衆議院

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第17号 平成21年7月8日(水曜日)

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平成二十一年七月八日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 渡辺 具能君

   理事 加藤 勝信君 理事 渡海紀三朗君

   理事 西村 明宏君 理事 平井たくや君

   理事 平田 耕一君 理事 泉  健太君

   理事 大畠 章宏君 理事 田端 正広君

      あかま二郎君    赤澤 亮正君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      大高 松男君    大塚  拓君

      岡本 芳郎君    河本 三郎君

      佐藤  錬君    徳田  毅君

      長島 忠美君    並木 正芳君

      西本 勝子君    馬渡 龍治君

      松浪 健太君    市村浩一郎君

      大島  敦君    吉良 州司君

      楠田 大蔵君    西村智奈美君

      平岡 秀夫君    松野 頼久君

      松本 剛明君    池坊 保子君

      高木美智代君    吉井 英勝君

      保坂 展人君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 林  幹雄君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   林  芳正君

   国務大臣         甘利  明君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   外務大臣政務官      柴山 昌彦君

   政府参考人

   (内閣官房消費者行政一元化準備室長)       松山 健士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   松元  崇君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 滝本 純生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 西川 正郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 湯元 健治君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房消費者庁・消費者委員会設立準備室室長)          田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   藤田 明博君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        青山  伸君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    金高 雅仁君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         宮本 和夫君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    東川  一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     武内 信博君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 甲斐 行夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 栄二君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   佐野 利男君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 田中 一穂君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          野家  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸田 修一君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           立岡 恒良君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           広瀬  輝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         松谷 春敏君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            鈴木 篤之君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月八日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     西本 勝子君

  重野 安正君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     猪口 邦子君

  保坂 展人君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     木原 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

 内閣の重要政策に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房消費者行政一元化準備室長松山健士君、内閣府大臣官房長松元崇君、大臣官房審議官梅溪健児君、滝本純生君、西川正郎君、湯元健治君、大臣官房消費者庁・消費者委員会設立準備室室長田中孝文君、政策統括官藤田明博君、原子力安全委員会事務局長青山伸君、警察庁長官官房長米田壯君、生活安全局長巽高英君、刑事局長金高雅仁君、刑事局組織犯罪対策部長宮本和夫君、交通局長東川一君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君、法務省大臣官房審議官甲斐行夫君、外務省大臣官房参事官山本栄二君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長佐野利男君、財務省大臣官房審議官田中一穂君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官野家彰君、厚生労働省大臣官房審議官岸田修一君、経済産業省製造産業局次長立岡恒良君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、国土交通省大臣官房審議官広瀬輝君、大臣官房技術審議官松谷春敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 きょうは、林幹雄国務大臣、そして林芳正国務大臣が新たに大臣に御就任されましたので、さきに両大臣の所信的ごあいさつをいただいたところでありますが、このごあいさつに関連して幾つか質問をさせていただきます。

 両大臣におかれましては、御就任おめでとうございますと言うところでございますが、この国難の折でありますから、大変な期待もあるわけでありますし、また、その国難に対して十分に力を発揮していただかなければなりません。一部には、来週にも解散か、こういうお話もある中でありますが、今日、国会は七月の二十八日までを会期としておりますので、その間、解散の瞬間まで、全力で国民の期待にこたえるというのが私たちの使命でありますから、ぜひ、両大臣におかれましても、心してこの国民の期待にこたえるべく努力をしていただきたいということを冒頭にお願いしておきます。

 さて、そういう状況でありますが、それぞれの大臣にそれぞれの所管に関する質問をしたいとは思いますが、最初に、残念ながら、林幹雄大臣におかれましては、さまざまな指摘がちまたでされております。国家公安委員長ですから、全国の警察権力のトップと言っても過言ではないんですが、その国家公安委員長に対して、事実かどうかはまだ定かでございませんけれども、七月の三日、西松建設の元社長について、林氏が代表を務める自民党千葉県第十選挙区支部などにダミー団体名義で献金したとして、政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に告発状を出した、こういうことがマスコミで報道されておりますけれども、このことが事実なのかどうかということをまずお伺いしたいと思います。

林(幹)国務大臣 政治資金規正法にのっとって収支報告記載のとおりでありまして、御指摘の政治団体からの政治献金がありましたので、法にのっとりまして報告書に記載しているところであります。何ら違法な点はないと事務所から聞いておるところであります。

大畠委員 非常に簡単明瞭にお答えになりましたけれども、私も随分、警察行政についてはいろいろと携わってまいりました。国家公安委員長が国民にとっては頼りなんです。警察の問題あるいはさまざまな問題の、とにかく、全国の警察、二十五万七千人ぐらいおるんですか、そこを全部所管する大臣なんですね。その大臣に対してこういう疑義がある。

 まさに李下に冠を正さずという意味では、本当に国家公安委員長をお受けするという決意を持ってされたんだとは思うんですけれども、やはりこういう告発をされると、この事実関係をきちっとしなければなりませんが、本来であれば、こういう状況においてはお受けになることを辞退された方がよかったんじゃないかという感じも私はするんです。もしも私がこういう状況だったら、やはり、いろいろ評価していただいているのは大変ありがたいけれども、こういう事案等も出ているので、大変名誉なことでありますが今回は御辞退申し上げます、こういうのが素直な行動ではないかという感じもいたします。

 それから、今お話がさらっとございましたが、今、いろいろとこういう問題については……(発言する者あり)

渡辺委員長 静粛に。静粛に願います。

大畠委員 説明責任というのがよく言われますね。今の御答弁で説明責任は果たしたと考えておられますか。

林(幹)国務大臣 この件に関しまして、適切に、的確に法にのっとって届け出をし、処理をしているわけでありますけれども、たまたま、小沢前代表の秘書の逮捕、起訴の件でいろいろ取りざたされた中で、この団体がダミーではないかというふうに取りざたされました。

 それを受けまして、私の方としては何ら法的に問題はないと思っておりましたけれども、自民党の法曹団と協議いたしまして、道義的な見地から返却をしたいというふうに進めておったんですが、なかなか、当団体はもう解散されておりますし、まだ確定されていないということもありまして、法曹団に預かってもらっておって、今後の対応方を進めているというところでございます。

大畠委員 とにかく、こういう種類の、いわゆる公職選挙法違反ですとか、あるいは法律問題について疑義を持たれる、私たち政治家は常にそれは意識してやらなきゃならないわけですが、特に国家公安委員長というのは、そういう意味ではほかの大臣とはまた一段と違うポジションなんですね。ですから、少なくとも、こういう週刊誌でさまざまな、身体検査云々ということが取りざたされるようなときには、自由民主党は、与党さんは三百人を超える国会議員がいるんですから、何も林さんがお受けにならなくても私はよかったのではないかという感じすら、ちょっと残念なことでございますけれども、そんな感じも受けました。

 いずれにしても、きょうの委員会の中で同僚議員からも、大臣もたくさん答弁書を準備されておられるようですが、同様の、同種の質問があるかもしれませんが、真摯にお答えをいただきますようにお願いをしておきます。

 それでは、両大臣に質問をさせていただきます。

 まず、林芳正国務大臣に、経済財政担当大臣になられたということでありまして、これまた、国難の折、大変大事なポジションにつかれましたので、与謝野大臣も一生懸命頑張っておられましたけれども、ぜひ全力での活動を期待するところであります。

 そこで、所信的ごあいさつの中にもいろいろございましたけれども、現在の日本経済の状況というものをどういうふうに見ておられるのか。それから、中小企業にとっては、これからどうなんだろうかということが非常によくわからなくなってきておりまして、金融をする立場からも、しづらいという声もあるので、この際は、過去に経済問題について、桜の咲くころはよくなるでしょうという迷言を残した大臣もおられましたけれども、的確な、具体的な見通し等も含めてお伺いしたいと思います。

林(芳)国務大臣 お答えを申し上げます。

 大畠委員からは、冒頭、解散のあるまで、その日まで全力を尽くしてやっていくんだというお話がありまして、我々も同じ気持ちで、在任がどれぐらいになるかわかりませんけれども、しっかりとやっていきたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 そこで、基本的なことでございますが、日本経済の現状と見通しということでございました。

 我が国の景気は、雇用情勢、これは遅行指標と言われておりますので、ショックの後に出てくる性格があるということもあると思いますが、これの悪化がまだ続いておるというようなことなどもあって、厳しい状況が続いておるということでありますけれども、生産とか一部の指標で持ち直しの動きが見られているというふうに認識をしております。

 今後の見通しでございますが、経済危機対策を含む景気対策を累次打ってまいりまして、これを着実に実施していくということを通じて、底割れが回避をされて、そして、先行きは緩やかに持ち直していくことが期待をされるというふうに思っております。

 二十一年度、七月一日に内閣府の試算でマイナス三・三というGDPを出しましたけれども、同日に、これは経済財政諮問会議の有識者議員の提出の資料でございますが、二十二年度の想定としてはプラスの〇・六%の実質GDPの成長というものを想定しておるということでございまして、こういう基本的な想定の中で、申し上げましたように、雇用の大幅な調整とか物価の下押し圧力によるデフレ懸念、また世界の景気後退長期化のおそれといったような、下に引っ張る、いわゆる下振れリスクが存在するということに留意しながら、慎重に運営をしてまいりたいと思っております。

大畠委員 今、慎重にいろいろと仕事をしてまいりたいというお話でございますけれども、経済産業省にも私は申し上げているんですが、みんな経済の先行きというのはリスクがあるんですよね。先ほど申し上げたように、桜の咲くころはよくなるでしょうなんというのは、余りにも無責任な話じゃなかったかなと思うんです。

 具体的に、自動車関係でも、プリウスというものは二十万台近い受注を抱えて、納車が六カ月、七カ月先になっているという話も聞いておりますが、いずれにしても、今の地域の中小企業からすれば、いわゆるかんばん方式という生産方式があるんですけれども、つくるときにだけ持ってこいと。これは確かに効率的なんですけれども、このように減産のときには部品工場は全部とまっちゃうんですよね。それで、零細企業も含めて部品工場が困っているんですけれども、こういうのは、部品というのはそんなに大きな価格ではないので、今までメーカーも部品工場に世話になったので、少し先行してつくっておいてくれないか、とっておいてほしいということもできないことはないと思うんだよね。

 したがって、大臣におかれましては、経済産業省とも連絡をとりながら、具体的な見通しというものを出しながら、そして、それをベースに中小企業が金融機関からお金を借りられる、そういうメッセージを出すように努めていただきたいと私は感じております。

 それから、経済産業省もきょう来ていると思うんですけれども、五日の日に「官僚たちの夏」という、民放でテレビの番組が放映されました。今度の十二日もあるそうですが、私も城山三郎さんの「官僚たちの夏」という本は読んで大変感銘を受けまして、今いろいろ言われている官僚の問題とは裏腹に、昭和三十年代、あすの日本をどう築くかというので非常に熱心に行動していた官僚たちの姿が映し出されているんです。

 あの当時は、自動車を国産することによって一台当たり四万点の部品をつくる、だから中小企業も含めて仕事ができるんだという方針を示したわけですけれども、今は、余りにも今度は輸出に依存し過ぎた日本の構造になって、これが裏目に出ているわけです。

 経済産業省として、この「官僚たちの夏」に映し出されている官僚にかわって、今度はどうやったら安定的な生産体制、日本の構造になるかということをそろそろ打ち出すべきだと考えておりますけれども、経済産業省としてどのような考えを持っているのか、ちょっと関連してお伺いしたいと思います。

立岡政府参考人 「官僚たちの夏」を引きながらの御質問をいただきました。私は週末のテレビの放映は見ておりませんけれども、私の周りには、城山三郎の原作を読んで、それで国の機関で働くことを動機づけられた人間が多くおりますし、私もその一人でございます。

 そういった中で、物づくり産業の今をどう考え、今後をどう展望するのかという御質問かと思います。

 経済全般の状況は、今林大臣からお答えがあったとおりでございますけれども、御案内のとおり、昨年後半からことしの第一・四半期まで、需要の減退、それから在庫調整ということで生産活動が急速に収縮いたしまして、ある意味では今非常に厳しい状態にあると思っております。

 そういう意味で、今講じております経済対策を通じた内需拡大、それから他方で、やはり貿易立国である我が国としては、外需についてもバランスのとれた格好でそれをねらっていくということをすることが必要ではないかと思います。

 自動車産業の輸出というものにこれまで我が国の成長の相当部分を依存してきた、あるいは牽引してもらってきたということは事実でございますけれども、製造業の工業出荷額で見ますと二割でございますし、それから日本には、素材、部材、それから機械とか、幅広い産業群があるわけでございます。そして、エネルギー制約とか少子化とか、日本のみならず世界が直面する課題もあるわけですから、そういった課題に対応するための新しいいろいろな芽もあるわけでございまして、次世代自動車だけじゃなくて、太陽光パネル、あるいは介護用ロボットとか、次の時代の制約要因をブレークするようなそういう新しい芽を国内で育てて、それを世界に発信していくということも一つの大事な今後の仕事だと思っております。

 それから同時に、そういう次世代の分野だけではなくて、今後、世界をにらみますと、新興国である意味では中間所得層がふえていくわけでございます。そういった意味で、そういうボリュームゾーンをねらったような産業活動の対応面も必要だと思っておりまして、そういう国内、国外、それから製品群、産業群といったさまざまな形でバランスのとれた形で物づくり産業が発展していくということの基盤づくりに私どもとしても取り組んでいかなきゃならないというふうに考えております。

大畠委員 官僚の諸先輩方が、戦後の混乱期の中で、どうやったらみんなが食っていけるか、こういうことを真剣に考えて一つの指針を出しましたから、皆さんも、戦後六十四年たった今日、確かに諸先輩方の努力でここまで来ましたけれども、これからの日本の姿というものを想定して、やはり一つの青写真を国民に示すということが必要なんだと思うんです。これまでの流れだけでは展望ができないですね。ですから、そこら辺は、この「官僚たちの夏」にも示されている官僚の魂をぜひ受け継いで頑張っていただきたいと思います。

 ちょっと関連しますが、実は大臣、各省庁が、私もちょっとあるところへ行ったんですが、夜八時になったら冷暖房をとめられるというのは知っていましたか。

林(芳)国務大臣 私、今回来たばかりでございますので、八時を過ぎて役所に残ったということはありませんが、何か、クーラーがとまっちゃってちょっと暑苦しいというのを人伝えには聞いたことはございますが、クールビズの一環でやっているのか何なのか、ちょっと今、確たるあれはございません。

大畠委員 実は、これはずっと昔からやっているというんですよ。夜八時になったら暑いだろうが寒いだろうが冷暖房を切っちゃう、これは慣習になっているというんだね。私も、入社したころは冷暖房がありませんでした。だから、工場で、設計室で、正直なところ、暑さしのぎに、大体想像がつくような姿で残業をやっていましたね。しかし、今でも経済産業省も含めて全省庁で八時になったら冷暖房がとめられるというのは、決して省エネとかなんとかという話じゃないと思う。

 だから、どんな理由で八時になったら全省庁で真冬でも真夏でも冷暖房をとめてしまうのか、それはちょっと検討してもらいたいと思いますし、一つ考えるのであれば、今、二十八度というのが言われていますから、外気温が二十八度以上の場合には冷房をつけていい、二十八度以下になったら切るというのは一つの考え方ですね。これが、熱帯夜なんという、一晩じゅう三十度以上の気温のときもありますから、このときも含めて一律に冷房をとめてしまうというのは、平成二十一年、今おっしゃったように、これからどうするかということを官僚だって一生懸命考えているんですから、その職員の人が慣習に従って、真冬も真夏も夜八時を過ぎたら冷暖房をとめられるというあしき、理屈なき慣習というのは改めるべきだと私は考えております。

 大臣も今度、八時以降、ちょっと大臣室に行ってみてください。多分、冷房はとまっていますよ。多分、職場が冷房をとめられて、大臣室だけ冷房を入れているということはないと思いますね。したがって、今度、今晩でも、八時ぐらい、八時半ぐらいにちょっと大臣室に行ってみてください。私は非効率だと思いますよ。だから、経済財政担当大臣として、これは仕事の効率を上げる意味からも、なぜ八時以降冷暖房をとめているんだと。

 理屈としては、私は無理やりやれば、二十八度以下だったらとめてもいいけれども、二十八度以上が続くようであればやはり冷房を使うべきじゃないかということをぜひ検討していただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。

林(芳)国務大臣 官房長が来ておりますので、どういう理由でどうなっているのかという事務的な話は後で御要望があればさせますが、私も昭和五十九年に三井物産というところへ入社しまして、委員はたしか日立だったというふうに了解させていただいておりますが、同じような格好で夜残業していたんじゃないかなと思いながら聞いておりました。

 ですから、今後ろで聞いている官僚諸君は大変ありがたい言葉だというふうに受けとめておると思いますが、どういう理由でそういうふうになっているのか。また、率先垂範して政府がやっていかなきゃいけない、こういうこともあると思いますけれども、おっしゃられたようなことは、行革担当大臣か総務大臣か官房長官かわかりませんけれども、こういう御指摘があったということを伝えておきたい、こういうふうに思います。

松元政府参考人 お答えいたします。

 霞が関の各府庁の冷暖房につきましては、大臣からクールビズというお話をいたしましたが、省エネルギー対策という観点から、ただいまもございました、夏は二十八度、冬は十九度をめどとして適切に調整するとしているところでございます。

 ただ、こういった省エネルギーの観点のほか、ただいまも御指摘ございましたが、職員の健康、事務能率、この増進、それとコスト面での効率化、各庁舎の空調設備の機能、これは一斉空調できるところと、あと、個別空調できるところがございます。そういったさまざまな要素を考慮いたしまして、実務的には、庁舎管理を担当する者の判断によりまして、必要に応じて勤務時間外にも運転を行っておるというところでございます。

 例えば内閣府本府庁舎の場合には、設備の機能上、一斉空調でございますので、事務室ごとの個別空調というのは行えませんが、勤務時間中の運転のほかに、概算要求作業中、こういった時期には、夜の八時ではなくて実は七時まで、十九時まで運転を行うということにいたしております。また、組閣などによりまして全省庁的に超過勤務が発生する場合には、これは状況に応じまして運転時間を延長するといったこと、あるいは、特定時期に恒常的に超過勤務が発生をいたします場合には、実は個別の空調設備を整えておる会議室といったようなものもございますので、これを事務室として活用する、そういった工夫もさせていただいておるところでございます。

 いずれにいたしましても、内閣府本府庁舎以外の庁舎も、いろいろな庁舎がございます。それぞれの庁舎におきまして、職員の勤務状況に応じた運転を適宜行っているところでございまして、職員の健康、事務能率に支障を来さないという点にも配慮しつつ、適切な運営に努めているところでございます。

大畠委員 松元さんから非常に理路整然とお話しをいただきましたが、正直言って、平成二十一年度になって、全国調べてみてください、省エネの観点から八時とか七時で切っていますと言うけれども、夜は電気は余っているんですよ。だから、省エネだったら昼間やればいいんですね。夜八時になってから切るのが省エネですというのは、どうも私はよく理解できませんね。あくまでもこれは慣習としてやっているとしか理解できません。

 ぜひ、もうちょっとそこら辺、松元さんも、私は前から存じ上げていますが、よきものは継続をし、問題があるところは改めるということで、決して理路整然とした答弁をするだけじゃなくて、全省庁の職員の人の奮起も醸し出すようなことをぜひ頑張っていただきたい。「官僚たちの夏」だって、あの当時、みんな暑いところやっていましたよ、確かに。あの当時はなかったんです、そういうのが。だから、心に熱いものを持つことはいいけれども、環境だけは、仕事をしやすい環境をつくるように御努力をいただきたいと考えております。

 さて、林国家公安委員長にもお伺いしたいと思うんです。それは何かというと、警察行政の、まさに、言ってみますと総責任者なんですね。その警察というのはどういうことかというと、私もいろいろ調べさせてもらいましたが、実際の警察業務というのは都道府県の警察本部がやっているんですね。警察庁から都道府県本部の本部長に行かれる方もいるし、でも、実際上は地域の人が頑張っているんです。その警察官も、正直言って、今は疲労こんぱいしている。例えば、先日も、十三歳の少年がお父さんを殺したとか、きのうでしょうか、おとといでしょうか。それから、パチンコ屋さんでガソリンをまいて、四人の方が亡くなられましたけれども、この時代的背景は何か。競争主義をあおって、結局、仕事がない、あるいはお金がない、あのパチンコ店での事件を起こした犯人からの供述によるとそういうことが言われているんですが、これに対応する警察官も大変なんですね。

 私は、警察官だけでなく、OBとか市民の方々の協力を求めて、すそ野を広げて、犯罪を防止するという意味からそういう連携をとるような、全体的な警察体制というものを整えることが必要だと思いますし、警察内部の犯罪等については、これをどうするか、ここのところもきちっとしなければならないと思うんですが、今度、国家公安委員長として、御自分の疑惑の問題はこっちにちょっと置いておきまして、警察行政全般についてどのようなビジョンをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。

林(幹)国務大臣 まず、自分のビジョンとしては、世界一安全な国日本、この復活を目指して治安を取り戻したいということで取り組んでいきたいと思っております。

 大畠先生の警察に対する理解は本当にありがたく思うし、同感でありますし、今御指摘のありました、安心、安全な社会を実現するためには、国民一人一人が積極的に地域の安全確保のための取り組みに参加するということが必要であるだろうというふうに考えておりまして、警察では、退職警察職員を交番相談員やスクールサポーターなどとして活用して、防犯指導や児童の安全確保等に従事させているほか、地域住民に対しても、犯罪情報の提供やら防犯パトロールへの参加の呼びかけを行っているところでございます。こういったような活動によりまして、防犯ボランティア団体の数、今もう四万団体を超しましたけれども、年々増加しておりまして、その活動もますます積極的になっているところでございます。

 今後とも、このような取り組みを通じまして、国民の、自分たちの町は自分で守るというような自主防犯意識を高めまして、官民一体となって防犯に強い地域社会づくりを進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

大畠委員 もう一問、原子力に関しても御質問申し上げようと思ったわけですが、もうジェー・シー・オー事故から今度の九月の三十日で丸十年が過ぎようとしているところでありますが、ぜひ原子力の安全の体制の強化のために御尽力いただきますよう要請をいたしまして、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 両林大臣におかれましては、このタイミングでの大臣御就任、おめでとうございますというか、御苦労さまでございます。特に、林芳正大臣におかれては、山口県の中では、私も山口県ですけれども、安倍総理の後は林さんだという声が非常に高うございますので、県民の期待も大いにあるところでございます。ということで、ぜひ期待にこたえられるような仕事をしていただきたいと思いますし、国民の目線に立った政治も目指していただきたいというふうに思います。そういう意味では、ちょっときょうは耳ざわりな質問があるかもしれませんけれども、その点は御容赦をいただきたいというふうに思います。

 最初に、経済財政政策に関連してお話を伺いたいと思いますけれども、せんだって、経済財政改革の基本方針二〇〇九というのが出されました。三年前に、小泉内閣の置き土産という形で、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六というのが出たわけでありますけれども、それから内閣が三代、三代といっても三年ですけれども、たって、一体、この基本方針二〇〇六と基本方針二〇〇九というのは基本的にどういう点が異なってきているのか、このことについて、異なっている点とその異なった理由について、林芳正大臣の方からお答えいただきたいと思います。

林(芳)国務大臣 同じ長州の平岡先生から温かいエールをいただきまして、本当にありがとうございました。

 基本方針二〇〇九と基本方針二〇〇六、異なる点は何か、こういう御質問でございましたが、基本方針は、御案内のように、その時々の経済財政状況とか社会情勢に応じて内閣が取り組むべき重要な経済財政政策の指針を示す、こういう性格の文書でございます。

 この二〇〇九は、御案内のように、世界の同時不況と資源環境制約の高まり、また少子高齢化、格差の拡大傾向、財政悪化といったような内外の難局が押し寄せる中で、経済の危機と社会の危機というものを一体的にとらえて、安心、活力、責任というものの三つの目標を同時に達成するための道筋を示す、こういうことでございます。それぞれ、活力、安心、責任についていろいろと記述をしておりますが、時間があれば後でまた御説明いたします。

 一方、二〇〇六は、あのときの状況を思い出していただきますと、長期の停滞のトンネルを抜け出して、ようやく未来への明るい展望を持てる状況となったという状況だったと思いますが、その中で、一つ目に成長力と競争力の強化、それから二番目に財政健全化、そして三番目に安全、安心で柔軟かつ多様な社会の実現、この三つの優先課題への取り組みを提示したというものでございます。

 それぞれまた、書きぶりは書いてございますけれども、大まかに言うとそういうことでございます。

平岡委員 経済の状況が三年前と比べて大きく違ってきた、そういう事情もあるんだろうとは思いますけれども、中身は、いろいろ見てみますと、ちょっと気になる表現が幾つかあるということで、その点でちょっと基本方針二〇〇九についてお伺いしたいと思います。

 二〇〇九の中にこういう表現があります。「「官から民へ」、「大きな政府から小さな政府へ」といった議論を超えて、」というふうに今、表現がされているわけでありますけれども、「官から民へ」というのは、国から地方へというような言葉と同様、小泉内閣の改革路線を示す象徴的な言葉であったというふうに思うんですけれども、そういう議論を超えてこれから議論していきましょうというのは、やはり小泉改革路線というものが間違いであった、したがって、そういうこととはまた違う考え方で物事を進めていこう、そういうあらわれなんでしょうか、どうでしょう。

林(芳)国務大臣 ことしの二〇〇九の二ページでございますが、今平岡先生おっしゃったように、「その際、「官から民へ」、「大きな政府から小さな政府へ」といった議論を超えて、「安心社会」の実現に向けて無駄なく「機能する政府」への変革や、企業・NPO・地域などの参加と役割・責任分担による新たな「公」の創造を国全体の課題として位置づけ直すことが必要である。」こういう記述をしておるわけでございます。

 今御指摘のあったようなこれまで取り組んできた改革というのは、我が国の経済と社会の活性化に一定の成果を上げてきたというふうに認識をしております。一方で、雇用者間の格差問題とか、我々、同じ山口県でございますが、地方経済の疲弊といったものも指摘をされているということも当然承知をしておるわけでございます。

 そういった意味で、麻生内閣では、改革という基本路線を堅持しながら、ひずみへの配慮と、それから新しい課題への解決というものに取り組んでいこうということで、そういう意味で、官から民へ、それから大きな政府か小さな政府かという発想だけではなくて、こういうひずみや新しい課題への解決に取り組んでいこう、こういう記述になったところでございます。

 したがって、国民相互の信頼とか助け合いという安心と、それから国民や企業の活力といったものが両立する社会を目指すために政府が何をしていくかということを考えた場合に、機能する政府というものに変革していこう、こういうふうな位置づけをしたということでございます。

平岡委員 ひずみへの対応というお話もありましたけれども、ひずみというのは、多分小泉改革の結果として出てきたものが相当あったんだろうというふうに思います。そういう意味では、改革路線を全く否定するということではないかもしれませんけれども、改革路線の影の部分というものは相当今、社会に顕在化してきているということなんだろうかなというふうに思います。

 時間がないので次に移りますと、「行政基盤の強化」というところがございまして、そこには、「国民への総合的なサービスの提供、閣僚主導にふさわしい規模、地方分権の徹底、官民挙げた人材の投入」ということで、題目としては私もそうだというふうには思いますけれども、この問題について、具体的にこれからどういうふうに進めていこうかという話が全く見えてこないんです。

 林芳正大臣は、自民党の行革本部の事務局長さんですか、ということもやられておったので、この辺についてのある程度の自分なりのイメージというものがあるんだろうと思うんですけれども、こういうところに抽象的に書かれているお題目については、自分としてはどういうふうに進めていこうというふうに考えておられますでしょうか。

林(芳)国務大臣 基本方針の二〇〇九で、今平岡先生がおっしゃられましたように、第三章の「安心社会の実現」という中で、一番目に「生活安心保障の再構築」というのを掲げておりますが、その(3)のところで、基盤の強化ということで今御指摘になったような文言が入っております。

 私、党で行革本部の事務局長というのを二〇〇二年ぐらいから五年間ほどやっておりまして、今でも自民党の行革本部の中には省庁再編に関する委員会というのがあったというふうに記憶をしておりますが、そういうところで、もし今事務局長ならこういう観点でということをいろいろめぐらすところもあるわけでございますが、私の後で、今、後藤衆議院議員が事務局長だったと思いますけれども、そちらの方で、党でいろいろ御検討されているかどうか、ちょっと今承知をしておりませんが、今こちらの立場になりましたので、経済財政担当大臣としては、この内容の実現に向けては、やはり政府横断的に取り組んでいく必要があると思いますので、こういう視点を踏まえて、特に、先ほど申しました行革本部の、逆に言うカウンターパートといいますと政府部内では行革担当大臣、甘利大臣がおられますので、そういう関係大臣や官邸におかれまして具体的な検討が進められていくというふうに考えております。

平岡委員 担当大臣ではないというのは、それは当然なのかもしれませんけれども、やはり経済財政改革の基本方針二〇〇九というものを取りまとめた人の後任ということでありますから、ここに書かれていることについては責任を持ってみずからの考え方を持っていくということについては、私もぜひもっと積極的な姿勢をとっていただきたいというふうに思います。

 それともう一つ、税制の抜本改革の問題なんですけれども、これは既にことしの、平成二十一年度税制改正法の附則の百四条にも規定してあるようなことでありますから、こちらの基本方針二〇〇九というものから離れてもう既に動き出しているというようなものなのかもしれませんけれども、若干中期プログラムの中にもいろいろ書いてありますので、気になるところを幾つかちょっと聞いてみたいと思うんです。

 まず一つは消費税の問題ですね。消費税については、中期プログラムの中でも、「消費税の全税収を確立・制度化した年金、医療及び介護の社会保障給付及び少子化対策の費用に充てる」というような表現をしておって、消費税率の引き上げというものを所与のものとして考えているように見受けられるのでありますけれども、まず一つは、こうした「確立・制度化した年金、医療及び介護の社会保障給付及び少子化対策の費用」に必要な金額というものについて言うと、消費税率何%に相当するというふうに考えているのかというところをちょっと教えていただきたいと思います。

林(芳)国務大臣 お答え申し上げます。

 中期プログラムにおきましては、「社会保障安定財源については、給付に見合った負担という視点」云々、こういうことが書いてありまして、今の御質問は、どれぐらいのパーセントを想定しているのかという御質問でございました。

 これはまだ政府全体として確定的なパーセントというものを当然やっているわけではございませんが、社会保障国民会議というものをやりまして、そこで平成二十年、ですから昨年の十一月四日に最終報告というのを出しております。そこで二つのものについて、すなわち、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げというものがございますので、これの所要の公費負担と、それから、中期プログラムの工程表で示された社会保障の機能強化と効率化、この二つで大体どれぐらい必要なのかという追加所要額を、二〇一五年時点ということでありますが、消費税率に換算しますと、大体三・三から三・五%程度というふうに試算をしておるところでございます。

平岡委員 今のは上げ幅の話ですよね、三・三から三・五というのは。それは税率として三・三から三・五でいいというなら今の五は要らないわけで、三・三から三・五をさらに引き上げるという意味ですよね……(林(芳)国務大臣「プラス、プラス」と呼ぶ)プラスということですね。

 それから、時間がないので法人課税についてちょっと質問しますと、法人課税については、社会保険料を含む企業の実質的な負担を考えるというような表現があるんですけれども、我が国は法人税率について言うと、社会保険料を含んでいくと、私はかなり低いところにあるんじゃないかというふうに思うんですよね。この辺の認識についてはどういうふうにお考えになっていますか。法律の中では、あるいは中期プログラムの中では、法人実効税率の引き下げという、引き下げがもう結論として出されているというのは、私はおかしいんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょう。

林(芳)国務大臣 経済のグローバル化が進展しますと、企業は国境を越えて活動する、こういうことが一層活発に行われるようになりますので、法人課税につきましても国際的な動向というものが必要になってくる。その中で、今平岡先生がおっしゃったような法人実効税率の引き下げが必要だ、こういう意見があるわけでございます。

 平成十九年の政府税調でございますが、課税ベースと、それから企業は社会保険料も御負担をいただいておりますので、これを考慮した企業負担については、我が国の企業負担は国際的に見ても必ずしも高い水準にないという結果も出ているところでございます。これは、数字のとり方とか、国、地方をどう見るかとか、いろいろな要素がありますが、そういう一定の仮定を置いて、イギリス、フランス、ドイツとかそういうところと比べた場合にどうなるかという調査をしましてそういう結果も出ておりまして、そういった点も踏まえながら、法人実効税率の引き下げについては、法人課税の国際的動向に照らして必要であるという意見が多かったということでもございますので、そういう整理が政府税調としてはなされたということでございます。

 そういった議論を踏まえて、今御指摘のあった税制改正法の附則で「国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人の実効税率の引下げを検討する」、こういう書き方になっておるわけでございますので、この方向性に沿って具体的な検討を進める必要があるというふうに考えております。

平岡委員 今の説明を聞いても、実効税率の引き下げを前提に物事を考えるということの説明にはなっていないような気がするんですよね。最初に結論ありきで、それを多数決で決めました、それだけの話という、そんな印象があるんですね。

 同じように、まず負担の軽減ということを前提にして自動車関係諸税について表現をしておるのでありますけれども、これも私は何かおかしいんじゃないかなという気がするんですよね。そこの文章に書いてあることを見ると、「厳しい財政事情、」とか「環境に与える影響等を踏まえつつ、」とあったら、当然これは自動車関係諸税についても、簡素化は図るとしても、負担については上がるという可能性だってあるということであるから、負担のあり方について検討するというような表現であるべきじゃないかと思うんですけれども、ここも何か負担の軽減が前提になっている。

 この点については、林大臣はどういうふうに思われますか。

林(芳)国務大臣 ここは、「簡素化を図るとともに、」「税率の在り方を総合的に見直し、負担の軽減を検討する」、こういう書きぶりになってございますが、これは、私、まだ党におりましたころの、ここ数年の国会における状況というのを見ますと、さらにこの自動車関係諸税を引き上げようというような御意見というのは余りなかったように、これは与野党を通じてあったのではないかな、こういうふうに思います。

 委員も財務省、大蔵省におられましたから御承知だと思いますが、税の議論というのは、これを下げてくれという議論がほとんど、御要望があって、その中で、しかし、政府の必要な財源というのをどう確保していくかということをいつも総合的に議論している中でございますけれども、この今の御指摘のあった自動車関係諸税については、平岡先生が今、ニュートラルで検討すべきではないかというお話もありましたけれども、当時の状況、それからこのときの議論の関係では、その負担の水準そのもの以外にも、おっしゃるようにいろいろな議論があったわけでございまして、そういう中でこういう文言にさせていただいたということでございます。

 今おっしゃったように、検討に当たっては、厳しい財政事情とか環境に与える影響等を踏まえて議論する必要があるというのは、当然、言うまでもないことですが、そういうふうに考えております。

平岡委員 時間がないので、ちょっと次の問題に移りたいと思います。

 お手元にポスターの写真が配られていると思います。衆議院議員山口第四区においては、安倍元総理と林芳正大臣とのいわゆる二連ポスターが多数掲示されているわけでありますけれども、このポスターは、総務省が出した見解で、選挙関係実務判例ということによると、安倍元総理の個人の政治活動用ポスターと認定されるものではないかというふうに思うんです。御存じだと思いますが三分の一ルールというのがあって、二連ポスターの場合は弁士がそれぞれ同等でなければいけない。その同等であるそれぞれの各弁士よりも政党部分が大きくなければいけない。それで三分の一というのがあるんですよね。

 これは、ポスターを見ますと、林大臣の頭の上のところに自民党というのが書いてあって、林大臣がちょっと小さく扱われているということで、むしろ林さんの場合は三分の一を下回っている。まあ、林さんの場合は下回っていていいんだけれども、安倍さんの方が上回っているというのがおかしいということなんですけれどもね。

 ことしの三月に石破農水大臣も同じような問題で指摘されて、彼は直したというふうに私は報道で聞いておりますけれども、林大臣はどうですか。こういうルールに違反しているようなポスターについて言えば、今現職大臣ということでございますから、少し自覚を持って、こういうのはやめてくれ、こんなことをされたらおれの名誉が傷つく、総理になろうとするおれの立場が苦しくなるじゃないかということで、しっかりと対応すべきではないかと思うんですけれども、どうですか。

林(芳)国務大臣 ポスターが張ってあるのは見ておりますが、今御指摘のあったように、何分の一とかなんとかという目で今まで見ておりませんでした。平成十三年の十二月の選挙時報でございますか、ポスターの人物写真の大きさのみならず、「その他「弁士」の記載の有無や文字の大きさ、レイアウトなど個々のポスターに関して総合的に判断することが要求されよう。」こうなっておるということでございますので、これに照らしてどうなるのかということを、これは主催が自由民主党山口県第四選挙区支部というふうになっておりますので、そちらの方できちっと確認をしてもらうように要請してみたい、こういうふうに思っております。

平岡委員 それでは、それはしっかりと要請をしていただきたいというふうに思います。

 それから、もう一つ、林芳正大臣が代表者となっている政治団体で、林芳正を支える会というのがあるんです。この収支報告書をちょっと見させていただきますと、組織活動費の中には、行事費とか組織対策費とか渉外費とか交際費というのがあるんですけれども、例えば平成十八年分を見ますと、三十回近く、三百万円ぐらいの費用が選挙区内外にある数多くの飲食店に対する支払いに計上されているということなんです。

 まさか選挙区内にある人たちに対して飲食の提供をしているということではないと私は思うんですけれども、そうでないということを確認したいと思います。いかがでしょう。

林(芳)国務大臣 おっしゃるとおりで、そうでないということをお答えさせていただきたいと思います。

 申し上げるまでもないことですが、政治資金につきましては、政治資金規正法や公職選挙法などに従って適正に処理しているところでありまして、その内容は収支報告書に記載しているとおりでございます。

平岡委員 記載してあるとおりだからちょっと疑問に思っているわけですよ。あそこに並んでいる店は私も知っていますけれども、大体あそこは飲食を伴う店が多いですよね。そういうところに一回十数万円ぐらいのお金が支出されている、三十回近くで年間三百万円ぐらい払っているといったら、これは何のために使っているのかなと普通は疑問に思いますよね。

 そういう意味で、書いてあるとおりだと言われたら、書いてあるとおりだから疑問に思うのであって、私が言いましたように、選挙区内にある者に対する飲食の提供、寄附ではないということについて、もう一度ここでちゃんと答弁してください。

林(芳)国務大臣 今平岡先生が御指摘されたとおり、それから、私が最初に御答弁申し上げましたように、そういうことはございません。

平岡委員 林国家公安委員長にお聞きいたします。

 今回の所信の中に、取り調べの可視化の問題がありました。裁判員裁判の円滑な実施に資するため、取り調べの一部録音録画の試行等に取り組むというふうに述べておられますけれども、現在はどのような取り調べを対象として可視化を図っておられるのかということを御答弁いただきたい。

林(幹)国務大臣 現在、警察におきましては、裁判員裁判対象事件を対象といたしまして、犯行の概略等について作成した調書を読み聞かせている状況などを録音録画しているところでありまして、これは、裁判員裁判では被疑者の供述の任意性について効果的かつ効率的に実証し得るようにすることが必要であることによるものと承知しております。

 また、他方、この試行について、本年三月に取りまとめた検証によりますと、現在試行中の方法であっても被疑者が取り調べの録音録画を拒否する事例があったなど、取り調べの真相解明機能に影響を及ぼす場合があることが明らかになったと聞いているところであります。

 したがって、取り調べの録音録画の試行を裁判員裁判対象事件以外にも拡大するということについては、慎重な検討を要するものと考えているところでございます。

平岡委員 大臣、各国で取り調べの可視化というのがどの程度広がっているかというか行われているかという話は、多分御存じだろうと思うんですけれども、アジア、ヨーロッパ、それぞれかなりの国でそうした取り調べの可視化というのが行われているということでございまして、今の答弁は、何かさらに拡大していくというような方向については否定的な発言があったように思うんです。

 二番目の話としてみれば、現在行っている取り調べの一部録音録画の試行等については、ある程度結果が出たところでさらに次のことを考えていきたいというような方針も持っておられるようですけれども、どういう結果が出れば次の段階というようなことで考えられるのか。まあ、そういう質問よりは、むしろ、試行等の結果を踏まえて今後どのようなことを考えているのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

林(幹)国務大臣 今、警察におきましては、裁判員裁判における自白の任意性の効果的あるいは効率的な立証方策の検討に資するために、本年四月から全都道府県警察において取り調べの録音録画の試行を実施しているというふうに承知しておるところであります。

 このように、全国警察における試行については、開始からまだ三カ月余りでありまして、当分の間はこれを継続いたしまして実施例を積み重ねることなどによりまして、裁判員裁判の円滑な実施に資するよう、警察を督励してまいりたいと思っております。

 したがって、今後どのようなことを考えているのかに関しましては、今申し上げましたとおり、現時点においてはすぐにどうこうするということは難しいと思いますので、当分の間、これを試行して検討していきたいというふうに思っているところでございます。

平岡委員 可視化について言えば、確かに裁判員裁判の実施の問題があるわけでありまして、その円滑な実施に資するための取り調べの可視化ということは当然検討されなければいけないと思いますけれども、それだけに多分とどまらないんだろうと思うんですね。各国で行われている可視化については、もっと幅広く行われているというような実態もありますので、これは宿題として考えておいていただきたいというふうに思います。

 林芳正大臣に一問質問し忘れたので、ちょっと済みません。

 これも山口県の問題ですけれども、米軍岩国基地の空母艦載機用の恒久的な離発着訓練施設の問題なんですけれども、せんだって私は質問主意書を出しまして、七月三日付で答弁書というのが返ってきまして、中身は、もともとのロードマップの中では、本年七月またはその後のできるだけ早い時期に恒常的な離発着訓練施設を選定するということになっておったので、それは今どういう状況か、こういうことで聞いたわけであります。そうしたら、今のところ何も決まっていませんよと、もう七月になっているにもかかわらず、そんな話しか返ってこなかったということなんであります。

 答弁書を閣議決定するに当たって、林大臣も関与されておられたというふうに思うわけでありますけれども、林大臣の選挙区内にある基地にかかわる問題ということでありますので、林大臣も関心はおありなんだろうというふうに思います。そういう意味では、この恒常的な離発着訓練施設の選定に関しては現状どういう状況になっており、それから、今後の見通しとしてはどういう状況になっているか、このことについて大臣はどういうふうに認識しておられますでしょうか。

林(芳)国務大臣 地元の話でございまして、経済財政担当大臣の所管ではございませんが、防衛大臣のときに全く答弁の機会がございませんでしたので、答弁の機会をつくっていただきまして本当にありがたく思っております。

 答弁で決めたとおりでございますけれども、お伝えしたとおりでありますが、今お話のあった恒常的な空母艦載機着陸訓練、いわゆるFCLPでございますが、これの施設につきましては、今委員がお話がありましたように、ことしの七月またはその後のできるだけ早い時期に選定することを目標とされたことを受けまして、現在、米軍の運用上の所要などについて日米間で協議を行っているというふうに承知をしております。

 このFCLPの施設については、米軍の運用上の所要と、それから騒音等の環境に及ぼす影響等を考慮しながら作業を進めていく必要があるというふうに考えますけれども、いずれにしても、これは防衛省におきまして、ロードマップに示された実施時期を踏まえながら着実に実施すべく努力していくものというふうに考えております。

平岡委員 防衛省の所管であることは私もわかるんですけれども、この経済財政改革の基本方針二〇〇九の中にもちゃんと、「防衛・防災・治安等」というものの中に、「米軍再編関連措置を着実に進める。」こう書いてあるんですよ。だから、それは、この基本方針を所管している担当大臣として、ここに書かれていることがこれからどう進んでいくのか、現状がどうなっているのかというのはやはりちゃんと見ておかなきゃいけないというふうに私は思いますね。

 そういう意味では、もともと防衛大臣も短期間ではありましたけれども就任しておられたわけでございますから、しっかりと問題として見ていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、質問を終わります。

渡辺委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 きょうは、林公安委員長、そして消費者問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 先ほど大畠筆頭からも質問がございましたが、まず公安委員長の方に質問させていただきたいと思います。

 まずは、前回の御就任の際には一度も所信をお伺いすることもなく、そして質問に御答弁をいただく機会もないまま内閣が交代をしてしまうというとんでもない事態でございまして、大変残念に思っていたわけですが、きょうこうして初対面で質問ができることに敬意を表したいというふうに思います。

 先ほど大畠筆頭からもお話がございました。公安委員長というのは不法行為と闘う立場であるということを考えれば、やはり、まず今御指摘をされている問題、これはしっかりと明らかにしていただかなくてはいけないというふうに思っております。

 まずは、週刊誌等々で報じられている羽田空港の滑走路の問題について、五千九百八十五億円の巨大プロジェクト、これを担っているJVから回ってくる仕事について、さまざま、林公安委員長の公設第二秘書の方と仕事を受けたいという業者とのやりとりがあったということでございます。

 これは幾つかのところで確認もされていますが、改めてですが、林公安委員長そしてまた秘書さん、秘書さんは当然ですけれども、今回週刊誌に実名告発をされたという方については接触の認識があるということでよろしいですね。

林(幹)国務大臣 週刊誌に出たのは承知しておりますが、この問題は、民間業者間の取引の仲介の問題でありまして、あくまでも民民の話でありまして、職務権限とかそういったようなものは全くないわけでありますし、この件で私が何かをしたということも全くございませんので、申し上げておきたいと思います。

泉委員 私はまだそこまでは話はしておりませんけれども。民民といっても、大型の公共事業、公のお金をいただいて事業をしている民間会社が、そのさらに下請というか、周辺で仕事をする民間とどんな契約をするか。

 改めてお伺いしますが、では、林公安委員長は、この羽田のプロジェクトの誘致に対しては全く力は尽くされなかったんでしょうか。

林(幹)国務大臣 そのとおりでございます。

泉委員 地元の議員というか、国土交通関係に大変詳しい議員であったけれども、こういった羽田のプロジェクトについては特段推進もしている立場ではなかったということでよろしいですか。

林(幹)国務大臣 私は、地元はどちらかというと成田でございまして、党内でも成田派と言われております。

泉委員 それは後々どういう問題が出てくるのかはわかりませんが。

 秘書さんが東京のホテルに泊まっていて、そこでホテル代、有料テレビ代、冷蔵庫・ミニバー代、そういったものを肩がわりしたということが週刊誌には書かれているわけですが、このことについて秘書さんに確認はされたでしょうか。

 このホテル泊というのは、職務で東京に来られていたものなのか、それとも全くプライベートで、さまざまな後援者とのおつき合いの中で秘書さんが勝手に動かれてこのようなことになったのか、これはどちらなんでしょうか。

林(幹)国務大臣 どういう形で泊まったのかは承知しておりませんけれども、一切そういったものはツケ回ししていないというのが秘書からの話でございました。

泉委員 ただ、領収証はこの秘書さんのお名前で告発された方がお持ちだということでございますが、それでも真っ向違うということをお信じになられるということですか。

林(幹)国務大臣 はい。秘書からの話では、一切そういうことはないという報告でございました。

泉委員 ここは政治家すべてがそうだと思いますが、やはり秘書の行動すべてを議員が把握するというのは困難なことではあると思います。

 事務所が受け取ったさまざまな政治献金、特に大口のものについては、私は、やはり政治家というのは、今までは、いや、私は知らなかったというものが通用していた時代はあったと思うんですね。しかし、これは公安委員長のみならず、我々政治家すべては、例えば十万円を超えるような資金をどなたかからいただいたような話が仮にあれば、それはやはり、これはどういう経緯からだ、相手さんはどういう方だというものはしっかりと確認をして把握をして、それがまた自分自身の政治理念、信条と違う、あるいは何かしら疑念を感じるようなものであればそれをしっかりとお断りする、選別するという時代に来ているというふうに私は思うんですね。

 ですから、かつては、そういった大口の献金であっても、基本的には、受け取った方なので相手の団体がどのような団体かわかりません、こういう理屈が通じたかもしれませんが、しかし、もうそれはあってはならない理屈というか理由ではないのかなというふうに私は思います。

 そういう意味で、今の、秘書さんからの証言というか、秘書からの事情聴取をした中ではツケ回しは一切ないということでございましたが、そういったことが今後事実になった場合は、やはり事務所内で何らかの処分をしていただくべきものかなというふうにも思いますが、いかが感じますか。

林(幹)国務大臣 それはないと信じていますから。

泉委員 そうですか。それは今後の事実関係を明らかにしていく中でということになると思います。週刊誌によれば、〇三年から〇五年で約一千五百万のさまざまな接待経費があったということも述べられておりますので、これは今後どうしてもやはり明らかにしていかなくてはいけないということでございます。

 そして、先ほどの政治献金の話でありますが、やはり西松建設からの献金についても、団体がこれはどのような団体かということは、大臣は、公安委員長は認識はなされていたんですか、新政治問題研究会は。

林(幹)国務大臣 これも秘書からの報告で、西松建設関係の政治団体だという報告をいただきまして、何ら問題ないということでございました。

泉委員 それが西松関係の団体であることは事前におわかりであって、かつ、大臣は、今まで西松の関係の、例えば社長さん、役員さん等々とのおつき合いというのはございますか。

林(幹)国務大臣 社長とのつき合いは全くございません。役員で、もうやめられた方とは若干つき合いはありました。

泉委員 そういったさまざまな、恐らく大臣御本人にとって突然浮き出してきたような献金なのか、それとも御認識があっての献金なのか、そこは私はわかりませんが、やはり先ほども言いましたように、献金というものがあった場合には、それをこれからはチェックしていく時代になっているんだということは忘れてはならないというふうに思います。

 そして、前回、そういった形で所信をお伺いすることができなかったという中で、今回の御就任ということでございます。幾つかの問題について、公安委員長としての見解をお伺いしたいというふうに思っております。

 まずは、公安委員会の運営でございます。

 これまでの、警察組織を管理監督していくということからすれば、公安委員会というものは、今般の消費者庁の議論でもそうですが、やはり違った目で組織をしっかりと見ていく、例えばこれまでの行政組織に消費者目線を入れていく、こういうことと同じように、警察行政、治安行政に対して国家公安委員会の役割というのは、もちろんそれを支援はするんですが、違った目で、国民の目線でそれを管理監督するということが求められているというふうに私は考えるわけです。

 そういった意味で、公安委員会に限らず、さまざま第三者機関的なものが政府の中にできても、その事務局体制を握られてしまって、実際には、会議の運営あるいは日常の業務、情報の収集、すべてにわたって事務局が主導権を持ってしまうということがこれまでもよくあったわけですね。

 そういった意味で、公安委員長、ぜひこの公安委員会の事務局、現在、ほとんど警察からの出向者ばかりでございます。やはり独自性、独立性を高めていくということを、例えば弁護士の方を事務局の中にお入れするですとか、そういった民間からの登用も含めて、事務局機能の強化というものを私は考えていいのではないかと思いますが、いかが御認識をお持ちでしょうか。

林(幹)国務大臣 答弁の前に、先ほどの西松問題は、大畠先生に答えたように、政治資金規正法にのっとって適正に処置をしておりますので、御理解をいただきたいと存じます。

 公安委員会の運営についてでありますけれども、公安委員会に独立の事務局を設けた場合には、事務局と警察との間で事務の重複が生じることがまず懸念されるわけでございます。そしてまた、現在は警察からの情報が円滑に公安委員会に上がって、公安委員会の意見に警察が迅速に対応することができる。そして、独立の事務局が介在した場合には、公安委員会と警察の間の迅速かつ円滑な意思疎通を損なうおそれがあるわけでございます。

 したがって、独立の事務局を設置することは適当ではなく、警察の公安委員会に対する補佐機能を充実することが適当だというふうに考えているところでございます。

泉委員 公安委員長、その御答弁はどなたが書かれたんでしょうか。まさに組織が書かれたなということを実感するお言葉をちょうだいしました。

 本当に、事務局が独立をすると情報が迅速に伝わらないんでしょうか。本当に、事務局が独立をすると正確性が損なわれるんでしょうか。逆に言うと、そんなことがあってはならない話であって、それを前提に、そのおそれがあるから。では、すべて公務員である警察組織内においたって、情報の伝達のミスや情報の漏えいや職員の不祥事や、そういったものが一切ないんでしょうか。官は絶対間違いをしないんでしょうか。事務局の中に民間人が入ると、そこで一気に、情報漏えいが起きたり、そういった問題が起こってくるんでしょうか。私は、それは余りに官製答弁だと思うんですね、大臣の今おっしゃったことは。

 確かに、読めば二十秒で済む話かもしれません。しかし、よくよくそしゃくをして考えれば、やはりそういったことは十分可能ではないかと私は思います。さっきも言いました、事務局に、例えば弁護士さんのような方を入れる、あるいは犯罪被害者の会の方に入っていただく、そういったことも含めて、あるいは自殺の被害者の方、支援NPOの方、犯罪を防止するNPOの方々、こういった方々が警察の支援もあってどんどん成長してきている、組織として確立をしてきている、そういう方々がやはり市民目線、国民目線でこの事務局を担うというのは私は悪い提案ではないし、余り組織防衛ということばかりを重視することは、逆に言うと国民を対立概念でとらえてしまうことにもなりかねないというふうに思っておりまして、そこはぜひ認識を変える努力をしていただきたいなというふうに思います。

 続いて、これまでも何度も歴代の公安委員長に質問させていただきましたが、いわゆる偽装ラブホテルの問題でございます。

 これも今、政府の中の風俗研究会等々でいろいろと議論が進んでおりますが、たしか昭和四十七年、モーテル規制というものをしたときには、既得権は認めない。ですから、既存のモーテルが、風俗系のモーテルであればそれを全部改修させて、一般の旅館というような形にしなさいという大英断をされた。一方で、昭和五十九年ですか、ラブホテル規制、このときには、数の問題もあったかもしれませんが、既得権を認めたわけですね。

 今回また、本当は大臣に資料を直接お見せできればよかったんですが、きょう持ってきている資料の中にも、学校のグラウンドから、目の前にいわゆる偽装ラブホテルが見えている、夜にはこうこうとその照明がライトアップされて、ホテルの雰囲気を醸し出している。小学校の目の前でございます。子供たちの通学路にどんどんラブホテルの駐車場から車が出てきて、歩道を車が渡っている状態がある、まさに子供が通学するときに車が出ていく、そういう状態が、特に大阪、関西方面でよく見られていて、これが大変問題になっているということでございます。

 確かに、既得権、営業権、財産権というのは非常に大事な、守らなければならない権利ではありますが、やはり学校のそばに幾つもの、法の網をくぐり抜けた実質的なラブホテルが存在をしているということについて再三問題視されてきたわけです。

 新しく公安委員長に御就任をされて、いろいろな問題がございますが、やはり市民生活にも大変直結をしているし、全国で起こりかねないこういった問題について、現在どのような御認識をされているか、お伺いしたいと思います。

林(幹)国務大臣 御指摘のとおり、学校の近くにいかがわしいものがあるということに関しては、御同感でございまして、少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあるというふうに認識をしているところでございます。

 警察では、この偽装ラブホテルの実態掌握に努めているところでございますし、風営法上のラブホテルの要件に該当するにもかかわらず届け出をしていないという違法営業を敢行するに至っては、厳正な取り締まりをしているところでございます。

 また、風営法上のラブホテルの要件見直しについて検討するため、有識者から成る風俗行政研究会を開催して議論をしておりまして、こうした議論を今見守っているところでございます。

泉委員 見守りつつも、そういった運動をされている、これは、あくまで法律を純粋に読み込めば当然の解釈として正しい運用をしていただけるはずだと思っている市民の皆さんが立ち上がられて運動団体もつくっておりますので、ぜひそういったところからも公安委員長もお話を聞いていただいて、実態を知っていただいて、ぜひこういったラブホテル問題の解決に努めていただきたいというふうに思いますし、今、一つやはり問題になっているのがこの既得権でございますので、その既得権のあり方についてはぜひ慎重に、国民目線に立って御判断をいただきたいというふうに考えております。

 続きまして、消費者問題でございます。

 人事がいよいよ発表されました。消費者問題の特別委員会で大変充実した長い審議を経て、幾つかの修正もしながら、消費者庁が発足をするということになりました。ただ、これが、やはり官僚主導になってはいけない、あくまで国民主導であるべきだというのが多くの消費者団体、関係団体の御意見であるというふうに私は認識をしております。

 まず、ちょっとお伺いしたいんですけれども、準備室が設置されたということで、またこの人事の発表も含めて、これは当初の予定より少し早いような感じを受けるわけですが、これは予定どおりのスケジュールということでよろしいんでしょうか。政務官、もしわかれば。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 スケジュール的には、もう委員よく御存じのとおりでございますけれども、衆議院、参議院におけます慎重な御審議の結果、五月二十九日に参議院で全会一致で成立を見たものでございます。これを受けまして、六月の四日に内閣府に消費者庁・消費者委員会設立準備室というものを設置いたしました。そして、人事の話にお触れになりましたけれども、七月の一日付で、この設立準備室の顧問、参与、麻生総理は消費者庁、消費者委員会を九月には立ち上げたいということを発言されておりまして、政府としましては、九月にこれらをスタートさせる、その前提で、約二カ月になりますので、七月一日に顧問、参与の発令をしたということでございます。

泉委員 それで、消費者庁長官に内定をしたというか、消費者庁設立準備顧問ですか、これに内閣府事務次官だった内田氏が充てられるということになったわけですが、これは、国会での議論もありましたが、やはり民間からの登用も含めてということを我々は期待もしていたわけですね。そういう中で、なぜ内田氏なんだろうか。別に個人的に恨みがあるものでは全くないんですが、特段これまで消費者問題にどのように接してこられたのかちょっとわかりかねるところもあり、もう少し象徴的に、何かほかの人事が可能だったのではないのかな。

 しかし、いろいろと、これまでの野田大臣ですとか麻生総理の、あるいは官房長官の答弁ですとか会見の中身を聞いていますと、常に官民問わずという言葉が入っている。これは臭いなというふうに思っていたわけですが、やはりこうなった。恐らくさまざまな予防線というか路線をつくられてここまで来られたのかなと思いはするわけですが、やはり、多くのこの議論にかかわってきた方々が期待をされてきた人事とはちょっと私は言い得ないんではないかな、率直に申し上げて。

 恐らく、即戦力でなくてはいけない、そして各省庁の事務次官と闘わなくてはいけないというような御答弁もされるおつもりだと思うんですが、しかしそれは、だからといって元事務次官じゃなければほかの省庁の事務次官と本当に闘えないのか。そういうことを皆さんおっしゃっているようなものだと思うんですが、政務官、これはそういうことをおっしゃっているんですか。元事務次官じゃないと相手の各省庁の事務次官とは闘えないと、これをまさに皆さんがそういうふうに御判断をされたということですか。

並木大臣政務官 現段階においては、今松山準備室長が申し上げたとおり、この設立準備を加速するために、顧問として、委員も御案内のことかと思いますけれども、これまで内閣府での仕事も務めてこられた方で大変業務に明るい、そういうことで現在は顧問ということに就任いただいているわけでありまして、これはもちろん総理、野田大臣等がお話しの上で決めたことなんです。

 将来的には、今委員がおっしゃったような点も含めて、当然、期待される省庁でありますので、しっかりとほかの省庁に対して意見を申していく、そういった役目も大変、ある意味では一番重要な点でもありますので、そういったキャリアが生かされるような方を求めて就任いただく。そういう、一人の適役であるということは言えると思います。

 現状ではまだ、発足時に正式に就任されるということになると思いますけれども。

泉委員 そして、消費者委員会の委員長でございます。これも話を聞くと、最初にバランス的に恐らく考えられたんでしょう、知名度のある女性を前提に人選をされたというようなことをお伺いしておりますが、テレビ番組でも有名な住田弁護士が委員長につく見通しだということで、これは参与代表ですね。十人の参与がおられる中で参与代表という立場につかれた。

 消費者庁の設置法には、第十二条ですか、委員長、これは人選は互選で行うということが規定をされておりますね。当然これを破るわけはないと思うんですが、この参与代表というものの意味、これは何なんでしょうか。ちょっとよくわからない。やはり新聞報道でも委員長につく見通しだということになっている。

 御存じでしょうか、がんの協議会で最近、やはり同じように、できレースがいけないということで会長人事がもめたということがございましたけれども、やはり、こういう根回しの仕方というのは、もう、ちょっと時代錯誤ではないかと私は思うんですね。あくまで、互選ということが規定をされているんであれば、委員の皆さんに公平にお集まりをいただいて、そこで選ばれるべきものであって、なぜ参与代表が必要なんですか。政務官、なぜ参与代表が必要なんですか。

並木大臣政務官 これも、正式には消費者委員会がまだ発足していないわけで、その準備に当たって迅速に進めていただく、それが任務でありまして、その会議をするに当たっての、ある意味では議長役のような役割をしていただくということになります。そのために、まずは最初の会議において、人選等に当たられた野田大臣が、一応代表としていかがでしょうかということで各委員の御承認をいただいたわけです。

 今後正式に発足する場合には、互選ということがあくまで基本でありますので、これは、いろいろなキャリアあるいは知識をお持ちのそうした委員さん、参与についていただいておりますので、その中で正式に決められるということで、あくまで、官がすべて決めてそれを強制する、そういうようなことはないというふうに申し上げたいと思います。

泉委員 こういった政府の動きに対してはさまざま批判が寄せられております。新しい消費者行政を創る宮城ネット、京都消費者契約ネットワーク、新しい消費者行政を実現する連絡会、消費者主役の新行政組織実現全国会議、さまざまなところで、やはりしっかりと委員の自由な意思に基づく互選により委員長を選任することが必要だということであったり、安易なバランス論にとらわれてはいけないということであったり、さまざまな指摘がなされております。

 記者会見というかマスコミからぶら下がられたときの想定問答の作成ですとか、さまざま話はお伺いをしております。改めて、事務局にはもう少し意識を変えていただく必要があるんじゃないのかなと私は思いますよ。やはり、これまでのように、政府が、お役をお願いする民間の方に対して手とり足とり振りつけをする、そして、政府から見たときの余計な発言をしていただかないように、円滑に物事が進むように、そういう観点でこれまで進めてこられたわけですが、もうそんな時代ではないです。消費者が主役なんですから、この選ばれた委員の方々が主役にならなくてはいけないということだと思うんですね。

 改めてよく聞いておいてください。そこは、いっぱいいろいろな情報が我々のところにも入ってきております。そういったことをよくよく事務局も、また、きょうは政務官ですが、副大臣そしてまた大臣も含めて私は御認識をいただく必要というものがあるんだと思います。

 もう一度聞きますけれども、そういう意味では、この参与代表イコール委員長候補ではない、あくまで互選だということで、政務官、よろしいですね。

並木大臣政務官 あくまで互選です。

泉委員 その消費者委員会の参与代表になられた弁護士、住田さんでございますが、大変、テレビでは私も好きでございます。

 ただ一方で、例えば「行列のできる法律相談所」ですか、ここの中でもいろいろな案件を扱われておりまして、賞味期限切れの商品をスーパーで販売した場合、これは違法か合法か。つい先日テレビで放送されたものですが、弁護士さんですからいろいろな見解があっていいわけですが、どちらかというと消費者サイドではない御見解を出されておりました。それですべていけないというわけではございませんけれども、多くの消費者団体で、今まで一生懸命、何とかこの消費者庁のいい形でのスタートを期待していた方々が今大変不安に感じておるということはぜひ真摯に受けとめていただかなくてはいけないというふうに思います。

 そういった意味で、ぜひこれからは、この参与会議、やはり透明化を図っていただきたいということもお願いをしたいと思います。参与会議の日程をしっかりと知らせること、そしてまた、その議事がどんなものなのか、何回開かれるのか、そういったこともしっかりとオープンにした形でぜひ今後進めていただきたいということをお願いして、私からの質問を終わらせていただきます。

渡辺委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党、市村でございます。三十分いただきまして、また議論をさせていただきたいと存じます。

 この期もひょっとしたらこれが最後の質問になるかもしれないな、そういう思いを持って、私も当選後五年八カ月ぐらいたっておりますが、この間、百回以上にわたりまして委員会の質問をさせていただいております。その中、その集大成の思いで、きょうは、今後の日本、経済をどう立て直していくのか、そうした議論もやらせていただきたいと存じておりますが、まず、せっかくの機会ですので、実は質問通告していませんが、政治と金の問題について、私なりの思いをちょっとこの場をかりて述べさせていただきたいと思っているんです。

 というのは、私は、もう二十数年来、学生時代から、国会に近いところで、いろいろな議員の方との御親交を得ながらやってきました。この間見ていますと、大体毎年、予算委員会というのは、もう政治スキャンダル、お金の問題、そういうことが中心になって、そういう議論ばかり行われる、そういう姿を一人の国民としても見てきたものであります。ここ二年ぐらいは私は大分いい議論が予算委員会でもされているのではないかなというふうに思っていますが、結局、そういう状況の中で国民の政治不信がますます高まっているという状況があったんだと私は思います。

 私も中枢におりましたけれども、細川政権のときに、腐敗防止法ということでかなり政治資金に関する改革も進めたわけでありますけれども、その後、いろいろまだまだ不備な点もあって、さまざまな問題が出てくるということであります。ですので、私は、個々の問題はもちろん指摘することは大切だと思いますが、もっと大きな意味で、政治と金の問題というのをやはりきちっと議論していく必要があると思っております。

 大切なのは、一体だれが政治活動資金を負担していくのかというところだと思っておりまして、それがいわゆる企業、団体というものなのか個人なのか、それとも、国が、いわゆる政党助成ではなくて議員助成という形で、アメリカのように、例えば下院なら一億円の枠、上院なら二億円の枠を持ってその範囲内でやりなさいとするのか、もしくは、アメリカでもそういったことはありながら、実際、企業・団体献金はPAC、ポリティカル・アクション・コミッティーを通して認めておるとか、そうしたさまざまな形があると思います。ですから、政治資金、活動資金をだれがどう負担していくのかということをやはりきちっと議論していくことが今後にとって重要な課題だ、こういうふうに私は思っているわけであります。

 また、この間、議員年金の問題がありました、JRパスの問題がありました、宿舎の問題がありました、いろいろなことがありましたときに私が思っておったのは、こうした、魚を切り身にして売るような話じゃなくて、まず国会議員というのは何のためにいるのか、その国会議員に対してどういう待遇を国民は与えていくのか、こういうもっと包括的な議論をしなくちゃならない、これもこういうふうに思ってきております。

 私も、九段宿舎におりましたら、八月までに出ろという話でしたので八月以内に出たんですが、六月ごろ、おりましたら、最後に、何か週刊誌に籠城議員とか書かれまして悲しい思いをしたわけでありますけれども、そういうマスコミのあり方も、私は、ちゃんと調べて書くこともしなくちゃいけない。だから、そういうことを含めて、おもしろおかしくすればいいというものではないと思います。

 だから、国会議員は何のためにいて何を役割とするのか、そして、その国会議員に対してどういう待遇を与えていくのか。議員宿舎に関しては世界に例がないということであるようでありますけれども、日本は、世界に例がなくても議員宿舎を与えるのであれば、じゃ、しっかりと与えるんだからしっかりと仕事をしてほしい、こういうふうな国民のコンセンサスをとっていくような、そういう議論をしないと、また一つ一つ魚の切り身みたいにやっているから、それに右往左往しているようじゃどうにもならない、ますます政治不信が高まっていく、こういうことだと思います。

 ですから、今国会はこれが最後かもしれませんが、次の回、私がもしまた国会に送り返していただけたら、ぜひともそうしたちゃんとした議論をするよう私は提唱していきたい、このように思っておるところであります。

 では、きょうの本題に入ってまいりますが、両方の大臣とも林ですから、まず林国家公安委員長に対してお聞きしたいんですが、今シートベルトの着用強化というのが進んでおります。つい先日、後部座席のシートベルトも義務化ということになったわけでありますが、ただ、職業柄なかなかシートベルトをずっとしていられないという方もいらっしゃいます。

 例えば、バスのバスガイドさんとか添乗員さんというのは、やはり、きょうはどうもこんにちは、また、きょうは一日楽しい旅行をというようなことで話をするときに、前を向いてシートベルトをして何か無味乾燥にしゃべっても、何じゃこりゃ、こういう話になりまして、やはり、シートベルトをとって、立って、お客様の方を向いてしゃべる。

 それが、どうやら地域によって、それはいいだろうというところと、いや、それもいかぬ、バスガイドであろうともこれはもう車に乗っている以上ちゃんとシートベルトをしておけというような、何か御指導があるような話も聞いておるんですが、この辺について、どういう統一見解、どういう統一な規制があって、現実どうなっているのか、国家公安委員長の方からお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

林(幹)国務大臣 お尋ねのバスガイドに対するシートベルトの件ですけれども、道路交通法上は、走行中のバスの車内を移動する、例えばトイレに立つとか、あるいはバスの通路に立っている者についてはシートベルトの着用は義務づけられておりません。したがって、観光バスの通路に立って案内業務を行っているバスガイドについては座席ベルトの着用義務はありません。

市村委員 これはうわさ段階ですけれども、県警によっては、御指導があって、会社の方に、余りそれをやると取り締まるぞというようなことを言っているところがあるやに聞いておりますが、今の御見解であるということであれば、ぜひともそれを徹底していただきまして、安心してバスガイドさんたちも、結局、かわいそうですよね、あんたが立っていたら運転手さんが捕まって大変なことになるんだというふうなことで、いつ捕まるかとかいつ検挙されるかということで、びくびくしながらバスガイドをやっていたら、やはりお客様に対しての心が入りませんから、大丈夫だよ、安心していいよということを徹底していただきたいと思うわけであります。

林(幹)国務大臣 今のように誤解が生じないように、徹底して指導してまいりたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 国家公安委員長、もしよろしければ、どうぞ。

 それでは、林芳正大臣、よろしくお願いいたします。

 経済財政担当大臣ということでありまして、一度、林大臣とは、かつて副大臣のころでしたでしょうか、NPOの議論をさせていただきました。きょうもまた、残りの時間をいただきまして、NPOの議論をさせていただきたい。ただ、きょうは、NPOの制度ではなくて、これからの日本経済の再生にはNPOをしっかりと社会の仕組みの中に位置づけなくちゃならないという観点から、私は、林大臣とこの経済再生について議論をさせていただきたいわけであります。

 といいますのも、最近、ベーシックインカムという話も出てきまして、例えば、医療とか介護とか教育とか子育てとか、こういうものは、例えば年間百五十万円ぐらいは、もうすべて生活費を国が支給するということでやってはどうかという考えがあるようであります。

 これは大分いろいろな議論が要ると思います。そんな、働かなくても年間百五十万もらえるんなら、みんな働かなくなるんじゃないかということもありますが、しかし、ある程度の年収を超えるとそれはない、それは自分で自己負担をしていく。やはり人間プライドがありますから、そんなにずっと国に頼って生きていくということではないと僕は信じておりますし、やはりきちっと努力をして、働いて、もっと大きなインカム、収入、所得を得ようという人の方が圧倒的に多いと私は思っておるんです。

 ただ、中には、どうしても事情があって、例えば小さい子供がいてというようなこともあってなかなか働けない、そのときに、国があなたの面倒を見ますと。これは生活保護に近い考え方かもしれませんが。しかしながら、そこまでの制度は、生活保護というと、何となく、何か世間的に見ると、いろいろ事情があるにもかかわらず、それでいいのかという話もあることもありまして、これは議論が必要だと思いますが、そういう考え方も出てきている。日本だけじゃなくて世界でかなりいろいろ議論をされているようであるということであります。

 そこで私が注目しているのは、それがベーシックインカムでやるかどうかは別として、まさに今申し上げた教育とか医療、介護、子育てといった分野というのは、実はミクロ的に言うと、どこが受け皿として一番ふさわしいのかということなんですね。これまでみたいに、では、教育サービスを提供する主体、介護サービスを提供する主体、医療サービスを提供する主体、子育てのサービスを提供する主体、それは株式会社がいいのかどうか、民営化だから民の中の、営利を目的とする株式会社にそれを担わせた方がいいのか、それとも、やはり行政がやった方がいいのかという話の、これまでの日本ではこの二者択一だったんです。

 しかし、例えば介護の問題、コムスンが破綻しましたけれども、結局、株式会社に担わせた結果ああなってしまったということもある。また、保育の問題も、名前は忘れましたが、去年だったか、株式会社の保育園が突然閉鎖されるということもありました。やはり、本当に困るわけですね。本当にそんなことでいいのか。では、行政がこれをまたどんどんやった方がいいのか。例えば公立幼稚園をつくり、何でもかんでも公立にして、では、例えば介護も公立の特養をたくさんつくっていけばいいのか。これもどうも違う。

 こうなってきますと、私はやはり、民間でありながら営利を目的とせず非分配原則を貫いたNPOという存在がそうしたもののサービスの提供主体として位置づけられるのが一番かなうのではないかな、こう思っております。このことを思いながら、この二十年近くいろいろ提案してきましたし、私も、五年八カ月ほど、内閣委員会を中心として、NPOが大切なんだ、この議論をしてきたわけであります。

 政府の方も、大分その辺については取り入れていただいているんだと思います。それで、公益法人改革もなっているわけでありますが、まだまだ道半ばというところだと思います。しかしながら、そうした主体となるようなNPOをどんどん育てていく、育つ、そうした土壌づくり、土づくりがやはり求められている、しっかりとした基盤づくりが求められていると私は思います。まずこれがあって初めて本当に日本の中長期的な再生に資するんだというふうに私は思っています。

 まず、私のこの考え方につきまして、林大臣の御意見、お考えをいただきたいと思います。

林(芳)国務大臣 ありがとうございます。

 市村委員とは、二年前だったと思いますが、この衆議院の内閣委員会で、公益法人とかNPOについてやりとりをさせていただいたことを今思い出しておりましたが、変わらぬ熱意と識見でもってずっと進めておられるということに敬意を表したいと思いますし、基本的な考え方は私も全く同じであるというふうに申し上げたいと思います。

 私が党で行革本部の事務局長をやっていたという話が先ほどありましたが、公益法人の改革というのも、この抜本改革をずっと担当させていただいておりました。そのときのベースになった考え方というのは、まさに市村先生今おっしゃったように、公私の区別というのがございまして、私というのは極めてプロフィットに近いところだと思いますが、では、公の部分をだれが担うのかという議論をしたときに、官と民で、昔は、公は官で、私は民だ、こういうような二律みたいなのがあったわけでございますが、やはりこの公の部分を官だけではなくて民で担っていくということが必要ではないかというのが、これは我が国だけではなくて諸外国の大きな流れではないか。

 財政的にもなかなか官だけでもたないし、よく言われますのは、自分のうちの前にごみがあったときに、すぐ市役所に電話してとりに来いというのと、町内会でみんなで掃除をしようよというのと、どちらが住みやすいし効率的かということを考えれば、それは当たり前の話であるのでございます。やはり今委員が御指摘になったように、土壌をつくられるとおっしゃいましたけれども、そういうことを制度として育てていくということは、これは我々の役割としてやっていかなければならないと思いますし、NPOのいろいろな制度にしても、また公益法人の抜本改革にしても、基本的にはそういう考え方でやってきた、こういうふうに考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 まさに今林大臣がおっしゃっていただいたように、ちょうどいい例を挙げていただいたんですが、家の前のごみをだれが拾うのかということで、まさにこれから私たちは地域主権の世の中をつくっていこう、これはもう与野党とも合意をしていることだと思います。

 そのときに、結局、地域のことは地域で考え、地域のことは地域で決定して、地域のことは地域で責任をとっていくという仕組みにこれからなっていくわけであります。今は何でもかんでも国に言ってこないかぬ。じゃなくて、地域でやればいい。そのときに、個人でやれといったって、これはなかなか難しいわけでありまして、やはり組織的枠組みが必要だろう。そうなると、今林大臣がおっしゃっていただいたように、民間で公を担う存在であるNPOが育っていかなくちゃならない、こういうことだろうというふうに思います。ですから、私は、地域主権とNPOを育てる、こういう仕組みというのはこれからのこの国の形を改めていく両輪だというふうに思っておるんですね。

 では、今そのために何をすべきか。今は、基本認識として、林大臣と私と、恐らく自民党でも御議論されていらっしゃると思いますから、基本認識としてはそうだ、NPOが大切だということで一致しているのであれば、では、どうやってNPOを育てる土づくりをするのかというところがやはり考えられなくちゃいけないということだと思います。

 そのときに、やはり一つ大切なのは税制ということでありまして、今、国税とか地方税、国や地方自治体に行っている税金の一部を、自分がこれはと思うNPOに対して寄附をした場合そっちに回るという、すなわち、NPOも公を担う存在であれば税金の一部が回るということも、私はこれは十分に考えなくちゃいけないことだと思います。

 その税制なんですが、私はずっといろいろな観点からの議論をしてきましたが、まず一つは寄附税制です。これについては今回の公益法人改革においてかなり寄附優遇につながる道が、これまではほとんど針の穴を通すような道しかなかったものが、大きな幅広い道、まあ多少幅広い道になってきたんじゃないかな、私はこう思うわけであります。

 しかし、これだけじゃ足りないわけでありまして、私は、一つには、これから特に遺贈とか相続ということについて、やはり国や地方自治体に寄附されるのと同様のステータスをNPOが持っていくべきだ、こう思っておるんですが、それについて、まず財務省の方から、今どういう制度になっているか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

田中(一)政府参考人 現在の制度、御質問ございますので、御答弁させていただきます。

 先生の方から御指摘ありました、民間が担う公益活動、これを推進するという観点から、公益活動を行う法人に対する寄附についてさまざまな優遇措置が今できております。

 御指摘のありましたような所得税の寄附控除の話もございますけれども、相続税に関連しましては、まず、遺言等によりまして法人に直接寄附がされた財産、これは法人がもらったわけでございますので、相続税は原則として当然かかりません。では、相続人が一たん受け取った財産を処分した場合どうなるかということでございますが、相続人が相続財産を一たん受け取った上で、認定された特定の非営利活動法人やそれから公益財団法人といったような、一定の公益の増進に資する、寄与する法人に寄附した場合については、先生御指摘のように、国等に対する寄附と同様に、相続財産について相続税を課さないという措置が現在講じられているところでございます。

市村委員 今おっしゃっていただいたことは本当に大変重要なところだと思います。すなわち、今、特定非営利活動法人とか、公益財団法人、いわゆる新しい公益法人についての寄附、遺贈は、要するに課税ベースから除外されるということですよね。(田中(一)政府参考人「はい」と呼ぶ)ですね。これはとても重要なことだなと思うんです。

 特に、今、日本は、大先輩方がたくさん資産を持っていらっしゃって、ある種、いわゆる資産が塩漬けになっている状態で、結局働いていない、回っていないということも私は経済が回っていかない理由の一つだと思っております。ですから、こうしたお金が、こうした不動産、資産が流動化してもっと使われるようになっていけば、その分また経済も活性化していくだろう、こういう思いであります。かつ、遺贈を受けたNPOがそれをまたストックして、そしてその他のNPOに対してしっかりそれを支援していく、助成していく、グラウンドメーキングしていくという仕組みができてくれば、それでもまた新しくお金が回るわけですね。その結果、さっき申し上げたように、教育とか医療とか介護とか子育ての分野で雇用が生まれて、そして我々が必要としているサービスが提供されていくということで、回っていくんです。好循環が生まれていくということであります。

 私は、大変重要な制度改革が今なされている、行われているということだと思いますが、残念ながら、まだそのことを、例えば新しい公益法人制度がそうなっているということをほとんどの方が知らないということがありまして、実は、本当は大変革命的な状況になっている。もっともっとこの話はどんどん広めていって、私もこんなNPOをつくりたいと、公益認定等委員会にどんどん申請して、そして税制優遇を得て、そういうNPOがどんどん活躍してほしいと願っておるわけであります。

 きょうは公益認定等委員会も来られていると思いますが、私は、ぜひとも公益認定等委員会が、この間ここでちょっと議論したときの老施協みたいな、あんな団体の、さっきの政治資金じゃないですけれども、過去のことを何かモグラたたきのようにやるのではなくて、公益認定等委員会というのは、今日において公益とは何ぞやということをしっかりと考えて、そしてこんなNPOが生まれたらいいんじゃないかということをむしろ積極的に提言していくような存在であってほしいと思うわけでありますが、応援の意味も込めて、公益認定等委員会から一言決意をまた聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 済みません、きょうは公益認定等委員会の方も来られていると思っていたんですが、どうも手違いで来られていないようでありますので、では、応援団ということで申し上げておきます。

 いずれにしましても、公益認定というだけじゃありませんで、やはりNPO一般だと私は思っています。法人格があろうがなかろうが、民間で公を担う存在がNPOでありますから、これは幅広いものを含むということであります。これは林大臣、当時副大臣と議論したのかどうか、いわゆる特定非営利活動法人というのがありますけれども、こういうのも含めて、一つの、いわゆる一般的、包括的非営利法人制度をつくって、いわゆる一般的、包括的非営利法人というのがNPOでありますから、その中には当然公益法人も含まれるし、学校法人も含まれる、社会福祉法人も含まれる、その他、共益であろうと思われる生協、農協とか労働組合とか、こういうようなのも含まれてくるわけですね。そうしたものを一体としてNPOというくくりをして、ではその中で、公益的なものにはどういう優遇を、共益的なものにどういう優遇を、やはりこういう整理をしなくちゃいけないと私は思っています。

 まず、制度の整理が必要だと思いますが、これについても大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。

林(芳)国務大臣 今市村先生おっしゃったように、最初にこの公益法人の抜本改革を始めたときには、今法制上ある、狭義のNPO、これも今おっしゃったような考え方で、広い意味では一緒でありますからということで、公益法人制度の改革に一緒に入れて税制上の議論をしようか、こういう議論があったというふうに記憶をしております。政府税調ではなかったかと思いますが。

 当時は、今市村議員からお褒めの言葉をいただいたような革命的な、公益認定をとれば、例えば遺贈も含めて寄附がつきますよということがまだ決まっていなかった段階でございましたので、NPOのサイドも、まだどうなるのかわからないところに入れられて結局今よりも厳しくなるということでは余りうれしくないねということがあったのかもしれませんけれども、その検討の外というか、中には入れないでくださいというような、私、党におりまして、たしかそういうお話を聞いたことがございます。

 そういった経過でございましたから、それではまだ決まらないうちに最初から一緒にするというのもあれですから、公益法人だけを最初に検討して、ここに入りたいと思ってもらえるようなものをつくっていこうということで、今御指摘のあったような制度になってきたということでございますので、まさに今後の検討の方向としては、おっしゃられたような広い意味でのノンプロフィットに広げていくということはたしかあのときも議論に入っていたと思いますので、一つの大きな課題であるというふうに認識をしております。

市村委員 いわゆる特活法人の皆さんについては、私もいろいろな方と話をしています。結局、みんな知らないんですね、制度がどうなっているか。そもそも制度を考えて活動している人というのはほとんどいないわけで、むしろそんなこと、制度なんか関係ないわけでありまして、やはり社会のために何かしたいということで、制度は利用するものであって、制度を考えて、制度がこうだから私たち起こすんだということじゃないわけですから。多くの方は知りません。ですから、一体どうしてこうなったのかということは多分多くの方は知らないと思います。

 ですから、さっき申し上げたように、今回の公益法人制度すらほとんどの方は余り知らないということでありますし、僕は、内閣府の方では、きょう来られていませんけれども、内閣府のホームページを見てもどこにあるのかわかりませんから、もっと大々的に、内閣府のホームページのトップぐらいにどんと持ってきてもいいぐらいだ、こう思っておるんですが、ぜひともそういうことも含めてやはり根本的に考え直さないかぬ。

 いや、私たちは今特活法人だから、私たちは公益法人だから、私たちは生協活動をやっているからとか、そういう何か、囲うのではなくて、みんな一つのNPOという、非営利セクターというものを形成する主体になるんだ、こういう意識からスタートしていく。しかも、これは、これからの日本の再生にとって極めて重要な役割を果たすものなんだという認識に立ってもらわなくちゃいけないんですね。何か、いや、もういいです、私たちは自分たちでやっているんだから構いませんからという発想は私は違うと思います。

 やはり、これから日本をどう再生させていくか、これまでみたいに財・サービスの提供を、営利企業である株式会社もしくは行政だけに頼るんじゃなくて、NPOという柱も立てて、そしてその三本柱で財・サービスの提供を行っていくんだということです。しかも、NPOの提供するサービスは公のサービスだというところをきちっと踏まえていく、だからこそ税制優遇もあるという観点の中で、大変重要な役割を果たすんだということをやはりNPOに携わっている皆さんも認識し、また誇りを持てるような状況に私はしていく必要があると思います。

 特に、私は、これはもう四年も前から、別の委員会でも出させていただいて、いわゆる介護心中、介護殺人については今後もっとふえてくると思うから、ちゃんとしなくちゃいけないと。そのときに、やはりNPOというものがちゃんとしてこないと、例えば療養病床をなくすということは、僕はあれは正しいと思います。ただ、受け皿であるものがないんですね。療養病床をなくすから、社会的入院をなくしたからどこに行くかというと、介護の受け皿をセットにしなくちゃいけないと思っていたのに、介護の受け皿を用意しないまま療養病床だけなくしたものだから、結局みんな自宅に帰されるわけですね、自宅に帰される。自宅に帰されたらだれかがその方の面倒を見なくちゃいけない。そうすると大変悲惨な状況ですね。子育てと違いまして、だんだんだんだん重くなるわけですから。かつての介護は本当は数カ月で終わることを、今の介護はもう二年、三年、十年ぐらいかかる場合もある。それはとてもとてもつらいことだ。

 では、原点に返って、そもそも介護保険というのは、そういう介護の負担を特定の個人に負わせちゃいけない、もっと社会化しようということで始まったはずの介護保険が、いつの間にか、それを解決しないまま、悲惨な事件を起こしてしまっているということだと思います。

 一つには、NPOのちゃんとした土壌をつくらないから、ちゃんとしたNPOが、介護サービスを提供するNPOも生まれず、結局、お金があってもちゃんとしたサービスがないということなんですね。夜間介護サービスをする場所もつくると言ったんですけれども、地域によっては、夜間に、二十四時間介護サービスをする場所がないものだから、幾ら介護保険がつくられてお金が使えても、サービスが提供されないということも起こっていますね。結局、やはり受け皿、そのサービスを提供するところがないんですよ。それは、株式会社でもなければ行政でもない、公立、いわゆるそういった意味の公立とかではない、公立といっても、ある意味では公立なんだけれども、民の公、これからは民の公であるNPOがしっかりとしなくちゃいけない、こういう思いであります。

 だから、私は、大臣は経済財政担当大臣でありますから、経済再生のためにはこういう大きな枠組みをしっかりと政府部内で持っていただいてこれからの施策の議論をお進めいただきたい、こういうことを切に願うわけでありますが、そのことを最後に一言いただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

林(芳)国務大臣 冒頭申し上げましたように、基本的な考え方は、市村先生おっしゃったこと、共有しております。

 アダム・スミスが「国富論」というのを書いておりますが、見えざる手、市場と国家みたいな話ですけれども、一方で「道徳感情論」というのも書いておられて、やはり人のために尽くしたいとか人の役に立ちたいというものが基本的には、経済合理人ではない部分の人間としてあるということをおっしゃっておるわけでございますから、まさに委員が先ほど来お述べになっているようなそういうものをきちっと引き出して、やれることを制度としてきちっとサポートしていくということが大事であるというふうに思っております。

市村委員 まさに人の役に立つのが政治であり行政であるのではないかと思いますので、またよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。失礼します。

渡辺委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、お二人とも林さんですからややこしいんですが、私、最初、国家公安委員長の方の林さんにお伺いし、後に経済財政担当の林さんに伺いたいというふうに思います。

 それで、最初に、ことし六月二十五日午前九時ごろ神奈川県厚木警察署で、同日十時四十分ごろ青葉警察署で、それぞれ、警察官が射撃訓練中に実弾が入ったけん銃を射撃訓練の映像に発射した。けん銃に実弾が入っていたわけですね。ですから、要するにテレビを壊してしまったわけですよ。

 通常、けん銃の訓練を行うときには、私は実弾を外すのが当たり前じゃないかと思うんですが、それから、監督者として訓練立ち会い責任者をきちんと置くとか、マニュアルがまずあると思うんですが、同じ日に同じころになぜ二つの警察署でこういう事態が起こったのか、一体、監督者はちゃんといたのかどうか、これは政府参考人に最初に伺います。

米田政府参考人 お尋ねの二件のけん銃暴発事故でございますけれども、これらは、訓練員、どちらも女性警察官でございましたが、必要がないにもかかわらずけん銃を取り出して引き金を引いたものでございます。

 本来、訓練をする前には弾倉を改めて、そして、訓練指導者が弾を抜けという指示をするわけでございますけれども、本人もやりませんでしたし、訓練指導者も弾抜けの指示はしていなかったというものでございます。

 また、訓練立ち会い責任者が本来はおりますけれども、一件については、まだ訓練時間が開始される前で、もちろん立ち会い責任者はその場に来ておりません。もう一件は、訓練開始時間になりましたけれども、立ち会い責任者から、おくれるのでまだしばらく待てという指示がありましたけれども、立ち会い責任者がないまま、弾倉に弾が入っていることを失念したまま訓練を行って、そして暴発をしたというものでございます。

吉井委員 経過はそういうお話であったようですけれども、二〇〇六年以降、類似例が、これは要するに、テレビの映像に向けて実弾を発射してテレビをぶっ壊したというのが十五件あるんじゃないですか。

米田政府参考人 平成十八年から二十年までの三年間に暴発事故は十二件発生をしておりまして、今御指摘の映像射撃訓練ビデオによるけん銃の訓練にかかわるものは六件でございました。

 それから、ことしは七月七日現在までに三件発生しておりまして、そのうち二件が映像射撃訓練ビデオにかかわるものでございます。

吉井委員 リストも出してもらいましたけれども、十五件、要するにビデオ、テレビに向かって実弾発射する、こういうことが起こっているんですが、これは、処分を警察官個人の問題で終わらせるんじゃなくて、やはり原因究明と管理体制をきちんとさせていくということが必要だと思うんですが、これは公安委員長の方に伺っておきます。

林(幹)国務大臣 けん銃訓練に際して暴発事故が発生したことに関しまして、まず、けん銃の取り扱いの基本が守られていなかったということに対しまして甚だ遺憾に思う次第であります。

 今回の事故を含めまして、既に警察庁及び関係県警察においてその再発防止策を講じているという報告を受けているところでございます。

 国家公安委員会といたしましては、この種の事案の再発防止に向けて、さらに警察庁を指導してまいりたいと思います。

吉井委員 次に、私、この内閣委員会で何度か取り上げておりますが、この間、委員長も所信あいさつで「取り調べの一部録音録画の試行等に取り組みます。」と述べておりましたけれども、自白の強要による冤罪をなくすためにすべての可視化に取り組むということが必要だと思うんですが、それに先立って、やはり警察がなすべきことがあると思うんですね。

 それは、冤罪を生んだ栃木の足利事件、富山の氷見事件、鹿児島の志布志事件などがあるわけですが、志布志の件については国家公安委員長はこの内閣委員会で謝罪しているんですよ。しかし、ほかと違って志布志の場合には、県警本部長は直接被害者に会って謝罪するということをしていないというふうに思うんですが、これは先に政府参考人に伺っておきます。

金高政府参考人 お答え申し上げます。

 志布志の事件につきましては、鹿児島県警本部長は、県議会あるいは記者会見の場で謝罪の意を表明しておりますけれども、直接元被告人の方々に会って謝罪ということには至っておりません。

吉井委員 なぜ鹿児島県警は冤罪の被害者に直接謝罪しないのかということが非常に不思議なわけです。過酷な取り調べと自白の強要があったことは裁判でも明らかになっているんです。だから、捜査のどこに問題があったのかをきちんと検証する必要がありますし、まず、犯罪者に仕立てられた、人生を狂わされた被害者の人たちに対して、どこが間違いであったのかを明らかにして、被害者に直接謝罪に行くよう、公安委員長はもうこの場で謝罪しておられるんですが、鹿児島県警に、やはりこういう問題はきちんと直接やりなさいと指示するべきだと私は思うんですが、これは大臣に伺っておきます。

林(幹)国務大臣 志布志事件の捜査に関して、私も反省すべき点があったと考えておりまして、元被告人の方々に対しまして申しわけないと思っておる次第でございます。

 今局長が答えたように、鹿児島県警としては、現在係争中の国家賠償請求訴訟等における元被告人の方々の主張と鹿児島県警との主張に異なる点があるということから、元被告人の方々と面会の上、謝罪の意を伝えることは困難であると判断しておると聞いておるところでございます。

吉井委員 おかしいと思うんですね。足利事件の場合も、再審ということで、係争中といえば係争中なんですよ。しかし、きちんと謝罪しているわけですね。

 それで、志布志の場合も、これはやはりきちんと被害を受けた方に謝るのが人の道というもので、私はきちんとさせるということを国家公安委員長としてやってもらいたいと思うんですが、もう一遍答えておいてください。

林(幹)国務大臣 御指摘の足利事件に関しましては、栃木県警本部長が、菅家氏と面会をした上、謝罪することが適切であると判断したものというふうに承知しておるところでございます。

吉井委員 志布志の方も、鹿児島県警本部長がきちんとこれは謝罪するべきだと判断するように指導するのが、私はあなたの務めだというふうに思います。

 次に、きょうも既に出ておりましたけれども、政治と金の問題について、きょうは二つの問題が出ておりました。一つは千葉県土木業者の宮原工業株式会社の問題、それから西松建設の問題でした。

 最初に、宮原工業について伺っておきたいんですが、口きき目的で林大臣の政治団体大樹会のパーティー券を購入し、大臣の秘書を接待したと報道されている問題についてですが、この問題、実は昨年九月にも、若干違った内容ですが、週刊誌に「私は林幹雄代議士に一千万円渡した!」との見出しで報道されました。秘書に会うたびに十万円、二十万円渡していたとも報道されています。

 大臣は当時の記者会見で事実無根だというふうに言っていたわけですが、宮原工業から少なくとも二十万円の振り込みを受け、それを政治資金収支報告書に記載していなかったという、これは事実なんですね。

林(幹)国務大臣 御指摘の、支部へ二十万円の寄附はあったわけでございまして、これは記載漏れだったわけでございます。

 収支報告の訂正はしましたという報告を受けております。

吉井委員 それは二十万円訂正されるということですが、領収書で確認したのか、銀行振り込みの記録で確認して、これは訂正しなきゃいけないなということになったのか。

 大体、そもそも、いつもらって、どういうふうに判断されたんですか。

林(幹)国務大臣 詳細に関しては存じ上げていないのですが、秘書から、指摘がされたので調べたらば記載漏れだったということで、早速訂正いたしましたということの報告がありまして、時期は詳しく聞いておりません。

吉井委員 昨年九月は、事実無根だとおっしゃったわけですね。そのときにきちんと調べておれば、少なくとも二十万円の金を、宮原工業から献金を受けたことがわかったはずだと思うんですが、昨年九月の時点ではきちんと調べていなかったということですね。

林(幹)国務大臣 調べていなかったというより、秘書からの報告がなかったものですから、私はないものと思っておりました。

吉井委員 宮原社長は、あなたの政治団体大樹会が二〇〇五年六月十三日に幕張プリンスホテルで行った大樹会政経セミナーに出席し、そのパーティー券を買ったと言っています。あなたの秘書も、マスコミの記者に対して、確かに宮原氏には飲食のごちそうにもなりましたし、パーティー券も買ってもらいましたと答えておりますが、宮原工業にパーティー券を買ってもらっていたということはあるんじゃないですか。

林(幹)国務大臣 それは、パーティー券は、先ほどの政党支部への寄附との勘違いじゃないかと私は思っています。そのように報告を受けています。

吉井委員 全部、報告を受けているという話ですから、絶対ないという話も、報告を受けているということで、調べてみたらそうじゃなかったということがわかったんですから、これはやはりきちんと見なきゃいけないと思うんです。

 二〇〇五年から二〇〇七年にかけて、大樹会は九回のパーティーを開催しておられますね。宮原工業には一回もパーティー券を購入してもらったという事実はないのかどうか、伺います。

林(幹)国務大臣 詳細に関しては、存じ上げておりません。

吉井委員 七月二日の記者会見で、大臣は、「常識的な飲食は一、二度あったかもしれない」と述べているんですね。詳細はわからないというのだけれども、昨年一千万円の疑惑だということが出て以降、パーティー券とか政治献金とか、それから赤坂の料亭やクラブでのあなたや秘書の方への接待の詳細を含めて、一千万円の裏金疑惑と書かれたものについてはきちんと調べて、秘書から聞いていないとかどうとかいう話じゃなくて、これはやはりきちんと調べて、これはみずから調べなきゃいけないわけですから、明らかにすべきじゃないかと思うんですが、どうですか。

林(幹)国務大臣 秘書からの報告では、一切金銭の授受はないということでございましたし、私自身もございません。

吉井委員 授受がないといっても、しかし、現実にはそれで突っ張り切れるものではなくて、あなたの立場というのは、不正を追及する警察を監督する国家公安委員長なんです。

 昨年九月の報道から一年たって、聞いていない、何もないという話ではなくて、政治資金の記載漏れを指摘されて訂正するということになったりしているわけですから、一年前に事実無根だと言って、今もそれを言っているだけでは、これは非常にまず説得力がない。私は、この点では、今、政治と金の問題について説明責任を果たしているということにはならないと思うんです。

 引き続いて、西松の方についても、最初に法務省に伺っておきますが、西松建設の国沢社長を起訴した検察の冒頭陳述の中で言われていることは、まず、実体のない政治団体の名義を使って献金すれば、表面上企業献金の禁止を回避でき、かつ社名の公表を避けられる旨提案を受けてこれを了承し、専ら西松建設がその名を伏せて政治献金を行う際のダミーとするための政治団体の設立を仮装することとし、Aにその実施方法を指示したというふうに、要するに規制逃れでやっていたということを冒陳の中でも検察が主張していると思うんですが、基本的な考え方について伺っておきます。

甲斐政府参考人 西松建設の前社長に係ります公判におきまして、検察官は御指摘のような内容を冒頭陳述で述べたものと承知をいたしております。

吉井委員 ですから、マスコミにたびたび登場する新政治問題研究会が西松建設のダミー団体だったということは明白です。

 ところで、林国家公安委員長は、西松建設のダミー政治団体と言われる新政治問題研究会から寄附をいつ、幾ら受けていらっしゃるかを伺っておきます。

林(幹)国務大臣 この問題に答弁する前に、先ほどの件ですけれども、もともと見出しが一千万とか一千五百万とか出ておったものですから、それに対して全く金銭の授受がないということは明確に申し上げたところでありますし、一切ございません。

 今の西松建設の件でありますけれども、十八年というふうに聞いております。

吉井委員 金額は百万円ですね。

林(幹)国務大臣 そのとおりでございます。

吉井委員 ことしの三月九日に、林大臣は、当時はまだ党の幹事長代理ということで、記者質問を受けて、道義的責任について触れておられました。今はその不正を捜査する警察を監督する国家公安委員長という立場ですが、国家公安委員長として、この寄附金を受け取った道義的責任についてはどのようにお考えですか。

林(幹)国務大臣 当時は、西松建設関係の政治団体、そこから寄附をということで、党の十区支部というか政党支部に献金していただいたという報告ですから、何ら問題はない。

 したがって、政治資金規正法にのっとって的確に、適切に収支報告をして公表しているところでございます。

吉井委員 適切にやっておったんだけれども、道義的責任を感じると言ったんですね、幹事長代理のとき。今は、不正を捜査する警察そのものを監督する立場にあるわけですから、寄附金を受け取った道義的責任について、当時とは違う立場からの考え方というものがあるのかと思うんですが、今のお立場での道義的責任についてどうお考えなのかを伺っているんです。

林(幹)国務大臣 この問題は、今先生御指摘のように、小沢前代表の秘書逮捕、起訴によっていろいろと出てきたわけでございまして、その中身が違うと思うのは、一つは、小沢前代表側には多額の政治献金が長期間にわたってなされておったということと、それから、小沢事務所が毎年、西松側と献金の仕方について協議をしておった、そういった第三者名義の寄附の十分な認識があったというふうに思うんですけれども、私どもはそれは全くございませんで、たまたまこういうことが出たものですから、党の法曹団と協議をして、返済すべきかどうかを含めて、その同額を法曹団に預けて、協議してもらっているところでございます。

吉井委員 何か小沢問題でたまたまばれたみたいな話ですが、西松建設の新政治問題研究会からの寄附金を受け取った経緯なんですけれども、この寄附金というのは、林大臣の側から新政治問題研究会に寄附の要請、要望を行ったのか、相手が勝手に寄附を持ってきたのか、いずれなんですか。

林(幹)国務大臣 その辺は定かではありませんが、こちらから要求ということではないと思います。

吉井委員 さっきの宮原工業にしても今度の西松の問題にしても、肝心なところについては定かでないというお話で、やはり、ポイントをはぐらかしていると言わざるを得ないと思うんです。

 林大臣は、二〇〇三年九月から四年九月までは国交副大臣を務めていたわけですし、ゼネコンの西松としては、匿名で献金しても余り意味がないんですね。西松のダミー政治団体から献金を受け取った政治家が、そろって、新政治問題研究会が西松建設のダミー団体だったということを知らないと、皆そう言っているんですよ。これはとても納得できる話じゃないと思うんです。

 この間、公選特で与党の方たちは、鳩山代表の説明責任が果たせていないということを盛んに言っておられましたが、私は、大臣も説明責任を果たしたことにはならないと思うんですよ。

 先ほど冒頭陳述も紹介しましたが、林大臣が寄附を受け取った新政治問題研究会が西松建設のダミー団体だったということはもう明白なんですよ。そうすると、この献金の出どころは西松建設であるわけですから、大臣は三月九日の記者会見のときには、法的には問題ないと思いますが、こうなってきますと道義的なことを考えて返却したいと思っているという会見でした。では、これは西松建設に返却するんですか。

林(幹)国務大臣 その団体が解散しちゃってもうないものですから、法曹団に協議をして、どうしたらいいかということをしているわけでございます。

 正直、正式な政治団体というふうに報告を受けていましたし、知ってのとおり、政治献金であれパーティーであれ、秘書が担当して当然、どこの事務所もそうだと思いますけれども、そういうふうにしておりますので、報告を受けていると言っているのでございます。

吉井委員 私は、西松の問題にしてもそれから宮原工業の問題にしても、やはり、政治と金の問題についてはきちんと全面的に明らかにすることが大事だ、そして、きちんとした説明責任というものが果たされなきゃならないというふうに考えているものでございます。

 ですから、これは委員長にお諮りいただきたいんですけれども、この宮原工業の関係についても、要するに、マスコミ等で伝えられている領収書等どういうものがあるのかとか、関係するものがやはりきちんと委員会にも提示されて、今、知らない、知らない、秘書がやっているからというだけでは、これはとても説明責任を果たすことにならないし、委員会としては解明する責任を果たすことにならないと思いますから、私は、委員長の方に、この関係する資料等の提出を求めて、委員会としても解明できるようにお取り計らいをいただきたいと思います。

渡辺委員長 委員会で協議させていただきます。

吉井委員 それでは次に、基本方針二〇〇九について、もう一人の林大臣の方に伺いたいと思います。

 これまで政府は、官から民へ、小さな政府ということを掲げて構造改革を推進してきたわけですが、小泉時代の基本方針二〇〇五では「構造改革の総仕上げによる「小さくて効率的な政府」の実現」というのを掲げて、官から民へなどの改革を徹底するとしました。

 林大臣は、二〇〇六年、「世界と議会」という雑誌のインタビューに答えて、「自己責任の理念の下、税や保険料をなるべく少なくしようというのが「小さな政府」です。」「「官から民へ」というキャッチフレーズにある通り、なるべく民間にできることは、民間にやってもらうということも進めるわけです。」というふうに答えておりました。

 このインタビューどおり、政府の経済財政担当大臣として、政府の仕事をどんどん民に任せて、政府の仕事を減らして政府をどんどん小さくする、官から民へ、小さな政府という、いわゆる小泉時代の構造改革路線を推進するという立場でおられるのかどうかを伺います。

林(芳)国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員がお話のありましたこれまで取り組んできた改革というのは、我が国の経済と社会の活性化ということに一定の成果を上げてきたというふうに認識しております。他方で、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、雇用者間の格差問題とか地方経済の疲弊というものが指摘をされているということも承知をしておるところでございます。

 したがいまして、麻生内閣では、改革という基本路線は堅持をしながら、ひずみへの配慮、また新しく出てまいりました課題への解決、こういうものに取り組んでいかなければならない、こういう認識をしておりまして、こうした基本的な考え方を踏まえながら経済財政運営を適切に進めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

吉井委員 大きな政府か小さな政府かというのは不毛な議論であるという議論があります、例えば、日本の行政組織だけをとって大きいか小さいかということを比べると、明白に、公務員数等を世界各国と比べると、日本は既に極めて小さな政府になっているということは一目瞭然だ、先般の安心社会実現会議でいろいろな方が申されていたのは、やはり安心あっての活力、活力あっての安心と、一定の、社会全体としてお互いに支え合う制度を構築するという意味では、やはり大きい政府、小さい政府という議論はほとんど、議論は不毛な議論だ、以前議論されていた小さな政府論、まだ一部残っているけれども、こういう議論をやっても意味がないということをこの骨太で申し上げているつもりですというのが六月二十三日の与謝野さんの会見です。

 これまで政府は、大きな政府から小さな政府へとすることを目標に、官から民へと、その手段とする構造改革をやってきたわけですが、基本方針二〇〇九には、「「官から民へ」、「大きな政府から小さな政府へ」といった議論を超えて、」と「超えて、」という記述があるわけですが、その前段には、格差の拡大、年金、医療、介護など社会保障制度のほころびなどの現状が指摘されています。

 小泉構造改革のもとで製造業への派遣労働者の規制緩和が行われ、ワーキングプアが拡大し、今回の経済危機のもとで首都のど真ん中に派遣村が出現しましたし、格差の拡大傾向のまさに象徴的な、典型的な事例となっています。高齢者を差別する後期高齢者医療制度も社会制度のほころびそのものだと思うんです。

 この基本方針二〇〇九が指摘する格差の拡大傾向、社会保障制度のほころびというのは、国民から見れば、まさに官から民へ、小さな政府というスローガンで進めてきたこの構造改革路線そのものの破綻ということになると思うんですが、これは大臣の認識を伺っておきたいと思います。

林(芳)国務大臣 大変大事なポイントであるというふうに思いますが、先ほど私のインタビューを引用してくださって、できる限り官から民へというような発言をしておるようでございまして、まさにそのことでございまして、やはり官でなくてはできないことまで民に持っていくということではない、こういう考えであろうか、こういうふうに思っております。

 官がいたずらに肥大するということは避けなければならないというのは、先ほど申し上げましたように、改革の基本のところを堅持するという意味で申し上げたことに含まれる、こういうふうに思っておりますけれども、一方で、委員が御指摘のようなことが指摘をされていると先ほど答弁したとおりでございますので、やはり、この基本方針、それからそれの前に安心実現会議でのいろいろな御議論を踏まえた答申のようなものが出ておりますので、そういうものを踏まえて、この基本方針二〇〇九でまとめました方針できちっとやってまいるというのが基本的な考え方でございます。

吉井委員 基本方針二〇〇九の「「官から民へ」、「大きな政府から小さな政府へ」といった議論を超えて、」というこの記述のもとにあるのは安心社会実現会議ですね。そこでは、小さな政府の失敗にも我々は数々懲りた、レーガン、サッチャー、成功したかに見えたが、それを模倣した小泉さん、竹中平蔵さん的イデオローグの考え方が必ずしも適切でなかったから今格差社会というのが、こうなってしまっているんだという発言があったように、やはりこれまでの、骨太方針だといって国民の暮らしを切り縮め格差社会を拡大したこの路線というものは、根本的に転換を図るべきものだ、このことを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

渡辺委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 お二人の林大臣、御就任おめでとうございます。

 きょうは、まず最初に、規制緩和ということで、これまでの許認可が届け出制になったということで、KDDIが行ってきた国際オペレータ通話、これは日本国内から〇〇五一をダイヤルするとオペレーターの方が出てくる、こういうサービス、そして、海外からジャパンダイレクト、このサービスが、二〇一〇年の、つまりは来年ということになりますね、三月三十一日以降終わるということについてお尋ねをしていきたいと思うんです。

 きょうは柴山外務大臣政務官に来ていただいていますが、これまでこのジャパンダイレクトが果たしてきた役割というのはかなり大きいんだということを私は聞いております。例えば、盗難に遭った場合に日本のカード会社を的確に捜してくれて解除の申し入れをつないであげるというようなことであるとか、あるいは事故、病気、そういった個人のアクシデント、さらには、最近では新型インフルエンザでメキシコでホテルに滞在をしているところに日本から架電をしても電話がかからない、あるいはかかっても言葉の問題で日本語、英語では通じないということで、大変利用が多かった、こういうことなんです。

 外務省として、邦人保護ということで現地の大使館等あるわけですけれども、こういったジャパンダイレクトが廃止をされるということに対して私は懸念を持っているんですね、大丈夫だろうかと。高齢の方の旅行者も多いです。四十二、三回ダイヤルすれば直接できますよと、これはスーパージャパンダイレクトですか、これも導入されるということですが、この点について、柴山さん、いかがですか。

柴山大臣政務官 お答え申し上げます。

 今先生がいろいろと事例を挙げて御質問されましたけれども、邦人保護という観点から申し上げますと、一般的には、海外邦人からの援護要請、これは主として滞在国の国内通話として管轄の在外公館に対して行われているのが実情です。まれに、確かに海外邦人から外務本省の邦人保護を担当する部署に対して直接国際電話をいただくということはありますけれども、そのまれな事例におきましても、一般的には通常の直接国際電話であるというように承知しております。

 そして、それ以外のさまざまな、外国から日本に対する通話ですけれども、外務省としては、海外から日本への電話のかけ方の照会を受けた場合には一つの手段として御紹介をすることはありましたけれども、結果として、どの程度の海外邦人が日本国内への国際通話の際に御指摘のKDDI国際オペレータ通話を利用されているかということについて、私どもとして把握してはおりません。

保坂委員 きのう、部屋に、私のもとに来てもらいました。私ちょっと驚いたのは、大体、日本からメキシコにかける、つまり日本から海外、これはもうやっていないんじゃないかと言うんですね。ところが、やっていないというのは間違いでした。やっているんですね。ですから、こういうときに、新型インフルエンザで、ホテルで、ちょっと出られなくなっているというときに、こういうオペレーターを介した通話で安否確認や家族の通話がされているということを外務省が認識していないのはとてもおかしいし、では、これが廃止をされたらどうするんだと言ったら、通訳を介した会社を紹介しますと言うんですね。

 柴山政務官、これは費用はどのぐらいかかるか、御存じですか。

柴山大臣政務官 一般的には、通訳を扱う会社にはさまざまなものがありまして、一概に相場等は、平均幾ら幾らということは、なかなか言いにくいと思っております。

 それと、今先生が御指摘になった新型インフルエンザに際して、確かに安否確認等の必要性から、日本からの海外に対する通話そのものがふえたということはあるのかもしれませんけれども、それによって、御指摘のKDDI国際オペレータ通話がどの程度ふえたのかということについては、これは外務省としては把握はしておりません。

保坂委員 外務省は本当に邦人保護ができるのかなと私はきのう不安になりましたね。一分間千八百円だということなんですね、通訳会社というのは。それは、待っている、ウエーティングの時間も含めるので、今までのKDDIの有人オペレーターの通話に比べれば格段と高くなるわけです。

 総務省に来ていただいていますけれども、G8の中で、この種の、海外とのオペレーターを介したサービスを廃止した国というのはありますか。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 G8メンバー国でサービスを提供しております電気通信事業者は非常に多数でございますので、すべての事業者について把握できておるわけではございませんが、フランスの主要事業者でありますフランステレコムは、国際オペレーター経由の、外国から国内向けのコレクトコールを廃止しているというふうに聞いてございます。

保坂委員 国家公安委員長に伺いますけれども、これは、大規模な事故や事件や天変地異、あるいは政情不安等、海外ではいろいろあります。外務省は、在外公館にかけていただければ対応します、これは平時ならできるでしょう。しかし、大量の邦人が、何か事故やあるいはそういった思わぬ出来事で、国外にいて国内との連絡を必要としているときに、大変大きな役割を果たしてきているようです。

 こういうものについて、少し前まで本当に規制緩和一辺倒でしたから、これは廃止していいのかどうか。いわゆる海外での事件や事故、そういうことの対応も含めてどのようにお考えか、お願いします。

林(幹)国務大臣 お尋ねのジャパンダイレクトの廃止の影響についてでありますけれども、直ちに判断いたしかねるところでございます。

 警察としては、海外で邦人が事件、事故に巻き込まれる事案が発生した場合には、これまで同様、外務省と連携を図りつつ、適切に対応してまいりたいと思います。

保坂委員 どのように使われていたのかも把握してほしいと思うんですね、外務省も警察庁も。そのことを要望して、まだ時間がありますから、いざというときに熟練したオペレーターがいろいろ対応してきたわけですから、これを本当に廃止して、全部ダイレクトで、これでいいのかどうかということをお考えいただきたいと要望したいと思います。

 次に、緊急経済対策の中にも入った外環道についてお聞きをしていきたいと思いますけれども、これは林芳正大臣の方に。

 この外環道は、御存じのように長い歴史がございますよね。一九六六年、昭和四十一年に高架方式で都市計画決定がされた。しかし、沿線住民、沿道の反対が強くて、一九七〇年には当時の建設大臣が凍結を表明された。約三十年たって、一九九九年に石原東京都知事が地下化を表明した。それから、二〇〇七年ですね、二年前でしょうか、地下方式へ都市計画決定が変更された。つい先日、国幹会議、これは整備計画に格上げをしたということで、早速補正予算から九十五億円がついて、東京都も直轄事業負担金など二十六億円という予算をつけているということなんですが、まず国交省に、事務方に伺いますが、これは外環道は既に事業に着手しているんでしょうか。

 つい先日の新聞記事、これは東京新聞ですが、これによりますと、五月二十九日にホームページにひそかに書かれていたと、外環道着工。外環道という文字もなかった、いわゆる政令の名前ですね、長いから言いませんけれども。ということで、これだけ社会的な関心も集めている外環道の着工ということを始めていたのならば、なぜ、記者発表や、ホームページも例えばトップページに出すとか、そういう工夫をしなかったのか、ちょっと事実確認も含めてお願いします。

広瀬政府参考人 お答えいたします。

 外環道につきましては、ただいま先生の方からお話ありましたように、今回の補正予算で九十五億円の予算が認められております。そういった意味では事業化されているというふうに私ども理解をしております。

 今回、五月に整備計画の決定を行いました。これは、基本的に、その前に四月の二十七日に国幹会議がなされまして、そこでの内容をそのまま整備計画として決定させていただいたということで、ホームページ等に掲載させていただいております。

 特に記者発表等しておりませんでしたけれども、今後、こういうものの周知につきましては、どういうやり方がいいのか、検討してまいりたいというふうに考えております。

保坂委員 これは、外環道と気がつかないんですよ。大体、ホームページ、どこにあるのかもすごく難しいし、「関越自動車道新潟線の三鷹市東京都練馬区間の新設」、これじゃわからないですよね、これは政令における本当の名前らしいですけれども。

 林大臣にちょっと伺っていきたいんですが、私も九九年当時のニュースを見て、外環道、長らく凍結をされていたというのが地下へと、そして、やがて大深度地下ということになりましたよね。そうすると、地上部の家屋の立ち退きなど、相当過密ですから時間がかかりますよね。大深度地下ということで、この外環については地下を走るんだ、こう思っていたわけです。

 それはそう間違いないようなんですが、ところが、お手元に配った資料を見ていただきたいんですが、実は、一九六六年当時に二つの都市計画決定がされていたようでございまして、この上に「外環ノ2」というふうに書いてあります。「外環ノ2」の幅は四十メートルですね。実は、この四十メートルを確保して、上に高架を載っけるという計画で当時構想されたわけです。それが、この高架の部分が下に潜りましたよね、御承知のように。そうするとどうなるのかというと、これは残っているそうなんですね、四十メートルの。一回、道路というのは決まるとなかなか消えないんです。

 ということで、道路は地下に大深度でいくが、地上にもできると。東京都に聞くと、道路なのか、防災拠点なのか、町づくりなのか、いろいろ住民の皆さんの意見を聞いてというようなことでおっしゃっているんですが、実は道路ができる可能性もあるようです。

 そうすると、これだけの財政難で、経済効果が期待できるという話があったにしても、どうでしょうか、率直に。こういう話、御存じでしたか。地上の部分も残る可能性があるということを御存じでしたか。

林(芳)国務大臣 今委員がお配りになられましたこの「現在の地上部街路の都市計画」というものでございますか、これはちょっと私、今まで拝見したことがございませんでしたので、きょう、御質問はこの経済的な効果というふうに伺っておりましたので、この紙についてはちょっと今まで見たことはございません。

保坂委員 それでは、国土交通省の方に伺っていきますけれども、この「外環ノ2」というのは、この配った資料にあるように、目白通り、練馬区の東大泉二丁目から東八道路、世田谷区の北烏山五丁目までの九キロの間を結んでいるという都市計画決定であります。

 先ほども言いましたが、東京都では、計画の廃止も含めて関係区やあるいは市の要請を受けて地元との話し合いをしたい、その上で決めたい、こういうことなんですが、結局、道路ができる可能性もあるということですよね、話し合い次第によっては。そこを確認しておきたいんです。

松谷政府参考人 お答えいたします。

 最初に、外環の本線と「外環ノ2」という二つの都市計画道路の機能、性格の違いをちょっとお話し申し上げたいと思いますけれども、外環の本線は、首都圏の三環状道路、圏央道、外環、それから首都高速道路中央線の三環状道路の一つを担っておりまして、広域的な自動車交通を分担するという機能でございます。これについては、今先生からお話があったとおり、地下に入れるということがいろいろお話し合いをしていただいた上で決まった。

 「外環ノ2」については、きょうお配りいただいた資料にも「街路」というふうに書いてありますように、この地域の中での道路という性格でございまして、ですから、地域の自動車交通、それから歩行者、自転車という交通を受け持ったり、それから環境、防災等の機能を担うということでございまして、その二つの道路は機能、性格が大きく異なっております。

 それで、「外環ノ2」というのは、今お話ししたように地域の道路ですので、地域の行政を担っておられる東京都、それから地元の市と区、さらにはその地域の住民の方々の御意見を集約する中でそのあり方を決めていただくという性格のものであるというふうに思っております。

 今、先生からお話がありましたように、東京都では平成十七年の一月に考え方を公表しておりまして、一つの選択肢としては、現在の計画区域を活用して緑豊かな道路をつくる……(保坂委員「もういいですから。道路になる可能性があるかどうか」と呼ぶ)ええ、済みません。それから二つ目が縮小する、三つ目が代替機能を確保して計画を廃止するという三つを公表しておりますし、また、二十年三月には、環境、防災、交通、暮らしという四つの視点で検討を進めていくということでございます。

 これから東京都では……(保坂委員「そろそろ、時間ないから」と呼ぶ)はい、済みません。

渡辺委員長 審議官、簡潔に、簡潔に。

松谷政府参考人 この必要性から、整備のあり方について、地元の市区それから住民の皆さんと意見交換をして決めていくということでありますので、すべての選択肢があり得るというふうに国土交通省としては考えております。

保坂委員 最後の一言でよかったんですね、私が聞きたかったのは。すべての選択肢があるということなんですね。

 これはどうでしょうか。すべての選択肢があるのであれば、道路になる可能性もあるわけですよ。道路になる可能性もあるのであれば、外環道ではじいたBバイC、交通需要の予測、これは少し下げられたようですけれども、三を少し切った数字を出されていますけれども、交通量それから環境に対する負荷、これは上も下も道路だったら、これは下からも排ガス、上も排ガスというふうになりますからね。こういうことを一体としてやるのかやらないのか、まずはっきりしたらどうですか。

 まず、では伺いますけれども、このBバイCは、両方つくった場合、どうなるんですか。そこまでちゃんと議論していますか。

広瀬政府参考人 外環のBバイC、先生御指摘のように二・九ということで出させていただいております。

 このもととなりました将来交通量でございますけれども、外環のその二も、都市計画決定されて、現在計画としては残っておりますので、将来道路ネットワークの設定におきましては、この「外環ノ2」も含め、この計画中の道路も含めて設定しておりまして、これも考慮したBバイCということになっております。

保坂委員 ちょっと確認しますが、上に道路ができるということを前提としてはじいているというふうに伺ってよろしいんですか。

広瀬政府参考人 そのとおりでございます。

保坂委員 これは、林大臣、私、そこまで言うと思わなかったんですよ。そうですか。どう思いますか。

 これは確かに、環状道路を通して高速と高速の接続をよくするという、そこにはいろいろな問題があるんです。地下につくるという問題も、では水系がどうなるのか、あるいは防災上どうなのか、そういう議論はあります。住民の方の意見もあります。しかし、地上部分の道路というのは大体消えたと思っているんですよ、ほとんどの人が。ただ、都市計画決定をするとなかなかこれは解除しませんから。

 今の話だと、上にもできる、下にもできるということでBバイCをはじいていると。そうすると、幾らかかるんですかね、これは。下だけで今まで言われていたのは一兆六千億円ですか、それが少し安くなって一兆二千八百億円になったんですね。しかし、上にもつくるといったら、四十メートルですよ、まあ縮小するにしても。過密市、住宅が過密に建っている地域ですよ。

 林大臣は、経済財政の効率的な、ポイントを押さえた運営を預かっているはずです。こういうものはやはり一体としてどうなのかということを、しっかり両方を見て議論された方がいいと思いますね。いかがですか。

林(芳)国務大臣 お答え申し上げます。

 今保坂委員おっしゃったように、今度の経済危機対策というのは、底割れを防ぐということと、それから未来への投資によりまして経済の成長力を高めるという観点で政策手段を総動員したもの、こういうことでございますので、その成長戦略の中の一環で底力発揮・二十一世紀型インフラ整備の一つということで、外環道を含む三大都市圏の環状道路整備ということで、国土ミッシングリンクの結合と言っておりますが、今ミッシングしているところがつながることによる経済効果というものを考えておるわけでございます。地域間の連携強化や競争力の強化がこれによって図られるということで重要な施策だというふうに考えております。

 一方で、この基本的な考え方としては、各施策は、これは何か英語で三つTでございまして、一つ目がターゲッティッド、重点化されたもの、それから時宜を得たもの、タイムリーですね、それから時限的なもの、テンポラリーということで、ワイズスペンディングをしなければならない、こういうふうに原則やっておりますので、そういう観点で、きちっとおっしゃっておられた視点も踏まえながら見てまいる必要があると思っております。

保坂委員 ぜひ委員長には、もし東京都の計画どおり両方やった場合、これは本当に幾らかかるのかということも国土交通省に試算をして提出をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

渡辺委員長 理事会で協議します。

保坂委員 ロシアと日本の間で原子力協定、これはプーチンさんが来日をして署名をされて、先日私、外務委員会でこの協定を見たいと言ったところ、いや、協定はまだ見せられないんですよ、ちょっとロシア側に事情がありまして、こういうお話で、それはおかしいですね、協定はもう署名しているんだから見せてくださいと言って、見せてもらいました。

 そこで、ちょっと一点だけ大変気になる点があるので、そこを指摘させていただきたいと思います。

 IAEAは先般、天野事務局長が当選されたということで、日本はIAEAに、大きく天野事務局長の活躍にも期待をしたいところですが、この条約によると、条約のまず三条で、IAEAとの間で締結している保障措置が実施されているということで、ロシアにおいては、保障措置の適用上IAEAが選択している一ないし二の施設が存在することを要件としているんですね、御承知のように。ところが、五条というのがあって、保障措置の適用上適格性を有するがIAEAが選択していない施設に置くこともできるとあるわけです。つまり、例外を認めている。

 このお配りした資料の中にちょっとつけておきましたけれども、この条約が、附属書のところを見なさいといって、このAの部分は、保障措置が行われているところはないということですね。一、二ともにない。Bのところで、この協定に基づいて、いわばIAEAが選択していない施設で一つだけ、アンガルスク国際ウラン濃縮センター、下に外務省からもらった地図もありますけれども、ここの名前が出てくるんです。

 ここの名前が出てくるというのはどうしてなんだろうか。そして、軍民共用施設ではないのか。あるいは、このAの部分がないのに、ここの部分でやりますよと、やや勇み足過ぎるんじゃないかと。

 つまり、ロシアは核保有国ですから、日本とは違いますので、少なくともIAEAの査察が常に入るということはないわけで、そういう意味で、今回の協定、このままでいいのかという点を考えるんですが、まず、なぜここに具体的な名前があるんでしょうか。

佐野政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の点でございますけれども、協定三条によりまして、IAEAの保障措置が、査察でございますね、入る施設が必要である、これが要件になっております。現在ロシアとIAEAの間で協議あるいは交渉が続いておりまして、これが決まってきます。その場合に、選択施設の名前が出てきます。そのほかにもし適格施設があれば、それが、適格施設がアンガルスクのほかに載ってくる。

 したがって、現在ロシアとIAEAの間で交渉が進んでおりまして、それを待って我々としては国会の御承認を得るべく提出したいというふうに考えております。

保坂委員 柴山大臣政務官に確認したいんですが、ロシアは核大国、軍縮の話も再開されて、それはうれしいことですけれども、ただ、日本の使用済み核燃料の再処理というのはうまくいっていないのは御承知のとおりなんですよ。六ケ所もなかなか進んでいかない。

 もう時間がないので、では林大臣が原子力関係を所管されているので、そこで総括して答えていただいてよろしいですか。

 六ケ所で処理がし切れないんですよ。大量の委託を今度ロシアにしていかなければいけないという日本側の事情もある。他方において、ロシアでこういったIAEAの査察体制は現状はない、ないけれども、ここの、具体的にアンガルスク国際ウラン濃縮センターというところは記されている。私たちとしては、やはりIAEAのしっかりした保障措置があることが前提であって、例外だけが走るなんということがないようにしっかりこれは目を光らせていかなければならないと思いますが、その点についていかがですか。

林(幹)国務大臣 原子力安全委員会を抱えていますけれども、あくまでも国内での所管でございまして、ちょっと所管外でありますので、コメントは控えたいと思います。

柴山大臣政務官 今委員御指摘のとおり、現在の協定の中で、我が国からロシアに対して使用済み核燃料を含めた原子力関連品目等の移転を行うためには、ロシアにおいてIAEA保障措置が実際に適用される施設が存在することが条件となっておりまして、この点は本協定に明記をされております。

 ですので、政府としては、先ほど参考人から答弁をさせていただいたとおり、こうした点についての見通し等が得られた上で、この協定の締結について必要な承認を求めるために国会に提出をするという予定でおります。

 ですので、今おっしゃったように、IAEAの保障措置が適用される施設がどこにもないままで我が国の使用済み核燃料から回収されたウランが再濃縮のためにロシアに移転されるということはございません。

 そして、急いでいるんじゃないかという御指摘なんですけれども、日ロ原子力協定は、二〇〇七年の四月から本年二月まで計八回にわたる交渉を経まして、その内容について日ロ両国政府間で合意が得られたということから、去る五月十二日に署名を行ったものでありまして、御指摘のような国内事情との関連性はありません。

保坂委員 もちろんここには、ロシアが保障措置があるところが一ないし二あることが前提となって、しかし、機関が選択していない施設としてアンガルスク国際ウラン濃縮センターが書かれているので、やはりこれはすべからくちゃんとチェックできる体制にしてほしい、そういう意味で協定の内容は不十分ではないか、まだ審議が始まっていませんけれどもね。しかし、これは大変大きな話なので、北方四島の問題も絡んでいるでしょうから、しっかり議論をこれからしていきたいと思います。

 終わります。

渡辺委員長 次に、大高松男君。

大高委員 自由民主党の大高松男でございます。

 質問する機会を与えていただきまして、感謝をいたしております。初めての質問でございますので、ふなれでございますが、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 林両大臣、まことにおめでとうございます。任期の限り立派に務めていただきますようにお願いを申し上げます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 最初に、林芳正経済財政担当大臣にお伺いをいたします。

 大臣はいろいろな役割を担っていることでありますが、いわゆる経済の運営方針、こういったものに対して国民の目線に立ったメッセンジャーという役割もあるのではないかなというふうに思っております。そこで、そういう観点から、今回の経済財政改革、いわゆる骨太方針二〇〇九ですね、これについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 従来のいわゆる二〇〇六の方針でございますと、二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支の黒字化を図るという方針がございました。しかし、今回は、財政の健全化の新たな目標としまして、国、地方の債務残高のGDPの比を、二〇一〇年代半ばにかけて少なくとも安定させ、そして二〇二〇年代初めには安定的に引き下げをするということになっております。そのためには、今後十年以内に国、地方のいわゆるプライマリーバランス、これの黒字化の達成が必要なことであると思います。

 まず、この目標の変更について、国民に対し、わかりやすい説明が必要ではないかと思います。国民の目線に立った具体的な説明をお伺いいたしたいと思います。

 それから、この目標は、現在のこの厳しい経済状況から、決して簡単な道のりではない、なかなか厳しいことであろうと思いますが、その目標の達成の見通し、この決意もあわせて大臣にお伺いをいたしたいと思います。

林(芳)国務大臣 お答え申し上げます。

 大変基本的な、大事な御質問でございます。

 二〇〇六で決めました二〇一一年プライマリーバランス達成という目標を、今回、二〇〇九で変えたわけでございますが、二〇一一年というともうあと、今から二年先でございますので、それまでにプライマリーバランスを国、地方合わせて黒字化するというのはなかなか困難になったということを認識したわけでございます。

 申し上げるまでもないことですが、去年のリーマン・ショック等々、世界的な金融危機と経済悪化というものがあったわけでございまして、我が国経済そのもの、また税収等も想定外のペースで落ち込んでいるということが一つございます。

 それから、二〇一一年度までの黒字化達成の前提とされておりました歳入改革、社会保障と税の一体的な改革、こういう観点から検討してきたところでありますけれども、きょう現在まで実施に至っていないということがございます。一方で、二〇一〇年代初頭以降、いわゆる団塊の世代の皆さんが年金受給者になっていかれる、こういうことでございますし、高齢化が一層進んでいくということでございますから、歳出歳入両面で、成長政策をあわせた、財政健全化に向けた取り組みが大変重要な課題でありますとともに、我々今生きる者の責任である、こういうふうに思っておるところでございます。

 先進各国も、景気回復後の出口といいますか財政健全化の基本スタンスをそれぞれ明確化されておられる中で、我が国も、責任ある財政健全化への取り組み方針というものが示されませんと市場から信頼してもらえない、こういうことでございまして、二〇〇九で、短期は大胆、中期は責任の部分を示すために意欲的な財政健全化目標をお示ししたということでございます。

 どれだけ債務があるのかということを念頭に置いて、債務と、それからGDP、一般の会社でいいますと、銀行からどれぐらいお金を借りていて、そして会社の売り上げはどれぐらいあるのか。利益の部分がプライマリーバランスだとしますと、借金をしている額が会社の売り上げとの割合比でなるべく変わらないようにする、こういう考え方が債務に対するGDP比の考え方でございまして、そのためには、当然、赤字がずっと続いていればなかなか難しいということがあるわけでございますので、プライマリーバランスの目標もあわせて、ここの二〇〇九に書かせていただいたような目標にしたということでございます。

 大高先生がおっしゃったように大変厳しい状況でありますけれども、先ほど申し上げました歳出の改革と歳入の改革とそして成長政策、この三つ相まってこの目標を何とかクリアしていけるように慎重かつ大胆な運営をしてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

大高委員 それで、今回のいわゆる二〇〇九では、前の二〇〇六、これを踏まえた歳出改革を継続しつつ、社会保障の必要な修復をすることというふうになっております。

 もとに戻すということでありますので、大変よかったと思います。今話がありましたように、これからどんどん団塊の世代の方がこういう社会保障のところに行くわけでございますので、そういう意味では、毎年二千二百億削られたのではなかなか現場は大変だということでございますので、これが削減しないという方針になったということは大変喜ばしいことだと思っております。これまで二千二百億を削減してきたわけで、それで、いわゆる介護であるとかあるいは医療であるとか、そういう現場が大変混乱をいたしております。これはもう既にいろいろ指摘をされているところであります。

 そこで、いわゆる社会保障の充実という点からはこれでよかったということでありますが、しかし片一方では、いわゆる責任政党として、我が自由民主党は、将来世代への責任である財源の問題、これもまた考える必要もあるわけであります。いわゆる歳出改革の今後のあり方、こういうことにつきまして大臣のお考えをお伺いしたい。

 それからまた、いわゆる骨太の方針二〇〇六では二〇一一年度までの歳出改革について定められているわけでありますが、二〇一一年度以降におけるいわゆる歳出改革、これについてどのようなお考えあるいは見通しがあるのか、お伺いをいたしたいと思います。

林(芳)国務大臣 社会保障につきましては、私も、ここに参る前でございましたので、党の骨太の会議にずっと出席をしておりまして、かなりいろいろな御議論があったのを記憶しておるところでございますが、安心、安全を確保するために、社会保障に対する必要なほころびの修復というものが必要であるということがコンセンサスであったか、こういうふうに思います。そういった意味で、基本方針二〇〇九におきましても、最優先課題であります安心社会の実現、この大きな一つとして社会保障の機能強化を位置づけた、こういうことでございます。

 この骨太を踏まえまして、二十二年度の概算要求基準におきまして、今、大高先生からお話のありました社会保障費につきましては、一兆九百億円といういわゆる自然増を認めるというふうにいたしました。さらに、無理のない範囲でこれは節約に努めていただくということでございますけれども、この節約できた分につきましては社会保障に充当する。この二つのことを概算要求基準で決めさせていただいたということでございます。

 二〇一一年度、平成二十三年度でございますが、これは再来年の予算ということでありますから、来年の今ごろ、骨太をどうするかとか概算要求基準をどうするか、こういう議論になっていくわけでございます。平成二十三年度予算における社会保障費の扱いというのは、今申し上げました予算編成過程において検討していく、こういうことが基本であると思いますけれども、基本的には、先ほどちょっと申し上げました、短期は大胆、中期は責任という観点を踏まえて、無駄の排除などの歳出改革は継続をしながら、きちっとやるべきことをやっていくというふうに考えておるところでございます。

大高委員 次に、経済財政政策に関して、いわゆる地方分権の改革、これについてお伺いをいたします。

 百年に一度と言われる経済の厳しい状況に伴いまして、いわゆる地方財政、これもなかなか非常に厳しい状態に追いやられているわけでございます。三位一体の改革で交付税が大分削減をされました。地方分権の確実な進展というのは、地方自治体にとってはやはり生命線であるように思います。

 ひとつ、今後の経済財政政策の中でこのことについてどんなふうに取り組んでいくのか、その決意、あるいは地方自治体が果たすべき役割、そういったものについてお考えをお伺いしたいと思います。

林(芳)国務大臣 大変大事なイシューであるというふうに思っております。

 総理がことしの二月の参議院の本会議で言っていらっしゃる言葉をかりますと、地方が地域の経営者ということの位置づけをして、活力ある地方をつくり出すためにみずから考えて実行することができるようにしていく、そのために地方自治体に一層の権限や責任の移譲というものを行っていくというのが基本的な考え方だろう、こういうふうに思っております。地域の経営者でございますから、ただ単にいろいろなものを、交付金や補助金をもらうというだけではなくて、みずから経営をしていく、こういう姿勢が大事であるということがこれに込められている、こういうふうに思います。

 そういったことを自分でやっていただくための制度づくり、こういうことを考えていかなければならないわけでございまして、そういった中で、地方分権改革推進委員会というところで、第三次の勧告に向けまして、義務づけや枠づけの見直しの具体的にはどういう措置をしていくかということや、税財政改革、それから行政体制の整備等についての話し合いが進められているというふうに承知をしております。また、先ほど触れていただきました骨太二〇〇九でも、「地方分権改革推進委員会の勧告を踏まえ、地方分権改革を着実に推進する。」と盛り込んで、閣議決定させていただいたところでございます。

 この地方分権改革の推進というのは内閣の大変重要な課題の一つであると考えておりますので、先ほど経営者というふうに申し上げましたけれども、真の分権型社会の実現に向けまして、積極的かつ着実に推進をしてまいるということが大事であると考えております。

大高委員 森を見て木を見ずという言葉がありますが、林でございますから、林を見て木を見ず、あるいは木を見て林を見ずというようなことのないように、ひとつこれからもその運営については適切にお願いをいたしたいと思います。

 次に、治安の問題について、林国家公安委員長にお伺いをいたします。

 最近の治安の情勢は、いわゆる刑法犯、二十年でいいますと四万三千八百八十五件起きているそうであります。が、しかし、十五年度以降結構減少している、統計ではそんなふうに出ているんですが、そんなに減少しているかなという感じも持っております。

 要は、結局は検挙率が問題ではなかろうか、こう思うわけでございます。そういうことのためには、一つは防犯カメラの役割というのは結構大きいのではないかな。いわゆるプライバシー、そういったものの問題があることは承知をしておりますが、これはやはり繁華街にもっとつけてやることがいわゆる犯罪の未然防止、あるいは検挙率、そういうことにつながっていくのではないかなというふうに思っております。

 そのカメラの現況あるいは今後の設置の状況についてお伺いをいたします。

林(幹)国務大臣 防犯カメラについてでありますけれども、先生御指摘のとおりでございまして、警察が設置主体であります街頭防犯カメラは、犯罪の抑止や被害の未然防止などを図るために、ことしの三月末現在では十都府県で三百六十三台、繁華街中心でありますけれども整備されておるところでありまして、犯罪抑止に一定の効果を上げているものと考えているところであります。

 警察庁におきましては、都道府県警察における今後の街頭防犯カメラの整備に資するよう、限られた人員体制でも効果的な運用を図るために、異常行動検出機能あるいはまたプライバシー保護機能などを装備した街頭防犯カメラシステムの開発を今年度から二カ年計画で進めることにしているところでございます。

 防犯カメラは地域の安全確保に有効な手段の一つであることから、今後とも、プライバシー等に配慮しつつ、防犯カメラに関する施策を推進してまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。

大高委員 それから、昔ですと、いわゆる駐在所というのがございまして、今でもございますが、私なんかが子供のころには、そこのいわゆるお巡りさんがよく来て、町内を回ったり、あるいはいろいろな行事のときに顔を出したり、そういう住民の方とのコミュニケーションが非常にあったわけでございます。現在はなかなか、警察官の数が少ないということもございましょうが、駐在所あるいは交番においてもそういうコミュニケーションというのがやや不足しているように思います。

 これは、予算のことでどうかわかりませんが、いわゆる警察のOBの方、そういう方をひとつそういうことにうまく位置づけていただければまあまあいいのかな、こう思うんですが、ちょっと所見をお伺いしたいと思います。

林(幹)国務大臣 駐在所の地域警察官は、地域に溶け込んで、住民の困り事やら、あるいは意見、要望、事件または事故の発生状況など地域の実態掌握に努めているとともに、地域の平穏と安全を守るためにさまざまな活動を行っているところでございます。

 具体的には、警ら活動を通じまして、管内状況の掌握、あるいは犯罪の予防、検挙、交通の指導、取り締まり、そして少年の補導などに当たるとともに、家庭や事業所などを訪問して、住民の困り事、意見、要望などを聴取する巡回連絡などの活動を行っているところでございます。

 先生御指摘のように、地域によっては駐在所の統廃合等を行っておりまして、必ずしも地域に密着した活動が十分に展開されているとは言えないのではないかという御意見があることも承知しているところでございます。

 今後とも、駐在所に勤務する警察官が、より一層地域に溶け込んで地域に根差した活動を活発に展開して、住民との良好な関係を維持するとともに、地域住民が安全で平穏な生活を確保できるよう警察を督励してまいりたい、このように考えております。

大高委員 次に、原子力のことでお伺いをいたします。原子力の安全確保及び原子力発電の推進についてであります。

 近年、原子力発電は、エネルギーの安定供給の確保、あるいは地球温暖化、そういう対策の観点から国際的に注目を集めております。原子力発電の推進は、資源の少ない我が国にとって極めて重要なことであると思っております。一方では、発電所の稼働率が三年連続で六〇%に低迷するということもございます。

 先月、電気事業連合会では、プルサーマル、その計画の目標である二〇一〇年度から、二〇一五年度への五年間、五年延長するという御発表をされております。我が国のエネルギーの安定供給の観点からこのプルサーマルの計画の推進は不可欠なものであると私は思っております。今後のこのプルサーマルの計画について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 原子力政策の推進の関係でございますので、私の方から御説明をさせていただきます。

 我が国では、平成十七年十月に策定をいたしました原子力政策大綱におきまして、原子力発電所で使用しました核燃料を再処理し、回収されるウランやプルトニウムなどを有効利用するという核燃料サイクル政策を基本方針といたしております。

 政府といたしましては、この方針のもと、プルサーマルを着実に推進することとしておりまして、具体的には電気事業者がプルサーマルの実施計画を立案いたしまして進めているところでございます。

 委員御指摘のとおり、先般、電気事業連合会がプルサーマル計画の見直しを発表いたしましたところでございますけれども、一方で、本年五月には、中部電力、四国電力、九州電力の電力三社の発電所にMOX燃料が搬入されるなど、これまでの取り組みの成果が得られつつあるところでございます。

 政府といたしましては、今後とも、安全確保を大前提に、立地地域の理解を得ながら、プルサーマルを着実に推進してまいりたいと考えているところでございます。

大高委員 それから、原子力発電所の耐震安全性の問題、これについて、この前の新潟中越沖地震からこの問題が極めてクローズアップされたわけでございますが、この安全性の確認状況、あるいはこれの周知、そういうことについて所見をお伺いいたしたいと思います。

鈴木参考人 原子力安全委員会の鈴木でございます。先生お尋ねの件につきましては、今、原子力安全委員会の方で耐震安全性の確認作業等を行っておりますので、お答え申し上げます。

 新潟県中越沖地震が起きる前の年、平成十八年になりますが、原子力安全委員会では、耐震安全性に係る審査指針を改定いたしました。そして、その耐震安全性を新しい指針に基づいて確認してもらうと同時に、必要に応じて強化工事もしてもらうということを、事業者及び原子力安全・保安院にお願いしているところでございます。

 それに基づきまして、現在、中越沖地震の知見も踏まえた耐震安全性の再確認の作業を進めているところで、これは、日本じゅうの原子力発電所すべてについて行うことにしております。現在作業を続けているところでございまして、作業を一応完了したのはまだ数は少ないわけでございますが、現在、いろいろなサイトにございますプラントの再確認の作業を並行して進めておりますので、近いうちに、幾つかのプラントについては、中間的ながら再確認の結果が出てくると思っております。

 先生おっしゃいますように、その結果について、これを国民の皆様方に十分説明するということが大事だと安全委員会も考えておりまして、そういう意味では、再確認の作業の過程はすべて公開の場で行い、専門の先生方のいろいろな御意見についてはすべて速記録としてこれを残して、その速記録も公開し、また、必要に応じて地元に伺って御説明させていただくということをしております。

 ありがとうございました。

大高委員 これは要望でございます。

 国際原子力機関、IAEA次期事務局長に日本人の天野さんが予定をされているということでございます。我が茨城の東海村は原子力のメッカでございます。今、アジア地域でもやはり原子力というのは見直されて、これからベトナムであるとかインドであるとかそういうところがどんどんふえてまいりますので、この国際原子力機関の支部を東海村にぜひ整備していただきたいということを要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、松浪健太君。

松浪(健太)委員 松浪健太でございます。

 両大臣におかれましては御就任まことにおめでとうございます。願わくば、お二人の大臣と末永くお仕事をさせていただきたいと思うわけでございます。

 先般、私、与謝野大臣がおられませんでしたときに、宮澤副大臣にも、今の政府の経済対策全体について、やはり姿勢というものが国民の心から少し離反をしているのではないかなというような質問をさせていただきました。

 といいますのも、私も二月まで経済担当の内閣府大臣政務官を務めさせていただいておりましたけれども、政府の姿勢というのは誠実に財源を示していこうということで、消費税についても、六月九日、骨太について、その前に一二%の試算を出されたわけでありますけれども、私は、この一二%というものを出してくるということが本当に今適当であったのかなというところに疑問を持つわけであります。

 消費税については、今中小企業の皆さん、私どもも地元に戻ると、大変な苦しい思いをしていらっしゃいます。今の消費税自体が内税と外税に分かれておりまして、法人同士でやりとりをするときは外税で、外へ行くと内税になってしまうということで、徐々に徐々に消費税が上がってしまったときに、果たしてこれは外税だと本当にどうなってしまうんだろうというのは、中小企業の経営者の皆さんは大変な心配をされているわけであります。そのときにどういうふうに値段の交渉をするというようなところにも細かい配慮をしていただいて、今のこの経済情勢の中で、国民の心に配慮をした対応というのが必要であろうと私は思うわけであります。

 そこで、先般の試算というのは、報道によりますと、公共事業は厳しく抑制をして、そして社会保障費の伸びは消費税で賄うという与謝野前大臣のお考えが強く反映されているとされておりましたけれども、林大臣のこれからの経済財政に対する全般的なお考えをまず伺いたいと思います。

林(芳)国務大臣 ありがとうございます。

 今、宮澤副大臣とやりとりがあったというお話がございましたが、興味深く私も読ませていただきました。

 基本的な運営方針というのは、安心実現ですとか、それから、骨太で、いろいろなものをあそこに入れまして、党でも随分御議論をしてまとめたわけですから、これを基本方針として、しっかりと、かつ慎重さを持って運営をしていくということに尽きる、こういうふうに思っております。

 一つ、宮澤副大臣と御議論された中で、私もそうだなと思いましたのは、どういうふうにメッセージが出ていくかということにも心を砕いて、報道によりますとという委員の御指摘ありましたように、我々がたくさんの、今回でもいろいろな道行きをつくって何通りも試算をしているわけでございますが、その中で、今御指摘のあった一二というものだけがひとり歩きをするということもあるわけでございますので、例えば、我々が個人的に有権者の方と二人で話しているときと、全体としてこういうものを出すというときの、どういうふうに伝わっていくかということまでやはりいろいろな配慮をしながら運営をしていくということが大事ではないかなというふうに思っております。

松浪(健太)委員 その試算の前提というのは、十年間というスパンを持って割と長期的に見ておられるわけでありますけれども、我が国の状況というのは、十年間見通せるほどの今現状にありません。

 特に地方分権の状況でありまして、私は自他ともに道州制論者でありまして、この道州制の導入によって、機械的な試算でありますけれども、日本経済団体連合会の試算は五兆八千億円というふうになっているわけであります。

 ですから、我々はどれぐらい身を削ってこれをお願いするんだよという姿勢を国民の皆さんに見せないと、今、今回の報道というお話がございました。当時の、六月の十日、六月九日の翌日に報道がありましたけれども、今回の骨太には消費税という言葉が使われていない、しかし消費税の将来の一二%が透けて見える内容になっているという書かれ方をするわけであります。ですから、我々はやはり、こうしたときにはマスコミにも、政府はこれだけの身を削るという姿勢を明確に、時期を切って示している、これだけの大きな枠組みの中で、根拠を持って、政府は身を削ってくれるから、これだけのものは仕方がないなと国民としては納得せざるを得ないというような論調に新聞記事がなっていただけるように、同じものを打ち出すにしても、その打ち出し方、マインドというものを、景気のキは気でありますけれども、それとともに、納得をいただけるのはやはり私は経済財政政策にも心がないといけないというふうに思います。

 この五兆八千億という数字もあくまで機械的な数字ですけれども、道州制という大きな流れを踏まえた中での経済政策、それから、今後もしそれが導入されたときの経済のプラス効果というものも大臣には胸に刻んでいただきたいと思うわけでありますけれども、簡単な御所見をいただきます。

林(芳)国務大臣 前に内閣府に副大臣で私おりましたときは道州制の担当ということもしておりまして、そのとき、松浪先生が審議会にもいろいろお見えになって、党の方でもずっとこの道州制に精力的に取り組んでおられたということをよく存じ上げておるわけでございます。

 まさにそういった、この試算については詳しくは申し上げませんけれども、これだけやるから、要するに、税の改革をお願いするということは会社でいいますと商品の値上げをお願いするということですから、まずその前にやることをきちっとやって、これ以上はなかなか厳しいんですということをお客様、政治、行政の場合は有権者ということになりますけれども、納得をいただいた上でやっていく、これは基本姿勢として非常に大事なものでありますので、そういうことに、今先生おっしゃったようなことに留意しながらきちっとやっていきたいと思っております。

松浪(健太)委員 今おっしゃっていただいたように、国民の皆様がここまでやるのかと言っていただくような、感じていただけるような政府の方針が明確になりませんと、なかなか我々今後も末永くお仕事ができないのではないかと思い詰めておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 林大臣にはお忙しいでしょうから、もう結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、国家公安委員長の林大臣に質問をさせていただきます。

 私、かつて新聞記者をやっておりまして、そのときの振り出しが横浜というところで、伊勢佐木町というところは大変なところでして、本当に、売春からヤクの売人から当時あふれておりました。当時我々が取材していますと、ある先生が夜に子供たちに声をかけて回っている。この先生を取材すると、非常にいろいろな問題点というのを実地にお感じになっているなと。それで、記事を書いて、我々がつけた見出しが、我々新聞記者と一緒に夜回りをしてもらっているということで夜回り先生とつけまして、それがその後大ブレークをしまして、最近もまたドラマにもなるというような形で、今随分と社会の目も薬物に対する厳しい目というのを、その水谷修先生、夜回り先生なんかの活動によっても随分と知られるようになったんです。

 相も変わらずこの数年間、ドラッグ、特にエントリードラッグと言われる大麻について、先般もずっと、お相撲さん、それから大学生、随分とドラッグの広がりが指摘をされるようになりました。

 かつてと違って暴力団だけがさばくのではない、本当に、イラン人等が売って、そして高校生がターゲットになってと、青少年がターゲットになるということが往々にして最近の傾向として出てきた中で、早稲田においても、最近出た早稲田大学の調査によりますと、大体六割弱の学生が、大麻について、「なんとか手に入る」「簡単に手に入る」と、手に入ると答えまして、約一割が、使用者、所持者が周りにいるというふうに答えるというような現状。特に、昨年の大麻の逮捕者というのは史上最高を記録したということでございます。

 まず、この大麻使用の広がりについての大臣の認識をいただきたいと思います。

林(幹)国務大臣 大麻事犯における大学生の検挙人員は、平成二十年で八十九人でございまして、前年とほぼ同数ということでありました。大学生の乱用の動機は、興味本位あるいは好奇心といったものが一般的であるというふうに聞いております。

 警察では、文科省や各大学と連携しながら、大学生を対象とする薬物乱用防止のための広報啓発活動を実施しているところであります。今後とも、末端乱用者の徹底検挙とあわせまして、積極的な広報啓発に努めてまいりたい、このように考えております。

松浪(健太)委員 それで、この大麻なんですけれども、随分最近は改善されていると聞いておるんですが、インターネットの販売等で、大麻の種子というのは七味唐辛子とかそれから鶏のえさとかそういうものにも含まれている、また、大麻そのものでは、有害ではないということで、種の流通というのが随分とインターネット上で、種子が、観賞用ならいいんだと。

 私も、最初警察の皆さんに観賞用ならいいんだと伺ったときに、何を観賞するんだろうと思いましたら、種の観賞用だったら大丈夫だというようなこと、今でも警察関係者の方ですら観賞用だったらまだオーケーなんだと誤解をされている方が多々いらっしゃる中で、観賞用で種子をインターネットで販売できるということについては、今警察庁としてはどのようにお考えでしょうか。

林(幹)国務大臣 今先生指摘のように、観賞用というのは非常に考えにくいわけでありまして、やはり大麻の栽培、所持につながるものが多いというふうに認識しています。

 種子を購入して栽培、所持した者を検挙するということはできるものですから、そういった者のほか、購入者が栽培するということを知って種子を販売した者に対しても栽培罪の幇助犯として検挙しているところでございます。

 やはり、引き続き取り締まりの徹底と、それから広報啓蒙活動を推進するように警察を督励したいと思います。

松浪(健太)委員 種を観賞するマニアがいるというのは余り私も聞いたことがないんですが、大麻の種だけを観賞するということはないでしょうから、ほかのいろいろな種の観賞マニアがいるかどうか私知りませんけれども、それについて、特に大麻取締法は厚労省でありますので、厚労省の今の取り組みについて簡潔に伺いたいと思います。

岸田政府参考人 大麻の種子につきましては、たとえ種子をまく前でありましても不正栽培の予備行為として処罰が可能でありますし、また、種子を譲り渡す側におきましても、不正栽培の幇助罪あるいは不正栽培のための種子の提供罪ということで処罰が可能であります。

 最近の事例でも、インターネットなどを通じて観賞用と称して大麻の種子を販売した者が不正栽培の幇助罪などとして摘発され、現に有罪判決を受けているところでありますので、相当の効果が上がっているものと思います。

松浪(健太)委員 この観賞用という言葉がまだインターネット上であふれておりますし、警察の方ですらまだそういう誤解をされている方がいるという現状から、さらに厳しくこれについては徹底をいただきたいと思うわけであります。

 次に私が触れたいのは、携帯電話の問題であります。

 夜回り先生が今、最も父母の皆さんに、講演なんか私もよく聞くんですけれども、リストカットというのは昔はなかったらしいですね、リストカット。私も、仲間でリストカットという方、聞いたことがないんです、リストカットをしている人間。ところが、夜回り先生は、七年ぐらい前からリストカットがふえてきて、普通の格好をした子、暴走族とかじゃない、暴走族みたいな子を見たら、これは不良だ、ヤンキーだとわかる子が自分のターゲットだと思っていたのに、そういう子じゃない子供たちを相手にしなければいけなくなってきたということをおっしゃっていました。

 私も、リストカットなんて、そんなのはいないかなと思って、私、学生ボランティアが毎回十人、二十人来るので、学生ボランティアに聞いてみました。周りでリストカットをしている子がいるか、いると聞いたことがあるかと言ったら、もう七、八割ぐらいいましたかね、みんな手が挙がるんですね。ああ、これはと思いました。うちの選挙区でも一遍講演していただいたら、うちの選挙区の子でも、もうリストカットじゃないですね、アームカットぐらい、ここまで切り刻んで、もう一回こう切り刻んで、イカを焼いたみたいな形です。もう本当にすごい量を切っているんですね。

 こういう子は自殺するためじゃなくて生を確認するためにやるというんですけれども、今、人間の精神と体の遊離感というのがどんどん現代病として広がって、それに拍車をかけているのがやはり、携帯電話による、人間関係そしてまた人間のリズムが最も狂ってきている。我々もそうですね、携帯電話で集中力が阻害される、そして寝る時間が削られる、こういった問題が非常に問題になっているわけであります。

 携帯電話が犯罪につながるということについては、警察においてかなりの改善がなされている。先般の法改正によりまして、ネットにつながるにしても、いわゆる問題が起きたプロフについては、ホワイトリストとかブラックリストとか、子供たちが接続できるページを絞るとか、それから、安全だということが認められているサイトにつながることができるとか、かなり段階をつけていただいているわけであります。これについては私はすばらしいことだなというふうに思うわけでありますけれども、大臣、携帯電話が犯罪につながるおそれがあるということでありますけれども、大臣の簡単な、携帯電話に対する所見をいただきたいと思います。

林(幹)国務大臣 青少年の携帯電話が直接犯罪につながるかどうかについては明確なことを述べるのは難しいんですけれども、携帯電話を通じて少年が犯罪を犯したり、犯罪に巻き込まれたりという事案が発生していることは御承知のとおりでございます。

 警察としては、今先生御指摘の、子供の携帯電話等におけるフィルタリングの普及促進、あるいはまた、出会い系サイトなど有害サイトの危険性及び児童の利用防止等についての周知、指導、こういったことに取り組みまして、それを推進しているところでございます。

 携帯電話に係る犯罪をきちんと防止していけるように指導してまいりたいと存じます。

松浪(健太)委員 我々、刃物を子供に持たせるときは刃物の使い方というものを教えるわけでありますけれども、我々としてはやはり、携帯電話は特に刃物以上に人を殺す凶器であるというような、それぐらいの認識を持って扱わなければなかなかこの問題を解決していくことはできません。

 それからまた、子供たちは携帯電話の使い方を、例えばメールが来たら、我々だったら何日もほうっておくんですけれども、子供たちの間では、すぐ返さないと、数分で返さないと無視したと思われるとか、さまざまな、そういう子供たち独特の社会がインターネット上で開かれているわけでありますから、これについての対応というのは、やはり我々、必要かと思います。

 それで、やはり文科省との連携というのはとてもこれから重要になってくると思いまして、携帯電話の使用と青少年のまさに学力とか生活習慣、これは非常に重要だと思いますので、こうした影響調査を文科省と連携をして今後行っていただきたいというふうに思うわけであります。

 この調査をやっていただいて、先般、石川県が、子供たちに携帯電話を持たせないようにというような条例を、親に努力義務を課すというようなことで大変話題になりましたけれども、これも一案でありますけれども、やはり我々は、親が携帯電話を管理する。特に子供たちの睡眠を削らないというのが何よりも大事であります。

 政府のガイドラインでは、リビングに携帯電話を置くようにというようなことにもなっているんですけれども、時間で、夜の時間は、実は今携帯電話、ドコモであれば、伺いますと、夜、ネットと電話がつながらないようにする、何時から何時までというのをコースで選べますし、それからauさんなんかでも、夜はインターネットに接続できないようにするという機能を最近つけ始めております、子供たち向けに。

 私きょう、少しこちらに、フェールセーフという考え方で、これは千葉大学の藤川先生のお考えなんですけれども、ここに、学年ごとにずっとこういう表で今示されておりますように、インターネット、メールの対策、通話の対策、料金上限、こういったものをわかりやすく示していただいているわけであります。

 この利用時間というのが、ドコモさんでも子供たちに二百二十万台売れているそうなんですけれども、こういう時間制限はやはり数万台しか行われていないということでありますから、特に、これからの子供たちへの危険性という意味で、この時間に対するもの、親と子供のルールをつくるというのが犯罪の防止にもつながるし、ひいては学力を落とさないための規則正しい生活をするために必要だと。

 政府におかれましては、調査をしていただいた上で、文科省と連携をしていただきたいと思うわけでありますけれども、大臣、御所見を伺います。

林(幹)国務大臣 政府としては、六月三十日に、インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議におきまして、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画が作成されたわけでありまして、非常に意義深いものと認識しているわけでございます。

 警察におきましては、この計画に従いまして、サイバー犯罪の取り締まりを推進するとともに、被害防止のための広報啓発やフィルタリングの利用推進、インターネット・ホットラインセンターを通じた違法情報、有害情報の削除依頼等の施策を関係省庁、関係団体と連携しながら進めてまいりたいと存じます。

松浪(健太)委員 何千人というやみに落ちていく少年少女たちと触れてきた水谷先生がおっしゃるその経験というのは、やはり、夜の間に子供たちをぐっすり寝かせること、そして、そうしたところに子供たちの心を行かせないことが一番有用であるというようなことをおっしゃっていて、私は、現場の声として深く受けとめるべきではないかなと思っておりますので、やはりこれも政府として、文科省と連携をいただいて、特に夜間についての考え方を進めていただければありがたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 私、大体内閣委員会に参りますと毎回オートバイの質問をしているわけでありますけれども、政治家はやはり弱きを助けなければいけない。オートバイについては、先ほども、東京で販売店を六十年やっていらっしゃるというある方にお話を聞きました。どうしてこんな目に遭うんだろう、これは、我々を締めつけ過ぎたら駐車場がふえるということになるので、もしかして政府にはそういう深い意図があるんだろうかと、そこまで思い詰めていらっしゃるわけでありますけれども、現実的にはそういうわけではありません。

 特に上位は東京、大阪、神奈川だけで年間の取り締まりの大体七五%が占められているということでありますが、駐車場法の改正でオートバイの駐車場をつくらなければいけないということが決まったにもかかわらず現実は余りふえていないのに、東京都内の取り締まりというのは、道交法の改正の施行前は、東京都は五万台だったんですけれども、それが一昨年、十九年は二十五万台、去年は十六万台でしたか、激増しているわけであります。

 ですから、その販売店の方がおっしゃるのは、大体三人に二人の方はオートバイをおりられました、あと三人に一人の方が何とか残っているのが現状ですと。これが現場の声でありまして、借金もかさんでやめるにやめられないんだという声も聞くわけで、これは行政不況じゃないですかという声が非常に強いわけであります。

 そこで、二輪車の駐車違反は、警察庁の方も、悪質性、迷惑性、危険性ということを考慮してやるということをおっしゃっているんですが、この悪質性、迷惑性、危険性についてのお考えを伺いたいと思います。

林(幹)国務大臣 東京都の数字がありましたけれども、全国だと、駐車違反の現状ですが、十九年は五十二万件、二十年は四十三万件でありまして、ことし二十一年の上半期では十六万件で、前年同期と比較して六万件減少しているところであります。

 お尋ねの件ですが、警察としては、自動二輪、原付の違法駐車を一律に取り締まるのではなく、違法駐車の実態、地域住民の意見、要望等を踏まえて進めているところであります。

 その一つは、駅周辺やら商店街、繁華街など、自転車、歩行者等の交通のふくそうしている道路に駐車しているものとか、あるいは視覚障害者等誘導用ブロック上に駐車しているなど、高齢者や障害者の移動の円滑化を阻害しているものなどを悪質性、危険性、迷惑性の高いものに位置づけまして、重点を置いて取り締まりを行っているものと承知しておるところでございます。

松浪(健太)委員 六万件減っているということをおっしゃられましたけれども、減ってきているということは、それに対して修正を行ってきていただいているということで、ありがたいことだとは思うわけでありますけれども、その分、最初に激増したインパクトというのは心理的なものとしてはかり知れないものがありますので、さらに御考慮をいただきたいと思うわけであります。

 もう一方で、こうした駐車場がなかなかふえない。私は、普通の駐車場でも、点線でも引いて、線を引くだけであればすぐに、車一台のところに向こうからオートバイを詰めていただければ車と共存できるわけですから、新たに駐車場をつくらなくても大丈夫だというようなこともありますので、そうしたことは国交省と連携をして強力に進めていただきたいという要望をさせていただきたいと思うわけであります。

 さらに、駐車禁止の標識というのがあるんですけれども、昔はこれに、二輪を除くというのがあったんですが、この二輪を除くというものがどうやら最近減り出しているんじゃないかなというようなことも聞くわけでありますけれども、実際の現状を伺いたいと思います。

林(幹)国務大臣 おっしゃるとおりですけれども、警察においては、地域住民などの要望も踏まえて、個々の交通実態に応じたきめ細かな駐車規制となるよう努めておるところでございます。

 お尋ねの二輪車についても、現場の実情に応じて、駐車規制そのものの解除、緩和や、駐車規制の対象から二輪車を除く規制を実施しているところでございます。平成二十年四月現在では、自動二輪車または原付自転車を除く駐車規制の総延長は約二万二千キロとなっているところであります。

松浪(健太)委員 これは事務方でも結構なんですが、この標識で、二輪車を除くと書いている標識は実際は最近は減っているんですか、減ってはいないんですか。

東川政府参考人 平成十六年の一月から昨年、二十年の三月までにこの見直しをしまして、そのうちの自動二輪車または原動機付自転車の除外というのは二百六十キロになっておりますので、減ってはいないというふうに思っております。

松浪(健太)委員 減ってはいないというところで、少し、ある程度、現場の住民の声とかそれから商店街の皆さんの声というのもあるかと思いますので、これをふやせ、減らせと言うつもりはありませんけれども、ただ、随分、オートバイユーザーそれからオートバイの事業者が、かつて年間三百万台売れたものが今五十万台しか売れないと、激減をこの数年で経験しているわけでありますから、行政不況ということが言われないような対応、また、ある程度、ここまで広いところであれば駐車禁止はオートバイは除くというものをちょっとでも新設していただければ、それで心というものも、行政のマインドとして伝わるかと思いますので、こうした、ユーザーに納得のいただける御配慮というものも今後いただければありがたいというふうに思うわけでございます。

 最後に、林大臣には、こういう、非常に行政不況のような状況に陥っている弱い立場にお考えをいたされて交通行政を行っていただきたいという要望を申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。甘利国務大臣。

    ―――――――――――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 このたび政府から提出をいたしました国家公務員法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 昨年六月十三日に公布をされた国家公務員制度改革基本法に基づき、国家に奉職するという高いモラル、みずからの職務への高いモチベーション、高い能力を持つ国家公務員を育成、活用し、あわせて、時代の変化、世界の変化に行政と国家公務員が機動的に対応し、その時々の行政課題に迅速、果断に取り組むことができるような体制を内閣のもとに構築する等のための国家公務員制度改革を早急に実施する必要があります。

 このような観点から、政府は、内閣による人事管理機能の強化等を図るため、人事の一元管理に関する規定を創設し、内閣官房の所掌事務及び内閣人事局の設置に関する規定の整備を行うとともに、議院内閣制のもと、政治主導を強化するため、国家戦略スタッフ及び政務スタッフの設置に関する規定の整備等を行うこととする本法律案を提出する次第であります。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、内閣による人事管理機能の強化等を図るため、幹部職員等の一元管理等に関する規定を創設することといたします。

 具体的には、幹部職への任用は、内閣官房長官が適格性審査を行った上で作成する幹部候補者名簿に記載されている者の中から、任命権者が、内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議に基づいて行うものといたします。

 また、管理職員の職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を政府全体として総合的かつ計画的に育成する仕組みとして、幹部候補育成課程を設け、各大臣等が、内閣総理大臣が定める基準に従い運用することといたします。

 あわせて、幹部職員については、幹部職員の任用を適切に行うため必要がある場合には、勤務実績がよくない場合等に該当しない場合にあっても、一定の要件を満たす場合には、その意に反して、直近下位の職制上の段階に属する幹部職へ降任することができることとする等の措置を講ずることといたしております。

 これらの措置を講ずるに当たりましては、会計検査院、人事院、検察庁、警察庁、実施庁の職員等について、職務の特殊性を踏まえた適用除外規定、特例規定等を整備することといたします。

 第二に、時代の変化、世界の変化に行政と国家公務員が機動的に対応し、その時々の行政課題に迅速、果断に取り組むことができるような体制を内閣のもとに構築するため、内閣官房に内閣人事局を設置いたします。

 内閣人事局は、国家公務員制度の企画及び立案に関する事務、中央人事行政機関たる内閣総理大臣の所掌する事務に関する事務、国家公務員の総人件費の基本方針及び人件費予算の配分の方針の企画及び立案並びに調整に関する事務、行政機関の機構及び定員に関する審査に関する事務等をつかさどることといたします。

 あわせて、採用試験及び研修の企画、任用、級別定数の設定及び改定を人事院から内閣総理大臣に移管することとし、これらに関する事務を内閣人事局に担わせることといたします。中央人事行政機関たる人事院から移管する機能については、移管後は、内閣が政令を定めるに当たっては、あらかじめ人事院の意見を聞くこととするほか、人事院による報告要求や是正指示等必要な措置を講ずることといたします。また、内閣総理大臣は、人事院規則の制定改廃に関し、人事院に対し意見を申し出ることができることといたします。

 第三に、議院内閣制のもと、政治主導を強化するため、国家戦略スタッフ及び政務スタッフの設置に関する規定の整備等を行うことといたします。

 国家戦略スタッフは内閣官房に置き、内閣総理大臣の命を受け、国家として戦略的に推進すべき基本的な施策その他の内閣の重要政策の企画及び立案について内閣総理大臣を補佐することとします。なお、国会議員が国家戦略スタッフを兼ねることができることとし、内閣総理大臣補佐官は国家戦略スタッフに統合することとします。

 政務スタッフは各府省に置き、大臣の命を受け、特定の政策の企画及び立案並びに政務に関し、大臣を補佐することとします。なお、国会議員は政務スタッフを兼ねることができることとします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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