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第8号 平成14年4月10日(水曜日)

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平成十四年四月十日(水曜日)
    午前九時十七分開議
 出席委員
   委員長 園田 博之君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 棚橋 泰文君 理事 山本 有二君
   理事 加藤 公一君 理事 平岡 秀夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 西村 眞悟君
      荒井 広幸君    太田 誠一君
      後藤田正純君    左藤  章君
      笹川  堯君    下村 博文君
      鈴木 恒夫君    林 省之介君
      平沢 勝栄君    松島みどり君
      柳本 卓治君    吉野 正芳君
      岡田 克也君    佐々木秀典君
      日野 市朗君    水島 広子君
      山内  功君    山花 郁夫君
      石井 啓一君    藤井 裕久君
      木島日出夫君    中林よし子君
      植田 至紀君    徳田 虎雄君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        横内 正明君
   法務大臣政務官      下村 博文君
   最高裁判所事務総局総務局
   長            中山 隆夫君
   最高裁判所事務総局刑事局
   長            大野市太郎君
   政府参考人
    (内閣審議官
    兼司法制度改革推進本
    部事務局長)      山崎  潮君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    鶴田 六郎君
   政府参考人
   (中小企業庁次長)    小脇 一朗君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十日
 辞任         補欠選任
  中川 昭一君     林 省之介君
  鎌田さゆり君     山内  功君
  不破 哲三君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     中川 昭一君
  山内  功君     鎌田さゆり君
  中林よし子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――
園田委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、金融庁監督局長高木祥吉君、法務省大臣官房長大林宏君、民事局長房村精一君、刑事局長古田佑紀君、矯正局長鶴田六郎君及び中小企業庁次長小脇一朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
園田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
園田委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所中山総務局長及び大野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
園田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
園田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
佐藤(剛)委員 自民党の佐藤剛男でございます。
 きょうは、金融庁、中小企業庁関係の参考人をお呼びいたしておりますが、ありがとうございます。きょうは、十五分の範囲で御質問させていただくわけであります。
 自営業を中心とします今日の中小企業が非常に数が減って、そして倒産関係あるいは自営の廃業というふうな状況に追い込まれておる、非常にゆゆしき事態ということが今日出ておる。大きな、そごうの問題とかみずほの何とかということで、意外に新聞ざたになっていませんが、毎日、大変な企業が調停に行き、あるいは営業を廃止し、あるいはやむなく黒字の間にもうやめちゃおうという企業がたくさんあるわけでありまして、その辺の事実関係の問題。そして、私はこれは現在の商法に欠陥があるというふうに考えているわけでございます。
 なぜそういうことを申し上げるかといいますと、一番いい例で、よく皆さん方わかると思いますが、例えば八百屋さん、魚屋さん、佐藤商店という魚屋さんがある。自営でありますけれども、税金その他の面で株式会社、有限会社になっておる。ところが、商法を見ますと、株式会社というのは有限責任という形になっておるわけでございますね。それから、有限会社法を見れば、有限会社佐藤商店は有限責任という形になっておる。商法にはさらに、無限責任という形で、最後の最後まで追及される合名会社というのがある。しかし、最近はそういうのは余り使われていない。それから合資会社というのがあって、無限責任を負う社員と有限責任社員というものもある。しかし、これも余り使われていない。
 最近の問題はどうなのかというと、商法で有限責任だというふうなことで、有限責任佐藤商店、魚屋をやったり八百屋をやったり、それぞれの街角において、いわば中心市街地を形成していたそういうような方々が、規制緩和の大規模店舗で追いやられるか、あるいは、その競争に負けて、今もう金を借りているが、これを返せと言われて、それから貸し渋りには遭うわ、貸しはがしにまで遭っている。こういう状況で、営業廃止という法律用語ではあるけれども、やむなくやめていく。黒字のうちにやめた方がいい、もう後継者も、息子たちもやりたくないと言っている、こういう今日置かれている悲惨な状況が、我々政治家が軽視できない状況にあるんじゃないかと思います。
 議員立法で調停法というのをつくりましたね。これは表面上は、株式会社佐藤商店というのは倒産していないわけですよ。見えない。しかし、調停へ行っているわけですよ。別に保全命令も出ていない。外から見るとわからないが、そういうふうな形で、バブル時期に我々が議員立法で通したものの、特定調停法というわけですが、まず、それについての現状。もう既に四十八万件ですよ。それは皆出ていない。帝国データバンクあるいは商工何とかという倒産には出ていない。まず、その実態から教えていただきたいと思います。
小脇政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまお尋ねの特定調停法の数字に関しましては、法務省御当局の方が数字を押さえておられるかと思いますが、私どもの方からは、個人企業の数、開廃業率について御報告を申し上げたいと思います。
 近年、企業の開業率が低下をして廃業率が上昇しているという状況にございます。昭和六十年以降、開業率が廃業率を下回っておりまして、近年、この格差がさらに拡大する、そういう傾向にございます。個人企業の開廃業率も、昭和六十年代以降、逆転が見られまして、平成八年から平成十一年度の間の開業率は三・四%でございますけれども、廃業率は五・七%という状況になっております。
 こうした状況を受けまして、今先生御指摘の我が国の自営業者数は年々減少傾向にございまして、ピーク時、昭和六十三年でございましたけれども、七百四万といった自営業者数が、直近では平成十三年、五百五十四万と、この十年余で百五十万減少しているところでございます。
佐藤(剛)委員 今の指摘のように、約百五十万減った。私は、二十一世紀の大きな日本の課題は、過疎の問題と自営業の創出問題だろうと思っています。自営業が減っていくということの問題は、一つの産業政策としても、また社会政策としても看過できない。
 皆さん言いませんから私の方で数を申し上げますと、特定調停法の関係で、施行されてから四十八万千六百件。約五十万件ですよ。この人たちが調停をやって、そして話がつけばいいし、つかなければ、これはどうするか。どうするんでしょう。ホームレスになるか、自殺するか、やめる。やめればいいんですよ。それから、話がついて債権を何年間で返還します、こういう形態ですよ。今、自殺者三万人ですよ。自殺者三万人、交通事故一万人。何も交通事故を軽んずるわけじゃないが、日本の歴史上、このような状況になった。こういうことを我々は、産業政策としても政治家の一人としても、この問題を考えていかなきゃいかぬ。
 そこで、どこに原因があるのか。これは私は、融資のところに原因があると思う。それはどうなのかというと、金融機関に我々が、佐藤商店、佐藤社長が行きます。そうすると、銀行の窓口の人たちは、佐藤社長、あなたの人柄はわかるが、担保を出してください、家屋敷はありませんか、こう言われるわけですね。家屋敷、それと個人保証をつけてくださいと。個人保証ですよ。社長の個人保証、場合によっては社長の奥さんまで、佐藤夫人もつけてください。それでついてきます。それで金を借ります。一千万なら一千万借ります。返せない。一生懸命まじめに汗を流してやってきたが、返せない。そうすると、これは民事執行の方に行って、競売に押さえられて、そしてこれがおりていく。最後はどうなるかというと、なべかま一つでアパート住まい。長い間日本の商業を支えてきた人たちに対して、これはおかしいと思いませんか。
 これは私は、金融機関の融資のやり方が保証をとるという形態をとっていて、しかも、土地本位制という形であって、土地さえとれば、その企業が将来どうなろうがなんて見ない。土地は必ず右肩上がりで上がると思っていた。しかし、今回バブルでやっとわかったことは、土地も下がる、土地本位制というのはなくなった、こういうことですよね。
 だから、これについて、金融庁、きょうはだれが来ていますか。高木局長、ちょっとこっちへ来てください、聞くから。
 今の話の中の枠組みの中で、金融の融資のところの約款が銀行だ。そういう銀行の約款というのが、必ず保証をとるということがつい最近まであった。そこの実態について今どうなっているか、どうするのか。
高木政府参考人 お答え申し上げます。
 今、佐藤先生御指摘のように、全国銀行協会が以前はつくっておりました銀行取引約定書ひな形というのがございまして、そこでは債務保証に関する規定が事細かく規定をされておりました。本来、そういった銀行取引の約定というのは、その当事者間で決定すべき問題でもございますので、これは平成十二年四月に廃止をされております。そういうことで、それを受けまして、我々が把握している限りでは、ほとんどの銀行で、そういう保証人に関する義務に関する条項は削除されているというふうに聞いております。
佐藤(剛)委員 それでは、高木局長、ちょっとそこにいてください。
 あなたのところから至急、全部銀行を全調査してください、銀行なんか数少ないんだから、星ほどあるわけじゃないんだから。それで、過去に保証をとっている、あなたが言ったのは去年のいつ……(高木政府参考人「十二年の四月に廃止されています」と呼ぶ)十二年の四月前は保証をとっていたんでしょう。その実績。それから今、その後はそうなっていないと。僕はとっていると思うよ。だから、そこのところをきちんとやっているかどうかを、私にでいいですから、委員会に出さなくても、私に提出してください。いいですか。(高木政府参考人「はい」と呼ぶ)それを調査してください。調査して報告をしてください。それから、この問題はずっと取り上げます。(高木政府参考人「先生今おっしゃったその十二年四月以前は」と呼ぶ)
園田委員長 委員長の指示に従って質問者は述べてください。
 高木局長。
高木政府参考人 お答えします。
 十二年四月以前は、調査も何も、多分この約定書で、ひな形で全部やっていたと思うんです。その後の状況については、銀行の数も多いんですが、できる範囲で調べて、先生に御報告したいと思います。
佐藤(剛)委員 いい答弁をいただきました。
 もうこれから、あしたから佐藤商店が出かけていっても保証は要求しないわけですね。それを金融庁の高木監督局長が、既にそうなっておる、なっています、調査もします、こういう話でありますから、恐らく全国の中小企業、零細企業は吉報と思って聞いておられると思います。それは、広く私もいろいろな場において活用させていただきたいと思います。
 それから、これについて、政府系金融機関を呼んでいませんが、金融庁、また中小企業庁ですね。政府系金融機関、中小公庫、国民金融公庫、商工中金、そういうふうなところに、まさかそういう形はないと思うけれども、個人保証をとっているような形態というのはないと思うが、その実態をよく調べておいてください。人ごとのように考えないでやってもらいたい。
 それから次に申し上げたいのは、中小企業庁次長にちょっと聞きたい。
 中小企業庁は最近、売り掛け債権を担保として保証協会に保証に行って、それをもって進めていくという一ついい制度をつくりました。いい制度であります。ですから、これについて、私はこれを大いに拡大するようなことを考えてもらいたい。
 それから、さらに、外国の場合等の例をよく研究してもらいたい。外国の中小企業といいますのは、倒れた場合に、執行手続、例えば差し押さえの禁止財産、これが、アメリカあたりは自動車まで差し押さえなくていい、五百万ぐらいまでいいというふうな形になっています。日本の場合というのは、私の生活分二カ月分しか出てこない。これは法務省の関係だけれども、やはり日本の破産法を直さなきゃいかぬし、倒産関連も直さなきゃいかぬし、だから、そういう面で、法務大臣、破産法を含めて、そういう倒産関連立法を前倒しに、この国会では出ていませんが、この秋を目途にひとつ、非常に忙しい中にあることはまことに私はわかっておりますが、この作業をぜひ進めていただきたい。
 そして、日本というのは敗者が復活するという思想がない。これではみんなホームレスになっちゃう。片っ方でホームレス支援法なんて幾らつくったってだめです。要するに、ホームレスに行っている人たちが、自分たちが働いて、それでつぶれた、そういう人たちがいかにいるかということの面を、経済的な側面、そして現行の体系からそういうふうなものを直していかなきゃいかぬ。これは、私は、よってもってそういうものだと思います。
 私、この機会に、ちょっと時間がなくなっちゃいましたから言いませんが、商法の問題についても一人会社というような方法を考えるべきであると思っているわけでありまして、これは次の商法改正のときに折を見て申し上げたいと思います。
 時間でございますので、今の問題について、もう時間が来ちゃいましたので答弁はいいですが、最後に法務大臣、一分間、今のをお聞きになりまして、ひとつ御感想をお聞きしたいと思います。
森山国務大臣 非常に重要な御指摘をいただきましたと思います。法務省の方でも関係の問題について慎重に検討したいと思います。
佐藤(剛)委員 ありがとうございました。
園田委員長 水島広子君。
水島委員 民主党の水島広子でございます。
 まず、在日外国人被疑者を取り巻く現状についてお伺いしたいと思います。
 いわゆる東電OL殺人事件の被告で現在上告中のネパール人ゴビンダ・プラサド・マイナリさんは、現在東京拘置所で最高裁の審理を待っています。先日、ネパール人権委員会のカピル・シュレスタ委員がゴビンダさんの事件における人権問題調査のために来日されましたが、この事件は、一審で無罪判決が出た後、本来であれば直ちに入国管理に移されて母国に送還される手順となるはずだったゴビンダさんが勾留された経過の中でさまざまな問題点を指摘されており、現在も、無実のゴビンダさんを支える会の皆さんを中心として社会的に大きな関心を集めているところでございます。
 まず、拘置所の環境についてお伺いいたします。
 ゴビンダさんの勾留期間は先日五年を迎えました。ネパール独特の食べなれた食事もとれず、自分の母国語で自由に意思疎通ができる相手もおらず、独居房で孤独な生活を続けているわけでございます。不眠を訴えておられ、かなりの精神的ストレス状況にあることは疑いようもないと思います。
 まず、拘置所において外国人未決囚に対する特別の配慮があるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
鶴田政府参考人 お答えいたします。
 日本人と風俗、習慣等を異にする外国人被収容者につきましては、例えば食事の面では、食習慣の違いや宗教上の配慮をした食事を給与したり、また、宗教面では、各自の信仰する宗教の方式にのっとった礼拝とか、教典、数珠などの礼拝用具の使用を認めるなどの配慮をしております。
 また、言葉の問題に関しては、各施設におきまして職員の語学研修等を実施するほか、大使館とか関係機関の協力も得て、外国人被収容者との意思疎通に努めているところでございます。
水島委員 そのような御配慮があるとはいっても、現にゴビンダさん御本人が非常に食べにくい食事をずっと食べさせられているというようなことを初めといたしまして、これだけのストレスを訴えておられるわけですので、恐らく処遇の面で不十分な点が多々あるのではないかと思っております。また、ゴビンダさんもかなり心を病んでいるようでございますけれども、精神的なケアも必要であると思います。
 もしも、森山大臣が外国で冤罪で逮捕されて、何年に及ぶかわからない状況で勾留され、日本語を話せる相手もおらず、自分の味覚に合わないものを食べさせられたらというような状況をイメージされて、拘置所における在日外国人の処遇の改善の必要性について御意見をいただければと思います。
森山国務大臣 自分の好みに合わない食べ物を食べ続けなければならないというのは大変つらいことだろうと思います。しかし、その国の法律の定めによって拘禁された場合には、自分の置かれた立場上、食習慣の違いというものはやむを得ず受け入れなければならないのではないか、私自身の問題であったとすればそのように思うのではないかと思います。
 一方、お話しの東京拘置所というのは、今非常に過剰収容の時代も迎えておりまして、現在、日本人を含めた収容人数は二千二百九十三人、ざっと二千三百人の人が入っておりまして、そのうち外国人の方は二百九十九人、三百人でございます。国籍別では三十カ国にわたるということで、処遇の方の担当の人も大変苦労をしながら気を配ってやっていると私は承知しております。
 食事について申せば、その人たちに一日三回の食事を食べていただくということでありますので、三百人の人たちの三回分ということでありますから、そのたびに気を配っていろいろ配慮しながら、宗教上の禁じられたものであるとか、その他食習慣によってどうしてもだめなものということは頭に置きながらそれだけの人たちに食べていただくということは、それだけでもなかなか容易なことではないと思いますが、できるだけの対応を行っているのではないかと思います。
 ただ、一人一人の個人がその味が好きであるとか嫌いであるとかということまでは、日本人の場合もそこまではちょっと十分な配慮をするというわけにはいきませんし、そのような状況であるということを御理解いただきたいというふうに思う次第でございます。
水島委員 森山大臣御自身がそういう状況に直面されたらということで、その国の法律に従った処遇を受けるのは仕方がないとおっしゃいましたけれども、森山大臣はもちろん人格者でいらっしゃいますのでそのような受けとめ方をされるのではないかと思いますが、私を初めとする一般の者であれば、そこの国の法律を犯したのであればそれは仕方がないと思えるかもしれないけれども、少なくとも、この拘置所という場所は未決の方たちがいらっしゃるところでございます。自分が全くいわれのない罪を着せられてそこに置かれているという可能性も十分に考えられる場所でございます。ですから、その国の法律に従ってということが仕方がないと思えるのかどうか、また、それを他人に強要していいものかどうか、そこには非常に大きな問題があるのではないかと思っております。
 また、今現在もいろいろと御努力されているということでございますけれども、ぜひいま一度、森山大臣御自身が拘置所における在日外国人の方たちの処遇についてできるだけ御本人たちの声を聞けるような機会をつくっていただきまして、もちろん限られた条件であるとは思いますけれども、もう少しでも結構ですので、処遇の改善をしていただければ、少しでも配慮をしていただければと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また、外国人被疑者に関して問題になるのが通訳でございます。きちんとした事実認定のためにも通訳は重要であると思います。
 今現在、通訳の確保はどうなっているでしょうか。特に、ネパール語のような少数言語についてどうなっているかということをお伺いしたいと思います。
古田政府参考人 国際化の進展に伴いまして、外国人による刑事事件が増加しているわけでございます。御指摘のように、適正な刑事手続の実現のためには、有能な通訳人を確保するということは大変大事なことであると考えている次第です。そこで、検察庁におきましても、普段からそういう通訳人の確保にさまざまな努力を払っているわけでございます。
 具体的にはどういうことをしているかということを申し上げますと、実際問題として、今御指摘の少数言語を含めまして、非常に多くの言語が現在やはり通訳が必要になってきている状況でございますので、まず、それぞれの言語につきましてどういう通訳ができる方がいらっしゃるかというデータベースの作成、これを全国規模でやっておりまして、できるだけ広いソースからそういう有能な通訳人の確保ができるようにしているところでございます。
 そのほかに、法務省におきましても、検察庁で通訳をお願いする方に対して研修を実施する、あるいは、いろいろな弁護につきまして、しばしば使われる言葉、あるいは法廷で使われる言葉等につきましての対訳集を作成して、これを利用していただくというふうな、さまざまな努力をしているところでございます。
水島委員 今、研修をされているということでございますけれども、もちろん、事件の通訳では、通常の通訳能力に加えて特別な研修が必要であることは当たり前のことであると思います。また、調書は日本語でとられますので、外国語の能力以上に、ある意味では日本語の能力が問われてくるところであると思っております。
 このゴビンダさんの事件のときにも、ゴビンダさん本人は自白はされていませんので、ゴビンダさんのことについての通訳には余り問題がなかったということですけれども、ただ、同居されていたネパール人の方たちから証言をとるときにいろいろな問題があったというふうに聞いております。最終的には、日本ネパール協会から通訳を紹介してもらって、弁護団の方でその通訳をお願いしたというふうに聞いております。
 ぜひ、この特別な研修の必要性、また母国語としての高い日本語能力、そのあたりを考慮に入れていただきまして、そのデータベースを作成されるときにもしっかりとした配慮をしていただければと思っております。
 そうは申しましても、世界には実際に無数の少数言語がございます。そして、すべての少数言語について理想的な通訳を確保するのは、私は、事実上不可能であると思っております。特に、今申しましたような条件を満たすような通訳ということになりますと、世界中の少数言語に対してその通訳者を確保するということは、まず無理ではないかと思っております。
 国際人権規約委員会では、取り調べの全過程を録画ビデオや録音テープで残すべきだということを勧告しております。私は、本来はすべての事件についてそうすべきであると思いますけれども、少なくとも、取り調べの適正を確保するためには、通訳を介した取り調べに関しては録画や録音が必要なのではないかと思いますけれども、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
森山国務大臣 取り調べの録音や録画は、取り調べによって真相解明を図る上で支障とならないかなどのさまざまな観点から、慎重な検討を要する事柄であろうと思います。単に通訳の正確性を検証する目的での録音等は実施されていないものと承知しております。
 しかし、通訳を介した取り調べによって供述調書を作成する際には、単に取り調べ中に取り調べ官との問答を逐一通訳するだけではなくて、供述調書の内容を通訳人を介して供述人に読み聞かせ、供述人からの質問等に対しては通訳人を介して十分に説明をし、補充、訂正の申し立てがあれば加筆などをいたしまして、供述人が内容を十分理解し、かつ間違いないことを確認した上で供述人に署名捺印を求めておりまして、さらに、通訳人にも確認の意味で署名捺印を求める手段がとられております。
 したがいまして、取り調べ状況の録音等をしなくても、通訳の正確性を担保する措置は十分講じられているというふうに考えております。
水島委員 そのときに、利用可能な言語で、例えば少数言語が母国語である方に関しては英語などを使ってのやりとりになっている中で、今大臣がおっしゃったような手続は多分されているんだと思いますけれども、そうはいっても、その方本来の英語の能力が果たしてそれだけのやりとりにたえるものなのかどうか。また、そういうときに証言を求められる方は往々にしてオーバーステイの外国人であることも多いわけで、そういうオーバーステイの方が証言を求められてというときの精神状態を考えますと、今言った証言はこれでいいのかというふうに確認を求められたら、はい、そうですと言ってしまうものではないかと思います。
 そのような状況を考えますと、やはり、後で、どういう状況でその証言が得られたのかということをさかのぼって検証することができるためにも、この通訳を介した取り調べ、もしも予算的に無理だということであれば、少なくとも少数言語の場合に関しましては録画や録音が必要なのではないかと私は考えております。ぜひ、この点についてさらに御検討をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 先ほど大臣は、その国の法律に従ってとおっしゃいました。確かに、法律上の理屈づけでいけばそういうことになると思います。本来は、これは引き渡し条約によってそれぞれの国に返していくということが一番望ましいのではないかと思いますけれども、それを今すぐに全世界規模でやっていくということは不可能であるわけです。
 確かに、日本の法律はこうなっているから、あるいは日本ではこういう手続になっているからというのは、理屈の上では正しいけれども、やはり、日本が世界に恥ずかしくない国になるためにも、日本の司法制度は本当にしっかりしていて、人権にもきちんと配慮がされていたと言われるような国になるべきではないかと思っております。ぜひ、森山法務大臣の任期の間に、この外国人の問題をいま一度見直していただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 さて、次に、選択的別姓のことについてお伺いいたします。
 私も、たびたびこの委員会でも質問させていただいておりますけれども、この選択的別姓を認める民法改正については、本日も自民党の法務部会で集中審議が行われると聞いておりまして、森山大臣のリーダーシップのもと、今国会で成立することが心待ちにされるところでございます。
 昨年の内閣府の世論調査の結果を受けて、社会的にも法改正への期待が高まっております。でも、世論調査の結果、六五%の人が法改正に賛成というふうに言う人もいれば、まだ過半数が選択的別姓に反対なのだということを言っている人が国会議員の中にもいるようでございまして、これは、主に世論調査の中の、「夫婦が婚姻前の姓を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ姓を名乗るべきだが、婚姻によって姓を改めた人が婚姻前の姓を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」と答えた二三%をどう扱うかという、考え方によるのだと思います。
 本日は、この通称使用という問題について伺います。
 一口に通称をどこでも使えるように法律を改めるといいますが、果たしてそんな立法が可能なのか、うまく機能するのか、いろいろと疑問がございますので、以下、大臣の見解を伺いたいと思います。
 現在、通称使用を認める企業もふえてきており、自治体によっては職員の通称使用を認めているところもございます。また、なかなか民法改正が進まない中、男女共同参画社会の実現への意識向上を図るために、昨年の十月から、各府省庁でも公文書などで旧姓使用を認めることになっております。でも、住民票、健康保険証、パスポート、ビザ、国家資格の取得、運転免許の取得、年金、印鑑証明書、預金口座の開設等、その人が本人であるかどうかを確認する必要がある場合は、通称が法的に位置づけられていない以上、基本的に戸籍名でなければできません。
 まず、この点について法務大臣に御確認をいただきたいと思います。
森山国務大臣 私も、すべての場合について一〇〇%把握しているわけではございませんけれども、現状でも旧姓の使用がかなり広く認められるようになってはきておりますが、なお御指摘のような場合には使えないということでございまして、完璧といいますか、一〇〇%問題がないというわけではないということはわかっております。
水島委員 そんな中で通称使用を認める法律をつくろうとする場合、どの範囲まで通称使用を認めるかということが常に問題になるわけでございます。
 海外が仕事場になる人の場合、改姓による不利益の回避という観点から考えれば、パスポートやビザまで通称使用を認めるということになります。また、弁護士の場合、通称使用は制度として認められていますが、遺言執行人や後見人になる場合は印鑑証明書が要求されますので、印鑑証明書も通称で取得できるようにしなければなりません。会社の役員が印鑑証明を要求される場面は多いですから、やはり印鑑証明書の問題は避けては通れません。
 こうして考えてみると、多様な職業がある以上、そして職業によって通称使用の権利に差がつかないようにするためには、通称使用をすべての領域にわたって認める必要があると思いますが、大臣はどうお考えになりますでしょうか。
森山国務大臣 そのような考え方に基づいて通称を公式にも認められるようにしたいと思ってそのような方向に検討をしていらっしゃるという方もいらっしゃると聞いておりますが、それを突き詰めて考えていきますと、通称と、戸籍上のといいましょうか、もう一つ別の名前と二つの名前を一人の人が公式に使うということになりますので、一見便利なようでありますし、便利な面もあると思いますけれども、場合によっては甚だ混乱を生じ、あるいは、悪く考えれば犯罪にも利用される可能性もあるというふうに思いますので、通称を普通に職場その他で認めていただくということは大変いいことだと思いますけれども、法律上も二つの名前を一人の人が持つというのはいかがなものかと思っております。
水島委員 今大臣がおっしゃったように、通称を使用するのであれば戸籍姓を使用することを禁止するのでなければ、一人の人間が二つの姓を使い分けられることになりますし、悪意を持って便宜的に二つの姓を使い分けてしまうと社会は混乱してしまうというのは間違いがないと思います。
 今大臣が、職場などで普通に通称を使用するのは構わないけれども、法律的に位置づけるのはとおっしゃいましたけれども、ただ、法律的に位置づけないと仕事上非常に不利益のある方がいらっしゃるということを先ほどお話をしてきたわけでございます。
 ここでもう一度確認をさせていただきたいと思いますが、社会の混乱を避けるためには、通称使用を法的に認める場合に、特に本人確認が必要な場面では戸籍姓の使用ができないようにせざるを得ないと思いますけれども、いかがでしょうか。
森山国務大臣 職場で名前を使うことを認められるのはいいことだと先ほど申し上げましたが、それは、例えば出勤簿の名前とか職場に置く名札の名前とか、そのようなことを申したのでございまして、先生が御指摘になったような、職業上どうしても印鑑証明がたびたび必要だというようなお仕事をしておられる方にとっては、そういう安易なことではいけないんじゃないかと思いますので、やはり一人の人が二つの名前を法律上持つというのは問題があるんではないかと思います。
水島委員 また、作成された書類すべてに戸籍姓と通称姓を併記するという方法も提唱されているようでございますけれども、現実に戸籍姓しか持っていない人も多いわけですので、そんな仕組みが日常的にうまく機能するのかどうか大変疑問がございます。また、そもそも先進国で改姓を強制する法律を持っている国はないわけですから、両姓併記というのは国際的にも大変わかりにくい制度ではないでしょうか。そして、そんな制度を認めてしまうと、日本社会のみならず国際社会にも混乱を来してしまうのではないかと思いますけれども、この両姓併記という問題について大臣のお考えを教えていただきたいと思います。
森山国務大臣 通称名と戸籍名の両方を常に併記するとした場合には、氏名を書くときに日常的に二つの名を記載するという負担を課するということになりますし、また、結婚によって氏を改めた方は公的な証明書類の書きかえが必要になる点において、現行制度と何ら変わらないことになるのではないかと思いますので、氏の変更に伴う不便、不利益を解消することはできないというふうに思います。その意味で、両姓を併記しなければならないという制度は、ニーズにこたえることができないという点が問題ではないかというふうに思うわけでございます。
 また、両姓が併記された場合には、どちらの姓でその人を特定するかという問題も生じてくるのではないかというふうに思います。
水島委員 今までの御答弁をまとめさせていただきたいと思いますけれども、そうしますと、職業上の不利益を解消しようという動機で法律をつくっていこうとする場合には、先ほど大臣は、出勤簿とか名札とか、そういうところでの通称使用は構わないけれども、職業上どうしても印鑑証明が必要になったり、パスポート、ビザという問題があるような方については、そんな安易なことではいけないのではないかということをおっしゃいましたけれども、やはり今いろいろな人が多様な職種につかれている。そんな中で、職業上の不利益を解消するというような趣旨で何かをつくろうとするのであれば、それはあらゆる職種の人に同じように適用されるべきであるとお考えになりますでしょうか。
森山国務大臣 その人の氏という、非常にだれにとっても重要な問題でございますし、基本的な法律の制度の一つでございますので、日本人すべてに適用されるルールをつくらなければいけないと思います。
水島委員 そうしますと、例えばこれこれの国家資格については通称使用を認めるというような、一部に限ったような通称使用の法案というものは、やはりふさわしくないというふうにお考えになりますでしょうか。
森山国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
水島委員 そうしますと、結局、通称使用で法案をつくろうとするのであれば、すべての領域にわたった通称使用が可能となるような法律であるべきだということ、そして、通称を使用するのであれば、その範囲の中では戸籍姓の使用を禁止するのでなければ社会が混乱してしまうであろうということ、また、両姓併記というような方法は、不利益を解消するという目的をかなえるものでもないし、非常にまた混乱を招くというものであること、以上の点が御答弁として得られてきたと思いますけれども、このようにして考えてくると、通称使用で改姓の不利益を回避しようとすると、唯一の方法は、戸籍上に通称を記し、社会生活における通称使用を選んだ人は戸籍姓の使用を禁止するという方法でしか社会の混乱は避けられないと思います。まず、この点について御確認をいただきたいと思います。
森山国務大臣 いろいろな方法が考えられるかもしれませんけれども、一人の人について戸籍上の名前は一つ、公式に使われるのは一つということでなければ、いろいろな混乱を生じると思います。
水島委員 今、大臣にも御確認をいただきました、戸籍上には名前が一つ、そして社会生活における名前は一つ、それで社会ではその戸籍姓は使ってはいけないということになりますと、これはまさに選択的別姓制度に形式的に戸籍姓というものが残存しているというような構造になるわけでございまして、社会生活上実質的には選択的別姓そのものであると言えると思います。
 家族のきずなが弱まるとか、家族が崩壊するとかいうような理由で選択的別姓に反対し、通称使用で解決しようとする人たちがいるようでございますけれども、結局、通称使用を広げていっても実質的には選択的別姓と同じことというふうになりますので、家族のきずな云々という問題は同じなのではないかと思いますけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。
森山国務大臣 そのような議論が根強くあるということもよく承知しておりますけれども、どのような家族制度を法制度として定めたといたしましても、家族の一体感やきずなというものは法律で強制するべきものではないと思いますし、法律のおかげで保たれるというものでもないのではないでしょうか。要は、家族を構成する人々相互の愛情や思いやりによってつくられていくものであると思いますので、氏が同一であるかどうかということによって決まるものではないというふうに私は考えます。
水島委員 私も家族のきずなに関しては大臣と全く同じ考えでございますけれども、少なくともそのような不安を抱えられて、そして、何とか通称使用ということで打開しようと、不安を抱えられてというか、それを恣意的に利用されているのかもしれませんけれども、それが通称使用で何とか解決できるということに関しては、この通称使用という法律のあり方を一つ一つ検証してみると、結局のところ余り意味のない議論であるということになるのだと思います。
 このように考えてまいりますと、冒頭に御紹介申し上げました内閣府の世論調査で、通称をどこでも使えるように法律を改めると答えた人たちが思い描いている法改正の姿というのは、私たち選択的別姓を望む者たちが思い描いている法改正の姿と限りなく近いものであると思いますけれども、大臣はどう思われますでしょうか。
森山国務大臣 世論調査に答えた人々がそこまで突き詰めて考えられたかどうかわかりませんけれども、先生のおっしゃるとおりの帰結になるのではないかというふうに思います。
水島委員 本日は、通称使用という問題、今まで恐らく国会の審議の中で余り真正面から取り上げられたことがなかったのではないかと思いますけれども、今もって、通称使用で何とか解決すべきだ、そのための法案を提出したいとおっしゃっている方もいらっしゃるようでございますので、一度きちんと法的な観点から法務大臣の御意見を伺おうと思って質問をさせていただいたわけでございます。
 そして、もちろん私自身、この通称使用という法律をつくることによって問題が解決するとは思っておりませんし、そのように戸籍上にただ残存する戸籍姓というものの意味を考えてみますと、やはり社会で使う名前ときちんと戸籍上に登録されている名前というのは同一である方がより混乱が少ないわけでございますし、実際に選択制ということであるわけですから、やはりこれは選択的別姓制度ということですっきりとした法律にするべきではないかと考えているところでございます。
 そして、少なくとも、今世論調査のことを大臣からもお考えをいただきましたけれども、内閣府の世論調査において、通称をどこでも使えるように法律を改めると答えた人たちを選択的別姓反対派として位置づけることにはかなりの無理があるということがおわかりになると思います。
 多数の人が賛成するから民法改正という性質の問題ではもちろん本来ないわけでございまして、少数であっても必要とする人がいるから法改正する、そして、その少数の人たちの要望が他者の人権を侵害するものでなければ法改正するというのが筋であると思いますけれども、少なくとも、この世論調査の結果としても、全世代を通してこれだけ多くの人が法改正に賛成しているという現状を改めて御認識をいただきまして、一日も早い実現を心よりお願いしたいと思っております。
 少なくとも、内閣府の世論調査の結果を見て、過半数が反対しているんだというようなことはかなりの暴論であって、こうやって法律的な問題、立法府に身を置く者として、その法律ができたときの結果を一つ一つ検討していけば、これはやはり軽々に発言すべき問題ではないのではないかと思っておりますし、内閣府の世論調査についても、その結果はやはり粛々と受けとめるべきではないかと思っております。
 また、昨年もこの委員会で申しましたけれども、今現在、別姓を望む方たちは現実的な困難にぶつかる中で事実婚を選ぶようになってきているわけでございます。そして、さまざまな社会制度も、法律的な分野を除けば、事実婚であっても一般の法律婚をしている夫婦と変わらないような扱いを受けるようになってきているわけでございます。
 こんな状況の中でかたくなに選択的別姓に反対するということは法律婚制度そのものを形骸化させるということを、私はぜひ、反対派の方たちに十分に御認識いただきたいと思います。
 反対されている方たちが、そもそも法律婚などというものは要らない、一部の人たち、例えばきょう申しましたような職業上の不利益ということを考えれば、法律婚というのは夫婦の片方が働いていない人たちだけに許されるぜいたくと本心から考えていらっしゃるのかどうか。そんなことはないと思いますけれども、そのような形骸化した法律婚にしたいということであれば、いつまでも反対していただきたいと思っております。ただ、これが本当に現実生活に根づくような、きちんとした法律婚制度を維持したいと思われるのであれば、選択的別姓制度に反対するということはそもそも現状を考えてもおかしいのだということをぜひ御認識いただきたいと思っております。
 森山大臣は、このような点については、もうかねてから十分に御理解くださっていると思いますけれども、本日また、自民党で、法務部会で議論が行われるという、そんな記念すべき日であるようでございますので、その日を前に、法務部会長の先生も本日今、聞いてくださっておりますけれども、大臣としての改めての決意表明をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
森山国務大臣 家族という問題でありますから、すべての人に多大の関心がある、非常にその人の生活感覚を反映する問題でありますので、どなたでも御意見があることだと思います。非常に多様な生活様式あるいは生活感覚の反映の結果、さまざまな意見が大変あちこちにあるということは先生も御存じのとおりでございます。
 生活の多様化、そして、特に女性の社会進出が多くなってまいりました今日、今までの仕組みで縛るということが非常にできにくい状況になっておりますので、おっしゃるような事実婚が多くなってきているということを考えますと、やはり法律によって認められた結婚を多くの方がしていただいて、そして、その結婚生活が法的にも安定し、また、子供たちのためにも落ちついたものであるということが必要だということも考えます。そのような意味で、現在の生活様式あるいは多くの人の生活感覚にできるだけ近いやり方で、もう百年以上もやっておりましたこの形式を少し寛容な、選択のできるものにしていくということは、今の時点で私どもが担っている責任ではなかろうかというふうに思う次第でございます。
 幸い、きょう、自民党におきましても、法務部会が具体的に議論をしていただくということになっておりまして、その議論の成果を期待したいというふうに思っております。法務部会長もおいでになりますので、よろしくお願いしたいと思います。
水島委員 大変力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。法務部会長の佐藤先生もしっかりとお聞きいただいておりました。
 本当にもう、事ここに至りますと、選択肢はかなり限られていると思っております。本日、いろいろ御答弁をいただいてまいりましたけれども、通称使用を認める法律をつくるということは、現実的には選択的別姓を認める法律をつくるということに吸収されていく概念であるわけでございますし、ですから、選択的別姓を認めるというのが一つの選択肢、あるいは、あくまでも認めずに法律婚を形骸化させていくというのがもう一つの選択肢、それしかないのだと思っております。ぜひ、強硬に反対されている方たちにはこの点を十分に御理解をいただきたいと思っておりますし、いつまでも反対し続けるということは、今申しました後者の選択肢の方に皆様一票を投じられているのだということを御認識いただきたいと思っております。
 そのような御理解のもとで、本日しっかりとした議論が自民党内において行われまして、そして今国会中に、本当に多くの方たちが待ち望んでおられます選択的別姓が実現しますことを、その日を森山大臣とともに本当に喜べる日が一日も早く来ますことを心よりお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
園田委員長 山内功君。
山内(功)委員 民主党の山内功でございます。
 新刑訴法施行後五十年間は、残念ながら、再審無罪となった著名事件がたくさんございました。刑事司法のルールの中で誤判や冤罪を生み出す構造が存在していないのか、十分に検討を加えるべきですし、二十一世紀こそ、人権を守り、国民に信頼される刑事司法を確立するときだと考えています。
 現行刑訴法の当事者主義の実質は、実質的対等を保障することだと思っています。世の中に存在する、被告人にとって有利、不利を問わず、さまざまな証拠は、検察官手持ちの証拠も含めて検察官だけのものではない、被告人にも利用できるものであると考えるのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
森山国務大臣 基本的な考え方は、おっしゃるとおりだと思います。
山内(功)委員 法務省は、司法制度改革審議会において、刑事司法、証拠開示についてのプレゼンテーションを行いました。その中で、まず検察官が証拠調べ請求予定の証拠を開示した段階で、被告人側が認否と争点の明示を行い、その上でさらに争点に関連する証拠を被告人の有利、不利にかかわらず開示するといったルールをつくることが必要であると表明をしております。
 これは、まさに法務省も、現行の証拠開示のルールには不備があり、もっと拡大していく必要があるとの認識に立っているものと理解をするのですが、よろしいのでしょうか。
古田政府参考人 御指摘は、平成十二年の七月二十五日に行われた司法制度改革審議会のヒアリングでの発言のことと思いますが、法務省といたしましては、現在、証拠開示というのは一般的には適切に行われていると考えているものの、時として紛糾が起こるということは事実である。その一因として、必ずしも現在の証拠開示のルールが明確ではないところにあると考えられるということから、この点についてのルールを明確化することが必要で、あわせて争点整理の実効化のための措置が導入されるのであれば、裁判の充実と迅速化につながる、それに資することが考えられるという点を申し上げたわけでございまして、現行の証拠開示が不十分であるという前提で申し上げたものではございません。
山内(功)委員 法務省は、同じ日に、争点の整理がなされない段階で大幅な証拠開示をすることは、信用性、関連性の乏しいものも含む証拠に沿ってさまざまな主張をすることを容易にし、審理が錯綜し遅延すると述べていますが、これは全く逆ではないでしょうか。
 十分な争点整理を行い、明確な審理の計画を立てて迅速な裁判に資し、そして実体的な真実を明らかにするというためには、まず証拠開示の拡充が前提条件になるわけで、証拠開示こそが争点整理の出発点ではないかと思うのですが、その点、どうでしょうか。
古田政府参考人 御指摘のような御意見があることは承知しておりますが、一般的に申し上げまして、被疑者、被告人というのは真実を知っている立場にあるわけでございます。検察官が全く何も証拠を開示しないでということになれば、お話しのような問題になろうかと思いますけれども、検察官が立証のために使用する予定の証拠というのは当然開示するわけでございます。そういたしますと、被告人としては、開示された証拠を前提として、公訴事実に対する認否を行い争点を明らかにするということも通常可能であると考えられるわけでございます。
 その一方で、例えば被告人の主張が明らかでない段階で広く証拠を開示するというふうなこととした場合には、開示証拠と矛盾しないような虚偽の主張がされるという可能性、こういうような問題もやはり十分留意しておかなければならないし、あるいは、さまざまな罪証隠滅等の問題も起こり得るわけでございまして、そうなりますと、証拠開示のあり方によっては真実の発見が妨げられるという事態も懸念されるわけでございます。
 したがいまして、証拠開示につきまして、どういう範囲、どういう時期に、どういう証拠を開示していくのか、そういう点についてやはりきちっとしたルールをつくっていくということが訴訟の本当の意味での充実につながる、そういうふうに考えている次第でございます。
山内(功)委員 最高裁にお伺いします。
 同じく改革審において、「刑事訴訟法に明文の規定を設け、原則的に、公訴事実に関する被告人の供述調書を始めとして、検察側証人の主要な供述調書や証拠物その他の客観的証拠を第一回公判前に開示することを義務付けることを検討すべき」であると意見表明をされています。まず義務ということを明示されたこと、それに対応して被告人、弁護人側に証拠開示の請求権があるということを当然の前提としておられること、このことは画期的な見解であろうかと思っています。
 法務省は証拠開示の現状については実務上ほとんど問題は生じていないと、最高裁が意見を述べられる前に話しておられるのですが、実際上、実務上大変問題になっているのではないのでしょうか。
大野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 多くの事件では、証拠開示の問題について紛糾するという事例はそれほど多いわけではございません。ただ、少数の事件につきましては、証拠開示の範囲、時期等につきまして紛糾する事態が生ずるということもございます。
山内(功)委員 通常の裁判における証拠開示と再審請求の段階における証拠開示において、その共通点と、もし違いがあれば相違点について述べていただきたいと思います。これは法務省と最高裁それぞれお願いします。
古田政府参考人 まず、委員御案内のとおり、再審は一たん確定した裁判に対するものでございます。
 大変一般的に申し上げますと、御指摘のような証拠開示等の問題というのは、本来でありますれば、確定判決に至るまでの裁判、訴訟の段階できちっと解決がついて、それに基づいて判断が下されるということが最もあるべき姿であろうと考えているわけです。
 確定審までに至ります場合の証拠開示あるいは再審が開始されてからの公判、いわゆる公判における証拠開示と再審請求段階での証拠開示、これについての相違点を申し上げれば、一点は、公判手続におきましては検察官が立証責任を負うわけでございますので、検察官の方から請求する予定の証拠は当然ながら開示をしなければならない。しかしながら、再審請求審におきましては、これは典型的に申し上げますと、犯罪を犯したものではないという新しい証拠を発見したときという場合を考えますと、これは、弁護人あるいは確定判決を受けた者の側からそういう証拠がまず提出される。したがいまして、再審請求があったからといって、検察官について証拠開示とかそういうことが当然に予定されるものではない。そこは一番大きな違いになるわけでございます。
 それから、あと幾つかの、例えば証拠能力について再審請求段階では特段制限はないなどのさまざまな違いがございますが、今申し上げた点が一番大きな違いであろう。
 共通点として申し上げるとすれば、そういう場合には、新しい証拠の提出あるいは主張の提出ということになりますので、それに関連する限度でどういう証拠を開示すべきかという点については、共通の考え方がとられるところはあろうかと思います。
大野最高裁判所長官代理者 一般の公判手続と再審請求手続における構造上の違いは、今法務省から説明のあったものと同様に理解しております。
 再審請求事件につきましては、裁判所が必要があるというふうに認めたときには事実の取り調べをできるという規定がございますが、それ以上に、原裁判所において証拠として提出されなかった証拠の取り扱いに関する規定はございません。
 御承知のとおり、昭和四十四年の最高裁判所の決定で、訴訟指揮権に基づく証拠開示という制度が司法面から認められたわけですけれども、これは今申し上げた中での第一審の通常の公判手続に関する裁判例でありまして、これが、手続構造を異にする再審請求手続にそのままその趣旨が及ぶかどうかということについては見解の分かれるところであろうかと思いまして、具体的な事件が係属した裁判所において、その趣旨が及ぶかどうかという解釈をして判断することになろうかと思います。
 私ども事務当局としては、その点について解釈論を述べることについては差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
山内(功)委員 今それぞれお話を聞きましたけれども、再審請求において証拠開示について否定的な見解をもしとられるんだとすれば、検察官が確定審あるいは再審請求審を通じて、検察官が不開示をしている記録の中にこそ確定判決を覆すような新証拠があったり、あるいは新証拠の発見につながるような証拠もあると思いますので、再審を認めるということとは原則的に相入れない見解だと私は思っています。
 次に、推進本部の方にお聞きいたします。
 推進本部は、この審議会意見書に書かれた文章をそのとおり作業されるんだろうと思うんですけれども、その解釈、立法化あるいはできた法律の解釈に当たっては、審議会での議論の流れも十分参考にされるものなんでしょうか。
山崎政府参考人 私どもの今後の具体的な制度の検討に当たって基本とすべきものは、これはもとより司法制度改革審議会の意見でございますが、同審議会におけるさまざまな意見及びその議論の経過についても、これを全体として参考とすることになるものと考えております。
山内(功)委員 意見書には、証拠開示の拡充の点について「刑事裁判の充実・迅速化」という文脈の中で位置づけているのですが、冤罪を決して生んではいけないという視点から証拠開示の拡充を図るという発想自身は推進本部の中にあるのでしょうか。
山崎政府参考人 この司法改革審議会の意見におきましては、以下のようなことが述べられております。
 検察官の取り調べ請求予定外の証拠の被告人、弁護人側への開示に関し、最高裁判例の示した基準の内容や開示のためのルールが必ずしも明確でなかったこともあって、開示の要否をめぐって紛糾することがあり、円滑な審理を阻害する要因の一つとなっていた。こういう現状認識を示した上で、充実した争点整理が行われるには、証拠開示の拡充が必要である。そのため、証拠開示の時期、範囲等に関するルールを法令により明確化すべきである。また、証拠開示のルールの明確化に当たっては、証拠開示に伴う弊害の防止が可能となるものとする必要がある、こういうふうに記載されているわけでございます。
 この意見書の趣旨とするところは、充実した争点整理を行うための証拠開示の拡充、ルールの明確化というところにあるものと考えられます。
 もとより、冤罪の防止を含む被告人の防御の利益を尊重すべきであるということは言うまでもないことでございまして、今後、証拠開示の拡充を含む刑事裁判の充実、迅速化については、そのような被告人の利益をも踏まえて検討してまいりたいと思っております。
山内(功)委員 ちょっと三つほど論点があるので、今後検討いただくか、あるいは、きょうの段階ででも述べていただける点があったら述べていただけますでしょうか。
 まず一つは、第一回の公判前ということが少し強調され過ぎているように思うんですが、第一回の公判を過ぎても証拠開示については十分に拡充を考えるべきじゃないかということが一点。
 二点目に、証拠開示の申し立てがあれば必ずその判断のための弁論を開く、こういう点について法制化をしてはどうかというような問題意識がございます。
 第三点目。再審請求の段階で、検察官が、確定判決の有罪を改めて補強あるいは立証しようとするような、被告人にとって不利益な証拠を提出することについては、提出をさせないという法制化をする。
 これら三つの点については、事務局長、どうお考えでしょうか。
山崎政府参考人 大変難しい御指摘、御質問でございますけれども、まず、大きく申し上げまして、第一回の公判期日前のことは書いてございますが、それじゃどこまでの範囲かということでございますが、私ども、第一回公判期日前だけとは理解はしておりません。その後も、いわゆる確定前の刑事事件全般について、やはり公判の充実、迅速化という観点から、その改正をしていくという理解をしております。
 ただ、御質問の中の、弁論を開くか否かというのは今後の検討の問題でございますし、まだそこまでは全く検討はしておりません。
 それから、再審の関係につきましては、これは、やはり確定前の刑事事件の審理と手続等もいろいろ基本的に異なることになりますし、確定前の刑事事件におきます証拠開示のルールをそのまま当てはめる、そういうふうにはならないだろうというふうに考えておりまして、これは、この改革意見書の中で直接そこまでは言及がされていないという理解をしております。
山内(功)委員 私は、確定前までのが中心的なテーマとして語られた審議会の議論の中では、事務局長言われることももっともかもしれませんけれども、百歩譲って、推進本部で行う立法化に係属中あるいは再審の事案に対してのフォローが当然含まれなければ、法務省は、係属中の事件に対して、立法に体現された開示の拡充という精神を生かしたより一層の開示に踏み切るなど、一歩踏み込んだ運用をすべきだと考えますが、最後に大臣の御所見を伺いたいと思います。
森山国務大臣 今、司法制度改革推進本部におきまして熱心に議論が続けられているところでございまして、まだ結論が出ておりません段階で私から何か申し上げるのもいかがかと思われますけれども、新しい制度が整備されました際には、そのルールに基づいて適正に対処していかなければならないと思っております。
山内(功)委員 カナダの最高裁判決は、証拠というものは社会正義を体現するための公共財であると判示しました。証拠開示の拡大はいわば世界の流れではないかと思っています。
 推進本部におけるさらに思い切った検討、そして係属中の再審事案などに関する法務省や裁判所の一歩踏み込んだ対応、それらを再度強く要請して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
園田委員長 西村眞悟君。
西村委員 政治家の倫理が昨今厳しく問われております。その観点から、さらに、政治家と法律家、とりわけ法律家のうちで、その政治家の倫理を問う側の法律家である検察に職業倫理がなければすべての社会の信頼関係は崩壊するという観点から、一昨日行われた加藤紘一氏の参考人質疑で一端があらわれました検察と加藤紘一氏の関係について、事実関係をこれから確かめていきたいと存じます。
 まず、元検察官であり、加藤紘一氏がさきの参考人質疑で、今は自分の顧問弁護士である、そしてこの顧問弁護士は、自分が中学生、彼が大学生のときから知っておって、なぜ知っておったかといえば、彼は自分の兄と生年が一緒で、大学も同級生で、司法修習も二十二期同期であるから、自分が中学生のときからよく知っているという、永野義一氏について、これからちょっと事実関係を確認したいと思います。
 現在、永野弁護士は加藤紘一さんの顧問弁護士であり、月額顧問料十万円。これは、弁護士報酬基準の、個人の顧問料は月五千円以上、事業者五万円以上というところから見るならば、少々高額の顧問料をもらっております。この顧問弁護士になるまでは検察官をしておられたんですけれども、検察官をやめられて弁護士開業の通知には、永野さんは、とりわけ東京地検特捜部には八年の長きにわたって勤務し、政官財の中枢にかかわる疑獄事件を初め主任検事を務めさせていただいたことなどは望外の幸せだったというふうに、あいさつ状の中に書いておられます。平成九年十月に弁護士登録をされ、まさに同年、加藤紘一氏の法律顧問に就任されております。
 そこで、ちょっと事実関係をお伺いしたいんですが、八年の特捜部検事勤めから退官に至るまでの異動の経緯を概略お知らせいただけませんでしょうか。
大林政府参考人 お答えいたします。
 どこからの経緯にいたしましょうか。
西村委員 特捜部検事を八年務められたと言っておられるようですから、特捜部検事から退官までの異動の経緯です。
大林政府参考人 ちょっと部の配属のわからないところがございますが、私のわかる範囲でお答えしますと、昭和六十一年三月に東京地検検事になっております。それから昭和六十三年十二月に富山地検の次席検事になっております。それから、平成二年から四年まで、これは東京地検検事ですが、このときに特捜部の副部長を務められております。それで、平成四年四月に東京高検検事、平成五年四月に横浜地検の刑事部長、それから平成五年十二月に横浜地検川崎支部長、平成八年一月に鹿児島地検検事正、平成九年四月に最高検検事、そして平成九年九月に退職されておられます。
西村委員 そのとき、東京地検の特捜におられたときに、この永野さんは共和事件の取り調べをされておったのでしょうか。これはわかりますでしょうか。
古田政府参考人 お尋ねの関係で申し上げますと、当時、永野氏は東京地検の特別捜査部の副部長でございまして、副部長という立場で当事件を統括していたものと承知しております。
西村委員 ということは、森口五郎、これは贈賄側ですね、彼作成に係る報告書のナンバー三十五、これは阿部文男元北海道沖縄開発庁長官、ナンバー三十六、加藤紘一、一千万という記載があるようですが、この永野検事は、共和事件に関し、森口五郎、阿部文男、加藤紘一から事情を聴取され、また被疑者として取り調べられたという経緯はございますでしょうか。
古田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、副部長として事件全体を統括する立場にあったわけでございますが、個々に特定の検事がどういう捜査活動を行ったかということにつきましては、これは捜査の活動内容にかかわることでございますので、その点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
西村委員 これが、鈴木善幸氏、また塩崎氏が、証人尋問、参考人質疑等々で、国会では大騒ぎになるわけですが、加藤紘一氏の問題については鎮静化していきます中で、平成八年、また再燃するんですね。なぜかといえば、加藤さんは、一千万はもらっていないんだと一切貫き通しているわけですけれども、加藤さんの元後援会長の水町という方が、加藤氏が受け取ったところに立ち会っていて、その一千万を加藤氏から預かったんだと発言を始める。これが平成八年。
 それで特捜部は事情聴取を始めるわけでございますが、服役中の森口も、加藤氏に渡したと、また手紙等で社会に発表し始める。このときに結果的には、加藤氏の所得税法違反については嫌疑不十分で不起訴という方針で解決した、決裁がなされたと思うんですが、平成八年十二月ごろ、次席検事が異例の記者会見で、加藤紘一氏の一千万の受け渡しがあったことは否定しがたい旨の記者会見をされたことはありますか。
古田政府参考人 ただいま、当時の次席の記者会見でどういうような内容の発表があったかということについては、ちょっと承知しておりません。
西村委員 マスコミ等々で出たことをつなぎ合わせて私は事実確認しているんですが、嫌疑不十分で不起訴になったことは事実であります。その間に、加藤氏が、国会でのいわゆる参考人等々の発言の中で、もらった事実がないと貫き通すものですから、加藤氏から預かったと発言していた水町氏が、ではおれがうそをついていることになるんだ、水町はうそつきだと加藤氏が言っているに等しいと。したがって、彼は名誉毀損の訴えを加藤氏に対して起こして、加藤氏は反論せず敗訴という事態になっております。
 確認しますが、先ほど永野氏の経歴を見ておりますと、共和事件の全般を総括する立場にあったけれども、平成八年の再燃のときには、この水町氏を取り調べる立場、地位にはなかったということはわかるんですが、そのとおりですか。
古田政府参考人 委員ただいま御指摘のとおり、平成八年当時は東京地方検察庁特捜部に在籍しておりませんので、したがって、御指摘の事件を担当するということはないということでございます。
西村委員 検察が嫌疑不十分だということになりましたのは、平成八年十二月ころだったと思います。それで、翌年、この永野氏は退官の上、弁護士登録同月、加藤紘一氏の顧問弁護士になるわけでございます。私の知っている事実はこれだけでございます。これだけでございますが、田中森一さんも、元特捜部検事が今服役中ということもございますが、これは、検事として疑惑解明に当たる者が、しかも政治大疑獄、共和という大疑獄が社会の耳目を集める中で、その取り調べ対象に、かなり前から親しく、子供のときから知っておる大物政治家がおった場合にいかに対処するかという難しい問題を含んでおるわけでございますが、これについてはどうすべきかと、何か基準、マニュアルはあるのかということもお伺いいたしますけれども、さらに、その事件をみずからが総括する立場で処理していって、そして再燃していまだにその疑惑のにおい、煙やまずという中で、退官後直ちに、疑惑を持たれた人物の側の顧問弁護士に就任していくというのは、検察の組織から見ては、退官すればもう勝手にすればいいんだというふうな意識で眺めておられるのか、検察の職業倫理上これは問題である、李下に冠を正さずだというふうな姿勢で臨まれておるのか、これはいずれでしょうか。
大林政府参考人 お答え申し上げます。
 永野元検事が加藤紘一前議員の顧問弁護士になった経緯につきましては、法務当局として承知しておりません。
 一般論として申し上げますと、弁護士がどのような方の顧問弁護士になるかどうかにつきましては、法令や日本弁護士連合会の定めた弁護士倫理等を踏まえて弁護士本人が判断されるべき事柄ですので、法務当局としてこれについてお答えする立場にはない、このように考えております。
西村委員 さて、我々の領域なんですが、例えば官僚の天下り規制。規制等々の業務を担当しておった官僚がやめて、その規制の許認可を得ることによって業務を行う会社に直ちに就職するというのは、これはだめだということになっておるわけです。それは許認可の業務じゃありませんが、日本の政界を揺るがす疑惑の事件を担当し、そしてそれを個別担当するどころか総括としてそのすべてを知る立場にあった人間が、疑惑、それから四年にしてまた再燃してくすぶっている、その当の疑惑を持たれている人物の側に回るというのは、法の予想せざること、常識の予想せざることだと私は思うんですが、これは大臣のコモンセンスからしていかがでしょうか。
森山国務大臣 今のお話、一般論として申し上げますと、弁護士さんがどのような方の顧問弁護士になられるかということは、法令とか日本弁護士連合会の定めました弁護士倫理等を踏まえまして御本人が判断されるべき事柄でございまして、法務大臣としてコメントすることは差し控えなければならないと思いますが、先生が御指摘のような感じを持たれる可能性はあるかもしれないと思います。
 しかし、この場合、厳密に申せば、具体的なケースをお持ちになっているという、そのときの話と今とは違いますので、そのような解釈もなさっているのではないかと思いますが、私としては、非常に懸念のある、国民一般から不審に思われるという可能性がないとは言えないというふうに思います。
西村委員 弁護士の勝手といえば、これは勝手なんです。
 それで、我は職務に忠実なりと墓碑に刻まれている弁護士は、村のすべての人間がリンチだと叫んでいる黒人の弁護をして、そして彼は、墓碑銘に、彼は職務に忠実であったと刻まれておるのです。
 私が申し上げておるのは、弁護士の世界に入ったらそうだというんですけれども、入る直前まで検察官として共和という大疑獄事件のすべてを知る立場にあって、そして彼のキャッチフレーズは、東京地検特捜部には八年の長きにわたって勤務し、政官財の中枢にかかわる疑獄事件を初め主任検事を務めさせていただいたことなどは望外の幸せだったと。これは、検察官としてこの経験があって、疑獄事件をやったのが自分の弁護士になるときの大きな財産であると書いておられるわけですね。こういう立場の人間が、弁護士になったからすべて、先ほどの、法務省としてはその御答弁をせざるを得ないでしょうけれども、この問題はちょっと違うのじゃないかなと思うんです。
 うがった言い方をすれば、加藤紘一氏、彼が中学からの知り合いだ、友達の弟だ、貫け、貫いておれば嫌疑不十分なんだ、これでいけ、安心しろと。そして、くすぶってきても、退官すれば直ちに顧問弁護士になって、防御の材料は何ぼだってあると。それで異例の、弁護士登録即月顧問就任で、顧問料は破格の月額十万。こういう疑いを、李下に冠を正さずというふうなことわざどおり、国民は抱くわけですな。私も抱いた。こういうことは、検察のためにも、我が国家の司法のためにも、社会秩序のためにもふさわしくないんじゃないか。
 何ら、検察にこういうことに関する倫理規定、倫理規範、これがないものなのか。自分が担当した事件の被疑者の側にすぐ立たないとかそういうものはないものだろうか、検察の名誉のためにも。田中森一さんやそういう方々が特捜部検事がやめた途端に特捜部から追われるようなことが起これば、これは数度起こってくればもう崩壊ですわ。そういうふうな観点から、事実関係確認のために質問をさせていただきました。御感想はお持ちだと思いますが、この場ではまたまた二度も三度もお伺いしませんけれども、本当にゆゆしき問題ですね。
 質問を終わります。
園田委員長 木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 きょう私は、民事法務協会の職員に対するリストラ問題について法務大臣にお伺いをいたします。
 民事法務協会ですが、大臣御承知のように、法務大臣の許可を得まして、昭和四十六年、一九七一年七月一日に設立された公益法人でございます。
 この法人の設立目的は何か、それから、概略で結構ですが、業務の内容、財務の状況、資産の状況、被用者、職員の皆さんの状況、どのようなものか、現在の状況とこれまでの推移をまず明らかにしていただきたい。
    〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
房村政府参考人 民事法務協会の概要でございます。
 まず目的でございますが、登記、戸籍、供託等、民事法務の制度に関して、知識の普及等、その発展と円滑な運営に寄与するということを目的として設立された財団法人でございます。
 それで、業務の内容といたしましては、いろいろやっておりますが、主なものは、受託業務といたしまして、登記簿の謄抄本等の作成業務、それから登記簿のコンピューター化の移行作業、それから登記相談、国籍相談、供託相談などの支援業務、こういった受託事業がその主な業務でございます。
 それから、財務の状況でございますが、これは、ちょっと手元には最新の情報がないので申しわけないんですが、平成十三年度決算における財務状況で申し上げますと、資産が約八十五億円、負債が約四十五億円で、正味財産は三十九億円となっております。ちょっと決算報告書がないので、収支の方はまた調べまして後日御報告をさせていただきたいと思っております。
 それから、被用者の状況ということですが、これは業務関係の職員数ということでよろしゅうございましょうか。これは、十三年度が千六十八名でございます。
 推移ということですが、わかっておりますところで、平成七年度で申しますと千百五十一人でございます。大体千百人程度で、ややここのところは減ってきております。
 そんなところでよろしいでしょうか。
木島委員 収支が一番大事なんで、わかっている直近のものの、総売り上げと総経費と、赤字か黒字か、総額についてだけは答えていただけませんか。
房村政府参考人 手元の資料が限られておりますので、事業収入でよろしゅうございましょうか。
 事業収入で申しますと、乙号受託とか開発事業等、あるいは出版、こういった部門の売上高の総計が二百六十三億九百万でございます。それで、事業費が二百六十一億八千六百万。したがいまして、事業部門での利益が一億二千二百万ということになります。
木島委員 現在の当協会の理事者の人数、出身省庁別人数はどんな状況でしょうか。
房村政府参考人 人数でございますが、理事が十六名、監事が二名おります。それで、出身省庁別は、申しわけないんですが、今ちょっとわかりかねるので、これは調べまして後日御報告をさせていただきます。
木島委員 法務省から何人いるか、法務省民事局から何人入っているか、それぐらいわかりませんか。
    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕
房村政府参考人 調べればすぐわかる話なんですが、ちょっと私、今手元の資料ではそこがわからないものですから、申しわけございませんが、後日御報告させていただきます。
木島委員 事前に、この問題をきょうやるということを伝えてあるわけですから、私、三十分質問時間がありますから、可能ならその数だけはちょっと指示して調べておいてください。
 それでは、設立来今日までの理事長の名前、これは私もわかっていますけれども、その出身官庁、支払われた退職金総額を明らかにしてもらいたい。
房村政府参考人 歴代会長でございますが、初代が栗本義之助、退職金額はなしでございます。二代が天野健夫、退職金額は百五十万円、三代が長谷川信蔵、退職金額が二百五十万円、四代が新谷正夫、退職金額が三百万円、五代が枇杷田泰助、退職金額が一千八百九十万円というぐあいに聞いております。
木島委員 そこで、本題に入りますが、民事法務協会は、ことし一月三十一日、民事法務協会労働組合に対して、「希望退職の実施について」と題する文書を提示し、最終的な労働組合との合意もないまま一方的にこれを強行いたしました。実施された希望退職の具体的な内容、そして実施の結果はどのようなものだったのですか。
房村政府参考人 民事法務協会では、二月十四日付で、募集人員を三百名、募集期間を平成十四年二月十八日から平成十四年二月二十八日まで、対象者は平成十四年四月一日現在で四十歳以上の職員ということで、かつ、退職条件としては、年齢に応じて最高基本給十二カ月分から二カ月分までの範囲で退職金を加算する、こういうような条件の希望退職を実施しております。
 その結果といたしまして、結局十三名が応募いたしまして、本年三月末日をもって退職したと聞いております。
木島委員 結論は、三百名の希望退職を募ったが十三名しか応募しなかったということになったわけでありますね。
 労働組合との交渉の状況はどんなものだったんでしょうか。労働組合の基本的な主張はどのようなものだったんでしょうか。
房村政府参考人 組合との状況については詳細は承知しておりませんが、協会の側から組合に対して、この「希望退職の実施について」ということを申し入れして話し合いをしたけれども、労働組合の方ではこの希望退職の実施について反対をしていたというぐあいに聞いております。
木島委員 どんな理由を述べて労働組合は反対を主張していたのか聞いていますか。
房村政府参考人 詳細は聞いていないので、反対していたということは聞いているのですが、事業収入がトータルで黒字ではないかというようなことも言われていたやに聞いておりますが、詳細は、それ以上のことはちょっとわかりません。
木島委員 法務省は、今回の民事法務協会のこの三百名の希望退職の実施計画、そして組合との合意なしの一方的強行、この一連の経過にどのようにかかわっているんでしょうか。
房村政府参考人 法務省としては、協会から本年の一月下旬に、このような財政状況が厳しいので希望退職の募集を検討しているということを連絡を受けております。
木島委員 ちょっともっと具体的に。財政上、黒字じゃないですか。
房村政府参考人 先ほど申し上げました数字でいきますと、トータルでは一億二千二百万の黒字になっているわけでございますが、多くの職員が勤務しております乙号受託部門、登記簿謄抄本の作成等ですが、この部門に限って見ますと六億一千九百万の赤字ということになっておりますし、今後、この乙号受託部門につきましては、コンピューター化が進展をするに伴いまして受託事務の減少が見込まれるというようなことから、赤字幅が拡大するおそれがある、そういうことを考慮して、財政状況を維持するためにこのような希望退職を募集するということを聞いております。
木島委員 三百人の希望退職が提案されたが、同時に、その一方で、二百人は新たに人員を募集するということが提案されたと私聞いているのですが、それは事実ですか。
房村政府参考人 その二百人を新たに採用という点については、具体的な数字は私どもも知りませんが、この希望退職に応ずる人数によりますけれども、非常に多くの方が退職を希望される場合には、現場に混乱が生じないように、必要に応じて新たな職員の採用、賃金職員等の採用も検討していたというぐあいには聞いております。
木島委員 そうすると、何ですか、協会は、三百人の希望退職を提案してきた、しかし、三百人全員やめられちゃうと人手不足になって現場が混乱してしまうということを初めから承知の上で三百人の希望退職を募ろうとしたということになるんですか。
房村政府参考人 当方としても、協会がどの程度の退職者数を見込んでおられたのか、そういうところまで詳しく把握しているわけではありませんので、協会がどのようにお考えになっていたのかということは、私の立場でよくわかりませんが、ただ、仮に非常に多くの方が退職をした場合には、混乱の生じないように賃金職員等の採用を検討していたということは聞いております。
木島委員 確認しますが、歴代のこの協会の理事長はすべて法務省の出身者だ、間違いないですか。
房村政府参考人 最近の方は私もわかっているのですが、ちょっと古い方になると自信がなくて、多分関連はしているんだと思いますが、その点は調べまして改めて御報告いたします。
木島委員 一月にこの計画を法務省は協会から聞いたと先ほど答弁がありました。大臣に聞きますが、大臣の耳には入っていましたか。
森山国務大臣 私は、その時点では承知しておりませんでした。
木島委員 法務省は、こういう希望退職の実施の提案の計画を聞かされたときに、どういう態度を打ち出したのですか。
房村政府参考人 直接的には協会の管理運営にかかわる問題でありまして、法務省から直接これについて指示をするという性質の問題ではありませんが、協会が非常に財政の健全化を図るためにさまざまな方策を講じてきたと聞いておりますので、協会の財政の健全化を図るため苦しい判断をしたものであって、やむを得ない選択であるというぐあいに私どもとしては考えておりました。
木島委員 だって、総収入、総支出の関係で利益が一億円も出ていると先ほども答弁にありましたが、協会は年々資産の蓄積を重ねて、八十五億になっていると。そんな状況で三百人もの職員の首を切るなんというのは、全く理屈に合わないじゃないですか。ゴーサインを出したんですか、そんな状況で。
房村政府参考人 先ほど申し上げましたように、今手元にある資料で、この事業収入で申し上げますと一億二千二百万の黒字になっておりますが、直近の決算での最終的な決算としては赤字になっております。この資料も大至急今取り寄せているところでございますが、わかりましたら直ちに御報告申し上げますが、そういう意味で、協会全体の財政状況は決して余裕のあるものではないということでございます。
木島委員 だって、既にこれはもう実施されたんでしょう。労働組合の反発を受けて、現実には十三人しか希望退職が出なかったという状況でしょう。今答弁できないということは、そんな、財政上どうしようもなくなってこういう人員整理計画を打ち出したということではないということになるんじゃありませんか。
 では、重ねて聞きましょう。この民事法務協会の財政問題の基本ですが、そもそも収入の基礎は何でしょうか。それは、すべて法務省民事局から来る金じゃないんでしょうか。その受託費だと思うのですが、受託金額はどのような手続で決められるのでしょうか。協会の収入の基本について、仕組みを教えてください。
房村政府参考人 今問題となっております乙号受託事務でございますが、これにつきましては、処理する件数一件当たりの委託単価を決めまして、協会と法務省とで契約を結んで、それに従いまして処理していただいた件数に応じた委託費を払うという形になっております。
 委託単価の算定に当たっては、協会で実際にかかる費用等を考慮いたしまして算定をしております。
木島委員 その余の部門の収入の基礎はどういうものなんですか。
房村政府参考人 その余の部分としては、先ほど申し上げましたように、コンピューター移行作業の委託が非常に多うございますが、これはやはり、コンピューター移行作業に要する手数等を考慮いたしまして、移行作業に応じた費用を払っておるということでございます。また、登記相談、国籍相談、供託相談の支援業務についても、相談員等を出していただいて、それについて費用をお払いするという形になっております。
木島委員 要するに、いろいろ仕事の内容はあり、法務省との委託の中身はいろいろな種類がありますが、すべてが法務省との委託契約に基づいて委託料として民事法務協会に入ってくる、支払い先はすべて法務省である、もっと具体的に言えば法務省民事局であると聞いてよろしいのですか。
房村政府参考人 出版その他の事業も行っておりますので、すべてが法務省からの委託費用ということではございませんが、主要な収入源が、今申し上げましたような登記所に関係する事務の委託等に伴う費用として支払われているということは言えると思います。
木島委員 出版とわずかな部分があるということですが、さっき、売り上げ二百六十三億九百万円と言いましたが、それでは法務省民事局から入ってくる金以外は幾らぐらいなんですか。
房村政府参考人 これで申しますと、乙号受託と開発事業部門を除くものとしてはコインコピー部門というのがございまして、これが二億一千六百万の利益を上げております。(木島委員「質問は、法務省の民事局から委託で入ってくる金以外の」と呼ぶ)
 ですから、直接的に乙号受託とか開発事業部門は多分法務省との契約に基づくものが大半だと思われますので、それ以外の部門での売上高ということになろうかと思うのですが、そういう趣旨で理解してよろしいわけでしょうか。
木島委員 要するに、出版なんというのは、恐らく法務省に売るわけじゃないでしょうから、自力で何か物をつくって売ることはあるでしょう。そうじゃなくて、それ以外はすべて法務省との契約に基づく売り上げであり、すべてが法務省から入ってきている、さっきそういう答弁でしたが、それで売り上げが二百六十三億九百万というのですから、法務省から入ってくる金以外はどのくらい占めているのかということを聞いているのですよ。
房村政府参考人 今のあれで申し上げますと、売上高が二百六十三億ぐらいありますが、そのうち法務省からのものが大半を占めていると思われます乙号受託と開発事業部門の売り上げを合わせますと二百五十二億になります。ですから、それ以外は出版その他もろもろの部門での収入ということになろうかと思っています。
木島委員 大臣、お聞きのとおりです。その基本を占めている例えば乙号受託部門の単価、私の聞いているところを言いますと、請負単価、謄抄本の手数料ですが、平成十三年、一枚三十円十六銭から二十九円九十六銭と切り下げられた。オペレーター庁の証明書等の請負単価も同じく四十五円十七銭から四十四円八十六銭に切り下げられた。協会の三十年の長い歴史の中でも、こういう事態は初めてですよ。話し合いで決めるなんというものじゃなくて、法務省民事局が決めて押しつけてくるものであることはもう間違いないのですよ。
 何でこれは切り下げたのでしょうか。
房村政府参考人 先ほど申し上げましたように、委託単価を積算する場合には、法務協会でかかる経費等も考慮して積算をしておりますが、この乙号受託事務を行うに至った経緯が、従来法務局において国の職員が行っていた事務を、事務の合理化、効率化の一環として外部に委託する、いわゆるアウトソーシングをするということで始まったものでございますので、その委託単価の積算に当たっては公務員の給与の動向も考慮する必要があるというぐあいに考えております。御承知のように、公務員の賞与等についての切り下げ等もございましたので、そういう点を配慮いたしましてこの委託単価については切り下げを行ったわけであります。
 また、ちなみに、民事法務協会の職員の給与についても、公務員の給与の動向を考慮して決められていると承知しております。
木島委員 そんなことをおっしゃっておりますが、今答弁にありましたように、本来、名前は最初はちょっと違ったようですが、民事法務協会が立ち上げられて、実質上、法務局の職員、国家公務員がやるべき仕事をやるようになったというのは、今答弁があったとおりであります。要するに国のやるべき仕事をやっているんですよ。
 この問題で、私は、平成三年九月十八日に当委員会で質問をいたしました。当時左藤恵法務大臣でございました。こういう答弁があります。
  私も、何局か出張所、そうしたところで今のお話の方々にもお会いしました。確かにこの謄抄本作成業務の一部委託ということは、厳しい定員事情の中で適正に登記事務を推進する、こういう方策の一つとしてとられた制度でありまして、本来法務局の職員がやらなければならない仕事ではございますけれども、そうしたことで、今事情もありましてやむを得ずこうしたことになっておりますが、非常に重要な仕事でもあり、この人たちの大きな力によって今の登記行政がともかく何とかしのいでおると申し上げていいのではないかと思いますので、こうした重要性にかんがみてそれに対する対策を考えなければならない、このように考えております。
左藤恵法務大臣がきちっと答弁しておるわけであります。
 この人たちが今現実にやっている仕事が、左藤大臣が答弁したように、非常に重要である、この人たちの大きな力によって今の登記行政がともかく何とかしのいでおるという認識に、森山法務大臣は今立ちますか。
森山国務大臣 左藤元法務大臣がおっしゃいましたとおりでございまして、この皆さん方の努力によって登記業務その他法務局の仕事が順調に進んでいるということで、高く評価しております。
木島委員 民事法務協会というのは、生まれも育ちも、全部法務省民事局によってつくられたもの、育てられたもの、そして基本収入もすべて法務省民事局の請負単価の押しつけによって決められる、理事長以下、理事のほとんどが法務省からの天下り、要するにそういうものなんですよ。
 ですから、この人たちの職務、将来に向けた雇用の維持。法務省の職員との賃金格差、退職金格差はまだまだ厳然としてあります。格差をつけるために皆さんはこんなものをつくったんですからね、三十年前に。厳然としてあって、平等な労働条件を求めて労働組合、労働者は闘っているわけでありますが、現実には全体黒字ですよ。この人たちの雇用をきちっと守るという責任が、挙げて法務大臣、法務省民事局長にあると思うのですが、森山法務大臣、どうでしょうか。
森山国務大臣 先ほど申し上げましたように、法務省の、特に民事局にかかわる仕事を民事法務協会の皆さんがやっていただいているということはおっしゃるとおりでございまして、ただ、その仕事の内容が、最近のさまざまな、IT化とかその他、経済情勢の変化等によりまして、設立当時とは大分変わってきていることも事実でございます。
 今までは、登記簿の謄抄本作成の委託はコピーの作業が中心であったと聞いておりますけれども、今コンピューター化されました登記所における登記事項の証明書の作成の委託などは、コンピューター操作だけではなくて、申請人との簡単な対応も含められていると聞いております。
 いずれにせよ、非常に重要な役割を果たしていただいているわけでございまして、将来的な委託業務のあり方につきましては、最近の新しい事態、電子政府の実現なども頭に置きながら、この民事法務協会の皆さんがしっかりと務めを果たしていただくことができるように、また、法務行政の効率化という観点からの検討も加えまして、慎重に考えていきたいというふうに思います。
木島委員 最後の質問にしますが、民事法務協会の理事者には、理事長を初めこの職員の皆さんの雇用や労働条件や将来展望について全く当事者能力はありません。何を聞いても、何を要求しても、また、この三百人の今回の希望退職だけは打ち出してきたんですが、それに対する論議をしても、全部法務省民事局に決められてしまっている、我々何にも決めることができない、そういう状況なんです。それは、先ほど来、私三十分かけて実態を質問しましたが、明らかですよ。
 ですから、今答弁ありましたが、これからも雇用問題は本当に大変な問題です。こんな状況で首切りを打ち出すということは許されないと私は思います。それを撤回してもらいたいと同時に、この職員の皆さんの雇用の問題、労働条件の問題、すべての生殺与奪の権を握っている法務省民事局、あるいは法務大臣、法務省当局が、少なくともこういう重要問題での労働組合との交渉、折衝の場にきちっと出て、話し合いをするということが最低限必要じゃないか。実質当事者能力を持っているのは法務省民事局なんですから、局長がそういう場に出て、まともに問題を労働者の皆さんと論議するということは当然だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
森山国務大臣 職員団体との交渉は協会内部の管理運営に係る事柄でございますので、当事者である労使双方でなされるものではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、法務省は、民事法務協会の指導監督官庁といたしまして、同協会の実情の把握に努めまして、引き続き適時適切な指導を行ってまいりたいと思います。
木島委員 いや、指導監督なんかではだめなんですよ。法務省は法律をつかさどっているわけであります。今、最高裁の判例でも、親会社、子会社との関係で、実質的当事者能力がない子会社の経営陣と子会社の労働者が交渉をやってもそれは解決にならぬということで、そういう場合には、実質上の使用者としての地位にある親会社が団交に応じなきゃならぬ、首切りもそういう面じゃ無効だ、そういう判決すらもう出ているんですよ、日本社会は。
 だから、率先して、まさにこの民事法務協会の労働者なんというのは、実際はもう法務省の民事局長が使っているようなものなんですから、監督するなんという態度じゃなくて、堂々と交渉の場に出て、民事法務協会の理事長と法務省の民事局長が一緒に当事者として出て、労働者の代表の皆さんと折衝して、将来どうあるべきか論じたらいいんじゃないですか。労働条件はどうあるべきか論じたらいいんじゃないですか。解雇理由があるのかないのか、希望退職、必要なのかないのか、徹底的にまともな論議したらいいんじゃないですか。何で陰に隠れて出てこようとしないんですか。
 最後にもう一声答弁を求めて、質問を終わります。
森山国務大臣 別に陰に隠れようと思っているわけではございませんが、労使交渉というのは、第一義的に労使のそれぞれの自主的な交渉ということが尊重されるべきだというふうに思いますので、法務省もその立場をわきまえまして監督させていただきたいと思っております。
木島委員 終わりますが、当事者能力が民事法務協会の幹部にはないんだということを重ねて厳しく指摘をして、法務当局におかれましては、その実態をしっかり真正面に見据えて事に当たっていただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。
園田委員長 植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 きょうは、裁判所速記官制度の充実強化ということで、最高裁の方を中心にお伺いするわけでございますが、死んだ子の年を数えるような話じゃないかと言われるかもしれませんが、改めて、私なりに問題提起もさせていただきたいと考えております。
 改めておさらいするまでもなく、速記官というのは、書記官とともに裁判官を補助する、いわば我が国の裁判制度を支える重要な専門職であるということは言うまでもなかろうと思います。
 一九五四年から全国の裁判所に速記官が配置されてきた。法廷速記は弁論主義を発揮するために欠くことのできない制度、そういう評価があったわけでございますし、日本の裁判制度の中で定着をしてきたということでございます。また、この間、さまざまな審理においても、速記による正確で客観的な記録というものが不可欠であることは言をまたないだろうと思うわけですが、九七年の二月以降、この速記官の新規養成を中止しておられるわけでございます。そのことで、結果的に、速記官ゼロの裁判所でありますとか、一人しかいない裁判所もあるようです。実際、ことしの八月の段階になれば、ゼロが十、一人のところが十というような状況もあるわけですけれども、速記官の現状というのは今どうなっていますでしょうか。
中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、平成九年二月に、最高裁判所の裁判官会議の議決を経まして、平成十年四月以降、速記官の新規養成を停止したところであります。
 本年四月二日現在の速記官の現在員は四百二十二名であり、また、速記官不配置庁、速記官がいません本庁は三庁、それから速記官が一人しか配置されていない本庁は五庁、支部は二庁でございます。
植田委員 現実に、そうした状況の中で、正確な裁判、迅速な裁判というものが危ぶまれる事態が出てこようかと私は思うわけで、それは後で聞きます。
 次の問いについては大体想定できる答弁もあるわけですがあえて聞きますが、裁判所法六十条の二の一項、「各裁判所に裁判所速記官を置く。」と定められているわけです。にもかかわらず今みたいな状態というのはけしからぬじゃないかと問えば、恐らくは、この条文は置くことができると言ってあるのであって、置いてなくてもかまへんのやということになるんだろうと思いますけれども、私みたいに法律のことを余りよく知らない素人からすれば、明らかにこの規定が守られていない現状というのは法を改正したに等しいんじゃないかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
中山最高裁判所長官代理者 既にお答えいただいたようなものかもしれませんけれども、裁判所法六十条の二第一項は、今御指摘のとおり、「各裁判所に裁判所速記官を置く。」と規定されております。
 裁判所といたしましては、この規定は、必要な部署、裁判所に裁判所速記官を置くことができることを明らかにした、いわゆる権限規定であるというふうに理解しているところでございます。
植田委員 そういう解釈ですから、ゼロのところがどんどんふえていく、一のところもどんどんふえていくわけですけれども、実際さまざまな問題が指摘されていることは御承知されていると思います。例えば、私の地元の奈良地裁も今一人ということで、実際、その結果、民事事件の証拠調べの期日等々において支障が生じたということも聞いているわけです。
 というのは、ことしの一月の二十三日に、奈良弁護士会会長及び常議員会議長名で、最高裁長官、大阪高裁長官、奈良地裁所長あてに「奈良地方裁判所に速記官を増員することを求める常議員会決議」ということで、「奈良地方裁判所に配置されている速記官を速やかに増員することを求めます。」という要請がなされております。
 ここで、私、気になるのは、こういうことが書いてあるわけです。全部読むと時間がかかりますが、「速記官一名体制が既に実施されてしまったいま、やはり、例えば民事事件の証拠調べ期日における支障が生じており、」と、まず支障が生じていると。あと「何よりも一名となった速記官においては過酷な労働条件を強いられています。」ということです。「すなわち、現在の速記官一人配置の奈良地方裁判所(本庁)においては速記官の交代は不可能であるため、民事事件の証拠調べにおいて休憩のため尋問が中断されたり、十分な尋問時間が確保出来ず期日が続行されることもあります。」という指摘があります。
 当然申し入れを受けられたわけでしょうから、こうした要請に対して、まずどんな対応をされましたか。
中山最高裁判所長官代理者 その要請に対してどういう対応をしたかという前に、まず、速記官の養成停止とともに、裁判所におきましては、逐語調書作成体制ということで、その方式として録音反訳方式を導入いたしました。現在、高裁本庁六庁、高裁支部四庁、地裁本庁四十六庁、地裁支部百九十六庁で円滑に運用されており、既に裁判所の逐語録のうち五四%はこの録音反訳体制で行っているところでございます。
 この録音反訳体制につきましては、これまで十万時間を超える利用実績もあり、増大する逐語調書に機動的に対応するための方策として裁判実務に定着しているというふうに考えておりますが、御指摘の奈良地裁におきましても、この録音反訳方式というものを導入しているところでございます。
 速記官が配置されていない庁あるいは一人庁において、尋問時間が一時間を超えるというようなものにつきましては、速記と録音反訳を併用するという方式、あるいは速記官については一時間程度の事件を担当してもらう、そういったようなやり方で全国的には適切に証拠調べが行われてきており、そういう意味で、支障が生じているという認識ではございません。
 したがって、そういった奈良の弁護士会に対しましても同様の回答をしているところでございます。
植田委員 録音反訳の話は後で聞くわけですから、質問にお答えいただければ結構でございますから。私は、どう対応されたのかと。
 恐らく、そこの説明の中で、録音反訳がこうして円滑に運用されているんですよということを対応として申し上げているんだということでおっしゃったんだろうと思いますが、ではお伺いしますが、そもそもその録音反訳の精度的な問題を指摘する声もあることは承知されていると思います。それは後で聞きますからいいですが、ここで奈良弁護士会が言っている、要するにこの要請に書かれてあることは、少なくとも事実には当たらないというふうにお考えなわけですよね。
 とすると、もう一度聞きます。
 録音反訳のことは今お伺いしましたが、速記官の交代はまず不可能だ、これはまあ物理的に事実ですよね。そして、民事事件の証拠調べにおいて休憩のため尋問が中断されるような事実があるのかどうか。「十分な尋問時間が確保出来ず」、ここはひょっとしたら弁護士会の主観かもしれません。ただ、期日が続行されることもある、これは主観ではないでしょう。期日が続行されることもあるというふうに指摘されているわけです。
 ここでとりあえず二つのことが指摘されているわけですが、こうしたことがあっても、例えば証拠調べにおいて休憩のため尋問が中断されようが、十分な尋問時間が確保できぬと期日が続行されることがあっても、正確、迅速な裁判を続けていく、遂行していく上で、何ら支障がないとお考えなのか。それとも、こうして指摘されている事実は奈良弁護士会さんの主観であって、そうした事実はない、要するに、期日が続行されたり尋問が中断されたりする事実はないというふうに御見解をお持ちなのか、それはいかがでしょう。
 少なくとも、要請に対して答える以上、ここで書かれていることの事実認識については共通した理解を持たなければなりませんよね。どうですか。
中山最高裁判所長官代理者 中断しているという事実はあると思っております。
 それから、その関係で期日が延びたかどうかというところまでは、はっきりその辺の因果関係はわかりません。
植田委員 そうなると、今、録音反訳もやっていて円滑に遂行していますよというふうに奈良弁護士会に説明をもしなさったとする。恐らくお立場としては、それは九七年から中止していて、そういうことにどんどん切りかえていく、それはまあそちらのお立場でしょう。それは、奈良弁護士会に対して、最高裁としてみずからの立場と姿勢、そして、そこが主観なのか客観的なのかはともかくとしても、録音反訳でうまいこといっていますねんやということを説明しているだけであって、ここで弁護士会さんが言っておられる、根拠とされている事実関係についてはお答えになっていないことになるわけです。
 今二つ申し上げました。尋問が中断されたりすることはあるだろう、あると。ただ、期日が続行されているかどうかということは把握されていないと。少なくとも、ここで指摘された二つのことについて事実関係を正確に把握されないまま、録音反訳をやっているから結構ですよとおっしゃったというのは、極めて不誠実なお答えじゃないですか。
 しかも、先ほど私が伺ったのは、こうした今言っていることが仮に事実であれば、私は、正確、迅速な裁判の遂行において支障を来しているという一つの証左だろうと思うわけです。そうですよね。もしそうだとしたら、事実を確認すべきでしょう。確認する必要がないとお考えなのであれば、この二つ、例えば尋問が中断されようが、尋問時間確保できへんで期日が続行されていても、そのことが正確、迅速な裁判の遂行に何ら問題はないというお立場に立つのか。どっちなんですか。
中山最高裁判所長官代理者 一人庁の裁判所におきましては、今お答えいたしましたように、速記官と録音反訳というものの併用できちんと運用されている庁も多いわけでございます。
 ただ、そういったときに、速記官の気持ちといたしまして、その併用方式というものについて非常に抵抗感を持たれる方もいらっしゃいます。奈良の場合には、そちら側の、やはり抵抗感を持たれているというところがまずおありかなというふうに思います。そこに配慮した上でのいわば奈良地裁のやり方というものを現庁でとられているんだろうと思います。
 ただし、私どもの方といたしましては、それは本来、併用方式ということをやることによって、何もそういった尋問時間を途中で切る、中断するというようなやり方をする必要はないわけでございますから、そういった運用で十分解決できる話であるということを御回答したわけでございます。
 ただ、今後、奈良地裁の方でその運用を徹底していくかどうかということにつきましては、奈良の速記官の理解も十分得ていきながらやらなければいけない問題だというふうに考えているわけであります。
植田委員 今のお話というのは、むしろ弁護士会に対して、要するに、奈良地裁の実際の現場に対して円滑に今の制度的枠組みの中でやらせるように努力しますからというふうに御回答されたということですか。
中山最高裁判所長官代理者 なかなか微妙な回答をしなければいけないことになろうかと思いますけれども、そう受けとめていただいて結構でございます。
植田委員 とすると、少なくともこの要請書を受けて、最高裁としては、もちろん恐らく平行線になると思う、弁護士さんの会のお立場としては基本的なところ速記官ふやせという要求ですからね、その要求には、悪いけれども御要望にはお答えしかねまっせという話だろうと思います。それはもうわかって聞いているわけで、ただ、この要請に対してどれだけ誠実に対応したかどうかということを今問題にしているわけです。
 とすると、こうした指摘については、指摘があるということを受けとめ、そして少なくとも、現行の枠内ではしっかりとやらせるようにしますよ、そやから御勘弁をという話なわけですね。そう受けとめていただいて結構だということなんですね。
 とすると、実態として、要は、正確、迅速な裁判の遂行にとって一方から不信を抱かれるような実態があるということは受けとめざるを得なかったということで理解していいんでしょうか。
中山最高裁判所長官代理者 そういった形でのイエス・オア・ノーという形になると、なかなかこれは難しいところがございますが、先ほどそう受けとめていただいて結構ですということを言いました。しかしこれは、事は法廷での証人尋問に対してどういうような体制をとっていくかということでございますから、基本的には裁判官の訴訟指揮の問題であります。
 したがって、こういったようなことが奈良弁護士会の方から問題点として指摘されている、最高裁としては、そのあたり、併用方式等を使うことによってそういった問題は解消できるということは考えている、そういうことを奈良地裁の方にお伝えはしているわけでございます。
 しかしながら、奈良地裁の方では、職員団体対応とか職員個人の気持ちの問題、そういったところもありますので、そのあたりでどう対応していくかということを今後決することになっていくだろうと思うわけでございます。
植田委員 こればかりで時間をとるつもりはないんですけれども、現実に、この奈良弁護士会でも、速記官においては過酷な労働条件を強いられているという、むしろそうした地裁における職場実態についてもおもんぱかりながらの要求だろうと私は思っているわけなんですよ。だから、頭数は限られているわけですから、無理無理言うたところでやれることにはほぼ限界があるだろうと思うんだけれども、大丈夫なんですというのが最高裁の御見解なんでしょうから、そこは何遍やっても平行線ですから、少なくとも、今のような問題提起、引き続き出てくるかもしれません、そのことを十分理解しておいてください。また私、お伺いする機会あるかと思います。
 そこで、先ほどから録音反訳の話が出てきているんですが、その前に、司法制度改革の推進本部の方で一問だけちょっとお伺いしたいわけです。
 この間、裁判所の速記官制度について、改めて充実していただきたいであるとか、廃止はすべきではないではないかというふうな、相次いでそうした意見が現場から出ているということは事実でございますし、少なくとも効率や迅速に名をかりた拙速が横行するようなことはあってはならない。そういう意味で、私自身、裁判における客観的な正確な記録というのは重要である限りにおいて、それが専門職の法廷速記によって担保されると今でも考えているわけですが、速記官も書記官初め裁判所職員とともに司法制度を支える重要な専門職であることは確かでございます。
 そこで、この審議会で裁判所の人的体制について真剣な議論が行われているだろうと思いますが、速記官のことはもう決まったことやさかいに、それは除外して議論しようということになっているのか、さまざまな司法制度改革の中でも、改めて速記官の充実強化という国民的要請もあるわけでございますが、そういう声というものはこれからの議論の中で反映されるのか、念頭に置かれるのか。最初から、もう九七年に中止しておるのでそれは頭の外に置いて議論すべきだと考えておられるのか、その辺はどうなんでしょうか。
山崎政府参考人 私どもの司法制度改革審議会意見、あるいはそれを実行するべく閣議決定されました司法制度改革推進計画でございますけれども、これはいずれも、裁判所書記官等の裁判所職員の適正な増加を含む司法を支える人的基盤の充実を図るということが必要である、こういうことで、少し表現の違う言い方もしているわけでございますけれども、いずれの箇所におきましても、裁判所書記官等の裁判所職員という形で表現をされております。これは、裁判所職員全体について適正な増加が図られるべきことということをうたっているわけでございまして、審議会意見あるいは推進計画におきましては、速記官については具体的に言及していないという理解でございます。速記官の人的体制のあり方については、最高裁判所において対応されていくということで考えております。
植田委員 言及していないということは、要するに論議の対象の外にあるんですか。
山崎政府参考人 裁判所の全体の人員の増強に関しては私どもの論議の対象でございますけれども、その中で、どこをどのぐらいふやしてどこをどれだけ例えば調整してとか、そういう内容的なものについては、私どもの範疇には入っていないというふうに理解をしております。
植田委員 全体とおっしゃいましたから、その全体の中には速記官も入るんでしょう。何も私は、速記官について個別具体的に議論しているのか、私は議論すべきだと思っていますけれども、そんなことをします、しないということを聞いていないですよ。全体の中には速記官も入るんでしょう。全体の中で速記官だけ外した全体というのが今の答弁なんですか。
山崎政府参考人 確かに、おっしゃるとおり、論理的には入ります。ただ、全体を私どもの方で検討するということでございまして、内部でどういう部門を増強しとか、そういうところまでは私どもは踏み込まないということでございます。
植田委員 論理的には入るんですから、そういうふうにおっしゃっていただければいいわけですよ。どこまで検討するかどうかというのは、それはあるでしょうけれども、論理的には入るということは、議論していく中で、速記官の話についても頭の隅には入って議論せざるを得ないということですわね。それだけ除外して議論はできませんわね。もう一遍、ちょっとしつこいようですけれども、聞いておきます。
山崎政府参考人 それだけを除外してやるということはございません。
植田委員 そう言っていただければいいんです。
 そこでちょっと、最後、時間の残りが少しずつなくなってきているんですが、録音反訳の話、先ほども御説明の中で最高裁の方からいただいたんですが、私も不案内なんですけれども、何か最近、電子速記「はやとくん」なんていう、えらいかわいらしい名前の機械、速記反訳システムというソフトが開発されているようです。「「はやとくん」をご存じですか?」なんていうチラシもあるんですけれども、名前の由来までは私承知しませんけれども、これも、名古屋の元速記官の方がこういうシステムソフトを開発されて、聴覚障害者等々の訴訟、裁判参加にも役立っているというふうなことが結構書いてあるんです。
 実際、テープで法廷のやりとりを反訳するというのは難しいでというのは、実際その反訳を請け負っている業者の方からも出ているらしいんですよね。というのは、事件の内容が、記録もないからわからへんわけですし、裁判の専門用語もいっぱいあるわけです。そうなるとやはり、立ち会いメモぐらいはもらえるらしいんですけれども、ほとんどそんなの役に立ちまへんのやという話も聞いています。それで、不明な箇所を書記官に問い合わせたら、不明は空白にしておいてくださいよというような調子でやっているそうです。
 そういう意味で、書記官からも、テープの反訳について疑問の声というものを私幾つか聞いています。テープによる録音反訳でしたら、当然のことながら反訳者は法廷に立ち会ってへんわけですから、やはり不正確な文書をつくってくることが間々あるそうです。私も速記のことはよくわからへんのですが、見ましたら全然意味の違う文書が出てくるらしいですね。
 そうなると、今度はその校正のために書記官がえらい時間を費やすことになると。これは二度手間なんですね。そうなると、書記官さんだって本来の仕事に支障を来すことになるんじゃないか。いや、そんなことはありませんと言いたいんでしょうが、そういう指摘があるという事実については御承知されていると思うんですが、そういう現場からの録音反訳の精度的な問題を指摘する声を踏まえたときに、この「はやとくん」、こうしたものを実際速記官が自主的に、六割以上が自費で購入して使ってはるらしいんですよ、だったら、こういうのを併用しながらやれば十分対応できるんじゃないでしょうか。この「はやとくん」の使用というのはお認めになっているんでしょうか、みんな使ってはるらしいですけれども。その点、いかがですやろか。
中山最高裁判所長官代理者 まず、録音反訳方式について種々問題点が指摘されているという御質問でありますけれども、録音反訳方式を利用するに当たりましては、反訳者に対して聞き取りやすい録音を提供するために、特別な録音システムというものを法廷に設けまして明瞭な録音の確保に努めているほか、今御指摘ありましたように、反訳を依頼するためには、証拠調べに立ち会っている書記官が、立ち会いメモ、これは必要に応じて書証とかあるいは準備書面の写しも添付いたしますが、それを作成し、録音テープとともに反訳者に送付して、反訳書の作成に必要な事件情報を提供しているところでございます。
 また、この録音反訳方式によって作成された調書はあくまでも書記官の調書でございますので、書記官が必ずそれを自分の責任において考証するということからも、その内容を見ることは当然必要でございます。そのあたりのところは、職員団体の方からも、この録音反訳方式を導入する際に、書記官による検証というものを必ず守ってくれ、入れてくれ、こういうふうにも強く言われているところであり、最高裁としてもそれを当然のこととして受けとめてやっているところでございます。
 現実問題として、録音反訳方式でするとそういった正確性が問題になって控訴審等で破られている事象があるかどうかというようなことを見ますると、そういうものはございません。したがって、精度としては非常に良好に推移しているというふうに考えているところであります。
 次に、「はやとくん」のことでございますが、これは聴覚障害者の裁判参加に役立っているというようなお話でございますが、この聴覚障害者の方々の裁判参加がどういう場面を想定されているかということによってもこれは大分違うことになります。例えば証人として聴覚障害者の方が来られた場合に、それを「はやとくん」のシステムを使ってディスプレーを見せるということ自体、これは実は通訳ということになるわけでありまして、それは速記官の本来の速記の職務とは別物ということになるわけであります。したがって、そういうものを利用するに当たっても、訴訟法上、そのあたりをどう正確性を担保していくか、だれがそれを見ながらやっていくのか、そういった問題もあるわけでございます。
 ただ、「はやとくん」は利用するといたしましても、これも前々からこの法務委員会で御説明申し上げておりますけれども、もともと速記官の制度というものは、昭和三十七年に労働科学研究所というところに最高裁の方から依頼して、どのくらい打鍵ができるかどうかということを調べたことがございました。その結果、週二時間、月八時間ないし十時間しかできないということでありました。そういうようなところを踏まえ、「はやとくん」を使用したときにこういった八時間ないし十時間というものが飛躍的に伸びていくのかどうか、そういったような問題ももちろんあるわけでございますが、その辺については、職員団体あるいは速記官の内部において一致した考えはない、むしろ考え方は相当異なっている、そういう状況にあろうかと思っておりますので、「はやとくん」を入れることによって一遍にいろいろな問題が解決するということにはならないというふうに考えております。
植田委員 いや、私、後でそれを聞こうと思っていたんですが、まず、実際に六割以上の方が使っておられて、それで、なおかつそうした「はやとくん」の使用について、実際それを導入することが正確な、迅速な裁判につながるかどうかは、それは議論の余地はあるんでしょう、いろいろな見解があるんでしょう。現実問題としてみんな使ってはるということは、とりあえずその使用を黙認なさっているんですか。お使いになる分には結構ですよということで、特に、いいの悪いの、けしからぬのけしからなくないのということは、別に見解としてお持ちじゃないということでいいわけですね。
中山最高裁判所長官代理者 たしか五八%の速記官の方々から、「はやとくん」を使いたいという、そういったものが当局の方に出されておりまして、それは許可されているということで承知しております。
植田委員 要するに、六割近く希望して許可されているということは、非常に使い勝手がよくて業務の遂行に資するものだということは、当然その点については認知をされているということですよね。そんな、まずかったらあかんと言えばいい話でしょう。
 まあ、一応聞いておきましょう。
中山最高裁判所長官代理者 最高裁判所として「はやとくん」の有用性をどうこうということではございませんで、本人がそれを使いたい、それが速記、要するに記録を残すという意味で別に支障にはならないということから許可しているものでございます。
植田委員 ちょっと時間がありませんからこの辺で終えますけれども、何ぼやってもこれは、もう冒頭申し上げましたように、死んだ子供の年を数える話なのかもしれません。九七年、そういうことでして、だから、今さら速記官の方が今の録音反訳システムよりも優位性を持っているというやりとりを始めたら、延々続くだろうと思います。
 ただし、私の立場からすれば、少なくとも今申し上げましたような幾つかの問題、現場で起こっている問題というものを踏まえるのであれば、法廷に立ち会う速記官等がやはりコンピューター等を使ったり、その中で新しい任務というものが考えられたりすればいいじゃないか、外注じゃなくて。そして、そういう意味では、速記官の養成というものを改めて再開して、そしてその中で対処していくということに合理性があるだろうし、少なくとも、現状において録音反訳自体が円滑に進んでおること、イコール正確、迅速な裁判が今まで以上に進んでおるということの証拠に、理由にはならないだろうなと私は思っています。
 時間がないからもう終わりますけれども、この点、また機会を見てお伺いすることもあろうかと思います。できるだけ平行線にならないところで私も質問を組み立てたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。
園田委員長 次回は、来る十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十七分散会


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