衆議院

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第10号 平成19年4月10日(火曜日)

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平成十九年四月十日(火曜日)

    午後二時三十四分開議

 出席委員

   委員長 七条  明君

   理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君

   理事 武田 良太君 理事 棚橋 泰文君

   理事 早川 忠孝君 理事 高山 智司君

   理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君

      赤池 誠章君    稲田 朋美君

      今村 雅弘君    近江屋信広君

      奥野 信亮君    笹川  堯君

      清水鴻一郎君    杉浦 正健君

      長島 忠美君    広津 素子君

      三ッ林隆志君    武藤 容治君

      森山 眞弓君    矢野 隆司君

      保岡 興治君    柳本 卓治君

      山口 俊一君    石関 貴史君

      大串 博志君    河村たかし君

      中井  洽君    横山 北斗君

      保坂 展人君    滝   実君

    …………………………………

   法務大臣         長勢 甚遠君

   法務副大臣        水野 賢一君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   最高裁判所事務総局人事局長            大谷 直人君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   最高裁判所事務総局家庭局長            二本松利忠君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  片桐  裕君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小津 博司君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    梶木  壽君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    藤田 昇三君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     柴山 昌彦君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(伴野豊君紹介)(第四五六号)

 同(仲野博子君紹介)(第四七二号)

 同(渡辺周君紹介)(第四七三号)

 同(山井和則君紹介)(第五三八号)

 同(柚木道義君紹介)(第五七七号)

 成人の重国籍容認に関する請願(伴野豊君紹介)(第四五七号)

 同(仲野博子君紹介)(第四七四号)

 同(渡辺周君紹介)(第四七五号)

 同(山井和則君紹介)(第五三九号)

 同(柚木道義君紹介)(第五七八号)

 国籍法の改正に関する請願(仲野博子君紹介)(第四七〇号)

 同(渡辺周君紹介)(第四七一号)

 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(平井たくや君紹介)(第四七六号)

 同(三ッ矢憲生君紹介)(第四八四号)

 同(北側一雄君紹介)(第五二三号)

 同(古屋圭司君紹介)(第五四〇号)

 同(岡田克也君紹介)(第五五〇号)

 同(福岡資麿君紹介)(第五六一号)

 同(三井辨雄君紹介)(第五九三号)

 共謀罪新設法案の廃案を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五七六号)

四月三日

 登記事項証明書交付申請に係る手数料の引き下げに関する請願(津島雄二君紹介)(第六〇一号)

 同(坂本剛二君紹介)(第六二一号)

 同(玉沢徳一郎君紹介)(第六二二号)

 同(漆原良夫君紹介)(第六九〇号)

 同(近藤基彦君紹介)(第六九一号)

 同(仙谷由人君紹介)(第六九二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 少年法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第四四号)


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     ――――◇―――――

七条委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、内閣提出、少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長片桐裕君、警察庁刑事局長縄田修君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長小津博司君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長藤田昇三君、厚生労働省大臣官房審議官村木厚子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局大谷人事局長、小川刑事局長及び二本松家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

七条委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。前回に続きまして、少年法等の改正、これについての議論を進めさせていただきたいと思います。

 前回、私の方から議論させていただきましたのは、総論に近いところでございました。改正が必要な理由として、凶悪なものも含めて少年非行が非常にふえているという現象がどういうところでとらえられているのか、それをベースに、どういうふうな議論で少年法の改正という形になってきているのかというところを議論させていただき、かつ、対応策の内容として、今回、少年法等の改正を受けて、厳罰化というふうに言われていますけれども、厳罰化という方向性がいいのか、それとも、教え導く、児童福祉、更生、そういう方向でいくべきなのか、私としては、どちらかというと、後者の方をよりきっちりやっていく方の検討をまずやった上で考えていくべきじゃないかということも申し上げました。

 もちろん、少年犯罪といいますか少年非行といいますか、少年による法に抵触する行為、やはり現行、世上で取り上げられているものもございまして、少年による法を犯す行為、これをなくしていかなければならない、いろいろな被害を受けられた方々の心情も察しますと、これに対してしっかり対応していかなきゃならないというのはそのとおりでございまして、それに対していかに効果的な方法をとっていくかということを真剣に考えていかなければならないというふうに思う次第でございます。

 まず、前回に続きまして、総論的な部分のちょっと残りの部分でございます。少年による非行、それから法を犯す行為、これに対してどう対応するべきかという観点から、厳罰化がいいのか、それとも、それ以外のいろいろな、教え導く、児童福祉の方向性をもっともっと考えるべきではないかという議論をしました。先般、内閣府の方々等からもお話を聞かせていただきましたけれども、保護司制度のあり方についても若干議論をさせていただきました。

 きょうは、もう一つの論点であるところの児童相談所とか児童自立支援施設、こういうことに関して、まず厚生労働省の方にお尋ねしたいのです。

 子供たちが犯罪に行かないように、よりきちんと教え導くという観点が必要だと思うんですね。この観点からすると、もちろん、家庭裁判所で決定を行うことに関しては、保護観察、児童自立支援施設等への送致、それから少年院への送致、三つあるわけですけれども、この児童自立支援施設等への送致、こういうふうな児童自立支援施設での矯正といいますか教導といいますか、これに関して言うと、報道等で見ますと、実態上、ここに入っている子供たちは非常に少ないといいますか、全体のキャパシティーからして四割ぐらいしか今入っていない、これが本当にうまく機能しているのかというのは、大いに検証が必要だというようなこともよく言われております。

 そこで、今回、少年法を厳罰化という方向で改正するに当たって、その前に、この児童自立支援施設などでの教導、教育、それから矯正、これに関してもっともっとやっていけるところがあるんじゃないのか、こういうところに関して十分な検証、分析が行われているのか、この辺に関して、まず厚生労働省の方にお尋ねしたいと思います。

村木政府参考人 非行少年への支援につきまして、児童自立支援施設での支援を十分にやっていくべきではないかという御趣旨かというふうに思います。

 児童自立支援施設につきましては、児童福祉法に定められている施設でございまして、都道府県に設置義務が規定をされておりますので、平成十七年十月一日現在でございますが、全都道府県に少なくとも一カ所、全国に五十八カ所設置をされているところでございます。

 この児童自立支援施設の処遇でございますが、特徴でございますのは、開放処遇を前提にいたしまして、家庭に近い環境のもとで子供と職員が生活をともにする中で、生活指導、学習指導、作業指導を通じて、子供が社会人として自立をし、健全な社会生活を送ることができるように指導を実施しているところでございます。

 これらの施設につきまして、特に職員の専門性を高めて、ケアのレベルを上げていくというようなことが非常に重要というふうに考えておりまして、これについて努力をしているところでございます。

大串委員 今お尋ねしたかったのは、今回厳罰化と言われる方向での対応をとろうとしているわけですね、その前に、児童自立支援施設などを通じて、今おっしゃいましたか、家庭的な雰囲気の中で子供たちを教え導くというような方向での対応が十分なされているか否かという分析がどこで行われたのか、それが行われて、ここまでやったけれどもこれ以上のところはなかなか手が届かないから少年法の改正をしていかなければならないんだ、厳罰化の方向を考えていかなければならないんだ、こういうふうな政府としての総合的な分析があったのかどうか、そこを厚生労働省がきちっと分析した上で、今回の少年法の改正に関して情報を入れ、検討を加えていっているのか、そこなんです。そこをぜひお答えください。

村木政府参考人 特に今回の法改正との関連で申し上げますと、十四歳未満の触法少年ですとか虞犯少年につきまして、これまでは児童自立支援施設において、先生おっしゃいましたように、開放的なケア、家庭的なケアの中で支援をし、一定の成果を上げてきたというふうに考えております。

 そうした実績の中で、私どもの立場から申し上げますと、児童自立支援施設で子供たちをケアする中で、数は多くはございませんが、無断外出を繰り返したり、開放処遇がむしろ子供本人の落ちついた生活環境を確保するという点でマイナスになるケースというのが、数は少のうございますが、幾つかございます。

 こうした中で、今回の改正ということで、子供一人一人を見たときの処遇の選択肢を広げるという意味で一定の意義があるというふうに考えているところでございます。

大串委員 今御答弁いただいたようなことをお尋ねしているんじゃないんです。

 すなわち、今回厳罰化と言われる方向での改正がなされようとしている、その前に、子供たちを教え導くというやり方から、先々週も保護司の方々の話をしましたけれども、児童自立支援施設も含めて、今、入所率が四割と言われている、本当に十分に活用されているのかどうか、そこに入っていらっしゃる子供たちが十分そこで更生されていっているのかどうか、その体制は十分なのかどうか、人員は十分なのか、その能力は十分なのか、そういう分析がなされた上で、それは十分やりました、十分やって、今後こういうことをやろうとしています、しかし、この面が足りないから少年法の改正なんですというような分析が政府としてきちっとなされているんですかということなんです。そこを端的にお答えください。

村木政府参考人 児童自立支援施設の入所率、先生御指摘のように、ちょっと数字で申し上げますと四三・二%の入所率でございます。この入所率の低さは、児童自立支援施設の処遇が十分でないために自立支援施設で処遇をする子供の数を減らしているというわけではございませんで、児童一人一人を見たときに、収容する形の処遇がよいのか、それとも在宅で見守っていった方がよいのか、また、収容する場合に、開放的な処遇がよいのか、ある程度閉鎖的な処遇をせざるを得ないのか、そういった判断をする中で、どこの施設でケアをするかということを一人一人見て決めていっているわけでございます。

 そういう意味では、例えば児童自立支援施設のキャパが十分でないとか、そういったことがあるがために厳罰化をするということではございません。

 ただ、児童自立支援施設につきましては、非常に難しいお子さんがふえているというのが現場の職員の実感でございまして、そこの専門性を上げていくということについては必要だというふうに思っております。

大串委員 そういう今言ったようなお答えを求めて聞いているわけじゃないんです。何度も申し上げています。私がお尋ねしているのは端的なことなんですよ。

 すなわち、今回の法案を検討する段階において、児童自立支援施設等も踏まえて、その段階で、教え導く過程でのことが政府としてもっとやれることがあるんじゃないのかというのを検討したかどうか、事実関係だけ聞いているんですよ。そういう検討をやったのかやらなかったのか、それだけでもお答えください。やっているなら、どういう場でやっているのか、どういう審議会の場でやっているのか、どういう調査をやっているのか、そういうことをお聞きしているんです。お願いします。

村木政府参考人 非行に走る少年のケアについて、私どもとして、児童自立支援施設のあり方等についても検討会を設置して検討をしてまいりましたし、その中で、児童自立支援施設として、福祉の分野として施策を充実させていかなければならない課題ももちろん出てまいりましたし、もう一つの方向性として、開放的な福祉のサイドの自立支援施設では大変扱いにくいお子様も、数は少のうございますが、一部にいるということも検討をした結果として、私どもは事実として把握をしているということでございます。

大串委員 もう一度確認したい。今、検討会ということをおっしゃいました。この検討会はどこの検討会で、いつ開催されて、どういうふうな報告書なりなんなりに上がっているんですか。その事実関係で結構ですので。

村木政府参考人 児童自立支援施設のあり方に関する検討会ということで、私ども、厚生労働省においてそういった検討会を設置させていただきまして、ちょっと済みません、今すぐ表題が出てまいりませんが、昨年の二月に報告書をいただいているところでございます。

大串委員 大臣にお尋ねしたいんですけれども、今の検討会の報告書、実は私、初耳なんです。いろいろ勉強させていただきましたけれども、この検討会の報告書に至ったのは初耳です。

 大臣はいかがでしょうか。このような児童自立支援施設、こっちの方での、教え導くという方向においてどのようなことができるかどうかという検討が厚生労働省の検討会で行われていた、その結果を踏まえてこの法案がつくられているかどうか。その点について、法務省の方ではどういうふうに受けとめて、どういうふうに判断されたのか、その辺についての御感触をお尋ねします。

長勢国務大臣 具体的な研究会の事実については私も特に説明は聞いておりませんが、自立支援施設についての今審議官から御答弁のあったような問題点があって、非行少年、虞犯少年の状況に応じた体制の幅を広げるという趣旨から今回の改正が必要であるというふうに理解をしております。

大串委員 この点は、今大臣、具体的な研究会のことに関しては承知していないとおっしゃいましたけれども、実は、非常に重要な、まず議論の入り口だと私は思うんですよ。子供たちの更生、非行に走らないという状況をつくり出していくために、ではどういうふうな体制が必要なのかということを考える際において、教え導くのかそれとも厳罰化でいくのか、その最初の判断なんですね。そこのところを検討会のあり方に関して知らなかったというのは、私は非常に心もとない感じがします。

 だから、ここは本当は順序が逆だと思うんですよ。本当はそこの検討がまずあって、教導の方でいくのか、それとも厳罰化の方でいくのかというしっかりとした判断が国の方でなければならないと思うんですね。その判断がなされた上でこの法律がつくられているのか、私は非常に疑問に思うんです。

 大臣、いかがでしょう。この法律自身は、政府全体の判断の中で、もう教え導くという方向ではなかなかいかない、よって、これは厳罰化的な方向に進まなきゃならないんだ、そういうふうな判断がきちっと下されているのかどうか、それに、そういう判断があったとしたら、それはいつ、どういう場であったのか、そこに関する大臣の御所見をいただきたいと思います。

長勢国務大臣 具体的に、その研究会の報告という事実関係については、私は説明を聞いていないということは申し上げたとおりでございますが、その検討も踏まえてこの立案をしておるわけです。

 それから、先生は厳罰化の方向だというふうにおっしゃいますけれども、今回の法律で、厳罰化をやって福祉はどうでもいいということを言っているんじゃなくて、厚生労働省でおやりになっている福祉関係の政策が当然大事でありますし、そのことを否定しているものではない、しかし、そこでは手に負えないというか対応できない部分があるということを前提にして、その選択の場、余地を広げるということで御提案申し上げているところであります。

大串委員 今回の改正案が、厳罰化だけじゃなくて福祉の方にもきちんと配意をしているというふうなことをおっしゃいました。そういう要素もあることは私もわかります。ただ、私が申し上げたいのは、いろいろな法律の具体的な改革案を考えるその前提として、政府の方でしっかり、まず第一義的な入り口として、子供たちの非行、犯罪をなくしていくためには、児童福祉の世界でよりやっていくべきことが多いのか、それとも、いろいろなサンクションをふやす方向でやっていった方がいいのか、そこの綿密な検討なり分析なりがあったのかどうかということに関して非常な心もとなさを感じるものですから、そこのところをお尋ねしていたわけです。そこのところがこの法律の入り口だと思うんですね。その法律の入り口のところに、今回の法律案は足元に非常に危うさを私は感じる、そういう点を申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと時間もあれなので各論の方に移らせていただきますけれども、いろいろな論点がありますので少し順を追いながら話をさせていただきたいと思います。

 まず、前回からも議論になりましたけれども、警察官等の調査というものが法文上に位置づけられるというふうに今回の改正案の中でなっております。この調査というものが、私はどうもいま一つイメージしにくいんです。先般来の議論の中でも、現行でも警察官の方々は調査を触法少年らにやっていますということでしたけれども、その根拠は、警察法の、設置法の根拠規定、この設置法の根拠規定からいろいろな行動準則を導き出しているというのはどうかなという感じが非常にしますけれども、いずれにしても、警察法の任務規定のところから引き出してきているということでございました。

 お尋ねしたいのは、これは警察庁の方で結構なんですけれども、具体的には少年たちへの調査、今、改正案に入る前の段階で調査というものをどういうふうに具体的に行っているケースが多いのか、ちょっとその事例みたいなものを教えていただければなと思うんですが、よろしくお願いします。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がありましたように、警察における触法少年、虞犯少年の調査については、少年法等に明確な根拠がなくて、警察法二条に定める警察責務の遂行のための任意の活動として行っているというものでございます。

 この活動に当たっては、国家公安委員会規則でありますところの少年警察活動規則等において定めておりますけれども、目的はあくまでも少年の健全育成であるということでありまして、その少年の特性に配意しながら行うということでございます。任意の活動でございますので、任意の事情聴取を行う、関係者からお話を聞く、また任意に物的証拠を集めてくるとかいうふうなことをやっているということでございます。

大串委員 ちょっと具体的なイメージを私は知りたかったわけです。

 すなわち、例えば、町で夜徘回している子供たち、あるいはそれ以外、事件が起こっていそうな場所の周りにうろうろしているそういう子供たちに対して、警察官の方々が君たち、君たちというふうに声をかけたりする、それが今の調査なのか。それとも、例えば、今の児童福祉の世界で一時保護という制度がありますが、一時保護をされている子供たちに対して警察の方々も協力して調査をされている、そういうのが多いのかどうか。具体的に、一体、調査というのは今どういうふうにやられていて、その今の調査のどこの部分がどう足りない、やりにくい、あるいは不都合があるから今回こういうふうに調査の規定を置かなきゃならなかったのか、そこの論理の流れが私はよくわからないんです。

 現実はこうです、現実はこうなっているんだけれどもこの辺が非常に不都合といいますか十分でないところがあるんです、ここをこうすれば、ここをこうすればといいますのは、警察官の調査規定をこういうふうに置けば、よりその点が充実するなり改善されるなりということがあるんです、こういう論理構成にならないとこの法律の改正案の適正性は言えないと思うんですね。そこをちょっとお尋ねしたいんです。現実がどうで、どこがどう足りなくて、それでなぜこの調査が必要なのか、そこについて、ちょっと現実を踏まえての御指摘をいただきたいということです。よろしくお願いします。

片桐政府参考人 お尋ねは触法と虞犯と両方あると思うんですけれども、触法の場合には、違法行為がある疑いがあった場合に、これを端緒にして調査を始めていく、これは捜査のアナロジーとして御理解いただけるのではないかと思います。

 虞犯の場合には、どういう契機で我々が調査を始めるかと申しますと、例えば保護者の方から、御自分のお子さんについて、いろいろ非行事実があって相談をしたいということから入っていくケースが大変多うございまして、恐らく全体の半分ぐらいはそういったケースであろうというふうに思います。

 それから、それ以外には、例えば一一〇番による通報なんかで、子供がどこそこでシンナーらしきものを吸っているとか、また暴走行為を行っているとかいうふうな通報があって、現場に行ってそこから調査を始めるというふうなこともございます。それから、例えば売春事件とか暴力団事件を捜査する過程で、ある場所、暴力団事務所なんかで子供を発見するといったことから始めるといった場合もございます。それからあと、今御指摘があった街頭補導を契機にして、いろいろお話を伺っていく過程でだんだん虞犯性が高いのではないかということが疑われて調査を始めるということになります。

 虞犯の調査というのは、虞犯の事実と、あと虞犯性と要保護性と、両方の調査が必要でございまして、単にたばこを吸っているとか家出をしたかというふうなことではなくて、それが性癖になっているとか、また虞犯の事由、虞犯性も相当高いとかいうふうな段階になって初めて虞犯の調査というふうに我々は仕分けをしていくわけでございます。

大串委員 ちょっと時間がないので、端的にお答えいただければと思うんです。

 調査をしますね。調査をして、恐らく話しかけ、尋ねたりすると思うんですけれども、その成果物といいますか調査をした結果がどういうふうにその後用いられていくのか。何か調書みたいになるんでしょうか。調書みたいになったとしたら、それがどういうふうに使われていくんでしょうか。そこについてお答えください。

片桐政府参考人 例えば、少年から事情を聞きます。それについては、捜査であればこれは調書になるんですけれども、我々、調書とは言わずに申述書と言っていますけれども、それにまとめて、それを例えば家裁に送る場合に家裁に送致をするという形でございます。また、捜査の過程で証拠物の任意提出を受けるというケースがございますけれども、それも家裁の方にあわせて送致をするという形になります。

大串委員 非常によくわかりました。

 捜査の場合、刑訴法にいろいろな定めがありまして、捜査を行い、調書をつくり、それがだんだん検察活動の方に上がっていくわけですね。今話がありましたけれども、少年に対する調査の場合には、それが申述書とかいう形になって、少年にとっての裁判所たる家庭裁判所の方に送られていく。これは、全くアナロジーなんですよね。並んだ、パラレルな形になっておりまして、私はそうであればという気がより一層するんです。

 犯罪捜査の場合は、刑訴法にいろいろな捜査のやり方、そして捜査が行き過ぎないようなセーフガードも含めて書かれていますね。例えば、刑訴法の百九十八条でいうと、被疑者の出頭を求めるんだけれども、被疑者は、「出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」とか、あるいは「取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」こういうふうないろいろなセーフガードがあるんですね。

 ところが、今回、少年に対する調査、これがきちっと法律の中に明定されるわけですけれども、先ほどおっしゃいました、調査の結果は申述書となって家裁に送られていく、それがもとになって家裁の方で少年に対する処遇の決定になっていくわけでございます。少年院送致ということもあれば自立施設への送致ということもある。

 こういうふうに、二つがパラレル、非常に似た形でアナロジーとして見られるということになるとすると、特に、前から議論がありました、少年は非常に被暗示性が強いということも考えていけば、今回のこの法律改正の中に、やはり刑訴法に非常に近い形で、調査を受ける少年たちに対して、調査を受ける際において、それが適正に行われるようなセーフガード、例えば、「自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」とか、あるいは任意の出頭のことも今回は法律の中に入っていますけれども、これに対しては、これは任意なんだということをきちんと告げられた上で、「出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」こういうふうなセーフガードを置く。このような、調査を受ける側の人権を確保するセーフガードがやはりアナロジーとして必要なんじゃないかと思うんですね。この点に関して、大臣、いかがですか。

長勢国務大臣 この調査において、適切な形で行うことが必要だということはおっしゃるとおりだろうと思いますが、触法少年あるいは虞犯少年については刑事責任を問うということはないという上でやることでございますから、そういう場合に、今おっしゃったようなことを、いわゆる黙秘権とか供述拒否権といったような問題は生じないという見解が有力であると考えておるわけであります。

 それから、この方々、触法少年、虞犯少年への質問というものは、少年の健全な育成のための措置に資する、そのために、それを目的として行うものでございますから、少年がみずから話をしやすい環境の中で行うことが大事だと思います。

 仮に、今言ったように、正直に話をしなくてもいいよ、あるいは言いたくないことは言わなくていいよというような話を一律に義務づけるようなことになりますと、正直に話をしなくてもいいんだなという誤解を生ずるというようなことがありますと、少年の健全育成のために資する資料、調査をするという目的には沿わないということもありますので、一律に義務づけるのはいかがかというふうに考えております。

 ただ、少年に強制的にいろいろなことを言わせるということであってはならないというか、容認をするものではありませんので、調査に当たっても十分にそのことを念頭に置くという必要があるわけで、この法案の六条の二の第二項においても、「調査は、事案の真相を明らかにし、もつて少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行うものとする。」という旨を明定しておるところでございます。

大串委員 今、なぜ、一律のこういう刑訴法と同じようなセーフガードを置かないかという理由のところで、刑事責任を問われるわけじゃない、あるいは正直に物を話さなくなるんじゃないかというようなことをおっしゃいましたけれども、調査を受ける少年たちの人権もきっちりとやはり考えなきゃいかぬと思うんですね。

 それに、先ほど刑事責任を問われるわけじゃないというふうにおっしゃいましたけれども、十四歳以下の触法少年それから虞犯少年たちは、今回の調査を経て、先ほど話がありましたように、申述書がつくられ、申述書が家庭裁判所に送られ、家庭裁判所にて審理を経て、それでその結果の処遇がとられるわけですね。処遇の中は、保護観察、児童自立支援施設に送致、それから少年院に送致、一番重いものでは少年院への送致という形で、自由を奪われる形での処遇も含まれているわけです。

 ですから、十四歳以下は刑事責任を問われるわけじゃないけれども、十四歳以下の少年たちの自由も奪う、人権も奪うという形での非常に重い責任をとらせることになるわけです。それであれば、刑事訴訟法と同じようなセーフガードを置いてあげないとやはり私はいかぬと思うんですね。刑事責任じゃないけれども、それは子供たちにとっては刑事責任に匹敵するような非常に重いものだと私は思いますよ。

 かつ、正直に物を話さなくなるということですけれども、正直に物を話すように、そうすると逆に暗示を与えるのかということにもなりますし、正直に話せるということも、あくまでも人権とのバランスだと思うんですね。

 大臣、もう一度御答弁いただきたいんですけれども、ここは、ぜひもう一度御再考いただきたい。子供たちに、調査を受ける際に何がしかの調査を受ける者としての人権のセーフガードを検討できないか、いま一度答弁をお願いします。

長勢国務大臣 刑罰を受けることがないということと、似ているじゃないかというお話ではございますが、それはやはり本質的に違うんだろうと思いますし、制度的に一律にそういうことを義務づけることが、果たして、少年の健全な育成のための資料を得る上でいいかどうかということが一方で考えられるべきでありますし、一方で、おっしゃるように、だからといって強制的な調査をやるということが許されるというか容認されるべきではないということも当然でありますから、そういうことに十分配慮した調査であるべきだと思います。

大串委員 答弁いただきましたが、私は納得できません。「少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行うものとする。」という条項もありますが、これがどういうふうにワークするのかというのは、私は非常に心もとないと思います。ぜひ、この法案の審議の中で、もう少しこの点に関しては詰めて議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

七条委員長 次に、河村たかし君。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 では、速記を起こしてください。

 河村たかし君。

河村(た)委員 河村たかしです。

 今の大串さんの話にもありましたけれども、今度の少年法の中で、警察の権限をふやすというか、やることをふやすということになりまして、警察も大組織ですか、だから、最近はどうも大組織というのは非常に信用ならぬ、上の偉い様がここにようけそろっておるけれども、この人らが自分らを守るために末端を切り捨てていくというとんでもない状況で、そんな警察に少年の育成を任せていいかという視点の中で、まず一つは、この間も言いましたけれども、名古屋刑務所の話が、この間判決が出まして、本当にとんでもないですね。とんでもないですよ。だから、ちゃんと検証しないと。

 では、聞きますけれども、革手錠を八十センチのウエストの人に、これは穴が十センチずつにある。普通のベルトと違うんですよ。私のは大体二・五センチぐらいずつにありますけれども、十センチごとにあるんですね、革手錠というのは。九センチですけれども、ある。八十センチの人を七十センチに締めたこと、それで暴行を認定していったんです。

 私、ここでやりましたけれども、余り言うのも格好悪いですけれども、ウエストが一メーターちょっとあるんです。一メーターのところにちょうどあるベルトをつけました。

 もし私が刑務所の中で暴れて革手錠を施用せんならぬとなったときに、どこの穴に施用したらいいんですか、矯正局。

梶木政府参考人 革手錠は、御承知のとおり、大中小とあるわけでございます。したがいまして、実際にそれを施用する場面で、きつさ等を勘案してはまるところでとめるのが適切であろうというふうに考えております。

河村(た)委員 あなた、大中小あると言うて、大中小って何ですか、それ、大中小。

梶木政府参考人 お答えいたします。

 革手錠全体の長さの区分でございます。

河村(た)委員 いいですか。もう一回、その答弁をちゃんと残しておいてくださいよ。

 あなたね、普通ならこれで終わりですよ。全然違うんですよ、言っておきますけれども。手錠の輪っかの、この大きさにはまるかどうかですよ。こんな人に何で聞かないかぬのか、最高責任者。(発言する者あり)これは、大臣、まあええわ、聞いておいてください、こんなの、あなたは知っておるわけないから。

 これは違うんですよ、今の話も。何にも革手錠とか知らぬ人間が、ようもようも何人も有罪だとここで言いましたね、暴行だと、革手錠の大きさも知らぬのが。とんでもないですよ、これは。

 どうしようかな、刑事局長が来ておるので、ちょっとこれを聞こうか。

 こんな、実際に調査もせずに、革手錠の全体の長さも間違えておる人が、わけもわからぬのに、ここでめちゃくちゃ言って、これは本当に公務員の職権濫用罪じゃないですか。何なんですか、一体これは。どうですか、刑事局長。

小津政府参考人 恐縮でございます。

 ただいまの御質問の趣旨が、一般的にどんな場合に職権濫用罪に当たるかということでございますと、なかなか答えにくいところでございまして、恐縮でございます。

河村(た)委員 ちょっといかにも頭にくる話なんで。

 それでは、大中小、違っておることを認めなさいよ、ここで。

梶木政府参考人 革手錠、特に名古屋刑務所で持っておりました革手錠について、大中小というような区分で呼ばれているものがあったということでございまして……(河村(た)委員「長さじゃないんでしょう」と呼ぶ)はい、長さではございません。失礼をいたしました。

河村(た)委員 いいかげんにしてくださいよ、本当に。そんなことで、よくここで罪人扱いしたなということですよ。

 それでは、一メーターのところに穴があって、次に九十センチ、八十センチにありますが、私は一メーター。一メーターの人に革手錠をかけるときはどこの穴に入れるんですか。

梶木政府参考人 これは、一般的に一メートルならどこというのはなかなか難しいところでございますが、革手錠をはめるときには、必要以上にその締めぐあいを強くして、そしてその使用部位を傷つけたり、あるいは著しく血液の循環を妨げるような、健康を害するような方法で使用してはならないということでございます。

河村(た)委員 ちょっと少年法に行かないかぬのであれですけれども、余りにばからしくて。

 それでは、刑務官は、血流を妨げるとか、外からどうやってわかるんですか。あなた、何万人という刑務官を指揮しているんでしょう。刑務官はどうやって職務をすればいいんですか。外から血流を妨げるとわかるわけですか。外見から革手錠のどこの穴に入れるかわからないかぬでしょう。

 あなただって、自分のウエストのとおりにベルトを締めてみなさいよ。ほとんど抜けるようにいきますよ。ウエストが九十センチ以上あると、腰よりも大きいあれは、ここでやりましたから、一メーターだったら抜けるんですよ。抜けちゃいけないでしょう。それでは、どうすればいいんだ。

 血流を妨げないというのは、どうしてわかるの、そんなもの。何かメスでも入れてはかるんですか。どういうふうにすればいいか言えないんですか。それでは、適法施用というのは何なんですか。

梶木政府参考人 職員がこの革手錠を締めますときに、当然ながら、その相手方の方々の健康状態とか、あるいは身体の状況というのは個別に違うわけでございます。

 したがいまして、今言いましたように、例えば一メートル、こうおっしゃいましたけれども、そのときに、実際に締めてみて、そしてこの指の入りぐあい、こういうものを見て決めてもらうというのが我々の指導の内容でございました。

河村(た)委員 穴は十センチごとにしかないんですよ。一メーターに一メーターで使ったら、ずるずるになって、ぐるぐる回ってもいいの。これは何遍も言いましたよ。これは適法ですか、言ってくださいよ。ウエストかつかつだったら抜けちゃいますよ。

梶木政府参考人 委員が今おっしゃいましたように、革手錠というのが、被施用者の動きを固定して暴行とかそういったものを防止するために使われるものでございます。

 したがいまして、革手錠を施用した時点で、それがそのまま下肢、つまり足の下の方に丸々抜けてしまうというのでは困るわけでございます。それはそのとおりでございます。(河村(た)委員「それならばどうするんですか」と呼ぶ)

 ですから、それは、今の施用される者の状況によりまして、九十ということもあろうかと思いますし、百であっても抜けない場合というのもあるんだろうというふうに思っております。

河村(た)委員 まあええわ、全国の刑務官の人、これを施用ルールにしていけば。

 では、これは、みんな聞いてもらっているので聞くと、一メーターのウエストの人に一メーターで手錠をしてもいいということですね。それでは、全国の刑務官にここで指示しなさいよ。

梶木政府参考人 繰り返すようでございますけれども、例えば、私ごとを申して恐縮でございますが、私もウエストが九十四ぐらいでございますが、ヒップといいますか、その下は九十を超えておりますので、要するに、九十で、私の場合ですと、おなかで締めましても下には抜けないわけでございます。

河村(た)委員 あほらしくてやったことないでしょう、あなた、革手錠施用。

 まず、革手錠施用体験、実際にしたことがあるんですか。それで、手錠で本当に引っ張ったことがあるかどうか。

七条委員長 ちょっと申し上げますが、答弁と質問の間で話がとんとん進んでしまいますから、正規にやらせていただきます。

 梶木矯正局長。

梶木政府参考人 私も、昨年、矯正局長を命ぜられまして、革手錠を持ってきてもらって、局長室で実際につけさせていただきました。

河村(た)委員 刑務所の中で実際に施用したことがあるんですか。

梶木政府参考人 お答えいたします。

 刑務所の中で私個人がつけたことはございません。

河村(た)委員 そうでしょう。だから、私はよく知りませんとはっきり言った方がいいですよ。長さも間違えておるし。

 間違えたんでしょう、今の、大中小については。ちょっと訂正しておいてください、間違えておったと。

梶木政府参考人 失礼いたしました。

 先ほど申し上げましたとおり、名古屋刑務所で一定のものを大とか中とか小とか呼んでいたということでございます。(河村(た)委員「間違えていた」と呼ぶ)間違えておりました。

七条委員長 済みません、河村先生、答弁が済んでから質問していただくように。

河村(た)委員 そういうことで、九十センチというのは、全部九十センチであるわけではないですよ、九十四ぐらいのやつもあるんですよ、自分のウエストサイズのやつが。

 ウエストサイズのやつがあったときに、ウエストサイズのやつをかけると、やってみられたらわかるでしょう、ずるずるになるのは。抜けなくてもずるずるになるから、これは物すごく危険だ、その場合どうするかということですよ。どうするんですか。

梶木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来申し上げておりますとおり、これが、腕の動きを固定して暴行等の防止を目的とするものでありますから、下肢、つまり足の下の方向に抜けてしまっては役に立たないわけでございます。

 しかしながら、では、それを締めるときにどう締めたらいいのかというのは、先ほども申しましたように、この締める強さについては、これを強くし過ぎて、それを使っている場所を傷つけたり、あるいは血液の循環を妨げたりしないようにしなさいという指導をしてきたということでございます。

河村(た)委員 そういうときは、次の穴に入れるんじゃないんですか。次の穴しかないじゃないですか、固定するところは。それでは、固定しなくてもいいんですか。

梶木政府参考人 ある一つの穴に入れまして、それでは緩過ぎて、先ほど申しましたように革手錠自体が下の方に脱落してしまうということでありましたら、一つ締めなければならないだろう、ただ、そのときに、今申しましたような点にやはり気をつけて締めるべきであろう、こういう指導をしてきたということでございます。

河村(た)委員 まあ、いいですけれども。

 そこしかないんだからね。今度またやりますよ。そこしかないんですから、気をつけて締めるといったって、前から言っているように、何に気をつけるかといったら、気をつけたところで、そこしか穴はないんですよ、次しか。

 何が言いたいかというと、また今度やりますけれども、そういうような何が適正かわけのわからぬことを、全国の刑務官に言ってくださいよ、本当に何が適正か。血流を妨げない、どうやってわかるんですか、そんなこと。血流が突然とまるんですか。

 だから、はっきり言いますと、七十センチで、要するに、施用実験をきちんと自分でやらずに裁判官が有罪判決を書くとは何事だというんです。本当に今の裁判は物すごく恐ろしいなと僕は思った。人を有罪にするのに、ピストルならいいですよ、ピストルを撃ったか撃たぬか。革手錠がどういう凶器性があるかなんというのはさわらなきゃわからないですよ、これはだれも。それを裁判で却下して、それで有罪を書いて、一人は無罪になりましたけれども、理由もわけがわかりませんけれども、恐ろしいということです。

 これは同じことですよ。要するに、革手錠は、転倒すると事故を起こす危険な戒具だったんです。転倒事故の危険。だから、組織を守るために末端を犠牲にしたという物すごく恐ろしい話。そういうのは警察等から少年法でも起きはせぬかという話です。(発言する者あり)そういう理屈ですよ。

 それから、この間の簡易裁判所の判事のことですが、これは問題を教えておるのじゃないかという話でしたけれども、どうでしたか。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 私どもの調査結果を御説明させていただきたいと存じます。

 簡易裁判所判事選考における法律試問の問題は、最高裁の民事局及び刑事局の第一課長がそれぞれ民事系及び刑事系の原案を作成し、簡易裁判所判事選考委員会委員長の決裁を得て決定しております。問題が決定した後は、この委員会の庶務を担当する人事局任用課において厳重に保管しております。

 したがいまして、この問題の内容を事前に知り得るのは、選考委員会委員長、民事局及び刑事局の第一課長、それから人事局長及び人事局任用課の選考事務担当者のみでございます。

 これらの者が他言することは考えられず、試験問題が外部に流出することはあり得ません。

 過去十年にさかのぼりましてこれらの関係者からヒアリングをしましたところ、そのような流出がなかったことが確認できました。

 また、過去十年間に、これは第二次選考から選考に加えられた簡裁判事、既に退職した方と、それから入院中の方を除いて九十九名の方がおられますが、この九十九名からもヒアリングを行いましたが、全員から、御指摘のような事実はないことを確認いたしました。

 以上のとおり、法律試問の問題は厳格に管理されており、これが事前に流出することは断じてあり得ないし、事実、試験問題を事前に教えてもらった者も全くいなかったというものでございます。

 以上でございます。

河村(た)委員 選考組、たしかそういう言い方をしていましたね。第一次の試験がない、その人たちの合格率というのはどうだったんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 過去十年間、全員合格をしております。

河村(た)委員 ちょっと待てよ。まず、そもそも、十年間で全員合格しておるようなのは試験というんですか。試験ですか、それ。試験というのは、落ちる人があるので試験じゃないんですか。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 筆記試験を経ないで第二次選考を行う者につきましては、これは、長年経験を積んで、その法律知識、実務能力が執務を通じて実証されていると認められる者を厳選しております。

 その結果、この十年で見ますと、先ほど申し上げましたように、全員が合格していることは事実でありますが、それらの者に対しても、口頭による法律試問や一般試問を実施し、外部の学識経験者、これは弁護士の方二名、学者の方二名、さらに消費者団体の役員の方一名も加わった簡裁判事選考委員会において、そういった結果も検討した上で、簡裁判事としての適格性があるとの判定がされたものでありまして、規則や、あるいは通達、これは前回御説明いたしましたが、こういったものに基づいた選考が適正に行われている、このように考えております。

河村(た)委員 それでは、試験組の方は合格率は何%ですか。

大谷最高裁判所長官代理者 大ざっぱに申しまして、それは年度ごとに違いがございますが、約三割ということでございます。

河村(た)委員 こういうのを八百長というんですよ、言っておきますけれども。こんなもの、だれがどう考えたって、問題を教えてもらっておるか、事前に全員受からせるかしかないじゃないですか。試験を受ければ三割しか受からぬものが、選考組になると一〇〇%。よう言っておりますね、裁判所も、本当に。大学の不正入試だってえらいことになるんですよ。裁判所の不正任官だったら、どうなるんですか、世の中、一体。

 では、全部、どうやって聞いたか、ちょっと一回事務総長に報告してもらおうか、事務総長に。

 では、何人かの方をヒアリングされたと言いますが、それを詳しく、どういう状況でどういうふうにヒアリングしたかを事務総長から今度ちゃんと報告してくださいよ。

 数字が余りにも不合理だから。だれが考えたって、一つの大きい試験の中で、いわゆる筆記試験からある人が三割しか受からない、あと、そうでない、口頭試問だけの人が一〇〇%合格。同じ選考の仕組みで、これはどう考えたって不合理ですよ。どう考えたって不合理。

 だから、やはり、どうやってその選考組の人が一〇〇%受かっていて、そういう試験問題を聞いていたのがないとか、どういうヒアリングをされて、どういう状況だったのか、ちゃんと報告してくださいよ。

 これは裁判官のことだからね、委員長、事は極めて重要ですよ。

大谷最高裁判所長官代理者 前回も御説明しましたが、この選考制度は、法律、それから最高裁の規則、そして通達に基づいて厳正に運用されているものでございます。二つのルートがございますが、委員がおっしゃるそのいわゆる選考組の場合なぜ一〇〇%かということについては、先ほども申し上げましたが、実務経験あるいは識見というものについて長年の執務の中でそれが認められるという者を厳選して、そして最終的な選考に諮っているということからの数字だというふうに私どもとしては理解しております。

河村(た)委員 何を言っておるんですか。この間の政治資金報告書と同じだ、それは。一応届けるということなら届ければいいというだけのことであって。

 試験をやるんでしょう、一応、口頭試問を。そんなもの、いっそのことやらなかったらいいじゃないですか、この人たちは別だといって。一〇〇%受かるんでしょう。その方がはっきりしますよ、ルールを守っていると。そうでしょう。それはそれで問題だけれども。

 それでは、これはどうしましょう、参考人招致でもしますか、実際に受かった判事の方を。明らかにおかしいですから、一〇〇%は。どうですか、ちょっと協議してくださいよ。時間がないから、先があるので。

七条委員長 後日、理事会で協議をさせていただきます。

河村(た)委員 それでは、警察の話ですけれども、要するに、少年に関与されるということでございます。先ほど大串さんも言っておったけれども、要は、ただでさえ、この間、無罪になっちゃった事件が鹿児島であったじゃないですか、そういうことが少年にまた行われると、少年の場合は防御がやはり弱いものだから、つるつるとありもしないことを言うんじゃないかということ。

 この間、鹿児島県警の方で、これは朝日新聞の四月七日の夕刊に、「鹿児島県警 自白の矛盾「死んでも出さぬ」 地検と口裏合わせ」という記事が出ましたけれども、これは本当ですか。

縄田政府参考人 都道府県警察と検察当局が公判対応のために協議することは、これは一般的に行われているところでございます。

 御指摘の口裏合わせというのがどういうようなものかちょっと明らかではございませんけれども、鹿児島県警察におきましても、公職選挙法違反事件の公判対応のために必要に応じて鹿児島地方検察庁と協議を行っておった、このように承知をいたしております。

河村(た)委員 それでは、一応ここは事実なんだね、新聞の記事。全部事実ですか。「それによると、協議は〇四年十一月九日に鹿児島地検四階の小会議室で行われた。」これは事実ですか。それから、警部が公判に証人として出廷する直前で出席したとか、それからもう一つ、肝心なところ、「捜査資料について検察側が「(資料は)死んでも出さない」と表明すると、県警側が「(裁判に)出たら、(事件が)飛ぶ」と応じていた。」この記事は事実ですか。

縄田政府参考人 新聞記事について論評するつもりはございませんけれども、協議の中身につきましては、捜査機関相互のやりとりにかかわるものであります。内容的には、個人情報とかプライバシーにかかわるもの、あるいは捜査情報等々もございますし、今御指摘のような記事につきまして、一つ一つこれが正しい云々ということにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

河村(た)委員 答弁を差し控えるなら、審議できないということですよ。これは明らかに答弁拒否ですよ。この事実がうそだったらちゃんと反論せないかぬですよ、朝日新聞にちゃんと書いてあるんだから。死んでも出さないと表明すると、県警側が出たら事件が飛ぶと応じていた、ここのところ。きのう質問通告してあるね、当然。

縄田政府参考人 個々具体的なやりとりにつきましては答弁を差し控えたいと思いますが、公判にどのような資料が出されるかとか、あるいは報道でも、取り調べの小票といいますか、そういったものがあるとかいろいろ書かれてはおります。こういったものにつきましては、それぞれ警察と検察庁とが十分協議しながら、公判の状況も見ながら検察官の方で判断をされる事項だろう、このように考えております。

 何をもとに新聞記事が書かれておるのかというのは私ども十分承知をしておりませんし、記事自体一つ一つにつきまして、個々のやりとりがどうのこうのということにつきましては、十分答弁するだけの材料を持ち合わせていない、こういうことでございます。

河村(た)委員 私らはこういうことがあるのかないのか知らないかぬじゃないですか、国会議員は。知って、ではどうしようということになるわけでしょう。ではこういう問題があるなら、本当に少年にまでそういう調査という名前のものを広げていいかどうかやらないかぬじゃないですか。大串さんの話でも、ルールをもっとつくらないかぬという話になるじゃないですか。

 だから、きちっと答弁できぬのなら、ちょっととめてもらった方がいいですよ。これ以上審議できぬことになるよ。どうするか、それから参考人を呼ぶのを認めるか。これはどえらい重要なことなんですよ。

 警察庁には電話はないのかね。電話機はありませんか。鹿児島へ通ずる電話というのはないですか、ちょっと答弁してくださいよ。

縄田政府参考人 電話の所在についてお答えするのもあれですけれども、当然ございますが、ただ、新聞記事のやりとりにつきまして、本当にどうであったかというのを私どもで十分確認はできないものであろうということを御理解いただきたい、こういうふうに思います。

 ただ、先ほども申し上げましたように、公判の状況も見ながら、やりとりにつきましてはいろいろな議論があります。どのような言動があったかということにつきましては、これは関係機関等のこともありますし、今後の捜査の遂行上も問題がある事項もございますから、詳細をお答えすることは差し控えたい、こういうふうに思っております。

 小票等につきましてどうであるかということでございますけれども、報道されていることにつきまして若干申し上げますと、会合が何回もあったんじゃないかとかいろいろな記載もございます。こういったことにつきましては、それぞれ捜査の過程で得た資料にかかわることでありますので、私どもは答弁を差し控えたいと思います。

 ただ、この報道自体が本当に正しいかどうかというのは、私は本当に論評を差し控えたいと思いますけれども、こういった状況につきまして、会合がどうであったか、こういったことにつきましては、もう既に公判において、供述がいろいろ変遷しておる、こういう調書が全部提出をされておりますし、捜査官においてもこれを認める供述があり、また裁判官におきましても、これらの供述の変遷があるということで信用性が否定される、こういう大きな根拠になっているところでございます。

 そういったことも踏まえまして私どもも対応しているところでございまして、新聞記事にありますように、何かでっち上げであるとか、そういったことはないものと私どもの調査の結果では承知をいたしております。

河村(た)委員 ちょっととめてもらってきちっと説明を、このやりとりがあったかどうか、ここのところ、死んでも出さないと表明すると、事件が飛ぶと応じていた、ここについてきちっと報告を求める。ここを検証できなければ、委員会でやっておる意味がないじゃないですか。

七条委員長 質疑時間が今ちょうど切れてしまいましたが、もう一度答弁をしてもらって、お考えください。(河村(た)委員「委員長、これはきちっと報告してくれと言わないかぬですよ。報告を求めてください」と呼ぶ)ですから、今のことに関してもう一度答弁。

縄田政府参考人 お尋ねでございますので、どのような結果になるかはちょっとわかりませんけれども、鹿児島県警と再度連絡をとってみたい、こういうふうに思います。

河村(た)委員 では、時間になりましたので、ちょっと次の横山さん、もしできたらちょこっとフォローしてもらってもいいけれども、きちんとした報告を求めないと、こういうことがきちっとわからないと、委員会で審議しておったって何にもならぬじゃないかということです。

 以上です。

七条委員長 次に、横山北斗君。

横山委員 民主党、横山北斗です。

 私は、まず、児童相談所における調査についてお尋ねいたします。

 触法少年や虞犯少年を発見した者は、児童福祉法第二十五条の規定によれば、児童相談所等に通告をすることとなっております。そして、通告を受けた児童相談所等は、この少年について、児童福祉法上の措置等の要否を判断し、児童福祉法上の措置よりも家庭裁判所の調査、審判を経ることが望ましいと判断した場合に限り、少年を家庭裁判所に送致している。こうした現行法の規定は、十四歳未満の少年については、強制的要素が少なく、福祉的な取り扱いを行う児童福祉機関にゆだね、この機関が適当と認めた場合に限って家庭裁判所で扱うのが望ましいという児童福祉機関先議の原則を具体化したものであるとされています。

 それが、今回の改正で、触法少年の事件について、警察官が一定の重大事件であると思料して都道府県知事または児童相談所長に送致した事件については、児童相談所長等は原則として家庭裁判所送致の措置をとらなければならないこととしております。

 まず、このような措置を認めることとした理由についてお尋ねいたします。

    〔委員長退席、上川委員長代理着席〕

小津政府参考人 本法案によりまして、児童相談所長が警察官から触法少年の事件の送致を受けたときは、警察の調査結果及び児童相談所における調査等の結果を踏まえて処遇を決定することとなるわけでございますが、重大な触法行為をした疑いのある少年につきましては、非行の重大性にかんがみ、家庭裁判所の審判を通じて非行事実を認定した上で適切な処遇を決定する必要性が特に高いと考えられます。

 このような事件につきましては、まず、証拠資料に基づいて非行事実の有無、内容を確定することこそが、被害者を含む国民一般の少年保護手続に対する信頼を維持するために必要であると考えられますし、また、家庭裁判所の審判手続におきましては、被害者等が記録の閲覧、謄写、意見陳述、審判結果等の通知を受けることもできるということもございまして、被害者保護という観点からも、少年法が定める家庭裁判所の審判手続によって事実解明等を行う必要がそういう観点からもあると考えられます。

 そのようなことから、本法案の六条の六第一項で、いわゆる検察官関与の対象となる少年法二十二条の二第一項の罪に係る重大な触法行為の疑いのある事件の送致を児童相談所長等が受けましたときには、原則として家庭裁判所送致の措置をとらなければならないことにした、そういうものでございます。

横山委員 その措置の導入というのは、児童福祉機関先議の原則を改めることになるのでしょうか、この点について、いま一度お尋ねします。

小津政府参考人 現行の少年法の第三条二項では、触法少年と十四歳に満たない虞犯少年につきましては、都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限って家庭裁判所の審判に付することができるとしておりまして、これがいわゆる児童福祉機関先議の原則と言われているわけでございます。

 一般論といたしまして、心身の発達が不十分な低年齢の少年につきましては、児童福祉機関の措置にゆだねることが適当な場合が少なくないと考えられるところでございまして、本法案におきましても、この点につきましては何ら修正を加えておりません。

 先ほど御説明いたしましたように、一定の重大な事実につきましては家庭裁判所送致を原則とするのが本法案の内容ではございますけれども、家庭裁判所送致を一律に義務づけるものではございませんで、ただし書きにおきまして、児童相談所における調査の結果、家庭裁判所送致の必要がないと認められるときは家庭裁判所送致以外の措置をとることができるということにしておりまして、家庭裁判所送致の必要性の判断につきまして、児童相談所長の裁量を認めているわけでございます。

 したがいまして、先ほども申し上げましたように、児童福祉機関先議の原則を根本的に改めるものではないということでございます。

横山委員 先ほど来、少年院、児童自立支援施設の、健全育成とか少年との信頼関係を築くという上で、その重要性を指摘しておりますが、改めて、法務省の所管である少年院、厚生労働省の所管である児童自立支援施設、この施設の役割分担といいますか役割の違いというか、それぞれから御説明を願いたいと思います。

村木政府参考人 まず、児童自立支援施設の関係から御説明を申し上げます。

 児童自立支援施設の特徴は、開放処遇を前提に、家庭に近い環境で子供と職員が生活をともにする中で、生活指導、学習指導、作業指導を通じて子供が社会人として自立できるように指導をするものでございます。

 実際の処遇は、入所初期に子供の可能性や問題点を把握して自立支援計画を立てる、それから入所の中期におきましては、施設内で目標設定をし、それを実践して子供の健全な生活習慣を確立し、みずから問題行動を自省する、反省をする力を養うこと、また退所間近になりますと、退所先との調整を行いながら、子供自身が今後の生活目標を設定し、自立できるように指導し、さらに退所した後のアフターケアにも力を入れているものでございます。

 このようにしまして、子供が社会で再び自立して暮らすことができるように指導をしているものでございます。

梶木政府参考人 少年院について御説明をいたします。

 少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致されました少年に対して、社会不適応の原因を除去し、健全育成を図ることを目的として矯正教育を行う法務省所管の施設であります。

 少年院は、その収容する少年の年齢、それから心身の状況、犯罪的傾向の程度等によりまして、全国の少年院を初等、中等、特別、医療の四つの種類に分けております。どの種類の少年院に送致するかというのは家庭裁判所が決定される事柄であります。なお、医療少年院を除きまして、男女別の施設を設けております。

 次に、少年院で実施いたします矯正教育でございます。五つの領域から構成されております。

 一つ目は、生活指導という領域でございます。非行の問題に向き合わせるとともに、基本的な生活態度、健全な行動の仕方、こういったものを身につけさせるというものでございます。

 二つ目が、職業補導でございます。勤労意欲を喚起し、職業生活に必要な知識等を身につけさせるというものでございます。

 三つ目が、教科教育でございます。義務教育、それから社会生活に必要な学力を身につけさせるための教育を施すということでございます。

 四つ目が、保健体育でございます。心身の健康の回復、増進を図るものでございます。

 五つ目、これが特別活動でございます。社会奉仕活動や野外活動を通しまして、自主性あるいは協調性を養うというものでございます。

 さらに、少年院では、個々の少年の特性あるいは教育上の必要性に応じまして、家庭裁判所あるいは少年鑑別所の情報、意見を参考にいたしまして、少年が入院してから出院するまでの教育計画を一人一人、個別的処遇計画というふうに呼んでおりますが、そういう計画を作成しております。個別担任によりますマンツーマン指導によりまして、育て直しの観点を配慮し、少年一人一人にきめの細かい教育を実施するよう努めております。

 児童自立支援施設と比較した場合、少年院の特徴といたしまして、まず、我々のところでは、非行少年を収容して非行性を除去するため、統一的かつ一貫した施設であるということでございます。また、心身に故障のある者を対象とする医療少年院があるということなどが挙げられると思います。

 以上でございます。

横山委員 ただいまの厚生省の方のお答えを聞いておりますと、そうするとかなり専門性が高いことも求められるかなと思うんですが、こちらの職員の方というのは長いんでしょうか。私は昔、福祉の関係の大学、学部にいて、結構、派遣されてきて、すっといなくなる人もいると聞いておりますが、そのあたり、もしわかれば教えてください。

村木政府参考人 恐れ入ります。

 具体的に勤続年数というところまで私ども今ここに数字を持ち合わせてございませんが、児童自立支援施設は古くは夫婦小舎制という、御夫婦で親がわりになって一緒に少年たちと暮らしながらケアをするというような処遇をしておりましたので、こういう方々については非常に勤続年数も長く、専門性も高いと思います。

 ただ、こうした制度、なかなか維持が難しくなっておりまして、交代制という新しい仕組みも取り入れながら、できるだけ専門性の高い職員の確保に今努力をしているところでございます。

横山委員 このことについてはちょっと質問通告しておりませんでしたので聞きませんでしたけれども、確かに、専門性が高い分野で入れかわりが激しいというのは、本当にしっかりやっているのかなという信頼性の問題も出てくると思いますので、そのあたりはしっかりやっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に行きます。

 十四歳未満の少年の少年院送致につきまして、この法律案では少年院送致を十四歳未満に対しても可能としております。少年の健全な育成を期するという少年法の理念にこれが合致しているかどうか、また、十四歳未満の少年につきましては少年院送致よりもやはり児童自立支援施設等への送致が適切という意見に対しまして、改めて法務大臣のお考えをお聞きいたします。

長勢国務大臣 非行を犯した少年の改善更生を図るためにはどうしたらいいかということでございますが、その年齢あるいは心身発達の程度、さらに非行に至る動機や背景、非行の内容あるいは少年の性格、行状、環境等を総合的に勘案して、最も適当な措置が選択されるということが必要であると考えております。

 その場合、十四歳未満の少年であってもいろいろなケースがあるわけで、凶悪重大な事件を起こしたとか、悪質な犯行を繰り返すとか、あるいは深刻な問題を抱える者、こういう者もおるわけでございまして、こういう場合に、開放を前提とする児童福祉施設等ではなじまないという場合もあると考えられるわけです。

 そこで、どちらによるかということを一律に区別することは適当でないということですので、選択の幅を広げるという意味で、そういう場合に備えて、少年院における働きかけを行うことを可能とするという規定を今設けることとしたわけでございます。

 そういうことでございますので、児童福祉法上の措置と少年法上の措置との選択の基準を、ただ年齢だけでなくて、個々の少年の問題性その他の問題に適切に対応できるようにしたということでありますから、少年院送致を可能とするということは、少年法の目的である少年の健全な育成を期すことにつながるという考え方で今御提案申し上げております。

横山委員 少年院の送致が可能な下限の年齢について、前回質疑でも取り上げられまして、可能な年齢に下限を設ける必要があるということでしたけれども、この点につきまして、法務大臣のお考えはどうだったのでしょうか、お尋ねいたします。

長勢国務大臣 十四歳未満の者についても少年院送致というのを設ける理由は今申し上げたとおりでございますが、結局、その非行の内容、程度あるいはその性格その他の事情の上から考えて、健全な育成を図るために必要な場合に少年院送致を考えようということでございますので、一律に区別をするのは適当ではないという考え方から、下限は設けないということにいたしておるところであります。

横山委員 下限は設ける必要があるということじゃなかったんですか。それは、私の理解が間違っていますか。

長勢国務大臣 提案を申し上げておりますのは、下限を設けないで御提案申し上げているわけで、下限を設けるべきではないかという御意見が当委員会であったことはそのとおりであります。

横山委員 失礼いたしました。

 それでは、保護観察中の者に対する措置について。

 保護観察は、家庭裁判所が行う保護処分の一つとして、少年を施設に収容せず、家庭や職場などに置いたまま、少年に遵守事項を守るよう指導監督することを主たる内容としております。

 今回の改正では、保護観察に付されている少年が遵守事項を守らない場合には、保護観察所の長が警告を発することができることとし、その警告にもかかわらず、なお少年が遵守事項を守らなかった場合には、保護観察所の長の申請により、家庭裁判所は児童自立支援施設等送致または少年院送致の決定をすることができるとなっております。

 そこでまず、少年との信頼関係について。

 保護観察は、その担い手である保護司または保護観察官と少年との信頼関係をよりどころとして行われるものと考えられていますが、仮に保護観察に付されている少年に、遵守事項を守らないから少年院等の施設に収容するぞと、いわば威嚇することで保護観察を機能させようということは、少年との信頼関係を損なうことにはならないのか、この点につきまして、法務省の御見解をお聞きしたいと思います。

小津政府参考人 委員御指摘のとおり、保護観察は、保護観察を受けている者がみずから改善更生に向けた努力を行うように働きかけることを内容とするという点におきまして教育的な側面を有しておりまして、信頼関係に基礎を置いているものであると考えております。

 しかしながら、保護観察における働きかけは、遵守事項を遵守するよう指導監督することによって行うこととされておりまして、その違反に対応するための手当てを設けることが、直ちにおどしや威嚇につながって、指導する側と指導される側との信頼関係を崩すことにつながるものではないと考えております。かえって、本制度によりまして、遵守事項の重要性が制度上も明確になり、保護観察を受けている者に対してそのことの意味を自覚させ、遵守事項を守ろうという意欲を生じさせることにつながるものと考えております。

横山委員 それでは次に、二重の保護処分ということにつきまして、保護観察中の少年に対して家庭裁判所が少年院送致や児童自立支援施設等への送致の処分を決定するのは、裁判所が一度決定した保護処分を変更するものとなり、同一の非行事実について二重に保護処分を行うことになるのではないかという指摘もありますけれども、この点につきましての法務省の御見解はどうなっているのでしょうか。

小津政府参考人 この法案によります制度は、保護観察決定後に遵守事項を守らなかったという新たな事情をとらえまして新たな決定をするというものでございまして、保護観察の保護処分決定の対象となった事由と同一の事由について重ねて保護処分決定をするものではないわけでございます。

 また、この制度に基づいて新たな保護処分をするためには、保護観察所の長による警告、その後のさらなる程度の重い違反という過程を経まして、家庭裁判所が改めて調査、審判を行って、保護観察では改善更生を図ることができないと判断したときに初めて少年院送致等の新たな保護処分を行うこととしておるわけでございまして、少年の地位を不当に不安定なものとすることがないような制度としているところでございます。

横山委員 それでは、保護観察官の役割についてお尋ねします。

 この法律案では、保護観察中に遵守事項を遵守しない少年に対する措置として、少年院等への送致処分を定めております。これは、保護観察官の負担の増大ということになるのかならないのか、この点につきまして、法務省のお考えはどうなっているのでしょうか。

藤田政府参考人 今議論されておりますところの新しい制度でございますけれども、その目的と申しますのは、先ほども答弁に出てまいりましたけれども、少年に対して、遵守事項を遵守しない場合の措置について示すことによりまして、遵守事項を遵守する責任があるということについての少年の自覚を促す。そしてまた、少年が実際に遵守事項を遵守しない状態に至った場合には、警告を発して、再度遵守事項の重要性を少年自身に自覚させる。そして、保護観察の枠の中で、より効果的に少年を改善更生に導くことができるようにするというところにあると考えております。

 本制度によりまして、遵守事項を遵守しない少年に対しましては、保護観察官と保護司が集中的に対応することになりますので、御指摘のように、業務負担がふえることもあり得るというふうに考えます。

 ただ、その一方におきまして、遵守事項を守る責任があるんだということを少年自身が自覚するということによりまして、保護観察の枠の中で少年の行動の軌道修正をうまく図ることができ、保護観察官や保護司の指導がしやすくなるということもあろうかと思います。そういう観点からいきますと、結果的に負担が軽くなるということも一面としてあるのではないかというふうに考えております。

横山委員 少年院に送るぞというような物の考え方の中で、これは現在、学校においていじめ問題なんかも大きな問題になっているんですけれども、社会問題ですね。この少年法改正は、いじめ問題の解決とか、どんな効果が出てくると思いますでしょうか。法務省、大臣、それぞれのお考えをお聞かせ願えればと思うんです。

小津政府参考人 それでは、まず私の方から御答弁申し上げます。

 いじめにつきましては、これはさまざまな態様のものがあるわけでございますけれども、その中で、少年による行為が仮に暴行、傷害や恐喝などの犯罪に該当するような行為である、こういう場合には、所要の捜査を遂げて家庭裁判所に送致をする、そして家庭裁判所で保護処分相当と認めるときは、保護観察、児童自立支援施設等への送致、または少年院送致の決定をするということになるわけでございますし、また、場合によっては、刑事処分相当ということで、刑事裁判の手続が行われる、こういうことでございます。

 それから、十四歳未満のいわゆる触法少年の行為であるときには、現行法では、児童相談所に通告される、そしてその後、場合によっては家庭裁判所の方の審判に付されて手続が進められる、こういうことになるわけでございます。

 今回の法案は、こういう事案も含めました少年の非行に関する事実の解明をより一層的確に行えるようにする、また少年の状況に応じた最も適切な保護処分の選択を可能にするなどのための法整備でございますので、そういう意味では、いじめに係る少年の事件につきましても、より一層適切な対処が可能になるものではないかと考えているところでございます。

長勢国務大臣 いじめといってもいろいろな態様があるわけでございますが、今回の改正により、いじめにおけるそういう対象者の健全な育成のための事実の調査も十分でき、またそれに見合った適切な措置を講ずることができるようになるという意味で、いじめについてのそういう効果というものも期待をしているところであります。

横山委員 道路交通法を厳しくして、ああ、飲酒なんかしちゃいけないんだなというような効果ですよね。少年法をこうやって変えて、ああ、今度は法律が厳しくなったから、いじめなんかしたらとんでもないことになるとか、変えるとしたら何かプラスになるようなものがないと意味がないなと思うんですけれども、そういう点で今質問をいたしました。

 ちょっといま一つまだわからなかったんですけれども、これで私の質問の方は終わりにいたします。

上川委員長代理 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 先ほど、同僚議員の河村議員から質問がありました鹿児島県警の話、同じく同僚の大串議員からもありましたけれども、少年事案に関して調査ということで、これから警察がどんどん今まで以上に事案の真相解明ということで調査をされると思うんですけれども、その際、やはり熱心な余りつい行き過ぎがあるのではないかという懸念がもうずっとあるわけです。この鹿児島の選挙違反の事件も、初めから何か人を陥れようとか、無実の人をわざわざ違法な捜査でいじめてやろうとか、そういうつもりは毛頭なかったと思うんですけれども、やはり熱心な余りつい行き過ぎたことがあったんだろうと思うんですね。この点、先ほど警察庁の方の答弁では、こういう口裏合わせということではないけれども、相談することは一般的にもよくあるんだというようなお話がありました。

 今、鹿児島県警の違法捜査かどうかということで問題になっている事案は、ただの相談というよりは、むしろ警察が行った違法捜査が、違法捜査じゃなかったんだというふうにするための口裏合わせなんじゃないのか、虚偽証言を隠ぺいするためのそういう相談があったんじゃないか、だから問題じゃないかということで河村議員も質問をしたと思うんです。この点、もう一回警察に聞いて、その後大臣にも伺います。

 まず、警察に確認なんですけれども、先ほど、ちょっと質問の途中で終わっちゃったんですけれども、鹿児島県警にこういう虚偽証言をさらに隠ぺいするような口裏合わせがあったら、これは当然大変なことですから、こういうことがあったのかなかったのか、あるいはあったとすればどういう調査をしたのか、そういうことをもう一回教えてください。

縄田政府参考人 委員からの御理解ある御発言もいただきましたが、捜査員にとりましては、これは真実であろうということで捜査をいたしまして、供述を得、検察庁に送致をして起訴になる、裁判になったということでございます。これをみずからの捜査段階で得た調書等につきまして、これは当然真実であるという前提のもとに、検察庁とも協議をしながら、検察官の方で公判の方を対応されているということでございます。

 刑事訴訟法等におきましても、捜査に関してお互いに協力しなければいかぬという義務もございますし、刑事訴訟法の刑事訴訟規則におきましても、公判準備の段階では検察官が証人請求された場合、検察官との間で事実を確かめるなど必要な打ち合わせは逆にしっかり行って、公判をしっかり運営していかなきゃいかぬというふうな取り決めもございます。

 そういった中で、私ども、いろいろ新聞記事に書かれておることは、警察官の本当にそういった思いがいろいろな発言になって出てきておるところだろうと思いますけれども、これは事実でないことを承知の上でこれを何とか通しちゃおうとか、あるいは事実でないことを承知の上でさらにこれをまさに検察官と一緒になってどうこうなんということはあり得ない話でございます。

 こういったものにつきましては、十分協議の中で議論をされながら、どういった資料をまず公判請求に出していくのかとか、これは間違いないよねというような確認をしながら、検察官の方では公判等に対応されている、私どもはそれに協力していっている、こういうことであろう、こういうふうに認識をいたしております。

    〔上川委員長代理退席、委員長着席〕

高山委員 それで結局、鹿児島の事案はどういう調査をしたんですか。こういう新聞記事にも出てきて、これはえらいこっちゃなと思って、ただ、これが全然事実でも何でもないならもう終わっている話だし、とにかく、きちんとどういう調査をしたのか。まさに、この鹿児島の捜査報告書の改ざんがあったのかなかったのか。これは、どういう調査をしたのか。先ほど河村議員からも、電話ぐらいはあるんだろうというような御下問もありましたけれども、どういう調査をしたのか、教えてください。

縄田政府参考人 鹿児島県警におきましては、判決前から、公判対応の中ではいろいろな問題点が出てきて、それに対応していっておるわけでございます。捜査経過につきましては、随時検討を加えてまいりましたし、無罪判決が出た後につきましても、もう一度捜査資料あるいは公判記録等々再確認をいたしたところでございます。

 今回の記事につきましても、再度確認ということを私どもさせていただきました。御指摘のように、事実をねじ曲げて、これを出したら公判自体が大変なことになるから隠ぺいしようとか、そういった意図はさらさらないという点は十分確認をしてございます。

 こういった資料等がどういうふうに出されるかというのは、先ほども申し上げましたけれども、検察官の方で判断されることですし、裁判所あるいは弁護士の先生方からの要請等に基づいて判断されていく事柄、こういうふうに承知をいたしております。

 したがって、警察でこれを隠ぺいしようと思っても、あるいは隠すということがありましても、これはそもそも隠せるものではないということでございます。

高山委員 いや、意図はさらさらないということでしたけれども、その意図は別として、例えばこの小票というんですか、小票というのは私はどんなものだかわからないんですけれども、こういうものを死んでも出さないぞ、もし弁護士にこういうのを請求されたらえらいことになるぞ、そういうのがあっても死んでも出さないんだというような発言があったんだ、そういう相談があったんだというような報道なんですけれども、こんなのは明らかに違法じゃないですか。裁判で弁護士から請求されても死んでも出さないぞ、その小票は。こういう相談はあったんですね、意図がどうだかは別として。

縄田政府参考人 報道されている小票と申しますのは、取り調べの状況等につきまして報告をするということで、メモ的なものとして、当時はそういったことで運用しておった、こういうふうに聞いております。

 当然、判決でも判示をされておりますけれども、この事案につきましては、長期間の取り調べ、あるいは若干長時間にわたるもの等がございまして、供述が変遷をしておるというところがございます。これは警察におきましても、その関係する元被告人の方々ですけれども、それぞれ調書をとらせていただきました。日々変遷する状況もありますし、そういったものをすべて調書にしながら、公判に、回数が違うものも全部出ていっております。それから、捜査官におきましても、変遷をしておる旨を公判でも証言をいたしております。そういった中で、裁判官はこれは変遷をしているということを考えられまして、信用性について否定されたものである、こういうことでございます。

 したがいまして、死んでも出さないとか、表現の問題とか感情のこもった問題でありますし、もう一つは、朝日新聞がどういう根拠でそれを事実としてとらえているか、私どもも十分承知をしておりませんので何とも申し上げかねるところがございますけれども、そういった中で、いろいろ取り調べの経過につきましては、できるだけ公判に出ない方がいいなと思うのは通常の捜査官の心理かもしれません。ただ、これを判断されるのは、先ほども申し上げましたけれども、検察官であり、あるいは裁判所等でございます。

高山委員 死んでも出さないとか、こんなのは明らかに裁判の妨害ですよ。そういう気持ちが幾らあっても、やはり裁判でもともと争っていますからね。だから、そういうのをきちんと調べてもらわなきゃいけないんですけれども。

 委員長、定足数は大丈夫ですか。

七条委員長 はい、足りております。

高山委員 もし大丈夫じゃなければ、いろいろ調べていただかなきゃいけないですから、時間をとってもらっても構わないんですけれども。大丈夫ですか。

七条委員長 大丈夫のように思います。

高山委員 では、もう一回警察の方に確認しますけれども、捜査官の心情は私も熱心の余りにいろいろやることがあるのは理解はできますけれども、ICレコーダーでいろいろ録音をしていたり、あるいは小票、この小票というのは、私もよくわからないんですけれども、これは裁判で要求されれば出さなきゃいけないものなんですか。まずそれを教えてください。

縄田政府参考人 ちょっと私どもで返答しかねる問題だろうと思います。公判において小票を提出したらどうかという要請があったとは聞いておりませんし、特段判断の材料も持っていない、まして警察が判断する話ではない事柄、こういうふうに思っております。

高山委員 それでは、裁判と関係ないところで、しかもこれはもう裁判も終わっていますので、警察の方、この小票というのを当委員会に提出していただけますか。

縄田政府参考人 捜査の過程で得た資料でございます。取り調べの状況も含めて、ほかの方のこと、あるいは協力者の氏名等いろいろプライバシーにわたることも書いてございます。そういった意味では、提出をしかねるものであると思っています。

高山委員 捜査の過程と言いますけれども、この捜査過程がいろいろな違法捜査だったんじゃないかということが問題になっているわけですから、取り調べの可視化、特に少年事件においてはより必要だと思っていますけれども、やはり密室の中でいろいろ取り調べられるのはよくないなと思うんですよ。

 それで、これは終わっている事件ですし、今、プライバシーというようなことを言いましたけれども、だれのプライバシーが問題になるから出せないんですか。

縄田政府参考人 被告人の方、参考人あるいは情報提供していただいた方等の氏名等も記載されておる、こういうふうに承知をいたしております。

高山委員 その氏名を黒塗りにするなりなんなりということで、これは証言さえわかればいいわけですから、そこの部分を黒塗りにして提出していただけますか。

縄田政府参考人 これは、先ほども申し上げましたけれども、捜査過程で得た資料でございます。個々人のメモということで、上司に対する報告文書である、その場その場の報告文書である、こういうふうに理解をいたしておりまして、提出については御容赦を願いたい、こういうふうに思います。

高山委員 今、上司に対する報告文書だということですけれども、では、これは私文書ではないんですね、この小票というのは。そういう理解でいいですか。

縄田政府参考人 これは、どのように判断されるかというところはありますけれども、私どもとしては捜査員のメモである、こういうふうに理解をいたしております。

高山委員 これは私的メモなんですか、断言してください。これは私文書なんですということで断言してください。

縄田政府参考人 これをどう評価するかというのは、その事案の中身あるいは記載の内容等々、個別に判断される事項であろうと思います。これが公文書かどうかというのも、まさに内容とか状況等々において判断されておるものだと思いますので、それと同様の判断が必要、このように考えております。

高山委員 これは、内容で判断してしまっていいんですね。取り調べ室の中で、好き勝手なメモだとか、おはしのこういう袋とかに書いたりしているものから、きちんと何とか県警のこういう紙で、こういう事案だとかというフォーマットが決まっているものがあると思うんですけれども、この今問題になっているものはそういう私的なメモなんですね。きちんと形式が決まっているものではありませんね。

縄田政府参考人 メモ、備忘録のたぐいではありますが、一応、形といいますか枠等は囲ってありまして、だれのメモであるかといいますか、だれが記載したのかという欄とか、そういったものはあると承知をいたしております。

高山委員 取り調べはやはり可視化した方がいいなというふうにだんだん思ってきたのは、取り調べの方法というのは、どういうところにメモするとか、あるいは聞き取ったものを私的にメモする場合もあれば、小票というのは私は見たことがありませんからわかりませんけれども、きちんと公文書としてメモする場合もあって、それは何か捜査員の判断で自由に決められる。こういうことのきちんとした決まりはないんですね、取り調べがどういう状況だったかと記録していくというのは。だとすると、余計録音したりなんなりしないと物すごく不安を感じますね。そうすると、途中での、しかも私文書で私的なメモだったというと改ざんも自由になってきますね。私的文書で自分が書いた文書、内容、虚偽のことを幾ら書いてもいいわけですからね。大変なことですね、今の刑事局長の答弁だと。

 小票というのは本当にそういう私文書の扱いで私的なメモなんだということらしいんですけれども、法務大臣に伺います。

 検察の方と相談してというようなお話もありましたけれども、実際、では検察の方では、警察がやっている捜査で上がってくるいろいろな、小票というんですか、こういうメモなんかを見ていろいろ判断されると思うんですけれども、そういう私文書の私的メモみたいなものとかも全部一緒くたにいろいろ判断して、それで検察官がやっているんですか。意外といいかげんなんですね。そういう運用で今やられているんですか、実際、検察庁の方は。ちょっと教えてください、法務大臣。

長勢国務大臣 私は現場をやったことがありませんので細かいことはわかりませんが、いろいろな形で情報を収集してやっておると思いますけれども、起訴に当たっては当然証拠に基づいて起訴しておると思います。

高山委員 これは新聞記事によればなんですけれども、警察の警部補と検事さんの方でいろいろ相談したときに、検事は、電話をかけた場所に虚偽があることを弁護士が指摘してくれば、下手をすると偽証を問われるというようなことを言ってアドバイスをしているんですけれども、検事さんとして、警察官の方でもしこういう違法捜査があれば、これは偽証じゃないのかということを指摘すべきであって、偽証を問われるからこれは出さない、死んでも出さないみたいなことをアドバイスするというのは根本的に間違えていると思うんですけれども、大臣はこの点どういうふうにお感じになりますか。

長勢国務大臣 今の御指摘の会話は、個別具体的な事件における捜査機関相互のやりとりに関するものでありますので、それについてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、当然証拠に基づいて起訴するのが原則でございますから、そのことはきちんとやっておると確信をしております。

高山委員 証拠に基づいて起訴するのは当然のことだと思うんですけれども、検察と警察のやりとりの中で、仮に違法捜査が見つかった場合、こういった場合は、検察として、警察の方に、これはもう偽証になるから隠し通せというようなことを言うのか、それとも、これは違法捜査じゃないですか、だからもう使えませんねというようなことをするのか、これはどういう指導をされていますか。

長勢国務大臣 当然、違法なことをしてはいけないわけですから、おっしゃるような、これは違法がはっきりすれば、そういうものは使えないと指導するのが当然だと思います。

高山委員 それで、またこの鹿児島の十二人無罪の事件にちょっと立ち戻るんですけれども、この場合、検察と警察もちょっと行き過ぎで、熱心な余りかどうかわからないんですけれども、こういうことになってしまった。裁判ももう確定しているわけですよね。

 そうすると、検察の方では、どういうふうにこれは検証されましたか。検察の方も、ついついいつも連絡をしている警察官とのこともあるので、警察官が行き過ぎの捜査もあるから違法なことがあっても隠し通そう、こういうような事案だったんでしょうか。それとも、これはどういう事案だったというふうに検証されましたか。

長勢国務大臣 検察当局でこれまで把握をしておるところによれば、報告書の改ざんがあったのに検察官がその隠ぺいに関与したり、検察官が証拠を殊さらに隠ぺいしたなどという事実はないということであります。

 法務当局としても、検察当局からその旨報告をいただいておりますので、そういう事実はなかったと承知をいたしております。

高山委員 この鹿児島の事案で、そういう報告をちゃんと求めて受けているわけですね。わかりました。

 それで、警察の方もそういうようなことでしたけれども、どうもまだまだ後からこれはいろいろ出てくるんじゃないのかなというふうに私は思いますので、やはり先ほどの、捜査過程で調書をとる前のメモですか、それが非常に私的な、私文書的なもので行われているということもきょう明らかになって、随分問題だなと私は思っていますし、やはりこれはテープをとるなりなんなり、きちんとしたものをやらないと、要するに取り調べの可視化ですよね、余計少年事案では、少年は、おまえそうなんだろう、そうなんだろうと大人に詰め寄られたら、気の弱い子なんか大勢いるでしょうから、問題だなというふうに思います。

 それで、先ほど横山議員から質問させていただいた件で、さらにちょっと聞かせていただきたいのは、保護観察に付された者で遵守事項に違反した場合、それは二重処罰に当たるんじゃないかという話がありましたけれども、この点もう一度、大臣にも副大臣にも、またこれは政務官にも伺っていきたいんです。

 本当に、これは二重処罰の禁止には当たらないんですか。一回目の、保護処分に付した虞犯なりなんなりがありますね。それと、その遵守事項があって、今度その遵守事項違反だということでやるわけですね。これは、どうして二重処罰に当たらないんですか。ちょっともう一回説明してください。

長勢国務大臣 今回つくります制度は、保護観察を決定した後、遵守事項を守らなかったという新たな事情をとらえて新たな決定をするというものでございます。

 当初、保護観察の保護処分決定の対象となった事由に基づいて保護観察決定が行われる、そして、それとは別の、遵守事項を守らないという事実に基づいてこの処分が行われるわけでありますから、同じ事由について二つの処分をするということには当たらないというふうに考えております。

高山委員 これは、少年院に送致するというんですか、これは虞犯の人だとか触法少年とかいろいろあったと思うんですけれども、これと、保護観察の遵守事項に違反した、虞犯の少年と遵守事項に違反した少年とありますね。

 虞犯というのは、よく警察の方が熱心にいろいろ説明してくれるのでは、性向があるとか何かいろいろあるんですよね、ただの不良行動みたいなのじゃなくて厳しいことが。これは、遵守事項に違反するということと虞犯とどっちが悪いんですか。

長勢国務大臣 どっちが悪いというか、家庭裁判所において処分を決定されるときに、虞犯の状況に応じてどういう処分がいいかということを御判断されると思いますし、遵守事項違反の状況に応じて次の、どういう処分をしたらいいかということを裁判所で御判断されることになろうと思います。

高山委員 虞犯に関しては、性癖があることとか何かいろいろ条件がありますね。警察の人はよく熱心に説明してくれますよね。それと同じように、その遵守事項というのはどういうことを、いろいろそれは事案に応じてでしょうけれども、どういうことを守らせようとして、その違反の程度というのはどういうところで判断しているのか、ちょっと教えてください。

 僕は、何か虞犯の方が厳しいんじゃないのかな、不良の度合いが強いんじゃないのかなと思うので、ここはすごくわかりにくいものですから、責任者である大臣からきちんと整理して説明していただきたいんです。

長勢国務大臣 遵守事項、一般的な遵守事項と特別な遵守事項とつくりますが、ちょっと手元に正確な資料がありませんが、遵守事項としては、例えば、住居を転じ、または長期の旅行をするときは、あらかじめ保護観察を行う者の許可を求めることとか、毎月担当保護司を訪ねてその指導を受けることとかというようなことを遵守事項として定めて指示をすることにしておると聞いております。

高山委員 保護司のところに何か毎日定期的に連絡するとか、そういうことですよね。

 例えば、虞犯事由というのは、保護者の正当な監督に服しない性質があることであるとか、不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りしているとか、あるいは虞犯性というのですか、何か虞犯少年というのは結構きついですよね。

 それに比べて、保護司さんに連絡しなかったらとか、そっちの方が軽いといいますか、少年にしてみると、あれだけの虞犯行為をしてしまったから、あるいは触法行為をしてしまったからこういう処分をされたんだ、だけど、今度、ちょっと保護司に連絡しなかった、あるいは何か言うことを少し聞かなかっただけでというと、何か自分のやってしまったことと自分の今度受ける罰の重さが不つり合いだなというふうに感じると思うんですけれども、この点、大臣どうですか、どうお考えですか。

長勢国務大臣 当然、虞犯の事実、虞犯性があって、虞犯少年として処分が行われる、それを矯正というか指導するために保護観察処分にしておるわけですから、その前段の事実なくして家庭裁判所がどういうふうに御判断されるかということになるわけで、全く、単に毎月保護司のところへ行くのをどうしたというだけの話で理解する方がおかしいんじゃないでしょうか。

高山委員 今の大臣の答弁ですと、前段の事実なくして判断しないということですけれども、二重処罰ですか。

長勢国務大臣 それは、当初に御説明したとおりでございまして、それぞれ別々の事実をもって判断しております。(高山委員「今の答弁はおかしいじゃないですか」と呼ぶ)事実のもとになるものが別途あるじゃないですか。

高山委員 ちょっと何か今の説明がよくわからないんですけれども、二重処罰じゃないと。

 だけれども、後の、保護司のところに連絡しなかった何だという方が、これは僕は明らかに虞犯より軽いと思うんですよ。だけれども、それでも、今度保護処分なくいきなり少年院送致とかされてしまう。これは、やはり前段の事実で判断しているんじゃないですか。二重処罰じゃないですか。どうなんですか、大臣。

 だって、大臣が今そういうふうに答弁したんですよ、前段の事実なくして家庭裁判所はそういうのは判断をされないんじゃないかと。これは二重処罰じゃないですか。

長勢国務大臣 虞犯少年であるという事実と、それから、それに基づく保護観察処分を受けて、遵守事項を守らなかったという事実とは別の話であります。だから、後半の話について家庭裁判所が御判断をされるときに、前のことがあったということが考慮の対象になるかもしれない、されるのではないだろうかということを申し上げたので、これは全く事実としては違ったことを対象にして処分をされると思います。

高山委員 いや、だから、前のことをもう一回判断するのであれば、同じ少年がさらに、一回審判を受けて、昔の、一度保護処分にされて、こういう遵守事項をつけてというのにまた蒸し返されて、何か二重処罰じゃないかなというような印象を私は受けました。

 ちょっと時間もないんですけれども、やはり少年事案の解決というか改善更生のために、どうも少年本人のことだけじゃなくて、何かまた蒸し返されたりだとか、余計何か少年にどんどんいろいろな負担があるような気が私はいたします。

 この点、その遠因となるような家族のあり方に関して、最近、民法の改正問題というのも随分問題になっているんですけれども、特に、離婚後三百日であれば推定が働くとかいろいろあるんですけれども、この点に関して、法務省の方で何か通達で、推定というんですか、後の結婚の夫の子であるということができるようにするという話だったんですけれども、これは立法措置でしても全く構わないんじゃないのかなという意見もあるようですけれども、立法措置でやらない理由は何ですか。

長勢国務大臣 この問題について、当委員会でも先生方から御質問がありました。

 法務省としては、嫡出推定を覆すために裁判手続を経なければならないということに関して、不合理な過度な負担があることは解消できるように方策を考えたいということをずっと答弁してまいりました。

 今、法務省としては、離婚後に懐胎したことが医師の証明によって確認された場合には、戸籍窓口において前夫嫡出子等を覆す取り扱いをするということをしたい、これは運用でできるという解釈になりますので、それにしたいと思っております。

 先生がおっしゃったのは、早川さんがおられるので恐縮でございますが、与党等において、そのこととまた別のことも含めて、立法措置を講じたいという御意見が議論されているというふうに伺っております。(高山委員「いや、立法措置をしない理由を聞いたんですよ」と呼ぶ)

 私は、今、離婚後に懐胎したということを医師の証明によってできるときには、立法措置を講ずる必要なく運用でできますので、それによって対応したいというふうに考えております。

七条委員長 質疑時間が過ぎておりますので、よろしくお願いします。

高山委員 ああ、そうですか。

 この点、安倍総理からどういう指示がありましたか。

七条委員長 質疑時間が過ぎておりますから、では、簡単明瞭に答えていただいて。

長勢国務大臣 総理からは、特別具体的な指示はございません。この問題については、法務大臣の所管でございます。

高山委員 終わります。

七条委員長 次に、保坂展人君。

 速記をとめておいてください。

    〔速記中止〕

七条委員長 では、速記を起こしてください。

 保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 法務大臣にちょっと伺っていきたいんですが、この法務委員会あるいは法務分野では、時折、与野党を超えて、これは緊急の救済が必要じゃないかというテーマが持ち上がり、それが今回の民法七百七十二条、三百日問題だと私は思っています。与党の中で御努力されていることもよくわかっていますし、何とかしたいなという気持ちであります。

 ところで、報道によれば、法務大臣が閣議後の記者会見で、貞操義務なり性道徳なりという問題は考えなければならないという御発言があったと。長勢大臣の率直な人柄で、これはどういうことを意図されて言おうとされたのかなということをちょっと少年法に入る前に聞いてみたいと思うんです。

 一点目なんですけれども、性道徳というのはどういう意味で言われたんでしょうか。

長勢国務大臣 記者会見の場でしたから、厳密な法律論として申し上げたわけではありませんが、性といいますか、男女交際というんでしょうか、ちょっと言葉が十分うまくしゃべれませんが、そういうことに関して人が守るべきあり方というものがあるだろうと思います。最近、性道徳の乱れというような言葉が世間でもよく使われていると思いますが、それと同じような意味合いで申し上げました。

保坂(展)委員 次に、貞操義務なんですが、これは離婚訴訟などで限定的に今でも使われていると思います。

 ところで、そもそも長勢大臣御自身の理解の中で、貞操という言葉、貞操義務ではなく、貞操というのはどういうイメージですか。どういう意味内容ですか。

長勢国務大臣 夫婦がお互いに配偶者以外の相手と性的関係を持たないというようなことを言うんだろうと思います。

保坂(展)委員 刑事局長に伺いますが、刑法百八十三条、姦通罪が廃止されたのはどういう理由でしょうか。

小津政府参考人 御指摘の刑法第百八十三条廃止前に姦通罪を規定しておりました。この規定は、妻の姦通のみを罰しておりました。その場合には、妻が姦通したときは、相手の者も処罰するということではございましたけれども。逆に申しますと、夫の姦通は罰していなかった、こういうことでございます。

 そのために、この罪につきましては、新憲法の施行後、法のもとの平等、男女平等の原則に違反するのではないかと問題になって廃止することになった、このように承知しております。

保坂(展)委員 大臣、戦前の広辞苑を見ると、貞操という言葉は、変わらない節義とか婦人が性欲関係の純潔を保持すること、こうあるんですね。

 今の姦通罪の廃止の話とあわせてみると、今大臣は男女のと貞操義務の扱いについておっしゃいましたけれども、民法七百七十二条の問題は、女性においてのみ再婚禁止期間がありますよね、七百七十二条ではありませんけれども、要するに、女性が三百日以内に出産した子が推定規定が働いてしまうという問題で、男には直接かかってこない、これを今、憲法の法のもとの平等の視点に照らして、やはり緊急に解決すべきじゃないかというふうに思うんですね。

 そういう意味で、貞操という言葉についてもしっかり考えて使っていただきたいと思うんですが、いかがですか。

長勢国務大臣 ちょっと戦前の広辞苑のお話は私はよく存じ上げませんでしたが、貞操というのは、少なくとも現在においては男女相互のものというふうに理解をされておると思いますし、私もそういう意味で申し上げました。

保坂(展)委員 この議論は、ちょっときょう法案の方に入りますので、引き続きやらせていただきたいと思っております。

 長勢法務大臣の答弁で、先日、私の方は、少年院入院年齢の下限撤廃について、十歳、八歳、五歳というような例を挙げてお聞きをしたところ、少ないだろうと思いますけれども、正確にあり得ないとは断言できません、こうおっしゃいました。それでいいんですかというふうに確認をしたところ、想定しがたいと思いますけれども、世の中どういうことがあるかわかりませんから、家裁で判断していただくという答弁でした。

 そこで、矯正局にお聞きしたいんですが、五歳の子供が少年院に入ってきて大丈夫なんでしょうか。例えば、保育プログラムとか、そういうことがあるのかどうか。

梶木政府参考人 現在、我々は、いろいろな新しいプログラムについて研究を重ね、検討をして、準備をしております。五歳というのは現時点ではまだちょっと考えておらないわけでございますが、我々の施設の職員、二千五百弱の職員がおるわけでございますが、さまざまな資格を持っております。

 例えて申しますと、中学校の教員免許を持っておる者は七百五十人余りおりますし、小学校でありますと二百九人ぐらいおります。それから、幼稚園の教諭は二十七名おります。臨床心理士等もおりまして、そういう意味では、我々の施設というのはさまざまな職員がおりますので、そういう事態になりましたら、我々、最大限努力をさせていただくつもりでおります。

保坂(展)委員 これは刑事局長、私はちゃんともうプリントして、十歳、八歳、五歳で大丈夫ですかというのは、さきの委員会の前日に渡して、刑事局長の方は、要するに、少年院に入っていることの意味の内容がわからないような年齢の子供に対しては想定しがたいというふうに答えていますよね。しかし、矯正局長は、そういうふうになれば受けて立つ、こう言っているわけですね。大臣の方は、世の中いろいろなことがある、こう言っているわけですよね。これはまずいんじゃないですか。

 刑事局長に伺います。

 つまり、矯正教育が何たるかが理解できる年齢というのが明らかにあって、その年齢というものをやはりしっかり線引きしておかなきゃいけない。これまでは、やはり十四歳未満ということではっきりしていた。ここを撤廃して下限はないよと。大臣がおっしゃるように、世の中いろいろなことがありますから、五歳でかなりのことがわかって、いや矯正教育の意味もわかるかもしれない子供がいるかもしれないですね。しかし、そういう議論になっていくと、この政府提案自身の趣旨が一体どこまでにらんでいるのかという話になるでしょう。どうですか、そこら辺。

長勢国務大臣 世の中何が起こるかわからないと前回答弁申し上げたのかもしれませんが、ちょっとそれは誤解を招く発言だったと思います。

 まず、私が申し上げたかったことは、五歳、何歳というのは想定しがたいことだとは思いますけれども、ただ、それを決定されるのは家庭裁判所の権限でございますので、私がいかにもそれに介入するかのようなことになってはいけないなということで申し上げたという趣旨でございます。(保坂(展)委員「いや、言ったじゃないですか」と呼ぶ)今釈明を申し上げておるわけです。

 矯正局長は責任上ああいうことを言う立場にございますけれども、それはおっしゃるとおり、少年院は何のために送致をするかといえば、そこで保護処分が適当であるからという判断ですから、少なくとも発達程度に照らして、理解ができないとか、あるいは集団生活になじまないというふうな方々は当然入らないと考えるのが相当であると思いますし、そういうふうに家庭裁判所で御判断されるものだろうと思っています。

保坂(展)委員 法務大臣の法務委員会における答弁はやはり大変重くて、世の中には長勢法務大臣よく言ったという人もいるんですよ。五歳で少年院、そのくらいやらなきゃいかぬ、いや、私の議論の方が甘っちょろい、長勢大臣ぐらいに言い切らなきゃだめだ、こういう理解で広がって、今だって、矯正局長だって、大臣のそういう御下命とあれば受けて立つ、こうやっているわけですから、これは困った話なんですね。

 ちょっと大臣、もう一回聞きますけれども、十歳、八歳、五歳と聞いたんですね。では、八歳ならどうなんですか。八歳ならグレーゾーンなんですか。

長勢国務大臣 十四未満と御提案申し上げておりますし、それは、身心の発達程度に即して、先ほど言いましたように、施設におけるいろいろな教育内容等々が理解できて、かつまた、集団生活にもなじむという者でない者が少年院に送致されるということはないと私は思います。

 しかし、では何歳がということをここで一律に決めるということは必ずしも適切であるかどうかというのはまだと思いますので、やはり少年の適性に応じた形で御判断をいただくということにしたらどうかというのが御提案であります。

保坂(展)委員 これは、家庭裁判所は国会の立法の内容を司法の場で判断するわけでしょう、大臣。この法案は、大臣、法務省が出しているんですよ。法務省の長たる大臣が提出者なわけですから、制度の。

 これまでは年齢の枠があったんですよ。十四歳未満はいけませんよという年齢の枠があったんですよ。これを撤廃したんですよ。それで、ほかの委員がいっぱい言っているように、では線引きしたらどうですか、何歳なんだと。そして、ずっと大臣が答えているわけですよ、何歳とは言えないんだと。

 今の答弁だと、よろしいですか、五歳はちょっと想定しがたいけれども、世の中何が起こるかわからないというところは撤回されたと思いますね。しかし、八歳ならケース・バイ・ケース、そういう子もいるかもしれないじゃないですか、今の答弁だったら、そういうことですか。つまり、子供によったら、理解できて、集団生活になじめればありですよということを言っているんですか。

 これは、家裁の判断じゃないですよ。制度をどうやって設計していくかの話なんですよ。

長勢国務大臣 立法趣旨としては、少年院送致をすることが少年の健全育成に資するという判断になる場合にそうだということでありまして、今それを一律に言えませんけれども、矯正教育の意味内容が理解できること、あるいは集団生活ができることという基準は今申し上げているわけで、それを前提に家庭裁判所で御判断いただける、こういうふうに思っています。

保坂(展)委員 ということは、法務大臣、家庭裁判所が判断したら、八歳の入院ということもあり得るわけですね。

長勢国務大臣 それを私、今ここで……(保坂(展)委員「あり得ないんだったら、年齢をつければいいじゃないですか」と呼ぶ)私がここであり得ないとかということを言うのは、少し御了承いただきたいと思います。

 ですから、家庭裁判所で御判断をいただくというふうに思っていますので、それがあるとかないとかというのは私の立場では言えません。

保坂(展)委員 ちょっと厚生労働省に聞きますけれども、あした我々はきぬ川学院に行きますけれども、強制措置可能な国立の二施設で、何か困難があるんですか、現状で。どうしても扱いかねて、少年院に送ってもらいたいみたいな。

七条委員長 お静かにお願いいたします。

村木政府参考人 十四歳未満の少年について、児童自立支援施設においてケアをしております。

 この中で、現場でこういう少年のケアに携わっている方々にお伺いをしましたところ、やはり無断外出等を繰り返して、開放処遇であることが、むしろ子供本人の落ちついた生活環境の確保という点でマイナスになるケースなど、自立支援施設が持つ家庭に近い開放的なケアになじみにくい触法少年が存在するということは事実でございます。

保坂(展)委員 ちょっと厚労省の審議官はおかしな答弁なんですね。私の質問は、強制措置が可能になる、つまり、施錠ができる施設というのは国立で二カ所しかないわけで、そこで何かもてあましているんですかということです。あした見に行きますので、答弁はもういいです。

 法務省の方で、一点。

 虞犯少年として少年院に入っている人は結構いるという話なんですね。虞犯少年も少年院に送致されている。これは確認なんですが、今回の法案ですと、将来犯罪を犯すおそれもある、疑いもある、そういった虞犯少年も、場合によっては少年院に入院することが可能になるんですか。これだけ、端的に。

小津政府参考人 本法案では、虞犯少年も含めまして、十四歳未満の少年につきましては、特に必要と認める場合に限り、少年院に送致することができる、このような条文になっております。

保坂(展)委員 虞犯少年という概念をめぐって、これは深めなきゃいけないですが、そうなると、これから十四歳未満の少年にも与えられる警察の調査権限、これは大変問題になるだろうというふうに思います。

 先ほども、志布志の事件について、警察、検察の間で何か証拠隠滅的なやりとりがあったんじゃないかという指摘があって、私もそれを指摘しようと思ったんですが、同僚議員がやったので。

 一つ伺いたいのは、つい最近、佐賀の旧北方町で、一九八九年の一月に女性三人が殺害をされた事件で、一審、二審で無罪になった元トラック運転手の方について、福岡高検が上告を断念した、こういうことでございます。高検の次席検事は、取り調べが著しく違法と指摘されたことは真摯に受けとめている、被害者や遺族の皆様には真相の解明に至らず申しわけなく思う、こういうふうに言った、ただ、長らくの間とらわれた被告に対しては、結果として無罪になったことは真摯に受けとめると述べるにとどまっているんですが、このときの検察の責任者というのはどなただったんでしょうか。

長勢国務大臣 お尋ねの、北方三女性殺害事件の起訴当時における佐賀地検検事正は小津博司であったと承知しております。

保坂(展)委員 まあちょっと聞きにくい質問なんですけれども、やはり人の命が三名亡くなっている重大事件ですね。重大事件の中で、取り調べの違法性が一審、二審とも厳しく指摘されている。そしてまた、次席が、これは申しわけなかったと。当時の責任者ですよね、刑事局長。

 その当時の責任者として、今どういうふうに受けとめられていますか。これから少年事件の中で冤罪が起こってくるんじゃないかという視点で質問していく前に、一言いただきたいと思います。

小津政府参考人 ただいま御指摘をいただきましたけれども、やはり具体的な事件について、現在の私の立場でコメント申し上げるのは御容赦願いたいと思います。

保坂(展)委員 個別事件について、このときの捜査がこういうことでどうのこうの、ここが違法でというようなことを、刑事局長、聞いているんじゃないんですね。

 よろしいですか。人間の運命がかかっている、そして人の命が失われた、そして被害者の遺族も同時にこれは一体どうなっちゃうんだろう、こういう大変社会的な反響が大きい、そしてまた、この捜査のあり方や可視化をめぐっても、志布志の事件とともに議論の材料にしなきゃいけないということについて、どう受けとめるのか。

 個々具体的な個人名なんて挙げなくていいですよ。少なくても、その心情を一言ぐらいは聞かせていただけないですか。

小津政府参考人 繰り返しになりますが、当時の事件を起訴した検事正であったということでどうかということでございますので、その点につきましては、申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。

保坂(展)委員 では、その立場を外したらどうですか。この北方の事件を見て、自分が検事正であったという立場を外して。だって、刑事局長ですからね。上告を断念したということについて、個別具体的な答弁は差し控えるが、一般論としてはどうなんですか。

小津政府参考人 この具体的な事件を離れまして、一般的に、捜査当局あるいは検察当局として、捜査あるいは取り調べの違法性が裁判所で認定される、あるいは指摘される、そして立証ができないということがないようにしていかなければいけないと考えております。

保坂(展)委員 大臣、どうですかね。これは刑事補償という手続に入るわけですね。これは冤罪で、死刑まで求刑されて、確定死刑囚として、最後に再審で無罪になった方たちもいますけれどもね。あの、ちょっと後ろから余り言わないでください。簡単なことです。

 要するに、検察庁、検察官は犯罪を立証して、パーフェクトにそれが認められていくということを目指すという話なんですね。しかし、同時に、これは人の運命がかかっているので、その捜査が本当にこれは無理がないのかどうかとかということについて、きちっと意を凝らして、もう一回検証してやり直しますぐらいの号令は、やはり大臣は恐らくかけていらっしゃるんじゃないですか。そういう見地からお答え願いたいですね。

長勢国務大臣 よく無罪判決というのは起きているわけで、それと冤罪とは若干概念も違うのかなと思います。ここの委員会でも無罪率が低過ぎるという御指摘もあったところでございますが、いずれにしても、検察官は当然法と事実に基づいて責任を持って起訴する責任があるわけであります。

 しかし、結果として、責任を持って公判請求したものも、裁判所の判断と違うことが起こるというのは、検察が間違っているというだけの評価だけではないんだろうと思います。しかし、いかにもいいかげんな捜査をしておるという誤解が与えられるようなことがあっては、それは検察、警察の信頼が失われることになっては治安は守られませんので、こういうことのないようにきちんとした事実捜査をして、信頼を持っていただけるようにしっかりやってもらいたいということは、先般、私からも強く要請を申し上げたところでございます。

 しかし、私自身は、裁判の結果はいろいろあるかもしれませんが、検察、警察はそれぞれきちんとした適正な捜査の上に立って、法と事実に基づいて責任を持って起訴しておるものと確信をしております。

保坂(展)委員 少年法に戻りたいので、ちょっと一言だけ言っておきますけれども、やはり人間のやることは間違いがあるんですね。特に大きな組織であればあるほど、いわゆる犯人だというふうに決めたときに、全力を挙げて立証しようとする。そして、全力を挙げて立証した警察の捜査過程について、今検察のチェックがどれだけ働いているのかということを問題にしているわけであって、それからもう一つ、いわば上告を断念したからといって有罪にし切れなかったというだけの存在だというような言い方は、やはり今後慎んでいただきたい。少なくても、これは上告を断念するだけの理由があったわけで、その後の関係者の、長いこと獄につながれていた人の人権も当然守る責務が法務大臣にあるわけですから、そのことは指摘しておきたいと思います。

 刑事局長にこの少年法に関して伺いたいんですが、触法少年、十四歳未満の少年への調査、これは黙秘権の告知も必要ないという答弁でした。それで、任意調査だということなんですけれども、例えば、君は拒否できるんだよ、退出できるんだよというようなことを本人に対して告げなさいよというような規定などはないわけですよね。となれば、十四歳未満ですから、与党の方からもいろいろ指摘がありましたね。やはり、暗示に非常にはまりやすい年齢でもあるというと、君はやったんだろうというふうに言われれば、やったのかもしれない、やりましたというような虚偽の自白を生みやすい。これは調査だから自白じゃないという話は別にして、これはやはり冤罪が生まれる可能性がより高いんじゃないか。

 それに対して、この国会の審議を通して、捜査の可視化もそうです、それから付添人をつける、あるいは保護者なら保護者同席とか、いろいろなことをやはり工夫しなきゃいかぬと思いますが、いかがですか。

小津政府参考人 御指摘の点に関連いたしましては、黙秘権の告知を一律に義務づけるということについては適当ではないのではないかということについて、これまで申し上げさせていただいたわけではございます。それから、御説明の内容として、この法案において、六条の二の第二項で、「少年の健全な育成のための措置に資する」というのが入っているということも申し上げたわけでございます。

 もとより、少年に強制的に供述させることを容認するものではないわけでございますので、この私どもの提出させていただいている法案では、先ほど申し上げたその条項、そして、この少年法全体の趣旨からして、このような内容について適切であるということで提出させていただいたわけでございますけれども、十分な御審議をお願いできればと思っています。

保坂(展)委員 警察庁に伺いますが、今の点に絡んで、少年警察活動推進上の留意事項というものの中の第四の非行少年全般についての活動の中で、「非行少年と面接する場合においては、やむを得ない場合を除き、少年と同道した保護者その他適切な者を立ち会わせることに留意すること。」とありますね。これは、運用上は実際どのぐらい実現しているんでしょうか。少年事件に取り組んでいる弁護士の方によると、ちょっと立ち会いたいというふうに言っても、この規定は在宅だけだというふうに拒否されるケースが多いというふうにも聞いているんですが、いかがですか。

七条委員長 時間が来ておりますから、簡単明瞭に答弁を願います。

片桐政府参考人 今御指摘のように、次長通達において、やむを得ない場合を除いて、「少年と同道した保護者その他適切な者を立ち会わせることに留意すること。」というふうな規定を置いておりますけれども、これは、少年が無用な緊張をすることを避けるとか、また、事実の解明について協力できる方であるとか、それからまた、事後の少年の指導に対して有益な方であるとかという、少年の保護、監護の観点から適切な方であれば立ち会っていただくということを規定しているものでございまして、最も念頭に置いておりますのは保護者が一つございます。それからあと、学校の担任の先生とか、仕事を持っている方であれば、少年であればその雇用主とかいう方を前提にしているということでございます。

 ただ、これが一体どういう実態で運用されているかについては調査をしておりませんので、我々もまだ詳細な把握はしておりません。

保坂(展)委員 時間なので。

 これは、多分倉田先生も御質問された点だと思いますが、調査して把握していないということでは審議にならないので、委員会審議中に警察庁は、一体どのくらいの運用実態なのか、そして、実際に付添人など、あるいは弁護士が同道を求めたとき、拒んでいるケースはあるんじゃないかと思います。我々も具体的に指摘をしますけれども、調査していないではなくてしてください。委員長にお願いします。

七条委員長 後日、理事会で協議をいたします。

 次回は、来る十三日金曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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