衆議院

メインへスキップ



第7号 平成15年4月15日(火曜日)

会議録本文へ
平成十五年四月十五日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 山本 有二君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 園田 博之君 理事 吉田 幸弘君
   理事 河村たかし君 理事 山花 郁夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 樋高  剛君
      太田 誠一君    金子 恭之君
      小西  理君    後藤田正純君
      左藤  章君    笹川  堯君
      下村 博文君    谷本 龍哉君
      中野  清君    西川 京子君
      平沢 勝栄君    保利 耕輔君
      星野 行男君    松宮  勲君
      保岡 興治君    吉川 貴盛君
      吉野 正芳君    鎌田さゆり君
      中村 哲治君    日野 市朗君
      水島 広子君    山内  功君
      上田  勇君    白保 台一君
      藤島 正之君    赤嶺 政賢君
      木島日出夫君    植田 至紀君
      保坂 展人君    徳田 虎雄君
      山村  健君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   法務大臣政務官      中野  清君
   財務大臣政務官      田中 和徳君
   最高裁判所事務総局人事局
   長            山崎 敏充君
   政府参考人
    (内閣審議官
    兼司法制度改革推進本
    部事務局長)      山崎  潮君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制
   部長)          寺田 逸郎君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           清水  潔君
   参考人
   (中央大学法学部長)   永井 和之君
   参考人
   (弁護士)        道 あゆみ君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     金子 恭之君
  後藤田正純君     谷本 龍哉君
  中川 昭一君     西川 京子君
  平沢 勝栄君     松宮  勲君
  上田  勇君     白保 台一君
  石原健太郎君     藤島 正之君
  不破 哲三君     赤嶺 政賢君
  保坂 展人君     植田 至紀君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     小西  理君
  谷本 龍哉君     後藤田正純君
  西川 京子君     中川 昭一君
  松宮  勲君     平沢 勝栄君
  白保 台一君     上田  勇君
  藤島 正之君     石原健太郎君
  赤嶺 政賢君     不破 哲三君
  植田 至紀君     保坂 展人君
    ―――――――――――――
四月十五日
 民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)
 人事訴訟法案(内閣提出第六七号)
 裁判の迅速化に関する法律案(内閣提出第九八号)
同月十一日
 児童保護に名を借りた創作物の規制反対に関する請願(家西悟君紹介)(第一六四三号)
 同(山花郁夫君紹介)(第一七〇三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案(内閣提出第一〇一号)
 裁判の迅速化に関する法律案(内閣提出第九八号)
 民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)
 人事訴訟法案(内閣提出第六七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
山本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、中央大学法学部長永井和之君、弁護士道あゆみ君、以上二名の方々に御出席いただいております。
 この際、参考人各位に委員会を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、永井参考人、道参考人の順に、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。
 それでは、まず永井参考人にお願いいたします。
永井参考人 永井でございます。
 このような機会を与えていただきまして大変光栄に存じております。何せ初めての経験でありますので、ちょっと原稿を見ながらしゃべらさせていただきたいと思います。
 私の専門は商法でありまして、昭和四十四年に中央大学の法学部の助手になって以来、研究教育に従事してまいりました。そして、平成十一年十一月からは、法学部長として法科大学院の設置準備にも関与してまいりました。また、昨年一月からは、司法制度改革推進本部の法曹養成検討会の委員として、新しい法曹養成制度に関する検討にも参加しております。
 さて、本法案についてですが、新しい法曹養成制度のプロセスとしての法科大学院の教育を考えるに当たって、今回の審議の対象となっております法科大学院への教員派遣制度は、以下の理由によって法科大学院における教育に必要不可欠なものであると考えております。
 まず、その第一の理由といいますのは、法科大学院では、継続的に現実の実務における取り扱いや処理を意識していく必要があり、その意味では、実務と法科大学院における教育が恒常的に架橋されていることが必要であると考えるからであります。すなわち、そのような実務と法科大学院との連携を確保する一つが、しかも重要な一つが今回の実務家教員派遣法であると考えております。実務の現場における情報をその実務にいらっしゃる現職の裁判官、検察官等の教員派遣によって確保することが法科大学院の法曹養成教育を生きた法曹養成教育とするために重要であり、不可欠と考えるからであります。
 また、このような実務との架橋ということでは、裁判実務や検察実務に限らず、例えば、経済法、知財法、租税法、労働法、国際関係法などといったような分野におきましては、それぞれの行政分野との恒常的な連携も必要ではないかと考えております。そこで、当該専門分野についての生きた現実の取り扱いを担当されている、しかも豊富な知識と経験を有する一般職の国家公務員が法科大学院に教員として派遣されることも重要であると考えております。
 このように、実務の現場の担当者である実務家教員が各法科大学院に派遣され、研究者教員と協力してカリキュラムを確定し、教材開発を行い、教育方法を検討するということによって、法科大学院の法曹教育が生きた法や実務を常に意識した教育として充実されていくのではないかと考えております。そういう意味で、この派遣法案は、そのようなことを保障する、制度的な保障となるのではないかと考えております。
 第二の理由は、このような視点に基づく実務家の派遣が全国的に確保されるということは、全国的に現在展開しようとしている法科大学院の設置、しかもそこにおける法曹養成教育にとって大変意義があるということであります。裁判実務や検察実務をリードしております東京などから、教員派遣といった制度によって情報提供が全国的に頒布されていく、そういったことが恒常的に保障されることが法科大学院の全国展開にとって必要不可欠なものと考えております。
 第三の理由は、この制度が司法改革における人材養成といった、いわばインフラ整備といった側面を有するということであります。このような社会変革におけるインフラ整備に相当する人材養成には、公共投資として、国家における財政支援策が講じられるべきではないかと考えております。
 もちろん、法科大学院の設立を計画している大学は、その国家的、社会的な使命を十分に認識しておりますので、そのために全力をもって取り組む覚悟を持っておりますが、そこにかかる費用を法科大学院に学ぶ学生に転嫁するということになりますと、学生にかなり高額の学費負担を強いることになると考えます。
 この人材養成にかかる費用というものを国家財政上どのように構築するかは、他の支援策との総合的な仕組みの中で検討されるべき問題だと思いますが、先ほど述べましたように、この派遣といった意義がすべての法科大学院にひとしく認められることを考えますと、派遣にかかる費用を直接的に国家的に負担していただくという方法が効率的、効果的ではないかと考えております。個々の学生に対する奨学金制度より、大学単位に、または派遣教員ごとに行う方が、対象数が少なく事務コストがかからないと考えますので、本法案のように考えることの方が合理的であると考えております。
 すなわち、今回の法案では、実務家教員の安定的かつ継続的な派遣を確保するために、必要に応じて国が検察官等に給与の一部を支給することができる制度とされているものと承知しておりますが、ぜひ実現していただきたいと考えております。
 なお、全国的に法科大学院を設立するということでありますと、先ごろ実施された法科大学院協会設立準備会の調査によりますと、裁判官や検察官の派遣を要請することを予定している大学が既に五十校以上あります。そのうち、必要専任教員数などの設置基準を満たすために派遣を必要としている大学が約二十五校に上っております。この派遣を期待されている裁判官、検察官等の担当を予定している科目は、法科大学院におきます必須科目である実務基礎科目を中心にしております。したがって、その派遣が実現しない場合には、法科大学院の全国的な設置に重大な支障が生ずるおそれが考えられます。
 以上述べました、すべての法科大学院に恒常的に実務現場との連携を確保させて、法科大学院の教育を生きた法曹養成教育とする本法案の意義をとりわけ御理解いただきまして、一日でも早くこの法案を成立させていただきたいと思います。
 それは、法科大学院の設置認可申請の期限が本年六月末でありまして、各大学は今最終的なその設置申請の詰めをしているところでありますが、この法案が早期に成立しなければ、教員確保、とりわけ実務家教員確保の計画に支障が生ずるおそれがあります。そういったようなことでありますと、設置認可申請の準備にも大きな問題が生じ、もし、この法案で予定している実務家教員が確保できないとなると、新たに実務家教員確保にこれから走らなければならなくなります。また、そこで、予定されているカリキュラム担当などの見直しも必要になってきます。そういった意味では、進学希望者に対する情報提供もおくれることになります。特に、地方の法科大学院にとっては実務家教員の確保は深刻な問題となっておりますので、この法案の早期成立が不可欠であると考えております。
 このように、この法律の成立への願いというのは、全国の法科大学院関係者の願いであると同時に、法科大学院進学希望者、すなわち、将来法曹となりたいと願っている学生や社会人すべての願いでもあります。
 以上であります。
 冒頭に申し上げましたが、このような機会を与えてくださったことに御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
山本委員長 ありがとうございました。
 次に、道参考人にお願いいたします。
道参考人 本日は、私のような若造をお招きいただきまして、法務委員会もなかなか大胆というか、やるではないかと感服いたしております。お手やわらかによろしくお願いします。
 私は、弁護士になりまして、登録いたしまして九年目でございますが、この一年半は日弁連において法科大学院の問題を中心に携わってまいりました。本日議論をいたします、略称で申し上げますが、派遣法については、私が見ておりまして、ともすると一連の法科大学院関連法案のいわばおまけのように位置づけられて議論されがちなのですが、実はそうではない。私は、この法案は、法科大学院のあり方、そして、ひいては専門職大学院全体のあり方を決する重要な法案になる、影響力の大きい法案になるというふうに考えております。
 したがって、私は、この法案を考えるに当たっては、私どもの知性と感性、センシティビティーという言い方をした学者もおられましたが、これを総動員いたしまして、なぜ今日本に法科大学院をつくるのかということから問い直して、この法案とそして法科大学院に期待されるいい教育との関係を考えていく必要があるというふうに思っております。
 以下、私の個人的なセンシティビティーに基づいて御意見申し上げたいと思っております。
 私は、個人的に、日本の判事、検事は極めて質の高い実務家であるというふうに尊敬しております。もしかしたらこれは日弁連と考え方が違うところかもしれませんが。とりわけ米国、アメリカに留学中の体験、経験を通じまして、日本の判事、検事の実務能力の高さ、そしてその清廉さは、ある意味世界のトップレベルではないかというふうに感じました。別にこれはリップサービスでも何でもありません。さりながら、こうしたすぐれた実務家がすぐれた教育者になるかどうか、これは必ずしも同義ではない、別の問題であるというふうに考えております。
 私は、こうした問題意識を、別に理屈から引っ張り出して得たわけではなくて、私の実体験を通じて、別に弁護士としての実体験ではなくて、比較的最近教育を受ける、教えられる側にあったというその実体験を通じて体得したというふうに言ってもいいかと思います。
 私は、二〇〇〇年からアメリカのニューヨーク大学というところの修士課程に留学いたしました。ニューヨーク滞在中は、私は、アメリカが理想の国だというふうに思ったことは一度もありませんで、逆に日本はいい国なんだなというふうに改めて感じることの方が多かったと思います。
 しかし、その中でも私は、ロースクールで実践されていた教育、これには深い感銘を受けました。特に、そこの教育者の資質、そしてその姿勢、学生との関係の持ち方、これについてはもう感服したと言っても過言ではない。私は、もちろんそれより以前に日本の大学、法学部を卒業しておりますし、司法研修所も修了しております。しかしながら、アメリカで出会ったような教育者には、私は今まで日本では出会わなかったというふうに思います。どちらがすぐれていてどちらが劣っているという単純なことではなくて、明らかに質的に違う。
 まず、大学の、日本の法学部の先生方との違いというのは、これは私が言うまでもなくよく取りざたされることで、アメリカのロースクールの教員たちというのはそれぞれに充実した実務経験を有しており、少なからずそれに根差した教育を行っているという意味で、そういった要素が少ない日本の法学部の教育とは異なるというふうに言えると思います。
 しかしながら、私は、アメリカのロースクールで出会った教育者たちは明らかに日本の研修所の教官たちとも違っていた、同じ実務家でありながら違っていたというふうに感じました。
 つまり、アメリカのロースクールの教員たち、特に専任教員は殊さらにそうなんですが、豊かな実務経験を有しながらも、同時にあらゆる法律実務家の立場から自由であるということが最大の特徴であったと思っています。彼らは、その時々の法律実務や立法を常に批判と分析の対象にしておりますし、司法制度や社会制度全体に対しても非常に分析的で批判的な提言と検証を行っている。
 しかも、その分析や検証というのは高度にアカデミックなバックグラウンドを有するんですね。つまり、深い理論的な裏づけを有する。彼らは、もちろんその専門分野に関して多くの論文や著作を世に送り出しているということが言えます。言ってみれば、彼らの教育というのは、実務経験を生かしながらも、その実務という枠組みを超えて高度に学術的であり分析的である。そして、常に社会のあり方を問い直していくというその姿勢、その意味で、非常にポリティカル、政治的でさえあるというふうに言えると感じました。
 私は、元検察官だった非常にすてきな、魅力的な先生に出会いましたけれども、彼らは、時の捜査実務というものを非常に分析的に、そして批判的に検討して、それを学生に伝える。そして、人種のるつぼであるアメリカという社会において犯罪捜査はどうあるべきなのかという問題を根本から問い直しておられました。こうした授業にあって私たち学生は、知的探求心とともに社会への関心というものを呼び覚まされました。そして、それについて自分なりの考えを持って、ディスカッションを通じて人にそれを伝え、そして自分も世の中を、社会を変えていくという楽しみ、そのことの喜びというものを学んでいくわけなんですね。
 恐らく、あちらの教育者、ロースクールの教育者は、教え子たちが世の中に出たときに、単なる優秀な実務家であるということに甘んじることなく、社会を不断に向上させ改善させていく本当の意味でのエリートになってほしいと願って教育をしているのではないかというふうに考えました。私は、こういう教育が、アメリカ社会の美徳であるその底知れないエネルギーとそして向上心の高さ、そういったものを支えているんだというふうに心の底から実感いたしました。恐らく、日本にはこれまでそういう教育者が余りいなくて、もしもっとそういう教育者が多く日本にいたならば、私は、日本にもっと自立的で生意気な若者、人材が育っているのではないかというふうに思っております。
 そして、このロースクールという制度を日本に移植するということの意味ですが、私は実は、アメリカから帰国した直後に日本にロースクールができるんだということを聞きまして、最初はげげっと思ったんですね。その主な理由は、学費が高くなる、高騰するということへの憂慮でした。私は、あちらで年間三百万ほどの学費を払っておりましたので。
 しかし、この制度改革を機に、日本にアメリカで出会ったような教育者たちが出現して、そしてああいった教育が行われるのであれば、私は、これは日本にとって大きなチャンスである、失われていた活力とそして自浄作用を取り戻す大きなチャンスではないかというふうに思っております。多くの苦しみを伴いながらこの制度改革をするわけですから、この教育を実践しなければうそであるというふうに私は思っております。そして、そのために必要なのは、決して優秀な実務家ではなくてすぐれた教育者である、それを育てるチャレンジ精神旺盛で柔軟な法科大学院なのであるというふうに考えております。
 そして、この法案が、そういったいい法科大学院における教育者、教育というものを育てていく上でどういう意味を持つのか。私は、これには積極的側面と消極的側面の両面があるというふうに思っております。
 まず、積極的側面としては、確かに日本ではアメリカと違ってこれまで法曹実務家と研究者、教育者というものがお互いそのテリトリーを切り分けてすみ分けてきましたので、一朝一夕に、先ほど申し上げた教育者がすぐに出現するということは期待しにくい。そうした現状にかんがみると、当初は、まずは優秀な実務家を大学に送るということが、ある意味、一定程度意味を持つというふうに思っています。その限りにおいて、この法案は、私が申し上げた理想に対して、ある意味、追い風になる、しかし、その本質的な役割は過渡的であるというふうには考えておりますが、追い風になり得るというふうに思っています。
 ただ、同時に、消極的な側面も持っている。この法案は、ともすると、先ほど申し上げたような理想の足かせにもなり得ると思っています。それは、この法案の中に登場する派遣という言葉に象徴的にあらわれていると思っています。
 第一に、この法案では、教員は、みずから手を挙げるわけではなく、派遣元が組織やキャリアシステムの一貫としてその人事を決めて、それに基づいて派遣が行われるわけです。これによると、必ずしも、教育というものに主体的な意欲を持って、その適格を備えた人間が選ばれるということにはならないわけです。
 そして二番目に、法科大学院の側も基本的には教員の人選に関与しないということが、この法案では原則とされているようです。これは、ある意味、私、この法案の致命的な欠点だと思っているんですね。ロースクールが、先ほど述べたような力強い教育をするとすれば、その教員一人一人の人選というのは、ロースクールの命運を握る重要な決定事項なんです。そこでは、どのぐらいの実務経験があるかというような形式的、表層的な基準だけではなくて、どのような視点やメッセージを持って学生を教えるのか、そして、教育者としていかに魅力的であるのかということが重要な要素となります。こうした角度からの教員の選任が行われない本制度は、明らかに、大きな問題を抱えて出発していると言わざるを得ません。
 そして第三に、派遣というシステム、その波及効果として、派遣された教員が、派遣元から教材や教え方のバックアップを受けて、ノウハウの伝授を受けて教育を行うということが予想されます。そして、現にその動きもあるというふうに聞いております。こうしたバックアップは、本当の本当に立ち上げ時には、一定程度積極的な意味を持つということがあるとは思いますが、時間を経て、ともすると、検察庁の教育あるいは何とか省の教育というものを形成するおそれがあるわけです。これは、先ほど申し上げた、実務に根差しながらもそこから自由であるロースクールの教育者の姿とは相入れないものであると思います。
 四番目に、本法案では、派遣された教員が、その本来の職務の対価を超えて国から給与を補てんされるということが制度化されています。これは、今まで挙げた三つの問題点と相まって、一層、教員が、派遣元の組織、実務家としての立場から自由になるということを妨げるものであると思っております。
 私は、大学を卒業して、数年、民間の企業に勤めまして、今も実は日弁連からお給料をもらって働いておりますので、サラリーを払う側ともらう側の関係のせつなさというのは何となく肌身に感じて、知っているつもりでおります。別に、判事さん、検事さんがそうなるというようなことを言っているわけじゃなくて、自分がそうだったら、恐らくそうなるということであると。サラリーをくれる人に対して、思い切った、批判的な分析をすることは難しくなるだろうというふうに、私のセンシティビティーで予測するわけです。
 そして最後に、派遣された教員たちが、教育の場を担うにとどまらず、その法科大学院の教授会に入るなどして管理運営に参画していく場合、その場合には、もう一つ別のレベルの問題が生じると考えています。
 つまり、先ほど言ったような、いい教育をはぐくむ、そのためのチャレンジ精神豊かで柔軟な法科大学院、これを育てていくためには、その自主性と多様性が何よりも大切なんですね。こういったことにかんがみると、派遣された教員が、現職の公務員のままで、その法科大学院の管理運営に関与するという場合、ひときわ高度に、外の組織から自由である、独立であるということが要求されるというふうに思っております。
 とりわけ、名指しで申し上げますと、文部科学省や法務省という役所は、法科大学院の生殺与奪の権限を持っているわけです。こうした役所から派遣された教員と法科大学院の関係がゆめゆめ不健全なものにならないように、継続的に対策を講じていく必要があると思っております。
 私は、一つここで申し上げたいのは、先ほど永井参考人がおっしゃられたように、本法案が、法科大学院とその学生に対する財政支援としての側面を持っているということに関してですが、そういう側面を持っていることも否定はできませんが、私は、同じお金を、ここに突っ込むのではなくて、むしろ法科大学院に直接、そして学生たちに直接突っ込む、これが本来のあり方であり、そうであれば、彼らにその金をどう使うかという選択権が残されているわけですから、そういった道を選択するべきだというふうに思っております。
 以上、申し上げた点を踏まえると、私は、本法案について、次の五点を留意するべきだというふうに思っております。
 一つは、法科大学院の教育者にふさわしい意欲と適性を備えた人材を、この法案を通じて、透明な基準と手続に基づいて選んでいくべきだというふうに思っております。
 二番目に、その人選を行う際には、最大限、法科大学院の意向を尊重するべきだと考えます。
 三番目に、法科大学院と、教える、教育に当たる教員たちの自主性や多様性を妨げないように、むしろそれを促進する方向で派遣の実務が行われるべきだと思っております。
 四番目に、先ほど申し上げたように、給与の補てんの要件は、明確かつ具体的に、そして限定的に行うべきだというふうに思っております。
 そして最後に、この法案が積極的な意味を持っているとしても、その役割は本質的に過渡的なものであると思っておりますので、この制度、法案が、過渡的な意義を持つ、過渡的なものであるということを明確にすべきであるというふうに思っております。
 最後に、私は、今後、法曹三者と研究者出身の教員たちが共同して、法科大学院におけるいい教育を実現するために前向きに行動していくことが必要であると考えています。何より、ここが我々日本人にとって大きな課題になると思うんですが、それぞれの意見の違いを感情的な溝につなげずに、むしろ互いの考え方の違いを楽しみながら、それを最大限に活用しながら、よりよい教育をこの国に実現していくという潔さとたくましさが必要なんではないかというふうに思っております。
 以上でございます。(拍手)
山本委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
山本委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。
左藤委員 おはようございます。自由民主党の左藤章でございます。
 永井参考人、道参考人、ありがとうございます。
 では、早速ですが、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、永井参考人にお伺いをしたいと思います。先ほど、道参考人から大学の教員の教授会の問題がございましたけれども、永井先生からは何も特に御登壇がなかったんですが、派遣された実務家教員が、私どもも私学の学校をやっているのでよくわかるんですが、教授会に入っていろいろな御意見を賜りながらするということについてはどうお考えになられますでしょうか。
永井参考人 教員というのは、それぞれ、一人一人が自由な意見を持っておりますので、今、道参考人からありましたように、法務省または裁判所から派遣された方がそれぞれの役所をバックにした意見を持たれるのも、またこれも個人の意見として自由な場であります。そういうような全く自由な意見を持った者がそれぞれ自由に討論するのが教授会でありますので、そこでどういうような、もしそれが役所をバックにした意見であったとしても、それが皆さんの賛成を得られればそのとおりになるでしょうし、賛成を得られなければそうにはならないというのが教授会だと考えております。
左藤委員 それで、いろいろな意見があって、いろいろな運営をなさるということですが、要するに、昔からよく言われるのは、大学の独立の自治という問題があるんですが、また、道さんがちょっと御心配になったんですが、教育の自由がいろいろ外から阻害されるという点については、もう一度お願いを申し上げたいと思います。
永井参考人 本日も、私は一人で参っておりますけれども、日弁連は組織的に参っているようですけれども。こういうように、私たちはそれぞれ、意見を言う、論文を書く場合も、自分の名前で、自分の価値観を持って意見を言っております。そういうふうに、みんなそれぞれ独立、気構えを持っておりますので、そういったような心配は希有のものだと思っております。
左藤委員 今、永井先生がおっしゃったんですが、実はこれも、昨年の八月五日に出ました中央教育審議会の中でもやはりこのように書かれているんですが、「ファカルティ・ディベロップメントを義務として位置付けることが必要である。例えば、学生による授業評価や教員相互の評価などを通して、それぞれの教員が切磋琢磨して互いに授業内容・方法の向上を図ったり、実務家教員とそれ以外の教員が協力して、教材の選定・作成を行ったり、法曹関係者・大学関係者が協力して、教育能力を高めるための研修や実務研修などを継続的に行うことなどが重要である。」という、こういう考え方があるんです。
 だから、永井先生のおっしゃるとおりだと思いますけれども、道参考人にお伺いしますが、永井先生または中央審議会のこれと、先生が若干違うような感じもするんですが、その辺はどうお考えでしょうか。
道参考人 ごめんなさい。若干違うというのは、もう一度お願いいたします。
左藤委員 独立自治とかそういうことを御心配ですけれども、先生とか中央審議会のこれを聞くと、やはりお互いに教授会でいろいろな議論をしながら、それぞれ違った世界があります、またバックも違うこともあるかもしれませんが、そういうだけじゃなくて、もう一つ枠を超えた大きな話で、いろいろな議論をしながらいい方向へ持っていこうというのがこの教育審議会の話だったり永井先生のお話だったと思うんです。先生のは、ちょっとその辺が、懸念をしておられるんじゃないかな、危惧しているんじゃないかなと思われるので。
道参考人 誤解のないように申し上げたいのは、私は、この法案には積極的な意味と消極的な意味があって、恐らく、その綱引きのし合いの中でどういう落としどころを見出すかだと思っております。そういう意味で、実務経験を持つ人が、もちろん大学に入っていってフリーディスカッションをするということは、私は法科大学院を立ち上げる上では非常に有用だと思います。
 ただ、先ほど申し上げたような憂慮すべき点もあるので、そういったことがゆめゆめ起きないように、この法案を何らかの形で監視し続ける必要があるだろうというふうに申し上げております。
左藤委員 わかりました。
 それから一つ、報酬の件でちょっとお伺いしたいんですけれども、我々は、永井先生がおっしゃったように、国の方に渡して、直接渡すんじゃなくてという方法と、今先生、道参考人は、そういうことよりもやはり、学生というかそういうふうにせよと。我々も、奨学金も含めてもっとしっかりやらないといけない、これは永井先生も同じだと思うんですが。その辺の考え方もあるんですけれども、やはり教員の給料が、法科大学院に出向された先生がもらうより、国に納めて、こっちは、我々自身は、出向された先生は国から直接もらう、法科大学院は国へ納付するという方法の方が、いろいろな面で、払う方ともらった方との関係が、そんな、くされ縁というのか、遠慮しなくていいというか、そういう部分があると思うんですね。その辺は、道参考人はどうお考えでしょうか。
道参考人 遠慮するとかくされ縁とか、ちょっとよくわからなかったんですが、私は、やはり先ほど申し上げたように、法科大学院にとって非常に重要なのは、その自主性、多様性であるというふうに思っています。
 学問の、大学の自治という言い方をすることもありますが、これは決して大学のためだけにある制度ではない。大学の自治というのは我々国民のためにある制度であるというふうに考えていますが、それを守るためにどのような金の使い方が、突っ込み方がいいのかという問題だと思います。
 私は、現金を与えれば、その使途についてはその現金をもらった人の自由なわけですから、その方がより自主的である、多様な使い方ができる。もっと言えば、学生たちに与えることの方が、彼らの自由に大学を選んで、選択できるだろうという意味で、より自主性、多様性が実現できるというふうに考えております。
左藤委員 ちょっと時間がありませんので、一つ道参考人にお願いします。
 裁判官とか検事の方が出向しますね、そのときの身分ですね。我々の考え方は、出向して戻るところがなくなったりすると困るであろうと。まあしかし、きちっと、バックが云々という話も先ほどなさっていましたけれども、これについてはどう考えられますか。
道参考人 バックアップのことですか。(左藤委員「そうです」と呼ぶ)
 やはり、現職の公務員という身分を保有しておりますし、現にそういう話も聞いておりますのですが、やはり派遣元から、こういうふうに教えよう、こういう教材がいいんじゃないかと。私はそれは、先ほど繰り返しているように、いい面も持っていると思うんですが、それがずっと続いてしまうと、大学も教員もそれに甘えてしまう、組織も甘えてしまうという意味で、過渡的なものであるとすべきだと思っております。
左藤委員 よくわかりました。
 それは弁護士会の方も同じ考え方でよろしいんでしょうか。
道参考人 申し上げたいのは、弁護士は弁護士会から、私のような特別な場合を除いて、給料をもらっているわけでもありませんし、そこに人事権を握られているわけでは決してないわけです。文句は言いますけれども、それに拘束されるというのは非常に少ない、私のような特殊な場合を除いて。
 それを考えると、今、弁護士会としてもいろいろなチームが教材開発を行っていますが、それは非常に自主的でボランタリーなものなんですね。そういう意味で、全く拘束力もなければ影響力も、ある意味ないんであろうというふうに思っております。そういう意味で、同じといえば同じであると。
左藤委員 ありがとうございました。失礼します。
山本委員長 次に、山花郁夫君。
山花委員 山花郁夫でございます。
 道参考人、永井参考人、朝早くからありがとうございます。
 永井参考人にお伺いしたいんですけれども、今の議論の中でも、大学の自治についての議論がございました。仮に現職の判検あるいは役人としての身分を持った人が来たとしても、教授会としては、教授の先生方は皆さん独自の意見を持っていらっしゃるので大丈夫だろうと、そういった御意見だったと思います。
 ただ、確かに、そういった先生方個人個人の顔を思い浮かべて、その人たちを疑うというつもりは毛頭ありませんけれども、ただ、制度として見たときに、先生の御専門の、例えば商法の例えでいいますと、取締役会に、その場に経済産業省の役人がいるというような話に極めて近くて、制度として見たときに、本当に大丈夫かしらという疑念を持つようなところがあります。
 ましてや、教授会で意見を言われたりとか、先ほどお話しされていた、例えばカリキュラムであるとか教育の中身については確かに非権力的な内容ですから、それはそれとして理解はできるんですけれども、ただ、大学の自治のコロラリーである教授会の自治ということで言ったときに、現職の、例えば検察官なり一般職の公務員という身分を持った人が、例えば理事の選挙に投票するとか、そういったことになってきますと多少権力的な要素も入ってきます。
 そういう、本当に細かに見ていくと、大丈夫かしらと思うケースも考えられるんですけれども、それでも、大丈夫だ、中央大学だけじゃなくてほかの大学もみんな大丈夫だ、そういう御見解なんでしょうか。
永井参考人 質問の意図が、前半の部分がちょっと不明確なんですけれども、それは、私たちのいろいろな意見表明が外部にいろいろ伝えられるということの懸念ですか。(山花委員「はい」と呼ぶ)
 それは、私たち学者は、みんなそれぞれ、自分の意見を論文という形でそれぞれ発表しておりますので、それは外に伝えることを前提に私たちは発言しております。
 それからもう一つの、教授会の学部長選挙などにおける投票権のことを言われているのではないかと思いますけれども、それについては、今回の実務家教員をどういう形で受け入れるか、これは、各法科大学院において、今非常な、多様な教員組織というのができ上がってきております。例えば、普通の、今までの意味のような専任教員のほかに、特任教員だとか、みなし教員だとか、また客員だとかというような形で多様な教員組織をつくり上げてきておりますので、多分、任期が限られたこういう派遣される教員というのは、教授会において学部長選挙等においての選挙権を持たないのが普通になってくるんではないか。
 というのは、やはり任期が限られている以上、長期的な大学経営に対していろいろな発言を持つというのはちょっと遠慮していただきたいということで任期制というものが出てきて、その方にはそういう学部長選挙等の投票権はないというふうになっていくんではないかと思います。
山花委員 私は、恐らくそうだと思うんですけれども、問題があるとすると、そういうふうに、例えば大学側が、言ってみれば今回の派遣法のスキームというのは、ある検事の方、ある判事の方に、個別にこの人に来てほしいというシステムではなくて、裁判所なり検察なりにお願いをして来てもらうという形になっていますから、そうすると、大学の方が、言ってみれば、お客さんと言うと言葉が余り適切じゃないかもしれませんけれども、来てもらう立場にある。そういったときに、いや、学部長の選挙についてはちょっと遠慮していただきたいとか、あるいは、大学によっていろいろな形が恐らくあって、教授会での発言も遠慮していただきたいというところももしかしたらあるかもしれない。ただ、そういうことを大学側は本当にちゃんと言えるような環境というのがないといけないと思うんですよ。
 つまり、来てもらっているんだから、少し、ある程度、あめとむちじゃないですけれども、そういうことを考えなきゃいけないような環境があってはいけないと思いますので、そういう環境、つまりは大学の方が自由に役所、役所も含めて判事、検事の方に言えるような環境のために何か必要なことというのはありますでしょうか。あるいは、特にもうそういうことはなくても、今のままでも十分だという御見解でしょうか。
永井参考人 私たちが今回の法案において実務家に期待しているもの、それはいわば専門的な能力でありまして、そういった面において法科大学院の教育に非常に参加してほしい。そして、私たちがその派遣を求める場合も、それぞれの大学においてのカリキュラム、またはその具体的な担当科目、そしてどういうような能力を自分のところの法科大学院に提供してほしいという形で多分依頼を差し上げるという形で、そういったことを十分考慮して各裁判所、または法務省等の、または行政官庁が派遣していただけるものだということで、非常にそういう専門的な面での結びつきというふうなことを考えております。
 お答えになっているかどうかはちょっと、質問の意図もちょっとわかりませんので、そういったことでよろしいでしょうか。
山花委員 ですから、あくまでも大学の側はそういう中身のことで期待をされているということなのであって、余り大学の運営について、大学によっては参加してほしいところもあるかもしれませんけれども、そういうことに多くを期待しているのではないのではないのかな、そういう印象を受けたんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
永井参考人 そういう裁判所または法務省等行政官庁にメリットを与えるというのが、大学経営に参加させるのがその官庁等にとってメリットになるかどうかというのはちょっとわからないんですけれども、私たちは、各省庁はこれにおいてそんなメリットを持つとは思っていないわけですね。かえって負担をかけさせて大変申しわけないと思っております。
 わざわざそういう形で国家的な中で派遣していただけるという形で非常に感謝しているので、派遣する方で、そういう法科大学院にそういう教員を一人二人派遣して、それほどのメリットがどこにあるのか、ちょっと理解できないんですけれども。
山花委員 この点については、ちょっと時間がなくなりましたので、区切りたいと思います。
 道参考人にお伺いしたいと思います。
 給与補てんの問題であります。給与補てんの要件は明確かつ具体的にという御指摘がございましたけれども、どういった要件で補てんをすべきだと考えておられるのでしょうか。つまりは、法曹三者の中で恐らく日弁連は、今回のこのスキームは御不満なのではないか。つまりは、弁護士であれば、自分の今の事務所を離れてでも、つまり収入が減ってでも行こうとしているのに、裁判官、検察官については補てんがあるという話ですので、そうだとすると明確かつ具体的にすべきだという御主張もわからないでもないんですけれども、ではどういう要件があればいいとお考えなんでしょうか。
道参考人 まず申し上げておきたいのは、私ども、我々にくれないものをあの子にやるなというふうにごねているわけではなくて、ロースクール、法科大学院の教員のあり方というものを問い直すと、やはり大学以外の組織から、教えることの対価という意味を持ち得る給与を補てんされるというのは、本来あるべき姿でないだろうというふうに思っています。それは私個人の意見ですが、弁護士会がたとえそれぞれの弁護士教員に給与を補てんするということを考えたら、それは同じ問題が生じ得ると思っています。組織としての性質の違いはありますけれども。
 その上で、今の要件ということですが、今私の申し上げたことからいえば、やはり給与補てんというのは基本的にすべきではないというふうに思っていて、もしどうしてもということがあれば、これは、その科目、カリキュラムがこの法科大学院にとってどうしても必要な科目であるというふうなことが明らかで、そしてその当該派遣される検察官等、公務員等をおいてほかにかわり得る人がいないというような場合で、彼の従前の生活水準を考えてどうしても必要だという場合にのみ行うべきであると思っています。
 現実に、アメリカでも、現職の裁判官やプロセキューターが大学、ロースクールで教えておりますが、彼らは非常勤ということが絶対でありますし、それの、非常勤で教えることの対価を、これは非常に十分ではない対価なんですが、これをロースクールだけから得て、そしてそれでも教育というものの意義を強く感じて教えているというふうに私どもは見ております。
山花委員 時間が参りましたので終わります。
 どうもありがとうございました。
山本委員長 次に、漆原良夫君。
漆原委員 公明党の漆原でございます。
 永井参考人、道参考人、きょうはありがとうございました。
 まず道参考人にお尋ねしたいんですが、法科大学院派遣法四つの疑問と心配という道参考人の手紙が届きまして、まず一つに、「現職の公務員が、法科大学院の管理運営に関与することは妥当なのか」というところで、この法案は文部省と法務省に設置やその取り消し等に関し各種の権限を与えている、こうした権限を有する省庁に属する公務員が、公務員として給与を受けながら法科大学院の管理運営に関与することが妥当なのかどうかという、御疑問点、御心配な点として挙げられておりますが、具体的に、こういう設置、取り消しに関する権限を持っている省庁が教授陣として入り込むことに具体的な心配点というのはどんなことなのか、お聞かせいただきたいと思います。
道参考人 永井参考人の前で大変申し上げにくいんですが、私は、この法科大学院の問題に携わり始めて、大学の法学部の先生方一人一人は極めて優秀で高潔な方なんですが、特に国立大学を中心として、大学が役所、特に文部科学省に抱いている、何というか、半ば卑屈な思いというものに接したことが間々ございまして、その関係は、私のような無責任な若造からすると決して健全とは言えない関係で、その設置審を前にしたこのタイミングでは、いろいろな大学の先生から話を聞きますが、特に国公立を中心として、文科省が一言こう言ったのでこうしなきゃいけないんじゃないか、このプログラムはだめなんじゃないか、このカリキュラムはつくらなきゃいけないんじゃないか、こういう書類をつくらなきゃいけないんじゃないか、こういう教員を、この派遣法で派遣される教員を採らなきゃいけないんじゃないかというふうに言っている方々が結構いらっしゃったもので、それは私が肌で感じた具体的な危険、憂慮です。
 そういった関係の中で法務省や文科省の役人が入ってきた場合には、彼の意に逆らっちゃいけないんじゃないかという思いがどこかに出るんじゃないかというふうに私は予想したということです。
漆原委員 そこで、永井参考人にお尋ねしますけれども、実際に法科大学院を設置を予定されている大学で、そういうふうな大学の自治との関連で、検察官が入ってくる、場合によっては文科省の役人が入ってくるということによって、大学の自治が侵される可能性がある、自由に物が言えなくなる可能性がある、そういう心配を具体的にお持ちなのかどうか、現状をお知らせ願いたいと思います。
永井参考人 先ほども申し上げましたように、そういうような心配はしておりません。
漆原委員 道参考人にお尋ねしたいんですが、なかなか現状でも実務家の、実務教員を獲得することは困難だということを聞いておりますが、参考人の考え方をそのまま貫き通していきますと、特に地方、あるいは財政的な基盤の少ない法科大学院については実務家教員の獲得に大変に困難を来すのではないかという心配があるんですが、この点はいかがでしょうか。
道参考人 先ほどから申し上げておりますように、この法案は私はある意味必要だと思っておりますので、私の意見を貫くとという前提がちょっと違っているような気はいたしますが、私は過渡的にこの法案は非常に必要だと思っております。実務家を派遣する、特に非常勤で派遣するということは非常にいいことだと思っておりますので、そういう意味でちょっと誤解があるかと思います。
 そして、財政支援の問題でいえば、先ほどから申し上げたように、弁護士の過疎を解消するという、法曹偏在の問題というのはこの法科大学院の大きな目的の一つであると思いますので、その趣旨にのっとって、直截に交付金なり助成金なりを交付すればいいのではないかというふうに考えております。
漆原委員 永井参考人にお尋ねしたいんですが、現職の裁判官、検事が、あるいは一般職の国家公務員が、公私を問わない法科大学院にその身分のまま教授陣として参加するという制度は日本で初めての制度でございますけれども、これは海外においてはどんなふうになっているのかなという点が一つと、それから、こういう制度を導入することについて、今まで、賛否両論を含めて、どんな議論がされてきたのかなという点についてお尋ねしたいと思います。
永井参考人 賛否両論という意見ですけれども、法科大学院関係者、大学関係者の方では、このように派遣法案に余り反対という意見は、私は寡聞にして聞いておりません。ほとんどが、いろいろな理由はあると思いますけれども、賛成しているんではないか。
 一番の理由は、それは地方の法科大学院だけではなくて都内の大手の大学でも賛成しているというのは、実務教育という問題がどういうものかということであります。
 組織にいらっしゃる実務家というのは、組織的にいろいろな情報を吸い上げてこられます。そこの中で位置づけられた人は、私たちのように、大学の研究者教員のように、個人で情報を集めて個人で物をやっているのとは違う。そういった意味では、例えば、ある問題が起きた場合でも、組織では、世界的な情報を役所等を通じていろいろ組織的に集めて、その中でチームをつくって、問題に対するいろいろな回答を用意してくれる。そういったような情報を絶えず持っていられる。組織に根差している実務家というのはその強みがございます。それに対して、私たち研究者教員というのは、一人で、個人企業ですべてをやっております。そういった意味で、情報量というものが圧倒的に違う面がある。
 そういったような実務的な面における情報量を持った方が法科大学院に派遣されて、しかも恒常的に、定期に、いろいろなそういう情報を持ってきて参加してくださるということは、研究者教員とのタイアップによって、実務家教育が非常に充実したものになってくるのではないか。お互いの足らないものを補い合って、今までとは違う法曹養成教育ができるのではないかと考えております。
 先ほど道参考人から、法学部の教員に対してはかなりいろいろな批判があることは、これは重々承知しておりまして、私たちも実務に対して疎いという引け目を感じているのも正直なところであります。そういった意味で、そういう実務家教員とのタイアップにおいて充実した法科大学院の教育をしていきたい。
 そして、これも将来、社会的ないろいろな意味での流動化が出てくれば、いわば大学教員から実務家になったり、または行政官になったり、お互いにそのあたりの流動化が出てくるような時代、そして法科大学院が生まれて十年もたったときに、そういった中で本当の教育を受けた者がさらに後継者として大学教育に当たるという時代になってくれば、この派遣法案の意義もやはり薄れてくるとは思います。そういう意味では、道参考人と同じように、これは今当面の非常に必要な法案ではないかというふうに認識しております。
漆原委員 道参考人にお尋ねします。
 先ほど、アメリカでの御自身の体験を通されまして、非常に私も興味深く聞かせていただいたし、そういう教育は本当にすばらしいことだなというふうに感じた次第でございますが、この「本法案成立に際し留意すべき事項」の一番最後に、法科大学院設立時の過渡的な制度であることを明確にというふうな一項目がございますけれども、道参考人としては、これは過渡的な制度であって、将来はどんなふうになればいいなというふうに思っていらっしゃるのか、端的にお願いします。
道参考人 私はもっと日本の人の動きというのは流動的であるべきだと思っておりますので、最初は弁護士になって、そして裁判官になって、そして裁判官をやめて教授になって、そしてまた弁護士になる、もしくは裁判官として戻るというような柔軟なキャリアシステムというものが確立されるべきであるというふうに思っています。決して、もといた組織から派遣されて、そしてまた戻るということを約束されて、しかも給与を受けて、一時的にお客さんとして在籍するのではなくて、その時々、当事者として主体性を持ってその職務に参画するということがまさにプロフェッショナルレスポンシビリティーであるというふうに思っています。
 それで、一つ忘れておりまして、今参考人質問をいただいた機会を利用して、私、配付資料を皆さんのお手元に配っておりまして、今の法案が過渡的であるべきということに関しては、私どものみの意見ではなくて、十五年の四月十四日付の「「顧問会議」開催にあたっての要望事項」というのが司法改革国民会議というところから出ております。そこの三ページ目、最後に同じような趣旨の要望が入っております。別紙を見ていただきますと、この国民会議のそうそうたるメンバー、御理解いただけると思いますので、御留意いただきたい。
 あと、もう一つ、永井教授の方から、大学人全体の願いであるというような意見表明、プレゼンがなされましたが、大学人の中でもいろいろな考え方をもちろん持つ方がおられまして、宮澤節生早稲田大学教授の論文、この派遣法にむしろ警告を鳴らしている論文をお配りしております。
漆原委員 大変貴重な御意見、お二方の参考人、大変ありがとうございました。
 以上で終わります。
山本委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 永井参考人、道参考人、お忙しい中お時間をいただいて御高説を賜りまして、ありがとうございました。
 まず、私、永井先生にお伺いをいたしたいのは、この法律、派遣法という法律でありますが、これでは、裁判官そして検察官だけではなくて、いわゆる一般職の国家公務員も派遣をするという法律の内容になっておりますけれども、法科大学院においてはどのような分野、いわゆる一般職の国家公務員を教員として派遣をする場合にいかなる分野でのニーズがあると現実に考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
永井参考人 現実に私どもの大学では、例えば独禁法関係においては公正取引委員会、または税法等においては金融庁、または著作権などについては文化庁、いろいろな形のそういった専門家を抱えている行政官庁に、私どものそういう高度先端的な法曹養成の実務教育の中に参加していただけたらと考えております。
樋高委員 それと、全然角度は違うんですが、同じく永井先生にお伺いいたしたいと思うんですけれども、大学の法学部長の先生として、今回の派遣法に限らずですけれども、もう来年から、平成十六年から新制度がスタートするに当たって、現場の声として、そもそもお困りの点というか心配な点、もしくは懸念している点、または要望事項を、忌憚なくどうぞ何なりとおっしゃっていただきたいというふうに思いますが。
永井参考人 今度の専門職大学院の教育の充実のために、学生十五人に教員一人という設置基準というところが一番懸念しております。
 というのは、これは非常に、財政的に負担が大変な問題になる。いわば学生の学費の問題ですね。例えば十五人の学生が一人の教員を雇うために一人百五十万ぐらいを出さないと、多分一人の教員は雇えない。そうすると、教員だけではない、職員も要る、物件費もかかる、いろいろなことを考えれば、学費が相当のものになっていく設置基準になっている。
 そういう中で、私立等においてもやはり法科大学院を設置して、いわば国公立だけではない、法曹養成を担っていきたいという場合におけるイコールフッティングの問題、これが、私立大学の立場からいえば、率直に言って非常に気になっているところであります。
樋高委員 財政的に、特に私学の場合は大変厳しいということも私もずっと前々から心配してきているのでありますが、これこそまさしく国会なりまた政府なり、みんなでしっかりとサポートしていかなくてはいけない分野ではないかと思います。
 道参考人に伺いたいと思います。
 道先生のお考えとして、先ほど来ちょっと議論に出ておりますけれども、いわゆる実務家教員が法科大学院のいわゆる教授会に参加をするということについて、道先生のお立場、道先生のお考えはどのようなお考えになるんでしょうか。
道参考人 これについても、積極的な意味と、先ほど言ったように、懸念される点があるというふうに思っています。実務家の豊かな経験を持った人たちが管理運営に参画するということは、ある意味ロースクールにとって非常にいいことであるというふうに思っています。活力ある教授会が実現し得る。
 しかしながら、先ほど申し上げたように、このシステムそのものの問題として、この法案で派遣される公務員、検事、判事を含めた公務員の方は、現職の身分を保有したまま、そして時に給与を補てんされながら大学に入っていくわけで、先ほど申し上げたように、そういうシステムは本来的にやはりお客さんというか、一時的に大学に行くというような本質的な意味を持っていると思うんですが、そういう人たちが教授会に入るということは、どうしても派遣された派遣元の組織に遠慮があって、もしくはその命を受けて教授会でも発言をするということがあり得るのではないか。そうならないように、みんなで頑張って対応していきましょうということです。
樋高委員 同じく伺いますけれども、先ほど道先生のお話の中で、すぐれた実務家は必ずしもすぐれた教育者になるわけではないという意味で、やはり教育者としてのすぐれた人材を派遣するという視点も物すごく重要だと。私は全く本当に先生おっしゃるとおりだというふうに思いますけれども、では現実にどうしていったらいいのかということを真剣に、具体的にやはり考えていかなくちゃいけないのではないかと思っているのでありますが、先生、どういうふうに、では今後工夫をしていったらよいのか、もしくはどういった点を今後留意していったらいいというふうにお考えなのか。先生は別に若造ではございませんで、私の方が若造でございますから、どうぞ何なりとおっしゃっていただきたいと思います。
道参考人 年がばれているとは知りませんでしたが。
 今の点については、私は、この法案は今の時点では積極的な意味を持っていますが、五年、六年ぐらいで見直すべきだというふうに思っています。
 一つは、やはり司法試験制度がある意味過渡期を迎えますので、それに合わせてということもありますし、ロースクールを卒業する人たちがちょうど二回りするということもございます。こういった機に、本当にこの法案、この制度、必要なのかということをもう一回見直す必要があると思います。
 それで、将来的には、やはり私は、先ほどから繰り返し申し上げているように、現職の判事さんや検事さんがロースクールで教える場合は、基本的には非常勤であるということであればいいと思うんですが、専任教員になるのであれば、やはり一たん現職の身分を離れて、そしてまた彼らが選ぶキャリアをもう一度選択できるようなシステムを用意してあげるということの方が、非常にその本質的なあり方だと思っています。
樋高委員 両参考人に伺いたいと思いますけれども、学費の問題ですね。
 今、普通の大学院の学生さん、例えば育英会なら育英会のいろいろな、それは文部科学省さんの関係なりいろいろな分野での補てんをして学費を補助していこうということがありますけれども、国から負担をするという話は、それは全くおいておいて、今後、いわゆる法曹に携わる方々を国として教育していくに当たって、やはり私は、金銭面でのバックアップというのはもう欠かせないであろうと。
 むしろそういうふうに、日本は法治国家でありますから、法曹に携わる方々を、国家としてきちんとしたビジョンを描いて、まさしくこれも私はまだ過渡期なものであり、手探りの部分もあると思いますけれども、やはりそういう意欲、そして能力のある方を国家としてどんどん育成していくということは、今後二十一世紀の社会、向こう百年を迎えるに当たって私は最も重要な分野ではないかと思うのであります。
 では、その学生さんにいかに、いわゆる勉強をするために学費の補助をしていくかという部分、どうしたらいいのかなというのを私もずっと思案しているのでありますけれども、どうしていったらいいのかという、ちょっと漠とした質問なんですけれども、どういう姿が望ましいと思われるのか。
 やはりどうしても現実に教育を受けるとなるとお金がかかってしまう、それも仕方ない部分はありますけれども、でも、本当に優秀で能力のある方をどんどん国としてバックアップして、それは国から直接お金をただ出すという話だけではなくて、やはり社会全体で考えていかなくてはいけない、私は本質、根幹にかかわる問題であると思うのでありますけれども、両先生の御意見を伺いたいと思います。
永井参考人 私は、先ほど申しましたように、すべての法科大学院に平等にかかるものは直接的に各法科大学院に国庫補助があった方が、その方が、対象の数が少ないというのは事務コストが非常に安くかかる、それを個々の学生にやるというのは、大量な相手を持つということでは事務コストが大変なものになると思います。
 ただ、その欠点は、私、大学にいて言うのもなんですけれども、そうすると、各大学に余り補助金が強いというと、学生を集めるというか、自由競争がちょっと損なわれるおそれがあるのではないか。大学の講義でも、やはりいい先生のところには集まるし、悪い先生には集まらない、だけれどもそれでも同じ給料というのは問題があるので、本来は受講生数によって給料が変わってもいいんじゃないかなんというようなむだ話をやっていますけれども。
 そういった意味では、これは大学においても言えることで、そういう意味では、奨学金という形で個々の学生に払って、そういう奨学金をもらったいい学生をどこの法科大学院が集められるかという競争も必要だろうと思っていますので、いろいろな形の総合的な支援システムを構築していただきたい。
 今回のこの教員派遣に関しては、その派遣される教員に対する補てんというのが一番効率的、効果的ではないかと、先ほど申し上げましたように考えておりますが。
道参考人 私も、冒頭の意見陳述で申し上げたように、日本に法科大学院ができると聞いて一番憂慮したのは、この学費の点です。これは最重要課題ではないかと思っていますが、思ったように事は進んでいないようで失望することも多いんですが、やはり二本の柱、大学に対する交付金や助成金ということと学生個人に対する援助という二本柱、双方を充実させていくべきだと思っています。
 特に、後者の個人に対する支援ということは、今中心になっているのは日本育英会だと思うんですが、これに頼ることなく、複数の、バリエーションある選択肢を学生に用意してあげる必要があると思っていますので、民間の金融機関利用型であるとか新しい形の援助の形態をこの際新しくつくっていくということも必要ではないかと思っています。
樋高委員 時間が参りましたので終わりますけれども、両先生の活躍を祈ります。どうもありがとうございました。
山本委員長 次に、木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 法科大学院へ現職の裁判官、検察官、その他一般職の国家公務員が公務員の身分を持ちながら派遣されることに対して、私、一番大きな危惧は、何といっても法科大学院の自律、自治に対する、これが守られるのかという問題です。三つの側面で私、危惧を持っています。一つは存立とか大学の統制につながらないか。二つ目には教育の内容に対する危惧です。三つ目は司法試験との関係の危惧です。
 時間の制約がありますから、簡単に聞きます。
 こういう危惧を、一つは、検察官、裁判官からの派遣がなければ地方の法科大学は存立できないという状況ですね。ですから必要だと永井参考人は先ほどおっしゃいました。それは逆に言うと、派遣しないとか、派遣した教官が、裁判官や検察官が大学当局とぶつかって引き揚げてしまうということになりますと、大学は存立できない。かつて、戦前の軍国日本が、陸軍大臣、海軍大臣が引き揚げられたときに内閣が崩壊すると同じような生殺与奪の権限が派遣する方によって握られるということになるんじゃないか。それが特に、評価認証機関との関係、評価認証との関係でその危惧がさらに膨らむんじゃないかと思えてならないんですが、そういう危惧はないでしょうか。
 永井先生のように、中央大学という確たる大きな大学はそういう心配はないんでしょうが、田舎の小さな大学はそういう危惧を持つんじゃないか。両参考人から簡単に。
永井参考人 今のこういう時代において、法科大学院の設立というその意義、司法改革の一環としての、我が国のいわば規制緩和の時代における意義といったものを考えたときに、そういったような派遣教員を引き揚げるというようなことが起きてくるのかどうか、そういった政策をそういった省庁または最高裁がとるのかどうか、非常に私にはちょっとわからない点がありまして、それは先生の方が詳しいんでしょうけれども、そういう政治的な問題はちょっとわかりませんけれども。
 それから、大手か私立かというようなこと、また地方国大かどうかということにおいて、具体的な教育内容についての問題において……(木島委員「それはまた別に」と呼ぶ)そうですか。では、それで。
道参考人 私は先生のおっしゃるとおりであるというふうに思います。怖いのは、現実に例えば派遣をする省庁がそういう残酷なことをするかどうかという、現実的な予測がどうということではなくて、そうなるんじゃないかなと思う恐怖感が怖いんだというふうに私は思っています。
 先ほど、ちょっと言葉は不適切ですが、大学と役所との関係について不健全だというふうに述べましたが、別にあれは、私、大学が悪いとは思っていません。あのシステムそのものに内在する問題で、やはり生殺与奪であるとかお金であるとかという権限を握られている場合、それを引き揚げられたらどうしようか、それを受ける側はやはり恐怖感を持っている。ともすると、その恐怖感をちょっとだけ利用しようかなということも起こるかもしれない。そうなった場合、その恐怖感はどんどん増幅されていくんではないかと懸念しております。
木島委員 二つ目は教育内容に関する危惧なんですが、法律実務、法律の教育ですから、やはり基本的な対抗軸は、基本的人権と秩序ですね、社会秩序の維持、治安の維持、これの対抗関係だと思うんですね。それは捜査でもそうです。それから、例えば税務関係の職員が大蔵省国税局から派遣された場合に、税務訴訟もそうです。税務運営に関する納税者の権利対徴税側の考えですね、これの対抗関係があるわけです。行政訴訟、全部そうです。国民の基本的人権対行政ですね。水害訴訟なんか見ればわかります。
 そうしますと、一番根幹にある人権対法秩序の維持、治安の維持という対抗関係から考えますと、検察官なり裁判官なりあるいは一般国家公務員が入っていくということが非常に心配がないのか。しかも、そのカリキュラムとか教育中身、どういう検察実務をつくるか、裁判実務を教えるかについては、最高裁当局や法務省当局が、個人に任せないで、マニュアルをつくるんじゃないかと思えてならないんです。
 逆に、マニュアルがないと、派遣された個々の裁判官、検察官、個人の力ではとても、能力をはみ出すことだと思うので、そうなったときに、ますますそういう体制側の法理論がずっと法科大学院を支配していくんじゃないか、学生たちを支配していくんじゃないか。その危惧がないでしょうかね、お二人の先生、参考人。
永井参考人 二つの観点で申し上げますと、各法科大学院のカリキュラムというのはシステムでできておりまして、各科目はその中に有機的に位置づけられていくということで、その全体の中で法科大学院が、派遣された実務家教員以外の科目も圧倒的に多いわけで、そういう中に各科目が位置づけられるわけで、その全体のシステムとして考えた場合に、そういう一つの方向性一色でなるとは余り考えられない。
 また、具体的に、派遣された実務家教員の担当される科目も、多くの場合の法科大学院では、総合講座というような形になるんではないか。いわば、実務家だけが担当するのではなしに、研究者教員もそこに参加し、またはそのほかのゲストスピーカーも交えながら、総合的な、いろいろな先生方がその科目を担当していくという総合講座になっていくんではないかと思われるんですけれども、そういったときにおける場合においても、そのような、一色に染まるというのは余り考えられない。
 また、先ほどちょっと言い漏らしたんですけれども、第三者評価の問題。これは各省庁が行うわけではなしに、それぞれの、民間等において認証を受けた評価機関が行っていく。そこにおいては多くの大学教員たちが参加していくし、民間の有識者も参加していく、そういった中で評価されていきますので、そういったことに対する、危惧に対する制度的な担保になっていくんではないかと思っております。
道参考人 今永井参考人のおっしゃったカリキュラム全体の仕組みとの関係は、永井参考人先生のおっしゃるとおりであるとは思います。
 ただ、恐らくそうではあるけれども、やはり憂慮される点があるとすれば、そういった派遣される教員を迎える側の大学と、そしてそれに接する学生のメンタリティーがどうであるかということによって、その影響力というのは変わってくるんだろうというふうに思っております。
 恐らく永井先生のようなしっかりした先生のいるところは大丈夫だと思うんですけれども、派遣して、来ていただいているというような遠慮であるとか、もしくはこの人は国家から給与まで補てんされているんだからほかの先生よりも偉いかもしれないとか、そういうメンタリティーが学生に伝わってしまうと、やはりその人の教え方、教える内容の影響力というのは予想以上に増すであろうというふうに思います。
木島委員 それじゃ最後に、司法試験との関係です。
 今回の仕組みによりますと、法科大学院卒業修了者が基本的に受験資格を与えられると。大体卒業者の八割ぐらいは合格するように制度設計したいとあるんですが、ですから法科大学院にとっても、個々の院生にとっても、司法試験に合格できるかどうか、決定的と。
 そうしますと、司法試験の管理がどういうようになるか。変わるんでしょうが、そういう意味で、大学そのものにとっても、院生、学生にとっても、やはり決定的な影響力を裁判官教員、検察官教員が持つんじゃないか。合格率が落ちたら、その大学はもう社会的にだめだという烙印を押されるわけですしね。また、院生、学生にとっても、落第したらもう大変なことになるわけですから。
 そういう意味の危惧を、最後の危惧を、司法試験が後ろに控えていることによる危惧を、大学の自治とか学問の自由とか教育の自由とか、そういう危惧も私は持つんですが、その懸念はありませんか。
永井参考人 私も司法試験委員をやっていたことがありますけれども、試験において採点する教員というか、実務家も入っておりますけれども、その採点においてそういう危惧するようなシステムになっているとは余り認識しておりませんので、司法試験の絡みでそういう危惧が出てくるというのはちょっと理解できないんですけれども。
道参考人 私は、その可能性はあるというふうに思っております。しかし、先ほど申し上げたように、その可能性がどれぐらい大きくなるかは、派遣される教員を迎える側の大学のメンタリティー、姿勢にかかっているというふうに思っています。
 先生がおっしゃるように、やはりロースクール、法科大学院を出ても法曹になれなければ余り意味はないと考えている人は多いと思うので、そうなった場合、司法試験というのはその後に控える非常に重要な関門なわけで、それに受かるかどうかというのは、学生にとってもそうですし、場合によっては法科大学院にとっても最重要関心事になると思うんですね。
 そうしたときに、司法試験と非常に関連の深い省庁の方が先生として、例えば教授会に参加して、こういうカリキュラムが必要でこういう知識が必要なんじゃないかと言ったときに、決してその人は司法試験との関係で必要なんということは絶対言わないと思いますけれども、ああこの人が言うんだからこれをやっておかないと司法試験に受からないんじゃないかというふうに思う。先ほどから申し上げている恐怖心、根拠のある場合とない場合がありますが、そういう恐怖心が怖いというふうに思っています。
木島委員 終わります。ありがとうございました。
山本委員長 次に、保坂展人君。
保坂委員 社民党の保坂展人です。
 まず、永井参考人に伺いたいんですけれども、これまで議論になったように、派遣をされてくるわけですね、裁判所なりあるいは法務省なりから。その判事、検事の方を、幾つかのリストから大学が、この方がという形でチョイスするわけではないわけですね。ただ、顔合わせというのはあろうかと思うんですが、顔合わせの段階で、どうもちょっと調子がお互い悪いのではないかということはあるんでしょうかね。つまり、始めないうちに、もうちょっと違う方をということを大学は言えるんでしょうか。
永井参考人 始めないうちというのはちょっと、相手の手のうちも能力もわからないので。ただ、現実に講義を始める前に、研究者教員との間のいろいろな協議があると思いますね、教材開発、教育方法、いろいろな内容についての。そういったところで、思ったような情報を得られない、または思ったようないろいろな実務家教員としてのメリットを生かすようなものを提供してもらえないというようなことになりました場合に、各法科大学院は、その派遣元に対して、大変申しわけない、失礼なことではありますけれども、私どもが求めている人材はこういう人材であって、御本人はそれぞれ立派でありますけれども、うちの方の大学のカリキュラムまたは教育方法等においてはちょっと人が違っているということを申し上げることはあると思います。
保坂委員 その問題なんですけれども、大変よい人材はとてもこれは貴重でよい、おまけに給料まで国家が補てんしてくれるわけですから、こんなにいい話はないということなんですけれども、しかし、道参考人が言われたように、必ずしもトップレベルの判事、検事がよき教育者たる資質を持っているわけではないということもございます。やり出してから、どうも学生を教育するということにおいて基本的な資質を欠いておるのではないかという方も出てくる可能性はあるんですね、数の中からは。その場合に、途中でお引き取り願いたいと言いにくいんじゃないでしょうか。
 大体、そういう方の場合は、初対面、幾つかいろいろお話しする中で大体見えてくるものなんじゃないでしょうか。ですから、失礼にならないようにするためには、最初の段階で意思を示した方がよいのではないですか。
永井参考人 それがいつわかるかという問題ですけれども、講義を始める前の事前の準備の段階がかなりあると思います、今後、この問題においては。
 だから、先ほど言ったように、教材開発、それから教育方法の検討、そういった中において、どうも十分に得られないという場合はその場合で話を申し上げることはあるでしょうし、または、その後講義をしている中でいろいろ学生からの意見等において、または、先ほど言ったように、総合講座的に研究者教員も参加して複数教員で担当していく中で、どうもチームワークがとれないというようなことになった場合には、そこをいろいろ補佐するものもある、また、そういったような先生方にはいろいろな補佐をつけるということも考えている法科大学院は多いと思いますので、そういったような補助教員というような問題の活用によってもできると思います。
保坂委員 では道参考人に伺いますが、同じことなんですけれども、判事、検事が、例えば犯罪事実があるのかどうか、係争の事実認定などで鋭い目を持って長年の経験を生かして仕事をされてきたという人たちが、うそやごまかしを見抜くことは得意であっても、若い世代の才能を、自由な空気の中で冗談を言いながら、お互い対等の目線で、そして時には人生の機微にも触れながら、いろいろやる気を出させていく、なるほどこの世界は奥が深いなといって、いわば、アメリカのロースクールのお話をされましたけれども、そういう形にうまくいくんだろうかということを私は危惧しているんですけれども、いかがでしょうか。
道参考人 結論からいえば、そういう資質、能力を備えた方とそうでない方がどの世界にもおられると思っています。それは決して実務家、法律家としてのキャリア、その年数やそのときのポジションとは関係なく、その能力を持っている人と持っていない人がいる。
 私は、これは教員の審査の仕方の問題であると思うんですが、そういった能力が事前に判明するように、書面だけじゃなくて、ちゃんと教員その人に会って、面接をして、場合によっては学生と接してもらったり、そういうセッションを通じて、いわゆる民間企業が新人を採用するのと同じような仕組みで、その人となりを見て採用するというのが本来あるべき姿ではないかと思っています。
 そういう選抜というか選考を経て採用された教員であれば、そういった資質、能力を備えたという可能性は高いのではないでしょうか。
保坂委員 もう一問道参考人に伺いますが、日本ではまだお上という言葉が厳然と生きていまして、ともするとこの世界も、司法省という残影がまだあちこちにあるんですね。法務省に何十年もおられる裁判官がいたり、本人もどちらなのか委員会で照会してもにわかに答えられなかったり、やはり裁判官でしたという答えが返ってきたりとか。そういうことで、お上なんですね、両者とも、残念ながら。お上が人材を派遣するわけですよ、しかも金までつけて。身分は、検察官が検察官を離れて大学の教員になるというように見えますけれども、法律的には、検察官として大学の教員の仕事を派遣されてやるということにほかならないと思うんですね。
 その場合に、法科大学院の他の教員方との関係の中で、本来なら、やはり検察官の身分を常勤であれば離れて、その一定の期間でも対等、平等にやるということが望ましいとは思いますけれども、そうではないわけですから、そのことによって起きてくる、先ほど恐怖心とおっしゃいましたけれども、残念ながら我々日本社会の中に卑屈な部分というのを抱えていますから、その卑屈な部分がなるべく出ないような運営というのはどういうふうにやったらよろしいでしょうか。
道参考人 それは私たちにとって大変難しい課題であるというふうに思っております。
 私は、そういったことを最大限除去するには、あらかじめこの法案、この制度が過渡的なものなんだよということを、ロースクールに対しても大学に対しても学生に対しても明示しておく必要があるのではないかというふうに思っております。過渡的であり、そしていろいろな注意点、いろいろな懸念があってこの制度は運用されているんだということが共通の認識になっている必要がある、その周知が徹底している必要があるというふうに私は思っておりまして、その意味で、こちらの国会のいろいろな御判断の持つ意味というのは大きいのではないかというふうに思っています。この審議の内容にもかかわると思っております。
 実際、現場において、ではそういった現職の公務員が教授会に入るという場合には、こうした危険性があるということを考えながら、基本的にはその大学の判断で、どういった形で運営管理に参画してもらうかということを自主的に選んでいただくというしかないと思います。
保坂委員 日本の社会がだんだん階層化してきて、この法科大学院も決して安くありませんから、また奨学金もまだ整備されていませんし、できる限り多様な人材が法曹の世界に入っていくということが、これまでの日本社会の、特に戦後の歴史の中で重要な役割を果たしたと思うんですね。相当裕福な方も、相当苦労された方も、同時に机を並べてやってきた。ここの部分で、大学の教員の方も、それこそ裁判官、検事、それから各省庁という形で迎え入れるのであれば、また別の分野からも、バランスをとる意味で、大きく幅を広げていただきたいという意見を申し上げて終わります。
 どうもありがとうございました。
山本委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 参考人の方々は御退席いただいて結構でございます。
    ―――――――――――――
山本委員長 引き続き、内閣提出、法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、矯正局長横田尤孝君及び文部科学省大臣官房審議官清水潔君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局山崎人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。漆原良夫君。
漆原委員 公明党の漆原でございます。
 本法案につきましては、いろいろな指摘がございます。本来の職務を行わない検察官等に対して給与を払うのはおかしいとか、あるいは教員の確保は各校の自由に任せるべきであって政府案では公正な競争を妨げるとか、あるいは裁判官、検察官は身分を離れて法科大学院に行くべきだとかいうふうないろいろな批判がありますが、現実に、私は、法科大学院の設立に当たっては、弁護士、裁判官、検察官などの実務家教員を確保することは大変困難だ、また非常に御苦労されているというふうに聞いております。
 私は、将来法曹を目指す者はひとしく法科大学院での授業を受けられるという法科大学院の適正配置という観点から、裁判官、検察官等の派遣を継続的に安定的なものにするための措置がとられてしかるべきだというふうに考えておりますが、この点に関する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
森山国務大臣 委員が御指摘のとおり、法科大学院の検察官等の派遣につきましては、安定的、継続的な派遣を確保しなければなりません。それが国の責務でございますので、派遣される者が給与その他の処遇面においてできる限り不利益を受けることがないようにするための措置を講ずる必要がございます。
 そこで、派遣される検察官等につきましては、その身分を保有したまま派遣するとともに、法科大学院から相当額の報酬などが支払われることを前提といたしました上で、特に必要があると認められますときは、必要と認められる範囲の中で給与の一部を支給することができるようにしたわけでございます。
漆原委員 この法律は、裁判官、検察官をその身分のまま法科大学院の教員として派遣することを可能にする法律でございます。このような仕組みは我が国にとって初めての仕組みでございますが、このような法律をつくる目的、趣旨についてお尋ねしたいと思います。
 もう一つ、現在の制度で裁判官や検察官を法科大学院の教員として派遣することは、現行法ではできないのか、あわせてお尋ねしたいと思います。
山崎政府参考人 お答えを申し上げます。
 この法律をつくる趣旨でございますけれども、法科大学院における教育の充実、これを図ること、これが国の責務とされているわけでございます。昨年御承認いただきましたいわゆる連携法、ここで定められているわけでございます。こういうようなことにかんがみまして、法科大学院における教育の実効性を確保するためには、狭義の法曹のみならず、いろいろな分野の方々、実務経験を有する者、これを派遣して教育の充実を図る、これが必要であるということがその趣旨でございます。
 それで、現在の法制の中でそれが可能なのかどうかという問題でございますけれども、国家公務員法あるいは裁判所法では兼職制限規定等が定められておりまして、例えば、平日の昼間の時間帯等の、いわゆる勤務時間帯でございますけれども、これに裁判官や検察官が法科大学院に継続的に行く、派遣をするということは極めて困難でございまして、こういう状況から、国の責務として、新たな立法措置を講じて安定的、継続的な派遣を可能にするという制度を構築するということが必要になるということでございます。
漆原委員 実務家教員ということであれば、何も現職の裁判官、検察官じゃなくても、弁護士もいるし、あるいは、退職をされた裁判官あるいは検察官もいらっしゃると思うんですね。だから、現職の裁判官、検察官、あるいは現職の国家公務員をという趣旨はどこにあるんでしょうか。
山崎政府参考人 法律の世界、日々社会が変わるとともに、考え方もさまざまに変わっていくわけでございます。そういうような現実の実務の流れ、最先端の知識、これをきちっと持って、将来どういうふうに法曹界がなっていくか、こういうことをきちっと教育として教えなければならないということでございまして、そういうためには、やはり現職でそういう感覚を持っている方に教えてもらうというのが最適であるという考えによるものでございます。
 また、やめて行けばいいではないかという指摘もございますけれども、やめるということになれば、給与面についての不利益もございますし、将来また戻ったときに退職金等さまざまな問題で不利益も生ずるわけでございまして、そういう方々を安定的、継続的に派遣をするという点について極めて困難であるということから、こういうような制度を設けたということでございます。
漆原委員 裁判官、検察官だけではなくて、一般の国家公務員も派遣の対象としておりますが、どういう理由なのかな。それから、どんな分野における派遣が今要請されているのか。その辺をお答えいただきたいと思います。
山崎政府参考人 新たな法曹養成制度におきましては、高度の専門的な能力を有する多数のすぐれた法曹を養成するという必要がございまして、その中核的な教育機関として法科大学院が位置づけられるわけでございます。
 このような法科大学院の特色に応じまして、例えば知的財産権法、金融関係法、経済関係法、それから租税法等、さまざまな専門的な、先端的な分野について実務的な教育が行われる必要があるということでございまして、このニーズにこたえるということから、一般の公務員にもその範囲を広げているということでございます。
漆原委員 この法案では、検察官の場合、いわゆるパートタイム型の派遣とフルタイム型の派遣が予定されておりますが、法科大学院からの要請があった場合にどちらの派遣形態にするのか、それはどのように決めるのか、また、派遣される者のレベル、人選等についてはどのように行われるのか。法務当局に聞きたいと思います。
寺田政府参考人 現在、法務省では、この法科大学院の支援のための準備的な組織を設けまして、準備的な形ではございますけれども、各大学から要望を伺っているところでございます。
 既にさまざまな御要望が寄せられておりますが、今フルタイム型、パートタイム型、こうおっしゃいましたが、基本的にこれは、派遣する側で本来の職務を行わせないで完全に法科大学院の教授等の業務に専心させるか、あるいはそうでなく職務を行わせるか、こういう違いでございまして、これは法律上の問題でございます。他方、学校側には、フルタイムの専任教員とするか、あるいは一部それに近い形でのみなし専任教員にするか、あるいは全くの非常勤講師のような形にするかという違いがございます。これは、それぞれ別の概念でございます。
 しかし、基本的には、法務当局といたしましては、今の準備室を通じまして寄せられましたいろいろな御要望というものを検討いたしまして、うまくマッチするという可能性を十分に探った上でこの派遣の形態を決めたい。したがいまして、場合によっては複数の校で非常勤の形で勤務をする、あるいは、みなし専任のような形で勤務をするけれども、しかし派遣はフルタイムの派遣で行うということもあり得るわけでございます。そこをひとつ御理解いただきたいと思います。
 人選でございますが、これも基本的に、問題になりますのはやはりどういう御要望があるかということでございますので、十分に御要望を踏まえた上で具体的な人選に入ってまいりたい、このように考えております。(漆原委員「あと、レベル、どういうレベルの人」と呼ぶ)
 このレベルも、さまざまな御要望に応じて決めることでございますので、まず御要望を把握した後に検討して決めてまいりたい、このように考えております。
漆原委員 法科大学院に派遣される検察官等に対して国から給与の一部が支払われる、こういうふうになっておりますが、この趣旨をお尋ねしたい。あわせて、一部支払う結果、その本来の給与と法科大学院からの報酬等の合計が本来の給与を上回るようなことはないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
山崎政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、国の責務を果たすという観点から、派遣される者が給与その他の処遇面で不利益がないように、そういう配慮をして、できる限り不利益を受けることがないようにする措置が必要であるということで、このような制度を設けたわけでございます。
 その支払われる内容でございますけれども、まず前提として、法科大学院から相当額の報酬が支払われるように取り決めできちっとやっていただく、これが前提でございます。その上で、なお現職のときの給与との差額が生ずる場合につきまして、必要と認められる範囲でその給与の一部を支給することができる、こういうことを設けているわけでございます。
 お尋ねの点でございますけれども、多分、法科大学院が相当高額の報酬を出すのでどうかということを念頭に置いていることだろうというふうに思われますけれども、これは私ども、この法の趣旨は、やはり国の責務として派遣をさせていただくということでございますので、本来の給与を超えていただくということは考えておりませんで、その点は取り決めにおいて、法科大学院側とその任命権者のところできちっとその協議をしていただくということでございまして、その点で、大幅に上回るようなものをいただくとかそういうことはないというふうに考えております。
漆原委員 大幅に上回るものをいただくことはないと言うとまた誤解を生じるので、上回ることはないのですね、そこをはっきり。
山崎政府参考人 若干不正確に申し上げましたけれども、上回ることがないという趣旨でございます。
漆原委員 派遣される検察官等の給与の百分の五十までを補てんできる、こうなっておりますが、そうなりますと、低い額の報酬しか払われない法科大学院がかえって得をするような不公平な結果になるのではないかという指摘もあるのですが、この点に対して御意見があったらおっしゃっていただきたい。
山崎政府参考人 この百分の五十という数字ですけれども、これは、どんな場合であってもその半分は法科大学院に支払ってもらわなければならないという前提を設けているわけでございます。そうだからといって、では常にその半額にみんな偏るのかということでございますけれども、これは、その範囲で支給ができると言っているだけでございまして、必ずしも常に百分の五十を支給するということではございません。そういう運用がまず前提にあるということでございます。
 それから、先ほども申し上げましたけれども、これは、あくまでも法科大学院から相当額の報酬が支払われる、これを前提としているわけでございまして、相当に低い額の報酬しか支払われないというような法科大学院が得をするというような不公平な制度設計とはなっていないということで、運用上もそうならないように留意をしたいというふうに考えております。
漆原委員 先ほども、参考人質疑をさせていただいた中で、現職の検察官等が法科大学院に派遣されて教授会等に参加する、こういう場合は、人事を含む大学運営に関与することは大学の自治との関連で問題があるのではないかという危惧をする意見がございました。この点についての御意見をお聞きしたいと思います。
山崎政府参考人 この点につきましては、まず大前提は、法科大学院側から要請がある、その上で行くのだということでございます。その要請もないのに我々の方から押しかけるということではないということがまず前提でございます。そういう点で、大学側も、現職の裁判官や検察官が来た場合にどういう対応をするかと十分もう考えて派遣要請をしていることだろうというふうに思います。
 また、人事案件等を含む大学の運営にどの程度関与をさせるかという点についても、これは大学の意向に従うわけでございまして、最初、法科大学院と任命権者のところでその人事の取り決めをされるわけでございますが、このときに、その法科大学院から要望があればきちっと申し入れをしていただきたいと思います。そして、そういうような法科大学院側の意向は十分に尊重するということで考えておりまして、御心配のような懸念が生ずることはないというふうに考えております。
漆原委員 裁判官のパートタイム型派遣において、当該裁判官は法科大学院から報酬を受けない、裁判官としての報酬その他の給与については減額されないとした上で、法科大学院が相当額を国庫に納付する、こういうシステムになっておりますが、そういう制度をつくった理由についてお尋ねしたい。
 それが一点と、裁判官については、検察官とは違ってフルタイム型の派遣形態を設けておりません。その理由について、二つあわせてお聞きしたいと思います。
山崎政府参考人 まず、裁判官につきまして、給与を減額しないということで、その相当分を国庫に納入するという点でございますけれども、これにつきましては、裁判官は憲法上厳格な身分保障がされておりまして、報酬の減額禁止、これが定められているわけでございます。それからまた、一般的に言えば、勤務形態が、例えば、法廷の開廷等が月水金というふうに定められておりまして、火木をあけられる、こういうような特殊な勤務形態になるわけでございます。
 そういう点から、パートタイム派遣ということにしておりますけれども、報酬の減額禁止規定がございますので、そこで減額はできないという形になりまして、本来支払われる分は国庫に納入していただく、ダブルではちょうだいをしない。先ほど申し上げましたように国の責務として行くわけでございますので、本来の給与以上のものはもらわない、こういう思想でございます。
 それから、もう一点のお尋ねでございます。
 これにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、そもそも裁判官をもしフルタイムで派遣するとすれば、一切働かないで給与が全額保障されるという形になりまして、果たしてそういう形態が本当にいいのかどうかということが問われるという問題と、勤務形態の特殊性からパートタイム派遣で対応ができるということから、このような形態をとらせていただいた、こういうことでございます。
漆原委員 最後に確認をしておきたいんですが、この派遣制度の運用については、最高裁そして法務省、公平な派遣をぜひとも実施してもらいたい。これについて一言ずつ御意見を賜って、私の質問を終わります。
山崎最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましても、法科大学院における教育を充実したものとするために、実務家であります法曹が法科大学院教育に参画することが重要であるというぐあいに認識しております。
 そういう意味で、ただいま御審議になられておりますこの派遣法によりまして、現職の裁判官が法科大学院の教育に参画するためのスキームが設けられることは、意義のあることだろうというぐあいに思っております。
 裁判官教員の派遣の決定に当たりましては、これは最高裁判所と法科大学院とが協議して取り決めをすることとされておりまして、事前に法科大学院の要望を十分聞く制度設計となっておりますので、それぞれ特色ある教育を目指す法科大学院の要望をよく承って、できる限りの対応を考えていきたいと思っております。
 ただいまお話ございました公平の関係でございますけれども、法科大学院の要請があった場合、最高裁判所において、要請をした法科大学院の間で不公平が生じるようなことがないようにすることは当然のことだというぐあいに考えておりますので、具体的な要望を踏まえまして、裁判事務に与える影響も考慮しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
寺田政府参考人 法務省といたしましても、ただいま最高裁がおっしゃられました基本姿勢は全く同様でございます。
 何といいましても、派遣に当たって実質的な公平を保つということは重要でございますので、特定の大学に偏るような、そういうおそれが抱かれないようにひとつ十分に配慮してまいりたいと考えております。
漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
山本委員長 この際、休憩いたします。
    午前十一時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十七分開議
山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。日野市朗君。
日野委員 裁判所、お見えになっていますね。裁判所も法科大学院に対して教員を派遣する、こういうことになるわけですが、さて、派遣できる裁判官、そのリストができているんですか。
山崎最高裁判所長官代理者 現在、最高裁判所におきまして、各大学の担当者とお会いいたしまして、実務家教員としての裁判官の派遣につきまして、要望を承ったり、また相談に応じたりしているところでございますが、一通りの具体的な要望が出そろったと思われる時点で、派遣の必要性ですとか、あるいは裁判官が担当する科目を初めとします法科大学院の具体的な要望の内容ですとか地域的なバランス、そういったものを考慮しながら、全国的に派遣について検討していきたいというぐあいに思っておるわけでございます。
 その結果、各大学に派遣の可否というものをお知らせいたしまして、それを受けて大学で正式に要請をしていく、こういう手続を進めていただく。こういったことを念頭に作業を進めておりますものですから、今お尋ねのように、裁判官派遣のリストをつくるというようなそういう形のものはちょっと予定していない、こういうことでございます。
日野委員 そうすると、それぞれの法科大学院、これは六月末までに設立の認可の申し出をするわけでありますね。それまでには一応、裁判官の実務家教員というのは、だれを充てますということが具体的に決まっていないとぐあい悪いわけでしょう。どうなんですか、そこいらは。
清水政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十六年度開設予定の法科大学院の設置認可申請に当たっては、原則として、申請時に各法科大学院の教育内容あるいは教員組織を決定しておくことが必要でございます。
 しかしながら、今回、特に実務家教員について、確保の難しさでありますとか創設までの時間的余裕でございますとか、さらに今回、派遣法が御審議をいただいている、そういう事情を勘案いたしまして、十六年度の法科大学院の開設分につきましては、六月末の設置認可申請書類において当該の実務家教員欄を空欄のままで申請を受け付け、実務家教員が決定した時点で関係書類を提出していただくという取り扱いを考えているところでございます。
日野委員 その関係書類の受け付けをするのはいつまでですか。
清水政府参考人 設置認可申請については、先ほどお答えしましたとおり、六月の末日を締め切りといたしておりますが、今お尋ねいただきました実務家教員に関する関係書類というもののぎりぎりのリミットということで考えますれば、十月上旬というふうなことで考えております。
日野委員 これは、今度新しく制度が発足するということのゆえに幾らかの余裕を見てそのように決める、こういうことなのでありましょう。そういうふうに理解をいたします。
 ところで、裁判所の方はそうも言っていられないですね。何しろ裁判官の人数というのは定員法で決まっておりまして、この間も定員法、何か国会のどさくさに紛れて十分な審議もしないうちに通してしまったわけでありますが。
 いずれにしても、裁判官の人数そのものが非常にぎりぎりのところでやっているということでありますから、そこから法科大学院の方にどのような人材、どのような資質の人材ですね、つまり、何年ぐらいやっていて、何年ぐらいの実務経験があってとか、それからどの地方に現在居住をしていて、どのような数をということになると、大体これは派遣できる人材についてリストを、つくらないとはいいながら、ほぼ決まってくるのじゃありませんか。どうでしょうか。
山崎最高裁判所長官代理者 派遣する裁判官を具体的に決める手順については先ほどお答えしたとおりでございまして、そういう法科大学院からの正式な要請がございますと、その御要望というものの中身は、こういう担当分野をお願いしたいだとか、あるいはこれくらいの経験年数の人をお願いしたいだとか、そういった具体的な中身がわかってまいりますので、そういった御要望を念頭に置きながら、その法科大学院の近隣の裁判所ということになろうかと思いますが、そこに所属する裁判官の中で教員業務に適した者を具体的に選んでいくという作業になるわけでございまして、そういう具体的な法科大学院からの要請を離れて抽象的に派遣する裁判官のリストをつくるというのはちょっと難しいのではなかろうかというぐあいに思っております。
日野委員 そうすると、私は、ちょっと裁判所のやり方としては頭の悪いやり方だと言わざるを得ないんですね。
 大体、向こうから言ってきたらそのときに考えましょうということをあなたは今おっしゃったわけでありますよね。違いますか。
山崎最高裁判所長官代理者 現在、具体的に法科大学院の担当者の方と面談をさせていただいておりまして、現段階の御要望といいますかそういうものを承っているところでございまして、ある程度の数の感じというものはわかってきてはおりますけれども、法科大学院の方でも、所によっては、そんなにまだ詰めたような形にはなっておらないので、裁判官を派遣してもらうことが可能かどうか、そういうようなお問い合わせの段階のところもございますものですから、ちょっと今の段階で具体的な数ということになりますと難しいところがございますが、大体の規模がほぼ見えつつある、こういう現状でございます。
 そういうものを踏まえた上で、全国的、全体的にどれぐらいの裁判官を派遣して御要望におこたえできるかというような作業を一たんいたしまして、その上で正式の要請をしていただいて、先ほど申し上げましたとおり、具体的な、この裁判官にお願いするというようなことで進めていくのではなかろうか、こういうイメージを今持っておるところでございます。
日野委員 全然わかりません。
 大体、裁判官、派遣されるであろう裁判官にとっても、これは大変なことでありますよ。一体、どこに行って、どういう仕事をしなくちゃいかぬのか、それが本来業務にどのような影響を及ぼすのか。さて、転勤の場合なんかどうなるんだ。もうそろそろおれは転勤だよ、もうそろそろ三年目だ、それがここの法科大学院で教員をやりなさいと言われてまたこれが延びるのかね、本当は随分地方勤めも長いのでそろそろ東京とか大阪とかそんなところに戻りたいんだが、こいつは大変だな。子供の教育のこともありますね。そうすると、ある程度のことはもう今ぐらいの段階になったら示しておかないと、大変なんじゃないんですか。
 もし東京に戻れるのなら、親もそこにいるし、ちゃんとしたうちも購入したい、しかし、今官舎暮らしだ、また官舎暮らしが何年か続くなんといったら、これもまた大変だ。いろいろなことがありますから、もうそろそろ具体的に裁判官に対しても、あなたは残り、教員をやってもらうことになりそうだぞぐらいのことは、においぐらいかがしておかないとこいつはいかぬのじゃないかと思います。
 大体、基準はどんな基準を持っているんですか。それは、法科大学院の方からいろいろ言ってくるのはわかる。しかし、それにしても、ある程度の基準を持っていないと裁判所としては人選にも困るだろうと思いますが、どうなんですか。
山崎最高裁判所長官代理者 この法律に基づきまして、裁判官を教員として派遣するためには当該裁判官の同意を得なければならないということになっておりますので、もちろんその前提として、裁判官の意向を聞きながら具体的に行ってもらう方を決めていく、こういうことになろうかと思います。その過程では、ただいま委員御指摘のようないろいろな点を配慮しながらやっていくべきものだろうというぐあいに思っております。
 そういう意味では、当該裁判官の希望の有無というのも一つの問題にはなりますが、そのほか、当然、当該所属裁判所の事件処理の状況といったものも踏まえた上で具体的に決めていかなければならないというぐあいに思います。
 今おっしゃられた基準というものの中に、例えば経験年数の基準ですとかそういったものも入ってこようかと思いますが、その点は、まさに法科大学院の具体的な要望、さまざまでございまして、ベテランの方がいいというところもございますし、比較的若手の方でいいというところもございますし、そういったばらつきがございますものですから、その点はちょっと一概には決めにくいところがあろうかと思っております。
日野委員 では、経験年数の点について、これだけちょっと伺っておきましょう。
 五年未満の、いわゆる特例の連中、これが大学院の方から希望されることは余りないだろうと思うんだが、裁判所としてはどう思っておられますか。
山崎最高裁判所長官代理者 実務家教員として法科大学院で教員業務に当たりまして、充実した教育が行われるというためには当然実務経験というのが必要でございますので、一定の実務経験を積んだ者を派遣していくという考え方になろうかと思いますが、ただ、それぞれの裁判所の裁判官の構成、これはさまざまでございますものですから、もちろん余り実務経験の少ない若い裁判官はいかがかと思いますけれども、例えば十年近くの経験を積んだ、判事補ということにはなろうかと思いますが、そういう者であっても、必ずしも排除すべきものとは言えないのではないかという考え方を持っております。
日野委員 それでは今度は、裁判官の同意について伺います。
 裁判官が同意すればいいんだよ、同意がなければ教員として派遣することはないというお話で、同意というのは非常に大事な要件だというふうに私は思うんですね。
 しかし、具体的に考えてみて、裁判官が上の方から、ここでは上の方とだけ言っておきましょう。検察官の場合だったら任命権者という言葉を使っていますが、裁判所の場合は任命権者というものの名前は内閣になっちゃうから。ですから、上の方から、これは派遣だ、行ってくれと言って、断ることのできるものですかね。私は、これはできないと思いますよ。
 例えば転勤、これについてだって、東京とかその周辺で勤務した者は、最後には九州とか北海道とかに行ってくれと言われて、内心は行きたくない。しかし、上の方からそう言われちゃったら、これは断れないという現実があるわけだ。この現実、それを乗り越えるというのはなかなかできない。もしここで裁判官がその転勤を断ったら、これからの出世の妨げになる。そういう事情があって、裁判官は独立でございますということを言われながらも、その司法行政の中でやむを得ず従っている、これが現状ではないですか。どうですか。
山崎最高裁判所長官代理者 今、転勤についてのお話がございましたが、裁判官には、委員御承知のとおり、転所の保障というものがございまして、同意なくして異動させるということは全くできないことでございます。そういうことでありますから、人事を行う上におきましても、裁判官の同意を得て転勤してもらうという運用を行っております。現実には、いろいろ家族の関係その他で、こちらが予定していた任地に異動できないというケースが起こっておりますが、それがゆえに何か特別の不利益が生ずる、そういったことはないわけでございます。
 今この法律で問題になっております同意についても、本来の裁判事務以外の事務を行っていただくということでありまして、そういう意味ではこの同意というのは非常に重要なものだと私の方でも考えておりまして、真摯な同意というものをきちんといただいた上で派遣していくということをやっていかなければならないというぐあいに思っております。
日野委員 転勤やなんかについても同意というものが必要だということで、ちゃんとそれでも同意はとれていますと今いいながら、実際、裁判官は腹の中では嫌々行っているわけだね。それで、それが耐え切れなくなっちゃったら退官しますわ、弁護士になりますよという形になって、どんどん、どんどんと言っていいかどうかわからぬが、少なくとも私の身近な人間は、もう転勤は嫌だからやめて弁護士になるよというようなことを言いながら退官をして、そしてどんどん裁判官が不足していっているわけですね。ですから、私は、ここで同意を得てといいながら、しかし現実には腹の底からの同意はとれないだろう、こういうふうに思いますね。
 大学で教えるのが好きだという人はいる、確かに。しかし、この忙しい中で、事件を何件も持って、さらに宅調日をつぶして、裁判官の勤務というのは毎日やるんじゃなくて隔日であったりなんかで、宅調日というのは、その宅調日をつぶして大学院に行って教えるというようなことが好きな人はいいが、何もそこまでやって自分の事件処理の件数を減らして、事件の処理ができなくて上から文句を言われてというようなことになるんじゃないかと。そういうことになれば、おれは嫌だよ、行きたくないよという人が私はかなり多いだろうというふうに考えるんですね。
 それで、後でまた問題にしますが、経済的な利益を得るわけでもないわけですから、私は、かなりこの同意というのは本当に同意らしい同意といいますか、きちんとした同意をとらなければいけないだろうと思います。
 ところで、この派遣という、おまえさんは派遣で行きなさいという行為は、司法行政上の行為だというふうに伺ってよろしいですか。
山崎最高裁判所長官代理者 広い意味では、司法行政上の行為に該当すると思います。
日野委員 ところで、この裁判官、派遣される裁判官と大学との契約を結ぶわけだね。そして、その契約の内容というのは、大学はそれに対して給与を支払う、そして裁判官は生徒に教える、こういう双務契約になりますね。その大事なところを双務契約の当事者同士じゃなくて裁判所が決めるというのは、これはどういうわけ。これはちょっと質問の予告はしていなかった部分だけれども、皆さんだったら答えられるでしょう。
山崎政府参考人 この派遣につきましては、法科大学院の教育、これを充実したものにするという国の責務があるということで、昨年、いわゆる連携法で御承認をいただいたものでございますけれども、これに基づきまして、裁判官を法科大学院で授業を行わせる、こういうものでございます。したがいまして、個々の問題というよりも、やはり国の責務として安定的、継続的に法科大学院に人を派遣いたしまして、その上で教育をしていくというものでございます。
 したがいまして、個々の契約であればそれぞれいろいろなアンバランスがあるということになろうかと思いますけれども、そういうことにならないように、任命権者、あるいは最高裁判所の場合ですと任命権者というよりも最高裁判所でございますけれども、そこと各法科大学院といろいろ取り決めをしていただきまして、その条件をもって個々の裁判官も法科大学院と契約をする、こういうシステムをとっているわけでございます。
日野委員 変なことになってきちゃう。さらっと答えてくれればいいものを、最高裁まで出てきて、いろいろな条件とかその内容の話までしちゃったので。さっきの説明だと、個々の大学院の方から要請があった場合に、そこで相談をしてという話だったけれども、何か最高裁も統一的に契約の内容を決めるような話が今出てきちゃって、あらあらこれは困っちゃったな、聞いた方が困っちゃったと思っているんですが、ここのところは余り突っ込まないでおきましょう。きのう予告しなかったので、これは予告しておけばよかったなと思うんですが。
 ここで、契約の解釈をめぐって、契約の内容がどのようになるかということはえらい問題に将来なりかねませんから、大体、双方の契約当事者のところを無視して、契約の内容を任命権者や何かが決めるなんというのは、そんなのはおかしいんですよ。これは、検察官の場合もこれから聞きますから、同じような質問、法務省にも聞きますから。
 ところで、どうもそういう、私としてはおかしい契約だな、契約が結ばれることになるなと思うんですが、一本釣りというのはだめなんですか。法科大学院が、あの裁判官が欲しいんだ、検察庁の方にはあの検察官が欲しいんだと。後で聞きますから準備しておいてくださいよ。裁判所に対して、あの裁判官が欲しいんですよ、ぜひ出してください、こういう申し出があったらどうなりますか。
山崎最高裁判所長官代理者 具体的に裁判官を派遣する場合には、当然のことでありますけれども、当該所属庁における事件処理にどういう影響が及ぶかといったことも考えなければならないわけでございますので、法科大学院と特定の裁判官とがあらかじめ話をつけて、これで派遣を求めると言ってこられた場合にも、必ずしもそのとおり御要望に応じられるかというと、この保証はないのではないかと思います。
 もちろん、そういうことをしていただくことが絶対困るというほどのことはないだろうと思いますが、ただ、そういう要望の一つとしてそれを承った上で、先ほど申し上げましたいろいろな要素を考慮しながら、具体的にどの方を派遣するかということを決めていくことになろうかと思います。
日野委員 そうすると、法科大学院の方であの裁判官が欲しいと言ってきても、そんな人の特定までした申し出については一切応じない、人の特定なんかには応じませんよということになりますか。
 後で問題になってくると思うんですが、先ほどもちょっと問題になっていたが、裁判官に対する報酬です。裁判官に対する報酬は、法科大学院の方で、あの裁判官が来たら、あの裁判官が欲しいという幾つかの大学があって競争関係になって、私の方はもっと高く出しますよという話が出たりなんかすることだってあり得るわけだね。さっき山崎さんの答弁を聞いていると、そんなことにはなりませんという答弁をやっていたんですが、どうなんですか、そういうことは。一本釣り、そして競争関係が生じる、こういう場合。
山崎最高裁判所長官代理者 ちょっと制度的なことでございまして、私がお答えするのは適当かどうかはわかりませんが、この法律で予定されていますのは、法科大学院の設置者の方から裁判官が教員として必要とする事由を明らかにして派遣の要請を最高裁判所にしていただいて、それを受けまして、最高裁判所の方でその必要性ですとかその他事務の支障ですとかそういったことを勘案してこれに応じる、こういう仕組みになっておりますものですから、今この裁判官に来てほしいという、それは一つの御要望であろうかとは思いますけれども、裁判官の経験年数ですとか、御要望に合致するような他の裁判官がおれば、そういう者も候補者に含めた上で具体的に個々の裁判官の同意を得て派遣を決めていく、こういう運びになっていくのではないかというぐあいに考えております。
日野委員 裁判官の方ばかりやっていたんじゃ、法務省の方がちょっと手抜きになるので。
 法務省の方はどうですか。法務省の方は、裁判官の独立みたいなものはなくて、上命下服の関係に立つわけです、法務省という組織は。ですから、それほど問題は面倒ではないのかなと思いますが、検察官の絶対数の不足というのはやはり覆うべくもない事実であります。ここからちゃんと法科大学院に教員を出してやるというのはなかなか容易ではない。しかも、検察官の場合は、フルタイムで出ていくという人も予定されているわけですね。
 どうなんですか、そのリストは今つくっているんですか、まだできていないんですか。
山本委員長 寺田司法法制部長。(日野委員「いや、これは非常に大事なことだから、大臣お見えだから、大臣にひとつ」と呼ぶ)
 森山法務大臣。
森山国務大臣 先ほど裁判所からも御返事がありましたようなことで、法務省といたしましては、現在、検察官の派遣を希望している法科大学院からの御要望を準備の一環として広く聴取しているという段階でございます。
 今後さらに具体的な要望が出てまいりまして、さらに煮詰まってまいりました上で、法科大学院設置者との間で十分に協議を重ねながら適切に候補者の人選を行ってまいりたいというふうに考えております。
日野委員 今、検察庁の方はもっと簡単に、簡単にというか、もっと易しく手続がとんとんと進むのかと思ったら、そうでもないようでありますね。
 検察官の転勤ということも非常に頻繁に行われているわけで、こういう事情も考えてみると、ある程度、検察官にもこういう教諭、法科大学院の教員としての仕事もやってもらいますよ、そのために、あなたとしてはそのための準備もしておいてくださいというようなことをそれぞれの検事がのみ込んでおくということも必要なことじゃないですか。
森山国務大臣 おっしゃるとおり、もう少し時期が進みましたときにはそのような準備も必要だと思いますが、具体的にだれにどのような準備をしてもらうかということは、先ほど申し上げましたとおり、今のところまだ何も決まっておりません。それぞれの法科大学院の設置者から要望を伺いまして、それに応じた準備をしようというのが現在大まかに申し上げられる段階でございます。
日野委員 この法律は、国会として非常に急いでやってくれ、こう言われている法律ですね。それで、我々としても急いでやっているつもりなんですね。何か、きょうあたり採決も予定されているようだが。
 一番根本になる問題は、教員のきちんとした派遣ができるのかどうか、ここいらが非常にこの法律のポイントになるところで、それが、裁判所も検察庁も今のような状態で、そうすれば、何もこの法律、そんなに急がなくたっていいじゃない。六月にはもうちゃんと人も張りつけて、ちゃんと教員もそろえて、そして申請を出さなくちゃいかぬ、設立の申請を出さなくちゃいかぬということなので急いでいたんだが、どうも十月でいいということだったら、何もこの法律、急がなくたっていいわ、これは。どうですか、最高裁判所と文科省と法務省と、答弁してください。
清水政府参考人 設置認可の申請は、先ほどお答え申し上げましたように、申請の時点において、教育内容、教員組織は決まっているというのが原則でございます。それをもとに、カリキュラムあるいは教員組織が法科大学院としての教育水準を担保するに足るものかどうかというのを実際上審査していかなければならないわけであります。
 私どもとしては、先ほどお答え申し上げましたように、十六年度開設のこの状態にあって、十六年度に限って空欄として申請することも認めるということを考えておりますけれども、基本は、やはり申請の時点において、教員の、あるいは教育内容というものを固めていたということであろうかと思っております。
日野委員 ちょっと、もう少し文科省とやるから。
 大体、教員一人当たり、専属一人当たり学生が十五人とか、そのイメージはもう文科省としてはできているわけだ。そして、実務家教員もちゃんと張りつくということが決まっているわけだが、ごらんのとおりの状態なんです、現在は。あなた、お聞きになったと思います。裁判所も法務省も、そういう、法科大学院の方から申し出があったならば、そことちゃんと話をしてそれを決めていきましょうと。こういう場合、法律家というのは、人物の特定ということをよくうるさく言う。特定、だれがという。ところが、裁判所も法務省もまだまだそんな段階じゃないですね。法科大学院の方で言っておいでなさい、そうしたらそれに応じてこっちは作業しましょう、こういう。これでいいのかな。どうですか。
清水政府参考人 六月の末が申請の締め切りでございます。したがいまして、各法科大学院においても、この法案をお認めいただいた後に急ピッチで作業が進むものと信じております。
日野委員 あなた、やる気があるところは、六月の末に、そのときに申請を出して、それから急ピッチなんということないですよ。前もってちゃんと、あの先生、あの先生、あの先生、そんなこと考えて、そして、やる気になったらそこからやるわけですな。まだ認可されるかどうかもわからないうちから、裁判所さん教員何人出してくれるんです、法務省さんどうですなんて、そんなことやるわけないです。そう思いませんか。
清水政府参考人 法科大学院を構想されている各大学で今さまざまな準備作業をされているということは、私どもは耳にしておるわけでございます。具体的にさまざまな形で、実務家教員に限らず、いろいろな御努力はされているというふうな状況でございまして、そういう意味で、私もつまびらかにはいたしませんが、基本的なカリキュラムあるいはそのためのシラバス、新しい法科大学院の理念を実現し得るような体制づくりに向けて、いろいろな意味で一生懸命努力をされているというふうに思っております。
日野委員 いろいろな計画、カリキュラムとか何かは、先に文科省さんつくってくれたのね。これはつくってくれたので、もうどんどん、実務家教員をそれに張りつけていけばいいんですよ。
 ですから、私は、裁判所さん、法務省さん、どうも乗り気でないなという感じが実はしているんですが、数少ない裁判官を出すのは気が進まぬな、数少ない検察官を出すのは気が進まぬな、こんなふうに思っているんじゃないかと思うんだが、どうですか、裁判所と法務省。
寺田政府参考人 まず、大学等の御意向でございますが、私ども、実はことしの一月に法科大学院の支援のための準備室を立ち上げまして、そこを通じまして、それぞれの大学から、具体的にどのような法科大学院をおつくりになって、どのような教官に対する御要望がおありになるかということを承っております。
 現在、それは法律が成立しておりませんので、もちろん準備的な作業として行っているわけでございますけれども、既に四十を超える大学から、具体的にある程度、このような科目を教えるためにどのぐらいのレベルの方をお願いしたいというような打診というようなものが参っておりまして、私ども、これは先ほども最高裁からもございましたとおり、国としての責務、行政機関としてのこの法科大学院に対する非常に重要な位置づけからいたしまして、日野委員も御指摘のとおり、大変定員事情厳しい中ではございますが、できる限り法科大学院の御要望に応じられるような形で派遣ができるような準備というものをいたしております。
 各大学院は、先ほど文部科学省の方から御説明がありましたように、六月末の申請においては、そこを空欄にして、実務家教員という形でお出しになるわけでございますが、これに現役の者を当てはめるというつもりでお出しになる場合には、やはりこの派遣法が根拠として成立していなければならないという理解でおられますので、私ども、これにこたえられるように、この派遣法の成立、即実務家教員の派遣が可能な、そういうタイミングで作業が進むように準備を進めているというところでございます。
山崎最高裁判所長官代理者 最高裁判所におきましても、法科大学院に対する実務家教員の派遣その他の支援を図るために、法科大学院との連絡調整のための統一的な窓口ということで、事務総局の審議官室に法科大学院設立支援プロジェクトチームを設けておりまして、先ほど来御説明いたしましたとおり、法科大学院の担当者の方々と、御意向を伺ったり相談に応じたり、そういう準備作業をしているところでございます。
 裁判所といたしましては、法科大学院における教育を充実したものとするためには、ぜひとも実務家である法曹がその教育に参画することが必要であろうという認識をしておるわけでございまして、そういう意味で、ただいま御審議いただいておりますこの派遣法をできるだけ早く成立させていただきまして、現職の裁判官が法科大学院の教育に参画するためのスキームというものを整えていただきたいということを念願しているわけでございます。
日野委員 これは、一応六月に申請は出した、実務家教員のところは空欄にして出してある、十月はだんだん迫ってくる、そういうことになったら、大学院のどたばたぶり、恐らくこれは大変なものだろう。それから、出してくれと言われた裁判所も法務省も、かなりどたばたどたばたといろいろな作業をすることになるんじゃないかな。そのどたばたぶりが目に見えるような感じもありますな。
 それから、OBがという声もありますが、こういう言葉をここで使うのはいいかどうか、まあ使いましょう。検察官のOBなんて一般にどう言われているか知っていますか。やめ検と言われる、やめ検。裁判官のOBはやめ判と言われる。言葉自体に余りいい響きがないですわな。そして、やっている仕事もこの言葉にマッチするようなそういう仕事ぶり。全部が全部とは言いませんよ。しかし、そういう人も大分いるわけですな。あとはそれに、はやらない弁護士ですか、そういう人たちが、やめ検、やめ判、はやらない弁護士が法科大学院の実務教官でございますということになるのは、私は好まない。
 それで、もう一つ大事なポイントをここで聞いておきます。
 そうやって、検察の方も裁判所の方も一応教員を出してやるということになりますと、ばらばらにそれぞれ行って教えるというわけにはいかぬわね。そうすると、それぞれに研修をすることになるんでしょう。どうですか。法務省は法務省で、裁判所は裁判所で研修をする。法科大学院で教えることの一つの基準づくり、そういうことは裁判所も検察庁もおやりになることになると私は思いますが、どうでしょうか。
寺田政府参考人 これは、連携法の御審議の際にもその問題が出たわけでございますが、実務家として大変に力量があるということは、即、教える側に立った場合に力量があるということを保証しないわけでございます。このことは、その際も問題にいたしました法科大学院の準備会との間のいわゆる四者協議会の席でもそのテーマが取り上げられて、実際教えていた経験のない方に、教壇に立つ際にどういうようなトレーニングをすることが望ましいかというような議論をしているわけでございます。
 法務省といたしましても、これから具体的に、裁判所あるいはその他と共同で行うかどうかということにつきましては何とも申し上げられないところではございますが、いずれにいたしましても、事前に何らかのトレーニングは必要になろうということで、これからその準備のための検討を行いたい、このように考えております。
山崎最高裁判所長官代理者 裁判所の方でも、派遣される裁判官が法科大学院において十分教育が行えるということができるように、法科大学院教育と司法修習との役割分担というようなことも一つ問題があろうかと思いますし、そのほか、教育を行うに当たっての心構えですとか教育のノウハウといった実践的なそういった問題につきましても意見交換をいたしまして、あるいは、参考に教材の活用方法について情報交換をするとか、そういったこともあろうかと思いますが、そういった個々の裁判官教員が充実した準備を行う契機となる機会を設けようというようなことを考えているわけでございます。
日野委員 午前中の参考人質疑の中で、道さんという方がここでいろいろお話をしていただきました。私は一種の感動を覚えた。アメリカにおけるロースクールの教員たちが、物事を分析的、批判的に見ていく、そして、実務を超えた学問的ないろいろな意見を述べて、それを生徒たちに教える、そしてすぐれた教育者であるということに私としては非常に胸を打たれるものがありました。
 我が国の裁判官、検察官、みんな立派な人たちなんです。本当にすぐれた人たちなんだが、その入れ物が悪いわな。入れ物というとあれだが、裁判所の組織、それから検察庁の組織、それが、いろいろなことを分析的、批判的に見て、自分たちの意見をどんどん述べるという機会、そういう機会が与えられないで今いるわけで、私は非常にその点を残念に思っているわけですが、法科大学院の先生になっていく人たち、その人たちには、物事をきちんと分析的に自分たちの見方をきちんとやっていく、そしてそれを世に問うていく一つの学問的な仕事ができるように、そういう機会を提供してやってもらいたいというふうに私は心から今思っています。
 それで、いつまでもこうやっていると、次の論点いっぱいあります。本当は、私一人でも、この法案について論議をしようと思えば、質疑時間はあと二時間ぐらい欲しいなというふうに思うんですが、何かきょう採決だとかなんとか理事会で決めたようなんで、先を急がざるを得ないんですがね。
 司法試験、今までは司法試験は法務省がやっていたんですな。管理委員会がやっていた。これがどうなるのか。それから司法修習はだれがやるのか。これを具体的に答えてください。
山崎政府参考人 司法試験につきましては、昨年御承認いただきましたが、司法試験委員会、ここが行うわけでございます。司法修習は研修所、裁判所の方で行うということでございます。
日野委員 裁判所が司法修習をやるということですが、この法科大学院の教育と、それから司法修習での教育、これとの関連をどういうふうにすべきなのか。この点について裁判所と大学院ということになると、どうも私は気に入らぬが、文科省ということで文科省に聞かざるを得ないんだが、この両者の間での打ち合わせはあるんですか。
山崎最高裁判所長官代理者 法科大学院における教育と司法研修所におけます教育の役割分担ということでございますが、基本的な考え方といたしましては、法科大学院の課程におきまして法律実務の前提となります法理論教育、これを中心として教育が行われる。
 司法修習の課程におきましては、そういった教育を踏まえまして、これはむしろ具体的なさまざまな社会的な事実、さらにこれを主張、立証する裁判手続等における当事者の活動、そういったものを実務的に体験し、見聞する中で、実践的あるいは臨床的な実務教育を行っていく、こういう切り分けになっていくんだろうと思っております。
日野委員 文科省と裁判所の間で打ち合わせはできているんですか、相談は。
山崎最高裁判所長官代理者 特に文科省と具体的な内容について打ち合わせるということはやっておりませんが、私ども、司法修習を所管しておりますので、司法修習委員会というものを新たに立ち上げまして、その委員会で、これはいわゆる法曹三者以外の有識者の方も入っていただきまして、新しい司法修習のあり方を検討していこう、こういうプランを持っております。
日野委員 文科省はどうですか。
清水政府参考人 最高裁の方からお答えされましたように、私どもと最高裁とで特に御相談を申し上げているということではございません。
 しかしながら、法科大学院において、まさにいわゆるプロセスとしての養成という観点から、実務教育の導入部分のカリキュラムをどんなふうに進めていこうか、あるいは、さまざまないわゆる司法研修所でおやりになっている実務修習というものもまた、大学のどちらかといえば実務以外の教員にとってもいろいろな意味で関心のあるところであり、そういう意味で、大学の教員の方々と司法研修所の教官の方々と、いろいろな形で、折に触れいろいろお話し合いをされ、あるいは意見交換をされているということは承知しております。
日野委員 大学院の先生方というのは、自分の教えることがより効果的になるためには、司法修習がどのように行われるかということを常に念頭に置きながら自分の教育の方針というものを立てていくのは当然のこと、当たり前ですよ。そんなことをやらない大学の先生はやめてもらわなくてはいかぬ。
 だが、文科省では既にカリキュラムを決めて、そしてそれを土台にしていろいろな議論というのはもう進んでいるわけだ。この間通った関連法、法科大学院と司法試験との関連法というようなものについての議論の中で、それは十分に私どもも拝見させていただいた。私なんか、語学が弱いものだから、あそこに英語でずっと出てくるものがさっぱりわからなくて困ったのですが、そんなものもそこまでやっておられ、そうしたら、もう当然、来年から始まっていく司法修習とそれから法科大学院との関連についての打ち合わせ、これは当然なければいかぬと思いますが、今、裁判所の方は委員会を立ち上げると。私に言わせれば、悠長な話だな、今ごろと思いますが、文科省の方はどうですか。
清水政府参考人 今先生御案内のように、大学、とりわけ大学院におけるカリキュラムは、すぐれて大学の、まさに教育の自主性にゆだねられているところでございます。
 私どもは、設置基準で、基本的に、例えば教育内容、法科大学院の理念を実現するために例えばこんな科目群で授業科目を開設したいという、あるいは総単位数について設置基準で設けました。しかしながら、それをどのような形で法科大学院の理念を実現するためにカリキュラムとして実現、具体化していくか、それはすぐれて各法科大学院が、あるいは各法科大学院の関係者が協力し合いながらこれからつくっていくことであろうというふうに思っております。
 御指摘のあれは、例えばそのための一つの試みとして、さまざまな、いわゆる実体法と手続法というものを融合したような授業というものをどういう形で大陸法系の我が国の中で実現していくかということを一つのイメージとして、関係者が、有志が作業された中間報告であろうと思いますが、それ以外にも多様にカリキュラムの工夫はあり得るというふうに思っておりますし、また、私どもとしてもそれを奨励したいというふうに考えております。
日野委員 今後、法科大学院という存在が具体化して、そしてそこで実務の教育を、かなり実務を重視した大学院の教育が始まっていく。そうすると、これは司法修習と密接に結びついていくわけですね。これを無視して司法修習というのはあり得ないし、司法修習でどのようなことが行われるか、これを無視して大学院が教育を施すということもあり得ないわけです。あったっていいんだろうけれども、そんな効果のないことをやっていたってしようがないわけで、そこいらのきちんとした連携をどのように埋めていくおつもりなのか。これは、委員会を立ち上げて、そしてこれから勉強するんだということですが、大体の方向性でも今示していただけないものかというふうに思いますが、どうでしょうか。
山崎最高裁判所長官代理者 新しい司法修習のあり方につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、今度立ち上がります司法修習委員会というもので十分に議論していただこうということでございます。
 そういうことでございまして、具体的に今ここで申し上げられるようなところはございませんけれども、少なくとも、委員御指摘のとおり、法科大学院というものができて、そこにおける実務をにらんだ理論教育というものが行われるわけですから、そういうものを前提とした内容を当然考えていくということになろうかと思います。
 それとともに、私どもとしましては、現在の司法修習でカバーしている部分のある部分が法科大学院における教育に移行するといいますか、そちらの方でやっていただく、こういう要素が出てくるものでありますから、司法研修所で蓄積しておりますノウハウ、そういったものを十分法科大学院の方に提供していって、そこで充実した実務をにらんだ教育が行われるようにしていかなければいけない、こういう認識を持っておるわけでございます。
日野委員 どうもよくわからなかったのですが、これは、そこいらの関係をきちんと、両方とも理解し合いながら教育を進めないといけないだろう、私はこんなふうに思うんですね。
 それで、法科大学院というものについてちょっと議論をしておきたいというふうに思います。
 文科省、法科大学院は大学院ということで大学の一部という形になっていると思いますが、そこでは、学問の自由それから大学の自治はどのような扱いになりますか。
清水政府参考人 先生御指摘のように、当然のことながら、学問の自由は保障されるものでございます。
日野委員 ただし、これは、裁判官が裁判所という役所から送り込まれる、それは一定の比率が要請されます。また、検察官の実務家教員が法務省から送り込まれる。こういうことによって大学の自治、学問研究の自由というようなものが侵される心配はないのか。
 この点について、裁判所とか検察庁が何かを言う、それから文科省からも公務員を送り込むかもしれない、そういう人たちが直接にああやれこうやれと言わないかもしれない。しかし、大学院そのものが、そういうところから来ている教員に対する気兼ねというものがあって、そして大学の運営について、その気兼ねが支障になっていくというようなことがないようにしなければならぬと私は思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
河村副大臣 先ほど答弁申し上げましたように、大学院の大学の自由、学問の自由を保障される、これはもう大前提に立っておるわけでございまして、この法科大学院が法曹教育の、法曹を養成する中のまさに中核になるわけでありまして、先ほど来お話しのように、理論的な教育とあわせて実務的教育をうまくつなぎ合わせていかなければならぬ、そういう観点からいうと、御指摘のように、いわゆる実務者からも入ってもらう、当然、国家公務員が入るという形でこの法体系はできておるわけでございます。
 そこで、本来、大学でありますから、自主的な教育研究が展開できなければならぬ、当然のことであります。したがって、本法案に基づく派遣は、あくまでも法科大学院側から派遣要請があって初めて行われるということでありますし、派遣される教員を受け入れるか否か、これは大学の判断によって決まるということであります。さらに、ここのところが非常に大事なのでありますが、一たん派遣された者は、あくまでも大学教員としてその職務を全うするという立場、それがきちっとされてなければならぬということでございます。そして、派遣された教員としての位置づけに基づいて、教育、人事あるいはカリキュラム編成等、これにどのように派遣された方々が関与されていくか、これも法科大学院の設置者の判断によらなければならぬということになっておるわけでございます。
 この仕組みが適切に運用される、活用されることによって、法科大学院における理念の実現を目的とした教育というものが自主的、自律的に展開されるということによって、御懸念のような大学の自治が損なわれるようなことはないと思います。
 もっと平たく言えば、国家公務員でお見えになった、あるいは検事であった方がお見えになった、だからといって、公務員の立場があるのでそれを特別扱いするというものであっては、大学教育の自由、学問の自由というものがうまくいかなくなる懸念がある。そこのところはきちっと払拭してやっていくんだというのが大前提でございます。
日野委員 だんだん時間がなくなってきましたので、もっと現実的な話をしましょう、お金の話。
 裁判官に対して、これはフルタイムの教員は認めない、裁判官でフルタイムの法科大学院教員を認めないというのはどうしてなんですか。
山崎政府参考人 裁判官につきましては、委員御案内のとおり、報酬の減額禁止と憲法上の身分保障がございます。そういう関係から、検察官と同様のフルタイムの構成、いわゆる給与を支給しないという構成をとるということはやはり相当ではないということが大前提にございます。また、裁判官の勤務形態につきましては、いわゆる開廷日が曜日によって固定をされている、そういう性質のものでございます。
 そういう特殊性から、本来の裁判官の職務を行いながら法科大学院における授業を行う、こういう業務を行うというパートタイムの派遣によって法科大学院側のニーズに対応することは可能である、こういう判断から、裁判官についてはパートタイム型の派遣のみを設けた、こういうことでございます。
日野委員 パートタイムで働いた分、その分は裁判官の本来の業務以外のところで働いているわけですよね。その給与はどういうふうに扱われますか。
山崎政府参考人 結局、裁判官の給与、減額をしないということでございますので、そのまま従来どおりに支給をいたします。本来法科大学院から受けるべき報酬につきましては、国庫に納入をしていただくという形でございます。
日野委員 何か、聞いていますと、非常にややこしいやり方をやっているわけね。そんなやり方ではなくて、やはりもっとちゃんと、裁判官以外の仕事をやったなら、それはそれでもらうで何でいけないんですか。
山崎政府参考人 ただいまの御質問の趣旨は、本来の給与にプラスして法科大学院の報酬もということになるんではないかと思います。
 この点につきましては、先ほど私、ちょっと申し上げましたけれども、これはやはり国の責務として法科大学院に行くということでございますので、そういう関係から、個人的に行くというわけではございませんので、それは本来の給与以外のものはもらわないという形でその職務を行うというふうに考えておるわけでございます。
日野委員 何も裁判官が日本の国全体をしょっているわけじゃないので、やはり、仕事をしたらその分の報酬は上げましょうよ、こうやった方が、裁判官が実務家教員として行って一生懸命働くんじゃないか、私にはそう思えるが、ここいらはどうなんですか。裁判官であろうが検察官であろうが、余計な仕事をするわけだから、そうしたら、それはそれでちゃんと差し上げましょうと。
 そして、さっきも話が出たが、裁判官でも、ある裁判官を幾つかの法科大学院から借りにくると言うと変かな、来てくださいという競争関係になって、うちの方では余計出しますよということになれば、本来の給与を上回って給与を支払うということは別におかしいことではないと思うが、どうもそこいらは、余りにも厳しい裁判所の縛り、それから法務省の縛りがあって、本来であったら、法科大学院と裁判官もしくは検察官との間の契約で決まるべきものがゆがんでいるような感じがする。
 私の感想を言って、終わります。
山本委員長 次に、鎌田さゆり君。
鎌田委員 民主党の鎌田さゆりでございます。よろしくお願いします。
 時間が三十分しかないので、すぐ質問に入らせていただきます。
 手続の関係でなんですけれども、要請にこたえて派遣というふうな説明がありますが、すごくいろいろなところ、途中の経過を吹っ飛ばして、要請があって派遣というふうにも感じるんですけれども。人選という言葉と採用という言葉についてなんですけれども、この法案の中で、要請が来て人選をして、そして本人の同意を得て、それで後、決まっていくわけなんですが、人選ということと最終的な採用というところはだれがするのか、違うと解釈してよろしいですか。
寺田政府参考人 多少ややこしい御説明になるかもしれませんが、最終的に法科大学院でその者が働くための基本的な契約関係というのは、その者と法科大学院との間に生ずるわけでございます。
 したがって、採用は、法科大学院がその特定の検事あるいは裁判官というものを採用する、あるいは一般の公務員を採用する、こういう関係になるわけでございますが、それに先立って、要請の段階で法科大学院側からいろいろな要望が寄せられますので、これは組織といたしまして、その要望をいろいろお聞きして、それにできるだけかなった者を充てていく、それで意向を打診していく、こういうことがいわゆる人選ということになるんではなかろうかというふうに考えております。
鎌田委員 その人選なんですが、どうしても人事権とも重なって印象が伝わりますけれども、人事権とは違いますか。
寺田政府参考人 これはもちろん、法務・検察の組織の中では、人事の一環をなすものではございます。しかし、この法案にございますとおり、基本的には、フルタイムで行く場合でもあるいはパートタイムで行く場合にも報酬に影響があるものでございまして、検察官の場合にも、報酬は本人の同意なく減額できないという規定がございますので、それとの関係もございまして、しっかりした本人の同意をとるということを基本に据えております。
鎌田委員 裁判官、検察官、そして一般職国家公務員以外の、企業法務、知的財産部所属の企業人ですとか、税理士さん、公認会計士さん、民間の方や弁護士さん、そういうところは直接交渉は可能なわけですね。先ほどもありましたが、重ねて。
山崎政府参考人 御指摘のとおり、法科大学院の教官につきましては、公務員のみならず、今例で挙げられましたような方々が就任されるということも当然あり得る話でございます。
鎌田委員 本人の同意が原則というふうに説明がありますけれども、もし、それぞれの任命権者のところでの人選と直接交渉と重なった場合にはどうなるんですか。時期的なものもあるかもしれませんが。
寺田政府参考人 直接交渉の場合には、もちろん、一時的に休職なり退職されて、法科大学院の教授になっていかれる方もおいでになるかもしれません。しかし、少なくともこの法律に基づく派遣の一環としてなされる場合には、これは特定の個人と特定の法科大学院が直接に交渉するのではなくて、基本的に、この枠組みに沿って要請がなされ、その要請に基づいて法科大学院に、それぞれの任命権者なり最高裁判所の決定によってその者を派遣する、それから契約が行われる、こういう関係に立つわけでございます。
鎌田委員 それはわかります。
 私がお聞きしたかったのは、本人の同意が原則というふうにありますけれども、直接交渉をやっていて、それから、それぞれの任命権者のところでも、人選でその中に、リストというかその人が入っていて、この人もこちらの大学院と直接交渉していた。でもこの人は、任命権者のこちらの方でも人選の中に入っている。この方は組織体の一員ですよね。だけれども、やはり本人同意が原則ならば、重なった場合、こちらが優先ということでいいのかしらと。こちらの指示に従わなくちゃいけないということはないんですか。
寺田政府参考人 これは仕組みの問題でございますので、私どもの方の理解だけでお答えしていいかどうかわかりませんが、私どもとしては、基本的に、御本人が同意されるかどうかということが最終的に決め手になっております。直接交渉で、A大学しか自分は行かないんだ、B大学からのオファーに基づいてB大学はどうだということを検察の任命権者から言われても、自分は同意しないということになれば、それは当然B大学には行けないということになるわけでございます。
鎌田委員 実務家教員の配置というものを今回の法律の中で、ある程度数値目標も立てて法律化されておりますけれども、例えば、検察官等の派遣教授がいない法科大学院、この教員組織も承認できるのでしょうか。承認できるのかというのは、承認をするところに聞かなきゃいけない話かもしれませんけれども、それも承認の要件として認められるのかどうかということを改革推進本部にお聞きします。
山崎政府参考人 法科大学院の方の設置基準が最近示されておりまして、そこの告示等を見ますと、実務経験五年以上を有し、かつ、高度の専門的な能力を有している者ということが決められておりまして、私どもは、派遣をするのでも、そこの要件に合致をするということにならなければ、やはり派遣はできないということになろうかと思います。
鎌田委員 済みません、言葉の確認を。実務家教員というのは、裁判官、検察官及び一般職国家公務員のみならず、先ほどの民間のもろもろの方々も入っていますよね。
山崎政府参考人 これは、そのとおりでございます。
鎌田委員 であれば、先ほどの質問に戻りますが、私が聞いたのは、民間の方々も入っているので、では、もっと丁寧に言います、裁判官、検察官及び一般職国家公務員の派遣教授がいない法科大学院も承認の対象になるか、その教員組織も。
山崎政府参考人 当然、専門的能力を有した教官がおれば、法曹三者には限らないということにはなろうかと思います。
鎌田委員 わかりました。
 今回の法律を見ていて、いろいろな方が指摘をなさるように、こういう教員を求め要請をして、そういう人を望んでいるんだという大学側の人事にかかわる自主性というものがきちんと担保されないと、やはり、先ほどから危惧の思いを持って皆さんおっしゃっているように、百年に一度の大変な改革というものが今ここで非常に危うい方向に進んでいってしまうんじゃないかという指摘は、私も本当にもっともだと思います。
 ですから、先ほど来お聞きをしているのは、いろいろなケースの場合のことを想定して、そのときにはきちんと、きょうの委員会の中での答弁での担保ということでお聞きをしてまいったんですけれども、さらに大事なことは、教員として派遣される方々、裁判官、検察官及び一般職国家公務員の方々についてなんですけれども、技術、技能、知識経験、業績、これの必要性はこの法案の中からも読み取れますけれども、司法制度改革審議会の中で、教員としての適性について、教員資格に関する基準ということで、教育実績、教育能力ということの指摘があります。先ほど午前中の参考人の質疑の中でも、優秀な実務家よりもすぐれた教育者が必要なんだという体験に基づくお話がありました。
 この部分について、この法案ではどこを見れば、大丈夫です、こういうふうなものは担保されていますというふうに読み取ることができますか。
山崎政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、法科大学院の方の設置基準の関係で、おおむね五年以上の実務経験を有し、かつ、高度の実務能力を有する者と定められておりまして、この法案によって、法科大学院に派遣される裁判官、検察官等につきましても、こうした基準を満たすことが必要とされることから、一定以上の実務経験、それから高度の実務能力、これが必要となるということで担保をされているということでございます。
鎌田委員 今の御答弁だと、教育実績、教育能力という部分についても、五年以上の実務経験を持つ専門的なという、それが担保だというふうなことですか。
山崎政府参考人 先ほども、実務家の教員の点についての五年以上の実務経験云々ということを申し上げましたけれども、他の教員についても同様な要件が設けられておりまして、そういう意味では、すべからく法科大学院で教える者については、同様の、質的な、一定の質を持っていること、これが要件とされているということでございます。
鎌田委員 では、私の方からお聞きをしますが、私がきょう委員会で確認をしたいと思うのは、いわゆる教育意欲というもの、教育者としての資質というか、公立小中学校の教員に関しては、不適格教員とされる先生方については、現場の先生たちの質をきちんと高めていくということで、大変適切なというか厳しい法改正をしながら、法律をつくりながら対応しています。
 そういうさなかですので、単に優秀な実務能力よりもいわゆるすぐれた教育者というものが求められている教育の現場の中で、法科大学院といえども教育機関ですから、そこのところに派遣をする先生方の資質というものについて、やはり派遣をするところで責任を持って、教育意欲の欠けたる者は不適だというふうな考えをお持ちかどうか、お答えください。
寺田政府参考人 これは、先ほども申し上げましたとおり、連携法の審議の中でも、教育能力ということは実務家の能力とは別だという前提でいろいろ御議論があったところでございます。
 私ども、それを意識いたしまして、今後、派遣することが決まった段階では、その派遣する者に対しまして必要なトレーニング等は施してまいりたいということを検討しております。
鎌田委員 一般職国家公務員のことについてお伺いしますけれども、平成十二年九月の、法科大学院構想に関する検討会議のまとめの中にあります「法律職公務員などの官公庁関係者」とは、具体的にだれのことを指すんでしょうか、教えていただけますか。
山崎政府参考人 ただいま御指摘のとおり、平成十二年九月にまとめられました法科大学院の制度設計に関する基本的事項、この中では「法律職公務員などの官公庁関係者」という文言が使われております。これは、「など」と入っておりまして、一つの例として出しているわけでございまして、今回、この法案におきましては、一般職の国家公務員ということで表現をしておりますけれども、その意味内容は同一でございます。
鎌田委員 意味内容が同一ということは、平成十二年九月の時点から、一般職の国家公務員というものはイメージがあったということで、今回、去年の十二月に突然出てきたわけではないということですね。
山崎政府参考人 御指摘のとおりでございまして、前々からこの必要性は考えていたというところでございます。特に、典型的な例を挙げれば、知的財産権関係は大いに主張がされていたということでございます。
鎌田委員 またここでちょっと言葉を確認させてもらいたいんですが、フルタイムとパートタイムという言葉が出てきますが、いわゆる一般世間で私たちが日常的に使うフルタイムとパートタイムとは、今回の法科大学院の派遣法では違うというふうに認識をしてよろしいかと思うんですが、それで確認なんですけれども、フルタイムというのは、いわゆる専ら、本来の職務をしないでの、専らの、教授としての、派遣教員として仕事をする、パートというのは職務とともに、ということでの解釈でよろしいんですね。
山崎政府参考人 そのとおりでございます。
鎌田委員 今までで、派遣ということで、国がどこかに派遣をする、国の公務員さんを派遣する場合というのは、民間との人事交流ですとか、それから国から地方に出向したりという役所同士の交流ですとか、ほかに何かございますか。
山崎政府参考人 国の公務員が他で働くという例といたしましては、いわゆる国際機関派遣法というものがございまして、国際機関に政府の職員が派遣をされる場合、これがこの法案とかなり似たシステムをとっているということでございます。
 もう一つは、いわゆる官民交流法というものがございまして、これは今回の法科大学院の派遣のシステムとは趣旨が全く違っておりますけれども、やはり身分を保有したまま民間で働くという、システムとしては同じものでございます。
鎌田委員 派遣される際に、派遣される方というのは、複数の学校を持つこと、担当することは可能なんですか。
山崎政府参考人 タイプとしては、フルタイムで働く場合に、一つの法科大学院、ここにずっと詰めて授業を行うというものと、それから、あるA校で三日フルタイムとして働き、それ以外の学校に行って教えるということも、当然対象になっているということでございます。
鎌田委員 対象になっているということは、可能だということですね。
 今、派遣という場合には、国際機関派遣法に基づく派遣に似ているというお話がありましたけれども、国家公務員法の第六十二条なんですが、給与の問題について、「その官職の職務と責任に応じてこれをなす。」というふうにございます。本来の職務に従事しないという今回のフルタイムの方々の部分との整合性は、どういうふうに考えたらいいんですか。
山崎政府参考人 ただいまの御指摘の点は、全く勤務をしないということになりますと、その法律の前提として、ノーワーク・ノーペイという思想が働いておりますので、そういう関係から、全く働かない場合には給与はすべて減額をされる、こういう形になります。
鎌田委員 ですから、ノーワーク・ノーペイですから、本来の職務に全く従事しないときにはそうだということですね。でも、今回、勤務形態で、本来の職務に従事しないという方がいるじゃないですか。
 だから、外から見ていると、法科大学院に今回派遣をされる国家公務員の方だけが何でそういう枠から超えるんだろう、もともとの、国家公務員法の、ここのところをそういう矛盾なことが起きないように変えなくちゃいけないんじゃないですかということもあわせて聞きます。
山崎政府参考人 確かに、ノーワーク・ノーペイの原則でございますので、本来の業務をしないということになれば給与は払われないということになります。その上で、法科大学院の方で働くわけでございますので、その報酬を受けるということになります。
 これが本来的な原則であるわけでございますが、この法案においては、検察官等を派遣する場合に、やはり安定的、継続的な派遣を確保する必要があるということから、派遣される者が給与その他の処遇面において、できる限り不利益を受けない、受けることのないようにするための措置を講ずる必要があるということから、特に必要があると認められるときに、その必要と認められる範囲で給与の一部を支給することができる、こういう考えを採用したわけでございます。
鎌田委員 不利益な処遇にならないように、そして、特に必要と認められる場合に必要な範囲内でというのもわかります。ですけれども、じゃ、ここのところの法律、国家公務員法との整合性はどうなるんですかということを聞きたいんですよ。整合性は合いますか。
山崎政府参考人 これにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、前例がございますので、いわゆる国際機関派遣法でございます。これも、全くそういうことで整合性がとれているということで御承認いただいた法律でございまして、そのシステムと同じシステムを採用しているということでございます。
鎌田委員 国際機関派遣法と同じような扱いだというその根拠は何なんですか。
山崎政府参考人 基本的なその考え方は、身分を保有しながら公共的な仕事に従事をするということでございまして、その場合に、国際機関等は世界のいろいろな機関でございますので、給与がどうなっているかということが必ずしもはっきりしないということから、百分の百、この分を国庫の方から支給をすることができるという規定を設けているわけでございまして、私どものこの法案の関係では、これは国内の問題でございます。法科大学院、ある程度予想がつくわけでございますので、そういう関係から百分の五十という形で法案を提出させていただいた、こういうことでございます。
鎌田委員 それでは、国家公務員倫理法と照らし合わせたいんですけれども、その倫理法の初めの冒頭のところに「その職務は国民から負託された公務である」というふうにあります。また職務に従事しないという言葉を使いますが、職務に従事しないというその者の国家公務員としての身分を保有するということ、これのつながりはどういうふうに御説明なさいますか。
山崎政府参考人 この法律によって派遣される検察官等でございますけれども、一般職としての身分を保有しまして、国家公務員法における守秘義務とかあるいは国家公務員倫理法の適用は当然に受けるものでございます。これを受けながら、例外として働かない時間があるわけでございますが、そこの部分については職務専念義務を解除するということ、それから、兼職をするわけでございますけれども、兼職について許可を得る、そういう手続を除外するという例外を設けておりますけれども、それ以外はその法律の適用を受ける、こういう考え方でございます。
鎌田委員 では、今回は例外の適用だということでよろしいんですね。
山崎政府参考人 例外というよりも適用除外、これを設けたということでございます。
鎌田委員 今回は、法科大学院ということで派遣法がこういうふうに出てきているわけですけれども、専門職大学院ということで今後同じようなケースが、国の責任において派遣ということは考えられないんでしょうか。それから、そうなった場合も、今回と同じような適用除外ということが当てはまるのかどうかということをお聞きします。
山崎政府参考人 専門職大学院一般については、ちょっと私ども所管ではございませんので、それについてお答えする立場にあるかどうかはわかりませんけれども、それぞれの専門職大学院において、同様の派遣制度とかこういうものを整備するかどうかということについては、その具体的な状況、こういうものを踏まえた上で検討が加えられるということで、今、一般的にどうなるかということは申し上げる立場にないということでございます。
鎌田委員 でも、今回のがいわゆる前例になるんじゃないですか。非常に急ぐ中で、国家公務員法や国家公務員倫理法との整合性に、私はまだ疑問が残ります。何で法科大学院だけそういうふうに認められるんだろうというふうに思っていますので、だから、おいおい、やはり国家公務員法との整合性については、きちんとどこから見ても整合性が合うようにしなくちゃいけないと私は思います。
 そして、今後こういうように同じようなものが出てきたときのことを考えたらば、これはきちんと法整備を今後ちゃんとしなくちゃいけない問題だと思いますので、そのことについての答弁と、あと一つ、最後にお聞きをしますけれども、国がやはり、国の責任においてという今回の派遣法ですので、法曹界に女性の数というものが、果たしてどれだけというところにおいては若干乏しいところもあるかもしれませんけれども、人選をする際に、やはりジェンダーのバランスというものを踏まえた上で人選を行い、そして紹介をしていくということを要望したいと思いますので、そのことについても、前段と後段と二つ答弁をいただいて終わります。
山崎政府参考人 法科大学院におきましては、昨年の臨時国会で御承認をいただきましたいわゆる連携法、ここで、教員として実務家を派遣すること、これが責務であるという規定が置かれておりまして、それを受けたものということになるわけでございます。
 それでは、ほかの専門職大学院で同じような、連携法等のような考え方がとられるかどうか、それはちょっと私、今、一般的にそうなるとかならないとか申し上げる立場にない、そのときの、どういうものをつくっていくか、どういうイメージを抱くか、中身を入れるかということによって決まってくるということで御理解を賜りたいと思います。
 それから、運用の問題でございますので、ちょっと法務省の方と裁判所の方の問題でございますけれども、今言われましたように、男女のいろいろな比率の問題とか、それから女性の活躍の場とか、そういうことは頭に入れながらいろいろ人選をされていくということになろうかと思いますが、絶対数が足りるところ、足りないところ、いろいろございますので、そのばらつきというのは、必ずしも、ある数で、比率でこうだと言うことはできないと思いますけれども、それは、法務省の方にもそういうことを念頭に今人選をお願いしたいというふうに考えております。
鎌田委員 終わります。ありがとうございました。
山本委員長 次に、保坂展人君。
保坂委員 社民党の保坂展人です。
 今回の法案、先ほど、午前中も参考人の方に対する質疑の中で私の方も申し上げましたけれども、これは第三条で大学の側の要請に基づいて、そして要請があった場合に、第四条で派遣をするという骨格になっております。
 文科省にまず伺いたいんですけれども、こうして法科大学院に派遣された判事並びに検事は、教育公務員特例法の適用を受けるのかどうか。
清水政府参考人 御案内のように、教育公務員特例法は、国立大学、公立大学の国家公務員、地方公務員としての教育公務員についての特例でございます。したがいまして、私立大学には適用はございません。
 また、国立大学の法人化等の法案につきまして、今、当国会に提出させていただいて、御審議を明日からいただくというふうな状況でございまして、国立大学が十六年度から法人化されますと、非公務員型というものを選択するという内容になっておりますので、教育公務員特例法は適用されません。
保坂委員 そうすると、順番としては、今審議中の法案が文部科学委員会の方で本来は固まってからこの審議をするべきだったというふうに思いますけれども、ではもう一つ文科省に伺いますけれども、そうすると、いわゆる独立行政法人化した後の国立大学、そこに、その法科大学院に派遣をされる判事、検事の身分にかかわる法律というのは、今審議中のその法案ではどうなっているんですか。
清水政府参考人 国立大学法人における教職員につきましては、独立行政法人制度におけるいわゆる非公務員型ということになっております。
保坂委員 そうすると、教育公務員特例法のような法律は消えて、そして派遣される判事、検事を規定する法律というのは文科省の管轄ではなくなるというふうに理解してよろしいですね。身分を何か縛るものはあるんですか。
清水政府参考人 非公務員型の制度ということでございますので、基本的には、代表機関としての法人の長との間にいわゆる雇用契約を結ぶ、こういうことになるわけでございます。
保坂委員 国立というふうについているんですが、限りなく民間に近い、こういう、ちょっとなかなか容易に理解しにくい形になるようでございます。
 そうすると、これは、今度は派遣をする裁判官、そして検察官を送り出す際のちょっと議論をしたいと思いますけれども、では事務局長に伺いますけれども、非常に素朴に考えて、法科大学院の組織に入るのか、それとも判事、検事として裁判所や法務省や検察庁の一員として乗り込むのか、どちらですか。
山崎政府参考人 形式的には国家公務員としての任用関係は残っておりますけれども、派遣をするところまでは任命権者が派遣をする、本人が同意するということになりますが、それ以降は学校側の方と雇用契約等を結ぶわけでございまして、教育内容等につきましては、学校側とその行く本人が相談をしながら決めていくというものでございますし、また、その行く法律家、それぞれ独立のいろいろ考えを持っておりますので、その考えに基づいて教育をしていく、こういう性質のものでございます。
保坂委員 そうしますと、先ほど午前中の参考人質疑でも伺ったんですけれども、これは、ではもう一回文科省にお聞きしますね。
 法科大学院の側が要請するわけですね、かくかくしかじか、来ていただきたいと要請をしたときに、ではこの方でどうですかという判事や検事は、それぞれの裁判所と法務省の側で、いわばその人事システムの中で提示をされるというわけですね。これはちょっと確かめておきたいので。大学が選ぶわけではない。とすれば、提示をされた方といわば諸条件、この法案では、例えば教授内容とか派遣期間、派遣の終了に関する事項その他、これは第四条などで規定されていると思いますけども、そのやりとりをするときに、ここから重要なんですが、やはりもうちょっと別の方に来ていただきたいということを言えるんですか。
清水政府参考人 この派遣法の仕組みによるわけでございますが、大学側からこの方では困ると言う場合もあり得るかと思います。
保坂委員 もう一問聞きますね。
 あり得るというのは、かなり低いパーセンテージのような響きをちょっと感じるんですけれども、どうでしょうか。やはり要請した側としてはなかなか断りにくいんじゃないですか。どうですか、その辺は。
 かなりフレキシブルに、むしろ国立大学の縛りを解いて民間の活力型に生き生きとやるんだといったら、そこはもうビジネスライクにやりますよ、普通なら。いかがですか、文部科学省。
清水政府参考人 設置者側といわゆる取り決めをする場合に、さまざまな大学の側からの御要望を当然するということになると思いますが、先ほど申し上げましたように、そういう中で候補者の提示がなされて、これではという場合はあり得るだろうと思います。
 先生御指摘の心理的な規制までは、ちょっと私もいささか答えかねます。
保坂委員 何か心理的な、むしろあれですよ、文科省の何か影におびえているのか、震えているのか、考え過ぎなのかわかりませんけれども。
 では、事務局長に伺いますが、どうなんですかね、これは。要するに、国家公務員の任を、これは任を完全に解いているわけじゃない、身分は検察官、裁判官なんでしょうけれども、特にフルタイムで検事さんが行く場合に、やはり移った途端にそこの組織で十全に働いてもらうということですから、そこでやはりいい仕事をしてもらわなきゃ困るわけですよね。民間の論理というのは、これはどんなにいい方でも、向き不向きというのはやはり歴然と出てくるわけですね。
 そうすると、やはり法務省なり裁判所の人事システムの中で、はいと送り出されても、ちょっとこの大学の方としては別な方の方がということを相当想定していらっしゃいますか。それとも、まあ一応は、最初から裁判所も法務省もしっかりいろいろ他の大学やその人のことも考えて送り出すんだから、例外的だろうというふうに考えていますか、どうですか。
山崎政府参考人 それは法科大学院から要望を十分にお聞きして、検察庁なりの職務の問題、だれを出せるかというのは、それはいろいろ事情もございますけれども、その事情の許す範囲内でなるべく条件に合致した方、これを送り出したいというふうに考えておりまして、通常は、絶対に合わない、最後まで合わないということは想定はしていないということです。
保坂委員 想定はしていないというのはどこにかかったのかちょっと確かめたいんですが、合わない方、やはりいますよ、中には。裁判官や検察官の中で、非常にそのレベルは高いと思いますけれども、やはり人間の集団ですから、職務上いろいろ処分される方も時にはいますし、また、まじめかどうかという話じゃないんですね。捜査が幾らすばらしくても、若い人を相手に法曹を育てるために全人格的に触れ合うわけですから、そういうのはちょっと不向きだという方が出てくる可能性はあるわけですね。ですから、それはどうですか。
 私が懸念しているのは、始めてから問題が出てきた、始めてからですよ、もう講座を持っていただいてから。それをお帰りいただくというのは、これは大学の方もかなり大変なんじゃないですか。始めてしまってから。波荒立てることになりますよね。そうでないとすれば、事前にそうやってよく折り合って協議をして、そのときに別の方がと率直に大学の側が言ってくれるような環境を送り出す側もやはり丁寧に考えるべきじゃないですか。
山崎政府参考人 ただいまちょっと言葉が足りなかったと思いますけれども、確かにそういう、校風に合わないとか、それから教え方等についてはそれでは不十分であるというようなことがあった場合には、率直に言っていただいて、それではそれに合うような方、その仕事の事情の範囲内でございますけれども、そういう方も御紹介をする。
 私が申し上げたのは、余り想定していないというのは、最後までそれでは条件が合わなくて決裂をするというようなこと、そういうことは余り想定はしていない、こういうふうに申し上げたわけでございます。
保坂委員 さらに続けて伺っていきますが、裁判所の理由で、あるいは法務省や検察庁の理由で派遣を途上で終了するときの規定はございますよね。これはどういう場合が想定されているんでしょうか。どういうふうに、どんな理由で中途で引き揚げるということになるんでしょうか。
山崎政府参考人 この関係では四条関係でございますけれども、この内容でございますけれども、例えば心身の故障とか、いわゆる、公務員でも、公務として耐えられないというような事由がございます。これは国家公務員法で定まっておりますけれども、そういうような内容を想定しているわけでございます。
保坂委員 そうすると、もちろんこれは、一たん送ったけれども組織の事情で呼び戻したいというようなことではなくて、御本人の事情によるときということでよろしいかと思うんです。
 さて、これはちょっと気を悪くなさらないでいただきたいんですが、うまくいった場合は問題ありませんから、うまくいった場合のことを余り話してもしようがないと思うんです。
 それで、先ほど私が、入り口のところで、大学側の意思の問題を言いました。途中で、始めていって、なかなかこれは言いにくいだろうけれども、例えば、三年のはずなのに一年目でここは少し考え直したいということを大学が思ったときはどうしたらよろしいんでしょうか。何かその規定がないように思うんですが。
山崎政府参考人 ただいま申し上げましたところは、終了する場合の法定事由ですね。
 これ以外に、四条の三項、それから十一条の一項という規定、これはパートタイムとフルタイムと分かれておりますけれども、そこで、派遣の終了に関する事項を取り決めであらかじめ合意することができるということになっておりますので、法定されるもの以外で必要になるような終了事由がもしあるとすれば、想定できるとすれば、そこで取り決めをしていただく、こういう形で対処をするというふうに考えております。
保坂委員 では、大学の都合でその期間を途上で終了するときの最終判断者は学長ですか。
山崎政府参考人 法科大学院の設置者ということになろうかと思います。
保坂委員 それでは、文科省にお聞きしておきますけれども、途中で終了するというときの最終判断者はどういう解釈でいらっしゃいますか。
清水政府参考人 先ほど山崎局長の方からお答えがありましたように、任命権者または最高裁判所と法科大学院設置者の間での取り決め、その派遣の終了事項に関する取り決めであらかじめ合意された内容であろうというふうに思っております。当然、それは合理的な理由が必要であろうというふうに思っております。
保坂委員 ちょっと今の答弁じゃわからないんですけれども、派遣した側と要請した側と、お互いよく話し合う必要がありますね。しかし、最終的に決めるのはどっちなんですか。検察庁や裁判所なんですか、それとも大学院の側なんですか。
山崎政府参考人 双方の協議ということで、意思の合致ということになろうかと思います。
保坂委員 民間ではそういうのはあり得ないですよね。どうでしょうか。双方協議してまとまらずという場合、どうなるんですか。
山崎政府参考人 確かに、協議して定まればそのとおりでいいんですけれども、この取り決めのところで、内容で、最終的にそれをどちらが決めるかということまでも合意しておいていただかないと、後でトラブルのもとになる可能性がございますので、そういうところまでも合意の中できちっと決めていただくというふうに考えております。
保坂委員 法務大臣並びに副大臣や政務官にもちょっとここは政治家として聞いておきたいんですが、さっきから私が執拗に聞いていましたのは、これは新しい規制改革の一つでしょう。今までがっちり身分が縛られていた裁判官や検事を教育の場に出す、しかも法曹をよき者として育てるためにという、これは新しい試みですよね。ですから、それがうまくいくべく準備する必要があると思うんですよ。
 しかし、どちらがその身分の中軸なのか。いろいろ、給与面ではそれは裁判官、検察官なんですよね。しかし、実際に法科大学院の組織の中で、実はその組織の一員として教育に携わるわけですから、これはやはり大学の長の指示に従うというところがどこかないとおかしい。ここのところが、両義性を持って、両者対等に最後まで話し合ってというふうにおっしゃるんだけれども、どうですか、そのあたり。では、政務官から副大臣、大臣と聞いていきます。
中野大臣政務官 今の御質問でございますけれども、先ほど来、両者という話がございまして、委員としては、それについての御疑問があると思います。それを今ここで断定的に申し上げるのはちょっと難しいと思いますけれども、趣旨としては、あなたがおっしゃったような大学の自治というものがあるというところを尊重すべきだということは大事だと思います。
増田副大臣 むしろ大臣から答えてもらった方が趣があると思いますが、私の考えを申し上げますと、契約の段階できちんとこれは定めておくべきだと思います。学校側としては、法科大学院をつくった、その実績が上がらなかったら、大学の将来はないと思います。したがって、先ほど来委員がお尋ねのように、入るときにそれなりのものをきちんと決めて、そしてスタートをとった方が、自然であり問題がない、私はこういう理解を持っています。
森山国務大臣 先ほど来、事務方及び政務官と副大臣からお話がありましたように、最終的には大学側とそれから本人との話し合いによって雇用契約が結ばれるわけでありますので、どちらかが非常に都合が悪い、困ったことだと思われたときには、その当事者の意思によって決めるものだと思います。
 大学が大学の自治にとって困るというような人があれば、その契約を終了させたいと思うかもしれませんし、その検事なり判事なりの方が自分の考えがここではうまくいかないという気持ちになれば、当然話し合いは何回もするでしょうけれども、最終的には両当事者が決定することではないかと思います。
保坂委員 両当事者の関係は、実は余り対等ではないんですね、やはり日本はまだお上という言葉が残っているぐらいですから。お上という言葉が残っているということは、上ということですよね。上にいるということがお上という言葉になっているわけです。
 ですから、ここはすごく大事なところで、身分は検察官、裁判官で、給与の問題も後から議論したいとは思っているんですけれども、身分的なさまざまな、保険の問題とかいろいろ、国家公務員としての職歴にかかわるものについては継続するけれども、民間に近い、あるいは、独立行政法人という新しい形の中で、ここは普通の大学の組織の中で一員として働いていくんだとすれば、その組織の長に従うというのが最終的なあり方だと思いますが、どうですか、法務大臣、もう一度。
森山国務大臣 おっしゃるようなケースの場合は確かにそのとおりだと思います。また、反対に、教える側の方が、ここは自分の気持ちに合わないとか、考えが十分に述べられないとかいう場合には、教員の側からやめたいという話もあり得るということを先ほど申し上げたわけです。
保坂委員 どうも、規制改革といいながら、何か奇妙なスタイルになっているような気が僕は率直にしています。
 確かに、現場の検察官や裁判官を派遣するというのは大変なことなんですけれども、一方で、さまざまな特色を各法科大学院も出していかなければいけないわけですね、それぞれのいわば色彩といいますか特徴といいますか。そうすれば、やはりこの法科大学院が必要とする人材という一つのフレームがあるはずで、その考え方からすれば、できるだけそこの入り口のところでフレキシブルに、例えば一回お断りして次の人なんということを言ったら、えらくにらまれてしまうんじゃないかとか、とてもそんなことを言い出せない、そういう萎縮を生み出さないような、できれば複数の人を示して選んでもらうぐらいのことはあっていいんじゃないですか。いかがですか、事務局長。
山崎政府参考人 御指摘のような一定のリストの中から選んでもらうということをやるかどうかはちょっと別でございますけれども、フレキシブルに対応する、これは大変重要な話でございますので、私も、法務省、裁判所の方に、なるべく入り口の段階でトラブらないように運用をしていただきたいということは要請したいというふうに思います。
 それから、さっきの終了事由の問題でございますけれども、最終的にはこれは、普通の契約であれば解雇するかどうかという問題にもなりますので、その正当事由があるかどうかということにも絡んでまいりますので、やはり契約上の決め方、それに合っているか、正しいかどうかということで判断をされるという性質のものだというふうに考えております。
保坂委員 そうであれば、本当は、派遣される裁判官や検察官自身の意思というものも当然考慮要素に普通ならなってくるんですね、民間の論理では、これは。ここでぜひ教えたいというところとそうでないところというのは、あってはいけないということはないというふうには私は思っています。
 ちょっと給料の問題に移りますけれども、事務局長に伺いますけれども、やはり裁判官、検察官の給与というのはかなり高いんですね。私も質問主意書で聞いたことがありますけれども、事務次官以上の給料をもらっている人が三百人以上いるんですね。大変な高給の方もいると。例えば四十代半ばぐらいだと、どうでしょうかね、千六百万円とかそれぐらいの、千七百万円とかそういうふうにも聞くんですけれども、その年齢の国立大学の教員だと七百万から七百五十万ぐらいの給料水準だと。これはかなりの差になりますよね。
 この差を特に必要と認める場合には埋めるということなんでしょうが、どういう基準で特に必要と認めるかどうかと考えられるんでしょうか。
山崎政府参考人 典型的には、ある特定の分野についていろいろ教官を探していてもなかなかいないという場合も当然ございます。それから、設置基準で三名以上の実務家を確保しなければならないということになっているわけでございますけれども、そういう適任者がその地域にはいないとか、それから、あるいは大都会においても、やはりOBでいろいろあさっているけれども適任者がいない、そういうような、やはり派遣をすること、これが本当に必要なんだということがまず大前提にあるわけでございます。
 それで、例えば、要請する側は、このぐらいのクラスの方ということで要請が来ることはございますけれども、出す側としては、必ずしもそこで同じランクぐらいの人が派遣をできるということに限らないわけですね、そのときの人事の都合もございますので。そうすると、もう少し給与の高い者を派遣する必要があるということも当然生じるわけでございます。そういう場合にはその差額分を支給する、こういう考え方でございます。
保坂委員 例えば裁判官や検察官が物すごい激務であるということは私もよくわかっていますし、大変忙しい、また、高度な体験をお持ちだ。しかし、民間もそうなんですよね。かなりいろいろ努力しているわけですよね、どの世界も。
 そこで、もし仮に、国立大学の教員の、さっき七百五十万と言いましたけれども、仮に四十五歳で七百五十万という給与水準では、実際のところ、派遣に行ってくれというふうに言ってもなかなか難しいんですか、今の実態から見ると。どうでしょう。その収入じゃ余りにも少ないということになるんでしょうか。
山崎政府参考人 まず、前提でございますが、私も詳しく調べてはおりませんけれども、四十五歳の教員が本当に七百万ぐらいなのかどうかというのは、ちょっと私も、もう少し高いんではないかと、教授クラスになっているはずでございますので。それはちょっとはっきりはいたしませんけれども、仮にそのぐらいで行ってくれということになったときに、同意をしてくれる方が複数いろいろなところであるかと言われると、それはなかなか難しいだろうというふうに私は思います。
保坂委員 そうですか。いや、なかなか正直なお答えだと思うんですが。
 そうすると、要するに、補てん額というんですか、国から補てんをする、現職の裁判官や検事の給料水準そのままを維持するということになりますか、そこの差を埋めるということなります。そうすると、今度は逆に、大学教員との間で著しい差が生まれてくるということになりますよね。そうすると、では、教員集団としてうまくやっていけるのかという問題も出てきますが、そこはどう考えていますか。
山崎政府参考人 具体的な額で比較することはちょっとできませんけれども、差があるという前提をとった場合でございますけれども、確かに、そういう事態は生ずるおそれはございます。
 ただ、私どもは、これはやはり国の責務として法科大学院に教師として派遣をしなければならないということでございまして、そういう場合に、安定的、継続的にそれ相当の数の者に行ってもらうというためにはやはりこういうシステムをとらざるを得ないということから生ずるものでございまして、その点については御理解を賜りたいというふうに思います。
保坂委員 私は、やはり規制改革と言うのなら、やはり賃金水準も、限られているわけですから、ずっとそこでおさまるわけじゃないんですから、そこはやはり、国立大学だって民間とは言えないと思うんですよね、かなり違う世界だと思います。しかし、その空気や風を受けて一定期間仕事をされてまた官に戻るというのが本来の姿ではないのかなというふうに思います。
 文科省の方はどうですか、給与水準ががたっと倍ぐらい違うというので、うまくいくんですか、これ。
清水政府参考人 大学の教員の給与水準が、必ずしも、どうしても公務員法体系の場合には、いわゆる業績その他の評価から難しいということで横並びの水準という状況にあることは御指摘のとおりであります。ただ、私どもとして、まさに、その評価その他は難しいということはわかりますが、今後、法人化等も踏まえながら、教育研究の業績というものを十分評価し、あるいはさまざまな試みというものを大学に展開してもらいたい、こういうふうに思っております。(保坂委員「四十五歳で幾ら、大体」と呼ぶ)
 四十五歳の平均給与でございましょうか、これは一概に申し上げることは難しいかと思います。私の今の記憶で申し上げますと、月額ベースで四十五歳助教授相当で四十五万、国公私それほどの、上下一、二万の範囲内であるというふうに考えております。年額ベースで変わるかどうかは、またボーナス等の差もありますので一概には申し上げられませんが、月額ベースではそれほどの差はないというふうに承知しております。
保坂委員 それでは、事務局長、同じ年で裁判官、検察官は月額幾らになるんですか。
山崎政府参考人 ちょっと手元に具体的な数字を持っていないということと、人によって若干差もあり得るということを考えますと、一応の基準で申し上げますけれども、大体、千四、五百万ぐらいかなというところだと思います。(保坂委員「年額でしょう」と呼ぶ)年額でございます。
保坂委員 大変な差があることはわかりました。これは、特に必要と認められるときというのが、特にというのがすべからく必要と認められて充当されるということで果たしていいのかということは指摘をしておきたいと思います。
 残った時間、本法案を離れまして、矯正情報ネットワークシステムのことをちょっとお聞きしたいと思いますので、よろしいでしょうか。文科省や事務局長は、私の場合はもういいんですけれども。
 先日、この委員会で行刑問題を質疑したときに、コンピューターで行刑の被収容者データ管理システムというのがあることが判明をしまして、これをこちらの塩崎さんと一緒に行って見学をしてまいりました。そこで、目からうろこで何かわかったということではなくて、これは何なんだろうという、疑問というよりは、何がわからないのかもよくわからなかったというのが私の正直な感想なんですけれども。
 このCONETというものはこれまで累積でどの程度予算をつぎ込んでいますか。そして、年間の矯正予算というのは幾らぐらいですか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 いわゆるCONETの構築経費、累計でございますが、これまでで七十三億円でございます。それから矯正予算ですが、平成十四年度で申し上げますと、二千六百七十六億一千七百万円でございます。
保坂委員 間違いないでしょうか。けたが違うんじゃないですか。大丈夫ですか。矯正予算も違うんじゃないですか。いいんですか。いいなら進めますよ。
横田政府参考人 大変失礼しました。先ほどの金額、間違いでした。あれは別のコンピューターの関係でした。
 平成十四年度の矯正官署の、これは物件費だけで申し上げます、人件費を除く物件費ですが、四百九十七億六千四百万、もっともこれは一年間の、一年度の分です。
保坂委員 いや、そんなに多かったのかと思って私はびっくりしたんですけれども、逆に、対比するとやはり七十五億というのは大変な額でしょう。今、刑務所問題、みんなで考えていますけれども、七十五億かけているんですよ、七十三億ですか。それだけかけて、例えば名古屋刑務所で過去五年に何人死んだのかというのを出せないんでしょう。それから、では仮に、その刑務所で三年前に何人死んだかというのは出せますか。それも無理だと言うんですね、聞いたら。入れるところまでは周到に入れたけれども、どういうわけか出すのがなかなか難しくてという説明なんですが、それは本当ですか。
横田政府参考人 委員、先ほどの御質問の中にもございましたように、先日矯正局においでいただきまして御説明申し上げたのですが、本当に申しわけないことに説明が十分でなくて御理解いただけなかったのは残念でございますけれども。
 そもそもこれは、このネットワーク、CONETが一体どういう目的のためにつくられたかということから始まってしまうものですから……(保坂委員「時間がないですから、できるかどうかだけ」と呼ぶ)はい。もともと、簡単に言いますと、このCONETは、今現に施設に入っている受刑者の日々の管理といいますか、言葉は悪いですけれども、入所、退所、それから、いる間に物を買ったりいろいろ、作業所賞与金が加わったり、あるいは領置金品が入ったり出たりということがありますから、そういったものを手動というか手書きでめくるんじゃなくて、全部コンピューターで管理して瞬時に効率的にそういった事務ができるようにしよう、そういうコンセプトというか概念で構築されたシステムですので、もともと、先生がおっしゃるようなそういう目的のために構築されていないんです。
 ですから、ただ、これは後知恵ですけれども、この時点になりますと、そういったことがわかるようなシステムが必要だということであれば、あればというよりも、私どもそれはやはり必要かなと考えていますので、これからこのシステムをうまく利用しながら、そういう死亡検索ができるように、これはまた別のプログラムが必要ですけれども、そういう方向に持っていこうと検討しているところでございます。
保坂委員 例えば、もう時間がないのであれなんですが、マニュアルを見ると、ちゃんと休養患者・死亡者調査票入力というのがあるんですよ、入力は。死亡者調査入力と、入力のフレームはあるんですね。これは出せないというのが私どう考えてもわからないんですけれども、出せないらしいんですよ。そうすると、例えば何か事件が起きたとします。五年前に○○刑務所で死んだ関係者のだれかというようなことを急遽調べなきゃいけないときというのは検索不能だということになりますよね。そうでしょう。だって、死んだ人がわからないんだから。
 七十三億かけてやっているにしては、これが出ないというのは本当なのかな。いや、これはもう別に、出るんなら出るではっきり言ってもらったらいいんですよ。こんなに周到に、しかもかなり細かくやっているシステムが、七十三億円といったら大金ですよ、それが出ないというのがどう考えてもわからないんです。
横田政府参考人 お答えいたします。
 本当にこれは出ないんです。
 というのは、施設歴というところがありまして、そこに出所事由という項目があって、そこに入れるんです。それは、満期出所、それから仮釈放というようなことがあって、その一つの出所態様として死亡というのが出所事由ですから、死亡というデータを入れるんです。しかし、出所事由から人を検索する、そういうプログラムは組んでいないんです。あくまでも検索は人の名前と生年月日、そういったものがあれば全部引っ張れるわけですから、それから検索するようにコンピューターがつくってあるわけであって、出所事由から逆引きしようということではないんです。ただ、これも累々先生前からおっしゃっていただいていますので、これからそういう出所事由から引っ張るようにしようかということなんです。
 ただ、例えば出所事由だけで引っ張りますと、満期出所とか仮釈放というのは膨大な数なんですね。つまり、それだけでやっても、何千というか何万という数がばあっと出てくるわけですから、ほとんど検索の意味がないということにもなるんです。そのあたりでひとつ御了解いただきたいと思うんですが。
保坂委員 時間になりましたので終わります。また続きをやらせてください。
山本委員長 次に、木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 法科大学院への裁判官及び検察官その他一般職国家公務員の派遣法、質問いたします。
 タイムスケジュールによりますと、ことしの六月に、設立準備をしております法科大学院予定校は文部科学省に認可申請をする、そして十一月には法科大学院の認可が行われる、そしてことしの十二月に法科大学院の入学試験があって、来年の一月か二月ごろ合格者発表があって、来年四月には法科大学院開校というタイムスケジュールのようでありますが、そこでお聞きします。
 現時点で、最高裁当局と法務省当局と、あと一般国家公務員はどこが所管しているのかなんですが、法科大学院設立準備中の大学院から、裁判官、検察官、国家公務員、官僚派遣要請の実情はどんな状況ですか。派遣希望大学の数と人数、地域別数、種類別数、派遣希望形態、みなし専任とか専任とか非常勤、希望分野等、簡潔に答えてください。
山崎最高裁判所長官代理者 最高裁判所では、法科大学院に対しまして、実務家教員の派遣あるいは教材の提供などの支援を図るために、法科大学院との連絡調整のための統一的な窓口ということで、事務総局審議官室に法科大学院設立支援プロジェクトチームを設けまして……(木島委員「全体はいいから、数だけぱっと答えて」と呼ぶ)派遣に関しまして、各大学の担当者とお会いして御要望を承っているという状況でございます。
 四月十四日現在で申し上げますと、四十六の大学の担当者と面談をいたしまして、要望をお聞きいたしました。それで、四十六大学からそういうコンタクトがあったということでございますが、御要望を要約しますと、各大学ともおおむね、みなし専任、あるいはもう少しスポット的な非常勤の形態での派遣要望がございまして、数につきましては、各大学について一人ないし二人というところを現時点で申し述べておられるところが多いようでございます。
 それから、地域別というのは、これは分類が大変難しゅうございますが、高裁所在地に所在する法科大学院かどうかということで仮に分類いたしますと、そういった高裁所在地所在の大学院からは二十五校、それ以外のところからは二十一校、こういう状況でございます。
木島委員 私がもらった資料を読みますわ。最高裁は、派遣希望大学というのは四十六校来ている。地域別には、今、高裁所在地か以外かで二十五、二十一という数字がありましたが、関東は二十三校、近畿九校、東海五校、その他九校。種類別でいくと、国立大学からは十七校、私立大学二十八校、公立大学一校。希望派遣形態は、みなし専任三十校、非常勤十六校。希望分野は、民事が三十八校、刑事が十七校。こういう資料を最高裁から私いただいているんですが、このとおり確認していいですか。
山崎最高裁判所長官代理者 ただいま委員仰せのとおりでございます。
木島委員 では、法務省。すぱっと答えてください、法務省は。
寺田政府参考人 同じような形式で、現在までのところ、準備のために御要望があったところをお答えいたしますと、総合計が、大学の数で四十五校。地域別でございますが、関東二十三、近畿七、東海四、その他が十一でございます。種類別は、国立が十七、私立が二十七、公立が一。希望派遣形態でございますが、検事の場合にはフルタイムございます、その専任が十六、みなし専任が十二、非常勤が十七。希望担当は、基本的には刑事実務の基礎が非常に多いところでございます。あと、総合演習、刑事訴訟法演習等の刑事関係の実務科目ということでございます。
木島委員 一般国家公務員。
山崎政府参考人 一般の公務員につきましては、それぞれの省庁で受けているということで、私どもが全部把握できる立場ではございませんけれども、私ども、今いろいろな、若干情報を集めておりますけれども、知的財産権関係、それから租税関係、金融関係、それから経済関係法令というような分野について実務家教員に対する大学側のニーズがあるというふうに承知をしております。(木島委員「数」と呼ぶ)
 数は具体的に把握しておりませんけれども、やはり一番多いのは知的財産権関係ということで、これは少なからずあるというふうに承っております。
木島委員 私は、この法案で、根本的な問題に国家公務員の派遣があるんですよね。それで、それを認める法律をつくろうというんでしょう。ニーズ、今ここで答弁できないというのはおかしいですよ。正直に言ってください。
山崎政府参考人 現在私どもが今つかんでおる数というんですか、正確な数は……(木島委員「不正確でもいい、アバウトでも」と呼ぶ)ですから、例えば……(木島委員「経済産業省に何人とか、国税庁に何人とか」と呼ぶ)それは具体的には伺ってはおりません。(木島委員「いや、それがわからなきゃ、この法律、審査できないじゃない」と呼ぶ)いや、その前に……(木島委員「どのぐらいニーズがあるかによって、法律、賛成するか反対するか考えるんでしょう。一番大事なところだ。法律家じゃないんだから。法曹じゃない人たちを、どのくらい派遣要求が来ているのか。これはアバウトでいいから答弁してください」と呼ぶ)
 ちょっと今、私どもの手元に数字もございませんので……(木島委員「それはだめだよ。とまるよ。だって基本だよ、この法律の。立法理由じゃないですか。どのくらい一般国家公務員から要求が来ているのか。では、後刻でいい。きょうは採決できないよ」と呼ぶ)
 今、答弁されている間に数を申し上げますので、ちょっとお待ちいただけますか。
寺田政府参考人 事務局長から申し上げたとおり、多少不正確ではございますが、私どもが聞いている範囲では、特許関係、これは特許庁でございますが、三大学、それから税務関係、これは具体的な省庁はわかりませんが、二大学、それから独禁法関係、公取等が想定されますが、これが三大学、ほかに行政法、著作権法等があるというふうに承知しております。
木島委員 この法案は、現在現職の裁判官、検察官、国家公務員を、その身分を持ったまま法科大学院へ教員として派遣するという法律ですね。それをシステムとして初めて認めると。それで、一番懸念は、やはり、法科大学院、これはあくまでも教育機関ですから、法律学と実務との架橋といいますけれども、教育機関ですから、法科大学院の自律、自治、学問、教育の自由という、それが危殆に瀕するおそれはないか、そこが一番懸念されるところだと思うので、そういう視点から、私はこれから幾つか質問します。
 まず、この法案ができて、裁判官、検察官、国家公務員が現職のまま入り込んでいきますと、法科大学院の生殺与奪の権を法務省、最高裁またその他省庁が握るおそれはないか、その懸念が生じないか、歯どめはかかっているのかという観点から質問いたします。
 まず、仕組みの根本ですが、法科大学院から派遣要請があって初めて最高裁なり法務省は人を派遣する、各省庁は人を派遣するということですが、法的関係、法的権利義務関係を聞きます。
 要請があったとき、最高裁や法務省や各省庁は、応諾する義務があるんでしょうか。法的責務、どういう責務なんでしょうか。
山崎政府参考人 これは法的には、昨年御承認いただきましたいわゆる連携法で、法科大学院に法曹等を教員として派遣することは国の責務であるというふうにうたわれているわけでございますので、それはきちっと応答する義務があるというふうに考えております。
木島委員 その責務というのは何ですか。何とか法科大学院から二人検察官が欲しいと要請されたときに二人配置する法的義務があるんでしょうか。責務というのは何ですか。法的義務があるんでしょうか。あるいは、義務はない、努力義務だと。そして、契約を結ぶんですね、法科大学院と法務省とが。契約を結んだらその契約上の義務が発生する、そういうシステムですか。責務という言葉は、非常にあいまいもことして、ごまかしに使われる言葉ですから、そこははっきりしておいてください。
山崎政府参考人 若干不正確だったかもしれませんけれども、法的な責務という内容は法的な義務というところまで強いものではないというふうに理解はしております。しかし、その理念としては、応ずるように対応をしなければならないというところは、当然条理上はあるということでございます。
木島委員 わかりました。
 そうすると、ある法科大学院から人の派遣要求があった、しかし、今は法務省は検察官手いっぱい、最高裁は裁判官手いっぱい、それじゃなくても裁判処理だけで手いっぱい、とてもそんな要求に応ずるゆとりがないという判断に立ったときには、その法科大学院、個別的ですが、個別個別の法科大学院への派遣に応ずる義務はないと聞いていいですか。
 それともう一つ、実質はわかりませんが、余裕がどのくらいあるかわかりませんが、この法科大学院は気に食わぬから派遣しないというような態度をとることも可能ですか。それはわかりませんね、外部からは。しかし、実質上、そういう判断で、法的義務がないというのならそういう態度をとることもあり得るんですか。
山崎政府参考人 この法文にもうたわれておりますけれども、その職務の状況、そこは一応勘案しなければならないということになりますけれども、ただ、私どもが法務省それから裁判所にお願いしておりますのは、可能な限り工夫をして、要請があれば派遣をしてほしいということで、不公平な状態が生じないようにということでお願いをしております。
木島委員 そうすると、この問題では最後に一点。そういう恣意的な運用をしない。地方のローカルな法科大学院なんてつぶれて結構だという思惑からそういうところには派遣しないという恣意的な運用を食いとめる法的歯どめがこの法案にはありますか。
山崎政府参考人 おっしゃるとおり、法的な歯どめと言われるものはございません。
 ただ、これはやはり国の姿勢としてきちっとした対応をしなければならないということ、これは責務として連携法にもうたわれているわけでございますので、それを十分に承知しているつもりでございます。
木島委員 そこが逆に一番心配なんですね。法的歯どめはない、国を信用しろというわけだ。国、法務省、最高裁がよこしまな気持ちを抱き始めたら大変なことになる。
 それで、逆に、今四十五校から検察官派遣要求がある、四十六校から最高裁への裁判官派遣要求がある。全体的に、これは一〇〇%ですか。法科大学院設置準備中の大学全部から要求がありますか。それとも、実際は、法科大学院設立準備中は六十校ぐらいあるが、そのうちの四十五校から検事の要求があるんだ、四十六校から最高裁は要求があるんだ、しかし要求がない設立準備中の大学院もある、そう聞いていいんですか。
清水政府参考人 現在、私どもに法科大学院の設置ということで御相談が大学からございます。御相談がございますが、ただ、これは一回だけ相談に見えたというような大学も含んでおりますが、全体といたしましてその大学数は、四月一日現在で七十八大学ということでございます。国立で二十五、公立で三、その他で一、私立で四十九。
 以上のような状況でございます。
木島委員 法科大学院は、現役、現職の裁判官、検察官等を配置する義務はないんですね。いなくたっていいんです。それなんですが、現実には、自由競争の世界になるわけですから、現実に現職の裁判官がいる大学は、現職の検察官がいる大学は、やはりステータスが上がると私は思うんですよ、いい大学だぞと。そうしますと、やはり派遣する責務が本当に法的義務にならぬと、生殺与奪の権利を法務省や最高裁に与えることに結果としてなるんじゃないか、現実が。今の答弁ではその心配が残るということだけ指摘して、次に移ります。
 では、実際の法的義務は、法科大学院設置者と法務省、設置者と最高裁、設置者と送り出す省庁との契約で決まるんですね。それが法第四条の取り決めというものですね。それでいいですか。
山崎政府参考人 確かに、四条で取り決めということがございますが、最終的には派遣される者と法科大学院、そこの契約に投影されるわけでございますので、その条件をもって派遣される者と法科大学院で契約を締結する、こういう関係になろうかと思います。
木島委員 だけれども、大きな基本は、法科大学院と最高裁、法務省との取り決めで大枠が決まるんでしょう。それを基本にして個々の裁判官、検察官の同意があった場合に、その裁判官が個人的に契約して労働関係が締結される、それでいいんでしょう。
山崎政府参考人 正確にはそのとおりでございます。
木島委員 そうすると、聞きますけれども、派遣契約、取り決めが締結された。そうすると、そこに契約解除の原因とかいろいろ書き込まれると思うんですよ。こういう場合は派遣を引き揚げる、こういうトラブルが生じたときには派遣解消だということになりますか。
 もっと具体的に言いましょう。派遣されて出ていった検察官なり裁判官が、その大学とトラブルを起こした。もっと言いましょう。自分の要求に沿わなかった、こういう検察教育がしたい、こういう裁判教育がしたい、しかし法科大学院は自主的に、そんなのはだめだ、国の支配を受けたくない、そんな一方的な教育はだめだというようなことでトラブったときに、派遣元の法務省なり最高裁は、そういう場合は引き揚げてくる、国にけちをつけるようなこんな法科大学院はけしからぬというので撤収してくるということは予定しているんですか。あるいは、そういう取り決めにしようとしているんですか。どういう取り決めをつくろうとしているのか。それはもうできていますか、マニュアルは。そうしたら、それを示してください。
山崎政府参考人 具体的なマニュアルはこれから詰めるところでございますけれども、それはいろいろな事由があろうかと思います。そういう事由がまず取り決めの中に盛り込まれまして、それに基づいて、行われた行為が正当かどうかという点で判断をされる、いわば解雇と同じような形になるわけでございますので、そういう法律関係になろうというふうに考えております。
木島委員 一番懸念の中心問題なんですが、果たして、この制度によって最高裁なり、特に法務省が、相手先の法科大学院に対する支配介入あるいは管理運営に対する関与を通じて事実上言いなりにしていくという心配がどの程度出るかどうかは、やはり取り決めの中身で決まると思うんですね。法務大臣が今首を縦に振っていますから、そうだと思うんですよ。それがここに示されないと、やはり安心できないんですね。大綱ぐらいもうつくっているんでしょう、どういう取り決めがあるべきか。だって、最高裁なり法務省が契約の当事者なんだから。では最高裁、ありますか、マニュアル。次に法務省に聞きます。あったら私は出してほしいんだな。一番大事な勘どころです。では、法務省。
寺田政府参考人 今の、取り決めでございますが、これは先ほどおっしゃいました四条の五項の最後のところに書いてございますとおり、最高裁については最高裁規則で、それから、私どもその他の一般職公務員については人事院規則で、どういう事項を決めなければいけないということが決まります。その規則に基づいて、私どもが取り決めのモデルみたいなものをつくります。それからさらに、個別の派遣について必要な事項はその都度また考えなければならない。
 こういう三段階になるというふうに考えておりますが、いずれにしても、まだその人事院規則、最高裁規則ができておりませんので、現在のところは、この点について申し上げるような段階ではございません。
山崎最高裁判所長官代理者 委員の御指摘は、教授等の業務を行う裁判官がその業務を継続できないような場合ということで終了させる、そういうことがあり得ると思いますが、それについて、どういう事由が考えられるかというようなことに関係するのではないかというぐあいに思います。
 その点につきましては、これは最高裁規則で一定の事由を定めておくわけですが、そういうものとしては、典型的に言いますと、例えば裁判官に異動があった場合ですとか、あるいは育児休業を取得するような場合ですとか、あるいは裁判事務処理の関係で教員の業務を継続することが難しくなった場合ですとか、そういう客観的な事由を予定しておりまして、お話しのように、最高裁が一方的に裁判官を引き揚げるような、そういうようなことは全然考えていないということでございます。
木島委員 この法案の第五条の最高裁規則とか人事院規則というのは本当に抽象的な文言だけですよ。身分に関する事項とか、給与に関する事項とか、そんな程度ですよ。どういう場合にそれが具体化するのかは具体的な取り決めで決まると思うんですよ。それは今、答弁がないですね、つくってないのかもしらぬ。
 しかし、大事なのは、こんな条項がもし改悪条項として入ったら大変なんですね。派遣した裁判官、派遣した検察官、派遣した国家公務員が職務執行に重大な支障があると判断したときなんというのがその取り決めの中に入り込んだら、裁判官、検察官の気に食わないような状況があって、ぶつかってしまって、職務執行がうまくいかないというような状況が生まれて、そういう取り決めによって引き揚げてくる、そういうおそれはないかということを聞いているんですよ。そういう危なっかしい、恣意的な運用が認容されるような文言がその取り決めに入ったらいかぬぞ、絶対大丈夫かと。目に見えないからわからないんです。そこを言っているんですよ。
山崎政府参考人 この点は、お互いに信頼関係を持って派遣をするということでございますので、それを一方的に引き揚げるとか、今御指摘のようなそういう形にはならないように、それは十分に配慮をしたいというふうに思います。
木島委員 それでは、別の角度から聞きましょう。
 派遣された裁判官、検察官、国家公務員が自分の意思でやめてしまった、こんな大学は嫌だと。あるいはけんかして引き揚げてしまった。そういう場合は派遣契約は終わるんですね。
 そして、その場合は、別の人物を派遣する義務が、法的義務が最高裁、法務省、各省庁はあるのですか。
山崎政府参考人 今御指摘のような事態が生じたとした場合、これは今、派遣の取り決めの中で終了事由が決まるというよりも、法定の終了事由も別途、五条で定めるわけでございますので、その中の事由として、例えば官職に必要な適格性の欠如とかそういうもの、これは公務員にも一般に適用があるものでございますけれども、そういう条項は当然に盛り込まれるということでございます。そういうものに当たるとすれば、それで終了ということになろうかと思います。それ以上、法科大学院の方にいろいろ御迷惑をかけるわけにいかないわけでございます。
 そういう事態が生じた場合には、きちっとその後を埋めるような人物をまた派遣するというのは、これは法的な義務かと言われるとそうではないのかもしれませんけれども、当然の条理上の義務があるということで派遣をさせていただくというふうに考えております。
木島委員 これからつくられるであろう法科大学院にとっては、どういう教授陣をそろえているかというのがその大学の存立の根本だと思うのです。いい教授陣をそろえたところへは子供たちが、受験生がたくさん集中するだろうし、そして、後からまた質問しますが、たくさんの司法試験合格者を出したところはステータスが上がって、たくさんの受験生が押し寄せる、経済的にもよろしくなる。そうじゃないと、淘汰されてくると思うんですよ。ですから私は、今一番大事なところはそこだと思うので、聞いたのです。
 では、もう一つ、こういう観点から聞きましょう。
 第三者評価機構がつくられて、第三者評価基準がつくられ、個々の法科大学院は評価される対象になりますね。そうすると、現役の裁判官や検察官や国家公務員が教授陣にいるかいないかがこの第三者評価基準の評価の対象にされるのじゃないかと、大変心配が今ちまたに広がっています。どうですか。
清水政府参考人 お答え申し上げます。
 法科大学院の第三者評価については、今それぞれ準備中というふうなことでございますが、結論から申し上げますと、先生のような御懸念はないというふうに申し上げることはできると思います。
木島委員 どうしてないのですか。どういう認証評価基準をつくるかは、基本的にはその認証評価機関が自主的に決めることになるのでしょう。
 そして今、認証評価機関は三つつくられるかもしらぬ。一つは国が中心になっているもの、もう一つは日弁連が中心になってつくろうとしているもの、もう一つは大学人が中心になってつくろうとしているもの。そうすると、そういう評価機関が自主的に評価基準を決めるとなると、その評価基準の中に、現役の裁判官、検察官がいるかいないかが評価のポイントだなんということだって、つくる可能性はあるじゃないですか。それを排除する、そういうのは危なっかしいから排除する、学問の自由や大学の自治にさわるから排除するというようなことは、歯どめをかけるのですか。また、この法体系にはその歯どめはかかっていますか。
清水政府参考人 私のお答えが若干言葉足らずだった部分はございますが、法科大学院は、法曹養成に特化した実践的な教育を行うという意味で、法曹を中心とした実務の経験を有する教員の参画が不可欠でございます。その場合、一般的には、現役であれあるいはOBであれ、例えば裁判官、検察官、弁護士、あるいはそういう三者の方のバランスに配意することは一般的に言えば望ましいというふうに考えております。
 ただ、お尋ねのように、現役の方がいるかいないかというのが、法科大学院評価については、それぞれ法科大学院が目指す方向性あるいは特色というものも踏まえながら、それぞれ第三者評価機関が、基本的に言えば、実務家教員に参画していただきながら、よりよい法科大学院の教育、あるいは実務と理論の架橋となれるような教育を目指そうとするということにかかわりますので、私どもは今、それぞれ御検討中でありますが、評価機関において、極めてミクロ的に、そういう形の評価はなされないだろうというふうに思っているということを申し上げたわけでございます。
木島委員 では、次の側面について聞きます。
 派遣された現職の検察官なり裁判官なり国家公務員が、派遣された先の法科大学院の管理運営にどの程度関与するかという問題です。
 これは、パートタイムかフルタイムかで派遣先大学院への管理運営に関与できるかできないか決まるんですか。あるいは、それとは別観点ですか。あるいは、関与してもいいということになるんですか。
河村副大臣 法科大学院におけるいわゆる教員の方々がどのように管理運営に入っていくかという問題でありますが、実務家教員が法曹のバランスをとって法曹三者から出ていくということが本法の趣旨にあるわけでございます。
 したがいまして、この法律に基づいて派遣をされる教員を含む実務家教員と、それから理論的研究を主とする教員、この方々が、教育課程の編成あるいは授業内容、方法をさらに進める上でどうしたらいいかという問題、あるいは教材の選定それから作成、さらに教育能力を高めるための実務研修、こうしたものでお互いに連携をとって切磋琢磨してもらう、あるいは連携協力してもらう、それによって、法科大学院の目的とするところ、理念の実現のための教育活動が実施されるということが極めて重要なことだというふうに考えておるわけでございます。
 そういう意味からも、派遣される教員が、さっき御指摘のように、いわゆる専任教員であるとかパートタイム、その形態はいろいろあると思います。思いますが、それらの個々の教員が法科大学院にどのように関与していくかということは、一義的にはまずその設置者の判断になければならない、こう思っておりますので、その設置者がどういうふうに判断されるかということになるわけでございますが、例えば、さっき申し上げたようなカリキュラムの編成、あるいはほかにも実務家教員の人事等について教授会に加わるということ、これは、教員全体がこの大学を一緒に運営していくという観点からも、教授会等に加わることによって、法科大学院の運営に携わるということも期待をされる中の一つだ、このように思います。
木島委員 派遣された裁判官や検察官が本当に人間として、また法律知識も経験も豊かで、本当にいい意味の教育的な役割を果たすのなら結構なんです。それを、度を越して、後ろに最高裁という組織、法務省という組織を背景にして権力風を吹かせて、自主的でなければならない法科大学院の教育全体を曲げてしまうというような状況が生まれたら大変なんですね。その歯どめですね。非常に難しいと思うんですが、その辺どう考えていますか。簡潔でいいですから。
河村副大臣 この歯どめを法的にするというのは非常に難しい問題だと私は思いますし、もちろん、これは大学院といえども大学でありますから、大学の自治、大学の自由というのが、これはもう前提でなければならぬわけです。これが保障されるというのが前提でありますから、そして、この派遣教員は、もちろん大学院側の要請に基づいて派遣をされるということになっておりますから、受け入れ側も、先ほどそんなところへやらないということもあったのですが、大学側もこれを受けるかどうかに対しては、やはり大学側の方の判断があるわけでございます。
 その際に、やはり教壇に立っていただく教員は、あくまでも大学の教員として、教育者として立っていただくということが大前提でありますから、そういう意味で、それによって国家公務員風を吹かせるとか、そういうことは当然あってはならないし、そういうことはあり得ないという前提に立って大学運営をしていかなきゃならぬ、これは、大学の自治を守るという面、当然の基本的な考え方に立って運営をしていく、こういうことになると思います。
木島委員 それじゃ、今は制度的な仕組みについて聞きました。今度は教育の中身について聞きます。
 法律実務というのは大体、私の経験からして、個々の国民の基本的人権と秩序との対抗関係なんですよ。行政訴訟はそうですし、労働訴訟もそうですし、税務訴訟もそうです。納税者の権利と徴税権者の便益とのぶつかり合いが税務裁判になるんですね。そうしますと、法律実務の中身に関して、現役の裁判官なり現役の検察官なり、例えば国税庁の職員が法科大学院の教授として入り込んで、専ら国寄りの法理論に基づいて教育を徹底した場合に、やはり人権が後退するんじゃないか、その心配があるんですね。どうでしょうか。
清水政府参考人 大学における教育活動は、すぐれて学問の自由が先生御指摘のようにされているわけですから、それが実務家のバックグラウンドを持った方であれ、あるいはそうでないにせよ、さまざまな形での考え方、理論というのは当然あり得るわけでございます。そういう者がお互いに切磋琢磨し、また理論と実務というものがお互いに切磋し琢磨するというのが法科大学院の理念であろう、こういうふうに思っております。
山崎政府参考人 法科大学院に派遣された公務員でございますけれども、やはりみずからの実務上の知識経験に基づいて話すわけでございまして、国の指示とかそういうことに基づいて話すわけではございません。要するに、派遣をされるというところまでは国の命令ということになり、本人は同意ということになりますけれども、そこから先は大学の大学人としての行動でございます。それは、みずからの判断できちっとやっていただくということになります。
木島委員 そこがそうじゃないんじゃないですか。派遣された検察官なり裁判官なり国税庁の職員がどんなマニュアルでどんな教育をするかという、まさに法務省なり最高裁当局は一般的なマニュアルをつくろうとしているんじゃないですか、行政訴訟はこうあるべきだとか。どうなんですか。そこを本当につくろうとしているんじゃないですか。つくって、一般的にそれをとらの巻として、派遣された裁判官なり検察官にばらまこうとしているんじゃないですか。
 だから、私は言っているんですよ。非常に国の方にゆがんだ、国民の権利対国という関係で法律関係は争いになるんですが、国の方に専らゆがんだ立場で教育がどんどん行われていったら、やはりゆがんだ法科大学院生しか生まれない、その心配を一番しているんですが、どうですか。違うんじゃないですか。
山崎政府参考人 私が現在承知している範囲では、最高裁それから法務省において、統一のマニュアルで教育をするということは全く伺っておりません。そういうことはあってはならないことだろうと思います。
 ただ、基本的な考え方、これはやはり、実務の基本的な考え方をどう教えるかという問題についてはそれぞれやらなきゃいけないことですけれども、それ以上のことにわたることに関しては、すべてマニュアル的に統一するということはないというふうに承知をしております。
木島委員 それでは、もう一つの心配点、学生、大学院生に対する支配、介入なんですが、やはり法科大学院の最大の目的は司法試験合格ですから、合格率が上がらなかったら法科大学院は取りつぶされていくでしょうし、個々の大学院生にとっても、合格しなければ、落第すれば大変なことですから、そういう意味では、私は、検察実務家、裁判実務家の教員というのは、大学院生に対して絶対的な権力関係に入るんじゃないか。今、司法研修もそういう状況なんですよ。教官対司法修習生というのは絶対的権力関係にあって、いろいろな事件を起こしているんですよ。私は、そこをやはり歯どめをかけないかぬ、仕組みが欲しいなと思っていますが。
 もう時間がありませんし、一点だけ。所得の少ない皆さんにもこの法科大学院に安心して入れるように、奨学金制度の拡充の問題について質問します。
 せんだって、当法務委員会は附帯決議をつけました。法科大学院の教育と司法試験等、連携法ですね、連携法、司法試験法の改正法を審議したときに附帯決議をつけて、奨学金制度拡充に努めるということを要求しました。そして、法務大臣も、一生懸命頑張るという答弁をたしかしてくださったと思うんです。
 では、具体的にどういう検討状況になっていますか。具体的に挙げますよ。
 国民生活金融公庫が実施している教育ローンについて、貸し出し条件がたしか今二百万ですから、これを五百万にしてもらいたいという要求、どうですか。それから、二つ目。今、基本的に教育ローンは親に対して貸し出している。これはもう改めて、本人に対して貸し出すようにしたらどうか。三つ目。返済猶予じゃなくて、返済免除。これは、教育ローンを受けて裁判官になった、検察官になった、また弁護士になって公的弁護ですね、過疎地に行って奉仕したり、そういう子供たちには返済を免除してやったらどうか。
 そういうことを三つ要求しているんですが、今の検討状況、もう時間がなくて失礼ですが、どんな状況になっているのか。本気になってこれはやらないと、金持ちしか法科大学院に入れないということになりますので、お願いかたがた検討状況を質問して終わります。
清水政府参考人 三点目の返還免除のことについてお答え申し上げます。
 大学院生が、卒業後一定の条件のもとに教育研究職についたときに返還を免除する制度が日本育英会にございます。ただ、この制度については、特定の職のみを免除するという不公平感あるいは人材誘致効果等々から、いわゆる職による返還免除制度は、今回、日本育英会を独立行政法人化し日本学生支援機構を新たに創設するという法案の中で、免除制度を廃止し、すぐれた業績を上げた大学院生に対する卒業時の返還免除制度を新たに創設するということで、今御審議をいただこうとしているというふうな状況でございます。したがいまして、法曹という職についた場合の返還免除制度の創設は困難と申し上げざるを得ないということでございます。
 なお、日本育英会の奨学金につきましては、十六年四月末の概算要求に向けて、先生かねてから御指摘いただいておるように、授業料負担軽減のための支援策と同時に、奨学金の充実のために、私どもとしても、今具体的にいろいろな検討は行っておりますが、まだ申し上げられる段階には至っておりません。
木島委員 財務省を呼んであるので、もし答弁があったらお答えください。
田中大臣政務官 委員会での決議というのは、私どもも承知しております。
 ただ、国の方で、特に財務省の関係では、国民生活金融公庫の教育ローンがあって、平成九年に、今の二百万円に実は限度をアップいたしておりまして、実際の数字としましては、年間約二十万件、三千億円弱ということで、平均百三十万円ぐらいでございます。
 これが今後、ロースクールということになってどのように変化するかということになるわけでございますけれども、今後具体化される法科大学院の実情というものを、私たち財務省も十分把握していかなければならないと思いますし、そういうことを各担当の省庁とも十分協議をしていくときが来るのかなと思います。
 ただ、国民金融公庫というのは、民業補完ということになっておりますし、平成十三年の十二月に特殊法人等整理合理化計画というのが示されて、いろいろと国の中でも議論をされておるわけでございますから、先生も御承知のことと思いますが、そういうことも踏まえて、今後考えていかなければならないと思います。
 以上でございます。
木島委員 終わります。
山本委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも質疑の時間をいただきましてありがとうございました。
 きょうは、法科大学院の派遣法ということでありますけれども、去年の秋にそもそも、臨時国会におきまして、法曹養成制度改革の関連法案が成立をしたところでありますけれども、今回、新たな法曹養成制度におきましては、基本理念としてどのような法曹を養成することを目指していらっしゃるのか、いかなる基本理念を持っていかなる法曹を養成しようとしているのか、改めて伺いたいと思います。
森山国務大臣 内外の社会経済情勢の変化に伴いまして、司法の果たすべき役割がより重要なものとなってまいりました。国民生活のさまざまな場面において、法曹に対する需要が一層増大するとともに、ますます多様化、高度化していくと考えられます。
 このような状況を踏まえまして、法科大学院を中核的な教育機関とする新たな法曹養成制度を整備することによりまして、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる高度の専門的な法律知識、幅広い教養、豊かな人間性等を備えた多数のすぐれた法曹を養成することを目指しているわけでございます。
樋高委員 では、従来の法曹養成制度はどのような問題があった、改良すべき点があったと認識していらっしゃるんでしょうか。
森山国務大臣 従来の法曹養成制度についても、大変立派な法曹がたくさん出ておりまして、決してすべて失敗だったわけではもちろんございません。
 しかし、現在、大学における法学部というのは、必ずしも法曹養成のみを目的としたものではございませんで、法学教育が法律家実務と乖離しているということや、司法試験が、合格率が非常に少ない、二、三%と言われております極めて難しい試験ということになっておりまして、司法試験受験者の受験技術優先の傾向が非常に目立ってまいりました。そのようなことが指摘されまして、法科大学院を中核的な教育機関とする新たな法曹養成機関を整備することが必要であると考えたものでございます。
樋高委員 そんな中にありまして、新たな法曹養成制度において、今回の派遣法の意義というのはどういったところにあるでしょうか。
森山国務大臣 新たな法曹養成制度におきましては、質、量ともに豊かな法曹を養成するために、法曹養成の中核的な教育機関としての法科大学院における教育の充実を図らなければいけないという必要がございます。
 このため、本法律案では、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の趣旨にのっとりまして、国の責務として、裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員を法科大学院の教員として派遣する制度を整備いたしまして、法科大学院における法曹としての実務に関する教育の実効性の確保を図ることとしたのでございます。
 この派遣制度は、法曹養成の基本的理念に則しました法科大学院の教育を実現するためにどうしても必要だというふうに考えるものでございます。
樋高委員 私は、運用面、現実面の切り口からきょうはお尋ねをいたしたいのでありますけれども、法科大学院は、来年四月、一年後に開設をされるということでありますけれども、その開設するまでのプロセス、スケジュールは、今一体どういうふうに考えていらっしゃるのか、推進本部に伺います。
山崎政府参考人 具体的には文部科学省の方で決められていることでございますが、私どもで承知している範囲でお答えを申し上げます。
 法科大学院の設置認可の申請につきましては、本年の六月末に締め切られる、こういうことでございます。その上で、大学設置・学校法人審議会に諮問をされた上で、十一月末までに認可される、こういうスケジュールで進んでいるということでございます。その後、各法科大学院の入学選抜を経まして、来年の四月から法科大学院が開校される、こういうスケジュールだというふうに聞いております。
 なお、法科大学院を受験する前提として、統一的な適性試験を受けていただくということになりますので、この適性試験が本年の八月から九月にかけて実施される予定だ、こういうふうに聞いております。
樋高委員 この法律案におきましては、裁判官や検察官だけではなくて、一般職の国家公務員も法科大学院への派遣の対象とするということでありますけれども、その理由を伺いたいのと、実際に派遣の要望はあるんでしょうか。
山崎政府参考人 この点に関しましては、新たな法曹養成制度におきましては、高度の専門的な能力を有する多数の法曹を養成するということから、各法科大学院の特色に応じまして、知的財産権法それから金融関係法、経済関係法令、具体的には独禁法等でございますけれども、それから租税法等、さまざまな専門的分野あるいは先端的分野につきまして、実務的な教育が行われる必要があるということでございます。
 このような関係から、裁判官、検察官という法曹のみならず、今申し上げたようなところに、専門的、高度の能力を有している公務員の派遣要望がございまして、そういう者も派遣をするということで法科大学院の教育を充実していただく、こういうふうに考えたわけでございます。
 現実には、先ほどちょっと私、手持ちにいろいろ数字を持っていなくて大変失礼を申し上げましたけれども、特許関係、それから税法関係、独禁法関係、行政法関係、そういうものについて要請があるということでございます。数は、先ほど法務省の方からお答えをさせていただきましたけれども、大体そのような数というふうに承知をしております。
樋高委員 裁判官、検察官の派遣については、既に相当数の大学から最高裁判所や法務省に対する要望が寄せられているときょうの質疑でもありましたけれども、どの程度の数の大学から要望が寄せられているのか、改めて私の方からも伺いたいと思います。これは最高裁と法務当局に伺いたいと思います。
山崎最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、法科大学院におけます教育が充実したものとなるためには、実務家であります法曹が法科大学院教育に参画することが重要であるというぐあいに認識しております。その意味におきまして、ただいま御審議いただいています派遣法によりまして、現職裁判官が法科大学院の教員として参画できるスキームが設けられること、これは非常に意義のあることだろうと思っております。
 裁判所としましては、裁判官教員の派遣のみならず、司法研修所に蓄積されました実務教育のノウハウ、あるいは教材の提供といったもの、そういったこと、さまざまな側面から、法科大学院教育の充実に向けた協力をしていきたいと考えているところでございます。
 そういったことがございますものですから、最高裁では、ただいま申し上げました法科大学院に対する支援を図るために、連絡調整のための窓口を設けまして、事務総局に法科大学院設立支援プロジェクトチームというものをつくっておりまして、そこで法科大学院の方から裁判官教員の派遣に関しましていろいろ御要望を承ったり、あるいは御相談に応じたりということをやっているわけでございます。
 前置きが大変長くなりましたけれども、そういったことで、現在承っております要望を取りまとめますと、四月十四日現在で四十六の大学の担当者の方がお越しになられまして、面談を実施したところでございます。
 それを要約いたしますと、各大学、非常に具体的に御要望を申し述べられるところもございますし、まだ詰まっていないけれども、そもそも裁判官の派遣が得られるだろうか、こういう御相談にお見えになられたり、さまざまでございますけれども、概括的に申し上げますと、派遣の形態といたしましては、みなし専任教員といいまして、そういう形のものと、あるいは、もう少しスポット的な非常勤の教員、そういうものもございまして、そういったところでの派遣の希望が出てきておりますが、数的にいいますと、各大学一人、多いところで二人ぐらい派遣していただければ大変ありがたいというような、そういう要望が寄せられているというのが現状でございます。
寺田政府参考人 法務省も、先ほど来申し上げておりますように、窓口を設けまして、御相談という形で承っておりますが、昨日まで合計で四十五校から非常に強い要望が寄せられております。具体的なところもございますので、現在、部内でそれを取りまとめて、できるだけ御要望に沿うような形で派遣したいというふうに考えております。
樋高委員 それらの大学がいわゆる裁判官や検察官の派遣を希望している理由、具体的にどういったのがあるでしょうか。双方に伺います。
山崎最高裁判所長官代理者 御要望されている理由というのは、御要望の中身との関係で申し上げるのが一番簡明かと存じますが、例えば分野で申し上げますと、民事分野、刑事分野というのがございますけれども、両分野を希望する大学もございます一方で、民事あるいは刑事の分野の別を明示せずに、とにかく裁判官に来ていただけるだろうかと、先ほどちょっと申し上げましたが、そういう抽象的な御要望を述べておられる大学もあるわけでございます。
 そういったこともございますけれども、先ほど申し上げました、四十六の大学からの要望を単純に足し上げて申し上げますと、民事の分野で申しますと希望する大学が三十八校、それから刑事の分野で申し上げますと十七校、こういった状況でございます。
 そのそれぞれの分野について、どういう科目を担当してほしいか、こういう観点でいいますと、これは各大学によってカリキュラムの名称というのがさまざまでございますので、ちょっと一概に申し上げにくいところもございますけれども、概括的にこれも申し上げますと、民事の分野で申し上げますと、民事訴訟実務の基礎といったものの科目の担当をお願いしたいという希望、それから刑事の分野でございますと、刑事訴訟実務の基礎、そういった形の希望が多うございまして、いわゆる実務基礎科目が中心ということが言えようかと思いますが、それに加えまして、法曹倫理についても裁判官の教員をお願いしたい、こういう要望も若干出ております。
 以上でございます。
寺田政府参考人 率直に申しまして、現在の大学の法学部教育において、刑事の実務の分野、とりわけ捜査の分野等について、実務経験のおありの方が、現実の実務ではこのようなことをやっているという形で、その経験をベースにいろいろなお話をなされることは、極めてまれでございます。
 法科大学院は、特に理論と実務の架橋ということをモットーにいろいろなカリキュラムをお組みになるわけでございますので、当然のことながら、今言いました実務経験の乏しい分野については、やはりこれまでにないバックグラウンドを持っている人間がこれを支えていかなければならないということでございまして、私どもに寄せられております具体的な要望も、刑事実務の捜査、公判、こういうところを中心に、関連科目について教えてほしいという要望でございます。
樋高委員 大学院から要請があった場合に、派遣される者、人選については、もうきょうずっと議論されておりますけれども、公平性をしっかりと担保していただきたいんですが、人選の仕方はもう結構でありますので、公平性という部分を担保するということを、ちょっとそれぞれ、双方からおっしゃっていただきたいと思います。
山崎最高裁判所長官代理者 法科大学院の要望を受けまして具体的に裁判官を派遣するということになってまいるわけですが、その場合には、私ども、やはり当該裁判官の希望といったものを、最終的に同意をとらなければいけないということがありますので、その希望といったものが必要だろうと思います。それに加えまして、それぞれ裁判事務をやっておりますものですから、その事務に対する支障がどの程度あるか、そういったものも考慮しながら派遣できるかどうかを考えていく、これが一つ重要なところだと思います。
 そういった客観的なところを考えながら派遣するということを考えておりまして、特定の法科大学院について不公平な取り扱いをすることは毛頭ないということでございます。
寺田政府参考人 法務省におきましても、基本姿勢は今の最高裁と全く同様でございます。
 とりわけ、やはり具体的な、先ほど申しましたような、ニーズに応じた、その能力を持った、それにふさわしい人間をなるべく送り出したい、これが本当の実質的公平ではないかというように考えておりますし、また別の面では、この法務委員会の審議が連携法において行われた際にも非常に強く指摘されました、地方を決して無視することのないように、やはり全国それぞれの地域において、法科大学院がうまくやっていけるような環境づくりというものも非常に大事である、こういう観点も重視したい、このように考えております。
樋高委員 法務大臣に伺いたいと思いますけれども、きょう参考人の質疑もしたわけであります。
 そこで、派遣をされる方々、皆さんきっと優秀な方々ばかりだと思いますけれども、その参考人の方がおっしゃった言葉で、すぐれた実務家が必ずしもすぐれた教育者になるわけではないと。いわゆる本当にすぐれた実務家であっても、やはり本当に教育のできる方でなくてはならないということをおっしゃっておいでで、私も全くそのとおりだというふうに思いますけれども、やはりその中で、教員みずから手を挙げるわけではないというところが致命的な欠陥であるという御指摘もあったわけでありますが、そういうふうにならないように、大臣、どういうふうにしていったらいいのか、またその決意を伺いたいと思います。
森山国務大臣 確かに、自分が非常に優秀な法曹であるからといって、教育者としても適当であるかどうかはまた別の問題だというふうに思いますので、その点は御指摘のとおりだと思いますが、まず、人選をしあるいは推薦をするという場合にも、本人がそのようなことに関心があり意欲があるかということも非常に重要なチェックポイントだと思いますので、そのようなことを重視しながら、本人の意見や考えも聞きまして、そして推薦するべき者はするというふうにしていくのではないかと思いますし、そうであるべきだと思っております。
樋高委員 そこのところはぜひしっかりと大臣、責任を持って、本当に教育者として優秀な方を派遣することによって、将来を担うであろう、法曹に携わるであろう方々の、さまざまな、知識なりだけではなくて人間性、また、国家の将来を担うであろう人材の育成につながっていくわけでありますから、しっかりとした教育者、教育できる方を派遣していただきたい。
 あともう一問質問して終わりたいと思いますけれども、やはり学生に対する支援なんです。学費の問題であります。
 先ほども日本育英会の話もありましたけれども、ロースクール、特に私立のロースクールに通われる方は、やはりどうしてもお金持ちの子弟でないと行けないのではないのかということもありますけれども、私は、この際、日本は法治国家でありますし、法律に携わる方を、いかにすばらしい人材を世の中に輩出するかということを、やはり国家としてきちんとしたバックアップをすべきであろうというふうに思うわけであります。
 この際、いわゆる奨学金、ロースクールに通われる方の民間の新しい制度をつくり上げるぐらい、私は政治がリーダーシップを発揮してやるべきであろうと思いますけれども、前向きな答弁をいただきたいと思います。
森山国務大臣 非常に意欲と能力のある若い人が、経済力がないために勉強の機会がないというのは基本的に間違っていることでございますので、この法科大学院についても同様のことが言えるかと思います。
 しかし、この法科大学院にはかなりの経費がかかるということも現実でございますので、そのような場合にバックアップをするシステムを今の現状をさらに改善してつくっていきたいというふうに思うんですが、文部科学省がそれは主としてやっていらっしゃることでございますが、法務省といたしましても、できる限りの応援をしたいというふうに考えています。
樋高委員 文部科学省に任せきりではなくて、こういう問題こそ法務省がむしろリーダーシップを示して、指導力を発揮して、本当に意欲と能力のある方をしっかりと国家のために育てていただきたいということを強く要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
山本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、塩崎恭久君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山花郁夫君。
山花委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 法科大学院への裁判官又は検察官等の派遣については、高度の専門的な法律知識、幅広い教養、豊かな人間性を備えた法曹を養成するという目標に照らし、すぐれた資質及び能力を備えた者が派遣されるように努めること。
 二 法科大学院への裁判官又は検察官等の派遣については、法科大学院の教員構成やカリキュラム編成等の必要性に基づいた要請を尊重し、透明で公平な手続により、要請に応え得る人選を行うこと。また、人材確保に地方格差が生じないようにするとともに、男女共同参画の趣旨を尊重するよう、十分な配慮をすること。
 三 法科大学院への裁判官又は検察官等の派遣に当たっては、法科大学院における実務教育の内容が全国画一的なものとならないよう留意するとともに、法科大学院の自治を損なわないよう、創造的かつ自主的な発展に、十分な配慮をすること。
 四 法科大学院へ派遣される検察官等に対する国からの給与の一部支給については、特に必要があると認められる場合にのみ実施することとし、その報酬等が法科大学院の他の教員と不公平が生じることがないよう配慮すること。
 五 本法の施行後、早期に、法科大学院における実務家教員の教育内容、教育効果等について検討し、必要があると認めるときは、本法の見直しも含め所要の措置を講ずること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 塩崎恭久君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山本委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森山法務大臣。
森山国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。
 また、最高裁判所にも、本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。
    ―――――――――――――
山本委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
山本委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案の各案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。森山法務大臣。
    ―――――――――――――
 裁判の迅速化に関する法律案
 民事訴訟法等の一部を改正する法律案
 人事訴訟法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
森山国務大臣 まず、裁判の迅速化に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 我が国においては、司法を通じて権利利益が適切に実現されることその他の求められる役割を司法が十全に果たすために公正かつ適正な手続のもとで裁判が迅速に行われることが不可欠であることに加え、内外の社会経済情勢等の変化に伴い、裁判がより迅速に行われることについての国民の要請にこたえることが緊要となっております。
 この法律案は、このような状況にかんがみ、裁判の迅速化に関し、その趣旨、国の責務その他の基本となる事項を定めることにより、裁判所における手続全体の一層の迅速化を図り、もって国民の期待にこたえる司法制度の実現に資することを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、裁判の迅速化は、第一審の訴訟手続を二年以内のできるだけ短い期間内に終局させること等を目標として、充実した手続を実施すること並びにこれを支える制度及び体制の整備を図ることにより行われるものとしております。そして、この制度及び体制の整備は、訴訟手続その他の裁判所における手続の整備、法曹人口の大幅な増加、裁判所及び検察庁の人的体制の充実、弁護士の体制の整備等により行われるものとするとともに、裁判の迅速化に当たっては、当事者の正当な権利利益が害されないよう、手続が公正かつ適正に実施されることが確保されなければならないものとしております。
 第二に、裁判の迅速化に関する国の責務について所要の規定を置くとともに、政府においても所要の措置を講じなければならないものとし、日本弁護士連合会の責務についても所要の規定を置いております。
 第三に、裁判所における手続を実施する者は、充実した手続を実施することにより、可能な限り裁判の迅速化に係る目標を実現するよう努めるものとし、当事者等は、可能な限り裁判の迅速化に係る目標が実現できるよう、手続上の権利は、誠実にこれを行使しなければならないものとしております。
 第四に、最高裁判所は、裁判の迅速化を推進するため必要な事項を明らかにするため、裁判の迅速化に係る総合的かつ多角的な検証を行い、その結果を、二年ごとに、国民に明らかにするため公表するものとするとともに、検証の結果については、国の施策の策定及び実施に当たって、適切な活用が図られなければならないものとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 次に、民事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 現行の民事訴訟法は、民事訴訟を国民に利用しやすく、わかりやすいものとする等のために、平成八年に制定されたものでありますが、近年の社会経済情勢の変化等に伴う民事紛争の複雑・多様化を踏まえ、民事裁判の一層の充実及び迅速化が求められております。例えば、争点が多数であるような複雑な事件やその解決のために専門的な知見を要する事件が増加しており、これらの事件への対応を強化する必要があるとの指摘がされております。
 そこで、この法律案は、民事裁判を国民がより利用しやすいものとする等の観点から、司法制度改革の一環として、民事裁判の充実及び迅速化を図るため、民事訴訟手続を改善しようとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、計画審理の推進を図ることであります。具体的には、裁判所及び当事者には訴訟手続の計画的な進行を図る責務があることを明らかにするとともに、裁判所は、複雑な事件等について、当事者双方との協議の結果を踏まえて、審理の計画を定めなければならないこととしております。
 第二は、訴えの提起前における証拠収集手続を拡充することであります。当事者が訴えの提起前に必要な証拠や情報を入手することができるようにするため、訴えの提起前においても、相手方に対して照会をすることができる手続及び文書の所持者に対して文書の送付を嘱託することができる手続を設けるなど、訴えの提起前における証拠収集手続を拡充しております。
 第三は、専門委員制度を設けることであります。医事関係事件や建築関係事件等の審理において医療、建築等についての専門的な知見が問題となる場合において、専門家に専門委員として訴訟手続への関与を求め、必要な説明を聞くことができることとしております。
 第四は、特許権及び実用新案権等に関する訴えについて、その管轄を専門的な処理体制が整備されている裁判所に専属化することであります。これらの訴えについて、第一審の管轄を東京地方裁判所または大坂地方裁判所に、控訴審の管轄を東京高等裁判所に専属化することなどにより、裁判所の専門的処理体制の一層の強化を図ることとしております。
 第五は、少額訴訟に関する特則を適用することができる事件の範囲を拡大することであります。少額訴訟に関する特則を適用することができる事件の範囲を定める訴額の上限額を三十万円から六十万円に引き上げることとしております。
 なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の改正等所要の手続が必要となりますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 最後に、人事訴訟法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 複雑・多様化する我が国の社会において、司法機能の充実の重要性はますます高まっており、民事裁判の一層の充実及び迅速化が求められております。民事訴訟の一類型である人事訴訟については、現在、家庭裁判所で調停が行われ、これが不成立となると地方裁判所に訴えを提起することとされており、手続を国民が利用しにくいと指摘されております。また、人事訴訟の手続についても、明治三十一年に制定された現行の人事訴訟手続法の規律を改めて、より適正かつ迅速な審理を可能にする必要があると指摘されております。
 そこで、この法律案は、民事裁判を国民がより利用しやすいものとする等の観点から、司法制度改革の一環として、家庭裁判所の機能の拡充による人事訴訟の充実及び迅速化を図るため、人事訴訟に関する手続について、現行の人事訴訟手続法を廃止して、新たな法律を制定しようとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、人事訴訟の家庭裁判所への移管を行うことであります。具体的には、離婚、認知等の人事訴訟の第一審の管轄を地方裁判所から家庭裁判所に移管するとともに、これと密接に関連する損害賠償訴訟を家庭裁判所であわせて審理することができるようにすることとしております。
 第二は、家庭裁判所調査官制度の拡充であります。離婚訴訟における親権者の指定や養育費、財産分与等の申し立てについて、家庭裁判所調査官の調査を活用することができることとしております。
 第三は、参与員制度の拡充であります。人事訴訟の審理及び裁判に国民の良識を反映させるため、国民の中から選任された参与員の関与を求め、その意見を聞くことができるようにすることとしております。
 第四は、人事訴訟手続の見直しであります。具体的には、当事者尋問等について憲法が定める範囲内において公開停止の要件及び手続を明確に規定することや、裁判上の和解により離婚または離縁をすることができるようにすることなど、人事訴訟手続を全面的に見直すこととしております。
 なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の改正等所要の手続が必要となりますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
山本委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.