衆議院

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第5号 平成25年4月3日(水曜日)

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平成二十五年四月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平井たくや君

   理事 木原 誠二君 理事 関  芳弘君

   理事 田中 良生君 理事 西川 公也君

   理事 平口  洋君 理事 若井 康彦君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新開 裕司君    新谷 正義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      田野瀬太道君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    平沢 勝栄君

      福山  守君    山際大志郎君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      荒井  聰君    小川 淳也君

      岡田 克也君    後藤 祐一君

      近藤 洋介君    古本伸一郎君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   国務大臣         山本 一太君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           甘利  明君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   総務副大臣        坂本 哲志君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  占部浩一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  望月 達史君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 刀祢 俊哉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     田野瀬太道君

  津村 啓介君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     新開 裕司君

  近藤 洋介君     古本伸一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  新開 裕司君     田所 嘉徳君

  古本伸一郎君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 社会保障と税の一体改革を中止し、マイナンバー法案を廃案にすることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(内閣提出第三号)

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四号)

 内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方公共団体情報システム機構法案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

平井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、内閣法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体情報システム機構法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る五日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官占部浩一郎君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、人事院事務総局職員福祉局長井上利君、警察庁生活安全局長岩瀬充明君、総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、総務省自治行政局長望月達史君、国税庁長官官房審議官刀祢俊哉君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、厚生労働省医政局長原徳壽君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 まず、番号制度についてお尋ねしたいと思います。

 この法案は、前政権時代から煮詰めて議論してきたものであり、三党間でも協議をしたものですから、なかなか個々の中身については質問しにくいところがあるんですが、もう少し大局的な見地から幾つか御質問したいと思います。

 まず、この番号制度を導入することによって政府の効率化、合理化というものがどの程度なされるのかということについて、甘利大臣は本会議でも、数値化は困難であるという答弁をされています。しかし、巨額の税金を投入して行われるわけで、投資効果といいますか、かかったコストとそれに見合った効果というのは、当然比較考量の上でこの番号制度の導入がなされるんだと思います。

 もちろん、行政サービスの向上という観点はあるものの、やはり行政の効率化という視点を考えれば、そういった政府としての目標値というものは、これは当然あってしかるべきではないかと思いますが、具体的にどの程度の効果があるというふうに考えておられるのでしょうか。

甘利国務大臣 岡田先生は、この間までここで答弁をされていた方でありますから、全部承知で質問をされているんだと思います。

 私も当時の質疑のやりとりを見ておりましたけれども、なかなか数値化が難しいようでありました。一部には、二兆とか三兆を目指すとか、あるいは、たしか北川正恭さんの研究会では、彼は衆議院の当選は私と同期なんですけれども、一兆円ぐらいあるんじゃないかとか、いろいろな数字が出ております。

 なかなか確定しづらいんだと思います。効果は定性的というのが政府答弁の模範回答なのでありますけれども、費用対効果であれば、かける費用、たしか民主党のときには五千億とか六千億というふうな答弁もあったようでありますけれども、現状では二、三千億円ぐらいではないか。当然、それを回収して余りある、行政効率効果だけではなくて、国民の利便性等々あるんだと思います。いずれ、この番号制を導入し、行政の電子化とあわせて次第に効果が確定していくのであろうかと思います。

 現時点において、こういう計算式において幾らであるということは、なかなか算定しづらいというふうに思っております。

岡田委員 なかなか根拠のある数字というのは示されないわけですけれども、これは、民間の投資ということで考えてみれば、例えばある会社がそういったIT化を行う、そうすると、今まで手作業とかそういったことで行われていた事務が効率化される、その結果としてどのぐらい人が必要なくなり、そしてその人件費抑制効果というのはこのぐらいある、そういったことは少なくとも数値化できる話ではないか。少なくとも民間はそういったことをした上で投資をするかしないかを決めているというふうに思います。

 そういう観点でちょっと具体的にお聞きしたいんですが、番号制導入による合理化という意味で幾つかの分野を挙げられていますが、例えば社会保障分野、年金なら年金を取り上げて、今行われている年金に関する行政の作業の中のどういった作業が、番号制を導入することによって、人から機械に、ITに置きかわるのかというようなことを、少し具体的にお話しいただけませんでしょうか。

甘利国務大臣 全体を通してどういう効果があるかというと、申請の添付書類が省けるということ、それから給付に関しての併給調整ができるということ、それから税の捕捉がより正確になるということだと思います。

 分野別に具体的にどういうことが起きるかということをお話ししますと、年金分野では、老齢厚生年金の加給年金額の加算に関する手続においての、加算の条件を確認するための添付書類である住民票であるとか所得証明書等の省略が可能になる。

 それ以外の分野については、どうしますか。(岡田委員「まず年金について」と呼ぶ)はい。

岡田委員 添付書類が省略できるというのは、これはユーザーが、つまり国民から見てのメリットだというふうに思いますが、そのことが行政側にとって具体的にどういう手間が省けるのかということはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 この種の発行業務にかかわる業務量自身、あるいは、それにかかわる人手が減ってくるということになろうかと思っております。

岡田委員 ある程度そういうものを数量化する、件数はわかっているわけだし、どういう手間が省けるかということも具体的に特定して、全体としての仕事量はどのぐらい減るか、それにかかわる人はどのぐらい必要がなくなるかということを、これは窓口業務と国の業務とそれぞれあると思いますが、そういうことをある程度特定することは可能だし、そういうことが特定されなければ、やはり国民に対して、巨額の投資をするということについての必要性をきちんと説明したことにはならないんじゃないでしょうか。

甘利国務大臣 もちろん、業務量が効率化されて減ってくる、作業自身が減るし、人も減るし、当然それにかかわるいろいろなコスト、人件費も、それから作業コストも含めて減っていくということははっきりしているわけでありますが、それ以上に、国民の費やす手続が圧倒的に減る、それに関するコストも減るということはしっかり説明していく必要があると思います。

 行政のコストがどこまで減らせるかということは、恐らく、あらあらのことはできるかもしれませんが、そこは少し導入に従って数字が精緻になってくるのではないかというふうに思っております。

 先生が答弁されていた時代の質問に対する答えについても、コスト自身がまだしっかり確定していなかったということもありますし、そして、三党協議を経て、今回、あれから年数を経て、今法案が新たに提案をされているときになって、実はもう少しコストが削減できるのではないか、しかし、その数字も二、三千億というあらあらの数字ですから、作業工程が進むに従ってしっかりフォーカスしてくるのではないかというふうに思っております。

 今どこまでできるかは関係者と少し相談をしてみますけれども、明確に細かな数字まで、現時点で算定はなかなか難しいんじゃないかと思います。

岡田委員 番号制導入を前提に、まず現在の番号制を前提にしていない業務の仕事のやり方そのものを改革する。そして、それに合ったシステム開発も当然必要になるはずであります。そういうことを番号制導入とあわせて同時にやっていかないといけないというふうに思いますし、それはなるべく、各省庁ばらばらではなくて、統一感を持ってやっていかないと効果も薄い。だから、そういうのをトータルで考えていかなきゃいけない。単に番号を入れればいいという話ではないと思うんですね。

 そこのところの問題意識が私は十分ではないような気がするんです。民間だとちょっと考えられないことではないか。やはりそこのところをきちっとやった上で投資を決めるというのが普通ですから。

 もちろん、我々の政権のときもそれをきちっと固め切れていなかったことは事実で、まず、ぜひここはもう少し問題意識を持って、そこまで裾野を広げて政府の中で議論していただく必要があるんだと思いますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 民間企業、なかなかイオンと比べてそのとおりにいくかどうかというところ、勉強しなくちゃならないところはあろうかと思っております。

 あわせて、今度、政府CIOが法定化されるといいますか、しっかりした権限を持って設置をされる。そこで、政府全体の電子化の作業が、今まで毎年、正確な数字は知りませんけれども、数千億円投じてIT化、ICT化を進めているにもかかわらず、遅々として進んでいないという点がある。それらの政府全体の整合性とあわせて、効果は加速するのではないかというふうに思っております。

岡田委員 これは並行してやっていかないと、番号制を入れてからよいこらしょと立ち上げたのでは、恐らく手おくれになってしまうと思いますので、ぜひそこは積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 さっき年金についてお聞きしましたが、例えば税についてこの番号制を入れることで、少なくとも法人に番号はつくわけであります。そうすると、国会でもいろいろ我々も当時の野党の皆さんから御質問いただいたりしたんですが、法人番号制が入ることで、例えば社会保険に、入っていなければならないにもかかわらず、入っていないかもしれない法人というのは一定数存在するわけですね。そういうものはきちんと把握できるようになるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 少なくとも、今までよりは確実に把握は進むというふうに思っております。

岡田委員 番号は全ての法人に振るということでよろしいんでしょうか。そういうふうにしますと、かなりの数の法人が、例えば厚生年金に入っていない、そういったことが全て明らかになって、そういう法人に対して厚生年金加入をきちんと指示できる、こういう仕組みになるというふうに考えていいんでしょうか。

甘利国務大臣 全ての個人、全ての法人であります。でありますから、あらゆる点での、番号が振ってある対象に対しての、いろいろな情報の捕捉というのははるかに正確にできるようになると思います。

岡田委員 そのときに、例えば、税の対象になっている法人とそれから社会保険の対象法人で、ずれがあるというようなことがたびたび主張されるわけですが、そういったものを突き合わせて、そこに差があるとか、そういうことはきちんと仕組みとしてできるようになるというところまで考えておられるんでしょうか。

甘利国務大臣 番号制の導入というのは、あらゆる法人、あらゆる個人に、その人には一つだけの番号が付されるわけでありますから、いろいろなその法人あるいはその個人に関する情報の突合は圧倒的に迅速に正確にできるということになりますから、御指摘のような、法人でありながら社会保障に関して果たすべき義務が果たせていないということは、しっかり把握できるはずであります。

岡田委員 それから、これは国の中だけじゃなくて、国と地方の関係というのもあると思うんですけれども、我々のときも議論していたんですが、例えば旅費のシステムとか給与システムというのが、これは各省庁でそれぞれ独自の体系をお持ちで、そのことによって、公務員には基本的に番号がついていても、政府の中でそれがうまく活用できないというようなことはあったと思うんです。

 今度、国と地方の間でやはりシステム的に整合性がないと、番号制が入って全体が把握できたとしても、結局、それはうまく使えないというようなことも起こり得る。

 したがって、そういう意味での国と地方のシステムの調整というものが非常に大事になってくるんじゃないかというふうに思いますが、この点についてはいかがですか。

甘利国務大臣 全体の費用が二、三千億の中に、地方のシステムにかかわるのはたしか千五、六百億というふうに試算されていますけれども、先生御指摘のとおり、システムの整合性がきっちり図れないとやる意味がないのでございまして、そこはしっかりと整合性がとれるようにしていきたいというふうに思っております。

 旅費のシステムというお話も先ほどありましたけれども、これは各省ごとにばらばらで、中央省庁でも、前から、システムの整合性がとれていないから、お金をかけてもちっともIT化が進まないという指摘がありました。

 これは政府CIO担当大臣の領分であると思いますけれども、政府CIOに私は個人的に、なぜ進まないんだという質問をしたことがあります。それは、指揮をとる者が、システムを構築する者以上にITに対する知識がしっかりないとそれはできませんということでありました。

 ですから、政府CIOは相当な知識をお持ちの方についていただいていると承知をいたしておりますけれども、圧倒的な知識量を持っている人が権限を持って全体の統一化を図るということが必要だというふうに思っております。

 国の中の統一性、それから国と地方との整合性、そこには十分な思いをはせて取り組んでいきたいというふうに思っております。

岡田委員 今、政府CIOの話が出ましたので、この点に移りたいと思います。

 実は、平成二十四年十一月三十日に、前政権時代ですけれども、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定、行政改革実行本部決定ということで、幾つかの重要なことを決めております。その中の一つに、政府CIOの権限の話がございます。

 今、甘利大臣御指摘のように、やはり政府CIOにどれだけの権限を持たせるか、つまり各省庁に対する権限の意味ですけれども、そのところが政府CIOをこれから法制化したときに非常に重要になってまいります。

 先ほどの本部決定においては、政府CIOに対して勧告権限を付与しているわけであります。「各省のIT関係予算の審査・調整等を行う権限、IT投資に係る業務改善等に関する勧告権限を有するものとする。」

 残念ながら、今度の法案にはそういったものはないわけですけれども、勧告権限を持たせることは仕組みとしては十分可能だと思うんですけれども、ここのところはどういうふうにお考えなんでしょうか。

山本国務大臣 岡田先生のおっしゃった二十三年の本部決定、これはもちろん私もよく読ませていただきましたし、前政権で今の内閣情報通信政策監、この設置については精力的に御議論いただいておりまして、もちろんいいことについてはしっかり引き継いでいかなければいけないと思っていますし、二十三年の本部決定は最大限に尊重し、そこを踏まえて、今回、政府CIOの法案を出させていただいているということをまず申し上げたいと思います。

 その二十三年の方針の中に勧告権限の話があるんですが……(岡田委員「二十四年」と呼ぶ)二十四年だ、ごめんなさい、失礼しました。去年です。二十四年の中に勧告権限の話があるんですが、岡田委員御存じのとおり、今度の法案の中で、政府CIOは内閣危機管理監と同格のかなり高い位置づけを与えられているということと、IT戦略本部でも一応本部員として参加をするということになっておりますが、やはりそれでも府省の大臣と同等というわけではありませんので、大臣に対する勧告権限を今のたてつけで付与するというのは極めて難しいだろうという判断がありました。

 他方、これも御存じだと思うんですけれども、IT戦略本部から政府CIOが委任を受ける事務、例えば関係行政機関の経費見積もり方針とか、府省横断的な計画の策定とか、政策評価とか、あるいは施策の方針とか、こういうことについては政府CIOが直接内閣総理大臣に意見を言えることになっていまして、内閣総理大臣は、IT戦略本部の本部長として、本部員である閣僚の指揮監督権限というものがありますので、そこを通じて十分に総合調整ができるのではないか、こんな認識でおります。

岡田委員 まず、現在の政府CIOについて、山本大臣はどのぐらいの頻度で会っておられますか。例えば、毎週会っておられますか、それとももう少し回数は多いんでしょうか、少ないんでしょうか。

山本国務大臣 所掌分野が七つか八つあるので、毎日お目にかかるというわけにはいかないんですけれども、例えばIT政策についてのいろいろな大臣レクのときには常に来ていただいていますし、あるいはほかの会議等々でもお目にかかっていますので、一週間に一回か二回ぐらいお顔を見ているんじゃないかと思います。

岡田委員 顔を見るというより、直接一対一でお話しになる、そういった機会がやはりもう少しあった方がいいと思うんですね。

 それから、総理とはどのぐらい、何回ぐらいお会いになったんでしょうか。

山本国務大臣 閣議でという意味でいうともちろん毎週会っていますけれども、二人でということですか。(岡田委員「CIOが」と呼ぶ)ごめんなさい、私ではないですね。大変失礼しました。

 政府CIOが総理と直接どのくらい会っているかというのはよくわかりませんが、会議等々ではいろいろ意見を交わしておられると思います。お二人で何回会っているかというのは、よく把握しておりませんけれども、そう頻繁ではないと思います。

岡田委員 今度、これは危機管理監と同等という高い位置づけ、もちろん権限的には問題があるというのは先ほど申し上げたとおりなんですが、危機管理監であれば、恐らく週に一回は総理と会っておられるはずですね。

 そういうことを考えても、単に形式的にその位置づけがどうということだけではなくて、政府の情報化に関して不断に総理とも意思疎通ができるということが、やはり実効性を持たせる非常に大きなポイントじゃないかというふうに思うわけです。

 それはすぐにでも実行できることですから、大臣の方からもまたぜひ、総理にそういったことについてアドバイスをしていただければというふうに思います。

山本国務大臣 大変貴重な御示唆をいただきました。

 実は、岡田先生の思いは、政府CIOに任命する方にきちっとした仕事をしていただきたい、政府CIOをつくるからには、ちゃんと機能できる体制にしなきゃいけない、こういう問題意識だと思うんですけれども、そこは私も共有しております。

 実は、この法案のたてつけについてもかなり強力なものにできたと私は思うんですが、かといって、やはり総理のバックアップとか、担当大臣である私のバックアップがないとなかなか前に進まないこともありますし、総理も、新しい政府CIOについては、私と山本大臣がしっかりバックアップするということも明言していただいていますので、今の岡田委員のアドバイスはしっかり受けて、またそのことを私の方から総理にもきちっとお伝えしたいというふうに思っています。

岡田委員 アメリカなどでも、大統領との近さといいますか、あるいは大統領自身がどのぐらいの問題意識を持っているかということが、やはり政府のIT化を進めるに当たって非常に重要だったというふうに理解をしております。そこはぜひお願いしたいということ。

 あと、山本大臣、各省のCIO、大体官房長がやられていることが多いと思いますが、会議を持たれたことはありますか。

山本国務大臣 今、CIOの連絡会議があるということは存じ上げていますが、会議で議論をしたということはまだございません。

岡田委員 各省庁のCIOは大体官房長が兼任されていることが多いんですが、それぞれの各省の官房長がどのぐらいITに関する理解とか、あるいは必要性についてきちんとした考え方を持っておられるかというと、官房長も大変忙しいし、それまでのキャリアの中で、ITとは全く関係のないところで育ってきた方も多いんじゃないかと思うんですね。

 ですから、そういったところの動機づけといいますか、それも非常に重要なことで、私が閣内におりましたときに、一度、彼らを集めて会議を持ったことがありますが、政府CIOの重要性を再認識してもらうためにも、それから、各省庁が本気になってIT化を進めてもらわなきゃいけませんから、そういうためにも、そういった会議を持つとか動機づけをしっかりするということも、ぜひ山本大臣にお願いしておきたいと思います。

山本国務大臣 今、岡田委員から御提案いただきましたので、できるだけ早急に、一度、各省のCIO、官房長のケースが多いと思いますけれども、集めて、いろいろと議論させていただきたいと思います。

岡田委員 もう一つは、勧告権の話は後ほどまた同僚議員がやられると思いますが、対象として、独法に対しての権限というのが直接及ばない形になっているわけです。これは、先ほどの平成二十四年十一月の本部決定の中では、独法に対してもということを書き込みました。大きな情報システムを持っている独法というのはたくさんございます。やはりそこまで含めてやっていかないと、結局、効果が限られるんじゃないか、そういう問題意識なんですが、独法についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。

山本国務大臣 独法については、それぞれ所管の省庁があって、大臣がおりますので、今回の法案のたてつけで、先ほど御説明をいたしましたが、政府CIOとしていろいろとアドバイスをする、あるいは独法のIT政策等々、システムについて意見を言うということはできると思っております。

 岡田委員のおっしゃった、政府CIOが直接、独法の情報システム、業務改善みたいなことに責任を持つということになると、場合によっては、例えば主務大臣がふえるみたいな話になってしまうという可能性もあって、釈迦に説法ですが、やはり独法のたてつけというのは、できるだけ大臣の関与を少なくするということもあって、なかなか、そのまま直接、政府CIOが各省の所管する独法に権限を行使するというのは、ちょっと独法のたてつけとそぐわない面もあるのではないか、こんな議論もあったというふうに伺っております。

 いずれにせよ、今の法案のたてつけの中で、主務大臣を通して、しっかり独法の例えばIT投資なんかも政府CIOが意見を言えるようにさせていきたいというふうに考えております。

岡田委員 独法の業務に関する独立性というのは一つの重要なポイントだと思いますが、こういった基盤となる仕組み、システムの問題ですから、そういうところで余り独立性を発揮されるよりは、そこはやはり政府としての一体感を持った仕組みというのが非常に重要だと思うんですね。

 それに対して所管大臣が問題意識を持っていただければいいわけですが、各省庁、今までIT化がなかなか進んでこなかったということを考えれば、やはりそこは、むしろ外から専門家を持ってきて、権限を付与してやっていくというのがそもそも政府CIOの考え方ですので、この政府CIOにより強い権限を持たせて、独法に対してもしっかりと物が言えるような、そういう仕組みをぜひ考える必要があるのではないか、そういうふうに思っております。御検討いただきたいと思います。

 それから、地方公共団体情報システム機構についても少しお聞きをしたいと思います。

 まず、現在の財団法人地方自治情報センター、これは平成二十二年秋に事業仕分けの対象になりまして、官庁OBの再就職の自粛でありますとか役員報酬の見直し、調達の改善などを行うという指摘がなされました。もちろん、その後、民主党政権も続いていたわけでありますが、現時点でどのような対応がとられたか、御説明いただけますか。

新藤国務大臣 前政権で行われました事業仕分けにおいて、財団法人地方自治情報センターに対して、官庁OBの役員就任等に関する指摘がなされております。しかし、その業務の必要性を否定する意見ではなかったわけであります。そして、一財団法人に委ねるのではなくて、地方によるガバナンスを強化すべき、こういう意見もあったというように認識をしております。

 その上で、今回の地方自治情報センターは、これまでの事業仕分けを受けて、これまでも、技術系の人材の理事長への登用、これは官庁OBではございません、それから、民間出身者の理事への就任といった役員の人選、役員報酬の見直し、外部有識者を交えた契約監視委員会の設置などの調達方法の点検、見直し、こういったものを実施しております。

 今回、財団法人から地方共同法人に移行することによって、新たなるガバナンスのもとで効率的な運営ができるようになるんじゃないか、このように考えています。

岡田委員 この機構の役員の任命、解任については、新法に基づく機構ということですけれども、総務大臣への届け出ということになっております。今までの自治情報センターと比べると、国の関与は弱まっております。

 そこにある基本的な考え方をお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 今回、代表者会議または理事長が機構の役員を任命、解任したときは、総務大臣への届け出、こういうことになっているわけであります。

 これは、この番号制度を、個人番号を生成する事務、これは地方の事務として、地方によるガバナンスを強化した地方共同法人という形に移行いたしまして、この地方公共団体情報システム機構というものをつくるわけであります。

 この機構の運営に対する総務大臣の関与、これは地方の事務という意味から関与は最小限にする、こういう方針があるわけであります。

 また、地方共同法人である地方公共団体金融機構というのが、同じようなものが別にありますが、これも同様に、役員の任命、解任については総務大臣への届け出のみということにしております。

 しかし、一方で、総務大臣は機構に対して報告、立入検査、違法行為の是正要求、こういったことをできるようにしておりまして、非常時など、最終的には国が適正な業務を担保するガバナンス、そこの部分は、最終的な部分での余地は残してある、このように御理解いただきたいと思います。

岡田委員 地方が主体となってやるということは、それはそれで結構なことだと思いますが、一方で、情報化ということを考えたときに、やはりここも、先ほどの、各省庁間で例えば旅費システムとかそういったことがばらばらであるということが効率性を阻害していたということと同じように、やはり国と地方の一体性ということも重要になってまいります。

 そういう意味で、国の権限というものも重要になると思うわけですけれども、そもそも、国の財政措置というものは、機構に対して全く負担がないということでしょうか。地方公共団体が負担するというふうになっておりますけれども、いろいろな形で国が負担するということはないというふうに、確認したいと思います。

新藤国務大臣 まず、先ほどから委員が御指摘いただいている、国や地方公共団体のいわゆる事務の共有化、共通化、これが極めて重要だと思っています。

 それは国の各省庁においてもそうですし、地方自治体も、地方自治体ごとに別々のいろいろな仕組みを入れてしまっています。ですから、そういうものをやはり標準化するなり、共有化するなり、そういった工夫をしないと、この共通番号制度の効果というのは、飛躍的な効果というのはそこに鍵があると私も思っております。

 その部分においては、私たち総務省もその分野を受け持っておりますから、これは新しい仕組みをつくっていきたい、こういうことを今研究しているわけであります。

 今のお尋ねでございますが、機構の運営に要する費用は地方公共団体が負担をする、このようになっています。しかし、住民基本台帳法だとか、それから公的個人認証法を改正いたしまして、これは番号を付与します、それから住基ネットの番号を使っていただきます。こういうものについては、機構が国の機関から情報提供手数料を徴収する、国が番号の付与については一定の負担をする、こういうふうになっておりまして、国の費用負担がございます。

 それから、機構に設置する、最初につける個人の番号付与システムは国費によって構築する、このようにしているわけであります。

 それからさらに、今後必要となる費用、これにつきましては地方が負担していただくわけでありますが、その地方負担について、交付税措置だとか、いろいろなさまざまな財政措置、これは地方公共団体の意見も聞きながら検討をし、必要なものは対処しなくてはならない、このように考えています。

岡田委員 我々、独法に関しては、役員について、天下りを基本的には禁止する、少なくとも公募によるということにいたしまして、公務員OBの役員の数というのは短期間のうちに八分の一ぐらいになったわけであります。

 この機構はもちろん独法ではありませんけれども、しかし、仕事の中身はそういった公的なもののみでありまして、そういう意味では、こういった機構に対する天下り規制やあるいは役員の公募といったことは当然必要だというふうに思いますが、この点についての担保はどういうふうになされているんでしょうか。

新藤国務大臣 これは、地方のガバナンスの強化、そのために地方共同法人をつくるわけであります。そして、この機構においては、理事長及び監事は、代表者会議が任命する、しかし、副理事長及び理事は、理事長が代表者会議の同意を得て任命する、こういう仕組みになっているわけであります。

 ですから、役員また理事長をどう決めていくかは代表者会議で決めるべきでありますが、この選任の過程の透明性を高める、それから有為な人材を登用する、こういうことが必要だというふうに思います。

 そして、私たちとしては、地方の三団体に対して、理事長等の任命に当たっては、公募も含めて、あらゆる可能性を排除せずに適材を選んでいただきたい、こういうお願いをしていきます。

 それから、代表者会議の選任の方針ではありますが、今委員からも御指摘の官庁OBの再就職の自粛方針、こういったものは趣旨が引き継がれると思います。しかし、これもあらゆる可能性を排除せずに有能な人材を選んでいただきたい。

 こういう中で、機構がしっかりとした運営ができるように願っている、こういうことでございます。

岡田委員 国のお金も随分入る、そういった機構ですから、やはりそこの人選、天下りの排除、それから、公募も排除せずにということですけれども、排除せずにではなくて、公募を原則にというふうにぜひやっていただきたいと思います。

 結局、こういう機構がいかにきちんと機能するかどうかということが極めて重要で、先ほど各省の官房長のことも申し上げたが、例えば首長経験者とか、あるいは各自治体の中でどのぐらいITについて知見のある人が民間と比べて多いかというと、私は必ずしもそういうことは言えないんじゃないかというふうに思います。

 政府CIOについても、これは外から持ってくるということで、政府全体のITの考え方をいわば変えようということですから、この機構についても、天下りとかそういうことにならないように十分な指導力を発揮していただきたいし、そういったことがこれからも担保されるような仕組みをぜひ入れていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。

 何か一言あればおっしゃっていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

新藤国務大臣 今の御指摘、問題点、課題というのは共有できると思います。ですから、あらゆる可能性を排除せずに、最適な人材、適切な運営がなされるようにしなくてはいけない。

 これまでのいろいろな御指摘も踏まえた上で、そういったことを地方にはお願いしていきたい、このように考えています。

岡田委員 最適な人材、あらゆる可能性を排除しないという中で大体天下りとかそういったことは続いてきたので、そこはぜひ大臣のリーダーシップをお願いしたいというふうに思います。

 終わります。

平井委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず伺います。

 今回提案されておられます内閣法等の一部を改正する法律案の閣議請議大臣と所管大臣はどなたでしょうか。

平井委員長 何大臣に質問でしょうか。

後藤(祐)委員 所管大臣に聞きたいと思います。

甘利国務大臣 番号法案は私が所管を……(後藤(祐)委員「内閣法ですよ」と呼ぶ)

山本国務大臣 今回の内閣法等の一部を改正する法律案のいわゆる政府CIO法案については、内閣官房から提出した法案であり、その閣議請議大臣は内閣総理大臣だというふうに思います。

後藤(祐)委員 今の法案の所管大臣はどなたになるんでしょうか。

山本国務大臣 申しわけありません。所管大臣は私でございます、CIO法案。

後藤(祐)委員 内閣法の所管あるいはIT基本法の所管、どちらのことをおっしゃっているんでしょうか。

加藤内閣官房副長官 内閣法の所管ということで御質問があろうかと思いますけれども、内閣法の所管は、基本的には、今回の法律を通して申し上げれば内閣総理大臣ということで、閣議請議大臣は内閣総理大臣、こういうことになっております。

後藤(祐)委員 先ほど山本大臣が、私が所管でございますと言ったのはどの部分でしょうか。今回改正されるIT基本法の部分について所管しているということでしょうか。

山本国務大臣 CIO法案についての所管は私だという意味で申し上げました。

後藤(祐)委員 本当ですか。IT基本法は、これは分担管理事務ではありません。そして、IT戦略本部は内閣についています。つまり、内閣法の体系なんです。

 内閣法の体系のもとにあるものを内閣総理大臣または内閣官房長官以外の大臣が本当に所管できるのか、もう一度お答えください。

山本国務大臣 本法案は、内閣官房における情報通信技術の活用に関する総合調整機能を強化するために内閣情報通信政策監を置く、同時に、これをIT戦略本部の本部員に加えることなどがその内容になっております。

 情報通信技術による産業・社会構造の変革を円滑に推進するための企画立案等を行うIT政策担当大臣の担務の一環として、私がこの法案を所管し、提案理由説明とか国会答弁を行う、こういうたてつけだと思います。

後藤(祐)委員 内閣府に属する部分及び各省に属する部分については、担当大臣が担務として担当することは可能ですが、内閣官房、あるいは内閣法の中で行われることについて、本当に担当大臣が担務することは可能ですか、現行内閣法上。内閣官房副長官、お答えください。

加藤内閣官房副長官 基本的には内閣官房長官が担当するという中で、しかし、実際、今、山本大臣からお話がありましたように、内閣官房の機能について、それぞれ担当の大臣にお願いをしているということはこれまでもあったのではないかと思います。

後藤(祐)委員 実態上、官房長官や総理がお忙しいからそういうことをされることは今までもあったことですが、法律の所管という意味において、そういうことが本当に可能ですか。もう一度お答えください。

加藤内閣官房副長官 所管という意味では内閣官房長官、それで、今お話があったように、実態上はそれぞれの大臣が担当する仕事に応じてやっていただいている、こういうふうな仕切りだというふうに認識しております。

後藤(祐)委員 内閣法そしてIT基本法の所管は、内閣総理大臣が閣議請議をし、担当するとすればそれは官房長官である、所管するとすればそれは官房長官である、総理であると言ってもいいかもしれませんけれども、そういうことと理解してよろしいですか、今の官房副長官の答弁は。

 つまり、山本一太担当大臣は、内閣法もIT基本法も、そして今回のこの両方を含めた改正案も、所管の大臣ではないという答弁だと理解してよろしいですか、官房副長官。

加藤内閣官房副長官 所管云々というお話について言えば、今おっしゃったように、基本的には、閣議請議する大臣は内閣総理大臣であるということでございます。

後藤(祐)委員 では、閣議請議大臣が総理大臣である場合、こういった各委員会でその法改正案を審議する場合は、官房長官が提案理由説明をし、そして、要求があれば答弁に、通常であれば法案審議の間にはそこに座るというのが当然のことではありませんか。

 今、官房副長官が、この内閣法及びIT基本法の改正、これについては、山本一太大臣は、実態上の問題ではなく法律論として、所管はできないということでよろしいですね。もう一度確認します。

加藤内閣官房副長官 今、所管ということで申し上げたものと、それから、その上に立って、国会の中でそれぞれどういうふうな役割を担うのか、そこはこれまでも分けて対応していただけているのではないかというふうに認識をしておりまして、そういう意味では、本件については、おっしゃるように、所管そのものは基本的に言えば内閣総理大臣、こういうことになろうかと思いますけれども、それぞれの法案の性格、内容等に基づいて、それぞれ仕事を担当する、担当というか、分野を持っておられる大臣がこうして答弁をし、あるいは委員会等での提案理由説明も行わせていただいた。今回は、そういうロジックの中で、それぞれここまで運営委員会や理事会等の御了解をいただいて提案理由説明等を山本大臣が行ったもの、こういうふうに認識をしております。

後藤(祐)委員 質問にお答えください。山本大臣は所管することはできないということでよろしいですか。

 時計をとめていただけませんでしょうか、こんなに時間がかかるようでしたら。

平井委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

平井委員長 速記を起こしてください。

 内閣官房副長官。

加藤内閣官房副長官 失礼いたしました。

 まず、所管ということで明確に申し上げると、基本的には内閣総理大臣であって、それを基本的には内閣官房長官が対応させていただいている。所管という部分においてはそういうことであります。

後藤(祐)委員 山本一太大臣は所管大臣ではないということが今確認されたということでよろしいですね。しつこいですが、もう一度お願いします。山本大臣は所管大臣ではないということでよろしいですね。

加藤内閣官房副長官 所管という意味ではおっしゃる整理でありますが、ただ、国会等の対応等については、先ほどから申し上げているように、それぞれの大臣の持っておられる仕事を踏まえながら官房長官以外の大臣にお願いをしてきたということがこれまでもございますし、今回もそういう中での対応、こういうふうに認識をしております。

後藤(祐)委員 所管大臣以外の大臣が提案理由説明をした例をお述べください。

加藤内閣官房副長官 平成十六年十一月五日の内閣委員会で、当時の棚橋IT担当大臣が、内閣官房から提出された民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案、いわゆるe―文書法案の提案理由説明を行っている、こういうふうに承知しております。

後藤(祐)委員 少なくとも、所管でない大臣が提案理由説明するということについて、事前に理事会なり必要な手続を踏んで、こういうことで山本大臣が提案理由説明をしてもよろしいでしょうかというようなお申し出はあったんですか。それとも、理事会において、通常の手続であるように、提案理由説明をきょうやりますから、この大臣ですという紙か何かが配られて、自然に通っていったということなんですか。本件が、所管が山本大臣でないにもかかわらず、山本大臣が提案理由説明をするというとても変わった事態であるということをきちんと事前に説明し、その上で理事会に説明をし、その了解を求めるという手続はとられたんですか。

平井委員長 委員長としてその件について発言いたします。

 理事会では、その件については議論をしておりません。そのことは事実として報告をさせていただきます。

 以上です。

後藤(祐)委員 大変失礼な態度ではないでしょうか。官房長官は大変忙しい方です。ですから、官房長官でない山本大臣にこの法案を任せたいという気持ちはわかります。ですが、所管は大事なんです。法律の所管大臣にこの法案の審議の場に座っていただくということは、基本中の基本であります。

 私は官房長官に聞きたいこともいろいろある。今回は、勧告権をどうするかとか、ほかの大臣に対してどうやってそれをやらせるかといったところがこの法案の中心なんです。そこに官房長官が座っているかどうかは極めて重要なんです。

 なぜ、そのようなずさんな手続のもとにIT担当大臣が提案理由説明をしたのか。つまり、官房長官の時間をあけるために、山本大臣をこの法案の、提案理由説明大臣とあえて呼びましょう、にしたということですか、山本大臣。

加藤内閣官房副長官 もう一度ちょっと整理をさせていただきたいと思いますけれども、所管云々というお話については、先ほどからお話しさせていただいておりますように、内閣総理大臣であり、そして、そういう意味での代行者としては内閣官房長官というのは、そのとおりであります。

 しかし他方で、山本大臣に対しては、情報通信技術による産業・社会構造の変化を円滑に推進するため、企画立案及び行政各部の所管する事務の調整を担当させるということでの担当をお願いしているわけでございまして、そういう担当を持っておられる大臣に本件についてはお願いをしている、こういう趣旨でございます。

 それから、今御指摘のあったように、決して一般的なケースでないというのは御指摘のとおりだと思います。そういう意味で、理事会等への、あるいはそれぞれの皆さん方に、その辺を含めた上できちんと御説明していなかったという点については、今後しっかりと対応させていただきたい、こういうふうに思っております。

後藤(祐)委員 まず、それを理事会に諮った上で、山本大臣でよろしいでしょうかという、こういう事情になっているということを説明しなかったことについては大変問題だということを指摘させていただくとともに、委員長にお願いしたいんですが、理事会できょうの朝も議論があったと思いますけれども、今後、この法案については、所管大臣である官房長官に必ず来ていただきたい。そして、今までなぜ来なかったのかということも含めて、その経緯も含めて、次回以降説明していただきたいというふうに思います。

 それについてお取り計らいいただけないでしょうか。

平井委員長 理事会で協議をさせていただきます。

後藤(祐)委員 そして、この法案、既にそれなりに審議時間が過ぎてはおりますけれども、官房長官がいた場合の審議と、そうでない場合の審議は意味が違います。官房長官がそこに座られてからこの実質的な審議が始まると言ってもいいのかもしれません。

 これまで、この審議の今後の取り運びについて、理事の間でいろいろなやりとりもあったと思いますし、理事会でもいろいろなやりとりがあったと思いますが、きちんと官房長官がそこに座られてから何時間というような議論を、与野党の筆頭理事の間は特にそうだと思いますけれども、委員長を含めた理事の間で、これを前提とした議論をしていただくようお願い申し上げたいと思いますが、委員長、よろしいでしょうか。

平井委員長 理事会で協議をさせていただきます。

後藤(祐)委員 このように、内閣官房と内閣府というのは違うんです。そこを余り甘く見ると大変なことになるんですよ。

 山本大臣、内閣法と内閣府設置法と国家行政組織法の関係についてお答えください。

山本国務大臣 詳細についてはちょっとここでは申し上げられないんですけれども、内閣官房と内閣府のたてつけは違うということはもちろん存じ上げております。

後藤(祐)委員 どうたてつけが違うか、山本大臣が今存じ上げている部分をお話しください。

 後ろに聞かないで、今存じ上げている部分でお答えください。

 後ろに聞かないで、今存じ上げている部分でと申し上げております。

山本国務大臣 分担管理事務と内閣補助事務を持っているのが内閣府だと思います。内閣官房は、それより一段高いところで調整機能を果たす、こういうたてつけではないかと思います。

後藤(祐)委員 後ろに聞かないとわからないということはわかりましたが、また同じような質問をするので、後ろの人、発言はちょっとしばらくお控えください。できれば下がっていただけませんでしょうか。

 内閣官房は分担管理事務を持っていますでしょうか、山本大臣、お答えください。後ろに聞かないでください。

山本国務大臣 分担管理事務も持っていると思います。

後藤(祐)委員 内閣官房副長官、内閣官房は分担管理事務をお持ちですか。後ろの方、説明しないで。副長官、お答えください。

加藤内閣官房副長官 基本的には各省に持っておられるわけでありまして、内閣官房には総合調整機能というふうに私は認識しております。

後藤(祐)委員 山本一太大臣、分担管理事務は内閣官房は持っていないんですよ。先ほどの答弁は間違っているんです。訂正してください。

山本国務大臣 最初にそう申し上げたのに、何か誤解があってはいけないと思って、ちょっと後ろに聞いてみました。大変失礼いたしました。間違いでございますので、訂正をさせていただきます。

後藤(祐)委員 内閣府の担当大臣でございますよね。担当大臣ができる仕事は何であるのかということは、内閣法と内閣府設置法と国家行政組織法と各省の設置法によって定められているんです。これは基本中の基本なんです。

 つまり、内閣法にしか定められていない内閣官房の事務は、担当大臣はしてはいけないんです。そのことを知らなかったということなんです。

 知らなかったということですか。

山本国務大臣 知らなかったということではなくて、先ほど加藤官房副長官が御説明をされたような流れで私がこの法案を担当することになった、こう思っております。

後藤(祐)委員 分担管理事務があると答弁しているじゃないですか。今回のこの法案は分担管理事務じゃないんです。そこをわかっていますか。

 国家行政組織法に、「国家行政組織は、内閣の統轄の下に、内閣府の組織とともに、任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を有する行政機関の全体によつて、系統的に構成されなければならない。」と二条に書いてあるんですね。「内閣府の組織とともに、」と書いてあって、ここに内閣官房は含まれないんです。

 つまり、内閣府と、国家行政組織法の体系のもとに置かれるその他の各省の設置法、これによって世の中全てのことは分担管理されているんです。そして内閣官房は、言ってみればそれらの面の上の存在に立って、分担管理の世界の外にあるんです。

 今初めて知ったんですか。それがとても恐ろしいことなんですよ。ちゃんと自分のできる仕事をわきまえた上で、その上で、実態上お手伝いをしているということを改めてわかった上で仕事をしていただきたいと思います。

 さて、本論に入りたいと思います。

 もしそういうことであれば、山本大臣がやはりITの関係で非常に大事な大臣だということでこの法案をつくりたいのであれば、なぜこの法案は内閣府に置かなかったんですか。内閣府に政府CIOを置けば、こういったことは幾らでも可能だったんですよ。

山本国務大臣 内閣官房の総合調整機能を果たすという機能に照らして、これを内閣官房に置いたということだと思います。

後藤(祐)委員 内閣官房の総合調整機能は山本大臣が果たせるんですか。

山本国務大臣 私は、IT戦略本部の副本部長として、IT政策の推進、電子行政の推進等々に携わる、こういうことだと思っています。

後藤(祐)委員 内閣官房の総合調整事務はたしか内閣法十二条だかに規定されていて、その権限は大臣が発揮できないものだと私は理解しておりますけれども、官房副長官、いかがですか。

加藤内閣官房副長官 先ほど読み上げさせていただきましたけれども、総理の方から山本大臣にお願いしている担当、その中で御対応いただく、こういうふうに理解しております。

後藤(祐)委員 つまり、内閣法に定める総合調整権限は、総理、まあ官房長官がやることもあるでしょう、が持っている権限であって、それを実態上お手伝いするということなんです。今の答弁はそういうことでよろしいですね、官房副長官。

加藤内閣官房副長官 法律的な整理としては、基本的には内閣官房機能は総理大臣そして官房長官、こういうことになるわけでございまして、それの中で、今お話があったように、担務をお願いしているそれぞれの大臣にその機能の発揮をお願いしている、こういうことでございます。

後藤(祐)委員 つまり、内閣法に定める総合調整権限は山本大臣にはないんです。先ほどの答弁も間違っているんですよ。実態上お手伝いすることはいろいろあります。ですが、法律上の権限はないんです。そこをしっかりわきまえて仕事をしていただきたいということなんです。その話をしたら、また間違えた答弁をしたから、今申し上げたわけでございます。

 こういったことを踏まえた上で、先ほど岡田委員からもいろいろお話がございましたけれども、今回の法案というのは、私は、政府CIOが力を持って、各省がなかなか言うことを聞かないというときに、おたくの省のこのIT投資はおかしいんじゃないかというようなお話を政府CIOなりプロの目で見て、きちっと報告していただいて、いやいや、それじゃ足りない、もっと教えてくれというようなやりとりをしていただいて、その上で、それでもおかしいとなったら、それを直しなさいというようなことをできるようにするための法案だというふうに思っておりますが、それでよろしいですか。

山本国務大臣 流れとしてはそういうことだと思います。

後藤(祐)委員 これまでそういう意味ではすごく進化してきていて、これは私、与党、野党とか、党とかいう議論を余りしたくないんですね。森大臣のときにIT基本法ができて、そのとき、イット発言とかがありましたけれども、若い方は御存じですか、イット発言。苦笑いが出ないところを見ると、知らない。ITのことをイットと読んだんですね、当時の森総理は。まあ、それはいいとして。

 そのころから各府省にCIOができて、ところが、最初のころは官房長だとか総務審議官だとかだけがこのCIOに当たって、そんな人にITがわかるわけがないんですね。そこで、ようやく途中から、プロの方を補佐官で入れようという話になって、これによって格段に進んだと思います。そして、政府全体を見る人間も必要だということになって、政府CIOには今、遠藤さんに来ていただいていて、プロの目で政府全体を俯瞰する立場から各府省に対してそういうチェックを既になされておられる。

 こういった進化が進んできたということは、前段は自公政権の成果だと思いますし、後段の部分は、昨年八月に、政府CIOで、まさに民間のそういったことをやってこられた遠藤さんに我々の政権のもとで来ていただいたということで、これは党派を超えて、やり方というのは基本的にそう変わっていなくて、進化してきた過程だというふうに私は思っております。

 ですから、この法案も、それをやりやすくするための法案にしたいんです。ですから、この勧告権、あるいは各省が言うことを聞かないときにどうするかというところがすごく大事なだけに、こだわったんですよ。ですから、もし内閣府にこの所管を置くのでなければ、内閣府に置くんだったらもっと簡単な方法があるんですよ。内閣府の事務として、特命担当大臣にして、特命担当大臣にすれば勧告権は自動的に付与ですから、そうすれば簡単にできたんです。

 ですが、一格高い内閣官房に置きたいというのもこれは一つの考え方だと思いますし、我が政権のときもそういう考え方で行うことにしたんです。ところが、内閣官房にこの事務を置いてしまうと、まさに今まで議論してきたような問題が起きてしまうんです。

 例えば、報告してください、資料を出してくださいという権限については、この法律が変わる前、今の段階がどうなっていて、そしてこの法律が通ることによってどうなりますか。各省がこの資料は出したくないと言っているのに対して、政府CIOなりCIO室なりが出してくださいと言ったときに、今までの法体系と今後の法体系においてどのようになるか、説明してください。

山本国務大臣 今先生がおっしゃった話なんですけれども、内閣府に特命担当大臣を置けば済むというお話がありましたが、多分、この法案をつくるときにいろいろな議論があったんだと思うんですけれども、例えば内閣府に政府CIOを持ってきたというときに、大臣にすれば、一人大臣がふえてしまうということになってしまいますし、勧告権を持つということであれば、多分、内閣府の特命担当大臣にしなければいけないんだと思いますが、特命担当大臣ということになったら、かなり兼務みたいな形になって、本当にCIOとして機能するのかとか、あるいは継続性という点でいうと、本当にITをよく知っている人が特命担当大臣になり続けられるのかとか、そんな議論もあって、恐らく、今の政府CIOは、閣僚ではなくて、閣僚または閣僚に準ずる者みたいになったのではないかというふうに思っています。

 今の法体系ですと、例えば各省にいろいろな報告をさせるということについて言うと、恐らく、CIO単独でやるということになれば、例えばIT戦略本部から委任された政策評価みたいな権限を使って要請をするということになると思いますし、IT戦略本部全体としては、各省にいろいろな報告、情報を渡せ、こういう権限がありますので、例えば、IT戦略本部の本部員ですから、そこでいろいろな意見を言って、IT戦略本部全体として各省に情報を求める、こういう形になるのではないかと思います。

後藤(祐)委員 後段のところの説明は、法的には何を言っているかわかりません。

 現行法についてだけで結構です。政府CIOなり政府CIO室なり、内閣官房側が各省に対して資料を出してくださいというときは、いかなる法的権限に基づいて行うんですか。もう少し法律議論としてお答えください。

山本国務大臣 IT戦略本部を通じて各府省から必要な情報を入手する、こういうことだと思います。

後藤(祐)委員 何法に基づく権限ですか。何法何条に基づく権限ですか。

山本国務大臣 済みません、失礼しました。

 IT基本法の三十一条だと思います。

後藤(祐)委員 そのとおりです。IT基本法三十一条に、「本部は、」関係行政機関の長に対して、その他いろいろあるんですが、「資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」とあります。

 このことを指しているんだと思いますが、「本部は、」という意味は、政府CIOがいきなり求めることはできるんですか。「本部は、」というこの権限の行使の仕方、このために必要な手続を述べてください。

山本国務大臣 CIOが直接はできないと思います。ですから、「本部は、」というときには、例えば本部の議論の中で全体で決めるとか、あるいは大臣を通じてやっていただくとか、そういうことだと思います。

後藤(祐)委員 最後のところの大臣を通じてやるというのは法的な意味においてよくわかりませんが、「本部は、」というのは、本部決定をして、本部の決定の仕方はいろいろな形があると思います。全大臣がメンバーですよね。全大臣がメンバーの本部が、報告をしてください、資料を出してくださいと言う。ナンセンスだと思いませんか。

 どこか抵抗している省があるわけです。どこでもいいです、厚労省だったとしましょう。厚労省に対して、おたくのこのシステムはおかしいんじゃないの、ちょっと説明してくださいというときに、厚労大臣は本部の一員なんです。そうしたら、厚労大臣は、どうしてもその資料を出したくなかったら、絶対に嫌だと言えば本部決定できないんですよ。

 つまり、「本部は、」という主語は、事実上はその大臣に拒否権があって、これはぎりぎり言っていくと発動できなくなるものだと思いますが、いかがですか。

山本国務大臣 今、後藤委員のおっしゃったことは、確かに一つの問題点としてあると思います。

 ただ、御存じのとおり、一つは、政府CIOはIT本部から委任された事務、先ほどちょっと申し上げましたけれども、例えば経費の見積もりの方針とか、府省横断的な計画とか、あるいは施策評価とか、こういうことが政府CIOに委任されれば、これは本部決定と同じように各大臣を縛りますので、施策評価の部分でIT戦略本部から政府CIOにきちっと委任が行われれば、それに基づいて、方針に従わない省に対してかなり影響力のある発信はできるんじゃないかと思うのと、それから、おっしゃったとおりなんですけれども、本部の議論というのは外にオープンになりますから、そういう中で、本当に各大臣が一人だけ嫌だと実際言い続けられるかどうか、こういうところもあるんじゃないかなというふうに思っています。

後藤(祐)委員 今、山本大臣がお話しになった部分は、現行法ではなくて、今出している法案の説明ではないんですか。今出している法案の、IT基本法二十六条の改正部分のことを述べているんではないんですか。そうですね。うなずいている。

 私は現行法の話をしていたんです。現行法においてはどうやってやるんですかという話をしているんです。

山本国務大臣 IT戦略本部の本部長は内閣総理大臣ですから、例えば総理が方針を出したときに、一大臣だけが内閣と全く違う方針を言い続けるということは、普通はなかなか起きないのではないかと思います。

後藤(祐)委員 これ、一つ一つは物すごく細かい話なんですよ。ITの、そこのところのこのシステムのその裏、お金はどこに出しているのかとか、そういう話なんですよ。そんなこと、現実にはそうやって決められないんです。そこで、直そうとしているわけですね。

 それで、先ほど今回の法改正の話をされましたけれども、皆さん、そこを混同されていること自体が問題なんですよ。今、どうやって仕事をしていたと思っているんですか。だって、仕事をしている責任者なんでしょう。これから法改正しようとしている内容があたかも現行制度でできることのように、今、間違えて答弁していたんですよ。どうやって各省に対して情報を求めるかということに関して、間違えて理解していたんですか。もうこれ以上やるのはやめますが。

 今回の法案で二十六条を改正します。二十六条は、また「本部は、」と書いてあるんですよ。つまり、「本部は、」長いので省略しますが、要するに、府省横断的な計画の作成ですとか、経費の見積もりの方針の作成ですとか、先ほどからおっしゃっている施策の評価ですとか、こういったものについて政府CIOに行わせることができるという規定が加わりますが、この主語は「本部は、」なんです。同じなんですよ。

 本部というのは全大臣なんです。つまり、どうしても嫌だった場合は拒否権がある。ここの本部は本部長とすべきではありませんか。本部長は内閣総理大臣です。内閣総理大臣は政府CIOに対してこういったことをやらせることができるという規定にすれば、どうしても抵抗した場合、総理大臣が、では政府CIO、この権限はあなたに任せるから、好きなだけ各省から資料をとってこいというふうにすべきではありませんか。この二十六条の主語は本部長とすべきではありませんか。

 これは、真面目に議論すれば必ずそうなるんです。政治家からすれば、筆頭理事うなずいておられますけれども、当たり前なことだと思うんです。が、霞が関の各省協議の中においては、この長の字、一文字を入れることができないんですよ、独走されちゃうから。

 こういうところは、政治家の皆さん、これからいろいろな党で、いろいろな政権に入って、政務三役に入り官房副長官になる方もおられるでしょう。こういうところで負けちゃうんですよ、こういうところで。だから、今、議員の議論の場で、長を入れようじゃないかという話にしているんです。

 この二十六条の本部は本部長とすべきではありませんか。

山本国務大臣 本部の事務を委任できるのは本部だけだというふうに思いますし、「本部は、」というのは、やはり本部長が総理ですから、「本部は、」という形であっても、今度の法律のたてつけでは機能するのではないかというふうに思っています。

後藤(祐)委員 今までの議論を聞いてきて、機能すると思いますか、皆さん。(発言する者あり)思いませんと言っている人も結構います。(発言する者あり)思いますか。

 この中には、一番問題となりそうな経費の見積もりの方針の作成とか、府省横断的な計画の作成とか、もう少し高度なものもあるんです。つまり、例えば先ほどの例で言えば、二十六年度予算で厚生労働省があるシステムを始めたい、二十六年度予算に向けて着々と準備をしているという中で、事前に聞いてみたら、何だこれはという話であった、これはちょっととめるべきじゃないのかという話があった。そのときに、本部長となっていれば、総理が政府CIOに任せて、この経費の見積もりの方針の作成という中で、どの程度財務省との関係でできるかどうかという議論は別途残りますけれども、その予算はおかしいんじゃないんですかという議論が法的権限に基づいてできるようになる。ところが、「本部は、」という主語を残してしまうと、先ほど言ったような拒否権が残っちゃうんです。

 本部長とすべきではありませんか。

山本国務大臣 IT基本法の改正案の二十八条のところに、「本部の長は、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。」というのが書かれていまして、「本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。」となっておりますので、この規定に照らせば、本部でも機能するのではないかというふうに思います。

後藤(祐)委員 機能しません。それで機能するなら今までできているはずなんです。その部分は、今回改正される部分ではありません。だとしたら、今でもできるはずじゃありませんか。

山本国務大臣 先ほど申し上げたとおり、今回の改正のたてつけで、機能するようにさせなければいけないと思っております。

後藤(祐)委員 だからこそ、ここは本部長にしてはどうかということなんです。これは霞が関の各省協議では乗り越えられない壁なんですよ。でも、政治家が考えれば、常識的に考えて、総理が、もうITのことは山本大臣に任せたと。山本大臣も全てのITのことを知っているわけじゃないでしょう。そうしたら、遠藤政府CIOという大変優秀な方がおられます。その方に各省のおかしいところを全部チェックしてもらって、必要な資料は全部出させて、その上でおかしいところがあったら、予算をこういうふうにしろ、ああいうふうにしろとなったら、全部俺に言えと。それが、政治家と行政の間の仕事の仕方なんじゃないんですか。

 せっかく今回の法案は、そういうことを進めるためにいい法案にしたいんですよ。ですから、各省協議の中では乗り越えられない部分、危機管理監の関係とかいろいろあったんでしょう。ですが、ここについては、本部長とするだけで随分違うんです。

 性善説に立てば、そうはいったって実態上できるんじゃないかということなのかもしれません。ところが、行政の現場は違うんです。私は経済産業省で十三年働いておりましたけれども、最後の最後、ぶつかり合ったときは、法律の条文の勝負になるんですよ。あなたはいかなる権限でそれ以上言うのか、ここの情報は出せません、本当に必要なら本部決定でも何でもして出したらいいじゃないですかということになるんですよ、各省協議では。

 その可能性がゼロということですか。

山本国務大臣 いや、それは経済産業省に勤務されていた後藤委員のお話で、その可能性がゼロだというふうには申し上げませんけれども、後藤委員の問題意識は、やはり、新しい政府CIOを任命したらこれがちゃんと機能するようにしなきゃいけないということで、そこは大変力強いお言葉だと思いますし、私も同じ問題意識を持っていますし、実は、いろいろこの法案の議論をする中で、多分、法案で幾ら強力なたてつけをしたところで、やはり政治のバックアップがないと、実際に政府CIOを任命しても、どんなに優秀な方もなかなか機能を発揮できないのではないかというところはあります。

 だからこそ、さっき岡田委員の御質問にもお答えしましたけれども、内閣総理大臣である安倍総理と私と、しっかり政治的にも、新しく任命される初のCIOの方をバックアップしていこうというふうに思っていますし、先ほどの繰り返しで恐縮ですけれども、IT戦略本部から委任される事務については、これはもう総理に直接意見が言えるということですから、そこを最大限に活用してリーダーシップを振るっていただくということなんじゃないかと思います。(発言する者あり)

後藤(祐)委員 財務省にいてそんな情けないことを言わないでくださいよ。あなたの格が下がりますよ。

 熱があるときはいいんです。熱があるときは何だってできるんです、実態上。でも、熱というのは上がったり下がったりするんです。でも、IT投資というのはずっと何千億という単位で行われ続けるわけですから、政治的な熱が下がったときでも現場ベースできちっと物事が進むようにするために法律はあるんです。実は、熱が高いときは法律も何も要らないんです。だから、今なんか要らないかもしれないんですよ。ですが、ずっと継続的に、熱が低いときでもきちんとやらせるためにこういった権限は定めるものなんです。

 だから、今の答弁だと、熱が下がったときに各省は抵抗して物がとまっちゃうんですよ。長の字を入れるということは、これはどちらかというと党派性のある話じゃないと私は思っているんですね。政治と行政のあり方の問題だと思っているんです。そこはぜひ御検討いただきたいなというふうに思います。

 つまり、今までの話を総合しますと、資料請求、報告徴収などについて、これは、政府CIOが直接できるのが一番いいです。

 実際、先ほど岡田委員も言っておりましたけれども、A3の資料を配付していると思いますが、この中で、一番後ろのA3の紙が二十四年のIT本部決定。IT本部は法的に位置づけがありますから、これは今の政権も維持していただいているというふうに理解しますが、この中で、一番下のところですね。一、「IT投資に係る業務改善等に関する勧告権限を有するものとする。」これは、「政府CIOは、」ですよ。一番望ましいのは、政府CIO御自身に勧告権を持たせることです。その前提として、資料請求、その他の報告の権限を持たせることです。

 私の望みとしては、報告ぐらいは政府CIOがやるということはそれほど法的にも問題ないと私は思いますが、どうしても勧告権のところで、大臣よりは一格落ちる政府CIOが大臣に対して勧告をするというのは、ほかの並びとかいう関係でなかなか難しいということであれば、せめて本部ではなくて本部長が各行政機関の長に対して勧告できるとして、その権限を政府CIOにある程度委ねるというような体系にするとか、そういう工夫はあると思いますので、ぜひそこは、熱が下がったときでも機能するような法律に改めていただくよう、これは与野党の協議を含めてしていただきたいと思いますし、今までの協議にかかわっておられなかった政党の方々も、ここは大事なところでございますので、ぜひ関心を持ってこの協議をしていただきたいと思います。

 それで、大分時間が短くなってしまったんですが、途中でとまったりして、私は一体何分まであるのか、ちょっと教えてほしいんですけれども、ちょっと別の話をしたいと思います。きょうは新藤大臣に来ていただいておりますので。

 おとといの予算委員会で選挙制度の話をしました。そのときに、大臣は曖昧なことをおっしゃられております。つまり、今、〇増五減について、四月十二日にも閣議決定をし、その後、法案を提出すると言われています。そして、それが早く衆議院を通過した場合、衆議院は与党が過半数以上持っておられますから、いつか通るでしょう。でも、参議院は必ずしもそうではありません。まあ、維新がどうするかとかはあるかもしれません。ただ、最悪の場合、六十日かかって三分の二の再議決ができるかできないかというのは、この通常国会後半において大変重大なテーマであります。六月二十六日の会期末までに再議決するには、四月の二十七日までに衆議院で可決しなくてはならないという、ここは大変大事な話になっているんです。

 おとといの予算委員会で、一つ、ちょっと曖昧な答弁をしたところを確認したいんです。

 仮に、この通常国会で〇増五減を定めた公職選挙法が成立したとします。すぐ公布でしょう。前例に従えば、一カ月の周知期間を経て、一カ月後に施行となります。ところが、例えば六月二十六日の直前ぐらいに成立したとしましょう、六十日かかって。そうすると、衆参同日には間に合わなくなっちゃうんですね。一カ月周知期間を待って施行になってから解散していると、間に合わなくなっちゃうんです。

 そこで、どうしても衆参同日をやりたい場合は、こういう手続をとる可能性があります。まず、六月二十六日よりも前の段階で法律が成立します。即公布をするでしょう。前例によれば、公布後一カ月後に施行です。その施行より前に解散を打って、そして、その解散のときに、衆議院の公示をその施行よりも後にする。

 ですから、順番でいうと、公職選挙法の成立がまずあって、公布がなされて、そして解散をして、その後、一カ月の公示期間を踏まえた公職選挙法の施行がなされ、施行の後に衆議院選挙の公示がなされるということは可能かどうかということを予算委員会で聞いたんです。

 これは、法律が成立し、公布したときに、例えば、一カ月の周知期間を定めて、そこで一カ月後に施行とするということを定めたら、たとえ解散があろうと何であろうと、そういった法的事実というのは変わらないのであって、何か政治的なことをお答えになっておられましたけれども、そういうことはないのではないか。

 そのときの答弁は、その後に運用をどうしていくかは、その時点で考えていかなきゃいけないことだというふうに思いますとありますが、そんなことをその後に考えてもらっちゃ困るんですね。解散があるからやはりとか、困るんですね。法律が成立して、公布されて一カ月後に施行すると決めたら、そのとおりやるということでよろしいですか。

 今言った順番でやった場合、仮に過去の前例に従った場合、一カ月後施行としたと仮定したならば、今言った順番で解散を、新しい制度のもとで行うことは可能かどうか、新藤大臣、お答えください。

新藤国務大臣 私が前回、委員からの御質問にお答えしたのは、それは、手続論だけでなくて、そういったこと、解散も含めての御質問でありましたから、それは、解散というのは総理の専管事項である、それから、そのときにどういう判断がなされるかはその時々の状況がある、こういうことをお答えしたわけであります。

 さらに絞って、今委員が言うように、制度としてそういったことが手続的に可能であるかということになれば、それは可能でございます。

後藤(祐)委員 これはすごく大きいことなんですよ。つまり、四月二十七日までに衆議院で〇増五減の公選法が通った場合、この夏、ダブル選挙を打てるということが今の答弁で明らかになったということなんです。非常に大きな答弁なんです、これは。

 次に、選挙についてもう一つお聞きします。

 おとといの予算委員会で、〇増五減の今回の区割りの後、二〇一〇年の国勢調査の数字に基づけば最大で一・九九八倍の差になるという形になっていることは新聞で皆さん御承知のことと思いますが、これは二〇一〇年の時点の国勢調査の結果であって、現時点ではもう既に二倍を超えているのではないか。月曜日の産経新聞によれば、八選挙区で超えているという試算もなされていました。

 ただ、その試算の方法がややわからなかったために、その後、総務省の事務方に私は確認をしました。以下述べることは、総務省の事務方からきのう聞いたことでございますので、それが正しいかどうかを、新藤大臣、後でお答えいただきたいんです。

 昨年の衆議院選挙の時点での、これは有権者数ですね、人口でなかなかとれないので、有権者数のベースで見ますと、北海道一区が、四十八万四千四百八十六人、二・〇七二倍、これが多分一番大きいんですね。東京一区、四十七万七千六百三十一人、二・〇四二倍、東京三区、四十八万百七人、二・〇五三倍、兵庫六区、四十七万五千九百五十五人、二・〇三五倍。

 そのほかに、投票所が割れているところとか、なかなか計算できないところがあるそうなんですが、この場合、実は、一番小さくなるのは、鳥取二区ではなくて宮城五区になるそうです。震災で減ったんでしょう。宮城五区は、二十三万三千八百七十九人、これを一にした場合の数字ですね。このことは事実でしょうか。

 つまり、昨年十二月十六日の時点で、有権者ベースで見ると、〇増五減がなされた後の区割りで見ても既に二倍を超えているということは事実でしょうか。

新藤国務大臣 有権者数で見ればという仮定を置けば、きのう事務方から説明いたしましたとおり、それは事実であります。

 しかし、今委員が挙げられた選挙区は、今回の緊急是正法の改定対象選挙区ではございません。それから、大正十四年以来、選挙の区割りについては国勢調査の人口をもとに行っておりまして、これは、当日の有権者数というのは変動要素が多過ぎます。ですから、これは、制度の安定性を保つ上で国勢調査人口を活用してきたということであります。

 それから、先ほどあなたは、何か私の答弁で大きな問題があるとおっしゃいましたけれども、それこそが仮定の問題で、そんなことを言うこと自体が大きな問題だ、このように思います。解散をするかしないかは、それは総理の専管事項であって、そのことについてあなたたちが、大きな問題であるか云々、そういうことを言う筋合いのことではない、このように思います。そういうことがあるから、私は、仮定の問題にはお答えできない、こういう話をしたわけでありまして、人の答弁をもって誘導的にそういったことをつけるのはやめていただきたい、このように思います。

後藤(祐)委員 まず、最初の方についてイエスだということ自体は、非常に大事な答弁として受け取りました。

 後段については、私は、政局だとか政治だとか、解散するとかしないとか、そういうことを言っているんじゃなくて、法律の解釈論を純粋に聞いているからなんです。

 法律の解釈論を聞くときに、その間に解散が入るか入らないかとかいうことは余り関係ないんです。これは純粋に法律論を聞いているんです。純粋に法律論を聞いているときに解散について触れると、大きいとか大きくないとか、政局の話だとかということにはならないんじゃないかということで私は聞いたんです。どうぞ。

新藤国務大臣 だから、法律論としての手続が可能であるかどうか、こういうことで私はお答えしました。そうしたら、そのお答えをもって、あなたは、それが大変な問題だ、解散・総選挙はできるんですよと。それはまさに、あなたが今自分でおっしゃるところの政治的な判断であって、そういう部分についてコメントする必要はない。私も含めて、それは総理の専管事項であるということであります。それをあなたがまたそのようにかぶせるからおかしくなるよと言っているのでありまして、選挙をするかしないかは総理の問題であるんだから、それが大きな問題があるかどうかはあなたが御指摘することではないのではないか、このように思います。

後藤(祐)委員 新藤大臣、そんなところで熱くなるところじゃないんですよ。法律論としてはきちんと確認できたので、それで私としては目的は達せられたと思いますので、よろしいかと思います。

 あと三、四分あるんですが、本来は、IT投資のあり方論だとか、いろいろなことをやらなきゃいけないんですが、次は官房長官が来ていただけることを期待しながら、いろいろなことを聞きたいと思いますけれども、せっかくきょうは配付資料に一つおもしろいものを加えているので。

 A3のものがずっとつながった後、一番下に二枚、A4の紙があります。そのうちの後ろから二枚目の情報公開法に関するもの、これは、民主党政権のときに情報公開法の改正案を提出させていただいて、成立していないものでございます。

 その中の二十五条というところに、要するに、霞が関の全ての、これは霞が関に限らないんですが、役所というのは、所管している法律ですとか予算ですとか、その他、そこに書いてあるようなことについて、国民にわかりやすい形で、国民が利用しやすい方法により提供するものとするということが義務づけられています。

 要すれば、法律だとか予算について、皆さんも何かいろいろな質問をするときに、調べようと思ってもなかなかわからないですよね。条文はe―Govを見ればわかります。ですが、その解釈というのはなかなかわからないですよね。そうすると、役所の人を呼んでと、皆さんはできます。でも、国民にはできません。国民に対して、この法律の意味は何なんですか、あるいは、この予算というのはどういう人がもらえるんですかというようなことが実は開示されていません。開示と言ってはいけないですね、情報提供されていません。これは、積極的情報提供として各府省に義務づけるべきではないかというのがこの二十五条なんです。ぜひこれをやっていただきたいんです。

 つまり、何でこの話が出てくるかというと、IT投資の結果、国民の利便性が向上するというのが一つ大きな目的だと思うんです。その費用対効果を考えたときに、一番簡単なのはこういうことなんですよ。

 国民にとって行政に対してしてほしいことは何かといったときに、自分がいろいろ生活したり、あるいは会社が何か事業活動をするときに、法律にひっかかっちゃうのかどうか、何か申請しなきゃいけないのかどうか、そのときにどうしたらいいのかということがホームページを見ればわかるようになっていてほしいというのは、実は国民の利便性向上の中のかなり大きな部分だと思うんです。それは、実はこの条文一条でできるんです。

 そして、このために必要なIT投資というのは、実は大したことない。ただ、人はすごく必要になります。人はすごく必要になるんです。

 人がすごく必要になるのは実は私はいいことだと思っていて、というのは、今回のマイナンバー法が成立したり、あるいは、いろいろなIT投資で何が効果として期待されるんですかという議論は、次回またどうせやることになるでしょうから細かく聞きたいと思いますが、ほとんどは人の節約なんです。今まで三十分かかっていたものが五分でできるようになりましたとか、五分かかっていたものがゼロになりましたとか、そういったものを積み上げるんです。

 ところが、では、その人を首にできるかというと、できるわけないんですよ。その人が浮いた分をどうするかというと、ほかの仕事をしていただく。つまり、IT投資によってある仕事は減るけれども、ほかに回っていただくことによって、IT投資をしていなければもっとたくさんの人を採用しなきゃいけなかったところが少ない採用で済んだというのが、実はIT投資の効果として出てくる部分のほとんどなんです。

 きょうは、本当はそういったところを議論しようと思って人事院なんかにも来てもらっているんですが、今は一々答弁は求めません。その行き先をどこにするかというのが大きな問題なんです。

 あとは、天下りが今、非常にしにくくなっていて、どうしても中で抱えざるを得ない。この抱えていただいた方々に何をしていただくか。無理に仕事をつくると、またおかしなことになる。

 逆に言うと、今までITで抱えていた方を外で無理してやってもらうために変なことになっちゃっていたわけですけれども、中に抱えてやっていただく仕事として、この情報公開法二十五条に基づいて膨大な仕事が発生します。全ての法律、全ての予算、こういったものを国民にわかりやすく開示するための仕事というのは大変なんです。IT投資は大したことない。そこに人を回すべきじゃないかと思うんです。これをやる気はありませんか。

 そしてこれは、法律を改正しなくても、これと同じ内容を閣議決定すればすぐできるんです、政府内のことですから。これを閣議決定するつもりはありませんか。最後にこれを聞きたいと思います。

新藤国務大臣 委員の今の質問の直前の後半部分は、これは極めて重要な問題意識、私も共有しています。

 今回の行政の電子化、もしくは電子行政の推進というのは、これは、今までの作業をIT化によって格段に効率化する、利用者にとっては便利にする、そしてそれは、人員の削減と、それから予算、コストのカットにつながる、こういうことだと思うんです。この削減した部分を、今必要なところに、今度は組織内で割り当てを変えることができるということだと思います。

 私も定員管理を極めて厳しくやっています。本当にきつく絞っているわけです。仕事がふえるのに人を減らす、そういう中で、今度はスクラップ・アンド・ビルドで、仕事を減らした分で必要な仕事に人をつける、こういうことをやっていく、これが電子行政の骨子だ、このように思いますから、それは全政府的にきちんと進めていかなくてはいけない、私も私が持っているところの役割を果たしていきたい、このように思っておるんです。

 その意味において、情報提供の規定を設けるか否かということであります。これは、前政権がお出しになられた法案、これは廃案になりましたが、そういったこともうたわれておりましたが、私どもとしては、まずは情報公開法のもとで、こういう提供をすべしという指針が出ております。それに従って、いろいろな調査も出させていただいております。それから、現状、必要な情報提供がなされているかどうかは、電子行政に関するタスクフォース、こういったものにも報告をさせております。

 ですから、そういう中で運用をしっかり改善していくということで、意義としては、そういったことが実態上改善できるようにしていきたい、このように思いますが、現行において、閣議に諮るかどうかは今考えておりません。

後藤(祐)委員 それを昔からやっていて、全然改善されていないんです。ですから、これは義務にしないとやりません。

 時間が来たのでこれで終わりにしますが、引き続きこの議論はしていきたいと思います。これからもIT投資のあり方等をぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 ちょっと時間を過ぎましたので、これで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

平井委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 マイナンバー制の審議がとうとうここまで来たのかという感慨でいっぱいでございます。

 と申しますのは、先ほども後藤さんからお話がありましたけれども、二〇〇〇年の年にIT基本法という法律ができたんですね。このIT基本法の民主党側の審査担当官といいますか、担当を私がいたしました。そのときに、政府が提出したIT基本法を、野党として修正要請をしたんです。その修正要請の内容は、「社会経済構造の変化に伴う雇用その他の分野における各般の新たな課題について、適確かつ積極的に対応しなければならない。」という項目を入れたんですね。

 これはどういうことかというと、ITというのは確かに便利なんです。とても便利なものであります。しかし、便利さゆえに負の側面もある、マイナスの側面もある。先ほど雇用の面のお話がありましたけれども、雇用の面だけでなくて、最近極めて指摘をされているのは、情報の流出や、あるいは犯罪がそれに絡むということであります。

 二〇〇〇年のときには、そういう情報の大量の流出でありますとか、犯罪に多様に利用されるということまでは考えが及びませんでした。ただ、雇用の面で、ITを使うことによって雇用の削減につながっていくのではないだろうか、そういう思いがありましたので、雇用の面をここに書き込んだのであります。

 野党が政府提案の法案について修正協議を本気になってやった、そして与党提案の目玉政策であったこの基本法に賛成をしたということは、それまで余りなかったかと思います。そのとき民主党の政調会長が岡田さんで、岡田さんは、それはおかしい、野党としては反対を貫くべきだということを指摘されて、当時岡田さんとやり合った覚えがあります。

 そういうITなんですけれども、ITというのは一体なぜこういう宿命を負っているのかというと、これは軍需産業の転用だからなんですね。もともと軍需産業から、軍需産業というよりも、情報通信の軍需化の利用技術だったわけです。それを民間に流用していった、そういう成り立ちがありますから、ITを破っていくとか、あるいはハッカーみたいなものが、ある種の軍事技術として育てられていったというところも私はあるんだろうというふうに思います。それがITの宿命なんだろうなと思います。

 このマイナンバー制は、私も閣内にいたときにこれを担当いたしましたから、これがこういう形で法案化されてきた、いよいよ審議になってきたということは大変喜ばしいというふうに思うんですけれども、しかし一方、国民的に見たら、個人情報の流出、そういうことに対する懸念というのは極めて高いんですね。大変高いです。この点から、私の質問をこの点に集中させていきたいと思っております。

 今皆さんのお手元に、私が作成をいたしました資料をお持ちだと思いますけれども、「各国の共通番号制度をめぐる情報流出事例」というのをお渡ししております。これを見ると、膨大な情報が流出をしているということですね。

 比較的うまくいっているだろうと思っていたアメリカが、社会保障番号関連の成り済まし犯罪。これはぜひ甘利さんに、二〇一一年のアメリカのたしか上院だと思いますけれども、上院の公聴会、ホームページで公開されていますから、それをぜひお読みになったらいいと思うんです。

 このときの被害者が、二〇〇六年から二〇〇八年の三年間で一千百七十万件。これは件と書いてあるから、人かどうかよくわからないんですけれども、一千百七十万件なんです。そして、二〇〇三年、これはどうして二〇〇三年なのかわかりませんけれども、連邦取引委員会の算定で、損害額が年間五百億ドルという数字が出ているんです。日本円に換算すると四兆円です。

 これだけ膨大な情報がアメリカでは流出をしてしまい、この犯罪捜査に四苦八苦しているというのが今のアメリカの現状です。

 アメリカが社会保障番号を使って、いろいろなものに利用したんですけれども、とうとう一番の利用手であったアメリカ国防総省がやめました。余りにも被害がひど過ぎると。イラクですとかアフガニスタンから帰ってきたアメリカの軍人が、本国に帰ってきて口座を開こうとしたら、口座を開けない。どうしてか。社会保障番号が盗用されていて、借金漬けになっていて信用がないからというのがあっちこっちで出てきたんですね。ということで、アメリカ国防総省は社会保障番号を使うのをやめちゃったんです。これがアメリカの現状でした。

 次に韓国。韓国が一番ITが進んでいる、あるいは住民登録番号をいち早くスタートさせたんですね。これも驚くなかれ、二〇〇八年から二〇一一年の四年間ですか、一億二千万人が被害に遭っているんです。ハッキングだとか、あるいは、販売といいますから、実際にビジネスベースで販売し合ったんでしょうね。そういう事件が起きているんです。韓国の人口は五千万人ぐらいですから、一億二千万人というのは、この四年間で、全ての国民が二回ぐらい被害を受けているというのが実態なんですね。

 これをどういうふうにマイナンバーの中では防いでいくのか。犯罪捜査ですから、警察も非常に関心を持っていると思うんですけれども。

 これは、利用範囲でありますとか、それから何に使うかということととても関係があります。

 韓国の場合には、民間に相当大々的に開放したんですね。それがこの結果を呼んだのではないかというふうに言われています。あるいは、システムのつくり方にもいろいろと欠陥があったのではないかというふうにも言われています。

 アメリカの場合には、システムが、一九三五年ですから、かなり古い段階でつくられていたので、そういうセキュリティーの件ではおくれていたのではないだろうかというふうにあります。

 しかし、一番の大きな問題は、利用範囲をどういうふうに限定するのかということだったんです。

 民主党政権のときには、この利用範囲は公的な利用に限るという限定をいたしました。そういう点でです。余り民間に使うと、あるいは民間に開放させると、こういう事例が発生しやすいということが理解できていましたから、公的な利用に限定をしようじゃないかという議論をしてきました。

 しかし、今度、自民党政権になりましたら、三年目にはそれを見直しする、民間にも開放していくんだ、幅広い利用目的の道を残したというふうにとれます。これは、ある意味では、セキュリティーの面では極めてもろくなっているというふうに私は思うのでありますが、この点、いかがでしょうか、甘利さん。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

甘利国務大臣 先進国で番号制を導入していないという国はほとんどない。アメリカ、韓国でこの種の事件が起きて、では、番号制をやめちゃうかというと、そうではない。つまり、IT社会の中の、いわばある種、インフラの役目ですから、後戻りすることはなかなかできないんだと思います。そこで、どうやってセキュリティーを高めていくかということになろうかと思いますし、利用範囲を、今御指摘のようにどうしていくかという議論があるんだと思います。

 アメリカは、およそICT社会にふさわしくない紙切れ一枚が番号ということで届いていて、写真も入っていなければ、その紙自身がIT化を余りしていないのではないか、そういうところから、本人確認が厳密にできないというところから成り済ましがあったんだと思いますし、利用範囲についても、かなり広範囲にわたっているので、被害額が当然広範囲にわたってくるということ。それから、暗号化等々のセキュリティーも、本来はもっとしっかりやるべきであったと思うのでありましょうし、犯罪防止のための専用のシステムというのも多分おくれをとっていたのではないかというふうに思っております。

 当面、今回の提出法案でも、自公民三党での協議の上で利用範囲が限定をしてスタートいたします。三年後に民間への導入も含めてその時点で検討するというのは、その時点で民間に開放しますということを決めているわけではなくて、三年間の導入をした成果を見て、改善すべき点あるいはさらに推進すべき点等々を精査した上で、どの範囲までさらに当初よりも広げていくかというのは、その時点で幅広く識者の英知を集めて検討をしていくということになりますから、かなりその時点でも三年の経緯を踏まえての慎重な対応をしていくということになろうかと思います。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

荒井委員 これは、政府が今考えています情報の中には、生活保護だとか、疾病の状況だとか、医療費ですとか、あるいは失業の状況、雇用保険の給付ですとか、民間業者から見ればおいしくて仕方のないところの情報が、あるところに固まっているというのがわかるわけですよね。それを何とかとりたい、あるいは収集したいというのは、これは民間の企業から見れば必然であろうと思うんです。そういうものをどうやって防いでいくのかというのは、とても難しいと思います。

 特に、日本は情報の管理でありますとかあるいは暗号化ということに対して非常にルーズですよね。一例を言えば、国会議員のパスワードとIDが盗まれたんですよ、国会議員のほとんど全員だと思いますけれども。それが今の日本のITの現状というふうに思えるんですよね。ITをめぐってのシステムのあり方と非常に関係をすると思うし、あるいはそれを扱う人間の数あるいは教育の仕方と関係をしてくると思うんです。

 そういう点をもう少しやりたいと思いますけれども、まず、山本大臣、国民総背番号制といいますか、共通番号制で幾つか今までトライをしておりますね。

 千九百八十何年だったでしょうか、グリーンカード制というのを最初に導入しようといたしました。これはいろいろなところから資産課税が目当てではないかという点もあったりしていて、もちろん、共通番号制の意味というのは、社会保障の給付の公平化それから税の公平化ということのために使う必要がある、そういうところからあったわけですから、資産課税についての意味というのも当然あったわけなんですけれども、しかし、そこが大きなネックになって、結果的には、法案が成立したにもかかわらず、議員立法でそれを廃止したんですね。

 それから、あれだけ大きな議論をした住基ネット、これもでき上がってしまってからはそんなに使われなくなってしまった。これは成功か失敗かといえば、私はむしろ投資に対する効果はそれほどなかったというふうに思います。

 こういう今までの共通番号制に見られる失敗例というか、それを、今回の共通番号制を導入する、マイナンバーを導入するというものにどういうふうに参考にしたのか、あるいはこれを鑑みて制度設計なり、つくろうとしているのか、それの基本的な問題で結構ですから、御説明願えますか。

山本国務大臣 先生から御質問をいただくということで、グリーンカードとか住基ネット、e―Tax、社会保険システム等、過去の政府情報システムにおける事例、少しまた改めて調べてまいりましたが、今おっしゃったとおり、これまでの政府情報システムについては、問題が生じて途中で制度そのものを廃止した例もありますし、システムを導入したにもかかわらず必ずしも活用されていない事例もありますし、あるいは、問題が生じてシステム整備自体がもう停滞しているという問題もあります。これは率直に、何が悪かったのかということを委員おっしゃったように反省をしなければいけないと思っています。

 特に、大規模システムの整備については、関係者との事前の十分な調整を初め、やはり利用者である国民の方々のニーズというものを適切に把握できていたのかどうかという問題があると思います。それから、システム整備に必要な技術力等を有する事業者をそれぞれのプロジェクトで確保できていたのかという問題もあると思います。さらには、各府省の情報システム調達における発注能力、これについても本当に十分だったのか、こういうところはしっかり検証していかなければいけないと思っております。

 社会保障・税番号制度に関するシステム整備については、これは複数の府省にまたがりますので、政府全体としてのIT投資の最適化とか、情報システムの相互運用性を確保するとか、府省間の緊密な連携を図ることが重要だと思っていますし、そういう意味でも、今度の新しい政府CIOを中心にきちっとした取り組みをしていかなければいけない、そう考えております。

荒井委員 今度のシステム全体は巨大なものですよね。関係する省庁もたくさんあります。関係する省庁が持っている既存のシステムもあります。それから、地方自治体が持っているシステム、それも活用するようになるんでしょう。つまり、それぞれのシステムをどう活用していくのか。これはコストの点にかかわってくるんですけれども、そのシステムを使えば使うほどセキュリティーは甘くなるんですね。

 それを全体として、CIOや、あるいはこの中でセキュリティーに関する特定個人情報保護委員会の機能というのがとても大事になるわけですけれども、特に今回、総務大臣もおられますから、地方との関係をどのぐらい開放するのか、あるいは使うのか、地方についてどういうふうな考え方でセットしていくのかということについて御説明願えますか。

関政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体のいわゆる個人情報の管理ということになろうかと思いますが、現在、地方公共団体が保有する個人情報を内部で目的外利用する、あるいは第三者へ提供するということにつきましては、原則としてそれを禁ずるという個人情報保護条例、この条例が全国の全ての都道府県、市町村で制定されております。

 また、情報セキュリティーの観点から、総務省の方で地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインというものを公表しておりますが、これに基づきまして、各地方団体におきまして情報セキュリティーポリシーが策定されております。

 私どもも、この遵守の徹底などを要請しているところでございまして、今回の番号制度の導入に当たりましても、制度面とシステム面の両面から個人情報の保護措置を講ずることとしておりますが、あわせまして、総務省としては、引き続き、運用の面も含めまして、地方公共団体における個人情報の管理に万全を期すように対応してまいりたいと考えております。

荒井委員 地方自治体は地方自治体で独立した権能を持っていますし、地方自治体のそういう権限というのを、幾ら政府といっても侵すことはできないと思うんですね。そうすると、地方自治体ごとにいろいろな情報管理あるいは情報保護の条例のあり方や運用のやり方をしていると思うんですね。そうなると、情報が甘いところとか非常に厳しいところとか、そういうものが出てくるんだろうと思うんですよ。

 そのあたりはどういうふうに考えるんですか。政府全体として、ある種のガイドラインをつくっていくつもりなのか。しかし、それをやると、地方自治体独自の政策や何かに大きな影響を与える可能性もありますよね。そこはどういうふうに今お考えなんですか。一片の通達だけで済むということではないと思いますけれども。

新藤国務大臣 これはまさにルールとそれから技術の問題だと思うんですね。きちんとしたルールをつくり、それに違反した場合にはペナルティーがあるということが抑止力であります。あわせて、安易に破られないような、そういうセキュリティーに対する技術、これを不断の改善を行っていくということだと思います。

 そして、地方自治体に対して、我々はいろいろな技術的な指導、助言をさせていただきます。そして、ある一定の指標はそれなりのものをつくっていかなくてはいけないんだろうというふうに思います。

 地方自治体の自主性を損なうことのない範囲で、しかし、国の全体の制度であります。国民がどこにいても、どのような状況になっても使えるようなものにしていかなければ意味がないわけでありまして、そういう趣旨をきちんと表現できるような形でこれはいろいろな工夫をしていきたい、このように考えています。

荒井委員 その工夫のところが問題なので、その工夫について具体論が聞けなかったのがとても残念なんですけれども。

 その意味では、特定個人情報保護委員会の機能と役割というのはとても大事になると思うんですね。アメリカの場合でも、犯罪の温床になった成り済ましの犯罪というのは、本人が成り済まされているかどうかわからないということが犯罪を広げている原因になっているという公聴会の結論になっているんですけれども、そういう意味で、この個人保護委員会というのは、具体的にどういう役割をどのぐらいの規模で、そして成り済ましのようなものも防げるのかどうか、それをお聞きしたいんです。

甘利国務大臣 御指摘の特定個人情報保護委員会、構成は、もう御承知のとおり、委員長がいて委員が最大六名という人員で構成される合議制の機関でありますが、このもとの委員会事務局の体制は、おおむね数十名程度の人員でスタートをして、効果的に業務を遂行していく。

 これは、個人番号を取り扱う者に対する指導、助言、勧告、命令、報告徴収、立入検査、これらを行う権限、それから、関係行政機関の長に対してシステムの構築及び維持管理に関して必要な措置を求める権限、これを有するわけであります。

 いろいろ技術的なシステムも工夫をしていくべきだと思います。この個人情報にかかわれる人というのは、法律で制約、制限をされています。それ以外の人がさわったときには、アラートといいますか、それ自身が把握できるようなシステム設計をするとか、いろいろなシステム設計上の工夫があろうかと思います。

 ただ、数十人の体制で全部、森羅万象を把握できるかというのは、それはとてもできないわけでありますから、先ほど来指摘されている成り済ましの防止は、その時点で個人を認定する認定作業、写真を入れたり何だりという、過去の成り済まし犯罪がどうして起きたかということを含めて、それへの対応策を行っていく。

 暗号化についても、日本は技術は高いんだと思います。ただ、そういう先進国で行われているハッキングみたいなことが比較的意識の中になくて、そういう防護体制というのは技術がありながらしっかりととられていなかった。暗号化技術も、先進導入国の例を見て、さらに強固なものに技術的にしていく等々、過去のいろいろ弊害事例をしっかり検証して、導入の段階から組み入れていくという努力は最大限していきたいというふうに思っております。

荒井委員 この組織は三条委員会ですね。政府から独立した行動ができるわけですね。三条委員会として独立した行動が、規制活動ができるというならば、やはりもう少し人員なり予算なりというものをしっかりと固めないと、機能しないと思いますね。

 それから、この三条委員会は、先ほど地方の話もありましたけれども、地方についても目配りできるような仕組みになっているんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 この三条委員会は、地方に対しても勧告等を行える権限を持っております。

荒井委員 これは強制捜査権は持っているんですか。

向井政府参考人 いわゆる立入検査権等は持っております。

荒井委員 強制捜査権で犯罪の立証ができるような事態になったときには、どういう仕組みでどういうふうに処理されるんですか。

向井政府参考人 この三条委員会は、いわゆる犯罪を暴く組織ではございませんので、あくまで行政組織でございますので、仮に犯罪の端緒を見つけた場合には、告発という手続になるのではないかと考えます。

荒井委員 これは、日本人ですから、性善説に立っている人が多いんですよね。けれども、実際に動かしてみると、これを何とかビジネスに利用しようと、個人の情報そのものが価値があるという社会になってきてしまったんですね。したがって、この件については、犯罪が裏表にあるんだということを念頭に置きながら組織をつくっていかないと、組織が機能しないと思うんですよ。

 この点、最初に三十人程度から組織をつくり上げるというお話だったですけれども、多分、そんなのでは全然役に立たないんだろうと思うんですね。

 そこで、警察、司法との関係なんですけれども、この組織をつくるときに、司法とどういう相談というか、あるいは折衝、交渉をしながらこの組織の検討を始めましたか。あるいは、このシステム全体をつくるときにも、サイバーがいろいろな形で犯罪の温床になっているというのは、警察は、もう随分、嫌というほど、この間知っていると思うんです。

 このシステムの構築をするに当たって、司法当局とはどういう関係を持ちましたか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 この法案の検討作業全体につきまして、当然のことながら、各省、当然、法務省あるいは検察も含んで協議はしております。

 なお、検討のチームの中には、検事の出身者も入れて、それで検討をしておりました。

荒井委員 きょう、どなたか警察庁から来ていますか。警察庁、ちょっとお答えください。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 この法案につきましては、法令協議という形での協議は受けておるところでございます。

荒井委員 警察庁としては、どういう犯罪が想定されますか。今、私は、成り済まし犯罪と言いましたけれども。

岩瀬政府参考人 成り済まし犯罪という御指摘がございました。

 現在、我が国においても、成り済まし犯罪による不正アクセス事案というものは発生をしているところでございます。

 例えば、他人のIDやパスワードを盗み出して、その上でインターネットショッピングで商品を不正購入する、あるいはインターネットバンキングで不正送金する、こういう事案が発生しているところでございまして、そういう類いの不正アクセス事案というものは、現在でも起きているということでございます。

荒井委員 韓国の場合、まあアメリカもそうなんですけれども、この犯罪の原因といいますか、一つの要素として、生涯番号が変わらないんですね、一回付与されるとその番号は変わらないんですね。これが犯罪にはとてもおいしいというか、一回破っちゃったらずうっと、それを被害者に知られないようにさえすればいろいろなところで使える、そういう特色を持っているんですね。

 そこで、今度のこのシステムでも、生涯決められた番号というのは変わらないのか、変えようとしたときに変えられるのか。それから、生まれた子供にも、すぐ生まれた瞬間に番号はつけられるのか。

 なぜかといいますと、アメリカの場合の犯罪の多くは未成年者の番号を使っているんですよ。未成年者は、買い物をしたりとか、あるいは社会保険の給付を受けたりとか、そういう申請は余りしませんから、なかなかわからないという事例があって、したがって、未成年者に被害が多いんですけれども、このあたりは考慮に入れてありますか、どうですか。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

向井政府参考人 お答えいたします。

 番号そのものにつきましては、出生届と同時に付与されます。それから、変更につきましては、基本的には、例えばその方の番号が知られたとかそういうふうな事故が起こった場合に変更が可能というふうになっております。ただ、先生のおっしゃるアメリカとか韓国の事例の、番号の成り済まし犯罪のやはり最大の原因は、番号のみ、あるいは番号プラス簡単なIDでアクセスできるというところが最大の問題だと考えております。

 したがいまして、私どもといたしましては、まず、対面で番号を確認する場合は、番号のみではなく、必ず写真入りのカードなりなんなりで本人を確認するということを義務づけております。それから、ネットに入る場合につきましては、基本的には最も認証強度の高い公的個人認証でないと入れないような仕組みをつくりたいというふうに考えております。

荒井委員 本人認証というのは、ここではとても大事な作業になってくるということですよね。ただ、住所ですとか生年月日というのは、これはすぐとられますよ。したがって、それだけではセキュリティー上は非常に甘いセキュリティーになってしまうんじゃないか。

 特に、今回のシステム設計の中では、マイポータルというのをつくりまして、個人が自分の端末から見られるような仕組みをつくりました。これは、とても便利なことは便利なんですけれども、しかし、その仕組みをつくったことで、セキュリティー上は大きな問題が出てくるのではないかというふうに思うんですけれども、それはどうですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、このシステムそのものは基本的には専用回線を使おうと思っておりますが、マイポータルに関しては、インターネットとの接続口が必ずできてしまいます。その点につきましては、おっしゃるとおり、セキュリティーの面では一段落ちる危険性がございますので、最新の技術を使い、そこのところがそごのないように、今後さらにきちっとした設計をしてまいりたいというふうに考えております。

荒井委員 答弁としてはそれしか答弁できないと思うんですよね。しかし、ハッカーの技術というのは、システム設計者の技術を超えるぐらいの規模でハッカー技術というのは進むんですね。したがって、どういうふうにしたらいいのか、このシステムを導入した瞬間にその危険にさらされているということを想定しながら、その善後策も考えながらシステムを運用するしかないんだと思うんですね。大変難しい問題だと思いますよ。

 そういう、システム的にセキュリティーを厳密にしたとしても、最後に残るのが人間の問題なんです。年金記録の問題のときに、年金記録を社会保険庁の職員がどんどん中を見ましたよね。結果的には人間の問題になってくる。これを運用する人間を、どういうふうにセキュリティーの意識を持たせ、そして教育をするのか。この点、大臣、いかがですか。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 非常に重要な点でありまして、まさに法律上も、この番号法は、個人番号を取り扱う機関等に対しまして、その番号の漏えい、毀損の防止、その他の適切な管理のために必要な措置を講じることを義務づけておるわけであります。

 その具体的内容として、個人番号を取り扱う機関は、システムに対する技術的な保護措置、それから、立入制限等の物理的な保護措置のほかに、人的な保護措置として、職員に対する研修、教育の実施や安全管理者の設置などの措置を講ずる必要があるというふうに考えております。この点について、特定個人情報保護委員会によって、ガイドラインのような形でその方向性が示されて啓発がされるものと期待をしております。

荒井委員 ぜひ、厳しい、そして有効な教育課程というかプログラムをつくられることを求めておきます。

 ところで、法人番号も今回大々的に付与するわけですよね。しかも、この法人番号については公開をする、そういうやり方をするようであります。

 ところで、法人番号を付与する範囲なんですけれども、例えばNPOでありますとか、あるいは宗教法人でありますとか、あるいは政治家の事務所、そういうものについても法人番号を付与するんですか。いつもこのあたりは微妙な問題をはらむところですよね。いかがですか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 法人番号につきましては、基本的には、全ての法人に番号を振ることを考えております。特に、法人番号の主な利用先としては、やはり税の分野が考えられますが、税の分野では、人を雇っておれば源泉徴収が発生いたします。したがいまして、逆に言うと、法人でなくても、いわゆる人格なき社団等につきましても納税義務が発生いたします可能性がございますので、そういうふうなものにつきましては全て付番したいというふうに考えております。

荒井委員 そうすると、宗教法人はもちろん、政治家の法人も登録をされるということですね。

 登録された法人について全ての要件を公開するんですか。

向井政府参考人 法人番号につきましては、名称それから住所、連絡先等の基本的な情報だけは公開いたしますが、それ以外の情報につきましては特に公開することにはなってございません。

荒井委員 この法人の公開範囲というのは、今まだ関心を呼んでいませんけれども、多分、幾つか関心を呼ぶところが出てくると思いますので、慎重に対応されることをお勧めいたします。

 それらの問題をクリアした最後に、憲法上の問題が出てくるのではないかという心配をしています。ドイツは、共通番号を国民に全部付与しようとした経緯があるんですけれども、最終的には、ドイツ連邦最高裁判所は、これは違憲であるということで、違憲判定を下したために、ドイツでは共通番号制の普及というのができなかったんですね。今でもそうだと思います。

 日本の場合には、住基ネットのときに憲法違反ではないという判決を下しているんですけれども、それは利用範囲が極めて限られていたからだというふうにも思われるわけです。今回、最高裁の判断ですから、立法府や行政府がどうこう言うことではないのかもしれませんけれども、憲法上の問題についてどうお考えなのか、それについてお答えください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、ドイツにおきましては、一九八四年に、行政分野を横断する形で個人識別番号を持つことについて違憲の判断をしたものと承知しております。

 一方、我が国の最高裁は、平成二十年に、住基ネットが正当な行政目的の範囲内で行われていること、システム上の欠陥等により情報が容易に漏えいする具体的な危険がないことというふうな制度的措置を講じていることなどを根拠として、合憲判決を出しております。

 ただ、その合憲判決にはいろいろな条件といいますか、考え方が示されておるということでございますので、番号法におきましては、こういう合憲判決の趣旨も踏まえまして、システム的な保護措置と制度的な保護措置を講ずることとしております。

 具体的には、まず、一元管理をしちゃいかぬというふうなことが最高裁の判決にございますので、今回の個人番号つき個人情報につきましては、従来どおり、それぞれの機関で分散管理をいたしますとか、利用範囲、それから、情報のやりとりする範囲を法律で法定いたしまして、ポジティブリストで法定いたしますとか、独立性の高い特定個人情報保護委員会の設置、それから情報システムにつきましては、アクセス制御や暗号化、罰則の強化などの措置を講じるということでございまして、私どもとしては、当然合憲になるものというふうに考えております。

荒井委員 一元管理をしないというのはとても重要な点だと思うんですけれども、最高裁がそこまで踏み込んでいたというのは今私初めて知ったんですけれども、しかし、結果的には、これは、鍵となるナンバーは住基ネットのナンバーですから、ある意味では一元管理をしているというふうにも見れるんじゃないですか。

 つまり、この住基ネットの番号さえとれれば、ずっと入っていけるという、それぞれのところに確かに分散はしていて管理しているのかもしれませんけれども、そこがキーですからというふうに思えるんですけれども、それはどうですか。

向井政府参考人 住基ネットの番号をもとにいわゆる個人番号を振り出しますし、一方で情報連携をする符号も住基ネットの番号をもとに振り出しますが、それぞれにつきましては、情報を持っている機関につきましては、例えば年金等の情報を持っている機関については、その年金の情報に限り、符号と個人番号を持っております。

 一方で、情報をやりとりする情報ネットワークシステムにつきましては符号だけでいっておりますので、そういう意味では、一つの符号をもってして全ての情報がとれるわけでは決してないということ。

 それから、それぞれの住基コードと符号の関係、それから住基コードと番号の関係は、一対一では対応していますが、関数としては不可逆関数でございますので、全てのテーブルを持っていない限り対応しないということから、一つの住基コードから入って全てが結びつくようにはシステム設計はしないようにしたいと思っております。

荒井委員 甘利大臣と山本大臣、今の説明を聞いてわかりますか。

 このあたりのセキュリティーの話というのは、技術的な進歩が物すごく早いのと、それから物すごく複雑になっていますよね。にもかかわらず、やられているんですよ。やられているというのが実態なんですよ。ハッカーに遭っているというのが実態なんですよ。セキュリティーには十分な努力をぜひしていただきたいというふうに思います。また、最高裁がそういう指摘をして、その指摘に応えたシステム設計をしているということは私は評価をしたいというふうに思います。

 ところで、今も話がありましたけれども、やはり住基ネットの安全性というのが一つのポイントになっているんだろうと私は思うんです。

 そこで、住基ネットに対してサイバー攻撃を今まで受けたことがあるのかどうか、それはいかがでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 住基ネットの関係でございますが、これまで十年ちょっと経過しておりますが、情報漏えい等の事故に遭ったことはございません。

荒井委員 それは多分、住基ネットが余り利用価値がなかったということと関係をしているんだと私は思います。

 最後ですけれども、情報通信の安全性の話を少ししたいと思います。

 山本大臣、ECHELONということを聞いたことはありますか、あるいは知っておられますか。どうですか、ECHELON。わからなかったらわからないと。物すごく特殊なあれですから。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

山本国務大臣 ちらっと聞いたことはあるんですけれども、中身はよく存じ上げません。申しわけありません。

荒井委員 ECHELONが問題になったのは、二〇〇一年の七月に欧州議会でECHELONに関する調査研究が行われたんですね。

 このECHELONは、アメリカやイギリスの諜報機関、NSAという組織がいろいろな盗聴をしているんじゃないか、ヨーロッパ議会がそういう疑いを持って、その調査を公的に開始したんです。結論は出ていないんですけれども、情報通信の世界の中では相当な傍聴や盗聴が行われているという実態があるということが指摘をされています。

 これはアメリカとイギリスが中心なんですけれども、そこだけではなくて、情報通信の世界の盗聴、あるいはそういう世界は、世界じゅうに広がっているんだと思います。それがインターネットが普及することによって、広がることによって、いろいろな意味で情報が流れたり加工されたりしているという実態があるということであります。

 これが政府の安全保障の政策に限られているのならば余り問題はないんですけれども、ちょうどその当時、産業スパイの話が大きな事例となって、産業スパイの情報として流れたのではないかという、当時はうわさですけれども、そういうことがありました。現実には、カナダ政府が、フランス政府との間で、この件に関して緊張関係が出てきたというようなことも実際にあったことであります。

 ところで、こういう情報通信の世界、ITの世界、一番大きな課題は暗号化ということなんですね。これも、余り専門的になりますと私もよくわかりませんので、詳細な議論はできないんですけれども、暗号技術というのが一番のポイントになっていて、先ほど言ったアメリカの国家安全局、NSAという組織は、暗号化の専門家を大量に抱えているというふうに言われています。

 暗号化の最大の技術は何かというと、実は数学なんです。算数というか数学なんですけれども、その数学の分野でも、整数論、素数論と言われているものだというふうに言われています。

 数学の整数論の分野というのは、実は、日本は非常にすぐれた数学者をたくさん輩出しているんです。したがって、暗号の世界の中では、日本の数学者というのは垂涎の的になっているんです。まず、そういう実態を御存じですか。

山本国務大臣 率直に申し上げて、存じ上げませんでした。

荒井委員 IT化を進めるに当たって、あるいはマイナンバー化を進めるに当たって、暗号化の話というのは、山本大臣は科学技術担当の大臣でもありますが、数学の分野は科学技術の範囲に入っていないんですね。

 しかし、数学の世界というのも、アルキメデスか何かから非常に高等なもので、現実世界とは全然関係ないように思われているんですけれども、またそういったようなものもたくさんあるんですけれども、現実には、こういうセキュリティーの問題と非常に深くかかわってきたという現実があります。

 そして、片一方では、日本は、数学のこの分野で非常に傑出した人材を輩出しているという現実があって、その人たちが今、セキュリティーの問題で海外に流出をしているという状況があるということをぜひ認識していただいて、安全性の問題から、数学の分野というものをも、科学技術の担当の分野の中に加えていくべきなのではないだろうかというふうに私は思います。最後、その点。

山本国務大臣 今の先生のお話は、しっかり問題意識として持っていたいと思います。

 それから、以前も御答弁申し上げたんですが、甘利大臣のもとで、社会保障・税に係る情報システムの設計、整備に当たって、情報セキュリティー対策が検討されるということですけれども、サイバー攻撃事案への対処などの情報セキュリティー対策を行う内閣官房情報セキュリティセンター、NISCがありますので、これと連携しつつ、IT担当大臣としても、今度できる政府CIOの知見も生かす形で、情報セキュリティーを確保した、より安全なシステム設計へ向けて頑張っていきたいと思います。

 今の話は、科学技術担当大臣として、数学者の話、暗号化の話はしっかり頭に置いておきたいと思います。

荒井委員 終わります。

平井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 この間の本会議でも質問をいたしました。それにかかわって幾つか聞いていきたいんですが、本会議の答弁の中で、甘利大臣は、アメリカにおきましては、社会保障番号が行政事務の広い範囲で利用されるほか、民間においても広く利用されており、成り済ましなどによる被害が生じていることから、利用範囲の限定、不必要な収集の禁止、罰則の新設などの動きがあると認識しております、このように答弁をされました。

 政府は、アメリカでは成り済ましなどの被害の件数、そして被害額、先ほど荒井先生の方からは荒井先生の調査で出されましたけれども、政府自身がその実態と深刻さをどのように認識しておられますか。

甘利国務大臣 御指摘のように、アメリカにおきましては、本人確認が番号のみで、写真も掲載されていないということでありますので、この成り済まし犯罪というのが多々報告をされているわけであります。

 他人の社会保障番号を利用した年金の不正受給等々の事件でありますが、私どもが把握しております被害額は、例えば、二〇〇五年においては被害人数が数百万人に上るという報告、それから二〇一〇年においては被害額が数十億ドルに上るという報告が存在するわけでありますが、ただ、この被害額、人数のうち、社会保障番号が利用されたものの割合というのが明らかでございませんで、社会保障番号を利用した成り済まし被害の件数及び被害額についての正確な数値は把握しておりません。

 いずれにしても、先ほど申し上げた数字の内数ということになろうかと思います。

赤嶺委員 アメリカや韓国の成り済まし被害、大変深刻な実態が繰り返し述べられているわけですが、被害の実態、被害額、これは政府においてももっときちんとしっかり調査の上で、アメリカとは違う制度をとっているよということじゃなくて、アメリカ自身のそういう被害も検証していくということは大事だと思います。

 本会議の質問でも私は紹介をいたしましたけれども、この間の与党の委員会の質問、二十七日でしたか、与党の委員からも指摘がありましたが、アメリカでは共通番号から個別番号へという動きが始まっています。そういう時代に、どうして我が国では個別番号から共通番号へ行こうとしているのか。

 共通番号を導入すれば、アメリカで起こっている深刻な被害が我が国でも起こるのではないですか。いかがですか。

甘利国務大臣 アメリカでどうしてこの成り済まし犯罪等が行われたかというのには、それなりの原因があるわけであります。

 先ほど来指摘されていますように、個人カードに写真も掲載をされていない、そのカードを持っている人がその人であるか自身がまず基本的に確認がしづらいという点がありますし、また、利用範囲についても民間利用に相当幅を広げている、あるいはセキュリティーの問題等についても問題があったということが指摘されているんだというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、電子化社会、IT社会の中で、その個人を識別する、あるいはその法人を識別するということは、いずれこういうシステムは避けて通れないというふうに思います。

 現実に、では、アメリカが完全にこの制度をやめちゃうのかということまでは行き着いていないと思いますし、要は、セキュリティーを高めていくという方向で、なぜアメリカあるいは韓国でこの種の犯罪が多発したかということを原因を突き詰めて、そしてそれを塞いでいくという方法が妥当な方法だというふうに思っております。

 技術の点、あるいは人の教育の点、あるいは法律で範囲を限定する点等々、あらゆるこの種の犯罪を防ぐ技術的、司法的あるいは法律的対応をしっかりして、その中で最大公約数の利便性を高めていきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 今答弁にもありましたけれども、被害の最大の防止策というのは、共通番号の利用範囲をできるだけ狭く限定していくことになるだろう、これは政府のお考えだろうと思うんですね。本会議での私への答弁でも、これらの状況も踏まえ、番号法におきましては、利用範囲を社会保障、税及び災害対策に関する事務のうち法律に規定したものに限定している、このように答弁しております。

 今回の法律で、実際に共通番号を扱うことになる団体はどのくらいになるのですか。

西村副大臣 お答えを申し上げます。

 この個人番号を利用する事務実施者としては、都道府県、市町村、それから健康保険組合などが想定されますし、それから、御指摘ありましたように、企業が雇用する従業員に対して税務署に提出する給与等支払い調書、これには個人番号を記載してもらうことになっておりますので、そうしますと、この場合の企業は、番号法上、個人番号関係事務実施者として位置づけられます。

 したがって、こうした企業を含めた個人番号関係事務実施者も含めて、個人番号を扱うことになる団体数は、企業数が百五十万とも言われておりますので、百五十万を超えるものというふうに見込まれております。

赤嶺委員 百五十万というお話がありましたけれども、つまり、源泉徴収で番号を使うわけですから、従業員を雇って給料を支払う会社、こういう団体はほとんど共通番号を扱うことになるわけですね。

 成人はもちろんですが、学生でもアルバイトをすれば会社に自分の共通番号を申告しなければいけなくなるわけです。ですから、一旦導入をされたら、共通番号は民間にもあふれることになるわけですね。さらに、情報提供ネットワークシステム、これを利用して個人情報を交換する団体、年金機構や地方自治体などもあるわけですが、年金情報や世帯情報、所得情報などが交換をされていきます。

 先ほど資料を提出いたしました。資料一を見ていただきたいんですけれども、これは番号制度における情報連携のイメージ、きのう内閣官房からいただいた資料であります。

 これを見ますと、情報照会・提供機関は、共通番号ではなく、利用者番号とそれにひもづけられた符号で情報をやりとりする。これは、なぜこんな仕組みになっているんですか。

向井政府参考人 情報提供ネットワークシステムにおきましては、個人番号を使わずに、それぞれの機関が別の符号、これはいずれも住基コードから生成することを想定しておりますが、その符号を使って情報連携をしようとしております。

 その最大の理由は、今回の個人番号つきの個人情報につきましては、プライバシーへの影響、不正利用による個人情報の漏えい等の懸念がありますので、個人情報を一元的に管理する機関または主体を設置するのではなく、従来どおりそれぞれのところで分散管理した上で、番号で情報連携をいたしますと、その番号が漏れ、かつハッキングされた場合に、芋づる式に情報が漏れる危険がございます。

 したがいまして、個人番号から推測できないように加工された符号を連携キーに用いることによりまして、個人番号による一元管理や個人情報が芋づる式に漏えいすることがないような仕組みとしております。

赤嶺委員 つまり、芋づる式に情報が漏えいをしないように、情報提供ネットワークシステムでは、情報漏えいを防ぐために、共通番号そのものを使わずに、共通番号への復元が不可能な符号を用いるシステムになっているという理解でいいわけですね。

 ところが、資料一を見ると、共通番号、法律上では個人番号になっているわけですが、この個人番号をデータにつけ加えることになっておりますね。法案では、これらの情報照会・提供機関は個人番号を付番することができる、つまり、できる規定だったと思いますけれども、例えば資料の情報照会・提供機関Bのように、個人番号を付番しないこともできるというのですか。Aは個人番号がついていて、Bは個人番号はついていないですよね。この点、つけないこともできるという理解でよろしいでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 この情報連携のイメージは、将来のことも含めた、こういうふうなことができるのではないかというもののイメージでございまして、現行の法案につきましては、個人番号のない者が情報ネットワークシステムを利用することはできないことになっております。

赤嶺委員 個人番号をデータに付番しない、資料一の情報照会・提供機関Bですね。個人番号がついていない。これはどのような機関、あるいはどのような個人情報を想定しているのですか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 そういう意味では、将来のことでございますけれども、例えば、今回の番号法案では医療の身体情報につきましては対象の範囲となっておりませんが、医療の身体情報なんかにつきまして仮に似たような番号制度をつくるとすれば、別の番号を使うことも考えられます。

 そういったものにつきましてもひもづけするとすれば、こういうふうな形でひもづけすることになるのではないかというふうに考えております。

赤嶺委員 つまり、Aで言う個人番号と、Bで個人番号のところは空白になっているわけですが、これは別の番号をつけるという意味ですか、今の答弁は。

向井政府参考人 別の番号をつける場合もありますし、現在その機関が使っている番号を利用番号として使う場合もあるかとは思いますが、いずれにしても、今回の法律ではなくて、今後、利用範囲を拡大するとした場合に、そういうことが起こり得るのではないかというイメージをあらわした図でございます。

赤嶺委員 個人番号をつけることができるという規定が現行法ですが、将来は全部つけていくという理解でよろしいんでしょうか。

向井政府参考人 現在の法律におきましては、個人番号の利用範囲はポジティブリストで別表の第一に書かれておりまして、それについて番号を利用することができるというふうになっております。

 将来についてどういうふうに広げていくかというのは、いろいろなパターンがあるとは思いますが、現在の個人番号そのものを広げていくのか、あるいは別の番号をつくって、それと現在の個人番号と一対一の対応関係をつけていくのか、いろいろなやり方があるかと思います。

 ここにありますBのパターンは、今の番号制度を広げる場合に、同じ個人番号を使わずに別の番号を使った場合でも、一対一の対応関係さえつければ情報ネットワークシステムは使えますので、そういう場合のことを想定したものでございますが、いずれにしても、将来の話、今後の検討の話でございます。

赤嶺委員 このネットワークシステムの中で見ていった場合に、結局、個人番号がついて回っていくわけです。

 今回の法案でも、個人番号が付番されてネットワークシステムの中に入っていく。結局、個人番号が求められていく。共通番号の利用範囲が相当広範囲のデータを網羅していくことになると思います。

 それは個人情報のマッチングの可能性を高め、個人情報が流出した際など、不正利用や成り済まし犯罪の危険性、このネットワークシステムでも高めることになっていくのではないか、個人番号がついて回るわけですから。この点はいかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 個人番号つきの個人情報につきましても、基本的には分散管理というのは今と変わりません。それから、ネットワークシステムにつきましても、先ほどから申し上げているように、符号で連携キーに用いることによって芋づる式に漏えいしないような仕組みとしております。

 このほかにも、個人情報の漏えいや不正利用につきましては、利用の範囲、情報連携の範囲を法律で限定するとか、第三者機関による監視、それから罰則の強化、さらには、先ほど来出ております、行政機関の中でこういう情報にアクセスできる人間を極めて限られた範囲に限定すること、そういうふうなことから、そういう制度面、システム面の両面から万全を期してまいりたいと思っておりますので、そういう意味では、危険性につきましてはそれほど増さないのではないかと考えております。

赤嶺委員 どんな説明を受けても、やはり個人番号をつけた個人情報のファイルが絶対に漏えいしないとは言えない。これは先ほどの荒井委員の質問を聞いていても、そういう危険性が高まっているというものを、このネットワークシステムの図からも読み取れるものであります。やはり、法案は成り済ましなど、そういう可能性を不必要に高めている、こういう点を指摘しておきたいと思います。

 それで、法案の附則第六条の問題ですが、個人番号の利用及び情報提供ネットワークシステムを使用した特定個人情報の提供の範囲を拡大することの検討を求めております。安全対策で利用範囲を限定するというのを求めてきながら、結局、附則では、利用範囲を拡大していくことを検討するとなっているわけですね。

 利用範囲の拡大による成り済まし犯罪対策、これは後退するのではありませんか。

向井政府参考人 附則六条につきましては、法施行後三年ということになってございます。その間のいろいろな実施状況等を勘案しながら、危険のない範囲で拡張していくというふうになるのではないかと考えております。

赤嶺委員 利用範囲の限定を強調しながら、三年後には利用範囲を拡大していくという、これは去年出した法案にはなかった規定であるわけです。しかも、第三条にも、情報提供ネットワークの利用促進、特定個人情報以外の情報の授受に情報提供ネットワークシステムの用途を拡大する可能性の考慮などの規定が新たに加えられています。実施する前から拡大が前提となっている規定であります。

 現行法案でも、個人番号はちまたにあふれ、本来、個人番号を付番する必要のない情報提供ネットワークシステム利用機関でも個人番号が利用されます。それに加えて、利用範囲の拡大の検討です。これではとても利用範囲が限定されるとは言えません。

 個人情報の漏えいや成り済まし犯罪など、国民にとって容認しがたい害悪を拡大させる制度だ、こう指摘せざるを得ません。

 次に、国民の利便性が向上するということがよく言われるわけですが、共通番号制度の導入によって向上する利便性の問題であります。

 二十七日の、これも与党の委員会質疑の中で、与党の委員からこういう質問が出されておりました。児童扶養手当の申請については、市役所の窓口で、住民票そして所得証明、また障害に関する認定の情報も一元管理されており、情報の一元化のメリットは既に享受できる状態にある、こう指摘がありました。

 こうしたサービスというのは既に共通番号なしに可能となっておりまして、あえて共通番号を導入するまでもないと思います。

 情報提供ネットワークシステムを利用した事務は、別表第二に規定されております。この別表第二は法案の中にありますが、その別表第二の三において、健康保険組合は市町村長から介護保険給付関係情報の提供を受けるとしております。

 これによってどのような保険給付の支給に関する事務の利便性が向上するのですか。厚労省、お願いします。

神田政府参考人 お答えいたします。

 具体的な事務につきましては主務省令で定めることとしておりますけれども、医療保険者が市町村長に介護保険給付関係の情報を求める、その具体的なものとしましては、高額医療・介護合算療養費の支給のための情報というものが考えられます。

 この仕組みは、一年間の間の医療保険と介護保険の自己負担額を合算いたしまして、一定の限度額を超えた場合に、これを両方の保険から按分して支給するという仕組みでございます。この支給額の計算という事務は、健康保険組合などの医療保険者が行うというふうにされてございます。

 したがいまして、現在は、支給を受けようとする場合には、被保険者が介護保険の保険者である市町村長に申請をいたしまして、介護保険の自己負担額に関する証明書の交付を受けて、医療保険者に提出しなければならないというふうにされているところでございますけれども、番号法案が成立しますと、医療保険者が情報提供ネットワークを通じて介護保険給付関係情報として介護保険の自己負担額に関する情報を把握することができるようになりますので、そういった点で利便性が向上するものと考えております。

赤嶺委員 情報ネットワークシステムを使えば、役所まで足を運ばずに、非常に利便性が高まるということですが、そこでお聞きしますけれども、健康保険組合では、この制度で何件、幾らの給付額が今あるんですか。

神田政府参考人 お答えいたします。

 今、介護保険の給付を受けている方ということになりますと、実際には医療保険の方では国保や後期高齢者医療制度に加入している方が多いということになりますので、健康保険組合の支給件数としては、二十二年度の実績で六十二件ということでございます。

赤嶺委員 これはきのういただきました資料の二枚目に出ておりますが、合算制度を利用する健康保険組合というのは六十二件で、これが、番号制度ができてネットワークシステムができても六十二件であるわけですね。

 国民健康保険のほとんどは市町村国保であります。後期高齢者医療も実際にデータを管理しているのは市町村であります。つまり、実績では、表を見ておわかりのとおりに、協会けんぽで年間四十四件、健保組合で六十二件、国保で一万四千、そして後期高齢者医療で六十二万。いわば実績では、この合算制度の九九・九%は市町村の中のデータのやりとりで完結をしているわけですね。市役所内のやりとりで完結しないで、市役所と健康保険組合などネットワークを結ぶ必要があるのは、この表から見ても、百六件であります。

 情報提供ネットワークシステムがなくても、市町村の中で突合すれば、例えば、自己負担額が超えているので申請に来てくださいという、役所の側から声をかけたりするような情報提供サービスも可能であります。実際に、あなたは超えていますから、合算制度を受けられますから来てくださいというサービスを行っているところもあるわけですね。ほとんどの事例は役所の中で完結をしている。

 つまりは、利便性が高まると言うけれども、去年の実績でいえば年間百六件程度の情報をやりとりするために、民間健保、協会けんぽ、国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済などの保険者と市町村の介護保険給付関係情報の提供を行うネットワーク、こういうことでもそういうネットワークをつくる必要があるのでしょうか。

 最後に、甘利大臣、御答弁をお願いします。

甘利国務大臣 委員御指摘の例に限らず、この番号制導入によって、さまざまな手続において行政機関の間で必要な情報の連携を行うことが可能となるわけであります。従来、国民が給付申請等を行う際に求められていた住民票であるとかあるいは所得証明書などの添付資料について、手続が簡素化をされ、国民の側にとっても利便性が向上するというふうになるわけでございます。

 また、行政機関において必要な情報の連携を行うことによりまして、あらかじめ対象者を特定し、行政の側からお知らせをするなどのサービスの提供を行うことも可能であります。マイポータルという、いわば自分の特定のホームページみたいなものができますから、そこに、行政の側から知らせる、プッシュ型情報提供とよく言われていますけれども、そういうお知らせもすることができるということで、利便性が格段に向上するわけであります。

 行政の効率化が図られて、限られた行政資源を国民サービスの充実のためにより重点的に配分するということも可能になる、今までできなかったことがかなり広範に利便性としてそれぞれ享受できることになるというふうに考えておりまして、この番号制の導入というのは、行政の側にとってもあるいは国民の側にとっても、極めて効能の高いことであるというふうに理解をいたしております。

赤嶺委員 利便性が高まるという一番典型的な事例として合算制度を政府は説明してきたんですが、実際に別表二の三をずっと検証していきますと、わずかな人たちしか受けられない、あとの残りの圧倒的多数は役所の中で解決できる。

 私は、別表第二の三において、どんなサービスが受けられるか、その全てについて今のような詳しい説明を質問主意書で求めております。政府におかれても、答弁を早く出していただいて、この委員会審議に役立てさせていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。

平井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

平井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 先般、私の方から代表質問をさせていただきましたけれども、きょうは、その代表質問に対する安倍総理並びに甘利大臣の御答弁を踏まえまして、質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 先般の本会議におきまして、導入の理由、根拠について、安倍総理、また甘利大臣は、社会保障・税番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤となるものであると述べられました。この文言は、国民にとっても大事な部分だと思っております。

 しかし、なぜかこの文言は法案の目的には明記をされておりません。この部分がなければ、目的は、単に行政の効率化、そして、それに加える形で、国民の利便性を加えるという形の法案になってしまって、本来、一体改革で示されていた、そのために出された番号法案でありますけれども、本質が変わってしまったのではないかな、そのような印象を受けるんですけれども、甘利大臣の御見解をお願いいたします。

甘利国務大臣 委員御指摘の一条の目的規定においては、効率的な情報の管理及び利用、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上が掲げてありますが、三条の基本理念におきまして、行政運営の効率化を図り、もって国民の利便性の向上に資すること、及び、社会保障制度、税制その他の行政分野における給付と負担の適切な関係の維持に資することを挙げておりまして、まさに、御指摘の国民の利便性を基本理念においてしっかり掲げ、そのために手だてとしてこういう手続をとる、こういう手法をとるということと説明をさせていただいておるところであります。

村上(史)委員 もちろん、この制度を導入するためには、国民の利便性、また行政の効率化というのは当然ではありますけれども、私が申し上げたいのは、いわゆる民主党の税と社会保障制度の一体改革の中で生まれてきたものは、手段としてこの番号制度を導入するというのが起点になっているわけで、そういう面では、番号制度だけが先行し過ぎるのではないかという思いをしております。

 また後ほど、その点についてはお話をさせていただきたいと思います。

 次に、また、答弁で、社会保障・税番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤となると答弁される一方で、社会保障・税番号大綱には、番号制度を導入しても、全ての取引や所得を把握し、不正申告あるいは不正受給をゼロにすることなどは非現実的である、また、番号を利用しても、事業所得や海外資産、取引の情報の把握には限界があると明記されております。

 国民の中においては、国家管理への嫌悪感を持つ方もいらっしゃいますし、また、個人情報保護への懸念を持っておられる方、また、不正使用や成り済ましなどによる被害の懸念などが十分に払拭をされない状況の中で、番号制度の限界があるといいながら導入をする、これに対する理解は得られないのではないかな。

 政府として、この番号制度の限界に対する対応はどのように考えておられるのか、お尋ねします。

甘利国務大臣 完璧に全ての所得を捕捉するということになりますと、いろいろとコストも膨大になるでしょうし、国民がそんなところまでという支持をするかどうか。

 例えば、消費者が物を買うときに、一々そのたびに法定調書を出すなんということは現実としてあり得ないことでありますし、そうすると、事業者が、商売をやっている方が物を売って、その売り上げから所得を完璧に把握するということはできないのでありましょうし、現実に可能なところ、その中で、現状よりも正確に所得を捕捉するということができれば、正確な納税につながっていくということが言えるのであろうというふうに思っております。

 社会保障と税の番号という名のとおり、国民にとっても、いろいろな手続をするときの添付書類が省ける。あるいは、もちろん行政の側にとっても、それだけ電子処理の中で対応ができるわけでありますから、コストも省ける。それは、国民に間接的にはね返ってくる、税負担の軽減になるわけでありますし、行政の電子化、IT化ということをやっていく中で、それを完全に国民が利用して利便性を受けるためにも、国民の方も電子化して最低限の対応をしていく、これがIT社会、情報化社会の中でのインフラであると言われるゆえんであると思います。

 行政が電子化していく中で、アナログでそれにアクセスするというのはなかなか難しい、利便性を享受することが難しくなるということであろうというふうに思っております。

村上(史)委員 それぞれ、システムの限界というのは当然この世の中ではありますけれども、ただ、国民の立場からすれば、やはり不公平感が残るのではないかなという思いがいたします。

 それに関連いたしまして、これも本会議の答弁でございますけれども、正確に所得を把握することは一定の限界があるものの、社会保障、税分野全体を通じて、現状に比して、より正確な所得把握が可能となるとおっしゃっておられます。この、より正確な所得把握というものはどういう意味なのでしょうか。

 また、今後、この限界を少しでも少なくするために、把握できる所得やあるいは資産を対象とした新たなシステムをつくる予定はあるのでしょうか。

 でなければ、現在でも把握できないまま、そのままの状態になってしまうということで、把握されるものと把握されないものとの差ができてしまって、捕捉される立場からして、今後、税でより厳密に徴収をされるのではないか、そういう危惧もあると思います。その点について、大臣のお考えはいかがでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 番号制度の導入に当たりまして、税の分野では、税務の関係機関に提出いたします申告書、法定調書等に、個人番号または法人番号の記載を求める、例えば、住所、氏名に加えまして、法人番号、個人番号の記載を求めるという格好になります。

 これによりまして、税におきましても、同一人であることの所得情報として名寄せできていなかったもの、例えば扶養の控除をする場合なんかに、二重の扶養控除をしても、住所がかなり違っていて国税局が違っていればなかなか把握できないというふうなこともございました。そういうふうなものが正確に名寄せできるようになります。

 そういう名寄せできた情報を突合することによりまして、調書とかで得た情報をこれまでより迅速かつ正確に名寄せできますので、それらの分については、より正確な所得把握が可能になるというふうに考えております。

 一方で、税の調書というのは、毎年の税制改正におきまして、ふえたり減ったりいたします。そういう意味では、今後の税制改正の議論におきまして、さらに所得把握を進めるような方法も議論されるのではないかと考えております。

 少なくとも、この番号制度を入れることによりまして、そういう将来の制度改正については選択肢が広がるものというふうに考えております。

村上(史)委員 ということは、先ほど申し上げましたけれども、海外資産等の把握は今後ともやっていく、いずれやっていくということでよろしいんでしょうか。

向井政府参考人 海外資産の把握につきましては、物事の性質上、なかなか難しい面もございます。

 一方で、例えば、仮に、預金通帳に番号が入りますと、現金取引以外の、いわゆる預金を通じた金融取引につきましては全部把握できますので、そういう面では、そういうことを仮にするとすれば、さらに税務調査等で正確な所得が把握できるような方向に行くのではないかと思っております。

 もちろん、これらにつきましても、税の分野でどういうふうにするかは、今後その分野において検討がなされるものと考えております。

村上(史)委員 今後の課題としても、この問題についてはやはり追及していかなければならない一つの問題点、課題だと思っておりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 そもそも論の話になって恐縮なんですけれども、先ほど来申し上げていること、また委員会での質疑を通しましても、まだ、なぜ番号制度を導入しなければならないのかという、国民にわかりやすい答弁がないと思っております。

 本来、番号制度導入は、社会保障と税の一体改革の議論の中で、歳入庁とセットだったというのが本当のところだと思っております。しかし、今回の政府の法案では、その歳入庁はもう全く消えてしまっている。また、一体改革も一体どうなっているのかもわからない。こういう状況では、国民としても判断をすることも難しいのではないか。

 また、本来の議論や目的、それが不明確になっている中で、あるいはそれぞれの改革議論がきちっと結論が出ていない中で、番号制度だけが先行して実施をされるという理由がもう一つ明確ではないと思います。また、インフラといいましても、何のために、どのような新しい制度のためのものなのか、それがなくては設計ができるものではないと思います。

 社会保障と税の一体改革という国の新しい姿が明確になってからでもこの導入は遅くはないのではないか、そのように考えますが、御見解をお尋ねします。

甘利国務大臣 まず、歳入庁とセットで進められてきたという御指摘がありましたけれども、前政権のもとにおきましても、この番号制度の導入の検討が歳入庁とセットで進められてきたということは承知をしておりません。過去の議論でもなかったのではないかというふうに思っております。

 番号制度は、より公平な社会保障制度であるとか、税制の基盤として、情報化社会のインフラとして、先ほど来申し上げているとおりでありますが、国民の利便性の向上や行政の効率化に資するものである、どのような社会保障制度や税制のもとでもこれは必要なものであるというふうに考えております。

 それから、一体改革でありますが、法律の期限の八月二十一日を目指して、今、国民会議、有識者の皆さんのもとで、精力的に議論が進められてきております。もう既に、たしか六回ですか、議論を重ねまして、これからもまとめに向けての日程が詰まってきているところでございます。

村上(史)委員 議論を進められているということは存じ上げておりますけれども、年金制度一つにしても、今の制度を維持するのか、あるいは所得比例年金を入れた二階建ての年金制度にするのか、あるいは後期高齢者医療制度をどうするのか、そういうこともまだ結論が出ていないはずであります。そういうことも踏まえてシステムというのは当然構築されていくものだと認識しておりますので、そういうものがはっきりと示された段階でも遅くないのではないかということを私は訴えているところでございます。

 さて、国民がこの制度についてどれだけ理解をされているか、そして、一体、国民生活にとって、この番号制度が導入されたときに、例えば役所へ行って、どういう形になるのだろうか、今のような窓口ががらっと変わってしまうのだろうか、あるいはそれを導入することによって行政改革というものがどのように進んでいくのかな、これも国民の関心、また知りたい点だと思っております。

 ぜひ、国民にわかりやすい形で御説明をいただきたいと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 番号制度が導入された場合に、役所の窓口の業務がどのように変わるのかという御質問でございますが、従来、例えば社会保障等の給付の申請の際には、通常、申請書にあわせまして、住民票あるいは所得証明を紙でとってきて持っていくというのが普通のやり方でございます。一部の市町村によりましてはそれを省略しているところもございますけれども、それが一般的だと思っております。

 これらにつきましては、番号を書いてそういう申請を出すことによって全て省略できるということで、ほかのところにとりに行く必要がなくなるものだと思っております。さらに、申請そのものをIT化していくことによりまして、まさに役所に行かなくてもそういう申請が可能になるというふうに考えております。

 したがいまして、行政機関におきましては、それらに対応するだけの人員につきましては削減できる効果が生ずるものと思っております。

 それ以外に、例えば併給調整、いわゆる、ある給付をもらっていれば別の給付はもらえないというものが社会保障の世界には多数ございますが、その併給調整なんかにつきましても、今回はもうバックオフィス連携におきまして役所間でやりとりができるということでございますので、そういう面でも国民にとって利便性がある、一方で行政の効率化に資するというふうに考えております。

 さらに、そういうITを使いまして、プッシュ型のサービス、いわゆる役所の側からのお知らせサービスというのをできるだけふやしていくということも考えられます。そういうことによりまして、社会保障の給付漏れ、あるいは知らなかったことによる給付を受けられないというふうな事態が解消されるのではないかというふうに考えております。

 いずれにしても、ITを活用した行政事務の効率化を推進する基盤ということが整備されることでございますので、番号制度に係る個々の行政事務におきましては業務フローの見直しが大切だというふうに考えております。

村上(史)委員 実は、きのうレクチャーを受けたときのお話では、例えば転入届を出すという場合、もちろん転入の用紙を必要としますよね。また、それに対して、国民健康保険の手続をする、あるいは印鑑証明の手続をする、そういうものは一応やっていただかないとだめなんですという言い方だったんですけれども、今のお話でしたら、カードさえ渡せば全て省略されるということでよろしいですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今回の番号制度は、税、社会保障及び防災の分野で使われるということでございますので、今おっしゃった話というのは、多分、地方団体の住民行政にかかわる分野でございますので、これについては番号制度の範囲外となっております。

村上(史)委員 最終的には、それはどういう形に持っていこうとされますか。

 いわゆる、窓口では、地方自治体ではワンストップで一本化するということがもう既に行われているんですけれども、これはもう全く番号とは関係のない話ですね。

 あえて番号化することによって、実は、先ほど赤嶺委員の御指摘にもありましたけれども、本来の窓口業務は今までのままであるけれども、番号を付番されることによって情報漏えいという危険性が増すことになるのではないか。それが本当の意味において国民に対する利便性を高めることになるのかどうか。この点は大変疑問があるんですけれども、いかがでしょうか。

向井政府参考人 まず、番号制度におきましては、一応、税、社会保障ということでございますので、社会保障の給付申請とかに番号を付番するという格好になろうかと思います。

 逆に、今ある、そういう社会保障の給付について、それぞれ市町村でそういうデータベースを持っておりますけれども、そのデータベースに、住所、氏名にあわせて番号が入るという格好になりますので、そういう意味におきましては、IT化というのは、基本的には、全ての面におきましてそういうリスクも抱えているということは事実でございますが、それらをできるだけ最小化するようなシステム設計は必要だと思っております。

 一方で、先ほど申されたワンストップサービスなんかが将来どうなるのかというお話につきましては、もちろん今後の検討ではございますけれども、当然、IT化されていくということは、そういう方向に向かうということを意味するものだというふうに考えております。

村上(史)委員 確かに、この番号制というのは、税、社会保障、そして防災という形で限定してやっていくということも承知はしておりますけれども、それ以外に、そのことによってさまざまな、情報漏えいの問題、あるいは成り済ましの問題等々、一層付随をして、国民にとってはリスクも多くなるけれども、その利便性という面で、行政の中の効率化というのは十分わかるんですけれども、国民側からすれば、それは行政の側の問題でしょう、我々国民としての利便性、本当の実感ができる利便性になっていないのではないかというのは、やはり今の国民の気持ちでもあると思います。その点は指摘して、次の質問に行きたいと思います。

 費用対効果の話でございます。

 これも答弁で、おおよそシステムの構築に二千から三千億円かかる、ランニングコストが三百五十億円程度だろうということでお話は聞いておりますけれども、その積算の中身が全く見えてきません。

 ここに資料がございますけれども、これは民主党の政権時代でしたけれども、中間の取りまとめの中で費用の試算を示された表がございます。その中には、どういうシステムに何ぼかかる、どういうシステムに何ぼかかるという数字が入っているわけであります。そういうものがなぜ出てこないんだということをお聞きしたいと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 まず、システム整備に二千億から三千億というふうに申し上げているところでございますけれども、新規に必要なシステム、例えば付番関係システム、情報提供ネットワークシステム、マイポータル、これらにつきましてトータルで三百五十億円かかります。これは二十五年度予算の予算書の中の債務負担行為で出ておりますので、予算という面においては明らかにされている部分でございます。

 それから、既存システムの改修につきましては、精査中でございますけれども、最大でおおよそ二千三百五十億円ぐらいではないかと思っておりますが、これは正確に申しますと、法案が通った場合でございますけれども、二十五年度の予算編成過程で決定されていくものだというふうに考えております。

 これらの中身といたしましては、例えば、年金システムにつきましてはおおよそ百八十六億ぐらい、ハローワークシステムにつきましては百五十五億ぐらい、国税につきましては三百八十億ぐらい、それから地方公共団体の業務システムにつきましては合わせまして千六百億円ぐらいかかるというふうに担当部署が言っているという状況でございます。

 ここから、まさに予算編成過程で、要求の中で調整され、しかも要求の調整は、法案が通りますと、CIOが調整するということになりますので、そこで調整され、さらに予算編成の過程で査定されていくというふうな数字でございますので、かなり減るものと思っております。

 そういう意味で、二千億から三千億という物の言い方をさせていただいているということでございます。

村上(史)委員 今のお話でいくと、根拠はないけれども予算計上しておけ、そんな感じで積み上げられたものがそういうものだということで、税金を使うわけですから、もっときっちりと、また、さまざまな問題を抱えながらのこのシステムですから、もっと国民にとっては、血税を使うに当たっても、それなりの理由、納得ができなければ、やはり国民の理解は進まないと思っております。

 そういう面で、確実にそういう積算根拠を示していただく、これは事前に何度も資料をお願いしたけれども出てこなかったという経緯もあります。どうぞ。

向井政府参考人 まず、新規に必要なシステム三百五十億円につきましては、予算を既に債務負担行為でとっておりますので、当然、予算をつくる以上は積算根拠はあります。

 それから、既存システムの改修の部分につきましては、先ほど二十五年度と申し上げましたが、二十六年度の間違いでございますが、次期、ことしの秋から始まります二十六年度予算編成、ここで決定されるものですので、まだ各省の要求部局の中ではそれほどしっかりとした積算があるものではないというふうに承知しております。

村上(史)委員 最後に、甘利大臣にお尋ねをいたします。

 これも先般の御答弁のお話でございますけれども、システム導入費等、総額は二、三千億円を見込んでおります、一方、効果については数値化が難しいが、複数の民間団体が行った試算によれば、導入費用を容易に回収できる効果が見込まれますというふうに明確に答弁をされておられます。

 ここまでされるということは、当然、それだけの費用対効果ということは承知の上での御答弁だと思いますけれども、この費用対効果について大臣の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。

甘利国務大臣 政府の公式見解としては、定性的なもので、具体的に数字を現段階ではじける状況にない。ただ、民間団体が幾つか試算したものについては、導入費用をかなり上回っている試算、先ほど北川正恭早稲田大学大学院教授のチームの試算等も御紹介をしましたけれども、民間ではそういう試算が行われているということであります。

 いずれにいたしましても、電子化社会、IT化社会の中での利便性を享受しようとすると、こちらの側も、利用する側も、アナログのままアクセスというのはなかなか整合性がとれない、行政の電子化の利便性の享受が十分図れないということで、やはりIT社会の中、電子化社会の中で、行政の中での基本的なインフラだというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 質問を終わらせていただきます。

平井委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会です。

 私が初めに、四人の委員が順次質問してまいりますが、このマイナンバー制度については、いろいろな疑念とか問題点とか、私以外の残りの三人の委員が次々と指摘をさせていただきますが、私の方から、その露払いとして、少しちょっと、中長期的な観点というか、幅広い視野で、このマイナンバー法案を取り巻く、将来の日本の姿を見据えたいろいろな点をちょっと確認しておきたいということで、何点か質問させていただきたいと思います。

 このマイナンバーも、いわゆる何らかの目的を実現する手段でありますので、何のためにやるのか、この目的のところをもう少し確認しておきたいんですが、まず一つは、経済政策の面では、今アベノミクスということで、私も先般予算委員会で総理にも質問させていただいたんですが、最近、二%のインフレ率目標を達成するために、デフレは貨幣的現象だ、そうじゃないんだ、やはり実体経済がよくならないと物価目標も達成できないんだという議論、きのうも予算委員会でいろいろと議論を交わされていたところなんです。

 私は、やはり実体経済がよくならないと二%のインフレ率目標もなかなか難しい、そのためには、実質経済成長率がやはり、今〇・何%という実質の成長率、大体そんなところだと思いますけれども、二%ぐらいまで持続可能になっていかないと、なかなか簡単にデフレも克服できないのではないかというのが正しい見方ではないかと思っているんです。

 そうするためには、日本経済の生産性、労働力人口がこれからずっと毎年毎年下がっていくわけですから、相当程度高めなければいけないんじゃなかろうかな。多分、労働生産性の上昇率というのは年間大体一・五%ぐらいと言われていますが、これを倍増させて、三%ぐらい毎年上がっていくというふうにしなければ、労働力人口のマイナスを打ち消して、二%ぐらいの実質成長というのを達成するのはなかなか困難じゃないかな、そんなふうに見ているところなんです。

 ただ、一方で、日本経済はかねてから二重構造が指摘されていて、輸出向け産業というのは割と競争で生産性が高い。マッキンゼーの調査では、輸出向け製造業、これは鉄鋼とか、自動車とか、あるいは精密機械、電子機器、こういった労働生産性は、アメリカの水準を一〇〇とすると、一二〇ぐらいの労働生産性があるというんですが、これは日本の雇用にすると一〇%ぐらいの雇用しか吸収していないんですが、それ以外の残りの、国内製造業とか、特に国内サービス業、アメリカが一〇〇とすると、大体六三ぐらいの数字である。かなり生産性が低いということがかねてから指摘されているわけであります。

 かつて、第一次安倍政権のもとで、生産性上昇率、当時は一・六%というのが相場で、それを二・四%に五割増ししようということで、そういう目標が掲げられて、イノベーション戦略というのがかなり熱心に当時は議論されていたと思います。

 その中で、特に日本のサービス産業をIT化していくことによって、もっと生産性を上げていくという議論も結構当時は盛んだったように思いますけれども、こういった日本経済の生産性の観点から少し、ITの議論というのはどういうふうに捉えられていくべきものか、その中で電子政府というのはどういうふうに関連づけられていくのかというあたりを、例えば経済効果にしても、先ほどから出ている北川正恭さんの試算では、共通番号制度が導入されれば、年間で一兆一千五百億円の経済効果があるとか、あるいは経団連では三兆円以上あるとか、いろいろなことが言われているんですが、そういったこととも関連すると思いますけれども、いわゆる国民ID制度というような言葉もありますけれども、今のIT戦略について、山本大臣にちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

山本国務大臣 先生おっしゃったとおり、ITは、業務の効率化を通じた生産性向上など、さまざまな問題解決の横串のツールになるということで、その利活用を進めるということは当然経済活性化にも貢献するということで、今後の新たなIT戦略の検討についても重要な視点だというふうに考えています。今、安倍ビジョンということで、IT戦略を六月に向けて議論していますけれども、その中でも大事な議論になるというふうに思っています。

 今御指摘があった国民ID制度、改めてちょっと読み返してみたんですが、きめ細かい行政サービスを実現するために、個人情報保護を確保しつつ、行政機関の情報連携を可能とする電子行政の共通基盤をつくるということで、この共通基盤については、社会保障・税番号制度の検討と連携してこれまで検討してきたというふうに理解をしております。

 こうした基盤の民間サービスの活用というのは当然期待をされているわけですが、IT政策の観点からいうと、IT戦略本部のもとの電子行政に関するタスクフォースにおいて、本人の同意を前提とした情報連携等について、昨年の五月だと思いますが、幾つかのパターンを検討したところだというふうに理解をしています。

 この検討については、個人番号自体の民間活用については検討に入っていなかったというふうに理解をしておりますが、今後、これは甘利大臣の御担当ですけれども、番号法案の附則第六条一項に、法律の施行後三年を目途とした検討というか、見直し条項もありますから、そういう中で検討されるものであるというふうに理解をしています。

松田委員 とても大事な視点だろうと思います。

 そもそも、私は、政治というのは未来を描くものだと思っているんですが、このマイナンバーも、日本の未来がどうなるのかという視点から十分示されてきたかというと、まだまだ不十分なような感じがしていまして、どういうような国家像、社会像を描いて、そのために共通番号制度はこういうふうに機能して、そのためにマイナンバーが必要だというような説明がもっと要るような気がしています。

 日本の場合、今議論されているマイナンバー制というのは税と社会保障と防災の三つに限られていて、かつ、情報提供ネットワークシステムというのは民間事業者は利用できないということで、かなり限定的に仕組まれていることになっているんです。

 そもそも、こういった番号制度の考え方というのは大きく分けて二つあるような気がしていまして、一つは、納税と社会保障給付の一元的な把握で不公平をなくしていくというか、そういった意味で、財政的な要請といいますか、そういう公平な社会の実現というようなことが一つ。

 多分、日本でも、この議論というのは、芸能人の親が生活保護を受けていた、そういうのはけしからぬじゃないかとか、あるいは、複数の収入先があるのにもかかわらず社会保障を受けているとか、そういったことが不公平じゃないかとか、かなりそういったところから議論されている面もあろうかと思います。

 もう一つの考え方は、これはIT社会の実現といった、もう少し大きく捉えて、国家全体としてIT電子国家をつくろうという一つの事例としてよく言われているのが、バルト三国のエストニア共和国というのが、国を挙げて、官民一体で、ITで国家を築き上げていくというようなことをやっているという事例があって、ただ、そこでは、医療記録から銀行口座に至るまで、あらゆる個人情報を一元管理する、こういうことをやっている。ただ、そのかわり、ITベンチャーが生まれたりとか、スカイプというような技術革新が生まれたりとか、いろいろな技術革新も起こってくる。こういう社会を目指すという方向も、将来のあり方として、今、山本大臣がおっしゃったのは、そういう可能性も将来議論されるという趣旨だろうと受けとめています。

 ただ、こうやってやっていくと、スウェーデンなんかで共通番号が汎用的にどんどん使われて、その結果、結構成り済ましが起こって、いろいろな問題が起こったといったようなことが、逆に問題点もどんどん出てくるということで、いろいろ議論があろうかと思いますが、恐らく、どんな対策をとっても、一〇〇%完璧というのはないんだろうと思います。

 デメリットを挙げ出したら多分切りがないんだと思いますけれども、だからこそ、もっとこんなに大きなメリットがあるんだ、だから、デメリットもあるけれども、もっともっと大きなメリットがあるんだからという形で国民が納得していかないといけないと思いますし、そういうものをもっと示さなければいけないんじゃないかなという気がしています。

 例えば、利便性ということでいえば、将来、共通番号がもう少し社会のインフラとして浸透すれば、引っ越しワンストップサービスとか、あるいは退職ワンストップサービスとか、いろいろな手続を一発でできるようになるというようなことで、いかにも便利でしょうというのを国民にわかりやすく示すことができるかもしれません。

 いずれにしても、いわゆる将来的にいろいろなシステムと接合していくといろいろなことができるということもあわせて、この制度によって実現される利便性についてもう少し具体的に示すべきではないかと思いますが、甘利大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 民間に広げるか、そもそも広げるか広げないか、どこまで広げるかという議論は、三年後、この制度、税、社会保障、そして災害対応の範囲を超えての議論を、その三年間を総括してやっていただくわけであります。

 確かに、民間に広げていく、今、引っ越しのときのワンストップというのがありました。行政で、行政手続がワンストップでできるということ、例えば、電気、ガス、水道等々、すぐ引いてもらわなくちゃならないわけでありますから、そういう手続であるとか、あるいは、実は私の母が昨年亡くなったんですけれども、妹が書類を整理していまして、そうしましたら、幾つかの書類が出てきたんだけれども、その中で、少額でしたけれども、生命保険のがあったんですね。こんなのも、探して、見つけて、あれは見つからなかったらどうなるんだろうかと。

 例えば、死亡の届け出を出す時点で全部生命保険会社に連絡が行って、向こうからすぐ対応ができるというようなこともあるでしょうし、その証書の手続をするのにやたら面倒くさかったことを記憶するのでありますけれども、その種の利便性が圧倒的に図られるということもあろうかと思います。

 やはり、国民の皆さんには、身の回りの、自分たちが体験してきた出来事が極めて簡便に対応できるという例が具体的に示されることによって、IT化していく社会の中で、その利便性を官の部分と民の部分で享受できるということが実感できるのではないかと思っておりますので、その辺のところを三年後に議論をするときにわかりやすく説明する必要があろうかと思いますし、もちろん、セキュリティーは日進月歩していますから、それのバックフィットといいますか、アップデートもあわせて取り組んでいく必要があろうかと思います。

松田委員 今、日本のいろいろな改革ということが言われていますが、例えば医療システムなんかも非常に大きな改革が必要だと言われている。

 いろいろな医療関係者にお話を聞いていると、医療システム改革の一番重要なポイントはやはりIT化だという方が結構いらっしゃって、例えば、私が大変親しくしている亀田総合病院の亀田理事長、亀田モデルというのがあって、地域において、いわゆる機能統合と分化、英語で言うとIHNといって、インテグレーテッド・ヘルスケア・ネットワーク、これを地域でつくって、病院と長期療養型の医療機関、診療所あるいは福祉施設と連携ネットワークをつくって、その間を一つのカードでユーザーが全部アクセスできるというようなことを既に実現しているわけでして、地域で統合されている機能が、急性期のケア病院であるとか外来手術センター、あるいはプライマリークリニック、検査画像診断センター、リハビリ施設、介護施設、在宅ケア事業所、あるいは医療保険会社、こういったのが全部統合されている。かつ、情報が域内の開業医や医療機関の間で共有されているということで、そういった事例が既にあるわけですね。

 このIHN、病院やクリニックや自宅療養サービスあるいは老人ホーム、多様な医療関連機関が連携して単一の事業体になっているということで、いろいろな意味での効率化が図られるだけでなくて、医療の効果もどんどん高めていく、質も改善していく。これが日本の医療システム改革の一つの決め手であるということが言われているんですが、これが実際なかなか日本で進んでいかない。IT化がなかなか進んでいかない。

 もし、将来的にマイナンバーがうまく機能するようになれば、こういった拠点とマイナンバーとを接続していって、ある拠点にいた方が別の拠点に移ってもスムーズに診断ができるというような、そんな利便性も考えられるんですけれども、なぜ医療機関でIT化が進まないのか、そして、このマイナンバー制度との、改革との関連性について、政府の御認識をお伺いしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 医療システムというのは、それぞれの国々でいろいろな発達をしてきておりまして、我が国においては、これまで、一つの医療機関の中で大体完結するような医療が中心で行われていたということが一番大きな理由だと思っております。

 例えば、診療所なら診療所の中で、投薬もして、それで治っていく。あるいは、病院なら病院の中で、入院をし、あるいは検査もしという中で、一医療機関の中で完結する医療が中心だったわけであります。

 そういう中で、紹介が必要なときには、紙で、病気の経過であるとか検査結果を紙に書いて、紹介状として患者に持たせていたというのが現状でございました。そういうことが長く続いていたというのが、そういう医療の文化の背景にございます。

 ただ、医療の中身を見ますと、いわゆるIT化にふさわしいことはたくさんございます。検査データにしろ、いろいろございますので、そういう意味では、個々の医療機関の中でのIT化というのはかなり進んできた。

 でも、それが逆に、個々の医療機関ごとのシステムであるがために、ネットワークを組む段になりますと、例えば病名にしてもそれぞれコードが違う。これでは、言語が違うわけですので通訳が必要になります。そういう意味では、今現在、通訳といいますか、共通の言語、共通のデータベース化ができるような形のコーディングを今開発を進めて、一定のところまで来ている、そういう状況である。

 進んでいなかったのは、一番大きなのは、やはりそれぞれでネットワークを組むという背景がない状況で進んできたがために、余計進みにくくなったというふうに考えているところでございます。

向井政府参考人 番号制度と医療分野における情報連携との関係でございます。

 番号法案では、対象となる手続は行政機関の法定手続でございますので、医療機関間の情報連携などは対象となっておりません。

 医療の身体情報につきましては、機微性とか特性とかに配慮した特段の措置について検討する必要があるということで、厚労省で検討しているものと承知しております。

 一方で、IT政策として、今厚労省からありましたように、いろいろな場面で、いろいろな省庁で、そういうモデル事業等、実証事業等で、各地の地方連携、地方の中での地域連携みたいなものが進んでいると承知しております。

 これらにつきましては、一方でまた、民間の会社なんかでも、例えば医者のサイトを無料でつくって、製薬会社がスポンサーとなって、無料サイトで情報をやりとりしているというふうな例もあります。

 これらのいろいろな取り組みをつなげていくことが重要でございまして、マイナンバー、番号そのものを使うかどうかは別としても、番号と対応関係をつけることにより、まさに地域を超えた連携もさらに可能になるということも考えられますので、それらについては検討していく必要があると考えております。

松田委員 多くの先進国では、ホスピタルというのは、個々の病院とか診療所じゃなくて、地域全体を指しているというようなことがどんどん進んでいるので、日本がなぜかそれが進んでいない、IT化を起点として、ぜひそういう改革が進むことを期待したいと思っています。

 あと、超高齢化社会、これから三〇年、四〇年にかけてどんどん高齢化が進んでいくんですが、日本にとっては最大の課題なんですけれども、これを何とか自立と共助という、この点では維新の会と自民党は理念を共有していると思いますが、自立と共助の考え方で、例えば地域で支えていくということがますます必要になってくると思うんですね。

 例えば、そういった社会を一方でコストのかからない形で運営するために、従来ですと、過疎地で山の上に住んでいた人が、一人当たりのソーシャルコストが高いので、市街地中心部に高齢者の拠点みたいなものをつくって、そしてそこで一つのコミュニティーをつくってもらうというような施策もどんどん必要になってくると思うんですが、恐らく、共通番号制度みたいなものが行き着けば、個人個人をしっかりと認識できるといいますか、そういった意味でモビリティーのある社会の実現に貢献していくんじゃないか。

 いろいろなことが考えられると思うんですが、そういった意味で、超高齢化社会を支えていくインフラとして、そういうマイナンバー制度の導入が将来的にそういうことも支えていくという可能性についてはどのようにお考えでしょうか。甘利大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 番号制度におきましては、都道府県や市町村において、個人番号の独自利用によって地域の特性に応じた施策の実施が可能となっているわけであります。また、例えば市町村で独自に取り組んでいる高齢者支援施策であるとか、あるいは子育て支援施策について、マイポータルを通じて高齢者世帯や子育て世帯にお知らせをすることが可能となると考えられるわけであります。

 こうした番号制度の活用などを通じて、地方公共団体において行政運営の効率化が図られ、限られた行政資源をより重点的に配分し、質の高い住民サービスが実施されることが期待をされる。超高齢化社会を自立と共助の考え方で運営していく上で、その一助になろうかというふうに思っております。

松田委員 あと、私ども維新の会は、世代間の公平といいますか、勤労世代を応援するというか、そういう考え方に立っているんですが、その意味で、もしかするとマイナンバー制度がいずれそういったことに貢献してくるかなという観点からも興味深く見ているんです。

 ただ、そのためには、所得の把握が、あるいは資産の把握がきちっとできていないといけないという問題がありまして、今、マイナンバー制度を導入していくと、どうもいろいろな誤解があって、税務当局が番号を使っていろいろなところに照会をかけて、徴税が強化されるんじゃないかというおそれも結構あるんですが、私も昔そういう仕事をしていたんですが、ちょっとそういうことはないんじゃないかな。

 確かに、複数の収入先に対して名寄せが効率的にできるというのはあるかもしれませんけれども、このマイナンバー制度に入れることによって所得の捕捉というのはどの程度進むのかという点について、こうだから所得の捕捉が進むのだという点がどうかというのが一つ。

 それから、やはり資産ですね。どうしても資産を把握しないといけないと思うんですが、これについては、一旦今回制度ができても、将来的にどうしていくのか、このあたりについて方針もお聞かせいただければと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今回の番号の制度に関します税制の措置といたしましては、現在ある申告書あるいは法定調書等に番号の記載を求めるということでございますので、その番号の記載のある、そういう調書を税務当局が効率的に名寄せをすることによって所得の正確性をより向上させようというものでございます。

 そういう意味で、いわゆる売り上げとかそういうものが全て把握できるものではありませんし、あるいは情報ネットワークシステムを使って、いろいろなものを調書を超えて税務当局が追いかけるというものでもございません。

 ただ、一方で、調書の制度というのは毎年の税制改正で変わるものでございますので、所得把握を向上させるという手段は今後さらにいろいろ検討されるのではないか。その中に、一つは、今回、金融取引の中では、保険とかあるいは証券につきましては支払い調書等、口座等がございまして、これは番号をつけて調書を提出することになりますが、預金につきましては今回ございません。これにつきましては近い将来の検討課題になるのではないかと思います。

 それから、資産につきましては、大きな資産といたしましては不動産と、それから先ほど申しました預金ということだと思います。

 今回の金融資産の中で抜けておりますのは、預金とあわせまして、いわゆる非公開株については番号は入りません。これらをどうするかというのは、預金につきましても、税務の観点だけではなくて、あるいはマネーロンダリングの観点から必要ではないのかという意見もございます。これらにつきましても今後の検討課題になるのではないかと思います。

 それから、不動産につきましては、不動産登記を番号で管理してはどうかという意見もございますが、一方で、不動産登記は、相続した場合にちゃんと登記をしていなかったり、真の権利関係と異なる部分がかなりありますので、そういう意味で、民法上も公信力がないわけでございますけれども、それを番号とひもづけることによって、あたかもそれが正確なように扱われるのは、やはりまだ時期尚早かなというふうな感じはいたします。これらにつきましても将来の検討課題だと思います。

松田委員 これは、ちょっと財務金融委員会でもいろいろと議論したんですが、いわゆる所得再分配というのを、この間通りました税制改正では、金持ちから、また累進度を強化して所得分配するんだ、そういうことなので、私ども維新の会の考え方、維新の会は頑張る人が報われる社会ということなので、フラット化を主張しているものですから、この税法には我々反対したんですけれども、むしろ、所得再分配というのは世代間の不公平をならす。

 そういう意味で、我々が主張しているのは、世代の中で受益と負担の関係をしっかりと完結させていく。そして、その間における世代間の調整というのはちゃんと見える化していこうということで、その上で、ぜひとも資産までしっかり把握、特に高齢世代は多額の金融資産を保有している世代なので、それをどうやってうまく再分配に使っていくか。世代の中で相互扶助に使ってもらって、世代として自立してもらう。余り現役世代や将来世代に負担をかけない。そういうことをつくっていく上でも、このマイナンバー制度がインフラになるということを期待している次第であります。

 そこで、最後に、地方の自立というのも我々の一つの重要なテーマなんですが、このマイナンバー制度に関して、いわゆる利用範囲について地方の裁量に委ねるべきであるという地方側からの声もありますけれども、私は、これは地方側で、先ほど私は医療の例を挙げましたが、地方自治体がみずからこういう制度をやりたい、それでマイナンバーと将来的に接合していくというような、いろいろな可能性があるんじゃないかと思います。

 そういった意味で、地方のいわゆる再生とか自立の観点から、どういうふうなマイナンバーが機能し得るかという点につきまして、新藤大臣にお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 先ほどからいろいろな問題提起をいただいておりまして、私は委員と十分にこの問題意識を共有しております。

 まず、直近の話でいいますと、このマイナンバー制度については、これは法の規定に定める給付などの社会保障分野の事務、そして地方税の賦課徴収事務、それから加えて、社会保障等に関する事務にあっては、自治体で条例で独自で定めてこれに加えることができるというところまでは今回入れております。

 将来の話として、何で電子行政が進まないかといえば、電子行政が進むことがどれだけメリットがあるかということが国民にまだ伝わり切っていないということに尽きると思うんですね。

 これは、私どもは、とにかくIT行政を推進しましょうとよく言うんですけれども、IT行政を推進するというのは手段でしかありません。その推進によって何を成果として得るのかということを国民に伝えなきゃいけないわけでありまして、それは、私たちの整理では、便利な暮らしをつくるということを目標に、成果にしようじゃないか、こういう整理をしました。そして、それは、より便利であるとともに、利用者の負担を軽減するということです。それから、徹底したコストカットがなし遂げられる。さらに、防災やセキュリティーに強い、そういう社会基盤をつくるということであります。

 今、先ほどから言っているような、医療の連携というのは既にこの国の中で始まっております。奈良の地域では、医療と、それから福祉、介護、こういうものを民間や自治体が絡んでやっておるんですけれども、そういうものを共有して、そこに高速また大容量のネットワークを使って、みんなが情報を共有する、そういう中で複合型の住民サービスを向上させる、そういう町づくりをやろうというのが始まっています。

 これは、その町は、住むと便利なんです。病人でも、病気が治った後、退院した後も、そこの町に住むと便利なんです。そして、それは、例えばNPOからのいろいろな支援を受けることも、そのネットワークの中で組むことができるならば、これは、どうせ病気になっちゃって入院するのならば、ではそこに行って、その町でもって治療を続けようと。そういう人たちがふえること、また、その人たちをお世話する人たちがそこで事業が成り立つならば、これが地域の活性化になります。

 それから、東北メディカル・メガバンクという構想も進めています。それは、少なくとも、全国どこに行っても、医療情報を共有することによって、例えば災害に遭って避難しても、避難先でもって最適な医療が受けられるようにしましょうとか、こういうことをやろうと思っています。

 その根っこにあるのが、今回の共通番号制度なんです。今はまだそこまでいきません。だけれども、いろいろなところでテストをして、これがいかに我々にとって便利であって、しかも、コストがカットできるとともに、新しい産業がそこでこの基盤を使ってふ化できる、この連関をうまくつくることによって私は地域の活性化ができるのではないか、これがICTであります。

 そのことを私たちはぜひ進めていきたい、このように考えています。

松田委員 ありがとうございました。

 あと、自立という点が理念の中に入ってくるとなおいいかと思います。基本的に、新藤大臣、私と認識はほぼ共通であります。

 ただ、そうはいっても、今このマイナンバー制度、多分、小さく産んで大きく育てるということで、とりあえず小さく産むんだと思うんですが、今おっしゃったように、将来の日本の、こうなるんだということを示しながら、国民の合意をとっていく上で、やはりいろいろな懸念がありますので、この点について解消するような議論をしっかりとここでやって、その上で円滑に導入できればという意味で、以下、我が党の委員が順次質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。どうもありがとうございました。

平井委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。よろしくお願いいたします。

 原稿をつくってきていたんですけれども、午前中からたくさんの方の質問がありまして、かなりかぶっていまして、ちょっと順番を変えながら質問させていただこうと思います。

 費用対効果の話がたくさん出ていたと思うんですけれども、実際の金額云々という前に、私、きょうの質疑を聞かせていただく中でちょっと感じたことがありまして、三年何カ月後もう一回見直すとか、随時検討していきますとか、いろいろなお答えをいただいていたと思うんですが、そもそも、この法案が、いつ可決するかはおいておきまして、そういう中で、一年後にどうなっているか、二年後にどうなっているか、どうも責任の所在が非常に曖昧に聞こえて仕方がないんです。

 甘利大臣、これを進めていくに当たって、導入も含めて、そういった全体的な責任の所在というのは一体どこの誰にあるのか、教えていただければと思うんです。

甘利国務大臣 全体の責任は、当然、内閣にあると思いますし、その時点でこれを所管する担当大臣にあろうかと思っております。

 費用対効果、先ほどから話がたびたび出ております。費用はだんだん特定しつつあるけれども、効果の方は定性的で、経団連やあるいは一部学者の方々が試算した数字はあるけれども、同じ試算でもどうして三倍も開きがあるのかということ等々あると思います。

 ただ、行政が電子化していく中で、その電子化の利便性を享受していくのには、やはりアナログでアクセスはなかなかできない。デジタル化して、電子化してアクセスしていって、行政の電子化の利便性を享受するということになるんだと思います。

 もちろん、私がいつまで本職にいられるかわかりませんけれども、本職にある限りは、費用対効果、費用をできるだけ少なくして効果をできるだけ多くするということに工夫の余地を発見すれば、それがしっかりと反映できるように取り組んでいきたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃっていただいたように、まさに、ここにいる我々はいつまでいられるかわからないという職業であるというふうに思っております。それだけに、仕組みをつくったり、チェック機能をきっちりとつくることというのは非常に大事だと思うんですけれども、実際に作業ベース、検討ベースに入ったときに、担当者の任期というのは大体どれぐらいのものになるのか、教えていただけますでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 まず、制度作成に当たりまして、私、二年半前の十月にやって、ずっとまだやっておりますけれども、一般的にシステムの調達というのは、やはりこれまでのような、役所ですと一年とか二年でころころかわるのは問題だという意見もあります。システムをつくっていくようなことにつきましては特にそれが言えるのではないかというふうに思っておりまして、遠藤CIOも、そこの人事のローテーションシステムは、ITのシステムに関して言えば、通常の一年、二年じゃなくて、もっと長くいるようにしなきゃいけないということを常々おっしゃっております。

 今後のIT関係のシステムの設計に当たっては、そういう方向で、できるだけそう簡単にころころかわることのないようにしていきたいなというふうに思っております。

中丸委員 今お答えいただいた内容は書面にもなっていたと思うんですけれども、まず、期間が明確ではないということと、専門家に関しては一年、二年で交代することがないというふうには書いてあるんですが、専門家の人は実際の作業ベースだと私は思うんですね。

 だから、そういう意味では、実際の責任というのは一体どこにあって、何かあった場合の責任はその専門家の方がとられるんですか。お願いします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 大臣が申し上げたように、最終的な責任はもちろん内閣にございますが、事務ベースで申し上げますと、そういう事務を行っている者のトップが責任をとるものだというふうに思います。また、CIOができた際には、CIOの所掌事務の範囲内で責任をとるものだというふうに思います。

中丸委員 今、御答弁いただいた中で、きょうはテレビ中継しているわけではないからあれですけれども、結局、何となく曖昧になっていく感がやはりどうしても否めないと思うんですが、そこについてはそれぐらいにさせていただきます。

 きょう、住基ネットのデータベース等をひもづけするというお話も質問の中で出ていたと思うんですが、私は広島なので、今、東京から始まりましたSuicaがいろいろなところで使えるようになっていく。それに対して、Suicaを届け出て新しいカードにかえるなんていう不便なことは一切なくて、受け手側の方がどんどんシステムづけを変えながら、それぞれの全国の共通のカードの中のひもづけをしていくというふうに民間だと使えて、それプラス、コンビニで買い物もできるというふうに、カード自体をかえなくてもそういう仕組みというのは変えられるというような実績が民間の中で出ていると思うんです。

 住基カード自体を新しいカードにかえるという流れに今回なっていると思うんですけれども、これは果たして効率的かどうか、御所見をお願いいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 住基カードは、必ずしも全て写真が入っているとは限っておりませんのと、そもそも今回の番号が書いてないということでございます。今回の番号カードは、基本的には本人確認がメーンの手段でございますが、それにはやはり顔写真と番号を確認する必要があるということで、従来の住基カードを改良するのではちょっと難しいかなと。

 それから、本人確認という場合は、対面での確認とネット上での確認と、両方あると思うんです。それで、住基カードそのものは既に公的個人認証に使われておりますので、その部分については引き続き使うことは可能だとは思いますが、対面におきます確認におきましては、やはり写真と番号が見える形で載っている必要があるだろうと。

 そういうことから、今回、番号カードに発展的解消したいというふうに考えております。

中丸委員 今の御答弁でもあったように、顔写真がない。

 そもそも論で言いますと、住基カードを導入するに当たって、顔写真というのは、あれは実は現場では選べるんですよね。私もつくりましたけれども、免許証があるから顔写真は要りませんというので、写真のないものをつくったんですけれども、そういうそもそも論のところで、そういう形で、結局、顔写真がないから、今後使えないから新しいものにかえると。では、今回、顔写真があれば本当にそれで将来的に大丈夫なのかという不安を感じなくはないというのも国民の皆さんには共通してあるんじゃないかと思います。

 それから、ちょっと質問をかえまして、平成二十二年の十一月に開かれました政府行政刷新会議、いわゆる事業仕分けですね、その中で、見直しを行うとされた財団法人地方自治情報センター、それから、同じく財団法人の自治体衛星通信機構が、個人番号生成機関に予定される組織になっている。

 仕分けで見直しを行うと言われた組織が今後のそういった運営の予定になっているというのは、これは受け皿ですか。いかがですか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 番号制度を運用するためには、住基コードをもとにいたしまして、個人番号とすべき番号、個人番号を生成いたしまして、この番号の生成、それから市町村に対する通知などを行う主体が不可欠でございます。

 このため、現在、住民基本台帳法上の指定情報処理機関として住基ネット全国センターの運用などを行っております、御指摘の財団法人地方自治情報センターを地方共同法人に改組いたしまして、番号の生成等の業務を行うこととし、あわせて、現在、財団法人自治体衛星通信機構の行っております公的個人認証業務を、番号制度に不可欠な業務として、これも引き継ぐということにいたそうと考えております。

 御指摘の事業仕分けでございますが、財団法人地方自治情報センター、それから財団法人自治体衛星通信機構とも、その業務の必要性につきまして否定する意見はなく、特に財団法人地方自治情報センターにつきましては、事業仕分けの結果を踏まえまして、これまでも、外部有識者を交えた契約監視委員会の設置などの調達方法の点検、見直し、あるいは役員報酬の見直し等の改革を進めております。

 この財団法人地方自治情報センターを地方共同法人に移行することによりまして、個人番号の生成あるいは公的個人認証サービス等の番号制度の運用に不可欠な業務を行うに際して、地方の代表や有識者が参画いたします意思決定機関等のガバナンスのもとで、より効率的な運営を確保できるものと考えております。

中丸委員 ぜひ、より効率的な運営をしていただきたいんですけれども、引き継ぐに当たって、結果がどうだったのかとか、先ほど役員報酬のお話もちょっとされていましたけれども、そういったことを透明化して、やはり国民一人一人が知りやすい環境づくりというところも、もちろん、人事、特に課長職以上の方とか、どういった方がどういったポストからどういったポストに動くのかとかいうところもぜひとも透明化していただきたいと思います。

 それについて、そういうお考えはおありでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 地方共同法人への移行に当たりましては、御指摘の趣旨も踏まえながら、透明性を高めるような工夫もしていただきたいというふうに要請をしてまいりたいと思います。

中丸委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に行きます。

 新しき制度、新しき手法を導入することによって、従来の制度がどのように処理されるのか。一元化していこう、ワンストップの仕組みを導入するという言葉がたくさん並びますけれども、先ほどから言っていることなんですが、その進捗状況をどういうふうに管理するのかというのがいま一つ私は理解できないんです。その進捗状況の管理という観点でどういうふうに思われているのかというのを教えていただければと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 行政機関におきまして情報の連携を行うということでございまして、必ずしも集中管理ではないのですが、前どおり分散管理のものを、情報の連携を行うということによりまして、対象者を特定して、行政の側からのプッシュみたいなこともできるというふうなことでございます。

 番号システムの導入に当たりまして、そういう責任といいますか、進行管理につきましては、基本的には、今私どもがやっておる内閣官房で、各省を見ながら、各省の進行状況を把握しながらやっていくことになりますが、政府CIO法案が通りましたならば、CIOがさらにシステムの観点から全体を統括して見ていくという格好になるのではないかと考えております。

中丸委員 それも同じようなことになると思うんですけれども、やはりしっかりと、その辺の進捗管理、責任の所在を明らかにしていくということが非常に大事なのではないかというふうには思います。

 我々維新の会は道州制の導入というのを非常に推進しておりまして、与党の皆様方も積極的に関与してくださっていると思うんですが、そのためには、今の形で、政府中心でつくっていくこの形が、道州制になったとき、地方の独立、地方の自立という観点から見たときに、システムを、今から数年かけていくと当然いろいろなものが変わっていくので、その可変性に対する対応とか、今からいろいろなものにデータの共有を広げていく、その拡張性の問題というのがあると思うんですけれども、基幹システム自体はそれに対応したものという基本路線というのはお考えなんでしょうか。

向井政府参考人 地方自治体、地方公共団体のシステムにつきましては、その規模が、方式、自治体によって異なっております。内閣官房におきまして、番号に関係いたします事務、システムの実態を調査したところでございます。それによりますと、やはりいろいろなパターンがあり得るなというふうに考えております。

 そういう意味で、将来的にも、多分、そのパターンが、例えばクラウド化に進むとか、そういうふうな方向になるのではないかとは思いますが、このシステム設計に当たりましては、将来の組織改編とか業務拡張も踏まえた上で、柔軟に対応できるようなものを設計してまいりたいというふうに思っております。

中丸委員 今、クラウド化というお話が出たんですけれども、将来クラウド化ということは、今現状ではデータセンターか何かを設立される方向なんでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 データそのものにつきましては、今までどおり、地方公共団体は地方公共団体で管理いたしますし、国なら国のそれぞれの機関、年金なら年金、税なら税の機関で管理いたしますので、それが現行どうなっているかというのに基本的にはよるものだというふうに思います。

 ただ、それぞれの機関も将来どうなっていくか、あるいは今後、番号を契機に変えていくとかいうことも考えられますので、それらにつきましても幅広い観点から検討してまいりたいと思っております。

中丸委員 幅広い観点から検討していただくのは大変ありがたいと思うんですけれども、今はどちらかというと、民間では、スマホにしろタブレットにしろ、クラウド化の方が常識になっていまして、そこにデータが要るような、蓄積できるような媒体をつけたものを持ち歩いている人の方がもう少なくなっているような中で、基幹のシステムを無駄にしないという考え方は非常に大事ですけれども、将来的な拡張性と可変性というのを考えていくと、クラウド化というのは基本的にもう世界の流れですから、やはりそこを観点に置きながらデータをどうするかというのを、今の時点で考えていなくて将来検討するというのは、私の中ではナンセンスな感じをちょっと受けますので、ぜひともクラウド化というのも含めた上で考えていただきたいなと思います。

 そういう意味では、当然、専用線等々もあるんですが、いろいろな暗号化の仕組みもたくさんあると思いますので、やはりワイヤレスとかそういった形も使えるようなものにならないと、有線は確かに安全ですけれども、高速道路を走っているだけではインターチェンジがなければ下におりられませんから、専用線の考え方も同じだと思いますので、そういうところも考えていただきたいなと思います。

 それから、もう一つ質問させていただきますと、今回、マイナンバー関連法案で幾つかの法案があると思うんですが、今まで個人情報の保護についてさまざまな質問が出ていましたけれども、情報漏えいとか、その管理をどうするんだという問題がいろいろあると思うんです。

 そもそも個人情報保護法というのがありまして、皆さん御存じだと思いますけれども、そういった中で、例えば電気通信分野だったり、医療分野だったり、経済産業省の所轄だったり、いろいろなところでさまざまなガイドラインがあり、行政の中においては、各地方の中で条例という形でその管理について出ています。それぞれ別々で、例えばJIPDECがやっているプライバシーマーク一つとってみても、それぞれの業界分野によって関係省庁が違うというのが普通だと思うんですね。

 私、広島市の産業振興センターで情報管理の相談員をやっておりましたので、そういうコンサルティングとかもやっていたんですけれども、今のプライバシーマーク一つとることに関しても、民間企業の方は、非常にたくさんの法律、条例を並べながら、監査も行い、そういった中で二年に一回マークの更新をしているわけなんです。

 実際問題、今回、マイナンバーで、単純に税金と年金、保険、この三つだけ捉えて考えても、まず、いろいろな企業さんにその番号というのが出ていきます。これは間違いない事実だと思うんですね。では、その出ていった先の企業がそれをいかに管理できるかといったときに、先ほど、午前中の質問の中で百五十万社以上とかというお話も出ていましたが、個人商店でも、社会保険、厚生年金、人を雇えば当然確定申告はされるわけですから、そうすると、さらにその倍ぐらいの数になる可能性もあるわけですね。

 実際問題、今、プライバシーマークという、外側に向けて第三者認証をとるに当たって、各企業がそれを導入するに当たって、私がやっていた中小企業向けのものでも数百万円単位のお金がかかるわけですね。入り口の暗証番号だったり指紋認証だったり、そういう入退室管理だったり、その監査記録をつける、そういった記録を全部つけていく。それだけでも非常に大変なものであるのに、そうでない、もっと、そういうこともできない企業。

 実際、プライバシーマークを導入した企業のうち、かなりの確率で更新ができないというのが現状なんですね。それぐらい、一般の中小企業、特に小規模事業者の場合は、そういう情報管理というのは非常にお金がかかるので、人手もかかりますし、難しいという状況の中で、このマイナンバーというものをやったときに、それをどういうふうに管理するのか。

 私、ほかの関連法案だけではなくて、もともとあったそういう個人情報保護法の仕組みだとかいうところとどう横串を通して管理できるのかというのがどうしても整理ができないんですけれども、教えていただければと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今回の番号法案の中では、個人情報保護法あるいは行政機関の個人情報保護法等の個人情報保護関係の法律の特例法という形で、あるものは規定を置いているもの、あるものは読みかえを置いているものがございます。その特例の一部として、第三者機関が、この個人番号のついた情報について個人情報の保護を図るような監査とか、そういうことをしていくということになろうかと思います。

 そういう意味で、今おっしゃられた、例えば企業が、どういうふうな番号つきの、例えば通常は従業員だと思うんですが、多分、従業員の人事管理に番号が振られるみたいなイメージになろうかと思いますが、それをどの程度のセキュリティーでどの程度やればいいかというのは、第三者委員会がガイドラインをつくるような格好になるのではないかというふうに思います。

中丸委員 その新しい第三者委員会がガイドラインをつくるとして、例えば今、JIPDECの中で管理されているものでいえば、千一人以上の個人情報を有している者、しかも、それに関しては特定機微情報は基本的に収集しないという大前提のもとでやっているわけですね。しかし、医療情報等が入ってくれば、当然、特定機微情報が入ってくるわけで、そういうものを、今、千一人以上でも、その規模ぐらいの企業しか実際に管理がまともにできていない状況において、それ以下の会社とか法人が、先ほど宗教法人、政治団体のお話も出ていましたけれども、個人情報保護法では、宗教法人、政治団体はその法律の枠外に今あるわけですね。

 そういう中で、それも全部ひっくるめて、例えば私の事務所であれば、秘書を含めて五人体制でやっていて、皆さんそうだと思うんですけれども、それなりの名簿というのを持たれていて、それを管理していく中で、そんなにセキュリティーが高い管理をされているとは私は到底思えませんし、私も、ある程度専門の分野をやっていても、実際、費用と、人にかかる労力を考えればそこまでできないので、一定の妥協はしながら進めているような状況なんです。

 そういうところについて、今おっしゃられた、単純に、例えばJIPDECと新しい第三者機関とあわせたときに、どちらに優先順位があるんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今回の番号法におけます個人情報につきましては、千人以下のものについても対象としております。その上で、いわゆる番号つきの情報の管理につきましては、一義的にこの第三者委員会がガイドライン等をつくるという格好になりまして、そういうガイドラインに沿ってやることを番号法で求める、そういう格好になろうかと思います。

中丸委員 今のお答えを聞けば聞くほど、何か非現実的な気がしてきました。

 というのも、先ほどから何度も申し上げているように、恐らく今の御答弁だと、全てのというニュアンスになるんだと思うんですけれども、例えば、おやっさんがいておかみさんがいて、従業員二人の八百屋さんが、そういう管理が果たして本当にできるのかなというところはあると思うんですね。パソコンを使っていない人もやはりおられますから、そういうのも含めて、もう少し、例えばそういうところに、では整備をしなさいという指示を出せば、整備をしたくてもお金がない。

 私はたばこを吸うんですけれども、例えば喫煙のところに仕切りをつけてくださいと、よく飲食店とかで話がありますけれども、そんなものをつけるお金がないという現実もあったりするわけですね。やはり、それができる規模の組織とできない規模の組織があって、全部にするというのはかなり無理があると思うんですけれども、いかがですか。

向井政府参考人 もちろん、先生おっしゃるとおり、例えば企業というか従業員の話に限りましても、それこそ数名から何万名までというように規模によって全然違うと思いますし、逆に、その規模に応じてやはりセキュリティーも変わってくると思いますし、当然、現実的に、そんなに金のかかるものをそのために民間に強制するのも実際不可能です。

 そこら辺は、どの程度であれば、要するに、まさに情報量とセキュリティーというのはある程度トレードオフ、情報量が多ければ多いほどセキュリティーは高くなるでしょうし、そういうふうなことも考えながら、現実的な解を目指すべきだというふうに考えております。

中丸委員 今、現実的なというお話をいただきましたので、ぜひとも、そういったガイドライン、それからその階層分けも含めて、現場の声をしっかりと聞きながら、きめ細やかな対応をしていただきたいというふうに思います。

 ちょっとセキュリティーのお話になりましたので、もう少し違った角度から見てみたいと思うんです。

 今、ハッキングとか、当委員会でも質問の中でいろいろな話題が出ていると思うんですが、実際は、セキュリティー事故というのは、一番多いのは不正利用、これは内部犯行なんですね、要は。それから、内部で間違ってシュレッダーにかけちゃったとか、家に持って帰ったら出ちゃったとか、そういうヒューマンエラーが実はそういう事故で一番多いというのが、実際、JIPDECのデータでもあるんです。

 そういうヒューマンエラーを防ぐには、先ほどのセキュリティー対策だけじゃなくて、セキュリティー教育というのが非常に必要になってくるんですね、意識の向上。それから、そういう教育をしたものが本当に反映されているかどうかというのを、例えばプライバシーマークを取得する企業はテストをして、その結果を見て、認識度が足りない場合は再チェックを行うというようなガイドラインがあるんですけれども、そういった周知、教育、そのチェック、そういったところをどういうふうにお考えですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、これまでマスコミ等で取り上げられた事件というのは、実は、おっしゃるとおり、年金のあれもそうですし、海上保安庁の問題もそうですが、内部の流出というのが結構多うございます。

 そこで、番号法では、基本的には、そういう漏えい、不正利用等を防ぐための安全管理措置を義務づけておりますが、これらにつきまして一番重要なのは、まず、アクセスできる人間を限ることだというふうに考えておりまして、アクセスできる人間を証跡、認証等で厳密に限っていくということがまず第一歩だと思っております。

 その中で、さらに職員の意識を高めることは当然重要でございますので、そういうふうな教育とか、そういうのをちゃんとやっているかとか、あるいは、システムがちゃんとそういうふうに限られた人間だけがアクセスできるようになっているかとか、そういうことにつきましても第三者機関がチェックするような格好になろうかと思います。

 しかも、今回の法律では、そういう番号つきの情報システムがプライバシーに対して侵害をするようなことが起こりにくくなっているかということを事前にチェックする制度を設けておりまして、それも最終的には第三者機関がチェックすることになっておりますので、それらによりまして、できるだけそういうことのないような体制をつくれるものと考えております。

中丸委員 ぜひお願いしたいと思います。

 今のやりとりで皆さんおわかりいただいたと思うんですけれども、実際、そういう管理をするPDCAサイクルを回すだけでも、かなりの労力とかなりの費用がかかるわけです。今の費用対効果の話に戻りますけれども、そういった中で、果たして導入費用それから運用費用の中にそういった費用が入っているかどうか、こういうところもぜひちょっとお伺いしてみたいんですけれども、いかがでしょうか。

向井政府参考人 二千億、三千億と申し上げている中には、そういう機会費用的なもの、あるいは予算を伴うものについては入っておりません。

 ただ、今おっしゃった話というのは、番号にかかわらず、やはりIT化に伴うコストだというふうに認識しております。

中丸委員 今すぐは難しいかもしれませんが、情報監査も含めて、特に行政関係に関するそういった費用も、やはり導入に当たっては絶対切っても切り離せないものだと思いますので、含めたトータルの、実際幾らかかるのかというところも出していただきたいと思います。

 先ほどからちょっとJIPDECの話が出ていますが、例えばJIPDECにそういう審査に来てもらったり、更新の場合に見に来ていただいたりするのに当たっても、審査員の数が絶対的に足りていないですね、ISMSもそうですけれども。何カ月も先まで待たされたりとかいうことも非常にあったりとか、項目が細かくなればなるほど難しくなるので、そういう意味では、第三者機関で本当に千八百以上もあるようなそういったところを全部見て回るのに、一体何年かかるのかと思ってしまうんです。

 その辺も費用の中にしっかりと含めて、実態的にその教育、監査、導入状況の、進捗状況の把握をしながら、それが安全に進められるような仕組みをつくると、私は、もっと第三者機関というのは人数が恐らく必要になるでしょうし、費用がかかるというふうに思っています。やはりそこの部分の見積もりが非常に甘い感じがしますので、ぜひとももう少しその辺は出していただきたいなというふうに思います。

 それでは、ちょっと質問をかえまして、先ほどから、海外で、アメリカや韓国で成り済ましが非常にある、韓国においては人口の倍ぐらい被害が出ているというような話も出ていましたけれども、一つ私が教えていただきたいのは、イギリスでは、二〇〇六年の三月にIDカード法が設立して、その後、政権がかわって、二〇一〇年の十二月のID文書法によって廃止をされているんですけれども、イギリスが導入から廃止に至った一番の原因というのは何だとお考えでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十二年度に内閣官房において調査いたしました。それによりますと、イギリスで検討された番号制度に対しては、国民の間に、多くの個人情報が政府の登録簿に記録される、広範なデータ共有が可能となる、個人情報が十分に安全な状態で維持されないのではないかといった懸念があることを同国政府も認識していたとのことでございます。

 このような懸念もありまして、二〇一〇年の政権交代を機に、IDカードの廃止、登録簿にある情報の消去が行われたと承知しておりますが、ID、番号ですね、ID自体は存続しているということでございます。

 特に、イギリスの場合、どちらかというと集中管理的な情報管理を登録簿という形で行おうとしたところにやや国民からの不満が出たというふうなことなのかなという感じもいたしますが、今回の社会保障・税番号制度におきましては、そういう一元管理ではなくて分散管理ということを考えておりますので、そういうふうな不正利用とか国家による情報管理というふうなことについては、制度面とシステム面の両面から対応したいというふうに思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 そういう各国の失敗例も踏まえながら、当然、その反省点を、やはり使うべきものは使うという姿勢は非常に大事だと思います。そういった意味では、我が国より先に導入されている国がたくさんあると思うんですけれども、強いて挙げればここをベンチマーキングしたという国があれば教えていただきたいんですが。

向井政府参考人 各国それぞれ特徴がありまして、ここという感じには必ずしもなっていないのでございますが、やはり、よく日本で研究されているという点では、お隣の韓国、スウェーデン、それから最も最近できたオーストリア、そのあたりが、もちろん、スウェーデンとか韓国というのは、何でもやっているという意味で研究されているという意味でございますけれども、そういう意味では、必ずしもオーストリアそのものではございませんけれども、オーストリアの分散管理方式、セクトラルシステムから影響を受けた部分はかなりあるのではないかというふうに考えております。

中丸委員 私の知る範囲では、私も、オーストリアのセクトラル方式が、新しい分、一番効率的で、ひもづけに対する暗号化と二進法を使った組みかえに関しても、各国の中で見れば一番いい形になっているのではないかなというふうに思うんですけれども、住基カードの番号をベースにされたりする中で、ひもづけの中で、そういったオーストリアが採用されているような暗号化、ひもづけ化で別番号に変えて、要は別番号に変えることで相手から入れなくしてしまう、先ほど言われた閲覧制限をかけるという、階層化に非常に有効的なやり方だと思うんですね。

 通常の、よく言うIDとかパスワードではなくて、根本的に番号自体が変わるんですけれども、それぞれのシステムの中ではひもづけされて暗号化されるという、非常にいいやり方だと思うんですけれども、そういったことの採用も当然お考えだと理解してよろしいんでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 オーストリアの場合、いわゆる文字がアルファベットですので、ある意味、全くの不可逆関数でもひもづけしやすいという部分もございまして、そこの部分だけは、やはり日本の場合はそうはいかないとは思っておりますけれども、いずれにしても、それと似たようなセクトラル的な情報連携のシステムをつくりたいというふうに思っております。

中丸委員 ありがとうございました。

 今おっしゃられたのは、日本が日本語で漢字だからということだとは思うんですが、それはアルファベットのローマ字をつけるとか、やり方はあるんじゃないかなとシンプルに思いますので、その辺いかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 そういう意味で、それを、漢字を組みかえたような形で、要するに、漢字でそのまま、名寄せの道具として四情報だけではやはり難しい部分もございますので、そこをちょっと工夫した形で似たようなシステムをつくるのがいいのかなというふうに考えております。

中丸委員 ありがとうございます。少し安心をいたしました。

 そろそろ時間も近づいてまいりました。

 今回、マイナンバー法案は、やはり、我が国の情報管理に基本的には不可欠だというふうに私も考えます。ただ、先ほどから申し上げている、やはりこれまでの電子化の反省と各国の教訓というものをしっかりと酌みながらやっていただきたいというのがあります。

 その中で、無理、無駄のないコストダウン、非常に耳ざわりのいいお言葉をたくさん頂戴するのでありますけれども、やはり通常であれば、その会社で、例えばIT推進局なりなんなり、部長なり局長なり、役員でもいいんですが、いた場合は、最後までその進捗の管理と責任をとる。そして、失敗すればその人は降格なり首が飛ぶなり、そういう責任のある中で、我が事として取り組んでいける。そういうリーダーがいるからこそ、推進される側もそれに沿ってしっかりと責任を持って行えるというのが、世の中の、民間では常であります。

 政治の世界とこういった行政の世界においては、やはり人の入れかわりというのがどうしてもございますので、どうしてもそこの責任の所在の部分が曖昧になってしまう傾向が、組織には責任があるんですけれども人になかったら、結局、絵に描いた餅になってしまって、後から来た人は、いや、前任者がやった、自分はここでかわるから、あとは後任者がやるんだと、あとは後ろに投げる。どうしても先送りの傾向というのが出てしまうと思うので、その辺の一番管理の中心になるところ、行政の方に、その辺の任期、期間も踏まえてぜひお願いできたらというふうに思います。

 それをお伝えして、私、中丸啓の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平井委員長 次に、杉田水脈君。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 本日は、マイナンバー制度の前提としての電子自治体の推進についてと、それに関連する行政事業レビューシートについて、それからマイナンバー制度の国民理解の醸成についての三点についてお聞きしたいと思います。

 まずは、マイナンバー制度の前提としての電子自治体の推進の取り組みです。

 電子自治体の推進の歩みなんですけれども、まずは、平成十三年の一月にe―Japan戦略というのが策定されました。このときの目標は、「我が国が五年以内に世界最先端のIT国家となる」ということが書かれておりまして、その中の重点分野の一つに行政サービスというのがありました。それを受けまして、平成十三年の十月に総務省で、電子政府・電子自治体推進プログラムというのが策定されました。

 続きまして、平成十五年の七月にはe―Japan戦略2というのが策定されており、その翌月、八月には、また総務省の方で、電子自治体推進指針、行政部門の業務効率の向上を目指すというものが策定されております。

 さらに、平成十八年には、今までのe―Japanが、今度はu―Japan、このuというのはユビキタスの略になりますが、u―Japan推進計画というのができておりまして、あらゆる人や物が結びつくユビキタスネットワーク構築を目指すとあります。

 このように、平成十三年のe―Japan戦略から、今でちょうど十二年がたとうとしております。このマイナンバー制度の前提としての電子自治体の成果について総務省はどのように総括をしているのか、お聞かせ願いたいと思います。

新藤国務大臣 これは、今委員がいろいろたどっていただきました、そのとおりに始めたわけであります。

 平成十三年のころ、e―Japanと言っていたころ、あのころから比べれば、格段の向上がなされた。大体、インターネット人口も、多分そのころは一千万人ぐらいだったと思いますから、今はそれがほぼ全国民的な数になっているわけでありまして、そういうふうに順次進んできたことは事実です。

 それから、霞が関も、各省庁がばらばらに動いておりましたが、一応共通の基盤ができました。それから、自治体においても、それぞれの自治体で電子化が進められるということがあったわけです。

 ですので、庁内LANもそうでしたし、今この時点で言うのは少し何か私も気が引けるんですけれども、ホームページの充実とか、これも、今じゃ当たり前だけれども昔はなかったわけですから、そういう意味で、我々日本は、それなりの取り組みがあって、いっときは、いろいろな通信速度だとか、そういうのも世界の最先端を行ったのも事実です。しかし、今現状で、それらは、他国に比べて、我々の発展のスピードは鈍っている、そして他国にいろいろな分野で抜かれているところが出てきている、こういうことも承知をしております。

 今後どうしたらいいかというと、今のことを踏まえた上で、いかに共通の基盤をつくるかということなんです。

 先ほども申しましたが、国民に対して電子行政が有効なんだということを、しっかりとやはり認識しなくてはなりません。幾ら電子化をやったところで、ペーパーレスになりません。ですから、電子でもできるけれども、紙が残っているわけです。

 それは、では、できない人はどうするのかとか、そういう部分があって、また、自治体は、自分たちの行政をやっているんですよ、隣の町の面倒まで見れませんよ、こういうような基本的な問題意識がございますが、それらを超えたところで、共通の社会基盤としての情報インフラをつくり、そこに、国民、住民がそれぞれの行政サービスを受けられる、そしてその先には、それを民間にも開放した中での電子的な国土と電子的な行政、それによる便利な暮らしの実現、こういったものを図っていく必要があるのではないか。

 私たち総務省は、特に地方のお手伝いをさせていただきます。それから、いわゆる通信基盤の基礎を研究し、また、そういった基盤をつくっていくのは総務省の役目でありますから、いろいろな研究を進め、取り組んでいきたい、このように考えています。

杉田委員 今大臣のお答えにありました、かなりの効率化が図れた。ホームページなんてなかった時代が当然ございましたから、それからすれば、どこの自治体もホームページを持って、すごく飛躍しています。

 私はもうちょっと前の段階から振り返ってみたいと思うんですが、本当に、大臣がおっしゃるとおり、自治体の業務の現場では、もうまさに産業革命のようなすごい変化があったんです。

 私が自治体職員として、とある自治体に入所したのは平成四年です。そのときの必需品は何かというと、印鑑です。出勤したときには出勤簿に印鑑を押します。各課に一冊、出勤簿がありまして、そこのところまで押しに行かなければいけないです。ちょうど今みたいな年度の初めのときなんかは、新しい出勤簿にインデックスを張って、それぞれの人たちの名前を書いて、全部手作業でやっていました。

 それから、残業するときなんかも、全て超勤命令簿というのを書いて、何時から何時までという命令が上司から出て、上司の判こをもらって、それで残業する。一カ月に一回、最後それを締めて、総務担当の方が手計算で電卓をたたいて、そして残業の時間を割り出して残業手当を算出するといったものでした。

 もっと言えば、文書は全部手書きでした。手書きですので、毎年、同じ文章でもきちっと手で書かないといけないですし、正式の文書はブルーブラックのインクで書くんだとか、そういうふうなことを教えられました。

 こんな話をすると、どんなに古いころの話だろうというふうに皆さん思われるかもしれませんが、平成の話です。

 この状況が少しずつ変わってきました。

 まずは、課に一台ワープロが入る。そして、そのワープロがパソコンになる。そうすると、先ほど言っていた手書きの文書が全部パソコンでデータで残っているわけですから、前例踏襲の自治体なんかは、これはいいことかどうかわかりませんけれども、去年の文書を日付を変えるだけでことしも使える。すごい時間の短縮ですよね。

 それに、平成十四年あたりから、ちょうどe―Japanが始まった一年後ぐらいからは、一人一台パソコンが配備されるようになりました。今まで、課の中の一カ所にあるところに判こを押しに行かなければならなかったのが、席に座って、パソコンをあけてログインをすれば、それで出勤がオーケーです。もっと進んでいる自治体は、タイムカードをしゅっとするだけで入退室の管理ができるので、全部、超勤なんかの計算もしなくて済みます。

 そして、庁内LANの整備が進んできますと、今度は決裁が電子決裁になりました。決裁ルートを自分で指定して、ぽんとボタンを押すと次の人のところにその文書が行く。どこの時点で文書がとまっていて、誰のところで決裁が回っていないのかとかも全部一目瞭然でわかります。それまでは、本当に各部署を一件一件回って一人一人の判こをもらっていたのが、こういうふうにすごいスピードで変わってきました。

 となると、当然、それまでかかっていた労力がこれだけ短縮されるということは、先ほどの質疑の中にもありましたが、コストカット、人員カットにつながっていかないと私はおかしいというふうに思っています。これは、ある意味、民間で言うところの設備投資だと思うんです。

 きょう皆さんにお配りさせていただいております資料の図表一というものの中には、パソコンの設置状況がずっとどのように動いていったかというのが書かれております。都道府県はほぼ一〇〇%、一人一台パソコンが達成されています。市町村においては、まだ今発展途上のところもありますので、ずっと右肩上がりで上がっていっておりますが、そのような状況にどんどん地方自治体の中は改革が進んでいっています。

 これだけになってきて、その下の経費の状況を見ますと、経費は横ばいです。これは私、普通、パソコンを一人一台にしていくと、パソコンの導入が右肩上がりになっているのに経費が横ばいというのは、ちょっと腑に落ちない部分もあるんです。本当だったらもっと右肩上がりになっているんじゃないかなというふうに想像していましたが、実は横ばい。それだけ抑えられているということはすごいことだと思うんですが、もっともっと自治体全体でコストカットができて当たり前だとは思うんです。

 この電子自治体に伴う導入の経費等に対する費用対効果については、どのように大臣は評価されていらっしゃいますか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生がお配りの折れ線グラフにございますように、各地方公共団体の情報主管課におけます経費でございますが、私どもの調査によりますと、これまで、おおむね各年度四千億円で推移をしております。ごらんのとおりでございます。

 地方公共団体におけます情報システムの整備、導入につきましては、これまでも、各団体におきまして効率的に整備、購入するように努力されてきたものと考えておりますけれども、今後も、さらなる不断の努力、委員御指摘の費用対効果も十分に考えた努力が必要であるというふうに考えております。

 総務省といたしましても、情報システム関係経費が適切に抑制されていきますように、地方公共団体と十分に連携をしながら、必要な情報提供等を図ってまいりたいと考えています。

杉田委員 実は、資料の請求をするときに、パソコンの導入にかかった部分が一体幾らなのかというのを出してほしいというふうにお願いをしたんですけれども、そういった個別のデータはないということで、全体の経費でしか出てこないというお答えだったんです。多分、各自治体がこれだけパソコンを導入しているので、日本全国で一体どれだけお金がかかっているんだろうというのは、皆さんにもう想像していただくしかないと思うんですけれども。

 先ほど申し上げたように、自治体の、行政の組織は飛躍的に業務が効率化しましたが、本当は、この電子自治体というのは、国民のために、国民生活に寄与するために推進していかれなければならなかったと思います。自治体はこれだけ便利になって、自治体職員の業務はやりやすくなりましたが、これがどのように国民の方の利便性の向上につながっているのか、その部分をお答えいただきたいと思います。

望月政府参考人 全体的なものにつきましては私どもも把握に至っておりませんが、一つの例で申し上げますと、例えば、神奈川県の十四の町村が集まっております町村会におきまして、全体で町村会で十四の町村が参加をいたしまして、今現在、それぞれの町村のシステムのクラウド化を進めております。その中で、今出てきております数字といたしましては、財務会計それから住民情報システムのクラウド化を進めることによりまして、かかった経費が四十七億円から三十二億円と三割削減された、そういった例も伺っております。

 こういったこともよく情報提供をしていきながら、費用対効果を十分に考えていただいて経費の節減に努めていただきたい、そのように考えています。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

杉田委員 実は、午前中から、なかなかこの電子自治体というのが国民生活の役に立っているというような実感が湧かないのではないかというような質疑がいろいろな委員の方がされてきたかと思います。その中で話題になっていたのがフロントオフィスの話で、窓口が一本化されるとか、来たときにそこでいろいろなデータが一本化されて、利便性というのを実感するというようなお話だったかと思います。

 でも、私は、はっきり言って、これではなかなか、国民が、ああ、便利になったなと感じるのには難しいと思います。というのは、一般の市民の方というのは、ふだんめったに市役所とかを利用しないんです。引っ越ししたとか、子供が生まれたとか、そういうふうなイベントがない限り市役所に足を運びませんので、例えば、一年に一回行く、五年に一回行く役所で、前に行ったときより待ち時間が短くなったなという程度では、これだけお金をかけて電子自治体をやって、ああ、私たちの生活がすごく便利になったというような実感にはなかなかつながらないと思います。

 本当の国民に還元できることというのは、これだけ業務が効率化したので、やはり人員削減ができて、そして財政の縮減ができて、それが還元できて初めて国民生活の役に立ったと言えるのではないかと私は考えておりますが、どのようにお考えでしょうか。

新藤国務大臣 そのとおりだと思いますよ。ですから、それをどうやって実現するかということで、これから私たちが取り組むべきは、今までと次元の違う電子行政を実現しなくてはいけないんだというふうに思います。

 今までの問題点はもう申し上げましたから重ねませんが、私たちは、便利な暮らしをつくる、そして暮らしの便利さというのを実感していただく中で、そこでコストもカットできるし、それから自分の負担も軽くて済む。それは、結局のところ、自治体で、今いろいろな御評価いただきました、昔に比べればよくなったんです。でも、全部、自分の業務をパソコンの中でデータ化しただけで、結局それは、別のところに持っていくと、データは移行するけれども、そこからまたプリントアウトして、紙でチェックしているんです。これは保険診療なども全部そうです。

 ですから、本当の意味でのオンラインの申請、それからオンラインのチェック、こういうものをやるとなれば、これは、添付書類を郵送する郵便代がなくなります。それから、統計だって、今、結局は紙でもって全部郵送して、紙でもって戻してもらって、それをパソコンに入れているんです。こういうのを、例えばオンラインでもって、それからHTMLですよ、そういったことでできるようになれば、これは、紙代と、それから交通費だとか、それからその間の人件費、こういうものがカットできることになりますね。

 ですから、本当にここまでやればこれだけの効果が出るよということを、我々はきちんと形をつくっていかなきゃいけないんだと思うんです。そのための共通基盤は、やはり今回のこの番号というのは不可欠のものだと思います。

 あわせて、全国共通のネットワークを組まなければいけないということです。当然、システムのクラウド化、それからセキュリティー、こういったものも入れていかなくちゃなりません。我々は既に、全国行政機関ネットワーク、こういったものを構築するということを始めています。それから、各府省の、例えば政府の中の情報システムだって千五百あります。各府省で、それぞれの給与計算だとか、いろいろな管理をやっているんですね。これを整理すれば、今、千五百システムありますけれども、半分に削れると思っています。

 今回、私たちは、そういう徹底的なコストカットと利便性を追求する上でこの電子行政が必要なんだ、その基幹として、まずはこの共通番号を入れさせていこうではないかというふうに思っているわけです。

 当然それは、試行錯誤が必要です。また、厳重なチェックが必要です。その意味でも時間をかけてやっていかなければなりませんが、いろいろな委員さんがおっしゃっていただいているように、将来の我々が達成すべき目標をきちんとみんなで共有できるようにして、その上で、なるべくスピーディーに、しかも適切にステップを踏んでいくべきだ、私たちのこの電子行政というのは日本の改革の鍵を握っているんじゃないか、このように考えています。

杉田委員 ありがとうございます。

 先ほどの大臣のお答えの中にも一点あったんですけれども、給与計算等を統合するという話がありました。私がお聞きしたいのは、そういったバックオフィスの話なんです。

 先ほどから、午前中はフロントオフィスの話だったんですが、バックオフィス、先ほど私が例を挙げましたけれども、今まで、印鑑を押して出勤を数えていた、そして残業とかも手計算でやっていたものが、IT化でパソコンで全部できるようになって、すごく効率化されました。普通、民間企業で、そういったところでバックオフィスがIT化できれば、一つのシステムにして外にアウトソーシングしてしまうことができると思うんです。

 大手の企業なんかは、今もう、そういった給与計算だとか人事管理とかを会社の中でやっているところはほとんどなくて、それは外の会社でやっている。だから、給与明細表は外の会社から届くといったようなシステムになっています。これは、自治体でも十分できる。こういったことは、現役の自治体職員のころにちょっと研究をしていたんですけれども、そういうことをやっている企業はたくさんありますから、バックオフィスのIT化を機にそれをアウトソーシングする、そしてそこの部署の人を削るということができると思うんですね。

 現行の地方公務員法でも、「職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」というのは、これは免職することができますから、要するに、その部署の仕事がなくなれば、そこの公務員の人たちは削減ができる。これは、今の地方公務員法でもできることになっております。ですから、バックオフィスというのをIT化してそれを外に出す、アウトソーシングをしてしまえば、そこに働く人たちの数は、確実に地方自治体で減らしていけるわけなんです。

 そこでお尋ねしたいんですけれども、このようなバックオフィスのアウトソーシングを行っている自治体は、今現在、日本全国でどのくらいございますか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 そういったデータは、今、把握をしてございません。

杉田委員 きのうからいろいろレクを受けておったんですけれども、どうしても、ITとか情報推進となれば、その情報推進の中でどれだけ削減ができたかというような答えは返ってくるんですけれども、ITの技術が発達して自治体が便利になったところで、では、ほかの部署が削減できたというようなデータはないというふうにお聞きしておりまして、そのあたりを明確にしていただければ、本当にそういうことをやっているところがたくさんあるとか、そういう改革が進んでいるということが目に見えてくれば、やはり国民の皆さんにも、ああ、それだけ公務員の数が減っているんだ、それだけ行政コストが下がっているんだというようなことが目に見えてくると、理解もしていただきやすいんじゃないかというふうに思います。

 ただでさえ、今、国全体の借金のうちの六割は地方の借金ですので、地方の借金を減らしていく、地方の人件費を減らしていくというのは喫緊の課題であると思います。そこの部分をしっかりと進めていただきたいと思います。

 そもそも、この電子自治体を推進するときに、電子自治体が進んでいけばどのくらいの人員を減らせるのか、どのくらいのコストカットができるのかという数値目標は一番初めにあったのでしょうか。

望月政府参考人 行政改革を進めるに当たりまして、さまざまな数値目標を都道府県、市町村は独自につくることかと思います。そういう中で、この部分は情報化を進めることによって余剰人員的なものが出て、そちらの方は生み出せるんだといった、そういうかなり細かな計算までやって全体を把握しているかどうかは、個々の自治体によるんだと思います。

 いずれにいたしましても、御指摘がありましたように、バックオフィス等のそういったことをやりながら、人員の中身をよく精査してその数値目標をつくるというふうな工夫は必要かというふうに思います。

 いずれにいたしましても、地域独自の判断を交えながら、そういったことについても取り組んでいかなきゃならないというふうに思います。

杉田委員 前回この場で質問をさせていただきましたときは、ちょうど少子化対策の話だったんですけれども、私の中での根本的な考え方といたしましては、まずは、あるべき姿、ここの姿まで、この状態まで持っていかなければいけないというビジョンを描いて、そして徹底的に現状を分析して、現状とそのあるべき姿の差をきちっと出して、それに対して戦略、ミッションに落とし込んでいくというのが、どのような政策に対しても必要なのではないか。それをやって初めて、先ほどから出ておりますPDCAのサイクルが回せるというようなことになってくるかと思います。今回の電子自治体についても、そういったことが必要だと思うんです。

 私きょう、自分の手持ち資料としまして、電子行政推進に関する基本方針というのを持ってきましたが、ちょうど午前中に、民主党の後藤委員がこれを皆さんに配付資料として配っていらっしゃいました。この中には、実はそのような視点がはっきりと書かれているんです。

 この中には、なぜ今までの電子自治体がこれだけ進んでいって浸透していったのに、国民の方には実感されていないのかという中の、課題を幾つも分析してあります。

 民間との連携がうまくいかなかった、また、先ほど私が申し上げたような、アウトソーシングがうまく進まなかったという視点もありますが、まずは、あるべき姿、ビジョンをきっちり明らかにしていなかった、それに対して何をやっていかなければいけないのか、それから責任が明確ではないというようなことも書かれておりますし、この基本方針の中には、今後はPDCAサイクルをしっかりと回して推進していくというようなこともしっかりと書かれてあります。ああ、こういう視点を持って今後は進めていこうとしていらっしゃるんだなというふうに、これを読んで強く感じました。

 では、お聞きします。

 具体的に、電子行政の推進に伴い、人員を、全国の公務員を何年までに何割減らして、コスト削減はどれだけするのかというような目標をお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 それをきちんと把握しなくてはいけないんだと私も思っているんです。

 ただ、この人員削減というのは、その前に、我々は、定数削減をどのようにやっていくか、人員を合理化していくか、こういったことに厳しい枠を設けて、国の全体の財政の健全化、歳出カット、こういう枠の中でやっております。ですから、一つのことだけでもって何人をどうするということではなくて、やはり総合的な枠組みの中でやっていくというのが重要だと思います。

 今回、IT本部というのを、山本大臣のところが所管ですけれども、IT総合戦略本部という形にして、今まさに本格的な電子行政を入れていこうじゃないかという目標を立てようと思っています。しかし、現実には、今、まずその一番の基盤であるところの共通番号を入れる、それも限定した中で入れてみる、そういうステップにあるわけであります。ですから、将来の目標に向けてきちんとした形をつくるのは、研究していかなくてはならないということだと思っています。

 現状においては、残念ながらそこまでの精緻な数値が出ていないんです。それを出すこと自体が、今、どこまでの電子行政をやるかにかかっているわけなので、そういうことをいろいろなセクションで研究しています。研究して、一つずつ実証実験をやっていくわけです。そこの先にそういった今の数字というものも出てくるのではないか。これは、引き続いて、出せるまで取り組むしかない、このように考えています。

杉田委員 ありがとうございます。

 ただ、電子自治体を推進しますというのが始まってから十二年たっているんです。十二年たっているのに、まだ目標がない。

 それから、もう既に現場では効率化の結果が出せているんです。先ほど私が具体的に申し上げたお話、委員の皆さんがどのように感じられたかわかりませんが、判こを押していたのがパソコンを開くだけでよくなったとか、決裁を回すのが、手で持って歩いていたのが全部、ボタン一つ押すだけでよくなった。これは、民間だったら人員が半分で済むようになると思います。

 それくらいのコスト意識を持っていかないと、公務員の人件費というのは皆さんからいただいた税金で全て行われているわけですから、やはりスピード感、それからやり過ぎなまでのコスト削減の意識というのをきちっと持っていただきたいというふうに考えております。

 それから、アウトソーシングと民間の活用というのもあるんですけれども、先ほどから何度も出ております自治体のクラウドの話です。

 これはどんどんと推進していっていただきたいとは思うんですけれども、この話も、きのう、レクを受けておりますと、クラウドというのは、民間が運営する、そういったところに全部の自治体のデータを置くというような形になっていまして、これは総務省の方が実際におっしゃった話なんですけれども、各自治体にそういうITのことを任せるよりは、民間に任せた方がよっぽど効率的で、よっぽどいい仕事ができるというふうにおっしゃっていました。

 総務省の方がそのような認識を持っているのであれば、そういった民営化だとか民間委託、アウトソーシングの推進を各地方自治体にもっともっと呼びかけていっていただきたいと思うんですけれども、そういったクラウドの活用なども含めた今後の電子自治体の推進の展望をもう一度お願いいたします。

新藤国務大臣 まず、平成十三年から始めた目標、そういったものは設定をクリアしてきているわけですね。

 だけれども、委員よく考えていただきたいんですけれども、では、あなたが役所にお入りになったときと今と比べて、仕事量はどれだけ変わっていますかね。昔に比べてどれだけの仕事、サービスを向上させて、仕事量はふえているわけです。しかし、人間は削ってきているわけであります。

 本来であれば仕事量に応じて人間もふやすところが、逆に削っているというのは、それは例えばバックオフィス部門のIT化によって削減できた部分もあると思いますよ。しかし、それ以上に仕事をふやしていて、それでもかつ足りないから、まだ削らなきゃいけない。そういうことを今取り組んでいるんだ、我々は目標にしているんだということでありまして、現状、仕事が変わらずに、何か新しいものを入れたんだから削れるでしょうというふうにはなかなかならないんだということであります。

 それから、例えば今度のICT化、電子化というのは、防災の観点で、災害が起きたときに罹災証明をどうやって出すのか、残念ながら、それを事前にきちんと準備している自治体はなかったわけであります。そして、では災害時に誰を保護すべきなのか、そして安否確認を、一人で動けない人、それから世話をしなきゃいけない人、そういう人たちがどこにどのぐらいいるのか、その場合にどなたがどうやってそれをケアするのか、こういう計画も実はまだ法定化されていなかったんです。今回、それをやっていきます。これらも全て電子自治体の中できちんと管理しなければ、災害が起きてから集まって、誰がどこにいるんだ、では誰がそれを助けに行くかなんてやっている間に、もう手遅れになってしまいます。

 ですから、あらゆる意味で電子自治体というのは次の次元に入っていくんだ。それは、今までの努力の結果、ICTの基盤ができてきて、そして国民がコンピューターに対する違和感がほとんどなくなりました。今の子供たちは物すごい勢いで、説明書もないのに、五歳、六歳の子供がアイパッドを使いこなす時代ですから、そういう時代に、ではどんな行政が電子化できるのか。また、電子化をしたことによって新しい仕事を生み出さなければいけないんです。これは、カットするだけではなくて、新たな産業の創出にもつながっていく、そしてそれらが町づくりにも資するものになると思っています。

 そういう総合的なものをここで組み上げようとしているわけなのでありまして、シンプルに、この部分だけの目標を何にしますとかいうのは、これは、えいやでつくるのは簡単ですが、そうではなくて、本当に、ここまで来たらこういうやり方をする、今でもできないけれども、それをやることによってこれだけの歳出カットができるんですよ、そのカットした分はほかの必要なお金に回します、人間もそこはコストダウンできますよ、その削った部分でふえた仕事量をケアするんですと。その上で、さらに人間を削れるかどうか、こういうことを我々は考えていかなくてはいけないんだ、こういうふうに御認識いただきたいと思います。

杉田委員 大臣のおっしゃるとおりだと思います。

 私も自治体で働いていたときは、まず枕言葉に、多様化するニーズに対応してというのが必ずついてまいりますから、新しいいろいろなニーズが出てきたことに対して仕事はどんどんふえていっておりますし、また、団塊の世代の方々が退職したのに伴って、それと同じだけ補充するのではなくて、不補充の部分とかを充ててどんどん削ってきているというのは確かにあるかと思います。

 ただ、中にいた感想として、まだまだ削れる。そしてそれは、仕事量に応じて削るのではなくて、仕事そのものを削ってしまうということをまだまだできる余地があるというふうに考えておりますし、きょうのこの議論、テレビでは中継されていないんですが、インターネットなどを通じて一般の皆さんがごらんになったときに、まだまだやはり公務員の世界は甘いんじゃないかという印象を持たれたのではないかと思います。ですので、そういった意識で一般市民の皆さんが見ているというようなことも考えて、今後の展望というのをつくっていっていただきたいなというふうに思います。

 それでは、二点目の方に移りたいと思います。

 今回のマイナンバー制度に関連いたしまして、いろいろな関連の部分について行政事業レビューシートというのが出ていますよね。これはインターネットで全部とれるものなんですが、総務省が今回、マイナンバー制度の前提としましてのいろいろな調査を行っています。その調査の業務についてのレビューシートというのがあるんですけれども、ちょっと私、読み上げるだけですごくたくさんあるんですね。

 マイナンバー制度の実施に必要なシステム等整備事業、それからマイナンバー制度等に対応した情報連携に関する実証等、電子行政サービスの改善方策に関する調査研究、住民基本台帳ネットワークシステムと共通番号制度との連携のための検討に要する経費、住基(IC)カードの技術開発に要する経費、国民ID制度に対応した公的な本人確認に関する調査研究事業等に要する経費、これが全部総務省の中で行われている調査なんですけれども、それぞれ担当部署が違うんです。

 行政の縦割り、縦割りとよく言われますが、各省庁だけの縦割りではなくて、省の中でも各課によって縦割りがあって、いろいろな予算がついているかと思うんですけれども、こういった経費が今回のマイナンバー制度を導入するに当たってついております。これをどのように統合してマイナンバー制度に生かしていくのかというのを一点お聞きしたいと思います。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

望月政府参考人 総務省におきましては、番号制度に関連いたしまして、御指摘もございましたが、さまざまな調査研究を行ってまいりました。

 例えば、住民基本台帳ネットワークシステムと共通番号制度との連携のための調査研究、あるいは国民ID制度に対応した公的な本人確認に関する調査研究、また、地方公共団体における番号制度の活用に関する研究、そういった調査研究に取り組んできました。

 一例を申し上げますと、地方公共団体における番号制度の活用に関する研究におきましては、地方公共団体におけます番号制度の円滑な導入に資するように、番号制度の活用の可能性や番号制度に対応したさまざまなシステム、そういったものの構築の方向性につきまして、一定のガイドラインを中間的に取りまとめたところでございます。

 また、国民ID制度に対応した公的な本人確認に関する調査研究におきましては、個人番号カードの利活用について調査研究をいたしておりまして、例えば、個人番号カードを利用することで簡便な手続でコンビニで住民票の写し等をとることができる、そういった方策についての研究をいたしております。

 いずれにいたしましても、制度、あるいはこれから法案が通りまして実際に制度が運用される以降に、具体的に番号あるいは番号カードをどんなふうに活用ができるか、可能性といったものにつきましても、含めて検討しているところでございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 これだけでも、もっとほかにもあるかもしれません、これは私が探せただけですので。これだけの多岐にわたる調査の結果というのは、では、これは皆さんで集まって、これだけの課の方々が集まって、一本化して今回のマイナンバー制度に役立てていくというような、そういうふうな形になるのか、それとも、一本一本ばらばらにこの調査結果が反映されていくのか、どういうイメージなんでしょうか。

望月政府参考人 実際に既に法案は提出いたしておりますので、法案をつくるに当たりまして活用ができるものにつきましては、全体を眺めて、これを法案の中に生かしていこうといったことの検討もありますし、法案ができた後に、どういったふうに番号を使うのか、あるいはそのカードを使えるのかといったことにつきましては、その時点時点で頭を寄せ合ってやっていこうというふうに思っております。そういう方向でございます。

杉田委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問に参りたいと思います。

 これは本当に午前中からもずっと続いている話なんですけれども、結局、このマイナンバー制度、国民の皆さんになかなか理解が広まらないというような問題点があるんですが、一点、内閣府の方では、マイナンバーシンポジウムというのをかなり定期的にきっちり開いて、国民の皆さんの議論を喚起しよう、それから注目を集めようといったような取り組みがなされていると思います。

 このマイナンバーシンポジウムの開催をずっとされてきて、それの評価についてお聞きしたいと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーシンポジウムは、昨年の十二月でもって終わりましたが、ほぼ二年近くかけて、四十七都道府県を全部回らせていただきました。そこでは、私どもから説明するだけではなくて、反対派も交えた形の討論をやりましたし、国民の皆様からの御意見も、手が挙がり終わるまで、時間を何時間延長してもやりました。私もそれに三十県ぐらい参加しています。

 その中でもありとあらゆる御意見が出まして、例えば費用対効果の話もそうですし、セキュリティーの話もそうですし、あるいはそもそもどういう場面に使うのかとか、ありとあらゆる御意見、御質問がありました。そして、その取り組みが地方紙で紹介されるということによりまして、番号制度が、県庁所在地ではございますけれども、その県その県の地方紙なんかに載ることによりまして、ある程度は国民の皆様に理解が進んだのかなというふうに考えております。

杉田委員 私は、これは本当に評価できる取り組みだと思います。しっかり国民の皆様の声を、四十七カ所、全部の各都道府県を回って全部拾われて、それで今後の中に生かしていく一つの仕組みだと思いますので、なかなか御存じない方もいらっしゃいますので、こういった取り組みも一生懸命内閣府はやっていて、国民の理解を求めているということをもっと前面に出していただいてもいいと思いますし、こういった取り組みの中で出てきた皆様方の声を生かして、今後もこのマイナンバー制度に取り組んでいっていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。これにて質問を終了いたします。

平井委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅です。

 本日は、内閣委員会にて二回目の質疑をさせていただきます。

 まず、議題であるいわゆるマイナンバー法案、こちらの方は、前回に続き、今回もさまざまな議論がされていらっしゃいますが、私はこの構想については、原則、個人的には賛成でございます。ただ、各論となる点、さまざまな問題があると思います。その点がどうなのか、そこが肝になると思っております。

 税と社会保障の改革をする。皆様御存じのとおり、近年、税収は減少し、社会保障費は増加。自然増、年間一兆円。その中にあって、せめて、税の徴収漏れ、給付の正確性。消えた年金問題のような事態が二度と発生しないようにしなければならない。そのためには、アナログ時代ではなくてデジタル時代を迎えなければならない、効率を上げなくてはならない。その観点から賛成でございます。

 また一方で、議論の対極にあるのが個人情報の保護であると思います。また、より厳格な個人情報保護のシステムが必要なことは言うまでもないと思っております。

 やはり重要な点は構想。絵は同じでも、中身が、細部が異なれば、無駄が削減できず、利用者にとって利便性の低い、結果、余り使用されないものに、別物になってしまう。この点が一番気になっているところでございます。つまり、行政側にメリットがあるも利用者にメリットが余りない、そうなってしまうのを避けたいと思っております。ですので、その観点から質疑をさせていただきたいと思います。

 そこで、きょうも質疑があると思いますが、その中で、このマイナンバーの行政側のメリット、デメリット、そして利用者側のメリット、デメリットを改めて教えていただきたいと思います。

甘利国務大臣 メリット、デメリット、行政側、あるいはそれを使う国民側というお話であります。

 メリットから申し上げますと、社会保障・税番号制度の導入によりまして、まず所得把握の正確性が向上する。ということは、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障の充実、負担、分担の公平性がより一層確保されるということにもなるわけであります。

 それから、さまざまな手続におきまして、これはもちろん住民側のメリットでありますが、従来求められていた添付書類等が削減をされる。あるいは、個々のホームページのようなものでありますが、マイポータル、ここに、これを活用して、行政機関の方から国民へのきめ細かなサービス、知らせるべきお知らせサービスといいますか、これが提供される。そういう点で、国民の利便性の向上に資する。

 それから、これは行政の側。行政の効率化が図られる。限られた行政資源を国民サービスの充実のためにより重点的に配分するということも可能になる。

 行政自身の効率化、それから国民の利便性、あるいは行政の効率化を通じてそれだけ国民負担が少なくなるということもあろうかと思います。

 一方で、巷間言われて心配されてきましたデメリットでありますけれども、個人情報の漏えいであるとか不正利用、国家による個人情報の一元管理といった懸念があることが指摘をされているわけであります。

 もちろん、こういった懸念に関しては、制度面とシステム面の両面から対応措置をとるということを講ずるわけでございます。

 具体的に何をするかといえば、まず個人情報の分散管理をする、一元管理をしないということであります。それから、利用の範囲について、その範囲を法律できちんと限定をする。それから、目的外利用等が行われないようにしっかり監視する機関が必要である。三条委員会型の独立性を有する特定個人情報保護委員会がこの監視、監督を行うということ。

 それから、もちろん、情報システムへのアクセス制御であるとか、あるいは通信の暗号化を実施する、そして、官民の不当行為を抑止するための罰則を整備するということ等を通じて、デメリットが極力ないようにしていきたいというふうに思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 行政の効率化、こちらは極めて重要なことであると認識しております。

 私は前回の質問で、プライマリーバランスの件について甘利大臣に質疑させていただきました。当然、黒字化を目指す、財政を健全化させなければならない、こちらは将来への責任を果たすためでもございます。もちろん、成長戦略、規制緩和も必要ですが、やはり歳出削減、無駄の削減も図らなければならないと思っております。

 もちろん、このマイナンバーを導入し、人件費の削減、もしくは新しい業務への移動が必要であると思っております。そこで、前回も各委員からありました、午前中も議論がありました、浮いたマンパワーを新しい業務へと戦略的に投入すべきと考えておりますが、それに対して、利便性の向上、行政の効率化と言われましたが、具体的に、システムの導入によって人件費の削減になる、これだけ削るという数値、こちらの方はございますでしょうか。重ねてお願いいたします。

向井政府参考人 番号制度を導入いたしますと、当然、行政の効率化が図られますし、また、その番号制度に見合ったような業務のやり方に改善することによって、さらに行政の効率化が図られるものと思いますが、具体的な利用の詳細につきまして検討する部分もございますので、そういう具体的な数値については現在試算しておりません。

山之内委員 あわせまして、当然、こちらの方、費用対効果もございます。

 数値がなかなか出せない、行政の効率化の人件費削減、こちらも数値が極めて厳しい、出すのは厳しいと。午前中もありました費用対効果についても、なかなか数値は出しづらい、その内訳なんですけれども、システム初期の開発に三百五十億円、また行政側でのシステムの改修に二千億円から三千億円と聞いております。こちらは、既存のシステムの改修また入れかえ、それは全国で千八百自治体ございまして、また日本年金機構、国税庁ということだと思います。こちらについて再度確認なんですが、今のような数字と理由で合っていますでしょうか。よろしくお願いいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 新規に必要なシステムが三百五十億円で、これは二十五年度予算の債務負担行為の額として示されてございます。それから、既存のシステムの改修費が、精査中でございますが、現時点で最大二千三百五十億円と見込んでおります。これは、国の業務システム、例えば、年金、ハローワークのようなシステムの改修費、それから地方公共団体の業務システムの改修費でございます。

 そのうち、地方公共団体の業務システムは、社会保障システムとか住基システムとかございますが、最大で千六百億円というふうに見込んでおります。

 これらが今後、予算編成過程で査定されての中で、三百五十億足す二千三百五十億プラス、その他のものとしてカード等がございますが、これらを合わせますと最大で三千億。それを二千億ぐらいまで予算編成過程で減っていく可能性があるという意味で、二千億から三千億というふうに申し上げております。

山之内委員 ありがとうございます。

 また、この費用対効果でございますが、当然、利便性の向上も含めて、個人番号カード、こちらのカードが普及しなければ、結果、利便性も向上しないということだと思います。

 そこで、まず、このカードの方、いつまでに何%の普及率を目指す、例えば、普及率の上昇を目指すために自治体ごとに普及率を競争させるという構想等、対策はあると思いますが、こちらの数値目標、いつまでに何%普及を目指す、この数値はございますでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の制度では、番号の通知を通知カードで行うということでございます。通知カードは、免許とともに、番号と、本人確認の手段として使えますので、初期の段階で直ちに個人番号カードが必要ということにはならないというふうには思っております。

 ただ、個人番号カードは、写真つきで一発で番号が確認できるほか、それ以外の使い道も法律に規定されてございます。これらのものについては普及を図っていきたいところでありますけれども、具体的な数値目標を現時点で考えているものではございません。

山之内委員 このように申し上げますのは、先ほども議論がありました住基ネットの件、こちらの方は、住基ネット、七百十四万枚前後で、五・一%の普及率とあります。普及率は、先ほど申し上げました構想である税の徴収確保と給付の正確性を担保しなければならない観点からも、やはり普及を広めていかなければならないと思っております。

 また、先ほど、二千億、三千億円の地方自治体のシステムの改修費とお聞きいたしましたが、これは、千八百の地方自治体のシステムを改修する際、地方自治体は費用を出すということはあるのでしょうか。それに対して、各自治体はコスト削減になり、費用対効果はあるのでしょうか。こちらについてお願いいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の業務システムの改修費が、現時点で最大千六百億と見込まれております。一方で、その改修費につきましては、地方団体からはできるだけ国で負担してほしいとの要望もあり、今後の予算編成過程で、できるだけ地方に迷惑をかけない形で予算編成過程で決定していきたいというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 やはりこの点においても、特に、地方もそうですが、行政にとって利便性が向上するだけでなく、普及することによって、利用者である、納税者である国民、市民にとって費用対効果があるものでなければならないと思っております。

 また、先ほど申し上げました個人番号カードの内容でございます。

 個人番号カードにはICチップが入るとお聞きしております。これは、そこのカードにデータが入っているのか、それともネットワークにアクセスしたサーバー上で管理するのか、こちらの方を教えていただきたいと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 法律上、ICチップとは明記はされておりませんけれども、現時点でICチップをつけるカードとする方向で検討しております。

 それで、ICチップにつきましては、いわゆる番号が入っているというふうにお考えいただいた方が正しいと思っておりまして、それをキーといたしまして各種情報にアクセスができるということでございますので、鍵のようなものだと。そのもの自体に情報が入るものではございません。

 逆に、条例等でICチップを、別の空き容量を使う場合も同様でございまして、例えば条例等で図書館カードのかわりに使うというふうな場合、別に、借りた図書の中身が入っているわけじゃなくて、単にその図書館での番号が入っているというふうにお考えいただければと思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 カードでいいますと、JRのSuica、PASMO等、非接触式ICチップカードはもう既に三千二百万枚以上普及されていると聞いております。改札を通過する際に、一瞬にサーバーとやりとりして通過の是非を得てゲートを開く、逆に無効の場合、とめられている場合はゲートが開かない。

 当然、こちらの個人番号カード、盗難、紛失があることも想定されると思います。

 例えば、個人番号カード、紛失、盗難に遭った場合は、資料の中には、市町村長に届けなければならないと。こちらの方は、原則住所地を検討されていますでしょうか。それとも、全国の自治体で可能なんでしょうか。

向井政府参考人 法の規定は、住所地と申しますか、住民票のあるところで発行いたしますので、住所地ということになろうかと思いますが、当然、国民の利便性を図るために、何らかの方法で経由するようなことも考えていく必要があるのではないかと考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 また、セキュリティーのこともお聞きしたいと思っております。

 こちらは、先ほども申し上げましたとおり、個人情報、重要なデータがあります。このマイナンバーの大きな議論の一つであると思っております。

 午前中も質疑がありましたが、番号制度のイメージという図がございます。こちらの中で、千八百の地方自治体、こちらの方は地方公共団体情報システム機構の方で情報を集約する。例えばハッキングですね。ハッカーがもし狙う場合、この千八百の自治体、こちらの方を一カ所一カ所狙った場合、そこから情報が漏れるということはあるんでしょうか。

 というのが、とあるIT企業のサーバーは、セキュリティー上、全世界に分散している。しかも、情報がシュレッダー式、一つのサーバーを攻撃したとしても、シュレッダーにかけられた情報、一つの部分的なものしか見られないので意味がない。そのため、セキュリティーは非常に高くなっていると聞いております。

 ですので、可能な限り、一カ所もしくは数カ所ですが、一つ一つがセキュリティーが高いもの、そういったものにしなければならないと考えておりますが、この千八百カ所の自治体は、それぞれに独自にセキュリティーシステムをつくるのでしょうか。それともまた、地方公共団体システム機構のようなもの、もしくは情報提供ネットワークシステム、こういった一カ所でセキュリティーシステムをつくるのでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

向井政府参考人 地方公共団体、それから国の機関もそうでございますが、これらの番号の入るような情報につきましては、既にそれぞれの機関において、あるいはそれぞれの地方自治体において、そういうシステムをほとんどの場合持っているということでございます。

 それと、情報ネットワークシステムとをつなぐという作業がございます。したがいまして、もともとあるそういう地方自治体が持っているシステムにつきましては、既にそれなりのセキュリティーが図られているものというふうに考えておりますが、それで十分かどうかは、つなぐ際には検討する必要があるのかとは思います。

 それから、情報ネットワークシステムのセキュリティーそのものは、国の方でやるというふうになろうかと思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 基本的に、今回も行政分野のマイナンバー法案ということをお聞きしております。ですが、我々は、特に私個人もそうですが、これは議論にもありました医療、さらには民間活用、行政分野のみならず、そういった多岐にわたるものに使って初めて、効果をさらに発揮できるものだと思っております。

 そこで、行政分野は、このイメージ図にもあるように、各、日本年金機構、国税庁、基礎自治体、都道府県、市町村を、霞が関WANもしくはLGWANを使用するとのことですが、こちらのようなネットワークシステムは、例えば医療、民間の場合、新たにネットワークシステムをつくるのでしょうか。それとも、またゼロからつくるとなると、コストの面からも費用がかかりますし、ある程度応用のきくものを想定していらっしゃるのでしょうか。こちらの方を教えていただけますでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 まず、もし仮に、将来民間をつなぐとなりますと、多分、マイポータルと同じ方式。ここにあるマイポータルというのは、情報ネットワークシステムは霞が関WANやLGWANで閉じておりますけれども、そこに一カ所インターネットとの接点をつくって、それでマイポータルをつなぐというイメージになろうかと思いますが、民間とつなぐ場合も同様のイメージになるのではないかと考えております。

 それから、医療の場合、医療情報のやりとりにつきましては、現在、既にもう幾つかの実証事業等が行われておりまして、それぞれのところでやり方はちょっと異なっているとは思いますが、いわゆるインターネットを使っている例が多いのではないかと承知しておりますので、そういう場合ですと、同様のパターンになるのではないかと考えられます。

山之内委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げました、行政、医療を民間に活用すると。こちらの場合、今回、符号A、B、Cとありますが、原則、個人番号は行政分野では一つだと。では、仮に医療分野になると、また医療で一つ、さらに民間で活用する場合はまた一つという、合計三つ以上の番号が想定されているということでよろしいでしょうか。

向井政府参考人 医療につきましては、別の番号を使う方向で、別の医療IDを使う方向で厚生労働省で検討されているものと承知しておりますが、それ以外の他の行政分野ないし民間に拡張する場合、別の番号を使うのか、あるいは既存の民間が利用している番号とマッチングさせるだけなのか、あるいは番号そのものを広くするのかというのは今後の検討課題だというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 こちらは、番号。今回は諸外国の例、アメリカだとか韓国、そういったところで、一つの番号だとセキュリティー上危険だということもありまして、分散すると。ただ一方で、余り番号が多過ぎても、三つ、四つ、五つとあり過ぎても、今度はまた煩雑になりまして、せっかくの番号が余り利便性がなくなってしまう。ある程度の数、二つか三つ、そういったあたりが妥当なところではないかなと思っております。

 また、引っ越しがございます。こちらは民間活用でも検討されているということですが、今回、行政分野に限りますと、引っ越しをするとなると、基礎自治体で発行された個人番号、これはまた新たに発行されるということでしょうか、それとも、そのものが生きるということでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 個人番号につきましては、一旦発行されますと、その個人番号が漏えいしたとかそういう事情のない限り、生涯同じ番号というふうになります。

山之内委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げました引っ越し、こちらは民間活用、ニーズがあると聞いております。やはり、引っ越しをする、年間約一千万件近くあると聞いております。引っ越しをするたびに、電気、水道、ガス、新聞もそうですけれども、所在がわからなくなる、そういった場合もある。その点から、このマイナンバーというのは、民間活用する場合には、引っ越し、まず、これが検討される一つだと思っております。

 例えば、今、民間活用で想定している水道、ガス、電気、これは開放するのか、また、この先に、どのような業種まで利用できるものを検討されているのか。例えば、特定のIT企業のインターネットIDとの連携等も視野に入れて検討されているんでしょうか。こちらの方を教えていただけますでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、この番号制度の利用範囲の拡大については、三年後の見直しのときに本格的に検討されるものと承知しております。ただ、物事の性質として、私どもで経団連から要望を聴取したりいろいろなことをしておりますが、多いものは、やはり最新の住所を欲しいというのは結構ございます。それから、やはり、シンポジウムなんかをやっていて要望の多いものといたしまして、先生が御指摘いただきましたワンストップサービスの話、そのワンストップに、引っ越したときとかあるいは死亡のときとか、そういう場面にワンストップで手続が民間を含めてできればありがたいなという話は、多数、いろいろなところでお聞きしています。

 したがいまして、そういうことは三年後の検討課題には当然上がってくるものというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 次に、先ほど申し上げました医療分野への活用についてお聞きしたいと思います。

 私、ある知り合いの歯科医師の先生にお聞きしたのですが、電子レセプト、昔は紙レセプトであったと聞いております。これのコスト削減についてのお話でございます。

 電子レセプトが普及するまでは紙レセプト、診療報酬のものですけれども、これが全国で年間十八億枚の紙があり、それを処理していた。十八億枚というと、とてつもない数ですが、これを人力と機械で物理的に処理していた。それを、電子レセプトになって、大分利便性、効率性が上がった、そういった話を聞いております。こちらに関してはとてもいいことだと思いますが、さらに普及を図っていただきたいとは思います。

 ただ、ここでお聞きした問題は、コストは削減されたのは恐らくそうだろう、ただ、人件費、例えば、あと、莫大な書類を保管する倉庫費用等、コストは削減されたが、それがどこに行ったのか明確にわからない。

 つまり、今の話でもそうですが、せっかくコストを削減した、利便性が上がった、ただ、これはどこにその浮いたお金、労力が行ったのかわからない。私は、重ねてここが本質だと思っております。つまり、効率化することによって、浮いたお金を必要な箇所に移す。人件費も、削減する、もしくは新しいところに移動しなければならない。その延長線上にあるのが、医療分野へのマイナンバーの導入であると思っております。

 例えば、医療の場合、今の保険証を廃止して、先ほど申し上げました電子レセプト、もしくはまだ残っている紙レセプトもそうですけれども、こちらに個人番号、このマイナンバーを記載するということはお考えでしょうか、検討されていますでしょうか。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今検討していただきます法案では、先ほどから御審議いただいていますように、行政機関等の法的手続、こちらを重視しておりまして、医療機関は対象とはされておりません。

 医療機関におきましては、こちらは、検討会を別途、昨年の四月から開催させていただきまして、昨年の九月で報告書がまとめられたところでございます。

 その内容について一部御紹介させていただきますと、医療分野の番号制度の導入に当たりましては三つのハードルがあると。まず一つ目は、個人情報の利活用と保護を図るための必要な措置を講じるということ、二つ目が、番号制度に対する国民の理解をどれだけ醸成できていくかということ、そして三つ目は、医療情報を利活用するための環境整備をしっかり行うこと、この三つの条件が前提となると考えられております。

 ということで、この条件をしっかりつくって環境づくりを行っていきまして、そして、各省庁と連携しながら取り組んでいきたい、このように考えております。

 以上です。

山之内委員 ありがとうございます。

 まだ現在は検討中ということで聞いておりますが、せっかくマイナンバー、こういったシステムを構築して効率化を図るのであれば、そういったものを積極的に進めていただきたいと思っております。

 その中で、重ねてになるんですが、返戻レセプトというものがある。要は、保険証の期限切れ等、これがあるために、戻ってくるのがこれもまた年間数千万枚あると聞いております。いわば無効だから各診療所に戻ってくるということなんですが、これは、それだけの郵便代でもかなりのコストがある。これも、そういったものが導入されて解消されれば、大幅な事務コスト削減になると思っております。

 また、もう一点なんですが、医療の場合、このマイポータルでございますが、こちらで自分の受けたレセプト内容、薬等、これを見ることができるように検討されている、そういったお話は現時点でございますでしょうか。

とかしき大臣政務官 今委員御指摘いただきました内容についても、今検討中でございます。

山之内委員 ありがとうございます。ぜひ、そういったものを実現していただきたいと思います。

 といいますのも、私より前に、日本維新の会の松田委員からもお話ありました。先ほど、千葉県にある亀田病院の例を申し上げられたと思います。千葉県は南房総地区に半径五十キロの地域医療の中心である亀田病院、こちらは、赤字覚悟で九五年に日本一早く電子カルテ化を導入し、独自のソーシャルセキュリティー番号、社会保障カードサービスを二〇〇二年から導入している。いち早くそういったものをされている。退院後も自分のカルテを患者が見ることができるシステムを構築して、地域の医療機関に無料でシステムを配付して、結果、救急車の患者のたらい回しを大幅になくした。地域医療のシステムに貢献しているとお聞きしております。

 私はこちらの取り組みはすばらしいと思います。本来、こういったものは行政が積極的にすべきことであって、それを赤字覚悟、不採算覚悟でされている。このような取り組みに関してはどのように感じられますでしょうか。

とかしき大臣政務官 ありがとうございます。

 今すばらしい事例を御報告いただきましたけれども、そういった先進的な取り組みをしているところを積極的にPRして、そして、背中を押すような政策を今後考えていこう、このように考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 続きまして、法人番号制度、こちらについてお伺いしたいと思います。

 まず、重複するかもしれませんが、根本的に法人番号制度の趣旨の方を教えていただけますでしょうか。

向井政府参考人 税、社会保障の分野におきましては、個人だけではなく、法人が関与するもの、税の場合ですと法人税とか法人住民税とか、あるいは、社会保障ですと社会保険料の特別徴収みたいなことがございます。

 これらにつきましても、効率性あるいは国民の利便性を高めるために番号を入れた方がいいだろうということでございまして、法人番号を導入したものでございます。

 我が国では、分野横断的に、特定の法人等を一律に識別可能な番号が存在しないということもございますので、この番号制度に法人番号制度を導入したというふうなことでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 こちらは、今、主にベースとなるのは各法務局にある商業登記簿、そういったデータがベースになると思っております。

 こちらの方、前回、他の委員もおっしゃられました。もともと、今、業種はクロヨンと言われていると。サラリーマンの方々は、当然会社の方が把握されますので、九割把握している。事業者は六割、第一次産業は四割と言われていました。

 つまり、法人番号の付番対象、こちらなんですが、資料にもありますとおり、まずは、国の機関及び地方公共団体、括弧二番、登記所の登記簿に記録された法人等、三番は、法令等の規定に基づき設置されている登記のない法人、四番、上記法人等以外の法人ですね。

 この中で、個人事業主なんですけれども、こちらの方に関しては、五十八条で、他の法人は届け出て法人番号の指定を受けることができるとあります。つまり、積極的に個人事業主の方々が申し出て初めて番号が振られるということであると認識していますが、できれば、こういったところにこそ、所得の把握等、番号が振られなければ、例えば登記簿は今の状況とさして変わらない状況になってしまうのではないか。

 その観点から、個人事業主等の番号を振る、こちらについて教えていただきたいと思います。

向井政府参考人 個人事業主には個人番号が振られますので、その市町村長から指定される個人番号によって、そういう個人の事業所得についても、名寄せ等の所得把握を図るということでございます。

山之内委員 そうなりますと、例えば個人事業主のもとで働いていらっしゃる方、バイトの方も含めまして、そういった方の場合はどのように対処されるのでしょうか。教えていただけますでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 例えば法人の場合ですと、その従業員の住所、氏名に番号をつけて、所得額とかをつけて、源泉徴収税額をつけて税務署に提出することになります。それに、その法人の法人名、法人の住所、それから法人番号をつけて出す。

 個人の事業主の場合は、自分の従業員の住所、氏名と番号とをつけて、所得とかを書いて出すのと、出すときに、個人事業主そのものの個人の名前と住所、その他の情報プラス個人番号をつけて出す、そういう形になろうかと思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 また、今度は特定個人情報保護委員会、こちらについてお聞きしたいと思っております。

 こちらの方は、四十条で、委員長プラス委員は六名、プラス、答弁でもありました事務局スタッフ等、人数に足りない場合は増加とある。また、こちら、会社数も日本では二百五十万近くございますし、個人の番号となりますと一億二千万、このように莫大な数の管理をしなければいけない、情報保護の観点からしないといけない。その際に、五十条に、指導、監督、助言することができるとありますが、こちらの方、多大な対応、人数的な、物理的な面もあると思いますが、こちらに関してはいかがお考えでしょうか。

甘利国務大臣 いわゆる三条委員会として、独立性が高い、委員長以外に最大六名の委員で構成される委員会でありますが、この委員会の仕事というのは、個人番号を取り扱う者に対する監視、監督をしっかりするということであります。

 これらの者に対して指導、助言、勧告、命令、報告徴収、立入検査、これらを行う権限を有しておりまして、関係行政機関の長に対して、システムの構築及び維持管理に関して必要な措置を求める権限などを有する。それ以外に、規則の制定権であるとか、個人番号等の保護に関する施策に関して内閣総理大臣に意見を述べる権限を有するわけであります。

 このような強力な権限を有する第三者機関を設けることが、個人番号を含む個人情報の適正な扱いの確保に大きな効果があると考えております。

 もちろん、事務体制数十人でスタートでありますから、森羅万象、全部これを把握できるわけではありません。個人情報に接する者がきちんと法令にのっとって適切な対応をするかをまず監視するところでありますし、一々監視をして、そばで見張っているわけではありませんから、システム上に権限がある者以外が接触した場合にはアラートが出るようなハードの仕組みにしていかなきゃならないと思います。もちろん、不正が行われているということは内部から通報等も当然あろうと思いますし、そういうものにしっかり対応できるようにしていきたいというふうに思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 私は、最初に申し上げましたとおり、このマイナンバー制度というものについては賛成でございます。もちろんこういったものを導入しなければならない。ただ、利便性があるもの、メリットもあれば、やはりデメリットもある。こういったデメリットを可能な限り削っていかなければならないと思います。

 昨日、ある新聞ですが、住基ネットにシステム障害があった、二百三十一市区町村で一万人分のデータに文字化けがあったと聞いております。こちらの方は、原因は地方自治情報センターが配付したサーバー用修正プログラムのミスであると書いております。

 マイナンバーにおいても、独自の文字コードで人名漢字を使うと、さらに大規模な文字化け、エラーの可能性もあると。こういった観点からも、細部の点、こういった点も踏まえてやらなければ、結果、利便性もしくは使い勝手が悪いものになってしまうのではないかと思っております。

 時間が来ましたので、最後ではございますが、やはり行政の効率化により、このシステムをよりよいものにしていく、歳出を抑えることが前提だと思います。やはり私どもは、行政分野だけでなくて、医療、民間まで、長期的な展望を持った中で、このマイナンバーというものの活用範囲を広め、かつ、安全性の高いシステムにしていただきたいと思っています。

 システムや制度の全ては細かい細部の点に宿ると思っております。構想がよいものであっても、中身が不十分であると、当初の構想と違う方向性を向いてしまう、そういったこともあると思っておりますので、当初の構想のまま、よりよいシステムを国民が享受できるようになるように、今後とも進捗状況を確認させていただきたいと思います。

 以上をもちまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平井委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。ラストバッターでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、やはり今までの質疑でも出てまいりましたが、このマイナンバー関連制度、非常に有用な制度であると同時に、やはり国民目線に立ちますと、怖さもあるのかなと。特に午前中の質疑で、まさに政府の審議官が御答弁なされたとおり、マイポータルというものが入ると、一段セキュリティーのレベルが落ちると。これはまさに答弁でお認めになったとおりでございますということでございまして、まず、このセキュリティーの方の考え方から質問させていただきます。

 これまでの質疑でも、万全の体制、最新の技術、それからヒューマンエラーも最小に抑える、そういうことで最大限努力するというようなお話がございますが、しかしながら、そうは言っても、やはり一〇〇%ということはないのであって、私が思いますのは、これはある意味、原発事故と同様、万が一のことがあったときに、その万が一の事態について、非常に重大な事態なのか、ある程度重大な事態なのか、あるいは個別の事例で遮断できるのか、そういった事例に合わせて、政府内で、あるいは、プラス、今回のこの番号法の制度ですと、非常に多くの行政機関や年金機構等、団体にかかわる制度でございますので、ある意味で非常に危機管理が難しいのではないかというふうに思うんですね。

 その万が一のときに、危機のレベルに合わせて、それぞれの団体が、政府内の行政機関プラス地方自治体、幾つぐらいあるのでしょうか、千八百でしょうか、プラス年金機構等、どういうふうな体制をとっていかれるのだろうか。あるいは、そもそも、最初に申し上げたとおり、事故が、万が一事件が起きたときの危機管理体制、こういうものを用意しておくんだ、そういう設計思想で本件をお考えになっていらっしゃるのかどうか、御所見をお伺いできればと思います。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 この番号法案、御指摘のとおり、もう既に議論されておりますとおり、漏えいを防止するために、制度上、そしてまたシステム上の保護措置を講じているところでございますけれども、まさに今御指摘ありましたとおり、万が一、万々が一に漏えいの事態が発生した場合に備えることも重要と考えておりまして、制度上、法律上の規定上、さまざまな措置を講じている、用意をしているところであります。

 まず、市町村長は、個人番号が漏えいした場合、そして、不正に用いられるおそれがある場合に、本人の請求または職権によって、今使用しているその個人番号にかえて新たな個人番号を指定する、そして、本人に通知しなければならないという規定を置いております。また、個人番号を含む個人情報が漏えいした場合に、第三条機関であります特定個人情報保護委員会が立入検査等を実施して、また、違反を防止する、是正するために必要な措置を講じるよう勧告、命令することができ、例えば再発防止策を講じるよう求めることや、漏えいに関するその個人情報の回収を求めるというようなことが考えられます。

 さらに、この番号法案では、特定個人情報保護委員会の命令に違反した場合であるとか、あるいは個人番号を含む個人情報ファイルを漏えいした者に対する罰則を規定しておりまして、その内容は、最高刑が従来の個人情報保護法制のおよそ二倍となるという内容にしておりまして、直接罰の範囲を民間事業者に拡大することも含めて、従来よりも罰則を強化し、抑止力を期待しているところでもございます。

大熊委員 ありがとうございます。

 そうしますと、前提として、やはり一〇〇%ではないんだ、だからこそいろいろ、二重、三重なんでしょうか、何重なんでしょうか、わかりませんが、対応を法的にも、あるいはそのほか、考えていらっしゃる、こういう理解でよろしいのかどうかという点。

 もう一点、個別にちょっと、まず総論で、その後条文に沿ってと思ったんですが、今、特定個人情報保護委員会のお話をいただきましたので、これは三十六条になるんでしょうか。ただ、副大臣がおっしゃっていただいたんですが、この場合、即時ではなく、期限を定めるというふうに五十一条でなっているかと思うんですが、なぜ即時ではないのか。申し上げたとおり、例えば重大な事案であれば即時にすべきであって、期限を定めるべきじゃないと思いますが、いかがなんでしょうか。あるいは、その期限というのは何日のことなんでしょうか。

 二点、お願いします。

西村副大臣 まず最初の御指摘の点ですけれども、繰り返し御議論になっておりますけれども、制度上、システム上、技術上を含めて、万全の措置をとるというのが大きな方針でありますし、そのためのあらゆることをやっていくということでありますけれども、ただし、万々が一のことがあるということはどんな制度にもあり得るわけでありますので、そこは、そうなった場合にも手当てをしているということでございます。

向井政府参考人 お答えいたします。

 是正の措置でございますが、もちろん、その是正の措置の内容によっては直ちにできないものもございますし、その措置の内容によって時間がそれぞれ異なることから、措置の内容が可能な限り短い範囲で期限を定めるものというふうに考えております。

大熊委員 やはり重大な事案の場合は、期限がゼロ、つまり即時ということが必要なのではないか、そのために条文上も明記すべきではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 即時というのは、期限一日とかでも即時になるのかどうかというのはあろうかと思いますけれども、この勧告、命令に明確に期限を定めることにしておりますのは、期限を定めることにより、ある意味、その期限の定め方をちゃんと迅速にする必要はもちろんあろうかと思いますけれども、対象者に対して迅速な対応を求めるとともに、罰則の対象となる命令違反の時期が客観的に明らかになるということでございます。

大熊委員 罰則までの対応ということであれば、ある程度の期間が必要なのかもしれませんが、重大かつ例えば緊急の事態ということですと、やはりここは即というような、そういった条文であるべきではないかというふうに引き続き思うんですが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 例えば漏えいが生じたとかいうふうなことになりますと、まず、システムそのものをとめるということは即時に行うことになろうかと思います。

 その上で、システムを改修して、漏えいしている部分というのを漏えいしないようにするという分については、ある程度時間がかかるので、期限を定めて命じるというふうな格好になるのではないかというふうに思います。

大熊委員 対応については、では、即時の対応、システムをとめる、そういう対応になるということなら、それは、条文上どのように担保されることになるんでしょう、この五十一条ですと。即時それをやるんだということを、五十一条の表現でどこで読み込めるんでしょうか。

向井政府参考人 要するに、「期限を定めて、」というふうに書いてございますので、その期限を例えば一時間とか一秒とかいうふうな定め方も、「期限を定めて、」ということになろうかというふうに思います。

大熊委員 その意味では非常によくわかったんですが、そうしましたら、ちょっと時間も、こればかりやっているのはあれなんですが、その期限のそれぞれの定め方というのは政令で定める、そういう仕切りなんでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 委員会の命令、あるいは是正命令でございますので、委員会がその都度、その事案に即応して決定するということになろうかと思います。

大熊委員 ありがとうございました。

 やはり怖いなというふうに、具体的に、あくまでもこれは想像ですが、近い将来こういうことが本当に起こってはほしくないなと思うものの、やはりアメリカの事案を見ると、先ほどの午前中の質疑で出たデータよりも、私がちょっと持っているのはもっと直近のデータでございまして、二〇〇九年にアメリカで四十五万六千四百五十三件、これはある民間の研究者のレポートでございますが、二〇一一年に百十二万五千六百三十四件という事件、事故ですか、発生しております。

 これを仮に、アメリカは写真がないんだというお話なんですが、写真があるなしにかかわらず、マイポータルというものを通じて公的個人認証があったとしても、例えば、老人の家にアクセスをしまして、電話なり訪問で、おじいちゃん、おばあちゃん、法律が通ったから全員パソコンでいろいろやらなきゃいけないんですよと。その場合に、いや、私はパソコンも使えない、持ってないよということであれば、その犯人がパソコンを持ってきて、では、かわってログインしていろいろ手続をやってあげましょうと。

 手続等は、これはやはり一番リスクとして私が思うのは、日本の場合、すぐ見えるのは、いろいろあるかもしれませんが、やはり税還付八兆円ですね。今回調べたところ、日本の税の還付というのは非常に大きくて、八兆もあって、一番大きいのは消費税のようなんですが、所得税も含めて。これをマイポータルを通じて、要は、確定申告のときの、最後の右下に口座番号を書くところ、あるいは入力するところがございますが、ここを変えられてしまうということが、これは技術的に対応できたとしても、そういった老人のところにやってきてというようなケースは、どうしてもこれは防ぎようがないのではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイポータルの公的個人認証の場合、最初に、一旦役場に行って本人確認をする必要がありますので、まずそこのところでかなりのハードルがあろうかと思います。

 ただ、それも済ませたやつをだまされたという話になりますと、それはまさに、番号制度があるなしにかかわらず、そのような不正、詐欺事件というのは起こり得るのかなという気はいたします。

大熊委員 もちろん、番号制度があるなしに、そういうケースで、現在でも電話による何とか詐欺とか訪問販売まがいの事件というのがあるわけでございますが、さらに、便利になるこういう制度をさらに悪用するということは十分に現実的に想定されるわけでございまして、やはりこの辺になりますと、まず、国民の皆さん、特に、ふだんパソコンを使わないような層の方々、そういう方々への、非常に大きな労力を使った周知徹底というのがもちろん必要なんじゃないかなと思うんですね。

 例えば、犯人が、わかりませんが、やりそうなところというのは、老人の多い地域を集中的に狙って訪問してくる、あるいは、電話番号、町会の名簿か何かを持って電話をかけまくるというようなことが想定されるわけなんですけれども、この辺のところは、念のため、そうだろうと思いますが、どのような対応をとられるのか、周知徹底の方法を具体的にお教えいただければと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 番号制度、番号そのものは二〇一六年一月でございますけれども、マイポータルはその一年おくれになろうかと思うんですが、それぞれの番号制度を開始するとき、あるいは情報のやりとり、情報連携を開始するとき、マイポータルを開始する以前の、特に前半年ぐらいは、やはり集中的な広報活動が必要だと思っております。

 それらにつきましては、先生御指摘のいわゆる成り済まし犯罪等の防止のための広報もあわせてする必要があるのかなというふうに考えております。

大熊委員 わかりました。

 それでは、これまでも幾つか出ていた議論でございますが、分野別番号への移行でございます。

 午前中も、アメリカの国防総省がセキュリティーナンバーをやめてDODナンバーというのをという話が出ましたが、これについては、いわゆる分野別番号については、どのようなタイミングで検討をされるのか。やはり医療の情報、三年後、見直しのときに検討する、そういう理解でよろしいんでしょうか。それとも、その手前から何かお考えになられる、そういうことなんでしょうか。

向井政府参考人 医療分野につきましては、厚生労働省で、既に現在、別途検討しておりますが、それがいつごろできるかについては、まだ現時点では明らかになっておりません。

 それ以外の分野、別の行政分野とかあるいは民間につきまして、この番号を拡大するのか、別の番号を使うのか、あるいは今現在使っている番号とのひもづけを行うのかという、まあ通常考えられるのは三通りぐらいだと思いますけれども、それらについては、三年後の検討に合わせて行われるものだというふうに考えております。

大熊委員 アメリカの方の事例なんですけれども、分野別番号に移行しつつある状況なんでしょうか。その中で、私はさっき二〇一一年のデータを申し上げましたが、分野別番号に移行することによって、事件、事故というのは、実際、アメリカでは減っていっているものなのでしょうか。それとも、関係なくふえ続けているといいましょうか、余り変わらないのか、どちらなのでしょうか。いかがですか。

向井政府参考人 アメリカの場合、一部について、別の番号を使おうかというふうに、今まさに少し入りかけている段階だというふうに承知しておりまして、それの効果については、現在把握しておりません。

大熊委員 私、きょうはちょっと資料を持っていませんが、国防総省は去年からもう使っているんじゃないでしょうかね。使いつつあるじゃなくて、使って、もう既に始まっているかと思うんですけれども、分野別番号。一年たっていると思うんですけれども。

向井政府参考人 国防総省については、たしか一年ぐらいたっていたと思います。

 ただ、その結果としてどうなったとかということについては、現在把握しておりません。

大熊委員 分野別番号について検討する、三年後だからいいやということよりも、やはり、一年、外国とはいえデータがあると思うので、ぜひその辺のところをまた別途教えていただければ助かります。

 そして、またマイポータルの関連なんですけれども、マイポータル、確かに危険性は、セキュリティーのレベルは一段落ちるものの、便利だろうなというふうに私も想像をいたします。

 一方、条文上は、一年後の措置とはいえ、附則の中で、これはちょっとテクニカルな話なんですが、六条の五項でしょうか、書かれているのは。これはちょっとどうしてなのか。本体も、それだけ、内閣官房さんの資料によると、結構大々的にマイポータルの宣伝といいますか、説明、絵を紙でいただいているんですが、条文の本体に出されなかったのはどうしてなんでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイポータルというのは、例えば、情報をパソコンで得るとか、あるいは電子申請を行うという部分につきましては、むしろ既に、法律事項ではなくて、現にできる、やろうと思ったらできる状態にありますので、法律事項とはなり得ないものですから、本則では規定しなかった。実際に、昨年出した民主党政権時代の法律では、そこの部分は書かれていなかったということでございます。

大熊委員 国民の利便性ということを強調されるのであれば、それでも法律事項として本体の方に書かれた方が、より政府側にとっての目的に沿ったものではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょう。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイポータルのようないわゆる法律事項でないものを、確かに本則で書いている例もないわけではございませんけれども、通常、法律事項でないものを、政府はこうやるべきであるというふうな規定をする場合は、附則の方が普通かなというふうに考えております。

大熊委員 わかりました。

 同様にマイポータルに関してなんですが、プッシュ型のサービスを使って、本人の利益になると思われるものについてサービスを行うというような、そういう規定があるかと思うんですが、例えばの例で、質問通告もさせていただいております、期限の過ぎた税金の督促ですね。これは、本人の利益になるのかどうかというのは微妙なところだと思いますが、これについては、されるということなんでしょうか。

刀祢政府参考人 お答えいたします。

 マイポータルにおけます税務面でのプッシュ型のサービスといたしまして、自己の過去の税務申告や納付履歴に関する情報など、納税者に有用な情報を掲載することを検討しているところでございます。

 今お話ありました税金の督促というものにつきましては、国税通則法の法律上、国税の納期限から五十日以内に督促状を発することとされておりまして、マイポータルに掲載することにつきましては、その効果や費用などに鑑みれば、現在のところ、考えておりません。

大熊委員 法律上はそうなのでしょうが、一般的な国民の意識からすると、やはり、忘れていた場合なんかは非常に便利なのかなと。嫌がる方もいらっしゃるかもしれませんけれども。

 そこはやはり、後で給付つき税額控除の話もさせていただこうと思うんですが、番号という仕組みをつくるというのじゃなくて、使うという方をぜひリンクさせて制度設計をしていただくべきではないかなと。特に、国民の利便性という観点からすると、こういう督促のようなことも含めて、使う方、ここをぜひ、六条のところでいろいろ書かれておりますが、ここに追加されることを含めて、御検討されることはいかがでございましょうか。

刀祢政府参考人 制度的な説明を少しさせていただきますと、国税通則法におきまして、国税の納期限を過ぎても国税を完納しないときには、その方全員に督促状を送付して、その納付を督促することとしております。

 これについては、単なる事実上のものではございませんで、法的な効果がございます。時効の中断、差し押さえの前提条件を満たすという二つの効果を持っているものでございまして、現状では、マイポータルに電子的に掲載するだけでは、その法的な効果は得られないというものになるかと思います。

 他方、マイポータルに税金の督促を掲載するためには、いろいろなシステムの開発とか運用の経費とか事務的な経費もいろいろかかるわけでございまして、マイポータルに掲載することがどのように納税者の利便に資するかという点も含めまして、費用、効果を考えますと、現時点では考えておらないということを申し上げました。

大熊委員 わかりました。

 それでは、そもそも論の、肝の情報連携のところについて、またおさらいも含めて教えていただければ。

 事前に事務方の方にお電話をさせていただいた、情報提供ネットワークシステムの中の仕組みなんですが、それぞれの個人番号に対して、それぞれ行政機関を識別するための符号が振り出されますということなんですが、行政機関というのは当然複数あるわけでございますので、一つの個人番号に対して複数の符号がついていくということで、ある行政機関等が個人の情報を要求した場合は、その行政機関の個人番号に対応した符号をもとに、別の符号を持った別の行政機関に対して、個人番号に対応した特定個人情報を提供する仕組みだというようなことのようなんです。

 以前、内閣官房さんの方からも、紙で、ひもつけが横に、行政機関A、B、Cとなっているもの、午前中、共産党の赤嶺委員が出されたような、あの資料は承知しているんですけれども、事象の事柄が起こる順に、つまり、ある行政機関が中継サーバーですか、情報提供ネットワークシステムのサーバーの方に情報提供を依頼する、そこで符号がついて、その情報提供ネットワークシステムの方から別のデータを持っている先の行政機関にリクエストをして、データはそっちの方にあるわけですから持ってくる、符号と符号同士を結びつけるという、これを、時刻の起こる順に、わかりやすいチャートのようなものを、これは、私が申し上げていることをほとんどの国民の皆さんは理解していらっしゃらないはずなので、ブラックボックスではどうしても不安だという気持ちが出てくるということだと思いますで、こちらは、やはり政府の目的に照らしても、こういったものを御用意いただかないと、単に、午前中の共産党の委員の方が出されたようなチャートですと、どういう順番でやりとりがされていっているのか、一つの個人番号に対して複数の符号がついているということも、余り認識されていらっしゃらないのではないか。私も、電話で個別に問い合わせるまでわかりませんでしたので、その辺のところをお願いできないかと思いますが、いかがでございましょうか。

西村副大臣 御指摘のとおり、鍵として、個人番号を使うのではなくて符号を使って照合していくわけでありますけれども、しかも、それが幾つかに分かれる、機関ごとに分かれるわけでありますので、非常に複雑な仕組みになっておりまして、これまでも事務方は、いろいろ工夫しながら、国民の皆さんにもわかりやすく、説明に努めてきているんだろうと思いますけれども、確かに、この図でもわかりにくいところがあると思いますので、御指摘も踏まえながら、よりわかりやすい図面も用意して、一層の説明に努めていきたいと思います。

大熊委員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、やはり利用する方とのリンクということで、給付つき税額控除との関係でございます。

 先日の与党の質疑の中で、甘利大臣が、公明党の浜地委員に対して、例えば、所得制限を設けるといった政策の選択肢も広がり、より容易に公平性や効率性の確保、また国民の利便性向上を図ることが可能になるというお話をいただいておりまして、まさに、そういった考え方の一つの制度というのは給付つき税額控除の制度なのではないかなというふうに考えているところでございます。

 政府案の法案の方にも、せっかく附則で、検討等ということで第六条にいろいろ並んでおりますので、こちらのところにこの給付つき税額控除に係る番号法関係の条文を入れるということについて御検討をいただけるかどうか、お答えをお願い申し上げます。

甘利国務大臣 低所得者対策については、自民、公明、民主の三党合意を踏まえて、昨年の八月に成立をしました税制抜本改革法において、今御指摘の給付つき税額控除と複数税率がともに検討課題とされまして、また、本年二月の三党合意におきましても、引き続き協議を行うとされたところでありまして、いずれかをとるのか、あるいはまた別な方法にするのか、結論が出ていないわけであります。

 したがいまして、低所得者対策について、与党間及び三党間での議論を踏まえながら、税制抜本改革法の規定に沿って検討すべきものでありまして、今御審議をいただいております番号法案の附則に規定する必要とは違うのかなというふうに考えております。

大熊委員 ただ、やはり、今はまだ低所得者向けの制度、どちらになるのかわからないという中で、この法案の審議が仮に進んでいって、採決して、通りましたということになった後で、仮に給付つきの制度だということになった場合は、こちらの法律で手当てできていないという、順番があべこべになってしまう。

 今決まっていないからこそ、決まったときに、給付つきの制度が入ったときにでもこの番号法が対応できるように、あらかじめ用意しておく。そういう意味で附則というふうに申し上げて、法律の本体ということではなくて附則の検討ということでいかがでしょうかという御質問をさせていただいているところなんですが、そうしないと、順番が逆になった場合に、番号法では手当てできていなかった、そうすると、また、では法律を改正するかという話になろうかと思うので、ロジカルに考えても、あらかじめ手当てをしておくということの方が逆によろしいんじゃないかなというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 給付つき税額控除につきましては、大臣がお答えしたように、税制抜本改革法に考え方が規定されております。

 番号法案の附則に同じことを書く必要があるかどうかにつきましては、仮にこの検討結果に基づいて給付つき税額控除が行われるということになりますと、どういう給付つき税額控除を行うか、当然、法律で別途定められることになろうかと思います。税法の改正なのか新法なのかわかりませんが、そういう給付つき税額控除のための法案が必要となりますが、それの附則で番号法案を改正することによりまして、給付つき税額控除にも番号が使えるというふうな格好になろうかと思います。

 したがいまして、現時点で検討規定を入れようが入れまいが、そういう措置は必要となってまいりますので、その考え方、検討の仕方については、既に税制抜本改革法の規定で書かれておることから、番号法案のそこに規定する必要はないものというふうに考えております。

大熊委員 そういう進め方もあるのかもしれませんが、それですとやはり二度手間になるのではないかなという、今やっておけば、先々その番号の改正というのは不要になるわけでございますから、事務の効率性を考えても、先に手当てをしておくのがどうして悪いことなのかなというふうにちょっと得心がいかないところでございますが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 附則に書きましても、これは政府に対して検討しろという規定でございまして、これによって、番号法を改正しなくても、給付つき税額控除の番号が使えるというものではございませんので、附則に書こうが書くまいが、さらに給付つき税額控除を創設する法案の附則か何かで番号法が改正になってまいりますので、そのときの手間は同じであるというふうに考えております。

大熊委員 一応、ただし、一言申し上げますと、附則でも措置となっているところも、まさにマイポータルなんかあるわけでございます。それは書きぶりによって工夫ができるのではないかというふうには想像をいたしますが、わかりました。

 もう一点、やはり給付つきの関係なんです。これは今度具体的な話でございまして、今般、事前にお打ち合わせをさせていただいた中で、証券口座については付番をされるわけでございまして、将来については、資産情報、有価証券の保有情報なんかも検討され得るということなわけでございますが、この場合に、証券口座をお持ちの顧客からしてみると、法律が通ったとはいえ、顧客そのものに通知とか確認なく自分の証券の情報が国税当局やその他の行政機関に提供されてしまうと。どういう提供がなされたのか後で見られるにしても、出されてしまうというようなことになり得るかと思うんですが、この場合の金融分野における個人情報保護に関するガイドラインというのが御承知のとおりございまして、ここの十三条との関係、これはどのようになっているんでしょうか。お願いします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 まず、既に証券の特定口座につきましては調書を出すような規定が税法上ございますので、現在でもそういう調書は出されております。

 番号法が入りますと、これに番号が振られるということでございますので、番号が振られた調書が出されるという意味で、具体的な取引の中身が既にもう出されているという点においては、変わらないところでございます。

 それから、調書として法定された資料でございますので、当然、個人情報保護の規定とは関係なく調書を出す必要が生じると。ただ、出てきた調書が、国税は当然その調書の情報内容を管理いたしますけれども、その管理している情報内容を法律にかかわりなく漏えいしたり、そういうことはやはり個人情報の保護から問題になる、そういうふうな関係になろうかと思います。

大熊委員 普通の、多分一般の証券口座をお持ちの方からしても、今の制度でも新たな情報というのは税務当局に行くから番号法が入っても変わらないよという説明ですと、実際上、なかなか顧客の納得はいかないのではないかなと。これはまた国民に対する広報の一環だとは思うんですが、ここは、場合によっては何かのトラブルが起こり得る、そういうところもはらんでいるのではないかというふうに指摘をさせていただきます。

 一方、銀行の預金口座の方には付番されないということで、これもせんだって議論させていただいたところなんですが、仮に、今後、アベノミクスが成功して金利が上がりますと、では、証券口座はそういうふうにやられちゃうんだったら銀行にお金を持っていくか、そういうことにつながるのではないかというふうにちょっと思ったりもいたしますが、その辺のところの公平性については、なぜ銀行は振られなくて、証券、生保は振られる、付番されるということになったのか、その辺のいきさつ、経緯を教えていただければと思います。

向井政府参考人 証券につきましては、いわゆる損益を通算する合算制度、損益通算制度がございまして、その損益通算制度を行う口座を一人一口座、行うように指定されておりまして、その口座については調書を出すというふうになっております。そういう意味で、税の特典を得られる、損益通算という特典を得られるという意味において、そういう特典を得られる口座についてはちゃんと税務当局で把握するという意味でございます。

 一方、金融の利子につきましては、一律の源泉分離、一律取りっ放しの課税でございますので、そういうことをしていないというふうなものでございます。

大熊委員 そうしますと、今後の検討としても、銀行口座には付番されないということで、今のロジックですと、もう決まりといいますか、そういうことだ、そういう認識でよろしいんでしょうか。

向井政府参考人 税法は毎年改正がございますので、将来において、利子についても損益通算するということがないわけじゃないので、そういう場合については同様のことが起こる可能性があるということ。

 それから、預金口座については、別の観点から、例えば、資産を把握しろという御意見がこの委員会の審議でもたくさんございましたけれども、資産を把握すべきという場合の、資産を把握して何に使うのかにもよりますけれども、それで預金が入るという場面。

 それから、マネーロンダリングの観点から、預金に番号を入れた方がいいと。例えば、アメリカの場合ですと、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーが口座開設に必要になっておりますけれども、それは基本的には、いわゆる不法移民対策とかマネーロンダリング対策でございます。そのマネーロンダリングの対策から、預金に番号を入れるという考え方。

 それからさらに、日本の場合、破綻法制で名寄せをすることになっていますけれども、必ずしも名寄せが完璧にできる状況にはございませんので、番号を使って、破綻した場合に名寄せを完璧に行うために口座に番号を入れるというものが考えられると思っております。

 ただ、預金口座に番号を入れるという場合は、新規に開設の口座に番号を入れるというのはすぐできますが、過去の預金に番号をつけるというのは、やはりかなりの時間がかかるものというふうに想定されます。

大熊委員 ありがとうございました。

 それでは次の、ややまた細かいテーマなんですが、住民票コードが変更された場合に個人番号は変わらないというようなお話かと思いますが、その場合も、変わらないんだという通知カードというのは届くのでしょうか、それとも、これは届かないということなんでしょうか。

 というのは、住民票コードと個人番号というのは一対一に対応というふうに思っておったわけなんですが、そうすると、住民票コードが変わっても個人番号は変わらないとなると、一対一にならないのではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 住民票コードですから、最初に個人番号を振り出すときは、基本的には不可逆関数を使うということになろうかと思いますので、基本的には、対応関係を持つテーブルを持っている、それで一対一のひもづけをするということになろうかと思います。

 したがいまして、住基コードの番号が変わったとしても、そのひもづけしているテーブルの住基コードの部分を変えれば済みますので、一対一の対応関係は変わらないというふうに考えております。

大熊委員 明快にわかりました。ありがとうございました。

 続きまして、国民の利便性という観点なんですが、例えば申告書については、こういう制度を導入している国々では、記入済みの確定申告書を導入している国々もあるというふうに聞いておりますが、こういった制度をお考えになられる余地というのはございますでしょうか。

刀祢政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございました記入済みの申告というものにつきましては、税務当局が把握している納税者の収入や控除に関する情報を事前に申告書に記入するものと理解をしております。

 今お話がございましたように、諸外国の中にはそのような運用を実施している国もございます。それらの国では、給与、年金、利子などの支払い額を事前に記入している場合があると承知をしております。

 これらにつきまして、我が国の現状を見てまいりますと、給与所得者や年金受給者のうち、多くの方々は確定申告が不要という制度になっておりますし、利子所得につきましても、原則として、分離課税等がございますので、確定申告の対象となっていないなど、状況が異なる面もありますことから、我が国におきまして、現状、記入済み申告書は必ずしも納税者利便の向上に大きな効果をもたらすとは考えにくい面がございまして、また、そうした施策の費用対効果も考えていく必要があるかと思っております。

 いずれにいたしましても、国税庁といたしましては、引き続き、番号制度の活用について幅広く検討してまいりたいと考えております。

大熊委員 私、個人的には大変大きなメリットを感じるんですが、国民の皆さんへのアンケートなりデータをもとに、余り国民に認識がない、そういう利便性に対するニーズがないようなお話がありましたが、そういうお話なんでしょうか。私、個人的には非常にメリットがあると思うんですが。

 余り利便性がないんじゃないかという、その根拠というのはどういうところなんでしょうか。

刀祢政府参考人 お答えいたします。

 今御説明いたしてまいりましたように、我が国の場合の、要は、記入済み申告書にうまくデータが記入できる方がかなり限られているだろうという面と、また、逆に、税務当局への法定調書等の提出の要件等がございますので、我々が申告前に把握している情報にも制限がございまして、ある意味では、多少ぱらぱらとしたものが書けないということはないと思うんですけれども、そういったものの記入のためにかなりのコストをかけて行うことが果たしていいのかどうかという点については、さらなる検討が必要であるというふうに考えております。

大熊委員 これは、私なりには、記入済み申告書の考え方というのは、住民票は要らないよという以上に、国民の大きな利便性の一つなのかなというふうに想像はしておったんですが、何か今のお話ですと、余り前向きでいらっしゃらないというところがちょっとがっかりしてしまいました。

 続きまして、やはり国民の利便性の関係ではございますが、先ほど来議論もありました、番号制の導入によって、各種申請の際に、住民票とかその他書類が不要になるというお話が出ております。

 そうしますと、逆に、自治体からすると、住民票等の発行手数料が減少する、収入が減少する、そういうことになろうかと思うんですが、どのぐらいの減少という、これは国民の方から見ると効率性、自治体の方から見ると収入の減ということになろうかと思うんですが、教えていただければと思います。

向井政府参考人 番号制度導入によりまして、住民票、所得証明書等の証明書の添付省略ということは基本的に起こるということでございますので、その部分、自治体から見れば、発行する住民票、所得証明書等の各種証明書については交付が減ることになろうかというふうに思います。

 ただ、現在わかっておりますのは、発行枚数の全て、トータルはわかっておりますが、その内訳、交付目的ごとの内訳というのは把握しておりません。また、自治体によりまして証明書の発行手数料には若干の差異はございます。

 したがいまして、番号制度の導入によります自治体の証明書の発行手数料の収入の減少について、一定の仮定を置いて、大ざっぱなという話であるならば別として、具体的な形でお示しすることは困難ではないかというふうに考えております。

大熊委員 きょうの質疑でも、なかなか定量的には難しいというお話ばかりでございまして、今お伺いした個別のお話についても難しいということで、いつも、数字的な、費用対効果についての検証のデータ、材料がなかなか出てこないというところがちょっと正直戸惑っているところでございます。

 続きまして、ちょっと条文に沿って具体的にお伺いしてまいりたいと思うんですが、時間の関係で、山本大臣がお越しになっておられますので、ちょっと先に、政府CIO関係、IT基本法関係のところをお伺いさせていただきたいと思います。

 IT基本法の二十六条のところ、「所掌事務等」というところでございますが、「府省横断的な計画の作成」ということなんですが、そもそもこの府省横断的な計画というのはどんなものなんでしょうか。

 と申しますのは、通常、いろいろな事業部門がある大きな会社の、事業部門を通ずる情報システムといいますと、会計と人事、調達もあるんでしょうか、会計、人事の情報システムというのが一番メーンでございまして、こういった会計、人事のシステムを府省横断的な計画のうちの重要な部分というふうに認識されておられますでしょうか。よろしくお願いします。

山本国務大臣 御質問ありがとうございます。

 府省横断的な計画とは、IT戦略本部で扱う重要なIT政策のうち、複数の府省にまたがる施策について、重複の排除とか、情報システムの相互運用性を確保するための計画だというふうに捉えております。

 具体的に何を府省横断的な計画として内閣情報通信政策監に作成させるかというのは、これはIT戦略本部が決定するということになっております。IT戦略本部は、内閣総理大臣を本部長とする全国務大臣で構成され、本部長の指揮監督により調整が図られるということで、何が府省横断的な計画なのかということについては、IT戦略本部の判断と各大臣の判断は同じものになるのではないかというふうに思っていまして、先生のおっしゃったとおり、会計のシステム、人事のシステム、こういうことも、IT戦略本部で決めれば、それが府省横断的な計画になるということだと思います。

大熊委員 例えば、具体的に、先ほども議論が出ておりますが、旅費のシステムも各府省ばらばらである、こういうお話なんですが、こういうのは、IT戦略本部で時間をかけて議論をしなくても、即、やはりこれは共通システムなのではないかなというふうに普通の国民なりは思うかと思うんですが、それはそういう認識でよろしいでしょうか。

向井政府参考人 一般的に、旅費とか人事・給与システムというのは、当然府省をまたがりますので、府省横断的なシステムであることは間違いないと思いますが、それを政府CIOに委任するかどうかについては本部が決めるという格好になっておる、そういうことでございます。

大熊委員 たてつけは、法律上、本部が決めるということなんでしょうけれども、常識的に見て、議論するまでもなく、府省横断的にやらないといわゆる縦割りになっちゃうなというのは、今の旅費も、細かい、細かくはないでしょうかね、具体的な例だし、人事情報システムは、どの会社でも事業部門、またがってやるべき話だろうというふうには思うんですね。

 まず、法律上の答弁としては今のお話どおりかもしれませんが、やはりここは、常識に照らすと、そういう認識に立った上で、この先ちょっと御議論を進めさせていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 旅費のシステムにつきましては、現在調整が進んでおりまして、かなりのところまで来ておりますので、その先それほど問題はないかもしれませんが、人事・給与システムにつきましては、なかなか難航しているということもありますので、今後、CIOがまさに府省横断的なシステムとして管理していくということになる可能性が非常に高いというふうに考えております。

大熊委員 まさに、情報システムの統合がうまくいかない、あるいはシステム開発をやって大きな失敗が出てしまうというのは、技術的な問題よりも、業務フローがばらばらである、いわゆるBPRがちゃんとできていない、そういうところに多くの民間企業の失敗事例もあるわけでございます。

 例えば、まさに今審議官がおっしゃった、人事は難しいというのは、各省で人事システム、システムというのは技術的なシステムじゃなくて、体系なり運用がばらばらであるわけでございまして、だからこそ、甘利大臣がもともと担当していらっしゃった、内閣人事局というのをつくろう、こういうことでやっていたわけでございます。

 近い将来、内閣人事局というのが成立した場合に、このITシステムについて、では誰が権限を持つのかというのは、法律上も非常に微妙なところだろうと思うんですね。

 というのは、内閣人事局の設置については、公務員基本法の十一条で「関連する事務」というふうになっているんですね、ここから除かれちゃうことに、要するに、IT、情報システムが人事から関連しない事務になるわけなんですね。これは、普通に考えても、先ほど申し上げたとおり、全ての、人事だけに限りません、調達でも会計でも、情報システムと業務というのは一体化している、だからこそBPRが大事だ、これは世間のグローバルな、日本だけじゃない、世界じゅうの常識なわけでございまして、ここを切り離すのか、切り離さないのか。

 答弁的には、これは戦略本部でお決めになる、こういう御答弁になるのかもしれませんが、ここは、あらかじめしっかりと、まさに経営戦略を定めておく必要があろうことかというふうに思うんですが、御認識の方はいかがでございましょうか。

山本国務大臣 今おっしゃった内閣人事局を初めとする今後の公務員制度改革については、担当である稲田大臣のもとで検討されているというふうに承知をしておりまして、幹部職員の人事管理の一元化に係る情報システムの開発等に係る計画の策定は、これは、まず、国家公務員制度改革基本法に基づいて、制度を所管する部局で検討すべきものだというふうに認識しておりまして、今回の法改正により除かれるものではないというふうに認識をしています。

 なお、仮に新しい組織で新しい情報システムを整備するという場合には、単に個別に開発するのではなくて、府省共通のシステムを活用するなど、政府全体で効率的に行うための方策を考慮に入れながら、やはり政府CIOのもとで必要な調整を行っていく、こういう形で適切に対処していきたいと思います。

大熊委員 まさにそうだと思うんですけれども、恐らくというんでしょうか、内閣官房に設置されるであろう内閣人事局の、その局の事務そのものがまさに府省横断的な事務そのものでございまして、幹部人事の一元化でございますから。そうすると、ここで書いてある、IT基本法のまさに二十六条の二項一号の「府省横断的な計画の作成」ということに普通は考えられるのではないか。

 これはまさに、先ほどの答弁のとおり、IT本部で最終的にはお決めになるということなんでしょうけれども、この法律の書きぶりでいくと、お決めになるまでもなく、この二十六条の二項一号ですね、こちらの方の中に、府省横断的な計画、CIOのやる事務の中に条文上入ってきてしまう。それがまさに変なのではないかと申し上げているわけなんですが、ここのところのデマケがよくわからないわけなのでございますが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 内閣人事局の法案自体まだないので、仮定の話でお話しさせていただきますけれども、いわゆる人事局ができますと、一応、人事局というそのもの自体は、仕事自体は府省横断的な仕事をしているかもしれませんが、人事局のシステムそのものは人事局のシステムでございますので、通常、やはり人事局のシステム、ある省のある局のシステムのいわゆるシステムをつくるというものにつきましては、一義的にはその官庁、その省、その局にあるということでございます。

 ただ、そういう省庁横断的な仕事の内容であって、多分、そのシステムというのは各省とつながざるを得ないと思うんですが、そのつなぎ方とか、つなぐために最適化をどうするかとか、あるいは新しいシステムをどうつくるか、それは政府CIOが絡んでくるというふうなことだろうと思います。

大熊委員 やはり、事務そのものも全て府省横断的だろうというふうに私は認識しているんです。というのは、例えば、幹部の適格性審査というのが多分行われるであろうと。そのデータそのものというのは各省が持っているわけなんですが、そのデータベースと内閣人事局のシステムとが直結していないと仕事ができないはずでございまして、結局はつながっている、でも基本は別々ということにはなり得ないのではないかというふうに認識するわけなんですけれども、最後に一言だけ、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 その場合ですと、まず人事局と各省が直結するシステムをつなぐわけですが、人事局の中にある部分については、一義的には、予算の執行権とかそういうものは人事局にある。ただ、どういうシステムをつくるのが効率的かというのは、やはり政府全体として最適化を図る必要がありますので、それらについては、政府CIOが予算の調整をし、意見を述べるという格好になろうかと思います。

大熊委員 これはもう目に見えるように、綱引きが行われそうだということが今の時点からほぼ確実に予測できますので、そのようなところをちょっと、あらかじめこのように申し上げておきます。

 続きまして、戻りまして、本体の条文の方の一条の方でございますが、最初の「目的」でございます。

 先ほども出ておりましたが、法人番号についてなんですけれども、これは、そもそも法人番号の方の情報管理というのは、個人情報についてはいろいろと規定がございますが、法人情報の方の管理というのは、どういうふうに管理がなされるんでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 法人番号につきましては、個人情報に該当する個人番号とは異なりまして、法人番号自体を保護する必要はないというふうに考えておりますので、番号法上、個人番号に比べて法人番号に係る規定というのは限定されております。

 そのため、法人番号につきましては、官民問わず自由に機関内の法人情報とひもつけて管理する。例えば、ある会社が自分の顧客名簿にある法人について、その法人に法人番号をつけて管理するということは可能となっております。

大熊委員 法人番号にひもつけされる法人情報も、これは適切に管理する必要がないということなんでしょうか。法人番号にひもつけされるであろう法人の各種情報、本社所在地ぐらいだったらいいんでしょうけれども、このぐらい社会保険料を払っているとか、そういう情報が活用されるわけであろうと思いますので、その辺は何の規定も条文上なくて全然問題ない、こういうことなんでしょうか。

向井政府参考人 法人につきましても、いわゆる公開情報は別といたしまして、そうでないものにつきましては、企業秘密等がございますので、それらにつきましては、当然、法人番号そのものが個人番号と違うからといって自由になるというものではない。あくまで法人番号というのは、番号自体が個人情報にならないという意味で自由に使える、そういうふうな意味でございます。

大熊委員 個人番号自体も流通するわけで、法人番号にひもつけされている情報についても何かしらの法律上の対応が必要なのではないかというふうに申し述べます。

 あと二、三分なので、基本理念の、第三条のところに参らせていただきます。

 こちらは、一のところで、「行政運営の効率化を図り、もって国民の利便性の向上に資する」と書いてありますが、それ以外の行政運営の効率化の部分、この「もって」というのが、これが据わりが悪いように思うんですね。行政運営の効率化及び国民の利便性の向上ということですとシンプルに理解できるんですが、「もって国民の利便性」というところがつながらないんですが、この辺についてはいかがでございましょうか。

向井政府参考人 もとより、行政の効率化というのは非常に重要であります。したがいまして、番号制度の入る狙いとして、当然、行政の効率化がありますが、そこの規定の趣旨は、行政の効率化も、ひいては、最終的には国民の利便性ということに還元されるだろうというふうな趣旨であるというふうに理解しております。

大熊委員 手短に。

 では、例えばマイポータルは、行政の運営の効率化とは必ずしも言えないと思いますが、うまく使えば国民の利便性の向上になると思うので、これはちょっと、基本理念のところとマイポータルがつながらない、だから附則で書いているのかなというふうに勘ぐって思ってしまうわけでございますが、時間が来てしまいましたので、質問を終わらせていただきます。

 以上でございます。失礼いたしました。

平井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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