衆議院

メインへスキップ



第9号 平成25年4月26日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十五年四月二十六日(金曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 平井たくや君

   理事 木原 誠二君 理事 関  芳弘君

   理事 田中 良生君 理事 西川 公也君

   理事 平口  洋君 理事 若井 康彦君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中川 郁子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      橋本 英教君    平沢 勝栄君

      福山  守君    星野 剛士君

      宮崎 謙介君    山際大志郎君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      荒井  聰君    岡田 克也君

      後藤 祐一君    玉木雄一郎君

      津村 啓介君    遠藤  敬君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      山之内 毅君    輿水 恵一君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣         新藤 義孝君

   国務大臣         山本 一太君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           甘利  明君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房政府情報化統括責任者(政府CIO))  遠藤 紘一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  望月 達史君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     白須賀貴樹君

  大岡 敏孝君     宮崎 謙介君

  高木 宏壽君     中川 郁子君

  福山  守君     橋本 英教君

  山際大志郎君     星野 剛士君

  荒井  聰君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     瀬戸 隆一君

  中川 郁子君     高木 宏壽君

  橋本 英教君     福山  守君

  星野 剛士君     山際大志郎君

  宮崎 謙介君     大岡 敏孝君

  玉木雄一郎君     荒井  聰君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     青山 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(内閣提出第三号)

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四号)

 内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方公共団体情報システム機構法案(内閣提出第七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

平井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、内閣法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体情報システム機構法案並びに木原誠二君外四名提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案及び内閣法等の一部を改正する法律案に対する両修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房政府情報化統括責任者遠藤紘一君、総務省自治行政局長望月達史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 本日は、お忙しい中、総理、御出席いただきまして、ありがとうございます。

 この番号制度については、ちょっと歴史を振り返りますと、総理の奉じておられました佐藤栄作総理のころに、各省庁統一個人コード連絡研究会議というものが設営されて、そのころから大きな課題であったということがきょう一つの節目を迎えようとしているということにおいて、大変感慨深いものだというふうに考えております。

 その中で、この委員会の審議の中で条文修正の御提案をさせていただき、それもあわせて御審議いただいていることに、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、きょうは総理にお越しいただいておりますので、主に総理に対して幾つか御確認の質問をさせていただきたいと思います。

 今回の条文修正において、IT基本法の二十六条二項、つまりIT本部についての所掌事務を定める条項でございますけれども、この主語が、本部、すなわち全大臣を含む本部メンバー全体という意味ではなくて、本部長、すなわち総理大臣が権限を直接振るえるという形で、相当強化する形で修正させていただいておりますが、その具体的な効果として、二つほどちょっと確認をさせていただきたいんです。

 一つは、この二十六条二項の修正で援用している三十一条一項、これは、各行政機関に、情報システムの関連で、こういったことはどうなっているんですかといった、何か質問をしたい、資料提出をしてくださいというような規定でございますけれども、これについて、本部長である総理から、きょうお越しいただいております政府CIO、今、遠藤さんがお務めになられておられますけれども、政府CIOに委任できるという規定が追加されました。

 この具体的な運用についてでございますが、実際には、各省庁なんかに一々、一つ一つ総理から委任するというのはあり得ないと思うんですね。ぜひ、個別の各省庁に対して資料請求等をする場合については、包括的に総理から全部任せる、各省庁に好きな情報をどんどんもらってくれという形で包括委任をまずすべきではないかということ。

 あとは、この二十六条の所掌事務で、府省横断的な計画の作成、あるいは経費の見積もりの方針の作成といった所掌事務についても委任できるということになっておるんですけれども、これについても、一つ一つ細かいことは総理はなかなか大変だと思うんです。ぜひ、こういった事務については、政府CIOの示す方針に各行政機関は従ってほしい、その方向でちゃんと物を決めていってくれということを、あわせてIT本部をまず開いていただいて、全メンバー出席のもと、今の二つのことをまず決めるべきではないでしょうか。

 これがまさに、今回の修正に基づいたIT戦略全体を効果的に進める上で重要だと考えますが、総理の御見解をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま御指摘をいただきましたが、政府CIOは、政府のIT政策の司令塔として機能することが期待をされております。IT総合戦略本部において各府省が政府CIOに対して積極的に協力するよう周知徹底するなど、本部長として本部を指揮監督してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 ぜひ、その指揮監督の中に、今申し上げたような具体的なあり方で進めていただきたいと思いますけれども、これについては、また午後にも同僚議員の審議がございますので、その中でも触れていっていただきたいと思います。

 二十八条四項に本部長の勧告権というものが新たに加わりました。これは、例えば、政府CIOが各行政機関と具体的にどういう進め方をしていくのかという調整なんかをしているときに、なかなか決着がつかないといった場合に、伝家の宝刀として最後は勧告をするということになるんだと思いますが、例えば、そんなに言うことを聞かないんだったら勧告権を抜くぞというのをちらつかせながら、それはよくないから、その前にこれでのんでいただけませんかといったような運用が実態だと思うんですね。

 ぜひ、この勧告権を具体的にどういう形で使っていくのか、総理の御見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま勧告権の使い方についての御質問がございましたが、例えば、各省庁のIT投資の発注の仕様がまちまちで、省庁間の調整が困難であるため、政府全体のIT投資が不効率となっているような場合に、本部長である総理と政府CIOが密接に連携を図ることにより、本部長の勧告権を背景に府省間の調整を図っていきたいと思います。

後藤(祐)委員 この勧告権というのは、さまざまな分野で、あるいは内閣府設置法において定められておるんですが、なかなかこれがうまく機能していないという気もしますので、ぜひ、このITについては積極的に活用をしていただくようお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、今度は行政運営の効率化の観点から幾つか御質問させていただきたいと思いますが、今回、マイナンバー法案の目的規定の条文修正の提案をさせていただいているところでございます。

 この中で、長い条文なんですが、要するに、行政運営の効率化という部分と、公正な給付と負担の確保という要素と、負担の軽減という要素と利便性の向上、この四つをきちんと目的規定に入れたというふうにこの条文修正の趣旨は判断しております、私はこの提案者でもございますが。

 そして、これは単に条文を変えるだけではしようがないわけでありまして、実際にこれからマイナンバー制度を導入していくに際し、各府省、特に厚労省なんかは膨大なIT投資をしていくことになるわけでございます。具体的なIT投資をしていくに際して、この投資が、ITシステムが、今申し上げた四つの最終的な目的、効果につながっていくものでなければならないということがまさに目的規定に定めた趣旨だと思うんです。

 逆に言うと、各省庁における具体的なシステム投資、これは当然、予算要求につながっていくわけでございます。特に、二十六年度予算をどう組んでいくかということについては大変大きな課題になってくるわけでございますけれども、各省庁に限りませんが、各行政機関が、あるいは地方公共団体も場合によっては関連するかもしれませんが、こういったシステム導入に当たって、予算要求する前に、今言った四つの目的、効果、これにこういう効果があるんですということについての説明責任を各行政機関が負う、そういう効果がこの目的規定によって発生するというふうに私は考えたいと思いますが、このマイナンバー関連に限らないと思います。IT全体について、システム投資に当たって、ぜひ、今言ったような四つの目的、効果、これとの関係で、整備する側の説明責任を課すべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 議員の御指摘のとおりでございまして、社会保障・税番号制度に係るIT投資はもとより、本来、IT投資は国民に対するサービスの質の向上や行政運営の効率化に資するものでなければなりません。今後、IT投資を行う各府省においてしっかりと効果検証を行うとともに、十分な説明責任を果たすようにしていきたいと思います。

後藤(祐)委員 はっきりとした答弁、本当にありがとうございます。

 今の答弁は、これから行政機関全体でIT投資をしていく上で大変重要な御答弁だと思いますので、これは党派性、関係ありません。ぜひ、山本大臣も、それぞれきょう皆さん来ていただいておりますけれども、全行政機関を督励して、うまく進めていっていただきたいというふうに思います。

 具体的に、このマイナンバー制度の導入によってどういう便益があるかということについて、きょうは遠藤政府CIOにもお越しいただいておりますけれども、これについては、二〇一一年六月に社会保障・税番号大綱といったものが定められておりまして、これを前提として、マイナンバー制度導入の便益を定量的に試算するよう指示をされておられます。

 これを受けて、内的な作業なのかもしれませんが、試算をされているというふうに伺っております。実際に全省庁と合意がまだできていないですとか、あるいはかなりの仮定を置いて計算されているですとか、一定の条件はもちろんあると思うんですけれども、このマイナンバー制度導入による便益は大体どれぐらいになるのか、定量的な形で分析されたものをお答えいただきたいと思います。

 特に、この中の多くの部分は、IT化によって、それまで人手でやっていたものが人手でなくなるということによって、それまで三十分かかっていた仕事が五分で済む、あるいはゼロ分で済むようになって、人の労働量が少なくて済むという時間短縮によるものが結構あるというふうに伺っておりますけれども、このあたりも含めて、遠藤政府CIOにお答えいただきたいと思います。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 今議員から御質問ありましたように、確かにインターナルに試算をしたものはあります。しかし、中身が非常に仮定が多くて、これは外に出すにはちょっと問題があるなという判断を当時されて、表には出ておりません。

 金額的には、今議員がおっしゃったように、行政側で出るであろうというふうに計算された部分と、それから、国民とか企業とかで、ワンストップとかそういうことで二度三度手間をかけずに済むというようなことを算定して見込みを立てたというものと、大きく二つに分かれておりまして、合計で約二千億ぐらいと。

 ただし、それにはいろいろな仮定を経なきゃいけないことがあります。最初から二千億出るわけではございませんので、何年かかかって、最終的にはそこまで行くのではないかという試算がございました。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 当然、これは相当仮定を置いてしか計算できないものだと思いますし、時間をかけて実現していくというのはそのとおりだと思います。

 また、先ほど総理から明快な答弁をいただきましたように、これから予算をかけてシステム投資を決定していく前には、具体的に、このシステムをつくることでこういう便益が何百億円ぐらい上がるといったことを、当然、予算査定の前に、費用とその効果、費用対効果の分析をした上で予算査定をしていかなきゃいけないというふうに思うわけでございます。

 そういった意味で、今、遠藤CIOからもありましたが、行政運営の効率化によって得られる部分、例えば国民が住民票をとりに行かなくて済むことによってバス代がかからないとか、そういったものはちょっと試算をなかなかしにくいかもしれませんが、それが大きく分けてあると思います。少なくとも、行政運営の効率化部分というのは、ある程度行政側で計算できると思うんです。

 ですが、その多くは、これは前回、四月三日の委員会で新藤大臣から御答弁があったと思いますけれども、今まで、マイナンバー制度が導入される前はその関係の仕事についておられた方がこれによって仕事が減るというところの部分が、行政運営の効率化、コスト削減になっているわけですが、では、その方におやめいただくことができるかというと、そういうわけにいかないわけであって、実際、行政というのは大変忙しい、ほかの分野で大変行政需要が発生しているので、そちらの方に移っていただいてお仕事をしていただくというのが現実的ではないかというような趣旨の御答弁をいただいておりますし、私もそう思います。

 逆に言うと、それによる行政運営効率化分というのは一体どのぐらいなのか、何億円ぐらいなのかといったことをきちんと計算しないと、まさに先ほど総理に御答弁いただいた、費用対効果の分析はできないと思うんです。

 今の段階でどこまで細かいものかということではなくて、ぜひ、予算案を決める前に、今申し上げたような、人の移動による効率化分がどのぐらいの額になるのかということを定量的に計算して、それをきちんと、予算でかかる分と費用対効果の分析をした上で予算要求をするということでよろしいのかどうか。これについて御確認をいただきたいと思います。

新藤国務大臣 私も問題意識を共有しています。

 それから、これから行政の電子化、電子政府の実現をなし遂げることは極めて重要な課題だと思っているんです。その前提として、今委員がおっしゃったように、この仕事によってどれだけの仕事が削れるか、効率化が図られるか、そして、その分でその他の仕事が活性化するということ、それとコストのカットがどう影響するか。これは、余りにも仮定が多過ぎて、定量的なものが出ておりませんでした。

 私は今、総務省において、電子行政を進める上で、こういった、どこのコストをカットできるのか、それをさらに研究して、ある程度の数字を出してみようじゃないか、こういう指示を出しております。この作業はことしやろうと思っています。だから、それはそれでやっていきます。

 しかし、それと、その前提とした予算要求になるかどうかというのは、これはやはり各省それぞれのところでやってもらわなければなりません。だから、トータルとしてはこういった作業を進めていくということでございますが、それと予算執行との前提、これは柔軟にというか総括的に考えていただきたい、このように思います。

後藤(祐)委員 ぜひ、予算要求の前に、その定量的な、人員の分も含めた効果を各省に出すことをまさに説明責任として課していく、そんな進め方をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。

 さて、時間が少なくなりましたので。

 IT投資の前に、要は行政運営の効率化ですとか国民利便の向上といったものというのは、必ずしもITだけによるものではないと考えます。すなわち、法律もそうですし、日々の仕事のやり方自体を変えることで改善する部分というのは当然あるわけでございます。

 今回の法案の目的に加わった行政運営の効率化、公正な給付と負担の確保、負担の軽減、利便性の向上、これを実現するためには、お金のかかるIT投資をすることも必要なんでしょうが、その前に、まず業務改善、役所の中における仕事のやり方を改めることが前提だというふうに考えますが、これについて、これはまさに行政改革の必要性みたいな話だと思いますので、総理の御見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 行政改革は、行政機能や政策効果を最大限向上させていくとともに、政府に対する国民の信頼を得るために極めて重要な取り組みであります。

 このため、行政改革については、全閣僚から成る行政改革推進本部、そのもとにある私を議長とする行政改革推進会議において、無駄の撲滅、そして特別会計改革、さらには独立行政法人改革を中心に取り組んでいるところであります。

 特に無駄の撲滅については、今月五日の行政改革推進本部において行政事業レビュー等の具体的な進め方を決定いたしまして、政府全体として取り組んでいくことといたしました。

 また、マイナンバーはもとより、IT投資に当たっては、国民に対するサービスの質の向上や行政運営の効率化に資するものでなければならないのは当然であります。先ほど申し上げたとおりでございます。

 情報システムの整備に当たっては、対象となる業務をそのまま単純にシステム化するのではなく、業務の徹底的な見直しを事前に行うことが重要であります。政府CIO指導のもと、各府省において鋭意進めてまいります。

 いずれにせよ、政府一体となって、無駄の撲滅を含めた改革を断行していく考えでございます。

後藤(祐)委員 ぜひ、IT投資の前に、今総理がおっしゃられた、事前にこういった改善を行うことを徹底していただきたいと思いますが、その一つの例として、歳入庁について最後にお伺いしたいと思います。

 マイナンバー制度の導入によって、税ですとか厚生労働省関係の雇用保険料、年金、こういったものがつながってくるわけでございますけれども、そもそも、国税と労働保険料、年金保険料の徴収を一体化する歳入庁を設置するという形で仕事のやり方を変えれば、相当程度それだけで改善するわけです。

 例えば、納める側からすると、納税者の手続負担が減ります。また、国民負担の公平性というものが向上します。徴収額が増加した場合には社会保障財源が強化されます。あるいは、行政運営自体が、組織が合理化され、徴収コストも下がるという形で効率化されます。こういったメリットがあるということはぜひ御確認させていただきたいと思います。

 今、歳入庁の設置については御検討中だというふうに伺っておりますけれども、今はっきりした答えは言えないと思いますが、こういったメリットがあるということについて御確認をいただきたいのと、逆にデメリットとしてはどういったものがあるのか、そしてメリットとデメリットを比較考量してどうやって決めていくのかということについての御見解を最後に伺いたいと思います。総理にお願いしたいと思います。これは財務省なんかとも関係しますので。

安倍内閣総理大臣 政府としては、先般立ち上げた、内閣官房副長官を座長とする関係省庁政務官による検討チームにおいて、税制抜本改革法の規定に基づいて、これは昨年、三党で合意したものでございますが、年金保険料の徴収体制強化について、歳入庁も含め検討しているところでございます。したがって、現時点においては予断を持っているわけではございませんが、例えば、現在、年金保険料の徴収業務は非公務員である年金機構の職員が行っておりまして、歳入庁を創設して公務員に戻すことは、行政改革の取り組みとの関係で問題があるものと考えられるわけでございます。

 いずれにせよ、政府としては、税制抜本改革法の規定に基づいて、年金保険料の徴収体制強化等について、夏ごろを目途に論点整理を行うことを目指して、幅広い観点から検討していく考えでございます。

後藤(祐)委員 このマイナンバー制度と歳入庁は密接不可分だというふうに考えておりますので、ぜひ設置の方向で御検討いただきたいと思います。

 時間が来たので終わりますが、仕事のやり方を変えることが大前提なんだと。特に、きょう、ちょっと質問できませんでしたが、情報公開法を改正するですとか、あるいは、きょう、竹内財務政務官、答弁の機会を与えられなくて済みませんでした。旅費法を改正するですとか、幾つかあると思いますので、このあたりもIT投資の前提として、仕事のやり方改革をあわせて進められることを希望申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

平井委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。よろしくお願いいたします。

 いわゆるマイナンバー法案について、内閣委員会でも長時間にわたって議論してまいりました。この法案が成立しますと、日本のこれからの情報社会において極めて重要な社会インフラが整備されていく、またそのきっかけになるものだと思っております。いわば将来の日本社会のあり方を決めるような重要な未来に向けたインフラ投資の側面があろうかと思いますので、それに対して費用をかけるといっても、単なる費用便益を超えた、将来、日本がどういう国家になり社会を築いていくのかということも見据えながら、その手段としてマイナンバー制度というものをどういうふうに機能させていくとか、そういう説明が政治には求められているのではないか。いわゆる未来を語っていただきながら、このマイナンバー法についての意義づけをしていただくということが必要だと思っています。

 とりわけ、未来といいますと、人類史上未曽有の超高齢化社会を日本は迎えるわけなので、せっかく総理に内閣委員会にお越しいただいていますので、少し大きなところで、例えば、二〇二〇年ごろ、プライマリーバランス達成目標がそのころだということになっていますけれども、そのころにおいて、日本の国は、よく言われているように、高福祉・高負担なのか中福祉・中負担なのかといういろいろな選択肢がある中で、どういう類型を目指し、その中で国民負担率はどの程度のものが望ましい、あるいは消費税率はその中でどの程度のものがいいと考えるのか、あるいは自助、公助、共助のバランスをどう考えていくのか、総理自身の将来のビジョンのようなものをお聞かせいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 我が国の社会保障給付の規模は、北欧のような高福祉の国までには至っていないわけでありますが、国民皆保険そして皆年金を維持するなど、低福祉の国とは言えないと思うんですね。いわゆる中福祉の水準にあるのではないかと思います。

 一方、社会保障に係る負担の現状を見ますと、少子高齢化が進展する中で、中福祉を維持するための安定財源を確保することが課題となっているのは御存じのとおりでございます。このため、今回の一体改革では、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から改革に取り組んでおります。

 今後も、経済財政運営においては、少子高齢化が進展していくわけでありまして、社会保障制度の持続可能性を確保する等の観点から、消費税率の水準を含む受益と負担のあり方等を考えていくことが当然必要でありまして、国民負担率の水準も、それはあらかじめ設定するということではなくて、それに応じて決まっていくものと考えております。もちろん、その際には、国民の活力を損なわないということが極めて重要でありまして、そこのところを念頭に置いて考えていく必要があると思います。

 また、今後の社会保障改革に当たっては、自助、自立を第一に、共助と公助を組み合わせて、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べるという基本的な考え方も踏まえる必要があると思います。目下、いわゆる団塊の世代が年金受給世代に今入りつつあるわけでありまして、さらに、二〇二五年に向けて、七十五歳以上になるなど、人口構造が大きく転換することが見込まれるわけでありまして、受益と負担のバランスを図り、活力を維持しながら、社会保障を安心できるものにしていくことが大切だろうと。

 少子高齢化という極めて難しい難題を我々は抱えているわけでありますが、私たちの次のまたその次の世代の日本人に立派な国を残していくことが必要だろう、私たちの責任であろうと思っております。

松田委員 私は、同じ中福祉を実現するためにも、日本の場合は、人口構成がほかの国とは、異常に若年世代の人口の比率が低くなっていくということなので、実質的には高負担でなければ中福祉も実現しないんじゃないかというおそれが、今の社会保障システムのままではあるのではないかというふうに思っております。だからこそ、どういうようなシステムを今後描いていくのかということが問われているんだろうと思っています。

 戦後システムと言われるものがあったと思います。いわゆる終身雇用制のもとで、企業が個人の福利厚生まで含めていろいろな面を保障してくれた。それがだんだん崩れていって、今、個人を国家が直接しっかりと救済していくのか、あるいは共助でやっていくのか、どういう社会を築くのかという大きな選択肢が問われている中で、できるだけ、この社会保障、高齢化の負担の問題を、負担を上げないで解決するためには、かなり民間の力といいますか、共助の部分で、民がパブリックを支えていくようなものをつくっていく必要があるんじゃなかろうかと。

 そういった問題意識に立ちますと、このマイナンバーというものも、今は税と社会保障と防災に限られているんですが、もっと幅広く、民間あるいは地方自治体でもいいんですけれども、いろいろな番号制度、例えば地域における医療連携であるとか、あるいは福祉のネットワーク、最近では高齢者見守りシステムというものがどんどん民間でできているんですが、そういうところと連携、接合させながら、共助で支えていくために、そういったものを役立てていく。その一番最初の突破口としてマイナンバーが位置づけられるというふうに位置づける、そういう未来像を示していきますと、国民もなるほどということになるんじゃないかというふうな気がしております。

 いろいろな国で、例えばバルト三国のエストニアというのは、単に公的なもの以外にも、銀行預金から医療情報まで、全て一枚のカードで足りるような国になっていますし、あるいは、スウェーデンというのはちょっと行き過ぎなぐらい、汎用番号をあらゆるところに張りめぐらしている。その結果、成り済ましの事件が起こったりとか、いろいろな問題も起こっているんですが、それぞれどういうような社会保障を目指すのか、あるいは国家の国家像を目指すのかによって、このマイナンバー制度の将来のあり方が決まってくると私は思っているんです。

 総理にお聞きしたいんですけれども、いわゆる国民の利便性あるいは未来の社会のあり方ということとの関係で、この社会インフラとしての個人番号制が持つ将来の可能性をどの程度の範囲で総理はお考えになっているか、お聞かせいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 この個人番号の利用範囲については、民間でも幅広く利用できるようにすることが国民の利便性に資するという御意見がある一方で、プライバシー保護等の面から、幅広く利用することを懸念する御意見もあるわけでございまして、まずは社会保障分野、税分野などに利用範囲を限定をしています。将来の個人番号の利用範囲の拡大については、番号法の施行の状況等を見ながら、国民のニーズやそして理解を得ながら、検討を進めていくことが重要であろうと。

 国民の皆様がマイナンバーについて十分に知っていただいている、あるいは理解をしていただいているかといえば、まだまだそういう状況にはございませんから、まず皆様方に理解をしていただきながら、また、理解を進めていく中において、これは考えていくことが、検討していくことが重要ではないかと思います。

松田委員 だからこそ、将来こういう可能性がある、展望ができるのだという説明をすれば、なるほどという国民の声も大きくなっていくんじゃないかという気がしないでもありません。

 おっしゃるとおり、いろいろなリスクはあろうと思います。情報漏えいリスクであるとか、リスクというのはどんなものにもつきものなので。この委員会でもリスクに関する質問は非常にたくさん出ました。懸念もあります。

 ただ、懸念があるからといってだめだということであれば、世の中、進歩しないわけでありまして、やはりリスクをデメリットとすれば、デメリットを上回るメリットがあるとメリットを大きく示して、そして一方で、デメリットを極小化していく努力を具体的に示していく必要があろうかと思っております。

 そこで、私ども日本維新の会、提案型野党ということで、今回、附帯決議を提案させていただくことを考えました。その一つは、デメリットを極小化するために、この間、原発の問題でも想定外の事態ということがありましたが、想定外の事態を防ぐためには、やはり根本において組織運営、マネジメントをしっかりさせる必要があるだろうというふうに考えた次第であります。

 多くのいろいろな事故というのは、やはりヒューマンエラーといいますか、人的な面に負っている面が多いとすれば、やはり専門人材の育成、あるいは関係職員のモラルの向上を図っていく必要がある。あるいは不正やエラーに対して制裁を強化するということも必要ではないか。いわゆる守秘義務について、一般の公務員を上回る厳罰化を検討していただくということも考えられるんじゃないか。

 あるいは政府CIO、先ほども答弁いただいていますけれども、責任の所在をもっと明確化して、それも任期を長期化していただく。政治家はもうしょっちゅう、大臣もかなりかわりますし、私も昔、役人をやっていましたけれども、二年ごとにころころポストがかわって、ややもすると、責任は先延ばし、先送りとか、庭先をきれいにするとか、長期的戦略性を欠いてしまうというのは我が国の行政の体質でもあるので、この際、CIOについては、マイナンバーのような長期にわたって発展していくシステムでありますので、できるだけ長期間、任についていただくとか、そんなようなことを提案させていただこうかと思っておりますが、以上、申し上げた点につきまして総理の御見解をお聞かせいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 御指摘をいただいたように、社会保障や税番号制度の実施に当たっては、個人番号を取り扱う機関において、組織として個人情報の保護がしっかりと図られることが重要であります。

 このため、番号法案においては、各機関の職員によって番号制度の趣旨、内容が十分に理解され、法案の規定が確実に遵守されるようにするため、個人番号を取り扱う機関等に対し、その漏えい等を防止するために必要な措置を講じることを義務づけており、これに基づいて、こうした機関において、職員に対して個人番号の保護に関する適切な研修教育を実施することが求められることになります。

 さらに、情報の漏えいに対する罰則を現行の個人情報保護法制よりも強化をしています。

 また、政府CIOたる内閣情報通信政策監については、今回の法案によって、内閣官房において政務官クラスの位置づけとするなど、新たに権限を付与し、これに基づき、番号に係るシステムを構築、運用する関係府省と十分に調整、管理することとなります。

 そして、任期でございますが、その任期についても、こうした任務を遂行するのに十分な期間となるよう内閣として配慮していきたい、このように考えております。

松田委員 ありがとうございます。

 私どもとしては、それに加えまして、これからマイナンバー制度のシステムが構築されていくことになるわけですが、その過程で、CIOに、国会に対する報告、定期的に報告をしてくださいということ、あるいは、先ほどの議論ではありませんが、三年後に見直しということでございますけれども、その見直しに向けて国民に十分な説明といいますかメリットの説明をしっかりしていただくこと、また、これからシステムの整備に当たっては、将来の見直しの際のことを十分に考慮に入れて無駄な投資にならないような配慮をしていただく、こういったことを附帯決議として提案させていただこうかと思っております。

 それから、先ほど後藤委員の方からも行政改革の話が出ておりましたが、私も全くそのとおりだと思っております。

 日本の行政改革、行政改革といえば、公務員の数を抑制するとか人件費を抑制するとか、どうも量的なものに今まで目が行きがちだったんですが、日本は、客観的に見ますと、先進国の中でも人口に占める公務員の割合というのは最下位の部類でございますし、公務員人件費の雇用者所得に占める割合もOECD最下位と。量的な意味での小さな政府ということよりも、これからは限られた人員をいかに効率的に使っていくかということの方が、私は行政改革の意味はむしろそこにあるのではなかろうかというふうにかねがねから思っているわけであります。

 電子政府化ということも行政改革に大きく資するものだと思います。もちろん、業務のやり方の改善も重要なんですが、例えば今すぐできる、こういう話を聞いたことがあるんですが、政府の中にもシステムというのが、ある方の見方では千五百ぐらいあって、これをいきなり統合するのは無理だけれども、オペレーションレベルでこれを一括で、例えば各省庁ばらばらにやっている旅費の支給なんかも一カ所にオペレーションを統一すれば相当な効果があるんじゃないかといったこともございます。

 そういった点も含めて、これからいわゆる質的な面での行政改革、この点について、総理は行政改革全般についてどんなお考えを持たれているか、お聞かせいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 先ほども行政改革について御質問をいただきましたが、確かに、質を向上させていく、つまり、効率的に機能する政府を目指していくことが重要でございます。

 それに対しましてのさまざまな取り組みについては、先ほど答弁をさせていただきましたが、今、特に御指摘がございました電子政府化についてでございますが、日本はやはりこの電子政府化ということについては相当おくれているというふうに我々も認識をしておりますし、この問題意識を持って我々は取り組んでいきたいと思います。

 電子政府化については、まさに政府CIOを司令塔といたしまして、クラウド技術を活用して政府情報システムの統合、集約化を図ることが大切でございまして、今、例として旅費等の精算の例を挙げていただきましたが、そうしたことを行っていくことによって経費を大幅に下げるなど、効率的かつ先進的な電子行政を進めていきたいと考えています。

 引き続いて、行政改革推進本部等を中心として、安倍内閣としてこうした課題に取り組んでいく考えでございます。

松田委員 マイナンバー制度の前に、私が昔の大蔵省に入った当時、グリーンカード制というのが政治主導で潰されたというのを記憶しております。当時は、水清きところに魚すまずとある大物政治家がおっしゃって、日本というのはそういうアングラというか裏社会で動いている国なのかなと若いときの私はかなり強い印象を持ったわけでございます。

 どうも日本はこの番号制度の導入が他の先進国に比べてもおくれてきた国。最近では、個人情報というものに対して、プライバシーの観点からの反対意見が非常に多くなってきたわけでございますけれども、しかし、東日本大震災を契機にして少しずつ新しい価値観が出てきているんじゃないかなと私は思っております。

 やはり、安心という意味でいえば、どこかが自分の個人情報を把握してくれているということの安心感という価値も出てきているように思いますし、また、私は、このマイナンバー制度の仕組みというのは、自立という観点から見ても、日本というのは源泉徴収制度で、自分がどれだけ税金を払っているのかもわからない人が大半で、政府がどんなに減税をしても、前年の支払った税額とことしの負担した税額の差がわからないということから、なかなか自分と国との関係が把握されていないというのが多くのサラリーマンの実態だったと思うんですが、これがマイナンバーになりますと、個人の側では、自分といろいろな役所との関係をマイポータルという仕組みでわかるようになるというのはかなり大きな進歩じゃないかと思います。

 そういった意味で、これまで日本人にとって非常にアレルギーの強かった個人番号制度が定着していく上で、総理はどのような点を特に訴えていかれるおつもりなのかを最後にお聞かせいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 確かに、かつて、グリーンカードという仕組みを導入しようと。ちょうど私の父親が政調会長でございまして、ただ、多くの日本人は、何となく、これは国から全部管理されるのは嫌だな、全部、財布の中も、たんすの中まで見られるのは嫌だなという雰囲気が充満しておりまして、金丸さんの鶴の一声でこれはやめることになったということを今でも覚えているわけであります。

 番号制度は、個人情報の国家管理、漏えい、不正アクセスなどの国民の懸念がありましてこれまで導入されてこなかったわけでございますが、しかしながら、近年の情報化社会の進展によってITが身近になってきたことで、番号制度を導入する意義について、国民がイメージしやすくなっているのではないかと思います。政府としても、番号制度の必要性について、全国四十七都道府県でのシンポジウムを開催するなど、国民との丁寧な対話を積み重ねてまいりました。

 番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤であり、情報化社会のインフラでもあります。今後、国民の御理解をいただいて、番号制度の普及、定着を図っていくため、こうした点について引き続き丁寧に説明をしていくとともに、実際に番号制度を通じて、より公平な社会、国民の利便性向上、行政の効率化などを実現し、国民に実感をしていただけるよう、適切な制度設計、準備や運用に努めてまいりたいと思います。また、個人情報保護に関する国民の皆様の御懸念にもしっかりと対応していく考えでございます。

松田委員 ぜひ、この個人番号制度が国民の理解を得て、次の社会を担うインフラとして発展していくことを期待いたしまして、私からの質問を終えます。

 どうもありがとうございました。

平井委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 本日は、お忙しい中、総理、お出ましいただきまして、まことにありがとうございます。

 総理がお出ましということで、私もいろいろ大きな観点からお伺いしようというふうに思っていたところでございますが、前二委員にかなり重複した質問をしていただきましたので、質問が重複するところがございますが、大変申しわけございませんが、御容赦いただければと思います。

 まず、今般のマイナンバー制度、プラス、マイポータル制度も入るということも結構大きなインパクトがあるのではないか、一人一人の国民にとって大きなインパクトがあるのではないか、きょうがかなりエポックメーキングな日になると思うんですが、今後、何十年にもわたってこの制度が日本で運用されていく、そういうことになると思うんですけれども、健全に運用されている中で、日本のこの社会はどのような社会を目指していかれるのか、これはまず総理に御所見をお願いいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の実現を図るということと同時に、情報化社会の基盤として、国民の利便性の向上や行政運営の効率化を目指すものであります。

 より公平な社会の実現と国民の利便性の向上、行政運営の効率化は、いずれかが上位であるかということは難しいわけでございますが、こうした仕組みを入れることによって、公平、そしてかつ利便性の向上、さらには行政の効率化ということをそれぞれ図っていきたい、このように思います。

 いずれも番号制度の導入の重要な目的でございます。制度が真に国民生活に定着をして、こうした目的にかなったものとなるように、同時にまた、先ほど申し上げましたように、個人情報の保護に万全を期しながら取り組んでいく考えでございます。

大熊委員 ありがとうございます。

 まず最初に、公平な、あるいは公平な社会というふうに総理にお話しいただいたところに、大変私、力強いお言葉だなというふうに正直感じるところでございます。

 と申しますのは、これは、ある意味では逆に残念というところもあるんですが、法律の条文のどこを見ても、公平な社会あるいは公平性の追求というのは出てこないんですね。これは本来であれば、法律の目的なり基本理念、第三条のところにあった方が、私ども修正案、別のところで、細かいとは申しませんが、給付つきの話を入れさせていただいておるところでございますが、法律の条文には残念ながら出てきていないというところがあるのかな。一方、今、力強い総理のお話をいただいたので、非常によろしいのかなというふうに思っております。

 というのは、私の地元は東京の下町なんですけれども、何十年も地元で企業を経営しておられる方、恐らくは、ずっと自民党さんの御支持の方だろうというふうに思われるんですが、あなた、何をやっているんですかと。私は内閣委員会でマイナンバーを担当して、みんなの党は一人しかおりませんので二十五時間の審議を一人でずっとやっておりますというふうに申し上げると、それは御苦労だな、だけれども、私はちょっとマイナンバーはどうかなと思うよと。というのは、そんなことをやったら、自分の企業で、会社でやっているところが、いろいろな情報が全部表に出ちゃうじゃないか、こういう正直な忌憚のないお話を逆にいただくわけでございます。

 いや、社長、それは違いますよ、それはやはり日本の社会というのは、今までどうか知りませんでした、何十年も前のこれまでの歴史ですね、鶴の一声で変わってしまうというようなこともあったのかなという歴史も初めて私伺いましたが、これまでとは違って、今後何十年にもわたる社会については、公平性、公平な社会というのが大事なんじゃないですかというふうに社長に申し上げ、その方に申し上げても、いや、あんた、そんな青二才に、何言っているんだ、こういう反応をされてしまうという中で、やはり、今、安倍総理から直接、公平な社会、公平性の追求だということをお話しいただいたので、本当に私もうれしく感じるところでございます。

 次に、先ほどの後藤委員からの御指摘もありましたが、この公平性の追求という延長上に、まさに歳入庁というものがどうしても見えてくるわけでございまして、個別の問題として、公務員に今、年金機構の方がなってしまう、それは行政改革に逆行するのではないかという個別の論点もあろうかと思いますが、改めてもう一度、この歳入庁についてのお考え、総理の方からいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 歳入庁については、今委員が御指摘になったように、先ほど答弁をさせていただいたように、かえってまた、歳入庁、いわば年金機構から、またこちらの方に戻ってくる、そういう指摘もあるわけでございますが、いずれにせよ、歳入庁については、昨年成立をした税制抜本改革法において、これは自民、公明、民主、三党合意に基づいて、「年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施すること。」とされております。

 この合意また改革法にのっとって、政府としては、先般立ち上げました加藤内閣官房副長官を座長とする関係省庁政務官による検討チームにおいて、税制抜本改革法の規定に基づいて、年金保険料の徴収体制強化等について幅広い観点から検討を進めているところでございますが、いずれにせよ、この法改正の趣旨にのっとって検討していきたいと思っております。

大熊委員 ありがとうございます。

 続きまして、もう一つ、これまでの審議でもたびたび出てまいりました情報漏えいの心配のところでございます。

 これまでの内閣官房の皆様方の御説明等から、かなり情報管理についてはしっかりやる、具体的には、特定個人情報保護委員会にかなり強い権限を与えて、あるいは、公的個人認証ということでレベル4の非常に強い段階の技術を用意してやるということでは理解させていただいていましたが、さりとて、やはり日進月歩の技術の世界でございます。あるいは、技術では対応できない成り済ましという問題もあります。したがいまして、情報漏えい、これは一つの危機管理だというふうに考えられるのではないかというふうに思います。

 そこで、危機管理の場合、一般の危機管理と同様、いろいろなレベルの、いろいろなタイプの危機管理があろうかと思うんですね。全体としてどのような危機管理体制、このマイナンバー関連、情報関連についてとるのか、あるいはとっておられるのか、御所見をお願いいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 個人情報の保護という観点からいえば、この情報漏えいを防止していく、極めて重要な点でございます。

 番号法案は、個人情報の漏えい等を防止するため、制度上の保護措置及びシステム上の保護措置を講じているところでございますが、万が一漏えいの事態が発生した場合にはそれにしっかりと対応できるようにしていく、そのことが極めて重要でありますが、このような場合には、漏えいによる被害の極小化、漏えいした情報の悪用などによるさらなる被害の防止、漏えいした情報の回収、漏えいした者に対する制裁等の対応が必要であります。

 このような観点から、番号法案においては、市町村長による漏えいした個人番号の変更、そして特定個人情報保護委員会による漏えいされた個人情報の回収、再発防止措置の求め、そして漏えいした者に対する罰則の強化などの措置を盛り込んでおります。

 これらが確実に機能するような体制を構築してまいります。

大熊委員 ありがとうございました。

 具体的に通告ということでもないんですが、やはり情報漏えい、あるいは成り済ましのような事件を起こさせない、そういう動機づけをさせないためにも、一種の国民全体へのこの制度の広報、広報という意味は、この制度が便利になるんだよ、行政運営が効率化できるんだよという以外に、この制度を悪用したらどういうことになるかという意味での広報、こういったことも一種の危機管理あるいは予防だろうと思いますし、そういう意味で、広い意味での国民への広報ということ、これが非常に重要なんじゃないかなと思います。

 一方で、私どもも、野党ではございますが、今般の政府原案と私ども修正の修正案、ともに前向きに考えているところなんですが、マスコミの皆さん中心に、余りこの重要な制度についての報道がなされていないということは非常に問題なんじゃないかなというふうにも思うわけでございます。

 先ほど、地方をいろいろ回られて、政府の説明の機会があったやには思うんですが、この法案質疑の中で非常にマスコミの報道が少ない、本日をターニングポイントとして、どんどんどんどんもっとマスコミの皆さんにも、これだけ質疑をして、いろいろな観点で質疑をしてきたというところも含めて、私たちにも責任があるのかもしれませんけれども、広報していくということが非常に重要なのではないかなというふうに思いますが、この点について一言お願いいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 確かに、委員のおっしゃるように、利便性を向上させていくという観点からすれば、国民の皆様に、どう使えば自分たちにとってそれは便利なものになっていくんだということを知っていただかないと、活用していただく、あるいはそれを活用した結果、やはりよかったなというふうに思っていただく、さらにこれは普及が進んでいくということになるわけでございますから、その点からも、しっかりと広報活動、今委員が御指摘になられたような観点からも広報活動に努めていきたいと。

 確かに、どうもこのマイナンバー、極めて重要な法案であります、重要広範議案でございますから私も出席をしているわけでありますが、なかなか取り上げ方が少ないのは残念でございまして、割と、与野党が激しく対立すると結構取り上げられるわけでありますが、これは幸い、皆様がむしろ英知を結集していただいたがゆえに取り扱いが少なくなっているのは大変残念でございますが、我々もしっかりと広報活動に努力をしていきたい、このように思っております。

大熊委員 ありがとうございました。

 もう少し激しく対応させていただければよかったのかなというふうにも思いますが、いずれにしても、マスコミの皆さん、政府、我々も含めて広報をしていく必要があろうかというふうに思います。

 最後に、これは午後の質疑で具体的にお伺いしようというふうに思っていたんですが、総論として、全体観としまして、行政機関の職員の皆さんへのITリテラシー研修、いろいろな制度が入るに当たって、レベルを上げていくという研修が非常に重要になっていくと思うんですね。これまでの質疑で、政府全体がやる研修と各府省でやる研修、それぞれあるんだ、こういうお話がありましたが、まず、政府全体でどういうふうな研修をしていくのか、一言ちょっといただければというふうに思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 政府部内において、府省ごとあるいは政府全体としてどのように実施するかにつきましては、ガイドラインの具体的な内容に応じまして、より効果的な教育、研修とする観点から、今後、十分に検討する必要があると考えております。

 まずは、第三者委員会が、どういうふうなことをやればいいかというガイドラインをまず示していただくのが先になるのかなというふうに考えております。

大熊委員 ありがとうございました。

 最後になりますが、この制度をぜひ利活用していって、日本の歴史に残るようないい制度が入ったなというふうになっていくように期待を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案に入る前に、安倍総理の国会発言について聞いておきたいと思います。

 昨日、韓国の外務次官が別所駐韓大使を呼び、日本政府と政治家によるゆがんだ歴史認識と時代錯誤の言動に対し強く遺憾の意を表すると抗議するなど、外交上の問題になっています。

 問題の発端である四月二十三日の参議院予算委員会で、安倍総理は、村山談話について、いろいろ曖昧な点があるとした上で、特に侵略という定義については、これは学界的にも定まっていないと言ってもいいんだろうと思うわけでございまして、それは国と国との関係において、どちら側から見るかということにおいて違うわけでございます、このように述べました。

 総理は、日本の過去の戦争について、どちら側から見るかで評価が違うというのでしょうか。中国や韓国から見ると侵略だが、日本から見ると違うというのですか。

安倍内閣総理大臣 いわゆる村山談話は戦後五十年を機に出されたものであり、また、戦後六十年に当たっては、当時の小泉内閣が談話を出しているところでございます。

 我が国は、かつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えた、その認識においては、安倍内閣は歴代の内閣と共通の立場、同じ立場でございます。その上において、しかるべき時期に二十一世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したいと考えており、そのタイミングと中身については、今後、十分に考えていきたいと、先般、そのように答弁をいたしました。

 いずれにせよ、韓国や中国を初めとする近隣の国々は、日本にとっても重要なパートナーでもあります。私は、これらの国々との関係強化に引き続き努力をしていくとともに、地域の平和と繁栄に積極的に貢献をしていく所存でございます。

 歴史認識の問題については、基本的に、私が先般も述べたことは、政治家がとやかく言うべきことではない、歴史家や専門家に委ねることが適当であろう、このように考えております。

 私は、歴史認識に関する問題が外交問題、政治問題化されることは、もちろん望んでいないわけでございまして、いわば、歴史認識問題について政治の場において議論することが、結果として、それは外交問題、政治問題に発展をしていくわけでございまして、だからこそ、それは、それこそはまさに歴史家、専門家に任せるべきことであろう、このように判断をしております。

赤嶺委員 再度確認いたしますけれども、村山談話で、植民地支配と侵略がアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたという認識、これは継承するということですね。

安倍内閣総理大臣 これは継承するとかしないとかということではなくて、それは、先ほど申し上げましたように、村山談話は五十年を機に発出をされたものであり、六十年を機に小泉談話が出されたわけでございまして、今回、政権がかわり、安倍内閣が誕生した中において、そして、もうじき七十年を迎えることになるわけでございますが、内閣として、未来志向の談話を発出していくのが適当ではないかということも含めて、よく考えていきたい、こういうことでございます。

赤嶺委員 非常に曖昧であります。

 日本が中国や朝鮮半島を初めアジア諸国に対して侵略戦争を行ったということは、歴史的、客観的な事実であります。

 一九四一年十二月、日本がアメリカ・ハワイの真珠湾を奇襲攻撃し太平洋戦争が始まった直後、四二年一月、米英中ソ初め二十六カ国が連合国共同宣言を発表し、生命、自由、独立を擁護し、人類の権利及び正義を保持するため、あらゆる資源を動員して、日本、ドイツ、イタリアに対抗する共同闘争を呼びかけます。そして、一九四三年十一月、日本国に関する米英中三国によるカイロ宣言は、「日本国ノ侵略ヲ制止シ且之ヲ罰スル為今次ノ戦争ヲ為シツツアルモノナリ」と、日本との戦争の目的が日本の侵略制止にある、このように規定しております。一九四五年七月、ポツダム宣言には、カイロ宣言の履行が明記され、そのポツダム宣言を日本が受諾したのであります。こうした事実を前提として、現在につながる、戦後の国際秩序と国連体制が形成をされました。

 総理が、国によって見え方が違う、このように発言するのは、こうした歴史の事実を否定することになるものではありませんか。

安倍内閣総理大臣 今も答弁したとおりでございますが、歴史というのは、一般論として言えば、それは確定するのが難しいこともあるわけでありまして、長い年月をかけて、専門家の手によって新たなファクトが掘り出されていくこともございます。

 そういうようなこともあわせていきながら、まさにこれは専門家、歴史家に委ねるべきであって、私が政治家として神のごとくそれを判断することができない、このように申し上げているところでございます。

赤嶺委員 日本の政治家が、あの侵略戦争に対する反省から、国際社会からいろいろなことを要求され、今、戦後につながっている。これは歴史家が判断することじゃないですよ。日本の政治家が判断をして、これに基づいて国際社会に向き合っていくことこそ大事だと思います。

 見過ごせないのは、総理は、侵略の定義について、これはまだ定まっていないとおっしゃいました。ところが、国連総会決議三三一四は侵略の定義に関する決議をしておりますが、これは御存じですか。

安倍内閣総理大臣 しかし、これは歴史家の中においてはさまざまな議論があるのは事実でございまして、私も、そうした定義については、さまざまな観点から議論が今でもされているというふうに承知をいたしております。

赤嶺委員 この侵略の定義というのは、侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全もしくは政治的独立に対する武力の行使であると明確に定義しております。この侵略の定義というのは、国際刑事裁判所の規程にも援用され、国際社会が侵略行為と侵略犯罪を処罰する根拠規定とされております。これは日本も加盟をしております。

 国連は、戦後のこのような長い議論を経て侵略の定義に至ったのであります。やはり、そういうことをゆがめて発言するようなことは許されない、このように思います。

 そこで法案に入りますけれども、この法案の中で最大の問題点は、この制度を導入すれば申請書類の簡素化と給付の併給調整になるんだとおっしゃってまいりました。ところが、私が質問主意書を出して、どういう簡素化が行われ、どういう併給調整が可能になるかというぐあいに聞きましたら、現時点でお示しすることは困難である、このように答弁書が返ってきているんですね。

 利便性が示されない、そういうようなもので具体的に示せない中でこういう法律をつくるべきではないと思いますが、総理、いかがですか。

甘利国務大臣 具体的な例は幾つもお示しをしているんです。先生の質問主意書は、事務にかかわるものをメリット云々含めて全部出せとおっしゃっていますから、それは、全部、現時点で全てを具体的に示すということは困難ですというお答えをしているわけであります。

 この審議を通じましても、例えばどういう点で利便性向上があるか、事務の合理化があるか、あるいはどういう点で公平性が確保されるかということは、具体例は幾つもお示しをしているわけでありまして、一つ残らずと言われますと、今一つ残らずで、ああ、もう一つあったなんということが発生することはあるのでありますから、これは、制度が進行していくに従って、ああ、こういう点も利便性が図られたねという点は全く出てこないとは限らないものでありますから、そういう答弁書にさせていただいているわけでございます。

平井委員長 赤嶺君、質疑時間が迫っていますので。

赤嶺委員 具体例が出されて、この具体例というのは余り利便性につながりませんねということを私は質問を通じて明らかにしてまいりました。ですから、具体例というのはこれだけですか、もっときちんと出しなさいという意味であります。

 利便性もはっきりしない、そしてその説明もできない、こういう法案は撤回すべきであるということを申し上げまして、質問を終わります。

平井委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 私は法案の質疑をさせていただきたいと思います。

 総理、単刀直入、ストレートな質問で恐縮ではございますが、総理は住基カードをお持ちでしょうか。また、お持ちでしたら、それを使われた御経験はございますか。

安倍内閣総理大臣 私、住基カードは、これは聞かれるのではないかと思って、持っておりますが、残念ながらまだ使ったことはございません。

村上(史)委員 これもよく言われることですけれども、普及が普及率五%という状況ですね。また、その維持費のためにも毎年百数十億円がかかっているというシステムでございますけれども、どうして住基カードが普及しなかったのか、その反省点についてどのように御認識をされておられますか。

新藤国務大臣 これは私は何度も答弁させていただいておりますが、住基ネットシステムというのは、カードを普及させることが目的ではございません。これは、個人の行政の手続を、行政間において共有する、省略する、そういったことでこのシステムを導入したわけでありまして、確かにカードの所持率というのは五・一%であります。

 しかし一方で、行政における本人確認情報は、平成二十三年度一年間で約四億三千万件の本人確認情報、一億二千万人の国民のこの国で、四億三千万回の本人確認の情報が提供されているということであります。それから、四千万人分の年金の現況届、それから五百二十万件の住民票の写しが省略される、こういったことで、住基ネットは、国民の行政事務の中に定着をして、普及していると私たちは考えております。これは国家の基盤ですから。

 その上で、カードが普及しないというのは、私も持っておりますが、自分で使ったことは今までありません。それはなぜかといえば、それなしでも、本人確認であれば、そのほかの、保険証であるとかそれから免許証であるとか、そういったもので代用ができるからであります。

 したがって、これは住基カードの普及と、それから住基のシステムの普及と、これを御一緒に考えていただくことはいかがなものか、このように考えております。

村上(史)委員 そのことは私も存じ上げております。

 ただ、国民の側からすれば、その利便性を感じない、あるいは個人情報が漏れるのではないかという心配があるがゆえの結果ではないか、そのことを踏まえないと、今回のマイナンバー法案も同じようなことになりかねないのではないかという懸念を私は持っているということを御指摘させていただきたいと思います。

 先ほど、広報のあり方についても若干質疑がございましたけれども、実は、私の事務所に大学院生のインターンの女性が勤めていただいておりますけれども、その学生さんが、マイナンバーというものは私の事務所へ来て初めて知った、今まで知らなかったと。それで、マイナンバーについてどう思うかという質問をいたしますと、嫌だ、やばいですよ、こういうことを言うわけですね。という意味は、管理されるようで嫌だなという意味と、また同時に、個人情報が漏れるんだ、これは間違いなく漏れてしまう、そういうものを利用したくないという思いであります。

 これは一人の感想ではありますけれども、繰り返し申しておりますけれども、やはり国民の中にそういう感情があるということを認識した上で取り組んでいかなければならない課題であるということもあわせて指摘をしておきたいと思います。

 そして、マイナンバーの導入ということがきょうの採決を通じてスタートすると思うんですけれども、住基ネットでもそうですが、行政側のメリットというか効率化というのはわかるんですが、先ほど申し上げたように、国民が喜んで安心して使えるものかどうか、そういうことをやはりどうしても危惧せざるを得ない、その点についてもう一度確認をさせていただきたいと思います。

甘利国務大臣 質問の御趣旨は、とにかく、これに否定的な国民が抱いている心配事に対して対処するということと、それから、利便性としてこんな便利なことがありますよ、こうなりますよということをしっかり認識してもらう、両方あるんだと思います。

 国家管理、国家に一元的管理をされてしまうとか、あるいは、個人情報が流出してしまって、何でもかんでも、知られたくない情報があちこち流れていくということになってはいかぬと。これは、構造上の問題と制度上の問題と、それから罰則規定等々で可能な限りの防止策を手当ていたしております。

 その一方で、今までもそうでありますけれども、これからも広報に努めて、どういう利便性があるか、これは、提出書類が少なくなるとか併給調整がスムーズにできるとか、あるいは公平公正な社会がこうやって構築されますよということ、それをしっかりと伝えていくことが重要だと思っております。

 技術も日進月歩でありますから、ハッカー技術ももちろん追っかけっこの部分はありますけれども、漏出しないような最新の技術を常にアップデートしていくという視点もしっかり見ながら取り組んでいきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それでは、時間もございませんので、次に移らせていただきます。

 先般の内閣委員会の質疑で、政府調達、大規模システムの構築について甘利大臣にお聞きをいたしまして、最高のシステムをつくるんだ、そのためには国外の事業者も排除しないという答弁をされました。もちろん、最高のシステムを構築するということは当然なんですけれども、国民の全ての情報を扱うシステムを海外の事業者に本当に委ねていいのだろうかという危惧をいたします。

 安倍総理は、TPP交渉の中でも、守るべき国益ということをよくおっしゃいますが、このシステム構築の中での事業者を選ぶということに対して、どのようなお考えをお持ちでしょうか。総理、時間がございませんので、総理。

安倍内閣総理大臣 WTO政府調達協定では、公の秩序のために必要な場合等を除き、競争入札を行うことを原則としております。番号システムの調達についても、同協定に照らして対応していきたいと思います。

 TPPについてでございますが、TPPの本交渉はこれからでありまして、これまでの政府調達に関する交渉内容を踏まえながら、国益にかなう、そのように対応していきたいと考えております。

村上(史)委員 具体的ではないので不満ではありますけれども、最後の質問に移らせていただきたいと思います。

 これも先日の当委員会で質問させていただき、システムの責任の所在は総務大臣にあるというふうな答弁をいただき、そして、マイナンバーの制度そのものは内閣府が持つという御答弁をいただいております。

 内閣府ということになりますと、当然、最高責任者は総理御自身でございます。これだけの巨大なシステムでございますから当然といえば当然でございますけれども、いよいよマイナンバーがスタートをする、こういう状況の中で、先ほども申し上げましたけれども、多くの国民がまだまだ懸念を持っている、そして理解も十分ではない、そういう状況の中でスタートしようとしているわけでありますけれども、改めて、全国民を網羅する番号制を導入することへの責任の重さの認識、そして国民の懸念を払拭していくという決意を、総責任者である内閣総理大臣にお尋ねをいたします。

安倍内閣総理大臣 番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤として、また情報化社会のインフラとして導入するものであります。制度の円滑な導入と定着は極めて重要な課題である、こう認識をしています。制度全体の調整を行う内閣府の長として、またこの内閣の長として、しっかりと責任を果たしていく考えであります。

 関係大臣において、国民のニーズをしっかりと把握しながら適切に準備を進めて、国民の理解と納得が得られるよう全力で努力をしていきたい、このように思っているところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。終わります。

平井委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

平井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 早速、まず修正案の提出者にお伺いしたいと思います。

 今回の法案の修正案では、法案の肝である目的規定のところに重要な追加があったと認識しています。もともと政府案にあった負担の軽減、利便性の向上に加えて、行政運営の効率化、公正な給付と負担の確保という二つが加わって、目的が四つになったというふうに認識しております。

 とりわけ後者の二つについては、三条で基本理念という形で書いてあったものを明確に法の目的にいわば格上げしたというふうに認識しておりますけれども、この四つが同じ重みを持ってこの修正案を規定していくという理解でよろしいか、まずお答えください。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 結論から言いますと、委員おっしゃるとおりだと思います。

 今回、政府原案では入っていなかった行政運営の効率化と公正な給付と負担の確保がはっきりと規定されたことの意義は大きいというふうに考えております。

 それと、修正された後の条文、一条を見ますと、もともと政府案に規定されていた負担の軽減と、これを含む利便性の向上という部分が逆に少し間接的な表現のように表面上見えますけれども、あくまでこれら四つはいずれも法目的として同じ重みを持つものと解釈していただきたいと思います。

玉木委員 ありがとうございます。

 後で質問でも聞きたいと思いますが、その意味で、行政運営の効率化というものは極めて大事になったと思いますし、あわせて、公正な給付、また負担を確保するということも、改めてこれは重要に位置づけられたと認識しております。

 もともとは、給付つき税額控除というものを導入して、正確な所得の把握の中で、まさに公正な給付措置を実現しようというのがこのマイナンバー制度の出てきた一つの大きな導入理由だったというふうには思います。その意味では、同じく、修正案の附則の六条七項に、給付つき税額控除導入の検討の際には、その体制整備についても検討するということがつけ加えられていることも大変意義ある修正だというふうに思っています。

 その上でもう一問お伺いしたいんですが、歳入庁についてであります。

 歳入庁も、ある意味、マイナンバー法案と一体的に議論、検討するということで、これまでも議論が行われてきたという経緯もあると思いますし、今野党で共同して歳入庁の法案を出しているという状態だと思うんですが、午前中の総理答弁の中で、歳入庁については、年金機構の非公務員化した人たちをもう一度公務員に戻すので、その意味で、行政改革の観点から、ここは問題があるのではないのかという総理の答弁があったと思いますけれども、今回のマイナンバー法案、とりわけ修正案と歳入庁の関係、また、午前中の総理答弁を踏まえて、とりわけ行政改革にむしろマイナスなのではないのかといった点、この点について、修正案提出者の意見をお聞かせいただきたいと思います。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 歳入庁を創設することのメリットとしては、税や社会保険料に関して、大きく三つメリットがあると考えております。

 一つ目は、申告、届け出等の受付窓口の一元化、金額算定ベースの共通化等を通じた国民へのサービス向上や事業者の納付に係る業務負担の軽減。二つ目として、徴収率の向上による国民負担の公平性の確保や社会保障の財政構造の強化。三つ目として、組織の合理化や徴収コストの軽減等による行政運営の効率化。この三つが大きく挙げられると思います。

 午前中の質疑において、私からもこの点について総理にお伺いしましたが、この三つのメリットについてはお答えがありませんでしたので、少なくともメリットを否定はされておられないのじゃないかなというふうに考えております。

 一方で、デメリットとして、委員おっしゃるように、行政改革に逆行するのではないかというような御答弁が午前中総理からありましたけれども、仮に歳入庁ができて、そのうちの一部の方が、もともと公務員でない方を公務員に戻したとしても、形の上での公務員の数が仮にふえたとしても、今申し上げた三つ目のメリット、組織合理化や徴収コストの軽減等による行政運営の効率化のメリットの方がはるかに大きく、行政全体での運営効率化というふうに考えた場合には、この点だけでもプラスだと考えます。

 さらに、先ほど申し上げた一点目、二点目の国民にとってのメリットも大きいことを考えますと、歳入庁設置は、先ほど委員から挙げられた四つのメリット、これに対応するものであって、歳入庁設置はマイナンバー制度導入と裏表の関係、密接不可分の関係にあるというふうに考えられます。

 ぜひ、政府におかれましては、以上を踏まえた検討を行うよう要請したいと思います。

玉木委員 ありがとうございます。

 これまでの審議の経過、また議事録も読ませていただきましたけれども、幾つかある論点のうち、二つが大きいと思っています。

 一つは、巨額のシステム投資をするのに対して、本当に行政の効率化、トータルとしてのメリットが出るのかどうか、これが一つあると思います。もう一つは、こういうシステムを入れても、言うほどのいわゆる国民から見たときの便益、利便の向上、こういったことが本当に具体的にあるのかなということが、大きく二つの論点だったと思いますし、我々与党時代からも、むしろ野党の皆さんからそういう批判もいただいたというふうに覚えております。

 まず、後者の点について、国民のメリットについて少しお伺いしたいんですが、これは政府側にお伺いしたいと思うんですけれども、改めて、マイナンバー制度の国民、利用者から見ての利便性の向上、メリット、この点について改めて教えていただきたいと思います。

甘利国務大臣 国民の側から見た利便性の向上についてでありますが、これは、直接あるいは間接、利便性向上があろうかと思います。

 具体的には、もう既に何度もこの場で議論がされてきましたけれども、さまざまな手続におきまして、従来求められていた添付書類が削減をされる。それから、マイポータルを活用して、行政機関から国民へのきめ細かなお知らせサービスというようなものが提供される。そして、所得把握の正確性が向上する。そうすると、今度は真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障の充実であるとか、負担、分担の公平性がより一層確保されるであるとか、その種のことが今まで言われてきたわけであります。

 間接的にも、それらを通じてさまざまなメリットはあろうかと思っております。

 この場でいろいろと質問者あるいは答弁者からメリットについては直接間接に述べられております。ぜひそれを政府としては国民の皆様のところに、こういうメリットがありますからということがしっかり届くようにしたいというふうに思っております。

玉木委員 もう甘利大臣も何度もお答えになっていると思うんですが、正直、今の段階では、聞いても、国民の皆さんが、ああ、これができるようになったからいいのができたねという実感がやはりなかなか持ちにくいと思うんですね。添付書類がなくなりますとか、確かに概念的にはそうなんですけれども、ここをやはりどれだけわかりやすくお伝えをし、多くの人に御理解をいただくのかが、この仕組みが広く国民の皆さんに広がっていく上では非常に大事だというふうに思っています。

 今、大臣が一つおっしゃったマイポータル。私は、これが結構キーになるのかなと思うのは、使う側の人が自分に引き寄せて、ここでこういうことができるんだということが具体的にイメージできれば、一番爆発的に広がっていくのかなというふうに思っています。

 今、いろいろ政府側の事務方からの説明を聞きますと、そこにインターネット経由で入っていくと、いろいろ情報を各種政府機関が見に来た、そういった記録が確認できますよとか、そういうことはあるんですけれども、例えば端的に、見に行ったら、自分の納税の記録、年金の記録、特に、払わなきゃいけないのが払えていなくて、これだけ未納がありますとか未払いがありますよとかが行ってわかって、ではその場で、そのサイトを使って国税庁のシステムに入ってすぐ電子納税ができるというのができたら非常に便利だし、あるいは、例えば同じところに年金機構の保険料の支払いの電子的な窓口があったら、そこも、そこをクリックしたら払えるということをすれば、少なくとも、国民の側から見たら、そこにバーチャルな歳入庁ができているわけですね。

 ですから、こういうふうに、明らかにそこに行ったらいろいろなことが一気にできますよということができれば、非常に国民の皆さんに説明するのも説明しやすくなるし、メリットとしても実感していただけるのかなと私は思うんですが、こういった例えばマイポータルを使った電子納税の仕組みというのは、今の時点で考えておられるのか、あるいは技術的に可能なのかどうか、この点についてお答えください。

竹内大臣政務官 お答えを申し上げます。

 マイポータルでは、個人が自己の情報や各種行政サービスを閲覧できるものと承知をしております。

 国税の分野におけるマイポータルの利用につきましては、国民の利便性の向上という観点から現在鋭意検討を進めているところでございまして、委員御指摘のマイポータルを通じた電子申告・納税につきましても、何ができるかを含めて、今後さらに検討してまいりたいと存じます。

玉木委員 苦しい。皆さんもお聞きになってわかると思うんですけれども、できるようにしたらいいと思うんですよ。

 少なくとも、今、e―Taxなんかも入って電子納税はできるようになってきていますよね。ですから、リンクを張るとかそういうことだけでも既にできるし、そもそも、いろいろな生体認証なんかで一回入ったらそのままペイメントのところに行けるとか、そういうことだったらすぐできるし、そういうことをやるんですよというふうに言えば、ああ、便利になるね、ワンストップだねというような、例えばワンストップ、例えばプッシュ型で、本来払わなきゃいけない期限で払えていませんよということはプッシュ型で教えてもらったりとか、本当に使う側にとってITを使った便利さが実感できて初めて広がっていくんだなというふうに思います。

 ぜひ財務省においてもそういうことを検討していただければいいし、そういうことと、例えば保険料の納付の仕組みを同じところでできるようにすれば、歳入庁というその大きな箱をどうするかとかという前に、そういうところの便利さをまずやることによって、では、どうしてもそれでできないところを最後は組織でやらなきゃいけないから歳入庁はこういう話ですねとなっていくので、ぜひそういうことを並行して積極的に議論をいただければなと思います。

 次に、ちょっと行革の観点から質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 政府のCIOに関しての質問を少しさせていただきたいと思うんですが、これも委員会でも何度も、岡田議員とか何人か取り上げておりますけれども、昨年の衆議院の解散後の十一月三十日にIT戦略本部決定というのがございまして、「政府情報システム刷新に当たっての基本的考え方」というのがあります。

 その中に、これはマイナンバーだけではなくて政府全体のシステムの話ですから、こういうふうに書いています。平成二十四年度末を目途に、削減額等の数値目標を設定した政府情報システム刷新実行計画を策定し、政府CIOを中心に、各府省一致協力の上、これを着実に推進するというふうになっております。

 これは、そもそも、この本部決定は今も生きているんですかね。

向井政府参考人 お答えいたします。

 本部決定そのものが特に否定されたということはございませんので、本部決定が取り消されたというわけではございませんが、通常、政権がかわった場合につきまして、必ずしも前の政権のものがそのまま次の政権を縛るというものではないというふうに理解しております。

玉木委員 ここはぜひ、仮に生き残っていなければ、趣旨はぜひ引き継いでもらいたいというふうに思います。

 マイナンバーにおいても、これはなかなか難しいとは思うんですが、一定のそういった削減、効率化の計画といったことを定めて、それに従って着実に行っていくことが必要だと思っています。

 そこで、私、一つ提案したいので、資料をお配りしていると思いますが、ちょっとめくっていただいて、裏にインターネットの、厚生労働省というふうに書いてある、その側を見ていただきたいんです。

 これは、民主党政権で、私、IT化をする前に、IT化する対象になっている事業とか予算を徹底的に見直すことがまず最初だと思うんですね。これは午前中の議論でも出ていました。その業務の効率化をするところにITをうまく使うことが大事なんですよ。(発言する者あり)ありがとうございます。

 どういうことかというと、例えば厚生労働省、これは、アメリカにはUSAスペンディング・ドットガバメントというサイトがあって、そこに、これは例えばNTTさんを入れていますけれども、ある会社の名前とかを入れますね、そうすると、そこへ支出されている予算項目が全部出たり、上位十位の予算の支出が多いところがだあっと出たりするんです。こういうふうな検索システムは、実は行政を効率化する上で極めて役に立つんですね。

 もう一つ掲げています。下側です。これは、政権がかわっても継続維持をしていただけるというふうになった行政事業レビューシートの検索エンジンを、グーグルのカスタム機能を使って新たにつくったものです。お金はほとんどかかっていません。

 例えば、鯨と今入れていますけれども、鯨と入れて検索をかけますね。そうすると、行政事業レビューシートの中で鯨と出てくるものが全部出てきて、例えば捕鯨の関係とか、あるいはシーシェパードの対象で外務省だったりとか、つまり、省庁横断的にいろいろなものを横串で検索がかけられるんです。

 私は、世の中を変えたのは検索エンジンだと思っていて、政府を変えていくのも、こういう検索機能を徹底的に使うことだと思うんです。そのためには、検索にひっかかるようにもともとの予算とか決算とかを一定のルールの中できちんと整理してそもそもつくっていく。あるいは支出の際には番号なんかをきちんと入れてもらうというふうにすれば、例えば、概念的には予算執行年度が終わった瞬間に決算ができているとか、そういうことも理論的には可能なわけです。

 ですから、こういうものをIT化の前の業務、予算の効率化にITをしっかり有効に使っていくということを、これもぜひ政府CIO主導で私はやっていただきたいというふうに実は思っているんですね。これは、例えば地方についてもこういうことを入れていく、そういうことをぜひやっていただきたいと思います。

 そこで、最後、質問を、行革に関してお伺いしたいんです。

 配付資料につけております。ひっくり返していただいて、「政府CIO制度の推進体制について」ということで、これは去年の八月、IT戦略本部と当時の行政改革実行本部の決定として書かれてあるんですが、一があって二です。二のところに、「政府CIOは、IT政策を担当する国務大臣及び行政改革担当大臣を助け、」と、それでいろいろ書いています。総合調整をするというふうに書いておりまして、行革との強固な連携をしっかりやってくれということを、政府CIOにぜひやってくれという形で決定しているわけですね。

 これも政権がかわったので必ずしもそのまま生きているとは思いませんけれども、ぜひ私は、IT戦略を進めていく上で、これはちょっとマイナンバーから少し広がりますけれども、ぜひ行革との連携を進めてもらいたいと思っているんですね。

 その意味では、遠藤政府CIOにお伺いしたいんですけれども、稲田行革担当大臣とお会いになってお話はされていますか。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 お会いしたのはまだ一度でございます。しかし、そのときに、法案が通った暁には一緒にやりましょうねということになっておりまして、山本大臣からもその旨、念を押されております。

 以上です。

玉木委員 稲田大臣ですね。

遠藤政府参考人 そうです。それから、山本大臣は私の上司になりますので、山本大臣からもそういうことをちゃんとやろうねと言われております。

玉木委員 これは極めて大事だと私は思っているんですね。

 ですから、内閣官房で、行革大臣も実は無任所大臣で、内閣府の大臣ではなくて内閣官房なんですけれども、山本大臣と稲田大臣と本当にそこは力を合わせて、今申し上げたような、いろいろ行政改革のやり方についてもイノベーションが可能だと思っているんです。

 ですから、行革の手法そのものにITの観点を入れていくというようなことも含めて、マイナンバーも含めた、IT化によってここにまさに書いてあるような行政の効率化ということをぜひ積極的に進めていっていただきたいと思うんですが、最後に、山本大臣に意気込みと連携を強化するということについての方向性をお答えいただければと思います。

山本国務大臣 玉木委員の言及された問題意識はしっかり持っておりまして、IT戦略本部の会合でも、今おっしゃった行革とITを使ったいろいろな改革を結びつけていこうということで、常に連携を図っていきたいと思っていますし、そのためのメカニズムを近々きちっとつくりたいと思っています。

 ありがとうございました。

玉木委員 政府のCIOにおかれては、強力な権限のもとに、大臣のイニシアチブのもとに、ぜひ、国民の皆さんが本当に納得できる行政のIT化、効率化といったことを強力に進めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

平井委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。

 マイナンバー法案は日本維新の会にとりましても非常に大きな意味を持つということで、私、本日で四回目の質問になります。

 一方で、さまざまな質問の中で何度もお答えいただいていると思うんですが、個人情報の保護その他さまざまな面で国民の懸念が存在している、情報漏えいなどセキュリティーリスク、そういうものが山積みしているという問題は、これまでの委員会の中でもいろいろな委員の方が御質問されておりました。

 結論としては、安心できる情報管理と利用へ向けて国民の理解をしっかりと得ながら改革へ取り組んでいただくということで、我々日本維新の会は本法案に対して附帯決議を提出させていただくということで、委員の中で決定しております。

 きょうは、今後の導入に際してのシステム、特にデータベースの構築、管理について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、マイナンバーの運用管理に当たって、データベースのサーバー、クライアントPC等々に関して、ウイルス対策についてどのような対策を現状お考えか、お聞かせください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーのシステムは国民生活に対して広範に影響を及ぼすものでありますから、当然、セキュリティーについては万全を期していくということだろうと思っております。

 データベースサーバーそれからクライアントPC等のコンピューターウイルス対策につきましてはウイルス検疫機能を導入することとしておりますけれども、この仕組みを適切に機能させるためには、導入後もコンピューターウイルスを検知し駆除するための必要な情報を絶えず最新化する必要があるというふうに認識しております。

 情報技術が日々進化する中で、コンピューターウイルスも日々進化、巧妙化しておりますから、内閣情報通信政策監それから内閣情報セキュリティセンターとも連携を密に図り、これらの動向を継続的に捉えつつ適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

中丸委員 適切に、最新というお言葉をいただきましたけれども、そういった中で、ウイルス対策ソフトの更新、それからその効果の測定についての基準をどのようにお考えでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 これらのウイルス対策ソフトにつきましては、やはり最新かつ最も性能の高いものを使っていくべきだというふうに考えております。

中丸委員 もちろん、そういったものを使っていただかないといけないんですけれども。

 そもそも、皆さん、パソコン等でインターネット、特に、マイポータルは通常のインターネットを通じてということになると思うんです。自宅のパソコン等を通すということは、IE、インターネットエクスプローラー、こういったものを使われると思うんですけれども、そういったオープンになっている、ウィンドウズも含めて、そういうオープンOSの危険性についてどのようにお考えでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 オープンOS、オペレーションシステムでございますけれども、技術仕様が広く公開され、多数の一般のユーザーにより維持管理される基本ソフトであると認識しております。そのため、ベンダーが供給するOSに比べまして、安定稼働とかセキュリティー確保に関する維持管理が十分でないものもあるというふうに認識しております。

 このことから、番号システムの調達に当たりましては、維持管理が不十分なOSが導入されることのないよう、システムの稼働期間中は適時確実に維持管理することを要求要件とするなど、適切に要件定義を行ってまいりたいというふうに考えております。

中丸委員 今、ウイルス対策ソフトの話が出たので、ウイルスとは根本的に何かということを皆様にもちょっと考えていただきたいんですけれども、例えば、今、インフルエンザとか、いろいろ新聞紙上をにぎわせていますけれども、ワクチンというのはウイルスができてからできるんですね。常識的に、ウイルスより先にワクチンができる、ウイルス対策ができるということは不可能なんですね。それは、常に先に動作するのがウイルスなんですよ。ウイルス対策ソフトというのは、そのウイルスの存在がありき、もっと言えば、その被害が明らかになって初めてその結果が出てくるものであります。したがって、最新のものとおっしゃいましたが、あくまで、それらは全て後追いの手当てでしかないという認識はぜひ持っていただきたいと思います。

 そういった中で、ウイルス対策というのが後追い処理になるという前提のもとに、情報処理の世界では非常に使い古された言葉ではありますけれども、上流制御ということに関して御認識をお聞かせくださいませ。

甘利国務大臣 国民、ユーザーに対する被害を未然に防止するという意味で、委員のおっしゃった上流制御、この発想はとても大事だというふうに承知をいたしております。

 例えば、データ及び通信経路の暗号化であるとか、あるいは侵入検知及び防止、それから改ざん検知及び防止、それから大量のデータ送信によるサービス妨害攻撃の防止、それから成り済ましを防止するための公的個人認証による本人確認などの対策を講ずることといたしておるわけでございます。

 情報技術というのは、日々、御指摘のように進化する。一方で、ハッキングの技術、コンピューターのウイルス、これも日々進化をしていくわけであります。ですから、いわゆるサイバー攻撃も日々巧妙化している。きょう安全だから来年大丈夫かというと、そうじゃないわけでありまして、こういう危険性をしっかり踏まえながら、継続的に、かつ迅速に対応していくという姿勢が大事だというふうに思っております。

中丸委員 今、暗号化、ウイルス対策ソフトの最新化、いろいろな対策をされていると。これは、それだけのものを組まれるわけですから、当然のことだと思います。

 結局、そういう、暗号化にしろ、ウイルス対策のソフトにしろ、常時パターンファイルを取り込むことで、安心感をとっているだけというのが現状なんです。私が申し上げた上流制御というのは、そのさらに先のところのお話で御認識がどうかなというところでお伺いしたかったんです。

 今、通常、一番多いのは、インターネットエクスプローラーを使われている方が多いと思うんですけれども、そもそも、特に、例えばマイポータルで見ていただく部分ではなくて、データベース管理という観点から見たときに、この入り口自体を閉ざして外からの攻撃を拒否するということは可能だと思うんですけれども、いかがですか。

向井政府参考人 いわゆる専用回線である、例えば情報ネットワークシステムと、それからマイポータルをつなぐ、そこにまさにインターネットの入り口が入ると思いますけれども、その入り口を、遮断といいますか、そういう技術はいろいろ開発されているようでございますので、それらの中で最も安全なものを選んでまいりたいというふうに思っております。

中丸委員 そういう遮断した環境とネット環境の間にブラックボックスをつくることによって共有して、データとして見ることはできるけれども中に入ることができないということは、今おっしゃっていただいたように、技術的に可能なはずですよね。そういったことも、今回の導入に当たっては、ぜひとも考えていただきたいと思います。

 では、そのさらに上流に入っていきたいと思うんですけれども、データベース自体、非常に国際的な主要メーカーはやはりオラクルだと思うんですね。そういうオラクル社のデータベースやポスグレSQL等々、そういった系統を恐らく使われるのではないかと思っているんですけれども、そういったオープンになっているデータベースの問題点についてお聞かせください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 オープンソースのデータベースは、技術仕様が広く公開され、多数の一般ユーザーにより維持管理されますデータベースでありますので、その多くは、各種OSやプログラミング言語との連接性も高いというふうに認識しております。一方では、ベンダーが供給するデータベースに比べて、安定稼働及びセキュリティー確保に関する維持管理が必ずしも十分でないものもあるというふうに認識しております。

 このことから、番号システムの調達に当たりましては、維持管理が不十分なデータベースが導入されることのないよう、システムの稼働期間中は適時確実に維持管理することを要求要件とするなど、適切に要件定義を行ってまいりたいというふうに考えております。

中丸委員 私は、そういったオープンソースになっているデータベースではなく、特に、我が国にとって、国民全てにとって非常に重要なデータベース、全ての国民のデータが集まる、そういったところにそもそも海外の企業等が開発したものを使うのが果たして本当にいいのかという素朴な疑問がございます。

 私としては、御提案として、ぜひクローズドのOSのもとで処理ができる環境を構築していただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 そして、今回、結局、サーバーを構築したり、システムを構築したり、さまざまなデータベースを構築するに当たって、いろいろな企業の方が入札等に入られると思うんですね。そういった場合、外国企業はどのようにお考えですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーのシステム調達は、その金額、規模からいたしまして、政府調達協定の定義がかかるということでございますので、それに従って行うということでございます。

 その中で、国家のセキュリティーにかかわることについては例外がありますけれども、そこに当たるかどうかというのは、通常ですと、こういうものは当たるとすると、多分国際的に批判がされるものだろうと思いますので、その辺は適切に考えていく必要があるのではないかというふうに思います。

中丸委員 適切にという向井審議官のお答えだったんですけれども、甘利大臣、今の質問で、いかがですか。

甘利国務大臣 WTO協定の中に政府調達というものがあります。基本的には、国際基準として、各国、WTO加盟国はそれに従ってやるわけであります。

 ただ、ごく例外は、安全保障に関するところとか、幾つかあります。それが該当するかどうかという議論が一つあると思います。

 それからもう一点は、技術力の問題で、相当大きなシステムで複雑だと思います。それをきちんと仕上げる技術力が一体どこにあるかということ。

 特許庁等で失敗をしておりますから。あれは、価格点と技術点を同列に並べてしまった、結局、日本のある企業の子会社企業が請け負って手に負えなくなった、親会社が出てきたけれども、結局手に負えなかったと。同じような、規模はどうかわかりませんけれども、あれは貿易保険か何かのシステムでしたか、アメリカの日本法人が受注して、やはりかなり手に負えなくなって、それからアメリカの本体が全部大挙して乗り込んできて、何とかその技術力、メンツにかけて仕上げたという例もあります。

 まず、技術的にちゃんとやってもらわないと、不備なものができたら、それから情報がだだ漏れすることがありますから、それをちゃんとやってもらうことと、その技術力がちゃんとあること。仮に、それが日本法人でない場合に、そこに対して、きちんとセキュリティーを、契約上とかあるいはいろいろな手当てで、できるかできないかということだと思います。

 冒頭申し上げました、安全保障の観点に該当するかどうかということから始めて、幾つかの検討課題があろうかと思います。

中丸委員 今、安全保障というお話もいただいたと思うんですけれども、少なくとも、今回、全てのデータをひもづけして一つのデータベースにまとめよう、簡単に言うとそういうことだと思うんですけれども、国民全部となれば、それは国家の重大データであり、十分、国の安全保障に資するだけのデータだと私は思うんです。

 ちょっと質問通告は出していないんですけれども、山本大臣、いかがですか。

平井委員長 山本大臣、答弁できますか。

 山本大臣。

山本国務大臣 大変失礼いたしました。ちょっと質問の意味があれだったんですけれども。

 安全保障上の観点というのは、確かにある気がいたします。そこは、もし必要であれば、少し精査をさせていただきたいと思っています。

中丸委員 ありがとうございます。

 大規模なシステムになりますので、さまざまなところはあるんですけれども、やはり外国企業、特に大きな会社、それはもちろん国内メーカーもそうなんですけれども、有力な株主がかわれば、そういったところというのはやはり変わると思うんですね。

 そういう意味では、入札それから企業選定に関して、外国企業、もちろん国内企業であっても、外国人もしくは外国企業がどれぐらいの保有株を持っているか、そういったチェック機能というのは考えていただけますか。いかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 外国企業とか、何が国内かというのは、確かに、株主がどうかということも関連してくるとは思います。

 ただ、いずれにしましても、大臣がお答えいたしましたように、そういう安全保障に当たるかどうか、その他につきまして、今後検討するということでございますので、それらの中で検討してまいりたいというふうに思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 そういったデータの安全保管、つくる側の企業の状態等々も、セキュリティーという概念だけでは、例えばレベル4だというふうに審議官もずっと質疑の中でこれまでもおっしゃってこられましたけれども、そこの目に見えるところだけではなくて、そのさらに上。私が上流という言葉を使ったのは、そういう意味なんですよね。だから、皆さんが、国民の皆さんとか行政機関の方が接続される、さらにその先、その奥をどうするか、それを構築するものをどうするか、セキュリティーというのはそこまで踏み込んでぜひお考えいただきたいということで、きょうはこういった質問をさせていただいたわけなんです。

 実は、私はもう一つ御提言をさせていただきたいことがございまして、アベノミクスの中で、第三の矢で成長戦略ということを、今、三本目の矢を放っていただくということでやっていただいていると思うんですけれども、以前、特許庁等の失敗はあったというのはありますけれども、例えば、日本のそういう大型汎用機をつくっているメーカー、一社一社ではなくて、例えばオール・ジャパンという考え方もあると思うんです。

 成長戦略というものを鑑みても、これだけの多額の予算をつぎ込んで行うわけですから、ぜひとも私は、やはり日の丸、オール・ジャパン、国産の汎用機メーカー等々を使っていただく。クローズドOSのいいところは、日本のメーカーしか使っていないOSが使えるんですね。そうすると、先ほど申し上げた、ウイルス、ハッキング、こういったものに対して非常に効果があります。技術的に足りない部分があれば、それこそ、そういった技術開発も含めてオール・ジャパンで取り組んでいただければ、国内汎用機メーカーの実績となり、それが海外に対して大きなセールスポイントにもなり、海外への輸出に対しても強くアピールできる。

 そういったところに、このマイポータルという国民の非常に注目度の高い法案の先にある今後の開発についてお考えいただけたらと思いまして、きょうはこういう質問をさせていただきました。上流という考え方を覚えていただければ、私がきょう質問させていただいた意義があると思います。

 ちょっと時間がありますけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

平井委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 たびたびでございます。みんなの党の大熊利昭でございます。

 午前中の続きからというふうに、研修の話からと思っておったんですが、ただいま中丸委員の方から非常に重要な質疑があったものですから、通告をさせていただいている後ろから二つ目の、番号法の五十四条の関係から入らせていただきたいと思うんです。

 ただいま中丸委員から、技術的その他、システム構築の専門家の観点からのお話があったかと思うんですが、今の部分とこの条文との関係について、例えば、今、ウイルス、これは最新のものを使うんだ、ということは、当然高いものになるというふうに想定されるわけでございますが、五十四条については、「費用の節減その他の合理化及び効率化を図った上で」ということで、まずは費用の節減というのが上位の概念になっているのではないかというふうに、法律上は思うんですね。

 先ほどの質疑と、この五十四条の書きぶりとの関係はどうなのかというのを、ちょっと御説明をお願いいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 特定個人情報保護委員会の権限でございますけれども、この三条委員会は、個別具体的な事案に応じて、相互のバランスに配慮しつつ、費用の節減その他の合理化、効率化を図った上でのシステムの安全性及び信頼性を確保するよう、必要な措置の実施を求めることとなります。

 したがいまして、これは必ずしも、費用の節減が第一であって、安全性、信頼性が第二だというふうな趣旨ではないというふうに理解しております。

大熊委員 正直、条文そのものを読みますと、やはり費用の節減云々を図った上でとなっておりますので、この辺のところは、普通の理解とは、なかなか理解しにくいお話なのかなというふうに思った次第でございます。

 その続きでございますが、例えば、システムの合理化そして効率化、あるいは費用の節減、これらが相反するケースというのも場合によっては考えられると思うんですが、こういった場合、この条文からすると、どのように考えればいいのか、ちょっとお答えをお願いしたいと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 こういう効率化と安全性とかあるいは利便性、それらはそれぞれやはり矛盾したりあるいはトレードオフの関係になったりすることというのは、よく起こるんだろうと思います。

 これらについては、結局のところ、ケース・バイ・ケースに応じて、何が一番重要になってくるか。例えば、マイナンバーのシステムですと、やはりセキュリティーというのはないがしろにできないということだと思いますが、その上で、やはり効率化なり費用の節減というのも重要になってくると思います。ただ、そのシステム、システムの、ケース・バイ・ケースによりまして、どういうものを優先すべきかというのをやはり三条委員会が判断していくことになろうかというふうに思います。

大熊委員 ありがとうございました。

 なかなか個別論となると難しいということで、結局はこの三条委員会、特定個人情報保護委員会の方にかなりの重責がかかってくるということで、この委員会の運営そのものが、この制度がうまくいくのかどうかの大きな鍵の一つになってくるのかなというふうに理解をさせていただきました。

 続きまして、午前中の続きでございまして、ITリテラシー等の研修のお話でございますが、政府全体で行う研修、やはりここについても、委員会がまずプログラムを策定するんだというような審議官の午前中の御答弁がございました。

 これは確認の意味も含めまして、五十条の指導、この条文に基づいての研修、こういう理解で差し支えないのでしょうか。

向井政府参考人 この特定個人情報保護委員会、広報、啓発というのが所掌事務となっておりまして、その啓発のところに入るのではないかというふうに思っております。

大熊委員 ありがとうございました。

 次に、一方、各府省で行う研修プログラムと、この委員会が啓発で考える政府を通ずるプログラムとの違いあるいは関係、これについて御説明いただければというふうに思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 個人番号を取り扱います行政機関は、個人番号の漏えい等を防止するために、特定個人情報保護委員会が示しますガイドラインに沿って、職員に対する適切な教育研修を行うことが求められるというふうになろうかと思います。

 政府部内において、これを府省ごとあるいは政府全体としてどのように実施するかにつきましては、第三者委員会が示しますガイドラインの具体的な内容に応じまして、より効果的な教育研修とする観点から、今後十分に検討する必要があるというふうに考えております。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

大熊委員 一方、国の機関以外の地方自治体については、委員会ではなくて、総務大臣あるいは総務省がいろいろとプログラムを企画立案する、こういうことでよろしいのでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 総務省におきましては、電子自治体の推進につきまして、総務省設置法第四条に基づきまして、地方公共団体に対しまして必要な助言その他の協力を行うという立場から、これまで、電子自治体の中核を担う人材の育成を盛り込んだ電子自治体推進指針というものを示してきております。

 さらに、財団法人地方自治情報センターなどと連携をいたしまして、電子自治体の推進や情報化を進める上で中心的な役割を担う人材の育成を目指し、情報システムに携わる職員向けに、演習形式などを取り入れた研修を実施して、職員の知識や技能の向上を推進しております。

 いずれにいたしましても、番号制度の導入に当たりましては、各地方公共団体におきまして、制度の運用を円滑に行えるよう、これまで以上に人材の育成を強力に推進してまいりたいと考えております。

大熊委員 自治体については、総務省さんがいろいろとお考えになられるということ。

 そうしますと、結局のところは、ITリテラシーの研修ということを全体で捉えると、やはり政府全体を通ずるような、そういう話になるというふうに想定をいたします。これが正しい認識かどうかということ。

 そうしますと、これについては、究極的には政府CIOが所掌する、そういう事務になるというふうに考えても差し支えないでしょうか。

向井政府参考人 これらにつきましても、政府CIOが内閣官房の調整権限をもちまして調整していくような事務の中に入るというふうに考えます。

大熊委員 ありがとうございました。

 一言、今、具体的にCIOの業務ということで挙げていただきましたわけですが、CIOの業務、抽象的に、IT基本法の二十六条ですか、書かれているわけでございますが、より具体的にポジティブリスト的に書かれた方が、より明確にわかりやすかったのかなという気もいたしているところでございます。

 続きまして、二十四日の質疑で、文京区の例ということで、二十五項目、年金や保険関係の事務、届け出のリストを出させていただいたんですが、なかなか今具体的にどうかというのは難しいというようなお話でございました。

 現在においてはそうかもしれませんが、きょう以降、法律が委員会で採決されていくということ以降の時期で、では、どの時期、どの段階でどういうふうになるのかというようなスケジュール表、工程表のようなものを作成して、あるいは標準的な自治体、自治体によってもいろいろな運用が違うというお話でしたから、何が標準的な自治体かというのは難しいのかもしれませんが、一例をとって、そういった工程表的なものを作成の上、国民に示すということが必要なのではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 手続簡素化の前提となります情報連携の対象事務とか、あるいは特定個人情報の詳細については、今後、この国会での御議論も踏まえて、関係省庁と調整をして、主務省令で定めることというふうにしております。

 御指摘のありました二十五の例も含めて、これを見させていただいても、多くの手続においてその窓口となることが想定される市町村において、現行でも独自に書類を求めている例もありまして、情報連携の対象となる事務が具体化する中で、それぞれの窓口となる機関においても、添付書類の見直しも含めた業務フローの改善が進むというふうにも考えておりますし、そうしなきゃならないというふうにも思っております。

 このため、御指摘の点を含めて、国民や関係機関に対して情報連携の対象となる事務や特定個人情報の詳細について早急にお示しできるよう、引き続き検討を進めていきたいというふうに思います。

大熊委員 ありがとうございました。

 まさに、今の副大臣の御答弁、これまでいろいろと出てまいりましたITの部分以外の行政事務の効率化、これは、今の話ですと地方自治体の方でございますが、IT以外の部分の行政事務の業務フローの整理、これがなされることが前提だというふうに考えるところでございます。

 続きましては、これも以前の質疑の続き、関連でございますが、地方公共団体情報システム機構の収支についてなんですけれども、法律によりますと、この機構については、費用負担は株主である地方公共団体が負担をすると。一方、手数料を住基法の改正によって行政機関や法人から徴収することができるというふうになっておりまして、普通に、単純に考えますと、費用は株主が持ってくれる、売り上げが入ってくるということは、リスクがなくもうかる、そういう法人なのかなというふうに想定するんですが、こういった認識で間違いないでしょうか。よろしくお願いします。

望月政府参考人 お答えいたします。

 機構の運営に要する費用でございますが、定款で定めるところによりまして、地方公共団体が負担をいたします。また、機構は、総務大臣の認可を受けて定める本人確認情報の提供に関する手数料を国の機関等から徴収することができます。

 機構の定款でございますが、設立時には設立委員が定めまして、その後の変更は、代表者会議の議決を経て、総務大臣の認可を受けることになっております。地方のガバナンスのもと、その運営に必要な費用が精査され、適正に各地方公共団体の負担が決まるものと考えております。

 また、国の機関等から徴収いたします情報提供手数料でございますが、番号制度の運営上、国の機関等が機構から情報提供を受けることが必要不可欠でございますので、こういったことを踏まえますと、適正な手数料設定が行われる必要がありまして、これを制度的に担保するという意味で総務大臣の認可事項といたしております。

 そもそも、この機構でございますが、地方公共団体の行政事務の合理化と住民福祉の増進に寄与することを目的としておりまして、収益を目的とする法人ではございません。地方の負担のあり方は代表者会議のガバナンスのもとで定められ、また、総務大臣の関与によりまして適正な手数料額の設定が担保されていることから、適正な運営が全体としてなされるものと考えております。

大熊委員 最初から確かに収益を目的とするということではないのかもしれませんが、この番号カードとこのシステムが普及をどんどんしていくということであれば、当然、手数料がたくさん入ってくるわけでございますから、やはり、意気込みとしても、この法人がもうかっていくという方がいいんだということではないかというふうに想像するわけでございますが、この点、いかがでございましょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 この機構と国の関係でございますが、基本的には、現在、LASDEC、地方自治情報センターが行っております本人確認情報の提供を年金機構等に提供することが大きな仕事の一つかというふうに思います。

 そういう点では、地方公共団体の負担金とそれから手数料をもってかなりの部分が運営されることになるというわけでございますが、地方の財政事情も非常に厳しい、また国の財政事情も非常に厳しい中で、手数料の設定あるいは負担金の徴収に当たりましても、やはりかなりの、さまざまな議論があろうかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、代表者会議のもとで、適正な、総務大臣の認可のもとで機構が運営されていくというふうに思います。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

大熊委員 もちろん、国も地方自治体も財政は厳しいんですが、この機構だけは厳しくなくなるのではないかというふうな想定で御質問させていただいておるわけなんですが、今局長がお話しになっておられました、そもそも国からの手数料の認可基準なんですが、これは普通に考えますと、支払う者が認可をする、こういう仕組みになっておりまして、一種の、払う人が自分で、仕組み、認可基準を決めるという、やや不思議な形かなと思うんですが、この手数料認可の基準あるいは仕組みについて教えていただければと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、機構は、総務大臣の認可を受けて定めます本人確認情報の提供に関する手数料、これを国の機関等から徴収することができるとなっております。

 国の機関等から徴収いたします情報提供手数料でございますが、番号制度の運営上、国の機関等が機構から情報提供を受けることが必要不可欠となるということを踏まえまして、適正な設定が行われる必要がございます。これを制度的に担保しようという観点から総務大臣の認可事項といたしておりまして、額につきましては、住基ネット等の運営に要する経費について、機構から本人確認情報の提供を受ける国の機関等が、この情報の提供状況に応じて応分に負担することを基本として設定すべきものと考えます。

 手数料の額につきましては、こうした観点に加えまして、国の機関等におきまして、手数料額の支出に見合う効果があるかどうか、住基ネットの運営経費を負担している都道府県の理解が得られるかどうか、こういった点を総合的に判断して考える必要があると考えます。

大熊委員 正直申しまして、かなりわかりにくいお話でございます。

 それでは、一件の情報提供の価値が幾らになるんだという具体的な算出方法については、現時点ではなかなか難しい、総合的に判断してということは、具体的にはちょっとまだ算出あるいは算出式というものは存在しないんだ、こういう理解でよろしいでしょうか。

望月政府参考人 現在、住民基本台帳法に基づきまして、都道府県の委任を受けまして、地方自治情報センターが国の機関等に本人確認情報の提供を現にいたしております。現在の手数料の額がそれぞれ決まっておるわけですが、そういった業務が基本的にはそのまま引き継がれることになりますので、現在の手数料の額も参考になろうかというふうに思います。

大熊委員 具体的に、それでは、現在提供されている手数料の額が一つの基準になる、そういう理解をさせていただきました。ありがとうございました。

 続きまして、この承継するもととなる、今もお話にあった地方自治情報センター、この二十四年三月末の基本財産というのが五億三千万円でございます。ところが、承継される新たな機構、地方公共団体情報システム機構でございますが、地方自治体の拠出額、合計一・三億円ということなんですが、この四億円というのはどこに行ってしまったのでしょうか、教えていただければと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体情報システム機構法におきましては、「地方公共団体以外の者は、機構に出資することができない。」とされております。

 現在、財団法人地方自治情報センターが所有いたします基本財産のうち、地方公共団体が拠出したもの以外のものにつきましては、これは自己造成基金と助成基金でございます。これらは機構の設立に際し機構に承継をされるわけですが、地方公共団体から機構に出資されたものではないため、資本金とはなり得ません。その取り扱いにつきましては、機構の定款等におきまして定められるものと考えております。

大熊委員 確認いたしますが、そうすると、純資産は五・三億円、こういうことでよろしいのでしょうか。いわゆる企業会計で言う剰余金のような形で計上されて、出資金ではないけれども、純資産には五・三億円入っている、こういうことでよろしいでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 出資金ではなりませんが、財産の一部になるものというふうに考えます。

大熊委員 まだまだ、ちょっと細かいのは残るんですが、時間となりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

平井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今回の番号制度の費用対効果については、政府はその試算をいまだに提供できずにおります。

 その中で、住基ネットについては費用対効果の試算があり、この委員会でも質疑の対象になりました。住基ネットの利便性は、国や地方などが住基ネットから本人確認情報の提供を受けられることによってもたらされる、こういう説明でありました。二十四日の委員会でも、新藤総務大臣は、「一億二千万人の国民において、四億三千万件の年間の本人確認情報が処理されています。」このような利便性を強調しておられていたわけであります。

 そこで、その内訳を聞きたいわけですが、二〇一一年度、住基ネットから本人確認情報の提供は全体で何件で、その提供を受けたトップスリーの団体名と提供件数、これを教えていただけますか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 平成二十三年八月から平成二十四年七月まででございますが、この一年間におきまして、本人確認情報の提供件数は約四億九千万件となっております。そのうち、日本年金機構に対する提供件数が約四億五千万件、共済関係に対する提供件数が約三千万件、これらを合わせますと、年金関係事務に対する提供件数が約四億八千万件余りになっております。

赤嶺委員 ちょっと資料を配付させていただきました。

 ごらんいただきたいんですが、住基ネットで本人確認情報の提供を得ておりますのは、住民基本台帳法別表第一に規定された国等の利用事務のうち、年金関係の事務が全体の九九%を占めているわけです。住基ネットと言われておりますが、実態は、年金や共済のための年金ネットというのが実態ではないかと思うわけですね。

 そこで聞きますが、この本人確認情報処理のための費用、これはどのように賄っているのか。地方自治情報センターの本人確認情報処理事務特別会計の収入がどうなっているのか、これを答えてくれますか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 財団法人地方自治情報センターの平成二十三年度の本人確認情報処理事務特別会計におけます情報提供手数料収入は、本人確認情報を国等の行政機関に提供した部分の収入ですが、全体で約二十一億五千万円となっております。都道府県からの交付金収入が約十億五千万円となっております。

赤嶺委員 三十二億余りの事業活動収入のうち、実際に情報提供を受けている九九%は年金関係の事務であり、都道府県や市町村の事務での使用は一%しかないわけですが、利用実態はそうであるにもかかわらず、その費用のおよそ三分の一が都道府県からの交付金収入によって賄われております。これはどうしてですか。

望月政府参考人 国等の行政機関から取ります手数料の関係につきましては、現在、都道府県の間で話し合いが行われまして、必要な調整がなされて設定されております。

 一方で、この会計におきます全体の経費につきましては、都道府県も使う部分があるということもありまして、都道府県の負担がございまして、現状ではこのような数字になっております。

赤嶺委員 使う比率が余りにも違い過ぎるのに、負担は都道府県の方が多いものですから、この辺、ちょっとわかりやすく説明していただけますか。

望月政府参考人 議論といたしましては、都道府県が現在では仕事を委任しておりますので、財団法人地方自治情報センターが、本人確認情報の提供に伴います手数料でこの会計を賄うことが理想ではあろうかと思いますが、現状といたしましては、そこまでまだ至っていないということで、かつ、都道府県も使うものもあるということから、このようなことになっております。

赤嶺委員 公表された資料からは、年金関係以外の事務での住基ネットの本人確認情報の利用は微々たるものであるわけですね。とりわけ地方の利用というのは、パスポートの事務以外はほとんど利用がないわけです。

 利用実態を見る限り、年金事務に特化したシステムを構築した方が効率的だったようにも見えます。微々たる利用が、多数の事務を乗っけた現行のシステムを構築する必要があったのか、そもそも住民票コードが必要だったのかを含めて、大臣、住基ネットワークには根本的な検証が必要だと思います。

 共通番号制度の場合でも、別表第二に規定されている事務、これは私たちも利便性が高まるといいますから、どのように高まるかということで、別表第二に基づいて、いろいろお話を聞いてまいりました。

 別表第二に規定されている事務では、利用実績が数十万件どころか、それ以外の事務も多数あるように見えます。国家公務員共済と国家公務員災害の給付の併給調整は、費用対効果が合わないということで、国の事務の中で最初から共通番号制度に乗っていない事務さえあるわけです。

 政府は、これまで、どの事務を番号システムに乗せるのか、いまだに説明しておりません。スタートしたらおのずからわかってくるからという説明であります。本来、こうしたものを明らかにして、共通番号を使う仕組みが本当に効率的なのか検討することを求められておりますが、ついにきょうに至るまで、これははっきりいたしませんでした。そのことを申し上げておきたいと思います。

 次に、番号の変更の問題について伺いたいと思います。

 参考人質疑で私が成り済まし問題について堀部参考人に質問をしましたところ、意外な答弁というか、返ってまいりました。

 成り済ましにつきましては、これを完全に防ぐというのは不可能だと思います。

そして、堀部参考人は、成り済ましなどの対策の一つとして個人番号の変更規定について言及され、このように述べました。

 法案でいいますと七条二項でありまして、七条二項では、漏えい等により不正に使用されるおそれがあるときには、市町村長は、職権により、または本人の申請により、それにかわる番号を出すことができるというふうになっております。ですから、この番号はその人にとって一生不変なものではありませんので、そういう被害があったときにはその番号の変更という形で対応することも可能だと思います。

  ですから、成り済ましを完全に防ぐということはできませんので、いろいろな方法でそれをできるだけ少なくし、また、被害が生じようとしているときには番号の変更もできるという、今度の法案の趣旨というのは、そういうふうに理解することも可能であるというふうに私は考えております。

これは堀部参考人の答弁でありました。

 大臣に伺いますが、七条二項はそういうことでよろしいでしょうか。

西村副大臣 委員御指摘のとおり、個人番号は、高度な個人識別機能を有することから、漏えいして不正に用いられた場合、個人情報の不当な集積がなされて、また、成り済ましによる財産的な被害が生じるおそれもございます。

 そこで、七条二項にありますとおり、このような被害を防止するために、個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがある場合には、本人の請求または市町村長の職権により個人番号を変更するということにしたものでございます。

赤嶺委員 番号は変更できるという西村副大臣の答弁でありましたが、この間の委員会でも紹介をしましたが、韓国では、人口の三倍の一億五千万件の住民登録番号、その情報が流出をしたと言われております。

 個人番号を含む特定個人情報がネットなどに流出をした場合、法案の個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められるときだ、いわゆる七条二項に該当する、この点はいかがでしょうか。

西村副大臣 委員御指摘のとおり、よく御案内のとおり、個人番号は、社会保障、税、災害対策の各分野の法定された事務においてのみ利用でき、これらの事務を処理する場合などに限り提供が認められるということでありますので、インターネット上で不特定多数の者が閲覧できるような状態のことはおよそ考えておりませんし、認められないことでございます。

 このような場合には、まさに個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがある場合として七条二項に該当するということで、市町村長は、本人の請求があった場合はもちろん、そうでない場合であっても、職権によって個人番号を変更することができるというふうに考えられます。

赤嶺委員 次に、個人番号カードの場合ですよ。これをなくしたときにも該当いたしますか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 個人番号カードには個人番号が記載されることから、例えば、個人番号カードを盗まれるなどして紛失した場合には、個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると考えられ、七条二項に該当して、個人番号を変更することができるというふうに考えられます。

赤嶺委員 通知カードがありますよね。通知カードをなくしたときはいかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 個人番号カードの場合と同様、通知カードには個人番号が記載されております。例えば、通知カードが盗まれるなどして紛失した場合は、個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると考えられ、七条二項に該当して、個人番号を変更することができると考えられます。

赤嶺委員 今答えていただきましたように、法案では、個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められるときは番号の変更を認めているわけですが、委員会でもたびたび紹介された、アメリカの社会保障番号も変更できる規定を持っております。

 しかし、社会保障番号を所管するアメリカの社会保障庁は、番号変更について、政府機関や企業では旧番号に基づく記録を保持し続ける場合があり、クレジット会社では個人の信用情報を特定するのに社会保障番号その他の個人情報を用いるため、新しい番号は必ずしも新たなスタートを保証するものではなく、新番号が割り当てられたからといって、成り済ましにかかわる諸問題が全て解決されるわけではないと。アメリカの社会保障庁はこのように述べているわけです。

 先ほど、番号は変えられるとおっしゃいました。その番号を変更したときに、これをどうやって、この人の番号は変更したよということを徹底していくのですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 番号制度におきまして、個人番号の漏えい、不正利用の防止のため、制度面、システム面の両面から厳重に対応することとしておりまして、個人番号の変更は限られたケースと考えております。

 個人番号利用事務実施者は、地方公共団体情報システム機構に対しまして、氏名等の最新の四情報に加えまして、個人番号の提供を求めることができるとなっております。したがいまして、国民に対して過去に個人番号を付した機関に、変更した旨を周知する義務を課すことは考えておりません。

 アメリカの場合、番号そのもので本人確認をすることが多かった、そういうところから、逆に、その番号の変更を周知しなかった場合に成り済ましというのが起こったわけですが、我が国の場合は、本人確認そのものは番号では行わず、番号カード等の写真入りのカードで行いますので、アメリカで起こるような心配はないものというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、この番号制度の導入によって、かえって国民に不利益の生ずることのないよう、国会での議論を踏まえまして、制度の詳細や運用につきましては検討してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 いやいや、まさに、個人番号を変更しても、特段どこにも知らせることはないと。個人番号を変更したということを徹底しなくても、アメリカのように不利益になるようなことは絶対ないんだ、そういう御認識なんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 例えば、個人番号を変更したAさんが、変更後の番号を、どこか、年金なら年金に申請しますと、年金の方では自分のところが管理している番号と異なりますので、これを情報システム機構に問い合わせるという形で更新がなされていくというふうに考えております。

赤嶺委員 つまり、次第次第に変わっていくんだという話ですね。しかし、番号全体は社会にあふれているわけですよね。そういうことで本当に不利益は生じないんでしょうか。

向井政府参考人 この個人番号そのものはみだりに広まるものではありませんが、一方で、他人に知られ得る、例えば、税の世界におきましては、従業員の番号は会社が知り得るもの、そういうものでございまして、ある意味、絶対に誰かに知られたらいけないものというわけでは必ずしもないと。そういう見える番号でありますからこそ、今回の番号制度におきましては、写真つきのカード等で本人確認をするというふうにしたものでございます。

 したがいまして、直ちに番号を変更しないということから国民に不利益が生じるというふうには考えておりません。

赤嶺委員 この法案には、利用を拡大していく検討をしていくという附則もついているわけですよね。現在でも法案は番号の変更を徹底する規定を持っていない。番号の利用範囲を拡大して民間での利用が進めば、なおさら番号の変更を徹底させることは困難になると思いますが、この点はいかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、逆に番号の変更を徹底するというのは意外と難しいことでございまして、その人がどこのどの機関に番号を登録しているかというのは、実はなかなかわからない、そういう世界ではあります。

 ただ、利用範囲の拡大につきましては、大臣も答弁いたしましたとおり、方法が二つありまして、番号をそのまま広げていく方法と、別の番号を使いつつ情報連携をしていく方法、二つあります。そしてまた、大臣が答弁いたしましたとおり、別の番号を使いつつ情報を連携していく方が情報が広がり得る可能性が高いということでございます。

 これらにつきましては、今後、そういう番号制度が適切に運用されますように運用にも意を用いますとともに、拡大を検討する際には、運用状況を踏まえて拡大を検討していきたいというふうに思っております。

新藤国務大臣 質問されていないのに出てきて申しわけないんですが、今、やりとりを聞いていて、ちょっとうまく説明がいっていないと思うんです。

 委員の心配は、今回、電子の世界ではないんですよ。番号が変わると、その番号で大もとの番号が一個変わります。そうすると今度は、次の手続をするときは、全部その大もとの番号を確かめに来るんですよ。それで変わったらば、ああ、この人が変わったのねということで、自動的に番号が変わっていくんです。だから、電子の世界というのはそういうことで、その大もとは、住基ネットの番号と今回のマイナンバーとが照合されるんですよ。

 ですから、一度変えると全てが電子的に変わってしまう、こういうことで、何か特別な変更の通知だとか周知をしなくても、電子的には変更は行われる、こういうふうに御理解いただけばいいと思うんですけれども、そういう説明になっていないものだから、どうもちょっと心配されているんじゃないかと思って出てきましたので、御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 今、新藤大臣の御説明を聞いて、一気に変わるんだということを聞いて、本当かなという疑問がまた生まれてきましたけれども。

 要するに、成り済ましの問題でも利便性の問題でも、もっともっと法案の審議が必要だということを実感しているというのを申し上げまして、私の質問を終わります。

平井委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 いよいよ最後の質疑者となります。長時間本当に御苦労さまでございます。どうぞ最後までよろしくお願いいたしたいと思います。

 これまでも質疑を重ねてまいりまして、多くの問題点が各委員から指摘をされてまいりました。また、その問題点は必ずしも解明されたというわけではないと思います。国民のニーズの有無に始まり、プライバシーの保護やあるいは費用対効果についても政府のたび重なる御説明はいただいておりますけれども、残念ながら納得できるというところまでは至っていないということを申し上げ、そして、きょうは最後にもう一度、幾つかの点について確認をさせていただきたいと思います。重複もあろうかと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、まず、日弁連の清水弁護士の指摘をまつまでもなく、最高裁の判例ではマッチングを禁止しております。これまでの質疑の答弁でも、特定個人情報保護委員会の設置を初めさまざまな措置を講じているので、この問題はクリアをされているという説明でございました。ただ、マッチング自体が判例で禁止ということがうたわれている以上、やはり判例違反という懸念は拭い去れないと思っております。

 マッチングの是非について改めて見解を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 住基ネット訴訟では、住民基本台帳法が認めていない目的外のデータマッチングが行われる危険性があるかどうかを論点にしたものでありまして、番号制度のような法律に規定をされた目的内のデータマッチング自体を論点にしたものではないと承知をいたしております。

 番号制度の構築に当たりましては、住基ネットに係る最高裁合憲判決、これは平成二十年の三月六日のものでありますが、この趣旨を十分踏まえる必要がありますことから、住基ネット訴訟で論点となりました目的外のデータマッチングが起こらないように幾つかの取り組みをしております。

 改めて御説明申し上げますと、まず一として、個人番号に係る個人情報をみだりに他人に知らせてはならない旨法律に規定をする。二といたしまして、情報管理につきまして、各府省等のデータベースによる分散管理。一元管理をしない、分散管理をするということ。それから三点目といたしまして、特定個人情報の安全管理措置義務、それから特定個人情報の提供可能な事務等を法律に規定をする。それから四点目として、システム上のセキュリティー対策を十分に講ずること。五点目といたしまして、現行の個人情報保護法制よりも罰則を引き上げること、約二倍でありますが。そして六点目として、独立性の担保された特定個人情報保護委員会を設置しまして、特定個人情報の取り扱いを監視、監督することなどの措置を講ずることといたしておりまして、違法性はないものと理解をいたしております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 今、大臣の御答弁でも厳罰化という答弁がございました。国民が求めるのも、もちろん厳罰化ということもあろうかと思いますが、それよりも、何よりも漏えいあるいは不正に使用された個人情報の回復、また被害の回復はどうなるのかということ、また、具体的にどのように回復できるのかを明らかにしておく必要があるのではないか、そのように思います。あくまでも罰則強化は抑止力であります。やはり、肝心なのは被害の復旧、補償だと思います。

 この被害の復旧がマッチングの最低条件であると私は考えるんですけれども、具体的な対策をお示しいただきたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のように、まず被害が起きないこと、被害が起きた、あるいは起きそうなときに迅速に対処する、御指摘のとおりだと思っております。

 番号法は、御案内のとおり、個人情報の漏えい等を防止するために制度上の保護措置及びシステム上の保護措置を講じているところでありますけれども、委員が今御指摘されたとおり、万が一漏えいの事態が発生した場合に備えること、これは重要である、御指摘のとおりであります。

 そこで、次に申し上げる方策を講じているところであります。

 まず、市町村長は、個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがある場合、本人の請求または職権により、本人の請求がなくてもその危険性がある場合、職権によりまして、今使用している個人番号にかえて新たな個人番号を指定して本人に通知しなければならないとしているところであります。

 また、個人番号を含む個人情報が漏えいした場合に、特定個人情報保護委員会は立入検査等を実施し、また、違反を是正するために必要な措置を講ずるよう勧告、命令することができます。例えば再発防止策を講ずるよう求めることや、漏えいに係る個人情報の回収等を求めることなどが考えられるわけであります。

 さらに、番号法は、特定個人情報保護委員会の命令に違反した場合や、あるいは個人番号を含む個人情報ファイルを漏えいした者などに対する罰則を規定しておりまして、その内容は、最高刑が従来の個人情報保護法制のおよそ二倍となるほか、直接罰の範囲を民間事業者に拡大するなど、従来よりも強化しておりまして、委員の御指摘にしっかり対応していると承知をいたしております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 私は、いろいろな疑念を持って、あるいは問題点を持ってさまざまな指摘をしてまいりました。行き着くところは、システムにしろマイナンバー制度にしろ、推進をするためのキーワードは一体何なのかというふうなことを考えますと、やはり国民の信頼だと思います。

 国民の信頼を得るためには、その責任を果たすということが大変重要な要素だと思います。国が責任を持ってきっちり対応するんだということが国民に明確になることによって、システム、制度に対する信頼が大きくなっていくものだと思っております。そういう視点に立って、政府の決意をお伺いしたいんですけれども、私は、その責任の所在ということが大変重要なことだと思っております。

 例えば、福島の原発事故でも、一義的には東電の責任であるということは当然なんですけれども、そもそも、原子力政策を国策として推進してきた、原子力を活用するという大きなリスクを伴う政策の最終的な責任者は、やはり国家ではないかと私は思います。ですから、今回の原発事故を含めまして、国の責任を追及する声というものが出てくるのは当たり前だと思っております。

 今回のマイナンバー制度も全く同じだと考えます。全ての国民の情報を民間にまで活用しようとする以上、例えば民間で起こった漏えいであったとしても、その基盤を構築して提供したのは、そのような政策を進めた国に責任があるはずだと思います。

 国は、マイナンバー制度により惹起される全ての事案に対して、根本的な責任を負うんだという認識をお持ちかどうか、お答えをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 事故が発生した場合に、どこが、誰が責任を負うかという御質問であります。

 情報漏えい等が発生した場合の責任の所在については、まずは当該個人情報を漏えいした機関が第一義的な責任を負うことになるということが考えられます。

 国といたしましては、情報漏えい等が生じた場合において、漏えいした個人番号の変更、それから、特定個人情報保護委員会による漏えいされた個人情報の回収、再発防止措置の求め、漏えいした者に対する罰則の適用などによりまして、漏えいによる被害のいわば極小化、漏えいした情報の悪用などによるさらなる被害の防止などを図ってまいる所存でございます。

 なお、国または地方公共団体の職員の故意または過失により個人番号を含む個人情報が漏えいをして、それにより損害が生じた場合につきましては、国または地方公共団体は国家賠償法に基づく損害賠償責任を負うこととなると承知をいたしております。

村上(史)委員 今御答弁いただいて、今までも同じ御答弁ではあるんですけれども、やはり国として、このシステム導入によって惹起をされたあらゆることについては政府がきちっとやるんだ、国民の皆さん、安心してください、こういう強いメッセージを出される必要があるのではないか。

 午前中の安倍総理の御答弁でもありました。広報をもっときっちりして国民の認知を高めていく、そして、そのための、信頼を得るための政府としての明確な姿勢を打ち出していく、これが再度求められる。そのことを強く指摘して、次の質問をさせていただきたいと思います。

 それと関連するんですけれども、このマイナンバーは、行政にとってメリットは大変大きいものがあると思います。それは認めます。しかし、国民にとってメリットと言われるものが不明確であるということ。先ほど来申し上げているマッチングや情報漏えい、不正使用といった大きな危険性の方が明々白々である、こういう状況の中でマイナンバーを導入する。

 国民のニーズもない状況の中でこのような大きなリスクを国民に背負わせるということについて、もう一度御見解をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 行政の側にいろいろな効用がある、しかしユーザーの側には費用に見合った効用があるのかという御指摘でありますが、とにかく、便利になるということは間違いないことであります。

 住民票、それから所得証明書等々、所得制限がかかっているような給付に対して手続が簡素化をされるとか、そもそも、電子処理でありますから、圧倒的に添付書類の数は各種手続で減っていく。あるいは、マイポータルを通じてネット上で社会保障や税の自身に関する情報が手軽に得られる。

 先ほど、この場で、それからもう一歩進んで、もし納付していないのであれば、その場ですぐ処理ができるようにしたらどうだという御指摘もありました。これは、セキュリティーの管理等々、技術的にどう対応ができるのか、これから先の課題として、そこは検討課題の一つになろうかと思っております。

 定性的にはいろいろと御説明ができるのでありますけれども、それが金額ベースでいうと幾らになるのかというのは、なかなか現時点で明確な御答弁ができないというのは本当に申しわけなく思っておりますけれども、民間経済機関等々、あるいは学者の皆さん方の試算によりますと、数字にいろいろ違いはありますけれども、少なくとも、費用対効果でいえば確実に効果の方が高いという御指摘もいただいているところであります。

 とにかく、このシステムを入れてよかったと言われるように、安心、安全、そして利便性、国民の期待に応えられるような対応をしっかりこれからもしていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 これは何度も何度も質問をしていることなんですけれども、システムの構築のことなんですが、先ほど中丸委員からでしたか、調達について、安全保障上、国内の事業体にというお声もございました。

 このシステムというのは、本当に巨大なシステムだと思います。これも繰り返しになりますけれども、年金機構のシステムづくりのおくれ、あるいは特許庁のシステムの失敗、さまざまな経験を今政府としてやっておられると思いますけれども、それ以上に巨大なシステムであります。

 私は、特に危惧をするのは、多額の税金を投入するわけであります、失敗は許されないと思います。それだけに、国としての発注者としての目きき、また、それを受注する側もしっかりとした対応でなければ大変な大きなフィクションになってしまう。私は、そういう危惧をいたしております。

 その点について、そういうことはない、きっちりとやり遂げるんだという決意を最後に述べていただき、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

西村副大臣 委員の御指摘もごもっともでありまして、特許庁のシステムの失敗の教訓なども我々はしっかりと踏まえて、それから、内閣情報通信政策監が設置をされますけれども、その指導のもとで、調達仕様書における要件定義を明確化したり、あるいは受注する事業者の技術力の適正な評価、これもしっかり行う。また、そうした際に外部専門家の活用をするといったことを通じまして、繰り返しになりますけれども、内閣情報通信政策監と連携して、適切にシステム整備を行いたいというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。終わります。

平井委員長 これにて各案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案、いわゆる番号法案及び番号法関連法案に対して、反対の討論を行います。

 反対する理由の第一は、国民一人一人に原則不変の個人番号を付番し、個人情報をこれによって容易に照合できる仕組みをつくることは、プライバシー侵害や成り済ましなどの犯罪を常態化するおそれがあるからです。

 政府は、それらの対策として、利用範囲の限定などを掲げていますが、法案には、その拡大の検討を附則に盛り込んでおり、対策は最初から空文化しているのであります。

 第二に、番号システムは、初期投資三千億円ともされる巨額プロジェクトにもかかわらず、その具体的なメリットも費用対効果も示されないまま、新たな国民負担が求められ続けることです。

 費用対効果もメリットも具体的に示されないまま、制度を政府に白紙委任するわけにはいきません。

 第三に、税や社会保障の分野では、徴税強化や社会保障給付の削減の手段とされかねないことです。

 番号で所得の把握が正確になるかのように言われていますが、民主党政権の大綱でも、番号を利用しても事業所得などの把握には限界があるとされていたものです。また、給付に見合う納付の名での医療給付などの削減に制度が用いられかねません。

 私たちは、個別分野での番号利用自体を否定するものではありませんが、今回の番号制度導入は、以上述べてきたように、将来に重大な禍根を残すものであり、番号法案はもとより、その番号制度を整備し、推進するための関連法案、推進の立場からの修正案に反対であることを表明して、討論を終わります。

平井委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党を代表して、政府提出マイナンバー関連四法案並びに五党提出の修正案に反対の立場から討論いたします。

 このマイナンバー制度の導入は、国民全員に番号をつけて、行政が利用することによって行政運営の効率化を図る、そうすると、国民にも何らかの利便性が向上することにもなるだろうというものであります。

 民主党政権時代の議論は、税と社会保障の一体改革を進める議論の中で、公正公平な給付と負担を実現するために、歳入庁を創設し、番号制度を有効に利用しようというものでありました。つまり、国民にとって重要な政策を推進するための道具として番号制度を利用しようとしたのであり、哲学が違います。

 本法案の目的の柱は、行政運営の効率化を理由に全国民に番号をつけることであり、国民の利便性の向上はそのおまけの効果でしかないのです。社会保障、税及び災害対策の文言を前面に出すことによって、耳ざわりをよくして抵抗をしがたくする効果を狙い、後は、一点突破、全面展開で民間にもこの番号制度を利用させようという狙いであります。そこには、一体改革もなければ、国民のニーズなどは全く存在しません。

 その証拠として、行政運営の効率化によって、行政がどのように効率化し、合理化されるのかを示す定量的な資料は全く示されません。制度の導入から維持管理、アップデートなど、地方も含め、今後どれだけの税金が投入されるのかについても数字が示されていません。

 同時に、国民にとってどのような利便性の向上があるのか、それは国民のニーズに沿ったものなのかも明らかではありません。特に申し上げておくことは、たとえ政府が利便性が上がると言ったところで、国民にしてみれば、個人情報を危険にさらしてまで獲得すべき利便性がそもそもあるのかということです。そのコンセンサスは全く得られておりません。そればかりか、情報漏えいや不正使用等による損害の回復や賠償は不可能であります。

 システム構築についても、年金システム構築のおくれや特許庁システムの失敗に見るように、政府の調達能力はもとより、受注企業の能力においても、この巨大なマイナンバーシステムの構築が本当にできるのか大いに疑問であり、数々の問題点を積み残したままの制度導入は認められません。

 なお、五党修正案につきましても、本法案の根本が修正されない、哲学が異なるものをくっつけてみても意味をなさないということから、反対といたします。

 以上の諸点を指摘し、反対討論といたします。(拍手)

平井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 初めに、内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、木原誠二君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平口洋君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。松田学君。

松田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 政府は、個人番号及び法人番号の運用に当たっては、その業務に従事する者のモラルの維持・向上、法令の遵守を図りつつ人材育成を行い、もって個人情報の保護に万全の体制を構築すること。

 二 政府は、特定個人情報の保護の一層の強化に資するよう、特定個人情報を取り扱う公務に従事する者又は従事していた者の守秘義務の厳罰化などの必要な措置の検討を行うこと。

 三 政府は、社会保障・税番号制度システムの開発について、効率的かつ効果的なIT投資に資するよう、現在の制度及び仕事のやり方の改善を前提に、費用対効果を検証した上で予算案等を策定すること。また、今後の制度に関する見直し等の可能性を考慮して行うよう努めなければならないこと。その際、システム全体を統括する内閣情報通信政策監を十分活用すること。

 四 政府は、本法の施行後も引き続き、教育活動、広報活動その他の活動を通じて個人番号及び法人番号の利用に関する国民の理解を深めるよう努めるとともに、利用範囲に関する検討を進めるに当たって、そのメリット等について国民に分かりやすく積極的に情報提供を行うこと。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

平井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。甘利国務大臣。

甘利国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

平井委員長 次に、内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、内閣法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、木原誠二君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平口洋君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。若井康彦君。

若井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    内閣法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 内閣情報通信政策監については、政府全体の電子行政の推進等を担う司令塔としての責任の所在を明確にするとともに、少なくとも三年間はその任に当たるよう配慮すること。

 二 内閣情報通信政策監は、国会に対して、番号制度の進捗状況等について定期的に報告すること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

平井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山本国務大臣。

山本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

平井委員長 次に、内閣提出、地方公共団体情報システム機構法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.