衆議院

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第6号 平成19年3月16日(金曜日)

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平成十九年三月十六日(金曜日)

    午前十時四十六分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 武田 良太君 理事 棚橋 泰文君

   理事 早川 忠孝君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    石破  茂君

      稲田 朋美君    今村 雅弘君

      奥野 信亮君    後藤田正純君

      清水鴻一郎君    柴山 昌彦君

      杉浦 正健君    橋本  岳君

      馬渡 龍治君    三ッ林隆志君

      武藤 容治君    森山 眞弓君

      矢野 隆司君    保岡 興治君

      柳本 卓治君    山口 俊一君

      吉野 正芳君    石関 貴史君

      大串 博志君    岡本 充功君

      佐々木隆博君    村井 宗明君

      神崎 武法君    保坂 展人君

      滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   法務副大臣        水野 賢一君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   最高裁判所事務総局経理局長            小池  裕君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   最高裁判所事務総局家庭局長            二本松利忠君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  武市 一幸君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     馬渡 龍治君

  近江屋信広君     橋本  岳君

  笹川  堯君     石破  茂君

  三ッ林隆志君     吉野 正芳君

  河村たかし君     村井 宗明君

  横山 北斗君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     笹川  堯君

  橋本  岳君     近江屋信広君

  馬渡 龍治君     稲田 朋美君

  吉野 正芳君     三ッ林隆志君

  佐々木隆博君     横山 北斗君

  村井 宗明君     岡本 充功君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 充功君     河村たかし君

    ―――――――――――――

三月十四日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三四二号)

 成人の重国籍容認に関する請願(近藤昭一君紹介)(第三四三号)

 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(田端正広君紹介)(第三五九号)

 同(松浪健四郎君紹介)(第三六〇号)

 同(三原朝彦君紹介)(第三六一号)

 同(宮路和明君紹介)(第三九五号)

 同(加藤紘一君紹介)(第四二〇号)

 同(井上喜一君紹介)(第四五三号)

は本委員会に付託された。

三月十六日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(第三〇号)及び成人の重国籍容認に関する請願(第三一号)は「荒井聰君紹介」を「高井美穂君紹介」にそれぞれ訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 執行官法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び執行官法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 他に質疑の申し出がありませんので、これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

七条委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、上川陽子君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。上川陽子君。

上川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 社会・経済情勢の変化に伴い複雑多様化する各種紛争事件の適正・迅速な処理を図るため、裁判所の人的・物的拡充に努めること。

 二 国民の期待に応える司法制度改革の実施に向け、国民に対し、改革の趣旨の周知徹底に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

七条委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、内閣提出、執行官法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、上川陽子君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石関貴史君。

石関委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    執行官法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 執行官の退職後の年金についての暫定措置である恩給の廃止に伴い、執行官の執務環境の整備に努めること。

 二 執行官の職務の重要性にかんがみ、執行官の人材の確保に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

七条委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

七条委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、両附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長勢法務大臣。

長勢国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

    ―――――――――――――

七条委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

七条委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長縄田修君、警察庁交通局長矢代隆義君、警察庁情報通信局長武市一幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局小池経理局長、小川刑事局長及び二本松家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 きょうは、大臣のみならず副大臣、政務官にも満遍なく、司法行政、法務行政について伺っていきたいと思うんですけれども、まず水野副大臣に伺います。

 不法滞在者対策、外国人の問題、もともと先生の選挙区には国際空港もあり、いろいろと外国人あるいは入管の問題には関心が深いところだと思うんです。まず、観光立国政策の目的達成のために、大臣の所信の中にもあったんですけれども、今、入管行政は効率化、迅速化ということでいろいろやられていると思うんですけれども、去年もバイオメトリックス関係の制度が変わりましたけれども、今どういう進捗状況になっているか、その取り組みについて説明してください。

水野副大臣 今御質問にございましたけれども、成田国際空港は私の選挙区じゃなくて、たまたま選挙区の隣ではあるんですけれども、千葉県の十区という、私の隣のところに成田市は位置しているんですが、さはさりながら、この入管の行政というのは極めて大切だというふうに思いますし、今委員が御指摘されたように、バイオメトリックスの導入というのを図る入管法の改正というのも行われたところでございます。

 この法律は、施行が一年半後という形になっておりましたので、その期間というのがことしの十一月の下旬に来るというふうに思います。そのために、バイオメトリックスの、指紋などによる生体情報を確認するためのシステムというものの導入が必要なわけでございます。これについては、総合評価方式によって日本電気が落札をいたしまして、その中で所要のプログラムの設計、開発作業に当たっている。成田空港においては、今運用実験も重ねておるというところでございますので、ことしの十一月からの本格運用というのでしょうか、これに向けて今鋭意取り組みが進んでいるということだというふうに思っております。

高山委員 政府は今、観光立国ということで、どんどん日本に、ようこそ日本に来てくださいということでやられていると思うんです。今のように、バイオメトリックス、確かにテロ対策ということで必要だとは思うんですけれども、そうしますと、入管でまた余計に時間がかかったりですとか、長い行列ができて、もう第一印象からして日本の印象が悪いな、待たせる国だな、こういうことになりかねないと思うんです。

 その入国管理に関して、これは迅速化ですとか、あるいは効率化の観点から、どういったことに今取り組んでいて、その進捗状況がもしわかれば教えてください。

水野副大臣 確かに、外国の方が日本にやってこられるときに、一番最初の印象を持たれるのが空港の入国の審査ということであると思いますから、そこで無用の長い時間かかるようなことがあってはならないというふうに考えております。

 そういう意味では、これは外国人の方も、再入国の場合などでありますけれども、自動化ゲートというのも、先ほどの法律が施行された当時に、自動化ゲートの導入というのも進んでおります。今申し上げたのは、成田空港において自動化ゲートは導入される予定ですけれども、そうしたこと並びにさまざまな施策を組み合わせながら、特に成田空港などの場合は、待ち時間が長いというのがかなり不満の上位に、よく空港から都心まで遠くて不便という声もあったりするんですけれども、それ以外にも待ち時間が長いというような不満もあって、ただ、最近は、ことしの一月の調査などでは、最長の待ち時間、一日の一番長い時間の平均が二十分以内ぐらいにおさまってきているということもあって、改善されているのではないかというふうに思っておりますけれども、御指摘を踏まえながら、鋭意取り組んでいければというふうに考えてございます。

高山委員 確かに、今言われたように、成田から都心へのアクセスの改善ですとか、こういった問題にも副大臣はもちろん取り組まれていると思うんですけれども、外国の方が日本に入ってきていきなり指紋と顔写真を撮られると、何だ、いきなり犯罪者扱いかよ、こういうような印象を持たれないように、必要性もわかりますので、どういう工夫をされているのか。

 やはり、感じが悪いと思うんですよね。いきなり、入ってきて、パスポートを見せて、はい、いらっしゃいませというのでもなく、指紋もとられる、顔写真も撮られる。何に使われるんだろう、私、別に日本に観光に来ただけだよ、こういう気持ちの人は大勢いると思うんですけれども、そういう印象を与えないためにどういう工夫をされているか、現に取り組まれているものがあれば教えていただきたいし、もし取り組まれていないのであれば、副大臣もそういうのは絶対必要だなという必要性を感じていらっしゃると思うので、どういったようなことを副大臣として考えられているか、教えてください。

水野副大臣 確かに、指紋をとるというのは感じが悪いというような印象は、これは気分としてはわからなくはないんですけれども、いわゆる指紋押捺みたいなのとはちょっと違って、電子的なやり方でやるものでございますから、それをもって、しかしそれが犯罪者扱いだというふうに言われてしまうと、そういうふうに感じる方もいるのかもしれないですけれども、そこは御理解を、テロ、犯罪ということのみならず、不法入国とか、これも犯罪なわけですけれども、こういうようなことを防いでいくために努力をしていかなきゃいけないと思います。

 ただ、多くの方に悪印象を空港のところで与えないようなことというのは、ちょっといろいろ知恵を出していければな、またいろいろ御示唆があれば教えていただければな、そんなふうに思っております。

高山委員 そうしますと、これは不法滞在をより減らす、あるいはテロ、そういうものの防止ということで、やはり犯罪者をあぶり出すといいますか、犯罪者を見つける目的で導入されたというふうに私は理解しているんですけれども、そういう外国からの要請があって。だから、犯罪者扱いまではもちろんしませんけれども、そういう者のあぶり出しのためにこれはやられているわけですよね、顔写真まで撮って、そして指紋までとると。

 それで、ちょっと今残念だなと思いましたのは、やはり水野副大臣の御地元に近いところでもあるし、日本の第一印象がほとんど成田で決まるというようなこの中で、本当に御自身が例えばアメリカに行かれた、あるいはどこかに行かれたときに、入り口で、そんな指紋もとるの、顔写真も撮って、私は何もする気は別にないよ、だけど、一応テロ防止だから全部とっている。渋々だと思うんですね。進んで、喜んでとられている外国の方というのはいないと思うのですね。

 やはり、日本にとってそれはマイナスだと思いますので、印象を変える努力をぜひしていただきたいなというふうに私は思いますし、これは本当に御地元が近い副大臣ですから、まさに他人事ではなく、すごく積極的に今後取り組んでいただきたいなというふうに思っているんですけれども、改めて副大臣の決意をちょっと教えてください。

水野副大臣 そういうことでいいますと、入国審査とか、もしくは飛行機に乗ったりするときなどにいろいろ検査があったりするということ自体も、これはどこの国であっても余り気持ちのいいものじゃないのかもわかりませんけれども、水際で犯罪者の入国を予防するとか、そういうようなことが大切だという総合的な判断の中で行われることだと思いますが、委員おっしゃられるように、そこら辺、同じことをやるに当たっても、なるべく抵抗の少ないような形でできるにこしたことはないですから、工夫というものはしていく必要があるというふうに思いますし、お知恵があればまたいろいろと、同じ制度を施行するに当たっても、悪印象を与えないような工夫というのがあれば御提言もいただければ幸いに存じます。

高山委員 今の副大臣の答弁の中で、飛行機に乗るときにも荷物検査があると。私も、荷物検査、アメリカなんかに行くと特に全部出されますから、もう何だよという思いはありますけれども。

 ちょっと副大臣に伺いたいんですけれども、かばんをあけて下着とかTシャツまで全部出すようなことと、指紋であるとか顔写真というような生体情報、ずっと一生ついて回るわけですよね、これが採取されるということは同じレベルで論じていい問題なんでしょうか。

水野副大臣 同じ面という部分もあれば、というのは、余り気持ちがよくないということにおいてはそういうものはあるでしょうし、また、もちろん、その場その場で持って回れる荷物の場合と、一生涯変わらない不変のものであるとされる指紋とかそういう生体情報は違う面というのは当然あるというふうにも思います。

高山委員 やはりこういう生体情報と単なる物、こういうものはちょっと取り扱いの仕方を厳に注意していただきたいなというふうに私は思いますけれども、副大臣、何かその点、追加で答弁されることはありますか。(水野副大臣「いや、別に」と呼ぶ)特にないですか。

 そうしましたら、次のこれと似た話題で、さっきちょっと副大臣からあったんですけれども、外国人だけですか、今、成田で指紋をとったりしているのは。先ほどちょっとありました自動化ゲートですか、これはどういうシステムなのか、まずちょっと説明していただけますか。

    〔委員長退席、倉田委員長代理着席〕

水野副大臣 自動化ゲートは、これは日本国民であっても外国人の再入国者であっても、事前に登録をしておいた場合には、生体情報、指紋とかによって本人であるということが確認されたりするわけですから、そういう方には、それによって煩雑な入国の審査というものをせずに比較的スムーズに入っていただく。そういう意味では、登録をしておいていただければ楽に入れる、時間がかからなくて済む、そういうようなことを成田空港において考えておるところでございます。

高山委員 この自動化ゲートですけれども、よく、利用者側がパスポートを出して、見てもらって、それでええっととチェックしていく、この手間より、ぴっと指紋でいくのだから早いですよというような説明をされるんですけれども、こういう利用者側の利便性ももちろんですけれども、要するに、入管を管理する法務省の側として、この自動化ゲートというのはどういうメリットがあるのか、教えてください。

水野副大臣 一つには、もちろん利用者の方にとって早く入れるという意味においては利便性があるのと同時に、審査する法務省、入管側にとっては、審査業務の合理化というか、人手が余りそこの部分に割かれなくて済む、メリットという言い方で言えばそういうことがあるのではないかというふうに思います。

高山委員 もちろん、人員削減の合理化ということは当然だと思うんですけれども、それ以外に、この自動化ゲートというのはどんどん人の生体情報が蓄積されていくわけですけれども、それは今後どのように利用することを考えているのですか。

水野副大臣 得た生体情報というものは、自動化ゲートの場合にこれが当てはまるのかどうかちょっとあれですけれども、一般論として言えば、かつて日本で退去強制されたような人たちが再び入国をしようとしたときなどに、既に指紋情報などを蓄積しておけば、これは簡単に水際ではねるといいましょうか、することができるということで、再び入ってくるリピーターを、悪い人間というか入ってこられちゃ困るという人を、リピーターを防ぐことがやりやすくなるというのは、その情報を持っていることのメリットというふうには言えるんじゃないかと思います。

高山委員 そうしますと、リピーターをはねるというのは、今もう既に顔写真を撮ってそれで指紋を押させるという、外国人に今やっているのがありますね、始まったもの、これの目的とどこが違うのか、ちょっともう一回教えてください。それとも、目的は同じものなんですか。

水野副大臣 自動化ゲートの場合は、そこで取得した個人情報というのはそのためだけに利用するということでございますので、ちょっと答弁を、これは修正という形になるんですかね、まことに申しわけございません、ちょっと修正をさせていただきます。ごめんなさい、ちょっと質問の意図が十分理解できなくて申しわけないです。

高山委員 いや、副大臣の先ほどの御説明ですと、それは外国人向けのバイオメトリックス情報をとるものの目的というか、あるいは利用であって、自動化ゲートの方は、では、これは蓄積してどういう利用をするんですか。自動化ゲートをぴっと通るときの照合だけの利用ということなのでしょうか。それをまず教えてください。

水野副大臣 失礼いたしました。自動化ゲートの方は、その集めた指紋情報というものは、自動化ゲートでスムーズに入国するということだけが目的でございますので、水際対策とかそういうこととはちょっと関係がないということでございますので、先ほどの答弁を修正させていただきます。

高山委員 答弁の修正は別に構わないんですけれども、私はきょう副大臣に伺いたいのは、外国人向けのバイオメトリックスでも写真を撮って指紋もとる、自動化ゲートではまた指紋もとるわけですね、これは日本人にも適用される、ちょっとこの関係をはっきりさせておきたいんですよ。つまり、じゃ、外国人の方は、日本に入ってきて、あるいはまた出ていくときに、二回も三回も自分の指紋をどんどん押さなきゃいけない、こういう理解でいいんでしょうか。

水野副大臣 そういうことになりますね。おっしゃるとおりだと思います。

高山委員 そうしますと、同じような目的なんだけれども、二回も三回もこうやって指紋をとっていくことになるわけですね。

 そして、犯罪防止目的の方で今指紋を集めている、外国人向けの方がありますね。だから、これは、こういう人がリピーターじゃないかとか、どこかのサーバーなり、どこかに情報が蓄積されていくわけですね。それと、この自動化ゲートでどんどん蓄積されていく情報、この人は何時何分にこういうのを通った、こういうものとの関係をちょっと教えてください。

水野副大臣 まず、自動化ゲートの方は、そこで集まった指紋情報というものは、ほかの水際対策などには使わないということでございまして、一方で、ほかのバイオメトリックスの方ですね、一般の外国人の方々などの入国、こちらの方は、蓄積された情報というものは水際対策などにも活用するということでございます。

 あと、自動化ゲートの方で、そうすると、外国人の方なんかが何度も何度も指紋を押さなきゃいけないんじゃないかというようなお話でございますけれども、その点は、自動化ゲートの方は任意でございますから、つまり全員に義務としてやっているわけじゃありませんから、指紋を押すということにおいては大変という面があっても、ただその利便性を受けたい、スムーズに入りたいという利便性を受けたい人が選ぶ、そういう意味では強制ではない、そういうような整理ではないかなというふうに思います。

高山委員 ちょっと今のはわかりにくかったですけれども、そうしますと、まず確認ですけれども、自動化ゲートの方のとっている指紋などのバイオメトリックス情報というのは、もう絶対に他利用はないんだ、こういうことでよろしいですか。

水野副大臣 そういう御理解で結構です。

高山委員 警察等の機関が、麻薬の売人で何度も海外に行って、こいつは怪しいじゃないか、いつ通ったんだということを調べたくなることがよくあると思うんですけれども、そういった場合には法務省はどういうふうな対応をするのかを教えてください。

水野副大臣 法務省が保有する指紋及び写真、個人の識別情報については、行政機関保有個人情報保護法に規定する個人情報として、同法に基づいて可能な範囲に限り利用及び提供を行うことになります。

高山委員 では、さきの答弁は、要は、自動化ゲートでどんどん集めた指紋情報、これは今の行政機関が扱う個人情報の取り扱いの規定によって、警察の捜査につい出してしまったりだとか、ほかのことに流用する可能性があるということですか。

水野副大臣 原則と例外がございまして、先ほどの自動化ゲートのあれは、自動化ゲートのことのみに使うということが原則ではございますけれども、では、例外的にあるのかという御質問だと思います。

 先ほど申し上げたように、行政機関保有個人情報保護法に規定する個人情報として、この法律に基づいて可能な範囲内に限りではございますけれども、利用、提供というのは、その道があるのかないのかといえば、あるということでございます。

高山委員 それでは、副大臣、先ほど、自動化ゲートの指紋の情報、これは流用はないんだというような御答弁でしたけれども、ちょっと修正してください。

水野副大臣 後段の方に申し上げたのが、より正しい、事実に即した答弁でございますので、最初の部分というのは、あくまで原則を言ったわけでしたから、例外があるのかないのかといえばそういう例外があるということで、その意味においては、修正というか、後に申し上げた方が、より例外を含んでの答弁だというふうに思います。

高山委員 しかし、副大臣、そうすると、便利はもちろん便利なんだけれども、後々何かのときに、あいつはここを通っていた、通っていなかった、あるいはこの指紋がだれのかを調べるときに、名前がわかれば大体旅券を持っているだろうから、ああ、こいつかとわかってしまう、あるいは照合に使われてしまう、こういう可能性はあるのでしょうか。

水野副大臣 可能性はあるのかということでいえば、それは、先ほど申し上げた法律などに規定する中で、例えば犯罪捜査などのことでどうしても必要だということであれば、あるのかないのかといえば、そういうことはあり得るんじゃないかというふうに思います。

高山委員 そうすると、ちょっと嫌だなというふうに思う健全な自律心のある日本国民も大勢いると思うんですね。だから、ちょっとどうなんでしょうかね。その犯罪捜査目的に利用するというのは、生体情報に関しては、個人情報の中でも、同じ一般法というか、行政機関が個人情報保護法をやっていますよね。いいんでしょうかね。

 さっきの副大臣の感覚だと、かばんの中の荷物を見るのと、指紋だとかバイオメトリックスの情報、ちょっと峻別した方がいいというような健全な感覚を副大臣は持たれているような気がいたしましたので、もう一度伺うんですけれども、行政機関が扱う個人情報というのは、普通の、届け出ているときの名前とか住所とか、もちろんそういうことだと思うんですけれども、このバイオメトリックス情報を同じに論じて大丈夫ですか。

水野副大臣 現行法においては、生体情報とその他のいろいろな、名前とかそういうような情報というのを区別した扱いは特別してございませんので、それをおかしいじゃないかというのは、御意見としてはわかりますけれども、現行法ではそういうふうに考えております。ただ、自動化ゲートは、先ほど申し上げたように強制ではございませんから、そこら辺を踏まえた上で登録していただくというか、そういうことになると思います。

    〔倉田委員長代理退席、委員長着席〕

高山委員 副大臣、だから、ここから先は政治家の話なんですよ。小ざかしい官僚の、現行法はこうなっているからどうだという話ではなくて、ぜひ副大臣に考えていただきたいんですよ。

 だって、今まで、行政機関が指紋をとったり顔写真を撮ったり、そういうことというのはあったんですか。例えば、市役所で健康保険証をつくるときに必ず指紋を押さなきゃならない、あるいは年金の手帳をもらうときに顔写真もつけなきゃいけない、こういうことは今までありましたか。

水野副大臣 年金とか、そのほかのもろもろの手続がどうなっているか、すべて知悉しているわけじゃありませんから断言的には申し上げられませんけれども、少なくとも指紋に関しては、私の聞き知る範囲では、ないんじゃないかというふうには思いますが、そのほか、写真を撮るとかというのはあるのかなという気もしますし、そこはすべてを知悉していないのでわからないとしか申し上げられないです。

高山委員 副大臣、指紋あるいは顔写真を撮ったりということは、今までやはり余りやってこなかったわけですよ。だから、住所を書くとか年齢だとか性別とか、そういうことですよね。それは、ある意味、一般の人も、そういうのは書くよなということで、抵抗感なく、もちろん不特定多数に知られるのは嫌かもしれないけれども、ここは行政庁だから書く、こういうことはあると思いますよ。だけれども、指紋をとられるとか顔写真を撮られる、これはやはり相当抵抗感があると思います。

 しかも、外国人向けの方は、もともと犯罪者をあぶり出すためのシステムですよね。この自動化ゲートの情報も、犯罪捜査目的に流用される可能性ももちろんあるんだということになりますと、これはなかなか利用しづらいな、また、本当にそこまでやっちゃっていいのかなという懸念もあるんですよね。

 ですから、これは今副大臣に、私、提案も含めて、ちょっと御答弁をお願いしたいのは、この自動化ゲートで、これだけ大量に、これがもっとどんどん普及してくれば、みんなが、これは便利だねということで、指紋をどんどん登録していく世の中にだんだんまた変わっていくわけですよね。そういうふうになったときに、一般法である個人情報の取り扱いの法律で本当に十分なのかどうか、バイオメトリックスに関しては、取り扱いに関しては別に決まりをつくるべきなんだと、そういうことを分けて考える必要があるかどうか、ちょっと副大臣の考えを教えてください。

水野副大臣 自動化ゲートで得た情報というものを、流用という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、犯罪捜査とかにも使うというようなこと、その可能性が例外的でもあるというのが嫌だという人たちの気持ちというのは、それはそれであり得ると思うんですね。

 ただ、そこら辺、では一般的ないろいろな個人情報と生体情報を区別して扱うべきじゃないかどうかということは、これは議論としては大いにあり得るんじゃないかと思いますけれども、今ここで、私としてこれは別物なんだというふうに言うことはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。政治家としてそういうことに問題意識を持つということは、今後、いろいろ個人としては考えてみる価値のある話かなとは思いますけれども、そんなところでございます。

高山委員 副大臣、ありがとうございます。

 やはり私は、このバイオメトリックス情報というのは、今回入管で初めて大量に蓄積してとっていくというふうに新たな領域にだんだん踏み込んできたわけですよ。今までは名前を書くだけ、あるいは住所。これは引っ越しも可能だし、電話番号だって変えることは可能かもしれない。だけれども、指紋であるとか顔つきだとかというのは、なかなかこれは一生変わらないものであり、今副大臣も、そうですねと。新しい領域なので、個人情報の取り扱いとして、本当に一般論で一律に論じることが正しいのかどうか。

 私は、やはりバイオメトリックス情報というのは変えられないし、本当に個人の問題であるし、そういったことを考えて、個人情報の取り扱いに関して、一般法ではなくて、こういう生体情報に関しては特別なものをつくった方がいいんではないかなというふうに思っておりますけれども、次の質問に移ります。

 更生保護関係で政務官に伺いたいと思うんですけれども、ことしは結構、更生保護の問題でいろいろな提言などあったと思うんですけれども、今法務省の方でどういったことに取り組まれているかということ、どういうことを変えていこうと思われているか、そこを教えてください。

奥野大臣政務官 今委員御指摘のとおり、更生保護について大変議論が盛り上がっております。それはなぜかといえば、保護観察下の人たちが再犯を起こすというような事態が多発しているということだろうと思います。それに関連して、有識者会議による更生保護制度の改革を求める報告がいっぱい出ていたわけであります。

 それに対して、私どもでは、まず一つ、法律が今まで実態に合っているのかというチェックをし、今国会に法令を提出しているわけであります、新しい更生保護法というものを。そのほかに、制度の運用とか、あるいは我々のところの組織の問題もやはり問題があるのではないか、こんな議論をしておりまして、今申し上げた法令の問題、それから運用の問題、組織の問題、これに実際に取り組んでいるわけであります。

 最初の法律の問題でありますけれども、これはまだまだ議論になっていないのでありますが、今まで大変古い法律がありまして、その二つの法律を一つにするということ。それに伴って、保護下にある人たちが自立更生をしやすく、再犯防止につながり、そして社会復帰ができるようなことを意識して法律をつくり直しているわけであります。具体的な話というのは法律のところで議論するんだろうと思いますが、そういう議論が一つであります。

 それからもう一つは、運用のレベルで問題を整理してみますと、保護観察官というものがまず足らないというような議論がありまして、そこをまず整理する必要があるだろう。特に、保護観察官による保護司への迅速な助言なども積極的にできるようにし、なおかつ協調して保護体制を充実していこうじゃないか、こんなことを議論しているわけであります。

 具体的に言いますと、この四月から、保護観察所に専門官制という制度を導入しまして、今までデスクワークをしていた人間も現場へ入れというようなことを考えておりまして、それが現在、百三十人ぐらいそういうふうな形でデスクワークと、それから現場の仕事をしようということで、運用というもの、組織の問題、そういったものを改定していこうという動きをしているところであります。

高山委員 政務官、今、保護観察官の数も足らないと。そしてまた、保護司の皆さんというのは民間の篤志家の方がやられている。それで、更生保護行政をこういうふうにやりたいといっても、保護観察官の人も本当に手が足りなくて、実質的には保護司の人がいろいろなことを担っていたり、あると思うんです。

 それで、例えて言うのもちょっとおかしいのかもしれません。これは、民間でいえば大きい本社があって、それで、下請というかその系列企業、このような形でいろいろ運営されているような組織というふうにとらえることもできなくはないと思うんですけれども、政務官は民間での経験から、普通の会社であればもっと、今までの系列あるいは組織、情報の伝達の方法、こういったことを今は見直す時代に入ってきている、そういうのをやっている会社もいっぱいあるという中で、この更生保護の組織、どういうところが一番硬直化しているというふうにお感じになっているか、教えてください。

奥野大臣政務官 どこが硬直化していて機能していないということを私は十二分に知っているわけではありませんが、民間企業で組織の硬直化を打開するときには、よく垂直指揮命令系統から水平命令系統に変えるということが実行されています。もしこれが機能するのであれば、そういう考え方も展開していく必要があるんだろうな、こう思います。

 ただ、一般論で言いますと、やはり私は、民間企業からこの政治の世界へ入ってみて、特に行政組織を見ていると、大変組織の無駄が多い、非常に効率が損なわれている、そういう意識は持っておりますから、まだ半年たっておりませんので、もっともっと現場へ入って、何が問題になっているかということを自分の肌で感じて、具体策をまたお役人の方たちに提案していきたいなと思います。

高山委員 今の垂直的な命令系統から水平的にというのは、権限の移譲であるとか、余り画一的な対応ではなくて、本当にその人その人の、個人の、個別具体的なということも含まれると思うんです。

 その点、保護司さんですけれども、私、この間の委員会でもちょっと質問しましたけれども、保護司の前に補導委託制度というのが少年においてはあるんですよ。これはこの間も質問しましたけれども、本当に少年院に送る必要があるのかどうなのかちょっとしばらく様子を見て、少年がまじめにやっているかどうかチェックしていこうじゃないか、そういうときにこの補導委託というのはどうも利用されるみたいなんですけれども、それがちゃんと適切に運営されているのかどうか疑念の点もあるので、きょうは最高裁も呼んでいますので、まず最高裁から伺いたいんです。

 この補導委託の制度ですけれども、その補導委託先でこの間不祥事があったという事件、これはもう通告もしているからわかると思いますけれども、こういう事案の場合、最高裁が委託をしたわけですよね。どういう責任をとらなきゃいけないのか。あるいは、補導委託先の委託を受けた人、この人にはどういう責任があるのか、そこをもう一回説明してください。

二本松最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員御指摘の案件は、現在公判中の事件でありますが、一般論として申し上げますと、補導委託をした少年、これは各家庭裁判所の裁判官が補導委託決定を行うわけです。そこの先で、仮に何らかの行為をして少年に被害が生じたということでありますと、一つは、その補導委託先の方が民法七百九条に基づく不法行為責任を負うだろうと思います。また一方、国の責任については、国家賠償責任ということも考えられるところであり、過去において、補導委託先で少年らがけんかをして、一人の少年がけがをした事件について国家賠償責任が認められた事例はございます。

 以上です。

高山委員 国賠ができるというのはある意味当然だと思うんですけれども、今話されたのは、少年同士がけんかしてという話でしたけれども、委託先の店主というのですか、店主と、その委託で行けと言われた少年の関係というのは、少年同士のけんかとはちょっと違うなと私は思うんです。

 だから、まずちょっと確認で伺いたいんです。多分、この補導委託という制度の説明にもなると思うんですけれども、これは、その委託先の店主なり預かり主が家庭裁判所の調査官に、こいつはまじめにやっているとか、あるいは、ふまじめだ、寝てばかりいるとか、また不良どもと遊んでいるとか、そういうことを報告したりする機会というのはありますか。

二本松最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 結論から申し上げますと、家裁調査官が補導委託先の、例えばそこの主人からいろいろ少年の行動等について報告を求め、そういうことを含めて最終的な少年の処分を裁判官が決定する、そういう仕組みになっております。

 以上です。

高山委員 そうしますと、最終的に決めるのはもちろん家庭裁判所の方だと思うんですけれども、その預けられている少年が、要するに、少年院に本当にそのまま送られてしまうのか、家に帰っていいよというようなことになるのか、実質的にその態度がまじめかどうかというのをチェックするのは、まさにこの委託先の店主とか、こういう人がやっているというのが実態ですね。

二本松最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、その補導委託先の方から家庭裁判所調査官が報告を求めると同時に、家庭裁判所調査官は、その補導委託先における少年の行動あるいは補導委託先との関係で、どのような生活を行っているのかということを観察し、そして直接少年からも事情を聞くとして、家庭裁判所の調査官がそういった評価も加えて裁判官に報告し、それをもとに最終的な決定が行われる、そういうふうになっております。

 以上です。

高山委員 いや、だから、制度の説明もいいんですけれども、私が言いたいのは、実質的に、その少年がまじめにやっているとかふまじめだとか、まだそういう不良とつき合っているとか、こういうことを言うのはこの委託先の店主じゃないんですか。どうなんですか。

二本松最高裁判所長官代理者 お答えします。

 先ほども申し上げましたとおり、その点については、もちろんその補導委託先の方からの情報というものは一番重要になるわけです。加えて、それが事実かどうかも含めて、少年からも事情を聞く、そういった情報を含めて最終的な判断を行っております。

高山委員 今、局長の答弁では、その補導委託先の情報が一番重要だというような話がありましたけれども、少年にしてみれば、自分が少年院に送られるのかどうなのか、そこで、おまえ、住み込みでまじめに働けばちょっと様子を見るからということで送られるわけですけれども、そうすると、その店主と送られてきた少年の間には、おまえ、おれの言うことを聞かなかったらわかっているんだろうな、げすな言い方ですけれども、ちょっとそういう上下関係というか、支配、被支配の関係が生まれやすいとは思いませんか。

二本松最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、預けられる少年にとっては、自分の処遇がどうなるのかということが補導委託先における自分の生活態度等で決まるんじゃないか、そういう心理的な強制はあるだろうと思います。

 しかしながら、補導委託というのは、家庭的な処遇を行いながら少年の立ち直りの可能性を観察するものでありまして、補導委託先の選定に当たっては、仮にもその少年と受託者との関係に、支配、被支配の関係が生ずるようなことがないようにこちらとしても十分配慮しておりますし、担当の家裁調査官が定期的に補導委託先を訪問するなどして少年の状況の把握に努めております。

 以上です。

高山委員 局長、現に不適切な事例は生じているわけですよ。

 それで、私がもう一個伺いたいのは、そういう上下関係というか、やはり自分の処遇をどうされるかわからない人のところにずっと住み込みで少年がいるわけですよね。それで、そういう強制力がこの少年をいい方向に改善させるということはもちろんあると私は思いますよ。だけれども、不適切に、淫行だとかわいせつなことだとかにつながるおそれも全く否定できないなと思うんです。その点、そういうふうにならないようなどういう防止策を講じているか、教えてください。

二本松最高裁判所長官代理者 現在の公判請求されているような事件について、こういうことはもうあってはならないことで、まことに遺憾に考えております。

 このような事故を起こさないようにするためには、何よりもまず、適切な補導委託先を選ぶことだろうというふうに考えております。その適格者の選定については、これから一層配慮していきたいと考えております。

 また、各家庭裁判所の方には、適宜適切な視察を行うようにお願いして、そこの補導委託先の状況を十分把握するようにお願いはしておりますが、先般、改めまして、補導委託先の視察を積極的に行い、日ごろから委託先との連絡を密にするなどして委託先の実情を的確に把握すること、委託先に何らかの問題が認められるような場合には速やかに必要な措置を講ずることなど、そういったことについて注意を促したところでございます。

 以上です。

高山委員 事後的な対応としてはいろいろされたという話ではございますけれども、これはやはり構造的に、住み込みで働いて、しかも、補導委託先に行くような少年というのは、家庭環境に恵まれなくて、行き場がないような子が多いんじゃないのかなというふうに私は思うんですよ。

 そうすると、本当にその子は、そこで住み込んで働いて、しかも、ひょっとすると自分は今度少年院に入れられちゃうかもしれない、そういう状況ですよね。確かに、ある程度の厳しさを持って少年に接して、それが改善更生につながるということも当然あるでしょうけれども、逆に、おれの言うことを聞かなかったらおまえどうなるかわかっているんだろう、こういう支配的な預かり主もいないとはやはり断言できないので、この少年が助けてくださいと言える場であるとか、そういうのをそもそもやはりつくっておくべきだと思うし、もし今そういうのがあるのであれば教えていただきたいし、また今後、こういう事件を踏まえて、しかも、この事件が発覚したのは、今あなたが言っていたようなルートからじゃないルートですよね。警察に行っているわけですね。

 本当にこういうことが適切なのか。少年が犯罪を犯して、これから社会復帰しなきゃと思ってまじめにやろうと思っているときに、また警察に駆け込まなきゃならないんだ、こういうことが本当に適切なのかどうか、そこを踏まえて、だから、少年が助けてもらいたいというときに、どういった制度が考えられるか、あるいは今あるのであればそれを教えてください。

二本松最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 一般的な補導委託先に対するいろいろな視察、指導等は先ほど申し上げましたとおりですが、今後は、預けた少年を担当する家裁調査官等がきちんと面接をしていろいろ事情を把握する。それから、特に少年がそこの補導委託先でどういう生活をしているのか、そういったことについても十分配慮するように、これからはそういったことも十分注意してまいりたいと考えております。

 以上です。

高山委員 とにかく、これから裁判所も本当にやることがきめ細かくなってくると、人が足りなくて大変だなというふうに本当に思うんですけれども、そこは人が足りないからといって許される問題ではないし、また、人が足りないから裁判所の職員をふやしてもらいたいという法案に、裁判所の事務総長が軽い法案だから出てこないんだ、そういうのは普通の担当局長で十分である、本当にこういう姿勢でいいのかどうかというのは考える必要があると私は思いますけれども、この補導委託の制度と類似の問題が保護観察官と保護司の制度でも当然あると思うんですね。だから、まず保護司に関して伺いたいと思うんです。

 保護司の方が、実質的には、週に一回ちゃんと報告に来ますよとか、どうもまじめにやっているようだ、こういうことを保護観察官に報告したり上げるというふうになっていると思うんですけれども、まず、保護司と保護観察官はどういう役割分担をする制度になっているのか、説明してください。

奥野大臣政務官 私の知っている限りでは、保護司の人たちが、仮釈放になった人たちあるいは仮釈放の人たちで出てきた人たちをしっかりとウオッチして、その得た情報を的確に保護観察官に伝え、そして保護観察官が指導するというふうに理解をしております。

高山委員 そうすると、更生保護委員会とかで処遇はいろいろ決まっていくわけだとは思うんですけれども、保護司も、本当にこの人はちゃんとやっていますよとか、あるいは何かちょっとふまじめである、またそういう不良どもとつるんでいる、こういうような報告を実質的にしたり、実際に対象者と一番接して時間が長いのはやはり保護司の方だと思うんですね。

 だから、今のを聞いていて、補導委託制度と類似の問題点、つまり、支配、被支配とまでは言いませんけれども、あなたの今後に関しては私が全責任を負うとともに、わかっているなというような関係になりやすいんじゃないのかなというふうに私は思うんですけれども、この点、政務官はどのようにお感じになりますか。

奥野大臣政務官 そういうことが発生する可能性というのはあるんだろうと思いますが、やはり保護司というのは、それなりに自分は社会奉仕し、社会に貢献しているんだというプライドを持っている。そして保護観察官も、やはりそういう人間性というものをしっかり持って、保護司の意見をしっかりと聞いて、心からいわゆる保護観察対象の人たちをしっかりと誘導していくという温かい対応をすることが前提のシステムだと私自身は思っておりますけれども、そういったことが必ずしも十二分にできていないとするならば、そういう気持ちの通った対応ができるような制度に、あるいは制度というよりも、そういう人たちをなるべく選定していくということが一番ポイントではないかなと私は個人的に考えております。

高山委員 政務官、それは大方の人、九九・何%の保護司の方あるいは更生保護行政にかかわる方はそういう善意でやられていると思いますよ。だけれども、そんなことを言ったら、では日本に入ってくる外国人の一体何%が本当は犯罪目的で入ってくるのかとかリピーターで入ってくるんだ、だから、もうそんな不愉快なことをやらせる必要はないんじゃないかというふうに言う人もいると思うんですよ。

 ですから、それは、確かに保護司の人は善意でやられているのは私も重々わかっていますけれども、防止策を講じておく必要があると思うんです。現段階で、保護司の方と対象者との間でトラブルであるとか不適切な事例が起きないようにどのような防止策を講じているのか、教えてください。

奥野大臣政務官 ちょっと今よくわからなかったんです。外人の例を出されたんですが……(高山委員「外人は例え話です」と呼ぶ)例え話でいいですね。

 今、保護観察官に対して法務省がどういう形でその仕掛けをつくっているかという御質問だったというふうに思います。やはりそれは、保護観察官が直接対象者や保護司に面接するなど、常時適切な監督を行うように我々は指導しているんだ、今現在は具体的にはそういうレベルだろうというふうに思っております。

高山委員 それはちょっと、先ほどの最高裁の答弁に比べても、随分何もやっていないなという印象を持ちますね。

 当然これは起こり得ることですし、保護司と対象者の間でちょっと力関係があって、防止策、対象者がこの保護司は本当にたちが悪いというようなことを訴える場所もなくて、ただ信頼関係でやっているというのでは、政務官、ちょっとこれは無責任過ぎるな。また、これは補導委託と類似の事案が起きても不思議はないな。しかも、起きる蓋然性が見えてきたのに何も策を講じないというのは法務省としても問題だと言わざるを得ないなと思うんですけれども、政務官、もし追加で答弁をすることがあれば今お願いします。

奥野大臣政務官 仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則第二条において、「仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等の実施に当たる者は、公正を旨とし、懇切にして誠意ある態度をもって本人及び関係人に接し、その信頼を得るように努めなければならない。」とされており、これを記載したテキストを用いるなどして保護司の研修を続けておるということであります。

高山委員 政務官、今のテキストを使って研修を続けていると言うんだけれども、それはあくまでも本人のことですね。他律的に何か規制するのが必要だというふうに私は思うんですけれども、政務官はどのようにお考えですか。

奥野大臣政務官 私も、いわゆる保護観察下にある人たちが犯罪を、再犯を起こすというようなこととか、あるいは保護観察官の方がいろいろと保護観察下にある人たちをいじめるとか、そういったことがないようにどういうふうに仕組みを構築すればいいのか、どういういろいろな指導をすればいいのか、そういったことはまだまだ検討して組み上げていく必要がある制度ではないかなと個人的には思っております。

高山委員 先ほど政務官が、組織が硬直化しているときは上からのだけじゃなくて水平的に分権していくんだと。これは、現場に権限を与えるということは逆に責任も伴ってくる。それが、そういうパンフレットできちんとやるようにやっているから大丈夫ですというのでは、本当に現場に権限を移譲して大丈夫かなと。

 現場に大幅に権限を移譲して、本当に顔の見える範囲で個別具体的に自主的な判断、これはすごく大事なことだと思いますけれども、反面、その人の人生を左右しかねない事柄ですから、やはり他律的にどこかで規制していかないと、権限を移譲するというのは他律的に何かから監視されるんだということをセットにしていかないと、ただただ法務省が無責任にどんどん下にやらせればいいよということで終わりはしないかなと。

 この間のタウンミーティングのやらせ問題のときも、大臣が何か、法務省は関係ないんだ、末端の広告代理店が勝手にやったことだから全然法務省は責任はないんだと。こういうことになってきますと、民間の感覚では、本社が全部物事を抱えて重たい体で動いていく時代から、本社というのはもう小さくていい、これはアウトソーシングできる、こういう時代になっていくわけですけれども、では、アウトソーシングしてつくった部品だからうちの車が壊れても全然知りません、そういうことは民間では通用しないと私は思っているんですよ。

 政務官の民間での御経験も生かしていただいて、硬直化した法務行政の中でぜひそういう真っ当な民間の感覚でやっていただきたいなと思いますけれども、時間が来たので終わります。

奥野大臣政務官 おっしゃっていることは私の考え方と全く一致するんですが、民間でよくやられていることは、組織の平準化というのと、もう一つは、いろいろなプランをつくったら、プラン・ドゥー・チェック・アクションという、その最後のアクションまで、プラン・ドゥー・チェックしてアクションするということが一般の管理のルールになっているわけであります。だけれども、どうもお役所の仕事を見ていると、おっしゃっているように、プラン・ドゥーで終わっているというケースも中にはあるようですから、今議論していることがずばりそのものとは言いませんけれども、そういう考え方をもっともっと行政の仕組みの中に入れていくということが一番大事なことじゃないかな、私はそう思っておりますので、つけ加えさせていただきました。

高山委員 まだ午後も質問がありますので、午前中は終わります。

七条委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二分開議

七条委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高山智司君。

高山委員 午前中に続きまして、大臣にまず質問をさせていただきます。

 まず、法教育について大臣に伺いたいんですけれども、初等中等教育などで法律のことを教える法教育、これはどういったことを法務省としてやられているか。

 私は、大人になってからいろいろな詐欺的商法にだまされたりとか、あるいは何かそういう不利な目に遭わないためにも、ベーシックな法教育、また、法律というのはやはりきちんと守らなければいけないものだとか、こういったようなことを教えておいた方がいいなと思っているんですけれども、今どういうことを法務省は取り組まれているか、教えてください。

長勢国務大臣 法教育というのは広い概念だと思いますが、法というものは何のために必要かとか、どういうものがあるかとか、その意義、またその背景にある価値観というものをみんなが理解できるように、そしてそれを通じて公正な判断力とか社会への参加意識とかをきちんと持つ、こういう物の考え方、また制度の内容を身につけてもらうということが法教育の目的ではないかと思います。

 今、司法制度改革に取り組んでおるわけでございますが、こういうものが基礎にあってこそ改革の成果も上がると思いますし、こういうことを、特に学校教育を初め社会教育の中でもいろいろな場面で、いろいろな学習機会にそういうことが徹底されるように法務省としても取り組んでいきたい、このように思っております。

高山委員 今、学校教育の現場でという話が出ましたけれども、実際、学校教育の現場で、いろいろな機会に法律を守れというのを言うのはもちろん当然のことなんですけれども、課外授業と言うと変ですけれども、ちゃんと時間としてとって、例えば現代社会の中で教えるとか公民の中で教えるとか、法律をきちんと守っていこう、日本というのはこういう法の支配がある国ですよ、こういうようなことを教えるべきだというふうに思っているんですけれども、既に今どういうことが学校教育の現場で行われているかというのを、大臣、御存じでしたら教えてください。

長勢国務大臣 教育現場で具体的にどういう教材が使われたりどういう内容の授業が行われたりということは、ちょっと私は存じ上げません。

高山委員 残念ですね、非常に。

 というのは、今持ってきたんですけれども、これは「金融教育ガイドブック」といって、金融庁が、要するに、お金ですとか株の取り扱いをどうするかとか、こういうことをやはり初等中等教育からでも教えておいた方がいいだろうと。とかく日本では何かお金もうけというと悪いことのようで、子供になんか教えちゃだめだ、そのような中、やはり、むしろそういうことをきちんと小さいうちから教えておかないと、二十歳過ぎたら今度はもう全部自由だということになると、逆にだまされて変なものを買ってしまったりだとか、リスクがあるのにわからないで、最近の新興企業のブームがあって株だ株だというのでやったりだとか、不都合もあるだろうということで、初等中等教育でも、金融庁なんかは随分文部省と連携をとって、協力をしているようなんですね。

 この点、大臣のお考えで結構ですけれども、文部省ときちんと連携をとって、カリキュラムの中にこの法教育というものを入れていくべきだというお考えがあれば、大臣の決意をお聞かせください。

長勢国務大臣 法律というものについても偏った考え方もあり得ることですから、そういうことのないように、きちんとした法律知識あるいは法律の意義というものを身につけてもらうようなことが教育内容の中に加えられていくことは大事なことだと思います。

 ただ、私自身は子供がおりませんのと、私が学校を出てから大分たったものですから、よくわからないのは申しわけありませんが、具体的に、役所としては話をしておるのかもしれませんが、改めてまた状況も聞いて、文科大臣にもそういうお話はさせていただきたいと思います。

高山委員 文科大臣ともよく連携をとっていただきたいですし、こういった問題は、確かにトップ同士もありますけれども、現場レベルできちんと連携をとっていただいて、学校教育のカリキュラムの中にそういう法教育の時間を入れるのももちろんですし、また、もう少し高等なものになってくると、例えば高校であれば、金融庁の行っているようなことであれば、都市銀行から行員が行って、金融の取引の実際はこうだ、こういう話を高校生にしたりであるとか、あるいは大学の中に寄附講座みたいなものがあるのと同様、もちろん大勢の弁護士や検察官の方が大学で教鞭をとられているというようなこともありますけれども、さらにそういう法曹実務の方をこういう法教育にうまく連動させていく、そういうかじ取りをぜひ法務省に行っていただきたいなと思っているんです。

 この点に関して、法務大臣の今後の取り組みについて、もしやる気があるのであれば教えてください。

長勢国務大臣 学校現場でどういう形でできるのかちょっとわかりませんし、また、法教育についての理解も先生によっていろいろあるかもしれませんし、そういうことはありますが、公正で偏らない法教育というものは非常に大事なことだと思いますので、うちの役所の人たちも文部省と話をしておるんでしょうけれども、ちょっとその話はまだ聞いたことがありませんので、状況を見ながら、必要なことは文科大臣にも話をしたいと思います。

高山委員 これは非常に大事なことだと思いますし、大臣もぜひ関心を持って取り組んでいただきたいし、これは事務方の方もきっちり、こういう省内でやっていることは大臣に説明をしておいていただきたいなというふうに思います。

 その点、法教育がきっちりなされていなかったのかな、しかも、法教育をしっかりなすべき人になされていなかったんじゃないかなというような事案で、前に石関議員からも質問がありましたけれども、鹿児島県議選で、選挙違反だということで本当にひどい捜査が行われて、でっち上げのようなことがあったという報道がありますけれども、この点に関して、やはりこれは自白偏重の取り調べであり、随分問題があったなと思うんです。

 まず、この点、警察庁の方に、この事案に関して、これは随分問題だと思いますよ。私も報道で見た限りですけれども、再現ドラマのようなものまで見ましたけれども、随分ひどいことをするものだな、まだこういうのが日本で行われているんだとちょっと残念な気がしたんですけれども、警察庁として、この件に関してどのような調査をして、またどのようなその後の事後的処分をされたか、教えてください。

縄田政府参考人 お答え申し上げます。

 二月二十三日に無罪判決がありました。鹿児島県警察におきましては、判決前から、公判等への対応の中で捜査経過等について随時検討を行っておりましたし、判決後も、公判記録あるいは捜査資料、さらにはその捜査に携わった者等からも事情を再度といいますか聴取するなど、調査しておったところでございます。

 警察庁にもそういったものにつきまして報告もいただきながら、検討をいたしました。私どもとしては、その判決の結果につきまして、委員御指摘のとおり、大変重く受けとめております。

 問題点としては、一つは、供述の内容及び供述の変遷という点について、信用性の吟味が十分なされていないんじゃないかというようなことが指摘されましたし、それから、原資が全く解明されていないのと客観的証拠がほとんど出されていないのではないかという御指摘がございましたし、長期間あるいは長時間にわたる追及、強圧的な取り調べ、あるいは取り調べ官による不適切な言動の存在が強くうかがわれ、自白の信用性に疑問が残るとの判断がなされたということなどでございます。

 私どもといたしましては、まさにこれを十分重く受けとめ、通達もそれぞれ発出いたしましたし、会議等でも教養等に努めておるところでございます。この問題点を全国の都道府県警察一人一人の捜査員に至るまで十分浸透させて、このようなことがないようにしっかりと対応をとっていっておるところでございます。

 こういった事案でございますので、それぞれ、鹿児島県警察も大変重く受けとめておりまして、今回の事案につきまして、当時の捜査主任官あるいは警察本部から行っておりました班長等につきまして、警察本部長の方から厳重に注意をいたしたところでございますし、警察庁といたしましても、異例ではございますけれども、当時の警察本部長に対しまして、長官から文書による注意を行ったところでございます。

 再発防止といいますか、このようなことがないように努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

高山委員 今の局長の答弁ですと、やった当事者に対しては極めて、注意もした、またその監督責任者にも注意をしている。この事案に対しての反省は確かに一面見られるなという気もするんですけれども、具体的にどのような、こういうことがもう二度と起きないように、これはひどい話ですよ、本当に。自白偏重だし、昔から言われていることですよね、密室の中で自白偏重なんじゃないか。しかも、今局長の答弁にもあったように、物証なんかほとんどないわけですよね。自白偏重でやっている。

 警察庁として、どのような再発防止の策が考えられるというふうに思いますか。

縄田政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、どれだけ一線の捜査員一人一人に、この問題点といいますか、この判決の問題点を浸透させるかということでございます。

 通達等も発出をいたしましたが、今、それぞれの選挙違反捜査等を担当する課等につきましても、この判決をどう受けとめておるのか、どういう点について留意すべきであるのか等につきまして聴取をいたしたところでございますし、そういった各県の受けとめ方も十分見ながら、今後、管区警察局単位でそれぞれの会議を設定してございます。

 そういった点で、富山の事案もございましたけれども、今回の事案も含めまして、同様の問題点がございますので、十分具体的な事実を示しながら、ディスカッションといいますか、お互いの意見を交換しながら、しっかりとこの事案を受けとめて、どうあるべきかというのを、身につくといいますか、そういった教養をしっかりやっていきたい。そういったことも通じながら、一線の捜査員にこのようなことがないようにということで浸透させてまいりたい、こういうふうに思っております。

高山委員 今の警察庁の答弁ですと、逆に、きちんと犯罪を追及しなきゃいけないというと、つい、やはり捜査員の方も、熱心の余り、仕事に熱が入って長期にわたる取り調べになったり、こういうことは当然起こり得ると思うんですよ。

 ですから、今、何か通達を出したと言いましたけれども、その通達の内容をちょっと簡潔にまず言ってください。その通達はどういうものを出したんですか、再発防止の通達。簡潔に言ってください。

縄田政府参考人 四点ございまして、一つは捜査指揮にかかわることでございます。捜査の指揮官たるもの、事案の全体をしっかりと掌握して、諸般の供述の中身あるいは取り調べの状況につきましても、十分掌握の上で対応すべきということ。それからもう一つは、先ほども反省点等にございましたけれども、供述の信用性につきまして、その供述の内容あるいはその変遷等がございました場合の吟味の仕方等につきましても、十分対応するように。さらには、その裏づけ捜査の関係で、供述も踏まえて裏づけをしっかりする。その裏づけをもとに、さらに供述の信用性につきましてもしっかり吟味をするというようなこと。あるいはもう一つは、取り調べのあり方として、委員も御指摘でございましたけれども、長期間あるいは長時間にわたる取り調べが指摘をされておりますが、これについて反省すべきはしっかり反省をする。今回のようなケースがないように、事例ごとによく見てくださいというようなこと。あるいは、取り調べの言動等がございました。

 こういったことも踏まえながら、取り調べる対象の性別とか年齢とか境遇、そういったものも十分配意しながらやる、そういったことをしっかり統括していただきたい、こういう趣旨でございます。

高山委員 今の警察庁のを聞いていますと、とにかく今までどおりの運用を厳しくしてやっていくんだ、しっかりやれということでしょうけれども、先ほど法務大臣からも答弁がありましたけれども、法教育をしっかりしていないから何か遵法的に行われないおそれもあるので、やはり他律的に、外からきちんと、取り調べがどのように行われているかを監視する必要があるなと思います。

 これはもうずばり聞きますけれども、これを契機に、取り調べの可視化も必要じゃないか、こういう議論は警察庁の庁内ではありましたか。議論があったかなかったかを聞いています。

縄田政府参考人 今回の事案等も踏まえながら、私どもといたしましては、さはさりながら、取り調べというのは事案の真相解明に大変重要な捜査の一つであるということで、委員御指摘のことだろうと思いますが、取り調べの録音、録画等につきましても、直ちにこれを取り入れるというわけにはいかないのではないかなというような議論はいたしました。

高山委員 ちょっと今のは語尾がはっきりしないのでよくわからなかったんですけれども、では、取り調べの可視化について、警察庁内では議論があったんですね。あって、どういう結論になったのか、もう一回教えてください。

縄田政府参考人 私ども以下でも議論をしましたし、それぞれ上司等にも報告をいたしておりますが、今回の事案、こういった事案がありますと、委員御指摘のような議論も当然ある。私どもも、そういう御主張をされることにつきましては一定の理解もございますが、さはさりながら、こういう事案がなきように、まずはしっかり絶無を期さなきゃいかぬという議論が一つ。

 それから、さはさりながら、このような事案があったといたしましても、犯罪捜査におきまして、取り調べをやり、供述によって真実を解明していくというのは、これは大変大事な要素である。したがって、これに若干障害を及ぼすような録音、録画というようなことにつきましては取り入れるべきではないのではないかな、引き続き、私どもといたしましては、現状の中で捜査をすべきである、こういうふうなことを考えておったところでございます。

高山委員 いや、僕も警察ファンとしてちょっと悲しいですね、今の答弁は。何かすごく残念な気がしますね。

 法務大臣に伺いますけれども、これは去年の五月の新聞記事ですけれども、検事取り調べを録画とか、東京地検で試行してみるとか、そういう記事が出ているんですけれども、今、こういうことを、法務省の方でというか、東京地検で取り調べの可視化ということで何か取り組まれて行ったことというのはありますか。

長勢国務大臣 今、検察庁において、検察庁における取り調べの録音、録画というものを試行しております。これは、裁判員裁判が二年後に始まるわけでございますが、裁判員に対するわかりやすく迅速かつ的確な主張、立証のあり方を検討する一環として、自白の任意性が裁判で争われることが多いわけでございますが、自白の任意性についても、わかりやすく、効果的、効率的な立証ができるようにという、そのための方策の一つとして試行しておるものというふうに承知をいたしております。

高山委員 ただ、大臣、先ほど警察庁の方から、取り調べの録画等をすると捜査に支障が出るんだということだったんですけれども、試行した中でどのような支障が出ているか、教えてください。

長勢国務大臣 今、東京地検で試行をして、その様子を見ながら少しずつふやしていくという段階にあると思いますが、今の段階で、具体的にこういうことになっておるという結果については、特段の報告はいただいておりません。

高山委員 では大臣、せっかくですので、試行してみた結果、取り調べの可視化や録音などをしても捜査に支障はなかったという答弁はいただけないでしょうか。

長勢国務大臣 今検察庁でやっておりますのは、自白の任意性について、わかりやすく、効果的、効率的な立証を遂げるためのことについての可視化というか録音、録画ということを試行しておるわけでございますので、取り調べ全体をどうするという話を今しておるというふうには伺っておりません。

高山委員 ちょっと今の大臣の答弁はわかりにくかったので、もう一度、どういう点を録画して、どういうところを録画しない、どういう裁量でやっているのか、ちょっと詳しく教えてください、その試行の内容を。

長勢国務大臣 事柄の性質上、具体的なやり方まで私は存じ上げませんが、今申しましたように、自白の際の任意性をわかりやすく、また効率的に立証するためのものとして試行されているというふうに伺っておりますので、これは、私は具体的にはわかりませんから正確ではないかもしれませんが、自白調書をつくられるときの状況などを録音、録画されておるのではなかろうかというふうに思っております。

高山委員 大臣の今の答弁からも、今、検察庁の方で試行しているものではとりたてて障害は出ていないということですけれども、まず警察庁に伺いますけれども、警察庁内でも、取り調べの可視化に向けて、このような試行をしてみようというような計画がありますか。

縄田政府参考人 録音、録画を実施することにつきましての主張につきましては、もう委員十分私どもの主張も御案内のとおりでございますので。

 一つは、やはり取り調べをする場合には、相手方と調べ官がどうしてもそれぞれ、腹を割るといいますか、意を通じていろいろな供述を得る。ある一定の事項をこれは右か左かと聞いておったのでは、取り調べになりません。したがいまして、いろいろな過去のそれぞれの経験談あるいは家族のこと、勤務先の話、まさに近隣の話、場合によっては被害者の話等々もお互いにしながら、その琴線に触れるといいますか、そういう形で説得をしていくということになります。そういった過程の中で、厳しく追及することもあれば、諭すような対応もとっていくということになります。

 そういったことが録音、録画という状況の中で行われますと、これはやはり調べられる方もかなり萎縮をいたします。そういった会話自体が形成されなくなる可能性が大いにあるということであります。さらに、その会話の中身として、プライバシーにかかわることが多大に出てまいります。私どもも、いろいろ調べ官等にも話を聞いてみましたけれども、やはり一番つらいのは、被害者の話とか、それから本当に親族の話、周辺の話が聞き出せないといったところが非常につらいところだ、こういうふうに言っておりました。

 もう一つは、組織犯罪等、暴力団等になりますと、組長の話とか周辺の組の話、あるいは指示命令、いつされたか、いつしゃべったかというようなことが大変重要なポイントになってまいりますけれども、こういったことが録音、録画という状態になりますと出ない、したがって情報もとれないというような状況にもなろうかと思います。そういった意味合いで、非常に大きな支障が生じる。

 取り調べにおいて本当にいい供述が得られないと、その事件捜査に当然大きな影響を及ぼしてきます。したがいまして、重要事件はもちろんでありますけれども、窃盗事案等につきましても支障を生じるのではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、慎重な検討が必要だということでございます。

 そういった意味合いでは、一部試行とかそういったことにつきましても、私どもとしては、治安に及ぼす影響大なるものがある、こういうふうに認識をしておりまして、現時点で実施をするという考えはございません。

高山委員 いや、せっかくこれは、法務省も裁判員制度の導入を前にしてわかりやすい司法ということでやっているわけですし、今の局長の答弁ですと、暴力団の事案であるとか組織犯罪だとか、あと被害者がとかいろいろ挙げられていまして、取り調べにまつわる御苦労はいろいろわかるんですけれども、そうしますと、では、今言われたような事例以外に関しては、とりあえず支障は生じないので試行してみるということは可能ですか。

縄田政府参考人 今私が申し上げましたのは、大変大きな懸念の部分を申し上げました。事件の性質といいますか、たとえ殺人事件であろうが一般窃盗事件であろうが、こういったところは取り調べという意味合いでは同じことでございまして、その障害につきましても同様であろうと思っております。

高山委員 今、法務省の方では、試行ということで、一部でこれはやられているわけですね。これは大臣に聞くんですけれども、今後、より開かれた司法を目指すということで、法務省では、検察庁の中ではどんどんこの可視化を広げていこうというおつもりでしょうか。そしてまた、具体的にそういう取り組みを今されているのであれば、教えてください。

長勢国務大臣 先ほど来御説明申し上げましたように、検察庁で試行しておるのは、自白の任意性を明確にするというか、わかりやすく効率的に立証するための録音、録画ということを試行しておるということでございまして、取り調べ全体を可視化するというか録音、録画するということについては、法曹界でもずっと以前から議論のあるところでございます。

 これは、日本の今の刑事手続の中では、どうしても取り調べの重点が非常に大きい形になっております。それ以外の、外国で見られるようなおとり捜査だとか、あるいはいろいろな手段がほとんど認められていない状況の中で、検察としては、きちんとした真相解明をし、犯罪を正確に摘発するという役割を果たす上で、刑事手続全体の中でこの問題は議論をすべきだと思っておりますし、今、法曹三者の中でもそういうことを前提にした議論がこれから行われていくというふうに伺っておりますので、そういう結論を待っていきたいと思っております。

高山委員 大臣、そうしますと、これは刑事手続全体の議論の中でというお話がありましたけれども、今だんだん捜査手法も高度化、情報化している中で、だから、捜査手法も確かにどんどんいろいろな手法を認めていくべきだということは、私もこういう必要性は感じております。でも、反面、今度は、被告人の方の防御もいろいろ高度化、情報化していかないと不平等だなという気がするんですけれども、大臣はこの点をどのように考えていますか。

長勢国務大臣 裁判は、一種、検察側の攻撃と弁護側の防御という側面があるわけで、これが公正でなければならないということはおっしゃるとおりだろうと思います。

 そういう意味で、現在、捜査手段が相当限定をされておる日本の刑事手続の中で、録音、録画だけを進めるということになれば、逆に公正さを欠く、あるいは真相解明に障害をもたらすということもあり得ると思います。

 今、いろいろな情報機器の発達のこともおっしゃいましたが、それらに応じた捜査手段ができるようになっているかどうかということも考えて議論をしていかなきゃならないのかなと思います。

高山委員 我々民主党は、刑事訴訟法改正案もきちんと出しまして、取り調べの可視化に向けてきっちりやっていかなきゃいけないなということで法案も出しておりますので、ぜひとも本委員会で早急に審議をしていただいて、また、新しい時代のそういう法案を通していただければと思っております。

 きょうの質問は終わります。

七条委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 まず、刑務所の問題について大臣にお尋ねをいたします。

 大臣は所信の表明の中でも刑務所の過剰収容の緩和について触れられておりますが、この過剰収容の緩和について、具体的に法務大臣はどのような対策というのをお持ちでしょうか、御教示をお願いします。

長勢国務大臣 刑務所は今、大変過剰収容の状況にありまして、収容率一一五%という状況でございます。これも、ここずっと続いておることでございまして、これを解消するために、施設の新設、拡充をずっと続けてまいりました。

 平成十八年度末には、約五千六百人分の収容棟などが新たに完成をする。さらに、今後、PFI手法を活用した刑務所の新設を含め、平成十九年度末までにさらに四千人、二十年度末までに約二千人の収容能力を拡充することにいたしておりまして、これらが完成すれば、現在は収容能力が約六万人ぐらいなんですけれども、現実には七万ちょっとおるわけで、二十年度末でどうにか、既決の収容定員は約七万二千人ということになりますので、収容人員が現在のままであれば一応収容能力とバランスがとれるんですけれども、わかりませんけれども、今までの流れからすれば、二十年度にはまた収容人員がふえているということもあり得るわけでございます。

 あわせて、施設をつくればいいというだけではなくて、定員をふやさなきゃならぬということにも今までずっと我々としては大変努力をしてまいりました。そういう意味で、刑務官の増員もやらなきゃなりませんし、同時に、できれば民間委託などをできる部分はそういうものを推進するなどして、要員の方も確保して適正な収容に努めてまいりたいと思っておりますが、刑が長期化するとかいろいろ事情もありますので、今後、一番いいのは、なるべく収容人員が増加しないようにできればいいなということにも全力を挙げていきたいと思っております。

石関委員 今の収容人員ですけれども、今後の予測というのも大変難しいことだと思うんですが、戦後、刑務所に収容されている人員というのは一貫してふえてきたんですか、それとも、ある時期は例えば減っているとか、どういう傾向が見られるんですか。

長勢国務大臣 昭和二十年代は相当高いレベルでございましたが、三十年代、四十年代は相当低い、低いときは四万人ちょっとという状況まで下がりました。しかし、昨今、平成十年ぐらいからは一貫して増加の一途をたどっておるわけで、今は七万ちょっとということですが、人によってはもう八万にはなるんじゃないかと言われておるわけで、この水準は、敗戦直後の二十年代と遜色のない水準ということになりかねない状況でございます。

石関委員 遜色がないというのは困ったことだと思いますけれども、戦後を考えると、混乱期ですからいろいろなことがあったのかなということですが、その後それが落ちついてきて減ってきたということなのかなというふうに今思いますけれども、その増減に対しては、大臣はどのような要因だというふうにお考えでしょうか。

 例えば、三十年、四十年代は減った、それから人口がふえたのでそれに比例して収容される犯罪者がふえたということなのか、あるいは警察が大変よく機能するようになったりして犯罪者が捕らえられるということになったのか、今後またその状況を踏まえるとどうなるのか、大臣なりのお考えというのがおありであれば、お聞きをしたいと思います。

長勢国務大臣 なかなか分析のしにくい問題でありますが、最近、刑法犯が若干減少傾向にあるとはいっても、なお非常に高い水準に現在あります。かつ、それが重大犯罪化していますので、ということは、逆に言うと刑期が長期化するわけで、犯罪の増大及び刑の長期化ということが一つの大きな事情かなと。また、多分かつてはほとんどなかったであろう外国人犯罪者の方も収容しておるものですから、この数もばかにならない数字になってきているということもあろうかと思います。

石関委員 これもまた大臣のお考えというのをお聞きしたいんですけれども、今の、犯罪の増大それから刑の長期化ということで収容人員がふえている、これは理解ができるんですが、そもそも、犯罪がふえて、一つ一つ刑が長期化するということは重い犯罪になっている、これは、もちろんいろいろな要因があると思いますが、大臣がお考えになるこういった状況、犯罪がふえてということにはどんな社会の要因が一番大きく考えられますでしょうか。

長勢国務大臣 ちょっと学問的ではないかもしれませんけれども、やはり社会規範意識が非常に減退をしてきておるということ、それから、個人主義が非常に強くなりましたので、地域とか家族とかのつながりというのが極めて少なくなって、そういう意味での抑止力というものも少なくなっておるというようなこともあろうかなというふうには思っております。

石関委員 これも大体で結構なんですけれども、欧米諸国とか、いわゆる先進国には同じような傾向というのは見られるものなんでしょうか。諸外国、欧米を中心にしたそういった先進国でも、このような犯罪者の増減なり、ふえるという傾向が見られ、同時に社会が、今大臣おっしゃったような世の中の状況が現出しているということは、大まかに言って存在するんでしょうか。

長勢国務大臣 正確なデータを持ち合わせておりませんが、各国とも、先進諸国、増大傾向にあるんじゃないかと思います。そういう中では、絶対数としては、日本の犯罪率というのはそんなに高い方ではない、むしろ低い方だというふうに思っております。

石関委員 それでは、過剰収容になっているという具体的な事例で、ほかの資料でもそういうのを拝見しましたけれども、三畳ほどの単独室、独居房に二人収容されているとか、六人用の部屋に八人いるということなんですが、そもそも単独室、独居房というのは、そこに収容される人は、この人は大部屋、この人は単独の部屋ですよというのは、どういうことで割り振られているんですか。やはり単独のところに入れられる人というのは何か理由があるんだと思うんですが、どういう人が単独のところに入れられるんですか。

長勢国務大臣 具体的な規則か何か、今私は持ち合わせていないので、正確なお答えにならないかもしれません。

 ほかの同居者とうまくいかないというか、あるいは凶暴であるとか、処遇に非常に困難な方を入れているというふうに理解をしております。

石関委員 規則なり、各刑務所とかそれぞれでお持ちであるのか、こういったこともまた別にお尋ねもしていきたいというふうに思いますが、今持ち合わせがないということですけれども、大臣おっしゃったように、凶暴だとか何らかの理由があって単独で収容されている人たちが一緒にされて、例えば、いろいろな理由というのはあると思うんですけれども、凶暴であれば、凶暴な人が二人入れられちゃうと刑務所の中はえらいことになっちゃいますよね。それはどうですか。

長勢国務大臣 確かに、おかしな話になるんですが、やはり部屋が少ないものですから、本来単独房に入るべき人が二人入っているわけではなくて、その部屋を利用して、夜間だけ、本来単独房に入らない人もそこにどうにかおっていただくというようなことでやっておるようでございます。

石関委員 いろいろな例があるということなのかなというふうに理解をいたしました。凶暴な人はやはり単独で収容されるべきであろうと思いますし、そういったところは実際に刑務所の中でしっかり運用がされているのかなというふうに思います。

 一方、先ほど大臣も触れられましたけれども、外国人もふえているということで、この記事によると、府中刑務所の例が出ておりまして、外国人の受刑者、この刑務所だけで、四十六カ国、五百五十人という外国の方が収容されている。使用言語は三十五種ということであります。これだけいろいろな方がいて、それは日本語がわからない人もいるでしょうし、こういった外国人の受刑者に対する対応というのは、言語を含めて、何か特別な対応というのはとられているんでしょうか。

 これは、ある意味、言葉も通じない、何だかわからない、刑務所の中がまたさらに、さらにと言うと恐縮ですけれども、無法な状態になるというのはえらいことだと思いますので、現状はどうなっていますか。

長勢国務大臣 おっしゃるとおりの実情にありますので、苦労するのは、言語もありますし、食事もありますし、日常生活の慣習とかなんとかも違う人たちもおられるわけで、処遇は非常に手間がかかるというのが実情でありまして、大変苦労いたしております。

 言語については、できるだけわかる職員を訓練して配置をしておりますが、全部はできませんので、通訳の方をお願いするという形でやっておりますけれども、少数言語になりますと、刑務所でも必要ですけれども、検察あるいは捜査機関でも必要ですし、ほかの場面でも必要なものですから、通訳の方が一種の取り合いになるということもあって非常に難渋しているというのが、私がよく聞くことでございます。

石関委員 その一つの例ですけれども、通訳の体制というのは、以前、入管の関係でお尋ねをしましたら、入管においては、東京の入管、成田の入管においては、少数言語については契約をしていて、回線を結んでいてそこで対応できるというようなこともあるというのをこちらで伺ったと記憶をしておりますが、刑務所においては、直接雇用している通訳の人が何人いるかとか、契約をして、今お話ししたような入管のような体制になっているとか、それはどのような体制をとられていますか。

長勢国務大臣 入管は、しばしば、いろいろな方が次々来るわけですので、今言われるような体制をとっておるんでしょうけれども、刑務所の方は、いわゆる通訳の確保のやり方ですね、ちょっと今具体的にわかりませんので、改めてまた御報告申し上げたいと思います。

石関委員 その件については、後ほど数字を、事務方からで結構ですので、資料をいただきたいと思います。大臣にお願いをいたします。

 一方、同じ、これは日経新聞の記事でありますけれども、外で食い詰めて、こういう表現が適切かどうかわかりませんが、刑務所の中にいると暮らしていけるということで、何度も戻ってくる人がいる、記事によると、三十回も刑務所にまた戻ってきている人がいるということであります。このインタビューに出ているしらが頭の男性、七十六歳の言葉が出ていますけれども、衣食住が保障され、病気になっても面倒見てもらえる、快適ですよ、ちょっと厳しい老人ホームって感じですかね、こんなことを言っている人もいるんですね。

 税金で刑務所をつくったり、大臣も今大変御苦労されて、しっかり収容できるように施設をふやそう、人員もふやそうということですが、こういった人がまた入ってくるというのも困ると思うんですが、これに対しては、特に何らかの対策というのはお考えになっているか、現在とられているものはありますか。

長勢国務大臣 具体的にどれぐらいの量になっているのかわかりませんが、そういうことをねらいとする人もおられるということは、よく耳にすることでございます。

 これは、刑務所の問題というよりも、罪を犯されて有罪になられれば刑務所側としては収容せざるを得ないわけで、罪を犯さないようにするというか、再犯率を低めるという努力をすることが対策ということになるんでしょうけれども、しかし、意識的に何とかして犯罪をしようという人がおられるということになると、なかなかこれは困ったものだな、やはりそういう意識を直してもらうようにできる方法を考えていかなきゃならぬなと思います。

石関委員 今後、格差社会が進んで貧困層がふえるかどうかというのも今政治の大変な課題であって、日本の大きな課題だと思います。ただ、そういった状況が進んでいくとすれば、また介護のコストや何かも実質的にアップをしている、こういうことですから、ここに今私が紹介したような、こういった気持ちになって、ちょっと厳しい老人ホームに入ろうという人がふえていくのではないかということも、私は予想されるところだと思うんです。

 やはり、これは法務大臣が中心になるべき役割であろうとも思いますし、犯罪者の選別というか、どういうことになるのかわかりませんが、私は、これはこれで対応を早急に考えて、法務大臣が中心になって進めていただかなければいけない大変大きな問題だというふうに思いますが、もう一度、大臣、私の今の質問に沿った形で、お考えがあればいただきたいと思います。

長勢国務大臣 生活がしにくいから刑務所の方がいいという社会は、非常に倒錯した社会であります。そういう社会であってはならないと思いますが、もちろん、おっしゃるように、世の中で格差がなるべく少なくて、いわゆる食い詰めるというような人のないような社会をつくるのが政治の責任だと思います。

 ただ、極端な話で、別に事実をもって申し上げるわけじゃありませんが、うわさによれば、日本の刑務所は大変いい、住みやすいので、日本へ行って犯罪を犯そうという方もおられるというようなことも聞きますから、もしそういうことが事実だとすれば、こういう人には、これはちょっと何ともかんとも対応できないなと率直に思っておりますが、もちろん、生活に困って犯罪を犯すようなことのないような社会にすることは政治の大きな責任だと思っています。

石関委員 私も、大臣がおっしゃるとおりだと思います。ただ、刑務所の処遇をどうするか。では、ちょっと厳しいどころじゃなくて大変厳しい刑務所にしたらもう戻ってこないのか、そういう問題でもないでしょうし、これは大変難しい、複雑な問題だということは承知をしておりますけれども、ぜひ、大臣、こういった、今、ちょっと厳しいけれども入ろうという人を今後どうするかということも含めて念頭に置いて、法務行政をしっかり、またますます進めていただきたいというふうに思います。

 そこで、大臣も先ほど触れられましたPFI手法の刑務所ということで、美祢の社会復帰センターというものが開設をされるということですが、これは先日もこちらで私は質問したんですけれども、この美祢社会復帰センターという名称について、どのような経緯で、だれが、いつ、どのような議論を経て、どこでこれがオーソライズされてこのような名称になったのか、そしてそのことについてはこの所管の法務委員会で当然正式な説明がされるべきものというふうに思っておりますけれども、そういったことがこの法務委員会になされたかどうか、これについてお尋ねいたします。

長勢国務大臣 美祢の刑務所は、法律上は刑務所という扱いでございますが、その名称をどうするかということは、刑務所という名前をつけなければならないという制約は法律上はないわけでございます。

 御案内のように、この美祢の刑務所を設置するについては、地元の方々の御要望あるいは御協力をいただいて、また、地域に親しまれる刑務所にしたいということも一つの大きなテーマとしておりまして、そういう意味で、地元の方でも刑務所という名前はない方がいいという御要望もあったというふうに伺っておりますし、そういうことも含めて、法務省において、社会復帰促進センターという名称にしようという方針で今まで進めてきた、予算措置上もそういう事業名にしてきたというふうに承知をしております。(石関委員「報告はあったんですか、委員会に」と呼ぶ)委員会ですか。委員会に報告、少なくとも私が着任しましてからはした記憶はございませんので、その前にあったかどうかは存じません。

石関委員 私、先日も申し上げたんですけれども、これは大変大きな問題だと思うんですね。この社会復帰センターという名称がいいのか悪いのかというのも一つありますが、この委員会がかかわらずに名称が決まっていく、こういうことで果たしていいのか。

 先ほどのちょっと厳しい老人ホーム、これは必ずしも老人が収容されるという刑務所ではないんだと思いますけれども、そういう印象を与えてしまうとか、我々が関与せずにこの名称が決まっていくということであれば、例えば、犯罪再チャレンジセンターとか、この委員会が関与しない間にそういう名称になってしまう、あるいは触れ合い更生の家とか、何かわかりませんけれども、これはいろいろ考えられると思うんですね。それが、この委員会が関与せずに決まってしまうということに対して、私は大変な問題だと思いますが、大臣はどうとらえますか。

長勢国務大臣 当然、委員会の先生方の御理解を得ながら行政を進めなければならないということは、言うまでもないことでございます。

 行政機関の名称については、報告しないからというほど、そんなかた苦しい話ではなくて、ほぼ行政権の範囲内ではないのかなと一応思いますが、しかし、ちょっと今ここにもらった資料によれば、美祢をつくり始める段階で、民主党さんも含めて政党には名称も含めて説明をしてきたというメモを今もらったんですけれども、全く国会側を無視しておったというわけでも、委員会に報告はしていなかったのかもしれませんけれども、そういう意味で御理解いただければなと思っています。

石関委員 私は、これは行政権の範囲内のことではないというふうに思いますが、ちょっと時間がもう限られてきましたので、またこれは改めて御質問させていただきたい。いろいろ細かいこともお尋ねをしたいんですが、これは通告をしっかり、通告というか、サービスをする気になったときに細かく事前にお話をしてやっていきたいというふうに思います。

 あともう一件、別の件でありますけれども、この前も大臣にもお伺いをしました令状主義の件ですが、鹿児島の選挙違反、無罪判決、この関係では逮捕者が十二人も出てしまっているということなんですが、先日数字を持ち合わせていないということだったので、改めてお尋ねをします。

 ここ数年間の逮捕令状の申請件数と発付数といのをお尋ねします。また、却下率、どれだけがはねられたか、却下率についても教えてください。

長勢国務大臣 却下率を報告すればいいですか。

 ちょっと、間違ったらまずいので、今正確に言えることだけ申し上げますが、逮捕状請求の却下率は〇・〇二%というふうに承知をしております。(石関委員「それはいつですか」と呼ぶ)十八年。

七条委員長 水野副大臣からも答弁させます。補充があれば。

水野副大臣 地裁、簡裁合わせて、逮捕状の請求総数が十四万二百五十三、通常逮捕状がそのうち十二万六千二百六十七で、却下三十でありまして、取り下げ八百九十三とかありますけれども、却下率、却下割る請求でいいますと、〇・〇二%ということでございます。

石関委員 これは、年度で見ると、この却下率というのはどのぐらいで推移しているんですか。

水野副大臣 今、経年推移についての資料をちょっと手元に持ち合わせてはございませんので、済みません。

石関委員 これは、事前に事務方には経年で教えてくれというふうに言ってあるんですよ。副大臣、知っていますか。事務方がネグったんですか。事務方に言ってありますよ。(発言する者あり)

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 済みません、余りきちんとした整理ができていない資料で。

 先ほど副大臣から地裁と簡裁を合わせた数字を申し上げましたが……(石関委員「わからないならわかってから出してください、大臣」と呼ぶ)数字は、却下はほとんどありませんので、ほとんど変わっておりません。(発言する者あり)

七条委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 速記を起こしてください。

 長勢法務大臣。

長勢国務大臣 現在、手元の資料を御報告いたしますと、平成十五年、十六年、十七年の地裁、簡裁合わせての却下率は〇・〇三%ということでございます。

石関委員 では、大臣、ほぼそれで推移しているということは、これは、この前も申し上げましたように、フリーパスに近い状態に結果的になっているということではないかと思いますが、大臣はそのように思われますか。

長勢国務大臣 事実として、請求件数と認められた件数がほとんど変わらないという意味でということは、そのとおりでございます。

 ただ、それは、請求する方においても、当然、十分許可され得るものを証拠と事実をそろえて請求していると思いますので、そういうことなのではないかと思います。

石関委員 大変大事な問題でありまして、統一地方選挙も控えているということでありますので、きょうは私が期待した数字も十二分に出てこなかったということもあり、先日ときょうの質問を踏まえていろいろまた準備をいただいて、またこういった時間をいただけると思っておりますので、きょうは前振りにさせていただいて、また今後しっかりやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

七条委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、実は、大臣には詳しい質問通告はしておりませんけれども、この趣旨は、私が大いに怒りを持っているということでございます。その怒りの内容は、これは大臣にとってみれば自分の責任ではないのかもしれませんけれども、昨日の憲法調査特別委員会で中央公聴会の開催を強行採決したことに対して強く抗議をするということでございます。

 私もこの特別委員会のメンバーでございまして、中山委員長の席に行って、強行採決をしないようにということで抗議を申し上げましたけれども、そのときに隣にいた与党の理事は、一歩一歩進めているんだからいいじゃないかというようなことを言っておりましたけれども、この採決は、一歩どころか三歩も五歩も先に進んでしまうような内容の採決であったということで、私自身、昨日の強行採決に対しては大いに怒りを感じるとともに、そういう状況でありますので、大臣にとってみればちょっと御迷惑だったかもしれませんけれども、簡単な質問通告に変えさせていただいたということでございます。

 しかし、きょう聞く話は、今まで議論したようなことが中心でございますから、大臣も当然お気にとめていただいているというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず最初に、この前の二十一日にも質問申し上げました李兄弟の在留問題であります。

 この前、私が二十一日に質問したときは、その日に上告期限が来るということで、大臣の方は、まだ上告するかしないかということは決定していないけれども、適切に判断をしていきたいという趣旨の答弁をいただきましたけれども、上告期限が過ぎました。この事件、特に上告の対象になったのはお兄さんの方の問題ですけれども、これについては上告をされたんでしょうか。どうでしょうか。

長勢国務大臣 十三日が上告期限でございましたが、法務省において検討いたしましたけれども、上告理由が見当たらないということもありましたので、上告は行わないことといたしました。

平岡委員 上告を行わないということになりますと、その後、どういうことになるんでしょうか、どういうことを考えておられるんでしょうか。

長勢国務大臣 上告をいたしませんでしたので、高裁判決が確定をすることになります。

 したがいまして、その判決に従いまして、近日中に在留特別許可を行うことにしたいと思っております。

平岡委員 そのときにも議論しましたけれども、裁判は兄弟が対象であったわけですね。判決が出たのはお兄さんの方ということでありますけれども、妹さんの方についてはまだ裁判が係属中というふうに私は承知しておりますけれども、妹さんの方についてはどうなるんですか。

長勢国務大臣 妹さんについては今係属中でございますが、今回の高裁の判決の趣旨、また妹さんの置かれておる事情ということを総合勘案いたしますと、在留特別許可をすることも含めて今検討しております。

平岡委員 この委員会でも何回か大臣と議論させていただいて、ガイドラインというものがあって、それにのっとって判断していくということでやっておられるというふうには聞いておりますけれども、諸般の事情にかんがみ、ぜひ私としては、お兄さんと妹さんが違う取り扱いになるようなことがないように、そこはしっかりと、人情味を持って、人情のある国でなければいけないということを大臣もいろいろなところで言っておられるようでございますから、ぜひそういう御配慮をしていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、例の嫡出推定の問題について質問させていただきたいと思いますけれども、きょうの新聞に大きく、与党が議員立法へ向けて動き出したというような記事が出ておりまして、私はびっくりしたんですね。与党がよく頑張っているなという意味じゃなくて、与党と政府が何かやらせでやっているんじゃないかなという率直な気持ちがいたしました。この理由は今から申し上げます。

 その問題について取り上げようと思うんですけれども、せんだって私が質問を申し上げたときに、この問題については、公正証書原本不実記載、同行使罪で誤って起訴した人たちの関係者の処分について私が質問をしたときに、大臣は、それなりに対応するように今検討させている、何もないということはまずないことだけははっきり申し上げたいというふうに明確に答弁をされまして、その二日後に三人の方を処分されたというのが報道に出ておりましたけれども、どういう理由でどういう内容の処分をされたのか。

 これは、大臣がしたわけじゃないのかもしれませんね、最高検がやったんですかね。ただ、大臣も、何もないということはまずないことだけははっきり申し上げたいというふうにしっかりと答弁しておられるので、かなり覚悟を持って対応されたんだろうと思いますので、どういう理由でどういう処分をされたのか、この点をまずお聞かせいただきたいと思います。

長勢国務大臣 私の名前で職務上の処分をいたしましたが、何か事実についての判断を誤ったという問題ではなくて、本来知っておくべき法律を間違ったということでございますので、著しく検察官に対する信頼を裏切ることになりかねない事案でございますので、注意を喚起するための処分を行った次第でございます。(平岡委員「どういう処分の内容ですか」と呼ぶ)厳重注意処分といたしました。

平岡委員 そこで、ちょっと本題に入りますと、この問題については、昨年の三月十五日にこの法務委員会で同僚でありました枝野議員が、離婚後三百日以内の出産の推定規定については問題があるということで指摘させていただいて、当時は杉浦大臣だったんですけれども、杉浦大臣もいろいろと答弁をされておられました。そのときは、非常に慎重に慎重にということで、ほとんど前向きではなかったのでありますけれども、その後、大きく関心を持たれた結果として、ことしも予算委員会等でも質問が行われまして、二月十五日に与野党を含めた超党派で勉強会というのをやったんですね。

 そこで、実は、大臣がいろいろ答弁をされておられるという経緯がありまして、こういう答弁をされていますね。私との関係では、私の方から、前の夫と離婚後三百日以内に生まれた子供について前の夫と婚姻中に懐胎したものと推定するという七百七十二条第二項の規定の取り扱いについて、これは、典型的なケースとしてはそれほど難しくないケースだから、しっかりと民事局長の頭をかりて対応するべきじゃないかという話をしたときに、大臣は、そういうことも含めて調査をしておりますということで、明確に、「そんなにサボる気はありませんから、ひとつよろしくお願いします。」というふうに答弁されて、あるいは、安倍総理も予算委員会で多分前向きの答弁をされていたと思うんですよね。

 この一連の答弁を聞いて、私は、政府がしっかりと考えていただけるんだろう、だから、ここはやはり政府がどういうふうにされるのかということをちょっと見守ることが必要じゃないかなと思っていたら、先ほど言った、いきなりこんなものが出てきて、何か与党の方ではプロジェクトチームをつくって法律改正を考えてやるんだと出ている。

 私は、大臣から途中経過みたいな、いや、こういう事情でそれは難しいんです、だからあとはこれは立法的に考えなきゃいけませんとかというような答弁でもしていただいていたなら、我々も、立法的な課題をどうするかということをしっかりと考えていったと思うんですけれども、ちょっと政府を、大臣を信頼し過ぎてしまったのかなと今反省をしておるんですよね。

 大臣、今どういう状況になっているんですか、この問題について。何か、せっかくだから、与党の人たちがそういう動きをするならそっちの方にお任せするということで、もう政府はやらないということを、議院内閣制のもとで政府と与党との間で話ができているんですか。どういう状況ですか。

長勢国務大臣 今置かれている状況は、私と平岡先生は同じ状況でございます。私も新聞を見ただけで、何ら中身もまだ正確に理解をしておりませんし、これからどういうことになっていくのかなと思っておる次第でございまして、私と先生との間で、私は間違ったことをしているとは全く思っておりませんので、よろしくお願いします。

平岡委員 それは、逆に言うと、与党が大臣を信頼していないんですね。与党が安倍総理を信頼していないという、極めて、議院内閣制のもとではあるまじきことが起こっているというふうに言わざるを得ないですね。

 大臣、しっかりこれから、どういう状況かというのを、大臣が直接私に説明する必要はありませんから、民事局長なりあるいは民事局の担当の人を私のところに説明によこしてください。それで、これはやはり立法でなければ解決できないなということであるならば、我々もちゃんとプロジェクトチームをつくってやろう、こういうことだったらやらなきゃいけないんじゃないかというふうな気持ちになってまいりましたので、一度説明によこしてください。どうですか。

長勢国務大臣 与党においていろいろなことを御検討になること自体は、別に構わないことだというか、当然のことだと思いますし、それから、どういう経過でこういう記事になっているのかも私は全然存じませんし、これで与党が決めたという話ではないのだろうと新聞では伺っているわけであります。

 私自身は、前から申し上げておりますように、嫡出推定という規定自体の合理性は十分まだあると思っておりますので、しかし、そうはいいながら、それを覆すためには大変な手間がかかるという事案の中には、ちょっと不合理かなと思うものもあるのではないか。そういうことがあるのであれば手当てができないかということは、先般来答弁申し上げておりますように、今鋭意検討を進めさせておりますが、そういう事情でございますので、与党の方々から我が方の民事局長なりに御説明して……(平岡委員「ちゃんと民事局長を説明によこしてくれますか」と呼ぶ)民事局長が中身を教えてもらっているのかどうかわかりませんが、教えてもらっておれば、行かせるようにいたします。

平岡委員 その話をしっかり聞いて、我々の対応をまた考えていきたいというふうに思います。

 次に、政府広報の問題についてちょっと触れたいと思うんですけれども、裁判員制度に関する問題です。

 これもこの委員会で何回か取り上げられておりますので、余り詳しいことを聞くつもりはありませんけれども、裁判員制度の広報には大変政府も苦労しているし、大臣も御苦労されておられるんだろうなというふうに私は拝察いたしますけれども、実は、先日法務省から二月七日付でいただいた配付資料というのがありまして、これをいただいたんですよ。

 これをずっと見ていましたら、いろいろなところでちょっと疑問に感じるところがあるのでありますけれども、この中に、法務省・検察庁主催裁判員制度シンポジウムの企画制作及び実施業務ということで、法務省あてに電通が出した見積書というのが出ておるんですね。

 私が、この中で事業推進費の中に制作人件費というのが入っているけれども、これはどういう人に使われたお金なんですかということをちょっと実情を聞いたんですよね。そうしたら、政府の人は、これは、プロデューサー級の人一人、アシスタントプロデューサー級の人一人、ディレクター級の人二人、アシスタントディレクター級の人二人に使われておりますと。ああ、そうですか、やはりこれは物すごく大事なシンポジウムだから、よっぽど企画能力にすぐれた人に頼まれたんでしょうね、このプロデューサー級一人、アシスタントプロデューサー級一人の人はどなたですかと聞いたんですね。そうしたら、それから全然説明に来なくなってしまったんです。

 大臣は、この人たち、今言ったプロデューサー級、アシスタントプロデューサー級の人はだれがやっているのかということについて、私に返事をするのに大臣のところに何か相談はありましたでしょうか。どうでしょう。

長勢国務大臣 先生からそういう御下問があったことも含めて、私は今まで存じ上げませんでした。

平岡委員 そうしたら、それを私に教えるように、これもまた事務方に指示してください。実は、同じような内容のものは、最高裁判所では既にもう我々に早い段階で教えてくれているんですよ。それをいつまでたっても教えないというのは、これは私は、役所の怠慢か、何か隠そうとしているか、何か非常にうさん臭さを感じますね。

 大臣、どうですか、ちゃんと私のところに行って説明するように指示してもらえますか。

長勢国務大臣 ちょっと事情を私は存じませんので、今先生から御要請のあった点は担当官に伝えて、事情を説明するように申し上げます。

平岡委員 よろしくお願いいたします。

 次に、政府広報の一つとして、ここに、手元に、法務省が監修したDVDの「裁判員制度」というのがあります。これは、大臣はごらんになったことはありますか。

長勢国務大臣 着任以前に見ております。

平岡委員 このDVDはどうやったら手に入るんでしょうか。

長勢国務大臣 各検察庁で、申し出をすれば貸し出すことになっております。

平岡委員 貸し出すことになっている。

 例えば、私が、これはとてもいいものだからということで何本か購入したいと言ったら、購入できるんでしょうか。

長勢国務大臣 これは一般市販はしていないというふうに伺っていますので、ちょっと間違っていたらごめんなさいですけれども、国会議員の方々には一つずつ配ったように伺っておりますが、大量に欲しいということであれば、我々としては広報にこれを活用したいと思っていますので、状況に応じてですが、必要なことについては御相談に応じられれば応じたいと思います。

平岡委員 国会議員が頼んだら大量にいただけるけれども、一般の人が買おうと思ってもどこでも手に入らない、そういうのはやはりおかしいと思うんですよね。

 ところで、大臣、これは、大臣が名誉塾長になっておられる、名前はちょっととりあえず差し控えておこうと思うんですけれども、昨年の十二月の二十九日に親睦ゴルフ会をやられた、そこに参加された方々全員に法務省が監修した裁判員制度のDVDが配られた、こういうふうに、後援会報じゃない、何とか紙、その会報に書かれているわけでありますけれども、これはだれがどうやって配ったんですか。

長勢国務大臣 少しでも広報に役に立てたいと思って提供したものであります。

平岡委員 だれがどういうふうにしてお渡しされたということですか。

長勢国務大臣 本省に余部がありましたので、私が入手をして配付いたしました。

平岡委員 大臣、これは本当に一般の人が手に入れようと思っても手に入らない、売っているわけでもない、貸し出しぐらいしかしていない、そういうものを私的なグループのゴルフコンペの参加賞に使って、もらってありがたいと思ったかどうかは別としても、これをつくるのにはそれなりに費用もかかっているわけでありますし、どういう基準で配分されるのか、配付されるのかわからないような状態でこんなことに使われるのは、私はちょっとおかしいと思うんです。もしこれが選挙区内であるならば、もっと大きな問題かもしれませんけれども、これは選挙区外なんだろうと思いますから、そういう法律上の問題はなかなかないのかもしれませんけれども、私は、大臣のやる行為としてはちょっと不適切だという気がしますね。

 欲しい人はみんな手を挙げてください、そうしたらみんな差し上げますよという、何万人の人が手を挙げるかわかりませんけれども、そういう前提のもとで行われているならまだしも、自分の私的な支援者の人たちには参加賞として提供するけれども、そうでない人については図書館でも行って借り出して使ってくださいというような対応しかしていないというのは、どう見ても私はおかしいと思います。

 大臣、どう思われますか。

長勢国務大臣 先生のおっしゃっていることはよく理解できますし、参加賞というふうに書いてあるのかどうか知りませんが、むしろ私としては、みんなに知ってもらいたいという思いで配付をお願いしたというのが経過でございます。

 ちょっと、先ほど御相談に応じますと言いましたけれども、それは先生が国会議員だからということよりも、もちろん国会議員であらせられますけれども、裁判員制度の普及にお役に立つということであれば、どなたでもそういうことにしますので、当時、たくさん、たくさんというか、余部があるということでしたので、そういうところに、無駄にしておくくらいなら、なるべく広報に使えるようにした方がいいと思っておりましたので、ある限りは、欲しいという方がおられれば差し上げたいと思います。

平岡委員 では、ちょっとついでに聞きますけれども、大臣、私が指摘した以外にも、ほかにも何か配っておられるんですか。

長勢国務大臣 欲しい人があればやるよ、配れる限りは配りますよと言っていますので、だれかが来て、差し上げたことはあると思います。

平岡委員 では、今までに大臣が私的に配った数、どれだけ配ったのか、ちょっと今度資料で出していただけますか。(発言する者あり)

長勢国務大臣 そのゴルフコンペのときには、それは三組だったと思いますから、十何人だと思いますが、それ以外に一人か二人だったと思います。

平岡委員 ちょっと今、与党の人たちが変なやじを飛ばしていますけれども、そういう公私混同的な感覚を持ったやじは飛ばさないでいただきたいというふうに思います。やはり、これはあくまでも、私物じゃないんですから、政府の所有物ですから、どうそれを使うのか、どう配分するのかというのは、それなりに公平性、透明性のある基準で使われるべきだというふうに思いますので、その点は厳重に抗議を申し上げたいというふうに思います。

 それから……(発言する者あり)これですか。これは政府控室から借りてきたんです。私がいただいたものは、もうしっかりと地元でも使わせていただいておりますので。

 次に、代理母の問題について、これも私、何回か質問させていただいておりますので、そんなに詳しいことを聞くつもりはありません。大臣も、昨年十月二十日の委員会で、私の質問に対して、厚生労働省とも連携をとって、検討ができるように努力していきたいと思っているというふうに答弁をしていただきました。

 その後、報道等によれば、昨年の十一月三十日に、法務大臣と厚生労働大臣が日本学術会議に審議を要請しておられるというようなことで、ことし一月に入ってからも検討委員会というのが開かれて、一年を目途に方向性を出していく、こういう報道が出ています。

 実は、民主党の方でもこの問題については作業チームができておりまして、昨年の十二月に中間報告というのをまとめておりまして、ことしの夏ぐらいを目途に最終的な報告ができればいいんじゃないかということで進めているところであります。

 それはそれとして、実は、最近の報道の中に、卵子バンクというのが日本にあるという記事がちょっと出ておったんですけれども、大臣、この卵子バンクというものについては聞かれたことがありますか。

長勢国務大臣 存じ上げておりません。

平岡委員 ちょっと大臣、申しわけないんだけれども、日本学術会議に検討を依頼された大臣がその存在を、これは新聞記事にも大きく出たんですよね、知らないと言うと、ちょっと話が前へなかなか進めなくなってしまうのでございますけれども、国内の業者が卵子バンクというのをつくって、ドナー、卵子を提供する日本人の女性の方々には百万円単位の報酬が支払われるという形のものなんですね。それも、実際の手術とかは韓国でやるとか。

 こういう事例というのは、私は物すごく問題があるような気がするんですよね。こういうことが野放しになっている状態というのは、少なくとも、もっと根本的な検討をしなきゃいけないことはたくさんあって、一年ぐらい学術会議がかかるというのは、それはそれで仕方ないと思うんですけれども、こういう問題にはできる限り早く対応していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣は、この今私が概略を説明した卵子バンクというものについては、どういう御感想をお持ちでしょうか。

長勢国務大臣 代理出産をめぐってはいろいろな議論があるわけでございますが、これが商売等になったんじゃいけないということは、大体共通の認識だろうと思うんですね。

 今伺ったところでは、それに近いような話だなというふうに伺いましたので、ちょっと事情は、私、今存じ上げておりませんが、そういうことは余り好ましくないというか、適切でないと私は思います。

平岡委員 今まで知らなかったというのも、だれの怠慢か私はわかりませんけれども、今大臣は、簡単に事例を説明しただけで、印象的には本当に問題があるということであろうという答弁だったと思いますけれども、もっとしっかりと関係事務方にも聞いていただいて、これに対して法務省としてどう対応すべきなのかということについて、しっかりと検討していただきたいというふうに思います。また、その見解を次の委員会でも聞いてみたいと思いますけれども、大臣、そういうことでよろしいでしょうか。

長勢国務大臣 その点は少し調べさせたいと思います。

 ちょっと申しわけないんですが、先ほど大阪の処分について、私の名前で処分したという答弁をいたしましたが、私が処分を了解したというか決裁したことは事実ですけれども、正しくは大阪地検の検事正名での処分であったということでございましたので、御訂正をお願いいたします。

平岡委員 私もちょっと訂正させていただきたいんですけれども、さっき上告期限が二月の二十一日と言いましたけれども、あれは三月の十三日ということで訂正させていただきたいと思いますので、お互いにあいこにしておこうというふうに思います。

 ということで、きょうは簡単にジャブでいきました。これから、憲法調査特別委員会の怒りを込めて、しっかりとここで闘っていこうと思うので、大臣の方から憲法調査特別委員会の与党議員の皆さんにも、しっかりと慎重に審議をするように声をかけていただければということをお願いして、私の質問を終わります。

七条委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 ただいま平岡委員の方からも、裁判員制度の広報についてお話が出ました。私の方は、引き続き最高裁に来ていただきまして、前回少し答弁が不明だった点について確認をさせていただきたいと思っています。

 一番最初に、タウンミーティング事業なんですが、これは刑事局長に答えていただきたいんですけれども、電通と契約をした、関係業者の方も含めて最高裁に呼んで打ち合わせをしたと思います。企画を実施する体制、例えばこちらにいただいた報告書だと、だれがどのように担当するのかということもかなり図がかいてあって、電通のどういう人がやるというふうにかかれているんですね。

 打ち合わせをされたと思うんですが、この打ち合わせをしていたのはどなたですか。刑事局の方でよろしいんでしょうか。企画段階。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 審議官室が担当しておりました。(保坂(展)委員「局は」と呼ぶ)総務局でございます。

保坂(展)委員 総務局審議官室が対応していたということであります。

 先ほど法務省の方ではプロデューサーの方の名前はわからないということなんですが、最高裁判所が受け取った見積書あるいは請求書によれば、このプロデューサーの方はえの目清一朗さん、また女性の白井則子さん、こういうお名前もございます。十八年度は二百万円ですが、もう一人加わって前年度は五百八十万円、こういうふうになっています。

 そこで、では小池経理局長に伺っていきたいと思いますが、能力の高い総合プロデューサーであるというふうに前回おっしゃったこのえの目清一朗さんは、電通の社員なんでしょうか。

小池最高裁判所長官代理者 前回、委員の御指摘を受けまして、改めて電通の方に確認いたしましたところ、えの目氏は全国地方新聞社連合会の主任研究員ということでございました。

保坂(展)委員 そのことは前回質問の中で触れていると思います。その際に触れたことは、全国地方新聞社連合会は任意団体であって、例えば事業委託を受けたりとか、こういった法人との契約をするような団体ではない、このように聞いております。

 えの目氏は、地域力活性化研究室という株式会社を経営されている。しかも、その地域力活性化研究室と全国地方新聞社連合会は、同じビルの同じフロアの同じ部屋の中にあるそうです。この地域力活性化研究室の立場でプロデューサー料を受け取っているんじゃないですか。

小池最高裁判所長官代理者 地域力活性化研究室ということに関しましては、契約当時、その存在も私ども認識しておりませんで、契約担当係、一番詳しい者も今般の報道等によって初めて知ったものでございます。

 それで、今、その実態等についてもそういうことでございますので、私ども、それ以上のことは承知をいたしておりません。

保坂(展)委員 では、もう一つ伺いますが、女性で名前が出ていらっしゃる白井則子さんというのはどういう方なのか御存じですか。

小池最高裁判所長官代理者 白井さんという方がどういう方であるかという個人のいわば属性というものは存じ上げておりません。サブプロデューサーといいますか、そういうお仕事をされる能力のある方というふうに私ども承知しております。

保坂(展)委員 この方と実は御夫婦であるということだそうなんですけれども、一緒に仕事をしているパートナーというふうに理解をしますが、全国地方新聞社連合会が任意団体で事業を受けられない、したがって、株式会社地域力活性化研究室で受けたのであろうというふうに前回指摘しました。この点については電通側に確認しましたか、あるいは確認しなくていいと思われますか。

小池最高裁判所長官代理者 ただいまの御趣旨は、そういう別の機関にいわば下請をさせたかという御趣旨だろうと思います。

 この点につきまして電通に確認いたしましたところ、電通からは、契約条項にある下請禁止に該当するような再委託というようなことは、事実はないという回答を得たところでございます。

保坂(展)委員 いま一度お聞きしますけれども、地域力活性化研究室、長いから地活研と言いますね。こちらの方の立場もあるわけですね、今指摘したように。全国地方新聞社連合会では、事業を契約して、受託して、例えばプロデューサーとサブプロデューサーで二百万円とか五百八十万円とか、そういうものを得る立場にはないんだ、こう指摘しているんですが、その事実は間違いないですか。

小池最高裁判所長官代理者 まず、全国地方新聞社連合会というもの、私ども、契約を結びますときには、全国四十七都道府県のブロック紙あるいは地方紙が結集した唯一の組織というふうな説明を受け、そういうものとして契約書上も表記しているわけでございます。それ以上に、どういう構成員で、またそれが法人としてどういう組織かというところまでは把握はいたしておりません。

保坂(展)委員 把握をしていないそうなので。株式会社地活研でこの仕事を受けていた、しかも、例えば最高裁の総務局審議官室ですか、こういう方は常時企画で会っているわけですよね。常時会っているはずなのに、刑事局長は御存じなかったですね。小池局長も御存じなかった。

 これは、非常におかしな話じゃないかと思うんですね。なぜか電通の見積書や請求書の中に個人名が出てくるんですね。個人名が出てくるから、当然電通の方だと思いますよね、これは電通の仕事なんですから。しかし、そうではない。今、全国地方新聞社連合会の方じゃないかと思うとおっしゃっているんですが、全国地方新聞社連合会の主任研究員という立場もこの方はあるんですが、同じ場所ですよ、同じビルの同じフロアの同じ部屋で株式会社地活研というものを運営されているんですね。

 しかも、この方いわく、私は総合プロデュースなんかしていませんよと。やっていないんです。広告とかポスターとか、そういうものはやります、いわゆる制作プロダクションですからと。総合プロデュースとか、例えばこちらにあります企画書、総合プロデューサーだったらこの企画書や仕様書を書かなきゃいけないんですね。ただ、こういうものは電通がつくっているわけです。というようなことを既に認めていらっしゃるわけですね。であれば、最高裁として確認すべきではないですか、どうなっているんだと。

小池最高裁判所長官代理者 まず、プロデューサー、それからアシスタントプロデューサーというものでございますが、前回御説明しましたとおり、この企画全体五十カ所で行うものを、背骨を通すといいますか、均一に実施していくために筋を通していくためにこういった方に役割を果たしていただく。

 それで、私ども聞いているところでは、審議官室は、企画自体につきましては電通の方と企画をしていく、プロデュースをしているえの目氏はむしろ中央と五十カ所のところを結ぶ形のお仕事をされているということで、審議官室においてえの目氏が会うということは余りなかったようでございます。

 私ども、えの目氏がどの程度関与したというよりも、これは請負の契約でございますので、全体企画の立案とその成果というものがどういうふうに一致しているかという点を重視しているわけでございます。

保坂(展)委員 聞いたことに答えていただきたいんですよ。

 では、最高裁判所の契約書に、第三条になぜ下請の禁止条項があるんですか。(発言する者あり)違う、下請と書いてあるんですよ。下請を禁止する、ただし、やる場合には通知しなさいと書いてあるじゃないですか。どうしてこういう規定があるんですか。意味がない規定なんですか。はっきり言ってくださいよ。

小池最高裁判所長官代理者 これは、委託した事業を第三者に丸投げして目の届かないところで行われるということは国の事業として適当でないということで禁止規定を置いております。

 ただ、今回のものは、契約の中身として、サブプロデュースするえの目氏とかそういうプロデューサーを使うということが契約内容に入っておりますので、委員御指摘のように、それが第三者に下請させるという条項に抵触するという関係には立たないというふうに考えております。

保坂(展)委員 それは全くおかしな答弁ですね。地活研の立場で仕事をしたのかどうかも確認するんですかと聞いているんですよ。今はわかりませんとおっしゃるから、確認をするんですね、確認をしてくださいよ、確認しないとおかしいでしょうと言っているわけです。これに対して答えてくださいよ。するのかしないのか。

小池最高裁判所長官代理者 総価契約の請負契約におきましては、その成果物がどういうふうにできたかということでございまして、その先のところでどういうふうにしたというところまでトレースするということではございません。私どものその検収を担当する職員も、どういう成果物が上がったというところを検収しているわけでございます。

保坂(展)委員 先ほどの大臣のゴルフコンペの話もありましたけれども、これは総額二十七億円の話ですからね。タウンミーティングだけで三億四千万円というお金がかかっているんですよ。下請禁止は、今のように、丸投げで、どんどん無責任になっていって、総額で膨らんでいくのを防止するためにあるわけですね、禁止条項として。

 しかも、最高裁としては、全国地方新聞社連合会の人の名前が載っているという認識だったわけですね。私が指摘しているように、任意団体で事業契約できないはずだ、株式会社地活研で受けているんじゃないですかと言ったら、当然、そういう状態なのかどうかということを確認するべきじゃないですか。おかしいですよ、そんなのは。その確認もしないというのは、一体どういうことなんですか。そんなもので通るんですか。

小池最高裁判所長官代理者 先ほど御答弁申し上げましたとおり、私どもは電通に対して第三者に委託したことがあるかということを尋ねまして、そういう事実はないという回答を得たわけでございます。(発言する者あり)

保坂(展)委員 よくわからないでやじらないでほしいんですが、請求書の中に名前が書いてあるわけですから、その請求書の中に名前が書いてあって、最高裁も初めて聞いたというわけでしょう、地活研という名前を。そんなの知らなかったというわけでしょう。株式会社として同じ事業所のフロアの中にあって、そこに仕事が丸投げされていたという疑いはある。何でそこで首をかしげるわけ。おかしいじゃないですか。だって、今回だって二百万円ですよ。その前は五百八十万円ですよ。そのお金が行っているんだとしたら、どちらの立場で、では、局長が言うように、全国地方新聞社連合会の立場で受け取っていたのかねと聞いたらどうですか。報告してくださいよ。

小池最高裁判所長官代理者 えの目氏の立場というのは、先ほど申し上げましたように、全国地方新聞社連合会の主任研究員であるという確認をしております。

 ただ、今委員御指摘の点がございますので、再度そういうところは電通の方に問い合わせをしてみたいと存じます。

保坂(展)委員 確認をしてくれるということなので、それでは、法人として、地活研として受けたのかどうかということを明確に次の機会にしていただきたいというふうに思います。

 きょうお配りした資料は、もうちょっと大きなところでこの問題を見てみようというものです。

 平成十七年の概算要求時から、査定額で、この予算は十三億四千二百万円ついておりました。しかし、執行されたのは十一億四千四百万円でした。かなり余ったわけですね。この余った金額がどこにどうなったのかについては、予算委員会でいろいろ問いただしましたけれども、修正減額をしたものと目の中で流用したものと区分けがつかないんです、探し切れないんです、御容赦願いたい、こういうことでしたね。

 そこで伺うんですが、この下の、当初、十七年度に、メディアミックス事業、これは網がかかっているところの下の方、テレビCM、ラジオCM、テレビスポット放映とございますが、これは総額幾らの予定で予算の査定を受けていて、実際執行したのは幾らだったんでしょうか。

小池最高裁判所長官代理者 まず、予算の点について申し上げますと、テレビCMについては三億四千八百万余り、ラジオCMについては三千二百万円余り、それからテレビスポットで七千五百万円余り、合計しますと四億五千六百万円余りの予算額というふうになります。(保坂(展)委員「執行したのは」と呼ぶ)

 大変失礼いたしました。この三つについては執行はいたしませんでした。

保坂(展)委員 これが本当に首をかしげちゃうんですね。私の感覚は別におかしくはないと思うんですが。メディアミックスで予算の制限があるといっても、一応、テレビCM、ラジオも含めて、そういうものを中軸として、あるいは欠かせない要素として組み込んだからこそ、こういう概算要求で立てて、そのとおりに査定をいただいたということじゃないかと思うんですね。

 これは、どの段階でやめるという判断をだれがしたんですか。これは刑事局長に。

小川最高裁判所長官代理者 お答えします。

 やめたのは、メディアミックスの業者を選定した時期でございます。

保坂(展)委員 それは答弁になってないじゃないですか。ちょっと答弁をちゃんとしてくださいよ。私、言っているでしょう。テレビとかラジオを四億五千万も要求したんですよ。これは満額認められているんですよ。やったらいいじゃないですか、本来は。それをやめたんでしょう。やめて新聞の方が多くなったわけね。そのやめるという判断をいつ、だれがしたんですかと聞いているんですよ。

小川最高裁判所長官代理者 お答えします。

 このメディアの関係の予算は、今のテレビ、ラジオのほかに、雑誌それから新聞等で合計九億円ぐらいになっておりました、予算要求のときは。それで、正直申し上げますと、そのときは、言ってみればやる気満々で九億円を要求させていただいたんですが、いざ実行ということになったときに、さすがに、メディアに九億、この早い段階で打っていいんだろうかというような、特にテレビとかラジオは、ちょっと私どもも、短い時間すっと流れるだけで、この早い段階でそこまで打っていいんだろうかという迷いが生じたのでございます。

 それで、大体予算規模としてはちょっと抑えていこう、テレビやラジオを打つにしても、ちょっと抑え目にいってということで、九億からちょっと六億ぐらいに抑えてみて、それでメディアの企画競争をやってみて考えようと。そして、やってみまして、それでいろいろと提案を受けて、テレビ、ラジオの入っているものもあったと思いますけれども、結局は、廣告社を選定して、その廣告社の企画の中には、テレビCMとかラジオCMの入っていないものを選定したものですから、それで、その段階で、選定しましたのは、七月以降だったと思うんですけれども、それは、私がスタッフの意見を聞いて選定して、最終的に決めたわけでございます。

保坂(展)委員 何か、このあたりのことについては刑事局長自身が携わっていらっしゃるようで。今の話はちょっとおかしいんですよ。これはメディアミックスの仕様書で、そもそもテレビというのを除外して、インターネット広告とか雑誌広告とか新聞広告ということでどうですかと。今言われましたよね、やる気満々で九億だったと。ちょっと、いざやる段になってくるとどうかなと思って、六億くらいかなと。やったといっても、これは判断の基準がわからないですよね。

 何でそれを聞いているかというと、結局、これは非常にわかりにくいんですよ。雑誌広告は最高裁の庁費から出ているんですね。その他の新聞広告は情報処理業務庁費から出ているんですね。だから、これはそれぞれの目の中に入り込んじゃって、幾ら使ったのか、幾ら余ったのかも確定できないというような話になっていて、しかも、この年には二億円余っているわけですよ、二億円使えなかったわけです。それを六月とかそういう段階で、メディアミックスを六億を上限にしてくださいと提示しているわけでしょう、それは間違いないですよね。

 本当は、八億以上提示できたわけですね。いざやる段になれば、最初は相場も何もよくわからないんだからがんがんやる、そういうことなのかなと思うんですけれども、どうしてそこでブレーキがかかって、テレビがゼロという極端な結論になったのか。

小川最高裁判所長官代理者 申しわけありません、ちょっと間違えました。私は当時おりませんでしたので、決めたのは前任者でございます。

 予算があるからどんどんいけばいいじゃないかというお話……(保坂(展)委員「では、なぜ要求したのか」と呼ぶ)いや、ですから、要求したときにはそういう気持ちだったんですけれども、やはりちょっと額が大きくて、果たしてそこまで効果という点でどうだろうかというような気持ちになったのが正直なところだというふうに聞いております。

 それから、別にテレビCMとかラジオCMを除外した仕様書ではございませんので、それはもちろん、そういうのがうまく入れば取り上げようというふうに思っていたわけでございます。

保坂(展)委員 経理局長に極めてシステマチックなことについてお聞きします。

 私は、ちょっとこれは目的別に予算管理をして、この裁判員制度広報費については今年度も事実上は二億円増額をしたと聞いているわけですね。ですから、これだけ大きな予算なので、剰余金が出たといったら、努力したでしょう、経費の節減に努めましたねと、一般論としてはわかりますよ。しかし、二億円余ったとすれば、しかも広告なんですから、テレビのCMをつくるのは結構大変ですが、広告というのは同じ版下でいろいろな形で打っていけるわけですよ。

 ですから、二億円残した、ではどうなったんですか、どこまで国庫に返納したんですか、わかりません、いやいや、ちょっとこれは目に入り込んでしまったのでわからなくなっちゃいましたという説明では到底納得できないですね。

 ことしもまたこのまま予算がついていますが、今参議院で審議中ですが、ことしもわからなくなる予定ですか。つまり、予算が剰余したら、こういう全然違う目に入れていますよね、庁費と情報処理業務庁費。しっかり、国民の皆さんの税金を使って、国民の皆さんの参加を、ある種なかなか断れないという制度で、非常に重い制度の広報ですね。そのお金が一億円単位でどこへ行ったのかわからない。これは雑誌も、二億六千万やるはずが一億円減っているんですね。よくわからないですよ。全くどんぶり勘定もいいところ。

 少なくても、予算審議で問われたときに、いや、余ったので、余ったものは流用したものと国庫に返納したものがありますが、それぞれ色がついていないので、さあどうなったんでしょうねと。このグラフを見たって全然わかりませんよね。このグラフの、裁判員制度広報費に使ったところというのは五百万円ですよ。これは随分面積が多いですけれども。そういうことをこのまま漫然と続けていくのか。それは、非常におかしいと思いますね。どうですか。

小池最高裁判所長官代理者 まず、十七年度にテレビ等のCMを外したというのは、ある意味で予算執行のところでは異例なことかもしれません。やはり、その段階では広報戦略として、ある意味で一過性のテレビというよりは、もっと文字情報でしっかり見ていただくというところにウエートを置いていくというふうなものがあって、予算面では確かにそこにすき間ができたということで、予算執行の関係でも上手な使い方ではないと思います。

 ただ、今度十八年は、もう十七年の経験を踏まえてテレビというものは入っておりませんので、その十八年の予算では、むしろ余りが出てきたのは、執行の段階でなるべく見積もりを厳密にして、執行をいわば差益を出すという形で効率的予算執行という形で減額していることになると思います。

 それで、十九年度予算は、その減額したものについてはそういうコンセプトのもとに抑えていく、そして別の費目、例えば雑誌と映画のところにはそのへこんだ枠をのせてそういう予算は新しくつけていく、あるいは今度新しいコンセプト、ことしは模擬裁判のビデオというものを十九年度に要求させていただいていますが、そういうものに振り向けていくということでございます。

保坂(展)委員 お二人から、テレビというのは一瞬で消えると。私はテレビCMというのは怖いと思いますよ。要するに、無条件に、特に疲れているときに見ると、ああ、いい商品だなと思ってしまうわけですね。だから、活字媒体と違って五感にすり込まれていくという効果があるわけで、ですから、広告代理店としては、テレビやラジオ、そういうものについてはやはり中心軸として位置づけているんですね。他のものも全部そうです。

 という時代に、新聞が一過性でないと言うけれども、長谷川京子さんや仲間由紀恵さんの、裁判員制度始まりますと写真だけあったなと思って最高裁に聞いたら、字がいっぱい書いてあったらしいですね。しかし、一過性ですよ、それだけ新聞広告を全面広告で見たって。

 だから、この判断の中にどうも新聞優先でやるというような力が働いていたのかな、こういう気がするんですが、どうですか、刑事局長、何か不自然ですよ、これは。ゼロは不自然だ。

小川最高裁判所長官代理者 お答えします。

 一過性ということだけじゃなくて、裁判員広報をするときには、私ども裁判を主宰しておりますので、裁判員裁判の手続だとかその中身をお知らせしないといけないということで、そうしますと、ちょっと情報量がテレビは短いものですから、そういうところで御説明できないという意味ももちろんございました。

保坂(展)委員 これは、日本を代表する広告代理店が何社も最高裁判所の大変な予算にアプローチしてくるわけですね。最高裁判所としては、実に予算の使い方というか、コントロールの仕方が幼稚じゃないかと思います。短いCMだって、今はホームページもあるわけですから、そこと連動させて、まさにメディアミックスというのはそういうことじゃないですか。

 だから、テレビ、ラジオをゼロにするという判断をいつ、だれがしたのかということについて誠実に答えてもらえますか。今じゃなくていいです。急で、これ以上前任者のことなんでわからないでしょうから、それはしっかり答えていただけますね。今の説明ではちょっと納得できない。これから調べてください。

小川最高裁判所長官代理者 先ほどもお答えしましたけれども、実行の段階でテレビ、ラジオのCMについて、ちょっと迷いが生じて、ちょっと抑えていこうということで、その段階ではまだうまく企画に入ればやってみようということもあったんですが、最終的にメディアミックスの企画競争をやりまして、それで企画力、いろいろ見て廣告社を選定いたしました。

 その結果、その廣告社の企画の中にテレビ、ラジオのCMが入っておりませんでしたので、その段階でテレビ、ラジオCMはもうやらないというふうにいろいろスタッフの中で検討した上で前任の刑事局長が決定した、こういうことでございます。

保坂(展)委員 廣告社というのは、日本で明治の時代から相当歴史のあるしにせの代理店ですよね。今の話を聞くと、刑事局や司法制度改革の総合的なメディアミックスを、最高裁が判断したんじゃなくて、廣告社が考えてテレビを削ってきたからなしにしましたと。これはますますひどいね。そんなことで税金を有効に使っているのかということを、これは委員長に、後できちっと報告するように求めていただきたい。

七条委員長 今の報告に対して。報告が後でできますか。もう一度答弁ください。(保坂(展)委員「いや、答弁じゃなくていいですよ、時間ないからいいですよ、ちゃんと調べて教えてください」と呼ぶ)報告ができますか。報告ができるかできないかを答弁ください。

小川最高裁判所長官代理者 お答えします。

 メディアミックスの企画競争は、十分な公正な競争をして、そして……(保坂(展)委員「やっていないじゃないですか」と呼ぶ)いや、そこできちんと採点表に基づいて比較して検討した上で、それでその廣告社を結果的に選定しただけでございますので、別にその廣告社が決めたからテレビ、ラジオCMをやめたというわけではございません。六億という中で、その廣告社が提案した企画が一番よかったということで決めた。その結果、その六億の中ではもうテレビ、ラジオCMは使わなかった、こういうことでございます。

 委員の御指摘がございますので、さらに調査した上で御報告したいと思います。

保坂(展)委員 終わります。

七条委員長 次回は、来る二十日火曜日午後二時二十分理事会、午後二時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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