衆議院

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第2号 平成21年11月18日(水曜日)

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平成二十一年十一月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      荒井  聰君    石毛えい子君

      泉  健太君    磯谷香代子君

      市村浩一郎君    大島  敦君

      逢坂 誠二君    岡島 一正君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      笹木 竜三君    園田 康博君

      田村 謙治君    津村 啓介君

      寺田  学君    中島 正純君

      橋本 博明君    古川 元久君

      本多 平直君    渡辺 義彦君

      甘利  明君    梶山 弘志君

      金田 勝年君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    橘 慶一郎君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   菅  直人君

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣

   (行政刷新担当)

   (公務員制度改革担当)  仙谷 由人君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   法務大臣政務官      中村 哲治君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   政府参考人

   (人事官)        原  恒雄君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     本多 平直君

  小渕 優子君     梶山 弘志君

同日

 辞任         補欠選任

  本多 平直君     荒井  聰君

  梶山 弘志君     小渕 優子君

    ―――――――――――――

十一月十八日

 憲法の改悪反対することに関する請願(志位和夫君紹介)(第二〇一号)

 改憲のための国民投票法の廃止を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二二九号)

 政府広報テレビの開設を求めることに関する請願(武田良太君紹介)(第二六六号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。

市村委員 おはようございます。民主党、市村でございます。

 きょう、三十分いただきまして質疑をさせていただきたいと思いますが、私にとっても大変感慨深い今このときであります。政権交代後初の内閣委員会、その内閣委員会のトップバッターでこうして質問させていただく、本当に名誉なことだと思っています。そして、いよいよ政権交代したわけでありますから、まさに、きょうは菅国家戦略担当大臣また仙谷行政刷新会議担当大臣が来られていますが、この国の形をどうしていくか、こうした議論をこの内閣委員会、政権交代後の内閣委員会、ぜひともまず議論をさせていただきたいと思っております。

 その意味で、私は、仙谷大臣にまずお尋ねしたいと思いますが、先日の仙谷大臣の大臣所信の中で、市民活動の促進については、特定非営利活動法人が新しい公共の担い手として重要な役割を担えるよう環境整備に努めてまいりますということをおっしゃいました。これは、全体的趣旨としてはもちろん大変すばらしい話だと思いますが、ここで、なぜ、特定非営利活動法人がと、特定して新しい公共を担うというふうにされているのか。

 このことにつきまして、なぜ限定をされているのか、なぜ特定非営利活動法人のみを限定して例示をされているのか。このことについてお伺いしたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

仙谷国務大臣 限定したつもりもございませんが、そのように受けとめられたとすれば甚だ残念でございます。

 ただ、私余り、横文字とか英語でお話しするのは苦手な方でございますので、NPOを日本語に訳したらそういうことになるのかな、そういうつもりでお話をしたという程度の話でございます。

市村委員 済みません。あえて、先輩に大変失礼な質問だったかもしれません。

 実はこれは、総理大臣、鳩山総理はこういうところでどういう表現、つまり、新しい公共の担い手ということでどういう表現をされているかといいますと、鳩山総理は、市民、NPOが新しい公共の担い手として重要な役割を担えるよう、恐らくこういう表現をされています。総理は、市民、NPOという表現を使っていらっしゃいます。しかし、仙谷大臣は、ここで特定非営利活動法人がということで、限定されていないとおっしゃいますが、そのようになってしまった。残念です。

 どうしてそうなったか。恐らくこれは、まだ政権交代後間もないという中で、やはりまだ以前の考え方がどうしてもぬぐえない、そういうところの中で、いろいろな作文があった中でこうなってしまったんじゃないかと私は思っておりまして、やはりこれから、政権交代したのでありますから、私は、ゼロベースでこのNPOの問題についても考え直していく必要があるのではないかと思っております。

 そこで、きょうは菅国家戦略担当大臣にお越しいただいております。菅大臣には私は大学時代から大変御指導いただいているということでありまして、実は、私がNPOのことについて一番最初に相談した政治家は菅大臣であります。そして、もうそれから二十年近くたってしまいました。この間、私は、NPOが日本のこれからの国の形について大変重要なものであるということを一貫して申し上げてまいりましたし、今でもその思いは変わっておりません。だからこそ、きょうこうして議論させていただきたいと思っております。

 そこで、菅大臣に私からお尋ねしたいのは、NPOとは一体何なのかということに関しまして菅大臣がどうとらえていらっしゃるか、このことについて私は再度お聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 市村議員は、阪神・淡路の大震災の後にも阪神・淡路コミュニティ基金の事務局長をやられたり、この問題では本当に私も以前からいろいろな示唆をいただいておりましたので、私が何かNPOについて言うのはやや釈迦に説法のような感じもいたしますが、せっかくの御質問ですから、私なりの考え方を申し上げてみたいと思います。

 今、改めて鳩山総理の所信表明を見ておりましたけれども、鳩山総理は、私が目指したいのは、人と人とが支え合い、役に立つ新しい公共という概念だという、まさに新しい公共という概念を最初に打ち出す中で、それを支えるのは市民の皆さん、NPOの活動だ、こういうふうに言われております。

 ややもすれば、私も、NPO法の成立に市村さん自身も大変大きな役割を果たされたということで、NPO法ができたときには、これでNPOというのがもっと活動しやすくなるという認識の中で、ついついNPO法で認められたものをNPOというふうに言いがちであったということは、私も反省を含めて感じております。

 そういった意味で、総理が言われている新しい公共を担う人たち、広く、まさにこのNPOの担い手、一般市民もそうでありますし、もちろんそういう法人をつくった方もそうだと思います。

 最近、雇用対策本部などをやっておりますと、雇用対策、緊急案を出しましたが、例えばお金をある程度使って人材支援とかいろいろやろうとするわけですが、では、だれが人材を育てる仕事を担ってくれるのか。もちろんいろいろな職業訓練所もないわけではありませんけれども、多くのところでNPO、あるいは農業やいろいろな分野でそういう市民の動きがあるということを聞いておりまして、今、雇用対策本部でも、そういった皆さんとのコミュニケーションというか、もっと言えば、そういう皆さんに大いに役割を担っていただけるような、逆に、そういう役割を担っていただくために政府として何をすればいいかというようなことも考えながら進めているところです。

 そういったことで、十分かどうかわかりませんが、NPOの活動というものがまさに日本の新しい公共を担う、そういった大きな意味を持っているということを、質問を受けて、改めて感じながらお答えをいたしたところです。

市村委員 ありがとうございます。

 まさに今菅大臣がおっしゃっていただいた部分なんですが、きのう菅大臣が本会議の答弁の中で、例えば介護の分野また環境の分野等でも、これからいわゆる雇用という点では大変重要な意味を持っているんだということをおっしゃいました。では、今菅大臣もおっしゃったように、例えばどこがそれを担うのか。

 では、また行政が、例えば保育に関して、保育園をたくさんつくっていくのか、行政の市立保育園をつくっていくのか。今この財政難のときになかなか難しいな。では、また株式会社立で保育園をつくったらいいのか。これもまた何かちょっと違うな。東京都では、株式会社立の保育園が突然閉鎖されて大変困ったという例が二年ぐらい前にありました。

 では、介護もそうです。二十四時間介護をしましょう。制度はあります、しかしだれが担ってくれているんでしょうか、だれが二十四時間やってくれているのか。結局、お金があっても、サービスを提供する人たちがいない。では、それをまた介護の分野でも、また行政が特別養護老人ホームをつくればいいのか。それもちょっと違う。では、また株式会社にすればいいのか。コムスンの例がありますね。もうつぶれました。

 結局、だれが一体担うのか、担い手がどこなのかというと、実は、これは私は二十年言い続けています、NPOなんです。NPOが担い手が一番いいんです。非分配原則を持ちまして、そして配当しない。そして、もし利益が出た場合、利益を得ることは可能です。皆さん、NPOはボランティアだと思っています。違います、もうけていいんです。もうけてもいいけれども、利益が出た分を株式会社みたいに配当はしないということが大切で、また、もし利益が出たら、黒字が出たら、それをまた次の、翌年度の組織目的のために生かしていくということをやっていけばいいわけです。そうしたところがやる。

 これを私はずっと民の公というふうに呼んでまいりました。民間の公のセクターが必要なんだ、そういうところがないと、介護の分野でも子育ての分野でも、その他のいろいろな、今菅大臣が挙げていただきました農業の分野等々も結局担い手がいない、受け皿がないということになってしまうということであります。

 だから、まさにこれは菅大臣の勉強会、国のかたちでありますけれども、まさにこの国の形の中でNPOというものを大切な一本の柱として打ち立てていくことが必要なんだということを私は確信を持って二十年間訴えてきているわけであります。

 その意味で、きょうお手元に見ていただいておりますこの資料でございますが、これも十年以上前から使っているフリップといいますか座標軸であります。

 結局今日本は、余り細かくは申し上げませんが、これまで、どちらかというと、戦後、高度経済成長期のころから、公のことは官がやればいい、税収も伸びたし官がやればいいんだ、そして民間は営利企業の世界に任せておけばいい、この二つの世界で財・サービスの提供をしてきたのがこの日本であったと思います、原則としてです。しかし、この仕組みが行き詰まっていると私は思っています。この二十数年行き詰まっている。結局、これをちゃんと改善しないまま来たために今日のようないろいろな問題が起こっている。

 これは十年前のものですから、特殊法人という、表現がちょっと古いものがありますが、結局なぜ公益法人が天下り先になってしまったのか、これも実はNPOのことをしっかり考えていくと理解できる話なんです。公益法人がなぜ天下りになったか。きょうはその議論というのはありません、きょうはもっと大きな議論をしたいと思います。

 ですから、いずれにしましても、きょう菅大臣にお越しいただいているのは、まさにこの国の形を考えるときに、まずマーケットメカニズムの世界がある、市場の世界がある、そしてそれをある種補うものとして官の世界ができた。しかしこれも、行政の世界などというものは、国民国家が登場してのことですから、ここ数百年の歴史しかありません、実はガバメントの歴史は。その前から何が起こっていたか。実は、人々は助け合っていたんですね、共助の社会があったわけです。

 そのときに何が起こっていたか。例えば日本の江戸時代を見ていただきたいと思います。教育、手習いや寺子屋、これはまさに今日で言うところのNPOです。結局、官でもなければ営利企業でもないところが教育を担ってきたわけですね。あそこにはボランティアも入っていました。もちろん多少の謝礼も取っていたでしょう。しかし、基本的には、今日で言えばNPOと思えるものが江戸時代に教育を担っていました。例えば医療もそうです。町医者、それも、今日の感覚で言えばNPOに近いものが実は医療を担っていたということでありまして、自分の足元を見詰めてみても、NPOの歴史というのが実は日本にはある。

 だから、実は、この新しい公共の新しいという意味も、僕は決して新しいとは思っていないんです。自分の足元を見詰めてみれば、ここ数十年は確かに忘れていましたが、やはり結局、官にすべて税金でやってもらうという仕組みも、高度経済成長期のときはよかったけれども、後の、それが崩れるともうもたないよ、一時期のことだったんだよと。実は、もっとプリミティブなところ、原始的なところを考えると、結局一人一人、みんなで助け合うしかないと。その仕組みをでは何というかといったら、私はNPOという表現をしていたわけであります。

 ですから、この新しい公共という意味も、例えば温故知新、古きをたずねて新しきを知るという意味での新しきだったら、この新しい公共でも私はわかったと。つまり、自分の足元、江戸時代を見て、古きをたずねてみたところ、日本は確かにNPOのようなものが実は頑張っていたんだ、だから、こういう時代になってもう一回共助の社会をつくり直すときに、まさに総理もおっしゃる、こういう新しい社会を、新しい公共をしっかりとやっていこうというときに、古きをたずねて新しきを知るという意味での新しい公共という意味でこれが言われている、それぐらい深い考えでこの言葉が語られているということを私は信じていたいと思っています。

 菅大臣、国家戦略の中に、このNPOを支える土台づくり、土づくり、土壌づくりというものをぜひとも一本の柱に据えていただきたいと私は思っています。

 先ほど大臣もおっしゃいました、この特定非営利活動促進法ができたことは、これは別に決して悪かったとは思いたくないんですが、結果としてNPOの、本当の意味でのNPOの発展を私はおくらせたと実は思っています、この特活法人の制度のおかげで。ですので、私は、これから本当の意味でNPOがしっかりとこの日本の国に根差すような土づくり、土壌づくり、土台づくりをしっかりやっていかなくちゃいけない、こう思っています。

 そのときに、NPOとは何ぞやということがやはり必要だ、もう一回白紙に戻して考え直すことが必要だと私は思いまして、きょう実は冒頭に二人の先輩に、ちょっと失礼な質問だったかもしれませんが、お尋ねをさせていただいたわけであります。

 やはりNPOというのは、先ほどから申し上げておりますように、まさに新しい公共を担うもの、私の言葉で言う民間の公を担う存在だと思っています。これは実は特定非営利活動法人だけでありません。例えば公益法人も実はNPOです、もともと民法典に書かれているわけですから。民法三十四条に規定されていた法人が公益法人だったんですね。

 ところが、公益法人が、先ほども申し上げましたが、なぜか、といいますか、一応意味があったんですが、結局天下り先に悪用された。本来であればNPOは民間の組織、官の組織ではありません。それがいつの間にか悪用されてしまった。それについてはもう去年の十二月一日に、民法三十四条が削除されましたので、その意味ではこれからはそういう悪用されるような種も大分ちっちゃくなっているということでありますが、しかしそういう歴史があったんだということ。

 結局、公益法人もNPOだったのが、そういうふうに思われていなかったということ。例えば学校法人、社会福祉法人、これもNPOの仲間です。例えば労働組合、これもNPOの仲間です。JC、NPOの仲間です。多分、日本医師会、NPOの仲間です。そうした、いわゆる官の組織でもなければ営利組織でもないものというのはあるんですね。それが実は大変重要な役割を担ってきたし、これから特に、共助の社会をつくり直していくときに、新しい公共の社会をつくり直していくときに、重要な柱としてこのNPOが立たなくちゃいけない、こういう思いで私はおります。

 菅大臣には、ぜひとも国家戦略で取り上げていただきたいと思いますが、また御見解いただきたいと思います。

菅国務大臣 先ほど市村さんから国の形という言葉が出ましたが、もちろんこの言葉は司馬遼太郎さんがよく使われる言葉で、私も、今我々が、場合によっては党派を超えて取り組まなければいけないのは、戦後六十数年、場合によったら明治から百四十数年たったこの国の形をもう一度根本から見直さなければならない。それがまさに本当の意味での改革ではないか。

 国家戦略、現在、室でありますけれども、いろいろと具体的な課題もいただいておりますが、ある段階ではそういう大きな目標に対して役に立てるような、そういう人や、いろいろな知恵をいろいろな方たちに出していただきたいし、また市村さんにもぜひ協力をしていただきたい、こう思っております。

 そういう中で、どういう国の形なのか。ちょっと、逆の意味でかたい言葉になりますが、私は、国家統治機構というものについてしっかりまずは考えなければいけないと実は思っています。

 野党の皆さんもおられますが、この間の私たち鳩山政権がやっていることは、官僚内閣制を国会内閣制に変える革命なんだという表現を私はよくしておりますが、この意味も、理解をしていただけているところもあるし、また必ずしも十分に理解されていないところもあります。

 つまりは、明治以来、ある意味では、内閣というのは官僚が支えるのが、あるいは官僚が中心になるのが当然なんだという、まあ、明治憲法を読めば確かにそうなんです、天皇が大臣を選んで、そして天皇の官僚がそれを支えるわけですから。しかし、現行憲法は、天皇が総理大臣を選ぶわけではなくて、国会が選んで、そしてその国会の多数を握った政党が政権党として内閣そのものをつくる。つまりは、国会で多数の議席を得た政党が、ある意味では行政権も握るし、国会における立法権のイニシアチブを握る。ここから改革を始めなければいけない、こう思っております。

 そういう中で、余り長くなっても恐縮ですから話を戻しますが、国の形ということを考えたときに、本当に多くのことがかつては地域社会の中で取り組まれていた。今一番大きな問題になっているエネルギーなんかも、二百年前でいえば、近くの山に入会で木をとりに行って、そしてそれをまきにしたり炭にして使って、また生えてきた、これで成り立っていたわけでありまして、そういう共同の営みというものがどんどん破壊されて、まさに、官か、営利団体いわゆる企業かという、それに両極化されていった。これをもう一度、まさに広い意味でのNPO、新しい公共を担う人間の関係、地域の関係をどのようにしてつくっていくのか、まさに国家戦略にふさわしいことだと思っております。

 一点だけ。余り長くなってもあれですが、最近私は林業のことをやっているんですが、林業組合というのも本来はNPOなんですね。だけれども、残念ながら、この間の林業組合は、補助金が来たら補助金分だけ間伐をする、しかも、路網がありませんから切り捨て間伐で、切った木はそのまま放置している。つまりは、官の、手先なんて言うとちょっと言葉が強過ぎますが、官がお金を出したところだけで動くというような形になってしまったことが、逆に活力を失ったのではないか。

 そういったことも含めて、あらゆる日本のあるべき姿をもう一度考える一つの軸として、今話のありましたNPO、広い意味でのNPOが生き生きと動けるような社会というものを考えていきたいし、またいろいろと知恵をかしていただきたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 今、林業の例も出していただきました。本当にそうなんです。林業組合も本来NPOです。ですから、NPOということが非常に矮小化されてこの十数年語られてしまったことが残念でなりません。

 だから、これからは国家戦略の中で、この国の柱の一つとしてNPOセクターが育つように、そういうことを考えるのが国家戦略局、今は室、将来の国家戦略局だと私は思っておりますので、菅大臣、ぜひともこの点、今大変力強いお言葉をいただきましたので、そういう思いで本当にお取り組みいただければ幸いでございます。

 それで、実は民主党にもプラトンというシンクタンクがありまして、仙谷大臣がずっとそのトップをお務めいただいているわけですが、これから私はシンクタンクはとても必要だと思います。今までは官がいわば最大の日本のシンクタンクだと言われてきましたが、これからやはり、政治主導になっていくときに、いわゆるポリシーオルタナティブ、政策代替案を考えるという場所が絶対必要なんです。シンクタンク。

 それで、何度もシンクタンクをつくろうというアイデアは出ましたが、なかなかうまくいきません。なぜうまくいかないか。私は、最大の理由は、結局、先ほどから申し述べております、NPOの土がないんです、土壌がないんです。

 アメリカで有名なブルッキングス研究所、CSIS、あのもとになる制度は何か。あれは、ノンプロフィットオーガニゼーションを支える制度があるわけです。だからブルッキングス研究所もCSISも、あれはステータスはNPOなんです、いわゆる法的なステータスはNPOなんですね。これはもう、仙谷大臣は弁護士でいらっしゃるから釈迦に説法で申しわけございませんが、ベースはNPOなんです。

 結局、そのNPOという土壌、土をつくっていないがために、のっからないんですね。つまり、のっかるところがないから、土壌がない、土もないのにつくろうとするからすべてがうまくいかないとなってきます。やはり非営利独立型のNPOシンクタンクというのが大切なんですね。そして、そのためにはやはり土づくりが必要なんだ、土壌づくりが必要なんだ。結局それがないからうまくいかない。私はずっとそういう思いで見てまいりましたが、また仙谷大臣の御見解を賜りたいと思います。

仙谷国務大臣 さっき江戸時代のお話も出まして、私どもはまだ、田舎で生活しておりますので多少そういう名残があるんですね。だから、結いとか講とか、例えば徳島の阿波踊りなんというものは、あれは連と言うんですけれども、そういう意味ではNPOと言えばNPOみたいな話で、自主的に市民が、というか住民が立ち上げていってそこで何かをする。

 昔は、自然発生的な、村落共同体の中でそういう助け合いの仕組みをつくらないとうまく生きていけなかったということがあって、私の先祖も農業用水路を、今でいえば水利組合とか土地改良区ということになるんでしょうけれども、庄屋が中心になって立ち上げて、立派な用水路が今も残っておりますけれども、そういうことすらも自治的、自主的な組織でやっていったというのが明治維新前の姿だったかもわかりません。あるいは、戦前も相当そういう形だったのかもわかりません。

 それで、世界史的には産業革命以降でしょうけれども、工業化社会が急速に進んだ段階で、お父さんは電車に乗って会社に、お母さんは専業主婦という、現在から振り返ってみましてもたった五十年ぐらいの役割分担みたいなことがあたかも普遍的なことであるかのように考えられているこの異常さが、この日本を包んでいるのではないか。

 昔は、特に第一次産業中心時代は、みんな働いた。つまり、子育てをしながら、家庭を共同で経営しながら、農業を中心に男も女も働いた。その中で、そういういろいろな扶助組織が当然必要で、そこで、神社を中心に集まったのか、これは社中とかいうことなんだろうと思いますが、そういうのがいろいろあった。工業化社会が極端に進んで、生活する場所と働く場所がかなり離れてしまったというような、そういう問題もあるんでしょう。

 あえて市村さんの話を私なりに解釈すれば、だからテーマコミュニティーを、テーマに従ってコミュニティーをつくっていくという作業がNPOだ、こういうふうにおっしゃっておるんだなと思って、理解しまして、これは、重層的な、そういう自治的な共同の組織をつくっていくしか、多分日本人は、これから公共的なところにかかわりながら、あるいはそこで居場所を見つけて充実感を持って人生を生きていく、あるいは必要とされて生きていくというようなことがなかなか難しいなと。

 だから、意識的な運動あるいは営みとしてそれをやっていくことがどうしても必要で、そのために政治の側から何ができるのかというと、それを保護したり補助金を垂らして自分の言うことを聞かせたり小間使に使ったりするんじゃなくて、やはり支援をしていくという仕組みをつくっていかなければならない、私は今そう思っております。今、NPOを名乗る方々の中で、行政の下請みたいになって喜んでいる人たちが、それがあたかもステータスであるかのように思い込んでいる人たちが相当いらっしゃいますけれども、それはよくないと私も思っております。

 以上であります。

市村委員 ありがとうございます。

 またぜひとも議論させていただきたいんですが、最後に、先日原口大臣は、地域主権を民主党の一丁目一番地だとおっしゃいました。私は、地域主権と、このNPOの制度をつくること、これが民主党の一丁目一番地だと思っております。また議論させてください。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、井戸まさえさん。

井戸委員 民主党の井戸まさえです。

 鳩山内閣は、子供を守る、子育てを応援する内閣として明確な意思表示をしながら、国民の期待を担い、そして責任も負っている、そういう中で船出をしたと思っています。

 子供や子育てを応援する方法には、子ども手当のように大きな予算を伴うものもあるんですけれども、一方では、代理出産の話だったり、最近ニュースでよく取り上げられましたけれども、国際離婚にかかわっての子供の連れ去りの問題など、法整備や法の不足、不備を補うこと、これで解決を図っていかなければいけない問題というものもあると思います。

 中でも、民法七百七十二条における無戸籍の問題は、子供の人生のスタート地点で重荷を背負ってしまうという問題ですから、国としてしっかりと解決を図っていかなければいけないことであると思っています。

 この問題は、御承知のとおり古くから指摘はされてきたんですけれども、なかなか匿名性の強い問題で、二〇〇六年末の報道をきっかけに社会問題化をしてまいりまして、当時の与野党を問わず、救済措置への要望というものがたくさん出まして、改善した部分はあるんですけれども、まだまだ不十分な部分もあります。

 きょうは少子化対策の課題の一つとしての視点からこの問題を取り上げたいと思いますけれども、福島少子化担当大臣の前に、お時間の関係もあって、きょうは法務省の中村政務官も来ておりますので、まずは中村政務官に以下お伺いをしていきたいと思っています。

 法務省では、この無戸籍の問題の解決のために、離婚後妊娠に関しては医師の証明書で出生届を受理できるような形にしてまいりました。医師の証明書を提出することで出生届が受けられた例がこの二年半で九百九十六件、まさに千件がこの通達で救われたんです。本当によかったと思う反面、この救済がなかったらば、千人の子供たちは、長期、中期とかかわらず無戸籍状態になったんですね。

 まず、この嫡出推定の規定自体が非常に広くかかっていて、私は推定規定自体を否定するものじゃないんですけれども、余りに広過ぎて、本当に子供たちにとっては負担になっているんじゃないか。この点についてどうお考えでしょうか。

中村大臣政務官 お答えいたします。

 現在、民法七百七十二条の規定は、第一項で「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」、第二項で「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」、そういう推定規定があるわけなんですが、この三百日という期間が長いか短いかという話に関しては、法務省側としては、これは長くないと考えているんですね。

 というのは、後で結婚される場合にはそういう問題が出てくるんですけれども、例えば結婚されないで独身でいらっしゃるような場合に、そうした三百日間の期間というのは子の福祉にとって必要ないのかというと、それはそうは言えないんじゃないかと考えております。

井戸委員 ちょっとわからなかったんですけれども、三百日自体の期間が短いとか長いとかではなくて、今、無戸籍状態に陥っている子たちに対して救済の措置がいろいろととられていて、本当にそれは推定のかかる子に対してかけていくべきであって、かからない子に関してはきっちりと救済措置もしくは立法で措置をしていかなければいけないのではないかということでお伺いをさせていただいています。

 一方、認知調停という形で、前夫を絡ませて今までであれば必ず調停裁判ということをしていかなければならなかったんですけれども、最高裁の方は、二〇〇八年から、認知調停、事実上の父親と母親と子供の間での調停で子の戸籍を取れるような形を周知徹底してきたんです。この認知調停自体が、平和な家庭の中で争いをわざわざ起こして、そして子の戸籍を取るためにそうした調停裁判を起こさなければいけないという、本当にそれもまた負担のあるものなんですけれども、今までの形に比べれば、前夫を絡ませないだけ戸籍を取れる道筋を開いたという点では私は評価をしているんです。

 これに関しても、すべてが認知調停をやれば解決がつくという問題ではなくて、八高等裁判所があるようなところでの統計を見ますと、この認知調停については、七十件出ているんですけれども、五十三件しか成立をしていない。四分の三しか、このことでは戸籍を取る道がないんですね。全体の認知の昨年のものを見ても、大体千百件余り調停が申し込まれているんですけれども、解決をしているケースが二百八十一件という形で、大体これは一年間で調停自体が終わらないケースもあるので、パーセンテージでいくと四割ぐらいしか認知調停でも救われていないんですね。そうなると、残りの六割というのは無戸籍状態がずっと続いていくということなんです。

 やはりここは抜本的な法改正というものが必要であると考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

中村大臣政務官 どのような法律改正をするのかということが非常に重要でございまして、私どもは、今おっしゃっていますように、ことしの五月からもこのような形で、法務省ではホームページでQアンドAもしっかりとつくらせていただいておりますし、運用の改善で対応できることが多々あると思っております。抜本的な改正とおっしゃるのであれば、その内容も含めて御質問していただければ幸いです。

井戸委員 ちょっと時間がないので、次に福島大臣の方に行きたいと思うんです。抜本的なことに関しては民主党の方でも議論は随分とされてきたと思いますので、また改めて政務三役にちょっとお願いをさせていただきたいと思います。中村政務官、ありがとうございます。

 では、福島大臣の方に御質問させていただきます。

 民主党の政策インデックスでは、この無戸籍児の問題は、法務省のところだけではなくて、子供や男女共同参画、そして社民党さんの方でも男女平等のところに入っています。これは民法の話だから法務省が主導的にやるべきであるということではなくて、この問題で中絶を選んでいる人もたくさんいるんですね。子供を安心して産めない環境というものが法があるがゆえに起こっているというのは本当におかしいことだと思うんです。法は国民を守るため、そして、特に子供を守るためにあると思います。

 福島大臣、このことに関してどのようなアプローチで解決をつけていくのか、お願いいたします。

福島国務大臣 お答えいたします。

 井戸委員が、議員になられる前から超党派の議員と一緒に取り組んでこられたことに、心から敬意を表します。

 これは弁護士としても、前の夫も呼び出されるし、後の夫というか現在の夫、それから子供を産んだばかりのお母さんと子供と、本当に、裁判や調停に巻き込まれて、だれもハッピーでない、だれもハッピーでない。前の夫にとっても迷惑ですから、この父親の推定規定そのものが本当にトラブル。呼び出される、あるいは解決がつかない、なかなか出生届が出せない、これは法律が子供たちに負担をかけているというふうに思っています。

 子供の幸せが大事で、生まれてきた子供が無戸籍児や出生届を出せないという状況をやはりなくすべきです。みんなの努力で、通達によって、離婚後懐胎した場合には一定救済はできるのですが、離婚というのはやはり長期間別居していてようやく離婚ということも大変多いですから、これについてはきちっとみんなで議論し、民法改正も視野に入れて、子供の幸せが一番ということをやっていきたいと考えております。

井戸委員 ありがとうございます。

 力強い御発言で、頑張っていただきたいと思っています。

 法務省の方にもしっかりとしたアプローチ、先ほどの答弁を聞いていますととても心もとなかったので、福島少子化大臣の方からもぜひとも情報交換をしっかりしていただいて、解決に向けて御尽力いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、平井たくや君。

平井委員 おはようございます。自由民主党の平井たくやであります。

 私は、前国会でも内閣委員会の理事を務めさせていただいておりまして、きょうここにおられる泉政務官とは一緒になっていろいろな法案の改正もやらせていただきました。

 そういうことで、まず最初に、実は、新聞等々で最近よく報道されている企業再生支援機構について、いろいろとやはり皆様方と確認をしておきたいということで、きょうは、法案の提出者、我々と共同提出していただきました増子経済産業副大臣にもおいでいただいております。そして、ここには共同提案者の泉大臣政務官もおられますので、我々、もともと同志として法案を出させていただいておりますので、そのことを振り返りつつ、今ちょうどその法案を所管されています菅大臣にも、この法律の趣旨を踏まえた今後の適用のされ方等々について御所見をお聞きしたいと思います。

 まず、これはついこの間の国会のことでございますから増子副大臣にお聞きしたいんですが、もともと、中小企業再生支援機構法というのが民主党から出てきて、我々は、第三セクターを含むそういうものを対象にした地域力再生機構、要するに、名前がよく似ているようで似ていない、つまり、地方の中小企業を助けていこう、こういう経済情勢ですから、雇用を守ってもらって、潜在能力のある企業は助けていこうということだったわけです。

 そのときに、この法案の改正、そして衆参のいろいろな我々の質疑や附帯決議を見て、当時、この機構がJALを対象とするというようなことが少しでも頭をよぎったことがありますか、ないですか、全く想定外ですか、お聞きします。

増子副大臣 お答えを申し上げます。

 今、平井先生の方から、一緒にこの法案を成立させるために頑張ってきたということがありました。本当にその節はお世話になりましてありがとうございました。

 端的に申し上げますと、JALは全く想定いたしておりませんでした。当然、この法案の趣旨及び目的は、今平井先生おっしゃったとおり、地域力再生機構という形で出てまいりました。これは、御案内のとおり、地方の第三セクターを中心として救済をする、それに加えて中規模程度の企業も救済するという法案でございました。

 私ども、当時としては、第三セクターはやはり地方が責任を持ってみずからこれは処理すべきである、むしろ、現下の経済環境を考えてみたら、地方の有為な経営資源や人材や技術を有する中小企業あるいは中堅企業をしっかりと守り育てていくために必要なものであるという目的で、この法案を出させていただきました。

 しかし、その際、さはさりながら、やはり中小企業、中堅企業及びそのほかのしっかりとした企業を再生することも必要であろうということで、平たく言えば大企業も決して否定するものではないという考えの中でこの法案を一緒に成立させていただいた次第でございます。

 あの当時は、JALを私どもは全く想定していたわけでもありませんし、特定の企業を想定したことは全くない形で、平井先生も共同提案という形でこの法案の提出に、そして審議に加わっていただいたと認識しておりますので、再度申し上げます。全くJALは想定いたしておりませんでした。

平井委員 当然、私もそうなんですよ。このJALをどこで読み込むかなんですが、結局、中小企業、中堅企業、その他の企業の「他」かな、そこで無理やり読み込む。

 これは、当時、やはりいろいろな議論をしていて、大企業、大きい企業も入るということで、中小企業基本法の資本金や従業員や売り上げやそういう枠内でということですが、JALさんの資本金は二千五百十億円なんですね。

 もう一つここで考えていただきたいのは、これは第三セクターを除外しましたから地方自治体の出資はやめました。しかしながら、政府は百億出資をして、あとは民間の金融機関に百億出資をお願いしました。それはメガバンクだけではなくて、当然、地銀、信用組合、信用金庫も入っているんですよ。恐らく、彼らもJALなんかがこんなところにやってくるとはだれも思っていなくてお金を出しているんです。地元の地域の中堅企業をぜひ助けたい、そういうスキームの中に入っていきたいということですから、あくまでもこの法律の趣旨というものは、JALのような大企業を救うためにつくった法律でないということは間違いありませんね、増子副大臣。趣旨ですよ、趣旨。

増子副大臣 趣旨といたしましては、中小企業、中堅企業、その他の事業者となっておりますので、大企業という形でJALが入ってくることは想定はいたしておりませんでしたが、法的にはこれを否定するものではないということで認識をいたしております。

平井委員 どちらかというと、当時、我々が中堅企業、中堅企業、要するに大きい企業も入れてくれと言うと、民主党さんの方が、いや、中小零細を数多く助けてくれ、だからここは増子法案と言われた由来ですから、この趣旨の話については我々はやはり共有していると思います。

 これは、政府枠、政府の保証が一・六兆あるわけですが、例えばここにJALさんを入れてしまった場合、これは明らかにほかの、本来この法律の趣旨にのっとって救うべき企業にしわ寄せが来ないはずがないんですね、想定外の事態ですから。

 私は、やはりこれは幾ら何でも無理筋だと思います。支援機構の方にJALさんが行くとはまだ決まっていません。恐らく、西沢社長の判断ということになると思いますが、これは、政府の意向として無理やりそこに入れたりしますと、中小企業を全体で救っていこうという全体のスキームがおかしくなってしまうんですよ。だから、無理筋でここに使うのは慎重になる、もしくはやめていただくというのが、恐らくこの法案の成立にかかわった多くの議員の同じ気持ちだと思うんです。

 そういう状況でございまして、この法案のいきさつ等々については大体今お話をさせていただいたとおりなんですが、所管されます菅大臣の、今までのお話を聞いた上での所見をお伺いいたします。

菅国務大臣 私も経済財政担当大臣という立場でこの機構のスタート、そのセレモニーにも出させていただきました。その折にも、実は、増子議員に経緯をかなり当時聞きました。率直に申し上げて、私、この法律の成立過程はタッチをしておりませんでしたので。そういう中で、今まさに平井委員と増子さんとの話のような認識も伺ったところです。

 そういう意味で、率直に申し上げて、もともとは、地域は外したとしても、中堅・中小企業ということを対象にして考えられたということは私も認識をしております。ただ、今増子さんからもありましたように、法律の組み立てとしては、確かにその他事業者なんというのは本当にお役所用語ですから、私もそこで読むのが適切かどうかということを普通に考えればありますけれども、少なくともそういう形で大きな企業についても排除はしないという認識だということでありますので、それはそういう形でこの法律についてあるいは機構については認識しております。

 その上で、もう一方で、JALの危機というもの自体も、もちろん早い時期から想定された方もあるかもしれませんが、ここまでこういう形になってくるというのはまさに、では、それに対してどうするのか、国土交通大臣もいろいろと努力される中で、最終、最終ということではありませんが、機構の方にいわば支援要請のお願いをされたいということになりました。

 私もこれは法律を調べてみましたが、この機構は、所管大臣ではあっても、どこを支援するかしないかについては全く大臣が決定するという要素はありません。先ほど言われた西沢社長あるいは瀬戸委員長、この委員会のもとで自主的に判断するという形になっております。

 その自主的な皆さんの判断の中で、まずは、いろいろな要素はあるけれども、そういう要請がJALから来た場合にはというか、もう既に来ているわけですが、来た場合には、しっかりした債務等のチェックをやった上で、それに対して支援機構としてどう取り組むかあるいは取り組まないかは自主的に判断をされるということで、少なくとも玄関は開くということを当事者が判断をされたものですから、それについては、私も、先ほど申し上げたような、法律的にそれについてイエス、ノーを言う立場ではないわけですけれども、それを見守っているというのが今私の姿勢であります。

平井委員 何度も言うようですけれども、私は、この支援機構でJALの問題を解決するのは無理だし、やるべきではない、それ以外の方法をぜひお考えいただく方がいいと思います。

 また、この支援決定の基準というのもホームページ等々で見させていただきましたが、これは結構ハードルが高いです。これは三年で結論を出さなきゃいけないし、主管する大臣に厚生労働大臣を我々プラスしたのは、実は雇用の問題とか年金の問題もちゃんとしてくださいね、そこのところも見ていただくというようなことになっていますから。

 くれぐれもお願いしたいのは、無理に無理を重ねて、ほかに持ち場がなくなったからJALを入れるというよりも、それよりも、今、地方の中小企業は大変厳しい状況ですから、その状況に対応して、本来、我々が苦労して仕上げた機構法案の趣旨にのっとった運用をしていただきたい。これによって、地方の優秀な、いろいろな資源を持っている中小企業が助かる可能性が出てくるんです、雇用を守ることもできるんです。そのあたりのところを十分にお考えいただいて、政府全体としてお取り組みをお願いしたいと思います。

 増子副大臣、もう結構でございますので。御苦労さまでございました。

 それでは、菅大臣もせっかくいらっしゃいますので、いつも余り議論にならないのであえてきょう出させていただいたのは、IT政策なんですね。

 民主党さんの今までのいろいろな刷り物、マニフェスト、インデックス等々を見ていると、ITの利活用に関する戦略とか、電子政府の推進とか、ネット選挙や通信法制に関するものとかは見られるんですが、二〇〇〇年と二〇〇三年の地方選挙用のマニフェストにちょっと情報通信分野に触れている以外、前向きなIT政策に対する記述というのは見当たらないんです、別途どこかでおやりなのかもわかりませんが。

 そこで、今、鳩山政権にCIO、要するにチーフ・インフォメーション・オフィサーはおられるのか、おられないのか。今、国のIT政策の責任者はどなたなのか。そのことについて、まず菅大臣にお聞きします。

菅国務大臣 私も率直に申し上げて、この政府CIO、情報化統括責任者というものが各国はどういう形になっているとか、そういうことについては必ずしもそう詳しくはありません。

 そういう意味で、今の内閣にこれに相当する立場の人がいるのかという質問、一〇〇%ではありませんが、私の認識では、おられないのではないかと思っております。

 その上で、IT戦略本部というものの所管は私のところですので、私がそのところの責任者であります。

平井委員 実は、菅大臣、ここは大臣が責任者なんですよ。これから、例えば政府CIOとかオバマ政権のようにCIO、CTO等々を任命するのであれば、そこはぜひ菅大臣が中心になってIT戦略全体をこれから引っ張っていただかないと。実はIT戦略というのは、哲学とか理念がないと国全体としての整合性がとれないんです。

 ところが一方で、今度は仙谷大臣のところで事業仕分けの対象になっちゃっているんです。金額が多いとか少ないとか、無駄があるとかない、利用率があるない、いろいろな問題があると思いますが、ただ、特出しして部分的なIT予算をカットしていく、それも必要かもわかりませんが、全体としてどうするんだということがないのに、事業仕分けでその予算をとめたりしますと、一つのシステムというのは、単独であるものは一個もないんですよ、スパゲッティのように全部つながっている。

 そのあたりのところを、これは私も協力させていただきますから、ぜひ、政府として、なかなか自民党政権でIT政策は最近日が当たっておりませんでしたので、民主党政権になって、ここは要するに党派を超えなきゃいけないところなんです。つまり、次の世代のためにここをやっておかないと。

 そういう意味で、菅大臣には、どういう視点でITをとらえていくかということなんですが、まず一つには、行政改革とITの活用です。これは大体今まで行政管理局等々が、人が何人減る、仕事がどれだけ楽になるから幾ら投資するという話をずっとやっていました。ですから、行政コストの削減というのが一つあると思います。

 それと、このIT分野で、今後、地球温暖化対策としてマイナス二五%をうたわれる民主党としては絶対避けて通れないのが実はデータセンターなんです。世の中のトラフィックがこれだけふえてしまって、要するに、つまり、今後、この日本の社会を考えた場合に、だれよりも電力を使うのはデータセンターなんです。これはもう間違いありません。過去の何倍も膨れ上がっている。

 今、そのデータセンターの熱効率をどうするか、どれだけ電力消費を抑えるか、環境負荷を下げるかというようなことが非常に大きなテーマになっているわけですね。このことを考えると、これは、グリーンITというのはオバマ政権でも盛んに言われています。これは非常に重要なことだと思います。

 それと、これと連携してくるのがスマートグリッドなんですね。これも当然、電気の制御というのは最終的に環境問題と一緒になってきますし、恐らく民主党さんが全種全量買い取りとかいろいろ言われるときに、このスマートグリッドの問題が解決しないと、これはもう全然、新しいエネルギーをその系統とどのように調和させていくかというような問題にもなってくると思います。

 また、あと、実は雇用問題としてITというのも非常に重要なんですよ。テレワークを我々自民党政権では進めていました。実は、IT業界というのは昔は三Kと言われていたんですけれども、五Kと言われて、今七Kと言われているんです。七Kのうち最後は、子供ができない、化粧が乗らない、結婚できない。どんどんふえていく。つまり、ゼネコンよりきつい下請構造になってしまっていて、今、全体で、政府はIT予算を減らす、民間の投資が減る、つまり、上がちょっと減ると下はどんと減るんです。

 今、ネットの書き込みなんかでいろいろあふれているのは、民主党政権になるともう我々は食っていけないから何をやろうかと。ここにメッセージを出すというのは、実は、新しい経済戦略、補正予算等々を考えるときに重要です。恐らく私の考えに近い民主党の議員の先生もたくさんいらっしゃると思うんですよ。

 ですから、補正予算をつくるときに、実は我々の補正予算の中にも例えばクラウドコンピューティングとかそういう予算を入れていたんですよ。ところが、何かクラウドコンピューティングなんていうと、雲をつかむような話だから、みんなすぐカットしたがっちゃう。

 だから、そんな中で、結局IT政策というのは……(発言する者あり)大臣、私の話がわかりづらかったら済みません。ちなみに、クラウドコンピューティング、御存じですか。

 私がこれだけお話をさせていただきますと、またこの国会、一般質疑もたくさんありますのでお勉強もしていただけると思いますので、またじっくり議論を闘わせたいと思いますが、要は物の考え方ですから、そういう分野の投資に関して、今、ぜひもっと前向きに考えるチャンスだと思うんですが、いかがですか。

菅国務大臣 平井議員は、自民党の中のe―Japan特命委員会の事務局長も務められて、この分野では自民党の中でも有数の、積極的に取り組んでおられることにまず敬意を表したいと思います。

 私は、ITというのは、個人的にはかなり関心を高く持っております。かつてINSと呼ばれた時代がありますが、一体何をするのという、二十年か三十年前にNTTがやりましたが、ちょうどその実験地域に私の事務所がありましたので、その情報発信者になったりいたしまして、直接にも対応したこともあります。

 多くのことを申されていましたので、全部を個別には申し上げにくいんですが、私の感想を少しだけ申し上げると、電子政府というのは私も魅力的です。私は特許の仕事をやっておりますので、特許庁の電子政府が一番早く本格的に稼働して、今、ワード検索ができる国はそうたくさんありません。

 しかし、一方で、いろいろ資料を見てみますと、そこらじゅうにコンピューターシステムがあります。それこそ総務省には総務省、もちろん社会保険庁には社会保険庁。そして、その多くのコンピューターシステムのかなりが、極端に言うと申請の〇・二%とか三%しか使われていないというものもたくさんあるわけであります。

 ですから、先ほどグリーンITと言われましたが、私は実はグリーンイノベーションという言葉も使っているんですけれども、その中で、残念ながら、クラウドコンピューターはぜひまた調べてみたいと思いますけれども、まさにスマートグリッドなどを含めた検討を今本格的に我が内閣でも始めております。

 ですから、何か総花的にあれもこれも、役所ごとに提案してきたのを、ここもつくれ、あそこもつけるというのではなくて、まさに戦略的に、どことどこは思い切って集中的に資金、人材を投入するのか、そして、どの分野を進めていくのか。しかし、あれもこれも、ほとんど隣のお役所がやっているからうちもやらせろみたいな形でやるものについては、逆に思い切ってやめるべきものはやめる。

 ですから、仕分けというものが、いろいろな要素はありますけれども、私は、新鮮な目で見てもらって、そしてその中から出た結論を最終的には総理のもとで判断するわけですから、そういう意味では、まずはおかしいなと思うものはどんどん出してもらって、その中で本当におかしいものはやめるし、集中すべきものは集中すべきだ、このように考えています。

平井委員 IT予算というのは削減されやすいということもあって、実は、社会保障カードであるとか、例えば電子私書箱等々の予算、クラウド関係もそうですけれども、どんどん削る。その削るときの大義が、民主党さんの場合は、納税者番号をやったらもっとうまくいくから、それをちゃんとしてからという話だったんです。私もそう思います。やれるのなら納税者番号をやればいいんですが、私も自民党の中でずっと納税者番号を進めようと思っても、やはり反対される方々がたくさんいらっしゃいましたよ、これは国民総背番号制だ何だかんだ。ここはある程度、利便性とか安全性とか考えたら、割り切って進めないと、この話はいつも行ったり来たりになるんです。

 そこで、鳩山政権では、今まで長い時間がかかっていた納税者番号制度、やるのならやるし、やらないのだったら、今まで政府がやってきたように裏の方でひもづけしていくという、これはベルギーとかそういう国と同じようなやり方にするのか、そのあたりの議論を収れんしないと、ただ、いずれ入れるであろう納税者番号を想定しながら予算をとめていくというのは危険だと思っております。

 そういうことで、事業仕分けの責任者であられます仙谷大臣にも、ぜひ、国家としてIT戦略を立てた上で、事業仕分けの中にもその思想を生かすようにしていただきたいんですが、いかがですか。

仙谷国務大臣 お答えいたします。

 平井委員がIT関係に本格的にこれまで取り組んできていただいているということにまずは敬意を表しながら、お気づきでございますし、御指摘をいただいておるんだろうと思いますが、まずは、各役所に置かれたCIOというものの、ある種ITがわかっていない人がCIOになっているという実情とか、一体全体ITをどう考えればいいのかということで、政治と行政の方に本格的にわかっている者がほとんどいないという時代的な制約が一方にあるというふうに私自身は思っております。

 今度の事業仕分けを見ておりましても、ITとパソコンがなければ絶対にああいうことはできない。スピードとか、あるいは国民に対する開示という意味で、ITなくしてはできなかったことだなと思うと同時に、ブログの議論等々を見ておりますと、ITがある分だけ世論の分岐といいましょうか、いろいろな議論が華々しくネット上で行われることのある種の難しさというのも感じながら、今見ておるところであります。

 そして、役所のIT関係の投資、あるいはITをどのように行政の効率化や効果的なものにするために生かしていくのかというのは、やはり相当専門家、本当にわかった専門家、今おっしゃられたITゼネコンと十分に知力、総合力をもって闘える者が政府部内に育成されてこないと、これはなかなか難しいなと。

 一方で、ITというのは数百億、数千億の長者を生んだと同時に、今おっしゃられたようなITに従事する人の悲惨な状況もまた一方で生まれておるということのようでございます。

 ただ、きょう、ここに岸本さんもたまたま内閣委員でいらっしゃいますけれども、十数年前に岸本委員が指摘されたのを私は鮮やかに覚えておるんですが、それ以降、官の部分というか公的な、パブリックセクターで、この問題が部分的に解決しかかっているところもあるようでありますけれども、ほとんど全体としては、投資をしてIT化を進めなければならないし、進めた方がいいという基本的な方向はありつつも、特に事業費というかお金の使い方は、どうも何かわけがわからないうちに無駄遣いされているんじゃないかというふうに正しく指摘される方もいらっしゃるし、いや、そこは目をつぶって前へ進まなければいけないんじゃないかという感覚もあるんでしょう。それから、おっしゃられたスパゲッティのようになってしまうと、これはまたいかがなものかということもあるんじゃないか。私なんかは素人ですからよくわかりませんが、いろいろな複雑な要素があると思います。

 今回の事業仕分けでも、まずは四項目の、ベンチャー企業支援とか、ICT人材育成支援事業とか、安全・安心i―City推進事業とか、ICT利活用型教育の確立支援事業というのを事業仕分けの対象に取り上げて、この四事業については相当否定的な評価が出ております。そしてもう一つは、IT調達についてはもう少し本格的にわかった人が考えた方がいいんじゃないか、そういう仕分けの評価が出ておりますので、平井委員にもこれから御助言と御指導をお願いして、これからIT化について進めてまいりたいと思っております。

平井委員 どちらが、菅大臣がITをやられるのか仙谷大臣がやられるのかわかりませんが、要するに、ぜひ民間から政府CIOを任用していただきたい。恐らく、必ずその任を全うできる方がいらっしゃると思います。

 国家戦略室が局になって、まあ新聞を読むしかないんですけれども、結局、予算とか財政だけじゃなく、ITとか外交や安全保障や社会保障、これもすべて菅大臣のところで戦略を描いておやりになるということでよろしいんですね。

菅国務大臣 鳩山内閣のもとにマニフェストで新たにつくる機関として、当時の表現は国家戦略局と行政刷新会議という二つがあって、私の方の仕事は、室という形でスタートするときに、税財政の骨格、経済財政の基本的な政策という幾つかの課題に加えて、総理がこれはやってくれと言われたテーマに取り組む、そういう仕組みになっています。ですから、最初から、国家戦略という言葉はすべてに広がりますので、何でも勝手にやれという形にはなっておりません。

 その後、現状では、雇用対策本部の仕事、さらにはいわゆるマイナス二五%の温暖化の問題、さらに昨日の閣僚懇等では、マニフェストに関する来年度予算についてその取りまとめをする、こういった仕事も来ております。

 ITについては、まさに私が主管をしておりますので、国家戦略室においてもしかるべきときにはぜひ積極的に取り組んでいきたい。きょうは津村政務官も来ておりますが、内閣府の政務官で既に議論を始めていただいております。

 外交云々のことは、総理から先日も、東アジア共同体構想について場合によってはというような話もありましたけれども、現時点ではスタッフが、民間から来てくれた人が六名、官僚出身の人が五名、プロパーではまだ十一名ですので、このスタッフを倍から二・五倍ぐらいに広げる中では、今言われたITの詳しい人、さらにはいろいろな意味で外交、安全保障に対しても十分な知見を持っている人をそのスタッフとして採用する中で、あらゆることに対応できる体制はつくっていきたい、このように考えております。

平井委員 総理に言われたことを指示に従って、テーマを見つけながらやっていく、体制を整えながらやっていくということですね。何か私は、国家戦略局という名前ですから、まさに国家戦略すべてにかかわってくるのかなというふうに思っていたけれども、一言で言うと何でも屋というような感じだということがよくわかりました。

 それで、きょうは仙谷大臣にちょっとお聞きしたいんですが、今回の仕分けの作業の中で、独立行政法人、独法ですね、仕分けの対象に入りました。これは私はいいことだと思うんですが、民主党さんのマニフェストとかインデックスを読んでいると、一体独法をどうするつもりなのかが本当に見えてこないところがあるので、きょうはそのあたりを我々本当にお聞きしたい。

 マニフェストでは原則禁止というようなことにもなっていた。民にできるものは民、国に残すものは残すとも言ってみたり、これはよくわからないんです。一方、我々が独法通則法の改正案をずっと出させていただいていたのは、これはずっと反対されていたんですね。あれは、基金を早く戻せという、お金を返してもらう法律だったので、反対された意図というものがちょっとはかりかねるんです。

 そこで、独法の問題も、与党も野党もなくちゃんとやらなきゃいけないと思いますので、今回、どうしてすべての独法を事業仕分けしないのか、まずちょっとお聞きしたいと思います。

仙谷国務大臣 今回の事業仕分けで、独立行政法人は多分三分の一が第二段階までで対象になる。つまり、約九十数法人のうち三十法人が対象にされているというふうに私自身は認識をしております。

 連日の仕分けの評価を見ておりましても、新聞報道を見ておりましても、やはりここが一つの大問題でございますし、国民の関心もここに相当集まっているというふうに認識をしております。

 つまり、当時の塩川財務大臣がおっしゃった、離れですき焼きという状況が独立行政法人にある、そういう状況がある法人が相当数あるのではないか。つまり、天下り等、埋蔵金あるいは累積された剰余金のようなものがある、これがたまらない対象になっていると私も認識しておりますので、これは行く行く必ず仕分けの対象にするか、つまり、これは時間とこちらの体制の問題ですから、それとも、今回の仕分けの結果抽出されてくる基準に従って厳しくやっていくかということで臨みたいと思います。

 とりわけ、蓄積された税金にせよ、税金が補助金という格好にせよ交付金という格好にせよ、あるいは税制上の優遇措置という格好にせよ、たまっておるものについては、これは早急にお返しいただく手続にしたい。さらには、通常国会にはそのことがちゃんとできる法案を用意する、こういうつもりでおります。

平井委員 結局、独法の定義と民間化の事業廃止の矛盾というのがあると思うんですよ。つまり、独法の定義には、民間だと実施されないおそれがあるものを実施すると。このあたりを一回整理していただかないと、独法の、まあ全部を廃止するというのならすっきりするんです。どうせだったら、民主党さんのマニフェストに沿って原則廃止というふうに突っ切っちゃった方が楽だと思いませんか。その方が大義があると思いますが、いかがですか。

仙谷国務大臣 改めて、独法通則法をさあどうするのかということで改正案を見直しておりますが、一つ感じますのは、独立行政法人というのは、そもそもは、国、中央政府の施策を行政執行するというか執行するのに、こういうエージェンシー的な組織を使った方がいいだろうということでつくられたはずであります。

 だがしかし、一つ考えなければならないのは、その組織のそもそもの使命、目的が、そんなに通則法で一般的になべて普遍化して扱えるものであるのかどうなのかということも、これも一つ、ちょっと違うのではないかなと。つまり、そういうふうに普遍化して抽象化すればするほど、やはりここに起こるモラルハザードを防ぎ得ない部分も随分あるのではないかというのが私の今の感慨でございます。

 とりわけ監視とか評価とかということにかかって、大体、各独立行政法人が自分でできるのかどうなのか。それは、今までのこの事態を見たら、できていないから今のような事態になっておるのではないか。さあ、そうすると、その所管官庁ができるのかどうなのか。これも私は非常にまゆにつばをつけて見ております。

 所管官庁が行うのを三年計画とか五年計画で総務省がそれをまた評価する、この構造も全く、役人が自分の仕事をつくるために屋上屋を重ねたり、あるいは納屋をつくって納戸をつくって、まだ小さいストックスペースをつくるような話、このたぐいになっておるんじゃないか。そういう目でこの独法通則法の改正案を見ております。

 実は、この監視を本格的にやるのであれば、監視機能を外に出す、あるいは、もっと言えば、国会の決算行政監視委員会の中にその小委員会をつくっていただいて、その事務局にしっかり働いてもらうというふうなことも考えた方がいいんじゃないか。

 つまり、霞が関の内々で三重も四重も評価とか監視の機関をつくってみたところで時間がかかるだけで、結局は今のような事態を防げなかったんじゃないかという思いに今とらわれておって、これを根本的に設計し直せということを言ってあります。

平井委員 これはやはり新たな独法の概念をつくらなきゃだめですね。それで、結局、今やられている民間化の事業とか具体的な選別方法というものも明確にして、我々がつくっていた通則法の中でも、民主党さん側から見て、当然使える部分があると思いますので、ぜひそれは我々も協力をさせていただきたいので、前向きにお取り組みをいただきたいと思います。

 私、もう時間が来てしまいました。福島大臣、通告して質問できなくてごめんなさい。後の議員がしますので、空振りということはありませんので、お許しをいただきたいと思います。

 私の質問を終わります。

田中委員長 次に、井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治でございます。

 きょう、私は、行政刷新会議、事業仕分けについて、まず仙谷大臣にお尋ねをしたいと思います。

 この事業仕分けでありますけれども、本当に今、国民的に大変な関心があって、連日、新聞の一面だったり、あるいはニュースのトップであったり、この報道が大変されているということで、そういう意味では国民が大変関心を高く寄せている。そして、国民の評価によりましても、六割から七割ぐらい評価をしているということでありますから、そういう意味では、新政権の事業仕分け、大成功なんじゃないか、政治的なパフォーマンスとしては大成功かなと私は思っています。これは政治的パフォーマンスとしてはということですけれども。

 それはどういうことかといいますと、確かに、目的は本当にすばらしいこともあると思いますよ。国民の前で、そして公開の場で予算編成の一端を担う作業をしていく。国民にわかりやすい政治や行政という意味では、これは意義があると思っております。あるいは、基金の問題とか公益法人の問題、こういったところに対しても細かく切り込んでいくというのは、これはこれで私は大変大きな意義があると思います。

 しかし、他方で、やはりいろいろな批判が、意見が飛び交っているのも事実ですね。閣内においても政務三役がそれぞれ、ちょっとおかしいんじゃないかという疑問を呈している。これは事実ですね。

 あるいは、法的根拠がない中でその組織やスタッフがこれだけの大きな作業をするというのが本当にふさわしいのかどうか。日本の国は法治国家ですから、そういう意味では大変な疑問を感じる。公開処刑だとかあるいは人民裁判だなんという物騒な言葉も飛んでおります。

 そういう意味では、私は、この事業仕分け、目的はいいんです、しかし、やはり手段が間違っている部分が大きいんじゃないか。そういう意味では、この事業仕分け自体を事業仕分けしなきゃいかぬのじゃないかというような気がいたしておりますので、冒頭のこの内閣委員会で質問させていただきます。

 ちょっと言いましたけれども、やはり一番大きな問題は法的根拠がないということだと思います。九月十八日付の閣議決定で、行政刷新会議自体の大枠については閣議決定はした。しかし、これはあくまで閣議決定にすぎないということ。しかも、事業仕分けのチームに関しては、その閣議決定の中にも明確な記述は見当たらないのかなと。そういうことになりますと、本当に全く何の根拠もない中でこれだけの作業をやるというのがふさわしいかどうか。

 報道によりますと、大臣は、これは決定権限はないからいいんだみたいなことをおっしゃっているようですけれども、仮に決定権限がないとしても、これだけ多くの国民的な関心事になって、当然この結果というものが来年度の予算編成作業の中で大きく反映をされるわけでしょうから、そういう意味では国民に対して大きな影響力を与える。しかし、法的根拠はありません、これからつくりますということで本当によろしいんでしょうか。見解を伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 閣議決定に基づいて分科会を設定することにもできておりまして、その分科会をワーキンググループというふうに申し上げているわけであります。

 そして、行政刷新会議の運営要領というものも、総理が議長でございます行政刷新会議そのもので決められておりますので、行政執行としてこのようなことができるかどうかという意味では、法的な根拠が十二分にあると私は考えているところでございます。

 ただ、仕分け人をどのように選ぶかという法律があるかないかと言われれば、現在のところはない。そういう人が予算について物を申すことがいいのか悪いのか、できるのかどうなのかということを考えますれば、これは、国民ひとしく予算に意見を申し上げることはできるということでありましょう。つまり、そこが、水面下でというかアンダーテーブルで、財務省と各省庁の間であれやこれや、国民の見えないところでやってきたことに限界があったということではないかと私は考えております。

 そして、先ほどマスコミ用語として、公開処刑がどうの人民裁判がどうのというお話もあるわけでありますが、それは各省庁の方々がそういうニュースをマスコミに流して書いていただいている向きがあるのではないか。

 もう少し申し上げれば、マスコミの方々も、あるいはそういう言葉を発せられる評論家の方々も、すべて一度、一こまだけでもちゃんと傍聴をしていただきたい。つまり、テレビの画面に出てくる一分や二分の部分だけ切り取った場面をごらんになって印象を語られるというのは、私はフェアではないというふうに思っておりまして、インターネット中継でもいいですから、一時間物を一時間としてぜひ見ていただきたいと思うんです。

 つまり、一時間が短過ぎるということをおっしゃっている方がおりますけれども、では、一体全体、国会で、一事業について一時間みっちり議論をしたことが決算行政監視委員会でも予算委員会でもあるんでしょうか、三千項目の一つ一つについて、一時間でも詰めた議論がなされたことがあるんでしょうかということは、私もこれは自己反省として申し上げているんです。

 つまり、決算行政監視委員会の委員長までしながら、実はこんなことがプロと自負する政治家ができていなかった、このことを恥ずべきじゃないかというふうに私は考えております。

井上(信)委員 質問していないことまでいろいろお答えをいただきまして、まだ時間がありますから、人選とか運営方法についても私の方もゆっくりいろいろ伺いたいんですよ。

 ただ、やはり一番は法的根拠の話。行政執行の権限はあるんだというのはちょっとよくわからなかったんですが、報道によりますと、来年度の通常国会までには政治主導確立法案といったものを出して、そして、行政刷新会議や国家戦略局の法的位置づけを明確にする、そういったようなこともおっしゃられておりますので、やはり法的根拠がないというのはお認めになって、これはやらにゃいかぬと思われているようでありますけれども、それだったら法律をちゃんとつくって、そして国会で議論して、法的権限を与えた上で立派な仕事をやってもらうというふうにしてもらわないと、これはやはり私はおかしいと思います。ですから、そこのところはおくればせながらやられるということで、これは通常国会での議論を待ちたいというふうに私は思っております。

 それから、先ほどちょっと言及がありましたけれども、人選の問題。確かにこの人選の問題というのも非常に重要だと私は思っています。

 一時間という限られた時間の中で、そこのやりとりで廃止かどうかが決まっちゃうということですから、そうなると、だれが仕分け人かによって全然違ってくるわけですね。個人の能力とかあるいは知識、見解、そしてやり方によって結論は大きく変わってくるんじゃないかと思うんですよ。そういう意味では、もしかして今の仕分け人じゃなくて別の人がやっていれば結論は変わっているかもしれない。そういう意味で、人選というのは本当に決定的に大事だと思うんですね。

 しかし、そういう中で、やはり本来であれば国民の代表たる国会議員がやるというのが私は筋だと思うんですね、それだけ実質的な権限があって、効果が大きいわけですから。ですから、そういう意味では国会議員の方にやっていただきたい。実際には、六十数名ですか、いらっしゃる中で七名ぐらいですかね。大体一割ぐらいということですから、これではやはり私はおかしいと思いますね。

 これも報道によりますと、最初は三十二名、特に一期生の国会議員の先生方が入っていたというのを、これを変更したということでありますけれども、これの理由がよくわからないですね。一期生ですから、まだ国会になれていないとか、あるいはともすればちゃんと選挙運動をやれ、そんな話もあったようにも聞いていますけれども、それはやはり私は違うと思いますね。国会で、そして行政の中でしっかりした仕事をやるというのが国会議員の仕事だし、これをやはりやってもらいたいと思っています。

 国会議員以外のその人選についても、どういう基準で、では、だれが選んだのか。加藤事務局長が選んだとか財務省が推薦したとか、あるいは大臣が選任したとか、いろいろな話が伝わっておりますけれども、やはりここは明確にしないといけないと思いますね。どういう基準で選んでいるのか。

 先ほど平井議員のITの質問でもありましたけれども、専門分野に精通した人を入れていくという観点も大切だと思います。しかし、他方で、そう言うと、広くある事業の中で、では、すべての事業に精通した仕分け人を入れられるのか、これは限界もあると思いますね。他方で、公開の国民的な議論だから、もっと国民の一般の目線に近い人、こういう考え方もあるかもしれませんけれども、そうなっていくと、本当に専門知識のない人に決めさせていいのかどうか。いろいろな問題点があると思います。

 ですから、いずれにせよ、人選ということに対しては、ちゃんとした基準を明確にして、そしてだれが決めるかという権限を明確にして、ちゃんと決めてもらいたいと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 先ほど、プロフェッショナルの政治家としての恥ずべき行政監視の至らなさを私は申し上げたのでありますが、プロと称する人は、これは、プロフェッショナル、すばらしい方もいらっしゃいます。つまり、国家公務員の1種の試験を合格されて何年もプロとして腕を磨いて、立派な方もいらっしゃいます。しかし、総体としての霞が関の集団が、プロフェッショナルの腕をそれぞれが発揮したのかという問いをみずからに投げかけてみますと、そうでなかったから、対GDP比一八〇%の借金ができてしまったということもあるのではないかと思います。

 ある意味で、通常の、プロでない正常な、正常と言ってはいけません、プロでない普通の感覚の方々の目で、この種の予算、事業を続けるのかどうなのか、国がやるべきなのかどうなのか、そもそもこういう事業があり得るのかどうなのか、これはどうやれば効率的にできるのかというふうなことを、素人という言葉が正しいのかどうかわかりませんが、ごく普通の生活をされている人の目で見てもらうことも、それも大事だと私は思っております。

 今回の場合は、国の事業の実態や行政のあり方の見直しについて造詣が深いということ、それから各分野の専門的識見を有する人、それから自治体等の事業仕分けの経験を有する者というものを私の責任のもとにおいて選んだということでございまして、私は、今井上委員もおっしゃられたことがすべて当てはまっておって、ベストミックス型の事業仕分けの仕分け人といいましょうか、その作業に従事する人を選んで、そういうミックス型で構成をするということが、この種のものをやる場合、正しいのではないかというふうに考えております。

 それから、政治家の数でありますけれども、それは私は、昨日のような事態はでき得れば避けるべき事態だと思っておりますので、衆参の議員が、衆議院で本会議あるいは委員会をやっているときにはそちらの方を重視すべきというのは原則でありますから、そのときは参議院の議員の先生方中心にやっていただくとか、もう少しそういうことを私どもの方が考えればよかったかな、そういう構成にすればよかったかなと思っているところでございます。

井上(信)委員 そうですね。ぜひ、ベストミックスとおっしゃいましたけれども、やはりこれはベストミックスじゃなきゃいかぬと思いますよ。

 そういう意味では、この人選についていろいろな御意見があって、閣内でも、福島大臣あるいは亀井大臣から、社民党や国民新党の議員が入っていないというようなクレームが入ったとか、外国人を入れていていいのかと、いろいろな意見があるわけですから、やはりこれはベストミックスでお願いしたいと思っています。

 それから、そういう意味では政治主導ということの一環でもあると思うんですけれども、では、本当にこの事業仕分けが政治主導になっているのかということであります。

 実際には、事業の選定、あるいは人選、それから評価の基準、財務省が裏で非常に重要な役割を担っているという報道があります。もしそうだとしたら、これは私はゆゆしき事態かなと思っております。

 先ほど、きのうの本会議との関係の話もございましたけれども、やはり国会議員あるいは政務三役が主導的な役割を担ってもらわなければ、これは政治主導に偽りありということになります。もちろん国会議員ですから、事業仕分け、こちらの方を休んででも国会に行くのは当たり前のことでありますけれども、それだったら、国会議員がいない中で事業仕分けをきのう実行したのが本当にいいんでしょうか。取りまとめ人を民間人にやってもらって、その民間人が当惑していたなんという報道もありました。これはそうだと思いますね。やはりそれだけの権限が与えられていない、民主的基盤がないわけですから、それは私はちょっと違うと思っております。

 それで、政務三役の話ですけれども、この政務三役の位置づけについて、鳩山総理の方は、政務三役は守る側より査定する側に立たなければならないという話がありました。これは私はちょっと違うと思うんですね。

 これはやはり、概算要求の中で、これを各省庁が要求して、それをいわば仕分け人たちが査定しているわけです。そして、概算要求をする各省庁の責任者が政務三役でありますから、当然のことながら、各省庁を代表して、いわば守る側というんですか、要求する側の代表として政務三役が出ていって、これを官僚にやらせるというのは私は政治主導じゃないと思いますよ。

 これは正直言ってなかなか大変な役ですよ、つらい役ですよ、仕分け人にどんどんどんどん厳しいことを言われて。その厳しい役をやはり政務三役が必ずやる、こういうふうにやるのが本当の政治主導だと思いますが、いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 したがって、政務三役のうちのどなたかは必ず出席をしてほしいという要望を出してございます。その政務三役は、当然のことながら、まず、分担管理のもと各省庁の政務三役であると同時に、鳩山内閣の一員あるいは国務大臣であるという前提でございますから、そこはもだえていただくのも大いに結構、悩んでいただくのも結構。そういうある種の状況の中で、そして全体の予算をどう組んでいくのか、あるいは我が党のコンクリートから人へという大きなコンセプトのもとにどう収れんさせていくのかということにみんなが悩みながら近づけていくということだと思います。

 したがって、オール・オア・ナッシングじゃなくて、やはりこれを本当に弁証法的に練り上げていく過程が今行われているというふうに理解をいただければありがたいなと思っております。

井上(信)委員 余り答えにはなっていなかったと思うんですけれども。それは、もがいていただくのは結構ですよ。確かに、新しい制度、そして政治主導で公開でやろう、新しい観点からやるんですから、いろいろなもがきもあるし、弁証法的にやるというのもいいかもしれませんけれども、ただ、大臣、やはりこの事業仕分けの大きな影響力を考えてくださいよ。これだけやはり国民の関心も強くて、実際に相当程度予算編成に反映されるわけですから、この作業をやっている中で、これからもがきます、これから弁証法的によりよいものにしていきますというのは、これは無責任だと思いますね。

 そういう意味でも、やはり法的根拠がなくて、ちゃんと準備をした上でやっていないというところの弊害が出ているような気が、私は非常に強く思っております。

 次に行きますけれども、事業の選別ですね、では何の事業をこの対象にのっけていくか。当然全部はできないということで、幾つか、何割かの事業を選んでいくということでありますけれども、これは人選と同様、本当にまた選別そして基準というものが大きいわけであります。

 この事業をどうやって選んでいくのか。これも報道によりますと、事務局によく精査させたというようなことを言われておりますけれども、事務局というのは御承知のように役所の方がほとんどということでありますから、これは本当に政治主導なのかなと。事業仕分けの現場で中継される華やかな舞台だけじゃなくて、やはりその下準備のところでちゃんと政治主導で汗かいて、なぜこの事業を選んだかということをちゃんとした基準をもとに説明をしてもらわないと、これはなかなか納得できないなと思っております。

 そういう意味では、選定をした事業の中で、やはりこれは事業仕分けの対象になじまないんじゃないかという事業が結構ありますね。それは閣内でもそういった意見も出ている、あるいはマスコミなどの指摘も多いということであります。

 例えば、地方交付税であったり、思いやり予算だったり、診療報酬だったり、義務教育費の国庫負担だったり、こういったことが代表的なもので言われております。確かに一時間の議論になじむのか、慎重な判断が必要なんじゃないか、徹底的な議論が必要なんじゃないか、こういった事業も対象に選ばれております。ですから、私は大変懸念を感じております。

 この事業の選定やあるいは基準について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 昨年、自民党さんの方でも、多分無駄ゼロとの関連で事業仕分けの作業をされていたように記憶しております。民主党の方でも、ことしの四月、五月ごろに、各省庁の事業について事業シートの提出方を求めて、数千のというか二千以上、三千に近い事業シートがまずございました。それを事務局の方でも検討しながら、当然のことながら、財務省の方にも基礎的な資料があるであろうから、それを見させてくれと。紙に書いたものとしてはそれがまず基礎的な事業採択といいましょうか、仕分けの対象を選ぶ作業の第一歩でございます。それから、現地に行って見てこよう、あるいはヒアリングをかけて、つまり事業を遂行されている役所の方々にヒアリングをかけて、そこから選んでいこう。

 基準としては、事業目的が妥当なのか、とりわけ税金を投入する必要性があるのか、当該事業が手段として有効であるのか、当該事業が効率的であるのか、あるいは効率的な手段がとられているのか、あるいは限られた財源の中でほかの事業に比べて緊急かつ重要性があるのかというような観点で選んでいったというふうに御理解をいただきたいわけであります。

 そして、当然のことながら、会計検査院のいろいろな検査報告が累代重ねられておりますし、あるいは、この国会でも、例の独立行政法人なり公益法人に流れている金というのは、これは相当数議論がされてきたと思います。そういう議論も当然のことながらしんしゃくして、ここはちょっと税金の使い方としては問題を起こしているのではないか、あるいは効果が薄いのではないかというふうなことも参考にしながら、今回の場合には四百四十七項目を選んだということでございます。

 それから、さっきおっしゃられた、事業仕分けという手法ではなじみにくい問題があるのではないか。

 それは、おっしゃられるところをお伺いしていますと、事業というイメージよりも制度そのもの、地方交付税、これはある種の事業というよりも制度そのもの、あるいは義務教育費の国庫負担、これも制度そのもの。つまり、大きく政治的な判断の方が優先する。ただ、その場合にも、ミクロ的な部分で一度国民の皆様方の前に提示をして、こんなことにも使われているのを税金で負担するのは果たして首肯できるかというか肯定的にとらえられるか、それとも、やはりこれはちょっと外していただいた方がいいんじゃないか、そういう部分があるのかないのかという点も含めて、今度の事業仕分けに一度のせてみた。

 私は、ここで評価としてある意味で廃止とかなんとかということには当然なりませんから、そういう定性的な意見しか出てこなかったとしても、一度これが国民の皆さん方の注視の対象になるということが重要だなというふうに今考えております。

井上(信)委員 国民の注視の対象にすべき事業ということでいえば、やはり一番今国民が注視しているのは、民主党がマニフェストに掲げた主要政策だと思います。ですから、子ども手当とかあるいは高速道路の無料化、こういった、財源も物すごくかかります。本当にそれだけの政策効果があるのかどうか、これについてなぜ事業仕分けをしないんでしょうか。

仙谷国務大臣 基本的には、予測を仕分けするというのは、これは甚だ難しい話ですね、これから新しい事業といいましょうか、そういうことをするのは。だから、やはりどうしても継続事業として行われているものが、惰性で行われている部分もあるでしょうし、既得権として行われている部分もあるでしょうし、そういうものが先行する。

 特に高速道路の問題は、あるいは他のものも、この国会、予算委員会で特に行われてきたのは、どうも事業官庁の方々がつくった予測値というのはやはりまゆにつばつけて見なきゃいかぬなという思いはありますけれども、我が党のこれから実行しようとしているマニフェストの予測値を今から計算して、そこを事業仕分けの対象にしても、それは悪くはないんでしょうけれども、それは割と神学論争みたいな話になってくるので、そこは我々としては大きい確信を持って、例えば子ども手当の問題にしましても、これは時代的にどうしてもやらなければ日本が少子化、人口減少を乗り切っていけないという思いで立てたものですから、これは予測の問題よりも、断固としてやり抜くという方の政策、マニフェストだ、そういうふうに理解をしております。

 高速道路の問題については、これは実験的に来年は特にやるということでありますから、これもある種の予測は必要かもわかりませんが、実験的にやってみるということでありますから、実験的にやってみて、それを事業仕分けの対象にするということの方が妥当性が高いのではないか、こんなふうに思っております。

井上(信)委員 ちょっと仙谷大臣のお言葉とも思えないような回答だなと私は思います。無駄を排除していく、これが事業仕分けの大切な役割でありますね。そうすると、やはり新規の事業というのはどうしても無駄が入りがちですね。既存の事業であれば、当然、不完全とおっしゃるかもしれませんけれども、今までいろいろな観点から無駄の削減ということもやりながら事業をつくり上げてきたわけです。しかし、新規の事業ということであれば、これは本当に一番心配だと思います。

 そして、これから予測でというふうに言いますけれども、そんな無責任な答弁はないと思います。国民の大切な巨額の税金を使うという中で、それを、予測だからと。やはり責任を持って、必ず効果があるということがなければ、これは実行できることはないと思いますよ。ですから、それに対して事業仕分けでもうちょっと議論をしてもらう、そして無駄があれば、これはマニフェストに書いてあろうがなかろうが、ちゃんと削っていくというのが私は大切な役割だと思っております。

 それと、そういう意味では大切なのは評価基準だと思うんですね。この評価基準についても、さっきもちょっと言及がありましたけれども、幾つかフローチャートというのがあって、必要性、担い手、緊急性、内容、手法、改革、規模、これがいわば判断基準なのかもしれないですけれども、これを通じて一貫してあるのは、やはり無駄遣いをやめようということだと思うんです。では、無駄というのは一体何なんだろうか。やはりこの無駄の定義というのが非常に重要だと思うんですね。

 そういう意味では、例えば違法な支出であれば、これは無駄遣い以前にとんでもないことである。あるいは事業と無関係な支出だとか、あるいは相場観からいって明らかに高いだろうとか、こういったものは典型的な無駄ですから、こういうものは切っていくというのは必要だと思うんですね。しかし、例えば必要性という意味でいえば、これはどうしたって政策判断だと思うんですね。政策目的のところまで踏み込んでいって、そして政策目的と合致しなければ、これを無駄といって切り捨てることができるのかどうか。そしてそれは事業仕分けの仕事なのかどうなのかということ。

 そういう意味では、さっき言った義務教育の話とかそういうところも、いわば政策目的に踏み込んでいくかどうかという話が大きなところだと思うんですが、私はそこまで踏み込んでいくというのはちょっと違うような気がいたしますけれども、見解を伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 今のお話でいいますと、要するに、国が、中央政府が税金を投入して行うことが妥当かどうか、これは価値判断も入りますけれども、そこがやはり一番大きいんだと思うんですね。それは地方政府がやるべき話なんだ、本来それは地方政府の基準財政需要の中にも入っているじゃないか、だから重複になっているじゃないかとか、そういうことは政策判断が全く入らないかというとそんなことはないと思いますけれども、あるいは民間でやった方がずっと効率的にできる、あるいは民間でやっていらっしゃる方々もいるではないかというふうな議論も当然やらなければならないと思っております。

 そういうことで、政策判断そのものに踏み込むということと、事業仕分けの、事業の妥当性や効率性や効果的であるかどうかということを考えるというのは、確かに重なっている部分がありますから、踏み込まざるを得ない部分もありますけれども、それはそれとして、政策的、政治的な判断は行政刷新会議のボードでも改めてやらせていただかなければなりませんし、さらには、予算に関する閣僚委員会あるいは閣議の中でも議論をしていく、さらには、閣議の前には当然のことながら財務省の査定当局と各省庁のやりとりといいましょうか、そこでのせめぎ合い、交渉というのは当然あるんだろうなというふうに思っているところでございます。

井上(信)委員 確かに、単純に政策判断と、いわばそうじゃない、手続論といいますか、客観的なものと、これは分けることはできないと思うんですね。しかし、やはり政策判断のところに入り込んでしまうから、例えば閣内の不一致が出てくる、ほかの閣僚から文句が出てくるという話になるんだと私は思うんです。そして、その権限もないんじゃないですか。法的根拠がそもそもないですけれども、特に、各省が所管しているようなものに対して政策判断して、行政刷新会議が一時間の議論のもとにこれは廃止だと言うのが、それはやはり、政策判断まで踏み込むところが一番大きな原因だと私は思っています。

 そういう意味で、これからこの事業仕分けの結果を受けて行政刷新会議の本会議で議論して、そしてそれを来年度の予算編成作業に反映されるということになると思うんですけれども、では、これはどこまで本当に反映させるつもりなんですかということ、これは本当に大きなポイントだと思うんですね。確かに、この事業仕分けの意義を強調すればするほど、やはりこの結果をなるべく反映しなければいけないと思います。しかし、冒頭申し上げたように、これを余りに過度に反映するとなると、それは法的根拠、手続、いろいろな問題からして、これはちょっとおかしいんじゃないかという話になると思います。その辺のところをこれからどのように仕切るおつもりなのか、お考えを伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 この事業仕分けの評価結果につきましては、行政刷新会議に当然のことながら報告をいたします。そして、各評価結果をどのように行政刷新会議、ボードメンバーが判断するか、取り扱い方も含めて、決定をそこでするというふうに考えております。そこで決定されれば、これは当然のことながら閣議に報告をされるということになりますので、政治的な影響力といいましょうか、意味は、決定された分については、つまりそれは事業仕分けの評価の結果が大方、おおむねは尊重されるというふうに私は思っておりますけれども、そうじゃない部分も当然のことながら、政策的な判断、政治的な判断、ボードメンバーの中でも出てくると思いますし、さらにはその後の閣議の中での議論というのも当然のことながら出てくるだろうと思っております。

 そういうことで、そういう流れの中で最終的には閣議で決定、つまり予算編成、予算案ということで決定されていくんだろうと思っておりますが、まずは行政刷新会議のボードに報告をして、そこで議論をいただいて、取り扱いも含めて決定が行われるというふうに考えております。

井上(信)委員 そういう意味では、これから本当に慎重な判断をぜひしてもらいたいと思います。やはり、一時間の間で出た結論というのがどこまで妥当なのかというのは、これは本当に大きな話ですから、慎重に判断をしてもらいたいと思います。

 最後に、この行政刷新会議、そういう意味では私は期待もしているんです。期待もしているんですが、何か鳩山総理は、来年度予算については事業仕分けをやるけれども、それ以降はもうやらない、我々が来年度以降は政治主導で予算編成をやるから事業仕分けは必要ないんだというようなことをおっしゃっているようですが、これは私は違うと思いますけれども、この点について御見解を伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 行政とか事業というのは、鳩山総理もおっしゃっているように、不断の刷新というか自己改革というかイノベーションがないと、これは直ちに、税金というものを使っておりますだけに、つまり、マーケットの中で物を売ったりサービスを売ったりして、その売上高でマーケットの評価がわかるというところに政府あるいは官僚組織というのは成り立っていませんから、不断に、自己否定的にというか、総括をしていかなければならないと私は思っておりまして、総理も同じ考え方だと思います。

 あれは、多分、ぶら下がりの中で、どういうふうにおっしゃったのがどういうふうに書かれたのか、私もよくわかりませんけれども、いずれにしても、来年から事業仕分けをやらないと断言したものではないと思いますし、これからも、行政の不断のイノベーションとして、この事業仕分けというのは、少なくとも国民にこれだけ税金の使われ方がよくわかる方法というのはないわけですから、どんなマイナス材料があろうとも、さっきから申し上げているように、ITができて初めてこんなこともできるのかもわかりませんけれども、これは、部分的にせよ全体的にせよ、あるいは地方自治体にせよ中央政府にせよ、適宜取り入れてやっていかなければならないと私は思っております。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 鳩山総理は、来年は我々がすべての責任を持ってやらないといけないので、事業仕分けというのはおかしな話だ、こう言っているようですけれども、でも、大臣が鳩山総理とも見解は一緒だというふうにおっしゃっていますので、鳩山総理がどう言おうが、ちゃんとこれはやってください。期待もしておりますので、お願いをしたいと思います。

 大変申しわけありません、福島大臣には、私も平井議員と一緒で、質問したかったんですが、こちらの議論が大変白熱したものですから、失礼をいたしました。私の後続の議員が質問しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 まず、今回の内閣委員会で質問の機会をいただきましたことを本当に感謝申し上げます。

 そして、初めての質問ということで、まず、質問に行く前に、一言冒頭での発言をお許しいただければと思います。

 今回、新人として、自由民主党は五人当選をいたしました。ただ、一人は先輩議員であります金田先生、参議院の方を経験されておりますので、新人というわけではないと思います。そして、きょう午後の一番手で質問をされる橘先生も、元高岡市長ということで、キャリアも大変豊富な即戦力でございます。そして、伊東元釧路市長、そして齋藤健議員、このお二方も経験が豊富な中、本当の意味での新人というのは、ある意味、私だけだと思います。

 そのザ・新人とも言える私に対して、最年少二十八歳、自民党は一人しか二十代はいませんが、その私にも質問の機会を与えていただきましたこと、本当にありがとうございます。

 自民党の新人議員に対する教育方針は、あれやるな、これやるなではなくて、とにかくいろいろやってみろ、わからなければ聞きなさい、そして、失敗しながら覚えなさい、そういう教育方針で接してくださっております。大変ありがたい教育方針のもとに、きょう、まさに実地訓練の場をいただいたわけです。閣僚の皆様、大変稚拙な質問もあるかもしれませんが、どうか最後までおつき合いいただけますよう、心からお願いを申し上げます。

 自民党としては、野党になりました。ただ、野党になったからといって批判をするだけでは、今までの自民党とは変わりません。

 そして、きょう、十一月の十八日、私は、いい節目の日に質問の機会をいただいたと思っているんです。今から三カ月前、八月の十八日は、あの総選挙の公示日でした。その暑い真夏の総選挙を戦った日、自民党にとっては厳しい逆風の中の戦いでございました。ただ、民主党の皆様方にとっては、追い風の中、まさに政権交代への第一歩となった日だと思います。

 そのときに、自民党の議員の皆様、候補者の皆さんは、その逆風の中でも支えてやろうという仲間とともに戦いました。私がきょうこの緑色のネクタイをしているのも、そのとき、チームカラーを緑として、その仲間たちからもらったネクタイを、きょう仲間たちとともに戦うというつもりでつけてきたわけでございますが、その総選挙で、民主党の皆さんが傍らに常に持ち、追い風の中の選挙を戦ったのは、このマニフェストを持って戦ったわけでございます。

 ただ、今、その選挙で皆さんがこのマニフェストを実現しますと言いながら、果たして、そのとおりの行動を、また政策を持って政権運営に当たられているのかというと、私は疑いを持たざるを得ません。

 ただ、先ほども申しましたように、批判だけをするわけではありません。協力をすべきは協力をし、エールを送るべきはエールを送る、しかし、正すべきは正し、民主党の政策を検証し、矛盾があればそこをついていくということがこれからの自民党にとって必要なことだと思っています。そして、何よりも、国民の皆さんが鳩山内閣に聞きたいと思っていることを自民党はかわりに聞いていくんだという姿勢で、きょうの質問、聞かせていただきたいと思います。

 まず最初に、先輩議員お二人がなかなか質問できなかった福島大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 きょう、矛盾をつき、また検証させていただきたいと申しましたが、私が感じる一つ目の矛盾が、この鳩山連立政権、民主党、国民新党そして社民党の三党連立政権そのものに対する矛盾であるんです。よく、社民党そして民主党の間には、安全保障と外交、この部分で大きな考え方の違いがあるというのは多くの方々が認めるところでございます。ただ、この内閣委員会においては、外交、安全保障というのは所管の分野ではありません。きょうはそこは取り上げませんが、私が福島大臣にお伺いしたいのは、子育てについての考え方です。

 民主党は、今回の総選挙におきまして、子ども手当をマニフェストに掲げました。所得税の扶養控除と配偶者控除を見直して、月額二万六千円の子ども手当を中学卒業までのすべての子供に支給すると書いています。年間三十一万二千円です。

 一方、社民党は、マニフェストの中で、十八歳までの子供一人当たり月一万円を支給する子ども手当をつくる、財源として配偶者控除や扶養控除の見直しは当面行わない。年間十二万円です。

 ここでお聞きしたいのは、なぜ一万円ですか。

福島国務大臣 少子化担当大臣としてお答えをいたします。

 民主党、社民党、国民新党で三党合意をつくりました。その中に、子ども手当の創設の成功というのがきちっと盛り込まれております。今、内閣の中で、厚生労働省、少子化担当と両方で、子ども手当の創設に向けての協議を現在行っております。

 ですから、社民党は自分たちの個別のマニフェストとして掲げたことはありますが、それは、財源をいろいろなものに使うという観点から社民党は当時そのマニフェストをつくりました。

 現在は、三党合意のマニフェストで、子ども手当の創設の成功ということに向けて、内閣の中で具体的にどういう中身でやっていくか協議中です。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、三党連立合意の中では、確かに子ども手当の創設はあるんです。しかし、この三党連立合意の中には額は書いていないんです。二万六千円とも一万円とも書いていない。そして、今大臣がおっしゃったように、三党の中で協議をするということは……(福島国務大臣「三党じゃない、内閣です」と呼ぶ)内閣の中で協議をするということは、二万六千円として子ども手当を支給するとは限らないという解釈でよろしいですか。

福島国務大臣 これについては現在内閣の中で協議中です。

 民主党がマニフェストの中で二万六千円の子ども手当、初年度は、御存じ、その半分の一万三千円ということで提起をしていますが、そのことは大変尊重すべきだと思っています。

 繰り返し申し上げますが、現在、内閣の中で、厚生労働省、少子化担当、両方の間で協議中ですので、子ども手当の創設の成功に向けて、これは、この内閣がコンクリートから人へ、そして、今まで子供に予算をつけなかったことを、子供にきちっとお金をつけるのだ。今まで、GDP比で子供に対する予算はわずか〇・八一%でした。私たち、この内閣は、子供についてきちっと予算をつける、子供の支援をしていく、まず子供のことを考えよう、未来を切り開こう、その意味で、現在子ども手当の創設に向けて全力を挙げているところです。

 少子化担当大臣としては、一月の末に、子ども・子育てビジョンを発表し、数値目標もきちっと挙げます。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 今いろいろと調整をしているということですが……(福島国務大臣「協議」と呼ぶ)協議をしているということですが、私は、なぜ一万円ですかということを最初にまずお聞きしましたが、なぜ一万円ということに対しては明確な答弁がございませんでした。

 恐らく、おっしゃりたいことは、子ども手当という経済的な支援だけではなくて、待機児童の問題等、学童保育、また保育所の設備、いろいろなパッケージとして、二万六千円にしないで、多くの分野に対しての子育て支援をやっていこうというとらえ方でよろしいですか。

福島国務大臣 皆さんにアンケートをとりますと、まず、経済的支援をしてほしいという声はとても強いんですね。それから二つ目、やはり保育所や学童クラブについてきちっとやってほしい。委員おっしゃるとおり、総合的なパッケージで、保育所や学童クラブや、もっと言えば不妊治療の人たちの援助や妊婦健診拡充など、いろいろなことをきちっとやっていかなければならないことはもちろん当然です。それから、最近私たちは、子育てについての意見募集を内閣府として一カ月間やりました。その中にも、実はとても多かったのが保育所や学童クラブへの支援です。私自身もなかなか子育ての中で苦労しました。

 ですから、貴重な国民の皆さんの税金を、子ども手当の創設と同時に、しっかりと保育所や学童クラブにも振り向けたい。しかし、それはこの内閣の中でできるというふうにも思っておりますし、実は少子化担当大臣としても学童クラブや保育所の拡充のためにも頑張りたいと思っています。

 それから、お金をかけるだけではなくて、実は、今、例えば小規模の保育園をつくれないか、あるいは学校の空き教室を使っていらっしゃるいろいろな取り組みもあります。また、幼稚園の中であいているところでうまく認定こども園など、いろいろな形で、知恵を使って、何とか待機児童の解消をやるべく、今、視察をしたり、案を提起しようとしているところです。

小泉(進)委員 ありがとうございます。お金をかけるだけでなく環境の整備も必要という考えは、全く共感するところでございます。

 ここで菅大臣に御質問をさせていただきたいと思いますが、今、私の手元にこういったものがございます。「民主党 主要政策のポイント解説 取扱注意 候補者用手持ち資料」。次の内閣、ネクスト官房がおつくりになったものです。そして、日付は二〇〇九年七月の十六日となっております。

 簡単に言えば、これは、候補者にお渡しをして、こういうことを言って選挙区を回りなさいというものだと思うんですが、まず、ここにはすごく御丁寧にいろいろと書いてあります。キャッチフレーズは、月額二万六千円の子ども手当で、子供の育ちを応援します。そして、これは備考としてですが、自公政権との違いというのも書いてあります。その中には、補正予算には、三歳から五歳の子がいる家庭に一回限りで年間三万六千円を支給する子育て応援特別手当が盛り込まれたが、子育ては単年度で終わるわけではなく、このような一時的な対策では全く意味がない、こういうふうに書いております。

 菅大臣にお伺いをします。民主党が行おうとしているこの子ども手当は恒久的な制度として考えていますか。よろしくお願いします。

菅国務大臣 小泉進次郎議員から質問をいただきまして、私も小泉純一郎元総理とは大分議論をさせていただきましたが、ちょっと、場所が逆になったので、私なりに思いを持ってお聞きしておりました。また、もう一言だけ言いますと、私、初質問が、先日亡くなられた田さんの社民連というところで、十五分だけ、当時の社会労働委員会で初質問したのを今でも覚えておりまして、そういう点では、進次郎さんは一時間というしっかりした時間があっていいな、そんなことも思ったところです。

 そういうことはそれとして、今話をされました、三万六千円、一回こっきりの三万六千円ではなくて、十五歳まで月二万六千円という考え方は、恒久的な措置として考えております。ただ、初年度は半分の水準からスタートをしたい。こういう考えになっております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 それでは、民主党の子ども手当は恒久的な制度ということで確認をさせていただきました。

 これからずっと存続する、毎年の財源を考えなければいけないわけですが、その財源の話の前にお伺いをいたしますが、なぜ月額二万六千円ですか。

菅国務大臣 先ほど言われたように、このマニフェストは、当時のNC官房長官、直嶋政調会長を中心にまとめられたもので、もちろん私も最終的な場面では会議に参加しましたが、それぞれの、個々の積み上げたものについてすべてを詳しく知っているわけではありません。

 しかし、私の理解でいえば、子供を産んで育てるときの、もちろん、生まれるときそのものはもっと費用が一時的にかかりますけれども、それ以降の費用、保育園、幼稚園あるいは学費等々を考えますと、やはり月二万六千円という程度の支援がなければ本格的な子育て支援ということにはならないのではないかということでこういう水準が出されたもの、私はそう理解しています。

小泉(進)委員 この民主党のお配りになられた「主要政策のポイント解説」というのは大変御丁寧におつくりになられておりまして、よくある質問として、こう尋ねられたらこう答えなさいということも書いてあります。

 なぜ月額二万六千円なのかというのも、このよくある質問の中の一つなんです。そして、この中には、これを聞かれたらこう答えなさいということが書いてあるんです。今からちょっと読みます。食費、被服費、洋服ですね、学費など、子供の育ちにかかる基礎的費用は月平均二万六千円程度という各種調査結果や、フランス、ドイツなどの子供手当の支給水準が平均二万円強であることを考慮、こう書いてあります。(発言する者あり)

 そのとおりだとは思いますが、財源がどこから出るのかが明確でない上に、今まで我が国の、この日本の歴史の中で、子供の食べるもの、着る洋服そして学費、それをすべて国が面倒を見るということがありましたか。(発言する者あり)すべてではないですが、基礎的な経費として面倒を見るということがありましたか。私は、お父さんやお母さんが一生懸命働いて、たとえ裕福な家庭でなくても、頑張って働いた結果、おいしいものを子供たちに食べさせたい、かわいい洋服を子供たちに着せたい、そういう思いを持ちながら親と子のきずなというのも生まれるんじゃないかなと思うんです。

 そして、民主党が例として挙げたフランス、ドイツの例です。子供手当の支給水準が平均二万円強である、だから、これを同じように例として挙げなさいと言っているわけですが、このフランス、ドイツ、一体どこから財源を持ってきているか。フランスの消費税は一九・五%です。ドイツは一九%。これを例に出すということは、民主党さんは、これから毎年二万六千円の子ども手当を支給する財源の五兆三千億として、同じように消費税の引き上げ、こういったことを考えられておりますか。

菅国務大臣 今、最初に話がありましたが、親と子の中で子供を親が育てていく、これはもちろん、これまで、ある意味ではほとんどの動物と言ってもいいですが、人間においてもそのことがなされてきたわけです。ですから、そのことを別に否定して、すべてを社会の役割にしようということではありません。

 ただ、おわかりのように、私は一九四六年の生まれですが、当時、一年間に約二百万人の子供が生まれました。正確ではないかもしれませんが、最近の子供の出生の数は、半分の百万人前後だ、そういう認識をしております。つまり、絶対数においても、それからスピードにおいても、急激な少子化が進んできているわけです。そのことに対して、私はもっと早い段階からいろいろな手だてを打つべきであったと思いますけれども、残念ながら、これまでの政権は十分な手だてを打ってこなかったわけです。

 そういう中で、私どもが今回、子育て支援、確かに大きな額がかかります、しかしそれだけ大きな課題だ、それだけの負担をしてでも、国民の皆さんに負担をしていただいてでも実行すべき課題だということでマニフェストに盛り込ませていただきました。

 この財源については、今、全体の中、つまりは一般会計や特別会計の中で、まさにそれの中身の、事業仕分け等の手法を仙谷大臣のところで使って無駄なものを精査する、あるいはいろいろな制度についても場合によっては変えていく、そういう中から基本的には生み出していきたい、このように考えております。

小泉(進)委員 財源のことは、先ほど菅大臣御自身に、財源の話の前に、まず私が、恒久的な政策ということでよろしいですねという御確認をさせていただきました。その結果、恒久的というお答えをいただきましたので、恒久的な政策をやるために恒久的な財源をこれから見つけていくということだと思います。

 まず、財源の話ではなく、ここから福島大臣にひとつお伺いしたいと思うんですが、先週この委員会において、福島大臣はこうおっしゃいました。「子ども手当の創設などの経済的支援の充実とともに、保育所や学童クラブなどの基盤整備の推進など、総合的にバランスのとれた対策を進めてまいります。」

 そこで、お伺いをします。

 子ども手当のためだけに五兆三千億もの巨額を投じることが、バランスがとれたものだと思いますか。

福島国務大臣 子ども手当と、それから保育所や学童クラブの充実、両方とも必要だと考えています。

 きょう小泉委員から子供について質問いただいて大変ありがたいんですが、御存じ、今、日本の少子化、なかなか子供を持ちたくても持てないという状況は実は非常に重大な問題だと考えています。子供を産み育てることに夢を持てる社会にやはりなっていません。御存じ、アンケートの結果でも、子供を本当は三人持ちたいんだけれども二人、あるいは二人持ちたいんだけれども一人、そう答える方が大変多いです。

 それから、御存じ、若い人たちは基本的に今収入が少ない人が圧倒的に多く、若い人たちの非正規雇用は二人に一人ですし、一人親家庭の貧困率が先日出ましたが、五四%という非常にひどい状況です。つまり、若い、要するに子育て世代の人たちが、本当に多くの人はやはり収入が少なかったり、収入や経済的理由から子供を持つことをあきらめる、これは実際、今の日本の現実です。

 先ほど委員がおっしゃった、基本的に親が見る、家族が面倒を見るものだ、それはそのとおりです。しかし、そういう家族を支援することが今までの政治に足りなかったために少子化という結果になったのだと思っています。

 だからこそ、子ども手当の創設、それから保育所や学童クラブの充実、それをこの内閣で、知恵も使いながら、大きな箱物をつくることだけが保育所ではありませんから、いろいろな小規模も含めて考えて、少子化担当大臣としては両方を成立させる。なぜならば、地方は待機児童ゼロという県も実はあるんですね、実は結構あるんです。ですから経済的支援をしてくれという声も実はたくさん聞きます。

 ですから、これは与野党を問わず、少子化対策にどう取り組むか。出生率を上げるためにだけ政治をやっているわけではありませんが、子供を産み育てることに夢を持てる社会をつくろうというのは与野党共通につくれると思っています。ですから、私たち内閣は、子ども手当の創設と、それから、ずっと小泉委員が力説してくださっている保育所、学童クラブの充実、両方やりますので、ぜひ応援をしてください。

小泉(進)委員 心から応援をしたいと思うんですが、その前に、応援はしたいんですが、ただ、応援する前提として確認をしたいことがあるんです。

 財源の話をするんですが、子ども手当は五・三兆円かかるということはもうおわかりのとおりです。ただ、大臣がおっしゃったように、子ども手当と同時にいろいろな総合的なパッケージをやるのに、これは自民党は四兆円ものお金を使って今までやってきたんです。そして、これは先日の、十一月二日の衆議院予算委員会で後藤田先生が大臣にお伺いをしたとおりです。要は、この五・三兆円と四兆円、約十兆円ぐらいのお金が両方やろうと思ったらかかるんです。これだけの大きな財源を、恒久的に政策としてやるのであればどこから財源を見つけてくるんだ、それが明らかにならない限り、子供のための政策を応援したいと思っても応援できるわけはないんです。

 そして、私は、福島大臣がおっしゃる、まさに経済的な支援だけでない、バランスがとれた子供支援というものをどう考えたらいいか、今回、地元でもいろいろな立場の方から聞いてきました。

 私と同い年の中学校の教師は、学校の現状を、大変苦しい生活をしている家庭の子供で学費を払えない、そういう苦しい方がいる一方、決して、困窮している、そうは見えない方に対しても、学費を未納しているとかそういったこともある。もしもそういう家庭に二万六千円が支給をされた場合、その二万六千円で実際に未納を払ってもらえるだとか、そういう確証はないわけです。だから、それだったら学校に対して、学費だとかもしくは教材費そして修学旅行費とか、いろいろな形で回してもらうというのも一つのアイデアじゃないか、そういう話を聞きました。

 そして、私と同い年、三歳の子を抱えるシングルマザーの友達からも話を聞きました。シングルマザーのだれもが二万六千円支給されたら大変ありがたいと言っています。ただ、二万六千円を支給されても、子供を預ける場所がなかったら働ける環境にはないのが今のシングルマザー、そしてシングルファーザーもそうです。大臣御存じのようです、その環境なんです。まさにその環境整備のためには二万六千円の支給だけでいいのか、そういう観点も、二万六千円はありがたいと思っているシングルマザーやファーザーも思っているんです。

 そして、私は、先週の日曜日、地元でちょうど学童保育祭りというのがありまして、その場にも伺いました。そして、学童の保育に携わる方々からお話を伺いましたが、指導員の確保の難しさ、給料十五、六万円で、それでいい方だ、そして離職率も高い、一年以内でどんどんやめてしまう。その中で、指導員の方々が自分の今後の将来設計を長期にわたって考えて、自分の結婚も考えたり子育てのことも考えたりするのは到底できる環境にないと。そして、学童保育に携わっている方々すら、親が運営をしている、特に地元の方は民設民営ですから親が運営をしているんです。その親が、学童保育を運営するに当たって、自分たちが学童保育の運営に携わることで自分たちの子供には目が届かないという、まさに本末転倒な事態も起きている部分もあるんです。

 そういったものを考えると、福島大臣御自身も、自分が子育ての、母親として今まで学童クラブのお世話になったことがあると伺っております。ぜひそうやってバランスがとれた政策を掲げていただきたいと思うんですが、当初、大臣は、この子ども手当に対して所得制限をかけるべきだ、そういう思いがあったと思うんです。今民主党政権が行政の大掃除だと、そして行政刷新会議、事業仕分けの方でもできる限り無駄を削減するんだというその方針でやっているのであれば、裕福な家庭、そういったところには所得制限をかけるという思いはいまだにお持ちではないですか。

福島国務大臣 貴重な財源をどう使うかということで、子ども手当の創設の成功と、学童クラブそれから保育所の充実と、その両方をやりたいという思いはもうずっとありますし、これは、今の内閣の中で、あるいは与野党を問わず、みんなお持ちのことだと思います。ですから、現在、子ども手当の創設については厚生労働省と少子化担当の方で協議をしておりますので、その中で詰めて、貴重な予算をどう使うかということになるというふうに思います。

 私自身は、所得制限をするとそのためにかかる費用、それから、若い方たちは実は余り収入の多い方がいらっしゃらないので、実はもともと私もお金を有効に使いたいと思った発想がありますが、費用をかける割に、所得の高い方が余り多くないということもあり、子供はみんな子供で、応援するという立場にした上で、例えばこれは社民党の考えですが、所得税や、いろいろなことの税制のところなどでまたそれは工夫をし、子供はすべて応援するということもあり得るというふうには思っています。

 しかし、今繰り返し申しておりますが、初年度は一万三千円、そして子ども手当の創設をどうやっていくかというのは今協議中で、きちっと法案を出して、皆さんの御賛同を得たいと思っておりますので、その中でもしっかり申し上げます。

 小泉委員が子供のことを考えてくだすって、保育所や、しかも学童クラブ、今まで学童クラブは、正直、余り予算の点でも光が当たらなかったんですね。私は、前政権が、今までの自民党政治がもっと保育所や学童クラブに取り組んでくれていたらもっと違ったというふうに正直思います。

 でも、これからは本当に力を合わせて、保育所や学童クラブの充実、それも予算だけでなくて、やはり知恵も使っていくということも含めて、一緒にやりたいと思っております。

小泉(進)委員 今まで自民党がなぜやらなかったんだということを言われても、私も自民党になりたてなものですから、なかなかそれに対するお答えはいたしかねますが、前向きなお話をさせていただきたいと思いましてこういったお話をさせていただきました。来年一月末までをめどに子ども・子育てビジョンを策定されるということですので、その中身をしっかりと検証させていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 官房長官もおいでになられたということで、これから質問をさせていただきたいと思うんですが、私がまた次に感じる矛盾としては、天下り、わたりの問題があります。

 天下り、わたりは認めないと言ってきたにもかかわらず、政権交代したら、天下り、わたりは認めている。民主党は、天下りやわたりには当たらない条件というのを幾つも出してこられました。役所を離れてから十年以上たっている、能力があって適材適所だ、そして役所に対して影響力がなくなったから天下りではない。

 まず、平野官房長官にお伺いをします。

 この民主党のマニフェストに書いてあります「天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する。」こういう政権交代する前の主張と、今、政権交代後の主張に矛盾を感じることはございませんか。

平野国務大臣 議員にお答えをいたします。

 基本的には変わっておりません。矛盾を感じておりません。

小泉(進)委員 平野官房長官は矛盾はしないという答弁ですが、菅大臣はいかがですか。

菅国務大臣 天下りという議論は私も何度もいたしました。天下りの最大の問題点は、私の理解しているところでは、例えば、現職の方がやめた後何らかの組織に天下る、そうするとそこにいろいろな資金が提供される、その提供される中身が、場合によっては非常に無駄に使われたり、あるいはそう必要がないものに使われる。

 まあ、しょっちゅうある話ですが、先日も、たしかURですか、都市整備機構の問題で、天下りした機関は黒字ではないんですけれども、天下りした機関がさらに子会社をたくさんつくって、そこは大黒字です。そういう形で、結局は国民の税金を、天下りした人の給料ということだけで言っているんじゃないんです、給料だけではなくて、その人が行くことによってその団体に、本来ならそんなに費用が要らないのに、あるいはもうかっているのにそれをもうかっていないように見せて、いろいろな補助金を取っていく。

 ですから、私がよく選挙運動で言っていたのは、天下り一人を採るのに、例えば年収二千万で、いろいろ間接費を入れて五千万であったとしても、その天下り先には少なくともそれの五倍から十倍の利益が生まれる、そういう補助金等を出してきているんだから、一人五千万ではなくて五億、十億の損失が出ているんだということを言ってきました。

 この間起きている幾つかの事例について私も細かくすべてを精査しているわけではありませんけれども、少なくともそういう、今私が言ったような意味づけ、あるいはそういうことの流れの中で、決められた天下りということとは違っている、私もそう認識しています。

小泉(進)委員 矛盾はしないかどうかということを質問させていただいておりますので、簡潔に、平野官房長官のお答えのようにお答えいただきたいと思いますが、仙谷大臣にもお伺いをいたします。矛盾は感じませんか。

仙谷国務大臣 私の選挙のときのスローガンも、縦割り、補助金、天下り、これだけは日本の政治、行政の構造から直さなければいけない。

 全く現時点でも矛盾を感じておりません。

小泉(進)委員 福島大臣にも社民党の党首としてお伺いをします。矛盾は感じておりませんか。

福島国務大臣 天下りについては、税金の無駄遣いもあり、きちっと制限をすべきだというふうに考えております。その方向で、今矛盾は感じておりません。

小泉(進)委員 皆さん、だれも矛盾は感じていないということですが、十一月の六日、民主党は、天下り、わたりの正式な定義を議院運営委員会に提出しました。天下りの定義はこうです。「「天下り」とは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいう。 したがって、公務員が、法令に違反することなく、府省庁によるあっせんを受けずに、再就職先の地位や職務内容等に照らし適材適所の再就職をすることは、天下りには該当しない。」

 簡単に言えば、府省庁によるあっせんがなければ天下りではないという考えでよろしいですね。官房長官、よろしくお願いします。

平野国務大臣 議員のおっしゃるとおりだと思います。

小泉(進)委員 それではお聞きします。

 府省庁というのは、もちろん、例えば大臣でしたら省のトップであります。大臣、副大臣、そして政務官の政務三役も含みますね。

平野国務大臣 職員ということでございますから、概念的に言えば、含みません。

小泉(進)委員 ということは、一般職の役人があっせんをしたら天下りだけれども、特別職である政務三役が行うことは天下りには当たらない、そういうことでよろしいですか。

平野国務大臣 当然、そういう行為として三役がするということは厳に慎まなきゃならない、こういうふうに思っております。

小泉(進)委員 慎まなければいけないけれども、やった場合は天下りではないということですか。

平野国務大臣 そういうことを想定してこの天下りということを考えたわけではございませんし、当然、範たる特別職の人間がそういうことをすると、概念の中にはございません。したがって、ない、こういうことでございます。

小泉(進)委員 官房長官はそういうことは想定していないとおっしゃいましたが、今まで民主党が自民党に対して言ってきたことは、そういうことを想定しなくても、制度としてやめさせなければざるの目から天下りがわき出てくるようになってしまうから、制度としてしっかり天下りはゼロ、根絶をしなければいけないという主張が今までの民主党の主張だったのではないですか。

 今の答弁で、国民の多くの皆さんはわかっていただけたと思うんです。民主党は、国民目線、国民目線と言ってきましたが、今の天下りに対する答弁でおわかりになったとおり、国民目線を失ってしまったんですよ。国民の目から見たら、一般職がやろうと特別職がやろうと、天下りは天下り、わたりはわたりなんです。国民の皆さんに聞いて、一般職がやっているから天下りだけれども、特別職がやっているから天下りではないんですよというこの論理を、皆さん、民主党を応援してくださっている方々に言うことはできますか。

平野国務大臣 今あたかも、先生は、特別職はやっているというごとく御発言されましたが、それは事実に反することであります。

 私どもの内閣としては、天下りのあっせんの根絶についてということで、九月の二十九日に閣議決定をしておるところでございますので、今のはその議論には当たらない、こういうふうに思います。

小泉(進)委員 事実あっせんはしていないということですが、事実関係等を含め、これからまた私以外の先生もこの質問に関してはすると思いますが、ここで御紹介をさせていただきたい答弁がございます。

 これは、去年、平成二十年三月十二日の参議院議院運営委員会の会議録でございます。その際、これは日銀の総裁、副総裁人事の件についてでございますが、民主党の榛葉先生の御発言に、武藤敏郎さんを日本銀行総裁に任命することに同意を与えるべきでないこと、この理由について述べておられます。その同意しない理由は、「第一に、過去五年間の金融政策は、金融緩和と超低金利を継続し、国民経済に負の影響をもたらしたことは否定できない。この間、副総裁として在任した武藤氏は、その責任の一端を担っていること。」これが第一の理由でございますが、この理由が当たるのであれば、今回、日本郵政の社長人事であった齋藤次郎さん、今まで、大蔵省の次官として活躍をされていたときに、何にもその当時の日本経済等に対しては責任の一端もなかったというとらえ方でよろしいですか。

平野国務大臣 今回の郵政の人事については、天下りあっせんということではありません。会社として決められている行為としてでございます。特に、株主でございます、株主の権限行使として人事を提案した、こういうことでございますので、だれがその天下りあっせんをしたかというところが先生としては言いたいわけでありましょうが、政府が関与している、だれが関与しているということではないと私は認識をいたしております。

小泉(進)委員 日本郵政社長人事に関しては天下りではないということを一貫しておっしゃっておりますが、この榛葉先生が挙げています武藤さんを認めない理由としては、二つ目にこうもあるんです。「大蔵省銀行局幹部として在任したほか、主計局次長、官房総務審議官、官房長を歴任するなど、まさに財務省そのものの人物であり、日本銀行の独立性が担保できない懸念があること。」今回、日本郵政社長人事におきましては、齋藤次郎元大蔵次官、まさにこれは、国民の皆さんから見ても大蔵省そのものの方ではないですか。

 官房長官、よろしくお願いします。

平野国務大臣 職歴からいけば、そういうことは、その履歴だけを見れば言えるかもわかりません。

 しかし、日銀のときの考え方は、あくまでも財金分離論をしっかりと担保する、日銀にそういう影響を与えない、こういうところから我々としては反対してきた経過がありますから、今回の案件と同一視することは少し概念が違うのではないでしょうか。

小泉(進)委員 私がこの天下り、わたりの質問をするのは、決して、これは天下りじゃないか、わたりじゃないかと言って政府の足を引っ張るということだけではないんです。国民の皆さんからすれば、民主党を応援すると決めたんだから応援したいと思っていると思うんです。でも、選挙の前に言っていたことと、政権交代をした後では言っていることが違うじゃないか、そういう思いが多くの国民の皆さんにあると思うんです。

 私は、これからまたいずれ政権交代はあるでしょう、そのいずれ政権交代があったときに、政権交代が起きるたびに、この人は天下りか、この人はわたりかという議論を繰り返していくことは、この国にとって決して建設的な議論だとは思えないんです。だとしたら、はっきりと、これは天下り、これはわたり、そういう議論が与野党間でもできるように、はっきりとさせた方がいいんじゃありませんか。私はそれを訴えたいんです。

 この天下り、わたりに対して、与党の皆さんが主張されている天下り、わたりについて、そしてまた野党が主張するそういった定義について、協議また集中審議をできないか。どうか委員長、理事の方、理事会の方でお諮りいただきたいと思います。

田中委員長 追って理事会で検討します。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 次に、あと十分ぐらいですが、質問をさせていただきますが、国家戦略室についてお尋ねをしたいと思います。

 私は、これについても矛盾を感じているんです。なぜなら、この国家戦略室というのは、まさに政治主導の象徴だ、エンジンであり、司令塔である、こういうふうに言っております。それにもかかわらず、政治主導と言いながら、政治主導の体制を本気で整えようとしないことが、私にとっては矛盾を感じることなんです。

 まず、これは平野官房長官にお尋ねしますが、マニフェストに書いてあるとおり、国家戦略局は設置するんですか。

平野国務大臣 私の立場で申し上げますと、今回の総選挙で、やはり政治主導をしっかりやらなけりゃだめなんだ、官僚主導ではだめなんだ、こういうことで国民の皆さんに訴えてきた、こういうことでございます。

 したがいまして、今回大きな、制度を変更しよう、こういうことでございますので、総理の直轄のところに国家戦略あるいは行政刷新、こういう大きな機能スタッフを組織としてつくり上げました。したがって、これを法律でしっかり担保できるように、より権限、権能をしっかり持つように、法律を基本的には出していきたい、このように考えております。

小泉(進)委員 そうであるならば、なぜ、政権交代後初めてのこの臨時国会において、国家戦略室を国家戦略局に格上げする法案を提出なさらなかったんですか。

平野国務大臣 当然、そのことの問題とあわせて、政治主導をしていくためのもろもろの補強を含めて、やはりトータルで仕掛けていかなきゃならない、あるいは検討していかなきゃいけない、こういう思いでございます。

 例えば、一例を考えますと、今内閣府に担当大臣がトータル七名おられるわけであります。そのもとに三人の副大臣がおられます。また、政務官が三人。極めていびつな組織運営で今日まで前政権は運営されてきたんだろうと思います。

 したがって、しっかり政治主導をしていくためには、先ほど御質問がございました戦略室、行政刷新会議等々を含めて、トータルとして政治主導をつくり上げていく体制の法律を出していきたい、私はこのように思っております。

小泉(進)委員 それでは、いつこの戦略局設置法案を提出されますか。

平野国務大臣 通常会に出したいと思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 それでは、来年の通常国会にこの格上げ法案が提出されることを確認……(発言する者あり)格上げ法案、名前があれでしたら設置法案ですね、設置法案を提出するということを確認させていただきましたが、菅大臣にお伺いをしたいと思います。

 十一月二日の衆議院の予算委員会で、菅大臣は、国家戦略室は法的な根拠がないという指摘に対して、こう答えておられます。九月の十八日に、内閣総理大臣決定という形で国家戦略室の設置に関する規則というものが決定されていて、内閣法で、内部組織については政令で定めることができるとなっているし、また、内閣官房組織令の中で、必要な細目は総理大臣が定めることができるという位置づけになっているから、直接法律ではないが、法的な裏づけが一定程度はあると言っています。

 しかし、国家戦略室、またこれから局というのは、まさに名前のとおり、国の戦略を決める重要な部署だと思います。その重要な国家戦略室、局が、一定程度の法的な裏づけだけで、明確な法律の裏づけがないというのは、国の意思決定機関として正しいと思いますか。

菅国務大臣 まず、国家戦略局への格上げというか強化を支援いただきまして、ありがとうございました。

 今、私の答弁を紹介していただきましたが、これで十分だと思って言ったわけではなくて、現在の位置づけがそうなっているということで申し上げました。

 これは、マニフェストを見ていただいてもわかりますが、総理大臣の直轄の機関なんです。私は総理大臣の方からそれを担当しろと言われていますが、あくまでこれは総理大臣の直轄の機関なんです。実は、行政刷新会議も議長は総理大臣です。ですから、最終的な物事の決定は総理大臣あるいは閣議で行うと私は理解しております。いわゆる国家戦略室、あるいは国家戦略局になったとしても、国家戦略局は、ある意味では、案をつくって、そして総理や、あるいは必要な閣僚委員会等にお示しをして、そしてそこからは、最終的には閣議ないしは総理の決定。

 ですから、私は、今お話があったように大変重要な役割をますます担うことになるとすれば、それに対応できる人材をしっかり確保したい。現在は民間から六名、霞が関から五名のメンバーが来ておりますが、それを倍から三倍ぐらいにして、あらゆる問題と言うとちょっと言い過ぎですが、どういう問題が出てきてもきちんとした対応ができるような体制に一日も早く整備していきたい、こう考えております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、しばらくは、通常国会で戦略局という法案ができるまでは、明確な法的な裏づけがないまま国家戦略を立てるということだと思いますが、予算編成のあり方は国家戦略室が責任を持つということだと伺っております。

 そして、先週の所信あいさつの中で菅大臣は、「平成二十三年度予算編成に向けて中期財政フレームを策定する」とおっしゃいました。鳩山政権は、三党連立合意の中では、消費税を政権担当中には引き上げないと明記しています。そして、国債発行額は今年度よりもふやさないとおっしゃっています。

 ということは、鳩山政権は、自民党、公明党の連立政権よりも小さな政府を目指すということでよろしいですか。

菅国務大臣 今小泉議員本人も話をされたように、二十三年度の予算に向かって、今、予算編成のあり方の根本的な変更を議論し、一定の方向を既に閣議決定しております。

 今議論しているのは二十二年度予算、来年度予算ですから、来年度予算が上がった後に、二十三年以降は複数年度予算というものを念頭に置いて、その段階で中期財政フレームというものをつくって、その中では、景気、経済の成長の問題と、中期的な財政の健全化とを、両方、一つの見通しが立つような形をとっていきたい、こう考えています。

小泉(進)委員 それでは、聞き方を変えさせていただきます。

 消費税は上げない、国債発行額も抑える、しかしマニフェストに書いたことは全部やる。ということは、マニフェストに書いてあること以外は無駄として削り、そこで浮いた額を財源として回す、そういう考え方で予算を組んでいくことでよろしいですか。

菅国務大臣 その話は、二十二年度、来年度の予算について、昨日ですか一昨日、今、事業仕分けを仙谷さんの方でやっておられますが、マニフェスト等事業仕分けの対象にしていない大きな政策課題については国家戦略室で取りまとめていくという方向になっております。その中で、国債の規模がどのくらいで、そして予算規模がどのくらいで、場合によったら埋蔵金等もこの程度のものという形がもちろん最終的には決まってくると思っております。

 そういう意味で、今お話がありましたように、マニフェストについては基本的に四年間のロードマップを提示させていただいておりまして、そういう意味では、四年間の中ではマニフェストに盛り込んだことをすべてしっかりやり切りたいと思っております。

 消費税に関しては、これもたしかマニフェストに書いてあると思いますが、四年間は引き上げそのものは行わない、しかし、議論については行っていくべきだ、そういうふうに私も思っております。これは、余り比較をしては悪いかもしれませんが、小泉内閣が誕生したときに、小泉元総理は、自分の内閣では消費税は引き上げない、議論は自由だと言われました。そのことがよかった、悪かったかはありますが。

 大きな政権交代の中で、金庫の中身を私たちは見ていませんから、まずは、どれだけ埋蔵金があるのか。これはもちろん自民党に入られる前のことかもしれませんが、私たちが、野党時代に、埋蔵金はと言ったら、埋蔵金なんかありませんというのが自民党政権の答えだったわけですが、これまでの補正予算等で既に埋蔵金を相当規模使われていますので、あけてみたらまだ百兆ぐらい埋蔵金があるかもしれませんので、そういうことを含めて、来年度の予算については、今申し上げましたように、しかるべきときまでにきちっとした枠組みを提示しますし、四年間の中でマニフェストを実現していく、消費税については四年間は引き上げない、このことがマニフェストの、私たちの申し上げていることで、私からもそう申し上げたいと思います。

小泉(進)委員 私は、これから鳩山政権はどんな方向性を持っていわゆる国づくりというものを行っていくのかと思ったわけですが、結局のところ、政権交代をしたその先がまだはっきりしていないんです。はっきりしていることは、消費税は上げない、国債発行は抑えるということです。ということは、小さな政府を目指して財政健全化を図るのかと思えば、そうではない。子ども手当に、高校教育の実質無償化、高速道路無料化に、農業の戸別所得補償と、政府の役割を大きく拡大するような政策をおっしゃっております。

 そして、菅大臣は、たった今、マニフェストについてはしっかりやるという御答弁がありましたが、きょうの朝日新聞に、「揺らぐマニフェスト」という題で、こういう記事があります。いわゆる七・一兆円の新規施策の初年度分、これに関しても聖域なき見直しを行っていこうということです。そして、その中で、藤井財務大臣は、七・一兆円を減額する可能性をただされると、そう理解していただいていいと応じた、そういうふうにございます。

 マニフェストの中で、七・一兆円、初年度の財源を挙げて、しかも、このマニフェストの二ページ目に、「民主党政権が政策を実行する手順をご説明します。」ということで、毎年の財源をしっかりと書かれているんです。つまり、国民は、このマニフェストを、菅大臣や鳩山総理に、あふれるように人がみんなとりに行った。そして、このマニフェストを読んで、民主党だったらこれからの日本を任せられる、そういうふうに思った多くの国民は、まさにこの明確な数字のもとに民主党政権はこれからの国づくりを行うんだと思ったわけです。

 それが、今、この財源も含めて見直しをするということは、ちょっと一貫性がないんじゃないでしょうか。

菅国務大臣 少し私は議論の性格が違うと思っています。

 まず、最初に話をされた、私たちが子育てになぜこれだけの大きな金額を出そうとしたかといえば、子育てというものの有用性を非常に低く見て、どちらかといえば公共事業に長年どんどん使った。確かに、公共事業は地方に仕事をつくったりお金を流すことには効果がありました。しかし、投資効果、私が高校のときの新幹線は投資効果が物すごくありました。しかし、今の、飛行場をたくさんつくったり、釣り堀のような港湾をつくるのが投資効果があると思えないでしょう。

 つまり、今一番やらなきゃいけないものは財政の中身の根本的変更なんです。金庫の中身も見なきゃいけませんが、今まで使っていたものの方向性を根本的に変えるということ、それ自体が新しい日本の方向性を示すことのまずその第一歩だ。だから、これをやっているんです。

 その上でいえば、確かに、マニフェストについてこれから本格的に国家戦略室の方で取り組みます。もちろん、七・一兆を二百数兆の特別会計を含めたものから捻出するというのが基本的な、マニフェストで書かれた工程表であることはそのとおりです。

 と同時に、先ほど来申し上げていますように、特殊法人等がどういう中身になっているかというのは、私たち野党時代、相当何度も何度もいろいろな質問を繰り返してきましたが、完全にはオープンになっていません。そういった意味では、まず完全にオープンにさせて、そしてその中の無駄や重複したものを変えるというのが、やはり、政権交代から少なくとも一年間は、あるいは場合によったら二年間はかかる作業ではないか。

 そういう中から、最終的には、基本的に今そこに掲げられているその方向性の中で何とかマニフェストを実現し、そして日本の新しい社会をつくっていきたい。

 社会の展望について申し上げれば、あるんですけれども、私は、あえて言えば、コンクリートから人へという言葉の中に多くのものが含まれています。単に大きい政府か小さい政府かではなくて、大きい政府であっても小さい政府であっても、公共事業にはずっと大きな政府だったんです、GDPの一〇%余りを使っていましたから。ですから、公共事業に大きな政府ではない、場合によったら福祉にかなりの大きな政府ということになるかもしれません、子育てに大きな政府になるかもしれません。しかし、全部に大きな政府ではない政府をつくっていきたいと思っています。

仙谷国務大臣 これは、小泉さん初め国民の皆さん方に多分御理解をいただいていると思いますし、御理解いただかなければいけないことは、昨年の予算編成時と現時点を比べますと、自民党・公明党政権でも予想をし得なかった、昨年の十月からの景気の急降下ということなんだろうと思います。

 つまり、税収が約七、八兆円か、さらにそれよりも大きく落ち込む。これは大変な大きな見込み違いということになるのではないでしょうか。つまり、四十五、六兆円の税収のうち、四分の一とまでは言いませんが、五分の一に匹敵するような税収の落ち込みがあり得る可能性がある、これは今年度ですよ。そのことに対応して国債を、三十三兆円をこれまた十兆円も増発せざるを得なかった。その妥当性云々かんぬんは問いませんけれども、非常事態下に現在の景気、経済の状況がある、このことを今度の予算編成にどのように我々は考えていったらいいのかという、事情変更という問題があります。

 したがって、マニフェストを実行するために、この景気の急降下と税収の極端な落ち込みをどう考えるのかというのは、これは我々の政治判断ですし、国民の皆さん方にその時点でちゃんと説明をしなければいかぬな、こういうふうに思っているところでございます。

小泉(進)委員 時間が来たからこれで質問を終わらせていただきます。

 若輩者に最後までおつき合いいただきまして、本当にありがとうございました。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として人事官原恒雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑を続行いたします。橘慶一郎君。

橘(慶)委員 このたびの総選挙で富山三区から当選させていただきました橘慶一郎、自由民主党でございます。

 前の高岡市長を五年間させていただいておりまして、その前に、もう今からかれこれ十六年前になりますが、それまで十年間、国の役所勤め、北海道開発庁というところにおりました。そんな意味では、この国の行政あるいは国の政治、本当に久方ぶりに、その間、地方の方でいろいろ見せていただいてこちらへ出てきたということでありまして、与党、野党ということもございますが、もう一つにはやはり中央と地方あるいは現場ということもございます。

 そういった観点の中で、時には御一緒な方向性、時には少し違った方向性になるかもしれませんが、そういった思いを少し重ね合わせながら、きょうは、安全、安心の社会づくりについて、国家戦略室の役割と内閣府、内閣官房のあり方について、地方分権改革あるいは地域主権推進について、そして最後に男女共同参画についてということで御質問をさせていただきたいと思っております。

 答弁には五年間なれておるんですが、質問というのは初めてになりますので非常に緊張しておるわけですが、何とか福島大臣に空振りにならないように進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、せっかくですから私の地域のPRもしたいわけでありまして、万葉集ゆかりの地域でございます。非常に古いお話になりますが、私どもの県は越中の国といいまして、ここに大伴家持卿が五年間国司で赴任をされ、万葉集に多くの歌を残しておられます。いろいろな歌があるわけですが、巻十九、四千百四十三番という歌で、「もののふの八十娘子らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花」という歌を御紹介しておきたいと思います。済みません、少し緊張を解きたいものですから、いろいろ申しわけございません。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。安全、安心の社会づくりであります。

 地域におりますと、やはり地域の市民、国民ということになりますが、この皆さんのいろいろな思い、選挙のときもそうですが、雇用、景気ということはもちろん今大事ですけれども、医療、お医者さんの問題、福祉あるいは介護のサービス、保育所の問題、そして忘れてはならないのは地域の安全、安心、防犯、交通安全の問題だと思っております。こういったことは大変御意見の多いところであります。

 そして、地域では、やはり県警さんの警察官の方々のお役割あるいは交番の果たす役割というものには非常に大きい期待というものがございます。また一面、やはり警察御当局もいろいろな事案が毎日のようにございますから、本署に集めなきゃいけない、本部に集めなきゃいけない。そういう問題の中で、やはり自分の地域は自分たちで守ろうということで、防犯パトロール、子供たちの見守り活動あるいは交通安全運動と、いろいろなことにこぞって、それこそ協働の精神で取り組んでいるわけであります。

 そのことは、安全、安心の地域づくりだけではなくて、午前中、子育てのお話もありましたが、子供たちとあるいはおじいちゃん、おばあちゃんの触れ合いとか、いろいろな形でやはり地域で子供を育てるという意味でも、触れ合いの面でも大変大きい意味があると思っております。

 そういった意味におきまして、今回、中井国家公安委員長さんの最初のごあいさつの中で、地方の警察官の増員要求を八百六十八人されているという大変うれしいお話ではありましたが、安全、安心な町づくりのために、警察と防犯ボランティアとの連携の強化や空き交番の対策、あるいは交番相談員制度の活用などにより警察と地域住民の触れ合いを確保する等、多様な取り組みが大切であると思うわけですが、御所見を承りたいと思います。

中井国務大臣 橘議員、大伴家持を引き合いに出されましたが、私は、郷里は三重県伊賀上野、松尾芭蕉のふるさとでございます。私ども、小さいころから俳句になれ親しんでここまで来ました。お互い、地域地域は、本当に安心、安全で生活できるように頑張っていきたい、こんなことで、また御支援のほどもよろしくお願いを申し上げます。

 議員お尋ねのとおり、ここ数年間、重点的に警察官の増員を厳しい環境の中で続けてきていただいたわけでございますが、まだまだ十分な状況ではありません。それも、世界に誇る交番というシステムのところへ増員を割り当てるというところに十分いっていない、こういう現状は本当に残念に思っています。

 しかし、日本人というのは本当にありがたい、うれしい国民でありまして、地方地方が地域の安全を守るために自分たちでも頑張る、こういう形で防犯ボランティア等を組織していただいて、頑張っていただいております。

 ちなみに、平成十六年には八千団体でありました団体が、今約四万団体、御参加いただいている人員も五十二万人から二百五十万人、こういう状況になっております。また、議論のありました青色の防犯パトロールでございます。これなんかも、初めは百団体、百台で始まりましたけれども、今六千六百団体、二万七千台お持ちいただいて、防犯、地域の安全を守るために警察と連携をとって頑張っていただいている。

 これからもこういう状況をぜひ広げていただく、こういう意味で、警察も、物品の供給等物的支援を含めまして、また情報交換を含めまして精いっぱい努めてまいりますので、御協力のほどをお願いいたします。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。そしてまた、防犯ボランティアの皆さんをいろいろな形で元気づけていただければ大変うれしいと思っております。

 そこで、もう一つ、防犯対策と並んで大事なテーマが、交通事故防止対策だろうと思っております。大臣ごあいさつの中でも、「総合的な交通事故防止対策を積極的に推進」、こういうお話がございましたが、この交通事故防止対策の当面の目標と施策の方針についてお伺いをいたします。

中井国務大臣 官民御努力いただきまして、既に昔の目標を二年早く達成して、昨年の交通事故死は五千五百人台ということまで落ち込みました。しかし、落ち込んだとはいえ膨大な数字でございますので、これに対して私ども、新たな目標を立てて、十年間でさらに交通事故を減らすために頑張っていきたいと考えています。

 麻生前総理のもとで、今年、さらにこれを十年で半減するというお話がございました。これをこのまま踏襲していくかどうするかということについて、今、福島担当大臣とも相談をしながら進めております。しかし、いずれにしろ、こんなことは党派で争う問題でもありませんので、こういった前政権以降の考えも十分踏襲しながら頑張っていきたいと考えています。

橘(慶)委員 ぜひそういったところについては継続して、昔は一万人を超えていた時期もあったわけですから、さらに減らしていく。そして、お子さん方と高齢者の方が巻き込まれるというケースが多いものですから、こういったところの対策をとっていかなければいけない。

 そうなりますと、ソフトの対策、ハードの対策、いろいろあると思います。その中で、もちろん、先ほども申し上げたように、市民の皆さんも、交通安全運動、いろいろなことで啓発もやるわけですが、交通安全施設、いわゆる信号機とか標識ということについては、やはり安全対策上大変大事なものだと思っております。

 私、市長をしておりますと、これはどうしても県警さんのお仕事になって、市は県に実はこの要望だけはつながなきゃいけない。通学路の安全対策などでガードレールとか道路の側溝のふたかけなどは市でやるわけですが、信号機になると、これは県さんの方へお願いをします、このように市長として申し上げてきたわけです。

 大臣は三重県とおっしゃいました、私は富山県、大変需要が多い、非常にニーズの多いものであったと思いますけれども、多分、全国的なことも把握をされていると思います。全体としての需要はどうなっているか、お伺いをしたいと思います。

中井国務大臣 平成十六年以降、交付金の具体的な使用例を国家へ報告をしていただくというのが、地方分権の方で、それは国が出しゃばり過ぎだと言われて、統計的な数値は警察自体が持っていないという部分、状況もございます。

 しかし、今、市町村、県、そして交付金で使われていますお金が合わせて八百億円ほどありますが、これでは到底足りない。市町村も厳しい財政状況の中で随分御努力はいただいておりますが、私どもも地方で座談会等をいたしますと、あそこの角へ信号、あそこの道に歩道を、こういうことで、一番やはり要望の多いのは、先生のお話のございました交通安全に関する事項でございます。

 私ども、できる限り需要におこたえできるように、創意工夫も含めてやっていきたい。信号をつけるにしろ、今の信号を見るにしろ、信号のあり方、どういうふうにやっていくのがいいのか。横断歩道一つつけるにしろ、本当にスクランブルのがいいのか、交差点独特の横断歩道というものを考えていくのか、創意工夫によってやりようがあるし、また生かされると考えています。十分その点も注意しながら需要にこたえていきたいと考えています。

橘(慶)委員 ありがとうございます。やはり創意工夫、非常に大事なことだと思います。

 より効果的にということも大事なわけですが、今ほど大臣もお話ございましたように、国、地方を合わせて八百億円でもなかなか足りない、こういう現状の中で、過日、拝見させていただいた平成二十二年度概算要求、警察庁所管、交通安全施設等整備事業につきましては、今年度当初予算比二十億円減、九%のマイナス、二百五億円とされているわけであります。

 確かに、コンクリートから人へ、一つのそういう哲学は哲学として理解するわけですが、やはりいろいろなものがあるかと思っております。その中で、今ほどお話のあった、そういった大事だというところに対して、やはりせめて今年度並みで頑張っていかなければいけないんではないか、このように思うわけですが、御見解はいかがでしょうか。

中井国務大臣 御指摘の点は確かにそのとおりであろうかと思っています。

 円滑化対策事業というのがございまして、国交省で道路等を新しくおつくりになる、これに伴って立体化だとか信号をつけるとかいうために警察庁でも予算は地方へつけていく、こういう事業でございます。これが今回、御承知のように事業数において約二割削減をされてまいりましたので、それに伴って私どもは、この円滑化の方の事業を二十億ほど減少させて提出をいたしております。

 しかし、先生御指摘をいただいています安全対策の方の予算につきましては、約百五十億円、これはそのまま前年と変わらずにつけております。市町村の御要望の多いのは、こちらの方が逆に多いんだろう、こう考えておりまして、御迷惑をかけないように十分気配り、目配りをしていきたいと考えています。

橘(慶)委員 この予算の中に二つの枠があると。いわゆる交通安全対策として、既存の道路に交通事故等の対策の中でつけなければいけないもの、それと、新しい道路ができてくるので、そこに交通を守るためにつけていかなければいけない。その新しい道路は、国土交通省さんの今回の事業箇所数が二割減るので二割減らすんだと。

 ただ、私は、それはそんなに単純ではないと思っております。なぜなら、今からやるもの、これから二割減らしていくわけで、今つくっている道路もあるとすれば、果たして完成する道路が本当にことし二割であるかといえば、そう物事は単純ではないのではないか、このように実は心配をするわけであります。でも、新しい道路ができれば、必ずそこは交通安全のためにつけなきゃいけない。その結果として、本当に交通事故のために必要なところからまた予算がそっちへ回るということでも困る。

 きょうはたまたま御答弁の都合上、大串財務大臣政務官さんもいらっしゃっていただいているわけですが、このあたり、一つ一つの公共事業費、後の質問にもつながりますが、いろいろな部分で単純に一律にということではなくて、やはりきめ細かく見られる、場合によっては、増査定ということについても必要なときにはされたらどうかと思うんですが、しかし、ここはもう一度中井委員長さんに、信号機頑張りますというお話を一応いただいておきたいと思います。

中井国務大臣 お話十分承りました。高岡市だけというわけにはいきませんけれども、地域地域、交通需要も随分変化をいたします。そういう変化に合わせて、御心配をいただかないように十分気をつけてやってまいりますので、またこれからも御理解、御協力をお願いいたします。

 なお、先ほど僕ちょっと交通死亡事故で五千五百と申し上げたようでございますが、五千百という形でございますので、改めて訂正をさせていただきます。

橘(慶)委員 大臣、どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いを申し上げます。ただ、今申し上げたように、公共事業費を以降、やはり減らしていくということの御方針であったとしても、いろいろなものがある。その中でやはり目配りをいろいろしなければいけないのではないかという問題提起ということでお聞き届けいただければ大変幸いであります。

 そこで、二項目めに、今度は国、霞が関、永田町と言われるところの話になってまいりますが、国家戦略室の役割と内閣府、内閣官房のあり方についてということで幾つか、先ほど申し上げたとおり十六年ぶりということも含めまして、少し気になるところも含め、またお考えをお伺いしたいと思います。

 さきに、まず、国家戦略室そのものの役割ということについては、午前中も平井議員さん、また小泉議員さんの御質問に菅大臣からもいろいろお答えがありました。その中でも、お答えの中でやはりちょっと感じましたのは、幾つか決まった項目もあるけれどもその他いろいろと。しかし、余りあれもこれもどれもになると、それはなかなか大変なことである。確かに国家戦略というのはあらゆることが国家戦略ということではありますが、やはり重要政策に関する基本的な方針をある程度絞り込んでお取り組みにならなければ、今、十二、三人とおっしゃったスタッフだって、倍にはなったところで限りもあると思っております。ここはやはり、当面取り組む事項をある程度優先順位も決められてお取り組みになるということをお考えだとは思うんですけれども、そのあたりの御所見をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 いろいろ国家戦略室に御関心をお持ちいただきましてありがとうございます。

 今委員からもありましたように、午前中の質疑でも現状について少し報告しましたが、重なりますが若干申し上げます。

 国家戦略室は、もともと総理が、官邸といいましょうか、官房の中にこの国家戦略室と行政刷新会議を新たに設けて、ある意味では、これまでの官僚主導の政治を政治主導の政治に変えていく一つのエンジンとして期待をいただいたものだと思っております。

 国家戦略室については、私のイメージでは、イギリスの官邸の中にポリシーユニットというものがありまして、いわゆるスペシャルアドバイザーと言われる民間人が十二名、官僚が十二名、その二十四名の皆さんが、ある意味で官邸内シンクタンクのような役目を果たして、時の総理のいろいろな問題に答えるという形をとられております。私や古川国家戦略室長、きょうも来ておりますが、大体そういうものを基本的にはイメージしていこうではないか。ですから、余り何百人もの組織というよりは、小ぶりでもしっかりといろいろな問題に対応できる、そういうことを考えていこうではないかと基本的には思っているところです。

 と同時に、現実には、既に税財政の骨格、経済運営の基本方針、またその他内閣の重要政策に関する基本方針のうちから総理が特に命ぜられたものという形の指示をいただいておりまして、既に雇用の問題あるいは地球温暖化の問題等の指示をいただいておりまして、それらも含めて今取り組みを進めております。

 そういった意味で、優先順位というものについて、私どももこの中での優先順位はつけているつもりですが、当面はこの税財政の問題、目の前の問題もたくさんあります。補正予算、さらには来年度予算の中で事業仕分けの分野になじまない分野、マニフェスト等については国家戦略室の方で取りまとめろと言われておりますので、当面の問題としてはこれらの課題にしっかり取り組んでいきたい、こう考えております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 当面は税財政の骨格に向けての、そういった二十二年度予算に向けての大事な御事項あるいは雇用対策、ぜひそのあたりをまず明確にしていただければ、私どももまたいろいろ伺いやすいなと思います。日本では、三大名園とか御三家とか、三という数字が好きであります。もちろん、三人官女の次は五人ばやしはあるわけですが、その先はタコの八ちゃんになりますので、ぜひ余りふやさずに、まず課題を一つ一つ解決されることを要望しておきたいと思います。

 続きまして、国家戦略室にちなみまして、内閣府、内閣官房というのは、私にとっては、ここへやってきてみて初めて、こういう形になったのかなといささか感慨深いもののある組織であります。私が霞が関へ入らせていただいた昭和五十九年というのは、行政管理庁と総理府をガラガラポンして総理府と総務庁に分けた。その後、平成十三年の例の大きな府省庁をつくるという形で、内閣府そして内閣官房を大いに機能強化しようということで始まって、それからかれこれ八年、そういう時期ではないかと思っております。

 しかし、やはり来てみますと、内閣府、内閣官房の組織というのは非常に多岐にわたってきたなと。タコの八ちゃんと申し上げましたが、本部は十三本部もあるということでありまして、非常にこのあたり、当然強化しなきゃいけない、成長はさせなきゃいけないということであったにしても、そろそろ一度振り返ってみるのも大事な時期ではないかと思います。

 ここに、平成十三年一月の発足以来今日まで、機構・定員、可能な限り、数字でいいますとどのような形に推移しているのか、平野官房長官にお伺いをしたいと思います。

平野国務大臣 先生が一番御案内のとおり、私も今まで野党でございました。先般の総選挙で国民の皆さんの支持で与党にさせていただき、また、私としても初めての経験でございますが、内閣官房に入らせていただきました。改めて驚いているところが何点かございます。その驚いている一点は、今先生の御指摘のところでございます。何をやっているのかよくわからぬ組織がいっぱいある、こういうふうに私は非常に驚いております。

 私どもの鳩山政権におきましては、官邸主導、こういう考え方は持ち続けながら、その中に政治主導でやっていこう、こういう考え方でございます。今日まで、肥大化したかどうかは別にいたしましても、これだけいろいろなものがあり過ぎる、こういうことで、今先生が言われた定員の数字について御説明をいたします。

 内閣府といいましても、外局を入れますと大変な組織でございますので、多分先生の御指摘のところは内局のところに絞るんだろうと勝手に想像しておりますが、そのことで申し上げますと、省庁再編が行われました平成十三年三月末においては二千二百四十五名でございます。平成二十一年度末におきましては百十五名増の二千三百六十名、こういうことになっておりまして、百十五名の増になっております。

 時系列に申し上げると、多少のでこぼこがございますが、平成十二年度、二千二百四十五から、二十一年度、二千三百六十、こういう数字になっております。内訳で少し申し上げますと、二十一年度、二千三百六十のうち、座布団を含めてお借りをして併任という部分で来ていただいている方が三百九十七名でございます。加えて、内閣官房という中で申し上げますと、平成十二年、これは三百七十七名に対しまして、二十一年度のベースでいきますと七百三十七、こういうことで、定員という意味でいけばそういうことだと御理解をいただきたいと思います。併任でおりますのが千百五名、二十一年度におきましてはこういうことでございます。これが職員の数の経過でございます。

橘(慶)委員 今、内閣府の内局、そしてまた内閣官房ということでお答えをいただいて、おおむねそうだと思うんですが、特に後の方の数字の内閣官房につきましては、今大臣から御答弁賜りましたように、三百七十七人から七百三十七人にふえておる、さらに併任という形でかかっている方が一千百人を超えるということで、かなりやはり大きな組織になってきておる。

 その中で、日々、平野官房長官におかれては、これで二カ月余りいろいろな調整等をされていると思うんですが、余り大きくなりますと、相互の連絡あるいはお互いの調整あるいは機能性ということで、非常にやはり問題が出てくるのではないかな、こんな感じもいたします。これは率直にお感じになっているところで、どのような御感想であるか、お答えをいただきたいと思います。

平野国務大臣 議員の御指摘はもうまさにそのとおりでございまして、一たんリセットをして、改めて鳩山内閣として機能が十分果たせるような組織にしたいと思っています。しかしながら、立法府としてこれをやりなさいと言って内閣府に設置をしたところもございまして、本当にそのことも含めて、必要であるか必要でないかということを考えていかなきゃならない、こういうふうに私は思っています。

 先ほど御指摘ございましたように、菅国家戦略室担当、ここはまさに鳩山内閣の一つの大きな柱でございますから、ここはやはり充実強化をしていきます。行政刷新会議という、今までの仕組みを一たん壊して、改めてこれからの中央政府のあり方をしっかりと見直していただくこの組織についても、当座の部分としてこの四年間の任期の間にこれはしっかりと機能していただくような組織形態にする、ここはふやしていきたい。しかし、本当に不必要になったものについてはばっさばっさと私は改革をしていきたい、このように思っております。

橘(慶)委員 やはり伸ばすところと縮めるところということ、大体そういうお答えでないかなと思います。

 国家戦略室、行政刷新会議、さらには今、地域主権の関係も、本部、事務局というお話も出ておりますし、過日の菅大臣の所信の中でも、総合科学技術会議についても科学技術戦略本部への改組も考えられるということで、非常にやはり大きくなっていく部分がいろいろあると思っております。ぜひこのあたりは見詰めていただいて、また、そのことを立法府も含めてみんなで考えていかなければいけない時期じゃないかと問題提起をしたいと思います。

 続きまして、国家戦略室で特に取り組まれるという税財政の骨格の問題であります。

 大串政務官にも来ていただいているわけですが、概算要求額は九十五兆円、これに事項要求が加わります。総務省関係でいえば交付税もそうですし、昨日のインフルエンザの御答弁等を聞いておりますと、厚生労働省でも、事項要求の中でも削れない大事なものもあるように思っております。概算要求額九十五兆と言われても、実態としてはもっと膨らんでいる部分もある、このように思います。

 最初の代表質問の際に、鳩山総理は、一度、百二兆円という二十一年度の補正予算後の数字と比べれば小さい云々というお話もあったかのように記憶をしておるわけでありますが、ここで仮に百二兆と九十五兆ということで比較をされるとなりますと、実は平成二十一年度の第一次補正まで足し上げてしまったということになります。

 一度お伺いしておきたかったのは、そうすると、二十二年度にはそういう第一次補正という意味での補正は考えないんだ、十五カ月予算云々とありますが、最初の予算で全部セットできるんだ、そんなようなこともお考えになるのか、ここをお尋ねしておきたいと思います。

大串大臣政務官 御質問いただきました。

 二十二年度の予算編成でございますけれども、今鋭意作業を行っているところでございます。その考え方としては、今までいろいろな皆様にも御指摘いただいたいろいろな無駄遣いや、あるいは不要不急と言われたもの、これを厳しい目で行政刷新会議の皆様と一緒に見直しながら、私たち、マニフェストで示した内容を実現できるように二十二年度予算に盛り込んでいく、こういうふうなことで今やっているところでございますので、二十二年度予算の総額をどのように位置づけていくかというのは、これから定めてやっていくということでございます。

 ですから、何と比較するかということではございませんで、これからまさに新しい目で二十二年度予算をつくっていこうということでございます。二十二年度本予算をつくっていく段階でございますので、二十二年度の補正予算云々という話は、今のところではもちろん議論の俎上ということではございません。二十二年度本予算を今一生懸命つくっていくという内容、作業の過程でございます。

橘(慶)委員 まだ総体が決まってこないというお話ではあるわけですが、午前中も少し議論になっておりました国債の発行額についても、当然二十一年度を参照しなければいけないというところはあると思っております。

 これについては、事情変更云々というお話も仙谷大臣から午前中にはあったわけですが、改めて、補正予算後の四十四兆円をベースに考えるというお話も漏れ承るわけですが、まだ全体の骨格が決まらない中で、本来は、やはり予算の継続性という意味では当初予算比で比較をしていく必要があるのではないか、三十三兆円というのは、やはり基本の数字としては一つあるのではないかと思いますが、これは菅戦略大臣の御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 委員も御承知のとおり、昨年暮れのリーマン・ブラザーズの破綻から始まる世界的な大不況の中で、さきの政権もいろいろ苦労されました。そして、本来なら、今年度予算ができて、通常は補正予算というのも、少なくとも数カ月は間を置くのが私の知っている例では通常、あるいは秋ぐらいにやるのが通常であったわけですが、もうほとんど本予算が上がったすぐに麻生政権での一次補正が組まれたわけであります。

 さらに言いますと、いわゆる税収見通しが麻生政権の二十一年度予算では四十六兆円となっておりますけれども、まだ確定した数字は出ておりませんが、相当程度の落ち込みが予想されております。そうしますと、二十一年度の予算の中だけでも、百二兆という本予算、補正予算の総額を賄うには、四十四兆のこれまでの国債発行でも実は足らないという現状があることは御理解をいただいていると思っております。

 私どもも、もちろん、財政再建あるいは財政健全化のためには、決して国債をむやみに発行していいとは思っておりません。しかし一方では、まさに百年に一度とも言われる世界的な不況にもつながるような事態の中で、まだまだ自律的な回復にまでは届いていないというところで、足元は足元としてしっかり固めながら、中長期の財政健全化を考えなければいけない。

 そのときに、確かに形式上は最初の予算の国債は三十三兆でありましたが、同じ政権下で四十四兆、さらには、税収見通しからいえばさらにその穴埋めが大きくならざるを得ないという中で、今日のところ、四十四兆という数字が、ある意味ではマーケットの皆さんを含めて今年度のベースとして、これが一つのメルクマールというのでしょうか、一つの指標になりつつある中で、総理や私どももこれをめどにして、しかしこれについては、端的に言えば余りこれを大きく超えるような形にはしないで済むようにしていきたい。

 私は、この場では余り長くは申し上げませんが、一言で言えば、財政に依存しないで景気や雇用が拡大する道はあるはずだ、知恵を出せば、ルールを変えれば、財政に依存しないでも経済成長につながり雇用につながる道はあるはずだと思っておりますので、そういうものを中心にした第二次補正、本予算を考えていくことで財政規律のぎりぎりのところは守っていきたい、こう考えております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 ここはもう一つ深掘りさせていただきたいんですが、四十四兆円と言われる今回発行した国債ですね、四十四兆円の中で、これは性格的には、建設公債と言われる、公共事業費見合いの建設公債と、特例公債、いわゆる赤字国債と言われるものとに実は腑分けがされるわけであります。

 当初予算三十三兆円のセットの際には、建設公債が七兆六千億円、特例公債、赤字国債の方が二十五兆七千億円でありました。補正予算の方は、いわゆる公共事業関係をふやしたということも含めて、補正予算の方の追加した十一兆の中では、建設国債の方が七兆三千億円、そして特例公債、赤字公債の方が三兆五千億円。今回執行停止をかけられましたから、多分三兆五千億円の方が、理論的には一度そこが減って、第二次補正をされればそれがまた復活するという感じかなと思うんですが、これをトータルしますと、今年度は、建設公債で大体十五兆円、特例公債、いわゆる赤字公債で二十九兆円ということであります。

 過去から、いい国債、悪い国債という議論もあったようでありまして、一概にはそれは色はないとも言えますが、しかし、やはり赤字国債というのは赤字国債であろうと。そして今、これは哲学ですから、コンクリートから人へ、そういう査定をされていきますと、同じ四十四兆円でいっても、多分建設国債よりも赤字国債がふえることになるのではないかというふうに危惧もするわけであります。

 ちょっとここは深掘りいたしましたが、そういった部分についての何か御見解なり御感想、菅大臣あるいは大串政務官さんでもいいんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 建設国債と特例国債については、発行の経緯の中ではかなり違うものだという認識があった時代もありますけれども、少なくとも国債マーケットにおいて、これが建設国債だ、これが赤字国債だという区別はされていないというふうに認識しております。

 それに加えて、かつては、例えば一九六〇年代は、建設の目的で使われた財政は、例えば東京―大阪の新幹線のように投資効果の非常に大きなものがありました。八〇年代に入ってからの多くの公共事業、建設事業は、どちらかといえば、地方に仕事を持っていって雇用やお金を流す意味では私は効果があったと思います。日本全体の格差を縮める上でもそれは効果があったと思います。

 しかし、残念ながら、それが建設国債あるいは建設事業であるから本当に日本経済の成長に大きく寄与したかといえば、今になってみて、あの九十幾つの飛行場、あるいは日本じゅうにハブ港湾と言われるようなほとんど使われない港湾がたくさんできている。こういうことを考えますと、私は、投資効果が極めて薄い、少ないものをつくり続けたことが経済の成長を停滞させると同時に、大きな財政の借金の積み上げになったという認識を持っております。

 そういう意味で、この段階で、もちろんある程度の理論的な差があることは承知をしておりますけれども、建設公債、赤字公債と分けて議論することが、それこそ建設的な意味を持つとは私自身は必ずしも思っておりません。

橘(慶)委員 御所見は御所見として、しかし理論的にはそういう理論もあるということでいえば、やはりこの辺は、しかしそうは言ってもいろいろと予算編成の中で慎重に御検討もいただきたいな、これは要望として、意見として申し上げておきたい。余り赤字国債が四十兆を超えるというような形にならない方がよろしいのではないかということは、御意見としては申し上げておきたいと思います。

 さて、概算要求につきまして、最初にお話ししたように、要求額としては政府の方も削らなきゃいけないという形で膨らんでおるという状態であります。公共事業費については、お話あったような哲学の中で、治水、新幹線などごく一部を除きまして、一律に一〇%から一五%カットされている概算要求額と承知しております。

 ただ、例えば、農林水産省さんなどで見ますと、農業も水産も林野も全く一律に同じ数字が挙がっているということになりますと、余りいわゆる現場主義的ではない、まあお時間の制約ということもあったとは思いますが、やはり頭から一律に切ったのかなというふうにお見受けしてしまうところもあるわけであります。しかし、先ほど申し上げたように、個々の事業で見れば、農林水産分野であっても、先ほど申し上げた信号機のようなお話もあるかと思います。すべてが大きな構造物ではないというのは菅大臣も御承知のとおりだと思います。

 そういった中で、この後、いよいよ年末に向けて大変大事な時期に差しかかってまいります。予算編成においては、公共事業費においても個別分野ごとに精査をされ、先ほど申し上げたように、時には増査定もされながら、やはりここはめり張り、地方が困らないように、現場が困らないようにという御配慮をされるべきと考えますけれども、大串政務官さんのこれからの考え方をお聞きいたします。

大串大臣政務官 来年の予算編成に向けた考え方をお尋ねいただきました。

 今、公共事業関係費に関して一律カットというお話もございましたけれども、基本的に予算編成の中では、先ほど行政刷新会議、事業仕分けの話も出ましたけれども、一つ一つの予算項目の必要性、効果、そしてニーズなどをしっかり考えながら、個別に判断していくというのが基本でございます。

 ですから、公共事業関係費、あるいはそれ以外においても、一つ一つの予算項目を綿密に議論して行っていくというのが基本的な予算編成の考え方でございます。

 先ほど、交通安全施設に関する御質問もございました。交通安全に係るものと交通の円滑化に係るもの、幾つかこれもタイプがございます。ちなみに、これは公共事業関係費ではなくて、分類でいうとその他経費になるんですけれども、一つ一つの費目の性質に応じて、その一つ一つのニーズ、必要性、これをしっかり確認していくというような形で予算編成をやっていきたいというふうに思います。

橘(慶)委員 せっかく来ていただいているので、もう一押しだけさせてください。別に個別分野、何とは言いませんが、やはりそういうときは増査定もあり得べしと、そういう御姿勢で臨まれるのかどうか。

大串大臣政務官 御質問いただきましてありがとうございます。

 基本的に、いろいろな予算の議論をするときには、この予算のニーズがあるよというふうな話を持ち上げてきてくださる地元の方、現場の方、いろいろな関係者の方々、それを受けて、関係省庁の皆様が、これは予算は必要なんだということを要求いただいて議論をするということになります。

 ですので、最終的な額の決まり方は、いろいろな経路がございますけれども、議論の中では、やはりニーズがあって、要望があって、要求があってという形でございますので、恐らく、先ほどお話のありました、地方で一つ一つの事業を見ると、やはり高いニーズがあるんだということをお話しになりましたけれども、それが具体的な行政行為の中の要望という形に上がっていくものというふうに思っておりますので、そういう中で議論をさせていただきたいと思います。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。大串政務官さんにはあと幾つか予定していましたが、大体お時間ということであります。

 それで、菅大臣に最後にこの項であと一つお伺いをしておきたいと思います。

 やはり、国の国債の発行残高、かなり積み上がってきております。これは別に今に始まったことではなくて、何度かの非常に厳しい経済の状況、いろいろな中でいろいろと四苦八苦しながら、しかし現状では、やはりこの二十年度から二十一年度にかけても、国債の内国債での発行残高は六百八十兆から七百二十五兆へと、さらに七百二十五兆から恐らく七百五十兆の後半へと、八百兆へ向けて進んでいくことは、どうやら今の事情の中ではなかなかそれをとめることは難しいという状況かと思います。

 実は、総務省さんの方からは、各地方自治体には実質公債費比率等いろいろと、夕張問題があった後、ここからここまではイエローカード、ここからはレッドカードですよという実質公債費比率という数字が挙げられておりまして、地方自治体には総務省さんから三五%という数字をいただいておるわけであります。

 財務省さんがこれを、地方、国、一緒ではないわけですが、国に当てはめますと、平成二十年四月十八日に財務省主計局さんが提出した数字では、八〇・四%とはじかれているわけであります。

 ただ、この数字を出されたときのこの数字の意味合いは、だから交付税はそんなに出せませんよという話なんですけれども、それは私はおかしいと思っておりまして、これは国そのものに国が言っている話だとすれば、既に赤信号を超えてしまっている。もし国の上に総務省さんがいたら、もしもしと言われかねない、完全に起債は制限されるような数字になっておると思っております。

 しかし、国債は、おかげさまで国債の市場が引き受けてくれる限りは発行ができる。しかし、レッドカードを出してくれる方はいらっしゃらない。国債の市場がレッドカードを出した瞬間には、もう日本の国はそのときは終わるというくらいの、ある意味で危機的な状況でもあるかと思っております。

 したがいまして、どうしても、景気対策、いろいろな需要がある中でも、やはり歳出総額はある程度枠をはめていかなきゃいけない、そういう議論が午前中もありましたが、ここで確認であります。

 マニフェストではありますけれども、やはり予算編成においては選択と集中も必要、必ずしもそれが金科玉条ではないという御発言も総理もございました。確認ですが、やはりここは、はいそのまま、だからそうだ、そのままやっていくんだということだけでもない、いろいろなことを見ながら、やはり選択と集中もするのではないか、このように思っておりますが、ここを、最後に菅大臣に御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 マニフェストは、御承知のように、我が党が選挙のときに、これは実行するということでお約束をした項目であります。ただ、四年間という中で基本的にはお約束をしております。また、もともと、初年度からフルでなくて、初年度は部分的に施行するということをあらかじめ申し上げているものもあります。

 そういう中で、いよいよこのマニフェストの初年度の、つまり二十二年度の具体的なものをどのようにするかということの詰めに入っていかなければなりません。そういう中では、今まさに御指摘をいただきましたように、足元の景気と中長期の財政の問題と、常に両方をにらみながら、狭いナローパスではあると思いますけれども、ぎりぎりマーケットからも信認され、長期的にも、あるいは足元の景気にもある程度寄与するような形をとっていきたい。

 その中では、マニフェストに関するものについても、基本的姿勢は変えませんけれども、初年度にどこまでやるかといったこと等については十分議論をしていきたいと思っております。

橘(慶)委員 大変細い道を抜けてこられるんだろうと思いますが、通常国会の方で、これはまた見させていただきたいと思います。

 次の項目に進ませていただきます。地方分権改革、地域主権推進の問題であります。

 昨日も、六団体主催の地方分権推進全国会議が開かれておるわけであります。その中で、「地域主権の確立と地方の自立・再生に向けて」という決議もされております。特に、国と地方の役割の抜本的見直しと地方への大胆な権限移譲、義務づけ、枠づけの見直しなどの実現を通じた自治立法権、自治行政権の確立というようなことを提起されておるわけであります。

 そこで、地方分権改革推進委員会第三次勧告におきまして、義務づけ、枠づけの見直しということで八百九十二条項出されているわけであります。このことの取り扱いについての基本的なお考えを原口地域主権大臣にお伺いいたします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 橘委員におかれましては、地方思いの日本づくりと、全く同感であります。

 その中で、私たちは、みずからのことはみずからが決める、みずからの責任で決定する、そういう地域主権改革を行いたい、こう考えています。

 一万にも及ぶ義務づけ、枠づけ、その中で、今委員からお話あったように、特に問題な八百項目を超えるその中で、まずは私たちは、地方からの要望の強い百四項目について、十一月五日を期限に一次の答えを出してくださいと。約半分出てきました。しかし、それでもまだ不十分です。特に問題だといったことを総理のもとで御指示をいただいて、半分ですから。来週の頭に二次の報告をいただきます。

 その上で、法律改正するもの、来年の通常国会で法改正、それから地方分権、地域主権改革の推進のための法律の中に条項として入れるもの、そういった計画の中に入れるもの、法律の中に入れるもの、積極的にやっていきたい、こう考えております。御協力をよろしくお願いします。

橘(慶)委員 そこで、この義務づけ、枠づけの対象となったものが八百九十二条項にも上るということであります。第三次勧告をちょうだいいたしましたが、大変大部なものでありました。私がそれこそ十六年前、また言いますけれども、そのころからずっとこういうことについてはいろいろな議論がなされていて、しかし、報告書というのはつくるたびにだんだん厚いものになってきているかなという、非常に危惧を抱いております。

 もちろん、行政の需要は多岐にわたります。インフルエンザがあれば、インフルエンザで地方自治体がやらなきゃいけないこともある。中小企業の円滑化法があれば、また報告があるものは県を経由しなければいけないということもある。義務づけ、枠づけと一概には言いませんけれども、そういったいろいろな事務というのは、やはりどうしてもふえていく傾向が非常にあるわけであります。

 平成十七年の地方制度調査会でも、義務づけ、枠づけ、あるいは、いろいろな計画をつくりなさいとか基準を立てなさいというものはふえる一方である、そのような印象を私なりにもこれまで持たせていただいているわけですが、この現状、これまでの推移、あるいはお感じになっているところをお答えいただければと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 ふえる一方じゃないかという御質問でございますが、全く同じ印象を持っています。

 要は、片づけないからです。これまでの勧告についても、多くの皆さんの御協力をいただいて、三十年も四十年も設置基準等についてああでもないこうでもないとやっているわけです。委員は市長もなさっておられますが、やはり、みずからで決定したルール、中央政府は標準を決めて、そしてそれに対して支援をすればいいわけで、なぜこんなルールが必要か、細かな口出しを一々やる必要は全くない、こう考えています。

 これはほっておくと多くなるんですよ。例えば、地域振興のための基本計画をつくってください、そのためにこんなことを守ってくださいと。そういうものをサンセットしていきたい。そして、できたときから、もう最初から、中央政府とパートナーという意味での地方の完全政府をつくりたいと私たちは思っているんです。その最初の制度設計のときから中央政府と地方政府の仕切りをしておくべきだ、私はそう考えています。

橘(慶)委員 サンセット、これは一つの方法だと思います。また、言葉は適切じゃないかもしれませんが、スクラップ・アンド・ビルドというようなことも非常に大事ではないかと思っております。

 そこで、具体的に講ずべき措置を付したものが八百九十二条項、そのうち、優先的に取り組むものということで各省庁に投げかけられたものが百四条項ということでありますから、まだ七百八十八条項残っておるということではないかと思います。これについての取り扱い、また今後の見通し、どのようにお考えになっていますか。

原口国務大臣 お答えをいたします。

 まさに委員がおっしゃるとおり、スクラップ・アンド・ビルドなんですね。しかも、ビルドの方を多くするというんじゃなくて、スクラップの方を多くしていきたいと思います。

 今御指摘の八百九十二条項、私たちは四千についてもこれは少な過ぎると言ってきたわけですから、この一万の義務づけ、枠づけ、特にこの八百九十二条項、どれ一つとして聖域とせずに、義務づけ、枠づけの撤廃に向けて努力を重ねていきたいと思います。

 委員、そのためにも、やはり政治主導なんですよ。一回役所に持ち帰ると、また二十年、三十年という議論になっちゃうんですよ。私は、この基本は、みずからの地域のことは、みずからのリーダーを選び、その人を中心に変えていくんだという、まさに民主主義の基本が問われているんだというふうに思いますので、御指導、御協力をよろしくお願いいたします。

橘(慶)委員 今ほど、息長く取り組んでいく、そして粘り強く取り組んでいくというお話がございました。

 そこで、確認になるわけですが、地方分権推進委員会、前政権から進めてきたことで、来春をもって設置期限が参ります。その後のことについても、新聞報道等では、新しいシステムでということをお考えになっている、ここは伺っているわけであります。

 ただ、私がここで確認をさせていただきたいのは、今申し上げた地方の自立あるいは地域主権、地方分権ということについては終わりのない課題であるとすれば、これまで多くの方々、先人が頑張ってこられた勧告とかあるいは条項の見直しのこととか、こういったものが新しいシステムになるときにリセットされて、また最初から議論しているのでは、これは余りにも非効率ではないかと思います。

 変えるは変えるですけれども、ここは、継続は継続ということも含めて、この四次にわたる勧告についての積み残しになっているもの、やはり大事なものについては新体制に引き継いで、そこはリセットしないんだというところの確認をさせていただきたいと思います。

原口国務大臣 大事なものは引き継げという御質問でございますが、まさにそのとおりですね。やはり同じ日に同じ大学に入っているだけあって、考え方はよく似ていますね。おっしゃるとおりだと思いますよ。だって、今まで、政権がかわるたびに審議会をつくっているんですよ。そして、審議会の答申が出てきたときにはまた次のことをやっている。これでは幾らやっても同じです。

 私たちは、総務省の中で、あるいは地域主権の中で指示をしているのは、いいものは即刻やろうと。法律によらないでも、政省令でやれるものがありますね。今おっしゃった地方分権改革推進委員会、四次にわたって本当に御努力いただきました。この場をかりて、委員の皆様にお礼を申し上げたいと思います。その方々も、一部は引き継ぎたいと思っています。

 今回、地域主権の戦略会議というのを設置するということを閣議決定しました。その中にも引き継ぎたいと思いますし、特に、今委員がお話しの義務づけ、枠づけ、あるいは地方にお渡しをすることも含めた出先機関の廃止、こういったものについても積極的に取り入れてやっていきたいと思いますので、党派を超えた応援をよろしくお願いいたします。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 また引きずり込まれるなと後ろから言われそうな気がしますけれども、それはそれとして、せっかく今地方の出先機関の話がありましたけれども、道州制について少し最後に、お時間ある限りお伺いをしていきたいと思っております。

 私どもは、市町村合併というものをくぐり抜けてきたこの五年間でありました。私の選挙区でいえば、十九市町村あったものが、今、六つの市、すなわち、射水、小矢部、砺波、南砺、氷見、高岡と、六つの市にまとまりました。そのことによって、総務省の御指示のあった集中改革プランも取り組みながら、人件費も節約、節減をしながら来たわけであります。

 そのことについての質問はまた、総務委員会がありますのでそこでさせていただきたいわけですが、そうやって努力をしている中で、過日の事業仕分け会議で、一時間で、地方交付税、それはもう少し見直せというのは、何となく余りうれしくないなと。この辺はまた閣内でいろいろ意見を出してもいいようでありますから、原口大臣にはぜひ頑張っていただきたいところで、今度は逆にこちらに引きずり込みたいというところであるわけですが、それはそれといたしまして、道州制について。

 市町村が合併をしていった中で、私、現場におって感じたことは、一部事務組合、いわゆる消防とか水道とか、あるいは時には医療とか、いろいろなものを実は市町村は一緒にやってきて、広域行政というものに取り組んできたという実績がありました。そのことが最終的に、合併をする際の大きな基盤になったわけであります。

 しかし、都道府県については、道州制という議論はありますけれども、なかなかそういった協力して広域行政をやるという事例は少ないように思うわけですが、いかがでございましょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 おっしゃるように、少ないです。ダム管理に関する連絡調整を行う小瀬川ダム管理事務協議会。協議会というと、都道府県相互の協議会はこれだけです。それから、現在、一部事務組合については、鳥取県、島根県を構成団体とし港湾管理を行う境港管理組合、それからフェリーの運航を行う有明海自動車航送船組合、この二組合になっています。

橘(慶)委員 千里の道も一歩からというようなこともありますけれども、やはり、何かに取り組み始めなければ、石、玉は転がっていかないのではないかと思うわけであります。

 いろいろな方法論はあると思いますが、例えば、新幹線等でいえば並行在来線の取り組みとか、これは一部事務組合ということにはなりませんけれども、そういったもの、あるいはそのほかにも考えるものがあるかもしれませんが、やはり、何かそういう具体的な分野で広域行政を促していくという方法、あるいは、そのことがまた地方出先機関の仕事をそういった受け皿として受けていくためにも、何か隗より始めよというところが必要ではないかと思いますが、御所見はいかがでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 お話しのとおりだと思います。

 例えば、国会で議連をおつくりになっていますが、危機管理都市構想。東京に一極集中していますが、普通、多くの国はもう一極持っているんですね。地震やいろいろな災害のときにどうするか。例えば、それを関西の伊丹空港を中心に都市をつくって、そしてそれを応援しようという議員連盟を国会でおつくりになっておられますが、そういう広域での取り組み、それはあくまで地域が決断し、そして、私たちは道州制についても、上からかぶせた道州制というのは考えていません。基礎自治体を中心に、権限、財源をしっかりと回復していただいて、そこが決断されるのであれば、道州制、そこへ向かっていく。

 この間も、経団連の皆さんと一緒にタスクフォースをつくろうじゃないか、こんな話もしているところでございますので、ぜひまたお知恵をいただきたいと思います。

橘(慶)委員 関西でも関西広域連合というようなことも取り組まれたり、なかなか前へ進まないようでもありますけれども、ぜひ、やはり何かそういったことについて具体的な手だてというものを講じていただいたらどうかなと提案をさせていただきます。

 そこで、一つ質問飛びますが、最後に、地方分権改革、新しい地域主権、この体制をつくられるわけでありますが、そういった意味におきまして、先ほど内閣官房の組織のことを申し上げました。道州制はまた別の本部になっているわけですが、やはりなるべくまとめるものはまとめられて、一緒に取り組んでいかれた方がスマートではないかと思うんですが、これを最後にお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 全くそのとおりです。三つに絞ろうと思っています。

 一つは、地域主権改革の戦略本部であり、エンジンであり、そして方向性を決める地域主権戦略会議、これが一つです。それから、やはり国、地方はパートナーですから、私は総務大臣を兼務していますけれども、税調の会長代行をやらせていただいています。今までは、税調というと財務大臣が上におられて、そして、ほかの大臣はその下というような形でしたけれども、イコールです。対等に協議をしながら一緒につくっていく。みずから決めたものには、みずから責任が伴うんです。

 地域主権改革、これは甘い改革ではありません。しかし、逆に言うと、今のようなことを進めていけば、地域の格差を埋める財源もなくなっていきます。そういう意味で、簡素にして明確に、そして今できることを今やる、すぐにやる。十二月には工程表の案も、地域の皆さん、六団体の皆さんを中心に協議して出させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

橘(慶)委員 この項、質問は終わったわけですけれども、やはりすべてを変えていくということではなくて、大事なものについて引き継ぐものは引き継いでいただく。やはり国から地方へということについては、ずっとこの間、与野党を問わず取り組んでおられることでもありますので、大事なことは大事だということで、つないでいただくということをまた最後に申し上げて、最後の男女共同参画の御質問に移らせていただきたいと思います。時間は大丈夫だと思います。

 福島大臣には、私が市長のときにも私の方へ激励に来ていただいたということもありました。ありがとうございました。

 きょうは、男女共同参画、いろいろなテーマがありますが、絞った形で、いわゆる指導的地位に女性が占める割合を三〇%程度という問題について、市役所で私が悩んでいたことも含めて、最後にちょっと御所見を伺っていくということでお願いをしたいと思っております。

 この三〇%程度ということについては、公共部門では非常に難しい状態になっていると思っております。審議会等は委員を任免できるものですから、これはかなり、三〇%というふうにやればやったで数字を上げていけるわけですが、いわゆる職員の方々の部分で管理職に登用していくとなると、なかなか難しい部分があると思います。

 平成十九年度、これは男女共同参画の方の、そちらの方で出されているデータによりますと、国の管理職に占める割合としては、今、三〇%に対して二・〇%という数字が実は上がっておるわけであります。しかし、これはいわゆる管理職相当職ということで、人事院の俸給表でいいますと行政職(一)の七級以上ということなので、現実には必ずしも、霞が関あるいはこの国会周辺で政策にタッチしている方ばかりでもないと思っております。

 きょう、実はこうやってここに座らせていただいても、そちらの方にだれもいらっしゃらないですし、こちらはお一人女性の方がいらっしゃって、こちらは女性の方一人いらっしゃいますけれども、この議員席の方は大分ふえてきているわけですが、なかなか二%という数字も難しいのかなという感じもいたしております。

 このあたり、数字がないかもしれませんが、お感じになっているところをお答えいただければと思います。

福島国務大臣 高岡市長をされていらっしゃるときは大変お世話になりました。

 今おっしゃっていただいたように、二%です。国家公務員における女性の管理職は、本省と、それから地方のセクションを合わせて、おっしゃっていただいたとおり、二%です。データは、実は本省だけというのではとっておりませんので、どちらが多いかちょっとわからないんですが、おっしゃっていただいたとおり、二%でしかありません。これを五%に何とか上げたいと思い、各省庁に対しても大いに働きかけていこうと考えています。

 ただ、今年度、ことし、国家1種、事務系の女性の採用は初めて三割を超えました。少しずつ、本当に男性も女性も働けるような職場をしっかり男女共同参画担当大臣としてつくっていきたいと考えています。

 GEM、ジェンダー・エンパワーメント指数は、日本は世界で五十七位です。これは、国会議員の女性の割合、それから管理職の女性の割合、専門職、技術職の女性の割合、男女の賃金推定、これをあわせ、四つのファクターなんですが、日本は何と世界で五十七位でありまして、これを聞かれた方も、わあ、ちょっと低いなと思われたと思うんですが、何とかこれを上げていきたいと思っています。

 二〇二〇三〇、二〇二〇年までに三〇%、意思決定の場に女性をということが男女共同参画基本計画の第二次計画でありますので、これを履行すべく頑張っていきたいと思いますし、これこそまさに、また引き込みじゃないですが、一緒にやっていきましょう。よろしくお願いします。

橘(慶)委員 ここの問題について、男女共同参画、総務省さんの方のデータになるんですが、実は、今おっしゃったとおり、採用で三割、そして本省係長相当職で一七・四%、本省課長補佐相当職で五・七%、そして今の課長職で二・〇%、これは地方出先も含めてであります。府省等で分けてあるわけですけれども、きょうの内閣府は割合高くて四・一%なのですが、これは男女共同参画局もございます。内閣官房は〇・〇%という数字が実は上がっているわけであります。

 実は、これは決して国のことだけを申し上げているわけではありません。私、市長をやっていたときでも、やはり総務課長も人事課長も財政課長もみんな男性がやっておったというのが事実でありますし、では、あしたすぐそれが、だれかアポイントできるかといえば、やはり経験がなければ、つまり、係長や課長補佐等で経験をしておかなければ、一朝一夕に課長職ということにはならないわけであります。

 そのようなことを考えますと、やはりそこには、数字を上げていくということもあるけれども、その数字を上げるための手だては、先ほどの地方分権改革と同じで、今から十年後、二十年後をにらんだ、ある程度戦略的、計画的な進め方ということも大事ではないかと思います。

 要は、申し上げたいのは、そういった忙しい部署に、やはり女性の方もある意味でつけていくということも、それぞれの省庁あるいは内閣官房でも取り組まなければならないのではないかという印象を、私なりの反省も込めて思うわけですが、最後に御所見を伺いたいと思います。

福島国務大臣 おっしゃるとおりです。

 オン・ザ・ジョブ・トレーニングでいろいろなところに女性が行かないと、結局、今から始めないと、二〇二〇、三〇%は実現ができません。これは、各省庁の人事担当の方、あるいはワーク・ライフ・バランスをもっと私たちの足元からやっていくことも含めて、しっかりやっていきたいと思っております。

 各省庁にも、男女共同参画担当大臣として要請を強くやっていきたいと思っております。国会の風景が変わるようにと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

橘(慶)委員 最後のお話は私も同感であります。もう少し、済みません、別に男性の方が嫌とは言いませんが、女性の方も並んでいただいた方がいいかな、そのように思っております。紙を持ってこられる方も、女性の方ばかりじゃなくて男性の方も持ってきてほしいな、そのように思うわけであります。

 それはそれとして、これで一通り質問を終わるわけですが、私なりに、先ほど原口大臣にも聞いていただいた、地方から始まる国の形と申し上げてまいりました。そして、カーブは急に切れないんだと。市役所よりももっと大きい国ということであればなおのこと、カーブは簡単に切れないと思います。いろいろなお約束、マニフェスト等もされておるということも理解はしますけれども、やはり財政の制約があったり、これまでの経緯、いろいろなものもあると思います。

 そして、私なりに思っているのは、やはり国会が丁寧な議論をしていかなければいけないのではないか。何かをなし遂げていくためには、やはり五年、十年かかることも丁寧に仕上げていかなければいけないのではないかと思うわけであります。今回の国会で、どうやら肝炎の問題なり原爆症の問題、いろいろ前進していくことは大変すばらしいことであります。対立あるいは切磋琢磨も大事ですが、やはり仕上げていくものも立法府としても仕上げながら、課題を減らしながら、もっと新しい課題に日本がチャレンジできるように頑張っていかなければいけないのではないかと思うわけであります。

 そんな意味で、今後とも内閣委員会で、少し私の質問は細かく多岐にわたるかもしれませんが、いろいろなことをまた提案あるいは議論させていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

田中委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 余り時間がないので自己紹介は割愛をさせていただきたいと思いますが、早速本題の質問の方に入らせていただきたいと思います。

 きょうの議論の中で、来年度の予算のバランス、多分事項要求を入れると九十七兆というような数字になるんだろうというふうに思いますが、それに対して税収の見通しが四十兆円ぐらいということです。まだこれは政府として公式の数字を言っていないんだと思いますが、仮に事項要求を入れると大体どれぐらいの数字になるか、まず大串政務官、お答えいただけますか。

大串大臣政務官 御質問をいただきました。

 来年度予算案に係る一般会計の要求ですけれども、十月十五日までに締め切ったところでございまして、これで九十五兆三百八十一億円でございます。事項要求が出てきておりますけれども、事項要求はその時点までに要求額が固まっていないということでございますので、そこも含めた額というのは見えていないということでございます。

浅尾委員 財務省の立場としては見えないということだと思いますが、これは別に、税収の見通しが四十兆ということで考えると、九十五兆も九十七兆もそう変わりがないというふうに言うとちょっと大げさかもしれませんが、そういうふうに私は理解をいたします。

 実は私は、各省ごとの予算を見せていただいて、一つ私なりに新たに認識をさせていただいたことがございます。

 それは何かというと、厚生労働省の予算と国土交通省の予算を対比いたしますと、実は厚生労働省の予算が、これは概算要求の数字をお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、大ざっぱに言うと三十兆円弱、国土交通省が六兆円。間に挟まるのが、財務省の二十二兆と、原口大臣のところの、多分総務省の十八兆ですが、財務省、総務省の予算というのは、基本的には、財務省は国債の借りかえということで使用し、総務省は地方交付税が圧倒的な数を占めているということから考えますと、よくきょうの議論の中でもコンクリートから人へという話が出ておりますが、極端な例でいうと、国土交通省の予算を全部なくしても厚生労働省の予算の五分の一しか振りかえられない。

 そういうような状況について、午前中菅副総理は、子ども手当は恒久的だというふうに言っておられましたが、そういう状況の中で、恒久的であるとすればしっかりとした財源をつくらなきゃいけないんじゃないかと思いますが、そのことについて菅副総理に所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 来年度の予算、それに対する概算要求ということでいえば、浅尾議員が言われる数字は、精査しておりませんが、基本的にはそのとおりだと思っております。

 ただ、この財政の中身を変えていくということの持つ意味がいかに大きいかということも、浅尾議員もよく理解されていると思います。

 つまり、細かい数字を持ってきませんでしたけれども、GDP比でいって、日本の場合、一九六〇年代、七〇年代ごろまでずっと伸びて、たしか一〇%を超えた時期もありました。これは必ずしも国交省の予算ということだけではなくて、もちろん農水省や、当時でいえば他の省庁、自治体等もあります。そういう意味で、日本という国がある時期から土建国家と呼ばれたように、そういう、地方に公共事業を行うことによって、先ほども申し上げましたが、決してそれが一〇〇%悪かったと言っているんじゃないんです。ある意味では、お金を流し仕事を流し、格差を是正することにはつながったけれども、しかし、それ自体が目的になりましたから、投資効果のないものが進んできた。

 ですから、ここのところは、まずはそういう構造の最初の原因を変えることからスタートをする、これがコンクリートから人へということだと思っております。

 その上で、あえて言えば、それ以外のいろいろな問題を精査した中で、まだ二百兆円、あるいは、いろいろな金庫の中身は全部は見ておりません、そういうものを精査した中で、本当に国民にとって必要な費用が払えないということになった場合にはそれはそれとしての議論があってしかるべきですが、少なくとも、政権交代してまだ三十日、六十日、二カ月しかたっていない中でいえば、徹底的にそのことを行うところからスタートしているというふうに御理解をいただきたいと思います。

浅尾委員 後ほど具体的な財源の提言もさせていただきたいというふうに思っておりますが、しかしどう考えても、子ども手当と例えば公共事業とを、まあ八ツ場ダムと比較しますと、子ども手当を一度始めた場合に、それをやめた場合の関係当事者の数と、八ツ場ダムの途中でやめる場合の関係当事者の数でいえば、それは圧倒的に子ども手当をやめた場合の方が関係当事者の数が多いので、そうだとすると、始めた場合には、私はこれは反対しておりませんが、しっかりとした恒久的な財源をつくっておかないと、やめられないという少なくとも認識を午前中は示されましたから、その恒久的な財源をつくった上で始められるべきだと思います。

 これは国全体の戦略ですから国家戦略室の課題なのかもしれませんが、やめられないというのであれば、恒久的な財源、後ほど提言させていただきますが、そういうものをつくった上で始められるという意気込みでよろしいですか。埋蔵金というのは、これは使い切りというふうに考えてしまえば、埋蔵金でないものでつくられるべきだというふうに思いますが。

菅国務大臣 浅尾議員も我が党のこのマニフェストをつくる過程はよく御存じだと思いますが、定常的なベースでいえば、二百兆余りの、一般財源プラス特定、いろいろな特殊法人などの財源の中から七兆円程度を捻出できるという基本的な設計で示しているわけです。ですから、基本的には、そのことが実行できれば、あるいは実行することによって恒久的な形が得られる設計になっております。

 ただ、率直に申し上げて、昨年来の、リーマン・ブラザーズに始まる世界的な経済危機の中で、まさに私たちの予想をも超えた形の、この対策すべて悪かったとは申しません。さきの内閣での、あるいはこの内閣に引き続く税収の落ち込み等がありましたので、そういう点では確かに浅尾議員が言われるように、そういうものも踏まえた長期的な考え方というのは、もう一度、そういう洗い直しの進行と並行して考えなければならないという局面にあるということは認識をいたしております。

浅尾委員 それでは、財源の提言をさせていただきたいと思いますが、私は、予算というのは省庁別とは別に費目別で見るべきだというふうに思っておりまして、民主党のマニフェストにも国家公務員の人件費二割というのが入っております。

 まず、人件費と言ったときに、今一人当たり国家公務員の方にかかる人件費が幾らなんだろうかということを調べた方がいいだろうと思いますので、私が申し上げるよりは、これは大串さんに通告させていただいておりますので、国家公務員の人件費のうちで、行政機関三十・九万、自衛隊を入れると若い人が多いものですから数字がちょっとずれてしまうので、一人当たりの三十・九万人に対応する単価は幾らになりますか。

大串大臣政務官 御質問いただきました。

 国家公務員の人件費、ベースとして、給与費と退職手当、そして年金、医療等の社会保険の負担等も含めたベースでの人件費と考えさせていただいた上で、国家公務員一人当たりの二十一年度予算での人件費は九百二十六万円、今おっしゃいました自衛官を除いた場合には一人当たり千四十三。これは退職手当や社会保険負担も含めたベースでございます。

浅尾委員 一人当たりで千四十七だと思うんです。千四十三とおっしゃいましたけれども、四十七だと。単純な割り算だと思いますので。

 いずれにしても、その一千四十万円というのは、恐らくそれだけの費用を払える民間の企業が今どれだけいるのか。先ほど、自衛官を入れた数字でいっても九百二十五万ですが、自衛官というのは三年任期とか六年任期でやめられる数が圧倒的に多いので単価が下がるということになります。

 地方の方は、では原口大臣、お願いします。

原口国務大臣 浅尾委員にお答えいたします。

 マニフェストを一緒につくらせていただいて光栄でした。

 地方の人件費総額、これは地財計画において二十二兆一千二百七十一億円と見込んでいますから、これを地財計画ベースの職員数で割った場合、一人当たりの人件費は約九百三十三万円でございます。

浅尾委員 国が一千四十七万円、地方が九百三十二万円ということで、地方の方が若干安くなっておりますが、ただ、これは、国で五兆三千百九十五億円、地方で二十二兆ですから、足すと二十七兆円。もし仮にこれを二割削減することができれば物すごい大きな財源をつくることができる。

 私は、別に高いからいけないと言うつもりはありませんが、その仕組みがどうなっているかということを幾つか調べてまいりました。

 今、JALの企業年金が話題になっておりますが、実は公務員の方は、私の解釈でいえば、企業年金が完全に二重支給になっているんです。

 これは、お配りしました資料を見ていただければと思いますが、民間の方は、退職金というのとは別に企業年金一時金というものをもらうことができます。ただし、企業年金を一時金でもらった場合には、当然のことですが、一時金でもうもらっちゃったから月々の年金はもらえないということになります。

 一方で、では年金を比較してみましょうということで、この下の方の表というのは、これは基礎年金を除いた部分、いわゆる二階建ての部分での比較ですが、月額が七万九千六百四十七というのが厚生年金の平均でありまして、それに対して公務員の方が十四万八千円ということで、かなり多くなっている。ですから、月々も多いし、なおかつ一時金でもらっているというのが二重支給の一つの例でございます。

 これはなぜ二重支給じゃないのかというと、かつて竹中総務大臣が大臣だったときの答えというのは、実は、この二枚目の方に書いてありますが、「国家公務員共済年金の職域加算部分というのは、」「国家公務員に様々な身分上の制約が課されているわけでございますので、兼業禁止とか」ということで、いわゆる年金代替ではなくて身分上の制約だというふうに答弁をいただいております。

 きょうは人事院の人事官にもお越しいただいていますが、最高裁の判例で、人事院は、要は国家公務員に身分上の制約があるから存在するということになっておりますが、その理解で間違いないですか。

原政府参考人 人事院の機能の大きな一つとして、今御指摘のありましたような代償機能の問題がございます。そのほか、公務の中立公正、そういった形がございますので、両方の意味があるものでございます。

 御指摘の点につきましては、いずれにしても代償機能という形。ただ、職域年金の問題についてのとりあえずの答えでございます。

浅尾委員 質問の趣旨は、人事院が存在する理由は、公務員は身分上の制約があるから、労働三権を中心に制約されているので、人事院が民間を調査している、そういう理解でよろしいですね。

原政府参考人 給与の問題につきましては、労働三権が制約されているということで、その代償機能として、御指摘のように調査をして勧告をさせていただく。人事院の存立の理由そのものといたしましては、そのほかに公務の中立公正といった問題がございます。大きく言えば二つの問題があるということでございます。

浅尾委員 余りかみ合った議論ではないんですが、要は、労働三権が制約されている、いろいろな身分上の制約があるので、直接交渉するかわりに、人事院がいろいろなところに調査に入って民間の実態を調べているということなんです。

 きのう調べていて、私、もう一つびっくりしたことがあります。

 実は、当然公務員の方も昇給があっていいんですが、昇給があるために、かつては勤務成績が良好な者という者が昇給にあずかれました。この良好な者の定義は何かと聞いたら、これは最近制度が変わったそうですが、かつては四十日以上の欠勤がない人、つまり、三十九日までだったら欠勤があっても昇給していた。これは、級と号で、号が上がるだけですから、級じゃなくて、資格が上がるわけじゃなくて号が上がるんですが、一回の昇給で大体五千円から六千円。そういうものも含めて、そういう制度が存在していたんです。

 公務員の改革の中で、今度は昔の一号俸を四つに分けて人事評価を入れた。これは進歩だなというふうに思ったんです。しかしながら実際は、相対的に評価をするということなんですが、人事官、その中身を、極めて良好、特に良好、良好、やや良好でない、良好でないということなんですが、この、極めて良好で評価するのは何%、特に良好で評価するのは何%、その他のところは何%か、お答えいただけますか。

原政府参考人 一般職員を対象にしてお答え申しますと、特に優秀、極めて優秀という部分につきましては一応五%を目安にしてございまして、その次のクラスは二〇%ということを目安にしてございます。したがいまして、それを合わせますと二五%の職員につきまして、極めて優秀、特に優秀という形にさせてございます。

浅尾委員 今聞かれて、ちょっとおわかりにならないかもしれませんが、今までよりも、勤務成績のいい人は給料が上がるようになりました、これは、私は進歩だと思います。五%、二〇%と決めています。私が疑問に思ったのは、良好、やや良好でない、良好でないという、残りの三クラスはパーセンテージが決まっていないんです。極端なことを言えば、今までより昇給する人の割合はふえたけれども、昇給しなくなる人は、だから、五%、二〇%だったら、真ん中をとって、残り、五〇%、二〇%、五%にすればいいんですが、下の方は区分がない。

 したがって、これは運用上の話ですけれども、ひょっとしたら、今までどおりに昇給している人たちが大多数で、特別上がる人がふえちゃった。ですから、そういうものを加えていくと、さっき申し上げた一人平均で千四十三万ということになる。

 制度としておかしいところは変えていくのが政権交代の意味だろうというふうに私は思っておりますので、まずは、これは所管が原口総務大臣になるんだと思いますが、竹中大臣が言っておられた、職域加算というものを、制度としては職域加算は企業年金の二重支給だ、少なくとも労働三権が制約されている部分については人事院が調査に入っているわけですから、その他、例えば守秘義務とかなんとかがあるから職域加算をそのまま残すというのではなくて、これは制度改革をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 ここも浅尾議員と次の内閣で何回も議論させていただいたところですけれども、私たちは民主党のマニフェストで、公務員制度改革の抜本改革、そして年金制度の例外なき一元化を実行するということにしておりまして、その中で、共済年金の職域年金額のあり方もしっかり議論して、そして適正な形にしていくべきだ、こう考えております。

浅尾委員 では確認でありますが、そうすると、政権がかわったから竹中大臣の答弁は引き継がないと。簡潔にお願いします。

原口国務大臣 竹中大臣で引き継いでいるところはほとんどないと思っています。

浅尾委員 これは、職域加算の部分だけで、恐らく年間、国、地方を合わせると一兆八千億円ぐらいのお金になると思いますので、そこを、既存の、もうもらっている方のを減らすというのはなかなか、JALの問題を見ても難しいんですが、将来にわたって例えば退職金の、退職金の話をすると、今こちらで働いておられる方、我々はもらえませんが、働いておられる方にも深く関係してくるかもしれませんが、退職金の中で、企業年金の一時金払いというところについてはメスを入れるとか、何らかのことをやっていけば、これはかなり財源をつくっていくことができると思います。

 それから、先ほど来申し上げておりますように、やはり、一人当たりの大きな、単価が一千万を超えているという現状、その中で、制度でおかしい部分についてはメスを入れるべきだというふうに思いますが、これは、全体の話は仙谷大臣になるんですか、その決意を伺って多分時間になってしまうんじゃないかなと思いますが、伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 公務員制度改革の問題でありますが、なぜ昨年の基本法の成立以降頓挫しているのか。つまり、一年半ぐらい、内閣人事局の中身をどう設定するのかという極めて重要なことを含めて頓挫をしているというふうに私どもは考えております。

 このことは、今事業仕分けもしておりますけれども、つまり、公共サービスとして届く、官の我々が官僚の皆さん方と一緒に行う仕事の範囲というか中身というか、そういうことも、それは大変重要なことだと思いますが、それを担う官僚の方々の位置づけ、評価ということも、まさに給料とか報酬とかいう格好で返るわけですが、つまり、権利性を帯びるわけでありますが、ここを抜本的に変えなければならない。

 変えるについては、当然のことながら、今浅尾先生がおっしゃったような中身に変えていくしかない。つまり、官の世界のモラルハザードをなくして、我々、霞が関のV字回復、こう言っていますが、そういう霞が関をつくるためには、そういう人事評価、業績評価ということを当然入れ込まなければならない。

 そこでどうも障害になっているのは、今の代償措置としての人事院制度というのが真ん中の部分で問題になっているのではないかというのが、この間の公務員制度改革を横から見ておりました感覚、感じであります。

 そうだとすると、労働基本権をちゃんと認めることによって、戦後長く続いてきたこの人事院制度というものについて、改めて人事院の機能を限定的に考えることができるとするならば、やはりそういう抜本的なところから考えていかなければ、この問題は結局ぐるぐる回りになったり膠着状態になって、官庁間の綱の引き合いにしかならないんじゃないか、そういう総括的な考えを持っておりまして、さあ、そういう抜本的な改革を目指してどこから手をつけるか、今一生懸命考えておりますので、そのうち浅尾先生にも御相談に参りますので、御指導をよろしくお願い申し上げます。

平野国務大臣 今のところは私にも関連をいたしますから少し御報告いたしますが、浅尾さんとはカレーを食う仲間でございましたから、大変、こういう立場で答弁するというのは奇怪でございます。

 今言われましたように、特に私は民間で育ってきた立場からいきますと、やはり、人事評価というものはめり張りのある評価制度をやらなきゃならない。本年度から一部実施をしておりますが、もっとめり張りのある評価をしなきゃならない。

 こういう意味で、先ほど、朝も御質問ございましたが、天下りの問題等々ございますので、先ほど仙谷大臣が御答弁申し上げましたが、公務員制度を抜本的に改革する、その中に、いろいろな、職域の問題も含めて私は改革をする、これが鳩山内閣だ、こういうふうに御理解をいただきたい、この決意を述べておきたいと思います。

浅尾委員 時間が来たので終わりますが、ぜひ、人事院制度の抜本改革、御答弁、そこは私も根幹だと思っていますので、取り組んでいただきますようにお願いしまして、また、山井政務官、当てませんで申しわけないということを申し上げて、終わります。

田中委員長 次回は、来る二十日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十五分散会


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