衆議院

メインへスキップ



第26号 平成15年6月25日(水曜日)

会議録本文へ
平成十五年六月二十五日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 山本 有二君
   理事 佐藤 剛男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 園田 博之君 理事 吉田 幸弘君
   理事 河村たかし君 理事 山花 郁夫君
   理事 漆原 良夫君 理事 石原健太郎君
      小西  理君    後藤田正純君
      左藤  章君    笹川  堯君
      下村 博文君    中野  清君
      保利 耕輔君    保岡 興治君
      吉川 貴盛君    吉野 正芳君
      鎌田さゆり君    中村 哲治君
      水島 広子君    山内  功君
      上田  勇君    山田 正彦君
      木島日出夫君    藤木 洋子君
      保坂 展人君
    …………………………………
   議員           塩崎 恭久君
   議員           保岡 興治君
   議員           石井 啓一君
   議員           金子善次郎君
   法務大臣         森山 眞弓君
   法務副大臣        増田 敏男君
   法務大臣政務官      中野  清君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (法務省大臣官房長)   大林  宏君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十五日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     藤木 洋子君
同日
 辞任         補欠選任
  藤木 洋子君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
六月二十四日
 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第二一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第二一号)
 法務行政及び検察行政に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
山本委員長 これより会議を開きます。
 法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。
 本日は、矯正行政・調査活動費問題等を中心に質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長瀬川勝久君、法務省大臣官房長大林宏君、刑事局長樋渡利秋君、矯正局長横田尤孝君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村たかし君。
河村(た)委員 河村たかしでございます。
 調活費に入る前に、ビデオのことについてちょっとお伺いをしておきたいと思います。
 九月の名古屋の事案はビデオがあるとされておりますけれども、五月のときにはこれはないとされておりまして、あれは撮るように指示をされた、所長がそういうようなことを指示されたわけですね。
横田政府参考人 お答えいたします。
 所長の指示により、ビデオ録画をするようになったと聞いております。
河村(た)委員 指示を受けて、実際にこうやって、手順とか、機械はどうやって作動させようとかいうことを、実際にそういうことを起案というか、実際にですよ、やられた方はどなたでしょうか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 この指示の文書は、首席矯正処遇官名のいわゆる事務連絡文によって行っておりますが、その起案をいたしました者は、確認いたしましたところ、当時の次席矯正処遇官であったと聞いております。
河村(た)委員 次席というのは、それは名前だけでしょう。私、きのうちゃんと質問通告してありますけれども、本当に現場の方で次席というのはどこにボタンがどうあってとかいうことを詳しく知っておるんですか、皆さん。本当の現場で働く人たちのマニュアルをつくる、これですね。じゃ、もっと違う方が、本当にこうやってみんなでやろうというふうに書いたんじゃないですか、その方はだれですか。
横田政府参考人 この起案者は次席矯正処遇官であるというふうに先ほどお答えしましたとおりでございまして、文書名は首席の矯正処遇官でございますが、起案者は次席であったというふうに伺っております。
河村(た)委員 きのう言っておきましたけれども、次席ってそんなに詳しいんですか、それじゃ。例えば、ビデオを保護房に入ってから撮るんじゃなくて、保護房に入る前から撮っておこうとか、そういうふうに現場サイドに立ってきちっとそういうものをつくろうとされたのはどなたですか。
横田政府参考人 お答えします。
 おっしゃるとおり、その次席が一人で頭の中で書いたものというふうには理解できませんので、やはりそういう機械操作等に詳しい人の話を聞きながら起案をしたというふうに考えるのが自然であると思っております。
河村(た)委員 それはだれですか、どなたですか。
横田政府参考人 次席がこの起案をするに当たって、だれからいろいろ聞いたりしたかどうかについては、確認できておりません。
河村(た)委員 そういうふうだもんで、きのうこれはちゃんと言ってあって、そんなものは確認すればすぐできるんですよ、現場の話を。渡邉貴志さんでしょう、これは渡邉貴志さん。
 渡邉貴志さんは今どこにおられるんですか、渡邉さんは。
横田政府参考人 お答えいたします。
 委員がおっしゃる渡邉貴志さんですが、渡邉さんは当時、名古屋刑務所の警備全般を担当する処遇部門の第二統括の職にございましたので、保護房などに収容中の受刑者の動静をこのシステムを利用して録画するという事務連絡の起案に際して何らかの関与をした、それから具体的な運用などについては部下職員を指揮したという可能性はあるというふうに考えますけれども、当時の事実関係について、現在まで本人から確認できておりません。したがいまして、先生のおっしゃる点については不明でございます。
 渡邉さんは現在、勾留中でございます。
河村(た)委員 実はこういうことでして、渡邉さんが実際に本当のマニュアルをつくって、それで、保護房に入る前から、非常ベルが鳴ったら早くビデオを撮っておこうということを言いかけたというか、ほかのメンバーもおるかわかりません、その本当の原案をつくってきたということなんですよね。
 彼は、今言われましたように名古屋拘置所にいるわけでね、逮捕しちゃったわけですよ。きのう何で調べてくれなかったんですか、もっと詳しく。
横田政府参考人 お答えします。
 渡邉さんについては先ほど申し上げたような状態にあること、それから、あとは山本さんにお聞きすればよかったじゃないかということ、あるいはその関係者から聞けばよかったじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、ちょっと時間的な関係で確認できませんでした。必要があればまた確認しておきます。
河村(た)委員 これはもっときちっと確認しておいてください。みんなが使いやすいように丁寧に、保護房に入る前からビデオを撮っておこうと、そう言ったのはだれか。そういうことは大事なんだよ、普通の会社だって。本当の現場の人たちがどういう努力をしてきたと、そこをみんなで拍手せずに、拍手というかちゃんと取り上げずに、ただ形式的に上司の判だけなんて、そんなことじゃいかぬでしょう。これはきちっと調査してくださいよ。
横田政府参考人 この点につきましては、可能な限り調査をいたします。
河村(た)委員 ところで、その渡邉貴志さんはビデオに映っておりますか。
横田政府参考人 ビデオに映っているということでございます。
河村(た)委員 ビデオに映っていると。
 これは大臣にちょっと聞きますけれども、九月のほぼ唯一の物証ですよ、これは。この事案、唯一です。あとはありません、はっきり言いまして。作文の供述調書だけです。そのビデオを、そういうのを撮ろうと言って、それでみんなにもそういう徹底をさせた、それも、保護房に入る前から撮っておこう、そういうことを言った本人が映っているビデオですよ、これは。その人はそこで犯罪を犯すと思いますか、暴行を。大臣、どう思う、これを。
森山国務大臣 そのようなこと、特にビデオに関しては、今おっしゃいますように有力な公判の証拠のようでございますので、これに関して私が何か申し上げることは控えたいというふうに思っています。
河村(た)委員 そんなことより、証拠ですと何遍も言っているけれども、裁判は裁判でいいんですよ、裁判でやってくれれば、それは独立は重要ですけれども。あなた、ほかの無給処分とかそういうものすべての根拠なんですよ、これは。違うよ、言っておきますけれども。
 この八名は、じゃ、今言いました渡邉貴志さん、ビデオを撮ろうと言って、みんなにも、そういう使いやすく、どうやってボタン、スイッチを操作するんだと、それも保護房に入る前から撮ろうと、そういうことを言って、その人が映っている、その画像に。
 矯正局長、あと何人か映っていますけれども、これはみんなビデオを撮っているということは、隠し撮りではありませんね。当然、そういう状況ですから、全員知っている状況だということでしょうね。
横田政府参考人 私の推測になりますけれども、恐らく、そういう通知が、所長指示があってビデオ撮影することになったということですので、承知していたであろうというふうに私は考えます。
河村(た)委員 承知していたんですよ、当然。その原案をつくって、こうしようと言っていた張本人もそこに映っているんですよ、これ。
 これ大臣、本当にあなた、一人の人間として、そんな本当にいかぬですよ、裁判、裁判と言って。あなたは無給処分の処分権者なんだから、これ。別に裁判と違う処分をしてもいいんですよ、当然のことながら。それと、もう合理的な疑いを超えるところ以上にこういう話が出てきたら、やはり立ちどまらないかぬ、これは。あなたは権限があるんだし、義務もありますよ。ほかっておいたら違法になりますよ、言っておくけれども。僕は前回からもう違法に入っていると思いますけれども。ここまでいってまだほかっておいて、裁判ですからと、職務放棄じゃないですか、これ本当に。人間としてですよ、人間として。
 いいですか、自分が映っているんですよ。例えばここで映っておるんですよ、自分が。写そうとした本人ですよ。その人間がそこで犯行を犯しますか。全員ですよ。一人だけじゃない、みんなも、全員そうなんだ。私は聞きましたけれども、みんな知っていましたよ、映っているのは。どう思いますか、大臣、これ。
森山国務大臣 今おっしゃいます渡邉という人が本当にそこに映っているかどうかも私は確認いたしておりませんし、この問題についてこれ以上申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。
河村(た)委員 では一般論ならどうですか、一般論。何か自分が映っておるようなところで人間というのは罪を犯しますかね、撮っているという、映画撮影されている下で。どうですか、これ。
森山国務大臣 大変難しい御質問ですけれども、一般的には避けようとする人も多いだろうと思います。
河村(た)委員 委員長、これはちょっとどうですか、人間として。
山本委員長 質問の内容を答えるというより、私は、委員会の手続のために権限をいただいているので、私に質問をしないでください。済みません。
河村(た)委員 いや、何か手続というふうになっちゃっていますけれども、本当は委員会の委員長だってすごい権限を持っておっていいんですよ、これ。そんなもの、全然違いますよ、手続第一、本当は。一般論としてどうですか、それじゃ。どうですか。
山本委員長 何度も申し上げますが、質問の対象にしないでいただきたいと思います。
河村(た)委員 本当はなかなか興味あるやりとりですけれども、まあしかし、課題になっている人たちが余りに気の毒だから、ちょっと一般的に笑顔を見せることはしませんけれども、実はこういうことなんです、皆さん、ぜひひとつ頭へ置いてほしい。
 ふざけておりますよ、まず。こんなばかな、何をやっておるんですか、一体。自分たちが撮ろうと言ったビデオで、そこで、自分たち全員映っておるところで、何がそんな特別公務員暴行陵虐ですか、致傷ですか。本当にむちゃくちゃはやめてほしい、こんな非常識なことは。
 ちょっと順序は逆になりますけれども、これは刑事局長に聞きたいんだけれども、こういうようなビデオの状況、それから、ビデオも、今のような、映っていることを知っているどころか、これからこうやってビデオをちゃんと撮っていこう、みんなで間違いのないようにと言った人がそこに入っていて、これは看守長ですよ、その人を起訴しちゃっている。
 それから、ホースの水だって、この間うち検証されているように、これは水圧も全然、〇・六キロよりもっと低い、これは東京都の水が一キロというような、水道局が言っていますけれども、そういう状況。それから、腹の中に水が入っていない。豚の実験は全然麻酔がかかっているから使えない。
 それから、革手錠は二十センチ締まらない、申しわけないけれども、締まりません、これは。何人でもやりました。それと、ビデオも見ましたよ、私、公判に行って。一人で外しているじゃないですか、前田さんが一人で手錠を外しているんですよ。すっと外しますよ、すっと。何が二十センチ縛ってそんなことできますか、そんなもの。
 こういう起訴をするということ自体が特別公務員陵虐か、なりませんか、これ。
樋渡政府参考人 検察活動にわたることでありますが、一般的に申し上げまして、そういうようなこと自体があり得るというのは想定しがたいところでございまして、要は、検察官といたしましては適正な手続を経まして適切に公判請求をしたものだというふうに思われます。
河村(た)委員 では、一般論でもいいけれども、何か不可能な起訴をした、不可能なことで刑事起訴をした、これは名誉毀損罪となりますね。名誉毀損になりますよ、これ。
樋渡政府参考人 検察官の職務のシステムは、たった一人で自分の判断ですべて何もかもやってしまうというようなことはなかなかできないようなシステムになっておりまして、先生のお尋ねのような事態は一般論としてもなかなか想定しにくいことでございます。
河村(た)委員 いや、だから、これは本当に、今の司法制度改革は大きい流れでやっていますけれども、やはり検察官でも私は、検察官は神様じゃないでしょう、樋渡さん。これ、一応ちょっと答弁をもらっておこうか。
樋渡政府参考人 私自身も、すべての検察官も、恐れ多くもそんな不遜な気持ちは持っていないと思います。
河村(た)委員 いや、だから、本当に検察というのは、当たり前ですけれども、みんな信頼していますし、これは本当に国のかなめですよね、刑務官も実はそうだけれども。秩序のかなめですよ、これ。検察が表舞台であって、本当の、その検察がやったことを縁の下で支えるのが刑務官ですよ。この人たちがきちっとしておるということは、これはもう大変重要なことで、その人たちに敬意を持つ社会をつくるというのは、これは国の本当に基本的なことだと思いますよ。これは両方信頼が揺らいだ、私に言わせれば。僕は、刑務官に対して敬意を持てない社会というのは本当に不幸だと思っています。
 検察は格好いいですよ、出てきて、樋渡さんのような格好いい、何か外国の映画スターみたいな方が出てこられて、これは特にこういう立派な国会の場で、格好いいですよ。だけれども、そのやったことを、検察官が命令するんでしょう、刑務官に刑の執行を。そうじゃないですか。違うかな、実際に刑の執行は。そうじゃなかったですか。ちょっと聞いておきましょうか。
樋渡政府参考人 刑の執行は、確定した裁判の執行でございますから、執行指揮は検察官が行いますが、その刑の執行状況等については刑務官が責任を負って行うものでございます。
河村(た)委員 本当に表裏一体の重要な活動なんですよ。だから、そういうところにみんなが敬意を持てる社会をつくっていきたいと私は願っておるんですけれども。
 刑務官の問題は、そうですよ、今まで言ったとおり、こんなむちゃくちゃな起訴はいかぬ、本当に。私は、もうこれは改めてもらわぬと、本当に訴えた方が犯罪になると思う、このままの状況では。つらい、こんなことを言うのは僕もつらいですけれども。
 検察官も、当然、私も、委員長も神様ではない、間違うことはあるということですよね。そのときにどうしたらいいか、検察が起訴を間違えたときにどうしたらいいかというシステムは、やはりこれは大臣にちょっと聞いておきましょうか。
 これは総理にも聞きましたけれども、いろいろな仕組みがあり得ると思うんだけれども、アメリカでは全部じゃないけれども、例えば大陪審とかいって、民主的コントロールが入ってチェックしていくとかいうシステムはやはり何らか考えた方がいいんじゃないですか。どうですか、これは。
森山国務大臣 今、司法制度改革の一環といたしまして、一般国民の常識が十分勘案されるようにということで、裁判員制度その他のことの御提案がありまして、それについて近く具体的にも検討して決まっていくだろうというふうに思っています。
河村(た)委員 今の中で起訴の部分が入っておるかどうかわかりませんが、起訴のところも考えると言っておいてくださいよ、それじゃ。検察権の行使。
森山国務大臣 もし万一起訴が間違ったというようなことがありましたら、裁判所が決定されることではないかと思います。
河村(た)委員 それではいかぬというんです。それは何にもならぬよ、後ろの人が言ったそのままだろうと思うけれども。そのまま通過してきておるだけだ、言葉が、全然。
 そういうときに裁判所だったら有罪無罪でしょう。何年かかるんですか、一体。名誉めちゃくちゃじゃないですか。給料なしなんでしょう。だから、もっと早い段階でそれは何か仕組みをつくらないかぬですよ。だから検察は神様なのかと言っているんですよ。もう一回言ってくださいよ。考えるぐらい言ったらどうですか、そんなの。だって世界常識ですよ、そんなの。
森山国務大臣 私はよく承知しておりませんけれども、もし万一起訴が間違っているというようなことがあれば、それは有罪でも無罪でもない、裁判所の決定によって取り下げられるというようなこともあり得るんだと思います。
河村(た)委員 これはあり得るかな。公訴取り消しは検察官がするんでしょう。裁判官が公訴の無効を言うことはできないんじゃないですか。公訴権濫用論というのは学説上ありますけれども、法律上はないと思いますよ。どうですか。
森山国務大臣 私は余り詳しいことをよく存じませんので、刑事局長にでもお聞き合わせいただいたらいいかと思いますが。
河村(た)委員 とりあえずええわ、刑事局長、きょうはそういうテーマじゃありませんので。
 だけれども、これは延々と続きますけれども、私やめませんからね、言っておきますけれども。名古屋刑務所のこの問題はやめません。一人の命を救うということは決定的に重要なんです、これは八人ですけれども。生活すべてですから、決定的に重要、これは。特に、議員たる者、こういう社会的使命を忘れたら僕はだめだと思っている。国を変えるんだったら、まずたった一人の冤罪も絶対許してはいけない。そのために自分は全身全霊をなげうって闘わないかぬということですから、やめませんからね。言っておきます、それだけ。
 調活費ですけれども、この目的と使途というのは、これは何でしたか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 まず、目的と使途ということでございますが、矯正官署における調査活動費は、矯正施設の適正、円滑な管理運営を図ることを目的といたしまして、例えば、暴力団関係者の施設内での抗争防止のための調査、情報の収集などを行うための経費として、情報提供者に対する謝礼などに使用されております。
 以上です。
河村(た)委員 刑務所内だけでそういう何か同様な費用を捻出して使われておるということはありませんか。
横田政府参考人 予算上認められた調査活動費以外に、こういう調査活動に充てている費用があるかというお尋ねであるかと思いますが、もしそのようなことであるとすれば、そのような予算といいますか、裏づけられた経費というものはございません。
河村(た)委員 では、制度ができて以来の日本全国、あと管区でいうと名古屋だけでひとつお願いしたいんですけれども、今までの予算と決算額ですか、ちょっと教えてください。
横田政府参考人 この矯正の調査活動費が予算上措置されるようになりましたのは昭和五十四年度からであるというふうに聞いておりますが、関係文書の保存期間の関係から、予算、決算がはっきりわかるものといいますと過去五年分になります。そこで、それにつきましてお答えを申し上げます。いずれも全国分とそれから名古屋矯正管区分ということでお答え申し上げます。
 まず、平成十年度でございますが、全国分の……(河村(た)委員「トータルでいいですよ、五年分の」と呼ぶ)五年分のトータルですか。済みません、トータル……(河村(た)委員「ちょっと時間がないので、フルスピードでお願いできますか」と呼ぶ)ではフルスピードで申し上げます。
 まず、全国分から申し上げます。平成十年度二千三百五十三万円、十一年度二千百十九万九千円、十二年度千百八万一千円、十三年度八百八十三万二千円、十四年度三百四十万八千円です。ことしの当初予算額が三百六十四万六千円となっております。
 それから、名古屋矯正管区分を申し上げます。十年度百七十三万円、十一年度二百二十五万円、十二年度百二十四万円、十三年度百二十六万円、十四年度四十六万円です。
 以上です。
河村(た)委員 これは、どういうところで使っておるんですかね、実際。どういうセクションで、どういうふうになっておるんですか。だれが決裁しておるのか、どう管理しているのか。
横田政府参考人 お答えします。
 まず、だれが決裁権者かということですが、これは、取扱責任者であります矯正管区長でございます。そして、その管理はだれがしているかといいますと、これは、取扱者に指定されております矯正管区第一部長でございます。調査を行うセクションはどこかということでございますが、調査を行うセクションというものは、特にこのセクションが行うという形での特定はされておりません。
河村(た)委員 では、情報というんだけれども、その情報はどうやってファイルしているとか、管理というのは一体どうなるんですか、情報簿とか。普通は、情報提供するときは、僕らでも、何か要るときは、まあ電話のときもありますけれども、大方は書類でちょっと、忙しいと出してくれと言いますが、それをどうファイルされておるのか、どう管理しておるんですか。
横田政府参考人 情報といいましてもさまざまな形がありますし、さまざまな形態があると思いますので、それぞれその取扱者においてそれぞれしかるべき方法で管理あるいは使用されているものというふうに考えております。
河村(た)委員 それぞれの方法でと。
 では、きのうちょっと、もう頼んでありますけれども、何か報告書みたいな、黒塗りでええですよ、何かそういうものがあるでしょう、一つこういう報告書をもらったとか。
 何が聞きたいかというと、まあそれを聞いてから言おうか、何が聞きたいか。
横田政府参考人 お答えします。
 形としては、報告書を、何らかの書類をもらうということもあるでしょうし、それから、聞いた内容を報告書にするということもあり得るかと思います。
河村(た)委員 あり得るから、きのう、きょう十時からだからちょっと何か至急ファクスで送ってよ、何かあるんでしょうと、それなら黒塗りでこういうものがありますよと、出してくださいと言いましたけれどもね。もらえませんか。
横田政府参考人 ちょっと私、そういう、けさ出すという約束になっていたかどうか存じませんでしたが、今委員がおっしゃるのは、そういう例えば報告書のようなものがあったら、出せない部分は黒塗りでもいいからそれを出してくださいという御趣旨かと思います。
 それにつきましては、もしこれを明らかにいたしました場合に、情報提供者の身上、氏名その他身分関係等、あるいは情報の種類、内容等が推知される、類推される場合がございまして、今後の調査活動に支障を及ぼすというふうに考えますので、提出につきましては御勘弁いただきたいと思います。
河村(た)委員 いや、これは黒塗りというのはどういう意味かといったら、欄外を黒塗りにしたり、そういう意味なんですよ、当然。そういう支障を及ぼすようなところを黒塗りにしてくれというんですよ、当然。いいじゃないですか、何も、すうすうと。それができないというのは何かちょっとおかしいんだけれども、それを出してくださいよ。
横田政府参考人 失礼します。
 どういう形態を先生の方でお考えかどうかわかりませんが、いずれにしましても、黒塗りがあったとしても、その内容といいますか、それは推知できる範囲にならざるを得ないわけでございますので、この点につきましては何分にも御勘弁いただきたいと思っております。
河村(た)委員 一応私たち、これは国民から税金もらって、国民の血税の使い道について、河村たかしさん、しっかり国会でチェックしてくれよと。それで私は仕事でおるんですよ、ここに。私、そのためにおるんです。その当人がこうやって質問しておるのに、そう言われたって、あなた、五年分だけでも、これは一億までいかぬけれども、七、八千万ありますね。大抵ずっとさかのぼれば、十年分で数億あるでしょう。二億ぐらいあるんですか、あとは推測ですけれども。そのお金の使い道について、私はこれは何もするなということですか。
横田政府参考人 お答えします。
 何もするなということで申し上げているわけではございませんで、やはりこういう調査活動、情報収集といいますのは、いろいろなケース、いろいろな必要に応じてやるものでございます。そして、だれから何をどのような情報を得ているか、調査しているかということ、それ自体が明らかになることが、今後の調査、情報収集活動に芳しくない影響を及ぼすということがあるから、事柄の性質上、御勘弁いただきたいというふうにお願いしたいわけであります。
河村(た)委員 国会はこれが限界ですかね、委員長。こんなものですか、一体、これは。こんなもの、別にどうでもできますよ、こういう報告書ですし、どうでもできる、出したところも全然わからぬように。黒塗りで見られるかわからぬというのなら切ってもいいですよ、そこを完全に。何とでもなるじゃないですか、方法は。それと、何枚あるんですか、これは。二億あればです、仮に。それでもできないの、そういう方法で。
横田政府参考人 先生の御要求の御趣旨が全く無になるような形の提出は、これはまたナンセンスだと思いますし、先ほど申し上げて、繰り返すのは大変失礼ですけれども、やはり必要な情報収集、調査活動というのは刑務行政を適正に行っていくためには欠くことを得ませんので、それがこういった形で明らかになるということになりますと、今後の協力を得られるかどうかということも含めまして、やはり困難が生ずるということを考えますと、ぜひともこの点は先生に御理解を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
河村(た)委員 いや、こういうことというのははっきりさせないと、例えば、それではこの資料を出してもらおうか、そのお金が二億というのを。
 例えば、刑務所の方と矯正管区の方と法務本省の方、何かちょっと来ると割といいごちそうを食べておられるそうだし、何かマージャンもやられるそうで、マージャンやられて結構でございますけれども、私も余り細かいことを言うつもりはありませんけれども、世の中、若干のやはりいろいろな、オイルがないと車もガソリンだけでは動きませんので、いいですけれども、何かそういう官官接待、こういうものに使われておるんじゃないかという疑惑がありますよ、これは。
 だから、それぞれ、本省が管区に行った、管区が刑務所に行ったというときに、何かもてなしたりもてなされたりする、そういう風習はあるんですか、ないんですか。
横田政府参考人 上級官庁等が行った場合にもてなす風習があるかということでございますが、そのような風習があるというふうには認識しておりません。
 それから、今の先生のお尋ねは、調査活動費がいわゆる官官接待に用いられたのではないか、そういう前提のお尋ねというふうに承りましたけれども、調査活動費は、本来の目的に従って適正に使用されているというふうに承知しております。
河村(た)委員 承知しているといって、いや、悪いけれども、横田さんは承知と、それを私は本当かというのを確かめるのが仕事なものですから。確かめようと思ったところが、では、どうやって確かめたらいいですか、これは。
横田政府参考人 どう確かめたらよろしいかというお尋ねにつきましては、私がこういうことはいかがというのは、なかなか知恵もありません。
 いずれにしても、私の方といたしましては、先生の御要求のとおりのそういう関係書類等の御提出は御勘弁いただきたいという以上にちょっと申し上げることはございません。
河村(た)委員 では、何にもできぬのだ、これは。議事録上、明確にしておきましょうか。このお金については、国会はチェックする権能を有しないということになるんですか。それこそ憲法違反でしょう、これは。大臣どう考えますか、今の話。あなたは国会議員ですからね。
森山国務大臣 法務省もできる限り資料をお持ちいたしまして御説明していることは御存じのとおりでございますけれども、その中で、この情報提供者等の身上とかあるいは情報の種類や内容が類推されるというような場合には、今後の調査活動の内容にも支障ができてくるという可能性もございますので、局長が申し上げたとおり、その内容についての詳細な御提出はできかねるということなんだろうと思います。
河村(た)委員 もっと自信があるなら、私でも、自分の払った税金が、それは必要な調査活動に使われるという、有効に使われておればいいですよ。仮に、この分は領収書を出せませんとか言われたって、ばくっと見たら、それはそうだろうなと思える。もっと私を説得してくださいよ。悪いけれども、大臣、全然説得されぬよ、はっきり言いまして。調査活動だって、出せばいいじゃないですか、何かぺらっと一枚か二枚、全然内容わからぬようにして。ああ、なるほどとね。
 暴力団関係者には使われていませんか、本当に。これはちょっと局長に聞こう。
横田政府参考人 お答えします。
 その点につきましても、具体的に、どこにだれにどういう形でどういうことに使われているかということにつきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
河村(た)委員 しかし、これはどうなる。(発言する者あり)今マネーロンダリングだと話がありましたけれども、みんなここへ入っていくとわけがわからぬようになってしまう。それより、私は国民として、やはり反対に説得してほしいよね、本当にこういう調査活動費として必要なんだ、わかってくださいよと。こんな方法なんて、委員長、簡単にできるでしょう、やりようによれば。
 だから、これは疑惑は深まりますよ、正直言って。そんな調査活動だったら何とでも証明できるんだから。何にも言わずに、それこそ、実際は自分たちの官官接待にほとんど使っているんじゃないかと。その官官接待を上手にやるごますりの人間だけ出世していく、そういう法務省の姿になっているんじゃないのか。そういうのを嫌って誠実に職務に励む刑務官をみんな逮捕してしまう。そういう法務省自体の組織疲労というか制度疲労が起きているんじゃないかと私は思うんだけれども、そういう僕の疑念を払拭させてくださいよ。
 大臣、どうですか、今の話を聞いておって。何とか仕組みを考えてくださいよ、もっと。
横田政府参考人 先ほど来の私の答弁が、調査活動費の使途に自信がないからではないかとか、あるいは不正に使われているからではないかというふうな、そういう疑念を持たれたとすれば、私の意図するところではございません。
 それでは、もう少し、一般的にどういう情報収集が必要かという点について説明させていただきたいと思います。
 刑務行政というのは、先生もよく御存じだと思いますが、一般論として、矯正行政においてどんな情報が必要かということを申し上げますと、これはあくまで一般論でございますけれども、例えば、公安受刑者、公安関係者が標榜するいわゆる監獄解体闘争、あるいは暴力団関係者の釈放時の出迎えの問題、その他、その際の反目団体の動向、施設あるいは職員に反感を持つ出所者の動向、それから政治団体及びその支援団体による矯正業務を著しく阻害する事案等の調査あるいはそれに関連する情報収集といったようなことが現実にあるわけで、調査活動費は、これは一般論として申し上げるわけですけれども、そのような調査活動そして情報収集、そのようなものに適正に使われているということでございます。
河村(た)委員 しかし、そういう情報なんかも、例えば警視庁なら警視庁でセクションがありますよね、暴力団に関係する調査のセクションとか。それから、そのほか等、皆さん、身分帳なんかにちゃんと完璧に持っているんじゃないの、実際は。そうじゃないんですか。
横田政府参考人 警察等から情報を得ればよろしいじゃないかというお考えは確かにそのとおりで、現実に、それぞれの施設においてはそれぞれの地元の関係する警察を初めとする関係機関との間の連絡、連携といったものをまた緊密に行って必要な情報を得ているものというふうに承知しております。
 ただ、それによってすべてが賄えるという筋合いでは必ずしもないわけでありまして、しかも、実際の施設運営の中において、緊急性が生ずることももちろんあり得るわけですので、そのような場合には、やはり施設独自あるいは管区独自といいますか、そこで調査活動、情報収集をしなければならないということがあることは御理解いただけるのではないかなというふうに私は思うんですが。
河村(た)委員 捜査機関じゃないよね、矯正局は。捜査機関じゃないですから、情報収集といって、もともとそんなセクションもありませんしね。だから、というより、どなたか、ここにおみえになる矯正局の方は非常に立派な方ばかりですので、管区かどこかに行ったときに接待を受けた方、みえるんじゃないですか。ちょっと答えていただけませんか。一遍もなかったですか。どうですか。
横田政府参考人 私の把握している限り、いわゆる先ほどおっしゃったような官官接待というものが行われているということはないと承知しております。
河村(た)委員 ちょっと顔つきを見ておっても、どうもそうじゃないような感じがするんだけれどもね、何となく。まあ推測で物事を語ってはいけません。
 では、ちょっと次のテーマに移らないかぬから。だから、刑務所、それから矯正管区、法務本省、そこのいわゆる接待というか、そのような交際の実態について調査と報告をいただきたいんだけれども、お願いします。
横田政府参考人 御趣旨はわかります。ただ、どういう項目で、どういうデータを御要望であるのか、私から申し上げるのは大変失礼ですけれども、もうちょっとおっしゃっていただきませんと、ちょっと私、返答のしようがないんですが。
河村(た)委員 では、例えば、一つは、管区が監察みたいに行かれるでしょう、刑務所に。そのときに、監察に行かれた方は、何時から何時までどこにいて、あと、昼飯をどこで食ったというところまで言っていいかどうかわかりませんけれども、夜はどういうホテルに泊まってどうであったかと。プライバシーに配慮していただいて結構ですから、例えばそういうようなこと。
 それから、法務本省の方が管区か何かに行かれますよね。何かそういうような、やはり監察のようなものがあるんでしょう。そういうふうなときに、どういう接待といいますか対応といいますか、されているのか。報告を三十分したということも結構ですけれども、それから一日のデーリーワーク、これをひとつ。
横田政府参考人 御趣旨はある程度わかりましたので、あとは委員とまた、対象の期間とかそれから対象施設であるとかそれから対象の、今先生が監察とかおっしゃいましたけれども、例えばそういうケースだというふうに限定していただければ、それに応じた適切な対処はいたします。
河村(た)委員 では、これはそれとしまして、次は、これから先に行こうかな、短いから。
 新潮45に記事が出ておりましたけれども、あれは本当でございますか。
横田政府参考人 お答え申し上げます。
 おっしゃるように、新潮45七月号に、「名古屋刑務所」という副題がついて「「刑務官接待」の酒池肉林」という記事が載っております。恐らくこのことでございましょうけれども、この件は、刑務官が仮名になっております。収賄の具体的な事実、収賄と言われていますけれども、その具体的事実が摘示されておりませんので、その内容の真否を確認することはできませんけれども、他方、この新潮45の編集部からは、この雑誌が公になる前、掲載されるに先立ちまして、本年の六月の二日でございますけれども、名古屋刑務所に対しまして、当刑務所、名古屋刑務所に勤務する実在の刑務官について取材がありました。恐らく、その編集部から名古屋刑務所に取材のあった実在の刑務官がここの仮名となっている人と同一人物であろうというふうに思いますので、それを前提にして若干御説明申し上げます。
 新潮45からの取材の内容ですけれども、これは、当該刑務官につきまして幾つかの点を指摘しまして、まず第一点が、名古屋を拠点とする暴力団組長や名古屋刑務所への入出所を繰り返している男から現金を受け取ったり、ラブホテルで女性による接待を受けるなどの収賄行為を行っていた事実の有無だということが第一点でございました。
 それから、取材の第二点は、この実在刑務官が暴力団の関係者から土地を譲渡された事実の有無ということでございました。
 それから、取材の第三点は、この刑務官がたびたび三重県に出かけまして暴力団関係者の接待を受けた事実があるかないかという、この三つの点についてでありました。
 いずれも具体的な内容ではなかったものですけれども、一応、名古屋矯正管区及び刑務所におきましては、可能な限りに幅広く調査を行ったというふうに聞いております。
 それで、その調査といたしましては、当該刑務官、それから関係職員、それから取材者が念頭に置いていると思われる被収容者、これも仮名になっておりますけれども、この45の記事では。その者から事情聴取を行いました。それからまた、関係記録も確かめました。土地の購入につきましては、売買を仲介しました不動産会社やそれから刑務共済組合に対する調査も行いました。
 その結果、新潮45の編集部が言ってきた当該刑務官はもとより、その他の職員やそれから被収容者も、取材対象の不正行為の事実を否定しておりました。そしてまた、土地の購入に関しましては、不動産会社が、通常の取引会社、現にその取引の仲介に当たった不動産会社もまた、これは通常の取引でありましたと言っておりますし、土地の購入資金は、刑務共済組合からお金を借りて、そして買っていたということもわかりました。
 このような調査結果でございましたので、名古屋刑務所におきましては、新潮45の編集部に対しまして、これらの調査の結果を伝えました。そして、調査の結果、不正行為は認められないという回答をいたしましたところ、編集部におきましては、暴力団関係者から土地を譲渡されたという点の記事は、これは雑誌に掲載されておりませんでしたが、その他の点については具体的な事実の摘示のないままに掲載されているという状況でございます。
 以上であります。
河村(た)委員 当方も、プライバシーもありますし、ただ記事だけで言ってはいけませんのでということでございますけれども、まあ、絶対ないと言い切れるという感じですか。
横田政府参考人 絶対ないかというふうに問い詰められますとなかなか返答に詰まりますけれども、いずれにしましても、これまで調査の結果はそうであった、しかし、また今後何らか、これまでの調査結果では不十分ではないかと思われるような事実が生ずるようなことがございましたら、これは調査をするということでございます。
河村(た)委員 それでは、次の話ですけれども、刑務所内で日用品を売っておりますね、日用品を。あれは、例えば、全国と名古屋刑務所でいいんですけれども、利益というか、はっきり言いまして、売り値が高いんじゃないのかという話があることが一つと、それで利益が出た金を何に使っているんだ、この二つがあるんですけれども、全国と名刑で、売り上げはどんなもので、どなたが売っておって、利益はどれだけか、去年でもいいですけれども、教えてください。
横田政府参考人 お答えします。
 全国がちょっと間に合わなかったものですから、名古屋刑務所で、わかる範囲で……(河村(た)委員「全国、出してあるよ。五千五百万と一千万、おれが言っておってもしようがないけれども」と呼ぶ)ああ、その趣旨ですね。
 まず、名古屋刑務所でお答えいたしますが、平成十四年度の売店の売上高は約五千五百万円でございます。それから、粗利が約一千万円というふうに聞いております。
 それで、高過ぎるんじゃないかというお尋ねですが、幾つかにつきまして取り急ぎ調べた結果がございますので、ちょっと細かくなりますが、お答えしてよろしゅうございましょうか。(河村(た)委員「ちょっと時間がないので、また話題にします」と呼ぶ)そうですか。
 はっきり結論だけ申し上げますと、いわゆる定価販売、定価より下回った金額で売っているということは事実でございます。不当に高いかどうかというのは、また細かいことを申し上げませんと御理解いただけないかと思いましたのですけれども、私ども、不当に高いというふうには決して考えていないと……(河村(た)委員「どこが売っているかね」と呼ぶ)これは矯正協会でございます。名古屋刑務所ですね、矯正協会が経営主体でございます。
河村(た)委員 ということで、結局、お金を払っておるのは受刑者さんですよね。ですね、一応。
横田政府参考人 売店を利用する人は受刑者ばかりに限りませんけれども、受刑者が買えば受刑者ということで、そういう趣旨でございます。
河村(た)委員 その金で矯正協会は一千万もうけられて、これは何に使っておるんですかね。
横田政府参考人 お答えいたします。
 これも取り急ぎの調査の結果でございますが、平成十四年度について調べましたところが、いわゆる粗利があるわけですけれども、そのような中から、この名古屋刑務所は矯正協会の支部になっているんですけれども、そこに支部があるわけですけれども、矯正協会の本部から支部に対して平成十四年度に五百万円の交付がされております。
 その使い道でございますけれども、被収容者の運動会及び行事などの被収容者教化費として約二百二十万円、それから職員表彰などの福利厚生費として約百三十万円、それから消耗品など売店運営に要する経費として約百五十万円使われているというふうに聞いております。
河村(た)委員 あとの五百万がどうなったかはわかりませんけれども、一千万もうけて。一遍これはまた、きのうのきょうだったもので、ちょっとこれはしっかり、幾らもうけて、矯正協会自体の経理、それからそれをどう使っているかですね、それで使い先、これは帳面があると思いますので。これは予算計上しておるんでしょう、名古屋刑務所は当然。
横田政府参考人 先ほど申し上げましたように、売店は矯正協会が運営しているわけでありますし、それから、先ほどの交付金は、国の機関である刑務所に交付されているのではなくて、矯正協会の支部に交付されていて、矯正協会はいろいろ活動目的があるのですけれども、その矯正協会の活動といいますか、事業として使われている。その事業目的の中にいろいろあって、先ほど申し上げましたように、職員の福利厚生その他があるということであります。
河村(た)委員 これは、やはりきちっと一遍、調査じゃなくて報告してくださいね、当然その経理を。
 なぜかって、これは受刑者の負担になっているわけですからね。これはなかなか大変なことですよ。下手して変なお金に使っておったら、受刑者の負担で、よもや官官接待に使っておるようなことはないでしょうな、これ。そのお金とか、皆さんのような東京におる立派な方が現地の刑務所へ行ったときに、お土産なんか渡されるでしょう。所長の部屋なんかに置いてあるんじゃないですか、たくさん。そういうお金になっておったら、これは大変なことですよ、受刑者はその分高いものを買わされて。そういうことはないですか。
横田政府参考人 そういう話は聞いたこともありませんし、そういうことはないものと思っています。
河村(た)委員 では、これはしかと、きちっと調べていただいて、要するに矯正協会の経理、それを具体的に、こんなものは、きちっとしたのがあると思いますよ、当然。報告してください。
横田政府参考人 これにつきましても、詳細につきましては、また委員とも打ち合わせた上で、対象機関その他やりまして、きちっとした数字を出して、先生の誤解を解ければいいなと思っています。
河村(た)委員 では、最後にしますけれども、これは何遍でも言わせていただきますが、大臣、今までの審議の経過、八名の刑務官に対する給料、野党としては、この間皆さんに相談しまして、一致しまして、これはやはり無給は考え直すべきではないか、やはり払ってやるべきではないか、法律に従ってというか、そういうことになりまして、きょう理事会でも提案申し上げたんだけれども、どうですか。やはり人情といいますか、最低の、ぎりぎりの、ここまでやはり犯罪事実について、犯罪ではありません、そもそも、わかってきて、きょうのビデオでもわかったでしょう。だから、考え直されたらどうですか、支給されたらどうですか。
森山国務大臣 先生が非常に温かい気持ちで刑務官の人々、あるいはその家族の生活なども思いやっていただくことは非常に敬意を表しますし、感謝にたえないところでございますが、ただ、この休職者は、職員としての身分を有しながら職務には従事していないというわけでございまして、休職者には給与を支給しないということが原則でございます。
 一方、起訴休職中の者については、俸給等の百分の六十以内を支給することができることにはなっておりますが、このたびの起訴休職とされた刑務官らにつきましては、その職務上の義務違反はほぼ明白であると考えられることでございますし、本件、この事案が刑務官が受刑者を死傷させるという悪質かつ重大な事案であるということを考えますと、何ら職務に従事していないにもかかわらず給与を支給するということは到底国民の理解を得ることができないのではないかと考えておりまして、給与は支給しないということに決定し、そのように今も考えております。
河村(た)委員 では、一言言って終わります。全く承服しかねるお言葉です。一言申し上げて終わります。
山本委員長 石原健太郎君。
石原(健)委員 矯正局長にお尋ねいたしますけれども、この新潮45の記事について現在どのような対応をとっておられるのか、お聞きしたいと思います。やはり、こういう記事が出ますと、ほかの刑務官の人たちに大変悪い影響もありますでしょうし、また士気が低下するというような心配もあろうかと思うんですよね。それで、どんな対応と、あとその刑務官たちに対してはどういうふうに考えておられるのか、お聞きいたします。
横田政府参考人 この対応ということでございますけれども、まず、先ほど河村委員からの御質問がございましたときに申し上げましたように、名古屋刑務所におきましては、新潮45の編集部から取材申し込みがありましたことから、できるだけ可能な限りその時点での調査をいたしまして、その調査の結果として、編集部が言ってきたような、そういう事実はないという回答をしております。
 それに対するそれ以上の対応は特段いたしておりませんが、いずれにいたしましても、何よりも大事なことは、これが本当になかったかどうかということであろうと思いますし、その点につきまして、私ども、これまでの調査の結果ではないというふうに考えておりますけれども、仮にこの現時点の判断が動くような事実が生ずるようなことがあれば、それは調査をしなければならないというふうに考えているところであります。
 いずれにしましても、現時点で、この記事が実際に現場で働いている刑務官の方々にどういう影響を及ぼしているかということは定かでありませんけれども、特段、これによって何らかの動揺等が生じているというふうには聞いておりません。
石原(健)委員 この刑務官については、平成八年ごろですか、管区の方に投書が何通か来て、そのときも調査をしたんだけれども、ごく簡単な、上滑りの調査だったような記事になっております。そのときは一体どんな調査をされたんでしょうか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 記事にも若干触れておりましたけれども、確認いたしましたところ、平成八年に、名古屋刑務所の収容の受刑者から、職員が暴力団関係者から金品等の提供を受けているという申し立てがございました。そこで、名古屋矯正管区におきましては、この申し立てた者から事情を聴取いたしましたところが、その結果、関係職員として今回記述された、仮名でされていますけれども、それと同一人物と思われる副看守長の名前が述べられました。そこで、この副看守長を含む関係職員や関係すると思われる受刑者等から、当時、可能な限り詳細な事情聴取をしたと聞いております。関係記録ももちろん確認したということでございます。その結果、不正行為の事実は認められなかったものだというふうに承知しているところで、いわゆるかばい合いとかそういうことはなかったというふうに認識しております。
石原(健)委員 影響するところもいろいろあろうかと思いますので、やはりこうした問題については、本省の局が地域に任せないで調査されることも必要なんじゃないかというふうに思います。
 それから、過去に、富山県とか熊本とか京都とか、いろいろそういう刑務官の収賄の事実もあって、そういう人たちは処分を受けたということのようですけれども、この名古屋においても、そういう過去の例なんかを見るとあり得ないことではないというふうな感じも持ちますので、なお本省できちっと対応されたらいかがかと思いますけれども、どうでしょう。
横田政府参考人 その新潮45の記事にもございましたように、確かに過去に、刑務官が暴力団関係の被収容者等に便宜を図って、その見返りに現金を受け取ったなどとされる事件がございまして、懲戒処分を受けるなどした事案が幾つかございます。
 いずれにいたしましても、このような事案は矯正職員に対する国民の信頼を著しく損ねるものでございますので、したがいまして、これはあってはならないわけですので、矯正局といたしましても、必要なことはこれからもやっていかなきゃいけないと考えております。
石原(健)委員 次に、これは中間報告にも載っておったことですけれども、平成十三年に、暴力団が、暴力団とは書いてなかったかもしれませんが、自動車に銃弾を撃ち込んだとか、その前には官舎に散弾銃を撃ち込んだとかあったようですけれども、こういう事件が起こりますと、やはり刑務官としては仕事がしづらい部分も出てくるんじゃないかと心配されるんです。再発を防ぐようにどういう対応を考えておられるのか、お聞かせください。
横田政府参考人 言われますように、過去に、この名古屋刑務所におきましては、暴力団による一種の攻撃的な行為があったということは事実であります。やはり、このようなことがありますと、何といっても、刑務官だけではなくてその家族、それから近隣の住民の方々にも影響を及ぼすところは極めて大きいものがございまして、そのような再発があってはいけないわけでありまして、そのためにも、私どもとしては、先ほどの質問のことにもなりますけれども、そのような暴力団なら暴力団あるいは関係者等の動向についてもやはり調査、情報も必要でしょうし、その動向を把握するということが大事ですし、それからやはり警戒も必要ですし、いろいろな訓練等も必要ですし、いろいろ考えながら、再発がしないように適切な対応をこれからもとっていきたいと考えております。
石原(健)委員 次に、警察庁の方からおいでいただいていると思うんですけれども、最近、やみ金融の跳梁ばっこというんですか、激しいものがあるようで、この間も八尾市の方で、それを苦にして心中事件なんかがあったというふうに聞きます。
 報道なんかによりますと、やみ金融と暴力団というのがかなり結びついているような報道もあるんですけれども、警察の方では、その点どういうふうにお考えになっておりますでしょうか。
瀬川政府参考人 やみ金融と暴力団との関係についてのお尋ねでございますが、警察におきましては、昨年、やみ金融事案として二百三十八事件検挙をしております。このうち、暴力団等による事件あるいは暴力団が資金提供等をしていたことが明らかになった事件といいますのが七十八事件でございまして、約三三%を占めているというふうになっております。
 ことしに入りましてからも、警視庁それから福島県警察等、一都五県警察から成る合同捜査本部を今設置しておりまして、広域暴力団、五代目山口組五菱会幹部らが全国の多重債務者を対象に組織的に高金利貸し付けを行う悪質なやみ金融事案を累次検挙しております。このように、暴力団の関与が非常に組織的に行われているというような実態も明らかになっているところでございます。
 こういった暴力団による事件、あるいは資金提供をするという以外にも、例えばやみ金融業者からみかじめ料を徴収するというような事案もありまして、両者は大変深い結びつきを持っている。ある意味では、やみ金融は暴力団の大きな資金源となっているというふうに我々は見ているところでございまして、暴対部門それから生活経済事件を担当する部門が一体となって取り締まりを推進しているところでございます。
石原(健)委員 やみ金融はなかなか取り締まりが難しいというようなことで、今、国会でもやみ金融対策の法案なんかが審議されているようですけれども、その間にも、自殺したり心中したりという、非常に苦しんでいる人たちが多いわけですよね。
 私は地元福島県で、時々地元の新聞に、そういう難しい状況の中なんでしょうけれども、摘発して逮捕したなんという記事が出るんですけれども、福島県ではどのくらいそういう例があるんでしょうか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 福島県警が独自に摘発したやみ金融事案につきましては、昨年は二事件三人の検挙となっておりますが、この事件に関連します貸付人員を見ますと、約二百人でございます。それから貸付総額は約三千五百万ということでございまして、全国的にこういったやみ金融事案が大変広がっているという状況が裏づけられます。
 それから、先ほどもちょっと触れましたけれども、福島県警は、警視庁等と合同で設置をしております悪質金融事案特別捜査本部に加わっておりまして、警視庁初め関係警察と一体となりまして、山口組系によるやみ金融事案の捜査に参画をしております。この特別捜査本部による事件といたしましては、現在までのところ、十九事件二十六人を検挙しておる、こういう状況になっております。
石原(健)委員 警察も随分と忙しくて、なかなか手が回らない部分もあろうかと思いますけれども、そういう被害に遭った方の話なんか聞きますと、本当にとてもひどい目に遭っているような感じがいたします。それで、大変忙しい中だとは思うんですけれども、一層力こぶを入れて、やみ金融に取り組んでいただきたいと思うんです。
 あと、八尾で亡くなった方は、警察にも相談したこともあるようなんですけれども、それにもかかわらず死ななければならないようなことになってしまったということで、警察庁としては、何かそうした被害者から警察に訴えがあったような場合、こう対応したらいいんじゃないかというようなことは通知しておられるんでしょうか。
瀬川政府参考人 お答えいたします。
 一般市民に対するやみ金融事案としましては、一件ごとを見ますと三万円とか五万円とか、非常に少額の貸し付けをしている例がほとんどでございますが、金利が数百%から数千%という、本当に法外な金利をかけておりまして、しかも取り立て等も極めて悪質だということで、大変重大な問題、いわば社会問題になっているというふうに認識をしております。
 被害者への対応でございますが、個別の被害者の置かれている状況というのはさまざまでございますので、一概には申し上げることは難しいかと思いますけれども、何といいましても、被害届を出していただいて、捜査を的確かつ迅速に進めるということが大事だと考えております。
 悪質な取り立てに対しては、警察に緊急通報してもらうようなルートをしっかり確立する。あるいは債権債務という、最終的には民事問題になりますので、弁護士、司法書士の方に相談していただくように指導をする。あるいは払う必要のない金銭要求に対しては、毅然として拒否するということを指導しております。
 八尾の事案につきましても全く同様の指導もしておりまして、きちっと断ってください、もうしばらく頑張ってください、警察も大至急事件捜査をやりますのでということで、被害者の方と話をしていたさなかの大変痛ましい結果であるということで、大変残念に思っております。
 それから、弁護士会の方との合同相談というのも警察でやっておりまして、こういった形でも被害者の方の負担軽減あるいは適切な対応に努めているところでございまして、今後とも事件の迅速な摘発と的確な被害者対策に努めてまいりたいと考えております。
石原(健)委員 警察庁の方、どうもありがとうございました。お戻りいただいて結構です。
 それで、暴力団は、金融とかなんとかだけに限らず、さまざま社会に害悪をなしているわけですけれども、名古屋の刑務所なんかは特に暴力団関係者なんかも多いと聞いております。そういう暴力団関係者に毅然と対応していた人たちが今度逮捕されている人たちだということもこの新潮45には書かれておりまして、先ほどお話のあった渡邉刑務官なんという人は、講習会か何かで一番の成績で卒業したというふうな話もありました。
 そういう人たちが逮捕されているようなんですけれども、行き過ぎもあったのかもしれませんが、職務上だったわけですよね。休職になって、一文も支給されないというんでは、これ、家族の人たちなんかはどうやって生活するんでしょうかね。ぜひその点を、また、今一審で、二審だ何だとなれば、随分期間もかかると思うんですよ。ですから、そういう点も考慮していただいて、なお省内で検討していただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
山本委員長 木島日出夫君。
木島委員 矯正管区の調査活動費、調活費についての集中的質疑です。
 ことしの六月十六日の東京新聞と、これは共同通信社による全国配信だと思うんですが、全国の地方紙に、法務省矯正管区のOBが証言をして、調活費から暴力団関係者に情報料が支出されていたと一面トップで大見出しで報道がされました。
 それで、法務省から、私、この数年間の調活費の予算をいただきました。大変驚きました。一九九八年度、平成十年度二千三百五十三万が、平成十四年度、これは二〇〇二年度ですが、わずか三百四十万八千円に激減をしている。各矯正管区別の推移もいただきましたが、東京管区、大阪管区は十分の一、他の六管区はそれぞれ四分の一から五分の一と大変な激減であります。
 法務省は、先ほど来の質問にも、必要なんだ、適正に使っておるというようなことを答弁しておりますが、なぜ激減したんでしょうか。
横田政府参考人 お答えいたします。
 矯正における調査活動費につきましては、これまで、各種の情報提供者からの情報提供に対する謝礼等として活用してまいりました。しかし、最近のインターネットの普及や各方面の情報公開の進展等、情報をめぐる情勢は急激に変化いたしておりまして、従来入手が困難でありました各種の情報や活動内容の一部につきましても比較的容易に収集することが可能になったことなどございまして、その情報収集のあり方を見直しまして、これまで各庁、各施設の地域性や収容の実情に応じて実施しておりました調査及び情報収集などを各矯正管区に集約いたしまして、いわばその合理化を図りました。
 そのようなこともございまして、御指摘のように、減額されてきているという状況でございます。
木島委員 きょうは、では、あわせて検察庁の調活費について、せっかくですからお聞きをいたします。
 これも事前に法務省からいただいた予算、これも私大変びっくりしましたが、先ほど指摘しました矯正管区、矯正に対する調活費と同じように激減をしておる。平成十年度五億五千二百五十九万五千円ですね、これが平成十四年度はわずか七千八百六十四万八千円、こういう状況ですね。最高検は六分の一、東京高検は十六分の一、大阪高検は九分の一、他は七分の一から十分の一、そういう状況です。
 これは、マスコミは、調査を名目にして自分たちの遊興費に充てていた、そういう追及がこの数年間徹底してやられてきた、そういう結果漸次削減してきたんじゃないか、こうマスコミは指摘しているわけですが、刑事局長でもいいですし法務大臣でも結構ですけれども、こういう厳しい指摘に対して、どう答えるんですか。何でこんなに検察庁の調活費が激減しているんですか。やっていけるんですか。
樋渡政府参考人 根本的には先ほど矯正局長が答えた理由が当てはまると思うわけでありますが、すなわち、検察庁の調査活動費が平成十一年度以降大幅に減少しましたのは、犯罪情勢の変化等に伴い、調査対象、方法の見直しを行ったことによるわけでございます。
 従来は、外部協力者に謝金を支払い、主として公安情報を入手するという執行形態が一般でございましたが、公安情勢が大きく変化する一方、検察庁には、いわゆる特捜・経済事犯への対処とそのための情報収集、分析の手段及び検察庁の事務の効率化のためのコンピューターネットワークの導入や独自捜査のための内偵捜査の経費の拡充が求められてきたわけでございます。これらの事情から、平成十一年度以降、調査活動費の額や執行のあり方を大きく見直すこととしまして、その検討を進め、情報関係予算としましては、調査活動費の一部を、順次検察庁の全国的なコンピューターネットワークの整備経費などにシフトすることとしたものでございます。
 他方、公安情報につきましては、関係諸機関との情報交換会を頻繁に開催するなど情報収集の多様化、効率化を進めておりまして、全国的なコンピューターネットワークの整備と相まって、調査活動費を減額しても、検察庁全体として見ると情報収集等に支障を来すようなことはないと考えているわけでございます。
木島委員 どうも、理由を聞きましたが、矯正当局の答弁も刑事当局の答弁も、本当に説得力がないですよね。本当にこの調査活動費が必要で、適正に使われ、それが例えば刑事関係で平成十年度で五億五千万という、本当にこれが捜査に適正に使われて、これはなくてはならぬというものであったら、やっていけない。それが犯罪情勢の変化、コンピューター化等によってわずか七千八百万でもやっていけるんだなんというのは、信じられるでしょうか。むしろ、この間、犯罪情勢はますます深刻、重大になって、難しい事件がふえているんじゃないでしょうか。
 前大阪高検の公安部長であった三井環、今収賄等被告事件で起訴されているんでしょうか、彼が初公判で申し立て書なるものを提出した。報道もされましたが、そこでどんなことを言っているか。真実かどうかは確証ありませんが、読んでみましょうか。初公判で、前大阪高検の公安部長をやっていた人の申し立て書ですよ。
  検察の裏金づくりの実態
  検察庁には、調査活動費という予算があります。中小地検では年間約四百万〜五百万円、東京地検では約三千万円、大阪地検では約二千万円と、その庁の規模によって予算が示達されます。全国すべての検察庁において、その調査活動費のすべてが自動的に裏金に回り、一円も本来の用途には使われていませんでした。
  事務局長が検事正、検事長、検事総長らの高級料亭、高級クラブ、ゴルフ代等の遊興飲食について、すべてこの裏金で支払いをするのです。
  架空の情報提供者数名を作りあげて、一件の情報につき、原則三万円か五万円の謝礼を支払う形にして、それに見合う虚偽の支出伺書を作成し、架空人数名が三万円か五万円を受領した旨の領収書を偽造する方法で金を浮かせ、事務局長がこれを裏金としてプールするのです。公安事務課長が虚偽の支出伺書や架空人名義の領収書を作成する作業を担当し、仮に年間予算一千万円であれば、一件五万円とすると、二百枚の虚偽公文書と架空名義人の私文書である領収書を偽造することになるわけです。
  裏金の使途は、職員の餞別や冠婚葬祭に支払うことも若干はありますが、そのほとんどは、高級料亭、高級クラブでの遊興飲食代の支払いに充てられるのです。一晩で少ないときで十万円、多い時には三十万円もの豪遊に、このお金は使われていたのです。
これが真実とすれば、本当に驚愕する中身であります。彼は、逮捕されました。これを表ざたにされるのを口封じのために自分は逮捕されたんだというのが、彼の主張なんですね。逮捕容疑事実は、ここでは全く問うつもりはありません。彼がこういう形で申し立て書と題するもので書いた裏金づくりの実態、法務当局はこれにどう答えるんでしょうか。全くでっち上げだと答えるんですか。
樋渡政府参考人 先生御指摘のように、彼は現在公判係属中でございまして、彼が自分の公判でどういうことを言うかということについて、私どもがとやかくこの場で言うつもりはございませんが、検察庁の調査活動費は適正に執行されているというふうに承知しておりまして、経費の性質上、その具体的な使途を明らかにできないことは御理解いただきたいところでありますが、三井氏が言っているような事実は全くないといいますか、そういうようなことはないというふうに思っております。
木島委員 調活費の性格上、使った中身を明らかにできないといって、そして、三井、今被告人でありますが、彼の陳述を全面否定する。説得力ないんですね。
 改めて、それではこれは矯正でもいいですが、刑事も同じだと思うんですが、調査活動費の支出手続、謝礼、謝金の交付手続の基本的な流れを説明していただけませんか、現在とり行われている基本的な流れ。
横田政府参考人 矯正官署における調査活動費の支出手続について、概要を申し上げます。
 調査活動費の支出に当たりましては、取扱責任者が支出官に資金請求を行いまして、それを受けた支出官が資金前渡官吏に資金を交付いたします。次に、取扱責任者は、資金前渡官吏から現金の交付を受けまして、取扱者を通じて情報提供者に所要の費用を支払います。情報提供者からの領収書等につきましては、取扱者において適正に管理するという、こういう手続で行っております。以上でございます。
木島委員 確認しますが、最初の出発点に当たる取扱責任者が支出官に請求をする、取扱責任者というのは、矯正管区長ですね、請求を受ける官署支出官というのも同一人物である管区長ですね。同一人物である管区長がみずからに請求する、そういう法的仕掛けになっている。これは間違いないんですか。
横田政府参考人 おっしゃるとおり、支出官は矯正管区長でございます。それから、取扱責任者も矯正管区長でございますので、そういう意味では同一人物ということになりますが、組織上というか、規程上の官といたしましては、やはり支出官とそれから取扱責任者というものとは観念上は別個のものということが言えます。
木島委員 法的観念は別個ですが、自然人としては同一人物、しかも最高責任者である管区長なんです。
 改めて聞きますが、取扱者責任者たる管区長が、まず調活費の請求を支出官たる管区長に出す、そうすると、支出官たる管区長から支払い請求が資金前渡官吏に回って、資金前渡官吏から現金が取扱責任者たる管区長に行く、そういう流れですが、資金前渡官吏というのは、大体、矯正管区ですと総務課長あるいは会計課長、こう聞いていいですか。
横田政府参考人 通常、総務課長と会計係長と聞いております。
木島委員 そして、取扱責任者は、そういう形で自分の手元に入ってきた現金を取扱者に交付する。取扱者は、お金を受け取ったという受領書を管区長に出すということなんですが、その取扱者は、全国すべての矯正管区では第一部長だと聞いていいですか。
横田政府参考人 おっしゃるとおり、第一部長でございます。
木島委員 取扱責任者たる管区長から取扱者たる第一部長に現金が渡される。そのときに、取扱者から、現金を渡してくれる管区長、取扱責任者へはどんな書類が行くんでしょうか。
横田政府参考人 取扱者から取扱責任者に対しましては、受領書が渡されます。
木島委員 その受領書の作成名義人はだれですか。
横田政府参考人 取扱者名義でつくられます。
木島委員 それしか行かないんですね。要するに、矯正管区第一部長の作成名義の受領書が矯正管区長に渡されるだけですね。
 どう使ったかはどうなるんですか、それは。そして、どう使われたかの領収書ですか、最終的には協力者からもらう領収書なんですが、そういう、本当に正しくその金が使われたかを証するものが、第一部長、取扱者から管区長、取扱責任者に行くシステムはつくられているんですか。
横田政府参考人 今申し上げましたのは、前渡金として取扱者が受け取った場合に受領者へ行くという話でございまして、その後のいわゆる謝金あるいは謝礼等が現実に交付されたという流れにおきましては、領収書が上がってまいりますし、それからその調査結果、それから情報内容等につきましては、当然担当者から取扱者を経て取扱責任者に報告が行く、そういう流れになっております。
木島委員 私が法務省からいただいている調活費の基本的な流れ図には、二つの性格があって、一つは、支出手続ですよ。それは、取扱責任者から自分である官署支出官に請求が行って、資金前渡官吏を通じて現金が流れてきて、その現金は第一部長たる取扱者に行くという、その支出手続ですよ。その流れと、謝金、謝礼等交付手続がどういう形をとって協力者に流れていくか、協力者からどんな領収書が流れてくるのかというその一覧表はいただいています。
 私が言うのは、その支出手続ですね。幹部だけですね。要するに、矯正管区でいえば、管区長と第一部長と会計課長、総務課長ですか、その間の手続と、協力者から領収書がとられていくというその流れとは切り離されているんじゃないかということを言っているんです。それはそうなんでしょう。
横田政府参考人 お答えいたします。
 ちょっと、やや不正確であったかもしれません。委員に資料としてお渡ししたものは、支出手続と、それから謝金・謝礼等交付手続というふうに截然と区別した形でつくられているので、ちょっと誤解を持たれたかと思います。
 いずれにしましても、これは支出手続でもありますし、それから交付手続でもあるということで、全体として御理解いただければというふうに思いますが。
木島委員 私が指摘したいのは、法務省からいただいた書類を見ても、協力者なる者から受け取った領収書なるものはどこでとまっているかといったら、担当者、使用職員のところでとまっているシステムになっているんですよ。そして、最終的には、取扱者、第一部長のところまでは領収書が行く仕組みになっているんですが、そこで切り離されているんですよ。だから、第一部長から上、矯正管区長、そこの間は領収書の流れはとまっちゃっている。それは間違いないですねと言っているんですよ。
横田政府参考人 お答えします。
 流れとして、今先生がおっしゃったとおりでございます。
 ただ、この調査活動費の予算執行に当たりましては、取扱責任者におきまして、その都度、その経費の必要性とか目的、金額、それから情報提供者からの領収書等の確認は行っております。そして、適時に現金出納簿と現金残高の確認を行うなどしておりまして、適正な予算執行の確保に努めておりますが、委員にお渡しした資料は、この処理の流れだけですので、この点もちょっとやや不正確であったというか、誤解を招いたかもしれません。取扱責任者が全くその存在、内容を知らないという趣旨では決してございません。
木島委員 もう時間ですから、これはなかなか複雑で、非常に大事なところですから、引き続き次回に質問しますが、正確な資料を私のところに届けてくれないと困ります。
 そのことだけは指摘をして、きょうのところは終わります。
山本委員長 保坂展人君。
保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。
 まず法務大臣に伺いますが、今回、御承知のように、六月十六日、東京新聞の朝刊などに、暴力団関係者に調活費から情報料が支払われた、こういった記事が、大臣、出ておりますね。これについて抗議したという話はまだ聞いておりませんけれども、大変これは、今法務行政が揺らいでいる中で、こんなことがあるのかという衝撃を与えたと思いますね。
 ただ、私は、この記事をそのままうのみにして信じるというわけにはいきません。暴力団への謝礼というのは、これは単なる名目だったんではないか、公金の不正支出あるいは遊興に部内者で使われてきた架空の言い分ではないのかというふうに感じます。
 大臣に伺いますが、すべて適正に処理しているというふうに大臣のもとに報告が上がってきていると思いますが、もし不公正な支出の証拠が出てきたり事実が確認されたりすれば、どう対処しますか。
森山国務大臣 先ごろそのような報道があったということは私も承知しておりますけれども、取材を受けました矯正管区におきまして調査活動費の目的について説明したことはありますが、個別具体の使途について説明したものではなくて、暴力団関係者への支出を認めたものではないというふうに承知しております。
 また、調査活動費を暴力団関係者に支出していたと矯正管区長のOBが認めたという報道もあったようでございますが、取り急ぎ調査した範囲におきましては、そのような回答をした者はいないという報告を受けております。
保坂(展)委員 大臣、答弁書を見ないで、もう一回整理して聞きますので、これだけ答えてください。
 私は、暴力団に刑務所側が接待をして抗争の情報を聞くなんということは、ちょっと信じがたいんですよ、こういうことは。ですから、これはあくまで名目で、暴力団関係の情報収集という名目で、部内の飲食、遊興に使われた疑いがあると言っているんです。
 今大臣のところに上がってきている報告は、そんなことありません、適正に処理されてきましたということでしょうが、もしそういう事実や実態あるいは証拠が出てきた場合には、厳正に対処しますか、どうするんですかと聞いているんです。
森山国務大臣 私も信じがたいと思いまして、調べましたところ、先ほど申し上げたような報告でございました。
 それを信じたいと思うのでございますけれども、万に一つ、そういうことがもしあるということがはっきりいたしましたら、それは厳正に対処しなければならないと思っています。
保坂(展)委員 万に一つと言われたのは、多分、暴力団に調活費が支払われていたということを大臣は言っているような気がするんですね、万に一つ。しかし、もっと高い確率で、暴力団への支払いは名目、しかし事実は部内者の飲食、こういう事実が出てきたらどうしますかと聞いているんです。
森山国務大臣 そのようなことが行われたと私も思えませんけれども、そのようなことがもしも万一あったとすれば、それは非常に厳しく対処しなければならないと思っています。
保坂(展)委員 官房長に伺いますが、これは、法務省全体の調活費の明細を昨日いただきまして、手元にあるんですけれども、九八年と本年度を比べてみると大分減っているようですが、法務省全体の各組織別に、組織というところで、それぞれが、平成十年、そして十五年とどの程度変化があるのかというのを、ちょっと数字を答弁していただけますか。
大林政府参考人 お答えします。
 法務本省につきましては、平成十年度が三千八十六万円、平成十五年度が三百七十二万円。それから、訟務の関係でございますが、一千百七十一万円から百三十二万円。それから、検察官署が、五億九千七百四十一万円から八千四百二十万円。矯正官署が、二千五百四十四万円から三百六十五万円。地方入国管理官署が、四千九百三十八万円から一千三百二十六万円。それから、外局になりますが、公安調査庁が、二十億五千五百四十一万円から十九億一千三百九十七万円。このようになっております。
保坂(展)委員 今答弁していただいたように、九八年当時は、法務本省で三千八十六万円の調活費があったと。
 刑事局長に伺いますが、刑事局にも調活費というのはあるんですよね。
樋渡政府参考人 ございます。
保坂(展)委員 初めて刑事局にも調活費があるというのを知ったわけですけれども、官房長、この平成十年度の法務本省三千八十六万何がしかの調活費の各部局ごとの内訳を答弁していただけますか。どのぐらいの配分でそれぞれの局に割り当てられていたのか。
大林政府参考人 法務本省分につきましては、刑事局関係が平成十年度は約千九百五万でございます。それから、入国管理局が約千六十七万円でございます。
 それで、十五年度は、刑事局経費が約百六十万円、それから入国管理局関係が二百十二万円でございます。
保坂(展)委員 検察庁の調活費問題も先ほど同僚議員から問題になりましたけれども、刑事局長、法務省の刑事局の調活費というのは何に使うんですか。
樋渡政府参考人 刑事局における調査活動費は、刑事政策に関する調査、情報の収集等の調査活動に要する経費でございまして、調査活動における協力者に対する謝金や各種資料を入手する際の必要経費などに使用されております。
保坂(展)委員 ちょっと到底納得できないんですけれども、大臣、御存じでしたか、これは。刑事政策の立案に、情報提供者に何か謝金を払うというのは、そういうことはありますか、一体。どうですか、感想は。
森山国務大臣 余り具体的なことは申し上げられないのが残念でございますが、くくって、丸めて申し上げますと、局長が申し上げたようなことになるのではないかと思います。
保坂(展)委員 では、官房長にもうちょっと聞きます。
 いただいた紙を見て、今も答弁していただいたんですけれども、訟務の項目で、千百七十一万円の平成十年の調活費が、今年度だと百三十一万円。訟務局とか、今訟務部ですか、ここは何かどう考えても必要ないんじゃないですか、これは。何をするんですか、この訟務関係の調活費というのは。
大林政府参考人 議員御承知のとおり、訟務部門は、国の利害に関係のある民事及び行政事件の裁判につき、当事者主義ということでございますので、国または行政庁の指定代理人として主張、立証を行っております。いろいろな事案がございまして、事案によっては、相手方の動向あるいは事実関係等について的確に情報を把握するという場合がございまして、そのための調査、情報収集経費として使用されている、このように承知しております。
保坂(展)委員 国を代理して法廷で国民の訴えと向き合うというのが訟務の仕事でありまして、そこに情報工作とかいうのがあったということですか。金銭を渡して、どういう状況になっているのかとか、国を訴える国賠訴訟等のどういう弁護士がやっているのかとか、あるいはどういうグループなのかということを、そういう情報収集活動を訟務もやっていたということなんですか。これは大問題ですよ。
大林政府参考人 具体的な一例として申し上げますと、最近は余り聞かないんですが、以前はいわゆる荒れる法廷というものがございまして、訴訟活動をする上で相手方の動向等を把握する必要があったということも聞いております。
 ただ、最近におきましては全体的にそのような法廷というのは少なくなっておりますし、また、新民事訴訟法によって、当事者照会制度、期日外釈明等が認められ、当事者の証拠収集方法が拡充されているなど、事実関係の調査、情報の収集方策が多様化しておりまして、他の手段によっても情報収集が可能となったことから、次第次第に調査活動費を減額しておりまして、さらに今、実情に応じて減額措置をとりたい、こういうふうに考えているところでございます。
保坂(展)委員 そこで、先ほどから議論されてきているように、九八年から九九年にかけて、平成十年から十一年にかけて、この調活費はそれぞれのジャンルで激減しているんですね。
 刑事局長に伺いますけれども、例えば、東京高検だと、平成十年には三千九百四十万円あったのが翌年には千五百万円台に減額しています。それから、東京地検だと、五千二百十九万円だったのが二千百五十五万円に減額されている。インターネットがこの一年を境に爆発的に普及したということですが、こんなに急激に減ったのは、何か理由があるんじゃないんでしょうか。
樋渡政府参考人 先ほども説明いたしましたように、そういう情報収集のシステムをコンピューターネットワークの方に移していこうということ、一言で言えば政策の変換、その方法の変換を図ったわけでございまして、そのために予算を請求するということになったわけでありますから、その真ん中で、まだ移り切らないときに、さまざまな我々の事務に支障があったことはあったかもしれませんけれども、とにかくそれを移していこうというふうに考えたわけでございます。
保坂(展)委員 全く説得力がない説明なんですね。
 矯正局長に伺いますが、名古屋の矯正管区に絞って聞きたいと思いますが、年間を通して調活費を使う人というのは一体何人ぐらいなのか、また何件ぐらいなのか。一件ごとの、使い道、領収書の平均的な総額は幾らですか。総額じゃない、一枚の。
横田政府参考人 お尋ねでございますけれども、具体的な使用者の数とか件数でありますとか、使途それから領収書の平均的な額ということにつきまして、これを明らかにしますことは、また今後の調査活動の円滑な遂行に支障を来しますので、その点につきましての回答は差し控えさせていただきたいと思います。
保坂(展)委員 これも全く答弁になっていないですね。だって、そこまでおっしゃるんなら、金額を出すこと自体も支障になりますよ。今、刑事局の調活費の金額が出ただけでも支障になりますよ。金額は明らかにしている。それだって、一体何件出したとか、何人が使ったなんというのは、そこに具体的な内容はないわけですから、これはおかしい。
 会計検査院に来ていただいていますね、局長さんに。これは何回か、他のテーマでも捜査機関に対する検査のあり方を聞いていますけれども、会計検査院が、例えば法務、例えば矯正でもあるいは検察庁でも訪れたときに、これは捜査上の秘密あるいは秘密にかかわる事項なんで情報提供者を教えられない、あるいは領収書を見せられない、そういう対応ですか。どうやってこの調活費については検査をしているのか、簡単にお答えください。
石野会計検査院当局者 今お話しの調査活動費につきましては、証拠書類の手元保管を一部で認めておるということがございますので、今お話しのとおり、実地検査へ赴きました際に、関係書類の提示を受けるとか説明の聴取を受けるというふうなことで、その支払いが適正かどうかということを検査してきておるところでございます。
 その際に、そういった物的な資料といいますか、関係の資料あるいは説明書、聴取、受けた説明等をいろいろな観点から対査、照合しまして、異常点があるのかないのかというふうなことを十分検討した上で判断しておるということでございます。
保坂(展)委員 もう一回局長に聞きますけれども、これだけ使いました、例えば額面一千万円です、情報提供者何人、内容について詳細は捜査に支障があるので言えません、こうですよと言って、それはおかしいなという判断をしたことはないんじゃないですか。判断しようがないんじゃないですか。信じるしかないですねという世界じゃないですか。
 どうなんですか。信じないことはあったんですか。もうちょっと見せてくれということはあったんですか。そこまで言える権限はあるんですか。そういう、実際上ありましたか、調活費を、もっと見せてくれ、いや、見せられませんというやりとりはありましたか。
石野会計検査院当局者 個々具体的なところというのは、かなり検査の、いわば実際上のノウハウみたいなところにかかわってきますので申し上げられませんけれども、確認できるところまではきちっと確認をするということで対処しておりますので、現実の場面では、今お話しのように、そういった種々のやりとりはあろうかと思いますが、その中で我々として、検査として、心証を得られるというふうな範囲まで検査するということで、厳正に検査をしてきているというふうに考えております。
保坂(展)委員 いや、逃げずにといったって、中身を見て、ここはどうなのと言うことはできないんでしょう。できないのに、逃げずにといったって、変じゃないですか、それは。
 例えば、架空の領収書で、私が一番最初に言いました暴力団に対する謝金というようなことがあったにしたって、それは、それ以上のことは突っ込めないわけですね。領収書を見せろということも言えない。したがって、不正な支出であったかどうか、指摘のしようがないというのが正直なところじゃないですか。厳格にやっているんですか。やっているんであればはっきり実績を、いつやったか示してくださいよ。ちょっと、いいかげんな答弁じゃ困るんですね、これ。
石野会計検査院当局者 先ほど申し上げましたように、証明責任者の手元に保管されている証拠書類あるいはその関連の書類というものは、何もそれをうのみにしているわけじゃございませんで、やはりあらゆる面から、そういったものが正当性を持つのかどうかということの検証は十分行うというふうなことで検査はしてきておるところでございます。
保坂(展)委員 それでは伺いますが、のめなかったことはあるんですか。うのみにしていないと言うなら、これはのめない、だめだというのはあったんですか。一件でもあったら言ってくださいよ。
石野会計検査院当局者 具体の実地検査のやりとりの中では、さまざまなやりとりがあろうかと思います。
 ただ、最終的にこれはおかしいというふうに認定できたもの、それを証拠づけられたものについては、これは検査報告の中で指摘をするというのが我々のスタンスでございますので、そういうことでやってきておりますが、現在までのところ、そういう検査報告に載せるというふうな事態を把握していることはございません。
保坂(展)委員 大臣、今のやりとりでわかったように、うのみにしないそうですけれども、これはラップにくるんでのむんですね。のむしかないんですよ、だってこれは見えないんですから。
 ですから、これは大変不自然ですよ。インターネットが普及したといっても、五千万がいきなり二千万と、がんと落ちるわけですから。もし仮に、名古屋刑務所の問題でも今聞きましたけれども、一切明らかにできないということでは承知できませんよ。
 しかも、訟務関係の調活費とか、一体、本当にこれは必要だったのか。しっかり点検して、過去、一体これは適正に組み立てられてきた予算だったのかどうか、やはり報告してくださいよ。これはやはりしっかりやってもらわないと、全体を見たときに、矯正管区だけの問題で私は驚きましたけれども、ちょっと、きのうからきょうにかけて法務省全体を見てみて、余りにも問題があり過ぎると思います。いかがですか。
森山国務大臣 先生の疑問もわかるような気がいたしますし、また、会計検査院のお話も、私、理解できると思います。
 会計検査院が検査をなさるときには、それぞれの現場で担当者から詳しいお話をお聞きになるんでしょうし、不審だと思われる点は何回も追及されるんだろうと思います。その結果を報告書にお出しになるということで、それ自体は少しもおかしいことはない、会計検査院の仕事がそういうものであるということはよく理解できるわけでございます。
 しかし、良好な治安を維持するということを法務省が職務といたしております以上、情報収集という仕事は非常に重要でございまして、そのために具体的な使途を一つ一つ明らかにするということがここではできないということも御理解いただきたいというふうに考える次第でございます。
保坂(展)委員 では、本当は答弁書を読んでほしくないんですが、一点だけ聞きます。もしそれが重要な仕事だったら、今後、調活費が倍になることもありますね、それだけ答えてください。増額することありますね、大事なんですから。
森山国務大臣 それは、どうしても必要であるというものがあれば、それはどんなに多くても請求をしなければならないというふうに考えています。
保坂(展)委員 終わりたいんですけれども、そうすると、では、減ってきたということ自体は、必要性がどんどん減じてきたということですね。
森山国務大臣 それは、先ほど来御説明をそれぞれの局長や官房長が申し上げたようなわけで、もっと能率よく、また集約して、しかも同じような効果が上げられるように努力をしたという成果だと思います。
保坂(展)委員 納得できませんが、時間になりましたので終わります。
     ――――◇―――――
山本委員長 次に、塩崎恭久君外四名提出、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。塩崎恭久君。
    ―――――――――――――
 商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
塩崎議員 ただいま議題となりました商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、定款の授権に基づく取締役会の決議による自己株式の取得を認めるとともに、中間配当限度額の計算方法を合理化するため、商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正しようとするものであり、その内容は以下のとおりであります。
 第一に、自己株式の取得の方法について、現行法では、定時株主総会の決議をもって取得する自己株式の総数等を定めなければならないこととされていますが、定時株主総会後に生じた株価の急変や、急を要する合併等に的確に対応するための機動的な自己株式の取得が行えるよう、定時株主総会の決議がない場合であっても、定款の授権に基づき、取締役会の決議をもって自己株式の取得をすることができる制度を創設することとしております。
 第二に、最終の決算期後、資本または法定準備金の減少を行うとともに、減少した資本等の額をもって自己株式の取得枠を設定した場合における中間配当限度額の計算方法について、現行法では、中間配当限度額の計算に当たり、減少前の資本等の金額と自己株式の取得額とを純資産額から控除することとされているため、中間配当ができなくなる事態が生じております。そこで、このような事態の発生を防止するため、中間配当限度額の計算に当たって、減少した資本等の額を加算することとする措置を講じております。
 以上が、本法律案の趣旨であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る二十七日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.