衆議院

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第1号 平成15年3月18日(火曜日)

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本国会召集日(平成十五年一月二十日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   委員長 山本 有二君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 園田 博之君 理事 棚橋 泰文君
   理事 山花 郁夫君 理事 漆原 良夫君
   理事 石原健太郎君
      太田 誠一君    川崎 二郎君
      倉田 雅年君    左藤  章君
      笹川  堯君    下村 博文君
      中川 昭一君    中野  清君
      平沢 勝栄君    保利 耕輔君
      星野 行男君    保岡 興治君
      吉川 貴盛君    吉野 正芳君
      鍵田 節哉君    鎌田さゆり君
      中村 哲治君    日野 市朗君
      水島 広子君    山内  功君
      上田  勇君    山田 正彦君
      木島日出夫君    不破 哲三君
      植田 至紀君    徳田 虎雄君
      山村  健君
平成十五年三月十八日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 山本 有二君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 園田 博之君 理事 吉田 幸弘君
   理事 河村たかし君 理事 山花 郁夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 樋高  剛君
      太田 誠一君    小西  理君
      後藤田正純君    左藤  章君
      笹川  堯君    下村 博文君
      中野  清君    西川 京子君
      平沢 勝栄君    保利 耕輔君
      星野 行男君    保岡 興治君
      吉川 貴盛君    吉野 正芳君
      鎌田さゆり君    中村 哲治君
      日野 市朗君    水島 広子君
      山内  功君    上田  勇君
      佐藤 公治君    赤嶺 政賢君
      木島日出夫君    保坂 展人君
      山村  健君
    …………………………………
   議員           杉浦 正健君
   議員           漆原 良夫君
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   法務大臣政務官      中野  清君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    中井 憲治君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局国
   際社会協力部長)     石川  薫君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青
   少年局長)        田中壮一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   障害保健福祉部長)    上田  茂君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十日
 辞任         補欠選任
  川崎 二郎君     吉田 幸弘君
  倉田 雅年君     小西  理君
  棚橋 泰文君     後藤田正純君
  植田 至紀君     保坂 展人君
二月十八日
 辞任         補欠選任
  鍵田 節哉君     河村たかし君
三月七日
 辞任         補欠選任
  山田 正彦君     樋高  剛君
同月十八日
 辞任         補欠選任
  中川 昭一君     西川 京子君
  石原健太郎君     佐藤 公治君
  不破 哲三君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     中川 昭一君
  佐藤 公治君     石原健太郎君
  赤嶺 政賢君     不破 哲三君
同日
 理事加藤公一君一月十七日委員辞任につき、その補欠として河村たかし君が理事に当選した。
同日
 理事棚橋泰文君一月二十日委員辞任につき、その補欠として吉田幸弘君が理事に当選した。
同日
 理事石原健太郎君同日理事辞任につき、その補欠として樋高剛君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
一月二十日
 民法の一部を改正する法律案(枝野幸男君外七名提出、第百五十一回国会衆法第二三号)
 民法の一部を改正する法律案(漆原良夫君外二名提出、第百五十一回国会衆法第五四号)
 軽犯罪法の一部を改正する法律案(長妻昭君外三名提出、第百五十四回国会衆法第三二号)
 成年年齢の引下げ等に関する法律案(島聡君外二名提出、第百五十五回国会衆法第九号)
三月十七日
 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(杉浦正健君外四名提出、衆法第五号)
同月十八日
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(杉浦正健君外四名提出、衆法第五号)
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――
山本委員長 これより会議を開きます。
 理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事石原健太郎君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に
      吉田 幸弘君    河村たかし君
   及び 樋高  剛君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
山本委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所の司法行政に関する事項
 法務行政及び検察行政に関する事項
 国内治安に関する事項
 人権擁護に関する事項
以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
山本委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 本日は、特に行刑に関する問題を中心に質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長栗本英雄君、法務省大臣官房長大林宏君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長中井憲治君、入国管理局長増田暢也君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君、文部科学省スポーツ・青少年局長田中壮一郎君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田幸弘君。
吉田(幸)委員 おはようございます。自由民主党の吉田幸弘でございます。
 早速、質問に入らせていただきます。
 このたびの名古屋刑務所の一連の事件において、現職の刑務官合わせて七名が起訴をされたということは、法をつかさどる法務省の機関として極めて遺憾、かつ、亡くなった受刑者また御遺族におかれては、非常に悲しいことであったというふうに思うわけであります。
 それゆえ、どうしてこんな事件が起こったのか、また、どうすればこのような事件が二度と起こらないかというようなことで、しっかりと議論を尽くさなければならない、このように考えるわけであります。
 これらの事件は、いずれも外部からその中の生活状況がほとんど見えない、そんな刑務所内で発生をしたものであり、また、なじみも薄いわけであり、また、特に保護房、この中で起こったこと、あるいは革手錠使用に絡んだものであるため、事件として立件されてはいない過去のいろいろな事例、死亡事例についても公正な目で慎重に検証をしていく必要がある、このように強く感じているところであります。可能な限り、検証のための資料提出を、しっかりと速やかに提出を求め、このたび法務省から、過去十年に及ぶ死亡帳を順次委員会に提出をいただいているところであります。きょうは、この資料に基づいて確認したい点が数点ございます。したがって、そのように進めさせていただきたいと思います。
 今まで、国会から、過去十年間の保護房の中で起こった死亡事例、これは明らかにしてほしいと再三要求をしていたわけでありますが、法務当局としては、被収容者死亡報告なる報告文書の保存が三年間である、それらの事例を確認するために、身分帳、これを一つ一つ確認をする必要があり、速やかにこういう事例を出すことができない、このように我々に伝えていたというふうに認識をしておるところでありますが、これには間違いありませんか。
中井政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、死亡帳の件を説明することなく、これまで過去十年間の保護房内での死亡事案の御報告をしてこなかったこと、これはそのとおり、事実でございます。大変申しわけなく、深く陳謝いたしたいと思います。
吉田(幸)委員 死亡帳というものの存在が明らかになったわけでありまして、では、この死亡帳というのは、どんな目的でどのような根拠に基づくものなのか、御説明をいただきたいと思います。
中井政府参考人 お答えいたします。
 死亡帳とは、行刑施設の被収容者が死亡いたしました場合に、監獄法の施行規則によりまして、死亡日時、病名、病歴、死因、検視者等を記載することとされている書面でございまして、その様式は法務大臣訓令で定められているものでございます。
吉田(幸)委員 そうであれば、矯正局長としてもこの死亡帳というものの存在は承知していたと理解できるわけでありまして、じゃ、なぜこれを明らかにしないか。これは、今言われております保護房で死亡した数を出したくなくてというか、表に出るのを恐れてというか、故意に隠していたんじゃないかというふうに疑われても仕方ないというふうに私自身思うところであります。このことに対して見解を求めます。
中井政府参考人 お答えいたします。
 保護房内での死亡事案、これを検索と申しますか見るためには、矯正局で保管しております被収容者死亡報告というものと、それから、現場の行刑の各施設で保管しております死亡帳の二つがいわゆる検索機能として利用できるわけでございますけれども、このうち、被収容者死亡報告の保存期間は三年間でございまして、平成十一年以降の四年分しか残っておらない、したがって、四年分しかさかのぼれないということになっております。
 他方、死亡帳の保存期間は十年間でございまして、過去十年分までさかのぼることができるというものでありますけれども、このうちの、被収容者死亡報告には、保護房内での案件であるかどうか等々の詳細が記載されているわけでございますけれども、死亡帳には、先ほど申しましたように、死因や検視の有無等が記載されているのみでございまして、資料要求いただきました保護房内での死亡の有無等の詳細を確認するためには、現場施設にお願いするしかない、要するに、現場施設で死亡帳を頼りに個々の被収容者身分帳簿を精査しなければならないわけでございます。
 経緯を説明するのに、若干恐縮でございますけれども、矯正局長といたしまして、過剰収容が毎日深刻さを増している現場施設のことを憂慮しておりました。現場施設では、処遇の担当の職員もそうでありますけれども、事務職員も、年休の取得はおろか、休日出勤が常態化するなど、その勤務負担が非常に厳しい状況になっておりまして、それが日々厳しさを増しているものですから、私は、その士気の低下ということを非常に憂慮しておりました。
 そこで、全く私の一存でございますけれども、現場の施設に一層の負担をかけてしまうということをそんたくいたしまして、この件につきましては、可能な限り、矯正局、いわば本省限りで対応するほかない、かように思いました。当局にある四年分の資料、これでとどめてもらいたいという思いが強くございましたことから、死亡帳のことをきちんと申し上げず説明いたしました。これは事実でございます。まことに思慮が足りなかった、申しわけない、かように思っております。
 それでなくても厳しい現場に対して、過去十年分にさかのぼる作業負担を全国一律にかけた場合、その負担増あるいは全体的な士気低下をそんたくいたしまして、私なりに何とも忍びませんで、また、一たん対外的には死亡帳のことを言いそびれまして、被収容者死亡報告の保存期間は三年間であり、その後は捜査等で個別案件が特定されればそれは現場施設で対応いたしますという説明を対外的にしてしまいましただけに、その後、死亡帳のことは気にかかっておりましたけれども、なかなか言い出しにくく、結果として、委員の皆様方に多大な御迷惑をおかけすることとなりました。まことに申しわけない、重ねておわびしたいと思います。
吉田(幸)委員 気にかかって言い出しにくいということであれば、今後そういうことがないように、気にかかった時点でそういう報告あるいは情報というのは伝えていただいて、国民の皆さん、また我々に対しても十分説明がつくように取り組んでもらいたい、また取り組むべきである、このように思います。
 急ぎます。先日の新聞報道、死亡帳の中に、過去十年間、百人の変死者がいる、このように見出しがあったわけでありますが、ちょっとその数が、私も確認をさせていただいた数と数字が違っているような気がします。簡単に、その数だけの問題でお答えください。
中井政府参考人 お尋ねの報道は、先般私どもが提出させていただきました、名古屋、府中、横須賀及び大阪の各刑務所の合計二百六十件に係るものだろうと思いますけれども、これに対して百人の変死者という報道がなされたことは承知しております。これは、司法検視をした上でもなお犯罪の疑いのあるものが百件あったという誤解を招きかねないように思います。
 若干説明させていただきますと、私どもでも取り急ぎ集計いたしました。死亡帳の記載によるという前提でございますけれども、変死者または変死の疑いがある死体がある、こういうことで司法検視を行ったものは七十八件でございました。また、この司法検視を行いました七十八件のうちの七十件は、病死や自殺等、犯罪によるものではないとされていると聞いております。
吉田(幸)委員 では、残りはどういうことなのか。これは司法解剖を行った例があるわけですが、司法解剖が行われたということは、すべて事件性があったというふうに解釈していいわけですか。
樋渡政府参考人 まず、司法解剖の前に、司法検視の方から若干説明させていただきます。
 変死といいますと、一般的な用語といたしましては、犯罪によることが具体的に疑われるというような意味で用いられることも多いというふうには承知しておりますが、刑事訴訟法上の定義といたしましては、変死者とは、不自然死、これはつまり老衰とか病死ではない死のあり方でありますが、不自然死で、犯罪による死亡ではないかという疑いがある死体をいうとされています。
 そして、司法検視は、刑事訴訟法上、このような意味での変死者のみならず、変死の疑いのある死体、つまり、先ほど申し上げました自然死か不自然死かすら明らかでないようなものにつきましても行うことというふうにされておりますので、司法検視がなされたからといいましても、すべての事案で変死者と断定されるわけではなく、まして、すべての事案で具体的な犯罪の疑いがあるわけでもございません。とりわけ実務上は、行刑施設内における死亡事案につきましては、慎重を期すため、自然死である可能性が高い事案等につきましても司法検視を行う場合が多いものと承知しております。
 そこで、お尋ねの司法解剖のことでございますが、司法解剖は、犯罪による死亡とまでは判断されないが、そうでないとも判断しがたく、さらに、死因等を明らかにする必要がある場合にも行われるものと承知しておりまして、司法解剖が行われたからといいましても、事件性があると判断されたものではないというふうに承知しております。
吉田(幸)委員 今の説明、理解はするものの、さらに見ていくと、この死亡の原因ですね、死亡の直接的な死因、これは急性心不全という病名が結構目立つわけです。
 これは、例えば私が今ここで質問に立って、興奮してわあわあ言って、それで胸が苦しくなる、これは急性心不全ですよね。体つきを見るとそういう可能性があるんじゃないか、これはわかるわけです。ところが、その死亡帳から見ると、これは急性心不全といってもよくわからないんですね。この点について、非常に大ざっぱな病名をつけて、これも疑わざるを得ないような気がするわけです。この点について御説明をしてください。
中井政府参考人 委員御指摘のとおり、急死の場合の死亡原因で最も多いものは心臓血管系のものであるというぐあいに聞いておるところでございますけれども、行刑施設におきましては、外傷がない、それから単独室での死亡である、あるいは、例えば真夜中等で、職員の介在と申しますか、それが考えられない時間帯の死亡である等々でございまして、暴行による死亡等の外因死、外側に原因がある死亡でございますけれども、これが否定される場合で、かつ中枢神経系や呼吸器系の障害が積極的に疑われない、かような場合には急性心不全という診断名がつけられることが多いというぐあいに聞いております。そのために、急死の例に急性心不全という診断名が多い状況ではなかろうか、かように受けとめております。
吉田(幸)委員 それでは、血管が詰まったり破れたりする脳血管障害、この場合、これも結構目立つわけであります、これは司法解剖を受けずに、どのような根拠で脳梗塞であったり出血であったり判断をされておるのか。これも同じように伺いたいです。
中井政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の、脳血管系の障害で死亡した、これを司法解剖を経ずして判断した場合の根拠についてでございますけれども、これはそれぞれの具体的事例によって異なるというぐあいに考えられます。
 一概に申し述べることはいささか難しいのかなというぐあいに思うわけでございますけれども、死亡診断書の死因というものは医師の臨床的な判断によるものでございまして、解剖いたしませんと明確な死因は特定されない場合もあるわけでございます。
 ただ、脳血管系の障害の場合には、臨床的に申しますと、高血圧症等の既往歴がある、あるいは激しい頭痛の訴えがある、手足の運動障害あるいは意識障害を示していびきをかくなど特有の神経症状があらわれるものとされておりまして、これらの症状がある場合には、脳血管系の障害によるものと診断されることが多いというぐあいに聞いているところでございます。
吉田(幸)委員 それはよくわかるんです。それは、今の説明でもわかりますし、知っていることなんです。ただ、とにかく疑い出したらこれは切りがないという話になるわけであります。
 さらに突っ込んで、個別の案件になりますけれどもお答えいただきたいのは、府中の、興奮状態の受刑者に筋注をしたところ死亡したとか、腰痛の治療をするために医務室へ行った後急死したとか、これは大阪、熱中症、こういうことを結構具体的に書いてあるんです。ただ、物すごく簡単に書いているわけですね。
 これらについて説明を、簡単にというか、明確に答えてください。
中井政府参考人 順次、御説明させていただきます。
 最初の筋肉注射で死亡したという事例についてでありますが、死亡帳によりますと、当該受刑者は、幻覚に左右され興奮状態にあったことから医師による筋肉注射が行われ、その後容態が変化し死亡に至ったものと承知しております。死因は急性心不全とされておりまして、司法検視の結果、病死と判断されているとのことでありますけれども、詳細につきましてはなお調査中であります。
 続きまして、腰痛治療のために医務室に行った後に急死したという事例でございますけれども、死亡帳や被収容者死亡報告によりますと、当該受刑者は、入所以前から心臓弁膜症と診断されておりまして、血栓予防薬を服用していた者であります。腰痛の訴えがありまして、その診察に先立ちまして、状況確認のために立った状態から体の前屈を行わせていたところ、その後顔色が悪くなり、横臥させましたものの、口から泡を噴きいびきをかき始めるなど容態が悪化いたしまして死亡に至ったと聞いております。直接の死因は脳塞栓で、その原因は心臓弁膜症と診断されているところでありまして、司法検視の結果、病死と判断されたということでございますけれども、詳細につきましてはなお調査中でございます。
 最後の熱中症の案件でございますが、死亡帳によりますと、覚せい剤中毒の後遺症で治療中の者が、死亡の当日高い熱と意識障害がございまして、その後呼吸麻痺に陥り死亡に至ったものと聞いております。死因は熱中症による呼吸麻痺で、病死と判断されまして、司法検視は行われていないということでございますけれども、詳細についてはなお調査中でございます。
 なお、以上三つの事例は、いずれも保護房収容あるいは革手錠使用が関連した事案ではないという報告もあわせて聞いております。
吉田(幸)委員 調査中ということであれば、しっかり報告をしてもらいたい、また要求をさせていただくところであります。
 これ以上どんどんいくと、カルテの問題になって、医者に対しての問題になっていくわけですね。ですから、一事が万事で、対応が遅かったりあいまいなことをすると、多少域を越えて、法務省の問題あるいは現場の問題じゃなくて、医療関係者に対しても疑いの目が及ぶわけであって、そういうことだけはもうこれ以上は波及しないようにしっかりと対応していただきたい、このように思っています。
 もう一つ、今は死亡云々という話だったわけでありますが、一体刑務所内の健康管理というのはどうなっているのか。
 既往歴であったり健康状態、これによってもかなり死亡の数字というのが変わってくるんじゃないかな。ですから、疑われないためにはどうするのか。あるいは、我々と同じ環境でしっかりと受刑者に対しても対応するべきである。通常の医療において、どんな体制でやっているのか、簡単で結構ですから答えてください。
中井政府参考人 被収容者に対しましては、各現場の行刑施設の医者が診察するというのが基本となっております。入所いたしました際の健康診査等の健康診断もございますし、日常的には、被収容者から申し出があった場合とか、あるいは、担当職員がいろいろ様子を見ておりますので、そういったことを端緒といたしまして診療が行われております。急患の場合には、時間外の診察、救急車の要請といったことで、適切な対応に努めているというぐあいに承知しております。
 また、これら一般の現場行刑施設の医療体制で対応できない専門的な治療、これを必要とする被収容者もあるわけでございますけれども、これらにつきましては、いわゆる医療刑務所へ移送いたしましたり、あるいは外部の医療機関へ受診、入院等してもらう、こういったことで対応しているところでございます。
吉田(幸)委員 しっかりと医療体制をつくっていただいて、最近言われている予防も含めて、しっかりとやっていただきたいと思います。
 資料の点について一言、最後になりますけれどもつけ加えさせていただいて要求をしたいんですが、死亡の年齢とか、先ほどの急性心不全とかそういうものにこだわり過ぎて、くどいという話になるかもしれないです。これは、体重とか身長とかそういうことはいいにしても、年齢というのはかなり大きな要素になると思います。今ある資料の中で出せるものとして、カルテとかになるとまたさらなる要因が出てくるかもしれませんが、今あるもので年齢なんかは少なくとも個別には明らかにしてほしい。この要求を最後に、質問を終わります。
中井政府参考人 私どもが提出させていただきました死亡帳のコピーにつきましては、被収容者等の名誉、プライバシー等の保護に配慮するという必要性から、個人の特定につながり得る生年月日、死亡日等については、いわゆるマスキングを施させていただきました。
 ただし、冒頭申しましたように、私どもは、できるだけ可能な限り情報を開示して調査していただこう、かように考えておりますので、特定の事例で死因に不審な点が認められる、こういう場合にはそれぞれ個別に検討させていただきまして、必要があれば御趣旨に沿えるように真摯に対応していきたい、かように考えております。
吉田(幸)委員 個別対応で結構です。よろしくお願いいたします。
 以上で終わります。
山本委員長 午前十一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十時二分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時六分開議
山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。漆原良夫君。
漆原委員 公明党の漆原でございます。
 早速質問させてもらいますが、私は、二月の二十一日、衆議院の予算委員会で大臣に、この名古屋刑務所問題で次のように質問をさせてもらいました。受刑者が名古屋刑務所内で刑務官の暴行により死亡させられた、しかも、同刑務所は虚偽の報告書を作成して事件をやみからやみに葬り去ろうとした、受刑者と刑務官という圧倒的な力関係と、刑務所という密閉された社会で一体どんなことが行われているのか、再発防止のために、この際徹底して検証がなされるべきであろうと思うという趣旨の質問をさせていただきました。
 ところで、大臣は、三月の五日、法務大臣指示という形で矯正行政の改革に向けての大きな方向性を打ち出されておられます。大要五点であると思いますが、一点は現行仕様の革手錠の廃止、二点目は被収容者死亡報告の文書保存期間の延長、三点目はPFIを利用した刑務所の新設と運営、四点目、矯正局から独立した救済体制の創設、五点目が人事の滞留の解消。
 監獄法が施行されたのが明治四十一年でございますから、本年で九十四年目。ある意味では、この改革がなされれば監獄法施行百年という大きな大改革になるだろうというふうに私は思っております。
 そこでまず、大臣に、このような指示を出された趣旨について概括的な御説明を賜りたいと思います。
森山国務大臣 私は、名古屋刑務所におきまして一連の事件が起こりましたことにつきまして、絶対に起こってはならないようなことが次々に起こりまして、本当に残念に思っております。この背景には、矯正の現場職員が施設の中の規律秩序を維持するためには厳しくしなければならないというふうに思ってしまったとか、あるいは相手が犯罪を犯した者だからというような感覚がありまして、自分たちだけの常識をそれなりにつくってきてしまったという側面があるのではないかというふうに感じております。
 矯正行政に対する失われた信頼を回復いたしますためには、私自身が改革の先頭に立ちまして、矯正の現場職員が外部の目を意識せざるを得ないような、行刑施設の運営が国民との協働のもとに行われるようなシステムを一日も早くつくり上げなければならない、それに全力を尽くさなければいけないというふうに考えたところでございます。これまで、私の指示で、行刑問題に関する調査検討委員会におきまして、行刑の抜本的改革に向けた議論を尽くしているところでございますが、その方策として、今先生がおっしゃいましたような革手錠の六カ月以内の廃止とか、被収容者の死亡報告の文書保存期間の延長など、それに加えてまたPFIを利用した刑務所の新設、運営、矯正局から独立して情願その他の救済申し立てを調査する体制の確立など、従来の常識や発想にとらわれない大胆な方策を打ち出すことを決定したところでございます。
 刑務所も社会の一部でございまして、孤立したり国民の信頼を失っては成り立ちません。今後ともこのような視点から、一切のタブーを排して議論を尽くし、民間有識者の方々によります行刑改革会議、仮称でございますが、近く発足させたいと考えておりますが、その方々の御意見をも拝聴いたしながら、行刑の抜本的な改革に全力を挙げて取り組んでいきたいという決意をいたしております。
漆原委員 では、具体的にお尋ねしますが、現行仕様の革手錠の代替品ということなんでございますけれども、私どもも、委員会で名古屋刑務所の視察をして、革手錠を見てまいりました。今回のように、乱用される、不必要な拘束をされる危険性が十分あるなという実感を持ちましたし、また革手錠をされたまま食事をする、犬食いなんという言葉も言われておりまして、本当に人間の尊厳を損ねるものだなというふうに感じたわけでございますが、大臣は、現行仕様の革手錠の代替品というふうにおっしゃっておりますが、具体的にどんなものを想定されているのか、御説明をいただきたいと思います。
中井政府参考人 事務的に検討しておりますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 現在、矯正局におきましては、革手錠の代替品の検討を進めております。大臣の御指示によりまして、行刑運営に関する調査検討委員会で、半年後に廃止、本年十月から新たな代替品に切りかえるということが決定されたところでございます。
 そのイメージでございますけれども、具体的には、過剰な有形力が行使されるおそれがないこと、それから行動の制約が効果的に行われること、またこれを使用する対象の被収容者に対する人間としての尊厳に十分に配慮したものであること、こういった点に重点を置きながら、外国の様子なども参考とさせていただきながら、試作等を進めておるところであります。
漆原委員 次に、PFIを利用した刑務所の新設と運営。刑務所内の常識が民間の常識とかけ離れていく、これはもうどうしても、被収容者と収容者という関係、また犯罪を犯した者という関係、またある意味では、場合によっては凶暴性がある場合もあり得るんでしょうね、そんな中で、民間における常識と刑務所内の密閉された中における常識がだんだんと乖離していく可能性は私はあると思いますね。
 そういう意味では、民間の視点を矯正行政に入れるという点、このお考えはまことに私は大賛成でございますが、大臣はこの点についてどんなふうなお考えでこういう御提案をなされたのか、お尋ねをしたいと思います。
中井政府参考人 PFIは、民間資金等の有効活用によりまして効率的かつ効果的に社会資本を整備し、国民経済の健全な発展に寄与するものでありまして、大変有意義であると考えているところでございます。
 刑務所等の運営につきましては、これまでも運転業務、通訳、翻訳業務などのいわゆる刑罰権行使に直接かかわらない業務の一部について民間委託を進めてきたところでございますけれども、昨今の過剰収容の激化によりまして、早急な施設整備が緊急の課題となっているところ、平成十五年度予算案には調査費も計上いたしまして、PFIを活用した施設整備の検討を進めることといたしているわけでございます。
 三月五日の行刑運営に関する調査検討委員会におきまして、法務大臣から、PFIを利用した刑務所の新設と運営についての検討、これを加速するようにという指示があったところでございます。
 この方式によりますと、いやが応でも刑務所職員が民間の方々と協働、ともに働くということになるわけでございまして、これまで以上に地域社会との融和もこれあり、またこれをさらに配慮しなければ仕事ができないということになるわけでございますので、これは必然的に職員の意識改革というものが迫られますし、人権意識あるいは保安に関する意識の改善というものにも役立つのではないか、かように考えているところでございまして、その早期実現に向けて一生懸命努力してまいりたい、かように考えております。
漆原委員 大臣にお尋ねしたのであって、今、中井さんがいろいろお答えいただいたけれども、大臣がどんなお気持ちで民間のPFIを刑務所の行政に利用されようとしたのか、これは大臣のお言葉でお答えいただきたいなと思っておりますので、よろしくお願いします。
森山国務大臣 PFIというのは、私も最初耳なれなくて、どういう意味なのかよくわからなかったのでございますが、実は、民間資金等の有効活用によって効率的かつ効果的に社会資本を整備する、国民経済の健全な発展に寄与するものであるということで、有意義なものであるということはわかったのでございますけれども、どちらかといえば財政的な意味で、それを注目されて導入が始まったのではないかという気がいたします。
 刑務所につきましては、大変残念ながら、刑務所を建てるときに民間の資金を入れていただくとか、そういうことは非常に難しいわけでございますけれども、ここで私が言おうと思いましたのは、民間の方に国家権力に直接関係のないところでお手伝いを願い、刑務官とも一緒に仕事をしていただいて、そして世間の常識というものが刑務官にも自然に伝わるように、また気をつけるべきところがあれば注意をしていただくように、民間のお知恵をかりるという意味では、お金というよりはお知恵の方を拝借したいという気持ちが強かったわけでございまして、そのような意味で、このようなものが実現できますれば大変効果的ではないかというふうに思ったわけでございます。
漆原委員 そこで、中井局長にお尋ねしたいんですが、刑罰権というのは当然国家が独占しているわけでございまして、この刑罰権の中に民間、大臣がおっしゃった中には新設と運営というところも入っておりますので、刑罰権の一部に民間がかかわる行動ができるのかなという大きな疑問があります。したがって、この関係をどういうふうに理解されているのか。さらに、運営に民間の方の参入をしていただく場合には、どんなケース、どんなところを考えておられるのかなというふうに疑問に思っておりますが、お答えをいただきたいと思います。
中井政府参考人 刑務所等の運営につきまして申しますと、必ずしもすべてがいわゆる国家の刑罰権行使に直接かかわるものだけではございません。先ほど例示で挙げましたように、運転業務でありますとか翻訳、通訳業務、こういったものは当然現時点でもいわゆるアウトソーシングを進めているところでございますけれども、今後どういう形でこれをやっていくのか。特に、PFIになりますと、附帯事業をあわせてやっていって、そちらの方でも利潤を上げていただくということにもなろうかと思うわけでございます。
 いずれにしましても、私が申し上げることかどうか、適切でありませんけれども、余り役人がいろいろ考えてやっていくと、大体余りうまくいかない昨今の情勢でございますので、先ほど大臣が言われましたように、ぜひとも民間の方々、経営者の方々に双方向性でお知恵を拝借し、私どももいろいろな材料を提供して、そういう形の中から新しいものが生まれればと。
 特に、過疎地域からの誘致運動が非常に多いわけでございますけれども、でき得れば第二の村おこし、北海道開拓というような形で、雇用の確保にさらにつながるような形になればというぐあいに期待しているところでございます。
漆原委員 次に、矯正局から独立した救済体制の確立、創設についてでございますが、被収容者からの苦情処理だとかあるいは人権救済の申し立てが矯正局を経由しなきゃならないというのは、ある意味では僕は自己矛盾だろうというふうに思っております。矯正局から独立した救済体制の確立、創設は、大いに賛成であります。
 この点について大臣に、以前にも、私、質問をさせてもらった信書の検閲の問題でございますけれども、例えば受刑者が何々という刑務官に暴行を受けたとか、あるいはこれこれこういうところの刑務所でこんな人権侵害が行われているというふうな、助けてほしいという救済の内容が、自分が告発しているところの刑務所内で職員に見られてしまう、こういう体制では十分な救済はできないだろうというふうに思うわけであります。
 したがって、新たに創設される救済機関に対する申し立て、これはもう全部検閲の対象から私は外すべきだというふうに思うんですが、この点についての御所見を承りたいと思います。
中井政府参考人 委員御案内のとおり、行刑施設の被収容者が発受いたします信書につきましては、監獄法の施行規則で検閲することとされておるわけでございます。
 その検閲目的と申しますのは、不法な物品の授受等の刑務所等の規律及び秩序を害する行為、あるいは逃走その他収容目的を阻害する行為、これを防止するということとともに、発受する信書を通じましてわかるところの事情を当該被収容者に対する処遇の適切な実施に資するといったところにあるわけでございます。
 このように、検閲の必要性も認められるところでございますけれども、今回の一連の名古屋刑務所の事件、その再発防止策の中でも被収容者からの不服申し立ての取り扱いをどうするかといったことは非常に重大な問題としてございます。
 したがいまして、この不服申し立てに対する検閲のあり方につきましても、大臣の指示に基づきましてできましたところの行刑運営に関する調査検討委員会、さらには近く設置されると伺っております行刑改革会議等において幅広く検討していただければ、かように思っておりますし、矯正局といたしましても、これらの検討結果を真摯に受けとめまして、行刑施設における不服申し立てというものが十分機能するよう考えてまいりたいと思っております。
漆原委員 大臣のお考えを。
森山国務大臣 おっしゃいますように、一つの大きな問題だと思います。これから、これも一つの重要なポイントといたしまして、検討の課題にしていきたいというふうに考えております。
漆原委員 これは本当にぜひ積極的に、例えば弁護士会に苦情申し立てをする場合に、民間の弁護士が全部見ていいのかという、それの情報が漏れるのを防ぐにはどうするか、こういう問題はあると思うんですよね。だけれども、今度、ある意味では国家の機関としてそういう機関ができるわけですから、そういう意味では情報が漏れるという心配もないだろうと私は思うんですね。
 したがって、その苦情処理の機関を設けた以上は、そこに対する申し立て、全部検閲の対象から外す、何ら問題ないと思うんですが、まだ、大臣、慎重な面があるんでしょうか。その点どうでしょう。もう検閲から外すというふうにおっしゃっていただいてもいいのではないかと私は思うんですが、どうでしょうか。
森山国務大臣 非常に重要なことでございますので、外すことも含めまして、一から検討してみたいというふうに考えております。
漆原委員 ぜひ積極的な方向での検討をお願いしておきたいと思います。
 大臣、ありがとうございました。
 次の質問に移ります。
 平成十三年十二月十九日付の名古屋刑務所長名でなされた矯正局長、名古屋矯正管区長あての被収容者死亡報告についてお尋ねしますが、被収容者が死亡した場合には必ずこのような報告がなされるシステムになっているのかどうか、及び矯正局長または管区長は何のためにこの報告を受けるのか、この報告を受けて具体的な行動をしたのかどうか、三点まとめてお伺いしたいと思います。
中井政府参考人 では、順次御説明させていただきたいと思います。
 まず、行刑施設の長は、死刑執行を除きますところの被収容者のすべての死亡案件につきまして、死亡した被収容者の氏名、死亡年月日等、死亡に至る経緯などを被収容者死亡報告によりまして、事案が発生いたしました都度、遅滞なく矯正局長及び矯正管区長に報告することとなっております。
 これを受けました矯正局ないし矯正管区におきましては、死亡に至るまでの経緯に不自然な点はないか、医療上の措置や死亡後の諸手続が適切になされていたかどうかといったことを確認することとなっているわけでありまして、その観点からこの報告が義務づけられているものでございます。
 矯正局におきましても、医師を含みます職員がその内容を精査いたしまして、不明な点の確認やとるべき対応についての指示、必要な指導等を行っているところでございます。
 具体的な十二月事件の案件についてでございますけれども、平成十三年十二月十五日に名古屋刑務所において受刑者が保護房収容解除後に死亡したという口頭による報告が本省の担当者にございまして、司法解剖を実施した後の十四年の一月の十六日でございますけれども、受刑者が異常行動を反復していた、汚物を壁に塗りつけたといったような記載もございましたけれども、そういったことでありますとか、解剖医から聴取した所見といたしまして、自傷行為によると思われる腹膜炎による死亡、急性心不全であったという旨の、先ほど御説明いたしました被収容者死亡報告書が参りました。
 この内容にかんがみまして、当時は特に問題はないということの判断に達しまして、大臣にも御報告しておりませんし、矯正局としても特段の措置はとらず、検察の捜査の、通報しておりましたので、検察の捜査の推移を見守っていたという状況にあると聞いております。
漆原委員 問題は、この死亡報告書にうその記載がなされていた場合、矯正局としては何にも調べられない。矯正局は捜査権を持っているわけじゃない、監督権はあるんだろうけれども。疑問に思ったからといって関係者を強制的に調べるわけにいかぬわけですから、ある意味では、この死亡報告書を見て、ああ、問題ないなと思えば問題ない。とどまってしまうわけですね。
 今回は、私は、むしろこの死亡報告書に全くうそのことが書かれていたという点が一番大きな問題だろうというふうに思います。
 この報告書の「死亡に至る経緯」というのがありますが、三のところを見ていただきたいんですが、「なお、裂傷の方法、病状等について、職員、医師が本人に問いただしたが、本人は何ら申立てすることなく、痛み等の訴えもなかった。」こう記載されている。
 本当にこうだったのかどうか。医師に確認されましたか。関係者、医師に確認されましたか、どうですか。
中井政府参考人 御指摘の点につきましては、検察による捜査が開始されました後、医師初め関係職員からの事情聴取は実施しておりません。したがいまして、事実関係を確認していない状況にございます。
漆原委員 そうすると、捜査が始まったのは大分おくれているんだけれども、十二月十九日の段階ではこの「死亡に至る経緯」に書かれた内容をそのまま受けとめたということですね。
中井政府参考人 そのように聞いております。
漆原委員 「参考事項」というところがありますが、「参考事項」のこれも三、「解剖後、執刀医から「死因は本人が肛門から指を挿入し直腸を裂傷したことによる汎発性腹膜炎であり、本人から痛みの訴えがないかぎり医師であっても裂傷の事実を認知することは困難である。」旨の所見がなされた。」こう書いてある。
 私は、この記載に二つの問題があると思っているんだけれども、死亡原因が被収容者の自傷行為であると積極的に医師が認定しているのかどうか。これは真実でしょうか。
中井政府参考人 お尋ねの点でございますけれども、この事件につきます司法解剖が行われた場に、名古屋刑務所の職員が立ち会っております。その職員が解剖医の話を聞いたといたしまして、刑務所の上級幹部に報告して、それが委員御指摘のような記載になったのではないかと思われます。
 ただし、後に判明いたしました、解剖医の自為によるものであると考えても矛盾はない旨の最終的な鑑定書の内容とは異なっているようでございまして、この被収容者死亡報告書の作成に至るどの段階でこのような違いが生じてきたのかということについては、現在調査しているところでございます。
漆原委員 皆さんはこの報告書を見て事件性の有無だとかいろいろなことを検討するんだろうけれども、この報告書に、本当に執刀医が解剖後に積極的に自傷行為だというふうに言ったのかどうか。それを聞いたという伝聞が書かれているわけですよね。これは、今局長が言ったように、後になってみれば自傷行為と言っても必ずしもおかしくないというふうなことになっているわけでしょう。そういう自傷行為と言っても必ずしもおかしくないというのと、自傷行為だというのでは、全然違うわけですよね。
 あなた方は、こんな伝聞をそのまま信じて、ああ、これは事件性はないんだなというふうに判断していいんですか。どうですか。
中井政府参考人 当局で調査の過程で、取り急ぎ関係職員から、十分ではございませんけれども、事情を確認いたしました。
 いずれも明確な記憶ではございませんけれども、処遇部門の幹部を含みますところの数名がこの司法解剖に立ち会っております。その解剖の終了後に執刀医から、これら検視官でありますとか立ち会っていた私どもの職員に対しまして、今御指摘のあったような解剖所見が述べられたということがうかがわれるわけでありますけれども、先ほど申しましたように、まさに委員の御指摘のような問題点もございますので、さらに調査を進めたい、かように考えております。
漆原委員 こんな重要なことが伝聞で書かれている、それをそのままうのみにしていいのかどうか。
 要するに、この関係者は、犯罪に関与した人が仮にこれを書いたとすれば、自分の犯罪が発覚しないように隠そうとするわけですよね。そうすると、こういうものを、積極的に伝聞を書くわけですよ。それをそのままうのみにしているようでは、伝聞が書かれたことをうのみにしているようでは、何も監督者としての責任を果たしているとは思えない。そういうふうに言われても仕方がないんじゃないでしょうかね。
 もう一つ。「本人から痛みの訴えがないかぎり医師であっても裂傷の事実を認知することは困難である。」こう書いてある。これは、先ほど、「死亡に至る経緯」三のなお書き、この部分と全く符合する考え方が解剖医の所見として述べられているわけなんだけれども、本当にこんなことを言ったんですか。
中井政府参考人 私どものは行政的な調査でございますので、その点をお含みおきいただきたいわけでございますけれども、関係職員から取り急ぎ事情を聞いたところによりますと、委員御指摘のような解剖所見が解剖終了後に執刀医から述べられていたというように承知しているところでございます。
 いずれにいたしましても、この点についてはさらに調査を進めなければなりませんし、正確な報告が上がらない限り、管区にしろ、私ども矯正局にしろ、適正な事実はできないことは当然でございます。
 そのために、私どもといたしましては、客観的事実を担保することが必要であろうということで、革手錠使用に関しましてビデオ録画を行わせるということにいたしておりまして、さらに、大臣の御指示による調査検討委員会におきましても、それを、使用の際だけでなくて、使用開始からそれを終わるまでの間、革手錠の使用期間すべてをビデオ録画するよう決定されているところでございます。
 いずれにいたしましても、行刑施設をできるだけ透明化いたしまして、国民の批判に耐え得るシステムづくりをつくりまして、現場で働いている職員の抜本的な意識改革を図ってまいりたい、それが矯正行政の信頼回復につながるんではないかと愚考している次第でございます。
漆原委員 要するに、私は、この死亡報告書そのものが上に上がる段階でうそのことが書かれている、しかも医師の所見まで自分たちに有利に引用されている、それを矯正局としては何も調べるすべがないという、ここに大きな問題がある。現場が、うそを言って、事実を隠して、うその報告をすれば、そのまま通ってしまうようなシステムになっている。ここが非常に大きな問題だということを指摘させていただいて、とりあえず質問を終わらせてもらいます。
 ありがとうございました。
山本委員長 次に、山花郁夫君。
山花委員 山花郁夫でございます。
 本来であれば、私は、予算委員会でも法務大臣はその任にはないのではないかと申し上げてまいりましたので、ただ、審議はしなければいけません、その点は留保しながら、ただ、再度、その責任などについては明確にしてまいりたいと思います。
 昨日、私ども野党のメンバーで、安部譲二さんをお呼びしていろいろお話を伺いました。その折に、今回の事件は虐殺だというふうにおっしゃっておられたのが印象的でしたけれども、まず冒頭、外務省にお伺いしたいと思います。
 今回のケース、大変外国でも、リンチ殺人だとかそういうふうな衝撃的な言い方をされておって、大変日本の国としても不名誉なことではないかと思います。ところが、我が国は拷問禁止条約に関する選択的議定書については棄権をいたしております。これについて、こういう機会ですから、締結に向けて努力をされるべきと考えますが、いかがでしょうか。
石川政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年十二月、国連総会で採択されました拷問等禁止条約の選択議定書は、二十カ国の批准または加入により発効するとされておりまして、現在、セネガルとコスタリカの二カ国が署名済みと承知しております。
 我が国政府といたしましては、拷問等の防止につきましては国際社会が一致して取り組んでいく必要があるとの認識のもと、一九九二年から二〇〇二年一月まで十回にわたり開催されましたこの選択議定書の草案作成作業部会にも積極的に参加してまいりました。
 現在、政府といたしましては、この選択議定書に言うところの視察の具体的な態様等、選択議定書の中身と国内法との関係などにつき調査検討しているところでございます。
山花委員 ぜひ前向きにやっていただきたいと思います。
 ところで、きょうは行刑施設に関する問題ということで集中審議を行うわけでありますけれども、行刑施設から外れますが、矯正施設というふうに広げますと、何か事故があったようですね。法務大臣、情願のことについては随分と議論させていただきましたが、情願という制度すらない矯正施設がございますが、御存じでしょうか。
森山国務大臣 少年院にはそのような制度はございません。
山花委員 ですから、少年院の子供たちというのは、もちろんまだ少年ですから、人権という感覚がまだ先鋭化していなかったり、したがって、多少殴られたりけられたりしても、そういうものだと思っている節があります。また、保護房のことは随分当委員会でも問題となっておりますけれども、少年院の子たちの間の会話では、ここのところあいつ二カ月ぐらい見ないよねということが、平然と会話が行われております。そういったことからしても、少年院の問題について、名古屋の事件を中心にということですが、冒頭、少し触れさせていただきたいと思います。
 二〇〇二年八月二十六日ですから、去年のことです。千葉のある少年院で、十七歳の少年ですが、彼は身長が百七十センチぐらい、体重が約六十四キロですから、私よりやや身長が低くて体重は随分スリムということになりましょうか、プールで逆飛び込みの練習をさせられました。スタート台の真下の水深が一・二メートル、プール中央部の水深は一・五メートルのようです。
 ところで、一・二メートルということですが、財団法人日本水泳連盟というものがありまして、お配りはしてないですが、プール公認規則というものがございます。この中に、「体育医学の見地から水泳の研究に携わっているある研究者によれば、「水面上〇・七五mの高さから、成年男子あるいはそれに近い体格の人間が、任意な(あるいは乱暴な)姿勢で飛び込んで頭部や頸部を傷めないですむ水深をコンピューターを使ったシュミレーションで調べたところ、その深さはほぼ二・七〇m前後であった」とのことである。」中間省略しますが、「水深が一・二〇m未満のプールではスタート台の設置が認められなくなった」とか、「水深一・二〇mは決して安全の基準ではない。」ということが明記をされております。
 この少年は、恐らく指導者の不適切な指導があったんだと私は思いますが、頸椎骨折、頭部打撲、挫傷、頸髄損傷という大変大けがをしました。プールからなかなか浮かんでこなかったようですね。そしてヘリコプターで日本医科大学附属千葉北総病院に運ばれて入院、こういう事故が起きております。
 プールについては、資料でお配りをいたしましたけれども、かつて、例えば朝日新聞九三年の三月十日付でも、「学校のプール、もっと深く」ということで、当時文科省はやや慎重だったようですけれども、こういうことで、飛び込み事故の体験者が請願をしていたりとか、一枚めくっていただくと、東京新聞でも大変大きく取り上げられた時期があります、これは九三年の五月の事件ですね。もう一枚めくっていただきますと、「水深一・一メートル普通のプール また中学生が傷ついた」ということで、連続してこうやって起こっているということが報じられていた時期があります。
 ところで、文部科学省にお伺いしますけれども、こういった、かつてこういう時期がありましたけれども、その後どういう対応をとられましたか。
田中政府参考人 お答え申し上げます。
 学校のプールにおける飛び込みにつきましては、飛び込んだ生徒がそのプールに頭を打ちつけて事故が発生しておりまして、平成六年には、先生の資料にもございましたけれども、中野区の中学校において、水泳部の飛び込みの練習中に男子部員がプールの底に頭を打ちつけて下半身麻痺等の後遺症が残るというような事故が生じておるところでございまして、文部省といたしましては、このように水泳の飛び込み時に事故が発生しているという実態を踏まえまして、平成五年五月に発行いたしました「水泳指導の手引」におきましては、特にスタート指導の留意点という項目を設けまして、スタートの指導については個人の能力に応じた段階的な取り扱いを重視し、教師の指示に従って実施すること、それから水深や水底の安全を確かめ入水角に注意するなど、安全に配慮した慎重な指導を行うこととしておるところでございます。
 さらに、平成六年の事故を踏まえまして、平成七年以降は、毎年、水泳のシーズン前に、都道府県教育委員会等に対しまして水泳等の事故防止について通知を行いまして、プールにおけるスタートの指導に当たっての安全に配慮した慎重な指導についてその趣旨の徹底に努めているところでございまして、今後とも、水泳指導において適切な指導が行われまして、飛び込み事故が防止されるよう指導してまいりたいと考えております。
山花委員 済みません、外務省の方、もう結構ですので。それと、文科省もそれで結構です。
 この事故が、事故というか、私は事件のような気がしますね。つまり業務上過失傷害かもしれません。この子は、この少年は、身体障害者等級表一級相当の四肢体幹機能障害の後遺障害を負っています。親御さんも大変悲しんでおられます。むしろ、これだけのけがですから、死ななくてよかったぐらいの大けがなわけであります。
 ヘリコプターで運ばれたということ、再度確認いたしますが、これだけのことが起きているのに八街少年院はこの事故を警察に届けておりませんが、どういうことでしょうか。
中井政府参考人 少年院からの報告によりますと、今回の事故につきましては、水泳指導中の事故であったと、事件性とか犯罪性を帯びたものではないと施設側は認識していたようでございまして、そのような関係から警察に通報する必要に思い至らなかったというのがどうも実情であるというような報告を受けております。
 しかしながら、少年院でこの種事案が発生した場合に、警察であれ検察であれ、通報するかどうかという点についての明確な基準はございませんけれども、委員がまさに御指摘されたように、これは非常に重大な事案でございます。やはり、いろいろな問題はございますでしょうけれども、例えば少年の保護の問題とかありますでしょうけれども、やはり警察に通報する、そういう選択肢も考える余地があったというぐあいに私は感じております。
 いずれにしましても、こんな重大事故を起こさないようにするのがそもそもでございますけれども、今後、不幸にしてこのような事件が発生したような場合には、警察あるいは検察でもよろしいんですけれども、各事案の状況に応じて通報を検討するよう指導してまいりたいと思っております。
山花委員 警察に通報しなかったどころじゃないですよ、今回のは。警察が中でプール見せてくれと言っても、少年院は断っているんですね。
 ちょっと警察庁の方に聞きますけれども、矯正施設内部での事故とか事件について警察は現場検証もできないんですか。そんなことないですよね。一般論としてお答えいただいて結構です。
栗本政府参考人 一般論として申し上げますと、警察としては、少年院施設に限らず、捜査のための必要がありますときは、施設管理権者等の承諾を得ました上で、当該施設への立ち入りや関係者からの事情聴取を行うことができるものと考えております。
山花委員 つまり、任意の協力を求めるというケースでしょうから、公道での現場検証とは違うので承諾が要るということなんですけれども、これは、親御さんもプールを、現場を見せてくれと言ったところ、親御さんに対しても拒否をしております。また、警察も親御さんと一緒に行って見せてくれと言っているんですけれども、少年院側は拒否をしております。(発言する者あり)本当です。しかも、警察の方もらちがあかないということで、親御さんも大変御立腹されていたんですけれども、これ、私は警察ももっと頑張っていくべきだったと思いますが、その結果、感情的にも大変こじれまして、刑事告訴を決意しているわけです。
 まず、何でこれに対してそういう中を見せるぐらいのことを、ちょっと論点が分かれちゃいましたけれども、まず、警察に対してなぜ見せないのか、このことについて。つまり、通報しなかっただけじゃないです。しかも、親御さんは一一〇番通報しているんですよ、これ。それで警察が見に行って、それに対して見せないと言っている。これはどうしてそういうことをするんでしょうか。
中井政府参考人 委員御指摘のように、やはり当時警察からプールを見せてもらいたいという申し入れがあったことは事実のようでございます。少年院から聞いております。
 その際の事情でございますけれども、保護者の方が今後のことを協議するということで施設に来訪されたときのことと聞いておりますけれども、そこで施設の対応が遺憾だというようなことで腹を立てられたようでございまして、それで警察に通報されたというぐあいに聞いております。
 そこで警察が来庁されたわけでありますけれども、施設の方といたしましても、そういう一連の流れの中で、余り急にこういう事態の展開がございましたので、その場で即座に対応することを何かちゅうちょした。拒否したというようなニュアンスで私ども受け取ってはいないんですけれども、いずれにしましても、即座に対応することをちゅうちょいたしましたので、その旨を警察官に対し説明した、そういうぐあいに報告を聞いております。その結果、警察官は了承をされて帰られたというぐあいに私どもは現地から報告を聞いているところでございます。
山花委員 そんな、ちゅうちょしたといっても、結局、警察官が来て現場を見せてくれと言って、帰しているんですよね。それは拒否じゃないですか。拒否をしたということですよね。ちゅうちょ、ちょっと今の説明はよくわかりませんね。拒否をしないで、向こうがちゅうちょしているからといって、警察は何か、はい、さようならと言って帰るわけないじゃないですか。拒否でしょう、それは。
中井政府参考人 現場の施設の方では、その場で即座に対応するちゅうちょをいたしますというような趣旨の説明を警察に対してした、その結果、その警察官が了承して帰られたというぐあいに私どもは報告を聞いているところでございます。
 詳細につきましては、もう少し調べさせていただきます。
山花委員 では、ごめんなさい、余り警察を突っ込むつもりはなかったんですが、警察はそういう機会、ではわかりましたと言って帰っちゃうものなんですか。
栗本政府参考人 詳細について報告を受けておりませんので、細かいやりとりは承知しておりませんが、流れの中で、今から御説明をいたします。(発言する者あり)ですから、今から御説明しますから、質問通告ないですが。
山花委員 ちょっとその点について、これは統一見解を出していただけないでしょうかね、委員長。政府に対して、この点について拒否したのかどうか、あるいは、警察としてそういうケースで、了解したと言って帰ってしまうものなのかどうかについて。そこは、だって、何か言い分が違うようにも感じますが、いかがですか。
栗本政府参考人 警察としては、十月二十一日に電話通報を受けまして少年院に赴いております。これは関係警察署の署員が行っております。これがこの事案の初めての通報でございまして、詳細についてはその当時よく掌握していなかった。現場に行きまして関係者の方からお話を承ったところ、その場所におきまして、当事者間におきまして賠償問題等について交渉しているということ、それから、少年側の方からのお話では、プールで首の骨を折ったことについて事件として告訴するかどうか、改めて検討して連絡をする、こういうようなお話も現場であった。この事案は約二カ月前に発生した事案でございます。そのようなことから、現場の判断としては、直ちに事件として捜査すべきものかどうかの判断についてはできなかったと聞いております。
山花委員 まだちょっと、たくさん聞きたいことがあるので、その点について、また別途御説明をいただきたいと思います。
 ところで、今賠償の問題などについてということがあったので、法務大臣、少し前向きな議論をさせていただきたいと思います。
 例えば、学校などでプールの事故が、プールに限りません、学校で事故が起こると一定の金額が給付される制度がありますね。ところが、今回のこのケース、少年院にいる間は少年院の院生としての治療がなされますけれども、少年院を出てしまうと全く普通の、要するに親御さんが自費で、これだけ重い障害を持って、これから大変だと思いますよ。この方は家も引っ越されています。また、それ用のおふろの施設もつくらなきゃいけないとか、あるいはワゴン車を改造しなきゃいけないねなんという話もされていました。会ってきましたよ。
 こういうときに、学校であれば、学校が保険に入って、災害共済給付制度というものがあります。これは、過失があったかなかったかということを問わず、死亡見舞金であれば二千五百万円、障害見舞金であれば七十三から三千三百七十万円の幅で自動的に出される、こういう制度があるんですけれども、今回のようなケースでは、言ってみれば、少年院というのは比較的学校に近いものですから、こういうものが全くないようですが、今後検討された方がいいと思いますが、いかがでしょうか。
森山国務大臣 少年院で行っております職業補導中に発生した災害につきましては、後遺症が残る場合等に職業補導死傷病手当金を支給する制度がございますけれども、今回のような体育指導中の事故の場合には右のような手当金が支給されないというわけでございまして、私も非常に問題だと思っております。
 今後、議員御指摘の趣旨も踏まえまして、少年院における体育指導中などの事故についても適切な対応が行えるように検討していきたいというふうに思っております。
山花委員 先ほどの警察と少年院の話ですけれども、私は、ある意味警察が引っ込んで、引っ込んでというか帰られたのは、かなり少年院側が強く言ったのではないかと推測をしております。それ以上のことは申し上げませんが。
 なぜなら、この親御さんたちにも大変不誠実な対応をしているように私は感じられますね。事故後に院長や担当者にも会わせてくれと言ったんですけれども、全く会いに来ておりません。ふざけるなということで、来いというふうに言ったら、三日後に渋々やってきて、こういうケースでは医療少年院もありますからと、何か自分たちがやったことについて全く認識がないようなことを言って帰ってきている。今申し上げましたように、その後、プールを見せろと言っても拒否をして、しかも、少年院側には過失はなかったと、これを随分と言われているようですけれども、私はびっくりするんですけれども。つまり、多分警察に対しても同じ説明をされたのかもしれません、過失はないと。
 先ほど見ましたように、この時期、たくさん事件が起きておりまして、そして、判例時報を幾つか持ってきましたけれども、例えば、神戸地判、神戸の地裁です。横浜、横浜の中学校のケースですね。神戸、浦和、横浜、横浜市。ことごとく国は国家賠償請求訴訟で負けていますね。もちろん、森山さんがいけないという話ではないですが、この場合、訴えの被告は法務省ということになりますので、被告は法務大臣という形になるが、ことごとく負けている。
 何で、過失がなかったなんということで親御さんたちにそういう対応がとれるのでしょうか。
中井政府参考人 少年院から聞いておるところを御報告させていただきますと、この事案につきましては、事故が発生しました後、保護者の方に対して速やかに連絡を行いまして、継続的に今の事案の関係の状況を御説明させていただいているというぐあいに聞いております。
 しかし、先ほど来委員が御指摘されておりますように、これは非常に重篤な事案でございまして、保護者の方のお気持ちは察するに余りあるものがあると私は思います。
 先ほど大臣が答弁されたように、制度上見舞金や一時金を支払えないという制約もございまして、こういう重大な結果を生じた事案であるにもかかわらず、結果といたしましては保護者の方のお気持ちにおこたえできる対応が十分できなかったのではなかろうかと推察している次第でございます。
 今後とも、こういった制度面の制約はございますけれども、保護者のお気持ちというものをおもんぱかって、それを損ねることのないように十分な対応をさせるべく現場施設を指導してまいりたい、かように考えております。
山花委員 今回のこの問題について、委員会の部屋からも参考人を呼べという声がかかっておりますが、私は、今回のケースで、少年院長ではなくて矯正管区の方からお話を聞きたいですね。
 今回、現場の人たちは、つまり少年院側は会おうかなという感じはあったようです、私がその御両親の方からお話を伺ってきましたところ。そして、これは、少年院に親御さんと弁護士さんもついていったときに向こうから言われた話です。少年院側の説明では、例えば、教官には、会わせてほしいと言っても会わせられない、それは矯正管区からの指示だということなんですが、一体どういう指示を出しているんですか。とても信じられないんですけれども。
中井政府参考人 委員御指摘のような矯正管区からの指示というものはなかったと私どもは聞いております。
山花委員 弁護士さんもそのように証言しています。
 少年院から聞いたときに、会わせてほしいというときには、矯正管区からの指示だというふうに言われて、今、違うという御認識ですから、委員長、これは呼んで、参考人として来ていただかなければいけないと思いますが。
山本委員長 後刻、理事会で検討させていただきます。
山花委員 矯正施設というか少年院だけじゃないですね。
 この少年の両親は、リハビリ施設の充実した所沢の国立身体障害者リハビリテーションセンターに転院しようとしました。九月二十五日、少年院の次長と母親が行きました。相手方のドクターはオーケーというのを出したのですけれども、厚労省に伺います、十月七日に少年院長と庶務課長がセンターの医事管理課長と相談をしました。聞くところによると、センター側から院生であることを理由に拒否をしたようでありますが、ここの事実関係について教えてください。
山本委員長 中井矯正局長。
中井政府参考人 私どもは……(山花委員「厚生労働省に聞いたんですけれども」と呼ぶ)
山本委員長 厚生労働省上田障害保健福祉部長。
上田政府参考人 お尋ねの国立身体障害者リハビリテーションセンターの件でございますが、このセンターは、身体障害者に対するリハビリテーションを医療から職能訓練まで一貫した体系のもとに実施しておりまして、同センターにおきましては、急性期の治療終了後の患者さんであって身体障害及び身体障害のあるおそれの方を対象として、機能訓練回復等を専門スタッフのもとで実施しているところでございます。
 お尋ねのケースにつきましては、リハビリテーションセンターの病院が少年院から転院の相談を受けたケースでございます。
 まず一つは、病院の方ではICUの設備がないなど受傷後一カ月という急性期の状況にある患者さんを受け入れる体制にはないということ、また、少年院から二十四時間監視体制をする必要がある旨の申し出がありましたが、その時点ではこれに適切に対応するための受け入れ体制をとることが困難であり、また、当病院におきましては家族等の付き添いを行っていないこともありまして、他の入院患者の心理状況への影響等を考慮すると十分な体制にあるとは言えない、こういうようなことから、多くの診療科の医師が勤務し、そして一定の受け入れ体制があるいわば総合的な医療機関での対応を検討してほしい旨回答したところでございます。
山花委員 矯正局長、この一点だけに限っては、私はあなたの味方をしたいと思うことがあります。
 名前は伏せますが、少年院の次長さんですけれども、センター側からこう言われたと言っています。あなたも役人だからわかるよね、院生というのは困るんだと。つまり、センター側はそのことを理由に拒否をした。そして、このことについて親御さんに告げたら、大変怒っていたようです。私も、これはとんでもない話だと思いますよ、事実だとすれば。
 そして、この少年院の次長さんは、親御さんに同情しまして、あなたが抗議に行く意思があるんだったら私も一緒に行ってもいいですよ、つまり、あなたたち、親御さんたちで行くとまた違うことを言うでしょう、あちらのセンターはと。一緒に行ってもいいですよとまで言われています。
 今の説明、間違いないという自信はありますか。
上田政府参考人 昨日先生の方から質問の登録をいただきまして、私ども、センターの方に調査というか、その状況をお聞きいたしました。
 私どもがきのう、きょうにかけて状況を把握した内容につきましては、先ほども申し上げましたが、二十四時間監視つきの条件であることですとか、少年院であるという、そういったことを直ちに理由として入院を断ったわけではないというふうに私どもは聞いておるところでございます。
山花委員 矯正局長、どうですか。ということは、つまりこの次長はこの親御さんに対してうそをついている、こういうことになるんでしょうか。
中井政府参考人 私どもも取り急ぎ確認させていただいたわけでございますけれども、当該少年院の職員と相手先の、身体障害者リハビリテーションセンターですか、そこの職員の方との間で、この少年の転院受け入れについて協議を重ねてきたこと、これは事実でございます。
 また、私どももるる、いろいろお願いしたようでございますけれども、残念ながら先方の御理解を得ることはできなかった、やむを得ず同センターの転院を断念してほかのリハビリ専門病院の転院を検討している、検討したというような報告を受けております。
山花委員 そうなんですよね。少年院の方は、できるだけ行き先を探そうとしているんです。その後、少年院の方も、これはつまりは、私はリハビリテーションセンターがひどいことを言ったんじゃないかと思っていますよ、北総病院とか少年院の側から、いやこれは退院、病院じゃなくて少年院を出る、退院という形をとらないと医療機関は受け入れてもらえないかもしれませんねと一生懸命アドバイスをしています。
 どうも説明が違うようですが、これもちょっと政府として統一見解を出していただけないですか。重大な問題ですよ。ちょっとその点お願いいたします。
上田政府参考人 リハビリテーションセンターにおきまして、九月二十五日のやりとり、十月七日、その間話し合いがございまして、それと、私どもは、先ほど申し上げました状況をセンターの方から伺い、そのことを御説明申し上げたところでございます。ただ、ただいま議員の御指摘について、もう一度私ども、センターの方に対しまして事実関係の状況を至急調べたいというふうに考えております。
山花委員 ちょっとこれは、状況によっては少年院の次長と庶務課長とセンター医事管理課長を呼んでお話を聞かないと、これもわからない話ですね。
 委員長、ケースによってはそういうことを求めたいと思います。
山本委員長 後刻理事会で検討いたしますが、上田部長並びに法務省中井矯正局長、詳細な事実をなお検討して、調査結果を理事会に報告してください。
山花委員 お裁きありがとうございます。
 今回のこの件ですけれども、きょうは人権擁護局を呼んでおりませんけれども、ただ、一点、持ち上げたり落としたり大変あれですが、矯正局長、仮にこれが事実だったとすれば、これは人権擁護局に通報すべき話じゃないですか。つまり、もし院生であることを理由に断られたといったら、これは人権行政にとっても大変重大な問題だと思いますが、その形跡はないようですが、いかがでしょう。
中井政府参考人 まず第一点は、人権擁護局に対して通報したという事実は、私は聞いておりません。
 それから第二点といたしまして、事実関係を調べた上で人権上の問題が非常に大きいということになれば、それは検討すべき問題であろうかと考えております。
山花委員 少し一般論に戻りますが、この事件後に全国の少年院で水泳における逆飛び込みの練習は禁止されたようですが、いつからでしょうか。また、そういった通知が出ているのであれば、内容について御報告ください。
中井政府参考人 お尋ねの件でございますけれども、非常に重大事故が発生したということでございまして、平成十四年十一月二十九日付をもちまして、矯正局から全国の少年院長に対し、「体育指導時における安全指導の徹底について」という通知を発出いたしております。
 その概要は、一たん今回のような事故が発生いたしますと、少年の社会復帰、これが非常に大目的でございますけれども、それに多大な影響を及ぼす、これは当然でございます。また、私どもの施設運営上もさまざまな影響を受けることになるわけでございますので、体育指導に当たっては、その指導目的を再確認すること。指導目的が目的達成にふさわしい内容であるか否かをもう一度よく検討すること。指導に当たっては、全体に対する指導と個人の能力等に応じた個別指導、個別の方法、これを併用して事前の安全指導を徹底するということ。それから、万が一の事故の危険性をいろいろ想定いたしまして、設備、器具の点検を励行するよう、こういったことを内容とするものでございます。
 一番の問題でございます水泳指導時におけるスタート台からのスタートということでございますけれども、これは今回の事故に照らしましても、事故の場合の結果が重大となる可能性がございますので、当分の間禁止することといたしました。
山花委員 先ほど来、重大な事故だ、重大なという言葉が使われておりますけれども、こういった重大な事案について、一体どこまで報告が上がっていたんでしょうか。管区まででしょうか、それとも矯正局長のところに行っていたんでしょうか。
中井政府参考人 矯正管区及び当局に対して、報告が参っております。
山花委員 先ほど、こういったケースにおいて災害共済給付制度のようなものはありませんというお話があって、なぜかといえば、今までにこんなケースはなかったと。つまりそれだけ重大な事件だということだと思うんですが、法務大臣、報告は聞いていましたか。
森山国務大臣 新聞の記事を見まして気がついたのが初めてでございます。
山花委員 新聞の記事というのはきのうの東京新聞の夕刊のはずですから、つまりは、この事故は去年の八月二十六日にあったわけです。先ほど来重大な事故だ重大な事故だとよく認識されているにもかかわらず、そういうことなんですか。つまりは、大臣に報告すべきではないと判断された、だれがそういう判断をしたんでしょうか。
中井政府参考人 もっと早く大臣に御報告すべきであったと思います。判断いたしましたのは私でございます。
山花委員 それはまたまずい話ですよね。
 法務大臣、五月事件、九月事件でいろいろ処分されましたけれども、ちょっと矯正局長に対する処分、軽過ぎるんじゃないですか。いかがですか。
森山国務大臣 慎重に考えまして、さらに責任を感じてもらえるような措置をしたいと考えています。
山花委員 私は、御自身のことも含めて考えていただきたいと思っております。
 さて、ところで、今回のケースについて、つまりこれだけ重大な事故である、過失の有無について、私は、法務省という役所の中で、中の施設である少年院が過失がなかったとおっしゃっている意味がさっぱりわからない。大変不思議な話だと思うんですが、国賠訴訟なりなんなりで結果的に過失がないというケースは、ひょっとしたらあるのかもしれません。ただ、過去の判例を見ていると、相当法務省としては絶望的なケースだと思っていますが。
 今回のことについて、なぜこういうことを隠しているんですか、公表しないんですか。矯正局長。
中井政府参考人 当時といたしましては、私どもの側から公表するということは差し控えるべきであるという判断を出したわけでございますけれども、それは、やはり少年の保護でありますとか家族の名誉等を考慮していたものでございます。
山花委員 それは、でも、おかしいですよ。
 公表の仕方なんて幾らだってあるじゃないですか。何も少年院の場所とかそういうことを特定しなくたって、少年院でこういう事故がありましたと。公の機関としては、そういった事故があったら、むしろ積極的に、そういった少年の保護とか家族の名誉についての配慮をしながらも、こういった事故がありましたと、注意を民間の方に喚起すべき立場にあるじゃないですか。
 今でもそれでいいという御認識なんですか。それとも、翻って考えれば公表すべきだったという認識なんでしょうか。
中井政府参考人 保護処分でございますので、成人と比べてより一層プライバシーの問題等は重視すべきものである、かように考えております。
 しかし、実は、この後の段階で名古屋の事件に入るわけでございますが、その前の千葉刑務所の事件あたりから、私どもの方としましては、そもそも、こういった問題を公表するのはどうかということについて、大臣の御指導を受けながら考えてまいりまして、できるだけプライバシーに考慮しながら公表していくべきであろうという方向に実は進んでおりまして、先般、調査検討委員会等でも出ましたように、死亡案件については、一応の公表の基準的なものをやって、現在、運用しているところであります。
 ただ、委員の御指摘も十分にわかるわけでありますけれども、少年に関する重大事故の公表のあり方、これはどうするんだという問題につきましては、正直申し上げて、まだいろいろと意見があるところでございまして、調査検討委員会なり、私の感じでは、近く設けられます行刑改革会議のような場で、私どもが考えるというより、もっと幅広い、大きな立場からいろいろ議論していただきたい、それに従って、私どもも公表のあり方について考えていきたい、かように考えているところでございます。
山花委員 結局、私は、それも大変疑問があるんです。だって、後に通知を出して、プールの飛び込みをやめさせたりとか、一生懸命そういうことをやっていたじゃないですか。つまりは、内部的に処理しようということは一生懸命されるんですけれども、対外的な批判を受けるようなことというのは公表してないわけですよね。大問題だと思います。
 これは矯正局でも刑事局、どちらでも結構ですが、この件について、ついに、親御さんたちも、しびれを切らしてと申しますか、実は、警察にいろいろ言ったんだけれども、少年院側の協力が得られないので、警察の方も、これも警察の対応としていかがかという点は留保させていただきながら、これは地検の方に、検察の方に言ったらどうかというふうに、それぐらいガードがかたかったようですね。それで、地検の方に行って刑事告訴をされたようです。
 イエス、ノーで結構です、これは捜査中の案件という認識でよろしいでしょうか。
樋渡政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの事案につきましては、千葉地方検察庁において、本年一月、告訴を受理し、現在捜査中であるものと承知しております。
山花委員 この問題については、まだ幾つか通告をしていたこともあるんですけれども、一たん切らせていただきたいと思います。
 きょうは、官房長、いらっしゃっていますね。こうやって、何か、私は、矯正局初め刑務所関係でも、何か物事を隠されているなという印象を非常に受けているんですけれども、つまり、いろいろ資料要求をしましたが、なかなか出てこないですね。大変不思議なんですけれども。
 例えば、理事懇談会の場でも指摘をさせていただいた件です。幾つか資料を出せと言って、特に名古屋については、特別調査チームというのがもう既に発足していて、資料なんかはそこにいっぱいたまっているはずじゃないですか。そこからもらえばすぐ出てくるはずなのに、何で出てこないんですか。
 例えば、では限定して言いましょう。過日、死亡帳について出してくれという話をしましたけれども、官房長の御説明では、いや、現地からファクスを送ってもらって、取り寄せているんです、だから大変時間がかかりますというお話だったですけれども、そうじゃなくて、だって、特別調査チームが一生懸命やっているんだから、本省に資料はあるんじゃないんですか。何でこんなに時間がかかるのか。もう一度、その点について、理事懇で言われたのは、その当時、官房長からの御説明で我々受けていますから、御答弁いただきたいと思います。
大林政府参考人 お答え申し上げます。
 基本的には、私の方で、各原局からの申し入れといいますか、そういう形で先生方にお伝えしております。
 今の、死亡帳が名古屋関係の調査チームで資料として集められたか否かということは、私の方でちょっとわかりませんので、矯正局長の方からお答えさせていただきたいと存じます。
山花委員 いや、名古屋についてあるかどうかわかりませんからと言われましたけれども、当時、理事懇談会では、ないとおっしゃっておられましたよ。
大林政府参考人 私が今申し上げたのは、要するに、死亡帳を出してもらいたいという御要求がありました。それで、私が矯正局から聞いていたのは、死亡帳は各施設において保管するものである、それで、その施設からファクスで送らせた上で、それで、要するに公表できない部分をマスキングした上で提出しなきゃならないという御指示だったものですから、矯正局にそれを申し上げて、それから矯正局から出してもらった。
 ただ、今おっしゃられる、名古屋の調査チームにおいて、名古屋から、その死亡帳自体を手に入れてきて、本省にあったかどうかということは、私、承知してないものですから、その点はちょっとわかりません、こうお答え申し上げたものです。
山花委員 矯正局長、お願いします。
中井政府参考人 死亡帳につきましては、このたびの資料に応じるということで、初めて全国の各施設からファクスで送らせました。それ以前から、私どもの調査チームが事前に入手していたという事実はございません。
山花委員 それはそれで、特別調査チームは一体何をやっていたんだという話になると思いますよ。これだけいろいろ問題になっていて、死亡帳すら見てなかった、つまりは取り寄せてなかったという話ですよね。
 ただ、一方で、私、最初から大変気になっていたんです。「行刑問題に関する資料(第一次)」というのをいただいたときには、これはファクスで送られてきたんだろうなと思われるものももちろんあるんですけれども、名古屋、大阪、府中、横須賀と、いただいた資料、大変きれいなんですね。ファクスでこんなにきれいに出るものでしょうか。本省で持っていて、それをコピーしたんじゃないですか。ないんですか、本当に。
中井政府参考人 現地からファクスで送られてきたことは間違いございません。ただ、製本する際に、ファクスの上の部分をきれいにするという意図から、ちょっと具体的なやり方は、私、知りませんけれども、そこを多分紙で押さえるかマーカーでやったのかわかりませんけれども、その結果、きれいな形になっているというぐあいに聞いております。
山花委員 きょうの資料でお渡ししてあります四番のが、死亡帳の原本をコピーしたものです。
 私、どうもおかしいなと思っていたんです。それで、たしか法務省にも富士通のゼロックスのファクス、コピー機が入っていると思うんですが、これは専門家が見ても、ファクスなのかコピーなのかというのはよくわからないぐらい、最近のものは精巧らしいですね。ただ、なぜこんなに精巧かというと、五年ぐらい前から、ファクスにもデジタルの技術が入ってきております。したがって、恐らく、お帰りになってコピー機を見ればわかると思いますが、画質の中で、普通と高画質と超高画質というのがあって、超高画質でやると、その紙自体を見ても、ファクスだかコピーだか、必ずしも判別しがたいらしいですね。ただ、原本を送ったものを見ると、ややわかることもあるようです。
 資料の六番の方は、これは普通画質で送ったものですね。これは法務省から送ってもらったものです、ファクスで送ってくださいと言って。役所の方、ファクスで送ってくださいと言えば、普通、普通画質でぱっと送りますね。五番の方が、超高画質と言われるもので、非常に鮮明で、きれいです。
 私、大変不思議に思ったのは、これだけ急いで出せといったものを、府中、大阪、横須賀、名古屋ですか、皆さん、丁寧ですね、五年前から導入された新しい機械で、超高画質でわざわざ送ってこられたということなんでしょうか。ただ、超高画質でも、原本と比べると、例えば、ポイントが六ポイント以下、つまり二ミリ以下のものについては、字が少しつぶれることがあるようです。四と五をごらんいただけると、本籍の籍の字であるとか、遺体の遺の字であるとか、こういったものは、大変つぶれることがあるということです。
 資料の七と八をごらんいただくとわかります。七番が、これは恐らくファクスで送られてきたものなんでありましょう。ただ、八番、これは最初見たときからおかしいと思ったんです。ファクスで幾らデジタル処理しても、こういう左側に影があるものについて、罪名の罪の字がつぶれていなかったりとか、こういうことはまずあり得ないようですね。どうしてこんなきれいな、もちろん紙質がどうこうということをもしかしたら言われるかもしれませんけれども、決定的な話があります。
 今、局長がおっしゃられたように、普通、ファクスで送ると、ヘッダーとかフッターとか申しまして、ここに番号がつきます。もしかしたら、マーカーとかで消したのかもしれませんし、送信する側において消去することができるようですが、局長、ファクスというのは、そのヘッダーとかフッターの部分がある分、デジタル処理しようとアナログで送ろうと、原本より縮小した形で送られるんです。
 不思議に思いました。このファクスで送られたと思われるものは、こうやって、例えばこういうクリアファイルなどで透かすと、確かに原本と比べると小さいんです。ところが、名古屋から送られてきたと称するものは、これはすべて原本と同じ大きさですね。たまたまコピーのサイズ、少しひずんだりとかいうことがあるようですけれども、どれを見てもことごとく同じサイズです。本省であるんじゃないですか。
中井政府参考人 ファクスのやり方について、私よく存じないものですから、調査させていただきたいと思います。
 私が受けている報告では、現地からファクスで送られてきて、それをコピーして出したというぐあいに私は聞いておりました。
山花委員 いや、しかしこれは重大なことですよ。つまりは、出せ出せと言っていた資料を、ずっとそういうことを言っていて出さなかった。もしこれが本省にあったのだとすれば、今まで隠していたという話ですからね。
 もう一度御答弁いただきたい。つまり、だれに、どなたから聞いているんですか。つまり、中井矯正局長は自分で、本省にあるのかどうかは、確かめた上で、ないと判断されているわけではないわけですね、今の御説明は。これは、何だったら鑑定に出す必要があるんじゃないですかね。つまり、本省にあるにもかかわらず隠していたという話ですと、大変なことですよ。
 ただ、非常に私は不思議なのは、どうやって透かしてみても、もう皆さんお手元にあるからこうやって上に透かしてみればわかると思います。明らかに、こちら、ファクスで送られてきたもの、これと比べたってちっちゃいんですよ、ファクスで送られてきたものは。本省にあるんじゃないですか。
中井政府参考人 私の認識は先ほど申したとおりでありますが、委員の御指摘の点を踏まえまして調査させていただきたいと思います。
山花委員 ただしかし、もしそうだとすると、だって、これはもしかすると改ざんされているかもしれないくらいの話じゃないですか。これに基づいてこれから今質疑をしようとしているのに、ちょっとこれじゃ質問できませんよ。
山本委員長 中井局長に申し上げます。
 できるだけ速やかに山花委員指摘の点について合理的な回答を委員会に提出するようにお願いいたします。(発言する者、離席する者あり)
 質問者以外は席に着いてください。責任者以外は席に着いてください。(発言する者あり)いやいや、だめだめ。
 山花君、残余の質問を続行してください。残余の質問を続行してください。
 場内整理ですから、ちょっと質問者にあれして。ちょっと席へ着いて。山花委員とのやりとりでここはきちっとしますから。質問者の時間だから、ちょっと席へ着いて。早く席へ着いて。
 それでは、暫時休憩し、再開は本会議終了後直ちに再開させていただきます。
    午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時九分開議
山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 杉浦正健君外四名提出、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。杉浦正健君。
    ―――――――――――――
 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
杉浦議員 ただいま議題となりました金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者を代表いたしまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律(平成十年法律第百二十七号)は、平成十年八月のいわゆる金融国会におきまして、金融再生トータルプランに関する議員提出四法案の一つとして提出され、同年十月成立した法律であります。
 この法律の要点は、次のとおりであります。
 第一に、金融機関等が根抵当権により担保される債権を整理回収機構、サービサー等の債権回収機関に売却しようとする場合において、債務者に対し、売却する旨及び新たに元本を発生させる意思を有しない旨を書面により通知したときは、民法の定める元本の確定事由に該当するものとみなすこととしております。
 第二に、これにより元本が確定した場合の登記は、根抵当権の移転の登記とともに申請する場合に限り、債務者等の根抵当権設定者と共同で申請しなくても、根抵当権者のみで申請することができることとしております。
 この法律は、本年三月三十一日までの臨時措置法でありますが、本日御審議いただきます法律案は、この法律の適用期間を平成十七年三月三十一日まで、二年間延長しようとするものでございます。
 以下、適用期間の延長の必要性について御説明を申し上げます。
 経済財政諮問会議は、「改革と展望―二〇〇二年度改定」において、不良債権処理など諸改革を加速すると同時に、集中調整期間を一年程度延長し、平成十六年度までの間、改革を集中的に推進するとされております。また、経済活動を支えるより強固な金融システムを構築するため、不良債権処理の加速に強力に取り組み、不良債権問題を平成十六年度に終結させることを目指すとされております。
 金融機関等が有する回収が困難となった債権であって不動産を担保とするものの処理が今なお喫緊の課題である状況にかんがみ、債権譲渡円滑化法の期限を延長する必要がございます。
 以上が、この法律案の趣旨及び概要でございます。
 委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
     ――――◇―――――
山本委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑を続行いたします。山花郁夫君。
 山花郁夫君の質問でありますが、午前中の質問の答弁を中井矯正局長から聴取いたします。中井矯正局長。
中井政府参考人 委員の御指摘に基づきまして、取り急ぎ、死亡帳の写しをどのようにして矯正局が受領したかという方法について調査いたしましたので、その結果について御報告いたします。
 府中刑務所、横須賀刑務所及び大阪刑務所分は、これはすべてファクスで、三月十一日に受領しております。この日付につきましては、ファクスの印字で確定いたしました。
 名古屋刑務所についてでありますが、平成十一年から十四年分は、やはりこれもファクスで、当局が受領しております。三月十一日に受領しているところでございます。
 それ以前の平成五年から平成十年分につきましては、三月の八日に名古屋矯正管区の職員が、当該死亡帳の写しを直接持参していることが判明いたしました。この日付につきましては、当該矯正管区職員の旅行命令簿によりまして日付を確定したところでございます。
 いずれにいたしましても、今回の資料要求に際しまして、三月八日及び三月十一日の二回に分けて、名古屋、府中、横須賀、大阪の四庁分の死亡帳の写しを当局が入手したものであり、それ以前に当局がこれを保持していたものではございません。
山花委員 午前中の答弁とは変わっていると思いますし、また、経過の説明も、到底これは納得できるような合理的な話だと思いません。
 これ以上、質疑を続行することは困難だと考えます。
山本委員長 次回は、明十九日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十五分散会


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