衆議院

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第6号 平成14年11月12日(火曜日)

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平成十四年十一月十二日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長代理理事 佐藤 剛男君
   理事 塩崎 恭久君 理事 園田 博之君
   理事 棚橋 泰文君 理事 加藤 公一君
   理事 山花 郁夫君 理事 漆原 良夫君
   理事 石原健太郎君
      太田 誠一君    左藤  章君
      笹川  堯君    下村 博文君
      砂田 圭佑君    中野  清君
      西川 京子君    馳   浩君
      平沢 勝栄君    松島みどり君
      松浪 健太君    保岡 興治君
      柳本 卓治君    山口 泰明君
      吉川 貴盛君    吉田 幸弘君
      吉野 正芳君    鎌田さゆり君
      仙谷 由人君    日野 市朗君
      平岡 秀夫君    水島 広子君
      山内  功君    石井 啓一君
      藤井 裕久君    木島日出夫君
      中林よし子君    植田 至紀君
      徳田 虎雄君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   法務大臣政務官      中野  清君
   最高裁判所事務総局人事局
   長            山崎 敏充君
   政府参考人
   (内閣審議官
    兼司法制度改革推進本
    部事務局長)      山崎  潮君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制
   部長)          寺田 逸郎君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   勝 栄二郎君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            工藤 智規君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十二日
 辞任         補欠選任
  下村 博文君     砂田 圭佑君
  中川 昭一君     吉田 幸弘君
  保利 耕輔君     馳   浩君
  柳本 卓治君     松浪 健太君
  横内 正明君     山口 泰明君
  吉野 正芳君     西川 京子君
  不破 哲三君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  砂田 圭佑君     下村 博文君
  西川 京子君     吉野 正芳君
  馳   浩君     保利 耕輔君
  松浪 健太君     柳本 卓治君
  山口 泰明君     横内 正明君
  吉田 幸弘君     中川 昭一君
  中林よし子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
十一月十二日
 会社更生法案(内閣提出第五七号)
 会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案(内閣提出第二号)
 司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――
佐藤(剛)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長が所用のため、その指名を受けましたので、私が委員長の職務を行います。よろしくお願いいたします。
 内閣提出、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案及び司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、財務省主計局次長勝栄二郎君及び文部科学省高等教育局長工藤智規君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤(剛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
佐藤(剛)委員長代理 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局山崎人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤(剛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
佐藤(剛)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木島日出夫君。
木島委員 法科大学院の創設を中核とする今回の二法案に関して、二回目ですから、立ち入った、具体的な制度設計やその運用についてお聞きをしたいと思います。
 まず、法科大学院についてですが、審議会の意見書は、法科大学院の公平性、開放性、多様性の確保に努めるべきとしております。私は、今度の制度改正が行われますと、法律家を目指す者はやはり法科大学院に殺到するということになるのではなかろうかと思います。そうしますと、今は司法試験を突破することが最大の難関であり問題でありますが、これが機能し始めますと、法科大学院へ入ること、その突破が最大の問題になり、難関になるのかなと思います。そうしますと、法科大学院の選抜のあり方というのが非常に重要になると思います。これからその問題について立ち入ってお聞きします。
 まず、法科大学院の設計ですが、司法制度改革推進本部にお聞きすることになると思いますが、法科大学院のコースが二つに分かれる、いわゆる法学未修者の三年コースと法学既修者の二年コース、二つのルートになるわけであります。
 そこで、最初にですが、この法学未修者の三年コースに法科大学院入学試験に合格して法科大学院に入った者は、法学既修者、二年コースに合格して入学した人と入り口から出口まで画然と区分けされたような二つの法科大学院の学習コースになるんでしょうか。それとも、法学未修者で三年コースで入学した人は、最初の一年間だけは徹底した法律の勉強をして、そして法学既修者と同じような学力を身につけさせて、三年コースの二年目からは法学既修者で入学した二年コースの人たちと一緒になって、合体して残る二年間を法科大学院で過ごす、そういうプログラムになるんでしょうか。あるいは、そういういろいろなやり方をそれぞれの法科大学院の自主性に任せてしまうんでしょうか。その辺の基本的な制度設計ですね。どう考えているのか。これは、司法制度改革推進本部、あるいは文部科学省の方にもお答え願えたらいいかと思います。
工藤政府参考人 今のお尋ねでございますけれども、司法制度改革審議会の最終意見、それからそれを受けました中央教育審議会の答申におきまして、法科大学院は、きっちりした教育を行うために、その標準修業年限は三年ということになってございます。
 今お話しのように、三年の修業年限の中で二年コースと三年コースが初めにあるということではございませんで、法学既修者、一定の三年間で学ぶべきカリキュラムの中で三十単位以下について、既に学んでいるあるいはその知識がある者について、三十単位の修了を免除する仕組みになってございます。その免除をするに伴って、修業年限も一年以下の短縮を行おうということでございます。
 したがって、既修者、非既修者が一緒に入学試験を受けまして入りまして、その後の授業につきましては、大学の制度設計によりますけれども、基本的には、トータル三年分のうち一年以下の分を既修者については免除しますので、その方は授業に出ない科目もある、御一緒の科目もあるということが全体のイメージでございます。
 実際は、それぞれの法科大学院で、教室あるいは科目の設定によって既修者、未修者御一緒の授業もあれば、先に進んで学んでいただくような別クラスの編制をすることもあれば、いろいろかと思いますけれども、少なくとも、コースとして初めからカリキュラムは別々にあるということではないのでございます。
山崎政府参考人 ただいま文部科学省の方から答弁がございましたけれども、私も同じでございまして、基本的に、ルートが全く別、そういうイメージではございませんで、基本的な科目何十単位かを省略することができるということでございまして、大学院のそれぞれの工夫によって、一緒にやる場面あるいは別々にやる場面、進行が若干違いますので、それはいろいろ組み合わせでできるというふうに考えております。
木島委員 法学既修者については三十単位が免除される、だから、三年でなくて、一年短縮して二年でいいんだというわけですね。
 そうしますと、法学未修者については、全く大学の法学部卒でない者、法学部の教育を全く受けたことのない者、言ってみれば、工学部を卒業した者、医学部を卒業した者、そういう者が法学未修者として法科大学院の入学試験に合格して入ってくるということが想定されますね。そうすると、そういう者はわずか一年で、法科大学院でいえば三十単位に相当する単位を取るんでしょうけれども、わずか一年で法律を全然勉強したことのない者が法学の基礎知識を習得できるんでしょうか。私、そこが一番心配なところなんです。
 今の法学部は四年です。最初の一年は教養なんで、恐らく、憲法、民法、刑法から始まる本格的な法学の基礎教育を受けるのは二年目かもしれませんが、少なくとも三年はみっちりと今の法学部で法律を勉強する仕組みになっているわけですね。わずか一年でそういう人たちと対等、平等のところまで法律的学力が高まるんでしょうか。その辺、大丈夫なんでしょうか。
工藤政府参考人 最初に先生の方から御指摘ありましたように、今回の法科大学院の制度設計は、多様な法曹人を確保したいということでございまして、そのために、別に法学部を出る出ないにかかわらず、三年間みっちり教育をすることによって、そこで法律のイロハのイ、全く法律を学んだことがない方も、三年間みっちりやることによって新司法試験が受けられるようなレベルまでに教育しようという制度設計でございます。
 ただ、先生御懸念のように、法学部で四年間やっている者とゼロの者とどうなんだという御疑問は確かにあろうかと思いますが、法学部のこれまでの教育というのは、必ずしも、司法試験といいましょうか法曹養成に特化したものではない教育の中で、いろいろな科目が大学によりあるいは学生の選択により行われているわけでございますけれども、それは法科大学院のカリキュラムと重なる部分がかなりあろうかと思います。それにしても、法科大学院では、新たにゼロベースの方々と御一緒のカリキュラムを組んで、その中で三十単位以下の分は免除するけれども、あとは新しいスキームでのカリキュラムを学んでいただく。これによって、従来型の大講義での講義だけではなくて、双方向、多方向での少人数のみっちりした中身の濃い授業をして、その素質を磨いていこうではないかということなのでございます。
 法学的な素養のある方、ほかの分野のバックグラウンドをお持ちの方も含めて、共通の土俵の中で三年間みっちりした教育を行おうというのが基本の制度設計でございます。
木島委員 しかし、民法とか商法とか民事訴訟法というのは、その基本的な素養を身につけるだけでも大変なことなんですよ。たしか、今法学部では民法だけで二年はみっちり教育されるんじゃないでしょうか。総則、それから物権法、債権法、親族法、相続法。商法だってそうですよ。商行為法、会社法。民訴法なんというのはもっと手続としては細かいわけですね。刑事法でもそうだと思うんです。ちょっと心配だ。これは、基礎的な知識がなければケースメソッドなどもついていけないわけですからね。大変ではないかという危惧を持っているという指摘だけはして、次に移りたいと思うんです。
 法科大学院の合否判定の基準、要素についてでありますが、法律学の学識ではなく、法科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、表現力等の資質を試す、このように指摘をされております。特に、法学未修者の場合は法律知識は問わないというわけですから、これが一つの法科大学院の入学の基準、合否判定の基準になると思うんですが、よくわからないんですね。どういうことなんでしょうか。適性試験をやるという言葉が使われているんですが、その適性というのはどういうことなんでしょうか。まずその概念について説明いただきたいと思うんです。
工藤政府参考人 多様な経歴あるいは履修歴をお持ちの方々にぜひ参画といいますか入学していただきたいということで、新しい法科大学院ではすべての受験生に対して適性試験を行いましょうと。今御指摘のように、その適性試験の中身は、法律学についての知識ではなくて、法科大学院における履修の前提として要求される基礎的な能力、判断力とか思考力とか分析力等々でございますが、それを試すような試験問題にしようということでございます。これは、アメリカのLSATなどを参考にして、そういう取り組みにしようということなのでございますが、まだ日本では未経験の部分でございます。
 そのため、関係の方々が今試行を行ってございまして、実際にどういう形の実施主体、それから内容になりますかというのは、これからまだ時間がある中で関係者で御準備いただくことになりますけれども、少なくとも複数の団体で、そういう問題作成から全国的な試行試験まで、今月末、来月初めも含めまして予定しているところでございますので、その推移を見ながら、私どもも必要な支援を行ってまいりたいと思っております。
木島委員 どうもイメージがわいてこないんですよね。
 こちらの方の選抜の基準は、例えば医学部をたまたま出て法科大学院に入りたいと思う者、理工系を出た者、経済学を学んだ者、文学を学んだ者、いろいろな者が入ってくるわけですね。そうすると、その分野では四年間かなりみっちり大学教育を受けて、かなり立派な能力が身についた者、しかし法律知識は全然ない、そういう者に対しても共通の試験をやるわけでしょう。適性試験というわけですよね。
 そうしますと、そういう医学部を卒業してきた者、経済学部を卒業してきた者、医学や経済学についてはピカ一だというような者はプラスアルファで評価されるんでしょうか。そういうのは全部捨象されて、本当に抽象的な言葉しか出てこないんですが、法科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、表現力ですが、それだけで見るんでしょうか。果たしてそういうのは見られるんでしょうかね。
 というのは、私は、法科大学院に非常に大勢の、大学のそれぞれの学部を卒業した人たちが殺到してくるような状況になったときに、それぞれ違う分野の勉強をしてきた者を同じレベルで選抜できるのかな、そこがちょっと疑問がぬぐえないんですが、そこをもっと明快に答弁してください。
佐藤(剛)委員長代理 イメージがわくように、わかりやすく説明してください。
工藤政府参考人 各大学といいますか、法科大学院の入学試験は、二段階というか二つの要素がございます。
 一つは、今申し上げました、いろいろなバックグラウンドを持った方々かかわりなく、物の見方、考え方といいますか、適性試験という形で全員共通に行っていただこうと。もう一つは、それぞれの大学ごとに個別の入学試験があるわけでございますけれども、そこにおいては、単なる筆記試験だけではなくて、従来の、既に学んだ医学部、経済学部等も含めた学業成績がどうであって学修歴がどうであったか、あるいは社会的な経験がどうであったかということなどを、例えば小論文でございますとか面接などを組み合わせまして、そういう多様な方々を迎え入れる試験を御用意するということを含めまして、二段階の選抜をしてそれぞれの法科大学院で入学者を決定するということが予定されているものでございます。
木島委員 では、最後に、この問題では一点だけ裏から聞きましょう。
 その基準がかなり透明性があって適正なものでないと、逆に公平性が疑われてしまうような状況が生まれやしないかということを心配しているわけです。
 要するに、審議会意見書にもたしかあるようですが、他大学卒業者にもきっちり入ってもらう、あるいは他学部卒業者にもきっちり入ってもらう。もう一つ、年齢が高くなった人、それは社会的経験が豊富なんですから、そういう人にも安心して法科大学院に入ってもらう、そういうことが必要だと私は思うんですが、非常に抽象的で恣意性が入りやすい、判断力、思考力、分析力、表現力等の入学選考のやり方ですと、公平性がそういう面で保たれるのかな。どういう点でそれを担保するのか。
 もっと率直に言います。
 東大法科大学院ができたとします。そうすると、同じ大学の中の経済学部を卒業したような者を結局優先して自分の大学の法科大学院には合格させてしまうようなことになる心配はないのか。そういう点での差別ですね。逆差別をなくし、公平性をどのように担保するのか。その辺の配慮は、考えているとすればどんな点を考えているのか。
工藤政府参考人 今回の法科大学院は、まさに法曹養成の中核を担う、しかも、それに当たっては、審議会答申などにありますように、多様な方々にしっかり充実した教育を行っていただく必要がございます。
 そのために、今の入学者選抜のあり方につきましても、基本的には大学の入学者選抜、合格決定というのはそれぞれの大学が自律的にお決めになることではございますけれども、こういう多様性の確保等につきましては、法科大学院の設置基準でそういう旨を規定し、かつ、事後的に第三者評価の仕組みを今回整えさせていただこうとしてございますので、第三者評価を通じまして、ちょっと今回の法科大学院の理念にもとるようなことがありますと御注意申し上げながら、それぞれの大学のしっかりした立ち上げをフォローしていく仕組みとなっているところでございます。
木島委員 それでは次に、法科大学院の教授陣の配置についてお聞きしておきます。
 今、設立準備中の関係者が最も苦労しているところが、その教授陣の確保の問題だと思います。先日の参考人の意見を聞いておりましても、とても現体制では無理だというような意見も開陳をされました。
 そこでお聞きしますが、法学部教授と今度つくられようとしている法科大学院の教授とは兼任を認めることになると思うんですが、これによって研究の質の低下などは大丈夫なんでしょうか。
 それから、あわせて裁判所にも聞いておきますが、実務家教員の確保に大変苦労しております。特に地方では裁判官、検察官が少ないです。退職された裁判官、検察官の数も少ないです。特に地方ではこれらの確保についてどう協力をするのか。現職裁判官、検察官と実務家教員との兼務を認めるのか。そうしますと、裁判官、検察官の定数を思い切ってふやさないと、とてもでないけれども持ちこたえられないと思うんですが、その辺の考え、基本的なところをお聞かせください。
工藤政府参考人 今回の法科大学院は、従来の法学部がそのまま衣がえしてということではないわけでございます。理論と実務の架橋を意識した制度設計になってございますので、従来、学究の場にあった大学の関係者がそのまま全部担当するというのもいかがなものかということで、仮に兼任するにいたしましても、当面三分の一以内ということにしてございます。しかも、従来、実務経験のない大学人の方々につきましては、法務省、最高裁等々の御協力も賜りまして、実務研修の機会を得ながら、実務的なノウハウを身につけて学生に教えていただく必要があると思っております。
 他方で、これは大学院でございますので、全く実務だけを行うわけでございませんで、大学として学問の研究というのは大事な側面でございます。そのために、目的規定にもございますように、法科大学院の担当の教員もやはり研さんを積んでいただく必要があるのは当然のことでございます。
 なお、実務家教員の確保につきましては、最高裁等の方から御答弁あるかと思いますけれども、これも関係各機関が御協力しながら、実務家教員の確保、そのための支援について今検討しているところでございます。
山崎最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、プロセスとしての法曹教育の中核をなします法科大学院の教育内容が充実したものになるように、教材づくりですとか、あるいは実務教育に関するノウハウの提供、今お話ございましたOB、現役を含めた実務家教員の確保等々、さまざまな点で積極的に協力していきたいというぐあいに考えております。
 ただ、具体的な協力のあり方ということになりますと、先般、法曹三者と法科大学院側が協議する場が設置されておりますので、こうした場を活用しながら関係機関と連携をとりつつ検討してまいりたいと思います。
 今お話ございました裁判官の派遣の問題でございますけれども、現時点では、設置されます法科大学院の数ですとか、あるいは実務家教員に求められる具体的な教育内容、あるいは派遣の条件等、はっきりしないところがございまして、具体的にどれぐらいということは申し上げられないと思いますが、私どもとしては、裁判官の経験なり能力等に照らして実務家教員にふさわしい裁判官、これをできるだけ確保するように努力してまいりたいというぐあいに考えております。
木島委員 それでは次に、法科大学院の修了認定の問題についてお聞きします。学生からいうと卒業試験の問題であります。
 修了者は、新しい司法試験の受験資格という大変大きな資格を付与されるわけであります。公的性格を持つようになるわけです。特に、法科大学院修了者が司法試験合格者の中核となるということになると思うのですから、非常に大事です。
 そこでお伺いしますが、修了者の修了認定、これを個々の法科大学院に個別的に任せてしまうのか、それとも、そういう非常に公的な性格を持った修了ですから、全国共通の判定制度などをつくるのか。どういう方向なのか、絵柄を示してください。
工藤政府参考人 大学、大学院の入学者の決定それから卒業の認定というのは、努めて大学御自身がお決めになることでございます。
 ただ、今回の法科大学院につきましては、その修了者に新司法試験の受験資格が付与されるということがございまして、そのため、司法制度改革審議会におきましても、それから、それを受けての中央教育審議会の答申におきましても、厳格な成績評価、それから厳格な修了認定を行うべきことが提言されてございます。
 そのために、私どもとしましては、今回の制度改正法案が通りました後に法科大学院の設置基準を定める必要がございますが、その設置基準の中で、それぞれの大学でのそういう厳格な教育の遂行、それから修了の認定を行うべき旨を定め、かつ、先ほど申しましたように第三者評価の仕組みがあわせて講じられることになってございますので、事後的には第三者評価を通じまして、若干手ぬるいといいましょうか、趣旨にもとる運用をしている大学などがございましたら、事後的にさらにチェックしていくということを考えているところでございます。
木島委員 非常にこれは微妙な問題を含むのですが、現在の司法試験の合格者の出身大学を見ますと、一部の大学に本当に偏っていますね。これは、今の司法試験が、大学法学部卒業即合格ではなくて、再三問題になっておりますような予備校に何年も通うとか、いろいろな要素がありますから、それだけで決してそれぞれの大学の法学部の水準が比較されるべきものではないと思うのですが、これから各地に法科大学院がつくられる、そして修了を認定されて卒業する、そして共通の新司法試験の受験資格が与えられる。大体何割ぐらいが合格するか、大問題なんですが、そこで余りのアンバランスが出てくる、特定の法科大学院に新司法試験の合格者が偏るようになってきますと、それぞれの法科大学院の修了認定、卒業試験の厳しさがちょっとアンバランスではないかというような意見も出てくるおそれもあるわけですから、そういう点を秘めた問題だということだけ指摘しておきまして、次に移ります。
 新しい司法試験のあり方です。
 基本問題を聞きます。現行司法試験は非常に重い、一点突破ですからそういうものですが、新しい司法試験は軽いものにせよという指摘があります。基本的な考え方をお聞かせください。
山崎政府参考人 ただいまの点は、易しいものにするかどうか(木島委員「軽いもの」と呼ぶ)軽いものですか。軽いもの、そういうイメージはちょっとなかなかつかみにくいんですが、基本的な理念は、法科大学院できちっとした教育を行います、そこの教育の中身、これのでき上がりの姿をチェックするというような司法試験にするということでございます。そういう意味で、軽いというイメージというよりも、きちっと教育を受けてきちっとした勉強をしていれば基本的には手に負えないというような試験ではない、こういうことになります。
木島委員 先日の参考人の意見の中にはおもしろい意見もありました。今度の法案によりますと、新司法試験のあり方ですが、現行司法試験から口述試験を取り除いた程度ではないか、これは逆ではないかという指摘なんですね。みっちりと二年、三年の法科大学院の教育を受ければ基本的にはもう法曹になれる。ですから、そういう意味で、その間に介在する司法試験は軽くていいんでないかと。ところが、今回の法案を見ると、現行試験から口述試験を除いただけだ、むしろ逆ではないか、短答式試験なんか外して、一部の論文と口述でいいんじゃないかというような、そういう御意見もあるんですが、こんな御意見に対してはどんな基本的スタンスですか。
山崎政府参考人 私は、やはり法律家になる以上、基本的なところは一応理解をしておいてほしいというふうに思います。その短答式を極めて難しいものにするかどうか、これは私は個人的には反対でございます。平易なものでも、問題の出し方によっては差がつくはずでございます。それからまた、論文式の関係も、これは構成力、記述力、そういうところを見ても、平易な問題でも差がついてくるということでございますので、先ほど軽いものかどうかということがございましたけれども、個人的にはそこは余り難しくすべきではないというふうに考えております。
 口述式試験をやるかやらないかということでございますけれども、この問題につきましては、法科大学院で双方向的な教育をみっちりやるということを前提にして、そこの修了認定を受けているということから、そちらの方は基本的にやらないで、それで済ませるということでございますけれども、短答式の基本的な知識と、それから論文式の応用力、これは基本的にテストをすべきではないかというふうに考えております。
木島委員 それから、新司法試験法の試験内容について大きく変わるところがある。現行司法試験は、もうこれは戦後五十年間、憲法、民法、刑法なんですね。論文も、憲法、民法、刑法、民訴法、刑訴法、商法という形です。今回の法案を見ると、憲法ということから、公法系というふうに言葉が変わっています。憲法・公法ですか。憲法の位置づけが非常に低くなってしまうんじゃないかということを懸念するわけであります。
 やはり、新しい法律家になるには、国家の基本法である憲法をしっかり学ぶ、特に法律家に基本的に必要な人権感覚をしっかり身につけるという点では憲法と行政法を同列に置いたんじゃいかぬので、やはり現行制度のように憲法ということで一つきっちり試験科目に入れるというのが大事じゃないかなと思うんですが、どうなんですか。
山崎政府参考人 これは、憲法及び行政法に関するその分野の科目と言っているわけでございまして、決して憲法の比重が低くなるということを言っているわけではございませんで、例えば、憲法の範疇の問題をつくる場合には、いろいろそれを応用していくと行政と密接に関連するものも当然あるわけでございます。そういうものについて今までは出せなかったわけでございます。憲法なら憲法の範疇ということに限られていたわけですけれども、それが憲法と密接に関連する行政、これをあわせたような関係で出してもいいということになるわけでございますので、より柔軟性を持ち、より幅広い理解力を確かめられるというふうに私は考えておりまして、別に比重が下がったということではございません。
木島委員 時間の関係もありますから、次々に質問を変えていきたいと思うんですが、新司法試験の全体日程についてお伺いします。それと、司法試験、予備試験のあり方にかかわるので質問します。
 現在の司法試験は五月から始まって十一月まで一年かけてやっているわけでありますが、これはどうされるんでしょうか。もっと短期間に集中して実施するような設計を描いているんでしょうか。それとの関係で、司法試験、予備試験というものをどう位置づけるんでしょうか。司法試験が行われる年度の、時期的には前の段階でセットするんでしょうか。そして、予備試験合格者はその年度の司法試験を受けられるようにするんでしょうか。そういう制度設計をお聞かせください。
山崎政府参考人 まず予備試験でございますけれども、これは本試験を受ける資格になるわけでございますから、本試験が始まる前に当然その予備試験を行うという形になります。現在、一次試験がございますけれども、時期的なイメージは大体それにダブるということでございます。
 それから、司法試験の本試験でございますけれども、これにつきましては、大体今のところのめど、今短答式を五月に行っておりますけれども、その付近で短答式と論文式の試験を同時に実施をするというふうに考えております。
 それで、最後の合否の判定を踏まえまして、研修所へ入所する時期が、その年のうちには入所を可能にするように今制度設計を考えているところでございます。その間でかなり時間の短縮が行われているということでございます。
木島委員 では次に、大きな問題である司法修習制度がどう変わるかについてお聞きします。最高裁にお聞きしますが、どう設計しているんでしょうか。
山崎最高裁判所長官代理者 新しい司法修習につきましては、司法制度改革審議会の意見におきまして、「修習生の増加に実効的に対応するとともに、法科大学院での教育内容をも踏まえ、実務修習を中核として位置付けつつ、修習内容を適切に工夫して実施すべきである」とされておりまして、こうした意見を受けまして、これまで、司法制度改革推進本部の法曹養成検討会において議論がされておりますし、法曹三者の間でも意見交換を行いながら多角的に検討を進めてまいったところでございます。
 こうした議論、検討を踏まえまして、新しい司法修習の基本的な考え方あるいは構想というものでございますが、司法修習におきましては、生の事件に直接接し、事実に立脚した実践的な臨床教育を施す、これが眼目であろうかと思いますけれども、そういうことが必要であることを前提にいたしまして、言ってみれば法的紛争の解決あるいは予防のための基本的な技法あるいは素養といったもの、私どもはスキルとマインドという言い方をしておりますけれども、そういったものを身につけさせるということに焦点を絞り込んだ教育を行うことを考えております。
 具体的な内容ということになりますと、これは法科大学院での教育内容を十分に吟味しながら今後さらに詰めていく問題だろうと考えておりますが、実践的な臨床教育ともいうべき実務修習、これが中核になりまして、これに体系的で汎用性のある教育であります集合修習を有機的に連携させまして、全体として体系的で実践的な実務教育を行うということを考えておりまして、これによりまして、期間が一年ということになりますけれども、十分に質の高い司法修習が実施できるだろうと考えているところでございます。
    〔佐藤(剛)委員長代理退席、園田委員長代理着席〕
木島委員 現行司法修習の基本理念である、裁判官になりたい者、なろうとする者、検察官になりたい、なろうとする者、弁護士になりたい者、なろうとする者、それを三者統一して養成しているというこの根幹はきちっと新しい司法修習でも維持するんですか。
山崎最高裁判所長官代理者 私は、先ほど申し上げました基本的なスキルとマインドという趣旨は、国民の求める法律家というのは、やはり法律専門家としての共通するものがあるだろう、そういう技法、技術、知識あるいは基本的な考え方を備えるということ、これが一番大事ではないかという考え方に立っております。
 つまり、弁護士も検察官も裁判官も、問題の事実関係を整理し、法的に分析し、一定の法的結論を得るという作業を行うという点では共通しておるわけでございまして、そういう点で基本的なスキルあるいは論理的思考力や法的素養といったマインドを教育するということを考えているわけでございます。
木島委員 先ほど集合修習、要するに三千人規模の全員を一堂に集めた研修所での修習と実務ですね、裁判所、検察庁、弁護士会、それのバランスで、もう具体的に聞きますよ。一年以上というんですが、現行一年半です。我々の時代は二年でした。一年に圧縮されたら大変なんですが、もうちょっと、集合修習を何カ月、裁判修習を何カ月と、具体的に今の構想をお聞かせください。
山崎最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたとおり、具体的な内容はこれからさらに詰めなきゃいけないと思いますが、現時点で、今御質問の一年間の内訳ということでそのイメージを申し上げますと、私どもは、中核となります実務修習が十カ月、これと有機的に連携する集合修習を二カ月実施するというようなイメージを抱いておるところでございます。
木島委員 時間ですから終わりますが、最後に一点、法務大臣に。
 司法修習に関する給費制の見直しという言葉が審議会意見書に入り込んでいるんです。今、廃止代替案を法曹養成検討会で始めているようでありますが、私は、修習生に対する給費制が廃止されたらとんでもないことになると。今、再三問題になっておりますように、法学部四年、そして法科大学院に三年かかるのに物すごい金がかかる、そして、修習生になった者に対してやはり国からの給費がなくなったら、それこそ大変なことですね。国家の大事な支えとなる法律家を養成する仕組みですから、給費制は断固として守り抜くということが必要だと思うんですが、法務大臣の決意を伺って、終わります。
森山国務大臣 給費制のあり方につきましては、今おっしゃいましたとおり、検討が行われているところでございます。大変大事な部分でございますので、皆さんのお知恵を拝借しながら具体的に慎重に検討していきたいと思っております。
木島委員 終わります。
園田委員長代理 植田至紀君。
植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 きょうは、最後になりますので、落ち穂拾い的に幾つかお伺いをしたいわけですけれども、私が、前回と最初の質疑、また連合審査等で提案者の側に明らかにしてほしかったというのは、大まかに言えば二点だったんですね。
 というのは、当然改革審の意見書の中でもこの法科大学院の構想については触れられておるわけですけれども、現状の法学部、また法学研究科じゃだめで、法科大学院でなければだめなんだ、これからの法曹人を養成をするためにはという、その法科大学院の必然性についてもう一度おさらいをしたいという点と、では、実際それをこしらえるとして、そこにおける教育内容、とりわけ、それだけの法曹人を養成する教育内容にたえ得るそこでの指導体制、教育体制というものがどうなんだという点について、大きくはその二点が私の個人的には疑問点だったわけですが、いろいろなお話を聞いていても、どうもその辺が、当然私のつむりが貧素なのかもしれませんが、そのことは自覚しつつもよくわからないということはあるわけです。
 というのは、先日の参考人の質疑を伺っておりまして、私は一点だけ聞いたわけです。要は、現状の法学部及び大学院で意見書が描くところの新たな法曹人を養成するのはもはや無理なんですかと言ったら、例えば日弁連さんが持ってこられた教育内容の一つの考え方ですね、こうした教育内容を法科大学院でやろう、こういうものは現行の法学部や大学院では無理だというふうにおっしゃるんだけれども、他の、奥島総長を含めて大学の先生方、一人を除けば、多くは、大学については恐らく無理だろうと言うんですけれども、では法学研究科について改善する余地はあるのかないのかというのは明快な御答弁が参考人の方々からも得られなかったし、またその一方で、現実に今いる法学部の教授陣、そういう人たちが新たな法科大学院ができれば当然ながらそこの教授陣、指導者として十分それだけの力量と能力は備えているんだというふうにもおっしゃる。
 現状の法学部の法学研究科及び学部の教授なり助教授なり大学の先生が、法科大学院をこしらえても当然ながらそこでも指導教官としての任務を十分発揮できる力量を備えている教授陣をたくさん擁しながら、法学部と法学研究科が改革できないというのは、私はさっぱりわからへんわけなんですよね、どう考えても。
 いや、体制がないという意味において法科大学院というスキームを新たにつくらないかぬということであればすとんと落ちるんだけれども、法科大学院ができた暁には、大学の法学部の研究者も実務研修を受けていただければすぐに間に合う講師陣ですよと。そんなに簡単に講師陣が調達できるんであれば、大学の体制というものをもう一回見直せば法科大学院という新たなものを創設しなくてもできたんじゃないのかなと、私も後で頭がぐるぐる回っているんですが、恐らくその疑問は最後まで氷解しないだろうというふうに思いますんで、今の冒頭の点はひとり言として聞いておいていただければ結構です。
 そこで、司法試験と法科大学院のカリキュラムの関係について。
 巷間言われますように、ロースクールができたとしても、受験予備校でやっていることと同じようになっては無意味だ、公的な受験予備校になっては無意味だということですけれども、実際新たな司法試験が現在のものと余り変わらへんようであれば、テクニックで合格してしまうような内容になってはこれは当然意味がないわけですけれども、かかる目的に合致した法曹をつくるというには、少なくとも思考過程や思考能力、人間関係の調整能力、こうしたことに重点を置いた新司法試験における設問、課題を設定しなきゃならないんだろうなと思うんです。この辺、繰り返しの部分もあるかもしれへんけれども、新司法試験の具体的な試験内容についてのビジョンというものをお聞かせいただけますか。
    〔園田委員長代理退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
山崎政府参考人 新しい法曹養成制度におきます司法試験のイメージでございますけれども、これは法的な理念として、法科大学院における教育と司法試験と連携のもとに行うということでございますので、基本的には、法科大学院できちっと教えられたその内容、それをチェックする試験であるという位置づけになろうかと思います。
 もう少し個々に申し上げますと、例えば論文式試験でございますけれども、これにつきましては、個々の法律ごとの出題というだけではなくて、その関連する実体法と例えば手続法、この関連する問題を融合させて出題をするとか、そういうふうに幅広く問題を出せるようにする。このことは、法科大学院の中でもそういう融合した教育が行われていくということでございまして、実社会で起こる事件を実体面、手続面から総合的にとらえていく、こういう教育をする、それのでき上がりの姿をテストするということでございます。
 したがいまして、個々の科目で試験をするのではなくて、公法系、例えば憲法と行政法とか、民事系が民法、商法、民事訴訟法、刑事系が刑法、刑事訴訟法、こういうものを融合した科目でその問題をつくっていく、こういうことでございます。問題も、社会で起こるようないろいろな事象、長いものを読ませて、その中からいろいろ論述をしていくというような、そういうイメージで考えているわけでございます。
植田委員 要は、法科大学院における、いわばそこで学んだ教育内容が新司法試験の中身を規定づけるということですよね、ありていに言えば。要するに、法科大学院でちゃんと勉強しておったかどうかというのを新司法試験でチェックしますよということですよね。そうなると、また戻るようですけれども、法科大学院での教育内容というのが問われるわけです。
 だから、私がようわからへんのは、少人数でやりますとか双方向的なことをしますとかおっしゃるんだけれども、きょうび、別にそんなロースクールであろうがなかろうが、小学校の受験の学習塾でも少人数なんというのはごく自然なものなんですよね。少人数でやりますとか双方向でやりますとか、それは何も法律の専門家を目指さなくても、そこらの中学校や高校受験の塾だってそれぐらいの売りはあるはずであって、まさか、大教室に詰め込んでマスプロ教育をやる法科大学院、我が大学院へようこそなんという、そんな宣伝をするところなんかあり得へんわけです。だから、そんなものは言わずもがなの話だろう。少なくとも、要求されている法曹人像から規定される法科大学院の教育内容というものが果たしてたえ得るものなのかどうなのかということがすべて問われるんじゃないんでしょうか。
 そこで、ちょっと話が横道にそれますけれども、実際に法学部でそれでも四年勉強してきはった人が法科大学院に入りますという場合は、一応ある程度の学んできた蓄積があるかと思うんですけれども、ずっとこの間のやりとりを聞いていてようわからへんのは、例えば理工系であろうが文学部であろうが、そういうところで学んできた人たちも三割ぐらいロースクールにおるのが望ましい、二割でもいいようだけれども三割ぐらいおった方が望ましいといいます。
 例えば、ある法科大学院で百五十人の定員があったとします。そのうちの二、三十人はそういう他学部生だといいますけれども、実際、それだけの高度な教育内容を仮に持つのであるとするならば、そもそも、入り口の段階でたえ得るかたえ得ないかということを判定した場合、ほとんどはねられるんじゃないのかな。
 例えば、私なんか余り勉強していませんけれども、日本史専攻ですから法律学なんか何もやっていません、はっきり言って。やったといえば大宝律令ぐらいですよね。大宝律令を勉強していたって、法科大学院ではたえ得ませんわね。だから、ほんまに入れるのか。
 では、入れるような教育内容なんです、そして、そういう人たちにたえ得るような教育内容を一方で持ちながら、しかも、司法試験の中身まで規定づけるような高度な教育内容を一方で保持するという、その辺のところの具体的イメージが私はさっぱりわかないんですけれども、ちょっと抽象的になりましたけれども、教えていただけませんでしょうか。
山崎政府参考人 確かに、大学の学部でどういう学部を専攻されても、最終的にはそれは問わないという形になっておりますけれども、例えば、ある一つのものに対してきちっとした研究ができていれば、やはりある事象を見たときに、どういうところから切り口で深く入っていくかとか、そういうような分析力、あるいは、分析した後それを統合していく力、こういうものはそれぞれの分野でつくはずでございます。そういうものをある問題を出してテストをしていく、そういうことでございまして、法律的な知識を問うということではございません。
 物事を論理的に考え、分析し、それをまとめ上げていく、こういうような力を見れば、法律というのは常識、それを成文化しているわけでございますので、そういう論理的思考ができれば、それを知ればおのずとその応用力もついていくということでございますし、また、その中でも特訓をするということ、そういうイメージで考えているわけでございます。
植田委員 おのずとついてくると言われれば、ちゃんと勉強すればそうした思考能力というのは身につくんでしょう。
 ただ、ある種実務的な能力というものを法科大学院で訓練する、その前提としての思考能力とおっしゃるわけですけれども、例えば歴史学で、当然我々は基本的に、どういうスタンス、どういう立場の歴史学であろうが、実証性というのが問われるわけですよね。徹底した史料批判を繰り返しながら事実にどう迫るか。事実に迫るということでかなりの研究というのが進むわけですが、事実を明らかにしたところで初めて、そこでその事実というものを歴史の発展過程の中でどう位置づけるか、そういう話は史学の中であるわけです。よくよく考えてみると、これも土台還元論に陥りがちなところがありまして、やはり史学は実証性がなければならない。
 そういうところで、確かにいまだに私も、こういう質疑に立っていて、ちょこっと勉強したことがたまに参考になるなということはないわけではないですが、そうした思考能力を身につけるに当たって、大学でそれぞれの勉強をやってきたらいい、それはそれで一つありますが、私が心配なのは、先日の連合審査でも、そうした思考能力を身につける法教育を義務教育段階からきっちりしておかないことにはまずかろう、やはり法意識と法教育、その辺のところはやっておかなあかんでしょうと言ったときに、いや、それは全くもってそのとおりですがと言うけれども、実際、緒につく以前の段階でまだとどまっているわけですよね。
 だから、要するに、あまねく学校教育等を含めたところでそうした前提条件というものが背景になければ、法科大学院という立派な器をつくっても、結局砂上の楼閣になりかねない。
 だから、理屈はそうですよ。例えば、大学のどんなところで学んでいてもそうした応用力が身につきます、それは数学をやっていても、文学をやっていてもあれだと。でも、私は、古今和歌集の勉強をずっとやってきて、それで卒論を書いた人が、たまさか法科大学院に行きたいというようなことというのは余りないだろうとは思いますけれども、どうもそれは非常に定式化されたお話だと思うんです。
 いずれにしても、私が申し上げたいのは、法科大学院の教育内容が要するにすべてを規定づけちゃうということなんでしょう。もちろん予備試験の中身を規定するのは当たり前ですよ。司法試験の中身も規定づけちゃうということになれば、法科大学院でやったことが、すべてやはりこれが理想とするところの法曹人と直接的に結びつき合うわけですよね。要するに法科大学院での教育内容がすべてを規定づける、そこに全部やはり問題が収れんされる。
 だから、そこがやはり一番根底に、今回一番大きな課題になっているんですよということは当然認識されているわけですね。にもかかわらず、必ずしもその辺のところがつまびらかでない。
 なおしかも、教育内容もさることながら、教育内容はいろいろな御相談もされているんでしょうから、断片的には想像つきます、では、それにたえ得る教員がどうなるんですか。やはり、真っ先に言わはるのは、さっきの質疑でも、大学の先生に実務研修を受けてもらってやってもらいますということでしょう。そうなってしまうと、法科大学院の講師を手っ取り早く調達しようと思ったら、受験予備校の人気講師をスカウトしてきて法科大学院の先生に仕立てれば一番手っ取り早いということになっちゃいますわね。そういうこともあり得ますよね。それなら、実態はともかくとしても、はたで見ていれば、ああ、受験予備校の先生が行かはる法科大学院だから、これも公的な受験予備校だなというふうに社会的には印象を受けるだろうと私は思いますよ。
 だから、そもそもそうした、新たな法曹人というあの課題設定から法科大学院が結びつく、そこは理解したとしても、では、法科大学院での教育内容、そこでの教育内容にたえ得るスキルの開発、教育をする、指導をする技術の開発ということについては、今の段になっても、いろいろこれから相談していきます以外で、何かそれ以上、教授陣に実務研修を受けさせます、それでやってもらいますという以外に、もっとぱっと言えることはありますか。あれば、思いつくところ、何でも言ってください。
佐藤(剛)委員長代理 では、ぱっと言ってください。
工藤政府参考人 法科大学院のカリキュラムは、それぞれの大学でいろいろ工夫されることなんでございますけれども、イメージとして、六法全書も含めて、極端に言えばあらゆる法律のあらゆる条文をこつこつ全部教える、そういう教育を予定しているのではないのでございますね。法律で、公法系とか民事系とかいろいろなカテゴリーがございますけれども、そこの基本的な部分はもちろんいろいろな条文を覚えてもらわなきゃいけませんが、やはりそれぞれのカテゴリーを貫く理念とか、法の倫理でございますとか、そういう法曹人としてスタートラインにつくに当たって必要な素養を大学院でみっちりやっていただきましょうということなのでございます。
 そのために、従来の法学部でももちろん一部はそういう教育はやっているのでございますが、必ずしも法曹養成に特化していないといううらみがございました。それは大学の先生の意識もそうでございますし、学生の進学動向、卒業後の進路状況もそうでございました。それで、今回の新しい法科大学院を担う教員の方々、大学人の方々、それから実務界からおいでになる方々、それぞれ持ち味が違うわけですが、それぞれ足らざる部分もあるわけでございますので、それは相補的に補っていただく必要がある。
 その一環として、先ほど研修なども検討されているということを申し上げましたけれども、そのほかに、現在法曹三者と大学関係者がいろいろな意味で連携協力を始めてございまして、その一つとして、新法科大学院における教材あるいは授業のマニュアルを作成していこうじゃないかという検討にも着手しているところと承知しているわけでございまして、単なる理論上の、講学上の法学教育を大学院レベルでレベルアップして行うということじゃなくて、理論とまさに実務に裏打ちされた実際的な教育の中身になりますように、教材、方法も開発しなきゃいけない、それから、授業のやり方も従来の延長線上じゃないやり方でマニュアルをつくらなきゃいけない、そういう問題意識を皆さんが共有しているところなのでございます。
植田委員 それ以上のことが言えないというのがね。
 だから、私は学習指導要領をこしらえろとは言いませんが、結局その程度のぼやっとした抽象的な教育内容で実際法曹人として育っていく、言ってみれば、法科大学院でみっちりやって司法試験にもぱっと合格していくというようなところは、ありていに言えば、今のままの法科大学院のこの法案の質疑の中で聞く限りにおいては、一々固有名詞は挙げませんけれども、有力とされる大学にこしらえられた法科大学院がいわば超エリートロースクールとして幾つか生き残る、あとは、地域に根差した法科大学院もつくらないかぬということで頑張ってはるような地域もあるようですけれども、結局そういうところは、そもそもでは法科大学院の中でどんなことをやろうかということを思い悩みながら淘汰されていっちゃうような気が非常にしてなりません。
 そうなってくると、逆に言うたら、幅広い見識や人権感覚を持った法曹人、別に有力大学の人やからあかんとは言いませんけれども、多様な法曹人ということからすると、むしろ今まで以上に狭められてしまうんじゃないかなというのが、やはり今のお話を伺っていると疑問をぬぐい去ることができないわけです。
 そればかりで時間をとれませんので次に進みたいんです。
 今、法学部を持っているかなりの大学が、大体法科大学院をこしらえますというて、とりあえずは手を挙げているということでございまして、司法試験に余り通らへん私の母校も何か百人から百五十人規模の法科大学院を考えているようでございまして、できれば御成功することを願うんですが、要は、今の少子化の中で大学がそれぞれ大学経営を、生き残り策をかけて、とりわけ私立はやっているわけですね。結局一つの大学生き残り策のツールとしての法科大学院ということで、私が大学の経営者であれば当然そういうふうなところからも考えますわね。
 だって、これから実際法学部があって法科大学院のない私立大学ということになったら、やはりちょっとあかんのかなと、やはり法科大学院もそろっているようなところの方がええの違うかなと、普通だれかて受験生は思いますから、やはりどこの大学だって法科大学院を併設していきたいと思うでしょう。しかも、そうした中で法科大学院は当然高い授業料も入るわけですし、支援も補助もあるわけですから、設置して、それがうまく運営していければ、うまく経営が成り立てば、大学にとっては大きな魅力だろうと思うわけですが、まず一つは、実際設置が認可された大学、それに対する私学助成等はどの程度文科省さんとしては見積もっておられるんでしょうか。現段階で大体どれぐらいと。こういう場合だったらこれぐらいだろうとか、これぐらい認可されればこれぐらいだろうとか、設置される大学院の規模等々から勘案して幾つかのシミュレーションはあるだろうと思うので、教えていただけますか。
工藤政府参考人 財政支援のあり方につきましては、今回の御提案をされております法律の上でも国の責務の一つとして位置づけられているわけでございますが、具体的にどういう形の支援が必要であるか、いろいろ多面的、多元的であろうかと思っております。
 今御指摘ありましたように、大学そのものに対する御援助もありましょうし、学生への支援もありましょうし、それから実務家等の教員確保の上での御支援などもございましょうし、多面的だと思いますが、御指摘の私学助成のお話につきましては、実際には、平成十六年四月の発足を考えますと、来年夏の概算要求でどういうスキームで要求をまとめていくかというのがあるわけでございます。
 現在のところ、どれぐらいの初年度の設置がなされるか、準備中はいろいろございますけれども、やはり来年ふたをあけてみないとわからない部分がございます。私ども、私学助成、従来の仕組みそのままの中で対応できるのか、新たな仕組みを考えなきゃいけないのか、今後各大学の動向を見ながら検討してまいりたいと思ってございます。今のところ、特にシミュレーションしているデータがあるわけではございません。
植田委員 とすれば、実際設置を考えている各大学が、前も週刊誌か何かに出ていましたけれども、百人規模とか百五十人規模とか二百人規模とかありますわね。大体そうした大学側の費用がどれぐらいかかるかとか、規模によって違うと思うけれども、もう立たなくて結構ですが、その辺も、大体大学側がこれぐらいかかるだろうなというようなことも別に試算はされていないということでいいわけですね。
 実際、これは財政的に見ても、大学の経営実態から見ても、とりあえず手を挙げただけの法科大学院もあるやろうとは思いますが、ここのところは、その辺のところはこれから考えますということですから、それ以上は問いません。
 時間がありませんので、ささっとあと幾つかお伺いしたいんですが、あと簡単なことを二点ばかり、この司法試験法等改正案で教えていただきたいんですが、現行の司法試験管理委員会と司法試験委員会の違いについて。
 というのは、現行の司法試験管理委員会が三条委員会になっているわけですが、今回の新たな司法試験委員会は法務省のもとに置くということだけの規定になっているんですが、その趣旨と、もう一つ、この委員会の弁護士委員の任命について、現行法の十三条では弁護士委員は日弁連の推薦に基づいて任命とあるんですが、改正案ではそれを外しているということです。ということになると、日弁連の意向を抜きにして、時の法務大臣がみずからのリーダーシップで、この弁護士さんを私は指名したいということも法律上は可能なんですねということもちょっと確認させてください。
 以上二点、簡単なことですのでお願いします。
山崎政府参考人 まず、司法試験委員会でございますが、従来の管理委員会を司法試験委員会と改めるわけでございます。
 これにつきましては、法科大学院における教育と司法試験との有機的連携、これを確保するという観点から、委員会の委員の構成、これにつきまして、法曹三者以外にも学識経験者を入れて広く御意見を聞くという形をとりたいと思います。それと、所掌事務、これも見直すということで、今までのような試験の管理ということだけではなくて、試験の実施に関する重要事項について調査審議をいたしまして、これを大臣に意見具申をする、いわば審議会の機能を持たせようということでございます。そういう性質に最も見合ったものは何かということになりますと、国家行政組織法の八条の委員会ということで位置づけをしたわけでございます。それが一点でございます。
 それから、選任の関係でございますけれども、選任の関係につきましては、この委員会の委員はそれぞれ所属する省庁の、機関等の利益代表という立場ではなくて、実務法曹の一員あるいは学識経験者として参加をするということでございまして、弁護士としての委員についても、その所属する弁護士会あるいは日本弁護士連合会等の利益を代表するのではなくて、実務法曹の一員として参加するという位置づけから、その趣旨を明らかにするために、この推薦という点を削除をしたということでございます。
 実際上、確かに大臣がお決めになれるということでございますけれども、事実上いろいろ意見を聞いたりというのは、それは当然いいわけでございますので、そこは常識的に判断がされるということでございます。
植田委員 あと、予備試験にかかわって何点か伺いたいんですが、ここで言う予備試験の法律実務基礎科目というのが「法律に関する実務の基礎的素養(実務の経験により修得されるものを含む)」ということなんですが、これを素直にさらりと受けとめれば、またこの間の議論等からすれば、端的に言ったら企業法務部での経験、そういうことを指しているというふうに理解できなくはないんですが、そういう理解でどうなんでしょうか。
山崎政府参考人 この点については、いわば実務的能力、これをテストするということになるわけでございますけれども、この点は別に企業法務に限るわけではございませんで、企業法務以外の法律に関する実務経験、こういうところからも得られるわけでございまして、企業法務の経験があるというその事実自体をもって特に有利に扱うとかそういう趣旨ではございません。別に、企業法務以外でも、実社会の中でいろいろな法的な経験をすることは当然できるわけでございます。そういう広い意味でございます。
植田委員 とはいっても、そもそも何で予備試験というルートができたのかということにかんがみたときに、やはり素朴に、法科大学院に行かれへんような経済的理由等、そういう方々が法曹に行く道というのを閉ざしてはならないというところからこの種の予備試験の話が始まっているだろうと思うんです。そういうふうにおっしゃいますけれども、こうした法律に関する実務の基礎的素養、実務の経験により修得されるような素養というのは、それはどんなところでも身につけられるといえば身につけられるかもしれませんが、法務部で給料をもらってやっている人に比べりゃ一般の学生というのはハンディをしょうことになりますね、一般で受けようとしている人は。
 そうなってしまうと、実際、法科大学院に行きたいけれども行けません、だから、しんどいけれども予備試験を一生懸命勉強して受けて法曹界を目指すというよりは、結局、企業法務部の社員がロースクールに行く手間を省いて短期に法曹資格が取れるようになる、結果的にそういうことになってしまわないか。その可能性は否定できないと思います。
 そうなっちゃうと、多様性の確保という点からするとどうもひっかかりがあるわけですけれども、その点は杞憂に終わるんでしょうか、どうでしょうか。
山崎政府参考人 私は杞憂だというふうに思っております。
 そういう企業法務だけを特に有利にというシステムにはなっておりませんで、それ以外の基礎的な問題、こういうところも総合的に問うわけでございますので、そういう点から、私どもとしてはそれは杞憂であるというふうに考えております。
植田委員 総合的にやっているから杞憂ですと断言されましたので、杞憂に終わることを私も心ひそかに希望しておりますが、あと、学部の学生が、今だって受験予備校はあるわけですけれども、法学部に行きながら、また法学部に行きたかったけれどもほかの学部に行きながら受験予備校に通って、法科大学院を受けるための受験予備校だって恐らくできてくるだろうし、もう一つ、これは金のかかる話で、学費をどっちにしたって二重払いせぬといかぬわけですが、大学に通いながら予備試験をとりあえず受けようということで、やはり予備試験を受けるための予備校だってあるでしょうから、法学部の学生が、とりあえずまず腕試しに予備試験に挑戦しよう、予備試験に滑っちゃったら、しゃあないな、法科大学院に行こうかというようなことになりませんでしょうかね。そういうことも出てきますよね。
山崎政府参考人 予備校自体、試験がある以上、私は絶無にはならないという理解をしております。
 ただ、この法科大学院は、試験に受かるというだけを目的にしているわけではございませんで、将来、自分がプロになったときに、どういう幅のある人間性をつかめるか、あるいは専門性を身につけることができるかというところまで徹底して教育をするわけでございます。そういう意味では、受験生が自分の将来を考えたときに、ではどっちに行くかということで、まず将来設計はすべてを見て判断をしていくだろう、最近の受験生はかなり自分の将来ということをよく考えていると思いますので、私は逆ではないかというふうに思っております。
 ただ、御指摘の点、予備校がでは絶対に消えるかといったら、私はそれは消えないだろうというふうに思っております。
植田委員 でも恐らく出てきまっせ。実際に法科大学院に行っておったら、そのうち年とるわけですわ。若いうちにやはりもうみずから仕事につきたい、早く法曹界に自分は出たいと思っていれば、大学四年間で、一応大学の単位も取りながらも予備試験を目指そうということで、それなりに意識的に勉強して、そして予備試験の方を、だれだって受けられるわけですから、そして、それであかなんだら法科大学院に行きましょうか、そういうことになってしまったら、そもそもの制度設計に反すれば、これは別にあかんとは言えませんけれども、そういうことになってしまったら、一体、法科大学院て何なのということになっちゃいますわ。ほんまに頭の切れる人やったら、最初からそういうことだって考えるんじゃないでしょうかね。
 そういうことを先日も実は聞いたら、いや、そんなに予備試験は簡単ではありません、法科大学院でみっちりやった中身に対応するような試験の中身だから、受験勉強していて通るようなものじゃありませんとおっしゃるんだけれども、それだったら法科大学院における教育内容はどうなっているんですかということが今度つまびらかでないとどうもひっかかるということで、時間がありませんので、その辺でやめておきますが、実際に起こってくるでしょうし、そういう形で法科大学院を活用されちゃったりすると本来の趣旨とは違ってくるとは思います。
 最後、二点ばかり聞きたいんです。
 一つは、隣接職種との関係で、この間、司法書士の簡裁代理権とか税理士の補佐人等々、特許訴訟等々、一方でそういう法改正をやりながら、弁護士を一方でふやす、法曹人口をふやすということになれば、結局、将来的に弁護士の方々がそういう隣接法律専門職種の領域まで吸収しちゃう可能性もあるだろう。
 というのは、恐らくはこれからの期待される法曹人、例えば弁護士は、そうした隣接の職種についても精通しているということが実際上やはり望まれるわけですから、その辺のところが最終的に隣接法律専門職種も弁護士が吸収してしまうことになってしまわないかということと、これも杞憂なんですが、実は司法書士法改正で、簡裁代理権にかかわりまして特別研修の受講がなされるわけですが、この特別研修の受講枠が、希望者が一万人いるにもかかわらず枠が三千人。東京や大阪でも第一回目の受講枠というのは二百四十人程度だというふうに聞いているんですけれども、これだったら、せっかく簡裁代理権を与えても、そもそもの特別研修の受講枠自体が絞られちゃったら、これは司法書士さんとしてはなかなか大変だろうと思いますし、その一方でこうした形での法曹人口の増加ということを目指されていると、他の士業に対する影響というものをやはり心配される方もあるだろうと思うので、今の点、これも杞憂ですとおっしゃるのであれば杞憂とおっしゃっていただければ結構ですが、簡単に御答弁願えますか。
山崎政府参考人 いわゆる弁護士と隣接法律専門職種との関係でございますけれども、これにつきましては、改革審の意見におきましても述べられておりまして、「弁護士人口の大幅な増加と諸般の弁護士改革が現実化する将来において、各隣接法律専門職種の制度の趣旨や意義、及び利用者の利便とその権利保護の要請等を踏まえ、法的サービスの担い手の在り方を改めて総合的に検討する必要がある」ということでございまして、要は、今、司法制度改革、さまざまなことをやっているわけでございますが、そういうものを改革して、しばらく運用して、その段階でどういう状況が出てくるか、そういうことを踏まえて総合的に検討しようという将来課題とされているわけでございます。
植田委員 もう一点だけ。これは文科省さんに伺うんですが、幾つか質問をやり飛ばしましたが、もう時間がありませんので。
 今回、法科大学院という構想がありましたから、それで専門職大学院という一つの新たな制度、学校を創設されるということなんですが、ほかにもそうした専門職大学院というものをこれから構想するような可能性はあるのかどうなのかということを伺いたいんです。
 というのは、私の個人的な気持ちからいえば、この日本において、一番権威があって、一番難しくてなりにくい、一番勉強せないかぬ資格というのは、私は実は司法試験よりも教員免許やろうと思っているんですね。人を教育する、導く教員免許が恐らく日本においては一番難しい資格でなきゃだめだと思っているんですが、実は、実に簡単に取れちゃうんですね。
 私も高校と中学校の社会の教免を持っていますけれども、大学の教科で大体代替ができます。だから、結局取るのが、社教法、教育原理、教育心理、これで十二単位かな。教育実習二週間、二単位。それこそ実務研修といったって、私はたまさかそのときの授業を全部持たされましたけれども、それで十四単位ですね。それで高校。道徳教育の研究を半年受けて二単位取れば中学ももらえる。実に簡単なんですよ。自動車の免許を取るよりも簡単なんですね、実際。
 もちろん教員養成系の人はそうじゃないですよ。普通の我々の一般教員養成系じゃない大学を出ていても、プラス十六単位取れば高校と中学の教免が手に入る。もちろん採用試験に受からぬと教師にはなれませんが、そもそもやはり教師の質とかというのであれば、こういう形であっさり取れちゃうというのは、私、自分で言うのもなんですけれども、ちょっと問題やろうと思っているんですね。
 だから、そういう意味ではもっと、しかも今の教員養成系の大学においても、そんなに社会経験がないままみんな学校の先生になっていくわけですから、私は、こんなことを言っちゃったら、中教審路線で何か迎合するのかと言われて、どこかから弾が飛んできそうですが、やはり資格を取るまでの過程においてさまざまな社会経験をする。
 そういう意味では、法科大学院というのに倣って、例えば、教員養成の専門職大学院、それで三年ぐらいいろいろな社会経験を積ませてやるようなことも考えられる可能性はあるんじゃないのかなと思っているので、どうかなと思って、ちょっと聞いてみます。
工藤政府参考人 御指摘のように、学校現場での実際的な指導能力のある教員は、大変大事な部分でございまして、御指摘のような可能性も十分あると思ってございます。
 ただ、現実には、国立の教員養成大学、学部、いわゆる教育学部系はすべて既存の修士課程を活用した大学院が置かれてございまして、そこで実務的な教育内容なども用意されているのでございますが、それをこういう専門職大学院に衣がえするかどうかというのは、関係者のコンセンサスなども得ながら検討してまいりたいと思いますが、十分可能性がある、かつ充実しなきゃいけない分野だと思っております。
植田委員 何か最後、やぶをつついて蛇を出したような気もいたしますが、以上で終わります。
佐藤(剛)委員長代理 仙谷由人君。
仙谷委員 民主党の仙谷でございます。
 一年前にも法案をつくるときに議論をさせていただいたわけでございますが、この司法制度改革に関する推進の法案であったという理解をしておるわけでございます。法律ができまして、司法制度改革推進計画というものが閣議決定をされて司法制度改革推進本部ができた、こういうことになっておるわけであります。
 小泉首相は、たびたびこの司法改革が構造改革の根底であるというような言い方をされておるんですね。どこまで総理がわかっておっしゃっておるのかどうなのか私全然わかりませんけれども、つまり、本質的に理解されていないんじゃないかという危惧があるものですからこういうことを聞くわけですが、司法改革というのは、つまるところ、国民の市民的な権利がちゃんと保全される、保障されるというその仕組みをつくるということでなければならないことは当然だと私は思っているんですね。
 法曹三者という言い方がございます。私もその片割れでございました。法曹三者がいい目を見るとか見ないとかそういうことではなくて、国民の市民的な権利がどう擁護され保障されるのか、絶えずその地点に立って、あらゆる制度設計、あるいは制度が実態的にどうなっているのかということを点検し、検証をしなければならない、私はこう思っているんですね。
 その一環として、当然のことながら法律家が少ない。つまり、法律家が少ないことによって、国民が、裁判あるいは裁判外のルールに基づいてみずからの権利が保障をされる機会が実質的に失われておるんではないか。あるいは、今の時代の、あるいは社会経済状況の変動に、あるいは転換に、司法という分野が追いついていっていないんではないか、大変な立ちおくれをしておるんではないか。その一つの原因に、法律家の人数が先進諸外国に比べても圧倒的に少ない。ここをまずは何とかしようというのが今度のロースクール法案、あるいは、先般の規制改革で行われた司法書士に対する簡易裁判所の訴訟代理権を与えるという改革であったというふうに理解をしております。
 そういう観点でよく考えてみますと、もうこの十年来こんな話を法務委員会に来るたびにしておるのでありますが、しょせんは国の資源配分、小さく言えば、予算措置が司法という分野に非常に限定的にしかつけられていない、与えられていない。つまり、何か社会の片隅で司法という分野が世の中の暗いことを処理するために、こそこそと、ちまちまと予算を食べながら法曹三者が生きていっているというふうなこの実情が、日本のある種の後進性をあらわしているというふうに私は思っておるんですね。
 構造改革の根底が司法改革である、司法改革が構造改革の根底であるという言い方をするとするならば、もっと司法が前面に出てくる。つまり、ルールに基づいた事後的な救済あるいはチェックが諸問題の解決の基本的な姿になるというようなことを言うんであれば、養成のみならず、あらゆる制度に国が、これは決定的に国が主導権を持って、そこにその制度を担保する予算をつけて運営をしなければならないはずであります。
 どのように分権が進もうとも、国家主権を担うということを国家が覚悟した以上、司法という分野は、古今東西はるか昔から、これは日本でいえば大和朝廷からなのか、あるいは、司馬遼太郎さんの「箱根の坂」を読みますと、今川義元のすぐれた領主ぶりというのは、まさに領主権の中の裁判権の行使が非常に卓越しておったというふうなくだりが出てまいりますけれども、まさにこの司法権というのは、極めて根幹であるんだけれども警察国家のようにそれほど表に出てきてはいけないということも考えますけれども、しかし、諸問題の社会的な病理現象の解決については、ルールに基づいた解決が市民社会の中で自主的に行われるためにも、司法が揺るぎない制度でなければならないと私は思うんですね。
 そこで、きょうはロースクールの問題を、予算、お金の問題を中心にしてお伺いするわけですが、その前に、今の日本で起こっておることを法務大臣に、御存じなかったら御存じないんでいいんですが、ちょっと聞いておきたいんでありますが、これはきょうの某新聞の朝刊の広告です。「「ヤミ金融」撲滅のために、私達は積極的に活動します。」全国貸金業協会連合会、ここがこういう広告を出しています。
 今、やみ金融と言われる世界がどのぐらいとりわけ都市部において跳梁ばっこしておるか、実情を法務大臣、聞いたことありますか。
森山国務大臣 そういう話はたびたび聞いておりますけれども、詳しいデータについては承知しておりません。
仙谷委員 やみでありますから、データがないんであります。貸金業協会の会員企業も困っておるぐらい、大変ひどい話でございます。
 携帯電話一本で移動しながら、トイチ、トニ、トサン、トシ、トゴ、十日で五割の金利を取るというふうな、もちろん天引きで取るわけでありますが、それで個人を追い込みながら元本返済をしてもらうというふうなやり方で、これはどんどんどんどん、次から次に借りていかざるを得ませんから追い込まれていく。神田駅を中心に、あるいは新宿方面を中心に、ちょっとしたこれは治安問題になりかけておるわけでございます。
 先般、鳩山由紀夫代表が党首討論でも、自殺の問題とか倒産の問題を総理大臣に提起したわけでございますが、実は私、この法律扶助協会のデータを見て、目を疑うと同時にびっくりしたんであります。ちょっと資料を大臣にお配りをしていただけませんか。
 地方裁判所の年別新受事件数、こういうグラフでございます。何にびっくりしたかといいますと、通常訴訟が十五万件で大体推移しております。ところが、個人破産事件が、平成六年から平成十四年に至る過程で、五万件弱であったのが二十五万件までいっています。つまり、交差をして、通常事件を飛び越えてはるかかなたのところにいっている、こういうことでございます。
 右の表は、法律扶助協会がそのうちお世話したのが約二万強、こういう数字で、平成十三年と十四年は二万件を超えて破産事件を受理して、援助決定をして破産に持ち込んだ、こういうことなんですね。約一三%だそうであります。つまり、二十五万件という個人破産の予測というのは、これは破産手続をする人が二十五万人ということでございます。
 一方、企業倒産というのは、最新の帝国データバンクの資料を見ますと、九月は千五百十四件の倒産。つまり、一年間の数でいえば、一万八千件程度の企業倒産が出ておる。二カ月連続の前年同月比としては減少はしたけれども、九月としては戦後四番目の高水準、こういうふうに、これは帝国データバンクでありますが、書かれております。依然として、一万八千件という年間の倒産件数というのは、戦後でも何番目か、二番目、三番目、四番目というふうな倒産件数を現実に今カウントされておるということなんであります。
 さらにもう少し申し上げますと、二枚目を見ていただきますと、失業者の数、それからこの三角の表は借金自殺の数、全部指数化してあるわけでありますが、自殺者の総数、それから刑法犯、窃盗、強盗、こういうふうなものを合わせてグラフにしてあるわけであります。そして、過去八年間の失業者数、自殺者数、刑法犯の件数が簡単にその下に数字で書かれておるわけでございます。
 確実に、倒産とか失業とかという事態と自殺というふうな事柄、あるいはこういう数字にはあらわれてきておりませんけれども家庭崩壊というふうな実態、これは関連性が大いにあるというふうに見ざるを得ないわけであります。
 先ほど申し上げましたように、法律扶助協会で取り扱うことのできた件数が約一三%ということでございます。ほかの人はどうしているんだろうか。友人の、法律扶助協会の仕事なんかにも関与している人たちに聞きますと、弁護士の好意でやっている部分が少々といいますか、相当ありますなと。つまり、無料奉仕でやったり、あるいは法律扶助協会にかかったときよりも少ない金額でやむなく手続をしたり、そういうことをなさっているケースもあるようであります。あるいは、どこかの法律事務所なり司法書士の事務所へ行って、申請書だけ書いてもらって手続をしているというふうな場合もあるんでしょう。
 いずれにしましても、非常に多くの方々が、つまり急増をする個人破産の中で今あえいでいるという実態があるんですね。ところが、ここに持ち込めない人も相当いらっしゃるというのがこの自殺の数等々に見られるとおりであると私は思っております。
 そこで、ここからが質問というか要請ということなんでありますが、法律扶助協会へ国がもう少し肩入れをして、要するに助成、補助をふやして法的な手続にのせる、つまり、失業やあるいは倒産そして多重債務であえぐ人々を法的な手続にのせるということで、けじめをつける、再出発をしてもらう。そういうことのために法律扶助協会により多くの助成をする、この現在の状況下でそういうお考えになりませんでしょうか、法務大臣。いかがですか。
森山国務大臣 民事法律扶助制度というものが法律によってつくられましたのが、前から実態はいろいろとやっていただいておりましたけれども、法律が制定されたのが平成十二年度でございまして、比較的まだそれほどの年月がたっておりませんので、いろいろと不十分な点があろうかと思います。
 しかし、我が国の民事法律扶助制度は、国庫補助金と利用者から償還された償還金が主たる財源でございまして、それによって運用されております。今年度の法律扶助関係の国庫補助額は約三十億円でございますが、償還金につきましては当初の予想を上回る収入が見込まれる状況にございまして、両者を財源としまして、自己破産事件の急増を踏まえた対応を早急に講ずるべく、法律扶助協会と協議を行っているところでございます。
 法律扶助協会も大変努力していただきまして、償還金も予想よりも上回って回収ができているということでございまして、来年度の法律扶助事業費の補助金に関する概算要求といたしましては、急増する自己破産事件に適切に対応するために、今年度に比べて約五億円増の、合計約三十五億円を要求しているところでございます。
仙谷委員 ここ一年ぐらい、全国的にいうと月三千件ぐらいの相談が持ち込まれるらしいんですが、二千件、三分の二は多重債務者、要するに破産の話だ、こういうふうに言われておるんですね。それで、お金の制限もこれあって、各支部、各県ごとにどんどん件数制限をかけてもらったり、援助決定をする要件を極めて厳しく絞り込んだり、もうお金が足りなくなって先送りしたり、あるいは援助の停止をしたりという事態に各県の法律扶助協会がなっておるようであります。
 これは、各県の弁護士会と連動しているといいましょうか、弁護士会の費用で雇った事務職員に法律扶助協会の仕事もさせているというふうなところも多うございまして、弁護士会と連動して仕事をしている扶助協会の支部が多いわけです。要するに、今の予算では、とてもじゃないけれども、申し出のある件数にも対応できない、先送り先送りになってしまったり、本来は援助を決定しなければならない人たちを切り捨てるというふうなことにもなっているということで、例えばことし、平成十四年についても、十億程度は追加をしていただけないと対応できないという要望が大臣のところへも法律扶助協会から行っているはずでございます。
 さらに、先ほど概算要求の話が出ましたので申し上げますと、本年度予算よりも五億円プラスしているわけでありますけれども、これとても、法律扶助協会の方からなされた要望というのは、平成十五年度については七十五億円の要望が最初は出されておったはずであります。国庫補助としては四十億円ぐらいをお願いしたいと。さらに、先ほど申しましたけれども、今、運営費について、つまり法律扶助の事務をする事務職員の人件費を中心にして、全く運営費が補助されておりませんので、一支部一人ぐらい、つまり一県一人ぐらいは専任を置く、その費用を何とか補助できないだろうかということで、合計七十五億円の要望がなされておるはずでありますけれども、概算要求は、三十五億ぐらいのものしか今要求をされていない。
 聞くところによりますと、その分についても、去年も概算要求で三十五億九千四百万ですか、行って、実際についた予算は三十億だったということでありますから、ことしは概算要求の段階で昨年よりも合計の金額としてこれは減っておるように私には見えますし、予算そのものも、また全体の予算が収縮する中で減らされるんではないか、これではとても対応ができない。
 私は、先ほど申しましたけれども、今、セーフティーネット論議というのが非常に盛んです。何がセーフティーネットかわからない。つまり、銀行のセーフティーネットなのか中小企業という会社のセーフティーネットなのか産業界のセーフティーネットなのか、もうみそもくそも一緒の議論が現在行われておるわけであります。あるいは個人のセーフティーネットかわかりません。しかし、基本は、セーフティーネットの問題というのは、国家財政に限度があるとするならば、個人がまさに憲法二十五条の健康で文化的な最低限度の生活を営めるようなその仕組みだけははっきりと守る。つまり、シビルミニマムだけは守るということでないといかぬと思うんですね。
 多重債務者の中にもいろいろな方がいらっしゃるとは思いますけれども、法律扶助協会の方にお伺いしますと、最近は、放蕩のあげく破産をせざるを得ない、あるいは浪費のあげくせざるを得ないというよりも、何らかの経緯で保証をしておったり、あるいは、会社をやめてしまうと住宅ローンすら払えないわけでありますから、そういうことで個人破産をせざるを得ないという方が甚だ多いということであります。
 そういう方については、先ほどから申し上げておりますように、ルールに基づいて再出発ができるというのが破産制度であります。破産というと、何かドロップアウトして、奈落の底へ落ちていくんじゃないかというふうに世間一般の方は考えていらっしゃる方が多いんですけれども、破産というのは再出発の制度だと。つまり、従前の債務を棚上げし、そして免責をとれば、これを全く払わなくてもいい、新たにそこから出発ができる、こういうふうにとらえるべき話であります。現に、国家公務員はちょっと調べるのを忘れましたけれども、地方公務員であれば、破産宣告を受けても、別に懲戒免職事由にも何にもならないんですよ。公務員の地位を続けながら従前の債務を全部カットできるというふうに今運用もされておるんですね。現に法律もそうなんです。
 つまり、再出発をするための制度として、いかがわしいあるいは暴力的な追及を受けたり、心理的な圧迫を受けたりしないために、そこから切り離れて再出発をするための制度として、個人の自己破産というのを最低限のセーフティーネットというふうにして考えるならば、自己破産といいましょうか多重債務者といいましょうか、これだけ大変な状況になってきた時点においては、もう少し重点的にここにお金を注ぎ込むということを考えられてもいいんじゃないかと思うんです。私は、そういう意味で、十五年度の予算に対する概算要求でも、あるいは十四年度の予算については既に執行されておるわけでありますが、これが足りないというふうなことについて、法務大臣に頑張っていただきたい。
 と申しますのは、これは後で申しますけれども、法務大臣に財務省に対して頑張ってもらいたいという言い方が正しいのかどうなのか、ちょっと疑問に思っているんですね。
 といいますのは、司法制度改革推進本部というのができて、本部のメンバーの中には、総理大臣が本部長で、財務大臣も本部員という格好で入っていますよね。そして、この司法制度改革推進計画の中には堂々と、「(2)民事法律扶助の拡充」というのが書かれております。「一層充実することとし、本部設置期限までに」、これは十六年の十一月三十日のようでありますが、「所要の措置を講ずる。(本部及び法務省)」と書いてあります。
 本部で法務大臣が問題提起をして本部で決めれば、これは要するに法務省が財務省に交渉をしてお金をいただくような話じゃなくて、本部で決めて、当然のことながら財務相はその一員でありますから、そういう予算措置を講ずる、こういうふうなやり方にしないと私はおかしいと思うんでありますけれども、いかがでございましょうか。
 まず十四年度予算の追加、そして十五年度の概算要求、この現在の日本の深刻な状況を前提にして、十五年度、もう少し頑張って、この三十五億二千七百万というふうな金額ではなくてもう一遍考え直して、この推進本部の中で議論をして、今困っている人たちのセーフティーネットをより充実したものにしようというふうにお考えいただけないでしょうか。いかがですか。
森山国務大臣 おっしゃるとおり、セーフティーネットの一つとしてこの制度は大変貴重なものだと思います。
 しかし、先ほど申し上げましたように、平成十二年度に法律ができまして以来、毎年懸命に努力を続けてまいりまして、十二年度には、その前の年、予算上の措置が行われておりましたのですが、その前年度の予算の二倍を超える二十一億八千万円の予算を獲得いたしました。その後も、財政当局の理解も得まして、十分ではないと私も思いますけれども、それなりに増額を図ってきたわけでございます。
 来年度につきましても、急増しております自己破産事件への対応を中心としました予算要求を一生懸命行っているところでございまして、一方において、大変厳しい財政状況であるのは先生も十分御存じのとおりでございますが、その中でも、自己破産事件の急増に対処するために今後もその拡充に努めてほしいということで、財務省にも要請しておりますし、私どももその拡充に努めていきたいというふうに考えております。
 なお、このような大変厳しい情勢を克服いたしますためには、実際に仕事をやっていただいている弁護士さんや司法書士の方々にも、そのお立場でいろいろと御協力をいただきたいというふうに考えておりまして、例えば、大量の一括処理をしていただくとか、あるいは、事務処理についても合理的にさらに工夫をしていただく余地はないかというようなことを御協力いただければというふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、この国庫の補助とそれから償還金、両建てで事業が行われておりますので、その両方がほとんど半々ずつということで実際運用しておりますから、補助金の役目も大変重要であるということを今のお話でさらに肝に銘じまして、努力していきたいと思います。
仙谷委員 資料で三枚目の「国民一人あたりの国庫負担」というところをごらんいただければいいと思うのですが、実は私は、十一年前だったと思いますが、この法律扶助の各国比較を取り上げて法務委員会で質問したことがございます。そのときに、日本の国庫補助額はたった一億五千万でございました。ドイツ、フランスは日本円に直して二、三百億円のもう既に国庫の助成といいましょうか補助があったわけであります。
 現時点でも、一億五千万円から二十億円あるいは三十億円のところまで日本が来たとおっしゃるわけでありますが、別にその程度の話は胸を張って言えるような話ではない。つまり、先進国のレベルでいいますと、イギリスと比べればどうなりますか、これ。二千六百二十八円というのが一人当たりのイギリスの国庫負担であります。日本は十九円二十銭であります。韓国の三十一円七十銭よりも低い。
 こういう状況が一方であるわけでありますから、これは私は、本当にこの間いろいろな面で、憲法調査会で諸外国の実例を調査しましたけれども、憲法に対する考え方もそうでありますし、ルール・オブ・ローというようなことについての国民の態度もそうでありますが、いずれにしても、司法にお金をかけない。ここはけちってけちってやっておけばいいんだみたいな、こういうやり方を続ける限り、幾らルールに基づいた事後チェックとか事後救済とかということを百遍唱えてもできないということであります。
 実体的に国民がそのように動くことができるような制度をちゃんとつくらなければならない、そして、予算をそこにつけなければ物事というものは動いていかないということは極めて明らかでありますから、これはぜひ法務大臣、もう一度考え直していただいて、法務大臣はいろいろなことに理解がおありになるというふうに私は思っておりますので、どうぞひとつ、この本部なり法務省の中でも議論をして、法律扶助の予算がもっともっと、もっともっとというよりも、最低限の必要性を満たす程度のところまでいくように、ひとつ頑張っていただきたいと思います。
 それでは次に、またお金の話でありますが、ロースクールの財政的援助の問題に移ります。
 これ、何かこの委員会で質問を聞いておりましても、あるいはレクをいただきましても、お金の話というのが全く煮詰まっていないんではないだろうか。抽象的な話にばかり終始しているということでございます。この法科大学院という、日本で初めての専門職大学院というんですね、こんなものは、私に言わせれば、別に大学院という名前をつけなくてもいいのですよ。スクールですよ、まさにね。専門職を養成する学校でいいんだけれども、しかし、それは学校であろうと大学院であろうと、それなりの教育という以上は、そして日本の司法の将来を支える人材をここで養成するという以上は、やはり相当国家で資金を出しませんと、教育である以上、マーケットの原理だけに任せてうまくいくなどということを考えるのは非常に浅はかなんだろうと私は思っております。
 そういう意味で、この財政的措置というのは法文にも盛られておるようでありますけれども、これは、実際問題として、文部省になるのか法務省になるのか知りませんけれども、あるいは本部になるのかもわかりませんが、どの程度のことをお考えなんですか。
 大学そのものに対する助成あるいは補助というふうなものは、国立大学系のロースクールについてはどの程度のものをお考えなのか。あるいは私立の大学系のロースクールについてはどういうふうにお考えなのか。あるいはそれ以外の、もっと別の形で立ち上がってくるロースクールもあるかもわかりませんが、そういうところにも金銭的な助成、補助ということはお考えになっておるんでしょうか、なってないんでしょうか。まず、そこからお答えください。
河村副大臣 仙谷委員御指摘のように、三権の一つを担う法曹の養成という非常に重要な役割を果たしていくわけでありますから、このロースクール、法科大学院に対して国がやはり責任を持って支援をしていくということは当然のことだろうというふうに考えておりますが、それが固まってないじゃないか、こうおっしゃるのでありますが、これは、今から制度設計する中で、平成十六年の開学でありますから、これから概算要求等々、取り組むわけでございます。
 したがいまして、その制度設計の中でどういうふうにしていくか。当然、国立大学系でおやりになるもの、それから私立大学がおやりになるもの、それ以外に、法曹界等がお考えになるかどうかは別として、民間からと。それにしても私学系か国立大学系かという形になろうと思いますから、機関が支援をすると同時に、私学助成の形もございます。
 そういう形で、今、制度設計をしつつあるわけでございまして、既に準備段階に入っておりますから、このロースクールに向けて、例えば適性検査等をやるためのシステム開発はどうしたらいいかということで、そういうことをやらなければなりませんので、来年度予算等々についてもう既に要求を出しておるような状況でございますが、じゃ、全体の助成を幾らぐらいどうするかということについては、これからの検討課題になっておるわけでございます。
仙谷委員 やる気があるのかないのか全くわからないわけでありますが、百ぐらい立ち上がってくるんじゃないかとか、二百ぐらい立ち上がってくるんじゃないかとか言われておるわけですね。
 これは文部省に先ほどちょっと電話でお伺いしましたら、そんな金額は今のところわからないという話があったんですが、後に時間があればお伺いしたいと思っております適正配置との関係でも、例の一県一医科大学構想というのがあって、これは多分随分な予算を使って、医学部、医科系大学のないところに医学部をつくっていった歴史があったんですね。
 お伺いしますと、昭和四十七、八年から昭和五十七、八年ぐらいまでの間にそういうものをつくっていって、例えば私の出身地の四国でありますと、徳島以外の三県にはそういう格好で医科大学がつくられていった。多分、中国地方なんかも、岡山以外はそういうところが多かったんじゃないかと思いますが、そういう一県一医科大学をつくったような事例のときに、これは私立の場合も公立の場合も国立の場合もあったようでありますけれども、一つの大学をつくるのにどのぐらいの予算を文部省あるいは国としては準備をしてその整備を進めていったのかということは一つの目安になると思うのですね。
 医科大学と違いまして、ロースクールは多分、機器というのは余り要りませんから、高級な機器とか大学病院を附属しなきゃいかぬとか、そういう要請は全くございませんから、はるかに格安。つまり、簡単に言ってしまうと、建屋があるところは建屋、建屋がなければ研究室とかゼミナール室とか建屋も建てなければいけませんけれども、基本は人件費なんですよね。
 だから、国家の予算規模から考えますと、それほど金がかかるなどとは私は思えませんけれども、そういうのを参考にしながら、相当程度、つまり、院生が入学をして適当な授業料で養成教育を受けられる、そういうことにしなければならないと思うのですが、それは文部省としては覚悟のほどというか、そういう金員を、予算を大胆に要求していく、特に二〇〇四年の四月から発足するわけですから、来年の概算要求のときには相当の額をこの分で要求をしなければならないと思いますけれども、いかがですか。そういうことで今作業をしていらっしゃるというふうに伺っていいのですか。
河村副大臣 具体的にどのぐらいの法科大学院、ロースクールが立ち上がるかということがまだ確定もいたしておりません。我々のところへ相談があったのは五十件ぐらいでございますが、法科大学院の設立準備会の方では九十件、全体で今御指摘のように百件以内ではないかという想定でございます。
 したがいまして、それに基づいて、それぞれの法科大学院が、いわゆる予定をされているところが、それぞれの制度設計をなさる、授業料をどういうふうにしようかとか。授業料についても百万から三百万ぐらいまでいろいろの、内々のアンケート等によってそういうことがございますから、そういうのも見ていかなければなりませんが、国立系については、これはいずれ国立大学はまた法人化する方向がございますから、その中でやるわけでありますが、国が責任を持つという方向でございます。
 と同時に、私学系については、私学振興助成法の基本的な考え方は経常費の二分の一まではというのが法律にもございます。これはそのとおりになっておりません。今、実は私学助成も形骸化しておりまして、問題視されている部分もあるわけでございますが、そういうことに基づきながらやるわけであります。
 ただ、委員御指摘のように、これはいわゆる大学院、そういうものですから、おっしゃるとおりで、わざわざ土地を買って造成してというようなことはほとんど必要がないわけで、立派なビルがあればそこでも十分やれるということですから、おっしゃるとおり、人件費の問題が中心になるであろう、こう思っております。
 ただ、おっしゃるように、まだ今の段階では、全体予算としてどのぐらいとればいいかということは、その大学院の設立の形がきちっとした時点で試算をするということになるであろうと思いますが、これはやはり、冒頭申し上げましたように、三権の一翼を担う教育をやるんだということでありますから、それなりの覚悟を持って国がきちっと対応していくということでなければならぬ、こういうふうに思っております。
仙谷委員 教育の問題というのは、特に二十一世紀を超えてから、日本はちょっと気がつくのが私は遅かったんじゃないかと思うのですけれども、ヨーロッパを見ておりますと、イギリスの首相のブレアが、今必要なことは教育、そして教育、そして教育だと言ったのはもう既に七年も前の話でありますが、何でこんなにしつこく教育のことばかり言うのかなと。
 日本は学校教育のことを、つまり義務教育を中心とした初等中等教育のことを、臨教審等々を初めとして割と問題にしてきたわけでありますけれども、産業構造の転換に伴い職種を転換しなければならない、あるいはみずからのスキルをアップしなければならないというふうなことについては、何かもう一つ魂の入ったことができていない。
 私は、省庁の再編成のときも労働省が再び厚生省とひっついて厚生労働省になったというのは、物の考え方の後進性をあらわしていると思うのですね。
 ヨーロッパをごらんいただきますと、教育雇用省みたいな、要するに労働市場の話、労働能力のスキルアップとかリカレントとか、その種の話と教育の話というのは多分重複する部分が多くて、厚生労働的発想ではなくて、むしろ教育と労働力のグレードアップのようなところに力点を置かなければ、情報化社会とか知識集約産業とか知価社会とかというところに対応できないんだ、こういう基本認識があったと思うんです。
 特に北欧は、そういう認識が現時点でも強いようであります。スウェーデンに至っては、もうほとんど無償のような格好でそういう教育を受ける機会が与えられる。あるいは、アメリカのような自由主義の権化みたいに言われるところでも、コミュニティーカレッジ、日本でいえば短期大学のようなもののようでありますけれども、職業再訓練、再教育の仕組みが法的な制度としてつくられておるというふうなことを見ますと、どうも日本は、あの労働省の雇用促進事業団とか能力開発機構みたいなところへ任せて、何か十年一日のごとくトンカチを教えるみたいな話に終始した、あげくの果てにKSDの事件みたいなものを起こしてしまったという、ここのところを反省せざるを得ないと思います。
 さらに、今、ロースクールの問題と医師の卒後研修、臨床研修が大問題、大課題として浮かび上がってきておるということは、私にしてみれば、ちょっと高度な専門職の分野もそうだし、あるいはもう少し、それほど専門化していない分野でも、働く人々みずからがみずからの再教育をする、あるいは社会がそれを可能ならしめる制度をつくる、特に教育の問題でありますから、公的なところもそれを助成する、こういう発想で、国家一丸、国家戦略として取り組まなければならない。
 つまり、だから今まで、日本でいえば公共事業でありますが、大変なお金を使ってきた公共事業のところの一部分、相当部分を教育の方に、そういう大人の教育にも向けるんだということがない限り、これはやはり二十一世紀型先進国、成熟社会型にはついていけなかったんだろうと思うんですね。
 そういう観点からいいますと、ある種突出した部分なのかもわかりません、ロースクールの話というのは。しかしこれが、毎年毎年三千人、四千人という法律家がつくられて、今の二万人にも満たない法律家の世界が十万人あるいは二十万人になってくれば、それほどごく一部の限られた人たちの世界ということではなくなるんだろうと思うんですね。その方がいいと思います。そういう専門家を育てるために、やはりここにも資源をつぎ込むということが決断されないといけないと思うんですね。そういう観点からも、大学の方に対しても、まず立ち上げにおいての基盤を整備する、それから、日常の運営活動でも、いい質のものにするためにはやはり助成をするということも必要なのではないかと思います。
 私は、しかし、今の私立大学の私学助成のやり方を見ておりましても、首をひねるところが多うございます。むしろ学生、あるいはこの場合は大学院生ということになるのでありましょうが、そこに奨学金なりお金を貸す制度なりをつけた方がいいと思うんですね。特にロースクールの場合には、年齢が若い人ばかりではなくて、相当年齢に達した方も在籍をされるのではないかというふうに考えますので、ここは、授業料が払えて、そして生活もそこそこできて、ほかのことに余り気をとられずに、つまりアルバイトをしなきゃいかぬとか生活費を何とか稼がなきゃいかぬとかということに精力を注がないでもロースクールの学習に打ち込めるというふうな制度をつくらなければいかぬと思うんですね。
 奨学金の問題がこの委員会でも相当提起されてまいりましたけれども、やはりここは、育英会を使うにしても新たに貸付金を考えるにしても、相当大胆に増額ということをお考えにならないといけないんじゃないんでしょうか。文部省、いかがですか。
河村副大臣 御指摘のとおりでありまして、大学院、特にロースクールについては、大学を出てすぐだけの人じゃなくて、一般の人も相当入る。すると家計という問題もありましょう。そういうことも含めて、奨学金については充実を相当図っていかなきゃいけないだろう、こう思っております。
 今の制度だけ考えますと、いわゆる修士課程、博士課程の部分では、無利子の分と有利子の分、両方足して平成十五年度では大体二百六十万までは借りられる制度になっておりますが、これぐらいで果たして十分なのかと言われると、さらにその上をどう考えていくかという制度設計をしなきゃいけないんじゃないか、こう思っております。と同時に、当然、授業料負担軽減のための、今御指摘のあったようなロースクールへの支援策と相まって、できるだけ授業料の負担が軽減されなきゃいかぬというふうにも考えております。
 それからさらに、これは財務省当局とも御相談をしていかなきゃならぬことでありますが、それ以外の各種ローンの適用の問題等々もあわせ考えながら、これは平成十六年四月、二〇〇四年でありますから、来年の夏の概算要求までにその制度設計を果たさなきゃならぬと思っておりますが、さらに今御指摘のあった点を踏まえて、この奨学金のあり方、どこまでやればいいのかということについて考えてまいりたいというふうに思っております。
仙谷委員 ちょっと細かくなりますけれども、実際問題として、国民の税金が今の日本育英会の奨学金の事業についてどの程度使われているかということなんですよ。
 基本的には、昔の言い方で言いますと、財政投融資の資金が要するに貸し付けられて、その元本自身は生徒さんに無利子、有利子で貸与して、今度は、卒業されてからはそれが返ってきて、これを資金運用部の方に返す、こういう仕組みですわね。結局、国費から出ていっているお金というのは、利子補給をする分あるいは事務運営費の分、こんなものですよね。
 私、ちょっと資料を下さいと言いましたら、これで全部網羅をしているのかどうかは自信がないのでありますが、過去五カ年の日本育英会奨学事業の推移で、平成十四年度は事業費が五千百六十六億円、無利子の奨学金が二千二百十四億、有利子が二千九百五十二億、これが事業費だということであります。つまり、財投資金から借りてまた将来返す金、あるいは既に返ってきた金を使っているのかどうかわかりませんけれども、いずれにしてもここは元本部分、こういうことだと思うんですね。利子補給金が平成十四年度ですと百十七億、補助金が九十一億と、約二百億補助が多分一般会計の方からついているんじゃないか、こういうふうに推測をしているんですね。これは対象の人員が、平成十四年度だと、ほかの資料から推論いたしますと、八十万人に貸与したその利子補給金や補助金が合わせて二百億、こういう計算になるんじゃないかと思うんですね。
 そうしますと、今度のロースクールで、例えばロースクールの生徒五千人全部に貸すとしても、この伝でいきますと、利子補給とか補助金は、今の制度そのままであれば、割合換算すると、税金から持ち出すのは一億二千万ぐらいにしかならぬですよ、これ。そんなものでよければ、倍出したとしても、事務費の方が倍はかからないでしょうけれども、利子補給金が倍かかったとしても大したことないですよね。二億とか三億のオーダーのお金を文部省が用意すれば奨学金を倍額にしたりすることも極めて簡単だという私の計算が成り立つわけでありますが、いかがですか。
工藤政府参考人 育英会の貸付事業は、まず、確かに先生がおっしゃいますように、利子補給金と事務費等の補助金があるわけでございますが、そもそもお貸しする原資を確保する必要がございます。それは、財投からの資金のほかに、本年からは財投機関債ということでそれぞれ育英会自身が債券を発行して資金調達したり、それから、無利子の奨学金につきましては政府からの貸付金あるいは学生からの返還金が原資の主なものでございますが、そのパイがふえませんと、なかなかお貸しするのに量の拡大は難しい部分がございます。
 それと、先ほど副大臣からも御説明申し上げましたように、今現在の水準ですと、有利子、無利子合わせますと年間で二百六十万ほどの資金を育英会からお貸しできる仕組みになっているわけでございますが、これをどういう形で考えたらいいか。たくさんお貸しすればするほど返還の際の負担が大きいということも発生するわけでございますので、各大学あるいは学生の要望なども踏まえながら、その原資の拡大と、今御指摘のありました利子補給金等の環境整備も含めまして、財政当局とさらに御相談してまいりたいと思っております。
仙谷委員 お答えいただいていないと思うのですが、八十万人で二百億円の利子補給金と補助金が出ている、では、ロースクールの定員が五千人になったとしても一億二千万ぐらいだと私は言っているんですよ。そんなものじゃないかということを申し上げているんです。
 政府から無利子の資金を予算のときに借りてこなきゃいけないというふうに言いましたね。だけれども、それも返すわけでしょう、返すお金だ。それは、今のように金利が安いときばかりではないというふうにおっしゃるのかもわからぬけれども、金利が高くなればなったで、今度学生さんが返すときにはそれだけインフレ化するから、それはそれほど苦でないのかもわかりません。
 いずれにしても、二千人、三千人に対して、現在の大学院の学生に貸し付けて貸与しておる奨学金の五割増しであろうと二倍であろうと、税金からの負担はたかだか二、三億の話じゃないんですかという質問をしているんです。そうじゃないんですか。どうですか。
佐藤(剛)委員長代理 はっきりと答弁してください。
工藤政府参考人 税金からの負担という意味ではおっしゃるとおりでございます。ただ、貸し付けの原資として、政府からの貸付金なりあるいは財投からの借り入れなり、それだけの枠の確保が必要だということでございます。
仙谷委員 そんなにおっしゃるのだったら、あなたのところで、育英会のところで、文部省が仕切って貸すとか貸さないとかいうのをもうやめたらいいじゃないですか。民間の銀行に貸させればいいじゃないですか。利子補給だけする制度に変えたらどうですか。私はその方がずっと合理的だと思いますよ。
 国民金融公庫にちゃんと利子補給をして国民金融公庫から院生が借りるか、市中の民間の金融機関から借りることができるようにして、そこの利子補給分を学生さんに渡すかあるいは銀行に直接払うか、それはもうそういうふうにすればいいだけの話で、あなたが何か財務省に三拝九拝しなければ無利子の資金が借りられないみたいな情けないことを言うのだったら、たった二、三億の国民の負担で奨学金を倍増できるということを私は言っているわけですよ。ところが、何かそれも文部省としては嫌だと。だれに気兼ねをして言っているのか、私はよくわからぬのだけれども。
 要するに、民間の金融機関から借りられる、国民金融公庫から借りられるその制度を、育英会はもうやめますからやってくださいと、そういうおつもりになりますか、どうですか。もっと育英会でやりたいんでしょう。どうですか。
佐藤(剛)委員長代理 しっかりと答弁してください。
工藤政府参考人 私どもも、今回の法科大学院の発足に当たりまして、経済的に困難な学生が進学をあきらめることがないよう、奨学金等の充実が必要だと思ってございます。
 その一つとして育英会の事業がございますが、他の金融機関と基本的に違っておりますのは、他の金融機関は資力のある親御さん等にお貸しする仕組みでございますのに対しまして、育英会の奨学金は資力がほとんどない学生さんを相手にお貸しするという制度でこれまで来てございまして、もちろん、ここで学生に対するローンをすべて行うという独占的なつもりはございませんで、それぞれが教育ローンなども含めまして多元的な充実を図らなければいけない。その中で育英会の事業につきましても私どもも充実に最大限の努力をしてまいりたいという基本姿勢は、先ほど副大臣が申し上げたとおりでございます。
仙谷委員 時間がございませんので、財務省にも来ていただいておりますので、一つだけお伺いします。
 今の関係で、例えばロースクールに通う院生がどこかからお金を借りる、民間金融機関からお金を借りるための政府保証をする制度を新たにつくるという話もございます。私は、今国民金融公庫というのがあって教育ローンというのをやっているわけだから、国民金融公庫がその政府保証の業務をやれば極めて簡単じゃないかと思うんですね。簡単だと思う。それに対する利子補給をちゃんと予算措置をすればいいだけの話だと思います。
 あるいは、国民金融公庫は、今文部省の局長さんがおっしゃったように、これは親御さんに貸すのが中心になっているんですね。ところが、一年前のこの場でも議論しましたけれども、その当時、文部省の政務官が出てこられて、やはり自立が基本だと。特に院生ということになれば、自立をして、そして奨学金なりお金を借りて、それで学業を続けて、しかる後に卒業をして職を得たときにそれを自分で返す、これが一番重要だという私の意見に賛同してもらったんです。
 そういう自立ということをこれからの日本社会の一つの大きな価値にしていくとするならば、大学生も終わって大学院生ということになるわけでありますから、そういう人については新たな政府保証という仕組みをつくって、国金がやってもいいし、国金が今の金額をもう少し大幅に上限を上げておいて貸し付けていくということでもいいと思うんですが、財務省、いかがですか。
勝政府参考人 お答えをいたします。
 政府保証または利子補給の問題につきましては、例えばアメリカなどにも例があると思いますけれども、そういう諸外国の例に参考となるものがあればそれを参照しながら、ただ、他方では官民の役割分担や受益者負担の観点も踏まえつつ、関係機関とも相談しながら検討してまいりたいと考えております。
仙谷委員 始まるのは再来年からということになるわけでありますが、一方で、ロースクールは大変金がかかる、金持ちしか行けないのではないかというふうな説が非常に強うございます。
 私は、教育にどのぐらいみずからがお金をつぎ込むかという点は、特に成人をした人々にとっては改めて胸に手を当てて静かに考えてもらわなければいかぬ、そういう時代だなという気がするんですね。あるいは、義務教育の無償ということについても、これはこれで維持するのがいいと思いますけれども、国民の塾に支払っている金額がどのぐらいかということを考えれば、日本人が教育全般に使っているお金というのは、表に出てきたものも出てこないものも含めて、相当のものがあると思うんですね。
 このロースクールという専門職を養成する学校に通うというのは、本来ならば全部無償でやってあげるというのがいいのかもわかりませんけれども、今の日本の財政事情あるいは他の職種との関係でいえば、なかなかそこまで大胆にはなれないんだろうなというふうに考えますけれども、しかし、やはり制度的には、さっき申し上げた奨学金や政府保証やあるいは貸付金という制度を手厚くする。そのぐらいのみずからに対する投資をすることは、今の時代、それほど間違っていない。むしろ、そういうふうに一人一人が自立をして、みずからが仕事をつくるという原点に返らないと。一流大学を出て、一流の会社に入ったら一生それで万々歳だみたいな話はもうとっくに終わったんだというこの認識に立つためにも、改めて、自立をした自己教育のための支援の措置を公的にする、ここが一番大事だと思うんですよ。
 それも、さっきから申し上げているように、ただくれてやる話じゃなくて、貸す話とか、当面の間貸してあげるといいましょうか、利子だけ補給してあげるとか、そういういわば非常に自立のインセンティブが強い制度設計をすれば、そんなにある人だけを優遇しているということにもならないと私は思うんですね。
 それで、それがうまくいけば、ほかの、先ほど申し上げましたように、みずからをスキルアップするような教育、あるいは、みずからがもう一度違う職種につきたいために、職をかわる、その前提としてもう一遍、大学院、大学あるいは職業再訓練校に入る、そのときの資金の支援の措置をちゃんとやる。まさにそういう制度をこれからつくらなければいけないんだろうと思うんですね、この国は。そのトップを切ってロースクールをやるんだ、そういうちょっと高い理想に燃えたところから今度の資金の措置を考えていただきたい。
 だから、法務大臣にも、河村副大臣にも、この話は司法改革推進本部の中でちゃんと議論をしてほしいんですよ。どうも、見ておりますと、小泉内閣は本部ばかり立ち上げて、本部の中で余り議論していないんじゃないか。つまり、昨年打ち立てた産業構造改革・雇用対策本部というのは、昨年の九月二十日に立ち上げてから一回もやらないで、ことしになったら今度は産業再生・緊急雇用対策本部かな、まあ同工異曲の、看板だけかえたような本部を次々と立ち上げる癖がある。これでは物事もうまく進まない。
 だから、司法改革推進本部の中で、せっかくこれだけの大臣をそろえているわけですから、そこで議論をして、この種の財政措置についてもより進んだというか、充実した制度をお考えいただきたいと思います。
 じゃ、河村副大臣にお答えいただきましょう。
河村副大臣 仙谷委員御指摘のとおりでありまして、日本も、高度経済成長をどんどんやっている時代は、ともかく均一的な人材をどんどん送り出せばそれを社会が受け入れるという時代でございました。しかし、今はそういう時代ではありません。まさに、何を勉強してきたか、そしてまた、いかに職業人としての心構えができているかということが問われるわけでありますから、やはり、学問の先を見通すといいますか、教育がそういうふうに転換をしていかなければいけない時期を迎えております。
 まず、その最初の試みがこのロースクールであろうというふうに思っておりますので、おっしゃるとおり、ロースクールを目指す人たちに対してどの程度支援をするのか、あるいは自立はどうなのか、自己責任はどこまでやっていただくのか。奨学金についても、私はもうかねてから、奨学金を欲しいと言われる方には難しいことを言わずに全部貸してあげなさい、しかし、あとは自己責任できちっと返す、自立する、それをどんどん進めていこうということで、大体今その方向になってまいりました。
 ロースクールについては、どこまでそれを見るかということは、おっしゃるとおり、本部でもしっかりした議論を踏まえて全体の設計図をきちっと打ち立てるということが必要だろうと思いますので、そのことを、今委員の御指摘も踏まえながら十分対応してまいりたい、このように思います。
仙谷委員 終わります。
佐藤(剛)委員長代理 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
佐藤(剛)委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、内閣提出、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐藤(剛)委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐藤(剛)委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
佐藤(剛)委員長代理 この際、ただいま議決いたしました両法律案に対し、塩崎恭久君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取します。山花郁夫君。
山花委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案並びに司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、両法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の構築及びその運用に当たっては、司法制度改革の理念及び司法制度改革審議会の意見を踏まえつつ、国際的にも通用し得る専門的な能力及び優れた多様な資質を有する多数の法曹の養成に努めること。
 二 法科大学院の設置基準の策定及び評価制度の運用に当たっては、各大学の創意工夫を引き出し、多様な人材を幅広く受け入れ、自由かつ柔軟で特色ある充実した教育が行われるようなものとするとともに、制度の定着状況に応じて柔軟に見直していくこと。設置認可についても、柔軟な運用に努め、硬直的なものとならないようにすること。
 三 関係者の創意工夫に基づく切磋琢磨によって、法科大学院における教育水準の維持向上が図られるようにするため、法科大学院相互間及び認証評価機関相互間において、対等な条件の下で公正な競争が確保されるよう努めること。
 四 新しい司法試験制度の実施に当たっては、法科大学院を中核とする法曹養成制度の理念を損ねることのないよう、司法試験予備試験の運用に努めるとともに、法科大学院における幅広く多様な教育との有機的な連携の確保に配慮すること。
 五 法科大学院の学生に対し、新たな公的財政支援を含め奨学金制度の拡充等に努め、資力の乏しい者にも就学の機会を確保すること。法科大学院に対する財政支援については、法科大学院の間における適切な競争関係の維持などの観点に配意しつつその具体的あり方につき検討すること。
 六 現職の裁判官及び検察官を含む法曹が法科大学院の教員として安定的かつ継続的に参画することを可能にするため、法制面での措置を含めた所要の措置を講ずるよう努めること。併せて、教員の能力開発及びその養成について十分に配慮すること。
 七 専門職大学院制度の導入に伴い、法学部教育のあり方を含め、高等教育全般のあり方について適切な見直しを行うこと。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
佐藤(剛)委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 塩崎恭久君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
佐藤(剛)委員長代理 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山法務大臣。
森山国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
佐藤(剛)委員長代理 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐藤(剛)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
佐藤(剛)委員長代理 次に、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。森山法務大臣。
    ―――――――――――――
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
森山国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。
 政府におきましては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改定する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出しておりますが、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。
 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を減額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、これらの報酬または俸給を減額することといたしております。
 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の減額に準じて、いずれもこれを減額することといたしております。
 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、公布の日の属する月の翌月の初日、ただし公布の日が月の初日であるときは、その日から施行することといたしております。
 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
佐藤(剛)委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、明十三日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十五分散会


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