衆議院

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第4号 平成18年3月10日(金曜日)

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平成十八年三月十日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 石原 伸晃君

   理事 倉田 雅年君 理事 棚橋 泰文君

   理事 西川 公也君 理事 早川 忠孝君

   理事 松島みどり君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 漆原 良夫君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      近江屋信広君    太田 誠一君

      北川 知克君    笹川  堯君

      柴山 昌彦君    下村 博文君

      平沢 勝栄君    三ッ林隆志君

      水野 賢一君    矢野 隆司君

      保岡 興治君    柳澤 伯夫君

      柳本 卓治君    石関 貴史君

      泉  健太君    市村浩一郎君

      枝野 幸男君    河村たかし君

      津村 啓介君    細川 律夫君

      伊藤  渉君    保坂 展人君

      滝   実君    今村 雅弘君

      山口 俊一君

    …………………………………

   法務大臣         杉浦 正健君

   法務副大臣        河野 太郎君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   最高裁判所事務総局総務局長            園尾 隆司君

   最高裁判所事務総局人事局長            山崎 敏充君

   最高裁判所事務総局民事局長            高橋 利文君

   最高裁判所事務総局刑事局長            大谷 直人君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        松山 隆英君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  武市 一幸君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   小津 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  森山 眞弓君     北川 知克君

  細川 律夫君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  北川 知克君     森山 眞弓君

  市村浩一郎君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     細川 律夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

石原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局審査局長松山隆英君、警察庁情報通信局長武市一幸君、法務省大臣官房長小津博司君、法務省大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省刑事局長大林宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局園尾総務局長、山崎人事局長、高橋民事局長及び大谷刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉田雅年君。

倉田委員 裁判所職員定員法の一部改正ということでございますが、内容は、判事の員数を四十人、判事補の員数を三十五人、それから裁判官以外の職員の数を三名ふやす、こういう内容でございます。

 裁判と申しますと、もともと、起こってしまった事件を処理するという、いわば、後ろ向きと言うのはおかしいかもしれませんが、政治のような躍動性がない、こういうことで、興味のある人は大いにあるけれども一般的には無味乾燥という部分も含んでいる、こんなようなのが裁判だと私は思います。まして、その定員数を一けたないし二けた増員するという法律、何か小さいことではないかと思われる部分もあるかもしれませんけれども、しかし、私はそうは思わないのであります。

 裁判は、今言ったように、つまらない、おもしろくないという部分も、私は弁護士で三十何年やってまいりましたので、少しマンネリに陥っていた時期もありまして、そんなような感想も持つのかもしれませんけれども、しかし、裁判というのはその時々の社会の動向を強く反映しますし、また、事件数の増減とか裁判のやり方というのはその国の社会経済システムと大きくかかわるものでありますし、また時には、裁判官というのは、社会のあり方を律していく極めて高度な知的な作業をする人種でもあるわけであります。その数の動向というのはやはり非常に重要性を持つわけでございます。

 また、刑事裁判というものなどを考えますと、いわゆる社会の安全と安心、犯罪を抑制するという意味において大きく関係してくることではないか、こう思いますので、やはり裁判官の人数、裁判所職員の人数というのは大きな事項として国会の場で審議をされてしかるべき重要事項であるな、こんなことを改めて考えるわけでございます。

 ところで、このところ、国全体としては、財政削減といいますか財政再建を目指して小さな政府にしようではないか、こういう中で、公務員の数を大幅に減らす必要があると言われているところでございます。

 昨今の新聞を見ていましても、二月二十四日の経済新聞、現在、年間一万人前後の退職者があるのに対し、公務員のことでございます、新規採用は八千人前後で、年間二千人減る計算だ、三十三万人いる現在の国家公務員を五年間で五%純減させていくのにはどうしたらいいか、こういうことを政府が一生懸命考えておりまして、二〇〇七年から実施をしていこう、こういう中にあるわけでございます。

 もっとも、その後の新聞によりますと、省庁からは公務員削減数の申告がゼロであるなんという問題もありまして、政府も一生懸命これに取りかからねばならない状況にあるのではないかと思うのです。

 こうした中で、裁判官及び裁判所の職員を若干なりとも増員していくには、それなりの考え方といいますか、そういうものがあるのではないかと思うわけでございます。単に事件数がふえているということのみではなく、裁判の速度を上げていくといいますか、裁判官の員数を増員することによって、何年もかかってしまうと言われている例えば民事事件等につきまして、その審理期間を短縮するという目的もあるのではないかと私は考えるわけでございます。

 まずお聞きしたいのは、これは最高裁でしょうか、現在、裁判官の数はたしか十七年度で三千三百二十六人のはずであります。職員の数は二万二千八十三人と伺っているわけでありますけれども、これだけの人数で、現在、十七年度現在でいいと思いますが、どれだけの事件数を全国的に処理しているのか、これについてお教えをいただきたい。

園尾最高裁判所長官代理者 全部の事件数ということになりますと、例えば民事事件でいいますと、民事訴訟事件、地方裁判所の民事訴訟事件で十数万件という民事訴訟事件、簡易裁判所の民事訴訟事件、それから訴訟以外の仮差し押さえ、仮処分というような事件、あるいは家庭内の暴力に関する夫婦間の暴力を禁止するDV関係の保全処分事件というふうに各種のものがございまして、これが、大変に労力を要するものとそれから極めて迅速に出すということを重視するもの、そういうふうなものに分かれてございます。

 刑事訴訟事件も同じく各種の事件がございまして、これを今御指摘のありましたような裁判官それから裁判所職員で担当しておるということでございますが、それぞれの事件数ということの違いが大変大きいということですので、それぞれについて全力を尽くして処理をしておるという実情でございます。

倉田委員 いや、それはわかりますけれども、例えばの話が調停事件も一件終わるごとに裁判官が出てくるわけですから、どこで数えたらいいかということですが、大ざっぱに言って、民事事件、刑事事件、それから家裁事件、簡裁事件も含めて、民事、刑事ですね、全体で約何万ということは言えるでしょう。それをお願いします。

園尾最高裁判所長官代理者 ただいまの各種の事件があるということを前提にさまざまなものをすべて事件数として数えるということになりますと、民事事件では二百八十二万四千二百七十四件ということでございまして、刑事事件でいうと百五十七万二千二百四十二件ということでございまして、さらに家事事件、少年事件というものを加えますと、裁判所の平成十七年の既済事件数は約五百三十五万件ということになります。

 これを裁判官約三千三百人、裁判官以外の裁判所職員約二万二千人で処理したという計算になりますので、この既済件数を単純に裁判官の数で割りますと、裁判官一人当たりの処理件数は約一千六百五十件ということになるわけでございます。

倉田委員 とにかく、一つ一つがいいかげんにできない中身の裁判というものを、三千三百人、補助職員が二万二千人いるとはいっても、裁判官、一年間の件数が一千件を超すというのは大変なことではないか、これは私、見ていてよくわかるわけでございます。

 そこで、公務員全体の縮減、削減、人員削減の方向とは反対に、裁判官の数はふやしていこう、これはことしのことではないと思うんですね。たしか十四年から始まっている。平成十四年から始まって、十年計画があると伺っております。

 中身としては、裁判官全体として約五百人プラスアルファを十年間でふやすべきではないか、そういう計画があると聞いておりますけれども、そのもとになった、例えば閣議とか、あるいは法制審議会の決定とか、最高裁が決めたこととか、そういう十年計画のもとになった経緯といいますか、それとその目的をお話し願いたいと思います。

園尾最高裁判所長官代理者 司法制度の改革ということでさまざまな議論がなされまして、それへの取り組みがなされておりますが、現在進められております簡素で効率的な政府実現への取り組みというものも、これも、事前規制型社会から事後チェック・救済型社会への移行を目指すものということで承知しておりまして、この事後チェック・救済型社会を実現していくということで、事後チェック機能、それから救済の役割を中心的に担う司法の機能が充実強化されるということが必要不可欠であるという認識のもとに司法制度改革の議論が進んでまいったわけでございまして、このたびの司法制度改革は、このような位置づけのもとに司法の機能を充実強化するものであるというように認識しておるところでございます。

 このような観点から一連の司法制度改革が進められておりまして、あと三年余りで裁判員制度の導入も予定されるということで、まさに現在はその本格的な実施の段階であるということでございますが、その過程で、ただいま御指摘のような議論に基づいて検討いたしまして、その実施に向けて努力をしておるというところでございます。

倉田委員 今のお話、よくわかるんですけれども、今言った五百人プラスアルファを十年間でふやすという計画は、これは司法制度改革審議会が平成十三年六月十二日に意見を出していますね。最高裁も同じく平成十三年四月十六日に同じような見解を出している。そして、閣議で平成十四年三月十九日に、法曹人口の拡大等をうたった、今おっしゃった司法制度改革推進計画、こういうのがあるんですが、今言った五百人プラスアルファというのは、この中のどこで位置づけられたんですか。

園尾最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘についてでございますが、裁判所は、平成十三年四月に司法制度改革審議会におきまして、裁判所の人的体制を充実させる方策について、訴訟の迅速化、専門化への対応等のために試算すると、今後十年間で約五百人の裁判官の増員が必要であるという意見を述べますとともに、今後の事件増に応じて、この約五百人にプラスアルファした増員が必要であるとの意見を述べまして、平成十四年度から計画性を持って増員をしておるということでございます。

 さらに、平成十五年一月二十一日の司法制度改革推進本部法曹制度検討会において述べましたとおり、裁判の迅速化に関する法律の実施や裁判員制度の導入といった司法制度改革の進展を踏まえた増員も確保してきておるというような状況になっております。

倉田委員 その経緯は大体わかりました。要するに、裁判官の増員というのは、まずは事件数が増大しつつあるということ、さらには、事件が多様化、複雑化する、そうした中で、裁判官の手持ち件数というものを減らすことによって逆に審理期間を短くできないものか、こういう社会の要請に基づいたものである、こういうふうに私は理解しているんです。

 民事訴訟について言われておりましたのは、かねて、民事事件については大体二十・三カ月かかっておる、こういうものを期間を半減して一年以内にできるようにしようではないか、これが一つの目安というようなぐあいにされていたと思うんですけれども、実際問題として、これまで平成十四年度から裁判官をふやしてきたことによって、その目的は、つまり期間を減少するという目的は現在どの程度達成されているんであろうか、この辺のことをちょっとお聞きしたいと思います。

 ちなみに、このところ、バブルが崩壊をした後、倒産事件というようなものを含めますと、一人当たりの裁判官の手持ち件数というのは非常に大きなものになっていたのではないか、それがこの十六年、十七年ではやや落ちついてきているのかな、こんな印象を持ちますけれども、裁判官の手持ち件数の推移というものも、もしわかればお教えを願いたい。

 一番私の聞きたいところは、それを含めて、果たして裁判の迅速化というものが実際に実現しつつあるのかどうか、この点がポイントでございます。よろしくお願いします。

園尾最高裁判所長官代理者 裁判所が司法制度改革審議会において意見を述べた際に使用いたしました平成十二年の数値と平成十六年の数値を比較してみますと、地裁民事第一審訴訟既済事件の平均審理期間は、八・八カ月から八・三カ月に短縮しておりますが、とりわけ審理期間の短縮が強く望まれておりました複雑困難な事件につきましては、大幅な審理期間の短縮が図られてきております。

 すなわち、複雑困難な事件の一つであります医事関係訴訟の審理期間は、平成十二年には三十五・六カ月でございましたが、これが平成十六年には二十七・三カ月に短縮しておりまして、また、知的財産権関係地裁民事訴訟事件の審理期間は、平成十二年には二十一・六カ月でございましたが、平成十六年には十三・八カ月ということで、これも大幅に短縮されてきておるという状況でございます。

倉田委員 期間の短縮というものは、社会のスピード化といいますか、そういうものに応じて今後とも必要であると思います。そのためといいますか、そういった方向での裁判官の増員だと理解をするところでございます。

 ところで、裁判官の出身母体といいますか、司法試験制度、これも司法制度改革の中で変わってきておりまして、ことしの四月にたしか法科大学院の卒業生が出てくる、こういうことでございます。そうした中で、司法試験の合格者ないしは今申しました法科大学院の卒業生、この中で、裁判官を希望する人間といいますか、裁判官につく任官比率といいますか、こんなものはどんなぐあいに推移してきているのか。

 これはもちろん、母体の司法試験合格者が、かつては五百人ないし最大六百人であったものが、ここのところずっと、社会の隅々にまで法制度を及ぼす、こんなような考え方からふえてきている。そうしますと、母体が大きくなれば比率は小さくてもいいわけですが、任官比率といいますか、十分質のいい裁判官を供給し得る状況になっているのかどうか、そんな観点からちょっと比率を聞きたい、こう思います。

園尾最高裁判所長官代理者 裁判官の任官者数は、平成十三年から平成十六年までは百人から百十人前後で推移しておりましたが、平成十七年には百二十四人と増加しております。その間の任官率でございますが、任官率というのは、任官者の司法修習生全体に占める割合ということでございますが、これは、平成十三年以降、約一〇%から一一%ということで推移しておる状況にございます。

 ずっと以前にはといいますか、昭和二十年代以降の任官率を見てみますと、当初は二〇%を超えるというような高い任官率ということでありまして、それはただいま御指摘のような、修習を終える者の母数が大変少なかったということでございますが、昭和三十九年以降の採用ということで見てみますと、一五%前後ということで推移してまいりましたが、平成十二年あたりの採用数から一〇%あるいは一一%の範囲内で推移しておるということでございまして、これによって、このような数値でございますが、裁判官の給源として適切な人員を確保していくという目的は達せられておるというように認識しております。

倉田委員 わかりました。

 次に、裁判員制度というものが、平成二十一年から始まるんでしょうかね、あと三年ということでございますけれども、それに備えて、恐らくは、予想されるところは、一般の方々にいろいろなことを説明しながら裁判を進めていただく、こういうことになりますと、書記官の増員ということがかなりその準備として必要とされるのではないか、こう思うわけです。

 今回の増員計画の中で、増員の御要請の中で、裁判官以外の職員については三人となっているけれども、実は、その増減は、百四十八名分をなしにして百五十一名分をふやすと。中身の移行といいますか変更といいますか、そういうものがあるのではないか。私は、多分書記官の増員に重点が置かれているのではないかと思いますけれども、その辺の御説明をいただけますでしょうか。

園尾最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のとおり、裁判所書記官は、裁判官とともに適正かつ迅速な裁判の実現を直接担うという、職員の中心的な役割を果たすわけでございまして、私どももその充実に力を入れておるところでございます。

 裁判員制度の導入に当たりまして、裁判官と協働をする裁判官以外の裁判所職員の人的体制を充実させる必要がある、中でも裁判所書記官の充実を図る必要があるということは御指摘のとおりであるというように考えております。

 今回の増員についての計画でございますが、裁判員制度導入の体制整備というものを図るということが大変大きな眼目でございますが、さらに、民事訴訟事件、労働関係事件及び刑事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るとともに、医療観察事件処理の体制整備も図るということのために、平成十八年度は、裁判所書記官百四十八人及び家庭裁判所調査官三人の合計百五十一人の増員を図るということとしておるものでございます。

 ただ、一方、裁判部門の活動を妨げない限度でこれを慎重に考慮するということをしながら、国家機関としまして、政府の定員合理化計画に協力をするという趣旨で、庁舎警備や清掃等の庁舎管理業務を外注化するなどの合理化を図りまして、技能労務職員七十五人を削減するということを考えております。

 これに加えまして、IT化等による事務の簡素化、合理化に取り組むことによりまして、裁判所事務官等合計七十三人を減員しまして、これをただいま述べました裁判所書記官を中心とする増員分に振りかえるという内部努力をいたしました。

 以上の増減を通じまして、裁判官以外の裁判所の職員の増員数を三人ということにしたものでございます。

倉田委員 よくわかります。

 一つだけ聞きたいのは、速記官、これが、録音反訳制度へと速記から移行するという過程にあると思うんですが、そうしますと、速記官の減少ということもあるんでしょうか、ないんでしょうか。何か最近、「はやとくん」というのを速記官の世界で発明をして、ITを使った事務の効率化に非常に寄与しているということも聞くんですが、そこらも含めて少しお教え願いたいと思います。

園尾最高裁判所長官代理者 裁判所速記官は、現在も、ただいま御指摘のように、三百人前後の職員が在籍をして裁判の補助に当たる事務に努力をしておるわけでございますが、現在、これもただいま御指摘のように、録音反訳の制度を導入ということで裁判所速記官の養成を停止したということから、この定員と現在員との間に乖離がございますので、その分を用いまして、三十人の速記官の定員、これを書記官に振りかえるというようなことをしておるというのが、この平成十八年度の増員の計画でございます。

倉田委員 わかりました。

 今回の増員については、今まで御説明いただいたところで大体よろしいかと思うんですけれども、この十カ年計画が終わった後、その先のことといいますと、現在、見通しはなかなか大変なのかもしれませんけれども、私は、ライブドア事件などに象徴されるように、グローバル化の中で競争社会化が進行する、訴訟社会になるのは私も好みませんけれども、多少そういう傾向も出てくるであろう。そんなことを考えますと、この先も、十年間計画を終えた先も、裁判官の増員というのはやはり考えていかなければならないのかなということを予感いたします。

 ただ、この十五年間のような不況が終わりますと、倒産件数は減少するわけですから、減る部分もあるけれども、増加する部分が多いのではないか、こんなことを考えますけれども、その辺の傾向といいますか、先々の予想は難しいと言われるかもしれませんが、現在の裁判数の推移といいますか全体的な動きを簡単に御説明願うとともに、日本の裁判官の数の人口比、これと欧米諸国の裁判官の数の人口比、これらについて簡単に御説明願いたいと思います。

園尾最高裁判所長官代理者 裁判所の事件数は、民事事件、刑事事件とも、平成に入りましてから長期の増加傾向にあるということでございまして、この傾向というのはやはり今後も基本的には続いていくだろうというように認識をしております。これは、社会の仕組みが、事前規制型社会から自己責任に基づく事後チェック・救済型社会への移行を目指すということで、司法の役割が大変期待をされておるというところもございます。

 それから、その一環ということでございますが、平成二十二年ころには新司法試験の合格者数が年間三千人となって、平成三十年ころまでには法曹人口が五万人規模に達するという予想もあるところでございまして、このような要因によりまして、裁判所に係属する事件数が増加するとともに、質的にも困難化するであろうというように予測をしておるところでございまして、今後とも、司法制度改革審議会意見や、あるいは国民の司法に対する期待を十分に踏まえつつ、司法に対する需要にこたえるように努力をしていきたいというように考えております。

 人口当たりの裁判官数の点についてでございますが、平成十七年度の我が国の裁判官数は三千二百六十六人でございまして、国民十万人当たりの裁判官数は二・六人となっておる状況でございます。これを諸外国の裁判官数と比べてみますと、国民十万人当たりの裁判官数が最も多いのはドイツでございまして二十五・三人、次いで多いのはアメリカでして十・七人、次いでフランスが八・八人、イギリス六・七人となっております。したがいまして、我が国の裁判官数は、対人口比でいいますと、欧米諸国と比べて少ない数というようになっております。

 裁判官の数をどのようにするのがよいのかということにつきましては、各国の国のつくりと密接な関係があるというように考えておりまして、各国の国民性、訴訟手続の構造、それから裁判所に提起される事件数、裁判外の紛争解決手段の利用の程度、あるいは弁護士の数と活動領域などに影響されますので、単純に比較するのは難しいことでございますが、今のような現状になっております。

倉田委員 日本の人口と裁判官の数、非常に欧米諸国に比べて少ない。私は、なぜ少ないかの理由の一つに、民事における調停事件というものが非常に盛んである、調停によって解決をしていくというのが日本の一つの特徴であるというぐあいに考えております。調停委員の数をこのところ全国的に一万二千から約一万四千人にふやした、こういうぐあいに考えておりますが、これはやはり日本社会の共同社会的な要素を持った特徴かな、特徴をあらわすものの一つかな、こんなことも考えます。

 私はかなり長い間調停協会長というものもやってまいりましたが、いずれにせよ、調停委員制度というものも大事にしていただきたいと思いますし、これからも質の高い裁判官を養成していく必要があるな、こんなことを考えておりますことを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石原委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 引き続き、定員法の関係で質問させていただきます。

 この定員を考えたときに、三年後に迫っています裁判員制度、これを視野に入れることが大事だと思いますし、定員だけではなくて、量だけではなくて、裁判官の質というところもセットで検討していく必要があると思います。

 そこで、まず最初に、最高裁判所は、裁判員制度について国民の皆さんがどのような制度を望んでいるかを調べる初のアンケート調査を全国で展開している、三月までにこの結果をまとめるというようなことをお聞きしておりますが、現段階での状況等について御答弁いただきたいと思います。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員御指摘のアンケート調査は、国民に裁判員裁判に参加していただくに当たってどういった事情がどれだけの障害となり得るのか、そういった観点からの国民生活のいわば実情、実態というものをできるだけ正確に把握しよう、こういう目的のもとで実施したものであります。その結果は、選任手続の制度設計、広報活動、あるいは環境整備等に反映させていきたいと考えております。

 五千人を超える方々からの協力が得られまして、現在その集計、分析を行っているところでありまして、この結果は四月に公表する予定でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 続いて、この裁判員制度を踏まえて、裁判官、裁判所側の質の向上という観点から、その準備の具体的な進捗状況について確認したいと思います。

 まず初めに、裁判官任官までの質の向上という点から、新司法試験の合格者への修習はこの裁判員制度を踏まえたものに当然なっていくものと思いますけれども、どのような新たな取り組みが現在なされようとしているのか、まず任官前について御答弁いただきたいと思います。

山崎最高裁判所長官代理者 裁判員制度、これを適切に運用するためには、今委員お話しのように、裁判官の質の向上、これが必要なことでございますが、同時に、検察官、弁護士になるような方についても、この制度の趣旨を十分に理解してもらわなければならないというのは、言うまでもないところだと存じます。

 こうした点から、現在行われております司法修習におきましても、司法修習生に対しまして講義を行いますとか、あるいは各配属庁がございまして、そこの配属庁会における模擬裁判、これを傍聴してもらうといったことを通じまして、裁判員制度の趣旨及びその手続について理解を深めてもらうようにしているところでございます。

 お話ございました新しい司法修習、これから始まるということでございますが、カリキュラムを具体的にどのようなものにするか、これはまだ検討中でございます。それから、裁判員制度の運用についてもまだ不確定な要素もございますものですから、司法研修所において今後検討していくということでございますが、少なくとも裁判員制度の施行準備に向けた動向等には常に注意を払いまして、刑事系の科目の教材ですとかカリキュラムに必要な事項、これを適宜取り入れていく方針で臨んでいるところでございます。

 また、実務修習を実施いたします各裁判所、検察庁、弁護士会におきましても、こういった方針で今後指導されていくというふうに承知しております。

伊藤(渉)委員 引き続き、任官後という点で、任官後さまざまな分野の専門性をどう高めていくか、また、新たに裁判員の方とのコミュニケーション、こういったことも非常に重要な使命になってまいると思います。

 前南野大臣も、先ほどの答弁にもあったとおり、裁判官だけでなくて弁護士や検事の方を含めて、全般論としてこのような答弁をされております。訴訟事務のみならず、紛争予防、公的機関、国際機関、民間企業などへの進出も求められ、人間性という点からは、豊かな人間性や感受性があり、幅広い教養と専門的知識、柔軟な思考力、説得、交渉の能力等基本的な資質に加えて、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚、先端的な法的分野や外国法の知見、さらに国際的視野と語学力が必要、かつ、大幅に増加させる必要があると。非常に、ざっと読むと、すごい人だなというふうに正直思います。

 ただ、そこに向けて、当然理想は高く、現実は一歩からということで、これについても、具体的な取り組みについてお聞きいたしたいと思います。

山崎最高裁判所長官代理者 今後、社会がますます複雑化してまいりまして、そういったものにこたえていく、あるいは国民の権利実現に向けて適正な裁判を行っていくということのためには、裁判官、御指摘のとおり、すぐれた資質を身につけること、これはもうぜひとも必要であるというふうに私どもも認識しております。裁判所といたしましては、かねてから研修制度の充実に努めてきたということでございます。

 具体的に申し上げますと、若手の裁判官を対象といたしまして、一定の専門分野を持った裁判官に育てていく、そういう観点から、これは基本的には自己研さんにまたなければいけない部分が大きいと思いますが、そういう自己研さんのきっかけを与えるということを目的といたしまして、知的財産権、医療、税務会計の三つのコースを設けて、それのいずれかを選択して参加する選択型研修を実施しているというようなこともございます。

 それから、行政、労働関係事件、これは専門的な事件ということになりますが、そういう事件に関する研究会を実施しておったり、さらには、知的財産権関係事件というのはなかなか専門的知見を要する事件として難しゅうございますので、そういった事件を担当している裁判官を対象といたしまして、国内の研究機関あるいは理科系の大学院に派遣する、そういったことでさまざまな分野で専門性を高めるための研修制度を実施し、かつ、その充実を図っているというところでございます。

 それから、先ほどございました裁判員の関係でございますと、これは当然、従前の裁判官としての資質、能力の向上を図らなきゃいけないという問題がありますが、それとともに、裁判員として参加していただく国民の方々に対しまして、刑事裁判の手続ですとか法律解釈をわかりやすく説明する能力、あるいは争点を明確にして裁判員とともに適正妥当な判断を行うためのコミュニケーションを行う能力、こういったものが求められるというふうに認識しておりまして、そういったことを、司法研修所において実施します研究会におきまして、そのコミュニケーション能力の体得、向上、これは非常に重要な課題であるという自覚を促す、そのことによりましてその習得に努めてもらうということでありまして、そういったことの一助にするために、例えばアナウンサーを講師といたしまして効果的な説明の技法を実践的に学ぶカリキュラムを実施する、こういったことも行っているわけでございます。

伊藤(渉)委員 どこまでも理想をきちっと掲げられていらっしゃいますので、これに近づくように具体的な取り組みを行っていただきたいと思います。

 定員法の改正ですので、少し細かくなりますけれども、この定員のことについて伺いたいと思います。

 本法案で、判事四十名、判事補三十五名、計七十五名の裁判官の増員、これは前年比同数となっておりますけれども、人数の査定というのは非常に難しいものだ、私も企業で実務をやっていた人間として、よくわかるつもりであります。その一方で、やはり大切な税金を投入していくことになりますので、その査定について少しお伺いしたいと思います。

 まず、多分、査定の一つのパラメーターになるであろう全体の事件数の増加、こういったことで増員数をどう考えているのか。また、先ほど、冒頭申し上げたとおり、裁判員制度の導入、そういう観点から増員を考えたときに、具体的に適切な採用計画を裁判所として立てていらっしゃるだろうと思います。具体的に、この裁判員制度の対象となる裁判数、これはまたそのうちの年間どれぐらいになるか、教えていただきたいと思います。

園尾最高裁判所長官代理者 まず事件動向についてでございますが、民事訴訟事件は依然として高原状態にございまして、特に、医療、建築、労働関係等の複雑困難な事件が増加傾向にあるということのほかに、刑事訴訟事件につきましては、治安対策の強化が進められておりますが、新受事件は長期的な増加傾向にありまして、特に重大事件の早期解決が求められておるところでございます。

 また、昨年七月十五日には医療観察法が施行されまして、さらに本年四月一日には労働審判法が施行されるということで、これらの事件のより迅速適正な処理を図るということができるように処理体制を強化するという必要があると考えておるところでございます。

 さらに、ただいま御指摘の裁判員制度でございますが、これは司法制度改革の中でも最も広範囲に影響を及ぼすところの制度ということでございまして、計画的に人的体制を整備する必要があるというように考えております。

 裁判員制度が施行される場合の必要な裁判官数についてのお尋ねでございますが、裁判員制度が施行されますと、刑事裁判に国民の中から裁判員を選任する手続が新たに加わるということに加えまして、法律の専門家ではない裁判員にわかりやすい審理を実現するために、証拠調べにおいてもより丁寧な対応や工夫が必要となってまいります。

 また、裁判官は、裁判員に審理の内容を十分に理解してもらった上で、裁判員とともに事実認定や量刑等について議論を尽くしまして、適正な裁判を実現するように配慮しなければならないということで、そのためには、手続の内容や証拠調べの内容等について種々の資料を作成するなどして、丁寧な説明をして裁判員の疑問に答える必要があるということで、評議等に要する負担も相当重いものになるというように考えておるところでございます。

 このように、裁判員制度の導入は裁判所にとって非常に大きな制度改革でございまして、裁判官の負担も相当程度重くなるというように考えられますところ、最高裁や全国各地の裁判所において実施されました模擬裁判の結果や、昨年十一月から始まりました公判前整理手続の実施状況等を総合的に勘案しまして、現時点におきましては、おおむね百五十人程度の増員が必要となるのではないかというように考えておるところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。人数の方まで教えていただきましたので。

 では、査定の話はここまでにして、また裁判員制度の話に戻します。

 これまでに全国的に周知を行ってきた裁判員制度、内閣府の調査などを見させていただいても、その認知度は向上してきていると思います。今後は、体制を充実させていく、また、政府を挙げてさらに積極的に国民の皆様へ、支え手の意識の中にある、裁判員になることですとか適切な判決という観点からの不安感などあると思いますけれども、この裁判員制度への消えない無関心みたいなものをどうリードしていくか、そういうことが重要になってくると思います。

 その中で、少しまたこれも具体的に、参加しやすい制度にしていくために、育児ですとか介護ですとか就労への配慮、こういった環境整備を行っていく必要があると思いますけれども、この進捗について確認させていただきたいと思います。

大谷最高裁判所長官代理者 まず、前半のところでお尋ねのありました裁判員制度につきまして、国民の皆さんにいろいろと十分な理解をしていただいて参加意欲を高めていただくために広報活動が重要だということは御指摘のとおりでありまして、我々も一層努力してまいりたいと思います。

 育児、介護等についての御質問でございますが、育児や介護に追われている方、あるいは仕事を持っている方でもできるだけ裁判員になれるようにするための環境整備が重要であるということも、申すまでもないことでございます。裁判員法も、裁判員制度を円滑に運用するために、国全体が必要な環境の整備に努めなければならないと定めているところであります。

 そこで、このような環境整備を含め、裁判員制度を円滑に実施に移すために、内閣に裁判員制度関係省庁等連絡会議が設置されまして、平成十七年八月に裁判員制度の円滑な実施のための行動計画が取りまとめられております。この計画の中で、委員御指摘の点につきましては、関係機関が連携して、介護、養育に関する各種サービス、事業が十分活用されるような措置を講じること、あるいは、経営者団体等に対して裁判員制度の意義等を説明するとともに協力依頼を行うことにより、団体の構成員が刑事裁判に参加しやすい環境が整備されるよう努めることなどの申し合わせがされておりまして、現在も計画が具体的に推進されているところであると承知しております。

 最高裁といたしましても、例えば経済誌に、休暇制度、育児、介護の支援など、裁判員として参加しやすい社会環境の整備が必要であることについての理解を求める記事を掲載するなど、今後も、この行動計画に沿って、関係機関と連絡しながら、さまざまな立場にある国民が裁判員として参加していただけるような環境整備に努めてまいりたい、このように考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

石原委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 先月二十四日に、東京地検による捜査状況に関するコメントが発表されたことについて質問させていただきました。その質問事項について、当日、東京地検の次席検事の参考人としての出席を要求いたしましたけれども、理事懇での一応の合意に基づきまして、再度、法務大臣、法務省に質問するということになりましたので、質問させていただきたいと思います。時間も余りありませんので、端的にお答えいただきたいと思います。

 三月一日の静岡新聞にこういうことが出ています。「「東京地検特捜部の捜査の範囲内では問題のメールは存在しない」。首相や自民党の強気を支えたのは、法務省サイドからのこんな報告だった。東京地検はメールの存在を「把握していない」とするコメントを発表したが、自民党サイドにもたらされたのは、それを超える「不存在証明」だった。」。三月三日の産経新聞でありますけれども、「メール問題を追及した二月十六日の夕刻には、首相は自信満々で「ガセネタ」と言い切った。実は官邸サイドはその前の週にメールを入手。同月十三日には偽物と断定していた。」というような情報が報道されておりますけれども、杉浦大臣は、このメールの存在はいつ知られたんでしょうか。

杉浦国務大臣 メールの存在は、永田議員が質疑をなさったとき、私はおりませんでした、お昼休みだったと思いますが、NHKニュースか何かを見た方から、永田議員がこういう質疑をなさったということを聞きまして初めて知りました。それ以外は全く存じておりません。

平岡委員 それでは、まず最初に、この東京地検のコメントの内容ですけれども、どういうコメントの内容ですか。

杉浦国務大臣 事柄の性質上、正確に申し上げます。

 コメントの内容は、メールの存在及び指摘された事実関係について当庁では全く把握していないというものであったと承知しております。

平岡委員 このコメントを出した人はだれですか。

杉浦国務大臣 東京地検の次席検事でございます。次席検事は広報担当で、毎日夕方、定例記者会見をやっておるようでございますが、そこで公表されたというふうに承知しております。

平岡委員 これはこの前の質問でもしましたけれども、このコメントはどのような形式で出されたんでしょうか。口頭でしょうか、文書でしょうか、あるいは両方でしょうか。文書で出したとすれば、どのような様式で出されたんでしょうか。

杉浦国務大臣 口頭で発表し、念のため、その同じ内容、メールの存在及び指摘された事実関係について当庁では全く把握していないというのをワープロできちっと打ちまして、口頭でコメントすると同時に配付されたというふうに承知しております。

平岡委員 今の答弁は、口頭で発表するとともに文書で同時に配付したというふうにありますよね。文書にするというのはやはりそれなりに時間がかかる話だというふうに思いますけれども、どういう経緯でこれは発表することになったんでしょうか。

杉浦国務大臣 東京地検におきましては、御指摘の事項につきまして、報道機関の関心がとりわけ高く、報道機関からの問い合わせも多数あったということを聞いております。

 仮にこの点について公表を一切差し控えた場合には、検察当局が何らかの事実を把握しているかのような誤解を招くおそれがある、ひいては今後の捜査、公判に支障が生じるおそれがあると懸念されたこと、他方で、御指摘の事項を把握していないとの事実を明らかにすることにより、捜査、公判への支障がもたらされるおそれも特段ないと認められたことから発表を行ったものと承知いたしております。

 経過につきましては、その判断の過程においては検察当局が判断したわけですが、その具体的内容や証拠関係を踏まえて検討がなされたものと承知しております。それを明らかにすることは、個別具体の事件の捜査の内容や捜査体制等にもかかわるものでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 今の答弁では、事前に報道機関等からの問い合わせがあった、そういうような話ですけれども、事前といったって、十二時近くに質問して、それから四時にコメントを発表しているわけですね。その過程の中で問い合わせがぱらぱら多分あったのかもしれません。

 そうすると、こういうものを発表しようというためにはそれなりの準備も必要なわけでありますけれども、そういった時間的な準備ができたのかなというふうにも思いますけれども、その前に、このコメントを、事前の問い合わせがあるから発表しようというふうに判断した人、決定した人、あるいはそういうふうにしなさいというふうに指示した人はだれですか。

杉浦国務大臣 報道機関の関心が高かったとか、今後の捜査、公判に支障が生じるおそれがあると懸念されたこととか、検察当局が公表を差し控えた場合には何らかの事実を把握しているような誤解を招くおそれがあるといったことを先ほど申し上げました。そのような結論に至る過程におきましては、捜査の具体的内容や証拠関係を踏まえて検討がなされたものでございます。

 その具体的内容や判断に関与した者につきましては、個別具体の事件の捜査の内容や捜査体制等にもかかわる事柄でございますから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 何も捜査の中身を言えとか、だれがどういう捜査をしているかを言っているんじゃないですよ。このコメントを出すことについて、だれが判断をしたのか、だれが決定したのか、このことを聞いているんですよ。何も捜査のことと関係ないじゃないですか。ちゃんと答えてくださいよ。

杉浦国務大臣 繰り返しになりますが、東京地検において判断したわけでありますが、そのような結論に至る過程においては、捜査の具体的内容や証拠関係を踏まえて検討がなされたものでございます。

 その具体的な内容や判断に関与した者については、個別具体の事件の捜査の内容や捜査体制等にもかかわる事柄でございますから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

平岡委員 全く承服できませんけれども、大臣、あなたはこのコメントを発表するということについては事前に御存じだったんですか。どうですか。

杉浦国務大臣 次席検事が記者会見をする直前と申しますか、ちょっと前だったと思いますが、刑事局長から、そのような発表を行うという報告を受けております。

平岡委員 刑事局長は何でそんな報告をしたんですか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 二月十六日のことでございますが、夕方ころ、少なくとも午後ですけれども、東京地検の次席検事から私の方に連絡がありまして、永田委員の御指摘のあったメールの件について報道機関からいろいろ問い合わせがあって、検察当局としては、公表しても捜査には支障がないので、そのメールの件については把握していない、こういうことを公表する予定である旨、私の方に連絡がありました。そこで、私の方で大臣に対して、東京地検からこのような連絡がありましたということを御報告したところでございます。

平岡委員 今の刑事局長の答弁でいきますと、このコメントを発表することの判断は、東京地検の少なくとも次席検事以上が判断したということですね。どうですか。

大林政府参考人 具体的な判断者については先ほどの大臣のとおりでございますが、次席検事がその判断に加わっていることは間違いないと思います。

平岡委員 その次席検事が、今度は、捜査している、これは特捜なんでしょうけれども、特捜に対して、こういう事実の把握をしているかということを問い合わせたのは何時ですか。

大林政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、この件について東京地検内でどのような判断がなされたかということは、私ども承知もしていませんし、ちょっと申し上げることはできないと思います。

 それは、先ほども大臣が御答弁したとおり、要するに、今回の事件については既に検察当局において捜査が進んでいた。その過程において今回のメールの問題が出てきた。それについては、東京地検では、当然、その証拠と事実関係については相当程度把握しているわけでございまして、その中において、本件のメールがあるのかないのかという判断が、あるいは捜査、公判に支障があるかどうかというのは、東京地検において当然判断がなされたものだと思います。

 ですから、その中においてどのような指示があったのか、どのような検討がなされたかということは、私どもの方では承知もしておりませんし、答弁も差し控えさせていただきたいということでございます。

平岡委員 それなら、もう一遍、次席検事にここに来てもらって、答えられないと言うんだったら。私は事前に、そういうことを質問しますよと提示しているんですから。今ここで聞いたからわかりませんじゃないんですよ。事前にちゃんと質問して、こういうことを聞きますよとやっているのに、そういうのがわかりませんと言うんじゃ、ここに次席検事に来てもらわなければいけないですよ。

 委員長、もう一遍、理事会で、次席検事を呼ぶことについて協議をさせてください。

石原委員長 大林局長から再答弁があるようでございますので、これを許します。

 大林刑事局長。

大林政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、本件については、要するに、それは先ほども言った捜査の問題と裏腹になっているわけでございます。ですから、捜査については個別具体的なことは申し上げられないと。

 ただ、東京地検においては、そういうふうな、捜査に支障がないというふうに判断したために、これを把握していないということを公表するという方針を立て、私の方に連絡してきたものでございまして、その内容については、それは申し上げられないということでございます。

平岡委員 なぜ東京地検は、事前に法務省、そして法務省に連絡すれば法務大臣に伝わることは明らかでしょうけれども、なぜ伝えてきたんですか。

大林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のメールの件につきましては、委員御指摘のとおり、国会でも問題とされまして、広く報道されたことから、検察当局においては、これにかかわる事柄を公表するに当たっては法務省に対しても連絡する、当然国会の問題になるわけですから、それについて事前に連絡してきたということだというふうに承知しております。

平岡委員 東京地検が、これは国会にかかわる問題だという認識があって法務省に連絡してきたとするならば、大問題ですよ。検察当局による国会への介入ですよ、それは。どういうことですか。そういう認識のもとに連絡してきた。

 大臣、そういう連絡があったときに、大臣はどうしてとめなかったんですか、こんなことを。これは国会にかかわるマターだ、そんなところに捜査当局が、検察庁が口を出す話じゃない、これは大臣はとめるべきじゃなかったんですか。どうですか。(発言する者あり)

石原委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。

杉浦国務大臣 私には報告があっただけでございます。時々、これは一般的監督権限があるせいだと思うんですが、報告がございます。例えば、これからライブドアの捜索に入りますとか、大事件についてですが、報告は入ります。報告を受けるだけでございます。

平岡委員 検察庁が、これだけ大きな問題だという意識のもとに法務省に連絡をしてこなければならなかったという状況のもとで、あえてコメントを発表したということについては、私は、かなり東京地検は政治的な思惑のもとに動いているというふうに断じます。

 先ほど言いましたけれども、まだ、具体的なことは答えられないということだったので、改めて、東京地検次席検事をここに参考人として呼んで、我々が質問させていただくことを要求いたします。委員長、よろしくお願いします。

石原委員長 要求として承らせていただきたいと思います。後日、理事会で御議論を賜ればと存じます。

平岡委員 時間が来ましたので、質問を終わります。

石原委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。

 先ほどからの質問と答弁をお伺いしておりまして、裁判官そして裁判所職員の増員をしていく、この必要性については私もぜひふやすべきだという考えを持っておりますが、やはりその質の問題についてはしっかりと確保していかなければいけないというふうに考えております。そうすることでなければ、ただ職員の人数をふやすということでは国民の皆様の理解は得られないという観点から質問をさせていただきます。

 裁判官と職員の質という問題でありますので、最近のこれらの不祥事について特に最初お尋ねをしたいと思います。

 下級裁判所の処理規則というものがございまして、この第二十一条には、「高等裁判所長官、地方裁判所長及び家庭裁判所長は、所属の裁判所の監督に服する裁判所職員に対し、事務の取扱及び行状について注意を与えることができる。」と規定をされておりますが、その注意というのはどういったものでしょうか。厳重注意とか書面注意とかいろいろあるようなんですが、一体どんなものがあって、どのようにそれぞれ違いがあるのか、御説明をお願いいたします。

山崎最高裁判所長官代理者 委員のお話がございました下級裁判所事務処理規則に基づきます注意というものでございますが、この注意は、懲戒処分のような制裁的実質を備えたものではありませんで、所属の長が職員に対しまして個別の指導監督を行う上で、その方法ないし手段として用いられる、そういう性質のものと理解されております。

 この注意の種類につきましては、特に通達等で定めがあるというものではございませんで、各所長等がその裁量において行っているということでございますが、実務上は、厳重注意と注意という形に大別されておりまして、それぞれ書面あるいは口頭で行われる場合があるということでございます。

 その区別でございますけれども、これはまさに事案の内容、程度、性質、情状等によりまして各所長等の裁量によって使い分けられているということでございます。ただ、厳重とつくものがございますわけですから、それは、そうでないものに比べまして措置の程度としては当然重いということになるわけでございますが、これはより強く指導する必要があると考えられる場合に用いられる、そういうことでございます。

 それから、書面か口頭かというその区別でございますが、書面で行った方がより明確にその注意を受ける者に伝わる、あるいは問題を認識させるという効果がありますものですから、従来は書面が重いというふうに取り扱われてきたことは事実でございますが、ただこれは、考えますと、所長から職員に対する伝達の手段ということでございますので、必ずしも措置の程度の重さとは連動しないというふうにも思われるものですから、最近では、厳重注意、注意という形で用いておりまして、書面、口頭というのは、特にそれを言葉として使わない、そういうことを行っているところでございます。

石関委員 そうすると、明文の規定はない、厳重注意と注意というものがあるんだが、その規定はないし、どういう注意を出すかについても所長の裁量だという御答弁だというふうに理解をいたしますが、ということは、こういう注意を受けても、いわば、注意を受けた方がそこで恐れ入るという効果をもたらすということで、済みませんでしたと恐れ入って、そのまま、また職務を同じように遂行していくということなんでしょうか。

山崎最高裁判所長官代理者 先ほど委員が御指摘になりましたように、この注意が行われる場合というのは、まさに事務の取り扱いあるいは行状について指導しなければいけない、こういう事態でございますから、当然、注意をすることにより問題点を自覚させ、反省させ、将来の事務が適切に行われるようにするというものでございまして、その注意を受けた職員は、当然そういう意識で今後の将来の事務に取り組むということだろうと認識しております。

石関委員 それでは、今御説明があった処理規則第二十一条の注意については、昨年一年間で何件この注意が出されているか、お答えをお願いします。

山崎最高裁判所長官代理者 先ほど御説明申し上げましたが、この注意は各高等裁判所あるいは地家裁所長がその裁量において行うということでございますものですから、最高裁としてすべて逐一報告を求めるということはしていないわけでございます。したがいまして、最高裁で把握しているのは限られているということでございまして、全国の裁判所で昨年一年間幾つあったかというお尋ねですと、これはちょっと、正確にお答えするのは難しいということでございます。

 ただ、一部ということではございますが、最高裁として把握している数ということで申し上げますと、昨年一年間について、裁判官につきましては約三十件の事例がございました。

石関委員 最高裁としてもそこまでは、全部は把握していないということであります。

 それでは、提出をさせていただいた資料、三ページ分がありますが、一枚目、最近の裁判官の不祥事例というのを集めさせていただきました。これは、マスコミで報道されたものをもとに集めさせていただきまして、ほか、職員ですとか執行官の方も含めて、三枚の紙にまとめさせていただきました。

 事前に最高裁の控室の方に確認をしていただいておりますので間違いはないと思いますが、確認も含めて、どういう事件だったのかということについて、特に一枚目の裁判官の方々についてもそれぞれ重い職責を担われているわけですから、一枚目の裁判官の方々の不詳事例について概略をそれぞれ御説明いただきたいと思います。

山崎最高裁判所長官代理者 それでは、委員からちょうだいいたしました表でございますか、そのリストに従って御説明したいと思います。

 まず最初の、東京地裁の案件でございますが、平成十七年の十月九日、性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例違反被疑事件の被疑者であります少年につきまして勾留状を発付した、そういうものでございます。

 この被疑事実の法定刑は罰金五十万円と定められております。少年法四十一条、「司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。」こういうふうに定めておりまして、この点につきましては、学説には異説もあるようでございますが、実務上は、法定刑や罰金以下の犯罪を犯した少年について、警察は事件を検察庁ではなくて直接家庭裁判所に送致するのが通常となっているようでございます。したがいまして、実務的には、このような場合に、少年が検察庁に送致されて、検察庁から勾留請求されるということはまず起こり得ないということでございます。

 担当裁判官は、被疑者が少年であること、被疑事実の法定刑が罰金刑であることは認識していたわけでございますから、当然、少年法四十一条の規定に留意して、被疑者の勾留請求手続について慎重に検討しなければならないということであったわけでありますが、この点を看過いたしまして、警察からの送致手続が先ほどの少年法四十一条に合致しないことに気がつかないままに勾留状を発付した、こういう事案でございます。

 次に、熊本地裁の事例でございます。

 これは、平成十六年十一月ごろから平成十七年十月ごろまでの間でございますが、携帯電話の出会い系サイトを通じて知り合った相手方と、執務時間中に一日当たり一、二回、多いときで十回くらいということでございますが、自分の携帯電話を利用しまして電子メールの作成をし、送受信を行うということで、そういうサイトを経由して電子メールを交換するということをやっておりました。そのメールの上で、仮想のSMプレーというのがあるんだそうでございますが、そういうことをやって、つき合いをしておったということでございます。

 そのやりとりの中で、相手方に対しまして、自分の実名ですとか、職業が裁判官であることを明らかにした、さらに、自分の法服姿などの写真の画像ファイルを送ったりしていた、こういうことがあったようでございまして、それが週刊誌で報道されることによりまして、裁判官としての品位を辱める、こういうことがございました。

 以上が、二番目の事案の概要でございます。

 それから三番目の、兵庫、加古川簡裁というところでございますが、これは、被告人が出頭しなければ判決宣告をすることができない業務上過失傷害被告事件におきまして、判決宣告期日に、検察官及び弁護人は出廷していたわけですが、被告人は出廷していなかったのです。

 しかし、刑事訴訟法の規定によりますと、長期三年以下の懲役もしくは禁錮または五十万円を超える罰金に当たる事件の被告人は、判決を宣告する場合には、公判期日に出頭しなければならないというふうにされておるわけでございまして、業務上過失傷害罪の法定刑は五年以下の懲役または禁錮もしくは罰金五十万円以下ということでありますから、当然、被告人不出頭では判決宣告ができない。これを裁判官は誤解いたしまして、出頭を要しない軽微事件であるというふうに思い込んでしまって、被告人不出頭のまま、罰金三十五万円の判決宣告をした、こういう事案でございます。

 次は、京都地裁の事例でございます。

 この京都地裁の事例は、実は京都地裁の舞鶴支部で起こったことでございます。舞鶴支部で強盗殺人等被告事件、この公判期日が平成十七年十月二十五日午前十時三十分に指定されておったわけでございます。合議事件でございますから、その右陪席裁判官である当該裁判官、これは当然、前もって期日の連絡を受けていたわけでございます。この裁判官は、本来、福知山支部で勤務しておりまして、合議事件の場合にだけ舞鶴支部で勤務する、こういう形態でございましたが、この公判期日を失念してしまって、通常どおり本務庁であります福知山支部で勤務を開始した、出勤した。そういうことがございまして、気がつきまして、急遽舞鶴支部へ出かけたわけですが、おくれてしまった。開廷時間を午前十一時十五分までおくらせてしまった、こういう事案でございます。

 それから、大阪地裁の例でございますが、これは裁判官三人、別の裁判官ですが、関係しておりまして、裁判官の押印を欠いた逮捕状を発付するですとか、あるいは、裁判官の押印を欠いた逮捕状を見過ごしたまま勾留状を発付するですとか、そういったことがあった、そういう事案でございます。

 以上でございます。

石関委員 概略を御説明いただきまして、ありがとうございます。

 しかし、これはいずれも、法律のプロの方である裁判官としてはとても考えられないようなミスをされている。特に二月十四日の東京地裁については、少年法の規定や解釈の部分もあるのかと思いますが、気がつかなかったということもとんでもない話ですし、十一月四日の加古川、これもまた同様の話でありますし、大阪地裁、五月十八日、これも同じように、何でこういう初歩的な、ばかなミスをされるのかな、なかなか信じがたいようなミスをされているということであります。

 特にこの中の、十二月七日の熊本地裁、野村判事の件について、そして十月二十五日京都地裁、やはり野村さんというお名前ですが、裁判官、こちらについては改めてお尋ねをしたいというふうに思います。

 熊本地裁の野村判事については、これは厳重注意処分ということですから、後に依願退職、御自分で退官をされたということなんですけれども、厳重注意処分にとどまっているということは、これは引き続き裁判官として、品位を汚した裁判官であっても、堂々と裁判官としての仕事をすることができたという、この注意というのはそういう処分なのかなと思いますが、確認でお尋ねをいたします。注意処分を受けて品位を汚しても、裁判官として、無謬であるべき裁判官として堂々と仕事をされることが制度上できたのかどうかということをお尋ねいたします。

山崎最高裁判所長官代理者 裁判官が非違行為を犯した場合にどのような措置をとるかということでございまして、制度上は、戒告というような、分限裁判というようなものもございますし、さらには、極端な例であろうと思いますが、弾劾裁判、そういうこともございます。

 この事例がどうかということでありますと、いろいろ検討した結果ではございますが、刑罰に触れるような行為には当たっていないということが一つのポイントでございまして、それであれば、注意を与えることによって、今後こういったことは二度と起こさないで、きちんと裁判官としての職責を果たすのではないか、そういうことで注意処分を行ったということであります。

 ただ、御本人は、ちょっとさすがに、こういうことが公になったことで裁判官をとても続けられないとみずから退官を申し出られた、こういう経緯で退官されたということでございます。

石関委員 こういう注意を与えて、今の御答弁ですと、今後しっかりやってくれるだろう、こういう期待を持っていたということで、私はとてもこういう期待はこの方には全く持てないですね。退官されていますから、それはそれで結構なことだと思いますが、それでは、退官に当たっては、こういう司法の信頼を損なうような行為をされた裁判官の方ですけれども、判事の方、依願退官ですから、退職金はしっかりもらって退官をされたということでしょうか。

山崎最高裁判所長官代理者 願いによる退官でございますから、国家公務員の退職手当法に従って、所定の退職金が支払われております。

石関委員 こういう社会的にも耳目を集めるような不祥事を起こして、退職金をもらって退官する、これ自体、私は大変な問題であるというふうに思います。

 また、この方は四十二歳で、判事としてのキャリアも長い方だと思いますが、こういった特異な性向をお持ちだということがこの不祥事によってわかったわけですが、過去のこの方が扱った裁判で、例えばわいせつ事件のようなものをこの方が扱ったということはあるんでしょうか。お尋ねいたします。

山崎最高裁判所長官代理者 まことに申しわけありませんが、各裁判官が具体的に扱った事件というのは最高裁で特に承知しているわけではございませんので、そういう事件の担当もあろうかと思いますけれども、ちょっと具体的に申し上げることは難しゅうございます。

石関委員 具体的に承知をしていないということでよろしいんでしょうか。それは非常に国民の皆さんに不安を与えることだと思うんですね。裁判官の方は立派な方で、しっかり裁きを下してくれるということで我々もこの司法制度を信頼しているということでありますので、これまでに扱ったかもよくわからないし、こういう性向を持っていて、これだけの事件というか不祥事を起こされる方ですから、裁判の彼のいろいろな判断にもそういうものは及ぼしているんじゃないかな、私はこういう不安を覚えます。

 この方は、私が承知している限りでは、私は選挙区は群馬県ですけれども、群馬歯科医師会の除名処分取り消し請求事件を扱ったりしているんですね。私の地元にもかかわっているということでありますから、本当にこういう方がそういうことを扱われて大丈夫なのか、改めて私は今、不安の気持ちを抱いたところであります。

 もう一件、十月二十五日、京都地裁、やはり野村さんというたまたま同じ名前の裁判官の方ですが、四十五分間開廷がおくれたということですが、この方については既に処分が下されているのかどうかということ。それと、遅刻をしたという単純なことですけれども、事件が強盗殺人事件と大変大きな事件でありまして、これは遺族の方ですとか関係者の心情を考えると、単に四十五分おくれて済みません、これでは私は済まない問題だと思います。

 これについては、処分はどのようにされているのか。加えて、処分をする標準の処理期間のようなものをお持ちなのかどうか。これは全く裁判所長に任されていて、それは所長の裁量だけで全部決めるんだということなのか。御答弁をお願いいたします。

山崎最高裁判所長官代理者 委員の御指摘のとおりでございまして、定められた期日に遅刻するというのはまことに申しわけないことだと思っております。特に、おっしゃられたとおり重大事件でございますので、もっと緊張感を持って職務に取り組まなければいけないというのは、まことにおっしゃられるとおりだろうというふうに思っております。

 ところで、処分のことでございますが、この点は京都地裁で検討しておるところでございますが、現在までのところ、私の方には処分がされたという報告はございませんで、検討しておるところと認識しております。

石関委員 答弁漏れがございましたので、標準の期間のようなものはあるのかどうか。それは全く個々の裁判所長に任せられていて、例えば、極端に言えば、いろいろ考えているので一年処分が出ないとか、そういうこともあるのかどうか。あるいは、できるだけ早く、迅速に処分を下すべきだ、こういった指針のようなものがあるのかどうか。これについて改めてお尋ねをします。

 それともう一点、これは四十五分単純に遅刻をしたということなんですが、裁判官の方々のスケジュール管理というのはどのようになっているか、これも教えていただきたいと思います。これは立派な方々なので、遅刻もしない、無謬である、こういうことを期待して個人個人に任されているのか。あるいはシステムとして、裁判をしっかり適正に迅速にやるために裁判所として管理をするシステムがあるのかどうか。このことについてもお尋ねをいたします。

山崎最高裁判所長官代理者 非違行為があった場合の処分の手続的なことでございますが、期間のお尋ねにつきまして、定められた期間というのは特にございませんで、それは当然迅速に行われるべきだろうと思いますが、事案によりますけれども、いろいろな調査が必要になったり、そういうことがありますと若干の時間が必要になる、そういうケースももちろんございますが、本件の場合、速やかな処分がされるように、私どもの方もこれから京都地裁の方と連絡をとって、速やかな処分というものを検討させていただきたいと思います。

 それから、こういう事態を防ぐためには、期日の管理、スケジュール管理、これをきちんとやらなきゃいけないということでございますが、裁判官はそれぞれ自分の期日簿というものを持っておりまして、何日の何時にはどういう事件があるということをきちんとメモして管理する、こういうことをやっております。

 たまたまこのケースはその記載を忘れたように聞いておりまして、そのメモを落としてしまったというところが直接の原因であります。ただ、もう一つは、書記官の方も期日簿ということで担当事件の期日管理をしているわけでございまして、両面からこういったことが起こらないようにというチェックをしているわけでございまして、今回、先ほど申し上げましたようなことで裁判官の方が失念して、それで書記官の方が気がついて、急ぎ連絡をとって呼び寄せた、こういう経過でございます。

石関委員 これは今、個別の不祥事例についてお尋ねをいたしております。大勢裁判官の方がいらっしゃって、こういう細かいことをという御意見があるのかもしれませんけれども、全くそれには当たりませんで、これは裁判官という大変重い職責を担われ、そして身分もしっかりと保証されている、良心に従って仕事を全うしてくださいということでありますから、そういう中にこういう方々がいらっしゃるということは、そのシステム全体に対する信頼を揺るがせかねない問題だというふうに私は思います。個別の案件として軽く過ぎ去っていくようなことは、私はあるべきではないと思います。

 一義的には裁判所の問題であり、最高裁の問題でありますが、法務大臣としては、こういったことに対してはどのように御感想をお持ちでしょうか。

杉浦国務大臣 三権の一翼を担う裁判所の問題について、行政当局として、法務大臣の立場でいろいろ申し上げることは不適当だと思いますが、これから社会は複雑多様化してまいります。争い事もいろいろ出てくる。司法の世界は裁判所が担っておるわけですが、法務省としては検察が関与しておりますし、弁護士会が在野におります。それらの法曹を担う人々の量ももちろんふやすことが大事で、司法改革でふやそうとしておりますが、同時に、質も高めていくと申しますか、二十一世紀の将来の司法を担う人材を育成して質も高めていくということは、これは大きな課題だし、皆で取り組まなきゃならないことだと思っております。

 裁判所におかれましても、国民の裁判所に対する、裁判に対する期待、よく御存じだと思いますので、質の高い立派な裁判官を確保するということで、今後御尽力いただけるものというふうに考えております。

 司法制度を所管する省といたしましては、司法改革でも法曹人口の増員とか法教育とか法科大学院を設けましたりさまざまやっておりますが、そういった司法全体のプロフェッショナルとしての人材の育成、質の向上を目指して、さらに一層努力していかなきゃならない、こう思っております。

石関委員 まさに法務大臣がおっしゃったような、質を向上して、立派な裁判官の方々を多くふやしていただいて、日本の裁判制度、司法制度、しっかりやっていただきたいというふうに切に希望しているところであります。

 その資質向上について、先ほども研修のようなもので、知識や技術的なものについてはそういったものをお持ちだということでありましたが、まず、立派な裁判官を養成するという部分について、修養といいますか、例えば職業倫理教育、先ほどの熊本の野村さんのようなことにならないように、そういった側面からの研修システムなりプログラムというのはお持ちなんでしょうか。お尋ねをいたします。

山崎最高裁判所長官代理者 裁判官の地位ですとかあるいは職務の特殊性というものを考えますと、裁判官の質の向上という問題につきましては、各裁判官がその職務を行うことを通じて図られていくというのが基本だろうと思っております。いわゆる自己研さんにまつ部分が多くなるだろうと思います。

 しかし、こういった自己研さんをサポートするための研修というのもこれまた非常に重要なものでありまして、私どもでは、司法研修所におきまして、例えば判事補任官直後の研修ですとか、判事に任官した人たちの研修ですとか、そういう形の研修を行っておりまして、その中では、実務的な研修というのももちろんございますけれども、委員が御指摘になられました、裁判官のあり方を考えるというようなことも、先輩裁判官といろいろディスカッションするプログラムですとか、そういうものを通じて設けたりしているわけでございます。

 そういうことで、今お話がございました、職業倫理をきちんと保持する、そういったことについての自覚も促していきたいというふうに思っております。

石関委員 そういった研修なりディスカッションをして研さんをしていくプログラムがあるというような御趣旨の御答弁だと思いますが、具体的には、個々の裁判官に対して、例えば、裁判官になったら必ず、裁判官をやっている間、下級裁判所、少なくとも十年やりますよ、その間に一回あるのかとか、頻度ですとか、そういったものについてもう少し具体的に教えていただきたいと思います。

山崎最高裁判所長官代理者 裁判官が経験年数に応じて研修所で集合研修を受けるという機会、こういうことで申し上げますと、先ほど申し上げました判事補に任命された直後に集中研さんという形で研さんをいたしますのと、それから二年目にまた集まる、それから三年目もございます。それから、現在、六年目にもまた集まってやっております。それから、先ほど申し上げましたが、十年たちまして判事に任命された直後にそういうことを行う、こういったものでございます。

石関委員 任官後にはそういった、しっかり立派な裁判官になっていただくということもサポートはしているんだということだと理解をいたします。

 それでは、そもそも裁判官に任官をされる前、司法試験に合格をして修習生になる、今一年半でしょうか、修習の期間がございますが、それから任官、裁判官に任命をされるについては、どういうプロセスをたどって修習生の皆さんが、裁判官になりたいという人が任命をされていくのか。例えば修習をしている間、一年ぐらい過ぎたら、裁判官になりたい人、手を挙げてください、応募してくださいと。そこで、何月何日までにこういった過程で裁判官になるべき人、希望する人がすぐられて、あなたですよということになるのか、その具体的なプロセスを御説明いただきたいと思います。

山崎最高裁判所長官代理者 現在の修習を前提に御説明申し上げますと、四月に司法修習生に採用されまして、一年六カ月の修習をするという形になります。その間、司法研究所で集合研修をするのと、それから各裁判所、検察庁、弁護士会で、実務修習と申していますが、実際の事件を扱う、そういう実務修習を行います。司法修習生の方々、それぞれ進路について御希望をお持ちですが、そういう実務修習を実際に見て自分の進路を徐々に固めていく、そういう形が基本になろうかと思います。そういたしますと、一年経過しまして二年目に入ったあたりから、大体そこらの進路がクリアになってくるというのが実際であろうと思います。

 裁判官の任命という関係から申し上げますと、徐々に希望を固めていって、最終的に応募していただく、そういうタイミングが参りますが、それが二年目の七月の下旬ころでございまして、これは判事補採用申込書というものを提出してもらうということになります。

 その後、司法研修所の後期修習が終わった後、二回試験と申しておりますが、司法修習生考試という試験がございます。これが九月上旬から下旬でございまして、その試験を受け、成績が出てまいりまして、それを加味して九月末に司法修習生考試委員会という委員会で合否の判定がされまして、合格ということになれば、無事に修習が終了いたします。

 それと並行しまして、判事補に採用を申し込んだ人につきまして、下級裁判所裁判官指名諮問委員会という委員会がございまして、判事補の任命の適否を審査するということがございます。これが十月初めに開催されまして、指名の適否についての答申がされますと、それを受けまして最高裁判所の裁判官会議で最終的な指名の決定をするということでございまして、その決定を経て、最高裁の指名の名簿が固まりますので、それを内閣に送付いたしまして、内閣によりまして十月半ばに判事補として任命される、こういうのが一連のプロセスでございます。

石関委員 最短の人であれば、大学在学中にも司法試験というのは受かりますし、それで司法修習を受けて、大体、最短の距離で行くと何歳ぐらいで裁判官というのはなれるものなのか。またあるいは、うんといろいろな経験もされたりして、年配の方でも裁判官になられるという方もいらっしゃる、これは弁護士任官を除いてですね、キャリアの中でそういう方がいらっしゃると思いますが、大体どのぐらいの幅で、一番若いとこのくらいでなっていますよ、一番年配の方はこのくらいの年齢でなっていますよ、そういったことを教えていただけますか。

山崎最高裁判所長官代理者 昨年十月に新任判事を採用いたしました。これは司法修習の期でいいますと五十八期ということになりますが、その人たちの年齢を見ますと、最年少は二十三歳でございまして、大学を卒業してストレートで司法試験を合格した人ならこういう年齢で任官ということが可能になる、そういう年齢でございます。

 それから、最高齢の方は三十九歳ということでございます。三十歳を超えて判事補として任官する人もある程度の数ございまして、そういう人たちの経験はさまざまではございますが、例えば民間企業に何年か勤めておって、一念発起といいますか、進路を変えて実務法律家を目指し、しかも修習を経て裁判官を目指す、そういう形の方が何人かいる、こういう状況でございます。

石関委員 これは我々政治家も同じような部分、若ければいいとか年がいっていればいいというものではないと思いますが、二十三歳とか、全く社会的な経験を経ずにこれだけの重責を担えるというのは、神様みたいな人じゃないとなかなかできないのかなという不安も一方で覚えます。今、学校でも、やはり社会経験のある人を教員にしよう、これは、新卒ですぐ先生と言われるようになってしまって、そういったところに指導力があってちゃんと子供を導いていけるかどうか、こういった部分で大変いろいろな議論も上がっております。

 これは最高裁の問題、一義的にはそういうことでありましょうが、法務大臣、こういった、余り経験がなさ過ぎてこういうことになってしまうとか、これもこれでいかがなものかなと思いますが、大臣として所感をいただければと思います。

杉浦国務大臣 全く個人的な意見に相なりますが、司法改革の過程の中でもその点が、先生の御指摘の点が議論になりました。それで、裁判所の方も、人事局長もお答えいただくとよろしいかと思うんですが、判事補十年間のうちにできるだけ外で仕事をする、例えば法律事務所で働くとか、あるいは新聞社へ出向するとか、一般民間企業へ行くとか、そういう機会を随分ふやしておられるようでございます。

 さらに、我々の議論の中で、今度、日本司法支援センターというのを立ち上げます、四月に発足して十月から業務開始しますが、そこの業務には判事、検事から大量に送ってもらおうと。十年間の判事補のうち三年ぐらいは司法支援センターで働く。これは最も下積みの仕事ですから、国選弁護、被疑者段階の弁護、民事の法律扶助事件、本当に下積みの仕事を弁護士としてはいたします。

 ですから、そういうことでやろうじゃないかと議論しておりまして、これから最高裁、検察庁で何人ぐらい出していただけるかという検討を始めると思うんですが、要するに若い時期に、フレキシブルな、人格の可塑性のある時期に、できるだけ裁判所とか検事以外の仕事で世間に触れていただくということをやっていただくのがいいんじゃないかという議論をいたしました。司法支援センターもそういう趣旨で立ち上げたわけでございます。

 これから本当に社会が多様化していきますから、判事や検事になる方も、多角的な素養、知識、世間の経験、そういうものを身につけていただくということが適正な司法の執行、役割を担うのに大事なことじゃないかというふうに私は思っております。

石関委員 大臣おっしゃるとおりですので、司法全体の中でそういったものをしっかり高めていっていただきたいというふうに改めてお願い申し上げます。

 また、下級裁判所の裁判官の任期というのは十年間ということであります。十年たつと指名諮問委員会という中で適切な方かどうかということが諮られるということでありますが、不適格というふうにされる人はどういった理由でされることが多いのでしょうか。判決文の中身とか、そういうものについては独立していますからそれによって左右されることはないと思うんですが、どういった例が多いのか、どういった理由が多いのか、お尋ねいたします。

山崎最高裁判所長官代理者 裁判官の再任に当たりましての審査といいますのは、あらゆる要素を総合して裁判官の職責を果たすにふさわしい資質、能力の持ち主であるかどうかという判断をいたすわけでございますので、こういう要素、ああいう要素というのを列挙するというのはなかなか難しいところがございます。

 ただ、例えば事件処理能力というのは間違いなく重要なポイントであるわけでございまして、例えば、事件処理の実績を見て、とても裁判官としての職責を果たしていないというような状況があり、またそういうのが改善されないということでありますと、それは再任するにはふさわしくない、そういう判定がされることになろうかと思います。

石関委員 これは処理の能力ということですが、まじめな人で一件一件一生懸命考えて、能力は極めて高い。裁判官になれる方ですから、しっかり試験も通っている。まじめにまじめに自分の正義というものを考えて、一件一件まじめにやっていく方と、これは早ければいいんだということはないとは思いますが、処理能力を、処理の件数を上げようという方、これはどうやって判定をされるんですか。

山崎最高裁判所長官代理者 委員のおっしゃられるとおり、処理した事件の数で判定するなんて、そういうことはもちろんございませんでして、極端に言いますと、例えば、非常に事件の処理が遅くて判決言い渡し期日を何回も何回も延期して当事者に迷惑をかける人ですとか、そういうケースが出てまいりますと、それは事件処理能力が劣っているのではないか、だれしもそういうふうに思うわけでございます。

 また、内容、個々の事件についての判断の結論の討議、これは裁判官の独立でございますから、そういうものはもちろんしんしゃくできないわけでございますが、いろいろな意味で、先ほどもございましたけれども、過誤が極端に多いですとか、そういうことになりますと、やはりその人の執務能力というものに疑問がつくわけでございまして、そういう観点から事件処理能力というものを判定していく、そういうことでございます。

石関委員 ありがとうございました。

 ほかにも提出した資料の中、定員の枠には入っておりませんが、職員ですとか執行官の方が競売の調査中に社交ダンスを踊っているとか、とんでもない例がこれに出ております。小さな事件ということには、これは司法という本当に威厳を持って国民の信頼を得てやらなければいけないシステムの中ですから、こういったことも再発しないように、しっかり定員はふやして国民に迅速で適正な裁判を受けてもらうということ、そういう機会を与えるというのは大事ですけれども、質をしっかり高めるという部分について改めて一層の努力をされることをお願い申し上げまして、私の質疑を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

石原委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。

 ここもと、いわゆる行政改革推進法案が閣議決定されるという中で、行政の公務員の五年間五%ですか、削減という議論があります。そうした中、実は私も、立法府、衆議院の議院運営委員会の改革小委員会というのがございまして、一方では立法機能の強化を図りながら、しかし、より効率的な立法府のあり方というものを今模索しているところでございます。

 そうした中、これは司法になるわけですけれども、三権の一翼を担う司法の定員のあり方というものも、やはりそうした効率化、それと同時に、機能はしっかりと維持しなければいけない、そういった中でしっかりと見直し、あるいは検討をしていかなければいけない、そういったことかと理解するわけです。

 そうした中で、下級裁判所の裁判官の定年が一般の公務員に比べまして高く設定されています。六十五歳。検察官については六十三歳となっていますが、これは、公務員より高い理由というのはどういうことでしょうか。

杉浦国務大臣 これは昭和二十二年、占領下ですね、裁判所法で定年が決まったようでございます。戦前は、裁判官は終身雇用だったようですね。定年はなかったようですが、憲法で最高裁初め裁判官の定年が設けられたというようなことを受けて、裁判所法で決まったわけでございます。

 その当時、一般公務員には定年はございませんでした。一般公務員の定年は昭和五十三年でしたか、設けられて、それまでは勧奨退職だったようです。

 ですから、占領下の時期に、最高裁七十歳、検事六十三歳ですか、検事総長六十五歳というような定年が設けられたわけですけれども、職務の性質上、知識経験が大きく役立つと。一般の民間は当時五十五歳ぐらいだと思うんですが、法曹、裁判とかそういうものに携わる方はそれよりも定年を長くして、その人の学識、経験、そういったものを活用した方がいいのではないかという配慮で決まったのではなかろうかと拝察をいたしております。

津村委員 拝察は結構なんですけれども、現在もある法律ですので、現在の法律の趣旨というのをお聞きしています。

杉浦国務大臣 今申し上げた趣旨でございます。

津村委員 そうした中ですが、裁判官の人員配置ということで定員増が毎年起きているわけですし、それについては後ほど伺うわけですけれども、地域的に見た各裁判所の人員配置というのが過去三年ほどでどういった特徴的な変化があるのか、それはどういう理由によるものなのかということを具体的に御紹介ください。

園尾最高裁判所長官代理者 まず裁判官の定員についてですが、平成十四年から平成十七年までの四年間というのをとってみますと、判事で百四十二人、判事補で七十五人、合計二百十七人の裁判官の増員を図っておるところでございます。

 これらの増員した裁判官につきましては、主に増加しておる民事訴訟事件の処理、及び知的財産事件等の専門的知見が必要な専門訴訟の審理期間の短縮を図るため、また、長引く景気の低迷を反映して事件数の増加の著しかった倒産事件の処理のため、さらに、最近は事件数が増加し内容も複雑困難化した刑事訴訟事件を迅速に処理し裁判員制度導入の体制整備を図るために、事件数の増加の著しい東京、大阪などの大都市圏及びその周辺部の裁判所を中心に配置してきておるところでございます。

 これを数値で見てみますと、平成十四年の十二月一日の数値と平成十七年の同じ十二月一日の数値を比べてみますと、裁判官数は全国で二百九名の増ということになっておるわけですが、その増の多くは、東京、横浜、埼玉、千葉、あるいは大阪、京都、神戸、名古屋、福岡というような大都市地域を中心に配置をされておるという実情にございます。

津村委員 今御紹介いただいた数字は私も事前にいただいたんですけれども、確かに、東京で三十一人、大阪で二十五人といったぐあいに都市部でふえている一方で、松江では一人、秋田、青森も一人、福島で二人と、減員されている地域もございます。

 いろいろと知的財産あるいは労働関係の事案など、全体として事件数がふえているというお話の一方で、これはさまざまな理由によるとは思うんですけれども、概して地方では定員は横ばいないし減っている地域もあるということでございます。

 これは恐らく二つの原理があると思います。一つは、やはりこれだけ未済件数がふえている中で、少しでも忙しいところに大勢人を配置して効率的に件数をさばいていこうという効率性の観点、これは当然必要なことだと思いますが、もう一方には、全国一律に公的なサービスとしての司法というものを提供していく、そういったナショナルミニマムの観点というのも必要になると思います。

 この二つはそれぞれ時には背反することなわけですけれども、この二つの原理というものを、具体的な数字的な根拠も含めて、どういう基準で折り合わせているのか、最高裁にお尋ねします。

園尾最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点の特に重要な点は、事件数がどのように動いているかということでございまして、公平な人員の配置という観点から、事件数について特に注視をして定員配置を考えるということになります。

 ただ、裁判所には大変多くの種類の事件がございますので、どの事件をどのような割合として評価をしていくか、こういうところにその事件数処理の労力の実情などを考えながら研究をしていかなければいけないという複雑な作業があるわけでございますが、そのような作業を経ながら、事件数を基本にこの定員配置を考えておるということでございます。それに先ほど御指摘の全体的な見地からの修正というのを加えていくというようなところが作業でございますが、大変細かな数値についての研究ということをやっておるということでございます。

津村委員 今、最高裁にお尋ねしたわけですが、裁判官という意味でいえば、これは国のお金で給与を出しているわけですから、今おっしゃられたようなナショナルミニマム的なことも含めて、バランスをとることが比較的やりやすいわけですけれども、一方で、弁護士さんというのは国がお給料を払っているわけではありませんから、どうしても経済効率に従ってより都市部に集中する傾向があるように思います。

 そういった意味で、地域的に弁護士過疎の問題を少しでも緩和していくために、法務省としてどういうお取り組みをされているのか、お聞かせください。

杉浦国務大臣 先生御指摘のとおり、弁護士さんの場合は、どこで開業するか全く自由でございまして、現実問題として、今二万二千人ぐらい弁護士さんいらっしゃいますか、その半数が東京におられる。(津村委員「もっと多いですよね」と呼ぶ)もうちょっと多いかな。大体全体の半分ですね、東京。あと大阪とか名古屋とか福岡とか、そういう大きいところに集中しまして、過疎地域が全国至るところにあるというのが現実でございます。

 日弁連の方でも、こういう状態はまずいと。つまり、地方裁判所の支部のレベルで弁護士さんが一人しかいない。民事事件なんかは二人いないとだめなわけですから、とてもいけないというので――弁護士は全体で二万一千人でございます。ひまわり事務所というのを弁護士会の費用で開設いたしまして、そこへ若手の弁護士を派遣すると申しますか、行ってもらうという事業も何カ所かなさっておられます。

 このたび発足いたします日本司法支援センターというのは、さまざまな事業をやりますが、過疎対策も業務の一つに入っておりまして、私、通称司法ネットと言っているんですが、全国津々浦々に事務所を張ろう、都道府県に本部を設け、それからどんどん支部と申しますか、都道府県単位で支部を設けていく、そして過疎地にも配慮して展開をいたしまして、弁護士さん、司法書士さん等々、士業ですとか、法律相談窓口は市町村、商工会議所等々ありますが、そういうところと連携をとりまして、法律相談を初め、法律的なニーズにこたえていこう、そういう雄大な構想でこの十月から業務を開始いたします。

 過疎地域には特に配慮した事務所の配置をして、先ほど申し上げたように、司法支援センターで弁護士さんを雇用いたします。あるいは契約で一定期間働いてもらうとか、あるいは判検事の若手の人をどんどん派遣してもらって、常時弁護士を抱えることになりますから、その中から過疎地へ赴任してもらって仕事をするとかいうような形で、いわゆる弁護士偏在対策に取り組んでいくことに相なると思います。

津村委員 ありがとうございます。

 続きまして、最高裁にお尋ねするんですが、今回の増員の議論に入る前に、昨年度の判事、判事補の増員について伺いたいんですが、もともとは平成十三年でしたでしょうか、定員の中期計画の中で、十年間で四百五十人の判事、判事補の増員ということを打ち出されまして、それに従って、判事三十人、判事補十五人ということで増員をされてきたという中で、一昨年からですか、それが数がふえて、その理由としては、知的財産にかかわる事案の増加ということを挙げていらっしゃいます。昨年はそれで七十五人の増員ということであります。

 増員したからには未済件数が減っていなければ話が合わないわけですけれども、知的財産事件の処理状況というのがこの増員によってどういう効果があったのかを具体的に教えてください。

園尾最高裁判所長官代理者 昨年まで知的財産事件の処理ということも増員の一つの理由ということで掲げておりまして、その増員の効果について数値でもって御説明いたしますと、平成十五年から平成十七年までの三年間の状況を見てみますと、東京地裁と東京高裁の裁判官数と事件処理の状況を対比して御説明するのでいかがかというように考えます。

 平成十五年から平成十七年までの間に東京地裁における知財関係の増員裁判官数は二人、それから東京高裁、これは後に知財高裁ということで昨年の四月からは名前を変えていきますが、この裁判官の増員数も二人でございます。その間の東京地裁の知財関係民事訴訟事件の平均審理期間は十三・八カ月から十一・八カ月に二カ月短縮しております。また、その間の東京高裁、十七年四月からは知財高裁でございますが、この審決取り消し訴訟の平均審理期間は十二・四カ月から九・四カ月に三カ月短縮しております。

 このように、過去三年間の間に明らかな審理期間の短縮という現象がございますが、これには増員という措置が大きく寄与しておりますほかに、これに加えまして、平成十七年四月に知財高裁を設けるということで、さらに専門員を任命する、あるいは知財事件の専門的な処理体制をさらに整えるということも一つの寄与しておる要素であると思われますし、また、弁護士会でも知財弁護士の研修に力を入れておりますので、当事者の準備の迅速化という現象も働いているというように思われます。

 このような複合的な手当てがなされました結果、知財事件の審理期間が短縮されておるというわけでございますが、その政策の中心といたしまして知財裁判官の増員ということがあったことは疑いのないところであろうと考えておるところでございます。

津村委員 審理期間が確かに短縮をしていまして、それに増員が大きく寄与しているのは恐らくそのとおりだと思います。これからも増員をしていくということであれば、これはどのぐらいの平均的な処理期間が望ましいとお考えになっているのか。一定の目標を持って増員されていると思いますので、今、十一・八カ月、九・四カ月ということですが、目標値としてはどのぐらいと設定されているのか、聞かせてください。

園尾最高裁判所長官代理者 事件の内容によって目標とする審理期間というのはさまざまに異なってくるわけでございますが、知財訴訟に関して言いますと、ひところ、知財訴訟事件を迅速にという利用者の声が大変強かったわけで、そのための手当てをしてきたわけでございますが、最近の利用者の声を見てみますと、知財訴訟事件が早くなったというような評価をされておるところでございます。

 これは、アメリカなどとの間でも、裁判官がいろいろ研究会を実施するなどやっておりますが、そのような評価から見ても大変早くなったというようなことに加えまして、これは、訴えられる被告企業の側から、準備について、きちんと議論をするだけの準備期間が欲しいというような声もありまして、現在、これだけ審理期間が迅速に進んできたわけですが、これからどのようにこの審理期間について進めていくのか、これは利用者の声も勘案しながら、さらに研究をしていく課題だというように考えておるところでございます。

津村委員 私は、目標値を聞いております。

園尾最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げました状況ですので、具体的に審理期間の目標値ということを、これを最高裁の事務当局が、現在、知財訴訟に関して設定しておるということではなくて、総合的な施策の中で研究をしていく課題であるというように考えておるところでございます。

津村委員 ことしの増員の理由の中に、知的財産の文言が今回ないと思うんですが、だとすれば、その一定の目標達成感があるのかないのか、そういったこともきちんと説明していただきたいと思うわけです。

 そういう意味で、もう次の質問と絡めてお聞きするわけですが、今年度も昨年と同じ七十五名の増員ということで、これには労働関係あるいは医療観察事件処理等が理由として挙げられています。こうした、冒頭申し上げたように、公的部門に対する大変厳しい国民の目がある中での増員ですから、これは非常に厳しくチェックをされるべきだと思うんですが、今回、この七十五名増員する根拠というのはどういうものになっていますか。

園尾最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、この七十五人の増員ということに関しましては、先ほど来御指摘のある点でございますが、司法制度改革審議会で述べた意見に基づきまして、平成十四年度から計画性を持って増員を図ってきたところの延長線にある努力ということでございまして、その事件動向につきましては、民事訴訟事件あるいは刑事訴訟事件、このようなものについての事件の増加傾向、それから複雑困難さの度合い、それからただいまの御指摘のような、新たに労働審判というものがことしの四月から施行に移される、それから、昨年の七月には医療観察法が施行されて新たな課題が加わっておる、このようなことにつきまして総合的に勘案をして、かつ、判事補及び司法修習生からの任官者数の見込み、これは判事への任官者数、あるいは判事補への任官者数の見込みというようなことも総合的に勘案をして出した数値であるということでございます。

津村委員 私は、その総合的に勘案というのがけしからぬと思って伺っているわけです。ですから、知的財産をめぐる問題について、去年、おととしと、理由として掲げられていたものが今回掲げられていないわけですから、そういう意味では、それの意味するところは、平均審理期間が十二カ月と十カ月ですか、そこが一つの達成であったということを事実上意味しているわけですから、仮にこれが期間がさらに短くなったとして、来年の増員の理由に知的財産ということがまた出てくるというのはちょっとあり得ない話になると思うんですね。そういう形で一つ一つチェックをしていかないと、総合的に勘案ということでそこをブラックボックスにしてしまうと、これはもう際限がなくなるということを危惧しているわけです。

 そういう意味で、労働関係事件、医療観察事件というのは、今どれぐらい未済事件があって、それをどのくらいにしようとしているのか、今年度の増員についての目標を聞かせてください。

園尾最高裁判所長官代理者 労働審判事件について申しますと、ことしの四月に新たに労働審判制度が施行されるということでございまして、これにつきましては、現在、裁判所といたしまして、この労働関係紛争に堪能な民間の有識者、合計一千人を労働審判員に任命するということで準備の体制を整えておるところでございますが、これは相当数の申し立て事件があるということを見越しまして、これについての体制を整えるということでございます。このような、新たにことしの四月一日から事件類型ができることについての備えということが必要であると考えておるところでございます。

 それから、ただいま御指摘の、医療観察事件についてですが、これは昨年の七月十五日から施行になっておりますけれども、平成十八年一月三十一日現在、法律の三十三条一項に定めます入院、通院の申し立てにつきましては、全国で百七十一件の申し立てがされておる状況でございます。

 現在は、まだこの施行から半年しか経過していないということから、ただいまの申し立て以外の申し立ては一件しかされていないという状況でございますが、平成十八年二月以降はこの申し立て以外の各種の申し立て件数が増加するというようなことが予想されることと、これまでこの医療観察事件は裁判所になかった類型でございますが、新たな類型がここに加わってくるというような点も加味して、この増員の対象に掲げたものでございます。

津村委員 今後ともきっちりとフォローアップしていきたいと思うんですが、そういう中で、定員増七十五名が仮に今のような御説明だったとして、判事四十名、判事補三十五名、そういう割合にしている理由はいかがでしょうか。

園尾最高裁判所長官代理者 この判事と判事補の振り分けの問題でございますけれども、裁判所に提起される事件が長期的な増加傾向にあるとともに、内容も複雑困難化しておりまして、さらに医療観察事件等、これまで司法の分野に属さなかった領域についても、裁判所の関与が求められるなど、裁判所の業務は質量ともに増加しております。

 こういう状況からいたしますと、職務権限に制約のない判事だけで七十五人の増員を図るということは、これは一つの理想ということでございますけれども、判事への任官は、弁護士任官等の制度はございますものの、判事補からの任官者が現実にほとんどを占めているという現状でございまして、この判事補及び司法修習生からの任官者の見込み等も踏まえまして、平成十八年度は判事四十人という数値を出しまして、これと判事補三十五人、新たに司法修習生から採用ができるというこの判事補三十五人の増ということを加えて七十五人という数値にしたものでございます。

津村委員 細かい数値を持ち合わせていないんですが、印象で申し上げますと、判事というのは、判事補になられてから基本的に十年の経験のある方がなるということだと思いますので、先ほど、冒頭に定年の話をお聞きしましたけれども、判事補になってから十年間たった方々の数と、六十五歳になって定年になった方との差分というのが、一つの対象者の母集団という意味ではあると思うんですね。その数がここにきて激増しているという印象は余りない中で、一方で、判事補の方について申し上げますと、今、司法制度改革のもとで司法試験の合格者というのはふえているわけですから、そういう意味では、判事補の方がふえるというのは比較的話がわかりやすい、その対象者の数を想像するとですよ。

 そういう意味では、この判事の数が四十ふえて、判事補が三十五しかふえないというのは、数としてアンバランスな印象を受けるんですが、そこをもう少し丁寧に説明してください。

園尾最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘でございますが、判事の数、増員数というのは、これをどれだけ充員できるかという観点から検討していくということが大変重要な要素になってまいります。

 そういうことで、この充員の見込みということをさまざまな要素、判事補から判事になる人員、それから判事から退職をする人員の見込み、あるいは弁護士任官の数、そのようなさまざまな要素を考慮して判事の充員がどれだけできるかということを考えておるわけですが、平成十八年度に関して言いますと、この四十人という充員ということを考えまして、判事の増員数四十人ということを設定しておるわけでございますが、そういたしますと、この残る三十五人については、これは司法修習生からの判事補の採用ということで賄えるという見通しがあるものですから、ただいまのような数値に関する検討をいたしまして、そこで四十名、それから三十五名、そういう振り分けをしたものでございます。

津村委員 これは毎年されている定員の見直しですから、今年度のこの法務委員会での審議というのは来年の増員計画にも非常に重要な影響を与える審議だと思って御質問をしているわけです。

 そういう意味で、先ほど石関委員からも、裁判官の資質あるいは教育の問題についてさまざまな指摘があったわけですが、こういった非常に厳しい情勢の中で、要するに、判事補から判事への昇格が緩くなってはいけない。もちろん、人材がいればどんどんふやしていいのかもしれませんが、その辺の基準が緩くなってはいけない。そういう視点で今回も、また来年度以降もチェックをさせていただきたい、そういう趣旨でございます。

 もう一つだけ伺いますが、こうした裁判官の数をふやすというのは一つのアプローチですけれども、もう一つ、やはり、現在いらっしゃる裁判官の皆さんに新しい事件、新しいタイプの事件処理について、より専門性を高めていただくというアプローチも一方で必要かと思います。そういう意味で、研修制度、とりわけ知財関係、労働関係の研修システムの強化、どういう取り組みをされているか、お聞きします。

山崎最高裁判所長官代理者 今委員のお話のとおりでございまして、複雑化する社会の要請にこたえるためには、裁判官がすぐれた資質を身につけなきゃいけないのと同時に、特に、専門性を向上させなきゃいけない、そういう問題意識を持っているわけでございます。

 その専門性という観点からいたしますと、非常に大きな規模の裁判所におきましては、特定の事件を専門的に取り扱う専門部というふうな言い方をしております、あるいは集中して取り扱う集中部と言っておりますが、そういうものがございまして、そういうところに配置された裁判官は、日常の執務を通じて研さんを深めて専門的な知識を習得していく、こういうことが考えられるわけでありますが、それだけではなくて、そういった裁判官の専門性を向上させるために、裁判官の自己研さんを助けるという意味の研修制度、これもまた非常に重要な問題でございまして、その充実を図りたいというふうに思っております。

 例えば、今お話に出ました知的財産権関係訴訟につきましては、若手の裁判官の研修の際に、知的財産権コースというようなものを設けて選択型の研修をしまして、そういうコースを選択した人に知的財産権に関する基本的な知識を身につけてもらう機会を与えるといったことをやっておりますし、それ以外に、裁判官を海外の大学院に留学させたりということもございますし、知的財産権関係事件を担当している裁判官を対象として国内の研究機関あるいは理科系の大学院に派遣する、こういったことも一つの研修プログラムとして行っているところでございます。

 今後とも、裁判官の視野を広げる、あるいは識見を高めるということとともに、社会あるいは経済の実情に対する認識を深めるという意味の研修を充実させていきたいというふうに考えております。

津村委員 それでは続きまして、警察庁の方に御質問させていただきます。

 この一、二カ月、いわゆる公務使用を承認している私物パソコンからの個人情報の流出というのが、これは都道府県警あるいは防衛庁、東京地裁等でも見られているということであります。

 そうした中、これは都道府県警察についてのお取り組みを伺いますけれども、都道府県警察の職員数を分母とした私物パソコンの割合が今四割前後であるという沓掛国家公安委員長からの発言がありましたが、もう少し正確に伺っていきたいと思います。

 都道府県警察の職員数、それから公用借り上げパソコン数、そして公費で整備したパソコン数、それぞれの数字を教えていただいて、その中での私物パソコンの割合というのをお聞かせください。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年度の都道府県警察の職員数は、約二十七万八千人でございます。それに対しまして、十七年四月現在の数字で大変恐縮なんでございますが、十七年四月現在におきます都道府県警察におけるパソコンの使用状況でございますが、公務使用を承認している私物のパソコン、これは約十万四千台、それから公費で整備いたしておりますパソコン、これが九万二千台ございます。したがいまして、都道府県警察の職員数を母数として考えますと、公務使用を承認しております私物のパソコンの台数は約四割、あるいは公費で整備したパソコンの台数は約三割、こういう数字になります。

津村委員 ごめんなさい。今の数字はおかしくないですかね。公用借り上げパソコンが十万四千、公費で整備したパソコン数が九万二千とおっしゃったわけですから、このパソコン全体に占める私物パソコンの割合は五割を超えていると思いますが、今三割とおっしゃいましたか。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 今申しましたように、公務で使用しておる私物のパソコンは十万四千台でございます。そして、公費で整備しておるパソコンは九万二千台でございます。それで、それぞれ職員数で除した割合を申しますと、今申しましたように四割、三割でございます。

津村委員 私が申し上げたいのは、その職員数を分母にしてそれぞれを今四割、三割とおっしゃったわけですが、それは少し誤解を与える、実際よりも少なく数字が見えると思うんですね。といいますのは、職員数分の私物パソコンということであれば、職員の方、パソコンを使わない方もたくさんいらっしゃるわけなので、どの程度の割合で私物パソコンがあるかという基準には恐らくふさわしくなくて、正確には、職場にあるすべてのパソコン、つまり、私物と公費とを足したものを分母にして、その中の私物の割合を出さないと、一体どの程度私物パソコンが出回っているかということにはならないと思うんです。

 そう考えたときに、この十万四千足す九万二千を分母にして、十万四千を分子にしたのが私物パソコンの正確な割合ということですから、これは、今ぱっと計算できませんけれども、明らかに五割を上回っている。そういう意味では、沓掛委員長の四割程度だというのは、意図的かどうかは知りませんが、実際よりも少ない数字をおっしゃっているので、問題認識を誤らせると思うんですね。

 ですから、もう一度伺いますが、今ちょっと計算していただいても結構なんですが、パソコンに占める私物パソコンの割合、これは約何%か、お答えください。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 公安委員長がお答えいたしましたのは、先ほど私が申しましたような数字でお答えをしておる、お話をしておるものと承知いたしております。

 それで、今委員からの御指摘の件でございますが、公務使用を承認いたしております私物パソコンの台数と公費で整備したパソコンの台数、そのそれぞれの割合、おっしゃるとおり、おおむね五割、お互い五割ぐらいになります。それは、十万四千台と九万二千台という数字を申しましたので、そこから明らかかと思いますが、その両者を比較した場合、公務使用を承認しておる私物パソコンの方が若干多い、五割を超えておるということは間違いのないことだろうと思います。

津村委員 今、ぱっと計算したんですけれども、五三%程度ということになると思うんですが、この数字は、この二つを使って大体五三%と計算して、それで間違いないですか。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 申しわけありません。今計算したわけではありませんので確認はあれですが、五〇%を超えた数字になるということは間違いがないと思います。

津村委員 公用借り上げパソコンのパーセンテージが高い県警、低い県警を、それぞれ上位と下位を教えてください。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 各都道府県警察からの報告によりますと、先ほどと同じように、平成十七年四月現在でございますが、都道府県警察の職員を先ほどと同様に母数として考えた場合、公務使用を承認しておる私物パソコンの占める割合が高いことになっておる県は、六割強になっておるのが北海道警察でございます。その割合の低いところといたしましては、佐賀、香川、長崎などの県が一割弱ということになってございます。

津村委員 そうした中、この問題について取り組みをしっかりしてほしいと情報管理の徹底を事務次官に指示、安倍官房長官が昨日の事務次官会議でそういう指示を出されたという報道がなされておりますけれども、警察庁として、パソコンの公費整備を推進していくに当たりまして、これは更問の方をもう伺いますけれども、都道府県警察に発出した通達というのは七日にあると思います。その内容と、多少抽象的な表現だと思いますので、具体的にどういうことをイメージした通達なのか、具体的にお述べください。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 先日、委員御指摘のとおり、私どもの方から各県に対しましてセキュリティーの向上ということを主眼といたしました通達を発出いたしました。

 その内容は、いずれにせよ、公費であろうと私物であろうと、パソコンを使うに当たっての基本的な留意事項、これは既に、区々内容を定めて指示しておる内容があるわけですけれども、そういったことをさらに確実に徹底してやっていく。例えば、職場からパソコンを持ち出すときにはきちんと届け出を出して承認を得てから持ち出しなさい、あるいは、そのときには不必要なデータはすべて消去して持ち出しなさい、そういった内容のことを出しております。

 そして、いろいろ内部的な検討もした中で、結局、とどのつまりは、使う人の意識になるのではないか。幾らルールを決めてもそれを徹底できなければどうにもならぬという点もございまして、そういった面からは、個々職員の意識、安全性に対する意識、セキュリティーの確保に対する意識を高める必要があるということで、そういった内容についての職員の意識を高めるということを内容として盛り込む。そしてさらに、今も御指摘がございましたように、公費のパソコンが少なくて私の物を使っていることに起因するという事例もございますので、そういったことを避けるためにも、公費でパソコンを整備するということにも努力をする、そういった内容にいたしております。

津村委員 最後の質問ですが、精神論的なことを今おっしゃられたわけですけれども、例えば、防衛庁では二〇〇五年度予算の通信機器購入費を工面して約四十億円を支出、三月中に契約というお取り組みもされています。そうした中で、警察庁さんの、いつまでに全廃するとかそういった数値目標は何ら設けずに、今のような精神論で通達を出すにとどまる、そういう方針と理解してよろしいですか。

武市政府参考人 お答え申し上げます。

 各都道府県警察で使っておるパソコン、これは、いわゆる各都道府県で整備しておるものでございます。したがいまして、今般の流出事案を踏まえまして、警察活動に与える状況に十分配意し、それぞれの実情を踏まえて、公費によるパソコンの整備を積極的に進めるということが望ましいと考えていることは今申し上げたとおりであります。

 それで、警察庁といたしましては、セキュリティー対策を推進する観点からも、今までもそうでありましたが、今後も、あらゆる機会を通じて、公費によるパソコンの整備ということを都道府県に指導してまいりたいと考えておる所存でございます。

津村委員 端的に一つだけお伺いします。

 全国の都道府県警察において、私物パソコンというのは、いつなくなりますか。

武市政府参考人 具体的にいつなくなるかというあれでございますけれども、パソコン、私、今この場でいつまでになくせる、あるいはなくなるであろうということを申し上げるのはなかなか難しいことではないかと考えております。

 仮に、一人一台ずつすべてパソコンがあったとしても、さらにそれぞれ自分の都合でまた別のパソコンを使いたいというような要請もあるでしょうし、今後の技術の発展によってはパソコンにかわる何かが出てくるかもしれません。いずれにせよ、何があるかわからない中で、我々が今できることを精いっぱいやっていくということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

津村委員 地方財政が大変厳しい中で、警察庁さんがしっかりと指針を示さなければ、これは各都道府県警察はそれぞれ独立した会計でやっているわけですから、私物パソコンをなくすインセンティブは働いていかないと思います。そういう意味では、警察庁さんがしっかりと何らかのゴールを設定して、各都道府県に取り組みを促す、そういうことをされる必要があると私は思います。

 時間が来ましたので、これで終わります。

石原委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党、保坂展人です。

 私は、裁判官の定員にかかわって、裁判員制度などに対応する体制についても聞く予定だったんですが、既に同僚委員から同種の質問がありましたので、そこは割愛いたしまして、短い時間ですので、先般の、大臣にもお聞きをした法務省の工事について、二、三お聞きをしたいと思います。

 法務省の工事が九九%の落札率ということで、大変この率が高いということに着目した。そしてまた、新聞記事にもたびたび談合情報などが寄せられている。これは、違反行為はないし今後もしないと誓約書をとって済ませてきたそうですが、さらに天下りの問題もあったんですね。これは具体的にこれから官房長に伺いますが。

 東京拘置所の工事、これは相当でかい工事ですが、この一番最初の契約当時、営繕課長を務められた元官房審議官の方が、今度は三十五億円規模ですか、いや、もっと大きな七十億規模の入管の工事を受注するときの、今度は受注先の中堅ゼネコンの副社長さんになっていた、こういうことも事実としてわかったわけです。

 そこでお尋ねしますが、法務省の職員、施設発注の責任ある幹部やあるいは技官の方などで仕事を請け負う関係業者の企業に天下った方、例えば平成十四年、十五年、十六年というこの三年間でその天下った方たちが何人いるのかということと、そして、その方たちが入っている会社が何件の工事を請け負ったのか、そして、請け負った金額の総計は大体どのぐらいなのか、これをお答えいただきたいと思います。

小津政府参考人 お答え申し上げます。

 保坂委員の御指摘を受けまして、施設課の元職員等の再就職の状況について調査をいたしました。

 まず、再就職の状況でございますが、これにつきましては、平成十年以降に法務省を退職した施設課の元幹部職員と元法務技官の再就職状況でございますが、法務省と契約関係がある建設業者や設備業者に再就職しているということが確認できましたのは四人でございます。

 また、それらの業者の請負金額でございますが、これにつきましては、平成十四年度から平成十六年度までの三年間について調査させていただきました。その結果でございますが、それらの企業に法務省が発注いたしました工事は、追加工事を含めまして四施設について合計七件の工事でございます。

 その中には当該企業がジョイントベンチャーの構成員となっているというものもございますので、このジョイントベンチャーの構成員となっているものにつきましては、そのジョイントベンチャーのそれぞれの構成員の出資比率に従いまして案分をして計算いたしましたところ、三年間で合計約三十億一千二百万円という数字が出てまいりました。御参考までに、その三年間の法務省の発注工事、全体の請負金額は七百億円を超えるものとなっております。

 以上でございます。

保坂(展)委員 官房長に、ぜひしっかり数字を出して、きょうは時間がありませんのでこのぐらいにしますけれども、さらにしっかり調べていただきたいということをお願いいたします。

 きょうは公取にも来ていただいているんですが、改正独禁法の施行に伴って、捜索、差し押さえなどの強制力を伴う犯則調査、これがされるようになったと聞いております。公取として、新たな入り口に立った決意を一言聞かせていただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、昨年四月に可決、成立いたしました改正独占禁止法によりまして、刑事告発に向けた調査を行うための犯則調査権限が導入されまして、その組織として犯則審査部というものが新設をされたわけでございます。

 この犯則調査権限と申しますのは、証券取引等監視委員会なり国税庁の査察部門などが行使する調査権限と同様のものでございまして、従来は、調査を受ける側の企業が調査に同意をしない限りは刑罰が科されますよという形でのいわゆる間接強制の方法によって行政調査を行っていたわけでございますが、改正法によりまして、裁判官の発する許可状によりまして強制的な臨検、捜索、差し押さえということが可能になったわけでございます。

 公正取引委員会、従前から、国民生活に広範な影響を及ぼすような悪質かつ重大な事案、あるいは行政処分によっては独禁法の目的が達成できないような繰り返される累犯事案等につきましては、積極的に刑事告発を行うという方針で対処してきておりまして、この方針に該当すると疑われる事案につきましては、今回の犯則調査権限を積極的に行使してやってまいりたいと考えております。

保坂(展)委員 もう一問、公取に聞きますが、昨年、道路公団の橋梁談合事件がありました。ここにも大量に、つまり発注先の企業、談合参加した企業に公団のOBの方がいらっしゃった。

 これは端的に、短く答えていただきたいんですが、何かそれらの企業に対して、この事件を受けて措置をされましたか。

松山政府参考人 お答えいたします。

 昨年九月に排除勧告を行いました旧日本道路公団が発注する鋼橋上部工工事に係る談合事件におきましては、旧道路公団から関係人の企業に再就職をしていたOBの職員が、旧公団の未公開情報を現役職員から入手をするというようなことで、入札談合に深く関与していた事実が認められたわけでございます。

 したがいまして、公正取引委員会といたしまして、旧日本道路公団等に対しまして入札談合等関与行為防止法に基づいての改善措置要求も行いましたが、それとあわせまして、徹底した違反行為の排除を求めることが必要不可欠であろうと考えまして、関係人の事業者に対しまして、違反行為を取りやめることは当然でございますが、そのほかに、公団の退職者を役員または従業員として受け入れている関係人の事業者が、そういった職員を、道路公団からの業務を承継した高速道路の三会社が発注する鋼橋上部工工事につきましても、そういった営業業務には従事させないようにということを排除勧告で命じたところでございます。

保坂(展)委員 法務大臣に伺います。

 今、道路公団の公団OBの方がゼネコンなどに、土木関係ですね、天下っている。事件を受けて、そういうところにもう窓口に来ちゃだめだということで命令を出したという話です。先ほど官房長に答えていただいたのは、法務省の中で施設の発注責任者だった、そこに座っていた方が、二年を経て、はっと気がついてみると、役所から見れば、先輩が受注側にいるというようなことは、これは今、法律的には二年たてば個人の自由だということではありますけれども、世の中広いわけで、仕事はたくさんあるわけですから、そういう疑いが持たれるようなところには、まず法務省から再就職はやめていくということをこの際はっきりしていくべきなんじゃなかろうかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

杉浦国務大臣 その四名については、私も中でいろいろ調べたんですが、省として一切あっせんをしておりません。いわゆる天下りではなくて再就職のようです。徹底的に調べましたが、そうでございます。

 二年たって就職しましたから人事院規則等に合致しませんので、自主的な就職、それから二十二名対象者がいるうち、その取引先は四名だけで、あと十八名は全然関係のないところへ再就職しておるわけなんです。だから、これを、確かに先輩がおればどうこうということかもしれませんが、入札は一般競争入札を主にして厳正にやっておりますし、ではこれをどうしたらいいか、先生の御指摘は御指摘として、正直言って他省庁とは違うという印象ですね、法務省は。厳正にやっておると。

保坂(展)委員 全然違う意味で他省庁とは違うという姿勢を見せなきゃいかぬということなんです、私が言いたいのは。

 続きは、またやります。

石原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石原委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、棚橋泰文君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及び国民新党・日本・無所属の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 適正かつ迅速な裁判等を実現するという国民の期待に応える司法制度改革の実施に向け、人的・物的体制を整備すること。

 二 国民の司法に対する期待の高まりに応えるため、研修の充実等により、裁判官及びその他の裁判所職員の資質及び能力の一層の向上を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

石原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石原委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。杉浦法務大臣。

杉浦国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

石原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

石原委員長 次に、内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。杉浦法務大臣。

    ―――――――――――――

 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

杉浦国務大臣 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 地方更生保護委員会は、全国八カ所に置かれている法務省の地方支分部局であり、仮出獄及び仮退院等の許可等の事務を所掌しております。

 近年、受刑者数の急増を背景にいたしまして、この地方更生保護委員会が取り扱う仮釈放審理事件が年々増加するとともに、その複雑・困難化が進み、地方更生保護委員会の委員の負担が過重なものとなっております。

 また、最近における仮出獄者による重大再犯事件を契機として、これまで以上に仮出獄審理を適正に行うことが求められているところでございます。

 本法案は、このような状況に対応するため、地方更生保護委員会の委員の人数の上限を十二人から十四人に引き上げ、仮釈放審理体制の充実を図ろうとするものでございます。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

 よろしくお願いします。

石原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十四日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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