取り組みにつきましては、知的障害者を一律に排除することなく、試験においての必要な能力の有無を見ることとする平成十三年の法改正の趣旨に合致するものというふうに思いますし、適切なものと考えております。

重野委員 そういう機会を得ることができるということは前進なんですが、そうはいっても、健常者と障害者という比較において、やはりマイナス部分があると思うんですね。これを欠格事由からのけたということの意味は、その背景には、例えば障害者自立支援法という法律、まあ問題になっておりますけれども、そういう趣旨は国の行政の中に取り入れられているということについて、同じ線上で見ると、障害者が運転免許証を持つという機会をより積極的に与えていくというものが現場において生かされるような、そういう体系を国においても当然考えてしかるべし、私はこのように思うんですね。

 現状は今申し上げたとおりでありまして、全国的に見てもまれな話でありますが、これはやはり普遍的にやっていく、警察庁が所管だと思うんですが、国においてもそういうものをやはりこの際切り開いていく、そういう思いを持って、決意を持っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤国務大臣 山口県における積極的な取り組みに関連いたしまして、先生から御指摘をいただきました。

 先ほども申し上げましたように、私はもとより警察庁においても初めて伺った事例であるものですから、この先進的な取り組みについて、関係者の方がどのような御苦労をされたかなど、御意見をよく伺うようにいたしまして、先生の御趣旨等々を踏まえて警察庁を指導してまいりたいというふうに思っております。

重野委員 大臣から積極的な意見の開陳がありました。

 文科省にも同様の趣旨で質問をいたしますが、養護学校を所管する文科省として、こういう現状をとらえて、どういうふうな認識を持って対応しようとされるのか。

徳久政府参考人 委員御指摘の取り組みは、知的障害者の職業能力開発による就労自立支援の取り組みとして有意義なものというふうに認識をしているところでございます。

 文部科学省といたしましても、各地域において、特別支援学校と各地域の関係機関、団体の連携協力のもと、生徒の実態、ニーズに即して、必要な技能の習得の支援に係ります特色ある取り組みが進むことを期待しておりまして、このような事例についても普及してまいりたいというふうに考えてございます。

重野委員 文科省においても、学校を所管する省でありますので、今申し上げました内容について確認をして、そして、それをどうしたら広げていけるのか、そういう立場に立って今後とも検討を深めてもらいたい。強く要望しておきます。

 次に、国が行うべきことを二、三申し上げておきたいと思うんです。

 まず、実態調査あるいは該当者の意見聴取という問題ですが、今私が申し上げましたように、免許を取ることは、就労も含めて、障害者の自立に大きく寄与いたします。しかし、実際の免許取得には大きな困難が伴っている、これが現状ですね。

 ところが、二、三話を聞いてみたんですが、県警に相談に行っても、試験に受からないんだからだめでしょうというつれない返事で終わっているケースを二、三聞きました。私は、それではやはりせっかく法律を改正してやった意味がないんじゃないか、その趣旨が末端の警察組織、末端まできちっと通っているというふうな部分に若干至らない部分があるんではないかと率直に思います。

 実態把握のために、障害者御本人や御家族、あるいは障害者団体、あるいは支援を行っているNPO、障害者教育を行っている教育機関、関係者、研究者、そういう方々からこの問題についての意見を聴取する、トータルでこの法の趣旨が万般に行き渡るようにするための方策をもっともっと私は積極的に取り組んでいく必要があると思うんですが、大臣、どのように考えますか。

佐藤国務大臣 何回も申し上げることになると思いますけれども、いずれにいたしましても、私は、この話を伺ったのが先生の御質問で初めてということでございますので、先生がおっしゃられた趣旨も踏まえて、よく調査をした上で、どんな支援ができるか等々も含めて各関係機関と打ち合わせをさせていただきながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。

重野委員 具体的に私が申し上げたいのは、今、トータルの問題ですね。それから、障害者への教育支援、これについても私は具体的に提案いたしますので、受けとめて、それを生かしてもらいたい。

 まず、山口の取り組みでは、独自に教材を用意して、通常の倍の時間をかけてゆっくりとした進み方で、少人数の、マンツーマンに近い形での講習を行っているんですね。自動車教習所の教官の方に各人の免許取得の可能性を見きわめてもらう、その上で、納得ずくで自動車学校に通うことができる。養護学校の側も、自動車教習の専門的な知識を持っている教官の指導に現に感謝しているんですね。

 他方、これは琉球大学の田中先生が調査をしているのでありますが、現場の、八割の自動車学校の先生の方々が、やはり専門知識を持った人のサポートが必要だ、こういうふうに回答しているという統計、アンケート結果があるんです。カリキュラムや授業の進め方、教材の工夫、これは自動車学校だけでも養護学校だけでも難しい、この両者が協力し合えば教育プログラムは改善できる、こういうふうに言っているんです。

 自動車教習所も、一企業である以上、工夫や交流経験あるいは教材研究など、単独、独自に行うことは大変困難を伴う。こうしたことを踏まえて、何回も申し上げますが、国や自治体、警察が協力して行えば、局面は大きく開けてくる、このように思うんですが、くどいようですけれども、大臣、その点について。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられるように、知的障害者に対して今後とも支援を充実することは有意義なことだというふうに私は考えております。

 御指摘の教習内容、教習方法の充実を図るために、先ほども申し上げましたけれども、まずは警察庁において関係者の御意見を伺うことが重要であるというふうに思っておりますので、いろいろな話を伺った上でいろいろな判断をさせていただきたいというふうに思っております。

重野委員 その上で、なおかつ重要なことは、やはり国民の理解を得るための啓蒙というものが問われてくると思います。

 先ほど琉球大学の田中先生の調査の話をいたしましたけれども、一般男女への質問で、知的障害者が免許を取れることを知っている方はわずか一三%しかいない。ほとんど知らないんです。正直言って、私も、この問題を勉強して、恥ずかしながら、ああ、そうなのかという始末です。これほど、やはりまだまだ国民の認識は不足をしている。そういう意味では、こういう常識を国民普遍的なものにしていく努力というのが求められているし、そうなると、やはり財政的な問題も当然出てまいります。

 その問題も含めて、最後に大臣の決意をお聞かせいただきたい。

佐藤国務大臣 まず、財政的支援でございますけれども、警察庁が行うということでは大変困難を来すのではないかなというふうに思います。

 御指摘のような、山口県における取り組みや一部の地方自治体において行っている免許取得時の助成措置については、都道府県県警が関係に紹介するなど適切に対応するよう警察庁を指導してまいりたいというふうに思います。

 それと、啓蒙啓発の話でございますけれども、運転免許試験場におきまして、運転適性相談窓口を設けまして、関係者からの相談等に対応しております。適切に対応できるような相談を行うように警察庁を指導してまいりたいと思いますし、また、知的障害者が運転免許を取得することが可能であることについて、今後、先生がおっしゃられたように、関係者に適切に周知が図られるように警察庁を指導してまいりたいというふうに思っております。

重野委員 以上で終わります。

渡辺委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党、市村でございます。

 三十分いただきまして、道交法改正につきましてまずは議論させていただきたいと存じます。

 ちょうど私が当選した直後のころ、内閣委員会に所属させていただいて、せっかくですから、そういった、いろいろ、先ほど吉良委員からもありましたようなことも含めて、こうしたことでいいのかというような話で議論したときに、道交法というのは、たしかあのときの話だと、三年に一度か五年に一度の改正であって、そうぽんぽん変えていいものじゃないんだということでお話があったことを今思い出しています。

 実は、私は、そのとき、いや、変えていいんじゃないですかということを申し上げていたんです。

 というのも、根本的に、前もお話をしたことがありますが、私たちがやっているのは、英語で言えばレジスレーションであって、ローじゃないんですね。ローというのは変えちゃいけないものですけれども、私たちはレジスレーチャーですから。だから、要するに、やってみておかしかったら変えればいいんです。そのために国会というものがある、こういう議論の場があるわけであります。

 ですから、三年に一度とか五年に一度とかではなくて、必要であれば必要に応じて法改正もしていくということが必要だと思っておりますし、今回の改正も、やはりやってみたらいろいろな御意見があったということで、変えるということが私は適切だと思います。

 あと、私も今回のことでいろいろ思うのは、ほかの省庁だと、こういうことであっても省令とか政令でやるんでしょうけれども、警察庁というのは、さすが法律を守っていただくところだと思いますが、法律をきちっと改正していくということで、国会で議論して改正していく、この姿勢も私はとてもいいことだというふうに思っています。特に、ほかの省庁とかで、何で、いつこうなったんだろう、国会に諮ったのかというようなことを、結構大きな、国の流れに関することを勝手に決めている。申しわけない、勝手にと言っちゃいけませんけれども、どこでいつ決まったのかという話がぽんぽん出てくるような状況もありますから、私はとてもいいというふうに思っています。

 そういう思いで、きょう、いろいろ議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず、「年齢層別死者数の国際比較」というのがあるんですが、これは多分交通事故だと思いますけれども、諸外国に比べて、日本の場合、突出して六十五歳以上の方の死者数が多いということになっているようであります。日本は死者数の四八・四%が六十五歳以上の方だ。ドイツだと二二・七パー、フランスだと一九・一%、イギリスが一七・三%で、アメリカは一四・一%ということで、日本の場合、交通事故の死者数は突出して六十五歳以上の方が多い。

 これは、なぜこうなのか、どういう分析をされているか、教えていただきたいと思います。

佐藤国務大臣 お答え申し上げます。

 平成十九年度の三十日以内の交通事故死者数は六千六百三十九人でございまして、そのうち、高齢者は三千二百十五人であります。全体に占める割合は、先生おっしゃられたように四八・四%であって、欧米諸国と比較すると、御指摘のとおり、日本の高齢者の死者数の割合は高いと言えるというふうに思います。

 高齢者の状態別死者数を見ますと、日本では、欧米諸国と比べまして、歩行中、自転車乗用中の死者の割合が高いことがその特徴であるというふうに思います。

 その理由につきましては明確にこれだということを申し上げることは難しいわけでありますけれども、一般的に、我が国では、生活道路と幹線道路が混在していることなど、欧米諸国との道路環境の違いが影響しているのではないかというふうに考えられております。

 警察といたしましては、自治体や福祉関係機関等と協力をいたしまして、高齢者に対する交通安全教育を行うとともに、反射材の活用などについて積極的に広報するなどの活動を進めてまいりたいというふうに思います。

 平成十九年の三十日ということでございます。済みません。

市村委員 今の委員長のお話だと、結局、分析が余りされていないということでよろしいんですか。

 せっかく優秀な警察官僚の皆さんがいらっしゃるわけですから、多分、外部のいろいろなシンクタンクのお力も得ながら、ぜひともこういうふうな、なぜ突出して六十五歳以上の方が多いのか、今、歩行者の死者数が多いという一定の見解はあった、分析があったというふうに理解したいと思いますが、もうちょっと細かく、なぜ日本だけ六十五歳以上の方がこれだけ突出するのかということ。

 というのも、きょうの議論はまさに高齢者の方をどう守るかという話なんですね。だから、その前に、なぜ高齢者の方がこれだけ事故に巻き込まれてたくさん亡くなるのかということは、これは極めてしっかりと調査して分析しておかないと実は議論ができないのかなというふうに私は思っております。きょうここで、今さらこの話を何か勘で議論してもいけないと思いますから、もし、もうちょっと細かい分析があるのなら教えていただきたいんですが、いかがでしょうか、国家公安委員長。

東川政府参考人 高齢者の事故の実態について統計的な比較はしておりまして、一般的に原因と考えられるものとしては今大臣から答弁したとおりでありまして、具体的にどこがどう違うのか、車の使い方あるいは歩行者の動き方とか、それぞれ違ってくると思うんですけれども、その辺のところはまだ実際のところは手がついていないという状況でございます。

市村委員 先日、三年をかけて、スピード規制の大変いい調査をしていただいたわけでありますから、ぜひともこうしたことをやはりきちっと調査研究して、どこに原因があるのかということをちゃんと明確にした上で議論をして、そしてでは対策を打とうということがやはり必要だと思います。

 特に、日本の場合、事前のシミュレーションも何もないまま、何かえいやで法律が決まったようなところも、この五年間国会にいさせていただいて感じるところもありますので、やはりきちっとシミュレーションをして、事前に、こういう法律を入れるとどうなるのかということもちゃんと調査研究した上で本当はやらないかぬという思いもある。

 だからこそ、先ほどもありましたけれども、こうやってまた一年後に改正しなくちゃいけないような状況にもなりますので、その辺のところを、これはこの話だけじゃなくて全般に言えることですけれども、ぜひとも事前の調査研究というのをしっかりとするような、やはり私は国の、国家の、国会のあり方だというふうにしなくちゃいけないと思っていますので、よろしくお願いします。

 もしよろしければ。

東川政府参考人 お答えいたします。

 私が先ほど申し上げましたのは、大臣も答弁で申し上げましたのは、諸外国と日本でどうして違うのかということのあれですけれども、例えば、高齢者事故の実態はどうなっているのか、どういうところで事故が起きているのか、どういう対策を打てばいいのかということにつきましては、これはいろいろ研究してございます。

 例えば、夜間あるいは早朝の反射材の着用とか、そういう形で具体的な施策として実施しておりますので、そういう分析は当然のことながら、日本国内においてどういう場面で事故が起きているか、あるいはどういう対策をとるかについては、常日ごろを含めて研究はしております。

 ちょっと先ほど舌足らずでございましたので、説明させていただきました。

市村委員 いや、そこは、だからこそこういう施策を打ち出されているんだと思いますけれども、私が申し上げているのは、きょうの議論は高齢者の方をどう守るかということがメーンだと思っておりますので、なぜ日本だけがこれだけ突出して高齢者の方の犠牲者が多いのかというところについては、ちょっと私は、まだ明確な分析をされていないなというように思いましたので、だから、そこら辺の国際比較ですけれども、その辺をまたきちっとやはりやるべきじゃないかなと思っています。

 だから、反射材の活用とかいうのはいいんですけれども、しかし、それをやっても結局まだ高齢者の方の死者数が高いわけですね。つまり、施策を講じても高いということは、まだ問題の核心に至っていないんじゃないかというふうに思わざるを得ないということですから、そこの部分も調査研究を進めた方がいいという思いでありますので、よろしくお願いします。

 それで、法律の方に入ってまいります。

 まずは、もみじマークですが、何でこれはたった一年でこういうふうに改正せざるを得ない状況になったのかにつきまして、警察庁として、国家公安委員会としてどうこれの分析をされているのか、ちょっと大臣の方から教えていただければと思います。

東川政府参考人 見直しの趣旨でございまして、私の方から答弁させていただきたいと思います。

 七十五歳以上の運転者に対しまして高齢運転者標識の表示を義務づける、これが昨年の六月一日から施行され、改正については十九年に行われたものでございます。その後、表示率を見るということから、昨年六月以降、一年間は指導にとどめて、制度の趣旨の徹底を図っていくということでやっております。それの結果、高齢運転者標識の表示率、これは七五・四%ということに向上してきております。

 それで、この制度の趣旨は、本人を保護する、本人に運転能力の低下ということを自覚していただくとともに、周りの人から保護するという規定でございますので、そういう意味でいえば、罰則による担保よりも広報啓発が、これだけ上がってきたものですから、そういう中では、今後とも広報啓発活動を中心に表示義務を高めていけるんではないかということで、今回、附則によりまして、当分適用しないということにしたものでございます。

市村委員 今、高齢者の方を守るということなんですが、世間的に言われているのは、やはり高齢者の方に対してこれは大変失礼ではないか、なぜ年齢で一律に義務づけるのか、しかも罰則まで設けるのかということに対して、いろいろ賛否はあったと思いますが、大変御批判が大きくなったというところを受けての改正ではないかというふうに思っています。

 だから、冒頭に申し上げたように、改正するのはいいんです、ただ、何でこうなったのかということをやはりちゃんと分析しないといけない、こう思うんですね。そうしないと、一々一々これでまた一年後に改正というのも、だから必要に応じて改正するのはいいんですけれども、何かこういうのでばたばたするのは余りいいものじゃないな、こう思うんですね。

 それで、実は、もみじマークだけじゃなくて、今度、認知機能検査というのがこれから入ろうとしておりまして、つい先日も私の方に、これは大変失礼だという大先輩方の御意見がありまして、何でこんなのを受けなくちゃいけないんだと。もちろん、中にはやはり、今の先輩方というのは、もう七十代でも八十代でも本当に私たちよりも元気で、君たちは何やっているんだという感じで活を入れてくれるような方は結構多いわけであります。その諸先輩方からすると、なぜに七十歳を過ぎるとこんな認知症検査を受けなくちゃいけないんだ、ばかにするな、こういうふうになるのも僕は当然だというふうに思うんですね。

 しかしながら、一方で、確かに諸先輩方の中には、運転でちょっと、私の経験上、例えば逆走してくる車とかを経験したことがあります。また、道の真ん中でのろのろのろのろ運転していたと思ったら突然とまったりとか、そういうところは私自身も経験があるんですね。そうすると、拝見すると、大体大先輩方の世代が運転されている車にそういう傾向が多く見られるというのもこれは事実なんですね。

 ここはしかし、しっかりと先輩方にも納得していただいた上で、こういうもみじマークもあるんですよ、例えば認知機能検査もあるんですよということをやはり納得いただかないかぬと思っているんですね。いつも私は、納得いく取り締まりをしなくちゃいけないということをずっと申し上げているんですが、今回の件にしても、やはり大先輩方にきちっと納得いただかなくちゃいけないだろう、こういう思いであります。

 そこで、今回の法改正の一つに、地域交通安全活動推進委員の活動の中に、もっと高齢者の安全を守っていこうという役目をまた新たに追加しよう、こうされているということであります。

 私は、高齢者の皆さん、先輩方を守るということをつけ加えるということに関しては大賛成なんですが、一方で、こうした推進委員の皆さんに、先輩方、高齢者の皆さんにこの法の趣旨を理解いただきたいということも、ぜひとも力強く、積極的にやっていただきたいと思っているんです。それは失礼に当たらないように。

 何で、もみじマークというのがあるのか。もみじマークという言葉がいいのかどうかわかりません。これから変えるかもしれないという話も出ていますから、今後、もみじマークかどうかわかりません。あれは枯れ葉マークだと世間では言われているぐらいですから、あれも変わるのかもしれませんが、いずれにしても、なぜ先輩方の車にそういうのをつけていただくのか。今七五%ぐらいいっているといいますけれども、これは義務化を外すと、多分つけない方が多くなると私は思っています。やはり義務だから、仕方ないから、罰則もあるからつけていたという方の方が多いと思いますので、これは義務化が外れたら、多分、ああ、じゃ、いいよ、こうなると思います。

 しかし、その中でも、じゃ何のためにそのマークがあるのか、何のために認知機能検査があるのか。これはとりもなおさず、諸先輩方の安全を守るために、かつ、もし万が一の場合は、諸先輩方だけじゃなくて、同乗者や通行人の方とかを巻き込む可能性もあるだろう、だから、このためにこういう法律をつくって、済みませんが御協力いただきたいとやっているんですよということをやはり納得いただかなくちゃいけないはずなんですね。

 そうすると、特に大切なのは、そういう窓口で接する方々の人間力というか力量というかが大切なんですね。そこで、はいはいという感じで、機械のごとく、はい、これ書いて、これ書いてとかやっていたら、それは、ばかにするなというのは、先輩方だけじゃなくて我々だってそう思うわけでありますから。特に先輩方たちは、突然、何か、はいはい、検査、検査みたいな感じで出されると、これは頭にくるのは当たり前だと私は思います。

 だから、こういうところをしっかりと、先ほど国家公安委員長は吉良委員のあれに対しても徹底してやりますということでおっしゃっていただいたんですが、こういうところも各現場で徹底できるようにぜひともしていただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。

佐藤国務大臣 先生の御趣旨は当然のことだろうというふうに思います。いろいろなことが理解されなかったことでここまで来たというところもございますので、そこは徹底をして、まず御高齢者の方々に御理解をいただくという行為をさせていただきたいというふうに思います。そして、失礼のないように、誤解や不安のないようにということを前提に考えていきたいというふうに思います。

 そこで、検査を行う担当は、そういうことに配慮をいたしまして、所定の講習をしっかりと修了した者に限るものとしたり、検査の実施要領においても、高齢者の心情に配慮して行うということを前提に考えさせたり、そういうことを指導させていただいて、施行後においても、高齢者の御意見など、どんなことが悪いのかいいのかということもフォローしていくようなことも考えて、適切な実施について警察庁を指導してまいりたいというふうに思っております。

市村委員 ぜひともよろしくお願いします。ありがとうございます。

 次に、車間距離の件に関して議論させていただきたいと思っています。

 そもそも、これはどうやって車間距離の違反というのをはかるのか、その方法について教えていただければと思います。

東川政府参考人 車間距離の保持義務違反の取り締まりでございますが、一般的に申し上げますと、前の車との間での必要な車間距離を保っていないと思われる車両を発見した場合に、警察車両が違反容疑車両を追尾いたしまして、違反容疑車両の走行速度をはかります。それと、目視、また、これは測定装置がございますが、前車との車間距離を一定の時間継続して計測する方法によって、これが非常に短くてある程度期間がたっているということになった上で取り締まりを実施しております。

市村委員 先ほどからこの委員会でもあおり行為ということで話が出ていますが、ああいう危険なあおり行為についてもっと取り締まりを強化していこうというのが特に今回のこの法改正の趣旨というふうに考えてもよろしいんでしょうか。まずお願いします。

東川政府参考人 あおり行為というのは法令的にはありませんけれども、今現在、あおり行為というものは車間距離保持義務違反という形で取り締まりをしておりますので、当然のことながら、そういうものに対する罰則の強化をして、そういうものを減らしていこうという趣旨でございます。

市村委員 なぜこれをお聞きしたかといいますと、私は、やはりスピード規制よりも車間距離規制の方が大切だと思っておるんですね。

 実際に運転していて、例えば、流れにちゃんと乗っていれば、百二十キロだろうと百キロだろうと僕は安全だと思っているんですね、車間距離をちゃんとあけて、流れがちゃんとできていれば。一番怖いのは、車間距離をあけずに詰めている、例えば百キロの世界でも六十キロの世界でも、車間距離が詰まっているのが私は一番怖い。万が一の場合、何か急な事態で前の車がとまった場合、突っ込んでいってしまうということになりますから。

 だから、流れをつくるということが大切なわけであって、そういった意味では、スピード規制というのももちろん必要なんですが、やはり何よりも大切なのは車間距離規制だと私は実は思っています。実際に運転していても、車間距離をあけるということの大切さというのは実感しておりますので。

 だから、この規制を強化するのはまた一ついいと思いますが、ただ、これも納得いく取り締まりなんですね。たまたま前がスピードを落として、こっちは一定のスピードを出していて詰まっちゃった。それを見て、はいと言って、たまたまパトカーか何かが警戒されていたところに見つかっちゃって、はい、だめですよというようなことがもし起こった場合、もうやってられないなと。本当に、不運と思うしかないんでしょうけれども、やってられないと。そうすると、何だということになるんですね。だから、あえてお聞きしているのは、危険なあおり行為をやっている車をもっとびしばしやろうというのであれば私は納得いくんですね。

 私も家族で行った場合、子供とか乗せていると、それはもう超安全運転なんですよ。そうすると、超安全運転していると、後ろからあおられるわけですね、遅いということで。追い越し車線があればそれは抜いていってくれるんですけれども、なかなか追い越し車線がない場合があって、しかし、私は車間距離をあけたいので、ちゃんと交通規制を守っているわけです、スピード規制もちゃんと守るわけですね。そうすると、しかし、後ろからぱっぱっぱとパッシングとかされるんですね。ああいうのを取り締まってほしいんですよ、ああいう人たちを。

 だから、そういう意味での罰則強化というのであれば私は大変納得するところがありますけれども、たまたま前が遅くなったから詰まっちゃったのを取り締まられると、これは違うな、こう思いますが、これは、局長と委員長から一言ずつお願いいたしたいと思います。

東川政府参考人 先ほど取り締まりの方法でも申し上げましたように、瞬間的な詰まったという状況だけをとらえて取り締まりをしているわけではありませんので、そういう状況が続いているということを要件としておりますので、先生がおっしゃられましたが、急に前の車がスピードを落としたということは何か前に事情があるかもしれませんので、当然後ろの車も落とさないと追突いたしますので、そういう意味では、その瞬間瞬間あるいは渋滞しているときとか、そういうのは当然でありますので、そこはそのような取り締まりもできませんし、いずれにしても、我々としては、今先生がおっしゃられた、あおり行為と言われて危険というふうに皆さんが感じておられるようなことに重点を志向した取り締まりを実施していきたいというふうに考えております。

佐藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、今局長が申し上げましたように、間違いなく、今先生がおっしゃられたようにパッシングなんかをしてあおっているなんという行為に対しましては厳正に処分をするということだと思いますが、流れの中で間違えて近づくこともあるわけでありますから、そこは冷静に判断をできるように指導してまいりたいというふうに思っております。

市村委員 ぜひともお願いします。

 先ほど国家公安委員長が吉良委員の質問に対しても、徹底していただけるという話だったので、私はとても心強く思っているわけですが、それが、現場に行くとどうしても、違う理由で、何とか取り締まらないかぬという意識が働いている場合もあるように私は思いますので、だから、何か捕らえて、よし、これというのじゃ困りますので、ぜひともそういうことはないようにという意味でありますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、残りの時間、いわゆる高齢者の皆さん、先輩方とか、障害者の方、それからあと妊婦の方の専用駐車区間を設けようということのお話でありますが、先ほどから議論もありますので繰り返しなのかもしれませんけれども、この標章のいわゆる不正利用ということにつきまして、いま一度、防止策について教えていただきたいと思います。

佐藤国務大臣 高齢運転者等専用駐車区間における駐車の適正化を確保するためということで、高齢運転者等標章の不正利用を防止することは大変極めて重要であるというふうに考えております。

 そのために、専用区間において、標章、ナンバーが記載された普通自動車のみが駐車できることとした上で、標章の譲渡、貸与等に罰則を設けることとしております。これらによりまして、標章の不正利用が相当程度抑止できるのではないかなというふうに考えております。また、標章に偽造防止措置を講ずること等々、不正利用を厳正に取り締まることなどによりまして、標章の不正利用防止の徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。

市村委員 先ほどから、交通マナーについてのいろいろな議論があるんだと思います。私も、例えば障害者の方のためとかの専用駐車場がありますよね、ああいうところに若い人たちがどんと乗りつけておりていく姿を見るたびに、恥ずかしく悲しい思いをしております。だから、もちろん若い人たちにももっと、君たちと言う、理解を得ることも大切なんですが、そういった人たちにやはりきちっと社会のルールを守ってもらうための、そういう意識をやはり涵養していくというのも大切でして、これを入れるとどうなるかというと、多分不正利用がふえると思います。

 そのとき、そういうのを見かけた人がすぐに交番、警察に通報するとか、すぐにだめだよと厳しく取り締まるということよりも、若い人たちに対しても、若い人たちだけじゃないかもしれませんけれども、だめなんだよということがすぐに、ああ、やはり置いちゃだめなんだな、こういうふうにわかるような状況を、やはり最初が肝心でありますから、最初にやはりつくっていただきたいと思うんですね。

 だから、できれば、交通マナーを守ろうということで、こういうふうになるけれども、これは高齢者の皆さんとか障害者の皆さんとか妊婦の方のためのところなんだよということをもっと徹底するような施策を講じていただきたい、こう思うわけであります。

 最初が肝心です。最初が生ぬるいと、すぐインターネットの世界で、こうすればこうやってとめられるぞというので、そういう悪知恵はすぐ世の中に流布されますので、最初にちゃんと厳しくやると、インターネットの世界でも、あれはすぐにやられちゃったというふうになると、あれはだめだぞということで、またそういうふうなことが口コミで伝わって、やはりだめだなということになると思いますので、ぜひともそういう工夫をしていただきたい、こう思うわけでありますが、委員長の方から一言いただきます。

佐藤国務大臣 そういう趣旨を踏まえてしっかりと指導してまいりたいと思いますし、先ほど来から先生がおっしゃられているような、何か自分が納得いくようなという指導等々も警察に指導してまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

市村委員 先ほどから、若い人たちに対してのマナーということで結構厳しい声が出ているんですが、ただ、私がやはり公平に、客観的に、ふだん生活者として電車に乗ったりとかいろいろ見ている、いわゆる交通マナーとか、車に乗ったりとかして見ている中で、もちろん若い人たちの横暴ぶりというのもあるんですけれども、しかし、本当に若い人たちだけかというと、決してそうじゃないなというふうに思っているんですね。結構年配の、私より先輩方もちょっと目に余る行為をされている方も多いということもありまして、だから、決して若い人たちだけじゃないということも含めて、やはりこれも含めて、我々が、一人一人が自覚を持ち、かつ、だれだれが悪いとかこっちが悪いとかじゃなくて、一人一人が自覚を持てるような状況をつくっていかなくちゃいけない。

 だから、若い人が悪いとか先輩方が悪いとかじゃなくて、みんながこれを守るという意識を持たないかぬ。しかし、守ってもらうためには、スピード規制じゃないですけれども、ちゃんと守れるようなものにしなくちゃいけないというのもありますので、今回こうした法改正をして守ってもらおうとしているわけですが、もしこれでまた問題が起こったら、ぜひとも、別に半年に一回でも構いませんから、道交法改正を逐次やっていただけるように最後にまたお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 私で最後になるわけですけれども、幾つか、この道交法改正、今回のポイントがございます。高齢運転者等専用駐車区間制度の導入、車間距離の保持義務違反に係る法定刑の引き上げ、地域交通安全活動推進委員の活動の追加、高齢運転者標識制度の見直しということが主にあるわけですけれども、このうちの一つである高齢運転者の専用駐車区間、このことについてもう一回確認をしたいと思うわけなんです。

 そもそもこの区間を設けることの理由というのは、先ほどから交通局長からもちらっちらっとは出ておりますが、確認をしなくちゃいけないのは、確かに、気持ち的には、例えば歩行が困難な方すべてが公共施設にアクセスしやすい方がそれはいいわけで、そういう意味ではだれしもが公共施設の近いところで車をとめることが望ましいわけですね。

 ただ、改めて確認しますが、今回の趣旨というのはそういう趣旨のものではないですよね。あくまで高齢者が駐車場を探すことが判断力上困難だからこの制度が考案されたというふうに認識をしておりますが、それでよろしいですか。

佐藤国務大臣 今先生がおっしゃられたように、今回新設することとしている高齢運転者等専用駐車区間の制度ということになりますが、身体機能の低下等が見られる高齢運転者等を支援するため、都道府県公安委員会が専用の駐車区間を設置するということ、そして、この区間については、高齢運転者等に限り駐車を認めようとするものでございます。

 警察庁が先般高齢運転者に対しまして行ったアンケートにおいても、多くの運転者が、日常生活に不可欠な買い物などのために運転をするとか、多くの運転手が、かわりの交通機関がないなどやむを得ず運転をするなどの実態が明らかになったところでございます。これに加えまして、高齢運転者に係る交通事故情勢が極めて厳しいことを踏まえると、身体機能の衰えを感じながらも運転せざるを得ない高齢運転者に対しまして、安全かつ快適な道路交通環境を提供することは大変重要であるというふうに考えておりまして、高齢運転者が容易に駐車スペースを確保できるように支援することとしたものでございます。

 また、高齢運転者の支援に関する検討委員会においての報告書においても、高齢者の安全運転の支援として、高齢者等の運転する自動車のみが駐車することのできる道路区間を設ける制度等を検討することがよいとされておりまして、そういうことも含めて検討させていただきたいと思います。

泉委員 申しわけありませんが、そこはちょっとはっきりしていただかなきゃならないことでして、報告書には、報告書の3の(2)というところにこのことが書いてありまして、「高齢者等の運転する自動車の専用駐車区間の指定」というのが報告書に出ているわけですね。ここに書いてある理由を読むと、「高齢者等は動体視力や、複数のことを同時に行う能力が低下する傾向にあることから、道路上において駐車可能な区間を探すことに困難があり、これが高齢運転者自身や周りの運転者の事故の原因となることも考えられる。 そこで、例えば、」ということでこの案が出てきているんですね。

 もう一回はっきりさせたいんです。要は、先ほど別な委員から質問がありましたけれども、とにかく、こういった高齢者等が歩行も含めてアクセスしやすい方がいいからという意味で支援をするということであれば、先ほどどなたかの委員がおっしゃられましたが、例えば、代理で運転をして、助手席にそういった交通弱者が来た場合は、そういう方々も含んでいかなきゃいけないわけですね。だけれども、先ほど、それはそうではない、今回の制度設計ではそうではないとおっしゃった。あくまで、今回の制度というのは、運転者自身が運転している中で、判断力が低下をして駐車場を選んでいる間に事故になりやすいから、だからこういう制度を導入するという論法だったはずなんですが、もう一回確認をお願いします。

東川政府参考人 今大臣が答弁したことと繰り返しになろうかと思いますが、今先生御指摘のように、これはあくまでも安全運転の支援、高齢者等に対する安全運転の支援でありまして、そういう方たちがなるべく駐車場を探しやすいようにという観点から設置するものでございます。

 ですから、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、身体障害者の方を助手席に乗せていてもそれは対象になりませんとお答えしたところでありまして、また一方で、身体障害者につきましては、これも御質問にございましたけれども、駐車の除外という形での対応をしておりますが、それはあくまでも歩行困難等の方に対する、これは別な観点からの措置ということでございます。

泉委員 実は、私は基本的には交通弱者に対してもちろん優しくありたいと思っておるんですが、今回の制度改正については多少やはり問題をはらんでいると思っております。

 それは、参議院でも多少指摘をされましたが、やはり高齢者、いわゆる今回標章を交付されることが可能な対象者の数、これは非常に多いですよね、約六百万ですか。こういう中で、私たちは、公共施設の前にいわゆる指定駐車場とか専用駐車場ができたとしても、恐らくそんなに多い台数ではないだろうと普通考えるわけですね。これは、駐車場を選ぶのが困難だから、公共施設の前に二、三駐車場を設けました。でも、これが仮にいっぱいになっていれば、どのみち、期待をして来たけれども、逆に、そこにはとめられないということで余計に迷う可能性が恐らく現場では相当出てくるんじゃないかなと思うわけです。

 六百万という有資格者、またこれからどんどん高齢化していく中で、団塊世代が大量にそういった有資格者になったときに、公共施設、福祉施設、そういったところの前に数台分のスペースをつくることで、私は逆にこれは大きな混乱を招くんじゃないのかなと。

 一つは、警察の窓口における交付作業の煩雑さ、これは業務がふえますよね。そして、実際にとめてみようと思って期待をして役所の前に来たけれども、それは当然、いっぱいいろいろな方がそういった標章を持っていれば、とめられている可能性もある。あるわけですよね。あいていればとめやすいけれども。逆に、ここがあいているだろうと思ってそこにとめに来たけれども、逆にそこがとめられなかったことでまた混乱をしたり、あるいは、ではということでそこに後ろに並んでしまったり、いろいろなケースが想定される。

 要は、私が言いたいのは、これだけ母数の多い方々に対して標章制度というものが果たしてふさわしいんだろうかということは実は指摘しなきゃいけないんではないかなと思っているんですね。これだけ多ければ、もうほとんど、一般国民、多数のドライバーの中のかなり有力な部分というか大多数の部分にもなるわけでして、その方々に標章をすべて渡していく、もちろん希望者ではあるにせよ、これは果たして世の中でちゃんと運用され得るんだろうかという危惧を実は持っておるんです。

 そういう意味で、優しくありたいというのは、優しくありたい、お気持ちはわかるんですが、どうも、それと、実際の役所の前、病院の前を皆さん想像していただければと思います、福祉施設の前を。あるいは福祉施設なんかであれば、当然高齢者がいっぱい入居している施設なんですから、高齢者ばかりが利用する。そこに二、三台スペースがあって何の効果が生まれるんだろうかという意味では、だからといって、今からこの法案の中身を改正できるわけではないんですが、私は、やはりこれはちょっと指摘をしておかなくてはいけないなというふうに思っております。

 甘い言葉というか優しい政策ということは常にだれも批判はできませんけれども、しかし、ぜひ、この運用状況をよくよく今後注視していただきたいということをまずお願いしたいというふうに思います。

 その意味ではもう一個確認したいんですが、この検討会の報告、一つ、高齢者のアンケートということが先ほど公安委員長からは紹介がありましたけれども、実際の立法事実、実害、事故件数、そういったものというのは調査はされておりますか。あれば教えていただきたい。

東川政府参考人 報告書の中にもありますように、こういう懸念が、高齢者が探して、そういう事故に遭う危険性が考えられるということでありますので、そういう、駐車場を探している間に事故に遭ったとかというふうな、具体的な個別的なケースについては手元にちょっとございません。

泉委員 そうなんです。実はそうなんですよ。報告書にも「事故の原因となることも考えられる。」そして、こういった制度が「検討されることもよい。」実はこんな書きぶりなんですね。だから、本当に調査をして、実際に役所の前で事故が起こっていて、それが高齢者なのか、実はだれも知らないんです。今そういう状況にあるということなんです。これは、我々委員、改めて全員が共通認識として持って、その意味で、警察庁なりの、あるいは各都道府県警での運用についての状況というものを今後ぜひ聞かせていただきたいというふうに思います。

 ほかにも質問がいっぱいありますので次に行きたいと思いますが、幾つか細かいところですが、やる以上はちゃんとやっていただきたいという思いから質問させていただきます。

 まず一つ。高齢運転者等標章、この返納の場所でございます。これは、資格を失ったり、例えば妊婦さんであれば出産をして少したてば返納しなさい、返納しないと二万円の罰金ですよということになっているわけですが、この返納、これはどこで受け付けてくださるんでしょう。

東川政府参考人 基本的には、これから都道府県公安委員会の方で事実上決めると思いますが、具体的には、一番念頭にありますのは警察署等において実施されるものというふうに承知しております。

泉委員 交通局長あるいは公安委員長、出産が間近のお嬢様がおられるかどうかわかりませんけれども、実は出産というのは、実家に帰って出産をするなんというケースはよくありますね。例えば妊娠数カ月までは若夫婦二人で暮らして、出産間近になったら実家に帰る、こんなケースがございます。もちろん、妊娠をしてからこの交付を受けるわけですね、例えば地元の警察で。そして、その後実家に帰りました。こういうときにどんな運用がされるのか。

 そしてまた、実家で一カ月間ぐらい、やはりちょっとゆっくり出産後落ちつきたいなんという方もおられる中で、実際には、例えば他府県で返納することができたり、あるいは、もっと身近な、警察署ではなくて交番でも返納ができるようになったり、あるいは、交付についても、一度住んでいる場所で受ければ他府県でも利用できるようになったりと、いろいろなことを、やはり利便性を考えていただかなきゃいけない。公安委員長もうなずいていただいております。ぜひその辺の今の見解をお聞かせください。

東川政府参考人 返納場所についてということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、都道府県公安委員会の判断によると思いますけれども、できる限り幅広く返納できる場所を考えたいと思っております。

 ただ、公安委員会が発行するものでありますので、あくまでもその公安委員会に御返納いただくということが前提になろうかというふうに思っております。

 それから、妊婦の方、実家へ帰って御出産をされるということであれば、そのような形でも標章が使えるようにというような形で、車の限定もあわせてございますので、そういうような趣旨も踏まえて、運用について研究をしていきたいというふうに思います。

泉委員 今、車の限定があるとおっしゃられましたけれども、では、例えば出産で実家に帰りますという場合は、手続的にはどういうことになるんですかね。一度地元、今の現住所で交付を受け、現住所で車に乗り、そして実家に帰る場合には、わざわざ妊婦さんは、実家に帰る前に一度その標章を現住所の警察署に返しに行き、そして実家に帰ってからもう一回地元の警察に行き、車の登録をし、そして交付を受け、そしてまた出産が終わったら実家の警察署に標章を返すということでしょうか。

東川政府参考人 妊婦の方が御自身の車でお帰りになって使うのであれば、特に変更するような手続は必要ないと思いますが、そのときに車が変わって、実家のお車を通院とかそういうところにお使いになるということになれば、それは、制度の仕組みとしては、使用する車両とそれから運転者を表示していただくことになりますので、そこが変われば変更になるというふうに思います。

泉委員 使用する車両、これは、一つの標章については一台のみですか、それとも複数書き込むことは可能ですか。

東川政府参考人 日常生活の支援ということですので、仮に複数台使用の実態があるということであれば、それは複数台することも可能であります。

泉委員 とすれば、特に妊婦さんの場合なんかはそういった住所の移動があり得るわけですね。ですので、今の御答弁の段階では、もう一度とり直しをしなければならないというような、公安委員会ごとに発行しますのでということでありますけれども、その辺もぜひ一度御検討いただきたいと思います。建前は公安委員会が発行するわけですが、これは通達なり通知なりで、運用面で何とか配慮をしていただけるものではないのかなというふうに思います。

 だから、妊娠をされた女性が実家に電話をして、お母さん、実家の車のナンバープレート何番というふうに聞いて、それを現住所で交付を受ける際に一緒に書き込めば例えば実家でも使えるようにするだとか、やはりちょっとそういった利便性を考えていただかないと、せっかくの制度が、特に妊婦さんなんというのは短期間しか使いませんので、そういうことを考えると、その短期間のために二回も三回も警察署に行って手続をするというのはちょっと非現実的ではないかなというふうに思います。

 そしてまた、やはり、これまた警察署だって、駐車場、私も地元の警察署へ行きますけれども、余り台数ないですよね。特に一般車両がとめられる、警察署における車の台数というのはさほど多くはありません。十台以上あるところなんというのは珍しいと私は思います。そういう意味で、先ほど言ったように、六百万人の高齢者の方々プラス妊婦さんという方々が警察署の方に手続に来る。交付だけはともかく、返納にも来るということになるときに、では警察の前にも駐車場をもっとつくってくださいねなんという要望がいっぱい出てくる可能性が私はあると思います。そういったことからも、交番でも返すことができるだとか、そういったことはぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。

 次です。高齢者等専用の時間制限の駐車区間、ございますね。これはたしか、地域によってばらばらなんでしょうけれども、料金を取る時間帯があるものと料金を取らない時間帯のものというものもありますし、二十四時間ずっと料金を取るものがあるのか、ちょっと私は存じ上げないわけですが、これは、一度その区間指定をされると、二十四時間ずっとその状態で指定をされて、二十四時間ずっと高齢者等しかとめられない状態になるということなんでしょうか。

東川政府参考人 時間制限駐車区間につきましては、短時間の駐車需要に応ずるための区間であるということでありますので、現行でも、そのような需要のため、昼間の時間帯のみパーキングメーター等を作動させていることが通常でありまして、終日時間制限駐車区間としている例はないというふうに思います。

 今回の改正により、高齢運転者の専用の時間制限駐車区間を設けることが法制上可能になりますけれども、これも現在の運用と同様になるというふうに考えております。

泉委員 恐らく高齢者等の方々が終日車を、夜中もずっとこういった場所にとめておくことはまず考えられないということがありますので、そこも運用でしっかりとやっていただければと思います。

 さらに、利便性ということできょうは質問させていただいておりますけれども、申請あるいは返納、先ほど言いましたように、非常に警察署に来られる来訪者の方が私は激増をするというふうに思っておりまして、現場の警察官というか現場の窓口の方々も大変な思いをされるんではないのかなと思いますが、今現在、例えばそういった窓口体制の強化だとか、何か考えられていることはございますか。

東川政府参考人 現在において、特に各都道府県の窓口の体制等の強化について指示をしているということはございません。

 ただ、先ほど申し上げましたように、申し上げますけれども、専用駐車区間がどこにあるか、あるいはだれが使えるか、どの程度あるかということはやはり十分に事前に周知しておくことが必要だろうと思います。それが、混乱を避ける意味でも、あるいは、申請に来られる方が、あそこはよく使うから、では申請しようかということになろうかと思いますので、まずその事前の十分な周知をしておくことによっていろいろな混乱が回避できると思いますし、申請に来られる方も、そういう場所が特定して、県内でこことここですということであれば、それを利用するか利用しないか、それで申請するかしないかということも決まると思いますので、全員の方が申請するということにならないと思います。

 いずれにしても、混乱することのないように、先生御懸念の混乱については事前の広報、周知ということで十分対応していきたいと思いますし、必要であれば体制も強化していく必要があるというふうに思います。

泉委員 実はそこが非常に重要な観点だと私も思うんですね。

 やはりこういった制度が始まるということになると、どうしても、新たなサービスが始まる、何か特典があるのではないかという意識を持たれる方が、制度はちょっと違いますけれども、障害者の標章のものでも、先ほどから御指摘があるように、偽造があったりとかする。そこにはメリットがあるというふうに、皆さんがどう思うかではなく、一般国民がこういった標章制度というものについて非常にメリットを想像してしまうということを認識しなくてはいけない。だから、そういった意味で、正確にというか、ちゃんとした広報が私は非常に大事ではないかなと思っていまして、変な話ですが、さほどメリットはありませんよというか、限定的な、局長おっしゃったように、ここで使うものですよということを明らかにしていただく。

 ただ、ちらちらっと皆さんのお話を聞いていると、民間事業者にも、そういった、なるべく高齢者等が優遇されるような駐車場を普及させていくべきだみたいな話も一方ではあるものですから、ちょっとなかなか整理が難しいところなんですけれども、ぜひそこが、窓口が混乱しないように、現場の警察署員の皆さんも大変心配をしております。このことも指摘をさせていただきたいと思います。

 さらに言うと、七十歳以上の方、妊婦さんはちょっと別にしまして、七十歳以上の方は明確に本人確認ができるというか、その方が有資格者かどうかというのは判断できますよね。そういった意味では、例えば、警察署だけでの交付ではなくて、運転免許試験場での交付だとか、あるいは地元の敬老会、こういったものはすべてがある種対象者なわけでして、そういったところに出張窓口みたいなものをつくって、その場で申請を受けるようなことも、私は不可能ではないと思うんですね。警察署そのものにわざわざ車で来ていただいて、駐車場が少ない警察署に来ていただいてということだけではなくて、場合によっては、そういった出張受け付け、出張交付、これは恐らく、交付も、そんなに何日もかけないと交付できませんというものではないような気がするわけです。

 これは即日交付ができるのかどうかが一点、そして、そういった出張交付ができるかどうか、この二点、確認お願いします。

東川政府参考人 まず第一点の御質問ですが、いろいろなところで申請をできるようにということでございますが、先ほど申し上げましたように、基本的に都道府県の公安委員会がどういうところで受け付けるかというのは最終的に決めるということになりますし、基本的には警察署に来ていただいて、本人確認と不正利用の防止というのも一方でありますので、それをどうやって担保していくか、それを踏まえて、そういうたくさん集まる場所にそういうニーズがあれば、各都道府県の実情に応じてやっていくべきものだというふうに考えております。

 それから、即日交付につきましては、これも業務量との関係がございますので、一律に否定するものではないと思いますが、いずれにしても、業務がどういうふうにやれるかというのはこれからの検討課題でございますので、その中で検討していきたいと思います。

泉委員 これからの検討課題ということで、この委員会審議の場ではこれ以上は踏み込めないかもしれませんが、案としては、今言ったように敬老会だとか、今回の法案でも出てきます推進委員がありますね、こういった推進委員の方々が今後高齢者を対象にした教室を開かれていくということですから、まさにそういったところで申請する人はしてくださいねということも一つの方法でしょう。

 あるいは、大型ショッピングセンター、この大型ショッピングセンターなんかにはたくさんのお客さんが週末来られる。今や、実は期日前投票なんかも大型ショッピングセンターでやるなんというケースも出てきているんですね。それぐらいにいろいろな運用のされ方がされていますので、そういう、人の集まるところで、本人確認というのは警察署でやったって外でやったって、顔を見て、免許証を見て、年齢を見て、あなたですね、これは同じことですから、どこでやったってこれは一緒なわけですね。

 ですから、警察署の中でわざわざ、プラスチックの板がここだけ開いた形の窓口でやる話では私はないんじゃないのかなというふうに思いますので、公安委員長もうなずいていただいております。御地元で一番先にやっていただいても結構でございますので、ぜひそういったこともお考えをいただきたいというふうに思います。

 次に、交通安全活動推進委員でございます。現在の全国の推進委員の数、そして、大体一人の委員さんの平均の年間活動日数、そして、名誉職というふうに法律では書いてありますが、報酬や手当はどうなっているか、これをお願いします。

東川政府参考人 二十年四月時点での都道府県警察からの報告でございますと、数は一万九千百三十五人の方が地域交通安全活動推進委員として委嘱されております。

 その活動状況について、例えば、地域交通安全活動推進委員により行われました平成十九年度の交通安全教育で見ますと、実施回数が約四万二千回、受講者数が二百十三万人ということでございます。各回の地域交通安全活動推進委員の従事者数がさまざまでありまして、一人当たりの年間の平均活動日数を把握することは困難でございます。

 また、先生御指摘のように、地域交通安全活動推進委員の報酬につきましては、道路交通法の百八条の二十九の第四項におきまして「名誉職とする。」というふうに定めておりまして、報酬は支給されておりません。ただ、活動に必要な交通費等の実費については支給されている地域が多いものというふうに承知しております。

泉委員 地域によってばらつきがあるということなんでしょうか。はい。

 そういう中で、きょうは内閣府からもお越しいただいておりますが、実は我々、すべての委員かどうかはわかりませんけれども、やはりずっとこの間の政府の交通安全対策を見てきておりまして、非常に効果を上げていることには、これはもう手放しで評価をさせていただいています。大変すばらしいことだと思います。

 一方で、内閣府が取り組む交通安全運動と警察庁が取り組む交通安全運動と、いつまでもなかなか一緒という感じがしない。もちろん、国民運動としての交通安全運動というのは大変重要だとは思うんですが、例えば交通死亡事故ゼロの日とかも、余り現場の警察官のことを考えられていないような日程の設定のされ方があったりですとか、過去指摘をしたことがありました。あるいは、きょうも例えば、野田大臣、交通安全担当でありますけれども法案担当者ではないということであったりとか、きょうみたいなものはささいな話かもしれませんが、あるいは、この推進委員が時にいわゆる春の交通安全運動だとか秋の交通安全運動という中で活動していく中で、結局は内閣府の活動なのか警察庁の活動なのかというのは現場にとってはどうでもいい話ですが、二つ存在しているということは何の意味があるのかなという気がしてなりません。

 内閣府にちょっと御質問したいんですが、これは、交通安全活動推進委員をこういった内閣府の運動の中で使われることがあるのかどうか、そして、内閣府がこの交通安全運動に取り組んでいる意味、これを教えてください。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問では、内閣府の取り組む交通安全運動、それから警察庁なり都道府県県警以下の、国家公安委員会のラインの取り組む交通安全運動、これが別々のものというような御指摘がございましたが、私ども政府といたしましてはまさに一体としてやっておりまして、今推進委員の方々も、我々の、政府としての交通安全運動の中でそれぞれ御活躍をいただいているということで、先ほどゼロの日の御指摘がございましたけれども、そんなことはなくて、私ども、本当に警察庁と一体となってしっかり運動しておりますので、よろしく御理解のほどお願いいたします。

泉委員 一体であるならば大臣が二人いる必要もないのかなということを御指摘申し上げたいと思います。

 そして、道交法では、例えば全日本交通安全協会がセンターとして指定をされているんですか、そういう枠組みになっておりますけれども、こういった全国交通安全活動推進に当たって、今やもう情報化の時代です。インターネットでいろいろな情報も各県の先進事例も全部見ることができるわけですので、私は、必ずしも全国組織というものは、もう必要性は薄いんではないかなというふうに感じております。そういった意味で、それもまた御指摘をさせていただきたいと思います。

 ということで、きょう幾つか指摘をさせていただきました。今後運用される中で、ぜひ現実的に現場をよく見ていただいて、その上で通知なりをしっかり出していただきたいと思いますし、我々もこれからまた注視をしていきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

    ―――――――――――――

渡辺委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、加藤勝信君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。泉健太君。

泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 現在取りまとめが行われている「高齢運転者支援のための重点施策」に掲げられた施策を速やかに実施するとともに、高齢者、障害者、妊婦等社会的配慮が必要な者に対する交通支援施策を引き続き検討し、その充実に努めること。

 二 高齢運転者標識制度については、これまでの議論を踏まえ、罰則の廃止や標識の様式の見直しを含め、改めて検討を加えること。また、聴覚障害者が普通自動車を運転する際の標識の表示義務については、引き続き、関係者の意見を十分聴取しつつ検討を進め、必要に応じ見直しを行うこと。

 三 高齢運転者等専用駐車区間制度の対象者を定める政令の制定に当たっては、関係者の意見を十分聴取しつつ、妊婦等自動車による安全かつ円滑な移動を支援するため特に配慮が必要のある者を的確に定めること。高齢運転者等専用駐車区間の設置に当たっては、対象者のニーズ、当該道路の交通事情等を踏まえつつ、地域住民の理解を得ながら、着実な整備に努めるとともに、その運用に当たっては、高齢者、障害者、妊婦等を支援する本制度の趣旨を対象者と国民に周知徹底し、制度の円滑な実施に努めること。

 四 聴覚障害者に対する普通自動車免許の付与条件の妥当性について引き続き検討を行うとともに、原動機付き自転車等、運転することができる自動車の種類の拡大について調査・検討を行うこと。検討に当たっては、諸外国の状況にも配意するとともに、聴覚障害者団体との意見交換を実施すること。

 五 身体機能の低下を自覚するなど運転に不安を持つ高齢者の自主的な運転免許証の返納を促すため、運転免許証を返納した高齢者の移動手段の確保など必要な措置を講ずること。

 六 車間距離制御装置や運行関連情報提供装置など、運転者の安全に資する技術の研究開発を支援すること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤国家公安委員会委員長。

佐藤国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


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