衆議院

メインへスキップ



第17号 平成26年5月9日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十六年五月九日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      井野 俊郎君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新谷 正義君    助田 重義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    津島  淳君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      長島 忠美君    福山  守君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      大島  敦君    後藤 祐一君

      津村 啓介君    若井 康彦君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君

    …………………………………

   議員           松本 剛明君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)            稲田 朋美君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   外務大臣政務官      牧野たかお君

   文部科学大臣政務官    上野 通子君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  箕浦 龍一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  大内  聡君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      市川 健太君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  近藤 正春君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            池田 唯一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小川 秀樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新美  潤君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  伊藤 盛夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     井野 俊郎君

  新谷 正義君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     青山 周平君

  助田 重義君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     新谷 正義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七八号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(松本剛明君外三名提出、第百八十三回国会衆法第三一号)

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官箕浦龍一君、内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣参事官大内聡君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長市川健太君、内閣法制局第一部長近藤正春君、金融庁総務企画局審議官池田唯一君、法務省大臣官房司法法制部長小川秀樹君、外務省大臣官房審議官新美潤君、外務省北米局長冨田浩司君、防衛省経理装備局長伊藤盛夫君、防衛省地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。

 きょうは一般質疑であります。甘利経済財政担当大臣と、あと森国務大臣に質疑をしたい、こう思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますので、それを見ながら質問をしていきたい、こう思うんです。

 一枚目をごらんいただければと思うんですけれども、連休中、幾つか報道されておるのですが、大変注目すべき記事が出ておりました。日本経済新聞が五月四日付の一面で、こういう記事を報じておるんですね。「政府が初の目標 少子化に対応」「人口五十年後に一億人維持」、こういう見出しで記事を報じております。

 我が国の人口は、現在の人口見通しでいきますと、二〇六〇年代には約八千六百万人に落ちてしまうわけですが、今現在一億二千万人台おるわけですけれども、大幅に落ち込むわけです。これを何とか一億人台を目指す目標設定をすると報じております。

 この記事によりますと、経済財政諮問会議のもとにある専門委員会が、来週にもまとめる中間報告でその内容をまとめ、政府として、経済財政諮問会議が六月に閣議決定する経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太の方針に盛り込むと報じております。

 記事には、細かくこの中間報告の内容を記載しておりますが、この記事の是非はともかく、私は、この人口問題、大変、我が国にとって土台の話だろう、こう思うわけであります。この委員会でも何度か議論をさせていただいた記憶があるんですが、やはり人口がどんどんどんどん減少していくというのは、国家にとって私はゆゆしき問題だ、こう認識しております。

 まず最初に、甘利大臣にお伺いをしたいのですけれども、経済財政全般を預かる大臣として、国家の土台となる人口について、一億人を目指すというか、現在一億二千万人いる人口を、一億人というのは現状維持ではなくて減ってしまうわけでありますが、しかし、何とか現状を維持する程度の目標を持つという考え、維持をしていくんだというこの方向感は持つべきかどうか、そうした方向で政策全般を検討すべきかどうか、そういう問題意識をお持ちかどうかについて、大臣のお考えをまずお伺いしたい、こう思います。

甘利国務大臣 中長期的に言えば、人口減少問題は我が国の最大課題になると思います。このまま放置していけば、いずれのときか、全てのシステムが崩壊する危険性があると思います。ある時期から減り方が少しずつ減って、ある時期を過ぎると急激に落ちていくということを考えますと、今から対処していかなければならないわけでありまして、一億人というのは、今のあらゆる社会システムから経済システムを維持するのに必要な人数であるというふうに考えております。

 本年一月に、諮問会議のもとに、「選択する未来」委員会を設置いたしました。日商の三村会頭が長になってやっていただいているのでありますけれども、人口減少、超高齢化という未来が近づいていることを直視した上で、二〇二〇年ころを節目としつつ、半世紀後、つまり五十年後を見据えて何をやるべきかということを二〇二〇年までにやっていこうということなのであります。

 日本の目指すべき未来像とその実現に向けて、多様な方向性を示すべく議論を始めているところでありまして、先般、四月の二十一日でありますけれども、開催をされた「選択する未来」委員会では、中間整理の骨子案を提出いたしまして、現在、内容を検討しているところでありまして、五月中旬に中間整理を取りまとめられるというふうに承知をいたしております。

 こうした中で、現状のままでは、経験したことのないスピードで人口減少に直面する、五十年後には、日本の総人口は、おっしゃるとおり、八千六百万人台、つまり八千七百万人弱になってしまう、現在の三分の二ですね。今、急速に人口が減少するということが、いろいろな意味で、根幹の仕組みすら崩壊させかねないという重大な懸念があるわけであります。

 今後とも、「選択する未来」委員会において精力的に議論をして、中間整理を取りまとめられるということを期待いたしております。骨太が六月ですから、どう書き込むかという議論があろうかと思います。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 今、甘利大臣に御答弁いただきました。やはり一億人という一つのメルクマール、これは、大臣に御答弁いただいたように、日本の今ある社会を何とか持続するための一つの目安なんだろう、私もそう感ずるわけであります。

 けさ方も報じられておりますけれども、増田前知事がシンクタンクでまとめた地方の人口構成で、後ほど森大臣にもお答えいただきますが、地方において若い女性が一気にいなくなってしまうといった試算、地方消滅といった試算も出されておりますし、大変加速的に減少社会が来る、それに対して対処しなければいけない、こういう御答弁でございました。

 この記事によりますと、もう一点、甘利大臣にお伺いしたいと思うんですが、この中間報告整理案では、移民政策については、移民政策としてではなく、外国人材を積極的に受け入れるといった記述になっており、いわゆる移民政策は採用しない方針を示しております。

 「選択する未来」委員会の議論の途中の中で、一部報道で、移民を受け入れるといった報道も、これは一種の試算というか、何か議論をしたのがちょっと出てしまって移民受け入れ報道になってしまったのかもしれませんが、そういった報道もされましたが、いずれにしろ、外国人を積極的に受け入れるというのは、人材を受け入れるという記述でありますから、いわゆる高度人材の受け入れということでありますので、従来の政策を拡大する、移民とはまた異質の問題だ、政策軸だ、こう理解をしておりますが、甘利大臣御自身は、このいわゆる移民政策についての是非に関するお考えは、大臣としてはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、機械的な試算として出されたものが若干ひとり歩きをしてしまっている。「選択する未来」委員会では、移民の受け入れということについては全く言及をしておりません。

 御指摘のとおり、総理自身も、政策提言が移民の受け入れという誤解を与えないように気をつけてくれということを直接私も言われました。

 私自身も、日本の進むべき方向としては、高度人材については間口を広げていくべきだと思います。単純労働については、送り出し側と受け入れ側をきちんと政府が関与する、よりしっかりとした仕組みにして、年次を限って、技能研修も含めて受け入れて、そして、終わったら、遅滞なく母国に帰って、母国の発展に資するような活躍をしていただきたいということが、基本的に私が考えている考え方であります。

近藤(洋)委員 今、甘利大臣の御答弁を聞いて安心をいたしました。私も全く移民政策については同感であります。

 これは、結局のところ、各国、ここの部分について長期的には大変高いコストを支払っているのではないか、こう思いますし、ここについては、高度人材を受け入れ、そして、よければそこで定着をしてもらうということなのであろうと考えるわけであります。

 そこで、森大臣にお伺いをします。

 資料の二枚目をごらんいただければと思います。

 これは、内閣府の「選択する未来」委員会で出されたグラフでありますけれども、まさにこの下のグラフが現在のままの人口推計のグラフ。今のままでいくと二〇六〇年には八千六百七十四万人になりますと。そして、何とかこれを一億人台にふやすにはということで、上の点線。こういうグラフであります。

 大量の移民を受け入れない前提に立ちますと、何が違うかといえば、一億人台を何とかキープしようと考えると、いわゆる出生率を引き上げる必要が当然出てくるわけであります。もちろん、平均寿命が百五十歳ぐらいまで延びればそれはまた別でありますけれども、これはなかなか常識的には考えられないわけでありますから、寿命が延びることもある程度想定しつつも、基本的にはある程度出生率をふやす、こういうことであるわけであります。

 このグラフにもありますとおり、「出生率回復ケース」こう書いているのは、二・〇七、女性が一生当たりに産む子供さんの数が二・〇七になる。現在は一・四一人でありますから、これが大幅に上がる、こういうことであります。

 フランスは二・〇ということでありますけれども、この二・〇七というのは相当高い水準でありますし、この二・〇七を二〇三〇年までにその水準に上げて維持しないとこの数字は達成できない、こういうことであります。二〇三〇年というと、そんなに先の話ではない、こういうことであります。

 さて、森大臣、安倍首相からも、移民を受け入れないという前提に立つと、出生率を具体的にいつまでにどういう形で引き上げていかなければいけないのかという目標設定の必要性についてどうお考えになっているのか。また、現状の出生率についてどういうふうに認識をしているのか。

 当然、引き上げる必要性というものについては、もちろん個人の生活の問題でありますから、個人の自由ということはあるにせよ、今の我が国の出生率の水準についてはどう認識されているのか。そして、私は低いと考えますが、では、低いならば、これをどの水準までどう引き上げるべきだという目標値といいましょうか、考えをお持ちなのか。お答えいただけますでしょうか。

森国務大臣 目標のあり方につきましては、産業競争力会議と経済財政諮問会議の合同会議におきまして、総理から私の方に宿題として出されております。

 正確に申し上げますと、目標のあり方ということでありますので、私としては、目標を設けるか設けないか、そして設けるとした場合にもそれが数字なのか数字でないのか、数字であるとした場合にもどのような数字なのかというのは、多角的な視点で、私のところの審議会に当たる少子化タスクフォースというところで、有識者の委員の皆様に今議論をしていただいているところでございます。

 御指摘の出生率、正確に申し上げますと合計特殊出生率、これを目標にするということについては、少子化タスクフォースでも厳しい意見が多いです。なぜなら、やはり一人の女性が一生に産む子供の数というのが合計特殊出生率の定義でございますので、やはり女性個人に産む、産まないといったことを押しつけるのではないか、国家がそういったことを強制するのではないかというふうに女性またはカップルに受け取られること、または、望んでも子供が持てない方に対して傷つけてしまうのではないか、そういったことは避けるべきだという意見が多いです。

 ですので、出生率自体を数値目標とするかどうかということではなくて、先ほど申し上げましたとおりのあらゆる観点から、目標を設けるか否かということも含めて、今検討中でございます。

 ただ、現状をどう認識しているかという御質問がございましたけれども、合計特殊出生率は目標ではなくて結果でありますので、結果としての出生率、現在の一・四一ということで分析をいたしますと、やはり人口を維持するには非常に低いということで、フランス、スウェーデン等に比べると低いわけです。

 そうしますと、先ほどお示しになった、グラフにもよりますけれども、先進国の中でも急激に人口が減少していく国ということになりますので、現在生きている若者や現在生まれている子供たちに対する負荷が急激に重くなるということはしっかり認識して、国として政策を打っていかなければならないというふうに思っております。

近藤(洋)委員 わかりやすい数字なので、私は、合計特殊出生率の何らかの目標をと申し上げましたが、一年間に生まれる子供さんの数でもいいんです、何でもいいんだと思うんですが、私は、ここは何らかの目標をあえて言うと立てるべきだという立場に立ちます。

 となれば、やはり何らかの目標を持たないと、「選択する未来」委員会の提言にも支援措置の大幅な倍増を図るべきだ、抜本強化策をすべきだという提言をされておりますけれども、その場合、やはり何らかのきちっとした目標を持たないとこの課題は解決できないのではないか、こう思うわけであります。

 もちろん、個人の生活にかかわる問題でありますし、自由にもかかわる問題ですし、女性の、女性に限らずですけれども、男性にとっても大事な問題でありますけれども、一年間に生まれる子供さんの数でもいいですから、ぜひ、これはきちっとしたものを持ち、政府としてそれに向かって進むというものをぜひ御検討いただきたい、こう思います。

 その上で、大臣、改めてもう一度、関連してお伺いするんですが、具体策なんですけれども、まず、資料の三枚目では、「選択する未来」委員会の中間整理骨子案には、方向性には、人口、抜本的な少子化対策が必要ではないか、こういう論点整理をした上で、具体的には、その対策費、今、子ども・子育て関連には年間約三兆円の予算を投じていますけれども、これの大幅増を図るべきと。この記事には倍増となっていますが、最終的にどうなるかは別にして、大幅な拡充といったこともこの「選択する未来」委員会の中間報告の素案には書いてあり、そういうことで検討しているというのが「選択する未来」委員会の資料。

 次のページが、森大臣のもとでの少子化危機突破タスクフォースのページ、四ページですが、「今後の取り組むべき課題」の一に、これはちょっと気になるんですが、この一番最初に、「財源の確保」という見出しで、いろいろ書いておるんですが、「未来への投資として、少子化対策や子どもたちのための財源をさらに確保する必要がある。」と。現在は諸外国と比べて少ない。そして、財源を確保する必要がある。その際には、対策の効果を国民と共有し、国民の支持を高めることが重要であると書いているんですね。その次の中にはいろいろな対策を書いているんですけれども、一番最初の書きぶりとしては非常に弱い、抜本的な強化とかという話にはなっていないんですね。

 あえて言うと、財源の確保というのはこれは財務省が言う話でございまして、少子化部局が書く話じゃないんですよ。これは財務省に何か相当ねじ込まれて書いた見出しじゃないか、こうも邪推をしたくなるぐらいの書きぶりです。

 見出しは大事なんです、見出しは。抜本強化とどんと書くならともかく、いきなり財源というものが出ちゃうと非常によくない、こう思うんですが、大臣、いかがですか。

森国務大臣 これは有識者の会議でございまして、私の方もあれこれ口出しをせず、委員の先生方の議論に任せております。もちろん事務局も、財務省と事前に協議をしてこのような文言にしているということはないというふうに承知をしておりますが、こちらは有識者の委員の取りまとめですので、私としては、自由な意見を活発に闘わせていただいて、議論を見守りたいんですが、これは置いておいて、私の意見を申し上げますと、私は委員と同じ意見でございまして、少子化予算、我が国は少な過ぎるというふうに思っております。

 先ほどの、フランスやスウェーデン、少子化がV字回復した国、一旦下がってまた回復した国というのは、やはりGDP比で三%というふうにとっているんですね。これを私はどこの会議でも申し上げているんですが、そうすると、いや、消費税等の国民負担が高いからなんというような反論の声もありますが、それを含めて補正をした上ででも日本は非常に少ないんです。一%ちょっとぐらいでございます。今回の消費税を上げた中で〇・七兆円いただいても、なおまだまだ少ないのでございます。

 ですから、私は、やはり少子化・子供政策についての財源はしっかりと強化をしていくということを頑張ってまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 では、ぜひ大臣のリーダーシップで、書き直しをしていただいて、骨太に反映させてもらいたい、こう思います。

 次に、甘利大臣、実効法人税率について伺います。

 実効法人税率の議論、ここの場でも何度かさせていただきましたが、ゴールデンウイーク中に何度か発言をされております。五年前後で二〇%台にという御発言もされております。現在、三五・六四%、東京都に本社を置く企業の場合。二〇%台ということは、六%程度下げる、こういうことでありますが、一段と踏み込まれた発言をされておるわけであります。私も方向感としては同じ思いを持つものでありますが、中小企業についてはちょっと違う思いもあるんですけれども。

 これについて確認ですが、骨太方針に引き下げの方針を明記される、こういう思いで今いられるのか。かつ、引き下げの幅、時期についても骨太方針にどこまできちっとこの六月の段階で書き込むという思いでおられるのか。民間委員の中には三年ということも御発言される方がいるやに聞いておりますが、どういうことなのか。大臣、御答弁をいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 骨太方針に法人税減税の方向性が書き込まれるということは間違いないところでありますが、総理も強い意志を国内外に示されておられます。でありますから、単に方向性でこうした方がいいと、それはみんなそう思っているんでしょうけれども、では、具体的にどういうスケジュールになるんだとか、あるいは財政再建との整合性はどうなるんだとか、原資はどうするんだとか、いろいろな議論があろうかと思います。

 それらをしっかり精査して、私一人が決めるわけではなくて、党税調も与党税調も政府税調もあるわけでありますから、その機関としっかりすり合わせをしながら、現実味のある案をできるだけ具体的に書ければというふうに思っております。

近藤(洋)委員 その際に、ぜひ大臣、これは六%程度引き下げるとなると三兆円の財源と。この三兆円の財源を企業の分野の租特だけで賄おうとすると、これはもう釈迦に説法でありますが、ナフサ減税をやめてしまうか何かしない限り、ないしはRアンドD減税を全部やめるかということをしない限り調達できないわけでありまして、そうすると何のための法人税引き下げなのか、こういう議論であります。

 要するに、ペイ・アズ・ユー・ゴーを単年度で考えるとこれは全く成り立たないわけで、私ども民主党政権のときも五%の法人税引き下げを実行しました。このときに、かんかんがくがく財務省と議論をさせていただいたわけでありますが、単年度ではなくてやはり複数年度でペイ・アズ・ユー・ゴーを考えるという発想に立たないと、五%以上の引き下げというのは相当難しいんじゃないかと思うのですが、その辺の政府における発想の転換というのはいかがなものでしょうか。

柴山委員長 甘利大臣、質疑時間が経過しておりますので、端的にお願いします。

甘利国務大臣 まず、租特は、競争力強化を中心にして制定されている政策減税です。その効果が怪しいとか、あるいは使命を果たしたというのは、もちろんそれはなくしていいと思いますが、現に、研究開発減税とか投資減税というのは、日本の競争力を高める、対外投資を高めるためにやっているわけですね。その分だけ法人税を減らすというのは意味がない、それは委員御指摘のとおりであります。

 あわせて、単年度均衡か複数年度か、これは私は個人的には、単年度ということにがちがちに限定してしまうと、とれる政策の幅も狭くなってくるのではないかと思います。

 上振れ分をどう使うかという議論と、それから、課税ベースを競争力を減殺しないようにどう広げていくかということと、そして、年限を決めた中でどうそれを吸収していくか、総合的、複合的な議論が必要だというふうに思っております。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上でございます。おはようございます。

 早速でございますけれども、甘利大臣からお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先日、四月の二十二日に政府の産業競争力会議で、労働時間規制の緩和の検討に入ったということで報道がなされております。これに関して、働く立場から、残業代がゼロになるのではないかなという懸念も広がっておりますし、第一次安倍内閣のホワイトカラーエグゼンプション、労働時間規制適用免除制度の再現とも言われておりますけれども、この考え方について、まず概略をお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

甘利国務大臣 労働時間規制の緩和の議論をしますと、必ずマスコミが、残業ゼロ法案とかセンセーショナルにミスリードするわけであります。

 しかし、目指すところは全くそういったタイトルと違っておりまして、御指摘のとおり、四月の二十二日に、これは諮問会議と競争力会議の合同会議を開きました。民間議員から、労働時間ベースではなくて成果ベースで働きたいという人に選択肢を与えるための新たな労働時間制度の創設等についての提言があったわけであります。

 今回の提言は、人口減少下でも成長力を維持するために、意欲と能力のある国民が全員参加、今まで労働市場に参加していない人も参加できるような柔軟性を持つという意味でありますけれども、全員参加をして、生産性を上げながら柔軟に働けるための提言であったというふうに受けとめておるわけでございます。

 長時間労働の常態化等の御懸念が指摘されますけれども、今回の民間議員の提案では、職務を明確化することを必須要件としておりまして、労働時間上限を要件とするタイプについて、国の定める一定の基準に基づきまして、労使で労働時間上限等の労働条件を定め、その上で、上限を超えた等の場合には通常の労働時間に戻すということ等も想定しておりまして、こうした点にも配慮の上に検討がなされたものと認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、今後、関係省庁と相談をしながら、労働者が過剰な長時間労働を強いられるといったことのないように十分留意をしつつ、検討を進めてまいりたいと考えています。

村上(史)委員 御説明では、決して残業代ゼロが目的ではないんだということは当然だと思うんですけれども、委員の方から示された制度のイメージ、Aタイプ、Bタイプということで、二つのパターンで、今、大臣からもお話がございましたけれども、労働時間上限要件型と高収入・ハイパフォーマー型という形で、二つのタイプをイメージされております。

 そういうことは、Bタイプについては、収入が一千万円以上で職業能力が高い方を対象にするということなんですけれども、一方、A型については一般社員を対象にすると。ただ、本人の同意がなければだめだということにはなってはおりますけれども、現場ではどうしてもやはり力関係が働きます。経営者の意向というのは当然働いてくると思うんですけれども、これに対して、慎重に扱うべきだという意見がありますけれども、その点、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 いわゆるAタイプですね。Bタイプが高収入型とすると、Aタイプはそうでないものでありますが、そのAタイプについてのいろいろ御懸念が発せられていることはよく承知をいたしております。

 競争力会議における民間議員の御提案というのは、国が対象者の目安を示して、勤務経験が浅いなど労働時間を自己管理することが困難な人を対象にはしないということ、それから、対象者は、労使合意に基づいて、本人の希望選択によって決めること、当初は過半数組合のある企業に限定をするということ等を想定するなど、対象者を限定しまして、交渉力の弱い労働者が制度の適用を強制されないようにするという観点にも配慮されたものと認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、個々の制度改革に当たって、今回提案をされた制度のイメージといいますか、これとともに、それに対するさまざまな議論も踏まえまして、交渉力の弱い労働者が制度の適用を一方的に強制されたりすることがないように配慮しながら検討を進めてまいりたいと考えています。

村上(史)委員 今、大臣の御答弁もこのイメージの中に書かれております。決して強制するものではない、勤労者の立場も十分尊重しながら、本人の選択によってそれが可能だ、いわゆる労働の多様性を確保するんだということだと思いますけれども。

 労働規制の緩和というのは、どうしても働き手の立場からすれば不安を覚えるものでございます。よく言われることなんですけれども、労働規制の前に、まずブラック企業の駆逐が前提じゃないかというような意見もございます。その点について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 過重な労働による健康障害であるとか、若者のいわゆる使い捨てが疑われるような企業、ブラック企業でありますけれども、これは社会的に大きな問題であるし、政府としても、そういうブラック企業がなくなるように徹底した対応をとっていかなければならないというふうに考えております。

 産業競争力会議における民間議員の御提案でも、働き過ぎ防止に真剣に取り組むことが改革の前提であるというふうにされているわけであります。まずブラック企業を駆逐せよということが前提条件だというふうに言われているわけであります。長時間労働を強要するような問題のある企業については、労働基準監督署による監督指導を徹底することが提言をされております。

 昨年九月には、厚労省におきまして、賃金不払い残業であるとか過重労働が疑われる企業等に重点的な監督指導が行われましたけれども、引き続き、監督指導の強化等を通じまして、まずブラック企業対策を講じていく必要があろうかと思います。

村上(史)委員 まず、御認識は全くそのとおりだと思いますので、そういう対策も含めて対応をしていただきたいと思います。

 最後に、そもそも論の話になってしまいますけれども、本来、労働政策というのは産業競争力会議が提案するものなのか、本来は厚生労働省が労働政策として働き方のいろいろなパターンを提示していくというのが本来の姿ではないのか。いわゆる成長戦略の考え方の一環として労働政策を取り上げるというのは私は違和感を感じるんですけれども、本来的には、やはり労働政策というのは厚労省が考え、そして立案をしていくということが本筋ではないかなというふうに思いますが、大臣の御見解を最後にお伺いします。

甘利国務大臣 言ってみれば、表と裏の関係にあるんだと思います。

 競争力会議は、今後、人口減少等もある中で、全員参加ができるような環境をつくらないと日本の社会システム自身が運営不可能になってしまう、そうすると、いわゆる従来型の働き方で労働市場に参加できる人と、働きたいんだけれども、そういうやり方では俺は働けないよ、あるいは劣悪な環境下になってしまいかねないという心配があるわけですね。

 フレックスタイムでも対応できるじゃないかという話があります。ただ、フレックスタイムというのは時間に対して賃金が払われますから、自分としてはもっと短い時間にこういう働き方やこの成果を上げられる自信があるよ、だけれどもその時間帯では成果に見合った収入がないという方もいらっしゃるわけでありますから、全員参加ができるような環境をつくる。一方で、その裏側で、労働基準に違反しないような監視が必要だと思います。

 表と裏の関係で、全員参加、日本の成長をしっかり維持していく、社会システムを維持していくという面からの提案と、その提案がいわゆるブラック企業を助長するようなことにならないかとか、あるいは本人の意思を無視されないかとか、これは労働基準政策、労働政策から同時に議論していくことだというふうに思います。

村上(史)委員 この問題はまだまだ質問していきたいんですけれども、きょうはもう時間もございませんので、今後の質疑に委ねたいと思います。

 それでは、森大臣に少子化対策等について質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど近藤理事の方から質問がちょっとございましたけれども、内閣府の有識者会議、少子化危機突破タスクフォース、四月二十一日に、いわゆる数値目標を設定するかどうか検討に入るということがございました。ちょっと答弁がダブるかもしれませんけれども、この会議の狙いについてお尋ねします。

森国務大臣 甘利大臣からも報道のミスリードという話がありましたが、今の御質問の、四月二十一日に数値目標を設定するかどうかの議論に入るということも、そのような報道があったのかもしれませんが、それもミスリードでございまして、先ほど近藤委員に御答弁申し上げましたとおり、産業競争力会議と経済財政諮問会議の合同会議において、総理から私の方に、少子化社会のあり方について、目標のあり方を議論するようにという宿題がありました。

 これは数値目標ではございませんで、目標のあり方でございますので、私としては、目標を定めるか定めないかというところから出発して、こちらの有識者会議の方でも意見を聞こうかというふうに思っているところでございます。

 その上で、少子化危機突破タスクフォースの趣旨、狙いでございますけれども、法律がございまして、少子化社会対策基本法、それに基づいて、閣僚レベルの、少子化社会対策会議という全閣僚出席の会議がございます。こちらが昨年六月に決定をしました、少子化危機突破のための緊急対策というものがございまして、これは少子化対策三本の矢、子育て支援、そして働き方改革、そして結婚、妊娠、出産支援という三本の矢でございますが、これを具体化するために総理の決定で設けられた有識者による会議体でございますので、先ほどの三本の矢を具体的に政策に落とし込んでいくということを議論している場でございます。

村上(史)委員 まさに人口減少対策、少子化対策というのは、日本の将来の命運を握る大変大きな問題、課題だと思っております。そういう面ではきょうの質問は余りにも短過ぎるんですけれども、きょうは入り口の議論をさせていただきたいと思います。

 目標化ということで、数値目標ではないと。目標といえば目標なんでしょうけれども、数値化ではないという御答弁なんですけれども、ただ、産む産まないはやはり個人の領域の話ですし、人権にもかかわってくる話です。そういうところに、国が何らかの形の目標を設定するというのはいかがなものなのかという議論もございますし、お隣に座っておられます甘利大臣も、この問題に関連して、産む産まないは強制されるものではない、子供を欲しい人が意思を発揮できる環境を整備するのが政府の役目である、こういう御発言をされておられます。全くそのとおりだと思いますけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

森国務大臣 目標のあり方ということでございますので、目標を設定するか設定しないか、設定するとした場合にも、それが数値なのか数値でないのか、数値であるとしたとしても、どのような数値なのかというさまざまな論点があると思います。

 今有識者会議の方でもさまざまな御意見が出ておりまして、委員の御指摘のとおりの、やはり、産む産まないの自由にかかわるような、それを強制するような目標はいけないということは、全ての委員で共通をしているというふうに思います。私もそう思います。

 ですので、目標と言えばさまざまな立て方があると思いますので、私としては、目標をどうするかということはこれからの有識者会議の議論を見きわめた上で決めていきたいと思いますけれども、要するに、若者がしっかりと安定した生活をして、結婚をしていける、また、男女が子供を欲しいと思える、そして、希望する方が安心して産める、そして安心して育てられる、または、働きたいと思う方は働きながら子供を育てられる、そのような環境をしっかりと整えていくことが政府の責務であるというふうに思っておりまして、先ほど御紹介した三本の矢、それに基づいて三つの大きな目標を立て、それに具体的な施策をつくりまして、予算もつけて今展開をしているところでございます。

 その上で、人口減少というのは、今生きている若者や子供たちに大きな負担を急激に与えていくという深刻な問題でございますので、それについて、政府として何らかの目標を設定するのかしないのかということについては、先ほどの個人の自由ということを侵害しないようにしっかりと配慮しながら検討してまいりたいと思います。

村上(史)委員 ありがとうございました。認識は同じだと思っております。

 先ほどの質疑では、大臣は、結果的にいろいろな対策を打って出生率が上がっていく、結果として上がる、そういう形がやはり理想的だということで、あえて数値目標を立てることに対しては、大臣もどちらかといえば否定的なのかなというふうに思いますけれども。

 やはりこの少子化問題、出生率を上げる問題というのは、一つの課題で事済むわけではなくて、勤労者の収入の問題、雇用の安定化、あるいは社会保障制度の確立など、さまざまな政策がマッチングして、産みたいな、育てたいなというふうになっていくものだろうと思います。ですから、そういう具体的な改善策もなく数値目標を設定するというのは間違っているのではないかなというふうに思います。現実に、フランスあるいはスウェーデンで出生率が回復しましたけれども、その国でも数値目標は設定をしておりません。いろいろな施策を打った上で出生率が上がってきたという事例もあります。

 そういうことを踏まえながら、今までも幾つもの内閣が、少子化対策が大事だ、人口減対策が大事だということで歴代の各内閣がやってきましたけれども、どれもこれもうまくいかなかった。なかなか出生率の回復にはつながっていない。これに対して、検証といいますか、反省点、その辺はどのようにお考えでしょうか。

森国務大臣 先ほどの答弁で、一点訂正をいたします。タスクフォースの開催については、総理大臣決定ではなく、内閣府特命担当大臣、私の決定でございます。

 そして、フランス、スウェーデンが数値目標がないという御指摘でございましたが、合計特殊出生率を目標にしていないということは私も承知しておりますが、数値目標というといろいろな数字があると思いますので、実際にその数字が、例えば育児休業取得率でありますとか、さまざまな数字があると思いますので、政策目標として数字を一切使っていないかどうかということについては、私は何らかの目標があったのではないかというふうには思っておりますが、なお調査してまいりたいと思います。

 少子化対策、効果が出ていないということについては、私は、それを分析いたしまして、三本の矢の三本目に、今までの子育て支援と働き方改革に加えて、結婚、妊娠、出産の支援というのを入れました。そして、実際に補正予算で、今まででない、地域で使える交付金を十分の十でつけまして、これを展開していただいているところです。

 ただ、まだまだやはり財源としては少ない。フランス、スウェーデンに比べて、GDP比三%に比べて、日本はGDP比一%でございますので、さまざまな政策を展開するにも財源が少ないので、やはり限られた予算の中での優先順位を子供に、少子化対策にしていくということが大事であろうかというふうに思っております。

柴山委員長 質疑時間が終了しました。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 また引き続きこの問題は質疑させていただきたいと思います。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、まず、マイナンバー制度導入に当たっての付番の管理とデータベースの環境について御質問させていただきたいと思います。

 マイナンバーが唯一無二の個体識別番号ということなんですけれども、これはやはり国家主導で国民に付与し、責任を持って維持管理しなければならないということではあるんですが、実際の窓口業務等々を含めて、各地方行政、各市町村で行う部分も多いんですけれども、基本的に、新たな番号、従来の番号とのひもづけも含めて、直接、間接を問わず、国が責任を持ってやっていかないといけないものだと思います。

 国が主体性を持って番号の付番管理等を行うということに関しての確認をさせていただきたいと思います。

甘利国務大臣 国のガバナンスが及ぶところで集中的に管理されるべき、そのとおりであります。

 番号法上、個人番号、いわゆるマイナンバー、この指定につきましては市町村の法定受託事務とされておりますけれども、そのもととなる番号の生成、管理は、本年四月一日に設立をされました地方公共団体情報システム機構において一元的に行うこととされているわけであります。

 また、地方公共団体情報システム機構に対しましては、総務大臣が報告聴取、立入検査、違法行為等の是正の要求等を行うことができるなど、御指摘のとおり、国のガバナンスが及ぶ仕組みとなっているところであります。

 番号制度は、我が国の社会保障制度であるとか税制、または情報社会の基盤となるものでありますから、円滑な導入に向けて、地方公共団体情報システム機構を初め関係機関との連携をして、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えています。

中丸委員 それに伴いましてちょっとお伺いしたいのが、データベースのキーになる番号なんですけれども、当然、国が主体を持ってつけたマイナンバーを主にすべきだというふうに思うんですけれども、地方での扱いにおいても、クラウドを使ったりとかそういうのを使ったにしても、主になるキーは、国家が付与した番号が主になるというふうに考えてよろしいかどうか、教えていただけますか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 情報機関同士のひもづけにつきましては、マイナンバーを基礎としましたいわゆる自治体にありますコードでございますけれども、これから振り出した符号をもちまして、それぞれの情報機関間をひもづけいたします。

 そういう格好になりますので、基本的には、マイナンバーと一対一で対応したものでひもづけを行うということになろうかと思っております。

中丸委員 その辺をよろしくお願いします。

 あともう一つ、データベースの環境についてちょっとお尋ねをしたいと思うんです。

 この質問も何度もやってきたんですけれども、三月三十一日に入札が終わりまして、結論としては、オール・ジャパン、日本企業五社でやっていただけるという方向になったというふうにお伺いしました。私も、そういう方向でということを質問でも発言させていただいていましたので、非常にいい形になったのではないかと思います。

 ただ、取り扱う企業体がどうかというよりも、やはり中身が大切でございます。

 そういった中で、今回、サイバーテロの問題であるとか、日本国民全てのデータベースでございますので、非常に重要な情報資産でもあるわけです。こういった中のデータベース、俗に言うサーバーをどういう設置の仕方をするか。要は、インターフェースがどうかという問題ではなくて、やはりそのインターフェースは当然オンラインでないといけないわけですけれども、サーバーは、セキュリティー上考えれば、一番安全なのは、クローズドなところに設置をするというところが一番大事だと思うんです。

 そういうクローズドの中での、インフラ環境での実現を私は非常に望んでいるわけですけれども、そういった環境について今どのようにお考えか、お聞かせください。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 情報提供ネットワークシステムは、マイポータルを通じてインターネットにもつながるということでございますので、インターネットの接続点はセキュリティーは万全にしなきゃいけないのは当然でございますが、各情報システムと、その後、情報ネットワークとの間におきましては、それぞれのサーバーに直接つなぎ込むのではなくて、中間サーバーを設置しまして、それぞれのデータベースから中間サーバーにデータを移して、そこから情報提供ネットワークシステムにつなげる、そういうようなシステムにしておりますので、先生御指摘のとおり、セキュリティーは万全のものというふうに考えてございます。

中丸委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 このシステムが構築されれば、単純に行政の業務の効率化だけではなくて、今後の非常に大きなデータとしての発展性を秘めているものでございますので、初めの構築段階でやはり何か大きなものがあって、これはもうプライバシーの侵害になるんじゃないかとか、そういう議論が出ないように、徹底したセキュリティー対策と、しかも、平易に活用できる仕組みづくりというのをお願いしていきたいと思います。

 次に、インターネットの動画サイト等で話題になっている情報として、きのう、私ども日本維新の会も部会でレクを受けたわけなんですけれども、文部科学省さんの管轄の中で、学校教育法も含んで、国立大学法人法の一部を改正する法律案、その説明を受けたんです。

 その中で、国公立大学一つ、先日、四月の後半に沖縄へ行ってまいりまして、沖縄に琉球大学という大学があるわけでございますけれども、この琉球大学で、四月に新入生が入って、その新入生の入学オリエンテーション会場の入り口で配付されていた配付物に「琉大ライフ」という冊子があるんです。

 この「琉大ライフ」を開くと、どういうことが書いてあるかというと、きょうから君も学生会員だ、琉大学生会の一年ということですね。「四月二十八日 「主権回復」政府式典に反対する沖縄大会」「五月十九日 平和行進 全国の労働者・学生とともに、「新基地建設反対・オスプレイ配備反対」の声を上げてねり歩いた。」「六月 映画「ひまわり」上映会」「八月 怒りが燃えあがったオスプレイ配備反対行動」「十二月 秘密保護法反対! 辺野古新基地建設反対!」とさまざまな活動を学生ライフとしてやられているわけですね。

 そして、学生会でどんなことをするかというと、「辺野古新基地建設反対! 憲法改悪に反対しよう!」ということで、何と、学生、市民、労働者が県庁ロビーに座り込み、二〇一三年十二月二十七日、こういう活動を一生懸命やっているだけではなくて、「辺野古新基地は米軍基地の一大強化だ!」と、これは図まで入れて、「こんなに危険! 自民党「憲法改正」草案」とか、まだ草案は全部出ていないのに、こういう状況です。コラムの中で「靖国神社とは」で、安倍総理の参拝に伴って、「「大東亜聖戦」として美化し、A級戦犯を「英霊」としてたたえているのだ。」とか書いてあるわけですよ。

 ほかにもまだいっぱいあるんですけれども、「“米軍と一緒に戦争の出来る軍隊”へと大増強される自衛隊」とか、消費税、TPP、こういうのも含めて、これを十八歳になって入学したばかりの入学オリエンテーションで配るわけですよ。国立大学ですよ、これは。(発言する者あり)そうなんですよ。どこの国の、沖縄は少なくとも日本だと思うんですけれども。

 しかも、今回、学校教育法の改正に伴って、副学長の権限を上げていこうというような法案も入っているんですね、改正の中に。これは、出しているのはもちろん学校じゃないです。琉球大学全学新入生歓迎実行委員会、全学連か何かだと思うんですけれども、何と、その表紙をめくったところに、一番初めに、「決してKY(空気が読めない)にならないために 理事・副学長」と、副学長の入学祝いコメントが入っているわけです。

 これは、十八歳の子が入学のオリエンテーションでもらって開いたときに、副学長があって、「琉大ライフ」、琉球大学、これはどう考えても学校の方針だと思いませんか。こういうことを平気でやっていて、しかも、それで副学長の権限を上げる。どう考えてもこれはおかしいと私は思うんですけれども、こういったことは、普通に学内でそういう国立大学の理事、副学長が一緒になってやっているような誤解、本人は、どうも、文科省の方に聞いたところによりますと、慣例上、今までずっと副学長がこれをやってきたと。ということは、今までずっとやっているんです、これは。

 こういう恐ろしいことがまかり通っているということを、きょうは政務官に来ていただきましたので、事実の御確認と、どういうふうにお考えか、教えてください。

上野大臣政務官 先生御指摘のとおり、私もこれを読ませていただきました。

 琉球大学、地域性もあるということですが、この「琉大ライフ」という配付物については、琉球大学の学生で構成される琉球大学学生会が自主的に編集して発行し、学生会が独自に新入生に対して配付しているものであるという事実を確認いたしました。

 また、配付物の冒頭の、理事・副学長、教育・学生支援担当であるという副学長の挨拶文、これも先生御指摘のとおり、毎年ここに載せられているということも確認し、新入生に対する歓迎の趣旨で、例年、恒例により、琉球大学生の依頼を受けて掲載をされていると伺っております。

 しかしながら、表現の自由は保障されなければならないですが、他方で、公的な教育機関である大学において、さまざまな意見や主張がある中で、政治的なものはもちろんのこと、中立性というものを保たなければならないということ、それが保たれていないということは、極めて遺憾というか極めて問題だと思っております。

 たとえ学生が自主的に発行する配付物であっても、大学執行部の一員である理事・副学長の挨拶文が掲載されるというのであれば、事前に当該刊行物の記載内容について大学当局でもチェックをすべきであるということ、これも事実であります。

 また、新入生等に対して大学当局の公式的な見解を示すのであれば、明らかに誤解を与えるようなものは避けなければならないと考えております。

 よって、文部科学省としては、このような観点や、学校教育における副学長の役割、これから副学長の役割の重要性も改正によって中できちんと改まりますので、それも踏まえて、琉球大学に対して適切な対応を文科省としても求めてまいりたいと思っております。

中丸委員 言論の自由は大切だと思います。ただ、先ほども申し上げたように、学内で誤解を受けるような偏ったものにならないように、ぜひとも、こういう雑誌を発行しているところで、中身を変えろとかではなくて、これを書くなじゃなくて、これを出すからには、公平なんだから賛成意見もぜひ出しましょうとか、そういうものであれば副学長が出してもいいですよ。学生だけが自由にやるんだったら、それは何を書こうと自由だと思いますけれども、その辺の御指導はしていただきたいと申し上げておきます。

 それから、時間も余りありませんので、ちょっと話題をかえまして、今検証中といういわゆる慰安婦問題についてなんです。

 四月一日に私も安全保障委員会でも少し触れましたけれども、ストラスフィールド市議会で公聴会を開催して、先日、その公聴会に参加した日本人の男性の方から、意見を発言された方から、現地の今の様子をお伺いしました。

 そういう中で、日系の大学生の方が、そういう慰安婦像設置は、日本人や日系住民への差別を助長するんじゃないかというような意見とか、慰安婦像で日本人への差別が生まれれば、生まれ育った大好きなオーストラリアを離れざるを得ないということ、特定の人種攻撃で、多様な民族が調和してきた努力が台なしになる、こういう意見が相次いでいるわけです。

 今回、きょうちょっと御質問させていただきたいのは、いわゆる歴史検証がどうだったこうだったというお話じゃなくて、外務省として、釈迦に説法ではございますけれども、外務省設置法の中にきちんと、「日本国民の海外における法律上又は経済上の利益その他の利益の保護及び増進に関すること。」「海外における邦人の生命及び身体の保護その他の安全に関すること。」こういうことを行うことが外務省設置法にあるわけです。そして、在外公館に関しては、ウィーン条約でも、「接受国の通商上、経済上、文化上及び科学上の活動の状況及び進展を適法なすべての手段によつて把握し、当該状況及び進展について派遣国の政府に報告し並びに関心を有する者に情報を提供すること。」というふうにあって、どういうことが起こっているかというのをきちんと政府に報告しなさいよというようなこともあるわけですね。

 今回の件に関してどういうふうに報告を受けているか。外務省さん、教えてください。

牧野大臣政務官 お答えをしたいと思います。

 個別的な話は、ちょっと今のお話は把握はしておりませんけれども、一般論的なことで申し上げますと、オーストラリア国内で、今、慰安婦像の設置に対してのいろいろな議論が行われていることはもちろん承知しておりますし、今委員がおっしゃったみたいに、仮に在留邦人がそういう動きの中で安全を脅かされるような意識を持たれるということがあってはいけない、そのように思っております。

 ですので、外務省としては、大使館また総領事館がございますので、そういう機関を通して、大使館、総領事館から現地の在留邦人の皆さんの情報を収集した上で、当然のことながら、相手国政府や地方自治体に対して、邦人の安全対策を含めてしっかり働きかけをしていきたいと思っております。

中丸委員 しっかり働きかける、これは実効力のある働きかけをしていただきたい。

 現地でJCNという団体が急遽立ち上がりまして、オーストラリアの中に十カ所以上建立する予定だという動きが今出ていまして、それに対して現地の日本総領事館は、慰安婦像の問題を外交問題にしてはいけないので表立って行動できない、したがって、直接的サポートはできないというのが公式の見解ですというふうに現地で答えているわけですね、サポートはできないと。

 確かに、外交、歴史問題であればそうかもしれませんが、邦人の身の安全、私がなぜ安全と言っているかというと、昨年末に、我々日本維新の会、議員三名で参りましたロサンゼルスにおいてもそうだったんですが、ロサンゼルスのグレンデール市では、市長一、議員四、全員もともと議員なんですけれども、唯一反対したグレンデール市長は、この件に対して反対したことで、市長であっても脅迫状を受けているんですよ。

 それを、一母親とか民間人の日本人が、そんな行動をしているのに、それで、助けてください、何とかしてください、子供が差別されます、人権を侵害されていますという声を出しているにもかかわらず、現地の領事館は直接的サポートはできないと。これでどうやって邦人の安全を守るのかというところをぜひ申し上げたいんです。

 この問題を言うと、パブリックスペースにそういう像を建てるというのは新たな人権侵害を生んでいるんです。人権侵害を生んでいる、日本国民が被害を受ける、または受けるおそれが大きくあるということに対して、外務省、現地の領事館は、日本政府ももちろんですけれども、歴史問題をおいておいて、日本人をきちんと保護してください、そういう差別が起こることをやらないでくださいという観点から抗議をされたことはありますか。いかがですか、政務官。

牧野大臣政務官 済みません。今の御質問に対する的確な答弁はちょっと持ち合わせておりませんが、もし仮に今議員の御指摘のような事実があるならば、これは極めて遺憾でありますし、改めて、今の御質問をいただいて、外務省として確認をした上で、議員に個別にまた御返答させていただきたいと思います。

柴山委員長 中丸君、質疑時間が終了しております。

中丸委員 ありがとうございました。

 本当に邦人の生活、命がかかっていることでございますので、ぜひ徹底した調査の上で、適切な抗議なり対処を、オーストラリア政府、アメリカ政府に申し入れていただきたいと申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、杉田水脈さん。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 きょうは、二十分と限られた時間でございますので、男女共同参画関連についてのみ質問をさせていただきたいと思います。

 二十五年度の補正予算とそれから二十六年度の予算ということで、まず最初に説明を受けたときに、例えば二十六年度の予算としましては、四億円近いお金がこの男女共同参画という分野につぎ込まれています。その中に、さまざまな項目があるんですけれども、私、どれを見ても、予算が必要だと思える項目が余り見当たらないんです。

 その中で特に疑問に感じたのが、地域防災における男女共同参画の推進事業というのがあるんですね。何か、ことしの予算の特徴は、地域防災だとか、そういった防災計画だとか、そういったものを枕言葉につければ何でも予算が通ってしまうみたいな、そういうところが特徴だったんじゃないかと思うんですが、この地域防災における男女共同参画の推進事業、わけがわからないですよね。

 この中身を読みますと、「男女共同参画センター等が中心となり、地域の実情に合わせた男女共同参画の視点からの防災・復興のモデル的な取組を実施し、その効果や課題を明らかにする。」とあるんですが、この文章を読んでもやはりわからないです。「男女共同参画の視点からの防災」、意味がわからないので、これを一番最初に、一体どのような事業なのかというふうなことを具体的に御説明願いたいと思います。

森国務大臣 私、福島県の出身でございまして、この予算を積極的に進めさせていただきました。

 東日本大震災、大変大規模なエリアで津波、地震が起きました。福島県では原発事故も起きました。大規模であるから特にということもありましたでしょうし、通常の震災でも起きると思いますが、社会的弱者の皆さんが、やはり避難等の際に置き去りにされるという事件が起きました。病人、障害者、女性、子供、高齢者です。通常の健常人または男性に比べて、やはり、避難所においても大変な不便がありました。実際に被害もございました。

 そのような中で、例えば授乳中のお母さん、体育館の中で、仕切りもない中でどこで授乳するのかとか、これは男性目線だと気づかないことでございますが、ここでやはり活躍したのが地域の女性たちです。女性たちは、大規模被災なので自分たちも被災している中で助け合って、何とかその場をしのいだんですけれども、やはり、実際に被害はさまざま起きてしまっていた。

 そのような反省の中から、私どもは、日ごろの防災、それから、まだまだ復興途中でございますが、福島県、東日本大震災の東北エリアの復興では、女性の視点も決定プロセスのときから入れてほしいと。ところが、今までの防災会議やそういった物事を決めるときの文書、そういったものを男性だけで決めてきておりました。そこで私は、特に決定プロセスにおける女性の視線を入れる、つまり男女共同参画ということを訴えまして、私のもとで地域防災における男女共同参画の視点におけるマニュアルというものもつくらせていただきまして、これを広く配布し、世界的にも、英文でも発信をして、高い評価をいただいているところでございます。

 そして、そのマニュアルに従ってしっかり地域の取り組みを進めていただくための予算がこの推進事業であるということです。

杉田委員 大臣、私も阪神・淡路大震災を経験しておりますので、先ほど大臣が御答弁されたような避難場所で女性がどのような体験をしなくてはいけないかとか、まず一番最初に足りないのが赤ちゃんの紙おむつだとか、あと女性の生理用品とかそういうのが足りないですし、そういうようなことは、もう二十年近く前の阪神・淡路大震災のときでも、もうみんな思い知っている話なんですよ。

 そこの中で、これをわざわざ予算をつけてやらなくてはいけない事業なのかどうかということで、私は、これに予算がついている意味が全然わからないと思ったんですが、きょうちょっと男女共同参画の質問をさせていただこうと思ったので、きのう、地元に戻りまして、地元の近隣市の幾つかの男女共同参画センターというところを実際に自分で回って、いろいろ見てまいりました。

 そのときに、ちょうど、きょうちょっと、きのうのきょうなので皆さんの配付資料には間に合わなかったんですけれども、「阪神北版母と子の防災・減災ハンドブック」というのがあるんです。これを出しているのが、兵庫県立男女共同参画センター・イーブンというところが出しているんです。

 男女共同参画センターが出す減災・防災ハンドブックなので、まさしく先ほど大臣が御答弁された事業に即したものだと思うんですが、これも、私が見る限り、これが必要なのかと思うんですよ。私は兵庫県に住んでいまして母親をやっていますけれども、これは各家庭に配られたわけでもなく、こういった男女参画センターに置かれていて、欲しい人はとって帰ってくださいねです。この予算がつかなかったら、これはできていなかったと思います。

 結局、この四月から消費税が上がっておいて、無駄を省く無駄を省くと言っている中で、どうしてこういう無駄なものに予算が使われているのかというのを、これは率直に考えて、一般市民の方は皆さん怒ると思いますよ、こんなものに予算をつけているということは。このあたりをいろいろ精査していく中で、男女共同参画のことには私は無駄が多いと思っているわけなんです。

 次の質問に移りたいと思うんですけれども、男女共同参画センターです。

 先ほどもこの説明文の中に出てまいりましたが、「男女共同参画センター等が中心となり、」というふうにあるんですけれども、この男女共同参画センター、私はもう一度改めて男女共同参画基本法とかを読み込みましたけれども、どこにも、男女共同参画センターを建てなさいとかそういう規定が全くないんですね。各都道府県とか市町村とかは、男女共同参画の計画とかそういうのを立てなさいというのはその中にあるんですけれども、男女共同参画センターを設置しなさいといったようなものはどこにも出てこないのです。

 きょう、皆さんにこちらの方の配付資料をお配りしているんですけれども、このように、ほとんどの都道府県が男女共同参画センターや女性センターというのを設置しております。ないのは宮城県と山口県だけです。ほとんどの政令指定市も男女共同参画センターを設置しております。また、ある一定規模以上の市町村も、それぞれ独自で男女共同参画センター、女性センターといったものを設立しております。

 これは、大阪なんかの二重行政の話の中では、大阪府もつくっておいて大阪市もつくっていて、非常に無駄が多いのではないかというところでよく指摘されるんですけれども、これはどこの都道府県でもこういったようなことが起こっています。

 今回は時間が短いので、予算的に、ではこれを建てるのにどれだけの予算がつぎ込まれて、どういった活動がされているのか、これを建てたことによる効果は何なのか、目的は何なのかというようなこともまた詳しくやりたいと思うんですけれども、まずは、何を根拠にこんなに全国に一律に男女共同参画センターがぼこぼこ建っているのか、それを教えていただきたいと思います。

森国務大臣 先ほどお示しになった資料は私は見ておりませんので、予算についての関連した御指摘がございましたが、予算が使われているかどうかは、ちょっと調査をして御答弁をしたいと思います。

 また、阪神大震災で紙おむつや生理用品が必要であった等のことを思い知っているという御指摘でございましたが、東日本大震災ではその教訓が生かされておりませんでした。そういったことを今後も生かしていくような取り組み、またともに考えてまいりたいと思います。

 御指摘の、御質問の男女共同参画センターは、法律に基づく施設ではございません。

杉田委員 法律に基づく施設ではないということなんですが、実際にはこれだけたくさんの男女共同参画センターが建ってしまっているということなんです。

 それで、配付資料の二枚目なんですけれども、皆さんにちょっと見ていただきたいと思います。

 これは、きのう、私、近隣市、幾つかの男女共同参画センターを回って、これは写真が下手で申しわけございません、実際に私が撮ってきた写真です。

 あるところでは、ロビーで「世界に誇る憲法九条を広げよう!」というパネル展をやっておりました。その横で、「憲法九条、いまこそ旬 九条の会」というポスターがでかでかと張られていまして、ここは私、何回か行ったことがあるんですけれども、これはもうずっと何年もこのポスターは張られています。その横に、「あなたのねがいを新婦人でごいっしょに」と書いてあるんですけれども、これは新日本婦人の会という共産党の女性組織です。(発言する者あり)ホームページなんかを見ると、共産党を支援している団体の中にこれがちゃんと出てまいりますので。

 こういうふうなことがありまして、新日本婦人の会というのは、男女共同参画センターだけではなくて、これは公民館なんかでも活動をやっていて、私も市の職員のころに出前で児童館とかをやるとかいうときに、当然それは公務なんですけれども、ほとんどの団体は公務優先で出してくれるんですけれども、この新日本婦人の会だけは頑として譲ってくれなかったので、そこで、行くと、あなた、共産党を敵に回すのと言われたので、そういうふうな実体験に基づいて発言をさせていただいております。

 そういうふうなことがございまして、こういうふうなポスターがいっぱい張られていたりとかするんですね。

 それから、もう一枚めくっていただきますと、これはまた違う男女共同参画センターなんですが、「一年前の「慰安婦」・性暴力発言 橋下市長絶対許さへん五・一三デモ」とありまして、どこの過激派かわからないんですけれども、要するに、大阪市役所の周辺でデモをやりましょうというビラが置いてあったんですよ。でも、ちなみに、私が回ったのは兵庫県下の男女共同参画センターなので、大阪の男女共同参画センターではございませんが、こういったデモに行きましょうというようなチラシが置かれておりました。

 こういったある一定の団体の、私から言わせれば、左翼的思想を持った人たちばかりが利用をしているというような実態というのを大臣は御存じですか。

森国務大臣 御指摘の事実が正確かどうかについては私の方では存じ上げませんが、私の地元の福島県の男女共同参画センターについて申し上げますと、思想、信条にかかわらず、さまざまな方が利用なさっておられまして、我が党の支持者の方も、常にそちらで会合を持たれております。

杉田委員 先ほど、中丸委員の質問の中に琉球大学の「琉大ライフ」の話があったんですけれども、そこにあることで、それに書いてあるのはいいんですよ、私はいろいろな意見があっていいと思いますので。公正だと言うんだったら、それに反対するような意見のものもあれば、私はこれは公正な利用がされていると思うんですね。

 ですから、例えば「世界に誇る憲法九条を広げよう!」というのであれば、改憲を進める市民の会みたいなものがもしあったとしたら、それのポスターがあって、今こそ日本国憲法を改正しましょうというような集まりの呼びかけがあって、そういった書籍が置かれているだとか、そういうのがあれば私はそれは公正な利用のされ方をしていると思うんですけれども、私がきのう回った五つぐらいの男女共同参画センターの中では、そういった反対側の主張をするものが置かれているところは見当たりませんでした。見当たらないのでここに写真を載せようがないということなので、載っていないわけです。

 それから、ここには写真を載せていないんですが、雑誌コーナーがありまして、雑誌を置いてあるところに、例えば「週刊金曜日」とかそういうのは並んでいるんですけれども、そこにまた「正論」とか「WiLL」とかが並んでいれば公平だと私も思うんですけれども、なぜ「週刊金曜日」だけなのかというような、そういった疑問も湧いてくるわけなんです。

 これはもうかねてから、男女共同参画センターというのはそういった団体の巣窟になっていると。そこのところがすごく指摘されていて、地方自治体では本当にこれは問題だったんですよ、笑い事ではないんです。

 そこのところで、例えば課長とかで赴任していくと、そういう団体からの突き上げを食らう。男女共同参画センター祭りとかをすると、そういう張り紙ばかりがばあっと並ぶというのは、これは本当に笑い事ではなくて、地方行政の中での大問題なんですね。

 法律に規定のない施設で、でも、これだけたくさん日本全国に建っていて、そこの施設に、次回にしたいと思いますが、どれだけの予算が使われてということもまた明らかにしていきたいと思いますが、そういった施設がこういう利用のされ方をしているということ自体問題だというふうに私は思いますので、そのあたりの認識をぜひ大臣にも持っていただきたいと思います。

 そもそも、男女共同参画基本法、これのもとになったのが、皆さんの方にまた配付資料でお渡ししておりますが、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約というのがありまして、これを日本は国連と締結をしました。これに基づいて男女共同参画基本法というのが策定されたわけなんですけれども、この女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約というのがとんでもない条約なんですね。

 太線で書いてあるところなんですけれども、「女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。」第五条には、「締約国は、次の目的のためのすべての適当な措置をとる。」「両性いずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行の撤廃を実現するため、男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。」というふうにあります。

 要するに、簡単に言えば、そこの国の文化だとか慣習とか、そういうものを壊してでも男女平等にしなさいということが書いてある条約なんです。これに基づいて男女共同参画基本法というのができ上がっています。

 ですので、私は、この男女共同参画基本法というのは、もう全面的に見直して、廃止も含めて議論を進めていくべきではないかというふうに感じております。

 先ほども大臣の御答弁の中で、一番最初に、震災で避難とかしないといけないときに弱者は据え置かれてしまうんだと。私、障害者だとか高齢者だとか子供だとかというのは多分弱者に入ると思うんですが、そこに女性が入ってくる。別に、男性も走って逃げます、女性も走って逃げます。何でそこで女性がそういう災害のときの弱者なのか。そこのところからして、まず観点がもう狂ってしまっているんじゃないかなというふうに思うんですね。

 時間がなくなってまいりましたので、最後の質問に行きたいんですけれども。

 この女子差別撤廃条約に基づいて、国連から日本は勧告を受けています。いわゆる従軍慰安婦問題についてです。これに対して、日本はどのような対処をするのかというような報告が求められておりまして、この提出期限が七月ということになっております。七月にこれは国連に報告をしないといけませんので、もう既にその骨格だとか、どういう方向性で報告を行うのかということが決まっていると思うんですけれども、それについてお答え願いたいと思います。

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございました女子差別撤廃条約、その条約の十八条におきまして、締約国に対しまして、その条約の実施についてとった措置について定期的に提出するということになっております。これは、日本だけではなくて、女子差別撤廃条約に入っている各国について、それぞれ順番に報告書を出してくださいと。これは、ちなみに、今委員から御指摘ありました慰安婦の問題だけではなくて、その女子の差別撤廃条約について全て関係するということでございます。

 これは、実は、多分、恐らく、日本に対して実際の審査がなされるのは来年あるいは来年以降だと思いますが、委員御指摘のとおり、確かに七月までに報告書を提出してくださいということで、ただ、これは今まだ関係省庁で検討中でございまして、現時点で、こういう内容あるいはこういう方向でということは決まっておりません。

杉田委員 ぜひ、アジア女性基金などを通じて謝罪は終わっていますとか賠償は終わっていますとかいった報告では、もうこれが通用しないところに来ているということはよく御存じだと思います、外務省さんの方が。それを踏まえて、もう一歩踏み込んだ、慰安婦というものはなかったというところまで踏み込んだ形の答弁をしていただかないと根本的な解決にはならないと思います。

 この女子差別撤廃条約なんですけれども、私は、これは、例えばイスラム教の国なんかで、御主人が亡くなったら女性は外に出ることもできない、もう飢え死にするしかないというような、生死にかかわるような男女差別があるような国に対してはこれは有効な条約だとは思うんですけれども、日本という国はそんな国ではないです。普通に男女、役割分担をして、きっちり女性も大事にされてきた国です。

 そこの中で、こういうものを受け入れてしまったがために、男女混合名簿だとか、先ほど言ったような、男女共同参画センターがぼこぼこ建って、こういったような状態になっているような、そういった社会的におかしな方向に行くというようなことになっていると思いますので、この問題につきましては、また後日、継続的に質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 きょうはどうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会、松田学でございます。

 内閣委員会というのは、多分、国家の基本問題というのを議論する、審議する場だと思いますが、このゴールデンウイーク中も、いろいろな意味で国家の基本問題にかかわる報道がなされたり議論が行われたところだと思います。いろいろと通告させていただきましたが、時間のある範囲で議論をさせていただければと思っています。

 まず、安全保障について、お忙しい菅官房長官においでいただいていますが、集団的自衛権についてこれからいろいろ議論が本格化していくかと思いますが、その前に、ちょっと基本的なところだけ確認をしておく必要があるかと思いまして、ゴールデンウイーク中も、五月三日は憲法記念日でございます。戦後六十七年間、施行以来一度も改正されなかった、そういった意味では、現行憲法では世界最古の憲法が日本国憲法だということでありまして、いろいろな議論がありました。

 我々日本維新の会は、この憲法とか国家観とかあるいは安全保障という面では安倍政権を応援しているということでございますので、ただ、与党内、与党間で非常に難しい、むしろ我々の方が安倍政権に近いということで、応援させていただいているという立場でのいろいろな確認でございますので、よろしくお願いいたします。

 まず、憲法九条というのが集団的自衛権の問題の基本にあるわけですが、芦田修正という有名な修正がございます。今お手元に資料を配っておりますが、第二項、前項の目的を達成するためというのが入ったか入らないかでこの九条の意味合いが大きく変わったと言われている芦田修正であります。

 政府が今まで憲法解釈の基本としては、いろいろな答弁も下に書いていますけれども、この芦田修正というのが、前項の目的というのは何を指しているのかということで、どうもいろいろな立場の違いがあるようです。政府の立場は、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」というところに、この前項全体ということで、ここを重視しているというふうな答弁が今までなされたことがあったようであります。

 要するに、これは自衛というものを否定しているわけではなくて、しかし、この「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」というところを前項の目的というふうにやっていきますと、いわゆる必要最小限の実力以上の武力は持っちゃいけない、行使してはいけない。そこから、いわゆる集団的自衛権というものを行使できないということにつながっているというふうなことになっているわけです。

 ただ一方で、この芦田修正の前項の目的というのを素直に読んでいくと、特に第一項の方ですが、この一枚目の一番下に書いていますが、これは安保法制懇のメンバーであります西名誉教授の著書からの引用です。

 そもそも一項というのは、国際紛争を解決するための戦争とは侵略戦争のことを言っているということは、国際社会で確認されていると。この条文というのは別に日本国憲法に独自のものではなくて、第一項というのは全体として何を言っているかというと、侵略戦争をしないということを言っているんだと。したがって、二項の前項の目的を達成するというのは、侵略戦争をしないことのために、その侵略戦争のための戦力等々は持たない、交戦権を認めないというのが素直な解釈だろうというのがこの西先生の考え方であるということになっています。

 つまり、この芦田修正をどういうふうに解釈するかによって大きく考え方は分かれるわけなんですが、西先生の解釈によると、憲法九条というのは、自衛のために必要な措置に制限をかけているわけではないということになるわけですね。

 一方で、一枚めくっていただいて、例の砂川判決と言われるもの。これは、同じ西先生の産経新聞の記事をそのまま整理したものなんですが、4のところに、これは判決文でありますけれども、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な手段をとり得ることは、国家の固有の権利であり、憲法はこれを何ら禁止していない、つまり、自衛のための実力行使あるいは武力行使について憲法は何ら禁止していないと。

 この砂川判決というのが、西教授の言っている考え方とまさに符合している。つまり、自衛のためにどういう措置をとるかについての限定を設けていないのがこの砂川判決であるということなんですが、そこと政府解釈ということを比較して考えると、政府解釈の方は、政府の立場として、あえて政策的に必要最小限の実力を超える戦力や武力という概念をつくって、それは禁止しているんだというふうに、最高裁の解釈とはちょっと異なるニュアンスの憲法解釈をあえてやっているというふうにもとれるんじゃないかというふうにも思われます。

 しかも、この砂川判決については、これは個別的自衛権について言ったものだという反論もよくあるんですけれども、よくよく読んでみると、この2にありますように、例えば、東京地検から最高裁に提出された上告趣意を見ても、集団的自衛権に言及されているように、この判決そのものが集団的自衛権を意識していないわけではない、視野に置いているということもございます。

 そういった意味で、砂川判決と政府の解釈というのはちょっとずれがあるというのは否定できないように思うんですが、まず第一点はこの点についてなんですけれども、いずれにしても、安保法制懇でこういう議論が行われて、近いうちに報告書が出て政府からその方針が示されていくということであると、いろいろと御答弁もいただけるようになると思うんですが、この中身の議論もさることながら、そもそも、憲法、六十七年も経て、こうした自衛のための措置の範囲を最終的に確定していないというか、がたがたしているというのが、私は、非常に国家の基本が確立していないというか、国の国家基盤がしっかりしていない、非常にそら恐ろしい気持ちもしているわけでございます。

 この際、こういった議論もあるんですが、きょう特に質問させていただきたいのは、憲法の公権解釈の最終的な権限は裁判所にあるという原点があるわけでありまして、ただ、第一義的には、その解釈というのは今政府が行い、内閣法制局が行っているんですが、ただ、そもそもそれも、民主国家の基盤としては、立法府が第一義的に解釈するというのが本来のあり方じゃないか。

 そうすると、今、いわゆる司法の世界では、付随的審査制とか司法消極主義とかいって、事件が起こらないと裁判所は憲法判断を示さないんですが、最高裁は憲法の番人でもあるということでもあるので、国会が議決して、最高裁に憲法の判断を示してほしいという要請をする、そういう仕組みをつくるということも視野に入れて議論をするというのも一つの考え方としてあると思うんですが、この点についての官房長官の御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

菅国務大臣 松田議員が指摘されたことは、考え方というのは、一つだというふうに思います。

 いずれにしろ、このことについては、極めて大きな問題でありますので、やはり立法府の中で各党会派においてこれはぜひ議論をしていただき、国民的な議論を深めていただきたいというふうに思っています。

 ちなみに、私ども自民党は、立党の精神は憲法改正にあるわけでありますということもつけ加えさせていただきたいというふうに思います。

松田委員 この面では、憲法改正に向けて我々と共通だと思いますので、またいろいろな面で協力し合いながら議論を進めていきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 菅長官、お忙しいと思いますので、次の質問の方までの間、外していただいても結構でございます。どうもありがとうございました。

 それでは、国家の基本問題について、あとは経済を中心に甘利大臣に御質問させていただきたいと思いますが、やはり国の基本となるのは財政であろうと思います。

 この財政の持続可能性ということについて、これも、最近報告が出たので、これに基づいて御質問させていただきますが、国の財政というものあるいは経済の先行きというものをある程度数字であらわすというのは、国民が実態をきちっと理解し、あるいは、必要なときには必要な負担を受け入れる、納得して受け入れるためにも、やはり数字というのを目安を示すというのは非常に大事なことだろうと思いますし、また、政府が事実をちゃんと認識しているということに対するマーケットの信頼感、それに対するメッセージにもなるという意味で、私は数字は大変大事だと思います。

 昔、私も役人をやっていたので、とにかく数字を出すと目標になるから数字は出さないというのは、特に財務省、大蔵省がそういう立場をとって経済企画庁に圧力をかけるというのは、繰り返し私も行っていた人間なので、こんなことを言うとあれでございますが、ただ、ある程度、私は、やはり政治主導で数字、仮定計算であっても、そうやって示していくということをしないと、いざというときに国民が理解しないんじゃないかという気がしておりますので、お答えにくいかもしれませんが、ちょっと御質問させていただきたいと思います。

 先日、甘利大臣には、消費税の増税によって社会保障に回る分の残りの部分は過去のツケ回しを減らす分であるということで、数字までお答えいただきました。これは大変重要な答弁だったと私は思っておりまして、この一年半に本当に国民に生じる負担というのは、ツケ回しの軽減分では七・三兆円、基礎年金の部分は三・二兆円、十兆円余りということでございますけれども、それは大変重要な答弁だったと思います。

 今般、財政制度等審議会財政制度分科会で、我が国の財政に関する長期推計というのが報告されておりまして、その前に、お手元の資料の三枚目、本年一月の政府の中長期の経済財政に関する試算というのがあったわけなんですが、私も国会質疑で質問させていただいたことがありますけれども、この試算は二〇二三年度までしかしていないんですね。肝心なのは二〇二四年度以降であるというふうなことを御指摘させていただいたんですが、この長期推計は、まさに二〇二四年度以降、二〇六〇年度ぐらいにかけて、長い推計をようやく示されてきたということであります。

 この表を見ていただいても、二〇二〇年度にはプライマリーバランス、基礎的財政収支が十一・九兆円のマイナスということで、目標値は達成できません。

 ただ、下を見ていただくと、公債等残高の対名目GDP比は、二〇二〇年度から二〇二三年度にかけてわずかながら低下していると。安定的低下というのを目標に挙げているわけなんですが、何となくこれが実現しそうに見えるというのは、これは大きなごまかしでありまして、二〇二四年度以降を推計してみてください、恐らく発散的拡大するでしょうと言いましたら、今回、財政制度等審議会で出てきたものは、まさに発散的拡大ということが出ていたわけであります。

 つまり、今、政府は目標を掲げていても、目標達成についてのめどが全く立っていない、いや、それどころか、目標は達成されないという、プライマリーバランスについてもさることながら、安定的引き下げについても相当な発散的拡大になっている。

 しかも、この長期推計が明らかにしたのは、幾ら経済成長率を上げてみたところで、あるいは先ほども人口問題が出ていましたが、労働力人口増加率を一生懸命上げてみたところで、ほとんど大差がない。基本的に、財政収支にとって大きいのは、金利の変動あるいは高齢化の要因であるという結論になっちゃっているわけですね。

 この状況のもとで、では、消費税率に換算して、二〇二一年度以降の安定的引き下げを達成するために一体どれぐらいのギャップがあって、そのめどをやはり正直に国民に語るというのが、よく不都合な真実、日本の財政の不都合な真実というのは、何年か前に私が言い始めた言葉で、今、多くの人が使うようになりましたけれども、この不都合な真実をちゃんと語るのも私は政治の役割だろうと思いますが、甘利大臣、できるだけのお答えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、二〇二三年までを中長期試算で示している。そこには発散でない方向が示される。しかし、それから先どうなるかというと、結局、発散に向かうのではないかと。

 手順として、とにかくPB黒を目指してやっていく。それから先は自然体で試算していますから、それから先も収支改善努力が必要なわけであります。

 いわゆる巷間言われていることは、どのくらい改善すればということで、これが仮に八%とかその近傍だとすると、四十兆ぐらい必要になるわけであります。これを単純に消費税率で割ると一五パーぐらいになるんでしょうか。ただし、これは、あくまでも歳出改善だけでやった場合がそうなるということでありまして、我が国は、先進国が歳出改善だけでやろうとした、いわば失敗事例に鑑みて、歳入をふやすことと合わせわざでやっていかないと、これはうまくいかない。

 ですから、アベノミクスの第三弾の成長戦略はそこが意味があるのでありまして、単純に歳出だけ削っていくとすると、国が全部一手に引き受けて仮にやったとすると、四十兆ぐらいになるんでしょうか。こんなことは非現実的であります。ですから、もうちょっと時間をかけて、歳入をふやすという方向と合わせわざで取り組んでいく必要があると思います。

 いずれにいたしましても、当面は二〇一五年までの半減目標をしっかり達成する、そして、その先の二〇二〇年の黒字化を達成する、それから先は、さらなる努力をして、発散しないように、収れんしていくような方向に向けて政策動員をしていくということになろうかと思います。

松田委員 さらなる努力というのが、多分、気の遠くなるような努力だろうと思います。今回の長期推計を見ても、とんでもない数字が出ています。今、四十兆円とおっしゃいましたが、楽観的ケースで見ても、プライマリーバランス目標を達成した後、さらに四十数兆円とか、そういうぐらいの数字が出ている。これは本当に気の遠くなるような、そういう状況に日本の財政が置かれているということは、全ての為政者あるいは国民がちゃんと認識しなければいけないと思います。

 そのもとで、今議論されている法人税減税の話もあります。実効税率を引き下げる、二〇%台にする。二〇%台にすると、財源としては三兆円ぐらい必要だと財務省が言っているというような報道もあります。

 これも財源がないままやるわけにいかない。でも、これも、将来の税収増があるからという議論もあります。でも、将来の税収増、経済成長によって税収増が起これば、これは、こういった財政状況なんですが、それを減税に使ってしまうということは、やはり、こういう意味で、今の財政再建の路線とある程度矛盾する。

 ということは、法人税減税というのをやるからには、いわゆるラッファー効果といいますか、若干、中長期的に見ても、減税をして一旦は失うけれども、さらに税収として返ってくるものがずっと多いんだという見通しがなければなかなかできないと思うんですが、こういった大きな長期的な計画の中でそういった議論をしていかなければいけないと思いますけれども、甘利大臣の御見解をいただければと思います。

甘利国務大臣 法人税の引き下げをなぜ検討しているかといえば、先ほど申し上げました、歳入をふやすということのために、対内直投をふやしたりするのと、それから日本の企業自身が投資を拡大していくことを通じて税収をふやすという効果に資するので、法人税減税をという議論があるわけであります。

 その際に、財政再建を無視して行ってしまえば、法人税減税はできました、財政再建はできませんということであると、これは国債費の増大につながっていくから、元も子もなくなるわけであります。

 要は、非常に難しいのは、財政再建と帳尻を合わせながら、なおかつ減税ができないか。というのは、財政再建というのは、先ほど来申し上げていますとおり、歳出をカットするということと同時にふやす方を考えなきゃいけない。そのためには成長戦略ということが大事で、成長戦略の一環として法人税減税が議論されているということであります。

 これから諮問会議を中心に議論していただくわけでありますし、党税調、与党税調、政府税調とのすり合わせもしていかなければならないんですが、中長期試算で財政再建の見通しを掲げています。それには、税収がどのくらいに上がるかということも試算して入れているわけでありますね。ということは、それの上振れした分というのは財政再建にカウントしていないわけでありますから、それで成長路線に持っていくという考え方があろうかと思います。

 でありますから、これをどのくらい、何年間でやるかということは、これは、上振れ分がどれくらいあるかということと、それから財政再建の道筋をどう描いていくかということとあわせて、いわば連立方程式で描いていかなければならないというふうに思っております。

松田委員 通常の財政状況であれば、その連立方程式の解は出やすいと思うんですが、これだけの財政状況でありますと、恐らくその上振れ分というのが、今回の財政審から出た報告で見ても、成長率をどれだけ上げてみて、頑張ってみたところでも、財政収支に余り影響は出ないというぐらい厳しいのが実態だろうと思いますので、ここはよほど戦略的に考えていかなければいけないと思います。

 時間がなくなってしまいましたので、基本問題としては人口の問題もあったんですが、先ほどからもいろいろな委員が取り上げてきましたので、私は一つだけ、人口問題についてどういうふうに考えているのか。こんな提案も既に出ていますけれども。

 ヨーロッパでは、私も昔、旧西ドイツに住んだことがございまして、いわゆるガストアルバイターというのを入れて経済成長を補おうとして、それが大失敗した。ゲットーみたいなのができて。そこで、移民についても今はEUは相当厳しい状況になっています。

 その中でも、ただ、ドイツの例を見ますと、外国人の就労が認められている受け入れ分野は、専門的、技術的分野、熟練分野のほかに非熟練分野として、例えばオペアという制度があって、子守をやらせるとか、あるいは要介護者のいるような世帯には家事労働者として外国人を受け入れてもいい、そういう枠もあるんですね。

 日本はやはりこの分野である程度外国人を入れないと、女性もなかなか働きにくいし、女性を活用する上でも、あるいは少子化対策にもこれは有効ではないかという議論は恐らく出ていると思うんですが、そういった議論について、甘利大臣はどんな御意見で臨まれているか、最後にこの点をお聞かせいただければと思います。

柴山委員長 甘利大臣、最後の御答弁をお願いします。

甘利国務大臣 外国人労働の導入については、二つに分けるべきだと思います。

 一つは、高度のスキルを持っている外国人、これは、日本に入っていただいて、ある年限が過ぎてそのまま日本にというのであれば、その道は開くべきだと思っております。

 いわゆる単純労働については、今も仕組みは、建設労働その他技術移転という視点からあります。これをどう管理可能なものにしていくかということだと思います。送り手と受け手を、より政府が関与するような機関があって、しっかり受け入れて、そして労働基本権の侵害があるようなことにならないような、しっかり監視ができる、そして年限が終わったら速やかに自国に帰って、自国の発展のために寄与する人材になるという形だと思います。

 あえて申し上げますと、もう一つは、高度スキルのビジネスマンが日本に来たときに、家族を同伴いたします。奥さんが、本来、働くことが許される範疇じゃない仕事を持っていたとします。日本に来た場合にはそれができないということになると、日本自身に高度人材一家が来ることができないということもあろうかと思いますので、そこの部分はもう少し柔軟的に考えてもいいのかなというふうに思っております。

松田委員 どうもありがとうございました。以上です。

柴山委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 きょうは、まず、国家公務員法改正に伴う政令の準備が今、大詰めだと思いますが、これに当たって幾つか確認をしておきたいと思います。

 先日の報道では、五月三十日にも内閣人事局が発足するというふうに伺っておりますが、発足すると、すぐに適格性確認を行わなければなりません。この適格性確認が形式化しないようにすることが大事だと思うんです。

 今、事務方に聞いているところでは、各府省における人事評価、既に行われているものを基本的にベースに行うということですが、それをそのまま使ってしまうと、また形式化してしまうわけですね。特に、実質的に本当に意味のある評価をしている役所のものはそれをそのまま使うのもいいかもしれませんが、形だけの人事評価をしていて、この人はしっかりやっていますみたいなものをそのまま使われても困るんですね。

 私も経済産業省の能力評価の基準をつくるときに、まさにそんな具体的な作業をやった者の一人なんですけれども、この適格性確認が形式化しないように、各府省における人事評価を援用するに当たっては、少なくともファクトベースに基づいた評価、例えば、具体的にこの人はこういうことをやっていたからリーダーシップがあるんだとか、そういうファクトベースで書いてあるかどうかというのが、評価のクオリティーをはかる一つのわかりやすい基準だと思うんです。

 もちろん、ファクトベースかどうかだけではないんですけれども、ある一定のレベル以上の意味のある評価をしたもの以外は適格性確認として使えませんよというイエローカードを、いいかげんな評価をしている府省に対しては出す必要があると思うんです。

 まず第一回目の適格性確認が大変重要になりますので、稲田大臣、人事評価をある程度使わざるを得ないのは理解しますが、形式化しないように、今のような工夫をすることについての御見解をいただきたいと思います。

稲田国務大臣 御指摘のとおり、適格性審査において、人事評価結果を活用することを想定いたしております。そして、内閣人事局において、人事評価制度の適切な運用の確保は、委員御指摘のとおり、大変重要な課題であり、形式的に陥ってはならないというふうに思っております。

 この点に関しましては、総務省において開催されました人事評価に関する検討会が、本年二月に報告書を取りまとめておられます。報告書において、評価者間で評語区分、AとかBとかSとかですけれども、その理解のばらつきがある可能性があることが指摘をされているところでございます。

 今般、評語の付与の理由を所見欄に記載するようにするなど、各府省に向けた人事評価マニュアルの改正等の取り組みを行われたというふうに承知をいたしております。内閣人事局発足後も、人事行政に必要な機能が内閣人事局に集約をされる中で、引き続き必要な改善措置を講じるなどして、国家公務員の人事評価制度の適切な運用に努めていくことが重要であるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 実際やってみて、各府省、相当ばらつきがあると思いますので、できの悪い役所に対しては、これでは来年通りませんよということを、適格性審査をきちっとやり遂げる責任大臣として、ぜひ厳し目にやっていただきたいと思います。

 引き続きまして、級別定数の議論をしたいと思いますが、当委員会でも、昨年の十一月から十二月にかけて、稲田大臣のリーダーシップで、そして菅官房長官のリーダーシップで、重複等をできるだけ避けるということについての意思決定がございました。

 ここで繰り返すことはいたしませんが、来年度の級別定数要求を各府省がするに当たって、内閣人事局と人事院、場合によっては財務省ということもあるかもしれませんが、それぞれ似たようなことをばらばらなスペックで要求するとこの趣旨が減ぜられてしまいますので、概算要求基準を決めるまでの間に、各府省に対して、こういった内閣人事局、人事院、場合によっては財務省が要求する資料は事前に横で共通化すべきだと考えますが、それに向けての準備を既に少しされているというふうに伺っておりますが、それぞれがばらばらにならないようにどういう努力をしているか、お答えいただきたいと思います。これは、きょう、一宮人事院総裁にお越しいただいていますので、総裁にまずお聞きしたいと思います。

一宮政府特別補佐人 法改正後の級別定数に関する事務の運用において、全体として各府省の事務負担が増加することのないよう、内閣人事局と人事院の間で重複する資料等があればできる限り共通化を図るということにつきましては、人事院としても必要と考えております。

 そのため、現在、関係府省の事務レベルで、資料の様式の共通化等について精査を行っているところでございます。

後藤(祐)委員 総裁、これは非常に大きい経緯がございますので、そこを踏まえてやっていただけるよう、これは事務ベースの細かい提出資料のフォーマットとかそういう話だったりしますので、ぜひ、これは稲田大臣もリーダーシップをとって、そのフォーマットまでよく見せていただいて、やっていただきたいと思います。

 続きまして、内閣人事局を創設した意義の一つとして府省間をまたがる幹部人事というものがあると思いますが、きょう、配付資料を幾つか配らせていただいておりますが、採用された役所以外で勤務している局長以上が四十六人いますといったような資料が、これは多分今まで出たことのない資料だと思います。事務方に確認をして配付させていただいております。

 これを見ますと、今回の内閣人事局の対象になります審議官級以上までの、左の二つの欄を合計すると百八十八人、全体で六百程度のポストと言われますから、かなり多い感じがしますね。ですが、よく見ますと、内閣官房、内閣法制局、復興庁、金融庁、消費者庁というのは、そこ固有で採用された方が審議官級以上になっている人はいませんので、少なくともここの五つの役所を合計すると、局長級以上で二十七、審議官級以上で六十、合計しますとこれ二つで八十七ありますので、二つの合計は百八十八のように見えますが、そのうちの八十七ぐらいは実質的には違うと。内閣府というのは、この中に昔の経済企画庁の採用の方と外から来ている方がいる、これがまざっていると思います。

 今度の夏の人事は、内閣人事局が創設されて初めての人事になります。その幹部級の人事がなされた結果、審議官級以上の数字、採用府省以外からの勤務者数の数字がどうなるのかということについて、あらかじめ早い段階で内閣としての意思を示すべきだと思います。

 具体的に言うと、この百八十八をどうするという言い方がいいのか、あるいは、実質的には違う先ほどの八十七を除いて大体百ぐらいが動かし得る数字なんだとすると、その百を二百にするとか二百五十にするとかいろいろな目標があると思いますけれども、ここの数字をこの程度にしたいというような内閣としての意思を示すべきだと考えますが、これについての稲田大臣の御見解をいただきたいと思います。

稲田国務大臣 今回の内閣人事局設置の目的が政府一体となって戦略的な人事を行うということでございますので、今御指摘のように、府省横断的な人事というのはとても重要だと思います。

 そして、これに関しては既に、平成六年に閣議決定して以来、随時推進をしているわけですけれども、一層推進していく必要があると思います。

 ただ、数の問題ではなくて、例えば、固定化したポストではないとか、要所要所のポストにきちんと戦略的な人事を配置することが必要であるというふうに考えておりますので、数値目標を示すことまでは今想定してはおりません。

 ただ、幹部職員人事の一元管理の重要な目的、これは、先ほど申しましたように、戦略的な人材配置を実現して各府省一体となった行政運営の確保でありますので、御指摘のあった幹部の府省横断的な人事交流は重要な課題であり、今回の改正の趣旨に即して推進していくことが重要であるということはもちろんだというふうに考えております。

後藤(祐)委員 対外的な数値目標は示せないにしても、内々の目標は示せるはずです。

 例えば、局長級以上でゼロになっているところがありますけれども、これを少なくとも一は出せとか、あるいは、審議官級は今までの一・五倍は少なくとも出せとか、いろいろ内々の目標設定をすることは可能だと思いますので、それをやらないと結果としての数字は上がりません。

 ですから、この数字は結果が問われますので、また次の臨時国会ぐらいでこの数字が出てきたら私は聞きますから、後で検証されることを念頭に置いて、これは官房長官が人事権者の場合もあると思いますので、ぜひ督励してやっていただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと一問飛ばしまして、歳入庁に行きたいと思います。

 歳入庁については、社会保障と税一体改革法の中で、「歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施すること。」という条文が入ったんですが、これを受けて、加藤官房副長官のもとで、年金保険料の徴収体制強化等のための検討チームというものが発足しております。

 これが人知れず昨年八月八日に「年金保険料の徴収体制強化等に関する論点整理」という紙をまとめて、その中で、「組織を統合して歳入庁を創設すれば納付率向上等の課題が解決するものではないとの意見で一致した。」つまり、もう歳入庁はやるつもりはありませんよというふうに見える論点整理なるものをまとめておられますが、これに至る議論の経緯が全く公表されておりません。有効性、課題等を幅広い観点から検討することは法律上の義務です。それがなされたかどうか、外部から検証できない状態になっております。

 メリットとデメリットについて、いかなる検討をしたのか、そして、どういう観点からデメリットを上回るからこういう結論になっているのか、ぜひ、この検討経過について、これは副長官が責任者だと思いますので、御答弁いただきたいと思います。

加藤内閣官房副長官 後藤委員にお答えいたします。

 法律にありますように、年金保険料の徴収体制強化等について検討するということで、私を座長として議論をさせていただきました。当該議論については、今、議論云々とおっしゃいましたけれども、具体的にその議論を通じてまとめたものを論点整理として出させていただいたところでございます。

 具体的に、その中で、歳入庁の関係について申し上げますと、国民年金保険料と国税の徴収対象は重なりが小さい中、歳入庁を創設して徴収を一元化したとしても、国民年金保険料の納付率向上への効果は限定的ではないか。あるいは、日本年金機構の職員は現在非公務員であり、歳入庁を創設する場合には、現在非公務員が行っている業務を公務員に行わせることになることから、公務員人件費削減の取り組みや行政改革の取り組みとの関係で問題が生ずるのではないか。

 また、年金保険料は、被保険者の将来給付と結びついている点で、税と基本的な性格が異なっており、その性格の違いから、制度的な違いがあるため、これらの納付折衝を同一の滞納者に対して同時に行うのは実務上問題が生じるのではないか。そうした問題点の指摘もあり、あるいは、さらにその前提として、納付率向上にはそれ以前として必要な対策があるということで、年金保険料の納付率向上等のためには、保険料徴収の基本的な考え方を整理し、必要な対策を講ずることが重要であり、組織を統合して歳入庁を創設すれば問題が解決するものではないということで指摘をさせていただいたところでございます。

後藤(祐)委員 それは論点整理に書いてあるんですが、メリットの方の話が全然ないんですよ。国民側からすれば、保険料と税を納める側からすれば、ワンストップになっていれば便利であるのは間違いないんです。税務署とハローワークと労働基準監督署にそれぞれ払わなきゃいけない、面倒くさくてしようがないわけです。そういった観点が全く抜けている。

 しかも、行政改革の観点からも逆行だといいますけれども、二つ三つのところでやっていることをまとめれば、重複の部分が解消されるのはやはりあるわけで、そういった観点が全く抜けている。この論点整理はひどいですよ。

 ぜひこれは、野党の皆さん、共同して出そうじゃないですか、歳入庁、やりましょうよということを、あえてこっち側に向かって申し上げておきたいと思います。

 最後に確認しておきたいんですが、昨年の八月八日の論点整理は最終結論ですか。つまり、現政権では歳入庁創設はしない、これ以上の検討もしないということかどうか、最後に確認したいと思います。

加藤内閣官房副長官 基本的には、社会保障・税一体改革全体は甘利大臣が所掌しておりますので、甘利大臣にお答えいただくべきものと思いますけれども、私どもの検討の段階では、先ほど申し上げたように、そうした議論の前にまずやるべきことがある、そして、それを着実に実行していこう、こういうことでございます。

後藤(祐)委員 ぜひ、これは今後、論戦していきたいと思います。

 これと関連して、社会保険料の雇用主負担の問題については、四月十一日の当委員会でも、法人税を下げる余裕があるのであれば、社会保険料の事業主負担を下げてあげることの方が、中小企業、あるいは人をたくさん雇っていらっしゃる、特に正社員で雇っていらっしゃる企業にとっては大変助かるのではないかというような議論を小泉政務官とさせていただきました。小泉政務官からも、「正社員の方、また雇用の改善ということを考えたときに、」「社会保険の負担をどうやって下げていくことができるかという視点は非常に大切だと思っています。」という答弁もございました。

 この話は今後ぜひしていきたいと思いますし、法人税減税の話は今年度重要なテーマになると思いますから、社会保険料の事業主負担の引き下げ、この議論をしていきたいと思うんですが、ちょっと調べ始めたら、どの程度の社会保険料をどういった事業主が負担しているのか、従業員数別のデータだとか業種別のデータですとか、こういったものを調べ始めたら、データが余りないんですね。

 きょうは高鳥政務官にお越しいただいておりますけれども、雇用保険、労災保険の合算である労働保険については、事業所の従業員数別、地域別、あとは業種別、こういったデータがございます。ですが、年金保険料、健康保険料、介護保険料、これについては、従業員数別、業種別といったものは、少なくとも集計したデータは今の段階ではありません。これでは、中小企業向けに考えた場合に、法人税を下げた方がいいのか、社会保険料を下げた方がいいのかという議論ができないわけですね。

 あるいは、介護保険の事業者なんかにとっては、物すごく今人手不足というか、人手不足事業所閉鎖みたいなものが相次いでいるわけですけれども、彼らを助けるために、社会保険料の負担を軽減するというのは、非常に効果がある面もあるんですね。

 ぜひ、今言った、労働保険以外の年金保険料、健康保険料、介護保険料についても、せめて従業員数別、業種別に集計したデータをつくるべきだと思うんですが、まず、現時点で集計したデータが存在するのか。集計したデータはなくとも、個々の事業所ごとのデータというのは、百七、八十万事業所があると聞いていますが、それぞれのデータというのはそれぞれの現場ベースで持っているはずなんですね、というデータは存在するのか。

 今の段階でのデータの存在状況をまず教えていただけますでしょうか。高鳥政務官、お願いします。

高鳥大臣政務官 後藤委員にお答えをいたします。

 労災保険料及び雇用保険料の徴収額につきましては、売り上げ別のデータは把握しておりませんが、従業員数、都道府県別のデータは厚生労働省として把握いたしております。さらに、労災保険料につきましては、業種別のデータも把握いたしております。ただし、把握いたしておりますのは、それぞれの区分の徴収額全体でありまして、被保険者一人当たりの額は把握しておりません。

 一方で、厚生年金保険料につきましては、地域別のデータも把握いたしておりますが、委員御指摘のとおり、健康保険料、介護保険料の従業員数別、業種別、地域別、売り上げ別のデータは把握しておらず、現時点でお示しをすることは困難でございます。ただし、例えば協会けんぽにつきましては、都道府県ごとに保険料率を設定しておりますこと等から、集計すれば、地域別のデータを算出することは可能でございます。

 このように、集計上可能な範囲で、各保険者の協力を得ながら、議員のお求めに対応できるように検討してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 そうなんです、わからない状態なんです。つまり、中小企業にとって社会保険料負担が厳しいというのは、政治家であれば、皆さん、皮膚感としては聞いたことがあると思うんですけれども、政府として公式な答弁を求めた場合、その基礎データがないんです。ということなんですよ、集計したデータがないということは。これは非常に深刻な事態であって、今、政務官、後段のところで前向きな答弁をいただきましたけれども、これはそれぞれの末端ベースの事務所ではデータがあるはずなので、それを先ほど申し上げた形で集計する作業を、特に協会けんぽなんかは集めるのが大変なところもあるかもしれませんが、ぜひこれを集計したデータをつくっていただくようお願いしたいと思います。

 個別のデータは全部あるということでよろしいでしょうか。つまり、業種についてはどれかの保険料については集めていないといったようなことがあるのでしょうか。事業所登録、最近は業種を書く欄があるけれども、昔はなかったとか、いろいろな事情があり得ると思うんですけれども、要は、単に集計すればいいだけの状態なのか、そもそもの末端ベースのデータすらない部分があるのか。そこをちょっと、細かい話かもしれませんが、教えていただけますか。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 実際にデータはあるものとないものがございまして、例えば協会けんぽ、それから健保組合、労災保険料あるいは雇用保険料等につきましては、ある程度のデータは、集計におよそ一カ月程度かかるという見込みでございますけれども、お出しできるように努力したいと思います。

後藤(祐)委員 個別データはあるというふうに理解しましたので、集計に若干時間がかかるのはわかりますので、一カ月程度というお話がございました。ぜひこれは集計していただきたいと思います。

 そのときに、法人税の負担がどうなっているかということについては比較的データがあるんですけれども、それと比較しやすいように、人数の区切りですとか業種の区切りですとか、そこをスペックを合わせながら集計していただくようお願い申し上げたいと思います。

 社会保険料関係はこれで終わりでございますので、高鳥政務官、もしあれでしたら、こちらで結構でございます。

 続きまして、議事録関係に行きたいと思いますが、四月二十二日の記者会見において、稲田大臣は、百七十二存在する、閣僚を構成員とする閣僚会議等の全てについて、「発言者名及び発言内容を記載した議事の記録を作成することとしたいと思います。」と発言をされております。

 この議事の記録というのが大変難しい話なんですが、議事の記録とは、議事録または議事概要のことと理解していいでしょうか。会議録だとか名前がちょっと違うのはあると思いますけれども。

 ちなみに、今、配付資料の二枚目に、この作業をするのに当たって恐らく発注をされたんでしょう、内閣官房及び内閣府が作成した資料というのがございまして、各府省に発注するときの資料としては、議事録と議事概要を、仮にということなんでしょうけれども、用語の意味として、ここに書いてあるような、議事録は、「当該会議の審議における発言の内容が詳述されているもの(必ずしも逐語であることまでは要しない。)」などと書いてあるんです。あるいは議事概要については、「当該会議の議事内容、決定に至る検討過程等の要点を簡潔にまとめたもの」となっているんです。

 この定義についてはちょっと後でやりますけれども、まず、議事の記録とは、議事録または議事概要のことだと考えてよろしいでしょうか、稲田大臣。

稲田国務大臣 私が四月二十二日の会見において「議事の記録」というふうに表現をいたしましたのは、先般、三月二十八日、閣議等について議事の記録を作成することを閣議決定したところでありまして、この閣議決定における表現、「議事の記録」という表現を踏まえて、閣僚会議等についても議事の記録を作成するということを申し上げた次第であります。

 そして、それが議事録、議事概要とどう違うのかというお話でございますけれども、いずれにいたしましても、なぜ議事の記録をつくるかという趣旨に照らして、意思決定に係る過程、事務事業の実績を合理的に跡づけ、または検証できるような議事の記録という意味でございます。

後藤(祐)委員 発言として音声で流れた言葉をどの程度逐語的に書くかということなんだと思うんです。検討過程の発言と関係ない要素を加えると、いかようにでも事務局が加工できるようにどんどんなってしまうんです。

 この前公表された閣議の議事録、閣僚懇談会の議事録は、比較的発言どおり書いてあったと思いますけれども、発言以外の要素を加えて議事録あるいは議事の記録、議事概要をつくることはないと考えてよろしいですか。発言をどの程度、例えば、あーとかうーとかいうことは一々書く必要はないとか、そういう意味で逐語的でないというのは理解しますよ。実際、議会の議事録だってそうだと思うんです。

 ですが、例えば、特定秘密について議論をしている森大臣のところでやっている会議の議事概要が非常に恣意的に省略されていたということについては、後に議事録が明らかになったことによって、やはりひどいなということになったわけです。ああいうことが現実に起きているわけですから、音声で行われた発言、これをできるだけ逐語的に、完全に逐語的かどうか、いろいろ解釈はあると思いますが、つくるというのが議事の記録であると理解してよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 議事の記録について、また議事録について、議事概要についての正確な定義というものはありませんけれども、意思の決定に係る過程、事務事業の実績を合理的に跡づけ、検証できるような議事の記録でなければならない。もちろん、今委員が御指摘になったように、全く言っていないようなことを恣意的に加味するというようなことがあってはならないというふうに考えます。

 一方で、全て逐語的に、全ての発言を記載するというところまでは要求をしていないものというふうに考えております。

後藤(祐)委員 それでは伺いますが、この前の特定秘密についての検討会議、あの議事概要は、ある特定の部分が、加えてはいませんが、削除されているわけです。それは議事録が後に明らかになったので明らかになりましたが、今、稲田大臣がおっしゃったような、後で検証できるようなというものに、あの特定秘密の検討会議の議事概要は満たしていないという理解でよろしいですか。これは通告していないので、ちょっと難しい質問かもしれませんが。

稲田国務大臣 議事の記録の作成については、公文書管理法の目的に照らして、それぞれの会議の性格、態様、記録の作成に要するコスト等、さまざまな観点から、具体的なあり方について、各会議において最も適切な形で作成されるべきものというふうに考えております。

 今、後藤委員が御質問になりました具体的な議事の概要についてのコメントは、お答えできる立場にはありません。

後藤(祐)委員 ぜひ、あのときの議事概要と、その後、情報公開請求で出てきた議事録、この差分を見て、どこが削除されていて、それが、後で検証可能という公文書管理法の趣旨にのっとって、私は、あの議事概要は公文書管理法の条件を満たしていないと思います。それについては、後で稲田大臣なりの理解を森大臣にちゃんと伝えていただきたいと思いますし、それについて、私にも後で教えていただきたいと思います。こういったことを積み重ねることは大事なんです。

 きょう、官房長官にもお越しいただいておりますけれども、NSCをどうするかということなんです。

 私、特にNSC、公開については、そう簡単に公開できないのは非常に理解します。情報公開法の五条三項、四項なりの不開示理由に当たる場合がほとんどでしょうから、それはそれで理解するんですが、作成をするということについては、菅長官の二十二日の記者会見で、詳細な議題だとか発言者及び発言の概要、会議の結論を含む会議の全体を議事の記録、そうした方向で作成するということで今検討しているとお答えになられておりますが、またここでも議事の記録と出てきます。

 この議事の記録が、かなり逐語的な議事録なのか、特定秘密のときに明らかになったように、特定の部分を削除してしまったような議事概要まで含まれちゃうような議事の記録をつくるのかというのは非常に重要な違いなんです。

 都合の悪いところについては黒塗りでいいと思うんです。きちんと詳細な議事録をつくって、公開できない部分については、ほとんど外に出せるのはないでしょうから、それは淡々と情報公開法五条の不開示理由に当たるかどうかの判断をされればいいのであって、その前に議事録か議事概要か、あるいは議事の記録という定義の曖昧さの中で記録しない部分をつくってしまうことによって秘密を守ろうとするのは、これは公文書管理法の趣旨からしておかしいと思いますが、それについての官房長官の御見解をいただきたいと思います。

 つまり、NSCについての議事の記録を残すというのは議事録を残すということであって、外に出せる、出せないの判断は情報公開法の観点から別途行うのであるから、内容についてある部分をあえて書かないというようなやり方はしないという理解でよろしいでしょうか。

菅国務大臣 私が記者会見で申し上げたのは、NSCについては、詳細な議題、発言者及び発言の概要、会議の結論を含む会議の概要を記した議事の記録を作成する、そういうふうに私自身、会見で申し上げたところであります。

 ですから、そういう意味においては、NSCの中で行われたのは、今申し上げたとおりの中で整理をさせていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 今申し上げたとおりでとおっしゃいますが、私が先ほど申し上げた、ある特定の部分を書かない形で記録を残すというような形で将来に記録を残さないということはしないという理解でよろしいでしょうか。つまり、議事録をちゃんと作成するということでよろしいかどうか、もう一度答弁をお願いします。

菅国務大臣 議事の記録、今申し上げましたけれども、この作成については、国民への説明責任を全うするという公文書管理法の目的に照らし、意思決定に至る過程及び事務事業の実績を合理的に跡づけ、または検証できるよう、適切に行われる必要があるというふうに考えています。

後藤(祐)委員 ある部分が削除されることで検証できなくなったかどうかはわからないんです、誰にも。つまり、それは検証できないんですよ、誰にも。という思いを考えて、ぜひ、これは議事録をきちっとつくるという方向で部下を督励していただきたいと思います。

 この議事の記録を残すことについては、今の段階では、四月二十二日の稲田大臣の御発言のレベルにとどまっています。つまり、各府省、各審議会の義務なのかどうなのか、よくわからない状態になっています。我々は、公文書管理法で、条文で法律上の義務として定めておるところでございますが、今後これをどういう形で義務化、法的義務をかけていくのでしょうか。

 公文書管理法の改正が、我々の出している、例えば我々の案でいうと、「閣議及び関係行政機関の長で構成される会議の議事については、議事録を作成しなければならない。」と、わかりやすい条文を我々は提示しております。この委員会に付託されております。

 もしこれが、本来は、最初は出すとおっしゃっていたんですね、政府側も。出されないということなんでしょうから、もう一つ政令か何かで書く方法もあって、例えば公文書管理法の十条には、行政文書管理規則を設けなければならないとなっておりますが、その二項七号というところでは、その他政令で定める事項を行政文書管理規則に記載しなければならないと書いてあるんですね。この政令で規定するですとか、やりようはいろいろあるんです。

 法律上の義務にかかるような形で、政令なりでこの百七十二あると言われる会議の議事録を残すということについて、法的義務をかけるための手段としてどうするつもりか。そして、各府省の言いなりにならないように、内閣府が一律のルールでもって、議事の記録という言葉が非常に曖昧な言葉になって、これは将来に禍根を残します。議事の記録とはこういうものであるということについて、内閣府できちんと専門家で検討していただいて、この前、二十二日の記者会見のときにも、専門家の方に検討いただくというようなお話がたしかございました。どういったものが公文書管理法の趣旨に沿う、後で検証可能な議事の記録なのかをきちんと内閣府が定義して、それを法的義務がかかる形で各省に伝えるということが必要だと考えますが、これについての稲田大臣の見解をいただきたいと思います。

柴山委員長 稲田大臣、時間が終了していますので、端的にお願いします。

稲田国務大臣 今の義務づけの方向ですけれども、閣議等の議事の記録については、官房長官決定において、開催日時、開催場所、出席者、議事結果、発言者及び発言内容を記載することになっておりまして、それと同じ方向で、同様の事項を記載することを義務づける方向で検討いたしております。

 そして、政令改正でございますが、行政文書の管理に関するガイドラインの改正を予定しているところでございます。

柴山委員長 時間が終了しました。

後藤(祐)委員 そのガイドラインの中でしっかりとルールを定めていただきたいことをお願い申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、ことしの四月十五日、私が質問主意書を提出させていただいたんですが、それは、本年の四月五日にアメリカのヘーゲル国防長官が安倍総理を表敬されました、その概要として、外務省のウエブサイトに、安倍総理の方から「我が国の安全保障政策について、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、集団的自衛権等と憲法との関係に係る検討を含む様々な取組を着実に進めてきている」、そういう説明があったというふうに外務省のサイトに出ているわけです、そのほかも出ているんですが。

 ここで言う、御説明の集団的自衛権について、一般的な集団的自衛権なのか、いわゆる限定容認論、こういったものを含めて、区別してされたのかという質問主意書を出させていただいたんですが、これについての回答は、要はいつもの、安保法制懇で検討しています、こういう答弁を頂戴しておりまして、ちょっと質問の趣旨と違う答弁が来ておりまして、きょう改めてこの点をお伺いしたいということで、お願いしたいと思います。

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御質問がございました、安倍総理とヘーゲル国防長官、ヘーゲル国防長官が安倍総理を表敬した際のやりとりでございます。

 その際に、総理の方からヘーゲル長官の方に説明をした発言が、集団的自衛権と憲法との関係においては、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることも踏まえ、我が国の平和と安全を維持するためにどのように考えるべきかについて検討を行っているところであるということを、総理からヘーゲル長官に、検討を行っているということを説明したわけでございます。

 そして、その表敬において、総理から、さらにこれらの取り組みを日米同盟強化にもつなげていきたいというふうに述べまして、ヘーゲル長官の方から、日本の取り組みを改めて歓迎するという発言があった次第でございます。

大熊委員 推察されると思いますが、私が懸念しているのは、限定かどうかを区別せずに向こう側が理解しているとなると、結果として出てきたものに対して、もしかすると大分落胆というものが生じるのかもしれないな、そういうことなんですが、そういった誤解はないんだ、こういう理解でよろしいでしょうか。

新美政府参考人 まさに総理からヘーゲル長官に説明、今御説明した以上のものでも以下のものでもないわけでございますが、まさに検討中であるということで、そこに、今委員の方から御指摘ございましたような限定的なものであるかないかということについて、特にどちらの方向で検討しているあるいはしていないということは、総理の方からは一切説明してございません。

大熊委員 これ以上は御答弁は結構なんですが、普通、アメリカの方とか諸外国の方というのはそもそも区別をしていないのではないか、そういうふうに思うわけでございまして、誤解を与えた懸念というのはちょっと拭い切れないのかなというふうな意見を申し上げます。

 続きまして、ある意味似たようなところなんですが、今度は、五月一日のウォールストリート・ジャーナルなどの報道で、石破幹事長がアメリカに行かれた際に、米国と韓国、アメリカと日本、米国とオーストラリアという、米国と個々に連携するハブ・アンド・スポーク型の同盟から転換をする必要があるんだ、これは米国の戦略とも符合するというふうに強調されたという報道が複数あるわけなんですが、さらに、欧米諸国の軍事同盟であるNATO、これが一つの大きな理想だというふうにお話しになっていらっしゃいます。

 この点、政府の認識も同じなのか、いやいや、ちょっと違うのか、この点について教えていただければと思います。

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 石破議員の発言について、政府として論評を差し上げることが適当ではない面もあるというのもございますが、例えば、昨年十月の日米のいわゆる2プラス2の共同発表におきまして、日米両国は、地域における同盟国及びパートナーとの間での安全保障あるいは防衛協力といったものの重要性を確認しております。

 その中で、例えば日米豪、オーストラリアでございますけれども、あるいは日米韓、韓国でございますが、その協力が、日米の安全保障上の利益の増進、共通の価値の促進、アジア太平洋地域の安全保障環境の改善をもたらすものである、引き続き重視していくといったことも合意しております。

 そういう意味におきまして、日米豪とか日米韓といった協力が、これは日米安保の利益の増進をするという意味においてはそういう協力が必要だという認識は政府としても持っております。

 ただし、その上で、多分、今の委員の御質問も、あるいは石破議員のスピーチにおける発言も、先ほども御質問がありました集団的自衛権と憲法との関係にも関連して述べられているのではないかとそんたくいたしますけれども、この点につきましては、繰り返しで大変恐縮でございますけれども、まさに今、懇談会で検討がされているわけでございまして、そこから報告書が提出された後に政府として対応を検討していくということを考えております。

大熊委員 前段のところなんですが、そうすると、日米韓その他もおっしゃいましたかね、NATO型が理想なんだ、こういうような認識なんですか。

新美政府参考人 今の私の説明は、必ずしもNATO型がいいと申し上げたわけではございませんで、あくまでも今、日米間で、政府間でも共通認識として持っており、明らかにしているのは、安全保障及び防衛協力面で日米豪、日米韓の協力が重要であるという点だけでございます。申しわけございません。

大熊委員 確認なんですけれども、NATO型についてはどんなふうな、逆に理想じゃないという認識なんでしょうか。

新美政府参考人 そのNATO型という、委員の御質問の意味にもよると思いますけれども、もし、今の御質問の趣旨、あるいは石破議員の述べた発言の背景にあるものの、NATO型あるいはハブ・アンド・スポーク型、どちらがいいか、そして、その背景あるいは基本的考え方として集団的自衛権と憲法の関係というのが念頭に置かれているのであれば、そこの点については、まさに、まだ今、報告書を待っている、懇談会での検討を待っている、そういう状況でございまして、それ以上のことは、現時点では政府としては申し上げられないと思います。

大熊委員 いや、私の想像では、安保法制懇というのは、そこまでのことが出てくるのではないから、要するに、同盟のあり方そのものまで書いて出てくるものなんですか。

新美政府参考人 今この場で政府の方から、報告書、懇談会の内容でどういうものが出てくるかということについて申し上げることは適当でもないですし、私どもが申し上げることもできませんけれども、ただ、今の一連の御質問、そして先ほどの石破議員のワシントンにおけるスピーチでございますが、その背景に、当然のことながら、NATO型という御説明、あるいはハブ・アンド・スポーク型という説明で、まさに、そのハブ・アンド・スポーク型ではできるけれども、NATO型にするためには憲法あるいは集団的自衛権についての考え方というのを再検討することが必要だ、そういう御議論があると伺っておりましたので、そういうことについて説明をしたわけでございます。

大熊委員 それは方法論からのアプローチであって、そもそも政府として同盟のあり方をどうするんだというのは、安保法制懇に全部丸投げで全部任せているわけじゃないんじゃないかと期待をするんですが、全部任せている、こういうことなんですか。

新美政府参考人 そうではございませんで、あくまでも今後の日本の安全保障政策のあり方は政府が主体的に考えるべきものでございますが、ただ、当然、その背景あるいはその前提となるべき憲法あるいは集団的自衛権との関係等については、これは、政府として方向性あるいは対応を検討する前提あるいは参考として、今この懇談会の方に御意見を求めているということかと理解しております。

大熊委員 相互に方法と絡み合っているということで理解をいたしますし、ちょっといろいろよくわからない途中過程なので、また改めてお伺いしたいと思います。

 続いて、これもまたアナウンスメント関係なんですが、安倍総理が五月六日、NATOにおいて演説をされまして、その中で、例えば、現在の憲法解釈では、ミサイル防衛のため、日本近海の公海で警戒に当たっている米軍のイージス艦が攻撃を受けたとしても、自衛隊はこれを守ることはできません、単に見過ごすことしかできない、それでよろしいのでしょうかと。これは、官邸のホームページのまま、そのままコピペをしたわけでございますが、この発言というのは、全てのケース、いかなるケースでも言えることなのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 集団的自衛権と憲法との関係については、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において、現在、最終的な詰めを行っておりまして、今月十二日の週にも報告書を提出していただくということでございますが、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、これを参考に政府としての基本的方向性をお示しした上で、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討していくということにいたしております。

 仮に憲法解釈の変更を行うことになる場合には、閣議決定を行って国会で議論していただくということになると思いますが、その上で、あえて申し上げますと、我が国による実力の行使の法的根拠については個別具体的な状況に即して判断する必要がございますけれども、これまでの国会答弁等において、公海上の米艦に対する攻撃であっても、これに対処することが憲法上許容される場合があり得ることは否定をしていないところでございます。

 しかし、それらは特定の状況における限定的なものでございまして、総理は、我が国として対処する必要がある現実の状況はそれに限られないのではないかという問題意識から、先般の演説において、御指摘の事例を挙げられたものと理解してございます。

大熊委員 そうですよね。昭和五十八年の三月の八日ですか、これは当時の谷川国務大臣の発言で、守れる、こういう予算委員会での答弁があるわけなんですね。

 だから、最初に戻って、この安倍総理の発言、いかなるケースでも言えることじゃないんですよね、今御答弁なされたとおり。そうですよね。

武藤政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、個別具体的な状況に即して判断をする必要があるということでございまして、今御指摘もありましたけれども、これまでの国会答弁等においても、公海上の米艦に対する攻撃であっても、これに対処することが憲法上許容される場合はあり得るということは否定をしていないところでございます。ただ、それらは、特定の条件における限定的なものであるということでございます。

大熊委員 この総理の発言は、いかなるケースでも言えるということではないということが確認できました。

 ただ、これは、聞いている方は、そういう区別なんて、日本の法制度を細かく知っているわけじゃありませんので、相当これはミスリーディングではなかったのかとちょっと懸念を持たざるを得ませんので、一応問題提起だけにさせていただきたいと思います。

 安全保障関係は以上でございまして、続きまして、例の独法の資金関係の話なんですが、きょうは、個別にいろいろ何々独法の話をする前に、全体の仕組み、行政の仕組みについて、質問であると同時に提案でもあるんです。

 大手の、特に国際的にいろいろ拠点を持っているグローバル企業は、通常、本社一括資金管理というのをやっていまして、これはもともと十年ぐらい前、もっと前ですか、米銀が始めたシステム、これも最近は日本のメガバンクも取り入れて、グローバル企業に対して、いろいろな子会社や現法が何百とありますよね、それを本社で一括資金管理をするというキャッシュマネジメントというサービス、これを通常、システムを組んでやっているわけなんですね。これを独法でやったら相当資金管理を効率化できるのではないかというふうに思うわけでございます。

 先日、七兆二千億あるんだと申し上げたら、ちょっと指摘があって、年金の部分もあるんじゃないかと。なるほど、そのとおりだけれども、年金の部分を除いても半分前後あるんですね、三兆とか四兆あるので。これを財務省がやるのか、どこがやるのか、これはまた大変な議論になって、各省は絶対反対でしょうけれども。

 行政改革大臣としては、そういう仕組みによって行政を効率化して、資金フローを効率化して、余った部分を国庫に返してもらうということ、これはこれまでに検討されたことが恐らくなかったんじゃないかと思うんですが、大臣の御見解をお願いします。

稲田国務大臣 委員御提案のキャッシュマネジメントシステムというのは、企業グループ全体の資金運用、資金調達、資金管理を統括部署において一元的に包括管理し、連結経営の最適化を図るシステムであり、それを独法にも適用せよという御提案だというふうに思います。

 キャッシュマネジメントシステムの有利な点というのは、有利な条件で運用や調達を行える、グループ企業間の取引の決済の合理化が図れる、集中支払い管理により、手数料、間接費用を縮減することが可能になり、連結ベースでの財務管理が効率的に実施できるようになるというふうに聞いております。

 これを独法で検討したことがあるのかということでありますが、これを検討したことはないというふうに思っております。それは、独法間の取引というのは活発ではなく、グループ企業間の決済合理化の手法を適用する余地は少ない、また、資金管理のマネジメントが不可欠であり、法人の業務運営の独立性が損なわれるおそれがあるなど、統括を行う法人をまた新たにつくる必要があるということで、直ちに検討が必要な事項ではないのではないかというふうに考えております。

 ただ、業務の最適化という観点からは、昨年の閣議決定においても、各法人の効果的、効率的な業務運営のため、法人間における業務実施の連携を強化するということを盛り込んでおりまして、共同調達など現実的な取り組みから始めて実績を積み上げていくことが大切ではないかというふうに考えております。

大熊委員 これは来月からやってくださいというほど簡単な話じゃないわけなんですけれども、しかしながら、今大臣が言われたのは、できない理由ですね。どうも得心がいかないわけでございます。

 例えば、新たな法人をつくらなければいけないんだと断言されたんですけれども、別につくらなくたって、また財務省にやってもらうのもどうかという意見もあるかもしれませんが、財務省の能力からすればできるかもしれません。

 資金取引がそう活発でないのであれば、非常にお手軽な仕組みでできるわけでございますから、それで資金管理の量が半分ぐらいになれば、その分国庫に返してもらえるわけです。言われた、できないという点は、絶対に乗り越えられない、少なくとも、検討を開始できない理由にはならない。検討した結果、やはりちょっとシステムを組むお値段に対して効果が見合いませんでした、これならわかりますよ。だけれども、検討をする入り口に入りませんという理由には理屈からしてならないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

稲田国務大臣 私が今答弁をいたしましたのは、今まで検討されたことがないということでございます。

 また、こういうキャッシュマネジメントシステムを採用している企業というのは、連結子会社など企業グループであったり、非常に関連性のあるものであって、むしろ、独法というのは、それぞれ独立性、自主性があり、それを全て一括してマネジメントシステムをするというのはかなり難しいのではないかという見解を申し上げたところでございます。

大熊委員 大臣おっしゃるとおり、難しいと思います。簡単じゃないと思います。

 しかし、来週、この内閣委員会で独法通則法を審議するんですよね。独法通則法、これは、独法を幾つか分類して、一年、数年それから研究開発と分類して、まさにマネジメントをしよう、そういう法律なんですよね。だけれども、資金だけはマネジメントできないですよと、これは理屈としておかしいと思います。だって、独法のマネジメントをしようと、それを来週、閣法で出すんですよね。もう出して、審議をするんですよね。だけれども資金だけは絶対できませんというのは、ちょっと理屈として通らないと思います。

 時間が終了しました。また続きをやりたいと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 先ほど、日本共産党には新日本婦人の会という婦人部があるという発言がありましたが、私たちの組織にはそういう組織は、婦人部は存在しておりません。

 新日本婦人の会にとっても大変心外な話じゃないかと思いますが、いずれにせよ、事実に基づく議論というのが国会、委員会では大事であって、事実に基づかないところから出発していろいろな議論を発展させるというのは、委員会の議論のあり方としても生産的ではないと思います。

 議事録をきちんと精査の上、理事会では提起すべき問題点はきちんと提起していって、民主主義的な言論戦の充実に私も貢献していきたいと思っていますから、委員長、よろしくお願いします。

柴山委員長 後刻、理事会で協議いたします。

赤嶺委員 そこで、質問に入ります。

 四月は、沖縄県では米軍の航空機事故が相次いで起こりました。伊江島での八百キロのドラム缶が目標地点を誤って投下されてきた事件、そして、今度はうるま市での米軍ヘリによる部品落下事件が起こりました。

 そこで、ちょっとうるま市の米軍ヘリによる部品落下の問題から聞いていきたいんですが、四月二十四日の午後七時ごろ、うるま市の具志川上空を夜間飛行していた米空軍のHH60ヘリから、機体ドアの窓に取りつけられていた通風孔が落下をいたしました。

 防衛省に確認をしますが、落下の原因について、アメリカ側はどういう説明をしているんですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 四月二十四日に発生しました部品落下事故につきましては、米側からは、今後、日々の飛行前に機体ドアの窓の通風孔の点検を実施するとの回答を得ております。

赤嶺委員 落下の原因について聞いたわけですよ。部品の落下というのは、一歩誤れば人命にかかわる大事件に発展をしていきます。

 米軍は、飛行中に通風孔を直そうとしていて落下した、このように説明しているということを聞いておりますが、それに間違いありませんか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 米軍からは、四月二十四日、HH60ヘリコプターが具志川上空を夜間飛行している際、海抜約八百フィート上空でスクープと呼ばれる透明プラスチック製の通気孔が窓から落下した、飛行前ごとの整備でその通風孔は点検をされている、そのまま同機は問題なく任務を継続したとの情報を得ております。

赤嶺委員 聞いていることに答えてください。答弁をそらしてもそらしても、結局私が求める答弁になっていくんですから、あっさり最初からそういう答弁をしていただきたいと思うんですよ。

 要するに、この事故は、米軍の説明によると、飛行中に通風孔を直そうとしていて落下した、このように米軍は説明しているが、間違いないですね。

山本政府参考人 お答えいたします。

 米側からは、当該機のパイロットが通風孔が一時的に張りついて離れない状態になったため直そうとした際に機体から離脱したとの連絡を受けております。

赤嶺委員 言うとおりじゃないですか。

 米軍による整備、点検、こういう事故というのが繰り返されているんですよね。通風孔を直そうとしていた。しかし、その下に人が住んでいる、そういうことをどう考えているのか、本当に理解に苦しむ話であります。

 さらに理解できないのが、通報の問題であります。

 今回、沖縄防衛局が地元自治体に事故の通報を行ったのは、事故発生から六日後の四月三十日でした。なぜこれだけの時間がかかったんですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、事故発生翌日の四月二十五日には、在京のアメリカ大使館からの情報として外務省から防衛省に連絡が入っておりました。

 ただし、その情報の日時あるいは場所が不確かな部分があったということから、これを受けまして、翌二十六日に沖縄防衛局から現地の米空軍第一八航空団広報局渉外部に事実関係を照会したところ、そのような報告は受けていないとの回答がございました。そのため、現地米軍に確認がとれていない不確かな情報を提供することにより無用の混乱を招くことがないよう、この段階での関係自治体への情報提供を見合わせたところでございます。

 その後、米軍からの回答があった四月の三十日には関係自治体への情報提供を行ったところであり、あわせて、米側に対しまして迅速な情報提供を求めたところでございます。

赤嶺委員 外務省は二十五日に通報を受けていた。沖縄防衛局がそれを明らかにしたのは四月の三十日。

 外務省は、どこからどんなふうにしてこの事故の通報を受けていたんですか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 外務省といたしましては、四月二十五日の夜、在京米大使館から第一報を受けたところでございます。

赤嶺委員 事故を起こした操縦士はいるわけですよね。いるんですよ、落下事故を起こしたのは。つまり、ヘリの搭乗員に聞けば事実関係というのはすぐに確認できるんじゃないですか。

 何で防衛局は問い合わせたら六日もかかるんですか。事故を起こしたのは米側なんですから、あなたはこういうことをしたかというのを、しかも米側は司令部を通じて中央レベルには報告が行っているわけですから。それはなぜですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続についてでございますけれども、通常、外務省経由で防衛省に通知があった場合には、防衛省本省から管轄する現地防衛局に通報し、現地防衛局から現地米軍に詳細を確認し、現地米軍から正確な事故情報に係る回答があった段階で、関係自治体に情報提供をしているところでございます。

 今回の事案につきましては、現地米軍に当たる米空軍第一八航空団に沖縄防衛局が詳細を確認したところ、四月二十六日、第一八航空団からはそのような報告は受けていないとの回答があり、正確な情報を得ることができず、関係自治体への情報提供に時間を要し、結果的に、先月三十日に、第一八航空団から詳細な回答を得次第、関係自治体へ情報提供をしたという経緯でございます。

赤嶺委員 米側が事故を起こした場合には速やかに通報をする、そのルートは地方レベルのルートと中央レベルのルートがあるわけですが、今、地方レベルの、基地の側と防衛局の側が全く意思の疎通がなされていなかった、一週間近くもかかった。しかし、事故というのは人命にかかわるものとして、これは官邸にまで通報することになっているんですよね、そういう仕組みの合意をかねてやっております。

 そこで官房長官に伺いますが、官房長官は、この問題で、いつ、どの省庁から報告を受けたのか、それに対してどういう対応をしたのか、説明していただけますか。

冨田政府参考人 事実関係の部分について、私の方からまずお答えをさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のとおり、在日米軍に係る事件、事故の通報については、平成九年に日米間で、日米合同委員会で合意が行われております。ただ、この合意は、日米間の事件、事故に関する通報を確保することを主眼に置くものでございます。

 そこで、個別の案件を官邸に御報告するか否かにつきましては、その都度、事故の発生箇所や被害状況、危険性の有無など、その案件の状況を総合的に勘案した上で、外務省において判断をさせていただいているところでございます。

 本件事案につきましては、大変遺憾な事件、事故ではございますけれども、人的、物的被害を伴わなかったこと等を勘案いたしまして、外務省、それから関係省庁である防衛省において対応することで足りるというのが私どもの判断でございまして、官房長官に対しては特段の報告を行っておりません。

菅国務大臣 今政府委員から答弁したとおりでありまして、二つの案件について特段の報告は受けておりませんでした。関係省庁においてしかるべき対応がとられたものだろうというふうに私は考えております。

 ただ、いずれにせよ、米軍による事件、事故はあってはならないことでありますから、私からは、常日ごろ、関係省庁に対して、米側にさまざまな機会を通じて働きかけるとともに、関係者間の協議を重ねて、事故、事件、そうしたことがないように取り組むよう指示をいたしているところであります。

赤嶺委員 官房長官、本当に、あってはならない事故が、部品の落下なんというのは日常茶飯事なんですよ。そして、一歩間違えれば人命を失うかもしれない重大事故として通報が義務づけられて、仕組みがあるわけですね。しかし、今回、外務省、防衛省でやったと言いますが、その仕組みというのは何も動いていなかったわけですよ、重大な事件について。

 やはりこういう問題について、繰り返し、起こってはならないと言いますが、起こっている。起こっているたびに、通報をきちんとやってくれよということを日本政府は言うけれども、その後も米側は守られていない。こういう事態は、やはり本当に、政府の姿勢が試されている、こういうことを申し上げておきたいと思います。

 このHH60ヘリというのは、これは、去年の八月には宜野座村に墜落をいたしました。この問題は私も取り上げました。十月には、機体に取りつけられていたカメラを落下させる事故も起こしております。沖縄は、民間の上空と米軍基地の訓練がもう本当に区別がつかないようになっている、それでこんな事故が頻繁に起こっているわけです。

 それで、この問題に関連しまして、日米間の通報手続について確認をしておきたいと思います。

 米軍による事件、事故の通報手続については、一九九七年の合同委員会で合意をされております。ここで触れられている、特別作業班の付託事項という文書を提出していただきました。

 合同委員会合意は米軍による事件、事故の通報について定めたものですが、付託事項は、それとあわせて、日本側による事件、事故の通報を定めたものになっています。具体的には、日本国民による米軍要員、財産、米軍施設・区域への損害や傷害、米軍の任務遂行に際しての運用、安全、部隊の防護、施設・区域の管理に対する著しい妨害については、日本側が米側に通報するということになっております。

 これは、米軍が事件、事故を起こした場合に抗議集会やデモが起きたり、オスプレイがやってきて、やはりそれに対する反対運動が起こる、そういうことについても日本側は米側に通報義務がある、そういうことになっているんですか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘がございました事件・事故通報手続に関する特別作業班、AWGONと呼んでおりますけれども、これに関する付託事項を見ておりますと、先生御指摘のとおり、日本側による事件、事故の通報にも定められているところでございます。

 この趣旨は、在日米軍に係る事件、事故の日本側への通報手続について協議をする過程において、日米相互の間の事件、事故に関する情報伝達の一層の円滑化を図るということが必要だということが共通の認識になった結果、合意されたものでございます。

赤嶺委員 この合意に基づいて、日本側がアメリカ側に通報した事件、事故、これは何件あるんですか。

冨田政府参考人 恐縮でございますけれども、今手元に資料がございませんけれども、私の記憶している限りにおきましては、そのような通報が行われたことはないというふうに記憶しております。

赤嶺委員 米軍基地を脅かすような事件、事故を日本側が起こすはずはないんですね。関心があるとすれば、基地に反対するデモ。これは、被害が起こるからデモが起こるんですよ。その被害の通報はまともにやらないでおって、こういうものもちゃんと日本側は通報するんだよというのは大体けしからぬと思うんですよね。けしからぬと思いませんかと聞いても、答弁はないと思いますけれども。

 ただ、この合同委員会合意については外務省のホームページに掲載されておりますが、今問題にしている付託事項については掲載されておりません。なぜ掲載していないのですか。都合の悪い内容を隠してきたということではありませんか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 外務省も、所掌事項、かなり間口が広うございますので、どういった資料をホームページに載っけるかということについては、その資料をどれぐらいお知らせする必要があるかということを判断しながらやっているところだと思います。

 そして、御指摘の付託事項につきましては、確かにホームページ上では公開はしておりませんけれども、そのもととなります在日米軍の事件、事故の発生に関する通報手続は公開をしております。その中で、このAWGONの付託事項ということも言及がございますので、それを踏まえて、この資料を、御要請がある場合についてはお知らせすることは可能でございますし、現に、先生に対しても資料をお出ししているところでございます。

赤嶺委員 外務省は間口が広いといっても、あってはならない米軍の事件、事故についてどういう姿勢で臨むか、そういうことが問われている問題であります。

 委員長ももう時間ですという雰囲気でありますので、また続きは次回にしていきたいと思います。

柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

柴山委員長 次に、内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに第百八十三回国会、松本剛明君外三名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 これより各案について順次趣旨の説明を聴取いたします。稲田国務大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

稲田国務大臣 ただいま議題となりました独立行政法人通則法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 独立行政法人制度については、その本来の趣旨にのっとり、主務大臣から指示される明確な目標のもと、独立行政法人が、自主性及び自律性を発揮した業務運営と適切な組織規律により、その期待される政策実施機能を最大限に発揮できるようにするとともに、肥大化防止、スリム化も図るため、法人の分類や目標、評価のあり方等にも踏み込んだ抜本的な改革を行うことが急務であります。

 このような観点から、法人の事務及び事業の特性に応じた法人の分類を設け、各分類に則した目標管理の仕組みを導入するとともに、監事の機能強化と主務大臣による事後的な是正措置を導入することなどにより業務運営の改善を図る仕組みを設ける等の所要の措置を講ずるため、本法律案を提出する次第であります。

 以下、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人を事務及び事業の特性に照らし三つに分類し、国民の需要に的確に対応した多様で良質なサービスの提供を通じた公共の利益の増進を推進することを目的とする法人を中期目標管理法人として、我が国の科学技術水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することを目的とする法人を国立研究開発法人として、また、国の行政事務と密接に関連して行われる国の指示その他の国の相当な関与のもとに事務及び事業を正確かつ確実に執行することを目的とする法人を行政執行法人として、それぞれ個別法で定めることとしております。

 第二に、独立行政法人の業務運営は各分類に応じ、中期目標管理法人は三年から五年の中期的な目標管理によるものとし、国立研究開発法人は五年から七年の中長期的な目標管理により、研究開発に関する審議会が業績評価等に関与するものとし、行政執行法人は単年度の目標管理によることとしております。

 第三に、政策実施機関としての独立行政法人の役割が的確に果たされるよう、主務大臣による実効性、一貫性のある目標設定及び評価の仕組みとするため、これまで各府省に設けられていた評価委員会にかわり、主務大臣が法人の業績評価を行うこととしております。

 また、総務大臣が目標設定及び業績評価に関する指針を策定することとし、このうち、研究開発の事務及び事業に関する指針案は総合科学技術・イノベーション会議が作成することとしております。この総務大臣が策定する指針に基づき、主務大臣は目標設定及び業績評価を行うこととしております。

 第四に、総務省に第三者機関として独立行政法人評価制度委員会を設置し、中期目標の設定、中期目標期間の業績評価、中期目標期間の終了時の見直し内容について主務大臣に意見を述べることとしております。

 第五に、独立行政法人の監事及び会計監査人は、法人の業務及び財産の調査を行うことができることを明確化し、その職務権限を強化するとともに、役員に損害賠償責任を導入するなど、役員の義務及び責任を明らかにすることとしております。

 第六に、独立行政法人に対する主務大臣の関与のあり方を見直し、中期目標管理法人及び国立研究開発法人については業績評価の結果に基づく法人の業務運営の改善命令及び違法行為等の是正命令を、行政執行法人については特に必要があると認めるときにその業務に関し監督上必要な命令をすることができることとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 次に、独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 本法律案は、独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴い、個別法に各独立行政法人を中期目標管理法人、国立研究開発法人、または行政執行法人のいずれかとする規定を追加する等、関係法律の規定の整備を行うものであります。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

柴山委員長 次に、提出者松本剛明君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本(剛)議員 民主党の松本剛明です。

 ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ、みんなの党提出の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、本法案提出の意義について申し上げます。

 本法案は、平成二十四年一月二十日の閣議決定、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針を受けて、同年の通常国会に提出された法案と基本的には同じです。当該閣議決定は、現政権において一旦凍結されましたが、今回、制度の見直しについて政府から提案があったものと理解しております。

 政府案は、その意味では民主党政権の政策を継承したもので、昨年提出した本法案から多くの点を踏襲しています。しかし、私たちが政権にあって、役所ともかんかんがくがくの議論をし、信頼される法人制度とするために法案に盛り込んだ役員の処遇に関する規定ぶりなど何点か、民主党政権案、すなわち本法案から落ちております。そこには行政改革に対する根本的な姿勢の違いがうかがえます。

 また、当該閣議決定では、組織も改革して、各法人の具体的な見直し、統廃合、民間移管を進め、見直し後には、法人を三十八減らして六十四法人にまで整理することも定めております。現政権においては、十三法人を削減する方針と聞いております。

 行政改革は、税を初め限りある行政資源をもって、意義のある政策を効果的、効率的に実行する行政を実現しようとするもので、やすきに流れてはなりません。少しでも後退すれば、取り戻すのに何倍もの労力が要り、厳しさが足らないと、国民の不信という大きなツケを払うことになります。

 行政改革の姿勢が問われる法案審議の機会に、政府・与党の行政改革への姿勢を正すべく、このたび本法案を提出したものであります。

 本法案は、独立行政法人について、公共上の見地から確実に実施される必要がある事務・事業であって国がみずから行う必要のないものが、その特性に応じた国の適切な関与のもとに的確に行われ、その施策を遂行する機能を最大限に発揮できるように、所要の措置を講ずるものであります。

 内容を申し上げれば、政府案にない主な点は、役員の任命に当たり原則として候補者を公募すること、役員の定年を設けること、役員に対する報酬の額に上限を定めること等であり、その他の主な点は、現行の独立行政法人にかわり、行政法人を設立し、中期目標行政法人、行政執行法人の類型を設けること、法律の名称を行政法人通則法に改めること、実効的で一貫性のある目標設定、評価となるように、これまでの評価委員会にかわって、主務大臣が行政法人の業務実績の評価を行うこと、第三者機関として行政法人評価制度委員会を総務省に設置すること、監事及び会計監査人の職務権限を強化すること、主務大臣の関与のあり方を見直して実効的なものとすること、交付金が貴重な財源で賄われるものであることに留意し、適切で効率的な使用に努める義務があること、中期目標行政法人の役職員の離職後の就職について、密接関係法人等に対するあっせんを原則禁止する等、再就職規制を導入すること等であります。

 何とぞ、十分に御審議いただくとともに、国民に理解される改革を実現するため、本法案に御賛同あらんことをお願い申し上げます。

柴山委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十六日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十六日金曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.