衆議院

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第3号 平成22年3月12日(金曜日)

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平成二十二年三月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      石毛えい子君    泉  健太君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      大島  敦君    岡島 一正君

      笠原多見子君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    笹木 竜三君

      田村 謙治君    津村 啓介君

      寺田  学君    道休誠一郎君

      中島 正純君    橋本 博明君

      藤田 憲彦君    古川 元久君

      渡辺 義彦君    甘利  明君

      小渕 優子君    金田 勝年君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      橘 慶一郎君    中川 秀直君

      長島 忠美君    塩川 鉄也君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)

   (公務員制度改革担当)

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  荒井  聰君     藤田 憲彦君

  園田 康博君     道休誠一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  道休誠一郎君     笠原多見子君

  藤田 憲彦君     荒井  聰君

同日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     園田 康博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 きょうは、枝野大臣に最後に質問をさせていただこうと思ったんですが、九時三十五分ぐらいには参議院の集中審議に伺わなければいけないということで、前半は枝野大臣中心にお伺いをしたいと思います。

 さて、政権交代が起きてから半年近くがたちました。私にとっても、国会議員になってから半年近くということですが、ここで改めて、政権交代の象徴とも言えるマニフェストについて振り返ってみたいと思います。

 きょうは、皆さんのお手元に、資料としてマニフェストの最初の三ページをお配りさせていただきました。最初の資料から三枚ぐらいめくっていただくとマニフェストが載っていますが、基本的なことからお伺いをしたいと思います。

 まず、仙谷大臣、政治主導の中核を担う国家戦略担当大臣として、仙谷大臣はマニフェストのことをどういうものだとお考えですか。

仙谷国務大臣 私の記憶では、二十一世紀臨調、その中で活動されていた北川正恭さんとか佐々木毅さんとかが言い出したというか、提唱を始めたのがマニフェストだったと思います。

 思い起こしますと、私が初めて選挙に出たとき、そして活動を始めたのは一九八九年、例の土井たか子さんのマドンナブームがその参議院選挙で起こったと言われたわけでありますが、そのときに自民党は、例の消費税問題とリクルートスキャンダルで大揺れに揺れておりました。

 特に、消費税問題については、党は消費税を強行採決等々しながら通したわけですが、与党としての自民党はそういう立場。だけれども、参議院選挙になると、ほとんどの候補者が、それから、その次の衆議院選挙の候補者が、自民党の場合、いや、おれは消費税反対なんだ、あるいは、消費税棚上げだと。

 要するに、政党と財政経済政策あるいは税に関する政策で違うことを皆さんおっしゃる。あるいは、リクルート問題についても、政治と金の問題についても、全く違うことをおっしゃったわけですね。僕は鮮烈に覚えていますが。私どもも新聞も、自民党は、自民党じゃなくて自分党なんだ、一人一人が違う政党なんだ、こういう話が巷間流布されたわけであります。

 これは、別に自民党だけがそうではなくて、そこから議席を得て活動が始まって、いろいろ考えてみますと、やはり、議会制民主主義のもとでの政党、議院内閣制のもとでの政党というのはどうでなければならないのか、しかし、にもかかわらず、一人一人の議員というのは一国一城のあるじみたいなものですから、そのポジションとどう整合性をとるのかということが大変難しいなと。

 こんなことを言ってはなんですが、レーニン主義の政党というか、中央のグリップが非常に強くて、そこの政治局が非常に強い政党というのがございます。つまり、どちらかというと党の政治局の局員の方が議員バッジをつけた議員よりも偉いというか、影響力があるというような政党も、別に、歴史的にもそういうのはありますし、日本でも全くないわけではない。

 その中で、政党に規律性を持たせるというか、特に政権運営をする政党は、四年間はこれでいくんだよ、泣いても笑ってもこれでいくんだよというある種の誓約を政党人というか議員候補者がして、それを国民に問う、そのことで国民から御支持をいただければ、それの実現に邁進をする。

 これは、自分党である部分を否定してかかるというのがマニフェストだ、私はそういうふうに理解しております。

小泉(進)委員 いつもと変わらず、懇切丁寧な御説明をありがとうございます。

 次に、同じ質問ですが、枝野大臣にお伺いをしたいと思います。枝野大臣にとってマニフェストはどういうものですか。

枝野国務大臣 私は、たまたま、いわゆるマニフェスト選挙ということをマスコミ等で言われた最初の選挙のときに党の政調会長を務めておりまして、民主党のマニフェストの取りまとめをさせていただきました。

 その経験も踏まえて申し上げると、やはり、今仙谷大臣がおっしゃられたとおり、政党が議院内閣制のもとで、個々の議員候補者としてのそれぞれの思いや約束も有権者と皆さんとの関係で当然あるというふうに思いますが、政党として、特に政権をねらう、目指す政党として、それぞれの議員にはそれぞれの思いがあるけれども、このことについては政党として一致をしてお約束し、そして推進していくんだという、ある意味では党内ガバナンスといいますか、議会制民主主義の中におけるガバナンスの一つのあり方として、マニフェストというのは大変有用なものであるというふうに思っておりまして、そうした考えに沿ってこの政権も動かしているし、いかなければいけないというふうに思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 仙谷大臣のお話の中に、マニフェストといえば北川正恭さん、この方のお名前がありましたが、私もきのう、北川さんのオフィシャルウエブサイトを拝見させていただきました。そうすると、右側に「マニフェスト教室」というものがあって、そこをクリックするとそっちの方に飛べるようになっているんですけれども、マニフェストについての基礎知識が学べるようになっております。その中によりますと、マニフェストの基準として、こう書いてあります。事後検証可能、実現可能性があり、ビジョンがあり、数値目標、財源、期限、工程が示されていること。

 それでは、お手元のマニフェストをごらんください。二ページ目には、わかりやすい工程表が、四年目までの工程表が載っていて、そこには達成年度も入っております。そして、次の三ページ目を見ますと、そこには財源が書いてあります。国の総予算を組み替えて九・一兆円、埋蔵金などで五兆円、租税特別措置などの見直しで二・七兆円、合わせて十六・八兆円です。これでマニフェスト実現の必要経費は確保できるということです。言いかえれば、マニフェストを実現するためには何としてでもこの十六・八兆円を生み出さなければいけない。

 そこで、非常に大切になってくるのが無駄の削減、無駄をなくすということだと思うんです。

 無駄撲滅を担う担当大臣、行政刷新担当大臣の枝野大臣ですが、国の総予算二百七兆円を組み替えれば、その一割ぐらいに当たる二十兆円ぐらいは簡単に出てくる、こういう主張が当初の民主党の主張でした。その主張に基づいて考えれば、マニフェストの主要項目を実現するための十六・八兆円、この額を見つけるのは難しいことではない、その一割の範囲内、そういうことになると思うんです。

 改めて、財源が示してある三枚目のマニフェストのページをごらんいただきたいんですが、総予算二百七兆円を効率化して出てきた節約額、一番大きい部分が六・一兆円の部分です。これが何かというと、簡単に言えば、天下りのいる独立行政法人、特殊法人、公益法人などの見直しです。つまり、来月そして再来月と二段階で実施されると伺っておりますが、行政刷新第二弾の事業仕分け、このテーマとなるわけです。

 そこで、枝野大臣にお伺いをしますが、第二弾事業仕分けの目標達成額、それはこの六・一兆円のうちのお幾らですか。

枝野国務大臣 よくそのお尋ねをいただくんですが、実は、二つの意味で、事業仕分けそのものでの目標金額はございません。

 一つは、事業仕分けというのは、まさに文字どおり仕分けるわけですから、有効なものと有効でないものとを仕分ける。目標金額があって、そこに達しないから有効なものまで有効でないと仕分けてしまってはいけないわけですし、目標額に達したからといって無駄なものを生かしてしまってもいけないという意味で、事業仕分けに目標額を設定するというのは、事業仕分けの趣旨からもないだろうと思っています。

 それから、もう一つは、御指摘いただきましたとおり、独立行政法人や公益法人の改革等の庁費、委託費、施設費、補助金といったところから六・一兆円を二十五年度までには生み出していくということをお約束しているわけでありますが、事業仕分けでそれをすべて行うわけではございませんで、事業仕分けで、特に今度は、昨年の経験も踏まえて、個々の事業を仕分けると同時に、そこで無駄が生まれているもとになっている制度の問題点もあぶり出して、独立行政法人制度全体の改革、あるいは公益法人と政府との関係についての大きな枠組みを変えるということの出発点にしたいというふうに思っておりまして、そうしたことをトータルした結果として、こうしたところに流れている予算にメスを入れる。

 さらには、いわゆる天下り問題と絡んでいるところでございます。この天下りの実態、実情をさらに事業仕分けを通じて明らかにすることによって、その実態を踏まえた公務員制度改革へとつなげていき、これは仙谷大臣が担当ですが、そのことでもまたさまざまな予算の縮減につなげていくということでございますので、一個のことを取り上げて、これで幾らということではないということは御理解いただきたいと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 大臣の目標達成額は決めないというこのスタンスは、今までの発言録を見ていますと大変一貫をしておりますので……(発言する者あり)一貫しています。

 それで、大臣のスタンスは一貫をしているんですが、マニフェストにはこうやって、独法、特殊法人、公益法人から六・一兆円を四年間の中で生まなきゃいけない、これははっきりと書いてあるんです。ですから、第二弾の事業仕分けで幾らの財源が見つかるかは別にしても、この六・一兆円というのは必ずひねり出さなければいけない。六・一兆円は、事業仕分けの第二弾で対象になる独法、特殊法人、公益法人等の見直しからひねり出す、これをはっきりマニフェストの財源の部分で書いているわけであります。

 ですから、今回の事業仕分けで一気に六・一兆円を見つけるのは無理だとしても、四年後には必ず六・一兆円は見つけなければいけない、それは大臣も共有の御認識だということを先ほどの発言で私も感じたところでありますが、だとしたら、四年後までにこういう工程で六・一兆円の財源を見つけますよというロードマップ、工程表みたいなものを作成されてはどうですか。

枝野国務大臣 まず、正確に御理解をいただきたいと思いますが、独法、公益法人だけで六兆円ではなくて、庁費等、委託費、施設費、補助金、トータルした中で六・一兆円を生み出すということでございますので、金額的には補助金、補助金の中にはもちろん独法等への補助金も入っておりますが、それ全体であるということは御理解をいただきたいと思います。

 御指摘のとおり、ロードマップをできるだけ早期に、具体的にお示しするということが望ましいというふうに私も思っております。

 ただ、まさに今、事業仕分けでやっていることの一つが、実態をより細かく、具体的に把握する。つまり、政権の外側から、おおむねこういうことだろうということで把握をして、おおむねこれぐらいの額は少なくとも出るはずだということでマニフェストをつくっているわけでありますけれども、実態を正確に把握して、そしてそれを踏まえた形で作業を進めていくということが必要だというふうに思っておりますので、もちろん、四年間で十六・八兆円、歳出の削減では九・一兆円という目標をしっかりと見据えながらも、その実態把握の状況を踏まえながら、進行といいますか、段階を踏んでいきたいというふうに思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 大臣も、ロードマップ、無駄削減の工程表があることの方が望ましいという共有の認識をお持ちいただいていることは大変うれしく思うんですが、マニフェストの工程表がある、だとしたら、それにあわせて無駄削減の工程表も示す、これほど国民の皆さんにとってわかりやすい四年間の工程はないと思うんです。だからこそ、このマニフェストに十六・八兆円の財源を見つけるとはっきりと書いてあるんですから、四年間のうちでどうやって無駄をなくしていくのか、その過程も示していただきたいと思います。

 それが、民主党の政権交代で起こされた、ある意味象徴的な、公開と透明性、これに何よりも資するのがマニフェストの工程表、そして、それとあわせての無駄削減の工程表、この二本柱が非常に大きな意味があると私は思っております。そういう望ましい認識がおありでしたら、このロードマップ、ぜひ早期に御検討をいただきたいと思います。

 そして、十六・八兆円、二百七兆円の中からは九・一兆円ですが、この九・一兆円にしても、埋蔵金の五兆円にしても、これは一回限りで見つければそれで終わりのものではないんです。四年後、二十六年度から毎年この十六・八兆円を生み出さない限り民主党の政策は継続不可能になってしまう。独法や特殊法人や公益法人を一度見直してどれだけ財源を見つけても、そこからまた毎年同じ額を見つけなければいけない。そして、埋蔵金にしても、財投の特会から今回四・三兆円、全部一般会計の方に繰り入れてしまった。つまり、来年からはそこまでの額はないわけです。埋蔵金五兆円、これを一体どうやって毎年生み出していくのか。

 私は、この十六・八兆円を四年後から毎年生み出すということに対する大臣の自信、これは揺らいでいるんじゃないかと思うんです。大臣にその自信がおありかどうか、お示しください。

枝野国務大臣 恐れ入ります。

 九・一兆円は、いわゆるフローの金として、削減をしたら予算を新たにそれ以降つけなければ毎年その九・一兆円は下がっていく、こういう認識でございます。

 それから、五兆円については、四年間トータルで掘り出したもの五兆円を使うということでございまして、埋蔵金はゼロということになるのかどうかといったら、ゼロの定義によるかもしれませんが、これは一回限りであるということを前提に四年間でトータル五兆円を掘り出すということでございますので、それで全体としてのマニフェストの推進はできる、こういう組み立てになっているという認識をしています。

小泉(進)委員 大臣は、行政刷新担当大臣、言いかえれば無駄削減担当大臣とも言えると私は思うんですが、来月そして再来月、四月の後半、五月の後半と第二弾事業仕分けが行われる予定だと思いますが、第一弾、第二弾、このテーマにかかわらず、まず大前提として、事業仕分けで取り上げる対象というものはどういったものを考えておられますか。

枝野国務大臣 事業仕分けは、使っている事業、行われている事業を事後チェックすることによって、そこで使われた税金が効率的な使われ方なのか、あるいは、それを使っていく仕組みが非常に合理的なものなのかということをチェックするという趣旨でございまして、過去に行われた事業、過去に行われた税金の支出を対象にしまして、その中から何を選ぶかということは政治判断でございますが、昨年の事業仕分けは、初めてのことということもありまして、かなり網羅的に、総花的に行いました。

 そこでの経験を踏まえると、やはり制度改革につながっていくようなことをしていかなければならないだろう。制度改革につなげていくということでは、昨年の事業仕分けでもやはり一番大きなポイントでありましたし、国民の皆さんの関心も大きいと思いますし、額の大きさも大きいかなと思いますし、あるいは、先ほどちらっと申し上げました公務員制度など他の制度改革にもつながっていくということもありますので、今のところ、独立行政法人と、政府から支出等のある公益法人というところにターゲットを絞って、そこで行われている事業を中心に選定をいたしております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 大臣は、かねてからこういうふうにおっしゃっているんです。事業仕分けの対象となるべきものは特に問題が明確でわかりやすいということが想定できるもの、そして、事業仕分けを通じて税金の効率的な使い方という国民の目線で仕事を進めていきたい。この二つの大臣の主張はわかりやすく、私も全くの共感なんですが、事業仕分けが国民の共感を呼んだのも、これを伺うと当然のことだと思うんです。

 そこで、私から大臣に御提案なんですが、第二弾はもう準備に着手をしておりますので、そのまま来月、再来月とお進めになるのが当然だと思うんですが、その次の第三弾でぜひやっていただきたいことがあるんです。それはマニフェストの事業仕分け。大臣、いかがですか。

枝野国務大臣 今も申し上げましたとおり、事業仕分けは、過去に行われた事業の実績に対して評価をしていくというものでございます。したがいまして、マニフェストの項目は、昨年の補正で若干あったかもしれませんが、今参議院で御審議をいただいている予算案が予算として成立をしますと、四月から執行されるということになります。

 その予算の執行状況については、実はこれはきのうの行政刷新会議で決定をしたんですけれども、行政事業レビューという形で、各府省内でも事業仕分けの手法を生かして、きちっと事後に、その使われた事業が効率的、効果的に行われたのかどうかということを検証していくことを導入するということを決めました。

 したがいまして、マニフェストの項目であるかないかにかかわらず、いずれにしても、これが二十二年度予算からですから、二十三年度には、少なくとも、各府省内における行政事業レビューの中で、それぞれの府省で使われた予算、そこで行われた事業について事業仕分け的手法を生かしたレビューが行われることになっていくというふうに理解しております。

小泉(進)委員 大臣は過去のものを事後チェックと言いましたが、私はそれは大臣御自身のとらえ方だと思うんです。別に、事業仕分けにかけるものを過去のものの事後チェックに限る必要はない。大臣がおっしゃったとおり、事業仕分けの対象となるものは特に問題が明確でわかりやすい、そして、税金の効率的な使い方を国民目線で進めること。マニフェストの項目こそ、特に問題が明確でわかりやすい、税金の効率的な使い方を考えるべきじゃないですか。

 例えば子ども手当。この子ども手当にしても、財源は見つからない、政策目的はあいまい、裕福な人にまでばらまく、こんな三点セットがそろっていたら、私は、きっと、事業仕分けにかけたときに、見直すべき、もしくは、実施するとしても所得制限をかけるべきという評決が下ると思うんです。大臣、いかがですか。

枝野国務大臣 事業仕分けについて先ほど申しました定義といいますか、それは私が申し上げているというよりも、事業仕分けは、実は、国で行ったのは昨年が初めてでございますが、もう五年以上にわたって地方公共団体の中では進められてきた手法でございます。その手法を国ベースでも生かせるのではないかということで取り入れさせていただいたと。

 この事業仕分けの一つのポイント、ポイントは幾つかあります。公開性とか、それから、その場で決めるべきだ、だらだら引っ張らないで決めるべきだ、一定の方向を決めるべきだとかいろいろあるんですが、そもそも、行われた事業が本当に効率的に行われているのかということを検証するための手段としてこの事業仕分けという仕組みが効果的、効率的であるということで、こういった制度が地方で行われてきた、こういう経緯でございますので、私が申し上げたわけではありません。

 それから、もちろん、すべての政策項目についていろいろな議論がなされることは当然だというふうに思っております。例えば、マニフェストでお約束をした項目というのは、それこそ、まさに政党が政党同士、それぞれのマニフェストの正当性を主張して選挙を行ったわけでありますので、例えば国会の場などを通じて、政治家同士の、政党間での御議論の中で方向性が決まっていくという性格のものではないかと私は思っております。

小泉(進)委員 私は、政権交代が起きた意義というのは、今までの考えやしがらみにとらわれないで、思ったことをずばっと政治家のリーダーシップでやることだと思っているんです。

 ですから、この事業仕分け、もともと地方の公共団体でやられていたとは思いますが、それがたとえ事後チェック、過去のものに対するチェックだとしても、やはりただすべきはただす、こういう事業仕分けがあってもいいんじゃないか、そういうアイデアで、大臣には柔軟にやっていただきたいんです。それこそが、ああ、民主党は変わったな、政権交代って本当にすごいな、そういうふうに思うから、私は、このマニフェストのことも事業仕分けにかけて、国民の皆さんの前で、平場で、本当にこのまま実行すべきかどうなのか、財源の問題も含めて明らかにしていただきたいと思っているんです。

 私は、事業仕分けはいいと思うんです。自民党でなくすことができなかった無駄をなくしてくれれば、それは自民党であろうと何党であろうと協力をすべきことだと思っていますから、私は別に非難をしているわけじゃなく、エールを送っているんです。

 大臣が先日おっしゃいましたこと、そしてきょうも先ほど軽く触れておられましたが、私はすばらしいと思うんです。大臣はこう言いました。事業仕分けだけでは財源は出てこない、そこで明らかになった問題点を法改正や制度改革につなげていくことによって無駄を削る、財源を生み出す。私は、これこそ事業仕分けのまさに真髄、本質だと思うんです。

 しかし、きのう、行政刷新会議が大臣御就任後初めて行われたと思いますが、私はその様子をテレビで見ていました。そうしたら、鳩山総理大臣がこうおっしゃいました。事業仕分けは新政権の極意だと。私は、どういうことを言っているのかなと思ったので、広辞苑を調べて、極意という言葉を調べてみました。極意、「物事の核心。」。総理大臣が事業仕分けが新政権の極意と言うことは、新政権の核心は事業仕分けと言っているんですね。

 私は、総理大臣がそれだけ事業仕分けに期待をされ、また、頼っているのであれば、総理大臣御本人が事業仕分けに出てくればいいと思うんです。それで、マニフェストを守るのが総理大臣、面と向かっているのが枝野大臣や蓮舫議員。そして、マニフェストの正当性を、総理大臣が、だからやるんですと。そして、枝野大臣、蓮舫議員が、ここはどういうことですか、そういう質問をして、本当にこれは三党連立の中で進めていくべきなのか、そういうマニフェスト事業仕分け、私は、きっと国民の皆さんは喝采を送ると思いますよ、理解をしてくれると思いますよ。これこそ一番期待をされている事業仕分けの対象となるべきもの、それがマニフェストの主要項目だと思うんです。

 さっき私が子ども手当の例を挙げましたが、私は、子ども手当だけじゃなくて、高速道路の無料化もぜひそういうオープンな場で事業仕分けにかけていただきたいと思うんです。どこの路線、どこの区間が、なぜただになるのか、これはわかりませんよ。だから、平場で、なぜこの路線が対象なのか、なぜこの区間がただになるのか、これを、だれもがわかりやすい形で、インターネット中継でも見られて、そういう形でやることが何よりも公開とまた透明性を持ったやり方だと私は思うんです。

 大臣、マニフェスト事業仕分け、この実現に対する御決意また意欲をお伺いさせていただきたいと思います。

枝野国務大臣 事業仕分けというものの本質といいますか、そこは、外部の素朴な視点で、個々の事業をミクロで見て、それを公開の場でやりとりすることによってその事業の必要性等について判断するというところにございます。

 実は、昨年の事業仕分けでも、例えば原発立地交付金を取り上げました。ただし、原発政策全体がいいのかどうかということは、事業仕分けの場で議論することではありませんということで整理をしました。それは、ああいった少人数の、外部の皆さんを中心とした一時間の議論で一定の方向性を出す種類のものではなくて、これは、多数決民主主義、つまり議会や内閣の場で直接議論をする性質のものである。あるいは、例えば地方交付税交付金の総額の水準をどうするのかとか、診療報酬の総額をどうするのか、こうしたことは大変重要なことであるし、公開の場で議論をするということは大変重要なことでありますが、あの事業仕分けのような手法をもって議論をする性質のものではないということです。

 実は、一部、そういったことを御期待されて、原発立地交付金の議論のときとか、それから沖縄の米軍の駐留軍労働者の勤務条件とか、こういったことについては、いわゆる政治マターといいますか、そのことの議論を期待されてこられた方が結構いらっしゃって、何でそれを議論しないんだという御批判もいただいたんですが、まさに、そういったことは議会という多数決民主主義の場で行われるべきだというふうに思っております。

 そうした意味では、マニフェストで示した、特にマニフェストの重点項目で示した政策を事後に評価、チェックするということは、内部的にはあり得ると思うんですが、それがいいことなのかどうかというのは、まさに、現に今も国会の公開の場で、インターネット中継もすべてされているところで皆様方からも御質疑をいただいて議論をしているということでございますので、公開、透明な場で議論をするという事業仕分けの一つの柱の部分のところは確保されている。それ以外の部分のところは、実は、今申し上げたような理由で事業仕分けという手法にはなじまないということです。

 最近、事業仕分けと言えないようなものも何とか仕分けということで、一種、我々の立場からすると便乗されているようなところがあったりして、事業仕分けという以上はこういうことのルールは守ってくださいと。そうでないと、事業仕分けのよさが失われてしまって、むしろ悪用されてしまうということもあって、実はきのうの行政刷新会議でも、少なくとも政府の中で事業仕分けとか、仕分けを名乗る以上はこういうことはちゃんと守ってくださいということの原則を改めて確認したところなんです。何でもかんでも事業仕分けと言ってしまうと、よさがむしろ失われてしまっていると思っています。

 ぜひ、国会の場で、公開の、透明の議論を積極的に進めていただければというふうに思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 そういう事業仕分けの便乗を許さずに、ルールを守るべきだとおっしゃるのであれば、ぜひ第二弾、そしてそれ以降、しっかりと、大臣そして蓮舫議員と向かい合うのが官僚や独法の皆さんではなくて、関連した省庁の政務三役、政治家同士で、第一弾ではできなかった形でまさに政治主導の姿を見せていただきたいと思うんです。

 そして、マニフェストが事業仕分けの対象には当たらないというのは、私はそれが当たらないと思うんです。私は、それだけ事業仕分けにかける意味があるし、また正当性もあるものが子ども手当や高速道路の無料化だと思っています。

 そして、今の民主党の議論を見ていると、やはりこんな規模のマニフェストはできないんじゃないか、そういう思いが民主党の議員の中でも生まれていると思うんです。ですから、私は、国民の皆さんが、マニフェストを修正する、その理解を示しながら、皆さんもマニフェストを修正するチャンスがある、まさにそういうチャンスを生んでくれるのがマニフェスト事業仕分けじゃないかと思っているから、あえて、マニフェスト事業仕分けをやってください、国民もきっと理解してくれますよと言ったわけであります。

 大臣、そろそろテレビ中継の参議院予算委員会がありますので、これで結構です。おつき合いいただきまして本当にありがとうございました。

 それでは、ここからは福島大臣にお伺いをしたいと思います。

 マニフェストの中で最も国民の関心が高い、ある意味、私はマニフェストの看板と言ってもいいと思うんですが、子ども手当についてです。

 前回の内閣委員会でも私は大臣に質問をしたんですが、私はやはり所得制限はかけるべきだと思っているんです。簡単な理由です。足りている人にお金をばらまく必要はない、それだけなんです。大臣、当初、大臣は所得制限に対して前向きな思いをお示しになられていましたが、今、大臣は所得制限に対して賛成ですか、反対ですか。

福島国務大臣 子ども手当について、すべての子供を応援するという立場から、所得制限を設けなかった今度の制度でよいというふうに考えています。

 というのは、御存じのとおり、諸外国でも子ども手当は所得制限を設けていません。貴重な財源をどう使うかというのはもちろん大事なことなんですが、やはり政治がすべての子供を応援するということは必要だというふうに考えています。ですから、子供担当大臣としては、すべての、ユニバーサルな観点からの子供支援策と、困難を抱えていたり問題を抱えるところをどう支援するかというところと、両方しっかりやっていきたいと思っております。

小泉(進)委員 前回の質問でも大臣は、私が所得制限をかけるべきだと言ったことに対して、所得制限をかけない理由の一つに、そこにかかる事務コスト、これをおっしゃったんです。

 私は質問主意書を今提出していますが、その主意書の閣議決定は来週の火曜日ということですから、今お尋ねをしたいと思います。所得制限をかけるための費用はお幾らと見積もっておられますか。

福島国務大臣 おっしゃるとおり、所得制限をかければ、そのための事務費のコストがかかります。

 具体的に試算をしているわけではありませんが、児童手当に関して一般財源化をする前のおおよその費用は、大体百億円ほどだというふうに言われております。ということで、定額給付金のときもそうでしたけれども、今度の子ども手当も、収入を全部自治体で実際は突合していかなければならない。そのための手間暇、エネルギー、割かれる時間、それからコストもやはり大きいもので、それも考慮したうちの一つだと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 大臣、私は、大臣の御姿勢は不誠実だと思いますよ。前回の質問でも、私は所得制限をかけるべきだと言いました。そして、大臣のお答えは、それの制限をするのにかかる事務コストを理由に掲げられておりました。しかし、ではそれがどれぐらいコストがかかるのか、それはおっしゃらなかった。

 おとといの内閣委員会のこの質疑、自民党からは小渕議員が立ちました。小渕議員も、所得制限をかけたらいかがですかと大臣に言いました。大臣の返答は、私に対するものとほぼ同じ。所得制限があると、事務経費や、毎年毎年その捕捉も含めて大変ですと。しかし、では、大変だと言っている事務コストがどれぐらいかかるか、大臣は一向にお示しにならないじゃないですか。私は、そういう態度は大変不誠実だと思うんです。

 もしも所得制限をかけないんだったら、そして、その理由の一つが事務コストが大変なんですというのであれば、こちらを納得させるために、これぐらいかかるから大変ですよ、わかりますか、だから所得制限はかけません、そういうふうにおっしゃるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

福島国務大臣 市町村の事務費が一般財源化される前の、今は一般財源化されておりますので、一般財源化される前の平成十五年までは、国と市町村の事務費を合わせておおむね百億円程度です。そのうちのまた所得制限のためのコストですから、莫大というわけではないかもしれませんが、事務費のコストがかかる。ですから、これはやはり、かかるということも一つの理由です。

 ですから、具体的に、細かく試算はしておりませんが、事務費のコストは間違いなくかかります。

小泉(進)委員 大臣、そんなの当たり前じゃないですか。事務コストがかからない制限なんてどこにありますか。そんなの詭弁ですよ。大臣は、要は、事務コストがかかるから、お金がかかるから所得制限はかけない、そんなことを言っていますが、そんなの逆ですよ。所得制限もかけないでばらまくからお金がかかるんですよ。全然論理が逆ですよ。

 今、児童手当の支給制限、これは小学校六年生まで。それで、現行の児童手当の事務の執行に要する国庫負担額は、大臣は、約百億円、そういうふうに……(福島国務大臣「今ではありません、平成十五年」と呼ぶ)平成十五年、大体百億円。

 それでは、児童手当の支給総額はお幾らですか。

福島国務大臣 平成十九年で九千七百五十一億円です。

小泉(進)委員 ということは、約一兆円ですよ。それにかかる事務コストは、大体その百分の一ですか。百億円。全然、支給総額から比べれば、はるかに小さい額じゃないですか。そして、そのコストを所得制限をかけない理由の大看板に持ってきて、コストがかかるから大変ですと言って、しかも、その試算も財源もコストも示さない。私は、これは不誠実だと思いますよ。

 所得制限をかけないという主張は、私は全然構わないと思うんです。ただ、私の主張は、所得制限をかけるべきだという主張。そして、私の主張をつぶすのであれば、それに足るデータを、そして論理を私にぶつけるべきじゃないですか。それを示さないで、いや、それは大変だからできませんよと。確かに新人ですから、新人みたいな私にそんなデータまで用意することはないかもしれない。でも、私が所得制限をかけるべきだと言って、小泉さん、間違っていますよというのであれば、それに足るしっかりとしたデータを私は出してほしいと思うんです。それは当然のことだと思うんですよ。

 私がなぜ所得制限にこだわるかといえば、裕福な人にまで配る分のお金を削減すれば、ほかのいろいろな子供施策、子供支援策ができるじゃないですか。

 そこで、お配りをした資料をごらんいただきたいと思います。

 これは、一月二十九日の日付で作成された、政府の子ども・子育てビジョンの施策に関する数値目標です。認可保育所の利用数を、二百十五万のところ、五年後までに二百四十一万人、そして、延長保育、休日保育、病児・病後児保育もふやす、放課後児童クラブもふやす。

 そして、次の資料をごらんください。これは三枚ぐらい後ですね。色がついているものです。これらの数値目標を達成するための経費を出したのがこの一番最後の資料です。これは、子ども・子育てビジョンの巻末に参考として載っているものです。

 見ていただければわかりますが、認可保育所等に三千億円、放課後児童クラブに三百億円、育児休業給付に一千五百億円、病児・病後児・休日・延長保育等に二百億円、これら主要な子育て支援サービス給付の拡充に必要なコストを合わせて約七千億円、〇・七兆円。子ども手当、現金のばらまきは五兆三千億円。

 この資料を見て、私は改めて思いましたよ、やはり子ども手当は満額実施すべきじゃない、所得制限はかけるべきだと。だって、そうじゃないですか。ただ現金をばらまくよりも、サービスや現物給付にも支援が行くような、バランスのいい子育て、子供支援、この方がいいに決まっているじゃないですか。大臣は、子ども手当の必要経費を七千億円圧縮すれば、ここに書いてあることすべてできるんですよ、七千億円削っちゃえば。私は、ばらまきよりも、よっぽどその方がバランスのとれたいい子育て、子供支援だと思いますよ。

 きのう、東京都の文京区の区長さんが育休をとられるという宣言をされて、私もすばらしいと思ったんです。でも、そのニュースを見ていたら、拍手をする人だけじゃない。その区の中で、役所の中でも、男性の育休取得率は〇%なんですね。そして、女性は九〇%以上だけれども、男性の育休取得率は一・二三。

 この流れを、男性も育休がとりやすくするためには、育休をとりやすくするための支援策も、制度設計だって必要じゃないですか。子ども手当にばらまくよりも、現金ばらまきだけじゃない、こういう決断をされた方が、これから後に続くような制度、そのための支援だって、子ども手当のばらまきを少し削減すれば、その分だって充てられるじゃないですか。私はそういうふうに思うんですよ。

 大臣、この子ども手当の五・三兆円の経費と、この最後にある子ども・子育てビジョンの追加所要額の経費七千億円、これを合わせたら六兆円ですよ。これだけやるために、消費税三%ぐらいこれはかかるんですよ。だから、子ども手当、裕福な方に現金をばらまく必要はないじゃないかと私は思うんです。そして、皆さんは、これは恒久的な制度でやると言っています。しかし、毎年五・三兆円、ばらまきですよ。

 そして、私、この前、小渕大臣と大臣のやりとりを速記録で読んで改めてびっくりしたんです。大臣は子ども手当の所得制限をかけないことを何と言っているか。子ども手当はすべての子供に支給するユニバーサルサービスだと言っているんです。私、ばらまきのことをユニバーサルサービスというのを初めて聞いたんです。そして、この前、本会議では、ちょうど原口大臣もこちらに到着されましたが、遅刻されたことをヒューマンエラーと言った。遅刻をヒューマンエラー、そして、ばらまきをユニバーサルサービス。遅刻は遅刻、ばらまきはばらまきだと私は思いますよ。

 だから、大臣、ぜひ、所得制限をかけないという理由、ちゃんと私は質問主意書も出しています。ですから、所得制限はやらないという十分に足るデータ、所得制限をかけるための事務コスト、これをちゃんと出してください。そして、所得制限をかけるべきだと言っている私を論破してください。よろしくお願いします。

福島国務大臣 子ども手当の趣旨をやはり御説明したいと思います。

 諸外国がなぜ所得制限をかけていないか。それは、子供たちに対して、一人一人をやはり応援するというものだからです。この間も言いましたが、スウェーデンの教科書だと、自分がもらう子ども手当をどう使うか。

 やはり、経済的支援を一番してほしいというのが若い人たちのアンケートで出ています。

 小泉さんは神奈川在住、私も神奈川ですが、確かに都会は現物支給の要求が多いので、その声にもしっかりこたえていきたいと思っています。

 きょう、この質問をしていただいて大変ありがたく、私もきょう神奈川の保育園の視察に行きますが、前政権に比べてはるかに多い現物支給を今度の予算で計上しております。そのための予算獲得をいたしました。安心こども基金、補正予算で二百億円プラスをしています。また、学童クラブは四十億円プラスをしています。保育園についても、これは今回の予算案で、前政権よりははるかにつけています。これは頑張って予算をつけたんです。子供にかけるお金をきちっと予算で獲得する、そのために子供担当大臣としても頑張りました。おっしゃるとおり、いろいろな人を応援する必要がある、だからこそ、生活保護の母子加算の復活と、児童扶養手当の父子加算の手当も新たに今回予算でもうけております。

 そして、育児休業の話をしてくださいました。文京区長の育児休業の取得は、やはり男性が取得することを雰囲気としても応援していく。私は非常にうれしく思いました。

 おっしゃるとおり、男性の育児休業の取得率は低いです。だからこそ、育児・介護休業法の改正、そしてパパ・ママ育休プラスの施行がありますので、その施行に向けて大いにキャンペーンも張っていきたいですし、育児・介護休業がもっととれるような会社をつくりたい。そのために、まず内閣府の私のところで、ワーク・ライフ・バランスと男女共同参画を実現している企業を公共調達における入札制度の総合加点理由にするなど、企業に対するインセンティブ、企業を変えるための努力をしています。

 ぜひ、若い小泉さん、育児休業を改正することや、男性の育児休業取得や現物支給で頑張りますので、応援をしてください。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 育休のことを考えるには、まずその前に、順序がありますので、私もまだ独身ですから、順序を踏まえなければいけないな、それから考えさせていただきたいと思います。

 しかし、大臣は、自民党よりも予算はつけました、これだけ積み増しましたと言いますが、私は、国民の皆さんが聞きたいのはそれだけじゃないと思うんです。もっと有効な使い方をすれば、自民党よりこれだけつけましたよなんというレベルじゃない、はるかに自民党がやってきたことを突き放して、こんなにいいことをやりましたよとできるんですよ。そのためには、お金がある人、足りている人にお金をばらまくような、そんな子ども手当をやるのは、皆さんは自民党を突き放すチャンスをみすみす失っちゃっているんじゃないですか、私はそう思うんですよ。

 自民党とは違うんですとか、かつての自民党はどうだったんですかという議論をよく民主党の皆さんはされますが、そろそろその議論も国民の皆さんは飽きてきているかなと。それよりも、皆さんから聞きたいのは、自民党とどうのこうのじゃない、私たちはこれをやったと。そして、私たちが求めているのも、自民党でできなかったことをやってくださいよということなんです。

 ですから、この子ども手当も、どうやら、きょう、今から数時間後、厚労委員会の方で採決がされるようですが、私がそれに対して思うのは、お金を持っている人もそうじゃない人も、無制限にお金を配るようなことをすると、やはり国民の思いの中で疑念がわく。そして、私は、民主党の皆さんの中だって、本当にこれだけ財源が厳しい中で五・三兆円もの額を使って、今回はその半分以下ですけれども、現金をばらまいてよかったかな、こういう後ろめたいような気分というのはどこかしらあると思うんですよ。

 だから、私は思うんです。この前、八十八歳のあるおばあちゃんと話したときに、その方はこう言いましたよ。自分たちは、おいしいものは自分たちは食べなくていい、子供たちに食べさせようと思って生きてきた、だから、今の人たちにもそういう思いで子育てもしてほしい。私は、まさにこういう思いを国民一人一人が持てるような、そんな社会をつくることが、子育て、子供支援だと思うんです。

 私は、現金を配ることがそういう思いをはぐくむようなことには決してつながるとは思えない。だから、この子ども手当も満額実施はすべきでない、所得制限はかけるべきだ、こういう論旨で大臣に御質問をさせていただきました。

 それでは、少し残り時間がありますので、仙谷大臣、手を挙げていただいて恐縮なんですが、大臣は大変丁寧なので残り時間すべてとられてしまうと思いますから、申しわけないんですが、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 大臣、今月、三月は自殺対策強化月間でございます。その一環だと思いますが、自殺対策に関するテレビCMも今やっております。お父さん眠れていますか、そういうCMをきのうも私テレビで見ましたが、私は、これは別に、党派が違っても会派が違っても、協力してよりよい政策を進めていくべき問題がこの自殺対策だと思うんです。

 だからこそ、この自殺対策で一つ大臣に提案をしたいんです。それは、自殺対策の見える化、目に見える形での自殺対策です。

 私の印象では、今までの自殺対策というと、やってくれているのはわかる、でも、具体的に身の回りで国がどういった自殺対策の支援をしているのかを国民が実感しにくかったと思うんです。だからこそ、これから、わかりやすさ、今までできなかった自殺対策の姿を見せるのも政権交代、そして、自殺対策の見える化というものができる余地があるのが今の政権だと思うんです。

 その見える化として私が提案をしたいのは、駅のホームドア、そして可動式ホームさくの設置推進なんです。

 今、私の手元にあるのが交通新聞、三月三日の日付のものなんですが、JR東日本が山手線恵比寿駅そして目黒駅でホームドアの設置工事を今進めているんです。六月の二十六日、そして八月の二十八日に決めたという内容の記事が載っておりますが、選挙のマニフェストを見ると、自民党、公明党は、このホームドア、可動式ホームさくの設置推進が書いてあるんです。でも、民主党は書いていません。社民党さんは、重点の方、結構詳しく書いてある方にホームドアの文言はあります。

 ただ、今までは、ホームドア、可動式ホームさくというと、自殺対策というよりも、むしろバリアフリー、転落防止、こういった形で結びつけられることが多かったと思うんですが、私は、これから、このホームドア、可動式ホームさくというものを自殺対策の一環として推進する、これがあってもいいんじゃないかなと思うんです。(発言する者あり)私は、それを福島大臣初め関係省庁が結びついてやれば、駅で毎日通勤している方々、通学している方々が、目に見えて、国が本気になって自殺者を減らそう、自殺を防止しよう、そういう思いに結びついていくいいきっかけ、そしてアピールするチャンスだと思うんです。

 大臣は、このホームドア、可動式ホームさく、これを自殺対策の一環で取り組むことをどう思われますか。

福島国務大臣 おっしゃるとおり、ホームドアは転落防止にもなりますし、危険防止にもなりますし、それから、私も、もちろん自殺対策になると思っています。

 ですから、閣僚レベルの自殺総合対策会議で決定をいたしました、いのちを守る自殺対策緊急プランに、これは先月、二月に決定をしたんですが、このホームドア、ホームさくの整備の一層の促進に向けて、現在国土交通省において進めていることをもっと進めようということを、しっかりこれは既に入れました。ですから、そういう取り組みとJR東の方の取り組みとも連携をしているというふうに私は思っております。

 既にプランの中に盛り込み、それを進めるべく現在も努力をしているところです。関係省庁、地方公共団体、民間団体とも連携をしながら、しっかり自殺対策の一環としてもホームドアをやりたいというふうに思っています。今、プランに盛り込み、進めている最中です。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 ここにお座りになっている泉議員から、もうやっているよというやじが飛びましたけれども、やっている、やっていないというのが国民にわからなかったら意味は十分じゃないんですよ。やっているということをちゃんと国民が実感できる。例えば、政策だって、皆さんがやっていることが、幾ら口でやっています、やっていますと言ったって、それを国民が実感できなければ、国民からすれば対策はとられていないと感じてしまうんです。だからこそ、やっているとおっしゃるのであれば、それを目に見える形で推進していただきたいと思うんです。

 ただ、この問題、予算は内閣府の方にはありません。これは国交省の方の予算でやらなければいけないと思うんです。前回、あれは分科会だと思いますが、公明党の大口先生からもこの問題で前原さんに御質問があったと思うんですが、これは、自殺対策として取り組もうと、本気でやるのであれば、福島大臣御自身が前原大臣との協議ですとかお話し合い、そういったものも必要となると思うんです。

 ホームドア、可動式ホームさく、この賛否というのは、それぞれの議員があると思います。ただ、対策の見える化、ちゃんと目に見えてわかる対策の推進、目に見える推進、これに対する決意、大臣はどうお持ちですか。

福島国務大臣 自殺対策の見える化、あるいは、内閣が、政治が自殺について取り組んでいるというメッセージが人々を応援するというか、そのメッセージがすべての人に届くように私も決意をしております。ですから、三月が一番自殺者が多いですから、三月を自殺対策強化月間にし、「お父さん眠れてる?」という、私も、新橋駅でティッシュやいろいろなものを配る、あるいはポスターをJRなどに頼んで張っていただく、そういうこともやっています。

 これは、御存じ、内閣を挙げてやっていることなので、対策会議と、それからプランをつくりました。もちろん、前原国土交通大臣にもホームドアの件についてお頼みをいたしました。例えば経済産業省は、中小企業庁で中小企業の皆さんに対する相談をとりわけ強化するという取り組みをしています。連帯保証人の制度の検討は法務省の法制審議会で始まりました。

 ですから、私も、今委員が決意をとおっしゃいましたので、自殺に追い込まれる人をなくすべく、内閣挙げて、政治を挙げて頑張ることと、その見える化を頑張ります。そして、実は内閣、それぞれ役所で取り組んでいるのですが、それがより見えるようにもこれからも頑張ってまいります。よろしくお願いします。

小泉(進)委員 大臣、ありがとうございます。

 今、大臣がまさにおっしゃったとおり、自殺も三月は多いです。そして、一都七県で見ると、自殺が原因の輸送障害というのは月平均三十件、ほぼ毎日起きております。そして、携帯電話ではそういった号外ニュースみたいなものも入る時代に今なっております。多くの国民が関心を持っていることですから、ぜひ力強く取り組んでいただきたいと思います。

 きょうは、最後までありがとうございました。

田中委員長 次に、井戸まさえさん。

井戸委員 民主党の井戸まさえでございます。

 今、子ども手当に関して、所得制限をすべきでないかという方向で小泉さんは御質問なさいましたけれども、後ほど私は、所得制限をかけるべきではないという形で御質問もさせていただきたいと思っています。

 きょうは、内閣府の大臣所信のうち、まず、中井大臣がおっしゃった犯罪抑止のための総合政策の推進についてお伺いをしたいと思っています。

 大臣は、所信の中で、子供や女性を対象とした犯罪等を抑止するために街頭防犯カメラの設置ということを言及なさっています。最近の犯罪を見ても、先般ありました千葉の女子大生の殺害放火事件なども防犯カメラというのが犯人特定につながっていったり、抑止もそうですけれども、事件解決のために非常に大きな役割を果たしていると思います。

 既に、例えばコンビニエンスストアだとか一般のホテルだとか、万引きの防止だったりとか自衛のために防犯カメラを設置しているところはすごく多いと思うんですけれども、問題はそこではなくて、犯人が隠れたりとか身分を明かさないようなところ、こうした防犯カメラをつけにくい、匿名性のより高いところにどうやってカメラを配置していくのかというのが問題だと思っています。

 例えばインターネットのカフェだとかラブホテルだとか簡易宿泊所だとか、そうした匿名性の高いところに対しての対処、これについて、財政的な措置も含めてどんなふうに考えられていらっしゃるのか、中井大臣のお考えを伺いたいと思います。

中井国務大臣 おっしゃるように、所信で防犯カメラ設置をお訴え申し上げました。また、内閣の進めております景気対策の一環の中にも、安心、安全な町づくりという意味で防犯カメラを設置していく、こういうところを取り入れていただいているところでございます。プライバシーという問題はありますが、警察官の人的増員にも限度があります。防犯カメラを設置することによって、予防そして事後の犯人検挙、こういったことに結びついて、結果として治安の向上というものにつながってくれればありがたいと思っています。

 日本じゅうで、恥ずかしいことながら、国家が設置しております防犯カメラは五百台未満でございます。民間、地域、かなり設置をいただいておりますが、防犯カメラのフィルムの保存期間が二日間であったりして、いざ犯罪捜査ということでお願いしてもなかなか役立たないこともあります。そういったことを含めてどう対応するか。例えば、JR東海さんが東海道新幹線を運営するのに設置されております防犯カメラは五千七百台だそうでございます。そういったことを含めて民間の皆さんにも大いにお願いしたいし、それから、繁華街、通学路、こういったところへも防犯カメラの設置がいけるように、私も精いっぱい努力をしたいと考えております。

 特に、今お話のありました匿名性の高い旅館、インターネットカフェ、簡易宿泊所等々に徹底的に警察としてお願いをして、防犯カメラの設置をしていただく。設置はしてあるけれども顔は映らないようにしてあるとかいろいろなことをおやりになるけれども、これはひとつ、どうなんだろうということで、業界団体等も含めて指導を徹底してやっていきたいと考えております。

井戸委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 私は神戸の出身です。今回、施政方針演説の中でも、新しい公共の出発点として、震災からの復興ということで、鳩山総理大臣も神戸を挙げられて発信をなさってくださったんですけれども、神戸が震災から十五年がたちまして、一つ大きな問題は、町づくりを復興する中で、例えば、大きなお屋敷がつぶれてしまって、そこが売られて、そこのところに偽装ラブホテルというものが建てられて、風営法上のラブホテルの要件に当たるのにもかかわらず、ビジネスホテルとして旅館業法で届け出を出して、それで建てられている、そうした問題がございます。

 住宅地や教育施設の近隣にまでこうした偽装ラブホテルというのが建てられていることは、泉議員も内閣委員会でもたびたび質問はしてくださったと思います。風営法による定義をされている届け出上のラブホテルであれば十八歳未満のお子さんたちは利用ができないんですけれども、ビジネスホテルであれば、そうした未成年のお子さんたち、十八歳以下も利用ができますので、そういう意味では、非常に、児童も含んだ犯罪なども起こっている、または、いろいろな意味で買売春の現場になっているということも指摘をされています。

 こうした問題を受けまして、風俗行政研究会において、ラブホテルの要件についての政令改正というものを検討していると聞いております。この政令改正で偽装ラブホテル問題というのは解決がつくのでしょうか。この届け出上のラブホテルの要件を広げることによって、今なかなか届け出ができていないところも届け出をして、きっちりと警察署の管轄の中でそれを見守っていくということになると思うんですけれども、今の取り組みの状況、そして、いつごろこの省令改正というものがなされるのかということをお伺いいたします。

中井国務大臣 井戸議員の日常活動の中での偽装ラブホテル問題についての取り組み、私どもは類似ラブホテルと言っておりますが、この件に関して、心から敬意を表します。

 御指摘をいただきましたような形で、政令改正を、見直すということで取り組みをいたしておりまして、パブリックコメントの手続等がございますので、今春以降改正ができる、このように考えております。

 この改正の中では、施設外周での休憩料金の表示、玄関前における遮へい措置、個室内の自動精算機等、こういったものについて新たな盛り込みをしていきたい、そのことによって多くの偽装ラブホテルというものを排除できるように指導していきたいと考えています。

井戸委員 今、偽装として、届け出をしていないラブホテルのうちの大体六割ぐらいが今回の省令改正によってラブホテルとして規定をされるというふうにも聞いているんですけれども、逆に言えば、残り四割は今のような営業形態でそのまま存続をするということは、結果的には、こうした問題、地域の子供たちを守ったり、また、そこに建てられたところなんかは、普通の住宅地の中に建てられていますので、近隣の方々のまさに住宅の資産価値を低めるということもあります。

 こうした残りの四割、当たらないところに関してもしっかりとしたお取り組みをいただきたいんですけれども、大臣の御決意をもう一度伺ってもよろしいでしょうか。

中井国務大臣 御指摘のように、今回の政令改正を行えば、大体六割を取り込めると考えております。残り四割につきましては、旅館法あるいは建築基準法、地方の条例、これらもお願いをいたしまして、トータルとして対策を進めていく、このように決意をいたしております。

 同時に、こういう残されました四割の大半が、先ほどお話ありました防犯カメラを設置しておりません。設置しておりましても、大体、映らないようなところに設置がされておる。これを徹底的に、入り口も、裏口も、会計のところにもきちっと防犯カメラを設置してもらって、一週間保存していただく、こういったことを今指導できるようにお願いをいたしているところであります。

井戸委員 さらなる取り組みをよろしくお願いいたします。

 それでは、子ども・子育てビジョンについて御質問させていただきたいと思っています。

 鳩山政権の命を守る政治の最も根幹をなす子供政策、そして、閣議決定された子ども・子育てビジョンというのは、それを体現したものだと認識をしています。その中では、格差や貧困を解消するということも目指されています。

 最新の相対的貧困率というのは、二〇〇七年の調査では一五・七%で、子供の相対的貧困率は一四・二%となっています。この相対的貧困率というのは、世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値である等価可処分所得が全国民の中の中央値の半分に満たないという国民の割合を示しているんですけれども、私は、子供の貧困率というよりは、就学援助の率というものが、まさに今子供たちが直面している貧困という問題をあらわすすごくいい数字というか、わかりやすい数字だと思っています。

 この就学援助に関しては、生活保護の大体一・一倍から一・五倍の間で、平均では一・三倍ぐらいを、自治体が決めて支給をしていくということなんですけれども、神戸では、二百二十万円以下の世帯が就学援助というものを世帯三人であれば受けるということです。その数が、神戸市の場合だったら二四%、約四分の一のお子さんたちがそのような二百二十万円以下の世帯で、学校に通うのに就学援助をもらっているというような状態です。神戸よりも多いのが、大阪ですとか、また山口ですとか、そうしたところも非常に高くなっているんですけれども。

 先般、高校無償化の議論の中で、これを私立の高校でも申請をするときにどうやるのだという話の議論の中で、小中学校で就学援助で申請する、しないという丸をつけるので、そのまま同じようにやればいいんじゃないですかという発言をしたらば、実は、そうやって就学援助に対しての周知徹底を図って、すべての児童の保護者に対してこれをとっている自治体というのはそう多くないということも聞きました。逆に言うと、この就学援助というのは、自治体によっても大きな財政負担になるので、なるべく周知をしないという形もあるのではないかと。

 ここに数字があるんですけれども、事務の取扱要綱とか手引がないのが二二・一%、制度広報をしない市町村が一〇・七%、制度の案内書を配付しないのが二〇・三%、これに対して、制度の案内書を全数に配付しているのは四七・六%ということで、半分しか全世帯に対して配っていないんですね。なので、今、就学援助の数というのは、実は自治体によっても差があるし、この国のお子さんたち、学校に通われる義務教育でのお子さんたちの困難を正確にあらわしている数字にはならないと思うんです。

 これに関して、四月、やってまいるんですけれども、改善をして、すべての児童生徒の保護者の方にこれを徹底するということをやっていただきたいと思うんですけれども、高井政務官、文科省の取り組みについてお伺いをいたします。

高井大臣政務官 お答えいたします。

 御質問ありました就学援助制度は、学校教育法第十九条の規定によりまして、市町村に実施事務が課されているものでございます。

 この規定に基づいて、市町村において要保護及び準要保護児童を対象に学用品等の援助を実施しているものでございまして、御指摘のとおりなんですが、調べたところ、市町村における援助実施において、神戸市のように、苫小牧とか、確かに、認定の前に就学援助申請の希望の有無を調査している自治体も実際に幾つかございます。それと同時に、全世帯に有無を確認する以前に、すべてに案内を送るという自治体もあるのは確かでございます。

 文部科学省といたしまして、市町村において、援助を必要とする者に適切なまさに支援が届くように、できるだけ対象者に周知徹底を図る、保護者の申請の有無のみによってだけで認定することがないように、また、もしかしたら必要でも保護者が出さないケースというのもあるかもしれませんし、そういう場合もありますので、できるだけ都道府県を通じて市町村にきちんとやっていただけるように、毎年八月に通知として案内をしているところであります。

 御指摘あったとおり、今後とも地域の実情に応じて適切に行われるように、また対象世帯のすべての児童が義務教育を円滑に受けることができるように、都道府県を通じて促していきたいと思っております。

 実態上、人数的にもかなり経済的に厳しい子供の世帯はふえておりますので、できるだけ努力をしたいと思いますが、市町村の実際にやっていただいている事務でもありますし、できるだけ市町村で頑張っていただくようにということで、バックアップはやっていきたい思いますが、ぜひ、その点、余りにも統一的に押しつけるということになり過ぎてまた問題が起きてもいけませんし、市町村によって就学援助のかさ上げもそれぞれに違っておりますので、でき得るだけ趣旨にのっとってやっていただけるように努力をしていきたいと思っております。

井戸委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 そして、先ほど小泉委員の資料の中にもあったんですけれども、数値目標という中に、貧困率を下げるとか、もしくは就学援助の率を下げるとかという数値目標がなかったので、私はこれは絶対に入れるべきだと思っているんです。

 福島大臣、こうしたビジョンの中に貧困の問題に関しての数値目標を掲げるということ、今回はなかったんですけれども、どうやってこれをフォローしていくのかというお考えを伺いたいと思っています。

 その前に、済みません、中井大臣、質問は終わりましたので、ありがとうございました。

福島国務大臣 子ども・子育てビジョンに、「格差や貧困を解消する」「人生のスタートラインの段階から大きな格差が生じ、世代を超えて格差が固定化することがない社会を目指します。」として、格差や貧困の問題に取り組みました。今、作成中の子ども・若者ビジョン、仮称ですが、ここにおいても、困難を抱える子供たち、子供の貧困の問題にしっかり取り組みたいと思っています。ブレア内閣が当初取り組んだチルドレンセンターや、すべての子供に確かなスタートを、シュアスタートという考え方をしっかり実現していきたいと考えています。

 委員おっしゃるとおり、数値目標、ちょっとまた検討してみますが、貧困率を幾つにするという数値目標よりも、貧困は、雇用も含めたすべてのことをやらなければならないので、一応、考えてはみますが、やはり貧困をなくしていく政策を、総合的パッケージとして雇用も含めてしっかりやっていきたいというふうに考えています。

井戸委員 就学援助の問題でもう一つは、中学校においての給食の問題があるんですね。

 通常、義務教育であれば、この就学援助の中に給食費というものは入っていますので、例えば、今、未納の問題とかも多いんですけれども、周知徹底していない中では、二百二十万円以下の世帯であってもこれを受けていない家庭もあるかもしれない。

 そこで、給食費、私も通帳を見ていつも驚くんですけれども、いつも学校の引き落としというのは一人当たり大体七千八百円とか、中学生でそのぐらいで、小学生のは六千円ぐらいは毎月毎月引き落とされていくんですけれども、その中で給食費というものも入っている。未納の問題の中には、こうした本来受けられるお子さんのところも申請ができていないというケースもあると思うんです。

 そして、もう一つは、中学校の学校給食が未実施の地域があるということなんですね。

 例えば、田中委員長の横浜もそうなんですけれども、大都市で、非常に就学援助の率が高いところに限って、中学校の学校給食が行われていない。となれば、通常だったらば、お昼は就学援助をもらっているそうしたお子さんたちは無料で給食が食べられるんですけれども、それが受けられない。お弁当になる。私の兵庫県でも、尼崎だとか神戸だとかは給食が中学校は未実施なんですけれども、そうすると、コンビニのおにぎり一個で済ませたり、お昼は食べられないというお子さんたちがたくさんいらっしゃるんですね。

 学校給食法というのは、昭和の二十九年にできまして、以来、五十年、六十年近くがたとうとしているわけですね。にもかかわらず、義務教育の中で努力義務とされています学校給食がまだ未実施のところがあって、それに対してなかなか、当然ながら、設置者というのは、これをやるのは市町村であるわけなんですけれども、もっと応援をしていって、やるべきではないのかなというふうに思っているんですけれども、高井政務官、このような状態、現状を、お願いいたします。

高井大臣政務官 御指摘ございましたとおり、中学校における実施状況を調べてみて、私もびっくりしました。かなりばらつきがありまして、富山県、愛知県を初め、一〇〇%の実施率のところもあれば、御指摘あったとおり、大阪府などでは七・七%の実施率、それから神奈川県では一六・二%、中間である兵庫県は四九・六%と、約半分が実施していないということになります。

 この実施していない学校が所在する都道府県の教育委員会から少し聞き取りをいたしましたところ、やはり、未実施の理由としては、施設面、人員の財政的な問題が何よりも大きい。それからもう一つに、お弁当の方が保護者と子供の関係を深める等の教育的効果が期待できるなどという回答がございました。

 しかしながら、文部科学省としても、やはり、学校給食の実施に対する支援は、給食設備に対する補助等を現状は行っておりますけれども、食育の必要性や学校給食の教育的意義に加えて、先ほど来お話あったとおり、子供の貧困の問題で、やはり貧困家庭がふえて、本当に、完全な食事を一食しか食べられない家庭というのも実際に出てきているという、私自身もそうした危機感も持っております。

 もちろん、お弁当の教育的意義、効果というのを否定するものではないですが、しかしながら、やはり貧困世帯があるということやいろいろな課題があることをかんがみても、できるだけ学校給食を義務教育課程では実施していただけるように努力をしていきたいと思います。

 引き続き、関係者の理解も求めて、特に財政的支援においては、我々等も一生懸命頑張っていきたいと思いますので、また御支援をいただければと思っています。

井戸委員 給食を実施していないところは、お弁当の販売というのもあるんですけれども、大体四百円ぐらいで、そうすると、二十一日間学校に通うのを計算しますと、八千四百円かかるんですね。給食であれば、それが半分ぐらいなんです。しかも、就学援助をもらっていらっしゃる方々は無料なわけですから、逆に言えば、少なくとも、就学援助を受けている御家庭に対しては、給食の平均分ぐらいは財政措置をするぐらいの必要もあると思うんですね。都道府県もしくは市町村に対しまして、そうしたことも含めて、きっちりと伝えていただければなというふうに思っています。

 本当に、子供たちを目の前に見ていて、かわいそうな子たちがたくさんいるんです。なので、給食の実施に関してはさらに力を入れていただければと思います。

 続きまして、子ども・子育てビジョンの中では、家族形成に関する調査・研究等というものも入っていました。私は、この前まで兵庫県で県会議員をしていたんですけれども、こうした調査とか研究というのは、都道府県だとか市町村だとか、たくさんやっているんですね。なので、例えば、改めて今から調査研究をして、そこを政策決定に生かしていくというよりは、こうしたいろいろな日本じゅうでできている研究というものをしっかりと集めて、情報収集をして、それを生かした方が、より具体的で身近なことができるのではないかなと思っています。

 そんな中、先般、私は、福田衣里子議員と岡本英子議員、福嶋健一郎議員とともに、熊本県にあります慈恵病院を訪ねました。慈恵病院は「こうのとりのゆりかご」、いわゆる赤ちゃんポストを設置して、親が育てられないお子さんたちを受け入れているわけなんですけれども、この「こうのとりのゆりかご」に関しましては、熊本県が中心になりまして、検証会議というものを設けまして、その報告書を読みまして、本当に感服をいたしました。

 昨今、虐待のニュースがたくさんあるんですけれども、この「こうのとりのゆりかご」に預けられた赤ちゃんに虐待の形跡があったケースは一件もありません。しかしながら、二年五カ月で五十一人の子供たちがそこに預けられている。この検証の報告書の中身を見ますと、産んだけれども育てられない。これは、別に、預けたお子さんたちのことではなくて、日本がなぜ子育てができにくいのかということを本当に詳細にあらわしたデータ、貴重なデータであるというふうに思いました。

 こうした検証結果、「こうのとりのゆりかご」も含めて、どのように生かしていくのか、福島大臣のお考えをお伺いいたします。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 私も以前、こうのとりのゆりかご検証会議最終報告を読んで、本当にいろいろなことを思いました。子供を産んでも育てられない、あるいは、細かい事情はわかりませんが、恐らく、例えば結婚届を出さないで妊娠して中絶をしなかった、それで産んで、それで自分で育てられなかったという、いろいろな状況がこの報告書の中から非常に浮かび上がってくるというふうに思います。

 やはり、すべての赤ちゃんを祝福できるように、あるいは、仮に親が育てられないとしても、いろいろな形でその子が新しい家族を見つけたり生きていけるように、あるいは、もっと言えば、差別や貧困がなくてちゃんとそこで育てられるような社会を全力でつくらなければならないというふうにも思いました。

 井戸委員も私も、民法改正、婚外子差別撤廃などに取り組んでいますが、本当はそういうことがもっと進めば、いろいろな子供たちがもっと生きやすくなるというふうに思っています。

 それで、日本は施設に入る子供の率が諸外国に比べて多くて、まだまだ里親や養子縁組の数が少ないということもここで指摘をされております。新たな家族をいろいろな子供たちに提供できるというのも大事なことだと思いますし、里親制度の拡充、充実に向けて、これは厚生労働省とも一緒に取り組んでまいります。

井戸委員 今、ちょうど里親制度のお話も出たんですけれども、やはり、「こうのとりのゆりかご」の蓮田理事長にお話を伺ったときに、里親制度だとか特別養子縁組制度だとか、こうしたお子さんたちが預けられて、すぐに家庭的な養護を受けられる環境整備というのが非常に大事だと。

 しかし、特別養子縁組に関しては二十年前に制度ができたんですけれども、制度ができた当初は、七百三十件だとか千二百五件だとか、かなりの数で縁組ができていたんですけれども、現在では三百件前後というふうに、二十年で減っているんですね。なので、やはり、この制度自体の改正も含めて、ぜひとも取り組みをお願いしたいと思っています。

 よく知られたことですけれども、文字どおり世界的に革命を起こしたアップルコンピュータのスティーブ・ジョブズも里子でした。養父母に育てられて、そうした意味で、新しい人生なり可能性というのを広げられる取り組みというものをこの国に生きる子供たちにも与えていただけるように、取り組みをお願いしたいと思っています。

 続きまして、困っている声にこたえるということもこの子ども・子育てビジョンに入っています。

 先般、埼玉の公立小学校で、性同一性障害と診断をされた二年生の男児が女児として通っている、こうしたことで、小中学校に対しましてどのように支援をしていくのか、こうしたことのお取り組みについて、高井政務官に伺いたいと思っています。

高井大臣政務官 御指摘ありましたとおり、性同一性障害の問題で、埼玉県内の小学校で、弾力的にといいますか、性を違えて本人が希望する形で学校に通えるようになったということで、大きなニュースになりました。その後、それを見て、鹿児島でも同じように対応した例もあるんです。

 私も、この問題、この御質問等を機に、性同一性障害についてよく勉強したんですが、平成十五年にこの法律ができたときには、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持って、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者ということで定義はされております。

 御本人にとっては、大変深い、重い悩みを持っている児童の方が多いと。それは、性同一性障害かどうかというのは、また明確に定義できる方も、今まだ研究等も少ない中で、やはり、まずは児童の思いや悩みや苦しみを受けとめる体制が何よりも必要であるというふうに思っています。

 文部科学省として、教育、いろいろな意味での相談を必要とする生徒が、養護教諭を初めスクールカウンセラーなどを通じて、やはりそういう充実した相談体制の中で、いつでも手を差し伸べられる状態にあるということをつくることが大事だと思っておりまして、児童一人一人に目が届くような配慮をした教育が行われるように、我々も努力をしていきたいと思っています。

 何よりも、児童の自殺の問題や、また性同一性障害だけでなくいろいろな発達障害も含めて、悩みや苦しみを持っている児童が最近多くなっておりまして、その子供たちを、やはり偏見なく、温かい目で受け入れていく、相談に乗って、受けとめ、保護者なり児童なり、また学校なりができるだけ受け入れられる体制を弾力的につくっていくということが一番だと思っていて、これからも努力をしていきたいと思っています。

井戸委員 続きまして、事業仕分けを受けて、保育料の階層区分について変更が行われたことについて伺いたいと思っています。

 先ほど、小泉委員の方から、子ども手当は所得制限をするべきであるというお話もありましたけれども、私は、貧困に直面している人ばかりじゃなくて、見た目の収入が多くても子育てに困っている人はたくさんいるんだということ。

 例えば、都会に暮らして一生懸命働いて、共稼ぎで頑張っている。しかし、近くに親がいないので、保育園に預けながらも、延長保育をしたり、また二重保育、三重保育という形で、たくさん預け先を変えながら頑張っていらっしゃる方たちもたくさんいるんですけれども、先般の事業仕分けにおいて保育所運営費負担金が対象となって、この判定では、保育料の、利用料の設定に対しての見直しを行うということでした。これでは、第八階層というものを設けて、大体、年収で千二百万円前後の方々の保育料が今までよりも二万四千円上がるというような状態になっています。

 ここに関しまして、事業仕分けでの内容というものは、可処分所得をもっと考えてしっかりと制度をつくるべきではないかというような話だったんですけれども、先ほどもお話もありましたけれども、何か、多少便乗の形で、こうした年収が多い家庭が余裕があるから出せるんだという形で保育料の決定がされたというふうにとられてもいけないと思います。

 こうした保育料の変更についての手続上のことを細川副大臣にお伺いしたいと思います。

細川副大臣 保育料につきましては、児童の保育に要します費用と、その家庭に対する、保護者に対する負担がどういうふうになるか、その影響を総合的に考慮して決定をされる、こういうことでございます。

 来年度の予算につきましては、せんだっての事業仕分けで、これは再検討すべきだ、こういうことで、これまでは七段階で決めておりましたけれども、収入が多いということで八段階を設けるということになりました。

 そこで、ではどういうふうに八段階を決めたかということにつきましては、これまでの階層について、最低限の大体何%が保育料になっていたかということで計算をいたしますと、一一%。こういうことで、したがって、その第八段階の最大限の収入に一八%を掛ける、こういうことで保育料の金額を出したということでございます。

井戸委員 子ども手当の一万三千円の支給でも非常に議論があったと思うんですけれども、二万四千円上げるという中では、やはりもっともっと議論があってもよかったのかなというふうに思っています。

 事業仕分けの決定と、こうした意味で多少内容が違った形に出ることに対して、枝野大臣、どのようにお考えをお持ちでしょうか。

枝野国務大臣 事業仕分けの結論と違っているかどうかというところは、一種、評価の問題としてあるかというふうに思っております。

 事業仕分けのときの取りまとめの中でも、「可処分所得が本来の基準としてあるべき」とか、都市と地方で「もう少し細かい基準表が必要。」というような指摘もいたしております。ただ、これは二カ月、三カ月でそれこそできることではないということで、御検討をこれからもいただければというふうに思っております。そうした中で、やはり第七階層より上の階層が必要ではないかという指摘を踏まえて御議論をいただいた結果だというふうに思っております。

 私も今三歳の双子の子育て中でございますので、保育にかかるお金は、名目上の所得と関係なく大変重たい負担であるということは十分わかっているんですが、現状の応能負担という仕組みを前提にしたときに、九百三十二万の方と例えば三千万の方とが同じでいいのかというような観点からの議論だったというふうに理解をしておりまして、それを受けとめていただいたというふうに思っています。

井戸委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなりました。原口大臣には、お待たせして申しわけございません。地域活性化・きめ細かな臨時交付金について伺いたいと思っています。

 経済政策の側面が強かったと思うんですけれども、これで二次補正の生活対策臨時交付金等についての算定ミスがあったということが見つかっております。なぜこのようなミスが起こったのか、また、その再発防止策なども含めてお聞きをしたいと思っています。

 また、この臨時交付金の第二次交付金額の算定に当たっては、基金に積み立てられた団体に関しては割り落としを行った。しかし、これに関してはもちろん事前には知らされていませんでしたので、四十七都道府県中四十三県が基金の積み立てを行っておったので、なかなか経済政策という側面が通じていなかったのかなということも感じております。このことに関しても原口大臣にお答えをいただきたいと思っています。

 そして、今回、こうやっていろいろな意味で臨時交付金を何度かにわたって出しているんですけれども、その検証をしていかなければいけないのではないかなと思っています。地方の自由裁量はもちろん大事なんですけれども、やはり、国が交付金で措置をしていくというところでは、それがきっちりと使われているのか、どのような形で効果があったのかということ、こうしたフォローアップについて。

 三点、原口大臣にお伺いできればと思っています。

原口国務大臣 井戸委員にお答えいたします。

 算定ミスがあったのは平成二十年度、つまり、さっきの小泉さんのように、前の政権のことだとは言いたくないんですけれども、前の政権のときのミスでございます。

 これはどういうミスかというと、地域活性化・生活対策臨時交付金の合併市町村の交付限度額の算定については、新団体として算定する方式と旧団体ごとに算定する方式、どっちか有利な方を、多い方を適用するということをしていたんです。ところが、新潟市等の六市については、地方交付税について適用される算定方式をそのまま適用してしまっていて、有利な算定方式が適用されず、結果、十二億円程度を過小に算定していたわけです。大変な御迷惑をおかけして、おわびをしたというところでございます。

 この不足分については、今回の地域活性化・きめ細かな臨時交付金の第二次交付限度額五百億円の中の配分で、二十年度のものを二十一年度でお返しするという形になったわけですけれども、そういう形にしました。

 地方公共団体に算定シートを送付して、各団体においても実際の算定を行うという二重のチェック制度、これを再発防止とさせていただいたところです。

 それから、三つ一遍に御質問なので、丁寧に答えられる時間があるかどうかちょっと気にしているんですが、基金に積み立てていた団体について割り落としをなぜ行ったかというと、地域活性化・きめ細かな臨時交付金は緊急的な経済対策という観点なんですね。早期の事業実施が求められるところでございまして、本交付金と同じくインフラ整備等を対象とする地域活性化・公共投資臨時交付金を基金に積み立てていた団体については、簡単に言うと、すぐできるところを優先して、翌年度以降へ事業が先送りされるのであるんだったら早期に効果が出ませんから、出ないということが見込まれますから、本交付金の第二次交付限度額の算定に当たっては〇・五倍という割り落としを行ったところでございます。

 これで最後ですけれども、おっしゃるように、各種交付金については、効果的な事業に使われたかどうか、単に経済対策としての、国の判断で大型公共工事を行うというんじゃなくて、地域の実情を最も理解していらっしゃる地方公共団体が、地域経済にとって真に必要な、効果の高い事業をみずから選定して実施する、これが今回の交付金です。

 きめ細かな交付金は、まさに地方公共団体がみずから策定をされればそれに沿って、この委員会でも御議論あったと思いますが、耐震化、そういったものにも使えるようになっておりますので、ぜひ、自主性、自律性を尊重しつつも、効果的な事業に使われているかどうか検証することが大変必要だ、委員がおっしゃるとおりだと思いますので、執行を担当する総務省もしっかり調整をしつつ、総務省といったって私が大臣ですから、検証方策について検討していきたいと思っています。

 以上です。

井戸委員 ありがとうございました。

田中委員長 次に、金田勝年君。

金田委員 きょうは、内閣委員会で、官房長官そして仙谷大臣に質問をさせていただきたいな、こういうように思います。

 簡単に政治主導、政治主導と言うんですけれども、私は、この政治主導について今自分が思っていることを、限られた時間なので、もし足りない場合は次の、法案がいろいろ出てくるときに追加してまたお願いをしようかな、こう思っておるんですが、まず順番に行きたいと思います。

 今の体制の中で政治主導ができていると思うかどうか。それからもう一つは、政治主導という名のもとに、イギリスの方式、アメリカの方式、いろいろやっております、日本もこれまで頑張ってきている、そういう中で何がどう変わるんだというときに、一般職の公務員と政治任用との関係がどうなるんだろうか。ここのところが非常に大きなテーマだというふうに思うんですね。

 まず、最初の方から入っていきます。

 平野内閣官房長官は所信表明で、これまでの官僚主導の仕組みを排して政治主導、国民主導による新しい政策決定の仕組みを目指している、また、国民から選ばれた政治家が常に地域や現場の声を大切にしながら責任を持って政策立案や調整を行っていく、そのために、政府部内における国会議員の占める職を充実強化するとともに国家戦略局や行政刷新会議の設置などを内容とする法律案を提出させていただくということを所信表明で明らかにされておるわけです。

 こうした中で、政府の政策決定、政治主導確立のための二つの法案が今予定されておるわけです。それはまた後日に譲りますけれども、やはりこれらの法案も含めて、私は、政治主導というよりも、後で申し上げますけれども、党中央集権モデル、そういうものをおつくりになろうとしているのではないかという心配が非常に国民の間にあると思う。それをお伺いしたいな、このように思っているわけです。

 菅大臣は、きょう、参議院の予算委員会に出ておられます。したがって、お呼びをしませんでした。

 菅大臣は、昨年の十月十五日に、NHKの「クローズアップ現代」において次のように言っております。三権分立は憲法の規定にないと説明されておりますし、明治憲法下での天皇の統帥権、これを引き合いに出して、総理にすべての権力が集中するのが当たり前で、また、選挙で絶対的多数議席を有している政党が内閣を構成する仕組みなんだから、立法と行政は総理のリーダーシップのもと、絶対的多数政党が一元的に行うのが正しい姿だと発言をしておられます。それから、続く十一月の十九日に、まあ、仙谷大臣の前任でございましたから、その菅大臣は、参議院の内閣委員会で改めて、日本国憲法には三権分立という言葉はないということで明言をされている。

 私は非常に、極めて危険な考え方だというふうに思っております。国民の支持を受けて政権交代を果たした、圧倒的な権力を握った、だから何でもしていいんだ、何をしてもいいんだというふうなことではだめなのでありまして、そうした発想につながる考え方として受けとめられたらこれは大変なことだというふうに思うんです。

 そこでお聞きしたいんですが、平野長官と仙谷大臣、簡単におっしゃっていただきたいんです。あなた方のおっしゃられるその政治主導というのは一体何なのか、その定義を教えていただきたいと思います。そして、政治主導という旗を掲げて一体何をする気でいらっしゃるか。この半年でもう既に、非常に民主主義の危機ともいうべきいろいろな現象が出ております、事象が出ている。後で申し上げる。それに対してもお答えいただきますが、まず、政治主導の定義と、何をしようとされているか、これをお答えいただきたいと思います。

平野国務大臣 金田先生にお答えをいたします。

 鳩山内閣における政治主導、この考え方、定義について述べよということでございますが、昨年の八月三十日に政権交代をした、こういうことでありまして、その第一義は、やはり、私どもは国民主導で政治を動かしていくんだ、こういうことを一つの大きなテーマとしてとらまえてまいりました。それを実践していく大きな方法としては政治主導、こういう概念でとらまえているわけであります。

 特に、旧政権のことを申し上げたら大変失礼なことになるかもしれませんが、やはり最大の問題は縦割り行政、さらには官僚依存、こういう認識に我々としては立っていたものですから、国民主導、すなわち、国民から選ばれた政治家が責任を持って対処していく仕組みをつくっていきたい、これが私どもの政治主導だと私は認識をいたしております。

仙谷国務大臣 私の理解では、政治主導というのは政治学の用語だというふうに理解しておりまして、政治主導の対語は官僚主導と。したがって、私が割と兄事しております飯尾潤先生の物の本によると、官僚内閣制から国民主権内閣制へというか、そういうものに変えなければいけないと。

 官僚内閣制を、この実態を打破して、正しく議院内閣制度のもとでこれを機能するとすれば、いわゆる議会で選ばれた総理が、要するに、国民に権力の正統性を担保されたのは総理大臣しかいないわけでありますから、みずからその執政権を適切に行使する、その体制が政治主導の内閣ということになろうかと思っております。

金田委員 国民主導というお言葉、国民内閣制という言葉を二人とも大臣がお使いになられた。

 それをこれまでも目指してきたわけですね、当然に。要するに内閣機能の強化。そういうものについて、ちょっとここで数字だけ申し上げておきましょう。例えば、今回は政治任用の方をどんどんふやそうとする。いろいろ考えておられる。

 内閣府の平成六年、内閣官房の平成六年の数は幾つだったか、私の方から申し上げましょう。内閣府五百九十、内閣官房が百七十五人。これが、平成十三年の改革で、内閣府は二千二百十人になりました。五百九十が二千二百十。そして内閣官房が、百七十五が五百十五になった。そして現在は、内閣府、二千三百六十人います。内閣官房は七百三十七人いるんです。これだけ内閣機能の強化をしてきた。

 これは、まさしく国民主導の政治を行うために、政策を実現するためにやってきたんですよ。これはまず申し上げて、これからの法案審議のときにもまた使わせていただきますけれども。

 真の政治主導というのは、難しい言葉を並べることではないんです。行政官が、国民の皆さんから、たくさんの人から情報を集めて、そしてその専門性を生かして政策の案を企画する。そして、企画したオプションを所管の大臣が、あるいは官房の大臣でもいいですよ、国務大臣でも結構です、そういう政務三役がしっかりとそれを判断する、決断する。これがあるべき真の政治主導だというふうに私は思っております。それにマニフェストが加わったら、逆方向の、政務三役からのマニフェストの実現についてのお手伝いも当然にしなきゃいけない。その双方向があって初めて真の政治主導であって、片方だけでは政治主導とは言わないのであります。

 イギリスに例を学んでいると思いますが、イギリスの話も今申し上げますが、そういうことをしっかりとまずは踏まえていただきたいと思いますが、どうですか。

平野国務大臣 議員おっしゃるとおりだと私は思いますよ。やはり行政職におられる方々の知恵、知識、これを十分活用する、これはもう当然だと思っています。その上で、最終、政治的に責任を持てる人がジャッジをして、結論を出していく。

 ところが、今日までは、事前にもう全部それができ上がっておるというふうに我々は見ておったわけであります。

 官僚の皆さんをやはり活用する、使い切る、このことが非常に大事であろう、こういうふうに思っております。

仙谷国務大臣 官房長官はお優しいのでああいう表現になったと思いますが、私は、あなたがおっしゃった、内閣府と内閣官房の人員がふえたことによって、つまり官僚の人員がふえたことによって官僚主導の病がますます深くなっている、そういうふうに、自分で内閣府の特命担当大臣をやって思います。つまり、内閣府こそ仕分けが必要だというのが私の今の総括であります。

 つまり、もう少し申せば、これはその時点時点での政治家の力量にも関係があるのかもわかりませんけれども、温泉旅館の、次から次に廊下をつないで別の棟をつないでいくような、こういうやり方を内閣府の中でして、一体責任の所在がどこにあるのか、政治家のリーダーシップはどのように発揮できるのか。あるいは、行政という観点からいえば、最も重要な執行がばらばらのまま、内閣官房の中に何とか本部をつくってみたり、内閣府の中にある種の部署をつくってみたところで、これは幾らしっかりしている政治家がやっても、なかなかうまくいきません。

 ということは、もう一度振り返ってみれば、九八年の省庁再編成というのは一体何だったのか。つまり、看板を書きかえて、十七省庁でしたか、省庁の数を少なくして大臣の数を少なくすればいいんだということなのでありますけれども、各省の中に実質上の事務次官が三人もおったり四人もおったりするような役所が縦割りの中で存在する、こんな省庁再編成というのは一体何だったのか。

 機能的には、そこで足りない分を内閣府に建て増しをしたんだけれども、この内閣府は何の執行にもあずかれないというような部署が多い、ここがもう本当に官僚主導のなすがままということになっているんじゃないかというのが私の今の総括です。

金田委員 そういうふうに制度上なっている、その仕分けが必要だというお話でした。今度の法案が出てくるときに、政と官のバランスをどういうふうにしっかりと受けとめてやっておられるか、これは後での議論に持ち越したい、こういうふうに思います。

 私は、仙谷大臣がかつてニューウエーブと言われた時代に、非常に政策に明るかった、私は大蔵省という組織におりましたが、そのときに接していただいたときの態度も非常に優しくて、いや、こういう方は立派な方だなと思いましたよ。

 政治主導について一言だけ申し上げるならば、昔、今の鳩山由紀夫総理が官房副長官をやっておられた。これは平成六年であります。仙谷大臣も当選されていたと思います。そのときに私はちょうど、内閣府、内閣官房、今話題になっている政治主導どうあるべきかというところの担当の主計官をやっておりました。

 そのときに、当時の官房副長官から私は陳情というか指示をいただきました。まあ、それが政治主導といえば政治主導かもしれません。対外的な広報の予算をふやしてくれ、海外広報の予算を、新規物に等しいんですけれども、これをふやしてくれ、こういう御指示がありました。

 私は官です。そのときに、私は、自分で申し上げることも申し上げました、外務省からも広報をやっていますし、これまでもいろいろな役所の立場でやっていますよ、それとどういうふうに違う新たなお考えをお持ちなのかと。はい、そうですかと言うことが政治主導ではありませんよ、私たちは。だから、どういう内容にされるんですか、どういうことを御要望しているんですかと。

 当時、査定の方針というのは、広報費はできるだけひとしく各省一律に削っていこうじゃないか、こういう方針があったのですが、結果として新しい予算をつけた。これはなぜか、日本の民間企業一企業でも、日本の対外的な広報予算を上回る広報の予算を組んでいるのであります。この国が威信と誇りをしっかりと世界に示すためにはそれをやらなきゃいけない。だから、そういうことを申し上げて、できる限界を当時の官房副長官であった鳩山由紀夫現総理と打ち合わせをしながら進めて、実現したのであります。非常に喜ばれた。

 今の鳩山総理が官房副長官のときは、本当に政官一緒になって物を考えていく、そういうやりとり、一方通行ではありません、そういうことをやっていたということをわかっていただきたいわけです。

 それは、要するに政治主導の本質にかかわってきますので、後でまた申し上げますが、行き過ぎた行政の政治化をもたらす、政治による権力の集中をもたらすことは絶対に避けなければいけない。そのためのチェックシステムというものを、三権分立についても、行政権と立法権のチェック・アンド・バランスということをしっかりと入れた組織づくり、あるいは制度の見直し、こういうことをやっていただきたいので、それはそういう考え方で申し上げているということをまず御理解していただきたい。

 そこで、今行われている政治主導の現状というものについてどういうふうにお考えになるか、お聞きしたいと思います。官房長官にお聞きしたい。

 政権が発足して半年たちました。陳情から国会運営に至るまで、民主党と政府の政権運営というものには、私から見れば、国民に多くの不安と不信、そして怒りというものが出てきているというふうに私は感じております。なぜならば、例を幾つか申し上げますが、まず三つ申し上げましょう。そして、考えをお聞きします。

 陳情の党への一元化であります。いわゆる党高政低による、陳情ルートを一本に限るということで、国民の意見が本当に集約されるんだろうか、官の立場の人間に地元の、国民の本当の声が行き渡るんだろうかということに対して非常に不安を持っている。予算の陳情を強引に幹事長室に一元化をして、これが政府の、あるいは国政の私物化でなくて何だというのでありましょうか。憲法に明記されている全体の奉仕者である役割、あるいは国民の陳情の権利というものを侵すおそれが十分にあるのではないか、こういうように私は思っております。

 予算陳情の党への一元化というものは、まさしく利益誘導政治そのものだ。官に任せられていた部分が仮にあったとして、それを省いた分、政官業癒着から官を取り除いて政業癒着という形になってしまうんじゃないか、そういうことを不安に思っている人が非常に多い。それが一点。

 それからもう一つ、団体への理不尽な圧力というものがあるといろいろなところで言われています。

 ある経済人が幹事長室に陳情に伺ったところ、いつまでに幾ら献金するのかと言われたという話が昨年の秋にうわさになっております。これくらい堂々とした利益誘導というのはないのであります。さらに、業界団体については、あからさまに民主党への支援を迫られたという話も随分聞かされています。あげくの果ては、敵対勢力と見るや、その予算の配分、政治的な報復と受けとめられかねないような申し入れを政府にするといったように、私は、こういうものは言語道断だ、これでは利益誘導をするために陳情の一元化を行ったと言われても仕方がないんじゃないか。

 それから、三つ目であります。

 先般、官房長官が立場上お考えになることが非常に多かった課題であります。国会審議、予算の審議を軽視して、箇所づけ情報を漏えいした。前原大臣が口頭注意処分を官房長官から受けているようですけれども、予算委員会が始まる前に、予算の個別配分件あるいはその箇所づけを、予算成立以前でも問題なのに、予算の審議に入る前に民主党本部に漏らしていたという事実。これは、自民党でさえ、かつて予算の成立を待ってやっていたので、こんなことはなかったんですけれども、そういう国会軽視、あるいは予算委員会軽視、あるいは財政法三十四条の無視、財政法三十四条の形骸化、あらゆる問題を引き起こしているんです。これに対する口頭注意だけで終わったとは思いませんけれども、こういうことが行われたのでは、本当に、政治に対する不信、政治主導がこれかと。

 今三つ申し上げた。

 そして、コンクリートから人へと言っているけれども、何と、コンクリートの配分を国会軽視、予算委員会軽視してまでやるんだ、こんなことが許されるはずはないわけであります。皆さんの大事な一丁目一番地の、コンクリートから人へというメッセージに反することはもちろんですけれども、中を見ていけば、自民党がさきの総選挙で議席を独占した地域には、非常に、十分以上の配分が行われているという話も聞いております。こういう、この夏の参議院選挙を意識した地方自治体への利益誘導だと疑われてもしようのないようなことまでやっている。

 だから、今言った三つについて、こうしたことについて非常に不信や批判が地域から、地方から、国民から沸々と沸いていることに対して、官房長官、どう思いますか。

平野国務大臣 先生、たくさん御指摘されたので十分メモがとれておりませんが、利益誘導であるとか、陳情の一元化でありますとか、コンクリートから人へということに対して、コンクリートに対する予算をたくさんつけているじゃないかとか、こういうことを言われたわけですが、そもそも、私どもは、地域主権の体制を確立する、こういうことから、その前提は、やはり政官業癒着で、陳情することによって癒着をしているのではないか、そういうことから、無駄なことはやめて、それぞれの地域でやれるような体制をつくっていこうではありませんか、これが一つ。

 いま一つは、仮配分のことを箇所づけというふうに先生は表現されましたけれども、これはあくまでも、事前により透明性を確保しようということを、政権交代のもとに、前原大臣がそういう考え方のもとにやった。ただ、情報管理とかそういうところについてうまく十分に徹底していなかったところにこれは問題があるということで注意をいたしたわけでありますが、そもそも、やはりそういうことはやめましょうということであります。

 加えて、陳情についての一元化。政府としては、より多くの国民の皆さんの声を聞きながら政策を進めていく、こういう考え方に変わりはない、これからもより多くの国民の皆さん方の声を聞かなきゃならない、こういうことでございます。したがいまして、党の中のルールと政府との部分では、党のルールを政府に持ち込んでいる、こういうことでは全くございません。政策については私どもは政府で意思決定をする、こういう考え方のもとに、先生御指摘されたことに十分答えているかどうかわかりませんが、考え方としてはそう答えたいと思っております。

金田委員 今おっしゃられた、国民に誤解と不安を与えている現状の例を三つ挙げたわけです。この三つの誤解と不安が絶対になくなるように努力していただきたいと思いますが、官房長官、よろしいですか。

平野国務大臣 もしそういうことであれば、政府の立場では、当然そういうことを心がけなきゃならない、こう思っております。

金田委員 これは後でも言いますけれども、議会と内閣、そして政党、この関係が、多数をとってしまえば一体だとある大臣はおっしゃっている。先ほど申し上げた。そういう状況の中で、政府としてはではだめなんです。党が高くて政府が低い、内閣が低い、党高政低の現状の中で、官房長官は党に対しても努力していただかなければいけない。そういう意味で申し上げているわけですから、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、あと三つだけ例を申し上げます。今三つ申し上げたが、あと三つです。別の次元の政治主導で苦しんでいる例です。

 この前、長崎に私は行ってまいりました。つい先日です。長崎の知事選挙において、民主党の要職についている方が、国の流れに逆らったら覚悟しておけという趣旨でおどしをしたと県民の多くの方から聞きました。私は本当に驚いて口があきませんでした、口があいてふさがらなかった、どっちでもいいんですけれども、驚いたということを申し上げたい。どっちが強いですかね。ということで長崎の例。

 それから、秋田の例も申し上げます。

 新しい政策として農家の戸別所得補償をやる、しかし、これは全国一律なんだから、秋田が、農業に対して、生産調整をしない方も一〇〇%入る形に、今までの経緯なんかはどうでもいい、地元の人が何を言っているか全部聞くわけではなくて、生産調整をしてこなかった方の意見を聞いて、とにかくその人たちが全部、この制度を前にして生産調整をする気になるように、今すぐこうしろ、ああしろという指示を出す、もしそれがなければ戸別所得補償の対象から秋田を外しますよ、外すぞと記者会見で農林大臣はそう言った。

 これは、私の地元の秋田の皆さんはおどしとしか受けとめていません、おどしをされた。昭和四十六年から生産調整を行ってきた、そういう実態がある。それに、苦しいけれども我慢して国のためにと思ってやってきた方に対してそういうおどしが行われた。これに対して県民の怒りは非常に大きい。秋田の例です。

 こういう発言とかいうのは、党の方や政府の方がいろいろなところでされたのでは、何が政治主導だ、何が国民主権だ、こういうことになりませんか。その点をお聞きしたいと思います。

平野国務大臣 それぞれ、長崎における御発言、秋田における御発言、選挙というのは戦いでありますから、エキセントリックになって、そこで、応援に行った方がどういう発言をされているかということはよく承知いたしておりませんが、私も、野党時代に、私の選挙区でもその当時の自民党の大幹部が、私の選挙の前で、駅前でございましたが、平野を通すとここには予算がつかないぞ、こういう発言を、私、その目の前で聞いておりますから、そういうことは、エキセントリックになっているときにはそれぞれの発言としてはあるものだなということを今さらながらに思い出しました。

 ただ、私は、一定のルールに基づいて物事が進められていくわけでありますから、恫喝的にとか、そんなことは政府としてはやるべきでなくて、国民の皆さんにお約束したことを四年間で実現していくために、ある意味では検証しながらやらなきゃならぬ部分とモデルケースでやる部分とありますけれども、やはり、四年間できっちり、政権がかわったらこう変わるということを示していくことが今の鳩山内閣に課せられている使命だ、このように思っております。

金田委員 おどしとか、権力者ですからそういうことをやってはいけない、官房長官もそういうふうに認識をされていることがわかってよかったな、これで大分政治主導の中身が変わって、よくなっていくんだろうな、こういうふうに思います。よろしいですね。うなずいていらっしゃるから、そういうことだと思いますが、時間の関係で前に行きます。

 もう一つ例を申し上げます。政治と金の問題、これについての国会運営のあり方の問題であります。

 私たちが与党、民主党さんが野党のときに、おっしゃられた言葉はいっぱいある。私も参議院で議運と国対が長いものですから、十二年いたときに議運、国対をずっとやっていましたから、私は、野党の意見を聞く、そしてどこまで実現できるかを考える、これが本当の国会運営だと思いますよ。

 それが今、衆議院に来てみたら、たまたま与野党逆転になっていたけれども、私から見て、何だこのありさまはと思いますよ。今まで、現職の議員が起訴された場合に、これに対して野党全員が議員辞職勧告決議案を出しているときにこれを採決しないとか、政治と金の問題についていろいろな指摘があって、参考人質疑で国会の場で明らかにしていきたい、こういう話があるときに、それを全く知らないふりをして衆議院の審議が終わるのを待つなんというのは、国会運営も横暴きわまる。私は、民主主義の危機だとすら言えると思います。民主主義の危機です。

 政権をとったら、自分たちが野党にいたときに何を言ったか忘れて、一つも実現していないこの現状。これでこの国の政治がよくなっているとでも言えるんですか。言えるはずがない。わかりますか。

 これに対してどう思いますか。官房長官。

平野国務大臣 自民党が与党のときには野党の意見をよく聞いた、こういう御発言でございました。(金田委員「そのつもりです」と呼ぶ)

 私も、国対の委員長代理を三回もやっておりましたから……(金田委員「衆と参と違うの」と呼ぶ)与野党の交渉を……(金田委員「考え方は同じじゃなきゃ」と呼ぶ)聞いていただけますか。そういう関係で、与野党の交渉事をやりました。そのときにも、一部は聞いていただいたところはございますが、私が直近の国対委員長代理のときには、強行で、各委員長の職権により立てられたのが八十回ございました。

 そういう状況をかいま見ているから今復報しているとか、そんなことは全く考えておりません。私は、与野党のあり方というのはやはり健全でなきゃならないということは基本でございますが、それは、その時々の政策テーマによってそういうことは当然あるものだ、このように思っております。

 そういう中で、政治と金ということについてのことでございますが、これはやはり、国民に負託されている議員でございますから、常に襟を正してやらなきゃならないということは事実でございますし、国民の皆様方に対しても、やはりそれぞれ政治家個人の判断としてしっかりと説明をしていくことが大事であろう、このように考えております。

金田委員 どうもすれ違いの答弁をいただいておりますが。昔もやったじゃないか、今ここで昔のことを精査する時間もありません。そう言われる、報復しているつもりはない、それは答弁には私はならないと思います。国民の期待を担って政権を握った以上、立場としては、しっかりと国民の意を踏まえて最大限の努力をするという答弁が当然のはずであります。それを超えた答弁をしていると私は言わなきゃいけなくなっちゃう。

 民主党にあらずんば人にあらず、今この国に流れている雰囲気はそういうことじゃないですか。民主にあらずんば人にあらず、おごれる何とか久しからず、そこまでいくかどうかわかりませんけれども。これが与党の政治であるからこそ見逃すことはできないんです。それに対して言わざるを得ないんです。

 だから、そこを、政権与党として、今までがどうだこうだではない、政権がかわって、これから政治を変えていくと言っているそのかなめの方が、しっかりとそういうことはないようにしていく、その範囲で政治主導を考えると言っていただかないことには、私たちは、この国の政治の将来に危うさを感じざるを得ないのであります。民主主義というのはそういうことを大切にすることだというふうに私は思っております。

 そこで、政治主導について、やはり官と政の関係というのが次に、私は非常に問題だというふうに思っているわけであります。

 政と官の関係で、我が国が政治主導を考えていくときに、二本の法案が出てくると思いますけれども、ほかの国と比較をしたときに、法的に設けられるチェック・アンド・バランス、三権分立がどういうふうに保障されるか、三権の均衡と抑制、それがどういうふうに保障されるのかという点は非常に重要だと思います。

 民主党さんはイギリスが大好きですから、イギリスに行って勉強された、そういう方が多いというのはよくわかっています。だったらば、二点、非常に勉強しておられるんだろうと思います。

 イギリスでは、決定的に重要なのは、政治任用で占められる幹部職というのが一般行政の人事に介入することができないということなんですね。そこのところが非常に明確に区分されている。だから、この問題提起なんですけれども、先ほど言った双方向ですね。

 官というものは、私たち選挙に携わる者がカラスとかウグイスという言葉をよく使います。例えばカラスを見たときに、白いか黒いか。国民常識的に黒い、ところがそれを白いと言わなきゃいけないような、そういう制度のつくり方になってはいけないのであります。白いカラスになっちゃいけないんですよ。あるいは、カラスは元気な声で鳴くのがカラスなんです。鳴かないカラスになってもいけないんだ。そういうカラスを、元気なカラスを私たちは選挙のときに使うでしょう。

 それと同じです。白いカラスにならないようにするためのその歯どめ、政治任用と一般職のその歯どめ、区分。明確な区分というものをイギリスはどのようにしてやっているかということをもう勉強されていると思います。

 それからもう一つ、最近の流れとして、政治任用、政治任用といって、イギリスはやり過ぎてきた、ブレア政権、ブラウン政権、もうやり過ぎて、何だか知らないけれども、知らない間に七十四人ですか、政治任用で首相がそばに置いているというじゃないですか。しかし、その人たちの問題もいろいろ出てきているのであります。だから、そういう政治任用についても、今イギリスでは、上院の憲法委員会、昨年の六月に、首相に対して権力集中させることは、首相と内閣、政治家と官僚の関係をこじらせて、国家国民に対して実りある政策を生み出しはしないという認識のもとに、調査に乗り出したんですね。開かれた議論を大切にしなきゃいけない、そういう認識が今イギリスの議会に満ちあふれている。だから、行き過ぎた政治主導に対する反省が出てきているということであります。

 こういう二つについて、どのようにお考えになっておられるか、簡単に言ってください。

仙谷国務大臣 どういう質問の趣旨なのかちょっと理解が難しいものですから、どういうふうにお答えしようかなと思うんですが。

 イギリスは、少なくとも上院議長は大審院の院長というか最高裁判所の長官ですから、イギリスの制度もイギリス特有の独特なものがある。日本は、戦後は、ある種イギリス的議院内閣制を取り入れながら、三権分立という言葉だけはアメリカの民主主義の形をどうも取り入れた。取り入れたというか、そういう論説がはやったというところで混乱をしているのではないかという気がします。

 今度は官僚制の話になりますと、これは、明治以降の天皇の官僚が、そのままというわけではないですけれども、要するに新しい民主主義のもとでの官僚という位置づけになっているわけでありますけれども、多分国家公務員法も、日本国憲法がつくられるのと同時期か、憲法よりも早かったかもわかりませんね。そんなことで、ちょっと看板をかえただけで、意識の方も変わらずに、どうも官僚の政治的な中立性とかあるいは専門性というものについて突っ込んだ議論がないままに、五五年体制に突っ込んで、自民党一党支配のもとで、これが官僚の政治的な中立性と専門性を担保するシステムなんだということになったようであります。

 きのうも行政刷新会議の中で片山善博さんが指摘なさったんだけれども、やはり官僚は、その部局部局で、あるいは独法もそうでありますが、現時点でのミッションは何なのかということを繰り返し繰り返し議論する必要があるし、そのことをまず設定しないと、いつの間にか、国民の全体の奉仕者としてというか、つまり、政策を立案し執行することは国民に向けてなんだ、国民のためなんだというところが抜け落ちて、何とか省のためなんだ、何とか局のためなんだ、そのためには少々ずれたことをやってもいいし、やらなければいけないんだというようなことになる。

 それで、先般、大先輩が私のところへおいでになって、仙谷君、事務次官廃止なんということは言わない方がいいよ、事務次官はおった方がいいと思うよという忠告をしに来てくれたんですが、そのときにおっしゃったのは、今までの事務次官がもしいけないとすれば、OBと族議員が絡んで各役所の次の人事を決めていく、これがまずいので、民主党の場合はしがらみのある族議員というのがまだ今ほとんどいないんだから、今のうちにそこのところを整理した方がいいよ、それで事務次官にちゃんとそのことを任務として与えて、新しいマネジメントの姿、ガバナンスをつくった方がいいよという忠告をしに来てくれた方がいらっしゃいました。尊敬する大先輩の官僚です。ありがとうございました、では私も考え直してみますというふうに申し上げたんです。

 事ほどさように、ここまでの問題は、二重三重に、特にこの間やはり政権交代がなかったことによる問題もあるというふうに私はとらえております。

金田委員 中立性と専門性、それは公務員の皆さんに非常に重要なポイントだというふうに私も思っております。

 ですから、それを担保することが必要だ。間違っても、政治主導という名のもとに、党が、あるいは政治が行政機構を支配するようなことのないようにしなければいけない、誤解を受けるような形でのそういう支配。例えば、イギリスでいいのは、専門職としての行政官と政治任用としての立場との峻別がきちっと行われている。そこなんですね、私が申し上げたいのは。ですから、それをきっちり踏襲するべきではないか。

 そのときに、アメリカのポリティカルアポインティー制度、政権がかわるたびに三千人が大きく異動する、そういう制度をあわせ組み入れて、党中央集権的モデル、党中央集権という言葉を使わせていただく、党中央集権的なモデルをつくるというのは、必ず、権力の均衡、三権の、行政と立法府の、行政権と立法権の均衡と抑制といいますか、そういうのをどういう形でつくるかということも一緒に、あるいは、公務員の皆さんが中立性をどのようにして担保するか、そこのところをあわせて出してくださいよ、こう申し上げているのであります。

 それなくして、例えば先ほどの内閣府のようにどんどんどんどん膨らんできて、仙谷大臣も先ほどおっしゃったじゃないですか、二重構造になっていると。二重構造になっている。総理のもとに、内閣官房と内閣府にどんどん人を集めて、そして今は二千三百人ですか、プラス七百人、三千人を超えているんだ。こういう各省からの人が集まってきて、その上に政治任用の方がいる。しかし、これを押さえるには、使うには、もっと政治家をどんどん入れなきゃいけないんだ。

 だったら、後の法案のときに私もまた質問申し上げるけれども、それぞれの方たちが今機能しているのか、していないのか、評価を、先ほども厳しいことをおっしゃった、その具体的中身を教えていただいて、しっかりと、政治家がやるべき部分と公務員がやるべき部分、イギリスではそれが双方向になっているという部分、これを踏まえた形にこの国の政と官の関係を位置づけることができたかどうかということが、今度の法案が出たときの物差しになるんだということを私は申し上げているのであります。御理解いただけますね。

 そういう中で、アメリカでさえ、大統領制ですからね、議院内閣制じゃありませんよ、でもアメリカでさえ、上院がチェックする、そういう機構、機能もあるわけですね。だから、本当にそれぞれの国が、非常に試行錯誤もあったかもしれません、でも、それぞれのやり方の中で権力の集中を招くおそれをきっちり整理するためにやってきているんだということを、やはり我が国がこういう政治主導を語るときには、それを最重要課題としてチェックしていかなきゃいけないということであります。

 そのシステムを入れているかどうか。カラスが白いと言ったり、カラスが鳴かなくなったと言ったりすることの絶対にないように、元気なカラスで、双方向の仕事、片方の方向はマニフェストの仕事です、片方の方向はそれに欠けている部分、あるいはそれ以外の国民の思い、逆の方向です、その双方向を、しっかりと全部を企画立案できるような、そういう公務員をつくっていかなければいけないんだ。それをやるのがまさに仙谷大臣、そして官房長官、もちろん総理の仕事なんだということをここでぜひともきっちり申し上げておかなきゃいけない。そのスタンスから外れたら厳しく追及させていただいて、その基準はどこにあるのかということを申し上げなければいけない、こういうことを言っているわけであります。

 そのチェック・アンド・バランスについて、どういうお考えをお持ちでしょうか。

仙谷国務大臣 ちょっと先生の御納得いただけるちゃんとしたお答えになるかどうかわかりませんが、イギリスのことを主要に取り上げていらっしゃるわけでありますが、我々が参考にすべきなのは、イギリス、フランス、ドイツ、官僚制と政治の関係というのは、そのぐらいは見ておいた方がいいのかなと思っております。

 せっかくですから、これからの公務員制度改革論議でも役に立つと思うので御紹介しておきますが、昨年の二月に、人事院の中で、公務研修・人材育成に関する研究会というのが行われて、こういう報告書が出ておるんです。ところが、これが余り人口に膾炙していないというか、私が存じ上げなかったぐらいで、ああ、こんなものがあるのかとびっくりしたんですが、この中にも、海外における人材育成、今申し上げたイギリス、フランス、ドイツが入っております。アメリカももちろん入っているわけでありますが。

 それを拝見しますと、フランスもドイツも、今問題になっている政治任用の中で、職業公務員を政治的に任用するというケースがあるか。日本は、今度の内閣人事局の一元管理でもまだそういうふうになっていません。なっていませんけれども、フランスとドイツは、局長以上の高級職、約六百だそうでありますが、職業公務員出身者だけれども大臣が自由任用できるということになっておるのがフランスであります。それから、ドイツもやはり、事務次官、局長などの高位ポストは、政治的な官吏として任用されるということになっておるようであります。

 したがって、政治任用という言葉を使うときに、政治家を行政府の中に入れるという意味での政治任用と、それから、職業的公務員を、あるところから以上はそのときの政府がこの人をここへつけようというふうに任用する場合と、両方あると思うんですね。

 そこで、恣意的な党派性や極端な政治性が出ない任用の仕方をどうするのか。

 今度の私どもの国家公務員法の改正では、そこは、幹部の適性試験といいましょうか、そういう試験によって標準的な職務執行能力を担保する。その中で、今度は大臣と官房長官、総理大臣の協議の上で、どこの省の局長、事務次官あるいは部長に張りつけていくのか。ここは多分、そういうポジションのところへ来ている方は専門性も高く、なおかつゼネラリストというか幅広い見識もお持ちの方が残っていらっしゃると思うので、それは、元経産省の人を財務省に持っていく、財務省の人を何々省に持っていくというような、むしろクロスオーバーの人事がやられた方が、そういうものが相当程度ふえてきた方が私はいいのではないかとこの間考えているところであります。

 だから、党派性、あるいは昔のように、能力がないけれども何とか大臣とか有力政治家と親しいからということでそいつがぽんとどこかの地位につくというようなことがあってはならないと思います。

平野国務大臣 今、仙谷大臣の方から申し上げましたけれども、私はやはり、今までの政権が官邸主導という名のもとに霞が関から人を集め切って、膨らんできた人員が官房並びに府に、先ほど先生御指摘の人数がおることは承知をいたしております。

 しかし、私どもは、政治主導、いわゆる総理のリーダーシップが発揮でき得る体制をつくっていくという考え方のもとに、政治家がもっと責任を持って対処でき得る体制をつくる、これが今回の大きな、後で法案の審議をいただきたいと思っておりますが、仙谷大臣が述べたところでございます。

 その前提は、やはり公務員の皆様方にしっかりと働いていただくということであって、抑えつけて崩してしまう、こういうことではありません。それぞれが官の役割でしっかり働いてもらう、しかし責任は政治家がとる、こんな仕組みをしっかり確立するというのが今回の私どもの目指す政治主導の体制でございます。

金田委員 要は、要するに健全な政と官の関係がつくり出されなければいけない。したがって、それができないときには、政策決定機能とか日本の政治が危うくなるわけですね。

 それと同時に、公務員というのは、やはり公的なものへの献身を旨としているんです。それは変な人もいますよ、中には。でも、公務員というのは、公的なものへの献身あるいは社会への献身というものを支えに働いているわけです。そういう人たちが、間違っても特定の政党やあるいは政治家のためにイエスマンになるような仕事が行われたのでは国益の損失なんです。そうならないシステムを、政治家を入れるというのは私は反対じゃないですよ。だけれども、その政治家の入れ方。

 政治家なんか入れなくたって、今だって政治主導は幾らでもできる。例えば、内閣官房、内閣府が千人に満たないときに、今の総理は官房副長官をやっていた。さっき申し上げた。これが足りないな、海外への広報が足りないな、私にすぐ電話がかかってきました。電話じゃわからないので一緒にお会いして話した。その結果、新しいものができるんです。

 要は、政と官の関係というのは、政治家が、しっかりと掌握できる能力と実力と努力を持っていれば、それは官だってついてきます。双方向でやる、その考え方をぜひとも大事にしてもらわなければいけない。

 そのときに、健全な関係を政と官の間でつくり出すために、チェック・アンド・バランスの、ウオールといいますか、イギリスにあるようなウオール。あるいは、アメリカは三千人が、政権がかわればみんなやめるんですよ。ポリティカルアポインティーの公務員はやめるんです。そういうふうにしなきゃいけない事情というのがあるわけです。それを皆さんがどういうふうに考えて、今回二つの法案を出すときにどういう思想でそれを説明するのかというところを私は注目していきたいな、こう思っているわけであります。

 それがなければ、先ほどいろいろな事例を申し上げました、官房長官が、いや、そんな、本当に前の政権でもあったかななんというような話もされましたけれども、今新しい政権で、国民のための政権ができたともし言うならば、前がどうであろうと、私はそれほどひどいのは前はなかったと思いますけれども、でも、それをきっちり示していかれることが必要なんじゃないか、それが真の政治主導なんじゃないかということを申し上げているわけであります。

 そういう考えに対して、続編を楽しみにしていただいて、一言お願いしたいと思います。

平野国務大臣 先生の今までの経験に基づいた御意見は承る、このことは当然のことだと思いますが、私どもは、恣意的に物事を決めていこうとか、政治家が自分の好きな人間だけを周りに集めるとか、そんなことは。人事の基本の原則であります。

 私も民間で仕事をしておりましたけれども、人事というものはどういうものかということについてはある意味では承知しているつもりであります。そういう観点から見ますと、民間の発想から見ますと、この霞が関の人事、これは異常な人事であります、人事の仕組みとしては。

 しかし、ベースにあるのは、それぞれの公務員の人が本当に汗をかいて頑張っている、その前提は国民への奉仕者であるという、この基本において頑張る環境をどうつくっていくかということだと私は思っておりますから、先生の御指摘を十分踏まえて、法案の中で御議論いただきたい、このように思います。

金田委員 私は、やはり政治が行政機構を支配するような、そういう形には絶対になってほしくない。党中央集権主導みたいな、そういう形には絶対ならないでほしい。党中央集権主導には絶対にならないでほしい。政治主導がそういう形にならないように国民全員がウオッチしていかなければいけない、非常に厳しい目で見ていかなければいけない、そういう今回の制度改正だ、こういうように私は思っていますので、それを申し上げますとともに、政党間の健全な関係をきっちり担保できる、そういう仕組みをあわせて導入していただくことを重ねて申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


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